投稿者 asahi 日時 2001 年 6 月 02 日 20:57:30:
ミサイル防衛、米が日本に共同研究拡大を打診
日米両国が進めるミサイル防衛の共同技術研究で、米国防総省が防衛庁に対し、研究分野を広げるよう、非公式に打診していることが明らかになった。これまでの迎撃ミサイル本体の研究に加え、新たに艦船からの迎撃ミサイル発射と標的への誘導に関する分野でも日本の協力を得たいとしており、防衛庁で対応を検討している。ブッシュ政権が掲げるミサイル防衛網の拡大を視野に入れたものとみられ、日本に新たな役割を求める動きといえそうだ。
米国のミサイル防衛計画をめぐっては、田中真紀子外相がイタリアやオーストラリアの外相に批判的な考えを伝えていたことが表面化している。今月末の日米首脳会談や、それに先だって行われる方向で調整中の外務、防衛担当閣僚同士の会談で、この問題が焦点に浮上しそうだ。
日米両国は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が中距離弾道ミサイル「テポドン」を発射した直後の98年9月、戦域ミサイル防衛(TMD)の共同技術研究に合意。日本は迎撃ミサイルに積む赤外線使用の標的識別装置や弾頭など、4分野の設計や試作に加わった。
99年度から5年をめどに研究を続けたうえで、開発段階に移るかどうか判断するとしており、今年度予算には約37億円を計上した。
今回、米側が新たに打診してきたのは、迎撃ミサイルを発射するイージス艦の装備のうち(1)標的を探知してミサイルを誘導するレーダーシステム(2)複数の標的に同時対処する武器管制システムの2分野。
米国は、ブッシュ政権になって、長距離ミサイルから米国本土を守る本土ミサイル防衛(NMD)と、中・短距離ミサイルから同盟国やその国に駐留する米軍を守るTMDを一体化し、ミサイル防衛を世界中に拡大する構想を打ち出している。この構想では、艦船を使った海上からの迎撃ミサイル発射の重要性を強調しており、新たに打診があった分野はこれと重なる。
米側の打診に対して、防衛庁内では「研究参加は技術的利点が大きい」との見方がある一方で「現在の共同技術研究を確実に続けることが最優先」との慎重な意見も強い。
現在の4分野の研究費用は5年間で200億〜300億円程度とされているが、新たな分野の研究に参加すれば別の予算措置が必要となる。このため「ミサイル防衛に限らない、通常の技術開発にあたる」との理由で、ミサイル防衛研究と切り離した形で参加を検討する可能性も探っている。(03:03)