投稿者 mainichi 日時 2001 年 5 月 29 日 10:01:50:
回答先: エシュロン:人権侵害、と欧州議会報告草案 米など5カ国盗聴 投稿者 mainichi 日時 2001 年 5 月 29 日 10:00:34:
エシュロン:
毎日新聞が入手した欧州議会最終報告書草案=要旨
毎日新聞が入手した欧州議会調査委のエシュロン最終報告書草案の要旨は次の通り。
▽調査委員会設置の理由=欧州連合(EU)規約に規定された人権を侵害する恐れのある
エシュロンを調査するため、欧州議会は調査委員会を設置した。
▽エシュロンの特徴=受信基地と衛星を使って電話、ファクス、電子メールなどの個人や
企業の情報を盗聴できる。他に例を見ない大規模な通信傍受システムである。英、米、カナ
ダ、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏5カ国が参加する世界規模の盗聴網で、参
加国は入手した情報を共有できる。
▽エシュロンが存在する証拠=軍事施設など立ち入りが厳しく制限されている場所に傍受
施設がある。また、受信アンテナの種類と大きさから判断できる。通信傍受に使われるアン
テナは通常、直径15〜18メートル。パラボラアンテナは球状の白いカバーで覆われ、ア
ンテナが向いている方向を隠す目的がある。こうしたアンテナは軍事目的では利用されてお
らず、民間の通信傍受に使われている可能性が高い。
▽UKUSA協定=第二次世界大戦の際、英国(UK)と米国(USA)が中心となり、
日本の無線を傍受するために結んだ同盟。戦後の1948年にはソ連の通信傍受を目的に再
編され、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの諜報機関が加わった。豪防衛信号局
(DSD)幹部はUKUSA協定の存在を認め、外国通信傍受機関と協力していることを認
めている。
▽傍受局の疑いのある基地=世界に20カ所。ヤキマ、シュガーグローブ(米国)、セバ
ナセカ(プエルトリコ)、モーウェンストウ、メンウィズ・ヒル(英国)、ジェラルトン
(豪州)、バート・アイブリング(独)、グアム、香港など。この中に青森県・三沢米軍基
地が含まれている。
▽三沢基地=米陸軍の諜報セキュリティ司令部(INSCOM)、海軍セキュリティグル
ープなどが駐留し、情報の解析を行っている。敷地内には14の衛星アンテナがある。三沢
は「暗号解析センター」の役割を担う。
▽他に通信傍受システムが存在する可能性=仏、露は理論的には可能だが今のところ情報
はなく、通信傍受網は事実上、英米が独占している。
▽エシュロンとEU規約の対比=エシュロンが産業スパイ目的に使われたり、個人情報の
侵害につながっているとすれば、EUの人権規約に違反する。EU加盟国の参加は規約違反
である。
▽諜報機関による通信監視とプライバシー=個人情報を監視すること自体が基本的人権の
侵害である。米国家安全保障局(NSA)などが欧州で活動する主たる国は英国とドイツで
あり、特に両国は米国に対して、欧州人権規約を尊重するよう要請し、違反する場合は活動
の禁止を求めるべきである。
▽EU市民の情報機関からの保護=共通外交・安全保障政策面から見ても統一基準の作成
が望ましい。
▽産業スパイの防止=エシュロンは企業秘密を入手できる。世界規模で展開する企業はテ
レビ会議などの先進技術を導入しているが、こうした企業情報をエシュロンは盗聴できる。
米中央情報局(CIA)はエシュロンへの関与を否定している。
▽暗号化による自衛=個人や企業情報を守るには、発信する情報を暗号化するなどの自衛
措置が必要である。ただ、個人情報の暗号化には技術面やコストで問題が多い。 ▽結論と
提案=欧州議会は、「欧州評議会」(43カ国加盟)に対し、通信傍受などの新技術による
人権侵害を考慮する欧州人権規約の見直しを求める。EUに対して、企業情報保護に関する
相談窓口の設置を勧告する。
また、米国には「市民・政治的権利に関する国際規約(国際人権B規約」の追加議定書へ
の署名国連にプライバシーの保護を定めた同規約17条の見直しを求める。さらに、世界貿
易機関(WTO)の枠組みで、産業スパイ防止対策の話し合いを提案する。【欧州総局】
[毎日新聞5月28日] ( 2001-05-28-15:01 )