投稿者 SP' 日時 2001 年 4 月 24 日 09:49:24:
回答先: Mind Bender 投稿者 SP' 日時 2001 年 3 月 14 日 20:20:52:
黒服の奇妙な男たち、MIB(メン・イン・ブラック)がUFOの目撃者や研究者を訪れ脅迫する……。映画にもなり、一般にもよく知られるようになったこの不思議な出来事は、いったい何を意味しているのだろうか。MIBの正体は何だろうか。またそれは、本当に起きたことなのだろうか。
ケネス・アーノルドといえば、1947年6月24日にUFOを目撃し、「フライング・ソーサー」という言葉が生まれるきっかけを作った人物として知られている。彼の報告で「空飛ぶ円盤」という言葉が一般化してから、MIB(メン・イン・ブラック)という不気味な存在も研究者を悩ましつづける現象となっている。
MIBが最初に登場したとされているのは、アメリカのワシントン州第3の都市、タコマの海域で港湾巡察官をしていたハロルド・ダールの事件だといわれている。ダールは巡視船に乗ってパトロール中、6機のUFOが空中に浮かんでいるのを目撃し、写真撮影に成功した。さらに、そのうちの1機が急降下し下部のハッチから金属片を落としたので、その破片を家に持ち帰ることにも成功した。すると、翌日に黒服を着た男がダールの家に訪れ、「昨日のことは誰にもいうな」と脅していったのだという。
このUFOの目撃者は、ダールのほかには巡視艇の2人の乗組員とダールの息子だけで、ダールはUFOのことは誰にもしゃべっていなかった。ほかの目撃者も思い当たる節がないというのだから、この予期せぬ訪問者の情報収集の速さは異常であり、驚きに値するだろう。
この事件で特に興味深いのは、ダールがUFOを目撃したという日時だ。ダールが不思議な物体を目撃したのは1947年6月21日のことで、アーノルドが円盤を目撃する3日前だったのだ。この事件が真実だとすれば、MIBは我々の想像よりもかなり早い時期から暗躍していたことになる。
ダールは当初この事件のことを公表しないでいたが、アーノルドの事件が世間の話題となったことで、直接アーノルドにコンタクトをとり、公表する気になったのだという。つまり、アーノルドの事件がなければ、ダールの事件も公にはならず、ダールは謎の物体を見た恐怖心に悩まされながら一生を送ったのかもしれない。
この事件はその後、アーノルドからアメリカ空軍へと知らされ、調査官がダールのもとへ派遣されることになった。しかし、UFOからの取得物とフィルムを持ち帰る途中、調査官の乗った飛行機が墜落して、証拠は失われてしまった。そして、肝心のダールも行方不明になり、現在では調査の道が絶たれてしまっている。
政府機関かエイリアンか
果たしてMIBの正体は何なのだろうか? いくつかの説が唱えられているが、UFO研究者の間で有力なのは、ある公的機関(あからさまに空軍という場合もあれば、CIAやFBIのような秘密機関としかいえない場合もある)のエージェントではないかという説だ。特に平均的アメリカ人は、CIAのような諜報機関は必ずしも一般市民のために活動していないと思い込んでいる場合が多い。そのため、よくいわれる「UFOは政府により隠蔽されている秘密兵器」という説と同じで、「MIBはこの隠蔽工作の一部であり、目撃者を黙らせ、異星人と遭遇した事実と、それを証明する写真や証拠を盗んで事実を隠すことが彼らの目的」と考える説だ。
こうした隠蔽工作説が有力視されているのには理由がある。MIBは突然やってきて、自らの身分について、いかにもありそうな肩書きや身元を語るのだが、その事実を調べると、どの機関にもそのような人物は存在していないことが多いからだ。1970年、アメリカの研究家トニー・キメリーは真剣に次のように語っている。
「謎のMIB(殺し屋であり高度な訓練を受けた情報部員)は複雑なUFO現象の一部で、その現象はまた別の大きくて複雑な現象の一部である。彼らによるプロジェクトの目的は、政治、金融、宗教、科学機関などなど……の世界統一だ。MIBには何世紀も昔から延々と続く背景と歴史があり、それが積もり積もって今日に集中しているのだ」
彼の主張によれば、この世界には影の政府とでも呼ぶべき組織があり、その組織がMIBを派遣しているということになる。そして、その影の組織とは、フリーメイソンだと主張する研究者もいまだに多い。
もう1つ有力なのは、MIBは地球以外のほかの天体からやってきたエイリアンだという説だ。これと同じように(空洞の地球内部からやってきた)地底人だとする説もある。
ただし、MIB目撃者の報告を調べてみると、MIB自ら地球人ではない、と話すケースは少ないようだ。唯一、1953年に起きたアメリカ、コネチカット州ブリッジポートのアルバート・ベンダーが報告した3人のMIBのケースが、自らエイリアンだと話した数少ないケースといえるだろう。
また彼らの特徴としては、短時間しか活動できないと思われる行動が多いことだ。訪問後しばらくすると、彼らは「もう行かなければいけない」とか、「薬や水を飲まなければならない」といったり、ときには力がなくなったような行動を見せることが多い。
さらに、MIBは血と肉(異星人の血と肉であっても)でできているのではなく、ある種の幻覚でもなく、その中間である可能性もある。次に紹介するフランスのケースで遭遇した「男たち」は、異次元の存在(「存在」という言葉が正しければ)のようだったという。
異次元の存在
1979年12月に、研究家のみならず、全世界の注目を集める事件が起こった。フランス人のフランク・フォンテーヌがUFOにさらわれて7日間行方不明になったという事件である(第33号参照)。この事件にも、実はMIBが登場しており、注目すべき証言がなされている。当事者となったのは3人で、フランクのほかサロモン・ヌディアイ・エル・ママ、ジャン=ピエール・プレボーがいるが、プレボーはのちにこんなことを語っているのだ。
「1979年12月7日、金曜の晩から8日の土曜にかけて、フランクとサロモンと俺は長いこと座って話していた。ベッドに入ったのは朝の5時から5時半の間だった。7時にドアのベルが鳴った。サロモンとフランクには聞こえなかったようなんだった。俺がドアを開けにいった。すると3人の男が立っていたんだ。
1人は高すぎも低すぎもしない普通の身長だった。ほとんど黒に近いダークグリーンのスーツをパリッと着こなし、白いシャツに黒のネクタイで、スーツとマッチしたベストを着ていた。あごの回りには髪の毛と同じ色の黒ひげと口ひげを生やしていたな。パッと見たところはなかなかの男前だった。あとの2人はそいつより背が高くて、体格もがっちりしていたよ。
それから起きたことは警察には話していない。客が来たことは話したけどね。なにしろ、俺たちはもういい加減にしてほしいほど変わり者扱いされていたからな。だけど、ひげ男とあとの2人は、本当にそこに
いるのか、現実の人間なのかよく分からなかった。いや人間じゃないようだったな、そいつは存在しているような気がしなかったんだ。そもそも、連中には目がないんだ。何ていうか、俺を見つめてるんだけど、その目はただの白い塊なんだ。薄気味悪いなんてもんじゃなかった。
ひげ男が俺に聞いた。『君は3人のうちの1人かね?』つまり、俺はこの事件(UFO目撃事件)に関係している3人のうちの1人かってことさ。俺がそうだと答えると、奴は続けて、『結構、これからいうことを君の仲間に伝えてくれたまえ。君たちはすでにしゃべりすぎた。君たちは事故に見舞われるだろう。そしてもし君たちがこれ以上しゃべったら、事態はもっと深刻なものになるだろう……』
そういうと、連中は消えた。ただ、どうやって消えたかってことになると、ちょっと説明しづらいものがある。エレベーターを使ったわけじゃない。使っていたら音がしただろうし、階段を使ったらもっと音がしたはずだ。なにしろ、ここのドアはやたらでかい音を立てるんでね。俺は窓のところに行って駐車場を見た。これは絶対にうそなんかじゃないんだが、一晩中、少なくとも朝5時かもっと遅くまで、窓の下にメタリックグリーンのフォード・カプリが停まっていた。見たことのないフォードだ。で、俺が見下ろしたとき、ちょうどこのフォードのエンジンがかかったところだった。奴ら、階段もエレベーターも使わないで、どうやって車にたどり着いたんだ? まったくわけが分からないよ。
それからフランクとサロモンを起こして警察に行った。でも、警官はこういった。『そいつらが実際に君たちを襲ったり傷つけたりしない限り、我々にできることはない。さあ、帰った帰った』。それでこの話はおしまいさ」
プレボーは、その後も通りの向こう側や市場で何度かこの3人を見かけているという。あるときなど、彼はたばこ屋でたばこを買っているときに別の警告を受けたという。自分たちが経験したことを黙っているように、と脅されたのだ。のちに催眠によってプレボーは、例の3人はエイリアンではなくて地底人、地球の内側で生まれた悪の力だといった。彼はまた、あごひげの男は実在していたが2人の手下は「実在していなかった」という話もつけ加えている。
また、人間に存在を目撃されたエイリアン自身がMIBとして目撃者のもとへ現れるケースもごくまれにあるようだ。1962年、ブラジルのベロ・ホリゾンチ市で起こった事件はその一例といえるだろう。リバリノ・マフラ・シルバはある日、身長1メートルにも満たない黒服の小男が2人、穴を掘っているという不思議な光景を目にした。シルバが声をかけると、小男たちはびっくりして逃げ去ってしまった。そして森の茂みの向こうから、光り輝く物体が飛び去ったというのである。シルバは事件から3日後、この奇怪な人物(?)たちから夜中に訪問を受けることになるのだが、彼らは脅かすだけではなかった。小男たちは、UFOの底部から黄色い煙を彼に浴びせかけ、彼の肉体を「消して」しまったのである。この報告は、一部始終を見ていたシルバの息子によってなされたものだ。
MIBは恐怖の産物か?
そしてもう1つ、注目すべき特徴がMIBに共通しているのだ。それは、MIBの肌の色が変に浅黒いものだということ。それに、片言の英語を話すか逆に正確すぎる英語を話したり、アメリカの生活様式を知らないような行動を示すケースが数多く報告されていることだ。
例えばウェスト・バージニア州のジャーナリスト、メアリー・ハイヤーによると、彼女のもとを訪れたMIBは、机の上にあったボールペンを手に取り、まるでそれが生まれて初めて見るものででもあるかのように、びっくりして眺めていたという。UFO目撃者のラルフ・バトラー夫人も空軍の少佐と名乗るMIBの訪問を受けたが、男がアメリカの食べ物にあまりにも不慣れなので、食べ方を教えてやらなければならなかった、と呆れたほどだ。このことは、MIBがアメリカ人ではなく、別の国の人間らしいことを示していると考える研究者もいる。しかし、MIBがソ連(ロシア)のスパイだという話はなぜかあまり聞かない。
それにしても、MIBの報告のほとんどが、アメリカに集中しているのはなぜだろうか。うがった考え方をするなら、MIBには、アメリカ人の外国人に対する排他的な発想がもぐりこんでいるといえるかもしれない。
いくつかの特徴から推測すると、MIBはなぜか東洋人の顔の特徴を備えているようにも思える。目がつり上がっている、という証言や、無表情だったということなど(アメリカでは、アジア人の表情を無表情であると感じる人も多い)だ。東洋と西洋の文化的な違いや、精神的な土壌の違いなどから、アメリカの人々は東洋の人々を「理解したくても、分からない部分が多い人々」と解釈している可能性はある。その恐れが、もしかしたらMIBの中に投影されているのかもしれない。
一方、もし勇気を持って問題を公にしたとしても(UFO研究を諦めることを拒否し、自分が経験したことを世界に向かって語りつづけるなど)、それに対してMIBは今のところ無力のようだ。
MIBは目撃者の想像力の産物であり、昔からのいい伝えと現代的なイメージがミックスされたものだ、と推測する研究家は数多い。しかし、だからといってMIBがかえりみられる価値のない現象だということはできない。MIBが幻覚であるにせよ、現実の存在であるにせよ、彼らは被害者の心に途方もない影響力を及ぼすことは確かなのだ。今後もUFO目撃証言が発表されるたびに、MIBの報告も伝えられてくることだろう。それが事実か、あるいは別のものであるかは、今のところ判断を保留するしかない。しかしこうしたケースを記録しつづけることで、いずれ真実がみえてくるかもしれない。