武田崇元「80年代オカルト」一代記 宝島30 1996年1月号 その2完


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投稿者 倉田佳典 日時 1998 年 10 月 23 日 19:09:27:

回答先: 武田崇元「80年代オカルト」一代記 宝島30 1996年1月号 投稿者 倉田佳典 日時 1998 年 10 月 23 日 17:44:50:

武田崇元の陰謀本

宝島 武田さんは一方でハルマゲドン予言や、それこそゴリゴリの陰謀史観と見紛うばかりの本を有賀龍太などのベンネームで発表されている。そのあたりは、どう理解すればいいんですか。
武田 あれは一種の思考シミュレーション。一見、通俗本なんだけど、ちやんと毒が混ぜてある。なんていうとサリンじやないのと思われると困るんだけど(笑)。ポピュラー・オカルトとボップ・オカルトは違うんだということを、半分遊びみたいなものですが、そうした実験作業を通して提示したつもりでした。
宝島 もう少し具体的に。有賀龍太で発表された『黙示録の大陰謀』は……。
武田 そもそも発表というような大袈裟な話じやないわけ。だいたい黙示録なんてべつに研究していたわけじやないんだけど、版元からそういう話があって、完成するまでグランドバレスに部屋をとってタダ飯まで食わしてくれるというので引き受けたわけ(笑)。たいした知名度があるわけじゃないのに親切な出版社だったよね。それで、ノストラダムスみたいなストレートなやつじゃ面白くないし、オカルトを否定するオカルトというパターンで、アメリカのキリスト教原理主義なんかのエキュメニカル批判(注24)とか、ウェブスターの『イリュミナティ』(注25)とかをこてこてにブレンドして、ニユーエイジやオカルトの蔓延そのものを「これは陰謀だ!」とやったわけ。オカルト陰謀論がオカルトや霊的なるものを否定するという弁証法的構造だよね。そして陰謀論にハマるとなんでも言えるんだというメッセージでもあったわけ。
宝島 かなり皮肉的なね。
武田 そうそう。もともと僕は、皮肉屋なんです。原田君は世界を滅亡させる野心が表明されているというけれど、本気でそう思っているとしたら、まったく冗談のわからん奴という他はないわな(笑)。
宝島 アメリカの民主党右派に位置するリンドン・ラルーシュなんかは、有賀説そっくりの論を展開しています。ヒッピー・ムーヴメントやドラッグ・カルチヤーはパロアルトにある行動科学研究所による策謀だとか、キッシンジャーらの陰謀だという説です。メチャクチャなんだけど、ホワイトハウスのかなり重要な情報なんかも混じってたりするから困る。陰謀論って、みんなそうだけど(笑)。
武田 陰謀論ははまると底なしですから。うがった見方をする人は、武田と原田は今でもっるんでいて、武田が次の戦略を展開するために原田に書かしているとかね(笑)。
宝島 『ハレー彗星の大陰謀』はどうだったんですか?
武田 もう手元にないのでよく覚えてないんですが、ティモシー・リアリー(注26)やアントン・ウィルソンのテクノロジー進化論がべースだったでしょう。人類が地球を脱出して、L5
にスペースコロニーを作るという話ね。いまでこそバイオスフィアとかの情報が日本にも伝えられるようになったけど、当時の別冊宝島の『精神世界マップ』などからはまったく抜け落ちていた情報系なわけですよ『精神世界マップ』的な水で薄めたニューエイジというのは(笑)、ちょっとたるくて堪えられなかった。そうした傾向に対する皮肉も、かなりあったな。当時のニユーエイジ・ブームとか精神世界ブームに対しては、なんかこれは違うなという感覚があって、ようやく最近になってニューエッジという言葉が出てきて、そうだ、わしはずっと二ューエッジな人やったエライー!と思うわけです(笑)。
宝島 たしかにリアリーやウィルゾンなんてハードコアですからね。
武田 原田君は僕がヒトラーから学んだというけれど、そうじやない。ルィ・ポーウェルとジャック・ベルジュの『魔術師の朝』(注27)からはかなり拝借したし、このルイ・ポーウェルはたしかフランスの新右翼になるわけで、それを意識していた時代はあったね。その核にある理論モデル、つまり宇宙への進出が人間の意識進化を誘発するとか、そうした考え方はいまでも僕は否定しません。
 ついでに言うと、オウムにはスペースコロニーなんてコンセプトはどこにもないでしょうが。だから原田君の論は、はじめから武田の影響ありきという視点で出発して、自分の都合のいいようにマッピングしているのに過ぎないわけです。
 だけど、あれらの本はぶっとびすぎて、おまけに担当者も悪のり野郎で、「著者も狂った読者も狂った」という宣伝文句だったものだから、ちっとも売れんかった(笑)。しょせんはノストラダムス的なわかりやすいポピュラー・オカルトの方が受けるわけね。ポピュラーというのは、単に通俗的オンリーで素朴実在論的で即物的でストレートなやつね。オウムのオカルトなんていうのは、それこそ通俗性の最たるものでしょう。面白くもなんともない。

大本教の黒幕?

宝島 ところで、原田氏の論文でも言及されていた『サンデー毎日』の「日本のピラミッド」企画も、裏で操っていたのは武田さんだと信じている人が意外に多いのですよ。
武田 かなわんなあ。そもそも、あの企画は最初にウチのこと書いてないんで、頭にきたくらいなの。この家元に挨拶もせんと、何をやっとるのかと。そのうち例によって写真貸してくれときたので、あんた写真一枚貸して子供の駄賃もろてもしょうがおまへんがな、広告料は安くしとくなはれやということで、途中で、大急ぎで『竹内文献』とか関連書籍の広告版下を用意して放り込んだわけです。
宝島 すると、家元意識はあったわけですね。
武田あったなあ(笑)。でも、あのおかげでだいぶ売れました。
宝島 いい機会だからうかがいますが、武田さんが大本教を牛耳っているというのは、どうですか。
武田 まったく、そんなこと誰がいうのや。迷惑な話でね。わしは大本のどこの派の正式の信者でもない、ただの素浪人ですよ。まあ素浪人だから、誰にでもいいたいことはいえる。関係者は「あいつはうるさい」と思つてるんじゃないですか。
 ちょうど僕の王仁三郎の本が出たのが、いわゆる第三次大本事件とよばれる内紛の真っ最中でね、本部でも講演したり、その頃からいまの愛善苑の母胎になった教団改革グループにも出入りはしていました。だから、亡くなった宗教評論家の梅原正紀さんが「あんたは武装中立やな」といってたわけで、なんかあの人は僕のことをよく観察していて、そのまえは「オカルト・サイケデリック・マルクス主義者」だつて(笑)。まあいいえて妙だった。

−−このあたりの大本教をめぐる事情については、多少の説明が必要だろう。出ロナオを教祖とし、出口王仁三郎によってその骨格が形成された大本教は、現在は大きく三つに分かれてしまっている。第四代として出口聖子教主を擁立する本部、クーデターで追われた四代直美教主を慕う大本信徒連合会、それから教主制そのものを廃止し、王仁三郎の思想を深めようとする愛善苑の三つだ。そして武田氏は、現在は愛善苑派と目されている。−−

宝島 大本と武田さんとの関係というのは、どう捉えたらいいんですか?
武田 僕はね、出口王仁三郎の信者であって、どこそこに所属しているわけではないんです。ただ、僕の王仁三郎に対する認識というのも、やはり何度 も変わってきて、結局、村上重良さんにしても、松本健一さんにしても、僕にしても、あくまでパフォーマンス・レベルで王仁三郎を見てそのまわりをぐるぐる回っていただけなんですね。またそのレベルでも凄い人ですから手にあまるわけで、誰も『霊界物語』(注28)にきちんとチャレンジしたわけではなかった。
 これは驚いたことに、内部でもそうだったわけで、いろいろ話を聞くと、教団改革運動のなかで頼るものは『霊界物語』しかないということで、その教学的な掘り下げというテーマがようやく出てきたというわけです。そういうところから参照していくと、王仁三郎をめぐる僕の言説には足りないこともあったし、間違ってたこともあったでしょう。ある意味では、これからいよいよ出口王仁三郎というのは浮上してこなければならないわけで、その追究へのこだわりはもちろんあるわけです。
 ただ、大本三派もね、これまでのわだかまりを超えてある部分ではいっしょにやっていく時代がいずれこなければならんとは思ってます。そのために働けというなら、いくらでも働きますしね。わしは、いよいよ一朝事という場合には、ちょっと言上の儀ありというので、どこでも押し出していく覚悟はしておるわけです。
 宝島 西郷隆盛みたいですね。
 武田 それをいうてもらいたかった(笑)。というようなこというので、またまた誤解されるわけですが、僕は勝手に天下のご意見番であると思っておりますから、オウムがね、今回の警察による遅すぎた捜査を戦前の大本弾圧と同じだと主張したり、なにかというと大本を引き合いに出す知識人に対して、いちばん憤りをもっているわけです。これは先月号にも書きましたが、オウムと大本というのは、まったく正反対なわけです。これは明白な事実です。『霊界物語』の中にスサノオ神の救済事業を妨害するバラモン教という極悪邪神集団が出てきますが、これがやたらに民衆を拉致監禁して水攻め、火攻めの難行苦行を強いる暴力教団で、しかもその主宰神は大白在天。一般にはシバ神のことです。これを予言というべきかの議論はあるにしても、こういう形ではつきりとオウム的なものは否定されているわけです。そもそも、戦前の福知山町なんか、どうぞ町有地を寄付するので大本さん進出してくださいといってきているわけで、行くところ行くところ地元と悶着起こしてきたオウムなどとは天地の隔絶があるわけ。しかも大木は、きわめてラディカルな思想性を秘めながら、当時の大日本帝国の法律にすらなんら抵触したわけではない。弾圧そのものが当時の法体系手続きに照らしても無理があったわけで、第二審で治安維持法違反の疑いは無罪になっています。本来ならば、こういうことは僕みたいな外野がいうんじゃなくて、大本三派共同で記者会見するなり、あまりにも不勉強な知識人に対して啓蒙するとか抗議するとか、きちっとした対応をしてほしいわけですよ。

 『霊界物語』からマインドマシンヘ

宝島 ところで、八幡書店の出版傾向は八○年代の終わり頃からかなり変わってきていますよね。
武田 王仁三郎のいわゆる未来予予言とされるものを分析すると、メディアとか感覚の延長に深くかかわるものが大きなウェイトを占めていた。そうしたものに出会つたことで、それまで古史古伝とか神道霊学関係の文献を中心に出版していた八幡から、ホロフォニクスとかマインドマシン(注29)なんかを出すきっかけになった。外から見ると突拍子もないと思うかもしれないけど、こちらとしては自然な流れだったわけですよ。
 アメリカなんかだと西海岸を中心に、デジタル・シャマニズムとかアルカイック・リヴァイヴァルなんて流れがあったわけでしょ。そういう動きというのは、浦達也さんの言葉を借りると、レトロ・フューチャー、つまり未来が我々の内なる懐かしい風景として立ちあらわれてくるという感覚や、古層文化的なイマジネーションがテクノロジーによって誘発されるという非常にスリリングな状況があって、そういう方向性とシンクロして進んでいったわけです。なんていうか、八○年代の八幡書店ファンと九〇年代の八幡書店ファンでは、たしかに変わってきていますよね。最近はソフトウエア業界とかクラブ関係とかの人が多くなっていて、そういう世界の人たちがまた違和感なく王仁三郎や『秀真伝(ほつまつたえ)』とかに興味を持ったりするわけです。
宝島 話を本題にもどしますが、原田論文では、「偽史運動とは、揆造による文書・遺物や疑似的科学的データに基づいた歴史学説を政治的に利用しょうとする社会運動と定義し」「オウム真理教もまた、私の見地からすれば偽史運動の一種にほかならない」と断定的に語られていますが、そもそも『竹内文献』とか『東日流外三郡誌』などの偽史とされるものの世界を武田さんはどう見ていらっしゃるんですか。
武田 まずオウムが偽史カルトだという原田君の論は乱暴なんであってね。たんにヒヒイロカネというアイテムをぱくっただけで、偽史の背後にある、中島渉さんのいうところの古層文化的なイマジネーションとかそういうものはないわけでしょう。それに、いまの原田君の定義を見ると、どうも彼はオウムを政治的な社会運動と見なしているわけで、そもそもそこがおかしい。自己啓発セミナーというのは社会運動じゃないでしょうが。僕はオウムというのはその手のあほたれセミナーの亜種と思いますから。
 それで、僕自身がいわゆる偽書をどう見ているかという問題ですが、これはまたそれぞれ個別に論じなきやいけない部分があるわけで、『竹内文献』にしても、あれはもともと赤池明神という実在した神社の縁起が原型にあって、製鉄部族にまつわる伝承が基底にある。ですから近代起源の部分もあるけれども、それなりの背景や土壌があって生成してきたものなわけで、そう簡単に捏造という言葉で割り切れるものじゃないと思います。こんなことは彼がいちばんよくわかっていると思うのになあ。
 全体的にあの手の文献というのは、一種の異界のバグ情報みたいなものであって、しかしバグから入るということもあるわけです。
宝島 確かに、偽史あるいは偽書であっても、解説を読んでるだけでなく、原典をあたるほうがよっぽど面白い、というのはありますよね。
武田 僕がやろうとしたのはそこなんです。要するに原典を公開するということです。ですからべつに偽史運動をやろうとしたのではなく、偽史再点検運動だったわけです。そこから、肯定論、否定論が出てくるのは、また別の問題なわけ。
宝島 これからの武田さんの活動というのは、より深く大本というか王仁三郎にシフトしていくのでしょうか。
武田 『霊界物語』の電子ブックを作ってましてね。これをほとんど人に任せていたわけですが、もうちょっとで完成というところでバッチ処理のミスで半分ぐらいのキーワード・データが壊れてしまって、結局は自分でもやらざるをえなくなった。そのおかげで『霊界物語』について、またいろいろなことが見えてきて、これはひょっとしたら天の声かもしれんということはあるわけです。ですから、王仁三郎と格闘はずっと続けていきたいと思う。一方でインターネットを含むサ イバーカルチャーヘの興味もあって、新しい展開を計画していますが、この二つの衝動というのは、僕にとっては連動したものなんです。
宝島 それはビジネスとしての興味も含めてですか。
武田 うん、けっこう個人としての興味だよね。ビジネスとしてはぜんぜん成功してませんよ、僕なんて。バブルは崩壊したしね。だから黒幕になんてなれっこないんだってば(笑)。

オウムに〃語るに値するもの〃などない

宝島 最後に、武田さんのオウム観を聞かせてほしいんですけど。
武田 もともと、オウムにしても幸福の科学にしてもバカバカしくてなんの関心もなかったわけです。語るに値するものとは思っていませんでしたから。オウムに革命性とか思想性とか、あるいはなんらかの掬いとるべきものを見出そうとしているお人好しの文化人いるじゃない。でもオウムには革命性も伝統性もない。なんにもない。なんの歴史的な参照点も成立しないわけです。オカルトとか陰謀論といったって、非常に幼稚なものです。
ところがちょうど戦後五十年というわけで、戦時中の日本はみんなが洗脳されてオウム信者みたいなものだったとか、コメントする人がいる。あるいは逆に、連合赤軍とか極左と重ねあわせたり、歴史的背景とか個別性をぬかして現象面だけ比較する論がどんどんまかり通っているわけです。さっきいった大本弾圧と比較する論も根は同じで、無責任にそうした一知半解の言説が流布することで、それこそすべてが相対化されていってしまうのがいちばんの問題なわけです,そういう相対化が、またまた第二のオウムを生むことにもつながるわけです。
宝島 歴史的必然とか、それがまるでないところで暴走したからこそ、オウムというのは今日的なのかもしれません。
武田 ドラッグを使っていたからオウムをドラッグ・カルチヤーとひっつけてしまうとかどだい乱暴だよね。だいたい、オウムにはカルチャーといえるようなものはないわけ。美学はゼロ。だからファシズムでもないわけ。
宝島 八〇年代という肉体を喪失していった時代にあって、オウムは肉体性を前面に押し出していった。それがあれだけの信者を捉えな要因かもしれない。そういった意味では、武田さんの専門分野である古神道なんかはどうなんですか?
武田 神道系の行法というのはちっともハードじやない。鎮魂帰神法というのも、ヨーガのような非常に強引な技巧にくらべるとずっとナチュラルでしょう。神法道術といういい方をするけど、密教のような複雑怪奇なものはむしろ少ないですし……。いちばんハードだといったって、川面凡児の系統の禊ですよね。滝行とかは神道系じゃあまりない、どちらかというと山岳修験のほうでしょう。だいたい肉体的なハードさを求めて宗教に入る奴がいるとしたら、どだい出発点がおかしいのであって、なんかスポーツでもしたほうがいいんじやない。ランニング・ハイということもあるわけだから(笑)。
宝島 最後にいちおう確認しておきたいんですが、これをそのまま載せたら武田さんのイメージというか、これまでの神話や幻想ががラガラと崩れてしまうんじゃないですか(笑)。
武田 崩れるっていうか、自分でも変な人間であるとは思うよ(笑)。


○1 ホロフォニクス……アルゼンチンのヒユーゴ・ズッカレリが開発した3D録音方式のこと
○2 ドイツ表現派……ワイマール期の陰影を強調した芸術上の傾向。映画では「吸血鬼ノスフエラチュ」「カリガリ噂士」などオカルト的テーマか多い
○3 戸来村のキリスト伝説……青森県の戸来村 (現・新郷村)にキリストの墓があるという伝説。昭和九年頃に「竹内文献」を伝承する天津教の竹内巨麿によって託宣され、話題になった
○4 神代文字……漢字か渡来する以前に日本列島にあつたとされる独自の神聖文字
○5 『竹内文献」……偽史の代表文献のひとつ。富山県神明村に竹内家に伝わるとされる。キリストやモーゼの日本渡来説、錆びない金属ヒヒイ口カネの存在など、SF的内容
○6 映画「レッズ」……ロシア十月革命を題材にしたルポ「世界をゆるがした十日間」の著者である左翼系ジャーナリスト、ハーパード・リードの伝記映画
○7 アンドレ・ブルトン……「シュルレアリズム宣言」を書いたフランスの詩人
○8 「虹色のトロツキー」……「コミックトム」に連載されていた安彦良和作の漫画。石原莞爾がソ連を追放されたトロツキーを満州建国大学に招聘しようとする物語
○9 石原莞爾……満州事変を計画した戦前の革命派軍事家。東条契機と対立し軍中央から追放された
○10 植芝盛平……出口王仁三郎によつて武道の神髄に開眼し、大東流合気柔術をもとに合気道を創立
O11 UFOカルト……UFOコンタクティやチャネラーを「教祖」とする信仰集団。アダムスキーやマイヤーなとが有名
○12 戦前の日本右翼のイデオロギー論争……神代文献(いわゆる偽書・超古代史)の評価をめぐって、戦時下の昭和十七年頃に起こった、「公論」に依拠する日本浪漫派と「神日本」に依拠する神代史派の論争
○13 「日本のピラミッド」……この伝説そのものは、クリスチャンであり、「竹内文献」の信奉者だった酒井勝軍が、広島県庄原市で、エジプトのギゼーのピラミッド以前に作られたとされるピラミッドを「発見」したことに端を発する
○14 神道霊学……鎮魂帰納法や言霊学など神道系の神秘学や修法のこと
○15 言霊学……大本教をはじめ民間の神道系宗教にみられる一種の言語神秘主義。江戸時代に国学から派生した
○16 本田親徳……鎮魂帰神法(神がかりの法)と審神(かかってきた神霊のマッピング法)を確立した、幕末−明治初期の神道家。鎮魂帰神法は王仁三郎によって後に大本教に摂取された
○17 霊的国体原理派……武田氏の造語。霊的基盤か希薄な官制の国体論に対して、神代史や霊学などをもとに独自の国体論を説いたグループのこと。大本運動の崩壊後に出現した「神日本」などのグループを指す
○18 「アメリカに革命が起こったら」……スターリン主義は、ロシアの文化的、生産カ的、農民的後進性の反映であり、アメリカのような近代先進国でプロレタリア革命が成功すれば、より民主的な体制になると論じた論文
○19 「神日本」……昭和二十年に霊的国体明徴をかけて創設された「神日本」社の機関誌。さまざまな神代 文献信奉者や言霊学研究者を動員し、文部省による神代文字公認などを要求した
○20 フェルキッシユ……ナチの機関誌「フェルキッシユ・ペオバハター」の「フエルキッシユ」。ニユアンスとしての民族および民俗という両方の概念にまたがる
○21 内田良平……黒龍会の系譜をひく戦前の右翼陣営の大御所。出口王仁三部に私淑した
○22 昭和神聖会運動……昭和九年、出口王仁三郎がみずから統監に就任し、内田良平を副統監として組織した民族精神運動
○23 友清歓真……元大本教幹部。のちに古神道結社「神道天行居」を組織した
○24 エキュメニカル……分離している全キ リスト教会を統一し、さらに諸教を合同しようという運動
○25 ウエブスターの「イリュミナリティ」……一九二四年刊,あらゆるオカルト運動は、世界革命のためのユダヤとフリーメイソンの陰謀であると論じた、国際陰謀論のさきがけとなった著
○26 ティモシー・リアリー……元ハーバード大学の心理学教授で、六〇年代後半に始まるドラッグ・カルチャーの教祖的存在
○27 「魔術師の朝」……ルイ・ポエールとジャック・ベルジュは六〇年代にフランスでのオカルト復興をもたらした「ブラネット」誌の編集者。「魔術師の朝」は日本では抄訳「神秘学大全」(サイマル書房)として発刊
○28 霊界物語……出口王仁三郎か口述した全八十一巻におよぶ教典
○29 マインドマシン……光と音によって脳をα波状態に導き、内感覚的なピジユアル映像を喚起する装置

インタビュー/構成=中島渉(作家)





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