軍事的緊張が高まっていたインドと中国が軍隊の速やかな撤退で合意、とりあえず開戦の危機は回避
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2017.08.31 07:48:09 櫻井ジャーナル
インド、ブータン、中国が接しているドクラム高地は領有権をめぐる対立の地だ。ブータンはインドの影響下にあり、事実上、インドと中国とが争っている。そのドクラム高地へインド軍が6月上旬にインド領へ入り、中国の進めていた道路の建設工事を妨害したと中国側は説明していた。日本政府は今回、インド側についている。
この出来事が原因で両国の軍隊は対峙、軍事的な緊張が高まっていたのだが、8月下旬に両国はそれぞれの部隊を速やかに撤退させることで合意、軍事的な緊張は緩和されたようだ。インドと中国はブラジル、ロシア、南アフリカとBRICSに参加、9月には第9回目の首脳会議が中国の厦門で開催される。このグループから何らかの働きかけがあったのかもしれない。
インド軍が中国との軍事的緊張を高める動きを見せた直後、6月27日にインドのナレンドラ・モディ首相はワシントンでドナルド・トランプ大統領と会談、7月7日にはイスラエルでベンヤミン・ネタニヤフ首相と会っていた。ドクラム高地におけるインドの軍事行動はアメリカやイスラエルの意向が反映されていると見る人は少なくない。シリアでロシアに敗北した両国としては、別の場所で中露を揺さぶりたいはずだ。
インドの行動を支持した日本政府は、言うまでもなく、アメリカ支配層の傀儡。安倍晋三首相は2016年11月、中国の一帯一路に対抗するため、モディ首相とAAGC(アジア・アフリカ成長回廊)を誕生させた。今年5月末にモディは一帯一路を拒否する意思を示しているが、これはBRICSからの離脱にもつながる発言だが、そうなるとインド国内で反発が出てくるだろう。
それだけでなく、2016年11月に日本からインドへ核燃料のほか原子力発電に関する施設や技術を提供することで両国は合意、今年5月に衆議院はこれを承認している。原発だけではなく、核兵器の開発に関係している可能性もあるだろう。また、日本、インド、アメリカは今年、インド洋で合同艦隊演習を実施している。
9月6日から7日にかけてロシア主催のEEF(東方経済フォーラム)がウラジオストックで開かれ、340億ドルを超す商取引が成立するとされている。このフォーラムには韓国の文在寅大統領も出席、6日にはウラジミル・プーチン露大統領と会談が予定されている。その準備のため、康京和外相が24日にモスクワでセルゲイ・ラブロフ露外相と会談した。康外相は7月上旬、ロシアとの戦略的な関係を深めたいと発言している。
韓国は政権に関係なく中国やロシアとの関係改善に動いている。朴槿恵前大統領の父親、朴正熙は暗殺される直前、ソ連に接近していた。昨年1月にはロシアが発注した砕氷能力のある天然ガス輸送船を韓国が建造、この夏、その船が北極海を航行しているのは象徴的な出来事だ。
現在、東アジアはロシアや中国を中心に動き始めている。それに抵抗しているのが日本や朝鮮だと言えるだろう。インドの場合、アメリカやイスラエルから何らかの影響を受けたようで、中国との関係を悪化させる動きを見せたが、早くも軌道修正した可能性がある。