インスリンとは何か?(その2)
昨日は、
インスリンは、
生命の進化の過程で、
飢餓時の蓄えとして
機能するホルモンとして
誕生したことを書いた。
したがって、
世間で言われるような
血糖値を降下させるために
進化の過程で誕生した
ホルモンでは決してなく、
血糖値を下げると言う事実は、
結果としての現象しか見ないので、
そのような表層で短絡的な
理解にとどまっている
愚かな理解であることも
聡明な読者であれば
理解できると思う。
さてこのインスリンの登場は、
確かに、
それによる
中性脂肪の貯蔵と筋肉の増加で、
結果として、
生物を飢餓から大いに救ったのであった。
しかし、
物事には
良き部分と
悪しき部分があるという
普遍的な真理にあやかり、
ある研究者が、
線虫の実験で
インスリンの暗部(負の部分)を発見したのであった。
それは、
線虫の寿命は
通常21日くらいなのだが、
時としてある種の線虫は
42日くらいの長寿を全うするという。
そんな長寿
線虫が登場することがある。
これに研究者は目を付け、
長寿について研究をしていた。
当初は、
どこを調べても長寿線虫の個体は、
短命線虫のそれと、
まったく同じで、
この長寿個体に特別の特徴は
なかったのだが、
ある時、
この長寿線虫は
インスリン・シグナルが陰性であることが
わかった。
ようするに
通常の21日寿命の線虫は
インスリン・シグナルが陽性で
長寿線虫は
インスリン・シグナルが
陰性であることがわかったのである。
簡単に言えば
インスリンの作用が働くか?
働らかないか?
ということで寿命が決まると言うことである。
さらにこの線虫を調べると、
インスリン・シグナル陽性の短命線虫には
特徴的なこととして「活性酸素」が、
発見されたが、
インスリン・シグナル陰性の長寿線虫には、
活性酸素は
発見できなかったということである。
結果として、
短命の線虫体内では、
インスリン・シグナルによって、
活性酸素が醸造され、
その細胞を傷害し(炎症の惹起)、
長寿遺伝子を
傷つけていたということである。
一方、
長寿線虫には
活性酸素の醸造がなく、
細胞の傷害はなく
長寿遺伝子にたいする活性酸素の傷害も
皆無だったのである。
これは、生物学的に言えば、
インスリン・シグナルに寄与する生体に
広く当てはまる普遍的な法則になるので、
我々ヒトにも当てはまる。
昨日はインスリンは飢餓時における
蓄えをつくるホルモンとして、
生物の寿命をある意味伸ばす目的で
進化の過程で登場したホルモンだったのだが、
インスリンは
諸刃の剣ということである。
皆さんにもじっくりと、
現在の日本のような
飢餓でない時代に
この飢餓時を念頭において
進化の過程でつくられたホルモン、インスリンの
その存在意味と存在意義について
考えてもらいたい。
どうだろう?
まさしく、
街じゅう、
コンビニもスーパーも
百貨店もキヨスクも観光地も
レストランもそば屋も
ラーメン屋もうどん屋もパスタ店も
定食屋も溢れんばかりの
糖質まみれの商品構成である。
で皆さんが、
それを喜んで
食べる食べる・・・
まさに、わが国は、
「血糖値上昇全盛期」に突入した感がある。
どうだろう。
まるで血糖値の上昇を
一億人が競っているように
見えるのは
私だけだろうか?
これで、
糖尿病が減るわけもないし
癌も減るわけもない
脳卒中、心筋梗塞、
鬱、認知症が増えるわけで、
まさに
巨大医療ビジネスと
巨大食品産業、巨大飲料産業の
合作で書いた
シナリオを皆さん
忠実になぞって、
心身の疾患になっているのである。
ありがたき幸せである。
さて本題に戻る。
この輝かしい
溢れんばかりの糖質消費大国の
一億人の
上昇した血糖値は、
ほとんどの場合、
追加インスリンで
脂肪酸合成に寄与し、
一億人の内臓脂肪や皮下脂肪になって、
一億人の輝かしい人生における
飢餓時の為の蓄えとして
満を持して貯蔵されるのである。
近未来において、
我が国にも、
来るべき
食糧危機が到来し、
飢餓の時代が、
到来する可能性があるかもしれない。
まさにその時に、
満を持して備えた
一億人の内臓脂肪や
太鼓腹が大いに役に立つことが
将来に
あるかもしれない。
その為に、
一億人の自前のインスリンは、
この飢餓の見当たらない
飽食の時代に、
せっせと脂肪酸合成を行い、
一億人総肥満体製造作戦に
一番
貢献しているのである。
さて、またまた、
横道にそれた。
インスリンの負の部分に触れよう。
既に線虫のコーナーで
説明済みだが、
改めて説明しよう。
インスリンは、
確かに脂肪酸合成を亢進させ、
体内に中性脂肪を蓄積させるホルモンだが、
インスリンの作用過程において、
細胞内のミトコンドリアの活性酸素の量を多くするという
災いを引き起こすのである。
通常、ミトコンドリア自体は
酸素と脂質を取り込みATP130分子程度の
エネルギーを産生し、
取り込んだ酸素のおおよそ2〜3%程度を
活性酸素にして吐きだすが、
インスリンの作用が働くと、
あろうことか、
大量の活性酸素を吐きだすことになる。
通常、インスリン作用が関わらない場合、
ミトコンドリア由来の活性酸素の2〜3%の活性酸素は、
細胞内の抗酸化能力(酵素の力)で、
活性酸素を無毒化するから問題ない。
しかし、
インスリンが作用すると
この「酵素」自体も消費され、
さらにミトコンドリア由来の
活性酸素の量も大幅に増加して
細胞内は著しい酸化ストレスに苛まれ、
細胞は傷害を受け、
結果的に炎症の惹起という現象を
引き起こすのである。
では具体的に、以下の機序
インスリン⇒活性酸素の醸造⇒細胞の傷害、炎症の惹起
がどのような悪影響を生体に及ぼすのか?
それは次回に書くことにしよう。
インスリンとは何か?(その2)
昨日は、
インスリンは生命の進化の過程で、
飢餓時の蓄えとして
インスリンが体内合成されることになったことを書いた。
確かに、
この進化の過程でのインスリンの登場は、
中性脂肪の貯蔵と筋肉の増加で、
結果として、
生物を飢餓から大いに救ったのであった。
しかし、
そんな時、ある研究者が、
線虫の実験でインスリンの負の部分を発見したのであった。
それは、
線虫の寿命は通常21日くらいなのだが、
時としてある種の線虫は42日くらいの長寿を全うする
線虫が登場することがある。
当初は、どこを調べてもまったく同じで、
この長寿個体に特別の特徴はなかったのだが、
ある時、この長寿線虫はインスリン・シグナルが陰性であることが
わかった。
ようするに通常の21日寿命の線虫はインスリン・シグナルが陽性で
長寿線虫はインスリン・シグナルが陰性であることがわかったのである。
簡単に言えばインスリンの作用が働くか?
働らかないか?
ということになる。
インスリン・シグナル陽性の短命線虫には
特徴的なこととして「活性酸素」が、
発見されたが、
インスリン・シグナル陰性の長寿線虫には、
活性酸素は発見できなかったということである。
結局は、短命の線虫体内では、
インスリン・シグナルによって、
活性酸素が醸造され、
その細胞を傷害し(炎症の惹起)、
長寿遺伝子を傷つけていたということである。
一方、長寿線虫には活性酸素の醸造がなく、
細胞の傷害はなく
長寿遺伝子にたいする活性酸素の傷害も皆無だったのである。
これは、
インスリン・シグナルに寄与する生体に
広く当てはまる普遍的な法則になるので、
我々ヒトにも当てはまる。
昨日はインスリンは飢餓時における
蓄えをつくるホルモンとして、
生物の寿命をある意味伸ばす目的で
進化の過程で登場したホルモンだったのだが、
現在の日本のような
飢餓でない時代に
この飢餓時を念頭において
進化の過程でつくられたホルモンの
意味と意義について考えてもらいたい。
まさしく、
街じゅう、
コンビニもスーパーも百貨店もキヨスクも観光地も
レストランもそば屋もラーメン屋もうどん屋もパスタ店も
定食屋も糖質まみれの商品構成である。
まさに、
血糖値上昇全盛期に突入した感がある。
上昇した血糖値は、
ほとんどの場合、
追加インスリンで
脂肪酸合成に寄与し、
あなたの内臓脂肪や皮下脂肪になって、
あなたの輝かしい人生における
飢餓時の為の蓄えとして
満を持して貯蔵されるのである。
近未来において、
我が国にも、
来るべき
食糧危機が到来し、
飢餓の時代が、
到来する可能性があるかもしれない。
まさにその時に、
満を持して備えた
あなたの内臓脂肪や
太鼓腹が大いに役に立つことが
あるかもしれない。
その為に、
あなたの自前のインスリンは、
この飢餓の見当たらない
飽食の時代に、
せっせと脂肪酸合成を行い、
日本人総肥満体製造作戦に
貢献しているのである。
さて、横道にそれた。
インスリンの負の部分に触れよう。
既に線虫のコーナーで
説明済みだが、
改めて説明しよう。
インスリンは、
確かに脂肪酸合成を亢進させ、
体内に中性脂肪を蓄積させるホルモンだが、
インスリンの作用過程において、
細胞内のミトコンドリアの活性酸素の量を多くするという
災いを引き起こすのである。
ミトコンドリア自体は
酸素と脂質を取り込みATP130分子程度の
エネルギーを産生し、
取り込んだ酸素のおおよそ2〜3%程度を
活性酸素にして吐きだすが、
インスリンの作用が働くと、
もっと大量の活性酸素を吐きだすことになる。
通常、2〜3%の活性酸素は、
細胞内の抗酸化能力(酵素の力)で、
活性酸素を無毒化するから問題ないが、
インスリンが作用すると
この酵素自体も代謝され、
活性酸素の量も増加して
細胞内は著しい酸化ストレスに苛まれ、
細胞は傷害を受け、
結果的に炎症の惹起という現象を引き起こすのである。
では具体的に、
インスリン⇒活性酸素の醸造⇒細胞の傷害、炎症の惹起
がどのような悪影響を生体に及ぼすのか?
それは次回に譲ることにする。