ティム・クックCEOの目線には…(C)AP
iPhone“失速”は想定内 アップルが見据える「次の次」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/177784
2016年3月23日 日刊ゲンダイ
「ピントがずれているのでは?」なんて指摘もある。米アップルが日本時間の22日、新製品発表会を開いたが、世間の声は「成長神話に陰り」なんて、あれこれとかまびすしい。
確かに、米アップルが1月に発表した2016年1〜3月期の売上高予想は、13年ぶりの前年割れ。これまで好業績を支えてきたアイフォーンの失速は明らかで、MM総研によると、昨年の日本国内の出荷台数は前年比約11%減。08年の日本進出後、初めて前年を下回った。昨年秋に発売した新機種「6s」「6sプラス」が不発だったせいだ。
「それも当然で、スマホは日本など先進国では飽和状態です。よほど劇的な進化をアピールできない限り、伸びシロはもうない。それでなくても日本ではスマホ料金の実質0円廃止で、出荷台数はさらに減少するといわれる。そもそも今回の発表会も、先進国の買い替え需要の掘り起こしというより、まだスマホが行き渡っていないアジアや中南米諸国に向けたアピールでしょう」(大手キャリア関係者)
そりゃそうだ。画面を小さくしようが、ちょっと価格を抑えて機能を拡充しようが、しょせんはマイナーチェンジ。先進国、それも大多数を占めるライトユーザーに対する“起爆剤”になるとは到底思えない。
「それはアップルも織り込み済みでしょう」と、ITジャーナリストの井上トシユキ氏が言う。
「(ケータイ端末のシェア4割超を占める)日本の市場が大事であることは間違いありませんが、一方で、もはやスマホは主流ではないとも考えているはずです。身に着けて持ち歩くウエアラブルPCと、走るコンピューターである自動運転車で仕事をする時代がもうすぐやってくる。そこに、この2年ほどで急激な進化を遂げた“人工現実技術”が加わり、それこそ遠隔手術が可能という近未来図が描かれつつあります。そこでいかにシェアを取り、稼ぐか。今は過渡期に過ぎず、そこで成長神話に陰りと言っても的外れでしょう」
ブランドイメージと既存のスマホのシェアは維持しつつ、アップルが見据えているのは、スマホの“次”どころか“次の次”らしい。