OECD、世界経済見通し下げ 15、16年、中国減速で不透明感
【フランクフルト=竹内康雄】経済協力開発機構(OECD)は16日、世界経済の2015年と16年の成長率見通しをそれぞれ下方修正した。世界の実質国内総生産(GDP)は、15年が前年比3%増、16年は3.6%増と予測した。6月時点の予測は3.1%増、3.8%増だった。中国経済の減速により世界経済の先行きの不透明感が強まったためだという。
このうち米国経済は雇用と家計消費の上昇が堅実な成長をけん引する一方、投資はなお振るわないと分析した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げには「米経済の強固な成長や資産価格のゆがみへの懸念を考慮すれば、近く利上げする必要がある」と理解を示した。
それでも強い物価上昇圧力がないことを考えれば「(利上げは)ゆっくりとしたペースでなければならない」と指摘した。利上げの時期はそれほど重要でなく、利上げのペースに関する情報公開が、市場への影響を最小限に抑えると解説した。
中国経済については「短期的に展望することが難しくなっている」と説明した。中国の輸入需要の急減が、世界経済の足を引っ張っていると分析した。「中国当局はさらなる景気刺激策の余地を検討すべきだ」と訴え、財政や金融政策に加え、サービス自由化や社会支出の拡大など幅広い政策を活用するよう促した。
OECDは、米金利の引き上げや中国の成長鈍化が新興国経済に悪影響を与える可能性を指摘した。これが「金融・経済の乱れを引き起こし、先進国経済も巻き込む可能性がある」と警戒感を示した。
日本経済に関しては「景気回復の強さに疑問が提起されている」と指摘した。労働市場は改善しているものの、消費回復や日銀のインフレ目標の達成に必要な賃金上昇にはつながっていないという。円安傾向にもかかわらず輸出が伸び悩んでいる現状にも疑問を呈した。日銀の金融緩和は継続されるべきだと訴えた。
[日経新聞9月17日朝刊P.6]
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