上海株乱高下で世界市場が大揺れ 習近平の陰謀で世界恐慌が起こる〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150903-00000002-sasahi-bus_all
週刊朝日 2015年9月11日号より抜粋
日・米・中の同時株安で世界の株式市場が8月下旬、パニックに陥った。「震源地・中国の経済が減速」とメディアは要因を書き立てるが、実は株価を乱高下させるのも習近平国家主席の策略だという。
実は中国人の間で、この株価下落は、「習近平国家主席からのプレゼント」と言われているという。
どういう意味か。
中国の株式市場は昨年11月、中央銀行の中国人民銀行(人民銀)が2年4カ月ぶりに利下げに踏み切った前後から急上昇を始め、今年6月には1年前の約2.5倍に跳ね上がった。利下げで銀行の預金金利が下がる分、株への投資熱が高まった。市場に新規参加した個人投資家は約2千万人ともみられる。
「6月15日は習近平国家主席の誕生日なので、その日から、国民が再び株に投資できるように戦略的に株価を下げたのです」(シグマ・キャピタルのチーフエコノミストの田代秀敏氏)
戦略的とは、証券会社同士が売買を示し合わせることなどを指すという。
株価高騰の裏には、習政権が経済政策の運営を百八十度転換したことが背景にあると言うのは、元日銀理事で、メットライフ生命副会長の平野英治氏だ。
「中国の高成長を支えてきたのは、投資主導の政策だった。習政権が進める『新常態政策』は、役人の腐敗につながりかねない無駄な投資を抑制する一方、消費を活発化することで、よりバランスの取れた成長を目指すもの。消費を促す効果がある株価の上昇は、好ましく映ったであろう。中央銀行による利下げも、株価の上昇を後押しした」
人民銀が保有する外貨準備高(7月末時点)は、3兆6500億ドル。中国株を買い支えるためにドルを売り、前月より425億ドル減少したとはいえ、残高は世界一。
潤沢な資産をもとに、中国が人為的に株価を操作するのは簡単だという。実際、上海総合株価指数は28日、取引終了前に急騰し、3232.35ポイントまで値を戻した。
国際政治経済学者で参議院議員の浜田和幸氏の解説。
「中国は今、ロシアと手を組んで、軍事的にアメリカに対抗しようとしています。金融の面でも、ドルに代わって人民元を基軸通貨にしたいという野心がある」
そのため、株価でゆさぶりをかけるのは常套手段だという。
「9月中旬に米中首脳会談がホワイトハウスで開かれます。通貨・人民元の為替制度の自由化などをめぐって協議が行われるそうです。つまり、譲歩を引き出すために、株価暴落をちらつかせている」(浜田氏)
それを暗示するかのように、8月末、今度は中国が保有する米国債を大量に売っているという報道が流れた。
「今や中国は最大の米国債保有国。いつまで買い続けてくれるかはアメリカにとって死活問題。中国が米国債暴落の引き金を握っていることをあらためて確認させたのでしょう」(田代氏)
アメリカと軍事的に同盟関係にある日本に対しても牽制している。じつは昨年、中国は日本国債を1年で約5兆円減少させる“大量売り”を実施している。
中国が日本国債を大量に売却し続ければ日本国債の値下がりを誘い、長期金利は急騰。日本経済は大混乱に陥る最悪のシナリオも考えられる。
9月3日には北京で「抗日戦争勝利70年」の記念式典が開かれ、プーチン大統領や韓国の朴槿恵大統領らが出席する予定だ。
アベノミクスが一瞬にして吹き飛ぶ“トリガー”は、習近平が握っている。
(本誌取材班=村田くみ、西岡千史、小泉耕平、永野原梨香)