現代自動車は、世界中で低価格のクルマを売りまくってきたが…(AP)
【新・悪韓論】米国市場で大失速する現代自 2兆円で「現代自ビレッジ」造成している場合なのか…
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150618/frn1506181140001-n1.htm
2015.06.18 夕刊フジ
韓国の現代自動車グループに元気がない。世界の自動車市場では5位だが、前期(2014年1〜12月)決算は、ウォン高の影響などで最終利益が前年比14%減と2ケタのマイナス成長。英調査会社が5月に発表した15年の自動車ブランド順位ベスト10にも、現代自のブランドは1つも選ばれなかったのだ。懸念される米国での販売停滞。ジャーナリストの室谷克実氏が、韓国の巨大財閥に迫った。
王が自らの死後に入る巨大な墓の建設を命じたものの、その無理な建設プロジェクトが王朝そのものを短命化してしまう。東アジアには秦の始皇帝をはじめとして、そうした歴史が多々ある。しかし、いまどき王になった人物は、歴史の教訓など学ばないのだろう。私には、韓国の1人の王(=財閥会長)がいま、前轍を一歩一歩進んでいるように思える。
韓国の財閥とは、創業者会長が絶対君主として君臨し、その親族なら職位とは離れた権限の行使まで許容される1つの王国のような存在だ(=たまたま、『間が悪い』と大韓航空のナッツ姫のような集中砲火に遭う)。朝鮮李王朝に例えれば、財閥の重役は両班(ヤンバン=貴族)であり、ブルーカラーは奴婢(ヌヒ)のようなものだ。
旧現代財閥は、創業会長の死去とともに四分五裂した。が、それぞれが今も財閥であり、王国といえる。旧現代系の諸財閥の中で圧倒的な力量を誇るのが、現代自動車グループ(財閥)だ。
ところが、その現代自グループがいま、明らかにおかしい。主要市場である米国では、1台当たりの販売単価がトヨタ車とは2倍近く違うのに、ディラーへのインセンティブをトヨタとほぼ同額に設定しているだけでも「すごーい」と言える。
が、そこまでしても、米国での販売が停滞し始めた(=中央日報・日本語版は4日、『現代自動車は、5月の米国市場での販売台数が前年同月比10・3%減少』と報じた)のはなぜか。トヨタも現代自も、米国販売は大部分が米国工場の生産なのだから、為替は関係ない。つまり、「安くても現代自の車はダメだ」と、ようやく米国の消費者も目覚めてきたのだろう。韓国の国内市場も輸入車に食い荒らされつつある。
現代自の株価は「自社株買い」「増配発表」にもかかわらず、ガクン、ガクンと落ちた。
自動車産業はいま、水素エネルギーエンジンなど、新たな技術の壁を貫くための開発が最大の課題だ。ところが、現代自の開発投資予算は、フォルクスワーゲン(VW)の18%の水準という。
それで未来が見えてくるのか。「パクリをすれば…」とは悪い冗談として、現代自は韓国のマスコミがMERS(中東呼吸器症候群)報道で忙殺されている最中に、社内に「経費の30%カット」命令を出した。
しかし、2兆円を投じる「財閥村造成プロジェクト」は、そのまま生きている。ソウルの一等地(=韓国電力の本社跡地)を公定時価の3倍に当たる1兆円で落札した。そこに、さらに1兆円を投じて「会長様の夢」である「現代自ビレッジ」を建設するというのだ。
そんな資金を調達できるのなら、開発投資に振り向ければ…とは、倭奴(ウェノム=日本人の蔑称)が考えることに過ぎないのだろう。「財閥王国の価値観」にドップリと染まった両班は誰も「財閥ビレッジ造成プロジェクト」に異議を唱えていないようだ。常民(サンノム=両班と奴婢の間の身分)に当たる営業職労組も、次元の違うスローガンを掲げている。
王様の命令により造った非生産的な大プロジェクトが、時を置かずして王国の大墓標になる−。現代自動車グループはいま、東アジアの王朝滅亡史に忠実な道を歩んでいるのではあるまいか。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。