人生の設計(1) 「はたらく」ということ
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2015年06月17日 武田邦彦 (中部大学)
日本国憲法は第九条がとても有名ですが、それ以外にも画期的な条文があります。
・・・第二十七条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
もともと「武力を持たない」という第九条が、精神的なもの、歯止め的な条文とも言えますが、この勤労のところも同じようなものです。第一、日本は自由国家ですから、勤労の権利があるのは当然ですが、義務があるはずもありません。
もともと自由主義というのは、自分の人生を自分で設計することができるのですから、その中に勤労が含まれることは当然だからです。でも、義務となると穏やかではなく、先祖伝来の不動産を人に貸して、それからのあがりで生活する、いわゆる「不労所得で生きる人」は勤労の義務を果たしていないから日本人ではないとか、日本国憲法に反しているということになります。
せめて不動産管理を自分の手でやって家賃を集めるのに歩き回っていれば勤労ですが、不動産ごと管理会社に任せて、銀行におろしに行くだけというのは勤労にはならないでしょう。
もちろん、定年を迎えて貯金と年金で暮らしている人も憲法第二十七条に反するということになります。でも「憲法」ですから精神的なもので、「一部は条文に反することがあっても、全体の考え方はこの思想で日本を運営していく」ということです。
厳密にやればニートもおかしいし、生活保護もするべきではないということになります。今、国会で議論されている集団的自衛権などが憲法九条違反かどうかが争われていますし、憲法学者が憲法違反と言っている理由ももう一つはっきりしません。
つまりは、一人の日本人としては勤労に喜びを感じ、社会としてはできるだけ失業者がでないように配慮し、国民みんなが喜びながら、しかもみんなで日本を支えようということでしょう。