マイクロソフト幹部にもショック、IPアドレスの枯渇
By ROBERT MCMILLAN
原文(英語)
2015 年 5 月 15 日 13:57 JST
ワシントン州レドモンドの本社でIPアドレス不足からネットワーク問題が発生していたマイクロソフト Getty Images
今年に入って米マイクロソフトはあるショックを受けた。同社のワシントン州レドモンドにある広大な本社の全域で唐突にネットワーク関連の問題が発生し、エンジニアたちの頭痛の種となり、同社はかなりの支出を余儀なくされることになった。
米のIPアドレス、今夏に枯渇 企業どうする
マイクロソフトのネットワーク設計者、ジャスティン・ビック氏は3月に開かれたネットワーク関連会議で、「われわれは困難な事態に陥っている」と参加者に述べた。
その問題とは、1980年代初頭からインターネットを支え続けてきたデジタル通信規約であるインターネット・プロトコル・バージョン4(IPv4)に差し迫った終焉の副作用である。IPv4はインターネット上のアドレスを電話番号のように指定する。これは見慣れた「.com」、「.org」、「.net」といったドメイン名とは異なるもので、数字の羅列からなるコードは、インターネットに接続されたあらゆる端末を一意的に識別するために表面下で使用されている。
IPv4にはそうしたアドレスが43億個あるが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)今週報じたように、インターネットの成長にしたがってその数では不十分であることが明らかになった。専門家は米国のIPアドレスがこの夏には枯渇すると見込んでいる。
マイクロソフトの幹部たちはこのネットワークの問題に不意を突かれたとビック氏は言う。「われわれにはIPアドレスの余裕がないという事実に対する経営陣の反応は、まずはショックを受け、その後は信じようとしないというものだった」とする同氏は「最終的には、これが問題だということをわかってもらえた」と振り返る。
マイクロソフトでは、企業内部での使用のためだけに特別に割り当てられた、いわゆるプライベートIPアドレスが不足してしまった。1990年代半ばにインターネットが一気に普及すると、プライベートIPアドレスはRFC1918と呼ばれる条項で規定された範囲内で設定された。これにより企業は互いに干渉しない異なるローカルネットワーク上で全く同じIPアドレスを使用することができる。(ホームネットワークを設定したことがある人なら気付いているかもしれないが、あるメーカーによって製造された自宅用Wi-Fiルーターは同じIPアドレスを共有している。これもプライベートIPアドレスの一例である。)
このようなプライベートネットワーク用に数百万個のアドレスが割り当てられてきた。ところが、マイクロソフトにとっては不十分だったのだ。
マイクロソフトはEメールで「わが社のクラウド、企業向け製品、ソリューションの顧客が爆発的に成長したことにより、マイクロソフトではRFC1918で規定された範囲内のアドレスが2015年の上半期中に枯渇してしまった」とし、「これは難題ではあるが、このIPアドレスの枯渇によるダウンタイムは今のところ発生していない」と説明した。
このIPアドレス不足により、マイクロソフトのネットワークチームは、アドレス変換という複雑な対応を取らざるを得なくなってしまった。それでもネットワークの混乱は起きている。
「したがって今やIPアドレスの重複や(中略)競合さえも起きてしまっている」とビック氏は会議中に語った。
米のIPアドレス、今夏に枯渇 企業どうする
By ROBERT MCMILLAN
原文(英語)
2015 年 5 月 13 日 17:18 JST
1981年に作られたIPアドレス43億個のほぼ全てが既に使用されている MEG ROUSSOS/BLOOMBERG NEWS
活況のテクノロジー市場で不足している不動産は、シリコンバレーのオフィススペースだけではない。インターネットにとって最も重要な「仮想不動産」であるインターネットプロトコル(IP)アドレスの在庫が底を突きつつある。
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抜け目ない一部の企業はIPアドレスを蓄えてきた。だがネット上で事業拡大を狙う米企業にとって、IPアドレスの不足は頭痛の種になるだけでなく、膨大な費用もかかることになる。
世界中で新規IPアドレスの供給はほぼ尽きつつある。アジアで事実上底を突いたのが2011年。欧州では翌年だった。北米の割り当て分は今夏に使い尽くされる見込みだ。
IPアドレスはインターネットで電話番号に相当する。数字の羅列からなるコードは「.com」や「.org」などで終わる見慣れたドメイン名と異なる。ノートパソコンでウェブサイトを開いたり、スマートフォンでインスタグラムの写真を掲載したりする時など、データがネット上で行き来する際に裏で使用されている。
IPアドレスの不足は、クラウドコンピューティングサービスの提供業者など、インターネットでの事業展開が大規模かつ拡大している企業にとって最大のリスクとなる。予想外の費用や技術上の問題を抱え込むことにもなりかねないうえ、新規顧客にサービスを提供できなくなる可能性もある。独自のデータセンターを構築していない企業に直接的な影響はないが、契約しているオンラインプロバイダーがIPアドレス不足に直面する公算が大きい。
顧客管理ソフト大手、米セールスフォース・ドットコムは昨年11月に26万2144個のIPアドレスを取得した。同社はコメントを避けた。マイクロソフトは経営破綻したカナダの通信機器大手ノーテル・ネットワークスが以前に所有していた66万6624個のアドレスを2011年に750万ドル(約9億円)で取得した。
IPアドレスの売買を仲介する業者によると、IPアドレス1個当たりの相場は約11.25ドルだという。
交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックは別の方法で対応した。ネットワークの90%を古いIPv4(IPバージョン4)システムから次世代IPv6(IPバージョン6)に移行させたのだ。IPv6が提供するアドレス数ははるかに多い。
IPv4のアドレスを使い尽くした企業は、新たにネットワークスイッチとルーターを購入することによりIPv6に移行できる。
しかし、移行費用は安くはない。調査会社ガートナーは、一つの企業全体が移行するには年間IT(情報技術)予算の約7%がかかると指摘する。調査会社フォレスターによると、2014年の米企業のIT支出額は2兆2000億ドルだった。
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