「今までの3Dプリント技術を革命する」3Dプリンターが、カナダで開催された『TED2015』で発表された。
液体で超速3Dプリント!? カーボン3D社の衝撃の新技術
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150508-00010002-biz_dime-nb
@DIME 2015/5/8 19:00 DIME編集部
1万円台で買える3Dプリンターが登場するなど、3Dプリンター人気が盛り上がっている。そんな中、「今までの3Dプリント技術を革命する」3Dプリンターが、カナダで開催された『TED2015』で発表された。
■一般的な3Dプリントは、2Dプリントの繰り返し
1981年、日本の小玉秀男氏による論文が発表され、その後1987年には3Dシステムズ社が世界初の光造形装置を販売することになった。これが現在のブームへと繋がる3Dプリントの黎明である。驚くことに、小玉氏は論文発表に先立ち、光造形装置を1980年に製作していたのである。厚さ2ミリの層を20枚強重ねて細かな間取りや階段も備える、手のひらサイズの家を4時間半で作り出していたという。
今年の3月16日、カーボン3D社CEOでありノースカロライナ州立大学で化学の教鞭を執るデシモーネ教授により、3Dプリントの新技術がTED2015で発表された。「現在の3Dプリント技術は2D印刷を何度も繰り返すものである」と教授は語り、自身による「CLIP(Continuous Liquid Interface Production)」=連続液界面製造と訳される新技術は「印刷ではなく液層で製品を育てるもの」だという。それはどのような画期的な技術なのか?
■『ターミネーター2』の「T-1000」に影響された
教授は冗談交じりに「映画『ターミネーター2』のT-1000が発想の原点だ」という。T-1000は未来から現代にやってきた人間型兵器で、液体金属で作られており、どんなに破壊しても元の形に戻り、さらにコピーして他人になりすますこともできる。そこから発想した「液体から化学的に連続して製造する」技術、これがCLIPなのである。
CLIP(連続液界面製造)技術は、紫外(UV)線と酸素をバランスさせた化学反応を利用していて、専用のプロジェクターを用いてUV硬化性樹脂のプールへ作りたい立体モデルを投影することで造形する技術だ。従来の光造形法もまた、光硬化樹脂に紫外線照射をする技術であるが、今回注目したいのは、レイヤ(層)で細かくカットする形ではなく、連続的に立体化していくことだ。それにより、精密でしかもスピーディーに3D化されていく。
作りたいオブジェクトの形が投影されて樹脂が硬化されると、連続的に立体が造形され、素早く持ち上げられていく。その様子はまるで「成長する過程」に出くわしたかのようだ。このプロセスは、従来の3Dプリントで見られる機械的なステップやレイヤーを排除したもので、25〜100倍高速である。
■早くて正確な造形が3Dプリンターを変えていく!?
カーボン3Dが実現するレイヤレスプリントの繊細で高速な造形技術はまた、使える材料の可能性も拡大するという。これらの新技術は今後の3Dプリントのあり方を変えていくかもしれない。今後の技術発展、実用化が注目される。
文/中馬幹弘