浦和が住みよい街1位?人気集中?異常な浦和称賛の謎 背後に不動産業者の思惑か
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141107-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 11月7日(金)6時0分配信
書店には不動産関係の書籍・雑誌が目立ち始めた。1年のうちで最も需要が活発になる2〜3月を見越し、物件購入に向けた住宅情報が盛んになる時期なのだ。
例えば、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/別冊9月28日号)は『納得の住まいを探す 最新ガイド』と題して、新築マンション・戸建てといった家を買う人のための情報誌となっている。
特集記事『人気マンションが生まれる街はここだ!』によると、首都圏では「浦和、湾岸、中野、広尾の4エリアに人気が集中」しているという。
確かに、湾岸エリアのうち月島、豊洲、勝どき、東雲などは、2020年の東京オリンピック開催決定後、人気は上昇の一途だ。中野エリアは都心に近い立地でありながら、飾らない庶民的な街で、再開発も進んでいる。広尾エリアは有栖川公園など緑も多く、40カ国以上もの大使館が集中し、外国人の家族連れが日常風景になっている高級住宅地で、そこまでは納得できる。
では浦和エリアはどうだろうか。埼玉県の県庁所在地であり、埼玉大学のほか、県内屈指の県立浦和高校に浦和第一女子高校などがある文教の街だ。駅の高架化が進み、東口の再開発も進んだ。埼玉県出身の筆者にとっては大都会、憧れの街であった。
しかし、一般的な市場価値としてはどの程度なのだろうか。同特集記事では、特に北浦和を次のように学園都市・国立と肩を並べるエリアとして称賛している。
「北浦和は『東の国立(くにたち)』とも呼ばれている。(略)国道463号線(埼玉大通り)を北に向かって埼玉大学まで延びるケヤキ並木は、日本一の長さを誇る。その景観は『東の国立』らしく、東京・国立駅前から一橋大学に延びる桜並木に似た雰囲気を醸し出している」(同特集記事)
別の特集記事『人気エリア狙い目駅 マンション相場 2015年春までの相場の動きを占う』でも、埼玉中央部を「都心へのアクセスのよさ、手の届く価格設定で根強い人気」「『“○○”浦和』の新築物件には要注目」として「駅に近い場所では新築物件が出にくく、駅近のマンションであれば、値上がりの可能性が高い」と推奨している。
●人気エリアは、不動産会社が売りたいエリア?
さらに、同誌(別冊11月30日号)は『極上中古を探せ! 2014−2015』と題して、中古住宅の魅力に迫っている。特集記事『シニアが暮らしやすい街、子育てがしやすい街 駅ランキング』でも、首都圏沿線別のランキングで「住みよい街のある駅」の第1位が浦和駅なのだ。浦和にとって永遠のライバルといえる大宮駅(3位)を上から見下ろすだけではなく、横浜エリアの人気住宅地であるセンター南(5位)、新横浜(12位)、文京区エリアの茗荷谷(17位)をさしおいて、浦和が最も住みやすいという。
埼玉県民にとっては誇らしい結果といえるのだが、その次のページをめくって驚いた。「埼玉りそな銀行『中古住宅購入+リフォーム』派や『自宅活用』派に好適な住宅ローン」と、埼玉りそな銀行の見開き広告が掲載されていた。埼玉りそな銀行の広告が入るからといってランキングを操作したわけではあるまいが、まるで便宜を図ったかのようなタイミングの広告だ。
ところで気になるのは、特集記事『人気マンションが生まれる街はここだ!』をよく読むと、11年からの3年間でマンションが分譲された(される)街を大きく4エリア「浦和、湾岸、中野、広尾」に分類しただけなのだ。「人気が集中」とは書かれているが「完売」とは書かれていない。つまり、実際に購入希望者が集まっているかどうかではなく、マンション業者が売りたい人気エリアにすぎないのだ。北浦和エリアには、10棟のマンションが分譲されており、業者としては“売り切りたいエリアナンバー1”なのだろう。
「今後2〜3年、北浦和の人口は増える見通しだ。現在建設中のマンションが相次ぎ完成するからだ」(同特集より)
実際に、不動産特集を組む経済誌に掲載されている広告に着目すると不動産業者ばかりで、信憑性がぐらつきだす。とはいえ、埼玉県にゆかりのある人にとっては、今回の調査結果の「浦和が首都圏で1位」や、「東の国立・北浦和」という文言は信じていたいところだろう。
松井克明/CFP