先週末、大型船舶の船長を務めた後に船主となった2人に話を聞いた。旅客船「セウォル号」の惨事にあまりにもあきれ、原因が気になったからだ。沈痛な表情の2人の言葉は同じだった。
−−事故の原因は何だと思うか。
「船を知っている人は沈没の映像に込められた秘密をみんな知っている。まず、船はたいてい底が海底につく形で沈むものだ。セウォル号は転覆して沈没した。船の上部がもっと重かったということだ。2つ目、最もぞっとするのは船首の部分が2日間、水の上に浮いていた場面だ。一般人はエアポケットだとみて希望を抱いたが、真実は全く逆だ。そこには生命水と呼ばれるバラスト水が入っていなければいけないところだ。そこに空気があったので浮いた。バラスト水があまりにも少ないため、復原力を失ったという証拠だ」
−−こうした危険は外部で分かるのか。
「すべての船舶は船首と船尾に満載喫水線が表示されている。貨物の過剰積載でこれが水中に浸れば出港禁止となる。事故が発生すれば、故意的な犯罪と見なされ、保険金も受けられない。もともと貨物とバラスト水は1等航海士が引き受ける。船長が出港前に必ずチェックするのがGM(重心位置とメタセンター間との距離:貨物量とバラスト水により変わる)だ。これが基準より小さければ出港を拒否し、船主もそれを受け入れるのが海の法則だ。ただ、船長と1等航海士が組んで貨物の超過量の分だけバラスト水を少なく入れれば、満載喫水線は水上に出てくる。こうした手法でGMが崩れたまま海に出ていくのは死の航海と変わらない」
−−25歳の3等航海士と操舵手の急変針が原因に挙げられているが。
「船の関係者の目でみると、彼らに大きな罪はない。変針が主犯ではない。復原力を失えば氷上で自動車を走らせるのと同じだ。セウォル号は群山(クンサン)沖から傾いたという証言がある。晩のシャワー、朝食の準備などで、船の下の飲料水が減ったからだろう。運航の過程で船の下の燃料も消耗した。もともと不足していたバラスト水がさらに減ったということだ」
−−貨物の固縛が十分でなかったというが。
「最初に傾いた時は貨物が傾き、危険を増幅させただろう。しかし45度以上傾いた後は常識とは状況が異なる。むしろ綱がほどけて重いコンテナが海に滑り落ちたのは幸いだ。鎖で固縛されていれば、あっという間にひっくり返り、174人が脱出する機会さえなかっただろう」
−−本当の犯人は誰か。
「秘密のカギは船長と1等航海士が握っている。バラスト水のポンプを担当する機関長も秘密を知る位置にいる。しかし本当の殺人犯は船上ではなく陸地にいる。仁川港で貨物を過剰積載し、満載喫水線をごまかすためにバラスト水に手をつけた人物だ。セウォル号は規定より貨物を2000トン多く積み、運送費8000万ウォン(約800万円)を追加で手にした。船のことを知らずお金に欲を出した人物が本当の殺人犯だ」
−−乗客に「船室から出るな」という案内放送があったが。
「小さな船は乗客が片方に寄れば転覆する。しかしセウォル号のように大きな船は違う。乗客の重さをすべて合わせても50トンのコンテナ1本分にもならない。とにかくライフジャケットを着用させて甲板に出さなければいけない。セウォル号の船長が本当に船長かどうかも疑問だ。事故直後にブリッジで清海鎮(チョンヘジン)海運の本社と直接交信した人が実際には力を持つ人物だろう」
−−政府の救助対策が批判されている。
「救助の順序から混乱していた。世界海運業界が驚いた部分は、事故海域に大型クレーンが何もせずにじっとしている場面だ。イタリアのコスタ・コンコルディアも引き揚げの準備に6カ月、完全引き揚げまで20カ月かかった。高いリース費用をかけて大型クレーンがあらかじめ来る必要はない」
−−どう収拾するべきか。
「首相や長官は海を知らない。現場報告を学習するのも大変だろう。現場の専門家に指令塔を任せるべきだ。米同時多発テロ当時、ニューヨーク消防署長が現場を掌握し、ビンラディン除去作戦には大統領や国務・国防長官ではなく、米統合特殊戦空軍准将が状況を指揮した」
http://japanese.joins.com/article/707/184707.html?servcode=100§code=120
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この記事は本当の事故原因について核心をついている。セウォル号は事故現場手前で少し右に舵をきったところ左舷に大きく傾き、操船不能状態となりエンジンを停止して北方向に漂流を始めた。この間わずか1分あまり。この時点でセウォル号はすでにかなり大きく傾いたと考えられる。30度以上も傾けば船内から船外に脱出することが難しくなるだろう。船外までのすべての出口が左舷の端にあれば大きく傾いていても脱出は可能だが、途中で1つでもそうでない出口があれば何とかして傾いた上方向にある出口までよじ登らなければならない。遺体の多くが指を骨折していたということはそのことを裏付けていると思われる。
奇妙なことに、船の傾斜が時刻とともにどの程度変化していったのか、どのマスメディアも伝えてはいない。昨日公開された最初の救助艇がセウォル号を撮影した9時40分頃には、船の傾きは50度程度になっていたという。この時点ではもはや船内から脱出するにはあまりにも傾き過ぎて多くの人たちは不可能だったと考えられる。
操船が不可能になるほどに船が傾くまで1分あまりしかかからなかったという事実は、同時にその時点ですでに船内のかなりの人たちが脱出不可能な状況に置かれていたことを示唆していると思われる。脱出しないでその場にとどまるようにという船内放送が問題視されているが、そうした船内放送がなくて、代わりにすぐに脱出するようにという船内放送があったとしても、多くの人はすでに脱出不可能なほどに船が傾いた状況だったという可能性が考えられる。
http://www.asyura2.com/14/asia15/msg/146.html