政治部・倉重奈苗 :朝日新聞
倉重奈苗という政治部記者に象徴される朝日の保守化、官僚化
http://blogs.yahoo.co.jp/hellotomhanks/63848840.html
★「天木直人氏の視点ー(2013/03/15)」★ :本音言いまっせー!
きょう3月15日の朝日新聞の「記者有論」というコラムは、いまの
朝日新聞を象徴するかのような記事である。
「対北朝鮮 米の日本防衛策引き出せ」という見出しで書かれた
その記事は要旨次のごとくだ。
北朝鮮の核の脅威が高まる今こそ日本は米国から日本防衛について
積極的な姿勢を引き出し、国民の不安感を払拭すべきだ。
その為にも米国に働きかけて、あくまでも米国の核の傘が機能している
事を内外に示すべきだ、と。
「日本を代表するリベラル紙」などというイメージはとっくに消えて
なくなった朝日であるが、産経、読売と変わらないタカ派ぶりである。
しかし、私が注目したのはそれだけではない。
倉重奈苗という政治部記者と外務官僚の緊密さ、一体化を彷彿と
させる次のような書き振りにこそ私は注目したのである。
すなわち倉重記者は今度の北朝鮮の核実験直後のオバマ大統領の声明
と、その後に行われた岸田外相とケリー米国務長官との電話会談に言及
し、そこには北朝鮮の核攻撃に対して米国が核兵器で対応するという、
いわば「核の傘」への言及がなかったことを指摘する。
そしてこの事は、北朝鮮が初めて核実験を行った2006年10月に
は、当時来日中ののライス国務長官が「『核の傘』による日本防衛は
非常に強力な同盟上の義務であり、必ず実行する」と記者会見で
明言した事と比較すれば、「様変わりだ」と書いている。
私が注目したのはその後に続く次のようなくだりだ。
「・・・もっとも、核実験後のオバマ大統領と安倍晋三首相の
電話協議で大統領は『米国の核の傘により提供される拡大抑止を含め、
日本への防衛コミットメントは不動だ』とも発言している。
しかし、この発言は外務省が事前に働きかけた結果で、外務省幹部は
『核のボタンを押す本人に言ってもらうことに意味がある』と
打ち明ける・・・」
倉重奈苗という朝日の政治部記者の正体が見事にここにあらわれている。
外務官僚の懐に入って内部情報を取る。
しかしその情報は外務省が国民に宣伝する計算しつくされた情報だ。
すなわちオバマ大統領に働きかけてそう言わせた。
ややもすれば日本軽視に傾きがちな米国に、同盟国の日本を忘れるな
と釘を刺して日本の外交力で米国の核の傘を機能させた、
これこそが対等な日米外交だ、と言っているのである。
そう書くことにより外務官僚の代弁役を買って出る。
その一方でそう書くことにより、自分は超一級の内部事情を得られる
立場にあると宣伝する。
一石二鳥というわけだ。
この倉重奈苗という政治部記者は、外務官僚と一体化となっり保守化
した今の朝日を象徴するような記者である。
そしてそのような記者が幹部になって朝日の論調に影響力を与えていく。
倉重奈苗という政治部記者は私が常日頃最も警戒してその記事を
フォローしている記者の一人である。
◇
(記者有論)対北朝鮮 米の日本防衛策引き出せ 倉重奈苗
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201303140510.html
2013年3月15日 朝日新聞
「北朝鮮が、準備が整い次第核実験をすると言っている」。北朝鮮核問題を巡る6者協議担当クリフォード・ハート米特使発の情報は、北朝鮮が2月11日、ニューヨークにいる同特使に通告した結果だった。米国からの連絡で、日本は翌12日の核実験を事前に知った。北朝鮮の核関連の動向は米国の情報が頼りだ。
北朝鮮は3度の核実験を経て長距離弾道ミサイルに搭載できる核兵器開発を着実に進めている。北朝鮮による対日核攻撃の抑止は、核を持たない日本に代わって米国が核で反撃するという米国の「核の傘」がその役割を果たす。抑止もまた、米国頼みであることに変わりはない。
だが、北朝鮮が核実験を強行した直後のオバマ大統領の声明、その後に岸田文雄外相と電話協議したケリー米国務長官の発言には、「核の傘」という言葉はなかった。
同盟国への攻撃に対応する方針を、通常兵器やミサイル防衛といった核以外の手段でも対応するという「防衛コミットメント」に転換しているためだ。米政府にとって、核は選択肢の一つに過ぎない。
北朝鮮が核実験を初めて実施した直後の2006年10月には、来日したライス米国務長官(当時)が会見で「『核の傘』による日本防衛は非常に強力な同盟上の責務であり、必ず実行する」と述べ、日本への核攻撃には米国が核で反撃すると明言している。当時とは様変わりだ。
もっとも、核実験後のオバマ大統領と安倍晋三首相の電話協議で大統領は「米国の核の傘により提供される拡大抑止を含め、日本への防衛コミットメントは不動だ」とも発言している。しかし、この発言は外務省が事前に働きかけた結果で、同省幹部は「核のボタンを押す本人に言ってもらうことに意味がある」と打ち明ける。
米国が核を使わない姿勢を示していることは歓迎すべきことなのだが、核兵器で日本を脅かす北朝鮮への抑止力が低減しないか、不安は残る。
日米両政府は、米国がどういう条件下で日本防衛に核を使うかを議論する場として11年に拡大抑止協議を発足している。しかし、協議は非公開で、この協議があるからと言って国民の不安は消えない。北朝鮮の核の脅威が高まる今、国民を不安の中に取り残さないためにも、米側から日本防衛について積極的な姿勢を引き出し、国民に分かりやすく伝えていく作業が政府には重要になるはずだ。
(くらしげななえ 政治部)