先日投稿した「中国、マネーサプライ急増が意味するものとは?」の続報である。
言い訳っぽいこともいろいろ書かれているが、
●「通貨が過剰発行状態かどうかを判断する指標の1つとして物価の安定がある。金融政策の良し悪しを判断する上で重要なのは、経済の成長率・規模と歩調が合っているかどうか」
● 「「通貨の過剰発行」は表面的な現象であり、その裏には中国経済構造のアンバランスや金融体系発展の遅れといった問題が隠れている。」
● 「中国のマネタイゼーションの過程には、他国とまったく異なる構造的・制度的基礎が存在する。その核心は、(1)政府が主導となったマネタイゼーション、(2)国際資本の循環を受けた「受動的な創造」、(3)金融資源配分の効率低下」
● ※中国経済にとって合目的的かどうかは別にして
「「通貨の中にいれば、通貨の仕組みを理解できないため、通貨の外に出て通貨を見直す必要がある。政府主導の資源配分モデルから脱却し、市場を資源配分の主体とし、投資への過度な依存をやめ、金融分野の全面的な改革を促進することで初めて、通貨の過剰発行を緩和することができる。人民銀行による通貨発行抑制や信用貸付規模に頼っていてはこの局面を変えるのは難しい」
● 中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は、「我々は2008年以降、世界的な金融危機に対応するために積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策をとってきた。政策自体は正しいが、何がしかの副作用がもたらされることは確実だ。金融政策にはタイムラグが存在し、一部の効果や現象がやや遅れて現れることもある。金融危機への対応の際は、マクロ経済調節に適度に力を入れる必要があるが、危機が過ぎた後は逆方向の調整が必要だ」と説明している。
ということで、最終節を読めば済む内容になっている。
※ 関連投稿
「中国、マネーサプライ急増が意味するものとは?:世界総量の1/4・米国の1.5倍・GDP同等規模日本の1.7倍」
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/200.html
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「中国は世界最大の紙幣印刷機」との見方に専門家が反論
各国が相次いで新たな量的緩和策を発表する中、あるメディアが「中国の通貨過剰発行も深刻だ。昨年、中国の通貨増加量は世界の約半分を占め、世界最大の紙幣印刷機になった」と報じた。これについて専門家は、「このような言い方はあまりにも常識外れで、一方的すぎる」との見方を示している。中国の通貨発行量が本当に深刻なのかどうか、1つのデータに基づいて当て推量することはできない。通貨が過剰発行状態かどうかを判断する指標の1つとして物価の安定がある。金融政策の良し悪しを判断する上で重要なのは、経済の成長率・規模と歩調が合っているかどうかだ。
▽中国の通貨過剰発行は誇張
中国の通貨過剰発行問題はここ数日、各方面で話題になっている。中国人民銀行(中央銀行)の統計データによると、2012年末現在、中国のM2残高は97兆4200億元に達し、世界一となった。この額はすでに、世界のマネーサプライ総量の4分の1に近づいており、米国の1.5倍だ。さらに、M2の対GDP比は188%の過去最高に達した。ちなみに同期の米国の同比率は63%で、中国のわずか約3分の1だった。一部メディアはこの差を根拠として中国を「世界最大の紙幣印刷機」と比喩し、多くの人が中国の通貨過剰発行が深刻であると考えるようになった。
しかし、専門家はこれについて「表面的に見て、中米のデータを比較すればこの結論も一理あるように感じるが、理論的に分析、もしくはもっと広範囲で比較すれば、この判断が大雑把であることが分かる。特にM2残高と対GDP比だけで中国が通貨過剰発行状態だと断定するのはあまりにも単純で一方的だ。各国のマネーサプライの統計範囲の違い、融資構造の違い、経済発展段階の特徴などの要素を全く考慮していない」と指摘する。
中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副院長は「中国の通貨発行量は確かに多いが、中国経済の成長率を見ずに単純に過剰発行だと決め付けてはならない。合理的な通貨発行は、国の経済成長率・規模に応じたものであるべき。例えば米国は経済成長が鈍化しているため、発行量を再度増やせば過度な発行になってしまう」とする。
▽通貨発行量の増加には原因が
中国人民銀行の周小川総裁は、「中国がこれまで統計してきた実体経済には形のあるものしか含まれず、サービス業が含まれない。このため、市場化が進み経済発展が加速するに伴い、マネーサプライは統計範囲内の『実体経済』の需要をすぐに上回り、いわゆる『過剰発行』の状態になった。しかし実際のところ、マネーサプライは実体経済だけでなく、サービス業や金融市場の需要も満たす必要がある」と指摘する。
興業銀行の魯政委チーフエコノミストは「中国のM2対GDP比は前々から高かった。この原因として、1つには中国のマネタイゼーションの進展が挙げられる。これまで市場で取引されてこなかった多くの製品が市場に流入し始め、自然とより多くの通貨が必要になった。もう1つの原因は、中国の社会融資構造だ。社会融資の大部分は銀行によるものであるため、M2が必然的に高くなる」とする。
国家情報センター経済予測部世界経済研究室の張茉楠副研究員は「まず第一に、改革開放の深化と市場化の高まりに伴い、中国の通貨需要が絶えず高まり、マネーサプライの増加ペースが経済成長ペースを上回った。このためM2の対GDP比が高まった。第二に、WTO加盟以降、中国の輸出の高成長および蓄積された外貨準備高は、貨幣創造のメカニズムと供給構造を大きく変化させた。最後に、投資に対する過度な依存度もまた、通貨の受動的な過剰発行の主因となっている。金融資源の国有経済に対する過度な依存、国有部門の予算に対する『ソフトな制約』は、金融資源の効率低下を招いている。経済の高度成長を維持するためには、さらなる信用貸付・貨幣供給に依存する必要がある」と語る。
▽市場を資源配分の主体に
実際のところ、「通貨の過剰発行」は表面的な現象であり、その裏には中国経済構造のアンバランスや金融体系発展の遅れといった問題が隠れている。中国のマネタイゼーションの過程には、他国とまったく異なる構造的・制度的基礎が存在する。その核心は、(1)政府が主導となったマネタイゼーション、(2)国際資本の循環を受けた「受動的な創造」、(3)金融資源配分の効率低下だ。
張茉楠副研究員は、「通貨の中にいれば、通貨の仕組みを理解できないため、通貨の外に出て通貨を見直す必要がある。政府主導の資源配分モデルから脱却し、市場を資源配分の主体とし、投資への過度な依存をやめ、金融分野の全面的な改革を促進することで初めて、通貨の過剰発行を緩和することができる。人民銀行による通貨発行抑制や信用貸付規模に頼っていてはこの局面を変えるのは難しい」と指摘する。
周小川総裁は、「我々は2008年以降、世界的な金融危機に対応するために積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策をとってきた。政策自体は正しいが、何がしかの副作用がもたらされることは確実だ。金融政策にはタイムラグが存在し、一部の効果や現象がやや遅れて現れることもある。金融危機への対応の際は、マクロ経済調節に適度に力を入れる必要があるが、危機が過ぎた後は逆方向の調整が必要だ」と指摘する。(編集SN)
「人民網日本語版」2013年2月7日