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秘密のアッコちゃん lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx コメント履歴 No: 100061
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[政治・選挙・NHK296] スクープ!統一教会が解散命令後の残余財産1000憶円を実質吸収した他の宗教法人の所有へ(鈴木エイト) 赤かぶ
32. 秘密のアッコちゃん[1441] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月30日 19:22:26 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[879]
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沖縄戦最初の戦死 歴史に葬られた特攻隊長 伊舎堂用久
正論2025年4月号 作家 将口康浩
大陸に対し、海に弧を描き、鹿児島から沖縄の島々が連なっている。
国境に近い最西端、八重山諸島の中心が石垣島。
沖縄本島から400km、台湾との距離は僅か270kmしか離れていない。
石垣島の北170kmに点在する尖閣諸島では中国船の頻繁な領空侵犯を受けている。
かつて沖縄は、東から攻め上がった米軍との戦いの地となった。
今、西からの攻勢に晒されている。
尖閣諸島最大の魚釣島の地番は沖縄県石垣市登野城尖閣2392番地。
ちょうど80年前の昭和20(1945)年、石垣島から出撃、慶良間諸島沖で米艦隊に体当たり攻撃を行った伊舎堂用久大尉の生まれは石垣市登野城156番地。
自分の郷土は自分で守ると、特攻隊長として故郷から出撃した。
石垣島西部に陸軍白保飛行場が広がっていた。
昭和20(1945)年3月25日午後11時50分、指揮所前に陸軍特別攻撃隊
「誠第17飛行隊」
と、その護衛に当たる
「独立飛行第23中隊」
の隊員、関係部隊長40名が集合していた。

本25日1650、慶良間群島周辺に空母2、特設空母4以上よりなる敵機動部隊遊弋中なり
飛行団は敵機動部隊を攻撃せんとす

中央気象台石垣島測候所は昭和20(1945)年3月26日の天候は快晴と予報していた。
海上に浮かぶ眼下の敵を発見しやすい絶好の飛行日和だった。
昭和20(1945)年3月26日午前4時。
見送りを受け、初めに第23中隊所属の直掩機6機、続いて誠第17飛行隊の特攻機4機が離陸した。
11歳だった石垣島宮良の小浜義勝はその日をよく覚えている。
迫る米軍艦艇に体当たりをする特攻機が石垣島から出撃することは子供でも知っている公然の秘密だった。
日の出は午前6時37分、まだ月が残っていた。
「飛行機が飛んでいる」
姉の声がした。
布団にくるまり、眠っていた小浜義勝はすぐに飛び起きた。
耳を澄ますと、聞き慣れた陸軍機の爆音がする。
急いで庭に出て、北の空の機影に姉と2人で懸命に手を振った。
傍らでは、目を閉じたままの母は手を合わせて拝み、父は言葉もなく呆然と見送っていた。
その日、米空母に突撃して戦死したと聞いた。
戦後も生まれた石垣島で暮らし、老齢となった小浜義勝は伊舎堂用久の戦死についてこう語っていた。
「国を思う国民の心なくして平和も人権も生活もあり得ない」
「伊舎堂用久中佐が故郷を守ってくれたからこそ、こうやって今、我々は生きている」
熾烈を極めた沖縄戦は石垣島の白保飛行場から飛び立った伊舎堂用久隊が口火を切る。
伊舎堂用久率いる10名が沖縄戦最初の戦死者となった。
しかし、この事実を知る者は少ない。
■「用久元気」空からの手紙
中国戦線から1年ぶりに帰国、静岡県浜松で新型機に乗り換えるための訓練を受ける。
僅か1カ月ほどの浜松滞在後、那覇経由で台湾花蓮港(現・花蓮市)に向かう。
途中、石垣島の生家上空を旋回、通信筒を落とす。
帰省することができない伊舎堂用久からの空からの手紙だった。

用久元気 台湾花蓮港ニ居ルコトニナリマシタ 今前進スル途中

最早故郷の地を踏むことはない、珊瑚礁に当たる砕ける波と白浜、緑深い山々、港に続く懐かしい家並み。
空からこれが見納めとじっくりと眺めたに違いない。
手紙を受け取った父の伊舎堂用和、母の伊舎堂ミツも同じ心持ちだっただろう。
だが、10カ月後、再び故郷の地を踏む。
帰るに帰れなかった石垣島に7年ぶりの帰郷を果たす。
そこが最期の地となった。
昭和19(1944)年10月25日、レイテ沖海戦で初めての特攻攻撃が行われた。
同年昭和19(1944)年11月中旬、花蓮港からフィリピンのルソン島ツゲガラオ基地まで、伊舎堂用久は99式軍偵察機で飛行、米軍の進攻状況や特攻隊の現況などを10日間に渡り偵察分析する。
整備の岡本泰憲曹長だけが同行した。
夕食後、ツゲガラオ基地の宿舎を抜け、2人で空を見上げる。
交わす言葉はなく、無言のままだった。
岡本泰憲曹長が手記に残している。
「群青色に澄んだ夜空に散らばる南十字星を伊舎堂中尉と感無量の想いで眺めた思い出は忘れられない」
この時点では台湾での特攻隊編成は決まっていなかった。
しかし、伊舎堂用久を単機で現地視察に行かせた理由は1つしかない。
沖縄で特攻隊出撃命令を下す際、敵を迎え撃つ沖縄県民と後続の陸軍航空兵の士気を高める上で、第8飛行士団幹部は郷里の英雄を最初の隊長にすべきと当初から考慮していた。
無論、伊舎堂用久自身もその意を汲んでいた。
昭和19(1944)年11月末、同師団に特攻隊編成指示が出された。
死に向かう道しかない集団の団結心と1人1人の闘志の高揚、持続だった。
そのためには集団を率いる隊長の責任感や統率力、人柄、技量が重要になる。
部下にこの人とならば、と思わせるような男でなければならない。
編成を任された作戦主任参謀の石川寛一中佐は隊長に伊舎堂用久を指名した。
石川寛一中佐は偵察出身で、伊舎堂用久との関係も深く、知悉の間柄でもあった。
伊舎堂用久を司令部に呼び出し隊長就任を要請した。
何の迷いも躊躇いもなく、伊舎堂用久が即答する。
「私にやらせて下さい」
昭和19(1944)年12月8日、
「誠第17飛行隊」
が編成された。
伊舎堂用久は昭和19(1944)年12月1日、大尉に昇級した。
希少な石垣島出身の飛行隊長が郷土から特攻出撃する筋書きが完成した。

伊舎堂用久大尉 陸士55期、24歳、沖縄出身
石垣仁中尉 陸士56期、23歳、山形出身
安原正文少尉 幹部候補生9期、24歳、高知出身
川瀬嘉紀少尉 特別操縦見習士官1期、24歳、東京出身
大門修一少尉 特別操縦見習士官1期、24歳、茨城出身
久保元治郎少尉 金沢大、特別操縦見習士官1期、22歳、千葉出身
芝崎茂少尉 特別操縦見習士官1期、23歳、埼玉出身
黒田釈伍長 少年飛行兵、21歳、愛媛出身
有馬達郎伍長 少年飛行兵、17歳、鹿児島出身
林至寛伍長 少年飛行兵、17歳、東京出身
小林茂兵長 少年飛行兵、16歳、東京出身

誠第17飛行隊11名のうち生き残った者は誰1人としていなかった。

昭和20(1945)年2月28日、誠第17飛行隊は石垣白保飛行場に到着した。
伊舎堂用久にとって7年ぶりの故郷で過ごす最期の37日間だった。
隊員は飛行場近くのオーセと呼ばれる拝所がある白保集落の中心に分宿する。
毎朝、オーセ前に集合し、全員で体操を行う。
その後、隊長宿舎前で点呼を取り、その日の作業日程やその日の行動確認を行い、最後に隊長が訓示をするのが日課だった。
門前で伊舎堂用久がキビキビと名前を呼び、隊員が返事をする光景を見た前盛家の嫁、敏子は規則を厳格に守る軍隊の様子に驚かされる。
「物腰の柔らかい方で、隊長は部下に対しても、温情みある態度で接し、叱り付けるようなことはありませんでした」
死にだけ向かっていく伊舎堂用久の心中を慮り、話しかけたこともあった。
「夜はきちんと熟睡できますか」
「出撃の日を待つのみですから、何も考えずに、その日を来るのを待っています。今はただ、明鏡止水の心境です」

比ぶなき幸い哉我選まれて今南海の雲と散り征く 石垣仁中尉
死生有命不足論 只祈必中撃沈 安原正文少尉
指折りつ 待ちに待ちたる 機ぞきたる 千尋の海に 散るぞ楽しき 伊舎堂用久大尉
人間到処在青山 芝崎茂少尉
きづなをば たちて飛びゆく 白雲の無心の境地 機にまかせて 大門修一少尉

残された寄せ書きが5名の遺書となった。
■「部下のことを・・・」家族との面会拒む
地元出身の有名人だったが前盛家の家族以外、他の島民たちと接触することはほとんどなかった。
伊舎堂用久の母ミツと姉の3女トヨ子、妹の4女節子が隊長宿舎を訪ねてきたことがある。
前盛家の長男、善助がそのことを伝えると、伊舎堂用久は毅然として面会を断った。
「部下は本土出身で、帰りたくても帰ることができない」
「部下の気持ちを思うと、自分だけ家族に会うことはできない」
陸軍士官学校入校以来、故郷に帰ることが叶わず、あれほど会いたかった母と姉妹たちだ。
しかし歓喜するどころか、すげなく追い返す。
「大尉殿は会うことはできないと言っている」
母たちに善助が申し訳なさそうに言った。
自宅のある登野城と白保は10km近くある。
子供の足では3時間近くかかるだろう。
会えないまま、落胆し帰って行った。
「公私の区別について、かなり厳格に考えていた」
「妹さんが手作りのご馳走を持参して面会に来ても会わなかったようだ」
「せっかく訪ねてきたのだから、堅苦しく考えずに会ってあげたらどうか、と勧めたことがある」
「しかし、部下は帰ろうと思っても帰る所もない」
「いくら肉親でも部下の手前、忍びないと拒み通したことは並みの人のできることではない」
「こういうことなどで部下たちは心服していた」
上司の第9飛行団長の柳本栄喜大佐は戦後、こう書き記す。
柳本栄喜大佐も面会を勧めるが、伊舎堂用久は頑なに拒んでいた。
「家に帰って1度、両親に顔を見せてはどうか」
石垣島に駐屯していた第69飛行場大隊長の浅沼紀平少佐は伊舎堂用久に顔を合わせる度に、帰宅を促していた。
しかし、伊舎堂用久の返事は変わらなかった。
「部下の事を考えれば、そういうわけにはいきません」
誠第17飛行隊の整備兵が戦後、こう語っている。
「伊舎堂隊長は石垣島に実家があり、お父さんも妹さんもいらっしゃる」
「それなのに隊長は家に帰らぬ」
「皆で是非、家に帰ったら如何ですかと言っても、
『戦争をしているんだ』
と言って、部下の訓練をしていた」
「あの隊長のためなら喜んで命を捨てることができる」
部下にとって、伊舎堂用久と行動を共にすることは当然の成り行きだった。
しかしながら、出撃が間近となった時、浅沼紀平少佐の再三再四の要請に根負けし、浅沼紀平少佐と共に車で登野城にある実家に向かった。
玄関で出迎えた父、伊舎堂用和は伊舎堂用久を上座に座らせた。
厳格な父は3男と根性の別れになることを悟っていた。
特攻隊長就任の経緯も、戦死後の処遇も、戦局の行方も語らず、2人は静かに杯を交わす。
帰りの車中で漏らした言葉が浅沼紀平少佐の脳裡で渦巻く。
「いずれ、敵が沖縄に上陸すれば、私は第1次特攻隊として特攻することになる」
「死ぬことは何とも思わないが、私たちが死んだ後、祖国日本はどうなるだろうか」
「それが心残りです」
如何に特攻機で戦艦を撃沈させようとも、挽回しようがないところまで追い込まれていた。
既に日本は敗戦すると腹を括っていた。
「我々が残っているから心配ない」
それしか浅沼紀平少佐には返す言葉がなかった。
昭和20(1945)年3月25日正午、台湾の第10戦隊が那覇西方海上で米空母2隻を含む大規模な艦隊を発見する。

第9飛行団長は明26日早朝、誠第17飛行隊を基幹とする特別攻撃隊をもって慶良間群島周辺の敵機動部隊に対し左のごとく攻撃すべし
攻撃時刻 0550 編成および攻撃方式 甲編成第1方式
直掩機の装備 爆装備

連絡を受け、隊員たちの賄いをしていた仲宗根千代も大急ぎで弁当を作り、持って行った。
飛行中、機上で食べることができるように、竹の皮に包んだ握り飯弁当だった。
昭和20(1945)年3月25日午後11時50分、戦闘指揮所に隊員や関係者が集合する。
第9飛行団長の柳本栄喜大佐が最後の命令を下す。
「敵はいよいよ我が国土に侵寇しようとしている」
「諸君の成功を祈る」
別れの杯に酒を満たし、白鉢巻き姿の隊員が酌み交わす。
仲宗根千代が食事を作っていた隊員の鉢巻きには
「お母さんお先に」
と書かれていた。
「いずれ私たちも祖国のため殉死する運命を免れないと思っていたので、特別な感情は浮かばなかったけど、今でもあの時の姿が浮かんでくる」
■戦死知らずに面会
出撃時刻は翌昭和20(1945)年3月26日午前4時だった。
「伊舎堂隊長の出撃です。すぐ来てください」
姉・伊舎堂トヨ子の夫である石垣信純の兵舎に整備兵が飛び込んで来た。
石垣信純は現地招集の工兵隊中隊長だった。
兵舎から飛行場まで約1km。
自動車もなく、これが義弟との別れになる。
息を切らせ、走りに走った。
到着した時、伊舎堂用久機は既にエンジンを掛け、プロペラが回り始めている。
もう駄目だ、遅かったと呆然と立ち尽くす。
そこへ誰かが石垣信純の手を取り、急いで搭乗機の近くまで連れて行く。
既に特攻機を守る直掩機は離陸し、上空で待機している。
操縦席で眼前を伊舎堂用久はまさに飛び立とうとしていた。
思わず石垣信純は動こうとする搭乗機にしがみつく。
伊舎堂用久はようやく義兄の姿に気付く。
言葉は一言だけだった。
「姉さんによろしく」
石垣信純が何か言う間もなく、滑走路を駆け、伊舎堂用久機が空に舞い上がる。
言葉も声も無く、その場に崩れ落ちる。
慶良間諸島沖合に艦隊を発見、大型空母2隻、小型空母2隻を含む大艦隊だった。
一斉に駆逐艦の対空砲火が始まり、凄まじい米軍の火力を見せつける。

いまより我、突入す

予定時刻の昭和20(1945)年3月26日午前5時50分、芝崎茂少尉、川瀬嘉紀少尉、黒田釈伍長の順に打電が入る。
伊舎堂用久大尉も体当たり攻撃を敢行する。
昭和20(1945)年6月23日まで続く、沖縄戦の最初の戦いだった。
弁当を届けた仲宗根千代はそのまま司令部に残り、連絡を待っていた。
伊舎堂用久隊突入、成功の報が届く。
歓喜の声も、泣き叫ぶ声もなく、司令部全員が同時に合掌、隊員たちの冥福を祈った。
ただ一人、伊舎堂用久の当番下士官だけが泣き叫び、床に座り込んでいた。
仲宗根千代は忘れられない。
「往時に思いを致す時、あの若さで異性を知ることもなく、青春を楽しむこともなく、只々祖国の安泰と慈母の穏やかなることを念じ、黙々として死の首途に赴いた少年特攻兵の面影は今でも忘れることは出来ません」
「司令部のその時の一種悲壮、感動的な光景は今尚脳裡に浮かんできます」
第1団に引き続き、昭和20(1945)年3月29日に安原正文少尉、昭和20(1945)年4月2日に久保元治郎少尉と有馬達郎伍長、昭和20(1945)年4月8日に林至寛伍長が出撃、昭和20(1945)年5月14日に大門修一少尉、伊舎堂用久隊全員が散華した。
石垣仁中尉は昭和20(1945)年3月22日、台湾沖で戦死、小林茂兵長は台湾での訓練中に事故死していた。
伊舎堂用久が戦死した昭和20(1945)年3月26日、事情を知らない父と母、姉、妹が揃って白保飛行場を訪れる。
出撃が近付いていることを察知、最期になるかもしれないと心づくしのご馳走を携えていた。
いずれ、この日が来ることの心積もりはあったとはいえ、茫然自失となる4人。
周囲も憚らず、地面にうつ伏せて泣きじゃくる母。
姉と妹も母の背に追いすがり声を上げる。
子に先立たれる母ほど、哀切なものはない。
泣き崩れる親子の姿に周りの者も涙を流す。
「武人としての本望ではないか」
父・伊舎堂用和だけは気丈に振る舞うが、心中は慟哭していただろう。
■歌われなくなった唄
伊舎堂用久隊に感状が授与され、ラジオや新聞各紙が一斉に報道する。
石垣島出身の毎日新聞、宮良高夫記者が
「伊舎堂大尉よ。あなたの武勲はふるさとの海に咲く赤い花とともに永久に故郷を飾るのだ」
と記事に書いた。
武功を讃える
「伊舎堂隊の唄」
はかつて、沖縄に暮らす老若男女誰もが知らぬ者がいなかった。
伊舎堂用久の陸士同期、藤森正義の義弟が那覇航空測候所に勤務していた。
日本復帰間もない頃、義弟から那覇の街でよく歌われていると手紙で知らされ、
「沖縄県民の心の中に生き続けていることを嬉しく思う」
と藤森は書き残す。
だが、いつしか伊舎堂用久の武勲が故郷で語り継がれることも、歌が口ずさまれることもなくなった。
伊舎堂用久の長兄の伊舎堂用展、伊舎堂用展の妻・伊舎堂ハツは戦争で命を失った。
伊舎堂用久の父の伊舎堂用和も終戦翌日昭和20(1945)年8月16日に病死した。
八重山諸島では米軍上陸に備え、マラリア有病地域の山間部に疎開して罹患、約3000人が死亡。
「戦争マラリア」
と呼ばれている。
伊舎堂ハツもマラリアで死亡した。
伊舎堂用八7歳を残したままの38歳だった。
伊舎堂用展は米軍と交戦の末、戦死。
両親を失った伊舎堂用八は4女、伊舎堂節子の手で育てられる。
八重山高校教諭などを務め、家を継いだ伊舎堂用八が叔父、伊舎堂用久の志を語ることができる唯一の遺族となった。
「伊舎堂用久戦死の意義は沖縄人の誇りと、自分の故郷は自分で守る気概を持ってほしいというメッセージを後世の沖縄人に伝えようとしたこと」
沖縄県糸満市の平和祈念公園に
「空華(くげ)之塔」
が建立されている。
沖縄戦で戦死した陸海軍の航空将兵を祀っている。
昭和39(1964)年11月1日、遺族を代表して母・伊舎堂ミツが除幕を行った。
それほどに伊舎堂用久の名は重いものだった。
「昭和20年(1945)3月26日は沖縄戦が開始された日として地元紙は大きく報道されるが、沖縄戦第1号の特攻には何も触れられない」
「沖縄県民が特攻史を何も知らない」
意図的に忘却されている歴史の真実に伊舎堂用八は憤怒する。
伊舎堂用八も老齢となった。
伊舎堂用久の位牌や写真、手紙などの遺品は今後どうなるのか、処遇も不明である。
石垣市南ぬ浜町で、平成25(2013)年8月15日に
「伊舎堂中佐と隊員の顕彰碑」
の除幕式が行われた。
戦死から68年後、ようやく建立にこぎつけた。
忘れ去られたまま、月日が経過していた。
顕彰碑建立期成会が発足後、寄付の申し出が殺到、2000人以上、700万円の寄付金が集まる。
寄付者の手紙にこう書かれていた。

顕彰碑が立派に建立され、尖閣を含む沖縄の地の守り神としての役割を果たさんことを祈念しています。
碑には
「郷土と国を愛し、悠久の大義に生きる精神により散華した伊舎堂用久中佐と隊員の遺功」
と記された。
伊舎堂用久の遺詠
「指折りつ 待ちに待ちたる 機ぞきたる 千尋の海に 散るぞ楽しき」
とともに、石垣島から出撃した特攻隊31名全員の氏名、年齢、出身地が刻銘された。

蒼海を望む高台に碑はある。
北には尖閣諸島、西には八重山の島々、その先には台湾がある。
更に先には中国大陸がある。
「祖国日本はどうなるか、それだけが心残り」
出撃直前、魂の底から絞り出された言葉だった。
伊舎堂用久が我々に問いかけている。
国を守るということは何か。
国を守ることは故郷を守り、そこに暮らす父母や兄弟姉妹、祖父母、親戚、友人を守ることだった。
今の祖国を見てどう感じるだろうか。
こんな日本になりましたと伊舎堂用久に見せることが出来るだろうか。
尖閣諸島を跋扈する中国船舶を見せることが出来るだろうか。
日本人として突き付けられている。
歴史の1ページとして郷土から出撃、戦死した伊舎堂用久の人柄、生き方。
現代に生きる我々が先人の犠牲の上にあることを忘れないと共に、もう起きてはならない戦争の凄惨な真実を残すためにも語り継がなければならない。
伊舎堂用久隊出撃から今年2025年でちょうど80年を迎える。
沖縄戦が始まった昭和20年(1945)3月26日。
これからも忘れてはならない日。
石垣島から出撃した誠第17飛行隊。
沖縄戦最初の戦死。
郷土を守ろうとした伊舎堂用久。
日本人が決して忘れてはならない名である。
■地元紙連載が単行本に
当時は軍神とまで崇められながら、戦後は歴史から消されてしまった伊舎堂用久中佐。
せめて地元の人たちには沖縄戦の最初の戦死者について知ってほしいと、筆者は昨年2024年3月から8月に渡り石垣市を拠点とする地元紙・八重山日報で伊舎堂用久中佐について連載した。
その連載が
『歴史に葬られた特攻隊長 〜故郷・石垣島から出撃した伊舎堂用久中佐』
として2025年3月20日、徳間書店から刊行される。
ぜひ一読を乞いたい。

<産経抄>沖縄戦の特攻から80年、忘れてはならないこと
2025/3/27 5:00
https://www.sankei.com/article/20250327-KZCWPGKNIZLJTMJ2FMPZ46PSSM/?674170
日本の悪口を書くのは熱心でも、命を懸けて国を守った先人の歩みを教えるのは苦手だ。
戦後教育の弊害は教科書になお顕著だ。
高校教科書の検定を見て改めて思う。
▼だからこそ知ってほしい。
「死ぬことは何とも思わない。祖国日本はどうなるか。それだけが心残りだ」。
こんな思いを残し、特攻で散華(さんげ)した若者がいる。
80年前、沖縄戦が始まった3月26日早暁(そうぎょう)、伊舎堂用久(いしゃどう・ようきゅう)中佐らの飛行隊は、沖縄県の石垣島にあった白保飛行場から出撃して、慶良間(けらま)諸島沖の米艦隊に突入した。
伊舎堂はそのとき24歳。
▼沖縄戦の陸軍特攻第1号だが、その名は歴史の陰に隠れてきた。
八重山日報(本社・石垣市)の連載をもとに刊行された
『歴史に葬られた特攻隊長』(将口泰浩著、徳間書店)
に詳しい。
沖縄では
「軍人を美化するな」
とされ、特攻を知らない人が多い。
顕彰碑が、伊舎堂の故郷の石垣島に建てられたのも、ようやく、戦後68年を経てだ。
▼同書では伊舎堂の人柄が丹念に描かれている。
旧制中学から進んだ陸軍予科士官学校時代のエピソードもある。
陸軍では作文教育を重視した。
刻々と変わる戦況などを伝える正確な文章力が求められるためだ。
毛筆、文語で書く修練も。伊舎堂の文は達筆、簡潔で力強かった。
▼伊舎堂が戦死した日、事情を知らない家族らは心づくしのご馳走を携えて白保飛行場を訪ねた。
戦死の報に泣き崩れる母の傍ら、父は
「本望ではないか」
と気丈に語ったという。
婚約者との再会は、叶わなかった。
▼それから80年の2025年3月26日、海を望む顕彰碑前で慰霊祭が行われた。
碑には伊舎堂隊だけでなく石垣島から出撃した特攻隊ら32人の氏名、年齢、出身地が記されている。
忘れてはならない歴史である。

「特攻隊員は任務と覚悟、最後まで貫いた」宮本雅史編集委員が講演 沖縄「正論」友の会
2025/1/17 17:40
https://www.sankei.com/article/20250117-FEPV2NRRTFJ4NNHNMZ7G4H6WYQ/
沖縄「正論」友の会第65回セミナーが2025年1月17日、那覇市内で開かれ、特攻隊の元隊員や遺族への取材を続けている産経新聞の宮本雅史客員編集委員が
「特攻と沖縄〜特攻隊唯一の目撃者・沖縄県民〜」
と題して講演した。
宮本氏は先の大戦末期、陸軍特攻の先陣を切った石垣島出身の伊舎堂用久中佐はじめ、米軍の沖縄侵攻を阻止するために出撃し、命を散らせた特攻隊員のエピソードを紹介。
「沖縄の海で亡くなった特攻隊員を最後に目撃したのは沖縄の人たちだった」
と指摘した。
沖縄戦を巡り、日本が沖縄を
「捨て石」
にしたという非難があることに触れ、
「『捨て石』のために死んだというのか」
「そんな失礼なことは申し訳なくて言えない」
と強調。
「任務と覚悟。若い彼らはそれを最後まで貫いた」
と述べた。
また、戦後80年を振り返り、
「日本は裕福になったかもしれないが、権利ばかり主張し、義務という言葉を忘れてしまった」
と憂慮した。

すすり泣き漏れる客席 沖縄で特攻隊題材に演劇舞台 石垣市長「平和のありがたみ感じた」
2024/10/19 19:18
https://www.sankei.com/article/20241019-5Q55Z5O4XZIH5EMDVZQ3E523PU/
先の大戦末期、米軍の沖縄侵攻を阻止するため出撃していった特攻隊員を題材にした演劇舞台
「未来へつむぐ〜今をありがとう」
の沖縄公演が2024年10月19日、那覇市のパレット市民劇場で開催された。「特攻を美化してはいけない」
「しかし特攻の事実は絶対に風化させてはならない」
との思いが込められた作品で、客席からは何度もすすり泣きが漏れた。
公演は2024年10月20日まで。
いじめを受けていた現代の女子学生(廣木葵)が元特攻隊員の曽祖父(尾藤イサオ)から靖国神社に行くよう勧められ、そこで79年前の知覧飛行場にタイムスリップするというストーリー。
女子学生は飛行場で、出撃を待つ若かりし日の曽祖父(長谷川幹)と出会い、特攻隊員らの身の回りの世話をしていた
「なでしこ隊」
の一員として過ごし、命の尊さや人を思いやる大切さを知る。
知覧特攻平和会館(鹿児島県)の初代館長を務め、平成27年に90歳で亡くなった元陸軍特攻隊員の板津忠正さんがモデルとなっている。
日本文化を広めている一般社団法人「つむぎジャパン」(東京)代表の野田憲晴(けんせつ)さん(59)が、板津さんの長男、昌利さん(67)に取材し、脚本を書いた。
■ようやく実現した沖縄公演
主催者によると、
「未来へつむぐ」
の初演は平成26年だが、沖縄公演の実現には時間がかかったという。
特攻隊に対する県民感情などを考慮していたためだ。
ところが2年前、当時県立高校の教諭だった赤嶺剛さん(51)がたまたま東京公演を観劇。
「沖縄では
『日本兵に悪いことをされた』
と語られる一方、特攻隊のことは何も伝えられていない」
「沖縄の子供たちにこの事実を伝えるべきだ」
と沖縄での上演を強く求めたことがきっかけとなり、昨年2023年8月に初めて沖縄公演が実現した。
好評を博し、今年2024年も開催することになったという。
沖縄戦を巡っては、日本が沖縄を
「捨て石」
にしたとの批判があるが、実際は、沖縄を守ろうと九州などから陸海軍の特攻機2571機や空挺隊が出撃しており、戦艦「大和」も沖縄への海上特攻作戦で沈み、3千人以上が戦死している。
劇中でも、特攻隊員たちが
「沖縄を守り、本土を守るのは自分しかない」
と決意し、上官も
「一刻も早く米軍から沖縄を守り、本土への攻撃を防ごう」
と語る場面があった。
■先陣切った伊舎堂中佐
今回の沖縄公演では、沖縄戦の陸軍特攻第1号として先陣を切った石垣島出身の伊舎堂用久(いしゃどうようきゅう)中佐も登場している。
米軍の沖縄侵攻を阻止するために飛び立ち、命を散らせた旧日本陸軍特攻隊員1036人の一人だ。
伊舎堂中佐の郷里・沖縄県石垣市の中山義隆市長も2024年10月19日の公演に駆け付けた。
中山市長は
「特攻隊の皆さんの気持ちがリアルに伝わってきた」
「平和の有難味を改めて感じた」
と公演を振り返り、
「沖縄を守ろうとして亡くなっていった人たちがいた」
「特攻隊の歴史を伝えていかなければならない」
と強調した。
2024年10月20日の公演は2回。
午前11時半と午後3時にそれぞれ開演する。
まだ席に余裕があるといい、2024年10月19日の公演終了後、
「なでしこ隊」
率いる教師役を好演した女優の小田茜さん(45)は
「お待ちしています」
と、1人でも多くの県民の来場を呼びかけていた。

先陣切った石垣島出身の特攻隊長・伊舎堂中佐 「沖縄で伝えられていない歴史」那覇で公演
沖縄考(49) 那覇支局長・大竹直樹
2024/10/9 9:00
https://www.sankei.com/article/20241009-XKO5UBQTEFLSPONW6CX7L2XR6E/
■沖縄県民の拒絶反応
「こら、いらないわ」
受け取ったチラシを一瞥(いちべつ)すると、そう言ってすぐに突き返されたという。
特攻隊員を題材にした演劇舞台の沖縄公演。
プロデューサーを務める石神隆弘さん(57)は
「公演の支援を求め沖縄の経営者を回ったが、4割くらいの人が拒絶反応を示し、チラシも受け取ってくれなかった」
と述懐する。
資料・撮影協力の欄に、靖国神社や鹿児島県の知覧特攻平和会館と記載されていたのが理由ではないかと、石神さんはみる。
演劇舞台
「未来へつむぐ〜今をありがとう」
は、知覧特攻平和会館の初代館長を務め、平成27年に90歳で亡くなった板津忠正さんをモデルにしたオリジナル作品だ。
板津さんは元陸軍特攻隊員の生き残りで、戦後は特攻隊員の遺影や遺品を集めて回った。
日本文化を広めている一般社団法人「つむぎジャパン」(東京)代表の野田憲晴(けんせつ)さん(59)が、板津さんの長男、昌利さん(67)に取材し、脚本を書いた。
いじめを受けていた現代の女子学生が元特攻隊員の曽祖父から靖国神社に行くよう勧められ、靖国神社で79年前の知覧飛行場(鹿児島県)にタイムスリップ。
出撃を待つ若かりし日の曽祖父と出会い、特攻隊員らの身の回りの世話をしていた
「なでしこ隊」
の一員として過ごし、命の尊さや人を思いやる大切さを知る−というストーリーである。
今月2024年10月19、20日に那覇市のパレット市民劇場で行われる沖縄公演では、脚本の一部を変更し、石垣島出身の伊舎堂用久(いしゃどうようきゅう)中佐が回想シーンに登場する。
先の大戦末期、米軍の沖縄侵攻を阻止するために飛び立ち、命を散らせた旧日本陸軍特攻隊員1036人の1人だ。
誠第17飛行隊を率いる伊舎堂中佐は昭和20年3月26日、沖縄戦の陸軍特攻第1号として郷里の石垣島にあった白保飛行場から出撃。
慶良間(けらま)諸島沖の米艦隊に突入した。
24歳であった。
■「避けてきた」沖縄公演
「未来へつむぐ」
の初演は平成26年。
以来、年2回の頻度で全国各地で上演されてきたが、特攻隊に対する県民感情を考慮し、沖縄公演は
「ずっと避けてきた」(石神さん)
という。
そこに、転機が訪れる。
那覇市で教育コンサルタントを務める赤嶺剛さん(51)との出会いだ。
今から2年前2022年、当時県立高校の国語科教諭だった赤嶺さんは
「未来へつむぐ」
の東京公演をたまたま観劇。
「沖縄では
『日本兵に悪いことをされた』
と語られる一方、特攻隊のことは何も伝えられていない」
と衝撃を受け、
「沖縄の子供たちにこの事実を伝えるべきだ」
と痛感したという。
教諭時代は沖縄県教職員組合に所属していたが、
「未来へつむぐ」
の東京公演を見て、赤嶺さんは
「沖縄で伝えられていない歴史」
に気付いたのだ。
初の沖縄公演に向けて奔走。
残念ながら、県教育委員会には後援依頼を断られてしまったが、公演自体は昨年2023年8月、那覇市で実現した。
観客席では涙を拭う人が絶えず、若い学生らから
「真実を教えてくれてありがとう」
といった反応も寄せられた。
同世代の特攻隊員たちの至情に接し、きっと万感胸に迫るものがあったのだろうと推察する。
同世代といえば、パリ五輪で戦った卓球女子メダリストの早田ひな選手(24)は2024年8月、帰国後の記者会見で
「鹿児島の特攻資料館に行き、生きていること、そして、卓球が当たり前にできていることが、当たり前ではないというのを感じたい」
と語っていた。
この発言が中国や韓国で物議を醸したと報じられた。
戦争を肯定したわけでも特攻隊を美化したわけでもなく、平和な時代に生きていることに感謝し、戦争と平和の意味を考えたいという、この言葉のどこをどう曲解すればそんな反応になるのか。
理解に苦しむ。
■タブー視された特攻隊と日の丸
沖縄では、平和を守るための防衛力強化でも
「戦場にするな」
「軍拡やめろ」
との批判が渦巻く。
軍は
「悪」
と否定されてきた経緯があり、特攻隊や靖国神社という言葉に拒絶反応を示す県民がいるのも事実だ。
こうした県民の反応は、沖縄が歩んできた歴史と密接に関係している。
大戦末期に始まった沖縄戦では、米軍が空襲や艦砲射撃など猛攻撃を加えた
「鉄の暴風」
が吹き荒れた。
当時の県民の4人に1人が犠牲になり、戦後は米軍統治を経験している。
県民は心から早期の本土復帰を願った。
願いを込めて旧国鉄の特急列車に
「なは」
と命名したほどである。
だが、本土から革新勢力が流入し、県民の思いとは裏腹に、組織的な反米軍基地闘争や反日運動へと復帰運動が変質。
革新勢力は沖縄の教育界や言論界に大きな影響を及ぼしていく。
復帰の象徴だった日の丸すら、戦争のエンブレムであるがごとくタブー視された。
いわんや、国や家族を思う一心で尊い命を捧げた特攻隊員をや、である。
伊舎堂中佐の郷里である石垣市の中山義隆市長(57)は今月の沖縄公演を観劇する予定だという。
「演劇舞台を通じ沖縄出身の特攻隊員がいたということを多くの県民に知ってもらいたい」
と語っていた。
沖縄県民の代表として選ばれた玉城デニー知事にも是非、虚心坦懐の気持ちで沖縄公演をご覧頂きたいものだ。
旧日本軍が特攻を始めて今月2024年10月25日で80年。
陸軍特攻の先陣を切り、石垣島の白保飛行場を飛び立った沖縄出身の伊舎堂中佐ら特攻隊員たちに思いを馳せてほしいと願っている。

早田ひなさん「特攻資料館に行きたい」発言の背景 「先人への感謝」抱く若者たち
正論モーニング
2024/10/30 7:00
https://www.sankei.com/article/20241030-GZPMY6WJ75K7HCMZZZC6GXTZFU/
先の大戦で、爆弾を抱いた航空機や潜水艇などで米軍艦艇に体当たりした
「特別攻撃(特攻)」
を帝国陸海軍が開始して、今月2024年10月で80年。
この夏には、パリ五輪・卓球女子メダリストの早田ひなさんの
「鹿児島の特攻資料館に行きたい」
発言が反響を呼んだ。
スポーツ選手と
「戦争」
の組み合わせには意外性も感じるが、実は
「鹿児島の特攻資料館」
には、スポーツ合宿や社員研修で訪れるアスリートや企業が相次いでいるという。
■映画・小説に感銘受ける?
早田さんは2つのメダルを獲得したパリ五輪から帰国した今年2024年8月13日の記者会見で、
「今やりたいこと」
を問われ、
「鹿児島の特攻資料館に行って、生きていること、そして自分が卓球がこうやって当たり前にできていることというのが、当たり前じゃないというのを感じてみたい」
と発言した。
散華した特攻隊員たちに感謝する発言が保守層から好意的に受け止められた一方で、中国や韓国からは
「軍国主義を賛美している」
などの批判が起きた。
国内外で反響を呼んだ結果、早田さんがなぜ特攻に関心を持ったのかが注目された。
週刊誌では、警察署長だった祖父や、幼少期から指導した卓球クラブ代表らの影響ではないか、などと報じられた。
昨年2023年12月に公開され、大ヒットした映画
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(以下、『あの花』)
の影響を指摘する声も多かった。
現代の女子高校生(原作小説では中学生)が大戦末期の日本にタイムスリップし、特攻隊員と恋に落ちるストーリーで、原作の小説も100万部を超えるベストセラーとなっている。
筆者も
『あの花』
説に賛成だ。
ヒントは、
「鹿児島の特攻資料館」
という早田さんの発言自体にある。
鹿児島県内の特攻隊関連の施設は、
「知覧特攻平和会館」(南九州市)

「万世特攻平和祈念館」(南さつま市)
が知られている。
海上自衛隊の鹿屋航空基地史料館(鹿屋市)の展示にも特攻隊員の遺影や遺書が多い。
だが、
「特攻資料館」
という名称の施設はない。
一方、
『あの花』
の原作小説では、現代に戻った主人公が訪れる施設が
「特攻資料館」
と呼ばれ、物語上重要な場所になっている。
早田さんは映画だけでなく小説も読み、記者会見で
「特攻資料館」
という言葉が口をついて出たのではないかと思われる。
『あの花』
には、こんな一節がある。
主人公が、タイムスリップ中に出会った特攻隊員たちを思い、心の中で語りかける言葉だ。
≪あの夏、空に散ってしまったみんな。(中略)/私は今、あなたたちが守ってくれた未来を生きています。/あなたたちが願った、明るい未来を生きています。
素晴らしい未来を私たちに残してくれてありがとう。/あなたたちのことは絶対に忘れません。あなたたちの犠牲は絶対に忘れません。/あなたたちが命を懸けて守った未来を、私は精いっぱいに生きます≫
生きていることや卓球をできることが
「当たり前ではない」
という早田さんの発言に通じるものがある。
■アスリートの研修に
その知覧特攻平和会館が、アスリートや企業の研修に盛んに利用されているのを見い出したのは、帝京大学の井上義和教授だ。
大切な家族らの幸せと祖国の未来のために命を捧げた特攻隊員の物語に触れることで自分の生き方を見つめ直し、前向きな意識状態に持っていく。
井上教授は、同会館が2000年以降、そんな
「自己啓発の聖地」
となっていることを、
『未来の戦死に向き合うためのノート』(平成31年)
で紹介した。
ただそうした自己啓発目的の利用はメディアで報じられることもなく、学術研究や論壇のテーマ設定の対象外で、口コミなどで広がるだけ。
今回の早田さんの発言も驚きをもって報じられたが、彼女のようなアスリートの見学は実際には珍しくなかったのだ。
ちなみに、井上教授が同書で平和会館を訪問したと紹介しているトップレベルのアスリートは、女子バレーボールの日本代表チーム▽松井秀喜、西岡剛、木佐貫洋らプロ野球選手▽ラグビーU20日本代表チーム―たちだ。
彼らアスリートや、社員研修で会館を見学した人たちの感想は、概ね、以下の内容だという。
「戦争の時代を思えば、平和な時代に生きている私たちは幸せ」
「競技に打ち込める平和な時代に感謝」
「特攻隊員のことを思えば、今の自分の苦労など何でもない」
「特攻隊員の勇敢さや家族愛に心を打たれ、自分も見習おうと思う」
「特攻隊員は祖国の未来を思って出撃した」
「私たちが今あるのも彼らのおかげ」
「彼らに恥じない生き方をする」
先人への感謝の念を抱き、前向きな生き方を決意するものが多く、展示が軍国主義や戦争を賛美するものではないことが浮かび上がる。
逆に戦争への批判的な思いが込められている感想もある。
「平和」
を守るために本当に必要なことに思いを致した見学者も多いだろう。
■「世界の記憶」登録を
同会館を見学する早田さんらアスリートや若い人たちを的外れな批判の矢面に立たさないために、提案したいことがある。
かつて知覧特攻平和会館が申請した国連教育科学文化機関(ユネスコ)の
「世界の記憶」(世界記憶遺産)
への登録を再び目指すことだ。
同会館は、平成26(2014)年と平成27年に登録を申請した。
だが2度ともユネスコの国内委員会の審査で落選。
以降は申請を見送っている。
当時、中国や韓国が申請を批判しており、それが落選の一因になったというイメージが広がったことは否めない。
「軍国主義だ」
との批判が説得力をもってしまったのだ。
知覧特攻平和会館の川崎弘一郎館長は
「新たな申請の具体的な計画はないが、諦めてはいない」
「申請に向けて資料の収集や整備を進めている」
と話す。
ぜひ登録を目指してほしい。
実現すれば、軍国主義批判が見当外れだと広く理解されるはずだ。
(大阪正論室参与)

「特攻資料館に行きたい」卓球・早田ひなに称賛の声 終戦の日を迎え投稿増加 著名人も反応「有難う、早田さん」感謝の思い
2024.8/15 11:38
https://www.zakzak.co.jp/article/20240815-AZJPWZKAIRPJ5CMPCUVM7X4IZ4/
パリ五輪で卓球女子シングルスで銅、団体で銀メダルを獲得した早田ひな(24)=日本生命=の、
「鹿児島の特攻資料館に行きたい」
発言への称賛が止まらない。
SNSでは早田を讃えるコメントが並び、著名人も絶賛した。
特攻隊員の遺品や関係資料を展示する
「知覧特攻平和会館」(鹿児島県南九州市)
が改めて、大きな注目を浴びている。
早田は2024年8月13日の帰国会見で、休養中に行きたい場所について
「アンパンマンミュージアム」
と共に、知覧特攻平和会館を挙げて
「生きていることを、そして自分が卓球を当たり前に出来ていることが当たり前じゃないと感じたい」
と述べた。
この発言に対し、SNSでは
「早田選手ありがとう」
「この人は偉いよ」
「彼女の姿勢から、私たちも日々を大切にしなきゃって気づかされる」
「元々好きな選手だったけど、物凄く好きな選手になった」
などの声が続々と投稿された。
終戦の日を迎えた2024年8月15日も増え続けている。
著名人も反応した。
作家でジャーナリストの門田隆将氏は2024年8月14日、自身のXに、
「(アンパンマンの作者の)故やなせたかし氏も、知覧の亡き特攻兵たちも、きっと驚き、そして喜んでいるだろう」
「有難う、早田さん」
と感謝の思いを綴った。
知覧特攻平和会館には、パリ五輪の女子マラソンで6位入賞した鈴木優花(24)=第一生命グループ=らの五輪アスリートが訪れている。
今年2024年2月に訪問した鈴木はXに
「この時代に生きているということだけでありがとう、と思った」
と投稿していた。

<主張>特攻隊80年 国を挙げて追悼と顕彰を
社説
2024/10/25 5:00
https://www.sankei.com/article/20241025-5JB2TZTQDFL55HQGLLS5FOESF4/
亡くなった御霊(みたま)に心から頭(こうべ)を垂れたい。
先の大戦(大東亜戦争)の末期、およそ6000人もの特別攻撃(特攻)隊員が、日本を守るために出撃して散華した。
第1陣である海軍の神風(しんぷう)特別攻撃隊がフィリピン・レイテ島沖の米艦隊に突入してから80年を迎えた。
特攻隊員を偲(しの)び、日本の独立と平和を維持する大切さを嚙(か)みしめたい。
先の大戦で日本軍は約230万人が亡くなった。
太平洋の島々での玉砕など多くの壮絶な戦いがあった。
その中で、生還を期さない特攻隊は信じ難いほどの勇気を示した存在として知られる。
昭和19年10月25日、日米海軍の主力が激突したフィリピン沖海戦で、関行男(せきゆきお)大尉率いる敷島隊などの零戦や艦上爆撃機が体当たりし、護衛空母1隻撃沈などの戦果をあげた。
昭和20年3月以降の沖縄戦では、陸海軍の特攻機2571機や空挺隊が出撃した。
人間魚雷「回天」による海中特攻や、小型艇「震洋」による海上特攻も行われた。
生還を期さない特攻は、立案者の大西瀧治郎(たきじろう)海軍中将自身が
「統率の外道」
と認めていたように戦術として正常ではない。
大西中将は終戦直後、介錯なしの切腹で自決している。
特攻は戦後、
「軍国主義の象徴」
などと批判された。
選ばざるを得なかったとはいえ、前途有為の青年の特攻に頼った当時の軍へ批判があるのは当然だろう。
現代日本は特攻のような究極の戦術を取らずとも国を守るため、外交、防衛の手立てを講ずる必要がある。
特攻にさらされた米軍は大きな損害を被った。
特攻は400隻以上もの米艦や多数の米軍将兵に損害を与え、米軍上層部に深刻な危機感を植え付けたことが戦後の研究で明らかになっている。
特攻を
「カミカゼ」
と呼んだ米軍は、異常な戦術と見做す一方、特攻隊員には敬意を払う米軍人も多かった。
特攻は、世界が日本人を強い存在と見做す一因となり、戦後の日本も守ってくれている。
特攻に赴いた将兵1人1人に様々な思いがあったことを想像する時、尊敬と悲しみの念が一緒に浮かんでくる。
日本は、亡くなった隊員を忘れてはならず、国として顕彰と慰霊を厚くしなければならない。

<産経抄>特攻隊のこともっと知ろう   
2024/5/6 5:00
https://www.sankei.com/article/20240506-USONYG7E7JIZ7LJMBRVIAWKESY/
学校では多くのことを教えてくれるが、あまり教えてくれないこともある。
先の大戦末期に国を守ろうと命を懸けた特攻隊員のこともどれだけ知っているだろうか。
今年2024年は昭和19年に特攻隊が組織され80年の節目に当たる。
翌昭和20年春から夏にかけたこの季節に多くの若い隊員が命を失った。
▼伊舎堂用久(いしゃどう・ようきゅう)中佐の名前を知っている人も多くないだろう。
中佐らの飛行隊は、沖縄戦の陸軍特攻第1号として、石垣島にあった白保飛行場から出撃し、慶良間諸島沖の米艦隊に突入した。
中佐は24歳の若さだった。
▼恥ずかしながら八重山日報(本社・石垣市)でいま連載している
「歴史に葬られた特攻隊長」
で名を知った。
沖縄では戦後、軍人は
「悪」
などと否定され、沖縄戦で特攻があったことも知らない人が多い。
産経新聞OBの作家、将口泰浩さんが執筆している同連載タイトルもそうした歴史を踏まえたものだ。
▼中佐の生まれ故郷は石垣で、陸軍士官学校から陸軍入隊後、中国大陸などの任地を転々とした。
そしてようやく戻った故郷の基地から最後の出撃をした。
▼連載の中では、部下を気遣う人柄や家族を思う気持ちが描かれている。
中佐を知る人の
「国を思う国民の心なくして平和も人権も生活もあり得ない」
「伊舎堂中佐が守ってくれたからこそ、こうやって今、我々は生きている」
という言葉は重い。
▼ところが相変わらず特攻隊を否定的に捉える向きがある。
来年2025年春から使われる令和書籍の中学歴史教科書で
「特攻隊員が散華しました」
といった記述にも批判があるようだ。
「国のために命を捨てることが美化され、怖い」
などと言うが、国のために命を懸けた先人について教えない教育こそ、見直すときではないか。

直球&曲球
葛城奈海 桃李ものいわざれども
2023/11/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20231102-LVVBMZB6N5IDXAICCUC23ECXLM/
今年2023年の桜島はいつになく噴火の頻度が激しいという。
2023年10月だけで60回(2023年10月23日現在)を数えると聞き、危惧していた火山灰の影響もなく、
「防人と歩む会」
の研修旅行で訪れた2023年10月28日の鹿児島は抜けるような秋晴れに恵まれた。
湖のように穏やかな錦江湾越しに桜島を望みつつ、かつて九州最南端の陸軍特攻基地があった知覧に向かう。
1036人が戦死した沖縄戦陸軍特攻の先陣を切ったのは石垣島出身の伊舎堂用久(いしゃどうようきゅう)中佐だ。
昭和20年3月26日、同中佐率いる誠第十七飛行隊が飛び立った石垣島には地元有志による立派な顕彰碑が建てられている。
以前訪れた際、目にした中佐の遺詠に心を鷲掴みにされた。

指折りつ待ちに待ちたる機ぞ来る 千尋の海に散るぞたのしき

何という清冽(せいれつ)な心持ちだろう。
悲壮感などみじんもなく、待ちかねていた機体をついに得たことへの湧きたつような喜びと、納得のいく死に場所を得た満足感に満ち溢れている。
伊舎堂中佐は自身の家族が差し入れなどにやってきても、郷里が遠い部下のことを慮り面会しなかったという。
存在を知って以来敬意を抱き続けてきたその人の名前と写真を、今回知覧の特攻平和会館で見つけ、胸が高鳴った。
しかも、これまで目にしたことのない、自筆による家族への遺書も展示されているではないか。
そこには今頃故郷では桜や桃の花が咲き鶯(うぐいす)がさえずっているであろうことが記され、
「桃李(とうり)ものいわざれども下自(おの)ずから蹊(みち)を成す」
という古文を引用。
桃やスモモはその実を採るために人が寄ってきて自然と小道ができる。
そのように人が自然と集まってくる徳のある人間になりたいと認(したた)められていた。
伊舎堂中佐はまさにそのような人として生き、散華した。
24歳にして、そこまでの境地に達していたことにも尊敬の念を禁じえない。翻って今を生きる私たちは、どうか。
私たちを守るために命を散らした先人たちは、まさに
「ものいわぬ桃李」
であろう。(英霊たちに思いを寄せて)

錦秋の錦江湾にさしのぼる 朝日拝みて防人思ふ


【プロフィル】葛城奈海
かつらぎ・なみ
防人と歩む会会長、皇統を守る国民連合の会会長、ジャーナリスト、俳優。昭和45年、東京都出身。
東京大農学部卒。
自然環境問題・安全保障問題に取り組む。
予備役ブルーリボンの会幹事長。
近著に『日本を守るため、明日から戦えますか?』(ビジネス社)。

特攻隊員慰霊祭、遺族ら祈り 鹿児島・知覧
2022/5/3 19:37
https://www.sankei.com/article/20220503-N3ZWDWA6OZKQFOFMRE3IWIC5RE/
第二次世界大戦末期の沖縄戦で亡くなった旧日本陸軍特攻隊員の慰霊祭が2022年5月3日、鹿児島県南九州市の知覧特攻平和観音堂前で営まれた。
3年ぶりに全国から遺族が参列し、約200人が平和への祈りを捧げた。
慰霊祭では、黙禱や焼香をして1036人を追悼。
19歳で亡くなった渡辺次雄少尉の弟の無職、渡辺茂さん(83)は、次雄さんとの最後の別れとなった駅のホームでの場面を紹介し
「命の尊さを語り継ぐことを誓う」
と話した。
遺族らの一部は隣接する平和会館も訪問。
最初に出撃し、24歳で亡くなった特攻隊長の伊舎堂用久中佐を取り上げた企画展を観覧した。
伊舎堂中佐が家族や婚約者に宛てた手紙などが展示されており、沖縄県の石垣島から訪れた中佐の兄の孫に当たる教員、伊舎堂用右さん(51)は
「先祖のことを分かりやすく伝えてくれて感動した」
と話した。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/856.html#c32

[政治・選挙・NHK296] 発覚部屋、ついに訴えられる(チダイズム) 赤かぶ
22. 秘密のアッコちゃん[1442] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月31日 11:52:45 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[880]
<▽36行くらい>
<主張>日米防衛相会談 同盟の力で対中抑止図れ
社説
2025/3/31 5:00
https://www.sankei.com/article/20250331-WPEB3PKDS5PNXO7MPVKQCJYQQM/
アジアを歴訪したヘグセス米国防長官が、台湾を含むインド太平洋地域の平和と安定のため、同盟国と連携しつつ抑止力強化を図る方針を表明したことを歓迎する。
ヘグセス氏は30日、東京・市谷の防衛省で中谷元・防衛相と会談した。
両氏は、日米同盟の抑止力と対処力を一層強化することで一致した。
日米がそれぞれ防衛力を高めることも確認した。
平和を守るため日米同盟の力で対中抑止を実現したい。
ヘグセス氏は会談冒頭、日米同盟はかつてないほど強固だとし
「台湾海峡を含めた抑止」
を議論すると語った。
共同会見でも
「中国共産党(政権)の威圧的行動に日米が結束して立ち向かう」
「米国は台湾海峡を含むインド太平洋で信頼のおける抑止力を維持する」
と述べた。
28日には、訪問先のフィリピンでマルコス比大統領を表敬訪問し
「中国共産党からの脅威を考慮するとフィリピンでは抑止力が必要だ」
と述べ、米比同盟の重要性を強調した。
ヘグセス氏の一連の言動からは、九州から南西諸島、台湾を経てフィリピン、南シナ海にいたる第1列島線を中国に渡さない決意が見て取れる。
台湾有事が日本有事に容易に転化することを考えれば、トランプ政権の国防長官が対中抑止強化の決意を示し、日本などと協力する姿勢を示した意義は大きい。
日本の防衛費増を期待するヘグセス氏は中谷氏との会談で具体的数字を論じなかった。
軍拡を続ける中国を抑止するため、日本は防衛費増を含め自衛隊増強を自主的に進めるべきだ。
日米が共同して行動する態勢が抑止力向上には必要だ。
自衛隊と米軍の指揮・統制枠組みの強化に関連し、ヘグセス氏は在日米軍司令部を
「統合軍司令部」
に再編する計画の第1段階を開始したと明かした。
ヘグセス氏が語ったように
「戦える司令部」
への進化を期待する。
29日には先の大戦(大東亜戦争)の激戦地、硫黄島で日米合同慰霊式が開かれ、石破茂首相と中谷、ヘグセス両氏も参列した。
ヘグセス氏は30日の会談で
「(自衛隊と米軍の部隊は)昨日の式典でも見た通り、先人からの戦う精神、名誉あるレガシーを引き継いでいる」
と振り返った。
この発言は強固な日米同盟の今を示している。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/860.html#c22
[政治・選挙・NHK296] 大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言 週刊誌からみた「ニッ… 赤かぶ
28. 秘密のアッコちゃん[1443] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月01日 12:31:14 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[881]
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<正論>「御巣鷹」に見る情報戦への脆弱さ 
麗澤大学特別教授 元空将・織田邦男
2025/4/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250401-766VLI7YBZOPRPRZLLAXQK5VBU/
■現代ハイブリッド戦争
ウクライナ戦争の停戦交渉が行われている。
この戦争の特徴として、開戦前から今なお続く熾烈な情報戦がある。
2014年3月、ロシアはクリミア半島を
「ハイブリッド戦争」
によって無血併合した。
ハイブリッド戦争とは
「高度に統合された設計の下で用いられる公然、非公然の軍事・非軍事・民間の手段を使った戦争」
である。
情報戦はハイブリッド戦争の主要手段であり、インターネットが発達した現代では国家をも動かす力がある。
2016年1月、ドイツで
「アラブ系難民が13歳少女をレイプした」
というニュースがロシア系メディアで報道され、SNSで拡散していった。
偽情報であることが判明するが、難民排斥運動は過熱し極右政党が大躍進する結果を生んだ。
情報戦に加え威嚇・恫喝の軍事行動を組み合わせることで、相手の思考・感情・記憶に直接働きかける
「認知戦」
も現代戦の1つである。
台湾併合を目指す中国は、台湾周辺で海上封鎖やミサイル発射訓練などを繰り返し、台湾住民に対して敗北感を植え付け、抵抗断念を図る。
2022年に岸田文雄政権で策定された国家安全保障戦略では
「情報戦への体制の強化」
を掲げ、偽情報を収集分析し、正しい情報を発信するとしているが緒に就いたばかりだ。
次の事例からも分かるように日本人は情報戦に対しては脆弱と言わざるを得ない。
■日航機墜落事故を巡る噓
40年前の1985年8月12日、日航123便が御巣鷹山に墜落した。
後にこの事故に関し
「自衛隊が撃墜したかのような本が出ている」
という噂を聞き、読んでみた。
要約するとこうだ。
123便は自衛隊のミサイル誤射によって正常な飛行が困難になり、誤射の証拠隠滅を図るため、空自戦闘機が出動して撃墜し、更にその証拠も消すため、墜落現場で陸上自衛隊が火炎放射器で証拠を焼き払ったというものである。
荒唐無稽と笑ってはいられない。
ノンフィクションとして書かれベストセラーになっているという。
またこれを真実と信じている人が多くいるというから驚いた。
筆者は事故当時、航空幕僚監部の運用課員で、事故発生から収束まで一部始終を指揮中枢である空幕作戦室で目撃していたので、全くのデマだと断言できる。
死臭漂う地獄絵図のような現場で懸命に生存者の捜索に携わった多くの自衛官を知っている。
彼らの多くがPTSDに苛まれた。
このようなデマは、黙々と災害派遣にあたった自衛官に対する冒瀆である。
この怒りはひとまずおく。
これは情報戦に対する日本人の脆弱性を示す。
「誰があの520人を殺したのか」
と感情に訴え、結論ありきで読者を引き込む。
そして5種の断片、つまり
@事実
A誤解
B推測、臆測
C曖昧な伝聞情報、目撃情報
D捏造
を都合よく組み合わせ、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
へと誘導する。
噓を並べても、所々に事実が入っていれば容易に全体を信じ込ませることができる。
これが情報戦の肝である。
著者の意図はともかく、結果的にロシアの情報戦の相似形となっている。
常識的に考えれば、
「自衛隊による撃墜、証拠隠滅」
などあり得ない。
自衛隊の行動には、自衛官を含む多くの関係者が関わる。
こんな犯罪行為があれば隠し通せるわけがない。
だが、自衛隊を知らない人は、創作されたナラティブ(物語)を容易に信じてしまう。
情報戦の恐ろしさである。
■情報戦に敗北しないため
筆者は元戦闘機操縦者でもあり、文中の誤りを全て指摘できる。
ここでは紙幅の関係上、疑惑の発端となった
「現場到着の遅れ」
についてだけ述べる。
地上レーダーは低高度が見えないので墜落地点は特定できない。
最初に炎を発見した米軍C130輸送機、空自F4戦闘機からの位置情報は、TACAN(戦術航法装置)の情報である(GPSは未装備)。
TACANには、固有の誤差がある。
更に当該機と現場の距離が誤差となって加わる。
横田TACAN局から割り出せば位置情報に4km前後の誤差が生じることはやむを得ない。
航空では僅かな誤差だが、陸上行動では大きな障害となる。
特に山岳地帯では、4km違えば隣の尾根になってしまう。
山岳の道なき道の移動は4kmでも数時間かかる。
夜間で、暗視装置のない(当時)ヘリの山岳投入は危険なので中止した。
地上部隊の投入場所の決定が遅れ、結果的に現場到着が遅れた。
この遅れが
「何かがあるはず」
と臆測を呼び、連鎖して物語の創作に繫がったのだろう。
我が国に情報戦が仕かけられた場合、同様なパターンで容易に敵の罠に嵌まってしまう可能性がある。
情報戦に敗北しないためには思い込みに符合する情報に飛びつくのではなく、情報を疑う姿勢、そして些事に拘泥せず、全局を俯瞰して判断できる能力が必要である。
情報戦への対応は、政府主導の
「正しい情報発信」
に頼るのではなく、国民1人1人が高い情報リテラシーを持つことが何より重要である。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/862.html#c28
[政治・選挙・NHK296] 世耕弘成氏「参考人招致」まさかの全会一致で可決…参院のドンから転落した“嫌われ者”の末路(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
12. 秘密のアッコちゃん[1444] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月02日 12:33:11 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[882]
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<正論>今も日本を護る戦艦大和の足跡
日本経済大学准教授・久野潤
2025/4/2 8:00
https://www.sankei.com/article/20250402-AAS6XLCBVBMX7MOEWXZDVW5OYQ/
■沖縄へ向け大和出撃80年
本年は沖縄戦、そして戦艦「大和」出撃から80年の節目でもある。
今もって史上最大の戦艦である「大和」は、その艦名も相俟(あいま)って我が国戦史上特筆すべき存在であり、またその出撃の当否をめぐる議論も戦後絶えなかった。
昭和20(1945)年4月1日の連合軍沖縄本島上陸の際、連合艦隊は「天一号」「菊水」の特攻作戦を発動した。
鹿屋基地(鹿児島県)の第五航空艦隊の司令長官は、かつて山本五十六連合艦隊司令長官を補佐する参謀長として、またマリアナ・レイテの両海戦で第一戦隊司令官として「大和」に座乗した宇垣纏(まとめ)海軍中将。
宇垣は独断で麾下(きか)の零戦を出撃させ、沖縄へ向かう「大和」上空直掩(ちょくえん)を図るが、零戦隊の本務もあり果たせなかった。
昭和20(1945)年4月7日の「大和」沈没を聞いた宇垣は、陣中日誌『戦藻録』に
「抑々茲(そもそもここ)に至れる主因は軍令部総長奏上の際航空部隊丈(だけ)の総攻撃なるやの(筆者注・昭和天皇の)御下問に対し、海軍の全兵力を使用致すと奉答せるに在りと伝ふ」
と記している。
これをもって「大和」出撃をただ無謀な作戦と見なす前に、まずは沖縄を何としても救わねばという大御心(おおみこころ)に思いを致すべきであろう。
「大和」出撃を後押しした連合艦隊司令部の心情を表す、神重徳(かみしげのり)参謀の言葉が伝わっている。
「もし大和を柱島あたりに繫(つな)いだままで、大和が生き残ったままで戦争に敗けたとしたら、何と国民に説明するのか」
(吉田満・原勝洋『ドキュメント戦艦大和』)
これに対して高田利種参謀副長が
「これをやらないで今度の戦さに敗けたとしたら、次の日本を作る事が出来ないのではないかというのが、神参謀の本心だと判断した」
ことで、
「国民」
がこの時点に存在した日本人のみを指すのではなく、後世の我々をも含む概念であったことも理解できる。
沖縄の戦況を憂う大御心を拝した軍人たちにとって、将来に渡り
「あの時の日本軍は固有の国土を全力で守らなかった」
との誹(そし)りを受けることはあってはならないのだ。
■受け継がれていた楠公精神
さて作戦名の菊水とは、後醍醐天皇に忠節を尽くして湊川の戦いで殉節(戦死)し、後世広く崇敬された大楠公こと楠木正成の家紋である。
戦後史観のもとでは、大楠公は衆寡敵せぬ情況で仕方なく出陣して玉砕した点が、日本軍の思想に影響を与えたかのように評されてきた。
実際の大楠公は足利尊氏の反逆に対し我が国の正道を示し、それを継承する布石を打って湊川へ向かった。
戦前の日本人もそれを理解していたからこそ長男正行(まさつら)を故郷へ帰した
「桜井の訣別」
の逸話に涙したのである。
「大和」出撃に際しても、桜井の訣別≠ェあった。
出撃3日前の昭和20(1945)年4月3日に卒業したばかりの海軍兵学校74期生42人・海軍経理学校35期生4人が少尉候補生として乗り組んでいた。
第二艦隊の伊藤整一司令長官は出撃前日の昭和20(1945)年4月5日、彼らに退艦を命じる。
候補生たちは命令撤回を懇願したが、有賀幸作「大和」艦長に
「この戦(いくさ)はまだまだ先が長いぞ」
「お前たち候補生にはもっと働き甲斐のある戦闘が待ち構えておる、自重せよ」
と諭され退艦した(中田整一『四月七日の桜』)。
参陣を懇願する子に大楠公が、更に長きに渡り皇室に忠節を尽くすべしと自重を諭したのと軌を一にする。
■絶望的な戦局でも尚…
沖縄への出撃を命じられた伊藤は当初大反対であった。
神の要請で「大和」を訪れた草鹿龍之介連合艦隊参謀長から
「一億総特攻の魁(さきがけ)」
となってほしいと説得され納得したとされる。
沖縄失陥までの10次に渡る菊水作戦で海軍は940機、陸軍は887機が特攻を行い、それによる連合国側死傷者は1万人近くを数えた。
加えて、残存水上兵力をかき集め「大和」以下10隻の第二艦隊も出撃させたのであるから、沖縄は見捨てられたとする戦後の言説が筆者には理解し難い。
そして宇垣も終戦の玉音放送後に湊川≠ヨ向かった。
最後の特攻隊として「彗星」爆撃機11機を率い出撃する直前まで書いていた『戦藻録』最後の頁は、以下の行で締められている。
「独り軍人たるのみならず帝国臣民たるもの今後に起るべき万艱(ばんかん)に抗し、益々大和魂を振起し皇国の再建に最善を尽し、将来必ずや此の報復を完(まっと)うせん事を望む」
「余又楠公精神を以て永久に尽す処あるを期す」
大楠公は湊川で弟正季(まさすえ)と刺し違える際「七生滅賊」を誓い合い、その精神が幕末の志士さらに近代軍人に受け継がれることで日本を護(まも)り続けた。
「大和」出撃も無駄だったどころか、絶望的な戦局でも最後まで国土を護るため戦った確固たる足跡を残している。
筆者は先述「大和」退艦の候補生の1人で同期を代表して有賀艦長に直談判した阿部一孝氏(令和5年6月逝去)から直接話を伺う機会があった。
「沖縄特攻は、今の日米関係の土台になっているはず」。
沖縄を易々と見捨てるような日本であったならば、米国も今のような同盟国として扱わなかったであろう。

神風特攻隊
日本は中国大陸での戦いでは常に優勢でしたが、昭和19年(1944)秋の時点で、アメリカを相手にした太平洋での戦いは最早絶望的でした。
聯合艦隊はほとんどの空母を失っており、強大な空母部隊を擁するアメリカ艦隊に対抗できる力などあるはずもなかったのですが、それでも降伏しない限りは戦い続けなくてはなりませんでした。
同年昭和19年(1944)10月、日本はフィリピンでアメリカ軍を迎え撃ちます。
追い詰められた日本海軍は、人類史上初めて航空機による自爆攻撃を作戦として行いました。
神風特攻隊です。
神風特攻隊は最初はフィリピンでの戦いの限定的作戦でしたが、予想外の戦果を挙げたことから、なし崩し的に通常作戦の中に組み入れられました。
しかし陸海軍の必死の攻撃の甲斐も無く、フィリピンはアメリカに奪われ、日本陸軍兵士51万8000人が戦病死します。
フィリピンを奪われたことで、南方と日本を繋ぐシーレーンは完全に途絶え、遂に石油は1滴も入って来ない状態となりました。
もっともその前から護衛の無い日本の油槽船はアメリカの潜水艦の餌食となっていて、昭和19年(1944)には、インドネシアから国内へ送られた原油は僅か79万リットルでした(戦前、アメリカから輸入していた原油は年間500万リットル)。
最早戦争どころか国民生活さえ維持できない状況となっていたのです。
翌昭和20年(1945)、アメリカ軍は遂に沖縄にやってきました。
日本軍は沖縄を守るために、沖縄本島を中心とした南西諸島に7万以上の兵士を配置しました。
更に陸軍と海軍合わせて約2000機の特攻機が出撃しました。
また聯合艦隊で唯一残った戦力と言える戦艦大和も出撃しましたが、延べ400機近いアメリカ空母艦載機の攻撃により、坊ノ岬沖であえなく沈められました。
戦後の今日、
「日本は沖縄を捨て石にした」
と言う人がいますが、これは完全な誤りです。
日本は、沖縄を守るために最後の力を振り絞って戦ったのです。
もし捨て石にするつもりだったなら、飛行機も大和もガソリンも重油も本土防空及び本土決戦のために温存したでしょう。
沖縄は不幸なことに地上戦となり、約9万4000人もの民間人が亡くなりました。
沖縄出身の兵士は2万8000人以上がなくなっていますが、沖縄以外の出身の兵士も約6万6000人が亡くなっています。
決して沖縄を捨て石になどしていなかったのです。

沖縄戦最初の戦死 歴史に葬られた特攻隊長 伊舎堂用久
正論2025年4月号 作家 将口康浩
大陸に対し、海に弧を描き、鹿児島から沖縄の島々が連なっている。
国境に近い最西端、八重山諸島の中心が石垣島。
沖縄本島から400km、台湾との距離は僅か270kmしか離れていない。
石垣島の北170kmに点在する尖閣諸島では中国船の頻繁な領空侵犯を受けている。
かつて沖縄は、東から攻め上がった米軍との戦いの地となった。
今、西からの攻勢に晒されている。
尖閣諸島最大の魚釣島の地番は沖縄県石垣市登野城尖閣2392番地。
ちょうど80年前の昭和20(1945)年、石垣島から出撃、慶良間諸島沖で米艦隊に体当たり攻撃を行った伊舎堂用久大尉の生まれは石垣市登野城156番地。
自分の郷土は自分で守ると、特攻隊長として故郷から出撃した。
石垣島西部に陸軍白保飛行場が広がっていた。
昭和20(1945)年3月25日午後11時50分、指揮所前に陸軍特別攻撃隊
「誠第17飛行隊」
と、その護衛に当たる
「独立飛行第23中隊」
の隊員、関係部隊長40名が集合していた。

本25日1650、慶良間群島周辺に空母2、特設空母4以上よりなる敵機動部隊遊弋中なり
飛行団は敵機動部隊を攻撃せんとす

中央気象台石垣島測候所は昭和20(1945)年3月26日の天候は快晴と予報していた。
海上に浮かぶ眼下の敵を発見しやすい絶好の飛行日和だった。
昭和20(1945)年3月26日午前4時。
見送りを受け、初めに第23中隊所属の直掩機6機、続いて誠第17飛行隊の特攻機4機が離陸した。
11歳だった石垣島宮良の小浜義勝はその日をよく覚えている。
迫る米軍艦艇に体当たりをする特攻機が石垣島から出撃することは子供でも知っている公然の秘密だった。
日の出は午前6時37分、まだ月が残っていた。
「飛行機が飛んでいる」
姉の声がした。
布団にくるまり、眠っていた小浜義勝はすぐに飛び起きた。
耳を澄ますと、聞き慣れた陸軍機の爆音がする。
急いで庭に出て、北の空の機影に姉と2人で懸命に手を振った。
傍らでは、目を閉じたままの母は手を合わせて拝み、父は言葉もなく呆然と見送っていた。
その日、米空母に突撃して戦死したと聞いた。
戦後も生まれた石垣島で暮らし、老齢となった小浜義勝は伊舎堂用久の戦死についてこう語っていた。
「国を思う国民の心なくして平和も人権も生活もあり得ない」
「伊舎堂用久中佐が故郷を守ってくれたからこそ、こうやって今、我々は生きている」
熾烈を極めた沖縄戦は石垣島の白保飛行場から飛び立った伊舎堂用久隊が口火を切る。
伊舎堂用久率いる10名が沖縄戦最初の戦死者となった。
しかし、この事実を知る者は少ない。
■「用久元気」空からの手紙
中国戦線から1年ぶりに帰国、静岡県浜松で新型機に乗り換えるための訓練を受ける。
僅か1カ月ほどの浜松滞在後、那覇経由で台湾花蓮港(現・花蓮市)に向かう。
途中、石垣島の生家上空を旋回、通信筒を落とす。
帰省することができない伊舎堂用久からの空からの手紙だった。

用久元気 台湾花蓮港ニ居ルコトニナリマシタ 今前進スル途中

最早故郷の地を踏むことはない、珊瑚礁に当たる砕ける波と白浜、緑深い山々、港に続く懐かしい家並み。
空からこれが見納めとじっくりと眺めたに違いない。
手紙を受け取った父の伊舎堂用和、母の伊舎堂ミツも同じ心持ちだっただろう。
だが、10カ月後、再び故郷の地を踏む。
帰るに帰れなかった石垣島に7年ぶりの帰郷を果たす。
そこが最期の地となった。
昭和19(1944)年10月25日、レイテ沖海戦で初めての特攻攻撃が行われた。
同年昭和19(1944)年11月中旬、花蓮港からフィリピンのルソン島ツゲガラオ基地まで、伊舎堂用久は99式軍偵察機で飛行、米軍の進攻状況や特攻隊の現況などを10日間に渡り偵察分析する。
整備の岡本泰憲曹長だけが同行した。
夕食後、ツゲガラオ基地の宿舎を抜け、2人で空を見上げる。
交わす言葉はなく、無言のままだった。
岡本泰憲曹長が手記に残している。
「群青色に澄んだ夜空に散らばる南十字星を伊舎堂中尉と感無量の想いで眺めた思い出は忘れられない」
この時点では台湾での特攻隊編成は決まっていなかった。
しかし、伊舎堂用久を単機で現地視察に行かせた理由は1つしかない。
沖縄で特攻隊出撃命令を下す際、敵を迎え撃つ沖縄県民と後続の陸軍航空兵の士気を高める上で、第8飛行士団幹部は郷里の英雄を最初の隊長にすべきと当初から考慮していた。
無論、伊舎堂用久自身もその意を汲んでいた。
昭和19(1944)年11月末、同師団に特攻隊編成指示が出された。
死に向かう道しかない集団の団結心と1人1人の闘志の高揚、持続だった。
そのためには集団を率いる隊長の責任感や統率力、人柄、技量が重要になる。
部下にこの人とならば、と思わせるような男でなければならない。
編成を任された作戦主任参謀の石川寛一中佐は隊長に伊舎堂用久を指名した。
石川寛一中佐は偵察出身で、伊舎堂用久との関係も深く、知悉の間柄でもあった。
伊舎堂用久を司令部に呼び出し隊長就任を要請した。
何の迷いも躊躇いもなく、伊舎堂用久が即答する。
「私にやらせて下さい」
昭和19(1944)年12月8日、
「誠第17飛行隊」
が編成された。
伊舎堂用久は昭和19(1944)年12月1日、大尉に昇級した。
希少な石垣島出身の飛行隊長が郷土から特攻出撃する筋書きが完成した。

伊舎堂用久大尉 陸士55期、24歳、沖縄出身
石垣仁中尉 陸士56期、23歳、山形出身
安原正文少尉 幹部候補生9期、24歳、高知出身
川瀬嘉紀少尉 特別操縦見習士官1期、24歳、東京出身
大門修一少尉 特別操縦見習士官1期、24歳、茨城出身
久保元治郎少尉 金沢大、特別操縦見習士官1期、22歳、千葉出身
芝崎茂少尉 特別操縦見習士官1期、23歳、埼玉出身
黒田釈伍長 少年飛行兵、21歳、愛媛出身
有馬達郎伍長 少年飛行兵、17歳、鹿児島出身
林至寛伍長 少年飛行兵、17歳、東京出身
小林茂兵長 少年飛行兵、16歳、東京出身

誠第17飛行隊11名のうち生き残った者は誰1人としていなかった。

昭和20(1945)年2月28日、誠第17飛行隊は石垣白保飛行場に到着した。
伊舎堂用久にとって7年ぶりの故郷で過ごす最期の37日間だった。
隊員は飛行場近くのオーセと呼ばれる拝所がある白保集落の中心に分宿する。
毎朝、オーセ前に集合し、全員で体操を行う。
その後、隊長宿舎前で点呼を取り、その日の作業日程やその日の行動確認を行い、最後に隊長が訓示をするのが日課だった。
門前で伊舎堂用久がキビキビと名前を呼び、隊員が返事をする光景を見た前盛家の嫁、敏子は規則を厳格に守る軍隊の様子に驚かされる。
「物腰の柔らかい方で、隊長は部下に対しても、温情みある態度で接し、叱り付けるようなことはありませんでした」
死にだけ向かっていく伊舎堂用久の心中を慮り、話しかけたこともあった。
「夜はきちんと熟睡できますか」
「出撃の日を待つのみですから、何も考えずに、その日を来るのを待っています。今はただ、明鏡止水の心境です」

比ぶなき幸い哉我選まれて今南海の雲と散り征く 石垣仁中尉
死生有命不足論 只祈必中撃沈 安原正文少尉
指折りつ 待ちに待ちたる 機ぞきたる 千尋の海に 散るぞ楽しき 伊舎堂用久大尉
人間到処在青山 芝崎茂少尉
きづなをば たちて飛びゆく 白雲の無心の境地 機にまかせて 大門修一少尉

残された寄せ書きが5名の遺書となった。
■「部下のことを・・・」家族との面会拒む
地元出身の有名人だったが前盛家の家族以外、他の島民たちと接触することはほとんどなかった。
伊舎堂用久の母ミツと姉の3女トヨ子、妹の4女節子が隊長宿舎を訪ねてきたことがある。
前盛家の長男、善助がそのことを伝えると、伊舎堂用久は毅然として面会を断った。
「部下は本土出身で、帰りたくても帰ることができない」
「部下の気持ちを思うと、自分だけ家族に会うことはできない」
陸軍士官学校入校以来、故郷に帰ることが叶わず、あれほど会いたかった母と姉妹たちだ。
しかし歓喜するどころか、すげなく追い返す。
「大尉殿は会うことはできないと言っている」
母たちに善助が申し訳なさそうに言った。
自宅のある登野城と白保は10km近くある。
子供の足では3時間近くかかるだろう。
会えないまま、落胆し帰って行った。
「公私の区別について、かなり厳格に考えていた」
「妹さんが手作りのご馳走を持参して面会に来ても会わなかったようだ」
「せっかく訪ねてきたのだから、堅苦しく考えずに会ってあげたらどうか、と勧めたことがある」
「しかし、部下は帰ろうと思っても帰る所もない」
「いくら肉親でも部下の手前、忍びないと拒み通したことは並みの人のできることではない」
「こういうことなどで部下たちは心服していた」
上司の第9飛行団長の柳本栄喜大佐は戦後、こう書き記す。
柳本栄喜大佐も面会を勧めるが、伊舎堂用久は頑なに拒んでいた。
「家に帰って1度、両親に顔を見せてはどうか」
石垣島に駐屯していた第69飛行場大隊長の浅沼紀平少佐は伊舎堂用久に顔を合わせる度に、帰宅を促していた。
しかし、伊舎堂用久の返事は変わらなかった。
「部下の事を考えれば、そういうわけにはいきません」
誠第17飛行隊の整備兵が戦後、こう語っている。
「伊舎堂隊長は石垣島に実家があり、お父さんも妹さんもいらっしゃる」
「それなのに隊長は家に帰らぬ」
「皆で是非、家に帰ったら如何ですかと言っても、
『戦争をしているんだ』
と言って、部下の訓練をしていた」
「あの隊長のためなら喜んで命を捨てることができる」
部下にとって、伊舎堂用久と行動を共にすることは当然の成り行きだった。
しかしながら、出撃が間近となった時、浅沼紀平少佐の再三再四の要請に根負けし、浅沼紀平少佐と共に車で登野城にある実家に向かった。
玄関で出迎えた父、伊舎堂用和は伊舎堂用久を上座に座らせた。
厳格な父は3男と根性の別れになることを悟っていた。
特攻隊長就任の経緯も、戦死後の処遇も、戦局の行方も語らず、2人は静かに杯を交わす。
帰りの車中で漏らした言葉が浅沼紀平少佐の脳裡で渦巻く。
「いずれ、敵が沖縄に上陸すれば、私は第1次特攻隊として特攻することになる」
「死ぬことは何とも思わないが、私たちが死んだ後、祖国日本はどうなるだろうか」
「それが心残りです」
如何に特攻機で戦艦を撃沈させようとも、挽回しようがないところまで追い込まれていた。
既に日本は敗戦すると腹を括っていた。
「我々が残っているから心配ない」
それしか浅沼紀平少佐には返す言葉がなかった。
昭和20(1945)年3月25日正午、台湾の第10戦隊が那覇西方海上で米空母2隻を含む大規模な艦隊を発見する。

第9飛行団長は明26日早朝、誠第17飛行隊を基幹とする特別攻撃隊をもって慶良間群島周辺の敵機動部隊に対し左のごとく攻撃すべし
攻撃時刻 0550 編成および攻撃方式 甲編成第1方式
直掩機の装備 爆装備

連絡を受け、隊員たちの賄いをしていた仲宗根千代も大急ぎで弁当を作り、持って行った。
飛行中、機上で食べることができるように、竹の皮に包んだ握り飯弁当だった。
昭和20(1945)年3月25日午後11時50分、戦闘指揮所に隊員や関係者が集合する。
第9飛行団長の柳本栄喜大佐が最後の命令を下す。
「敵はいよいよ我が国土に侵寇しようとしている」
「諸君の成功を祈る」
別れの杯に酒を満たし、白鉢巻き姿の隊員が酌み交わす。
仲宗根千代が食事を作っていた隊員の鉢巻きには
「お母さんお先に」
と書かれていた。
「いずれ私たちも祖国のため殉死する運命を免れないと思っていたので、特別な感情は浮かばなかったけど、今でもあの時の姿が浮かんでくる」
■戦死知らずに面会
出撃時刻は翌昭和20(1945)年3月26日午前4時だった。
「伊舎堂隊長の出撃です。すぐ来てください」
姉・伊舎堂トヨ子の夫である石垣信純の兵舎に整備兵が飛び込んで来た。
石垣信純は現地招集の工兵隊中隊長だった。
兵舎から飛行場まで約1km。
自動車もなく、これが義弟との別れになる。
息を切らせ、走りに走った。
到着した時、伊舎堂用久機は既にエンジンを掛け、プロペラが回り始めている。
もう駄目だ、遅かったと呆然と立ち尽くす。
そこへ誰かが石垣信純の手を取り、急いで搭乗機の近くまで連れて行く。
既に特攻機を守る直掩機は離陸し、上空で待機している。
操縦席で眼前を伊舎堂用久はまさに飛び立とうとしていた。
思わず石垣信純は動こうとする搭乗機にしがみつく。
伊舎堂用久はようやく義兄の姿に気付く。
言葉は一言だけだった。
「姉さんによろしく」
石垣信純が何か言う間もなく、滑走路を駆け、伊舎堂用久機が空に舞い上がる。
言葉も声も無く、その場に崩れ落ちる。
慶良間諸島沖合に艦隊を発見、大型空母2隻、小型空母2隻を含む大艦隊だった。
一斉に駆逐艦の対空砲火が始まり、凄まじい米軍の火力を見せつける。

いまより我、突入す

予定時刻の昭和20(1945)年3月26日午前5時50分、芝崎茂少尉、川瀬嘉紀少尉、黒田釈伍長の順に打電が入る。
伊舎堂用久大尉も体当たり攻撃を敢行する。
昭和20(1945)年6月23日まで続く、沖縄戦の最初の戦いだった。
弁当を届けた仲宗根千代はそのまま司令部に残り、連絡を待っていた。
伊舎堂用久隊突入、成功の報が届く。
歓喜の声も、泣き叫ぶ声もなく、司令部全員が同時に合掌、隊員たちの冥福を祈った。
ただ一人、伊舎堂用久の当番下士官だけが泣き叫び、床に座り込んでいた。
仲宗根千代は忘れられない。
「往時に思いを致す時、あの若さで異性を知ることもなく、青春を楽しむこともなく、只々祖国の安泰と慈母の穏やかなることを念じ、黙々として死の首途に赴いた少年特攻兵の面影は今でも忘れることは出来ません」
「司令部のその時の一種悲壮、感動的な光景は今尚脳裡に浮かんできます」
第1団に引き続き、昭和20(1945)年3月29日に安原正文少尉、昭和20(1945)年4月2日に久保元治郎少尉と有馬達郎伍長、昭和20(1945)年4月8日に林至寛伍長が出撃、昭和20(1945)年5月14日に大門修一少尉、伊舎堂用久隊全員が散華した。
石垣仁中尉は昭和20(1945)年3月22日、台湾沖で戦死、小林茂兵長は台湾での訓練中に事故死していた。
伊舎堂用久が戦死した昭和20(1945)年3月26日、事情を知らない父と母、姉、妹が揃って白保飛行場を訪れる。
出撃が近付いていることを察知、最期になるかもしれないと心づくしのご馳走を携えていた。
いずれ、この日が来ることの心積もりはあったとはいえ、茫然自失となる4人。
周囲も憚らず、地面にうつ伏せて泣きじゃくる母。
姉と妹も母の背に追いすがり声を上げる。
子に先立たれる母ほど、哀切なものはない。
泣き崩れる親子の姿に周りの者も涙を流す。
「武人としての本望ではないか」
父・伊舎堂用和だけは気丈に振る舞うが、心中は慟哭していただろう。
■歌われなくなった唄
伊舎堂用久隊に感状が授与され、ラジオや新聞各紙が一斉に報道する。
石垣島出身の毎日新聞、宮良高夫記者が
「伊舎堂大尉よ。あなたの武勲はふるさとの海に咲く赤い花とともに永久に故郷を飾るのだ」
と記事に書いた。
武功を讃える
「伊舎堂隊の唄」
はかつて、沖縄に暮らす老若男女誰もが知らぬ者がいなかった。
伊舎堂用久の陸士同期、藤森正義の義弟が那覇航空測候所に勤務していた。
日本復帰間もない頃、義弟から那覇の街でよく歌われていると手紙で知らされ、
「沖縄県民の心の中に生き続けていることを嬉しく思う」
と藤森は書き残す。
だが、いつしか伊舎堂用久の武勲が故郷で語り継がれることも、歌が口ずさまれることもなくなった。
伊舎堂用久の長兄の伊舎堂用展、伊舎堂用展の妻・伊舎堂ハツは戦争で命を失った。
伊舎堂用久の父の伊舎堂用和も終戦翌日昭和20(1945)年8月16日に病死した。
八重山諸島では米軍上陸に備え、マラリア有病地域の山間部に疎開して罹患、約3000人が死亡。
「戦争マラリア」
と呼ばれている。
伊舎堂ハツもマラリアで死亡した。
伊舎堂用八7歳を残したままの38歳だった。
伊舎堂用展は米軍と交戦の末、戦死。
両親を失った伊舎堂用八は4女、伊舎堂節子の手で育てられる。
八重山高校教諭などを務め、家を継いだ伊舎堂用八が叔父、伊舎堂用久の志を語ることができる唯一の遺族となった。
「伊舎堂用久戦死の意義は沖縄人の誇りと、自分の故郷は自分で守る気概を持ってほしいというメッセージを後世の沖縄人に伝えようとしたこと」
沖縄県糸満市の平和祈念公園に
「空華(くげ)之塔」
が建立されている。
沖縄戦で戦死した陸海軍の航空将兵を祀っている。
昭和39(1964)年11月1日、遺族を代表して母・伊舎堂ミツが除幕を行った。
それほどに伊舎堂用久の名は重いものだった。
「昭和20年(1945)3月26日は沖縄戦が開始された日として地元紙は大きく報道されるが、沖縄戦第1号の特攻には何も触れられない」
「沖縄県民が特攻史を何も知らない」
意図的に忘却されている歴史の真実に伊舎堂用八は憤怒する。
伊舎堂用八も老齢となった。
伊舎堂用久の位牌や写真、手紙などの遺品は今後どうなるのか、処遇も不明である。
石垣市南ぬ浜町で、平成25(2013)年8月15日に
「伊舎堂中佐と隊員の顕彰碑」
の除幕式が行われた。
戦死から68年後、ようやく建立にこぎつけた。
忘れ去られたまま、月日が経過していた。
顕彰碑建立期成会が発足後、寄付の申し出が殺到、2000人以上、700万円の寄付金が集まる。
寄付者の手紙にこう書かれていた。

顕彰碑が立派に建立され、尖閣を含む沖縄の地の守り神としての役割を果たさんことを祈念しています。
碑には
「郷土と国を愛し、悠久の大義に生きる精神により散華した伊舎堂用久中佐と隊員の遺功」
と記された。
伊舎堂用久の遺詠
「指折りつ 待ちに待ちたる 機ぞきたる 千尋の海に 散るぞ楽しき」
とともに、石垣島から出撃した特攻隊31名全員の氏名、年齢、出身地が刻銘された。

蒼海を望む高台に碑はある。
北には尖閣諸島、西には八重山の島々、その先には台湾がある。
更に先には中国大陸がある。
「祖国日本はどうなるか、それだけが心残り」
出撃直前、魂の底から絞り出された言葉だった。
伊舎堂用久が我々に問いかけている。
国を守るということは何か。
国を守ることは故郷を守り、そこに暮らす父母や兄弟姉妹、祖父母、親戚、友人を守ることだった。
今の祖国を見てどう感じるだろうか。
こんな日本になりましたと伊舎堂用久に見せることが出来るだろうか。
尖閣諸島を跋扈する中国船舶を見せることが出来るだろうか。
日本人として突き付けられている。
歴史の1ページとして郷土から出撃、戦死した伊舎堂用久の人柄、生き方。
現代に生きる我々が先人の犠牲の上にあることを忘れないと共に、もう起きてはならない戦争の凄惨な真実を残すためにも語り継がなければならない。
伊舎堂用久隊出撃から今年2025年でちょうど80年を迎える。
沖縄戦が始まった昭和20年(1945)3月26日。
これからも忘れてはならない日。
石垣島から出撃した誠第17飛行隊。
沖縄戦最初の戦死。
郷土を守ろうとした伊舎堂用久。
日本人が決して忘れてはならない名である。
■地元紙連載が単行本に
当時は軍神とまで崇められながら、戦後は歴史から消されてしまった伊舎堂用久中佐。
せめて地元の人たちには沖縄戦の最初の戦死者について知ってほしいと、筆者は昨年2024年3月から8月に渡り石垣市を拠点とする地元紙・八重山日報で伊舎堂用久中佐について連載した。
その連載が
『歴史に葬られた特攻隊長 〜故郷・石垣島から出撃した伊舎堂用久中佐』
として2025年3月20日、徳間書店から刊行される。
ぜひ一読を乞いたい。

<産経抄>沖縄戦の特攻から80年、忘れてはならないこと
2025/3/27 5:00
https://www.sankei.com/article/20250327-KZCWPGKNIZLJTMJ2FMPZ46PSSM/?674170
日本の悪口を書くのは熱心でも、命を懸けて国を守った先人の歩みを教えるのは苦手だ。
戦後教育の弊害は教科書になお顕著だ。
高校教科書の検定を見て改めて思う。
▼だからこそ知ってほしい。
「死ぬことは何とも思わない。祖国日本はどうなるか。それだけが心残りだ」。
こんな思いを残し、特攻で散華(さんげ)した若者がいる。
80年前、沖縄戦が始まった3月26日早暁(そうぎょう)、伊舎堂用久(いしゃどう・ようきゅう)中佐らの飛行隊は、沖縄県の石垣島にあった白保飛行場から出撃して、慶良間(けらま)諸島沖の米艦隊に突入した。
伊舎堂はそのとき24歳。
▼沖縄戦の陸軍特攻第1号だが、その名は歴史の陰に隠れてきた。
八重山日報(本社・石垣市)の連載をもとに刊行された
『歴史に葬られた特攻隊長』(将口泰浩著、徳間書店)
に詳しい。
沖縄では
「軍人を美化するな」
とされ、特攻を知らない人が多い。
顕彰碑が、伊舎堂の故郷の石垣島に建てられたのも、ようやく、戦後68年を経てだ。
▼同書では伊舎堂の人柄が丹念に描かれている。
旧制中学から進んだ陸軍予科士官学校時代のエピソードもある。
陸軍では作文教育を重視した。
刻々と変わる戦況などを伝える正確な文章力が求められるためだ。
毛筆、文語で書く修練も。伊舎堂の文は達筆、簡潔で力強かった。
▼伊舎堂が戦死した日、事情を知らない家族らは心づくしのご馳走を携えて白保飛行場を訪ねた。
戦死の報に泣き崩れる母の傍ら、父は
「本望ではないか」
と気丈に語ったという。
婚約者との再会は、叶わなかった。
▼それから80年の2025年3月26日、海を望む顕彰碑前で慰霊祭が行われた。
碑には伊舎堂隊だけでなく石垣島から出撃した特攻隊ら32人の氏名、年齢、出身地が記されている。
忘れてはならない歴史である。

「特攻隊員は任務と覚悟、最後まで貫いた」宮本雅史編集委員が講演 沖縄「正論」友の会
2025/1/17 17:40
https://www.sankei.com/article/20250117-FEPV2NRRTFJ4NNHNMZ7G4H6WYQ/
沖縄「正論」友の会第65回セミナーが2025年1月17日、那覇市内で開かれ、特攻隊の元隊員や遺族への取材を続けている産経新聞の宮本雅史客員編集委員が
「特攻と沖縄〜特攻隊唯一の目撃者・沖縄県民〜」
と題して講演した。
宮本氏は先の大戦末期、陸軍特攻の先陣を切った石垣島出身の伊舎堂用久中佐はじめ、米軍の沖縄侵攻を阻止するために出撃し、命を散らせた特攻隊員のエピソードを紹介。
「沖縄の海で亡くなった特攻隊員を最後に目撃したのは沖縄の人たちだった」
と指摘した。
沖縄戦を巡り、日本が沖縄を
「捨て石」
にしたという非難があることに触れ、
「『捨て石』のために死んだというのか」
「そんな失礼なことは申し訳なくて言えない」
と強調。
「任務と覚悟。若い彼らはそれを最後まで貫いた」
と述べた。
また、戦後80年を振り返り、
「日本は裕福になったかもしれないが、権利ばかり主張し、義務という言葉を忘れてしまった」
と憂慮した。

すすり泣き漏れる客席 沖縄で特攻隊題材に演劇舞台 石垣市長「平和のありがたみ感じた」
2024/10/19 19:18
https://www.sankei.com/article/20241019-5Q55Z5O4XZIH5EMDVZQ3E523PU/
先の大戦末期、米軍の沖縄侵攻を阻止するため出撃していった特攻隊員を題材にした演劇舞台
「未来へつむぐ〜今をありがとう」
の沖縄公演が2024年10月19日、那覇市のパレット市民劇場で開催された。「特攻を美化してはいけない」
「しかし特攻の事実は絶対に風化させてはならない」
との思いが込められた作品で、客席からは何度もすすり泣きが漏れた。
公演は2024年10月20日まで。
いじめを受けていた現代の女子学生(廣木葵)が元特攻隊員の曽祖父(尾藤イサオ)から靖国神社に行くよう勧められ、そこで79年前の知覧飛行場にタイムスリップするというストーリー。
女子学生は飛行場で、出撃を待つ若かりし日の曽祖父(長谷川幹)と出会い、特攻隊員らの身の回りの世話をしていた
「なでしこ隊」
の一員として過ごし、命の尊さや人を思いやる大切さを知る。
知覧特攻平和会館(鹿児島県)の初代館長を務め、平成27年に90歳で亡くなった元陸軍特攻隊員の板津忠正さんがモデルとなっている。
日本文化を広めている一般社団法人「つむぎジャパン」(東京)代表の野田憲晴(けんせつ)さん(59)が、板津さんの長男、昌利さん(67)に取材し、脚本を書いた。
■ようやく実現した沖縄公演
主催者によると、
「未来へつむぐ」
の初演は平成26年だが、沖縄公演の実現には時間がかかったという。
特攻隊に対する県民感情などを考慮していたためだ。
ところが2年前、当時県立高校の教諭だった赤嶺剛さん(51)がたまたま東京公演を観劇。
「沖縄では
『日本兵に悪いことをされた』
と語られる一方、特攻隊のことは何も伝えられていない」
「沖縄の子供たちにこの事実を伝えるべきだ」
と沖縄での上演を強く求めたことがきっかけとなり、昨年2023年8月に初めて沖縄公演が実現した。
好評を博し、今年2024年も開催することになったという。
沖縄戦を巡っては、日本が沖縄を
「捨て石」
にしたとの批判があるが、実際は、沖縄を守ろうと九州などから陸海軍の特攻機2571機や空挺隊が出撃しており、戦艦「大和」も沖縄への海上特攻作戦で沈み、3千人以上が戦死している。
劇中でも、特攻隊員たちが
「沖縄を守り、本土を守るのは自分しかない」
と決意し、上官も
「一刻も早く米軍から沖縄を守り、本土への攻撃を防ごう」
と語る場面があった。
■先陣切った伊舎堂中佐
今回の沖縄公演では、沖縄戦の陸軍特攻第1号として先陣を切った石垣島出身の伊舎堂用久(いしゃどうようきゅう)中佐も登場している。
米軍の沖縄侵攻を阻止するために飛び立ち、命を散らせた旧日本陸軍特攻隊員1036人の一人だ。
伊舎堂中佐の郷里・沖縄県石垣市の中山義隆市長も2024年10月19日の公演に駆け付けた。
中山市長は
「特攻隊の皆さんの気持ちがリアルに伝わってきた」
「平和の有難味を改めて感じた」
と公演を振り返り、
「沖縄を守ろうとして亡くなっていった人たちがいた」
「特攻隊の歴史を伝えていかなければならない」
と強調した。
2024年10月20日の公演は2回。
午前11時半と午後3時にそれぞれ開演する。
まだ席に余裕があるといい、2024年10月19日の公演終了後、
「なでしこ隊」
率いる教師役を好演した女優の小田茜さん(45)は
「お待ちしています」
と、1人でも多くの県民の来場を呼びかけていた。

先陣切った石垣島出身の特攻隊長・伊舎堂中佐 「沖縄で伝えられていない歴史」那覇で公演
沖縄考(49) 那覇支局長・大竹直樹
2024/10/9 9:00
https://www.sankei.com/article/20241009-XKO5UBQTEFLSPONW6CX7L2XR6E/
■沖縄県民の拒絶反応
「こら、いらないわ」
受け取ったチラシを一瞥(いちべつ)すると、そう言ってすぐに突き返されたという。
特攻隊員を題材にした演劇舞台の沖縄公演。
プロデューサーを務める石神隆弘さん(57)は
「公演の支援を求め沖縄の経営者を回ったが、4割くらいの人が拒絶反応を示し、チラシも受け取ってくれなかった」
と述懐する。
資料・撮影協力の欄に、靖国神社や鹿児島県の知覧特攻平和会館と記載されていたのが理由ではないかと、石神さんはみる。
演劇舞台
「未来へつむぐ〜今をありがとう」
は、知覧特攻平和会館の初代館長を務め、平成27年に90歳で亡くなった板津忠正さんをモデルにしたオリジナル作品だ。
板津さんは元陸軍特攻隊員の生き残りで、戦後は特攻隊員の遺影や遺品を集めて回った。
日本文化を広めている一般社団法人「つむぎジャパン」(東京)代表の野田憲晴(けんせつ)さん(59)が、板津さんの長男、昌利さん(67)に取材し、脚本を書いた。
いじめを受けていた現代の女子学生が元特攻隊員の曽祖父から靖国神社に行くよう勧められ、靖国神社で79年前の知覧飛行場(鹿児島県)にタイムスリップ。
出撃を待つ若かりし日の曽祖父と出会い、特攻隊員らの身の回りの世話をしていた
「なでしこ隊」
の一員として過ごし、命の尊さや人を思いやる大切さを知る−というストーリーである。
今月2024年10月19、20日に那覇市のパレット市民劇場で行われる沖縄公演では、脚本の一部を変更し、石垣島出身の伊舎堂用久(いしゃどうようきゅう)中佐が回想シーンに登場する。
先の大戦末期、米軍の沖縄侵攻を阻止するために飛び立ち、命を散らせた旧日本陸軍特攻隊員1036人の1人だ。
誠第17飛行隊を率いる伊舎堂中佐は昭和20年3月26日、沖縄戦の陸軍特攻第1号として郷里の石垣島にあった白保飛行場から出撃。
慶良間(けらま)諸島沖の米艦隊に突入した。
24歳であった。
■「避けてきた」沖縄公演
「未来へつむぐ」
の初演は平成26年。
以来、年2回の頻度で全国各地で上演されてきたが、特攻隊に対する県民感情を考慮し、沖縄公演は
「ずっと避けてきた」(石神さん)
という。
そこに、転機が訪れる。
那覇市で教育コンサルタントを務める赤嶺剛さん(51)との出会いだ。
今から2年前2022年、当時県立高校の国語科教諭だった赤嶺さんは
「未来へつむぐ」
の東京公演をたまたま観劇。
「沖縄では
『日本兵に悪いことをされた』
と語られる一方、特攻隊のことは何も伝えられていない」
と衝撃を受け、
「沖縄の子供たちにこの事実を伝えるべきだ」
と痛感したという。
教諭時代は沖縄県教職員組合に所属していたが、
「未来へつむぐ」
の東京公演を見て、赤嶺さんは
「沖縄で伝えられていない歴史」
に気付いたのだ。
初の沖縄公演に向けて奔走。
残念ながら、県教育委員会には後援依頼を断られてしまったが、公演自体は昨年2023年8月、那覇市で実現した。
観客席では涙を拭う人が絶えず、若い学生らから
「真実を教えてくれてありがとう」
といった反応も寄せられた。
同世代の特攻隊員たちの至情に接し、きっと万感胸に迫るものがあったのだろうと推察する。
同世代といえば、パリ五輪で戦った卓球女子メダリストの早田ひな選手(24)は2024年8月、帰国後の記者会見で
「鹿児島の特攻資料館に行き、生きていること、そして、卓球が当たり前にできていることが、当たり前ではないというのを感じたい」
と語っていた。
この発言が中国や韓国で物議を醸したと報じられた。
戦争を肯定したわけでも特攻隊を美化したわけでもなく、平和な時代に生きていることに感謝し、戦争と平和の意味を考えたいという、この言葉のどこをどう曲解すればそんな反応になるのか。
理解に苦しむ。
■タブー視された特攻隊と日の丸
沖縄では、平和を守るための防衛力強化でも
「戦場にするな」
「軍拡やめろ」
との批判が渦巻く。
軍は
「悪」
と否定されてきた経緯があり、特攻隊や靖国神社という言葉に拒絶反応を示す県民がいるのも事実だ。
こうした県民の反応は、沖縄が歩んできた歴史と密接に関係している。
大戦末期に始まった沖縄戦では、米軍が空襲や艦砲射撃など猛攻撃を加えた
「鉄の暴風」
が吹き荒れた。
当時の県民の4人に1人が犠牲になり、戦後は米軍統治を経験している。
県民は心から早期の本土復帰を願った。
願いを込めて旧国鉄の特急列車に
「なは」
と命名したほどである。
だが、本土から革新勢力が流入し、県民の思いとは裏腹に、組織的な反米軍基地闘争や反日運動へと復帰運動が変質。
革新勢力は沖縄の教育界や言論界に大きな影響を及ぼしていく。
復帰の象徴だった日の丸すら、戦争のエンブレムであるがごとくタブー視された。
いわんや、国や家族を思う一心で尊い命を捧げた特攻隊員をや、である。
伊舎堂中佐の郷里である石垣市の中山義隆市長(57)は今月の沖縄公演を観劇する予定だという。
「演劇舞台を通じ沖縄出身の特攻隊員がいたということを多くの県民に知ってもらいたい」
と語っていた。
沖縄県民の代表として選ばれた玉城デニー知事にも是非、虚心坦懐の気持ちで沖縄公演をご覧頂きたいものだ。
旧日本軍が特攻を始めて今月2024年10月25日で80年。
陸軍特攻の先陣を切り、石垣島の白保飛行場を飛び立った沖縄出身の伊舎堂中佐ら特攻隊員たちに思いを馳せてほしいと願っている。

早田ひなさん「特攻資料館に行きたい」発言の背景 「先人への感謝」抱く若者たち
正論モーニング
2024/10/30 7:00
https://www.sankei.com/article/20241030-GZPMY6WJ75K7HCMZZZC6GXTZFU/
先の大戦で、爆弾を抱いた航空機や潜水艇などで米軍艦艇に体当たりした
「特別攻撃(特攻)」
を帝国陸海軍が開始して、今月2024年10月で80年。
この夏には、パリ五輪・卓球女子メダリストの早田ひなさんの
「鹿児島の特攻資料館に行きたい」
発言が反響を呼んだ。
スポーツ選手と
「戦争」
の組み合わせには意外性も感じるが、実は
「鹿児島の特攻資料館」
には、スポーツ合宿や社員研修で訪れるアスリートや企業が相次いでいるという。
■映画・小説に感銘受ける?
早田さんは2つのメダルを獲得したパリ五輪から帰国した今年2024年8月13日の記者会見で、
「今やりたいこと」
を問われ、
「鹿児島の特攻資料館に行って、生きていること、そして自分が卓球がこうやって当たり前にできていることというのが、当たり前じゃないというのを感じてみたい」
と発言した。
散華した特攻隊員たちに感謝する発言が保守層から好意的に受け止められた一方で、中国や韓国からは
「軍国主義を賛美している」
などの批判が起きた。
国内外で反響を呼んだ結果、早田さんがなぜ特攻に関心を持ったのかが注目された。
週刊誌では、警察署長だった祖父や、幼少期から指導した卓球クラブ代表らの影響ではないか、などと報じられた。
昨年2023年12月に公開され、大ヒットした映画
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(以下、『あの花』)
の影響を指摘する声も多かった。
現代の女子高校生(原作小説では中学生)が大戦末期の日本にタイムスリップし、特攻隊員と恋に落ちるストーリーで、原作の小説も100万部を超えるベストセラーとなっている。
筆者も
『あの花』
説に賛成だ。
ヒントは、
「鹿児島の特攻資料館」
という早田さんの発言自体にある。
鹿児島県内の特攻隊関連の施設は、
「知覧特攻平和会館」(南九州市)

「万世特攻平和祈念館」(南さつま市)
が知られている。
海上自衛隊の鹿屋航空基地史料館(鹿屋市)の展示にも特攻隊員の遺影や遺書が多い。
だが、
「特攻資料館」
という名称の施設はない。
一方、
『あの花』
の原作小説では、現代に戻った主人公が訪れる施設が
「特攻資料館」
と呼ばれ、物語上重要な場所になっている。
早田さんは映画だけでなく小説も読み、記者会見で
「特攻資料館」
という言葉が口をついて出たのではないかと思われる。
『あの花』
には、こんな一節がある。
主人公が、タイムスリップ中に出会った特攻隊員たちを思い、心の中で語りかける言葉だ。
≪あの夏、空に散ってしまったみんな。(中略)/私は今、あなたたちが守ってくれた未来を生きています。/あなたたちが願った、明るい未来を生きています。
素晴らしい未来を私たちに残してくれてありがとう。/あなたたちのことは絶対に忘れません。あなたたちの犠牲は絶対に忘れません。/あなたたちが命を懸けて守った未来を、私は精いっぱいに生きます≫
生きていることや卓球をできることが
「当たり前ではない」
という早田さんの発言に通じるものがある。
■アスリートの研修に
その知覧特攻平和会館が、アスリートや企業の研修に盛んに利用されているのを見い出したのは、帝京大学の井上義和教授だ。
大切な家族らの幸せと祖国の未来のために命を捧げた特攻隊員の物語に触れることで自分の生き方を見つめ直し、前向きな意識状態に持っていく。
井上教授は、同会館が2000年以降、そんな
「自己啓発の聖地」
となっていることを、
『未来の戦死に向き合うためのノート』(平成31年)
で紹介した。
ただそうした自己啓発目的の利用はメディアで報じられることもなく、学術研究や論壇のテーマ設定の対象外で、口コミなどで広がるだけ。
今回の早田さんの発言も驚きをもって報じられたが、彼女のようなアスリートの見学は実際には珍しくなかったのだ。
ちなみに、井上教授が同書で平和会館を訪問したと紹介しているトップレベルのアスリートは、女子バレーボールの日本代表チーム▽松井秀喜、西岡剛、木佐貫洋らプロ野球選手▽ラグビーU20日本代表チーム―たちだ。
彼らアスリートや、社員研修で会館を見学した人たちの感想は、概ね、以下の内容だという。
「戦争の時代を思えば、平和な時代に生きている私たちは幸せ」
「競技に打ち込める平和な時代に感謝」
「特攻隊員のことを思えば、今の自分の苦労など何でもない」
「特攻隊員の勇敢さや家族愛に心を打たれ、自分も見習おうと思う」
「特攻隊員は祖国の未来を思って出撃した」
「私たちが今あるのも彼らのおかげ」
「彼らに恥じない生き方をする」
先人への感謝の念を抱き、前向きな生き方を決意するものが多く、展示が軍国主義や戦争を賛美するものではないことが浮かび上がる。
逆に戦争への批判的な思いが込められている感想もある。
「平和」
を守るために本当に必要なことに思いを致した見学者も多いだろう。
■「世界の記憶」登録を
同会館を見学する早田さんらアスリートや若い人たちを的外れな批判の矢面に立たさないために、提案したいことがある。
かつて知覧特攻平和会館が申請した国連教育科学文化機関(ユネスコ)の
「世界の記憶」(世界記憶遺産)
への登録を再び目指すことだ。
同会館は、平成26(2014)年と平成27年に登録を申請した。
だが2度ともユネスコの国内委員会の審査で落選。
以降は申請を見送っている。
当時、中国や韓国が申請を批判しており、それが落選の一因になったというイメージが広がったことは否めない。
「軍国主義だ」
との批判が説得力をもってしまったのだ。
知覧特攻平和会館の川崎弘一郎館長は
「新たな申請の具体的な計画はないが、諦めてはいない」
「申請に向けて資料の収集や整備を進めている」
と話す。
ぜひ登録を目指してほしい。
実現すれば、軍国主義批判が見当外れだと広く理解されるはずだ。
(大阪正論室参与)

「特攻資料館に行きたい」卓球・早田ひなに称賛の声 終戦の日を迎え投稿増加 著名人も反応「有難う、早田さん」感謝の思い
2024.8/15 11:38
https://www.zakzak.co.jp/article/20240815-AZJPWZKAIRPJ5CMPCUVM7X4IZ4/
パリ五輪で卓球女子シングルスで銅、団体で銀メダルを獲得した早田ひな(24)=日本生命=の、
「鹿児島の特攻資料館に行きたい」
発言への称賛が止まらない。
SNSでは早田を讃えるコメントが並び、著名人も絶賛した。
特攻隊員の遺品や関係資料を展示する
「知覧特攻平和会館」(鹿児島県南九州市)
が改めて、大きな注目を浴びている。
早田は2024年8月13日の帰国会見で、休養中に行きたい場所について
「アンパンマンミュージアム」
と共に、知覧特攻平和会館を挙げて
「生きていることを、そして自分が卓球を当たり前に出来ていることが当たり前じゃないと感じたい」
と述べた。
この発言に対し、SNSでは
「早田選手ありがとう」
「この人は偉いよ」
「彼女の姿勢から、私たちも日々を大切にしなきゃって気づかされる」
「元々好きな選手だったけど、物凄く好きな選手になった」
などの声が続々と投稿された。
終戦の日を迎えた2024年8月15日も増え続けている。
著名人も反応した。
作家でジャーナリストの門田隆将氏は2024年8月14日、自身のXに、
「(アンパンマンの作者の)故やなせたかし氏も、知覧の亡き特攻兵たちも、きっと驚き、そして喜んでいるだろう」
「有難う、早田さん」
と感謝の思いを綴った。
知覧特攻平和会館には、パリ五輪の女子マラソンで6位入賞した鈴木優花(24)=第一生命グループ=らの五輪アスリートが訪れている。
今年2024年2月に訪問した鈴木はXに
「この時代に生きているということだけでありがとう、と思った」
と投稿していた。

<主張>特攻隊80年 国を挙げて追悼と顕彰を
社説
2024/10/25 5:00
https://www.sankei.com/article/20241025-5JB2TZTQDFL55HQGLLS5FOESF4/
亡くなった御霊(みたま)に心から頭(こうべ)を垂れたい。
先の大戦(大東亜戦争)の末期、およそ6000人もの特別攻撃(特攻)隊員が、日本を守るために出撃して散華した。
第1陣である海軍の神風(しんぷう)特別攻撃隊がフィリピン・レイテ島沖の米艦隊に突入してから80年を迎えた。
特攻隊員を偲(しの)び、日本の独立と平和を維持する大切さを嚙(か)みしめたい。
先の大戦で日本軍は約230万人が亡くなった。
太平洋の島々での玉砕など多くの壮絶な戦いがあった。
その中で、生還を期さない特攻隊は信じ難いほどの勇気を示した存在として知られる。
昭和19年10月25日、日米海軍の主力が激突したフィリピン沖海戦で、関行男(せきゆきお)大尉率いる敷島隊などの零戦や艦上爆撃機が体当たりし、護衛空母1隻撃沈などの戦果をあげた。
昭和20年3月以降の沖縄戦では、陸海軍の特攻機2571機や空挺隊が出撃した。
人間魚雷「回天」による海中特攻や、小型艇「震洋」による海上特攻も行われた。
生還を期さない特攻は、立案者の大西瀧治郎(たきじろう)海軍中将自身が
「統率の外道」
と認めていたように戦術として正常ではない。
大西中将は終戦直後、介錯なしの切腹で自決している。
特攻は戦後、
「軍国主義の象徴」
などと批判された。
選ばざるを得なかったとはいえ、前途有為の青年の特攻に頼った当時の軍へ批判があるのは当然だろう。
現代日本は特攻のような究極の戦術を取らずとも国を守るため、外交、防衛の手立てを講ずる必要がある。
特攻にさらされた米軍は大きな損害を被った。
特攻は400隻以上もの米艦や多数の米軍将兵に損害を与え、米軍上層部に深刻な危機感を植え付けたことが戦後の研究で明らかになっている。
特攻を
「カミカゼ」
と呼んだ米軍は、異常な戦術と見做す一方、特攻隊員には敬意を払う米軍人も多かった。
特攻は、世界が日本人を強い存在と見做す一因となり、戦後の日本も守ってくれている。
特攻に赴いた将兵1人1人に様々な思いがあったことを想像する時、尊敬と悲しみの念が一緒に浮かんでくる。
日本は、亡くなった隊員を忘れてはならず、国として顕彰と慰霊を厚くしなければならない。

<産経抄>特攻隊のこともっと知ろう   
2024/5/6 5:00
https://www.sankei.com/article/20240506-USONYG7E7JIZ7LJMBRVIAWKESY/
学校では多くのことを教えてくれるが、あまり教えてくれないこともある。
先の大戦末期に国を守ろうと命を懸けた特攻隊員のこともどれだけ知っているだろうか。
今年2024年は昭和19年に特攻隊が組織され80年の節目に当たる。
翌昭和20年春から夏にかけたこの季節に多くの若い隊員が命を失った。
▼伊舎堂用久(いしゃどう・ようきゅう)中佐の名前を知っている人も多くないだろう。
中佐らの飛行隊は、沖縄戦の陸軍特攻第1号として、石垣島にあった白保飛行場から出撃し、慶良間諸島沖の米艦隊に突入した。
中佐は24歳の若さだった。
▼恥ずかしながら八重山日報(本社・石垣市)でいま連載している
「歴史に葬られた特攻隊長」
で名を知った。
沖縄では戦後、軍人は
「悪」
などと否定され、沖縄戦で特攻があったことも知らない人が多い。
産経新聞OBの作家、将口泰浩さんが執筆している同連載タイトルもそうした歴史を踏まえたものだ。
▼中佐の生まれ故郷は石垣で、陸軍士官学校から陸軍入隊後、中国大陸などの任地を転々とした。
そしてようやく戻った故郷の基地から最後の出撃をした。
▼連載の中では、部下を気遣う人柄や家族を思う気持ちが描かれている。
中佐を知る人の
「国を思う国民の心なくして平和も人権も生活もあり得ない」
「伊舎堂中佐が守ってくれたからこそ、こうやって今、我々は生きている」
という言葉は重い。
▼ところが相変わらず特攻隊を否定的に捉える向きがある。
来年2025年春から使われる令和書籍の中学歴史教科書で
「特攻隊員が散華しました」
といった記述にも批判があるようだ。
「国のために命を捨てることが美化され、怖い」
などと言うが、国のために命を懸けた先人について教えない教育こそ、見直すときではないか。

直球&曲球
葛城奈海 桃李ものいわざれども
2023/11/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20231102-LVVBMZB6N5IDXAICCUC23ECXLM/
今年2023年の桜島はいつになく噴火の頻度が激しいという。
2023年10月だけで60回(2023年10月23日現在)を数えると聞き、危惧していた火山灰の影響もなく、
「防人と歩む会」
の研修旅行で訪れた2023年10月28日の鹿児島は抜けるような秋晴れに恵まれた。
湖のように穏やかな錦江湾越しに桜島を望みつつ、かつて九州最南端の陸軍特攻基地があった知覧に向かう。
1036人が戦死した沖縄戦陸軍特攻の先陣を切ったのは石垣島出身の伊舎堂用久(いしゃどうようきゅう)中佐だ。
昭和20年3月26日、同中佐率いる誠第十七飛行隊が飛び立った石垣島には地元有志による立派な顕彰碑が建てられている。
以前訪れた際、目にした中佐の遺詠に心を鷲掴みにされた。

指折りつ待ちに待ちたる機ぞ来る 千尋の海に散るぞたのしき

何という清冽(せいれつ)な心持ちだろう。
悲壮感などみじんもなく、待ちかねていた機体をついに得たことへの湧きたつような喜びと、納得のいく死に場所を得た満足感に満ち溢れている。
伊舎堂中佐は自身の家族が差し入れなどにやってきても、郷里が遠い部下のことを慮り面会しなかったという。
存在を知って以来敬意を抱き続けてきたその人の名前と写真を、今回知覧の特攻平和会館で見つけ、胸が高鳴った。
しかも、これまで目にしたことのない、自筆による家族への遺書も展示されているではないか。
そこには今頃故郷では桜や桃の花が咲き鶯(うぐいす)がさえずっているであろうことが記され、
「桃李(とうり)ものいわざれども下自(おの)ずから蹊(みち)を成す」
という古文を引用。
桃やスモモはその実を採るために人が寄ってきて自然と小道ができる。
そのように人が自然と集まってくる徳のある人間になりたいと認(したた)められていた。
伊舎堂中佐はまさにそのような人として生き、散華した。
24歳にして、そこまでの境地に達していたことにも尊敬の念を禁じえない。翻って今を生きる私たちは、どうか。
私たちを守るために命を散らした先人たちは、まさに
「ものいわぬ桃李」
であろう。(英霊たちに思いを寄せて)

錦秋の錦江湾にさしのぼる 朝日拝みて防人思ふ


【プロフィル】葛城奈海
かつらぎ・なみ
防人と歩む会会長、皇統を守る国民連合の会会長、ジャーナリスト、俳優。昭和45年、東京都出身。
東京大農学部卒。
自然環境問題・安全保障問題に取り組む。
予備役ブルーリボンの会幹事長。
近著に『日本を守るため、明日から戦えますか?』(ビジネス社)。

特攻隊員慰霊祭、遺族ら祈り 鹿児島・知覧
2022/5/3 19:37
https://www.sankei.com/article/20220503-N3ZWDWA6OZKQFOFMRE3IWIC5RE/
第二次世界大戦末期の沖縄戦で亡くなった旧日本陸軍特攻隊員の慰霊祭が2022年5月3日、鹿児島県南九州市の知覧特攻平和観音堂前で営まれた。
3年ぶりに全国から遺族が参列し、約200人が平和への祈りを捧げた。
慰霊祭では、黙禱や焼香をして1036人を追悼。
19歳で亡くなった渡辺次雄少尉の弟の無職、渡辺茂さん(83)は、次雄さんとの最後の別れとなった駅のホームでの場面を紹介し
「命の尊さを語り継ぐことを誓う」
と話した。
遺族らの一部は隣接する平和会館も訪問。
最初に出撃し、24歳で亡くなった特攻隊長の伊舎堂用久中佐を取り上げた企画展を観覧した。
伊舎堂中佐が家族や婚約者に宛てた手紙などが展示されており、沖縄県の石垣島から訪れた中佐の兄の孫に当たる教員、伊舎堂用右さん(51)は
「先祖のことを分かりやすく伝えてくれて感動した」
と話した。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/870.html#c12

[政治・選挙・NHK296] 吉田紋華県議に殺害予告3千件(チダイズム) 赤かぶ
43. 秘密のアッコちゃん[1445] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月03日 17:45:55 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[883]
<■5088行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を考えた場合、マイナス面が圧倒的に大きいので、選択的夫婦別姓制度の導入には断固反対だ。

夫婦別姓、経団連幹部が釈明「追い付いてなかった」旧姓使用トラブル多くが改善 自民会合
2025/4/3 16:22
https://www.sankei.com/article/20250403-5P5R77TTYVDYXC5LFD25YIXC3Y/
選択的夫婦別姓の早期導入を求める経団連の昨年2024年6月の提言を巡り、問題視されたトラブルの多くが現在解消されている状況が自民党会合で指摘され、経団連の永井浩二副会長(野村ホールディングス会長)が
「追い付いていないところがあった」
と釈明していたことが2025年4月3日、分かった。
複数の出席議員が明らかにした。立憲民主党も経団連の意見聴取を踏まえ、2025年4月月内にも選択的夫婦別姓に向けた法案を提出するが、議論の土台が揺らぎかねない事態といえる。
■3年前に7割の銀行で旧姓対応
永井氏は2025年3月6日に党本部で開かれた
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」
の会合に出席。
旧姓の通称使用による課題を説明したが、各省庁が改善が進んでいる状況を明らかにした。
経団連は提言で、11のトラブルを指摘していた。
このうち、
「多くの金融機関では、ビジネスネームで口座を作ることや、クレジットカードを作ることができない」
との弊害例については、金融庁の調査で令和4年3月時点で、7割の銀行で旧姓名義で口座開設が可能となっている。
ただ、クレジットカードは大手5社のうち、旧姓の通称使用が可能となっているのは1社にとどまっている。
「通称では不動産登記ができない」
問題については、旧姓のみの登記は認められていない一方、提言公表前の令和6年4月以降、既に旧姓併記が可能となっている。
更に
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる」
との弊害例については、姓が変わった研究者も論文の執筆者名に旧姓の併記、注釈で対応することが可能となっている。
令和3年10月以降、特許庁に提出する全ての書類に旧姓併記が認められている。
■パスポートトラブル報告なく
また、
「空港では、パスポートのICチップのデータを読み込むが、そこに旧姓は併記されていない」
「よって、出入国時にトラブルになる」
との指摘については、パスポートに旧姓を併記する要件が緩和された令和3年4月以降、海外でのトラブル事例は報告されていない。
会合の出席議員からは経団連側に対し、
「実態に合わせた主張をして頂きたい」
と苦言を呈する声も上がった。
永井氏は
「追い付いていないところがあった。考えたい」
と語ったという。
一方、WT事務局には経団連から、旧姓の通称使用によるトラブルについて、最新の状況にアップデートした事例集は報告されていない。
■青山繁晴氏「バイアスかかっている」
会合に出席した青山繁晴参院議員は3日、記者団に
「経団連には調査機能もあり『追い付いていない』はあり得ない」
「バイアスがかかっていると見るべきだ」
と指摘し、
「最初から方向性を決め、それに沿うデータを持ってきているのだろうが、本来の経団連の在り方とは違う」
と語った。

「別姓賛成派かなりいる」 衆院法務委布陣で自民にも苦言「しっかり人事を」旧姓拡大集会
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/13 10:04
https://www.sankei.com/article/20250313-ELWYR22RHRB7RPE7XBERQ5IIYA/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓制度の導入の是非を巡っては、衆参法務委員会が
「主戦場」
となる。
衆院法務委は選択的夫婦別姓に賛同する議員が多いとされており、国会内で2025年3月12日に開かれた
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
では同委の構成を巡って、自民党の人事配置に対しても苦言を呈する声が飛び出した。
■「これは荒れるな…」
「法務委を見渡すと、かなり別氏(別姓)賛成派がいる」
「これは荒れるなと思った」
日本維新の会の藤田文武前幹事長は衆院法務委に配属された当時を振り返り、集会でこう述べた。
藤田氏は旧姓の通称使用拡大を唱えており、同委について
「激しいやり取りがゴールデンウイークを挟んで行われると予測される」
と指摘した。
その理由については
「ある野党の重鎮は
『別氏の話は政局だ。これをもって政治を揺らす』
と明言されている」
と語った。
重鎮の名前を明らかにしなかったが、立憲民主党の野田佳彦代表は衆院法務委員長ポストの奪取を自ら指示し、
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」
と語っている。
委員長には選択的夫婦別姓の早期実現を持論とする同党の西村智奈美氏が就いた。
■「自民は左巻きといわれる」
衆院法務委で明確に選択的夫婦別姓に反対の論陣を張っているのが少数政党の日本保守党の島田洋一氏、参政党の吉川里奈氏らだ。
島田氏は集会で、保守党と参政党について
「仲が悪いのではないかという人もいるが、吉川さんとはしっかり連携して戦っている」
と冗談めかした上で、
「共産党と立憲民主党は問題以前で、問題は自民党だ」
「衆院法務委に自民から出ている人、左巻きの集まりと言われる」
「もうちょっと自民党がしっかりとした人事をやらないと我々が苦労する」
と苦言を呈した。
島田氏は選択的夫婦別姓に賛成の立場を取る河野太郎前デジタル相や井出庸生衆院議員らを挙げて、同委について
「そういう人ばかり並んでいる」
「とんでもない状況だ」
と述べ、
「阻止するには自民党が一致して『ダメだ』と言ってもらわないといけない」
「自民党の責任は重い」
と語った。
■「少しずつ声が上がってきた」
参政党の神谷宗幣代表も登壇した。神谷氏は党の姿勢について
「当初から選択的夫婦別姓に反対だ」
「かなり早くから言っているが、多勢に無勢で押し切られるのではないかと危機感を持っていた」
と振り返り、
「少しずつ自民党や維新からも声が上がってきた」
「戦えるのではないかという自信や流れを感じている」
と語った。
この日、第三子の出産を控えているといい
「非常にそわそわしている」
「集会が終わったら飛行機で戻って、立ち会いたい」
と述べた上で、
「子供が生まれたら子供の名前は考えるが、めでたいこの時に姓をどうするか話し合って、揉めるなんていう社会にはしたくない」
と強調した。
神谷氏は1958年に米国で発刊された『裸の共産主義』という書籍を引用して、
「ジェンダーフリーや同性婚、同性愛を当たり前のものにしていけば家族やコミュニティー、国家が破壊される」
と述べ、
「夫婦別姓の次は同性婚だ」
「揚げ句の果てに人工子宮をつけて男性に子供を産ませようという話に行くわけだ」
「急進的と言われるかもしれないが、譲ってはいけない一線だと」
と述べた。

パスポート旧姓併記、出入国で「懸念」のトラブル報告はゼロ 外務省答弁、参政党吉川氏に
2025/3/13 11:13
https://www.sankei.com/article/20250313-AH27YNTT4ZEOVFPQVOWMEA3YOU/
外務省は2025年3月12日の衆院法務委員会で、選択的夫婦別姓に関し、パスポートに旧姓を併記する要件が緩和された令和3年以降、在外公館から旧姓併記を理由に邦人が出入国できないといった海外でのトラブルは報告はされていないと明らかにした。
パスポートの旧姓併記を巡っては、海外で旧姓使用の習慣がなく、トラブルになりかねないと懸念する声が選択的夫婦別姓の導入を求める人々の一部から上がっていた。
■現行は「選択的」夫婦同姓
参政党の吉川里奈氏が外務省の担当者に
「旧姓の通称使用拡大では不十分との理由として、海外で旧姓の併記が通用しにくい」
「トラブルの原因になるという指摘がある」
「具体的なトラブルは生じているのか」
と尋ねていた。
パスポートの旧姓併記について従来、旧姓による海外での活動を示す書類の提出を求めてきたが、同年令和3年4月以降戸籍謄本などで旧姓が確認できれば記載を認めるなど要件を緩和した。
旧姓併記のパスポートを所持した人が出入国の現場で説明を求められた際、英文の説明書も配布しているという。
吉川氏は選択的夫婦別姓の導入に反対しており、現行の制度について
「夫婦がどちらかの氏(姓)を協議の上、自由に選択することができる『選択的』夫婦同姓だ」
と指摘し、
「家族の価値観や社会の最小単位である家族の在り方をわざわざバラバラにする必要はない」
と語った。
■鈴木法相「情報提供は極めて大事」
その上で、選択的夫婦別姓に関する法務省のウェブサイトについて
「Q&Aの情報も文字が中心で視覚的に分かりやすい資料が不足している」
と述べた。
石破茂首相は
「あまり時間は残っていない」
と述べるなど選択的夫婦別姓に関する党内議論を早期にまとめる意向を示しており、吉川氏は
「国民に十分な情報提供がされないまま、時の政権の権力により審議が推し進められることに強い懸念を抱いている」
と述べ、省庁横断型で効果的な情報発信を求めた。
鈴木馨祐法相は
「議論してもらうために情報提供は極めて大事だと思っている」
「環境整備は我々の責務だ」
「改めるべき点は改めたい」
と応じた。

「旧姓の通称使用」の法制化を求める国民集会 出席議員一覧 4党から約40人
2025/3/13 10:40
https://www.sankei.com/article/20250313-FJLAZ4GXQNCUPFA6C7WF2QLXD4/
2025年3月12日に国会内で開かれた選択的夫婦別姓の導入に反対する
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
には自民党、日本維新の会、参政党、日本保守党の4党から約40人の国会議員が出席した。
出席議員は以下の通り(会場で読み上げられた順、敬称略)

自民党
≪衆院≫新藤義孝、古屋圭司、西村康稔、金子恭之、新谷正義、田畑裕明、岩田和親、黄川田仁志、高木啓、中曽根康隆、小寺裕雄、小森卓郎、吉田真次、大西洋平、木原稔、鬼木誠、平沼正二郎
≪参院≫衛藤晟一、山谷えり子、有村治子、片山さつき、上野通子、北村経夫、太田房江、和田政宗、加田裕之
日本維新の会
≪衆院≫藤田文武、東徹、阿部圭史、高橋英明、空本誠喜、池畑浩太朗
≪参院≫松沢成文、梅村みずほ
参政党
≪衆院≫吉川里奈
≪参院≫神谷宗幣
日本保守党
≪衆院≫島田洋一

旧姓の通称使用法制定を、国民集会で要望採択 櫻井よしこ氏「同姓の原則を守り通して」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/12 17:42
https://www.sankei.com/article/20250312-6XOYJAJG3FA55BH5QXVZS52GM4/
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
が2025年3月12日、国会内で開かれた。
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓について
「子は必ずどちらかの親の姓と異なる『強制的な親子別姓制度』」
と指摘し、旧姓使用に法的根拠を与える
「旧姓の通称使用法」(仮称)
の制定を求める要望書を採択した。
自民党や日本維新の会、参政党、日本保守党から約40人が出席した。
■「社会の基礎的単位変えてならない」
呼びかけ人のジャーナリストの櫻井よしこ氏は
「国柄を踏まえて判断することが国の力の源泉として求められている時代だ」
と述べ、
「旧姓使用の拡大で問題を全て乗り越えることができる」
「同姓という原則を守り通し、日本の未来を確かなものにしていきたい」
と挨拶した。
自民党の新藤義孝政調会長代行は、
「国や社会が大切にしてきた家族の一体感を踏まえた議論が必要だ」
「社会の基礎的単位を簡単に変えていいわけがない」
と述べ、戸籍制度の堅持の必要性を強調した。
新藤氏は住民票やマイナンバーカード、不動産登記など旧姓の併記が相次いで認められるようになった現状を挙げて
「心配される声に1つ1つ対応を考えながら、(結婚時の姓の変更に伴う)不便を解消していきたい」
と語った。
日本維新の会の藤田文武前幹事長は、選択的夫婦別姓の議論について
「争いの種や分断のネタにしては絶対ならない」
と指摘した上で、
「伝統や慣習、慣例を尊重しながら、どのように現代に合わせるかを大事に考えないといけない」
と述べ、旧姓の通称使用の法制化を訴えた。

百地章氏「自民党執行部に大きな責任」連合・芳野会長が自民大会で選択的夫婦別姓要請
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/12 17:32
https://www.sankei.com/article/20250312-Y2O37BKQ7FBX5JM4EA4SXE435Y/
日大の百地章名誉教授は2025年3月12日、国会内で開かれた
「旧姓の通称使用」
の法制化を求める国民集会で、2025年3月9日に東京都内で行われた自民党大会に出席して選択的夫婦別姓制度の導入を求めた連合の芳野友子会長の発言を疑問視した。
集会で百地氏は芳野氏に関し
「自民が丁寧な議論を進めている中で、こともあろうに党員を前に一方的に夫婦別姓制度を呼び掛けた」
「見識を疑う」
と述べた。
返す刀で
「当然そのような発言があり得ることは予測できたにもかかわらず、事前に発言を塞ごうとしなかった自民党執行部には大きな責任がある」
と語った。
百地氏は選択的夫婦別姓について、伝統的な家族や家族観を崩壊させかねないことや、戸籍制度の解体に繋がりかねないなど問題点を列挙し、旧姓の通称使用拡大の必要性を訴えた。

<主張>自民党大会 保守の矜持を忘れたのか
社説
2025/3/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20250312-4R7RYGX2HNJS7ACIDFYIS4ADV4/
自民党は党大会で、夏の参院選の勝利が最重要課題であり、2025年6月の都議選と合わせて党の勢力を結集して臨むと記した令和7年運動方針を採択した。
森山裕幹事長は2025年11月に立党70年を迎えることを踏まえ、30年後の立党100年を見据えた新たな
「国家ビジョン」
を策定すると明らかにした。
長期ビジョンを作るのは結構だが、党が存亡の機にあることを認識しているのか。
最近の自民は保守政党としてのあるべき姿を見失っている。
自民は保守の矜持を取り戻さなければ、岩盤支持層が更に離反し、政権から転落しかねない。
党綱領には
「『日本らしい日本』を損なう政策に対し闘わねばならない」
とある。
選択的夫婦別姓制度の導入の動きに対し、自民は闘うどころか、党内の一部に支持する向きがある。
同制度は子供がどちらかの親と別の姓になる
「強制的親子別姓」
を意味し、家族や社会を毀損する。
導入は許されない。
党大会の来賓として挨拶に立った連合の芳野友子会長は、同制度の実現を求めた。
芳野氏を招待したのは参院選で労組票を取り込む狙いがあったのかもしれない。
だが、このような発言が予想されたのに招いたのは、自民執行部が保守の矜持を失っていることを示している。
憲法改正では、運動方針に緊急事態条項や自衛隊明記に関する条文案を起草し、改憲の早期実現に邁進すると明記した。
それにもかかわらず、石破茂首相が総裁演説で改憲に触れなかったのは極めておかしい。
安定的な皇位継承策を固めることは国の根幹に関わる。
内閣の報告書を受けて国会で各党が検討中だ。旧宮家の男系男子の皇族復帰こそ急務で、自民は全力で実現してもらいたい。
安倍晋三元首相や岸田文雄前首相らが取り組んだ、ダイナミックな外交安全保障政策を展開していない現状も問題だ。
総裁演説の次のくだりには違和感を覚えた。
「国民は政治を信じていない。国民の声に謙虚でありたい」
と語ったことだ。
先の衆院選で与党過半数割れの大敗を喫したにもかかわらず、首相は居座った。
謙虚と正反対の人の言葉に重みはない。
党への不信の原因は政治とカネの問題だけでなく、首相自身の振る舞いにもあることを自民議員は気付くべきである。

<正論>夫婦別姓が持つ「家族解体」論理 
麗澤大学教授・八木秀次
2025/3/12 8:00
https://www.sankei.com/article/20250312-A7QQXWSWMVOVZGYX4BVRABPJZM/?375350
夫婦別姓に関する最初の裁判は、国立大学の女性教授が大学で旧姓を使いたいというものだった(昭和63年)。
その後(平成10年)、大学側が旧姓の使用を認めて和解したが、戸籍上の夫婦別姓ではなく、社会生活で旧姓を使いたいという主張に過ぎなかった。
■「イデオロギー派」が便乗
これに便乗したのが、イデオロギー派とでも呼ぶべき人たちだった。
日本は
「市民革命」
が済んでいない立ち遅れた段階にあるとし、近代社会にするには国家と個人の間に存在する
「中間団体」
を解体して
「個人」
を析出する必要がある。
それがフランス革命以来の近代立憲主義の論理だとして中間団体の典型である家族共同体を解体して
「個人」
を生み出そうと主張した。
彼らは現行の民法や戸籍の構成単位である夫婦と子から成る
「近代的小家族」(核家族)
に戦前の
「家」
制度の残滓を見、拘束システムであると捉えて、そこから解放された
「個人」
としての存在主張を図ろうとした。
夫婦別姓はそのような主張が氏名の次元に現れたものだった。
「氏名の自己決定権」
が主張され、
「個人」
は純然たる
「個人の呼称」
で呼ばれる存在でなければならず、夫婦の営む共同体の名称で呼ばれる存在であってはならない。
結婚で変えられるものではなく、自己の意思に反して改姓を強いられるならば、アイデンティティーが喪失すると主張した。
戸籍を解体して個人登録にすべきだとも主張した。
「個人」
の存在主張は家族共同体の解体を志向するものでもあった。
「『個人の尊厳』の行き着く所は、場合によっては『家族の解体』にまで繋がっていく論理を含んでいる」
と主張する憲法学者や、娘が18歳になったら
「家族解散式」
を行うと公言する弁護士もいた。
現在はこれらの主張は意識的にか、表に出されなくなっている。
■帰属意識や一体感毀損
平成8年に法務省の法制審議会が示した案は先のイデオロギーとの共鳴はあったが、あからさまではなかった。
だが、結果として家族共同体の
「解体」
の方向に作用する論理を持つ。
夫婦が別姓になれば、子供は両親の一方とは姓が異なる。
親子別姓だ。
そうなると共通の姓が存在しない家族が生まれる。
姓は法制度としては家族の呼称ではなく、個人の呼称の一部となる。
これは全国民のファミリーネームの廃止を意味する。
それが家族の帰属意識や一体感の毀損に繋がる。
最高裁は平成27年、
「夫婦及びその間の未婚の子…が同一の氏を称するとすることにより、社会の構成要素である家族の呼称としての意義がある」
「家族を構成する個人が、同一の氏を称することにより家族という一つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる」
として現行の夫婦同姓を
「合憲」
とする判決を出した(令和3年判決も同旨)。
別姓は共通の姓によるそれらの機能を毀損する。
大きな問題は子供の姓の決め方だ。
法制審案では結婚の際に夫婦のどちらの姓を名乗るかを決める。
兄弟姉妹は共通の姓を名乗るが、子供が生まれるか分からない段階で姓を決め、決めなければ婚姻届を受理しないとするのは、結婚を
「両性の合意のみに基づく」
とする憲法24条に違反するとの指摘もある。
■肉親が争う子供の心理は
令和4年の立憲民主党や共産党の案(内容は公明党案も同じ)は子供の姓を出生時に決めるとする。
兄弟姉妹の姓がバラバラでもよいとするイデオロギー性が強い案だ。
子供の姓が決まらない場合、出生届は受理されず、無戸籍となる。
当事者で決められない場合は家裁で決めるとするが、家裁には判断基準がない。
自分の姓を巡って肉親が争ったり、裁判所に決められる子供の心理はどんなものか。
選択的夫婦別姓制が導入されれば、対象はこれから結婚する夫婦だけではない。
既に結婚している全ての夫婦が経過措置期間(1〜2年間)に同姓か別姓の選択を迫られる。
立憲民主党などの案では連動して子供の姓をどうするかを改めて判断することになる。
戸籍の様式自体の変更も必要で膨大な作業を要する。
戸籍事務量には
「対応できない」(法務省)
とのことだ。
そうであれば、あえて弊害の多い選択的夫婦別姓制を導入しなくとも、旧姓を社会生活で広く使用できるように法制化すればよい。
既に住民票やマイナンバーカード、印鑑証明書、健康保険証、パスポート、運転免許証は旧姓を併記できる。
戸籍に旧姓使用を明記するとの案もあるが、住民票などの公的証明書の記載を根拠にして旧姓の単独使用も可能とする法律を制定すればよい。
経団連の指摘する改姓による不便や不都合は既に解決しているか、新しい立法で解決する。

「おかしい」自民党大会で選択的夫婦別姓要請の連合・芳野友子会長に批判相次ぐ 自民WT
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/11 14:55
https://www.sankei.com/article/20250311-7YWAMCCGVBANTPVMBCYKSF2LEY/
自民党は2025年3月11日、
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
(座長・逢沢一郎衆院議員)
の会合を開き、選択的夫婦別姓制度導入を推進する立場の有識者から意見を聞いた。
出席者によると、2025年3月9日の自民党大会に出席した連合の芳野友子会長が挨拶の中で選択的夫婦別姓導入を要請したことについて、複数の議員から
「党内で審議中の話をするのはおかしいのではないか」
などと批判が出た。
会合には議員約50人が出席し、オンラインで立命館大名誉教授の二宮周平氏と白鴎大教授の水野紀子氏から話を聞いた。
二宮氏は、将来的には家族ごとの戸籍から個人ごとの個人籍へ移行するべきだとする意見を述べた。
出席議員からは、選択的夫婦別姓が導入された場合の子供の姓の決め方に関する懸念などが寄せられた。
また、逢沢氏によると、芳野氏の発言について
「党内で議論が進められている最中に、ああいった機会があったのは適切だったのか」
と意見が出た。
別の出席者は
「おかしいのではないか」
との発言もあったと明らかにした。
逢沢氏は記者団に
「座長として受け止め、党執行部にもそうした発言があったということは伝えておきたい」
と述べた。
芳野氏は2025年3月9日の党大会で、
「希望する人が別姓を選択できる制度であり、強制する制度ではない」
「逆に、夫婦同姓を望む人たちを排除する制度でもない」
「是非、今国会で選択的夫婦別姓制度の創設を実現してほしい」
と要請した。

「6万人ショック」自民党員減、「政治とカネ」懸念も「保守と理解してもらえない」
2025/3/9 15:40
https://www.sankei.com/article/20250309-6S6G4VIQB5HE3HEUGICQX4KUGI/
自民党の党員数の推移
https://www.sankei.com/article/20250309-6S6G4VIQB5HE3HEUGICQX4KUGI/photo/ILXCR2FS3NMLLJTKNCPV6M4DMQ/
自民党員の減少幅が近年まれにみる規模となり、党執行部を悩ませている。
令和6年末時点の党員数は102万8662人で5年末時点から6万2413人減少した。
「6万人ショック」
とも言われ、特に有権者と直接接する機会の多い地方議員に危機感が広がる。
派閥パーティー収入不記載事件の影響だけでなく、近年の自民の政策が岩盤支持層とされる保守層の離反を招いているとの見方も増えている。
■「党員集めは厳しさを増している」
「党員集めは厳しさを増している」
「自民はいつまで『政治とカネ』の問題に決着を付けられないのかと思われている」
神奈川県連会長を務める小泉進次郎元環境相は2025年3月9日の党大会後、記者団にこう語った。
党員数は自民が政権復帰した平成24年の73万人以降、増加傾向にあった。
安倍晋三政権から菅義偉政権へと変わった令和2年は113万6445人と近年で最も高かった。
しかし、岸田文雄政権下の令和5年末になると、党員数は109万1075人となり、前年末比で3万3688人の減少に転じた。
石破茂政権下の今回は、減少幅が倍増した形となる。
小泉氏と同じく地方議員も政治とカネの問題で党員の離反を招いたと指摘する声は多い。
山形県の柴田正人県議は
「『政治とカネ』の問題をずっと引きずっている」
「政治家は悪いことをしているというイメージが植え付けられている」
と指摘した。
政治資金の
「見える化」
を進めた上で、早期の決着を求めた。
宮城県連の遠藤隼人青年局長も、
「政治とカネ」
を挙げて
「直接党員にお願いして回っているが、これまで支えてくれた人も
『こういう党の状況では継続できない』
という人もいる」
「反応は厳しい」
と語る。
■「コアな保守層が逃げた」
遠藤氏は、自民が選択的夫婦別姓の導入を求める声に対し、明確な反対姿勢を示せていないことも疑問視する。
遠藤氏は
「旧姓使用の拡大」
にとどめるべきだと訴えた上で
「自民以外の政党は夫婦別姓派だ」
「分かり易く自分たちが保守であるということを理解してもらえないような党本部の姿勢が、保守離れを起こしているのではないか」
と危惧する。
大阪市の木下吉信市議は、昨年2024年10月の衆院選比例代表で自民支持層の投票先が日本保守党や参政党に流出したとの見方を示し
「コアな保守の支持者が逃げた」
と指摘する。
大阪府泉南市の添田詩織市議も
「地元を歩いて反応がいいことはない」
「(石破内閣は)中国寄りのイメージで語られている」
と述べる。
ただ、首相が力を入れる自衛官の処遇改善などの取り組みを挙げて
「実際は保守層に評価される政策もあることを知ってほしい」
と語った。
鳥取県連の斉木正一幹事長は、党員減少について
「やはり少子高齢化ではないか」
「我々が田舎を回ると高齢化が進み、昔の人が亡くなっている」
「もう1つは『政治とカネ』の問題」
「この2つが原因かと思う」
と分析した。

自民、参院選控え党大会で「原点回帰」アピール 地方、歴史、家族、靖国…岩盤支持層意識
2025/3/9 13:29
https://www.sankei.com/article/20250309-R7AI4KL5AZJKTCHXTVVNBW76RY/
自民党は2025年3月9日の党大会で、地方や歴史を重んじる保守政党という自らの立ち位置の明確化を図った。
採択した令和7年党運動方針は
「悠久の歴史や文化、家族や地域の絆」
といった文言を強調し、石破茂首相(党総裁)は演説で
「原点に立ち返る」
と述べた。
自民の岩盤支持層を意識した原点回帰は、2025年夏の参院選への危機感の裏返しでもある。
■異彩放つ運動方針「わが党は大敗した」
自民は今年2025年、立党70年を迎える。
首相は党大会で
「いつの時代も歴史、時代を変えるのは都の偉い人々ではない」
「地方であり、1人1人の庶民大衆だ」
と語り、地方の党員や支持者を重視する姿勢を強調した。
1年間の党の指針となる運動方針は、例年と比べ異彩を放つ。
昨年は総論である
「前文」
で、派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革を進めて
「解体的な出直し」
を図ると明記した。
一昨年2023年は経済再生などを前面に掲げた。
今年2025年は
「昨年2024年の衆院選で我が党は大敗した」
と認めた上で
「常に進歩を目指す保守政党」
の道を歩むと宣言。
「悠久の歴史や文化、家族や地域の絆に育まれてきた日本の国柄を次の世代に引き継ぐ」
と謳った。
■参院選で負ければ「政権は終わり」
更に
「歴代の天皇と皇統、皇室は、日本の歴史、伝統、文化の礎である」
「靖国神社参拝を受け継ぎ(中略)各都道府県における護国神社への参拝も大切にしていく」
と掲げた。
こうした姿勢の背景には、党の足腰の弱体化がある。
現在の自民は、安倍晋三元首相を支持した
「岩盤保守層」
の離反が指摘されている。
また、不記載事件への失望感などから地方の党員の減少も目立つ。
昨年2024年末時点の党員数は102万8662人で、前年から6万2413人も減少した。
党員
「120万人」
の目標は遠のくばかりだ。
自民幹部の1人は、衆院選に続いて参院選で負ければ
「政権は終わり」

「支持層を取り戻す必要がある」
と語る。
■運動方針から憲法改正の時期消える
ただ、自民は与党過半数割れした衆院で主導権を失い、党是の憲法改正を推進する体力もない。
昨年2024年の運動方針は
「2024年年内の実現」
を目指す考えを示したが、今年2025年は時期が消えた。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度導入法案の今国会への提出を準備している。
自民内では制度導入ではなく、旧姓の通称使用拡大を行う流れが強まっているが、執行部が党内の推進派を抑えられるかが焦点となる。

夫婦別姓で揺れる自民…家族観も一致せず 創生「日本」で苦言 産経新聞・皆川豪志
「正論」4月号
2025/3/1 12:00
https://www.sankei.com/article/20250301-DS2H6CUF7NCUHGTXBN223OFSS4/?outputType=theme_monthly-seiron
(月刊「正論」2025年4月号から)
与野党ともに賛同者が多かった選択的夫婦別姓の法制化議論が、ここへ来て風向きがやや変わりつつある。
一時は
「やりたい人がやるだけなのになぜ反対するか」
などという幼稚な理屈が罷り通っていたが、現実に法が改正された場合、日常生活に大きな影響が出ることに多くの国民が気が付き始めたからではないか。
産経新聞が今年2025年元日からシリーズ掲載した
「ごまかしの夫婦別姓議論」
の反響も大きかった。
中でも、2025年元日1面トップの小中学生に対する初のアンケート
「別姓小中学生の半数反対 『自分はしない』6割」
はインターネット上で瞬く間に拡散され、SNS(交流サイト)では
「選択的とは言うが、子供にとっては強制的親子別姓になることに改めて気づきました」
という声が多数上がった。
こうした背景を受けて、2025年2月5日に開かれた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
から勉強会の講演依頼が私にあった。
安倍晋三元首相が会長を務めた組織でもあり、全員が
「保守」
と言っていい錚々たるメンバー41人が集まった。
■「恣意的」批判は想定通り
講演では、調査の狙いとして、このテーマを
「可視化」
したかったことを最初に説明した。
いくら言葉で問題点を指摘しても、
「選択的」
という言葉に引きずられて、
「選択だからいいのでは」
「誰にも迷惑はかからないのでは」
などと納得してしまう世論が多いためだ。
そもそも、企業などでは婚姻後の
「旧姓使用の拡大」
が既に進んでおり、多くの国民にとってこのテーマは喫緊の課題ではない。
それをいいことに、朝日新聞やNHKなどのリベラル系メディアは、旧姓使用の現状を無視した上で、
「賛成」「反対」
の二択で世論調査を行い、そこで集計された
「賛成7割」
という結果を独り歩きさせるのだ。
日本人は人がいいので、
「そんなに賛成者がいるなら」
とつい誤魔化されてしまいがちなのである。
やはりここは、改めて問題点を浮き彫りにするべきではないか。
「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓であり、強制的家族別姓である」
「人に迷惑をかけないどころか、家族の在り方に多大な影響が出る」
ことを考えてもらうために必要だったのが、アンケートによる
「子供の存在」
の可視化だったのだ。
反響の中には、夫婦別姓推進派からの
「恣意的なアンケートだ」
という声も多かった。
だが、これは想定通りで、記事の中には次のような一文を入れておいた。
「法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである」
「仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えたりするならば、是非他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい」
「文部科学省も、こども家庭庁も出番ではないか」
つまり、
「文句があるなら自分たちも調べなさい」
「国もやるべきことがあるのでないか」
という意味だ。
実はこれが最も言いたかったことでもある。
先ほど調査対象は2000人と紹介したが、実は100人、200人しか集まらなくても仕方がないとも考えていた。
とにかく子供の存在をこの議論の俎上に載せたい、もし産経の調査に不満があるなら、それはそれで構わないので他のメディアなり、国としてやってほしい、拙速に進めず、立ち止まって考えてほしいというメッセージである。
その狙いは予想以上に国民に届いたのではないか。
2025年正月の記事以来、
「子供の姓がバラパラになる」
「旧姓使用の拡大や法制化で解決できないものか」
という議論が他メディアも含めて活発化してきたことを考えると一応は成功だったと言えると思う。
■自民党の現状こそ問題
一方で、経団連などの財界は未だに選択的夫婦別姓推進を言い続けている。
今回行った産経のアンケートで、旧姓使用を不可としている企業はゼロだったにもかかわらずだ。
この日の勉強会にも出席された高市早苗前経済安全保障担当相の努力もあって、今やパスポートや国家資格など大半の身分証明で旧姓使用が併記できるようになった。
立憲民主党など野党は
「困っている人がいる」
という理屈を振りかざしているが、
「困っている人」
とは誰なのか。
産経の取材でも
「困っている人」
を探したが、結局出てきたのは、
「海外でパスポート名義と宿泊名簿の姓が違って説明に時間がかかった」
という程度だった。
そもそも私は今回のテーマについて、保守である自民党が真剣に考えるべき課題ですらないと考えている。
今ある法や制度を変えたいのなら、なぜ変えなければならないのか、その理由を明確にして、誰もが納得できる立法事実を出さなければならないのは別姓推進派の側であり、政権与党としては、その1つ1つに丁寧に反論し、それでも困っているという細かいケースが見つかったのなら法律の運用の中で変えていけばよいだけなのだ。
勉強会に参加した自民党議員も、本当は同じように考えていたと思う。
ただ、現状は昨秋2024年秋の総選挙以来の少数与党であり、連立を組む公明党も別姓推進を公言している中で、放置するわけにもいかない。
何より、衆院法務委員長のポストまで獲得した立憲民主が今国会中にも法案を提出する可能性は高いのだ。
「創生『日本』」
としても、保守層だけでなく、広く党内がまとまる対案を検討するのは当然であり、より良い方向に導いて頂きたいとは思う。
ただ、だからと言って、我が国の根幹とも言える家族の在り方を巡り、これ以上党内が右往左往してほしくない。
そもそも自民党の中に、野党と同じように
「困っている人」
を必要以上に誇張したり、女性差別と関係付けてまで夫婦別姓を推進したい議員が少なくないこと自体が不自然なのである。
例えば、税制や社会保障などの分野で党内の意見が分かれるのならまだ分かるが、家族の在り方を巡って、
「党議拘束しなければまとまらない」
とか、
「予算の成立と引き換えに…」
などの意見が漏れてくる今の自民党の体質にこそ問題があるのではないか。
保守を標榜する
「創生『日本』」
の方々こそ、この党内の現状を真剣に憂えてほしい。
家族観すら一致せず、まとまれないような政党はもう、1つの政党とは言えない。
有権者からそのように見られても仕方がないのではないか。
そう苦言を呈して、講演を終えた。
(産経新聞編集局コンテンツ統括)
「夫婦別姓=家族別姓」子供の半数は反対…産経新聞アンケート結果
産経新聞の(2025年1月1日付掲載)のアンケートでは、家族で違う苗字になってしまう
「夫婦別姓」
に子供の半数が反対している実情が明らかになった。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人の計約2000人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題にも配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が約半数の49・4%、
「賛成」は16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」が18・8%、
「よくわからない」が15・4%
で、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては、
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割
となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%
だった。
(月刊「正論」4月号から)
みながわ・たけし
産経新聞編集局コンテンツ統括。
平成3年、産経新聞入社。
京都総局、大阪社会部、東京社会部次長、産経新聞出版代表取締役社長などを経て令和5年7月から現職兼産経新聞出版取締役会長。

選択的夫婦別姓「導入賛成」が減少傾向、「通称使用拡大」は増加 報道機関の直近世論調査
2025/2/25 9:49
https://www.sankei.com/article/20250225-AJ3NFZ3TLZHPPMUZFB4FMGFBXU/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓導入の是非を巡る各種報道機関の世論調査で「賛成」が今年2025年に入って減少傾向にある。
賛否の2択に加えて
「同姓を維持して旧姓の通称使用を拡大」
する第3の選択肢を尋ねたケースでは、旧姓の通称使用拡大が最も高く、割合も増えている現状が浮かぶ。
■産経・FNN調査は「賛成」9・5ポイント減
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査は
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)の45・2%に比べ、6・5ポイント増となる。
選択的夫婦別姓の法整備に「賛成」は28・0%で、前回の37・5%から9・5ポイント減らした。
同様に読売新聞社が2025年2月14〜16日に3択で尋ねたところ、旧姓の通称使用拡大は46%で最も多く、前回(2025年1月17〜19日実施)の43%から3ポイント増加した。
選択的夫婦別姓の導入を求める声は前回の29%から27%に減少した。
■朝日調査も「賛成」10ポイント減
朝日新聞社は2025年2月15、16両日の調査で、導入の賛否を2択で尋ねると、「賛成」が63%で「反対」は29%だった。
前回調査の昨年2024年7月はそれぞれ73%、21%だった。
「賛成」は「反対」の2倍以上だが、前回調査から10ポイント減らしたことになる。
共同通信社が2025年1月25、26両日に実施した世論調査は「賛成」は59・4%、「反対」が32・7%だった。
昨年2024年10月の賛成67%、反対21・7%で、「賛成」は7・6ポイント減らしている。
毎日新聞社は選択的夫婦別姓を巡る2025年2月の世論調査で2025年1月に比べて尋ね方を変えたため、対象から除外した。

「通称使用の拡大」男女とも過半数、全年代、職業で最多 共産支持層も FNN世論調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/2/24 12:30
https://www.sankei.com/article/20250224-MQHMGVO2XZHUVAIQ5WNV7ZHQEM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が、男女を共に過半数を占めた。
全年代で、また、選択肢にあるすべての職業で最多だった。
支持政党別でも、共産党支持層は
「通称使用の拡大」

「賛成」
を上回った。
■女性も「賛成」3割
男性では「賛成」の25.3%に対し、「通称使用の拡大」の51.2%と「反対」の21.5%の合計が7割を超えた。
女性では「賛成」が30.6%にとどまる一方で、「通称使用の拡大」は52.2%、「反対」は16.1%に上った。
男女共に法整備に慎重な姿勢が浮き彫りになった。
世代別でみると、30代と70歳以上を除き、
「通称使用の拡大」
が過半数だった。
経団連や一部野党などは、夫婦別姓を求める理由の1つに
「キャリアの断絶」
を挙げている。
今回の世論調査では、職業別に正規雇用、非正規雇用、自営・フリーランス、主婦・主夫、学生、無職、その他の選択肢で尋ねた。
全ての職業で「通称使用の拡大」を選んだ人が最多で、無職(42.0%)以外は半数を超えた。
「賛成」が3割を超えたのは学生(38.0%)と非正規雇用(36.4%)だった。
「反対」の割合が他の職業に比べ高かったのは、「無職」(28.8%)と「自営・フリーランス」(25.4%)だった。
■公明・立民支持層も「賛成」過半数届かず
支持政党別では、公明党支持層の47.3%と立憲民主党支持層の46.6%が「賛成」と答え、「通称使用の拡大」を上回った。
両党は今国会での法案成立を目指しているが、その両党の支持層でも「通称使用の拡大」と「反対」の合計は「賛成」を小差で上回った。
共産支持層では「賛成」の39.9%に対し「通称使用の拡大」が49.3%で上回り、「反対」が5.8%だった。
日本保守党の支持層では「反対」が最多の48.2%、「通称使用の拡大」が31.8%、「賛成」はいなかった。

選択的夫婦別姓「通称使用拡大を」51%で過半数 「反対」含め7割が導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/2/24 11:46
https://www.sankei.com/article/20250224-SXETE7ZTU5JQVP433ERNY7EURQ/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度に関する法整備について尋ねたところ、「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」との回答が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)比では6・5ポイント増加した。
法整備に「反対」との回答は18・7%で、前回比で4・0ポイント増加した。
選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的な回答が、前回は計6割だったが、今回は計7割に増加したことになる。
一方、法整備に「賛成」との回答は28・0%で、前回比で9・5ポイント減だった。

「建国記念の日」に党大会 国民民主の保守加速 夫婦別姓推しの連合幹部に榛葉幹事長は…
政界徒然草
2025/2/24 6:00
https://www.sankei.com/article/20250224-B5QW4QMJONMMZLBFNJJW27UDV4/
国民民主党の保守化が加速している。従来の家族の在り方を変える可能性を指摘されている選択的夫婦別姓制度を巡り、玉木雄一郎代表(役職停止中)と榛葉賀津也幹事長が性急な導入に
「待った」
をかけた。
これまでも憲法改正や原発再稼働、現実的な安全保障政策などを訴えてきた国民民主。
2025年夏の参院選を見据え、石破茂政権に批判的な岩盤保守層を奪い取る構えだ。
■党大会で紀元節に言及
「今から2685年前の今日、日本書紀によると、国づくりが始まった」
「その節目の日に、国民民主の党大会が開催されることに感謝と身が引き締まる思いでいっぱいだ」
今月2025年2月11日に東京都内で開かれた国民民主の党大会で、最も印象に残ったのが、榛葉氏によるこの挨拶だった。
国民民主は従来、リベラルと保守の二項対立とは距離を置く
「改革中道政党」
を掲げてきた。
だが、昨秋2024年秋の衆院選は、石破政権に批判的な保守層の後押しもあり、議席数が公示前から4倍増に躍進した。
新暦の紀元前660年2月11日に初代の神武天皇が橿原宮(奈良県)で即位した紀元節に触れた背景には、日本の伝統を大切にする保守層への配慮が透けて見えた。
■夫婦別姓にブレーキ
とりわけ保守層から歓迎されているのが選択的夫婦別姓制度への対応だ。
国民民主は先の衆院選の公約で同制度の導入を掲げていたが、玉木氏は2025年1月17日の産経新聞の単独インタビューで慎重に対応すると指摘。
「多くの国民に関わる事であり、イデオロギーや政局的なものにせず、出来るだけ幅広い合意を得る丁寧な議論が必要だ」
と強調した。
また、榛葉氏も2025年1月30日の産経インタビューで、子供の姓の扱いなどについて
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
との見解を示し、歩調を合わせた。
2025年2月14日の記者会見では
「保守もリベラルも関係ない」
「大人は選択できるかもしれないが、子供が半ば強制では子供が不幸になる」
と強調。
家族の絆を重んじる保守政党でありながら、推進派を抱える自民党を
「中に色んな考えがあるようだ」
と皮肉る余裕も見せた。
戸惑いを隠せないのが国民民主の最大支援組織で、同制度の早期導入を求める連合だ。
2025年2月11日の党大会に招待された芳野友子会長はたまらず
「導入しないことは男女が不平等な状態を放置することを意味し、人権に関わる由々しき問題だ」
と国民民主にプレッシャーをかけた。
しかし、この発言がどこまで執行部の耳に響いたのかは不透明だ。
同制度導入を求める連合関係者は今年2025年に入り、
「今国会の最大の法案だ」
と榛葉氏に発破をかけたが、子供への悪影響を念頭に榛葉氏が首を縦に振ることはなかった。
■支持層の変化も影響
立憲民主党は今国会に同制度導入を謳う民法改正案を提出する方針だが、成立を左右するのは国民民主と言っても過言ではない。
同制度を審議する衆院法務委員会の構成メンバーのうち、推進派と目されてきたのは立民(西村智奈美委員長を除く)や国民民主、公明党、共産党を合わせて15人。
自民や日本維新の会の一部が賛成に回れば過半数の18人に達する計算だ。
しかし、国民民主が慎重姿勢を堅持すれば法務委での過半数獲得も容易ではなくなる。
なぜ国民民主は変わったのか。
先の衆院選以降の支持層の変化を指摘する声は少なくない。
国民民主の比例票は前回(令和3年)の259万票から617万票へと大幅に増えた。
連合関係者は石破政権に不満を抱く岩盤保守層の影響だと分析。
「安倍晋三政権を支えていた支持者が相当流れてきている」
と語る。
国民民主の勢いは2025年夏の参院選の結果も左右する。
歴代の自民政権は野党の分断を仕掛けることで
「1強」
態勢を築いてきた。
自民重鎮は、国民民主が積極的な候補擁立を決めたことに関して、
「野党同士で潰し合うことになる」
とソロバンをはじく。
一方、保守路線にシフトした国民民主はむしろ自民の票を奪うとの見方もある。
立民の閣僚経験者は
「国民民主はどんどん右傾化している」
「このままだと、参院選ではむしろ、自民票を食うだろう」
と指摘する。
いずれにせよ保守色を濃くした国民民主の影響力が、かつてないほど政界で強まっていることだけは間違いない。

産経調査結果に「子供への影響研究を」の意見 選択的夫婦別姓是非議論の自民WT
2025/2/20 20:41
https://www.sankei.com/article/20250220-YVSELFAQVBO4PDFUMDOGUJG67Q/
自民党は2025年2月20日、
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」(座長・逢沢一郎衆院議員)
の会合を開き、選択的夫婦別姓制度導入の是非に関する内閣府や報道各社などの世論調査結果について議論した。
産経新聞社が昨年2024年11〜12月に小中学生約2千人を対象に行ったアンケートも取り上げられた。
逢沢氏は会合後、記者団に、産経の調査が子供の意向を調べた唯一の調査だと指摘した上で
「もっと深く子供の意見を聞くことや、新しい制度になった時に子供にどのような影響があるかを研究すべきだとの意見がかなり出た」
と語った。
産経のアンケートでは、夫婦別姓導入で家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。

「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓」池谷准教授 日本会議懇談会に自民、維新から75人
2025/2/19 18:05
https://www.sankei.com/article/20250219-TFPDA63IWJMPBLR6MOGN2BRYXQ/
超党派の保守系議員で作る
「日本会議国会議員懇談会」(会長・古屋圭司元拉致問題担当相)
は2025年2月19日、国会内で家族制度を考える勉強会を開催した。
自民党と日本維新の会から代理出席を含め計75人が出席し、選択的夫婦別姓制度を導入することによる子供への影響などについて意見を交わした。
会合では、家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授が
「選択的『夫婦別姓』は強制的『親子別姓』です−親子別姓は何をもたらすか」
と題して講演した。
出席者によると、池谷氏は別姓制度導入によって夫婦別姓が親子別姓、兄弟別姓になっていくことは、子供の発達に悪影響が出る可能性があることを指摘したという。
講演後には質疑応答が行われ、出席者からは
「個人が先立ち過ぎてしまうと家族の一体感や、社会の安定性が損なわれることになるのではないか」
との意見が出た。
別の出席者は
「従来の戸籍制度は非常に優れた制度だ」
「しっかりと残していくことを考えるべきだ」
と主張した。
同懇談会では、一昨年2023年に家族プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、家族制度に関する議論を重ねてきた。
山谷えり子・家族PT座長(自民)は会合後に記者団に対し、別姓制度に関して
「家族や社会の在り方に大きく影響する問題だ」
「選択的だからといって、その人だけの問題ではないという視点で進めることが大事だ」
と述べた。

選択的夫婦別姓めぐる朝日、共同の二択質問 「前提がおかしい」自民党内に不信募る
世論調査
2025/2/17 17:08
https://www.sankei.com/article/20250217-D7AYVEPQWJKWNLAY6WPSVJ7CLA/
選択的夫婦別姓制度を巡る報道各社の世論調査で、制度導入の賛否の二択で質問した場合と、旧姓の通称使用拡大を含めた複数の選択肢を提示した場合では回答結果が大きく異なった。
自民党では旧姓の通称使用拡大の議論が進む。
党内の一部には、この選択肢を排除し、二択で質問し続ける報道機関への不信感が募っている。
2025年2月16、17両日に公表された共同通信や毎日、朝日、読売の世論調査では、今国会の焦点となっている選択的夫婦別姓制度に関する質問がいずれも盛り込まれていた。
ただ、質問の選択肢の内容は各社で分かれた。
選択的夫婦別姓制度導入について
「賛成」

「反対」
の二択で回答を求めたのは朝日と共同だ。
朝日は同制度に関し
「法律を改正して、夫婦が同じ名字でも、別々の名字でも自由に選べるようにすることに賛成ですか」
と質問。
賛成が63%、反対が29%だった。
旧姓の通称使用拡大についての質問はなかった。
共同は同制度導入の賛否を尋ねた上で、旧姓の通称使用拡大について
「名字変更で生じるさまざまな問題や不便が解決すると思いますか」
と質問し、
「解決しない」
が58・1%に上った。
一方、毎日は同制度の導入や旧姓の通称使用拡大、両方を進める、両方を進めないとの選択肢を用意。
いずれの回答も16〜24%に分散した。
読売は3つの選択肢を示し、
「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
との回答が46%で最も多かった。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民党内ではかねてから
「二択では、国民の声を正確に受け止められない」(党若手)
との意見が根強くある。
自民党関係者は
「一部報道機関は質問の前提がおかしいのではないか」
と不満を口にした。

<主張>選択的夫婦別姓 「親子別姓」を強制するな
社説
2025/2/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250214-LMH5A675K5OQ5DMKI5JPAB2FOQ/
親子別姓を強制するおかしな制度だ。
選択的夫婦別姓のことである。
自民党は導入の是非を巡り、党内議論を始めた。
夫婦が同じ姓であるのは現代日本人の家族観と結び付いている。
結婚時の姓の変更に伴う不便を解消するための議論はあって然るべきだ。
だが、子供の立場を蔑ろにし、家族の一体感を損なう選択的夫婦別姓制度の導入は弊害が多過ぎる。
賛成することはできない。
自民の夫婦別姓に関するワーキングチームの会合で、高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は政権を奪還した平成24年衆院選で旧民主党の夫婦別姓案に反対した」
「その後も(旧姓の)通称使用拡大を約束してきた」
と主張した。
座長の逢沢一郎衆院議員が、意見集約の期限を設けないとしたのは妥当だ。
石破茂首相(自民総裁)2025年2月12日の国会で、選択的夫婦別姓制度について
「いつまでも結論を先延ばしにしてよい問題とは考えていない」
と述べたのは理解に苦しむ。
立憲民主党は選択的別姓の実現に向けた推進本部を立ち上げた。
だが、安易な導入は取り返しがつかない。
立民などは子供たちが受けるであろう悪影響を軽く見ている。
夫婦別姓では、父か母のどちらかが必ず子供と別の姓になってしまう。
疎外感を持つ子が出てくるだろう。
どちらの姓を子供に付与するかを巡って祖父母らも絡み、争いが生じかねない。
最も喜ばしい子供の誕生時に起きていい話ではない。
導入論者は、夫や妻の事ばかりに拘り、親よりも弱い立場にある子供の存在を軽んじている。
極めて残念だ。
子供を優先するのが親や社会の務めだと気付いてもらいたい。
選択的夫婦別姓が導入されれば戸籍制度も変質する。
姓は砂粒のような個人の呼称へ変貌する。
先祖から子孫へと、世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、そもそも姓を名乗る必要があるのだろうか。
選択的とはいえ別姓は個人の問題ではない。
家族や社会の在り様に関わる大問題だ。
令和3年の内閣府世論調査では、選択的夫婦別姓を求めたのは3割に届かず、同姓維持と同姓のまま通称使用の制度化を望む声は7割弱に上った。
政党は社会に分断を招いてはならない。

最大の問題は「子の姓」、旧姓の通称使用拡大へ結論を 国士舘大・百地名誉教授
2025/2/7 19:38
https://www.sankei.com/article/20250207-27NPT5X3KZJTHEUXDATVONIM4Q/
自民党は来週、選択的夫婦別姓制度を巡る党内議論を本格化させる。
同制度の問題点や旧姓の通称使用拡大について、国士舘大の百地章名誉教授(憲法学)に聞いた。

選択的夫婦別姓制度の最大の問題は子の姓の扱いだ。
生まれたばかりの子には姓の選択権がない。
それどころか、別姓家庭に生まれた子は、父か母いずれかの名字とは異なる
「親子別姓」
を強制させられる。
現在、一部の野党が示す案では、子が生まれる度に夫婦が姓を決めるとあるが、現行の戸籍法では出生後14日以内に氏名を届け出なければならないため、夫婦間の協議が整わなければ無戸籍児になる。
別姓夫婦が結婚時に生まれてくる子の姓を事前に決めておく案もある。
だが、決められなかった場合は婚姻届が出せず、
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」
と定めた憲法24条に違反する恐れがある。
野党案はこうした問題の解決に
「家庭裁判所に判断を求める」
とするが、正当な判断基準は見当たらない。
別姓導入賛成派の論拠は、平成27年と令和3年の最高裁判例が
「この種の制度の在り方は国会で論ぜられ、判断されるべきだ」
と判示したことだ。
しかし、判決は同姓制を合憲としており、別姓導入を求めたわけではない。
各種調査では5割近くが通称使用拡大を必要とする一方、別姓導入賛成は2割程度にとどまる。
これは便宜上の不具合を改善してほしいということに他ならない。
旧姓の通称使用拡大を別姓制度の
「妥協案」
と捉えてはいけない。
別姓導入の議論が浮上したことで通称使用の拡大の議論が熟した側面もあるが、考え方は全く違うものだ。
これまで懸案になっていた姓を巡る問題を解決するためにも、通称使用拡大の法整備に向けて結論を出すべき時期に来ている。

夫婦別姓議論、旧姓の通称使用拡大巡り自民保守派に複数案…一本化できなければ党分断も
2025/2/7 18:39
https://www.sankei.com/article/20250207-5X76YPN3GNMSVGNGL6VGUKS67E/
今国会の焦点である選択的夫婦別姓制度を巡り、自民党は来週、党内議論を本格化させる。
家族の在り方を変える懸念から、制度導入に慎重な保守系議員らは旧姓の通称使用を拡大する方向で意見集約を目指す。
ただ、慎重派の間でも通称使用拡大に関して複数の案が存在しており、一本化を巡っては党の分断に繋がる恐れもある。
2025年2月4日午後、党本部で開かれた有志グループ
「保守団結の会」
の会合。
顧問を務める高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は多くの方に、旧氏を通称使用する機会をもっともっと拡大する約束を何度もしている」
「これを早期に実現することが一番だ」
と強調し、通称使用拡大に向けた私案を示した。
高市氏の私案は、戸籍上は同姓を維持しつつ、旧姓の通称使用拡大を法律で位置づける。
現状、住民票やパスポート(旅券)などの公的証明書は希望すれば、現在の姓と旧姓の併記が可能だ。
この仕組みを幅広い分野に広げて不便を解消するため、国や地方公共団体、事業者に必要な措置を取るよう求める。
高市氏は以前、戸籍法の改正を視野に入れていたが、住民基本台帳法施行令の一部改正によって住民票などに旧姓併記が可能となったため、戸籍法は改正しない形とした。
別姓制度導入の是非が改めて注目されるきっかけとなった経団連の昨年2024年の提言は
「通称は法律上の姓ではないため、旧姓併記を拡大するだけでは解決できない課題も多い」
と指摘していた。
一方、衛藤晟一元沖縄北方担当相らの案は、公的証明書への旧姓の併記と単独使用のいずれも可能とする。
旧姓の使用を法制化し
「法定旧姓」
とすることで別姓制度を導入しなくても、経団連が指摘するような課題の解決に繋がるとしている。
稲田朋美元防衛相は、
「婚前氏続称制度」
の創設を主張する。
旧姓を通称ではなく
「呼称上の氏」
として法的に認め、公的な場面では旧姓を使用することを想定している。
慎重派は複数案を一本化し、導入推進派に対して党内議論の主導権を握りたい考えだ。
党内には、拙速な議論は避けるべきだとの意見もあるが、立憲民主党は今国会で導入に向けた民法改正案の提出を予定している。
自民の森山裕幹事長は2025年2月4日の記者会見で、関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張した。

「強制的親子別姓」「子供に選択の機会ない」選択的夫婦別姓を日本女性の会が危惧 横浜で
2025/2/7 10:50
https://www.sankei.com/article/20250207-XGELSVKT5FGOVOVXV2OLGIPJ3A/
日本女性の会神奈川は2025年2月6日、JR横浜駅前で今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓の導入に反対し旧姓の通称使用の法制度化を求める街宣活動を行った。
選択的夫婦別姓について、
「強制的親子別姓、強制的家族別姓です」
「家族がバラバラになります」
などと懸念を訴えた。
日本女性の会は日本会議の女性組織。
約20人の女性らがビラを配ったり、マイクで訴えたりした。
導入を求める側の人々が唱える
「選択制だから誰も困らない」
という訴えについては
「正しくありません」
「一番大きな影響を受けるのは子供です」
「選択制とはいえ、子供に選択の機会はありません」
などと危惧した。
同会は、4歳から高校2年まで10家族20人の子供に対し、それぞれの親から
「お父さんとお母さんが別々の名前になったらどう思う」
と尋ねてもらったところ、ほとんどが拒否感を示したという。
「家族がバラバラは絶対いや」
「うちは何家になるの」
との回答があったという。
同会神奈川の事務局長を務める横浜市の主婦、北島ゆり子さん(66)は
「子供は自分のことじゃなくて、親や家族全体のことを考えている」
「たかが名字、されど名字で、子供にとって大きな拠り所だと感じた」
と話した上で、
「子供の声は社会に反映されにくい」
と語り、丁寧な議論を訴えた。
北島さんは、10家族20人の調査について
「親にとっては、子供の考えを改めて感じ、絆が強まった機会になったといってくれた」
と述べ、選択的夫婦別姓の導入の是非が社会の話題になりつつある状況について
「反対派も賛成派も、改めて家族で『家族とは何か』『親子とは何か』を考える機会になれば一番いいと思う」
と語った。

夫婦別姓反対や通称使用法制化の推進を訴え 日本女性の会神奈川
2024/12/26 19:30
https://www.sankei.com/article/20241226-52IAT4YH4BMI3LSVHODYVHHQ5M/
日本女性の会神奈川は2024年12月26日、神奈川県藤沢市のJR藤沢駅前で
「夫婦別姓反対・通称使用法制化推進」
の街宣活動を行い、
「国民は選択的別姓制度を求めていません」
などと書かれたビラを配った。
参加したのは、同会や日本会議神奈川などの約10人。
メディアなどの調査をもとに、
「国民の7割が『別姓』に反対」
「中高生の9割以上が『別姓』に反対」
などと書かれたのぼりを掲げ、通行する人に
「姓の選び直しで社会は混乱する」
と語りかけ、通称使用の法制化を訴えた。

自民「創生日本」再始動、通称使用拡大案を提示「国の根幹めぐり党が割れるようでは…」
2025/2/5 18:55
https://www.sankei.com/article/20250205-5XCFEWLYMFOEZAAPSUVO5LP2FY/
安倍晋三元首相が会長を務めた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
は2025年2月5日、国会内で総会を開き、選択的夫婦別姓制度を巡り議論した。
総会の開催は約2年ぶりで、旧姓の通称使用を拡大する党内の複数の案が示された。
同制度の導入を巡っては党内で賛否が割れているが、同議連は通称使用拡大での意見集約を目指す方針だ。
「夫婦別姓は国民の間でも実際にどういうものか、実施したらどうなのかなど理解されていない点もある」
「議員も同様ではないか」
同議連会長代行の中曽根弘文元外相はこう強調した。
総会には、萩生田光一元政調会長や高市早苗前経済安全保障担当相、小林鷹之元経済安保担当相ら約40人が参加した。
この日は産経新聞の皆川豪志編集局コンテンツ統括を講師に招き、
「ごまかしの選択的夫婦別姓議論」
と題した講演も行われた。
皆川氏は、産経新聞が同制度について小中学生約2000人を対象に行ったアンケートの結果を説明し、
「国の根幹に関わる家族の在り方を巡り、党内の意見が割れるようでは有権者に見放されるのではないか」
と苦言を呈した。
同制度の導入には、立憲民主党などの野党に加え、連立を組む公明党も前向きな姿勢を示しており、今国会での焦点となる見通しだ。
自民では今月2025年2月中旬にも
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
での議論が本格化するが、推進派、慎重派が混在している状況で、党内議論は難航が予想される。
■「自民離れ加速」選択的夫婦別姓への懸念
一方、保守系議員を中心とした慎重派は、今月2025年2月に入って発信を強めている。
2025年2月4日には有志グループ
「保守団結の会」
が会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
慎重派の念頭には、家族の在り方を変えうる制度を導入すれば
「保守層の更なる自民離れが加速する」(中堅)
との懸念があるためだ。
ただ、安倍氏の死去後、党内の保守系議員の結集軸は失われたままだ。
慎重派が党内議論を主導できるかどうかの予測は難しい状況だ。

自民・高市早苗氏講演の「保守団結の会」に20人 出席議員一覧 旧姓通称使用の拡大を
2025/2/4 18:50
https://www.sankei.com/article/20250204-PWUCMPUC5JB4NIWYXAD7NLGAXY/
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が2025年2月4日、選択的夫婦別姓の導入の是非を巡り旧姓の通称使用の拡大を講演で訴えた保守系有志議員グループ
「保守団結の会」
には20人超の現職議員が出席した。
確認できた20人は以下の通り(敬称略)

≪衆院当選10回≫
高市早苗
≪当選6回≫
関芳弘
≪当選5回≫
黄川田仁志、中村裕之、簗和生
≪当選4回≫
三谷英弘
≪当選2回≫
石橋林太郎、尾崎正直、鈴木英敬、平沼正二郎、松本尚
≪当選1回≫
山本大地
≪参院当選3回≫
上野通子、北村経夫、西田昌司
≪当選2回≫
赤池誠章、佐藤啓
≪当選1回≫
白坂亜紀、田中昌史、若林洋平

選択的夫婦別姓巡り自民保守系活性化 5日に「創生『日本』」会合 党内意見集約は難航も
2025/2/4 18:42
https://www.sankei.com/article/20250204-UHSO75LGNNK2ZO6HRYKGPFVVIY/
自民党の保守系議員が、選択的夫婦別姓制度の導入に否定的な発信を強めている。
有志グループ
「保守団結の会」
は2025年2月4日、党本部で会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
立憲民主党が制度導入法案の提出を予定するなど、夫婦別姓を巡る議論が今国会の焦点の1つに浮上する中、石破茂首相(自民総裁)は、早期に党見解を取りまとめたい考えを示す。
ただ、党内は慎重派と推進派で割れており、意見集約は容易ではない。
「今、自民がやらなければいけないことは、公約を守り、多くの方の不便を更に解消できる法案を出すことだ」
高市早苗前経済安全保障担当相は2025年2月4日の保守団結の会の会合で、同制度の導入ではなく、自民が選挙公約に掲げた旧姓の通称使用の拡大を推進するべきだとの考えを重ねて強調した。
2025年2月5日には、安倍晋三元首相が会長を務めた自民内の保守系議連
「創生『日本』」
が夫婦別姓をテーマに会合を開く。
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
も近く会合を予定しており、保守派による発信が活発化している。
衆院で与党が過半数割れする中、立民が今国会に同制度導入の法案を提出すれば、可決される可能性がある。
自民の保守系議員は慎重論で党内をまとめたい考えだが、旧姓の通称使用の拡大についても、党内に複数の案があり、意見の集約には至っていない。
■慎重派に危機感
自民の森山裕幹事長は今国会で関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張する。
推進派を中心に
「党議拘束をかけない方がいい」
という意見が燻っていることが念頭にある。
自民の
「氏制度の在り方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部は2025年2月4日、国会内で今後の議論の進め方などについて協議した。
出席者の1人は、今月2025年2月中旬にも党内で議論の場を設ける考えを示した。
慎重派のベテラン議員は
「通称使用の案を早く取りまとめて、党内の導入賛成派の人も含めて合意を得なければならない」
と危機感を示す。

「選択的」別姓論の大いなる逆説 何が「個」を失わせるか
正論2025年3月号 早稲田大学非常勤講師 大場一央
「早稲田なんか入りたくなかった」
「自分は東大に行くはずだった」。
こう思った学生が、いつまでも早大生と名乗ることを嫌がって学内で孤立する。
「私は栄光ある巨人軍で長年プレーしてきた」
「今度北海道日本ハムファイターズに移籍するが、
『いつまでも自分は巨人の何某である』
と宣言する」。
こんな新入団選手を、ファイターズファンは複雑な気持ちで見つめる。
結婚して別姓を
「選択」
するということは、そういうことだ。
結婚したての頃は、相手方の親族とどういう距離感で付き合うべきかも分からず、一方で夫婦の考えや感性の擦り合わせも行わなければならないから、実は最も苦しく孤独な時期である。
そんな時期に、男性側の姓にせよ女性側の姓にせよ、結婚したにもかかわらず別姓を
「選択」
するということは、相手方の親族に対して、あなたがたのチームに入る気はありませんと、出会い頭に拒絶していることになる。
別姓が強制されるならまだしも、
「選択」
は当人の意思が際立つ。
最悪の一手を打ってしまったと言うしかない。
子供を授かったら更に深刻だ。
とかく子供は親の喧嘩に敏感である。
黙っていられるならまだしも、どちらに味方するか迫られたら、どちらも悪く言うのは嫌だから、困った挙げ句に泣きたくなる。
白紙のような頭と心に刷り込まれた親の考え方や感性は、良くも悪くもかなり長い間、子供を支配する。
その親が2つに分かれ、子供にいずれかの姓を
「選択」
させる。
これはチームが分かれるどころか、子供の人格を作るモデルの分裂であり、アイデンティティーもへったくれもない。
ここで争おうものなら、離婚した両親が親権を争う姿を見て、自分の存在そのものを否定してしまうような、不幸な自意識が生まれても不思議ではない。

選択的「夫婦」別姓は強制的「親子」別姓だ こんなにある致命的欠陥
正論2025年3月号 元東京新聞編集委員 椎谷哲夫
数年前、元文科事務次官の前川喜平氏がSNSでこんな発言を醸した。
「同性婚も選択的夫婦別姓も、それで幸せになる人がいて、不幸になる人はいないのだから、誰にも反対する理由はない」
「反対する人は、自分の好き嫌いを人に押し付けて、人を不幸にしているのだ」
自由な議論を行うことが民主主義の根幹であるはずだが、前川氏は自分と意見の違う人たちを黙らせようとした。
「選択的夫婦別姓」
は、こんなにも人を攻撃的にしてしまうのか。
公明党とも連携して別姓法案を国会で通そうとする立憲民主党の野田佳彦代表は採決で
「(自民党の賛成議員を)炙り出す」
と言い放った。
理はこちらにあるから決着をつけようということらしい。
だが、選択的夫婦別姓には、解決しようのない問題がいくつもある。
30年ほど前、別姓導入を打ち出した法制審議会は、子供の姓を
「いつ決めるか」
で揉めた。
制度導入の最大の弱点だから、今も決着はついていない。
別姓派の理論的支柱である民法学者は
「戸籍」
をばらばらにして
「個籍」
にするべきだと言っている。
「戸籍の解体」
だ。
まだある。
仮に選択的夫婦別姓が導入されても
「夫婦同姓を維持して旧姓の通称使用を法制化してほしい」
という多数派のニーズは満たされず放置されるのだ。
■「子供の姓いつ決めるか」で対立
選択的夫婦別姓は、片方の親と子が必ず別姓になる
「親子別姓」
である。
家族の中に異なる2つの姓があるということで言えば
「家族別姓」
である。
更に、子供の意思と無関係に親の都合で子供が別姓を強いられるという意味では
「強制的親子別姓」
と言ってもよい。
選択的夫婦別姓の法案要綱を答申した法制審議会に法務省参事官として関わった小池信行氏も講演録『夫婦別姓を考える(『法の苑』2009年春)』の中で
「夫婦別姓の問題は最終的には子の氏の問題に帰すると思っている」
と語っている。
選択的夫婦別姓にした場合、
「いつ子供の姓を決めて届けるか」
が問題になる。
最大の要点であり、難点でもある。
平成8(1996)年2月に法務省の法制審議会が答申した
「民法の一部を改正する法律案要綱」

「婚姻の際に届ける」
としている。
これに対し、立憲民主党・共産党など野党が令和4(2022)年6月に共同で国会に提出した
「民法の一部を改正する法律案」

「出生時に届ける」
としている。
立憲民主党など野党は与党の公明党も引き入れ、この法案を再提出して閉会中の通常国会(2025年6月中旬会期末)で成立させようとしている。
実は30年近く前の法制審議会で、子の姓の決め方について意見が真っ二つに分かれて揉めた経緯がある。
■「婚姻時の届け出」は憲法違反
当時、民法部会員として審議に加わった元都立大法学部長の唄孝一氏(故人)は『家族ージェンダーと自由と法』(水野紀子編)で
「子供の氏について意見が違ったわけである」
「これは最終的に案を決める上でネックになったものであった」
と振り返っている。
唄孝一氏によると、原案(法制審議会の法律案要綱)については、前述のように
「婚姻の際に届ける」
ことになっているため
「婚姻の要件を加重する」
との批判があった。
婚姻するために新たな条件が負担として加わると考えれば分かり易い。
これについては、前述の講演録
『夫婦別姓を考える』
で小池信行氏も言及している。
「婚姻というのは憲法に夫婦の間の合意さえあれば成立すると書いてあるではないか、それなのに子供の氏を決めなければ婚姻ができないのは憲法違反である」
との強い批判があろと指摘。
更に
「結婚しても子供を作らないという夫婦や、あるいは年齢的にもう子供ができないという夫婦についても、生まれてくる子供の氏を決めなさいというのは、心理的な抵抗があることを挙げる人もいる」
「つまり子供は自分たちには不要だと考えている人たちにも、子供の氏を決めないと婚姻届を受理しないのは酷ではないか、そういう反対論がある」
というのだ。
■「出生時の届け出」で「姓の取り合い」も
これに対し、立憲民主党などの
「出生時に届ける」
という考え方も致命傷になりかねない問題を抱えている。
この案は法制審議会の
「婚姻の際に届ける」
の対案として出たものだ。
出生届は生後14日以内だが、その間に決まらなかったら、どうするかという問題が出てくる。
立憲民主党はHPに
「(夫婦間の)協議不調・協議不能の場合は家庭裁判所の審判に委ねる」
と記している。
だが、家裁が何を基準に子供の姓を決めるというのか。
前述の小池信行氏は
「家庭裁判所が多分頭を抱えることになる」
と指摘する。
離婚の判決で未成年の子の親権を決める際は、夫婦と子供には、それまでの生活があるから判断材料がある。
子供から意見を聴くことも可能だ。
だから、父母のどちらが適任かを判断できる。
しかし、子供を授かったばかりなのに、どちらが人格的に優れ、経済力があるかで決められる性格のものではない。
赤ちゃんは意思表示などできない。
双方の実家が
「うちの姓にして欲しい」
と介入し、子の姓の取り合いになる可能性だってある。
夫婦が一緒に暮らすわけだから、双方が完全に納得しないと、その後の家庭生活にも影響する。
審判が長引けば
「戸籍のない子」
になったり、訴訟に発展する恐れもある。
夫婦同姓の子であれば、生まれた瞬間に姓が決まり、摘出でない子も母の姓に決まるのに、別姓夫婦の赤ちゃんは、出生直後から
「不利益」
を被ることになる。
平成6年に批准した
「児童の権利に関する条約」
の第7条には
「児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし・・・」
とある。
そんな欠陥を抱えたまま別姓法案を通そうとしても、国民感情が許さないだろう。
■経団連も「子の不利益」を素通り
経団連は夫婦別姓について
「先送りできない最重要課題」
だと主張し、政府を揺さぶっている。
企業の経営者だって家族の一員なのだが、ビジネス上の利益確保という視点だけで問題の可否を論じようとしている。
筆者は令和6(2024)年6月、日本記者クラブで行われた経団連のダイバーシティ推進委員長である魚谷正彦氏(当時資生堂会長)の講演で、親子の姓の分離の問題についての見解を求めた。
魚谷正彦氏は
「私は非常に大変重要なことだろうと思っているが、経団連としてどうすべきだ、こうすべきだというスタンスは取っていない」
と答えた。
「組織として関知しない」
ということなのか。
余りにも無責任だ。
■3択の世論調査こそ民意反映
東京地検特捜部出身で元法相の山下貴司氏は、令和6年12月の衆院予算委員会の質疑で石破茂首相を前に、選択的夫婦別姓制度は
「硬直的制度」
であり
「家族別姓か、旧姓を法律上の姓として使用することを諦めるかという究極的な選択を迫るものだ」
と述べた。
選択的夫婦別姓が導入されても、
「夫婦同姓を前提に通称使用を法制化する」
という国民のニーズは満たされない。
だから、選択的夫婦別姓制にしない限り、法的根拠をもって旧姓を使うことはできない。
山下氏の言う通りである。
国会でのこれまでの質疑を聴いていると、立憲民主党や公明党などの国会議員は、選択的夫婦別姓の正当性を訴えるのに、
「賛成」
「反対」
の2択の調査結果しか使わない。
その方が都合の良い結果が出るからだ。
朝日新聞の令和6年7月の2択の世論調査は
「賛成」73%
「反対」21%
NHKの令和6年7月の世論調査は
「賛成」59%
「反対」24%
だった。
共同通信や日本経済新聞・毎日新聞も同様だ。
これに対し、内閣府の世論調査は3択だ。
令和3年12月の調査(翌年令和4年3月公表)は
「夫婦同姓を維持した上で旧姓の通称使用の法制度を設けた方がよい(42.2%)」
「現在の夫婦同姓の制度を維持した方がよい(27%)」
「選択的夫婦別姓の制度を導入した方がよい(28.9%)」
だった。
令和6年7月の「JNN」(TBS系列のニュースネットワーク)の調査も、
「同性を維持しつつ旧姓を通称としてどこでも使えるように法制化すべき」
が最も多い47%になり、
読売新聞の令和6年9月の調査も
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称使用として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
が最多の47%を占めた。
ちなみに、産経新聞・FNNは、短期間に2択と3択を分けて訊いている。
令和6年7月の調査は、朝日新聞やNHKと同じ2択で、
賛成66.6%
反対25.5%
だった。
令和6年9月の調査は
「夫婦同姓を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる法整備をする」
との選択肢を加えた回答を求めた。
その結果、追加した選択肢が最大多数の46.5%となり、賛成は38.9%、反対派12%に減った。
数字だけ見ると、賛成と反対で減った分の合計41.2%に、2択で賛否を明らかにしなかった5%が加わったことになる。
この結果をどう捉えればよいのか。
2択で「YES」か「NO」を迫られたら、割り切れなくてもどちらかを選ぶしかない。
「選択的だから」
という程度の判断で決めた人が多かったと想像できる。
これに対し3択は、選択肢が多くなった分、回答者の隠れていた意思が表に現れたと言える。
どちらが民意を反映しているかは、考えるまでもないだろう。
それでも、別姓推進派はそうした
「不都合な真実」
を無いことにしてしまう。
朝日新聞やNHK、共同通信など選択的夫婦別姓導入に熱心なマスコミは、国民世論の意思を2択でしか探っていない。
一体何を恐れているのか。
■個人籍への移行は「戸籍の解体」
選択的夫婦別姓制度を導入した場合に
「戸籍」
がどうなるかも心配だ。
福島瑞穂・社民党党首は平成5(1993)年に当時の日本社会党機関誌局が出した
『夫婦別姓 家族をここからかえる』

「Q&A」
に、
「個人の尊厳という観点からはこの際思い切って個人登録にすべきだ」
とした上で、
「(個人登録は)個人単位になるわけですから『戸籍制度』という言葉自体もなくなるべきです」
と書いている。
「個人単位の登録」
については、選択的夫婦別姓制度導入運動の後ろ盾である立命館大学名誉教授の二宮周平氏も同じ主張を繰り返している。
『中央公論』(2022年6月号)では
「現実の家庭生活は(中略)多様な家庭生活・私生活が共存している」
「それにもかかわらず、夫婦と子という特定の家族像を基本にすることは、最早現状に合わない」
「戸籍制度も、多様な家族の在り方を保障し、支える制度にする必要がある」
と述べ、その編製を
「個人単位にすべき」
と主張している。
そして、
「各自が言わば筆頭者となり、自分を中心に、自分との関係で父母・配偶者・子を記載する形式こそ、自分が『人生の主人公』であることを明瞭に示すものであり、憲法の理念に忠実なものである」
と説いている。
■「戸籍維持」とは言わぬ井田氏
二宮氏は、編製上の問題であって戸籍の廃止ではないと言うが、一般国民の感覚からすれば
「戸籍の解体」
である。
選択的夫婦別姓制度が導入されると、社会制度上の統一性がないから、最終的には圧倒的少数派の
「個籍」
に収斂されていくであろう。
その時、戸籍という言葉は消える。
彼らの主張の背景には、現行の
「戸籍の筆頭者」
が、戦前までの家制度の名残りだという考え方がある。
筆頭者とそうでない家族との間に
「主従関係」
を持ち込むというのだ。
選択的夫婦別姓運動を主導してきた人々の
「共通の認識」
にもなっている。
井田奈穂氏が事務局長を務める
「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」
は、HPの
「選択的夫婦別姓Q&A」
にわざわざ
「戸籍の問題も戸籍を維持しているのも日本だけですので、戸籍を維持していくかどうかは別途議論の余地はある」
と記している。
「戸籍は維持する」
とは言っていないのだ。
■「家名存続なんて幻想の産物」
「改姓するとアイデンティティが失われる」
という意見がある。
自分が生きて来た家庭の
「アイデンティティ」
を、結婚後の新しい
「絆」
よりも優先するということだ。
法学・社会哲学者の青木孝平氏は
「夫婦の別姓がもたらすものは、夫と妻という他人同士の紐帯よりも、結婚後もそれぞれが生家の親との関係を重視する血縁的紐帯への過剰な依存である」
と自著で説く。
「一人っ子の男女がそれぞれの実家の家名を守るには別姓しかない」
と言う人もいる。
その場合、双方の実家(祖父母)は、孫にも家名を継いで欲しいだろう。
だが、子供が生まれるとは限らないし、生まれたら姓を振り分ける必要がある。
一人っ子なら、両家に
「姓の取り合い」
の感情も生まれる。
社民党党首の福島瑞穂氏が『楽しくやろう夫婦別姓』(1989年)に書いている。
「家名存続なんていうのは、元々幻想の産物である」
「娘夫婦が別姓になったとしても、孫が生まれないかもしれない」
「そしたら、そこで終わり」。
姓の決定は
「自己決定権(人格権)」
に属し、親から受け継いだ姓に縛られる必要はないというのが夫婦別姓派の主流だ。
■「別姓」に庶民が反発した歴史
選択的夫婦別姓導入を求める人たちが
「日本は元々、夫婦別姓だった」
というのは明らかな間違いだ。
彼らがその根拠の1つにしているのが、NHKの大河ドラマにも登場した北条政子だ。
源頼朝の正妻なのに、父親の北条時政の
「名字」
を名乗っているから
「別姓」
だというわけだ。
頼朝の
「源」
は天皇から与えられた血統を示す
「氏(うじ)」
であり、出自の異なる妻がこれを名乗ることはあり得ない。
そもそも、
「北条政子」
という呼称自体が、後世になって、人物を特定するために書物などで便宜的に使われるようになったものだ。
研究者によると、名字(苗字)は室町時代から江戸時代にかけ庶民にも広がった。
江戸末期の1801(享和元年)に幕府は
「苗字帯刀の禁令」
で武士や名主以外は使うことを禁じた。
それでも庶民は非公式に名字を使った。
明治政府は
「平民苗字必称令(明治8年)」
で全国民が名字を名乗ることを義務化し、翌年明治9年の太政官指令で
「妻は別苗字」
にするよう求めた。
古来の公家や武家の血統を示す
「氏(うじ)」
の概念を庶民に押し付けたもので、夫婦同姓を慣習としていた庶民は強く反発した。
その声を吸い上げた東京府は明治22(1889)年、政府にこんな上申書を上げた。
「凡ソ民間普通ノ慣例ニ依レバ、婦ハ夫ノ氏ヲ称シ、其生家ノ氏ヲ称スル者ハ、極メテ僅々ー」
(民間の慣例では妻は夫の氏姓・苗字を称しており、実家の氏を称する者は極々少ない)。
庶民は同姓を続けたが建前としての夫婦別姓が続いた。
明治31(1898)年には、日本初の民法に
「戸主及ヒ家族ハ其ノ氏ヲ称ス」
とする
「夫婦同姓」
が規定された。
■間違った通称使用の弊害を喧伝
経団連が喧伝する
「通称使用の弊害」
についても述べておきたい。
「DEI社会の実現を目指して」
と題する資料には
「海外に渡航する際の弊害」
の一例として
「空港ではパスポートのICチップのデータを読み込むがそこに旧姓は併記されていない」
「よってゲートでトラブルになる」
との事例がある。
意味不明な
「弊害」
だ。
旅券面に
「旧姓」
併記があっても、確かに入国審査官がチップを読み取るモニターには本名(戸籍名)が表示される。
しかし、航空券と照合する場合でも、チケットは
「本名記載」
だからトラブルになりようがない。
外務省が在外公館に問い合わせても、モニター表示が原因でトラブルになった事例は確認できないという。
入国審査のやり方は国によって千差万別だ。
普通はあり得ないが、旅券面の
「Former surname(旧姓)」
をたまたま見た入国審査官が
「これは何だ」
と訊いて、これにうまく説明できなかったということなのか。
外務省は、そのためにも渡航者に併記した英語のリーフレット配布しているのだ。
経団連の十倉雅和会長は昨年2024年、記者会見で
「改姓後に旧姓時代の研究論文の実績が認識されないといった弊害も耳にする」
と語った。
十倉会長は、世界中で100万人の研究者や権威ある研究機関が使っている
「ORCID(オーキッド)」
という登録システムを知らないようだ。
世界には同姓同名もあるし、結婚で改名した人、ペンネームを使う研究者も多い。
割り振られた16桁のID番号(数字)が、例えば結婚前の旧姓と戸籍を紐付けて人物の識別・特定ができるのだ。
日本でも登録を推奨する大学や団体が増えている。
■「経過措置」で既婚者も混乱か
この問題では
「これから結婚する人が対象だから私には関係ない」
という考えは禁物だ。
実は立憲民主党などの別姓法案には2年間の
「経過措置」
がある。
要は、既婚者に
「2人が合意すれば、今なら旧姓に戻せますよ」
と煽るような内容だ。
妻が
「我が家も別姓にしたい」
と反対する夫と揉めるケースも出てくるだろう。
全国の同性夫婦を対象にした
「姓の選び直し」
だから、他人事ではないのだ。

選択的夫婦別姓、子供の姓の扱い「議論されてない」 国民・榛葉氏、期限区切る動きに慎重
動画
2025/1/30 19:15
https://www.sankei.com/article/20250130-J5UGWSPWNVFTLLFPFDGAZ462VU/
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2025年1月30日、産経新聞の単独インタビューに応じ、選択的夫婦別姓制度の導入について、子供の姓の扱いなどに
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
と指摘。
一定の期限を区切って議論することに慎重な考えを示した。
榛葉氏は、制度の導入自体は
「成人の男女が(姓を)選択できるようにすることは、党がかねてマニフェスト(政権公約)で賛成している」
として、改めて賛意を示した。
ただ、
「問題は子供で、親子別姓という問題はあまり議論されていない」
と指摘した。
「兄弟で名字が変わったり、子供が(姓を)強制されたりするようになると、子供の目線からどうなのか」
「家族の問題もある」
とも語り、子供の扱いに関する制度設計が不十分なことに強い懸念を示した。
一部野党には、夫婦で子供の姓に関する意見が対立した場合、最終的に家庭裁判所で決める案もあるが、榛葉氏は
「家裁が決める話でない」
とも語った。
立憲民主党は、意見が割れる自民党の状況も見据え、今国会中の関連法案成立に意欲を見せるが、榛葉氏は
「政局や選挙の道具にすべきでない」
とも言及。
性急に結論を出すのではなく、制度設計の議論を徹底するよう求めた。
「大人の論理だけでなく、子供の学びや育みを考え、慎重に議論すべきだ」
とも強調した。

自民は旧姓使用拡大で一致を
阿比留瑠比の極言御免
2025/1/30 1:00
https://www.sankei.com/article/20250130-DGDTNV3NRZKT7MW5M4KSDHKE3U/
米国でトランプ大統領が復権を果たし、世界が目まぐるしく動いている一方、国会では十年一日の如く選択的夫婦別姓がどうの同性婚がどうのと内向きな議論が続いている。
そうした中で自民党の森山裕幹事長が夫婦別姓制度の導入を巡り、国会採決に当たっては
「党議拘束をかけないで結論を見い出すことは出来るだけ避けるべきだ」
と発言して注目を集めている。
これに関しては、選択的夫婦別姓に賛成の立場で党所属議員を縛ろうとしたとの見方も出たが、複数の自民党閣僚経験者は
「それは逆だ」
と説明する。
反対に、片方の親と子供が必然的に別姓となり、兄弟、姉妹同士が別姓となる可能性もある立憲民主党の民法改正案を成立させないことが目的だというのである。
「党議拘束をかけないと、党内にいる数十人の別姓賛成派・推進派が協力して立民の改正案が成立してしまう」
森山氏は別姓推進論者の中には、戸籍そのものをなくして
「個籍」
にすることを目指す人がいることを危惧しているのだという。
確かに、別姓推進論者には社民党の福島瑞穂党首のように著書にこう記した人もいる。
《私は、子供が18歳になったら家族解散式≠ニいうのをやろうと思っていて、それ以降は、パートナーと子供ともスープのさめない距離に住んで、名実共に個人単位で暮らしていきたいなと思っている》
《家族だって、ひとつの定義にすぎない》
《家族も個人のネットワークなんだ》
家族という社会の基本単位をなぜなくしたいのか、どうしてそこまで孤独に陥りがちな
「個」
に拘るのか理解に苦しむが、ともあれそういった指向性の議員は一定数いるのだろう。
それでは、自民党は党議拘束をかけて採決に臨むために、どんな法案を出そうというのか。
現在、広がっているのが
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」(萩生田光一元政調会長)
という考え方である。
実際、今月2025年1月の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査でも、選択的夫婦別姓制度導入に
「賛成」
の自民党支持者の割合は24・7%にとどまる。
一方で、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は49・8%に上り、納得が得られやすい。
石破茂首相(党総裁)も、2025年1月26日配信のインターネット番組で、選択的夫婦別姓について党内の賛否が割れている現状を踏まえて
「どちらの考え方にも偏れないとするならば、折衷案もありうべし」
と述べた。明言はしなかったが、旧姓使用の拡大・制度化を指すとみられる。
首相は元々別姓賛成派だったが、
「党をまとめる立場になると『俺の考え方についてこい』とならない」
とも語った。
自民党には、高市早苗元政調会長のように既に2度も党法務部会にこの法案を提出している議員もいる他、複数の議員がそれぞれの旧姓使用の拡大案を唱えている。
戸籍法改正と特別立法が必要なものや特別立法のみのもの、民法と戸籍法の双方の改正が必要なもの…と数種類あるが、これらを党内で議論してまとめていけばいい。
以前は選択的夫婦別姓に
「賛成」

「反対」
の2択だった各種報道機関の世論調査の設問も、最近は
「同姓を維持して旧姓使用を拡大」
という第3の選択肢を加えて聞く例が増えた。
その結果、別姓賛成派が多数派ではないことは最早明らかである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「旧姓の通称使用拡充が現実的」自民・小林鷹之氏、選択的夫婦別姓に疑問呈す
2025/1/28 18:02
https://www.sankei.com/article/20250128-VTTJDJNV5BOV7K7EFKBAAKEHD4/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相(衆院千葉2区)が、どちらかの親と子供が別姓になる選択的夫婦別姓に関し性急に結論を出すことに疑問を呈し、発信を強めている。
2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べた。
2025年1月25日にはこの発言を補う形で、X(旧ツイッター)に
「婚姻による改姓で不便を感じる方がいるのは事実で、そのニーズを解消するアプローチとして旧姓の通称使用の拡充や周知徹底による対応が現実的な解と考えます」
と投稿し、夫婦別姓の導入を
「慎重に臨むべきと考える」
と強調した。
理由として
「『子供の視点』を大切にすべき」
とも指摘。
「子供の選択権の有無、有るとした時にいつ、どういう状況で行使できるのか」
「夫婦間で揉めた場合、家庭裁判所が判断するのか」
といった論点を挙げた。
その上で、
「年限を区切り、拙速に結論を決める性質の話ではない」
「姓の在り方に関する議論は、時間をかけてでもしっかりと議論することが重要」
「合意形成に時間と労力はかかるが、粘り強くやることが大切だ」
と結んだ。

「いつまでも結論を先延ばしてよい問題ではない」 選択的夫婦別姓巡り石破茂首相が答弁
2025/1/27 14:33
https://www.sankei.com/article/20250127-HSONVJOP4BICTGPW2UTPQMJSGM/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月27日の衆院代表質問で、選択的夫婦別姓制度導入の可否について
「国民の関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしてよい問題とは考えていない」
と答弁した。
党としての意見集約に関しては
「議論の頻度を上げ、熟度を高めて参りたい」
と述べるにとどめた。
選択的夫婦別姓制度に対し、立憲民主党や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。

自民の小林鷹之氏、夫婦別姓論議に疑問「優先順位付けると、もっとやるべきことある」
2025/1/24 23:45
https://www.sankei.com/article/20250124-R63I26QYBRPL7EEK2FBUAULT3M/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相は2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で、選択的夫婦別姓を巡る論議に疑問を呈した。
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べ、経済や防衛力の強化に取り組むべきだと強調した。

「首相が賛成打ち出せば党割れる」自民、夫婦別姓で2月中旬に議論本格化も意見集約難しく
2025/1/24 19:39
https://www.sankei.com/article/20250124-AHRH2TP2RZL6LDBS2REEZVPTTA/
通常国会が召集された2025年1月24日、選択的夫婦別姓制度に関する自民党の
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部らが協議し、2025年2月中旬にも議論の場を設けて党内議論を本格化させる見通しとなった。
党内で賛否が割れており、意見集約は難航しそうだ。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を提出する方針で、今国会の大きなテーマとなる。
WT座長の逢沢一郎衆院議員や小野寺五典政調会長らが2025年1月24日、国会内で協議した。
出席者の1人は
「先の衆院選で新たに当選した議員もいる」
「WTで党としての議論を整理した方がいい」
と語った。
立民が民法改正案を提出すれば、令和7年度予算成立後の今春にも国会審議が始まる可能性がある。
自民は2025年2月中旬から党内議論を加速させる。
とはいえ意見集約は簡単ではない。
自民党内に推進派と慎重派が混在しているからだ。
保守系議員を中心に、家族の在り方を変える可能性がある選択的夫婦別姓制度への慎重論が根強い。
一方、
「夫婦同姓で不自由を感じている人がいるのは事実だ」(中堅議員)
と制度導入を求める声も多い。
菅義偉政権下の令和3年にWTを設置した際も議論が紛糾し、論点整理をまとめたが、制度導入の是非には踏み込まずに結論を先送りにした。
慎重派の一部は今回、自民が賛成に傾かないよう党内議論を主導すべく、水面下で話し合いを重ねている。
ある保守系議員は
「もし石破茂総裁(首相)が賛成を打ち出せば党が割れる」
と語る。
推進派には、法案が国会に提出された際には
「党議拘束をかけない方がいい」(若手)
との意見がある。
これに対し、森山裕幹事長は2025年1月24日、記者団に
「1つの意見にまとめて国会に臨むことが大事だ」
と党議拘束の必要性を主張した。
立民の野田佳彦代表は2025年1月24日の記者会見で
「大事なことはなるべく多くの野党が連携すること」
と野党各党による民法改正案の共同提出を目指す考えを示した。
同時に
「与党からも賛同を得たい」
「特に公明党はぜひ実現したいという意向をお持ちだ」
と述べ、与党の公明との連携にも期待を寄せた。

石破首相、選択的夫婦別姓巡り「早期に自民案まとめ与党協議に」 公明の斉藤代表と会談で
2025/1/22 16:01
https://www.sankei.com/article/20250122-K4EH2ATLRJLMBPNKFQIRESITUE/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月22日、公明党の斉藤鉄夫代表と官邸で会談し、斉藤氏が求める選択的夫婦別姓制度の実現に向けた自公両党の実務者協議について
「できるだけ早い時期に自民の案をまとめ、与党案の協議に入りたい」
と応じた。
会談後、斉藤氏が記者団に明らかにした。
斉藤氏は
「自民の中にも様々な意見があり、まとまっていない」
「まとめる努力をして頂くことが大事なので待ちたいが、できるだけ早い時期に始めなければいけない」
と述べた。

選択的夫婦別姓、石破首相「わが党としてどうなのか明らかに」自民役員会で指示も党内異論
2025/1/21 20:20
https://www.sankei.com/article/20250121-H4QO74K43VJPFFBOLKDFGU4CSM/
選択的夫婦別姓制度を巡り、石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の党役員会で、通常国会で党としての考え方を取りまとめるよう指示した。
自民、公明両党の幹事長は同日、両党間で同制度の協議を進める方針を確認した。
自民は2025年1月24日の国会召集後の来月2025年2月にも党内議論を再開する見通しだが、家族の在り方を変える可能性がある同制度には慎重論や異論も根強く、党内議論の行方は見通せない。
■議論するほど課題
首相は2025年1月21日の党役員会で、選択的夫婦別姓制度に関し
「色々な考え方が党にもある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と呼び掛けた。
役員会に先立ち、自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長が会談し、両党間で共通認識を持ち、国会論戦に臨む方針を確認。
同席した自民の坂本哲志国対委員長は記者団に、子供の姓の選択など様々な論点があると指摘し
「論議すればするほど課題があるということを(自公が)お互いに認識した」
と述べた。
通常国会では、立憲民主党が選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案の提出を予定しており、令和7年度予算成立後の今春にも国会での議論が本格化する可能性がある。
一部の野党だけでなく、公明も推進派だ。
■紛糾避けられず
一方、自民では党内の賛否が割れている。
保守系議員を中心とする慎重派は保守支持層の
「自民離れ」
の更なる加速を懸念し、2025年1月21日の党総務会では出席者の1人が
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
と求めた。
鈴木俊一総務会長は記者会見で
「党の中でも色々な意見があるが、スケジュールありきで拙速に決めるのではなく、十分な議論をした上で納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
との考えを示した。
萩生田光一元政調会長は2025年1月10日のインターネット番組で同制度導入に反対し、
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓を奨励するのは如何なものか」
と述べた。
今後の党内議論の舞台は
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」(座長・逢沢一郎衆院議員)
となるが、紛糾は避けられない。
慎重派は近く会合を開く予定。
一方、
「制度の導入は社会に求められている」
「必要だ」
(中堅)
との声もあり、賛否が混在する状況に自民ベテランは
「党が割れかねない」
と語った。

選択的夫婦別姓「大事な案件。丁寧に取り扱ってほしい」 自民総務会で出席者から意見
2025/1/21 12:27
https://www.sankei.com/article/20250121-ZXOETUYMP5NLVDMHGQ434L2BLQ/
自民党の鈴木俊一総務会長は2025年1月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓制度を巡り、同日の総務会で出席者から
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
との意見があったことを明らかにした。
選択的夫婦別姓制度は2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる見通しだが、自民内では同制度の導入に関して賛否が割れている。
鈴木氏は
「発言は(議論を)拙速に進めるなということであったと思う」
との見方を示し、
「国民の中でも意見が割れている」
「スケジュールありきで決めるのではなく、十分な議論をした上で、納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
と語った。

石破茂首相「わが党としてどうなのだと明らかにしていく必要ある」 選択的夫婦別姓巡り発言
2025/1/21 11:45
https://www.sankei.com/article/20250121-N7BG5NCPERML7BCW34HOE5NMUY/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の自民役員会で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度について
「色んな考え方が党にある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と述べた。
森山裕幹事長が役員会後の記者会見で明らかにした。
首相は、通常国会に臨む姿勢に関しては
「臨時国会と基本的に変わるものではないが、臨時国会で不十分だった所を指摘頂きながら臨みたい」
と強調。
召集日に行われる施政方針演説については
「今年2025年は戦後80年となる」
「国造りの基本軸や、令和の列島改造などなるべく具体的に示したい」
と説明した。

選択的別姓 自民支持層「賛成」24%、立民51% 「通称使用」は立民でも39%
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 18:10
https://www.sankei.com/article/20250120-4XRHISQ6DVJK3KHMD5J4OOCYGA/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、選択的夫婦別姓制度導入の可否を巡る自民、立憲民主両党支持層の見解の差が鮮明になった。
自民の「賛成」の割合は24・7%にとどまったのに対し、立民は51・5%に達した。
一方、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は自民では49・8%、立民でも39・9%を占め、支持政党を問わず希望が根強い傾向が浮かんだ。
選択的夫婦別姓制度に対し、立民や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。
別姓制度導入の法整備に
「反対」
と答えた人は、自民支持層に限ると21・5%となり、全体の14・7%や立民支持層の7・3%を上回った。
「通称使用を広げる」
との回答は、自民、立民以外の政党の支持層でも一定の割合を占め、公明と日本維新の会、国民民主党がそれぞれ4割強、共産党が3割強だった。
「賛成」
は共産で約半数に達し、公明が半数弱、維新と国民民主がそれぞれ3割強となった。
男女・年代別でみると、
男性の場合、「賛成」は18歳〜20代の47・5%が最も高く、「通称使用を広げる」は50代の52・0%、「反対」は70歳以上の24・1%が最高だった。
女性は「賛成」が30代(63・6%)、「通称使用」が60代(59・6%)、「反対」が70歳以上(24・0%)でそれぞれ最も高かった。
「通称使用」
と答えた割合は、男性全体で43・0%、女性全体で47・4%となり、年代別で最も低かった30代女性でも31・4%を占めた。
2025年1月24日召集の通常国会では選択的夫婦別姓制度の法整備が焦点の1つとなるが、導入推進派の政党には通称使用拡大の余地を検討する雰囲気は乏しい。
立民支持層ですら約4割に達する意見を軽視するなら、幅広い民意を踏まえた議論とは言えなくなりそうだ。

「選択的夫婦別姓」6割が導入否定的 世論調査の質問と回答(1月18〜19日)
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 13:03
https://www.sankei.com/article/20250120-HM6MG2V7XFOOPHBBNZJM4G3UNQ/
【問】希望すれば、夫婦それぞれが結婚前の名字を名乗ることができる「選択的夫婦別姓」について、立憲民主党や公明党は今年の通常国会で実現させるための法案の成立を目指している。「選択的夫婦別姓」導入の法整備についてどう思うか
夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる45.2
賛成37.5
反対14.7
他2.6

【問】石破茂内閣を支持するか
支持しない48.7(47.7)
支持する43.5(45.9)
他7.8(6.4)

【問】どの政党を支持するか
支持政党はない37.0(36.9)
自民党29.4(28.1)
立憲民主党10.1(9.0)
国民民主党7.2(11.3)
れいわ新選組3.5(2.9)
日本維新の会2.5(3.2)
公明党2.8(2.4)
他2.6(1.8)
共産党2.2(2.7)
日本保守党1.1(0.5)
参政党0.8(0.7)
その他の政党0.4(0.2)
社民党0.3(0.6)

【問】去年末の臨時国会では、衆院で過半数を割り込む与党が野党の修正要求を受け入れて補正予算が成立した。与党が野党の要求を受け入れる国会対応について評価するか
ある程度評価する57.1
あまり評価しない23.5
非常に評価する7.9
全く評価しない6.5
他5.0

【問】政治資金を巡る問題について、政策活動費の廃止など、政治資金規正法が与党と野党の賛成多数で改正された。政治とカネを巡る問題で自民党の信頼が回復したと思うか
信頼は全く回復していない44.4
信頼はあまり回復していない43.1
信頼がある程度回復した10.4
他1.5
信頼が大きく回復した0.5

【問】政治資金規正法の改正を巡り、「企業・団体献金」の扱いについて、与野党の間で結論が積み残しとなっている。「企業・団体献金」についてどうするべきだと思うか
維持してもよいが、透明性を高めるべき67.9
禁止すべきだ22.9
今のままでよい6.7
他2.5

【問】首相は、今年最初の会見で地方創生を柱に「楽しい日本を目指す」「令和の日本列島改造」などを政権の方針に掲げた。この方針を評価するか
評価しない47.0
評価する45.6
他7.4

【問】「年収103万円の壁」を引き上げる協議で、自民、公明両党は所得税の非課税枠を「123万円」まで引き上げる方針だ。一方で、国民民主党は「178万円」までの引き上げを求めている。どの程度まで引き上げるのがよいと思うか
140万円〜150万円程度まで引き上げるべきだ32.5
178万円まで引き上げるべきだ32.0
123万円まで引き上げるべきだ18.5
103万円のままでよい10.1
他7.0

【問】20日に米国でトランプ政権が発足する。トランプ次期大統領と石破首相の間で日米関係は良くなると思うか
変わらない58.1(59.6)
悪くなる32.5(32.3)
良くなる5.2(5.0)
他4.2(3.1)

【問】24日から始まる通常国会で、石破内閣に取り組んでほしい政策は(2つ選択可)
物価高・賃上げ対策56.0
年金・医療・介護33.6
子供・子育て支援28.4
防災・災害対策19.0
外交・安全保障15.6
地方活性化15.3
行政改革・財政再建9.7
原発・エネルギー政策8.8
憲法改正4.6
他1.8
それ以外0.7

【問】石破政権が今月上旬で発足から100日を超えた。今後、石破政権がいつまで続くのが良いと思うか
夏の参院選まで31.4
夏以降も石破政権が継続29.7
今年春頃の来年度予算が成立した後まで20.7
6月予定の通常国会終了まで13.1
他5.1
(注)数字は%。カッコ内の数字は12月14、15両日の前回調査結果。「他」は「わからない」「言えない」など。

■世論調査の方法
調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。
電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。
内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかと言えば」と再度質問して回答を得た。
調査対象は全国の18歳以上の男女1005人。
小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならない

選択的夫婦別姓は「通称使用の拡大」45・2% 「反対」含め6割が別姓導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 11:43
https://www.sankei.com/article/20250120-ZVXXRT3MH5JVTCTCT4SGG7AVNM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年1月18、19両日に実施した合同世論調査で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」が45・2%
で最多となった。
「賛成」は37・5%、
「反対」が14・7%
だった。
「通称使用の拡大」

「反対」
を合わせると59・9%となり、約6割が選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的なことになる。
同様の質問をした昨年2024年9月の合同世論調査との比較では、
「通称使用の拡大」が1・3ポイント減、
「賛成」が1・4ポイント減、
「反対」が2・7ポイント増
だった。
昨年2024年7月の合同世論調査で、「賛成」か「反対」かの二択で質問した際は、「賛成」が66・6%、「反対」が25・5%だった。

萩生田氏が配信番組で見せた覚悟 岩盤保守層を蔑ろにする「選択的夫婦別姓」導入、石破首相が野党に「同調」なら阻止へ動く考え示す
2025.1/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20250117-YNSCJQHHIVLS3GWIP7FNJBY75Y/
NHKは政治家が他のテレビ局で発言しても民放テレビとしか言及しなかったが、最近は方針を変えたのか、自民党の萩生田光一元政調会長が2025年1月10日夜、櫻井よしこ氏が主宰する動画配信サイトの番組「櫻LIVE」に出演したと報じた。
正確には、「言論テレビ」の番組「櫻LIVE 君の一歩が朝(あした)を変える!」だが、私も一緒に番組に出演して、萩生田氏の「変化」を感じた。
まず、萩生田氏は旧安倍派の会計処理を巡って
「政治不信を招いてしまった」
と反省した。
その上で、昨年2024年10月の衆院選での演説や、その後の衆院政治倫理審査会への出席を通じて説明を果たしてきたとして、
「この問題は去年2024年をもって一区切りにして、今年2025年は乙巳(きのとみ)の年なので脱皮をして、新しいことに挑戦する再生と復活の年にしたい」
との抱負を語ったのだった。
萩生田氏は、岩屋毅外相が中国人の観光客向けビザの発給要件などを緩和する方針を示したことについて、
「ビザの拡大は大きな問題だ」
「党の外交部会などに全くかけず、約束をしてしまったのは問題で、政府のやり方は少し乱暴だ」
と批判した。
NHKもその部分を中心に報じた。
番組に同席した産経新聞の同僚だった石橋文登・千葉工大特別教授も
「自民党支持者を相手に話すことが多いが、外交も内政も全部、安倍(晋三)さんがやっていたことをひっくり返そうとしているとの声が大半です」
と述べたように、石破茂政権は自民党を強く支持してきた岩盤保守層の神経を逆撫でしている。
石破首相らは
「少数与党なので、連立を組む公明党や野党の意見を聞かなければ政権運営ができない」
と言うのかもしれない。
だが、肝心の自民党支持層の声を蔑ろにしていいのかということになる。
その象徴が、通常国会の焦点となる選択的夫婦別姓の導入だ。
萩生田氏は番組で、
「旧姓使用の拡大で対応すべきだ」
と強調した。
石破政権が野党に同調して、法案を賛成しようとした場合については、
「どうやってやるのかをここで言うと、手の内を全部知らしめることになります」
「ただ、しっかり志を同じくする仲間と行動したいと思います」
と述べ、反対する考えを示した。
石破首相は党総裁になる前は、選択的夫婦別姓について
「導入賛成」
の考えを示し、
「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」
と述べていた。
首相になると、2024年10月の衆院本会議での答弁で、
「国民各層の意見や国会における議論の動向などを踏まえ、更なる検討をする必要がある」
と述べるなど、慎重に転じた。
もっとも、立憲民主党の野田佳彦代表は
「自民党の中にも『本当は賛成』という人が結構います」
「党議拘束を外したら一挙に委員会可決する可能性が出てくるでしょう」
(昨年2024年11月の講演)
と攻勢をかける構えを示している。
石破首相が立憲民主党や公明党に同調し、可決の方向に自民党の議論を集約しようとした時、萩生田氏は阻止に動く。
その覚悟を感じた。 
(産経新聞特別記者・有元隆志)

石破首相、夫婦別姓や衆院選挙制度の対応明言せず「予断持って申し上げることしない」
2025/1/11 19:11
https://www.sankei.com/article/20250111-NJSGSKYYFJOD5BUMM5LMKJFNJM/
石破茂首相は2025年1月11日、選択的夫婦別姓制度導入や企業・団体献金の禁止、衆院選挙制度改革など通常国会で与野党の議論が予想されるテーマへの対応について明言を避けた。
「各党、各会派で真摯に議論されることが重要だ」
「政府として今、予断を持って申し上げることはしない」
と述べるにとどめた。
訪問先のインドネシア・ジャカルタで記者団の質問に答えた。
一方で
「結論が得られたら、政府としても必要な対応を取る」
と指摘。
2025年1月24日召集の通常国会での野党との向き合い方に関して、少数与党であることを踏まえ
「多くの賛成を得られるよう誠心誠意説明して参りたい」
とも語った。
選択的夫婦別姓導入には公明党も意欲を示しており、自民党の対応に注目が集まっている。
政治改革を巡る企業・団体献金の扱いは昨年2024年の臨時国会で積み残しとなった。
立憲民主党などが共同提出した禁止法案について、与野党は2025年3月末までに結論を得る合意を交わした。(共同)

「子の名字、もめる原因に」「選択だから、という発想が間違い」 池谷和子・長崎大准教授
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/11 10:00
https://www.sankei.com/article/20250111-JMV3J4X3UJF3TIGJLQGO33UCFU/
選択的夫婦別姓制度をめぐり、産経新聞社が昨年2024年11〜12月に、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
別姓によって生じる家庭内の不和を心配する声もあり、成人した子供が、親の選んだ姓を変えるかどうか選択を迫られる事態も起こり得る。
家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授に、子供を中心とした問題点を尋ねた。

■家族はチームとして同じ呼称に
ーーアンケートでは、約半数の子供が、家族が別々の名字になることに「反対」だった。
親子別姓になり、兄弟別姓にもなるかもしれないと考えた子供が反対するのは自然なことだ。
姓は単なる個人の呼び名ではなく、共同体としてのチーム名。
子供が育つ環境として、家族が『個人の集団』になってはいけない。
全員が助け合う1つのチームとして同じ呼称になるべきではないか。
個人の集団でも問題はないと言う人がいるが、家族には損得勘定というものがない。
個人は損得で物事を判断しがちになる。
法的な権利義務においても、力の強い大人が子供を好きなようにできてしまう危険性も考えられる。
また、これまで引き継いできた名字の繋がりが消えると、世代間にある特有の時間軸も失いかねない。
こうしたことを子供は直感的に分かっているのではないか。

■家庭内の揉め事は子供に悪影響
ーー家庭内の不和を招きかねない
そもそも夫婦別姓にしたい人は自分の名字への拘りが強い傾向がある。
生まれた子供にどちらの名字を付けるかは、当然揉める原因になる。
夫婦間だけでなく、互いの両親も巻き込むだろうし、嫁姑の確執も酷くなる。
家庭内の揉め事は子供にとって悪影響だ。

ーー法律上で懸念されることは
別姓にしたけれど、やはり一緒の名字にするということも想定しないといけない。
子供の姓を変更する時の問題もある。
最初はお父さんの名字で生活していても、物心がついてやはりお母さんの方にしたいとなれば、本人と両親の間で揉めるかもしれない。
成人したら本人の意思で変更できるようにする必要も出てくる。
『嫌だったら後で変更しなさい』と子供に全ての責任を負わせるような制度でもよいのだろうか。

■子供の気持ち、どうにもならない
ーー立憲民主党が野党と共同で国会に提出した民法改正案では、子供の姓は出生時に父母の協議で決定するとされている
話し合って決めるとなれば恐らく1人目はどちらかで、2人目はもう片方の名字で、のような決め方しかできないのではないか。
そうすると、きょうだい別姓になる。
きょうだいは同じ名字でいたいと子供が願っても、その気持ちはどうにもならない。

ーー子供や家族を巻き込むことになる
何でもできる限り好きなように自由にするのがいい、あるいは、困っている人がいるのなら、改善したほうがいという考え方はあってもよいが、それだけで済まないケースも世の中にはある。
推進派には、
「選択だから嫌な人はしなくていい」
「他人には迷惑をかけていない」
という発想があるのだろうが、そこがそもそも間違えている。

<産経抄>夫婦別姓野党案は、親子・兄弟別姓法案
2025/1/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250111-QBCM2G6ENFKTNDNMVUC4YUABNM/
5人家族の鈴木君のお父さんは佐藤姓でお母さんは鈴木姓、弟は佐藤姓で妹は鈴木姓です―。
近い将来、こんな家庭が日本でごく当たり前になるかもしれない。
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党など野党が令和4年6月、国会に提出した民法改正案が成立していれば、既にそうなっていただろう。
▼立民の野田佳彦代表はじめ別姓推進派は法相の諮問機関である法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓制度の導入を答申したことを錦の御旗に掲げる。
とはいえ、法制審案では、子供の姓は結婚時に父母の姓のどちらかに決めるため、兄弟でバラバラになることはない。
▼野党案では子供の姓は出生時に父母の協議で定める。
双方が子供に自身の姓を名乗らせたいなどの理由で意見が一致しない場合、家庭裁判所が
「協議に代わる審判」
を行うことになる。
だが、子供の姓はどちらが相応しいかを国に委ねていいのか。
任された家裁も頭を抱えるのではないか。
▼生まれた子供の姓がなかなか決定できない事態も想定できるが、国連総会で採択され、日本も批准した児童の権利条約は
「出生の時から氏名を有する権利」
を宣言している。
野党案は
「『確信的な条約違反』に該当する恐れがある」(小坂実・日本政策研究センター研究部長)
という。
▼「大人では7割が(選択的夫婦別姓に)賛成」。
野田氏は2025年1月7日掲載の小紙インタビューで述べていたが、これも疑問である。
内閣府が令和3年12月に実施した世論調査では、現在の夫婦同姓維持派と同姓維持の上での旧姓の通称使用法制度化を求める意見を合わせて約7割で、別姓導入派は3割に満たない。
▼「なぜ反対か分からない」。
こう語る野田氏がなぜ分からないか分からない。

自民・萩生田光一氏「旧姓使用拡大で対応。慎重であるべき」 選択的夫婦別姓巡り
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/10 23:41
https://www.sankei.com/article/20250110-NVYV4SHNWNKSFNUBPZUP6ECM5U/
自民党の萩生田光一元政調会長は2025年1月10日夜のインターネット番組「言論テレビ」に出演し、選択的夫婦別姓制度に関し
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓というものを奨励するというのは如何なものか」
「慎重であるべきだ」
と述べた。
今月2025年1月召集予定の通常国会で、立憲民主党は選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だが、萩生田氏は
「どういう分野が(選択的夫婦別姓制度がなくて)一体困っているのかということをきちんと聞き、穴を埋めていけば、別に法律を作る必要はないのではないか」
と指摘した。
その上で
「本当に困っている人ではなく、イデオロギーの意義的にこの制度を変えたい人たちが、困っている人たちの声を代弁しているフリをし、法案を前に進めようとしているのではないか」
と語り、
「この問題は同じ価値観を共にする仲間と行動していこうと思っている」
と強調した。

阿部俊子文科相、選択的夫婦別姓「文科省の所掌超える。議論が深まる中で検討」
2025/1/10 12:25
https://www.sankei.com/article/20250110-GH2XDXDG2JNSHEGVYFMKXKXS2Y/
阿部俊子文部科学相は2025年1月10日の閣議後会見で、選択的夫婦別姓(氏)をめぐり、産経新聞社が小中学生を対象に行ったアンケートで、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えたことについて、
「夫婦別姓に関しては、文科省の所掌を超える」
「アンケート結果に関する見解も含めて述べることを差し控えたい」
とした。
夫婦別姓になると必然的に親子別姓となり、兄弟別姓となる可能性もある。
小中学校での児童生徒への影響も懸念されるが、
「教育現場における対応については、具体的にどのような制度が導入されるかという議論が深まる中において検討していく」
と述べるにとどめた。

参政・吉川氏「子供の視点が見過ごされている」 選択的夫婦別姓は「必然的な親子別姓」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20250108-CJFBYCOJXBGQVCOFABHQSQTRUY/
選択的夫婦別姓の導入に向けた動きが進められる中、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに
「反対」は49・4%
だったのに対し、
「賛成」は16・4%
にとどまった。
昨年2024年10月の衆院選で初当選した参政党の吉川里奈氏は2024年12月の衆院法務委員会で、導入に反対を唱えた。
吉川氏はインタビューに
「日本には家族の名字は一緒という価値観がある」
「家族の一体感が失われる可能性はないのか」
と述べ、
「夫婦は別姓で良くても、子供に選択権はない」
「必然的な親子別姓制度だ」
と指摘した。
吉川氏の発言要旨は以下の通り。
■子供の権利を守るために
選択的夫婦別姓の議論は、子供の視点が見過ごされているように感じる。
夫婦は別姓を望んだとしても、生まれてくる子供は、両親のどちらの姓になるかを選べない。
片方の親とは必然的に別姓になる。
子供への影響や家族の一体感が損なわれる可能性がある。
令和3年に実施された内閣府の世論調査で、夫婦の姓が異なることでの子供への影響について、
「好ましくない影響がある」
と答えた割合は69・0%に上った。
その理由で最も多かったのが
「親と姓が異なると指摘されるなど、対人関係で心理的負担が生じる」
で78・6%だ。
参政党は家族の繋がりや先人から受け継がれていることを大切にする政党だ。
加えて私は子供の権利を守るため、政治に参加した部分が大きい。
議論の進め方もどうか。
まずは、戸籍の姓を変更することなく、職場や社会生活で旧姓の通称使用拡充を進めるべきではないか。
総務省のように各省庁があらゆる場面で旧姓の通称使用ができるようにして、それでも限界があるならば、通称使用拡充の法制度化と、段階を踏むべきだろう。
■国会では様相異なる
世論調査は、メディアの尋ね方も疑問だ。
選択的夫婦別姓について
「賛成」「反対」
の2択で尋ねると、
「賛成」
が多い傾向にある。
ただ、
「賛成」「反対」
に加え、
「同姓維持+旧姓通称使用の法制度化」
の3択にすると、導入を求めない人の割合が多くなる。
聞き方によって民意が誘導されるのはフェアではない。
昨年2024年の衆院選で初当選したが、それまで私の周囲は通称を使っている人ばかりだった。
姓が変わることで結婚して新しい家族を築いたという喜びや親になる自覚を抱いたという人はいても、戸籍は旧姓のままがいいと主張する人には出会わなかった。
ただ、国会では様相が異なっている。
■日本の価値観、失っていいのか
選択的夫婦別姓が議論される衆院法務委は、賛成派が多数を占めている。
明確に反対を表明したのは日本保守党の島田洋一衆院議員と私だけだ。
導入ありきの議論にならないよう、子供の意見表明の機会を確保し、選択的夫婦別姓のデメリットもしっかりと検証、主張して議論を深めたい。
日本は文化的に家族の名字は同じにする、という価値観がある。
「世界では日本だけが同姓制度だ」
との指摘もあるが、世界は多様性に富んでおり、日本もその多様性の1つだ。
日本らしさを失ってまで、他国に倣う必要があるのだろうか。

自民・高市氏 選択的夫婦別姓「最大数は通称使用を求める声だ」「親族間の争い、懸念」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20250107-W5RW4UL5FJEUVNSZEFQAEOYCVQ/
立憲民主党が民法改正案の国会提出に意欲を示すなど、選択的夫婦別姓(氏)の導入が現実味を帯びている。
一方で産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
導入に慎重な自民党の高市早苗前経済安全保障担当相に考えを聞いた。

■家裁の決定で納得できるか
ーー慎重な理由は
最大の理由は、選択式であっても子の氏の安定性を損なう可能性があるからだ。
現在は、婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏のため、出生した子は両親と同氏になるが、戸籍上も別氏の夫婦を認めた場合、子の氏の決め方について、全ての別氏夫婦が納得できるルールが必要だ。
夫婦別氏を求める理由として、一人っ子同士の結婚により片方の実家の氏が途絶えるという事情が挙げられることを考えれば、夫婦双方の実家が子の氏を決める協議に介入する可能性もある。
本来幸せな出産直後に、子の氏を巡って親族間に争いが生じることを懸念する。
戸籍上の夫婦親子同氏、つまりファミリーネームは残した方がよい。

ーー通常国会で立憲民主党が法案を提出する構えだ。立民案の問題点は
過去に国会に提出された立民案では、子の氏について、出生の際に父母の協議で定めるが、協議が調わない時は家庭裁判所が子の氏を定める旨を規定している。
家裁はどのような基準で判断するのだろうか。
離婚時に子の親権を争った過去の裁判例は
『子を養う経済力』
『子との関わりや愛情』
などの要素を総合的に考慮して判断している。
しかし、出生直後の子の氏を争う場合、家裁が如何なる決定をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示せるとは考え難い。

■自民党内でも放置
ーー高市氏は通称使用の拡大を推進してきた
総務相在任中に
『住民基本台帳法』
『国勢調査令』
など総務省が所管する全法令をチェックした。
そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。
合計1142件で旧氏記載が可能になった。
今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている。
免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。
国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。
国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える。

ーー法案も作成し提出している
平成14年と令和2年の2回、自民党政調会の法務部会に提出した。
1回目は反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は審査もされずに放置されている。

■子の視点は貴重
ーー今後の議論はどう進めるべきか。議論の中で果たしたい役割は
令和4年3月に公表された直近の政府世論調査では、戸籍上の同氏維持を支持する回答が69・2%であり、最大数は旧氏の通称使用を求める声だ。
選択的夫婦別氏制度の法制化により戸籍が同氏か別氏かの二択になってしまうと、
『戸籍上は夫婦親子同氏を希望するが、社会生活では旧氏を通称使用したい』
と希望する方々の利便性を高めるための取り組みが遅れることを懸念する。
これまでの旧氏併記の取り組みも水泡に帰す。
この点をしっかり伝えていきたい。

ーー小中学生を対象に産経新聞が実施したアンケートによると、家族で名字が別になることに「反対」が約50%で「賛成」を上回った
子の視点からのアンケートは、珍しく貴重だと思った。
18歳以上を対象にした政府の世論調査でも、夫婦の姓が違うことによって子供に
『好ましくない影響があると思う』
と回答した方が約7割だった。
やはり、夫婦別氏制度の導入については、慎重な検討が必要だと思う。

夫婦別姓導入「前進する年」と意欲 公明・斉藤代表「社会の多様性、国際的視点から必要」
2025/1/6 12:53
https://www.sankei.com/article/20250106-EWBT22YCPVHSHO4Q4ML6764BUY/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年1月6日、東京都内で開いた党の新年仕事始め式で、選択的夫婦別姓の早期導入に向けて議論をリードしていく考えを示した。
「社会の多様性や国際的な視点から必要な制度だ」
「前進する年にしていきたい」
と述べた。
斉藤氏は昨年2024年12月18日に石破茂首相(自民党総裁)に対し選択的夫婦別姓に関する実務者協議を打診している。
斉藤氏は
「きょうだいが複数いる時の姓をどうするのか細部を提示する案はまだどの党からも出ていない」
「与党として実務者協議を始めようと申し入れている」
「首相は
『一旦引き取らせてほしい』
という答えで、2024年年末に会った時も
『もう少し検討させてほしい』
だった」
と語った。

立民・野田代表「賛成が16%いるのでしょう?」「なぜ反対か分からない」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/6 10:00
政治
https://www.sankei.com/article/20250106-2TX7ILQS7NMOVFPPJ23JNZ7TDI/
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党の野田佳彦代表に狙いを聞いた。

ーー選択的夫婦別姓の意義は
選べるという点ではないか。
同姓で不都合を感じる人がいるならば選択できるようにする、改善するのは合理的な考え方ではないか。
それだけのことだ。

ーー小中学生約2千人を対象に行った本紙調査で、「別々の名字にしたい」は13・6%だった
結婚や社会人になって働くことに対するリアリティーがなく、分からないというのが率直なところだろう。
大人では7割が賛成となる。
大人になると、家族の問題で色々な不都合を感じることがあるのかなという受け止めだ。

ーー両親が別姓を選択した場合、同じ家族で名字が別になることに「反対」が49・4%、「賛成」が16・4%だった
賛成が16・4%いるのでしょう?
だから選択的が必要になる。
一緒がいいなら一緒を選べばいい。
基本的には国ではなく、家族が決めればいい。

ーー家族の一体感が損なわれるとの懸念がある
同姓でも家庭不和は生まれる。
あまり合理的な話ではない。

ーー通称使用の拡大でも対応できるのでは
通称使用を拡大しても不都合を感じている人たちが実に多い。
不動産登記などでビジネスを阻害している側面があり、経団連も選択的夫婦別姓の実現に向け動いている。
海外に行くと、尚更不便だ。
通称使用では限界という事例がたくさんある。
強烈な不都合を感じる人たちが何人もいるならば、対応を考えることは当然だ。

ーー衆院は少数与党だ。どう議論を進めるか
できるだけ多くの野党に声をかけて議員立法で出していく。
政府が法案を提出するとの話も聞く。
政府案が提出されなければ野党案をベースに議論してもらいたい。
野党としてまとまった方が与党との交渉で迫力が出てくる。
公明党も基本的には賛成の立場なので、よく連携していきたい。

ーー野田氏は衆院法務委員長ポストの獲得を指示し、立民議員が就いた
法務委では長い間、放置されてきたテーマが多い。
選択的夫婦別姓も平成8年に法制審議会の答申が出たが、政府は腰を上げず国会でもまともに議論されなかった。
放置されてきたテーマを議論する意味で、意義のあるポストの獲得だった。

ーー参院では与党過半数のままだ
衆院通過した法案を参院が潰すことは大変勇気がいる。
2025年夏の参院選前に反対した人たちは追い込まれるのではないか。
参院法務委員長は公明だ。
衆院通過した場合の参院の対応は見ものだ。
昨年2024年12月の講演で
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上に上らされないことは、もう通用しない」
と述べた
世論も7割、経団連も『早く決着を付けろ』という中で、なぜそこまで強く反対する人たちがいるのか。
選べるわけだから。
なぜ選んではいけないのか、よく分からない。

ーー自民などの反対で法案が成立しなければ、内閣不信任決議案を提出するか
理不尽な形で妨げられたならば、そういうことになるかもしれない。
議論を見ながらの判断だ。簡単に不信任案を振り回そうと思っていない。

夫婦別姓間の子供の名字は家庭裁判所が決める 新たな家族不和の火種「いっそくじ引きで」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/5 10:00
https://www.sankei.com/article/20250105-2O4UALZDWVL47IYBPVXR6AKEKM/
選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では
「旧姓使用拡大」
が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。
中には
「保守派に配慮した」
などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。
同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について
「あると思う」は69%、
「ないと思う」30・3%
という結果もあり、
「ある」
と答えた人の理由(複数回答)は
「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、
「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%
が多かった。
では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。
子供の姓については
「出生の際に父母の協議で定める」
としており、一致しない場合は
「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」
とした。
この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。
仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。
■くじ引きが合理的
弁護士の北村晴男氏は
「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる」
「裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」
と指摘する。
夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、
「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」
と判断した。
更に
「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を1つにするのは合理的」
と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。
この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など平成27年以降の状況を踏まえた上で尚
「判断を変更すべきものとは認められない」
と結論付けている。
■新たな人生が始まる
この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層
「改姓の喪失感」
「精神的な負担」
が強調されるようになった。
昨年2024年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの
「過酷な二者択一」
を迫っていると指摘。
「家族の在り方や国民意識の多様化」
が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。
もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば
「強制的親子別姓」
となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。
家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は
「夫婦間だけでは済まない話だ」
「嫁姑の確執も酷くなるだろう」
と危惧する。
孫の名字を巡って双方の祖父母が争いになる可能性もある。
また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。
国士舘大学の百地章名誉教授は
「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す」
「我が国が長年維持してきた戸籍制度の解体に繋がる」
と警鐘を鳴らす。
先の内閣府の世論調査には、
「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)
との問いもある。
最も多かったのが
「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、
次が
「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)
だった。

選択的夫婦別姓制度の導入、小中学生も半数が「反対」 産経新聞調査、子供たちの考え方が統計的に明らかになるのは初
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-RVHIXOJPMBIBHLI3S5IP4HO6GI/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが産経新聞の調査で分かった(2025年1月1日報道)。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割に上った。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
調査は、全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗した。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親や兄弟姉妹と違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49.4%、
「賛成」16.4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18.8%、
「よくわからない」15.4%
で、反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13.6%
だった。
男女別で大きな違いはなかったが、自身が
「別姓にしない」
は男子(56.7%)より女子(63.4%)
のほうが上回った。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)
2025/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20250104-CWCQ5CGQ5BPMFIJ5XAZLSMQCCM/
■立民の印象操作に乗せられるな!
「選択肢が増える」
という物言いに対して、大半の人は
「いいじゃない」
と反応するだろう。
ただ、そこに巧妙なワナが仕掛けられていることもある。
ある結婚情報サイトが、選択的夫婦別姓制度について、そのメリット、デメリットについて解説し、こうまとめている。
「以前よりも、多様性を認め合う社会へと進むなかで、個人の権利や選択肢を尊重する傾向はますます強まっていくと考えられます」
「夫婦間の姓をどう選ぶかもそのひとつです」
「夫婦別姓が導入されても、すべての夫婦が別姓になるわけではなく、あくまで選択肢が増えるということ」
メディアに流れているのはこんな物言いばかりだ。
こうした情報環境のなかで暮らす人々が、アンケートで
「この制度を導入すべきだと思いますか」
と問われれば、多くが
「導入すべきだ」
と答えるに違いない。
法務省のサイトに、令和3年に実施した
「家族の法制に関する世論調査」
の結果が掲載されている。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27・0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42・2%、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28・9%
だった。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は昨年2024年10月末、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告をした。
女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多く、それが差別的だというのだ。
そうした流れの中で、立憲民主党は先の総選挙で与党が過半数割れとなったのに乗じて、衆院法務委員会の委員長ポストを要求して確保した。
委員長は同制度の導入にとりわけ熱心な西村智奈美議員である。
立民はCEDAWの勧告や、
「結婚後に夫婦のいずれかの氏(うじ)を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」
という法務省の調査を利用して、日本がさも女性に差別的で後進的な国であるかのような印象操作を行っているようにみえる。
安倍晋三元首相の暗殺後、リベラル派に乗っ取られた感のある自民党の中にも
「導入すべきだ」
と考える者が少なくなく、うかうかしていたら、すぐにでも民法改正が実現してしまいそうな勢いだ。
■憲法改正に匹敵する案件
12月5日の衆院予算委員会において、自民党の山下貴司議員は、同制度を巡り
「旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういうニーズに応えられていない」
「女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要がある」
と、石破茂首相の考えを問いただした。
これに対して石破首相は
「前の姓を変えなければならないということに対して物凄く辛くて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います」
「それは女性が95%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう」
と、情緒的な答弁をし、同制度の導入に前向きな姿勢を示した。
石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《世の中はなかなか直りにくいものである》
《人々は自分を圧迫するものに対して余りにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかり焦り、それにはどんな代償がいるかを考えない》
《我々はたくさんの実例によって、社会は普通、直されて却って悪くなることを知っている》
(第3巻第9章「全て空なること」関根秀雄訳)
同制度の導入がどんな副作用をもたらすか、十分に議論されているとは到底思えない。
導入に伴う民法改正は、憲法改正に匹敵するほどの最重要案件であると私は考えている。
国民投票に付してもいいほどだ。
しかし、国民投票が実施されるのは国会が憲法改正を発議した時だけだ。
ならば、今年2025年実施される国勢調査に合わせて、同制度導入の可否を問うアンケートを実施したらどうだろう。
■家族制度こそが社会を規定する
私が家族制度に拘るのは、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』(藤原書店、石崎晴己訳)の影響だ。
下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、トッドは家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てた。
家族制度が人間の心性に大きな影響を与え、ひいては人間が形成する社会を特徴付けてゆくというのだ。
トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か、きょうだいの関係が平等か否かによって分類する。
そこから導き出されるのが、
@親子関係が自由主義的できょうだい関係が不平等(長子優先)=絶対核家族、
A親子関係が自由主義的できょうだい関係が平等=平等主義核家族、
B親子関係が権威主義的できょうだい関係が不平等=直系家族、
C親子関係が権威主義的できょうだい関係が平等=共同体家族
の4つである。
例えばパリ盆地を中心とするフランス北部はAの平等主義核家族であり、それゆえにこの地が
「自由・平等・友愛」
を唱えるフランス革命の担い手となった。
@の絶対核家族が優勢なのはイングランドと、その移民の子孫であるアメリカだ。
この家族型が、個人の自由を絶対視し平等に無関心な強欲資本主義の母体となった。
Cの共同体家族は、西ヨーロッパにはまれで、ロシア、中国、ベトナム、東ヨーロッパに多いという。
この家族型がもたらしたのは言うまでもなく社会主義革命である。
ちなみに戦前の日本は間違いなくBの直系家族だろう。
この中で育まれた心性が、明治以降であれば天皇に対する態度、日本軍のありように投影されていたように思う。
現在の日本がどの家族型に当てはまるかは判然としないが、権威主義的でなくなったことだけは確かだろう。
そこに付け入ったのが選択的夫婦別姓制度推進派だ。
私は邪推する。
女性差別撤廃を掲げる彼らの本当の狙いは、家族を精神的に解体し、更には戸籍制度も廃止して、日本人をバラバラにすることではないかと。
その上でバラバラになって寄る辺なく浮遊する日本人をCの共同体家族としてまとめあげようとしているのではないかと。

韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/4 10:00
https://www.sankei.com/article/20250104-GNUKUJWJCZNKHJTBSELPBB5IWA/
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」
韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。
いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での
「別姓」
という印象を抱いている。
韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。
その姓氏制度は、東アジアで最も
「男性中心的」
とされる家族制度に起因するものと言える。
例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。
一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。
子供の姓については、
「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」
と民法で規定。
例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に
「尹」
の名字を引き継ぐ形となる。
例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。
■実家を説得する余力
2024年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。
だが、半年以上経った現在も尚苦悩している。
陳さんは
「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」
というが、
「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。
夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。
ただ、日本の
「夫婦別姓推進派」
は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、
「海外では別姓が主流」
「日本は遅れている」
との主張も少なくない。
米国では1970年代に全ての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。
基本的には婚姻時に
@夫の姓を選ぶ
A妻の姓を選ぶ
B別々の姓を維持する
C両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する
というパターンがある。
ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。
■姓を後世に残す動き
中国では中華人民共和国建国翌年の1950年に施行された婚姻法で夫婦別姓が明記された。
現在、子供の姓は両親のどちらかの姓を選択するが、韓国同様、一族を重視する価値観から、父親の姓を名乗るケースが多かった。
一人っ子政策が廃止された2016年以降は、兄弟姉妹で父母それぞれの姓を名乗る現象が一部で起きている。
両親それぞれの姓を後世に残そうとする動きと言える。
ただ、兄弟姉妹で別姓を名乗ることが、学校でからかいの対象になる、といったケースも報告されている。
各国の家族の枠組みについて詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は
「夫婦の姓に関する制度は国の慣習によって異なる」
「時代や価値観の変化に合わせて利便性や公平性などの観点から米国やドイツでは夫婦別姓が選択できるようになった」
と言及。
一方で、両国では夫婦同姓を選ぶ人が多数派を占めている現状について、
「子供も同じ姓になったほうが親としての証明が容易となるメリットがある」
と指摘した。

選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20250103-33B4YHNURFNUXFSJKAGPJITCPQ/
「個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクだ」。
経団連は昨年2024年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表。
十倉雅和会長は記者会見で理由をそう説明した上で、
「改正法案を一刻も早く国会に提出していただきたい」
とも踏み込んだ。
トヨタ自動車など日本を代表する企業1500社以上で構成する経団連は、経済界が直面する課題の意見を取りまとめ改善策などを発信する役割がある。
だが、今のタイミングで提言するほど、選択的夫婦別姓は経済界の喫緊の課題なのか。
産経新聞社は昨年2024年11月中旬から2024年12月上旬にかけて主要111社にアンケートを実施。
社内で旧姓呼称を認めているかを尋ねたところ、
「認めていない」
とする企業はゼロだった。
「慣例として認めている」が58・6%、「就業規則などで認めている」が29・7%。
「無回答」が11・7%あったとはいえ、9割弱の企業が何らかの形で旧姓呼称を当たり前に認めているのだ。
■国家資格はほぼ旧姓OK
さらに経団連が求める法制化の是非も聞いたところ、
「実現すべき」は25・2%で、
「現状で不都合がないので慎重に議論すべき」も10・8%あった。
もっとも「無回答」が最も多い63・1%あり、判断に迷っているのか、経団連の方針に異議を唱えにくい雰囲気があるのかはわからない。
夫婦別姓をめぐる議論は働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証、銀行口座などの名称変更の煩わしさから旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
職場での呼称が解決に近づいているのであれば、残る課題はどうか。
内閣府によると、昨年2024年5月末現在で320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格も条件に若干の違いがあるだけだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも旧姓併記ができる。
金融機関も既存口座の旧姓名義による取引を認めており、一部認めていない場合もシステム改修が進めば対応可能になるという。
もっとも、こうした事実が広く周知されているとは言い難いのも事実だ。
■不便さは残るが
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。
ある大手企業の役員は
「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」
と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。
パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。
だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年2024年末、
「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」
と述べた。
「困っている人」
とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は
「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている」
「選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」
と指摘している。

公明、立ち位置に苦慮 政策実現も手柄は野党 来夏の都議選、参院選へアピール模索
2025/1/2 16:26
https://www.sankei.com/article/20250102-7MRII3PF6JOHXDIQCRV7IFLMXE/
公明党が自民党との連立政権で立ち位置に苦慮している。
石破茂政権が少数与党になったことで、法案成立に向け野党の国民民主党や日本維新の会に配慮せざるを得なくなり、
「政権の政策に党の主張を反映させる」
という存在意義が揺らいでいるためだ。
「年収103万円の壁」
の引き上げなどは公明も主張してきた政策だったが、自民から譲歩を引き出した野党側の成果として扱われ公明は埋没している。
公明の斉藤鉄夫代表は2025年1月2日、東京・池袋駅前で新春の街頭演説を行い、今夏2025年夏の参院選、東京都議選に向けて
「新しい公明の最初の戦いとして、何としても押し上げてほしい」
と支持を訴えた。
だが、世論や支持者へのアピールは、いまいち広がりを欠いている。
昨年2024年12月26日、斉藤氏は記者団にこう強調した。
「予算案の取りまとめに当たっては、野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきたという自負がある」
党の政策実現ではなく、合意形成への貢献をアピールせざるを得ないところに、今の立ち位置の難しさが伺える。
年収103万円の壁引き上げは自民、公明、国民民主の3党協議で実現し、これを看板政策とする国民民主の手柄とされた。
公明も以前から103万円を含む年収の壁解消を訴えており、令和7年度税制改正には高校生世代の扶養控除の維持など公明の主張も反映されたが、存在感は乏しい。
それでも斉藤氏は2025年1月2日の街頭演説で3党協議に言及し
「予算審議の途中に、色々な修正があり得るのかもしれない」
「協議に真摯に対応していきたい」
と国民民主への歩み寄りを示唆した。
石破政権は維新とも連携を図り、自公維3党による教育無償化の実務者協議を昨2024年末に始めた。
教育無償化もまた、公明が力を入れてきた政策だ。
公明幹部は
「公明だけでは引き出せず、野党と一緒なら引き出せると言われる」
「忸怩たる思いだ」
と漏らす。
先の衆院選で、公明は自民派閥のパーティー収入不記載事件の呷りを受けて議席を大幅に減らした。
2025年夏の参院選と都議選を睨んだ反転攻勢に向け、自民と同一視されることを避け、独自色を打ち出したい考えだ。
自民内で賛否が分かれる選択的夫婦別姓制度でも、党内議論を深めるよう強く自民に要求している。
とはいえ、自民との連立関係を崩すこともできない。
公明関係者は
「支持者からはいつまで自民とやっているんだという声もある」
「だが、もう4半世紀続いている」
「野党になったら何もできない」
とぼやいた。

年内にも現実味帯びる選択的夫婦別姓 立民、通常国会に法案提出へ 公明も賛同
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20250102-T64AG4MHX5I5HJD4BQLW36T3LA/
立憲民主党は今月召集の通常国会で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だ。
党内でも賛否がある自民が立民案に乗るとは考えにくいが、導入を求める公明が立民案に賛成すれば、連立与党内で対応が分かれる異例の事態となる。
自民に一定数いる推進派が賛成すれば衆院で可決され、家族の在り方を大きく変えうる制度の導入が2025年年内にも現実味を帯びている。
衆院選の公約では、選択的夫婦別姓には立民と公明の他、国民民主、共産両党やれいわ新選組なども賛成。
自民と日本維新の会は
「旧姓使用の拡大」
を主張しており、衆院法務委員会の構成を見れば、賛成派は過半数に届かない。
ただ、衆院選後に就任した維新の前原誠司共同代表は
「個人として賛成」
と表明。
公明の斉藤鉄夫代表も
「決断する時だ」
との考えで、石破茂首相(自民総裁)に与党協議を進めるよう直接要請している。
これに対して自民では旧姓使用の拡大を軸にした対案を出す可能性があるが、他党の賛成がなければ数の上で可決はおぼつかない。
何よりも自民内の推進派が造反する可能性がある。
自民では党の方針に反した場合は処分の対象になり得るが、党内の分裂を避けるため党議拘束をかけないとの見方もある。

選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:05
https://www.sankei.com/article/20250102-CV4VLTYCYRL4LHL3FHZJHRA3OA/
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。
先月2024年12月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。
令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では
「ノイジーマイノリティー」
が逆転しているようだ。
「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。
局面が変わったのは昨年2024年10月の衆院選だった。
与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。
衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。
しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を
「返上」
した代わりに
「敢えて法務委員長を取りにいった」(野田氏)
からだ。
賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。
■早く決めてほしい
自民内でも以前から議論はあった。
令和3年3月に推進派の
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)
が立ち上がると、翌月令和3年4月には慎重派が
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
を設立。
同年令和3年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。
別姓推進派の中堅議員は
「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう」
「残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。
慎重派のベテラン議員は
「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」
と明かす。
■修正を加える形で
慎重派の念頭にあるのは
「家族の一体感」
を大切にする本来の保守層の
「自民離れ」
が加速することだ。
ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。
立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば2025年3月の来年2025年度予算成立後の2025年4月以降となる見通しだ。
昨年2024年の臨時国会では、政治改革関連で与野党が9法案を提出。
国会審議や各党協議の末に3つの法案が成立した。
このうち政策活動費廃止の法案は野党案に自民が賛成した。
推進派若手は
「少数与党のうちに野党案に修正を加える形で決着をつけた方がいい」
「そうでないと、自民を分断しかねない爆弾をずっと抱えることになる」
と本音を漏らした。
仮に自民が党議拘束をかけず、立民案が衆院で可決された後は参院に舞台が移る。
参院は現在も自公で過半数を占めるが、衆院の段階で立民案に公明が賛成していることを前提とすれば、自民は日本維新の会などを巻き込まない限り
「少数派」
に転落し、立民案が成立する可能性がある。

新聞各紙、元日1面トップは中国の拡張、能登の思い、民主主義企画…産経は夫婦別姓と子供
2025/1/1 19:29
https://www.sankei.com/article/20250101-FILLPV42SBDGLNW3Y2ENVFSW44/
元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。
令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
■夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年〜中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が
「家族で名前が変わるのは反対」
と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が49・4%で
「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
■中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
■デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて
「デモクラシーズ これまで これから」
と題した連載企画の掲載を始めた。
最新のデジタル技術を生かして民主主義を
「アップデート」
させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
■強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、
「逆転の世界 備えよ日本」
と題した。
多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。
局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
■つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。
延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる
「関係人口」
の拡大について考察した。
■招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。
地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。
式の中身はまだ決まっていない。
ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250101-QGCTY3PY4JEHLHHXAFDFEVX2LQ/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが、産経新聞社の調査で分かった。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割にのぼった。
立憲民主党が夫婦別姓の民法改正案の国会提出に意欲を示しており、石破茂首相も昨年2024年末
「議論の頻度を高める」
と述べた。
自公与党も前向きな議員が多いことから、次期通常国会での法案成立が現実味を帯びている。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題に配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
年齢層の低い小学生は対象数を絞った。
小中学生共に学校を通じた場合は、教員が調査の趣旨を説明した上で、立ち会う形式を取った。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「全く知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よく分からない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49・4%、
「賛成」16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18・8%、
「よく分からない」15・4%
で反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%だった。
小学生だけに絞ると、
別姓に「反対」は46・2%、
自身が「別姓にしない」は55・8%
で全体よりやや低かったが、各質問共に
「分からない」を選ぶ傾向が強かった。
男女別で大きな違いはなかったが、
自身が「別姓にしない」
は男子(56・7%)より女子(63・4%)のほうが上回った。
別姓の是非で
「親が決めたのなら仕方がない」
と消極的な賛成を選んだ女子(22・6%)も男子(15%)より多かった。
学校や学年別、民間調査会社による調査でも、結果の割合に大きな差はなかった。

選択的夫婦別姓、法律に「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-L3VK2UL4H5EMJPW6X5DVUGNXJQ/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査の質問項目と詳しい結果、調査の方法は以下の通り。
質問項目と回答
選択的夫婦別姓調査 質問項目と回答
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)について、みなさんの意見を聞かせてください。答えたくない人は、答えなくてかまいません。
【質問】
1.いま、社会で問題となっていることに「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)」があります。
日本では結婚(けっこん)するときに
「男性(お父さん)か女性(お母さん)のどちらかの名字と同じにしなければならない」
ことが法律(ほうりつ、国のルール)で決まっています。
この法律を
「それぞれ別々の名字のままでも結婚できる」
ように変えようというものです。
こうしたことについて、知っていましたか。
回答者1971人 男子 女子 全体(%)
○よく知っていた 16 17.9 16
○少し知っていた 34.3 43.3 37.1
○まったく知らなかった 28.7 23.9 26.2
○ほとんど知らなかった 21 15 20.7
2.いまは結婚してからも、結婚するまえの名字を会社で使ったり、手続きをすれば、免許証(めんきょしょう)やパスポートに結婚する前の名字をならべて書けるようになったり、これまでできなかったことができるようになっています。
それでも、あなたは
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ように法律を変えたほうがよいと思いますか。
回答者1966人 男子 女子 全体(%)
○変えたほうがよい 32.9 37.4 34.9
○変えないほうがよい 31.6 30.7 30
○よくわからない 35.6 31.9 35.1
3.もし、法律で
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ことが決まり、お父さんとお母さんが別の名字になったら、子供もお父さんかお母さんのどちらかとはちがう名字になったり、兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかでちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子 全体(%)
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9 16.4
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15 22.6 18.8
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51 49.2 49.4
○よくわからない 18 11.4 15.4
4.みなさんが結婚するころには
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
と法律が変わっているかもしれません。
そのとき、あなたはどうしますか。
回答者1955人 男子 女子 全体(%)
○自分の名字を大切にしたいので別々の名字にしたい 14.3 11.8 13.6
○家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない 56.7 63.4 59.9
○よくわからない 29 24.9 26.5
5.この問題についてあなたの思ったことを自由に書いてください
■調査の方法
協力を得た首都圏、関西圏の中学校6校約1600人(中1〜中3)、首都圏の小学校1校の53人(6年生)にホームルームや社会科の時間などを使って教員立会いの元で無記名で行った。
回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けに説明文を用意したが、使用については各学校に任せた。
答えたくない場合は設問によっても答えなくてよいことを徹底したため、回答数にはばらつきがでた。
中学生では男女を回答していない生徒も若干名いた。
休みや早退の生徒数が把握できていない学校もあり回答率は一概に出せないが、中学生は約93%、小学生は84%。
民間調査会社の調査は、会員登録している全国の小学4年〜中学3年を対象に、説明文を含め同内容のアンケートで実施、自ら回答した小学生が100人、中学生が300人を超えた時点で終了し、学校分に加えた。
最終的な回答数は合計で1954人〜1971人。
男女比は男子48%、女子52%。
調査はいずれも昨年2024年11月下旬から12月中旬に実施した。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 教員向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-JDZ6FZ2FUVFDLGGPQDWRNLBKIM/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
教員向けの説明文は以下の通り。
教員向けの説明文
選択的夫婦別姓は年明けの国会で議論され、可決される可能性も高くなっています。
現状、夫婦別姓を望む人には、職場などでの旧姓使用やクレジットカードなどの名義変更などが煩わしいという理由と、自身のアイデンティティのためという2つの理由があります。
ただし前者についてはほぼ解決済みであり、旧姓使用を認めない職場もほとんどありません。
後者については
「心の問題」
です。
「選択制なので選びたい人だけだからいいのでは」
「自分の意思だからいいのでは」
という意見もありますが、婚姻制度の自由度が高まることで、逆に家族、親族内の争いの種になりかねないという見方もあります。
また、生まれてくる子供にとって選択肢はなく、
「強制的親子別姓」
「強制的きょうだい別姓」
になりかねません。
今、マスコミではここの議論をあまりしていません。
世論調査などは
「選択的夫婦別姓」
か、
「現状の夫婦同姓」
か、の2択しかなく、
「旧姓使用の拡大」
は選択肢に加えられていません。
影響を受ける人の中には子供も含まれるにもかかわらず、その意見も全く取り上げられていないのが現状です。
本来であれば、文科省や法務省など国の機関が綿密に子供向けアンケートなどをすべき内容ですが、そうした国の動きを後押しする意味でも、今回産経新聞社として子供たちの声を聞いてみようと考えました。
ただし、このようなアンケートは各家庭のご事情もあり、ハードルが高いことは承知しております。
また、産経新聞社の考え方に偏らないよう、質問内容は客観性を保つように致しました。
ご検討何卒よろしくお願いします。
○アンケートについて
・答えたくない子供は答えなくて構いません。
・学校名は匿名希望の場合は匿名で構いません。
・対象は小4以上の小学生と中学生とします。
・できればクラス単位、学年単位がよいですが、無理な場合は個別でも構いません。
・自由記述の欄に書ける子供はぜひ書いていただければと思います。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 子供向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-HE4Y72OPLZF2JPXUIFFXDB7J7Y/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
子供向けの説明文は以下の通り。
子供向けの説明文
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)についての質問
みなさんに、いくつか質問をしたいと思います。答えたくない人は、答えなくてもよいです。
さいきん、よくテレビのニュースなどで、選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)ということばを聞きます。
これは結婚(けっこん)するときに男の人と女の人の名字(上の名前)を別々にしたい人はしてもよい法律(ほうりつ、国のルール)にしようという意味です。
もし、結婚したあとに子供が生まれて、お父さんとお母さんの名字が別々だったら、子供の名字はどちらかに合わせなければなりません。
生まれてきた子供はお父さんかお母さんの名字とちがったり、お兄さん、お姉さん、弟、妹とも名字がちがったりすることが出てきます。
たとえば、お父さんは田中さん、お母さんは佐藤さん、最初の子供は佐藤さんで、弟は田中さんになるかもしれません。
どうして、こうしたことが問題になっているかというと、はたらく女性がふえたことに関係があります。
これまで結婚する相手の名字に合わせるのは女性のほうが多く、結婚して名字が変わると会社などで呼び名が変わったり、免許証(めんきょしょう)やパスポートなどの名字を変えなければならなくなるなど、大変なことがありました。
しかし、いまでは会社で結婚する前の名字を使ったり、免許証なども結婚前の名字をならべて書けるようになったりしています。
ただ、免許証やパスポートに結婚前の名字を載せるには、役所の書類を出さなければならないなどの手続きが必要です。
それでも、結婚したからといって、ずっと使ってきた名字を相手の名字に変えるのは、納得(なっとく)できない、いやだ、という人もいます。
名字を一緒(いっしょ)にしたい人はすればいいし、一緒にしたくない人はしなければいいという考える人もいます。
質問は、このことについてみなさんの考えること、思うことを聞くものです。
くりかえしますが、答えたくない人は答える必要はありません。

ファミリーネーム喪失、選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」 政府は子供の意見を聞け
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:30
選択的夫婦別姓の法制化を望む人たちに
「国民の70%が賛成」
声があるが、その根拠は2択のアンケートだ。
朝日新聞もNHKも
「法を改正して夫婦が希望すれば別々の名字でもよいか」
を賛成、反対で問い、その結果を
「選択的別姓『賛成』7割」
などと伝えている。
現在、企業や公的機関などで進んでいる
「旧姓使用の拡大」
を法的に整備するという選択肢は最初からないのだ。
産経・FNN合同世論調査も以前は2択で賛成66・6%、反対25・5%だったが、昨年2024年9月に3択目を加えたところ、賛成38・9%、反対12%、旧姓使用拡大46・5%と大きく変わった。
令和3年12月の内閣府の世論調査でも
「同姓維持」27%、
「別姓導入」28・9%、
「旧姓使用拡大」42・2%、
が出ているが、こうした結果はほとんど生かされていない。
「選択的」
だからよいという意見もあるが、選択できるのは誰か。
生まれてくる子供にとっては親の意向で強制的に
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
ファミリーネームが喪失するという事態を
「選択者」
である親は一体どこまで想定しているのか。
今回、小中学生に行ったアンケートではどちらかの親や、きょうだいと別の名字になることについて半数が反対と答えた。
これが多いか、少ないか判断は分かれるだろう。
夫婦別姓
「賛成派」
からすれば、
「未熟な子供に聞く」
という調査自体に不快感を持った人もいるかもしれない。
ただ、法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである。
仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えるならば、ぜひ他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい。
文科省も、子ども家庭庁も出番ではないか。

「家族感が減る」「同姓は時代遅れ」小中生、正面から回答 選択的夫婦別姓2000人調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250101-F35HRVOR7FHZRH24ROBSXF5VBU/
「家族内で違う名字だと家族感が減りそう」
「強制的に同じにさせるのは時代遅れ」―。
産経新聞が小中学生を対象に行った選択的夫婦別姓の導入を巡るアンケート。
自由記述欄を見ると、賛否を超えて子供たちが正面から問いかけに向き合ったことが分かる。
立ち会った教員は
「想像していたより真剣に取り組む姿が印象的だった」
と話す。
■きょうだいなのに
自由記述で目立ったのは、選択的夫婦別姓制度で、結果的に家族の姓がばらばらになりかねないことを心配する声だった。
大阪府の中学男子は
「名字を別々にするような人なら、子供の名字をどうするかでけんかになるかもしれない。名字が違うと他人感がある」。
千葉県の小学男子は
「家族で名字が変わってしまうと、まるで別人みたいで家族感が減りそう」
と書いた。
夫婦が別姓を選ぶことには賛成しつつ、
「子供が生まれた家庭で兄弟姉妹の姓がバラバラなのは違和感を抱く」
と記した京都府の中学女子も。
大阪府の中学女子は
「選択できた方がよいが、兄弟が違う名字というのはよいものではない」
とした。
■万一離婚したときに
夫婦別姓に賛成する声も少なくなかった。
東京都の中学女子は
「名字が変わることで、もう一度覚え直してもらう必要があったり、万一離婚した際に、職場や学校の人に名字が変わったことを伝えなければならず、精神的な負担も小さくない」
と説明。
茨城県の中学男子は
「名字を強制的に同じにさせるのは、少し時代遅れだとも感じている」
と書いた。
アンケートは各家庭の個別の事情に踏み込んでしまう恐れもあったが、
「私の両親は夫婦別姓。私はハーフなので賛成します」(中2女子)、
「現状のままでは離婚後に名字が変わると、『あ、この人離婚したんだ』」と好奇の目で見られてしまう。自分もそうだったので、そのようなことは避けたいから、夫婦別姓には賛成」(中3男子)
という意見もあった。
千葉県の中学女子は
「海外でも夫婦別姓の国や自分と相手の名字を続けて登録できる国があり、日本もこだわる必要はない。事実婚は相続などで不利になるので、平等になるようにしてほしい」
と、より深い考えを述べた。
「日本の伝統なので絶対に法律を変えない方がよいと思う。いまこの問題よりも台湾有事に向けて動いた方がよい」(中3男子)
という意見もあった。
■自然発生的に議論も
大阪府の私立中の教員は、アンケートに取り組む生徒の様子について、
「最初は静かに取り組んでいたが、しばらくすると自然発生的に生徒同士で意見を交わす姿もみられた」
と話す。
議論になるうち
「『兄弟で姓が変わるというのはいやだね』とか、『そもそも結婚ってどういうことなのだろう』などの声も聞かれた」
という。
千葉県の中学女子は
「個人の考えもあると思うため、別々の名字でもよいと最初は思いましたが、家族の中で名字が分かれてしまうと、同じ家族であることの証明が難しくなるなど欠点もあると思ったので、最終的には法律を変える必要はないと思いました」
と考えの変遷を記した。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/877.html#c43
[政治・選挙・NHK296] <日本直撃 トランプ相互関税24%>日本国内も倒産ラッシュか? トランプが叫ぶ「アメリカ解放の日」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
61. 秘密のアッコちゃん[1446] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月04日 23:22:14 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[884]
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<主張>米国が相互関税 同盟国の独善に失望する 石破首相の対応は十分だったか
社説
2025/4/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20250404-MSMIEQ3HFBLEXNSUIAAAOAPSRA/
これが世界最大の経済大国の振る舞いか。
第1次政権時と比べても次元の異なる乱暴さである。
「トランプ2・0」の高関税政策は同盟国にも容赦なく牙を剝く。
独善性に満ちた措置に深い憂慮と失望を覚える。
トランプ米大統領が、貿易相手国の関税や非関税障壁に応じて関税率を引き上げる相互関税を発表した。
全ての国・地域に10%の関税を課し、日本は上乗せ分を含む計24%とする。
世界の通商秩序を崩壊させかねない措置だ。
トランプ関税は世界の経済・貿易どころか米経済も落ち込ませる悪手である。日本は各国と結束し、毅然と対処しなければならない。
■日米ともに打撃大きい
米国は自動車関税を25%上乗せする措置も3日に発動した。
既に鉄鋼・アルミニウムへの追加関税も課した。
これに9日発動の相互関税が加わる。
いずれも日本は対象国に含まれる。
石破茂政権は、米国内での投資や雇用創出を巡る貢献を根拠に除外を求めてきたが、当ては完全に外れた。
日本への相互関税は欧州連合(EU)などより重く最悪の展開である。
米国は最大の輸出相手国だ。
関税負担は輸出企業だけでなく下請けの中小企業まで打撃を受ける。
大和総研は相互関税で令和7年の日本の実質国内総生産(GDP)が0・6%下押しされると試算した。
6年の実質GDPが0・1%増の日本経済にとって影響は深刻だ。
納得できないのは、相互関税の根拠として、日本の対米関税率が46%相当もあると見做したことだ。
日本は米国から輸入する工業製品などの関税撤廃を進めている。
米国は非関税障壁を問題視するが、妥当性は疑わしい。
例えば米国がやり玉に挙げる自動車の安全基準だ。
規制が厳しく米国車が売れないというが、各国が交通事情に応じて独自の安全基準を設けるのは当然だ。
輸入車を排除していないことは欧州車を見れば分かる。
日本が米国産のコメに700%の関税をかけているという主張も、無税の最低輸入量(ミニマムアクセス)枠などを考慮せず、実情とかけ離れている。
日米は第1次トランプ政権時の貿易協定で、米国が自動車に追加関税を課さないことなどを確認した。
自らの政権で結んだ約束まで踏みにじるトランプ氏の姿勢はあまりに危うい。
関税で
「米国の黄金時代になる」
というトランプ氏の主張には思い込みや矛盾が多い。
米国の富を搾取する各国の輸出攻勢を関税で阻止し、製造業の復活を果たすというが、これは一面的な見方だ。
安価で質のいい輸入品は米国の旺盛な消費や米企業の生産活動を支えてきた。それを無視して
「貿易赤字=損」
と捉えるのはおかしい。
■企業への支援を万全に
追加関税の一部が値上げの形で米国内の消費者に転嫁されれば、トランプ氏がバイデン前政権批判で連呼したインフレを却って助長する。
更に中国やEUなどと報復関税の応酬になれば、米国は黄金時代どころかインフレと景気悪化が同時進行しかねない。
トランプ氏はそのリスクを直視すべきだ。
石破首相は米国の攻勢になす術がなかったことを失敗と受け止め、戦略を練り直す必要がある。
既に企業の雇用や資金繰りを支援する方針を示している。
影響を最小限にする対策に万全を期すのは当然である。
日本を追加関税の対象から外すよう強く迫ることも重要である。
石破首相は先の会見で必要があればトランプ氏と直接協議する意向を示した。
ならばすぐに実行に移す責任がある。
一方的に関税を課す措置は国際ルールに反するが、トランプ氏に説いても翻意は難しいだろう。
世界貿易機関(WTO)の紛争解決制度も機能停止状態にある。
それでも敢えてWTOに提訴し、日本の厳しい姿勢を示すことは一手だろう。
関税定率法にはWTOの承認を受けて報復関税を行う規定がある。
日米の経済力の差や、安全保障上の抑止力を日米同盟に期待する関係を踏まえれば、安直に報復関税を目指すわけにはいかない。
ただし、何らかの対抗措置を取れるかどうかは十分に検討しておきたい。
留意すべきは中国の存在である。
米国は東南アジア諸国などにも重い税率を課した。
こうした国々が対米リスクを避けて中国への接近を強めれば、日米の経済安保にも影響する。
日本はその点についてトランプ政権に警鐘を鳴らすべきである。

トランプ関税、EUは「報復」 韓国と台湾は「困惑」 対抗手段は硬軟分かれる
2025/4/4 0:19
https://www.sankei.com/article/20250404-SHIT6ASLABKBDJJ76KCRQH5C3E/
トランプ米大統領が2日(日本時間3日)に相互関税を発表したことを受け、米国の主要貿易相手国・地域は一斉に反発した。
ただ、対抗手段に関しては、欧州連合(EU)や中国が報復措置をとる意思を示した一方、具体的な言及を避けた国もあるなど対応が分かれている。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は3日、
「われわれは応じる用意がある」
と報復措置をとる構えを示した一方、
「まだ遅すぎない」
とも述べ、交渉による摩擦解消を米国に呼び掛けた。
事前に
「報復関税に飛びつくことはしない」
と述べていたスターマー英首相は3日、英政府の対応について
「冷静な態度を維持する」
と表明。
英国製品の関税率が10%にとどまったことに安堵しているもようだ。
中国外務省の郭嘉昆報道官は記者会見で
「ルールを基礎とする多国間貿易体制を深刻に損なっている」
と難じた。
その上で
「必要な措置を講じ、自らの正当な利益を固く守る」
と対抗措置をとる方針を示した。
中国や北朝鮮の脅威に直面し、安全保障を米国に依存する韓国と台湾は困惑を隠せない。
韓国政府は3日、緊急会議を開き、大統領権限を代行する韓悳洙(ハン・ドクス)首相は
「通商危機の克服に向け、政府が持つ全ての力を注がなければならない」
と強調。
32%の相互関税を課された台湾の行政院(内閣に相当)の報道官は
「極めて不合理で非常に遺憾だ」
とする声明を発表した。
自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を結ぶカナダとメキシコは反応が分かれた。
カナダのカーニー首相がトランプ政権を非難するとともに
「関税に対抗する」
「そのための対策も講じる」
と述べたのに対し、メキシコは報復関税に慎重だ。
ロイター通信はUSMCA適合品に対する関税猶予が継続されると報じており、こうした事情もメキシコの対応に影響を与えた可能性がある。

トランプ氏が「相互関税」発表、日本には24% 基礎部分10%、貿易赤字など加味
動画
2025/4/3 20:32
https://www.sankei.com/article/20250403-5CQ2NEOWKNNIBGUNSZKXZVQYEQ/
トランプ米大統領は2日、
「相互関税」
と呼ぶ新たな関税措置を発表した。
全ての貿易相手国にまず一律10%を課し、一部の国・地域には貿易障壁などを考慮して決めた税率を上乗せするとした。
日本からの輸入品には24%を課す。
貿易摩擦が激化するのは必至だ。
一方、米政権は米東部時間3日未明(日本時間3日午後)、輸入する自動車への25%の追加関税を発動した。
日本車も対象になる。
米国は普通車に2・5%の関税を課していた。
新たな関税発動後は税率が11倍になる。
一部のトラックは現在の25%が50%になる。
トランプ氏は2日、ホワイトハウスで
「今日は待ち望んだ解放の日だ」
と演説し、新たな関税の導入で
「米国の黄金時代が戻ってくる」
と語った。
相互関税の10%の基礎部分は米東部時間5日未明(日本時間同日午後)に発効。
各国・地域に個別に上乗せするとした部分は、9日未明から適用する。
上乗せ部分について、米政権高官は、規制をはじめとする非関税障壁なども考慮し算出したと説明した。
日本は実質46%の関税をかけていると主張している。
日本以外では欧州連合(EU)に20%、中国に34%、インドに26%を課す。
ただし、分野別関税の対象となる自動車や鉄鋼などは、相互関税の対象から外す。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/881.html#c61

[政治・選挙・NHK296] トランプ関税炸裂で悲鳴あげる日本の自動車メーカーはどこだ? 米国向け生産減なら5万4000人が失業危機(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
31. 秘密のアッコちゃん[1447] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月05日 21:12:31 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[885]
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再エネ賦課金が過去最高 32年ごろまで増加 専門家「国民の許容範囲超えている」
2025/4/5 20:02
https://www.sankei.com/article/20250405-YVTX5NRSDZICDFPT7UP2E2RLFA/
太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーを普及させるために電気料金に上乗せされる
「再エネ賦課金」
の引き上げが続いている。
2025年度の単価は2年連続で上昇し、標準家庭(使用量400キロワット時)で月約1600円の上乗せ。
2012年度の導入以来最高で、電気料金の1割超になっている。
賦課金総額は2025年度までの累計で25兆円を超え、2032年度頃まで増加を続ける見込みだ。
再エネ普及に見合う負担なのか、存在意義を問う声も強まっている。
経済産業省は2025年度の賦課金単価を1キロワット時当たり3・98円に設定した。
2025年5月検針分の電気料金から適用され、標準家庭で月額1592円、年額1万9104円が上乗せされる。賦課金は24年度から0・49円上昇し、電気料金は月額196円、年額2352円高くなる。
政府は、再エネで発電された電気を20年といった長期に渡って固定した価格で買い取るよう電力会社に義務付ける
「固定価格買い取り制度」(FIT)
を2012年度に始めた。
電力会社は、買い取り総額と市場での販売収入の差額を賦課金で穴埋めすることになった。
■市場価格など踏まえ毎年度設定
賦課金は、経産相が再エネの導入状況や市場価格などを踏まえて毎年度設定する。
導入当初の2012年度は0・22円だったが、再エネの普及に伴って右肩上がりで増え、2022年度には15倍超の3・45円にまで上昇した。
2023年度はロシアによるウクライナ侵略などに伴い電力の市場価格が高騰し、電力会社の販売収入が増えたため、逆に賦課金の単価は1・40円に下がった。
ただ2024年度は市場価格が一服したことで3・49円となり、上昇トレンドが復活した。
賦課金は2032年度頃まで増え続ける見通しだ。
FITが導入された2012年度に事業用太陽光の買い取り価格は1キロワット時当たり40円に設定された。
その後、現在の10円前後まで徐々に下がってきたが、買い取り期間は20年で、価格の高い案件から買い取りが終了していき、賦課金も縮小するとみられる。
賦課金の単価はどの程度まで上昇するのか。
電力中央研究所の朝野賢司副研究参事は、2030年までの政府の再エネ目標程度の導入が進む場合、4・5円程度まで上がる可能性があるとみる。
標準家庭の電気料金に月額約1800円が上乗せされる水準だ。
同研究所が2019年に消費者を対象に実施した調査では、再エネ普及に対する費用負担を許容すると答えたのは全体の66%だった。
その中で許容額を尋ねたところ、約7割が電気料金に占める割合として
「5%以下」
を選んだ。
足元では賦課金は電気料金の1割を超えており、朝野氏は
「既に国民の許容する範囲を超えている」
と指摘する。
政府は買い取り価格の引き下げや入札制の活用などでコスト低減は進んでいると主張する。
それでも国民負担は増加しており、業界関係者は
「最初の30〜40円という買い取り価格が高過ぎた」
「約束を反故にするわけにもいかず、失策だった」
と批判する。
朝野氏によると、2012〜2025年度の賦課金の総額は累計で25兆円規模に達する。
二酸化炭素(CO2)を1トン削減するために要する費用は3万円を超える計算で、費用対効果の悪い対策だと指摘する。
■国民負担に繋がる恐れ
東日本大震災後、政府が再エネシフトを加速する中、FITが再エネの導入に寄与したのは間違いない。
一方で、賦課金は太陽光パネルを大量に生産する中国を利するとの指摘があり、発電設備の建設による環境破壊を訴える住民も出て来ている。
野党の国民民主党などから賦課金の停止を求める声が上がっているが、経産省は
「賦課金の徴収を停止しても再エネの導入拡大に必要な経費として国民負担が発生する」
との立場だ。
将来的に賦課金は減る見込みだが、発電事業者のCO2排出量に応じた負担金などが増え、結果として国民負担に繋がる可能性もある。
朝野氏は
「様々な温暖化対策の費用対効果を横並びに比較することが必要だ」
「脱炭素に向けては費用増は避けられず、負担の許容額を高める方策も別途考えないといけない」
と語り、国民的な議論の必要性を訴える。

<独自>政府が未稼働太陽光8万件失効 中国など外資案件も 再エネ賦課金4兆円抑制
2025/4/5 18:00
https://www.sankei.com/article/20250405-4XVDYMS5ZFLLHF7Q4ZJ3YUWYXI/
事業用太陽光発電の事業者として認定されながらいつまでも発電を始めない未稼働案件について、政府が2022〜2024年度で約8万件の認定を失効させたことが2025年4月5日、分かった。
健全な事業者を増やし、太陽光事業の新陳代謝を促したい考えだ。
政府は、再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされる
「再エネ賦課金」
として国民負担になる恐れがあった4兆円程度の抑制にも繋がったとしている。
政府は、再エネ事業者が発電した電気を一定の価格で長期間買い取るよう電力会社に義務付ける固定価格買い取り制度(FIT)を巡り、期限までに運転開始に向けた進捗が見られない案件は認定を失効させる制度を2022年度に導入した。
この結果、
▽2022年度に認定を失ったのは5万5300件
▽2023年度は8221件
▽2024年度は1万3697件。
また、認定時期でみると、FIT開始当初の2012〜2014年度に認定を受けながら未稼働で失効された案件は2万5799件に上った。
背景には、制度の隙を突いて儲けを増やそうとしていた事業者の思惑も透ける。
買い取り価格が高額な時に認定を受け、太陽光パネルなどの発電コストが下がるまで待って発電を始めれば、利益を増やせるからだ。
FIT開始当初の買い取り価格は1キロワット時当たり約30〜40円と高額だった。
中国など外資による案件もあるとみられる。
ただ、買い取り価格は認定時のパネル価格などから算定されるため、政府関係者は
「認定から運転開始が遅れている案件に適用されるのは適切ではない」
と指摘する。
一方、買い取りは消費者が負担する再エネ賦課金などで賄われており、政府は、失効されずに発電が行われていた場合、国民負担は4兆円程度増加していたと試算する。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/883.html#c31

[政治・選挙・NHK296] トランプの暴挙に石破政権の右往左往…「日本だけ関税下げてくれ」という島国根性(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
64. 秘密のアッコちゃん[1448] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月06日 12:15:47 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[886]
<■108行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>中国軍の演習 無謀な台湾封鎖許されぬ
社説
2025/4/6 5:00
https://www.sankei.com/article/20250406-AABUQBRERRK3ZB3QLSVSP5SXAY/
中国が無謀な火遊びをまた行った。
中国軍が台湾海峡の封鎖などを想定し、2日連続で行った大規模な演習である。
台湾の国防部(国防省に相当)によると、台湾の東側海域に空母「山東」を展開した他、軍艦、海警船など数十隻が台湾を取り囲むように展開した。
上空では多数の軍用機が台湾海峡の暗黙の休戦ラインである中間線を越えた。
北東アジアの平和と安定を乱す行動で許されない。
中国軍はこの演習を、激しい雷と憤りを意味する
「海峡雷霆(らいてい)―2025A」
と称した。
船舶の臨検・拿捕や港湾施設への精密攻撃など海峡封鎖に必要な能力を検証したといい、映像も公開した。
台湾に心理的圧力を加えるためだ。
中国軍は昨秋にも台湾を包囲する演習を行った。
今回はトランプ第2次米政権が発足し初めて公表した演習である。
中国を
「敵対勢力」
と位置づけた台湾の頼清徳政権を牽制するとともに、トランプ政権の出方を見極めようとしたのは明白だ。
3月30日に中谷元・防衛相と会談したヘグセス米国防長官は
「中国による侵略阻止」
を目的に、日米同盟による抑止力強化を明確に打ち出した。
演習開始はその翌々日である。
米国務省が声明を発表し、
「中国の台湾に対する攻撃的な軍事活動や言説は緊張を悪化させ、地域の安全と世界の繁栄を危険に晒すだけだ」
と非難したのは当然だ。
中国の習近平政権は、2027年までに台湾侵攻の準備を完了するよう軍に指示している。
台湾の海上封鎖は、米軍の介入を排して部隊を上陸させるために不可欠な作戦である。
米シンクタンクの分析によれば、習政権は、軍事侵攻に至らずに威圧行動と米台離反により台湾併吞を実現するシナリオも追求し、ここでも海上封鎖は重視されている。
台湾の人々に恐怖と不信を植え付け、2028年の総統選で与党の民主進歩党を下野させたい。
その有効な威圧のプロセスと考えているからだ。
今回の封鎖演習は、侵略に直結する軍事的威嚇であり、最大限の警戒を要する。
中国外務省は、懸念を伝達した日本政府に
「強烈な不満と断固たる反対」
を表明した。
石破茂政権は、地域の平和を損なう中国に厳しく対峙してもらいたい。

中国軍が模擬港湾・エネ施設に実弾攻撃 台湾周辺で軍事演習継続 頼政権への圧力増す
2025/4/2 20:50
https://www.sankei.com/article/20250402-SMZ227ZSFJLKNCVOPZMLWI3U3E/
中国人民解放軍で台湾方面を管轄する東部戦区は2日、台湾周辺で前日に続き軍事演習を行ったと発表した。
台湾の東側海域に空母を展開。
東シナ海で長距離の実弾射撃を行い、台湾の港湾やエネルギー施設を模した目標を精密攻撃したとする映像を公開した。
「台湾独立派」
と敵視する台湾の頼清徳政権への圧力を強めた。
東部戦区は2日、演習名を
「海峡雷霆(らいてい)−2025A」
と公表。
台湾海峡の中部と南部の海域で、船舶の拿捕などに重点を置き、海軍と海警局が連携して海域を封鎖したり精密攻撃したりする能力を検証した。
台湾海峡の封鎖を想定したもようだ。
中国軍に属する国防大学の孟祥青教授は2日、軍事演習の狙いに関して、台湾が石油や天然ガスなどを輸入に頼っていると指摘し、
「海上供給ラインを失えば資源が消耗、枯渇して社会秩序は混乱に陥る」
と中国軍の交流サイト(SNS)で語った。
■中国機20機が中間線越え
台湾の国防部(国防省に相当)は2日、同日の演習では台湾周辺で中国の軍艦13隻と海警船10隻を確認したほか、空母「山東」の艦隊8隻が台湾南端の南東約350キロの西太平洋に展開したと発表。
2日早朝から午後までに中国の軍用機延べ36機が台湾周辺で活動し、うち延べ20機が台湾海峡の暗黙の
「休戦ライン」
である中間線やその延長線を越えたとした。
中国軍が東シナ海で実施したと発表した実弾射撃演習については、中国側が幅40キロ、長さ270キロに渡る飛行禁止区域を設定し、2日に実弾射撃演習を行ったことを確認したと説明した。
中国側は、頼総統が3月13日の記者会見で、中国を領域外の敵を意味する
「境外敵対勢力」
に該当すると言明したことに強く反発している。
中国政府は発言を
「一つの中国」
原則を否定し
「台湾独立」
の動きを強めた
「挑発」
と断じ、圧力強化に舵を切っている。

中国軍が台湾周辺の軍事演習完了 「台湾独立を打ち砕く」と頼政権への圧力継続へ
2025/4/2 20:39
https://www.sankei.com/article/20250402-SMDLZED3BZKU5C2O5WLCESBKFE/
中国人民解放軍で台湾方面を管轄する東部戦区は2日夜、台湾周辺で1日から行っていた軍事演習の完了を宣言した。
戦区の部隊が高度の警戒を保ち、
「一切の『台湾独立』分裂行為を断固として打ち砕く」
と強調。
「台湾独立派」
と敵視する台湾の頼清徳政権への圧力を継続する構えを示した。
東部戦区は、軍事演習により
「部隊の一体化、統合作戦能力」
を全面的に検証したとしている。
東部戦区は2日、演習名を
「海峡雷霆(らいてい)−2025A」
と公表。
1日は重要地域とシーレーン(海上交通路)の封鎖に重点を置き、2日は東シナ海で長距離の実弾射撃を行い、台湾の港湾やエネルギー施設を模した目標を精密攻撃したとする映像を公開した。

中国軍が台湾周辺で軍事演習を継続 東シナ海で実弾演習も実施
2025/4/2 9:42
https://www.sankei.com/article/20250402-M322TPAEABONPDYTMPOHGSF36A/
中国人民解放軍で台湾方面を管轄する東部戦区は2日、台湾海峡の中部と南部の海域で軍事演習を同日実施したと発表した。
東部戦区は1日にも軍事演習を行っており、演習を継続することで、
「台湾独立派」
と敵視する台湾・民主進歩党の頼清徳総統への圧力を増している。
東部戦区の施毅(し・き)報道官は発表で、演習では警告や駆逐、拿捕などに重点を置き、部隊による海域の合同封鎖や精密打撃の能力検証などを行うと説明。
台湾海峡の封鎖を想定した訓練を行っている可能性がある。
また、東シナ海で長距離の実弾射撃演習を行い、重要な港湾やエネルギー施設を模した目標に精密攻撃を行ったと発表した。
2日の演習は
「海峡雷霆(らいてい)−2025A」
と名付けた。
雷霆は雷の意味。演習名の末尾に
「A」
とあることから、東部戦区が年内に再び同様の演習に踏み切る可能性がある。
東部戦区は1日にも陸海空軍と戦略ミサイルを運用するロケット軍を動員し、重要地域とシーレーン(海上交通路)の封鎖に重点を置いた軍事演習を行った。
1日の演習地域は台湾周辺としており、演習名は発表していなかった。
東部戦区は、演習の狙いについて
「『台湾独立』分裂勢力に対する重大な警告と力強い抑止」
と主張していた。
東部戦区は演習の期間を明言しておらず、台湾側を揺さぶっているとみられる。
中国軍は台湾周辺での演習を常態化させており、
昨年5月に「連合利剣―2024A」、
昨年10月に「連合利剣―2024B」
と名付けた軍事演習を行った。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/886.html#c64

[政治・選挙・NHK296] その影響は?効果は? 米トランプ相互関税でにわかに浮上した消費税減税という選択肢(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
73. 秘密のアッコちゃん[1449] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月07日 13:09:28 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[887]
<■204行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
米関税、日本に秘策あり
美しき勁き国へ 櫻井よしこ
2025/4/7 8:00
https://www.sankei.com/article/20250407-HI44WMILKVJMHMHF2O2H6NNY5M/
トランプ米大統領の関税政策で欧州、カナダなど年来の同盟国、更に東南アジア諸国連合(ASEAN)が米国離れしつつある。
中国の習近平国家主席は挽回の好機と見て早速ベトナム、マレーシア、カンボジアを2025年4月中に訪問する。
中国のからめ捕り戦略は日韓にも及ぶ。
非常にまずい状況だ。
だからこそわが国は今、日本国の基盤を強化しなければならない。
だがトランプ関税を前に石破茂首相の無為無策が目立つ。
相互関税が発表されると、2025年4月4日には共産党まで入れた野党との党首会談を開催した。
共産などに何の知恵を求めようというのか。
石破首相誕生の仕掛け人、岸田文雄前首相は
「首相の努力も動きも見えない」
「言われるままに(関税を)受け入れて中小企業を助ける、では情けない」
と厳しい評価を下した。
どれほど世界経済に大損失を生じさせようが、トランプ氏は
「私の政策は決して変わらない」
と発信する。
氏を止められる人間はおらず、氏の政治基盤が明白に脅かされるときまで関税戦争は続くだろう。
わが国も国家の命運をかけて素早く積極攻勢に出る必要がある。
そのとっかかりは2025年4月2日の演説に見てとれる。
トランプ氏は演説半ばで突然、亡き安倍晋三元首相に言及した。
安倍氏の非業の死を悼み、愛情と尊敬のにじむ言葉を捧げた。
その上でトランプ氏は2人で
「日米貿易協定を結んだ」
「それはとても良いディールになるはずだった」
と語っている。
わが国には安倍氏のこの遺産がある。
石破氏らは過小評価しがちだが他国にはない貴重な遺産を生かさない手はないだろう。
2018年当時、トランプ氏は日本車に25%の関税をかけると言い、安倍氏はそれを受けとめた上で課題全体を米国の経済問題に繋げて解決策を示した。
当時、トランプ氏は対中関税をかけ、中国が報復し、米国産大豆や牛肉の輸入を制限した。
現在と同じだ。
安倍氏はこれら農畜産物への日本の関税を低くして輸入を増やし、トランプ氏は自動車の25%関税を取り下げた。
貿易協定を守る限り、米国は日本の自動車および自動車部品に追加関税をかけないというのが、当時の両首脳の合意だった。
だから今、まず、トランプ氏の安倍氏への思いに感謝を表明し、次に安倍氏の意思を大事に思うからこそ、トランプ氏が協定を破るなら、わが国も協定から降りざるを得ない、牛肉関税は元に戻さざるを得ない、と率直に述べるべきだ。
来年2026年の中間選挙を前にしたトランプ氏にとって、米国の畜産農家の支持の意味は重いはずだ。
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相をはじめ、少なからぬ人々がトランプ米大統領には大きなプロジェクトを提示すべきだと言う。
トランプ氏が日本関連で問題視したのは自動車とコメだ。
自動車については既に述べた。
そこでコメで大きな絵を描いてみせるのがよい。
トランプ氏は日本のコメへの関税は700%だと非難する。
実際には200%ほどだが、この際、コメの関税全廃を提唱してはどうか。
同時にわが国のコメ産業を押し潰す元凶である減反政策も真の意味で廃止する。
未来のコメ作りの核となる主業農家を中心に補助金を投入して力強く支えるのである。
麻生太郎政権で農林水産相を務めた石破茂首相は減反見直しに意欲を見せた。結局、自民党の基本計画には入らなかったが、今は石破氏自身が首相である。
コメ政策の大転換が日本全体の苦境を救うとすれば、改めて取り組まない理由はないだろう。
関税をゼロにすれば外国産の安いコメが入ってくる。
国内のコメ価格は下がり、供給不足は解消され、消費者は喜ぶ。
政府は、価格下落で苦しむ生産農家を、他国の政府も行っているように補助金で支える。
ただし、補助金の出し方を根本から変える。
減反でコメを作らない農家にこれまで毎年3500億円を補助してきた。
こんな後ろ向きの税金の使い方をやめて、コメ産業の未来を担う大規模な主業農家に好きなだけおいしいコメを作ってもらう、そのために補助金を使う。
必要な予算は約1500億円で、減反政策を支えるのに比べると2000億円の税金の節約になる(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁氏)。
おまけがある。
わが国の食料自給率は現在の38%から70%に上がる。
トランプ政権の圧力をてこにわが国の歪んだコメ政策を土台から作り直せば、日本、米国、農家、消費者、食料自給率の五方よしだ。
トランプ氏はまた、米国は国際社会を軍事的に守ってきたとし、
「米軍事費を少しばかり削減しようとすると、彼らは米国は面倒を見てくれないと動揺する」
と不満を述べている。
わが国はここでもう1つ、大きな図柄を描けるだろう。
岸田文雄政権は国家安全保障戦略など安保3文書を閣議決定し、国内総生産(GDP)の2%を防衛費に回すとした。
しかし、今やそれでは不十分だ。
より強い日本国を作るために、安保戦略を見直して防衛費を増やすと明言する時である。
制定から3年目となり、安保戦略の見直しを始めていなければならないのだが、石破氏がそれを止めている。
見直せば国防力の一層の強化、つまり防衛費の増額が必要となり、増税論に繋がる。
2025年6月の東京都議選、夏の参院選で不利になると考え、石破氏を筆頭に官邸が見直し論を牽制しているのだ。
最大の脅威、中国から国民の命とわが国を守るのが首相の責任であろう。
選挙に不利との理由で、国家の根幹である安保戦略見直しを阻止するのは、まさか選挙も政治も石破氏個人のためにあらねばならないと考えているからではあるまい。
コメと防衛、大きな計画を提言してトランプ氏の圧力をわが国の国益に結び付けていく気概を示すしか、トランプ氏の関税の嵐を生き抜く道はないだろう。

<主張>米国が相互関税 同盟国の独善に失望する 石破首相の対応は十分だったか
社説
2025/4/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20250404-MSMIEQ3HFBLEXNSUIAAAOAPSRA/
これが世界最大の経済大国の振る舞いか。
第1次政権時と比べても次元の異なる乱暴さである。
「トランプ2・0」の高関税政策は同盟国にも容赦なく牙を剝く。
独善性に満ちた措置に深い憂慮と失望を覚える。
トランプ米大統領が、貿易相手国の関税や非関税障壁に応じて関税率を引き上げる相互関税を発表した。
全ての国・地域に10%の関税を課し、日本は上乗せ分を含む計24%とする。
世界の通商秩序を崩壊させかねない措置だ。
トランプ関税は世界の経済・貿易どころか米経済も落ち込ませる悪手である。日本は各国と結束し、毅然と対処しなければならない。
■日米ともに打撃大きい
米国は自動車関税を25%上乗せする措置も3日に発動した。
既に鉄鋼・アルミニウムへの追加関税も課した。
これに9日発動の相互関税が加わる。
いずれも日本は対象国に含まれる。
石破茂政権は、米国内での投資や雇用創出を巡る貢献を根拠に除外を求めてきたが、当ては完全に外れた。
日本への相互関税は欧州連合(EU)などより重く最悪の展開である。
米国は最大の輸出相手国だ。
関税負担は輸出企業だけでなく下請けの中小企業まで打撃を受ける。
大和総研は相互関税で令和7年の日本の実質国内総生産(GDP)が0・6%下押しされると試算した。
6年の実質GDPが0・1%増の日本経済にとって影響は深刻だ。
納得できないのは、相互関税の根拠として、日本の対米関税率が46%相当もあると見做したことだ。
日本は米国から輸入する工業製品などの関税撤廃を進めている。
米国は非関税障壁を問題視するが、妥当性は疑わしい。
例えば米国がやり玉に挙げる自動車の安全基準だ。
規制が厳しく米国車が売れないというが、各国が交通事情に応じて独自の安全基準を設けるのは当然だ。
輸入車を排除していないことは欧州車を見れば分かる。
日本が米国産のコメに700%の関税をかけているという主張も、無税の最低輸入量(ミニマムアクセス)枠などを考慮せず、実情とかけ離れている。
日米は第1次トランプ政権時の貿易協定で、米国が自動車に追加関税を課さないことなどを確認した。
自らの政権で結んだ約束まで踏みにじるトランプ氏の姿勢はあまりに危うい。
関税で
「米国の黄金時代になる」
というトランプ氏の主張には思い込みや矛盾が多い。
米国の富を搾取する各国の輸出攻勢を関税で阻止し、製造業の復活を果たすというが、これは一面的な見方だ。
安価で質のいい輸入品は米国の旺盛な消費や米企業の生産活動を支えてきた。それを無視して
「貿易赤字=損」
と捉えるのはおかしい。
■企業への支援を万全に
追加関税の一部が値上げの形で米国内の消費者に転嫁されれば、トランプ氏がバイデン前政権批判で連呼したインフレを却って助長する。
更に中国やEUなどと報復関税の応酬になれば、米国は黄金時代どころかインフレと景気悪化が同時進行しかねない。
トランプ氏はそのリスクを直視すべきだ。
石破首相は米国の攻勢になす術がなかったことを失敗と受け止め、戦略を練り直す必要がある。
既に企業の雇用や資金繰りを支援する方針を示している。
影響を最小限にする対策に万全を期すのは当然である。
日本を追加関税の対象から外すよう強く迫ることも重要である。
石破首相は先の会見で必要があればトランプ氏と直接協議する意向を示した。
ならばすぐに実行に移す責任がある。
一方的に関税を課す措置は国際ルールに反するが、トランプ氏に説いても翻意は難しいだろう。
世界貿易機関(WTO)の紛争解決制度も機能停止状態にある。
それでも敢えてWTOに提訴し、日本の厳しい姿勢を示すことは一手だろう。
関税定率法にはWTOの承認を受けて報復関税を行う規定がある。
日米の経済力の差や、安全保障上の抑止力を日米同盟に期待する関係を踏まえれば、安直に報復関税を目指すわけにはいかない。
ただし、何らかの対抗措置を取れるかどうかは十分に検討しておきたい。
留意すべきは中国の存在である。
米国は東南アジア諸国などにも重い税率を課した。
こうした国々が対米リスクを避けて中国への接近を強めれば、日米の経済安保にも影響する。
日本はその点についてトランプ政権に警鐘を鳴らすべきである。

トランプ関税、EUは「報復」 韓国と台湾は「困惑」 対抗手段は硬軟分かれる
2025/4/4 0:19
https://www.sankei.com/article/20250404-SHIT6ASLABKBDJJ76KCRQH5C3E/
トランプ米大統領が2日(日本時間3日)に相互関税を発表したことを受け、米国の主要貿易相手国・地域は一斉に反発した。
ただ、対抗手段に関しては、欧州連合(EU)や中国が報復措置をとる意思を示した一方、具体的な言及を避けた国もあるなど対応が分かれている。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は3日、
「われわれは応じる用意がある」
と報復措置をとる構えを示した一方、
「まだ遅すぎない」
とも述べ、交渉による摩擦解消を米国に呼び掛けた。
事前に
「報復関税に飛びつくことはしない」
と述べていたスターマー英首相は3日、英政府の対応について
「冷静な態度を維持する」
と表明。
英国製品の関税率が10%にとどまったことに安堵しているもようだ。
中国外務省の郭嘉昆報道官は記者会見で
「ルールを基礎とする多国間貿易体制を深刻に損なっている」
と難じた。
その上で
「必要な措置を講じ、自らの正当な利益を固く守る」
と対抗措置をとる方針を示した。
中国や北朝鮮の脅威に直面し、安全保障を米国に依存する韓国と台湾は困惑を隠せない。
韓国政府は3日、緊急会議を開き、大統領権限を代行する韓悳洙(ハン・ドクス)首相は
「通商危機の克服に向け、政府が持つ全ての力を注がなければならない」
と強調。
32%の相互関税を課された台湾の行政院(内閣に相当)の報道官は
「極めて不合理で非常に遺憾だ」
とする声明を発表した。
自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を結ぶカナダとメキシコは反応が分かれた。
カナダのカーニー首相がトランプ政権を非難するとともに
「関税に対抗する」
「そのための対策も講じる」
と述べたのに対し、メキシコは報復関税に慎重だ。
ロイター通信はUSMCA適合品に対する関税猶予が継続されると報じており、こうした事情もメキシコの対応に影響を与えた可能性がある。

トランプ氏が「相互関税」発表、日本には24% 基礎部分10%、貿易赤字など加味
動画
2025/4/3 20:32
https://www.sankei.com/article/20250403-5CQ2NEOWKNNIBGUNSZKXZVQYEQ/
トランプ米大統領は2日、
「相互関税」
と呼ぶ新たな関税措置を発表した。
全ての貿易相手国にまず一律10%を課し、一部の国・地域には貿易障壁などを考慮して決めた税率を上乗せするとした。
日本からの輸入品には24%を課す。
貿易摩擦が激化するのは必至だ。
一方、米政権は米東部時間3日未明(日本時間3日午後)、輸入する自動車への25%の追加関税を発動した。
日本車も対象になる。
米国は普通車に2・5%の関税を課していた。
新たな関税発動後は税率が11倍になる。
一部のトラックは現在の25%が50%になる。
トランプ氏は2日、ホワイトハウスで
「今日は待ち望んだ解放の日だ」
と演説し、新たな関税の導入で
「米国の黄金時代が戻ってくる」
と語った。
相互関税の10%の基礎部分は米東部時間5日未明(日本時間同日午後)に発効。
各国・地域に個別に上乗せするとした部分は、9日未明から適用する。
上乗せ部分について、米政権高官は、規制をはじめとする非関税障壁なども考慮し算出したと説明した。
日本は実質46%の関税をかけていると主張している。
日本以外では欧州連合(EU)に20%、中国に34%、インドに26%を課す。
ただし、分野別関税の対象となる自動車や鉄鋼などは、相互関税の対象から外す。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/892.html#c73

[政治・選挙・NHK296] 大阪・関西万博はすでに失敗している。即時中止を勧告する! 適菜収 だから何度も言ったのに(BEST TiMES) 赤かぶ
29. 秘密のアッコちゃん[1450] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月07日 14:57:13 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[888]
<■329行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<正論>政府は台湾「有事」の対応説明を 
麗澤大学特任教授・江崎道朗
2025/4/7 8:00
https://www.sankei.com/article/20250407-DJKE3SME2RMYRDU7Z7JTBHOFKU/
■「日本は前線に立つ」
「中国共産党の威圧的な行動に日米は結束して立ち向かう」
「西太平洋で有事に直面した場合、日本は前線に立つことになる」
2025年3月30日、中谷元・防衛相との初会談後の記者会見でヘグセス米国防長官がこう述べた。
どういう意味なのか。
政府は国民に対して説明すべきだ。
その際、
@中国による台湾「有事」の危機が迫りつつあり、
Aその危機は日本の存立にとって無縁ではなく、
B日本は米国などと共にその危機に対処すべく準備を進めてきており、
Cいざとなれば日本が主体的に対処しなければならない
ことを丁寧に説明すべきだ。
中国は21世紀に入って驚異的な経済発展を遂げ、2010年頃からインド太平洋地域で威圧的な動きを強めるようになった。
南シナ海に軍事基地を設け、台湾「統一」を公言し、沖縄・南西諸島海域での軍事行動を繰り返し、今や我が国の尖閣諸島を連日のように脅かしている。
中国の軍事的台頭に対して日本は幾つかの選択肢があった。
第1は、このまま中国の威圧的な対外行動を容認し、中国の影響下に入ることを甘受する道だ。
第2は、中国による
「力による現状変更」
を米国によって抑え込んでもらう道だ。
だが、軍事大国となった中国を、もはや米国だけで抑え込むことは困難だ。
■中国の威圧的行動に対し
2012年12月に発足した第2次安倍晋三政権は第3の道を選択した。
それは、自らの経済発展と防衛力整備、そして自由主義陣営の結集によって中国の威圧的な行動に立ち向かう道だ。
戦後半世紀以上に渡って我が国は安全保障を米国に依存してきた。
しかし日本が主体的に動かなければ、貿易立国の基盤である
「自由で開かれたインド太平洋」
秩序を守れないばかりか、尖閣諸島なども失いかねない。
そこで第2次安倍政権はアベノミクスを掲げて経済成長を目指すと共に2013年、戦後初めて日本独自の国家安全保障戦略を策定し、自由主義陣営を結集するとともに
「自分の国は自分で守る」
国家体制の再構築に着手した。
特定秘密保護法、平和安保法制などを次々と制定して
「有事」
に対応できる法整備を行い、日米同盟を強化するだけでなく、豪英仏加印などと軍事協力関係を構築してきた。
この国家戦略を更に強化したのが岸田文雄政権だ。
2022年12月、反撃能力の保持を謳った新たな国家戦略を策定し、5年間で43兆円の防衛費を使って防衛力の抜本強化を始めた。
具体的には宇宙・サイバー・電磁波などの新たな領域への対応、南西地域の防衛体制の強化、弾薬・燃料などの備蓄、沖縄・南西諸島からの避難計画の策定などだ。
力の信奉者である中国との戦争を回避するためには、こちらも力がないといけない。
そう考えて我が国はこの十数年、中国との対話を続ける一方で、日米同盟の抑止力、対処力を向上させ、かつ豪英仏加印といった同志国を糾合してきた。
それは何としても台湾「有事」の勃発を阻止し、
「自由で開かれたインド太平洋」
を守りたいと考えたからだ。
■軍事侵攻のリハーサル
だが中国の習近平政権は台湾に対する
「武力統一」
を断念するつもりはなく、台湾周辺で大規模な軍事演習を繰り返している。
しかも大規模演習は、恫喝目的の訓練ではなくなりつつある。
米インド太平洋軍のパパロ司令官は2025年2月13日、ホノルル防衛フォーラムにおいて、中国の軍事演習が22年の6個旅団から2024年夏には42個旅団に拡大し、150隻の艦艇と200の水陸両用戦闘車両が参加する大規模なものに変容したと報告、これらは
「単なる演習ではなくリハーサルだ」
と警告した。
こうした厳しい情勢判断のもと、米国は昨年2024年12月23日、2025会計年度国防権限法を成立させ、実に8950億ドル(約140兆円)もの国防予算を決定した。
2015年は5604億ドルだった国防予算を10年で1・5倍近くに増やしたことになる。その狙いは
「中国の抑止」
だ。
米国も必死なのだ。
だが、それでも台湾「有事」を回避できるとは限らない。
しかも中国がロシアや北朝鮮と連携して台湾だけでなく、朝鮮半島や南シナ海でも同時に紛争を仕掛けてくるシナリオも想定され、現有の米軍兵力だけでは対応できない恐れがある。
そこでヘグセス米国防長官は今回、日本に対して日本本土だけでなく西太平洋(台湾や南シナ海など)の紛争にも米国と共に対処してほしいと言及したわけだ。
これを機に日本政府は、我が国が直面している危機の実情とこれまでの我が国の取り組みを国民に対して率直に説明し、防衛費の更なる増加と
「有事」
に向けた本格的な準備、台湾との公的な防衛協力関係の構築、そして自衛隊を軍隊と位置付ける憲法改正などが急務であることを訴えるべきだ。
平和を望むならば、有事に備えなければならない。

台湾に軍事的圧力強める中国、防空識別圏内への進入は「常態化」
2025/4/6 20:21
https://www.sankei.com/article/20250406-J7Q7SRNFB5MUJB5BM4SOE4SUTU/
自衛隊と米軍が昨年2024年2月に実施した日米共同指揮所演習
「キーン・エッジ」
は、日米共同演習として初めて、本格的に台湾有事を想定して行われた。
中国は
「台湾独立」
派とみなす台湾の民主進歩党が政権を奪還した2016年以降、当局間対話の窓口を閉ざし、軍事的圧力を強めてきた。
特に、中台関係の
「現状維持」
を掲げて中国への刺激を避けた蔡英文前総統の任期後半から、頼清徳総統に交代した昨年2024年5月以降は、より実戦的な演習で台湾を威圧している。
中国の習近平国家主席は2019年1月、台湾への武力行使の選択肢を
「放棄しない」
と明言。
同年2019年3月末には中国の戦闘機が中台間の事実上の休戦ラインである台湾海峡の中間線を越えて台湾側に侵入した。
その後、台湾の防空識別圏(ADIZ)内側への中国軍機や艦艇の進入が増え、現在は
「常態化」
している。
大規模な軍事演習では、蔡政権2期目の2022年8月にペロシ米下院議長(当時)が訪台した直後、台湾本島を取り囲む演習区域を設定。
1995〜96年の台湾海峡危機以来の弾道ミサイル演習などを行った。
2023年8月には頼副総統(当時)の訪米後に1回、頼氏が昨年2024年5月に総統に就任して以降は3回の演習を実施。
昨年2024年11月の米大統領選を睨んでで実弾の使用は控えつつ、演習項目を洗練させた。
今年2025年4月の演習
「海峡雷霆2025−A」
では、台湾の港湾施設を模した射爆場をロケット砲で攻撃し、空母が台湾南東沖で封鎖や対艦、対地攻撃訓練を行った。

「日本は有事の最前線に」予言の根拠は昨年2月の日米演習 憲法9条、連携強化に大きな壁
2025/4/6 19:26
https://www.sankei.com/article/20250406-4KFHFZ7UPZITPHIXO4XGUOOXLQ/
昨年2024年2月に行われた日米共同指揮所演習
「キーン・エッジ」
では、自衛隊と米軍が共同して台湾に侵攻する中国軍を撃退する想定で連携を確認した。
ただ、日米間の連携を強化する上で、日米共同の
「連合司令部」
が存在しないという大きな壁がある。
自衛隊だけをとってみても、有事対処に向けた課題が浮き彫りになったのがキーン・エッジだった。
■米国防総省の総意
就任後、初めて日本を訪問したヘグセス米国防長官の発言は、不吉な予言のようだった。
2025年3月30日、ヘグセス氏は中谷元・防衛相との会談後、記者会見に臨んだ。
元テレビキャスターらしく快活な口調で
「米国は台湾海峡を含むインド太平洋において、強固で即応可能かつ信頼性のある抑止を維持する」
と述べ、こう強調した。
「日本は西太平洋で発生する有事で最前線に立つことになるであろう」
米メディアからは発言の不安定さを指摘されるヘグセス氏だが、今回の発言は放言の類ではない。
その証拠に、会見では用意した紙を一語ずつ確認するかのように予言≠告げた。発言は、綿密に準備した上で紙にまとめられた米国防総省の総意といえる。
ヘグセス氏は最前線に立つ日本に対して
「お互いに助け合う」
とも述べた。
その根拠の1つとなったのが、昨年2024年2月のキーン・エッジだった。
■空母か台湾海峡か
キーン・エッジでは、米側の要請に基づき、航空自衛隊の戦闘機が台湾海峡を航行する中国軍艦艇にミサイル攻撃を行った。
台湾北方の中国・上海沖や南シナ海から台湾に攻め入る中国軍の艦艇を攻撃したのは米軍機だ。日米が役割分担を行うことで効果的に台湾侵攻を阻止する動きが確認された。
「さすがに上海に近いところで自衛隊は戦えない」
「台湾海峡での作戦が精一杯だった」
「自衛隊が攻撃を担当したのは中国軍の輸送艦で、戦闘艦は米軍に任せた」。
演習に参加した日本政府関係者はこう証言する。
演習では台湾有事について、日本の存立を根底から覆しかねない
「存立危機事態」
と認定し、日本は集団的自衛権に基づき武力を行使することが可能になった。とはいえ、台湾から700キロ近く離れた上海沖では
「存立危機事態」
を逸脱するというわけだ。
台湾海峡作戦に加わるよう求める米側の要請を巡っては、自衛隊内でも意見が分かれた。
「台湾海峡の中国艦よりも、台湾から離れた所にいる中国空母を優先的に打撃すべきだ」
演習で統合作戦司令官の役を務めた将官はこう主張した。
戦闘機を積んだ空母は圧倒的な攻撃力を誇る。
これを野放しにしてしまっては、日本の領土を守り切れなくなる恐れがあるからだ。
結果的に、日本側は米側の要求通り、空母よりも台湾海峡の中国軍艦艇を攻撃することを優先した。
中国が台湾を拠点に攻撃を仕掛ければ、南西諸島を守り切れないという判断から、
「台湾防衛」
が最優先と判断した。
台湾海峡優先のもう1つの理由は、中国空母のタイプだった。
演習で想定された中国軍空母は
「空飛ぶレーダー」
と呼ばれる早期警戒機を運用できず、丸腰≠ナ戦闘に臨むのも同然だったことも台湾海峡優先を後押しした。
ただし、中国が実戦配備を目指す3隻目の空母「福建」は早期警戒機も運用できるタイプだ。
空母が先か、台湾海峡が先か−。
常日頃から日米両国の間で綿密な意思疎通を行わなければ、いざ有事の際に混乱に陥る可能性もある。
■苦肉の策もハンディ
2025年3月30日の日米防衛相会談では、ヘグセス氏が在日米軍司令部に作戦指揮権を付与する
「統合軍司令部」
への再編計画第1段階を始動させたと表明した。
日本では、陸海空自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令部が発足したばかりだった。
「日米の指揮統制枠組みの向上の進展を歓迎した」
中谷氏は記者会見でこう述べ、安堵の表情を浮かべた。
在日米軍の格上げを巡っては、トランプ米政権が見送りも含めて検討しているという米メディアの報道があったが、ヘグセス氏の発言はこれを打ち消した形になったからだ。
だが、安心するのはまだ早い。
たとえ日米双方が統合司令部を新設したとしても、あくまで別々の司令部であり、北大西洋条約機構(NATO)や米韓同盟のように一体となった連合司令部は日米間に存在しない。
憲法9条は日本の自衛権行使を厳格に規定しており、平時において外国軍の武力行使と
「一体化」
することは許されない、というのが内閣法制局の解釈だ。
このため、平時から日米一体となった司令部を設置すれば、憲法違反になりかねない。
苦肉の策として2015年に設置されたのが
「同盟調整メカニズム(ACM)」
だ。
日米両政府、自衛隊、米軍の担当者が常日頃から顔を合わせ、連携を強化することを狙う。
自衛隊の統合作戦司令部、格上げされた在日米軍司令部もACMに加わることになる。
とはいえ、日米同盟が連合司令部の不在というハンディを背負っている事実に変わりはない。
キーン・エッジをはじめとする各種共同演習で双方の
「できること、できないこと」
を把握し、課題を克服する作業が欠かせない。

昨年2024年2月のキーン・エッジでは、自衛隊内部の調整が課題となる場面もあった。
演習では、台湾有事に伴い沖縄県など南西諸島に攻撃が加えられる事態に備えて陸上自衛隊が部隊を増強するため、集積拠点の九州に人員や装備を運ぶ必要があった。
陸自は輸送機に航空自衛隊基地の滑走路を優先的に使用させるよう求めたが、空自は台湾海峡に向かう戦闘機による滑走路の優先利用を訴えた。
協議の結果、輸送機が使う代替滑走路を確保し、戦闘機が空自基地を利用した。
ただ、参加者の1人は
「中国軍が弾道ミサイル攻撃で日本の滑走路を破壊することも想定される」
「そうなれば、戦闘機と輸送機のどちらが優先的に滑走路を使うかという判断はより難しくなる」
と語る。
演習では、中国軍部隊が与那国島(沖縄県)に上陸するシナリオも盛り込まれた。
上陸した部隊は小規模にとどまり、駐屯部隊が中国軍部隊を制圧する結果に終わった。
尖閣諸島(同県)でも警戒・監視態勢を強めたが、演習の中では中国軍が占拠するような事態には発展しなかった。
とはいえ、これで
「めでたし、めでたし」
とは言えない。
演習の準備段階初期には南西諸島に中国軍が攻め入る事態を想定しておらず、あわてて日本側がシナリオに組み込むよう求めたという。
演習参加者は
「演習では『南西諸島は守られました』という結果になったが、実際にそうなるかどうかは分からない」
「より危険なシナリオを想定した準備も必要になる」
と語る。
キーン・エッジでは、最も重要なポイントも検証されていない。
政治の判断だ。
演習では台湾有事を存立危機事態と認定し、自衛隊も武力行使が可能となった。
だが、事態認定は
「戦争参加」
を意味し、しかも何をもって存立危機事態と認定するかは予め決められるものではない。
日本政府内では
「米軍の判断のスピードに追いついていけない可能性は十分にある」(外務省幹部)
との声も漏れる。
首相や防衛相ら政府首脳を含む政治家が演習に参加し、心構えを万全にすることが必要だ。

<独自>台湾有事を想定、空自戦闘機が中国艦を攻撃 日米共同演習の概要判明
2025/4/6 17:58
https://www.sankei.com/article/20250406-5B3NBIGUVVPQJLFB6WV7YUWOZU/
自衛隊と米軍が昨年2024年2月に実施した日米共同指揮所演習
「キーン・エッジ」
で、台湾に侵攻する中国軍艦艇に対し、自衛隊機がミサイル攻撃を行う判断が下されたことなど演習の概要が2025年4月6日、判明した。
日米共同演習で本格的に台湾有事を想定したのは初めて。
演習の結果は有事の際に自衛隊や米軍が行動する際の指針となる作戦計画に反映されているとみられる。
複数の関係者によると、演習は中国が台湾侵攻に着手するシナリオの下で、陸海空自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令官が存在する前提で進められた。今年3月の統合作戦司令部発足に向けた準備という意味合いもあった。
演習では、中国軍が台湾に侵攻するとともに、米軍佐世保基地(長崎県)などを攻撃。
日本側は
「組織的かつ計画的な武力攻撃とまでは言えない」
とし、個別的自衛権を行使する条件となる
「武力攻撃事態」
の認定は見送った。
ただ、台湾有事は日本の存立を脅かす
「存立危機事態」
と認定し、集団的自衛権に基づき武力を行使する条件が整った。
これを受けて米側は台湾海峡を航行する中国軍の強襲艦隊を攻撃するよう要請した。
日本側は要請を受け入れ、航空自衛隊の戦闘機が空対艦ミサイルで中国軍の輸送艦を攻撃した。
自衛隊内部では台湾海峡の中国艦よりも、中国軍空母の攻撃を優先させるべきだという声もあったが、演習時点で中国軍が運用していた空母は攻撃対象として優先順位が低いと判断した。
演習では、中国軍が与那国島(沖縄県)に上陸するシナリオも組み込まれた。
陸上自衛隊は与那国島を含む南西諸島の防衛を強化するため増援部隊を九州に派遣。
部隊を運ぶ輸送機が離着陸することを想定した基地滑走路を空自戦闘機も使ったため、どちらを優先させるか意見が割れる場面もあったという。
キーン・エッジは2年に1回行われる。
昨年2024年2月の演習にはオーストラリア軍も初めて参加し、
「過去とは一線を画する、質的に高い演習だった」(吉田圭秀統合幕僚長)。
日米両政府は台湾有事を想定した作戦計画の策定作業を進めており、演習の結果を参考材料の1つとしている。

自衛隊海上輸送群が発足式 陸自主体、中国念頭に輸送力強化 中谷防衛相「重要な一歩」
2025/4/6 12:57
https://www.sankei.com/article/20250406-Q5BZJHCAKVM3ZDIYLHFYHXM4AE/
南西諸島への輸送力強化を目的とした防衛相直轄の新組織
「自衛隊海上輸送群」
が2025年4月6日、拠点を置く海上自衛隊呉基地(広島県呉市)で発足式を開いた。
輸送群は乗員の約9割を陸自、約1割を海自で構成。
中国が海洋進出を強める中、組織の垣根を越え、人員や車両、物資を運ぶ能力を高める狙いがある。
中谷元・防衛相は発足式で
「陸自と海自が力を合わせて海上輸送に当たる部隊の新編は、歴史的に極めて重要な一歩だ」
「まさに新しい時代の統合運用の象徴となるものだ」
と訓示を述べた。
輸送群は2025年3月24日に約100人態勢で発足した。
小型級の「にほんばれ」が既に配備され、中型級の「ようこう」も2025年5月にも就役する。
台湾や尖閣諸島での有事に備え、本島から南西諸島を繋ぐ役割を担う。
輸送群は段階的に拡充し、令和9年度までに中型級2隻、小型級4隻、小回りの利く機動舟艇4隻の計10隻態勢とする。
中型級は本州と沖縄本島や奄美大島を、小型級は沖縄本島と宮古島や石垣島、機動舟艇は接岸が難しい小島への輸送を想定している。

統合作戦司令部 台湾有事見据え 自衛隊に「魂」を 島田和久・元防衛事務次官
2025/4/5 16:00
https://www.sankei.com/article/20250405-KT5XTM3NJNITHGCZQTZQKEUDUM/
陸海空自衛隊の各部隊の指揮を一元化する
「統合作戦司令部」
が2025年3月24日に発足した。
なぜ新組織を立ち上げる必要があったのか、在日米軍との関係はどう変わるのか―。
日本周辺の安全保障環境が悪化する中、防衛事務次官を務め、統合作戦司令部創設の議論に深く関わった島田和久氏に話を聞いた。

■臨時対応では不足
統合作戦司令部が発足するまで、自衛隊は大規模災害や紛争地帯からの邦人退避などに際し、陸海空混成の統合任務部隊(JTF)を臨時で立ち上げて対処していた。
だが、JTFの司令官は事態によって就く者が異なる上に、平時は部隊の統合運用を担っていない。
敵国の侵略が始まってから、
「今日から私が司令官になります」
では事態に万全に対応しきれない、という問題意識があった。
加えて、大規模災害対応中に他国から弾道ミサイルが飛来するなど、同時に複数の事態が発生した場合に、複数のJTFが並立するのでは、総合的な対処に支障が出かねない。
平時から、あらゆる事態を一元指揮する統合作戦司令部を常設しなければ、これらの課題は解決しなかった。
制服組トップの統合幕僚長は指揮官ではなく、首相や防衛相の補佐者だ。
しかし、米軍との関係では、本来の役割である米統合参謀本部議長との戦略レベルでの調整に加え、米側指揮官であるインド太平洋軍司令官のカウンターパートも担っていた。
いざ有事の時に
「一人二役」
では無理がある。
戦術レベルで日米の連携を一層緊密化し、統幕長と役割分担を図るのが、今回新設された統合作戦司令官の重要な任務の1つだ。
統合作戦司令部の発足で自衛隊に新たな
「魂」
が入り、より実戦的な組織になるだろう。
■2027年までに抑止力
歴史を振り返れば、統合作戦司令部の構想は過去何度も浮上しては先送りされてきたが、2022年の
「安保3文書」
策定に向けた議論の中で一気に本格化した。
現実の脅威に真正面から向き合い、侵略者と戦って勝てる自衛隊を作ることが議論の基本思想だったからだ。
防衛力の強化は、装備を増やしたり、弾薬を増やしたりするだけでは完結しない。
自衛隊を有機的に動かすには
「指揮・統制」、
つまり神経系統にメスを入れる必要があると考え、自分が事務次官だった当時、防衛省内で各幕僚長や内部部局(内局)幹部と膝詰めで議論した。
再び先送りを求める声も一部であったが、
「ここで決着をつけなければいけない」
と考えていた。
意識したのは、中国による台湾侵攻態勢の準備目標とされる2027年だ。
2027年までに統合作戦司令部をフルスペックで機能させることが大きな抑止力になる。
平和維持に向けた競争だ。
そのため、一刻も早く立ち上げなければいけないという危機感があった。
■米国動かした選択
注目すべきは、統合作戦司令部発足に合わせて、今後、米国も在日米軍を再編し、部隊の指揮権を持つ
「統合軍司令部」
を立ち上げる点だ。
これまで在日米軍の司令官の権限は基地の管理などにとどまり、権限が非常に限定的だった。
日本を守ることを主任務とする米軍将官が配置される意義は大きい。
自衛隊の統合作戦司令部と米統合軍司令部の間で、緊密な連携を図っていくことになる。
統合作戦司令部の発足がなければ、在日米軍の統合軍司令部への再編も起き得なかった。
日本の選択が米国を動かした格好となった。
ほとんどの人が気付いていないと思うが、この地域における日本の役割、自衛隊の役割は非常に大きくなっている。
私が次官だった2022年にウクライナ侵略が始まった。
米国の戦略も変化している。
国際情勢を見通せば、日本が自国の抑止力を高める必要性はいや応なしに高まっている。
安倍晋三政権以来、安全保障政策の強化が続いてきたが、それが結実した成果の1つが、統合作戦司令部の発足だったと言える。

【用語解説】統合作戦司令部
陸海空、宇宙、サイバーといった自衛隊の主要部隊を統合運用する新組織。約240人態勢で東京・市谷に発足した。
初代司令官はF15戦闘機パイロット出身の南雲憲一郎空将。
平時の警戒監視、災害対応、弾道ミサイル対処などの他、敵領域内の軍事目標を叩く
「反撃能力」
の運用も担う。
常設の統合司令部は米国や英国、オーストラリアも保有している。

【プロフィル】島田和久
しまだ・かずひさ 1962年、神奈川県生まれ。
慶応大卒。
1985年に防衛庁(現防衛省)に入り、防衛政策課長、官房長や内閣参事官を歴任。
安倍晋三政権では首相秘書官として支えた。
2020〜2022年に防衛事務次官を務めた後、退官。
現在は慶応大特別招聘教授兼東京大客員教授。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/896.html#c29

[政治・選挙・NHK296] 支配者が最大の警戒を払った人物(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
20. 秘密のアッコちゃん[1451] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月07日 15:08:02 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[889]
<■207行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>沖縄県の米事務所 知事は「違法」の責任取れ
社説
2025/4/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20250407-XNW7MYEY75NO5J6GKUQO3T34TQ/
沖縄県が違法状態のまま米ワシントンに設けていた県駐在事務所が、閉鎖されることになった。
違法状態を問題視した、県議会の自民党、公明党、日本維新の会の各会派が、令和7年度県予算から事務所運営費を全額削除したため閉鎖が決まった。
県政の過ちを是正した県議会の議決を歓迎したい。
ワシントン事務所は
「基地問題解決のため」
として設置されたが、昨秋2024年秋以降、事務所の設立や運営に法に触れる点があると指摘されていた。
信じ難いのは玉城デニー知事に真摯な反省が見られないことだ。
不正発覚後、玉城氏は不適切な事務所運営を謝罪したものの、運営費が全額削除されると
「(ワシントン事務所は)新たな体制で再スタートできるよう取り組む」
と述べた。
違法状態の事務所の存続を求める予算案を提出したこと自体が、法治国家の知事として失格だ。
玉城氏がとるべき行動は事務所の再スタートではない。
違法状態の事務所を設立、維持した責任者を全て特定し、処罰することだ。
そこには知事の玉城氏自身も含まれる。
県が設置した弁護士らによる調査検証委員会の最終報告書は、事務所の設立手続きに
「重大な瑕疵があることは明らか」
で、
「その後の運営も含めて違法となる可能性は否定できない」
と結論付けた。
だが、玉城氏は
「非常に厳しい意見だ」
「1つ1つ精査したい」
と述べるにとどまり、けじめをつける対応を明かしていない。
事務所は平成27年、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対した翁長雄志前知事の肝煎りで設立された。
米国の弁護士の助言で株式会社としたが、その実態や経営状況を県議会に報告してこなかった。
駐在職員の肩書を
「社長」
などとし、虚偽の書類を提出して米政府を欺いていた。
報告書は、事務所のコンプライアンス違反や税法上の問題も指摘した。
米国の法律はもちろん、日本の地方自治法などに違反する可能性が高い。
そもそも外交と安保は国の専管事項である。事務所を拠点とした県の反基地活動は二重外交で、国益を著しく損なう。
事務所を巡る疑惑は県議会百条委員会の調査が継続中だ。
再開などもっての他である。

<主張>沖縄県の米事務所 閉鎖し二重外交をやめよ
社説
2024/12/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20241216-EJVWY3VWO5KE5H7IL37YUCMJHY/
米軍基地問題を巡る沖縄県の
「外交」
が、出鱈目であったということだ。
県が
「基地問題を解決するため」
として米ワシントンに設置した事務所が、実態と異なる株式会社として事業登録されていたことが発覚し、県議会が昨年度の県一般会計決算を不認定とした。
県は、ワシントン事務所の駐在員のビザ取得の際、県職員の身分であるのに
「社長」
などとし、米移民局に
「沖縄県から直接雇用されることはない」
と記載した虚偽の書類を提出していたという。
法律上必要な県議会への報告も怠っていた。
自治体のやることかと、呆れる他ない。
県議会が決算を認めなかったのは当然だ。
県は直ちに、違法な事務所を閉鎖すべきである。
事務所は平成27年、当時の翁長雄志知事が、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対などを訴えるために設置された。
非営利事業者として登録するつもりだったが、米国務省から
「政治的だ」
などと指摘され、現地の弁護士らの助言で県が100%出資する株式会社を設立した。
だが、そうした実態は明らかにされず、設立にあたって取得した株式も県の公有財産として登録されていなかった。
玉城デニー知事になってからも引き継がれ、県は人件費や活動費として、毎年度の予算に約1億円を計上していた。
問題発覚後、玉城氏は会見で
「深く反省している」
と述べたが、陳謝で済む話ではない。
なぜ長年に渡り違法な対応を続けたのか、調査して県民に説明する必要がある。
関係者の処分も欠かせない。
玉城氏が事務所を継続する意向であるのは論外だ。
事務所は基地問題における
「独自外交」
の拠点とされ、知事訪米時の対応などを行ってきた。
だが、外交と安保は国の専管事項であり県に権限はない。
国の方針を真っ向から否定する県の二重外交は、国益を著しく損なう。
沖縄の島である尖閣諸島周辺では、中国海警局の武装船が挑発をエスカレートさせている。
台湾有事が日本有事に直結することも懸念される。
沖縄の自衛隊と米軍が抑止力となり、県民を含む国民の生命、財産を守っている現実を、玉城氏は理解しているのか。

沖縄・玉城知事「深く反省」と謝罪 ワシントン事務所「虚偽申請」問題、不認定は「残念」
2024/11/28 12:08
https://www.sankei.com/article/20241128-QNRBWFYDPZMA5CHPUPHLZXI7CI/
米軍基地問題を解決するため沖縄県が米国に設立した
「ワシントン事務所」
が株式会社として事業登録され、駐在職員の就労ビザ(査証)取得の際に事実と異なる書類が米政府に提出されていた問題を受け、沖縄県の玉城デニー知事は2024年11月28日の定例記者会見で
「深く反省している」
と謝罪し、
「しっかりと説明責任を果たしていく」
と釈明した。
沖縄県議会は2024年11月26日、ワシントン事務所の関連経費を盛り込んだ令和5年度一般会計決算を賛成少数で不認定としていた。
また自民、公明、維新の3会派は、事務所や駐在職員の適法性などについて県監査委員に監査請求する動議を提出し、可決された。
玉城知事は不認定を踏まえ、
「残念に思うと共に、大変重く受け止めなければならない」
と述べた。
また、日本の法令との適合について
「改善を要する事が見つかった」
とし、
「必要な措置を取るよう指示した」
と明らかにした。
県によると、事務所は2015年、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する県の主張などを米国内で発信するため、県が100%出資する株式会社として設立された。
現地に常駐する県職員は、ビザ取得の際、肩書を
「社長」
などとして申請。
米移民局に提出した資料には
「株式会社が雇用を管理している」
などと記載していたが、実際は県職員の身分を有した公務員のままだった。
運営経費は人件費を含め年間約1億円で、費用対効果を疑問視する保守系県議から
「虚偽申請だ」
と批判されていた。

「今後、丁寧に説明責任」と沖縄・玉城知事 米ワシントン事務所問題で県議会が不認定
2024/11/26 12:30
https://www.sankei.com/article/20241126-GON4UDW4E5MFFDGBZUC22MJQTY/
沖縄県の玉城デニー知事は2024年11月26日、米軍基地問題を解決するため沖縄県が米国に設立した
「ワシントン事務所」
を巡る問題で、県議会が事務所の関連経費を盛り込んだ令和5年度一般会計決算を不認定としたことを踏まえ、
「財産の管理について関係文書として報告できるよう、今後丁寧に説明責任(を果たせるよう)に努めていく」
と述べた。
県庁内で記者団の取材に答えた。

本土復帰後初の不認定、「金返せ!」ヤジも 沖縄県ワシントン事務所「虚偽申請」問題
2024/11/26 11:41
https://www.sankei.com/article/20241126-PMFVQ2C5WFNU7PBMQH2VDKOMIQ/
米軍基地問題を解決するため沖縄県が米国に設立した
「ワシントン事務所」
が株式会社として事業登録され、駐在職員の就労ビザ(査証)取得の際に事実と異なる書類が米政府に提出されていた問題で、県議会は2024年11月26日、事務所の関連経費を盛り込んだ令和5年度一般会計決算を賛成少数で不認定とした。
議会事務局によると、沖縄の本土復帰(昭和47年)以降、県議会本会議で決算が不認定となるのは初めて。
玉城デニー知事を支持する
「オール沖縄」
側の県議は事務所について、
「沖縄が抱える米軍基地問題の解決に向け、重要な役割を担っている」
と意義を強調したが、自民会派の座波一県議は
「国内外の法を無視した悪質といえる手法であり、断じて容認することはできない」
と強く非難。
採決では自民、公明、維新の3会派が反対した。
3会派はワシントン事務所や駐在職員の適法性などについて、地方自治法に基づき県監査委員に監査請求する動議を提出し、可決された。
この日の議会では
「金返せ」
といったヤジも飛んだ。
事務所は2015年、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する県の主張などを米国内で発信するために設置された。
県によると、米国務省から
「非営利目的の事業者設立は不適当だ」
との見解が示されたため、米国の弁護士の助言を得て、県が100%出資する株式会社として設立。
現地に常駐する県職員は、ビザ取得の際、県側が肩書を
「社長」
などとして申請していた。

「玉城県政の闇」指摘 沖縄のワシントン事務所「虚偽申請」問題で3会派が究明チーム設立
2024/11/25 13:44
https://www.sankei.com/article/20241125-4XDAWIX4DJMJBJD63KMFZKSZAI/
米軍基地問題を解決するため沖縄県が米国に設立した
「ワシントン事務所」
が株式会社として事業登録され、駐在職員の就労ビザ(査証)取得の際に事実と異なる書類が米政府に提出されていた問題で、沖縄県議会の自民、公明、維新の3会派は2024年11月25日、一連の問題を究明するプロジェクトチーム(PT)を立ち上げると発表した。
2024年11月26日に開会する2024年11月議会では、3会派共同で監査請求の動議を提出し、玉城デニー県政を追及する方針。
「虚偽申請だ」
として問題視する自民党会派の花城大輔県議は会見で、
「これは玉城県政の闇と言っても過言ではない」
「徹底的にこの闇を調べていきたい」
と強調した。
ワシントン事務所は2015(平成27)年4月、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対していた翁長雄志前知事の肝煎りで設置された。
県によると、米国務省から
「非営利目的の事業者設立は不適当だ」
との見解が示されたため、米国の弁護士の助言を得て、県が100%出資する
「株式会社沖縄県ワシントン事務所」
として設立。
現地に常駐する県職員のビザを取得する際、県側が肩書を
「社長」
などとして申請した。
米移民局に提出した資料には
《沖縄県から直接雇用されることはない》
《株式会社が雇用を管理している》
などと記載していたが、実際は県職員の身分を有した公務員のままだった。
事務所は玉城知事の訪米時に案内役を担う他、米国政府関係者との意見交換を通じ、県の主張を米側に直接伝える役割を負うが、運営経費は人件費も含めると年間約1億円で、保守系県議から費用対効果を疑問視する声が上がっていた。
PT立ち上げを発表した3会派は監査請求の事項として、株式会社設立の適法性や駐在職員の身分の取り扱い、資金の流れなど6項目を挙げている。
自民党会派の大浜一郎県議は
「多くの事実が隠蔽されてきた」
「もういい加減にワシントン駐在事業を継続することはやめるべきだ」
と話した。

米の沖縄県ワシントン事務所に暗雲=@「虚偽ビザ」自民会派が問題視、玉城県政を追及へ
2024/11/20 21:21
https://www.sankei.com/article/20241120-LXTDF4BYGNL7ZATSLOWXOTNRUI/
米軍基地問題を解決するため沖縄県が米国に設立した
「ワシントン事務所」
の先行きに暗雲が垂れ込め始めた。
営業実態のない株式会社として事業登録され、駐在職員の就労ビザ(査証)を取得する際に事実と異なる書類を米政府に提出していたことが判明したためだ。
県議会多数派の自民党会派は
「虚偽申請だ」
と問題視しており、2024年11月26日に開会する2024年11月議会で玉城デニー県政を追及する方針だ。
■前知事肝入りで設置
ワシントン事務所は約10年前の2015(平成27)年4月、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対していた翁長雄志前知事の肝煎りで設置された。
県によると、米国務省から
「非営利目的の事業者設立は不適当だ」
との見解が示されたため、米国の弁護士の助言を得て、県が100%出資する
「株式会社沖縄県ワシントン事務所」
として設立されたという。
現地に常駐する県職員のビザを取得する際、県側が肩書を
「社長」
などとして申請。
米移民局に提出した資料には
«沖縄県から直接雇用されることはない»
«株式会社が雇用を管理している»
などと記載していたが、実際は県職員の身分を有した公務員のままだった。
県幹部は
「株式会社として登録するために必要な記載だったが、米国法に基づいて申請しており、行政組織として堂々と虚偽の申請をするとは考えにくい」
と強調するが、
「どういった認識で申請したのか」
「経緯を確認しているところだ」
とする。
■費用対効果を疑問視する声も
事務所は、玉城知事の訪米時に案内役を担う他、米国政府関係者との意見交換を通じ、県の主張を米側に直接伝える役割を負う。
ただ、運営経費は人件費も含めると年間約1億円で、保守系県議からは費用対効果を疑問視する声も上がる。
2024年6月の県議選で、玉城知事を支持する
「オール沖縄」
勢力が大敗し、保守系勢力が16年ぶりに過半数を奪還。
自民党県連幹部は
「以前は我々が指摘しても県は『問題ない』と言うのみだった」
と振り返り、
「県議選で潮目は変わった」
「(県には)資料を洗いざらい出してもらう」
と息巻く。
自民党会派は事務所閉鎖も視野に攻勢を強める構えだ。
玉城知事は2024年10月31日の定例記者会見で
「きちんと説明できるように調査しているので時間を頂きたい」
と述べたが、2024年11月26日に開会する議会では事務所の存廃問題も議論されそうだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/897.html#c20

[政治・選挙・NHK296] 入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
17. 秘密のアッコちゃん[1452] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月08日 13:42:54 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[890]
<■113行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
トランプといい、バイデンといい、ロシアに甘過ぎる。
ほんと頼りにならない。
日本は自力で自国を守ることをもっと真剣に考えるべきだ。

突然だった露軍占領…虐殺の地・ブチャの教訓 「2027年」台湾有事で中朝露同時危機も
戦間期の終焉 第1部・迫りくる有事(上)
2025/4/8 8:00
https://www.sankei.com/article/20250408-MSGZKNCP7BMU3LPV2Y2EPRWA7M/
ウクライナの首都キーウ郊外のブチャ市に、戦禍の跡はほとんど残っていない。
教会の敷地内に立つ慰霊碑が、1カ月余りのロシア軍占領下で約500人もの民間人が虐殺されたことを伝えている。
時折鳴り響く空襲警報を除けば、日常の市民生活が営まれている。
露軍がウクライナに全面侵攻した2022年2月24日もそうだった。
多くの市民が出勤し、商店や企業も営業していた。
「市民は皆、露軍がかくも早く、ここに来るとは思っていなかった」
とブチャ市総務局長のドミトリー・ガプチェンコ氏(47)は振り返る。
翌25日に露軍の空挺部隊が現れ、一気に暗転した。市外に避難しようとした車が銃撃を受け、市民は脱出を断念する。3月3日には陸軍部隊が到着し、本格的な占領が始まった。
「露軍が市民に共通して要求したのは、白い布を腕に巻くことと、3人以上のグループで移動しないことだった」
「しかし、地区によって占領の在り方は様々で、露軍は部隊間の連絡もまともにできていないようだった」。
露軍占領下で市民への炊き出しに取り組んだ調理師、アレクセイ・リシン氏(47)は振り返る。
ウクライナの親欧米派や民族派を
「ナチスト(ナチス主義者)」
と称するプーチン露政権の言説そのままに、露兵らは
「ナチストはどこだ」
などと集合住宅を回り、発砲することもあった。
■「占領されるときに残ってはいけない」
多くの市民が集合住宅の地下室に身を寄せ、息を潜めて生活した。
露兵らが
「勝者は裁かれない」
「戦争は全てを帳消しにする」
と言って乱暴狼藉を働いたのを多くの市民が覚えている。
一度力による占領を受けたら、市民は余りにも無力だ。
「殺害された市民には大きく分けて4つの類型があった」
とガプチェンコ氏。
▽路上を歩いていて銃撃された約300人
▽車で移動中に銃撃された60人超
▽地下室などに連行され、銃殺された60人超▽火を付けられて焼死した20人超
だという。
連行されたケースは、露軍が検問や集合住宅の巡回で市民のスマートフォンを調べ、写真や交流サイト(SNS)の書き込みに基づくものが多かった。
軍・治安機関と関係のある人や、民族派と思われる人を銃殺した模様だ。
露軍の占領は、2022年3月31日にウクライナ軍が市を解放するまで続いた。
「(外国軍に)占領される時に残留してはいけない」
「それがブチャの教訓だ」。
調理師のリシン氏はこう語る。
■欧州と中東で抑止失敗、次はアジア
ロシアは2021年秋以降、ウクライナ国境に15万〜20万人と推定される軍部隊を集結させていた。
米国のバイデン政権は再三、ロシアが大規模攻撃を計画していると警告した。
ウクライナのゼレンスキー政権がそれを真剣に受け止め、十分な行動をとったのかはいずれ検証されるだろう。
一方で、バイデン政権の動きを問題視する見方も根強い。
「2021年夏に米軍のアフガニスタン撤収を急いだこと、そしてバイデン大統領が早々に米軍のウクライナ派遣を否定したことは大きな過ちだった」
と日本の欧州外交筋は指摘する。
米軍のアフガン撤収を受け、プーチン露大統領は米国が他地域に関与する力を失っていると考え、国境に大軍を派遣してウクライナを威嚇した。
更にバイデン氏は2021年12月、ウクライナへの米軍派遣を
「検討していない」
と明言し、侵攻しても米国は介入しないとの確信をプーチン氏に与えた。
中東では2023年10月にイスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム原理主義組織ハマスの戦闘が起き、イスラエルとイランの対立を軸に緊張が続く。
欧州と中東で紛争の抑止が失敗した今、次に問われているのはアジアに他ならない。
■演習で空自が中国艦を仮想攻撃
昨年2024年2月の日米共同指揮所演習(図上演習)
「キーン・エッジ」
は、80年に及ぶ
「戦間期」
の終わりを覚悟させる筋書きで進んだ。
<中国の弾道ミサイルが米軍佐世保基地(長崎県)と岩国基地(山口県)に飛来し、一部は滑走路に着弾>
<日本政府は
「存立危機事態」
を宣言し、集団的自衛権の行使を可能にした>
中国軍が台湾に武力侵攻するという具体的な台湾有事を想定した日米共同演習は初めてだった。
演習では、九州の空自基地を飛び立ったF2戦闘機が台湾北東沖を航行する中国軍輸送艦を空対艦ミサイルで攻撃する。
米軍の要請を受け、戦後初めての武力行使に踏み切る内容となった。
それだけ日米防衛当局の危機感は高まっている。
「この演習は2027年を前にして重要なタイミングで行われた」
と関係者の1人は語る。
「2027年」
とは、中国軍が台湾に侵攻する準備を整えると米国などが見ている年だ。
キーン・エッジは2年に1度の演習のため、昨年2024年を逃すと次は2027年の目前になってしまうという事情もあった。
2027年は
「中華民族の偉大な復興」
を掲げる習近平・中国国家主席が共産党トップの3期目を終える年で、軍創設100年の節目でもある。
習氏が4期目続投に固執し、かつ国内経済の不調が続けば、台湾侵攻などの軍事行動で功績を示すのではと警戒されている。
中国軍は既に台湾侵攻の予行演習を行ったとされる。
台湾の国防部(国防省に相当)系シンクタンク
「国防安全研究院」
の沈明室氏は
「3度の演習で台湾に侵攻する際の作戦計画を各段階に分けてリハーサルした」
と指摘する。
■中国軍、台湾侵攻を周到にリハーサル
3度の演習とは、
@昨年2024年5月の「連合利剣−2024A」
A同昨年2024年10月の「利剣B」
B同昨年2024年12月の「ステルス演習」(台湾メディア)
のこと。
いずれも中国が
「頑迷な台湾独立派」
と見做す台湾の頼清徳総統を
「懲罰」
する政治目的があったと考えられている。
しかし、それは表面上のことだと沈氏は話す。
「利剣Aは火力攻撃、利剣Bは重要港の封鎖、ステルス演習は米海軍や海上自衛隊の介入を防ぐA2/AD(接近阻止・領域拒否)に重点を置いていた」
中でもステルス演習は第1列島線(九州沖−沖縄−台湾−フィリピン)周辺に100隻近くの艦船が展開する
「過去最大規模の海上軍事行動」(台湾当局者)
だった。
しかも、中国軍は今月2025年4月上旬、台湾海峡の中・南部域で大規模な演習
「海峡雷霆(らいてい)―2025A」
を実施。
台湾の港湾やエネルギー施設など重要インフラを模した目標に精密攻撃を行った。
侵攻計画の予行演習は更に一段階進んだと言える。
中国が引き起こす台湾有事はロシアと北朝鮮が連動する恐れがある。
ロシアとの
「無限の友好」
を謳う中国は、露産石油・天然ガスの大口購入や軍民両用品の輸出でロシアのウクライナ侵略を支えてきた。
中国が台湾侵攻に踏み切ればロシアが何らかの対中支援を行う可能性は高い。
北朝鮮はロシアと
「包括的戦略パートナーシップ条約」
を結び、ロシアへの派兵も行った。
ロシアがウクライナで使う砲弾の多くは北朝鮮製だ。
北朝鮮が見返りに、ロシアから核・ミサイルなどの軍事技術供与を求めていることは疑いない。
条約には
「一方が戦争状態になれば、遅滞なく軍事的、またはその他の援助を提供する」
とある。
日本は
「同時複合危機」
への対応を迫られかねない。

戦後80年。
長く続いた日本の
「平和な戦後」
は終わっているのかもしれない。
日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、どうやって戦争を抑止し、悲劇を防ぐべきかを探る。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/898.html#c17

[政治・選挙・NHK296] 「お前もとっとと自殺しろ」兵庫県議らに大量の脅迫メール 激化する“言論への攻撃”の実態「フラグを立てられたら終わり」<… 赤かぶ
82. 秘密のアッコちゃん[1453] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月08日 14:34:30 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[891]
<■178行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<産経抄>天皇、皇后両陛下による「令和の慰霊の旅」の始まり
2025/4/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20250408-JYTYZ46DIVNETP7P5EAWSGCFFU/
「からだを丈夫にし、勉強もし、お母さんの言付をよく守り、お父さんに安心させる様にして下さい」。
先の大戦の末期、米軍との激戦地となった硫黄島から、日本軍の総司令官、栗林忠道中将が家族に送った手紙はよく知られている。
▼部下たちにとっても、家族との手紙のやりとりは何より心休まるひとときだった。
先月末の小紙に、島で戦死した日本人将校の日記が紹介されていた。
といって小紙の渡辺浩生記者が入手したのは、駐留米軍による英訳だ。
▼「ろうそくの火で家族へ今年最初の手紙を書く」
「待ち焦がれた手紙を受け取る。母の回復を知りホッとした」。
やがて、上陸した米軍との決戦の日が迫ると、渡辺記者の日本語訳によれば、こんな記述もあった。
「われわれは塵と消えようと、悔やみはしない」
▼36日間に及ぶ激戦で、日本側約2万1900人、米側約6800人が戦死した。
1万1千人以上の遺骨が未収容のままである。
硫黄島は米軍が長距離爆撃機B29の基地を置いたマリアナ諸島と日本本土の中間点に位置する。
もし易々と米軍の手に落ちていたら、本土の戦災は、数十万人規模で拡大していた。
軍事評論家の兵頭二十八さんが「正論欄」で指摘していた。
戦後の日本外交にも大きな影響を与えた、とも。
▼天皇、皇后両陛下は昨日、硫黄島を訪問された。
沖縄、広島、長崎と、戦後80年
「令和の慰霊の旅」
がこれから続く。
30年前に慰霊の旅をなされた上皇、上皇后両陛下は戦時下で少年、少女時代を送っている。
▼われわれの平穏無事が先人のどれほど大きな犠牲の上に成り立っているのか。
戦争を知らない世代の天皇、皇后両陛下とともに、国民が改めて思いを致す日々の始まりである。

<主張>硫黄島ご訪問 陛下と心一つに祈りたい
2025/4/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20250408-GNQX2RSDM5LKLHFIZD4UFFKFOU/
戦後80年にあたり、天皇陛下が慰霊の旅を始められた。
その最初の地として、皇后陛下とともに先の大戦(大東亜戦争)末期の激戦地である硫黄島を訪問された。
日米で計約2万9千人が戦死した硫黄島には今も多くの日本軍将兵の遺骨が眠っている。
硫黄島の日本軍将兵は、ここが陥落すれば米軍による日本本土への空襲が激化すると知っていた。日本を守ろうと懸命に戦って散華したのである。
天皇陛下が行幸で英霊を慰められた意義は極めて大きい。
陛下と心を一つに、国民も鎮魂の祈りを捧(ささ)げたい。遺骨収容に全力を挙げなくてはならない。
上皇陛下も在位中の平成6年、慰霊のため上皇后陛下と硫黄島に赴かれた。
天皇陛下は上皇陛下の時と同様に、英霊を祀る天山慰霊碑や、日米両軍の将兵を悼む鎮魂の丘などを巡り花を手向けられた。遺族や元島民の子孫らとも懇談された。
天皇陛下は今年、沖縄、広島、長崎も訪問される見通しだ。
2月の記者会見では先の大戦の戦没者や遺族を悼み、
「苦難の道を歩まれた方々に、改めて心を寄せていきたいと思っております」
と述べられた。
そのお気持ちを、感謝とともに深く心に刻みたい。
東京とサイパンのほぼ中間に位置する硫黄島に、米軍が上陸を開始したのは昭和20年2月である。
サイパンから日本空襲に飛び立つ米爆撃機B29の中継地とするためだった。
圧倒的火力の米軍に対し、栗林忠道陸軍中将率いる日本軍守備隊は地下陣地を築いて徹底抗戦した。
熾烈な戦闘は1カ月以上も続き、日本軍は軍属なども含めほぼ全員の約2万2千人が戦死した。
米軍も約7千人が戦死、約2万2千人が負傷した。
米軍の被害はノルマンディー上陸作戦を上回った。
祖国を守ろうとした日本軍将兵の力戦奮闘は米軍に強い印象を残した。
先月末に硫黄島で行われた日米合同慰霊式には石破茂首相と中谷元・防衛相、ヘグセス米国防長官が参列した。
ヘグセス氏は中谷氏との会談で
「(自衛隊と米軍は)先人からの戦う精神、名誉あるレガシーを引き継いでいる」
と硫黄島の戦いを振り返った。
80年前の死力を尽くした戦いは日米同盟の礎になり、日本国民を守ってくれている。

先人が築いた平和を次世代へ、両陛下が硫黄島ご訪問 上皇ご夫妻の思いも受け継がれ
2025/4/7 23:10
https://www.sankei.com/article/20250407-KMDFS2DISFO6TBBGHPQEP67ONM/
天皇、皇后両陛下が7日、初訪問された硫黄島は先の大戦中、激戦の舞台となった。
守備隊は孤立無援の中、水や食料は尽き、地下壕のなかで火山島の地熱に耐えながらの奮戦の末、玉砕した。
両陛下は遺族ら関係者と懇談し、先人が築いてきた日本の平和を守り、次世代につなぐ大切さについて言葉を交わされた。
■遺族の苦難に心寄せ、活動ねぎらわれ
「どうかお身体を大切に活動を続けてください」。
7日の懇談で、両陛下は高齢化が進む関係者にそれぞれ言葉をかけ、長年の活動をねぎらわれた。
硫黄島の戦いで父を亡くした硫黄島協会の寺本鉄朗会長(80)が
「父をはじめ戦没者も大変喜び、感無量だと思います」
と伝えると、天皇陛下は
「だいぶ苦労されたのですね」
と寄り添われた。
東京都遺族連合会の宇田川剱雄会長(83)が
「遺族の2世、3世も交えて戦争の記憶を継承する語り部を作り、平和をつなぐ活動を進めている」
と説明すると、陛下は
「本当に大切なことですね」
と応じられ、皇后さまも
「活動をぜひ頑張っていただきたいです」
と激励された。
■戦後世代、記憶と平和への願いご継承
側近によると、両陛下は訪問を前に、硫黄島に関する書籍や資料などに目を通し、関係者の説明も受けながら、考えを深められていたという。
日本軍は硫黄島で、水や食料が極度に不足するなか、場所により地熱が50度超の火山島に全長約18キロの地下壕を構築した。
指揮官の栗林忠道中将は死を前提とした
「バンザイ突撃」
を禁止。
米軍に大打撃を与えたが、36日間の組織的戦闘の末に壊滅した。
硫黄島には、上皇ご夫妻も戦後50年を翌年に控えた平成6年に慰霊のため足を運ばれている。
上皇さまは
「精根を込め戦ひし人未だ地下に眠りて島は悲しき」
と御製に詠まれた。
戦後世代である両陛下はご夫妻から折に触れ、平和を願うお気持ちについても聞かれてきたという。
側近は
「陛下は、先の大戦で苦しみ、亡くなった方々を忘れず、先人の努力で築かれた平和と繁栄に感謝することが大切とのお気持ちがある」
と話す。
硫黄島訪問は、戦後80年の節目に、最初のご慰霊の地となった。

硫黄島は本土から1200キロ、遺骨1万柱眠る
先の大戦の激戦によって日米両軍に2万8千人を超える戦死者が出た東京都小笠原村の硫黄島は、本土から約1200キロ南方に位置する火山島で、世界自然遺産の北硫黄島、南硫黄島とともに列島を形づくっている。
現在は自衛隊の航空基地が設けられており、住民はいないが、戦前は約1千人の島民が農業や漁業に従事していた。
硫黄島が日本の領土となったのは明治24(1889)年。小学校もつくられ、大正時代には50人以上の子供がいた。
戦局に伴って昭和19年に103人の軍属を残して住民は本土に疎開。翌年2月には、米軍が上陸し、激しい戦闘が行われ、日本軍は玉砕した。
当時の戦いは、栗林中将を中心に描いた
「硫黄島からの手紙」(クリント・イーストウッド監督)
など映画にもなっている。
戦後は施政権が一時的に米国へと移ったが、昭和43年に返還され、小笠原村が設けられた。
島内には、日本軍戦没将兵を悼む
「硫黄島戦没者の碑」(天山慰霊碑)
や、日米双方の戦没者を慰霊する
「鎮魂の丘」
など追悼施設も建立され、戦後50年の平成12年に始まった日米合同の慰霊式典は現在も続いている。
厚生労働省によると、令和7年2月末時点で、日本兵の死者約2万1900人のうち約1万1190柱の遺骨が帰還できておらず、収容事業が続けられている。
平成23年には、北硫黄島と南硫黄島が父島列島などとともに国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界自然遺産に登録された。

「昨日の敵、今日の友」 ヘグセス米国防長官 硫黄島追悼のことば詳報(下)
2025/4/6 10:30
https://www.sankei.com/article/20250406-OGZQZNUO35MW5PQ7ICKAMWTEXA/
■「日米の犠牲は決して忘れられることはない」
海軍の工兵は島の重要な滑走路を修復しました。
戦闘が激しく続く中、戦いが始まってからわずか13日後に最初の損傷したB29が海に墜落せずにこの地に着陸しました。
戦争が終わるまでに2200機以上の爆撃機が、われわれが今朝、到着したこの地に緊急着陸しました。
硫黄島の戦いが終わりに近づくと、栗林忠道中将は部下に
「あなた方の栄誉ある戦績は決して忘れられることはない」
と断言しました。
私たちが今日ここにいるのは、忘れないためです。
日米の戦士たちの名誉と勇気を忘れないため、そして栗林中将の誓いを再確認するためです。
日米両国の海兵隊員、兵士、水兵たちの奉仕と犠牲は、決して忘れられることはありません。
この地で勇敢に戦ったほとんどの人々は、すでにこの世を去っていますが、その神聖な記憶は生き続けています。
そして、私たちは今日一緒にいる(硫黄島で戦った)方々に心から感謝しています。
黒い砂浜の上に、摺鉢(すりばち)山の頂上に、この島のトンネルや壕の中に、その記憶は生き続けています。
また、その記憶は、私たちの人々、国の間の絆の中にも生き続けています。
■日米同盟は「インド太平洋地域の平和の礎」
40年前、最初の
「名誉の再会」
で、摺鉢山を守った小松義男氏が、硫黄島の海兵隊員の退役軍人であるウェイン・ベラミー氏と出会いました。
ベラミー氏は
「私は摺鉢山のふもとに最初に上陸した部隊の一員でした」
と述べ、小松氏は笑顔で「昨日の敵、今日の友」と応えました。
日米同盟は1945年の勇敢な男たちに、昨日の敵が今日の友となったことを示しています。
私たちの同盟は、インド太平洋地域における自由、繁栄、安全、そして平和の礎であり続けています。
そして、それはこれからも続きます。
ここで命をささげた多くの人々を思い出しながら、私たちの友情と同盟を再び誓約しましょう。
私たちの団結と私たちが共有する目的が私たちを強くします。
私たちが共に子供たちや孫たちのために平和な未来を提供しようと努める中で、それらの思いが私たちを強くします。
私は今日この場に集まった硫黄島で戦った方々や同盟国の方々と一緒にいられることに感謝しています。
このような英雄たちと同じ場にいることで謙虚な気持ちになります。
14歳の長男がいることを思うと謙虚な気持ちになります。
たった4年で、私の長男もこのようなことを委ねられる人の1人になっていたかもしれないのです。
私は自問します。
彼にできるだろうかと。
私たちはそのような若者を育てているのかと。
■「彼らにできたなら、私たちにもできる」
立ち上がり、戦うことを選ぶ若者を育てることに共に尽くしましょう。
自由のために戦うことを選択するのです。
この戦場での勇気、勇敢さ、そして犠牲に、短い時間ながらも立ち会うことができることを誇りに思います。
この地で英雄たちが生まれました。
その記憶は、戦争の恐怖と代償を思い出させます。
その勇敢な模範は私たちを鼓舞し、私たちの決意を固めます。
彼らが無私の奉仕をできたなら、私たちにもできます。
額に汗を浮かべながら、80年前のこの島で彼らがどんな気持ちでいたかを想像してみてください。
彼らが恐ろしい敵に立ち向かう勇気を持てたなら、私たちにもできます。
彼らが自国、家族、そして仲間に完全に献身できたなら、私たちにもできます。
私たちが今日、この地に立ち、友人として、同盟国として、肩を並べて英雄たちの名誉のレガシーを生きることができることを幸運に思います。
神が私たちの同盟国を祝福しますように。
そして神と救世主イエス・キリストの恵みと慈悲が米国の戦士たちを包み込みますように。
ありがとうございました。
神のご加護を。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/895.html#c82

[政治・選挙・NHK297] トランプの暴挙で恐慌か、戦争か…世界が固唾をのむ今後(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
41. 秘密のアッコちゃん[1454] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月09日 10:25:35 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[892]
<■309行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
トランプはろくでもない奴だった。
投資家を敵に回してどうするのか。
不況と物価高が同時に起こるスタグフレーションだ。
トランプは世界を壊したいのか。

<主張>米関税攻勢と日本 石破首相に戦略性みえぬ
社説
2025/4/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20250409-TJ4PSUYVOFOUBMBEKHMZISYLY4/
石破茂首相は、これで事態を打開できると考えているのか。
世界同時株安が報じられた2025年4月7日夜、首相はトランプ米大統領との電話会談で、2025年4月9日に発動する相互関税を見直すよう求めた。
また両首脳は、担当閣僚が協議を続けることを確認した。
日本側は赤沢亮正経済再生担当相が担当する。
2025年4月8日朝には全閣僚でつくる関税の総合対策本部の初会合で、首相は米国の措置内容の精査や影響の分析、外交面での取り組み強化などを指示した。
石破首相は記者団に
「国難とも言うべき状況を乗り越え(てこそ)新しい日本がある」
と語った。
その割に備えが不十分な印象が拭えないのはどうしたことか。
最悪の事態を想定し対応策を練る時間はあった。
今頃交渉カードを模索しているのならば認識が甘過ぎる。
本来は、閣僚に協議を委ねる前に首脳同士が直接会って腰を据えた話し合いをするのが望ましい。
石破首相は、閣僚協議の推移を見て
「最も適切な時期に訪米する」
と言うが、相手は独断傾向の強いトランプ氏だ。
閣僚間で積み重ねた議論をトランプ氏が覆すリスクがある。
これを避けるためにも、首相は早期のトランプ氏との直接会談を米側に強く求めるべきだろう。
その結果を閣僚協議に繋げるのが筋である。
残念なのは首相に戦略性が見られないことだ。
米国が日本のコメ市場は不公正だと言うならば、日本の農政の方向性を明示し妥当性を訴えてこそ有効な反論材料となる。
そういう大きな議論が首相には求められる。
米国が独善的な関税措置をやめない場合、日本がどう対抗するかも首相自らの言葉で発信する必要があろう。
自動車への追加関税は、第1次トランプ政権時に結んだ日米貿易協定に反する。
ならば同協定に基づく米産農畜産物の輸入拡大も無効とするのか。
これらをはっきりさせることで、米国ペースのディールにならないよう努めたい。
石破首相には、米国以外の先進7カ国(G7)や東南アジア諸国などとの結束を強める外交力も問われる。
これらの国々が対米リスクを避けて中国経済への依存を強めれば、日本の経済安全保障環境は変貌しよう。
世界の通商秩序が崩れかねない今こそ、日本は自由貿易を守る指導力を発揮すべきだ。

米「相互関税」一部と対中関税が午後発動へ USTR代表、農産品など対日輸出増求める
2025/4/9 9:49
https://www.sankei.com/article/20250409-WVQRPKBHTJNC3PH35JLQ6F4Z6I/
トランプ米政権は2025年4月9日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)、
「相互関税」
の一部として、貿易赤字を参考に日欧やアジア諸国に上乗せした追加関税を発動する。
相互関税への報復措置を表明した中国には税率50%を更に上乗せする。
中国やカナダが対抗措置を実施する一方、日韓などは対米交渉に乗り出す。
米政権の対応次第で金融市場が不安定になる局面が続きそうだ。
米政権が相互関税と呼ぶ追加関税のうち、全世界に課す10%分は2025年4月5日に発動した。
米国が抱える貿易赤字が多い約60カ国・地域には、個別に上乗せする税率を決定して2025年4月9日から適用する。
日本には2025年4月9日に14%を上乗せして計24%が課される。
ベセント米財務長官と共に対日交渉を担うグリア米通商代表部(USTR)代表は2025年4月8日、上院財政委員会の公聴会で、
「当然、日本で更なる市場アクセスがほしい」
と述べ、農産品や工業製品の輸出拡大を求める立場を表明した。
中国からの輸入品に課す追加関税は2025年4月9日から計104%となる。
既に発動した20%分に相互関税34%を加算。
中国が相互関税への報復措置を実施すると表明したため、米政権は懲罰的な意味合いを込め、2025年4月9日に50%を上乗せすることにした。
レビット米大統領報道官は2025年4月8日の記者会見で、米国へ報復措置をとる中国のような国々は
「過ちを犯している」
と批判。
中国に50%を上乗せする関税措置が2025年4月9日未明に発効することも確認した。
レビット氏は、米政権と交渉を求めている国が70近くに達していると説明。
「協議では(日韓などの)同盟国やパートナー国を優先していく」
と述べた。

米上院が駐日大使を承認、実業家のグラス氏が着任へ 「日本に約束守らせる」と強調
2025/4/9 8:42
https://www.sankei.com/article/20250409-YZFKXC42ABKIRBM3LZJK3WYPHY/
米上院本会議は2025年4月8日、トランプ大統領が駐日大使に指名した実業家、ジョージ・グラス氏の人事案を賛成多数で承認した。
近く着任する見通し。
日本に対し同盟強化に向けた防衛費増額や、対米貿易黒字の削減を求める考えを示している。
トランプ政権が
「最大の競争相手」
と位置づける中国への厳しい姿勢でも知られる。
グラス氏はトランプ氏との距離が近いとされ、日本政府は橋渡し役を期待。
トランプ政権の
「相互関税」
措置を受け日米の交渉が本格化する中、トランプ氏の代理人として日本側に譲歩を迫る場面も想定される。
グラス氏は人事承認に向けた上院外交委員会の公聴会で日米関係を
「過去最高」
と評価し、サプライチェーン(供給網)やAI(人工知能)分野での協力拡大も掲げた。
一方で
「関税や対日貿易赤字削減で厳しく交渉する」
と宣言。
2025年2月の日米首脳会談で合意した米国から日本への液化天然ガス(LNG)輸出の増加に関し
「日本に約束を守らせる」
と強調した。(共同)

米の対日関税24%が9日午後1時1分発動へ 相互第2弾、60カ国・地域で税率上乗せ
2025/4/9 7:21
https://www.sankei.com/article/20250409-VRXHE53YA5PUJKBGDW7JR7WENE/
トランプ米政権が国別の貿易赤字を参考に独自に設けた
「相互関税」
の第2弾が、2025年4月9日午前0時1分(日本時間午後1時1分)に発動期日を迎える。
2025年4月5日に導入した10%の一律関税に続く措置。
貿易が不均衡だと見なす約60カ国・地域に税率を上乗せし、日本は計24%となる。
景気後退を懸念する金融市場の混乱にも強硬姿勢を崩さず、米国が主導した自由貿易を中心とする戦後秩序は岐路に立つ。
高関税の減免に向けた交渉が焦点となる。
ホワイトハウスは2025年4月8日、中国が米国への報復措置を撤回しなかったことから50%の関税を更に上乗せすると発表した。
第2次政権以降で課す中国からの全輸入品に対する関税は、公表済みの相互関税34%などと合わせ計104%になる。
相互関税は、国家非常事態宣言で広範な権限を大統領に与える
「国際緊急経済権限法」を
根拠とする。
トランプ氏は各国が関税に加え、政府補助金や各種規制といった非関税障壁により
「米産業を壊滅させた」
と主張している。(共同)

米関税、日本に秘策あり
美しき勁き国へ 櫻井よしこ
2025/4/7 8:00
https://www.sankei.com/article/20250407-HI44WMILKVJMHMHF2O2H6NNY5M/
トランプ米大統領の関税政策で欧州、カナダなど年来の同盟国、更に東南アジア諸国連合(ASEAN)が米国離れしつつある。
中国の習近平国家主席は挽回の好機と見て早速ベトナム、マレーシア、カンボジアを2025年4月中に訪問する。
中国のからめ捕り戦略は日韓にも及ぶ。
非常にまずい状況だ。
だからこそわが国は今、日本国の基盤を強化しなければならない。
だがトランプ関税を前に石破茂首相の無為無策が目立つ。
相互関税が発表されると、2025年4月4日には共産党まで入れた野党との党首会談を開催した。
共産などに何の知恵を求めようというのか。
石破首相誕生の仕掛け人、岸田文雄前首相は
「首相の努力も動きも見えない」
「言われるままに(関税を)受け入れて中小企業を助ける、では情けない」
と厳しい評価を下した。
どれほど世界経済に大損失を生じさせようが、トランプ氏は
「私の政策は決して変わらない」
と発信する。
氏を止められる人間はおらず、氏の政治基盤が明白に脅かされるときまで関税戦争は続くだろう。
わが国も国家の命運をかけて素早く積極攻勢に出る必要がある。
そのとっかかりは2025年4月2日の演説に見てとれる。
トランプ氏は演説半ばで突然、亡き安倍晋三元首相に言及した。
安倍氏の非業の死を悼み、愛情と尊敬のにじむ言葉を捧げた。
その上でトランプ氏は2人で
「日米貿易協定を結んだ」
「それはとても良いディールになるはずだった」
と語っている。
わが国には安倍氏のこの遺産がある。
石破氏らは過小評価しがちだが他国にはない貴重な遺産を生かさない手はないだろう。
2018年当時、トランプ氏は日本車に25%の関税をかけると言い、安倍氏はそれを受けとめた上で課題全体を米国の経済問題に繋げて解決策を示した。
当時、トランプ氏は対中関税をかけ、中国が報復し、米国産大豆や牛肉の輸入を制限した。
現在と同じだ。
安倍氏はこれら農畜産物への日本の関税を低くして輸入を増やし、トランプ氏は自動車の25%関税を取り下げた。
貿易協定を守る限り、米国は日本の自動車および自動車部品に追加関税をかけないというのが、当時の両首脳の合意だった。
だから今、まず、トランプ氏の安倍氏への思いに感謝を表明し、次に安倍氏の意思を大事に思うからこそ、トランプ氏が協定を破るなら、わが国も協定から降りざるを得ない、牛肉関税は元に戻さざるを得ない、と率直に述べるべきだ。
来年2026年の中間選挙を前にしたトランプ氏にとって、米国の畜産農家の支持の意味は重いはずだ。
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相をはじめ、少なからぬ人々がトランプ米大統領には大きなプロジェクトを提示すべきだと言う。
トランプ氏が日本関連で問題視したのは自動車とコメだ。
自動車については既に述べた。
そこでコメで大きな絵を描いてみせるのがよい。
トランプ氏は日本のコメへの関税は700%だと非難する。
実際には200%ほどだが、この際、コメの関税全廃を提唱してはどうか。
同時にわが国のコメ産業を押し潰す元凶である減反政策も真の意味で廃止する。
未来のコメ作りの核となる主業農家を中心に補助金を投入して力強く支えるのである。
麻生太郎政権で農林水産相を務めた石破茂首相は減反見直しに意欲を見せた。結局、自民党の基本計画には入らなかったが、今は石破氏自身が首相である。
コメ政策の大転換が日本全体の苦境を救うとすれば、改めて取り組まない理由はないだろう。
関税をゼロにすれば外国産の安いコメが入ってくる。
国内のコメ価格は下がり、供給不足は解消され、消費者は喜ぶ。
政府は、価格下落で苦しむ生産農家を、他国の政府も行っているように補助金で支える。
ただし、補助金の出し方を根本から変える。
減反でコメを作らない農家にこれまで毎年3500億円を補助してきた。
こんな後ろ向きの税金の使い方をやめて、コメ産業の未来を担う大規模な主業農家に好きなだけおいしいコメを作ってもらう、そのために補助金を使う。
必要な予算は約1500億円で、減反政策を支えるのに比べると2000億円の税金の節約になる(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁氏)。
おまけがある。
わが国の食料自給率は現在の38%から70%に上がる。
トランプ政権の圧力をてこにわが国の歪んだコメ政策を土台から作り直せば、日本、米国、農家、消費者、食料自給率の五方よしだ。
トランプ氏はまた、米国は国際社会を軍事的に守ってきたとし、
「米軍事費を少しばかり削減しようとすると、彼らは米国は面倒を見てくれないと動揺する」
と不満を述べている。
わが国はここでもう1つ、大きな図柄を描けるだろう。
岸田文雄政権は国家安全保障戦略など安保3文書を閣議決定し、国内総生産(GDP)の2%を防衛費に回すとした。
しかし、今やそれでは不十分だ。
より強い日本国を作るために、安保戦略を見直して防衛費を増やすと明言する時である。
制定から3年目となり、安保戦略の見直しを始めていなければならないのだが、石破氏がそれを止めている。
見直せば国防力の一層の強化、つまり防衛費の増額が必要となり、増税論に繋がる。
2025年6月の東京都議選、夏の参院選で不利になると考え、石破氏を筆頭に官邸が見直し論を牽制しているのだ。
最大の脅威、中国から国民の命とわが国を守るのが首相の責任であろう。
選挙に不利との理由で、国家の根幹である安保戦略見直しを阻止するのは、まさか選挙も政治も石破氏個人のためにあらねばならないと考えているからではあるまい。
コメと防衛、大きな計画を提言してトランプ氏の圧力をわが国の国益に結び付けていく気概を示すしか、トランプ氏の関税の嵐を生き抜く道はないだろう。

<主張>米国が相互関税 同盟国の独善に失望する 石破首相の対応は十分だったか
社説
2025/4/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20250404-MSMIEQ3HFBLEXNSUIAAAOAPSRA/
これが世界最大の経済大国の振る舞いか。
第1次政権時と比べても次元の異なる乱暴さである。
「トランプ2・0」の高関税政策は同盟国にも容赦なく牙を剝く。
独善性に満ちた措置に深い憂慮と失望を覚える。
トランプ米大統領が、貿易相手国の関税や非関税障壁に応じて関税率を引き上げる相互関税を発表した。
全ての国・地域に10%の関税を課し、日本は上乗せ分を含む計24%とする。
世界の通商秩序を崩壊させかねない措置だ。
トランプ関税は世界の経済・貿易どころか米経済も落ち込ませる悪手である。日本は各国と結束し、毅然と対処しなければならない。
■日米ともに打撃大きい
米国は自動車関税を25%上乗せする措置も3日に発動した。
既に鉄鋼・アルミニウムへの追加関税も課した。
これに9日発動の相互関税が加わる。
いずれも日本は対象国に含まれる。
石破茂政権は、米国内での投資や雇用創出を巡る貢献を根拠に除外を求めてきたが、当ては完全に外れた。
日本への相互関税は欧州連合(EU)などより重く最悪の展開である。
米国は最大の輸出相手国だ。
関税負担は輸出企業だけでなく下請けの中小企業まで打撃を受ける。
大和総研は相互関税で令和7年の日本の実質国内総生産(GDP)が0・6%下押しされると試算した。
6年の実質GDPが0・1%増の日本経済にとって影響は深刻だ。
納得できないのは、相互関税の根拠として、日本の対米関税率が46%相当もあると見做したことだ。
日本は米国から輸入する工業製品などの関税撤廃を進めている。
米国は非関税障壁を問題視するが、妥当性は疑わしい。
例えば米国がやり玉に挙げる自動車の安全基準だ。
規制が厳しく米国車が売れないというが、各国が交通事情に応じて独自の安全基準を設けるのは当然だ。
輸入車を排除していないことは欧州車を見れば分かる。
日本が米国産のコメに700%の関税をかけているという主張も、無税の最低輸入量(ミニマムアクセス)枠などを考慮せず、実情とかけ離れている。
日米は第1次トランプ政権時の貿易協定で、米国が自動車に追加関税を課さないことなどを確認した。
自らの政権で結んだ約束まで踏みにじるトランプ氏の姿勢はあまりに危うい。
関税で
「米国の黄金時代になる」
というトランプ氏の主張には思い込みや矛盾が多い。
米国の富を搾取する各国の輸出攻勢を関税で阻止し、製造業の復活を果たすというが、これは一面的な見方だ。
安価で質のいい輸入品は米国の旺盛な消費や米企業の生産活動を支えてきた。それを無視して
「貿易赤字=損」
と捉えるのはおかしい。
■企業への支援を万全に
追加関税の一部が値上げの形で米国内の消費者に転嫁されれば、トランプ氏がバイデン前政権批判で連呼したインフレを却って助長する。
更に中国やEUなどと報復関税の応酬になれば、米国は黄金時代どころかインフレと景気悪化が同時進行しかねない。
トランプ氏はそのリスクを直視すべきだ。
石破首相は米国の攻勢になす術がなかったことを失敗と受け止め、戦略を練り直す必要がある。
既に企業の雇用や資金繰りを支援する方針を示している。
影響を最小限にする対策に万全を期すのは当然である。
日本を追加関税の対象から外すよう強く迫ることも重要である。
石破首相は先の会見で必要があればトランプ氏と直接協議する意向を示した。
ならばすぐに実行に移す責任がある。
一方的に関税を課す措置は国際ルールに反するが、トランプ氏に説いても翻意は難しいだろう。
世界貿易機関(WTO)の紛争解決制度も機能停止状態にある。
それでも敢えてWTOに提訴し、日本の厳しい姿勢を示すことは一手だろう。
関税定率法にはWTOの承認を受けて報復関税を行う規定がある。
日米の経済力の差や、安全保障上の抑止力を日米同盟に期待する関係を踏まえれば、安直に報復関税を目指すわけにはいかない。
ただし、何らかの対抗措置を取れるかどうかは十分に検討しておきたい。
留意すべきは中国の存在である。
米国は東南アジア諸国などにも重い税率を課した。
こうした国々が対米リスクを避けて中国への接近を強めれば、日米の経済安保にも影響する。
日本はその点についてトランプ政権に警鐘を鳴らすべきである。

トランプ関税、EUは「報復」 韓国と台湾は「困惑」 対抗手段は硬軟分かれる
2025/4/4 0:19
https://www.sankei.com/article/20250404-SHIT6ASLABKBDJJ76KCRQH5C3E/
トランプ米大統領が2日(日本時間3日)に相互関税を発表したことを受け、米国の主要貿易相手国・地域は一斉に反発した。
ただ、対抗手段に関しては、欧州連合(EU)や中国が報復措置をとる意思を示した一方、具体的な言及を避けた国もあるなど対応が分かれている。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は3日、
「われわれは応じる用意がある」
と報復措置をとる構えを示した一方、
「まだ遅すぎない」
とも述べ、交渉による摩擦解消を米国に呼び掛けた。
事前に
「報復関税に飛びつくことはしない」
と述べていたスターマー英首相は3日、英政府の対応について
「冷静な態度を維持する」
と表明。
英国製品の関税率が10%にとどまったことに安堵しているもようだ。
中国外務省の郭嘉昆報道官は記者会見で
「ルールを基礎とする多国間貿易体制を深刻に損なっている」
と難じた。
その上で
「必要な措置を講じ、自らの正当な利益を固く守る」
と対抗措置をとる方針を示した。
中国や北朝鮮の脅威に直面し、安全保障を米国に依存する韓国と台湾は困惑を隠せない。
韓国政府は3日、緊急会議を開き、大統領権限を代行する韓悳洙(ハン・ドクス)首相は
「通商危機の克服に向け、政府が持つ全ての力を注がなければならない」
と強調。
32%の相互関税を課された台湾の行政院(内閣に相当)の報道官は
「極めて不合理で非常に遺憾だ」
とする声明を発表した。
自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を結ぶカナダとメキシコは反応が分かれた。
カナダのカーニー首相がトランプ政権を非難するとともに
「関税に対抗する」
「そのための対策も講じる」
と述べたのに対し、メキシコは報復関税に慎重だ。
ロイター通信はUSMCA適合品に対する関税猶予が継続されると報じており、こうした事情もメキシコの対応に影響を与えた可能性がある。

トランプ氏が「相互関税」発表、日本には24% 基礎部分10%、貿易赤字など加味
動画
2025/4/3 20:32
https://www.sankei.com/article/20250403-5CQ2NEOWKNNIBGUNSZKXZVQYEQ/
トランプ米大統領は2日、
「相互関税」
と呼ぶ新たな関税措置を発表した。
全ての貿易相手国にまず一律10%を課し、一部の国・地域には貿易障壁などを考慮して決めた税率を上乗せするとした。
日本からの輸入品には24%を課す。
貿易摩擦が激化するのは必至だ。
一方、米政権は米東部時間3日未明(日本時間3日午後)、輸入する自動車への25%の追加関税を発動した。
日本車も対象になる。
米国は普通車に2・5%の関税を課していた。
新たな関税発動後は税率が11倍になる。
一部のトラックは現在の25%が50%になる。
トランプ氏は2日、ホワイトハウスで
「今日は待ち望んだ解放の日だ」
と演説し、新たな関税の導入で
「米国の黄金時代が戻ってくる」
と語った。
相互関税の10%の基礎部分は米東部時間5日未明(日本時間同日午後)に発効。
各国・地域に個別に上乗せするとした部分は、9日未明から適用する。
上乗せ部分について、米政権高官は、規制をはじめとする非関税障壁なども考慮し算出したと説明した。
日本は実質46%の関税をかけていると主張している。
日本以外では欧州連合(EU)に20%、中国に34%、インドに26%を課す。
ただし、分野別関税の対象となる自動車や鉄鋼などは、相互関税の対象から外す。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/102.html#c41

[政治・選挙・NHK297] 目を覆う暴落の次に何が来るのか? トランプ大統領の狂気で世界は暗転(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
23. 秘密のアッコちゃん[1455] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月10日 09:35:55 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[893]
<▽34行くらい>
<主張>来日外国人の狼藉 取り締まり強化が必要だ
社説
2025/4/10 5:00
https://www.sankei.com/article/20250410-WNE5VFLA4BLONI3HSVFCHTHGM4/
来日外国人の迷惑な振る舞いが問題となっている。
電車内で激しいダンスをする、車道に飛び出して駅伝大会を妨げる、奈良公園のシカをいじめる、果ては神社で狼藉を働く―などである。
日本は観光地として世界的人気を博している。
インバウンド(訪日外国人客)は急増し、日本経済を潤している。
うれしい話だが、一部の外国人観光客の迷惑行為が目につくようになった。
放置すれば国民感情が悪化し、外国人排斥につながる恐れもある。
郷に入っては郷に従え、という。
日本や地域のルール、法令を守り、日本の文化慣習を尊重するように促したい。
法に触れる迷惑行為があれば警察は遠慮なく検挙してもらいたい。
自治体や観光団体・業者はルール順守の注意喚起を徹底してほしい。
地域住民の協力も欠かせない。
長崎県対馬市の和多都美(わたづみ)神社は3月23日、
「極めて重大かつ許されない不敬行為が外国人によって行われ」
たとし、SNSで参拝目的以外の立ち入り禁止を表明した。
同神社では数年前から、一部の韓国人観光客らによる違法駐車やタバコのポイ捨て、排泄、投石などの迷惑行為が続いていた。
注意した神職が暴言を浴びせられたり、暴行を受けたりすることさえあった。
神社が発信したSNSによれば、市や警察に何度も相談したが解決しなかったという。
日本の戦没者を祀る靖国神社は、来日した中国人らによる落書きなどの被害を繰り返し受けている。
いずれも由々しき事態で容認できない。
警察や政府、自治体はもっと熱心にパトロールや取り締まりをしてもらいたい。
外国人ユーチューバーらの迷惑行為も目立つ。
昨年10月には、山梨県を走る電車内で米国人らのグループが床に転がるなど激しいダンスをした動画がインターネットで流れ、物議を醸した。
今年1月の箱根駅伝では中国人インフルエンサーが車道に飛び出して選手と並走し、批判を浴びた。
大多数の外国人観光客はマナーを守り、日本の文化を尊重している。
地域住民が不快な思いをせず、外国人観光客が楽しく日本を巡るためにも、迷惑行為を解消したい。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/108.html#c23
[政治・選挙・NHK297] 正直言って誰がやっても同じだろう 日頃トランプとの関係を誇示してきた面々はどうした?(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
59. 秘密のアッコちゃん[1456] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月11日 05:04:47 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[894]
<■226行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
突然だった露軍占領…虐殺の地・ブチャの教訓 「2027年」台湾有事で中朝露同時危機も
戦間期の終焉 第1部・迫りくる有事(上)
2025/4/8 8:00
https://www.sankei.com/article/20250408-MSGZKNCP7BMU3LPV2Y2EPRWA7M/
ウクライナの首都キーウ郊外のブチャ市に、戦禍の跡はほとんど残っていない。
教会の敷地内に立つ慰霊碑が、1カ月余りのロシア軍占領下で約500人もの民間人が虐殺されたことを伝えている。
時折鳴り響く空襲警報を除けば、日常の市民生活が営まれている。
露軍がウクライナに全面侵攻した2022年2月24日もそうだった。
多くの市民が出勤し、商店や企業も営業していた。
「市民は皆、露軍がかくも早く、ここに来るとは思っていなかった」
とブチャ市総務局長のドミトリー・ガプチェンコ氏(47)は振り返る。
翌25日に露軍の空挺部隊が現れ、一気に暗転した。市外に避難しようとした車が銃撃を受け、市民は脱出を断念する。3月3日には陸軍部隊が到着し、本格的な占領が始まった。
「露軍が市民に共通して要求したのは、白い布を腕に巻くことと、3人以上のグループで移動しないことだった」
「しかし、地区によって占領の在り方は様々で、露軍は部隊間の連絡もまともにできていないようだった」。
露軍占領下で市民への炊き出しに取り組んだ調理師、アレクセイ・リシン氏(47)は振り返る。
ウクライナの親欧米派や民族派を
「ナチスト(ナチス主義者)」
と称するプーチン露政権の言説そのままに、露兵らは
「ナチストはどこだ」
などと集合住宅を回り、発砲することもあった。
■「占領されるときに残ってはいけない」
多くの市民が集合住宅の地下室に身を寄せ、息を潜めて生活した。
露兵らが
「勝者は裁かれない」
「戦争は全てを帳消しにする」
と言って乱暴狼藉を働いたのを多くの市民が覚えている。
一度力による占領を受けたら、市民は余りにも無力だ。
「殺害された市民には大きく分けて4つの類型があった」
とガプチェンコ氏。
▽路上を歩いていて銃撃された約300人
▽車で移動中に銃撃された60人超
▽地下室などに連行され、銃殺された60人超▽火を付けられて焼死した20人超
だという。
連行されたケースは、露軍が検問や集合住宅の巡回で市民のスマートフォンを調べ、写真や交流サイト(SNS)の書き込みに基づくものが多かった。
軍・治安機関と関係のある人や、民族派と思われる人を銃殺した模様だ。
露軍の占領は、2022年3月31日にウクライナ軍が市を解放するまで続いた。
「(外国軍に)占領される時に残留してはいけない」
「それがブチャの教訓だ」。
調理師のリシン氏はこう語る。
■欧州と中東で抑止失敗、次はアジア
ロシアは2021年秋以降、ウクライナ国境に15万〜20万人と推定される軍部隊を集結させていた。
米国のバイデン政権は再三、ロシアが大規模攻撃を計画していると警告した。
ウクライナのゼレンスキー政権がそれを真剣に受け止め、十分な行動をとったのかはいずれ検証されるだろう。
一方で、バイデン政権の動きを問題視する見方も根強い。
「2021年夏に米軍のアフガニスタン撤収を急いだこと、そしてバイデン大統領が早々に米軍のウクライナ派遣を否定したことは大きな過ちだった」
と日本の欧州外交筋は指摘する。
米軍のアフガン撤収を受け、プーチン露大統領は米国が他地域に関与する力を失っていると考え、国境に大軍を派遣してウクライナを威嚇した。
更にバイデン氏は2021年12月、ウクライナへの米軍派遣を
「検討していない」
と明言し、侵攻しても米国は介入しないとの確信をプーチン氏に与えた。
中東では2023年10月にイスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム原理主義組織ハマスの戦闘が起き、イスラエルとイランの対立を軸に緊張が続く。
欧州と中東で紛争の抑止が失敗した今、次に問われているのはアジアに他ならない。
■演習で空自が中国艦を仮想攻撃
昨年2024年2月の日米共同指揮所演習(図上演習)
「キーン・エッジ」
は、80年に及ぶ
「戦間期」
の終わりを覚悟させる筋書きで進んだ。
<中国の弾道ミサイルが米軍佐世保基地(長崎県)と岩国基地(山口県)に飛来し、一部は滑走路に着弾>
<日本政府は
「存立危機事態」
を宣言し、集団的自衛権の行使を可能にした>
中国軍が台湾に武力侵攻するという具体的な台湾有事を想定した日米共同演習は初めてだった。
演習では、九州の空自基地を飛び立ったF2戦闘機が台湾北東沖を航行する中国軍輸送艦を空対艦ミサイルで攻撃する。
米軍の要請を受け、戦後初めての武力行使に踏み切る内容となった。
それだけ日米防衛当局の危機感は高まっている。
「この演習は2027年を前にして重要なタイミングで行われた」
と関係者の1人は語る。
「2027年」
とは、中国軍が台湾に侵攻する準備を整えると米国などが見ている年だ。
キーン・エッジは2年に1度の演習のため、昨年2024年を逃すと次は2027年の目前になってしまうという事情もあった。
2027年は
「中華民族の偉大な復興」
を掲げる習近平・中国国家主席が共産党トップの3期目を終える年で、軍創設100年の節目でもある。
習氏が4期目続投に固執し、かつ国内経済の不調が続けば、台湾侵攻などの軍事行動で功績を示すのではと警戒されている。
中国軍は既に台湾侵攻の予行演習を行ったとされる。
台湾の国防部(国防省に相当)系シンクタンク
「国防安全研究院」
の沈明室氏は
「3度の演習で台湾に侵攻する際の作戦計画を各段階に分けてリハーサルした」
と指摘する。
■中国軍、台湾侵攻を周到にリハーサル
3度の演習とは、
@昨年2024年5月の「連合利剣−2024A」
A同昨年2024年10月の「利剣B」
B同昨年2024年12月の「ステルス演習」(台湾メディア)
のこと。
いずれも中国が
「頑迷な台湾独立派」
と見做す台湾の頼清徳総統を
「懲罰」
する政治目的があったと考えられている。
しかし、それは表面上のことだと沈氏は話す。
「利剣Aは火力攻撃、利剣Bは重要港の封鎖、ステルス演習は米海軍や海上自衛隊の介入を防ぐA2/AD(接近阻止・領域拒否)に重点を置いていた」
中でもステルス演習は第1列島線(九州沖−沖縄−台湾−フィリピン)周辺に100隻近くの艦船が展開する
「過去最大規模の海上軍事行動」(台湾当局者)
だった。
しかも、中国軍は今月2025年4月上旬、台湾海峡の中・南部域で大規模な演習
「海峡雷霆(らいてい)―2025A」
を実施。
台湾の港湾やエネルギー施設など重要インフラを模した目標に精密攻撃を行った。
侵攻計画の予行演習は更に一段階進んだと言える。
中国が引き起こす台湾有事はロシアと北朝鮮が連動する恐れがある。
ロシアとの
「無限の友好」
を謳う中国は、露産石油・天然ガスの大口購入や軍民両用品の輸出でロシアのウクライナ侵略を支えてきた。
中国が台湾侵攻に踏み切ればロシアが何らかの対中支援を行う可能性は高い。
北朝鮮はロシアと
「包括的戦略パートナーシップ条約」
を結び、ロシアへの派兵も行った。
ロシアがウクライナで使う砲弾の多くは北朝鮮製だ。
北朝鮮が見返りに、ロシアから核・ミサイルなどの軍事技術供与を求めていることは疑いない。
条約には
「一方が戦争状態になれば、遅滞なく軍事的、またはその他の援助を提供する」
とある。
日本は
「同時複合危機」
への対応を迫られかねない。

戦後80年。
長く続いた日本の
「平和な戦後」
は終わっているのかもしれない。
日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、どうやって戦争を抑止し、悲劇を防ぐべきかを探る。

尖閣、今そこにある危機 中国、日米離間狙い台湾の前に奪取も 海警船の重武装化で神経戦
戦間期の終焉 第1部・迫りくる有事(中)
2025/4/9 8:00
https://www.sankei.com/article/20250409-YCDRRWTHDJKSLBFDDKA3JKNZFM/
沖縄県石垣島から北西に約170キロ、石垣港を出て約8時間。
船体を荒い波が容赦なく叩く。
空が白み始めたころ、大きな島影が浮かび上がった。
島の山肌は崩れ、赤土が剥き出しになっている。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)の魚釣島である。
操舵室にたどたどしい日本語の無線が響く。
「釣魚島(魚釣島の中国名)およびその付属島々は、古来より中国の固有の領土である」
「その周辺12カイリは中国の領海である」
「貴船はわが国の領海に侵入した」
「直ちに退去してください」
近くを航行する中国海警局の船から発せられるものだ。
海上保安庁の巡視船が、荒れる海上で中国海警船に接近し、ぴったりとマーク。
「尖閣諸島は日本の領土である」
「貴船の主張は受け入れられない」。
海保の巡視船からも日本語と中国語で応答が繰り返される。
石垣市がチャーターした調査船に同乗したのは昨年2024年4月。
尖閣諸島の周辺では、緊迫の光景が日常と化している。
■「サラミ戦術」はここまで進んだ
日本政府が2012年に尖閣諸島を国有化して以降、領海外側の接続水域で中国船が確認される日数は年々増加。
2020年以降は年間330日を超え、昨年2024年は計355日と過去最多を更新した。
サラミを薄く切るように活動レベルを少しずつ引き上げる
「サラミスライス戦術」
と呼ばれる。
今年2025年1〜3月の確認日数は90日。
つまり毎日だ。
もはや尖閣諸島の接続水域では、サラミはスライスし尽くされている。
海警局は2013年、海保と同じ法執行機関として再編・設立された。
しかし2018年に中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察部隊に組み入れられ、
「第2海軍化」
が進む。
2021〜2022年に追加配備した大型船の約9割が中国海軍のフリゲート艦を白く塗り替えて改修した転用船だという。
昨年2024年6月には機関砲を搭載した海警船4隻が相次いで日本の領海に侵入した。
そのうち「海警2501」(5千トン級)が搭載する76ミリ砲は海保巡視船の甲板を貫通するとされる。
海保巡視船が備える機関砲は口径40ミリが最大だ。
尖閣警備にあたる第11管区海上保安本部(那覇)の幹部は
「武器の口径が小さいからといって引けを取るとは思っていない」
と強調する。
だが、大型化・重武装化する海警船に対し、それを上回る隻数を投入して彼我の火力差を埋めているのが現実だ。
11管で領海警備担当次長を務めた海保OBの遠山純司氏は、職務に当たっては、断固として日本の領土を守るとの強い覚悟を持ちつつ、相手の挑発に乗らない冷静さを心がけたと語る。
「領海侵入の回数は増えておらず、日本に対しては一定程度の自制的な状態が続いている」。
事態がエスカレートすることは避けつつも、相手の動きをしっかりと封じる。そんな神経戦が繰り広げられている。
■尖閣は日米同盟の急所か
「台湾有事は日本の有事」
との認識は共有されつつある。
台湾侵攻が実行されれば、尖閣を含む南西諸島も影響を受けることは避けられない。
しかも、中国が台湾と同時に、あるいはその前に尖閣諸島を奪いにくる可能性も指摘されている。
「中国にとって台湾より尖閣を先に獲ることには戦術的な意味がある」
「それによって日米同盟は終焉を迎えるからだ」。
米軍の在沖縄海兵隊で政務外交部次長を務めた政治学者、ロバート・エルドリッヂ氏は厳しい見方を示す。
中国が尖閣を占領した場合、日米がその責任を互いに押し付け、批判し合うのではないかとの危惧があるからだ。
そして、中国が尖閣周辺で急速に軍事プレゼンスを強めれば、
「米軍は脆弱性が増す沖縄の基地から撤退する可能性が極めて高い」
と警鐘を鳴らす。
ロシアは2014年、ウクライナ南部のクリミア半島に特殊部隊を急派し、ほぼ無血で短期間に半島を奪取した。
尖閣諸島が日米同盟という鎖の
「弱い環(わ)」
として、中国に狙われないという保証は全くない。

「死者2000人」知られざる尖閣奪還シミュレーション ぶれる米国、戦略の共有が急務
戦間期の終焉 第1部・迫りくる有事(下)
2025/4/10 8:00
https://www.sankei.com/article/20250410-DY5LB3MSS5OSHK3OKOQ3M7HPYU/?577370
日本政府内でもごく限られた人にしか知らされていない数字がある。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)が中国によって占拠され、自衛隊が奪還する作戦で想定される犠牲者の数だ。
死者2000人―。
安倍晋三政権期に行われたシミュレーションで、最悪の場合の死者数としてはじき出されたのがこの数字だった。
シミュレーションでは、尖閣に上陸した中国兵を空爆で徹底的にたたいた後、陸上自衛隊の水陸機動団が尖閣を奪還した。
「そこまではよかった」
と関係者は明かす。
「奪取後に中国は再び尖閣を獲りにくる」
「そうなった場合に尖閣を維持することはできなかった」
守りを突破され、一瞬でも上陸を許してしまったら、その犠牲と損失はあまりにも大きい。
■米軍がどう動くのかは不透明
米国は、日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されるとの認識を示してきた。
今年2025年2月の日米首脳会談でもトランプ大統領が確認している。
しかし、尖閣が占拠された場合、米軍がどう出るかは不透明だ。
「米国が尖閣諸島を守る日本を助けに行くという考え方は信憑性に欠ける」。
こう指摘するのは米政策研究機関「ブルッキングス研究所」のマイケル・オハンロン上級研究員だ。
「尖閣諸島には住民がおらず、経済活動もほとんどない」
「尖閣を巡って中国と戦争になる可能性があると言ったら、米国人の99%は常軌を逸していると考えるだろう」。
オハンロン氏は、実際の米政府の対応は
「誰がホワイトハウスにいるかによって大きく変わる」
とみている。
尖閣諸島は1895年、閣議決定に基づいて日本領に編入され、民間人に払い下げられた。
戦後、南西諸島の一部として米国の施政権下に置かれ、1972年に沖縄の返還に伴って日本領土に復帰した。
その当時から米国は尖閣の主権について中立的な立場をとってきた。
同盟国だった台湾(中華民国)や、ニクソン米政権が接近を模索していた中国に配慮したとされる。
■「米政権の政策は矛盾だらけ」
在沖縄米海兵隊の政務外交部次長を務めた政治学者、ロバート・エルドリッヂ氏は、米国の尖閣を巡る政策は
「矛盾だらけだ」
と指摘する。
特に問題視しているのは、日本の施政権に疑問を抱かせる行動を米国自身がとってしまったことだ。
米政府は1978年、尖閣諸島の大正島で日本が提供している射爆撃演習場を使わないよう米軍に命じた。
尖閣の領有権を巡る日中対立に巻き込まれる恐れがあるというのが理由だった。
「日米地位協定に基づいて提供されている施設が中国の非公式の圧力で使えなくなるという前例を米国が自ら作ってしまった」
「とんでもない問題だ」
とエルドリッヂ氏は指摘する。
「米国が尖閣に対する日本の主権を認め、現在の矛盾だらけの政策をすっきりさせれば抑止力は高まり、地域の平和につながる」。
そして
「今すぐできることは、射爆撃場の使用再開であり、自衛隊との共同使用だ」
と訴える。
ブルッキングス研究所のオハンロン氏は、実際に島の一つが占拠された際には、
「自衛隊と米軍が他の島に展開し、中国が危機を解決しようとしなければ、重大な経済制裁に踏み切ると脅して交渉することだ」
と提言する。
有事をどう抑止し、実際に危機が起きてしまった時にどう対応するのか。
日米は
「安保条約第5条の適用」
を超えた認識の擦り合わせと戦略の共有を急ぐ必要がある。
そのためにも日本は
「自分の国は自分で守る」
という決意が重要になる。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/113.html#c59

[政治・選挙・NHK297] トランプ米大統領、相互関税の90日間停止を発表 報復なしで10%適用(毎日新聞) 赤かぶ
26. 秘密のアッコちゃん[1457] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月11日 05:26:55 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[895]
<■106行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>相互関税の「停止」 翻弄されず毅然と協議を
社説
2025/4/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250410-BSELQ5IJCVLAHKMC5TE4QEG74U/
独断に満ちた言動で世界を翻弄するトランプ米大統領らしい唐突な方針変更である。
9日に全面的に発動したばかりの相互関税を巡り、トランプ氏が急遽、90日間の停止を発表した。
米国の関税攻勢に対し、金融市場が激しく動揺していることが影響したとみられる。
停止するのは日本など特定国・地域ごとに課した相互関税の上乗せ部分で、5日に発動した10%の一律関税は続ける。
自動車や鉄鋼などに課した追加関税もそのままで、日本の輸出産業が不当な関税で苦境に立つ状況が解消されたわけではない。
それでも相互関税を巡って米国が柔軟な姿勢を示したことは前向きに捉えたい。
日本は停止期間を生かし、全ての不当な関税措置を撤回させるよう戦略的に動かなくてはならない。
石破茂首相は対米協議担当の赤沢亮正経済再生担当相に丸投げせず、指導力を発揮してほしい。
第1次トランプ政権時の日米貿易交渉などを担った政府・与党の人材やそこで得た知見も総動員すべきである。
トランプ氏によると、75カ国以上が対米交渉に動いたため停止を決めた。
報復措置を講じた中国だけは、逆に関税率を大きく引き上げることにした。
交渉担当のベセント米財務長官は、対日協議を優先する構えだ。90日間の停止期間中に大幅譲歩を決断するよう日本を急かす可能性もあるが、米国ペースにはまり、慌てて対応することは避けたい。
受け身の姿勢ではなく、貿易赤字是正と製造業復権を目指す米国の狙いと、日本の国益が合致する方策を日本側が提起できるかが問われる。
日米間では、関税や非関税障壁、為替、政府補助金などが議論されるとみられる。
難航が予想されるが、米側の対日認識には、トランプ氏が問題視した日本の円安誘導や実態とかけ離れた700%のコメ関税といった誤りが多い。
相互関税の税率算定に間違いがあるとの批判もある。
これらを正しつつ、高関税政策が米国の利益にならないことを毅然と説くべきである。
トランプ氏は多国間交渉を嫌い、2国間取引を好む。
世界最大の経済大国が相手では、どの国も米国の強引な交渉に押し切られる懸念がつきまとう。
米国と交渉する欧州や東南アジアなどの各国と意思疎通を図り、共同歩調を取ることも重要だ。

<産経抄>トランプ氏うなずかせる交渉を、追加関税の「停止」
2025/4/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250411-Z366IFUYCBNBXISPVSJOYLIITA/
都々逸作家の中道風迅洞さんが編んだ『どどいつ万葉集』に、時代のにおいを漂わせた一作がある。
<ブッシュ竹下どちらも藪(やぶ)を/つつきなさるな今年ゃへび>。
ブッシュ米大統領(父)、竹下登首相、巳年。平成元年である。
▼巨額の対日貿易赤字を抱えた米国が、日本に是正を強く迫って日米構造協議が始まった。
それが、この年だった。
その後も形を変えた経済協議が継続的に行われ、規制緩和や輸入の拡大など、日本が大きく譲歩してきたのは歴史の教えるところだ。
▼月日は流れて今年も巳年。
米政権が
「相互関税」
の発動を決め、やぶの中から案の定ヘビが出た。
世界同時株安という市場の動揺である。それを見たトランプ大統領が慌てたかどうかは分からない。
ともあれ追加発動したばかりの上乗せ分の関税を、90日間停止すると発表した。
▼世界を振り回す朝令暮改には閉口するが、判断は正しい。
日本向け関税は停止分を含め計24%、影響が大きすぎる。
「日本はコメに700%の関税をかけている」
など、誤解とはいえ米側がこちらを見る目は冷ややかだ。
厳しい交渉になるだろう。
▼貿易の
「貿」
の字は、
「卯(無理に窓をこじ開けて中のモノを求める)」

「貝(財貨)」
でできている。
トランプ氏の手法そのものである。
聞けば、日本をはじめ80近い国が米政権との交渉を望んでいるという。
関税措置の除外に向け、日本に残された時間はさほど多くない。
▼強かな交渉で国難とも言える状況を乗り切るしかない。
拙作を承知の上で当方も1つお目にかけたい。
<「理」にはつれないトランプなれど/蛇の道は蛇、「利」で釣るさ>。
世界経済の行き先が、お騒がせな大統領の胸1つで決まるのも寂しい話だが。

米の対中追加関税率は145%に 10日に125%に引き上げ、3月までの発動分と合わせ
2025/4/11 0:47
https://www.sankei.com/article/20250411-CC7QSPZIIBI4ZE5ZJDKLO76NYM/
トランプ米大統領は9日、全面的に発動した
「相互関税」
のうち、上乗せ分を90日間停止すると、交流サイト(SNS)に投稿した。
5日に導入した10%の一律分は継続する。
上乗せ措置は9日未明に発動したばかりだったが、金融市場の混乱を背景に直後の方針転換となった。
各国がトランプ氏に翻弄される展開が続きそうだ。
一方、ホワイトハウスによると、報復を決めた中国に対する相互関税率を10日に125%に引き上げた。
3月までの発動分と合わせて145%となった。
中国は相互関税への報復措置を10日発動した。
米中の報復の連鎖に歯止めがかからない。(共同)

トランプ氏、「相互関税」の90日間停止を表明 報復の中国には125%で対抗
2025/4/10 10:33
https://www.sankei.com/article/20250410-MFDLXLBM6FKIPJLCBH56J5FF5U/
トランプ米大統領は9日、5日から段階的に導入した
「相互関税」
のうち、税率10%を超える上乗せ部分を直ちに90日間停止すると表明した。相互関税への報復措置を10日に発動する中国に関しては
「関税を125%に引き上げ、即時発動する」
と述べ、対抗姿勢を打ち出した。
トランプ氏は9日午後、同日未明の発動から13時間余りしか経過していない相互関税の上乗せ部分の90日間停止を自身の交流サイト(SNS)で表明した。
その後、記者団に
「75カ国以上」
が報復措置を実施せずに米国の貿易赤字解消などに向けた協議を希望していると説明し、90日間の停止期間を設けたと説明した。
トランプ氏は、短期間での方針転換について
「人々が不安になっていた」
と指摘し、政策については
「柔軟性を持つべきで、私にはそれができる」
と主張した。
中国への対抗措置に関しては
「もし(米国に)報復するなら倍返しすると言ってきた」
と記者団に語り、SNSでは中国が
「世界の市場に対する敬意」
を欠いていると批判した。
ただ、中国との交渉に応じる用意があることも強調している。
米高官らによると、日本も対象になっている分野別の関税強化措置については一時停止などの変更はなく、自動車や鉄鋼、アルミニウムに対する25%が維持される。
トランプ政権が相互関税と呼ぶ追加関税は、ほぼ全ての国にまず10%を課税。
この基礎部分に加え、米国が抱える貿易赤字が多い国々に個別に算定した税額を上乗せしている。
日本には基礎部分10%に14%を上乗せし、計24%を課していた。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/115.html#c26

[政治・選挙・NHK297] 大阪万博会場の“爆発”リスクはやっぱりヤバい…高濃度メタンガス問題に国や府は安全強調も、識者が疑問符(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
31. 秘密のアッコちゃん[1458] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月11日 05:34:57 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[896]
<■109行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>外国人の高額療養 ただ乗り許してはならぬ
社説
2025/4/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250411-XA2BLDFZDRORFHCMQP6JBRWGSU/
医療費が高くなった患者の自己負担を抑える高額療養費制度を巡り、外国人が短期間の滞在でも適用されることに疑問の声が上がっている。
外国人は留学や就労などで在留期間が3カ月を超えた場合、国民健康保険(国保)の対象となり、医療を原則3割の自己負担で受けられる。
高額療養費制度による医療費の軽減も適用される。
問題なのは、病気と分かってから留学や就労などの名目で来日し、短期間の滞在で日本の医療制度の恩恵を受けるケースだ。
医療目的で日本に滞在する場合、本来は国保に加入できない。
不正利用は徹底的に排除されなければならない。
国民民主党の玉木雄一郎代表はSNSで
「90日の滞在で数千万円相当の高額療養費制度(の軽減)を受けられる現在の仕組みは、より厳格な適用となるよう、制度を見直すべきだ」
と指摘した。
日本維新の会は国会で
「不正使用の抜け穴を塞ぐ仕組みが必要だ」
と求めた。
これに対し福岡資麿厚生労働相は
「実態を把握しながら適正な利用に向けて取り組みたい」
と答えた。
改正住民基本台帳法の施行で、平成24年から外国人登録制度が廃止された。在留期間が3カ月を超える外国人を住民登録するようになり、3カ月超の滞在で国保に加入できるようにした。
それまでは1年の在留期間を満たす必要があった。
法務省、厚労省、自治体などは連携を密にして在留資格を厳しく管理しなければならない。
同時に加入要件の厳格化を検討すべきではないか。
日本では昭和36年に国民皆保険を実現させた。
大病にかかったり、大事故に遭ったりしても、過度な自己負担なく治療が受けられるのは、健康な時に保険料を納めた者同士による助け合いのたまものだ。
国民皆保険は日本が世界に誇る
「財産」
であり、それを支える制度の1つが国保だ。
さして保険料を納めずに果実だけ得ようとする
「ただ乗り」
を許してはならない。
少子高齢化の進展により医療費は今後も膨れ上がることが予想される。
高額療養費の不正利用がまかり通ってしまえば、公的医療保険制度の信頼が損なわれ、医療費の負担を巡る議論に水を差すことになろう。

1年111億円、短期滞在の外国人の高額療養費制度利用に疑問の声「厳格適用すべき」
侵食〜「移住」
2025/3/15 18:19
https://www.sankei.com/article/20250315-55XYDEGTVVJ7XNJKQ64SZOGH34/
外国人による日本の医療制度利用は、度々国政の舞台でも問題提起されてきた。
特に医療費の支払い負担を抑える
「高額療養費制度」
について、外国人が短期間の滞在でも適用される現状を疑問視する声が挙がっている。
「僅か90日の滞在で数千万円相当の高額療養費制度を受けられる現在の仕組みは、より厳格な適用となるよう見直すべきだ」。
国民民主党の玉木雄一郎代表は2025年2月15日に自身のX(旧ツイッター)で、こう指摘した。
現行制度では原則住民票が作成され、3カ月以上の在留期間を有する外国人は、国民健康保険などに加入した上で、制度の利用が可能だ。
玉木氏はXで
「現役世代が苦労して支払う社会保険料は、原則、日本人の病気や怪我のために使われるべきだ」
と訴えた。
また、立憲民主党の長妻昭代表代行は2025年2月17日の記者会見で
「保険は負担と給付とのバランスだ」
と述べ、外国人による制度の利用実態を調査する意向を示した。
自民党の河野太郎前デジタル担当相も2025年2月16日に自身のブログに
「病気と分かった上で来日し、中長期滞在しながら国民保険に加入して治療を受けることを防ぐことが必要だ」
と記した。
与野党からこうした指摘が相次ぐのは、膨張する医療費への対策が待ったなしだからだ。
2025年夏の参院選を見据えて各党は医療費削減に向けた具体策を打ち出すことが求められている。
保守支持層を取り込む狙いも透け、今後、与野党の論戦が更に活発化する可能性もある。

■高額療養費制度、セーフティネットの役割
高額療養費制度は高額な治療を受けた場合に負担が重くなり過ぎないよう1カ月当たりの支払いを一定にとどめる仕組みで、セーフティーネットの役割がある。
病気や怪我の治療にかかる自己負担は原則1〜3割だが、上限額を超えた部分は公的医療保険から給付される。
年齢や年収によって上限額は異なる。
長期療養の負担軽減のため、直近12カ月以内に3回利用すると、4回目からは上限額が下がる。
令和4年3月から5年2月までの高額療養費支給額は9606億円。
外国人への支給は約1・15%に当たる111億円だった。
政府は、患者の支払いを増やして医療保険財政を安定させ、現役世代などの保険料負担を軽減するため、上限額の引き上げを図った。
だが、批判が噴出し、石破茂首相は二転三転の末に引き上げの全面凍結を決断した。

<主張>高額療養費 引き上げより他の方法を
社説
2025/3/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20250308-3UQIHXXORJLDLJMRFZIQUJKSWA/
政府は医療費が高くなった患者の自己負担を抑える高額療養費制度について、今年2025年8月からの上限額の引き上げも見送る方針を固めた。
令和8年8月からの在り方に関し今秋2025年秋までに結論を出す。
制度見直しの政府案が修正されれば3度目となる。
これにより引き上げそのものが一旦
「白紙」
になる。
そもそも引き上げは拙速だったと言わざるを得ない。
医療の高度化などに伴い、公的医療保険の財政が逼迫している。
医療保険制度の持続可能性を高めるために、給付と負担の見直しが必要なのは当然だ。
だが、それが高額療養費制度の上限額引き上げでいいのか。
国民皆保険制度の意義は、大病にかかっても経済的な不安なく治療を受けられることにある。
石破茂首相は
「(高額療養費)制度を守っていかなければ、命を守ることはできない」
とするが、政府案は引き上げ幅が大きく、受診抑制が懸念されていた。
抗がん剤や大手術など命に関わる治療を断念することになっては、本末転倒だ。
上限額の引き上げは少子化対策の財源確保とも関係がある。
岸田文雄前首相は、医療保険料に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
を創設する際、社会保障費の歳出改革などで
「実質的な負担は生じない」
と説明し、歳出削減で医療・介護サービスが低下する可能性への言及を避けてきた。
そこで政府は高額療養費制度の自己負担上限額を見直し、保険料負担を軽減しようとした。
だが、少子化対策の財源を十分確保できなかったつけを、高額療養費制度を利用する患者に回すのはおかしい。
医療保険の限られた財源をどこに使うかの優先順位を精査すべきだ。
風邪の時に使う解熱剤や湿布などを処方薬から外し、医療保険の適用外にするなどの対策をとれば同制度に手を付けずに済むのではないか。
政府は2025年2月14日に長期の治療が必要な患者の負担を据え置く考えを示した。
2025年2月28日には予定していた令和7年8月の引き上げは維持しつつ、令和8年8月以降の制度設計を今秋までに再検討すると表明した。
そして3度目の修正である。
場当たり的対応では社会保障制度をどう維持するかの理念が見えてこない。
2025年夏の参院選対策と言われてもやむを得まい。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/112.html#c31

[政治・選挙・NHK297] トランプ関税ディール「次の一手」なのか…注目論文が示唆する「対日恐喝」シナリオ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
44. 秘密のアッコちゃん[1459] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月12日 12:36:15 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[897]
<■151行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<産経抄>トランプ関税ショックに弥縫策では追いつかない
2025/4/12 05:00
https://www.sankei.com/article/20250412-5NHBO3JLYNLMHHYRQRARK5UF4M/
平成28年頃、当時の安倍晋三首相に
「なぜ財務省は、消費増税にばかり拘るのか」
と意見を聞いたことがある。
財務省は、経済成長による税収増は
「安定財源にならない」
と言うが、増税で景気が後退すれば元も子もないだろうにとかねて疑問だったからである。
▼安倍氏はあっさりと答えた。
「財務省は経済が分かっていないから」。
それはどういう意味かと問うと、安倍氏は続けた。
「財務省、特に(予算編成を司る主流派の)主計局あたりは、集めた税を再分配することしかやっていないから、生きた経済を分かっていない」
「彼らにはその必要がないからね」
▼目から鱗が落ちる思いだった。
確かに財務省設置法は、任務として
「健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、国庫の適正な管理」
などを掲げるが、経済成長や景気浮揚などは所管外である。
安倍氏の指摘通り、そんなことは本来彼らの仕事ではないのだった。
▼現在、トランプ米大統領による関税ショックや物価高を受け、政治課題として減税や現金給付が議論されている。
自民党内からは食料品の消費税減税を求める声も出ているが、財務副大臣を務めた森山裕幹事長は否定的だとされる。
公明党の斉藤鉄夫代表は
「減税を前提とした現金給付」
を主張する。
▼野党第一党の立憲民主党は消費税減税に関する賛否が分かれるが、財務相経験者の野田佳彦代表は一貫して否定的な立場を取ってきた。
日本維新の会の吉村洋文代表は
「2年限定で食料品の消費税をゼロに」
と訴える。
国民の暮らしに直結する重要テーマであり、侃々諤々の議論がなされて当然だろう。
▼ただ、トランプ劇場は始まったばかりである。単なる弥縫策では追いつくまい。

与野党で高まる消費減税論に神経とがらす財務省 「一度減税すると戻せない」
2025/4/11 21:21
https://www.sankei.com/article/20250411-Q64RJ6WIURO5BB65OZ7OFG6MGI/
トランプ米政権の関税措置や物価高の対策として消費税減税や現金給付を求める与野党の動きに財務省は神経を尖らせている。
特に消費税は社会保障の貴重な財源のため手を付けることには慎重だ。
手取りを増やす施策を実施するなら
「現金給付で収めたい」
という思惑も透けてみえる。
加藤勝信財務相は2025年4月11日の閣議後記者会見で
「消費税の引き下げを図ることは適当ではないと石破茂首相が国会で答弁している」
と述べ、減税に否定的な考えを示した。
消費税は景気や人口構成の変化に左右されにくく社会保障の安定財源となっている。
令和7年度の税収見込みは24・9兆円に上る。
財務省幹部は
「消費税は1度減税すると元に戻すのが難しい」
と語る。
実現するにしても来年度2026年度になると想定される。
法改正に加え、レジの改修など事業者の対応も不可欠だ。
一方、現金給付なら迅速に国民に届けることができる。
自民党内では一律5万円を給付する案が浮上する。
新型コロナウイルス禍の際に家計支援策として実施した一律10万円の特別定額給付金は、総額12・8兆円の予算を計上。
5万円の給付を実施する場合、6兆円規模が必要となる。
参院選を前に与野党から歳出圧力が一段と高まることも予想され、国債の増発懸念もくすぶる。
財政健全化とのバランスも重要で悩ましい展開が続く。

立民で「消費減税派」が台頭 国民民主や維新でも 参院選見据え野党がアピール合戦
2025/4/11 21:18
https://www.sankei.com/article/20250411-G3WMBXYOAZNTVOJEIQRS6QQ524/
物価高対策やトランプ米大統領の関税措置に対応するため、野党で消費税減税論が勢いを増している。
立憲民主党が2025年4月11日開いた参院選に向けた経済政策を協議する党会合では、消費税減税を求める声が相次いだ。
日本維新の会も同日、官邸に食料品の消費税ゼロを要請するなど、参院選を見据えた野党による
「アピール合戦」
の様相を呈してきた。
「党内の議論を虚心坦懐に見ている状況だ」
立民の野田佳彦代表は2025年4月11日の記者会見で、
「消費税減税派」
が台頭する党内情勢についてこう語った。
野田氏は自身の首相時代に、消費税10%への増税に道筋をつけた筋金入りの
「財政規律派」。
その野田氏率いる立民内でも消費税減税を求める声が日増しに高まっており、同日の党会合では消費税の5%への引き下げや、食料品の税率をゼロにすべきとの意見が多く出た。
出席したベテランは
「財政規律派は何も分かっていない」
と吐き捨てた。
また、維新も同日、前原誠司共同代表らが林芳正官房長官と官邸で面会し、食料品の消費税ゼロなどを柱とする経済対策を申し入れた。
野党から消費税減税の大合唱が起こるのは、有権者の関心が高い消費税減税を掲げることで参院選を有利に戦いたいからだ。
国民民主党幹部は
「まるで『減税合戦』だな」
と漏らした。

「最後に決めるのは…」首相、消費減税の可否打ち出せず 執行部否定的、参院選控え板挟み
2025/4/11 21:12
https://www.sankei.com/article/20250411-YHEQ2L2ZNFJMHCMZ2ZY4GNYXFY/
石破茂首相(自民党総裁)は、夏の参院選を控え、党内で強まる消費税減税の圧力と党執行部の減税反対論の間で減税の可否を打ち出せずにいる。
参院選の投開票は約3カ月後に想定され、消費税減税を打ち出し政権浮揚を図りたいところだが、執行部の多くは財源確保を理由に否定的で首相は板挟みの状況だ。
■発言は二転三転
「確かに賃金は着実に上昇している」
「それでも給料が上がっていない人がいっぱいいる」
首相は経済対策の必要性について周囲にこう語気を強めた。
首相は2025年3月28日の参院予算委員会で、消費税減税の実施について
「一概に否定するつもりはない」
と説明。
諸外国の税率の下げ幅や実施期間などを検証する意向を示した。
その後、党内の反発を受け
「適当ではない」
と否定するなど発言を二転三転させてきたものの、
「本音はやりたいはずだ」(首相側近)
と見る向きもある。
その背景には政権が掲げる
「物価上昇を上回る賃上げ」
を実現できていない現状がある。
コメやガソリンの価格上昇も続く中で、首相の胸の内には物価高対策として食料品の消費税率引き下げも選択肢に残っているのではないかというのだ。
■与党から減税圧力
参院選が近づくにつれ、与党内から減税圧力が大きくなってきたことも理由の1つだ。
自民の松山政司参院幹事長は
「今月2025年4月から4千品目を超える物価も上昇する」
「きめ細かな対応を検討してほしい」
と言及。
公明党の斉藤鉄夫代表も
「減税を前提とした現金還付が必要だ」
と要求する。
ただ、自民執行部内では現金給付や消費税減税に否定的な意見が大勢だ。
「政権の屋台骨」
である森山裕幹事長や元財務相の鈴木俊一総務会長がその代表格で、
「バラマキと批判される」(党重鎮)
と警戒する向きも強い。
与党内は決して一枚岩とは言えない。
だが、参院選で野党側は消費税減税などを公約として打ち出すことが想定され、自民が消費税減税に否定的な態度を貫けば有権者の支持がますます野党に流れかねない。
党内の慎重論は根強いが、政府高官はこう話す。
「党内で反対があったとしても、最後に決めることができるのは首相だ」

与党が物価高対策で消費減税検討 首相、近く補正予算編成を指示 「つなぎ」で現金給付へ
2025/4/11 20:46
https://www.sankei.com/article/20250411-IFGKWMAFUFJMJOXWKCKFZEYBBA/
自民、公明の与党は、物価高を受けた経済対策として、食料品を対象にした時限的な消費税減税の検討に入った。
減税実現には法改正などで時間がかかるため、
「つなぎ」
の措置として国民一律の現金給付も行う方針で、政府に要求する。
また、石破茂首相は現金給付を含む経済対策を講じるため、令和7年度補正予算案の編成を近く指示する方向で調整に入ったことが判明した。
政府・与党は今国会での補正予算案の成立を図る。
経済対策には、トランプ米政権による自動車への25%の追加関税措置で打撃を受ける自動車業界への新たな助成も盛り込む方向だ。
一方、消費税減税について、公明の斉藤鉄夫代表は2025年4月11日の記者会見で改めて必要性を提起した。
消費税や所得税も含め
「あらゆる税目を対象に検討しなければならない」
と述べた。
減税の実施時期については
「来年度2026年度からが常識的だ」
と語った。
自民でも食料品の消費税減税を打ち出すべきだとの主張が、夏に参院選を控える参院側だけでなく、執行部の一部に出ている。
自民幹部の1人は減税の景気浮揚効果を検討する考えを示した。
ただ、自民執行部には消費税減税に否定的な意見が多い。
森山裕幹事長は2025年4月11日、記者団に、消費税は社会保障費の財源であることから
「下げる話だけでは国民に迷惑をかけてしまう」
と語った。
現金給付の金額に関しては自民内には3万〜5万円程度、公明内で10万円程度とする案が出ている。
財源について斉藤氏は2025年4月11日の記者会見で
「緊急的措置と考えれば赤字国債を検討することもあり得る」
と言及した。

公明・斉藤鉄夫代表、消費減税も選択肢 高関税・物価高対策で
2025/4/11 11:56
https://www.sankei.com/article/20250411-S56KPYBOBZIDBMCOPARFPES3BM/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年4月11日の記者会見で、米政権の高関税措置や物価高を受けた経済対策として提起した減税について、消費税や所得税が対象となる可能性を排除しなかった。
「関税に関わる危機は経済界全体に関わる」
「あらゆる選択肢を俎上に載せて検討している」
と述べた。
減税と併せて検討している現金給付の財源に関しては
「緊急的措置と考えれば赤字国債を検討することもあり得る」
と言及した。
http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/118.html#c44

[政治・選挙・NHK297] 大阪万博メディアデー参加で分かった…目立つ未完成パビリオン、職人は「えらいこっちゃ」と大慌て 話題の現場 突撃ルポ(日刊… 赤かぶ
27. 秘密のアッコちゃん[1460] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月13日 12:36:17 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[898]
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<主張>豪の対中姿勢 明瞭な「拒否」を評価する
社説
2025/4/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20250413-RWJSIU7MWZI3HCHVTRYXBIH67Q/
オーストラリア政府が、2025年5月に行われる総選挙を前に中国への厳しい姿勢を更に強めている。
米国の関税攻勢に対抗するため、協力を求めた中国政府の呼び掛けを拒んだ。
中国企業が権益を持つ豪北部ダーウィン港の賃借契約も見直す方針を打ち出した。
豪政府の判断を支持したい。
豪州と日本は
「準同盟関係」
とも言われ、安保協力を強化している。
豪州は、日米豪印4カ国の安全保障枠組み
「クアッド」
の一角だ。
その明瞭な外交姿勢は、中国を抑止する上で重要な意味を持つ。
豪州は最近まで自国産食料品などに中国から高関税を課される経済的威圧を受けていた。
2025年2月には中国海軍の艦隊が豪・ニュージーランド間のタスマン海で実弾射撃演習を行い、民間航空機が迂回を余儀なくされた。
そうした動きが豪州の対中認識を一層厳しくしたのだろう。
米中の報復合戦となったトランプ米大統領の関税政策を巡っては、中国の肖千・駐豪大使が2025年4月10日の豪紙に
「中国は新たな状況下で豪州や国際社会と手を携え、世界の変化に共同で対応する用意がある」
と寄稿した。
しかし、マールズ豪副首相兼国防相はメディアに
「中国と手を取り合うつもりはない」
と語り、中国の呼び掛けを跳ね除けた。
中国は豪州の最大の貿易相手国だが、マールズ氏は
「貿易の多様化」
で経済の対中依存を低減する考えも示した。
インドネシアにも近いダーウィン港は、2015年に中国企業の嵐橋集団が地元の準州当局と2114年まで賃借する契約を結んだ。
だが、契約直後に嵐橋集団と中国共産党の密接な関係が報じられ、
「重要なインフラを中国側に渡した」
との批判が国内外から噴出した。
ダーウィン港は米海兵隊が巡回駐留し、多国間の軍事演習の拠点ともなる戦略的要衝だ。
豪政府が賃借契約を見直す方針を示したのはこのためで、総選挙の選挙戦では、野党党首も豪側が港を買い戻す案を訴えた。
中国外務省は
「通常のビジネス協力の政治化だ」
と反発する。
だが、ダーウィン港から中国の影響力を排除することは、豪州はもちろん、インド太平洋地域の安全保障に深く関わる。
中国が対抗措置を取らないよう日米やインド、欧州も豪側の決断を後押しすべきである。

ニュージーランド外相、中国に懸念伝達 軍事演習や島国クック諸島との関係強化を巡り
2025/2/26 21:44
https://www.sankei.com/article/20250226-PBQJ2IF7QRMN7NFOCSGKKB3NLQ/
中国の韓正国家副主席とニュージーランドのピーターズ副首相兼外相は26日、北京で会談した。
中国外務省が発表した。
中国軍はオーストラリアとニュージーランドに挟まれたタスマン海の公海上で演習を実施し、民間航空機が迂回を余儀なくされた。
ラジオ・ニュージーランドによると、ピーターズ氏は
「中国と常に意見が一致するわけではない」
と述べ、懸念を伝えた。
中国は、ニュージーランドが防衛を担う南太平洋の島国クック諸島と関係を強化するなど影響力を拡大している。
報道によると、ピーターズ氏は会談で、ラクソン首相が早期の訪中を希望していると表明。
軍事演習の目的なども質したとみられる。
中国外務省の発表では、韓氏はニュージーランドと
「健全で安定した発展の推進を望む」
と強調。
ピーターズ氏は両国の対話強化などを求めた。(共同)

中国軍、台湾沖で予告なし「射撃訓練」宣言 海底ケーブル損壊の貨物船拿捕への対抗措置か
2025/2/26 19:18
https://www.sankei.com/article/20250226-PW57F6BSXVMDJBNQJHGWGWGQOE/
台湾の国防部(国防省に相当)は2025年2月26日、中国軍が台湾南部沖の公海で同日、事前の予告なしに演習エリアを設定し、
「射撃訓練」
の実施を宣言したとして
「厳しい非難」
を表明した。
「国際慣例に公然と違反している」
と指摘した。
台湾当局は2025年2月25日、台湾南部沖で海底ケーブルを損壊したとして中国人8人が乗船した貨物船を拿捕しており、中国側による対抗措置との見方も出ている。
中国軍が設定した演習エリアは台湾南部の高雄市や屛東県から約40カイリ(約75キロ)の国際航路に当たる海域。
中国側は臨時無線で射撃訓練を実施すると通知したという。
台湾の国防部は
「国際線(の民間機)や船舶の航行に危険が生じるだけでなく、地域の安全と安定に公然と挑戦している」
と反発した。
国防部によると2025年2月26日午前8時40分以降、中国の軍用機延べ32機が台湾周辺で活動し、うち22機が台湾海峡の暗黙の
「休戦ライン」
である中間線やその延長線を越えた。
軍用機は中国軍艦と連動して
「合同戦備パトロール」
を実施した。
台湾の国防部系シンクタンク
「国防安全研究院」
の沈明室研究員は
「台湾の強硬な態度への対抗措置だろうが、かえって(ケーブルを損壊した)貨物船と中国人民解放軍との関係を証明している」
と指摘した。
中国軍はオーストラリアとニュージーランドに挟まれたタスマン海の公海上で2025年2月21日、実弾射撃を含む軍事演習を開始。
この際、直前に無線で通知を受けた周辺の民間機が迂回飛行を余儀なくされた。

NZ外相、中国の軍事演習を議題に 事前通告の迅速化を要請へ 中国艦がNZ沖で実弾射撃
2025/2/24 19:28
https://www.sankei.com/article/20250224-LFH3VAUWUNOKPKYTDXVWCQIYN4/
ニュージーランドのラクソン首相は2025年2月24日、中国軍がタスマニア海で実施した実弾演習について
「事前通知は直前だった」
「この問題は北京で話し合われるだろう」
と述べ、2025年2月25日から中国を訪問するピーターズ副首相兼外相が王毅共産党政治局員兼外相との会談でこの問題を取り上げる方針を示した。
ロイター通信が伝えた。
中国軍は2025年2月21日からタスマン海の公海上で、フリゲート艦など計3隻が軍事演習を開始し、実弾を発射した。
中国側の通告は2025年2月21日当日で、オーストラリアとニュージーランドを結ぶ民間航空機が迂回飛行した。
ニュージーランド軍は24日、中国艦3隻はタスマニア島沖約520キロの海域に展開していると明かした。
ラクソン氏は2025年2月24日、中国の演習について、国際法には違反していないとしつつも、民間機が迂回を余儀なくされたことを踏まえ
「混みあっているルートではもう少し早く知らせてほしかった」
と語った。

中国、豪NZ間での軍事演習は「国際法に合致」 豪の批判に「強烈な不満」と反発
2025/2/23 15:02
https://www.sankei.com/article/20250223-62DJUR3X45IKBGTAYRHAXYYYLU/
中国国防省は2025年2月23日、中国が公海上で行った軍事演習をオーストラリア政府が批判したことについて
「強烈な不満」
を表明する報道官談話を発表した。
演習は
「国際法に完全に沿ったものだ」
と反論した。
ニュージーランド軍によると、中国軍の演習はオーストラリアとニュージーランドに挟まれたタスマン海の公海上で2025年2月21日から行われた。
民間航空機が迂回を余儀なくされ、オーストラリア政府は中国側の通知が遅かったと批判した。
中国国防省は事前に何度も通告しており、オーストラリア政府の指摘は
「理屈が通らず、意図的に騒ぎ立てている」
と述べた。(共同)

中国、豪NZ間で実弾演習 民間機が迂回飛行余儀なくされる 豪政府は批判
2025/2/22 22:12
https://www.sankei.com/article/20250222-5B5QCJW2GNPDPJXVY3QXTHVYJE/
オーストラリアとニュージーランドに挟まれたタスマン海の公海上で、中国軍のフリゲート艦など軍艦計3隻が2025年2月21日から軍事演習を始めた。
ニュージーランド軍が2025年2月22日発表した。
この日の演習で実弾が発射されたことを確認した。
中国側が2025年2月21日に実弾演習を通告したため、オーストラリアとニュージーランドを結ぶ民間航空機が迂回して飛行することを余儀なくされた。
オーストラリア政府は、中国側の通知が遅かったと批判。
ウォン外相は訪問先の南アフリカで中国の王毅外相と会談し、南シナ海で今月2025年2月起きた中国軍機の危険行為の再発防止と併せ
「安全で軍として相応しい行動」
を求めた。
今回の中国の演習は、開始直前になって周辺の民間機に無線で通知された。
付近を飛行中だったシドニー発ニュージーランド・クライストチャーチ行きのエミレーツ航空機も針路変更した。(共同)

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/123.html#c27

[政治・選挙・NHK297] (3)国内の供給不足を放置し、輸入米8倍増に力を入れる日本政府の愚かさ 令和のコメ騒動の深層 鈴木宣弘 東京大学教授(日刊… 赤かぶ
29. 秘密のアッコちゃん[1461] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月14日 10:24:02 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[899]
<▽36行くらい>
<主張>首相と戦後80年 靖国神社参拝を最優先に
社説
2025/4/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250414-XNG5AIBCWNILJKPBOMIVB2JYWA/
戦後80年の今年2025年、石破茂首相は先の大戦(大東亜戦争)を検証したい考えだ。
近く有識者会議を設置し、その報告を踏まえて、歴史観や戦争への見解を首相自身が会見で表明したいのだという。
一方で、自民党内の懸念の声を受け、戦後80年の首相談話を終戦の日に出すことは見送る。
石破首相に強く求めたい行動がある。
それは、春秋の例大祭や終戦の日などの機会に、靖国神社を参拝することだ。
談話よりも、有識者会議よりも、記者会見で私見を披露するよりも、礼を尽くして戦没者(英霊)を追悼、慰霊する方が、遥かに大切である。
日本は大東亜戦争で、陸海軍人、民間人など合わせて310万人の同胞を喪(うしな)った。
日本史上最大の悲劇といってよい。
戦争に思いを致すなら、靖国神社参拝こそが最もふさわしい振る舞いである。
靖国神社は近現代日本における戦没者追悼の中心施設だ。
戊辰戦争や日清・日露の戦役なども含め、日本を守るため斃(たお)れた246万余柱の英霊をお祀(まつ)りしている。
境内の鎮霊社では、空襲などで亡くなった一般国民を祀っている。
どの国も、伝統的様式に沿って戦没者を追悼している。
それが、国に殉じた人々への礼節ある態度である。
国を守るため尊い命を捧げた日本の英霊にとって、靖国神社に祀られることは自明だった。
政治リーダーの参拝は日本国と英霊の約束に含まれる。
もちろん最も大切なのは天皇陛下の御親拝である。
ところが、昭和後期以降、中韓両国の内政干渉などで首相の参拝が政治問題化し、多くの首相が参拝しなくなった。
勅使の参向はあるものの御親拝は途絶えた。
首相就任前の昨年2024年9月、石破首相は、天皇陛下の御親拝の環境が整わなければ自身は参拝しない考えを示した。
倒錯した発想で理解し難い。
首相が参拝を重ね、御親拝の環境を整えていくのが務めではないか。
自民党(石破総裁)の今年2025年の運動方針には
「靖国神社参拝を受け継ぎ」
とある。
首相は昨年2024年、靖国神社秋季例大祭に合わせ真榊(まさかき)を奉納した。
尊崇の姿勢が真実であるのなら、戦後80年の今、中韓両国や心ない左派勢力に阿(おもね)ることはない。
参拝して英霊に頭(こうべ)を垂れてほしい。

http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/130.html#c29
[政治・選挙・NHK297] ザイム真理教信者の野田・枝野氏(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
37. 秘密のアッコちゃん[1462] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年4月15日 05:21:56 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[900]
<■5125行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を考えた場合、マイナス面が圧倒的に大きいので、選択的夫婦別姓制度の導入には断固反対だ。

<主張>選択的夫婦別姓 経団連は提言取り下げを
社説
2025/4/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20250415-5PUPCYLNJFOBVINKTMM4C7ZHYM/
議論の土台が、崩れたと言えよう。
経団連が昨年2024年6月に公表した選択的夫婦別姓制度導入を求める提言で、理由として挙げたビジネス上の課題の多くが実際には解消済みだと自民党の会合で指摘された。
会合に出席した経団連の永井浩二副会長もそれを認めた。
根拠に乏しいこの提言は与野党の別姓推進派に利用され、国会審議にも影響を及ぼした。
経団連が国民をミスリードしたことになる。
猛省が必要で、提言は取り下げてもらいたい。
政府や自民党は別姓による不便・不利益の解消に向け旧姓の通称使用拡大を進めてきた。
一方、経団連は提言で、通称使用によるトラブルとして複数の事例を挙げ、別姓の早期導入を訴えてきた。
だが、2025年3月の自民党のワーキングチームで、各省庁の担当者から改善が進んでいる状況が明らかにされた。
経団連の提言が
「通称では不動産登記ができない」
とした弊害は、提言前の令和6年4月から旧姓併記が可能になり解消されていた。
多くの金融機関で口座が作れないと指摘した点は、令和4年3月時点でも7割の銀行が旧姓名義の口座開設を認めていた。
出席議員から実態に合わない提言を難ずる声が上がったのは当然だろう。
経団連の提言は導入論を煽った。
与野党の議論が増え、昨年2024年の自民党総裁選や衆院選で争点の1つとなった。
今年2025年2月に立憲民主党が導入実現の推進本部を立ち上げた際も、辻元清美本部長が経団連の推進に触れ、
「あとは政治が動くだけだ」
と気勢を上げた。
にもかかわらず、経団連側にミスリードの自覚が乏しいのは嘆かわしい。
経団連の十倉雅和会長は7日の会見で提言の不備が明らかになった点を問われ、
「便利か不便かという問題ではなく、アイデンティティーの問題」
と語った。提言の主眼は不便の解消にあったはずだ。
選択的とはいえ夫婦別姓は、子供がどちらかの親と別姓になる
「強制的親子別姓」
を意味する。
親よりも弱い子供の立場を優先したい。
別姓導入は戸籍制度も変質させ、国民を家族の一員よりも砂粒のような個人として扱う契機となる。
アイデンティティーという言葉を振りかざせば認められる話では決してない。
経団連は、家族や社会の毀損に与してはならない。

夫婦別姓、経団連幹部が釈明「追い付いてなかった」旧姓使用トラブル多くが改善 自民会合
2025/4/3 16:22
https://www.sankei.com/article/20250403-5P5R77TTYVDYXC5LFD25YIXC3Y/
選択的夫婦別姓の早期導入を求める経団連の昨年2024年6月の提言を巡り、問題視されたトラブルの多くが現在解消されている状況が自民党会合で指摘され、経団連の永井浩二副会長(野村ホールディングス会長)が
「追い付いていないところがあった」
と釈明していたことが2025年4月3日、分かった。
複数の出席議員が明らかにした。立憲民主党も経団連の意見聴取を踏まえ、2025年4月月内にも選択的夫婦別姓に向けた法案を提出するが、議論の土台が揺らぎかねない事態といえる。
■3年前に7割の銀行で旧姓対応
永井氏は2025年3月6日に党本部で開かれた
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」
の会合に出席。
旧姓の通称使用による課題を説明したが、各省庁が改善が進んでいる状況を明らかにした。
経団連は提言で、11のトラブルを指摘していた。
このうち、
「多くの金融機関では、ビジネスネームで口座を作ることや、クレジットカードを作ることができない」
との弊害例については、金融庁の調査で令和4年3月時点で、7割の銀行で旧姓名義で口座開設が可能となっている。
ただ、クレジットカードは大手5社のうち、旧姓の通称使用が可能となっているのは1社にとどまっている。
「通称では不動産登記ができない」
問題については、旧姓のみの登記は認められていない一方、提言公表前の令和6年4月以降、既に旧姓併記が可能となっている。
更に
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる」
との弊害例については、姓が変わった研究者も論文の執筆者名に旧姓の併記、注釈で対応することが可能となっている。
令和3年10月以降、特許庁に提出する全ての書類に旧姓併記が認められている。
■パスポートトラブル報告なく
また、
「空港では、パスポートのICチップのデータを読み込むが、そこに旧姓は併記されていない」
「よって、出入国時にトラブルになる」
との指摘については、パスポートに旧姓を併記する要件が緩和された令和3年4月以降、海外でのトラブル事例は報告されていない。
会合の出席議員からは経団連側に対し、
「実態に合わせた主張をして頂きたい」
と苦言を呈する声も上がった。
永井氏は
「追い付いていないところがあった。考えたい」
と語ったという。
一方、WT事務局には経団連から、旧姓の通称使用によるトラブルについて、最新の状況にアップデートした事例集は報告されていない。
■青山繁晴氏「バイアスかかっている」
会合に出席した青山繁晴参院議員は3日、記者団に
「経団連には調査機能もあり『追い付いていない』はあり得ない」
「バイアスがかかっていると見るべきだ」
と指摘し、
「最初から方向性を決め、それに沿うデータを持ってきているのだろうが、本来の経団連の在り方とは違う」
と語った。

「別姓賛成派かなりいる」 衆院法務委布陣で自民にも苦言「しっかり人事を」旧姓拡大集会
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/13 10:04
https://www.sankei.com/article/20250313-ELWYR22RHRB7RPE7XBERQ5IIYA/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓制度の導入の是非を巡っては、衆参法務委員会が
「主戦場」
となる。
衆院法務委は選択的夫婦別姓に賛同する議員が多いとされており、国会内で2025年3月12日に開かれた
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
では同委の構成を巡って、自民党の人事配置に対しても苦言を呈する声が飛び出した。
■「これは荒れるな…」
「法務委を見渡すと、かなり別氏(別姓)賛成派がいる」
「これは荒れるなと思った」
日本維新の会の藤田文武前幹事長は衆院法務委に配属された当時を振り返り、集会でこう述べた。
藤田氏は旧姓の通称使用拡大を唱えており、同委について
「激しいやり取りがゴールデンウイークを挟んで行われると予測される」
と指摘した。
その理由については
「ある野党の重鎮は
『別氏の話は政局だ。これをもって政治を揺らす』
と明言されている」
と語った。
重鎮の名前を明らかにしなかったが、立憲民主党の野田佳彦代表は衆院法務委員長ポストの奪取を自ら指示し、
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」
と語っている。
委員長には選択的夫婦別姓の早期実現を持論とする同党の西村智奈美氏が就いた。
■「自民は左巻きといわれる」
衆院法務委で明確に選択的夫婦別姓に反対の論陣を張っているのが少数政党の日本保守党の島田洋一氏、参政党の吉川里奈氏らだ。
島田氏は集会で、保守党と参政党について
「仲が悪いのではないかという人もいるが、吉川さんとはしっかり連携して戦っている」
と冗談めかした上で、
「共産党と立憲民主党は問題以前で、問題は自民党だ」
「衆院法務委に自民から出ている人、左巻きの集まりと言われる」
「もうちょっと自民党がしっかりとした人事をやらないと我々が苦労する」
と苦言を呈した。
島田氏は選択的夫婦別姓に賛成の立場を取る河野太郎前デジタル相や井出庸生衆院議員らを挙げて、同委について
「そういう人ばかり並んでいる」
「とんでもない状況だ」
と述べ、
「阻止するには自民党が一致して『ダメだ』と言ってもらわないといけない」
「自民党の責任は重い」
と語った。
■「少しずつ声が上がってきた」
参政党の神谷宗幣代表も登壇した。神谷氏は党の姿勢について
「当初から選択的夫婦別姓に反対だ」
「かなり早くから言っているが、多勢に無勢で押し切られるのではないかと危機感を持っていた」
と振り返り、
「少しずつ自民党や維新からも声が上がってきた」
「戦えるのではないかという自信や流れを感じている」
と語った。
この日、第三子の出産を控えているといい
「非常にそわそわしている」
「集会が終わったら飛行機で戻って、立ち会いたい」
と述べた上で、
「子供が生まれたら子供の名前は考えるが、めでたいこの時に姓をどうするか話し合って、揉めるなんていう社会にはしたくない」
と強調した。
神谷氏は1958年に米国で発刊された『裸の共産主義』という書籍を引用して、
「ジェンダーフリーや同性婚、同性愛を当たり前のものにしていけば家族やコミュニティー、国家が破壊される」
と述べ、
「夫婦別姓の次は同性婚だ」
「揚げ句の果てに人工子宮をつけて男性に子供を産ませようという話に行くわけだ」
「急進的と言われるかもしれないが、譲ってはいけない一線だと」
と述べた。

パスポート旧姓併記、出入国で「懸念」のトラブル報告はゼロ 外務省答弁、参政党吉川氏に
2025/3/13 11:13
https://www.sankei.com/article/20250313-AH27YNTT4ZEOVFPQVOWMEA3YOU/
外務省は2025年3月12日の衆院法務委員会で、選択的夫婦別姓に関し、パスポートに旧姓を併記する要件が緩和された令和3年以降、在外公館から旧姓併記を理由に邦人が出入国できないといった海外でのトラブルは報告はされていないと明らかにした。
パスポートの旧姓併記を巡っては、海外で旧姓使用の習慣がなく、トラブルになりかねないと懸念する声が選択的夫婦別姓の導入を求める人々の一部から上がっていた。
■現行は「選択的」夫婦同姓
参政党の吉川里奈氏が外務省の担当者に
「旧姓の通称使用拡大では不十分との理由として、海外で旧姓の併記が通用しにくい」
「トラブルの原因になるという指摘がある」
「具体的なトラブルは生じているのか」
と尋ねていた。
パスポートの旧姓併記について従来、旧姓による海外での活動を示す書類の提出を求めてきたが、同年令和3年4月以降戸籍謄本などで旧姓が確認できれば記載を認めるなど要件を緩和した。
旧姓併記のパスポートを所持した人が出入国の現場で説明を求められた際、英文の説明書も配布しているという。
吉川氏は選択的夫婦別姓の導入に反対しており、現行の制度について
「夫婦がどちらかの氏(姓)を協議の上、自由に選択することができる『選択的』夫婦同姓だ」
と指摘し、
「家族の価値観や社会の最小単位である家族の在り方をわざわざバラバラにする必要はない」
と語った。
■鈴木法相「情報提供は極めて大事」
その上で、選択的夫婦別姓に関する法務省のウェブサイトについて
「Q&Aの情報も文字が中心で視覚的に分かりやすい資料が不足している」
と述べた。
石破茂首相は
「あまり時間は残っていない」
と述べるなど選択的夫婦別姓に関する党内議論を早期にまとめる意向を示しており、吉川氏は
「国民に十分な情報提供がされないまま、時の政権の権力により審議が推し進められることに強い懸念を抱いている」
と述べ、省庁横断型で効果的な情報発信を求めた。
鈴木馨祐法相は
「議論してもらうために情報提供は極めて大事だと思っている」
「環境整備は我々の責務だ」
「改めるべき点は改めたい」
と応じた。

「旧姓の通称使用」の法制化を求める国民集会 出席議員一覧 4党から約40人
2025/3/13 10:40
https://www.sankei.com/article/20250313-FJLAZ4GXQNCUPFA6C7WF2QLXD4/
2025年3月12日に国会内で開かれた選択的夫婦別姓の導入に反対する
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
には自民党、日本維新の会、参政党、日本保守党の4党から約40人の国会議員が出席した。
出席議員は以下の通り(会場で読み上げられた順、敬称略)

自民党
≪衆院≫新藤義孝、古屋圭司、西村康稔、金子恭之、新谷正義、田畑裕明、岩田和親、黄川田仁志、高木啓、中曽根康隆、小寺裕雄、小森卓郎、吉田真次、大西洋平、木原稔、鬼木誠、平沼正二郎
≪参院≫衛藤晟一、山谷えり子、有村治子、片山さつき、上野通子、北村経夫、太田房江、和田政宗、加田裕之
日本維新の会
≪衆院≫藤田文武、東徹、阿部圭史、高橋英明、空本誠喜、池畑浩太朗
≪参院≫松沢成文、梅村みずほ
参政党
≪衆院≫吉川里奈
≪参院≫神谷宗幣
日本保守党
≪衆院≫島田洋一

旧姓の通称使用法制定を、国民集会で要望採択 櫻井よしこ氏「同姓の原則を守り通して」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/12 17:42
https://www.sankei.com/article/20250312-6XOYJAJG3FA55BH5QXVZS52GM4/
「『旧姓の通称使用』の法制化を求める国民集会」
が2025年3月12日、国会内で開かれた。
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓について
「子は必ずどちらかの親の姓と異なる『強制的な親子別姓制度』」
と指摘し、旧姓使用に法的根拠を与える
「旧姓の通称使用法」(仮称)
の制定を求める要望書を採択した。
自民党や日本維新の会、参政党、日本保守党から約40人が出席した。
■「社会の基礎的単位変えてならない」
呼びかけ人のジャーナリストの櫻井よしこ氏は
「国柄を踏まえて判断することが国の力の源泉として求められている時代だ」
と述べ、
「旧姓使用の拡大で問題を全て乗り越えることができる」
「同姓という原則を守り通し、日本の未来を確かなものにしていきたい」
と挨拶した。
自民党の新藤義孝政調会長代行は、
「国や社会が大切にしてきた家族の一体感を踏まえた議論が必要だ」
「社会の基礎的単位を簡単に変えていいわけがない」
と述べ、戸籍制度の堅持の必要性を強調した。
新藤氏は住民票やマイナンバーカード、不動産登記など旧姓の併記が相次いで認められるようになった現状を挙げて
「心配される声に1つ1つ対応を考えながら、(結婚時の姓の変更に伴う)不便を解消していきたい」
と語った。
日本維新の会の藤田文武前幹事長は、選択的夫婦別姓の議論について
「争いの種や分断のネタにしては絶対ならない」
と指摘した上で、
「伝統や慣習、慣例を尊重しながら、どのように現代に合わせるかを大事に考えないといけない」
と述べ、旧姓の通称使用の法制化を訴えた。

百地章氏「自民党執行部に大きな責任」連合・芳野会長が自民大会で選択的夫婦別姓要請
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/12 17:32
https://www.sankei.com/article/20250312-Y2O37BKQ7FBX5JM4EA4SXE435Y/
日大の百地章名誉教授は2025年3月12日、国会内で開かれた
「旧姓の通称使用」
の法制化を求める国民集会で、2025年3月9日に東京都内で行われた自民党大会に出席して選択的夫婦別姓制度の導入を求めた連合の芳野友子会長の発言を疑問視した。
集会で百地氏は芳野氏に関し
「自民が丁寧な議論を進めている中で、こともあろうに党員を前に一方的に夫婦別姓制度を呼び掛けた」
「見識を疑う」
と述べた。
返す刀で
「当然そのような発言があり得ることは予測できたにもかかわらず、事前に発言を塞ごうとしなかった自民党執行部には大きな責任がある」
と語った。
百地氏は選択的夫婦別姓について、伝統的な家族や家族観を崩壊させかねないことや、戸籍制度の解体に繋がりかねないなど問題点を列挙し、旧姓の通称使用拡大の必要性を訴えた。

<主張>自民党大会 保守の矜持を忘れたのか
社説
2025/3/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20250312-4R7RYGX2HNJS7ACIDFYIS4ADV4/
自民党は党大会で、夏の参院選の勝利が最重要課題であり、2025年6月の都議選と合わせて党の勢力を結集して臨むと記した令和7年運動方針を採択した。
森山裕幹事長は2025年11月に立党70年を迎えることを踏まえ、30年後の立党100年を見据えた新たな
「国家ビジョン」
を策定すると明らかにした。
長期ビジョンを作るのは結構だが、党が存亡の機にあることを認識しているのか。
最近の自民は保守政党としてのあるべき姿を見失っている。
自民は保守の矜持を取り戻さなければ、岩盤支持層が更に離反し、政権から転落しかねない。
党綱領には
「『日本らしい日本』を損なう政策に対し闘わねばならない」
とある。
選択的夫婦別姓制度の導入の動きに対し、自民は闘うどころか、党内の一部に支持する向きがある。
同制度は子供がどちらかの親と別の姓になる
「強制的親子別姓」
を意味し、家族や社会を毀損する。
導入は許されない。
党大会の来賓として挨拶に立った連合の芳野友子会長は、同制度の実現を求めた。
芳野氏を招待したのは参院選で労組票を取り込む狙いがあったのかもしれない。
だが、このような発言が予想されたのに招いたのは、自民執行部が保守の矜持を失っていることを示している。
憲法改正では、運動方針に緊急事態条項や自衛隊明記に関する条文案を起草し、改憲の早期実現に邁進すると明記した。
それにもかかわらず、石破茂首相が総裁演説で改憲に触れなかったのは極めておかしい。
安定的な皇位継承策を固めることは国の根幹に関わる。
内閣の報告書を受けて国会で各党が検討中だ。旧宮家の男系男子の皇族復帰こそ急務で、自民は全力で実現してもらいたい。
安倍晋三元首相や岸田文雄前首相らが取り組んだ、ダイナミックな外交安全保障政策を展開していない現状も問題だ。
総裁演説の次のくだりには違和感を覚えた。
「国民は政治を信じていない。国民の声に謙虚でありたい」
と語ったことだ。
先の衆院選で与党過半数割れの大敗を喫したにもかかわらず、首相は居座った。
謙虚と正反対の人の言葉に重みはない。
党への不信の原因は政治とカネの問題だけでなく、首相自身の振る舞いにもあることを自民議員は気付くべきである。

<正論>夫婦別姓が持つ「家族解体」論理 
麗澤大学教授・八木秀次
2025/3/12 8:00
https://www.sankei.com/article/20250312-A7QQXWSWMVOVZGYX4BVRABPJZM/?375350
夫婦別姓に関する最初の裁判は、国立大学の女性教授が大学で旧姓を使いたいというものだった(昭和63年)。
その後(平成10年)、大学側が旧姓の使用を認めて和解したが、戸籍上の夫婦別姓ではなく、社会生活で旧姓を使いたいという主張に過ぎなかった。
■「イデオロギー派」が便乗
これに便乗したのが、イデオロギー派とでも呼ぶべき人たちだった。
日本は
「市民革命」
が済んでいない立ち遅れた段階にあるとし、近代社会にするには国家と個人の間に存在する
「中間団体」
を解体して
「個人」
を析出する必要がある。
それがフランス革命以来の近代立憲主義の論理だとして中間団体の典型である家族共同体を解体して
「個人」
を生み出そうと主張した。
彼らは現行の民法や戸籍の構成単位である夫婦と子から成る
「近代的小家族」(核家族)
に戦前の
「家」
制度の残滓を見、拘束システムであると捉えて、そこから解放された
「個人」
としての存在主張を図ろうとした。
夫婦別姓はそのような主張が氏名の次元に現れたものだった。
「氏名の自己決定権」
が主張され、
「個人」
は純然たる
「個人の呼称」
で呼ばれる存在でなければならず、夫婦の営む共同体の名称で呼ばれる存在であってはならない。
結婚で変えられるものではなく、自己の意思に反して改姓を強いられるならば、アイデンティティーが喪失すると主張した。
戸籍を解体して個人登録にすべきだとも主張した。
「個人」
の存在主張は家族共同体の解体を志向するものでもあった。
「『個人の尊厳』の行き着く所は、場合によっては『家族の解体』にまで繋がっていく論理を含んでいる」
と主張する憲法学者や、娘が18歳になったら
「家族解散式」
を行うと公言する弁護士もいた。
現在はこれらの主張は意識的にか、表に出されなくなっている。
■帰属意識や一体感毀損
平成8年に法務省の法制審議会が示した案は先のイデオロギーとの共鳴はあったが、あからさまではなかった。
だが、結果として家族共同体の
「解体」
の方向に作用する論理を持つ。
夫婦が別姓になれば、子供は両親の一方とは姓が異なる。
親子別姓だ。
そうなると共通の姓が存在しない家族が生まれる。
姓は法制度としては家族の呼称ではなく、個人の呼称の一部となる。
これは全国民のファミリーネームの廃止を意味する。
それが家族の帰属意識や一体感の毀損に繋がる。
最高裁は平成27年、
「夫婦及びその間の未婚の子…が同一の氏を称するとすることにより、社会の構成要素である家族の呼称としての意義がある」
「家族を構成する個人が、同一の氏を称することにより家族という一つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる」
として現行の夫婦同姓を
「合憲」
とする判決を出した(令和3年判決も同旨)。
別姓は共通の姓によるそれらの機能を毀損する。
大きな問題は子供の姓の決め方だ。
法制審案では結婚の際に夫婦のどちらの姓を名乗るかを決める。
兄弟姉妹は共通の姓を名乗るが、子供が生まれるか分からない段階で姓を決め、決めなければ婚姻届を受理しないとするのは、結婚を
「両性の合意のみに基づく」
とする憲法24条に違反するとの指摘もある。
■肉親が争う子供の心理は
令和4年の立憲民主党や共産党の案(内容は公明党案も同じ)は子供の姓を出生時に決めるとする。
兄弟姉妹の姓がバラバラでもよいとするイデオロギー性が強い案だ。
子供の姓が決まらない場合、出生届は受理されず、無戸籍となる。
当事者で決められない場合は家裁で決めるとするが、家裁には判断基準がない。
自分の姓を巡って肉親が争ったり、裁判所に決められる子供の心理はどんなものか。
選択的夫婦別姓制が導入されれば、対象はこれから結婚する夫婦だけではない。
既に結婚している全ての夫婦が経過措置期間(1〜2年間)に同姓か別姓の選択を迫られる。
立憲民主党などの案では連動して子供の姓をどうするかを改めて判断することになる。
戸籍の様式自体の変更も必要で膨大な作業を要する。
戸籍事務量には
「対応できない」(法務省)
とのことだ。
そうであれば、あえて弊害の多い選択的夫婦別姓制を導入しなくとも、旧姓を社会生活で広く使用できるように法制化すればよい。
既に住民票やマイナンバーカード、印鑑証明書、健康保険証、パスポート、運転免許証は旧姓を併記できる。
戸籍に旧姓使用を明記するとの案もあるが、住民票などの公的証明書の記載を根拠にして旧姓の単独使用も可能とする法律を制定すればよい。
経団連の指摘する改姓による不便や不都合は既に解決しているか、新しい立法で解決する。

「おかしい」自民党大会で選択的夫婦別姓要請の連合・芳野友子会長に批判相次ぐ 自民WT
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/11 14:55
https://www.sankei.com/article/20250311-7YWAMCCGVBANTPVMBCYKSF2LEY/
自民党は2025年3月11日、
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
(座長・逢沢一郎衆院議員)
の会合を開き、選択的夫婦別姓制度導入を推進する立場の有識者から意見を聞いた。
出席者によると、2025年3月9日の自民党大会に出席した連合の芳野友子会長が挨拶の中で選択的夫婦別姓導入を要請したことについて、複数の議員から
「党内で審議中の話をするのはおかしいのではないか」
などと批判が出た。
会合には議員約50人が出席し、オンラインで立命館大名誉教授の二宮周平氏と白鴎大教授の水野紀子氏から話を聞いた。
二宮氏は、将来的には家族ごとの戸籍から個人ごとの個人籍へ移行するべきだとする意見を述べた。
出席議員からは、選択的夫婦別姓が導入された場合の子供の姓の決め方に関する懸念などが寄せられた。
また、逢沢氏によると、芳野氏の発言について
「党内で議論が進められている最中に、ああいった機会があったのは適切だったのか」
と意見が出た。
別の出席者は
「おかしいのではないか」
との発言もあったと明らかにした。
逢沢氏は記者団に
「座長として受け止め、党執行部にもそうした発言があったということは伝えておきたい」
と述べた。
芳野氏は2025年3月9日の党大会で、
「希望する人が別姓を選択できる制度であり、強制する制度ではない」
「逆に、夫婦同姓を望む人たちを排除する制度でもない」
「是非、今国会で選択的夫婦別姓制度の創設を実現してほしい」
と要請した。

「6万人ショック」自民党員減、「政治とカネ」懸念も「保守と理解してもらえない」
2025/3/9 15:40
https://www.sankei.com/article/20250309-6S6G4VIQB5HE3HEUGICQX4KUGI/
自民党の党員数の推移
https://www.sankei.com/article/20250309-6S6G4VIQB5HE3HEUGICQX4KUGI/photo/ILXCR2FS3NMLLJTKNCPV6M4DMQ/
自民党員の減少幅が近年まれにみる規模となり、党執行部を悩ませている。
令和6年末時点の党員数は102万8662人で5年末時点から6万2413人減少した。
「6万人ショック」
とも言われ、特に有権者と直接接する機会の多い地方議員に危機感が広がる。
派閥パーティー収入不記載事件の影響だけでなく、近年の自民の政策が岩盤支持層とされる保守層の離反を招いているとの見方も増えている。
■「党員集めは厳しさを増している」
「党員集めは厳しさを増している」
「自民はいつまで『政治とカネ』の問題に決着を付けられないのかと思われている」
神奈川県連会長を務める小泉進次郎元環境相は2025年3月9日の党大会後、記者団にこう語った。
党員数は自民が政権復帰した平成24年の73万人以降、増加傾向にあった。
安倍晋三政権から菅義偉政権へと変わった令和2年は113万6445人と近年で最も高かった。
しかし、岸田文雄政権下の令和5年末になると、党員数は109万1075人となり、前年末比で3万3688人の減少に転じた。
石破茂政権下の今回は、減少幅が倍増した形となる。
小泉氏と同じく地方議員も政治とカネの問題で党員の離反を招いたと指摘する声は多い。
山形県の柴田正人県議は
「『政治とカネ』の問題をずっと引きずっている」
「政治家は悪いことをしているというイメージが植え付けられている」
と指摘した。
政治資金の
「見える化」
を進めた上で、早期の決着を求めた。
宮城県連の遠藤隼人青年局長も、
「政治とカネ」
を挙げて
「直接党員にお願いして回っているが、これまで支えてくれた人も
『こういう党の状況では継続できない』
という人もいる」
「反応は厳しい」
と語る。
■「コアな保守層が逃げた」
遠藤氏は、自民が選択的夫婦別姓の導入を求める声に対し、明確な反対姿勢を示せていないことも疑問視する。
遠藤氏は
「旧姓使用の拡大」
にとどめるべきだと訴えた上で
「自民以外の政党は夫婦別姓派だ」
「分かり易く自分たちが保守であるということを理解してもらえないような党本部の姿勢が、保守離れを起こしているのではないか」
と危惧する。
大阪市の木下吉信市議は、昨年2024年10月の衆院選比例代表で自民支持層の投票先が日本保守党や参政党に流出したとの見方を示し
「コアな保守の支持者が逃げた」
と指摘する。
大阪府泉南市の添田詩織市議も
「地元を歩いて反応がいいことはない」
「(石破内閣は)中国寄りのイメージで語られている」
と述べる。
ただ、首相が力を入れる自衛官の処遇改善などの取り組みを挙げて
「実際は保守層に評価される政策もあることを知ってほしい」
と語った。
鳥取県連の斉木正一幹事長は、党員減少について
「やはり少子高齢化ではないか」
「我々が田舎を回ると高齢化が進み、昔の人が亡くなっている」
「もう1つは『政治とカネ』の問題」
「この2つが原因かと思う」
と分析した。

自民、参院選控え党大会で「原点回帰」アピール 地方、歴史、家族、靖国…岩盤支持層意識
2025/3/9 13:29
https://www.sankei.com/article/20250309-R7AI4KL5AZJKTCHXTVVNBW76RY/
自民党は2025年3月9日の党大会で、地方や歴史を重んじる保守政党という自らの立ち位置の明確化を図った。
採択した令和7年党運動方針は
「悠久の歴史や文化、家族や地域の絆」
といった文言を強調し、石破茂首相(党総裁)は演説で
「原点に立ち返る」
と述べた。
自民の岩盤支持層を意識した原点回帰は、2025年夏の参院選への危機感の裏返しでもある。
■異彩放つ運動方針「わが党は大敗した」
自民は今年2025年、立党70年を迎える。
首相は党大会で
「いつの時代も歴史、時代を変えるのは都の偉い人々ではない」
「地方であり、1人1人の庶民大衆だ」
と語り、地方の党員や支持者を重視する姿勢を強調した。
1年間の党の指針となる運動方針は、例年と比べ異彩を放つ。
昨年は総論である
「前文」
で、派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革を進めて
「解体的な出直し」
を図ると明記した。
一昨年2023年は経済再生などを前面に掲げた。
今年2025年は
「昨年2024年の衆院選で我が党は大敗した」
と認めた上で
「常に進歩を目指す保守政党」
の道を歩むと宣言。
「悠久の歴史や文化、家族や地域の絆に育まれてきた日本の国柄を次の世代に引き継ぐ」
と謳った。
■参院選で負ければ「政権は終わり」
更に
「歴代の天皇と皇統、皇室は、日本の歴史、伝統、文化の礎である」
「靖国神社参拝を受け継ぎ(中略)各都道府県における護国神社への参拝も大切にしていく」
と掲げた。
こうした姿勢の背景には、党の足腰の弱体化がある。
現在の自民は、安倍晋三元首相を支持した
「岩盤保守層」
の離反が指摘されている。
また、不記載事件への失望感などから地方の党員の減少も目立つ。
昨年2024年末時点の党員数は102万8662人で、前年から6万2413人も減少した。
党員
「120万人」
の目標は遠のくばかりだ。
自民幹部の1人は、衆院選に続いて参院選で負ければ
「政権は終わり」

「支持層を取り戻す必要がある」
と語る。
■運動方針から憲法改正の時期消える
ただ、自民は与党過半数割れした衆院で主導権を失い、党是の憲法改正を推進する体力もない。
昨年2024年の運動方針は
「2024年年内の実現」
を目指す考えを示したが、今年2025年は時期が消えた。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度導入法案の今国会への提出を準備している。
自民内では制度導入ではなく、旧姓の通称使用拡大を行う流れが強まっているが、執行部が党内の推進派を抑えられるかが焦点となる。

夫婦別姓で揺れる自民…家族観も一致せず 創生「日本」で苦言 産経新聞・皆川豪志
「正論」4月号
2025/3/1 12:00
https://www.sankei.com/article/20250301-DS2H6CUF7NCUHGTXBN223OFSS4/?outputType=theme_monthly-seiron
(月刊「正論」2025年4月号から)
与野党ともに賛同者が多かった選択的夫婦別姓の法制化議論が、ここへ来て風向きがやや変わりつつある。
一時は
「やりたい人がやるだけなのになぜ反対するか」
などという幼稚な理屈が罷り通っていたが、現実に法が改正された場合、日常生活に大きな影響が出ることに多くの国民が気が付き始めたからではないか。
産経新聞が今年2025年元日からシリーズ掲載した
「ごまかしの夫婦別姓議論」
の反響も大きかった。
中でも、2025年元日1面トップの小中学生に対する初のアンケート
「別姓小中学生の半数反対 『自分はしない』6割」
はインターネット上で瞬く間に拡散され、SNS(交流サイト)では
「選択的とは言うが、子供にとっては強制的親子別姓になることに改めて気づきました」
という声が多数上がった。
こうした背景を受けて、2025年2月5日に開かれた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
から勉強会の講演依頼が私にあった。
安倍晋三元首相が会長を務めた組織でもあり、全員が
「保守」
と言っていい錚々たるメンバー41人が集まった。
■「恣意的」批判は想定通り
講演では、調査の狙いとして、このテーマを
「可視化」
したかったことを最初に説明した。
いくら言葉で問題点を指摘しても、
「選択的」
という言葉に引きずられて、
「選択だからいいのでは」
「誰にも迷惑はかからないのでは」
などと納得してしまう世論が多いためだ。
そもそも、企業などでは婚姻後の
「旧姓使用の拡大」
が既に進んでおり、多くの国民にとってこのテーマは喫緊の課題ではない。
それをいいことに、朝日新聞やNHKなどのリベラル系メディアは、旧姓使用の現状を無視した上で、
「賛成」「反対」
の二択で世論調査を行い、そこで集計された
「賛成7割」
という結果を独り歩きさせるのだ。
日本人は人がいいので、
「そんなに賛成者がいるなら」
とつい誤魔化されてしまいがちなのである。
やはりここは、改めて問題点を浮き彫りにするべきではないか。
「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓であり、強制的家族別姓である」
「人に迷惑をかけないどころか、家族の在り方に多大な影響が出る」
ことを考えてもらうために必要だったのが、アンケートによる
「子供の存在」
の可視化だったのだ。
反響の中には、夫婦別姓推進派からの
「恣意的なアンケートだ」
という声も多かった。
だが、これは想定通りで、記事の中には次のような一文を入れておいた。
「法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである」
「仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えたりするならば、是非他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい」
「文部科学省も、こども家庭庁も出番ではないか」
つまり、
「文句があるなら自分たちも調べなさい」
「国もやるべきことがあるのでないか」
という意味だ。
実はこれが最も言いたかったことでもある。
先ほど調査対象は2000人と紹介したが、実は100人、200人しか集まらなくても仕方がないとも考えていた。
とにかく子供の存在をこの議論の俎上に載せたい、もし産経の調査に不満があるなら、それはそれで構わないので他のメディアなり、国としてやってほしい、拙速に進めず、立ち止まって考えてほしいというメッセージである。
その狙いは予想以上に国民に届いたのではないか。
2025年正月の記事以来、
「子供の姓がバラパラになる」
「旧姓使用の拡大や法制化で解決できないものか」
という議論が他メディアも含めて活発化してきたことを考えると一応は成功だったと言えると思う。
■自民党の現状こそ問題
一方で、経団連などの財界は未だに選択的夫婦別姓推進を言い続けている。
今回行った産経のアンケートで、旧姓使用を不可としている企業はゼロだったにもかかわらずだ。
この日の勉強会にも出席された高市早苗前経済安全保障担当相の努力もあって、今やパスポートや国家資格など大半の身分証明で旧姓使用が併記できるようになった。
立憲民主党など野党は
「困っている人がいる」
という理屈を振りかざしているが、
「困っている人」
とは誰なのか。
産経の取材でも
「困っている人」
を探したが、結局出てきたのは、
「海外でパスポート名義と宿泊名簿の姓が違って説明に時間がかかった」
という程度だった。
そもそも私は今回のテーマについて、保守である自民党が真剣に考えるべき課題ですらないと考えている。
今ある法や制度を変えたいのなら、なぜ変えなければならないのか、その理由を明確にして、誰もが納得できる立法事実を出さなければならないのは別姓推進派の側であり、政権与党としては、その1つ1つに丁寧に反論し、それでも困っているという細かいケースが見つかったのなら法律の運用の中で変えていけばよいだけなのだ。
勉強会に参加した自民党議員も、本当は同じように考えていたと思う。
ただ、現状は昨秋2024年秋の総選挙以来の少数与党であり、連立を組む公明党も別姓推進を公言している中で、放置するわけにもいかない。
何より、衆院法務委員長のポストまで獲得した立憲民主が今国会中にも法案を提出する可能性は高いのだ。
「創生『日本』」
としても、保守層だけでなく、広く党内がまとまる対案を検討するのは当然であり、より良い方向に導いて頂きたいとは思う。
ただ、だからと言って、我が国の根幹とも言える家族の在り方を巡り、これ以上党内が右往左往してほしくない。
そもそも自民党の中に、野党と同じように
「困っている人」
を必要以上に誇張したり、女性差別と関係付けてまで夫婦別姓を推進したい議員が少なくないこと自体が不自然なのである。
例えば、税制や社会保障などの分野で党内の意見が分かれるのならまだ分かるが、家族の在り方を巡って、
「党議拘束しなければまとまらない」
とか、
「予算の成立と引き換えに…」
などの意見が漏れてくる今の自民党の体質にこそ問題があるのではないか。
保守を標榜する
「創生『日本』」
の方々こそ、この党内の現状を真剣に憂えてほしい。
家族観すら一致せず、まとまれないような政党はもう、1つの政党とは言えない。
有権者からそのように見られても仕方がないのではないか。
そう苦言を呈して、講演を終えた。
(産経新聞編集局コンテンツ統括)
「夫婦別姓=家族別姓」子供の半数は反対…産経新聞アンケート結果
産経新聞の(2025年1月1日付掲載)のアンケートでは、家族で違う苗字になってしまう
「夫婦別姓」
に子供の半数が反対している実情が明らかになった。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人の計約2000人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題にも配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が約半数の49・4%、
「賛成」は16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」が18・8%、
「よくわからない」が15・4%
で、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては、
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割
となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%
だった。
(月刊「正論」4月号から)
みながわ・たけし
産経新聞編集局コンテンツ統括。
平成3年、産経新聞入社。
京都総局、大阪社会部、東京社会部次長、産経新聞出版代表取締役社長などを経て令和5年7月から現職兼産経新聞出版取締役会長。

選択的夫婦別姓「導入賛成」が減少傾向、「通称使用拡大」は増加 報道機関の直近世論調査
2025/2/25 9:49
https://www.sankei.com/article/20250225-AJ3NFZ3TLZHPPMUZFB4FMGFBXU/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓導入の是非を巡る各種報道機関の世論調査で「賛成」が今年2025年に入って減少傾向にある。
賛否の2択に加えて
「同姓を維持して旧姓の通称使用を拡大」
する第3の選択肢を尋ねたケースでは、旧姓の通称使用拡大が最も高く、割合も増えている現状が浮かぶ。
■産経・FNN調査は「賛成」9・5ポイント減
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査は
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)の45・2%に比べ、6・5ポイント増となる。
選択的夫婦別姓の法整備に「賛成」は28・0%で、前回の37・5%から9・5ポイント減らした。
同様に読売新聞社が2025年2月14〜16日に3択で尋ねたところ、旧姓の通称使用拡大は46%で最も多く、前回(2025年1月17〜19日実施)の43%から3ポイント増加した。
選択的夫婦別姓の導入を求める声は前回の29%から27%に減少した。
■朝日調査も「賛成」10ポイント減
朝日新聞社は2025年2月15、16両日の調査で、導入の賛否を2択で尋ねると、「賛成」が63%で「反対」は29%だった。
前回調査の昨年2024年7月はそれぞれ73%、21%だった。
「賛成」は「反対」の2倍以上だが、前回調査から10ポイント減らしたことになる。
共同通信社が2025年1月25、26両日に実施した世論調査は「賛成」は59・4%、「反対」が32・7%だった。
昨年2024年10月の賛成67%、反対21・7%で、「賛成」は7・6ポイント減らしている。
毎日新聞社は選択的夫婦別姓を巡る2025年2月の世論調査で2025年1月に比べて尋ね方を変えたため、対象から除外した。

「通称使用の拡大」男女とも過半数、全年代、職業で最多 共産支持層も FNN世論調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/2/24 12:30
https://www.sankei.com/article/20250224-MQHMGVO2XZHUVAIQ5WNV7ZHQEM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が、男女を共に過半数を占めた。
全年代で、また、選択肢にあるすべての職業で最多だった。
支持政党別でも、共産党支持層は
「通称使用の拡大」

「賛成」
を上回った。
■女性も「賛成」3割
男性では「賛成」の25.3%に対し、「通称使用の拡大」の51.2%と「反対」の21.5%の合計が7割を超えた。
女性では「賛成」が30.6%にとどまる一方で、「通称使用の拡大」は52.2%、「反対」は16.1%に上った。
男女共に法整備に慎重な姿勢が浮き彫りになった。
世代別でみると、30代と70歳以上を除き、
「通称使用の拡大」
が過半数だった。
経団連や一部野党などは、夫婦別姓を求める理由の1つに
「キャリアの断絶」
を挙げている。
今回の世論調査では、職業別に正規雇用、非正規雇用、自営・フリーランス、主婦・主夫、学生、無職、その他の選択肢で尋ねた。
全ての職業で「通称使用の拡大」を選んだ人が最多で、無職(42.0%)以外は半数を超えた。
「賛成」が3割を超えたのは学生(38.0%)と非正規雇用(36.4%)だった。
「反対」の割合が他の職業に比べ高かったのは、「無職」(28.8%)と「自営・フリーランス」(25.4%)だった。
■公明・立民支持層も「賛成」過半数届かず
支持政党別では、公明党支持層の47.3%と立憲民主党支持層の46.6%が「賛成」と答え、「通称使用の拡大」を上回った。
両党は今国会での法案成立を目指しているが、その両党の支持層でも「通称使用の拡大」と「反対」の合計は「賛成」を小差で上回った。
共産支持層では「賛成」の39.9%に対し「通称使用の拡大」が49.3%で上回り、「反対」が5.8%だった。
日本保守党の支持層では「反対」が最多の48.2%、「通称使用の拡大」が31.8%、「賛成」はいなかった。

選択的夫婦別姓「通称使用拡大を」51%で過半数 「反対」含め7割が導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/2/24 11:46
https://www.sankei.com/article/20250224-SXETE7ZTU5JQVP433ERNY7EURQ/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度に関する法整備について尋ねたところ、「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」との回答が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)比では6・5ポイント増加した。
法整備に「反対」との回答は18・7%で、前回比で4・0ポイント増加した。
選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的な回答が、前回は計6割だったが、今回は計7割に増加したことになる。
一方、法整備に「賛成」との回答は28・0%で、前回比で9・5ポイント減だった。

「建国記念の日」に党大会 国民民主の保守加速 夫婦別姓推しの連合幹部に榛葉幹事長は…
政界徒然草
2025/2/24 6:00
https://www.sankei.com/article/20250224-B5QW4QMJONMMZLBFNJJW27UDV4/
国民民主党の保守化が加速している。従来の家族の在り方を変える可能性を指摘されている選択的夫婦別姓制度を巡り、玉木雄一郎代表(役職停止中)と榛葉賀津也幹事長が性急な導入に
「待った」
をかけた。
これまでも憲法改正や原発再稼働、現実的な安全保障政策などを訴えてきた国民民主。
2025年夏の参院選を見据え、石破茂政権に批判的な岩盤保守層を奪い取る構えだ。
■党大会で紀元節に言及
「今から2685年前の今日、日本書紀によると、国づくりが始まった」
「その節目の日に、国民民主の党大会が開催されることに感謝と身が引き締まる思いでいっぱいだ」
今月2025年2月11日に東京都内で開かれた国民民主の党大会で、最も印象に残ったのが、榛葉氏によるこの挨拶だった。
国民民主は従来、リベラルと保守の二項対立とは距離を置く
「改革中道政党」
を掲げてきた。
だが、昨秋2024年秋の衆院選は、石破政権に批判的な保守層の後押しもあり、議席数が公示前から4倍増に躍進した。
新暦の紀元前660年2月11日に初代の神武天皇が橿原宮(奈良県)で即位した紀元節に触れた背景には、日本の伝統を大切にする保守層への配慮が透けて見えた。
■夫婦別姓にブレーキ
とりわけ保守層から歓迎されているのが選択的夫婦別姓制度への対応だ。
国民民主は先の衆院選の公約で同制度の導入を掲げていたが、玉木氏は2025年1月17日の産経新聞の単独インタビューで慎重に対応すると指摘。
「多くの国民に関わる事であり、イデオロギーや政局的なものにせず、出来るだけ幅広い合意を得る丁寧な議論が必要だ」
と強調した。
また、榛葉氏も2025年1月30日の産経インタビューで、子供の姓の扱いなどについて
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
との見解を示し、歩調を合わせた。
2025年2月14日の記者会見では
「保守もリベラルも関係ない」
「大人は選択できるかもしれないが、子供が半ば強制では子供が不幸になる」
と強調。
家族の絆を重んじる保守政党でありながら、推進派を抱える自民党を
「中に色んな考えがあるようだ」
と皮肉る余裕も見せた。
戸惑いを隠せないのが国民民主の最大支援組織で、同制度の早期導入を求める連合だ。
2025年2月11日の党大会に招待された芳野友子会長はたまらず
「導入しないことは男女が不平等な状態を放置することを意味し、人権に関わる由々しき問題だ」
と国民民主にプレッシャーをかけた。
しかし、この発言がどこまで執行部の耳に響いたのかは不透明だ。
同制度導入を求める連合関係者は今年2025年に入り、
「今国会の最大の法案だ」
と榛葉氏に発破をかけたが、子供への悪影響を念頭に榛葉氏が首を縦に振ることはなかった。
■支持層の変化も影響
立憲民主党は今国会に同制度導入を謳う民法改正案を提出する方針だが、成立を左右するのは国民民主と言っても過言ではない。
同制度を審議する衆院法務委員会の構成メンバーのうち、推進派と目されてきたのは立民(西村智奈美委員長を除く)や国民民主、公明党、共産党を合わせて15人。
自民や日本維新の会の一部が賛成に回れば過半数の18人に達する計算だ。
しかし、国民民主が慎重姿勢を堅持すれば法務委での過半数獲得も容易ではなくなる。
なぜ国民民主は変わったのか。
先の衆院選以降の支持層の変化を指摘する声は少なくない。
国民民主の比例票は前回(令和3年)の259万票から617万票へと大幅に増えた。
連合関係者は石破政権に不満を抱く岩盤保守層の影響だと分析。
「安倍晋三政権を支えていた支持者が相当流れてきている」
と語る。
国民民主の勢いは2025年夏の参院選の結果も左右する。
歴代の自民政権は野党の分断を仕掛けることで
「1強」
態勢を築いてきた。
自民重鎮は、国民民主が積極的な候補擁立を決めたことに関して、
「野党同士で潰し合うことになる」
とソロバンをはじく。
一方、保守路線にシフトした国民民主はむしろ自民の票を奪うとの見方もある。
立民の閣僚経験者は
「国民民主はどんどん右傾化している」
「このままだと、参院選ではむしろ、自民票を食うだろう」
と指摘する。
いずれにせよ保守色を濃くした国民民主の影響力が、かつてないほど政界で強まっていることだけは間違いない。

産経調査結果に「子供への影響研究を」の意見 選択的夫婦別姓是非議論の自民WT
2025/2/20 20:41
https://www.sankei.com/article/20250220-YVSELFAQVBO4PDFUMDOGUJG67Q/
自民党は2025年2月20日、
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」(座長・逢沢一郎衆院議員)
の会合を開き、選択的夫婦別姓制度導入の是非に関する内閣府や報道各社などの世論調査結果について議論した。
産経新聞社が昨年2024年11〜12月に小中学生約2千人を対象に行ったアンケートも取り上げられた。
逢沢氏は会合後、記者団に、産経の調査が子供の意向を調べた唯一の調査だと指摘した上で
「もっと深く子供の意見を聞くことや、新しい制度になった時に子供にどのような影響があるかを研究すべきだとの意見がかなり出た」
と語った。
産経のアンケートでは、夫婦別姓導入で家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。

「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓」池谷准教授 日本会議懇談会に自民、維新から75人
2025/2/19 18:05
https://www.sankei.com/article/20250219-TFPDA63IWJMPBLR6MOGN2BRYXQ/
超党派の保守系議員で作る
「日本会議国会議員懇談会」(会長・古屋圭司元拉致問題担当相)
は2025年2月19日、国会内で家族制度を考える勉強会を開催した。
自民党と日本維新の会から代理出席を含め計75人が出席し、選択的夫婦別姓制度を導入することによる子供への影響などについて意見を交わした。
会合では、家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授が
「選択的『夫婦別姓』は強制的『親子別姓』です−親子別姓は何をもたらすか」
と題して講演した。
出席者によると、池谷氏は別姓制度導入によって夫婦別姓が親子別姓、兄弟別姓になっていくことは、子供の発達に悪影響が出る可能性があることを指摘したという。
講演後には質疑応答が行われ、出席者からは
「個人が先立ち過ぎてしまうと家族の一体感や、社会の安定性が損なわれることになるのではないか」
との意見が出た。
別の出席者は
「従来の戸籍制度は非常に優れた制度だ」
「しっかりと残していくことを考えるべきだ」
と主張した。
同懇談会では、一昨年2023年に家族プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、家族制度に関する議論を重ねてきた。
山谷えり子・家族PT座長(自民)は会合後に記者団に対し、別姓制度に関して
「家族や社会の在り方に大きく影響する問題だ」
「選択的だからといって、その人だけの問題ではないという視点で進めることが大事だ」
と述べた。

選択的夫婦別姓めぐる朝日、共同の二択質問 「前提がおかしい」自民党内に不信募る
世論調査
2025/2/17 17:08
https://www.sankei.com/article/20250217-D7AYVEPQWJKWNLAY6WPSVJ7CLA/
選択的夫婦別姓制度を巡る報道各社の世論調査で、制度導入の賛否の二択で質問した場合と、旧姓の通称使用拡大を含めた複数の選択肢を提示した場合では回答結果が大きく異なった。
自民党では旧姓の通称使用拡大の議論が進む。
党内の一部には、この選択肢を排除し、二択で質問し続ける報道機関への不信感が募っている。
2025年2月16、17両日に公表された共同通信や毎日、朝日、読売の世論調査では、今国会の焦点となっている選択的夫婦別姓制度に関する質問がいずれも盛り込まれていた。
ただ、質問の選択肢の内容は各社で分かれた。
選択的夫婦別姓制度導入について
「賛成」

「反対」
の二択で回答を求めたのは朝日と共同だ。
朝日は同制度に関し
「法律を改正して、夫婦が同じ名字でも、別々の名字でも自由に選べるようにすることに賛成ですか」
と質問。
賛成が63%、反対が29%だった。
旧姓の通称使用拡大についての質問はなかった。
共同は同制度導入の賛否を尋ねた上で、旧姓の通称使用拡大について
「名字変更で生じるさまざまな問題や不便が解決すると思いますか」
と質問し、
「解決しない」
が58・1%に上った。
一方、毎日は同制度の導入や旧姓の通称使用拡大、両方を進める、両方を進めないとの選択肢を用意。
いずれの回答も16〜24%に分散した。
読売は3つの選択肢を示し、
「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
との回答が46%で最も多かった。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民党内ではかねてから
「二択では、国民の声を正確に受け止められない」(党若手)
との意見が根強くある。
自民党関係者は
「一部報道機関は質問の前提がおかしいのではないか」
と不満を口にした。

<主張>選択的夫婦別姓 「親子別姓」を強制するな
社説
2025/2/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250214-LMH5A675K5OQ5DMKI5JPAB2FOQ/
親子別姓を強制するおかしな制度だ。
選択的夫婦別姓のことである。
自民党は導入の是非を巡り、党内議論を始めた。
夫婦が同じ姓であるのは現代日本人の家族観と結び付いている。
結婚時の姓の変更に伴う不便を解消するための議論はあって然るべきだ。
だが、子供の立場を蔑ろにし、家族の一体感を損なう選択的夫婦別姓制度の導入は弊害が多過ぎる。
賛成することはできない。
自民の夫婦別姓に関するワーキングチームの会合で、高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は政権を奪還した平成24年衆院選で旧民主党の夫婦別姓案に反対した」
「その後も(旧姓の)通称使用拡大を約束してきた」
と主張した。
座長の逢沢一郎衆院議員が、意見集約の期限を設けないとしたのは妥当だ。
石破茂首相(自民総裁)2025年2月12日の国会で、選択的夫婦別姓制度について
「いつまでも結論を先延ばしにしてよい問題とは考えていない」
と述べたのは理解に苦しむ。
立憲民主党は選択的別姓の実現に向けた推進本部を立ち上げた。
だが、安易な導入は取り返しがつかない。
立民などは子供たちが受けるであろう悪影響を軽く見ている。
夫婦別姓では、父か母のどちらかが必ず子供と別の姓になってしまう。
疎外感を持つ子が出てくるだろう。
どちらの姓を子供に付与するかを巡って祖父母らも絡み、争いが生じかねない。
最も喜ばしい子供の誕生時に起きていい話ではない。
導入論者は、夫や妻の事ばかりに拘り、親よりも弱い立場にある子供の存在を軽んじている。
極めて残念だ。
子供を優先するのが親や社会の務めだと気付いてもらいたい。
選択的夫婦別姓が導入されれば戸籍制度も変質する。
姓は砂粒のような個人の呼称へ変貌する。
先祖から子孫へと、世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、そもそも姓を名乗る必要があるのだろうか。
選択的とはいえ別姓は個人の問題ではない。
家族や社会の在り様に関わる大問題だ。
令和3年の内閣府世論調査では、選択的夫婦別姓を求めたのは3割に届かず、同姓維持と同姓のまま通称使用の制度化を望む声は7割弱に上った。
政党は社会に分断を招いてはならない。

最大の問題は「子の姓」、旧姓の通称使用拡大へ結論を 国士舘大・百地名誉教授
2025/2/7 19:38
https://www.sankei.com/article/20250207-27NPT5X3KZJTHEUXDATVONIM4Q/
自民党は来週、選択的夫婦別姓制度を巡る党内議論を本格化させる。
同制度の問題点や旧姓の通称使用拡大について、国士舘大の百地章名誉教授(憲法学)に聞いた。

選択的夫婦別姓制度の最大の問題は子の姓の扱いだ。
生まれたばかりの子には姓の選択権がない。
それどころか、別姓家庭に生まれた子は、父か母いずれかの名字とは異なる
「親子別姓」
を強制させられる。
現在、一部の野党が示す案では、子が生まれる度に夫婦が姓を決めるとあるが、現行の戸籍法では出生後14日以内に氏名を届け出なければならないため、夫婦間の協議が整わなければ無戸籍児になる。
別姓夫婦が結婚時に生まれてくる子の姓を事前に決めておく案もある。
だが、決められなかった場合は婚姻届が出せず、
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」
と定めた憲法24条に違反する恐れがある。
野党案はこうした問題の解決に
「家庭裁判所に判断を求める」
とするが、正当な判断基準は見当たらない。
別姓導入賛成派の論拠は、平成27年と令和3年の最高裁判例が
「この種の制度の在り方は国会で論ぜられ、判断されるべきだ」
と判示したことだ。
しかし、判決は同姓制を合憲としており、別姓導入を求めたわけではない。
各種調査では5割近くが通称使用拡大を必要とする一方、別姓導入賛成は2割程度にとどまる。
これは便宜上の不具合を改善してほしいということに他ならない。
旧姓の通称使用拡大を別姓制度の
「妥協案」
と捉えてはいけない。
別姓導入の議論が浮上したことで通称使用の拡大の議論が熟した側面もあるが、考え方は全く違うものだ。
これまで懸案になっていた姓を巡る問題を解決するためにも、通称使用拡大の法整備に向けて結論を出すべき時期に来ている。

夫婦別姓議論、旧姓の通称使用拡大巡り自民保守派に複数案…一本化できなければ党分断も
2025/2/7 18:39
https://www.sankei.com/article/20250207-5X76YPN3GNMSVGNGL6VGUKS67E/
今国会の焦点である選択的夫婦別姓制度を巡り、自民党は来週、党内議論を本格化させる。
家族の在り方を変える懸念から、制度導入に慎重な保守系議員らは旧姓の通称使用を拡大する方向で意見集約を目指す。
ただ、慎重派の間でも通称使用拡大に関して複数の案が存在しており、一本化を巡っては党の分断に繋がる恐れもある。
2025年2月4日午後、党本部で開かれた有志グループ
「保守団結の会」
の会合。
顧問を務める高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は多くの方に、旧氏を通称使用する機会をもっともっと拡大する約束を何度もしている」
「これを早期に実現することが一番だ」
と強調し、通称使用拡大に向けた私案を示した。
高市氏の私案は、戸籍上は同姓を維持しつつ、旧姓の通称使用拡大を法律で位置づける。
現状、住民票やパスポート(旅券)などの公的証明書は希望すれば、現在の姓と旧姓の併記が可能だ。
この仕組みを幅広い分野に広げて不便を解消するため、国や地方公共団体、事業者に必要な措置を取るよう求める。
高市氏は以前、戸籍法の改正を視野に入れていたが、住民基本台帳法施行令の一部改正によって住民票などに旧姓併記が可能となったため、戸籍法は改正しない形とした。
別姓制度導入の是非が改めて注目されるきっかけとなった経団連の昨年2024年の提言は
「通称は法律上の姓ではないため、旧姓併記を拡大するだけでは解決できない課題も多い」
と指摘していた。
一方、衛藤晟一元沖縄北方担当相らの案は、公的証明書への旧姓の併記と単独使用のいずれも可能とする。
旧姓の使用を法制化し
「法定旧姓」
とすることで別姓制度を導入しなくても、経団連が指摘するような課題の解決に繋がるとしている。
稲田朋美元防衛相は、
「婚前氏続称制度」
の創設を主張する。
旧姓を通称ではなく
「呼称上の氏」
として法的に認め、公的な場面では旧姓を使用することを想定している。
慎重派は複数案を一本化し、導入推進派に対して党内議論の主導権を握りたい考えだ。
党内には、拙速な議論は避けるべきだとの意見もあるが、立憲民主党は今国会で導入に向けた民法改正案の提出を予定している。
自民の森山裕幹事長は2025年2月4日の記者会見で、関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張した。

「強制的親子別姓」「子供に選択の機会ない」選択的夫婦別姓を日本女性の会が危惧 横浜で
2025/2/7 10:50
https://www.sankei.com/article/20250207-XGELSVKT5FGOVOVXV2OLGIPJ3A/
日本女性の会神奈川は2025年2月6日、JR横浜駅前で今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓の導入に反対し旧姓の通称使用の法制度化を求める街宣活動を行った。
選択的夫婦別姓について、
「強制的親子別姓、強制的家族別姓です」
「家族がバラバラになります」
などと懸念を訴えた。
日本女性の会は日本会議の女性組織。
約20人の女性らがビラを配ったり、マイクで訴えたりした。
導入を求める側の人々が唱える
「選択制だから誰も困らない」
という訴えについては
「正しくありません」
「一番大きな影響を受けるのは子供です」
「選択制とはいえ、子供に選択の機会はありません」
などと危惧した。
同会は、4歳から高校2年まで10家族20人の子供に対し、それぞれの親から
「お父さんとお母さんが別々の名前になったらどう思う」
と尋ねてもらったところ、ほとんどが拒否感を示したという。
「家族がバラバラは絶対いや」
「うちは何家になるの」
との回答があったという。
同会神奈川の事務局長を務める横浜市の主婦、北島ゆり子さん(66)は
「子供は自分のことじゃなくて、親や家族全体のことを考えている」
「たかが名字、されど名字で、子供にとって大きな拠り所だと感じた」
と話した上で、
「子供の声は社会に反映されにくい」
と語り、丁寧な議論を訴えた。
北島さんは、10家族20人の調査について
「親にとっては、子供の考えを改めて感じ、絆が強まった機会になったといってくれた」
と述べ、選択的夫婦別姓の導入の是非が社会の話題になりつつある状況について
「反対派も賛成派も、改めて家族で『家族とは何か』『親子とは何か』を考える機会になれば一番いいと思う」
と語った。

夫婦別姓反対や通称使用法制化の推進を訴え 日本女性の会神奈川
2024/12/26 19:30
https://www.sankei.com/article/20241226-52IAT4YH4BMI3LSVHODYVHHQ5M/
日本女性の会神奈川は2024年12月26日、神奈川県藤沢市のJR藤沢駅前で
「夫婦別姓反対・通称使用法制化推進」
の街宣活動を行い、
「国民は選択的別姓制度を求めていません」
などと書かれたビラを配った。
参加したのは、同会や日本会議神奈川などの約10人。
メディアなどの調査をもとに、
「国民の7割が『別姓』に反対」
「中高生の9割以上が『別姓』に反対」
などと書かれたのぼりを掲げ、通行する人に
「姓の選び直しで社会は混乱する」
と語りかけ、通称使用の法制化を訴えた。

自民「創生日本」再始動、通称使用拡大案を提示「国の根幹めぐり党が割れるようでは…」
2025/2/5 18:55
https://www.sankei.com/article/20250205-5XCFEWLYMFOEZAAPSUVO5LP2FY/
安倍晋三元首相が会長を務めた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
は2025年2月5日、国会内で総会を開き、選択的夫婦別姓制度を巡り議論した。
総会の開催は約2年ぶりで、旧姓の通称使用を拡大する党内の複数の案が示された。
同制度の導入を巡っては党内で賛否が割れているが、同議連は通称使用拡大での意見集約を目指す方針だ。
「夫婦別姓は国民の間でも実際にどういうものか、実施したらどうなのかなど理解されていない点もある」
「議員も同様ではないか」
同議連会長代行の中曽根弘文元外相はこう強調した。
総会には、萩生田光一元政調会長や高市早苗前経済安全保障担当相、小林鷹之元経済安保担当相ら約40人が参加した。
この日は産経新聞の皆川豪志編集局コンテンツ統括を講師に招き、
「ごまかしの選択的夫婦別姓議論」
と題した講演も行われた。
皆川氏は、産経新聞が同制度について小中学生約2000人を対象に行ったアンケートの結果を説明し、
「国の根幹に関わる家族の在り方を巡り、党内の意見が割れるようでは有権者に見放されるのではないか」
と苦言を呈した。
同制度の導入には、立憲民主党などの野党に加え、連立を組む公明党も前向きな姿勢を示しており、今国会での焦点となる見通しだ。
自民では今月2025年2月中旬にも
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
での議論が本格化するが、推進派、慎重派が混在している状況で、党内議論は難航が予想される。
■「自民離れ加速」選択的夫婦別姓への懸念
一方、保守系議員を中心とした慎重派は、今月2025年2月に入って発信を強めている。
2025年2月4日には有志グループ
「保守団結の会」
が会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
慎重派の念頭には、家族の在り方を変えうる制度を導入すれば
「保守層の更なる自民離れが加速する」(中堅)
との懸念があるためだ。
ただ、安倍氏の死去後、党内の保守系議員の結集軸は失われたままだ。
慎重派が党内議論を主導できるかどうかの予測は難しい状況だ。

自民・高市早苗氏講演の「保守団結の会」に20人 出席議員一覧 旧姓通称使用の拡大を
2025/2/4 18:50
https://www.sankei.com/article/20250204-PWUCMPUC5JB4NIWYXAD7NLGAXY/
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が2025年2月4日、選択的夫婦別姓の導入の是非を巡り旧姓の通称使用の拡大を講演で訴えた保守系有志議員グループ
「保守団結の会」
には20人超の現職議員が出席した。
確認できた20人は以下の通り(敬称略)

≪衆院当選10回≫
高市早苗
≪当選6回≫
関芳弘
≪当選5回≫
黄川田仁志、中村裕之、簗和生
≪当選4回≫
三谷英弘
≪当選2回≫
石橋林太郎、尾崎正直、鈴木英敬、平沼正二郎、松本尚
≪当選1回≫
山本大地
≪参院当選3回≫
上野通子、北村経夫、西田昌司
≪当選2回≫
赤池誠章、佐藤啓
≪当選1回≫
白坂亜紀、田中昌史、若林洋平

選択的夫婦別姓巡り自民保守系活性化 5日に「創生『日本』」会合 党内意見集約は難航も
2025/2/4 18:42
https://www.sankei.com/article/20250204-UHSO75LGNNK2ZO6HRYKGPFVVIY/
自民党の保守系議員が、選択的夫婦別姓制度の導入に否定的な発信を強めている。
有志グループ
「保守団結の会」
は2025年2月4日、党本部で会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
立憲民主党が制度導入法案の提出を予定するなど、夫婦別姓を巡る議論が今国会の焦点の1つに浮上する中、石破茂首相(自民総裁)は、早期に党見解を取りまとめたい考えを示す。
ただ、党内は慎重派と推進派で割れており、意見集約は容易ではない。
「今、自民がやらなければいけないことは、公約を守り、多くの方の不便を更に解消できる法案を出すことだ」
高市早苗前経済安全保障担当相は2025年2月4日の保守団結の会の会合で、同制度の導入ではなく、自民が選挙公約に掲げた旧姓の通称使用の拡大を推進するべきだとの考えを重ねて強調した。
2025年2月5日には、安倍晋三元首相が会長を務めた自民内の保守系議連
「創生『日本』」
が夫婦別姓をテーマに会合を開く。
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
も近く会合を予定しており、保守派による発信が活発化している。
衆院で与党が過半数割れする中、立民が今国会に同制度導入の法案を提出すれば、可決される可能性がある。
自民の保守系議員は慎重論で党内をまとめたい考えだが、旧姓の通称使用の拡大についても、党内に複数の案があり、意見の集約には至っていない。
■慎重派に危機感
自民の森山裕幹事長は今国会で関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張する。
推進派を中心に
「党議拘束をかけない方がいい」
という意見が燻っていることが念頭にある。
自民の
「氏制度の在り方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部は2025年2月4日、国会内で今後の議論の進め方などについて協議した。
出席者の1人は、今月2025年2月中旬にも党内で議論の場を設ける考えを示した。
慎重派のベテラン議員は
「通称使用の案を早く取りまとめて、党内の導入賛成派の人も含めて合意を得なければならない」
と危機感を示す。

「選択的」別姓論の大いなる逆説 何が「個」を失わせるか
正論2025年3月号 早稲田大学非常勤講師 大場一央
「早稲田なんか入りたくなかった」
「自分は東大に行くはずだった」。
こう思った学生が、いつまでも早大生と名乗ることを嫌がって学内で孤立する。
「私は栄光ある巨人軍で長年プレーしてきた」
「今度北海道日本ハムファイターズに移籍するが、
『いつまでも自分は巨人の何某である』
と宣言する」。
こんな新入団選手を、ファイターズファンは複雑な気持ちで見つめる。
結婚して別姓を
「選択」
するということは、そういうことだ。
結婚したての頃は、相手方の親族とどういう距離感で付き合うべきかも分からず、一方で夫婦の考えや感性の擦り合わせも行わなければならないから、実は最も苦しく孤独な時期である。
そんな時期に、男性側の姓にせよ女性側の姓にせよ、結婚したにもかかわらず別姓を
「選択」
するということは、相手方の親族に対して、あなたがたのチームに入る気はありませんと、出会い頭に拒絶していることになる。
別姓が強制されるならまだしも、
「選択」
は当人の意思が際立つ。
最悪の一手を打ってしまったと言うしかない。
子供を授かったら更に深刻だ。
とかく子供は親の喧嘩に敏感である。
黙っていられるならまだしも、どちらに味方するか迫られたら、どちらも悪く言うのは嫌だから、困った挙げ句に泣きたくなる。
白紙のような頭と心に刷り込まれた親の考え方や感性は、良くも悪くもかなり長い間、子供を支配する。
その親が2つに分かれ、子供にいずれかの姓を
「選択」
させる。
これはチームが分かれるどころか、子供の人格を作るモデルの分裂であり、アイデンティティーもへったくれもない。
ここで争おうものなら、離婚した両親が親権を争う姿を見て、自分の存在そのものを否定してしまうような、不幸な自意識が生まれても不思議ではない。

選択的「夫婦」別姓は強制的「親子」別姓だ こんなにある致命的欠陥
正論2025年3月号 元東京新聞編集委員 椎谷哲夫
数年前、元文科事務次官の前川喜平氏がSNSでこんな発言を醸した。
「同性婚も選択的夫婦別姓も、それで幸せになる人がいて、不幸になる人はいないのだから、誰にも反対する理由はない」
「反対する人は、自分の好き嫌いを人に押し付けて、人を不幸にしているのだ」
自由な議論を行うことが民主主義の根幹であるはずだが、前川氏は自分と意見の違う人たちを黙らせようとした。
「選択的夫婦別姓」
は、こんなにも人を攻撃的にしてしまうのか。
公明党とも連携して別姓法案を国会で通そうとする立憲民主党の野田佳彦代表は採決で
「(自民党の賛成議員を)炙り出す」
と言い放った。
理はこちらにあるから決着をつけようということらしい。
だが、選択的夫婦別姓には、解決しようのない問題がいくつもある。
30年ほど前、別姓導入を打ち出した法制審議会は、子供の姓を
「いつ決めるか」
で揉めた。
制度導入の最大の弱点だから、今も決着はついていない。
別姓派の理論的支柱である民法学者は
「戸籍」
をばらばらにして
「個籍」
にするべきだと言っている。
「戸籍の解体」
だ。
まだある。
仮に選択的夫婦別姓が導入されても
「夫婦同姓を維持して旧姓の通称使用を法制化してほしい」
という多数派のニーズは満たされず放置されるのだ。
■「子供の姓いつ決めるか」で対立
選択的夫婦別姓は、片方の親と子が必ず別姓になる
「親子別姓」
である。
家族の中に異なる2つの姓があるということで言えば
「家族別姓」
である。
更に、子供の意思と無関係に親の都合で子供が別姓を強いられるという意味では
「強制的親子別姓」
と言ってもよい。
選択的夫婦別姓の法案要綱を答申した法制審議会に法務省参事官として関わった小池信行氏も講演録『夫婦別姓を考える(『法の苑』2009年春)』の中で
「夫婦別姓の問題は最終的には子の氏の問題に帰すると思っている」
と語っている。
選択的夫婦別姓にした場合、
「いつ子供の姓を決めて届けるか」
が問題になる。
最大の要点であり、難点でもある。
平成8(1996)年2月に法務省の法制審議会が答申した
「民法の一部を改正する法律案要綱」

「婚姻の際に届ける」
としている。
これに対し、立憲民主党・共産党など野党が令和4(2022)年6月に共同で国会に提出した
「民法の一部を改正する法律案」

「出生時に届ける」
としている。
立憲民主党など野党は与党の公明党も引き入れ、この法案を再提出して閉会中の通常国会(2025年6月中旬会期末)で成立させようとしている。
実は30年近く前の法制審議会で、子の姓の決め方について意見が真っ二つに分かれて揉めた経緯がある。
■「婚姻時の届け出」は憲法違反
当時、民法部会員として審議に加わった元都立大法学部長の唄孝一氏(故人)は『家族ージェンダーと自由と法』(水野紀子編)で
「子供の氏について意見が違ったわけである」
「これは最終的に案を決める上でネックになったものであった」
と振り返っている。
唄孝一氏によると、原案(法制審議会の法律案要綱)については、前述のように
「婚姻の際に届ける」
ことになっているため
「婚姻の要件を加重する」
との批判があった。
婚姻するために新たな条件が負担として加わると考えれば分かり易い。
これについては、前述の講演録
『夫婦別姓を考える』
で小池信行氏も言及している。
「婚姻というのは憲法に夫婦の間の合意さえあれば成立すると書いてあるではないか、それなのに子供の氏を決めなければ婚姻ができないのは憲法違反である」
との強い批判があろと指摘。
更に
「結婚しても子供を作らないという夫婦や、あるいは年齢的にもう子供ができないという夫婦についても、生まれてくる子供の氏を決めなさいというのは、心理的な抵抗があることを挙げる人もいる」
「つまり子供は自分たちには不要だと考えている人たちにも、子供の氏を決めないと婚姻届を受理しないのは酷ではないか、そういう反対論がある」
というのだ。
■「出生時の届け出」で「姓の取り合い」も
これに対し、立憲民主党などの
「出生時に届ける」
という考え方も致命傷になりかねない問題を抱えている。
この案は法制審議会の
「婚姻の際に届ける」
の対案として出たものだ。
出生届は生後14日以内だが、その間に決まらなかったら、どうするかという問題が出てくる。
立憲民主党はHPに
「(夫婦間の)協議不調・協議不能の場合は家庭裁判所の審判に委ねる」
と記している。
だが、家裁が何を基準に子供の姓を決めるというのか。
前述の小池信行氏は
「家庭裁判所が多分頭を抱えることになる」
と指摘する。
離婚の判決で未成年の子の親権を決める際は、夫婦と子供には、それまでの生活があるから判断材料がある。
子供から意見を聴くことも可能だ。
だから、父母のどちらが適任かを判断できる。
しかし、子供を授かったばかりなのに、どちらが人格的に優れ、経済力があるかで決められる性格のものではない。
赤ちゃんは意思表示などできない。
双方の実家が
「うちの姓にして欲しい」
と介入し、子の姓の取り合いになる可能性だってある。
夫婦が一緒に暮らすわけだから、双方が完全に納得しないと、その後の家庭生活にも影響する。
審判が長引けば
「戸籍のない子」
になったり、訴訟に発展する恐れもある。
夫婦同姓の子であれば、生まれた瞬間に姓が決まり、摘出でない子も母の姓に決まるのに、別姓夫婦の赤ちゃんは、出生直後から
「不利益」
を被ることになる。
平成6年に批准した
「児童の権利に関する条約」
の第7条には
「児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし・・・」
とある。
そんな欠陥を抱えたまま別姓法案を通そうとしても、国民感情が許さないだろう。
■経団連も「子の不利益」を素通り
経団連は夫婦別姓について
「先送りできない最重要課題」
だと主張し、政府を揺さぶっている。
企業の経営者だって家族の一員なのだが、ビジネス上の利益確保という視点だけで問題の可否を論じようとしている。
筆者は令和6(2024)年6月、日本記者クラブで行われた経団連のダイバーシティ推進委員長である魚谷正彦氏(当時資生堂会長)の講演で、親子の姓の分離の問題についての見解を求めた。
魚谷正彦氏は
「私は非常に大変重要なことだろうと思っているが、経団連としてどうすべきだ、こうすべきだというスタンスは取っていない」
と答えた。
「組織として関知しない」
ということなのか。
余りにも無責任だ。
■3択の世論調査こそ民意反映
東京地検特捜部出身で元法相の山下貴司氏は、令和6年12月の衆院予算委員会の質疑で石破茂首相を前に、選択的夫婦別姓制度は
「硬直的制度」
であり
「家族別姓か、旧姓を法律上の姓として使用することを諦めるかという究極的な選択を迫るものだ」
と述べた。
選択的夫婦別姓が導入されても、
「夫婦同姓を前提に通称使用を法制化する」
という国民のニーズは満たされない。
だから、選択的夫婦別姓制にしない限り、法的根拠をもって旧姓を使うことはできない。
山下氏の言う通りである。
国会でのこれまでの質疑を聴いていると、立憲民主党や公明党などの国会議員は、選択的夫婦別姓の正当性を訴えるのに、
「賛成」
「反対」
の2択の調査結果しか使わない。
その方が都合の良い結果が出るからだ。
朝日新聞の令和6年7月の2択の世論調査は
「賛成」73%
「反対」21%
NHKの令和6年7月の世論調査は
「賛成」59%
「反対」24%
だった。
共同通信や日本経済新聞・毎日新聞も同様だ。
これに対し、内閣府の世論調査は3択だ。
令和3年12月の調査(翌年令和4年3月公表)は
「夫婦同姓を維持した上で旧姓の通称使用の法制度を設けた方がよい(42.2%)」
「現在の夫婦同姓の制度を維持した方がよい(27%)」
「選択的夫婦別姓の制度を導入した方がよい(28.9%)」
だった。
令和6年7月の「JNN」(TBS系列のニュースネットワーク)の調査も、
「同性を維持しつつ旧姓を通称としてどこでも使えるように法制化すべき」
が最も多い47%になり、
読売新聞の令和6年9月の調査も
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称使用として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
が最多の47%を占めた。
ちなみに、産経新聞・FNNは、短期間に2択と3択を分けて訊いている。
令和6年7月の調査は、朝日新聞やNHKと同じ2択で、
賛成66.6%
反対25.5%
だった。
令和6年9月の調査は
「夫婦同姓を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる法整備をする」
との選択肢を加えた回答を求めた。
その結果、追加した選択肢が最大多数の46.5%となり、賛成は38.9%、反対派12%に減った。
数字だけ見ると、賛成と反対で減った分の合計41.2%に、2択で賛否を明らかにしなかった5%が加わったことになる。
この結果をどう捉えればよいのか。
2択で「YES」か「NO」を迫られたら、割り切れなくてもどちらかを選ぶしかない。
「選択的だから」
という程度の判断で決めた人が多かったと想像できる。
これに対し3択は、選択肢が多くなった分、回答者の隠れていた意思が表に現れたと言える。
どちらが民意を反映しているかは、考えるまでもないだろう。
それでも、別姓推進派はそうした
「不都合な真実」
を無いことにしてしまう。
朝日新聞やNHK、共同通信など選択的夫婦別姓導入に熱心なマスコミは、国民世論の意思を2択でしか探っていない。
一体何を恐れているのか。
■個人籍への移行は「戸籍の解体」
選択的夫婦別姓制度を導入した場合に
「戸籍」
がどうなるかも心配だ。
福島瑞穂・社民党党首は平成5(1993)年に当時の日本社会党機関誌局が出した
『夫婦別姓 家族をここからかえる』

「Q&A」
に、
「個人の尊厳という観点からはこの際思い切って個人登録にすべきだ」
とした上で、
「(個人登録は)個人単位になるわけですから『戸籍制度』という言葉自体もなくなるべきです」
と書いている。
「個人単位の登録」
については、選択的夫婦別姓制度導入運動の後ろ盾である立命館大学名誉教授の二宮周平氏も同じ主張を繰り返している。
『中央公論』(2022年6月号)では
「現実の家庭生活は(中略)多様な家庭生活・私生活が共存している」
「それにもかかわらず、夫婦と子という特定の家族像を基本にすることは、最早現状に合わない」
「戸籍制度も、多様な家族の在り方を保障し、支える制度にする必要がある」
と述べ、その編製を
「個人単位にすべき」
と主張している。
そして、
「各自が言わば筆頭者となり、自分を中心に、自分との関係で父母・配偶者・子を記載する形式こそ、自分が『人生の主人公』であることを明瞭に示すものであり、憲法の理念に忠実なものである」
と説いている。
■「戸籍維持」とは言わぬ井田氏
二宮氏は、編製上の問題であって戸籍の廃止ではないと言うが、一般国民の感覚からすれば
「戸籍の解体」
である。
選択的夫婦別姓制度が導入されると、社会制度上の統一性がないから、最終的には圧倒的少数派の
「個籍」
に収斂されていくであろう。
その時、戸籍という言葉は消える。
彼らの主張の背景には、現行の
「戸籍の筆頭者」
が、戦前までの家制度の名残りだという考え方がある。
筆頭者とそうでない家族との間に
「主従関係」
を持ち込むというのだ。
選択的夫婦別姓運動を主導してきた人々の
「共通の認識」
にもなっている。
井田奈穂氏が事務局長を務める
「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」
は、HPの
「選択的夫婦別姓Q&A」
にわざわざ
「戸籍の問題も戸籍を維持しているのも日本だけですので、戸籍を維持していくかどうかは別途議論の余地はある」
と記している。
「戸籍は維持する」
とは言っていないのだ。
■「家名存続なんて幻想の産物」
「改姓するとアイデンティティが失われる」
という意見がある。
自分が生きて来た家庭の
「アイデンティティ」
を、結婚後の新しい
「絆」
よりも優先するということだ。
法学・社会哲学者の青木孝平氏は
「夫婦の別姓がもたらすものは、夫と妻という他人同士の紐帯よりも、結婚後もそれぞれが生家の親との関係を重視する血縁的紐帯への過剰な依存である」
と自著で説く。
「一人っ子の男女がそれぞれの実家の家名を守るには別姓しかない」
と言う人もいる。
その場合、双方の実家(祖父母)は、孫にも家名を継いで欲しいだろう。
だが、子供が生まれるとは限らないし、生まれたら姓を振り分ける必要がある。
一人っ子なら、両家に
「姓の取り合い」
の感情も生まれる。
社民党党首の福島瑞穂氏が『楽しくやろう夫婦別姓』(1989年)に書いている。
「家名存続なんていうのは、元々幻想の産物である」
「娘夫婦が別姓になったとしても、孫が生まれないかもしれない」
「そしたら、そこで終わり」。
姓の決定は
「自己決定権(人格権)」
に属し、親から受け継いだ姓に縛られる必要はないというのが夫婦別姓派の主流だ。
■「別姓」に庶民が反発した歴史
選択的夫婦別姓導入を求める人たちが
「日本は元々、夫婦別姓だった」
というのは明らかな間違いだ。
彼らがその根拠の1つにしているのが、NHKの大河ドラマにも登場した北条政子だ。
源頼朝の正妻なのに、父親の北条時政の
「名字」
を名乗っているから
「別姓」
だというわけだ。
頼朝の
「源」
は天皇から与えられた血統を示す
「氏(うじ)」
であり、出自の異なる妻がこれを名乗ることはあり得ない。
そもそも、
「北条政子」
という呼称自体が、後世になって、人物を特定するために書物などで便宜的に使われるようになったものだ。
研究者によると、名字(苗字)は室町時代から江戸時代にかけ庶民にも広がった。
江戸末期の1801(享和元年)に幕府は
「苗字帯刀の禁令」
で武士や名主以外は使うことを禁じた。
それでも庶民は非公式に名字を使った。
明治政府は
「平民苗字必称令(明治8年)」
で全国民が名字を名乗ることを義務化し、翌年明治9年の太政官指令で
「妻は別苗字」
にするよう求めた。
古来の公家や武家の血統を示す
「氏(うじ)」
の概念を庶民に押し付けたもので、夫婦同姓を慣習としていた庶民は強く反発した。
その声を吸い上げた東京府は明治22(1889)年、政府にこんな上申書を上げた。
「凡ソ民間普通ノ慣例ニ依レバ、婦ハ夫ノ氏ヲ称シ、其生家ノ氏ヲ称スル者ハ、極メテ僅々ー」
(民間の慣例では妻は夫の氏姓・苗字を称しており、実家の氏を称する者は極々少ない)。
庶民は同姓を続けたが建前としての夫婦別姓が続いた。
明治31(1898)年には、日本初の民法に
「戸主及ヒ家族ハ其ノ氏ヲ称ス」
とする
「夫婦同姓」
が規定された。
■間違った通称使用の弊害を喧伝
経団連が喧伝する
「通称使用の弊害」
についても述べておきたい。
「DEI社会の実現を目指して」
と題する資料には
「海外に渡航する際の弊害」
の一例として
「空港ではパスポートのICチップのデータを読み込むがそこに旧姓は併記されていない」
「よってゲートでトラブルになる」
との事例がある。
意味不明な
「弊害」
だ。
旅券面に
「旧姓」
併記があっても、確かに入国審査官がチップを読み取るモニターには本名(戸籍名)が表示される。
しかし、航空券と照合する場合でも、チケットは
「本名記載」
だからトラブルになりようがない。
外務省が在外公館に問い合わせても、モニター表示が原因でトラブルになった事例は確認できないという。
入国審査のやり方は国によって千差万別だ。
普通はあり得ないが、旅券面の
「Former surname(旧姓)」
をたまたま見た入国審査官が
「これは何だ」
と訊いて、これにうまく説明できなかったということなのか。
外務省は、そのためにも渡航者に併記した英語のリーフレット配布しているのだ。
経団連の十倉雅和会長は昨年2024年、記者会見で
「改姓後に旧姓時代の研究論文の実績が認識されないといった弊害も耳にする」
と語った。
十倉会長は、世界中で100万人の研究者や権威ある研究機関が使っている
「ORCID(オーキッド)」
という登録システムを知らないようだ。
世界には同姓同名もあるし、結婚で改名した人、ペンネームを使う研究者も多い。
割り振られた16桁のID番号(数字)が、例えば結婚前の旧姓と戸籍を紐付けて人物の識別・特定ができるのだ。
日本でも登録を推奨する大学や団体が増えている。
■「経過措置」で既婚者も混乱か
この問題では
「これから結婚する人が対象だから私には関係ない」
という考えは禁物だ。
実は立憲民主党などの別姓法案には2年間の
「経過措置」
がある。
要は、既婚者に
「2人が合意すれば、今なら旧姓に戻せますよ」
と煽るような内容だ。
妻が
「我が家も別姓にしたい」
と反対する夫と揉めるケースも出てくるだろう。
全国の同性夫婦を対象にした
「姓の選び直し」
だから、他人事ではないのだ。

選択的夫婦別姓、子供の姓の扱い「議論されてない」 国民・榛葉氏、期限区切る動きに慎重
動画
2025/1/30 19:15
https://www.sankei.com/article/20250130-J5UGWSPWNVFTLLFPFDGAZ462VU/
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2025年1月30日、産経新聞の単独インタビューに応じ、選択的夫婦別姓制度の導入について、子供の姓の扱いなどに
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
と指摘。
一定の期限を区切って議論することに慎重な考えを示した。
榛葉氏は、制度の導入自体は
「成人の男女が(姓を)選択できるようにすることは、党がかねてマニフェスト(政権公約)で賛成している」
として、改めて賛意を示した。
ただ、
「問題は子供で、親子別姓という問題はあまり議論されていない」
と指摘した。
「兄弟で名字が変わったり、子供が(姓を)強制されたりするようになると、子供の目線からどうなのか」
「家族の問題もある」
とも語り、子供の扱いに関する制度設計が不十分なことに強い懸念を示した。
一部野党には、夫婦で子供の姓に関する意見が対立した場合、最終的に家庭裁判所で決める案もあるが、榛葉氏は
「家裁が決める話でない」
とも語った。
立憲民主党は、意見が割れる自民党の状況も見据え、今国会中の関連法案成立に意欲を見せるが、榛葉氏は
「政局や選挙の道具にすべきでない」
とも言及。
性急に結論を出すのではなく、制度設計の議論を徹底するよう求めた。
「大人の論理だけでなく、子供の学びや育みを考え、慎重に議論すべきだ」
とも強調した。

自民は旧姓使用拡大で一致を
阿比留瑠比の極言御免
2025/1/30 1:00
https://www.sankei.com/article/20250130-DGDTNV3NRZKT7MW5M4KSDHKE3U/
米国でトランプ大統領が復権を果たし、世界が目まぐるしく動いている一方、国会では十年一日の如く選択的夫婦別姓がどうの同性婚がどうのと内向きな議論が続いている。
そうした中で自民党の森山裕幹事長が夫婦別姓制度の導入を巡り、国会採決に当たっては
「党議拘束をかけないで結論を見い出すことは出来るだけ避けるべきだ」
と発言して注目を集めている。
これに関しては、選択的夫婦別姓に賛成の立場で党所属議員を縛ろうとしたとの見方も出たが、複数の自民党閣僚経験者は
「それは逆だ」
と説明する。
反対に、片方の親と子供が必然的に別姓となり、兄弟、姉妹同士が別姓となる可能性もある立憲民主党の民法改正案を成立させないことが目的だというのである。
「党議拘束をかけないと、党内にいる数十人の別姓賛成派・推進派が協力して立民の改正案が成立してしまう」
森山氏は別姓推進論者の中には、戸籍そのものをなくして
「個籍」
にすることを目指す人がいることを危惧しているのだという。
確かに、別姓推進論者には社民党の福島瑞穂党首のように著書にこう記した人もいる。
《私は、子供が18歳になったら家族解散式≠ニいうのをやろうと思っていて、それ以降は、パートナーと子供ともスープのさめない距離に住んで、名実共に個人単位で暮らしていきたいなと思っている》
《家族だって、ひとつの定義にすぎない》
《家族も個人のネットワークなんだ》
家族という社会の基本単位をなぜなくしたいのか、どうしてそこまで孤独に陥りがちな
「個」
に拘るのか理解に苦しむが、ともあれそういった指向性の議員は一定数いるのだろう。
それでは、自民党は党議拘束をかけて採決に臨むために、どんな法案を出そうというのか。
現在、広がっているのが
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」(萩生田光一元政調会長)
という考え方である。
実際、今月2025年1月の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査でも、選択的夫婦別姓制度導入に
「賛成」
の自民党支持者の割合は24・7%にとどまる。
一方で、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は49・8%に上り、納得が得られやすい。
石破茂首相(党総裁)も、2025年1月26日配信のインターネット番組で、選択的夫婦別姓について党内の賛否が割れている現状を踏まえて
「どちらの考え方にも偏れないとするならば、折衷案もありうべし」
と述べた。明言はしなかったが、旧姓使用の拡大・制度化を指すとみられる。
首相は元々別姓賛成派だったが、
「党をまとめる立場になると『俺の考え方についてこい』とならない」
とも語った。
自民党には、高市早苗元政調会長のように既に2度も党法務部会にこの法案を提出している議員もいる他、複数の議員がそれぞれの旧姓使用の拡大案を唱えている。
戸籍法改正と特別立法が必要なものや特別立法のみのもの、民法と戸籍法の双方の改正が必要なもの…と数種類あるが、これらを党内で議論してまとめていけばいい。
以前は選択的夫婦別姓に
「賛成」

「反対」
の2択だった各種報道機関の世論調査の設問も、最近は
「同姓を維持して旧姓使用を拡大」
という第3の選択肢を加えて聞く例が増えた。
その結果、別姓賛成派が多数派ではないことは最早明らかである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「旧姓の通称使用拡充が現実的」自民・小林鷹之氏、選択的夫婦別姓に疑問呈す
2025/1/28 18:02
https://www.sankei.com/article/20250128-VTTJDJNV5BOV7K7EFKBAAKEHD4/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相(衆院千葉2区)が、どちらかの親と子供が別姓になる選択的夫婦別姓に関し性急に結論を出すことに疑問を呈し、発信を強めている。
2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べた。
2025年1月25日にはこの発言を補う形で、X(旧ツイッター)に
「婚姻による改姓で不便を感じる方がいるのは事実で、そのニーズを解消するアプローチとして旧姓の通称使用の拡充や周知徹底による対応が現実的な解と考えます」
と投稿し、夫婦別姓の導入を
「慎重に臨むべきと考える」
と強調した。
理由として
「『子供の視点』を大切にすべき」
とも指摘。
「子供の選択権の有無、有るとした時にいつ、どういう状況で行使できるのか」
「夫婦間で揉めた場合、家庭裁判所が判断するのか」
といった論点を挙げた。
その上で、
「年限を区切り、拙速に結論を決める性質の話ではない」
「姓の在り方に関する議論は、時間をかけてでもしっかりと議論することが重要」
「合意形成に時間と労力はかかるが、粘り強くやることが大切だ」
と結んだ。

「いつまでも結論を先延ばしてよい問題ではない」 選択的夫婦別姓巡り石破茂首相が答弁
2025/1/27 14:33
https://www.sankei.com/article/20250127-HSONVJOP4BICTGPW2UTPQMJSGM/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月27日の衆院代表質問で、選択的夫婦別姓制度導入の可否について
「国民の関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしてよい問題とは考えていない」
と答弁した。
党としての意見集約に関しては
「議論の頻度を上げ、熟度を高めて参りたい」
と述べるにとどめた。
選択的夫婦別姓制度に対し、立憲民主党や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。

自民の小林鷹之氏、夫婦別姓論議に疑問「優先順位付けると、もっとやるべきことある」
2025/1/24 23:45
https://www.sankei.com/article/20250124-R63I26QYBRPL7EEK2FBUAULT3M/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相は2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で、選択的夫婦別姓を巡る論議に疑問を呈した。
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べ、経済や防衛力の強化に取り組むべきだと強調した。

「首相が賛成打ち出せば党割れる」自民、夫婦別姓で2月中旬に議論本格化も意見集約難しく
2025/1/24 19:39
https://www.sankei.com/article/20250124-AHRH2TP2RZL6LDBS2REEZVPTTA/
通常国会が召集された2025年1月24日、選択的夫婦別姓制度に関する自民党の
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部らが協議し、2025年2月中旬にも議論の場を設けて党内議論を本格化させる見通しとなった。
党内で賛否が割れており、意見集約は難航しそうだ。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を提出する方針で、今国会の大きなテーマとなる。
WT座長の逢沢一郎衆院議員や小野寺五典政調会長らが2025年1月24日、国会内で協議した。
出席者の1人は
「先の衆院選で新たに当選した議員もいる」
「WTで党としての議論を整理した方がいい」
と語った。
立民が民法改正案を提出すれば、令和7年度予算成立後の今春にも国会審議が始まる可能性がある。
自民は2025年2月中旬から党内議論を加速させる。
とはいえ意見集約は簡単ではない。
自民党内に推進派と慎重派が混在しているからだ。
保守系議員を中心に、家族の在り方を変える可能性がある選択的夫婦別姓制度への慎重論が根強い。
一方、
「夫婦同姓で不自由を感じている人がいるのは事実だ」(中堅議員)
と制度導入を求める声も多い。
菅義偉政権下の令和3年にWTを設置した際も議論が紛糾し、論点整理をまとめたが、制度導入の是非には踏み込まずに結論を先送りにした。
慎重派の一部は今回、自民が賛成に傾かないよう党内議論を主導すべく、水面下で話し合いを重ねている。
ある保守系議員は
「もし石破茂総裁(首相)が賛成を打ち出せば党が割れる」
と語る。
推進派には、法案が国会に提出された際には
「党議拘束をかけない方がいい」(若手)
との意見がある。
これに対し、森山裕幹事長は2025年1月24日、記者団に
「1つの意見にまとめて国会に臨むことが大事だ」
と党議拘束の必要性を主張した。
立民の野田佳彦代表は2025年1月24日の記者会見で
「大事なことはなるべく多くの野党が連携すること」
と野党各党による民法改正案の共同提出を目指す考えを示した。
同時に
「与党からも賛同を得たい」
「特に公明党はぜひ実現したいという意向をお持ちだ」
と述べ、与党の公明との連携にも期待を寄せた。

石破首相、選択的夫婦別姓巡り「早期に自民案まとめ与党協議に」 公明の斉藤代表と会談で
2025/1/22 16:01
https://www.sankei.com/article/20250122-K4EH2ATLRJLMBPNKFQIRESITUE/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月22日、公明党の斉藤鉄夫代表と官邸で会談し、斉藤氏が求める選択的夫婦別姓制度の実現に向けた自公両党の実務者協議について
「できるだけ早い時期に自民の案をまとめ、与党案の協議に入りたい」
と応じた。
会談後、斉藤氏が記者団に明らかにした。
斉藤氏は
「自民の中にも様々な意見があり、まとまっていない」
「まとめる努力をして頂くことが大事なので待ちたいが、できるだけ早い時期に始めなければいけない」
と述べた。

選択的夫婦別姓、石破首相「わが党としてどうなのか明らかに」自民役員会で指示も党内異論
2025/1/21 20:20
https://www.sankei.com/article/20250121-H4QO74K43VJPFFBOLKDFGU4CSM/
選択的夫婦別姓制度を巡り、石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の党役員会で、通常国会で党としての考え方を取りまとめるよう指示した。
自民、公明両党の幹事長は同日、両党間で同制度の協議を進める方針を確認した。
自民は2025年1月24日の国会召集後の来月2025年2月にも党内議論を再開する見通しだが、家族の在り方を変える可能性がある同制度には慎重論や異論も根強く、党内議論の行方は見通せない。
■議論するほど課題
首相は2025年1月21日の党役員会で、選択的夫婦別姓制度に関し
「色々な考え方が党にもある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と呼び掛けた。
役員会に先立ち、自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長が会談し、両党間で共通認識を持ち、国会論戦に臨む方針を確認。
同席した自民の坂本哲志国対委員長は記者団に、子供の姓の選択など様々な論点があると指摘し
「論議すればするほど課題があるということを(自公が)お互いに認識した」
と述べた。
通常国会では、立憲民主党が選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案の提出を予定しており、令和7年度予算成立後の今春にも国会での議論が本格化する可能性がある。
一部の野党だけでなく、公明も推進派だ。
■紛糾避けられず
一方、自民では党内の賛否が割れている。
保守系議員を中心とする慎重派は保守支持層の
「自民離れ」
の更なる加速を懸念し、2025年1月21日の党総務会では出席者の1人が
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
と求めた。
鈴木俊一総務会長は記者会見で
「党の中でも色々な意見があるが、スケジュールありきで拙速に決めるのではなく、十分な議論をした上で納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
との考えを示した。
萩生田光一元政調会長は2025年1月10日のインターネット番組で同制度導入に反対し、
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓を奨励するのは如何なものか」
と述べた。
今後の党内議論の舞台は
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」(座長・逢沢一郎衆院議員)
となるが、紛糾は避けられない。
慎重派は近く会合を開く予定。
一方、
「制度の導入は社会に求められている」
「必要だ」
(中堅)
との声もあり、賛否が混在する状況に自民ベテランは
「党が割れかねない」
と語った。

選択的夫婦別姓「大事な案件。丁寧に取り扱ってほしい」 自民総務会で出席者から意見
2025/1/21 12:27
https://www.sankei.com/article/20250121-ZXOETUYMP5NLVDMHGQ434L2BLQ/
自民党の鈴木俊一総務会長は2025年1月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓制度を巡り、同日の総務会で出席者から
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
との意見があったことを明らかにした。
選択的夫婦別姓制度は2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる見通しだが、自民内では同制度の導入に関して賛否が割れている。
鈴木氏は
「発言は(議論を)拙速に進めるなということであったと思う」
との見方を示し、
「国民の中でも意見が割れている」
「スケジュールありきで決めるのではなく、十分な議論をした上で、納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
と語った。

石破茂首相「わが党としてどうなのだと明らかにしていく必要ある」 選択的夫婦別姓巡り発言
2025/1/21 11:45
https://www.sankei.com/article/20250121-N7BG5NCPERML7BCW34HOE5NMUY/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の自民役員会で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度について
「色んな考え方が党にある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と述べた。
森山裕幹事長が役員会後の記者会見で明らかにした。
首相は、通常国会に臨む姿勢に関しては
「臨時国会と基本的に変わるものではないが、臨時国会で不十分だった所を指摘頂きながら臨みたい」
と強調。
召集日に行われる施政方針演説については
「今年2025年は戦後80年となる」
「国造りの基本軸や、令和の列島改造などなるべく具体的に示したい」
と説明した。

選択的別姓 自民支持層「賛成」24%、立民51% 「通称使用」は立民でも39%
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 18:10
https://www.sankei.com/article/20250120-4XRHISQ6DVJK3KHMD5J4OOCYGA/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、選択的夫婦別姓制度導入の可否を巡る自民、立憲民主両党支持層の見解の差が鮮明になった。
自民の「賛成」の割合は24・7%にとどまったのに対し、立民は51・5%に達した。
一方、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は自民では49・8%、立民でも39・9%を占め、支持政党を問わず希望が根強い傾向が浮かんだ。
選択的夫婦別姓制度に対し、立民や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。
別姓制度導入の法整備に
「反対」
と答えた人は、自民支持層に限ると21・5%となり、全体の14・7%や立民支持層の7・3%を上回った。
「通称使用を広げる」
との回答は、自民、立民以外の政党の支持層でも一定の割合を占め、公明と日本維新の会、国民民主党がそれぞれ4割強、共産党が3割強だった。
「賛成」
は共産で約半数に達し、公明が半数弱、維新と国民民主がそれぞれ3割強となった。
男女・年代別でみると、
男性の場合、「賛成」は18歳〜20代の47・5%が最も高く、「通称使用を広げる」は50代の52・0%、「反対」は70歳以上の24・1%が最高だった。
女性は「賛成」が30代(63・6%)、「通称使用」が60代(59・6%)、「反対」が70歳以上(24・0%)でそれぞれ最も高かった。
「通称使用」
と答えた割合は、男性全体で43・0%、女性全体で47・4%となり、年代別で最も低かった30代女性でも31・4%を占めた。
2025年1月24日召集の通常国会では選択的夫婦別姓制度の法整備が焦点の1つとなるが、導入推進派の政党には通称使用拡大の余地を検討する雰囲気は乏しい。
立民支持層ですら約4割に達する意見を軽視するなら、幅広い民意を踏まえた議論とは言えなくなりそうだ。

「選択的夫婦別姓」6割が導入否定的 世論調査の質問と回答(1月18〜19日)
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 13:03
https://www.sankei.com/article/20250120-HM6MG2V7XFOOPHBBNZJM4G3UNQ/
【問】希望すれば、夫婦それぞれが結婚前の名字を名乗ることができる「選択的夫婦別姓」について、立憲民主党や公明党は今年の通常国会で実現させるための法案の成立を目指している。「選択的夫婦別姓」導入の法整備についてどう思うか
夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる45.2
賛成37.5
反対14.7
他2.6

【問】石破茂内閣を支持するか
支持しない48.7(47.7)
支持する43.5(45.9)
他7.8(6.4)

【問】どの政党を支持するか
支持政党はない37.0(36.9)
自民党29.4(28.1)
立憲民主党10.1(9.0)
国民民主党7.2(11.3)
れいわ新選組3.5(2.9)
日本維新の会2.5(3.2)
公明党2.8(2.4)
他2.6(1.8)
共産党2.2(2.7)
日本保守党1.1(0.5)
参政党0.8(0.7)
その他の政党0.4(0.2)
社民党0.3(0.6)

【問】去年末の臨時国会では、衆院で過半数を割り込む与党が野党の修正要求を受け入れて補正予算が成立した。与党が野党の要求を受け入れる国会対応について評価するか
ある程度評価する57.1
あまり評価しない23.5
非常に評価する7.9
全く評価しない6.5
他5.0

【問】政治資金を巡る問題について、政策活動費の廃止など、政治資金規正法が与党と野党の賛成多数で改正された。政治とカネを巡る問題で自民党の信頼が回復したと思うか
信頼は全く回復していない44.4
信頼はあまり回復していない43.1
信頼がある程度回復した10.4
他1.5
信頼が大きく回復した0.5

【問】政治資金規正法の改正を巡り、「企業・団体献金」の扱いについて、与野党の間で結論が積み残しとなっている。「企業・団体献金」についてどうするべきだと思うか
維持してもよいが、透明性を高めるべき67.9
禁止すべきだ22.9
今のままでよい6.7
他2.5

【問】首相は、今年最初の会見で地方創生を柱に「楽しい日本を目指す」「令和の日本列島改造」などを政権の方針に掲げた。この方針を評価するか
評価しない47.0
評価する45.6
他7.4

【問】「年収103万円の壁」を引き上げる協議で、自民、公明両党は所得税の非課税枠を「123万円」まで引き上げる方針だ。一方で、国民民主党は「178万円」までの引き上げを求めている。どの程度まで引き上げるのがよいと思うか
140万円〜150万円程度まで引き上げるべきだ32.5
178万円まで引き上げるべきだ32.0
123万円まで引き上げるべきだ18.5
103万円のままでよい10.1
他7.0

【問】20日に米国でトランプ政権が発足する。トランプ次期大統領と石破首相の間で日米関係は良くなると思うか
変わらない58.1(59.6)
悪くなる32.5(32.3)
良くなる5.2(5.0)
他4.2(3.1)

【問】24日から始まる通常国会で、石破内閣に取り組んでほしい政策は(2つ選択可)
物価高・賃上げ対策56.0
年金・医療・介護33.6
子供・子育て支援28.4
防災・災害対策19.0
外交・安全保障15.6
地方活性化15.3
行政改革・財政再建9.7
原発・エネルギー政策8.8
憲法改正4.6
他1.8
それ以外0.7

【問】石破政権が今月上旬で発足から100日を超えた。今後、石破政権がいつまで続くのが良いと思うか
夏の参院選まで31.4
夏以降も石破政権が継続29.7
今年春頃の来年度予算が成立した後まで20.7
6月予定の通常国会終了まで13.1
他5.1
(注)数字は%。カッコ内の数字は12月14、15両日の前回調査結果。「他」は「わからない」「言えない」など。

■世論調査の方法
調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。
電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。
内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかと言えば」と再度質問して回答を得た。
調査対象は全国の18歳以上の男女1005人。
小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならない

選択的夫婦別姓は「通称使用の拡大」45・2% 「反対」含め6割が別姓導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 11:43
https://www.sankei.com/article/20250120-ZVXXRT3MH5JVTCTCT4SGG7AVNM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年1月18、19両日に実施した合同世論調査で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」が45・2%
で最多となった。
「賛成」は37・5%、
「反対」が14・7%
だった。
「通称使用の拡大」

「反対」
を合わせると59・9%となり、約6割が選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的なことになる。
同様の質問をした昨年2024年9月の合同世論調査との比較では、
「通称使用の拡大」が1・3ポイント減、
「賛成」が1・4ポイント減、
「反対」が2・7ポイント増
だった。
昨年2024年7月の合同世論調査で、「賛成」か「反対」かの二択で質問した際は、「賛成」が66・6%、「反対」が25・5%だった。

萩生田氏が配信番組で見せた覚悟 岩盤保守層を蔑ろにする「選択的夫婦別姓」導入、石破首相が野党に「同調」なら阻止へ動く考え示す
2025.1/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20250117-YNSCJQHHIVLS3GWIP7FNJBY75Y/
NHKは政治家が他のテレビ局で発言しても民放テレビとしか言及しなかったが、最近は方針を変えたのか、自民党の萩生田光一元政調会長が2025年1月10日夜、櫻井よしこ氏が主宰する動画配信サイトの番組「櫻LIVE」に出演したと報じた。
正確には、「言論テレビ」の番組「櫻LIVE 君の一歩が朝(あした)を変える!」だが、私も一緒に番組に出演して、萩生田氏の「変化」を感じた。
まず、萩生田氏は旧安倍派の会計処理を巡って
「政治不信を招いてしまった」
と反省した。
その上で、昨年2024年10月の衆院選での演説や、その後の衆院政治倫理審査会への出席を通じて説明を果たしてきたとして、
「この問題は去年2024年をもって一区切りにして、今年2025年は乙巳(きのとみ)の年なので脱皮をして、新しいことに挑戦する再生と復活の年にしたい」
との抱負を語ったのだった。
萩生田氏は、岩屋毅外相が中国人の観光客向けビザの発給要件などを緩和する方針を示したことについて、
「ビザの拡大は大きな問題だ」
「党の外交部会などに全くかけず、約束をしてしまったのは問題で、政府のやり方は少し乱暴だ」
と批判した。
NHKもその部分を中心に報じた。
番組に同席した産経新聞の同僚だった石橋文登・千葉工大特別教授も
「自民党支持者を相手に話すことが多いが、外交も内政も全部、安倍(晋三)さんがやっていたことをひっくり返そうとしているとの声が大半です」
と述べたように、石破茂政権は自民党を強く支持してきた岩盤保守層の神経を逆撫でしている。
石破首相らは
「少数与党なので、連立を組む公明党や野党の意見を聞かなければ政権運営ができない」
と言うのかもしれない。
だが、肝心の自民党支持層の声を蔑ろにしていいのかということになる。
その象徴が、通常国会の焦点となる選択的夫婦別姓の導入だ。
萩生田氏は番組で、
「旧姓使用の拡大で対応すべきだ」
と強調した。
石破政権が野党に同調して、法案を賛成しようとした場合については、
「どうやってやるのかをここで言うと、手の内を全部知らしめることになります」
「ただ、しっかり志を同じくする仲間と行動したいと思います」
と述べ、反対する考えを示した。
石破首相は党総裁になる前は、選択的夫婦別姓について
「導入賛成」
の考えを示し、
「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」
と述べていた。
首相になると、2024年10月の衆院本会議での答弁で、
「国民各層の意見や国会における議論の動向などを踏まえ、更なる検討をする必要がある」
と述べるなど、慎重に転じた。
もっとも、立憲民主党の野田佳彦代表は
「自民党の中にも『本当は賛成』という人が結構います」
「党議拘束を外したら一挙に委員会可決する可能性が出てくるでしょう」
(昨年2024年11月の講演)
と攻勢をかける構えを示している。
石破首相が立憲民主党や公明党に同調し、可決の方向に自民党の議論を集約しようとした時、萩生田氏は阻止に動く。
その覚悟を感じた。 
(産経新聞特別記者・有元隆志)

石破首相、夫婦別姓や衆院選挙制度の対応明言せず「予断持って申し上げることしない」
2025/1/11 19:11
https://www.sankei.com/article/20250111-NJSGSKYYFJOD5BUMM5LMKJFNJM/
石破茂首相は2025年1月11日、選択的夫婦別姓制度導入や企業・団体献金の禁止、衆院選挙制度改革など通常国会で与野党の議論が予想されるテーマへの対応について明言を避けた。
「各党、各会派で真摯に議論されることが重要だ」
「政府として今、予断を持って申し上げることはしない」
と述べるにとどめた。
訪問先のインドネシア・ジャカルタで記者団の質問に答えた。
一方で
「結論が得られたら、政府としても必要な対応を取る」
と指摘。
2025年1月24日召集の通常国会での野党との向き合い方に関して、少数与党であることを踏まえ
「多くの賛成を得られるよう誠心誠意説明して参りたい」
とも語った。
選択的夫婦別姓導入には公明党も意欲を示しており、自民党の対応に注目が集まっている。
政治改革を巡る企業・団体献金の扱いは昨年2024年の臨時国会で積み残しとなった。
立憲民主党などが共同提出した禁止法案について、与野党は2025年3月末までに結論を得る合意を交わした。(共同)

「子の名字、もめる原因に」「選択だから、という発想が間違い」 池谷和子・長崎大准教授
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/11 10:00
https://www.sankei.com/article/20250111-JMV3J4X3UJF3TIGJLQGO33UCFU/
選択的夫婦別姓制度をめぐり、産経新聞社が昨年2024年11〜12月に、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
別姓によって生じる家庭内の不和を心配する声もあり、成人した子供が、親の選んだ姓を変えるかどうか選択を迫られる事態も起こり得る。
家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授に、子供を中心とした問題点を尋ねた。

■家族はチームとして同じ呼称に
ーーアンケートでは、約半数の子供が、家族が別々の名字になることに「反対」だった。
親子別姓になり、兄弟別姓にもなるかもしれないと考えた子供が反対するのは自然なことだ。
姓は単なる個人の呼び名ではなく、共同体としてのチーム名。
子供が育つ環境として、家族が『個人の集団』になってはいけない。
全員が助け合う1つのチームとして同じ呼称になるべきではないか。
個人の集団でも問題はないと言う人がいるが、家族には損得勘定というものがない。
個人は損得で物事を判断しがちになる。
法的な権利義務においても、力の強い大人が子供を好きなようにできてしまう危険性も考えられる。
また、これまで引き継いできた名字の繋がりが消えると、世代間にある特有の時間軸も失いかねない。
こうしたことを子供は直感的に分かっているのではないか。

■家庭内の揉め事は子供に悪影響
ーー家庭内の不和を招きかねない
そもそも夫婦別姓にしたい人は自分の名字への拘りが強い傾向がある。
生まれた子供にどちらの名字を付けるかは、当然揉める原因になる。
夫婦間だけでなく、互いの両親も巻き込むだろうし、嫁姑の確執も酷くなる。
家庭内の揉め事は子供にとって悪影響だ。

ーー法律上で懸念されることは
別姓にしたけれど、やはり一緒の名字にするということも想定しないといけない。
子供の姓を変更する時の問題もある。
最初はお父さんの名字で生活していても、物心がついてやはりお母さんの方にしたいとなれば、本人と両親の間で揉めるかもしれない。
成人したら本人の意思で変更できるようにする必要も出てくる。
『嫌だったら後で変更しなさい』と子供に全ての責任を負わせるような制度でもよいのだろうか。

■子供の気持ち、どうにもならない
ーー立憲民主党が野党と共同で国会に提出した民法改正案では、子供の姓は出生時に父母の協議で決定するとされている
話し合って決めるとなれば恐らく1人目はどちらかで、2人目はもう片方の名字で、のような決め方しかできないのではないか。
そうすると、きょうだい別姓になる。
きょうだいは同じ名字でいたいと子供が願っても、その気持ちはどうにもならない。

ーー子供や家族を巻き込むことになる
何でもできる限り好きなように自由にするのがいい、あるいは、困っている人がいるのなら、改善したほうがいという考え方はあってもよいが、それだけで済まないケースも世の中にはある。
推進派には、
「選択だから嫌な人はしなくていい」
「他人には迷惑をかけていない」
という発想があるのだろうが、そこがそもそも間違えている。

<産経抄>夫婦別姓野党案は、親子・兄弟別姓法案
2025/1/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250111-QBCM2G6ENFKTNDNMVUC4YUABNM/
5人家族の鈴木君のお父さんは佐藤姓でお母さんは鈴木姓、弟は佐藤姓で妹は鈴木姓です―。
近い将来、こんな家庭が日本でごく当たり前になるかもしれない。
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党など野党が令和4年6月、国会に提出した民法改正案が成立していれば、既にそうなっていただろう。
▼立民の野田佳彦代表はじめ別姓推進派は法相の諮問機関である法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓制度の導入を答申したことを錦の御旗に掲げる。
とはいえ、法制審案では、子供の姓は結婚時に父母の姓のどちらかに決めるため、兄弟でバラバラになることはない。
▼野党案では子供の姓は出生時に父母の協議で定める。
双方が子供に自身の姓を名乗らせたいなどの理由で意見が一致しない場合、家庭裁判所が
「協議に代わる審判」
を行うことになる。
だが、子供の姓はどちらが相応しいかを国に委ねていいのか。
任された家裁も頭を抱えるのではないか。
▼生まれた子供の姓がなかなか決定できない事態も想定できるが、国連総会で採択され、日本も批准した児童の権利条約は
「出生の時から氏名を有する権利」
を宣言している。
野党案は
「『確信的な条約違反』に該当する恐れがある」(小坂実・日本政策研究センター研究部長)
という。
▼「大人では7割が(選択的夫婦別姓に)賛成」。
野田氏は2025年1月7日掲載の小紙インタビューで述べていたが、これも疑問である。
内閣府が令和3年12月に実施した世論調査では、現在の夫婦同姓維持派と同姓維持の上での旧姓の通称使用法制度化を求める意見を合わせて約7割で、別姓導入派は3割に満たない。
▼「なぜ反対か分からない」。
こう語る野田氏がなぜ分からないか分からない。

自民・萩生田光一氏「旧姓使用拡大で対応。慎重であるべき」 選択的夫婦別姓巡り
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/10 23:41
https://www.sankei.com/article/20250110-NVYV4SHNWNKSFNUBPZUP6ECM5U/
自民党の萩生田光一元政調会長は2025年1月10日夜のインターネット番組「言論テレビ」に出演し、選択的夫婦別姓制度に関し
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓というものを奨励するというのは如何なものか」
「慎重であるべきだ」
と述べた。
今月2025年1月召集予定の通常国会で、立憲民主党は選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だが、萩生田氏は
「どういう分野が(選択的夫婦別姓制度がなくて)一体困っているのかということをきちんと聞き、穴を埋めていけば、別に法律を作る必要はないのではないか」
と指摘した。
その上で
「本当に困っている人ではなく、イデオロギーの意義的にこの制度を変えたい人たちが、困っている人たちの声を代弁しているフリをし、法案を前に進めようとしているのではないか」
と語り、
「この問題は同じ価値観を共にする仲間と行動していこうと思っている」
と強調した。

阿部俊子文科相、選択的夫婦別姓「文科省の所掌超える。議論が深まる中で検討」
2025/1/10 12:25
https://www.sankei.com/article/20250110-GH2XDXDG2JNSHEGVYFMKXKXS2Y/
阿部俊子文部科学相は2025年1月10日の閣議後会見で、選択的夫婦別姓(氏)をめぐり、産経新聞社が小中学生を対象に行ったアンケートで、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えたことについて、
「夫婦別姓に関しては、文科省の所掌を超える」
「アンケート結果に関する見解も含めて述べることを差し控えたい」
とした。
夫婦別姓になると必然的に親子別姓となり、兄弟別姓となる可能性もある。
小中学校での児童生徒への影響も懸念されるが、
「教育現場における対応については、具体的にどのような制度が導入されるかという議論が深まる中において検討していく」
と述べるにとどめた。

参政・吉川氏「子供の視点が見過ごされている」 選択的夫婦別姓は「必然的な親子別姓」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20250108-CJFBYCOJXBGQVCOFABHQSQTRUY/
選択的夫婦別姓の導入に向けた動きが進められる中、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに
「反対」は49・4%
だったのに対し、
「賛成」は16・4%
にとどまった。
昨年2024年10月の衆院選で初当選した参政党の吉川里奈氏は2024年12月の衆院法務委員会で、導入に反対を唱えた。
吉川氏はインタビューに
「日本には家族の名字は一緒という価値観がある」
「家族の一体感が失われる可能性はないのか」
と述べ、
「夫婦は別姓で良くても、子供に選択権はない」
「必然的な親子別姓制度だ」
と指摘した。
吉川氏の発言要旨は以下の通り。
■子供の権利を守るために
選択的夫婦別姓の議論は、子供の視点が見過ごされているように感じる。
夫婦は別姓を望んだとしても、生まれてくる子供は、両親のどちらの姓になるかを選べない。
片方の親とは必然的に別姓になる。
子供への影響や家族の一体感が損なわれる可能性がある。
令和3年に実施された内閣府の世論調査で、夫婦の姓が異なることでの子供への影響について、
「好ましくない影響がある」
と答えた割合は69・0%に上った。
その理由で最も多かったのが
「親と姓が異なると指摘されるなど、対人関係で心理的負担が生じる」
で78・6%だ。
参政党は家族の繋がりや先人から受け継がれていることを大切にする政党だ。
加えて私は子供の権利を守るため、政治に参加した部分が大きい。
議論の進め方もどうか。
まずは、戸籍の姓を変更することなく、職場や社会生活で旧姓の通称使用拡充を進めるべきではないか。
総務省のように各省庁があらゆる場面で旧姓の通称使用ができるようにして、それでも限界があるならば、通称使用拡充の法制度化と、段階を踏むべきだろう。
■国会では様相異なる
世論調査は、メディアの尋ね方も疑問だ。
選択的夫婦別姓について
「賛成」「反対」
の2択で尋ねると、
「賛成」
が多い傾向にある。
ただ、
「賛成」「反対」
に加え、
「同姓維持+旧姓通称使用の法制度化」
の3択にすると、導入を求めない人の割合が多くなる。
聞き方によって民意が誘導されるのはフェアではない。
昨年2024年の衆院選で初当選したが、それまで私の周囲は通称を使っている人ばかりだった。
姓が変わることで結婚して新しい家族を築いたという喜びや親になる自覚を抱いたという人はいても、戸籍は旧姓のままがいいと主張する人には出会わなかった。
ただ、国会では様相が異なっている。
■日本の価値観、失っていいのか
選択的夫婦別姓が議論される衆院法務委は、賛成派が多数を占めている。
明確に反対を表明したのは日本保守党の島田洋一衆院議員と私だけだ。
導入ありきの議論にならないよう、子供の意見表明の機会を確保し、選択的夫婦別姓のデメリットもしっかりと検証、主張して議論を深めたい。
日本は文化的に家族の名字は同じにする、という価値観がある。
「世界では日本だけが同姓制度だ」
との指摘もあるが、世界は多様性に富んでおり、日本もその多様性の1つだ。
日本らしさを失ってまで、他国に倣う必要があるのだろうか。

自民・高市氏 選択的夫婦別姓「最大数は通称使用を求める声だ」「親族間の争い、懸念」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20250107-W5RW4UL5FJEUVNSZEFQAEOYCVQ/
立憲民主党が民法改正案の国会提出に意欲を示すなど、選択的夫婦別姓(氏)の導入が現実味を帯びている。
一方で産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
導入に慎重な自民党の高市早苗前経済安全保障担当相に考えを聞いた。

■家裁の決定で納得できるか
ーー慎重な理由は
最大の理由は、選択式であっても子の氏の安定性を損なう可能性があるからだ。
現在は、婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏のため、出生した子は両親と同氏になるが、戸籍上も別氏の夫婦を認めた場合、子の氏の決め方について、全ての別氏夫婦が納得できるルールが必要だ。
夫婦別氏を求める理由として、一人っ子同士の結婚により片方の実家の氏が途絶えるという事情が挙げられることを考えれば、夫婦双方の実家が子の氏を決める協議に介入する可能性もある。
本来幸せな出産直後に、子の氏を巡って親族間に争いが生じることを懸念する。
戸籍上の夫婦親子同氏、つまりファミリーネームは残した方がよい。

ーー通常国会で立憲民主党が法案を提出する構えだ。立民案の問題点は
過去に国会に提出された立民案では、子の氏について、出生の際に父母の協議で定めるが、協議が調わない時は家庭裁判所が子の氏を定める旨を規定している。
家裁はどのような基準で判断するのだろうか。
離婚時に子の親権を争った過去の裁判例は
『子を養う経済力』
『子との関わりや愛情』
などの要素を総合的に考慮して判断している。
しかし、出生直後の子の氏を争う場合、家裁が如何なる決定をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示せるとは考え難い。

■自民党内でも放置
ーー高市氏は通称使用の拡大を推進してきた
総務相在任中に
『住民基本台帳法』
『国勢調査令』
など総務省が所管する全法令をチェックした。
そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。
合計1142件で旧氏記載が可能になった。
今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている。
免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。
国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。
国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える。

ーー法案も作成し提出している
平成14年と令和2年の2回、自民党政調会の法務部会に提出した。
1回目は反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は審査もされずに放置されている。

■子の視点は貴重
ーー今後の議論はどう進めるべきか。議論の中で果たしたい役割は
令和4年3月に公表された直近の政府世論調査では、戸籍上の同氏維持を支持する回答が69・2%であり、最大数は旧氏の通称使用を求める声だ。
選択的夫婦別氏制度の法制化により戸籍が同氏か別氏かの二択になってしまうと、
『戸籍上は夫婦親子同氏を希望するが、社会生活では旧氏を通称使用したい』
と希望する方々の利便性を高めるための取り組みが遅れることを懸念する。
これまでの旧氏併記の取り組みも水泡に帰す。
この点をしっかり伝えていきたい。

ーー小中学生を対象に産経新聞が実施したアンケートによると、家族で名字が別になることに「反対」が約50%で「賛成」を上回った
子の視点からのアンケートは、珍しく貴重だと思った。
18歳以上を対象にした政府の世論調査でも、夫婦の姓が違うことによって子供に
『好ましくない影響があると思う』
と回答した方が約7割だった。
やはり、夫婦別氏制度の導入については、慎重な検討が必要だと思う。

夫婦別姓導入「前進する年」と意欲 公明・斉藤代表「社会の多様性、国際的視点から必要」
2025/1/6 12:53
https://www.sankei.com/article/20250106-EWBT22YCPVHSHO4Q4ML6764BUY/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年1月6日、東京都内で開いた党の新年仕事始め式で、選択的夫婦別姓の早期導入に向けて議論をリードしていく考えを示した。
「社会の多様性や国際的な視点から必要な制度だ」
「前進する年にしていきたい」
と述べた。
斉藤氏は昨年2024年12月18日に石破茂首相(自民党総裁)に対し選択的夫婦別姓に関する実務者協議を打診している。
斉藤氏は
「きょうだいが複数いる時の姓をどうするのか細部を提示する案はまだどの党からも出ていない」
「与党として実務者協議を始めようと申し入れている」
「首相は
『一旦引き取らせてほしい』
という答えで、2024年年末に会った時も
『もう少し検討させてほしい』
だった」
と語った。

立民・野田代表「賛成が16%いるのでしょう?」「なぜ反対か分からない」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/6 10:00
政治
https://www.sankei.com/article/20250106-2TX7ILQS7NMOVFPPJ23JNZ7TDI/
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党の野田佳彦代表に狙いを聞いた。

ーー選択的夫婦別姓の意義は
選べるという点ではないか。
同姓で不都合を感じる人がいるならば選択できるようにする、改善するのは合理的な考え方ではないか。
それだけのことだ。

ーー小中学生約2千人を対象に行った本紙調査で、「別々の名字にしたい」は13・6%だった
結婚や社会人になって働くことに対するリアリティーがなく、分からないというのが率直なところだろう。
大人では7割が賛成となる。
大人になると、家族の問題で色々な不都合を感じることがあるのかなという受け止めだ。

ーー両親が別姓を選択した場合、同じ家族で名字が別になることに「反対」が49・4%、「賛成」が16・4%だった
賛成が16・4%いるのでしょう?
だから選択的が必要になる。
一緒がいいなら一緒を選べばいい。
基本的には国ではなく、家族が決めればいい。

ーー家族の一体感が損なわれるとの懸念がある
同姓でも家庭不和は生まれる。
あまり合理的な話ではない。

ーー通称使用の拡大でも対応できるのでは
通称使用を拡大しても不都合を感じている人たちが実に多い。
不動産登記などでビジネスを阻害している側面があり、経団連も選択的夫婦別姓の実現に向け動いている。
海外に行くと、尚更不便だ。
通称使用では限界という事例がたくさんある。
強烈な不都合を感じる人たちが何人もいるならば、対応を考えることは当然だ。

ーー衆院は少数与党だ。どう議論を進めるか
できるだけ多くの野党に声をかけて議員立法で出していく。
政府が法案を提出するとの話も聞く。
政府案が提出されなければ野党案をベースに議論してもらいたい。
野党としてまとまった方が与党との交渉で迫力が出てくる。
公明党も基本的には賛成の立場なので、よく連携していきたい。

ーー野田氏は衆院法務委員長ポストの獲得を指示し、立民議員が就いた
法務委では長い間、放置されてきたテーマが多い。
選択的夫婦別姓も平成8年に法制審議会の答申が出たが、政府は腰を上げず国会でもまともに議論されなかった。
放置されてきたテーマを議論する意味で、意義のあるポストの獲得だった。

ーー参院では与党過半数のままだ
衆院通過した法案を参院が潰すことは大変勇気がいる。
2025年夏の参院選前に反対した人たちは追い込まれるのではないか。
参院法務委員長は公明だ。
衆院通過した場合の参院の対応は見ものだ。
昨年2024年12月の講演で
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上に上らされないことは、もう通用しない」
と述べた
世論も7割、経団連も『早く決着を付けろ』という中で、なぜそこまで強く反対する人たちがいるのか。
選べるわけだから。
なぜ選んではいけないのか、よく分からない。

ーー自民などの反対で法案が成立しなければ、内閣不信任決議案を提出するか
理不尽な形で妨げられたならば、そういうことになるかもしれない。
議論を見ながらの判断だ。簡単に不信任案を振り回そうと思っていない。

夫婦別姓間の子供の名字は家庭裁判所が決める 新たな家族不和の火種「いっそくじ引きで」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/5 10:00
https://www.sankei.com/article/20250105-2O4UALZDWVL47IYBPVXR6AKEKM/
選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では
「旧姓使用拡大」
が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。
中には
「保守派に配慮した」
などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。
同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について
「あると思う」は69%、
「ないと思う」30・3%
という結果もあり、
「ある」
と答えた人の理由(複数回答)は
「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、
「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%
が多かった。
では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。
子供の姓については
「出生の際に父母の協議で定める」
としており、一致しない場合は
「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」
とした。
この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。
仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。
■くじ引きが合理的
弁護士の北村晴男氏は
「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる」
「裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」
と指摘する。
夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、
「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」
と判断した。
更に
「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を1つにするのは合理的」
と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。
この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など平成27年以降の状況を踏まえた上で尚
「判断を変更すべきものとは認められない」
と結論付けている。
■新たな人生が始まる
この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層
「改姓の喪失感」
「精神的な負担」
が強調されるようになった。
昨年2024年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの
「過酷な二者択一」
を迫っていると指摘。
「家族の在り方や国民意識の多様化」
が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。
もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば
「強制的親子別姓」
となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。
家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は
「夫婦間だけでは済まない話だ」
「嫁姑の確執も酷くなるだろう」
と危惧する。
孫の名字を巡って双方の祖父母が争いになる可能性もある。
また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。
国士舘大学の百地章名誉教授は
「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す」
「我が国が長年維持してきた戸籍制度の解体に繋がる」
と警鐘を鳴らす。
先の内閣府の世論調査には、
「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)
との問いもある。
最も多かったのが
「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、
次が
「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)
だった。

選択的夫婦別姓制度の導入、小中学生も半数が「反対」 産経新聞調査、子供たちの考え方が統計的に明らかになるのは初
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-RVHIXOJPMBIBHLI3S5IP4HO6GI/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが産経新聞の調査で分かった(2025年1月1日報道)。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割に上った。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
調査は、全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗した。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親や兄弟姉妹と違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49.4%、
「賛成」16.4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18.8%、
「よくわからない」15.4%
で、反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13.6%
だった。
男女別で大きな違いはなかったが、自身が
「別姓にしない」
は男子(56.7%)より女子(63.4%)
のほうが上回った。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)
2025/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20250104-CWCQ5CGQ5BPMFIJ5XAZLSMQCCM/
■立民の印象操作に乗せられるな!
「選択肢が増える」
という物言いに対して、大半の人は
「いいじゃない」
と反応するだろう。
ただ、そこに巧妙なワナが仕掛けられていることもある。
ある結婚情報サイトが、選択的夫婦別姓制度について、そのメリット、デメリットについて解説し、こうまとめている。
「以前よりも、多様性を認め合う社会へと進むなかで、個人の権利や選択肢を尊重する傾向はますます強まっていくと考えられます」
「夫婦間の姓をどう選ぶかもそのひとつです」
「夫婦別姓が導入されても、すべての夫婦が別姓になるわけではなく、あくまで選択肢が増えるということ」
メディアに流れているのはこんな物言いばかりだ。
こうした情報環境のなかで暮らす人々が、アンケートで
「この制度を導入すべきだと思いますか」
と問われれば、多くが
「導入すべきだ」
と答えるに違いない。
法務省のサイトに、令和3年に実施した
「家族の法制に関する世論調査」
の結果が掲載されている。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27・0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42・2%、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28・9%
だった。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は昨年2024年10月末、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告をした。
女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多く、それが差別的だというのだ。
そうした流れの中で、立憲民主党は先の総選挙で与党が過半数割れとなったのに乗じて、衆院法務委員会の委員長ポストを要求して確保した。
委員長は同制度の導入にとりわけ熱心な西村智奈美議員である。
立民はCEDAWの勧告や、
「結婚後に夫婦のいずれかの氏(うじ)を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」
という法務省の調査を利用して、日本がさも女性に差別的で後進的な国であるかのような印象操作を行っているようにみえる。
安倍晋三元首相の暗殺後、リベラル派に乗っ取られた感のある自民党の中にも
「導入すべきだ」
と考える者が少なくなく、うかうかしていたら、すぐにでも民法改正が実現してしまいそうな勢いだ。
■憲法改正に匹敵する案件
12月5日の衆院予算委員会において、自民党の山下貴司議員は、同制度を巡り
「旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういうニーズに応えられていない」
「女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要がある」
と、石破茂首相の考えを問いただした。
これに対して石破首相は
「前の姓を変えなければならないということに対して物凄く辛くて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います」
「それは女性が95%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう」
と、情緒的な答弁をし、同制度の導入に前向きな姿勢を示した。
石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《世の中はなかなか直りにくいものである》
《人々は自分を圧迫するものに対して余りにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかり焦り、それにはどんな代償がいるかを考えない》
《我々はたくさんの実例によって、社会は普通、直されて却って悪くなることを知っている》
(第3巻第9章「全て空なること」関根秀雄訳)
同制度の導入がどんな副作用をもたらすか、十分に議論されているとは到底思えない。
導入に伴う民法改正は、憲法改正に匹敵するほどの最重要案件であると私は考えている。
国民投票に付してもいいほどだ。
しかし、国民投票が実施されるのは国会が憲法改正を発議した時だけだ。
ならば、今年2025年実施される国勢調査に合わせて、同制度導入の可否を問うアンケートを実施したらどうだろう。
■家族制度こそが社会を規定する
私が家族制度に拘るのは、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』(藤原書店、石崎晴己訳)の影響だ。
下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、トッドは家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てた。
家族制度が人間の心性に大きな影響を与え、ひいては人間が形成する社会を特徴付けてゆくというのだ。
トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か、きょうだいの関係が平等か否かによって分類する。
そこから導き出されるのが、
@親子関係が自由主義的できょうだい関係が不平等(長子優先)=絶対核家族、
A親子関係が自由主義的できょうだい関係が平等=平等主義核家族、
B親子関係が権威主義的できょうだい関係が不平等=直系家族、
C親子関係が権威主義的できょうだい関係が平等=共同体家族
の4つである。
例えばパリ盆地を中心とするフランス北部はAの平等主義核家族であり、それゆえにこの地が
「自由・平等・友愛」
を唱えるフランス革命の担い手となった。
@の絶対核家族が優勢なのはイングランドと、その移民の子孫であるアメリカだ。
この家族型が、個人の自由を絶対視し平等に無関心な強欲資本主義の母体となった。
Cの共同体家族は、西ヨーロッパにはまれで、ロシア、中国、ベトナム、東ヨーロッパに多いという。
この家族型がもたらしたのは言うまでもなく社会主義革命である。
ちなみに戦前の日本は間違いなくBの直系家族だろう。
この中で育まれた心性が、明治以降であれば天皇に対する態度、日本軍のありように投影されていたように思う。
現在の日本がどの家族型に当てはまるかは判然としないが、権威主義的でなくなったことだけは確かだろう。
そこに付け入ったのが選択的夫婦別姓制度推進派だ。
私は邪推する。
女性差別撤廃を掲げる彼らの本当の狙いは、家族を精神的に解体し、更には戸籍制度も廃止して、日本人をバラバラにすることではないかと。
その上でバラバラになって寄る辺なく浮遊する日本人をCの共同体家族としてまとめあげようとしているのではないかと。

韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/4 10:00
https://www.sankei.com/article/20250104-GNUKUJWJCZNKHJTBSELPBB5IWA/
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」
韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。
いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での
「別姓」
という印象を抱いている。
韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。
その姓氏制度は、東アジアで最も
「男性中心的」
とされる家族制度に起因するものと言える。
例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。
一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。
子供の姓については、
「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」
と民法で規定。
例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に
「尹」
の名字を引き継ぐ形となる。
例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。
■実家を説得する余力
2024年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。
だが、半年以上経った現在も尚苦悩している。
陳さんは
「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」
というが、
「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。
夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。
ただ、日本の
「夫婦別姓推進派」
は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、
「海外では別姓が主流」
「日本は遅れている」
との主張も少なくない。
米国では1970年代に全ての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。
基本的には婚姻時に
@夫の姓を選ぶ
A妻の姓を選ぶ
B別々の姓を維持する
C両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する
というパターンがある。
ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。
■姓を後世に残す動き
中国では中華人民共和国建国翌年の1950年に施行された婚姻法で夫婦別姓が明記された。
現在、子供の姓は両親のどちらかの姓を選択するが、韓国同様、一族を重視する価値観から、父親の姓を名乗るケースが多かった。
一人っ子政策が廃止された2016年以降は、兄弟姉妹で父母それぞれの姓を名乗る現象が一部で起きている。
両親それぞれの姓を後世に残そうとする動きと言える。
ただ、兄弟姉妹で別姓を名乗ることが、学校でからかいの対象になる、といったケースも報告されている。
各国の家族の枠組みについて詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は
「夫婦の姓に関する制度は国の慣習によって異なる」
「時代や価値観の変化に合わせて利便性や公平性などの観点から米国やドイツでは夫婦別姓が選択できるようになった」
と言及。
一方で、両国では夫婦同姓を選ぶ人が多数派を占めている現状について、
「子供も同じ姓になったほうが親としての証明が容易となるメリットがある」
と指摘した。

選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20250103-33B4YHNURFNUXFSJKAGPJITCPQ/
「個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクだ」。
経団連は昨年2024年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表。
十倉雅和会長は記者会見で理由をそう説明した上で、
「改正法案を一刻も早く国会に提出していただきたい」
とも踏み込んだ。
トヨタ自動車など日本を代表する企業1500社以上で構成する経団連は、経済界が直面する課題の意見を取りまとめ改善策などを発信する役割がある。
だが、今のタイミングで提言するほど、選択的夫婦別姓は経済界の喫緊の課題なのか。
産経新聞社は昨年2024年11月中旬から2024年12月上旬にかけて主要111社にアンケートを実施。
社内で旧姓呼称を認めているかを尋ねたところ、
「認めていない」
とする企業はゼロだった。
「慣例として認めている」が58・6%、「就業規則などで認めている」が29・7%。
「無回答」が11・7%あったとはいえ、9割弱の企業が何らかの形で旧姓呼称を当たり前に認めているのだ。
■国家資格はほぼ旧姓OK
さらに経団連が求める法制化の是非も聞いたところ、
「実現すべき」は25・2%で、
「現状で不都合がないので慎重に議論すべき」も10・8%あった。
もっとも「無回答」が最も多い63・1%あり、判断に迷っているのか、経団連の方針に異議を唱えにくい雰囲気があるのかはわからない。
夫婦別姓をめぐる議論は働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証、銀行口座などの名称変更の煩わしさから旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
職場での呼称が解決に近づいているのであれば、残る課題はどうか。
内閣府によると、昨年2024年5月末現在で320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格も条件に若干の違いがあるだけだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも旧姓併記ができる。
金融機関も既存口座の旧姓名義による取引を認めており、一部認めていない場合もシステム改修が進めば対応可能になるという。
もっとも、こうした事実が広く周知されているとは言い難いのも事実だ。
■不便さは残るが
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。
ある大手企業の役員は
「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」
と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。
パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。
だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年2024年末、
「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」
と述べた。
「困っている人」
とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は
「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている」
「選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」
と指摘している。

公明、立ち位置に苦慮 政策実現も手柄は野党 来夏の都議選、参院選へアピール模索
2025/1/2 16:26
https://www.sankei.com/article/20250102-7MRII3PF6JOHXDIQCRV7IFLMXE/
公明党が自民党との連立政権で立ち位置に苦慮している。
石破茂政権が少数与党になったことで、法案成立に向け野党の国民民主党や日本維新の会に配慮せざるを得なくなり、
「政権の政策に党の主張を反映させる」
という存在意義が揺らいでいるためだ。
「年収103万円の壁」
の引き上げなどは公明も主張してきた政策だったが、自民から譲歩を引き出した野党側の成果として扱われ公明は埋没している。
公明の斉藤鉄夫代表は2025年1月2日、東京・池袋駅前で新春の街頭演説を行い、今夏2025年夏の参院選、東京都議選に向けて
「新しい公明の最初の戦いとして、何としても押し上げてほしい」
と支持を訴えた。
だが、世論や支持者へのアピールは、いまいち広がりを欠いている。
昨年2024年12月26日、斉藤氏は記者団にこう強調した。
「予算案の取りまとめに当たっては、野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきたという自負がある」
党の政策実現ではなく、合意形成への貢献をアピールせざるを得ないところに、今の立ち位置の難しさが伺える。
年収103万円の壁引き上げは自民、公明、国民民主の3党協議で実現し、これを看板政策とする国民民主の手柄とされた。
公明も以前から103万円を含む年収の壁解消を訴えており、令和7年度税制改正には高校生世代の扶養控除の維持など公明の主張も反映されたが、存在感は乏しい。
それでも斉藤氏は2025年1月2日の街頭演説で3党協議に言及し
「予算審議の途中に、色々な修正があり得るのかもしれない」
「協議に真摯に対応していきたい」
と国民民主への歩み寄りを示唆した。
石破政権は維新とも連携を図り、自公維3党による教育無償化の実務者協議を昨2024年末に始めた。
教育無償化もまた、公明が力を入れてきた政策だ。
公明幹部は
「公明だけでは引き出せず、野党と一緒なら引き出せると言われる」
「忸怩たる思いだ」
と漏らす。
先の衆院選で、公明は自民派閥のパーティー収入不記載事件の呷りを受けて議席を大幅に減らした。
2025年夏の参院選と都議選を睨んだ反転攻勢に向け、自民と同一視されることを避け、独自色を打ち出したい考えだ。
自民内で賛否が分かれる選択的夫婦別姓制度でも、党内議論を深めるよう強く自民に要求している。
とはいえ、自民との連立関係を崩すこともできない。
公明関係者は
「支持者からはいつまで自民とやっているんだという声もある」
「だが、もう4半世紀続いている」
「野党になったら何もできない」
とぼやいた。

年内にも現実味帯びる選択的夫婦別姓 立民、通常国会に法案提出へ 公明も賛同
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20250102-T64AG4MHX5I5HJD4BQLW36T3LA/
立憲民主党は今月召集の通常国会で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だ。
党内でも賛否がある自民が立民案に乗るとは考えにくいが、導入を求める公明が立民案に賛成すれば、連立与党内で対応が分かれる異例の事態となる。
自民に一定数いる推進派が賛成すれば衆院で可決され、家族の在り方を大きく変えうる制度の導入が2025年年内にも現実味を帯びている。
衆院選の公約では、選択的夫婦別姓には立民と公明の他、国民民主、共産両党やれいわ新選組なども賛成。
自民と日本維新の会は
「旧姓使用の拡大」
を主張しており、衆院法務委員会の構成を見れば、賛成派は過半数に届かない。
ただ、衆院選後に就任した維新の前原誠司共同代表は
「個人として賛成」
と表明。
公明の斉藤鉄夫代表も
「決断する時だ」
との考えで、石破茂首相(自民総裁)に与党協議を進めるよう直接要請している。
これに対して自民では旧姓使用の拡大を軸にした対案を出す可能性があるが、他党の賛成がなければ数の上で可決はおぼつかない。
何よりも自民内の推進派が造反する可能性がある。
自民では党の方針に反した場合は処分の対象になり得るが、党内の分裂を避けるため党議拘束をかけないとの見方もある。

選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:05
https://www.sankei.com/article/20250102-CV4VLTYCYRL4LHL3FHZJHRA3OA/
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。
先月2024年12月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。
令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では
「ノイジーマイノリティー」
が逆転しているようだ。
「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。
局面が変わったのは昨年2024年10月の衆院選だった。
与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。
衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。
しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を
「返上」
した代わりに
「敢えて法務委員長を取りにいった」(野田氏)
からだ。
賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。
■早く決めてほしい
自民内でも以前から議論はあった。
令和3年3月に推進派の
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)
が立ち上がると、翌月令和3年4月には慎重派が
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
を設立。
同年令和3年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。
別姓推進派の中堅議員は
「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう」
「残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。
慎重派のベテラン議員は
「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」
と明かす。
■修正を加える形で
慎重派の念頭にあるのは
「家族の一体感」
を大切にする本来の保守層の
「自民離れ」
が加速することだ。
ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。
立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば2025年3月の来年2025年度予算成立後の2025年4月以降となる見通しだ。
昨年2024年の臨時国会では、政治改革関連で与野党が9法案を提出。
国会審議や各党協議の末に3つの法案が成立した。
このうち政策活動費廃止の法案は野党案に自民が賛成した。
推進派若手は
「少数与党のうちに野党案に修正を加える形で決着をつけた方がいい」
「そうでないと、自民を分断しかねない爆弾をずっと抱えることになる」
と本音を漏らした。
仮に自民が党議拘束をかけず、立民案が衆院で可決された後は参院に舞台が移る。
参院は現在も自公で過半数を占めるが、衆院の段階で立民案に公明が賛成していることを前提とすれば、自民は日本維新の会などを巻き込まない限り
「少数派」
に転落し、立民案が成立する可能性がある。

新聞各紙、元日1面トップは中国の拡張、能登の思い、民主主義企画…産経は夫婦別姓と子供
2025/1/1 19:29
https://www.sankei.com/article/20250101-FILLPV42SBDGLNW3Y2ENVFSW44/
元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。
令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
■夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年〜中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が
「家族で名前が変わるのは反対」
と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が49・4%で
「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
■中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
■デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて
「デモクラシーズ これまで これから」
と題した連載企画の掲載を始めた。
最新のデジタル技術を生かして民主主義を
「アップデート」
させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
■強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、
「逆転の世界 備えよ日本」
と題した。
多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。
局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
■つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。
延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる
「関係人口」
の拡大について考察した。
■招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。
地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。
式の中身はまだ決まっていない。
ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250101-QGCTY3PY4JEHLHHXAFDFEVX2LQ/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが、産経新聞社の調査で分かった。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割にのぼった。
立憲民主党が夫婦別姓の民法改正案の国会提出に意欲を示しており、石破茂首相も昨年2024年末
「議論の頻度を高める」
と述べた。
自公与党も前向きな議員が多いことから、次期通常国会での法案成立が現実味を帯びている。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題に配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
年齢層の低い小学生は対象数を絞った。
小中学生共に学校を通じた場合は、教員が調査の趣旨を説明した上で、立ち会う形式を取った。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「全く知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よく分からない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49・4%、
「賛成」16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18・8%、
「よく分からない」15・4%
で反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%だった。
小学生だけに絞ると、
別姓に「反対」は46・2%、
自身が「別姓にしない」は55・8%
で全体よりやや低かったが、各質問共に
「分からない」を選ぶ傾向が強かった。
男女別で大きな違いはなかったが、
自身が「別姓にしない」
は男子(56・7%)より女子(63・4%)のほうが上回った。
別姓の是非で
「親が決めたのなら仕方がない」
と消極的な賛成を選んだ女子(22・6%)も男子(15%)より多かった。
学校や学年別、民間調査会社による調査でも、結果の割合に大きな差はなかった。

選択的夫婦別姓、法律に「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-L3VK2UL4H5EMJPW6X5DVUGNXJQ/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査の質問項目と詳しい結果、調査の方法は以下の通り。
質問項目と回答
選択的夫婦別姓調査 質問項目と回答
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)について、みなさんの意見を聞かせてください。答えたくない人は、答えなくてかまいません。
【質問】
1.いま、社会で問題となっていることに「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)」があります。
日本では結婚(けっこん)するときに
「男性(お父さん)か女性(お母さん)のどちらかの名字と同じにしなければならない」
ことが法律(ほうりつ、国のルール)で決まっています。
この法律を
「それぞれ別々の名字のままでも結婚できる」
ように変えようというものです。
こうしたことについて、知っていましたか。
回答者1971人 男子 女子 全体(%)
○よく知っていた 16 17.9 16
○少し知っていた 34.3 43.3 37.1
○まったく知らなかった 28.7 23.9 26.2
○ほとんど知らなかった 21 15 20.7
2.いまは結婚してからも、結婚するまえの名字を会社で使ったり、手続きをすれば、免許証(めんきょしょう)やパスポートに結婚する前の名字をならべて書けるようになったり、これまでできなかったことができるようになっています。
それでも、あなたは
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ように法律を変えたほうがよいと思いますか。
回答者1966人 男子 女子 全体(%)
○変えたほうがよい 32.9 37.4 34.9
○変えないほうがよい 31.6 30.7 30
○よくわからない 35.6 31.9 35.1
3.もし、法律で
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ことが決まり、お父さんとお母さんが別の名字になったら、子供もお父さんかお母さんのどちらかとはちがう名字になったり、兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかでちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子 全体(%)
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9 16.4
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15 22.6 18.8
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51 49.2 49.4
○よくわからない 18 11.4 15.4
4.みなさんが結婚するころには
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
と法律が変わっているかもしれません。
そのとき、あなたはどうしますか。
回答者1955人 男子 女子 全体(%)
○自分の名字を大切にしたいので別々の名字にしたい 14.3 11.8 13.6
○家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない 56.7 63.4 59.9
○よくわからない 29 24.9 26.5
5.この問題についてあなたの思ったことを自由に書いてください
■調査の方法
協力を得た首都圏、関西圏の中学校6校約1600人(中1〜中3)、首都圏の小学校1校の53人(6年生)にホームルームや社会科の時間などを使って教員立会いの元で無記名で行った。
回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けに説明文を用意したが、使用については各学校に任せた。
答えたくない場合は設問によっても答えなくてよいことを徹底したため、回答数にはばらつきがでた。
中学生では男女を回答していない生徒も若干名いた。
休みや早退の生徒数が把握できていない学校もあり回答率は一概に出せないが、中学生は約93%、小学生は84%。
民間調査会社の調査は、会員登録している全国の小学4年〜中学3年を対象に、説明文を含め同内容のアンケートで実施、自ら回答した小学生が100人、中学生が300人を超えた時点で終了し、学校分に加えた。
最終的な回答数は合計で1954人〜1971人。
男女比は男子48%、女子52%。
調査はいずれも昨年2024年11月下旬から12月中旬に実施した。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 教員向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-JDZ6FZ2FUVFDLGGPQDWRNLBKIM/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
教員向けの説明文は以下の通り。
教員向けの説明文
選択的夫婦別姓は年明けの国会で議論され、可決される可能性も高くなっています。
現状、夫婦別姓を望む人には、職場などでの旧姓使用やクレジットカードなどの名義変更などが煩わしいという理由と、自身のアイデンティティのためという2つの理由があります。
ただし前者についてはほぼ解決済みであり、旧姓使用を認めない職場もほとんどありません。
後者については
「心の問題」
です。
「選択制なので選びたい人だけだからいいのでは」
「自分の意思だからいいのでは」
という意見もありますが、婚姻制度の自由度が高まることで、逆に家族、親族内の争いの種になりかねないという見方もあります。
また、生まれてくる子供にとって選択肢はなく、
「強制的親子別姓」
「強制的きょうだい別姓」
になりかねません。
今、マスコミではここの議論をあまりしていません。
世論調査などは
「選択的夫婦別姓」
か、
「現状の夫婦同姓」
か、の2択しかなく、
「旧姓使用の拡大」
は選択肢に加えられていません。
影響を受ける人の中には子供も含まれるにもかかわらず、その意見も全く取り上げられていないのが現状です。
本来であれば、文科省や法務省など国の機関が綿密に子供向けアンケートなどをすべき内容ですが、そうした国の動きを後押しする意味でも、今回産経新聞社として子供たちの声を聞いてみようと考えました。
ただし、このようなアンケートは各家庭のご事情もあり、ハードルが高いことは承知しております。
また、産経新聞社の考え方に偏らないよう、質問内容は客観性を保つように致しました。
ご検討何卒よろしくお願いします。
○アンケートについて
・答えたくない子供は答えなくて構いません。
・学校名は匿名希望の場合は匿名で構いません。
・対象は小4以上の小学生と中学生とします。
・できればクラス単位、学年単位がよいですが、無理な場合は個別でも構いません。
・自由記述の欄に書ける子供はぜひ書いていただければと思います。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 子供向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-HE4Y72OPLZF2JPXUIFFXDB7J7Y/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
子供向けの説明文は以下の通り。
子供向けの説明文
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)についての質問
みなさんに、いくつか質問をしたいと思います。答えたくない人は、答えなくてもよいです。
さいきん、よくテレビのニュースなどで、選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)ということばを聞きます。
これは結婚(けっこん)するときに男の人と女の人の名字(上の名前)を別々にしたい人はしてもよい法律(ほうりつ、国のルール)にしようという意味です。
もし、結婚したあとに子供が生まれて、お父さんとお母さんの名字が別々だったら、子供の名字はどちらかに合わせなければなりません。
生まれてきた子供はお父さんかお母さんの名字とちがったり、お兄さん、お姉さん、弟、妹とも名字がちがったりすることが出てきます。
たとえば、お父さんは田中さん、お母さんは佐藤さん、最初の子供は佐藤さんで、弟は田中さんになるかもしれません。
どうして、こうしたことが問題になっているかというと、はたらく女性がふえたことに関係があります。
これまで結婚する相手の名字に合わせるのは女性のほうが多く、結婚して名字が変わると会社などで呼び名が変わったり、免許証(めんきょしょう)やパスポートなどの名字を変えなければならなくなるなど、大変なことがありました。
しかし、いまでは会社で結婚する前の名字を使ったり、免許証なども結婚前の名字をならべて書けるようになったりしています。
ただ、免許証やパスポートに結婚前の名字を載せるには、役所の書類を出さなければならないなどの手続きが必要です。
それでも、結婚したからといって、ずっと使ってきた名字を相手の名字に変えるのは、納得(なっとく)できない、いやだ、という人もいます。
名字を一緒(いっしょ)にしたい人はすればいいし、一緒にしたくない人はしなければいいという考える人もいます。
質問は、このことについてみなさんの考えること、思うことを聞くものです。
くりかえしますが、答えたくない人は答える必要はありません。

ファミリーネーム喪失、選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」 政府は子供の意見を聞け
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:30
選択的夫婦別姓の法制化を望む人たちに
「国民の70%が賛成」
声があるが、その根拠は2択のアンケートだ。
朝日新聞もNHKも
「法を改正して夫婦が希望すれば別々の名字でもよいか」
を賛成、反対で問い、その結果を
「選択的別姓『賛成』7割」
などと伝えている。
現在、企業や公的機関などで進んでいる
「旧姓使用の拡大」
を法的に整備するという選択肢は最初からないのだ。
産経・FNN合同世論調査も以前は2択で賛成66・6%、反対25・5%だったが、昨年2024年9月に3択目を加えたところ、賛成38・9%、反対12%、旧姓使用拡大46・5%と大きく変わった。
令和3年12月の内閣府の世論調査でも
「同姓維持」27%、
「別姓導入」28・9%、
「旧姓使用拡大」42・2%、
が出ているが、こうした結果はほとんど生かされていない。
「選択的」
だからよいという意見もあるが、選択できるのは誰か。
生まれてくる子供にとっては親の意向で強制的に
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
ファミリーネームが喪失するという事態を
「選択者」
である親は一体どこまで想定しているのか。
今回、小中学生に行ったアンケートではどちらかの親や、きょうだいと別の名字になることについて半数が反対と答えた。
これが多いか、少ないか判断は分かれるだろう。
夫婦別姓
「賛成派」
からすれば、
「未熟な子供に聞く」
という調査自体に不快感を持った人もいるかもしれない。
ただ、法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである。
仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えるならば、ぜひ他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい。
文科省も、子ども家庭庁も出番ではないか。

「家族感が減る」「同姓は時代遅れ」小中生、正面から回答 選択的夫婦別姓2000人調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250101-F35HRVOR7FHZRH24ROBSXF5VBU/
「家族内で違う名字だと家族感が減りそう」
「強制的に同じにさせるのは時代遅れ」―。
産経新聞が小中学生を対象に行った選択的夫婦別姓の導入を巡るアンケート。
自由記述欄を見ると、賛否を超えて子供たちが正面から問いかけに向き合ったことが分かる。
立ち会った教員は
「想像していたより真剣に取り組む姿が印象的だった」
と話す。
■きょうだいなのに
自由記述で目立ったのは、選択的夫婦別姓制度で、結果的に家族の姓がばらばらになりかねないことを心配する声だった。
大阪府の中学男子は
「名字を別々にするような人なら、子供の名字をどうするかでけんかになるかもしれない。名字が違うと他人感がある」。
千葉県の小学男子は
「家族で名字が変わってしまうと、まるで別人みたいで家族感が減りそう」
と書いた。
夫婦が別姓を選ぶことには賛成しつつ、
「子供が生まれた家庭で兄弟姉妹の姓がバラバラなのは違和感を抱く」
と記した京都府の中学女子も。
大阪府の中学女子は
「選択できた方がよいが、兄弟が違う名字というのはよいものではない」
とした。
■万一離婚したときに
夫婦別姓に賛成する声も少なくなかった。
東京都の中学女子は
「名字が変わることで、もう一度覚え直してもらう必要があったり、万一離婚した際に、職場や学校の人に名字が変わったことを伝えなければならず、精神的な負担も小さくない」
と説明。
茨城県の中学男子は
「名字を強制的に同じにさせるのは、少し時代遅れだとも感じている」
と書いた。
アンケートは各家庭の個別の事情に踏み込んでしまう恐れもあったが、
「私の両親は夫婦別姓。私はハーフなので賛成します」(中2女子)、
「現状のままでは離婚後に名字が変わると、『あ、この人離婚したんだ』」と好奇の目で見られてしまう。自分もそうだったので、そのようなことは避けたいから、夫婦別姓には賛成」(中3男子)
という意見もあった。
千葉県の中学女子は
「海外でも夫婦別姓の国や自分と相手の名字を続けて登録できる国があり、日本もこだわる必要はない。事実婚は相続などで不利になるので、平等になるようにしてほしい」
と、より深い考えを述べた。
「日本の伝統なので絶対に法律を変えない方がよいと思う。いまこの問題よりも台湾有事に向けて動いた方がよい」(中3男子)
という意見もあった。
■自然発生的に議論も
大阪府の私立中の教員は、アンケートに取り組む生徒の様子について、
「最初は静かに取り組んでいたが、しばらくすると自然発生的に生徒同士で意見を交わす姿もみられた」
と話す。
議論になるうち
「『兄弟で姓が変わるというのはいやだね』とか、『そもそも結婚ってどういうことなのだろう』などの声も聞かれた」
という。
千葉県の中学女子は
「個人の考えもあると思うため、別々の名字でもよいと最初は思いましたが、家族の中で名字が分かれてしまうと、同じ家族であることの証明が難しくなるなど欠点もあると思ったので、最終的には法律を変える必要はないと思いました」
と考えの変遷を記した。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

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