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秘密のアッコちゃん lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx コメント履歴 No: 100058
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[政治・選挙・NHK296] 大阪万博「歯抜け開幕」ますます現実味…海外パビリオン完成たった6カ国、当日券導入“助け舟”の皮肉(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
68. 秘密のアッコちゃん[1380] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年2月28日 13:06:27 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[818]
<■109行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>会計責任者の発言 自民党は重く受け止めよ
社説
2025/2/28 5:00
https://www.sankei.com/article/20250228-JFBIJZAQRRMPFHY3SWZFDZJZUE/
自民党の派閥パーティー収入不記載事件を巡り、衆院予算委員会の安住淳委員長と与野党理事が都内のホテルで、旧安倍派会計責任者の松本淳一郎氏を聴取した。
松本氏は、パーティー券の販売ノルマ超過分の還流について、令和4年4月の幹部会合で一旦中止を決めながら、再開を決定したのは同年8月の幹部会合だった、との認識を示した。
松本氏は幹部会合に同席していた。
同派幹部は国会の政治倫理審査会で
「結論は出なかった」
と語っており、食い違いが改めて鮮明となった。
議事概要によると、松本氏は、同年8月の幹部会合で再開はやむを得ないということになり
「意見の対立はなかった」
と述べた。
松本氏は裁判の中で、
「ある幹部」
から同年7月下旬に還流の再開を求められたと証言している。
この幹部について、今回の聴取で
「現職の議員ではない」
とのみ語り、名前は明かさなかった。
自民や旧安倍派はいつ、誰が、どのような理由で始めたのかの経緯を徹底的に調べ、事実関係を国民の前に明らかにすべきである。
同年8月の幹部会合には、現職の衆院議員である西村康稔元経済産業相、世耕弘成前党参院幹事長と、昨年2024年の衆院選に出馬しなかった塩谷立元文部科学相、落選した下村博文元文科相が出席している。
今回の聴取で松本氏は、同派幹部との食い違いについて、
「不思議だなと思った」
と述べた。
また
「違法行為をやっている認識はあった」
「大いに責任を痛感している」
とも語った。
組織的に行われた行為である。
自民や旧安倍派、同派幹部は松本氏の一連の発言を重く受け止めるべきだ。
決して蔑ろにしてはならない。
今回の聴取が実現した背景には、令和7年度予算案の採決に立憲民主党など野党各党が応じる環境を整えたいという自民の思惑と、聴取なしに採決に応じたくない立民の思惑が一致したことが大きい。
再発防止に向け政治資金規正法が昨年2024年改正された。
だが問題は燻っている。
自民は信頼を取り戻したいなら、事実関係を明確にした上で、しっかり反省することが必要である。

旧安倍派の還流再開「今は現職ではない」議員が要求 元会計責任者が参考人聴取で証言
2025/2/27 19:04
https://www.sankei.com/article/20250227-2ZIPU2FH6VPIHGZO4YDPQ63GHA/
衆院予算委員会の安住淳委員長(立憲民主党)と与野党理事は2025年2月27日、自民党の派閥パーティー収入不記載事件に関与した旧安倍派の会計責任者、松本淳一郎氏の参考人聴取を東京都内のホテルで行った。
パーティー券の販売ノルマ超過分の還流を中止すると決めたのに再開した経緯に関し、松本氏は、令和4年7月に
「今は現職ではない」
議員に再開を求められたと証言。
その結果、同年8月の幹部会合で再開が決まったと説明した。
聴取は非公開で、安住氏らが終了後に説明した。
松本氏は再開を求めた議員の具体名は明かさなかったが、幹部会合に出席したのは当時現職だった4人。
今も現職の西村康稔、世耕弘成両氏、落選した下村博文氏、政界引退した塩谷立氏で、松本氏の証言を踏まえ、安住氏は還流再開を求めたのは下村氏か塩谷氏のいずれかとの見方を示した。
その後、下村氏はX(旧ツイッター)で、還流再開を松本氏に指示したり、還流再開を決定した場にいたりしたという事実は
「一切ない」と否定した。
ただ、共同通信の取材に応じ、還流再開を求める派内の声を令和4年7月頃に松本氏に電話で伝えたと明らかにした。
塩谷氏は
「私の説明と松本氏の発言が一致しており、整合性は取れている」
とのコメントを発表した。
西村、世耕両氏はコメントで還流再開への関与を否定した。
松本氏は聴取で、幹部4人が国会で
「令和4年8月の会合では結論が出なかった」
と説明したことに関し、
「なぜ、ああいう発言をしたのか、疑問に思う」
と言及。
衆参の政治倫理審査会で、旧安倍派議員が不記載は派閥の会計責任者の指示だったと相次いで証言したことには
「指示したつもりはない」
「事務局長に就任する前から派閥にいた議員はそれまでのやり方を踏襲していた」
と述べた。
これまでの幹部4人の説明と松本氏の証言の食い違いが改めて浮き彫りとなり、予算委の山井和則・野党筆頭理事(立民)は
「確認する必要がある」
と語った。
自民の森山裕幹事長は記者団に、聴取は
「解明に繋がっている」
と評価したが、説明の食い違いに関する幹部4人への再度の聞き取り調査は実施しない考えを示した。

落選の下村博文氏「還付再開指示した事実ない」会計責任者「指示の安倍派元幹部は非現職」
2025/2/27 14:05
https://www.sankei.com/article/20250227-LTKGUC3XVRAEBCQQEP3IQWFXSE/
昨年2024年10月の衆院選で落選した自民党の下村博文元政調会長は2025年2月27日、X(旧ツイッター)で旧安倍派パーティー収入不記載事件を巡り
「還付再開を(同派会計責任者だった)松本淳一郎氏に指示したことも、還付再開を決定した場にいたという事実は一切ありません」
と書き込んだ。
同日の衆院予算委員会による参考人聴取で、松本氏は令和4年7月に資金還流の再開を求められたとし、その人物について具体名を避けつつ
「今は現職ではない」
と説明していた。
安住淳予算委員長は聴取後の記者会見で、還流再開を求めた旧安倍派幹部について、塩谷立元文部科学相か下村氏のいずれかになるのではないかと述べていた。
同派を巡っては、パーティー収入の一部を政治資金収支報告書に記載しない慣行が長年続いており、令和4年4月に会長だった安倍晋三元首相の指示で中止されたが、安倍氏の死去後に再開された経緯がある。
下村氏は一連の主張について、Xで
「東京地検特捜部の事情聴取においても説明しており、清和研(旧安倍派)のパーティー券の問題で私が何らかの責任を問われたこともありません」
と強調した。

自民旧安倍派の還流資金、再開決定は22年の幹部会合 会計責任者が証言 非公開で聴取
2025/2/27 9:57
https://www.sankei.com/article/20250227-WNEYFHTNE5LKTBHUEFWGM7L26Y/
自民党派閥パーティー収入不記載事件の実態解明に向け、衆院予算委員会の安住淳委員長と与野党理事は2025年2月27日、旧安倍派会計責任者の松本淳一郎氏を東京都内のホテルで聴取した。
旧安倍派は政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分を還流し、収支報告書に記載しない慣行が続いていたが、松本氏は一旦中止を決めた還流の再開を決定したのは、2022年8月の幹部会合だったと証言した。
再開の経緯について松本氏は、公判でも同様に証言した。
ただ会合に出席した派閥幹部は政治倫理審査会で
「結論は出ていない」
などと主張し、食い違っている。
聴取は本人の要望に沿って非公開で開催し、安住氏が聴取後に記者団へ概要を説明した。
旧安倍派では2022年4月、当時会長の安倍晋三元首相が還流中止を指示したが、安倍氏死去後に開いた2022年8月の幹部会合後に還流が再開された。
予算委は2025年1月30日、松本氏の参考人招致を議決。
本人の意向を尊重し、国会外での聴取となった。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/693.html#c68

[政治・選挙・NHK296] “選挙のプロ”立花孝志まさかの凡ミス赤っ恥…第一声「神戸→船橋」急きょ変更のお粗末(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
55. 秘密のアッコちゃん[1381] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月01日 13:00:53 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[819]
<▽35行くらい>
<主張>立憲民主党 反省なくして政権担えぬ
社説
2025/3/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20250301-GR3O2IWUK5OGLORVJQWDRADSOA/
立憲民主党が党大会を開き、夏の参院選で与党を改選過半数割れに追い込んだ上で
「国民の生活を守るため、政権交代を実現する」
とした令和7年度活動計画を採択した。
党大会で驚かされたのは、実行委員長の鎌田さゆり衆院議員が民主党政権を褒めたたえ、会場から喝采を博したことだ。
鎌田氏は民主党政権が導入した「子ども手当」や高校授業料の実質無償化などを挙げ、
「私たちは間違ったことをしたでしょうか。していない」
「自信を持って堂々とあの時をノスタルジックではなく主張していくべきだ」
と叫んだ。
鎌田氏をたしなめる声はなかった。
この一幕で分かったことが2点ある。
第1は立民は民主の後継政党であるということだ。
民主とは別政党で無関係と説く立民議員もいるが、鎌田氏への喝采が、本音ではそうではないことを示している。
第2は、立民が民主党政権の失敗を十分反省していないということだ。
反省がなければ改善はなく、政権を託すのは非常に危うい。
そもそも立民の外交安全保障政策では国民を守り抜くことはできない。
野田佳彦代表は大会後の会見で外交安保について
「現実的路線で、政権交代があっても180度転換することのないように、安心感のある政党だということを醸し出していけるように頑張る」
と述べた。
だが立民は、抑止力を向上させる集団的自衛権の限定行使容認は違憲との立場だ。
防衛費増額にも消極的である。
立民が政権入りすれば日米同盟は動揺し中国や北朝鮮は喜ぶだろう。
立民は選択的夫婦別姓の実現を唱えているが、子供が父か母のいずれかと
「強制的親子別姓」
になってしまう致命的欠陥がある。
弱い立場の子供を思いやらないようでは、真っ当な政策とは言えない。
国の根幹をなす憲法改正にも後ろ向きだ。
活動計画に憲法改正に関する記述はない。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月に実施した世論調査で立民の政党支持率は国民民主党の後塵を拝した。
30代では国民民主15・9%、れいわ新選組14・4%、自民党11・2%と続く中、立民は僅か1・5%だった。
立民は安心感を持たれていない現実を直視すべきだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/698.html#c55
[政治・選挙・NHK296] 裏金還流継続要望の「ある幹部」とは誰だ? 石破首相に「名前を明かすよう働きかけを」…野党が衆院予算委で求める(日刊ゲンダ… 赤かぶ
25. 秘密のアッコちゃん[1382] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月01日 13:08:48 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[820]
<△28行くらい>
<産経抄>石破首相が好き放題できないでよかった
2025/3/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20250301-PNOYDPG7BBLLVJISPBLZZE5BCE/
二十数年前、石破茂首相は周囲に派閥の先輩だった久間章生元防衛相にこう説かれたと反省していた。
「石破君、君は自分が一番賢く正しいと考えているような所があるが、そう思っているうちはまだまだだよ」。
だが、少し反省した程度では、人はそうそう変われない。
▼首相は平成20年の初出馬以来、計5回も自民党総裁選に挑み、ようやく首相の座を射止めた。
執念の背景には、ニクソン元米大統領が言うこんな思いがあったのではないか。
「自分の判断が(たとえ間違っていても)最善と信じ、器量の劣る人が権力を濫用するのを見て堪えがたく思う人は、自ら権力を握る日を熱望する」(『指導者とは』)。
▼ところが、いざ首相に就くと、すぐに衆院で過半数の議席を持たない少数与党に転落し、思うように権力を振るえない。
自民、公明両党と日本維新の会や国民民主党との各種協議でも首相のカラーやリーダーシップは窺えず、自民党政調関係者からは
「首相官邸は何もやっていない」
との声が漏れる。
▼首相が元々推進派だった選択的夫婦別姓に関する答弁も慎重で、アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想や日米地位協定改定についても表向き封印している。
本当は出したいはずの戦後80年の首相談話に関しても明言を避けた。
▼それどころか、先月2025年2月の日米首脳会談ではあれほど敵対した安倍晋三元首相を持ち上げもした。
「日米は今、非常に緊密な関係にあるが、それは全て第1次トランプ政権で大統領と今は亡き安倍首相の二人によって礎が築かれたと承知している」。
▼ストレスが溜まる隠忍自重の日々だろう。
もっとも抄子は、首相がやりたいようにできないことに胸を撫で下ろしている。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/696.html#c25
[政治・選挙・NHK296] 大阪万博「歯抜け開幕」ますます現実味…海外パビリオン完成たった6カ国、当日券導入“助け舟”の皮肉(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
79. 秘密のアッコちゃん[1383] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月01日 13:32:15 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[821]
<■4643行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を考えた場合、マイナス面が圧倒的に大きいので、選択的夫婦別姓制度の導入には断固反対だ。

夫婦別姓で揺れる自民…家族観も一致せず 創生「日本」で苦言 産経新聞・皆川豪志
「正論」4月号
2025/3/1 12:00
https://www.sankei.com/article/20250301-DS2H6CUF7NCUHGTXBN223OFSS4/?outputType=theme_monthly-seiron
(月刊「正論」2025年4月号から)
与野党ともに賛同者が多かった選択的夫婦別姓の法制化議論が、ここへ来て風向きがやや変わりつつある。
一時は
「やりたい人がやるだけなのになぜ反対するか」
などという幼稚な理屈が罷り通っていたが、現実に法が改正された場合、日常生活に大きな影響が出ることに多くの国民が気が付き始めたからではないか。
産経新聞が今年2025年元日からシリーズ掲載した
「ごまかしの夫婦別姓議論」
の反響も大きかった。
中でも、2025年元日1面トップの小中学生に対する初のアンケート
「別姓小中学生の半数反対 『自分はしない』6割」
はインターネット上で瞬く間に拡散され、SNS(交流サイト)では
「選択的とは言うが、子供にとっては強制的親子別姓になることに改めて気づきました」
という声が多数上がった。
こうした背景を受けて、2025年2月5日に開かれた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
から勉強会の講演依頼が私にあった。
安倍晋三元首相が会長を務めた組織でもあり、全員が
「保守」
と言っていい錚々たるメンバー41人が集まった。
■「恣意的」批判は想定通り
講演では、調査の狙いとして、このテーマを
「可視化」
したかったことを最初に説明した。
いくら言葉で問題点を指摘しても、
「選択的」
という言葉に引きずられて、
「選択だからいいのでは」
「誰にも迷惑はかからないのでは」
などと納得してしまう世論が多いためだ。
そもそも、企業などでは婚姻後の
「旧姓使用の拡大」
が既に進んでおり、多くの国民にとってこのテーマは喫緊の課題ではない。
それをいいことに、朝日新聞やNHKなどのリベラル系メディアは、旧姓使用の現状を無視した上で、
「賛成」「反対」
の二択で世論調査を行い、そこで集計された
「賛成7割」
という結果を独り歩きさせるのだ。
日本人は人がいいので、
「そんなに賛成者がいるなら」
とつい誤魔化されてしまいがちなのである。
やはりここは、改めて問題点を浮き彫りにするべきではないか。
「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓であり、強制的家族別姓である」
「人に迷惑をかけないどころか、家族の在り方に多大な影響が出る」
ことを考えてもらうために必要だったのが、アンケートによる
「子供の存在」
の可視化だったのだ。
反響の中には、夫婦別姓推進派からの
「恣意的なアンケートだ」
という声も多かった。
だが、これは想定通りで、記事の中には次のような一文を入れておいた。
「法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである」
「仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えたりするならば、是非他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい」
「文部科学省も、こども家庭庁も出番ではないか」
つまり、
「文句があるなら自分たちも調べなさい」
「国もやるべきことがあるのでないか」
という意味だ。
実はこれが最も言いたかったことでもある。
先ほど調査対象は2000人と紹介したが、実は100人、200人しか集まらなくても仕方がないとも考えていた。
とにかく子供の存在をこの議論の俎上に載せたい、もし産経の調査に不満があるなら、それはそれで構わないので他のメディアなり、国としてやってほしい、拙速に進めず、立ち止まって考えてほしいというメッセージである。
その狙いは予想以上に国民に届いたのではないか。
2025年正月の記事以来、
「子供の姓がバラパラになる」
「旧姓使用の拡大や法制化で解決できないものか」
という議論が他メディアも含めて活発化してきたことを考えると一応は成功だったと言えると思う。
■自民党の現状こそ問題
一方で、経団連などの財界は未だに選択的夫婦別姓推進を言い続けている。
今回行った産経のアンケートで、旧姓使用を不可としている企業はゼロだったにもかかわらずだ。
この日の勉強会にも出席された高市早苗前経済安全保障担当相の努力もあって、今やパスポートや国家資格など大半の身分証明で旧姓使用が併記できるようになった。
立憲民主党など野党は
「困っている人がいる」
という理屈を振りかざしているが、
「困っている人」
とは誰なのか。
産経の取材でも
「困っている人」
を探したが、結局出てきたのは、
「海外でパスポート名義と宿泊名簿の姓が違って説明に時間がかかった」
という程度だった。
そもそも私は今回のテーマについて、保守である自民党が真剣に考えるべき課題ですらないと考えている。
今ある法や制度を変えたいのなら、なぜ変えなければならないのか、その理由を明確にして、誰もが納得できる立法事実を出さなければならないのは別姓推進派の側であり、政権与党としては、その1つ1つに丁寧に反論し、それでも困っているという細かいケースが見つかったのなら法律の運用の中で変えていけばよいだけなのだ。
勉強会に参加した自民党議員も、本当は同じように考えていたと思う。
ただ、現状は昨秋2024年秋の総選挙以来の少数与党であり、連立を組む公明党も別姓推進を公言している中で、放置するわけにもいかない。
何より、衆院法務委員長のポストまで獲得した立憲民主が今国会中にも法案を提出する可能性は高いのだ。
「創生『日本』」
としても、保守層だけでなく、広く党内がまとまる対案を検討するのは当然であり、より良い方向に導いて頂きたいとは思う。
ただ、だからと言って、我が国の根幹とも言える家族の在り方を巡り、これ以上党内が右往左往してほしくない。
そもそも自民党の中に、野党と同じように
「困っている人」
を必要以上に誇張したり、女性差別と関係付けてまで夫婦別姓を推進したい議員が少なくないこと自体が不自然なのである。
例えば、税制や社会保障などの分野で党内の意見が分かれるのならまだ分かるが、家族の在り方を巡って、
「党議拘束しなければまとまらない」
とか、
「予算の成立と引き換えに…」
などの意見が漏れてくる今の自民党の体質にこそ問題があるのではないか。
保守を標榜する
「創生『日本』」
の方々こそ、この党内の現状を真剣に憂えてほしい。
家族観すら一致せず、まとまれないような政党はもう、1つの政党とは言えない。
有権者からそのように見られても仕方がないのではないか。
そう苦言を呈して、講演を終えた。
(産経新聞編集局コンテンツ統括)
「夫婦別姓=家族別姓」子供の半数は反対…産経新聞アンケート結果
産経新聞の(2025年1月1日付掲載)のアンケートでは、家族で違う苗字になってしまう
「夫婦別姓」
に子供の半数が反対している実情が明らかになった。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人の計約2000人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題にも配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が約半数の49・4%、
「賛成」は16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」が18・8%、
「よくわからない」が15・4%
で、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては、
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割
となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%
だった。
(月刊「正論」4月号から)
みながわ・たけし
産経新聞編集局コンテンツ統括。
平成3年、産経新聞入社。
京都総局、大阪社会部、東京社会部次長、産経新聞出版代表取締役社長などを経て令和5年7月から現職兼産経新聞出版取締役会長。

選択的夫婦別姓「導入賛成」が減少傾向、「通称使用拡大」は増加 報道機関の直近世論調査
2025/2/25 9:49
https://www.sankei.com/article/20250225-AJ3NFZ3TLZHPPMUZFB4FMGFBXU/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓導入の是非を巡る各種報道機関の世論調査で「賛成」が今年2025年に入って減少傾向にある。
賛否の2択に加えて
「同姓を維持して旧姓の通称使用を拡大」
する第3の選択肢を尋ねたケースでは、旧姓の通称使用拡大が最も高く、割合も増えている現状が浮かぶ。
■産経・FNN調査は「賛成」9・5ポイント減
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査は
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)の45・2%に比べ、6・5ポイント増となる。
選択的夫婦別姓の法整備に「賛成」は28・0%で、前回の37・5%から9・5ポイント減らした。
同様に読売新聞社が2025年2月14〜16日に3択で尋ねたところ、旧姓の通称使用拡大は46%で最も多く、前回(2025年1月17〜19日実施)の43%から3ポイント増加した。
選択的夫婦別姓の導入を求める声は前回の29%から27%に減少した。
■朝日調査も「賛成」10ポイント減
朝日新聞社は2025年2月15、16両日の調査で、導入の賛否を2択で尋ねると、「賛成」が63%で「反対」は29%だった。
前回調査の昨年2024年7月はそれぞれ73%、21%だった。
「賛成」は「反対」の2倍以上だが、前回調査から10ポイント減らしたことになる。
共同通信社が2025年1月25、26両日に実施した世論調査は「賛成」は59・4%、「反対」が32・7%だった。
昨年2024年10月の賛成67%、反対21・7%で、「賛成」は7・6ポイント減らしている。
毎日新聞社は選択的夫婦別姓を巡る2025年2月の世論調査で2025年1月に比べて尋ね方を変えたため、対象から除外した。

「通称使用の拡大」男女とも過半数、全年代、職業で最多 共産支持層も FNN世論調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/2/24 12:30
https://www.sankei.com/article/20250224-MQHMGVO2XZHUVAIQ5WNV7ZHQEM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が、男女を共に過半数を占めた。
全年代で、また、選択肢にあるすべての職業で最多だった。
支持政党別でも、共産党支持層は
「通称使用の拡大」

「賛成」
を上回った。
■女性も「賛成」3割
男性では「賛成」の25.3%に対し、「通称使用の拡大」の51.2%と「反対」の21.5%の合計が7割を超えた。
女性では「賛成」が30.6%にとどまる一方で、「通称使用の拡大」は52.2%、「反対」は16.1%に上った。
男女共に法整備に慎重な姿勢が浮き彫りになった。
世代別でみると、30代と70歳以上を除き、
「通称使用の拡大」
が過半数だった。
経団連や一部野党などは、夫婦別姓を求める理由の1つに
「キャリアの断絶」
を挙げている。
今回の世論調査では、職業別に正規雇用、非正規雇用、自営・フリーランス、主婦・主夫、学生、無職、その他の選択肢で尋ねた。
全ての職業で「通称使用の拡大」を選んだ人が最多で、無職(42.0%)以外は半数を超えた。
「賛成」が3割を超えたのは学生(38.0%)と非正規雇用(36.4%)だった。
「反対」の割合が他の職業に比べ高かったのは、「無職」(28.8%)と「自営・フリーランス」(25.4%)だった。
■公明・立民支持層も「賛成」過半数届かず
支持政党別では、公明党支持層の47.3%と立憲民主党支持層の46.6%が「賛成」と答え、「通称使用の拡大」を上回った。
両党は今国会での法案成立を目指しているが、その両党の支持層でも「通称使用の拡大」と「反対」の合計は「賛成」を小差で上回った。
共産支持層では「賛成」の39.9%に対し「通称使用の拡大」が49.3%で上回り、「反対」が5.8%だった。
日本保守党の支持層では「反対」が最多の48.2%、「通称使用の拡大」が31.8%、「賛成」はいなかった。

選択的夫婦別姓「通称使用拡大を」51%で過半数 「反対」含め7割が導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/2/24 11:46
https://www.sankei.com/article/20250224-SXETE7ZTU5JQVP433ERNY7EURQ/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度に関する法整備について尋ねたところ、「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」との回答が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)比では6・5ポイント増加した。
法整備に「反対」との回答は18・7%で、前回比で4・0ポイント増加した。
選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的な回答が、前回は計6割だったが、今回は計7割に増加したことになる。
一方、法整備に「賛成」との回答は28・0%で、前回比で9・5ポイント減だった。

「建国記念の日」に党大会 国民民主の保守加速 夫婦別姓推しの連合幹部に榛葉幹事長は…
政界徒然草
2025/2/24 6:00
https://www.sankei.com/article/20250224-B5QW4QMJONMMZLBFNJJW27UDV4/
国民民主党の保守化が加速している。従来の家族の在り方を変える可能性を指摘されている選択的夫婦別姓制度を巡り、玉木雄一郎代表(役職停止中)と榛葉賀津也幹事長が性急な導入に
「待った」
をかけた。
これまでも憲法改正や原発再稼働、現実的な安全保障政策などを訴えてきた国民民主。
2025年夏の参院選を見据え、石破茂政権に批判的な岩盤保守層を奪い取る構えだ。
■党大会で紀元節に言及
「今から2685年前の今日、日本書紀によると、国づくりが始まった」
「その節目の日に、国民民主の党大会が開催されることに感謝と身が引き締まる思いでいっぱいだ」
今月2025年2月11日に東京都内で開かれた国民民主の党大会で、最も印象に残ったのが、榛葉氏によるこの挨拶だった。
国民民主は従来、リベラルと保守の二項対立とは距離を置く
「改革中道政党」
を掲げてきた。
だが、昨秋2024年秋の衆院選は、石破政権に批判的な保守層の後押しもあり、議席数が公示前から4倍増に躍進した。
新暦の紀元前660年2月11日に初代の神武天皇が橿原宮(奈良県)で即位した紀元節に触れた背景には、日本の伝統を大切にする保守層への配慮が透けて見えた。
■夫婦別姓にブレーキ
とりわけ保守層から歓迎されているのが選択的夫婦別姓制度への対応だ。
国民民主は先の衆院選の公約で同制度の導入を掲げていたが、玉木氏は2025年1月17日の産経新聞の単独インタビューで慎重に対応すると指摘。
「多くの国民に関わる事であり、イデオロギーや政局的なものにせず、出来るだけ幅広い合意を得る丁寧な議論が必要だ」
と強調した。
また、榛葉氏も2025年1月30日の産経インタビューで、子供の姓の扱いなどについて
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
との見解を示し、歩調を合わせた。
2025年2月14日の記者会見では
「保守もリベラルも関係ない」
「大人は選択できるかもしれないが、子供が半ば強制では子供が不幸になる」
と強調。
家族の絆を重んじる保守政党でありながら、推進派を抱える自民党を
「中に色んな考えがあるようだ」
と皮肉る余裕も見せた。
戸惑いを隠せないのが国民民主の最大支援組織で、同制度の早期導入を求める連合だ。
2025年2月11日の党大会に招待された芳野友子会長はたまらず
「導入しないことは男女が不平等な状態を放置することを意味し、人権に関わる由々しき問題だ」
と国民民主にプレッシャーをかけた。
しかし、この発言がどこまで執行部の耳に響いたのかは不透明だ。
同制度導入を求める連合関係者は今年2025年に入り、
「今国会の最大の法案だ」
と榛葉氏に発破をかけたが、子供への悪影響を念頭に榛葉氏が首を縦に振ることはなかった。
■支持層の変化も影響
立憲民主党は今国会に同制度導入を謳う民法改正案を提出する方針だが、成立を左右するのは国民民主と言っても過言ではない。
同制度を審議する衆院法務委員会の構成メンバーのうち、推進派と目されてきたのは立民(西村智奈美委員長を除く)や国民民主、公明党、共産党を合わせて15人。
自民や日本維新の会の一部が賛成に回れば過半数の18人に達する計算だ。
しかし、国民民主が慎重姿勢を堅持すれば法務委での過半数獲得も容易ではなくなる。
なぜ国民民主は変わったのか。
先の衆院選以降の支持層の変化を指摘する声は少なくない。
国民民主の比例票は前回(令和3年)の259万票から617万票へと大幅に増えた。
連合関係者は石破政権に不満を抱く岩盤保守層の影響だと分析。
「安倍晋三政権を支えていた支持者が相当流れてきている」
と語る。
国民民主の勢いは2025年夏の参院選の結果も左右する。
歴代の自民政権は野党の分断を仕掛けることで
「1強」
態勢を築いてきた。
自民重鎮は、国民民主が積極的な候補擁立を決めたことに関して、
「野党同士で潰し合うことになる」
とソロバンをはじく。
一方、保守路線にシフトした国民民主はむしろ自民の票を奪うとの見方もある。
立民の閣僚経験者は
「国民民主はどんどん右傾化している」
「このままだと、参院選ではむしろ、自民票を食うだろう」
と指摘する。
いずれにせよ保守色を濃くした国民民主の影響力が、かつてないほど政界で強まっていることだけは間違いない。

産経調査結果に「子供への影響研究を」の意見 選択的夫婦別姓是非議論の自民WT
2025/2/20 20:41
https://www.sankei.com/article/20250220-YVSELFAQVBO4PDFUMDOGUJG67Q/
自民党は2025年2月20日、
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」(座長・逢沢一郎衆院議員)
の会合を開き、選択的夫婦別姓制度導入の是非に関する内閣府や報道各社などの世論調査結果について議論した。
産経新聞社が昨年2024年11〜12月に小中学生約2千人を対象に行ったアンケートも取り上げられた。
逢沢氏は会合後、記者団に、産経の調査が子供の意向を調べた唯一の調査だと指摘した上で
「もっと深く子供の意見を聞くことや、新しい制度になった時に子供にどのような影響があるかを研究すべきだとの意見がかなり出た」
と語った。
産経のアンケートでは、夫婦別姓導入で家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。

「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓」池谷准教授 日本会議懇談会に自民、維新から75人
2025/2/19 18:05
https://www.sankei.com/article/20250219-TFPDA63IWJMPBLR6MOGN2BRYXQ/
超党派の保守系議員で作る
「日本会議国会議員懇談会」(会長・古屋圭司元拉致問題担当相)
は2025年2月19日、国会内で家族制度を考える勉強会を開催した。
自民党と日本維新の会から代理出席を含め計75人が出席し、選択的夫婦別姓制度を導入することによる子供への影響などについて意見を交わした。
会合では、家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授が
「選択的『夫婦別姓』は強制的『親子別姓』です−親子別姓は何をもたらすか」
と題して講演した。
出席者によると、池谷氏は別姓制度導入によって夫婦別姓が親子別姓、兄弟別姓になっていくことは、子供の発達に悪影響が出る可能性があることを指摘したという。
講演後には質疑応答が行われ、出席者からは
「個人が先立ち過ぎてしまうと家族の一体感や、社会の安定性が損なわれることになるのではないか」
との意見が出た。
別の出席者は
「従来の戸籍制度は非常に優れた制度だ」
「しっかりと残していくことを考えるべきだ」
と主張した。
同懇談会では、一昨年2023年に家族プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、家族制度に関する議論を重ねてきた。
山谷えり子・家族PT座長(自民)は会合後に記者団に対し、別姓制度に関して
「家族や社会の在り方に大きく影響する問題だ」
「選択的だからといって、その人だけの問題ではないという視点で進めることが大事だ」
と述べた。

選択的夫婦別姓めぐる朝日、共同の二択質問 「前提がおかしい」自民党内に不信募る
世論調査
2025/2/17 17:08
https://www.sankei.com/article/20250217-D7AYVEPQWJKWNLAY6WPSVJ7CLA/
選択的夫婦別姓制度を巡る報道各社の世論調査で、制度導入の賛否の二択で質問した場合と、旧姓の通称使用拡大を含めた複数の選択肢を提示した場合では回答結果が大きく異なった。
自民党では旧姓の通称使用拡大の議論が進む。
党内の一部には、この選択肢を排除し、二択で質問し続ける報道機関への不信感が募っている。
2025年2月16、17両日に公表された共同通信や毎日、朝日、読売の世論調査では、今国会の焦点となっている選択的夫婦別姓制度に関する質問がいずれも盛り込まれていた。
ただ、質問の選択肢の内容は各社で分かれた。
選択的夫婦別姓制度導入について
「賛成」

「反対」
の二択で回答を求めたのは朝日と共同だ。
朝日は同制度に関し
「法律を改正して、夫婦が同じ名字でも、別々の名字でも自由に選べるようにすることに賛成ですか」
と質問。
賛成が63%、反対が29%だった。
旧姓の通称使用拡大についての質問はなかった。
共同は同制度導入の賛否を尋ねた上で、旧姓の通称使用拡大について
「名字変更で生じるさまざまな問題や不便が解決すると思いますか」
と質問し、
「解決しない」
が58・1%に上った。
一方、毎日は同制度の導入や旧姓の通称使用拡大、両方を進める、両方を進めないとの選択肢を用意。
いずれの回答も16〜24%に分散した。
読売は3つの選択肢を示し、
「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
との回答が46%で最も多かった。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民党内ではかねてから
「二択では、国民の声を正確に受け止められない」(党若手)
との意見が根強くある。
自民党関係者は
「一部報道機関は質問の前提がおかしいのではないか」
と不満を口にした。

<主張>選択的夫婦別姓 「親子別姓」を強制するな
社説
2025/2/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250214-LMH5A675K5OQ5DMKI5JPAB2FOQ/
親子別姓を強制するおかしな制度だ。
選択的夫婦別姓のことである。
自民党は導入の是非を巡り、党内議論を始めた。
夫婦が同じ姓であるのは現代日本人の家族観と結び付いている。
結婚時の姓の変更に伴う不便を解消するための議論はあって然るべきだ。
だが、子供の立場を蔑ろにし、家族の一体感を損なう選択的夫婦別姓制度の導入は弊害が多過ぎる。
賛成することはできない。
自民の夫婦別姓に関するワーキングチームの会合で、高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は政権を奪還した平成24年衆院選で旧民主党の夫婦別姓案に反対した」
「その後も(旧姓の)通称使用拡大を約束してきた」
と主張した。
座長の逢沢一郎衆院議員が、意見集約の期限を設けないとしたのは妥当だ。
石破茂首相(自民総裁)2025年2月12日の国会で、選択的夫婦別姓制度について
「いつまでも結論を先延ばしにしてよい問題とは考えていない」
と述べたのは理解に苦しむ。
立憲民主党は選択的別姓の実現に向けた推進本部を立ち上げた。
だが、安易な導入は取り返しがつかない。
立民などは子供たちが受けるであろう悪影響を軽く見ている。
夫婦別姓では、父か母のどちらかが必ず子供と別の姓になってしまう。
疎外感を持つ子が出てくるだろう。
どちらの姓を子供に付与するかを巡って祖父母らも絡み、争いが生じかねない。
最も喜ばしい子供の誕生時に起きていい話ではない。
導入論者は、夫や妻の事ばかりに拘り、親よりも弱い立場にある子供の存在を軽んじている。
極めて残念だ。
子供を優先するのが親や社会の務めだと気付いてもらいたい。
選択的夫婦別姓が導入されれば戸籍制度も変質する。
姓は砂粒のような個人の呼称へ変貌する。
先祖から子孫へと、世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、そもそも姓を名乗る必要があるのだろうか。
選択的とはいえ別姓は個人の問題ではない。
家族や社会の在り様に関わる大問題だ。
令和3年の内閣府世論調査では、選択的夫婦別姓を求めたのは3割に届かず、同姓維持と同姓のまま通称使用の制度化を望む声は7割弱に上った。
政党は社会に分断を招いてはならない。

最大の問題は「子の姓」、旧姓の通称使用拡大へ結論を 国士舘大・百地名誉教授
2025/2/7 19:38
https://www.sankei.com/article/20250207-27NPT5X3KZJTHEUXDATVONIM4Q/
自民党は来週、選択的夫婦別姓制度を巡る党内議論を本格化させる。
同制度の問題点や旧姓の通称使用拡大について、国士舘大の百地章名誉教授(憲法学)に聞いた。

選択的夫婦別姓制度の最大の問題は子の姓の扱いだ。
生まれたばかりの子には姓の選択権がない。
それどころか、別姓家庭に生まれた子は、父か母いずれかの名字とは異なる
「親子別姓」
を強制させられる。
現在、一部の野党が示す案では、子が生まれる度に夫婦が姓を決めるとあるが、現行の戸籍法では出生後14日以内に氏名を届け出なければならないため、夫婦間の協議が整わなければ無戸籍児になる。
別姓夫婦が結婚時に生まれてくる子の姓を事前に決めておく案もある。
だが、決められなかった場合は婚姻届が出せず、
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」
と定めた憲法24条に違反する恐れがある。
野党案はこうした問題の解決に
「家庭裁判所に判断を求める」
とするが、正当な判断基準は見当たらない。
別姓導入賛成派の論拠は、平成27年と令和3年の最高裁判例が
「この種の制度の在り方は国会で論ぜられ、判断されるべきだ」
と判示したことだ。
しかし、判決は同姓制を合憲としており、別姓導入を求めたわけではない。
各種調査では5割近くが通称使用拡大を必要とする一方、別姓導入賛成は2割程度にとどまる。
これは便宜上の不具合を改善してほしいということに他ならない。
旧姓の通称使用拡大を別姓制度の
「妥協案」
と捉えてはいけない。
別姓導入の議論が浮上したことで通称使用の拡大の議論が熟した側面もあるが、考え方は全く違うものだ。
これまで懸案になっていた姓を巡る問題を解決するためにも、通称使用拡大の法整備に向けて結論を出すべき時期に来ている。

夫婦別姓議論、旧姓の通称使用拡大巡り自民保守派に複数案…一本化できなければ党分断も
2025/2/7 18:39
https://www.sankei.com/article/20250207-5X76YPN3GNMSVGNGL6VGUKS67E/
今国会の焦点である選択的夫婦別姓制度を巡り、自民党は来週、党内議論を本格化させる。
家族の在り方を変える懸念から、制度導入に慎重な保守系議員らは旧姓の通称使用を拡大する方向で意見集約を目指す。
ただ、慎重派の間でも通称使用拡大に関して複数の案が存在しており、一本化を巡っては党の分断に繋がる恐れもある。
2025年2月4日午後、党本部で開かれた有志グループ
「保守団結の会」
の会合。
顧問を務める高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は多くの方に、旧氏を通称使用する機会をもっともっと拡大する約束を何度もしている」
「これを早期に実現することが一番だ」
と強調し、通称使用拡大に向けた私案を示した。
高市氏の私案は、戸籍上は同姓を維持しつつ、旧姓の通称使用拡大を法律で位置づける。
現状、住民票やパスポート(旅券)などの公的証明書は希望すれば、現在の姓と旧姓の併記が可能だ。
この仕組みを幅広い分野に広げて不便を解消するため、国や地方公共団体、事業者に必要な措置を取るよう求める。
高市氏は以前、戸籍法の改正を視野に入れていたが、住民基本台帳法施行令の一部改正によって住民票などに旧姓併記が可能となったため、戸籍法は改正しない形とした。
別姓制度導入の是非が改めて注目されるきっかけとなった経団連の昨年2024年の提言は
「通称は法律上の姓ではないため、旧姓併記を拡大するだけでは解決できない課題も多い」
と指摘していた。
一方、衛藤晟一元沖縄北方担当相らの案は、公的証明書への旧姓の併記と単独使用のいずれも可能とする。
旧姓の使用を法制化し
「法定旧姓」
とすることで別姓制度を導入しなくても、経団連が指摘するような課題の解決に繋がるとしている。
稲田朋美元防衛相は、
「婚前氏続称制度」
の創設を主張する。
旧姓を通称ではなく
「呼称上の氏」
として法的に認め、公的な場面では旧姓を使用することを想定している。
慎重派は複数案を一本化し、導入推進派に対して党内議論の主導権を握りたい考えだ。
党内には、拙速な議論は避けるべきだとの意見もあるが、立憲民主党は今国会で導入に向けた民法改正案の提出を予定している。
自民の森山裕幹事長は2025年2月4日の記者会見で、関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張した。

「強制的親子別姓」「子供に選択の機会ない」選択的夫婦別姓を日本女性の会が危惧 横浜で
2025/2/7 10:50
https://www.sankei.com/article/20250207-XGELSVKT5FGOVOVXV2OLGIPJ3A/
日本女性の会神奈川は2025年2月6日、JR横浜駅前で今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓の導入に反対し旧姓の通称使用の法制度化を求める街宣活動を行った。
選択的夫婦別姓について、
「強制的親子別姓、強制的家族別姓です」
「家族がバラバラになります」
などと懸念を訴えた。
日本女性の会は日本会議の女性組織。
約20人の女性らがビラを配ったり、マイクで訴えたりした。
導入を求める側の人々が唱える
「選択制だから誰も困らない」
という訴えについては
「正しくありません」
「一番大きな影響を受けるのは子供です」
「選択制とはいえ、子供に選択の機会はありません」
などと危惧した。
同会は、4歳から高校2年まで10家族20人の子供に対し、それぞれの親から
「お父さんとお母さんが別々の名前になったらどう思う」
と尋ねてもらったところ、ほとんどが拒否感を示したという。
「家族がバラバラは絶対いや」
「うちは何家になるの」
との回答があったという。
同会神奈川の事務局長を務める横浜市の主婦、北島ゆり子さん(66)は
「子供は自分のことじゃなくて、親や家族全体のことを考えている」
「たかが名字、されど名字で、子供にとって大きな拠り所だと感じた」
と話した上で、
「子供の声は社会に反映されにくい」
と語り、丁寧な議論を訴えた。
北島さんは、10家族20人の調査について
「親にとっては、子供の考えを改めて感じ、絆が強まった機会になったといってくれた」
と述べ、選択的夫婦別姓の導入の是非が社会の話題になりつつある状況について
「反対派も賛成派も、改めて家族で『家族とは何か』『親子とは何か』を考える機会になれば一番いいと思う」
と語った。

夫婦別姓反対や通称使用法制化の推進を訴え 日本女性の会神奈川
2024/12/26 19:30
https://www.sankei.com/article/20241226-52IAT4YH4BMI3LSVHODYVHHQ5M/
日本女性の会神奈川は2024年12月26日、神奈川県藤沢市のJR藤沢駅前で
「夫婦別姓反対・通称使用法制化推進」
の街宣活動を行い、
「国民は選択的別姓制度を求めていません」
などと書かれたビラを配った。
参加したのは、同会や日本会議神奈川などの約10人。
メディアなどの調査をもとに、
「国民の7割が『別姓』に反対」
「中高生の9割以上が『別姓』に反対」
などと書かれたのぼりを掲げ、通行する人に
「姓の選び直しで社会は混乱する」
と語りかけ、通称使用の法制化を訴えた。

自民「創生日本」再始動、通称使用拡大案を提示「国の根幹めぐり党が割れるようでは…」
2025/2/5 18:55
https://www.sankei.com/article/20250205-5XCFEWLYMFOEZAAPSUVO5LP2FY/
安倍晋三元首相が会長を務めた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
は2025年2月5日、国会内で総会を開き、選択的夫婦別姓制度を巡り議論した。
総会の開催は約2年ぶりで、旧姓の通称使用を拡大する党内の複数の案が示された。
同制度の導入を巡っては党内で賛否が割れているが、同議連は通称使用拡大での意見集約を目指す方針だ。
「夫婦別姓は国民の間でも実際にどういうものか、実施したらどうなのかなど理解されていない点もある」
「議員も同様ではないか」
同議連会長代行の中曽根弘文元外相はこう強調した。
総会には、萩生田光一元政調会長や高市早苗前経済安全保障担当相、小林鷹之元経済安保担当相ら約40人が参加した。
この日は産経新聞の皆川豪志編集局コンテンツ統括を講師に招き、
「ごまかしの選択的夫婦別姓議論」
と題した講演も行われた。
皆川氏は、産経新聞が同制度について小中学生約2000人を対象に行ったアンケートの結果を説明し、
「国の根幹に関わる家族の在り方を巡り、党内の意見が割れるようでは有権者に見放されるのではないか」
と苦言を呈した。
同制度の導入には、立憲民主党などの野党に加え、連立を組む公明党も前向きな姿勢を示しており、今国会での焦点となる見通しだ。
自民では今月2025年2月中旬にも
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
での議論が本格化するが、推進派、慎重派が混在している状況で、党内議論は難航が予想される。
■「自民離れ加速」選択的夫婦別姓への懸念
一方、保守系議員を中心とした慎重派は、今月2025年2月に入って発信を強めている。
2025年2月4日には有志グループ
「保守団結の会」
が会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
慎重派の念頭には、家族の在り方を変えうる制度を導入すれば
「保守層の更なる自民離れが加速する」(中堅)
との懸念があるためだ。
ただ、安倍氏の死去後、党内の保守系議員の結集軸は失われたままだ。
慎重派が党内議論を主導できるかどうかの予測は難しい状況だ。

自民・高市早苗氏講演の「保守団結の会」に20人 出席議員一覧 旧姓通称使用の拡大を
2025/2/4 18:50
https://www.sankei.com/article/20250204-PWUCMPUC5JB4NIWYXAD7NLGAXY/
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が2025年2月4日、選択的夫婦別姓の導入の是非を巡り旧姓の通称使用の拡大を講演で訴えた保守系有志議員グループ
「保守団結の会」
には20人超の現職議員が出席した。
確認できた20人は以下の通り(敬称略)

≪衆院当選10回≫
高市早苗
≪当選6回≫
関芳弘
≪当選5回≫
黄川田仁志、中村裕之、簗和生
≪当選4回≫
三谷英弘
≪当選2回≫
石橋林太郎、尾崎正直、鈴木英敬、平沼正二郎、松本尚
≪当選1回≫
山本大地
≪参院当選3回≫
上野通子、北村経夫、西田昌司
≪当選2回≫
赤池誠章、佐藤啓
≪当選1回≫
白坂亜紀、田中昌史、若林洋平

選択的夫婦別姓巡り自民保守系活性化 5日に「創生『日本』」会合 党内意見集約は難航も
2025/2/4 18:42
https://www.sankei.com/article/20250204-UHSO75LGNNK2ZO6HRYKGPFVVIY/
自民党の保守系議員が、選択的夫婦別姓制度の導入に否定的な発信を強めている。
有志グループ
「保守団結の会」
は2025年2月4日、党本部で会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
立憲民主党が制度導入法案の提出を予定するなど、夫婦別姓を巡る議論が今国会の焦点の1つに浮上する中、石破茂首相(自民総裁)は、早期に党見解を取りまとめたい考えを示す。
ただ、党内は慎重派と推進派で割れており、意見集約は容易ではない。
「今、自民がやらなければいけないことは、公約を守り、多くの方の不便を更に解消できる法案を出すことだ」
高市早苗前経済安全保障担当相は2025年2月4日の保守団結の会の会合で、同制度の導入ではなく、自民が選挙公約に掲げた旧姓の通称使用の拡大を推進するべきだとの考えを重ねて強調した。
2025年2月5日には、安倍晋三元首相が会長を務めた自民内の保守系議連
「創生『日本』」
が夫婦別姓をテーマに会合を開く。
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
も近く会合を予定しており、保守派による発信が活発化している。
衆院で与党が過半数割れする中、立民が今国会に同制度導入の法案を提出すれば、可決される可能性がある。
自民の保守系議員は慎重論で党内をまとめたい考えだが、旧姓の通称使用の拡大についても、党内に複数の案があり、意見の集約には至っていない。
■慎重派に危機感
自民の森山裕幹事長は今国会で関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張する。
推進派を中心に
「党議拘束をかけない方がいい」
という意見が燻っていることが念頭にある。
自民の
「氏制度の在り方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部は2025年2月4日、国会内で今後の議論の進め方などについて協議した。
出席者の1人は、今月2025年2月中旬にも党内で議論の場を設ける考えを示した。
慎重派のベテラン議員は
「通称使用の案を早く取りまとめて、党内の導入賛成派の人も含めて合意を得なければならない」
と危機感を示す。

「選択的」別姓論の大いなる逆説 何が「個」を失わせるか
正論2025年3月号 早稲田大学非常勤講師 大場一央
「早稲田なんか入りたくなかった」
「自分は東大に行くはずだった」。
こう思った学生が、いつまでも早大生と名乗ることを嫌がって学内で孤立する。
「私は栄光ある巨人軍で長年プレーしてきた」
「今度北海道日本ハムファイターズに移籍するが、
『いつまでも自分は巨人の何某である』
と宣言する」。
こんな新入団選手を、ファイターズファンは複雑な気持ちで見つめる。
結婚して別姓を
「選択」
するということは、そういうことだ。
結婚したての頃は、相手方の親族とどういう距離感で付き合うべきかも分からず、一方で夫婦の考えや感性の擦り合わせも行わなければならないから、実は最も苦しく孤独な時期である。
そんな時期に、男性側の姓にせよ女性側の姓にせよ、結婚したにもかかわらず別姓を
「選択」
するということは、相手方の親族に対して、あなたがたのチームに入る気はありませんと、出会い頭に拒絶していることになる。
別姓が強制されるならまだしも、
「選択」
は当人の意思が際立つ。
最悪の一手を打ってしまったと言うしかない。
子供を授かったら更に深刻だ。
とかく子供は親の喧嘩に敏感である。
黙っていられるならまだしも、どちらに味方するか迫られたら、どちらも悪く言うのは嫌だから、困った挙げ句に泣きたくなる。
白紙のような頭と心に刷り込まれた親の考え方や感性は、良くも悪くもかなり長い間、子供を支配する。
その親が2つに分かれ、子供にいずれかの姓を
「選択」
させる。
これはチームが分かれるどころか、子供の人格を作るモデルの分裂であり、アイデンティティーもへったくれもない。
ここで争おうものなら、離婚した両親が親権を争う姿を見て、自分の存在そのものを否定してしまうような、不幸な自意識が生まれても不思議ではない。

選択的「夫婦」別姓は強制的「親子」別姓だ こんなにある致命的欠陥
正論2025年3月号 元東京新聞編集委員 椎谷哲夫
数年前、元文科事務次官の前川喜平氏がSNSでこんな発言を醸した。
「同性婚も選択的夫婦別姓も、それで幸せになる人がいて、不幸になる人はいないのだから、誰にも反対する理由はない」
「反対する人は、自分の好き嫌いを人に押し付けて、人を不幸にしているのだ」
自由な議論を行うことが民主主義の根幹であるはずだが、前川氏は自分と意見の違う人たちを黙らせようとした。
「選択的夫婦別姓」
は、こんなにも人を攻撃的にしてしまうのか。
公明党とも連携して別姓法案を国会で通そうとする立憲民主党の野田佳彦代表は採決で
「(自民党の賛成議員を)炙り出す」
と言い放った。
理はこちらにあるから決着をつけようということらしい。
だが、選択的夫婦別姓には、解決しようのない問題がいくつもある。
30年ほど前、別姓導入を打ち出した法制審議会は、子供の姓を
「いつ決めるか」
で揉めた。
制度導入の最大の弱点だから、今も決着はついていない。
別姓派の理論的支柱である民法学者は
「戸籍」
をばらばらにして
「個籍」
にするべきだと言っている。
「戸籍の解体」
だ。
まだある。
仮に選択的夫婦別姓が導入されても
「夫婦同姓を維持して旧姓の通称使用を法制化してほしい」
という多数派のニーズは満たされず放置されるのだ。
■「子供の姓いつ決めるか」で対立
選択的夫婦別姓は、片方の親と子が必ず別姓になる
「親子別姓」
である。
家族の中に異なる2つの姓があるということで言えば
「家族別姓」
である。
更に、子供の意思と無関係に親の都合で子供が別姓を強いられるという意味では
「強制的親子別姓」
と言ってもよい。
選択的夫婦別姓の法案要綱を答申した法制審議会に法務省参事官として関わった小池信行氏も講演録『夫婦別姓を考える(『法の苑』2009年春)』の中で
「夫婦別姓の問題は最終的には子の氏の問題に帰すると思っている」
と語っている。
選択的夫婦別姓にした場合、
「いつ子供の姓を決めて届けるか」
が問題になる。
最大の要点であり、難点でもある。
平成8(1996)年2月に法務省の法制審議会が答申した
「民法の一部を改正する法律案要綱」

「婚姻の際に届ける」
としている。
これに対し、立憲民主党・共産党など野党が令和4(2022)年6月に共同で国会に提出した
「民法の一部を改正する法律案」

「出生時に届ける」
としている。
立憲民主党など野党は与党の公明党も引き入れ、この法案を再提出して閉会中の通常国会(2025年6月中旬会期末)で成立させようとしている。
実は30年近く前の法制審議会で、子の姓の決め方について意見が真っ二つに分かれて揉めた経緯がある。
■「婚姻時の届け出」は憲法違反
当時、民法部会員として審議に加わった元都立大法学部長の唄孝一氏(故人)は『家族ージェンダーと自由と法』(水野紀子編)で
「子供の氏について意見が違ったわけである」
「これは最終的に案を決める上でネックになったものであった」
と振り返っている。
唄孝一氏によると、原案(法制審議会の法律案要綱)については、前述のように
「婚姻の際に届ける」
ことになっているため
「婚姻の要件を加重する」
との批判があった。
婚姻するために新たな条件が負担として加わると考えれば分かり易い。
これについては、前述の講演録
『夫婦別姓を考える』
で小池信行氏も言及している。
「婚姻というのは憲法に夫婦の間の合意さえあれば成立すると書いてあるではないか、それなのに子供の氏を決めなければ婚姻ができないのは憲法違反である」
との強い批判があろと指摘。
更に
「結婚しても子供を作らないという夫婦や、あるいは年齢的にもう子供ができないという夫婦についても、生まれてくる子供の氏を決めなさいというのは、心理的な抵抗があることを挙げる人もいる」
「つまり子供は自分たちには不要だと考えている人たちにも、子供の氏を決めないと婚姻届を受理しないのは酷ではないか、そういう反対論がある」
というのだ。
■「出生時の届け出」で「姓の取り合い」も
これに対し、立憲民主党などの
「出生時に届ける」
という考え方も致命傷になりかねない問題を抱えている。
この案は法制審議会の
「婚姻の際に届ける」
の対案として出たものだ。
出生届は生後14日以内だが、その間に決まらなかったら、どうするかという問題が出てくる。
立憲民主党はHPに
「(夫婦間の)協議不調・協議不能の場合は家庭裁判所の審判に委ねる」
と記している。
だが、家裁が何を基準に子供の姓を決めるというのか。
前述の小池信行氏は
「家庭裁判所が多分頭を抱えることになる」
と指摘する。
離婚の判決で未成年の子の親権を決める際は、夫婦と子供には、それまでの生活があるから判断材料がある。
子供から意見を聴くことも可能だ。
だから、父母のどちらが適任かを判断できる。
しかし、子供を授かったばかりなのに、どちらが人格的に優れ、経済力があるかで決められる性格のものではない。
赤ちゃんは意思表示などできない。
双方の実家が
「うちの姓にして欲しい」
と介入し、子の姓の取り合いになる可能性だってある。
夫婦が一緒に暮らすわけだから、双方が完全に納得しないと、その後の家庭生活にも影響する。
審判が長引けば
「戸籍のない子」
になったり、訴訟に発展する恐れもある。
夫婦同姓の子であれば、生まれた瞬間に姓が決まり、摘出でない子も母の姓に決まるのに、別姓夫婦の赤ちゃんは、出生直後から
「不利益」
を被ることになる。
平成6年に批准した
「児童の権利に関する条約」
の第7条には
「児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし・・・」
とある。
そんな欠陥を抱えたまま別姓法案を通そうとしても、国民感情が許さないだろう。
■経団連も「子の不利益」を素通り
経団連は夫婦別姓について
「先送りできない最重要課題」
だと主張し、政府を揺さぶっている。
企業の経営者だって家族の一員なのだが、ビジネス上の利益確保という視点だけで問題の可否を論じようとしている。
筆者は令和6(2024)年6月、日本記者クラブで行われた経団連のダイバーシティ推進委員長である魚谷正彦氏(当時資生堂会長)の講演で、親子の姓の分離の問題についての見解を求めた。
魚谷正彦氏は
「私は非常に大変重要なことだろうと思っているが、経団連としてどうすべきだ、こうすべきだというスタンスは取っていない」
と答えた。
「組織として関知しない」
ということなのか。
余りにも無責任だ。
■3択の世論調査こそ民意反映
東京地検特捜部出身で元法相の山下貴司氏は、令和6年12月の衆院予算委員会の質疑で石破茂首相を前に、選択的夫婦別姓制度は
「硬直的制度」
であり
「家族別姓か、旧姓を法律上の姓として使用することを諦めるかという究極的な選択を迫るものだ」
と述べた。
選択的夫婦別姓が導入されても、
「夫婦同姓を前提に通称使用を法制化する」
という国民のニーズは満たされない。
だから、選択的夫婦別姓制にしない限り、法的根拠をもって旧姓を使うことはできない。
山下氏の言う通りである。
国会でのこれまでの質疑を聴いていると、立憲民主党や公明党などの国会議員は、選択的夫婦別姓の正当性を訴えるのに、
「賛成」
「反対」
の2択の調査結果しか使わない。
その方が都合の良い結果が出るからだ。
朝日新聞の令和6年7月の2択の世論調査は
「賛成」73%
「反対」21%
NHKの令和6年7月の世論調査は
「賛成」59%
「反対」24%
だった。
共同通信や日本経済新聞・毎日新聞も同様だ。
これに対し、内閣府の世論調査は3択だ。
令和3年12月の調査(翌年令和4年3月公表)は
「夫婦同姓を維持した上で旧姓の通称使用の法制度を設けた方がよい(42.2%)」
「現在の夫婦同姓の制度を維持した方がよい(27%)」
「選択的夫婦別姓の制度を導入した方がよい(28.9%)」
だった。
令和6年7月の「JNN」(TBS系列のニュースネットワーク)の調査も、
「同性を維持しつつ旧姓を通称としてどこでも使えるように法制化すべき」
が最も多い47%になり、
読売新聞の令和6年9月の調査も
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称使用として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
が最多の47%を占めた。
ちなみに、産経新聞・FNNは、短期間に2択と3択を分けて訊いている。
令和6年7月の調査は、朝日新聞やNHKと同じ2択で、
賛成66.6%
反対25.5%
だった。
令和6年9月の調査は
「夫婦同姓を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる法整備をする」
との選択肢を加えた回答を求めた。
その結果、追加した選択肢が最大多数の46.5%となり、賛成は38.9%、反対派12%に減った。
数字だけ見ると、賛成と反対で減った分の合計41.2%に、2択で賛否を明らかにしなかった5%が加わったことになる。
この結果をどう捉えればよいのか。
2択で「YES」か「NO」を迫られたら、割り切れなくてもどちらかを選ぶしかない。
「選択的だから」
という程度の判断で決めた人が多かったと想像できる。
これに対し3択は、選択肢が多くなった分、回答者の隠れていた意思が表に現れたと言える。
どちらが民意を反映しているかは、考えるまでもないだろう。
それでも、別姓推進派はそうした
「不都合な真実」
を無いことにしてしまう。
朝日新聞やNHK、共同通信など選択的夫婦別姓導入に熱心なマスコミは、国民世論の意思を2択でしか探っていない。
一体何を恐れているのか。
■個人籍への移行は「戸籍の解体」
選択的夫婦別姓制度を導入した場合に
「戸籍」
がどうなるかも心配だ。
福島瑞穂・社民党党首は平成5(1993)年に当時の日本社会党機関誌局が出した
『夫婦別姓 家族をここからかえる』

「Q&A」
に、
「個人の尊厳という観点からはこの際思い切って個人登録にすべきだ」
とした上で、
「(個人登録は)個人単位になるわけですから『戸籍制度』という言葉自体もなくなるべきです」
と書いている。
「個人単位の登録」
については、選択的夫婦別姓制度導入運動の後ろ盾である立命館大学名誉教授の二宮周平氏も同じ主張を繰り返している。
『中央公論』(2022年6月号)では
「現実の家庭生活は(中略)多様な家庭生活・私生活が共存している」
「それにもかかわらず、夫婦と子という特定の家族像を基本にすることは、最早現状に合わない」
「戸籍制度も、多様な家族の在り方を保障し、支える制度にする必要がある」
と述べ、その編製を
「個人単位にすべき」
と主張している。
そして、
「各自が言わば筆頭者となり、自分を中心に、自分との関係で父母・配偶者・子を記載する形式こそ、自分が『人生の主人公』であることを明瞭に示すものであり、憲法の理念に忠実なものである」
と説いている。
■「戸籍維持」とは言わぬ井田氏
二宮氏は、編製上の問題であって戸籍の廃止ではないと言うが、一般国民の感覚からすれば
「戸籍の解体」
である。
選択的夫婦別姓制度が導入されると、社会制度上の統一性がないから、最終的には圧倒的少数派の
「個籍」
に収斂されていくであろう。
その時、戸籍という言葉は消える。
彼らの主張の背景には、現行の
「戸籍の筆頭者」
が、戦前までの家制度の名残りだという考え方がある。
筆頭者とそうでない家族との間に
「主従関係」
を持ち込むというのだ。
選択的夫婦別姓運動を主導してきた人々の
「共通の認識」
にもなっている。
井田奈穂氏が事務局長を務める
「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」
は、HPの
「選択的夫婦別姓Q&A」
にわざわざ
「戸籍の問題も戸籍を維持しているのも日本だけですので、戸籍を維持していくかどうかは別途議論の余地はある」
と記している。
「戸籍は維持する」
とは言っていないのだ。
■「家名存続なんて幻想の産物」
「改姓するとアイデンティティが失われる」
という意見がある。
自分が生きて来た家庭の
「アイデンティティ」
を、結婚後の新しい
「絆」
よりも優先するということだ。
法学・社会哲学者の青木孝平氏は
「夫婦の別姓がもたらすものは、夫と妻という他人同士の紐帯よりも、結婚後もそれぞれが生家の親との関係を重視する血縁的紐帯への過剰な依存である」
と自著で説く。
「一人っ子の男女がそれぞれの実家の家名を守るには別姓しかない」
と言う人もいる。
その場合、双方の実家(祖父母)は、孫にも家名を継いで欲しいだろう。
だが、子供が生まれるとは限らないし、生まれたら姓を振り分ける必要がある。
一人っ子なら、両家に
「姓の取り合い」
の感情も生まれる。
社民党党首の福島瑞穂氏が『楽しくやろう夫婦別姓』(1989年)に書いている。
「家名存続なんていうのは、元々幻想の産物である」
「娘夫婦が別姓になったとしても、孫が生まれないかもしれない」
「そしたら、そこで終わり」。
姓の決定は
「自己決定権(人格権)」
に属し、親から受け継いだ姓に縛られる必要はないというのが夫婦別姓派の主流だ。
■「別姓」に庶民が反発した歴史
選択的夫婦別姓導入を求める人たちが
「日本は元々、夫婦別姓だった」
というのは明らかな間違いだ。
彼らがその根拠の1つにしているのが、NHKの大河ドラマにも登場した北条政子だ。
源頼朝の正妻なのに、父親の北条時政の
「名字」
を名乗っているから
「別姓」
だというわけだ。
頼朝の
「源」
は天皇から与えられた血統を示す
「氏(うじ)」
であり、出自の異なる妻がこれを名乗ることはあり得ない。
そもそも、
「北条政子」
という呼称自体が、後世になって、人物を特定するために書物などで便宜的に使われるようになったものだ。
研究者によると、名字(苗字)は室町時代から江戸時代にかけ庶民にも広がった。
江戸末期の1801(享和元年)に幕府は
「苗字帯刀の禁令」
で武士や名主以外は使うことを禁じた。
それでも庶民は非公式に名字を使った。
明治政府は
「平民苗字必称令(明治8年)」
で全国民が名字を名乗ることを義務化し、翌年明治9年の太政官指令で
「妻は別苗字」
にするよう求めた。
古来の公家や武家の血統を示す
「氏(うじ)」
の概念を庶民に押し付けたもので、夫婦同姓を慣習としていた庶民は強く反発した。
その声を吸い上げた東京府は明治22(1889)年、政府にこんな上申書を上げた。
「凡ソ民間普通ノ慣例ニ依レバ、婦ハ夫ノ氏ヲ称シ、其生家ノ氏ヲ称スル者ハ、極メテ僅々ー」
(民間の慣例では妻は夫の氏姓・苗字を称しており、実家の氏を称する者は極々少ない)。
庶民は同姓を続けたが建前としての夫婦別姓が続いた。
明治31(1898)年には、日本初の民法に
「戸主及ヒ家族ハ其ノ氏ヲ称ス」
とする
「夫婦同姓」
が規定された。
■間違った通称使用の弊害を喧伝
経団連が喧伝する
「通称使用の弊害」
についても述べておきたい。
「DEI社会の実現を目指して」
と題する資料には
「海外に渡航する際の弊害」
の一例として
「空港ではパスポートのICチップのデータを読み込むがそこに旧姓は併記されていない」
「よってゲートでトラブルになる」
との事例がある。
意味不明な
「弊害」
だ。
旅券面に
「旧姓」
併記があっても、確かに入国審査官がチップを読み取るモニターには本名(戸籍名)が表示される。
しかし、航空券と照合する場合でも、チケットは
「本名記載」
だからトラブルになりようがない。
外務省が在外公館に問い合わせても、モニター表示が原因でトラブルになった事例は確認できないという。
入国審査のやり方は国によって千差万別だ。
普通はあり得ないが、旅券面の
「Former surname(旧姓)」
をたまたま見た入国審査官が
「これは何だ」
と訊いて、これにうまく説明できなかったということなのか。
外務省は、そのためにも渡航者に併記した英語のリーフレット配布しているのだ。
経団連の十倉雅和会長は昨年2024年、記者会見で
「改姓後に旧姓時代の研究論文の実績が認識されないといった弊害も耳にする」
と語った。
十倉会長は、世界中で100万人の研究者や権威ある研究機関が使っている
「ORCID(オーキッド)」
という登録システムを知らないようだ。
世界には同姓同名もあるし、結婚で改名した人、ペンネームを使う研究者も多い。
割り振られた16桁のID番号(数字)が、例えば結婚前の旧姓と戸籍を紐付けて人物の識別・特定ができるのだ。
日本でも登録を推奨する大学や団体が増えている。
■「経過措置」で既婚者も混乱か
この問題では
「これから結婚する人が対象だから私には関係ない」
という考えは禁物だ。
実は立憲民主党などの別姓法案には2年間の
「経過措置」
がある。
要は、既婚者に
「2人が合意すれば、今なら旧姓に戻せますよ」
と煽るような内容だ。
妻が
「我が家も別姓にしたい」
と反対する夫と揉めるケースも出てくるだろう。
全国の同性夫婦を対象にした
「姓の選び直し」
だから、他人事ではないのだ。

選択的夫婦別姓、子供の姓の扱い「議論されてない」 国民・榛葉氏、期限区切る動きに慎重
動画
2025/1/30 19:15
https://www.sankei.com/article/20250130-J5UGWSPWNVFTLLFPFDGAZ462VU/
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2025年1月30日、産経新聞の単独インタビューに応じ、選択的夫婦別姓制度の導入について、子供の姓の扱いなどに
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
と指摘。
一定の期限を区切って議論することに慎重な考えを示した。
榛葉氏は、制度の導入自体は
「成人の男女が(姓を)選択できるようにすることは、党がかねてマニフェスト(政権公約)で賛成している」
として、改めて賛意を示した。
ただ、
「問題は子供で、親子別姓という問題はあまり議論されていない」
と指摘した。
「兄弟で名字が変わったり、子供が(姓を)強制されたりするようになると、子供の目線からどうなのか」
「家族の問題もある」
とも語り、子供の扱いに関する制度設計が不十分なことに強い懸念を示した。
一部野党には、夫婦で子供の姓に関する意見が対立した場合、最終的に家庭裁判所で決める案もあるが、榛葉氏は
「家裁が決める話でない」
とも語った。
立憲民主党は、意見が割れる自民党の状況も見据え、今国会中の関連法案成立に意欲を見せるが、榛葉氏は
「政局や選挙の道具にすべきでない」
とも言及。
性急に結論を出すのではなく、制度設計の議論を徹底するよう求めた。
「大人の論理だけでなく、子供の学びや育みを考え、慎重に議論すべきだ」
とも強調した。

自民は旧姓使用拡大で一致を
阿比留瑠比の極言御免
2025/1/30 1:00
https://www.sankei.com/article/20250130-DGDTNV3NRZKT7MW5M4KSDHKE3U/
米国でトランプ大統領が復権を果たし、世界が目まぐるしく動いている一方、国会では十年一日の如く選択的夫婦別姓がどうの同性婚がどうのと内向きな議論が続いている。
そうした中で自民党の森山裕幹事長が夫婦別姓制度の導入を巡り、国会採決に当たっては
「党議拘束をかけないで結論を見い出すことは出来るだけ避けるべきだ」
と発言して注目を集めている。
これに関しては、選択的夫婦別姓に賛成の立場で党所属議員を縛ろうとしたとの見方も出たが、複数の自民党閣僚経験者は
「それは逆だ」
と説明する。
反対に、片方の親と子供が必然的に別姓となり、兄弟、姉妹同士が別姓となる可能性もある立憲民主党の民法改正案を成立させないことが目的だというのである。
「党議拘束をかけないと、党内にいる数十人の別姓賛成派・推進派が協力して立民の改正案が成立してしまう」
森山氏は別姓推進論者の中には、戸籍そのものをなくして
「個籍」
にすることを目指す人がいることを危惧しているのだという。
確かに、別姓推進論者には社民党の福島瑞穂党首のように著書にこう記した人もいる。
《私は、子供が18歳になったら家族解散式≠ニいうのをやろうと思っていて、それ以降は、パートナーと子供ともスープのさめない距離に住んで、名実共に個人単位で暮らしていきたいなと思っている》
《家族だって、ひとつの定義にすぎない》
《家族も個人のネットワークなんだ》
家族という社会の基本単位をなぜなくしたいのか、どうしてそこまで孤独に陥りがちな
「個」
に拘るのか理解に苦しむが、ともあれそういった指向性の議員は一定数いるのだろう。
それでは、自民党は党議拘束をかけて採決に臨むために、どんな法案を出そうというのか。
現在、広がっているのが
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」(萩生田光一元政調会長)
という考え方である。
実際、今月2025年1月の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査でも、選択的夫婦別姓制度導入に
「賛成」
の自民党支持者の割合は24・7%にとどまる。
一方で、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は49・8%に上り、納得が得られやすい。
石破茂首相(党総裁)も、2025年1月26日配信のインターネット番組で、選択的夫婦別姓について党内の賛否が割れている現状を踏まえて
「どちらの考え方にも偏れないとするならば、折衷案もありうべし」
と述べた。明言はしなかったが、旧姓使用の拡大・制度化を指すとみられる。
首相は元々別姓賛成派だったが、
「党をまとめる立場になると『俺の考え方についてこい』とならない」
とも語った。
自民党には、高市早苗元政調会長のように既に2度も党法務部会にこの法案を提出している議員もいる他、複数の議員がそれぞれの旧姓使用の拡大案を唱えている。
戸籍法改正と特別立法が必要なものや特別立法のみのもの、民法と戸籍法の双方の改正が必要なもの…と数種類あるが、これらを党内で議論してまとめていけばいい。
以前は選択的夫婦別姓に
「賛成」

「反対」
の2択だった各種報道機関の世論調査の設問も、最近は
「同姓を維持して旧姓使用を拡大」
という第3の選択肢を加えて聞く例が増えた。
その結果、別姓賛成派が多数派ではないことは最早明らかである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「旧姓の通称使用拡充が現実的」自民・小林鷹之氏、選択的夫婦別姓に疑問呈す
2025/1/28 18:02
https://www.sankei.com/article/20250128-VTTJDJNV5BOV7K7EFKBAAKEHD4/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相(衆院千葉2区)が、どちらかの親と子供が別姓になる選択的夫婦別姓に関し性急に結論を出すことに疑問を呈し、発信を強めている。
2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べた。
2025年1月25日にはこの発言を補う形で、X(旧ツイッター)に
「婚姻による改姓で不便を感じる方がいるのは事実で、そのニーズを解消するアプローチとして旧姓の通称使用の拡充や周知徹底による対応が現実的な解と考えます」
と投稿し、夫婦別姓の導入を
「慎重に臨むべきと考える」
と強調した。
理由として
「『子供の視点』を大切にすべき」
とも指摘。
「子供の選択権の有無、有るとした時にいつ、どういう状況で行使できるのか」
「夫婦間で揉めた場合、家庭裁判所が判断するのか」
といった論点を挙げた。
その上で、
「年限を区切り、拙速に結論を決める性質の話ではない」
「姓の在り方に関する議論は、時間をかけてでもしっかりと議論することが重要」
「合意形成に時間と労力はかかるが、粘り強くやることが大切だ」
と結んだ。

「いつまでも結論を先延ばしてよい問題ではない」 選択的夫婦別姓巡り石破茂首相が答弁
2025/1/27 14:33
https://www.sankei.com/article/20250127-HSONVJOP4BICTGPW2UTPQMJSGM/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月27日の衆院代表質問で、選択的夫婦別姓制度導入の可否について
「国民の関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしてよい問題とは考えていない」
と答弁した。
党としての意見集約に関しては
「議論の頻度を上げ、熟度を高めて参りたい」
と述べるにとどめた。
選択的夫婦別姓制度に対し、立憲民主党や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。

自民の小林鷹之氏、夫婦別姓論議に疑問「優先順位付けると、もっとやるべきことある」
2025/1/24 23:45
https://www.sankei.com/article/20250124-R63I26QYBRPL7EEK2FBUAULT3M/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相は2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で、選択的夫婦別姓を巡る論議に疑問を呈した。
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べ、経済や防衛力の強化に取り組むべきだと強調した。

「首相が賛成打ち出せば党割れる」自民、夫婦別姓で2月中旬に議論本格化も意見集約難しく
2025/1/24 19:39
https://www.sankei.com/article/20250124-AHRH2TP2RZL6LDBS2REEZVPTTA/
通常国会が召集された2025年1月24日、選択的夫婦別姓制度に関する自民党の
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部らが協議し、2025年2月中旬にも議論の場を設けて党内議論を本格化させる見通しとなった。
党内で賛否が割れており、意見集約は難航しそうだ。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を提出する方針で、今国会の大きなテーマとなる。
WT座長の逢沢一郎衆院議員や小野寺五典政調会長らが2025年1月24日、国会内で協議した。
出席者の1人は
「先の衆院選で新たに当選した議員もいる」
「WTで党としての議論を整理した方がいい」
と語った。
立民が民法改正案を提出すれば、令和7年度予算成立後の今春にも国会審議が始まる可能性がある。
自民は2025年2月中旬から党内議論を加速させる。
とはいえ意見集約は簡単ではない。
自民党内に推進派と慎重派が混在しているからだ。
保守系議員を中心に、家族の在り方を変える可能性がある選択的夫婦別姓制度への慎重論が根強い。
一方、
「夫婦同姓で不自由を感じている人がいるのは事実だ」(中堅議員)
と制度導入を求める声も多い。
菅義偉政権下の令和3年にWTを設置した際も議論が紛糾し、論点整理をまとめたが、制度導入の是非には踏み込まずに結論を先送りにした。
慎重派の一部は今回、自民が賛成に傾かないよう党内議論を主導すべく、水面下で話し合いを重ねている。
ある保守系議員は
「もし石破茂総裁(首相)が賛成を打ち出せば党が割れる」
と語る。
推進派には、法案が国会に提出された際には
「党議拘束をかけない方がいい」(若手)
との意見がある。
これに対し、森山裕幹事長は2025年1月24日、記者団に
「1つの意見にまとめて国会に臨むことが大事だ」
と党議拘束の必要性を主張した。
立民の野田佳彦代表は2025年1月24日の記者会見で
「大事なことはなるべく多くの野党が連携すること」
と野党各党による民法改正案の共同提出を目指す考えを示した。
同時に
「与党からも賛同を得たい」
「特に公明党はぜひ実現したいという意向をお持ちだ」
と述べ、与党の公明との連携にも期待を寄せた。

石破首相、選択的夫婦別姓巡り「早期に自民案まとめ与党協議に」 公明の斉藤代表と会談で
2025/1/22 16:01
https://www.sankei.com/article/20250122-K4EH2ATLRJLMBPNKFQIRESITUE/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月22日、公明党の斉藤鉄夫代表と官邸で会談し、斉藤氏が求める選択的夫婦別姓制度の実現に向けた自公両党の実務者協議について
「できるだけ早い時期に自民の案をまとめ、与党案の協議に入りたい」
と応じた。
会談後、斉藤氏が記者団に明らかにした。
斉藤氏は
「自民の中にも様々な意見があり、まとまっていない」
「まとめる努力をして頂くことが大事なので待ちたいが、できるだけ早い時期に始めなければいけない」
と述べた。

選択的夫婦別姓、石破首相「わが党としてどうなのか明らかに」自民役員会で指示も党内異論
2025/1/21 20:20
https://www.sankei.com/article/20250121-H4QO74K43VJPFFBOLKDFGU4CSM/
選択的夫婦別姓制度を巡り、石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の党役員会で、通常国会で党としての考え方を取りまとめるよう指示した。
自民、公明両党の幹事長は同日、両党間で同制度の協議を進める方針を確認した。
自民は2025年1月24日の国会召集後の来月2025年2月にも党内議論を再開する見通しだが、家族の在り方を変える可能性がある同制度には慎重論や異論も根強く、党内議論の行方は見通せない。
■議論するほど課題
首相は2025年1月21日の党役員会で、選択的夫婦別姓制度に関し
「色々な考え方が党にもある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と呼び掛けた。
役員会に先立ち、自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長が会談し、両党間で共通認識を持ち、国会論戦に臨む方針を確認。
同席した自民の坂本哲志国対委員長は記者団に、子供の姓の選択など様々な論点があると指摘し
「論議すればするほど課題があるということを(自公が)お互いに認識した」
と述べた。
通常国会では、立憲民主党が選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案の提出を予定しており、令和7年度予算成立後の今春にも国会での議論が本格化する可能性がある。
一部の野党だけでなく、公明も推進派だ。
■紛糾避けられず
一方、自民では党内の賛否が割れている。
保守系議員を中心とする慎重派は保守支持層の
「自民離れ」
の更なる加速を懸念し、2025年1月21日の党総務会では出席者の1人が
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
と求めた。
鈴木俊一総務会長は記者会見で
「党の中でも色々な意見があるが、スケジュールありきで拙速に決めるのではなく、十分な議論をした上で納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
との考えを示した。
萩生田光一元政調会長は2025年1月10日のインターネット番組で同制度導入に反対し、
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓を奨励するのは如何なものか」
と述べた。
今後の党内議論の舞台は
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」(座長・逢沢一郎衆院議員)
となるが、紛糾は避けられない。
慎重派は近く会合を開く予定。
一方、
「制度の導入は社会に求められている」
「必要だ」
(中堅)
との声もあり、賛否が混在する状況に自民ベテランは
「党が割れかねない」
と語った。

選択的夫婦別姓「大事な案件。丁寧に取り扱ってほしい」 自民総務会で出席者から意見
2025/1/21 12:27
https://www.sankei.com/article/20250121-ZXOETUYMP5NLVDMHGQ434L2BLQ/
自民党の鈴木俊一総務会長は2025年1月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓制度を巡り、同日の総務会で出席者から
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
との意見があったことを明らかにした。
選択的夫婦別姓制度は2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる見通しだが、自民内では同制度の導入に関して賛否が割れている。
鈴木氏は
「発言は(議論を)拙速に進めるなということであったと思う」
との見方を示し、
「国民の中でも意見が割れている」
「スケジュールありきで決めるのではなく、十分な議論をした上で、納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
と語った。

石破茂首相「わが党としてどうなのだと明らかにしていく必要ある」 選択的夫婦別姓巡り発言
2025/1/21 11:45
https://www.sankei.com/article/20250121-N7BG5NCPERML7BCW34HOE5NMUY/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の自民役員会で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度について
「色んな考え方が党にある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と述べた。
森山裕幹事長が役員会後の記者会見で明らかにした。
首相は、通常国会に臨む姿勢に関しては
「臨時国会と基本的に変わるものではないが、臨時国会で不十分だった所を指摘頂きながら臨みたい」
と強調。
召集日に行われる施政方針演説については
「今年2025年は戦後80年となる」
「国造りの基本軸や、令和の列島改造などなるべく具体的に示したい」
と説明した。

選択的別姓 自民支持層「賛成」24%、立民51% 「通称使用」は立民でも39%
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 18:10
https://www.sankei.com/article/20250120-4XRHISQ6DVJK3KHMD5J4OOCYGA/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、選択的夫婦別姓制度導入の可否を巡る自民、立憲民主両党支持層の見解の差が鮮明になった。
自民の「賛成」の割合は24・7%にとどまったのに対し、立民は51・5%に達した。
一方、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は自民では49・8%、立民でも39・9%を占め、支持政党を問わず希望が根強い傾向が浮かんだ。
選択的夫婦別姓制度に対し、立民や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。
別姓制度導入の法整備に
「反対」
と答えた人は、自民支持層に限ると21・5%となり、全体の14・7%や立民支持層の7・3%を上回った。
「通称使用を広げる」
との回答は、自民、立民以外の政党の支持層でも一定の割合を占め、公明と日本維新の会、国民民主党がそれぞれ4割強、共産党が3割強だった。
「賛成」
は共産で約半数に達し、公明が半数弱、維新と国民民主がそれぞれ3割強となった。
男女・年代別でみると、
男性の場合、「賛成」は18歳〜20代の47・5%が最も高く、「通称使用を広げる」は50代の52・0%、「反対」は70歳以上の24・1%が最高だった。
女性は「賛成」が30代(63・6%)、「通称使用」が60代(59・6%)、「反対」が70歳以上(24・0%)でそれぞれ最も高かった。
「通称使用」
と答えた割合は、男性全体で43・0%、女性全体で47・4%となり、年代別で最も低かった30代女性でも31・4%を占めた。
2025年1月24日召集の通常国会では選択的夫婦別姓制度の法整備が焦点の1つとなるが、導入推進派の政党には通称使用拡大の余地を検討する雰囲気は乏しい。
立民支持層ですら約4割に達する意見を軽視するなら、幅広い民意を踏まえた議論とは言えなくなりそうだ。

「選択的夫婦別姓」6割が導入否定的 世論調査の質問と回答(1月18〜19日)
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 13:03
https://www.sankei.com/article/20250120-HM6MG2V7XFOOPHBBNZJM4G3UNQ/
【問】希望すれば、夫婦それぞれが結婚前の名字を名乗ることができる「選択的夫婦別姓」について、立憲民主党や公明党は今年の通常国会で実現させるための法案の成立を目指している。「選択的夫婦別姓」導入の法整備についてどう思うか
夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる45.2
賛成37.5
反対14.7
他2.6

【問】石破茂内閣を支持するか
支持しない48.7(47.7)
支持する43.5(45.9)
他7.8(6.4)

【問】どの政党を支持するか
支持政党はない37.0(36.9)
自民党29.4(28.1)
立憲民主党10.1(9.0)
国民民主党7.2(11.3)
れいわ新選組3.5(2.9)
日本維新の会2.5(3.2)
公明党2.8(2.4)
他2.6(1.8)
共産党2.2(2.7)
日本保守党1.1(0.5)
参政党0.8(0.7)
その他の政党0.4(0.2)
社民党0.3(0.6)

【問】去年末の臨時国会では、衆院で過半数を割り込む与党が野党の修正要求を受け入れて補正予算が成立した。与党が野党の要求を受け入れる国会対応について評価するか
ある程度評価する57.1
あまり評価しない23.5
非常に評価する7.9
全く評価しない6.5
他5.0

【問】政治資金を巡る問題について、政策活動費の廃止など、政治資金規正法が与党と野党の賛成多数で改正された。政治とカネを巡る問題で自民党の信頼が回復したと思うか
信頼は全く回復していない44.4
信頼はあまり回復していない43.1
信頼がある程度回復した10.4
他1.5
信頼が大きく回復した0.5

【問】政治資金規正法の改正を巡り、「企業・団体献金」の扱いについて、与野党の間で結論が積み残しとなっている。「企業・団体献金」についてどうするべきだと思うか
維持してもよいが、透明性を高めるべき67.9
禁止すべきだ22.9
今のままでよい6.7
他2.5

【問】首相は、今年最初の会見で地方創生を柱に「楽しい日本を目指す」「令和の日本列島改造」などを政権の方針に掲げた。この方針を評価するか
評価しない47.0
評価する45.6
他7.4

【問】「年収103万円の壁」を引き上げる協議で、自民、公明両党は所得税の非課税枠を「123万円」まで引き上げる方針だ。一方で、国民民主党は「178万円」までの引き上げを求めている。どの程度まで引き上げるのがよいと思うか
140万円〜150万円程度まで引き上げるべきだ32.5
178万円まで引き上げるべきだ32.0
123万円まで引き上げるべきだ18.5
103万円のままでよい10.1
他7.0

【問】20日に米国でトランプ政権が発足する。トランプ次期大統領と石破首相の間で日米関係は良くなると思うか
変わらない58.1(59.6)
悪くなる32.5(32.3)
良くなる5.2(5.0)
他4.2(3.1)

【問】24日から始まる通常国会で、石破内閣に取り組んでほしい政策は(2つ選択可)
物価高・賃上げ対策56.0
年金・医療・介護33.6
子供・子育て支援28.4
防災・災害対策19.0
外交・安全保障15.6
地方活性化15.3
行政改革・財政再建9.7
原発・エネルギー政策8.8
憲法改正4.6
他1.8
それ以外0.7

【問】石破政権が今月上旬で発足から100日を超えた。今後、石破政権がいつまで続くのが良いと思うか
夏の参院選まで31.4
夏以降も石破政権が継続29.7
今年春頃の来年度予算が成立した後まで20.7
6月予定の通常国会終了まで13.1
他5.1
(注)数字は%。カッコ内の数字は12月14、15両日の前回調査結果。「他」は「わからない」「言えない」など。

■世論調査の方法
調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。
電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。
内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかと言えば」と再度質問して回答を得た。
調査対象は全国の18歳以上の男女1005人。
小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならない

選択的夫婦別姓は「通称使用の拡大」45・2% 「反対」含め6割が別姓導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 11:43
https://www.sankei.com/article/20250120-ZVXXRT3MH5JVTCTCT4SGG7AVNM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年1月18、19両日に実施した合同世論調査で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」が45・2%
で最多となった。
「賛成」は37・5%、
「反対」が14・7%
だった。
「通称使用の拡大」

「反対」
を合わせると59・9%となり、約6割が選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的なことになる。
同様の質問をした昨年2024年9月の合同世論調査との比較では、
「通称使用の拡大」が1・3ポイント減、
「賛成」が1・4ポイント減、
「反対」が2・7ポイント増
だった。
昨年2024年7月の合同世論調査で、「賛成」か「反対」かの二択で質問した際は、「賛成」が66・6%、「反対」が25・5%だった。

萩生田氏が配信番組で見せた覚悟 岩盤保守層を蔑ろにする「選択的夫婦別姓」導入、石破首相が野党に「同調」なら阻止へ動く考え示す
2025.1/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20250117-YNSCJQHHIVLS3GWIP7FNJBY75Y/
NHKは政治家が他のテレビ局で発言しても民放テレビとしか言及しなかったが、最近は方針を変えたのか、自民党の萩生田光一元政調会長が2025年1月10日夜、櫻井よしこ氏が主宰する動画配信サイトの番組「櫻LIVE」に出演したと報じた。
正確には、「言論テレビ」の番組「櫻LIVE 君の一歩が朝(あした)を変える!」だが、私も一緒に番組に出演して、萩生田氏の「変化」を感じた。
まず、萩生田氏は旧安倍派の会計処理を巡って
「政治不信を招いてしまった」
と反省した。
その上で、昨年2024年10月の衆院選での演説や、その後の衆院政治倫理審査会への出席を通じて説明を果たしてきたとして、
「この問題は去年2024年をもって一区切りにして、今年2025年は乙巳(きのとみ)の年なので脱皮をして、新しいことに挑戦する再生と復活の年にしたい」
との抱負を語ったのだった。
萩生田氏は、岩屋毅外相が中国人の観光客向けビザの発給要件などを緩和する方針を示したことについて、
「ビザの拡大は大きな問題だ」
「党の外交部会などに全くかけず、約束をしてしまったのは問題で、政府のやり方は少し乱暴だ」
と批判した。
NHKもその部分を中心に報じた。
番組に同席した産経新聞の同僚だった石橋文登・千葉工大特別教授も
「自民党支持者を相手に話すことが多いが、外交も内政も全部、安倍(晋三)さんがやっていたことをひっくり返そうとしているとの声が大半です」
と述べたように、石破茂政権は自民党を強く支持してきた岩盤保守層の神経を逆撫でしている。
石破首相らは
「少数与党なので、連立を組む公明党や野党の意見を聞かなければ政権運営ができない」
と言うのかもしれない。
だが、肝心の自民党支持層の声を蔑ろにしていいのかということになる。
その象徴が、通常国会の焦点となる選択的夫婦別姓の導入だ。
萩生田氏は番組で、
「旧姓使用の拡大で対応すべきだ」
と強調した。
石破政権が野党に同調して、法案を賛成しようとした場合については、
「どうやってやるのかをここで言うと、手の内を全部知らしめることになります」
「ただ、しっかり志を同じくする仲間と行動したいと思います」
と述べ、反対する考えを示した。
石破首相は党総裁になる前は、選択的夫婦別姓について
「導入賛成」
の考えを示し、
「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」
と述べていた。
首相になると、2024年10月の衆院本会議での答弁で、
「国民各層の意見や国会における議論の動向などを踏まえ、更なる検討をする必要がある」
と述べるなど、慎重に転じた。
もっとも、立憲民主党の野田佳彦代表は
「自民党の中にも『本当は賛成』という人が結構います」
「党議拘束を外したら一挙に委員会可決する可能性が出てくるでしょう」
(昨年2024年11月の講演)
と攻勢をかける構えを示している。
石破首相が立憲民主党や公明党に同調し、可決の方向に自民党の議論を集約しようとした時、萩生田氏は阻止に動く。
その覚悟を感じた。 
(産経新聞特別記者・有元隆志)

石破首相、夫婦別姓や衆院選挙制度の対応明言せず「予断持って申し上げることしない」
2025/1/11 19:11
https://www.sankei.com/article/20250111-NJSGSKYYFJOD5BUMM5LMKJFNJM/
石破茂首相は2025年1月11日、選択的夫婦別姓制度導入や企業・団体献金の禁止、衆院選挙制度改革など通常国会で与野党の議論が予想されるテーマへの対応について明言を避けた。
「各党、各会派で真摯に議論されることが重要だ」
「政府として今、予断を持って申し上げることはしない」
と述べるにとどめた。
訪問先のインドネシア・ジャカルタで記者団の質問に答えた。
一方で
「結論が得られたら、政府としても必要な対応を取る」
と指摘。
2025年1月24日召集の通常国会での野党との向き合い方に関して、少数与党であることを踏まえ
「多くの賛成を得られるよう誠心誠意説明して参りたい」
とも語った。
選択的夫婦別姓導入には公明党も意欲を示しており、自民党の対応に注目が集まっている。
政治改革を巡る企業・団体献金の扱いは昨年2024年の臨時国会で積み残しとなった。
立憲民主党などが共同提出した禁止法案について、与野党は2025年3月末までに結論を得る合意を交わした。(共同)

「子の名字、もめる原因に」「選択だから、という発想が間違い」 池谷和子・長崎大准教授
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/11 10:00
https://www.sankei.com/article/20250111-JMV3J4X3UJF3TIGJLQGO33UCFU/
選択的夫婦別姓制度をめぐり、産経新聞社が昨年2024年11〜12月に、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
別姓によって生じる家庭内の不和を心配する声もあり、成人した子供が、親の選んだ姓を変えるかどうか選択を迫られる事態も起こり得る。
家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授に、子供を中心とした問題点を尋ねた。

■家族はチームとして同じ呼称に
ーーアンケートでは、約半数の子供が、家族が別々の名字になることに「反対」だった。
親子別姓になり、兄弟別姓にもなるかもしれないと考えた子供が反対するのは自然なことだ。
姓は単なる個人の呼び名ではなく、共同体としてのチーム名。
子供が育つ環境として、家族が『個人の集団』になってはいけない。
全員が助け合う1つのチームとして同じ呼称になるべきではないか。
個人の集団でも問題はないと言う人がいるが、家族には損得勘定というものがない。
個人は損得で物事を判断しがちになる。
法的な権利義務においても、力の強い大人が子供を好きなようにできてしまう危険性も考えられる。
また、これまで引き継いできた名字の繋がりが消えると、世代間にある特有の時間軸も失いかねない。
こうしたことを子供は直感的に分かっているのではないか。

■家庭内の揉め事は子供に悪影響
ーー家庭内の不和を招きかねない
そもそも夫婦別姓にしたい人は自分の名字への拘りが強い傾向がある。
生まれた子供にどちらの名字を付けるかは、当然揉める原因になる。
夫婦間だけでなく、互いの両親も巻き込むだろうし、嫁姑の確執も酷くなる。
家庭内の揉め事は子供にとって悪影響だ。

ーー法律上で懸念されることは
別姓にしたけれど、やはり一緒の名字にするということも想定しないといけない。
子供の姓を変更する時の問題もある。
最初はお父さんの名字で生活していても、物心がついてやはりお母さんの方にしたいとなれば、本人と両親の間で揉めるかもしれない。
成人したら本人の意思で変更できるようにする必要も出てくる。
『嫌だったら後で変更しなさい』と子供に全ての責任を負わせるような制度でもよいのだろうか。

■子供の気持ち、どうにもならない
ーー立憲民主党が野党と共同で国会に提出した民法改正案では、子供の姓は出生時に父母の協議で決定するとされている
話し合って決めるとなれば恐らく1人目はどちらかで、2人目はもう片方の名字で、のような決め方しかできないのではないか。
そうすると、きょうだい別姓になる。
きょうだいは同じ名字でいたいと子供が願っても、その気持ちはどうにもならない。

ーー子供や家族を巻き込むことになる
何でもできる限り好きなように自由にするのがいい、あるいは、困っている人がいるのなら、改善したほうがいという考え方はあってもよいが、それだけで済まないケースも世の中にはある。
推進派には、
「選択だから嫌な人はしなくていい」
「他人には迷惑をかけていない」
という発想があるのだろうが、そこがそもそも間違えている。

<産経抄>夫婦別姓野党案は、親子・兄弟別姓法案
2025/1/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250111-QBCM2G6ENFKTNDNMVUC4YUABNM/
5人家族の鈴木君のお父さんは佐藤姓でお母さんは鈴木姓、弟は佐藤姓で妹は鈴木姓です―。
近い将来、こんな家庭が日本でごく当たり前になるかもしれない。
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党など野党が令和4年6月、国会に提出した民法改正案が成立していれば、既にそうなっていただろう。
▼立民の野田佳彦代表はじめ別姓推進派は法相の諮問機関である法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓制度の導入を答申したことを錦の御旗に掲げる。
とはいえ、法制審案では、子供の姓は結婚時に父母の姓のどちらかに決めるため、兄弟でバラバラになることはない。
▼野党案では子供の姓は出生時に父母の協議で定める。
双方が子供に自身の姓を名乗らせたいなどの理由で意見が一致しない場合、家庭裁判所が
「協議に代わる審判」
を行うことになる。
だが、子供の姓はどちらが相応しいかを国に委ねていいのか。
任された家裁も頭を抱えるのではないか。
▼生まれた子供の姓がなかなか決定できない事態も想定できるが、国連総会で採択され、日本も批准した児童の権利条約は
「出生の時から氏名を有する権利」
を宣言している。
野党案は
「『確信的な条約違反』に該当する恐れがある」(小坂実・日本政策研究センター研究部長)
という。
▼「大人では7割が(選択的夫婦別姓に)賛成」。
野田氏は2025年1月7日掲載の小紙インタビューで述べていたが、これも疑問である。
内閣府が令和3年12月に実施した世論調査では、現在の夫婦同姓維持派と同姓維持の上での旧姓の通称使用法制度化を求める意見を合わせて約7割で、別姓導入派は3割に満たない。
▼「なぜ反対か分からない」。
こう語る野田氏がなぜ分からないか分からない。

自民・萩生田光一氏「旧姓使用拡大で対応。慎重であるべき」 選択的夫婦別姓巡り
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/10 23:41
https://www.sankei.com/article/20250110-NVYV4SHNWNKSFNUBPZUP6ECM5U/
自民党の萩生田光一元政調会長は2025年1月10日夜のインターネット番組「言論テレビ」に出演し、選択的夫婦別姓制度に関し
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓というものを奨励するというのは如何なものか」
「慎重であるべきだ」
と述べた。
今月2025年1月召集予定の通常国会で、立憲民主党は選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だが、萩生田氏は
「どういう分野が(選択的夫婦別姓制度がなくて)一体困っているのかということをきちんと聞き、穴を埋めていけば、別に法律を作る必要はないのではないか」
と指摘した。
その上で
「本当に困っている人ではなく、イデオロギーの意義的にこの制度を変えたい人たちが、困っている人たちの声を代弁しているフリをし、法案を前に進めようとしているのではないか」
と語り、
「この問題は同じ価値観を共にする仲間と行動していこうと思っている」
と強調した。

阿部俊子文科相、選択的夫婦別姓「文科省の所掌超える。議論が深まる中で検討」
2025/1/10 12:25
https://www.sankei.com/article/20250110-GH2XDXDG2JNSHEGVYFMKXKXS2Y/
阿部俊子文部科学相は2025年1月10日の閣議後会見で、選択的夫婦別姓(氏)をめぐり、産経新聞社が小中学生を対象に行ったアンケートで、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えたことについて、
「夫婦別姓に関しては、文科省の所掌を超える」
「アンケート結果に関する見解も含めて述べることを差し控えたい」
とした。
夫婦別姓になると必然的に親子別姓となり、兄弟別姓となる可能性もある。
小中学校での児童生徒への影響も懸念されるが、
「教育現場における対応については、具体的にどのような制度が導入されるかという議論が深まる中において検討していく」
と述べるにとどめた。

参政・吉川氏「子供の視点が見過ごされている」 選択的夫婦別姓は「必然的な親子別姓」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20250108-CJFBYCOJXBGQVCOFABHQSQTRUY/
選択的夫婦別姓の導入に向けた動きが進められる中、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに
「反対」は49・4%
だったのに対し、
「賛成」は16・4%
にとどまった。
昨年2024年10月の衆院選で初当選した参政党の吉川里奈氏は2024年12月の衆院法務委員会で、導入に反対を唱えた。
吉川氏はインタビューに
「日本には家族の名字は一緒という価値観がある」
「家族の一体感が失われる可能性はないのか」
と述べ、
「夫婦は別姓で良くても、子供に選択権はない」
「必然的な親子別姓制度だ」
と指摘した。
吉川氏の発言要旨は以下の通り。
■子供の権利を守るために
選択的夫婦別姓の議論は、子供の視点が見過ごされているように感じる。
夫婦は別姓を望んだとしても、生まれてくる子供は、両親のどちらの姓になるかを選べない。
片方の親とは必然的に別姓になる。
子供への影響や家族の一体感が損なわれる可能性がある。
令和3年に実施された内閣府の世論調査で、夫婦の姓が異なることでの子供への影響について、
「好ましくない影響がある」
と答えた割合は69・0%に上った。
その理由で最も多かったのが
「親と姓が異なると指摘されるなど、対人関係で心理的負担が生じる」
で78・6%だ。
参政党は家族の繋がりや先人から受け継がれていることを大切にする政党だ。
加えて私は子供の権利を守るため、政治に参加した部分が大きい。
議論の進め方もどうか。
まずは、戸籍の姓を変更することなく、職場や社会生活で旧姓の通称使用拡充を進めるべきではないか。
総務省のように各省庁があらゆる場面で旧姓の通称使用ができるようにして、それでも限界があるならば、通称使用拡充の法制度化と、段階を踏むべきだろう。
■国会では様相異なる
世論調査は、メディアの尋ね方も疑問だ。
選択的夫婦別姓について
「賛成」「反対」
の2択で尋ねると、
「賛成」
が多い傾向にある。
ただ、
「賛成」「反対」
に加え、
「同姓維持+旧姓通称使用の法制度化」
の3択にすると、導入を求めない人の割合が多くなる。
聞き方によって民意が誘導されるのはフェアではない。
昨年2024年の衆院選で初当選したが、それまで私の周囲は通称を使っている人ばかりだった。
姓が変わることで結婚して新しい家族を築いたという喜びや親になる自覚を抱いたという人はいても、戸籍は旧姓のままがいいと主張する人には出会わなかった。
ただ、国会では様相が異なっている。
■日本の価値観、失っていいのか
選択的夫婦別姓が議論される衆院法務委は、賛成派が多数を占めている。
明確に反対を表明したのは日本保守党の島田洋一衆院議員と私だけだ。
導入ありきの議論にならないよう、子供の意見表明の機会を確保し、選択的夫婦別姓のデメリットもしっかりと検証、主張して議論を深めたい。
日本は文化的に家族の名字は同じにする、という価値観がある。
「世界では日本だけが同姓制度だ」
との指摘もあるが、世界は多様性に富んでおり、日本もその多様性の1つだ。
日本らしさを失ってまで、他国に倣う必要があるのだろうか。

自民・高市氏 選択的夫婦別姓「最大数は通称使用を求める声だ」「親族間の争い、懸念」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20250107-W5RW4UL5FJEUVNSZEFQAEOYCVQ/
立憲民主党が民法改正案の国会提出に意欲を示すなど、選択的夫婦別姓(氏)の導入が現実味を帯びている。
一方で産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
導入に慎重な自民党の高市早苗前経済安全保障担当相に考えを聞いた。

■家裁の決定で納得できるか
ーー慎重な理由は
最大の理由は、選択式であっても子の氏の安定性を損なう可能性があるからだ。
現在は、婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏のため、出生した子は両親と同氏になるが、戸籍上も別氏の夫婦を認めた場合、子の氏の決め方について、全ての別氏夫婦が納得できるルールが必要だ。
夫婦別氏を求める理由として、一人っ子同士の結婚により片方の実家の氏が途絶えるという事情が挙げられることを考えれば、夫婦双方の実家が子の氏を決める協議に介入する可能性もある。
本来幸せな出産直後に、子の氏を巡って親族間に争いが生じることを懸念する。
戸籍上の夫婦親子同氏、つまりファミリーネームは残した方がよい。

ーー通常国会で立憲民主党が法案を提出する構えだ。立民案の問題点は
過去に国会に提出された立民案では、子の氏について、出生の際に父母の協議で定めるが、協議が調わない時は家庭裁判所が子の氏を定める旨を規定している。
家裁はどのような基準で判断するのだろうか。
離婚時に子の親権を争った過去の裁判例は
『子を養う経済力』
『子との関わりや愛情』
などの要素を総合的に考慮して判断している。
しかし、出生直後の子の氏を争う場合、家裁が如何なる決定をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示せるとは考え難い。

■自民党内でも放置
ーー高市氏は通称使用の拡大を推進してきた
総務相在任中に
『住民基本台帳法』
『国勢調査令』
など総務省が所管する全法令をチェックした。
そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。
合計1142件で旧氏記載が可能になった。
今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている。
免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。
国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。
国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える。

ーー法案も作成し提出している
平成14年と令和2年の2回、自民党政調会の法務部会に提出した。
1回目は反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は審査もされずに放置されている。

■子の視点は貴重
ーー今後の議論はどう進めるべきか。議論の中で果たしたい役割は
令和4年3月に公表された直近の政府世論調査では、戸籍上の同氏維持を支持する回答が69・2%であり、最大数は旧氏の通称使用を求める声だ。
選択的夫婦別氏制度の法制化により戸籍が同氏か別氏かの二択になってしまうと、
『戸籍上は夫婦親子同氏を希望するが、社会生活では旧氏を通称使用したい』
と希望する方々の利便性を高めるための取り組みが遅れることを懸念する。
これまでの旧氏併記の取り組みも水泡に帰す。
この点をしっかり伝えていきたい。

ーー小中学生を対象に産経新聞が実施したアンケートによると、家族で名字が別になることに「反対」が約50%で「賛成」を上回った
子の視点からのアンケートは、珍しく貴重だと思った。
18歳以上を対象にした政府の世論調査でも、夫婦の姓が違うことによって子供に
『好ましくない影響があると思う』
と回答した方が約7割だった。
やはり、夫婦別氏制度の導入については、慎重な検討が必要だと思う。

夫婦別姓導入「前進する年」と意欲 公明・斉藤代表「社会の多様性、国際的視点から必要」
2025/1/6 12:53
https://www.sankei.com/article/20250106-EWBT22YCPVHSHO4Q4ML6764BUY/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年1月6日、東京都内で開いた党の新年仕事始め式で、選択的夫婦別姓の早期導入に向けて議論をリードしていく考えを示した。
「社会の多様性や国際的な視点から必要な制度だ」
「前進する年にしていきたい」
と述べた。
斉藤氏は昨年2024年12月18日に石破茂首相(自民党総裁)に対し選択的夫婦別姓に関する実務者協議を打診している。
斉藤氏は
「きょうだいが複数いる時の姓をどうするのか細部を提示する案はまだどの党からも出ていない」
「与党として実務者協議を始めようと申し入れている」
「首相は
『一旦引き取らせてほしい』
という答えで、2024年年末に会った時も
『もう少し検討させてほしい』
だった」
と語った。

立民・野田代表「賛成が16%いるのでしょう?」「なぜ反対か分からない」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/6 10:00
政治
https://www.sankei.com/article/20250106-2TX7ILQS7NMOVFPPJ23JNZ7TDI/
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党の野田佳彦代表に狙いを聞いた。

ーー選択的夫婦別姓の意義は
選べるという点ではないか。
同姓で不都合を感じる人がいるならば選択できるようにする、改善するのは合理的な考え方ではないか。
それだけのことだ。

ーー小中学生約2千人を対象に行った本紙調査で、「別々の名字にしたい」は13・6%だった
結婚や社会人になって働くことに対するリアリティーがなく、分からないというのが率直なところだろう。
大人では7割が賛成となる。
大人になると、家族の問題で色々な不都合を感じることがあるのかなという受け止めだ。

ーー両親が別姓を選択した場合、同じ家族で名字が別になることに「反対」が49・4%、「賛成」が16・4%だった
賛成が16・4%いるのでしょう?
だから選択的が必要になる。
一緒がいいなら一緒を選べばいい。
基本的には国ではなく、家族が決めればいい。

ーー家族の一体感が損なわれるとの懸念がある
同姓でも家庭不和は生まれる。
あまり合理的な話ではない。

ーー通称使用の拡大でも対応できるのでは
通称使用を拡大しても不都合を感じている人たちが実に多い。
不動産登記などでビジネスを阻害している側面があり、経団連も選択的夫婦別姓の実現に向け動いている。
海外に行くと、尚更不便だ。
通称使用では限界という事例がたくさんある。
強烈な不都合を感じる人たちが何人もいるならば、対応を考えることは当然だ。

ーー衆院は少数与党だ。どう議論を進めるか
できるだけ多くの野党に声をかけて議員立法で出していく。
政府が法案を提出するとの話も聞く。
政府案が提出されなければ野党案をベースに議論してもらいたい。
野党としてまとまった方が与党との交渉で迫力が出てくる。
公明党も基本的には賛成の立場なので、よく連携していきたい。

ーー野田氏は衆院法務委員長ポストの獲得を指示し、立民議員が就いた
法務委では長い間、放置されてきたテーマが多い。
選択的夫婦別姓も平成8年に法制審議会の答申が出たが、政府は腰を上げず国会でもまともに議論されなかった。
放置されてきたテーマを議論する意味で、意義のあるポストの獲得だった。

ーー参院では与党過半数のままだ
衆院通過した法案を参院が潰すことは大変勇気がいる。
2025年夏の参院選前に反対した人たちは追い込まれるのではないか。
参院法務委員長は公明だ。
衆院通過した場合の参院の対応は見ものだ。
昨年2024年12月の講演で
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上に上らされないことは、もう通用しない」
と述べた
世論も7割、経団連も『早く決着を付けろ』という中で、なぜそこまで強く反対する人たちがいるのか。
選べるわけだから。
なぜ選んではいけないのか、よく分からない。

ーー自民などの反対で法案が成立しなければ、内閣不信任決議案を提出するか
理不尽な形で妨げられたならば、そういうことになるかもしれない。
議論を見ながらの判断だ。簡単に不信任案を振り回そうと思っていない。

夫婦別姓間の子供の名字は家庭裁判所が決める 新たな家族不和の火種「いっそくじ引きで」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/5 10:00
https://www.sankei.com/article/20250105-2O4UALZDWVL47IYBPVXR6AKEKM/
選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では
「旧姓使用拡大」
が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。
中には
「保守派に配慮した」
などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。
同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について
「あると思う」は69%、
「ないと思う」30・3%
という結果もあり、
「ある」
と答えた人の理由(複数回答)は
「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、
「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%
が多かった。
では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。
子供の姓については
「出生の際に父母の協議で定める」
としており、一致しない場合は
「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」
とした。
この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。
仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。
■くじ引きが合理的
弁護士の北村晴男氏は
「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる」
「裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」
と指摘する。
夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、
「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」
と判断した。
更に
「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を1つにするのは合理的」
と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。
この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など平成27年以降の状況を踏まえた上で尚
「判断を変更すべきものとは認められない」
と結論付けている。
■新たな人生が始まる
この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層
「改姓の喪失感」
「精神的な負担」
が強調されるようになった。
昨年2024年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの
「過酷な二者択一」
を迫っていると指摘。
「家族の在り方や国民意識の多様化」
が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。
もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば
「強制的親子別姓」
となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。
家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は
「夫婦間だけでは済まない話だ」
「嫁姑の確執も酷くなるだろう」
と危惧する。
孫の名字を巡って双方の祖父母が争いになる可能性もある。
また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。
国士舘大学の百地章名誉教授は
「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す」
「我が国が長年維持してきた戸籍制度の解体に繋がる」
と警鐘を鳴らす。
先の内閣府の世論調査には、
「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)
との問いもある。
最も多かったのが
「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、
次が
「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)
だった。

選択的夫婦別姓制度の導入、小中学生も半数が「反対」 産経新聞調査、子供たちの考え方が統計的に明らかになるのは初
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-RVHIXOJPMBIBHLI3S5IP4HO6GI/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが産経新聞の調査で分かった(2025年1月1日報道)。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割に上った。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
調査は、全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗した。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親や兄弟姉妹と違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49.4%、
「賛成」16.4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18.8%、
「よくわからない」15.4%
で、反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13.6%
だった。
男女別で大きな違いはなかったが、自身が
「別姓にしない」
は男子(56.7%)より女子(63.4%)
のほうが上回った。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)
2025/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20250104-CWCQ5CGQ5BPMFIJ5XAZLSMQCCM/
■立民の印象操作に乗せられるな!
「選択肢が増える」
という物言いに対して、大半の人は
「いいじゃない」
と反応するだろう。
ただ、そこに巧妙なワナが仕掛けられていることもある。
ある結婚情報サイトが、選択的夫婦別姓制度について、そのメリット、デメリットについて解説し、こうまとめている。
「以前よりも、多様性を認め合う社会へと進むなかで、個人の権利や選択肢を尊重する傾向はますます強まっていくと考えられます」
「夫婦間の姓をどう選ぶかもそのひとつです」
「夫婦別姓が導入されても、すべての夫婦が別姓になるわけではなく、あくまで選択肢が増えるということ」
メディアに流れているのはこんな物言いばかりだ。
こうした情報環境のなかで暮らす人々が、アンケートで
「この制度を導入すべきだと思いますか」
と問われれば、多くが
「導入すべきだ」
と答えるに違いない。
法務省のサイトに、令和3年に実施した
「家族の法制に関する世論調査」
の結果が掲載されている。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27・0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42・2%、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28・9%
だった。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は昨年2024年10月末、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告をした。
女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多く、それが差別的だというのだ。
そうした流れの中で、立憲民主党は先の総選挙で与党が過半数割れとなったのに乗じて、衆院法務委員会の委員長ポストを要求して確保した。
委員長は同制度の導入にとりわけ熱心な西村智奈美議員である。
立民はCEDAWの勧告や、
「結婚後に夫婦のいずれかの氏(うじ)を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」
という法務省の調査を利用して、日本がさも女性に差別的で後進的な国であるかのような印象操作を行っているようにみえる。
安倍晋三元首相の暗殺後、リベラル派に乗っ取られた感のある自民党の中にも
「導入すべきだ」
と考える者が少なくなく、うかうかしていたら、すぐにでも民法改正が実現してしまいそうな勢いだ。
■憲法改正に匹敵する案件
12月5日の衆院予算委員会において、自民党の山下貴司議員は、同制度を巡り
「旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういうニーズに応えられていない」
「女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要がある」
と、石破茂首相の考えを問いただした。
これに対して石破首相は
「前の姓を変えなければならないということに対して物凄く辛くて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います」
「それは女性が95%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう」
と、情緒的な答弁をし、同制度の導入に前向きな姿勢を示した。
石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《世の中はなかなか直りにくいものである》
《人々は自分を圧迫するものに対して余りにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかり焦り、それにはどんな代償がいるかを考えない》
《我々はたくさんの実例によって、社会は普通、直されて却って悪くなることを知っている》
(第3巻第9章「全て空なること」関根秀雄訳)
同制度の導入がどんな副作用をもたらすか、十分に議論されているとは到底思えない。
導入に伴う民法改正は、憲法改正に匹敵するほどの最重要案件であると私は考えている。
国民投票に付してもいいほどだ。
しかし、国民投票が実施されるのは国会が憲法改正を発議した時だけだ。
ならば、今年2025年実施される国勢調査に合わせて、同制度導入の可否を問うアンケートを実施したらどうだろう。
■家族制度こそが社会を規定する
私が家族制度に拘るのは、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』(藤原書店、石崎晴己訳)の影響だ。
下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、トッドは家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てた。
家族制度が人間の心性に大きな影響を与え、ひいては人間が形成する社会を特徴付けてゆくというのだ。
トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か、きょうだいの関係が平等か否かによって分類する。
そこから導き出されるのが、
@親子関係が自由主義的できょうだい関係が不平等(長子優先)=絶対核家族、
A親子関係が自由主義的できょうだい関係が平等=平等主義核家族、
B親子関係が権威主義的できょうだい関係が不平等=直系家族、
C親子関係が権威主義的できょうだい関係が平等=共同体家族
の4つである。
例えばパリ盆地を中心とするフランス北部はAの平等主義核家族であり、それゆえにこの地が
「自由・平等・友愛」
を唱えるフランス革命の担い手となった。
@の絶対核家族が優勢なのはイングランドと、その移民の子孫であるアメリカだ。
この家族型が、個人の自由を絶対視し平等に無関心な強欲資本主義の母体となった。
Cの共同体家族は、西ヨーロッパにはまれで、ロシア、中国、ベトナム、東ヨーロッパに多いという。
この家族型がもたらしたのは言うまでもなく社会主義革命である。
ちなみに戦前の日本は間違いなくBの直系家族だろう。
この中で育まれた心性が、明治以降であれば天皇に対する態度、日本軍のありように投影されていたように思う。
現在の日本がどの家族型に当てはまるかは判然としないが、権威主義的でなくなったことだけは確かだろう。
そこに付け入ったのが選択的夫婦別姓制度推進派だ。
私は邪推する。
女性差別撤廃を掲げる彼らの本当の狙いは、家族を精神的に解体し、更には戸籍制度も廃止して、日本人をバラバラにすることではないかと。
その上でバラバラになって寄る辺なく浮遊する日本人をCの共同体家族としてまとめあげようとしているのではないかと。

韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/4 10:00
https://www.sankei.com/article/20250104-GNUKUJWJCZNKHJTBSELPBB5IWA/
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」
韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。
いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での
「別姓」
という印象を抱いている。
韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。
その姓氏制度は、東アジアで最も
「男性中心的」
とされる家族制度に起因するものと言える。
例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。
一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。
子供の姓については、
「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」
と民法で規定。
例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に
「尹」
の名字を引き継ぐ形となる。
例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。
■実家を説得する余力
2024年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。
だが、半年以上経った現在も尚苦悩している。
陳さんは
「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」
というが、
「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。
夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。
ただ、日本の
「夫婦別姓推進派」
は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、
「海外では別姓が主流」
「日本は遅れている」
との主張も少なくない。
米国では1970年代に全ての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。
基本的には婚姻時に
@夫の姓を選ぶ
A妻の姓を選ぶ
B別々の姓を維持する
C両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する
というパターンがある。
ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。
■姓を後世に残す動き
中国では中華人民共和国建国翌年の1950年に施行された婚姻法で夫婦別姓が明記された。
現在、子供の姓は両親のどちらかの姓を選択するが、韓国同様、一族を重視する価値観から、父親の姓を名乗るケースが多かった。
一人っ子政策が廃止された2016年以降は、兄弟姉妹で父母それぞれの姓を名乗る現象が一部で起きている。
両親それぞれの姓を後世に残そうとする動きと言える。
ただ、兄弟姉妹で別姓を名乗ることが、学校でからかいの対象になる、といったケースも報告されている。
各国の家族の枠組みについて詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は
「夫婦の姓に関する制度は国の慣習によって異なる」
「時代や価値観の変化に合わせて利便性や公平性などの観点から米国やドイツでは夫婦別姓が選択できるようになった」
と言及。
一方で、両国では夫婦同姓を選ぶ人が多数派を占めている現状について、
「子供も同じ姓になったほうが親としての証明が容易となるメリットがある」
と指摘した。

選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20250103-33B4YHNURFNUXFSJKAGPJITCPQ/
「個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクだ」。
経団連は昨年2024年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表。
十倉雅和会長は記者会見で理由をそう説明した上で、
「改正法案を一刻も早く国会に提出していただきたい」
とも踏み込んだ。
トヨタ自動車など日本を代表する企業1500社以上で構成する経団連は、経済界が直面する課題の意見を取りまとめ改善策などを発信する役割がある。
だが、今のタイミングで提言するほど、選択的夫婦別姓は経済界の喫緊の課題なのか。
産経新聞社は昨年2024年11月中旬から2024年12月上旬にかけて主要111社にアンケートを実施。
社内で旧姓呼称を認めているかを尋ねたところ、
「認めていない」
とする企業はゼロだった。
「慣例として認めている」が58・6%、「就業規則などで認めている」が29・7%。
「無回答」が11・7%あったとはいえ、9割弱の企業が何らかの形で旧姓呼称を当たり前に認めているのだ。
■国家資格はほぼ旧姓OK
さらに経団連が求める法制化の是非も聞いたところ、
「実現すべき」は25・2%で、
「現状で不都合がないので慎重に議論すべき」も10・8%あった。
もっとも「無回答」が最も多い63・1%あり、判断に迷っているのか、経団連の方針に異議を唱えにくい雰囲気があるのかはわからない。
夫婦別姓をめぐる議論は働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証、銀行口座などの名称変更の煩わしさから旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
職場での呼称が解決に近づいているのであれば、残る課題はどうか。
内閣府によると、昨年2024年5月末現在で320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格も条件に若干の違いがあるだけだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも旧姓併記ができる。
金融機関も既存口座の旧姓名義による取引を認めており、一部認めていない場合もシステム改修が進めば対応可能になるという。
もっとも、こうした事実が広く周知されているとは言い難いのも事実だ。
■不便さは残るが
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。
ある大手企業の役員は
「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」
と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。
パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。
だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年2024年末、
「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」
と述べた。
「困っている人」
とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は
「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている」
「選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」
と指摘している。

公明、立ち位置に苦慮 政策実現も手柄は野党 来夏の都議選、参院選へアピール模索
2025/1/2 16:26
https://www.sankei.com/article/20250102-7MRII3PF6JOHXDIQCRV7IFLMXE/
公明党が自民党との連立政権で立ち位置に苦慮している。
石破茂政権が少数与党になったことで、法案成立に向け野党の国民民主党や日本維新の会に配慮せざるを得なくなり、
「政権の政策に党の主張を反映させる」
という存在意義が揺らいでいるためだ。
「年収103万円の壁」
の引き上げなどは公明も主張してきた政策だったが、自民から譲歩を引き出した野党側の成果として扱われ公明は埋没している。
公明の斉藤鉄夫代表は2025年1月2日、東京・池袋駅前で新春の街頭演説を行い、今夏2025年夏の参院選、東京都議選に向けて
「新しい公明の最初の戦いとして、何としても押し上げてほしい」
と支持を訴えた。
だが、世論や支持者へのアピールは、いまいち広がりを欠いている。
昨年2024年12月26日、斉藤氏は記者団にこう強調した。
「予算案の取りまとめに当たっては、野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきたという自負がある」
党の政策実現ではなく、合意形成への貢献をアピールせざるを得ないところに、今の立ち位置の難しさが伺える。
年収103万円の壁引き上げは自民、公明、国民民主の3党協議で実現し、これを看板政策とする国民民主の手柄とされた。
公明も以前から103万円を含む年収の壁解消を訴えており、令和7年度税制改正には高校生世代の扶養控除の維持など公明の主張も反映されたが、存在感は乏しい。
それでも斉藤氏は2025年1月2日の街頭演説で3党協議に言及し
「予算審議の途中に、色々な修正があり得るのかもしれない」
「協議に真摯に対応していきたい」
と国民民主への歩み寄りを示唆した。
石破政権は維新とも連携を図り、自公維3党による教育無償化の実務者協議を昨2024年末に始めた。
教育無償化もまた、公明が力を入れてきた政策だ。
公明幹部は
「公明だけでは引き出せず、野党と一緒なら引き出せると言われる」
「忸怩たる思いだ」
と漏らす。
先の衆院選で、公明は自民派閥のパーティー収入不記載事件の呷りを受けて議席を大幅に減らした。
2025年夏の参院選と都議選を睨んだ反転攻勢に向け、自民と同一視されることを避け、独自色を打ち出したい考えだ。
自民内で賛否が分かれる選択的夫婦別姓制度でも、党内議論を深めるよう強く自民に要求している。
とはいえ、自民との連立関係を崩すこともできない。
公明関係者は
「支持者からはいつまで自民とやっているんだという声もある」
「だが、もう4半世紀続いている」
「野党になったら何もできない」
とぼやいた。

年内にも現実味帯びる選択的夫婦別姓 立民、通常国会に法案提出へ 公明も賛同
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20250102-T64AG4MHX5I5HJD4BQLW36T3LA/
立憲民主党は今月召集の通常国会で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だ。
党内でも賛否がある自民が立民案に乗るとは考えにくいが、導入を求める公明が立民案に賛成すれば、連立与党内で対応が分かれる異例の事態となる。
自民に一定数いる推進派が賛成すれば衆院で可決され、家族の在り方を大きく変えうる制度の導入が2025年年内にも現実味を帯びている。
衆院選の公約では、選択的夫婦別姓には立民と公明の他、国民民主、共産両党やれいわ新選組なども賛成。
自民と日本維新の会は
「旧姓使用の拡大」
を主張しており、衆院法務委員会の構成を見れば、賛成派は過半数に届かない。
ただ、衆院選後に就任した維新の前原誠司共同代表は
「個人として賛成」
と表明。
公明の斉藤鉄夫代表も
「決断する時だ」
との考えで、石破茂首相(自民総裁)に与党協議を進めるよう直接要請している。
これに対して自民では旧姓使用の拡大を軸にした対案を出す可能性があるが、他党の賛成がなければ数の上で可決はおぼつかない。
何よりも自民内の推進派が造反する可能性がある。
自民では党の方針に反した場合は処分の対象になり得るが、党内の分裂を避けるため党議拘束をかけないとの見方もある。

選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:05
https://www.sankei.com/article/20250102-CV4VLTYCYRL4LHL3FHZJHRA3OA/
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。
先月2024年12月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。
令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では
「ノイジーマイノリティー」
が逆転しているようだ。
「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。
局面が変わったのは昨年2024年10月の衆院選だった。
与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。
衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。
しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を
「返上」
した代わりに
「敢えて法務委員長を取りにいった」(野田氏)
からだ。
賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。
■早く決めてほしい
自民内でも以前から議論はあった。
令和3年3月に推進派の
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)
が立ち上がると、翌月令和3年4月には慎重派が
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
を設立。
同年令和3年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。
別姓推進派の中堅議員は
「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう」
「残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。
慎重派のベテラン議員は
「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」
と明かす。
■修正を加える形で
慎重派の念頭にあるのは
「家族の一体感」
を大切にする本来の保守層の
「自民離れ」
が加速することだ。
ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。
立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば2025年3月の来年2025年度予算成立後の2025年4月以降となる見通しだ。
昨年2024年の臨時国会では、政治改革関連で与野党が9法案を提出。
国会審議や各党協議の末に3つの法案が成立した。
このうち政策活動費廃止の法案は野党案に自民が賛成した。
推進派若手は
「少数与党のうちに野党案に修正を加える形で決着をつけた方がいい」
「そうでないと、自民を分断しかねない爆弾をずっと抱えることになる」
と本音を漏らした。
仮に自民が党議拘束をかけず、立民案が衆院で可決された後は参院に舞台が移る。
参院は現在も自公で過半数を占めるが、衆院の段階で立民案に公明が賛成していることを前提とすれば、自民は日本維新の会などを巻き込まない限り
「少数派」
に転落し、立民案が成立する可能性がある。

新聞各紙、元日1面トップは中国の拡張、能登の思い、民主主義企画…産経は夫婦別姓と子供
2025/1/1 19:29
https://www.sankei.com/article/20250101-FILLPV42SBDGLNW3Y2ENVFSW44/
元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。
令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
■夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年〜中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が
「家族で名前が変わるのは反対」
と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が49・4%で
「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
■中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
■デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて
「デモクラシーズ これまで これから」
と題した連載企画の掲載を始めた。
最新のデジタル技術を生かして民主主義を
「アップデート」
させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
■強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、
「逆転の世界 備えよ日本」
と題した。
多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。
局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
■つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。
延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる
「関係人口」
の拡大について考察した。
■招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。
地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。
式の中身はまだ決まっていない。
ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250101-QGCTY3PY4JEHLHHXAFDFEVX2LQ/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが、産経新聞社の調査で分かった。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割にのぼった。
立憲民主党が夫婦別姓の民法改正案の国会提出に意欲を示しており、石破茂首相も昨年2024年末
「議論の頻度を高める」
と述べた。
自公与党も前向きな議員が多いことから、次期通常国会での法案成立が現実味を帯びている。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題に配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
年齢層の低い小学生は対象数を絞った。
小中学生共に学校を通じた場合は、教員が調査の趣旨を説明した上で、立ち会う形式を取った。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「全く知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よく分からない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49・4%、
「賛成」16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18・8%、
「よく分からない」15・4%
で反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%だった。
小学生だけに絞ると、
別姓に「反対」は46・2%、
自身が「別姓にしない」は55・8%
で全体よりやや低かったが、各質問共に
「分からない」を選ぶ傾向が強かった。
男女別で大きな違いはなかったが、
自身が「別姓にしない」
は男子(56・7%)より女子(63・4%)のほうが上回った。
別姓の是非で
「親が決めたのなら仕方がない」
と消極的な賛成を選んだ女子(22・6%)も男子(15%)より多かった。
学校や学年別、民間調査会社による調査でも、結果の割合に大きな差はなかった。

選択的夫婦別姓、法律に「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-L3VK2UL4H5EMJPW6X5DVUGNXJQ/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査の質問項目と詳しい結果、調査の方法は以下の通り。
質問項目と回答
選択的夫婦別姓調査 質問項目と回答
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)について、みなさんの意見を聞かせてください。答えたくない人は、答えなくてかまいません。
【質問】
1.いま、社会で問題となっていることに「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)」があります。
日本では結婚(けっこん)するときに
「男性(お父さん)か女性(お母さん)のどちらかの名字と同じにしなければならない」
ことが法律(ほうりつ、国のルール)で決まっています。
この法律を
「それぞれ別々の名字のままでも結婚できる」
ように変えようというものです。
こうしたことについて、知っていましたか。
回答者1971人 男子 女子 全体(%)
○よく知っていた 16 17.9 16
○少し知っていた 34.3 43.3 37.1
○まったく知らなかった 28.7 23.9 26.2
○ほとんど知らなかった 21 15 20.7
2.いまは結婚してからも、結婚するまえの名字を会社で使ったり、手続きをすれば、免許証(めんきょしょう)やパスポートに結婚する前の名字をならべて書けるようになったり、これまでできなかったことができるようになっています。
それでも、あなたは
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ように法律を変えたほうがよいと思いますか。
回答者1966人 男子 女子 全体(%)
○変えたほうがよい 32.9 37.4 34.9
○変えないほうがよい 31.6 30.7 30
○よくわからない 35.6 31.9 35.1
3.もし、法律で
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ことが決まり、お父さんとお母さんが別の名字になったら、子供もお父さんかお母さんのどちらかとはちがう名字になったり、兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかでちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子 全体(%)
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9 16.4
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15 22.6 18.8
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51 49.2 49.4
○よくわからない 18 11.4 15.4
4.みなさんが結婚するころには
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
と法律が変わっているかもしれません。
そのとき、あなたはどうしますか。
回答者1955人 男子 女子 全体(%)
○自分の名字を大切にしたいので別々の名字にしたい 14.3 11.8 13.6
○家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない 56.7 63.4 59.9
○よくわからない 29 24.9 26.5
5.この問題についてあなたの思ったことを自由に書いてください
■調査の方法
協力を得た首都圏、関西圏の中学校6校約1600人(中1〜中3)、首都圏の小学校1校の53人(6年生)にホームルームや社会科の時間などを使って教員立会いの元で無記名で行った。
回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けに説明文を用意したが、使用については各学校に任せた。
答えたくない場合は設問によっても答えなくてよいことを徹底したため、回答数にはばらつきがでた。
中学生では男女を回答していない生徒も若干名いた。
休みや早退の生徒数が把握できていない学校もあり回答率は一概に出せないが、中学生は約93%、小学生は84%。
民間調査会社の調査は、会員登録している全国の小学4年〜中学3年を対象に、説明文を含め同内容のアンケートで実施、自ら回答した小学生が100人、中学生が300人を超えた時点で終了し、学校分に加えた。
最終的な回答数は合計で1954人〜1971人。
男女比は男子48%、女子52%。
調査はいずれも昨年2024年11月下旬から12月中旬に実施した。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 教員向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-JDZ6FZ2FUVFDLGGPQDWRNLBKIM/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
教員向けの説明文は以下の通り。
教員向けの説明文
選択的夫婦別姓は年明けの国会で議論され、可決される可能性も高くなっています。
現状、夫婦別姓を望む人には、職場などでの旧姓使用やクレジットカードなどの名義変更などが煩わしいという理由と、自身のアイデンティティのためという2つの理由があります。
ただし前者についてはほぼ解決済みであり、旧姓使用を認めない職場もほとんどありません。
後者については
「心の問題」
です。
「選択制なので選びたい人だけだからいいのでは」
「自分の意思だからいいのでは」
という意見もありますが、婚姻制度の自由度が高まることで、逆に家族、親族内の争いの種になりかねないという見方もあります。
また、生まれてくる子供にとって選択肢はなく、
「強制的親子別姓」
「強制的きょうだい別姓」
になりかねません。
今、マスコミではここの議論をあまりしていません。
世論調査などは
「選択的夫婦別姓」
か、
「現状の夫婦同姓」
か、の2択しかなく、
「旧姓使用の拡大」
は選択肢に加えられていません。
影響を受ける人の中には子供も含まれるにもかかわらず、その意見も全く取り上げられていないのが現状です。
本来であれば、文科省や法務省など国の機関が綿密に子供向けアンケートなどをすべき内容ですが、そうした国の動きを後押しする意味でも、今回産経新聞社として子供たちの声を聞いてみようと考えました。
ただし、このようなアンケートは各家庭のご事情もあり、ハードルが高いことは承知しております。
また、産経新聞社の考え方に偏らないよう、質問内容は客観性を保つように致しました。
ご検討何卒よろしくお願いします。
○アンケートについて
・答えたくない子供は答えなくて構いません。
・学校名は匿名希望の場合は匿名で構いません。
・対象は小4以上の小学生と中学生とします。
・できればクラス単位、学年単位がよいですが、無理な場合は個別でも構いません。
・自由記述の欄に書ける子供はぜひ書いていただければと思います。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 子供向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-HE4Y72OPLZF2JPXUIFFXDB7J7Y/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
子供向けの説明文は以下の通り。
子供向けの説明文
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)についての質問
みなさんに、いくつか質問をしたいと思います。答えたくない人は、答えなくてもよいです。
さいきん、よくテレビのニュースなどで、選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)ということばを聞きます。
これは結婚(けっこん)するときに男の人と女の人の名字(上の名前)を別々にしたい人はしてもよい法律(ほうりつ、国のルール)にしようという意味です。
もし、結婚したあとに子供が生まれて、お父さんとお母さんの名字が別々だったら、子供の名字はどちらかに合わせなければなりません。
生まれてきた子供はお父さんかお母さんの名字とちがったり、お兄さん、お姉さん、弟、妹とも名字がちがったりすることが出てきます。
たとえば、お父さんは田中さん、お母さんは佐藤さん、最初の子供は佐藤さんで、弟は田中さんになるかもしれません。
どうして、こうしたことが問題になっているかというと、はたらく女性がふえたことに関係があります。
これまで結婚する相手の名字に合わせるのは女性のほうが多く、結婚して名字が変わると会社などで呼び名が変わったり、免許証(めんきょしょう)やパスポートなどの名字を変えなければならなくなるなど、大変なことがありました。
しかし、いまでは会社で結婚する前の名字を使ったり、免許証なども結婚前の名字をならべて書けるようになったりしています。
ただ、免許証やパスポートに結婚前の名字を載せるには、役所の書類を出さなければならないなどの手続きが必要です。
それでも、結婚したからといって、ずっと使ってきた名字を相手の名字に変えるのは、納得(なっとく)できない、いやだ、という人もいます。
名字を一緒(いっしょ)にしたい人はすればいいし、一緒にしたくない人はしなければいいという考える人もいます。
質問は、このことについてみなさんの考えること、思うことを聞くものです。
くりかえしますが、答えたくない人は答える必要はありません。

ファミリーネーム喪失、選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」 政府は子供の意見を聞け
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:30
選択的夫婦別姓の法制化を望む人たちに
「国民の70%が賛成」
声があるが、その根拠は2択のアンケートだ。
朝日新聞もNHKも
「法を改正して夫婦が希望すれば別々の名字でもよいか」
を賛成、反対で問い、その結果を
「選択的別姓『賛成』7割」
などと伝えている。
現在、企業や公的機関などで進んでいる
「旧姓使用の拡大」
を法的に整備するという選択肢は最初からないのだ。
産経・FNN合同世論調査も以前は2択で賛成66・6%、反対25・5%だったが、昨年2024年9月に3択目を加えたところ、賛成38・9%、反対12%、旧姓使用拡大46・5%と大きく変わった。
令和3年12月の内閣府の世論調査でも
「同姓維持」27%、
「別姓導入」28・9%、
「旧姓使用拡大」42・2%、
が出ているが、こうした結果はほとんど生かされていない。
「選択的」
だからよいという意見もあるが、選択できるのは誰か。
生まれてくる子供にとっては親の意向で強制的に
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
ファミリーネームが喪失するという事態を
「選択者」
である親は一体どこまで想定しているのか。
今回、小中学生に行ったアンケートではどちらかの親や、きょうだいと別の名字になることについて半数が反対と答えた。
これが多いか、少ないか判断は分かれるだろう。
夫婦別姓
「賛成派」
からすれば、
「未熟な子供に聞く」
という調査自体に不快感を持った人もいるかもしれない。
ただ、法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである。
仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えるならば、ぜひ他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい。
文科省も、子ども家庭庁も出番ではないか。

「家族感が減る」「同姓は時代遅れ」小中生、正面から回答 選択的夫婦別姓2000人調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250101-F35HRVOR7FHZRH24ROBSXF5VBU/
「家族内で違う名字だと家族感が減りそう」
「強制的に同じにさせるのは時代遅れ」―。
産経新聞が小中学生を対象に行った選択的夫婦別姓の導入を巡るアンケート。
自由記述欄を見ると、賛否を超えて子供たちが正面から問いかけに向き合ったことが分かる。
立ち会った教員は
「想像していたより真剣に取り組む姿が印象的だった」
と話す。
■きょうだいなのに
自由記述で目立ったのは、選択的夫婦別姓制度で、結果的に家族の姓がばらばらになりかねないことを心配する声だった。
大阪府の中学男子は
「名字を別々にするような人なら、子供の名字をどうするかでけんかになるかもしれない。名字が違うと他人感がある」。
千葉県の小学男子は
「家族で名字が変わってしまうと、まるで別人みたいで家族感が減りそう」
と書いた。
夫婦が別姓を選ぶことには賛成しつつ、
「子供が生まれた家庭で兄弟姉妹の姓がバラバラなのは違和感を抱く」
と記した京都府の中学女子も。
大阪府の中学女子は
「選択できた方がよいが、兄弟が違う名字というのはよいものではない」
とした。
■万一離婚したときに
夫婦別姓に賛成する声も少なくなかった。
東京都の中学女子は
「名字が変わることで、もう一度覚え直してもらう必要があったり、万一離婚した際に、職場や学校の人に名字が変わったことを伝えなければならず、精神的な負担も小さくない」
と説明。
茨城県の中学男子は
「名字を強制的に同じにさせるのは、少し時代遅れだとも感じている」
と書いた。
アンケートは各家庭の個別の事情に踏み込んでしまう恐れもあったが、
「私の両親は夫婦別姓。私はハーフなので賛成します」(中2女子)、
「現状のままでは離婚後に名字が変わると、『あ、この人離婚したんだ』」と好奇の目で見られてしまう。自分もそうだったので、そのようなことは避けたいから、夫婦別姓には賛成」(中3男子)
という意見もあった。
千葉県の中学女子は
「海外でも夫婦別姓の国や自分と相手の名字を続けて登録できる国があり、日本もこだわる必要はない。事実婚は相続などで不利になるので、平等になるようにしてほしい」
と、より深い考えを述べた。
「日本の伝統なので絶対に法律を変えない方がよいと思う。いまこの問題よりも台湾有事に向けて動いた方がよい」(中3男子)
という意見もあった。
■自然発生的に議論も
大阪府の私立中の教員は、アンケートに取り組む生徒の様子について、
「最初は静かに取り組んでいたが、しばらくすると自然発生的に生徒同士で意見を交わす姿もみられた」
と話す。
議論になるうち
「『兄弟で姓が変わるというのはいやだね』とか、『そもそも結婚ってどういうことなのだろう』などの声も聞かれた」
という。
千葉県の中学女子は
「個人の考えもあると思うため、別々の名字でもよいと最初は思いましたが、家族の中で名字が分かれてしまうと、同じ家族であることの証明が難しくなるなど欠点もあると思ったので、最終的には法律を変える必要はないと思いました」
と考えの変遷を記した。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/693.html#c79
[国際35] 米ウクライナ首脳、会談冒頭から記者団の前で激しい口論…トランプ氏「軍事支援にもっと感謝すべき」/ 読売新聞 仁王像
41. 秘密のアッコちゃん[1384] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月02日 14:56:25 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[822]
<■624行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>米ウ首脳が口論 頭を冷やして協議に戻れ
社説
2025/3/2 5:00
https://www.sankei.com/article/20250302-ABZYQH7TEFIBVNEZZF5QOT5LWM/
4年目に突入したロシアの侵略終結を目指す停戦交渉を巡り、トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談が口論の末、決裂した。
笑いが止まらないのはプーチン露大統領であろう。
だが、侵略者をこれ以上利するような状況に陥らせてはならない。
トランプ氏とゼレンスキー氏は頭を冷やして協議の席に戻ってもらいたい。
報道陣に公開された会談の冒頭で、ゼレンスキー氏は停戦後の安全が保証されない和平は受け入れられないと説いた。
力による現状変更を図るロシアの侵略に対し、多大な犠牲を払って抵抗を続けるウクライナの主張は、何ら間違っていない。
だが、ウクライナに譲歩を強いても戦闘を停止させたいトランプ氏との立場の違いは、鮮明となるばかりだった。
口論になったのはバンス副大統領が割り込み
「外交による和平」
を説いた直後だ。
プーチン氏に擦り寄る態度と映ったか、ゼレンスキー氏は、ロシアがクリミア半島を併合した2014年以降、停戦合意を破り続けた事実を指摘し、
「あなたが話す外交とは何か」
と質した。
バンス氏は米国とトランプ氏への礼を欠いた発言だと反発した。
トランプ氏も
「あなたたちは勝てない」
「第三次世界大戦が起きる危険な賭けをしている」
と怒りを募らせた。
会談は行われたが、鉱物資源の開発を巡る協定署名や共同記者会見は見送られた。
露高官は
「今後のシナリオは非常に楽観的だ」
と語った。
トランプ氏が和平への関与から手を引けばウクライナの属国化を狙うプーチン氏の思う壺となる。
領土と主権を守ろうと戦う同志国を愚弄するかのようなトランプ氏に同盟国は危機感を強めたはずだ。
欧州首脳はこれまで以上に強い言葉で、ウクライナへの連帯と支援を表明した。
米国は1994年、ウクライナが保有する核兵器を放棄する代わりに、同国の
「領土保全」

「安全の保証」
を英露と共に約束した
「ブダペスト覚書」
を結んだ。
米国にはウクライナの安全を保証する責務があることを忘れてはならない。
トランプ氏は、ウクライナに対する軍事支援を続ける必要がある。
その上で、
「公正で持続的な平和」
を希求するウクライナと真摯に話し合うべきだ。

日米首脳会談の「違和感」 
前駐中国大使・垂秀夫
2025/3/2 12:00
https://www.sankei.com/article/20250302-EXKWEGJUGNJMNJOX66HVNRWKJY/
2025年2月7日の日米首脳会談および共同記者会見の様子を注意深く観察し、私は違和感を覚えていた。
日本では首脳会談の結果について
「満額回答」
との評価もあったが、そこまで手放しで讃えてよいものだろうか。
会談後に発表された共同声明は、短いながらも日本が欲する安全保障に関する重要事項を全て盛り込んでいた。
日本政府事務方の努力は高く評価されるべきだろう。
違和感はトランプ米大統領の対応にあった。
発言するメッセージと敢えて語らないメッセージがある。
つまり、トランプ氏が共同声明を自らの考えとしているように思えなかったのだ。
例を挙げよう。
会談後の共同記者会見での両首脳の冒頭発言だ。
「自由で開かれた」
と一緒に使われることが多い
「インド太平洋」
という用語は、石破茂首相が7回繰り返したのに対し、トランプ氏は僅かに1回言及しただけだった。
中国を巡っては、首相が
「私から、(中略)力や威圧による一方的な現状変更を許さない、東シナ海、南シナ海における、そのような如何なる試みにも反対する決意を確認した」
と会談での発言を紹介した。
だが、トランプ氏は経済のテーマとして中国に触れただけだった。
要するに、両首脳の冒頭発言は噛み合っていなかったのだ。
ウクライナ問題を巡り、トランプ氏が停戦を急ぐのは、中国への対応にリソースを集中させるためだとの見方があるが、トランプ氏にそうした戦略があるようには見えない。
もしあるのなら、それが滲み出る発言があって然るべきだが、20分以上に及んだ首脳会談冒頭の公開部分でも、トランプ氏は中国に関してほとんど言及しなかった。
中国について語らなかったというメッセージを、中国は感じ取っているだろう。
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は
「注目すべきは、日本の主導の下、今回の米日首脳会談が中国封じ込めの方向を継続させたことだ」
とする中国外務省出身の専門家の論評を掲載した。
中国は日本の思惑を見透かしており、トランプ氏とはディール(取引)の余地があると認識しているということだ。
米中露の新三国志演義が始まった今、日本はあらゆる事態に備える必要がある。
ウクライナからの露軍の即時撤退を求めた国連決議に、米露が反対する時代が来ることを誰が予測できたであろうか。
米国ファーストのためにはウクライナを切り捨て、プーチン露大統領に接近するのを厭わないトランプ氏が、習近平国家主席とも何らかのディールを追求しない保証はない。
もしそうなれば、今回の日米共同声明はただの紙切れになるであろう。
行き当たりばったりの戦略なき外交を、ゆめゆめ展開してはならない。

垂秀夫
たるみ・ひでお
昭和36年生まれ。
令和2年9月から5年12月まで駐中国大使。

トランプ氏は「マフィア」 米有力紙、社説で批判「ドン・コルレオーネのよう」
2025/3/2 9:32
https://www.sankei.com/article/20250302-XRMZMWVQCFMZVPDVOLVI3KFVSE/
2025年2月28日の米ウクライナ首脳会談が口論になって決裂したことについて、2025年3月1日付の有力紙ワシントン・ポストは社説で、トランプ大統領のゼレンスキー大統領に対する振る舞いは、映画
「ゴッドファーザー」
の主人公でマフィアのボスである
「ドン・コルレオーネのようだった」
と批判した。
トランプ氏のウクライナ軽視は、ロシアの脅威に対する
「甘さの表れだ」
と指摘。
ロシアのプーチン大統領には、お世辞を言うのではなく、
「ゼレンスキー氏に取ったような無礼な態度で接してみるべきだ」
と苦言を呈した。
「トランプ政権はウクライナに対するロシアの行動を『侵略』と表現することに抵抗している」
とし
「第2次大戦の教訓に耳を傾けるべきだ」
「独裁者を宥めるのは上手くいかない」
と訴えた。(共同)

欧州首脳、ウクライナを支え続ける決意表明へ 英国で会合 ゼレンスキー氏は英首相と会談
2025/3/2 9:28
https://www.sankei.com/article/20250302-PO4M3DLZFRM2JC5EYCGS4CWYMU/
ロシアに侵略されたウクライナの和平の方策などについて話し合う欧州首脳らによる会合が2025年2月2日、英ロンドンで開かれる。
会合にはウクライナのゼレンスキー大統領も参加。戦争終結に向けた米露の交渉を巡るゼレンスキー氏とトランプ米大統領との2025年2月28日の会談が決裂したのを受け、各国首脳らは欧州の総意としてウクライナを支え続ける決意を表明する。
ゼレンスキー氏は会合に先立つ2025年3月1日、ロンドンの英首相官邸でスターマー首相と会談した。
英首相府によると、スターマー氏はウクライナに対する
「揺るぎない支持」
を表明し、
「公正で永続的な平和」
への決意を打ち出した。
英政府は同日、ウクライナに22億6000万ポンド(約4280億円)を貸し付けると発表した。
ゼレンスキー氏はX(旧ツイッター)への投稿で、貸付金を兵器生産能力の向上に使うとし、
「英国の絶大な支援に感謝する」
と強調した。
同氏は2025年3月2日、チャールズ英国王とも面会する。
英政府などによると、2025年3月2日の会合はスターマー氏が主催し、仏独伊やオランダ、デンマーク、ポーランド、トルコなど計16カ国の首脳・閣僚級や北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長らが参加。ウクライナが将来の和平交渉に強い立場で臨めるよう、継続的な軍事支援や対露経済的圧力の強化に関し話し合う。
会合ではまた、ウクライナに対する強力な安全の保証の確保策を探る他、恒久的な平和をもたらす合意を実現させ、ウクライナが将来的なロシアの再侵略を抑止・撃退できる能力を確保することを確認する。
スターマー氏は会合で、欧州各国が国防費の増額などを通じて防衛力の強化に取り組み、欧州の集団安全保障体制の底上げに繋げるよう訴える見通しだ。
一方、同氏は2025年2月28日、ゼレンスキー氏とトランプ氏との会談が物別れに終わった後、両氏と個別に電話会談した。
スターマー氏は双方の言い分を聞き、英国が両者の関係修復に関与する糸口を探ったとみられる。

マクロン大統領、欧州独自抑止力に仏核兵器利用「議論する用意」 米欧同盟の転機で再提起
2025/3/2 8:42
https://www.sankei.com/article/20250302-J4I4YVUPWZME7IM2REO4KC3VKM/
フランスのマクロン大統領は、欧州独自の核抑止力について
「議論する用意がある」
と述べた。
2025年3月1日、自身のSNSに発言の動画を掲載した。
米欧同盟が転機を迎える中、フランスが保有する核兵器を欧州防衛に役立てることに意欲を見せた。
この動画は2025年2月28日、マクロン氏が訪問先のポルトガルで行った現地テレビとのインタビューの録画。
マクロン氏は、欧州は米国に依存しない安全保障の構築が必要だと訴えた上で、
「もし(欧州の)仲間がより独自性を強め、抑止力を持とうとするならば、我々は論議をオープンにせねばならない」
と述べた。
フランスの核ドクトリンでは、常に欧州が考慮されてきたとも主張した。
マクロン氏は欧州の独自安保構築が持論で、かねてからフランスの核抑止力の活用を提案してきた。
2025年3月2日にロンドンで行われる欧州主要国の首脳会合を前に、問題提起を狙ったとみられる。
動画は、米ホワイトハウスでトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領による会談が決裂した後に投稿された。

米との会談決裂でウクライナに動揺広がる 「核兵器募金」に1日で8300万円
2025/3/2 8:06
https://www.sankei.com/article/20250302-BQRFNRMPGZKJXAHOHBFCTJG32E/
ロシアの侵略を受けるウクライナでは2025年3月1日、前日のゼレンスキー大統領とトランプ米大統領の会談が決裂したことに動揺が広がった。
米国の軍事支援停止が現実味を帯びたことを受け、地元実業家が
「核(兵器開発)のため」
との名目で募金を始めたところ、1日で2300万フリブナ(約8300万円)が集まったという。
一方、ウクライナの識者らは、希望を失うのはまだ早いなどとする見方を示している。
会談決裂についてウクライナメディアは
「大スキャンダル」
と報道。
「ウクライナは厳しい状況に置かれた」
とする欧米メディアの報道も引用するなどし、米国との関係断絶や米露連携への危機感を隠さなかった。
英BBC放送ウクライナ語版によると、地元著名実業家のゴロホフスキー氏は会談決裂後、
「核のため」
として募金を開始。
金額は1日夕時点で2300万フリブナに上った。
ウクライナ国内からが最多で、2位は米国だったという。
同氏は後に
「核のため」
としたのは
「冗談だった」
と謝罪し、募金はドローン(無人機)や人道支援物資の購入費として寄付すると表明した。
この出来事は
「もはや米国に頼れない」
というウクライナ国民の悲壮感を浮き彫りにした。
ただ、地元紙ウクラインスカヤ・プラウダの創設者シドレンコ氏は、ゼレンスキー氏がウクライナの
「譲れない一線」
を守ったことで、欧州諸国の強い支持を引き出したと評価。
この結果、将来的にウクライナと米国の首脳会談が再設定される可能性も排除できないとの観測を示した。
地元政治アナリストのゴロブツキー氏も2025年3月1日、今回の会談について
「トランプ氏がロシアの主張を代弁するだけで終わる可能性もあった」
とし、そうした事態を避けられたのは良かったとする考えを示唆した。

「吐き気する」と痛烈批判 身内の米共和議員、トランプ政権に ゼレンスキー氏と言い争い
2025/3/2 8:00
https://www.sankei.com/article/20250302-DTQMFHEC7FOAVKNDOEXWVGO2JQ/
米共和党穏健派のマカウスキ上院議員は2025年3月1日、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の首脳会談が言い争いの末に物別れに終わったことを受けて
「政権は友好国から離れ、ロシアのプーチン大統領を受け入れようとしているようだ」
「吐き気がする」
と痛烈に批判した。
X(旧ツイッター)に投稿した。
ニュースサイトのポリティコは、トランプ氏のウクライナに対する攻撃的な姿勢に関し、身内の共和党議員から反対の声が出るのは珍しいと報じた。
マカウスキ氏はプーチン氏について
「民主主義と米国の価値観に対する脅威だ」
と述べた。(共同)

英ウクライナ首脳が会談 スターマー首相、連帯に「揺るぎない決意」
2025/3/2 6:02
https://www.sankei.com/article/20250302-VVWJS2KSABOKDBMAEZVM3LC4JE/
ウクライナのゼレンスキー大統領は2025年3月1日、ロンドンでスターマー英首相と会談した。
ロシアとの戦争終結に向けた交渉を巡るゼレンスキー氏とトランプ米大統領との2025年2月28日の会談が決裂し、先行きの不透明感が増している。
スターマー氏はウクライナとの連帯に
「揺るぎない決意」
を表明し、支援を続ける考えを強調した。
会談冒頭、スターマー氏は
「主権に基づく恒久的な平和はウクライナにとっても、欧州や英国にとっても重要だ」
と述べた。
ゼレンスキー氏は、ロシアによる2022年2月の侵攻開始以降、英国から受けてきた支援に謝意を示した。
ゼレンスキー氏は2025年3月2日、チャールズ国王と面会し、欧州諸国の首脳らとの会議に出席する。(共同)

「プーチン氏止められなかった」「あなたは感謝していない」米ウクライナ首脳公開口論詳報
2025/3/1 15:19
https://www.sankei.com/article/20250301-V2PZLQU56JOOVPKMFVU44A2EHI/
トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が2025年2月28日に米ホワイトハウスで行った首脳会談は、記者団の前で激しい口論となった。
当初は笑い声も漏れたが、バンス米副大統領がバイデン前米大統領を批判し、これにゼレンスキー氏が反論した辺りから険悪な雰囲気に。
激しくなったやり取りの要旨は以下の通り。

■「停戦合意破った」
バンス氏
「米国では4年の間、記者会見でプーチン露大統領について激しい言葉遣いで語る大統領(バイデン氏)がいた」
「そしてプーチン氏はウクライナに侵攻し、国の大部分を破壊した」
「平和や繁栄への道のりは外交にある」
「(バイデン氏は)米国の大統領の言葉が行動よりも重要であるかのように装った」
「米国を良い国にするためには、外交を行う必要がある」
「トランプ大統領はそれを実践している」
ゼレンスキー氏
「プーチン氏は東部の一部とクリミアを2014年に占領した」
「私はバイデン大統領のことだけを言っているのではない」
「オバマ大統領、トランプ大統領、バイデン大統領、そして現在のトランプ大統領」
「トランプ大統領はプーチン氏を止めるであろう」
「しかし、2014年は誰もプーチン氏を止められなかった」
「プーチン氏は占領し、奪ったのだ」
「人々を殺したのだ」
トランプ氏「2015年」
ゼレンスキー氏「2014年だ」
バンス氏「2014年から2015年だ」
トランプ氏「2014年か。私はここ(ホワイトハウス)にいなかった」
ゼレンスキー氏
「しかし、2014年から2022年の間、誰もプーチン氏を止められなかった」
「彼とは2国間で多くの話し合いを行い、(停戦合意に)署名した」
「2019年には私とプーチン氏、マクロン仏大統領、メルケル独首相との間で停戦合意に署名した」
「全員が私に対し、プーチン氏はもう攻撃しないと言った」
「ガス供給についても契約に署名した」
「しかし、プーチン氏は停戦合意を破った」
「私たちの仲間を殺し、捕虜の交換もしなかった」
「ロシアとの間で捕虜交換に署名したが、プーチン氏は履行しなかった」
「バンス氏は外交と言うが、あなたの言う外交とは何なのか」
バンス氏
「あなたの国の破壊を止める外交だ」
「(ゼレンスキー)大統領、米国の大統領執務室で、米メディアの前で訴えを起こそうとするのは失礼だと思う」
「あなた方は人員に問題を抱え、必死で徴兵している」
「この紛争に終止符を打とうとしている(トランプ)大統領に感謝すべきだ」
ゼレンスキー氏
「あなたはウクライナに来たことがあるのか?」
「あなたが言っている『問題』とは何なのか」
バンス氏「私は…」
ゼレンスキー氏「一度ウクライナに来てほしい」
バンス氏
「私はニュースで見てきたし、何が起きているか知っている」
「あなたは(各国首脳を)プロパガンダツアーに連れ歩いている」
「人員の問題があるということに同意できないのか」
ゼレンスキー氏「問題はある」
バンス氏
「米国の大統領執務室で、あなたの国の破壊を防ごうとしている政権を攻撃することが敬意ある態度だと思うのか」
ゼレンスキー氏「質問が多い。最初から始めよう」
バンス氏「いいだろう」
ゼレンスキー氏
「まず最初に、戦争中は誰もが問題を抱えている」
「でも、あなたには(戦場と米国を隔てる大西洋という)素晴らしい海がある」
「今は(問題を)感じていないが、将来、感じることになる」
■「押し付けるな」
トランプ氏「(私たちの気持ちについて)あなたは知らない」
ゼレンスキー氏「神のご加護があれば戦争は起きないであろう」
トランプ氏
「私たちがどのように感じるべきかを押し付けるな」
「私たちは問題を解決しようとしている」
「私たちがどのように感じるべきかを押し付けるな」
ゼレンスキー氏「そうは言ってない」
トランプ氏
「あなたは指示する立場にはいない」
「覚えておいてほしい」
「あなたは私たちが何を感じるかを決める立場にはない」
「私たちはとてもいい気分だ」
ゼレンスキー氏
「あなたは影響を感じるであろう。それを言っている」
トランプ氏
「私たちは、とても気分よく、とても力強く感じるだろう」
ゼレンスキー氏「あなたは影響を感じるであろう」
トランプ氏
「あなたは、あまり良い立場にはいない」
「非常に悪い立場にある」
「あなたは今、(交渉の)カードを持っていない」
「米国と一緒ならカードを持つことができる」
ゼレンスキー氏
「私はカードゲームをしているわけではない」
「大統領、私は真剣なのだ」
「私は戦時大統領だ」
■「第三次世界大戦でギャンブル」
トランプ氏
「あなたはカードゲームをしている」
「何百万人もの命と第三次世界大戦を賭けてギャンブルをしている」
「あなたが言ったことは、米国に対して非常に失礼だ」
バンス氏
「この場で一度でも『ありがとう』と言ったか」
「あなたは昨年2024年10月にペンシルベニアに行き、野党(民主党)のために選挙運動をした」
「ウクライナを救おうとしている米国と大統領に感謝の言葉を述べるべきだ」
ゼレンスキー氏「あなたが戦争について大声で話すとすれば…」
トランプ氏
「バンス氏は大声で話していない」
「あなたの国は大きな問題を抱えている」
「ちょっと待て」
ゼレンスキー氏「答えていいか?」
トランプ氏
「だめだ。あなたはたくさん話した。あなたの国は大きな問題を抱えている」
ゼレンスキー氏「分かっている」
トランプ氏
「あなたは勝っていないが、私たちのおかげで状況が良くなる可能性が高い」
■「私たちは孤立」
ゼレンスキー氏
「大統領、私たちはウクライナにとどまり、強くあり続けている」
「戦争が始まった当初から、私たちは孤立していた」
「感謝している」
トランプ氏
「あなたは孤立していなかった」
「米国は愚かな大統領(バイデン氏)の下で3500億ドルを供与した」
「武器も与えた」
「そしてウクライナ兵は勇敢だ」
「しかし、ウクライナ軍は米国の軍隊(の武器)を使わなければならなかった」
「もし武器がなかったら…」
ゼレンスキー氏「あなたは私を招待してくれた」
トランプ氏「私たちの武器がなければ、戦争は2週間で終わっていた」
ゼレンスキー氏
「3日間だ」
「プーチン氏もそう言っていた」
「3日間で終わっていた」
トランプ氏「おそらくそれより短いだろう」
ゼレンスキー氏「もちろんそうです」
トランプ氏「これはとても難しい話だ」
バンス氏「ただ『ありがとう』と言うべきだ」
ゼレンスキー氏「何度も言っているが、米国国民に感謝している」
バンス氏
「意見の相違があることを受け入れろ」
「米メディアの前で争うのではなく、裁判で争おうじゃないか」
「あなたが間違っていることは分かっている」
トランプ氏
「何が起きているか米国国民が知ることはいいことだ」
「とても重要なことだ」
「だからこんなに(メディアの前でのゼレンスキー氏との協議を)長く続けた」
「感謝しなければならない」
ゼレンスキー氏「私は感謝している」
トランプ氏
「あなたはカードを持っていない」
「ウクライナ国民は死にかけている」
「兵士が不足している」
ゼレンスキー氏「やめてください、大統領」
トランプ氏
「いいか。兵士が不足しているのはいいことだ」
「あなたは『停戦を望んでいない、戦争を続ける』と言うが、もし今すぐ停戦できるのなら、銃弾が飛び交うこともないし、兵士が殺されることもなくなるのだ」
ゼレンスキー氏「もちろん、私たちは戦争を止めたい」
トランプ氏「しかし、あなたは停戦を望んでいないと言っている」
ゼレンスキー氏「私が言ったのは、保証付きの停戦だ」
トランプ氏
「私は停戦を望んでいる」
「なぜなら(安全の保証の?)合意よりも停戦の方が早いからだ」
ゼレンスキー氏
「ウクライナ国民に停戦について聞いてくれ。彼らが考えているのは…」
トランプ氏
「それはバイデンという名の頭の良くない男の話だ」
「オバマ氏と一緒だった」
ゼレンスキー氏「米国の大統領だった」
トランプ氏
「ちょっと待て」
「それはあなた方にシーツ(毛布を中心とした非殺傷兵器)をウクライナに供与したオバマ氏の話だ」
「私は(対戦車ミサイルの)ジャベリンをウクライナに渡した」
ゼレンスキー氏「そうです」
トランプ氏
「私は戦車を破壊するためジャベリンを供与した」
「オバマ氏はシーツを供与した」
「あなたはもっと感謝しなければならない」
「私たちが一緒であればカードはある」
「しかし、私たちが一緒でなければカードはない」
「これは厳しい交渉になるだろう」
「なぜなら態度を変えなければならないからだ」
「プーチン氏とロシアは利用された」
記者「ロシアが停戦合意を破棄したらどうするのか?」
トランプ氏「何を言っているんだ?」
バンス氏「ロシアが停戦を破ったらどうするのかと聞いています」
トランプ氏
「もし何かあったらだと?」
「もし今、頭に爆弾が落ちたらだと?」
「もしロシアが停戦合意を破ったら?」
「知るか」
「ロシアはバイデン氏もオバマ氏も尊敬していなかったが、私を尊敬している」
「プーチン氏は私のように酷い経験をした」
「インチキな魔女狩りに遭い、プーチン氏とロシアは利用された」
トランプ氏
「私が言えるのはこれだけだ」
「プーチン氏はオバマ氏やブッシュ氏との取引を破ったかもしれないし、バイデン氏との取引も破ったかもしれない」
「何があったのかは知らない」
「しかし、プーチン氏は私との取引は破らなかった」
「彼は私と取引したがっているが、取引できるかどうかはわからない」
「問題は、私はあなたが強くなれるよう力を与えたということだ」
「そして、米国抜きであなたは強くなれないということだ」
「ウクライナ国民はとても勇敢だ」
ゼレンスキー氏「ありがとう」
■「感謝していない」
トランプ氏
「取引をするか、しないかだ」
「私たちが席を立てば、あなたたちは戦い抜くことになる」
「良い結果になるとは思わないが、戦い抜くことになる」
「あなたはカードを持っていない」
「合意に署名してしまえば、あなたの立場はずっと良くなる」
「だが、あなたは全く感謝していない」
「よくないことだ」
「正直に言おう」
「よくないことだ」
「よし、もう十分だろう」
「どう思う?」
「最高のテレビ番組になりそうだな」
「よし、まとめよう」
「ありがとう」

「餌に食いつくな」米議員の事前忠告奏功せずヒートアップ 米ウクライナ会談の舞台裏
2025/3/1 11:32
https://www.sankei.com/article/20250301-OZQB53GJ7NM2RBN4NNUBYLHZPI/
トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談は、報道陣の前で言い争う異例の展開となった。
両首脳は約1週間前まで互いに批判を応酬させ、ようやく会談開催にこぎつけた。
希少鉱物を巡る合意内容で溝を残し、火種を抱えたまま会った両首脳は、対立を浮き彫りにしただけでなく、自由主義陣営の亀裂も露呈した。
ホワイトハウスに着いたゼレンスキー氏をトランプ氏は笑顔で迎え、会談は静かに始まった。
だが両首脳の会話にバンス米副大統領が割り込み、
「米国への感謝を述べたことがあるか?」
などとゼレンスキー氏に問い質すと、空気は一変。
同席したウクライナ側の出席者は頭を抱えるような姿勢で、激しい舌戦を聴くしかなかった。
報道陣の質疑に応じるトランプ氏との首脳会談のスタイルは恒例だが、厳しい質問などに挑発されることがないようにとの警告が事前に発せられていたようだ。
会談前、ゼレンスキー氏と面会した米共和党重鎮のグラム上院議員は、
「餌に食いつくな」
と警告。
会談で、米国との関係改善に向けた前向きなメッセージの発信に集中するよう伝えていたが、忠告は役立たなかった。
トランプ政権は2025年2月中旬、ベセント財務長官をウクライナに送り、レアアース(希土類)を米国に供与する合意を求めた。
だが、これと引き換えに安全保障に関する米国側の言質を求めるウクライナが、合意を拒否。
その後は、トランプ氏がゼレンスキー氏を
「独裁者」
と呼ぶなど、双方の不和が顕在化した。
ウクライナ側は首脳会談での合意を目指した協議の中で、米国側から十分な安保への関与が得られるか不信感を抱いていたとみられる。
一部米メディアは、会談時の最終段階まで溝が残ったと伝えている。
トランプ氏は会談後、ホワイトハウスを離れる際、報道陣に
「(ゼレンスキー氏は)戦い続けようとしている」
と述べ、不信を露わにした。

「お前たちは勝てない」とトランプ氏 米ウクライナ首脳会談が決裂 記者団を前に口論も
2025/3/1 11:14
https://www.sankei.com/article/20250301-A3V6XXRWMVMW3NOEK35YS3D4KE/
トランプ米大統領は2025年2月28日、ロシアに侵略されたウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談した。
両首脳は会談の冒頭、記者団の前で険悪なやり取りを展開。その後、トランプ氏はソーシャルメディアに
「ゼレンスキー氏は米国が関与した和平への用意ができていない」
と投稿し、会談が決裂したことを明らかにした。
ウクライナ和平への展望が一気に瓦解し、後ろ盾である米国との関係が極度に悪化したウクライナが更なる苦境に立たされるのは不可避な情勢となった。
両首脳は会談でウクライナの鉱物資源の開発を巡る合意文書に署名する予定だった。
だが、トランプ氏は部下を通じてゼレンスキー氏の退去を指示し、同氏は署名を行うことなく、不快な表情で早々にホワイトハウスを後にした。
トランプ氏はソーシャルメディアに投稿した声明で、ゼレンスキー氏は
「米国が交渉に関与することで優位に立てると感じているようだ」
と指摘して不満を露わにし、同氏が
「米国に対して礼を失した」
と主張。
「和平の用意ができたら戻ってきて構わない」
とも付け加えた。
会談は、記者団による会談の冒頭取材の場で、両首脳に加えて同席していたバンス副大統領の間で言い合いが起きたことで突然険悪化。
トランプ氏はゼレンスキー氏を
「感謝が足りない」
などと非難して
「鉱物資源の合意に署名しなければ(ウクライナ問題から)手を引く」
と通告する事態となった。
第2次トランプ政権が2025年1月に発足後、両首脳が対面で会談したのは初めて。
ゼレンスキー氏は今回の会談で米国に自国の鉱物資源の開発を認めるのと引き換えに、戦争終結後のウクライナへの
「安全の保証」
の確約を得ることを目指した。
会談の冒頭には鉱物資源の取引を提示したトランプ氏への謝意を示し、ロシアのプーチン政権によるウクライナの再侵略を阻止するために米国の防空支援などを要請していた。
しかしトランプ氏は
「まずは合意が先決だ」
とし、
「如何なる合意にも妥協が付き物だ」
と主張。
途中でバンス氏が割って入り、ロシアによるウクライナ侵略は同国にも責任があるとの趣旨の発言をしたことにゼレンスキー氏が反発を示したことが契機となり、感情的な応酬に発展した。
トランプ氏はゼレンスキー氏に
「お前たちは勝てない」
「俺たちのおかげで現状から脱出できる機会を得たのだ」
とし、ロシアに抵抗するゼレンスキー氏を
「第三次世界大戦を起こす危険を招いている」
などと罵倒した。
一方、ゼレンスキー氏は会談後、FOXニュースの番組で、口論は
「双方にとりよくなかった」
とし、トランプ氏との関係修復も
「可能だ」
と述べた。

「ウクライナ疑惑」「独裁者」批判…トランプ氏とゼレンスキー氏、関係難しく
2025/3/1 10:54
https://www.sankei.com/article/20250301-76F6QU56L5LIXEMCXSADEV2QDM/
2025年2月28日に行われたトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談は、取材陣の前で両者が口論を交わす異例の展開となった。
決して良好とは言えない両者の関係の起点は、トランプ氏が1期目在任中だった2019年7月の電話会談に遡る。
トランプ氏はこの時、就任間もないゼレンスキー氏に、2020年大統領選で自身の対抗馬となる可能性があった民主党のバイデン前副大統領(当時)やその次男ハンター氏を巡る調査への協力を要請。
これがその後、トランプ氏が米国からの軍事支援と引き換えにウクライナに圧力をかけて権力を乱用したとされる
「ウクライナ疑惑」
での弾劾訴追につながった。
トランプ氏は、ロシアによるウクライナへの全面侵攻が始まった2022年2月以降、プーチン露大統領寄りの発言を繰り返し、当時のバイデン政権によるウクライナ支援を批判。
一方で、米大統領選を間近に控えた2024年9月には東部ニューヨークのトランプ・タワーで、当選後の同年2024年12月には訪問先のパリでゼレンスキー氏と面会している。
2期目就任後はロシアとウクライナの早期停戦に向けた仲介を本格化。
ウクライナと鉱物資源権益を巡る交渉を進める中で、ゼレンスキー氏を
「選挙をしない独裁者」
などと批判していた。

ゼレンスキー氏を擁護する欧州 「侵略者と被害者混同するな」米欧の溝さらに深化
2025/3/1 10:49
https://www.sankei.com/article/20250301-MG5W7TYCGZOHTHPQIWNS3G4DPA/
ウクライナのゼレンスキー大統領とトランプ米大統領の会談が決裂したのを受け、欧州では2025年2月28日、ウクライナを擁護し、名指しを避けながら米国への不満を示す声が相次いだ。
だが、一方的に停戦合意を進めようとする米国に対抗策がないのが現状だ。
フランスのマクロン大統領は2025年2月28日、訪問先のポルトガルで記者団に
「侵略者はロシアだ」
と述べ、ゼレンスキー氏への支持を鮮明にした。
「ウクライナを支援し、ロシアを制裁するのは当然だ」
「3年前から行っており、これからも続けるべきだ」
と主張した。
仏メディアによると、マクロン氏はゼレンスキー氏と電話で会談した。
ドイツで2025年2月23日の総選挙で勝利し、次期首相候補となった保守系野党、キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は
「この悲惨な戦争で、侵略者と被害者を混同してはいけない」
と交流サイト(SNS)で発信。
欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表は
「自由世界に新たな指導者が必要だということが明らかになった」
と書き込み、米国への失望感を露わにした。
欧州からは2025年2月末、マクロン氏、スターマー英首相が相次いで訪米し、ウクライナへの平和維持部隊構想で米国の支援を取り付けようとして不発に終わったばかり。
構想は欧州主体の部隊を編成し、米欧連携で停戦を進めようとする狙いがあったが、ゼレンスキー氏とトランプ氏の会談が決裂したことで実現の道は更に険しくなった。
EUや欧州首脳は2025年3月2日、ロンドンでウクライナ情勢を巡って会合を開く予定。
イタリアのメローニ首相は2025年2月28日に声明を出し、
「西側の分裂は、全員の弱体化に繋がる」
として米国と欧州による首脳会合の開催を提案した。
一方、ハンガリーのオルバン首相は
「トランプ氏は平和のために果敢に立ち上がった」
とSNSに投稿し、米国への支持を表明した。

「ウクライナは感謝しろ」声荒らげるトランプ氏、会談は険悪 「力による平和」に危うさ
動画
2025/3/1 10:06
https://www.sankei.com/article/20250301-VLDRUETXIFJBXNV42NI4PZVFRY/
2025年2月28日に行われたトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談は、同席したバンス米副大統領の一言で険悪なものに急転した。
ロシアがウクライナ南部クリミア半島を一方的に併合した2014年以降の経緯から
「安全の保証」
の必要性を説明しようとするゼレンスキー氏を、
「ここでそんな話は無礼だ」
「(トランプ)大統領に感謝の言葉はないのか」
となじった。
ゼレンスキー氏は会談冒頭で複数回、トランプ氏への感謝の意を表明している。
「1度ウクライナに来てほしい」。
こう訴えるゼレンスキー氏にバンス氏は
「あなたは(同国を訪問する者を)プロパガンダ(政治宣伝)ツアーに連れ歩いている」
とも主張した。
ゼレンスキー氏がロシアの脅威や再侵略のリスクを説明しようとすると、今度はトランプ氏が
「我々(米国が)どのように感じるべきかを押し付けるな」
「ウクライナは感謝しろ」
と声を荒らげた。
ゼレンスキー氏のことを
「停戦を拒否している」
と決め付け、
「兵士の命や第三次世界大戦(の危険性)でギャンブルをしている」
と非難。
ロシアが停戦を破った場合はどう対処するのかとの記者団の質問には
「知るか」
と答え、プーチン氏との良好な関係を強調することに終始した。

トランプ氏は自身の外交方針に
「力による平和」
を掲げる。
旧ソ連との冷戦を終結に導いたレーガン元大統領をはじめとした歴代政権が、米主導の国際秩序を形容するのに用いてきたスローガンだ。
だが、この日の
「公開口論」
で露呈したのは、一方的な現状変更を認めないとの基本原則や、そのために同盟・友好国を重視する姿勢などではなく、十分な事前調整もなしに強引にディール(取引)を迫る姿だった。
今回決裂したウクライナの鉱物資源を巡る協議は元々、ゼレンスキー氏が昨年2024年9月にトランプ氏と面会し提示した案とされる。
露軍の侵攻を受けるウクライナ東部に多い資源の開発を材料に、米国とより長期的な信頼関係を築く狙いがある。
これに対しトランプ氏は、足元を見るように
「ゼレンスキー氏には交渉カードがない」
とし、ウクライナや欧州が求める
「安全の保証」
への関与に消極的な態度を崩さなかった。
安全保障の専門家らの間では、米国がロシアに宥和的な姿勢を見せることは、中国などの現状変更勢力を喜ばせることに繋がるとの見方が強い。
ブッシュ(息子)元政権で大統領次席補佐官を務めたカール・ローブ氏は2025年2月28日、FOXニュースのインタビューで、両首脳の口論での
「唯一の勝者はプーチン氏だ」
と嘆いた。

英首相が仲裁試みか 米ウクライナ首脳会談決裂後、両大統領と会話
2025/3/1 10:03
https://www.sankei.com/article/20250301-6RJFC4CMXRJSTEAHOHS2CXZD4M/
英PA通信は2025年2月28日、米国のトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が首脳会談で口論となった後、スターマー英首相が両氏と会話したと報じた。仲裁を試みたとみられるという。
PA通信によると、英首相官邸が明らかにした。
報道官が
「首相は主権と安全保障を土台としたウクライナの永続的な平和への道を探すため、できること全てをしている」
と話したという。
英国では2日に欧州各国首脳の会合が開かれ、ゼレンスキー氏も出席する。
ロシアとウクライナの和平実現後の平和維持活動について議論される見通しだったが、不透明な状況となった。(共同)

ウクライナと欧州に重大な試練 ゼレンスキー氏「公正で持続的な平和」あくまで希求
2025/3/1 9:59
https://www.sankei.com/article/20250301-5WIUG5QAPFPIJDIVME4L6N5TJU/
米ワシントンで2025年2月28日に行われたトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談が決裂し、ロシアに侵略されたウクライナの前途は一気に暗雲に包まれた。
自らが主導してきた和平交渉のプロセスを停止させたトランプ氏が今後、ウクライナへの軍事支援の停止に踏み切る恐れも否定できず、ロシアの脅威を睨んでウクライナを支える欧州諸国も試練に晒されるのは確実だ。
ゼレンスキー氏は会談終了後、X(旧ツイッター)に
「米国の支援に感謝します。今回の訪問に感謝します。米大統領、議会と米国民に感謝します」
と投稿した。
会談の冒頭、記者団の前でバンス副大統領がゼレンスキー氏に対し
「トランプ氏に感謝の言葉がない」
などと難癖を付けたことに対する皮肉とみられる。
ゼレンスキー氏は
「ウクライナには公正で持続的な平和が必要であり、私たちは正にそのために尽力している」
と指摘し、ロシアを利してウクライナの国益を損ねるような和平には応じられないとの立場を打ち出した。
ゼレンスキー氏は今回の会談で、同氏を
「選挙をしない独裁者」
呼ばわりしたトランプ氏との関係修復を国際社会に示し、米国から和平実現後のウクライナの安全の保証を取り付けるための取り組みを続ける道筋を描いていた。
だが会談は決裂し、同氏との間に修復困難な遺恨を残した。
ただ、ウクライナ国内ではソーシャルメディアなどで市民や政府当局者からゼレンスキー氏を支持する声が相次ぎ、同氏を取り巻く国内の結束は強まった。
一方、欧州委員会のフォンデアライエン委員長はXへの投稿でゼレンスキー氏に対し
「強く勇敢で、不敵であってください。あなたは孤独ではありません」
と呼び掛けた。
ドイツのショルツ首相が
「欧州を頼りにしてください」
とした他、フランスのマクロン大統領やチェコのパベル大統領、エストニアのツアフクナ外相らも
「欧州は今こそ立ち上がるべきだ」
などと支援や連帯を相次ぎ訴えた。
欧州各国は、ロシアのプーチン政権がウクライナで如何なる形であれ侵略の成果を手にすることになれば、今度は旧ソ連時代の影響圏の回復に向けて次なる侵略行動に踏み切るとの懸念を強めている。
トランプ氏がウクライナ和平から手を引いたり、ロシアの意向に沿う形で強引に和平合意をまとめようとしたりする事態は、今回の会談で一気に現実味を増した。
欧州諸国は、米国の欧州関与の維持に手を尽くしつつ、ウクライナ和平の行方が欧州全体を不安定化させる事態を想定し、国防費の増額などを通じた欧州独自の対露防衛とウクライナの支援の強化に向けた態勢構築をこれまで以上に急ぐことになる。

ゼレンスキー氏「対米和解」アピールの算段狂う ロシアは敵失に付け込む構え
2025/3/1 8:21
https://www.sankei.com/article/20250301-VGGGUFV2DZNZJF3WKMTKZN7O5I/
ウクライナのゼレンスキー大統領にとって2025年2月28日のトランプ米大統領との直接会談は、ロシアの侵略を巡る米・ウクライナ間の対立の解消をアピールし、米露接近に楔を打ち込む機会となるはずだった。
「敵失」
に付け込み、自身が勝者となる形での戦争終結に向けて米国への働き掛けを強める見通しだ。
ゼレンスキー氏は今回の会談で、以前から求めてきた
「プーチン露大統領に先立つ自身との対面会談」
をトランプ氏に認めさせた事実や、米国との鉱物資源協定の締結を通じ、米国との結束を国内外に示す算段だった。
ウクライナは最近、ロシア寄りの立場を示し、支援の対価として米国に有利な鉱物資源協定への署名も迫ったトランプ政権の圧力に晒されててきた。
それでもゼレンスキー氏は圧力に屈することなく、米との対立の激化も辞さない姿勢を堅持。
米国内で高まったウクライナへの同情論なども背景に、鉱物資源協定に一定のウクライナ側の意向を反映させることに成功した。
トランプ氏もゼレンスキー氏を
「独裁者」
とした発言を事実上取り消すなど、両国間には歩み寄りの気配が出ていた。
しかし、和解の象徴となるべき今回の会談は、対露観や米国の支援への評価を巡って決裂。
ゼレンスキー氏は会談後、X(旧ツイッター)への投稿で、米国の支援に対する感謝を述べつつ、
「ウクライナに必要なのは公正で永続的な平和だ」
と強調し、現時点でトランプ政権とは共に歩めないとする立場を示した。
一方のロシアは、今回の会談の結果、自身にとって非常に有利な状況が生まれたとみている。
露外務省高官のミロシニク氏は
「今後のシナリオは(ロシアにとって)非常に楽観的だ」
「会談はウクライナに深刻な結果をもたらす」
とタス通信にコメント。
露下院のスルツキー国際問題委員長も
「トランプ氏も『ゼレンスキー氏が平和を望んでいない』というロシアの主張を理解した」
「戦場と外交、両面でのロシアの勝利が平和を実現する!」
などと交流サイト(SNS)に投稿した。
プーチン氏は先月2025年2月、ウクライナ国内の露占領地域に埋蔵されている鉱物資源を米国と共同開発したい意向を示した。
ロシアは今後、米国とウクライナの断絶を更に深める外交戦術を進め、ウクライナを降伏せざるを得ない状況に追い込もうとしていく公算が大きい。

http://www.asyura2.com/24/kokusai35/msg/333.html#c41

[政治・選挙・NHK296] 共通点は「鼻つまみ者」 いよいよ鮮明、自公維3党は「国民の敵」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
26. 秘密のアッコちゃん[1385] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月03日 18:26:28 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[823]
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トルコビザ免除、継続か停止か 第3の道「ビザ取得勧奨措置」の可能性はあるか
「移民」と日本人
2025/3/2 12:00
https://www.sankei.com/article/20250302-QDRHHTPQZJEK7HEBPJKZJIKGPE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の一部と住民の軋轢が表面化している問題で、難民認定制度の悪用を防ぐため、現在は免除されている短期滞在の査証(ビザ)取得を推奨する措置の導入論が急浮上している。
トルコ国籍者のビザ免除停止論が根強い中で中間に当たる措置だ。
先月2025年2月末に国会で初めて論議され、政府側は
「慎重に考慮する」
と答弁した。
■過去にイランなど免除停止
この措置は
「ビザ取得勧奨措置」
と呼ばれ、本来は短期滞在(90日)のビザ免除対象者に対し、本国で前もってビザの取得を推奨するもの。
外務省は
「事前にビザを取得しない場合、日本入国時に厳格な入国審査が行われ、結果として入国できない恐れがある」(外国人課)
と説明する。
トルコ国籍者のビザ免除を巡っては、航空券代さえ負担できれば、パスポート一つで来日して難民申請できることになる。
審査中は数年単位で在留を継続できるため、就労目的のクルド人が増える温床になっているという。
令和5年の難民申請者数上位10カ国のうち、ビザ免除国はトルコだけだ。
このため、トルコに対するビザ免除を一時停止すべきとの世論が起きていた。
これまでにビザ免除が停止されたのは、平成元年のバングラデシュとパキスタン、4年のイランの3カ国。
いずれも就労目的の不法滞在者が問題化したためで、免除停止の結果、不法滞在者は激減した。
■ペルーは勧奨措置を解除へ
先月2025年2月27日の衆院予算委員会分科会では、自民党の塩崎彰久氏が
「過去にはビザ免除停止まではいかなくても、問題がある時に、ビザ取得勧奨措置を外務省が導入したことがある」
と指摘。
トルコに対する措置の導入を提起した。
法務省は現在、ビザ免除対象者の入国の可否を渡航前に審査する電子渡航認証制度
「JESTA(ジェスタ)」
を令和12年までに導入する準備を進めており、塩崎氏は
「ジェスタ導入までの5年間の時限措置として検討してはどうか」
と質した。
答弁した松本尚外務政務官は、ビザ免除停止については
「両国の友好関係に寄与するもので、現時点で直ちに停止の必要があるとは考えていない」
と従来の政府答弁を維持。
一方で、勧奨措置については
「導入の意義や効果をトルコとも相談しながら、慎重に考慮する必要がある」
と述べ、政府として初めて措置の検討について言及した。
外務省によると、短期滞在ビザの免除国は約70カ国で、勧奨措置は南米のペルー(平成7年から)とコロンビア(16年から)の2カ国で導入されている。
ペルーについては昨年2024年11月の首脳会談で、同国側が強制送還への協力を約束するなどしたため措置の解除が発表され、数カ月内に元のビザ免除へ戻す手続きが進んでいる。
入管関係者は
「就労目的の外国人がパスポート1つで簡単に来日できる現状が変わらない限り、問題は解決しない」
「勧奨措置の導入だけでも、厳格に運用することでかなり就労目的の抑止になるだろう」
と話している。

「難民ビザ」申請理由に近隣トラブル、遺産相続、夫婦げんか 弁護士保証も1400人逃亡
「移民」と日本人の平成史D
2024/5/12 11:00
https://www.sankei.com/article/20240512-GAWTE5Y5ZJJDPFUN2V5TUPK52U/
我が国に来日して難民認定申請する外国人はコロナ禍が終わると大幅に増え、昨年2023年は1万3823人となった。
これは民主党政権の政策変更により激増した2017(平成29)年の約2万人に次いで過去2番目の多さだ。
21世紀に入り急増した難民申請の現場で何が起きているのか。
■来日→期間満了→申請の「手順」
2020年3月、不法滞在のスリランカ人44人を乗せた民間チャーター機が成田空港を離陸した。
44人は、強制退去が決まっても送還を拒否していた
「送還忌避者」
と呼ばれる20〜60代の男女。
日本での滞在期間は最長12年の人もいた。
出入国在留管理庁によると、チャーター機による集団送還は2013年から8回行われ、6カ国の計339人が本国へ送り返された。
このうちスリランカ人は計100人と最も多い。
スリランカ人は過去5年間の難民申請者数でも国籍別で最多の6336人だった。
大半がクルド人とみられるトルコ国籍者の5528人も上回る。
この間、入管庁が難民と認めたスリランカ人は2人だけだった。
南アジアの国スリランカは人口約2200万人。
2009年まで続いた内戦終結後も、2019年に日本人も犠牲になった連続爆破テロ事件が起きるなど、観光産業が主力の経済は疲弊、多くの人が職を求めて国を出た。
現在、日本国内に在留するスリランカ人は昨年末時点で約4万7千人。
査証(ビザ)がいらないトルコ国籍者と異なり、来日に際しては何らかの査証が必要だ。
このため難民申請者の多くは短期滞在ビザや留学、技能実習ビザで来日し、アルバイトや実習で数年間働いた後、在留期間の満了前後に申請することが多いという。
申請中は
「特定活動(難民認定手続中)」
という正規の在留資格が与えられることもあり、俗に
「難民ビザ」
と呼ばれる。
入管関係者は
「スリランカ人の間では、来日方法は問わず、まずは日本に入国して難民申請するという『手順』が知れ渡っている」
「その帰結として、送還忌避者も増えた」
と話す。
■「呪術難民」と呼ばれる申請者
難民申請者はスリランカの他、トルコ、パキスタン、インド、カンボジアなどのアジアと、アフリカのナイジェリア、コンゴ民主共和国など特定の十数カ国に集中。
昨年2023年の申請者数は上位5カ国で全体の3分の2、上位10カ国で8割を超えた。
一方で、入管庁が2019年、難民申請を認めなかった人の主な申請理由を調べたところ、全体の約37%は
「本国の知人や近隣住民、マフィアとのトラブル」
だった。
他は
「本国の治安に対する不安」
「日本で働きたい」
「遺産相続や夫婦喧嘩など親族間のトラブル」
「健康上の問題や日本での生活の長期化など個人的な事情」
で、難民条約上の
「迫害を受ける恐れ」
とは無縁な理由ばかりだった。
入管関係者は
「申請者の中には、あくまで『日本滞在』が目的で、理由は後から考えるという人も少なくない」
といい、アフリカのある国で
「部族の王になれと言われて逃げてきた」
という人、
「呪いい殺すと言われたから逃げた」
という
「呪術難民」
と呼ばれる人もいるという。
「共通するのは、自分の国が嫌いということ」
「来日して何年か経って難民申請するのは、日本が気に入ったからだ」
「日本で在留資格を得る術がないため、難民申請中という地位を得るために申請するケースもある」
■弁護士らに罰則も
民主党政権だった2010(平成22)年、難民申請者に就労を認める運用が行われ、その後の申請者の激増を招いたが、同じ2010年、法務省入国管理局(現入管庁)は日本弁護士連合会との合意により、弁護士が身元保証人となる場合は、仮放免の許可を柔軟に行うよう通知を出した。
仮放免は、難民申請中で入管施設への収容を一時的に解かれた不法滞在の状態。
この通知により、弁護士の介入が仮放免への
「積極事由」
として評価されるようになった。
弁護士の
「信用」
があるためだ。
逃亡防止のため入管に納める保証金の額も低く抑えられるようになるが、弁護士報酬が必要な場合もあるという。
当時、通知を受けた入管OBは
「この施策により、収容者が簡単に身柄の拘束を解かれるという期待を持ってしまった」
と振り返る。
入管庁によると、2022年末時点の送還忌避者は4233人。
大半は収容ではなく、仮放免されている。
一方で逃亡者も多発しており、3分の1の約1400人が手配中だ。
前年から倍増した。
弁護士や支援者の中には多数の仮放免者の保証人になり、多くの逃亡者を出したケースがある。
入管庁が2021年3月までの約7年間を調査したところ、ある弁護士が保証人になった約280人の仮放免者のうち約80人が逃亡、別の弁護士は約190人のうち約40人が逃亡していた。
2024年6月10日に施行される改正入管難民法は、収容に代わる
「監理措置」
を新設。
入管が認める場合、弁護士や支援者ら
「監理人」
の下での社会生活を認める。
監理人は、仮放免者が不法就労や逃亡した場合、入管庁に報告義務があり、怠ると10万円以下の罰則がある。
ただ、これまで保証人になってきた弁護士らは
「報告義務があることで、仮放免者との信頼関係が保てなくなる」
としており、新たな制度の行方は不透明だ。=おわり

不法滞在で強制送還対象のトルコ国籍者1098人 補正予算に護送費8300万円計上
「移民」と日本人
2025/2/27 18:31
https://www.sankei.com/article/20250227-XNVANBSNHNFFPEV22DIND4Z74E/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の一部と住民の軋轢が表面化している問題を巡り法務省は2025年2月27日、不法滞在者として退去強制(強制送還)手続きを受けているトルコ国籍者は1098人(令和5年末時点)に上ることを明らかにした。
衆院予算委員会第三分科会で、自民党の塩崎彰久氏の質問に回答した。
質疑では令和6年度補正予算に強制送還の護送費8300万円が計上されたことも示された。
このうち、実際に退去強制令書が発付され、仮放免されているトルコ国籍者は738人(同)に上る。
塩崎氏は、難民申請に対する出入国在留管理庁の手続きが追い付いていない現状を挙げて
「日本に滞留する数が積み上がらないことが大事だ」
と強調した。
法務省は令和12年までに米国がテロ対策などを目的に導入した電子渡航認証制度「ESTA」を基に日本版ESTA(JESTA=ジェスタ)の開発・導入を目指している。
塩崎氏はジェスタについて
「リスクのある渡航者を事前にスクリーニング(選別)できるが、導入に時間が掛かり過ぎている」
と指摘。
法務省の担当者は
「安定運用で堅牢なセキュリティー対策を施したシステムが必要で、開発に時間を要する」
と述べつつ
「できる限り早期の導入を目指す」
と語った。
鈴木馨祐法相も
「ジェスタについてなるべく早くはその通りだ」
「きちんとした審査にはマンパワーも大事だ」
「予算や人員も適切に取り組みたい」
と述べた。

ながら「クルド国会」入国拒否の歌手PKK指摘に法相答えず「質問者まだまだ出てくる」
「移民」と日本人
2025/2/27 18:03
https://www.sankei.com/article/20250227-2XCPNDHUQVAVDLIAMP4R73UL7Q/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の男性歌手が、日本への入国を拒否され公演が直前で中止された問題が2025年2月27日の衆院予算委員会の分科会で取り上げられた。
鈴木馨祐法相は入国の経緯などについて
「個別の事案なのでお答えは差し控える」
と繰り返した。
この日は別の議員もクルド人問題を質疑。
さながら
「クルド国会」
の様相を呈していた。
この問題は、川口のクルド人団体、日本クルド文化協会が主催する公演に出演するため、男性歌手が成田空港へ到着したところ、公演に必要なビザを持たなかったことなどから入国を認められず、そのまま引き返したもの。
川口が地元の高橋英明氏(維新)は質問に立ち、
「2025年2月22日に来日して入国を拒否された」
として経緯について質問。
鈴木法相は
「個別の事案なのでお答えは差し控える」
「一般論として、上陸(入国)の条件に適合しているかどうか審査し適切に判断している」
と応じた。
「日本国として不備はないのか」
と重ねて問われ
「適切に対応している」
と答えた。
高橋氏はまた、男性歌手がトルコの非合法武装組織
「PKK(クルド労働者党)」
に属し、ドイツに亡命していると指摘。
「不思議なのは、トルコとは友好国だが、そういう方が普通に来日できるのか」
と質した。
鈴木氏は
「個別の事案なのでお答えを差し控えさせて頂きたい」
と繰り返した。
この日は直前に塩崎彰久氏(自民)がクルド人問題で質疑。
続いて質問に立った高橋氏は
「恐らくこの通常国会でまだまだ質問者が出てくる」
「是非この国会で問題が一歩でも二歩でも前進することを期待したい」
と語った。

クルド人歌手の埼玉公演、入国認められずドタキャン クルド文化協会「当局が誤った案内」
「移民」と日本人
2025/2/25 18:32
https://www.sankei.com/article/20250225-MSUJKPRA7BESZM5X36VUDR3HBI/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の団体、日本クルド文化協会が主催する公演に出演するため日本へ入国しようとしたクルド人の男性歌手が、入国を認められず公演が直前で中止されたことがわかった。
この歌手はセイダ・ペリンチェク氏。同協会が2025年2月24日、さいたま市浦和区の県立施設、埼玉会館で、入場料7千円で公演を予定していた。
関係者によると、同氏は成田空港へ到着した際、公演に必要なビザを持たなかったことなどから入国を認められず、そのまま引き返したという。
同協会は2025年2月24日、公式サイトで
「関係当局がアーティストに誤ったビザの種類を案内した」
と説明。
「予期せぬ延期に心からお詫びする」
としている。
同協会と代表者らクルド人6人は令和5年11月、トルコ政府から同国の非合法武装組織
「PKK(クルド労働者党)」

「テロ組織支援者」
と認定、同国内で資産凍結されていることなどから、県立施設での公演開催を巡って批判が出ていた。
同会館の指定管理者を務める県の外郭団体、県芸術文化振興財団は取材に対し
「日本国としてテロ組織支援者と断定しているわけではないため、判断が難しい」
と説明。
「主催団体からは2025年2月23日に『中止したい』とだけ連絡があった」
「その後『延期』と公表され、困惑している」
と話している。

石破首相「ルール守らない外国人と共生はできない」衆院予算委で川口のクルド人巡り議論
「移民」と日本人
2025/2/21 17:36
https://www.sankei.com/article/20250221-7UK7RTPXENF6DLAJ47LNPTRJIM/
衆院予算委員会で2025年2月21日、埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人を巡り、同市が地元の日本維新の会、高橋英明氏(比例北関東)が質問した。
高橋氏はクルド人について
「3千人が川口市を中心としたところに集中している」
「大きな問題になっている」
と紹介。
石破茂首相にルールを守らない外国人との共生に関する認識を尋ねた。
首相は
「ルールを守るのが大前提だが、みんなが守るとは断言できない」
「ルールを守らない外国人によって日本人の生命財産に危害が及ぶことは、日本国政府として断じて許されない」
と述べた。
その上で
「ルールを守らない外国人と共生はできない」
「そのような方々に日本にいて頂かないようにするのは、日本国の責務だ」
と強調した。
高橋氏は、女性につきまとい公園で性的暴行したとしてトルコ国籍の男が2025年2月19日に逮捕された事件などを挙げ、
「そういったことが多々ある」
と説明した。
また、
「在留資格のない人は、悪さをする人も多々いる」
「しっかりと強制送還して、早急に対応してほしい」
と訴えた。
首相は
「不法滞在者など、退去を強制すべきものを早急に送還することは極めて重要だ」
「我が国での在留が認められないものについて、迅速な送還は実施をする」
と述べた。
また、高橋氏は
「トルコがテロリストに指定している人たちは平気で日本に入っている」
「水際対策が全然なっていない」
と政府の対応を疑問視した。
トルコの非合法武装組織
「クルド労働者党(PKK)」
を巡り、トルコ政府が埼玉県川口市の在日クルド人団体
「日本クルド文化協会」
と代表者らについて
「テロ組織支援者」
に認定していることなどが念頭にあるとみられる。
政府が進める外国人労働者の受け入れに関しても
「技能実習生でも年間1万人ぐらいが行方不明になっている」
「国として話にならない」
と批判し、外国人を受け入れる仕組みを整えるよう求めた。
首相は
「各省とも連携しながら、入国体制は点検を行っていく」
と語った。

川口で女性につきまとい性的暴行、トルコ国籍の男逮捕「何しているの」公園連れ込む 否認
2025/2/19 16:32
https://www.sankei.com/article/20250219-NKGSFKGFZBIZNOPUPPDSH73SCM/
歩いていた女性につきまとい性的暴行をしたとして、埼玉県警捜査1課と川口署は2025年2月19日、不同意性交等の疑いで、トルコ国籍で東京都新宿区百人町、無職、オズウチャルギル・エムラ容疑者(37)を逮捕したと発表した。
「事実ではありません」
と容疑を否認しているという。
県警はクルド人かどうか明らかにしていない。
逮捕容疑は1月27日午後10時半頃、川口市内を歩いていた40代女性に
「何しているの。言えないの」
などと声をかけ、約70メートル付きまとったうえで公園に連れ込み、性的暴行をしたとしている。
県警によると、現場は人通りの少ない住宅街の一角。
2人に面識はなかった。
県警はオズウチャルギル容疑者に土地勘があったかなどについて調べている。

異次元の移民政策
★A
「保守とは謙虚である」
というのは素晴らしい言葉だと思います。
さすがです。
これはどういう事かと言えば、
「先人が遺してきたものに対して敬意を払う」
というものであり、また
「自分が考えていることは、必ずしも正しいとは限らない」
という謙虚な姿勢というものですね。
翻って、自称リベラル派には、
「自分たちが考える政策は絶対に正しい」
という非常に傲慢な姿勢があると思います。
そんな保守とは対極にある、日本を破壊する一例が移民問題です。
今や自民党は”異次元の移民政策”を取っています。
自民党だけでなくほぼ全ての国会議員が
「日本は人口が減るから移民を入れなあかん」
と、極めて短絡的で安易な考えしか持っていない。
彼らは、移民を入れることによって日本という国がどれほど変質してしまうかということに一切思いが至っていない。
移民を推進した国がどうなっているか、ヨーロッパを見れば一目瞭然です。
フランスやベルギーの惨状を我が事として捉えている国会議員は皆無です。
国会でもそうした議論がなされたとは聞いたことがありません。
移民問題も日本を根底から変えてしまいかねない極めて重大な問題で、もし日本の伝統や文化やモラルを大切にするということが前提としてあれば、現在の政府が取っている政策とは全く違ったアプローチをするはずなんです。
★B
2022年、久しぶりにヨーロッパ、パリとベルギーの首都ブリュッセルを訪れました。
いずれも街の中心部でも中東・アフリカ系の方々を多く見かけました。
暴動頻発の要因となる軋轢が日常化しているのは誰の目にも明らかです。
ちなみに、ブリュッセルと並ぶベルギーの都市アントワープでは10年も前に、男の子の新生児で最も多い名前はムハンマドとなっています。
★A
ブリュッセルは住民の75%が外国人だと言いますね。
これは国際機関が多いからだそうですが、イスラム教徒の人口も増えており、首都圏の平均で23%、サンホセ地区という市の中心部に近い地区では住民の47%がイスラム教徒だと。
アントワープはアニメ『フランダースの犬』の舞台となるなど中世の港町の趣を今に残した伝統と文化の街という印象だったのですが・・・大変驚きました。
★B
「移民問題」
というと、日本では人手が足りない、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)労働の文脈で議論されがちなのですが、ベルギーでは移民2世の世代の中にホワイトカラーに従事する人たちも多くいます。
ブリュッセルで、東京で言えば銀座のようなブランドショップが立ち並ぶ最大の繁華街を歩いたんですが、ヒジャーブを身に付け、裕福そうな若い女性たちが洒落たカフェでお茶を飲んでいるその近くの通りで、物乞いをしている白人男性を見かけました。
こうした現実は、ひょっとすると明日の日本の姿かもしれないのです。
★A
このままではそうなる可能性が高いですね。
そうした危機感が今の国会議員には全くない。
★B
既に日本でも、今、埼玉県の川口市などでクルド人の一部が暴徒化するなど地域住民とのトラブルが深刻化しています。
そうした下層の問題が顕在化する一方、移民の数が増えれば日本社会の支配層に躍り出ていく人も今後増えていくでしょう。
するとどのような事が起こるかと言うと、
「日本の国体など関係ない、大切にする必要はない」
という考えが主流となる虞れがある。
■政治家も財界人も「自分ファースト」
★A
ここで非常に重要なことは、今、Bさんが言及された
「数の問題」
です。
今から20年以上前の話ですが、
「朝まで生テレビ!」
で移民問題がテーマになりました。
そこで司会の田原総一朗氏が、まず
「移民に賛成か反対か、それぞれ札を上げて下さい」
と言って、パネリストたちは皆、賛成、反対と書かれた札を上げました。
私はその余りにも乱暴な前提に呆れました。
こういうゼロか100かという議論のやり方くらい無茶苦茶で間違ったものはないからです。
何故なら、正解はその間にあるのです。
大事な事は、どれくらいの
「数」
で、どういう
「質」
の移民かということなのです。
それを抜きに、移民問題は語れません。
あれから20年以上が経ちましたが、今も同じような議論が続いている印象を受けます。
即ち、移民に賛成、反対というだけで具体的な数の議論が抜け落ち、移民に反対と言うと、1人も入れてはならないという考えなのかと思われたりする。
逆も然りで、賛成なら5000万人入れてもいいのかという極端な議論になってしまう。
★B
移民に対して否定的な意見を言うと、
「排外主義者」
「差別主義者」
「多様性を否定」
といったレッテルを貼られてしまうことを政治家は酷く恐れています。
そうした不当なレッテル貼りに負けることなく、
「外国人を受け入れることに反対ではない。ただし〜」
と、この
「ただし〜」
の部分を毅然と語れる政治家が、今の永田町にはほとんどいない。
★A
ほんま情けないですね。
★B
Aさんがおっしゃったように、移民問題において
「数の問題」
は大変重要で、例えば、学校のクラスでイスラム教徒が1人、2人であれば、給食で豚肉が出てもその日だけお弁当を持参するなどの対応を取れば済む。
ところが、クラスの半数以上がイスラム教徒になったら給食をハラールにしなければならない事態も考えられる。
現にドイツでそうしたことが起きていて、ドイツの伝統料理「アイスバイン」や「シュバイネハクセ」は豚肉を使いますが、学校の給食ではそうした料理を出せない所が増えているんです。
イギリスでも同じような事が起きているそうです。
強調しておきたいのですが、私にはイスラム教徒の親しい友人が複数いますし、ウイグル問題に長年取り組んできましたので、イスラム教徒への嫌悪感情や差別する気持ちは一切ありません。
ただ、国が彼らとの
「共生」
を安易に考えるべきではない。
今の日本を見ていると、欧州の後追いをして自壊の道を進んでいるとしか見えないのです。
★A
日本は、政治家も経済界も長期的な視点を全く持っていません。
例えば、労働人口を補うために移民を入れてもらいたい企業が政治家に働き掛ける。
1企業にとっては、移民を入れれば一時的にせよ従業員を確保できるのでプラスかもしれませんが、その従業員が日本で果たして何年働けるか。
仮に40歳で日本に来たとして、60歳の定年まで働ける保証はどこにもない。
もし定年まで勤め上げたとして、その後の年金や社会保障費などのコストを考えると、1企業にはプラスになったとしても、日本全体で考えた時、果たして本当にプラスになっているのか。
まして途中で働くのが嫌になり、生活保護を受給するケースが出てくるかもしれない。
企業は
「そんなん次の移民を入れたらええわ、辞めた後の事なんて関係ないで」
「儲かるからええやろ」
「どんどん入れたれ」
と自分たちの短期的な利益しか考えず、政治家も財界人からの要請に応えれば票を貰えるということしか考えない。
皆が自分の事しか考えておらず、その政策が将来、日本にどのような悲劇をもたらすかなど眼中にない。
そんな連中ばかりなんです。
★B
目先の損得だけで、社会全体のコスト、負荷を全く考えていないのですよね。
対中国の問題でも、政治家、財界はダメですね。
与野党問わず、日本の政治家に中国の暴挙に実効的な対抗策を講じる意思は見られません。
アメリカが前トランプ政権下において、中国メーカーの製品のバックドア問題を重要視し、電子機器のファーウェイや監視カメラ企業を締め出しました。
更に、ウイグル人らへの強制労働加担を止める法律の制定へと動き、政権が代わった後も方針を変えずに制裁に乗り出しました。
しかし、同盟国たる日本国内には、その制裁対象の企業の製品が溢れ返っています。
日本弱体化政策
★A
あと、移民問題で重要なのは
「質」
です。
日本の文化や習慣を尊重して日本社会に同化していこうという外国人と、出身国の文化や習慣に固執して日本社会に同化する意思がない外国人を、同じに見ることは難しい。
政府は安易に
「共生」
という言葉を使いますが、そもそも文化も思想も生活習慣も違う外国人とどうやって共生していくのでしょう。
政府はそのプログラムを示すべきです。
現在、ヨーロッパの国の多くが移民問題で大変な状況に陥っているのは、まさに
「共生」
が失敗したからに他なりません。
中国の若者の中には、一党独裁国家にいても未来が無いため、日本に留学して猛勉強して優秀な成績で日本企業に入社しようとする人たちも今後増えてくるでしょう。
彼らがやがて出世していき、数十年後、気付いた時には役員が全員中国人だったというケースも十分あり得ます。
日本人には余り知られていませんが、中国では会社法と中国共産党規約によって、中国共産党の党員が3人以上いる企業では党支部を設置しなければならないと規定されています。
更に国家情報法によって
「如何なる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない」
(第7条)
と定められている。
つまり、中国の国民や組織は、中国政府の情報活動に協力する義務があるのです。
なので、
「こんな情報を取って来い」
と中国政府の指示があれば、スパイ活動を実行しなければならない。
★B
本国に家族や親戚がいる人たちは、言わば”人質”を取られているわけですから、逆らえない。
★A
如何に中国人学生の中に優秀な人材がいても、会社全体を乗っ取られてしまう危険性を孕んでいることが現実問題としてあるんです。
こうしたチャイナリスクをストレートに訴える日本の国会議員は、残念ながらほとんどいません。
日本の国会議員は圧倒的に親中派、媚中派ですから、皆、中国に忖度して物が言えない。
この辺りも、既成政党には期待できない所以です。
★B
岸田政権下では、熟練外国人労働者として家族を帯同できる在留資格
「特定技能2号」
の対象分野を2分野から11分野へ拡大しました。
2号を取得すれば無期限就労が可能となります。
余りにも拙速、考え無し。
こんな事を許していたら、日本は間違いなくヨーロッパの二の舞いを演じることになりますよ。
日本の自動車メーカーを不利にするEV補助金も然りで、自公政権が推し進めている政策は、日本を弱体化させるものばかりです。
本来、日本は豊かで強い国ですよね。
国民は今も勤勉で誠実です。
この良さが残っているうちに、日本の国力を取り戻さなければならないのに、日本を売り渡す事ばかりやっている。
そんな政治には、はっきりと
「NO!」
と言わなければならない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/709.html#c26

[政治・選挙・NHK296] こうなることは分かっていた トランプに右往左往 石破官邸のお笑い(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
31. 秘密のアッコちゃん[1386] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月04日 12:48:34 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[824]
<▽34行くらい>
<主張>ラピダス支援法 国挙げて半導体の再興を
社説
2025/3/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20250304-TEUWXFA5IBIRRM3E4IVJEB3O7Q/
半導体は単なる工業製品ではなく、国家安全保障にも関わる戦略物資だ。
政府支援を通じ、官民一体で半導体産業の再興を着実に進めてほしい。
政府がラピダスを念頭に関連法案を今国会に提出した。
ラピダスに1000億円の出資を予定しており、税優遇や債務保証も含めた金融支援の枠組みを整える。確実に成立させたい。
米国や中国をはじめ海外では巨額の政府支援によって、半導体産業の強化を進めている国が少なくない。
台湾有事を見据え、世界的な競争力を持つ国内半導体メーカーを育て、サプライチェーン(供給網)を強靱化することは日本経済にとっても大きな意義がある。
半導体は回路線幅が細くなるほど性能が高まるが、国内メーカーは演算や制御といった
「頭脳」
となるロジック半導体では40ナノメートル(ナノは10億分の1)の汎用品しか作ることができない。
かつて世界シェアの過半を握っていた国内の半導体産業は技術革新に乗り遅れ、世界的な競争力を失った。
こうした状況を打開しようと、ラピダスは回路線幅2ナノメートルという最先端半導体の量産を目指している。
令和9年の量産開始に向けて、北海道千歳市の工場で今春から試作ラインを稼働する。
政府はラピダスに対し、これまでに9200億円の補助を決めているが、民間企業からは十分な資金を得られていない。
ラピダスは量産開始までに計5兆円が必要とされており、政府が継続的に支援する姿勢を明確に示し、民間資金の呼び込みに繋げたい。
巨額の政府支援には批判もある。
国産化に失敗すれば国民負担が生じるだけに、失敗は許されない。
ラピダスには、車の自動運転などユーザー企業の具体的な用途を念頭に最先端半導体を供給することで、国内産業への波及効果が期待されている。
早期に民間主導に移行するためにも、試作品でユーザー企業が納得できる性能や品質を示すことが求められる。
半導体は製造時に大量の電力を消費する。
このため、質の高い電力を安定的に供給することが欠かせない。
ラピダスの成功には、北海道電力泊原発3号機の再稼働を着実に進めることも重要となる。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/711.html#c31
[政治・選挙・NHK296] 世界にさらされたトランプ米国の正体 この決裂は「歴史暗転」という悲劇の序章(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
89. 秘密のアッコちゃん[1387] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月05日 14:17:20 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[825]
<■250行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
斎藤兵庫知事疑惑、百条委報告書を県議会が了承 N党立花氏に漏洩の増山氏は反対
2025/3/5 11:57
https://www.sankei.com/article/20250305-MOFMQTA2ZFKQNFSXHNX4HUUX6U/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は2025年3月5日、告発者を処分した県の対応について、
「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」
と指摘した調査報告書を2025年2月定例会本会議に提出。
採決の結果、賛成多数で了承された。
百条委の非公開の音声データを漏洩し、委員を辞任した増山誠県議らは反対した。
報告書に法的拘束力はなく、これまで処分の正当性を主張してきた斎藤氏の対応が注目される。
本会議では百条委の奥谷謙一委員長が、百条委の認定した事実などを読み上げ
「斎藤知事には重く受け止め、兵庫県のリーダーとして厳正に身を処していかれることを期待する」
と述べた。
この後、増山氏が反対討論を行い、調査終了前に県議会が斎藤氏の不信任を決議したことから
「この時点で百条委員会は外形的中立性、客観性が損なわれた」
などと主張した。
百条委は2025年3月4日、約9カ月に及ぶ調査結果を報告書として取りまとめ、公表した。
報告書では、元県幹部の男性=昨年2024年7月に死亡、当時(60)=が作成した告発文書で指摘された7項目の疑惑のうち、5項目で
「一定の事実が確認された」
などと結論付けた。
斎藤氏の職員に対するパワハラについては
「概ね事実」
と認定。
斎藤氏の強い叱責は職員の心理的負担や組織の閉塞感に繋がったとし、
「組織のトップの言動としては極めて不適切」
と指摘した。
百条委を巡っては、いずれも日本維新の会県議だった増山氏と岸口実氏が、政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首、立花孝志氏への情報漏洩問題で委員を辞任。
両氏は維新から処分を受け、現在は無所属となっている。

斎藤知事は「厳正に身を処して」 兵庫百条委9カ月調査、相次ぐ死を超え報告書
2025/3/4 21:59
https://www.sankei.com/article/20250304-MGH6QCDSARMHJIQLPW42OX6YEE/
兵庫県の斎藤元彦知事が自身の疑惑告発文書を作成した県幹部の男性を記者会見で批判して1年。
県議会調査特別委員会(百条委員会)が2025年3月4日に調査報告書を取りまとめ、県政を揺るがせた文書問題は1つの節目を迎えた。
ただ、約9カ月に及ぶ調査の間に男性や百条委委員だった元県議が死亡。
斎藤氏を応援する
「2馬力選挙」

「交流サイト(SNS)上での誹謗中傷」
など多くの問題が噴出した。
「なぜこんなことに」。
県民からは嘆く声も聞かれた。
「今日をともに迎えたかった」
「本当に残念」。
2025年3月4日午後3時に始まった最後の百条委。
全会一致で報告書を決定後、挨拶した奥谷謙一委員長は、元委員の竹内英明氏を偲び、告発した男性についても
「本人から直接意思を窺うことは叶わなかった」
と言及した。
文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性は、百条委の証人尋問直前の昨年2024年7月に亡くなった。
委員を務め、疑惑追及の急先鋒だった竹内氏は斎藤氏が再選された昨年2024年11月の知事選直後、SNS上の誹謗中傷を理由に県議を辞職。
今年2025年1月に死亡した。
いずれも自殺とみられる。
委員会終了後、会見した奥谷氏は、百条委について
「公益通報者保護法改正にも結び付き、果たした役割は大きいと考える」
と説明。
告発文書は
「噓八百でも事実無根でもなかったというのが我々の調査結果」
「(斎藤氏は)しっかり受け止め、リーダーとして厳正に身を処して頂きたい」
と訴えた。
斎藤氏はこの日登庁したが、百条委の決定後は取材に応じなかった。
百条委を巡っては、委員を務めていた日本維新の会の県議2人が、政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏に、真偽不明の男性の私的情報や非公開の百条委の音声データを漏洩したことが発覚。
2人は委員を辞任し、維新から除名や離党勧告の処分を受けた。
こうした経緯を踏まえ、終了後の会見では維新の委員が
「不祥事により会派の委員2人が交代し申し訳ない」
と陳謝する場面もあった。
百条委の調査が続く中、昨年2024年9月には県議会が全会一致で斎藤氏の不信任を決議。
斎藤氏は失職に追い込まれたが、再選を果たした。
だが、この知事選を巡り、斎藤氏を応援するとして出馬した立花氏による
「2馬力選挙」
が問題視され、公職選挙法改正の議論が加速。
斎藤氏らの同法違反疑惑も浮上するなど、波紋は広がり続けている。
この日の百条委は一般傍聴者に30席が用意されたが、訪れたのは9人。
神戸市の会社員の女性(62)は
「人が亡くなったり、何故こんな事になるのか」
と語り、県職員の1人は
「知事にはしっかりと受け止め、悪いところは悪いと認めてほしい」
と話した。

兵庫百条委「噓八百」否定も調査に限界 調査報告書に法的拘束力なし、知事対応も不透明
2025/3/4 21:04
https://www.sankei.com/article/20250304-NZEOZPUANFJMJCP26D7XUN5TEI/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)が2025年3月4日に公表した調査報告書は、告発文書を
「噓八百」
と断じ、告発者の処分は適切としてきた斎藤氏の主張を否定する形となった。
公益通報などの専門家らは調査結果を評価する一方、議員が調査主体となるため、
「政治」
と切り離せないなど百条委の限界を指摘。
報告書には法的拘束力もなく、斎藤氏がどう受け止めるかは不透明だ。
百条委は、斎藤氏のパワハラ行為など文書に記載された7項目の疑惑に加え、文書を公益通報として扱わず、作成した元県幹部の男性=昨年2024年7月死亡、当時(60)=を懲戒処分とした県の対応の妥当性を調査した。
文書は匿名だったが、独自に文書を入手した斎藤氏は、片山安孝副知事(当時)ら側近に作成者などの調査を指示。
男性を作成者と特定し、内部調査の上で停職3カ月の懲戒処分とした。
斎藤氏は文書問題の発端となった昨年2024年3月27日の記者会見で、告発文書を
「噓八百」
「事実無根」
とし、男性を
「公務員として失格」
などと非難。
百条委の証人尋問では、文書が誹謗中傷の可能性が高い内容で、懲戒処分は適切だったとの主張を繰り返した。
これに対し報告書は、文書に事実が含まれていることなどから
「知事らは公益通報に該当し得るとの前提で、作成者特定の前に文書の内容を調査すべきだった」
と指摘。
斎藤氏が初動の段階で告発者を公表し、職を解いたことは
「告発者潰しと捉えられかねない不適切な対応」
とし、一連の対応には
「大きな問題があった」
と結論付けた。
公益通報制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授は、百条委の事実認定は
「概ね評価できる」
とする一方、公益通報者保護法に違反するか否かの断定的な表現を避けた点は、
「(司法機関ではない)百条委としての限界があったのではないか」
との見方を示した。
更に、百条委委員らが告発者の真偽不明な私的情報を漏洩したことにも触れ、
「公益通報者の立場からすればまさに不利益扱いで、一番大きな関心事」
「完全な法令違反だと認定する必要があった」
と注文を付けた。
■客観的な証拠収集、不足した可能性
7項目の疑惑の中で大きな焦点となったのがパワハラ行為の有無だ。
報告書では、斎藤氏が県政に関する報道に
「聞いていない」
と机を叩きながら声を荒らげたことや、訪問先で公用車を降りて約20メートル歩かされ、職員を怒鳴った事例などを事実として認定。
斎藤氏は叱責を
「業務上必要な範囲の指導」
などと主張したが、報告書は
「頭が真っ白になった」
との職員の証言から
「極めて理不尽な叱責」
とし、
「パワハラと言っても過言ではない」
と判断した。
百条委は職員アンケートを含め、多くの事案を積み上げて結論を導いた。
ただ、パワハラに詳しい東北大の増沢隆太特任教授は、客観的な証拠収集などが不足していた可能性があるとみる。
「斎藤氏から叱責された際の職員の受け止めは重要な証言」
としつつ、第三者の証言や日記などの記録で事実を掘り下げる必要があったと指摘。
一方で、百条委を巡る誹謗中傷や情報漏洩が相次ぐ状況では、証言が集まりにくかった恐れもあるとの見方を示した。
■再び不信任の判断「あり得る」
百条委が調査を終えたことで、斎藤氏や議会側の対応に焦点は移る。
委員の1人は
「知事が調査報告をどう受け止めるのか」
「『尊重する』と言っても相手にしないかもしれない」
と懸念する。
百条委では公益通報やパワハラを巡り、斎藤氏の主張に沿うような専門家の意見も一部寄せられた。
斎藤氏自身もパワハラに関し
「最終的には司法の場の判断になる」
と発言。
斎藤氏が県議会の不信任決議で失職しながら、知事に再選したことで
「みそぎは済ませた」(維新県議)
との声もある。
紆余曲折を経た百条委の調査に対し、近畿大の上崎哉(はじめ)教授(行政学)は
「議員が委員を務め、政治的な意図と切り離して公正中立に議論を進めることが難しいという限界も露呈した」
と振り返る。
それでも斎藤氏が
「説明責任を十分に果たしているとは言い難い」
とし、
「今後も説明責任を果たさず、県政の混乱が収束する見込みがないならば、議会として再度の不信任という重い判断もあり得る」
と述べた。
■優勝パレード疑惑には「不自然な点」
百条委員会が公表した調査報告書では、プロ野球阪神・オリックスの優勝パレードの経費を巡る不正疑惑に関しても
「一定の事実が記載されている」
と認定した。
背任罪での告発状を兵庫県警などが受理しており、
「捜査当局の対応を待ちたい」
としている。
告発文書では、令和5年11月23日に実施されたパレードを巡り、企業協賛金を地元信用金庫に出してもらう見返りに、補助金を増額して還流したと記載。
百条委の報告書では
@県から信金への補助金が斎藤元彦知事や片山安孝副知事(当時)の指示によって増額された
A片山氏が信金に依頼し、2千万円の協賛金を集めた
ことを認めた。
更に、両者の時期が近接していることや、協賛金を集めたのがパレード後で企業側に協賛広告などのメリットがないことを挙げ、
「不自然な点も見受けられる」
と言及。
ただ、当事者が否定しており、
「補助金を募金としてキックバックさせたことは確認できなかった」
とした。
また、贈答品受領疑惑に関して報告書は、受領したとされるコーヒーメーカーについて
「外形的に見れば斎藤氏が貰ったと見られても仕方がない」
と記載。
カニやカキなどの県産品も斎藤氏が個人で消費したと捉えられてもやむを得ないとし、
「こうした行為が『おねだり』との臆測を呼んだことは否定できない」
との見解を示した。

告発文書5項目「一定の事実」 兵庫百条委、調査報告書を公表 一連の対応「問題あった」
2025/3/4 19:00
https://www.sankei.com/article/20250304-C2IMVVN7IROD7HFVBHWUEJ5NLI/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は2025年3月4日、調査報告書を公表した。
告発文書を公益通報と扱わず作成者を特定、処分した県の対応は
「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」
と指摘。
斎藤氏の職員へのパワハラなど、文書に記された7項目のうち5項目で
「一定の事実が確認された」
とした。
報告書は2025年3月5日に県議会へ提出される見通しだが法的拘束力はなく、斎藤氏や議会側の今後の対応が焦点となる。
報告書では、斎藤氏の部下への叱責は
「パワハラと言っても過言ではない不適切なものだった」
と認定。
斎藤氏の贈答品受領や阪神・オリックス優勝パレードの協賛金集めなどの疑惑は、文書指摘の一部が事実と認められたなどと明記した。
事実確認より告発者捜しを優先するなどした斎藤氏の対応について、公益通報者保護法の指針に基づく措置を怠り、
「現在も違法状態の可能性がある」
と批判。
一連の対応を
「公平性を欠き、大きな問題があった」
とし、斎藤氏に県政の混乱と分断を一刻も早く解消すべく、県民に説明責任を果たすよう求めた。
百条委は昨年2024年6月に設置され、斎藤氏や片山安孝元副知事、県幹部らへの証人尋問や全職員へのアンケートを実施。
告発文書に記載された7項目の疑惑や、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性を停職3カ月の懲戒処分とした県の一連の対応について、9カ月に渡って調査した。
県が設置した第三者委員会の調査も進み、2025年3月中に結果が出る見通し。
昨年2024年11月の知事選での交流サイト(SNS)運用を巡る斎藤氏らの公選法違反疑惑は、県警などが告発状を受理して捜査を進めている。

「斎藤知事らの対応、違法可能性高い」兵庫百条委が報告書公表 5日の県議会に提出見通し
2025/3/4 15:18
https://www.sankei.com/article/20250304-YRIZW2JRPBPCLPINY3B35QSDCE/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は2025年3月4日、調査報告書を公表した。
内部告発への県の対応について、報告書では
「公平性を欠き、大きな問題があった」
と明記。
告発文書を公益通報と扱わず作成者を特定、処分した対応は
「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」
とし、斎藤氏による職員への叱責は
「パワハラと言っても過言ではない不適切なものだった」
と認定した。
2025年3月5日の県議会2025年2月定例会に提出する見通し。
報告書では、兵庫県の混乱と分断を一刻も早く解消すべく斎藤氏に県民に説明責任を果たすよう強く求めているが、法的拘束力はなく、斎藤氏の今後の対応が問われる。
県議会は昨年2024年6月に百条委を設置し、斎藤氏や片山安孝元副知事、県職員らへの証人尋問などを実施。
告発文書に記載された疑惑7項目や、元県西播磨県民局長の男性による告発文を公益通報と扱わず、告発者捜しを進めた県の対応を調査していた。
報告書では、7項目のうち、パワハラや贈答品受領などの5項目について
「一定の事実が確認された」
と指摘。
事実確認よりも告発者捜しを優先したり、斎藤氏が記者会見で男性を公にしたりした対応について、公益通報者保護法の指針に基づく措置を怠り、
「現在も違法状態の可能性がある」
と批判した。

兵庫百条委が最終案合意 告発者処分「公平性欠いている」パワハラなどは「一定の事実」
2025/3/3 19:36
https://www.sankei.com/article/20250303-MUNL232YO5NMNAVAKGALP4WBTM/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は2025年3月3日、非公開の協議会を行い、調査報告書案の内容について合意した。
一連の文書問題を振り返り、告発者の処分過程など
「客観性、公平性を欠いている」
とし、行政機関の対応として
「大きな問題があったと言わざるを得ない」
と指摘している。
百条委は2025年3月4日に公開で審議し、2025年3月5日の2025年2月定例会本会議に提出する予定。
百条委の奥谷謙一委員長は会合終了後、記者団に
「報告書はまとまった」
「軽微な修正を踏まえて2025年3月4日の百条委で採決する」
と述べた。
最終報告書案によると、告発文書に記載された7項目の疑惑のうちパワハラなど5項目について
「(百条委で)一定の事実が確認された」
と明記。
斎藤氏に対し文書問題に端を発した兵庫県の混乱と分断を一刻も早く解消すべく県民に説明責任を果たすよう求めた。
告発者の特定を急いだ斎藤氏の初動対応については、
「作成者の特定を行う前に文書の内容を調査すべきであった」
と指摘。
公益通報者保護法の指針には、不利益な取り扱いなどが行われた場合に
「救済・回復措置など適切な措置をとる」
と定められており、
「(県は)規定に基づいた措置を行う必要がある」
とした。
斎藤氏の職員に対するパワハラは、
「概ね事実」
とする当初の案を維持。
斎藤氏の強い叱責は職員の心理的負担や組織の閉塞感に繋がったとし、
「組織のトップの言動としては極めて不適切」
と指摘した。
一方、パワハラの認定については、
「パワハラ行為と言っても過言ではない不適切なものだった」
との文言にとどめた。
贈答品受領は、PR目的ではなく、
「(斎藤氏が)個人として消費していたと捉えられても仕方がない行為もあったと言わざるを得ない」
と指摘。
県は昨年2024年12月、改善策を発表したが、
「接待対応についてのルールの明確化も図るべきだ」
との提言を盛り込んだ。
令和5年11月に実施されたプロ野球阪神・オリックスの優勝パレードの経費を巡る不正疑惑では、パレード後の入金に
「不自然な点も見受けられる」
と指摘。
背任容疑の告発状が兵庫県警に受理されており
「捜査当局の対応を待ちたい」
とした。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/716.html#c89

[政治・選挙・NHK296] 世界にさらされたトランプ米国の正体 この決裂は「歴史暗転」という悲劇の序章(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
90. 秘密のアッコちゃん[1388] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月05日 16:56:04 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[826]
<■285行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
主張>米の対ウ「制裁」 早期解除へ関係改善図れ
社説
2025/3/5 5:00
https://www.sankei.com/article/20250305-UO5QQLCHHZJNBG3ROUVQTDMQOU/
改めていいたい。
米国のトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は頭を冷やし、急ぎ関係改善を図るべきである。
トランプ氏が、ウクライナへの軍事支援の一時停止を指示した。
侵略者ロシアと戦うウクライナの最大支援国が当のウクライナに制裁を科した格好だ。
残念な光景という他ない。
ホワイトハウス当局者は、ウクライナが和平交渉を確約するまでの一時的措置としている。
ウクライナは武器弾薬を蓄えており戦況に直ちに影響を与えるわけではないが、長期化はロシアを利する。
防衛線が崩れればウクライナの将兵や国民の被害は増しロシアの占領地が拡大する。
停戦交渉も不利になる。
米国はウクライナと意思疎通を図り、出来るだけ早く軍事支援を再開すべきである。
停止の直接のきっかけは、ホワイトハウスでの会談中の両大統領の口論だ。
トランプ政権はこれまでの支援へのゼレンスキー氏の感謝が足りず、無礼だとして態度を硬化させた。
米国の次に訪ねた英国でゼレンスキー氏は、和平合意について
「まだとても遠い」
と語った。
これを和平への熱意の欠如と受け取ったトランプ氏はSNSで
「最悪の発言だ」
と怒り、
「この男は米国の後ろ盾がある限り、平和を望まない」
と指摘した。
ゼレンスキー氏またはウクライナの政権はトランプ政権に対し、停戦を真剣に追求すると約束せざるを得まい。
一方で、ウクライナや欧州との意思疎通をおざなりにして停戦交渉に走ったトランプ政権も反省すべきだ。
味方とは話し合いが必要で、その指導者を敵のように扱ったり、辞任を求めたりしてはなるまい。
1994年の
「ブダペスト覚書」
で核兵器放棄を受け入れたウクライナの安全を約束した米国には、今回の戦争後もウクライナの安全を保証する責務がある。
停戦維持に欧州が主体的役割を果たすとしても米国の後押しは欠かせない。安全の保証なしでは停戦が破れかねない。
トランプ政権が気付くべき点はまだある。
今回の騒動は米国の同盟・同志国を不安にさせる。
それは侵略者のプーチン露大統領だけでなく、力による現状変更を狙う中国の習近平国家主席も喜ばせるという点だ。

米ウクライナ首脳決裂 産朝…プーチン氏を利する 読日…米欧間の亀裂も深刻
【社説検証】
2025/3/5 13:00
https://www.sankei.com/article/20250305-HR3N2SQMHFIM7MPS4E3SEXQ4PE/
3年が経過したロシアの侵略終結を目指す停戦交渉を巡り、トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談が決裂した。
停戦後の
「安全の保証」
を求めたゼレンスキー氏をトランプ氏は
「無礼だ」
と罵倒した。
その振る舞いはプーチン露大統領を利するだけだとして、各紙は早期の関係修復を求めた。
米露が接近し、欧州との亀裂が深まれば、プーチン氏の狙い通りの展開となるとも訴えた。
会談決裂後、鉱物資源を共同開発する協定の署名は見送られた。
米国による武器供与の一時停止も報じられている。
産経は
「笑いが止まらないのはプーチン露大統領であろう」
と皮肉を込めて指摘した。
ゼレンスキー氏は、ロシアがクリミア半島を併合した2014年以降、停戦合意を破り続けた事実を指摘して、停戦後の安全が保証されない和平は受け入れられないと訴えた。
トランプ氏やバンス副大統領は
「(米国への)感謝が足りない」
と責め立てたが、産経は
「ウクライナの主張は、何ら間違っていない」
とした。
米国は1994年、ウクライナが保有する核兵器を放棄する代わりに
「領土保全」
を英露とともに約束したブダペスト覚書を結んでいる。
産経は
「ウクライナの安全を保証する責務がある」
と指摘した。
朝日も
「今回の決裂を喜んでいるのはロシアのプーチン大統領だろう」
「米国が支援を打ち切れば、ウクライナを従属させる目的が実現に近づく」
と指摘し、
「そもそも国際法違反の侵略戦争を一方的に仕掛けているのはロシアの側だという基本認識が、トランプ氏に欠如していると言うしかない」
と非難した。
欧州首脳はゼレンスキー氏への連帯を表明し、平和維持部隊の派遣や独自の停戦案も検討され始めた。
だが、日経は
「圧倒的な軍事力を持つ米国の関与なしには実効性に疑問符がつく」
とし、
「ウクライナを全面支援する欧州と米国の関係にも亀裂が広がる恐れがある」
と訴えた。
読売も
「米国とロシアが手を握り、欧州と対立する構図は、プーチン氏の狙い通り」
と指摘した。
国連では、欧州が主導した露軍の即時撤退を求める総会決議案に米露が共に反対票を投じる事態も起きた。
毎日も
「懸念されるのは、米国が支援を打ち切り、ウクライナを置き去りにしてロシアとの交渉に突き進むことだ」
「国際社会が望む『公正で永続的な平和』は遠のく」
と指摘し、欧州に対し、米国とウクライナの関係修復に向けた仲介役を求めた。
侵略開始から3年の節目で各紙は
「ウクライナの頭越しにロシアとの交渉に乗り出し、プーチン大統領の言い分を丸呑みするかのような」(朝日)
トランプ氏の危うさに警鐘を鳴らした。
米ウクライナ首脳会談はその危惧が的中したような展開となった。
読売は
「大国同士の思惑に、小国の運命を委ねるわけにはいかない」
との認識を示し、ウクライナを巡る米露の接近は、米英とソ連の首脳による
「第2次大戦末期の『ヤルタ会談』を彷彿とさせる」
と指摘した。
欧州の戦後体制に関する3カ国の合意はソ連の東欧支配に繋がり、東欧諸国は半世紀近くもソ連の
「衛星国」
となった。
プーチン氏の狙いもウクライナの属国化だ。
東京は
「独裁者への宥和政策は逆効果だ」
「国際社会はナチス・ドイツの侵略戦争を想起すべきである」
と強調した。
念頭にあるのは1938年の独ミュンヘン会議だ。
英仏がヒトラーに当時のチェコスロバキアの領土の一部併合を認めた宥和姿勢が、翌1939年のドイツのポーランド侵攻と第二次大戦突入に繋がったからだ。
日経は、国際社会がロシアの力による現状変更を容認すれば、ロシアの脅威下にある東欧やバルト諸国の問題だけに終わらず、
「アジアでは軍拡を急ぐ中国に誤ったシグナルを送る」
と警告した。
国際秩序を壊すあしき前例とならないよう、トランプ氏とゼレンスキー氏は頭を冷やして協議の席に戻るべきだ。
両者の関係修復は焦眉の急である。

米ウクライナ首脳会談決裂を巡る主な社説
【産経】
・頭を冷やして協議に戻れ (2日付)
【朝日】
・信頼を損なう米の対応 (同)
【毎日】
・関係修復し協議の継続を (3日付)
【読売】
・ロシアを利する口論の異様さ (2日付)
【日経】
・米国とウクライナは和平への協議に戻れ (同)

<主張>米ウ首脳が口論 頭を冷やして協議に戻れ
社説
2025/3/2 5:00
https://www.sankei.com/article/20250302-ABZYQH7TEFIBVNEZZF5QOT5LWM/
4年目に突入したロシアの侵略終結を目指す停戦交渉を巡り、トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談が口論の末、決裂した。
笑いが止まらないのはプーチン露大統領であろう。
だが、侵略者をこれ以上利するような状況に陥らせてはならない。
トランプ氏とゼレンスキー氏は頭を冷やして協議の席に戻ってもらいたい。
報道陣に公開された会談の冒頭で、ゼレンスキー氏は停戦後の安全が保証されない和平は受け入れられないと説いた。
力による現状変更を図るロシアの侵略に対し、多大な犠牲を払って抵抗を続けるウクライナの主張は、何ら間違っていない。
だが、ウクライナに譲歩を強いても戦闘を停止させたいトランプ氏との立場の違いは、鮮明となるばかりだった。
口論になったのはバンス副大統領が割り込み
「外交による和平」
を説いた直後だ。
プーチン氏に擦り寄る態度と映ったか、ゼレンスキー氏は、ロシアがクリミア半島を併合した2014年以降、停戦合意を破り続けた事実を指摘し、
「あなたが話す外交とは何か」
と質した。
バンス氏は米国とトランプ氏への礼を欠いた発言だと反発した。
トランプ氏も
「あなたたちは勝てない」
「第三次世界大戦が起きる危険な賭けをしている」
と怒りを募らせた。
会談は行われたが、鉱物資源の開発を巡る協定署名や共同記者会見は見送られた。
露高官は
「今後のシナリオは非常に楽観的だ」
と語った。
トランプ氏が和平への関与から手を引けばウクライナの属国化を狙うプーチン氏の思う壺となる。
領土と主権を守ろうと戦う同志国を愚弄するかのようなトランプ氏に同盟国は危機感を強めたはずだ。
欧州首脳はこれまで以上に強い言葉で、ウクライナへの連帯と支援を表明した。
米国は1994年、ウクライナが保有する核兵器を放棄する代わりに、同国の
「領土保全」

「安全の保証」
を英露と共に約束した
「ブダペスト覚書」
を結んだ。
米国にはウクライナの安全を保証する責務があることを忘れてはならない。
トランプ氏は、ウクライナに対する軍事支援を続ける必要がある。
その上で、
「公正で持続的な平和」
を希求するウクライナと真摯に話し合うべきだ。

(社説)首脳会談決裂 信頼を損なう米の対応
2025年3月2日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S16160926.html
険悪化した首脳間の関係を修復し、支援をつなぎとめる――そんなウクライナの狙いは無残な失敗に終わった。
原因をゼレンスキー大統領に帰すことはできない。
ロシアの侵略を問題視せず、民主主義と法の支配を守る米国の歴史的使命に背を向けるトランプ大統領の責任こそ重大だ。
今後は、米国にウクライナ支援の継続を求める国際的な働きかけが重要になる。
一方で、米国が手を引いた場合の対応策も、欧州や日本が想定すべき課題になりそうだ。
2期目のトランプ大統領就任後初めてとなったゼレンスキー氏の訪米では、ウクライナの希少資源に関する協定への署名が予定されていた。
だが会談では早々に見解の相違が浮き彫りになった。トランプ氏は米国が資源開発に関与することがウクライナを守るという考えを示したのに対し、ゼレンスキー氏はロシアを止める保証が必要との考えを表明。
両首脳が記者団の前で激しく口論する異例の展開となり、会談は決裂した。
トランプ氏は会談後、SNSへの投稿で
「平和への用意がない」
とゼレンスキー氏を批判した。
だが、誰よりも平和を望んでいるのは、国土を踏みにじられ、住民を虐殺されているウクライナの人々だ。
ロシアからの攻撃を封じる態勢を築かない限り平和は実現しないとするゼレンスキー氏の主張は当然だ。
そもそも国際法違反の侵略戦争を一方的に仕掛けているのはロシアの側だという基本認識が、トランプ氏に欠如していると言うしかない。
会談でトランプ氏は
「米国への感謝が足りない」
と口にした。
米国を含む国際秩序全体の危機に目を向けずにウクライナを批判するのはおかしい。
ゼレンスキー氏が
「(米国は)海があって今は(問題を)感じていないが、将来的には感じるはずだ」
と述べたのは的を射ている。
今回の決裂を喜んでいるのはロシアのプーチン大統領だろう。
米国が支援を打ち切れば、ウクライナを従属させる目的が実現に近づく。
米欧間の亀裂を広げるために、トランプ氏を一層取り込もうとするだろう。
欧州の国々からウクライナ支援の声が上がっている。
一方、石破首相が
「感情をぶつけ合えばいいというものではない」
と、双方に問題があるかのような見解を述べたのは理解に苦しむ。
今回のトランプ政権の対応は、価値観を共有する同盟国としての米国の信頼性に大きな疑問を投げかけた。
日本はより明確に米国への懸念とウクライナへの連帯を表明すべきだ。

社説
米ウクライナ会談決裂 関係修復し協議の継続を
毎日新聞
2025/3/3 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20250303/ddm/005/070/011000c
これではロシアを利するだけである。
まず互いが冷静になり、協議を継続すべきだ。
ウクライナ戦争の停戦に向けてトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が会談したが、決裂した。
米国が支援を継続する条件と位置付けていたウクライナの鉱物資源開発を巡る協定への署名も見送られた。
経緯はこうだ。
公開された会談の冒頭、米側がトランプ政権の外交への取り組みをアピールした。
過去の停戦合意に反して侵攻したプーチン露政権を相手に
「どんな外交をするのか」
とゼレンスキー氏が質問すると、米側が
「無礼だ」
と言い返して口論が始まった。
トランプ氏は、米国の支援なしに
「あなたは勝てない」
とまくし立て、
「第三次世界大戦」
のリスクを冒していると繰り返した。
非公開の協議に移っても対立は収まらず、米側が打ち切ったという。
感情的な対立が2国間に深い溝を生んだのは間違いない。
問題の根底には、トランプ氏のロシア寄りの姿勢がある。
これまで
「プーチン氏は私を尊敬している」
と述べ、停戦に合意すれば再び侵攻することはないと根拠もなく語っていた。
だが、国際法を破って隣国を侵略したのはロシアである。
その視点を欠くトランプ氏にウクライナが疑いの目を向けるのは当然だ。
ゼレンスキー氏に対して
「あなたに交渉カードはない」
とも言い放った。
軍事支援を続ける米国に従うよりほかに手段はない、と脅しているかのようだ。
ロシアは会談の決裂を歓迎している。
トランプ氏主導の交渉の危うさを露呈させた。
だが、ウクライナには
「法の支配」
という国際社会に訴える大義がある。
欧州主要国は次々に連帯を表明し、擁護に回った。
懸念されるのは、米国が支援を打ち切り、ウクライナを置き去りにしてロシアとの交渉に突き進むことだ。
国際社会が望む
「公正で永続的な平和」
は遠のく。
トランプ氏は協議後、記者団に
「平和を追求する」
と述べた。
そうであるなら、損なわれた信頼の回復をまず急ぐのが筋だ。
両国の関係修復に向け、欧州が仲介役となって働き掛ける必要もある。

米国の停戦交渉 ロシアを利する口論の異様さ
2025/3/2 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20250301-OYT1T50169/
ロシアの侵略を受けるウクライナの大統領を激しく責め立て、米国との取引に応じなければ手を引くと脅しをかける。
米国のトランプ大統領の異様な振る舞いが、メディアを通じて全世界に伝えられたことに、驚きと懸念を禁じ得ない。
これがトランプ氏が言う
「偉大な米国」
の姿と言えるのか。
トランプ氏と、訪米したウクライナのゼレンスキー大統領が会談したが、物別れに終わった。
報道陣が見守る中で、ゼレンスキー氏は、トランプ政権を含む歴代米政権がロシアのプーチン大統領を
「止めなかった」
と述べた。
これにトランプ氏や同席したバンス副大統領が
「失礼だ」
と反発し、言い争いとなった。
トランプ氏は、
「米国がいなければあなたに(交渉の)カードは一切ない」
と述べ、米国の支援に感謝するよう迫った。
戦時下にある他国の指導者に服従を迫る、著しく敬意を欠いた発言である。
両首脳は当初、米国の軍事支援の見返りとして、ウクライナ国内にあるリチウムなどの希少鉱物資源の権益を譲渡する協定に署名する予定だったが、見送られた。
ウクライナは、停戦実現後にロシアが再び侵略を始めることを防ぐためには
「安全の保証」
が必要だとして、米国の関与を求めてきた。
だが、今回の協定案には明記されず、ウクライナには不安や不満が残る内容だったとされる。
米国が、ウクライナや、ウクライナを支援する欧州の意向を無視する形でロシアとの交渉を強引に進めても、いずれは行き詰まることが、次第に明らかになりつつあるのではないか。
今回の会談決裂を受けて、米国では、トランプ政権発足後も継続してきた軍事支援の停止を求める声が高まることが懸念される。
欧州の支援だけでは不十分で、戦況の悪化は避けられない。
米国と欧州の亀裂も深刻化している。
国連では、ウクライナと欧州が中心となって作成した、ロシア軍の即時撤退を求める総会決議に対し、米国がロシアと北朝鮮などと共に反対に回った。
米国とロシアが手を握り、欧州と対立する構図は、プーチン氏の狙い通りである。
米国とウクライナは冷静さを取り戻し、関係を修復することが急務だ。
幸いにもトランプ氏は、平然と前言を翻すことが少なくない。
最近もゼレンスキー氏を
「独裁者」
と呼び、後になって
「私がそんなことを言ったか」
と嘯いた。
今回も 豹変を期待する。

[社説]米国とウクライナは和平への協議に戻れ
ウクライナ侵略
2025年3月1日 19:05
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK282N50Y5A220C2000000/?msockid=03bbc426d8756d821927d643d90f6c0f
米国とウクライナは首脳会談で激しく応酬し、互いへの不信を露わにしてしまった。
両国は関係の修復を急ぎ、公正なウクライナ和平の実現に向けて協議を出来るだけ早く再開すべきだ。
米ホワイトハウスで2025年2月28日、報道陣を前に異様な光景が展開された。
会談の冒頭、ウクライナのゼレンスキー大統領がバンス米副大統領に
「あなたが話す外交とは何なのか」
と問い質すと、トランプ米大統領が
「この国を侮辱している」
などと語気を強め、激しい言葉の投げ合いになった。
双方ともに冷静さを欠いた会談の決裂を深く憂慮する。
予定された資源権益に関する協定の署名は中止になった。
和平への一歩となるべき合意が暗礁に乗り上げた。
両者の相互不信は根深い。
和平の早期実現を掲げるトランプ氏はゼレンスキー氏に終戦の意志があるのか疑っていた。
大統領選の実施を求めて協議から同氏を外そうとしたのも疑問が残る。
一方、ゼレンスキー氏はウクライナと欧州の頭越しにロシアのプーチン大統領と取引を始めたトランプ氏に危機感を強めた。
2025年2月28日の会談で公正な和平を訴えようと焦り、米外交の在り方に疑問を呈す不用意な発言をしてしまった。
資源権益の協定に応じる見返りに、ウクライナの安全保障を米国に求めたこと自体は妥当だ。
時間をかけてもロシア軍を全面撤退させるには、ウクライナが強い立場で交渉する必要がある。
ロシアによる停戦破りの再攻撃を防ぐためにも、ウクライナを守る強固な安保の枠組みは欠かせない。
トランプ氏は欧州に平和維持部隊の派遣を求めているが、圧倒的な軍事力を持つ米国の関与なしには実効性に疑問符が付く。
巨額のウクライナ支援の削減を急ぐトランプ政権は、欧州の安保は欧州が担うべきだとして米国の関与に否定的だ。
会談の決裂直後にはウクライナへの武器供給の停止をちらつかせた。
こうしたやり方は国際的信用を失いかねない。
ウクライナを全面支援する欧州と米国の関係にも亀裂が広がる恐れがある。
民主主義陣営の深刻な不協和音はロシアを利するばかりだ。
ロシアは戦場と外交の両面で攻勢を強めようとするだろう。
国際社会は今、公正な和平を実現できるかどうかの瀬戸際にある。
ウクライナと米欧日などの結束が求められる時に、これ以上の足並みの乱れは許されない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/716.html#c90

[政治・選挙・NHK296] <声明>国民の生活苦は無視、日本を地獄に突き落とす自民・公明・維新修正予算案に反対(れいわ新選組 2025年3月4日)  赤かぶ
22. 秘密のアッコちゃん[1389] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月06日 11:52:43 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[827]
<■6422行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>兵庫の百条委報告 知事は責任をどう考える
社説
2025/3/6 5:00
https://www.sankei.com/article/20250306-MXLJMRXPMZOCNC6ERTJWEIQF6U/
極めて重い調査結果である。
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委)が報告書をまとめ、議会で了承された。
報告書は斎藤氏のパワハラ疑惑などを
「一定の事実」
と認定した。
告発者を特定、処分した県の対応は公益通報者保護法に反する可能性が高いと指摘し、
「客観性、公平性を欠いており、大きな問題があった」
と総括した。
日本の地方自治は首長と議会の二元代表制である。
地方自治法に基づき県議会に設置した百条委の判断を斎藤氏は真摯に受け止めなくてはならない。
ところが斎藤氏は、2025年3月5日の記者会見で
「議会側から一定の見解が示されたことはしっかり受け止める必要がある」
と述べる一方、県の一連の対応は
「適切だった」
と語り、パワハラ疑惑も
「業務上必要な指導」
と、従来の主張を繰り返した。
これで理解を得られるのかは疑問だ。
斎藤氏は県民が納得できる説明を尽くし、自らの責任を明確にすべきではないか。
その上で特別職を含むハラスメント防止条例の制定など、再発防止策も急ぐ必要がある。
県議会の各党各会派も報告書を踏まえ、斎藤氏とどう向き合うのか態度を示すべきだ。
県政の混乱と分断は依然憂うべき状況にある。
告発者の男性は百条委の証人尋問を前に死亡した。
百条委委員だった県議はSNSでの誹謗中傷を理由に県議を辞職し、死亡した。
いずれも自殺とみられている。
百条委は斎藤氏を含む延べ34人から聴取し、専門家の意見も聞いた。
報告書は、告発文書の存在を把握した時点で、県は作成者ではなく文書内容を調査すべきであり、第三者に調査を委ねる必要があったとした。
百条委を巡っては非公開の証人尋問の内容が県議から流出するなどの失態もあった。
百条委の意義を示すため、県議会の責任で委員や運営の在り方を検証し、見直すことも必要だ。
疑惑を巡ってはSNSで真偽不明の情報が飛び交い、知事選も混乱した。
今国会提出の公職選挙法改正案の付則で、SNSでのデマや誹謗中傷の拡散、2馬力選挙への対応が検討課題とされた背景の1つもここにある。
斎藤氏や議会は、県政の混乱に国民の厳しい視線が向いていることを自覚してほしい。

斎藤兵庫知事疑惑、百条委報告書を県議会が了承 N党立花氏に漏洩の増山氏は反対
2025/3/5 11:57
https://www.sankei.com/article/20250305-MOFMQTA2ZFKQNFSXHNX4HUUX6U/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は2025年3月5日、告発者を処分した県の対応について、
「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」
と指摘した調査報告書を2025年2月定例会本会議に提出。
採決の結果、賛成多数で了承された。
百条委の非公開の音声データを漏洩し、委員を辞任した増山誠県議らは反対した。
報告書に法的拘束力はなく、これまで処分の正当性を主張してきた斎藤氏の対応が注目される。
本会議では百条委の奥谷謙一委員長が、百条委の認定した事実などを読み上げ
「斎藤知事には重く受け止め、兵庫県のリーダーとして厳正に身を処していかれることを期待する」
と述べた。
この後、増山氏が反対討論を行い、調査終了前に県議会が斎藤氏の不信任を決議したことから
「この時点で百条委員会は外形的中立性、客観性が損なわれた」
などと主張した。
百条委は2025年3月4日、約9カ月に及ぶ調査結果を報告書として取りまとめ、公表した。
報告書では、元県幹部の男性=昨年2024年7月に死亡、当時(60)=が作成した告発文書で指摘された7項目の疑惑のうち、5項目で
「一定の事実が確認された」
などと結論付けた。
斎藤氏の職員に対するパワハラについては
「概ね事実」
と認定。
斎藤氏の強い叱責は職員の心理的負担や組織の閉塞感に繋がったとし、
「組織のトップの言動としては極めて不適切」
と指摘した。
百条委を巡っては、いずれも日本維新の会県議だった増山氏と岸口実氏が、政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首、立花孝志氏への情報漏洩問題で委員を辞任。
両氏は維新から処分を受け、現在は無所属となっている。

斎藤知事は「厳正に身を処して」 兵庫百条委9カ月調査、相次ぐ死を超え報告書
2025/3/4 21:59
https://www.sankei.com/article/20250304-MGH6QCDSARMHJIQLPW42OX6YEE/
兵庫県の斎藤元彦知事が自身の疑惑告発文書を作成した県幹部の男性を記者会見で批判して1年。
県議会調査特別委員会(百条委員会)が2025年3月4日に調査報告書を取りまとめ、県政を揺るがせた文書問題は1つの節目を迎えた。
ただ、約9カ月に及ぶ調査の間に男性や百条委委員だった元県議が死亡。
斎藤氏を応援する
「2馬力選挙」

「交流サイト(SNS)上での誹謗中傷」
など多くの問題が噴出した。
「なぜこんなことに」。
県民からは嘆く声も聞かれた。
「今日をともに迎えたかった」
「本当に残念」。
2025年3月4日午後3時に始まった最後の百条委。
全会一致で報告書を決定後、挨拶した奥谷謙一委員長は、元委員の竹内英明氏を偲び、告発した男性についても
「本人から直接意思を窺うことは叶わなかった」
と言及した。
文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性は、百条委の証人尋問直前の昨年2024年7月に亡くなった。
委員を務め、疑惑追及の急先鋒だった竹内氏は斎藤氏が再選された昨年2024年11月の知事選直後、SNS上の誹謗中傷を理由に県議を辞職。
今年2025年1月に死亡した。
いずれも自殺とみられる。
委員会終了後、会見した奥谷氏は、百条委について
「公益通報者保護法改正にも結び付き、果たした役割は大きいと考える」
と説明。
告発文書は
「噓八百でも事実無根でもなかったというのが我々の調査結果」
「(斎藤氏は)しっかり受け止め、リーダーとして厳正に身を処して頂きたい」
と訴えた。
斎藤氏はこの日登庁したが、百条委の決定後は取材に応じなかった。
百条委を巡っては、委員を務めていた日本維新の会の県議2人が、政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏に、真偽不明の男性の私的情報や非公開の百条委の音声データを漏洩したことが発覚。
2人は委員を辞任し、維新から除名や離党勧告の処分を受けた。
こうした経緯を踏まえ、終了後の会見では維新の委員が
「不祥事により会派の委員2人が交代し申し訳ない」
と陳謝する場面もあった。
百条委の調査が続く中、昨年2024年9月には県議会が全会一致で斎藤氏の不信任を決議。
斎藤氏は失職に追い込まれたが、再選を果たした。
だが、この知事選を巡り、斎藤氏を応援するとして出馬した立花氏による
「2馬力選挙」
が問題視され、公職選挙法改正の議論が加速。
斎藤氏らの同法違反疑惑も浮上するなど、波紋は広がり続けている。
この日の百条委は一般傍聴者に30席が用意されたが、訪れたのは9人。
神戸市の会社員の女性(62)は
「人が亡くなったり、何故こんな事になるのか」
と語り、県職員の1人は
「知事にはしっかりと受け止め、悪いところは悪いと認めてほしい」
と話した。

兵庫百条委「噓八百」否定も調査に限界 調査報告書に法的拘束力なし、知事対応も不透明
2025/3/4 21:04
https://www.sankei.com/article/20250304-NZEOZPUANFJMJCP26D7XUN5TEI/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)が2025年3月4日に公表した調査報告書は、告発文書を
「噓八百」
と断じ、告発者の処分は適切としてきた斎藤氏の主張を否定する形となった。
公益通報などの専門家らは調査結果を評価する一方、議員が調査主体となるため、
「政治」
と切り離せないなど百条委の限界を指摘。
報告書には法的拘束力もなく、斎藤氏がどう受け止めるかは不透明だ。
百条委は、斎藤氏のパワハラ行為など文書に記載された7項目の疑惑に加え、文書を公益通報として扱わず、作成した元県幹部の男性=昨年2024年7月死亡、当時(60)=を懲戒処分とした県の対応の妥当性を調査した。
文書は匿名だったが、独自に文書を入手した斎藤氏は、片山安孝副知事(当時)ら側近に作成者などの調査を指示。
男性を作成者と特定し、内部調査の上で停職3カ月の懲戒処分とした。
斎藤氏は文書問題の発端となった昨年2024年3月27日の記者会見で、告発文書を
「噓八百」
「事実無根」
とし、男性を
「公務員として失格」
などと非難。
百条委の証人尋問では、文書が誹謗中傷の可能性が高い内容で、懲戒処分は適切だったとの主張を繰り返した。
これに対し報告書は、文書に事実が含まれていることなどから
「知事らは公益通報に該当し得るとの前提で、作成者特定の前に文書の内容を調査すべきだった」
と指摘。
斎藤氏が初動の段階で告発者を公表し、職を解いたことは
「告発者潰しと捉えられかねない不適切な対応」
とし、一連の対応には
「大きな問題があった」
と結論付けた。
公益通報制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授は、百条委の事実認定は
「概ね評価できる」
とする一方、公益通報者保護法に違反するか否かの断定的な表現を避けた点は、
「(司法機関ではない)百条委としての限界があったのではないか」
との見方を示した。
更に、百条委委員らが告発者の真偽不明な私的情報を漏洩したことにも触れ、
「公益通報者の立場からすればまさに不利益扱いで、一番大きな関心事」
「完全な法令違反だと認定する必要があった」
と注文を付けた。
■客観的な証拠収集、不足した可能性
7項目の疑惑の中で大きな焦点となったのがパワハラ行為の有無だ。
報告書では、斎藤氏が県政に関する報道に
「聞いていない」
と机を叩きながら声を荒らげたことや、訪問先で公用車を降りて約20メートル歩かされ、職員を怒鳴った事例などを事実として認定。
斎藤氏は叱責を
「業務上必要な範囲の指導」
などと主張したが、報告書は
「頭が真っ白になった」
との職員の証言から
「極めて理不尽な叱責」
とし、
「パワハラと言っても過言ではない」
と判断した。
百条委は職員アンケートを含め、多くの事案を積み上げて結論を導いた。
ただ、パワハラに詳しい東北大の増沢隆太特任教授は、客観的な証拠収集などが不足していた可能性があるとみる。
「斎藤氏から叱責された際の職員の受け止めは重要な証言」
としつつ、第三者の証言や日記などの記録で事実を掘り下げる必要があったと指摘。
一方で、百条委を巡る誹謗中傷や情報漏洩が相次ぐ状況では、証言が集まりにくかった恐れもあるとの見方を示した。
■再び不信任の判断「あり得る」
百条委が調査を終えたことで、斎藤氏や議会側の対応に焦点は移る。
委員の1人は
「知事が調査報告をどう受け止めるのか」
「『尊重する』と言っても相手にしないかもしれない」
と懸念する。
百条委では公益通報やパワハラを巡り、斎藤氏の主張に沿うような専門家の意見も一部寄せられた。
斎藤氏自身もパワハラに関し
「最終的には司法の場の判断になる」
と発言。
斎藤氏が県議会の不信任決議で失職しながら、知事に再選したことで
「みそぎは済ませた」(維新県議)
との声もある。
紆余曲折を経た百条委の調査に対し、近畿大の上崎哉(はじめ)教授(行政学)は
「議員が委員を務め、政治的な意図と切り離して公正中立に議論を進めることが難しいという限界も露呈した」
と振り返る。
それでも斎藤氏が
「説明責任を十分に果たしているとは言い難い」
とし、
「今後も説明責任を果たさず、県政の混乱が収束する見込みがないならば、議会として再度の不信任という重い判断もあり得る」
と述べた。
■優勝パレード疑惑には「不自然な点」
百条委員会が公表した調査報告書では、プロ野球阪神・オリックスの優勝パレードの経費を巡る不正疑惑に関しても
「一定の事実が記載されている」
と認定した。
背任罪での告発状を兵庫県警などが受理しており、
「捜査当局の対応を待ちたい」
としている。
告発文書では、令和5年11月23日に実施されたパレードを巡り、企業協賛金を地元信用金庫に出してもらう見返りに、補助金を増額して還流したと記載。
百条委の報告書では
@県から信金への補助金が斎藤元彦知事や片山安孝副知事(当時)の指示によって増額された
A片山氏が信金に依頼し、2千万円の協賛金を集めた
ことを認めた。
更に、両者の時期が近接していることや、協賛金を集めたのがパレード後で企業側に協賛広告などのメリットがないことを挙げ、
「不自然な点も見受けられる」
と言及。
ただ、当事者が否定しており、
「補助金を募金としてキックバックさせたことは確認できなかった」
とした。
また、贈答品受領疑惑に関して報告書は、受領したとされるコーヒーメーカーについて
「外形的に見れば斎藤氏が貰ったと見られても仕方がない」
と記載。
カニやカキなどの県産品も斎藤氏が個人で消費したと捉えられてもやむを得ないとし、
「こうした行為が『おねだり』との臆測を呼んだことは否定できない」
との見解を示した。

告発文書5項目「一定の事実」 兵庫百条委、調査報告書を公表 一連の対応「問題あった」
2025/3/4 19:00
https://www.sankei.com/article/20250304-C2IMVVN7IROD7HFVBHWUEJ5NLI/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は2025年3月4日、調査報告書を公表した。
告発文書を公益通報と扱わず作成者を特定、処分した県の対応は
「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」
と指摘。
斎藤氏の職員へのパワハラなど、文書に記された7項目のうち5項目で
「一定の事実が確認された」
とした。
報告書は2025年3月5日に県議会へ提出される見通しだが法的拘束力はなく、斎藤氏や議会側の今後の対応が焦点となる。
報告書では、斎藤氏の部下への叱責は
「パワハラと言っても過言ではない不適切なものだった」
と認定。
斎藤氏の贈答品受領や阪神・オリックス優勝パレードの協賛金集めなどの疑惑は、文書指摘の一部が事実と認められたなどと明記した。
事実確認より告発者捜しを優先するなどした斎藤氏の対応について、公益通報者保護法の指針に基づく措置を怠り、
「現在も違法状態の可能性がある」
と批判。
一連の対応を
「公平性を欠き、大きな問題があった」
とし、斎藤氏に県政の混乱と分断を一刻も早く解消すべく、県民に説明責任を果たすよう求めた。
百条委は昨年2024年6月に設置され、斎藤氏や片山安孝元副知事、県幹部らへの証人尋問や全職員へのアンケートを実施。
告発文書に記載された7項目の疑惑や、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性を停職3カ月の懲戒処分とした県の一連の対応について、9カ月に渡って調査した。
県が設置した第三者委員会の調査も進み、2025年3月中に結果が出る見通し。
昨年2024年11月の知事選での交流サイト(SNS)運用を巡る斎藤氏らの公選法違反疑惑は、県警などが告発状を受理して捜査を進めている。

「斎藤知事らの対応、違法可能性高い」兵庫百条委が報告書公表 5日の県議会に提出見通し
2025/3/4 15:18
https://www.sankei.com/article/20250304-YRIZW2JRPBPCLPINY3B35QSDCE/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は2025年3月4日、調査報告書を公表した。
内部告発への県の対応について、報告書では
「公平性を欠き、大きな問題があった」
と明記。
告発文書を公益通報と扱わず作成者を特定、処分した対応は
「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」
とし、斎藤氏による職員への叱責は
「パワハラと言っても過言ではない不適切なものだった」
と認定した。
2025年3月5日の県議会2025年2月定例会に提出する見通し。
報告書では、兵庫県の混乱と分断を一刻も早く解消すべく斎藤氏に県民に説明責任を果たすよう強く求めているが、法的拘束力はなく、斎藤氏の今後の対応が問われる。
県議会は昨年2024年6月に百条委を設置し、斎藤氏や片山安孝元副知事、県職員らへの証人尋問などを実施。
告発文書に記載された疑惑7項目や、元県西播磨県民局長の男性による告発文を公益通報と扱わず、告発者捜しを進めた県の対応を調査していた。
報告書では、7項目のうち、パワハラや贈答品受領などの5項目について
「一定の事実が確認された」
と指摘。
事実確認よりも告発者捜しを優先したり、斎藤氏が記者会見で男性を公にしたりした対応について、公益通報者保護法の指針に基づく措置を怠り、
「現在も違法状態の可能性がある」
と批判した。

兵庫百条委が最終案合意 告発者処分「公平性欠いている」パワハラなどは「一定の事実」
2025/3/3 19:36
https://www.sankei.com/article/20250303-MUNL232YO5NMNAVAKGALP4WBTM/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は2025年3月3日、非公開の協議会を行い、調査報告書案の内容について合意した。
一連の文書問題を振り返り、告発者の処分過程など
「客観性、公平性を欠いている」
とし、行政機関の対応として
「大きな問題があったと言わざるを得ない」
と指摘している。
百条委は2025年3月4日に公開で審議し、2025年3月5日の2025年2月定例会本会議に提出する予定。
百条委の奥谷謙一委員長は会合終了後、記者団に
「報告書はまとまった」
「軽微な修正を踏まえて2025年3月4日の百条委で採決する」
と述べた。
最終報告書案によると、告発文書に記載された7項目の疑惑のうちパワハラなど5項目について
「(百条委で)一定の事実が確認された」
と明記。
斎藤氏に対し文書問題に端を発した兵庫県の混乱と分断を一刻も早く解消すべく県民に説明責任を果たすよう求めた。
告発者の特定を急いだ斎藤氏の初動対応については、
「作成者の特定を行う前に文書の内容を調査すべきであった」
と指摘。
公益通報者保護法の指針には、不利益な取り扱いなどが行われた場合に
「救済・回復措置など適切な措置をとる」
と定められており、
「(県は)規定に基づいた措置を行う必要がある」
とした。
斎藤氏の職員に対するパワハラは、
「概ね事実」
とする当初の案を維持。
斎藤氏の強い叱責は職員の心理的負担や組織の閉塞感に繋がったとし、
「組織のトップの言動としては極めて不適切」
と指摘した。
一方、パワハラの認定については、
「パワハラ行為と言っても過言ではない不適切なものだった」
との文言にとどめた。
贈答品受領は、PR目的ではなく、
「(斎藤氏が)個人として消費していたと捉えられても仕方がない行為もあったと言わざるを得ない」
と指摘。
県は昨年2024年12月、改善策を発表したが、
「接待対応についてのルールの明確化も図るべきだ」
との提言を盛り込んだ。
令和5年11月に実施されたプロ野球阪神・オリックスの優勝パレードの経費を巡る不正疑惑では、パレード後の入金に
「不自然な点も見受けられる」
と指摘。
背任容疑の告発状が兵庫県警に受理されており
「捜査当局の対応を待ちたい」
とした。

<主張>維新県議の漏洩 責任を自覚しているのか
社説
2025/2/26 5:00
https://www.sankei.com/article/20250226-JRAVAZWCIVOYHDFPXAQ5WKFGCU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑告発文書問題を巡り、日本維新の会の県議3人が会見し、政治団体
「NHKから国民を守る党」
の立花孝志党首への情報漏洩や真偽不明の文書の提供を認めた。
文書問題を調べる県議会調査特別委員会(百条委)の委員だった増山誠氏は、非公開で行われた百条委の証人尋問を密かに録音した。
知事選への影響を考慮して非公開にしたにもかかわらず、増山氏は立花氏に音声データを渡した。
信義にもとる行為だ。
百条委副委員長だった岸口実氏は、真偽不明の文書が立花氏に渡される場に同席した。
情報漏洩がどのような臆測と結果を招くか、想像つかなかったのなら呆れる他ない。
斎藤氏を支援するために立候補した立花氏は、提供された情報を選挙期間中にSNSで公開した。
音声データには元副知事が告発者のプライバシーについて発言しようとした際、百条委委員長が制止する場面が含まれていた。
SNSには百条委が不都合な部分を隠しているといった投稿が相次いだ。
真偽不明の文書は、委員だった竹内英明氏を
「(内部告発問題の)黒幕」
などと記していたため、竹内氏が斎藤氏を陥れたとする誹謗中傷が広がった。
竹内氏は投開票翌日に議員辞職し、2025年1月に亡くなった。
自殺とみられる。
県議の白井孝明氏は立花氏と電話したことを認め、
「情報提供と言われても仕方ない」
と語った。
県議らの行動が知事選の動向や、竹内氏の議員辞職と死亡に影響を与えた可能性は否定できない。
だが増山氏は
「重要な情報だから県民に伝えたいと思った」
と述べ、岸口氏は文書について
「誰がどういうつもりで作成したのか分からない」
と釈明した。
自分たちの行為を正当化するのか。
県議らに十分な反省が見られないのは理解し難い。
維新は今回の件で処分を行う。
維新の吉村洋文代表は県議らの行動について、
「重要な事実を伝えたい思い」
だったとした。
公党のトップとして身内に甘い見方をするのは疑問だ。
立花氏へのルール破りの漏洩で目的を遂げようとしたように見える県議らに理解を示してどうする。
維新の党内統治(ガバナンス)はガタガタである。

「知事与党」にこだわる迷走維新 斎藤氏を調査する立場なのに裏でリークし2馬力に加担
2025/2/22 7:00
https://www.sankei.com/article/20250222-TKQUX2DQAROYLDAEA6QY5YHYRQ/
兵庫県の斎藤元彦知事が内部告発された問題に絡み、日本維新の会の県議2人が政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首、立花孝志氏に情報を漏らしていたことが発覚した。
告発者らに関する根拠のない内容が含まれていたが、立花氏は知事選期間中に交流サイト(SNS)で公開。
結果として斎藤氏は再選された。
2人は当時、県議会調査特別委員会(百条委)の委員。
斎藤氏の疑惑を調査する立場の県議が、立花氏の
「2馬力選挙」
に加担した構図が浮かび上がった。
今月2025年2月19日、維新の増山誠県議がインターネット番組で、昨年2024年10月25日に非公開で行われた百条委の証人尋問の音声データを立花氏に渡したと明らかにした。
この尋問では、片山安孝元副知事が告発者の私的情報について発言しようとし、百条委の奥谷謙一委員長に制止された。
百条委は2024年10月31日告示の知事選に影響しないよう尋問を非公開とし、選挙後に録画を公開する予定にしていた。
しかし、増山氏は尋問を録音し、告示当日に立花氏に渡したと説明。
立花氏は選挙期間中に音声データをSNSで公開し、告発者は私的情報が漏れるのを恐れて自殺した可能性が高いのに、百条委がそれを隠したとの主張を展開した。
告発者の私的情報に関しては、百条委で取り扱わないことが事前に決まっていた。
奥谷氏は、片山氏が真偽不明の情報に言及しようとしたため制止したが、SNS上では百条委が不都合な部分を隠しているといった投稿が相次いだ。
一方、維新の岸口実県議は2024年11月1日、民間人と共に立花氏と面会。
百条委委員だった竹内英明氏が
「(内部告発問題の)黒幕」
などと記した文書を立花氏に渡した。
立花氏は文書を公開し、SNS上などでは竹内氏が斎藤氏を陥れたとする言説が拡散され、竹内氏への誹謗中傷が相次いだ。
竹内氏は知事選の投開票翌日に議員辞職し、今年2025年1月に亡くなった。
自殺とみられる。
2人の行動からは、斎藤氏を応援するとして知事選に立候補した立花氏に乗じ、選挙戦を斎藤氏に有利な状況に持ち込みたい思惑が見て取れる。
岸口氏は当選5回、増山氏は当選2回。
それぞれ参院選と兵庫県西宮市長選に挑戦したが落選し、令和5年の県議選で復帰している。
所属する21人のうち16人が当選1回の維新会派の中では相対的にベテランに分類され、岸口氏は百条委で副委員長も務めていたが、いずれも今月2025年2月20日に委員を辞任した。
百条委の証人尋問などでは斎藤氏を擁護する立場からの質問が目立ち、調査報告書に関しても、会派として
「パワハラ認定は困難」
との意見を主張してきた。
「ルール違反という葛藤もあったが、問題の背景に何があるのか伝えるべきだと考えた」。
増山氏はインターネット番組でこのように語ったが、維新の同僚県議は
「どんな理由であろうと支持できない」
「委員なら百条委の場で堂々と主張するべきだ」
と突き放す。
維新は、斎藤氏が初当選した令和3年の知事選で自民と共に斎藤氏を推薦。
「知事与党」
を自任してきた経緯もあり、他会派の県議は情報漏洩の背景に、
「『知事与党でいたい』という思いがあったのではないか」
と指摘した。
■万博目前新たな火種
斎藤元彦兵庫県知事の告発文書問題を巡り、日本維新の会の対応は迷走した。
維新が誘致に尽力した2025年大阪・関西万博の開幕が50日後に迫る中、所属県議による情報漏洩が発覚し、新たな火種を抱えることになった。
文書問題で維新は当初
「第三者機関の調査を優先すべきだ」
として、百条委員会の設置に反対した。
しかし百条委で追及される斎藤氏を擁護しているとのイメージが拡散し、大阪の地方選挙で苦戦が続くと、
「対応が後手に回った影響だ」
と党内から批判が噴出。
当時は衆院解散の可能性も取り沙汰され、調査終了を待たずに斎藤氏不信任に舵を切った。
知事選では県議団の結束も乱れた。
県議団は、維新を離党し無所属で出馬した候補の当選を期したが、増山誠氏ら一部県議が斎藤氏支援に回り、不信任賛成を謝罪した。
百条委の委員を務めた県議が情報漏洩を認める事態に、県外の維新関係者は
「疑惑を追及する百条委は襟を正して向き合わなければならないが、そうした意識が全く感じられない」
と批判している。
■「民主主義の根幹揺るがす」 上崎哉(はじめ)近畿大法学部教授(行政学)
兵庫県の斎藤元彦知事を応援する目的で立花孝志氏が立候補したいわゆる
「2馬力選挙」
は、法改正の議論に発展しているが、立花氏が応援に回ったことにとどまらず、県議が裏で不適切に情報を流していたのであれば、民主主義の根幹を揺るがしかねない問題だ。
竹内英明元県議が斎藤氏を引きずり降ろした
「黒幕」
などと記載した文書の提供に関与した岸口実県議は、
「軽率だった」
としているが、竹内氏が亡くなった結果の重大性を考えれば、軽率で済まされる話ではない。
増山誠県議ともども選挙戦に影響を与える意図があったとしか思えない。
二元代表制の地方議会では、議員には首長を監視する役割が求められ、最も強い権限が百条調査権である。
今回のように百条委副委員長や委員という立場にある県議による情報流出が起きれば、百条委自体や報告書への信頼が損なわれる。
議会で百条調査権を行使すると決めた以上は、政治的な考えは脇に置き、県民から負託を受けた議員として、首長が不適切なことをすればしっかり追及する役割を果たすべきだ。

パワハラ疑惑「おおむね事実」「懲戒処分の撤回を」 兵庫百条委の調査報告書案判明
2025/2/18 22:47
https://www.sankei.com/article/20250218-EMO3ZYUXJJLUFJOQGWTQJYNXSA/
斎藤元彦・兵庫県知事の告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)の調査報告書案の内容が2025年2月18日分かった。
各会派の意見を踏まえた
「統合案」
として同日の協議会で示され、文書に記された斎藤氏のパワハラ疑惑については
「概ね事実だった」
と記載。
告発者を懲戒処分とした県の対応も、公益通報者保護法に照らして問題があり
「大変遺憾」
と指摘すると共に、懲戒処分の撤回を提言した。
もっとも今回の統合案に対しては会派によって意見が分かれる。
最大会派の自民党は内部でも意見が割れており、第2会派の維新の会は
「パワハラ認定は困難」
とし、公益通報者保護法上の違法性はないとの立場だ。
百条委は2025年3月上旬の報告書提出を目指すが、統合案が大きく変更される可能性もある。
報告書案は、訪問先で公用車を降りてから約20メートル歩かされたことで職員を怒鳴った事例など、斎藤氏のパワハラ疑惑に関し
「執務室や出張先で職員に強い叱責をしたことは事実」
と記し、厚生労働省が示したパワハラの定義に照らして
「パワハラに近い不適切な叱責があった」
とした。
また夜間や休日に幹部職員に送った膨大なチャットの指示も
「業務の適正な範囲を超え、就業環境を害されている」
として
「パワハラ行為と見做される可能性がある」
と踏み込んだ。
元県民局長の男性=昨年2024年7月に死亡、当時(60)=が作成した告発文書が公益通報に当たるか否かについて、報告書案は
「元県民局長が斎藤県政に不満を持っていた事情は窺えるが、後輩職員のためを思い行った」
とし
「外部公益通報に当たる」
と判断。
にもかかわらず、文書入手から1週間で元県民局長が作成したと特定し、斎藤氏が記者会見で
「噓八百」
「公務員失格」
と発言して通報者を公表したことを
「告発者潰しと捉えられかねない不適切な対応だった」
と非難した。
その上で
「そもそも公益通報者の探索は許されず、不当な調査に基づく処分がなされており、名誉を回復するために不利益処分を撤回し、告発者の地位回復を行うこと」
を提言した。

兵庫知事問題であぶり出された公益通報の盲点 組織による恣意的判断は法改正で防げるか
2025/1/29 7:00
https://www.sankei.com/article/20250129-7I6TW6OP6BMEPBED2D6PDF2FR4/
政府が通常国会に提出する公益通報者保護法改正案の概要が明らかになった。
通報者への不利益な取り扱いに罰則を設け、事業者側の不当な対応に対する抑止効果を狙う。
通報者の保護は、組織の不正を炙り出す公益通報制度を成り立たせる上での根幹となるが、兵庫県知事の疑惑告発問題で告発者が処分され、死亡した問題などで揺らいでいる。
法改正によって安心して通報できる環境の整備が期待されるが、制度に詳しい専門家は課題も指摘する。
「不利益取り扱いに刑事罰を定めることは一歩前進だ」。
制度に詳しい上智大の奥山俊宏教授は、今回の法改正に向けた動きを評価する。
同法が施行されたのは平成18年。
三菱自動車のリコール隠しなどが内部告発によって明らかになったことがきっかけだ。
企業などの不正を告発する情報を内部の窓口や監督官庁、報道機関などに通報した人が不利益な扱いを受けないようなルールを規定。
通報しやすい環境を整えることに主眼が置かれた。
しかし、狙いは十分に達せられていない。
消費者庁が令和5年に実施した調査では、内部通報経験のある人のうち約3割が
「後悔した」
と回答。
その理由を尋ねたところ、
「人事異動・評価・待遇で不利益を受けた」
との回答が約4割(複数回答可)に上った。
兵庫県では、元県幹部が匿名で告発文書を配布したにもかかわらず、斎藤元彦知事が部下に文書作成者が誰かを調査するよう指示。
告発者を特定すると即座に職を解き、最終的には停職3カ月の懲戒処分とした。
斎藤氏らの対応は県議会調査特別委員会(百条委)でも審議され、複数の有識者が同法に違反すると指摘している。
こうした問題が起こる背景には、通報者に不利益な取り扱いをすることへの罰則が同法になく、企業などに対する抑止効果が乏しいことがあると指摘される。
このため法律を所管する消費者庁は法改正に向け、有識者検討会を設置。
先月2024年12月、報告書がまとめられた。
これを受けた改正案の柱となるのが、通報者を解雇や懲戒処分にした事業者と個人に刑事罰を科す規定の新設だ。
通報者保護に関する事業者側の意識を高め、同法の実効性向上が期待されるが、奥山氏は
「違法でありながら、その対象からこぼれ落ちてしまう『不利益な取り扱い』が出てくる」
と懸念する。
奥山氏は、実際の運用では確実に有罪となるケースだけが起訴されるだろうと指摘。
事業者側が
「通報内容に真実相当性がない」
と過失で誤認した場合などは罰則の対象外となるため、刑事事件になりづらいこうしたケースも
「違法となり得ることを明確にする条文を加えるべきだ」
と話す。
■犯人捜し≠禁止
兵庫の問題では、告発の対象となった斎藤氏自身が告発文書を公益通報には当たらないと判断。
告発者の処分に踏み切ったが、その後、県の窓口が公益通報と扱った上で調査結果を公表した。
告発が公益通報に当たるか否かや、内容の真偽の調査は客観的に行われるべきだと指摘され、消費者庁の検討会でも
「事業者が勝手に調査し、公益通報の要件を満たさないという対応があってはならない」
との意見があった。
だが報告書では提案に至らず、改正案では事業者による恣意的判断を防ぐ具体的な条文は盛り込まれない見通しだ。
淑徳大の日野勝吾教授は
「必要な調査を適切に実施することなどを保護法に明文化すべきだ」
と指摘する。
ただ、内部告発には様々なケースがあり、それらを細かく想定して条文化するのは難しい面もあり
「仮に明文化できないとしても、消費者庁はガイドラインなどで(告発への対応のあり方を)具体的に示す必要がある」
と提言する。
一方、改正案では正当な理由なく公益通報者を特定する行為を禁止する。
これまでは指針で禁じるにとどまっていたため、日野氏は
「法律に盛り込むことは明確に犯人捜しを禁ずることになり前進だ」
と評価しつつ
「一定の抑止力にはなるが、消費者庁の執行体制を更に強化しなければ実効性は不透明ではないか」
という。
法改正を巡る議論では、不利益な取り扱いに配置転換を含めるべきとの意見も出たが、一定頻度で人事異動が行われる日本企業の慣行などを踏まえ、対象外となった。
しかし、配置転換による報復を受けたと感じる通報者も多い。
日野氏は
「国は通報者の意欲が減退しないような仕組みを整えていくべきだ」
と話している。
■不利益扱いに賠償命令も
公益通報は組織の不正や疑惑を世に問い、質す端緒となり得る。
一方で過去には、公益通報者保護法に基づき守られるべき内部通報者が、所属する組織から不利益扱いを受けるなどしたケースも少なくない。
法改正に際しては通報者保護という大前提を担保できるかが問われそうだ。
精密機器メーカー「オリンパス」で平成19年、上司が取引先従業員を引き抜こうとしていることを知った社員は、取引先からの機密情報流出により
「信頼を損なう」
として内部窓口に通報した。
しかし担当者がこの上司に通報者や通報内容を漏洩し、社員は望まない配置転換を命じられ、外部との自由な接触を禁じられるなどした。
社員は配転先で働く義務がないことの確認と損害賠償を求めて同社や上司を提訴。
1審で請求は棄却されたが、2審判決は配転命令取り消しや賠償を命じ、最高裁で逆転勝訴が確定した。
ビッグモーター(当時)では、従業員が社長に保険金の不正請求をLINEで訴えたが、社内での自浄作用は働かず、令和5年の問題発覚後にまとめられた外部弁護士による調査報告書で、内部告発を
「もみ消したと言わざるを得ない」
と指摘された。
不利益扱いが疑われる事例は自治体でもある。
和歌山市の当時20代の男性職員は、勤務先の児童館で不正な補助金申請を指示され、通報後の2年に自殺した。
男性の通報で懲戒処分を受けた職員が、通報後に男性と同じフロアで勤務していたといい、遺族は
「報復人事だ」
と主張。
和歌山市は昨年2024年7月から外部有識者らによる審査会で、対応が適切だったか検証している。

公益通報者保護法改正へ、通報者捜し禁じる規定も 刑事罰導入見送りで専門家「道半ば」
2025/1/28 21:35
https://www.sankei.com/article/20250128-FCYH3VXBRBLFDLSFUVKGJBG4UU/
内部通報者を解雇した企業に刑事罰を科すことを柱とする公益通報者保護法改正案の概要が2025年1月28日、判明した。
制度を巡っては通報者が配置転換など不利益を被る事例も確認されている。
専門家は改正案を歓迎する一方、課題も指摘する。
内部通報を巡っては精密機器メーカー「オリンパス」で平成19年、内部通報を機に通報者が配置転換され、後に最高裁で違法が確定。
保険金不正請求が発覚した中古車販売大手ビッグモーターは内部通報体制の不備を消費者庁に指導されるなど、問題が顕在化していた。
消費者庁の令和5年度の調査では、不正を内部通報で掴んで企業は68%。
一方、別の調査では内部通報を
「後悔した」
145人のうち、42%が
「人事異動などで不利益な取り扱いを受けた」
と回答している。
消費者庁が設置した公益通報者保護制度検討会が昨年2024年12月に公表した報告書は、内部通報の利用が不十分で
「外部通報」
で不正が発覚する事例があると指摘。
通報者の不利益な扱いの抑止を対策の柱に掲げ、企業などへの刑事罰導入に繋がった。
改正案では
「通報者捜し」
を禁じる規定も盛り込まれた。
ただ、兵庫県の斎藤元彦知事が自身の疑惑の告発者を調査した問題では、知事側が告発者が
「公益通報者」
に当たらないとしており、規定の効果は未知数だ。
明治大の柿崎環教授(会社法)は改正案で通報者を配置転換した企業に対する刑事罰導入が見送られた点について
「道半ばだ」
と指摘。
「コンプライアンス意識を高めることは、企業価値を高めることになる」
とし、制度を支える企業努力の必要性を強調している。

公益通報者処分に刑事罰 不利益扱いを抑止、フリーも対象に追加 保護法改正案概要判明
2025/1/28 16:40
https://www.sankei.com/article/20250128-ISIKJ74HZVO2LF4OXO4Z36GF3I/
政府が通常国会に提出する公益通報者保護法改正案の概要が2025年1月28日、判明した。
内部の公益通報者を解雇や懲戒処分にした事業者と個人双方に刑事罰を科す規定を新設する。
働き方の多様化を踏まえ、公益通報者の対象にフリーランスも加える。
昨年2024年、兵庫県知事の疑惑を告発した元県幹部が懲戒処分されるなど報復とみられる事案が後を絶たないことを受け、通報者の不利益となる扱いを抑止する。
消費者庁が自民党消費者問題調査会に改正案の概要を説明し、大筋で了承された。
改正案では、公益通報を理由に解雇、懲戒処分にした事業者や個人に対する刑事罰を導入する他、正当な理由なく公益通報者を特定する行為を禁止する。
現行は指針によって禁止されているが、法律で定める。
公益通報を妨げる行為も禁止する。
民事訴訟で、公益通報から1年以内の解雇や懲戒処分が通報を理由としていないことの立証責任を事業者側に負わせる。
現行は通報者側に不当な扱いの立証責任がある。
現行法は公益通報者の対象を労働者、役員、退職後1年以内の労働者とする。
フリーランスも取引先事業者の不正を通報した場合の保護が必要と判断した。
従業員300人超の事業者に義務付ける通報に対応する従事者の指定を怠り、行政命令などに従わなかった場合も刑事罰を科す。
消費者庁は刑事罰の程度など法案の詳細を詰め、2025年2月中の閣議決定、国会提出を目指す。
消費者庁の有識者検討会は昨年2024年12月、事業者側が公益通報者を解雇、懲戒処分にした場合、刑事罰の対象とすることなどを盛り込んだ報告書をまとめた。

事実認定と評価は非公開の協議会で 兵庫・斎藤知事の告発文書疑惑、百条委が大詰め議論へ
2025/1/27 20:20
https://www.sankei.com/article/20250127-MWCAKQAHONOOFE5FP4NV7MQ4BI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、斎藤氏による職員らへのパワハラ疑惑などの真偽を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が2025年1月27日開かれ、これまでの証言を整理した報告書の素案が委員に示された。
疑惑への評価の項目は空欄になっており、今後、非公開の協議会を設置して事実認定や評価を検討。
報告書は県議会の2025年2月定例会に提出される予定で、調査は大詰めを迎えた。
終了後、取材に応じた奥谷謙一委員長は
「近日中に事実認定のたたき台を示し、非公開の協議会で議論を進める」
と話し、各委員の合意を目指す考えを示した。
百条委は昨年2024年6月から、告発文書に記載された斎藤氏のパワハラや贈答品受領などの7項目の疑惑に加え、告発文書を作成し一部報道機関などに配布した元西播磨県民局長の男性=昨年2024年7月に死亡=を公益通報者として保護することなく懲戒処分とした県の対応について審議。
斎藤氏や関係者への証人尋問を行い、経緯や認識などを調べていた。
この日、奥谷委員長は報告書の構成について整理した素案を委員に提示。
また、県議らへの聞き取り調査結果の一部も公開された。
告発文書を作成した男性の処分に繋がる背景として、男性のプライベートな情報を元総務部長の井ノ本知明氏から見せられたという証言もあり、ある県議はその目的を
「(男性が)信用できない人間だと印象付けることだったと思う」
などと指摘した。
百条委を巡っては、昨年2024年11月投開票の知事選の選挙期間中から、委員らに対する交流サイト(SNS)上の誹謗中傷が相次いだ。
今月2025年1月18日には、百条委元委員で誹謗中傷を理由に知事選後に県議を辞職した竹内英明氏(50)が死亡。
2025年1月27日の会合では冒頭、委員らが沈痛な表情で竹内氏に黙禱を捧げた。

<主張>ネットの誹謗中傷 事実をぶつけて駆逐せよ
社説
2025/1/25 5:00
https://www.sankei.com/article/20250125-LW6R3X7NYBKCFAHAKBBESII3TI/
言葉は時に、人を傷つける。
虚偽の情報による無責任な誹謗中傷が、命を奪うこともある。
悲しい事例は枚挙に暇がないが、また起きてしまった。
兵庫県の元県議が2025年1月18日、亡くなった。
自殺とみられる。
元県議は兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑告発文書を調べる県議会百条委員会の委員で、インターネット上で中傷を受けたことを理由に県議を辞職していた。
辞職後もネット上の攻撃は続いた。
家族は
「誹謗中傷によって仕事を奪われ、今までの生活を奪われた」
と話した。
最近では別人のように憔悴しきっていたという。
中傷を苦にしていたことは明らかである。
哀悼の意を表したい。
一方で今回の悲劇は、貴重な教訓も残した。
虚偽情報に対峙するには、事実をもってこれを打ち消すしかないということだ。
元県議の死後、
「NHKから国民を守る党」
党首で先の兵庫県知事選に
「斎藤氏を応援するため」
として立候補した立花孝志氏は、ユーチューブで
「(元県議は)逮捕されるのが怖くて自ら命を絶った」
と発信し、Xでも
「こんなことなら、逮捕してあげたほうがよかったのに」
と投稿した。
これに関し、兵庫県警の村井紀之本部長が県議会警察常任委員会で
「全くの事実無根であり明白な虚偽がSNSで拡散されていることは極めて遺憾」
と明確に否定した。
立花氏は
「間違いでした」
と謝罪した。
警察のトップが公の場で個別の事案に言及することは極めて異例だが、村井氏は
「事案の特殊性に鑑みた」
と答弁した。
虚偽の中傷の火消しを図るための英断だったと評価する。
斎藤氏はこの件を問われ、一般論として
「事実に基づく発信が非常に大事」
と述べながら、立花氏の発信については
「県知事という立場で1つ1つを把握して真偽を確認していくことは難しい」
と述べた。
県警が虚偽と断定している以上、この答弁は通じまい。
県としても厳しく対処すべきだった。
一連の事案をめぐっては、本紙記者も根拠のない中傷の対象となり、産経新聞社として紙面で強く抗議した。
ネット上の虚偽の誹謗は名誉毀損罪や侮辱罪の対象となり得る。
匿名は、悪意の隠れみのとはならない。
これらは
「表現の自由」
の名に値しない。

「間違いでございました」元兵庫県議を巡る発信 立花氏が訂正、謝罪
2025/1/20 19:59
https://www.sankei.com/article/20250120-HFGRZ4CH6NIITLFV2OPY3J4FCA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑告発文書問題を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員だった竹内英明元県議(50)が死亡したことを巡り、政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首、立花孝志氏は2025年1月20日、自身のユーチューブチャンネルで、
「竹内元県議会議員が亡くなった理由が警察の逮捕が近づいていて、それを苦に自ら命を絶ったということについては、間違いでございました」
「訂正させていただきます」
「そして、謝罪をさせていただきます」
などと頭を下げた。
立花氏は取材に対し、
「県警本部長の発言を確認し、兵庫県警には謝らなければいけないということで動画を出した」
と話した。
立花氏は2025年1月19日、自身のX(旧ツイッター)で、竹内氏について
「こんな事なら、逮捕してあげた方が良かったのに」
などと投稿。
ユーチューブでも、
「竹内元県議は明らかに犯罪をしていた可能性が高くて、警察に捕まるのが嫌で自ら命を絶ったと、こう考えるのがもう間違いない話」
としていた。
ところが、翌2025年1月20日には
「警察の捜査妨害になる可能性がある」
としてXへの投稿を削除するなどしたが、その後
「兵庫県警御免なさい」
「竹内元県議のタイホは私の間違いでした」
などと題した動画を投稿。
竹内氏を巡る自身の発信を訂正し、謝罪した。

兵庫県警本部長が立花氏の発信を完全否定 「全くの事実無根」「明白な虚偽が拡散」
2025/1/20 12:47
https://www.sankei.com/article/20250120-SMOW4ATWO5K77GDR7C4YMWXV4I/
兵庫県警の村井紀之(としゆき)本部長は2025年1月20日、政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首、立花孝志氏が、死亡した竹内英明・元兵庫県議(50)が県警の捜査対象だった−などとSNS上で発信している内容について、
「全くの事実無根」
と否定した。
「明白な虚偽がSNSで拡散されていることは極めて遺憾」
とも強調した。
同日開かれた県議会警察常任委員会で委員の質問に答えた。
県警トップの本部長が、公の場で個別の捜査やSNSの発信に言及するのは極めて異例。
村井本部長は
「通常は差し控えているが、事案の特殊性に鑑みて答弁する」
と述べた。
竹内氏は、斎藤元彦知事の疑惑告発文書問題を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の元委員。
2025年1月18日夜、家族が同県姫路市内の自宅でぐったりしているのを発見し、搬送先の病院で死亡が確認された。
自殺とみられる。
昨年2024年の知事選翌日の2024年11月18日に県議を辞職。
交流サイト(SNS)上で誹謗中傷を受けていた。
立花氏は竹内氏の死亡が伝えられた今月2025年1月19日、X(旧ツイッター)や自身のユーチューブチャンネルで、竹内氏が兵庫県警の事情聴取を受け、近く逮捕される予定だったなどとしていた。
2025年1月20日の常任委員会で、村井本部長は県議の質問に
「竹内元議員については、被疑者として任意の調べをしたことはなく、逮捕するという話は全くございません」
とし、
「事実無根で、明白な虚偽がSNSで拡散されていることは極めて遺憾」
と述べた。

斎藤元彦知事 “職員との信頼関係”構築を宣言も…県職員が明かした「本音」
記事投稿日:2025/01/19 16:00 最終更新日:2025/01/19 16:00
『女性自身』編集部
https://jisin.jp/domestic/2423455/
「中堅や若手職員のみなさまと対話の場を充実させ、風通しの良い職場作りを進めていきたいと思います」
2025年1月6日、こう語ったのは兵庫県の斎藤元彦知事(47)。
幹部職員らへの年頭の挨拶で、今後も県政を前に進めていくとして、大切なのはコミュニケーションだとした。
2024年3月に県の元幹部職員である男性によって告発された、斎藤氏によるパワーハラスメントなどの疑惑。
百条委員会が実施した県職員を対象とするアンケートでは、斎藤氏のパワハラを見聞きしたことがあるとの回答が職員全体の約42%に上った。
その後、2024年9月に県議会で不信任決議が可決され失職するも、2024年11月に行われた出直し選挙では110万票以上を獲得し返り咲くことに。
しかし、依然としてパワハラなどの疑惑自体は残ったまま。
2024年11月19日に行われた就任会見でパワハラがあったのかどうかついて問われると、
「私自身は確かに一部不適切な行為をしたという事はありますけども、あくまでも良い業務、県政をしていきたいという中で業務上の指導や色んな注意を厳しくさせて頂いたということはあると思う」
と語っていた。
更に、就任から約1カ月後、2024年12月18日の定例記者会見では、「今年の漢字」に「結」を選んだと発表。
「県政を前に進めるに当たり、県議会、市町、県職員、県民と信頼関係を結んでいくことが何よりも大事」
「そしてこれまでの様々な取り組みが更に実を結んでいくことも大事だ」
と職員との信頼関係を結んでいきたいとの思いを明かしていた。
再就任から2カ月となるが、現場の職員はどのような思いを抱いているのか。
2024年12月下旬、県職員に話を聞いた。まず、40代男性の県職員は、就任後、知事が以前と変わったとは感じていないと明かす。
「斎藤知事は、記者会見でも『職員との信頼関係を結びたい』とおっしゃっていますが、目に見える形で何か変わったか、と聞かれたら何も変わってないですね」
「本人がやる気になれば、もっとスピード感を持ってできることはあるのに、と思いますが……」
また、2024年12月25日に開かれた百条委員会の証人尋問で、告発者の男性を公益通報の保護対象とせず、調査結果を待たずに停職3カ月の懲戒処分とした初動対応について、斎藤知事は
「適切だった」
と主張。
しかしこの対応についても、実際に働く職員としては不安を感じるという。
中堅の男性県職員は次のように胸の内を明かした。
「証人尋問で斎藤知事は、『初動対応に問題はなかった』と、再選前と同じことを繰り返しているだけ」
「これによって職員が亡くなっているわけですから、対応のまずさを認めて謝罪してほしいと思っている職員は多いんじゃないかと思います」
再選挙後の本誌の取材では、“知事が誰であっても仕事に影響はない”と語る職員もいたものの、一部には斎藤知事の変化を期待する職員もいるようだ。
2025年年始の目標通り、風通しのよい職場を作れるだろうか。

告発者の私的情報漏洩に対応鈍く 斎藤兵庫知事、削除依頼も告発もせず「第三者委で調査」
2025/1/6 21:53
https://www.sankei.com/article/20250106-ADELE2DAA5LNVOCYG57Z67GOJU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑を告発した元県幹部の私的情報漏洩疑惑を巡り、県の対応の鈍さを指摘する声が上がっている。
私的情報とされるデータが交流サイト(SNS)で拡散した上、漏洩は地方公務員法などに抵触する可能性があり、県議会には
「速やかに刑事告発すべきだ」
との意見がある。
ただ、斎藤氏はデータについて
「本物かどうか分からない」
と言及。
告発やSNS運営者側への削除依頼はせず、第三者による調査を優先する姿勢を貫いている。
漏洩した疑いがあるのは県西播磨県民局長だった男性が公用パソコンに保存していたとされるデータ。
昨年2024年11月の知事選に、斎藤氏の応援を目的に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が同月2024年11月下旬、男性の情報だとするデータをSNSで公開するなどした。
斎藤氏は2024年12月、公開されたデータが
「本物か分からない」
とし、第三者委員会で調査する意向を表明。
今月2025年1月中にも弁護士による第三者委が設置される見通しだが、斎藤氏は
「まずは(データの)同一性を確認する」
とし、県の情報管理については
「指摘すべき所があればしてもらう」
と述べるにとどめている。
私的情報が保存されていたとされる公用パソコンは昨年2024年3月、斎藤氏の指示で告発文書の作成者を調べていた片山安孝副知事(当時)が男性を聴取した際、職場から回収したものだ。
2024年6月に県議会調査特別委員会(百条委員会)が設置されると、男性は代理人を通じてプライバシーに配慮して調査するよう百条委側に依頼。
百条委は、告発とは無関係な私的情報を調査の対象外とすることを決めた。
ところが2024年7月、斎藤氏の側近である井ノ本知明総務部長(当時)が県職員や県議に私的情報を見せて回っていたと週刊誌が報道。
斎藤氏は、井ノ本氏らに確認したが否定したと説明し、第三者による調査を検討しているとした。
井ノ本氏自身は2024年10月の百条委で、男性の私的な個人情報を印刷し、所持していたことを認めつつ、漏洩については
「守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性がある」
と証言を拒否。
だが、百条委が2024年12月に県議への聞き取り調査を実施した結果、井ノ本氏から私的情報の記録を見せられたといった証言が複数寄せられた。
この漏洩疑惑については県の調査が続いているが、同月2024年12月25日に開かれた百条委の斎藤氏への証人尋問では、情報漏洩も取り上げられた。
漏洩疑惑が浮上してから半年近くが経過している状況を踏まえ、
「速やかに刑事告発することは県民の個人情報を預かる知事の責務だ」
とする指摘に、斎藤氏は
「第三者委で適切に対応したい」
などと繰り返した。
■スピード重視、刑事告訴のケースも
自治体が扱う個人情報の漏洩は後を絶たず、刑事事件に発展したケースもある。
堺市では平成27年、市内全有権者約68万人の氏名などの個人情報が流出した。
男性職員が独自の選挙事務システムを構築するため、無断で情報を持ち帰り、自作したシステムを民間のレンタルサーバーに保存した際、誤って閲覧可能な状態となっていた。
市は発覚後、速やかに流出状況を調査し、ネット検索会社に情報の削除を依頼。
専門業者にも調査を依頼し、SNSなどへの拡散は確認されなかった。
大阪府八尾市では昨年2024年5月、市立斎場の利用者の個人情報を葬儀関連業者へ提供した見返りに現金を受け取ったとして、男性職員が加重収賄と地方公務員法違反の疑いで大阪府警に逮捕された。
大阪府八尾市は2024年6月に男性を懲戒免職処分としたが、内部調査に加えて第三者による調査チームも設置。
別の男性職員も現金を受け取っていたとして、2024年9月に懲戒免職とした。
岩手県釜石市では令和3年度、職員による個人情報漏洩事案が発覚した。
岩手県釜石市は内部調査の他、顧問弁護士や警察に相談した上で住民基本台帳法違反罪で告訴状を提出。
職員2人を懲戒免職とするなどし、市長と副市長も給与を減額した。
岩手県釜石市の担当者は
「第三者委員会設置の話もあったが、漏洩事案でセキュリティー強化などが必要だったため、スピード感をもって対処できる態勢を重視した」
としている。

再選後に「“もう辞めたい”という声も」…職員30人が告白した斎藤元彦知事へ“もの言えぬ空気”とは「理不尽な異動が怖い」
#1
水島 宏明水島 宏明11時間前
https://bunshun.jp/articles/-/75802
パワハラ疑惑・おねだり疑惑などの対応をめぐって県議会議員の全会一致の不信任決議案可決を受けて前知事の斎藤元彦氏が失職したことで実施された兵庫県知事選挙。
11月17日に投開票が行われて斎藤氏が再選を果たした。
これまでの数々のテレビ番組で改めて注目したいのが10月2日にNHKが放送した
「クローズアップ現代」
だ。
タイトルは
「兵庫県職員30人の告白“もの言えぬ空気”はなぜ生まれたか?」
として、選挙前の斎藤県政がどのように運営されていたのか。
それを職員の声を中心に再現した番組だ。(全2回の1回目、後編に続く)
◆ ◆ ◆
■約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答
再選翌日の記者会見で斎藤氏は
「県議会と県職員の皆さんとの関係をしっかり前に進めていくことがすごく大事」
「有権者が評価してくれたのは主に実現した政策」
「政策をどう進めていくかが大事」
「県職員も県議会も同じ思いをお持ちだと思う」
などと話していた。
今後注目すべきは、斎藤氏の再選で再び彼の下で働くことになった兵庫県庁の職員の心中だ。
兵庫県議会の
「百条委員会」
が実施した県職員約9700人(回答は約6700件)のアンケートでは約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答している。
■「知り合いの職員でも“もう辞めたい”という声も」
この日のTBSの朝の情報番組「THE TIME,」では、現役の兵庫県職員の話として今回のSNSを使った選挙戦略について
「SNSを駆使するやり方は構わないですが、伝える中身の問題ですよね」
「人のプライベートを晒す」
「あるいは嘘を言う」
「個人的には残念だと思います」
「知り合いの職員でも“もう辞めたい”という声も聞こえてきます」
と失望の色を濃くしていた。
さらに再選後、選挙戦略にかかわったと自らネット上に公表したPR会社の女性社長の行為が
「公職選挙法違反」
になるのかどうかが、選挙後にわかに焦点となった。
12月2日、大学教授と弁護士が斎藤氏とPR会社社長を警察と検察に公職選挙法上の
「買収」
の疑いで刑事告発したことを発表。
一方で告発状が受理されて捜査が進んだとしても、実際に裁判で決着がつくまでは3〜4年はかかるという見方は根強い(同日のフジテレビ「イット!」)。
万一、裁判で有罪になった場合でも斎藤氏は4年の任期を全うできる可能性があるという。
■斎藤県政での「もの言えぬ空気」
10月2日に放送された
「クローズアップ現代」
では、
「もの言えぬ空気」
が第一次斎藤県政では職場に蔓延していたとして、その実態を詳しく伝えている。
第一次斎藤県政では、就任1年で58の事業の廃止や見直しのほか、当時700億円かかるとされた庁舎などの再整備計画の凍結や県立大学の段階的な完全無償化を実施した。
知事が改革の司令塔として作ったのが、10人程度の幹部ら職員で構成される
「新県政推進室」
だった。
以前は知事と各部局が個別に議論を重ねていた政策形成のプロセスを簡素化。
迅速な意思決定を行えるようにした。
その後、この
「新県政推進室」
も形式化し、“側近”と呼ばれる少数のメンバーで物事を決めていくようになったという。
「密室で取り巻きだけで決めて、どんどん進めていく」(OB職員=幹部)
「異論とか、多様な意見を別に求めているわけじゃない」(現役職員)
このことが“組織の健全さを欠く事態”を招くことになった、と複数の職員が取材に明かしたという。
「敵か味方か。賛成か反対か。白黒をはっきりさせて、賛成のチームと反対に回るチームを分ける傾向があった」
「そうすると、いろんな意見がだんだん言いにくくなって声が届かなくなる」
(OB職員=部長級)
さらに人事権をちらつかされて圧力を感じたという職員もいたという。
知事が打ち出した賛否が分かれる政策に意見を述べたOB職員は、後日、県幹部から
「斎藤県政に刃向かうんだったら辞表を書け」
「さもなくば服従しろ」
と迫られた。
異論を言うと排除。
異動させられてしまう。
自然に知事の周囲にはイエスマンしかいなくなってしまう。
知事は“裸の王様”のような立場になってしまったとOB職員(幹部)は証言した。
こうしたことで職員たちは知事の言動に違和感があっても次第に声を上げられない状態に陥っていた。
■「理不尽に異動させられることが怖い」
 複数の職員が知事のパワハラ疑惑を見て見ぬふりをした後悔を口にした。
「(パワハラ疑惑などを)看過していたということでいえば、批判はその通りだと思う」
「報復というか人事の面で見られた」
「そういうのを見ていると管理職も声を上げにくい空気になったり、(声を上げることに)二の足を踏んでしまう」
「好転しないどころか悪化する」
(現役幹部職員)
「人間の心の弱さ」
「理不尽に異動させられることが怖い」
「異動させられることは不名誉だし、怖い」
「そういうことで意見が言えなくなる」
「幹部が意見が言えなくなると、その部下もさらに意見が言えなくなる」
「こんなに危ういとは思わなかった」
「こんなに簡単に崩れるんだと」
(現役幹部職員)
「人間の心の弱さ」
という言葉が印象的だ。
県庁の職員は現役であれ、OBであれ、退職後に県がらみの仕事に就くことが多いので県のトップである知事の意向に逆らうことは現実的な不利益になってしまう恐れは強いはずだ。
ある職員は
“民意で選ばれた知事の意向に意見することは容易ではない”
と心情を吐露した。
「何もできなかったふがいなさ」
「そういうものは感じるが、だからといって、じゃあ、何ができたのかといったら、根底から覆すようなことなんて本当にできなかっただろうと思う」
「選挙で選ばれた人が4年間はそこにいるわけだから」
「それは仕えないとしょうがない」
(OB職員=幹部)
番組が伝えていたのは、人事権を握る行政のトップが自分の考えを押しつけるばかりで異論を許さない恐怖政治だ。
周辺にいる職員たちにとっては
「恐怖」
でしかなかったという実態。
これが現代日本の出来事なのかと思わず、背筋が寒くなってしまう。

「内部告発の“犯人探し”を徹底」兵庫県庁の職員は“特定”を恐れて顔も手も隠し…それでも「クロ現」に証言した“壮絶な背景”
#2
水島 宏明水島 宏明11時間前
https://bunshun.jp/articles/-/75803
パワハラ疑惑・おねだり疑惑などの対応をめぐって県議会議員の全会一致の不信任決議案可決を受けて前知事の斎藤元彦氏が失職したことで実施された兵庫県知事選挙。
11月17日に投開票が行われて斎藤氏が再選を果たした。
これまでの数々のテレビ番組で改めて注目したいのが10月2日にNHKが放送した
「クローズアップ現代」
だ。
タイトルは
「兵庫県職員30人の告白“もの言えぬ空気”はなぜ生まれたか?」
として、選挙前の斎藤県政がどのように運営されていたのか。
それを職員の声を中心に再現した番組だ。
(全2回の2回目、前編から続く)
◆ ◆ ◆
■「特定」を職員たちが恐れている
登場する職員らはみな匿名で声もボイスチェンジャーといって元の声を変質させて誰かわからないような形で証言していた。
顔も隠しているが、筆者が特に注目したのは、
「顔」
を出さないだけでなく
「手」
さえも手袋をはめるなどして証言者を特定されないように通常の何倍も気をつかっていたことだ。
手であっても直接撮影した映像を出さない周到さ。
体型などもわからないように、上着などを着せて証言させている。
それだけ
「特定」
されることを本人たちが恐れているという証左なのだろう。
斎藤知事の“側近”たちは2024年3月の内部告発にあたっての犯人探しを徹底して行い、亡くなった元県民局長に対しても
「誰がどういうことを言っているのか」
について、かなり執拗に追及し、元県民局長に同調する人間が誰なのかを聞き出そうとしていたという。
これが取材や撮影にあたっては慎重すぎるほど、慎重に本人が特定されないようにした背景だと思われる。
■職員が目にした「問題がありすぎて、問題しかない調査」
「クローズアップ現代」
では、斎藤知事のパワハラ疑惑やおねだり疑惑などをメディアなどに告発した元県民局長(懲戒処分を受けた後で自死)に対する県庁側の対応も焦点にしている。
パソコンの調査で元局長が告発者だと特定されて、知事の側近だった片山安孝・前副知事が元局長に詰め寄る場面は言葉づかいも高圧的だ。
かつて人事課にいた職員は幹部たちの対応に違和感があったと証言した。
「書かれていることが事実かどうかをまず調べるのが通常だが、
『誰が書いたんだ』
『誰が情報を与えたんだ』
という調査方法はやっぱり異様というか問題がありすぎて、問題しかない調査」
(かつて人事課にいた職員)
片山前副知事が元局長に聞き取り調査をした際の音声記録によると、
「知事のパワハラ……」(片山前副知事)
「それはでも対外的に出てないじゃないですか」(元局長)
「出てへんから、なんでそれを知っとるんやって聞きよるんやないか」(片山前副知事)
「いや、噂……」(元局長)
元局長は根拠をもって内部文書を作成していたが、この時に
「噂」
としか言えない事情があったと親交があった同僚職員は証言する。
「噂話を集めて(内部告発文書を)つくったわけではないのは事実」
「情報を出した人間も処分をしようとしていたのかもしれない」
「『実際は誰かから聞いたことでも、名前は出さんといてくれということで名前を出せないだ」
「私が聞いたので間違いないと思う」
(元局長と親交のあった職員)
だが、片山前副知事の調査の結果、元局長による告発文書は噂話を集めただけの信頼性の低いものとされて結論づけられた。
かつて人事課にいた職員もこうした県の姿勢を批判的に見ている。
「真実相当性があたかもないようにした、非常に恣意的で言葉尻を捉えた調査、判断だったとしか思えない」
■「死をもって抗議する」というメッセージ
調査の2日後、斎藤知事は記者会見で
「事実無根の内容が多々含まれている」
「うそ八百含めて、文書を作って流す行為は公務員として失格」
と元局長を批判。
県は元局長が
「誹謗中傷性の高い文書を流出させた」
として停職3か月の懲戒処分を下した。
元局長は2か月後に
「死をもって抗議する」
というメッセージを残して亡くなった。
その後、兵庫県の県議会が設置した百条委員会で知事らのふるまいは公益通報者保護法に違反していると指摘されている。
職員個人の尊厳や人権を侵害するような対応を二度と繰り返さないように告発者を守る仕組みを整えていく必要がある。
■前例を踏襲してきたテレビの選挙報道
県職員らの証言を集めたテレビのこうした優れた報道番組があったにもかかわらず、斎藤元彦氏は出直し知事選挙で再選を果たして再び4年間の県政を担うことになった。
兵庫県庁で幹部や職員たちと現在、どのように会話を交わし、どのように県政を進めているのだろう。
職員たちはどういう心境の中にいるのだろうか。
斎藤氏は失職する前の記者会見で
「県政3年間やっていく中で心の中におごりであったり、慢心があったんだと思います」
「自分の行為が良くない点は自分自身も生まれ変わって改めていく」
と再び立候補する決意を表明していた。
「クローズアップ現代」
で職員たちが証言した内容が事実であれば、出直し選挙での再選で民意を味方につけたからといって、斎藤知事の仕事の進め方が大きく変わることはあまり期待できないかもしれない。
職員たちも戦々恐々としていることだろう。
ただ、この
「クロ現」
のように多くの職員たちに取材して、第一次斎藤県政をしっかりと検証した報道番組は数少ない。
こうした検証はこれからも続けてもらいたい。
今回の出直し知事選ではテレビをはじめとして既存メディアに不信感を抱いた人たちが替わりの情報源としてSNSに一気に向かったことが斎藤氏の再選につながったと言われている。
選挙期間中のテレビ報道のあり方など考え直すべき点は数多い。
前例を踏襲してきたテレビの選挙報道はSNSの時代には通用しないことがはっきりとした。
一方、30人もの職員に聞き取りをしていく根気のいる報道は信頼性の高いテレビでこそ実現することが可能だ。
そうした調査報道の貴重さも改めて痛感した。
はたして第二次斎藤県政はどのようなものになっていくのだろうか。
たとえ職員から異論が出ても、それをうまく活用しながらより良い政策に発展させていけるようなスタンスを取れるならば、今回のような事態はけっして起こらなかったに違いない。
取材陣にはぜひ第二次斎藤県政を検証していく次なる調査報道を期待したい。 

「通報者の探索、許されない」百条委で参考人弁護士 午後に斎藤知事が最後の証人尋問
2024/12/25 11:17
https://www.sankei.com/article/20241225-YRDZH64KO5K7ZEC5JQSRJOUZKE/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発した文書を巡り、告発内容の真偽や告発者を処分した県の対応を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が2024年12月25日、始まった。
午前中は、公益通報制度に詳しい結城大輔弁護士が参考人として招致され、公益通報制度では
「外部通報であっても通報者の探索行為は禁じられている」
と説明した。
午後からは11月の知事選で再選後初めて斎藤氏が証人尋問に臨む他、片山安孝元副知事も証人として出頭予定。
告発文書を作成した県幹部の男性を公益通報者保護法の対象としなかったことや、斎藤氏のパワハラ疑惑などについて総括的に審議する。
斎藤氏はこれまで匿名の告発者を特定し処分した対応については、問題ないとの説明を繰り返しており、最後となる証人尋問でどのような答弁をするのか注目される。
この日、結城弁護士は、公益通報者保護法の法定指針では、通報者の保護に関し
「調査結果が出る前に不利益な扱いをすることは許されない」
と指摘。
「噂話や憶測を基にしているからといって、それだけで不正目的があるとは認定されない」
とした。
男性が事実無根の文書を作成したと認めていると、斎藤氏が言及した記者会見での発言について
「事実上の不利益扱いに当たるような行為」
と述べた。
百条委は、この日で証人尋問を終える見通し。
来年2025年の県議会2025年2月定例会への提出を目指し、報告書をまとめる。
告発文書は2024年3月に県西播磨県民局長だった男性が作成し、関係者に配布した。
県の公益通報窓口にも通報したが、県は内部調査を進めた結果、文書を
「誹謗中傷」
と認定。
男性は停職処分を受け、2024年7月に死亡した。

「前総務部長から聞いた」 告発者私的情報の漏洩疑惑 兵庫百条委に複数県議が説明
2024/12/17 12:18
https://www.sankei.com/article/20241217-RFSTKZVHAZLXNALAFLJSOBUUII/
兵庫県の斎藤元彦知事ら県幹部を内部告発した元県西播磨県民局長の男性の私的情報について、複数の県議が、県議会調査特別委員会(百条委員会)の聞き取り調査に前総務部長から聞いたと説明していることが2024年12月17日、関係者への取材で分かった。
前総務部長は、懲戒処分に関する中心的な役割を担っていた。
県は地方公務員法(守秘義務)に抵触する可能性があるとして調査している。
男性の懲戒処分を巡り、県は2024年3月25日に、男性の私的情報が保存されていたとされる公用パソコンを回収。
その後の県の内部調査で告発文書の核心的な部分が事実ではないなどとして、2024年5月、男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は、2024年7月初め、代理人を通じて百条委に
「プライバシーに配慮してほしい」
と要望。
百条委は告発とは無関係な文書の開示はしないと決めていた。
関係者によると、百条委は今月2024年12月16日に非公開で複数の県議に聞き取り調査を実施。
2024年4月中旬頃に前総務部長から、男性の私的情報の記録を見せられたり、口頭で内容を聞かされたりしたとの証言があったという。
前総務部長は2024年10月25日に開かれた百条委の証人尋問で男性の私的な個人情報を印刷し、所持していたことを認めた。
一方で、漏洩については
「守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性が生じる」
などとして証言を拒否していた。
男性の私的情報とされる内容は、知事選(2024年11月17日投開票)期間の前後から交流サイト(SNS)で拡散されており、県は第三者機関を設置して慎重に調査するとしていた。

<独自>告発した元局長の私的情報漏洩か 兵庫知事側近の前総務部長ら 県が調査検討
2024/8/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20240829-I7672IG3YZOJ3NY6WKUDVAY2UM/
兵庫県の斎藤元彦知事らのパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)の私的な情報を漏洩した疑いがあるとして、県が前総務部長の井ノ本知明氏らの調査を検討していることが2024年8月28日、関係者への取材で分かった。
男性は2024年7月に死亡し、直前にプライバシーへの配慮を周囲に訴えていた。
内部調査ではなく、弁護士に調査を依頼する方針。
県は元副知事の片山安孝氏や前理事の小橋浩一氏、産業労働部長の原田剛治氏の調査も検討。
井ノ本氏を含め、いずれも文書で名前が出た知事の側近で、男性の懲戒処分にも関与したとされる。
男性が2024年3月に匿名で文書を報道機関などに配布した後、斎藤氏の指示で作成者を調べていた片山氏らが男性の公用パソコンを調査。
告発文書のデータを確認したことがこれまでに判明している。
関係者によると、井ノ本氏らは2024年4月頃から、パソコンに保存されていた告発内容とは無関係な男性の私的情報を県議らに開示していた疑いがあるという。
県の懲戒処分の指針では、職務上知り得た秘密を故意に漏らした職員を処分の対象としている。
県は井ノ本氏らがこれに抵触する可能性があると判断。
外部の弁護士に調査を委託する方向で調整を進めているという。
男性は2024年7月19日の県議会調査特別委員会(百条委員会)に証人として出頭を予定。
しかし、一部の委員が告発とは無関係な情報も提出するよう求めているとして、代理人を通じプライバシーを保護するよう百条委に要請するなど、私的情報が流布されていることに不安を抱えていたという。
男性は同月2024年7月7日に死亡。
自殺とみられ、証言はしなかったが、陳述書などを準備していた。
2024年8月23日に非公開で行われた百条委の証人尋問では、職員が私的情報の持ち出しについて
「調査の必要があると認識しており、弁護士会に相談している」
と証言した。

「人事畑歩んだエリート」告発の兵庫県庁の元県民局長、「兄貴分的な人だった」と惜しむ声
2024/7/19 13:12
https://www.sankei.com/article/20240719-PL47CVH3BFMYZHAWCVQTUVGHU4/
「一死をもって抗議する」。
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑を告発した元県西播磨県民局長の男性(60)は亡くなる前、こんなメッセージを残していた。
人事畑などを歩む
「エリート」
と評され、
「兄貴分的な人」
「愛すべき先輩だった」
と県庁内から死を惜しむ声が上がる。
「なぜ、告発文書を作成したのか」
「現在の知事や県幹部の状況に許せない思いを抱えていたのだろう」。
男性を知る県関係者は、心中を推し量った。
男性は京都大を卒業し、昭和62年4月に兵庫県に入庁。
人事課長や教育次長、人事課を所管する管理局長(現職員局長)などを務めてきた。
元上司は
「仕事熱心で、誰とでも気さくに話をして、後輩にも優しかった」
「課内、課外関係なく、面倒見のいい人」
と評価。
後輩は
「仕事以外でも仲間と連れ立って行動することが好きな兄貴分的な存在」
「非常に尊敬しており、愛すべき先輩だった」
と振り返る。
西播磨県民局長に就いたのは、斎藤氏の知事就任前の令和3年4月。
県内各地域を管轄する地方機関である県民局のトップは部長級で、中でも西播磨は格が上の方だとされる。
今年2024年3月末に退職予定だったが、同月中旬、斎藤氏のパワハラ疑惑や県幹部らの違法行為を告発する文書を作成し、一部の報道機関や県議らに配布した。
文書は匿名だったが、県は早々に男性が作成したと特定。
斎藤氏は記者会見で、
「業務時間中に噓八百含めて文書を作って流す行為は公務員として失格」
と強い口調で非難した。
更に、
「ありもしないことを縷々並べた内容を本人も認めている」
とと説明したが、これに対して男性は反論文書を公表。
「私自身が認めている事実は一切ない」
「今の県政運営に対する不信感、将来に対する不安感、頑張って働いている職員の皆さんの将来を思っての行動だ」
と記した。
2024年5月には、告発文書は誹謗中傷に当たるとして、県が男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は、人事委員会への不服申し立てをしなかったが、県議会の調査特別委員会(百条委員会)に宛てたメッセージで理由をこう説明していた。
「私の願いは兵庫県という組織がより良くなるため、真実が明らかになることである」。

「違和感ある結論だ」斎藤知事のパワハラ「確証なし」との兵庫県内部調査受け、専門家指摘
2024/12/12 7:00
https://www.sankei.com/article/20241212-BQURIRUIKZJGDA2ODDM3OSIVBM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑や贈答品受領疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県は2024年12月11日、文書を作成した元県幹部の男性=2024年7月に死亡=による内部通報を受けた調査結果を発表した。
斎藤氏による職員へのパワハラ疑惑については、強く叱責されたと認識する職員がいたものの
「確証までは得られなかった」
とした。
また、贈答品受領についても斎藤氏の対応に問題があったとの指摘はなかった。
専門家は
「中立の立場にある今後の第三者機関の調査結果に注目したい」
と述べた。
男性の告発文書を巡っては、県議会調査特別委員会(百条委員会)が真偽を解明するために調査しており、来年2025年2月に最終報告書を発表する見込み。
この他、県が設置した第三者委員会も今年2024年度中を目途に報告書をまとめる予定だ。
百条委が実施した県職員アンケートでは、斎藤氏のパワハラを見聞きしたことがあるとの回答が職員全体の約42%に上っている。
2024年12月11日に県が公表した
「パワハラの確証が得られなかった」
とする調査結果について、公益通報制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授は
「(百条委の)県職員アンケートの結果を踏まえると違和感のある結論」
「兵庫県は公益通報者保護法の法定指針の違反状態が続いていると認識している」
と述べた。
男性は今年2024年3月、一部の報道機関や県議らに告発文書を配布し、2024年4月には文書の内容の一部を県の内部に設けられていた公益通報窓口に送付。
県は通報を受けた内部調査の結果を待たずに2024年5月、
「(文書の)核心部分が事実ではない」
として男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
日野教授は
「懲戒処分が先んじて行われたのは公益通報案件ではなく、人事案件として取り扱い、人事課の調査を優先させてしまったため」
「やはり内部通報の調査結果を待った上で処分を判断すべきだった」
とし、
「今回、男性の通報内容が虚偽や単なる臆測ではないことが明らかになった」
「この調査結果を踏まえれば、通報に対する不利益処分は出来なかったのではないか」
と話した。

「ネットリンチだ」斎藤知事を追及してきた兵庫県議がYouTubeに15件の削除要請
2024/12/9 20:26
https://www.sankei.com/article/20241209-NMYTBF5HM5J33PKCRMTMQIZ2NM/
兵庫県議会の百条委員会委員を務める丸尾牧県議は2024年12月9日、動画投稿サイト「ユーチューブ」に対し、15件の投稿内容が明白な虚偽や名誉毀損に当たるとして削除要請を行ったことを明らかにした。
丸尾氏は産経新聞の取材に
「ネットリンチの状態だ」
と述べ、投稿者特定のための開示請求手続きも行い、対応によっては民事・刑事両面から名誉毀損の責任や罪を追及する方針という。
削除を要請したのは、兵庫県知事選期間中に、丸尾氏を名指しし、
「騒動の主犯格が判明しました」
「知事反対派?の県議によるデマ問題!?」
などの表題で投稿された動画15件。
丸尾氏は
「証拠も示さない虚偽の内容で名誉を不当に毀損するもの」
などとしている。
丸尾氏は
「明らかに事実と異なる内容」
「視聴した人が交流サイト(SNS)上で扇動し、SNSや電話でクレーム、抗議が殺到する」
「業務に支障をきたすだけでなく命にかかわる恐怖も覚える」
と非難。
「著名人もこの内容を基にして動画をアップしており迷惑極まりない」
と憤った。

「調査やめろ」兵庫県議会百条委、委員宅や事務所に今も抗議続く…「萎縮せず調査」と強調
2024/11/25 21:17
https://www.sankei.com/article/20241125-ZQTSI3I7INIJJE7X5XCU4XYZ34/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)が2024年11月25日開かれ、知事選後初の証人尋問が行われた。
県幹部ら3人が証人として出頭したが、斎藤氏は欠席。
斎藤氏の尋問日程は今後調整するが、現段階で目途は立っていない。
知事選では県議会や百条委への批判が強まり、インターネット上では委員への誹謗中傷などが相次いだ。
委員の一人は議員辞職に追い込まれたが、他の委員らは
「調査が萎縮してはならない」
との思いを強めている。
■優勝パレード疑惑で尋問
この日の百条委では、昨年2023年11月のプロ野球阪神・オリックス優勝パレードの企業協賛金を信用金庫に出してもらう見返りに、補助金を増額して還流したとされる疑惑などについて尋問。
証人3人のうち尋問が公開されたのは当時の財務部長のみで、インターネット中継はなかった。
終了後、委員長の奥谷謙一県議が記者会見し、斎藤氏への証人尋問など次回の開催日程は未定だと説明。
調査結果は2024年年内にまとめる予定だったが、知事選の影響などにより来年2025年にずれ込む見通しを示した。
会見後、産経新聞の取材に
「誹謗中傷はあったが、疑惑の真相解明に努めるという姿勢を崩さずに進めていきたい」
と強調した。
斎藤氏が返り咲きを果たした今回の選挙戦。
奥谷氏は立候補者の1人だった政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏から、斎藤氏を告発した男性の死亡原因を隠蔽したなどとする内容を交流サイト(SNS)に投稿された他、自宅兼事務所前で激しい口調で演説され、危険を感じて家族を避難させるなどしたという。
今年2024年6月に設置された百条委では、文書に記載された斎藤氏らに関する7項目の疑惑などを調査。
斎藤氏への2度の証人尋問も行われ、その際の斎藤氏の対応を問題視した議会が斎藤氏に対する不信任案を全会一致で可決した。
斎藤氏は失職し、今回の出直し選挙となったが、こうした経緯もSNSでは批判の対象となった。
ある委員はSNSだけでなく、自宅や事務所に電話やメールで知らない人からの抗議が多く届いた。
「斎藤氏は文書問題について真正面から説明しようとしなかった」
「来年2025年度予算の編成を託すわけにはいかないと考えた」
と辞職を求めた理由を述べ、
「萎縮してしまう委員がいるかもしれないが、信念を持って調査を最後までやり切るのが私たちの務めだ」
と語る。
■中間報告出していれば…
一方、別の委員は、調査が終了していない段階で不信任決議に至った判断について、
「『百条委員会は噓ばかり』などという事実と異なる情報が飛び交った」
「中間報告を出すなどしていれば、そうはならなかったかもしれない」
と反省を口にする。
この委員は
「今でも1日10件程度、
『百条委員会の調査は止めろ』
『議員辞職しろ』
などというメールやSNSの書き込みがある」
と明かしつつ、
「信頼される結論を百条委で出していくだけだ」
と話した。

正義と信じ「敵」攻撃、投稿が過激化し分断生む…「エコーチェンバー」と確証バイアスで先鋭化
2024/11/25(月) 5:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/69da6b550695ba571c30e31e9df9c17645576876
[SNSと選挙]<中>兵庫県知事選から
 「辞めろ」「ウソつき」「出てこい」――。
商店街を練り歩く斎藤氏。
行く先々で批判するメッセージを掲げる人がいた(10日、神戸市中央区で)
兵庫県知事選の選挙期間中、奥谷謙一県議(39)の自宅兼事務所には、そんな電話が相次いでかかってきた。
奥谷氏は、斎藤元彦知事(47)のパワハラなどの疑惑を調査する県議会百条委員会の委員長。
斎藤氏の失職後、SNSで斎藤氏への支持が広がるのに比例し、
「知事の失脚を裏で主導した」
として、奥谷氏を誹謗中傷する投稿が拡散した。
知事選が始まると、立候補した政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏(57)が奥谷氏の自宅前で街頭演説し、
「出てこい」
などとチャイムを押す動画を配信。
奥谷氏は母と共に避難していたが、立花氏がX(旧ツイッター)で奥谷氏の目撃情報の提供を呼び掛けると、Xには
「有馬温泉に隠れているようだ」
などの書き込みもあった。
今も見知らぬ男が自宅前に立っていたり、チャイムを鳴らされたりすることもあり、警察に相談している。
奥谷氏は
「自分についてSNSに書かれていることはデマばかり」
「こんなに身の危険を感じたことは初めてだ」
と疲労感を滲ませる。

百条委が兵庫県幹部の尋問映像公開、片山前副知事の「告発者の私的情報発言」は音声を消して対応
2024/11/23 21:33読売新聞
https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20241123-567-OYT1T50151.html
■SNSでは「都合の悪い部分を隠蔽」と批判
兵庫県の斎藤元彦知事の内部告発問題を調査する県議会の百条委員会は2024年11月22日、2024年11月10月24、25両日に非公開で行われた県幹部らへの証人尋問の録画映像をユーチューブで公開した。
知事選への影響を避けるため、選挙後に公開する予定で録画されていた。
2日間の証人尋問には、計11人が出頭。
このうち、片山安孝前副知事や県幹部ら計6人分、計7時間以上の映像が公開された。
2024年10月25日の証人尋問では、告発者の男性職員(2024年7月に死亡)が公用パソコンに保管していたとされる私的情報について、片山氏が発言を続けようとし、奥谷謙一委員長が制して一時中断する場面があった。
録画映像では、片山氏のこの時の証言は音声が一部消されていた。
百条委は調査と直接関係のない内容は扱わないことを決めている。
証人尋問の再開後、奥谷氏は
「片山氏から不規則発言があり、尋問を行うことが不可能と判断した」
と発言。
他の委員から異議は出なかった。
知事選の期間中、この消された部分とされる音声が流出。
立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏は、告発者は私的情報が漏れることを恐れて自殺した可能性が高いのに、百条委がそれを隠したと主張した。
SNS上では
「(百条委は)都合の悪い部分を隠している」
などの投稿が相次いだ。
告発者は自殺したとみられるが、その理由は分かっていない。
奥谷氏は今月2024年11月18日の記者会見で、
「(片山氏が)調査に関係ないプライバシー情報を話し始めたので、プライバシーに最大限配慮する県の情報公開条例に基づき、制止した」
と説明。
「隠蔽しているというのは、明らかなデマだ」
と述べた。
また、斎藤氏の側近だった小橋浩一前理事は2024年10月25日の証人尋問で、斎藤氏が告発内容を
「嘘八百」
などと指摘した2024年3月27日の記者会見の直後に、第三者委員会による調査を進言したと証言。
「(斎藤氏は)渋い顔をされ、『どうかな』と。受け入れられなかった」
と述べた。
斎藤氏は2024年9月の証人尋問で、小橋氏の進言について
「記憶にない」
と話していた。
片山氏や県幹部の証人尋問は通常、公開で行われるが、百条委は2日間の証人尋問について、知事選に影響が出ないよう非公開で実施し、選挙後に録画映像を公開する方針を予め決めていた。

告発者処分先行、斎藤知事から「風向き変えたい」 非公開の百条委録画で側近が証言
2024/11/23 7:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QGC7SL3R3RO6VF64OZG66XQHXA/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などについて調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)は2024年11月22日、県知事選前に行った2024年10月24、25日の証人尋問のうち、部長級以上の職員や元副知事、片山安孝氏の尋問の録画映像を公開した。
知事選に影響が出ないよう非公開としていた。
告発文書を作成した県の西播磨県民局長だった男性=2024年7月に死亡=を特定し、懲戒処分とした県の対応を巡り、斎藤氏の指示を受けて処分の中心的役割を担った前総務部長の井ノ本知明氏は、男性が県の公益通報窓口に通報したため、処分はその調査結果を待ってからにした方がよいと斎藤氏に進言したと証言。
しかし、
「知事から風向きを変えたいという話があった」
と処分を先行した経緯を説明し、
「この騒がしい状況を早くしずめたいという思いが(斎藤氏に)あったと推察している」
と述べた。
プロ野球阪神・オリックス優勝パレードの協賛金を金融機関に出してもらう見返りに、県側が補助金増額を約束したとされる疑惑を巡っては、片山氏が
「信用金庫に対する協賛金の協力依頼と補助金を増額する予算措置のタイミングがたまたま一致した」
とキックバックの意図を否定。
「この2つが一緒に動いているという気持ちはなかった」
などと説明した。
一方、尋問では、片山氏が男性のプライバシー情報に関して発言を始め、制止される場面があったが、この部分については公開されなかった。 
百条委は今月2024年11月25日に文書の疑惑などを総括した証人尋問を実施。
斎藤氏の証人尋問も予定されていたが、欠席となる見通し。

齋藤元彦「再選」に浮かれていていいのか…いまだ晴れていない告発者処罰で「職権濫用」の疑義
2024/11/23(土) 6:04配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/04ac1f5ee81b137c6557fafe6224848b6b1c1415
「パワハラ疑惑」
で辞任に追い込まれた齋藤元彦氏が、この度の兵庫県知事選挙で再選されました。
現下の民主主義制度を採用している我が国では、この結果は重く受け止めねばなりません。
少なくともこれで齋藤氏は
「知事」
の要職に就くことが決定しました。
そしてその事実を受け止め、これからメディア上の論調や有識者達の発言内容が変わってくるものと予期されます。(例えば、コチラ、日刊スポーツ、2024年11月17日「斎藤元彦氏に泉房穂氏が生番組で謝罪『おわびです。かなり厳しいトーンで…』兵庫県知事再選受け」)
ただし、この結果は、あくまでも
「知事を誰にするか」
を決定するもの。
言うまでも無く、
「当選者に関わる真実」
に関わる諸判断がこの決定によって影響を受けるべきものではありません。
ここでは、その1点について検討をしてみたいと思います。
この度の選挙の構図は
「既存マスメディアvsSNS」
と言われていますが、その件の
「事実的経緯」
は以下の様なものです。
(1)兵庫県の一職員から、齋藤知事のパワハラを告発する文書が、兵庫県警、報道機関4社、国会議員1名、県議4名、ならびに県庁内の通報窓口に提出された(2024年3月12日付け)。
(2)齋藤知事サイドは、その告発には
「事実無根の内容が多々含まれ」
ており、かつ、
「嘘八百」
を含むものであり、その外部告発行為は公務員として不適切な行為だと断罪し、当該告発者を
「告訴」
する準備を進めている旨を記者会見で発表(2024年3月27日)。
その上で当該職員を特定するための徹底調査を庁内で行い、告発者を特定。
それと同時に、当該告発者の処分を検討するために
「弁護士を入れた内部調査」
を開始した事を公表(2024年4月2日)。
(3)その後、同職員から今度は、兵庫県内の公益通報制度を利用し、庁内の窓口に疑惑を通報(2024年4月4日)。
(4)更にその後、
「弁護士を入れた内部調査」
を通して、
「告発は核心部分において虚偽であり、告発文書は知事や職員に対する誹謗中傷であり、不正行為」
と判断し、告発した職員について
「停職3カ月の懲戒処分」
を決定(2024年5月7日)
(5)県が実施した調査で、
「7人が知事や幹部のパワハラ、6人が知事や幹部への物品供与」
を回答で指摘したという結果が公表される。(2024年5月9日)
(6)齋藤氏は、当該告発内容について、
「第三者委員会」
の設置を表明(2024年5月14日)。
またその後、議会が告発内容の真偽を確認する
「百条委員会」
設置が決定(2024年6月13日)
(7)記者会見で初めて、齋藤氏は告発内容を
「全て否定」
(2024年6月20日)
(8)告発者が
「一死をもって抗議する」
「百条委員会は最後までやり通してほしい」
という一文が入った陳述書を残し、自殺(2024年7月7日)
(9)齋藤知事は告発内容の1つであった
「おねだり」
に関連してワインを受け取っていたこと認める(2024年7月19日)。
ただしその後、それが
「社交辞令の範囲」
と釈明(2024年7月24日)
(10)兵庫県議会は、全会一致で、齋藤氏を不信任を決議し、齋藤氏辞職。
その後実施された知事選挙で齋藤氏再選(今に至る)。
以上の出典は、こちらの情報を基本にとりまとめたもの。
このサイトには、各情報の出典も明記されているのでそちらも併せて参照してください。
■告発者への知事の態度は不適切ではなかったのか
この一連の経緯で、法的に重要なポイントは、かの告発が
「公益通報」
に該当するか否か、という点です。
もし
「公益通報」
であるなら、
「告発者捜し」

「告発者の処分」
を行った齋藤知事が
「公益通報者保護法の違反者」
ということになるのです。
これは刑事罰の対象ではありませんが、
「知事」
としての振る舞いとしては著しく不適切な振る舞いだということになります。
ただし齋藤知事は
「告発された側」
ですが、その
「告発された側」
である齋藤知事は、これを
「公益通報」
ではなく、
「斎藤政権にダメージを与え、転覆させるような計画で、選挙で選ばれた知事を地方公務員が排除するのは不正な目的」
の文書であると認識する、という立場を取っているようです。
そしてその根拠として、片山元副知事は、内部調査の段階で、当該職員のメールに
『クーデターを起こす、革命、逃げ切る』
というくだりがあったことを挙げています。
しかも、齋藤批判を拡大させた
「告発者の自殺」
は、告発者の
「不倫」
の証拠が彼のパソコンに大量に残されており、それが原因なのであって、別に齋藤知事のパワハラが原因なんかじゃ無い、という言説も、選挙期間中、SNSで大いに共有されました。
これに加えてこうした情報がSNSでは共有されているのに、既存メディアでは全く報道されていないという点が
「炎上」
的にネット上で共有され、齋藤知事は
『告発者を自殺に追い込んだ悪い為政者だ』
という認識から
『既存メディアに不当に虐められる被害者だ』
という認識へと、ネット世論は変わっていったのでした。
今回の齋藤氏の勝利は、こうした世論の変化に基づくものでした。
■告発された権力者が自分の権限で断罪することの意味
しかし、ネット上での上記の言説が真実であろうと無かろうと、それとは無関係に齋藤氏の振る舞いはやはり、
「為政者」(Govener:知事)
として許されざる振る舞いであったと筆者は考えます(注1)。
なぜなら、今回告発されているのが
「齋藤知事」
の本人であるにも関わらず、その当の本人の齋藤知事自身が、
「第三者」
の意見を取り入れず、自分自身の知事としての権限を使って、本人の権限で
「当該の告発はフェイクである」
と断罪し、懲戒処分にしてしまっているからです。
この問題の本質はここにあります。
即ち、この告発が仮に
「齋藤政権を潰すための意図」
に基づくものであったとしても、また、メディアが偏向報道を行い、かつ、その告発に
「嘘」
が含まれていたのだとしても、その告発の中に何らかの
「真実」
が含まれている
「可能性」
がある限りにおいて、その告発を、知事という強大な自らの権限でもって
「握り潰す」
かのような振る舞いは
「公益通報者保護法」
の精神の下、許されないものなのです。
そして、内部告発がなされた時点(上記の(3)の時点)で、その告発の中に何らかの
「真実」
が含まれている
「可能性」
があったことは否定し難い事実なのです。
従ってその齋藤氏の振る舞いは、自らの知事という強大な権力についての
「職権濫用」
以外の何ものでもない疑義が極めて濃厚なのです。
仮にこの齋藤氏の振る舞い(注2)を正当化するとするなら、断罪する時点で
「この告発内容は“全て”虚偽である」
「従って、如何なる調査を受けようとも、私は無実であり、この告発内容には一片の真実もないことが、その調査が適正である限りにおいて必ず証明できるのだ」
と言わねばなりませんでした。
ですが彼は、最初の記者会見の席(上記の(2)の時点)で
「虚偽が多い」
と言ったものの
「一片の真実も無い」
とは断定しなかったのです(注3)。
この1点において、彼の態度は、為政者として許されざるものと判断せざるを得ないのです。
■「全てが虚偽ではない」と自覚していた
しかも、こうした筆者と同様の認識は、上記の段階(2)の
「前」
の時点で
「詳細については調査が必要なので申し上げられない」
と発言すべきだと進言していた兵庫県内の人事当局も、そして上記(4)の段階で
『公益通報の結果が出るまでは、処分しないほうがいい』
と進言した県職員も共有していたことは、その発言内容から明白です。
これらはいずれも、県庁内には
「告発に真実が含まれる可能性を完全に排除できない」
という認識が存在していたことを示しています。
(ABCニュース、8月27日「『嘘八百』『事実無根』メモ自作し“パワハラ疑惑”告発文を批判 県人事当局は『調査が必要』との想定問答を事前準備も 斎藤知事『処分の過程は適切という認識』」参照)
更に言うなら、齋藤氏は、上記の(9)でもってその告発の内容の
「一部」
が真実であることを認めているわけですから、調査や処分の
「前」
の段階で、
「この告発内容は“全て”虚偽である」
とは決して言えないということを齋藤氏自身が自覚していたとすら考えざるを得ないのです。
従って、今回の件は、齋藤氏は、知事の権限で以て、自らの不適切行為を訴える告発を
「完全なる事実無根の嘘の代物」
と断罪することは、公益通報制度の理念からして許されざるモノだったのです。
分かり易く言うなら、以上の経緯を冷静に読み解けば、齋藤知事には、
「自分にとって都合が悪いものの一部は真実も含まれていた告発を、自らの知事権限でもって
『全て虚偽だ』
という
『嘘』
をついて、握り潰した」
という濃密な嫌疑があるわけです。
これこそ、彼が
「公益通報者保護法違反」
を犯したと疑われるポイントなのです。
ちなみにこの法律違反は一般の公務員にも該当しますが、齋藤氏が
「知事」
であることを考えると、その道義的責任はより思いものという事になります。
彼は行政官であるというのみならず(国民の信頼がとりわけ必要な)
「政治家」
だからです。
この齋藤知事の
「違反行為」
は、その告発の動機の如何によらず、メディアの報道姿勢の偏向性の有無によらず、明確に存在するものです。
■政治家は「李下に冠を正さず」だろう
ちなみに、こうした齋藤氏の違反行為があったのか否かが
「行政手続き的」
に確定するのは、
「百条委員会」
の結果が出た後、という事になると考えられます。
何故なら、百条委員会は告発の内容の真偽に加えて、
「この告発が公益通報に該当するか否か」
を審査する委員会だからです。
これは言い換えるなら、今、齋藤氏は、
「公益通報者保護法違反の被疑者」
の立場にあるのです。
それにも関わらず、齋藤氏は出直し選挙に出馬し、そして兵庫県民は
「公益通報者保護法違反」
を犯した齋藤氏を当選させてしまったのです。
そうなると、かの告発が
「全て虚偽」
であると認定され、齋藤氏が公益通報者保護法違反で
「行政的にはシロ」
となる可能性が拡大すると危惧されます。
とりわけ、県議会は彼らの
「保身」
のために、恐らくは
「グレーな所は多分にあるが、黒とは断定できない」
という結論を導く公算が高いでしょう。
そうしなければ、齋藤氏を勝たせた世論に
「喧嘩」
を売ることになるからです。
議会にはそれだけの
「根性」
はない疑義が濃厚です。
しかし、仮にそうであったとしても、齋藤氏に知事の資格はないと、判断すべきである、というのが当方の(控え目に言うところの)個人的見解です。
何故なら、
「李下に冠を正さず」
「信なくばたたず」
とまで言われる政治家としては、仮に司法的に、行政府的に
「シロ」
であったとしても、それとは別に、
「政治家として許されるか否か」
という判断は下されねばならないからです。
その視点から考えれば、当方は齋藤氏には知事の資格があると判断することが著しく困難なものとなります。
しかし…今回の兵庫県においては、如何なる思考プロセスを経てそういう結論に辿り着いたのかについてはここでは不問に付しますが兎に角、齋藤氏には知事の資格ありと考える有権者が投票者の内の最多を占めたというのが、今回の現実です。
法治国家の人間として当方も無論、この事実は事実として受け止めますが、それでも尚、自らの保身のために公益通報者の保護義務を、知事の権限を使って握り潰した嫌疑が掛けられている齋藤氏の知事再任には大きな疑問を感じている方は未だに多数おられるものと思います。
ついては是非皆様もこの問題を、今1度、正確な事実を辿り、法的精神をご理解いただきながら、じっくりとお考え頂きたいと、心から祈念いたしたいと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(注1)無論だからといって、メディアの偏向報道が許容されるべきでは有りません。
とはいえそもそもそれとこれとは別次元の問題なのです。
例えばある罪Aを犯した人物がまた別の犯罪Bの被害者であったとしても、その被害を受けたという事実は罪Aを免罪することの根拠にはならないというのと同じ話です。
メディアの偏向報道には当方も辟易しており、それはそれでまた別の糾弾論が必要となると考えますが、その件はまた別の機会に論じたいと思います。
(注2)ここに言う齋藤知事の振る舞いとは,本文(1)の外部通報に対する(2)の振る舞い,ならびに,(3)の内部通報に対する(4)の振る舞いの2つです.外部通報と内部通報では法的位置付けが異なるため,この両者の振るまいについてはそれぞれ個別に判断する必要がありますが,ここでとりわけ重大な法的・道義的責任が問われるのが後者の内部通報に対する(4)の振る舞いです.
(注3)彼が言ったのは、
「嘘八百を含む」
だの
「事実無根の内容が多々含まれ(る)」
だのといった
「一部に嘘がある」
という話しであり、
「全て嘘だ」
とは言っていないません。
藤井 聡(京都大学大学院工学研究科教授)

斎藤氏の疑惑調査の百条委・奥谷委員長がN党立花氏を告訴 立花氏は民事提訴の方針
2024/11/22 19:51
https://www.sankei.com/article/20241122-G63TGCJ5GBP6VD6A4H5HLRV3YU/
兵庫県知事選に立候補していた
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏から、交流サイト(SNS)上で虚偽の内容を投稿され名誉を傷付けられたとして、県議会調査特別委員会(百条委員会)委員長を務める奥谷謙一県議が2024年11月22日、名誉毀損の罪で立花氏を刑事告訴した。
一方、立花氏は、奥谷氏を相手取って民事訴訟を起こす考えを示した。
告訴状によると、2024年10月31日〜11月19日、X(旧ツイッター)などで、奥谷氏は悪人で噓を付いたり、マスコミに圧力を掛けたりして、告発文書を作成した県の元幹部が死亡した原因を隠蔽したという趣旨の虚偽の内容を投稿され、名誉を毀損されたなどとしている。
捜査関係者によると、奥谷氏は、自身の自宅兼事務所前で立花氏が演説した内容についても、脅迫に当たるとして県警に被害届を提出した。
一方、立花氏は2024年11月22日に東京都内で記者会見を開き、
「(奥谷氏は)私がデマを吹聴していると言っているので、遅くとも来週水曜日までに東京地裁に提訴する」
と述べた。

兵庫県知事選 稲村氏後援会X凍結で告訴「選挙制度の議論期待」
2024/11/22 19:34
https://www.sankei.com/article/20241122-S4VIAFO365N4NM4G4IDKWSEAW4/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で敗れた元尼崎市長の稲村和美氏の後援会は2024年11月22日、選挙期間中に公式X(旧ツイッター)アカウントが何者かによる一斉の虚偽通報で2回凍結されたとして、容疑者不詳で偽計業務妨害容疑などの告訴・告発状を兵庫県警に提出した。
共同世話人の津久井進弁護士は神戸市内で記者会見し、
「民主主義の機能を検証するために告訴した」
「選挙制度の在り方が議論されることを期待する」
と話した。
Xは暴力的な発言などを禁じており、違反した場合は運営管理者によってアカウントが凍結されることがある。
告訴状などによると、氏名不詳者らは選挙期間中、稲村氏の後援会がXで違反行為をしていると虚偽の通報をして業務を妨害したなどとしている。
今後も投稿に関する事実確認を精査し、必要に応じて告訴内容を補充する方針という。

兵庫知事選の結果受け民放連会長、SNSの影響を指摘 「選挙報道のあり方も議論が必要」
2024/11/22 16:59
https://www.sankei.com/article/20241122-AVA5RU3R7RNBTKSDROVPW5ZHAY/
日本民間放送連盟の遠藤龍之介会長(フジテレビ副会長)は2024年11月22日の定例記者会見で、兵庫県知事選で斎藤元彦知事がSNSなどを追い風に再選された結果について、
「必要に応じ、民放連の行動委員会の場などでも議論することが必要」
と述べた。
最近のインターネットの問題について、
「SNS上の偽広告や投資詐欺など、大きな問題も発生している」
と指摘。
今回の知事選においては、
「どの情報で投票行動をされたかデータがないので分からないが、私の解釈としてはSNSの影響は一定程度、あったんだろうと考えている」
とした。
その上で、テレビや新聞の選挙報道に制約がある中、
「選挙報道の在り方ということも、旧態依然の形では着いていけなくなるかもしれない」
「そういうことを議論して頂く可能性がある」
と問題提起した。

2024.11.22 07:00
NEWSポストセブン
《県職員は冷ややかにお出迎え》SNS効果で斎藤元彦兵庫県知事が再選 流布された「真実」は「事実」だったのか、求められる検証
https://www.news-postseven.com/archives/20241122_2006401.html?DETAIL
何かの物事を判断する時、なるべく自分で考えようとしても
「皆が言っている」
ことに人は影響を受けやすい。
SNSが発達した今、
「皆」
はネットで頻繁に目にするユーザーによる発信も含むだろうが、その
「皆」
は、果たして本当に事実を反映した
「皆」
なのだろうか。
臨床心理士の岡村美奈さんが、兵庫県知事選挙を巡るSNSと、人々が考える
「真実」
の関係について考察する。
 * * *
斎藤元彦知事が再選後、初めて県庁に登庁した。
硬い表情で就任式に臨み
「これから自分自身も生まれ変わる」
と語ったが、集まった県職員らの表情は一様に冴えなかった。
当選1回目の初登頂時は、県職員に大きな拍手で迎えられ、挨拶が終わりその場を去るまで拍手が続いていたが、今回、場の雰囲気は冷ややかだった。
「皆で一緒に、もう1度頑張っていきましょう」
と語り掛けたが、職員らの反応は薄い。
斎藤氏は当選当日、選挙事務所で
「県民の皆さん1人1人が県政を見て、何が正しく、何が真実か、そしてどうあるべきかを判断して頂きました」
「これは県民の皆さん1人1人の勝利だと思っています」
と述べた。
斎藤氏の言う真実とは何だったのか。
職員らの反応を見る限り、彼らの真実と斎藤氏の真実には、大きな開きがあるようだ。
2024年11月17日に行われた兵庫県知事選で、斎藤氏は110万票余りを獲得して再選を果たした。
勝利の誘因は、2024年11月18日に選挙事務所で開いた記者会見で自身が述べた
「SNSが1つの大きなポイントだった」
だと言われている。
SNSを通じて支持が拡大、Xのフォロワーも急増、某メディアの出口調査では30代までの有権者の6割以上が斎藤氏に投票したという。
だが選挙中から、SNSによる効果を危ぶむ声が聞こえていた。
いくつかのメディアで分析された
「エコーチェンバー」

「フィルターバブル」
だ。
エコーチェンバーとは、SNS上で自分と似たような意見や考え方のユーザーをフォローすることで、同じような情報や記事ばかりがこだまのように繰り返される状況のこと。
フィルターバブルは、ネットの検索履歴やクリック履歴によって、自分が見たい情報やニュースが優先的に画面に上がってくるというもの。
アルゴリズムによる2つの現象から目にするSNSの情報は、知らぬ間に自分好みに偏り、予想に沿う情報ばかりを重視する
「確証バイアス」
を強化させる。
パワハラ疑惑やおねだり体質などを巡る文書問題から、アンケート調査が行われ百条委員会が立ち上がり、県議会で不信任案が可決し自動失職した斎藤氏。
だが選挙が始まると疑惑はデマ、斎藤氏は陰謀に巻き込まれたという情報がSNSで飛び交った。
何がデマで、どんな陰謀なのか。
SNSの情報を検証したメディアはなく、確証バイアスによって斎藤氏への支持は日増しに拡大。
陥れられた?という斎藤氏には同情が集まり、それでも戦う”不屈の精神”に共感が寄せられた。
背景には県庁や県議会への不満、偏ったマスコミ報道への批判、メディアへの不信感があったと言われている。
“メディアを始めとする大方の予想に反し圧勝、SNSを駆使した選挙活動を展開、掛けられた疑惑に捏造や陰謀論が巻き起こり、それを信じる人たちの間で支持が拡大”。
斎藤氏の勝利は、先日行われた米国の大統領選挙で勝利したトランプ氏のケースとよく似ている。
その背景にも社会や現状への不満、メディアへの不信感があると言われていた。
“社会への不満が強い人ほど陰謀論を信じやすい傾向にある”。
これは鹿児島大学の大園博記准教授らの研究で明らかになった、陰謀論を信じやすい人の心理的特徴だ。
更に論理的思考が苦手な人も陰謀論に傾倒しやすいという。
社会やメディアに不信感や不満を持っていた人々は、ネット上に表れる情報を信じ、街頭演説で支持者たちの高まる熱量に触れ、”そうだったのか!”と真実を知った気になっていく。
人気漫画が原作のドラマで菅田将暉さんが主演した『ミステリと言う勿れ』の中に、主人公の久能整が刑事に対してこう述べるシーンがある。
「真実は人の数だけあるんですよ。でも、事実は1つです」。
斎藤氏が考える真実もあれば、パワハラを受けたという県庁職員にも真実がある。
百条委員会は人によって変わる真実ではなく、事実を調査する。
今回の選挙は百条委員会による調査結果が出る前に行われ、兵庫県民には疑惑が事実か真実か見極めるだけの情報も時間もなかった。
既存メディアはSNSで流される情報を検証せず、斎藤氏は陰謀論を完全否定しなかった。
「法的に問題はなかった」
と繰り返す斎藤氏に、県議員や県職員がどこまで着いていけるのか。
「あってはならんことになった」、
兵庫県議員が述べた言葉が、これ以上現実にならないことを願うばかりだ。

立花孝志氏への批判が強まるほど「立花の思うツボ。ヒール役のヒーローです」N党議員が持論
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2024年11月21日(木)21時8分 スポーツニッポン
https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/1121/spn_241121_7929294405.html
参議院議員・斎藤健一郎氏が2024年11月21日までに公式X(旧ツイッター)を更新し
「NHKから国民を守る党」
の立花孝志党首に言及した。
立花氏は兵庫県知事選に出馬しながらも、再選を目指す斎藤元彦氏を応援するスタンスを表明。
「当選は考えていない」
「斎藤氏に対してプラスになるような選挙運動をしたい」
と、異例の形での援護射撃を行っていたが、斎藤氏は再選を果たした。
こういった活動に批判の声も寄せられているが、斎藤氏は
「今後しばらく、全ての批判が立花孝志に集まり、斎藤知事の文書問題責任が時間と共にフェードアウトします」
とポスト。
「結果的に県政に知事が集中できる状態になるので 立花孝志への批判が強まれば強まるほど 立花孝志の思うツボ ヒール役のヒーローです」
と持論を展開した。

「Xの2度凍結は選挙妨害」兵庫知事選で稲村氏後援会、虚偽通報アカウントを刑事告訴へ
2024/11/21 19:47
https://www.sankei.com/article/20241121-PAV6XVHFXFKA3M3DFBM6NSVE5E/
兵庫県知事選の期間中、立候補していた元尼崎市長の稲村和美氏(52)の後援会が運営するX(旧ツイッター)が虚偽の通報で凍結され、選挙活動を妨害されたなどとして、稲村氏の後援会が通報した不特定多数のアカウントについて、偽計業務妨害の罪で県警に刑事告訴することが2024年11月21日、後援会関係者への取材で分かった。
公職選挙法違反罪でも刑事告発する方針という。
2024年11月22日にも県警に告訴状などを提出する。
関係者によると、後援会運営のXは2024年11月6日と12日の2度にわたり凍結された。
「SNS上の禁止行為をした」
という虚偽の通報が多数行われた可能性があるという。
後援会は
「ルールに反する行為はなく、不当な選挙妨害」
「凍結され情報を伝えることができず、選挙結果にも大きな影響があった可能性もあり残念だ」
としている。

稲村和美さんのSNSが兵庫県知事選挙期間中「2回凍結」“うそ”の通報による「不当な選挙妨害」不特定多数のアカウントを刑事告訴へ
関西テレビ
2024年11月21日 木曜 午後4:00
https://www.fnn.jp/articles/-/790661
兵庫県知事選挙に立候補していた稲村和美さんのSNSが、選挙期間中、2回に渡って凍結された。
後援会は、嘘の通報によって凍結され、選挙活動が妨害されたとして、2024年11月22日にも刑事告訴する方針だ。
2024年11月17日に投開票された兵庫県知事選では、前職の斎藤元彦知事(47)が、稲村和美さん(52)に約13万票の差をつけて勝利した。
稲村和美さん:
正直何が争点になったのかなと。
斎藤候補と争ったというより、何と向かい合ってるのかなという違和感があったのは事実です。
この選挙期間中、稲村さんの後援会が運営するSNSが、2024年11月6日と12日、2回に渡り凍結された。
関係者は、
「SNSで禁止行為をした」
という、嘘の通報を多数されたことで凍結されたと見ている。
■「不当な選挙妨害」不特定多数のアカウントに対し刑事告訴する方針固める
後援会は
「ルールに反する行為はなく、不当な選挙妨害だ」
と主張していて、通報した不特定多数のアカウントに対し、偽計業務妨害の疑いで刑事告訴する方針を固めた。
後援会は2024年11月22日午後に兵庫県警に告訴するとしていて、公職選挙法違反の疑いでも告訴するか検討しているということだ。
(関西テレビ 2024年11月21日)

<浪速風>SNSに頼る投票先判断に女子中学生が「将来的にいいことなのか?」
2024/11/21 13:00
https://www.sankei.com/article/20241121-ITVNR3R5XVJFDLPX5QWMIX6WZA/
斎藤元彦氏が再選した兵庫県知事選。
選挙で交流サイト(SNS)が勝敗のカギを握るようになったと評した2024年11月18日付小紙の産経抄を題材にした授業が同県内の私立中学校で行われ、生徒が書いた感想を見せてもらった。
▶ある女子生徒はSNSのおかげで当選し、既存メディアを投票の参考にしなくなったとして
「将来的にいいこと?」
と疑問を抱いたようだ。
父親が特定候補の応援とみられる演説動画を再生し、深夜に拍手する姿を見て異様と感じ
「結局人の意見はどういう環境にいたか何を見たかの差なんだなと思いました」
と綴った。
▶中学生の親世代がSNSで拡散された斎藤氏を巡る疑惑を捏造とする見方を信じ、十分なファクトチェック(事実確認)なく投票先を判断することには危機感を抱く。
だが、若い世代が
「それでいいのか」
と考えているのは、せめてもの救いかもしれない。

兵庫・斎藤元彦知事、第2章 対話重視を強調 20代女性職員「同じようなことが起きないでほしい」
2024.11/20 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241120-LNWFHFAM2VNYTEW2TUAJ6CWG4U/
疑惑告発文書問題で失職後、兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事が2024年11月19日の就任記者会見で対話重視を強調する一方、県庁内には
「変わると言うが本当なのか」
と戸惑いが広がっている。
初登庁した斎藤知事は、記者会見に先立つ県庁内の政策会議で、約40人の幹部らを前に
「積極的にコミュニケーションを取っていきたい」
「指摘があれば遠慮なく情報を上げてほしい」
と呼び掛けた。
一方、20代女性職員は
「当選したからには変わってくれることを期待したい」
とした上で、
「もう1度同じような事が起きないでほしい」
と願った。
一方、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が2024年11月25日実施する方針の斎藤氏への証人尋問について、出頭要請に応じるのは困難との考えも示した。
当日に東京都内で開かれる政府主催の全国知事会議が重なるのが理由。

「民意を得たから、全部チャラではない」斎藤知事再選に橋下徹氏 政治家もマスコミも「覚悟を持て!」
関西テレビ
2024年11月20日 水曜 午後6:31
https://www.fnn.jp/articles/-/790164
斎藤元彦兵庫県知事が再選を果たし、2024年11月20日、議員への挨拶回りをした。
不信任決議や告発者問題など、様々な課題がある中、関西テレビの「旬感LIVEとれたてっ!」に出演した橋下徹氏が、今後の兵庫県政について見解を述べた。
■告発者に対する対応は「権力者としてあってはならないもの」
橋下徹氏:
県議会とか、市長会、メディアも含めて、『覚悟を持て』ということです。
この結果を受けて斎藤さんの告発者に対する対応に関しては、権力者としてはあってはならない。
今の色んな態度を見てると、基本的に立派にやってるなと思います。
僕がもし斎藤さんの立場だったら、返り咲いた議会にぼろくそに言ってますからね。
橋下徹氏:
今回の争点は県庁内部に対しての斎藤さんの態度、振る舞いなんですよ。
斎藤さんは有権者に対してはあのような態度だと思うんですね。
だから有権者はしっかり支持した。
でも県庁内部の話になると、有権者が見えていない斎藤さんの姿があるのかも分からない。
橋下徹氏:
まだ事実は確定していないが、斎藤さんも考え直さなければいけない行動があったと思う。
職員とのコミュニケーションをしっかり取っていかなきゃいけないって言ってましたし。
対応に違いがあるんだったら、しっかり正してもらわなきゃいけないと思うし、告発者に対する対応もこれから第三者委員会で結論出ますから、一番重要なポイントだと思ってます。
■「民意で決めていいことと、民意で決めちゃいけないことっていうのはある」
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
「とれたてっ!」青木源太キャスター:
県議会は解散してないので、議会の構成自体は変わっていないですよね。
今回民意を受けて、斎藤知事が再選してやってきた。
ここからどういう関係を構築していくのでしょうか。
橋下徹氏:
不信任決議が出た時の知事の対抗策として、王道は議会解散です。
1回議会を解散して、選挙を通じて議会のメンバーを入れ替えて。過半数を取ればいいわけですよ。
でも斎藤さんは知事選を選んだんです。
僕は王道ではないと思っていて、本来だと知事選の民意と、それから議会選挙での民意、2つ民意を考えなきゃいけないのが、地方の政治行政の二元代表制という考え方で、議会は、知事選挙の民意とは別に言うべきことはしっかり言わなきゃいけないですよ。
橋下徹氏:
民意で吹き飛ばすことができないような問題点を斎藤さんに突き付けていたんだから、特に告発者に対する対応は百条委員会でしっかりやってほしい。
これは民意を得たからといって、全部チャラになる問題ではない。
どうも雰囲気見てたら、グダグダになりそうですね。
民意で決めていいことと、民意で決めちゃいけないことっていうのはあるんだよってことを、やっぱり兵庫県の有権者の方にも分かってもらいたいし、そこは伝えていきたいなと思います。
■伊丹市長らの行動は「政治不信の根元になる」
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
投開票の3日前、2024年11月14日に兵庫県内の市長会有志22人が、斎藤知事と争っていた稲村氏の支持を表明した。
ここに宝塚市長と伊丹市長の名も連ねていたが、投開票当日には2人の姿は斎藤陣営にあった。
橋下徹氏:
兵庫県議会議員も市長も、こういう態度が政治不信の根元になると思いますよ。
知事と上手くやっていきたい気持ちがあるんだったら、政治決戦に乗り出しちゃいけない。
政治生命がなくなる覚悟で、民意を背負って斎藤さんに対して意思表明をしなきゃいけない。
橋下徹氏:
伊丹市民は斎藤さんと上手くやらなきゃいけない。
そしたら伊丹市長は辞職すべきですよ。
自分が決戦に乗り出して稲村さんを支持したんだから、伊丹市と兵庫県の関係を取り戻すっていうんだったら、全員辞職すべき。
そのまま自分が残るなら、斎藤さんに自分たちの主張を続けなきゃいけない。
■「大手メディアが情報を取捨選択するから、SNSが補充した」
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
橋下徹氏:
地上波テレビの放送を見ると、報道の量としてバランスを欠いたなと思います。
告示期間に入ると物凄い公平性を気にするじゃないですか。
でも斎藤さんの報道の時にはかなり偏ってたなと思います。
番組側がウラも取らずに報道していたとは思わないし、違う意見も出していたけど、量的にはアンバランスだったんじゃないのか。
橋下徹氏:
一番は県民局長に服務規律違反があったと。
内容は放送局が色んな理由で報じないと。
ただ今の時代、大手マスメディアに情報を取捨選択させていたら、自分たちに情報が入ってこないと思ったのが有権者ですね。
だからSNSがそこを補充してきたわけですよ。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2024年11月20日放送)

橋下徹氏「斎藤元彦氏は立派にやってる」兵庫県議会と融和姿勢を評価「僕ならボロクソ言ってる」一方「権力者として資格なし」指摘も
2024/11/20 16:52デイリースポーツ
https://news.goo.ne.jp/article/dailysports/politics/20241120092.html
橋下徹元大阪府知事が2024年11月20日、カンテレ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演。
兵庫県知事選で出直し当選した斎藤元彦氏について、言及した。
斎藤氏は2024年11月19日に初登庁し、2024年11月20日には県議会の各会派に挨拶回りをした。
全会一致で不信任したアンチ斎藤にも融和姿勢を見せた。
橋下氏は映像を見て、
「告発者に対する対応としては、権力としてあってはならない」
「権力者としての資格なしと思います」
と前置き。
「今の色んな態度、振る舞いを見て、立派にやってるなと思います」
「僕が斎藤さんの立場だったら、議会に返り咲いたら議会をボロクソ言ってます」
と斎藤氏の穏やかな対応を評価した。
その上で、争点は
「県庁内部に対しての斎藤さんの態度、振る舞い」
と指摘し、対外的な有権者に対しては一貫して、温和な振る舞いをしており、そこへの評価で、支持が集まった。
しかし、
「県庁内部の話となると、有権者には見えていない、姿があるのかも分からない」
「事実は確定していないが」
と述べた。
橋下氏は更に、県議会に対しても注文が。
ウエルカムムードが漂ったが、橋下氏は
「民意で吹き飛ばすことはできない問題を斎藤さんに突きつけていた」
「民意とは関係ない部分では百条委員会などで、斎藤さんにしっかり、解明していかなければならないが、どうもグダグダになりそう」
と呆れた。

斎藤元彦知事を「支える、支えないとかいうレベルの認識やめて…」前鳥取知事が兵庫県議会に提言
2024/11/20 14:38日刊スポーツ
https://news.goo.ne.jp/article/nikkangeinou/entertainment/f-et-tp0-241120-202411200000590.html
前鳥取県知事の片山善博氏が2024年11月20日、TBS系「ひるおび」(月〜金曜午前10時25分)に出演。
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦氏(47)について言及した。
この日は斎藤知事の初登庁の様子や今後について特集。県議からは
「斎藤知事の得票率は50%を超えていない」
「斎藤知事に反対する民意もあったので両方を考えていく必要がある」
との声も上がった。
片山氏は議会の対応について
「私は兵庫県議会に限らず、日本の地方議会はちょっと失礼ですけど、ピントがずれている」
と指摘。
「そもそも議院内閣制ではない」
「だから国政と違って与党、野党という考え方はないんです」
と説明した。
その上で
「斎藤知事を支える、支えないとかいうレベルの認識はやめて、1つ1つの議案ごとに対応するのが本来の地方議会」
「いいものがあれば通せば良いし、問題があれば修正案を出す、否決するとかすればよい」
と主張した。
「知事を支えるから、何が出てきても賛成するというのがよくあるんですけどそれは間違い」
「是非良い機会ですから、与党会派だとか野党会派だとかはなしに、真剣に審議してもらいたい」
と私見を述べた。
また、百条委員会の在り方について
「再任されましたけど、百条委の最大の狙いは公益通報に対してどういう対応をしたのかという問いかけ」
「これは議会として結論は出さなければならないと思う」
と指摘した。
「また斎藤知事の下で告発が出た時に、同じ事をやるのかと」
「一方的に、犯人捜しのようなことをして結果的に死に追いやった」
「これが正しかったのかはちゃんとよく吟味しないと、兵庫県政の品位に関わる問題なんですよ」
「やっぱり私は間違っていたと思う」
「これから職員も不安ですよね」
「何か批判をしたら死を覚悟しなければとなるなら、モノを言えないですよね」
「だから遠慮しないで調査して結論を出してもらいたい」
と主張した。

兵庫県知事選で“議員辞職”も…SNSなどで真偽不明の情報や“誹謗中傷”相次ぐ【#みんなのギモン】
2024/11/19 21:21日テレNEWS NNN
https://news.goo.ne.jp/article/ntv_news24/nation/ntv_news24-2024111905782424.html
2024年11月19日、斎藤元彦前知事が再び兵庫県知事に就任しました。
「気持ちを新たに頑張っていきます」
午前10時頃、歩いて姿を見せた斎藤知事は、待ち構えていた大勢の支援者らと握手を交わしながら今年2024年9月以来、約2か月ぶりに登庁しました。
「改めまして本日から兵庫県知事に就任をさせて頂きました」
「是非、皆で1つのチームとなってやっていきたい」
「そのためにも、自分自身もこれから生まれ変わる」
「1からスタートしていくという気持ち」
「何よりもやはり謙虚な気持ちを持ってやっていきたい」
「どうぞよろしくお願いします」
   ◇
今回の選挙戦では、SNSなどで真偽不明の情報が飛び交い、そのうねりによって兵庫県議会の議員1人が辞めようとするまでに至るなど、私たちもよく考えなくてはいけない事態が起きていました。
そこで今回の#みんなのギモンでは、
「知事選で“議員辞職”も… 何が?」
をテーマに解説します。
■SNSなどで“誹謗中傷”相次ぐ “議員辞職”も
★近野解説委員
「斎藤知事に対する百条委員会の調査は今回の知事選挙期間中も続いていたのですが、SNSなどで真偽不明の情報が飛び交い、百条委員会は2024年11月18日に会見を開き『様々な憶測によって、SNSなどで委員への誹謗中傷が相次いだ』と訴えました」
★百条委員会 奥谷謙一委員長(2024年11月18日)
「ご批判の中には、誤解・思い込みによるものも少なくありませんでした」
★近野解説委員
「その中で百条委員会の委員の1人である竹内英明県議が誹謗中傷から家族を守るために議員辞職願を提出したことを明らかにしました」
「委員の1人は、
『言葉の暴力、ネットの暴力が拡散して家族が錯乱状態にまでなった』
『政治の道から退いてほしいと家族から話があった』
と竹内県議から相談を受けたといいます」
■様々な真偽不明情報が拡散された
★近野解説委員
「今回の選挙は真実なのかどうか確認しづらいSNSでの情報が飛び交っていました」
「そのうねりによって議員が辞めようとするまでに至っています」
「SNSではもちろん斎藤知事への誹謗中傷もあったんですが、例えば
『斎藤知事のパワハラは捏造』
『斎藤知事の騒動は既得権益を守りたい人々によるクーデター』
といった投稿もありまして、それから対立候補の稲村氏に対しても
『外国人参政権を与えようとしている』
という情報も拡散されました」
★斎藤佑樹キャスター
「何が正しいのか、どれを信じていいのか、分からなくなりますね」
★近野解説委員
「なかなか、見極めが難しいですね」
「斎藤知事のパワハラ疑惑を巡っては、県職員へのアンケートで約4割が
『見聞きした』
と回答していますし、斎藤知事自身も
『机を叩く行為』
があったことなどは認めています」
「しかし
『捏造』
というのは根拠不明です」
「そしてクーデターというのも根拠不明」
「そしてまた稲村氏も自身のHPで
『外国人参政権を進めません』
『デマに気を付けて』
とSNSでの情報を明確に否定しています」
「こうした不確かな情報が拡散して大きなうねりになって、それが結果に影響したとすれば事態は深刻です」
★近野解説委員
「ネットメディアに詳しい国際大学の山口真一准教授は、
『今回の選挙で様々な真偽不明情報が拡散されたのは間違いない』
とした上で、そうした情報は
『政治に興味のない層、普段投票に行かない層に特に刺さりやすい』
と分析しています」
「更に
『法律の定めもあって、公平性を保つために選挙が近くなるほどに特定の候補や陣営を大きく扱う報道はテレビや新聞はできなくなってくるが、SNSは自由に言いたい放題』
『SNSでの情報量が増えることによって、有権者がそれらに触れて今回の選挙に関心を持って、それらの情報の中で斎藤さんが正しいと思って投票した人もいただろう』
ということです」
「今回に限らず、選挙が近付いた時にどんな風に報道していくかについては、私たちも重い課題を突き付けられた形です」
★森圭介キャスター
「情報源が増えたので、自分が信じたいものが事実だと思うという人が増えているということですね」
「だからこそ、その情報が本当に真実なのかという判断は、自分自身で鍛えていかなければならない時代になってきましたね」
■実績評価して投票した人もいた一方で課題も…
★近野解説委員
「今回は真偽不明の情報が色々ある中で、選挙戦では例えば、県立大学の無償化など
『若者を応援する政策に期待して投票した』
と話す人もいますし、
『知事報酬のカット』
『県職員OBの天下り廃止』
など、これまでの知事の実績を評価して投票したという方も多かったと思います」
「一方で課題が残っていることも事実です」
「兵庫県の元・幹部職員が文書で告発したパワハラなどの疑惑について百条委員会の調査は続いています」
「来週2024年11月25日に行われる証人尋問では、それらの疑惑や公益通報者保護などについて尋問を行うために斎藤知事に出頭を求めることを決めました」
「ただ、2024年11月19日の知事の会見によると、この日は全国知事会が東京であるため、出席が難しいことを議会事務局に伝えたといいます」
「別の機会でもしっかり対応したいと話していました」
★鈴江奈々キャスター
「今回の知事選挙でも、1人1人が発するSNSでの言葉の力が良い面でも悪い面でも明らかになった選挙だったと思うので、私たちも考え直すきっかけにしたいですね」
★近野解説委員
「本当なのか虚偽なのか、見極められない情報を世の中から全部なくすことはできません」
「だからこそ、選挙のような対立・敵対の構図では特によく吟味していく必要があります」
(2024年11月19日午後4時半頃放送 news every.「#みんなのギモン」より)

別の百条委メンバーも兵庫県知事選中に「脅迫された」…自宅前に県外ナンバーの車、不審人物が何度も行き来、クレーム電話ひっきりなし
公開日:2024/11/19 16:50 更新日:2024/11/19 16:50
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/363690
まだまだ一波乱も二波乱も起きそうだ。
兵庫県知事選で再選した斎藤元彦氏(47)が2024年11月19日に県庁を訪れ、当選証書が手渡された。
自身のパワハラ疑惑を含む文書告発問題で県議会から不信任決議を突き付けられて失職した斎藤氏。
出直し選で勝利し、再び県政の舵取り役に戻ったとはいえ、これにて一件落着とはいかない。
告発文書問題はまだ終わっていないからだ。
県議会の調査特別委員会(百条委)は2024年11月18日、証人尋問を2024年11月25日に開き、斎藤氏に3回目となる出頭を求めることを決めたのだが、この日、報道陣を驚かせたのは百条委メンバーの一人、竹内英明県議(50)が議員辞職願を提出し、許可されたと発表したことだ。
所属していた
「ひょうご県民連合」
などによると、知事選期間中、竹内氏に対する誹謗中傷がネット上で過熱したのが理由。
斎藤氏を応援する目的で立候補した政治団体
「NHKから国民を守る党」
の立花孝志党首(57)が、SNS上で竹内氏の自宅に行くと予告したり、デマ情報を流したりして生活が脅かされ、家族を守るために辞職を決断したという。
■百条委委員長は自宅を“襲撃”されたと明かす
百条委の奥谷謙一委員長(39)も会見で、立花氏が自宅兼事務所で街頭演説し、
「ひきこもってないで出て来いよ」
「これ以上脅して奥谷が自死しても困るので、これくらいにしておく」
などと脅迫されたと明かしていたが、事実であればとんでもない話。
別の百条委議員もこう言う。
「奥谷氏の自宅前は怒声が飛び交い、玄関のチャイムが何度も鳴らされるなどの被害を受けました」
「私の自宅前にも県外ナンバーの車がずっと停車していたり、挙動不審な人が何度も行ったり来たり」
「事務所にはクレームの電話がひっきりなしで、メールも1日何件も誹謗中傷の書き込みがありました」
「何があるのか分からないので、仕方なく今も事務所のシャッターは閉めたまま」
「議員として何か不正行為をしていたのであればともかく、法に則って粛々と委員会運営をしてきただけ」
「それなのに何故、こんな事になっているのか」
「脅迫ですよ」
百条委のメンバーらは今後、こうした嫌がらせ行為について捜査機関などに相談し対応する考えという。

“返り咲き当選”兵庫・斎藤元彦知事の登庁に涙の人も…一方、「SNSなどで誹謗中傷受けた」“百条委員会”竹内英明県議が辞職
イット!
2024年11月19日 火曜 午後7:12
https://www.fnn.jp/articles/-/789422
前略
■“誹謗中傷”で百条委員会メンバーが辞職
斎藤知事が返り咲く原動力となった“SNSの力”は一方で、その負の側面も見え始めている。
知事に証人尋問への出頭を要請することを決めた2024年11月18日の百条委員会では、こんなシーンがあった。
百条委員会のメンバーでもあった竹内英明県議が委員会を欠席していたため、
「理由は聞いていませんか?」
という質問が出て、事務局が
「本日議長宛に辞職の申し出がありました」
と返答。
会議室からは、
「ええっ?」
という驚きの声も上がった。
その主な理由が、“SNSなどで誹謗中傷を受けたため”だという。
この問題を巡っては2024年11月19日、石破内閣の閣僚・平将明デジタル相(57)も、過激なSNSの投稿が選挙に影響を及ぼす側面に懸念を表した。
こうした問題について、2024年11月19日午後3時から行っていた会見で、斎藤知事にも記者から質問があった。
記者:
2023年10月に、斎藤知事はSNS条例について制定を考えていると言っていた。
その時は
「大変恐ろしく身の毛のよだつ思いをし、SNSで誤った拡散や誹謗中傷の問題に取り組む必要がある」
とおっしゃっていましたが…。
斎藤知事:
SNS条例の制定については どういった形でやっていくかというのは準備や検討を進めていきたいと思う。
(「イット!」 11月19日放送)

兵庫県知事選、斎藤前知事が当選「選挙の実相」メディアは伝える責務を 焦点が「告発文書で懲戒処分、元県民局長の素行」に変化
2024.11/20 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241120-TYRDZJVQLRJ73ABEZAPTS4QY7E/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選は、失職して臨んだ斎藤元彦前知事が111万3911票を獲得して再選を果たした。
2カ月前、兵庫県議会が斎藤氏の不信任案を全会一致で決議したことが今回の知事選に繋がったが、斎藤氏当選は
「民意の勝利」
なのだろうか。
当初の争点は、不信任決議を受けた
「斎藤氏の資質」
だった。
だが、焦点は徐々に
「知事を告発する文書を出し、懲戒処分を受けた元西播磨県民局長の素行」
に変化していった。
2024年7月に亡くなった元局長について、
「在職時、問題行為があった」
と指摘する候補者もおり、波紋を呼んだ。
ネット上では、斎藤氏を擁護する論調が目立ったようだ。
斎藤氏の
「パワハラ疑惑」
などを批判してきた新聞やテレビなどに対し、
「オールドメディアは『真実』を報じない」
と主張する候補者もいた。
また、
「斎藤氏の対抗馬である稲村和美前尼崎市長を利する報道ばかり」
との指摘もあったが、本当にそうか。
県内の22の市長が2024年11月14日、稲村氏を応援する
「異例の声明」
を出したが、多くのテレビは詳細を報じなかった。
市長らの応援が公職選挙法に抵触する可能性も指摘されたが、県選管はこれを否定した。
もし、オールドメディアが
「稲村推し一辺倒」
なら、このニュースを繰り返し詳報したはずだが、そうはならなかった。
オールドメディアは、報道側の基準による
「公正さ」
を重視する立場だ。
しかし、国民世論は、この姿勢を
「公正」
「慎重」
と評価せず、むしろ
「偏向」
「事実の無視」
と受け止めているのではないか。
選挙期間中、SNSでは各陣営への誹謗中傷が飛び交い、真偽不明の情報が溢れた。
我が国では、インターネットを利用した選挙運動が2013年に解禁され、選挙の様相は大きく変わった。
有権者が様々な
「情報」
に触れる機会が劇的に増えたのだ。
そして、情報が衝撃的なほど波及力は大きく、拡散のスピードは速くなる。
当然、悪用に厳しく目を光らせ、1つ1つの事実関係をより慎重に検証する必要があるだろう。
今月2024年11月の米大統領選では、候補間の過激な応酬≠ェ注目されたが、日本も潮流は似ている。
各選挙では相手陣営に乗りこみ、暴力で威迫し、警察当局が逮捕に動いたケースまで出ている。
大前提として、選挙の
「実相」
をどう判断するかは有権者の各個人に任せるべきで、メディアが決めることではない。
有権者に提供される事実は多い方がよい。
同時に、ウソや間違いは、積極的に排除すべきだ。
重大な人権侵害となるようなデマなどは、決して許してはならない。
選挙戦で、事実を度外視して
「声の大きい」
側が有利になれば、そのうち、国外からの干渉も甘受せざるを得なくなるのだろうか。
民主主義を弄ぶと、とんでもない結果を招きかねない。 
(政治ジャーナリスト・安積明子)

自宅前にN党立花氏「デマ広がることに恐怖」と百条委・奥谷委員長 斎藤知事は把握せず
2024/11/19 21:36
https://www.sankei.com/article/20241119-5OXXVEH6CBPENGU55D6YYWK3RM/
兵庫県知事選で再選された斎藤元彦氏が2024年11月19日、知事に就任。
2期目の就任会見で
「SNS(交流サイト)は大きなポイントだった」
と選挙戦を振り返った。
一方、知事選を巡っては、斎藤氏の疑惑を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員らに対し、SNSなどで誹謗中傷が横行。
斎藤氏は詳しく把握していないとしつつ、県として条例制定を含めた対応を検討中だと説明した。
インターネット上には、百条委の委員が斎藤氏の疑惑を捏造したなどとする説が流布され、
「斎藤知事をハメた兵庫県議の面々」
として委員らの顔写真を並べた画像なども出回った。
百条委の奥谷謙一委員長によると、斎藤氏を支援するとして知事選に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首、立花孝志氏が奥谷氏の自宅前で演説し
「出てこい」
などと発言。
その模様を動画で公開した。
SNSでは
「クズ」
「噓つき」
など奥谷氏を中傷するメッセージが飛び交った。
奥谷氏は母親を避難させたと明かし、
「デマが広がることに恐怖を覚える」
と述べた。
別の委員はSNSの投稿に身の危険を感じ、事務所を閉鎖。事務所周辺では他県ナンバーの車両やスマートフォンを手にうろつく若者をよく見かけるようになり、家族を含めて身の危険を感じているという。
斎藤氏は昨年2023年、自身がSNSで
「大変恐ろしく身の毛のよだつ思いをした」
として、SNSでの誹謗中傷を防止するための条例制定を進める方針を明言。
2024年11月19日の会見では
「誹謗中傷は控えていくことが大事」
「SNS条例の制定については(担当部局で)検討をしていると思うので、引き続き準備や検討を続けたい」
と述べた。

「正義のように戻ってくるのが不思議」「立花さんの演説を肯定も否定もしなかった」兵庫県職員 百条委委員への中傷も 斎藤知事の県政運営どうなる
関西テレビ
2024年11月19日 火曜 午後8:00
https://www.fnn.jp/articles/-/789668
再選を果たし、2024年11月19日、県庁に初めて登庁した斎藤知事。
支援者から拍手で出迎えられた。
一方で、再び共に働くことになった県職員が、斎藤知事再選へのそれぞれの思いを関西テレビの取材に明かした。
2024年11月19日、午前10時、兵庫県庁に集まった人々。
そこに現れたのは、斎藤元彦知事。 5秒間、深々おじきをして、県民らと会話した。
集まった人:兵庫県の職員のみなさん、こんなやつに負けんなよ。応援しとうからな。
集まった人:頑張ってくださいね、大変でしたね。
■「生まれ変わる」という言葉で再スタートの抱負を語った斎藤知事
そして、選挙管理委員会から当選証書を受け取り、その後の就任式では…
斎藤元彦知事:
自分自身もこれから生まれ変わる。
1からスタートしていくという気持ち。
多くの県民の皆さんと共に、この兵庫県をもっともっとよりよい兵庫にしていく。
前に進めていく。
県民の皆さんのための政治、県政をしていくということを心からお誓い申し上げたいと思います。
「生まれ変わる」
という言葉で再スタートの抱負を語った斎藤知事。
■「職員との信頼の再構築」と兵庫県職員
再び一緒に働くことになった兵庫県の職員に再選について聞くと…
県職員:
職員との信頼の再構築ですね。
ちょっとやっぱり2024年4月以降、その辺が崩れてしまっているところもありますので。
県職員:
SNSの流れは凄いものがあるなと感じてました。
色々言われることはあるんですけど、職員としてはやっぱり県民のためにというところはずらさないようにして、一生懸命やっていきたいなというところ。
■「正義のように戻ってくるのが不思議。これもネットで批判されるのか」
また、対面でのインタビューには応じられないとしながらも、関西テレビの取材に複雑な心境を明かす職員もいた。
職員:
斎藤さんが戻ってくるとは、県職員誰も考えてなかったと思うので、どう接していったらいいのか、多くの県職員が不安だと思います。
職員:
選挙がおかしい。
斎藤さんは、立花さんの演説を肯定も否定もしなかった。
間違っていたら発信すべきだと思うけど、それもしなかった。
職員:
パワハラは実際にあったって聞いてるだけに、正義のように戻ってくるのが不思議。
これも『噂やん』ってネットで批判されるんですかね。
民意で選ばれたんで淡々と仕事やるのみ。
■2024年11月25日の百条委員会 斎藤知事に出頭要請も「公務で出席が難しい」
事の発端は告発文書の問題で、県議会の全会一致の不信任を受け、2024年9月に失職した斎藤知事。
県知事選挙の序盤は厳しい選挙戦になると本人も認めていたが…。
斎藤知事を支持する
「デジタルボランティア」
が、SNSで知事の主張を拡散したことなどが追い風となり、再選。
こうなったことで注目を集めるのが斎藤知事のパワハラ疑惑などの真偽を調査する
「百条委員会」
だ。
百条委員会は2024年11月18日、今月2024年11月25日の証人尋問に、斎藤知事の出頭を要請することを決めたが、斎藤知事は2024年11月25日は公務で出席が難しく、今後、対応したいとしている。
■百条委員会の奥谷委員長は、選挙期間中に立花氏から脅迫を受けていたと明らかに
百条委員会・奥谷謙一委員長:
調査を最後までしっかりやり遂げるということで、粛々と調査を進めていくことが一番大事だと思います。
こう決意を語った奥谷委員長だが、選挙期間中には思わぬ事態に見舞われていたと明かした。
百条委員会・奥谷謙一委員長:
ある候補、立花(孝志)氏ですけども私の自宅(兼事務所)の前で街頭演説を行った。
ひきこもってないで家から出て来いよみたいなことを言ってたんですね。
これ以上脅して奥谷が自死しても困るので、これくらいにしておくと。
このように脅迫されたということだ。
また、百条委員会の竹内英明議員も
「一身上の都合」
で議員辞職。
斎藤知事を支援した人たちが、竹内議員や家族に誹謗中傷を行ったことが理由だということだ。
■混沌としたこの状況は今後どう進むのか
同志社大学新川達郎名誉教授:
(百条委員会では)既にハラスメント問題やあるいは文書問題については一定議論ができていますが、それ以外の優勝パレードの議論であるとか、寄付の問題であるとかについてはこれからと認識しております。
選挙結果の如何ではなくて、百条委員会は本来の役割を果たしていくというのが兵庫県政を健全に運営していく上での重要なカギになる。
選挙で再選したものの、疑惑の追及は続く異例の状況。
今後、県政はどうなっていくのか。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年11月19日放送)

ヒロミ「選挙と百条委員会は別」再選された斎藤元彦兵庫県知事に「本当にどうだったのか」
2024/11/19 11:57日刊スポーツ
https://news.goo.ne.jp/article/nikkansports/nation/f-so-tp0-241119-202411190000287.html
お笑いタレントのヒロミが2024年11月19日、日本テレビ系「DayDay.」(月〜金曜午前9時)に出演。
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で斎藤元彦前知事が再戦されたことについて、
「兵庫県の方々が選んだというのは紛れもない事実」
とした。
その上で、斎藤知事がパワハラなど7つの疑惑で百条委員会の証人尋問が2024年11月25日に開催されることにも触れ、
「百条委員会はまた別のこと」
「今まで通りやって、本当にどうだったのか検証してもらいたい」
と希望した。
斎藤知事は疑惑から県議会に不信任案を提出されて可決され、辞職。
今回は出直し選挙となった。
一連の流れについて、番組MCで元NHKアナウンサー武田真一アナは、
「百条委員会が調査の結論を出す前に、県議会が先に不信任を議決したのが要因になって、今回の出直し選挙」
「一体何が真実なのか分からないと戸惑った人も多かった」
「引き続き議会の責任として、百条委員会できっちり公正な調査をやって結論を出すということが責任」
と話した。
なお、百条委員会の委員に対して誤解や思い込みから誹謗中傷があり、中には
「家族を守るため」
と議員辞職願を提出した県議もいる。
「誹謗中傷はちょっと怖い」
「ダメ」
とヒロミも武田アナも声を揃えていた。
菊地氏は
「事実に関しては非常にあやふやで、イエスと言えばノーと言う人もいるということで、かなりアメリカの政治ではないですけど、分断的な現象が起きてしまったのか」
と懸念も示し、
「これからの選挙の在り方、民意というものはどう形成されていったらいいのか、非常に教訓を残した選挙になったと思う」
と見解を語った。
斎藤氏はこの日午前、記者団の取材に応じ、
「耳の痛い話は真摯に傾ける」
と約束した。
菊地氏は、告発文書を送った県幹部職員を懲戒処分した問題に触れ、
「まだ斎藤氏は“あれは適切だった”と言っているけど、私は到底そう思えない」
と断言。
「そういうことが選挙を経て、全部リセットになっちゃったのか、正当化されたのかというと、そうではないので、百条委員会を中心にしっかり検証してもらいたい」
と願いを口にしていた。

パワハラ疑惑を巡っては、県議会百条委員会のアンケートに職員の4割が見聞きしたと回答。
斎藤氏自身も、付箋を投げ付けたり、机を叩いたりといった行為を認めている。
ある県幹部は
「周りの職員からは斎藤氏からパワハラを受けたと聞いたことがある」
「民意を得た斎藤氏が、どういう行動を取るのか分からない」
と不安を漏らした。
SNSはチェック機能が働かず、疑わしい情報もそのまま流れてしまい、多くの有権者を惑わせる危険性も孕んでいる。
有権者1人1人が真偽不明の情報に惑わされないメディアリテラシーを身に付けることが重要だ。
調査特別委員会(百条委員会)は追及の手を緩めるべきではない。
当選したからといって潔白の証明にはならない。
SNSの内容が事実とは限らない。
斎藤元彦のパワハラなど7項目の疑惑が事実だと証明されれば、再度、県議会で不信任を決議すべきだ。

兵庫県知事選で再選の斎藤前知事「民意を得た」…失職から1か月半、県議・職員は戸惑いや不安
2024/11/19 7:43
https://www.yomiuri.co.jp/election/20241119-OYT1T50031/
兵庫県知事選で再選した前知事の斎藤元彦氏(47)は2024年11月18日の記者会見で、
「民意を得た」
と強調し、県議会や県職員との関係改善に自信を見せた。
失職から1か月半余りでの知事復帰に、県議らからは戸惑いや不安の声が聞かれた。
「県民は政策や公約の達成を期待している」
「県政運営を全力でやっていく」。
斎藤氏は神戸市内で開いた記者会見で、2024年11月19日から任期が始まる2期目に意欲を示した。
■内部告発問題を巡る経緯
斎藤氏はパワハラなどの疑惑を内部告発された問題を巡り、2024年9月19日に県議会から全会一致で不信任決議を受け、同2024年9月30日に失職した。
県議からは
「これ以上県政を担うのは不可能だ」
などと厳しい批判を浴びた。
斎藤氏は記者会見で、県議会との関係について
「新たな民意を受けた後で、これからどうなっていくのか見定める必要がある」
と指摘した上で、
「多くの県議は元々、私の政策や予算に凄く共感して頂いている」
「各会派とコミュニケーションを取れば大丈夫じゃないかと思う」
と説明した。
「職員とは日々の仕事で密に連携していく」
と語った斎藤氏。
「若手職員とのミーティングは早い段階に何かしらの形で実現したい」
と意欲を見せる一方、
「民意を得て再び知事として就任するので、職員の皆さんは一緒にやっていくことが地方公務員としての責務だ」
とも語った。
内部告発問題については、
「県としての対応は適切で、法的にも問題はなかった」
と述べ、従来の主張を繰り返した。

県議会では、斎藤氏との関係を再構築しようという動きが出ているが、戸惑いも隠せない。
最大会派・自民党県議団の北野実幹事長は取材に、
「民意は 真摯 に受け止め対応していく」
「県政の混乱を収め、安定させたいという思いは同じだ」
と述べた。
自民は知事選で独自候補を立てることができず、県議の一部は前同県尼崎市長の稲村和美氏を支援したが、斎藤氏についた県議もいた。
ある県議は
「まさか斎藤氏が当選するとは思わなかった」
「独自候補を擁立できなかったのが誤算だった」
と語った。
「知事選で不信任が否定された」
として、候補者を立てられなかった執行部の責任を求める声も出ているという。
ベテラン県議は
「(斎藤派と反斎藤派で)会派が分裂するのは避けなければいけない」
と警戒する。
一方、第2会派・維新の会の岸口実団長は
「県立大授業料の無償化など政策に賛同できるものが多く、協力していきたい」
と語り、斎藤氏と協調していく考えを示した。
パワハラ疑惑を巡っては、県議会百条委員会のアンケートに職員の4割が見聞きしたと回答。
斎藤氏自身も、付箋を投げ付けたり、机を叩いたりといった行為を認めている。
ある県幹部は
「周りの職員からは斎藤氏からパワハラを受けたと聞いたことがある」
「民意を得た斎藤氏が、どういう行動を取るのか分からない」
と不安を漏らした。

兵庫県知事選の結果受け「声の大きいものが勝つ社会」 紀藤弁護士が危惧「法治主義が試されている」
2024.11.18(Mon)
https://yorozoonews.jp/article/15513435
弁護士の紀藤正樹氏が2024年11月18日、X(旧ツイッター)を更新。
失職した斎藤元彦前知事が再選された2024年11月17日投開票の兵庫県知事選に対し、
「法治主義が試されている」
と自身の見解を綴った
紀藤氏は
「今回の兵庫県知事選挙の結果は、極論と極論の対決に法治主義が試されているのかもしれません」
「違法なものは違法、ダメなものはダメと言える社会でなければ声の大きいものが勝つ社会と堕してしまいます」
と懸念し、
「真実は多数決では決められません 民主主義と法治主義は車の両輪です。」
と訴えた。
また、紀藤氏は斎藤氏再選の速報を受けて2024年11月17日夜に更新したXで、
「ネット時代の選挙の難しさですね」
「問題はこの後に逮捕者が出ないか等、この動きへの反動がどう出るかですね」
と指摘した。
斎藤氏による文書問題に対して明確な結論が出ないまま突入した今回の県知事選。
同氏の再選を後押ししたと指摘されるSNSやネット動画において、中にはファクトチェックのない情報も含まれ、民意が左右されることを危惧する声もあった。
紀藤氏の投稿に対し、Xユーザーからは
「真実を大量のデマで覆い隠せば投票も左右できる」
「今後もこの手法が広がる予感に不安しかないです」
「SNSでの虚偽情報に対策が法的に出来るのでしょうか?」
「推定無罪の原則を守れば、法治主義の観点から、斉藤さん復職は当然だと思いませんか?」
など様々な意見が続いた。

「不信任、当選だけではひっくり返せない」橋下徹氏、斎藤知事の「権力行使、批判続ける」
2024/11/18 18:50
https://www.sankei.com/article/20241118-2XBZH7CNRZGZ3JVVK6FFA72SGQ/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で斎藤元彦氏が再選されたことを受け、元大阪府知事・大阪市長で日本維新の会創設者の橋下徹氏は2024年11月18日、X(旧ツイッター)を更新した。
出直し選挙の原因となった文書告発問題について触れ、改めて
「斎藤さんの権力行使のやり方を批判し続けていく」
と対決姿勢≠示した。
斎藤氏は令和3年、維新の推薦で知事選に出馬し、初当選した経緯がある。
■「こんな権力の使い方は」
告発文書問題を巡っては、今年2024年3月、県西播磨県民局長だった男性が、斎藤氏のパワハラ疑惑などを列挙した告発文書を関係者らに配布。
県は2024年5月に男性を停職3カ月としたが、内部調査の中立性を疑う声が噴出したため、県議会が調査特別委員会(百条委員会)を設置した。
橋下氏は自身の行政経験を踏まえ、こうしたケースで権力者側には、文書を公益通報窓口に渡して担当者を委縮させないためコメントを控えるか、自ら文書の作成者を探すという2つの選択肢があるとした。
その上で、斎藤氏は選ぶべき前者ではなく、
「公益通報に当たらないと自ら判断し、作成者を探しに行った」
「副知事、幹部が一体になり組織(を)あげて探しに行った」
と指摘。
「こんな権力の使い方ほど恐ろしいことはない」
と糾弾した。
■得票率は45%に留まり
公益通報の結果が出る前に告発した男性を先に処分したことも問題視し、
「完全にアウト」
と断じ、
「このような権力行使が行われないようにするため」
批判を続けるとした。
一方で選挙結果については、県議会で全会一致で不信任決議を受けて自動失職した事実を強調。
本来であれば県議会を解散すべきだったとし、
「知事選に当選しただけでは不信任決議をひっくり返すことはできない」
と主張した。
橋下氏が必要と考えるのは不信任決議が提出できる3分の2以上。
今選挙で斎藤氏が獲得したのは111万3911票で、投票総数の約45%に留まった。
再選された斎藤氏と向き合うことになる県議会については、議会をあげて対立候補を立てなかった責任を問い、
「今回の民意を受けて、県議はオロオロでしょう」
「根性を持って知事選の結果に対峙できる県議は皆無でしょう」
と懸念を表明。
今後のコメンテーターとしての自身について
「斎藤さんの権力の行使のやり方のおかしさ、権力者として資格なしという主張を続ける」
と断言した。

再選斎藤氏、25日に証人尋問 兵庫・百条委が検証再開
2024/11/18 18:00
https://www.sankei.com/article/20241118-5LLTO7AJCFMZHJJPEEIONOHQ3Q/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で再選した斎藤元彦氏の疑惑告発文書問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は2024年11月18日、斎藤氏への証人尋問を2024年11月25日に行う方針を決めた。
出頭要請し、文書に書かれたパワハラなど疑惑7項目を総括的に検証する。
斎藤氏への尋問は2024年9月6日以来。
民意を受け知事に復帰した後の証言内容が注目される。
斎藤氏は再選から一夜明けて報道陣の取材に応じ
「県議会や県職員との関係をもう1度前に進めることが大事だ」
と強調。
百条委などの調査に真摯に対応するとした上で
「文書問題も確かに(知事選の)1つの争点だが、大事なのは政策を進めていくことだ」
と語った。
2024年11月19日に知事に就任し、再選後初めて登庁する。
2024年11月25日の尋問は、職員へのパワハラや、告発文書を公益通報として扱わずに作成した元県幹部を処分した経緯などを改めて検証。
昨年2023年11月のプロ野球阪神とオリックスの優勝パレード経費を巡る不正疑惑について、初めて斎藤氏を追及する。

再選の斎藤氏巡り百条委再開 兵庫県議会、25日に総括尋問、疑惑検証の行方焦点
2024/11/18 12:53
https://www.sankei.com/article/20241118-7TPTITXYBVJG7KY2QHFQU7LGWA/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で再選された斎藤元彦氏の疑惑告発文書問題を巡り、県議会は2024年11月18日午後に調査特別委員会(百条委員会)を開く。
2024年11月25日に問題を巡る総括的な尋問を関係者に行う予定で、対象を誰にするかや今後の進行を協議。
斎藤氏への尋問も今後再開される見通しで、民意を受けて知事復帰が決まった斎藤氏の疑惑検証がどこまで進むかが注目される。
斎藤氏は2024年11月19日就任し、再選後として初めて登庁する。
斎藤氏は2024年11月17日夜に報道各社のインタビューに応じ
「文書問題にしっかり対応してという声もある一方、良い政策をもっと前に進めてほしいとの民意が示された」
と強調。
今後も百条委の検証に対応しながら、来年2025年度当初予算の議論などを県議会と進める考えを示した。

「今後も混乱続く」「事実解明を」兵庫県知事選から一夜明け、県職員や議会関係者の懸念
2024/11/18 12:29
https://www.sankei.com/article/20241118-DPVL3RQWF5LJXII2FQ2QUTXESY/
2024年11月17日に投開票された知事失職に伴う兵庫県知事選で、再選を果たした無所属前職の斎藤元彦氏(47)。
今回の選挙は斎藤氏を巡る告発文書問題に端を発した。
その疑惑は完全に晴れていない中、県職員や全会一致で不信任を決議した県議たちは、斎藤氏を押し上げた
「民意」
に向き合うことになる。
「今後も混乱が続くのではないか」
斎藤氏の再選にこう懸念を示した県の男性職員は、不信任決議案を可決した県議会との関係修復に不安が残るという。
「議案が否決されるような状況が続けば、県民へのサービスも滞ってしまう」。
文書の真偽を究明する県議会の調査特別委員会(百条委員会)ではこれまで、県職員が実名で証言してきただけに、
「事実を解明してほしい」
と言葉は少ない。
全会一致で不信任を決議した県議会。最大会派・自民党の県議は
「議会や職員とのコミュニケーションを改善するか、その姿勢があるかは見ていかないといけない」
と話した。
不信任を突きつけた県議会に対し、斎藤氏を支持した民意は厳しい視線を送った形となっただけに、
「今後の施策や議案については是々非々の対応をしていく」
と話すにとどまった。
県議の多くが、斎藤氏と競った同県尼崎市の元市長、稲村和美氏を水面下で支援した公明党県議団。
幹部の1人は斎藤氏の再選について
「民意が示された結果」
「しっかり受け止めたい」
と語る。
今後の斎藤県政に対しては、
「不信任は県政混乱の収束が大きな目的だった」
「この点について知事としてどういう努力をするのか見ていきたい」
と話した。
前参院議員、清水貴之氏に出馬を要請し、選挙戦でも支援した維新の会県議団の幹部も、
「民意を尊重したい」
と冷静に受け止める。
一方で、SNS(交流サイト)を駆使し、うねりのような支持を得た斎藤氏の戦い方と結果に、
「これまでになく誹謗中傷合戦が酷かった」
「褒められた形ではないが、今後の選挙でもこうした戦いが増えていくのだろうか」
と危惧した。

鈴木エイト氏 兵庫県知事選“オールドメディアの敗北”を疑問視「過大評価しないよう注意すべき」
2024/11/18 14:17東スポWEB
https://news.goo.ne.jp/article/tokyosports/entertainment/tokyosports-324195.html
ジャーナリストの鈴木エイト氏が2024年11月18日「X」(旧ツイッター)を更新。
“オールドメディアの敗北”
というフレーズの論評に警鐘を鳴らした。
兵庫県知事選で当選した斎藤元彦前知事の大きな勝因として、SNSの活用と言われ、斎藤氏を批判してきたメディアがSNSの波に飲み込まれたという意見が多数出ている。
しかし、鈴木氏は
「テレビや新聞といった
『オールドメディアの敗北』
との指摘をする人が多々見られるが、不信任決議後にそのオールドメディアを最大限利用したのが斎藤元彦氏であり、SNSやYouTuBeの“効能”によって斎藤氏の街頭演説に詰めかけた人々の“総熱量”を過大評価しないよう注意すべき」
と、斎藤氏への熱狂的な支持を、そのまま受け取るべきではない…と主張。
更に、斎藤氏を応援するため知事選に立候補し、SNSで斎藤氏を擁護する投稿をした立花孝志氏を評価する声が高まっていることに
「立花孝志氏を評価する言説についても、斎藤元彦氏サイドの元々の戦略を見極めた上で分析する必要あり」
と指摘。
こうした流れについて
「メディア側が想定済みのストーリーに乗って報じることはストーリーを拵えた側の思う壺になりかねない」
と警鐘を鳴らしている。

中村仁美、兵庫県知事選で熱狂的な支持者を生んだネットメディアのあり方に意見「規制を作った方がいい」
2024/11/18 15:40
https://www.sanspo.com/article/20241118-LF3G4435TFH5TKVATHUTPXHPBY/
元フジテレビのフリーアナウンサー、中村仁美(45)が2024年11月18日、、TBS系「ゴゴスマ−GO GO!Smile!−」(月〜金曜後1・55)に出演。
2024年11月17日に行われた、兵庫県知事選で無所属の前職斎藤元彦氏(47)が111万3911票を集め再選されたことについて、ネットメディアの在り方に意見した。
パワハラなどの疑惑告発文書問題で失職した斎藤氏は、出直しとなる選挙戦で行財政改革などを実績として挙げ
「改革」
の継続を訴えた。
文書問題を追及した議会の対応に疑問を投げかけ、交流サイト(SNS)も駆使した選挙戦略で10代〜30代の支持は6割を超えた。
今回はテレビや新聞のオールドメディアとSNSなどのニューメディアの二項対立となったとこともあり、中村は
「うちの息子たち見ててもそうなんですけど、テレビでセーブしている言葉とか、そういうものがSNSでは凄く全部当たり前のように聞けるんですよ」
「だから、凄く刺激的でうちの子たちもほとんどテレビ見ないでSNSばっかり見てるんですよ」
「1度そっち(ネットメディア)の方に流れてしまうと、刺激をどんどん求めていっちゃう」
とより若者がより刺激的なネットメディアに流れていると指摘。
ネットメディアを通じ、斎藤氏に熱狂的な支持者が集まりアイドルのような扱いになっている姿について、こういった現象を選挙で初めて見たと明かし
「SNSも情報発信する1つのメディアとして、規制とかそういうものを作った方がいいんじゃないかなって思う」
と意見した。

高田文夫氏 斎藤元彦氏の再選に驚き SNS駆使した逆転劇に「世の中本当に分からないことだらけ」
[ 2024年11月18日 15:06 ]
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/11/18/kiji/20241118s00041000201000c.html
放送作家の高田文夫氏(76)が2024年11月18日、ニッポン放送「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」(月〜金曜前11・30)に出演。
無所属の前職・斎藤元彦氏(47)が再選された兵庫県知事選について言及した。
斎藤氏は無所属6新人を破り再選を果たした。
選挙戦ではパワハラなどの疑惑告発文書問題で失職した斎藤氏への評価や、混乱した県政の立て直しなどが問われたが、斎藤氏はネット戦略を駆使して大きな流れを起こし、最終盤で形勢を逆転した。
番組内で高田氏は前日に行われた野球の国際大会「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」のキューバ戦について
「土砂降りの中やってたもんな、もう最後の最後まで分からなくて…」
と接戦の試合を振り返りつつ、
「その点なんだ兵庫は」
「あっさり決まって」
「どういうことだよ、大勝って」
と兵庫県知事選の結果に触れた。
続けて
「我々オールドメディアっていうの?」
「なんか、オールドメディアしか信じてないから」
「SNSなんか分からないから」
「情報、テレビ嘘ばっかりらしいな」
と笑いながらツッコんだ。
SNSは先日行われた米大統領選でも大きな影響を果たした。
今後のネットと選挙の関わり方が注目されるとした上で
「若い人がSNSでやったら凄いよ大逆転」
「トランプの時と一緒だよ」
「凄い、カムバックだもん」
「田中康夫以来じゃない?カムバックしたのな」
「世の中本当に分からないことだらけだな」
と終始驚いていた。

ラサール石井 斎藤元彦氏の再選に「兵庫県民の皆さん大丈夫ですか」
[ 2024年11月18日 13:04 ]
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/11/18/kiji/20241118s00041000157000c.html
タレントのラサール石井(69)が、2024年11月18日までに自身のX(旧ツイッター)を更新。
無所属の前職・斎藤元彦氏(47)が再選された兵庫県知事選について言及した。
斎藤氏は元尼崎市長の稲村和美氏、日本維新の会を離党した前参院議員清水貴之氏ら無所属6新人を破り再選を果たした。
選挙戦ではパワハラなどの疑惑告発文書問題で失職した斎藤氏への評価や、混乱した県政の立て直しなどが問われた中、斎藤氏はネット戦略を駆使して大きな流れを起こし、最終盤で形勢を逆転した。
ラサールは
「斎藤元彦・前知事の再選確実 兵庫県知事選、失職から返り咲き」
という見出しの毎日新聞の記事を引用。
「社会の底が抜けた」
「兵庫県民の皆さん大丈夫ですか」
「政治に無関心な人が、選挙に行かなかった人が、彼を当選させた」
と綴った。
なお、今回の兵庫県知事選の投票率は2021年の前回選の41.10%を大きく上回る55.65%だった。

斎藤元彦のパワハラなど7項目の疑惑は事実だと思うし、それを隠蔽しようともした斎藤元彦に投票した兵庫県民はバカか、という思いだ。
今後事実認定されれば誰がどう責任を取るのか。

<主張>兵庫知事に斎藤氏 疑惑対応と県政両立せよ
社説
2024/11/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20241118-CPPFSQYMVBOFTHBJLG2JVYH7D4/
兵庫県の出直し知事選で、パワハラ疑惑などを内部告発された問題で失職した斎藤元彦前知事が、再選を果たした。
混乱と停滞が続く県政の立て直しを、原因を作ったとされる斎藤氏が当たることになった。
斎藤氏は県議会で不信任を決議されるに至った問題の解明に真摯に対応してもらいたい。
選挙戦で訴えたように、反省すべき点は反省し、改めるべき点は改めて、県政を運営しなければならない。
斎藤氏が失職に至った問題の発端は今年2024年3月、当時の県幹部職員が斎藤氏のパワハラなど7項目の疑惑を告発する文書を報道機関や県議に送ったことだった。
職員は県の公益通報窓口にも通報した。
だが県は調査結果を待たずに処分し、職員は死亡した。
自殺と見られている。
斎藤氏は一連の疑惑を否定してきたが、県議会の調査特別委員会(百条委)と、弁護士で構成する県の第三者委員会による調査が継続中だ。
真相の究明は県政を前進させる上で欠かせないことだ。
過去最多の7人が立候補した知事選は、異例の展開を辿り、県民は斎藤氏を選んだ。
県議会から全会一致の不信任を突き付けられた斎藤氏への風当たりが強いとみられていたが、疑惑は捏造だとする見方がSNSなどで広がった。
斎藤氏を応援するとして無所属で出馬した「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が、
「斎藤氏は被害者」
などと訴える場面もあった。
斎藤氏を問題視する関係者への批判も相次いだ。
県内29市のうち22市の市長が選挙戦終盤、
「正しい情報が伝わっていない」
として、斎藤氏と競り合っていた無所属新人の元同県尼崎市長、稲村和美氏への支持を表明する事態にもなった。
斎藤氏を巡る様々な情報が飛び交う中、県の政策への議論が深まらなかったのは残念だった。
少子高齢化対策や産業振興など県が取り組むべき課題は多岐にわたっている。
来年2025年1月には6400人超が犠牲になった阪神淡路大震災から30年となり、防災対策の見直しも急がれる。
斎藤氏はぎくしゃくした県職員との信頼関係を取り戻し、県政を立て直す責任がある。
斎藤氏も県議会も、疑惑解明と政策遂行の双方に努めてほしい。

<産経抄>神戸の古老も驚いた「さいとう現象」 22市長連名の「反斎藤」表明も逆効果だった!?
2024/11/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20241118-INESV4B2KNOEJC3VKZPLZGIB2Q/
会社でも役所でも最も難しいのは人事だという。
特に採用は、慢性的な人手不足も手伝って至難の業だ。
学歴も申し分なく
「これはいい!」
と期待して採用しても鳴かず飛ばずだったり、補欠で入れた人材が大化けしたりと、実際に雇ってみなければ分からない。
▼投票で赤の他人をリーダーに選ぶ選挙は、もっと難しい。
少し前までは、よく知らない候補者たちを選挙公報と政見放送、それに新聞やテレビの報道を参考にして選ぶしかなかったのが、最近はSNS(交流サイト)が勝敗のカギを握るようになった。
▼今2024年夏の都知事選では、ほぼ無名の存在だった石丸伸二前安芸高田市長が、SNSを駆使した選挙戦を展開して約170万票を集め、
「石丸現象」
を巻き起こした。
4カ月後、今度は兵庫県で
「さいとう現象」
が起きた。
▼元県幹部の告発文書をきっかけに斎藤元彦知事(当時)のパワハラやおねだり疑惑が噴出し、県議会は全会一致で不信任決議案を可決、彼は石もて追われるように県庁を去った。
失職した1カ月半前、知事選がこれほど盛り上がるとは、正直想像もしなかった。
▼孤立無援で立候補した彼は、
「パワハラ疑惑は捏造」
といったSNSの言説に助けられ、
「既得権益にたった1人で立ち向かうヒーロー」
になった。
県内29市中22市長が連名で対抗馬支持を表明したのも県民の判官びいきに火をつけた。
▼何しろ弱かった頃の阪神タイガースを熱烈に応援し続けたのが兵庫県民だ。
投票日前夜、神戸・三宮で開かれた彼の街頭演説には、古老が
「選挙でこんな人混みは見たことがない」
と驚くほどの聴衆が殺到した。
SNSは、政治に大きな地殻変動を起こしている。
その先の未来が、バラ色ならいいのだが。

<主張>兵庫県知事選 資質と政策見極め判断を
社説
2024/11/3 5:00
https://www.sankei.com/article/20241103-NTOLEQV3TNLP3I7E2J42QDEWRY/
兵庫県の斎藤元彦前知事の失職に伴う知事選が告示され、再選を目指す前知事と新人6人の計7人による論戦が始まっている。
パワハラなどの疑惑が内部告発された前知事が県議会の不信任決議を受けて失職したことに伴う選挙の最大の争点は、政策と共に知事の重責を担う資質である。
県政を誰に託すべきか、有権者はしっかり見極め投票してほしい。
問題の発端は、当時の幹部職員が今春、前知事のパワハラなど7項目の疑惑を告発する文書を報道機関や県議に送ったことだった。
この職員は県の公益通報窓口にも通報したが、県側は調査結果を待たずに懲戒処分とし、職員は死亡した。
自殺とみられる。
県議会は51年ぶりに調査特別委員会(百条委)を設置し、弁護士で構成する県の第三者委員会も調査を進めている。
いずれも選挙結果にかかわらず真相究明を尽くし、再発防止に向けたルール作りにもしっかり取り組んでもらいたい。
前知事は疑惑を全て否定し一連の対応は
「適切だった」
と主張してきた。
だが百条委では告発者捜しや不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法に違反する疑いが重ねて指摘された。
法的責任については、百条委や第三者委の調査などで明らかにされるだろう。
だが、道義的責任はどうか。
前知事は2024年9月に開かれた百条委で
「(自身の)道義的責任が何か分からない」
と発言し、波紋を呼んだ。
今回の選挙は、この道義的責任に加え、政治的責任についても有権者が審判を下す場となる。
7人はいずれも無所属で立候補し、各党の対応は分かれている。
前回選で前知事を推した自民党は独自候補の擁立を断念し、公明党と共に自主投票を決めた。
立憲民主党と日本維新の会は県議らがそれぞれ新人を自主支援する方針で、共産党は新人を推薦している。
問題の発覚から約8カ月が経過したが、県政は混乱と停滞が続いている。
前知事の右腕だった副知事は辞職し、病欠の末に異動を申し出た幹部もいる。
百条委による全職員アンケートでは、約4割が前知事のパワハラを見聞きしたと回答した。
組織の立て直しは容易ではない。
舵取りを託せる人は誰か、有権者はよく見極めて判断してほしい。

失職知事の再選か、刷新望む新人か 他者への投票呼びかけまで飛び出した混沌の兵庫知事選
2024/10/31 19:50
https://www.sankei.com/article/20241031-MOOBVF74IBMJXN7S2GZ52B3B5E/
兵庫県の斎藤元彦前知事(47)の失職に伴い、2024年10月31日に告示された同県知事選。
過去最多となる7人の無所属候補は、いずれも大票田である神戸市から
「第一声」
を放った。
斎藤氏の再選を阻もうとする新人か、それとも斎藤氏か。
候補者の1人である政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)が斎藤氏への投票を呼びかけるなど、異例の選挙戦となっている。
前参院議員の清水貴之氏(50)は、先の衆院選で日本維新の会公認候補としてくら替え立候補し、兵庫8区で公明党との直接対決に臨む構えだったが、維新県議団の要請を受けるなどして知事選出馬を決意。
幅広い支持を得ようと離党して無所属で戦い、維新は支援の形を取る。
2024年10月31日、同市中央区の選挙事務所で第一声。
「大好きな兵庫が悪い形でニュースとして広まったことが残念」
「兵庫の混乱を何とかすることが今回の一番の争点だ」
と訴えた。
午後の出陣式には維新議員に加え、自民党の市議らも参加した。
同県尼崎市の元市長、稲村和美氏(52)は県議を務めた経験もあり、立憲民主党系の県議会会派や自民会派の一部が推す。
「県政の混乱と停滞をしっかり受け止め、新しい兵庫を作っていきたい」
として第一声の場所を県庁前(神戸市中央区)とした。
県職員らに向け、
「兵庫県はかつてない危機の中にある」
「風通しの良い県庁でしっかり県民のための仕事を進めていける兵庫県にしていきましょう」
と呼び掛けてアピール。
この後、神戸市内で開いた出発式には、立民系会派や自民の県議に加え、自民や国民民主党の国会議員らも顔を並べた。
一方、県議会から全会一致で不信任決議を受け、失職して出直し選に臨む前職の斎藤氏。
人通りの多い同市中央区の神戸元町商店街付近の広場で第一声を上げた。
失職・出直し選の発端となった告発文書問題については多くを語らず、
「反省すべきは反省し、改めるべきことは改めていく」
「自分を見つめ直して、良い県政を実現させていく」。
最も強調したのは知事に在任した3年間の実績で、天下り制度や海外事務所などの見直し、県庁舎建て替え計画の凍結などを挙げ
「進めてきた改革を止めるわけにはいかない」
と叫んだ。
立花氏は斎藤氏の演説終了から約30分後、斎藤氏と同じ広場で第一声。
「斎藤さんを助けないと、この国がえらいことになる」
とし、
「斎藤さんが圧勝しなければならない」
「圧倒的な得票差でもう1度戻さなければいけない」
と強調した。

政策か協調か、バラエティに富む候補者たちのリーダー論 選挙で問われる知事の資質
2024/10/31 18:46
https://www.sankei.com/article/20241031-JPHM2UJ2PZNGTDYDNVXLPZ55DQ/
2024年10月31日に告示された兵庫県知事選(2024年11月17日投開票)は、過去最多の7人による争いとなった。
今回の選挙の発端は、前知事の斎藤元彦氏(47)の疑惑が文書で告発された問題。
告発者を捜して処分した斎藤氏の対応などに、
「知事としての資質を欠いている」
との批判が上がり、県議会の全会一致で不信任が可決された。
17日間の選挙戦では、
「知事の資質」
が争点になる見通しで、候補者らは初日から目指すリーダー像などを訴えた。
「職員や県議会ともっと丁寧に、自分の言葉で対応していくことも必要だったかもしれない」
「反省すべきは反省する」
告示後の第一声。
斎藤氏は
「文書問題で多くのご心配をお掛けしたことは申し訳ない」
と謝罪しつつ、
「斎藤か斎藤以外か」
「私は絶対それに負けるわけにはいかない」
と声を張り上げた。
斎藤氏のパワハラ疑惑などを記した告発文書が一部の県議や報道機関に送付されたのは、今年2024年3月。
斎藤氏は側近幹部に調査を指示して告発者を特定し、2024年5月に停職3カ月の懲戒処分とした。
しかし、調査の経緯に批判が上がり、県議会は2024年6月に調査特別委員会(百条委員会)を設置。
百条委では有識者から、斎藤氏らの対応は公益通報者保護法に違反するとの指摘が相次いだ。
斎藤氏は
「対応は適切だった」
との主張を崩さず、告発者の死亡などを巡り
「道義的責任が何か分からない」
と発言。
不信任の流れが加速し、全会一致での可決から失職、出直し選へと繋がった。
前参院議員の清水貴之氏(50)は選挙戦初日の演説で
「『兵庫どうなっているの』と、そんなことを言われて残念でならなかった」
と県政の混乱ぶりを振り返った。
その上で、
「この状況を何とか立て直していきたい」
「兵庫の経済、県政を新しく作り直すためには、やはりコミュニケーション」
「県民の声を聞いていくことが大事だ」
と訴えた。
「文書問題への県の一連の対応をしっかりと検証していく」
同日朝、県庁前でそう訴えたのは、元同県尼崎市長の稲村和美氏(52)。
「告発された当事者が事実解明よりも告発者捜しや処分を急いだのはやはり問題だ」
と指摘し、
「どんな優れたリーダーも、たくさんの人と力を合わせてこそ、様々な施策を前に進めることができる」
とアピールした。
■政策推進力と対話力のバランスが重要
神奈川大学の大川千寿教授(政治過程論)
今回の兵庫県知事選では、県政に対する信頼を取り戻し県政をどう立て直すか、知事に相応しい資質の持ち主は誰なのか、ということが最大の争点となるだろう。
政策推進のために、如何に風通しの良い環境を築いていけるかという点がリーダーとして必要な資質の1つだ。
県職員や県民、県議会と対話をしながら政策を推し進めることが重要で、政策推進力と対話力のバランスが大事になってくる。
また、兵庫県民約530万人の暮らしと命を守り、職責の重みを踏まえて業務に当たれるかという点も重要だと考えられる。
今回の知事選は、これまでの斎藤県政の評価にも重きが置かれることになると思うが、地域ごとの様々な課題についてどう考えているのかなども含めて、幅広い視点で候補者を見ていく必要がある。
混乱した県政を建て直し、今後、重大な問題が発生した際にも県のリーダーとして適切に対応できる人、県民が自分たちの生活を託せる人は誰なのか。
候補者の資質を見極めて投票することが重要だ。

兵庫知事選、有権者はどう判断? 教育、災害対策、経済・雇用…課題は山積
2024/10/31 12:51
https://www.sankei.com/article/20241031-GP4NXYCDVVIJ7ECFH7Y5BXHXWM/
兵庫県知事選が2024年10月31日告示され、17日間の選挙戦が幕を開けた。
告発文書問題を巡って混迷を深めた県政の建て直しや、知事の資質といった争点だけでなく、教育・子育てや、経済、雇用、災害対策など、生活に直結する県政上の課題は山積している。
県民はどういった政策や課題を重視し、新しいリーダーを選ぶのか。
「衆院選は興味を持てず棄権したが、知事選は告発文書問題など、色々話題になったので関心があり、是非投票に行きたい」
こう話すのは高校生の子供を持つ兵庫県姫路市のNPO職員、生尾知子さん(45)。
知事選で候補者を選ぶ際に教育施策の内容を重視するといい、
「大学無償化や給付型の奨学金など、高等教育の修学支援に積極的な候補を応援したい」
「増加している不登校や引きこもりへの支援を考えているかどうかも見てみたい」
とする。
30年以上教育関係の仕事に携わったという神戸市中央区の自営業の男性(80)も
「住む地域に関係なく学校を選べるなど、子供の選択肢を増やせるような教育制度を実現してほしい」
と教育施策の充実を訴えた。
当の学生は知事選をどう見ているのか。
「とても関心がある」
「投票には必ず行く」
という同県豊岡市の県立芸術文化観光専門職大4年、前川友萌香さん(22)は、告発文書問題を巡る混乱を念頭に
「県政を立て直してほしい」
「新しい知事には、風通しのいい県政を期待したい」
と現状からの変化を望んだ。
県内の人口減少対策や農家の後継者不足も県政上の大きな課題だ。
淡路島に移住後に地元住民から引き継いでシイタケ栽培を営む同県洲本市の農業、谷口史朗さん(31)は、原木を使ったシイタケ栽培のようなニッチ市場にも目を向けてほしいといい、
「販路開拓支援や里山の景観保護に光を当て、地域活性化のため『攻める田舎』に変えるという視点を持ってほしい」
と訴える。
中小企業経営者にとっては、新たなリーダーの舵取り次第で経営環境が大きく変化するだけに視線は厳しい。
マンションリフォームなどを手掛ける中堅建設会社「大匠」(神戸市兵庫区)の西森正樹社長(53)は
「方針や政策が我が社の経営にも関連するので、県のトップを決める今回の知事選には関心がある」
とし、
「景気に大きく影響される建設業界は今、厳しい状況にあるので、選ばれた知事には経済が活性化する対策を是非実行してほしい」
と求める。
兵庫県では平成7年の阪神大震災から来年で30年となり、防災対策や災害に強いインフラへの関心も高い。
運送会社に勤める同県西宮市の男性(52)は震災当時を振り返り、
「あの時はインフラがズタズタになった」
「あれから時が経ち、水道などは更に老朽化が進んでいると聞くが、新しいものに交換するなど地震に強い街作りを急いでほしい」
と注文を付ける。
誰に1票を投じるかはまだ決めていないというが、
「パワハラとか人柄とかはこの際、二の次で、兵庫をよくしようと考え、しっかりと結果を出してくれる人に入れたい」
と話した。

次期知事選で「独自候補を検討」と兵庫維新、片山代表 斎藤知事の推薦は難しいとの見方も
2024/9/22 22:52
https://www.sankei.com/article/20240922-5F2W2I4EFJPT7LML7QEQXX63QI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会で斎藤氏への不信任決議が可決されたことを受け、日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」は22日、神戸市内で会合を開き、今後の選挙対応などを協議した。
終了後、兵庫維新代表の片山大介参院議員は、知事選では
「(維新として)独自候補を出すことを検討している」
と述べた。
会合では、国会議員や地方議員がオンラインも交え、知事選のほか、県議選や衆院選となった場合の選挙態勢などについて意見交換。
片山氏は冒頭で、知事選と県議選のダブル選に衆院選も加われば、
「前例のない選挙になる」
「それぞれの選挙を勝ち抜いていきたい」
と呼び掛けた。
斎藤氏は不信任を受けた後、テレビ番組に相次いで出演。告発文書の対応について従来の主張を繰り返す一方、自身の実績をアピールしている。
こうした対応に、片山氏は会合後の取材に
「もう少し自分の考えを話した方がいい」
とし、次期知事選では斎藤氏の推薦は難しいとの見方を示した。

兵庫県知事疑惑、贈答品のおねだり疑惑≠謔闌益通報と情報保全巡る問題点の総括を
新聞に喝! 国防ジャーナリスト・小笠原理恵
2024/9/22 10:00
https://www.sankei.com/article/20240922-5BSDMLARTJJMJKEPTSYSYTJP2A/
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題が大詰めを迎えている。
斎藤知事に対する不信任決議案が可決され、今後の去就が注目される事態となった。
これまでの疑惑報道の中で特産品など多数の贈答品に関するおねだり疑惑≠ェ新聞・メディアで一定の比重を占めてきたが、筆者が注目してきたのは、一連の問題の発端となった元県民局長の男性=7月に死亡=への告発者保護を巡る報道だ。
日経新聞は7月13日付の社説で
「公益通報が機能しないような自治体は、首長や組織そのものに問題があるとみるべきだ」
と断じた。
9月8日付の信濃毎日も社説で
「通報者の不利益になるような取り扱いをした組織側に刑事罰を科すといった法改正を含め、通報者を徹底して保護する体制が必要だ」
と指摘し、法改正の必要性に踏み込んだ。
令和4年の改正公益通報者保護法の施行で、新たに適切な公益通報者保護をするために必要な体制や措置を講じることが事業者に義務付けられた。
また、内閣府は
「やむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐ措置をとる」
義務があると指針を出した。
通報者の探索を防ぐ義務のある県自身が告発者を特定し、処分したことは法令違反だ。
こうした点について新聞・メディアが批判を強めるのは当然だ。
しかし、見過ごされている論点がある。
男性は3月12日にマスコミ、警察、議員などに厳正な調査を期待して告発文書を送った。
その告発文書はなぜ斎藤知事の目に触れたのか―という疑問だ。
斎藤知事の定例会見での説明によると、民間の方からの情報提供があったというが、この匿名の告発文書の取り扱いが杜撰だったと言わざるを得ない。
もちろん、匿名の告発には悪意や虚偽の情報もあれば、人の生死に関わる重大な情報もある。
告発文書が慎重に取り扱われていたのなら、結果は変わったはずだ。
3月下旬に解任された男性は4月に県の公益通報窓口に通報したが、県を優先しなかった理由として
「当局内部にある機関は信用できない」
ことを挙げた。
県知事や側近ら利害関係者による報復を恐れたのだろう。
県議会の調査特別委員会(百条委)の冒頭では
「痛恨の極みであります」
と男性への黙禱が捧げられた。
産経は8月31日付の社説(主張)で
「公益通報者を守れず死に至らしめた責任は重い」
と断じたが、新聞・メディアは今回の疑惑について斎藤知事の去就で幕引きとせず、公益通報と情報保全の問題点について今一度総括してほしい。
他の自治体でも繰り返される恐れがあるからだ。

[社説]自治体の公益通報は十分か
社説
2024年7月13日 19:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK127VA0S4A710C2000000/?msockid=03bbc426d8756d821927d643d90f6c0f
記者会見で頭を下げる斎藤知事。
自らの進退については
「全力で県政を前に進めるのが私なりの責任の取り方だ」
と辞職を否定した(12日、兵庫県庁)
兵庫県の元幹部職員が、斎藤元彦知事にパワハラなどの疑いがあるとする告発文書を報道機関などに配布し、懲戒処分を受けた後、亡くなった。
自殺とみられるという。
痛ましい限りだ。
告発内容の事実関係をはじめ、告発が保護すべき公益通報に当たらないのか、多くの疑問が残る。
自治体では首長が非常に強い権限を持つ。
だからこそ、公益通報の仕組みが十分に機能するようにしておくことは、公正な行政を担保する上で重要だ。
元幹部職員は3月に知事に関する告発文書を配布した。
内容は
@知事選での投票依頼
A事業者からの物品受け取り
B度を越したパワハラ
ーーなど7項目からなる。
県は内部調査で文書の核心部分が事実でないとして、元幹部職員を停職3カ月の懲戒処分とした。
疑問の1つは告発が公益通報に当たるのではないかという点だ。
公益通報者保護法は通報先として企業や行政機関の公益通報窓口だけでなく、報道機関など外部への通報も認めている。
公益通報に当たるなら通報者の不利益な取り扱いは禁じられる。
知事は4月の記者会見で
「県の公益内部通報制度では受理はしていないので、公益通報には該当しない」
と説明した。
その後、元幹部職員は県の公益通報窓口にも同様の内容を通報した。
県が懲戒処分に踏み切ったのはその後だ。
当初から公益通報として扱わず、通報者に不利益な処分を下した県の対応に違法性はないのか。
県議会は調査特別委員会(百条委員会)を設置した。
第三者機関による調査も行うという。
告発の事実関係と共に県の対応の当否も検証してほしい。
元幹部職員が亡くなったことを受け、県職員労働組合が知事に辞めるよう求め、副知事も自ら退く意向を示すと共に知事に辞職を促した。
異例の事態である。
知事の対応が問われている。
公益通報が機能しないような自治体は、首長や組織そのものに問題があると見るべきだ。

〈社説〉公益通報の壁 告発者守る仕組みさらに
2024/9/8 9:30
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024090700681
良心の告発が蔑ろにされていた。
兵庫県の元県幹部にパワハラ疑惑などを告発された斎藤元彦知事らの対応である。
県議会が設けた調査特別委員会の尋問で、客観的な調査もせずに告発を誹謗中傷と決めつけ、組織的に“犯人捜し”を行い、懲戒処分を急いだ経緯がはっきりしてきた。
公益通報者保護法は、告発者が不利益を被らないよう幾重もの保護を求めている。
その趣旨を損なっている可能性が高い。
参考人として出席した専門家は
「明らかな法令違反」
と批判、県会各派も辞職を求めて動き始めた。
組織トップの責任は極めて重い。
元県幹部は退職を控えた3月、知事らのパワハラや贈答品の受け取りなどの疑惑を、匿名の文書で報道機関や県議らに送った。
法に照らせば、県は内容の事実確認や公益通報に当たるかどうかを検討する必要があった。
それなのに知事の指示は、誰が、どんな意図で作ったのかを徹底的に調べることだった。
当時の副知事らは元県幹部に見当をつけ、直接聴取。
公用パソコンのデータなどにも探りを入れた。
法や運用指針が禁じる
「通報者の探索」
である。
元県幹部が告発を認めると、知事は記者会見でその役職を明示して
「嘘八百」
「公務員として失格」
と断じた。
人権侵害である上に、必要最小限の範囲を超えて通報者が特定されてはならないとする法の要請に反する。
知事は尋問で
「誹謗中傷性が高い内容」
だったので通報者を探すのは当然とした。
しかし、判断の根拠は明らかでない。
そもそも告発された当事者である知事や副知事らが対応に当たること自体、通報者には恫喝でしかない。
法も
「組織の長」
から独立した制度運用を求めている。
元県幹部は最初の告発後、4月に県の公益通報窓口にも通報している。
手続きに則った必要な調査を終えるまで処分ができないはずなのに、県はそれを待たずに停職処分を下した。
元県幹部は事実解明を求めつつ7月に亡くなった。
自死とみられる。
より内部通報がしやすいよう法は2020年に改正されていたが、それでも守れなかった。
これでは、組織や社会を良くしたいと思って不正を暴こうとしてもリスクが大き過ぎる。
通報者の不利益になるような取り扱いをした組織側に刑事罰を科すといった法改正を含め、通報者を徹底して保護する体制が必要だ。

<主張>初尋問の兵庫知事 事態収拾へ進退判断せよ
社説
2024/8/31 5:00
https://www.sankei.com/article/20240831-QXDP25EOWBPXXBJVDGR4RWILXI/
パワハラ疑惑などが文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事が30日、県議会の調査特別委員会(百条委)に証人として出席した。
パワハラ疑惑に関しては
「記憶にない」
と繰り返した。
「不快な思いをさせたなら反省し、謝りたい」
「パワハラかどうかは私ではなく百条委や第三者委が判断すること」
とも語った。
告発文書は、元県幹部の男性が報道機関などに配布した。
その後、県の公益通報窓口に通報したが、県は調査結果を待たずに男性を懲戒処分にした。
男性は
「死をもって抗議する」
とのメッセージを残して死亡しており、自殺とみられている。
百条委による職員アンケートでは、約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答した。
斎藤氏の百条委での答弁では疑惑が解消したとは言い難い。
公益通報に基づく調査の最中に県幹部の処分を行ったことについては
「誹謗中傷性の高い文書で、懲戒処分に該当する行為があった」
と述べ、適切だったとの考えを改めて示した。
公益通報者を守れず死に至らしめた責任は重い。
信頼を大きく失ったトップが県政を円滑に運営することは難しい。
事態を収拾させるためにも、斎藤氏は自ら進退を判断する時ではないのか。
斎藤氏の右腕だった副知事は辞職し、病欠の末に異動を申し出た幹部もいる。
県職員労働組合や県職員退職者で作る団体などは辞職要求もしている。
斎藤氏はこれまで、全ての疑惑を否定してきた。
アンケート結果については
「コミュニケーション不足で受け取りのずれが生じたことは残念」
などと述べ、業務上必要な範囲での適切な指導だと主張してきた。
だが、その認識は周囲の声から著しく乖離している。
県内の全29市で作る県市長会は、一連の対応を
「不適切」
だと断じ、早期の事態収拾を求める要望書を提出した。
斎藤氏への30日の尋問は、パワハラ問題を中心に行われた。
公益通報に関する尋問は9月6日に予定されている。
百条委は真相究明を尽くすと共に、ハラスメント防止のルール作りにも取り組む必要がある。
県と県議会は通報者を萎縮させない再発防止策を講じて初めて、県民のための県政運営が実現する。

「私の人生もそうだが、兵庫県政にとって大事な局面」 兵庫知事、テレビ番組はしご 出直し選への布石の見方
2024/9/21 17:02
https://www.sankei.com/article/20240921-4LVEI2LMMVPXJCDLGEFVE3JR3Y/
兵庫県の斎藤元彦知事は21日、民放の情報番組に出演し
「少しずつ自分の思いは固まりつつあるが、しっかり考えたい」
などと語った。
具体的な判断については明言を避けた。
斎藤氏は19日に県議会から全会一致で不信任を受けて以降、テレビ番組に相次いで出演。
告発文書を巡る対応の正当性を改めて主張すると共に、自身の実績を繰り返しアピールしており、
「出直し選に向けた布石ではないか」
との見方が出ている。
斎藤氏は21日の番組で
「今、色々考えている状況」
「私の人生もそうだが、兵庫県政にとっても大事な局面」
と強調。
29日までに辞職・失職、議会解散を判断する必要があるが、
「出来るだけ早く示せるようにしたい」
とし、判断については記者会見で発表する考えを明らかにした。
斎藤氏は20日も民放やNHK番組に出演。
告発文書は
「誹謗中傷性が高い文書だと今も思っている」
と主張。
自身の知事としての功績を一方的に述べ、質問に答えるよう促される場面もあった。
こうした動きについて、ある県議は
「自身が功績だと思っていることのアピールに躍起になっている」
「選挙運動のようだ」
と指摘。
辞職か失職かに関わらず、斎藤氏が出直し選に臨むのではないかとの見方を示した。
一方、議会解散の可能性もあり、県議選への準備も進む。
別の県議は神戸市内で街頭に立ち、不信任決議に至った経緯や考えなどを訴えた。
取材には
「議会解散には大義はない」
としつつも
「知事はどんな対応を取るか分からない」
と話した。

「自分の選択すべき道しっかり考える」斎藤兵庫知事、NHK番組に生出演、進退明言せず
2024/9/20 20:32
https://www.sankei.com/article/20240920-QCVVPBODQZOKLDDEBE3EF7OE7E/
パワハラなどの疑惑が内部告発された兵庫県の斎藤元彦知事は20日夜、NHKの解説番組「かんさい熱視線」に生出演し、
「自分がどういう道を選択すべきかをしっかり考える」
と語った。
兵庫県議会が19日に斎藤氏に対する不信任決議案を全会一致で可決し、斎藤氏は辞職・失職か議会解散かの決断を迫られている。
斎藤氏は20日の番組で、県議会の不信任決議を受けた現在の状況について
「結果として今の状況になっていることは大変申し訳ないし、心からお詫びしたい」
とした。
自身の進退については明言しなかった。
自身を内部告発した元県西播磨県民局長の男性(60)が作成した文書については
「誹謗中傷性が高い文書だと今も思っている」
と主張。
文書の作成者を徹底的に調べるよう部下に指示し、男性を懲戒処分とした対応についても
「誰が書いたかを把握して対応するのは、当時の判断としてはベストだった」
と強調した。
途中、自身の知事としての功績を一方的に述べ、アナウンサーから質問に答えるよう促される場面もあった。
問題をめぐっては3月、男性が斎藤氏のパワハラや贈答品受領の疑惑を記した告発文書を報道機関などに配布。
斎藤氏は文書について
「噓八百」
などと非難した。
男性は4月に県の公益通報窓口に通報したが、県は内部調査の結果、男性を懲戒3カ月の停職処分とした。

兵庫知事、週明けまで公務なく熟考か 不信任決議から一夜明け県庁には苦情電話400件
2024/9/20 19:39
https://www.sankei.com/article/20240920-6UKVTV6DOBIGNGKOR4I47C2OGE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、斎藤氏は不信任決議の可決から一夜明けた20日、県庁に登庁せず自身のX(旧ツイッター)に
「しっかりと考え、決めます」
などと投稿した。
週末の3連休も公務の予定はなく、今月29日までに辞職・失職か議会解散かの決断を迫られる中、今後の対応を熟考するとみられる。
斎藤氏がXの自身のアカウントを更新するのは、防災情報を除くと5月25日以来。投稿では
«県政が今の状況になっていること、県民の皆様にご心配やご不安を抱かせてしまっていること、まずは、心からお詫(わ)びします»
と不信任決議について謝罪し、
«大きな、重い判断になります。しっかりと考え、決めます»
と綴った。
一方、不信任決議を受け、県庁には20日、約400件の苦情電話などが寄せられた。
県広報広聴課によると、一連の問題が発覚した3月以降、県庁の電話や県のホームページなどに寄せられた苦情や意見は計1万5千件近くにのぼる。
最近は
「きっぱりと辞めた方が潔い」
「解散すれば多額の税金がかかる」
など、斎藤氏の進退に関する意見が目立つという。
斎藤氏は19日、県議会で不信任決議が全会一致で可決された後、記者団に
「これからしっかり考える」
などと述べ、進退や決断の時期を明言しなかった。
地方自治法の規定では、斎藤氏は29日までに議会を解散できるが、県議会事務局によると、20日夕時点で斎藤氏から解散の通知はない。

<主張>兵庫知事に不信任 身を引くべき重い可決だ
社説
2024/9/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20240920-6JCG5AAP45LCLK3S2Z3MTGCVVQ/
パワハラなどの疑惑が内部告発された兵庫県の斎藤元彦知事に対し、県議会が不信任決議案を全会一致で可決した。
決議には法的拘束力があり、斎藤氏は10日以内に議会を解散しなければ知事を失職する。
斎藤氏は
「結果責任は重い」
としつつも態度を保留した。
だが、全会一致の不信任は極めて重大だ。
潔く身を引くのが筋である。
決議案は県議会の全会派が共同提出した。
「これ以上の県政の停滞と混乱」
は許されないとし、令和7年度予算は
「新たに信任を得た知事の下で編成されるべきだ」
と辞職を求めた。
内部告発から約半年もの間、混乱が続いてきた県政の健全化に向けた妥当な判断である。
日本の地方自治は、首長と議会による二元代表制だ。
議会の不信任決議に首長は議会解散で対抗できるが、制度の目的は相互の牽制による健全な運営である。
これまで不信任案が可決されて議会を解散した知事はいなかった。
斎藤氏は議会解散の可能性を否定していないが、解散しても再び不信任を受けて失職する見通しである。
斎藤氏による解散権の行使は、自身の延命にしかならない。
厳に慎むべきだ。
一連の発端は、当時の幹部職員が3月、斎藤氏のパワハラなど7項目の疑惑を告発する文書を報道機関や県議に送ったことだった。
この職員は4月、県の公益通報窓口にも通報したが、県側は調査結果を待たずに懲戒処分とし、職員は7月に死亡した。
自殺とみられる。
斎藤氏は全ての疑惑を否定し、職員の処分も
「適切だった」
と主張している。
だが、疑惑を検証する県議会の調査特別委員会(百条委)では、県の対応は通報者に対する不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法に違反するとの指摘が相次いだ。
職員アンケートでは、約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答した。
昨年のプロ野球阪神・オリックス優勝パレードの資金集めのため補助金を増額し、企業協賛金としてキックバックさせたなど、告発された疑惑の解明はまだ途上である。
斎藤氏がどのような判断を下しても、県と県議会は真相解明に努めるとともに再発防止策を講じ、県政への信頼回復を図る必要がある。

全会一致の「三くだり半」に斎藤氏感情あらわさず 「噓八百」と断じて処分強行し問題拡大
2024/9/19 21:45
https://www.sankei.com/article/20240919-7TP3Z26EWJKDDNG77MIMZECJ24/
兵庫県の斎藤元彦知事に対する不信任決議案が19日、県議会で可決された。
半年前、自身のパワハラ疑惑などが記された文書の存在を把握して以降、作成者を特定して処分を強行し、その対応の正当性を訴え続けてきた斎藤氏。
しかし、待ち受けていたのは議会から知事への
「三くだり半」
となる不信任だった。
一連の経緯を振り返ると、問題拡大を招いた斎藤氏の言動が浮かび上がる。
次々と積み上がる賛成の白票。
19日、県議会議場の理事者席でただ一人、スーツにネクタイ姿の斎藤氏は、投票する議員らに淡々と会釈を繰り返した。
「白票86票、青票(反対)0票。」
「不信任決議案は可決しました」
午後5時38分、全会一致での可決を告げる浜田知昭議長の声が議場に響いた。
じっと前を見据える斎藤氏。
感情を消したかのような姿は、怒りを滲ませた半年前との落差を強く印象付けた。
3月27日の知事定例会見。
斎藤氏は自身や県幹部を誹謗中傷する文書を作成したとして、元県西播磨県民局長の男性(60)を強い口調で非難した。
「業務時間中に噓八百含めて文書を作って流す行為は公務員として失格だ」
この時点で、告発文書は一部の県議や報道機関などに送られただけだった。
だが、部長級幹部を解任し、目前に迫った退職を認めないという極めて異例の人事によって、県の対応に批判が集まるようになった。
内部調査の結果、県は文書の核心部分は事実ではないと結論付け、5月に男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
だが、調査を担ったのは知事の部下にあたる人事課職員。
斎藤氏は弁護士も調査に関わったことから
「調査は一定客観的」
と主張したが、
「中立性が担保されていない」
との批判が高まり、6月に県議会で調査特別委員会(百条委員会)が設置された。
7月7日、百条委での証言を控えていた男性が死亡した。
自殺とみられ、告発者を保護することなく、特定して人事措置を取った県の対応に、より厳しい視線が注がれることとなった。
百条委では、8月30日の証人尋問で
「(職員への対応で)行き過ぎた面があった」
と反省の言葉を述べる場面もあった。
ただ、公益通報者保護法違反を指摘される処分の経緯については
「法的に問題はない」
との見解を重ねて示し、今月6日には
「道義的責任が何かということが分からない」
と発言。
全議員による辞職要求から不信任へという流れを決定づけた。
「法的、内容も含めてきちっとやってきた面はある」。
不信任案の可決後、取材に応じた斎藤氏は自身の正当性への拘りを滲ませつつ、吹っ切るように語った。
「今の状況を招いているのは、私に責任がある」
「結果責任については負わなければいけない」

議会解散なら百条委再設置、報告書遅れも 兵庫知事不信任
2024/9/19 21:30
https://www.sankei.com/article/20240919-OJFYS7ENINPOLJTR4S4P4LU6SM/
兵庫県議会では、文書で告発された斎藤元彦知事などの疑惑を巡り、調査特別委員会(百条委員会)が年末の報告書提出に向けて調査を進めている。
議会解散となれば百条委もなくなり、改選後の県議会が設置を決めた後、引き続き調査することになる。
一方、弁護士による第三者調査委員会は斎藤氏の今後の判断に左右されず、疑惑の真偽の解明に当たる。
斎藤氏が議会解散を決めた場合の百条委の審議について、自民党県議は
「中断は避けられない」
と述べた。
県議選が実施されれば、現時点で予定している年末の報告書提出が、後ろにずれ込む可能性もある。
第三者調査委は、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)を懲戒処分とした県人事当局の内部調査の中立性を県議会が疑問視し、設置された。
18日に初会合があり、県弁護士会の弁護士6人を委員などとし、職員らへのヒアリングなどを通じ、来年3月ごろに報告書を取りまとめるとした。
関係者は、斎藤氏の不信任決議案可決の影響について
「調査委は独立しており、影響は不明」
としている。

苦肉の全会一致、兵庫知事不信任 維新、迷走の末に賛成
2024/9/19 21:20
https://www.sankei.com/article/20240919-MQTUEMXFAFKTZBN2KLI6RXEZHA/
兵庫県議会は19日、斎藤元彦知事に対する不信任決議案を全会一致で可決した。
内部告発文書に端を発した
「県政の混乱」
を理由に、辞職を頑なに拒む斎藤氏に、議会がなし得る最後の一手を繰り出した。
もっとも、ここに至るまで各党の思惑は入り乱れ、文書で指摘された斎藤氏の疑惑の解明を脇に置いて、結論だけを先取りした感が否めない。
議会の仮初めの大同団結は、停滞打破の一歩となるのか。
■「退く口実」
「知事が何を考えているか、全く分からない」
「おかげで候補者も定まらないまま知事選に突入しなければならない」
県議会最大会派の自民党のあるベテラン県議が嘆息する。
前回県議選からまだ1年半しか経っていないが、斎藤氏が議会解散に踏み切る可能性も否定できない。
選挙費用の負担を考えれば、不信任は取りたい手段ではなかった。
議会開会に先立ち、全議員86人による辞職申し入れというステップを挟んだのも斎藤氏に退く口実を与えたかったから。
だが法的拘束力のない示威行為でしかないことは明白。
粘る斎藤氏に、それだけ議会も追い詰められていたと言える。
前回知事選では、日本維新の会とともに斎藤氏を推薦した自民。
もっとも井戸敏三前知事の後継に当たる対立候補の支持を主張した議員も多数いた。
3月に浮上した文書問題への対応では、県議会の
「伝家の宝刀」
と言われる調査特別委員会(百条委員会)の設置に賛成するなど、斎藤氏の疑惑を追及する姿勢を早々に打ち出してはいた。
■遠のく真相解明
だが斎藤氏の辞職を求める世論が、調査のスピードをはるかに上回って燃え上がり、疑惑解明よりもクビ切り≠フタイミングを計らざるを得なくなった。
斎藤氏の2回目の証人尋問が予定されていた6日は、自民県議らの間で
「政局」
と位置付けられ、斎藤氏の答弁を受け、一気に
「不信任やむなし」
に傾いた。
一方、自民と相乗りで斎藤氏を推した維新は迷走した。
6月の百条委の設置には反対し、第三者機関の調査を優先すべきだと訴えた。
吉村洋文共同代表(大阪府知事)は7月下旬の時点で
「何が事実で、何が事実でないか、有耶無耶にしたまま終わりにするのは違う」
と調査優先の考えを強調していた。
潮目が変わったのは、8月25日の大阪府箕面市長選。
大阪維新の会公認の現職が敗北し、党内に衝撃が走った。
兵庫県政における斎藤氏擁護ともとれる姿勢が、拠点の大阪に影響したと深刻な受け止めが広がった。
吉村氏の当初の発言とは裏腹に、維新は百条委の調査を待つことなく不信任に舵を切る。
「結果が出てから判断すると申し上げてきたが方針転換する」
「批判は真正面から受けたい」。
維新の藤田文武幹事長はこう釈明したが、議会での真相解明は遠のいた。
■「ポスト斎藤氏」見えず
不信任を突き付けられた斎藤氏は、議会解散か身を引くか、19日の段階では態度を留保した。
もっとも議会解散を選んでも、改選後の再度の不信任決議は確実といえ、知事選は避けられない。
自民内部では次の候補者として
「県政の混乱を収束させるには、県庁内部の人材が適切」
との意見も上がる。
一方、県政改革を訴えてきた維新は外部人材の登用が大前提だが、候補者選びは難航しそうだ。
ポスト斎藤≠フ青写真は、いずれの党も明確とは言えない。
「どの事実が歪曲された事実なのかを整理してパネルにし、会見やSNS、ブログで発信したらいい」
「放っておいても誰もやってくれません」
大阪維新の横山英幸幹事長(大阪市長)は、斎藤氏の発信力について自身のブログでこう苦言を呈した。
そして元総務官僚の斎藤氏を担いだことを自戒するようにこう記した。
「首長は政治家です。役人じゃない」

10日以内に辞職か議会解散か 斎藤知事を全会一致で不信任、兵庫県議会
2024/9/19 21:01
https://www.sankei.com/article/20240919-E6ST7F7Y7NL6LMVESYU2NE46VU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会は19日、全会派が共同提出した斎藤氏の不信任決議案を全会一致で可決した。
10日以内に辞職・失職か議会解散を迫られる斎藤氏は記者団の取材に
「結果責任は重い」
「しっかり考えて決断する」
と述べた。
総務省によると、知事に対する不信任決議は記録が残る昭和41年以降、全国で5例目。
解散を選べば初となる。
3月の疑惑発覚から約半年に渡り物議を醸した告発文書問題は大きな節目を迎えた。
斎藤氏は19日、県議会議長から通知を受けた。
議会を解散するかの判断期限は29日となる。
今後の対応については記者団に
「兵庫県にとって何が大事か、自分に問いながら考えていきたい」
と述べ、態度を留保した。
最大会派自民党などは12日に辞職を要求。
斎藤氏が応じないため不信任案提出に踏み切った。
不信任案では、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月死亡=を公益通報後に懲戒処分とした対応などを問題視。
「告発文書への対応が不適切で、県政に長期に渡る深刻な停滞と混乱をもたらした政治的責任は免れない」
と指摘した。
19日の本会議で提案理由を説明した自民党は
「県民と県職員からの信頼回復は見込めず、これ以上県政を担い続けることは不可能」
とした。
問題を巡っては3月、男性が斎藤氏のパワハラや贈答品受領の疑惑を記した告発文書を報道機関などに配布。
斎藤氏は文書について
「噓八百」
などと非難した。
男性は4月に県の公益通報窓口に通報したが、県は内部調査の結果、男性を懲戒3カ月の停職処分とした。
疑惑を調査する県議会の調査特別委員会(百条委員会)では、県の一連の対応について、通報者への不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法に違反するとの指摘が有識者から出た。
斎藤氏は証人尋問で自身の責任を問われ
「道義的責任が何か分からない」
と発言し、批判が集まっていた。

斎藤兵庫知事が不信任の通知を受領、解散判断の期限は29日に
2024/9/19 19:30
https://www.sankei.com/article/20240919-BBLYPSWD3BI6PH6XTAYJDP3WIQ/
兵庫県の斎藤元彦知事は19日夜、この日の県議会で、全会一致で可決・成立した自身への不信任について、浜田知昭議長から通知を受けたと明らかにした。
斎藤氏による議会解散の判断の期限は29日となる。
解散や辞職を選択しなければ、30日午前0時で失職する。
地方自治法は、議長から知事への通知から10日以内に議会を解散できると定めている。
県庁からの退庁時、斎藤氏は記者団に
「重い判断なので、しっかり自分自身と向き合いながら考えていく」
と話した。

選挙経費30億円超とも、知事選と県議選両方実施なら 斎藤知事不信任案可決
2024/9/19 18:20
https://www.sankei.com/article/20240919-EJROKIFV3ZI3ZMG52QCCAGKF7I/
兵庫県議会で不信任決議を受けた斎藤元彦知事が今後、議会解散に踏み切った場合、県議選が行われる。
再選後の県議会で不信任案が改めて可決されれば、斎藤氏は失職。
その後、知事選も実施され、選挙にかかる事務的経費は、単純計算で30億円を超える。
議会解散権は地方自治法に基づく権限とはいえ、斎藤氏が掲げてきた行財政改革に逆行するとの批判も集まりそうだ。
県選挙管理委員会によると、これまでの選挙実績を踏まえ、知事選は約18億円、県議選には約16億円の費用がそれぞれかかると想定される。
両選挙が別の日に行われた場合、単純計算で30億円以上の費用が必要になる。
同日選であれば費用は圧縮されるという。
今回の不信任案可決を受け、斎藤氏は10日以内に県議会を解散するか判断する。
辞職することもでき、解散しなければ失職し、50日以内に知事選が行われる。
議会解散を選択すれば、40日以内に県議選があり、再構成された県議会で改めて不信任案が可決されれば、斎藤氏は失職する。
いずれにしても知事選は避けられない情勢だ。
斎藤氏が辞職し、出直し選で当選した場合、公選法の規定により、在任期間は辞職前の任期である来年7月末までで、改めて知事選を行う必要がある。
議会解散の場合、昨年4月の統一地方選からわずか1年半余り後に再び県議選を行うことになる。

不信任案可決で斎藤知事「状況招いたのは私に責任」 今後の判断「しっかり考える」
2024/9/19 18:06
https://www.sankei.com/article/20240919-HDPYHWDPAZIGBO367ZXP2S3EB4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、自民や維新など県議会(定数86)の全会派が共同で提出した斎藤氏の不信任決議案が19日午後に全会一致で可決されたことを受け、県議会終了後に記者団の取材に応じた斎藤氏は
「結果責任としては重い」
「今の状況を招いたのには私自身に責任がある」
と述べた。
斎藤氏は地方自治法に基づき、可決の通知から10日以内に議会を解散できる。
解散しなければ失職する。
今後の判断については、
「しっかり考えることが重要」
とした上で、表明のタイミングは
「予めお伝えしたい」
と説明した。
この日の県議会での採決では、出席した86人の議員全員が決議案に賛成した。
議会への思いについては
「コロナ対応で大変な時、予算や条例にもご協力、ご理解を頂いてきた」
「議員の皆さま86人全員に対して、今でも心から感謝の気持ちを持っている」
と述べた。

斎藤知事の不信任案を可決 兵庫県議会、出席の86人全員が賛成
2024/9/19 17:36
https://www.sankei.com/article/20240919-NNVQ34IJ45MG3NX3HPBJCCPCGA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会(定数86)は19日、自民や維新など県議会全会派が共同で提出した斎藤氏の不信任決議案を可決した。
出席した86人全員が決議案に賛成した。
斎藤氏は地方自治法に基づき、可決の通知から10日以内に議会を解散できる。
解散しなければ失職する。
斎藤氏は同日午前、記者団の取材に応じ、不信任決議案について
「大変重い議決」
「成立した場合、法律の規定に沿って様々な選択肢を考えていく」
と説明。
判断の時期を問われると
「私と県政にとって大事な判断になる」
「タイミングも含めて熟慮する」
と述べていた。

「嘘八百」「道義的責任分からない」不信任案提出の斎藤知事 発言で物議
2024/9/19 16:59
https://www.sankei.com/article/20240919-2WXS6IMRT5IIPG4RFDVE45UICA/
兵庫県議会で19日、不信任決議案が提出された斎藤元彦知事の発言は様々な場面で物議を醸してきた。
自身の疑惑を告発した文書について、調査前から
「噓八百」
と断じた。
文書を公益通報の対象としなかった一連の対応や、県職員アンケートでパワハラ疑惑が相次いで指摘される状況を県議会調査特別委員会(百条委員会)で追及された際は
「道義的責任が何か分からない」
と語った。
不信任案が可決されれば、今後は自身の進退を巡る発言に注目が集まる。
斎藤氏は3月27日の記者会見で、自身の疑惑を指摘する告発文書の内容を
「噓八百」
と断じ、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)を
「公務員として失格」
と批判した。
県は同月末の男性の退職を保留し、内部調査だけで5月に男性を停職3カ月の懲戒処分にした。
斎藤氏は8月7日の記者会見で、処分が公益通報者保護法に反するとの有識者の指摘に対し
「弁護士と相談しながら公益通報の保護対象でないという見解を得た」
と反論。
百条委事務局が実施した県職員アンケートで斎藤氏のパワハラ疑惑が続出したにもかかわらず、9月6日の百条委の証人尋問では、告発文書への対応について
「手続きに瑕疵はない」
との姿勢を貫き、委員から道義的責任を感じないかを問われると
「道義的責任というのが何かが分からない」
と答えた。
今月に入り、県議会側から辞職要求を受け、11日の会見では、3年前の前回知事選で自民党の一部県議から支援を受けたことに触れ
「こういう状況になったことは申し訳ないなという思い」
「自分自身に対して悔しい」
と涙ながらに述べた。
ただ不信任案可決が確実な情勢になっている18日には記者団に
「県政改革を前に進めていくことが、私の責任の果たし方」
と続投する意向を改めて示した。

「県政担うこと不可能」と理由説明、兵庫知事不信任案提出で
2024/9/19 16:52
https://www.sankei.com/article/20240919-3QDGLBBHFJKXXPZAPQOUAM3XSI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会の全会派が19日に共同で提出した斎藤元彦知事への不信任決議案について、自民の代表者は
「県民と県職員の信頼回復はかなわずこれ以上、県政を担い続けることは不可能」
などと提案の理由を述べた。

斎藤兵庫知事の不信任案を提出 県議会の全会派
2024/9/19 16:26
https://www.sankei.com/article/20240919-JLNQJP5FEFK6ZLVM4OGBDLYWGU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、自民や維新など県議会の全会派が19日、斎藤氏の不信任決議案を提出した。
提案理由の説明と各会派の討論の後、採決へと移る。
可決は確実で、斎藤氏は地方自治法に基づき、可決の通知から10日以内に議会を解散できる。
解散しなければ失職する。
斎藤元彦知事は同日午前、記者団の取材に応じ、県議会で午後に可決される見通しの不信任決議案について
「大変重い議決」
「成立した場合、法律の規定に沿って様々な選択肢を考えていく」
と説明。
判断の時期を問われると
「私と県政にとって大事な判断になる」
「タイミングも含めて熟慮する」
と述べるにとどめている。

「県政の停滞と混乱、県益の損失許されない」 兵庫知事への不信任決議案全文
2024/9/19 15:55
https://www.sankei.com/article/20240919-2RZ7B4YXVJKJHB2MFGY3GIVWNM/
兵庫県議会の全会派や無所属議員が共同で提出する斎藤元彦知事に対する不信任決議案は次の通り。
元県民局長が斎藤知事はじめ県幹部に向けた告発文書を巡る一連の問題が惹起されてから、約半年が経過した。
県政は混乱を極め、156年の歴史を誇る我が雄県兵庫は危機的状況に直面している。
まず、文書問題調査特別委員会の調査の中で、告発文書の内容に真実が存在し、文書が
「噓八百」
ではなく、告発者への対応が告発者探しや情報漏洩の疑いを指摘されるなど不適切と言わざるを得ないことが明らかになったにもかかわらず、知事は
「真実相当性がない」、
「誹謗中傷性が高い」
として県の対応が適切であったとしているが、専門家は公益通報者保護法の見地から
「兵庫県は今も違法状態」
と断じている。
現時点で詳細な要因は明らかでないが、元県民局長の命を守れなかったという厳然たる事実は大変重く、責任は大きい。
次に、日本国憲法に則り県民の生命と財産を守ることを使命とする行政の長たる知事の職責を果たすためには、県民・県職員の模範として、法令遵守は当然のことながら、人として守るべき倫理・道徳や人権感覚に基づく道義的責任がより強く求められるが、
「道義的責任が何かわからない」
との知事の発言から、その資質を欠いていると言わざるを得ない。
そして、告発文書への初動やその後において、対応が不適切、不十分であったことにより、県民の信頼を損ない、県職員を動揺させ、議会を巻き込み、県政に長期に渡る深刻な停滞と混乱をもたらしたことに対する政治的責任は免れない。
本県及び県民の誇りを失墜させてしまった今、県民及び県職員からの信頼回復は到底見込めず、県政改革を着実に進めなければならないこの大変重要な局面において、斎藤県政がそれに応えることは困難な状況である。
ここまで申し述べたとおり、斎藤知事の責任は重大である。
これ以上の県政の停滞と混乱、県益の損失は許されるものではなく、県民本位の健全な県政と職員が安心して働ける職場を一日も早く取り戻し、来年度予算は新たに県民の信任を得た知事の下で編成されるべきである。
よって、本県議会は、斎藤元彦兵庫県知事を信任しない。
以上、決議する。
令和6年9月19日
兵庫県議会

兵庫・斎藤知事の不信任案、夕方にも全会一致で可決へ 9月議会の議会運営委員会始まる
2024/9/19 10:06
https://www.sankei.com/article/20240919-5NJVDLPYNFOAZOSY5LUMTQC44U/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、斎藤氏に対する不信任決議案が提出される県議会9月議会に向けた議会運営委員会が19日午前、始まった。
同日夕にも全5会派と無所属議員4人が不信任決議案を共同提出し、全会一致で可決される可能性が高い。
斎藤氏は可決後10日以内に身を引くか、議会解散かを迫られることとなり、約半年に渡って物議を醸した文書問題は重大局面を迎えた。
同日午前の議会では、補正予算案などについて審議。斎藤氏が議案の提案説明を行い、各会派による質疑が行われる。
不信任案は、同日午後に各会派と無所属議員4人が共同提出し、最大会派の自民党が提案理由を説明後、各会派による賛成討論が行われる。
起立方式ではなく、記名による投票で即日採決されるとみられる。
関係者によると、不信任決議案では、告発文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月死亡=を公益通報後に懲戒処分した対応や、県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問での斎藤氏の発言を問題視。
「告発文書への対応が不適切で、県政に長期に渡る深刻な停滞と混乱をもたらした政治的責任は免れない」
と指摘している。
不信任案が可決されれば斎藤氏は10日以内に辞職または失職するか、県議会を解散するかを選択することになる。
議会を解散した場合でも、改選後の県議会で再び不信任案が提出され、出席議員の過半数の賛成で可決されれば、斎藤氏は失職する。

「臆せず情報提供を」兵庫・斎藤知事の文書問題で第三者委を設置 委員などに弁護士6人
2024/9/19 9:08
https://www.sankei.com/article/20240919-HRPSR4WBB5PA5JNS7KR2TBIB3Q/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、文書に記された7項目の疑惑の真偽を解明するための第三者調査委員会の初会合が18日、開かれた。県弁護士会の弁護士6人を委員などとし、報告書は来年3月をめどに取りまとめる。委員長に選任された藤本久俊氏は会合終了後、報道陣の取材に「責務の重大さは身の引き締まる思い。調査を尽くしてまいりたい」と述べた。
告発文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)の懲戒処分を決めた人事当局の内部調査の中立性を県議会が疑問視し、斎藤氏に第三者機関の設置を要請。斎藤氏が5月に設置を決定し、代表監査委員に準備を委任していた。
準備会では、委員や調査を補助する調査員として県弁護士会に推薦された弁護士6人を候補に決定。7項目の疑惑に加え、文書を公益通報の対象としなかった県の取り扱いについても対象とするよう、第三者機関へ要望するとしていた。監査委員事務局は今月12日付で6人と委託契約を締結した。
この日の初会合では、委員長に藤本氏を選任。今後の調査の流れや県へ請求する資料の確認などを行った。速やかに職員など関係者のヒアリングの実施や、ホットラインを立ち上げて情報提供を募る予定とした。公益通報も調査の対象とする可能性もあるとした。
藤本委員長は「調査が(県が)適切な組織づくりができる一助となれば。職員には非公開なので臆せずに情報提供していただきたい」と述べた。

瀬戸際の斎藤元彦兵庫知事 かつて上司の宮城・村井嘉浩知事は「一番重要なのは県民の声」
2024/9/18 15:57
https://www.sankei.com/article/20240918-U4ZX7AO6WRNTXKDJW5GS76KSBA/
兵庫県議会の不信任案提出の動きに対し辞職せず解散も辞さない構えを示している斎藤元彦知事について、斎藤氏のかつての上司である宮城県の村井嘉浩知事(全国知事会長)は18日の定例記者会見で
「自分で判断していただきたい」
「ただ、一番重要なのは県民の声がどこにあるかだ」
「それは私にはわからない」と述べた。
村井知事は直近の知事会以降、斎藤知事とは1度だけ事務的な連絡を取ったという。
「自分が同じ立場になったら、どう判断するのか」
の質問には、
「その時、考える」
と一言。
「自分自身は知事の椅子にしがみつくつもりはサラサラない」
としたうえで、一般論として
「自分が正しいと思ったことに議会が理解してくれない、『辞めろ』というならば、法律に則って判断することは当然あるだろう」
と話した。
斎藤知事は自身で
「応援する声も多くある」
と記者団に語っているが、村井知事は
「がんばれと応援する声もあれば、辞めろという声もあると思う」
「色々な意見を聞いたうえで、自身で判断すればいいと思う」
と語った。

斎藤知事、「県政改革を止めないのが私の責任の果たし方」 改めて辞職否定
2024/9/18 14:55
https://www.sankei.com/article/20240918-4I57NW2DPVIWVD2AZXUWR4YVOQ/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、19日開会の県議会に全会派一致で不信任決議案が提出されることについて、斎藤氏は18日午後、報道陣の取材に
「県政改革を止めないで前に進めていくということが私の責任の果たし方」
と述べ、辞職を改めて否定した。
不信任案は即日採決の上、可決されるのが確実な情勢。
斎藤氏は10日以内に議会解散か失職かを選択することになるが
「どのように対応していくかはこれから考えていく」
とし、解散の可能性も否定していない。
議会関係者によると、不信任案は他の議事が終了後、19日午後に自民が提出する予定で、各会派代表者が賛成討論を行う。
記名投票になるとみられ、採決は同日夕以降になる見通し。
不信任案が可決されれば斎藤氏は辞職か10日以内の県議会解散を選択することになる。
議会を解散した場合、県議選後の最初の県議会に不信任案が提出され、出席議員の過半数の賛成で可決されれば、斎藤氏は失職する。

知事による初の議会解散はあるか 兵庫知事問題は重大局面へ 市町では過去に解散事例も
2024/9/18 7:00
https://www.sankei.com/article/20240918-LELWLTSEL5IVNGSP4ARTDXOOSA/
知事に対する不信任決議案可決の事例
兵庫県の斎藤元彦知事に対する不信任決議案が19日に可決された際、斎藤氏が議会解散を選択するかが焦点となっている。
都道府県知事への不信任案が可決されたのは過去に4例。
いずれも失職か自ら辞職しており、斎藤氏が議会を解散すれば初となる。
斎藤氏は解散に含みを持たせるが、不信任に至る経緯や選挙費用の面から、専門家は
「議会解散は慎重に判断すべきだ」
と指摘する。
「法律に基づく決議なので、それに沿って自分としてどのように対応していくかをしっかり考えていきたい」
斎藤氏は17日、記者団の取材に、不信任決議を受けた場合の対応についてこう答えた。
「これからも改革を続けていきたい」
とも述べ、辞職や失職を選択しない考えをにじませた。
不信任決議は地方自治法で規定されており、不信任を受けた首長は議会を解散できる。
それぞれ住民から直接選ばれる首長と議会による二元代表制を採用する地方自治では、首長の失職につながる議会側からの不信任への対抗手段として、解散権が認められている。
■知事不信任決議後の主な流れ
都道府県知事に対する不信任案が可決されたのはこれまでに4件。
いずれも知事が辞職か失職を選び、議会が解散されたことはない。
このうち、昭和51年の岐阜県・平野三郎氏と平成18年の宮崎県・安藤忠恕(ただひろ)氏は、汚職や談合での刑事責任を問われる事態となっており、いずれも可決後に辞職。
その後の知事選へも出馬しなかった。
平成15年の徳島県・大田正氏は、大型公共事業の見直しなどに議会が反発し、不信任案が可決された。
大田氏は、失職して出直し選挙に臨んだが、落選した。
不信任を受けた後も知事を続けることができたのは、平成14年の長野県・田中康夫氏だけ。
「脱ダム宣言」
を打ち出した田中氏と対立した県議会が不信任案を可決。
田中氏は失職したが、出直し選挙で圧勝した。
一方、市町では不信任を受けた首長が議会解散を選択するケースも。
兵庫県加西市で平成19年、中川暢三氏への不信任案が可決。
中川氏は議会を解散したが、改選後の市議会でも不信任案が可決され失職。
出直し選で再選を果たした。
鹿児島県阿久根市では21年、市政運営が独善的などとして竹原信一氏の不信任案が可決。
竹原氏は市議会を解散し、再度不信任を受け失職したが、出直し選に勝利した。
斎藤氏は知事として初の議会解散に踏み切るのか。
今後、知事選には18億円程度の費用が見込まれるが、県議選も行われればさらに16億円程度が必要となる。
こうした点を踏まえ、近畿大の上ア哉教授(行政学)は
「議会解散を選択しても再び不信任を受け、失職する可能性は高く、知事の延命に過ぎなくなるのではないか」
と指摘。
「多額の税金をかけたり、さらに県政が停滞したりするだけの理由があるのかどうかを判断し、選択していくべきだ」
としている。

兵庫県議会、19日に不信任案提出へ 採決は夜か 知事は取材に「知事の判断は孤独」
2024/9/17 22:29
https://www.sankei.com/article/20240917-4R5IGAVL7VPGDAVQRQAGCASTU4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会各会派の代表者会議が17日開かれ、9月定例会初日の19日午後に、斎藤氏に対する不信任決議案を提出することを確認した。
採決は同日夕から夜になる見通しで、全会一致で可決されるとみられる。
斎藤氏は17日、県庁で記者団の取材に応じ、不信任案が可決された場合の対応について
「法律の規定に沿ってどうするか考える」
と従来の見解を繰り返した。
「知事の判断には孤独な面がある」
とし、
「自分でしっかり考え、政治家としての対応を決断していく」
とも語った。
非公開で行われた代表者会議では、19日の議事進行などを協議した。
関係者によると、午前に補正予算案などが提出され、斎藤氏の提案説明を受けて各会派が質問。
常任委員会などを挟んで午後に予算案を可決した後、不信任案の審議に移るという流れが想定されている。
最大会派の自民党が、全会派の代表者と無所属議員連名の不信任案動議を提出。
全会派と無所属議員による討論を経て、記名投票が行われる見通しで、正式なスケジュールは19日の議会運営委員会で決まる。
不信任案が可決されれば、斎藤氏は10日以内に県議会を解散することができる。
自ら辞職することもでき、解散しなければ自動的に失職。
50日以内に知事選が行われる。
議会解散を選択すれば、40日以内に県議選があり、再構成された県議会で改めて不信任案が可決されれば、斎藤氏は失職する。

<主張>兵庫県知事 身を引く決断するときだ
社説
2024/9/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20240914-NHX53YZBMBIEBFS5332JLVEWUE/
パワハラなどの疑惑が内部告発された兵庫県の斎藤元彦知事に対し、86人の全県議が辞職を求める事態となっている。
斎藤氏が応じなければ、19日開会の9月議会で不信任決議案が提出され、可決される可能性が濃厚だ。
知事の職責を果たすのが難しい状況となった以上、斎藤氏は潔く身を引く決断を下すべきだろう。
発端は幹部職員が3月、知事のパワハラなどを告発する文書を報道機関や県議に送付したことだった。
4月には県の公益通報窓口にも通報したが、県は調査結果を待たずにこの幹部を懲戒処分にした。
幹部は7月に死亡した。
自殺とみられる。
県議会調査特別委員会(百条委)による全職員アンケートでは、約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答した。
百条委が参考人として招いた公益通報保護法の専門家は県の対応について、通報を理由とした不利益な扱いを禁じた同法に違反すると指摘した。
斎藤氏は全ての疑惑を否定し、幹部の懲戒処分も
「適切だった」
と訴えてきた。
一方で百条委の証人尋問では、職員に対し大声を出したり、勤務時間外にチャットで職員を叱責したりしたことなどを認め、
「反省したい」
とも述べた。
一連の対応が不適切だったのは明白だ。
斎藤氏は辞職要求に対し
「選挙で負託を受けた」
として
「これからも県民のためにやっていきたい」
と応じない構えを見せた。
これまで行財政改革などを遂行したことへの自負や、今後更に手腕を発揮したいという思いもあるのだろうが、県議も選挙で負託を受けた県民の代表である。
全県議の辞職要求は県民の声と受け止めるべきだ。
不信任案が可決された場合、斎藤氏は10日以内に議会を解散しなければ失職する。
解散を選べば県議選が行われるが、改選後の議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任決議が成立し、議会から通知を受けた時点で失職する。
都道府県議会での不信任案可決は過去に4件あるが、知事が解散を選んだ例はない。
斎藤氏は
「自分がどういう道を進むべきかは自分が決める」
と述べたが、県政の混乱が長引けば、困るのは県民だということを自覚すべきだ。
失職に追い込まれる前に自ら辞職を申し出るのが政治家としての筋ではないか。

兵庫斎藤知事、迫られる失職か議会解散 県議会維新も不信任案共同提出、19日可決へ
2024/9/13 21:25
https://www.sankei.com/article/20240913-UH3PUOZBGRMPHOH5Y5552VPK6Q/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、日本維新の会の県議団は13日、9月議会開会日の19日に斎藤氏への不信任決議案を他会派と共同提出することを決めた。
維新県議団幹部が主要3会派に伝えた。
これで全県議が開会日の提出で一致し、即日採決・可決が確実な情勢となった。
斎藤氏は失職か議会解散かの選択を迫られることになる。
斎藤氏は13日午前、報道陣の取材に続投の意向を強調。
「(文書問題を)招いた責任はあるが、改革の歩みを止めるわけにはいかない」
「県民の未来を託されている」
と述べた。
最大会派の自民党をはじめ各会派などは12日に即時辞職を申し入れたが、拒否する姿勢を示されたことから不信任案提出を協議。
19日とする自民の案で多くの会派が合意し、維新も同調することになった。
13日は各会派が来年度当初予算に向けた県への重要政策提言を実施。
例年は知事に文書を手渡し議論の場を設けるが、各会派の要請で斎藤氏の出席が見送られ、副知事が対応した。
立憲民主党県議らでつくる「ひょうご県民連合」の迎山志保政調会長は
「不信任案が出て可決するのは確実」
「政策提言する相手は知事ではない」
と説明した。
不信任案の可決は議員3分の2以上が出席した上で、出席議員の4分の3以上の賛成が必要。
可決の場合、斎藤氏が10日以内に議会を解散しなければ失職する。
議会を解散した場合は、改選後の県議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任案が成立。
斎藤氏は議会から通知を受けた時点で失職する。

兵庫・斎藤元彦知事の進退「県民が一番迷惑。決断すべき時期」松沢成文前神奈川知事
2024/9/13 16:39
https://www.sankei.com/article/20240913-BQ5LIEIUR5HM7PFUSTFWVVE7YI/
前神奈川県知事で、日本維新の会の松沢成文参院議員は13日のフジテレビ番組で、兵庫県議会の全議員から辞職を求められている同県の斎藤元彦知事について、
「政治家の出処進退は最高の政治倫理だ」
「最後は倫理観を示し、自分の進路を決断すべき時期に来ている」
と指摘した。
斎藤氏を巡っては、9月の県議会開会日の19日に不信任決議案が提出され、可決される公算が高まっている。
松沢氏は
「不信任案が出た時点で決断して失職すべきだ」
「レッドカードに近い」
と指摘。
県庁職員のモチベーションについて、
「今回は知事が県職員にパワハラをして、公益通報制度があるのに職員を守らず自死に追い込んだ」
と断じた。
「相当知事に対する恨みはたまっているだろう」
「辞めていく職員も増える」
「県庁の活力が無くなり、結果、県民が一番迷惑する」
とも語った。
斎藤県政の展望については
「県議会との関係が冷却し、人事案件は通らなくなる」
「ほぼ機能不全だ」
と指摘し、
「兵庫県政が停滞したからには、知事に退場してもらい、次の知事を選び直すというプロセスは必要不可欠だ」
「早く次の知事を選んで、県政を立て直すべきだ」
と語った。
不信任案が可決された場合、知事は地方自治法に基づき、県議会の解散か失職を選ぶことになる。
斎藤氏は13日、可決された場合の対応について記者団に
「法律に則って、様々な選択肢があるので、それをしっかり考えていく」
と述べるにとどめている。
松沢氏は平成15〜23年に神奈川県知事を2期務めた。

「道義的責任が何かわからない」発言に看過できない 斎藤兵庫県知事に自民など4会派が辞職を申し入れ 
2024/9/13 12:55
https://www.sankei.com/article/20240913-QUQ6LZJXU5ITBFHJZSRDSEX7D4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民など4会派は12日、無所属議員4人と共同で斎藤氏の
「即時辞職」
を申し入れた。
申し入れ書の内容は次のとおり。
文書問題が惹起されてから約半年。
現在、県政への信頼は大きく損なわれ、県民のみならず全国から厳しい批判が寄せられている。
我々、兵庫県議会は51年ぶりに百条委員会を設置し、知事はじめ県幹部に向けられた7つの告発内容について真偽を明らかにすることを通じて県政の信頼回復に全力を傾注してきた。
一方、斎藤知事は、告発文書の内容に真実が存在し、文書が
「嘘八百」
ではないことが明らかになったにもかかわらず、
「文書に真実相当性がない」
という従来からの考え方を変えることなく頑なな姿勢を取り続けている。
加えて、
「道義的責任が何かわからない」
と看過できない発言が飛び出した。
参考人招致した専門家からも、公益通報者保護法からみて
「兵庫県は今も違法状態」
と断じている。
知事という職責を果たすためには、法令遵守は当然のことながら人として守るべき倫理や道徳といった道義的責任がより強く求められるが、知事の発言からは道義的責任を有している態度を見出すことはできない。
県民本位の健全な県政と職員が安心して働ける職場を1日でも早く取り戻し、新たに信任を得た知事のもとで来年度予算を編成するためには、斎藤知事の即時辞職が必要である。
よって、速やかに兵庫県知事の職を辞すことを求める。
なお、9月定例県議会までに自ら辞職を決断しない場合には、次に然るべき行動に移る覚悟である。

「感情高ぶり申し訳なかった」斎藤兵庫県知事、県議会からの辞職要求受け会見
2024/9/13 11:23
https://www.sankei.com/article/20240913-JE6UUUSSFNMHZD2JL7BH3RJVXU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民など4会派は12日、無所属議員4人と共同で斎藤氏の
「即時辞職」
を申し入れた。
自民などは不信任決議案について9月議会で提出する方向で調整している。
斎藤知事は申し入れを受け、記者団の取材に応じた。
ーー全議員からの辞職要求の申し入れを、どう受け止めたか
内容についても拝見したが私の政治姿勢に対する大変厳しい指摘を受けた。
しっかり真摯に受け止めなければならない。
今の思いとしては、文書問題の調査への対応、これから9月議会が始まるので県民生活を支えるために補正予算を出していく。
物価が大変上がっている。
具体的に家計応援キャンペーンということでプレミアム付きの商品券的なものをさせて頂く予定だ。
100億円の補正予算を提出させて頂く。
来年度予算についての議論も今本格化している。
議会からの指摘は大変重い。
私自身も、至らない点、良くない点もあるかと思うが、それでもなお県政を担をわせて頂きたい。
ーー不信任決議案の可決の動きが本格化する
不信任決議案が提出可決されれば私としては法律に則って様々な選択肢があるのでそれをしっかり考えていく。
ーー昨日、涙する場面もあったが、迷いや不安は
それは私も人間で一人の斎藤元彦という個人なので昨日は感情が高ぶりたいへん申し訳なかった。
やはり日々の文書問題に関して百条委への対応もそうだが、緊張したり不安になったりすることはある。
ーー全会派からの辞職要求は異例
こういった状況になっていることは私の努力が至らなかったからだ。
心から申し訳ないと思っている。

斎藤知事の不信任案巡り、自民と維新が主導権争いか 19日提出に前倒しの内幕
2024/9/13 7:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3Z7TY5WOVZNPLBE7WVHRH2HJLQ/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題は12日、県議会の全議員が斎藤氏に辞職を求める異例の事態に発展した。
斎藤氏はこの日も拒否する姿勢を変えず、県議会では不信任決議案の提出に向けた調整が本格化。
9月議会開会日の19日に提出、即日採決され、可決の公算が大きくなっている。
背景には斎藤氏への不信感の高まりとともに、一連の問題で主導権を握りたい主要会派の思惑も透ける。
■「しかるべき行動に」
「全会派、全議員が一致して辞職を求めることが一日も早く県政を正常化し、前に進めるための一歩となる」
即時辞職の文書を提出した後、県議会最大会派・自民党の北野実幹事長はこう強調した。
文書では、9月議会開会までに辞職しない場合は、不信任案を念頭に
「然るべき行動に移る覚悟」
と最後通告を突き付けた。
斎藤氏の進退を巡っては、6日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問における斎藤氏の答弁を踏まえ、自民が辞職を求める方針を決定。
他会派に呼びかけ、第3会派の公明党や立憲民主党議員らでつくる第4会派「ひょうご県民連合」、第5会派の共産党が共同での申し入れに合意していた。
■「抜け駆け」警戒
しかし、態度を保留していた第2会派の日本維新の会の県議団が9日、単独で辞職を要求。
他会派には、進退を巡る議会側の対応を維新が主導しているかのように映ることに警戒感も生まれた。
ある自民県議は
「維新は衆院選に向けての焦りから先に辞職要求した」
「不信任案も抜け駆け的に出すのではないか」
と神経を尖らせる。
令和6年度補正予算案など議案の審議が一区切りする9月30日などで検討されていた不信任案の提出時期は、自民を中心に前倒し論が強まった。
■予算成立は尊重
ただ、斎藤氏は
「県民の生活を守る」
などとして、補正予算案の重要性を繰り返し強調。
不信任案を優先させ、物価高対策などが盛り込まれた予算の成立がずれ込めば、議会側の責任が問われ、斎藤氏に議会解散の大義を与えかねないとの危惧もあった。
そこで自民、公明、県民連合の3会派は12日に協議。
補正予算案については必要性を理解できているとして、開会日の19日に採決することで一致し、同日の不信任案提出がほぼ固まった。

兵庫知事の不信任案、19日全会一致提出へ 各会派の調整加速 可決の公算
2024/9/12 22:47
https://www.sankei.com/article/20240912-WH6O6NC6TZJ4PPUWHA6LGRF4AY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党と公明党、立憲民主党議員らでつくる「ひょうご県民連合」は12日、9月議会開会日の19日に斎藤氏への不信任決議案を提出し、即日採決する方向で合意した。
これに先立ち自民などは斎藤氏の
「即時辞職」
を要求する文書を提出したが、斎藤氏は辞職拒否の意向を表明。
各会派は全会一致での不信任案提出に向けた調整に入った。
不信任案は可決される公算が大きく、斎藤氏は辞職か議会解散かの選択を迫られることになる。
自民、公明、県民連合、共産党の4会派は12日、無所属議員4人と共同で辞職要求の文書を副知事に提出。
日本維新の会の県議団も先行して9日に申し入れており、全議員86人が辞職を迫る異例の事態となった。
12日の申し入れ後、斎藤氏は報道陣の取材に
「厳しい指摘は真摯に受け止める」
「政策を県民のためにやっていくのが大事だ」
と改めて辞職を否定。
9月議会での不信任案提出について
「可決されれば法律に則って様々な選択肢がある」
「しっかり考えていく」
と述べた。
関係者によると、自民と公明、県民連合の3会派の幹部らは12日、不信任案の提出に向けて協議。自民と県民連合は19日に不信任案を提出し即日採決する方針を固めた。
公明は13日に合意形成するとしている。
維新も12日、9月議会で提出する方針を決定。
維新幹部によると、維新単独での提出は否定し、全会一致での提出を目指して他会派と調整を進めるとした。
地方自治法によると、不信任案の可決は議員3分の2以上が出席した上で、出席議員の4分の3以上の賛成が必要。
可決の場合、斎藤氏が10日以内に議会を解散しなければ失職する。
議会を解散した場合は、改選後の県議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任決議が成立。
斎藤氏は議会から通知を受けた時点で失職する。

兵庫知事の不信任案 自民が19日提出、即日採決へ 公明や立民会派と合意
2024/9/12 17:42
https://www.sankei.com/article/20240912-YAFOCBO3VFOH5LJFMDCLF3OIQM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党は12日、斎藤氏の不信任決議案を9月議会開会日の19日に他会派とともに提出し、即日採決を目指す方針を決めた。
関係者が明らかにした。
自民は第3会派の公明党、立憲民主党議員らでつくる第4会派の「ひょうご県民連合」と即日採決する日程で合意したという。

兵庫知事、自民などからの即時辞職要求を拒否「政策を県民のためにやる」
2024/9/12 16:47
https://www.sankei.com/article/20240912-IXGJLLRTFFMADDM4G5QUGK7BXQ/
パワハラ疑惑などを文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事は12日、県議会最大会派の自民党などからの即時辞職要求に応じない考えを改めて示した。
県庁で記者団に
「厳しい指摘で真摯に受け止めなければならない」
「政策を県民のためにしっかりやっていくのが大事だ」
と述べた。

自民など4会派、兵庫県知事に「即時辞職」申し入れ
2024/9/12 10:12
https://www.sankei.com/article/20240912-E33Y2LREANJ2HC4GG76GZL5EN4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党など4会派は12日、無所属議員4人と共同で斎藤氏の
「即時辞職」
を申し入れた。
日本維新の会の県議団も先行して9日に申し入れており、全議員86人が辞職を迫る事態となった。
応じない場合、県議会では9月議会での不信任決議案の提出を調整しており、開会初日の19日に提出する案も浮上している。
申し入れ書では、県議会調査特別委員会(百条委員会)などで告発文書に記載された疑惑が一部事実と認められたにもかかわらず、斎藤氏が一貫して
「真実相当性がない」
と主張する姿勢を問題視。
「道義的責任が何か分からない」
との発言について
「看過できない」
と指摘した。
さらに、健全な県政を取り戻すためには
「即時辞職が必要だ」
と断じ、9月議会までに辞職を決めない場合
「然るべき行動に移る覚悟だ」
と不信任案の提出を示唆した。
この日、自民と公明党、立憲民主党県議らでつくる「ひょうご県民連合」、共産党の4会派幹部らが申し入れ書を服部洋平副知事に提出。
提出後、報道陣の取材に応じた自民県議団の北野実幹事長は
「全会派全議員一致で辞職を求めることが県政を正常化し前に進める一歩」
「政治家の出処進退は自ら判断し、辞職を自ら申し出ることが筋だ」
と述べた。
斎藤氏は辞職要求に応じない可能性が高く、各会派はそれを見越して不信任案提出に向けて協議。
自民は早期退陣を求める必要があるとして、開会日の19日に提出することを視野に他会派と調整しており、可決の公算が大きい。
可決されれば斎藤氏は辞職するか、10日以内に県議会を解散するかを選ぶことになる。
議会解散となり、県議選後最初の県議会に不信任案が提出されれば、出席議員の過半数の賛成で可決される。
この場合、斎藤氏は失職となる。

「誰から聞いたんや、名前言え」「グルやったんちゃうんか」 兵庫県知事告発者捜しの全容
2024/9/12 7:00
https://www.sankei.com/article/20240912-V6OA52ENTBOYPDJ6RQADQIHFK4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、片山安孝副知事(当時)が3月、文書を作成した男性を事情聴取した際の詳細なやり取りが明らかになった。
人事権をちらつかせて情報源を探る片山氏に対し、
「噂が回っている」
とかわす男性。
片山氏が
「噂をまとめただけか。なるほど」
と語る場面もあった。
斎藤氏は
「噂話を集めた」
という男性の説明を、文書に真実相当性がないとする根拠に挙げるが、やり取りからは周囲を守ろうとする男性の意図が滲む。
「誰から聞いたんや。全部名前言え」。
2024年3月25日午前、同県上郡町にある県西播磨県民局の一室で、片山氏が当時局長だった男性を問い詰めた。
百条委の審議や関係者などによると、文書の存在を把握した斎藤氏は同21日、片山氏ら側近幹部を集めて徹底調査を指示。
22〜23日に、複数の県職員のメールを調査したところ、男性のメールから告発文書と酷似した内容が見つかった。
幹部らは男性を含め、文書の作成に関与しているとみた職員3人について、同じ時間帯にそれぞれ聴取する方針を決め、25日に着手。
男性については、片山氏が約45分間に渡って聴取した。
聴取で片山氏は
「1年間の全部の(メール)記録、今チェックさせとんねん」
と強調。
「色んな人の名前、出てきたわ。どういうこっちゃ」
「(告発文と男性のメールが)同じ内容やで」
などと質した。
自身や周囲の告発文書への関与を否定する男性。
すると、片山氏は
「(メールで)名前が出てきた者は一斉に嫌疑をかけて調べなしゃあない」
「名前出てきた者は、皆在職しとるということだけ忘れんとってくれよ」
と迫った。
「(職制上の等級を)10級に上げるっていいよったけど、どないしようかいな」。
男性と交流があった県幹部の名前を挙げて昇級見送りを示唆した他、
「警察に持ち込もうかと思ってる。一切知らんて最後まで言うの?」
といった発言もあった。
斎藤氏の側近幹部が県内企業から受領したコーヒーメーカーについて、
「こんなん皆知らんやろ。誰から聞いたんや」
と問い詰め、男性が
「みんな噂してますよ」
と否定すると、
「噂か、噂をまとめただけか。なるほど」
と引き取る場面も。
男性はこの場では文書への関与を否定し続け、片山氏は3月末の男性の退職を認めず、県民局長の職を解くことを告げた。
同じ頃、別の県幹部も小橋浩一総務部長(当時)の聴取を受けていた。
「グルやったんちゃうんか」
と詰問し、男性との通信アプリ「ライン」でのやり取りを見せるように求める小橋氏。
その最中、幹部に男性から電話がかかってきた。
「(通話を)スピーカーにせえ」。
小橋氏は小声で言い、メモ書きをみせて
「他にやったやつはいないのか」
などと聞くように指示したという。
この後、男性は人事当局の幹部に電話をかけ、
「さっき(片山氏の聴取時)はしらを切ったが、俺がやった」
と認めた。
この幹部は
「とても1人でやったとは思えない」
と疑問を呈したが、男性は
「自分1人で話をまとめた」
と譲らなかった。
斎藤氏は2024年9月11日の記者会見で、噂話との説明について
「(男性)本人がそう言っており、具体的な証拠や証言が追加されていない以上、今もそうだったと思っている」
と話した。

議会解散の判断、最短で29日までか 兵庫知事不信任案は19日提出、即日採決案が浮上 
2024/9/11 22:03
https://www.sankei.com/article/20240911-OAB46CWYOZLT5A6AWWPDBD3WD4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党(37人)が9月議会開会日の19日に、斎藤氏に対する不信任決議案を提出することを視野に他会派と調整していることが11日、関係者への取材で分かった。
全県議が斎藤氏に辞職を求める構図となっており、不信任案が提出されれば可決の公算が大きい。
可決の場合、斎藤氏は失職か議会解散かの選択を迫られるが、この日の記者会見では
「選択肢は様々ある」
と述べ、議会解散に含みを持たせた。
解散判断の期限は、最短で29日となる可能性がある。
自民と公明党、立憲民主党県議らでつくる「ひょうご県民連合」、共産党の4会派は12日、無所属議員4人と共同で辞職を申し入れる。
日本維新の会の県議団も先行して9日に申し入れたが、斎藤氏は拒否する姿勢を示している。
自民は斎藤氏が辞職要求に応じない場合、早期退陣を求める必要があると判断。
9月議会が開会する19日に不信任案を提出し、即日採決する案が浮上している。
可決し、議長から斎藤氏への通知が同日中にあった場合、斎藤氏は29日までに失職か議会解散かを判断することになる。
解散の場合は県議選が行われ、改選後の議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任決議が成立。
議会から通知を受けた時点で斎藤氏は失職する。
斎藤氏は11日の会見で、時折涙ぐみながら続投の意向を示し、不信任案に関しては
「法律の規定に基づいて判断していくことになる」
と述べた。
維新共同代表の吉村洋文大阪府知事は同日、記者団の取材に、出直し選挙となった場合の党推薦について
「今の状態であれば難しい」
と語った。

維新の吉村洋文共同代表、兵庫県知事出直し選なら斎藤氏を「推薦できない」
2024/9/11 17:45
https://www.sankei.com/article/20240911-5RL3M6CL3JPANL7ZQZ34GAJPSI/
職員へのパワハラ疑惑などを文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事について、令和3年の県知事選で推薦した日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)は11日、斎藤氏が辞職して出直し知事選に臨んだ場合の維新の対応について
「今の状態なら推薦できない」
と述べた。府庁で記者団の取材に応じた。
吉村氏は県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏らの証言を踏まえ、斎藤氏が告発文書を公益通報として扱わず、文書を作成した元県西播磨県民局長(60)=7月に死亡=を懲戒処分にしたことや、県職員に物を投げるなどのパワハラ行為を批判。
「背景や事実関係で納得できるものはない」
「百条委の証言を聞いても今の状態であれば(出直し選で)推薦できない」
と語った。
また、吉村氏は今月7日、斎藤氏に電話で連絡をとり、辞職して出直し選に出馬すべきだと進言したが、その後も斎藤氏が続投の意思を示していることについては
「残念に思う」
「間違っていることは認めて辞職すべきだ」
と述べた。

兵庫知事、定例会見で涙ぐみ「自分自身に対し悔しい」 12日予定の辞職申し入れ控え
2024/9/11 17:12
https://www.sankei.com/article/20240911-M6XLT7AAQ5LPLO53GO74NWRSVY/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る一連の疑惑が文書で告発された問題で、斎藤氏は11日午後に開かれた定例記者会見で、県議会の自民など4会派が12日に予定する辞職の申し入れに対し、
「こういう状況になったことは申し訳ないなという思い」
「自分自身に対して悔しい」
などと涙ぐみながら述べた。
斎藤氏は3年前の前回知事選で、自民の一部県議らが会派を割って支えてくれたことなどを問われ、
「重い決断の中で(自民の一部県議が)私に出馬要請をして頂いた」
などと述懐。
就任後も
「議会が終わる度に会派の控室に行った」
「そこで『頑張れよ』と言って頂いた」
などとし、自民県議らに対し
「今も感謝はしてます」
「申し訳ないという思いで私自身は今います」
などと語った。

兵庫知事、不信任案可決の場合「法律の規定に基づき対応」議会解散も否定せず
2024/9/11 12:01
https://www.sankei.com/article/20240911-KYTCGH76CZKYXKBYV2INVITW5E/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る一連の疑惑が文書で告発された問題で、斎藤氏は11日午前、報道陣の取材に応じ、県議会の全議員(86人)から辞職要求を受ける見通しとなったことについて
「まずは百条委員会や第三者機関の調査に対応すべきことが優先すべき課題だ」
と話し、
「県政を1つ1つ前に進めていくことが私の今の考え」と改めて辞職を否定した。
【一覧でみる】兵庫県の斎藤知事が受領を認めた贈答品
県議会最大会派の自民党などは9月議会が開会する19日に知事の不信任決議案を提出することも視野に入れている。
決議案が可決された場合の対応について、斎藤氏は
「法律の規定に基づいてどう対応するか考える」
と述べるにとどめた。
辞職するか、議会を解散する選択肢がある。

兵庫知事の不信任案、議会初日の19日提出を視野に 自民が各会派に呼びかけ
2024/9/11 11:35
https://www.sankei.com/article/20240911-X6XHQK3RR5LKPOMZZPOLW3NAMI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党(37人)が、9月議会開会日の19日に、斎藤氏に対する不信任決議案を提出することを視野に各会派と調整していることが11日、関係者への取材で分かった。
9日に辞職と出直し選挙を申し入れた維新に続き、自民など4会派と無所属議員4人が12日に斎藤氏に辞職を要求する予定だが、斎藤氏は応じない可能性が高く、自民の動きはそれを見越したものとみられる。
9月議会の会期は19日から10月23日までの約1カ月間の予定。
不信任案を巡っては、既に立憲民主党県議などでつくる第4会派「ひょうご県民連合」(9人)が一般質問終了後の9月30日か、補正予算案が採決される10月3日に提出する方針を示していた。
自民は、斎藤氏が12日の辞職要求に応じない場合でも、早期退陣を求める必要があると判断。
9月議会初日の19日に不信任案を提出することも視野に、公明や県民連合などと調整に入った。
各会派幹部らは11日、産経新聞の取材に
「辞職を求める知事に代表質問や一般質問をやる必要があるのか」
と述べ、自民の動きに同調する構え。
不信任案の可決には、出席議員の4分の3以上の賛成が必要で、県議会では65人が可決ライン。
12日の自民などの辞職要求で全議員86人が辞職を求める形になり、不信任案は可決される公算が大きい。
可決されれば斎藤氏は辞職するか、10日以内に県議会を解散するかを選ぶ。
解散しない場合は失職する。
議会解散となり、県議選後最初の県議会に不信任案が提出されれば、出席議員の過半数の賛成で可決できる。
この場合、斎藤氏は失職となる。

兵庫県議全86人が斎藤知事に辞職要求へ 不信任案も検討、可決か
2024/9/10 16:25
https://www.sankei.com/article/20240910-DDLB23NHTZIKVDFK2HIEA4OLCA/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会最大会派の自民党、公明党、ひょうご県民連合、共産党の4会派は10日、無所属議員4人と共同で12日午前に斎藤氏へ辞職を申し入れると発表した。
維新の会は9日に単独で申し入れており、86人いる県議会の全議員が辞職要求を突き付ける事態となった。
斎藤氏は要求に応じない考えを既に示しており、各会派は不信任決議案提出に向けた検討も本格化。
立憲民主党県議らでつくる県民連合は19日に開会する議会で提出する方針を決めており、提出された場合、可決される公算が大きい状況だ。

「県民からは激励の声の方が多い」斎藤知事 辞職は改めて否定
2024/9/10 11:54
https://www.sankei.com/article/20240910-P3KGTUPUPBJDNI26O2KFLH2D3I/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、斎藤氏は10日、県民らからの批判について
「投書などで拝見しているが、直接(批判を)受けることはあまりない」
とし、激励の声の方が多いと強調した。
同日午前、報道陣の質問に答えた。
9日には3年前の知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会が辞職などを求める申し入れを提出したが、斎藤氏は改めて辞職を否定した。
告発文書は県西播磨県民局長だった男性(60)が3月、一部の県議や報道機関などに配布。
県は同月27日に男性を解任し退職を保留した。
男性は4月ごろに文書内容を県の公益通報窓口に通報していたが、県は公益通報の調査結果を待たず5月に男性を懲戒処分とした。
男性は7月に死亡。
自殺とみられる。
男性が亡くなったことが明らかになって以降、県には斎藤氏への批判や問い合わせの電話が相次いでいる。
同月16日の定例会見で斎藤氏は、自身の身に危害を加えるという趣旨の電話が県庁に寄せられていると明かし、公務で予定していた視察を中止したと発表していた。
斎藤氏は10日、登庁時に報道陣の取材に応じ、改めて辞職を否定。
県議会からの辞職要求に応じない場合は、9月議会での不信任決議案提出が想定されるが、
「仮定の話には答えられない」
と述べた。
また、県民からの批判の声については
「『色々あるが、頑張ってくれ』という声が7月以来多いというのが私の受け止め」
と述べた。

「どういう道を進むかは自分で決める」斎藤兵庫県知事、県議会全会派からの辞職要求にも改めて辞職否定
2024/9/10 10:41
https://www.sankei.com/article/20240910-OHAY4LXAVRPXDEYR5TULM76UAY/
斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題をめぐり、県議会第2会派の「維新の会」が9日、斎藤知事に対して、辞職要求を申し入れた。
これで自民など全5会派が辞職を求める見通しだが、斎藤知事は
「予算を成立させ、県民の生活をしっかりと支える」
と改めて、取材陣に対して辞職を否定した。詳しい内容は次の通り。
ーー先ほど維新から辞職と出直し選挙を求める申し入れがあった
維新の皆さんには3年前の選挙から支援を頂いた。
改めてお礼申し上げたい。
申し入れがあったことは真摯に受け止めたい
ーー維新の申し入れに応じる考えは
私としては先日の百条委員会に出席して自分なりの考えや認識を伝えた。
県民に伝わったかというと不十分と指摘もあるだろうが自分なりの言葉で懸命に伝えた。
これから百条委、第三者機関に出席してこの問題に不安を持っている方に説明していくことが私の責務。
今月に始まる県議会。
物価高騰対策、お米が高騰するなど県民生活は苦しい。
現在、補正予算の最終調整をしているところであり、県民の暮らしをしっかり支えることが大事。
来年度予算も部局別に議論している。
県民の生活、安全安心な社会、元気な兵庫県を作るための予算施策をしっかりやっていくことが私の大きな役割だ。
ーー辞職に応じないとなると不信任決議案が可決されるのも確実な情勢、可決されると失職か議会の解散になる
県議会の判断はこれからの話。
今日の申し入れは本当に重く真摯に受け止めたい。
この後の状況については、現時点でのコメントは控えたい
ーー辞職要求を拒めば不信任決議案の公算が大きい。どんな選択肢を考えているのか
議会側がどう対応するかはまだ決まっていない段階。
仮定の状況についてのコメントは差し控える。
今は、やはり第三者機関による調査、百条委が開かれている。
知事として説明することが大事。
ハラスメントの問題も不適切なことがあったのは改めないといけない。
贈答品の問題についても社会通念上の範囲とはいえルール作りが大事。
県の公益通報も外部に窓口を設置するなど改善すべきことはしっかりやる。
ーー百条委は辞職してもやれる。県政を前に進めるなら辞職して民意を問うべきという意見もある
もちろん、色んなご指摘はあるが、私は3年前に付託を受けて選ばれた1人の政治家。
至らない所はあるが政治家としてどう対応するかは自分で判断したい。
3年しか知事はしていなくて政治家としては力が足りないところもあると思うが、県民から付託を受けた。
どういう道を進んでいくか自分が決めるのが大事だと思う。

「県政運営に支障」維新、党勢退潮で転換 斎藤知事に辞職要求 衆院選警戒も
2024/9/10 7:00
https://www.sankei.com/article/20240910-ROXN6MQQQFIJRPWCGICMO522WM/
兵庫県議会各会派が斎藤元彦知事への辞職要求で足並みを揃える中、唯一判断を保留していた第2会派の日本維新の会の県議団が9日、斎藤氏に辞職を申し入れた。
3年前の知事選で自民党と共に斎藤氏を推薦し、
「知事与党」
を自任してきた維新。
調査特別委員会(百条委員会)設置に当初反対するなどの対応は
「斎藤氏擁護」
と受け止められてきた。
だが、早期の衆院選が予想される中、党勢の退潮傾向が露わになり、方針転換を余儀なくされた格好だ。

斎藤知事への電話で「間違い認め、辞職すべきだ」 維新・吉村共同代表が進言
2024/9/10 6:30
https://www.sankei.com/article/20240910-I4DPW7OCQZN3HGDYF2PNK3RH4M/
職員へのパワハラ疑惑などを文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事について、令和3年の知事選で推薦した日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)は9日、府庁で記者団に
「権力志向で間違っていた部分がある」
と述べた。
7日に電話で辞職するよう進言したといい、やり取りを明らかにした。
吉村氏によると、斎藤氏と電話で連絡を取った際、告発文書を公益通報として扱わず、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性を懲戒処分にした斎藤氏の対応について
「初期で(判断を)方向付けるのは間違った対応だったのではないか」
と直言。
職員の前で物を投げたり、机を叩いたりした行為もパワハラに当たると指摘し
「間違いは認め、辞職すべきだ」
と伝えたという。
吉村氏は斎藤氏の疑惑について、これまでの兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏本人の証人尋問を踏まえ、
「一定の真実相当性がある」
と強調。
「権力志向で間違っていた部分があると思う」
とした上で、連絡をとった理由については
「(大阪府の財政課長時代は)優秀な職員で知事になってからも一緒に仕事をした」
「党として最終決定が出る前に直接伝えるべきだと思った」
と述べた。
斎藤氏の進退を巡っては、維新が9日に辞職を要求。
県議会最大会派の自民党など他の3会派も12日に辞職を求める方針だが、斎藤氏は応じない構えを示している。

維新の知事への辞職要望、各会派「国政選挙を見据えた焦りでは」と冷ややか
2024/9/9 21:52
https://www.sankei.com/article/20240909-6NEVXIUJQVOSXFKP3CC4SA2G3E/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、日本維新の会の県議団が9日、斎藤氏に辞職と出直し選挙を申し入れたことについて、既に辞職要求の方針を決めていた他会派からは
「(衆院の解散)総選挙を見据えて焦っているのでは」
などの声が上がった。
「党本部の意向で決めると聞いていた」
「政局を考えた維新らしい判断ではないか」。
最大会派・自民党の北野実幹事長は維新の動きをこう表した。
自民は6日の県議会調査特別委員会(百条委員会)の斎藤氏の証言内容などを踏まえ、辞職を申し入れる方針を同日中に決定。
全会派一致を目指して各会派にも呼びかけ、9日も、第3会派の公明党や立憲民主党系の第4会派「ひょうご県民連合」幹部と会合を開き、12日に申し入れ書を提出する方針を確認した。
北野氏は
「全会派で提出したかったが、維新が先に出すならそれで構わない」
と述べた。
「全会派一致であれば(斎藤氏の)受け取り方は違ったはず」
「なぜこのタイミングなのか」。
公明の会派幹部は首をかしげつつ、
「他会派と一緒では埋没すると考えたのかもしれない」
と推測した。
斎藤氏が辞任に応じなければ、9月議会で不信任決議案提出を提出する方針をいち早く決めた県民連合、上野英一幹事長は
「維新の支持率が低下しているので、国政選挙を見据えて中央(党本部)が焦って決めたことではないか」
と指摘。
他会派に先立つ提出については、
「注目を浴びるためではないか」
と冷ややかな見方を示した。

斎藤知事、「重く受け止める」維新が辞職要求も応じない意向
2024/9/9 21:36
https://www.sankei.com/article/20240909-4CSS4XS6JNIGNAHRWBYIEFZELE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、令和3年の前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会は9日、斎藤氏の辞職と出直し選挙を求める申し入れ書を服部洋平副知事に提出した。
斎藤氏は申し入れ書の提出を受け
「重く受け止めている」
「(疑惑の)調査に知事として説明することが大事だ」
と述べ、辞職要求に応じない意向を示した。
維新は県議会の第2会派。
最大会派の自民党は12日に辞職を要求する予定で、公明党と、立憲民主党議員らでつくる「ひょうご県民連合」も同調する見通し。
主要4会派が辞職を求める異例の構図だ。
申し入れ書は維新の馬場伸幸代表と県組織「兵庫維新の会」代表の片山大介参院議員、県議団の連名で、片山氏らが提出した。
県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏の説明について
「議会や県民が十分に納得できるものとは言い難い」
「県政運営に支障が生じ始めている」
と指摘。
辞職と出直し選挙を要請し、
「大局的に立った、斎藤知事の賢明な判断を強く望む」
と訴えた。
片山氏は申し入れ書の提出後、報道陣の取材に応じ
「他の党と我々のスタンスが違う」
として他会派との共同提出を否定。
維新はこれまで事実解明を優先すべきとの姿勢だったが、
「先に維新としてアクションを起こした方がいい」
「政治的思惑でなく民意を問うことが大切だ」
と強調した。
出直し選挙が実施され斎藤氏が出馬した場合、維新としての支援は
「考えていない」
と述べた。
斎藤氏が辞職要求に応じなかった場合、各会派は不信任決議案を提出する方針。

維新、吉村氏からの説得、斎藤氏「政治家同士のやりとりなので控える」と明らかにせず
2024/9/9 17:52
https://www.sankei.com/article/20240909-A36GAEDFP5KQHK3HVIKJ7DMVUE/
兵庫県議会の第2会派「維新の会」から辞職申し入れを受けた斎藤元彦知事は9日、日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)から、辞職して出直し知事選に臨むよう説得された際のやり取りについて、
「政治家同士の話なので、差し控えた方がいい」
として内容を明らかにしなかった。
県庁で記者団の取材に答えた。
維新の藤田文武幹事長が同日、国会内での記者会見で、吉村氏が同日までに、電話で斎藤氏を説得しようとしたことを明らかにしていた。
藤田氏によると、大阪府の財政課長を務めた斎藤氏と上司部下の関係だった吉村氏が、斎藤氏に出直し選で県民に信を問うように求めたところ、斎藤氏からは
「聞き置く」
との回答があったという。
斎藤氏は記者団の取材に、自身について
「政治家として3年ほどで、まだまだ経験は浅い」
としつつ、
「政治家同士の話の内容を自分からオープンにする、こういうやり取りがあったというのを言うのは控える」
などと述べた。

斎藤知事、記者団の取材に「県民の暮らし支える」 辞職申し入れに応じない考え改めて示す
2024/9/9 17:38
https://www.sankei.com/article/20240909-JPGNZFDMCJN7BHGPCDHBQTEU2M/
兵庫県の斎藤元彦知事は9日夕、県議会(定数86)第2会派「維新の会」(21)から辞職申し入れを受けた後、記者団の取材に応じ、
「申し入れがあったことは真摯に受け止める」
としつつ、予算編成などを進めることで
「県民の暮らしをしっかり支えるのが大事」
などと述べ、改めて申し入れには応じない考えを示した。
県議会調査特別委員会(百条委)での斎藤氏の対応を受け、日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」の片山大介代表が9日午後、県幹部と面会。斎藤氏に対する辞職要求と出直し選挙の実施を申し入れた。
最大会派の自民党(37人)など他会派も12日に辞職を申し入れる方針。
斎藤氏が辞職に応じなければ、県議会で不信任案が提出され、可決される公算が大きくなっている。
その場合、議会解散を選択するとの見立てもあるが、斎藤氏は
「議会側がどう対応するかはまだ決まっていない段階」
などとして、コメントは避けた。

維新共同代表の吉村大阪知事が説得「辞職し出直し選を」 斎藤知事「聞き置く」
2024/9/9 17:01
https://www.sankei.com/article/20240909-ZKHXBHYT4VKL5GUVGYEMYDWDPM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、令和3年の前回知事選で自民党とともに斎藤氏を推薦した日本維新の会の藤田文武幹事長は9日、国会内で記者会見し、維新として斎藤氏に辞職を要求する判断をした理由について、疑惑によって県政が停滞し
「推薦した党の責任として判断した」
と説明した。
また藤田氏は会見で、吉村洋文共同代表(大阪府知事)が同日までに、斎藤氏に電話で辞職を求め、出直し知事選に臨むよう説得を試みたことを明らかにした。
藤田氏によると、大阪府の財政課長を務めた斎藤氏と接点がある吉村氏が、斎藤氏に出直し選で県民に信を問うように求めたところ、斎藤氏からは
「聞き置く」
との回答があったという。
藤田氏は斎藤氏について
「冷静な判断をしてほしい」
と述べ、辞職に応じなかった場合は、県議会で維新単独での不信任決議案の提出も検討する考えを示した。
藤田氏は出直し選が実施された場合、維新として斎藤氏を支援するかについては現時点で
「判断できない」
とした。
維新は疑惑への対応について、県議会調査特別委員会(百条委員会)や第三者機関での事実解明を待つべきだとしていたが、藤田氏は
「方針転換と言わざるを得ない」
「もっと辞職を早く求めるべきだったとか、判断が遅いという批判は真正面から受け止めたい」
と語った。

維新が兵庫知事に辞職要求、党幹部「県政が停滞している」  斎藤氏は応じない構え
2024/9/9 15:47
https://www.sankei.com/article/20240909-JRD73UPWAVLMRDGRUKAVX3W7XU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、令和3年の前回知事選で自民党とともに斎藤氏を推薦した日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」の片山大介代表(参院議員)らは9日午後、県幹部と面会し、斎藤氏に対する辞職要求と出直し選挙の実施を申し入れた。
斎藤氏は応じない構え。
出直し選挙が行われ斎藤氏が出馬した場合も、維新は斎藤氏を支援しない予定としている。
県議会(定数86)で、維新会派(21人)は自民(37人)に次ぐ第2会派。
自民などは12日に辞職を要求する予定で、議会で代表質問ができる4会派全てが辞職を求める構図となった。
この日の申し入れには服部洋平副知事が応じた。
申し入れに先立ち、日本維新の会の藤田文武幹事長は9日午後に記者会見し、斎藤氏に辞職と出直し選挙を求める理由について
「(知事選で)推薦した責任がある」
「斎藤氏は潔白を主張しているが、県政の停滞を招いているのは事実だ」
とし、県議会で不信任決議案が提出された場合は
「賛同せざるを得ない」
と述べた。

「不信任ライン」超えた知事辞職要求勢力 狭まる包囲網、孤立深める斎藤氏
2024/9/9 12:28
https://www.sankei.com/article/20240909-J5KRQE2SBRP3XKYIIGKEYFCVUM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題では、最大会派の自民をはじめ、既に複数の会派が斎藤氏に辞職を要求する方向で調整を進めている。
今後の焦点は不信任決議案の提出へと移る見通しだが、維新が加わったことで辞職を求める勢力は、全議員が出席した場合の決議案可決に必要な65の
「不信任案可決ライン」
を超えた。
孤立を深める斎藤氏。
包囲網は更に狭まる展開となっている。
県議会(定数86)では最大会派の自民が12日にも斎藤氏に辞職を要求する予定を明らかにしており、第3会派の公明や、立憲民主党議員らで構成する第4会派「ひょうご県民連合」も、こうした流れに沿う方向で調整が進む。
9日午後に辞職と出直し選挙の実施を求めることを決めた第2会派の維新を合わせると、斎藤氏に対して県議会の4会派全てが辞職を求める形となった。
ただ、9日午前に県庁で報道陣の取材に応じた斎藤氏は
「真摯に受け止め反省すべきところは反省するが、進めるべき予算や事業などをしっかりやる」
と述べ、会派からの辞職要求には応じない構えを強調している。
議会が首長に進退の判断を迫る際には、辞職勧告決議案を提出して議会で採決するケースもあるが、会派からの辞職要求と同様、法的拘束力はない。
議会が知事を失職させるにはまず、不信任案を可決させることが必要となる。
これまで、斎藤氏に辞職を求めたり、求める方向で調整を進めていたりする主な勢力は自民(37人)、公明(13人)、県民連合(9人)の3会派の59人に、共産2人を加えた計61人だった。
これに第2会派の維新の21人を加えると、全議員が不信任案に票を投じたと仮定した場合の賛成票の数は単純計算で、可決に必要な65を大幅に上回ることになる。
県民連合は19日開会の9月議会の会期中に不信任案を提出する方針を示しており、一般質問終了後の30日か、補正予算案を採決する10月3日で日程を模索。
県民連合の他、自民も不信任案の提出を検討しており、これら2会派以外の勢力についても同調する可能性があるとみられる。

兵庫知事支援の維新が午後に辞職要求へ、全会派が一致 斎藤氏は応じない構え
2024/9/9 12:21
https://www.sankei.com/article/20240909-LZZEIR24FRL7TKU2ICAK3BNSOU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、令和3年の知事選で自民とともに斎藤氏を支援した県議会(定数86)第2会派「維新の会」(21人)の県議団は9日午後、斎藤氏に対し辞職と出直し選挙の実施を申し入れを行う。
維新関係者が明らかにした。
県議会の4会派が辞職を要求する構図となったが、斎藤氏は応じない構えを示している。
疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)は、告発文書を公益通報として扱わず、告発者を懲戒処分とした斎藤氏らの対応について審議した。公益通報制度に詳しい専門家2人が証言し、処分は違法だと指摘したが、斎藤氏は証人尋問の場でも
「対応に問題はなかった」
とする従来の主張を崩さなかった。
一連の斎藤氏の対応を踏まえ、維新は8日に会派や日本維新の会の幹部らが対応を協議し、
「県民の納得を得るものとは言い難い」
と判断。
維新県議団の岸口実団長は8日の協議終了後に取材に応じ
「(斎藤知事が)県民からの負託を受けたと主張するなら、辞職して民意を問う必要がある」
「(申し入れに応じなければ)不信任決議案提出しかない」
と述べた。
維新会派の県議らで構成する県組織「兵庫維新の会」代表の片山大介参院議員らが9日午後に県庁に出向き、斎藤氏に辞職と出直し選挙を求める予定で、日本維新の会も9日午後1時から藤田文武幹事長が記者会見を開き、国政政党としての考えを明らかにする。
出直し選挙が実施された場合でも、維新としては斎藤氏を支援しない予定。
斎藤氏への辞職要求を巡っては、最大会派の自民(37人)なども12日に申し入れを行う。
応じなければ各会派で不信任決議案提出の動きが強まるとみられ、斎藤氏の対応が注目される。

辞職要求に斎藤兵庫県知事は応じぬ姿勢、県議会全会派が申し入れへ
2024/9/9 10:53
https://www.sankei.com/article/20240909-MBZLJQUBUZPVZEOCSJLFWNCPPQ/
日本維新の会が斎藤元彦兵庫県知事に対し辞職を申し入れることを決め、県議会全会派から辞職要求が出る見通しとなった。
斎藤氏は9日の登庁時に取材に応じ、
「真摯に受け止め反省すべきところは反省するが、進めるべき予算や事業などをしっかりやる」
と述べ、辞職要求に応じない姿勢を示した。
自民党は6日の百条委終了後に総会を開き、辞職要求方針を決定。
不信任案には明確な理由が必要との意見があった第3会派公明党も辞職要求へと傾き、自民への同調を決めた。
立憲民主党県議らの第4会派「ひょうご県民連合」、共産党とも連携し12日に申し入れる。
告発文書は斎藤氏のパワハラなど疑惑7項目を指摘。
県幹部だった男性が報道機関などに配布後、県の公益通報窓口にも通報した。
県は公益通報者保護法の対象外と判断し、男性は懲戒処分を受けた後に死亡した。

出直し選でも斎藤氏支援せず 維新、9日に辞職要求 兵庫知事文書問題巡り
2024/9/9 0:35
https://www.sankei.com/article/20240909-3GA33AKT5FIDFPYEBEXSAD7A34/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、県議会(定数86)の第2会派の「維新の会」(21人)が斎藤氏に対し9日に辞職と出直し選挙の実施を求める方針を固めたことが8日、分かった。
維新は令和3年の知事選で自民と共に斎藤氏を推薦した経緯があり、動向が注目されていた。
斎藤氏は応じないとの見方が強いが、たとえ出直し選挙が実施されても、推薦や支援は予定しておらず、
「知事おろし」
の包囲網は一層狭まる展開となった。
県議会では、最大会派の自民(37人)が12日にも斎藤氏に辞職を要求する予定。
第3会派の公明(13人)や、立憲民主系の第4会派「ひょうご県民連合」(9人)も同調する方向で調整を進めており、全会派が辞職を求める構図となった。
疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)での2度に渡る斎藤氏の説明を踏まえ、維新では8日に会派幹部や日本維新の会幹部らが対応を協議した。
終了後、取材に応じた維新県議団の岸口実団長は
「(斎藤知事が)県民からの負託を受けたと主張するなら、辞職し民意を問う必要がある」
「(申し入れに応じなければ)不信任決議案提出しかない」
と述べた。
維新会派の県議が所属する県組織「兵庫維新の会」代表の片山大介参院議員が9日午後に県庁に出向き、斎藤氏の辞職と出直し選挙を求める。
5、6日の百条委では告発文書を公益通報として取り扱わず、告発者を懲戒処分とした決定について検証。
公益通報制度に詳しい専門家2人は処分が違法であると指摘した。
「対応に問題はなかった」
などと繰り返す斎藤氏の主張について、維新は
「県民の納得を得るものとは言い難い」
と判断した。
斎藤氏が辞職の申し入れに応じない場合、ひょうご県民連合が19日開会の9月議会の会期中に不信任決議案を提出する方針を固めている。
一般質問終了後の30日か、補正予算案を採決する10月3日の提出を模索している。
自民も不信任決議案の提出を検討しており、他の会派も追随する可能性がある。
地方自治法は、不信任案の可決には出席議員の4分の3以上の賛成が必要と規定。
不信任を受けた首長は辞職するか、10日以内に議会を解散することができ、解散しなければ失職する。
議会が解散された場合は議員選挙を実施。
選挙後初の議会で再び不信任案が提出されると、出席議員の過半数の賛成で成立し、首長は失職する。

維新が斎藤兵庫知事に対し辞職要求へ 告発文書問題で
2024/9/8 22:06
https://www.sankei.com/article/20240908-LTBZTC32AFMUFFXCOXKERQTACU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、県議会第2会派の「維新の会」が9日に斎藤氏に対し辞職と出直し選挙の実施を求める申し入れを行うことが8日、分かった。
疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏の説明では、県民が納得しがたいことなどを理由に、会派幹部や日本維新の会幹部らが8日に対応を決めた。

渦中の兵庫県知事が毎週続ける定例会見 貫くべき報道陣から逃げない姿勢
2024/9/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20240908-6SJLGQBNKJD77DUWVHBPEPKDVA/
兵庫県のホームぺージ(HP)で「知事室」をクリックすると(※スマホ版なら右上の「情報を探す」をクリックすると「知事室」が出ます)、「ようこそ知事室へ」のページに飛び、その中に「記者会見」の項目があります。
斎藤元彦知事の定例記者会見での発表内容や、記者との質疑応答が丁寧にテキスト化されています。
▼兵庫知事、夕食予約巡り「俺は知事だぞ」激怒は否定 多数のパワハラ言動指摘には「反省」
斎藤氏の定例会見は、現在世間を騒がせている斎藤氏と兵庫県の公益通報やパワハラ疑惑を巡る問題の発覚以前から、ほぼ毎週開催されています。
端緒となった元西播磨県民局長による斎藤氏らへの内部告発文書が表に出た後も、定例会見の開催頻度は変わっていません。
兵庫県のHPをたどれば、告発文書に関する質問が初めて出たのは、3月27日の知事会見でした。
この日の会見では斎藤氏側からまず「令和6年度組織改正・人事異動の概要」などの説明がありました(※会見前に人事当局も説明)。
その後の質疑応答で、内部告発者の西播磨県民局長を退職4日前に調査などのため残留させるという異例の人事変更を行ったことについて、記者が質問しています。
いくつかの関連質問の中で、内部告発文書について斎藤氏は
「当該内容の文書には、事実無根の内容が多々含まれていることなので(中略)法的な課題が凄くあると考えています」
と回答。
処分に関しては
「今後の調査結果次第ですが、本人も作成と一定の流布を認めているので、懲戒処分を行うことになると考えています」
と答えています。
さらに、退職4日前での異例の退職取り消しに至った理由などについては
「業務時間中に、嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格です」
と断罪しました。
▼「表現行き過ぎ、大変反省」兵庫知事が陳謝 死亡の元県幹部の告発文書をかつて「嘘八百」 斎藤知事の告発文書問題
一連の問題を巡っては、兵庫県議会が設置した調査特別委員会(百条委員会)で斎藤氏らの証人尋問も進んでいる上、問題発覚から半年近くが過ぎても騒動は落ち着いていません。
▼「俺は知事だぞ」発言を否定 個室用意は当然との認識示す 兵庫県議会百条委証人尋問詳報
ただ、この間、斎藤氏のパワハラ疑惑やおねだり°^惑が話題の中心になっているようですが、問題の本質は、先述した3月27日の記者会見での発言にあるように、内部告発を
「嘘八百」
とし、告発者に対して
「懲戒処分」
を予告したことではないでしょうか。
公益通報に関わる対応がどうだったのかが最大の焦点だと思います。
▼「まるで独裁者が粛清する構図」「公開ハラスメント」「組織の他山の石に」斎藤兵庫県知事の告発者処分 専門家が厳しい指摘
▼「コメント難しい」と兵庫知事 専門家の「公益通報保護法に違反する」批判に
さて、渦中の斎藤氏は、冒頭から紹介しているように問題発覚後も定例会見をほぼ毎週行っています。
知事の立場としては当然だと言えなくもないですが、毎週というのは他府県の知事と比べても少なくはありません。
一連の問題では、告発した元県民局長ら2人がすでに死亡していますし、軽々に評価することはできませんが、発言の内容は別にして、問題発覚後もペースを変えず記者の前に立ち続けていること自体は、評価に値するのではないでしょうか。
▼淡々と斎藤知事 死亡した元県民局長への懲戒処分は「適切。誹謗中傷性高かった」
自身への疑惑が浮上した際、報道陣を避ける政治家は枚挙にいとまがありません。
その点、斎藤氏は定例会見に加え、登庁時や視察先などでも記者による囲み取材に応じています。
百条委員会での証人尋問もライブで流れますし、記者やカメラから逃げることはないようです。
自身の言動への自信からでしょうか。
いずれにしても、その姿勢は今後も貫いてほしいと願っています。

「斎藤家の食卓をにぎわしただけ」おねだり°^惑に百条委員が指摘 兵庫知事は正当性主張
2024/9/8 8:00
https://www.sankei.com/article/20240908-6NAXQIZNWNJSHGW32PFHXQI5KY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、6日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)では、斎藤氏による贈答品受領についても委員から質問が相次いだ。
斎藤氏はカニやカキ、ワインなど多数の品を受け取ったことを認める一方、
「『知事に食べてほしい』という厚意で持ってきたもの」
「全てをもらわないという判断をするのは難しかった」
と正当性を強調した。
「姫路城のレゴブロックが欲しいと言ったのは事実か」。
6日の証人尋問で、委員からの質問に斎藤氏は
「欲しいというか、知事室で展示できればいいなと思ってお伝えした」
と淡々と答えた。
レゴブロックとは、世界的なブロック玩具メーカー「レゴグループ」が発売した姫路城をモチーフにしたもの。
斎藤氏は2023年6月、同社関係者らと共に武士装束で製品をPRし、自身の交流サイト(SNS)にも投稿していた。
告発文書には
「知事のおねだり体質は県庁内でも有名」
と記され、百条委が実施した職員アンケートでは、約2割が贈答品の受け取りを見聞きしたと回答。
この日の尋問では委員が贈答品を1つずつ挙げ、斎藤氏が受領の有無を答えていった。
斎藤氏が受領や提供を認めたのは、
▽播州織のネクタイ
▽スポーツチームのユニホーム
▽カキ
▽枝豆
▽ワイン
▽カニ
▽日本酒
▽岩津ネギ
▽タマネギ
▽バースデーケーキ
▽湯のみ
など。
斎藤氏はこれまで
「県産品のPRになる」
と受領の理由を説明しているが、SNSでPRしていないものもあり、証人尋問で委員は
「斎藤家の食卓を賑わしただけ」
と批判。
これに斎藤氏は
「こういったおいしいものが県内にあるんだと知ることも、大事な県知事としての仕事だ」
と反論した。
知事就任直後、秘書課に届く贈答品について
「どうなんだ」
と職員に尋ねたとも説明。
職員から
「前知事の頃からたくさん頂いている」
「届けた方のご厚意で、社交儀礼の範囲内だから食べていいですよ」
と説明を受けたと主張した。
別の委員は、前知事は贈答品を部下に分け、自身では持ち帰らなかったとする職員アンケートの回答を紹介。
1人で持ち帰ることが多いとされる斎藤氏を質した。
斎藤氏は、
「なぜ(秘書課など)特定の課の職員のみが頂けるのか」
という不公平感があるためと理由を述べた。
一方、斎藤氏は告発文書で受け取ったと指摘されたコーヒーメーカーについては返却を指示したとしている。
「なぜコーヒーメーカーだけは返却するのか」
との問いには、こう答えた。
「消費するようなものは社交儀礼の範囲で対応させていただくが、家電製品は少し違うかなというのが私の感覚ですね」

斎藤知事への辞職要求、他会派にも広がる 維新は近く判断
2024/9/7 21:23
https://www.sankei.com/article/20240907-R7HZLHPZY5KA5DZ626HP4IJVW4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会第2会派の日本維新の会の県議団(21人)は7日、会派幹部が党幹部と斎藤氏の進退に関する対応を検討。
近く斎藤氏に辞職を申し入れるか決める見通しとなった。
最大会派の自民党(37人)は、12日に辞職を申し入れることを既に決定。
斎藤氏が応じなければ、各会派で失職に繋がる不信任決議案提出の動きが強まるとみられ、斎藤氏の対応が注目される。
単独での辞職申し入れを決めていた第4会派の
「ひょうご県民連合」(9人)
の幹部は7日、自民などと共同での申し入れとする意向を明らかにした。
第3会派の公明党(13人)も足並みを揃える方向で、近く会派として正式に決める。
5、6日の県議会調査特別委員会(百条委員会)では、告発文書を公益通報として扱わず告発者を処分した斎藤氏らの対応について審議。
公益通報制度に詳しい専門家2人が対応を違法と指摘したが、斎藤氏は
「対応に問題はない」
とする従来の主張を繰り返した。
これを受け、自民は6日、臨時の県議団総会を開いて対応を協議。
全議員に呼びかけ、9月議会(19日開会)の議会運営委員会が開かれる12日に、斎藤氏に辞職を申し入れることを決めた。
自民の北野実幹事長は
「知事の判断をしっかりと促したい」
と述べた。
議会が首長に進退の判断を迫る際には、まず辞職勧告決議案を提出し、議会で採決するケースもある。
ただ、法的拘束力はなく、辞職しないことも少なくない。
今回の申し入れにも強制力はなく、かねて続投に意欲を表明している斎藤氏は応じないとの見方も強い。
その場合、ひょうご県民連合は9月議会で不信任案を提出する方針。
一般質問終了後の30日か、補正予算案を採決する10月3日の提出を模索する。
自民も不信任案の提出を視野に入れており、他の会派も追随する可能性がある。

兵庫知事、部下から進言「受けた記憶ない」 証人尋問、正当性強調も証言食い違い
2024/9/7 6:30
https://www.sankei.com/article/20240907-SC4GXCVTQFOZBKFYHA2546RABA/
「誹謗中傷性の高い文書」
「公益通報に該当するとは思っていない」。
6日の兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)で、斎藤元彦知事が2度目の証人尋問に臨んだ。
「問題はない」
「ちゃんとやってきた」。
正当性を訴える言葉からは、県トップとしての自負心がのぞいた。
ただ、告発文書を公益通報として扱わず、告発者を処分した経緯では部下の証言と食い違う点も多く、不透明感が残った。
「こういうものを入手した」。
この日の片山安孝・元副知事や、これまでの県職員による尋問での証言などによると、一連の問題で斎藤氏が最初に動いたのは3月21日。
片山氏や側近幹部計4人を知事室に呼び、告発文書を示して作成者の特定などの調査を指示した。
この際、公益通報者保護法で禁じられる告発者捜しに当たるかどうかは
「協議はしていない」
と、斎藤氏は尋問で証言。
文書の内容を否定し、
「告発というよりも誹謗中傷性の高い文書だと思った」
とも述べた。
ところが、原田剛治・産業労働部長は3月21日の協議の場で、告発文書に示されたコーヒーメーカーを受領していたと明かしたことを証言。
この点は片山氏の証言とも一致した。
文書の信憑性に関わる部分だが、斎藤氏は否定した。
文書の作成者は県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=と特定され、3月25日に片山氏が事情聴取。
最終的には5月7日に停職3カ月の懲戒処分とした。
この間、人事課は第三者委員会での調査を進言したとされるが、斎藤氏は
「進言を受けた記憶はない」
と断言。
斎藤氏の指示で公益通報の調査結果前の処分に至ったとの証言についても
「記憶上、指示をしていない」
と否定した。
尋問では告発者捜しや処分の妥当性が度々問われたが、斎藤氏は
「(文書には)真実相当性がなく、公益通報の保護要件には該当しない」
と繰り返した。
根拠の1つに挙げたのが、噂話を集めて作成したという男性の供述だ。
斎藤氏はこれまで
「噂話−」
供述だけを公表。
男性の詳しい聴取内容は開示してこなかったが、この日は片山氏による聴取の様子が明かされた。
「名前が出てきたものは一斉に嫌疑をかけて調べなしゃあないからな」。
男性の協力者とみる職員の名を挙げ、人事で不利な扱いをすると示唆する片山氏。
男性が文書作成を認めると、
「誰に聞いたんや」
と問い詰めた。
「それは言えない」
「皆噂している」
と男性が答えると、
「噂をまとめただけやということやな」
と引き取った。
情報源を守りたい男性の意図が窺えるが、斎藤氏はこの日も
「噂話を集めたと本人が言っている」
と強調。
一連の対応に道義的責任を感じないか問われると、
「道義的責任というのが何かが分からない」
と答えた。
■公益通報制度「基本的な理解ない」
斎藤元彦知事の内部告発への対応やこの日の証人尋問を踏まえ、専門家らは公益通報制度に対する基本的な理解が欠けていると口を揃える。
公益通報者保護法のガイドライン策定にも携わった明治大の高巖(たかいわお)特任教授(企業倫理)は
「告発文書は間違いなく公益通報に当たる」
「利害関係のない機関が調査して真実相当性などを判断すべきで、当事者が口を挟むことが異常だ」
と指摘する。
疑惑を指摘された斎藤氏が文書を見て誹謗中傷性が高いと判断し、告発者を捜せという指示を出すなど
「一連の流れは論外」
と評価。
「こんなにも簡単に公益通報に当たらないという結論を出す県庁に、まともな公益通報の体制などなかったのではないか」
と話す。
制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授も、公益通報に当たるかどうかの根拠を真実相当性のみに拘っているとし、
「基本的な理解がないことが明らかになった」
と指摘する。
同制度では、事業者側に通報への体制整備義務の指針を規定。
外部通報であっても、不正目的の通報を除き、通報者の特定や不利益扱いを禁じている。
兵庫県の一連の対応は
「最初の段階から間違えている」
と断じ、
「知事が文書を入手した瞬間から誹謗中傷と思い込み、知事を守ろうと周囲も忖度して拙速に動いた結果ではないか」
と指摘した。
■狭い保護対象、法改正求める声も
公益通報者保護法は、通報者を不利益な扱いから守って不正の是正を促す一方、全ての通報が保護されるわけではない点が問題視されてきた。
保護法は国民の生命、身体、財産の保護に関わる違法行為などへの通報を保護対象と規定。
食品偽装などが内部告発で相次ぎ発覚したのを機に平成18年に施行された。
ただ、今回の告発文書で指摘された地方公務員法や公選法違反の部分は規定外で保護対象とならない。
また、通報先により保護要件も異なる。
報道機関などの外部通報では、証拠資料や信用性の高い証言など疑惑が真実と信じる根拠(真実相当性)が必要とされる。
制度に詳しい三浦直樹弁護士は
「兵庫県の問題は制度の至らぬところを浮き彫りにした」
「地方公務員法などが保護対象でないのは狭すぎる」
と指摘する。
斎藤氏はこれまでの記者会見で、文書で告発された疑惑について
「大半は保護法で定められた法律違反ではない」
と強調。
更に
「信用性の高い供述などが存在せず、真実相当性が認められない」
として保護対象外と主張する。
保護法には、通報者が主張の根拠を示す資料などを外部に持ち出した場合の免責事項もない。
資料を持ち出せば、情報漏洩や守秘義務違反で逆に処分されるリスクを負う。
また、通報者捜しや通報による不利益扱いを禁じる一方、事業者側には罰則もない。
三浦弁護士は
「正義感で通報しても、現状ではハイリスク・ノーリターンだ」
と指摘。
通報者の中には自分の事例が保護対象ではないと苦しむ人もおり、
「対象を限定せず、不利益な扱いを生まないよう罰則規定を強化するといった法改正が望まれる」
と強調した。

兵庫知事、不信任案可否が焦点に 衆院選迫り各会派難しい判断迫られる
2024/9/7 6:00
https://www.sankei.com/article/20240907-527ZK4OPGFOJJHHEUEGJTLNYPU/
6日の兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)で、斎藤元彦知事は文書による疑惑告発を公益通報と扱わなかった対応について
「適切だった」
とする従来の主張を繰り返した。
今後、県議会が斎藤氏への不信任案を可決するかが焦点となる。
百条委を通じて斎藤氏への批判は高まり、不信任への流れは強まるが、議会側には斎藤氏が議会解散を選択するとの見立ても根強い。
衆院選も迫り、各会派は難しい判断を迫られている。
百条委での疑惑追及が続く中、最初に不信任案提出を決めたのは、立憲民主党議員らでつくる第4会派のひょうご県民連合(9人)。
会派幹部は
「県政が完全に停滞している」
「正常化には真相解明に加えて知事の辞職しかない」
と語る。
県民連合が単独で不信任案を提出することは可能だが、可決へのハードルは高い。
兵庫県議会(定数86)の場合、全員が出席すると65人の賛成が必要で、他会派との連携が不可欠となる。
まず、カギを握るのが最大会派の自民(37人)だ。
3年前の知事選では斎藤氏を推薦したが、今回の問題では県連会長の末松信介参院議員が事実上の辞職勧告を突きつけるなど、厳しい態度を見せている。
ある自民県議は
「百条委などの調査を待つべきだとの意見もあるが、(斎藤氏は)もう持たないのでは」
と話す。
第2会派の維新(21人)も知事選で斎藤氏を推薦した。
今回の問題では当初、百条委の設置に反対するなど斎藤氏寄りだったが、風向きは変わっている。
8月25日の大阪府箕面市長選で大阪維新の会公認の現職が敗北し、党内にショックが走った。
ある維新県議は地元で
「あの人(斎藤氏)をまだ応援しているのか」
と苦言を呈された。
早ければ今秋にも衆院解散・総選挙が想定される。
維新は兵庫で公明現職の選挙区にも候補を擁立する方針だが、激しい選挙戦が予想される。
党勢衰退は許されず、県議は
「もう(斎藤氏に)辞めてもらうしかない」
と吐露する。
第3会派の公明(13人)も難しい事情を抱える。
斎藤氏は今月4日の記者会見で、不信任を受けた場合の県議会解散を否定しなかった。
解散すれば県議選となるが、支持母体を挙げて選挙戦を展開する公明にとって、衆院選と時期が近接するのは避けたい。
会派幹部は
「他会派の動向を踏まえて判断したい」
「覚悟を決める時は決める」
と話した。

斎藤知事、告発者特定を幹部に「指示した」 自民会派、12日に辞職申し入れへ
2024/9/6 21:11
https://www.sankei.com/article/20240906-FHAFQ3CE6NKXZB35TWIDYC3OGE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏は証人尋問で、文書作成者の特定を幹部に直接指示したと認めた。
元副知事の片山安孝氏の初の尋問も行われ、斎藤氏から
「徹底的に調べてくれ」
と直接命じられたと証言した。
この日の尋問内容を受け、県議会の各会派は、斎藤氏への不信任決議案を巡る対応について協議する。
片山氏の証言などによると、斎藤氏は県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=が作成した文書を把握した翌日の3月21日、片山氏や側近の幹部を集め対応を協議。
その場で斎藤氏は
「誰がどういう目的で出したのか、徹底的に調べてくれ」
と命じたという。
斎藤氏は尋問で
「誹謗中傷性が高く、噂話を集め作成した文書」
とし
「公益通報に該当するとは今も思っていない」
と証言。
公益通報者保護法で禁じる告発者捜しに当たるとの指摘には
「内容の意図を含め、作成した人を聴取することは問題ない」
と正当性を主張した。
告発者の処分は公益通報の調査を待つべきだと人事当局が進言したとの職員の証言には
「記憶にない」
と強調。
結果を待たず処分できないか打診したとの証言にも
「処分しろと言ってない」
と否定した。
参考人として出頭した公益通報制度に詳しい山口利昭弁護士は、告発者を処分した県の対応を
「法令違反」
とし、処分が無効になる可能性に言及。
一方、斎藤氏は違法の認識は
「(今も)ありません」
と述べた。
斎藤氏への不信任案を検討している県議会最大会派の自民は、6日の百条委終了後に対応を協議。
12日に県議会の全議員に呼びかけ、斎藤氏に辞職を申し入れることを決めた。
会派幹部は
「受け入れられなければ不信任もあり得る」
と語った。

知事室に届いた食べ物の独占「ルール化した」と斎藤兵庫知事 「職員に分けると不公平」
2024/9/6 18:46
https://www.sankei.com/article/20240906-X5OQFSVOANJ7REWDI5E3AIVCXA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への2度目の証人尋問が行われた。
秘書室に届いた食べ物などを自宅に持ち帰り独占≠オていた理由について、斎藤氏は
「知事に食べてほしいと頂いたものなので、自分が食べる判断をした」
と説明。
職員と分け合わなかった理由については
「秘書課職員だけが差し入れられたものを頂くのはどうか」
とした。
委員は斎藤氏の質問で、前知事の井戸俊三氏が秘書室に届いた食べ物を
「食べや、と言って必ず皆の所に置いていた」
とする職員アンケートの記述を紹介。
斎藤氏が井戸県政の刷新を掲げていたことに触れ、差別化を図るなら
「受け取るべきではなかったのでは」
と質した。
斎藤氏は職員と分け合った場合、
「なぜ(秘書課など)特定の課の職員のみ食べられるのかという問題がある」
と不公平感について言及。
知事就任後、秘書課職員から
「届けた方の厚意で、社交辞令の範囲内だから食べていい」
と言われたといい、自身が全て消費する方針を秘書課に伝え
「ルールというか、明確化した」
と述べた。

告発者特定し処分は「ありえない話で法令違反」公益通報に詳しい弁護士、百条委で指摘
2024/9/6 18:29
https://www.sankei.com/article/20240906-4IBKDPDBYFOKBKYFGCKTMPPH6Y/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、公益通報に詳しい山口利昭弁護士(大阪弁護士会)を参考人として招いた。
文書の存在を把握した直後に告発者を特定し、公益通報の調査を待たずに告発者の元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=を停職3カ月の懲戒処分とした県当局の対応について、
「あり得ない話で法令違反」
と指弾した。
山口氏は、公益通報に当たらないとされるケースとして名誉棄損などの
「不正な目的」
がある場合があると説明した。
山口氏に先立って証言した元副知事の片山安孝氏は、メールの送受信記録の中に
「クーデター」
「革命」
といった文言が含まれていたことを理由に
「不正目的な行為であり(公益通報の)対象にならないと思っていた」
と説明。
一方、山口氏は
「事業者(県)側に立証責任があり、相当厳格な調査をしなければ『不正の目的』は認められない」
と強調し、告発者の男性による文書の配布は
「公益通報者保護法上の外部公益通報にあたる」
との認識を示した。
男性が5月に受けた停職3カ月の懲戒処分についても、
「無効となる可能性が高い」
とした。
山口氏は、消費者庁の公益通報者保護制度検討会の委員を務めており、公益通報に関連する著書もある。
一連の県の対応を踏まえ、同法の法定指針で義務付けられている公益通報への対応体制の整備ができていなかったとして、
「まだ兵庫県では違法状態が続いているという理解だ」
と批判した。

知事の不信任案可決、過去には「脱ダム」田中氏ら4例のみ 議会側の最終手段も高いハードル
2024/9/6 17:16
https://www.sankei.com/article/20240906-ZWZXSMLYMFMBNGBEFGTYU6DAHY/
住民に直接選ばれた首長と議会が相互に協力、監視、牽制する形の二元代表制を採る日本の地方自治で、首長の失職につながる不信任決議は議会側の最終手段だ。
それだけに可決へのハードルは高く、都道府県知事に対する不信任案が可決された例は4件しかない。
不信任決議は地方自治法で規定。可決には議員数の3分の2以上が出席し、その4分の3以上の賛成が必要となる。
不信任を受けた首長は辞職するか、10日以内に議会を解散することができ、解散しなければ失職する。
議会解散の場合は議員選挙を実施。選挙後初の議会で再び不信任案が提出されると、今度は出席議員の過半数の賛成で成立し、首長は失職する。
都道府県議会で実際に可決されたのは岐阜(昭和51年)、長野(平成14年)、徳島(15年)、宮崎(18年)の4回。
いずれも知事が辞職か失職を選び、議会が解散されたことはない。
長野県では、
「脱ダム宣言」
などで対立した田中康夫知事(当時)に県議会が不信任案を可決。
田中氏は失職を選んで知事選に再出馬し当選した。
ただ、不信任を受けた後も知事を続けられたのは田中氏のみ。
宮崎県では、官製談合事件の責任を問われた安藤忠恕知事(同)が辞職し、知事選で東国原英夫氏が初当選を果たした。
不信任案可決が確定的になった段階で自ら辞職するケースも。
東京都では28年、舛添要一知事(同)に対する不信任案を最大会派の自民などが提出。
可決される見通しだったが、舛添氏は採決直前に辞職した。
一方、世論の批判に晒された首長でも、一定数の議員が擁護に回って否決されることもある。
2023年7月、静岡県の川勝平太知事(同)が返納を表明した給与やボーナスを返していなかった問題で、県議会で知事に近いとされる会派が不信任案の採決で反対に回り、1票差で否決された。
青森県では平成15年、週刊誌などでセクハラ疑惑が報じられた木村守男知事(同)に不信任案が出された。
既に可決されていた辞職勧告決議案に賛成していた議員数人が不信任案では反対に回り、2票足りずに否決された。
■中央大名誉教授・佐々木信夫氏(行政学) 「政策対立のケースとは質が違う」
地方自治体は二元代表制を採用している。
首長は議会から指名されるわけではなく直接公選で選ばれ、議会は民意の代表機関として首長と競い合う関係にある。
大勢の職員を従える首長に対し、議会は監視や批判、修正といった機能を果たすことを期待されている。
不信任決議によって知事の失職か議会の解散となれば、選挙で再び民意を問うことになる。
不信任は、二元代表制における首長と議会の対立を住民の判断に委ねる制度といえる。
不信任が焦点となっている今回の兵庫県の場合は、知事の振る舞いや資質が問題視されており、政策的な問題で議会と知事が対立したケースとは質が異なる。
百条委で斎藤氏は自分に非はないと主張しており、すぐに辞職するとは考えにくい。
不信任を受けても議会が間違っているとして解散する可能性もあるが、全国レベルで報道が続いたこともあり、知事のイメージは著しく低下している。
不信任を受け入れ、自ら身を引くことを選択した方が県政刷新に貢献すると思われる。

「アイアンは1本もない」「カニはいただいた」贈答品疑惑に斎藤知事、企業との癒着は「ない」と否定
2024/9/6 17:15
https://www.sankei.com/article/20240906-O6BOQ33CCFNK5IQ5Y4F2GNPIJM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏に対する2度目の証人尋問が行われた。
告発文書に記載された贈答品疑惑について、実際にどんな贈答品があったのかの事実確認の後、委員から特定企業との癒着があったのかを問われた斎藤氏は
「癒着はない」
と否定した。
そしてゴルフクラブのアイアンを受け取った疑惑については
「一本ももらってない」
と強調したものの、出張先での視察の帰りに渡されたカニについては
「生もので、持ち帰っていただいた」
と述べた。
委員は
「知事の自宅には贈答品が山のように積まれているというのは事実か」
と質問。
斎藤氏は
「そういったことはない」
と否定した。
また、スポーツウエアメーカーとの癒着についても
「(癒着は)ない」
とし、
「スポーツ振興のため(の付き合いだった)」
と説明した。

告発者の処分は「手続きに問題ない」と斎藤知事、文書に「真実相当性はない」とも
2024/9/6 16:01
https://www.sankei.com/article/20240906-NPSOPE4BYRNW3EM33AAIGV5J3U/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への証人尋問が行われた。
斎藤氏は文書を作成した元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=を懲戒処分した県の手続きについて
「問題ない」
との認識を示した。
斎藤氏の証人尋問に先立って参考人として出頭した公益通報制度に詳しい専門家は、
「議員やマスコミに文書が送付された時点で、公益通報として扱わなければいけない」
と発言。
百条委の奥谷謙一委員長はこうした意見があったことを説明し、
「告発者を保護できていないということは、完全に県の手続きとして瑕疵がある、違法であると思うが、その認識はあるか」
と質問した。
これに対し斎藤氏は
「法的に問題はない」
「手続きとして問題はない」
と述べた。
続いて別の委員が
「公益通報保護法では扱わないといけない」
と指摘したものの、斎藤氏は
「真実相当性がないので公益通報の保護要件に該当しない」
と改めて強調した。

「道義的責任ない」「法的にも適切」と斎藤兵庫知事 告発文書問題で県政混乱との指摘に
2024/9/6 16:10
https://www.sankei.com/article/20240906-6V6DXYAQPRNOBDGBVDCKAUDLLE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への2度目の証人尋問が行われた。
委員から、元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=の告発文書を巡る一連の対応への道義的責任を問われた斎藤氏は
「ちゃんとやってきた」
と述べ、責任はないとの認識を示した。
委員は、これまでの証人尋問によって告発文書に一部事実が含まれていることが判明したとし、告発文書への対応によって県政に混乱を招いた点について
「道義的責任を感じないか」
と質問。
これに対し斎藤氏は
「1つ1つ対応を積み重ねている」
「法的にも適切にやっている」
「道義的責任を指摘されるが、私としてはちゃんとやってきた」
と強調した。

告発文書調査は「第三者委で」との提案は「なかった」と斎藤知事 元副知事と証言食い違い
2024/9/6 15:48
https://www.sankei.com/article/20240906-VEY5YDGPARIFVMOLEZLFG5Z6XI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への証人尋問が行われた。
斎藤氏は3月、元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が作成した告発文書の存在を知った後、県幹部に文書作成者の特定や動機などの調査を指示。
委員は、こうした調査を第三者委員会を設置して行うべきだと人事課や幹部らから提案を受けたのではないかと斎藤氏に尋ねたが、斎藤氏は
「進言された記憶はない」
と強調した。
斎藤氏に先立つこの日午前の証人尋問で、片山安孝元副知事は、3月に人事課などが第三者委による調査を斎藤氏に提案したと証言。
片山氏は、斎藤氏から
「(調査に)時間がかかる」
ことを理由に退けられたと述べており、斎藤氏と最側近との間で証言が食い違った。

告発文書作成者探し「誹謗中傷性が高く問題ない」と斎藤知事、2度目の百条委尋問始まる
2024/9/6 15:39
https://www.sankei.com/article/20240906-P34Y7U2BFJMCTIHOFHMRDZUQSM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)で6日午後、8月30日に続く斎藤氏に対する2度目の証人尋問が始まった。
告発文書を作成した元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=に対する処分が、公益通報者保護法に違反するとの指摘が専門家らから出ており、処分の経緯などについて委員が質問した。
同法では、告発者探しや通報による不利益扱いが禁じられている。
県幹部らは、斎藤氏が文書の存在を把握した後、作成者として疑われた元県民局長に対する事情聴取を3月25日に実施。
この対応の是非について斎藤氏は
「告発というより誹謗中傷性の高い文書と思っていたので、作成した人への聴取は問題ない」
との認識を示した。

辞職進言を斎藤知事拒絶「法的におかしくない」「辞める選択肢ない」 百条委で元副知事
2024/9/6 12:46
https://www.sankei.com/article/20240906-K2ACHTA7N5IXVK7VMDYZ3UZTMQ/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
4月に元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が公益通報窓口に告発文書を提出した後、斎藤氏に辞職を促したものの
「この件について自分は何ら法的におかしいことはしていない」
「そのことをきっちり主張していく」
として拒否されたことを明かした。
片山氏は7月の記者会見で
「知事の代わりに辞めるのではなく、副知事としての責任を取る」
と述べ、副知事を辞職。
この際、斎藤氏に対して計5回に渡り辞職を進言したが、受け入れられなかったと明かしていた。
片山氏はこの日の証人尋問で、計5回のうち3回の場では
「政治的に非常に大きな動きになっている」
「知事をお辞めになり、選挙に出て県民の信を問うべきだ」
と進言したと述べた。
元局長が死亡した後には
「誰かが責任を取らなければならない」
とも伝えたが、斎藤氏は
「辞めるという選択肢ない」
などと応じ、辞職を否定し続けたという。

告発者守るとの認識「ありませんでした」片山元副知事 百条委で証言
2024/9/6 11:53
https://www.sankei.com/article/20240906-ZYEEQJ2OUZKPRGWCNCSTEXPUYE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が公益通報の保護対象であるという認識について問われた片山氏は、
「文書の作成意図が不正な目的に基づくものと思っていた」
ことを理由に
「(当時は認識が)ありませんでした」
と証言した。
また、告発文書の内容を、第三者機関で調査するという案を示したものの
「(調査に)時間がかかる」
ことを理由に斎藤氏に退けられていたとも明かした。

生前の元局長を厳しく追及、片山副知事「反省している」 百条委で証言
2024/9/6 11:35
https://www.sankei.com/article/20240906-3PLBFHB2FFO2RLKRIF6TWMCIPM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
片山氏は告発文書について調査を進めていた3月25日に、元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=を事情聴取し、厳しく追及したことを認めた。
百条委の奥谷謙一委員長はこの日、事情聴取の内容を記録した音声データの反訳文を読み上げ、片山氏に発言内容について確認を求めた。
片山氏は、
「俺としては、(告発文書に)名前が出てきたものは一斉に嫌疑をかけて調べなしゃーない」
「名前が出てきたものはみな在職しとるということを忘れん取ってくれよな」
と詰問したことを認めつつ、
「斎藤政権に大きなダメージを与える」
「転覆させるような計画があり、不正な目的だと思った」
などと詰問の理由を述べた。
そして
「発言に厳しいところがあったことは反省している」
と語った。
片山氏は、告発文書で
「斎藤氏の政治資金パーティー券を商工会議所などに大量購入させた」
など3項目の疑惑を指摘されていた。
県産業労働部長の原田剛治氏のこれまでの証言によると、斎藤知事ら県幹部が出席し、告発者探しをすると決めた3月21日の幹部会議の場に同席していたとされる。
片山氏は県議会で百条委を設置する動きが出た際、設置しないよう自民議員らに打診。
「自分が責任を取って辞職する」
「百条委員会はやめてください」
などと持ちかけていたことが判明している。
7月に副知事の辞職を表明した際には、報道陣の前で
「知事を支えられなかった」
と号泣。
「知事の代わりに辞めるのではなく、副知事としての責任を取る」
とし、斎藤氏に対しては5回に渡って辞職するよう進言したが、拒否されたことを明らかにしていた。

告発文書を「徹底的に調べろ」と知事が指示 片山元副知事が百条委で証言
2024/9/6 10:59
https://www.sankei.com/article/20240906-73HKQ6MYUJIMLEB4AEKWHIKDQI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
片山氏は3月21日に斎藤氏に呼び出され、元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が作成した告発文書を示し、
「徹底的に調べろ」
と知事から直接命じられたと証言した。

兵庫知事、処分先行証言に「まさにそこは自分の考え述べる」 告発文書問題
2024/9/6 10:55
https://www.sankei.com/article/20240906-H7XLRTB44FMZLCN7K3MRYILC5U/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、斎藤氏が6日午前、報道陣の取材に応じた。
疑惑を検証する県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問で告発者による公益通報の調査よりも処分を先行したとの証言が出たことについて、斎藤氏は
「そこはまさに百条委の場で自分の考えを述べさせて頂きたい」
と話した。
同日午前に元副知事の片山安孝氏、午後に斎藤氏の尋問を予定しており、斎藤氏は
「公益通報に関することを含めて自分の認識、考えをしっかり述べさせて頂く」
とも話した。

告発文書のプライバシー情報「副知事から聞いた」県部長、前日証言を翻す 百条委で
2024/9/6 10:47
https://www.sankei.com/article/20240906-ZIIBIQCNBZNGZMSYQBX26OMQWA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が6日始まった。
5日に続き県産業労働部長の原田剛治氏が証人尋問に臨み、告発者のパソコンにあったプライバシーに関する情報について、人事課から聞いたとしていた5日の証言を訂正。
「(当時の)片山副知事から連絡を受けた」
と述べた。
5日の証言内容に誤りがあったとして、原田氏本人から訂正の申し出があった。
原田氏は、5日の尋問で告発者のプライバシーに関する情報に触れたことを認めた上で、情報を聞いた経緯を問う委員に対し
「あやふやですが、人事課長、副課長ぐらいだったと記憶している」
と回答していた。
告発文書は元西播磨県民局長の男性(60)=死亡=が作成し、3月に一部の報道機関や県議らに配布。
斎藤氏のパワハラや、企業から贈答品を受領した
「おねだり」
など7項目の疑惑が示されていた。
男性は告発文書を県の公益通報窓口にも届けたが、県は通報者への不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法の対象にならないと判断。
内部調査を進めた上で誹謗中傷と認定し、5月に停職3カ月とした。
これに対し調査の中立性を疑う声が噴出し、県議会が6月、百条委を設置。男性は7月に証言予定だったが、同月7日に死亡した。

「まるで独裁者が粛清する構図」「公開ハラスメント」「組織の他山の石に」斎藤兵庫県知事の告発者処分 専門家が厳しい指摘
2024/9/6 10:02
https://www.sankei.com/article/20240906-HO3JUC3YPJMZNHUJGDULOZA3JQ/
兵庫県の元西播磨県民局長(7月に死亡)が斎藤元彦知事らを告発した文書の内容を検証する県議会特別調査委員会(百条委員会)が5日開かれた。
告発者の県民局長を公益通報の保護対象とせずに懲戒処分した妥当性を調査するために時間が割かれ、公益通報制度に詳しい上智大学の奥山俊宏教授が参考人として意見を述べた。
主な内容は次の通り。
■攻撃の典型パターン
西播磨県民局長が解任されたことが新聞で報じられた3月28日から私はひとかたならぬ関心をこの件に抱き、事態の推移を注視してきました。
内部告発された側が、告発者に対して示す反応には1つの典型的なパターンがあります。
告発者、中でも、本質的で重要な不正について告発をした人は、大抵、ある事、ない事織り交ぜて誇張され、人格攻撃に晒される。
これは日本に限った話ではなく、古今東西に見られる共通の現象です。
内部告発が別の新たな内部告発を呼び起こすことが往々にしてあるが、そういうことがないように、告発者に悲惨な末路を押しつけ、見せしめにするのです。
8月30日のこの場での証人尋問で、斎藤知事は、その文書を作成したのが西播磨県民局長だと知った時には
「本当に悔しい辛い思いがあった」
と明かしています。
3月27日の記者会見で西播磨県民局長に浴びせた
「公務員失格」
との言葉について先週の証人尋問で斎藤知事は、
「その悲しい辛い思いから、やはりああいった表現ということをさせて頂いた」
とも認めています。
これらの知事の説明は、個人的な感情に突き動かされた末に、3月27日の記者会見での、あのような言動に及んだことを認めるも同然だと私には思えます。
しかし、そういう感情に駆られて、県の行政府のトップである権力者が公の場で部下のいち個人に対していわば
「公開ハラスメントに及ぶ」、
ということは許されません。
さらに証人尋問で、斎藤知事は
「誹謗中傷性の高い文書だという風に私、県としては認識しました」
という風に述べました。
「私として認識」
と言いかけて、
「県として認識」
と言い換えています。
しかしながら、この場合、
「私」
である斎藤元彦さん個人と、行政機関としての
「県」
を同視することはできません。
行政機関としての県ならば、悔しかったり悲しかったり辛かったりすることはなく、そういう感情を抜きにして、バイアスなく冷静にあの文書を見定めなければなりません。
兵庫県が誹謗中傷性が高い文書と認識してしまいそこから全てをスタートさせてしまった理由は、そのまさに
「認識」
の担い手が、文書の内容と無関係の第三者ではなく、斎藤知事や副知事、総務部長ら、あの文書で告発の矛先を向けられている当人たちだったからです。
本来ならば、そういう人たちは、あの告発文書に関する県行政としての判断への関与から自ら忌避、身を引くべきだったと私は思います。
なのに、真逆の行動を選んだ。
だから、冷静な対応ができなかった。
まるで独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図を描いてしまった、そう思われます。
■不利益扱いで違法
私の、見ます所、今回の告発文書には様々な内容が含まれています。
その真実性や真実相当性の程度は様々だと思われます。
噂話程度の内容も含まれているのかもしれませんが、直接それを見聞きした人から聞き取って裏付けられていると思われる内容もあります。
外形的な事実関係が大筋で概ね正しいと言える内容が多々含まれています。
意図的なウソ、虚偽は見当たらないように思われます。
軽々に全体的な印象、一部を切り取って
「真実相当性なし」
「公益通報に該当せず」
と判断するのではなく、丁寧な判断が必要だった。
あの段階、5月初旬、あの程度の状況で
「公益通報に当たらない」、
と判断したのは拙速に過ぎたという風に、私にはそう思われます。
結果的に、告発文書には、法的に保護されるべき
「公益通報」
が含まれていることが今や明らかになっていると思われますので、知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反し、告発者への不利益扱いは禁止されます。
パソコンの押収、圧迫的な事情聴取、県民局長の解職、退職の保留、懲戒処分は全て、公益通報者保護法に違反する不利益扱いで、違法ということになります。
■組織の「他山の石」に
この問題を巡って、今、世の中で多くの人が怒り、それはまるで沸騰しているようです。
声を上げた男性職員の、大変に不幸な結末が、他の職員を萎縮させるのではないか、兵庫県庁だけでなく、日本中のあちこちの職場で働く多くの人たちをして、内部告発の声を上げづらくさせるのではないか、と心配する声があります。
その結果、不正が放置されてしまいがちになってしまう恐れがあります。
その時立ち上がったのが、兵庫県議会であり、この特別委員会(百条委員会)であると思います。
この特別委員会が真摯に対応しておられること、そのプロセスが模範となって、今後の日本社会で正当な内部告発が真剣に取り扱われることが当たり前となることを私は強く願っています。
斎藤知事は公益通報に関する基本的な知識の欠如と思い込みで、前時代的な対応を取ってしまったが、斎藤知事に限らず全ての組織の上に立つ人間にとって他山の石にすべきだと思います。

「処分は適切だった」と繰り返す斎藤知事、県議会百条委にきょう午後出頭へ 何を語るのか
2024/9/6 9:00
https://www.sankei.com/article/20240906-A7VV23CXMROK7KWY7OIBLZH36E/
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれる。
5日に続き、告発者を公益通報として扱わなかった県の対応などが審議対象となり、斎藤氏や、元副知事の片山安孝氏の証人尋問が行われる。
5日の証人尋問では、公益通報制度の専門家が告発者処分を巡る斎藤氏らの対応について、公益通報者保護法に違反していると指摘。
文書に名前が挙がった側近幹部からは、斎藤氏が告発者の特定などを指示したとの証言もあった。
斎藤氏は処分は適切だったと繰り返し主張しており、証人尋問でどう説明するのか注目される。
告発文書は3月中旬、元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が作成し、一部の報道機関や県議らに配布した。
同20日には斎藤氏が文書の存在を把握し、その後、男性を告発者と特定。
27日には県民局長の職を解いた上で、会見で法的措置も示唆して
「噓八百」
「公務員として失格」
などと男性を一方的に非難した。
県は5月7日に男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
5日の証人尋問で証言した産業労働部長の原田剛治氏によると、斎藤氏は文書を把握した翌日の21日、知事室に、いずれも文書に記載のあった片山氏や、前理事の小橋浩一氏、前総務部長の井ノ本知明氏、原田氏を集めて、文書への対応を協議した。
原田氏はこの場で
「皆で(文書の作成者は)元局長じゃないかと話した」
と説明。
知事の指示で職員のメールなどを調べることになったと証言した。

訴えられてる本人が訴えの正当性を判断すること自体が不当だ。

急いだ処分、守らなかった通報者 百条委で見えた告発者処分強行の構図 知事は何を語るか
2024/9/6 7:00
https://www.sankei.com/article/20240906-VEUKH3L2YNLZRPAGSSK53TAZDE/
告発者の処分は正しかったのか−。
兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)で5日、元県西播磨県民局長の男性(60)を公益通報の保護対象とせず、処分した斎藤元彦知事らの対応が審議された。
「処分は適切だった」
と主張する斎藤氏。
だが、この日の百条委では、専門家が
「公益通報者保護法に違反している」
と指摘し、斎藤氏の主張を揺るがしかねない証言も出た。
6日には斎藤氏の他、片山安孝・元副知事の尋問が予定されており、何を語るのか注目される。
この日午前に始まった百条委。
初めに、公益通報制度に詳しい上智大の奥山俊宏教授が参考人として出頭し、男性を処分した斎藤氏らの対応について見解を述べた。
男性が匿名で告発文書を作成、配布したのは3月中旬。
斎藤氏は男性を告発者と特定し、同27日に県民局長を解任して内部調査を始めた。
男性は4月4日、県の公益通報窓口に文書とほぼ同じ内容を通報。
しかし、県は5月7日に
「文書の核心的な部分が事実ではない」
として停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は7月に死亡、自殺とみられる。
同法では通報者の保護が定められているが、斎藤氏は、男性が告発文書を
「噂話を集めて作成した」
と話したと説明。
告発文書には
「信ずるに足る相当な理由(真実相当性)がなく、公益通報には当たらない」
との主張を繰り返している。
だがこの日、奥山氏は告発文書には大筋で正しい内容も多々あり、公益通報が含まれていることは明らかだと評価。
その上で、男性を早期に処分した斎藤氏らの対応について、
「軽々に公益通報に該当しないと判断せず、公益通報に関する調査が終わるのを待つべきだった」
と指摘した。
また3月27日の記者会見で、斎藤氏が
「公務員失格」
などと男性を非難したことに触れ
「県の行政府のトップである権力者が、公の場で部下の一個人に対して、いわば公開パワーハラスメントに及ぶことは許されない」
と言及。
斎藤氏の主張を真っ向から否定した。
□□□ □□□
午後に証人として出頭したのは、県の内部調査に協力した藤原正広弁護士。
藤原氏は県の人事課から
「内部通報に関わらず、処分できるか」
と相談を受けた際、文書に真実相当性がなく
「処分は可能」
と回答したと証言した。
藤原氏のこうした回答や協力は、斎藤氏が内部調査について
「第三者性が保たれており、客観性がある」
と主張する根拠となっている。
藤原氏は尋問で
「(処分後に)裁判にも耐えられるだけの調査が行われたという意味で(調査には)客観性がある」
と強調した。
ただ一方で、自身が県から依頼された立場であることなどから、広く県民から納得されるという意味において
「客観性はない」
と認めた。
処分を巡っては、斎藤氏が
「噂話を集めて作成した」
との文言だけを男性の供述内容として公表していることに、
「恣意的だ」
などと批判が集まっている。
斎藤氏はこれまで、処分に至る詳しい経緯の開示を拒否。
百条委で求められれば証言するとしている。
6日の証人尋問の結果次第では、県議会が不信任決議に向かう可能性もあり、斎藤氏がどのように正当性を示せるのかが焦点となりそうだ。

兵庫県人事課「第三者機関設置しては」と上層部に進言するも内部調査だけで告発者を処分
2024/9/5 22:10
https://www.sankei.com/article/20240905-QNLMB6DERJPSHN2WXM3FZGJ5CI/
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑が文書で告発された問題で、斎藤氏が文書の存在を把握した直後の3月下旬、県人事課が第三者機関の設置を斎藤氏に提案していたことが5日、関係者などへの取材で分かった。
同日の県議会調査特別委員会(百条委員会)の非公開の証人尋問で、県の幹部が証言した。
この時は設置されず、斎藤氏は人事課による内部調査で告発者を処分。
その後、調査の中立性を疑問視する県議会の要請を受け、第三者機関の設置を決めた。
斎藤氏が文書の存在を把握したのは3月20日。
百条委終了後に報道陣の取材に応じた奥谷謙一委員長などによると、同23日に人事課の幹部と知事との協議の場で、調査の必要性が話題となり、24日頃、人事課が弁護士などを入れた第三者機関の設置案を当時総務部長だった小橋浩一・前理事に提出したという。
非公開の尋問では、この案について、県の特別弁護士の藤原正広氏に問い合わせたところ、
「経費もかかる」
といった意見が伝えられたとの証言もあった。
結果的にこのタイミングでの設置は見送られ、県は同27日に告発者の男性を解任し、懲戒処分に向けた内部調査を始めた。
設置されなかった理由は不明という。

視察中、斎藤知事が「コーヒー好き」と発言、「コーヒーメーカー贈る」と提案あったが断る
2024/9/5 17:46
https://www.sankei.com/article/20240905-M6AQO6ICVFJIZL4P7BXTOWAAUY/
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑が文書で告発された問題を巡る5日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、県産業労働部長の原田剛治氏が、県内企業から高級コーヒーメーカーを受領した経緯について証言した。
斎藤氏は企業を視察した際、
「僕もコーヒー好きなんですよ」
と発言。
企業側からコーヒーメーカーを贈ると提案があったが、その場には報道陣らが大勢いたため、
「『受け取るのは適切じゃないよね』とお断りになった」
などと明かした。
原田氏は、文書にも名前が記載されている知事の側近の1人。
証言などによると、2023年8月、斎藤氏と共に家電や調理器具を製造している県内企業を視察した。
その際、高級コーヒーメーカーなどの商品が陳列された場所で、斎藤氏が担当者に
「僕もコーヒー好きなんです」
と発言。
すると、担当者から
「ぜひ使ってください」
と提案があったが、斎藤氏はその場で断ったという。
原田氏は、
「(報道陣ら)人が多くいたので『個人として受け取るのは適切じゃないよね』という話になり、お断りになった」
と証言した。
原田氏はその後、企業の担当者から
「PRになる」
との申し出を受け、自身が商品を発送してもらい、県庁内に保管。
告発文書が出回った後の2024年4月、未開封のまま同社に返却したとした。

告発文書は誰が書いたか、知事から作成者特定の指示 協議同席の兵庫県部長が証人出頭 
2024/9/5 16:25
https://www.sankei.com/article/20240905-UCKJZUGCVFL7RLBWPUZQMKSUNA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡る5日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、県産業労働部長の原田剛治氏が証人として出頭した。
原田氏は文書の存在を把握した知事が、県幹部らと対応を協議した場に同席。
知事から作成者の特定などの指示があったと証言した。
原田氏は、文書にも名前が記載されている知事の側近の1人。
証言などによると、斎藤氏は、県西播磨県民局長だった男性(60)が文書を作成、配布した後の3月20日に文書の存在を把握。
翌21日夕に、文書に名前が挙がった元副知事の片山安孝氏、前理事の小橋浩一氏、前総務部長の井ノ本知明氏、原田氏の5人が知事室で文書について協議したという。
原田氏はその際、
「皆で元局長じゃないかと話したことを覚えている」
「我々の名前や人事の話もあって総合的に元局長ではないかと推測した」
と言及。
「文書の内容がほんまかなというのを抑えていこうという話になった」
「その時は(職員の)メールを調べることになった」
と述べ、誰からの指示かとの問いには
「知事からの」
などと証言した。

百条委、兵庫県の内部調査に協力した弁護士 県民に納得される「客観性はない」と認める
2024/9/5 15:56
https://www.sankei.com/article/20240905-U2QGMIH6ZJJVHKCFN5DN233ARM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、5日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)で、告発者の処分に向けた県の内部調査に協力した弁護士が証人として出頭した。
弁護士は
「(告発文書は)不利益取り扱いが禁止される外部通報ではない」
とし、処分は正当だったとの見解を示した。
一方で内部調査については、自身が県から依頼されている立場であることなどから、広く県民から納得されるような
「客観性はない」
と認めた。
証言したのは、県からの法律相談に乗る特別弁護士を務めている藤原正広氏(兵庫県弁護士会)。
百条委での証言などによると、県人事課が4月1日から、藤原氏に処分についての助言を求めるようになった。
告発文書を作成した県西播磨県民局長だった男性(60)は、同月4日に県の公益通報窓口に告発文書と同様の内容を通報。
その後、人事課から
「内部通報に関わらず、処分できるか」
と相談があり、藤原氏は、文書に真実だと信じる相当な理由がなく、告発者の利益を守る対象ではないため、
「処分は可能」
という趣旨の回答をしたという。
真実相当性がないと判断したのは、
「(告発文書が)居酒屋などで聞いた単なる噂話で作成された」
ためだと説明。
告発内容が噂話を基にしているかどうかは、人事課から提示された資料を基に判断したとし、文書の記載内容の真偽について自ら調査したことはないとした。
斎藤氏はこれまで、内部調査について、藤原氏に相談していることを根拠に
「第三者性が保たれており、客観性がある」
と主張。
男性の処分は問題ないとの認識を示している。
藤原氏は尋問で、調査について
「(処分後に)裁判にも耐えられるだけの調査が行われたという意味で客観性がある」
と強調した。
一方で委員から、弁護士は依頼者である県の利益を最優先するため、
「広く県民が納得するような客観性はないのではないか」
と指摘されると、
「客観性の意味の捉え方次第で、そういう意味で考えるのであれば客観性はないということになる」
と述べた。

「コメント難しい」と兵庫知事 専門家の「公益通報保護法に違反する」批判に
2024/9/5 11:59
https://www.sankei.com/article/20240905-46SBGL3HWFMXZGHHR3E3TGT7II/
兵庫県の斎藤元彦知事は5日午前、報道陣の取材に応じた。
斎藤氏は、男性の処分を巡る一連の対応について百条委で専門家から公益通報者保護法違反と指摘された点について
「内容を承知していないのでコメントは難しい」
とし、
「今回の処分は裁判になっても対応できるようにやってきたので、私としては問題ないと思っていた」
と述べた。

「公益通報保護法に違反する」斎藤知事らのふるまいを専門家が批判 百条委尋問
2024/9/5 11:44
https://www.sankei.com/article/20240905-2MGC56VF4VMG5MYJSLSHRQBD3U/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、5日に始まった県議会調査特別委員会(百条委員会)で、参考人として出頭した上智大の奥山俊宏教授は
「(告発文書を)公益通報に当たらないと判断したのは拙速過ぎ」
「知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると考える」
と指摘した。
公益通報制度に詳しい奥山氏は、県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=が作成、配布した告発文書について、直接見聞きした人から聞き取り、外形的な事実関係が大筋で正しい内容も多々あり、公益通報が含まれていることは明らかだと評価した。
その上で、男性を早期に処分した斎藤氏らの対応について、
「軽々に公益通報に該当しないと判断せず、公益通報に関する調査が終わるのを待つべきだった」
「知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると考えられる」
と断じた。

百条委尋問 通報者保護法違反と専門家、兵庫知事を批判「公開パワハラ」とも指摘
2024/9/5 11:30
https://www.sankei.com/article/20240905-NNLE3YPULZPHFMDRCYPHXM2DII/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が5日開かれ、参考人として出席した上智大の奥山俊宏教授は告発文書に公益通報が含まれていることは明らかだと指摘し、斎藤氏らの対応は
「公益通報者保護法に違反する」
との見方を示した。
文書を作成した元県幹部の男性について斎藤氏が
「公務員失格」
と記者会見で発言したことも
「いわば公開パワハラ。許されない」
と批判した。
午後には贈答品受領疑惑も含めた検証が始まり、側近幹部や県の特別弁護士らを尋問する。
6日は午前に副知事を辞職した片山安孝氏、午後に斎藤氏の尋問がある。
日本維新の会は証言内容を踏まえ斎藤氏への不信任決議案を出すかどうか判断すると表明しており、県議会最大会派の自民党も6日夜に総会を開き対応を協議する。

告発者処分のキーマン、前総務部長が百条委欠席 心身の不調や殺害予告理由に
2024/9/5 10:35
https://www.sankei.com/article/20240905-FK7RVWHXXVPNVKWSROESKGW2AQ/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が5日午前、始まった。
冒頭で、午後に証人として出頭予定だった前総務部長の井ノ本知明氏は、心身の不調や脅迫があったことなどを理由に欠席することが報告された。
井ノ本氏は県の人事当局トップとして、文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=の懲戒処分を主導したとされる。
証人尋問では、当時の経緯や斎藤氏とのやり取りなどについて、どのように証言するか注目されていた。
8月に病気療養を理由に総務部付(部長級)に異動。
告発内容とは関係がない男性の私的情報を漏洩した疑いがあるとして、県は井ノ本氏の調査を検討している。
井ノ本氏は、心身の不調が回復しないことや自身への殺害予告があったことなどを挙げ、4日付で欠席届を提出したという。
この日の百条委ではまず、公益通報制度に詳しい上智大の奥山俊宏教授が参考人として出頭。
男性が県の公益通報窓口に通報後、内部調査で男性を懲戒処分とした県の対応について意見を述べる。
午後には、県内企業から高級コーヒーメーカーを受領した産業労働部長の原田剛治氏が証言する。
受領が判明した直後、原田氏は斎藤氏からの指示について否定していた。
6日には、元副知事の片山安孝氏と、斎藤氏の証人尋問が予定されている。

百条委尋問、文書記載の幹部らが証言へ 贈答品受け取り疑惑など検証 6日には知事も
2024/9/5 9:35
https://www.sankei.com/article/20240905-4RG3TUPNY5KV3EBTAMJOVAJ6MI/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が5日午前9時45分から始まり、いずれも文書で名前の挙がった県幹部2人への証人尋問が初めて行われる。
会合では、斎藤氏の贈答品受領疑惑などについて検証。
参考人として出頭する専門家の意見を踏まえ、公益通報後、告発者を保護対象としなかった県の対応の妥当性についても追及する。
疑惑の事実関係や、斎藤氏の関与の有無について側近だった2人からどのような証言が出るか注目される。
午前は、公益通報制度に詳しい上智大の奥山俊宏教授が参考人として出頭。
文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が県の公益通報窓口に通報後、内部調査で男性を懲戒処分とした県の対応について意見を述べる。
午後には、いずれも文書に名前が出た県幹部2人が出頭を予定。
文書で斎藤氏に高級コーヒーメーカーが贈られたと記され、自分宛てに商品を送るよう依頼したと認めた産業労働部長の原田剛治氏が証言する。
商品の受け取り判明直後、原田氏は斎藤氏からの指示について否定していた。
また、前総務部長の井ノ本知明氏の尋問も予定。
井ノ本氏は、男性の処分を巡り内部調査した人事当局を管轄する総務部トップの立場にあった。
井ノ本氏は8月、病気療養を理由に総務部付(部長級)に異動。
告発内容とは関係がない男性の私的情報を漏洩した疑いがあるとして県が井ノ本氏の調査を検討していることが判明している。
6日には、元副知事の片山安孝氏と、斎藤氏の証人尋問を予定している。

兵庫知事、夕食予約巡り「俺は知事だぞ」激怒は否定 多数のパワハラ言動指摘には「反省」
2024/9/4 20:30
https://www.sankei.com/article/20240904-RMUNCHH4P5PE3PBPVQLSID5IYY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が県職員に実施したアンケートの未集計分で、斎藤氏のパワハラを見聞きしたとの回答が5割超を占めたことを受け、斎藤氏は4日の定例会見で
「言葉遣いや言動について反省している」
などと述べた。
百条委は近く、全ての集計結果を公表する予定。
アンケートは7月31日〜8月14日に実施。
関係者によると、このうち未集計だった8月5日以降の2096件をまとめた結果、斎藤氏のパワハラを見聞きしたとの回答は1052件だった。
自由記述欄では、施策や事業を斎藤氏に説明する際に叱責されたとの回答が目立ち、出張先のホテルで職員が事前予約制の夕食を断わられたと伝えると、
「俺は知事だぞ」
と激怒したとの記載もあった。
この日の会見で斎藤氏は、予約を巡る激怒について
「記憶はない」
と否定。
「(夕食の予約が)取れるか取れないか微妙だった」
「しっかり調整してもらうようお願いした」
と釈明した。
百条委では5、6両日、斎藤氏の贈答品受領疑惑や告発文書を公益通報と扱わなかった対応について証人尋問を実施。
斎藤氏や元副知事の片山安孝氏らが出頭する予定。
県議会最大会派の自民や、維新は証人尋問を踏まえ、斎藤氏への不信任決議案提出を含めた対応を協議する方針。
斎藤氏は会見で
「議会側の動きでコメントは難しいが、百条委や第三者機関の調査に対応していく」
と述べるにとどめた。

<独自>兵庫知事文書問題 アンケート未集計分が判明、5割超が「パワハラ見聞き」 近く結果公表へ
2024/9/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20240904-WD2YKTCBNFKBBINSOFR3P3GL7Y/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が全職員約9700人に実施したアンケートで、未集計となっていた約2千人分のうち、斎藤氏のパワハラを見聞きしたとする回答が5割超を占めたことが3日、関係者への取材で分かった。
中間報告を含めたアンケート全体では約42%となる。
百条委はアンケートや証人尋問の結果を踏まえ、斎藤氏の疑惑の真偽などについて判断し、年内にも報告書を取りまとめる方針。
アンケートは全職員を対象に7月31日〜8月14日まで実施した。
告発文書に記された7項目の疑惑について
「知事のパワハラを見聞きしたことはあるか」
「知事が贈答品を受け取っているのを見聞きしたことはあるか」
などと質問。
インターネット上で回答を求め、6664件集まった。
百条委はこれまで、8月5日午前9時までの回答4568件を中間報告として集計し、公表。斎藤氏のパワハラを見聞きしたとの回答は約4割の1750件に上った。
関係者によると、百条委は中間報告後、同月14日までに集まった2096件の回答を集計。
斎藤氏のパワハラについて、
「目撃などにより実際に知っている」が71件、
「目撃などにより実際に知っている人から聞いた」が316件、
「人づてに聞いた」が665件
だった。
中間報告と合わせると、パワハラを見聞きしたとの回答は2802件で、全体の約42%を占めた。
中間報告後のアンケート結果も近く公表される見通し。
具体的な事例を答える自由記述では、施策や事業について斎藤氏に説明する知事協議中に叱責されたとの回答が目立ち、斎藤氏が担当職員に対し
▽「腹立つわ」と5回程度繰り返した
▽「知事やぞ」と怒った
などの回答があったという。
斎藤氏が自身の写真の出来映えに不満を示し、準備不足と叱責したとの記述もあった。
また、斎藤氏の贈答品受領については、中間報告後の集計では見聞きしたとの回答が599件あり、中間報告と合わせ1545件と全体の約23%を占めた。

兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑は7項目 知事はいずれも否定、県議会の百条委員会で審議
2024/9/2 12:41
https://www.sankei.com/article/20240902-VXWYEL5GVROQPPJM7X7JFTFYU4/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、この告発文書には7項目の疑惑が記されていた。
作成したのは元県西播磨県民局長の男性(7月7日に死亡)で、斎藤氏はいずれも否定している。
県議会の調査特別委員会(百条委員会)が審議している。
審議の対象となる告発文書は4ページに渡り、
(1)法人副理事長解任、
(2)令和3年の知事選で知人に投票依頼、
(3)商工会議所に投票依頼、
(4)県内企業から高級コーヒーメーカー受領、
(5)政治資金パーティー券の購入を強要、
(6)補助金のキックバック、
(7)県職員へのパワハラ
という7項目の疑惑が列挙されていた(表参照)。
パワハラについては、出張先の施設のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で公用車を降りて歩かなければならなかった際、斎藤氏が
「出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らし、その後は一言も口を利かなかった」
と記載していた。
また、商品の受領について告発文書は
「斎藤知事のおねだり体質は県庁内でも有名」
と指摘。
斎藤氏が昨年8月、家電・調理器具メーカー「千石」(同県加西市)を訪問した際、同行した原田剛治・産業労働部長に対し、同社が贈与を申し出た高級コーヒーメーカーを秘書課に送らせるよう指示したとし、
「皆が見ている場所で受け取れるはずないやろ」
「ちゃんと秘書課に送るように言っておけ」
などと原田氏に発言した生々しいやりとりが記されていた。

公益通報って何? 通報者の解雇、降格、減給は禁止
2024/9/2 13:08
https://www.sankei.com/article/20240902-6GNIGDOTVJJGPFTORXXTD2YPDM/
公益通報を巡る兵庫県の対応の主な問題点
https://www.sankei.com/article/20240902-6GNIGDOTVJJGPFTORXXTD2YPDM/photo/RURWRVHQ3ZJHFKAPAA53URNNJA/
公益通報者保護法では、労働者らが所属する組織の不正行為について、不正の目的ではなく、内部通報したり、外部に通報したりすることを
「公益通報」
と定めている。
同法では、公益通報を理由に公益通報者が不利益な取り扱いを受けないよう保護している。
通報を理由に解雇した場合は無効となり、降格、減給することも禁止している。
同法では、通報体制の整備も求めている。
従業員が300人超の事業者は通報窓口の設置が義務で、300人以下の場合は努力義務となっている。
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題では、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(7月7日に死亡)を同法の保護対象となる公益通報者として扱わず、懲戒処分とした妥当性も問題となっている。

斎藤知事と部下たちの隔たりにみるパワハラ疑惑の現在地 「合理的な指導」と「理不尽な叱責」
2024/8/31 7:00
https://www.sankei.com/article/20240831-T7RL4BYYVNMNPGGWXLTI2KJW3U/
職務に関する疑惑を文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事が30日、県議会の調査特別委員会(百条委員会)で初めて証人尋問に臨み、職員に対する一連のパワハラ疑惑について、業務上の指導の範疇との認識を改めて示し、正当性を主張した。
一方、この日の百条委に斎藤氏に先立って出頭した部下らは
「理不尽な叱責を受けた」
と証言。
自身の言動を巡る知事の認識と職員の受け止めとの乖離を、強く印象づける結果となった。
「頭の中が真っ白になった」
「指導の範囲内とは思えないような言い方だった」
昨年11月、斎藤氏が出張先で公用車を降りてから建物入り口まで約20メートル歩かされ、職員を怒鳴ったとされる件。
告発文書に記載されたこのパワハラ疑惑について、現場で斎藤氏を案内した県幹部は30日の百条委でこう証言した。
一方の斎藤氏は
「歩かされたことで怒ったわけではない」
と説明。
重要な会議のスタートが迫っていたのに、職員が知事の動線を確保していなかったため、
「対応が不十分」
と感じ、
「大きな声でその旨を伝えた」。
そもそも現場は車の進入が禁止されたエリアだったが、その点も聞かされていなかったため、当時の指導としては
「合理的だった」
と、パワハラに当たらないとの認識を重ねて述べた。
斎藤氏は自らを
「厳しい上司」
と認め、部下への言葉遣いやコミュニケーション面で反省すべきところがあったと釈明しつつ、総務官僚だった自身の経験を踏まえ、行政マンに求めるレベルに言及。
知事への報告より前に新聞報道が出ると、度々担当者を呼びつけて叱責したとされる点について、自らの官僚時代は
「新聞の1面に出た時は、すぐに想定問答を作って大臣室に入れておく」
のが当たり前だったとし、県職員にも自分の現役当時と同じような対応を求めたところが
「正直ある」
と語った。
職員アンケートでは約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答しており、百条委の委員からは
「人望がなかったのではないか」
と率直な質問も飛んだ。
斎藤氏は
「職員に好かれたり、人望があるのは大事だ」
としつつ、
「必要な指導は県民のためにする」
と、職員ではなく
「県民ファースト」
の対応だったとの認識を強調した。
この日の尋問終了後、会見した百条委のメンバーの一人は
「証人の受け止めと知事の認識に差がある印象だ」
と感想を述べた。
百条委の奥谷謙一委員長は、これまでの県職員に対する尋問で、斎藤氏の言動について
「県庁生活で初めてこういった叱責を受けたという人もいた」
と明かし、この日も
「頭が真っ白になった」
との証言が出たことから
「パワハラに極めて近いと思う」
と指摘した。
■年内に報告書
告発文書には、斎藤元彦知事による職員へのパワハラ疑惑のほかに、県内企業からの贈答品受領や、信用金庫の補助金を増額しプロ野球の阪神・オリックス優勝パレードの募金としてキックバックさせた―など、斎藤氏や元副知事の片山安孝氏ら側近による7項目の疑惑が記されていた。
その真偽を調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)は、県の全職員約9700人を対象に7項目の疑惑についてアンケートを実施。
今月23日に公表した中間報告(4568件分)によると、パワハラ疑惑は38・3%(1750件)、贈答品疑惑は20・7%(946件)が見聞きした、と答えた。
百条委ではまずパワハラ疑惑を調査。
斎藤氏が初めて出頭した30日の証人尋問もパワハラ関連の質問に限定している。
次回9月5日と翌6日の期日では、贈答品受領疑惑と、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月7日に死亡=を保護の対象となる公益通報者として扱わず、懲戒処分とした妥当性を調べる。
公益通報を巡る県の対応は一連の問題の焦点ともいえ、6日には斎藤氏を再び尋問するほか、片山氏ら側近にも出頭の上で証言を求める。
10月下旬に優勝パレードやその他の疑惑に関する尋問を行い、11〜12月に百条委として事実を認定した上で報告書をまとめる方針。
■事実積み重ねて判断を
ハラスメント問題に詳しい東北大の増沢隆太特任教授に聞いた。
ハラスメントの中でもパワハラは、定義を厚生労働省が明確に定めており、
@優越的な関係を背景とした言動で
A業務上必要な範囲を超え
B労働者の就業環境が害されている
という3要件全てを満たす必要があるとされる。
知事という立場を考えれば、舌打ちやため息でも民間人とはインパクトが違うと捉えるべきで、日頃からそのような言動を繰り返していたとすれば、職員への威圧に当たるとも考えられる。
現代では
「本人のために怒鳴る」
は成立しない。
冷静で合理的な指摘であれば問題ないが、物を叩いたり、投げたりといった感情的な行為は悪質なコミュニケーションで不適切だ。
斎藤氏の証人尋問での受け答えはこれまでと同様だったが、偽証ができない中で、文具を投げたり、深夜にチャット連絡をしたりといった事実関係は認めた。
パワハラを
「指導」
と正当化するのは、よくあるパターンでもある。
今後の百条委員会では事実を積み重ねて、パワハラの有無の判断につなげてもらいたい。

兵庫県議会各派は百条委をどうみたのか「きちっと答えていた」「丁寧に説明」とする声も 
2024/8/30 21:57
https://www.sankei.com/article/20240830-LIBEKGLP5JLARAAAASQGFZCDBY/
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を告発された問題を巡り、斎藤氏への証人尋問が初めて行われた30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)。
斎藤氏はパワハラの認識を一貫して認めず、不信任案の提出が現実味を帯びてきた。
この日の説明について各会派の評価は分かれており、議会側の動きにも注目が集まる。
最大会派
「自民党議員団」
の北野実幹事長は
「きちっと答えていた」
と評価する一方、
「自分のことだけを考えているように感じられる発言もあった」
と振り返った。
会派として対応を協議する考えを示し
「県政を何とかしたい」
と語った。
前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会は共同代表の吉村洋文大阪府知事が、不信任案の可能性を示唆。
維新幹部が近く県議団との協議を予定する中、維新の会の門隆志幹事長は
「誤魔化すことなく話し、丁寧に説明していた」
「(不信任案の提出は)それなりの理由が必要になる」
と慎重な姿勢を示した。
「(斎藤氏の説明は)従来の主張を繰り返している」
「県民は納得しない」
と指摘するのは公明党議員団。
「今までの会見に比べれば個別事案に関しては説明していた」
と評価する部分もあったが、パワハラについて明確に肯定も否定もしない斎藤氏の姿勢に疑問を呈した。
一方、第4会派のひょうご県民連合は来月にも不信任案を提出する方針を固めた。
会派幹部は
「記者会見と発言が変わらず、県政の正常化には知事が辞職するしかない」
「議会として民意を突き付ける必要がある」
と話している。

<独自>兵庫県議会会派が9月議会で斎藤知事の不信任案提出方針 他会派と協議へ
2024/8/30 21:32
https://www.sankei.com/article/20240830-ZHVXEKVHMBNIHLFHZEPHRFJM2Q/
兵庫県議会第4会派の
「ひょうご県民連合」
が、斎藤元彦知事に対する不信任決議案を提出する方針を固めたことが30日、関係者への取材で分かった。
9月19日開会の県議会9月定例会での提出を想定し、他会派と協議していく。
不信任案可決には4分の3以上の賛成が必要で、各会派の対応が注目される。
不信任案を巡っては、前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会共同代表の吉村洋文大阪府知事が、百条委の内容次第で提出する可能性を示唆。
党幹部が31日に県議団と対応を協議する予定となっている。
不信任案は議長を含め全議員の3分の2以上が出席し、出席議員の4分の3以上の賛成で可決する。
可決した場合、首長は失職か議会の解散かを選択する。
同県議会(86議席)で全員が出席した場合、可決には65人の賛成が必要。
県議会の勢力は最大会派の自民が37人で、維新21人▽公明13人▽立憲民主党議員らでつくるひょうご県民連合が9人−などと続く。
同県議会で不信任案提出には8人が必要で、県民連合は単独で満たしている。

「パワハラ認めるべき」「言い訳が多い」「不誠実」斎藤知事の発言に傍聴者から批判の声
2024/8/30 20:06
https://www.sankei.com/article/20240830-SIHNLVRUIFODTJV5NVU43FMFX4/
部下へのパワハラなど兵庫県の斎藤元彦知事を巡る一連の疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏に対する初めての証人尋問が行われた。
パワハラだとされる自身の言動について
「記憶にない」
などと述べた斎藤氏に対し、傍聴した県民からは
「不誠実」
「言い訳が多い」
と批判の声が上がった。
「質問に正面から答えず、言い訳めいた回答が多かった」
「潔くパワハラを認めるべきだ」。
同県尼崎市の女性(51)は語気を強めてこう語った。
斎藤氏は就任間もない頃、机を叩いて県幹部を叱責した事案について
「就任直後だったので」
と釈明。
机を叩く行為をパワハラと認めるか否かを問われたが、回答を控えた。
この点について、女性は
「パワハラかどうかを聞かれているのに『就任直後だから』とか背景の話ばかり」
「ここまで答えないとは思わなかった」
と不満げな様子だった。
「『記憶にない』という答弁は不適切で不誠実」
と指摘したのは、同県川西市の男子高校生。
部下に対して
「空クル(空飛ぶクルマ)は知事直轄、勝手にやるな」
と叱責したとの疑惑について斎藤氏は
「記憶にない」
と述べたが、
「普通にパワハラだと感じた」
と呆れ気味に語った。

「斎藤知事、説明責任果たしてない」と百条委員会委員長
2024/8/30 19:41
https://www.sankei.com/article/20240830-KAJLTPG47VMCRDEF6OYTER4ZYY/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る疑惑が文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏本人への初めての証人尋問が終了後、奥谷謙一委員長らが会見を開いた。
奥谷氏は斎藤氏の尋問については
「印象としては記者会見の内容とあまり変わらない」
「説明責任が果たされたとは考えられない」
との認識を示した。
一方、斎藤氏の行為について
「パワハラに当たるかどうかは別として(告発文書に)記載している事実が浮かび上がったことが重要だ」
と述べた。
会見に出席した委員の一人は、証人として出頭した職員と、斎藤氏の証言を踏まえ、
「パワハラを受けた職員と、知事の認識に差があった」
「事実が明らかになったので議論を深めたい」
などと印象を語った。

百条委を終えた斎藤氏「私が知事として仕事する」と知事職に強いこだわり 改めて辞職否定
2024/8/30 19:12
https://www.sankei.com/article/20240830-OPSEGVWOAFMRXK4CNALXBHS4R4/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)終了後、斎藤氏は報道陣の取材に応じ、
「私が知事として仕事をさせていただく」
と述べ、改めて辞職を否定。
知事職に対する強いこだわりをのぞかせた。
この日は、斎藤氏のほか県幹部ら4人への証人尋問が行われた。
県幹部らは斎藤氏からの叱責を
「怒鳴られた。理不尽な叱責だと思った」
などと証言。
一方、斎藤氏は
「職員に不快な思いをさせたとしたら申し訳ない」
と反省の弁を述べる一方、パワハラの認定は自身がすべきではないとして明言を避けた。
終了後、報道陣から進退を問われた斎藤氏は
「知事としての仕事を果たすのが私の責任」
として続投の意思を改めて表明。
「職員からの人望や信頼感が1ミリもないということはないと思っている」
とし、
「信頼関係を再構築する」
という従来の主張を繰り返した。
辞職を否定し続ける斎藤氏。
だが、前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会共同代表の吉村洋文大阪府知事は27日、維新として不信任決議案を提出する可能性があると言及している。
このことについて報道陣に問われた斎藤氏は
「仮定の話には答えられない」
とだけ語った。

斎藤知事、初めての証人尋問でも正当性主張 議会では不信任決議案提出の動きあり
2024/8/30 18:57
https://www.sankei.com/article/20240830-EGNLL2PXVNO47NJHMY3FTP52LY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は30日、パワハラ疑惑に関して斎藤氏本人に初めて証人尋問を実施した。
斎藤氏は文書で職員を叱責したとされた事例について、
「合理的な指摘だった」
と正当性を強調。
告発者の処分も適切だったとの認識を改めて示した。
県議会では、斎藤氏の辞職につながる不信任決議案提出の動きがあり今後、各会派の対応が焦点となる。
県西播磨県民局長だった男性(60)が作成した文書には、
「出張先で公用車を降り、20メートルほど歩かされただけで職員を怒鳴り散らした」
などと記載。
この日の百条委では斎藤氏の尋問に先立ち、この場に居合わせた県幹部が
「理不尽な叱責を受けた」
と証言した。
これについて斎藤氏は
「大きな声で強い指摘をした」
としつつ、
「当時としては合理的な指摘だった」
と主張。
一方で、強い口調で職員を叱責したことに関し
「職員に不快な思いをさせたことは反省したい。謝りたい」
と述べる場面もあった。
斎藤氏を巡っては、前回知事選で推薦した日本維新の会共同代表の吉村洋文大阪府知事が、百条委の内容次第で不信任決議案を出す可能性を示唆。
他会派でも不信任案提出を検討する動きが出ている。
9月5、6日の百条委では企業からの贈答品受領疑惑と、文書を公益通報として扱わなかった対応について検証し、斎藤氏も証人出頭する予定。

「パワハラと認めるか」と問われた斎藤知事 明言避け「百条委が判断すると思う」
2024/8/30 18:08
https://www.sankei.com/article/20240830-22HPSH7BAZOKFKPVONSNJ7G3FM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、証人として出頭した斎藤氏は
「職員に不快な思いをさせたことは反省したい」
「謝りたい」
と述べた。
一方、パワハラの認識については
「百条委や第三者委員会が判断する」
と答え、明言を避けた。
この日の百条委では斎藤氏の尋問に先立ち、県幹部の尋問を公開で実施。
昨年11月、県立考古博物館(播磨町)で開かれた会合に斎藤氏が出席する際、車止めが置かれている車両進入禁止区間を歩かされた斎藤氏が、
「車止めをどけておくべきだった」
として県幹部らを叱責したことが明らかになった。
この県幹部は
「理不尽な叱責」
と証言した。
百条委の尋問で斎藤氏は
「理不尽な叱責」
という県幹部の証言に対する受け止めを問われ、
「言い方について、もしご本人が不快に思われているならお詫びしたい」
と釈明。
一方、委員から
「パワハラと認め、お詫びするのではないのか」
と重ねて問われると
「パワハラかどうかは私が判定するより、百条委や第三者委員会が判断すると思う」
と述べるにとどめた。

兵庫・斎藤知事「仕事のミスには短気」 百条委の委員から「人権感覚ずれている」と批判も
2024/8/30 17:35
https://www.sankei.com/article/20240830-NFMOZIRQFJK6PLQPWK2RXLYLFM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、証人として出頭した斎藤氏は自身の性格を問われ
「仕事については厳しいところが正直ある」
「ミスがあった場合、短気な面もある」
と述べた。
部下を怒鳴ったり机を叩いたりした行為について、委員からは
「人権感覚が相当ずれている」
と批判された。
百条委が実施した全職員(約9700人)を対象としたアンケートの中間報告では回答者の約4割がパワハラ行為を見聞きしたと回答。
職員から、斎藤氏の性格についてすぐに激高する
「瞬間湯沸かし器」
との指摘もあった。
委員を務める県議は説明済みの事業や自身が知らない事柄が報道された時などに斎藤氏が
「聞いていない」
と部下を叱責した点は短気な性格が原因と主張。
「パワハラ体質についていけない」
と苦言を呈した。
「(告発者で死亡した元)県民局長は行政経験も人生経験も豊かな人」
「普通の人権感覚があれば怒鳴りつけない」
「ここが一番知事の問題ではないか」
との指摘もあった。
斎藤氏は
「過去は取り戻せないので、直接お詫びし、申し訳ないと言いたい」
「これからはもっといい知事としてやっていきたい」
と述べた。

斎藤知事「職員に謝りたい」 説明済みの事業を「聞いていない」と強く叱責、百条委で証言
2024/8/30 16:51
https://www.sankei.com/article/20240830-QZUTVS7GWBJWTHZHPIIQACEJGM/
部下へのパワハラなど兵庫県の斎藤元彦知事をめぐる一連の疑惑を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、証人として出頭した斎藤氏は、自身が強い口調で職員を叱責したケースについて
「職員に不快な思いをさせたことは反省したい」
「謝りたい」
と述べた。
百条委が実施した全職員(約9700人)を対象としたアンケートの中間報告では、説明済みの事業について斎藤氏から
「聞いていない」
と叱責されたという声が複数寄せられた。
この日、こうした複数の事例について問われた斎藤氏は
「私も完璧な人間ではない」
「一回聞いたことをすべて覚えているかというと、そこまで全能ではない」
と釈明した。
これに対し百条委の委員は、斎藤氏の鋭い叱責で事業の説明ができなくなり、施策が進められず停滞した事例に言及し、
「『資料に書いているから知っていると思うな』という発言は適切か」
と指摘。
斎藤氏は
「言い方が厳しかったり、強くなったりしたことは謝りたい」
と陳謝した。

「記憶にない」と繰り返す百条委の斎藤知事「全て覚えているほど全能ではない」
2024/8/30 16:37
https://www.sankei.com/article/20240830-6OJXJ6MVGRJYNN4BUCOOTRSOVQ/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏本人への証人尋問が行われた。
県職員による斎藤氏への事業説明で、自身が把握していない事業が話題になった際、職員を叱責したとされる件について
「記憶にない」
との答弁を繰り返した。
百条委の委員は、空飛ぶクルマ関連の事業が新聞で報じられた後に知事室を訪れた担当者を
「何これ、聞いてない」
「空クル(空飛ぶクルマ)は知事直轄、勝手にやるな」
と叱責したとの疑惑を追及した。
叱責したかとの質問に斎藤氏は
「記憶にない」
と否定。
「いろんなレク(説明)を受けていて、一つ一つ覚えていない」
「『聞いていない』ということから、私は合理性があると思う」
と答えた。
一方で
「私も完璧な人間ではない」
「一回聞いたことを全て覚えているほど全能ではない」
「大量の資料の内容は失念することがあり、聞いていないと言ってしまうことはある」
「そこは注意しないといけない」
とも主張。
委員は
「知事に完璧な人間を求めているのではない」
と指摘し、やり取りが噛み合わない場面もみられた。
空飛ぶクルマ事業を巡る叱責については、斎藤氏の尋問に先立ち、30日午前に県職員の証人尋問が行われ、職員は当時を振り返り、
「これほどきつい言葉を上司からかけられたことは、県職員になってからなかった」
と証言している。

淡々と斎藤知事 死亡した元県民局長への懲戒処分は「適切。誹謗中傷性高かった」
2024/8/30 16:29
https://www.sankei.com/article/20240830-TJIV7MZW7NPRBFMKFSZETZGT4U/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを元西播磨県民局長の男性(60)=死亡=が文書で告発した問題で、30日開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)に斎藤氏が証人として出頭。
斎藤氏は告発者の男性を停職3カ月の懲戒処分とした対応について、淡々とした様子で改めて
「適切だった」
との認識を示した。
男性は3月、パワハラなど斎藤氏に関する7つの疑惑を記載した告発文書を報道機関などに送付。
斎藤氏は片山安孝副知事(当時)らに調査を指示し、5月に男性を懲戒処分とした。
男性は4月に告発文書と同様の内容を、県の公益通報窓口に通報していた。
百条委の委員は斎藤氏に対し、現在の認識として処分が不適切だったとの思いはないかと質問。
斎藤氏は
「今も思ってはいません」
「適切だったと思います」
「誹謗中傷性が高い文書と認識し、処分した」
と強調した。
男性の処分をめぐっては、公益通報窓口への通報を受け、人事当局の幹部らが斎藤氏の側近だった井ノ本知明総務部長(当時)らに
「公益通報の結果が出るまで処分は待った方がいい」
と進言したことが明らかになっている。
斎藤氏は一度は了承したが、その後、井ノ本氏を通じて
「調査結果を待たずに処分できないか」
と人事当局に打診。
人事当局が弁護士に相談したところ
「法的には可能」
との見解を得たため、井ノ本氏らが処分を優先するよう指示したとされる。

淡々と斎藤知事 死亡した元県民局長への懲戒処分は「適切。誹謗中傷性高かった」
2024/8/30 16:29
https://www.sankei.com/article/20240830-TJIV7MZW7NPRBFMKFSZETZGT4U/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを元西播磨県民局長の男性(60)=死亡=が文書で告発した問題で、30日開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)に斎藤氏が証人として出頭。
斎藤氏は告発者の男性を停職3カ月の懲戒処分とした対応について、淡々とした様子で改めて
「適切だった」
との認識を示した。
男性は3月、パワハラなど斎藤氏に関する7つの疑惑を記載した告発文書を報道機関などに送付。
斎藤氏は片山安孝副知事(当時)らに調査を指示し、5月に男性を懲戒処分とした。
男性は4月に告発文書と同様の内容を、県の公益通報窓口に通報していた。
百条委の委員は斎藤氏に対し、現在の認識として処分が不適切だったとの思いはないかと質問。
斎藤氏は
「今も思ってはいません」
「適切だったと思います」
「誹謗中傷性が高い文書と認識し、処分した」
と強調した。
男性の処分をめぐっては、公益通報窓口への通報を受け、人事当局の幹部らが斎藤氏の側近だった井ノ本知明総務部長(当時)らに
「公益通報の結果が出るまで処分は待った方がいい」
と進言したことが明らかになっている。
斎藤氏は一度は了承したが、その後、井ノ本氏を通じて
「調査結果を待たずに処分できないか」
と人事当局に打診。
人事当局が弁護士に相談したところ
「法的には可能」
との見解を得たため、井ノ本氏らが処分を優先するよう指示したとされる。

<独自>空飛ぶクルマの協定「聞いてない」「勝手にやるな」と斎藤知事が激しく叱責 県職員証言
2024/8/30 16:03
https://www.sankei.com/article/20240830-MND24RLPFNJFJIAH2H7J6NB7FU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)で30日、非公開形式の証人尋問に出頭した県職員が、昨年1月に斎藤氏から
「何これ」
「勝手にやるな」
などと激しく叱責され、説明を諦めて退室したことがあったと証言したことが分かった。
関係者への取材で判明した。県職員は
「これほどきつい言葉をかけられたことは、県職員になってからなかった」
と述べた。
県職員は昨年1月16日午前、翌週に予定されていた
「空飛ぶクルマ」
の開発メーカーとの協定締結式について斎藤氏に説明しようとした。
担当者とともに知事室に入ったところで、斎藤氏から大声で
「何これ」
と一喝されたという。
続けて斎藤氏は
「聞いてない」
「そらくる(空飛ぶクルマ)は知事直轄なんだから勝手にやるな」
と激しく叱責した。
その後、職員は締結式についての説明をしようと試みたが、説明の途中で斎藤氏に
「やり直し」
と遮られるなどしたため、説明は不可能と判断し、途中で退室したという。
さらに、百条委の委員から斎藤氏の対応が適切だったかなどと問われると、斎藤氏が
「聞いてない」
と述べた点について、事前に幹部から説明があったはずだとした上で
「理不尽だと感じた」
と述べた。
説明を諦めて退室せざるを得なかった点については、斎藤氏らに対し
「かなり腹が立った」
と明かした。

百条委証人尋問始まる 兵庫知事「強く指摘した」 大声での注意認めるも、パワハラ否定
2024/8/30 15:39
https://www.sankei.com/article/20240830-7RGDCB5IBBJ2LG7XSICQAKMITA/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏への証人尋問が始まった。
出張先で公用車を降りて20メートル歩かされ、職員を怒ったとされる問題について、斎藤氏は
「車の動線を確保できていなかったのではないかという強い思いがあった」
「それなりに強く指摘した」
と述べ、大きな声で注意したことは認めた。
一方、当時は進入禁止との認識がなく、自身の対応は適切だったとの認識を改めて示した。
元県西播磨県民局長が作成した告発文書では
「出張先のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で降りて歩かされただけで出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らした」
と指摘されていた。
斎藤氏の尋問に先立って行われた県幹部の公開尋問によると、斎藤氏は昨年11月、県立考古博物館(播磨町)で開かれる会合に出席。
その際、告発文書にあるように入り口付近は車止めが置かれた進入禁止区間のため、手前で公用車を降りて歩いたという。
その際
「なぜこれ(車止め)をどけておかないのか」
と叱責し、職員は車止めをどけざるをえなくなったという。
出頭した県幹部は斎藤氏の叱責が
「必要な範囲内」
と感じるかを問われ
「思いません」
と否定した。
一方、斎藤氏は
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な動線を確保していなかった」
ことについて叱責したとしている。

「理不尽な叱責を受けた」20メートル歩かされ激怒した斎藤兵庫知事 県幹部が百条委で証言
2024/8/30 14:55
https://www.sankei.com/article/20240830-LG7G2CQE2BMJJNY3VOGVUWJRQE/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、県幹部らへの証人尋問が始まった。
斎藤氏が出張先で入り口の手前20メートルで公用車から降りて歩かされたことに対し、職員を怒鳴り散らしたとされる問題について、県東播磨県民局長は
「怒鳴られた」
と証言し、
「理不尽な叱責を受けた」
と述べた。
元県西播磨県民局長が作成した告発文書には
「出張先のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で降りて歩かされただけで出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らした」
と記されていた。
この日、公開で行われた百条委での証人尋問によると、斎藤氏は昨年11月、県立考古博物館(播磨町)で開かれた会合に出席。
その際、告発文書に書かれていたように入り口付近には車止めが置かれ、進入禁止区間となっており、斎藤氏はその手前で公用車を降りて歩いたという。斎藤氏は
「なぜこれ(車止め)をどけておかないのか」
と東播磨県民局長を叱責したため、会合の間に車止めを別の場所に移動。
帰りは公用車が入り口付近で待機し、斎藤氏は歩かずに公用車に乗り込んだという。
斎藤氏は6月20日の会見で
「円滑な動線の確保を図るべきだったのではないかという趣旨だった」
「あくまで業務上必要な指導」
とし、パワハラではなかったとの認識を示した。
一方、百条委で証言した東播磨県民局長は、斎藤氏の叱責が
「必要な範囲内と感じるか」
と問われ、
「思いません」
「理不尽な叱責を受けた」
と述べた。
斎藤氏本人の証人尋問は午後3時から始まり、県議会のホームページでライブ中継される。

「エレベーター閉まり激高」…一連のパワハラ疑惑に兵庫知事は何語る 30日に初尋問
2024/8/29 19:58
https://www.sankei.com/article/20240829-QNTPAKC475PABCHCZLC2A7GYJY/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る疑惑が文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は30日、斎藤氏本人の出頭を求め、職員への一連のパワハラ疑惑について初めて尋問を実施する。
記者会見や取材対応ではパワハラを否定しつつ、これまで具体的な言及は避けてきた斎藤氏。
百条委では事実関係や本人の認識だけでなく、県政トップの説明責任の果たし方も問われることになる。
■「百条委でしっかり」
「この場で詳細を答えるのは控えたほうがいいかな、と思う」
兵庫県庁で27日に行われた知事定例会見。
斎藤氏は疑惑に関する度重なる質問をいずれもかわし
「百条委でしっかりやりたい」
と繰り返した。
全職員(約9700人)を対象としたアンケートのうち4568件を取りまとめた中間報告では、パワハラを見聞きしたとの回答が約4割にあたる1750件に上っていた。
■繰り返す「適切な指導」
アンケートの記述などによると、斎藤氏の地方視察時に目の前でエレベーターが閉まった際、そばにいた職員に
「お前はエレベーターのボタンも押せないのか」
と激高。
また告発文書では、斎藤氏が出張先で公用車を降りてから20メートル歩かされただけで怒ったとされ、職員に対する百条委の尋問でも、同様の証言が得られたことが明らかになっている。
こうした一連のパワハラ疑惑について、斎藤氏は
「指導の範囲内で適切」
と一貫して正当性を主張。一方で個別のエピソードの真偽や事実関係の説明は避けてきた。
職員アンケートの中間報告の結果についても、
「コミュニケーション不足」

「受け取り方のずれ」
を挙げつつ、
「私としては県政をより良くするために必要とされる指導や、こうしてほしいということを自分なりに伝えた」
と、パワハラには当たらないとの見解を示すにとどまっている。
30日の尋問では、パワハラ疑惑の個別の事実関係について委員から質問があるとみられ、斎藤氏の証言の具体性や信用性が注目される。
■元局長への対応も追及
問題の発端となった告発文書は3月中旬、元県西播磨県民局長の男性(60)が一部の報道機関などに配布。
県は同27日に男性を解任し、目前に迫った退職を保留。
同日の会見で斎藤氏は法的措置を示唆し
「噓八百」
「公務員として失格」
などと非難した。
県は5月、内部調査をもとに男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は百条委に出頭し証言する予定だったが
「死をもって抗議する」
とのメッセージを残し、7月7日に死亡、自殺とみられている。
斎藤氏の贈答品受領疑惑や、男性の告発を公益通報と扱わずに処分した県の対応については9月5、6日の百条委で証人尋問を行って調べる。
斎藤氏は6日に出頭する予定。

<独自>告発した元局長の私的情報漏洩か 兵庫知事側近の前総務部長ら 県が調査検討
2024/8/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20240829-I7672IG3YZOJ3NY6WKUDVAY2UM/
兵庫県の斎藤元彦知事らのパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)の私的な情報を漏洩した疑いがあるとして、県が前総務部長の井ノ本知明氏らの調査を検討していることが28日、関係者への取材で分かった。
男性は7月に死亡し、直前にプライバシーへの配慮を周囲に訴えていた。
内部調査ではなく、弁護士に調査を依頼する方針。
県は元副知事の片山安孝氏や前理事の小橋浩一氏、産業労働部長の原田剛治氏の調査も検討。
井ノ本氏を含め、いずれも文書で名前が出た知事の側近で、男性の懲戒処分にも関与したとされる。
男性が3月に匿名で文書を報道機関などに配布した後、斎藤氏の指示で作成者を調べていた片山氏らが男性の公用パソコンを調査。
告発文書のデータを確認したことがこれまでに判明している。
関係者によると、井ノ本氏らは4月頃から、パソコンに保存されていた告発内容とは無関係な男性の私的情報を県議らに開示していた疑いがあるという。
県の懲戒処分の指針では、職務上知り得た秘密を故意に漏らした職員を処分の対象としている。
県は井ノ本氏らがこれに抵触する可能性があると判断。
外部の弁護士に調査を委託する方向で調整を進めているという。
男性は7月19日の県議会調査特別委員会(百条委員会)に証人として出頭を予定。
しかし、一部の委員が告発とは無関係な情報も提出するよう求めているとして、代理人を通じプライバシーを保護するよう百条委に要請するなど、私的情報が流布されていることに不安を抱えていたという。
男性は同月7日に死亡。
自殺とみられ、証言はしなかったが、陳述書などを準備していた。
8月23日に非公開で行われた百条委の証人尋問では、職員が私的情報の持ち出しについて
「調査の必要があると認識しており、弁護士会に相談している」
と証言した。

「調査待たずにできないか」 告発者早期処分、斎藤知事の指示か 「批判風向き変わる」証言も
2024/8/28 7:00
https://www.sankei.com/article/20240828-RANCNENEK5OCBCCP3PZ6WVJ5BU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、告発者を停職3カ月とした県の懲戒処分の詳しい経緯が、県議会調査特別委員会(百条委員会)での県職員の証言などで明らかになってきている。
告発者が県の窓口に公益通報したことから、少なくとも4人の職員が早期処分に否定的な意見を表明。
しかし、斎藤氏や側近の県幹部らは受け入れずに処分に踏み切った。
背景には斎藤氏の意向が色濃く浮かび、今後の百条委では斎藤氏や側近らの説明が焦点となる。
「百条委なら調査権があるのでそこで説明する方が、しっかりと我々も説明できる」
27日の定例会見で斎藤氏は早期処分の指示に関しての明言を避け、百条委が出頭要請する方針の側近3人については
「それぞれの立場で調査に対して答えていただくといい」
とした。
これまでの百条委での証言や関係者への取材などで明らかになった処分に至る経緯はこうだ。
県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=が文書を作成し、一部の報道機関などに配布したのは3月中旬。
斎藤氏は同月20日に文書の存在を把握し、翌21日に片山安孝副知事(当時)らに調査を指示した。
同22日には、人事課が男性を含む複数の職員のメールの調査を始めた。
文書の作成者として男性が浮上し、25日に片山氏らが男性を聴取。
男性が使用していた公用パソコンも調べ、告発文書のデータを確認した。
同27日、県は男性を解任し、4日後に控えていた退職も保留すると発表。
斎藤氏は会見で文書を
「噓八百」
と評し、
「公務員失格」
と男性を非難した。
こうした対応に不信感を抱いた男性は4月4日、県の公益通報窓口に告発文書と同様の内容を通報した。
これを受け、人事当局の幹部が小橋浩一理事(当時)や井ノ本知明総務部長(同)に
「公益通報の調査結果が出るまで処分は待った方がいい」
と進言。
斎藤氏にも伝わり、一度は了承された。
ところが同月中旬、斎藤氏は井ノ本氏を通じ
「調査結果を待たずに処分できないか」
と人事当局に打診。当局が弁護士に相談したところ、
「法的には可能」
との見解を得たため、小橋氏や井ノ本氏は処分を優先するよう指示したという。
処分案を審議する県の綱紀委員会が開かれたのは、大型連休の谷間にあたる5月2日。
この場でも委員である別の県幹部3人が、
「公益通報の調査結果を待って処分すべきではないか」
などと懸念を示した。
文書で名前が挙がっている井ノ本氏が、同委員会の委員長を務めている点を疑問視する意見もあったが、これも受け入れられず、県は連休明けすぐの7日、懲戒処分に踏み切った。
斎藤氏が文書を把握してから1カ月半。
この間、告発された当事者である斎藤氏や側近幹部が告発者を特定し、異論を押し切って処分に突き進んだ形だ。
百条委では、斎藤氏が処分を急いだ理由について
「『懲戒処分をすれば(自身への批判の)風向きが変わるのでは』と知事が言っていると聞いた」
との証言もあった。
百条委委員からは
「一連の対応は処分ありきだ」
との指摘が上がっており、9月5、6日に予定されている斎藤氏や側近らの証人尋問で追及する構えだ。

兵庫知事パワハラ疑惑 維新代表発言に知事「自分なりにしっかり対応」 側近3人も尋問へ
2024/8/27 12:00
https://www.sankei.com/article/20240827-OCFST3CLMBNNBBI4BI7EQR2FZU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、日本維新の会の馬場伸幸代表が30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)の斎藤氏の証人尋問を踏まえ党の対応を協議すると発言したことを受け、斎藤氏は27日午前、報道陣の取材に
「30日の百条委では自分なりにしっかり対応していく」
と述べた。
斎藤氏は、馬場氏の発言について内容の詳細は承知していないとしたうえで
「維新の会にはこれまでしっかり支援していただいたことは感謝申し上げる」
と述べた。
30日の百条委では、斎藤氏のほか、4人の県職員らが証人として出頭する予定。
馬場氏は26日の党常任役員会後、斎藤氏の尋問を踏まえ幹部らで党の対応を協議すると明らかにしていた。
また、百条委は9月上旬に実施する証人尋問に向け、斎藤氏のほか、辞職した片山安孝元副知事を含む側近3人に出頭を要請する方針を固めた。
告発文書を公益通報として扱わなかった県の対応について追及する。
関係者によると、23日の理事会で、9月5日に井ノ本知明元総務部長と原田剛治産業労働部長、6日に斎藤氏と片山氏の出頭を求める案がまとまったという。

<産経抄>兵庫県庁の「すまじきものは宮仕え」
2024/8/27 5:00
https://www.sankei.com/article/20240827-O4YJD2A3WFLZVN6H53RREMHIFA/
歴史学者、磯田道史さんの『殿様の通信簿』により、元禄時代に書かれた『土芥寇讎記(どかいこうしゅうき)』という本の存在を知った。
当時幕府の隠密が諸大名の内情を探索しており、それをまとめたものらしい。
▼たとえば「忠臣蔵」で有名になった浅野内匠頭については「女色を好むこと切なり」とある。
政治は大石内蔵助ら家老に任せきりだったようだ。
「土芥寇讎」という言葉は『孟子』がその出典である。
「殿様が家来をゴミのように扱えば、家来は殿様を親の仇のようにみる」
という意味だという。
▼さて令和の時代に至っても、殿様気分の知事が少なくないとの指摘もある。
兵庫県の斎藤元彦知事は果たして県職員をゴミのように扱ったのか。
いわゆるパワハラがあったのか。
隠密ならぬ県議会調査特別委員会(百条委員会)による調査が続いている。
30日には斎藤氏に対する証人尋問も行われる予定だ。
▼斎藤氏のパワハラ疑惑を文書で告発した男性職員は証人として出席するはずだったが、先月死亡しているのが見つかった。
自殺とみられる。
23日に公開された県職員アンケートによれば、回答した4568人のうち38・3%の1750人がパワハラ疑惑を、20・7%の946人が、視察先で贈答品を受領したとの疑惑を見聞きしたと回答していた。
▼百条委員会では事実を確認した上で、年内にも報告書をまとめる方針である。
ただ既に県政の停滞は目に余るものがある。
県職員の士気は低下するばかりだろう。
2024年度の兵庫県の職員採用試験では、一般事務職(大卒程度)の筆記試験の辞退者が4割にものぼった。
むべなるかなである。
▼歌舞伎の名セリフのひとつが口をついて出てくる。
「せ(す)まじきものは宮仕えじゃなあ」

「逃げたな」「腹立たしい」 パワハラ否定、説明変遷の斎藤知事に職員から批判の声
2024/8/24 20:09
https://www.sankei.com/article/20240824-GWDMSU63TFPG5CCWXRQMVVK5TY/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、23日に行われた県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問では出席した県職員から、斎藤氏の対応について
「腹立たしい」
「看過できない」
といった批判の声が上がった。
百条委委員らによると、ある職員は、職員アンケートで新たなパワハラ疑惑が多数指摘されたことが判明した後の会見で、斎藤氏が
「仕事なので厳しく指導することもある」
などとパワハラを否定したことに
「正直、腹立たしい。『なんでそういうことを言うの』という思いだ」
と証言。
疑惑についての説明が変遷しているとして
「逃げたなと思った」
とも打ち明けたという。
6人が証言したが、明確にパワハラを受けたとの認識を示した職員はいなかった。
ただ、
「人生で初めてこういうことをされた」
「自分は精神的にタフなのでダメージは少なかったが、(同じことを)他の人にされているなら看過できない」
と訴える職員もいたという。

斎藤知事 “パワハラ疑いを見聞き”約4割 アンケート中間報告
2024年8月23日 17時02分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240823/k10014557221000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、すべての県庁職員を対象に行われたアンケートの中間報告が23日に公表されました。
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、事実関係の調査を進めている県議会の百条委員会は、先月末からすべての県庁職員を対象にアンケートを行いました。
今月5日までに全体の半数近くにあたる4500人余りの職員から回答が寄せられていて、23日、その集計結果が中間報告として百条委員会に示されたあと、公表されました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ4割にあたる1750人(38.3%)でした。
自由記述欄には
「公用車内で知事が激怒し、前部座席を蹴った」、
「机をたたいて怒り出す」、
「知事が出席するイベントや行事にマスコミが来ないと怒る」
などの内容がありました。
また、知事が贈答品を受け取っている疑いを見聞きしたことがあると回答した人は946人(20.7%)で、自由記述欄には
「40万円相当の革ジャンを試着し、『これはいい。もらえないか』と知事がおねだり」、
「両手で抱えきれない量のかきを全部1人で持って帰った」、
「受け取りを拒否した職員分のカニも知事が持ち帰ったと聞いた」、
「『その靴ほしいです。白い靴がほしいです』と発言した面談記録を読んだ」
などの内容がありました。
ただ、回答は人づてに聞いたことをもとに書かれているものも多いということで、百条委員会は知事や職員の証人尋問で事実関係を尋ねるなど、調査の参考資料として取り扱うことにしています。

「恣意的」「卑怯」 噂話°沛qだけを公表する斎藤兵庫県知事に識者から批判 告発問題
2024/8/21 7:00
https://www.sankei.com/article/20240821-TQWI6H3VTZKHNE3JXCJDXX4LQA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が告発された問題をめぐり、斎藤氏は20日の定例会見で、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)に対する聴取内容について、県の情報公開条例を理由に開示しないと説明した。
しかし、これまでに
「噂話を集めて作成した」
との文言だけは男性の供述内容として公表。
自身の判断の正当性を示す根拠としており、
「恣意的な運用だ」
「一部の発言を小出しにした卑怯なやり方」
との批判の声が上がっている。
「情報公開条例で人事管理に関する事務は非公開とされているので、公表することはできない」
会見で斎藤氏は、県側と男性とのやり取りを開示しない理由をこう説明。
自身が公表したくないわけではなく、あくまで条例に基づいた対応だと強調した。
同条例は、公にすることで事業などの適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報は非公開とすると規定。
懲戒処分に向けた聴取内容もこれに該当するという。
ただ、今月7日の会見で斎藤氏は、男性が告発文書について
「噂話を集めて1人で作成した」
と認めたと説明。
このため、告発文書には
「信ずるに足る相当な理由(真実相当性)」
がなく、公益通報の対象外として男性を処分した対応は適切だったと主張した。
なぜ、非公開であるはずの聴取内容のうち
「噂話」
供述だけは公表できるのか。
斎藤氏は
「(文書に)真実相当性がないことを示すため、必要最小限の説明をした」
と述べたが、男性はすでに死亡しており、反論ができない中、供述の信用性を担保することは重要だ。
どのようなやり取りで文言が出てきたのか。
聴取を記録した音声データや、男性が署名した供述調書のような客観的な資料はあるのか。
斎藤氏は
「裏付けとなる調査記録は存在する」
としたが具体的な説明は避け、
「噂話」
供述を事実として繰り返した。
内部告発に詳しい上智大の奥山俊宏教授は、こうした対応について、
「録音や調書などの証拠を何も開示せず、外部の検証が不可能な状況で一部のみを小出しにして文書の真実相当性を否定している」
と指摘。
「こうした方法で男性を貶めようとするのは卑怯で、『死人に口なし』を悪用しようとするものだ」
と批判する。
その上で、
「文書の内容が真実かどうかについては、客観的な調査を経なければ判定できず、告発された当事者が判断するのは適切ではない」
と強調した。

兵庫県知事が否定のパワハラ「見聞き」と回答1750件 職員アンケート中間報告、百条委
2024/8/19 21:27
https://www.sankei.com/article/20240819-LWQGSEQEVNJGLDTKIDNI7IN5WM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が実施した職員アンケートの中間報告がまとまり、斎藤氏のパワハラを目撃したり、人から聞いたりしたとの回答が合わせて4割近くに上ったことが19日、関係者への取材で分かった。
斎藤氏はこれまで、
「業務上必要な指導だった」
などとパワハラを否定しているが、改めて説明が求められそうだ。
アンケートは、職員約9700人を対象に7月31日〜今月14日まで実施。
告発文書に記された7項目の疑惑について
「知事のパワハラを見聞きしたことはあるか」
「知事が贈答品を受け取っていることを見聞きしたことがあるか」どと質問した。
百条委は5日までに集まった4568件の回答を中間報告として取りまとめた。
23日の委員会での協議後に具体的な内容を公表する予定。
関係者によると、斎藤氏のパワハラについて、
「目撃などで実際に知っている」との回答が59件、
「目撃などにより実際に知っている人から聞いた」との回答が466件、
「人づてに聞いた」が1225件だった。
「知らない」としたのは2818件だった。
問題を巡っては、斎藤氏が元県西播磨県民局長の男性(60)が作成した文書を
「噓八百」
などと非難し、5月に男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
調査の中立性を疑問視した県議会が6月、百条委を設置し、文書内容などについて調査を進めている。
百条委では今月23日から、斎藤氏のパワハラに関して職員らの証人尋問が始まり、30日には斎藤氏が証人として出頭する予定となっている。

<主張>兵庫県知事の疑惑 公益通報の対応検証せよ
社説
2024/8/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240817-6QDCCYD3HZJ6TMMK3PDOF4WR7M/
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題で、公益通報に対する県の対応への批判が強まっている。
平成18年に施行された公益通報者保護法は、不正の内部告発者を守るとともに、組織の不正を断ち切り、健全な発展につなげる狙いがある。
その趣旨を、県が歪めたとしたら容認できない。
2024年8月下旬から県議会の調査特別委員会(百条委)で、斎藤知事を含む職員らの証人尋問が始まる。
告発内容の真相解明だけでなく、県の一連の対応についても徹底的に検証すべきだ。
斎藤知事は2024年8月7日の定例会見で、時系列で対応を説明した。
元県西播磨県民局長の男性が2024年3月12日に報道機関などに送った告発文書を、斎藤知事が知人を通じて把握したのは同月20日だ。
翌日に副知事らと対応を協議し、作成者の特定などの内部調査を指示した。
副知事が男性から事情を聴くと、文書の作成、配布を認めたという。
公益通報者保護法は、報道機関に向けた通報も
「不正があると信ずるに足りる相当の理由」
などがあれば告発者を保護するよう定め、指針で告発者捜しを禁じている。
斎藤知事は文書に
「真実相当性はない」
とし、公益通報に当たらないと判断したと説明したが、告発された側が判断する事案ではあるまい。
男性は2024年4月、県の公益通報窓口にも通報した。
しかし県は2024年5月に男性を懲戒処分し、男性は
「死をもって抗議する」
とのメッセージを残して2024年7月に死亡した。
斎藤知事は、男性が県側の聞き取りに
「噂話を集めて作成した」
と話した―と主張している。
だが、生前に報道機関に配布された文書には、情報の入手経路などの聴取はなかったと記されていた。
男性は、斎藤知事による職員へのパワハラなど7項目の疑惑を告発していた。
斎藤知事は2024年3月の定例会見で
「噓八百」
などと切り捨てたが、その後、一部が事実と判明した。
批判を受けて斎藤知事は、職員とのコミュニケーションの改善に取り組むと表明した。
それは当然としても、告発者捜しを含む内部調査の指示などに問題はなかったのか。
疑惑解明にあたる百条委は対応を検証し、将来の通報者を萎縮させないような再発防止策につなげなければならない。

兵庫 斎藤知事 辞職要求“重く受け止め”も応じない考え
2024年9月9日 11時57分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240908/k10014576581000.html
兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり、日本維新の会は県政運営に支障が生じ始めているなどとして、斎藤知事に辞職を要求した上で、いわゆる
「出直し選挙」
で民意を問い直すべきとする内容の申し入れを9日に行うことになりました。
斎藤知事は
「重く受け止め、反省すべきところは反省する」
と述べる一方、辞職の要求には応じない考えを示しました。
この問題をめぐり、兵庫県議会では最大会派の自民党が行う方針の知事の辞職を求める申し入れにほかの3つの会派も加わる方向で、対応が未定の維新の会も方針を検討してきました。
3年前の知事選挙で斎藤知事を推薦した日本維新の会は、執行部と県議団などが協議した結果、斎藤知事に辞職を要求した上で、いわゆる
「出直し選挙」
で民意を問い直すべきとする内容の申し入れを9日に行うことになりました。
関係者によりますと、客観的な事実解明を行うべきだとの立場は維持しつつも、県政運営に支障が生じ始めていて、来年度予算案の編成作業を控え、県政を着実に進める必要があると判断したということです。
9日にも党本部の藤田幹事長が記者会見して、こうした内容を説明した上で速やかに知事側に文書を提出することにしています。
■兵庫県知事 辞職要求には応じない考え
兵庫県議会では最大会派の自民党なども、今週中に申し入れを行う方針で、県議会の全ての会派が斎藤知事に辞職を求める見通しです。
これについて斎藤知事は、今日午前、県庁で記者団に対し
「私に対する批判や指摘はしっかり重く受け止め、反省すべきところは反省しなければならない」
と述べました。
一方で、
「進めるべき予算や事業など必要なことはしっかりやらせてもらいたい」
「これからも百条委員会や第三者機関の調査にしっかり対応していく」
と述べ辞職の要求には応じない考えを示しました。

兵庫 斎藤知事への自民の辞職申し入れに3会派加わる方向で調整
2024年9月8日 5時09分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240908/k10014575961000.html
兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり、県議会の最大会派、自民党が行う方針の知事の辞職を求める申し入れに、他の3会派も加わる方向で調整していることがわかりました。
県議会の5つの会派のうち、対応が未定の維新の会も近く方針を決めることにしています。
この問題をめぐり、兵庫県議会の百条委員会は6日、斎藤知事に対する2回目の証人尋問を行い、知事はパワハラの疑いなどを告発する文書を作成した元局長を公益通報の保護対象とせず、懲戒処分にしたことは問題ないという認識を改めて示しました。
これに対し、県議会の最大会派、自民党は、県政を混乱させた責任を見過ごすことはできないとして、今週12日に、斎藤知事の辞職を求めて申し入れを行うことを決めました。
この申し入れに公明党の他、立憲民主党などで作る会派と共産党も加わる方向で調整していることが分かりました。
対応が未定の維新の会も、近く方針を決めることにしています。
知事が受け入れない場合は、複数の会派が今月19日から開かれる定例議会に不信任決議案を提出することも検討しています。
県議会の定員は86人で、4会派に加え無所属の議員も賛同した場合、維新の会を除いても不信任決議案が可決される4分の3の規模となります。

兵庫県議会 百条委「知事ら公益通報者保護法に違反」専門家
2024年9月5日 14時41分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240905/k10014572991000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐり、県議会の百条委員会で証人尋問が行われました。
文書を作成した元局長を公益通報の保護対象としなかった県の対応について、専門家は
「公益通報者を保護する法律に違反する」
などと指摘しました。
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐり、県議会の百条委員会は、5日午前10時ごろから証人尋問を行っています。
午前中は、公益通報制度に詳しい上智大学の奥山俊宏教授が参考人として出席し、県が告発文書を作成した元局長を公益通報の保護対象とせず、懲戒処分にした対応について質疑が行われました。
この中で、奥山氏は
「告発文書の一部を取って全体的な印象を『真実相当性なし』、『公益通報に該当せず』と判断するのではなく、丁寧な判断が必要だった」
「公益通報に当たらないと判断したのは拙速過ぎた」
と述べました。
その上で
「結果的に文書には、法的に保護されるべき公益通報が含まれていることが明らかになっていると思われ、知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると考える」
と指摘しました。
また、斎藤知事が記者会見で元局長を「公務員失格」と述べたことについて「感情にかられて、県の行政府のトップである権力者が公の場で部下個人に対して、いわば公開パワーハラスメントに及ぶことは許されない」と述べました。
午後からは、▽告発文書の内部調査に協力した弁護士や▽県の産業労働部長などが出席し、公益通報制度のほか、知事が贈答品を受け取っていた疑いなどについて証人尋問が行われます。
一方、5日は一連の問題の対応にあたり、体調不良を理由に業務を休んでいる元総務部長にも出席を求めていましたが、安全面への懸念や心身の不調などを理由に欠席しました。
■公益通報とは
公益通報とは、公務員を含む労働者などが組織の不正行為を、内部の通報窓口や、権限がある行政機関、それに報道機関などに通報することです。
不正による国民への被害を防止するための通報は、正当な行為として保護されるべきだとして、公益通報をした人の不利益な扱いは法律で禁止されています。
兵庫県では、これまで内部通報窓口しかありませんでしたが、新たに弁護士が受け付ける外部窓口を年内をめどに設置することになり、準備を進めています。

兵庫県知事 パワハラ疑惑で「ハラスメント研修受ける機会も」
2024年9月4日 21時05分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240904/k10014571611000.html
兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり、県庁職員を対象に行われたアンケートで新たにおよそ2000人分の集計がまとまりました。
この中の自由記述欄には知事がホテルでの夕食を断られた際に県職員に対し
「俺は知事だぞ」
と発言をしたという記載もありました。
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを調査する県議会の百条委員会は、すべての県庁職員を対象にアンケートを実施し、8月に公表された中間報告では、およそ4割が知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあるなどと回答していました。
こうした中、新たにおよそ2000人分の集計がまとまり、その内容が明らかになりました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ5割に当たる1052人でこのうち
「目撃などにより実際に知っている」
と回答したのは71人でした。
自由記述欄には
▽「会議が開かれたホテルで急きょ夕食をとりたいと言われ、断られたことを伝えると『俺は知事だぞ』と激怒した」
▽「職員があいさつしても、返すどころか目すら見ない」などという記載もありました。
また、知事が贈答品を受け取っている疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ3割に当たる599人で、自由記述では
▽「あらゆる出張先でお土産を求めていると聞いた」、
▽「かに、かき、イチゴ、ノリなどを持って帰っていると聞いた」などの記載がありました。
一方で、回答は人づてに聞いたことをもとに書かれているものも多く、百条委員会は調査の参考資料として取り扱うことにしています。
集計結果は、9月中にも公表される見通しです。
■知事「ハラスメント研修受ける機会も」
斎藤知事は4日、定例の記者会見で、自身がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり
「不適切だった行為があったことも事実だと思う」
「ハラスメントかどうかはこれから調査が進んでいくが、不快や負担に思った方に対しては、直接おわびもしたい」
と述べました。
その上で
「しっかり反省して自分の言動を省みていき、ハラスメント研修を改めて受ける機会もつくっていくことになると思う」
「そうしたことで自分の責任を果たしていきたい」
と述べました。
一方、県議会の会派の中に今月開会する定例議会で不信任決議案を提出する動きがあることについて
「不信任決議案は大変重い制度だ」
「議会側の動きなのでコメントは難しいが、文書問題の調査を進めていくことは議会側が決定したことなので、しっかり対応していく」
と述べました。
■知事「職員が不快に思ったことは反省 おわびしたい」
また斎藤知事は
「職員がいろいろな思いで回答したと思うので、しっかり受けとめたい」
「職員が不快に思ったことは反省しており、おわびしたい」
「自分のことばづかいや行動が思っている以上にプレッシャーになっている点などについては反省して改めていく」
と述べました。
アンケートの自由記述で
「会議が開かれたホテルで急きょ夕食をとりたいと言われ、断られたことを伝えると『俺は知事だぞ』と激怒した」
などと書かれていたことについて
「『俺は知事だぞ』と激怒した認識や記憶はなく、予約が取れないかお願いしたと思う」
「無理な調整をさせてしまったとすればおわびしたい」
と述べました。
■維新 藤田幹事長 来週中に党の対応を決める考え
日本維新の会の藤田幹事長は記者会見で
「われわれは一貫して、しっかりと事実究明するべきという問題意識に変わりはなく『斎藤知事を擁護している』と言われるのは心外だ」
「ただ『維新の会が推薦した知事が騒動を起こしているから維新の会がダメなのではないか』という指摘を受けるのは当然だ」
と述べました。
その上で、6日県議会の百条委員会で行われる知事の2回目の証人尋問などを踏まえ、来週中に党の対応を決める考えを示しました。

兵庫斎藤知事への対応 来週の百条委など踏まえ判断 維新幹事長
2024年8月31日 19時23分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240831/k10014567461000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐり、日本維新の会の藤田幹事長は31日党の県組織などと対応を協議し、来週、県議会の百条委員会で行われる知事の2回目の証人尋問などを踏まえ、不信任決議案を提出するかどうかなど対応を判断したいという考えを示しました。
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、30日県議会の百条委員会で証人尋問が行われ、斎藤知事はパワハラ疑惑を重ねて否定し、
「不快に思った人がいればおわびしたい」
などと述べました。
これを受けて、3年前の選挙で、自民党とともに斎藤知事を推薦した日本維新の会の藤田幹事長は31日、神戸市で党の県組織や県議団の幹部と今後の対応を協議しました。
このあと、藤田幹事長は記者会見で
「証人尋問で本人も認めていたが、机をたたいたり、大きな声で指導したりするようなマネージメントは、個人的には、これからのリーダーにはあまり似つかわしくないと思う」
と述べました。
そのうえで、9月6日に百条委員会で知事の2回目の証人尋問が予定されていることを踏まえ、
「答弁などを見たうえで、われわれも何らかのアクションを考えたい」
と述べ、不信任決議案を提出するかどうかなど来週にも対応を判断したいという考えを示しました。
兵庫県議会では、立憲民主党などでつくる会派が、9月開かれる県議会で、不信任決議案を提出する方針を決めています。

兵庫 斎藤知事 立民などでつくる会派が不信任決議案提出へ
2024年8月31日 7時14分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240831/k10014566661000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、県議会の百条委員会で証人尋問が行われ、斎藤知事はパワハラ疑惑を重ねて否定し
「不快に思った人がいればおわびしたい」
などと述べました。
一方、立憲民主党などでつくる県議会の会派は
「斎藤知事のもとで県政を前に進めるのは困難だ」
として、来月開かれる県議会で不信任決議案を提出する方針を決めました。
証人尋問で斎藤知事は、委員から
「出張先で玄関の20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされ、職員らをどなり散らした」
という記載が事実か問われたのに対し
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な車の進入経路を確保していなかったことを大きい声で注意した」
などと説明しました。
また、職員からの評価をどう考えるか問われ
「厳しい上司だと思われていると思う」
「必要な指導だと思っていたが不快に思った人がいれば、心からおわびしたい」
と述べました。
その上で
「パワハラかどうかは私が判定するというより、百条委員会などが判定するものだ」
と述べました。
一方、立憲民主党などでつくる県議会の会派は
「斎藤知事のもとで県政を前に進めるのは困難だ」
として、来月19日に開会する県議会で不信任決議案を提出する方針を決めました。
今後、自民党などにも賛同を求めることにしています。
また、3年前の県知事選挙で斎藤知事を推薦した日本維新の会の吉村共同代表は、辞職を求めるかどうかは1、2週間程度で判断したいという認識を示し
「これ以上県政が進められないと判断すれば、辞職勧告や不信任決議案も選択肢に入ってくる」
と述べました。

兵庫 斎藤知事 百条委で証人尋問 “必要な指導”繰り返す
2024年8月30日 21時16分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240830/k10014564601000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、30日、県議会の百条委員会で知事への証人尋問が行われ、斎藤知事は告発文書などで指摘された言動について、必要な指導だったという認識を重ねて示した上で、
「不快に思った人がいれば心からおわびしたい」
などと述べました。
目次
【斎藤知事の発言】
■「襟をただしていきたい」
尋問は、2時間半にわたって、告発文書や県庁職員へのアンケートなどに記載されていた知事のパワハラの疑いを中心に質疑が行われました。
この中で斎藤知事は、委員から
「出張先で玄関の20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされ、出迎えた職員らをどなり散らした」
という記載が事実か問われたのに対し、
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な車の進入経路を確保していなかったことを注意した」
などと説明しました。
また、
「夜間、休日など時間おかまいなしの指示が矢のようにやってくる」
という記載については
「案件によっては遅い時間や休日に連絡したことはある」
「知事として報告、連絡、相談をしっかりしてほしいという思いが強かった」
と述べました。
その上で、
「必要な指導だと思っていたが、不快に思った人がいれば、心からおわびしたい」
「パワハラかどうかは私が判定するというより、百条委員会などが判定するものだ」
と述べました。
さらに、告発文書を作成した元局長を懲戒処分としたことについては、
「事実ではないことが多く含まれ、ひぼう中傷性の高い文書だと県として認識したので、調査をして処分した」
として、適切だったという認識を重ねて示しました。
一方、30日は知事の尋問に先立って県職員ら4人の証人尋問も行われ、この中では、
「知事から非常に強い調子で叱責された」
「社会通念上必要な指導の範囲とは思わない」
などといった証言が出されました。
委員会では、来週6日にも知事に出席を求めて証人尋問を行い、出張先で贈答品を受け取った疑いになどについて質疑を行うことにしています。
【斎藤知事の発言】
■「襟をただしていきたい」
斎藤知事は県庁職員へのアンケートで指摘されたみずからの言動について
「想定以上に、ぽろっと言ったことがどんどん伝わっていくところがすごくあると思った」
「言いすぎたという面があったと思うので、ちゃんと反省して、これから襟をただしていきたい」
と述べました。
■「仕事は厳しくするのが私のスタイル」
斎藤知事は職員からどのような評価をされていると考えるか問われたのに対し、
「厳しい上司だと思われていると思う」
「仕事は厳しくするというのが私のこれまでのスタイルなので職員にどう思われているかは、いろいろあると思う」
と述べました。
■「元局長の処分は適切」
斎藤知事は告発文書を作成し、公益通報した元局長を懲戒処分としたことについて、
「処分は適切だったと思う」
「事実ではないことが多く含まれ、ひぼう中傷性の高い文書だと県として認識したので、調査をして処分した」
と述べました。
■「遅い時間や休日に連絡したことはある」
斎藤知事は
「夜間、休日など時間おかまいなしの指示が矢のようにやってくる」
などという告発文書の記載が事実か問われたのに対し、
「案件によっては遅い時間や休日に連絡したことはある。主に、私への報告漏れや相談がなかったものについての指摘が多かったと思う」
「知事として報告、連絡、相談をしっかりしてほしいという思いが強かった」
「ただ、休日や深夜に連絡をしたのは適切ではなかった面もあるかもしれない」
と述べました。
■「記憶にない 1つひとつ覚えていないこともある 」
斎藤知事は
「自分が知らないことがテレビで取り上げられ、評判になったら『聞いていない』と担当者を呼んで執ように責めたてる」
という告発文書の記載が事実か問われたのに対し、
「記憶にない。なんらかの指摘をしたとしても、いろいろなレクを受けているので、1つひとつ覚えていないこともある」
と述べました。
■「当時の判断は適切」
斎藤知事は
「出張先で玄関の20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされ、出迎えた職員らをどなり散らした」
という告発文書の記載が事実か問われたのに対し、
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な車の進入経路を確保していなかったことについて注意した」
「当時は車の進入禁止のエリアだと認識しておらず、当時の判断としては適切だったと思っている」
と答えました。

■証人尋問を終えて
証人尋問のあと、斎藤知事は記者団に対し
「自分なりに1つ1つの質問に懸命に答えた」
「自分の行為がハラスメントにあたるかどうかは、これから百条委員会や第三者機関で作業していく」
「改めて私の行為や言動を不快に思った職員には率直におわびし、県民にもおわびしたい」
と述べました。
また、進退については
「改めるべきところを受け止め、日々の仕事から変えていくことが大事で、県政を前に進めていきたい」
と述べ、辞職しない考えを重ねて示しました。
■維新の対応は
3年前の選挙で、斎藤知事を推薦した日本維新の会は、31日、藤田幹事長が神戸市で、党の兵庫県の地方組織や県議団の幹部と会談し、30日の斎藤知事の発言を受けた今後の対応を協議することにしています。
■維新の会 佐藤県議「断定するためにはもう少し調べたい」
百条委員会の委員を務める維新の会の佐藤良憲 県議会議員は、証人尋問のあとNHKの取材に対し、
「いろいろと事実は出てきていて核心に迫っている気はするが、断定するためにはもう少し調べたい」
「維新としては、もともと是々非々でやってきているので、まずは事実を解明していきたい」
「県議団としての対応はこれからの協議になると思う」
と話しました。
■百条委 奥谷委員長「説明責任が果たされたとは考えられない」
百条委員会の奥谷謙一委員長は証人尋問のあと記者会見で、
「尋問を聞いていて知事が記者会見で話している内容とそれほど変わらないという印象を受けた」
「説明責任が果たされたとは現時点では考えられない」
と述べました。
その上で、
「私の認識としては、告発文書に書かれていることはおおむね事実として認定できるのではないか」
「いろいろな意見があると思うが、極めてパワハラに近いと評価して差し支えないと思う」
「文書を作成した元局長に対する処分の手続きが適正だったのかどうかが非常に大きな論点だと思うので、来週の証人尋問は極めて重要になる」
「しっかり準備したい」
と述べました。

斎藤知事“パワハラ疑い”告発文書 百条委員会 証人尋問始まる
2024年8月23日 22時16分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240823/k10014557221000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、県議会の百条委員会では23日、初めての証人尋問が行われ、県の職員6人が出席しました。
目次
証人尋問 県職員6人が出席
職員アンケート 中間報告を公表
■証人尋問 県職員6人が出席
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、県議会は、地方自治法にもとづく百条委員会を設置して事実関係の調査を進めています。
23日は初めての証人尋問が行われ、県の職員6人が出席しました。
百条委員会は、原則、公開することになっていますが、23日の尋問は、証言する職員の心理的負担などを考慮し、非公開で行われました。
委員会のあと、奥谷謙一委員長らが記者会見し、証人尋問の内容を説明しました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いをめぐっては、出席者から
「パワハラを受けた」
という明確な証言はありませんでしたが、
「叱責や舌打ちがあった」
「最高幹部が文具を投げられた」
という証言があったということです。
また
「告発文書を作成した元県民局長がパソコンを押収されたときの音声データがある」
という証言もあり、百条委員会としてデータの提出を県に求めたということです。
さらに、来週30日の斎藤知事の証人尋問はインターネット中継を含めて全面公開で行うことや、来月5日と6日にも職員の証人尋問を行うことを明らかにしました。
■職員アンケート 中間報告を公表
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、事実関係の調査を進めている県議会の百条委員会は、先月末からすべての県庁職員を対象にアンケートを行いました。
今月5日までに全体の半数近くにあたる4500人余りの職員から回答が寄せられていて、23日、その集計結果が中間報告として百条委員会に示されたあと、公表されました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ4割にあたる1750人(38.3%)でした。
自由記述欄には
「公用車内で知事が激怒し、前部座席を蹴った」、
「机をたたいて怒り出す」、
「知事が出席するイベントや行事にマスコミが来ないと怒る」
などの内容がありました。
また、知事が贈答品を受け取っている疑いを見聞きしたことがあると回答した人は946人(20.7%)で、自由記述欄には
「40万円相当の革ジャンを試着し、『これはいい。もらえないか』と知事がおねだり」、
「両手で抱えきれない量のかきを全部1人で持って帰った」
などの内容がありました。
このほか
「受け取りを拒否した職員分のカニも知事が持ち帰ったと聞いた」、
「『その靴ほしいです。白い靴がほしいです』と発言した面談記録を読んだ」
などといった内容もありました。
ただ、回答は人づてに聞いたことをもとに書かれているものも多いということで、百条委員会は知事や職員の証人尋問で事実関係を尋ねるなど、調査の参考資料として取り扱うことにしています。
■斎藤知事「多くの職員が回答 大変残念な思い」
アンケートの中間報告が公表されたことを受けて、兵庫県の斎藤知事は記者団に対し
「個々の事案の内容は詳細に承知していないが、特にパワハラについては『人づてに聞いた』などの回答がおよそ4割にのぼっている」
「『県政をよりよくしていく』と3年間、必死でやり、必要な指示や指導をしたが、これだけ多くの職員が回答している事実に接し、大変残念な思いだ」
と述べました。
その上で
「職員の受け取り方とずれが生じたことで、不快な思いや負担をかけたことは重く受け止めなければならないし、真摯(しんし)に反省して改めていくことが大事だ。日々の業務の中では、職員への感謝の気持ちやねぎらいを積極的に伝えている」
と述べました。
■県市長会が要望書「県政が混乱し 大きく停滞」
兵庫県の元局長が作成した斎藤知事にパワハラの疑いがあるなどと告発する文書をめぐって県市長会は県庁を訪れ、斎藤知事に要望書を手渡しました。
要望書では一連の県の対応について
「県政が混乱し、大きく停滞していることは危機的とも評される」
としています。
その上で
「告発文書を公益通報者保護の対象とせず、十分な調査も尽くさず元局長を懲戒処分にしたことは多くの市長から不適切だと指摘があった」
として、県政の混乱を収束させるため最善の努力をするよう求めています。

斎藤知事は要望書を受け取り、
「心配をいただいていることに改めておわびを申し上げたい」
と述べました。
このあと、斎藤知事は記者団に対し
「指摘は真摯(しんし)に受け止めるが、県としては適切に対応してきたと考えている」
と述べました。
県市長会の会長を務める丹波篠山市の酒井隆明市長は記者会見で
「知事が自分の対応に追われて、県政を引っ張っていくリーダーシップを発揮できない状況にあることを大変、懸念している」
「百条委員会の調査ができるだけ早期に適切になされることを期待する」
と述べました。
■県民「事実をつまびらかにして」
斎藤知事に関する疑いを巡って県内では、事実関係を明らかにしてほしいという声が多く聞かれました。
このうち20代の大学生は
「疑惑になっているようなことをしていないなら、解明したほうがいいし、事実なら潔く認めたほうがいいと思う」
と話していました。
40代の会社員の男性は
「まわりがついてこないような状況では、政策を進めるにしても影響が大きいのではないか」
「まっとうな政治をしてほしい」
と話していました。
60代の女性は
「県政が止まっているように見えるので、県民が納得するような形で事実をつまびらかにしてほしい」
「人の命はすごく大事だし、公務員は一生懸命働いているので、みんなが幸せになれたらと思っている」
と話していました。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/723.html#c22

[政治・選挙・NHK296] フェイク飛び交うトランプ米国は「対岸の火事」ではない 金子勝の「天下の逆襲」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
68. 秘密のアッコちゃん[1390] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月06日 12:51:50 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[828]
<■150行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>中国全人代開幕 「協調」の欺瞞性に警戒を
社説
2025/3/6 5:00
https://www.sankei.com/article/20250306-3JDH6JNIWZJ3DAD236TJOQMX5I/
中国の全国人民代表大会が開幕した。
李強首相は政府活動報告でトランプ米政権を念頭に
「一国主義と保護主義」
に反対する国際協調路線を訴えた。
だが、アジアで緊張を高めているのは中国である。
自国を国際秩序の守護者のように見せかける偽善的な外交姿勢に惑わされてはならない。
李氏はこの1年、中国が
「多方面の困難に直面した」
としつつ、習近平国家主席を核心とする中国共産党の指導の下、困難を克服したと主張した。
「覇権主義と強権政治」
に反対し、
「世界の平和と発展に重要な貢献を果たした」
などと自賛したが、台湾沖で軍事演習を重ね、東・南シナ海で力による一方的な現状変更を試みているのは中国自身ではないか。
台湾独立と外国の干渉に
「断固反対する」
とし、
「兵の訓練と戦備」
を一層進めるとも強調した。
台湾と国際社会を威嚇するものだ。
「祖国の平和的統一」
との表現が昨年2024年に続いて消えたことにも留意したい。
国防費として前年比7・2%増の1兆7846億元(約36兆8千億円)を計上した。
経済が悪化する中、5%前後という成長率目標を上回る伸び率を維持し、軍拡路線を継続する。
国防費の内訳を公表せず、周辺国・地域の懸念を高めているのも中国である。
林芳正官房長官が
「十分な透明性を欠いたまま軍事力を増強させている」
「中国の軍事動向は我が国と国際社会の深刻な懸念事項だ」
と批判したのも当然である。
李氏は習氏の
「強軍思想」
の貫徹を強調した。
その目標こそ台湾併吞なのだと認識しておくべきだ。
習氏は2025年9月の抗日戦争勝利記念日に合わせてプーチン露大統領を北京に招待しており、記念日に軍事パレードを挙行するとの報道もある。
ウクライナを侵略するプーチン氏と歩調を合わせることからも中国が目指す国際協調路線の欺瞞ぶりは明らかだ。
美辞麗句を並べても習政権の危うい本質は変わらない。
李氏は国内問題で
「矛盾・紛争の解消とリスク管理の取り組みを強化する必要がある」
と語った。
背景には無差別殺傷事件の多発もあろう。
李氏は
「公共安全の管理を強化する」
と強調したが、更なる自由の抑圧や中国在住外国人への監視強化に利用されないか、国際社会は警戒を強めるべきである。

「一国主義、保護主義に反対」の文言読み飛ばす 中国全人代、対米関係悪化でにじむ警戒感
2025/3/5 19:47
https://www.sankei.com/article/20250305-QYQXJNSFW5KGFL3S4XZ4QILFMY/
中国の李強首相は5日開幕の全国人民代表大会で行った政府活動報告で、トランプ米政権との関係悪化による経済への影響に危機感を露わにした。
中国政府は米国に対抗措置を取る一方、国内向けには内需拡大策や科学技術の
「自立自強」
を強調して社会の動揺を抑えたい考えだが、短期的に米政権との関係を改善する方策は限られている。
李氏は報告で、中国の国際環境は
「一層複雑で厳しさを増している」
と述べた上で、一国主義と保護主義が
「激化」
しているとして中国経済への影響を懸念した。
国際環境の複雑性などが
「増している」
としていた昨年2024年よりも、状況が悪化したとの認識だ。
国内には
「発展の自信を固めなければならない」
と呼び掛けたが、長期的な経済見通しに関する表現も、昨年2024年の
「未来が期待できる」
から
「安定して成長する」
に引き下げた。
中国政府が現在、対米関係の改善に取り得る措置は限られている。
トランプ米大統領は中国への追加関税の理由として、中国製の合成麻薬フェンタニルが米国に流入していると主張している。
中国政府は2025年3月4日、
「中国のフェンタニル物質の管理」
と題した白書を発表し、前駆物質を含めて厳格に製造・販売・輸出を管理していると訴えた。
米中両国はバイデン前米政権下の2023年11月の首脳会談でフェンタニル対策に合意。
白書は2024年1月以降、米中の司法当局が
「日常的に」
情報交換しているなどと取り組みを強調したが、更に具体的な措置を取るかは不明だ。
全人代の婁勤倹(ろう・きんけん)報道官は2025年3月4日、米側に対話による問題の解決を呼び掛け、
「両国首脳のコンセンサス」
に立ち戻るよう訴えた。
だが、この場合の米側首脳はバイデン前大統領を指すため、同氏に批判的なトランプ氏への説得力は弱い。
習近平国家主席とトランプ氏の直接会談まで解決の糸口が見い出せない可能性があるが、現状では外相会談の予定すらない。
李氏は2025年3月5日の報告で
「覇権主義と強権政治に反対し、あらゆる形の一国主義、保護主義に反対する」
という文言を読み飛ばし、米国への刺激を避けたい思惑を窺わせた。

中国の25年の成長目標「5%前後」で据え置き、国防費伸び率も 全人代開幕
2025/3/5 10:52
https://www.sankei.com/article/20250305-O46JL73GY5MJ5MRPXCHGE5GG2A/
中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)の第14期第3回会議が2025年3月5日午前、北京の人民大会堂で開幕した。
李強首相が政府活動報告を行い、今年2025年の国内総生産(GDP)実質成長率の政府目標を
「5%前後」
に設定した。
3年連続での目標据え置きとなった。
2024年の実質GDPは前年比5・0%増で、目標を辛うじて達成していた。
中国経済はトランプ米政権との貿易戦争に加え、不動産不況を背景とした内需低迷に直面しており、目標達成の難度は昨年2024年よりも増している。
李氏は、昨年2024年の目標達成について
「我が国の発展に突破できない難関はない」
と強調する一方、対米関係の悪化を念頭に、貿易、科学技術などの領域が
「より大きな衝撃」
を受ける可能性に警戒感を示した。
全人代に提出した政府予算案で、国防費は前年比約7・2%増の1兆7846億元(約36兆7600億円)を計上した。
2024年は前年比約7・2%増の1兆6655億元だった。
李氏は
「より積極的な財政政策」
を表明。
消費喚起による内需拡大や不動産市場の安定、科学技術の
「自立自強」
を訴えた。
台湾問題では
「台湾独立」
に反対し
「祖国統一」
を呼び掛けた。
会期は2025年3月11日まで。

中国の国防費は前年比7・2%増の約36兆7千億円を計上 昨年と同じ伸び率
2025/3/5 9:46
https://www.sankei.com/article/20250305-YOKLBRJ65ZJGNPOGGJ7LH4A7OE/
中国政府が今年2025年の国防予算に前年比約7・2%増の1兆7846億元(約36兆7600億円)を計上していることが2025年3月5日、分かった。
北京で同日開幕する全国人民代表大会に政府予算案を提出する。
2024年の国防予算の伸び率も同じく前年比約7・2%増で、金額は1兆6655億元だった。(中国総局)

中国、今年の成長率目標は「5%前後」 3年連続で据え置き 全人代で公表へ
2025/3/5 9:26
https://www.sankei.com/article/20250305-MWB55IEJNJPDVLNHU34Z7PXQSU/
中国政府が今年2025年の国内総生産(GDP)成長率目標を
「5%前後」
に設定したことが2025年3月5日、分かった。
3年連続での目標据え置きとなった。
トランプ米政権との貿易戦争が激化する中、景気対策を強化して目標達成を目指すとみられる。
成長率目標は、2025年3月5日午前に北京で開幕する中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)で李強首相が読み上げる政府活動報告で公表される。2024年の実質GDPは前年比5・0%増で、目標を辛うじて達成していた。
中国経済は不動産不況を背景とした内需低迷に直面。
米中対立が深刻化しつつある中、内需拡大やハイテクをはじめとした民間企業の活用で回復を図る方針だ。
全人代は2025年3月11日まで開かれる。
今年2025年は中期経済目標
「第14次5カ年計画」
の最終年で、次期5カ年計画(2026〜2030年)の策定に向けた議論も行われる。
(中国総局)

中国が9月に軍事パレード 香港メディア報道、抗日記念日 プーチン氏招待の可能性も
2025/3/4 21:56
https://www.sankei.com/article/20250304-BOA35MAOERK7XH4Z52ODMU27SM/
香港のインターネットメディア「点新聞」は2025年3月4日、中国で2025年9月3日の抗日戦争勝利記念日に軍事パレードが開催されると報じた。
2025年3月4日に北京で開幕した国政助言機関、人民政治協商会議(政協)の張義瑚委員が認めた。
張氏は軍中部戦区で副司令官を務めた経歴がある。
中国の習近平国家主席は抗日戦争勝利記念日に合わせてロシアのプーチン大統領を北京に招待している。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは先月、プーチン氏が北京を訪れ軍事パレードを見る可能性があると伝えた。
今年2025年は中ロにとって戦勝80年の節目。
習氏もプーチン氏の招待で2025年5月9日にモスクワで行われる対ドイツ戦勝80年の軍事パレードに参加する見通しだ。(共同)

中国、海自の護衛艦通過に反発 台湾海峡安定妨害と批判
2025/3/3 18:27
https://www.sankei.com/article/20250303-XFSXZGQIFJLJ3GQ3FW2LRSTXPM/
海上自衛隊の護衛艦が2025年2月に台湾海峡を通過したことを巡り、中国外務省の林剣副報道局長は2025年3月3日の記者会見で
「日本に台湾問題で言動を慎むよう促す」
「中日関係や台湾海峡の平和と安定を妨害すべきではない」
と述べ反発した。
林氏は台湾問題は中国の領土や主権に関わると強調。
各国が有する航行の権利は尊重するとしながら
「如何なる国であっても航行の自由の名の下に中国の主権と安全を脅かし、挑発することには断固として反対する」
と訴えた。
護衛艦が台湾海峡を通過したことは中国軍を含む中国当局は発表しておらず、林氏も事実関係に言及しなかった。(共同)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/720.html#c68

[政治・選挙・NHK296] 財務省支配の何が問題なのか(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
25. 秘密のアッコちゃん[1391] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月06日 13:13:21 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[829]
<■62行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
米国防総省高官候補、日本批判「防衛力強化のスピードが遅すぎる」 3文書見直しの必要も
2025/3/5 20:59
https://www.sankei.com/article/20250305-UKDRS3L5SVIULF6BAFZPBQGJAQ/
トランプ米大統領が国防総省ナンバー3の国防次官に指名したエルブリッジ・コルビー元国防次官補代理の人事承認に向けた公聴会が2025年3月4日、上院軍事委員会で開かれた。
コルビー氏は、日本の防衛費について
「自国を守るため、少なくともGDP(国内総生産)比3%を可及的速やかに支出すべきだ」
と主張した。
コルビー氏はこれまでも日本にGDP3%の防衛費を求めており、これをトランプ政権の要求として位置付ける意向を示した形だ。
公聴会でコルビー氏は、対中国パワーバランスが劇的に悪化しているとし、米国、台湾、日本の防衛力を強化する必要があると指摘。
日本は経済力に見合った防衛費を支出していないとし、
「防衛力強化のスピードが遅過ぎる」
と批判した。
日本政府は2022年末に閣議決定した安保3文書で、2027年度までに防衛費と関連する支出を合わせてGDP2%とする方針を明記している。
2027年度までにGDP3%を達成するためには3文書の見直しが必要となる可能性もある。
一方、コルビー氏は台湾について
「中国の脅威の増大と(台湾の)準備不足が組み合わされている状況だ」
と指摘。
その上で
「台湾はGDP10%を支出すべきだというトランプ氏の意見に同意する」
と述べ、台湾に防衛費増額を働きかける考えを示した。

米、日本に防衛費3%要求「なぜ脅威と釣り合う水準にしない」と次官候補 台湾には10%
2025/3/5 11:48
https://www.sankei.com/article/20250305-OBWP7WWUS5JOBJMCNW7I3BUSYQ/
トランプ米大統領が国防総省ナンバー3の政策担当次官に指名したエルブリッジ・コルビー元国防次官補代理は2025年3月4日、人事承認に向けた上院軍事委員会の公聴会に臨んだ。
書面証言で、日本はできる限り早期に防衛費を国内総生産(GDP)比3%に引き上げるべきだと求めた。
口頭の証言では、台湾はGDP比10%に増額すべきだと主張した。
日本は防衛費と関連経費を2027年度にGDP比2%に増やす方針。
ヘグセス国防長官や国防副長官候補のファインバーグ氏は国防分野の経験が浅く、コルビー氏が政策決定で発言力を握るとの見方が多い。
コルビー氏は、米国が日本政府に対し
「建設的だが圧力を伴う手法」
で、防衛力増強に向けて政策変更を迫るべきだと訴えた。
欧州と共に日本を名指しし、防衛費の増額が急務だと指摘。
日本の防衛費増額のペースが
「余りにも遅過ぎる」
とし、更なる負担が必要だと注文を付けた。
「豊かな経済があるのに、なぜ脅威と釣り合う水準の防衛費を支出していないのか、よく理解できない」
とも語った。(共同)

「日本の防衛費は日本が決める」石破首相、米次官候補の防衛費3%要求に 参院予算委
2025/3/5 13:56
https://www.sankei.com/article/20250305-FEFKPQH26BDUPFIU3W4MFTLCSU/
石破茂首相は5日の参院予算委員会で、トランプ米大統領が米国防総省ナンバー3の政策担当次官に指名したコルビー元国防副次官補が、日本の防衛費を国内総生産(GDP)比3%へ引き上げるよう求めたことについて、
「日本の防衛費は日本が決める」
と述べた。
立憲民主党の羽田次郎氏への答弁。
首相は
「政府として必要であれば予算を計上し、国会の審議を経る」
「米国に限らず他国に言われて日本の防衛費を決めるものではない」
と語った。
羽田氏から
「3%に上げることはないということか」
と問われ、
「色々な積み上げの結果、決まっていくものだ」
「最初から何%ありきという粗雑な議論をするつもりはない」
と述べた。
今後の対応について首相は
「防衛力というのはあらゆる総合的な観点においてなされるものであり、単に金額だけで決まるものではない」
「提案をする時は、真摯な積み上げの下で国会の審議を経たい」
と強調した。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/727.html#c25

[国際35] トランプは、ゼレンスキーとの騙し合いに勝った。ゼレンスキーを騙し討ち(田中宇) てんさい(い)
14. 秘密のアッコちゃん[1392] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月07日 14:18:51 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[830]
<■332行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>トランプ氏演説 なぜ侵略と呼ばないのか
社説
2025/3/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20250307-24JXVRDPTZNRTKSY6LW3MJADLM/
トランプ米大統領が議会で施政方針演説を行った。
約100分と歴代最長となった演説は、前政権への批判と政策転換のアピールなど内政に集中し、対外政策に割いた時間は僅かだった。
ロシアによるウクライナ侵略について、トランプ氏は
「戦争終結のため精力的に取り組んでいる」
と強調した。
トランプ氏が、ウクライナとロシアの停戦を追求すること自体は当然だろう。
だが演説で、プーチン露大統領がしかけている戦争を侵略と呼ばなかったことは疑問である。
トランプ氏は
「ウクライナでの野蛮な紛争」
「残忍な戦争」
と語ったが、ウクライナまでそのような戦いをしていると見做していると受け取られかねない言いぶりだった。
野蛮で残忍な戦争をしているのはロシアで、ウクライナは国際法上正当な自衛権の行使をしている。
トランプ氏は
「無意味な戦争を終わらせる」
とも語ったが、ウクライナにとって主権と領土を守る戦いと犠牲は
「無意味」
とは言えない。
だからこそ米国はウクライナを支援してきたはずだ。
和平の追求は当然としても、誰が侵略者かに口を噤むのは間違っている。
プーチン氏の暴挙を止め、繰り返させないことが真の和平となる。
トランプ氏とゼレンスキー大統領の首脳会談は決裂し、米国はウクライナへの軍事支援の一時停止に踏み切った。
トランプ氏は演説で、ゼレンスキー氏から
「重要な書簡を受け取った」
と披露した。
書簡は
「トランプ氏の指導力のもとで和平に取り組む準備がある」
とし、署名が見送られた鉱物資源の共同開発に関する協定も
「(米側に)都合の良い条件で署名する用意がある」
と伝えたという。
この書簡にトランプ氏は
「感謝する」
と述べた。
そうであるなら、ウクライナへの軍事支援を早期に再開すべきである。
バイデン前大統領は、昨年2024年の一般教書演説で台湾海峡の平和と安定の確保に言及したが、トランプ氏の演説にそのような件がなかったのは残念だ。
トランプ氏が目指す
「米国の黄金時代」
は、専制国家の無法行為を阻む、毅然とした対応や抑止策を抜きには実現しないと気付いてほしい。

米国はダークサイドに落ちたのか
政界十六夜 石井聡
2025/3/7 12:00
https://www.sankei.com/article/20250307-QJXK65SJ3JIEJPNM7WJE4T4LQY/
米国とウクライナの首脳会談が公開の場で決裂する事態は、世界に衝撃を与えた。
望ましい和平への展望は暗雲に包み隠され、早期の修復が期待される。
トランプ、ゼレンスキー両大統領のいずれが正しく、いずれが正義かといった評価は他に委ねるとしても、目を覆う展開の予兆は数日前に見られていたことを、思い起こさないわけにはいかない。
それは、ロシアによるウクライナ侵略を批判する国連総会の決議に、ロシアや北朝鮮、ベラルーシなどとともに米国が反対票を投じたことである。
侵略者であるロシアと対峙すべき国が、逆に侵略者と結託する形でダークサイド(暗黒面)に落ちたとでも言うべき出来事である。
これをもって、同盟国である米国との関係を直ちに見直すわけにもいかない。
だが、全く問題がないかのような素振りで見過ごすのは、道義的にも論理的にも許されまい。
法と正義を破壊して力による現状変更をやめない強権国家を批判しないまま、大国間外交を進めさせてよいのか。
基本線として譲り難い。
このままでは明らかにロシアに有利に働きそうな
「停戦」
を導こうとする
「取引外交」
を容認できるか。
同盟国の変質に繋がりかねないトランプ大統領の言動にどう付き合い、再考を促していくかは、喫緊の外交課題となりつつある。
この事態を受けて、石破茂首相が述べたのは
@どちらの側にも立たない
A両大統領とも1日も早い平和では一致している
B感情的なやり取りもあったが、それぞれの利益を最大限実現するには忍耐や思いやりがいる
C日本は国際社会の分断を招かないよう、先進7カ国(G7)の結束に努力する
といったことだ。
「忍耐や思いやり」
といった主観的な見方には意味が不明確な面もある一方、
Cの西側の分裂回避に立とうとする点は、偏りを見せない無難な立場の表明と言えよう。
しかし、侵略者であるロシアのプーチン大統領との交渉に力点を置くトランプ大統領を窘めることをせず、ウクライナに寄り添う明確な姿勢も示さない。
ウクライナ支持を表明する欧州各国の首脳との違いは大きい。
ウクライナの和平交渉とは別に、日本がその立場を問われる場面が訪れそうな問題が浮上している。
トランプ大統領が、G7の枠組みにロシアを復帰させて
「G8」
に戻すべきだという考えを示していることへの賛否である。
ロシアは2014年にウクライナ南部のクリミアを併合したことでG8から排除された経緯がある。
その後、侵略者の立場をより鮮明にしたプーチン大統領を、改めて迎え入れることを容認できるだろうか。
そもそも、日本はロシアと平和条約を結んでいない。
政府は現在のG7の有効性を強調しているものの
「G8」
への明確な態度は示していない。
こうした問題でも、他の欧州メンバーと意思疎通を図ることが重要だ。
トランプ政権との間で日米同盟の重要性は確認され、関税問題の行方などの懸念はあるものの、両国関係は基本的に良好に見える。
しかし、同盟の価値観と相容れない
「侵略者との結託」
という事態をどう受け止め、行動すべきかが問われよう。
日本は拉致問題の解決に向けてトランプ大統領に協力を求めている。
それが日朝交渉のきっかけを掴むためだとしても
「取引」
の担い手にどこまで委ねてよいかは、慎重に吟味すべきである。
(特別記者)

米国が「世界秩序を破壊」 駐英ウクライナ大使が批判
2025/3/7 9:29
https://www.sankei.com/article/20250307-OJOFIN3YSJMUROVPASGOJNUXWE/
ウクライナ軍前総司令官のザルジニー駐英大使は2025年3月6日、
「米国が世界秩序を破壊しようとしている」
と警告し、ロシア寄りのトランプ大統領を批判した。
ロンドンで開催された安全保障と防衛に関するイベントで語った。
英メディアが報じた。
国民の人気が高いザルジニー氏は将来の大統領候補の一人と目されている。
ザルジニー氏は、ロシアの侵略行為を認めない米政府の姿勢は
「全世界への大きな挑戦だ」
と指摘。
「西側の結束に疑問を投げかけた」
とし、その結果、北大西洋条約機構(NATO)が
「存在しなくなる可能性がある」
と危機感を示した。
ロシアに寄り添うトランプ政権の
「中途半端」
な対応に懸念を表明。ロシアが次に標的とするのは
「欧州かもしれない」
と警鐘を鳴らした。
ウクライナのゼレンスキー大統領はトランプ氏との首脳会談決裂によって険悪となった対米関係の修復を模索するが、トランプ氏は軍事支援を停止し圧力を強めている。(共同)

EU首脳会議、ウクライナの軍事支援継続を確認 「再軍備計画」に127兆円
2025/3/7 9:02
https://www.sankei.com/article/20250307-45F6FVO3EVKTZPQBBQHSNPYP3A/
欧州連合(EU)は2025年3月6日、ブリュッセルで首脳会議を開き、ウクライナの停戦合意を巡って
「強固な安全の保証」
が必要とする声明を発表した。
トランプ米政権とは対照的に、ウクライナへの軍事支援を強める方針を示した。
声明は、ウクライナの要求に応え、加盟国が防空システム、砲弾やミサイルなど軍事物資の供給を進めると明記した。
対ロシア制裁を強化する方針も確認した。
声明には、トランプ政権の動きを支持するハンガリーは加わらなかった。
会議には、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加。
停戦を巡り、空域と海域で先行する段階的実施を提案した。
エネルギー関連や民間施設に対するミサイルやドローン(無人機)攻撃、更に黒海での攻撃を止め、実現すれば、和平に向けた交渉に入るという道筋を示した。
会議では、ロシアに対するEUの抑止力強化に向けて、約8千億ユーロ(約127兆円)の資金拠出を目指す
「欧州再軍備計画」
を推進する方針も確認した。
フランスのマクロン仏大統領が2025年3月5日、欧州の抑止力強化のために仏核兵器の活用を提案したことへの反応も出た。
リトアニアのナウセーダ大統領は
「核の傘はロシアの脅威への抑止力になる」
と歓迎したが、ポーランドやデンマークなど多くは論議に慎重な姿勢を示した。

米国のウクライナ支援減少、「対中抑止の強化」につながるか
緯度経度 古森義久
2025/3/7 9:00
https://www.sankei.com/article/20250307-FJECKLN4IZIZRNDCL7XPW6JL6A/
米国のトランプ大統領がウクライナ戦争に対しロシアのプーチン大統領との直接の停戦交渉を進める構えを見せた。
それに難色を示すウクライナのゼレンスキー大統領が2025年2月28日、トランプ氏と激突した。
その結果、米国のウクライナへの軍事支援が一時的にせよ止まる重大変化が起きつつある。
その一方、トランプ政権内外ではトランプ氏のロシアへの接近とも受け取れる動きは、実はロシアと中国を離反させるための戦略だという観測も盛んである。
そんな戦略に実効があるのか。
そして中国は今回の米国とウクライナの衝突をどう見ているのか。
米国の歴代政権で対中政策を担当してきたロバート・サター氏(ジョージ・ワシントン大教授)に尋ねてみた。
サター氏は過去40年ほど国務省、国家安全保障会議、中央情報局(CIA)などで中国問題に関与してきた。
ーー今回の米国とウクライナの首脳の激論、更にバンス米副大統領の西欧諸国非難などに中国当局はどう反応しているか
★サター氏
中国の王毅外相や外交当局者はかねてトランプ氏の過激にみえる言動は米国の同盟国や同志国にとって信頼できないパートナーだという証しだと宣伝してきた。
今回のウクライナ大統領との衝突はその例証だとする政治宣伝をすでに始めた。
中国の国営メディアの環球時報などは
『これほど過激な対外政策を示す米国の主張に従い、中国を敵視する国は今後、中国からの厳しい反撃にあう危険がある』
という骨子の警告まで発するようになった。
ーートランプ氏がロシアに融和的な態度を見せ、ウクライナ停戦交渉でもまずロシアに接近するという態度は、実はロシアを中国から離反させる意図を絡めた遠大な戦略だとする見解があるが、どうか
★サター氏
確かにその意図はトランプ政権内外の一部で語られている。
東西冷戦中にニクソン大統領が中国に接近してソ連を牽制した事例にちなみ、『逆ニクソン戦略』とも呼ばれる。
ニクソンが中国に接近したのとは逆に今回はロシアに接近するからだ。
だが私はこの戦略の効果を余り信じない。
中国の総合国力が今やロシアを遥かに上回り、ロシアが米国との関係を改善しても、中国への依存を減らすことはすぐには出来ないからだ。
高度技術や軍事能力でのロシアの対中依存はそう簡単には減らせない。
ただしトランプ氏の今回の動きは議会などの対中強硬派を活気づけ、団結を強くさせる効果はあると思う。
例えば上院共和党の論客のジョッシュ・ホーリー議員は
『ウクライナへの巨額の軍事支援は米国が本来、最大の脅威とする中国への抑止の軍事態勢への投資を削ぐ』
と主張してきた。
今後のウクライナへの支援の減少は対中抑止の強化に寄与すると歓迎されるわけだ。
中国が今回の米国の動きを米国と同盟諸国との離反に利用するという意図は、日本に対してもあてはまるだろう。
それでなくても2期目のトランプ政権の誕生でその対中政策が厳しくなるという予測が生まれてから、中国政府は日本への姿勢を明らかに和らげてきた。
だがその緩和があくまで仮初めの戦術であることはサター氏の言を借りるまでもないだろう。
(ワシントン駐在客員特派員)

米ウクライナ、来週に代表団会合開催 ゼレンスキー氏が発表 戦争終結、関係修復焦点に
2025/3/7 8:50
https://www.sankei.com/article/20250307-PRLIHB2F5VN6HKUKSH2FVQ7F6M/
ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は2025年3月6日、
「ウクライナと米国のチームが業務を再開した」
と述べた上で、来週に両国代表団が会合を開くと発表した。
訪問先のブリュッセルで出席した欧州連合(EU)首脳会議での発言をウクライナ大統領府が発表した。
米国のウィトコフ中東担当特使は同日、会合はサウジアラビアで開催され、ウクライナ戦争終結に向けた和平の枠組みを協議するとの見通しを示した。
米国はトランプ大統領とゼレンスキー氏との会談が決裂した2025年2月末以降、軍事支援を停止するなどウクライナへの圧力を強化。
米国はウクライナを停戦に応じさせる他、先の会談で署名が見送られた鉱物資源権益に関する合意を成立させたい思惑だとされる。
鉱物資源合意に関してゼレンスキー氏は最近、一定の譲歩に応じる考えを示唆しており、会合では両国関係の修復も焦点になる。
米メディア「アクシオス」は2025年3月6日、会合がサウジで2025年3月12日に開かれると報道。
米FOXニュースも2025年3月6日、ルビオ米国務長官とウィトコフ氏、ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が2025年3月11日にサウジに向かうと伝えた。
ウクライナからはイエルマーク大統領府長官が出席するとした。
ゼレンスキー氏はEU首脳会議での演説で、停戦に向けた第1段階としてロシアにウクライナへの空・海からの攻撃を停止させる必要があると指摘。
「ウクライナ人は平和を望んでいるが、国を放棄する代償を支払ってまでは望んでいない」
とも述べ、戦争はウクライナの安全の保証を含む公正な形で終結しなければならないと強調した。

米、ウクライナ避難民の滞在資格撤回か 24万人、国外追放の可能性も 米報道
2025/3/7 8:20
https://www.sankei.com/article/20250307-MABZZNKWVVOBBPFLUUPPNDUMZU/
ロイター通信は2025年3月6日、ウクライナから米国に避難する約24万人の一時滞在資格について、トランプ米政権が早ければ2025年4月にも撤回する方針だと報じた。
米政府高官の話としている。
実際に撤回された場合、国外に追放される可能性がある。
トランプ氏は2025年3月6日、ホワイトハウスで記者団に対し、政権内で一時滞在資格の撤回措置が
「適切だと言う人もいれば、そうでない人もいる」
と説明。
ウクライナの人々を
「傷付ける意図はない」
とした上で、措置を講じるかどうかを近く判断する意向を示した。
ウクライナ避難民の一時滞在資格を巡っては、バイデン前政権がロシアの侵攻開始を受けて付与を開始した。
ロイターによると、トランプ政権はウクライナ避難民とは別に、キューバやハイチ、ニカラグア、ベネズエラから米国に避難した計約53万人の一時滞在資格について、早ければ今月2025年3月にも撤回することを検討している。(共同)

「米国第一」国益推進の外交展開 国務省報道官が初会見
2025/3/7 8:16
https://www.sankei.com/article/20250307-7LFPPPH2FFMADB3OUVDN22CP5U/
米国務省のブルース報道官は2025年3月6日、第2次トランプ政権発足後、初の記者会見を開いた。
「トランプ大統領は21世紀が米国主導の時代となるよう、国益を推進することを明確に示している」
と述べ、国務省も
「米国第一」
の方針に従って外交を展開すると強調。
「報道の自由は民主主義に不可欠だ」
として
「率直かつ明確に伝える」
と語った。
第2次政権では、トランプ氏が連日のように報道陣の質問に答える一方、国務省や国防総省の報道官による記者会見は約1カ月半の間、開かれてこなかった。
2025年3月6日の会見会場には多くの記者が詰めかけ、関心の高さを窺わせた。
ブルース氏は約45分の会見で、パレスチナ自治区ガザ情勢やロシアの侵攻を受けるウクライナに関する質問を受けた。
トランプ政権が対外援助を凍結し、国際開発局(USAID)を機能不全に追い込んだことを巡り、要因の1つとして
「USAID側が調査を拒否した」
と主張した。(共同)

米の機密情報提供停止で独仏が代替策 ウクライナに協力
2025/3/7 7:18
https://www.sankei.com/article/20250307-LOZ5BPITRBPXTLCRBTBHSBO22Y/
ロシアの侵攻を受けるウクライナのウメロフ国防相は2025年3月6日、訪問先のドイツでピストリウス国防相と共同記者会見し、米国による機密情報の提供停止について
「既に代替策を模索している」
「必要に応じてドイツにも協力を求めたい」
と述べた。
ピストリウス氏は
「新たな措置で損失を補う努力をしている」
とし、協力に前向きな姿勢を示した。
フランスのルコルニュ国防相も同国メディアに、ウクライナに情報を提供する用意があるとした。
ラトクリフ米中央情報局(CIA)長官は2025年3月5日、ウクライナへの機密情報提供を一時停止したと米メディアで表明。
ウクライナの鉱物資源権益を巡る交渉で米国に有利な合意を得るため、圧力をかける狙いとみられる。
米国は対ロシア戦に不可欠な位置情報などをウクライナに提供しており、米紙によるとウクライナ軍の自衛に関する情報を除く、ほぼ全ての機密情報の共有が停止された。(共同)

EU、再軍備推進へ128兆円確保 大筋合意へ 対露抑止強化、米政権にメッセージ
2025/3/7 7:14
https://www.sankei.com/article/20250307-WN3WHKSOZZJNRLBP7SR4W233AE/
欧州連合(EU)は2025年3月6日、ブリュッセルで特別首脳会議を開いた。
対ロシアの抑止力強化へ約8千億ユーロ(約128兆円)の資金確保を目指す
「欧州再軍備計画」
の推進で大筋合意する見通し。
合意文書の草案で明らかになった。
トランプ米大統領は欧州に防衛負担の大幅増を求めており、合意すれば米政権に対する強いメッセージとなる。
トランプ政権が軍事支援停止を表明したウクライナへの追加支援も協議。
ロシア寄りの立場で知られるハンガリーのオルバン首相が反対しており、ウクライナ支援で結束した姿勢を示せるかが焦点だ。
首脳会議にはウクライナのゼレンスキー大統領も出席した。
欧州再軍備計画は、EUが加盟国に課す財政規律を緩和して防衛費を捻出しやすくするなどして、各国の防衛費を国内総生産(GDP)比で1・5%程度に増やすことが柱。加盟国のミサイルや弾薬など防衛分野への投資を促進するため、約1500億ユーロを融資する新たな枠組みも創設する。(共同)

米ウクライナ高官会談か 12日にもサウジで開催、関係改善へ 米メディア報道
2025/3/7 7:11
https://www.sankei.com/article/20250307-K2VGGG2H2VIOXL3OHWZA7XU4PU/
複数の米メディアは2025年3月6日、ルビオ国務長官らが来週、サウジアラビアでウクライナ高官と会談すると報じた。
2025年2月末の米ウクライナ首脳会談の決裂を受け、悪化した両国関係の立て直しに向けた動きとなる。
米国が停止した対ウクライナ軍事支援の再開や、ウクライナの鉱物資源の権益を巡る合意などが主な議題になるとみられる。
会談にはルビオ氏の他、ウォルツ大統領補佐官、ウィットコフ中東担当特使が参加する見通し。
ウクライナ側はイエルマーク大統領府長官が出席する予定。
ニュースサイト、アクシオスによると、ルビオ氏は2025年3月11日にサウジに向けて出発し、会談は2025年3月12日に開催される。
トランプ大統領は2025年2月28日、ホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と会談したが、ロシアとの戦争終結に向けた和平交渉を巡って口論となり、決裂した。(共同)

変わるウクライナ戦争の形 都市部への無人機襲来が急増 迎撃には旧式の対空砲も効果
2025/3/7 7:00
https://www.sankei.com/article/20250307-J6KXVMTUNNMU7KKKNBH7E4FRFU/
約1年ぶりに訪れたウクライナでは、大小の自爆型ドローン(無人機)がロシアとの戦争の主役となったことを実感した。
首都キーウでは空襲警報の数がだいぶ増え、その多くがミサイルでなく無人機の襲来で発令されている。
大半は電波妨害や迎撃によって無力化されるが、毎晩のように対空砲の音が市内に響き渡る。
スマートフォンの空襲警報アプリがけたたましい音を発する。
すぐに通信アプリ
「テレグラム」
を開き、ウクライナ空軍や市当局のページで
「何がどの方角に飛んでいるのか」
を確認する。
これがキーウ市民の標準的な行動だ。
1年前にはミサイル発射での警報が多かったが、最近は圧倒的に無人機だ。
深夜や早朝に数十機から100機以上の長距離無人機が、ウクライナ各地に向けて飛ばされることが多い。
「深夜は露軍のゴールデンタイムだ」
「私たちを眠らせないつもりかもしれないが、迎撃の爆音にはもう慣れきっている」
と女性市民はいう。
ウクライナ空軍の発表によると、2025年3月4日夜から5日朝にかけては自爆型無人機181機が飛来。
そのうち115機を撃墜、55機を電波妨害で無力化したが、4つの地方で被害が出た。
キーウ市や郊外には多数の防空部隊が重層的に配置されている。
ミサイル迎撃には米製「パトリオット」や仏伊製「SAMP/T」、独製「IRIS―T」などの高性能防空システムが威力を発揮するが、無人機に対しては旧式の対空砲も活躍している。
キーウ郊外で毎晩配置につく防空部隊のマリクさん(49)は3年前の全面侵攻後に入隊した志願兵だ。
「我々がここで撃ち落とさねば、無人機は都市部に突っ込んで大きな被害が出る」
「朝、自分の家族や知人にまた会えるようにという気持ちで仕事をしている」
と語った。
彼の部隊ではソ連製とチェコ製の旧式対空砲を使っていた。
東部ドネツク州の前線では
「露軍のFPV(1人称視点)自爆ドローンが最大の脅威になっている」
と兵士らが口を揃えた。
露軍は最近、電波妨害に遭わないよう、光ファイバーケーブルを使った有線ドローンも投入しているという。
「FPVドローンは安価で効果的なので双方が多用している」
「ドローンのお陰でウクライナ軍が防衛線を守れている面もある」。
ウクライナ国立戦略研究所のベレスコフ氏はこう指摘し、
「大ざっぱに言えば、今、戦場での標的破壊の半分くらいがドローンによるものだ」
と話した。

http://www.asyura2.com/24/kokusai35/msg/351.html#c14

[政治・選挙・NHK296] 兵庫県・斎藤元彦知事が「人間失格」の本性ムキ出し…百条委の報告書に会見で開き直り“告発者つぶし”(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
101. 秘密のアッコちゃん[1393] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月07日 16:20:08 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[831]
<■265行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
最高裁の判決は妥当だ。
津波襲来の予見など出来るものではない。
予見可能であったなどというのは後付けの理屈でしかない。
他の大地震全てで
「予見可能であった」
と言って訴訟になどなっていない。
原発に対してだけそうした
「常識」
が通用しないのは、ただの
「感情論」
に過ぎない。
「発生から間もなく14年となる事故の刑事裁判は、旧経営陣が誰も責任を負うことなく終結する」
などと言うのも単なる感情論に過ぎない。
誰かに責任を取らせないと納得できない、などというのは感情論に流された非常に危険な考え方である。

刑事責任問う壁高く 津波「予見」民事と逆の結論 東電旧経営陣無罪確定へ
2025/3/6 19:11
https://www.sankei.com/article/20250306-FYNK5KJC3VIEPIOXZYZCE3MPZ4/
未曾有の被害をもたらした東京電力福島第1原発事故から間もなく14年。
最高裁が東電元副社長2人に関する上告を棄却する決定を出したことで、強制起訴された旧経営陣は
「刑事責任を負わない」
との判断が確定することになる。
検察審査会の議決という
「民意」
を経て始まった裁判は、刑事責任を問うハードルの高さを改めて示した。
■主要争点は共通だが
公判の主な争点は
@巨大津波を予見できたか
A対策を取れば事故を防げたか。
@の判断では、国が平成14年に公表した地震予測
「長期評価」
の信頼性をどう評価するかが焦点となった。
原発事故の責任追及を巡っては、複数の民事裁判も起こされており、いずれも主要な争点は共通しているが、司法判断は分かれている。
株主代表訴訟では、東京地裁が令和4年7月、勝俣恒久元会長(故人)ら4人に、約13兆円の賠償を命じた。
地裁は長期評価について、3段階の議論を経て一定の根拠を示していることなどから
「相応の科学的信頼性を有する知見」
だったと指摘。
津波の試算結果などと合わせれば、旧経営陣は津波を予見できたとした。
その上で、
Aについては
「建屋の浸水対策などをしていれば、重大事態を避けられた可能性は十分にあった」
とした。
■高い予見可能性要求
一方、刑事裁判の東京高裁判決(令和5年1月)は長期評価について、信頼度が低く位置付けられ、関係機関の防災対策に取り入れられていなかったことなどから、津波襲来の現実的可能性を認識させるような情報とまでは言えないとした。
高裁は、事故を防ぐために必要な措置は
「原発の運転停止」
だったことを前提に、それに応じた高いレベルの予見可能性を要求。
旧経営陣に予見可能性はなく、浸水対策などの運転停止以外の措置では事故は回避できなかった、と結論づけた。
最高裁決定も、高裁の判断を支持している。
同じ事故で刑事、民事裁判の結論が逆になったのは、刑罰が科される可能性のある刑事裁判では
「合理的疑いを差しはさむ余地のない立証」
が求められているためだ。
検察の不起訴処分を経て、検察審査会の議決で開かれた刑事裁判だったが、元副社長2人は無罪、元会長は死亡による裁判打ち切りで終結することになる。

「津波予見できず」東電旧経営陣、無罪確定へ 最高裁が上告棄却決定 判事1人は補足意見
2025/3/6 17:34
https://www.sankei.com/article/20250306-AOPVMINTVRLO7MDYENU456ZRIQ/
東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の武黒一郎元副社長(78)と武藤栄元副社長(74)について、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は、検察官役の指定弁護士の上告を棄却する決定をした。
2人を無罪とした1、2審判決が確定する。
ともに強制起訴された勝俣恒久元会長は昨年2024年10月に84歳で死去し、既に同小法廷が裁判を打ち切る
「公訴棄却」
を決定している。
■三浦裁判官は加わらず
上告棄却決定は2025年3月5日付。
3人の裁判官の全員一致の結論。
検察官出身の三浦守裁判官は審理に加わらなかった。
検察官時代に事件処理に関与したためとみられる。
東日本大震災に伴う巨大津波の襲来を予見できたかが、最大の争点だった。
国は平成14年、福島県沖などで巨大地震が起きる可能性を指摘する
「長期評価」
を公表。
これに基づいて東電子会社は平成20年に
「最大15・7メートルの津波が同原発に来る」
との試算結果を東電に報告していた。
同小法廷は
「長期評価の見解は、津波の襲来という現実的な可能性を認識させるような性質を備えた情報だったとは言えない」
とし、旧経営陣の予見可能性を認めず無罪とした1、2審判決の判断は
「相当」
だとした。
指定弁護士は平成28年2月、検察審査会の判断に基づき、原発事故後の長期避難で双葉病院(福島県大熊町)の患者ら44人を死亡させたなどとして強制起訴した。
指定弁護士は
「現在の原子力行政に阿った不当な判断」
とコメント。
東京電力ホールディングスは、刑事裁判については
「コメントを差し控える」
とした。
■報告義務「議論の余地」
弁護士出身の草野耕一裁判官は補足意見で、東電が最大15・7メートルの津波が来るとの試算結果を速やかに国へ報告しなかったことを過失と捉え、
「犯罪の成否を論じる余地もあったのではないか」
との見解を示した。
平成20年4月頃に試算結果を把握した東電が速やかに報告していれば、国が技術基準適合命令を出して原発の運転が停止し、事故を
「回避できた可能性があったのではないか」
と指摘。
ただ、報告義務違反は今回の起訴内容には含まれておらず、
「1、2審判決に不合理な点はない」
と結論づけた。
■強制起訴
検察官の不起訴処分の是非を審査する検察審査会が起訴すべきだと議決し、検察官の再捜査でも不起訴となった事件について、再び起訴すべきだと議決した場合、自動的に起訴される制度。
司法に国民感覚を反映させる目的で平成21年、裁判員制度とともに導入された。
公判では裁判所が指定した弁護士が検察官役を務める。

東電元副社長2人無罪確定へ 福島第1原発事故、最高裁も「津波予見できず」
2025/3/6 13:30
https://www.sankei.com/article/20250306-DWYBC64XD5IJJMWBZFP2YBHM7U/
東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の武黒一郎元副社長(78)と武藤栄元副社長(74)について、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は、検察官役の指定弁護士の上告を棄却する決定をした。
2人を無罪とした1、2審判決が確定する。
ともに強制起訴された勝俣恒久元会長は昨年2024年10月に84歳で死去し、既に同小法廷が公訴棄却を決定。
未曾有の被害をもたらした原発事故を巡り企業トップらの刑事責任が問われた裁判は、
「全員無罪」
で終結する。
上告棄却決定は2025年3月5日付。
3人の裁判官の全員一致の結論。
検察官出身の三浦守裁判官は、自ら申し出て審理から外れた。
検察官時代に、事件処理に関与したためとみられる。
東日本大震災に伴う巨大津波の襲来を予見できたかが、最大の争点だった。
国は平成14年、福島県沖などで巨大地震が起きる可能性を指摘する
「長期評価」
を公表。
これに基づいて東電子会社は平成20年に
「最大15・7メートルの津波が同原発に来る」
との試算結果を東電に報告していた。
同小法廷は
「長期評価の見解は、同原発への津波の襲来という現実的な可能性を認識させるような性質を備えた情報だったとは言えない」
とし、旧経営陣3人の予見可能性を認めず無罪とした1、2審判決の判断は
「相当」
だとした。
検察は3人を嫌疑不十分で不起訴としたが、平成28年2月、検察審査会の判断に基づき、原発事故後の長期避難で双葉病院(福島県大熊町)の患者ら44人を死亡させたなどとして指定弁護士が強制起訴した。

強制起訴された被告、相次ぐ無罪 「人権軽視」専門家は制度見直し提言
2025/3/6 17:53
https://www.sankei.com/article/20250306-YTRPF4KNOFOA5MPHGI43FEPN24/
原発事故を巡る東電旧経営陣の刑事責任は検察審査会(検審)による強制起訴によって審理されたが、判決は1審から最高裁までいずれも無罪となった。
強制起訴された他の事件でも、多くは無罪判決が言い渡されている。
■15人のうち有罪3人
有権者で構成される検審は、検察が不起訴処分にした事件を審査し、
「起訴すべき」
と2回議決すれば最終的に強制起訴することができる。
強制起訴は、検察が独占していた起訴権限に、民意を反映させる目的で導入された。
だが、これまで強制起訴された11件15人のうち、有罪となったのは3件3人(うち有罪確定は2人)にとどまる。
初の事案となった兵庫県明石市の歩道橋事故を皮切りに、無罪や公訴棄却などの判決が相次いでいる。
107人の死者を出した平成17年の福知山脱線事故でも、JR西日本の歴代3社長が業務上過失致死傷罪で強制起訴されたが、いずれも無罪判決が確定。
政治資金規正法違反罪(陸山会事件)で強制起訴された小沢一郎衆院議員も、平成24年に無罪が確定している。
平成21年の制度の導入以降、平成22〜平成25年の4年間で8件が強制起訴されたが、その後は僅か3件にとどまるなど、強制起訴される事案は近年、減少傾向にある。
また、東電旧経営陣への強制起訴では、最高裁が決定を出すまで9年を要するなど、強制起訴後の審理が長期化することも課題の1つとなっている。

「起訴猶予のみ対象にすべき」
強制起訴の制度設計に携わった元検事 高井康行弁護士の話
これまで検察審査会が強制起訴した事件の大半が無罪になっており、制度を見直す時期にある。
「嫌疑不十分」

「不起訴」
を強制起訴の対象から除外し、
「起訴猶予」
のみを対象とすべきだ。
犯罪の嫌疑が証拠によって認められた
「起訴猶予」
とは異なり、嫌疑不十分は検察が証拠を十分に精査し
「有罪に足る証拠がない」
と判断したものだ。
証拠を全て精査することを求められていない検審が、検察が嫌疑不十分と判断したものを起訴できる現在の制度は合理性に欠ける。
また、被疑者が一度起訴されれば法廷に長期間拘束され、判決が確定するまで多額の費用を要する。
真相究明のためなら無罪の公算が大きい被疑者でも強制起訴する検審は、法と証拠に基づき有罪の確信を持って起訴する検察の訴追姿勢と乖離しており、被疑者の人権を軽視している。
有罪になる恐れがあれば、真相を語らない可能性もある。
東京電力福島第1原発事故のような重大事故の真相究明を、個人に刑罰を科す刑事司法の場に委ねるべきではない。
個人の刑事責任が免責されることを前提に、公開性を担保した上で事故の真相を語らせる新たな制度が必要だ。(談)

東電原発事故 判決要旨
2019年9月20日 産経新聞
福島第1原発事故をめぐる強制起訴事件で東京電力経営陣3被告を無罪とした19日の東京地裁判決の要旨は次の通り。
【争点】
主たる争点は被告らに津波襲来の予見可能性があったと認められるか否かだ。
結果の重大性を強調するあまり、あらゆる可能性を考慮して必要な措置を義務付けられれば、法令上は認められた運転が不可能になる。
【長期評価】
政府の地震本部は平成14年7月、
「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価」
を公表した。
福島県沖でもM8.2前後の地震が起きる可能性があるとしていた。
23年3月初旬時点で長期評価は地震発生の可能性の具体的な根拠を示さず、専門家や内閣府が疑問を示していた。
中央防災会議や自治体の防災計画にも取り込まれなかった。
客観的な信頼性、具体性があったと認めるには合理的な疑いが残る。
【予見不可能】
原子炉等規制法や審査指針などからすると、原発の自然災害に対する安全性は
「どのようなことがあっても放射性物質が外部に放出されることは絶対にない」
といった極めて高度なレベルではなく、合理的に予測される災害を想定した安全性の確保が求められていた。
武藤栄元副社長や武黒一郎元副社長は長期評価に基づいて津波の数値解析をすると15.7bになるなことなどを認識していたが、部下から長期評価の見解に根拠がないと報告を受けていた。
勝又恒久元会長は10bを超える津波襲来の可能性を示唆する見解があると認識していたが、内容や信頼性は認識していなかった。
直ちに工事に着手し、完了まで運転を停止しなければ事故が起こり得ると認識していなくても不合理とは言えない。
結果回避義務を課すにふさわしい予見可能性があったとは認められない。
指定弁護士は情報収集義務を尽くしていれば津波の襲来を予見できたと主張する。
しかし情報を収集・補充しても上記内容以上の情報が得られたとは考えがたい。
東電は業務分掌性が採られ、一時的には担当部署に所管事項の検討、対応が委ねられていた。
被告ら3人は担当部署から上がってくる情報や検討結果に基づいて判断すればよい状況だった。
【結論】
自然現象に起因する重大事故の可能性が一応の科学的根拠をもって示された以上安全性確保を最優先し、事故発生の可能性がゼロないし限りなくゼロに近くなるように、必要な結果回避措置を直ちに講じるということも社会の選択肢として考えられないわけではない。
しかし、本件事故発生前までの規制や国の指針、審査基準は絶対的安全性の確保までを前提にしていなかった。
3人は東電の取締役という責任を伴う立場だったが、規制の枠組みを超えて刑事責任を負うことにはならない。

東電旧経営陣の無罪判決 識者の見方は…
2019.9.20 01:21 産経新聞
東京電力福島第1原発事故をめぐり、旧経営陣3被告全員に無罪を言い渡した19日の東京地裁判決について、識者からは次のような指摘があがった。

強制起訴制度の設計に携わった元検事の高井康行弁護士の話
「自然災害の予見可能性の立証は難しく、無罪判決はやむを得ない」
「地震予測『長期評価』が他の評価よりも信頼性があったかといえば必ずしもそうではなく、旧経営陣の判断は妥当だった」
「3被告は検察が不起訴としたにもかかわらず何度も法廷に立たされ、人権が侵害されたに等しい」
「検察が嫌疑不十分と判断した事件は強制起訴の対象から外すなど強制起訴制度を見直すべきだ」
「今後は原因究明や再発防止に特化した調査機関や制度を考えていくことも必要だ」

裁判長「地震予測『長期評価』は信頼性に合理的疑い」 東電旧経営陣無罪判決
2019.9.19 16:37 産経新聞
東京電力福島第1原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された同社の旧経営陣3被告に無罪(いずれも求刑禁錮5年)を言い渡した19日の東京地裁判決で、永渕健一裁判長は、巨大津波の試算の根拠とされた国の地震予測
「長期評価」
について、
「客観的に信頼性、具体性があったと認めるには合理的な疑いが残る」
と指摘した。
公判では、巨大津波を予見し、対策を取れば事故を防げたかどうかが最大の争点となったが、3被告側は公判で、長期評価は根拠が不明確で
「信頼性はなかった」
と主張していた。
永渕裁判長は19日の判決で、東電元会長の勝俣恒久(79)、元副社長の武黒(たけくろ)一郎(73)、元副社長の武藤栄(69)の3被告に無罪を言い渡した。

原発事故 無罪判決 受け止めは?
2019年9月19日 20時43分 NHK
刑法専門家「従来の判例の枠内で判断」
刑法が専門で過失の刑事責任に詳しい明治大学法科大学院の大塚裕史教授は
「原子力発電所は非常に危険な業務を行っていることを考慮して有罪と判断することも考えられたが、裁判所は、この事件を特別扱いすることなく、従来の判例を踏襲し、その枠内で判断したといえる」
と指摘しました。
無罪の判断となったポイントについては、
「『長期評価』について信頼性が十分に示されていないことを指摘して、15メートルを超える津波が来るという最先端の知見に従わなかったからといって刑罰を与えるべきだとは言えないと判断したことと、確実に結果を回避するためには防潮堤の設置などではなく、究極的な原発の停止しかないと判断したことが無罪の結論に大きく影響した」
と話しました。
原発事故によって避難を余儀なくされた人たちが東京電力に対して損害賠償を求めた民事裁判では、これまで複数の判決で原発事故を引き起こすような巨大な津波を予測できたとする
「予見可能性」
が認められてきましたが、今回の刑事裁判の判決では認められませんでした。
これについて、大塚教授は
「刑事裁判は民事裁判とは役割が違い、組織の責任を問うものではなく、個人の責任を問うものだ」
「刑務所に入れなければならないほど落ち度があったかという判断になる」
として、民事裁判での認定とは分けて考えるべきだとしました。

2019年9月19日の東京地裁の無罪判決は妥当だろう。
刑事罰とは明確な法令違反に対してのみ負うべきものである。

地震や津波を高い確率で正確に予測できる人など存在しない。
もしいたら、その人は
「神」
であろう。
地震や津波を高い確率で正確に予測できる人などいない、そう思う人が多いから、三陸沖で地震や津波で被害にあった人たちも国・県・郡市町村などの行政に対して訴訟を起こさないないのだろう。
原発に対してだけそうした
「常識」
が通用しないのは、ただの
「感情論」
に過ぎない。

裁判自体が東電の経営に影響を及ぼすが、東京第5検察審査会や福島原発告訴団はどう考えているのか。
強制起訴制度自体に問題があるのではないか。
犯罪成立を認める証拠が足りない
「嫌疑不十分」
で不起訴になった事件について、
「強制起訴の対象から外すよう制度を見直すことが必要」。
事案が軽微だったり、示談の有無などの事情を考慮し、検察官の裁量で起訴を見送った起訴猶予のケースのみ対象にすべきだ。
今回の検審の起訴議決は、感情に流されたものだったのではないか。
未曽有の原発事故は1000年に1度とされる天災によって引き起こされた。
全証拠に目を通したわけではない検審の審査員が予見可能性があったと認めるのは無理がある。
証拠を見ないで証拠があると判断するのはおかしい。
事故の真相を知るために起訴するという考え方は刑事裁判のあり方からかけ離れている。
現状の制度では無罪になった際の責任の所在もはっきりしておらず、強制起訴の判断が正しかったのか、被告人の被害回復をどうするのか検証する仕組みも必要だ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/729.html#c101

[政治・選挙・NHK296] 今や石破首相こそが“抵抗勢力”…「高額療養費」引き上げ凍結をかたくなに拒否する理由(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
18. 秘密のアッコちゃん[1394] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月08日 13:46:56 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[832]
<▽36行くらい>
<主張>高額療養費 引き上げより他の方法を
社説
2025/3/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20250308-3UQIHXXORJLDLJMRFZIQUJKSWA/
政府は医療費が高くなった患者の自己負担を抑える高額療養費制度について、今年2025年8月からの上限額の引き上げも見送る方針を固めた。
令和8年8月からの在り方に関し今秋2025年秋までに結論を出す。
制度見直しの政府案が修正されれば3度目となる。
これにより引き上げそのものが一旦
「白紙」
になる。
そもそも引き上げは拙速だったと言わざるを得ない。
医療の高度化などに伴い、公的医療保険の財政が逼迫している。
医療保険制度の持続可能性を高めるために、給付と負担の見直しが必要なのは当然だ。
だが、それが高額療養費制度の上限額引き上げでいいのか。
国民皆保険制度の意義は、大病にかかっても経済的な不安なく治療を受けられることにある。
石破茂首相は
「(高額療養費)制度を守っていかなければ、命を守ることはできない」
とするが、政府案は引き上げ幅が大きく、受診抑制が懸念されていた。
抗がん剤や大手術など命に関わる治療を断念することになっては、本末転倒だ。
上限額の引き上げは少子化対策の財源確保とも関係がある。
岸田文雄前首相は、医療保険料に上乗せして徴収する
「子ども・子育て支援金」
を創設する際、社会保障費の歳出改革などで
「実質的な負担は生じない」
と説明し、歳出削減で医療・介護サービスが低下する可能性への言及を避けてきた。
そこで政府は高額療養費制度の自己負担上限額を見直し、保険料負担を軽減しようとした。
だが、少子化対策の財源を十分確保できなかったつけを、高額療養費制度を利用する患者に回すのはおかしい。
医療保険の限られた財源をどこに使うかの優先順位を精査すべきだ。
風邪の時に使う解熱剤や湿布などを処方薬から外し、医療保険の適用外にするなどの対策をとれば同制度に手を付けずに済むのではないか。
政府は2025年2月14日に長期の治療が必要な患者の負担を据え置く考えを示した。
2025年2月28日には予定していた令和7年8月の引き上げは維持しつつ、令和8年8月以降の制度設計を今秋までに再検討すると表明した。
そして3度目の修正である。
場当たり的対応では社会保障制度をどう維持するかの理念が見えてこない。
2025年夏の参院選対策と言われてもやむを得まい。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/734.html#c18
[政治・選挙・NHK296] 揺らぐ「日米同盟が基軸」の妄信 米国隷従 散々むしり取られてこの末路(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
69. 秘密のアッコちゃん[1395] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月08日 14:24:47 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[833]
<■153行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<産経抄>トランプ米大統領に「反論の天才」と呼ばれた安倍元首相
2025/3/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20250308-OCGJVRC3JZP2VFV2CWLDAOGI2U/
案の定、トランプ米大統領が主張し始めた。
「米国は日本を守らなければならないが、日本は米国を防衛する義務はない」。
トランプ氏は1期目から日米同盟の片務性に不満を漏らし、当時の安倍晋三首相に米軍の駐留経費の増額などを繰り返し求めていた。
その再現である。
▼例えば平成30年9月の日米首脳会談では、トランプ氏は言い募った。
「米国が日本を守るために、相当の資金を費やしていることも忘れないでほしい」
「米軍の日本駐留のためにかなりの負担をしている」。
これに対する安倍氏の反論は、石破茂首相にも参考となろう。
▼安倍氏は即座に述べた。
「だからこそ、安倍政権は内閣支持率を犠牲にしてまで集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障関連法を成立させた」
「今や米国と助け合うことができるようになった」
「米艦防護も行っている」。
トランプ氏は頷き
「それは素晴らしい」
と応じた。
▼安倍氏は更に続けた。
「日本はどの国よりも駐留経費を負担しているし、基地も提供している」
「駐留軍の経費は米国にいる時よりも安くなっている」。
トランプ氏は
「あなたは反論の天才だな」
と笑い、この議論を打ち切った。
▼同年平成30年6月にカナダで開かれた先進7カ国(G7)首脳会議では、トランプ氏は米製武器輸入の比率の低さなどを例示し、欧州各国を責め立てたが、日本をやり玉に挙げることはなかった。
安倍氏は帰国後、抄子に少しばつが悪そうに振り返った。
「実は日本も低いんだけど、私が日本の努力について散々吹き込んだので、トランプ氏は勘違いしていた」。
▼やはり日本の首相には、トランプ氏が思わず
「日本にとって良い誤解」
をするぐらいの外交手腕を発揮してもらいたい。

トランプ氏発言要旨 「いかなる環境下でも日本は米国を守らなくていい」「誰が取引した」
2025/3/7 18:26
https://www.sankei.com/article/20250307-ILWMGUL7WJI6NJOUH4KVCWDRHQ/
トランプ米大統領は2025年3月6日、ワシントンの大統領執務室で記者団の取材に応じ、日米安全保障条約の片務性を批判した。
きっかけは、記者団から飛んだ北大西洋条約機構(NATO)に関する質問だった。
トランプ氏の主な発言内容は次の通り。

<記者団からNATO諸国が国防費を十分に支出していない場合、米国はNATO諸国を防衛しないのかと聞かれて>
常識だと思うが、どうか?
彼ら(NATO諸国)が支払わなければ、私は彼らを防衛しないだろう。
私がそう言ったら、NATO(の義務)に反していると言われた。
私はみんな(NATO諸国の首脳)のことをよく知っている。
私の友人たちだ。
しかし、米国に何か問題が起きれば困ったことになると言ってきた。
フランスにも他の国々にも。
彼らが駆け付けて、米国を守ってくれると思うか?
彼らはそうすることになっているが、本当にそうするかは分からない。
日本とは非常に興味深いディール(取引)を結んでいる。
私は日本が大好きだ。
我々は日本と素晴らしい関係を持っている。
しかし、米国は日本を防衛しなければならないが、日本は米国を防衛する必要はない。
知っているか?
そういう内容になっている。
ところで、日本は我々と組んで大儲けしている。
だが、米国は日本を守らなければならないが、如何なる環境下でも日本は米国を守らなくてもいいのだ。
私が聞きたいのは、誰がこういうディールを結んだのかだ。

トランプ氏「片務性」発言、事実誤認も半分正しい 憲法改正、安保3文書見直しが必要
2025/3/7 14:47
https://www.sankei.com/article/20250307-6S7RWD7D2RM3DGGMZH4MWWUNEQ/
トランプ米大統領が2025年3月6日に日米安全保障条約の片務性を批判したことで、日本の防衛費や米軍駐留経費負担を増額するよう求める圧力が強まる可能性がある。
トランプ氏の発言をそのまま肯定することはできないが、日米同盟に関し日本自身が主体的に考えるべき内容を含んでいる。
日米安保条約の片務性を問題視したトランプ氏の認識は、半分正しくて、半分間違っている。
確かに、条約では米国に対日防衛義務があるが、米国本土が攻撃されても自衛隊が来援する必要はない。
日本では平成28年まで集団的自衛権の行使を禁ずる憲法解釈を採用していた。
こうした不満も背景として、トランプ氏は第1次政権期に米軍駐留経費の大幅な負担増を要求した。
大統領補佐官を務めたボルトン氏は、当時の4・3倍にあたる年80億ドル(約1兆2千億円)に引き上げるよう求めていたと明かしている。
実は、トランプ氏は日本の防衛費そのものには表立って不満を表明していなかったと複数の日本政府関係者が証言する。
安倍晋三首相(当時)が
「トランプは日本の防衛費の額を知らないんじゃないの?」
と周囲に漏らしていたほどだ。
一方、第2次政権で米国防次官に指名されたコルビー氏は国内総生産(GDP)比3%の防衛費を求めている。
トランプ氏の
「片務性」
発言は、第1次政権よりも対日防衛圧力が強まることを予感させる。
しかし、条約では日本が在日米軍基地を提供することが定められている。
米軍が世界各国に展開し、中国や北朝鮮を抑止する上で、日本の基地は艦船の補修能力も含めて必要不可欠だ。
そもそも、条約の規定にかかわらず日本の施政権下で米軍が攻撃されれば、自衛隊は反撃することができる。
更に、平成28年に施行された安全保障関連法に基づき、日本の領域外であっても集団的自衛権を行使して米軍と共に戦うことが可能となっている。
その意味で、トランプ氏が
「如何なる環境下でも日本が米国を守らなくてもいい」
と語ったのは単純な事実誤認だ。
日本の米軍駐留経費負担は、水道費や光熱費まで負担しており、諸外国と比べて負担割合は極端に高い。
「これ以上払うとすれば米軍人の人件費も払うことになり、日本の傭兵になってしまう」
というのが日本政府当局者の共通認識だ。
ただし、日本が行使できるのは
「フルスペックの集団的自衛権」(安倍氏)
ではない。
有事一歩手前の
「重要影響事態」
で米軍の後方支援を行えるが、自衛隊が活動している地域で戦闘が始まれば撤退しなければならない。
朝鮮半島有事や台湾有事でこのような事態が起きれば、日米同盟そのものが危うくなる。
こうした問題は、自衛隊を明記する憲法改正だけでは解決できない。
フルスペックの集団的自衛権を行使するためには、憲法9条2項の改正が必要となる。
防衛費に関しても、令和4年末に閣議決定した安保3文書で大幅増額が決まったが、円安や物価高の影響で当初想定した防衛力強化が実現できるかは不透明だ。
トランプ政権が何を言うかにかかわらず、安保3文書の見直しも含めた検討が必要だ。

トランプ氏「誰が決めたのか?」 日米安保条約の片務性に再び不満こぼす
2025/3/7 9:30
https://www.sankei.com/article/20250307-IOFCWVPTUBOU3JRF75T6LFTORQ/
トランプ米大統領は2025年3月6日、日米安全保障条約に関し
「米国は日本を守らなければならないが、日本は米国を防衛する義務はない」
と述べ、条約の片務性に対する不満を改めて示した。
トランプ氏は1期目も当時の安倍晋三首相に条約が不公平だと伝えていて、日本に防衛費増加や米製防衛装備品の調達拡大を迫る圧力となりそうだ。
トランプ氏は、記者団から北大西洋条約機構(NATO)の同盟国防衛に関する政策方針を問われた際、
「日本とは非常に興味深い取り決めがある」
と述べ、米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約に言及。
「私は日本を愛しているし、米国は日本と素晴らしい関係を持っているが、如何なる状況下でも日本は米国を守る義務がない」
と不平を漏らした。
トランプ氏は
「誰がこのような取り決めをしたのか」
とも述べ、自身の政策方針に沿わないとの立場を強調した。
トランプ氏は2025年2月7日の日米首脳会談後の記者会見で、
「米国は日本の安全保障に全面的に関与する」
などと述べ、日本の防衛に積極的な姿勢を示す一方で、日本の防衛費増額や米製防衛装備品の調達拡大に期待を示していた。
日本の防衛費に関しては、トランプ氏が国防総省ナンバー3の政策担当次官に指名したコルビー氏が2025年3月4日、議会の公聴会で、国内総生産(GDP)比3%に速やかに引き上げることを求め、外交圧力をかける可能性にも触れていた。
また、トランプ氏は1期目に在日米軍駐留経費の負担額を引き上げるよう日本に要求している。
日米安保条約で日本は米軍に基地を提供し、米国は日本の安全を保障することになっていて、日本政府は
「片務条約」
ではないとの立場をとってきた。
また、安倍氏は集団的自衛権の限定行使を可能とした安全保障関連法で、自衛隊が米艦の防護などをできるようになったことをトランプ氏に説明してきた。
日米安保条約は1960年に岸信介首相と、トランプ氏と同じ共和党のアイゼンハワー大統領の下で署名された。

日米安保条約は「片務的」 トランプ氏が不満表明、防衛費増額迫る可能性も
2025/3/7 7:27
https://www.sankei.com/article/20250307-H7KUUQKYBJKIFA4MNKX4ONXEVE/
トランプ米大統領は2025年3月6日、
「米国は日本を防衛しなければならないが、日本は我々を守る義務はない」
と述べ、日米安全保障条約は片務的だとして不満を示した。
ホワイトハウスで記者団に語った。
今後、日本に防衛費増額を迫る理由にする可能性がある。
トランプ氏は
「日本とは非常に興味深い取り決めがある」
と述べ
「如何なる状況下でも日本には我々を守る義務がない」
と指摘。
「誰がこのような取り決めをしたのか」
と述べた。
また北大西洋条約機構(NATO)の同盟国に対しても、防衛費を十分に負担しないならば
「守らない」
と警告した。
日本の防衛費を巡っては、トランプ氏が国防総省ナンバー3の政策担当次官に指名したコルビー元国防副次官補が2025年3月4日、日本は防衛費を国内総生産(GDP)比3%に増やすべきだと要求。
外交圧力をかける可能性にも言及していた。(共同)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/732.html#c69

[政治・選挙・NHK296] 立民、消費減税で新勉強会発足へ 慎重派の野田代表への不満反映(東京新聞 TOKYO Web) 達人が世直し
39. 秘密のアッコちゃん[1396] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月08日 14:44:55 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[834]
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学術会議、税金投入額2割増の12億円 与党「見合った活動なければ、さらなる改革も」
2025/3/7 20:02
https://www.sankei.com/article/20250307-FJEGWRE2DBIA5LFIO3YHXIHWRU/
2025年3月7日に閣議決定された日本学術会議法案で、学術会議は法人化される方向となった一方、国による年間10億円程度の財政支援は継続される。
学術会議側が国から完全に切り離されることに反発したためだ。
抜本改革とは言い難く、国益に適う組織に生まれ変わるかどうかも見通せない。
「戦後から続く法人化への議論に区切りをつけた」。
内閣府幹部は今回の改革の意義をこう強調した。
法人化の必要性は学術会議設立当初から指摘されてきた。
政府方針に反する見解を示す場合もある組織が国の機関であるのは不適切との考えからだ。
昭和28年には吉田茂首相(当時)も民間移管を検討した。
近年は自民党や保守層を中心に学術会議の法人化を求める声は更に強まっていた。
国民の税金で運営される組織であるにもかかわらず、大学などによる軍事研究を妨害する学術会議への不満が募っていた。
学術会議は昭和25年に軍事研究を忌避する声明を出し、平成29年にその継承を表明した。
科学技術の発展で軍事と民生の線引きが難しい中、声明は
「時代錯誤」
との批判が根強い。
新型コロナウイルス禍や東京電力福島第1原発処理水の海洋放出といった国民生活に関わる重要テーマでも、学術会議は科学的知見に基づく発信が不十分だった。
菅義偉政権の会員候補の任命拒否をきっかけに組織の在り方を巡る議論は大きく進んだ。
だが、国からの出資がない民間法人化には学術会議が抵抗し、内閣府所管の特殊法人への移行にとどまった。
この結果、税金の投入は継続され、令和7年度予算案では例年より2割程度多い約12億円が盛り込まれている。
法案では国益にかなう組織への変革を促すため
「社会課題の解決に寄与」
との基本理念を明記した。
政府関係者は
「デュアルユース(軍民両用)の先端技術研究も含まれると解釈できる」
と解説する。
ただ、拘束力はなく、確実に履行されるかは不透明だ。
自民中堅は
「予算に見合った活動ができないなら、更なる改革も必要だ」
と牽制した。

学術会議法案を閣議決定 国の特別機関から特殊法人へ移行も10億円の国費支援は継続
2025/3/7 16:04
https://www.sankei.com/article/20250307-H5BUXOK4M5IIRG2MMKEC6KZ43U/
政府は2025年3月7日、日本学術会議を来年2025年10月に現在の
「国の特別機関」
から特殊法人へ移行させる日本学術会議法案を閣議決定した。
首相が任命する
「監事」
や評価委員を置き、業務や財務の監査を行うことが盛り込まれたものの、意見に法的拘束力はない。
年間約10億円という国費による財政支援は継続される。
林芳正官房長官は同日の記者会見で
「日本学術会議の機能が強化され、国民の期待にしっかりと応えていくことを期待する」
と述べた。
法案では、学術会議を
「科学者の代表機関」
と位置づける。
社会課題の解決への寄与や人類社会の持続的な発展、国民の福祉向上に貢献するといった理念も明記した。
国は運営の自主性、自律性に配慮しなければならないとした。
また、これまでの首相による会員任命はなくし、学術会議総会が任命。
外部有識者からなる
「助言委員会」
が意見を述べる。
学術会議の組織の在り方見直しは、令和2年の菅義偉元首相による会員候補6人の任命拒否が発端。
現行制度では現会員が推薦した候補を首相が形式的に新会員として任命しており、国費を投じながら実質的に身内の推薦で会員が決まる不透明さに菅氏が懸念を示した。
令和5年には岸田文雄前首相が、第三者機関を会員選考に関与させる改正案の提出を試みたが、学術会議側の反発で断念している。

日本学術会議、令和8年に特殊法人へ移行 首相任命の「監事」が監査 閣議決定
2025/3/7 9:14
https://www.sankei.com/article/20250307-523GVOEY6BMDXOI2CP53QFYPNQ/
政府は2025年3月7日、日本学術会議を令和8年10月に現在の
「国の特別機関」
から、特殊法人へ移行させる日本学術会議法案を閣議決定した。
新法人を国が財政支援し首相による会員任命をやめる一方、首相任命の役員
「監事」
や評価委員を置き、業務や財務の監査などをする。
政府は会員選考や活動の透明性を高めるとしているが、運営に一定程度関与する仕組みを残す。
現在の選考では、現会員が学術的な業績などから会員候補者を選んで推薦し、首相が推薦に基づき新会員を任命している。
法案は、学術会議を
「科学者の代表機関」
とし、人類社会の持続的な発展、国民の福祉向上に貢献することを基本理念に明記した。
国は運営の自主性、自律性に配慮しなければならないとした。
新法人では、学術会議総会が会員を任命するが、外部有識者からなる
「助言委員会」
が意見を述べる。
定員は現在の210人から250人に増やし、政府への勧告権限は維持する。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/731.html#c39

[政治・選挙・NHK296] 維新・前原共同代表が突如「ガソリン税暫定税率廃止」めぐる“自公維協議”ブチ上げも…他党からは冷ややかな視線(日刊ゲンダ… 赤かぶ
22. 秘密のアッコちゃん[1397] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月08日 21:01:53 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[835]
<▽44行くらい>
「迫害なくなった」川口クルド人、在留根拠失う PKK停戦宣言で新たな難民申請困難
「移民」と日本人
2025/3/8 13:37
https://www.sankei.com/article/20250308-5NS3Q3FP7ZFYNKG43IILVITRB4/
トルコの少数民族クルド人の非合法武装組織
「クルド労働者党(PKK)」
が反政府闘争の即時停戦を宣言した。
武装解除や組織解散の実現は不透明だが、今回の一連の動きは、埼玉県川口市で難民認定申請中のクルド人らの立場に何らかの影響を与えるのか。
トルコのクルド人らからは
「クルド人が難民申請する口実がなくなった」
との声も出ている。
■もう難民ではない
「我々は指導者の呼びかけの内容に全面的に賛同する」
シリアのクルド地域に本拠を置き、PKKに近いとされるメディア「ルドー」によると、PKK執行委員会は今月2025年3月1日、このような声明を発表して即時停戦を宣言した。
その2日前の先月2025年2月27日、PKK創設者のオジャラン受刑者(76)の獄中声明が公表され、
「PKKは役割を終えた」
として武装解除と解散を求めた。
その際、次の一文が注目された。
「(トルコ)国内でクルド人のアイデンティティーの否定が解消され、表現の自由が改善されたことで、PKKは創設の意義が弱まっている」
創設者自らがトルコでのクルド人の迫害を否定し、PKKが
「全面的に賛同」
したことで、クルド人の難民該当性も否定されたことになる。
■政府との対立利用
トルコ国内のクルド人の人権を巡る状況は、2003年に発足したエルドアン政権により激変。
国営放送でクルド語の放送が始まり、クルド系政党はクルド語での政治活動が可能になるなど、クルド系住民の権利が拡大。
2012年からは政府とPKKとの和平交渉が始まった。
翌2013年、PKKはオジャラン受刑者の指示に基づき停戦を宣言。
しかしPKK内部の路線対立もあって武装解除には至らず、2015年に政府とPKKの対立が再燃した。
川口に在留するクルド人の間では、こうした対立状況を
「クルド人への迫害」
と主張し、難民申請の理由とする形になっていたが、政府とPKKの和平が実現すれば、そうした状況も過去のものとなる。
■難民の主張継続か
トルコ国内でクルド人の多い地域に住むクルド人男性は
「クルド人であることを理由にトルコで迫害されているという主張は、もう通じなくなる」
「日本だけでなく世界中でクルド人が難民になろうとする口実がなくなる」
と話す。
日本国内の入管関係者も
「新規の難民申請はやりにくくなるかもしれない」。
一方で、日本で難民申請中のクルド人らが
「過去にあれだけ我々を迫害したトルコ政府は信じられない」
として、難民性を主張し続けるとの見方も出ている。
PKKは声明で停戦を宣言する一方、武装解除については
「指導者自身が主導しなければならない」
としてトルコ政府にオジャラン受刑者の釈放を要求。
また、解散については触れておらず、今後も曲折がありそうだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/737.html#c22
[政治・選挙・NHK296] 「ホラッチョ!」「嘘つき!」とヤジられ言葉に詰まり、警察に通報…立花孝志はミルクティーが手放せず 3.16千葉県知事選ルポ(… 赤かぶ
38. 秘密のアッコちゃん[1398] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月09日 12:12:37 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[836]
<■77行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
次世代電池技術、機微情報が中国に流出か 潜水艦搭載を検討中 経産相「調査したい」
2025/3/1 14:12
https://www.sankei.com/article/20250301-3NDCNMW2YBJ2DJSPFBN3YGLWE4/
次世代潜水艦などへの搭載が検討されている全樹脂電池技術の機微情報が中国企業に流出した恐れがあることが分かった。
固有技術を持つAPB社(福井県越前市)が中国企業と関係が深いとみられる日本企業に経営権を握られ、中国側に機微情報が漏れたとみられる。
武藤容治経済産業相は2025年2月27日の衆院予算委員会分科会で、実態について経済安全保障の観点から
「調査したい」
と述べた。
衆院会派・有志の会の福島伸享(のぶゆき)衆院議員の質問に答えた。
福島氏は経済安全保障の第一人者で、北村滋元国家安全保障局長が代表を務める北村エコノミックセキュリティ合同会社が作成した報告書などに基づきながら、政府に実態調査するよう迫った。
全樹脂電池は日産自動車出身の堀江英明氏が発明し、平成30年10月に量産に向けてAPB社を設立した。
川崎重工業とも潜水艦の共同研究を行う。
同社の研究開発には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から75億円の補助金が支出されている。
情報漏洩の原因について、福島氏は
「量産技術の開発に向けた資金調達を行う際、ある意味、企業の乗っ取りが起きた」
と指摘した。
APB社の筆頭株主だった大手化学メーカー・三洋化成工業が、令和4年11月に半導体設計事業を主力とするTRIPLE−1(福岡市博多区、T社)に保有する株式を売却した点にあると説明した。
T社がAPB社の筆頭株主となってから、中国企業との接点が増えた。
北村氏の報告書では取締役らは
「経歴や行動の中で中国との密接な関係が見受けられる」
と記されている。
中国企業への漏洩疑惑を裏付ける一例として、福島氏は令和5年3月にT社から派遣された取締役が主導した中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の技術者ら計4人によるAPB社の工場見学を挙げた。
その直前には、T社取締役はメールで
「全樹脂電池の素材に大変興味がある」
「中国にも色んな似たような研究がなされているようだが、量産化できるステージにはない」
などとファーウェイの関心事を伝えた。
工場見学当時にはファーウェイの技術者たちは、APB社の電池材料や生産設備などを視察した。
それ以降もT社取締役から詳細な技術情報を問い合わせが頻繁にあり、この過程で中国側に情報が漏れたようだ。
福島氏は機微情報が中国に漏れ、潜水艦などに転用された場合、
「日中間の軍事力がまるっきり逆転する」
と警告した。
T社の一連の言動に関して
「故意に行われていた場合、スパイ行為に当たる」
「経済安全保障の懸念があるのではないか」
などとも指摘し、政府の問題意識をただした。
警察庁担当者は一般論と断った上で、
「経済安全保障を確保する上で、先端技術の流出対策は極めて重要だ」
「刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処する」
と述べた。
全樹脂電池を巡る情報漏洩を巡っては、公安調査庁も強い関心を寄せている。

全樹脂電池
電極などに金属部材ではなく、樹脂を使う日本発の次世代リチウムイオン電池。
樹脂を採用したことで従来型に比べて発火や爆発のリスクを大幅に低減させる一方、容量は従来型の約2倍で生産コストも半減できる。
安全性や機能性が高まり、次世代潜水艦への搭載も検討されている。
日産自動車出身の堀江英明氏が発明し、量産を目指し平成30年10月にAPBを設立した。

日本発の全樹脂電池に技術流失懸念、国際問題アナリストの古川氏「刑事罰強化など急務」
2025/3/8 20:04
https://www.sankei.com/article/20250308-MLW3S2L6O5PJLMQOETYFZL73LA/
次世代潜水艦などへの搭載が検討され、スタートアップ企業であるAPB社(福井県越前市)が量産化を目指している日本発の
「全樹脂電池」
が危機に晒されている。
機微技術が中国企業に漏洩した恐れがあり、国会でも取り上げられた。
安全保障に関わる技術管理の在り方などについて、国際問題アナリストの古川勝久氏に聞いた。
戦後憲法の平和主義の影響で、日本は防衛産業に関して産官学の連携が悪く、対話も活発ではない。
経済安全保障上の機微技術などを把握して定義を広げる努力が今の制度では追い付いていない。
イノベーションのスピード感に見合った機微技術の定義をアップデートする枠組みを産官学連携で整えるべきだ。
今回の案件に限らず、外国人技術者を通じた技術漏洩は後を絶たず、出入国管理制度の厳格化は必須だ。
欧米諸国などの訴追・制裁対象の個人や団体の関係者の入国は原則拒否すべきだが、現状では日本国内で前科がなければ原則許可される。
なぜ華為技術(ファーウェイ)の中国人技術者が機微技術を持つ日本国内の工場を見学できたのか。
もし、観光ビザでの入国ならば、出入国管理法違反に問われるべきだ。
商用なら、その発給体制を見直す必要がある。
中国側の要請に応じて漏洩に加担する日本人にも重大な責任を問うべきだ。
刑事罰強化などの立法措置を含め、関連法令を早急に強化すべきだろう。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/740.html#c38

[政治・選挙・NHK296] 石破首相が党保守派に配慮? 自民が参院選に杉田水脈氏を擁立へ…広がる“人権侵犯議員リターンズ”の懸念(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
30. 秘密のアッコちゃん[1399] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月09日 12:35:35 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[837]
<■139行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>東京大空襲「80年」 惨禍許さぬ誓いと対策を
社説
2025/3/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20250309-GVHKXXPSCVICPAL4BKAEQPSYTI/
東京大空襲から10日で80年が経つ。
神田や浅草など東京の下町一帯が焼き尽くされ、約10万人もが犠牲になった。
どれほど苦しかったか。
心から冥福を祈りたい。
それとともに、2度と惨禍を繰り返さないため何をすべきかを真剣に考えなければならない。
昭和20年3月10日未明、東京上空に300機以上の米爆撃機B29が襲来し、約1600トンもの焼夷弾を投下した。
無差別の爆撃によって当時の東京区部の3分の1以上が焼失し、100万人以上が被災した。
先の大戦で、米軍の日本本土への空襲が本格化したのは昭和19年秋以降である。
当初は軍事施設を狙う精密爆撃が中心だったが、東京大空襲以降、米軍は日本の防空態勢が脆弱であることにつけ込み、夜間に低高度から都市部の住宅密集地を爆撃するようになった。
昭和20年3月12、19日には名古屋大空襲、13〜14日には大阪大空襲、17日には神戸大空襲があり、昭和20年8月の終戦までに全国の主要都市が空襲に晒された。
広島と長崎への原爆投下と合わせ50万人以上が亡くなった。
非戦闘員への攻撃は戦争犯罪で許されないが、戦勝国の米国が裁かれることはなかった。
講和を経て米国は今、唯一の同盟国で友好関係にある。
それは極めて大切なことだが、日本人は、非人道的な空襲の歴史は知っておくべきである。
空からの脅威は21世紀の現代も存在している。
日本がいくら平和を望んでも、攻撃を受ける恐れが消え去ることはない。
ウクライナでは今も、ロシア軍によるミサイルやドローン(無人機)、航空機による攻撃が続いている。
軍人は言うに及ばず、子供を含む多数の民間人まで犠牲になっている。
日本の周囲では、北朝鮮が弾道ミサイル発射を繰り返している。
中国は核弾頭やミサイル、ドローンを増強している。
日本政府は昨年2024年、台湾有事などを念頭にシェルター(避難施設、防空壕)整備の基本方針をまとめた。
だが、欧州や韓国、台湾と比べ、日本はシェルター整備が大きく遅れている。
国民保護の態勢が整っていれば、侵略国は日本の抵抗力が高いとみて攻撃は不得策と考えるかもしれない。
平和を追求する外交、防衛力の強化と共にシェルター整備を進めたい。

<産経抄>東京大空襲から80年
2025/3/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20250309-Y5YPB2RL2ZM5PNC3ADQJ4HKCLU/
大東亜戦争(第二次世界大戦)の最中、学校では子供たちの耳を鍛える教育が行われた。
8千メートル、9千メートル、1万メートル。
米爆撃機B29などの爆音を高度別に聞き分け、上空を飛ぶ機体の敵味方や危険度を耳に記憶させるためである。
▼様々な機体の音を収録したレコードで、避難訓練も行われたという(最相葉月著『絶対音感』)。
昭和20年の3月10日未明、首都の空を襲ったB29の数は300機以上と言われる。
人々には音を判別する余地も逃げる以外の選択肢もなかった。
▼約10万人が犠牲になり、100万人以上が被災した東京大空襲から80年になる。
米軍が降らせた焼夷弾は約1600トンに上る。
「四方が火の海に」
「体の上一尺くらいの所を、真っ赤な火の粉の帯が」。
猛火の中を逃げ惑い、生き延びた人の体験記は、読み通すのが辛い。
▼『東京大空襲・戦災誌 第2巻』から手記を引く。
夜が明け、赤ん坊を抱いたまま地面に伏す遺体が見つかった。
母親らしき人の指は血と泥で汚れ、大きな穴が掘られていた。
中に我が子を匿おうとしたのだろう。
指の爪は全て剥がれていた。
▼小さな手で乳房を掴んだ赤ん坊も、息絶えていたという。
公園には数千、あるいは1万を超える遺体が仮埋葬され、多くが戦後を待って荼毘に付された。
忘れてはならない惨禍だ。
時を経た現代も、弾道ミサイルなど着々と戦力を増強する専制国家が、対岸から日本を睨む。
▼防衛力の強化は無論のこと、上空からの攻撃に備えて、地下シェルターの整備など国民の命を守る備えが欠かせない。
80年前は東京の後、名古屋や大阪、神戸など各地の主要都市も相次ぎ空襲で焼かれた。
犠牲になった人々のことを胸に刻む季節でもある。

悪魔の如きアメリカ軍
アメリカ軍は沖縄を攻略する前に、昭和20年(1945)3月に東京大空襲を行っています。
これはアメリカが日本の戦意を挫くために、一般市民の大量虐殺を狙って行われたものでした。
この作戦を成功させるために、アメリカ軍は関東大震災や江戸時代の明暦の大火についてまで調べ、どこを燃やせば日本人を効果的に焼き殺せるかを事前に研究し尽くして、空襲場所を浅草区、深川区、本所区などを中心とする民家密集地帯に決めました。
またどのような焼夷弾が有効かを確かめるために、ユタ州の砂漠に日本の民家を建てて作り、実験まで行っています。
その家の中には、ハワイから呼び寄せた日系人の職人に、布団、畳、障子、卓袱台までしつらえさせるという徹底ぶりでした。
そしてサイパン基地から300機のB-29に爆弾を積めるだけ積んで出撃し(そのため機銃まで降ろしていた)、昭和20年(1945)3月9日の深夜から10日の未明にかけて、2000メートルという低空から東京都民に爆弾の雨を降らせたのです。
その結果、一夜にして老人、女性、子供などの非戦闘員が10万人以上殺されました。
これはハーグ陸戦条約に違反した明白な戦争犯罪行為です。
昭和20年(1945)5月にドイツが無条件降伏し、世界を相手に戦っているのは日本のみとなりました。
東京はその後も何度か大空襲に遭い、全土が焼け野原となりました。
アメリカ軍は昭和20年(1945)5月に東京を爆撃目標リストから外したほどです。
被害に遭ったのは東京だけではありません。
大阪、名古屋、福岡など、日本の主要都市は軒並み焦土にされ、全国の道府県、430の市町村が空襲に遭いました。
アメリカ軍の戦闘機は逃げ惑う市民を、動物をハンティングするように銃撃しました。
空襲による死者数は、調査によってバラツキがありますが、数十万人と言われています。
アメリカ軍による最も残虐な空襲は、昭和20年(1945)8月に、広島と長崎に落とした2発の原子爆弾(原爆)でした。
これも無辜の一般市民の大量虐殺を意図したもので、明白な戦争犯罪です。
この時点では日本の降伏は目前だったにもかかわらず、人類史上最悪の非道な行為に及んだことは許し難いものがあります。
しかし今もアメリカ人の多くは
「原爆投下は正しかった」
と考えています。
その理由は原爆のお陰で戦争が早期に集結し、多くのアメリカ兵の命が救われたからというものです。
実に利己的な考え方ですが、広島と長崎に原爆を投下した本当の目的はそれではありません。
もし原爆の威力を見せつけることで日本に戦争終結を迫りたいなら、人口密集地に投下しなくてもよかったはずですし、仮に都市に投下するなら事前に告知して住民が退避する時間を与えるということも出来たはずです。
これは何も私の考えではありません。
実際に、アメリカ国内で原爆の関係者(原爆に関する諮問機関である暫定委員会のメンバー)が政府に提言していた内容です。
しかし残念なことに、それらの提言は取り上げられることはなく、広島と長崎に原爆は投下されました(長崎は当初の目的地である小倉上空が雲で覆われていたため、第2候補地であった長崎に投下された)。
原爆投下の目的の第1は、原爆の効果を知るためであったと言っていいでしょう。
その根拠は、原爆投下候補地には通常の空爆を行っていなかったことが挙げられます。
ちなみに京都がほとんど空襲されなかったのも候補地の1つであったからです。
アメリカ軍が文化財を守るため、京都、奈良などの古都を空爆しなかったという話がありますが、これは完全な誤りです。
この誤解に便乗し、中国人の建築家がアメリカに対して
「京都、奈良を空爆しないように進言した」
という話がありますが、これは悪質な捏造です。
何より忘れてはならないのは、原爆投下には有色人種に対する差別が根底に見えるということです。
仮にドイツが徹底抗戦していたとしても、アメリカはドイツには落とさなかったでしょう。
大東亜戦争が始まった途端、アメリカは約8割の日系アメリカ人(アメリカ市民)の財産を剥奪し、強制キャンプに送りましたが、第二次世界大戦中もドイツ系アメリカ人に対しては特に制約をしていません(ナチスへの協力者は除く)。
昭和19年(1944)9月にニューヨークのハイドパークで行われたルーズベルト米大統領とチャーチル英首相の
「核に関する秘密協定」
において、原爆はドイツではなく、日本へ投下することを確認し合っています。
原爆投下のもう1つの目的は、ソ連に対しての示威行為です。
アメリカは戦後の対ソ外交を有利に運ぶために原爆投下を昭和20年(1945)の5月には決定していました。
原爆はソ連に対して何よりの軍事的威圧になると見ていたからです。
2発目の原爆が落とされた昭和20年(1945)8月9日、ソ連が
「日ソ中立条約」
を破って参戦しました。
最早日本が戦争を継続するのは不可能でした。
5日後の昭和20年(1945)8月14日、日本は
「ポツダム宣言」
を受諾すると連合軍に通達します。
ここに日本が3年9カ月戦った大東亜戦争の終わりが決定しました(同時に8年続いた支那事変も終結)。
古代以来、1度も敗れることがなかった日本にとって初めての敗北でした。
同時に、16世紀より続いていた欧米列強による植民地支配を跳ね返し、唯一独立を保った最後の有色人種が、遂に白人種に屈した瞬間でもありました。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/739.html#c30

[政治・選挙・NHK296] 米トランプ大統領「日本は我々を守らない」発言で…在日米軍駐留経費“爆上げ要求”に現実味(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
64. 秘密のアッコちゃん[1400] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月10日 14:54:24 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[838]
<■387行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
海底ケーブルを中国から守れ
正論2025年4月号 元陸将・元陸上総隊司令官 住田和明
本稿のテーマは海底ケーブルについてである。
大陸間の電子通信の99%は海底ケーブルを通じた通信が占めており、暮らしや経済活動は勿論、ありとあらゆる分野で私たちの営みを支えている。
その海底ケーブルを切断する出来事が最近、相次いでおり、我が国の安全保障上の脅威となりつつある。
昨年2024年12月には台湾北部の海域で海底ケーブルが切断された。
北極海のヨーロッパ側の一部となるバレンツ海でも中国の国家背景があるとされる同様の問題が起きている。
私はこのほど
「台湾北部海域、及びバレンツ海での海底ケーブル切断・損傷事案 台湾有事、及び日本に及ぼす影響」
と題するレポートをまとめ、国家基本問題研究所で発表した。
またここ数年、何年も掛けて海底ケーブルについての調査を続け、いくつかの課題も浮かび上がってきている。
■相次ぐ海底ケーブルの切断
世界には450本以上、総延長40万キロ以上に及ぶ海底ケーブルがあるとされている。
このうち日本に上陸している国際海底ケーブルは全部で22本に及び更に6本の敷設が計画されている。
図を見ると明らかだが2カ所、千葉の房総半島と三重の志摩半島に回線網が集中している。
これが陸揚局、海底に張り巡らされた海底ケーブルを陸に引き上げる拠点である。
海から延びてくるケーブルを収容して国内のユーザーに向けて無数の光回線ケーブルを割り当て、海から上がって来たデータを増幅する役割がある。
ここから回線は海に入って海底に這わせていくのだが、海に入った比較的浅い海域は魚船などの影響を受けやすく、かなり強固な作りになっている。
それに対して勿論切れないようにはなっているが、海底に行けば行くほどケーブルは細くなっていく。
いずれにせよ、世界中に張り巡らされた海底ケーブルのうち、最も重要な収束ポイント、それが陸揚局であり、それはチョークポイント(その1点を押さえることで全体を制圧できる戦略的に重要な場所)でもある。
前述した海底ケーブルを巡る切断事案が増えてきたのは2023年以降だ。
まず同年2023年2月初旬。
台湾北部の海域での事案だが、馬祖列島と台湾本島を結ぶ海底ケーブルが2本相次いで切断された。
世界の重要な海底ケーブルは船舶と同様、安全保障上も重要な海峡を通っており、チョークポイントと言える。
同じ2023年2月には紅海で英国所有のベリーズ船籍の貨物船、ルビマー号がイエメンの親イラン武装組織
「フーシ派」
の対艦弾道ミサイルの攻撃を受けた。
船の乗組員は船に乗っていることが出来ず船を放棄するが、攻撃を受けた船舶は2週間に渡って周辺海域を漂流し、遂には沈没する。
ところが、錨を引きずったまま漂流したために3本の海底ケーブルが切断され、世界中の通信会社が大騒ぎになった。
2023年11月になると、リトアニアとスウェーデンを結ぶバルト海にある海底ケーブルが切断。
同月2023年11月には同じバルト海でフィンランドとドイツを結ぶ海底ケーブル2本が破損。
現場近くを航行していたとされる中国の貨物船「伊鵬3号」による意図的な切断だとして捜査対象となった。
2023年12月25日にはエストニアとフィンランドを結ぶ送電ケーブル、フィンランド、エストニアとドイツを結ぶ海底ケーブル4本が切断された。
これはロシアが関与していると言われている。
そして今年2025年1月3日、台湾の沿岸警備を担当する海巡署が台湾北部の海域で海底ケーブル4本が損傷したと発表した。
ケーブルを損傷させた疑いを持たれているのが中国の貨物船「Shunxing39」(カメルーン船籍)で、乗組員は全員中国人だった。
昨年2024年の末から1カ月ぐらい、ここを遊弋して調査をしたと言われている。
図を見れば明らかでチョークポイントに収束する海底ケーブルの状況を詳しく調査したとみられる。
台湾に上陸しているケーブルは25本あり、9つの陸揚局がある。
今回、切断されたケーブルはどのようなケーブルだったか。
これを調べると、まず1本が台湾から中国にも揚がっているが、千葉県南房総市の丸山国際中継所を経由して米国のオレゴン州まで行く海底ケーブルだった。
米国、日本にも影響が及ぶ、そういうケーブルだったということである。
調査したとみられるケーブルには日本から台湾を経てシンガポールまで至るケーブルも含まれていた。
通常海底ケーブルは迂回できるループを形成して敷設されている。
今回切断されたケーブルも迂回経路を使ってデータのやり取りが可能だったことから回復は早かったとされている。
ここで強調しておきたいのは、切断されたケーブルはどれを取っても日本に関わっているケーブルだったということだ。
2023年2月の馬祖列島と台湾本島を結ぶ海底ケーブルが2本相次いで切断された事案では、馬祖列島と台湾を結ぶ海底ケーブルは2本しかなかったため同列島の通信が途絶した。
未だにきちんと修復は出来ていない。
■中国は何を調べているのか
こうした現状を見た上で何が言えるか。
まず中国は平素から東シナ海や南シナ海に張り巡らされている海底ケーブルについて詳細かつ計画的に調べているということである。
彼らは単にどこに海底ケーブルがあるか、だけを調べているのではない。
具体的に切断したり、損傷を加えたりで、それがどんな影響をもたらすのかを見ている。
これまでに起きた損傷事故や切断を通じて台湾のみならず日本や米国がどう対応し、国際社会はどう反応したか。
どういう影響があるのかまで丁寧に調査しているのだ。
これらは台湾有事の際、台湾や台湾を支援する国との通信を制限し途絶えさせるために活用するだろう。
その能力を高め
「何をすれば効果的か」
を探っているということだ。
勿論海底ケーブルが切れた場合でも、その瞬間から迂回したり、違うものを使ったりで対処が図られるので、被害は表面化しない。
我々の生活への影響はほとんど見えない程度で、被害は大きくないと報じられている。
だが、被害がなかったわではないし、舞台裏は相当な影響を受けている。
それを中国は見ているということだ。
私たち日本はこうした切断事案をどう捉えるべきか。
台湾周辺の海底ケーブルには日本に直接繋がるもの、日本を経由して米国に繋がるものがあることは述べた。
従って台湾有事の際も、我が国に直接被害を受けていなくても海底ケーブルとしては被害を受けている可能性があることを視野に入れ、防護策や代替手段について普段から考えておかなければならない。
錨をずるずると引きずる、底引き網や漁業活動で海底ケーブルが切断されるケースは確かに多い。
海底ケーブル障害全体の6割を占めるほどだ。
だが、漁業活動を模した形で切る可能性もあって、台湾周辺で起きたケースでも中国側は
「漁業活動だった」
と主張している。
わざわざ無人艇を潜航させ、切断することも技術的には可能だが、そんなことをしなくても切断が可能だという点は注意を要するところだ。
また、これは台湾本島の陸揚局などを攻撃するのではなく、日本や他の国の陸揚局などを攻撃し、機能を制限させることによって、所望の目的を達成することも可能だということも理解しておかねばならない。
我が国や台湾と繋がっている国の陸揚局や海底ケーブルの適切な防護、管理が必要だということだ。
海底ケーブルの切断や破損、損傷ばかりを述べたが、中国が台湾周辺のケーブルの全てを切るわけではない。
台湾有事では認知戦を含めた情報戦が欠かせない。
そのためには海底ケーブルが必要となる。
中国にとってそうした利用価値のあるケーブルはしっかり確保するだろう。
そうした場合、中国に一方的に使われるのではなく、中国の活動を抑制し阻止することも考えておく必要がある。
東京都のデジタルサービス局がHPで東京都の島々を巡る海底ケーブルがどんな形で這わされているのかを公表している。
飛び地の如くいくつも点在する島々を島伝いに1つ1つの島を経由しながら伝わっていくケーブルと、ダイレクトに遠い島とを結ぶケーブルとがある。
後者は概ね民間業者が敷いたもの、前者は工事も大規模で資金的にもかかるため、自治体が作る場合が多い。
南西諸島の状況も同じようなものであるが詳細は控える。
安全保障上の大きな問題としては陸揚局の安全性確保だ。
陸揚局では海から上がって来たデータを増幅し、各地にデリバリーするための様々な装置が備わっている。
陸揚局には勝手に入ることは出来なくなっているが、無人だったり無防備さも目立つ。
安全保障という点で脆弱さが否めない施設だ。
ケーブルが切断されても前述したように2系統のケーブルがループ状になっていれば、非常に強度が増す。
どこかが切れても残っている回線を使って瞬時に左回りにする、右回りにすると切り替えてデータを迂回させることでカバー出来るからだ。
■民間頼みの現状
しかし、防護する、修復すると言っても、そもそもこうした海底ケーブルを掌握して海に沈んだケーブルを引き揚げてそれを再び繋ぐといった技術は民間にしかない。
防衛省、警察が海底ケーブルを守ると言っても具体的にどうやって守るのかとなると、民間ノノウハウが不可欠である。
海底ケーブルの防護とは切断を防止する活動と切断の影響を最小化する活動の2つに大きく分かれる。
切断を防止する活動は既存のケーブルや陸揚局の防護となるし、切断の影響を最小化する取り組みならば、早期の被害復旧とか迂回ケーブルの敷設などになる。
しかし、対策として出てくるのはいずれも官民の連携が欠かせないということになる。
これが、諸外国だと軍が関与しているのが普通だ。
アメリカは軍に海底ケーブルの敷設・防護の管理を専門にした組織
「NSCPO」
が設立されており、海底インフラ防護の机上演習なども実施される。
イギリスでは海軍に海底ケーブルの防護を目的にした監視船があり、机上演習なども民間企業と連携する。
フランスも海軍が海底ケーブルへの攻撃を考慮した軍事演習をしたり、水中ドローンやロボットを導入した海底防護体制の構築に取り組んでいる。
だが、日本の場合、民間頼みと言っても海底ケーブルの敷設船がNTTに4隻、KDDIが2隻保有し、NECがチャーターしている1隻を加えて全部で7隻しかない。
NTTは4隻保有しているが、間もなく退役を控えた船舶もあって実質は3隻に過ぎず、老朽化も指摘される。
老朽化しても新しく造ることは困難で中古船を調達し改造することで対応しているのが実情だ。
修理や保守といったなくてはならない活動なのに、枯渇する懸念があるのは問題である。
海底8キロぐらいの所を這うケーブルにフック状のものをたらっと垂らし、ケーブルを引っ掛けて吊り上げ、そこを船の上で顕微鏡を見ながらケーブルを繋いでまた海底に下ろすという手順で進められる。
相当な技術が伴うものだ。
NTTやKDDIの技術が枯渇する事態は避けなければならない。
総務省もデータセンターや海底ケーブルの整備を支援するためデジタルインフラ整備基金を作り、色んな整備の支援に力を入れている。
しかし、よく見ると基金の対象となる設備が
「太平洋側以外のものに限る」
と条件付けられていたり
「房総・志摩以外に陸揚げされるものに限る」
となっており、データの集中するメイン施設などは除外されているのである。
これはメインとなる箇所を全部外して、整備が行き届いてない所を整備するという方針だからだ。
それも大事な取り組みではある。
だが、基金の対象外とされた肝心な場所は民間任せで支える以外になく、整備が追い付かない恐れもある。
更に基金の対象に
「ケーブル敷設船」
が含まれていない。
これも問題だろう。
ケーブル自体を守る。
そこに基金は充てられる。
だが、その修理能力や保守などに当たる
「敷設船」
の整備に基金は充てられていないのだ。
総務省も敷設船までを含めて支援が出来ないか。
これまでも模索検討してきた。
だが、結局は基金からの補助金を受け取ることを断念せざるを得なかった。
それは補助金の仕様が2年間でやってほしいという話だったからだ。
船を造ったり、新たな船を造るための要員養成には最低5年はかかる。
とても2年では無理である。
それで残念ながら立ち消えになった。
こうしたことも国として対応しないといけない課題だと思う。
■体制整備の難しさ
海底ケーブルの保守を行うにはまず、保守のためにスタンバイしている保守船と呼ばれる船舶が必要だ。
船舶は必要に応じて24時間以内に出勤できる体制を取っていなければならない。
一方、通常のビジネスとして海に出て敷設に従事する船も必要なことは言うまでもない。
更に船舶には定期的な点検のためにドック入りが義務付けられている。
保守を行うには複数の船舶を保有することが不可欠で、その船をそれぞれマネジメントしながら運営している。
NTTだと3隻を敷設工事→保守スタンバイ→ドック入りをスケジュール化して運用している。
このように1社で保守契約を自前で遂行できる会社の保守活動を
「プライベート保守」
という。
プライベート保守を行っているのは日本ではNTTのみである。
これに対して1社で保有している敷設船が3隻に満たない敷設会社もある。
KDDIやNECがそうである。
この場合はプライベート保守のような3隻で保守に当たる体制が組めないため、複数社がチームを作って当たる。
これをアライアンスによる
「ゾーン保守」
という。
アライアンスの行動可能なエリアは予め決まっており、日本の東側の太平洋、日本海、東シナ海で保守に当たるエリアは
「Yokohama Zone(横浜ゾーン)」
と呼ばれる。
横浜ゾーンで活動するのは日本と韓国、それに中国の会社となる。
問題は、ゾーン保守の場合、日中韓の3社が協力して海底ケーブルのメンテナンスに当たるため、日本の海底ケーブを他国船が保守する可能性があることだ。
季節や時期によって保守スタンバイする船の数は異なる。
しかし、日本の敷設船がスタンバイしていない時期に日本の領海内、排他的経済水域(EEZ)内で海底ケーブルが故障した場合に、中国の修理船が派遣される可能性はある。
現状は中国のEEZ内、領海内で多数の故障が発生しており、中国の敷設船だけではさばき切れていない。
その結果、ゾーン保守で日本の船が中国船をサポートしているのが実情で、中国の敷設船が日本の周辺海域で修理やメンテナンスに当たった事例はない可能性が高い。
だが、中国の敷設船の受け入れを可能にしている現在の契約や入札条件の在り方は安全保障の観点から検討を要する課題だと言える。
特に体制整備は何とかしなければならない。
せめて日本にもう1隻か2隻船を加えることができればプライベート体制をもう少し充実できるだろう。
■沿岸輸送特許という障壁
もう1つ。
プライベート保守が可能なNTTにも頭の痛い問題がある。
NTTは4隻の敷設船を保有しているが、日本船籍は1隻だけであとは全部フィリピン船籍になっている。
これはフィリピン周辺のエリアでの活動が多いことやコスト低減などの理由があるからだ。
一方で日本のプライベート保守活動にとって悩ましい課題も顕在化している。
それはカボタージュ制度に伴う弊害である。
カボタージュ制度とは何か。
安定的な国内海上輸送を確保するため自国内の沿岸輸送、即ち内航海運は原則自国船籍に限ることが国際的慣習として確立したものだ。
ここで言う輸送とは物品か旅客の輸送を指す。
カボタージュ制度は、日本のみならず世界的に広く取り入れられており、日本船籍以外の船舶が日本の港で物品、旅客の輸送を行う場合には船舶法3条に基づく国土交通相の許可を得る必要がある。
沿岸輸送許可を取るには当該輸送が我が国における安定輸送を確保する観点から支障がないこと、日本の海上運送業者による物品、旅客輸送に支障が生じるものではないことなどが挙げられている。
ところがこれがなかなか許可が得られるまでに骨が折れ、時間がかかっていて臨機応変、迅速な保守が困難となっている。
国土交通省は外国船籍のケーブル敷設船であっても保守作業に伴って運搬するケーブルなどが
「物品、旅客の輸送に該当する」
として沿岸輸送特許を得る必要があると判断している。
■蚊帳の外に置かれた防衛省
最後に今後の課題を整理する。
冒頭にも述べたが大陸間の電子通信の99%は光通信を担っている海底ケーブルで占められている。
毎日膨大なデータのやり取りによって経済活動が支えられ、海底ケーブルは我が国の安全保障を支える重要インフラと言える。
しかし、その海底ケーブルの安全が脅かされる出来事が相次いでいる中、国家は現状を総点検し、海底ケーブルを如何に維持、防護していくのかについて抜本的な取り組みの見直しが必要と思われる。
今、国には海洋基本計画があって、我が国の海洋に関する施策に関して、我が国における安定した国際通信を確保するべく、国際海底ケーブルや陸揚局の安全対策に通信事業者と連携して取り組んでいく重要性を盛り込んでいる。
これに関連する省庁として警察庁、総務省、国土交通省が指定されている。
だが、防衛省は含まれていない。
現在の施策は警察による定期的な見回りなどが行われているに過ぎない。
具体的な防護手段も持っておらず、安全対策もほとんど行われていない。
海洋状況把握(MDA)の対象に海底ケーブルを追加するなど実効性ある安全対策を政府主導で再考すべきだ。
ちなみに防衛省は2025年1月17日に防衛省で中谷元防衛相の記者会見を開いた。
世界各地で海底ケーブルの切断事案が相次いでいることについて中谷防衛相の所見を質す質問があった。
中谷防衛相は次のように答えた。

防衛大臣記者会見
日時
令和7年1月17日(金)11:53〜12:17
https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2025/0117a.html
Q:別件でもう1点、海底ケーブルについて伺います。
NATOがですね、2025年1月14日、バルト海での海底ケーブルなどの破損を受けて、海底ケーブル保護の取組を強化すると発表しました。
バルト海や台湾周辺でですね、海底ケーブルの破損が起きていることへの、まず、大臣としての受け止め、そしてですね、日本においても、自衛隊が海底ケーブルの防護に関与すべきだとの指摘も一部であります。
こうしたことへの大臣のお考え、2点伺います。
A:海底ケーブルの事案におきましては、まず、バルト海、そして台湾周辺海域において、海底ケーブルが破損をする事案が生じているということ、そして、NATO、ここが海底重要インフラの保護に対する取組を強化をする旨を発表したことについては、承知を致しております。
そこで、 海底ケーブルというのは、正に我が国の国民生活や経済活動に欠くことのできないインフラでありまして、我が国としては、今後もですね、本件に関する状況を重大な関心をもって注視をしてまいります。
防衛省としましては、平素から警戒監視活動で関連情報が得られれば、関係省庁と共有をすると共に、事態の推移に応じまして、まず、一般の警察力をもっては治安を維持することができない緊急事態等が発生した場合には、治安出動や海上警備行動の下令、更に、
【有事における対応につきましては、防衛出動の下令によりまして、必要な措置を講じるということになります。】
その際は、警察、そして海上保安庁といった関係機関とも連携をしまして、この対応には万全を期してまいりたいと考えております。
この海底ケーブルの報道については、承知をしております。
いずれにしましてもですね、先ほども申し上げましたけれども、この海底ケーブルというのは、正に情報伝達の大切なツールでありまして、国民生活や経済活動に欠くことのできないインフラとして、我が国としても、今後本件に関する状況を重大な関心を持って注視をして参りたいと考えております。

つまり防衛省としては事態認定を睨みながらの対応で有事と認定され、防衛出動が下令されれば必要な措置を講じることになるとしている。
しかし、海底ケーブルの切断・損傷といった事態は平時において必要な対応を取って防いでいかなければならない課題である。
自民党に設けられた情報通信戦略調査会(野田聖子会長)では2023年4月10日、情報通信のインフラ整備の強化策をまとめた。
これは実にいい提言で、海底ケーブルについて
「断線などに備えた多ルート化や敷設船・修理船の整備・更改への支援に取り組むことが必要」
と明記し、岸田文雄首相(当時)に提言している。
是非具現してほしいものである。

自民党、海底ケーブル多ルート化提言へ
経済
2023年4月10日 19:25
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1092H0Q3A410C2000000/?msockid=03bbc426d8756d821927d643d90f6c0f
自民党の情報通信戦略調査会(野田聖子会長)は2023年4月10日、情報通信のインフラ整備の強化策をまとめた案を了承した。
経済安全保障上の重要性が高まっている国際海底ケーブルについて
「断線などに備えた多ルート化や敷設船・修理船の整備・更改への支援に取り組むことが必要」
と明記した。
自民党内で正式決定した上で、政府に提言する。
水中ドローンなどによる切断やケーブルを陸地に引き揚げる
「陸揚げ局」
へのテロ対策として、事業者と総務省、警察庁、海上保安庁などの連携体制の構築が必要とした。
データセンターは東京圏や大阪圏に集中しているため、
「第3、第4の拠点の構築を目指すべきだ」
とした。
取り組みに必要な財源は、電波利用料や特定基地局開設料などを活用することに加え、民間投資の促進も求めた。
情報通信戦略調査会は自民党内で通信、放送、情報分野の政策を中心的に担う。
調査会の下に設置した情報通信インフラ特命チームで、提言案の検討をしていた。

2025.01.27 (月)印刷する
総合安全保障プロジェクト・メディア向け報告会
https://jinf.jp/news/archives/44885
総合安全保障プロジェクトの月次報告。
国内主要メディアの記者向け第1回報告会を開催した。
冒頭、櫻井よしこ理事長から開催の挨拶で本会の趣旨説明が行われた。
総合安全保障プロジェクトを開始し1年が経過した。
その成果は全て公開してきたが、これを更に国民に共有されることを期待して報告会を企画したものである。
まず、岩田清文・国基研企画委員(元陸幕長)が海底ケーブルの現状について説明した。
これは、本朝実施した月次報告会で大澤淳・中曽根平和研究所主任研究員が説明した
「海底ケーブルを巡る安全保障上の課題」
を、大澤主任研究員が所用で不在のため岩田企画委員が代わりを務め、更に独自の解説を加えたものである。
次に、これを受ける形で住田和明・元陸上総隊司令官が登壇し、
「台湾北部海域及びバレンツ海での海底ケーブル切断・損傷事案 台湾有事及び日本に及ぼす影響」
と題して、我が国の海底ケーブル事情を詳細に解説した。
最後に、中川真紀・国基研研究員が朝のブリーフィングで実施した
「中国軍の台湾周辺における軍事演習」
を説明した。
大澤氏と中川氏の発表は本朝の月次報告で既に説明していることから、今回の住田氏・発表概要のみを以下に掲載する。
メディア向け報告会は今後も継続して実施していく予定である。
【概要】
『台湾北部海域及びバレンツ海での海底ケーブル切断・損傷事案 台湾有事及び日本に及ぼす影響』
住田和明・元陸上総隊司令官
海底ケーブルは世界で450本以上あり、その総延長は140万キロ以上で、日本は国際通信の99%以上を海底ケーブルに依存している不可欠のインフラである。
しかし近時、世界では海底ケーブルの損傷事案が頻発している。
〇近年の損傷事例
・媽祖列島と台湾本島を結ぶケーブル2本が相次いで切断(2023年2月)
・ベリーズ船籍の貨物船が紅海でフーシ派によるミサイル攻撃で沈没した際に3本のケーブルを切断(2024年2月)
・リトアニアとスウェーデンを結ぶケーブルが切断(同年11月)
・フィンランドとドイツを結ぶケーブルが損傷(同年11月)、中国船による疑い
・エストニアとフィンランドを結ぶ送電ケーブル、フィンランドとエストニア・ドイツを結ぶ海底ケーブル4本が損傷(同年12月)、ロシア「影の艦隊」による疑い
・台湾北部の海域で海底ケーブル損傷(2024年1月)、中国関与の疑い
上記のうち直近で、台湾北部海域における損傷事案は、台湾に揚陸されているケーブル25本のうち、太平洋横断高速海底ケーブルシステム(TPE)のケーブル2本が切断されたものである。
これは、日本や米国にも連接していることから、決して他人ごとではない。
損傷事案の嫌疑を受ける商船が調査していた海域には、EAC-C2C やSJC2という、シンガポール、韓国、日本などと連接するものや、FASTERという日本や米国と連接するものなども敷設されている。
中国は西側がより多くの影響を被るラインを綿密に調査し、反応を探っていた可能性が高い。
〇日本の現状と保守・防護のための諸課題
さて日本に視点を戻すと、日本に陸揚げされている国際海底ケーブルは22本ある。
海底ケーブルを陸地に引き上げる拠点が陸揚げ局で、房総半島や志摩半島に集中しているのが現状である。
陸揚げ局は無人施設が多く、また離島などではケーブルが直接人の目に触れるように敷設されており、物理的な攻撃に対し極めて脆弱であることは大きな問題である。
加えて沖縄周辺の海底ケーブルは、その概要が沖縄県のHPにも掲載されており、どのようなルートで敷設されているかが一目瞭然ということは、安全保障上如何なものか。
我が国は他国に比べ、海底ケーブルを防護する国家としての意識が希薄な気がする。
民間業者任せのままでいいのか大いに疑問である。
まず、海底ケーブルは常に保守を必要とする。
そのために必要な海上ビークルとしては海底ケーブル敷設船だが、民間業者にはNTTが4隻、KDDIが2隻、NECが1隻(チャーター)のみしかない。
総務省は令和3年度から9年度を実施期間として
「デジタルインフラ強靱化事業」
を行っているが、データセンター、海底ケーブル陸揚げ局舎は東京圏以外に、海底ケーブルは太平洋側以外に、国際海底ケーブル分岐支線・分岐装置は房総・志摩以外に、それぞれ陸揚げされるものに限られている。
今まさに経済安全保障や国民生活を担っている主要な海底ケーブルシステムは対象外で、海底ケーブルの敷設、修理、保守を担う海底ケーブル敷設船に至っては一言の言及もない。
また保守する仕組みとして世界をゾーンに分けて国際共同事業として行う体制があり、日本周辺は
「YOKOHAMA ZONE」
と称し、日本、韓国、中国で分担している。
すると近い将来、中国の保守船が日本のケーブルを保守することも想定しておく必要がある。
さらに、沿岸輸送特許(国内海上輸送は自国船に限る)という制約も見直す必要があるのではないか。
現在NTTの保有する敷設船4隻のうち3隻は外国籍船で、保守事業を国内で実施する場合、その都度国土交通大臣の特許を必要とするため、臨機、迅速な対応が困難という問題もある。
海底ケーブル保護を、国家安全保障上の緊急課題として早急に取り組むことを、我が国政府には切望する。(文責 国基研)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/742.html#c64

[政治・選挙・NHK296] 腕まくりする国土交通省(コラム狙撃兵・長周新聞) 赤かぶ
11. 秘密のアッコちゃん[1401] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年3月12日 13:12:34 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[839]
<■4797行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を考えた場合、マイナス面が圧倒的に大きいので、選択的夫婦別姓制度の導入には断固反対だ。

<主張>自民党大会 保守の矜持を忘れたのか
社説
2025/3/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20250312-4R7RYGX2HNJS7ACIDFYIS4ADV4/
自民党は党大会で、夏の参院選の勝利が最重要課題であり、2025年6月の都議選と合わせて党の勢力を結集して臨むと記した令和7年運動方針を採択した。
森山裕幹事長は2025年11月に立党70年を迎えることを踏まえ、30年後の立党100年を見据えた新たな
「国家ビジョン」
を策定すると明らかにした。
長期ビジョンを作るのは結構だが、党が存亡の機にあることを認識しているのか。
最近の自民は保守政党としてのあるべき姿を見失っている。
自民は保守の矜持を取り戻さなければ、岩盤支持層が更に離反し、政権から転落しかねない。
党綱領には
「『日本らしい日本』を損なう政策に対し闘わねばならない」
とある。
選択的夫婦別姓制度の導入の動きに対し、自民は闘うどころか、党内の一部に支持する向きがある。
同制度は子供がどちらかの親と別の姓になる
「強制的親子別姓」
を意味し、家族や社会を毀損する。
導入は許されない。
党大会の来賓として挨拶に立った連合の芳野友子会長は、同制度の実現を求めた。
芳野氏を招待したのは参院選で労組票を取り込む狙いがあったのかもしれない。
だが、このような発言が予想されたのに招いたのは、自民執行部が保守の矜持を失っていることを示している。
憲法改正では、運動方針に緊急事態条項や自衛隊明記に関する条文案を起草し、改憲の早期実現に邁進すると明記した。
それにもかかわらず、石破茂首相が総裁演説で改憲に触れなかったのは極めておかしい。
安定的な皇位継承策を固めることは国の根幹に関わる。
内閣の報告書を受けて国会で各党が検討中だ。旧宮家の男系男子の皇族復帰こそ急務で、自民は全力で実現してもらいたい。
安倍晋三元首相や岸田文雄前首相らが取り組んだ、ダイナミックな外交安全保障政策を展開していない現状も問題だ。
総裁演説の次のくだりには違和感を覚えた。
「国民は政治を信じていない。国民の声に謙虚でありたい」
と語ったことだ。
先の衆院選で与党過半数割れの大敗を喫したにもかかわらず、首相は居座った。
謙虚と正反対の人の言葉に重みはない。
党への不信の原因は政治とカネの問題だけでなく、首相自身の振る舞いにもあることを自民議員は気付くべきである。

<正論>夫婦別姓が持つ「家族解体」論理 
麗澤大学教授・八木秀次
2025/3/12 8:00
https://www.sankei.com/article/20250312-A7QQXWSWMVOVZGYX4BVRABPJZM/?375350
夫婦別姓に関する最初の裁判は、国立大学の女性教授が大学で旧姓を使いたいというものだった(昭和63年)。
その後(平成10年)、大学側が旧姓の使用を認めて和解したが、戸籍上の夫婦別姓ではなく、社会生活で旧姓を使いたいという主張に過ぎなかった。
■「イデオロギー派」が便乗
これに便乗したのが、イデオロギー派とでも呼ぶべき人たちだった。
日本は
「市民革命」
が済んでいない立ち遅れた段階にあるとし、近代社会にするには国家と個人の間に存在する
「中間団体」
を解体して
「個人」
を析出する必要がある。
それがフランス革命以来の近代立憲主義の論理だとして中間団体の典型である家族共同体を解体して
「個人」
を生み出そうと主張した。
彼らは現行の民法や戸籍の構成単位である夫婦と子から成る
「近代的小家族」(核家族)
に戦前の
「家」
制度の残滓を見、拘束システムであると捉えて、そこから解放された
「個人」
としての存在主張を図ろうとした。
夫婦別姓はそのような主張が氏名の次元に現れたものだった。
「氏名の自己決定権」
が主張され、
「個人」
は純然たる
「個人の呼称」
で呼ばれる存在でなければならず、夫婦の営む共同体の名称で呼ばれる存在であってはならない。
結婚で変えられるものではなく、自己の意思に反して改姓を強いられるならば、アイデンティティーが喪失すると主張した。
戸籍を解体して個人登録にすべきだとも主張した。
「個人」
の存在主張は家族共同体の解体を志向するものでもあった。
「『個人の尊厳』の行き着く所は、場合によっては『家族の解体』にまで繋がっていく論理を含んでいる」
と主張する憲法学者や、娘が18歳になったら
「家族解散式」
を行うと公言する弁護士もいた。
現在はこれらの主張は意識的にか、表に出されなくなっている。
■帰属意識や一体感毀損
平成8年に法務省の法制審議会が示した案は先のイデオロギーとの共鳴はあったが、あからさまではなかった。
だが、結果として家族共同体の
「解体」
の方向に作用する論理を持つ。
夫婦が別姓になれば、子供は両親の一方とは姓が異なる。
親子別姓だ。
そうなると共通の姓が存在しない家族が生まれる。
姓は法制度としては家族の呼称ではなく、個人の呼称の一部となる。
これは全国民のファミリーネームの廃止を意味する。
それが家族の帰属意識や一体感の毀損に繋がる。
最高裁は平成27年、
「夫婦及びその間の未婚の子…が同一の氏を称するとすることにより、社会の構成要素である家族の呼称としての意義がある」
「家族を構成する個人が、同一の氏を称することにより家族という一つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる」
として現行の夫婦同姓を
「合憲」
とする判決を出した(令和3年判決も同旨)。
別姓は共通の姓によるそれらの機能を毀損する。
大きな問題は子供の姓の決め方だ。
法制審案では結婚の際に夫婦のどちらの姓を名乗るかを決める。
兄弟姉妹は共通の姓を名乗るが、子供が生まれるか分からない段階で姓を決め、決めなければ婚姻届を受理しないとするのは、結婚を
「両性の合意のみに基づく」
とする憲法24条に違反するとの指摘もある。
■肉親が争う子供の心理は
令和4年の立憲民主党や共産党の案(内容は公明党案も同じ)は子供の姓を出生時に決めるとする。
兄弟姉妹の姓がバラバラでもよいとするイデオロギー性が強い案だ。
子供の姓が決まらない場合、出生届は受理されず、無戸籍となる。
当事者で決められない場合は家裁で決めるとするが、家裁には判断基準がない。
自分の姓を巡って肉親が争ったり、裁判所に決められる子供の心理はどんなものか。
選択的夫婦別姓制が導入されれば、対象はこれから結婚する夫婦だけではない。
既に結婚している全ての夫婦が経過措置期間(1〜2年間)に同姓か別姓の選択を迫られる。
立憲民主党などの案では連動して子供の姓をどうするかを改めて判断することになる。
戸籍の様式自体の変更も必要で膨大な作業を要する。
戸籍事務量には
「対応できない」(法務省)
とのことだ。
そうであれば、あえて弊害の多い選択的夫婦別姓制を導入しなくとも、旧姓を社会生活で広く使用できるように法制化すればよい。
既に住民票やマイナンバーカード、印鑑証明書、健康保険証、パスポート、運転免許証は旧姓を併記できる。
戸籍に旧姓使用を明記するとの案もあるが、住民票などの公的証明書の記載を根拠にして旧姓の単独使用も可能とする法律を制定すればよい。
経団連の指摘する改姓による不便や不都合は既に解決しているか、新しい立法で解決する。

「おかしい」自民党大会で選択的夫婦別姓要請の連合・芳野友子会長に批判相次ぐ 自民WT
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/3/11 14:55
https://www.sankei.com/article/20250311-7YWAMCCGVBANTPVMBCYKSF2LEY/
自民党は2025年3月11日、
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
(座長・逢沢一郎衆院議員)
の会合を開き、選択的夫婦別姓制度導入を推進する立場の有識者から意見を聞いた。
出席者によると、2025年3月9日の自民党大会に出席した連合の芳野友子会長が挨拶の中で選択的夫婦別姓導入を要請したことについて、複数の議員から
「党内で審議中の話をするのはおかしいのではないか」
などと批判が出た。
会合には議員約50人が出席し、オンラインで立命館大名誉教授の二宮周平氏と白鴎大教授の水野紀子氏から話を聞いた。
二宮氏は、将来的には家族ごとの戸籍から個人ごとの個人籍へ移行するべきだとする意見を述べた。
出席議員からは、選択的夫婦別姓が導入された場合の子供の姓の決め方に関する懸念などが寄せられた。
また、逢沢氏によると、芳野氏の発言について
「党内で議論が進められている最中に、ああいった機会があったのは適切だったのか」
と意見が出た。
別の出席者は
「おかしいのではないか」
との発言もあったと明らかにした。
逢沢氏は記者団に
「座長として受け止め、党執行部にもそうした発言があったということは伝えておきたい」
と述べた。
芳野氏は2025年3月9日の党大会で、
「希望する人が別姓を選択できる制度であり、強制する制度ではない」
「逆に、夫婦同姓を望む人たちを排除する制度でもない」
「是非、今国会で選択的夫婦別姓制度の創設を実現してほしい」
と要請した。

「6万人ショック」自民党員減、「政治とカネ」懸念も「保守と理解してもらえない」
2025/3/9 15:40
https://www.sankei.com/article/20250309-6S6G4VIQB5HE3HEUGICQX4KUGI/
自民党の党員数の推移
https://www.sankei.com/article/20250309-6S6G4VIQB5HE3HEUGICQX4KUGI/photo/ILXCR2FS3NMLLJTKNCPV6M4DMQ/
自民党員の減少幅が近年まれにみる規模となり、党執行部を悩ませている。
令和6年末時点の党員数は102万8662人で5年末時点から6万2413人減少した。
「6万人ショック」
とも言われ、特に有権者と直接接する機会の多い地方議員に危機感が広がる。
派閥パーティー収入不記載事件の影響だけでなく、近年の自民の政策が岩盤支持層とされる保守層の離反を招いているとの見方も増えている。
■「党員集めは厳しさを増している」
「党員集めは厳しさを増している」
「自民はいつまで『政治とカネ』の問題に決着を付けられないのかと思われている」
神奈川県連会長を務める小泉進次郎元環境相は2025年3月9日の党大会後、記者団にこう語った。
党員数は自民が政権復帰した平成24年の73万人以降、増加傾向にあった。
安倍晋三政権から菅義偉政権へと変わった令和2年は113万6445人と近年で最も高かった。
しかし、岸田文雄政権下の令和5年末になると、党員数は109万1075人となり、前年末比で3万3688人の減少に転じた。
石破茂政権下の今回は、減少幅が倍増した形となる。
小泉氏と同じく地方議員も政治とカネの問題で党員の離反を招いたと指摘する声は多い。
山形県の柴田正人県議は
「『政治とカネ』の問題をずっと引きずっている」
「政治家は悪いことをしているというイメージが植え付けられている」
と指摘した。
政治資金の
「見える化」
を進めた上で、早期の決着を求めた。
宮城県連の遠藤隼人青年局長も、
「政治とカネ」
を挙げて
「直接党員にお願いして回っているが、これまで支えてくれた人も
『こういう党の状況では継続できない』
という人もいる」
「反応は厳しい」
と語る。
■「コアな保守層が逃げた」
遠藤氏は、自民が選択的夫婦別姓の導入を求める声に対し、明確な反対姿勢を示せていないことも疑問視する。
遠藤氏は
「旧姓使用の拡大」
にとどめるべきだと訴えた上で
「自民以外の政党は夫婦別姓派だ」
「分かり易く自分たちが保守であるということを理解してもらえないような党本部の姿勢が、保守離れを起こしているのではないか」
と危惧する。
大阪市の木下吉信市議は、昨年2024年10月の衆院選比例代表で自民支持層の投票先が日本保守党や参政党に流出したとの見方を示し
「コアな保守の支持者が逃げた」
と指摘する。
大阪府泉南市の添田詩織市議も
「地元を歩いて反応がいいことはない」
「(石破内閣は)中国寄りのイメージで語られている」
と述べる。
ただ、首相が力を入れる自衛官の処遇改善などの取り組みを挙げて
「実際は保守層に評価される政策もあることを知ってほしい」
と語った。
鳥取県連の斉木正一幹事長は、党員減少について
「やはり少子高齢化ではないか」
「我々が田舎を回ると高齢化が進み、昔の人が亡くなっている」
「もう1つは『政治とカネ』の問題」
「この2つが原因かと思う」
と分析した。

自民、参院選控え党大会で「原点回帰」アピール 地方、歴史、家族、靖国…岩盤支持層意識
2025/3/9 13:29
https://www.sankei.com/article/20250309-R7AI4KL5AZJKTCHXTVVNBW76RY/
自民党は2025年3月9日の党大会で、地方や歴史を重んじる保守政党という自らの立ち位置の明確化を図った。
採択した令和7年党運動方針は
「悠久の歴史や文化、家族や地域の絆」
といった文言を強調し、石破茂首相(党総裁)は演説で
「原点に立ち返る」
と述べた。
自民の岩盤支持層を意識した原点回帰は、2025年夏の参院選への危機感の裏返しでもある。
■異彩放つ運動方針「わが党は大敗した」
自民は今年2025年、立党70年を迎える。
首相は党大会で
「いつの時代も歴史、時代を変えるのは都の偉い人々ではない」
「地方であり、1人1人の庶民大衆だ」
と語り、地方の党員や支持者を重視する姿勢を強調した。
1年間の党の指針となる運動方針は、例年と比べ異彩を放つ。
昨年は総論である
「前文」
で、派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革を進めて
「解体的な出直し」
を図ると明記した。
一昨年2023年は経済再生などを前面に掲げた。
今年2025年は
「昨年2024年の衆院選で我が党は大敗した」
と認めた上で
「常に進歩を目指す保守政党」
の道を歩むと宣言。
「悠久の歴史や文化、家族や地域の絆に育まれてきた日本の国柄を次の世代に引き継ぐ」
と謳った。
■参院選で負ければ「政権は終わり」
更に
「歴代の天皇と皇統、皇室は、日本の歴史、伝統、文化の礎である」
「靖国神社参拝を受け継ぎ(中略)各都道府県における護国神社への参拝も大切にしていく」
と掲げた。
こうした姿勢の背景には、党の足腰の弱体化がある。
現在の自民は、安倍晋三元首相を支持した
「岩盤保守層」
の離反が指摘されている。
また、不記載事件への失望感などから地方の党員の減少も目立つ。
昨年2024年末時点の党員数は102万8662人で、前年から6万2413人も減少した。
党員
「120万人」
の目標は遠のくばかりだ。
自民幹部の1人は、衆院選に続いて参院選で負ければ
「政権は終わり」

「支持層を取り戻す必要がある」
と語る。
■運動方針から憲法改正の時期消える
ただ、自民は与党過半数割れした衆院で主導権を失い、党是の憲法改正を推進する体力もない。
昨年2024年の運動方針は
「2024年年内の実現」
を目指す考えを示したが、今年2025年は時期が消えた。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度導入法案の今国会への提出を準備している。
自民内では制度導入ではなく、旧姓の通称使用拡大を行う流れが強まっているが、執行部が党内の推進派を抑えられるかが焦点となる。

夫婦別姓で揺れる自民…家族観も一致せず 創生「日本」で苦言 産経新聞・皆川豪志
「正論」4月号
2025/3/1 12:00
https://www.sankei.com/article/20250301-DS2H6CUF7NCUHGTXBN223OFSS4/?outputType=theme_monthly-seiron
(月刊「正論」2025年4月号から)
与野党ともに賛同者が多かった選択的夫婦別姓の法制化議論が、ここへ来て風向きがやや変わりつつある。
一時は
「やりたい人がやるだけなのになぜ反対するか」
などという幼稚な理屈が罷り通っていたが、現実に法が改正された場合、日常生活に大きな影響が出ることに多くの国民が気が付き始めたからではないか。
産経新聞が今年2025年元日からシリーズ掲載した
「ごまかしの夫婦別姓議論」
の反響も大きかった。
中でも、2025年元日1面トップの小中学生に対する初のアンケート
「別姓小中学生の半数反対 『自分はしない』6割」
はインターネット上で瞬く間に拡散され、SNS(交流サイト)では
「選択的とは言うが、子供にとっては強制的親子別姓になることに改めて気づきました」
という声が多数上がった。
こうした背景を受けて、2025年2月5日に開かれた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
から勉強会の講演依頼が私にあった。
安倍晋三元首相が会長を務めた組織でもあり、全員が
「保守」
と言っていい錚々たるメンバー41人が集まった。
■「恣意的」批判は想定通り
講演では、調査の狙いとして、このテーマを
「可視化」
したかったことを最初に説明した。
いくら言葉で問題点を指摘しても、
「選択的」
という言葉に引きずられて、
「選択だからいいのでは」
「誰にも迷惑はかからないのでは」
などと納得してしまう世論が多いためだ。
そもそも、企業などでは婚姻後の
「旧姓使用の拡大」
が既に進んでおり、多くの国民にとってこのテーマは喫緊の課題ではない。
それをいいことに、朝日新聞やNHKなどのリベラル系メディアは、旧姓使用の現状を無視した上で、
「賛成」「反対」
の二択で世論調査を行い、そこで集計された
「賛成7割」
という結果を独り歩きさせるのだ。
日本人は人がいいので、
「そんなに賛成者がいるなら」
とつい誤魔化されてしまいがちなのである。
やはりここは、改めて問題点を浮き彫りにするべきではないか。
「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓であり、強制的家族別姓である」
「人に迷惑をかけないどころか、家族の在り方に多大な影響が出る」
ことを考えてもらうために必要だったのが、アンケートによる
「子供の存在」
の可視化だったのだ。
反響の中には、夫婦別姓推進派からの
「恣意的なアンケートだ」
という声も多かった。
だが、これは想定通りで、記事の中には次のような一文を入れておいた。
「法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである」
「仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えたりするならば、是非他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい」
「文部科学省も、こども家庭庁も出番ではないか」
つまり、
「文句があるなら自分たちも調べなさい」
「国もやるべきことがあるのでないか」
という意味だ。
実はこれが最も言いたかったことでもある。
先ほど調査対象は2000人と紹介したが、実は100人、200人しか集まらなくても仕方がないとも考えていた。
とにかく子供の存在をこの議論の俎上に載せたい、もし産経の調査に不満があるなら、それはそれで構わないので他のメディアなり、国としてやってほしい、拙速に進めず、立ち止まって考えてほしいというメッセージである。
その狙いは予想以上に国民に届いたのではないか。
2025年正月の記事以来、
「子供の姓がバラパラになる」
「旧姓使用の拡大や法制化で解決できないものか」
という議論が他メディアも含めて活発化してきたことを考えると一応は成功だったと言えると思う。
■自民党の現状こそ問題
一方で、経団連などの財界は未だに選択的夫婦別姓推進を言い続けている。
今回行った産経のアンケートで、旧姓使用を不可としている企業はゼロだったにもかかわらずだ。
この日の勉強会にも出席された高市早苗前経済安全保障担当相の努力もあって、今やパスポートや国家資格など大半の身分証明で旧姓使用が併記できるようになった。
立憲民主党など野党は
「困っている人がいる」
という理屈を振りかざしているが、
「困っている人」
とは誰なのか。
産経の取材でも
「困っている人」
を探したが、結局出てきたのは、
「海外でパスポート名義と宿泊名簿の姓が違って説明に時間がかかった」
という程度だった。
そもそも私は今回のテーマについて、保守である自民党が真剣に考えるべき課題ですらないと考えている。
今ある法や制度を変えたいのなら、なぜ変えなければならないのか、その理由を明確にして、誰もが納得できる立法事実を出さなければならないのは別姓推進派の側であり、政権与党としては、その1つ1つに丁寧に反論し、それでも困っているという細かいケースが見つかったのなら法律の運用の中で変えていけばよいだけなのだ。
勉強会に参加した自民党議員も、本当は同じように考えていたと思う。
ただ、現状は昨秋2024年秋の総選挙以来の少数与党であり、連立を組む公明党も別姓推進を公言している中で、放置するわけにもいかない。
何より、衆院法務委員長のポストまで獲得した立憲民主が今国会中にも法案を提出する可能性は高いのだ。
「創生『日本』」
としても、保守層だけでなく、広く党内がまとまる対案を検討するのは当然であり、より良い方向に導いて頂きたいとは思う。
ただ、だからと言って、我が国の根幹とも言える家族の在り方を巡り、これ以上党内が右往左往してほしくない。
そもそも自民党の中に、野党と同じように
「困っている人」
を必要以上に誇張したり、女性差別と関係付けてまで夫婦別姓を推進したい議員が少なくないこと自体が不自然なのである。
例えば、税制や社会保障などの分野で党内の意見が分かれるのならまだ分かるが、家族の在り方を巡って、
「党議拘束しなければまとまらない」
とか、
「予算の成立と引き換えに…」
などの意見が漏れてくる今の自民党の体質にこそ問題があるのではないか。
保守を標榜する
「創生『日本』」
の方々こそ、この党内の現状を真剣に憂えてほしい。
家族観すら一致せず、まとまれないような政党はもう、1つの政党とは言えない。
有権者からそのように見られても仕方がないのではないか。
そう苦言を呈して、講演を終えた。
(産経新聞編集局コンテンツ統括)
「夫婦別姓=家族別姓」子供の半数は反対…産経新聞アンケート結果
産経新聞の(2025年1月1日付掲載)のアンケートでは、家族で違う苗字になってしまう
「夫婦別姓」
に子供の半数が反対している実情が明らかになった。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人の計約2000人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題にも配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が約半数の49・4%、
「賛成」は16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」が18・8%、
「よくわからない」が15・4%
で、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては、
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割
となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%
だった。
(月刊「正論」4月号から)
みながわ・たけし
産経新聞編集局コンテンツ統括。
平成3年、産経新聞入社。
京都総局、大阪社会部、東京社会部次長、産経新聞出版代表取締役社長などを経て令和5年7月から現職兼産経新聞出版取締役会長。

選択的夫婦別姓「導入賛成」が減少傾向、「通称使用拡大」は増加 報道機関の直近世論調査
2025/2/25 9:49
https://www.sankei.com/article/20250225-AJ3NFZ3TLZHPPMUZFB4FMGFBXU/
今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓導入の是非を巡る各種報道機関の世論調査で「賛成」が今年2025年に入って減少傾向にある。
賛否の2択に加えて
「同姓を維持して旧姓の通称使用を拡大」
する第3の選択肢を尋ねたケースでは、旧姓の通称使用拡大が最も高く、割合も増えている現状が浮かぶ。
■産経・FNN調査は「賛成」9・5ポイント減
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査は
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)の45・2%に比べ、6・5ポイント増となる。
選択的夫婦別姓の法整備に「賛成」は28・0%で、前回の37・5%から9・5ポイント減らした。
同様に読売新聞社が2025年2月14〜16日に3択で尋ねたところ、旧姓の通称使用拡大は46%で最も多く、前回(2025年1月17〜19日実施)の43%から3ポイント増加した。
選択的夫婦別姓の導入を求める声は前回の29%から27%に減少した。
■朝日調査も「賛成」10ポイント減
朝日新聞社は2025年2月15、16両日の調査で、導入の賛否を2択で尋ねると、「賛成」が63%で「反対」は29%だった。
前回調査の昨年2024年7月はそれぞれ73%、21%だった。
「賛成」は「反対」の2倍以上だが、前回調査から10ポイント減らしたことになる。
共同通信社が2025年1月25、26両日に実施した世論調査は「賛成」は59・4%、「反対」が32・7%だった。
昨年2024年10月の賛成67%、反対21・7%で、「賛成」は7・6ポイント減らしている。
毎日新聞社は選択的夫婦別姓を巡る2025年2月の世論調査で2025年1月に比べて尋ね方を変えたため、対象から除外した。

「通称使用の拡大」男女とも過半数、全年代、職業で最多 共産支持層も FNN世論調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/2/24 12:30
https://www.sankei.com/article/20250224-MQHMGVO2XZHUVAIQ5WNV7ZHQEM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
が、男女を共に過半数を占めた。
全年代で、また、選択肢にあるすべての職業で最多だった。
支持政党別でも、共産党支持層は
「通称使用の拡大」

「賛成」
を上回った。
■女性も「賛成」3割
男性では「賛成」の25.3%に対し、「通称使用の拡大」の51.2%と「反対」の21.5%の合計が7割を超えた。
女性では「賛成」が30.6%にとどまる一方で、「通称使用の拡大」は52.2%、「反対」は16.1%に上った。
男女共に法整備に慎重な姿勢が浮き彫りになった。
世代別でみると、30代と70歳以上を除き、
「通称使用の拡大」
が過半数だった。
経団連や一部野党などは、夫婦別姓を求める理由の1つに
「キャリアの断絶」
を挙げている。
今回の世論調査では、職業別に正規雇用、非正規雇用、自営・フリーランス、主婦・主夫、学生、無職、その他の選択肢で尋ねた。
全ての職業で「通称使用の拡大」を選んだ人が最多で、無職(42.0%)以外は半数を超えた。
「賛成」が3割を超えたのは学生(38.0%)と非正規雇用(36.4%)だった。
「反対」の割合が他の職業に比べ高かったのは、「無職」(28.8%)と「自営・フリーランス」(25.4%)だった。
■公明・立民支持層も「賛成」過半数届かず
支持政党別では、公明党支持層の47.3%と立憲民主党支持層の46.6%が「賛成」と答え、「通称使用の拡大」を上回った。
両党は今国会での法案成立を目指しているが、その両党の支持層でも「通称使用の拡大」と「反対」の合計は「賛成」を小差で上回った。
共産支持層では「賛成」の39.9%に対し「通称使用の拡大」が49.3%で上回り、「反対」が5.8%だった。
日本保守党の支持層では「反対」が最多の48.2%、「通称使用の拡大」が31.8%、「賛成」はいなかった。

選択的夫婦別姓「通称使用拡大を」51%で過半数 「反対」含め7割が導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/2/24 11:46
https://www.sankei.com/article/20250224-SXETE7ZTU5JQVP433ERNY7EURQ/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年2月22、23両日に実施した合同世論調査で、選択的夫婦別姓制度に関する法整備について尋ねたところ、「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」との回答が51・7%と過半数を占めた。
前回調査(2025年1月18、19両日実施)比では6・5ポイント増加した。
法整備に「反対」との回答は18・7%で、前回比で4・0ポイント増加した。
選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的な回答が、前回は計6割だったが、今回は計7割に増加したことになる。
一方、法整備に「賛成」との回答は28・0%で、前回比で9・5ポイント減だった。

「建国記念の日」に党大会 国民民主の保守加速 夫婦別姓推しの連合幹部に榛葉幹事長は…
政界徒然草
2025/2/24 6:00
https://www.sankei.com/article/20250224-B5QW4QMJONMMZLBFNJJW27UDV4/
国民民主党の保守化が加速している。従来の家族の在り方を変える可能性を指摘されている選択的夫婦別姓制度を巡り、玉木雄一郎代表(役職停止中)と榛葉賀津也幹事長が性急な導入に
「待った」
をかけた。
これまでも憲法改正や原発再稼働、現実的な安全保障政策などを訴えてきた国民民主。
2025年夏の参院選を見据え、石破茂政権に批判的な岩盤保守層を奪い取る構えだ。
■党大会で紀元節に言及
「今から2685年前の今日、日本書紀によると、国づくりが始まった」
「その節目の日に、国民民主の党大会が開催されることに感謝と身が引き締まる思いでいっぱいだ」
今月2025年2月11日に東京都内で開かれた国民民主の党大会で、最も印象に残ったのが、榛葉氏によるこの挨拶だった。
国民民主は従来、リベラルと保守の二項対立とは距離を置く
「改革中道政党」
を掲げてきた。
だが、昨秋2024年秋の衆院選は、石破政権に批判的な保守層の後押しもあり、議席数が公示前から4倍増に躍進した。
新暦の紀元前660年2月11日に初代の神武天皇が橿原宮(奈良県)で即位した紀元節に触れた背景には、日本の伝統を大切にする保守層への配慮が透けて見えた。
■夫婦別姓にブレーキ
とりわけ保守層から歓迎されているのが選択的夫婦別姓制度への対応だ。
国民民主は先の衆院選の公約で同制度の導入を掲げていたが、玉木氏は2025年1月17日の産経新聞の単独インタビューで慎重に対応すると指摘。
「多くの国民に関わる事であり、イデオロギーや政局的なものにせず、出来るだけ幅広い合意を得る丁寧な議論が必要だ」
と強調した。
また、榛葉氏も2025年1月30日の産経インタビューで、子供の姓の扱いなどについて
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
との見解を示し、歩調を合わせた。
2025年2月14日の記者会見では
「保守もリベラルも関係ない」
「大人は選択できるかもしれないが、子供が半ば強制では子供が不幸になる」
と強調。
家族の絆を重んじる保守政党でありながら、推進派を抱える自民党を
「中に色んな考えがあるようだ」
と皮肉る余裕も見せた。
戸惑いを隠せないのが国民民主の最大支援組織で、同制度の早期導入を求める連合だ。
2025年2月11日の党大会に招待された芳野友子会長はたまらず
「導入しないことは男女が不平等な状態を放置することを意味し、人権に関わる由々しき問題だ」
と国民民主にプレッシャーをかけた。
しかし、この発言がどこまで執行部の耳に響いたのかは不透明だ。
同制度導入を求める連合関係者は今年2025年に入り、
「今国会の最大の法案だ」
と榛葉氏に発破をかけたが、子供への悪影響を念頭に榛葉氏が首を縦に振ることはなかった。
■支持層の変化も影響
立憲民主党は今国会に同制度導入を謳う民法改正案を提出する方針だが、成立を左右するのは国民民主と言っても過言ではない。
同制度を審議する衆院法務委員会の構成メンバーのうち、推進派と目されてきたのは立民(西村智奈美委員長を除く)や国民民主、公明党、共産党を合わせて15人。
自民や日本維新の会の一部が賛成に回れば過半数の18人に達する計算だ。
しかし、国民民主が慎重姿勢を堅持すれば法務委での過半数獲得も容易ではなくなる。
なぜ国民民主は変わったのか。
先の衆院選以降の支持層の変化を指摘する声は少なくない。
国民民主の比例票は前回(令和3年)の259万票から617万票へと大幅に増えた。
連合関係者は石破政権に不満を抱く岩盤保守層の影響だと分析。
「安倍晋三政権を支えていた支持者が相当流れてきている」
と語る。
国民民主の勢いは2025年夏の参院選の結果も左右する。
歴代の自民政権は野党の分断を仕掛けることで
「1強」
態勢を築いてきた。
自民重鎮は、国民民主が積極的な候補擁立を決めたことに関して、
「野党同士で潰し合うことになる」
とソロバンをはじく。
一方、保守路線にシフトした国民民主はむしろ自民の票を奪うとの見方もある。
立民の閣僚経験者は
「国民民主はどんどん右傾化している」
「このままだと、参院選ではむしろ、自民票を食うだろう」
と指摘する。
いずれにせよ保守色を濃くした国民民主の影響力が、かつてないほど政界で強まっていることだけは間違いない。

産経調査結果に「子供への影響研究を」の意見 選択的夫婦別姓是非議論の自民WT
2025/2/20 20:41
https://www.sankei.com/article/20250220-YVSELFAQVBO4PDFUMDOGUJG67Q/
自民党は2025年2月20日、
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」(座長・逢沢一郎衆院議員)
の会合を開き、選択的夫婦別姓制度導入の是非に関する内閣府や報道各社などの世論調査結果について議論した。
産経新聞社が昨年2024年11〜12月に小中学生約2千人を対象に行ったアンケートも取り上げられた。
逢沢氏は会合後、記者団に、産経の調査が子供の意向を調べた唯一の調査だと指摘した上で
「もっと深く子供の意見を聞くことや、新しい制度になった時に子供にどのような影響があるかを研究すべきだとの意見がかなり出た」
と語った。
産経のアンケートでは、夫婦別姓導入で家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。

「選択的夫婦別姓は強制的親子別姓」池谷准教授 日本会議懇談会に自民、維新から75人
2025/2/19 18:05
https://www.sankei.com/article/20250219-TFPDA63IWJMPBLR6MOGN2BRYXQ/
超党派の保守系議員で作る
「日本会議国会議員懇談会」(会長・古屋圭司元拉致問題担当相)
は2025年2月19日、国会内で家族制度を考える勉強会を開催した。
自民党と日本維新の会から代理出席を含め計75人が出席し、選択的夫婦別姓制度を導入することによる子供への影響などについて意見を交わした。
会合では、家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授が
「選択的『夫婦別姓』は強制的『親子別姓』です−親子別姓は何をもたらすか」
と題して講演した。
出席者によると、池谷氏は別姓制度導入によって夫婦別姓が親子別姓、兄弟別姓になっていくことは、子供の発達に悪影響が出る可能性があることを指摘したという。
講演後には質疑応答が行われ、出席者からは
「個人が先立ち過ぎてしまうと家族の一体感や、社会の安定性が損なわれることになるのではないか」
との意見が出た。
別の出席者は
「従来の戸籍制度は非常に優れた制度だ」
「しっかりと残していくことを考えるべきだ」
と主張した。
同懇談会では、一昨年2023年に家族プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、家族制度に関する議論を重ねてきた。
山谷えり子・家族PT座長(自民)は会合後に記者団に対し、別姓制度に関して
「家族や社会の在り方に大きく影響する問題だ」
「選択的だからといって、その人だけの問題ではないという視点で進めることが大事だ」
と述べた。

選択的夫婦別姓めぐる朝日、共同の二択質問 「前提がおかしい」自民党内に不信募る
世論調査
2025/2/17 17:08
https://www.sankei.com/article/20250217-D7AYVEPQWJKWNLAY6WPSVJ7CLA/
選択的夫婦別姓制度を巡る報道各社の世論調査で、制度導入の賛否の二択で質問した場合と、旧姓の通称使用拡大を含めた複数の選択肢を提示した場合では回答結果が大きく異なった。
自民党では旧姓の通称使用拡大の議論が進む。
党内の一部には、この選択肢を排除し、二択で質問し続ける報道機関への不信感が募っている。
2025年2月16、17両日に公表された共同通信や毎日、朝日、読売の世論調査では、今国会の焦点となっている選択的夫婦別姓制度に関する質問がいずれも盛り込まれていた。
ただ、質問の選択肢の内容は各社で分かれた。
選択的夫婦別姓制度導入について
「賛成」

「反対」
の二択で回答を求めたのは朝日と共同だ。
朝日は同制度に関し
「法律を改正して、夫婦が同じ名字でも、別々の名字でも自由に選べるようにすることに賛成ですか」
と質問。
賛成が63%、反対が29%だった。
旧姓の通称使用拡大についての質問はなかった。
共同は同制度導入の賛否を尋ねた上で、旧姓の通称使用拡大について
「名字変更で生じるさまざまな問題や不便が解決すると思いますか」
と質問し、
「解決しない」
が58・1%に上った。
一方、毎日は同制度の導入や旧姓の通称使用拡大、両方を進める、両方を進めないとの選択肢を用意。
いずれの回答も16〜24%に分散した。
読売は3つの選択肢を示し、
「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
との回答が46%で最も多かった。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民党内ではかねてから
「二択では、国民の声を正確に受け止められない」(党若手)
との意見が根強くある。
自民党関係者は
「一部報道機関は質問の前提がおかしいのではないか」
と不満を口にした。

<主張>選択的夫婦別姓 「親子別姓」を強制するな
社説
2025/2/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20250214-LMH5A675K5OQ5DMKI5JPAB2FOQ/
親子別姓を強制するおかしな制度だ。
選択的夫婦別姓のことである。
自民党は導入の是非を巡り、党内議論を始めた。
夫婦が同じ姓であるのは現代日本人の家族観と結び付いている。
結婚時の姓の変更に伴う不便を解消するための議論はあって然るべきだ。
だが、子供の立場を蔑ろにし、家族の一体感を損なう選択的夫婦別姓制度の導入は弊害が多過ぎる。
賛成することはできない。
自民の夫婦別姓に関するワーキングチームの会合で、高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は政権を奪還した平成24年衆院選で旧民主党の夫婦別姓案に反対した」
「その後も(旧姓の)通称使用拡大を約束してきた」
と主張した。
座長の逢沢一郎衆院議員が、意見集約の期限を設けないとしたのは妥当だ。
石破茂首相(自民総裁)2025年2月12日の国会で、選択的夫婦別姓制度について
「いつまでも結論を先延ばしにしてよい問題とは考えていない」
と述べたのは理解に苦しむ。
立憲民主党は選択的別姓の実現に向けた推進本部を立ち上げた。
だが、安易な導入は取り返しがつかない。
立民などは子供たちが受けるであろう悪影響を軽く見ている。
夫婦別姓では、父か母のどちらかが必ず子供と別の姓になってしまう。
疎外感を持つ子が出てくるだろう。
どちらの姓を子供に付与するかを巡って祖父母らも絡み、争いが生じかねない。
最も喜ばしい子供の誕生時に起きていい話ではない。
導入論者は、夫や妻の事ばかりに拘り、親よりも弱い立場にある子供の存在を軽んじている。
極めて残念だ。
子供を優先するのが親や社会の務めだと気付いてもらいたい。
選択的夫婦別姓が導入されれば戸籍制度も変質する。
姓は砂粒のような個人の呼称へ変貌する。
先祖から子孫へと、世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、そもそも姓を名乗る必要があるのだろうか。
選択的とはいえ別姓は個人の問題ではない。
家族や社会の在り様に関わる大問題だ。
令和3年の内閣府世論調査では、選択的夫婦別姓を求めたのは3割に届かず、同姓維持と同姓のまま通称使用の制度化を望む声は7割弱に上った。
政党は社会に分断を招いてはならない。

最大の問題は「子の姓」、旧姓の通称使用拡大へ結論を 国士舘大・百地名誉教授
2025/2/7 19:38
https://www.sankei.com/article/20250207-27NPT5X3KZJTHEUXDATVONIM4Q/
自民党は来週、選択的夫婦別姓制度を巡る党内議論を本格化させる。
同制度の問題点や旧姓の通称使用拡大について、国士舘大の百地章名誉教授(憲法学)に聞いた。

選択的夫婦別姓制度の最大の問題は子の姓の扱いだ。
生まれたばかりの子には姓の選択権がない。
それどころか、別姓家庭に生まれた子は、父か母いずれかの名字とは異なる
「親子別姓」
を強制させられる。
現在、一部の野党が示す案では、子が生まれる度に夫婦が姓を決めるとあるが、現行の戸籍法では出生後14日以内に氏名を届け出なければならないため、夫婦間の協議が整わなければ無戸籍児になる。
別姓夫婦が結婚時に生まれてくる子の姓を事前に決めておく案もある。
だが、決められなかった場合は婚姻届が出せず、
「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」
と定めた憲法24条に違反する恐れがある。
野党案はこうした問題の解決に
「家庭裁判所に判断を求める」
とするが、正当な判断基準は見当たらない。
別姓導入賛成派の論拠は、平成27年と令和3年の最高裁判例が
「この種の制度の在り方は国会で論ぜられ、判断されるべきだ」
と判示したことだ。
しかし、判決は同姓制を合憲としており、別姓導入を求めたわけではない。
各種調査では5割近くが通称使用拡大を必要とする一方、別姓導入賛成は2割程度にとどまる。
これは便宜上の不具合を改善してほしいということに他ならない。
旧姓の通称使用拡大を別姓制度の
「妥協案」
と捉えてはいけない。
別姓導入の議論が浮上したことで通称使用の拡大の議論が熟した側面もあるが、考え方は全く違うものだ。
これまで懸案になっていた姓を巡る問題を解決するためにも、通称使用拡大の法整備に向けて結論を出すべき時期に来ている。

夫婦別姓議論、旧姓の通称使用拡大巡り自民保守派に複数案…一本化できなければ党分断も
2025/2/7 18:39
https://www.sankei.com/article/20250207-5X76YPN3GNMSVGNGL6VGUKS67E/
今国会の焦点である選択的夫婦別姓制度を巡り、自民党は来週、党内議論を本格化させる。
家族の在り方を変える懸念から、制度導入に慎重な保守系議員らは旧姓の通称使用を拡大する方向で意見集約を目指す。
ただ、慎重派の間でも通称使用拡大に関して複数の案が存在しており、一本化を巡っては党の分断に繋がる恐れもある。
2025年2月4日午後、党本部で開かれた有志グループ
「保守団結の会」
の会合。
顧問を務める高市早苗前経済安全保障担当相は
「自民は多くの方に、旧氏を通称使用する機会をもっともっと拡大する約束を何度もしている」
「これを早期に実現することが一番だ」
と強調し、通称使用拡大に向けた私案を示した。
高市氏の私案は、戸籍上は同姓を維持しつつ、旧姓の通称使用拡大を法律で位置づける。
現状、住民票やパスポート(旅券)などの公的証明書は希望すれば、現在の姓と旧姓の併記が可能だ。
この仕組みを幅広い分野に広げて不便を解消するため、国や地方公共団体、事業者に必要な措置を取るよう求める。
高市氏は以前、戸籍法の改正を視野に入れていたが、住民基本台帳法施行令の一部改正によって住民票などに旧姓併記が可能となったため、戸籍法は改正しない形とした。
別姓制度導入の是非が改めて注目されるきっかけとなった経団連の昨年2024年の提言は
「通称は法律上の姓ではないため、旧姓併記を拡大するだけでは解決できない課題も多い」
と指摘していた。
一方、衛藤晟一元沖縄北方担当相らの案は、公的証明書への旧姓の併記と単独使用のいずれも可能とする。
旧姓の使用を法制化し
「法定旧姓」
とすることで別姓制度を導入しなくても、経団連が指摘するような課題の解決に繋がるとしている。
稲田朋美元防衛相は、
「婚前氏続称制度」
の創設を主張する。
旧姓を通称ではなく
「呼称上の氏」
として法的に認め、公的な場面では旧姓を使用することを想定している。
慎重派は複数案を一本化し、導入推進派に対して党内議論の主導権を握りたい考えだ。
党内には、拙速な議論は避けるべきだとの意見もあるが、立憲民主党は今国会で導入に向けた民法改正案の提出を予定している。
自民の森山裕幹事長は2025年2月4日の記者会見で、関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張した。

「強制的親子別姓」「子供に選択の機会ない」選択的夫婦別姓を日本女性の会が危惧 横浜で
2025/2/7 10:50
https://www.sankei.com/article/20250207-XGELSVKT5FGOVOVXV2OLGIPJ3A/
日本女性の会神奈川は2025年2月6日、JR横浜駅前で今国会の焦点とされる選択的夫婦別姓の導入に反対し旧姓の通称使用の法制度化を求める街宣活動を行った。
選択的夫婦別姓について、
「強制的親子別姓、強制的家族別姓です」
「家族がバラバラになります」
などと懸念を訴えた。
日本女性の会は日本会議の女性組織。
約20人の女性らがビラを配ったり、マイクで訴えたりした。
導入を求める側の人々が唱える
「選択制だから誰も困らない」
という訴えについては
「正しくありません」
「一番大きな影響を受けるのは子供です」
「選択制とはいえ、子供に選択の機会はありません」
などと危惧した。
同会は、4歳から高校2年まで10家族20人の子供に対し、それぞれの親から
「お父さんとお母さんが別々の名前になったらどう思う」
と尋ねてもらったところ、ほとんどが拒否感を示したという。
「家族がバラバラは絶対いや」
「うちは何家になるの」
との回答があったという。
同会神奈川の事務局長を務める横浜市の主婦、北島ゆり子さん(66)は
「子供は自分のことじゃなくて、親や家族全体のことを考えている」
「たかが名字、されど名字で、子供にとって大きな拠り所だと感じた」
と話した上で、
「子供の声は社会に反映されにくい」
と語り、丁寧な議論を訴えた。
北島さんは、10家族20人の調査について
「親にとっては、子供の考えを改めて感じ、絆が強まった機会になったといってくれた」
と述べ、選択的夫婦別姓の導入の是非が社会の話題になりつつある状況について
「反対派も賛成派も、改めて家族で『家族とは何か』『親子とは何か』を考える機会になれば一番いいと思う」
と語った。

夫婦別姓反対や通称使用法制化の推進を訴え 日本女性の会神奈川
2024/12/26 19:30
https://www.sankei.com/article/20241226-52IAT4YH4BMI3LSVHODYVHHQ5M/
日本女性の会神奈川は2024年12月26日、神奈川県藤沢市のJR藤沢駅前で
「夫婦別姓反対・通称使用法制化推進」
の街宣活動を行い、
「国民は選択的別姓制度を求めていません」
などと書かれたビラを配った。
参加したのは、同会や日本会議神奈川などの約10人。
メディアなどの調査をもとに、
「国民の7割が『別姓』に反対」
「中高生の9割以上が『別姓』に反対」
などと書かれたのぼりを掲げ、通行する人に
「姓の選び直しで社会は混乱する」
と語りかけ、通称使用の法制化を訴えた。

自民「創生日本」再始動、通称使用拡大案を提示「国の根幹めぐり党が割れるようでは…」
2025/2/5 18:55
https://www.sankei.com/article/20250205-5XCFEWLYMFOEZAAPSUVO5LP2FY/
安倍晋三元首相が会長を務めた自民党の保守系議員連盟
「創生『日本』」
は2025年2月5日、国会内で総会を開き、選択的夫婦別姓制度を巡り議論した。
総会の開催は約2年ぶりで、旧姓の通称使用を拡大する党内の複数の案が示された。
同制度の導入を巡っては党内で賛否が割れているが、同議連は通称使用拡大での意見集約を目指す方針だ。
「夫婦別姓は国民の間でも実際にどういうものか、実施したらどうなのかなど理解されていない点もある」
「議員も同様ではないか」
同議連会長代行の中曽根弘文元外相はこう強調した。
総会には、萩生田光一元政調会長や高市早苗前経済安全保障担当相、小林鷹之元経済安保担当相ら約40人が参加した。
この日は産経新聞の皆川豪志編集局コンテンツ統括を講師に招き、
「ごまかしの選択的夫婦別姓議論」
と題した講演も行われた。
皆川氏は、産経新聞が同制度について小中学生約2000人を対象に行ったアンケートの結果を説明し、
「国の根幹に関わる家族の在り方を巡り、党内の意見が割れるようでは有権者に見放されるのではないか」
と苦言を呈した。
同制度の導入には、立憲民主党などの野党に加え、連立を組む公明党も前向きな姿勢を示しており、今国会での焦点となる見通しだ。
自民では今月2025年2月中旬にも
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
での議論が本格化するが、推進派、慎重派が混在している状況で、党内議論は難航が予想される。
■「自民離れ加速」選択的夫婦別姓への懸念
一方、保守系議員を中心とした慎重派は、今月2025年2月に入って発信を強めている。
2025年2月4日には有志グループ
「保守団結の会」
が会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
慎重派の念頭には、家族の在り方を変えうる制度を導入すれば
「保守層の更なる自民離れが加速する」(中堅)
との懸念があるためだ。
ただ、安倍氏の死去後、党内の保守系議員の結集軸は失われたままだ。
慎重派が党内議論を主導できるかどうかの予測は難しい状況だ。

自民・高市早苗氏講演の「保守団結の会」に20人 出席議員一覧 旧姓通称使用の拡大を
2025/2/4 18:50
https://www.sankei.com/article/20250204-PWUCMPUC5JB4NIWYXAD7NLGAXY/
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が2025年2月4日、選択的夫婦別姓の導入の是非を巡り旧姓の通称使用の拡大を講演で訴えた保守系有志議員グループ
「保守団結の会」
には20人超の現職議員が出席した。
確認できた20人は以下の通り(敬称略)

≪衆院当選10回≫
高市早苗
≪当選6回≫
関芳弘
≪当選5回≫
黄川田仁志、中村裕之、簗和生
≪当選4回≫
三谷英弘
≪当選2回≫
石橋林太郎、尾崎正直、鈴木英敬、平沼正二郎、松本尚
≪当選1回≫
山本大地
≪参院当選3回≫
上野通子、北村経夫、西田昌司
≪当選2回≫
赤池誠章、佐藤啓
≪当選1回≫
白坂亜紀、田中昌史、若林洋平

選択的夫婦別姓巡り自民保守系活性化 5日に「創生『日本』」会合 党内意見集約は難航も
2025/2/4 18:42
https://www.sankei.com/article/20250204-UHSO75LGNNK2ZO6HRYKGPFVVIY/
自民党の保守系議員が、選択的夫婦別姓制度の導入に否定的な発信を強めている。
有志グループ
「保守団結の会」
は2025年2月4日、党本部で会合を開き、制度導入に向けた拙速な議論を牽制した。
立憲民主党が制度導入法案の提出を予定するなど、夫婦別姓を巡る議論が今国会の焦点の1つに浮上する中、石破茂首相(自民総裁)は、早期に党見解を取りまとめたい考えを示す。
ただ、党内は慎重派と推進派で割れており、意見集約は容易ではない。
「今、自民がやらなければいけないことは、公約を守り、多くの方の不便を更に解消できる法案を出すことだ」
高市早苗前経済安全保障担当相は2025年2月4日の保守団結の会の会合で、同制度の導入ではなく、自民が選挙公約に掲げた旧姓の通称使用の拡大を推進するべきだとの考えを重ねて強調した。
2025年2月5日には、安倍晋三元首相が会長を務めた自民内の保守系議連
「創生『日本』」
が夫婦別姓をテーマに会合を開く。
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
も近く会合を予定しており、保守派による発信が活発化している。
衆院で与党が過半数割れする中、立民が今国会に同制度導入の法案を提出すれば、可決される可能性がある。
自民の保守系議員は慎重論で党内をまとめたい考えだが、旧姓の通称使用の拡大についても、党内に複数の案があり、意見の集約には至っていない。
■慎重派に危機感
自民の森山裕幹事長は今国会で関連法案を採決する際の党議拘束の必要性を重ねて主張する。
推進派を中心に
「党議拘束をかけない方がいい」
という意見が燻っていることが念頭にある。
自民の
「氏制度の在り方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部は2025年2月4日、国会内で今後の議論の進め方などについて協議した。
出席者の1人は、今月2025年2月中旬にも党内で議論の場を設ける考えを示した。
慎重派のベテラン議員は
「通称使用の案を早く取りまとめて、党内の導入賛成派の人も含めて合意を得なければならない」
と危機感を示す。

「選択的」別姓論の大いなる逆説 何が「個」を失わせるか
正論2025年3月号 早稲田大学非常勤講師 大場一央
「早稲田なんか入りたくなかった」
「自分は東大に行くはずだった」。
こう思った学生が、いつまでも早大生と名乗ることを嫌がって学内で孤立する。
「私は栄光ある巨人軍で長年プレーしてきた」
「今度北海道日本ハムファイターズに移籍するが、
『いつまでも自分は巨人の何某である』
と宣言する」。
こんな新入団選手を、ファイターズファンは複雑な気持ちで見つめる。
結婚して別姓を
「選択」
するということは、そういうことだ。
結婚したての頃は、相手方の親族とどういう距離感で付き合うべきかも分からず、一方で夫婦の考えや感性の擦り合わせも行わなければならないから、実は最も苦しく孤独な時期である。
そんな時期に、男性側の姓にせよ女性側の姓にせよ、結婚したにもかかわらず別姓を
「選択」
するということは、相手方の親族に対して、あなたがたのチームに入る気はありませんと、出会い頭に拒絶していることになる。
別姓が強制されるならまだしも、
「選択」
は当人の意思が際立つ。
最悪の一手を打ってしまったと言うしかない。
子供を授かったら更に深刻だ。
とかく子供は親の喧嘩に敏感である。
黙っていられるならまだしも、どちらに味方するか迫られたら、どちらも悪く言うのは嫌だから、困った挙げ句に泣きたくなる。
白紙のような頭と心に刷り込まれた親の考え方や感性は、良くも悪くもかなり長い間、子供を支配する。
その親が2つに分かれ、子供にいずれかの姓を
「選択」
させる。
これはチームが分かれるどころか、子供の人格を作るモデルの分裂であり、アイデンティティーもへったくれもない。
ここで争おうものなら、離婚した両親が親権を争う姿を見て、自分の存在そのものを否定してしまうような、不幸な自意識が生まれても不思議ではない。

選択的「夫婦」別姓は強制的「親子」別姓だ こんなにある致命的欠陥
正論2025年3月号 元東京新聞編集委員 椎谷哲夫
数年前、元文科事務次官の前川喜平氏がSNSでこんな発言を醸した。
「同性婚も選択的夫婦別姓も、それで幸せになる人がいて、不幸になる人はいないのだから、誰にも反対する理由はない」
「反対する人は、自分の好き嫌いを人に押し付けて、人を不幸にしているのだ」
自由な議論を行うことが民主主義の根幹であるはずだが、前川氏は自分と意見の違う人たちを黙らせようとした。
「選択的夫婦別姓」
は、こんなにも人を攻撃的にしてしまうのか。
公明党とも連携して別姓法案を国会で通そうとする立憲民主党の野田佳彦代表は採決で
「(自民党の賛成議員を)炙り出す」
と言い放った。
理はこちらにあるから決着をつけようということらしい。
だが、選択的夫婦別姓には、解決しようのない問題がいくつもある。
30年ほど前、別姓導入を打ち出した法制審議会は、子供の姓を
「いつ決めるか」
で揉めた。
制度導入の最大の弱点だから、今も決着はついていない。
別姓派の理論的支柱である民法学者は
「戸籍」
をばらばらにして
「個籍」
にするべきだと言っている。
「戸籍の解体」
だ。
まだある。
仮に選択的夫婦別姓が導入されても
「夫婦同姓を維持して旧姓の通称使用を法制化してほしい」
という多数派のニーズは満たされず放置されるのだ。
■「子供の姓いつ決めるか」で対立
選択的夫婦別姓は、片方の親と子が必ず別姓になる
「親子別姓」
である。
家族の中に異なる2つの姓があるということで言えば
「家族別姓」
である。
更に、子供の意思と無関係に親の都合で子供が別姓を強いられるという意味では
「強制的親子別姓」
と言ってもよい。
選択的夫婦別姓の法案要綱を答申した法制審議会に法務省参事官として関わった小池信行氏も講演録『夫婦別姓を考える(『法の苑』2009年春)』の中で
「夫婦別姓の問題は最終的には子の氏の問題に帰すると思っている」
と語っている。
選択的夫婦別姓にした場合、
「いつ子供の姓を決めて届けるか」
が問題になる。
最大の要点であり、難点でもある。
平成8(1996)年2月に法務省の法制審議会が答申した
「民法の一部を改正する法律案要綱」

「婚姻の際に届ける」
としている。
これに対し、立憲民主党・共産党など野党が令和4(2022)年6月に共同で国会に提出した
「民法の一部を改正する法律案」

「出生時に届ける」
としている。
立憲民主党など野党は与党の公明党も引き入れ、この法案を再提出して閉会中の通常国会(2025年6月中旬会期末)で成立させようとしている。
実は30年近く前の法制審議会で、子の姓の決め方について意見が真っ二つに分かれて揉めた経緯がある。
■「婚姻時の届け出」は憲法違反
当時、民法部会員として審議に加わった元都立大法学部長の唄孝一氏(故人)は『家族ージェンダーと自由と法』(水野紀子編)で
「子供の氏について意見が違ったわけである」
「これは最終的に案を決める上でネックになったものであった」
と振り返っている。
唄孝一氏によると、原案(法制審議会の法律案要綱)については、前述のように
「婚姻の際に届ける」
ことになっているため
「婚姻の要件を加重する」
との批判があった。
婚姻するために新たな条件が負担として加わると考えれば分かり易い。
これについては、前述の講演録
『夫婦別姓を考える』
で小池信行氏も言及している。
「婚姻というのは憲法に夫婦の間の合意さえあれば成立すると書いてあるではないか、それなのに子供の氏を決めなければ婚姻ができないのは憲法違反である」
との強い批判があろと指摘。
更に
「結婚しても子供を作らないという夫婦や、あるいは年齢的にもう子供ができないという夫婦についても、生まれてくる子供の氏を決めなさいというのは、心理的な抵抗があることを挙げる人もいる」
「つまり子供は自分たちには不要だと考えている人たちにも、子供の氏を決めないと婚姻届を受理しないのは酷ではないか、そういう反対論がある」
というのだ。
■「出生時の届け出」で「姓の取り合い」も
これに対し、立憲民主党などの
「出生時に届ける」
という考え方も致命傷になりかねない問題を抱えている。
この案は法制審議会の
「婚姻の際に届ける」
の対案として出たものだ。
出生届は生後14日以内だが、その間に決まらなかったら、どうするかという問題が出てくる。
立憲民主党はHPに
「(夫婦間の)協議不調・協議不能の場合は家庭裁判所の審判に委ねる」
と記している。
だが、家裁が何を基準に子供の姓を決めるというのか。
前述の小池信行氏は
「家庭裁判所が多分頭を抱えることになる」
と指摘する。
離婚の判決で未成年の子の親権を決める際は、夫婦と子供には、それまでの生活があるから判断材料がある。
子供から意見を聴くことも可能だ。
だから、父母のどちらが適任かを判断できる。
しかし、子供を授かったばかりなのに、どちらが人格的に優れ、経済力があるかで決められる性格のものではない。
赤ちゃんは意思表示などできない。
双方の実家が
「うちの姓にして欲しい」
と介入し、子の姓の取り合いになる可能性だってある。
夫婦が一緒に暮らすわけだから、双方が完全に納得しないと、その後の家庭生活にも影響する。
審判が長引けば
「戸籍のない子」
になったり、訴訟に発展する恐れもある。
夫婦同姓の子であれば、生まれた瞬間に姓が決まり、摘出でない子も母の姓に決まるのに、別姓夫婦の赤ちゃんは、出生直後から
「不利益」
を被ることになる。
平成6年に批准した
「児童の権利に関する条約」
の第7条には
「児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし・・・」
とある。
そんな欠陥を抱えたまま別姓法案を通そうとしても、国民感情が許さないだろう。
■経団連も「子の不利益」を素通り
経団連は夫婦別姓について
「先送りできない最重要課題」
だと主張し、政府を揺さぶっている。
企業の経営者だって家族の一員なのだが、ビジネス上の利益確保という視点だけで問題の可否を論じようとしている。
筆者は令和6(2024)年6月、日本記者クラブで行われた経団連のダイバーシティ推進委員長である魚谷正彦氏(当時資生堂会長)の講演で、親子の姓の分離の問題についての見解を求めた。
魚谷正彦氏は
「私は非常に大変重要なことだろうと思っているが、経団連としてどうすべきだ、こうすべきだというスタンスは取っていない」
と答えた。
「組織として関知しない」
ということなのか。
余りにも無責任だ。
■3択の世論調査こそ民意反映
東京地検特捜部出身で元法相の山下貴司氏は、令和6年12月の衆院予算委員会の質疑で石破茂首相を前に、選択的夫婦別姓制度は
「硬直的制度」
であり
「家族別姓か、旧姓を法律上の姓として使用することを諦めるかという究極的な選択を迫るものだ」
と述べた。
選択的夫婦別姓が導入されても、
「夫婦同姓を前提に通称使用を法制化する」
という国民のニーズは満たされない。
だから、選択的夫婦別姓制にしない限り、法的根拠をもって旧姓を使うことはできない。
山下氏の言う通りである。
国会でのこれまでの質疑を聴いていると、立憲民主党や公明党などの国会議員は、選択的夫婦別姓の正当性を訴えるのに、
「賛成」
「反対」
の2択の調査結果しか使わない。
その方が都合の良い結果が出るからだ。
朝日新聞の令和6年7月の2択の世論調査は
「賛成」73%
「反対」21%
NHKの令和6年7月の世論調査は
「賛成」59%
「反対」24%
だった。
共同通信や日本経済新聞・毎日新聞も同様だ。
これに対し、内閣府の世論調査は3択だ。
令和3年12月の調査(翌年令和4年3月公表)は
「夫婦同姓を維持した上で旧姓の通称使用の法制度を設けた方がよい(42.2%)」
「現在の夫婦同姓の制度を維持した方がよい(27%)」
「選択的夫婦別姓の制度を導入した方がよい(28.9%)」
だった。
令和6年7月の「JNN」(TBS系列のニュースネットワーク)の調査も、
「同性を維持しつつ旧姓を通称としてどこでも使えるように法制化すべき」
が最も多い47%になり、
読売新聞の令和6年9月の調査も
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称使用として結婚前の名字を使える機会を拡大する」
が最多の47%を占めた。
ちなみに、産経新聞・FNNは、短期間に2択と3択を分けて訊いている。
令和6年7月の調査は、朝日新聞やNHKと同じ2択で、
賛成66.6%
反対25.5%
だった。
令和6年9月の調査は
「夫婦同姓を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる法整備をする」
との選択肢を加えた回答を求めた。
その結果、追加した選択肢が最大多数の46.5%となり、賛成は38.9%、反対派12%に減った。
数字だけ見ると、賛成と反対で減った分の合計41.2%に、2択で賛否を明らかにしなかった5%が加わったことになる。
この結果をどう捉えればよいのか。
2択で「YES」か「NO」を迫られたら、割り切れなくてもどちらかを選ぶしかない。
「選択的だから」
という程度の判断で決めた人が多かったと想像できる。
これに対し3択は、選択肢が多くなった分、回答者の隠れていた意思が表に現れたと言える。
どちらが民意を反映しているかは、考えるまでもないだろう。
それでも、別姓推進派はそうした
「不都合な真実」
を無いことにしてしまう。
朝日新聞やNHK、共同通信など選択的夫婦別姓導入に熱心なマスコミは、国民世論の意思を2択でしか探っていない。
一体何を恐れているのか。
■個人籍への移行は「戸籍の解体」
選択的夫婦別姓制度を導入した場合に
「戸籍」
がどうなるかも心配だ。
福島瑞穂・社民党党首は平成5(1993)年に当時の日本社会党機関誌局が出した
『夫婦別姓 家族をここからかえる』

「Q&A」
に、
「個人の尊厳という観点からはこの際思い切って個人登録にすべきだ」
とした上で、
「(個人登録は)個人単位になるわけですから『戸籍制度』という言葉自体もなくなるべきです」
と書いている。
「個人単位の登録」
については、選択的夫婦別姓制度導入運動の後ろ盾である立命館大学名誉教授の二宮周平氏も同じ主張を繰り返している。
『中央公論』(2022年6月号)では
「現実の家庭生活は(中略)多様な家庭生活・私生活が共存している」
「それにもかかわらず、夫婦と子という特定の家族像を基本にすることは、最早現状に合わない」
「戸籍制度も、多様な家族の在り方を保障し、支える制度にする必要がある」
と述べ、その編製を
「個人単位にすべき」
と主張している。
そして、
「各自が言わば筆頭者となり、自分を中心に、自分との関係で父母・配偶者・子を記載する形式こそ、自分が『人生の主人公』であることを明瞭に示すものであり、憲法の理念に忠実なものである」
と説いている。
■「戸籍維持」とは言わぬ井田氏
二宮氏は、編製上の問題であって戸籍の廃止ではないと言うが、一般国民の感覚からすれば
「戸籍の解体」
である。
選択的夫婦別姓制度が導入されると、社会制度上の統一性がないから、最終的には圧倒的少数派の
「個籍」
に収斂されていくであろう。
その時、戸籍という言葉は消える。
彼らの主張の背景には、現行の
「戸籍の筆頭者」
が、戦前までの家制度の名残りだという考え方がある。
筆頭者とそうでない家族との間に
「主従関係」
を持ち込むというのだ。
選択的夫婦別姓運動を主導してきた人々の
「共通の認識」
にもなっている。
井田奈穂氏が事務局長を務める
「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」
は、HPの
「選択的夫婦別姓Q&A」
にわざわざ
「戸籍の問題も戸籍を維持しているのも日本だけですので、戸籍を維持していくかどうかは別途議論の余地はある」
と記している。
「戸籍は維持する」
とは言っていないのだ。
■「家名存続なんて幻想の産物」
「改姓するとアイデンティティが失われる」
という意見がある。
自分が生きて来た家庭の
「アイデンティティ」
を、結婚後の新しい
「絆」
よりも優先するということだ。
法学・社会哲学者の青木孝平氏は
「夫婦の別姓がもたらすものは、夫と妻という他人同士の紐帯よりも、結婚後もそれぞれが生家の親との関係を重視する血縁的紐帯への過剰な依存である」
と自著で説く。
「一人っ子の男女がそれぞれの実家の家名を守るには別姓しかない」
と言う人もいる。
その場合、双方の実家(祖父母)は、孫にも家名を継いで欲しいだろう。
だが、子供が生まれるとは限らないし、生まれたら姓を振り分ける必要がある。
一人っ子なら、両家に
「姓の取り合い」
の感情も生まれる。
社民党党首の福島瑞穂氏が『楽しくやろう夫婦別姓』(1989年)に書いている。
「家名存続なんていうのは、元々幻想の産物である」
「娘夫婦が別姓になったとしても、孫が生まれないかもしれない」
「そしたら、そこで終わり」。
姓の決定は
「自己決定権(人格権)」
に属し、親から受け継いだ姓に縛られる必要はないというのが夫婦別姓派の主流だ。
■「別姓」に庶民が反発した歴史
選択的夫婦別姓導入を求める人たちが
「日本は元々、夫婦別姓だった」
というのは明らかな間違いだ。
彼らがその根拠の1つにしているのが、NHKの大河ドラマにも登場した北条政子だ。
源頼朝の正妻なのに、父親の北条時政の
「名字」
を名乗っているから
「別姓」
だというわけだ。
頼朝の
「源」
は天皇から与えられた血統を示す
「氏(うじ)」
であり、出自の異なる妻がこれを名乗ることはあり得ない。
そもそも、
「北条政子」
という呼称自体が、後世になって、人物を特定するために書物などで便宜的に使われるようになったものだ。
研究者によると、名字(苗字)は室町時代から江戸時代にかけ庶民にも広がった。
江戸末期の1801(享和元年)に幕府は
「苗字帯刀の禁令」
で武士や名主以外は使うことを禁じた。
それでも庶民は非公式に名字を使った。
明治政府は
「平民苗字必称令(明治8年)」
で全国民が名字を名乗ることを義務化し、翌年明治9年の太政官指令で
「妻は別苗字」
にするよう求めた。
古来の公家や武家の血統を示す
「氏(うじ)」
の概念を庶民に押し付けたもので、夫婦同姓を慣習としていた庶民は強く反発した。
その声を吸い上げた東京府は明治22(1889)年、政府にこんな上申書を上げた。
「凡ソ民間普通ノ慣例ニ依レバ、婦ハ夫ノ氏ヲ称シ、其生家ノ氏ヲ称スル者ハ、極メテ僅々ー」
(民間の慣例では妻は夫の氏姓・苗字を称しており、実家の氏を称する者は極々少ない)。
庶民は同姓を続けたが建前としての夫婦別姓が続いた。
明治31(1898)年には、日本初の民法に
「戸主及ヒ家族ハ其ノ氏ヲ称ス」
とする
「夫婦同姓」
が規定された。
■間違った通称使用の弊害を喧伝
経団連が喧伝する
「通称使用の弊害」
についても述べておきたい。
「DEI社会の実現を目指して」
と題する資料には
「海外に渡航する際の弊害」
の一例として
「空港ではパスポートのICチップのデータを読み込むがそこに旧姓は併記されていない」
「よってゲートでトラブルになる」
との事例がある。
意味不明な
「弊害」
だ。
旅券面に
「旧姓」
併記があっても、確かに入国審査官がチップを読み取るモニターには本名(戸籍名)が表示される。
しかし、航空券と照合する場合でも、チケットは
「本名記載」
だからトラブルになりようがない。
外務省が在外公館に問い合わせても、モニター表示が原因でトラブルになった事例は確認できないという。
入国審査のやり方は国によって千差万別だ。
普通はあり得ないが、旅券面の
「Former surname(旧姓)」
をたまたま見た入国審査官が
「これは何だ」
と訊いて、これにうまく説明できなかったということなのか。
外務省は、そのためにも渡航者に併記した英語のリーフレット配布しているのだ。
経団連の十倉雅和会長は昨年2024年、記者会見で
「改姓後に旧姓時代の研究論文の実績が認識されないといった弊害も耳にする」
と語った。
十倉会長は、世界中で100万人の研究者や権威ある研究機関が使っている
「ORCID(オーキッド)」
という登録システムを知らないようだ。
世界には同姓同名もあるし、結婚で改名した人、ペンネームを使う研究者も多い。
割り振られた16桁のID番号(数字)が、例えば結婚前の旧姓と戸籍を紐付けて人物の識別・特定ができるのだ。
日本でも登録を推奨する大学や団体が増えている。
■「経過措置」で既婚者も混乱か
この問題では
「これから結婚する人が対象だから私には関係ない」
という考えは禁物だ。
実は立憲民主党などの別姓法案には2年間の
「経過措置」
がある。
要は、既婚者に
「2人が合意すれば、今なら旧姓に戻せますよ」
と煽るような内容だ。
妻が
「我が家も別姓にしたい」
と反対する夫と揉めるケースも出てくるだろう。
全国の同性夫婦を対象にした
「姓の選び直し」
だから、他人事ではないのだ。

選択的夫婦別姓、子供の姓の扱い「議論されてない」 国民・榛葉氏、期限区切る動きに慎重
動画
2025/1/30 19:15
https://www.sankei.com/article/20250130-J5UGWSPWNVFTLLFPFDGAZ462VU/
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2025年1月30日、産経新聞の単独インタビューに応じ、選択的夫婦別姓制度の導入について、子供の姓の扱いなどに
「慎重な議論が必要で、政争の具にすべきでない」
と指摘。
一定の期限を区切って議論することに慎重な考えを示した。
榛葉氏は、制度の導入自体は
「成人の男女が(姓を)選択できるようにすることは、党がかねてマニフェスト(政権公約)で賛成している」
として、改めて賛意を示した。
ただ、
「問題は子供で、親子別姓という問題はあまり議論されていない」
と指摘した。
「兄弟で名字が変わったり、子供が(姓を)強制されたりするようになると、子供の目線からどうなのか」
「家族の問題もある」
とも語り、子供の扱いに関する制度設計が不十分なことに強い懸念を示した。
一部野党には、夫婦で子供の姓に関する意見が対立した場合、最終的に家庭裁判所で決める案もあるが、榛葉氏は
「家裁が決める話でない」
とも語った。
立憲民主党は、意見が割れる自民党の状況も見据え、今国会中の関連法案成立に意欲を見せるが、榛葉氏は
「政局や選挙の道具にすべきでない」
とも言及。
性急に結論を出すのではなく、制度設計の議論を徹底するよう求めた。
「大人の論理だけでなく、子供の学びや育みを考え、慎重に議論すべきだ」
とも強調した。

自民は旧姓使用拡大で一致を
阿比留瑠比の極言御免
2025/1/30 1:00
https://www.sankei.com/article/20250130-DGDTNV3NRZKT7MW5M4KSDHKE3U/
米国でトランプ大統領が復権を果たし、世界が目まぐるしく動いている一方、国会では十年一日の如く選択的夫婦別姓がどうの同性婚がどうのと内向きな議論が続いている。
そうした中で自民党の森山裕幹事長が夫婦別姓制度の導入を巡り、国会採決に当たっては
「党議拘束をかけないで結論を見い出すことは出来るだけ避けるべきだ」
と発言して注目を集めている。
これに関しては、選択的夫婦別姓に賛成の立場で党所属議員を縛ろうとしたとの見方も出たが、複数の自民党閣僚経験者は
「それは逆だ」
と説明する。
反対に、片方の親と子供が必然的に別姓となり、兄弟、姉妹同士が別姓となる可能性もある立憲民主党の民法改正案を成立させないことが目的だというのである。
「党議拘束をかけないと、党内にいる数十人の別姓賛成派・推進派が協力して立民の改正案が成立してしまう」
森山氏は別姓推進論者の中には、戸籍そのものをなくして
「個籍」
にすることを目指す人がいることを危惧しているのだという。
確かに、別姓推進論者には社民党の福島瑞穂党首のように著書にこう記した人もいる。
《私は、子供が18歳になったら家族解散式≠ニいうのをやろうと思っていて、それ以降は、パートナーと子供ともスープのさめない距離に住んで、名実共に個人単位で暮らしていきたいなと思っている》
《家族だって、ひとつの定義にすぎない》
《家族も個人のネットワークなんだ》
家族という社会の基本単位をなぜなくしたいのか、どうしてそこまで孤独に陥りがちな
「個」
に拘るのか理解に苦しむが、ともあれそういった指向性の議員は一定数いるのだろう。
それでは、自民党は党議拘束をかけて採決に臨むために、どんな法案を出そうというのか。
現在、広がっているのが
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」(萩生田光一元政調会長)
という考え方である。
実際、今月2025年1月の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査でも、選択的夫婦別姓制度導入に
「賛成」
の自民党支持者の割合は24・7%にとどまる。
一方で、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は49・8%に上り、納得が得られやすい。
石破茂首相(党総裁)も、2025年1月26日配信のインターネット番組で、選択的夫婦別姓について党内の賛否が割れている現状を踏まえて
「どちらの考え方にも偏れないとするならば、折衷案もありうべし」
と述べた。明言はしなかったが、旧姓使用の拡大・制度化を指すとみられる。
首相は元々別姓賛成派だったが、
「党をまとめる立場になると『俺の考え方についてこい』とならない」
とも語った。
自民党には、高市早苗元政調会長のように既に2度も党法務部会にこの法案を提出している議員もいる他、複数の議員がそれぞれの旧姓使用の拡大案を唱えている。
戸籍法改正と特別立法が必要なものや特別立法のみのもの、民法と戸籍法の双方の改正が必要なもの…と数種類あるが、これらを党内で議論してまとめていけばいい。
以前は選択的夫婦別姓に
「賛成」

「反対」
の2択だった各種報道機関の世論調査の設問も、最近は
「同姓を維持して旧姓使用を拡大」
という第3の選択肢を加えて聞く例が増えた。
その結果、別姓賛成派が多数派ではないことは最早明らかである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「旧姓の通称使用拡充が現実的」自民・小林鷹之氏、選択的夫婦別姓に疑問呈す
2025/1/28 18:02
https://www.sankei.com/article/20250128-VTTJDJNV5BOV7K7EFKBAAKEHD4/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相(衆院千葉2区)が、どちらかの親と子供が別姓になる選択的夫婦別姓に関し性急に結論を出すことに疑問を呈し、発信を強めている。
2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べた。
2025年1月25日にはこの発言を補う形で、X(旧ツイッター)に
「婚姻による改姓で不便を感じる方がいるのは事実で、そのニーズを解消するアプローチとして旧姓の通称使用の拡充や周知徹底による対応が現実的な解と考えます」
と投稿し、夫婦別姓の導入を
「慎重に臨むべきと考える」
と強調した。
理由として
「『子供の視点』を大切にすべき」
とも指摘。
「子供の選択権の有無、有るとした時にいつ、どういう状況で行使できるのか」
「夫婦間で揉めた場合、家庭裁判所が判断するのか」
といった論点を挙げた。
その上で、
「年限を区切り、拙速に結論を決める性質の話ではない」
「姓の在り方に関する議論は、時間をかけてでもしっかりと議論することが重要」
「合意形成に時間と労力はかかるが、粘り強くやることが大切だ」
と結んだ。

「いつまでも結論を先延ばしてよい問題ではない」 選択的夫婦別姓巡り石破茂首相が答弁
2025/1/27 14:33
https://www.sankei.com/article/20250127-HSONVJOP4BICTGPW2UTPQMJSGM/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月27日の衆院代表質問で、選択的夫婦別姓制度導入の可否について
「国民の関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしてよい問題とは考えていない」
と答弁した。
党としての意見集約に関しては
「議論の頻度を上げ、熟度を高めて参りたい」
と述べるにとどめた。
選択的夫婦別姓制度に対し、立憲民主党や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。

自民の小林鷹之氏、夫婦別姓論議に疑問「優先順位付けると、もっとやるべきことある」
2025/1/24 23:45
https://www.sankei.com/article/20250124-R63I26QYBRPL7EEK2FBUAULT3M/
自民党の小林鷹之元経済安全保障担当相は2025年1月24日、自身のユーチューブ番組で、選択的夫婦別姓を巡る論議に疑問を呈した。
「どこまで政治的な労力、資源を使うのかを考えるべきだ」
「物事に優先順位を付けると、もっとやるべきことはある」
と述べ、経済や防衛力の強化に取り組むべきだと強調した。

「首相が賛成打ち出せば党割れる」自民、夫婦別姓で2月中旬に議論本格化も意見集約難しく
2025/1/24 19:39
https://www.sankei.com/article/20250124-AHRH2TP2RZL6LDBS2REEZVPTTA/
通常国会が召集された2025年1月24日、選択的夫婦別姓制度に関する自民党の
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム(WT)」
の幹部らが協議し、2025年2月中旬にも議論の場を設けて党内議論を本格化させる見通しとなった。
党内で賛否が割れており、意見集約は難航しそうだ。
立憲民主党は選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案を提出する方針で、今国会の大きなテーマとなる。
WT座長の逢沢一郎衆院議員や小野寺五典政調会長らが2025年1月24日、国会内で協議した。
出席者の1人は
「先の衆院選で新たに当選した議員もいる」
「WTで党としての議論を整理した方がいい」
と語った。
立民が民法改正案を提出すれば、令和7年度予算成立後の今春にも国会審議が始まる可能性がある。
自民は2025年2月中旬から党内議論を加速させる。
とはいえ意見集約は簡単ではない。
自民党内に推進派と慎重派が混在しているからだ。
保守系議員を中心に、家族の在り方を変える可能性がある選択的夫婦別姓制度への慎重論が根強い。
一方、
「夫婦同姓で不自由を感じている人がいるのは事実だ」(中堅議員)
と制度導入を求める声も多い。
菅義偉政権下の令和3年にWTを設置した際も議論が紛糾し、論点整理をまとめたが、制度導入の是非には踏み込まずに結論を先送りにした。
慎重派の一部は今回、自民が賛成に傾かないよう党内議論を主導すべく、水面下で話し合いを重ねている。
ある保守系議員は
「もし石破茂総裁(首相)が賛成を打ち出せば党が割れる」
と語る。
推進派には、法案が国会に提出された際には
「党議拘束をかけない方がいい」(若手)
との意見がある。
これに対し、森山裕幹事長は2025年1月24日、記者団に
「1つの意見にまとめて国会に臨むことが大事だ」
と党議拘束の必要性を主張した。
立民の野田佳彦代表は2025年1月24日の記者会見で
「大事なことはなるべく多くの野党が連携すること」
と野党各党による民法改正案の共同提出を目指す考えを示した。
同時に
「与党からも賛同を得たい」
「特に公明党はぜひ実現したいという意向をお持ちだ」
と述べ、与党の公明との連携にも期待を寄せた。

石破首相、選択的夫婦別姓巡り「早期に自民案まとめ与党協議に」 公明の斉藤代表と会談で
2025/1/22 16:01
https://www.sankei.com/article/20250122-K4EH2ATLRJLMBPNKFQIRESITUE/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月22日、公明党の斉藤鉄夫代表と官邸で会談し、斉藤氏が求める選択的夫婦別姓制度の実現に向けた自公両党の実務者協議について
「できるだけ早い時期に自民の案をまとめ、与党案の協議に入りたい」
と応じた。
会談後、斉藤氏が記者団に明らかにした。
斉藤氏は
「自民の中にも様々な意見があり、まとまっていない」
「まとめる努力をして頂くことが大事なので待ちたいが、できるだけ早い時期に始めなければいけない」
と述べた。

選択的夫婦別姓、石破首相「わが党としてどうなのか明らかに」自民役員会で指示も党内異論
2025/1/21 20:20
https://www.sankei.com/article/20250121-H4QO74K43VJPFFBOLKDFGU4CSM/
選択的夫婦別姓制度を巡り、石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の党役員会で、通常国会で党としての考え方を取りまとめるよう指示した。
自民、公明両党の幹事長は同日、両党間で同制度の協議を進める方針を確認した。
自民は2025年1月24日の国会召集後の来月2025年2月にも党内議論を再開する見通しだが、家族の在り方を変える可能性がある同制度には慎重論や異論も根強く、党内議論の行方は見通せない。
■議論するほど課題
首相は2025年1月21日の党役員会で、選択的夫婦別姓制度に関し
「色々な考え方が党にもある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と呼び掛けた。
役員会に先立ち、自民の森山裕、公明の西田実仁両幹事長が会談し、両党間で共通認識を持ち、国会論戦に臨む方針を確認。
同席した自民の坂本哲志国対委員長は記者団に、子供の姓の選択など様々な論点があると指摘し
「論議すればするほど課題があるということを(自公が)お互いに認識した」
と述べた。
通常国会では、立憲民主党が選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案の提出を予定しており、令和7年度予算成立後の今春にも国会での議論が本格化する可能性がある。
一部の野党だけでなく、公明も推進派だ。
■紛糾避けられず
一方、自民では党内の賛否が割れている。
保守系議員を中心とする慎重派は保守支持層の
「自民離れ」
の更なる加速を懸念し、2025年1月21日の党総務会では出席者の1人が
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
と求めた。
鈴木俊一総務会長は記者会見で
「党の中でも色々な意見があるが、スケジュールありきで拙速に決めるのではなく、十分な議論をした上で納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
との考えを示した。
萩生田光一元政調会長は2025年1月10日のインターネット番組で同制度導入に反対し、
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓を奨励するのは如何なものか」
と述べた。
今後の党内議論の舞台は
「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」(座長・逢沢一郎衆院議員)
となるが、紛糾は避けられない。
慎重派は近く会合を開く予定。
一方、
「制度の導入は社会に求められている」
「必要だ」
(中堅)
との声もあり、賛否が混在する状況に自民ベテランは
「党が割れかねない」
と語った。

選択的夫婦別姓「大事な案件。丁寧に取り扱ってほしい」 自民総務会で出席者から意見
2025/1/21 12:27
https://www.sankei.com/article/20250121-ZXOETUYMP5NLVDMHGQ434L2BLQ/
自民党の鈴木俊一総務会長は2025年1月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓制度を巡り、同日の総務会で出席者から
「大事な案件だ」
「執行部でも丁寧に取り扱ってほしい」
との意見があったことを明らかにした。
選択的夫婦別姓制度は2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる見通しだが、自民内では同制度の導入に関して賛否が割れている。
鈴木氏は
「発言は(議論を)拙速に進めるなということであったと思う」
との見方を示し、
「国民の中でも意見が割れている」
「スケジュールありきで決めるのではなく、十分な議論をした上で、納得感が持てる結論に導くことが大切だ」
と語った。

石破茂首相「わが党としてどうなのだと明らかにしていく必要ある」 選択的夫婦別姓巡り発言
2025/1/21 11:45
https://www.sankei.com/article/20250121-N7BG5NCPERML7BCW34HOE5NMUY/
石破茂首相(自民党総裁)は2025年1月21日の自民役員会で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度について
「色んな考え方が党にある」
「我が党としてどうなのだということを明らかにしていく必要がある」
と述べた。
森山裕幹事長が役員会後の記者会見で明らかにした。
首相は、通常国会に臨む姿勢に関しては
「臨時国会と基本的に変わるものではないが、臨時国会で不十分だった所を指摘頂きながら臨みたい」
と強調。
召集日に行われる施政方針演説については
「今年2025年は戦後80年となる」
「国造りの基本軸や、令和の列島改造などなるべく具体的に示したい」
と説明した。

選択的別姓 自民支持層「賛成」24%、立民51% 「通称使用」は立民でも39%
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 18:10
https://www.sankei.com/article/20250120-4XRHISQ6DVJK3KHMD5J4OOCYGA/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、選択的夫婦別姓制度導入の可否を巡る自民、立憲民主両党支持層の見解の差が鮮明になった。
自民の「賛成」の割合は24・7%にとどまったのに対し、立民は51・5%に達した。
一方、
「同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」
は自民では49・8%、立民でも39・9%を占め、支持政党を問わず希望が根強い傾向が浮かんだ。
選択的夫婦別姓制度に対し、立民や公明党は推進の立場を示している。
自民は保守系議員らに慎重論があり、党としての見解は定まっていない。
別姓制度導入の法整備に
「反対」
と答えた人は、自民支持層に限ると21・5%となり、全体の14・7%や立民支持層の7・3%を上回った。
「通称使用を広げる」
との回答は、自民、立民以外の政党の支持層でも一定の割合を占め、公明と日本維新の会、国民民主党がそれぞれ4割強、共産党が3割強だった。
「賛成」
は共産で約半数に達し、公明が半数弱、維新と国民民主がそれぞれ3割強となった。
男女・年代別でみると、
男性の場合、「賛成」は18歳〜20代の47・5%が最も高く、「通称使用を広げる」は50代の52・0%、「反対」は70歳以上の24・1%が最高だった。
女性は「賛成」が30代(63・6%)、「通称使用」が60代(59・6%)、「反対」が70歳以上(24・0%)でそれぞれ最も高かった。
「通称使用」
と答えた割合は、男性全体で43・0%、女性全体で47・4%となり、年代別で最も低かった30代女性でも31・4%を占めた。
2025年1月24日召集の通常国会では選択的夫婦別姓制度の法整備が焦点の1つとなるが、導入推進派の政党には通称使用拡大の余地を検討する雰囲気は乏しい。
立民支持層ですら約4割に達する意見を軽視するなら、幅広い民意を踏まえた議論とは言えなくなりそうだ。

「選択的夫婦別姓」6割が導入否定的 世論調査の質問と回答(1月18〜19日)
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 13:03
https://www.sankei.com/article/20250120-HM6MG2V7XFOOPHBBNZJM4G3UNQ/
【問】希望すれば、夫婦それぞれが結婚前の名字を名乗ることができる「選択的夫婦別姓」について、立憲民主党や公明党は今年の通常国会で実現させるための法案の成立を目指している。「選択的夫婦別姓」導入の法整備についてどう思うか
夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる45.2
賛成37.5
反対14.7
他2.6

【問】石破茂内閣を支持するか
支持しない48.7(47.7)
支持する43.5(45.9)
他7.8(6.4)

【問】どの政党を支持するか
支持政党はない37.0(36.9)
自民党29.4(28.1)
立憲民主党10.1(9.0)
国民民主党7.2(11.3)
れいわ新選組3.5(2.9)
日本維新の会2.5(3.2)
公明党2.8(2.4)
他2.6(1.8)
共産党2.2(2.7)
日本保守党1.1(0.5)
参政党0.8(0.7)
その他の政党0.4(0.2)
社民党0.3(0.6)

【問】去年末の臨時国会では、衆院で過半数を割り込む与党が野党の修正要求を受け入れて補正予算が成立した。与党が野党の要求を受け入れる国会対応について評価するか
ある程度評価する57.1
あまり評価しない23.5
非常に評価する7.9
全く評価しない6.5
他5.0

【問】政治資金を巡る問題について、政策活動費の廃止など、政治資金規正法が与党と野党の賛成多数で改正された。政治とカネを巡る問題で自民党の信頼が回復したと思うか
信頼は全く回復していない44.4
信頼はあまり回復していない43.1
信頼がある程度回復した10.4
他1.5
信頼が大きく回復した0.5

【問】政治資金規正法の改正を巡り、「企業・団体献金」の扱いについて、与野党の間で結論が積み残しとなっている。「企業・団体献金」についてどうするべきだと思うか
維持してもよいが、透明性を高めるべき67.9
禁止すべきだ22.9
今のままでよい6.7
他2.5

【問】首相は、今年最初の会見で地方創生を柱に「楽しい日本を目指す」「令和の日本列島改造」などを政権の方針に掲げた。この方針を評価するか
評価しない47.0
評価する45.6
他7.4

【問】「年収103万円の壁」を引き上げる協議で、自民、公明両党は所得税の非課税枠を「123万円」まで引き上げる方針だ。一方で、国民民主党は「178万円」までの引き上げを求めている。どの程度まで引き上げるのがよいと思うか
140万円〜150万円程度まで引き上げるべきだ32.5
178万円まで引き上げるべきだ32.0
123万円まで引き上げるべきだ18.5
103万円のままでよい10.1
他7.0

【問】20日に米国でトランプ政権が発足する。トランプ次期大統領と石破首相の間で日米関係は良くなると思うか
変わらない58.1(59.6)
悪くなる32.5(32.3)
良くなる5.2(5.0)
他4.2(3.1)

【問】24日から始まる通常国会で、石破内閣に取り組んでほしい政策は(2つ選択可)
物価高・賃上げ対策56.0
年金・医療・介護33.6
子供・子育て支援28.4
防災・災害対策19.0
外交・安全保障15.6
地方活性化15.3
行政改革・財政再建9.7
原発・エネルギー政策8.8
憲法改正4.6
他1.8
それ以外0.7

【問】石破政権が今月上旬で発足から100日を超えた。今後、石破政権がいつまで続くのが良いと思うか
夏の参院選まで31.4
夏以降も石破政権が継続29.7
今年春頃の来年度予算が成立した後まで20.7
6月予定の通常国会終了まで13.1
他5.1
(注)数字は%。カッコ内の数字は12月14、15両日の前回調査結果。「他」は「わからない」「言えない」など。

■世論調査の方法
調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。
電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。
内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかと言えば」と再度質問して回答を得た。
調査対象は全国の18歳以上の男女1005人。
小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならない

選択的夫婦別姓は「通称使用の拡大」45・2% 「反対」含め6割が別姓導入否定的
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2025/1/20 11:43
https://www.sankei.com/article/20250120-ZVXXRT3MH5JVTCTCT4SGG7AVNM/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2025年1月18、19両日に実施した合同世論調査で、2025年1月24日召集の通常国会で焦点となる選択的夫婦別姓制度の法整備について尋ねたところ、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用を広げる」が45・2%
で最多となった。
「賛成」は37・5%、
「反対」が14・7%
だった。
「通称使用の拡大」

「反対」
を合わせると59・9%となり、約6割が選択的夫婦別姓を導入する法整備に否定的なことになる。
同様の質問をした昨年2024年9月の合同世論調査との比較では、
「通称使用の拡大」が1・3ポイント減、
「賛成」が1・4ポイント減、
「反対」が2・7ポイント増
だった。
昨年2024年7月の合同世論調査で、「賛成」か「反対」かの二択で質問した際は、「賛成」が66・6%、「反対」が25・5%だった。

萩生田氏が配信番組で見せた覚悟 岩盤保守層を蔑ろにする「選択的夫婦別姓」導入、石破首相が野党に「同調」なら阻止へ動く考え示す
2025.1/17 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20250117-YNSCJQHHIVLS3GWIP7FNJBY75Y/
NHKは政治家が他のテレビ局で発言しても民放テレビとしか言及しなかったが、最近は方針を変えたのか、自民党の萩生田光一元政調会長が2025年1月10日夜、櫻井よしこ氏が主宰する動画配信サイトの番組「櫻LIVE」に出演したと報じた。
正確には、「言論テレビ」の番組「櫻LIVE 君の一歩が朝(あした)を変える!」だが、私も一緒に番組に出演して、萩生田氏の「変化」を感じた。
まず、萩生田氏は旧安倍派の会計処理を巡って
「政治不信を招いてしまった」
と反省した。
その上で、昨年2024年10月の衆院選での演説や、その後の衆院政治倫理審査会への出席を通じて説明を果たしてきたとして、
「この問題は去年2024年をもって一区切りにして、今年2025年は乙巳(きのとみ)の年なので脱皮をして、新しいことに挑戦する再生と復活の年にしたい」
との抱負を語ったのだった。
萩生田氏は、岩屋毅外相が中国人の観光客向けビザの発給要件などを緩和する方針を示したことについて、
「ビザの拡大は大きな問題だ」
「党の外交部会などに全くかけず、約束をしてしまったのは問題で、政府のやり方は少し乱暴だ」
と批判した。
NHKもその部分を中心に報じた。
番組に同席した産経新聞の同僚だった石橋文登・千葉工大特別教授も
「自民党支持者を相手に話すことが多いが、外交も内政も全部、安倍(晋三)さんがやっていたことをひっくり返そうとしているとの声が大半です」
と述べたように、石破茂政権は自民党を強く支持してきた岩盤保守層の神経を逆撫でしている。
石破首相らは
「少数与党なので、連立を組む公明党や野党の意見を聞かなければ政権運営ができない」
と言うのかもしれない。
だが、肝心の自民党支持層の声を蔑ろにしていいのかということになる。
その象徴が、通常国会の焦点となる選択的夫婦別姓の導入だ。
萩生田氏は番組で、
「旧姓使用の拡大で対応すべきだ」
と強調した。
石破政権が野党に同調して、法案を賛成しようとした場合については、
「どうやってやるのかをここで言うと、手の内を全部知らしめることになります」
「ただ、しっかり志を同じくする仲間と行動したいと思います」
と述べ、反対する考えを示した。
石破首相は党総裁になる前は、選択的夫婦別姓について
「導入賛成」
の考えを示し、
「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」
と述べていた。
首相になると、2024年10月の衆院本会議での答弁で、
「国民各層の意見や国会における議論の動向などを踏まえ、更なる検討をする必要がある」
と述べるなど、慎重に転じた。
もっとも、立憲民主党の野田佳彦代表は
「自民党の中にも『本当は賛成』という人が結構います」
「党議拘束を外したら一挙に委員会可決する可能性が出てくるでしょう」
(昨年2024年11月の講演)
と攻勢をかける構えを示している。
石破首相が立憲民主党や公明党に同調し、可決の方向に自民党の議論を集約しようとした時、萩生田氏は阻止に動く。
その覚悟を感じた。 
(産経新聞特別記者・有元隆志)

石破首相、夫婦別姓や衆院選挙制度の対応明言せず「予断持って申し上げることしない」
2025/1/11 19:11
https://www.sankei.com/article/20250111-NJSGSKYYFJOD5BUMM5LMKJFNJM/
石破茂首相は2025年1月11日、選択的夫婦別姓制度導入や企業・団体献金の禁止、衆院選挙制度改革など通常国会で与野党の議論が予想されるテーマへの対応について明言を避けた。
「各党、各会派で真摯に議論されることが重要だ」
「政府として今、予断を持って申し上げることはしない」
と述べるにとどめた。
訪問先のインドネシア・ジャカルタで記者団の質問に答えた。
一方で
「結論が得られたら、政府としても必要な対応を取る」
と指摘。
2025年1月24日召集の通常国会での野党との向き合い方に関して、少数与党であることを踏まえ
「多くの賛成を得られるよう誠心誠意説明して参りたい」
とも語った。
選択的夫婦別姓導入には公明党も意欲を示しており、自民党の対応に注目が集まっている。
政治改革を巡る企業・団体献金の扱いは昨年2024年の臨時国会で積み残しとなった。
立憲民主党などが共同提出した禁止法案について、与野党は2025年3月末までに結論を得る合意を交わした。(共同)

「子の名字、もめる原因に」「選択だから、という発想が間違い」 池谷和子・長崎大准教授
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/11 10:00
https://www.sankei.com/article/20250111-JMV3J4X3UJF3TIGJLQGO33UCFU/
選択的夫婦別姓制度をめぐり、産経新聞社が昨年2024年11〜12月に、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
別姓によって生じる家庭内の不和を心配する声もあり、成人した子供が、親の選んだ姓を変えるかどうか選択を迫られる事態も起こり得る。
家族法に詳しい長崎大の池谷和子准教授に、子供を中心とした問題点を尋ねた。

■家族はチームとして同じ呼称に
ーーアンケートでは、約半数の子供が、家族が別々の名字になることに「反対」だった。
親子別姓になり、兄弟別姓にもなるかもしれないと考えた子供が反対するのは自然なことだ。
姓は単なる個人の呼び名ではなく、共同体としてのチーム名。
子供が育つ環境として、家族が『個人の集団』になってはいけない。
全員が助け合う1つのチームとして同じ呼称になるべきではないか。
個人の集団でも問題はないと言う人がいるが、家族には損得勘定というものがない。
個人は損得で物事を判断しがちになる。
法的な権利義務においても、力の強い大人が子供を好きなようにできてしまう危険性も考えられる。
また、これまで引き継いできた名字の繋がりが消えると、世代間にある特有の時間軸も失いかねない。
こうしたことを子供は直感的に分かっているのではないか。

■家庭内の揉め事は子供に悪影響
ーー家庭内の不和を招きかねない
そもそも夫婦別姓にしたい人は自分の名字への拘りが強い傾向がある。
生まれた子供にどちらの名字を付けるかは、当然揉める原因になる。
夫婦間だけでなく、互いの両親も巻き込むだろうし、嫁姑の確執も酷くなる。
家庭内の揉め事は子供にとって悪影響だ。

ーー法律上で懸念されることは
別姓にしたけれど、やはり一緒の名字にするということも想定しないといけない。
子供の姓を変更する時の問題もある。
最初はお父さんの名字で生活していても、物心がついてやはりお母さんの方にしたいとなれば、本人と両親の間で揉めるかもしれない。
成人したら本人の意思で変更できるようにする必要も出てくる。
『嫌だったら後で変更しなさい』と子供に全ての責任を負わせるような制度でもよいのだろうか。

■子供の気持ち、どうにもならない
ーー立憲民主党が野党と共同で国会に提出した民法改正案では、子供の姓は出生時に父母の協議で決定するとされている
話し合って決めるとなれば恐らく1人目はどちらかで、2人目はもう片方の名字で、のような決め方しかできないのではないか。
そうすると、きょうだい別姓になる。
きょうだいは同じ名字でいたいと子供が願っても、その気持ちはどうにもならない。

ーー子供や家族を巻き込むことになる
何でもできる限り好きなように自由にするのがいい、あるいは、困っている人がいるのなら、改善したほうがいという考え方はあってもよいが、それだけで済まないケースも世の中にはある。
推進派には、
「選択だから嫌な人はしなくていい」
「他人には迷惑をかけていない」
という発想があるのだろうが、そこがそもそも間違えている。

<産経抄>夫婦別姓野党案は、親子・兄弟別姓法案
2025/1/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250111-QBCM2G6ENFKTNDNMVUC4YUABNM/
5人家族の鈴木君のお父さんは佐藤姓でお母さんは鈴木姓、弟は佐藤姓で妹は鈴木姓です―。
近い将来、こんな家庭が日本でごく当たり前になるかもしれない。
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党など野党が令和4年6月、国会に提出した民法改正案が成立していれば、既にそうなっていただろう。
▼立民の野田佳彦代表はじめ別姓推進派は法相の諮問機関である法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓制度の導入を答申したことを錦の御旗に掲げる。
とはいえ、法制審案では、子供の姓は結婚時に父母の姓のどちらかに決めるため、兄弟でバラバラになることはない。
▼野党案では子供の姓は出生時に父母の協議で定める。
双方が子供に自身の姓を名乗らせたいなどの理由で意見が一致しない場合、家庭裁判所が
「協議に代わる審判」
を行うことになる。
だが、子供の姓はどちらが相応しいかを国に委ねていいのか。
任された家裁も頭を抱えるのではないか。
▼生まれた子供の姓がなかなか決定できない事態も想定できるが、国連総会で採択され、日本も批准した児童の権利条約は
「出生の時から氏名を有する権利」
を宣言している。
野党案は
「『確信的な条約違反』に該当する恐れがある」(小坂実・日本政策研究センター研究部長)
という。
▼「大人では7割が(選択的夫婦別姓に)賛成」。
野田氏は2025年1月7日掲載の小紙インタビューで述べていたが、これも疑問である。
内閣府が令和3年12月に実施した世論調査では、現在の夫婦同姓維持派と同姓維持の上での旧姓の通称使用法制度化を求める意見を合わせて約7割で、別姓導入派は3割に満たない。
▼「なぜ反対か分からない」。
こう語る野田氏がなぜ分からないか分からない。

自民・萩生田光一氏「旧姓使用拡大で対応。慎重であるべき」 選択的夫婦別姓巡り
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/10 23:41
https://www.sankei.com/article/20250110-NVYV4SHNWNKSFNUBPZUP6ECM5U/
自民党の萩生田光一元政調会長は2025年1月10日夜のインターネット番組「言論テレビ」に出演し、選択的夫婦別姓制度に関し
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓というものを奨励するというのは如何なものか」
「慎重であるべきだ」
と述べた。
今月2025年1月召集予定の通常国会で、立憲民主党は選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だが、萩生田氏は
「どういう分野が(選択的夫婦別姓制度がなくて)一体困っているのかということをきちんと聞き、穴を埋めていけば、別に法律を作る必要はないのではないか」
と指摘した。
その上で
「本当に困っている人ではなく、イデオロギーの意義的にこの制度を変えたい人たちが、困っている人たちの声を代弁しているフリをし、法案を前に進めようとしているのではないか」
と語り、
「この問題は同じ価値観を共にする仲間と行動していこうと思っている」
と強調した。

阿部俊子文科相、選択的夫婦別姓「文科省の所掌超える。議論が深まる中で検討」
2025/1/10 12:25
https://www.sankei.com/article/20250110-GH2XDXDG2JNSHEGVYFMKXKXS2Y/
阿部俊子文部科学相は2025年1月10日の閣議後会見で、選択的夫婦別姓(氏)をめぐり、産経新聞社が小中学生を対象に行ったアンケートで、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えたことについて、
「夫婦別姓に関しては、文科省の所掌を超える」
「アンケート結果に関する見解も含めて述べることを差し控えたい」
とした。
夫婦別姓になると必然的に親子別姓となり、兄弟別姓となる可能性もある。
小中学校での児童生徒への影響も懸念されるが、
「教育現場における対応については、具体的にどのような制度が導入されるかという議論が深まる中において検討していく」
と述べるにとどめた。

参政・吉川氏「子供の視点が見過ごされている」 選択的夫婦別姓は「必然的な親子別姓」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20250108-CJFBYCOJXBGQVCOFABHQSQTRUY/
選択的夫婦別姓の導入に向けた動きが進められる中、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに
「反対」は49・4%
だったのに対し、
「賛成」は16・4%
にとどまった。
昨年2024年10月の衆院選で初当選した参政党の吉川里奈氏は2024年12月の衆院法務委員会で、導入に反対を唱えた。
吉川氏はインタビューに
「日本には家族の名字は一緒という価値観がある」
「家族の一体感が失われる可能性はないのか」
と述べ、
「夫婦は別姓で良くても、子供に選択権はない」
「必然的な親子別姓制度だ」
と指摘した。
吉川氏の発言要旨は以下の通り。
■子供の権利を守るために
選択的夫婦別姓の議論は、子供の視点が見過ごされているように感じる。
夫婦は別姓を望んだとしても、生まれてくる子供は、両親のどちらの姓になるかを選べない。
片方の親とは必然的に別姓になる。
子供への影響や家族の一体感が損なわれる可能性がある。
令和3年に実施された内閣府の世論調査で、夫婦の姓が異なることでの子供への影響について、
「好ましくない影響がある」
と答えた割合は69・0%に上った。
その理由で最も多かったのが
「親と姓が異なると指摘されるなど、対人関係で心理的負担が生じる」
で78・6%だ。
参政党は家族の繋がりや先人から受け継がれていることを大切にする政党だ。
加えて私は子供の権利を守るため、政治に参加した部分が大きい。
議論の進め方もどうか。
まずは、戸籍の姓を変更することなく、職場や社会生活で旧姓の通称使用拡充を進めるべきではないか。
総務省のように各省庁があらゆる場面で旧姓の通称使用ができるようにして、それでも限界があるならば、通称使用拡充の法制度化と、段階を踏むべきだろう。
■国会では様相異なる
世論調査は、メディアの尋ね方も疑問だ。
選択的夫婦別姓について
「賛成」「反対」
の2択で尋ねると、
「賛成」
が多い傾向にある。
ただ、
「賛成」「反対」
に加え、
「同姓維持+旧姓通称使用の法制度化」
の3択にすると、導入を求めない人の割合が多くなる。
聞き方によって民意が誘導されるのはフェアではない。
昨年2024年の衆院選で初当選したが、それまで私の周囲は通称を使っている人ばかりだった。
姓が変わることで結婚して新しい家族を築いたという喜びや親になる自覚を抱いたという人はいても、戸籍は旧姓のままがいいと主張する人には出会わなかった。
ただ、国会では様相が異なっている。
■日本の価値観、失っていいのか
選択的夫婦別姓が議論される衆院法務委は、賛成派が多数を占めている。
明確に反対を表明したのは日本保守党の島田洋一衆院議員と私だけだ。
導入ありきの議論にならないよう、子供の意見表明の機会を確保し、選択的夫婦別姓のデメリットもしっかりと検証、主張して議論を深めたい。
日本は文化的に家族の名字は同じにする、という価値観がある。
「世界では日本だけが同姓制度だ」
との指摘もあるが、世界は多様性に富んでおり、日本もその多様性の1つだ。
日本らしさを失ってまで、他国に倣う必要があるのだろうか。

自民・高市氏 選択的夫婦別姓「最大数は通称使用を求める声だ」「親族間の争い、懸念」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20250107-W5RW4UL5FJEUVNSZEFQAEOYCVQ/
立憲民主党が民法改正案の国会提出に意欲を示すなど、選択的夫婦別姓(氏)の導入が現実味を帯びている。
一方で産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
導入に慎重な自民党の高市早苗前経済安全保障担当相に考えを聞いた。

■家裁の決定で納得できるか
ーー慎重な理由は
最大の理由は、選択式であっても子の氏の安定性を損なう可能性があるからだ。
現在は、婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏のため、出生した子は両親と同氏になるが、戸籍上も別氏の夫婦を認めた場合、子の氏の決め方について、全ての別氏夫婦が納得できるルールが必要だ。
夫婦別氏を求める理由として、一人っ子同士の結婚により片方の実家の氏が途絶えるという事情が挙げられることを考えれば、夫婦双方の実家が子の氏を決める協議に介入する可能性もある。
本来幸せな出産直後に、子の氏を巡って親族間に争いが生じることを懸念する。
戸籍上の夫婦親子同氏、つまりファミリーネームは残した方がよい。

ーー通常国会で立憲民主党が法案を提出する構えだ。立民案の問題点は
過去に国会に提出された立民案では、子の氏について、出生の際に父母の協議で定めるが、協議が調わない時は家庭裁判所が子の氏を定める旨を規定している。
家裁はどのような基準で判断するのだろうか。
離婚時に子の親権を争った過去の裁判例は
『子を養う経済力』
『子との関わりや愛情』
などの要素を総合的に考慮して判断している。
しかし、出生直後の子の氏を争う場合、家裁が如何なる決定をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示せるとは考え難い。

■自民党内でも放置
ーー高市氏は通称使用の拡大を推進してきた
総務相在任中に
『住民基本台帳法』
『国勢調査令』
など総務省が所管する全法令をチェックした。
そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。
合計1142件で旧氏記載が可能になった。
今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている。
免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。
国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。
国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える。

ーー法案も作成し提出している
平成14年と令和2年の2回、自民党政調会の法務部会に提出した。
1回目は反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は審査もされずに放置されている。

■子の視点は貴重
ーー今後の議論はどう進めるべきか。議論の中で果たしたい役割は
令和4年3月に公表された直近の政府世論調査では、戸籍上の同氏維持を支持する回答が69・2%であり、最大数は旧氏の通称使用を求める声だ。
選択的夫婦別氏制度の法制化により戸籍が同氏か別氏かの二択になってしまうと、
『戸籍上は夫婦親子同氏を希望するが、社会生活では旧氏を通称使用したい』
と希望する方々の利便性を高めるための取り組みが遅れることを懸念する。
これまでの旧氏併記の取り組みも水泡に帰す。
この点をしっかり伝えていきたい。

ーー小中学生を対象に産経新聞が実施したアンケートによると、家族で名字が別になることに「反対」が約50%で「賛成」を上回った
子の視点からのアンケートは、珍しく貴重だと思った。
18歳以上を対象にした政府の世論調査でも、夫婦の姓が違うことによって子供に
『好ましくない影響があると思う』
と回答した方が約7割だった。
やはり、夫婦別氏制度の導入については、慎重な検討が必要だと思う。

夫婦別姓導入「前進する年」と意欲 公明・斉藤代表「社会の多様性、国際的視点から必要」
2025/1/6 12:53
https://www.sankei.com/article/20250106-EWBT22YCPVHSHO4Q4ML6764BUY/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年1月6日、東京都内で開いた党の新年仕事始め式で、選択的夫婦別姓の早期導入に向けて議論をリードしていく考えを示した。
「社会の多様性や国際的な視点から必要な制度だ」
「前進する年にしていきたい」
と述べた。
斉藤氏は昨年2024年12月18日に石破茂首相(自民党総裁)に対し選択的夫婦別姓に関する実務者協議を打診している。
斉藤氏は
「きょうだいが複数いる時の姓をどうするのか細部を提示する案はまだどの党からも出ていない」
「与党として実務者協議を始めようと申し入れている」
「首相は
『一旦引き取らせてほしい』
という答えで、2024年年末に会った時も
『もう少し検討させてほしい』
だった」
と語った。

立民・野田代表「賛成が16%いるのでしょう?」「なぜ反対か分からない」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/6 10:00
政治
https://www.sankei.com/article/20250106-2TX7ILQS7NMOVFPPJ23JNZ7TDI/
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党の野田佳彦代表に狙いを聞いた。

ーー選択的夫婦別姓の意義は
選べるという点ではないか。
同姓で不都合を感じる人がいるならば選択できるようにする、改善するのは合理的な考え方ではないか。
それだけのことだ。

ーー小中学生約2千人を対象に行った本紙調査で、「別々の名字にしたい」は13・6%だった
結婚や社会人になって働くことに対するリアリティーがなく、分からないというのが率直なところだろう。
大人では7割が賛成となる。
大人になると、家族の問題で色々な不都合を感じることがあるのかなという受け止めだ。

ーー両親が別姓を選択した場合、同じ家族で名字が別になることに「反対」が49・4%、「賛成」が16・4%だった
賛成が16・4%いるのでしょう?
だから選択的が必要になる。
一緒がいいなら一緒を選べばいい。
基本的には国ではなく、家族が決めればいい。

ーー家族の一体感が損なわれるとの懸念がある
同姓でも家庭不和は生まれる。
あまり合理的な話ではない。

ーー通称使用の拡大でも対応できるのでは
通称使用を拡大しても不都合を感じている人たちが実に多い。
不動産登記などでビジネスを阻害している側面があり、経団連も選択的夫婦別姓の実現に向け動いている。
海外に行くと、尚更不便だ。
通称使用では限界という事例がたくさんある。
強烈な不都合を感じる人たちが何人もいるならば、対応を考えることは当然だ。

ーー衆院は少数与党だ。どう議論を進めるか
できるだけ多くの野党に声をかけて議員立法で出していく。
政府が法案を提出するとの話も聞く。
政府案が提出されなければ野党案をベースに議論してもらいたい。
野党としてまとまった方が与党との交渉で迫力が出てくる。
公明党も基本的には賛成の立場なので、よく連携していきたい。

ーー野田氏は衆院法務委員長ポストの獲得を指示し、立民議員が就いた
法務委では長い間、放置されてきたテーマが多い。
選択的夫婦別姓も平成8年に法制審議会の答申が出たが、政府は腰を上げず国会でもまともに議論されなかった。
放置されてきたテーマを議論する意味で、意義のあるポストの獲得だった。

ーー参院では与党過半数のままだ
衆院通過した法案を参院が潰すことは大変勇気がいる。
2025年夏の参院選前に反対した人たちは追い込まれるのではないか。
参院法務委員長は公明だ。
衆院通過した場合の参院の対応は見ものだ。
昨年2024年12月の講演で
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上に上らされないことは、もう通用しない」
と述べた
世論も7割、経団連も『早く決着を付けろ』という中で、なぜそこまで強く反対する人たちがいるのか。
選べるわけだから。
なぜ選んではいけないのか、よく分からない。

ーー自民などの反対で法案が成立しなければ、内閣不信任決議案を提出するか
理不尽な形で妨げられたならば、そういうことになるかもしれない。
議論を見ながらの判断だ。簡単に不信任案を振り回そうと思っていない。

夫婦別姓間の子供の名字は家庭裁判所が決める 新たな家族不和の火種「いっそくじ引きで」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/5 10:00
https://www.sankei.com/article/20250105-2O4UALZDWVL47IYBPVXR6AKEKM/
選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では
「旧姓使用拡大」
が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。
中には
「保守派に配慮した」
などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。
同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について
「あると思う」は69%、
「ないと思う」30・3%
という結果もあり、
「ある」
と答えた人の理由(複数回答)は
「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、
「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%
が多かった。
では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。
子供の姓については
「出生の際に父母の協議で定める」
としており、一致しない場合は
「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」
とした。
この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。
仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。
■くじ引きが合理的
弁護士の北村晴男氏は
「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる」
「裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」
と指摘する。
夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、
「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」
と判断した。
更に
「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を1つにするのは合理的」
と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。
この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など平成27年以降の状況を踏まえた上で尚
「判断を変更すべきものとは認められない」
と結論付けている。
■新たな人生が始まる
この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層
「改姓の喪失感」
「精神的な負担」
が強調されるようになった。
昨年2024年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの
「過酷な二者択一」
を迫っていると指摘。
「家族の在り方や国民意識の多様化」
が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。
もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば
「強制的親子別姓」
となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。
家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は
「夫婦間だけでは済まない話だ」
「嫁姑の確執も酷くなるだろう」
と危惧する。
孫の名字を巡って双方の祖父母が争いになる可能性もある。
また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。
国士舘大学の百地章名誉教授は
「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す」
「我が国が長年維持してきた戸籍制度の解体に繋がる」
と警鐘を鳴らす。
先の内閣府の世論調査には、
「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)
との問いもある。
最も多かったのが
「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、
次が
「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)
だった。

選択的夫婦別姓制度の導入、小中学生も半数が「反対」 産経新聞調査、子供たちの考え方が統計的に明らかになるのは初
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-RVHIXOJPMBIBHLI3S5IP4HO6GI/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが産経新聞の調査で分かった(2025年1月1日報道)。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割に上った。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
調査は、全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗した。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親や兄弟姉妹と違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49.4%、
「賛成」16.4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18.8%、
「よくわからない」15.4%
で、反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13.6%
だった。
男女別で大きな違いはなかったが、自身が
「別姓にしない」
は男子(56.7%)より女子(63.4%)
のほうが上回った。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)
2025/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20250104-CWCQ5CGQ5BPMFIJ5XAZLSMQCCM/
■立民の印象操作に乗せられるな!
「選択肢が増える」
という物言いに対して、大半の人は
「いいじゃない」
と反応するだろう。
ただ、そこに巧妙なワナが仕掛けられていることもある。
ある結婚情報サイトが、選択的夫婦別姓制度について、そのメリット、デメリットについて解説し、こうまとめている。
「以前よりも、多様性を認め合う社会へと進むなかで、個人の権利や選択肢を尊重する傾向はますます強まっていくと考えられます」
「夫婦間の姓をどう選ぶかもそのひとつです」
「夫婦別姓が導入されても、すべての夫婦が別姓になるわけではなく、あくまで選択肢が増えるということ」
メディアに流れているのはこんな物言いばかりだ。
こうした情報環境のなかで暮らす人々が、アンケートで
「この制度を導入すべきだと思いますか」
と問われれば、多くが
「導入すべきだ」
と答えるに違いない。
法務省のサイトに、令和3年に実施した
「家族の法制に関する世論調査」
の結果が掲載されている。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27・0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42・2%、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28・9%
だった。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は昨年2024年10月末、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告をした。
女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多く、それが差別的だというのだ。
そうした流れの中で、立憲民主党は先の総選挙で与党が過半数割れとなったのに乗じて、衆院法務委員会の委員長ポストを要求して確保した。
委員長は同制度の導入にとりわけ熱心な西村智奈美議員である。
立民はCEDAWの勧告や、
「結婚後に夫婦のいずれかの氏(うじ)を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」
という法務省の調査を利用して、日本がさも女性に差別的で後進的な国であるかのような印象操作を行っているようにみえる。
安倍晋三元首相の暗殺後、リベラル派に乗っ取られた感のある自民党の中にも
「導入すべきだ」
と考える者が少なくなく、うかうかしていたら、すぐにでも民法改正が実現してしまいそうな勢いだ。
■憲法改正に匹敵する案件
12月5日の衆院予算委員会において、自民党の山下貴司議員は、同制度を巡り
「旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういうニーズに応えられていない」
「女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要がある」
と、石破茂首相の考えを問いただした。
これに対して石破首相は
「前の姓を変えなければならないということに対して物凄く辛くて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います」
「それは女性が95%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう」
と、情緒的な答弁をし、同制度の導入に前向きな姿勢を示した。
石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《世の中はなかなか直りにくいものである》
《人々は自分を圧迫するものに対して余りにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかり焦り、それにはどんな代償がいるかを考えない》
《我々はたくさんの実例によって、社会は普通、直されて却って悪くなることを知っている》
(第3巻第9章「全て空なること」関根秀雄訳)
同制度の導入がどんな副作用をもたらすか、十分に議論されているとは到底思えない。
導入に伴う民法改正は、憲法改正に匹敵するほどの最重要案件であると私は考えている。
国民投票に付してもいいほどだ。
しかし、国民投票が実施されるのは国会が憲法改正を発議した時だけだ。
ならば、今年2025年実施される国勢調査に合わせて、同制度導入の可否を問うアンケートを実施したらどうだろう。
■家族制度こそが社会を規定する
私が家族制度に拘るのは、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』(藤原書店、石崎晴己訳)の影響だ。
下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、トッドは家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てた。
家族制度が人間の心性に大きな影響を与え、ひいては人間が形成する社会を特徴付けてゆくというのだ。
トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か、きょうだいの関係が平等か否かによって分類する。
そこから導き出されるのが、
@親子関係が自由主義的できょうだい関係が不平等(長子優先)=絶対核家族、
A親子関係が自由主義的できょうだい関係が平等=平等主義核家族、
B親子関係が権威主義的できょうだい関係が不平等=直系家族、
C親子関係が権威主義的できょうだい関係が平等=共同体家族
の4つである。
例えばパリ盆地を中心とするフランス北部はAの平等主義核家族であり、それゆえにこの地が
「自由・平等・友愛」
を唱えるフランス革命の担い手となった。
@の絶対核家族が優勢なのはイングランドと、その移民の子孫であるアメリカだ。
この家族型が、個人の自由を絶対視し平等に無関心な強欲資本主義の母体となった。
Cの共同体家族は、西ヨーロッパにはまれで、ロシア、中国、ベトナム、東ヨーロッパに多いという。
この家族型がもたらしたのは言うまでもなく社会主義革命である。
ちなみに戦前の日本は間違いなくBの直系家族だろう。
この中で育まれた心性が、明治以降であれば天皇に対する態度、日本軍のありように投影されていたように思う。
現在の日本がどの家族型に当てはまるかは判然としないが、権威主義的でなくなったことだけは確かだろう。
そこに付け入ったのが選択的夫婦別姓制度推進派だ。
私は邪推する。
女性差別撤廃を掲げる彼らの本当の狙いは、家族を精神的に解体し、更には戸籍制度も廃止して、日本人をバラバラにすることではないかと。
その上でバラバラになって寄る辺なく浮遊する日本人をCの共同体家族としてまとめあげようとしているのではないかと。

韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/4 10:00
https://www.sankei.com/article/20250104-GNUKUJWJCZNKHJTBSELPBB5IWA/
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」
韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。
いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での
「別姓」
という印象を抱いている。
韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。
その姓氏制度は、東アジアで最も
「男性中心的」
とされる家族制度に起因するものと言える。
例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。
一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。
子供の姓については、
「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」
と民法で規定。
例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に
「尹」
の名字を引き継ぐ形となる。
例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。
■実家を説得する余力
2024年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。
だが、半年以上経った現在も尚苦悩している。
陳さんは
「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」
というが、
「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。
夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。
ただ、日本の
「夫婦別姓推進派」
は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、
「海外では別姓が主流」
「日本は遅れている」
との主張も少なくない。
米国では1970年代に全ての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。
基本的には婚姻時に
@夫の姓を選ぶ
A妻の姓を選ぶ
B別々の姓を維持する
C両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する
というパターンがある。
ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。
■姓を後世に残す動き
中国では中華人民共和国建国翌年の1950年に施行された婚姻法で夫婦別姓が明記された。
現在、子供の姓は両親のどちらかの姓を選択するが、韓国同様、一族を重視する価値観から、父親の姓を名乗るケースが多かった。
一人っ子政策が廃止された2016年以降は、兄弟姉妹で父母それぞれの姓を名乗る現象が一部で起きている。
両親それぞれの姓を後世に残そうとする動きと言える。
ただ、兄弟姉妹で別姓を名乗ることが、学校でからかいの対象になる、といったケースも報告されている。
各国の家族の枠組みについて詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は
「夫婦の姓に関する制度は国の慣習によって異なる」
「時代や価値観の変化に合わせて利便性や公平性などの観点から米国やドイツでは夫婦別姓が選択できるようになった」
と言及。
一方で、両国では夫婦同姓を選ぶ人が多数派を占めている現状について、
「子供も同じ姓になったほうが親としての証明が容易となるメリットがある」
と指摘した。

選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20250103-33B4YHNURFNUXFSJKAGPJITCPQ/
「個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクだ」。
経団連は昨年2024年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表。
十倉雅和会長は記者会見で理由をそう説明した上で、
「改正法案を一刻も早く国会に提出していただきたい」
とも踏み込んだ。
トヨタ自動車など日本を代表する企業1500社以上で構成する経団連は、経済界が直面する課題の意見を取りまとめ改善策などを発信する役割がある。
だが、今のタイミングで提言するほど、選択的夫婦別姓は経済界の喫緊の課題なのか。
産経新聞社は昨年2024年11月中旬から2024年12月上旬にかけて主要111社にアンケートを実施。
社内で旧姓呼称を認めているかを尋ねたところ、
「認めていない」
とする企業はゼロだった。
「慣例として認めている」が58・6%、「就業規則などで認めている」が29・7%。
「無回答」が11・7%あったとはいえ、9割弱の企業が何らかの形で旧姓呼称を当たり前に認めているのだ。
■国家資格はほぼ旧姓OK
さらに経団連が求める法制化の是非も聞いたところ、
「実現すべき」は25・2%で、
「現状で不都合がないので慎重に議論すべき」も10・8%あった。
もっとも「無回答」が最も多い63・1%あり、判断に迷っているのか、経団連の方針に異議を唱えにくい雰囲気があるのかはわからない。
夫婦別姓をめぐる議論は働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証、銀行口座などの名称変更の煩わしさから旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
職場での呼称が解決に近づいているのであれば、残る課題はどうか。
内閣府によると、昨年2024年5月末現在で320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格も条件に若干の違いがあるだけだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも旧姓併記ができる。
金融機関も既存口座の旧姓名義による取引を認めており、一部認めていない場合もシステム改修が進めば対応可能になるという。
もっとも、こうした事実が広く周知されているとは言い難いのも事実だ。
■不便さは残るが
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。
ある大手企業の役員は
「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」
と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。
パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。
だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年2024年末、
「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」
と述べた。
「困っている人」
とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は
「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている」
「選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」
と指摘している。

公明、立ち位置に苦慮 政策実現も手柄は野党 来夏の都議選、参院選へアピール模索
2025/1/2 16:26
https://www.sankei.com/article/20250102-7MRII3PF6JOHXDIQCRV7IFLMXE/
公明党が自民党との連立政権で立ち位置に苦慮している。
石破茂政権が少数与党になったことで、法案成立に向け野党の国民民主党や日本維新の会に配慮せざるを得なくなり、
「政権の政策に党の主張を反映させる」
という存在意義が揺らいでいるためだ。
「年収103万円の壁」
の引き上げなどは公明も主張してきた政策だったが、自民から譲歩を引き出した野党側の成果として扱われ公明は埋没している。
公明の斉藤鉄夫代表は2025年1月2日、東京・池袋駅前で新春の街頭演説を行い、今夏2025年夏の参院選、東京都議選に向けて
「新しい公明の最初の戦いとして、何としても押し上げてほしい」
と支持を訴えた。
だが、世論や支持者へのアピールは、いまいち広がりを欠いている。
昨年2024年12月26日、斉藤氏は記者団にこう強調した。
「予算案の取りまとめに当たっては、野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきたという自負がある」
党の政策実現ではなく、合意形成への貢献をアピールせざるを得ないところに、今の立ち位置の難しさが伺える。
年収103万円の壁引き上げは自民、公明、国民民主の3党協議で実現し、これを看板政策とする国民民主の手柄とされた。
公明も以前から103万円を含む年収の壁解消を訴えており、令和7年度税制改正には高校生世代の扶養控除の維持など公明の主張も反映されたが、存在感は乏しい。
それでも斉藤氏は2025年1月2日の街頭演説で3党協議に言及し
「予算審議の途中に、色々な修正があり得るのかもしれない」
「協議に真摯に対応していきたい」
と国民民主への歩み寄りを示唆した。
石破政権は維新とも連携を図り、自公維3党による教育無償化の実務者協議を昨2024年末に始めた。
教育無償化もまた、公明が力を入れてきた政策だ。
公明幹部は
「公明だけでは引き出せず、野党と一緒なら引き出せると言われる」
「忸怩たる思いだ」
と漏らす。
先の衆院選で、公明は自民派閥のパーティー収入不記載事件の呷りを受けて議席を大幅に減らした。
2025年夏の参院選と都議選を睨んだ反転攻勢に向け、自民と同一視されることを避け、独自色を打ち出したい考えだ。
自民内で賛否が分かれる選択的夫婦別姓制度でも、党内議論を深めるよう強く自民に要求している。
とはいえ、自民との連立関係を崩すこともできない。
公明関係者は
「支持者からはいつまで自民とやっているんだという声もある」
「だが、もう4半世紀続いている」
「野党になったら何もできない」
とぼやいた。

年内にも現実味帯びる選択的夫婦別姓 立民、通常国会に法案提出へ 公明も賛同
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20250102-T64AG4MHX5I5HJD4BQLW36T3LA/
立憲民主党は今月召集の通常国会で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だ。
党内でも賛否がある自民が立民案に乗るとは考えにくいが、導入を求める公明が立民案に賛成すれば、連立与党内で対応が分かれる異例の事態となる。
自民に一定数いる推進派が賛成すれば衆院で可決され、家族の在り方を大きく変えうる制度の導入が2025年年内にも現実味を帯びている。
衆院選の公約では、選択的夫婦別姓には立民と公明の他、国民民主、共産両党やれいわ新選組なども賛成。
自民と日本維新の会は
「旧姓使用の拡大」
を主張しており、衆院法務委員会の構成を見れば、賛成派は過半数に届かない。
ただ、衆院選後に就任した維新の前原誠司共同代表は
「個人として賛成」
と表明。
公明の斉藤鉄夫代表も
「決断する時だ」
との考えで、石破茂首相(自民総裁)に与党協議を進めるよう直接要請している。
これに対して自民では旧姓使用の拡大を軸にした対案を出す可能性があるが、他党の賛成がなければ数の上で可決はおぼつかない。
何よりも自民内の推進派が造反する可能性がある。
自民では党の方針に反した場合は処分の対象になり得るが、党内の分裂を避けるため党議拘束をかけないとの見方もある。

選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:05
https://www.sankei.com/article/20250102-CV4VLTYCYRL4LHL3FHZJHRA3OA/
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。
先月2024年12月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。
令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では
「ノイジーマイノリティー」
が逆転しているようだ。
「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。
局面が変わったのは昨年2024年10月の衆院選だった。
与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。
衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。
しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を
「返上」
した代わりに
「敢えて法務委員長を取りにいった」(野田氏)
からだ。
賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。
■早く決めてほしい
自民内でも以前から議論はあった。
令和3年3月に推進派の
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)
が立ち上がると、翌月令和3年4月には慎重派が
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
を設立。
同年令和3年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。
別姓推進派の中堅議員は
「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう」
「残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。
慎重派のベテラン議員は
「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」
と明かす。
■修正を加える形で
慎重派の念頭にあるのは
「家族の一体感」
を大切にする本来の保守層の
「自民離れ」
が加速することだ。
ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。
立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば2025年3月の来年2025年度予算成立後の2025年4月以降となる見通しだ。
昨年2024年の臨時国会では、政治改革関連で与野党が9法案を提出。
国会審議や各党協議の末に3つの法案が成立した。
このうち政策活動費廃止の法案は野党案に自民が賛成した。
推進派若手は
「少数与党のうちに野党案に修正を加える形で決着をつけた方がいい」
「そうでないと、自民を分断しかねない爆弾をずっと抱えることになる」
と本音を漏らした。
仮に自民が党議拘束をかけず、立民案が衆院で可決された後は参院に舞台が移る。
参院は現在も自公で過半数を占めるが、衆院の段階で立民案に公明が賛成していることを前提とすれば、自民は日本維新の会などを巻き込まない限り
「少数派」
に転落し、立民案が成立する可能性がある。

新聞各紙、元日1面トップは中国の拡張、能登の思い、民主主義企画…産経は夫婦別姓と子供
2025/1/1 19:29
https://www.sankei.com/article/20250101-FILLPV42SBDGLNW3Y2ENVFSW44/
元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。
令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
■夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年〜中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が
「家族で名前が変わるのは反対」
と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が49・4%で
「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
■中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
■デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて
「デモクラシーズ これまで これから」
と題した連載企画の掲載を始めた。
最新のデジタル技術を生かして民主主義を
「アップデート」
させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
■強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、
「逆転の世界 備えよ日本」
と題した。
多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。
局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
■つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。
延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる
「関係人口」
の拡大について考察した。
■招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。
地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。
式の中身はまだ決まっていない。
ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250101-QGCTY3PY4JEHLHHXAFDFEVX2LQ/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが、産経新聞社の調査で分かった。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割にのぼった。
立憲民主党が夫婦別姓の民法改正案の国会提出に意欲を示しており、石破茂首相も昨年2024年末
「議論の頻度を高める」
と述べた。
自公与党も前向きな議員が多いことから、次期通常国会での法案成立が現実味を帯びている。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題に配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
年齢層の低い小学生は対象数を絞った。
小中学生共に学校を通じた場合は、教員が調査の趣旨を説明した上で、立ち会う形式を取った。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「全く知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よく分からない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49・4%、
「賛成」16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18・8%、
「よく分からない」15・4%
で反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%だった。
小学生だけに絞ると、
別姓に「反対」は46・2%、
自身が「別姓にしない」は55・8%
で全体よりやや低かったが、各質問共に
「分からない」を選ぶ傾向が強かった。
男女別で大きな違いはなかったが、
自身が「別姓にしない」
は男子(56・7%)より女子(63・4%)のほうが上回った。
別姓の是非で
「親が決めたのなら仕方がない」
と消極的な賛成を選んだ女子(22・6%)も男子(15%)より多かった。
学校や学年別、民間調査会社による調査でも、結果の割合に大きな差はなかった。

選択的夫婦別姓、法律に「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-L3VK2UL4H5EMJPW6X5DVUGNXJQ/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査の質問項目と詳しい結果、調査の方法は以下の通り。
質問項目と回答
選択的夫婦別姓調査 質問項目と回答
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)について、みなさんの意見を聞かせてください。答えたくない人は、答えなくてかまいません。
【質問】
1.いま、社会で問題となっていることに「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)」があります。
日本では結婚(けっこん)するときに
「男性(お父さん)か女性(お母さん)のどちらかの名字と同じにしなければならない」
ことが法律(ほうりつ、国のルール)で決まっています。
この法律を
「それぞれ別々の名字のままでも結婚できる」
ように変えようというものです。
こうしたことについて、知っていましたか。
回答者1971人 男子 女子
○よく知っていた 16 17.9
○少し知っていた 34.3 43.3
○まったく知らなかった 28.7 23.9
○ほとんど知らなかった 21 15
2.いまは結婚してからも、結婚するまえの名字を会社で使ったり、手続きをすれば、免許証(めんきょしょう)やパスポートに結婚する前の名字をならべて書けるようになったり、これまでできなかったことができるようになっています。
それでも、あなたは
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ように法律を変えたほうがよいと思いますか。
回答者1966人 男子 女子
○変えたほうがよい 32.9 37.4
○変えないほうがよい 31.6 30.7
○よくわからない 35.6 31.9
3.もし、法律で
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ことが決まり、お父さんとお母さんが別の名字になったら、子供もお父さんかお母さんのどちらかとはちがう名字になったり、兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかでちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15 22.6
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51 49.2
○よくわからない 18 11.4
4.みなさんが結婚するころには
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
と法律が変わっているかもしれません。
そのとき、あなたはどうしますか。
回答者1955人 男子 女子
○自分の名字を大切にしたいので別々の名字にしたい 14.3 11.8
○家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない 56.7 63.4
○よくわからない 29 24.9
5.この問題についてあなたの思ったことを自由に書いてください
■調査の方法
協力を得た首都圏、関西圏の中学校6校約1600人(中1〜中3)、首都圏の小学校1校の53人(6年生)にホームルームや社会科の時間などを使って教員立会いの元で無記名で行った。
回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けに説明文を用意したが、使用については各学校に任せた。
答えたくない場合は設問によっても答えなくてよいことを徹底したため、回答数にはばらつきがでた。
中学生では男女を回答していない生徒も若干名いた。
休みや早退の生徒数が把握できていない学校もあり回答率は一概に出せないが、中学生は約93%、小学生は84%。
民間調査会社の調査は、会員登録している全国の小学4年〜中学3年を対象に、説明文を含め同内容のアンケートで実施、自ら回答した小学生が100人、中学生が300人を超えた時点で終了し、学校分に加えた。
最終的な回答数は合計で1954人〜1971人。
男女比は男子48%、女子52%。
調査はいずれも昨年2024年11月下旬から12月中旬に実施した。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 教員向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-JDZ6FZ2FUVFDLGGPQDWRNLBKIM/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
教員向けの説明文は以下の通り。
教員向けの説明文
選択的夫婦別姓は年明けの国会で議論され、可決される可能性も高くなっています。
現状、夫婦別姓を望む人には、職場などでの旧姓使用やクレジットカードなどの名義変更などが煩わしいという理由と、自身のアイデンティティのためという2つの理由があります。
ただし前者についてはほぼ解決済みであり、旧姓使用を認めない職場もほとんどありません。
後者については
「心の問題」
です。
「選択制なので選びたい人だけだからいいのでは」
「自分の意思だからいいのでは」
という意見もありますが、婚姻制度の自由度が高まることで、逆に家族、親族内の争いの種になりかねないという見方もあります。
また、生まれてくる子供にとって選択肢はなく、
「強制的親子別姓」
「強制的きょうだい別姓」
になりかねません。
今、マスコミではここの議論をあまりしていません。
世論調査などは
「選択的夫婦別姓」
か、
「現状の夫婦同姓」
か、の2択しかなく、
「旧姓使用の拡大」
は選択肢に加えられていません。
影響を受ける人の中には子供も含まれるにもかかわらず、その意見も全く取り上げられていないのが現状です。
本来であれば、文科省や法務省など国の機関が綿密に子供向けアンケートなどをすべき内容ですが、そうした国の動きを後押しする意味でも、今回産経新聞社として子供たちの声を聞いてみようと考えました。
ただし、このようなアンケートは各家庭のご事情もあり、ハードルが高いことは承知しております。
また、産経新聞社の考え方に偏らないよう、質問内容は客観性を保つように致しました。
ご検討何卒よろしくお願いします。
○アンケートについて
・答えたくない子供は答えなくて構いません。
・学校名は匿名希望の場合は匿名で構いません。
・対象は小4以上の小学生と中学生とします。
・できればクラス単位、学年単位がよいですが、無理な場合は個別でも構いません。
・自由記述の欄に書ける子供はぜひ書いていただければと思います。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 子供向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-HE4Y72OPLZF2JPXUIFFXDB7J7Y/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
子供向けの説明文は以下の通り。
子供向けの説明文
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)についての質問
みなさんに、いくつか質問をしたいと思います。答えたくない人は、答えなくてもよいです。
さいきん、よくテレビのニュースなどで、選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)ということばを聞きます。
これは結婚(けっこん)するときに男の人と女の人の名字(上の名前)を別々にしたい人はしてもよい法律(ほうりつ、国のルール)にしようという意味です。
もし、結婚したあとに子供が生まれて、お父さんとお母さんの名字が別々だったら、子供の名字はどちらかに合わせなければなりません。
生まれてきた子供はお父さんかお母さんの名字とちがったり、お兄さん、お姉さん、弟、妹とも名字がちがったりすることが出てきます。
たとえば、お父さんは田中さん、お母さんは佐藤さん、最初の子供は佐藤さんで、弟は田中さんになるかもしれません。
どうして、こうしたことが問題になっているかというと、はたらく女性がふえたことに関係があります。
これまで結婚する相手の名字に合わせるのは女性のほうが多く、結婚して名字が変わると会社などで呼び名が変わったり、免許証(めんきょしょう)やパスポートなどの名字を変えなければならなくなるなど、大変なことがありました。
しかし、いまでは会社で結婚する前の名字を使ったり、免許証なども結婚前の名字をならべて書けるようになったりしています。
ただ、免許証やパスポートに結婚前の名字を載せるには、役所の書類を出さなければならないなどの手続きが必要です。
それでも、結婚したからといって、ずっと使ってきた名字を相手の名字に変えるのは、納得(なっとく)できない、いやだ、という人もいます。
名字を一緒(いっしょ)にしたい人はすればいいし、一緒にしたくない人はしなければいいという考える人もいます。
質問は、このことについてみなさんの考えること、思うことを聞くものです。
くりかえしますが、答えたくない人は答える必要はありません。

ファミリーネーム喪失、選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」 政府は子供の意見を聞け
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:30
選択的夫婦別姓の法制化を望む人たちに
「国民の70%が賛成」
声があるが、その根拠は2択のアンケートだ。
朝日新聞もNHKも
「法を改正して夫婦が希望すれば別々の名字でもよいか」
を賛成、反対で問い、その結果を
「選択的別姓『賛成』7割」
などと伝えている。
現在、企業や公的機関などで進んでいる
「旧姓使用の拡大」
を法的に整備するという選択肢は最初からないのだ。
産経・FNN合同世論調査も以前は2択で賛成66・6%、反対25・5%だったが、昨年2024年9月に3択目を加えたところ、賛成38・9%、反対12%、旧姓使用拡大46・5%と大きく変わった。
令和3年12月の内閣府の世論調査でも
「同姓維持」27%、
「別姓導入」28・9%、
「旧姓使用拡大」42・2%、
が出ているが、こうした結果はほとんど生かされていない。
「選択的」
だからよいという意見もあるが、選択できるのは誰か。
生まれてくる子供にとっては親の意向で強制的に
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
ファミリーネームが喪失するという事態を
「選択者」
である親は一体どこまで想定しているのか。
今回、小中学生に行ったアンケートではどちらかの親や、きょうだいと別の名字になることについて半数が反対と答えた。
これが多いか、少ないか判断は分かれるだろう。
夫婦別姓
「賛成派」
からすれば、
「未熟な子供に聞く」
という調査自体に不快感を持った人もいるかもしれない。
ただ、法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである。
仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えるならば、ぜひ他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい。
文科省も、子ども家庭庁も出番ではないか。

「家族感が減る」「同姓は時代遅れ」小中生、正面から回答 選択的夫婦別姓2000人調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250101-F35HRVOR7FHZRH24ROBSXF5VBU/
「家族内で違う名字だと家族感が減りそう」
「強制的に同じにさせるのは時代遅れ」―。
産経新聞が小中学生を対象に行った選択的夫婦別姓の導入を巡るアンケート。
自由記述欄を見ると、賛否を超えて子供たちが正面から問いかけに向き合ったことが分かる。
立ち会った教員は
「想像していたより真剣に取り組む姿が印象的だった」
と話す。
■きょうだいなのに
自由記述で目立ったのは、選択的夫婦別姓制度で、結果的に家族の姓がばらばらになりかねないことを心配する声だった。
大阪府の中学男子は
「名字を別々にするような人なら、子供の名字をどうするかでけんかになるかもしれない。名字が違うと他人感がある」。
千葉県の小学男子は
「家族で名字が変わってしまうと、まるで別人みたいで家族感が減りそう」
と書いた。
夫婦が別姓を選ぶことには賛成しつつ、
「子供が生まれた家庭で兄弟姉妹の姓がバラバラなのは違和感を抱く」
と記した京都府の中学女子も。
大阪府の中学女子は
「選択できた方がよいが、兄弟が違う名字というのはよいものではない」
とした。
■万一離婚したときに
夫婦別姓に賛成する声も少なくなかった。
東京都の中学女子は
「名字が変わることで、もう一度覚え直してもらう必要があったり、万一離婚した際に、職場や学校の人に名字が変わったことを伝えなければならず、精神的な負担も小さくない」
と説明。
茨城県の中学男子は
「名字を強制的に同じにさせるのは、少し時代遅れだとも感じている」
と書いた。
アンケートは各家庭の個別の事情に踏み込んでしまう恐れもあったが、
「私の両親は夫婦別姓。私はハーフなので賛成します」(中2女子)、
「現状のままでは離婚後に名字が変わると、『あ、この人離婚したんだ』」と好奇の目で見られてしまう。自分もそうだったので、そのようなことは避けたいから、夫婦別姓には賛成」(中3男子)
という意見もあった。
千葉県の中学女子は
「海外でも夫婦別姓の国や自分と相手の名字を続けて登録できる国があり、日本もこだわる必要はない。事実婚は相続などで不利になるので、平等になるようにしてほしい」
と、より深い考えを述べた。
「日本の伝統なので絶対に法律を変えない方がよいと思う。いまこの問題よりも台湾有事に向けて動いた方がよい」(中3男子)
という意見もあった。
■自然発生的に議論も
大阪府の私立中の教員は、アンケートに取り組む生徒の様子について、
「最初は静かに取り組んでいたが、しばらくすると自然発生的に生徒同士で意見を交わす姿もみられた」
と話す。
議論になるうち
「『兄弟で姓が変わるというのはいやだね』とか、『そもそも結婚ってどういうことなのだろう』などの声も聞かれた」
という。
千葉県の中学女子は
「個人の考えもあると思うため、別々の名字でもよいと最初は思いましたが、家族の中で名字が分かれてしまうと、同じ家族であることの証明が難しくなるなど欠点もあると思ったので、最終的には法律を変える必要はないと思いました」
と考えの変遷を記した。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/756.html#c11

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