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秘密のアッコちゃん lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx コメント履歴 No: 100044
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[政治・選挙・NHK296] <4党推薦大塚耕平氏が惨敗>名古屋市長選広沢氏圧勝のわけ(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
49. 秘密のアッコちゃん[1112] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月27日 07:36:26 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[550]
<■1831行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度には断固反対だ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/188.html#c49

[政治・選挙・NHK296] おぞましい結果をもたらした兵庫県知事選 疑惑追及の手を緩めてはダメだ 金子勝の「天下の逆襲」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
50. 秘密のアッコちゃん[1113] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月27日 21:13:24 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[551]
<▽32行くらい>
中国人権侵害議連、衆院選で幹部落選相次ぎ新体制でスタート 臓器移植など議論
2024/11/26 19:19
https://w
ww.sankei.com/article/20241126-Y2LWILXGDFMDTKGBZUKEUDLCTM/
超党派の
「中国による人権侵害を究明し行動する議員連盟」
は2024年11月26日、国会内で総会を開き、ドナーの同意を得ない強制的な生体臓器の摘出と臓器移植を巡って議論した。
同議連など中国当局の人権侵害を追及する議連は2024年10月の衆院選で幹部の自民党前議員の落選が相次ぎ、新体制で再出発を図っている。
総会では、中国で不当に拘束された
「良心の囚人」
に対する
「臓器収奪」
を長年調査してきたカナダ人弁護士のデービッド・マタス氏が講演した。
マタス氏は、ウイグル族、チベット族を含む拘束者の臓器収奪の
「証拠はあり過ぎるほどある」
と主張し、
「日本政府、国会は中国の共犯者になるべきではない」
と訴えた。
違法な臓器移植を目的とした海外渡航を規制したり、仲介業者を罰したりする諸外国の法律を紹介し、日本に法整備を求めた。
同議連は、事務局長だった三ツ林裕巳前衆院議員(埼玉13区)が落選。
後任に決まった自民の山田賢司衆院議員(兵庫7区)が中心となり、この日の準備を進めた。
三ツ林氏は、令和4年に中国の新疆ウイグル自治区や香港の人権状況を巡る国会決議を主導した超党派の
「日本ウイグル国会議員連盟」
の事務局長も務めていたが、後任は未定だという。
超党派の
「日本チベット国会議員連盟」
は会長だった下村博文前衆院議員(東京11区)と事務局長の石川昭政前衆院議員(茨城5区)がいずれも落選。
後任の会長に山谷えり子元拉致問題担当相、事務局長に山田宏参院議員(いずれも自民)が内定し、再出発する。
来年2025年6月には亡命チベット代表者議会の主催で、約30カ国から約100人の参加を見込む世界チベット議員会議が東京で開かれる。
チベット亡命政権の代表機関、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のアリヤ代表は
「日本チベット議連は世界最大のチベット支援議連だ」
「今後も力強いサポートを期待したい」
と話している。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/193.html#c50
[政治・選挙・NHK296] 「終わらない兵庫県知事選」の行方…新たな公選法違反疑惑浮上で捜査機関が動く“Xデー”は(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
36. 秘密のアッコちゃん[1114] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月28日 07:09:18 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[552]
「反社会的カルト集団」N党への名誉毀損認めず 投稿したネット記者勝訴 東京地裁
2024/11/27 21:40
https://www.sankei.com/article/20241127-KONMAB23CFLBNHSIC3RWBIAMNM/
政治団体
「NHKから国民を守る党」
が、X(旧ツイッター)で
「反社会的カルト集団」
などと投稿され名誉を傷付けられたとして、インターネット記者の男性に160万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は2024年11月27日、名誉毀損を認めず、請求を棄却した。
訴えられたのは
「選挙ウォッチャーちだい」
の名で活動する石渡智大氏。
判決によると、石渡氏は今年2024年6月、Xで
「反社会的カルト集団が野放しになっている」
と投稿した他、動画配信サイトで
「サリンをまかないオウムみたいなもん」
などと発言した。
阿部雅彦裁判長は判決で、同党の立花孝志党首が
「犯罪行為や不法行為を繰り返してきたのみならず、自らに批判的な言論活動を行う第三者への迷惑行為を支持者に促し、テロや民族虐殺をも辞さないかのような発言をしていた」
と指摘。
石渡氏の投稿や発言は公益を図る目的で
「前提事実の重要部分は真実と認められる」
とした。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/194.html#c36
[中国13] 中国・四川省の濛渓河遺跡 洪水で姿を現した太古の世界/新華社 藪素人
2. 秘密のアッコちゃん[1115] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月28日 07:13:41 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[553]
<■592行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
VW、中国ウイグルから撤退、工場売却 少数民族の強制労働巡り批判浴びる
2024/11/27 22:15
https://www.sankei.com/article/20241127-GVKLERTX4BPZPKT32IGL7AMWFE/
ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は2024年11月27日、中国新疆ウイグル自治区にある合弁事業の工場を中国企業に売却することで合意したと発表した。
同自治区での事業を巡り、少数民族ウイグル族の強制労働との関連を批判されていた。
ドイツ経済紙ハンデルスブラットによると、VWは2013年から中国大手、上海汽車集団と合弁で工場を運営。
2019年に完成した自治区内の試験走行コースの建設時に強制労働が行われた可能性があり、株主などからの撤退圧力が強まったことで、VWは事業の見直しを迫られていた。
VWと上海汽車集団は上海の別の企業に工場と試験走行コースを売却することで合意した。
VWは発表で
「経済的な理由による事業再編の一環」
としている。(共同)

「デマ散布機関で偽装人権団体」中国駐大阪領事 在日中国人に当局が口封じ報告のHRWに
2024/10/10 18:14
https://www.sankei.com/article/20241010-TZDVNQF3KFBHREZNDK5U5Z254Y/
中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事は10日、X(旧ツイッター)で、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)について、
「CIA(米中央情報局)が操るプロのデマ散布機関であり、国際的にとっくに信用破綻している偽装人権団体」
と指摘した。
HRWは、中国政府への抗議活動に参加した在日中国人に中国当局が
「口封じ」
のために嫌がらせをしているとの調査結果を公表している。
HRWは10日、ウイグル、チベット、内モンゴル自治区出身者ら25人にインタビューした結果を公表。
多くが中国当局にデモ活動の取りやめや中国人活動家の情報提供を求められ、自治区に残す親族らも脅迫めいた連絡を受けていたという。
薛剣氏は、結果を報じた一部メディアも名指しして
「余りにも酷過ぎるじゃないか!卑劣な中国デマをこのように無分別に鵜吞みにして垂れ流すのは、結局あなたたちも一つ穴のムジナなだというものなのか」
と指摘した。
HRWの報告書は共同通信などが報じた一方、HRWは調査結果を公表する前に駐日中国大使館に見解を求める書簡を送ったが、回答はなかったという。

「家族がどうなっても知らない」在日ウイグル人らに中国当局が圧力 人権団体HRWが報告
2024/10/10 15:56
https://www.sankei.com/article/20241010-NTORUYVXKJD3JI74DZ2HQD7NNU/
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は中国当局から受けている
「圧力」
の実態を巡って、日本で暮らすウイグル、チベット、内モンゴル自治区出身者らにインタビューし、
「中国が海外にいる政権批判者に対して嫌がらせ」
と題して、10日に結果を公表した。
多くが中国当局にデモ活動の取りやめや中国人活動家の情報提供を求められ、自治区に残す親族らも脅迫めいた連絡を受けていた。
HRWは
「活動の自由など基本的人権は守られるべきで、圧力は許されない」
「日本政府も情報収集して中国政府に首脳会談などで反対を表明してほしい」
と訴える。
■読書会も「反中国組織か」
HRWは6月〜8月にかけて、自治区出身者ら25人に聴取した。
いずれも日本で、ウイグル民族弾圧への反対活動やチベット文化を紹介する活動などに関わった経験があるという。
16人が当局の圧力があったと証言した。
複数の在日ウイグル人は、中国当局の関係者から中国の通信アプリ微信(ウィーチャット)などで連絡を受け、中国政府に批判的な活動を止めたうえで、日本ウイグル協会など在日のウイグル人グループの名簿の提供などを求められたという。
親戚から自治区に帰国するように求められた際、中国の警察が突然電話を代わって
「さっさと帰ってこい」
「さもないと家族がどうなっても知らないぞ」
と言われたケースもあったという。
内モンゴル自治区出身者は、読書会で同郷の活動家の著作を扱おうとしたことで、中国当局が自治区で暮らす親族を通じ
「反中国の組織ではないか」
などと圧力をかけられたという。
当局関係者は本人に連絡し、各種イベントに参加する内モンゴル人の情報も求めたという。
■「国境を越えた人権弾圧は許容しない」
チベット文化を紹介する在日チベット人や、香港の民主化活動に参加した経験のある台湾人は、それぞれ駐日中国大使館にパスポートの更新や重要文書の受理のため帰国を促された。
いずれも中国当局による拘束などを恐れ、勧告を拒否したという。
米議会では、外国人や帰化した人も含め、国境を越えた迫害に対応する
「弾圧報告法案」
が審議されている。
HRWは政府も国内に居住する外国人らが、強権的な母国の当局から圧力や嫌がらせを加えられている実態を把握するシステムを作るべきだと指摘する。
HRWのアジア局プログラムオフィサー、笠井哲平氏は
「中国当局は何の躊躇いもなく、日本で中国政府の人権侵害を批判している中国出身の人々を口封じしようとしている」
と指摘する。
日本政府に対しては
「中国政府に、国境を越えた人権弾圧を許容しない姿勢を明確にするべきだ」
と訴えた。
HRWは今回の調査結果について駐日中国大使館に見解を求める書簡を送ったが、10日の公表までに回答はなかったという。

中国当局 政府に批判的な在日中国出身者に嫌がらせか 人権団体
2024年10月10日 16時03分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241010/k10014606311000.html
国際的な人権団体
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」
は、日本で中国政府に批判的な活動などをした中国出身の人々に対し、中国当局が嫌がらせを行うなどして圧力をかけているとする調査結果を公表しました。
この調査は、
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」
が2024年6月から8月にかけて、中国の新疆ウイグル自治区やチベット、それに香港などの出身で日本に住む、あわせて25人に聞き取りを行ったものです。
いずれも、人権侵害を訴える活動などに参加していて、このうち多くの人が、中国の警察が自身や中国にいる親族に日本での活動をやめるように圧力をかけてきたと答えたということです。
このうち、複数の新疆ウイグル自治区の出身者は、中国当局が中国に住む親族を通じて連絡をとってきて、中国政府に批判的な活動をやめるよう言われたり、日本にあるウイグルのコミュニティーに関する情報を提供するよう要求されたりしたと証言しているとしています。
さらに、聞き取りに応じた複数の人が日本の警察は救済してくれないだろうといった思いや、報復などを恐れる気持ちから、日本の当局に助けを求めなかったとしています。

「中国当局、在日中国人を脅迫」=政権批判に「口封じ」―人権団体
2024年10月10日 15時07分
https://equity.jiji.com/oversea_economies/2024101000756
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は10日、中国政府に批判的な在日中国人に対し、中国当局が嫌がらせや脅迫をしていると明らかにした。
2024年6〜8月に実施した聞き取り調査に応じた日本在住の25人が当局の圧力について証言したという。
HRWによれば、新疆ウイグル自治区の人権問題を扱う日本の団体を支援する同自治区出身者は、中国で暮らす親族と電話で話していたところ、突然電話を代わった現地の警察官から
「家族がどうなっても知らないぞ」
と言われた。
また、中国の
「ゼロコロナ」
政策への抗議活動を企画した人は、当時在籍していた日本語学校を通じ、在日中国大使館から活動をやめるよう迫られた。
HRWは、政権批判をする自国民を中国当局が
「何の躊躇いもなく口封じしようとしている」
と指摘。
日本政府に対し
「国境を越えた人権弾圧を許容しないと明確にすべきだ」
と訴えた。 
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」

「日本政府は中国出身の人々に対する中国政府の監視や脅迫をやめるよう求めるベきだ」
とした上で、このような事案を報告できるシステムを作ることなどで、基本的人権を守る必要があると指摘しています。

在日中国人が自国批判→「中国当局から嫌がらせ」 人権団体が報告書
2024年10月10日 7時00分
https://www.asahi.com/articles/ASSB92TFGSB9UHBI01LM.html?msockid=03bbc426d8756d821927d643d90f6c0f
国際人権団体
「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW)
は10日、日本で中国に対する抗議活動などに参加した複数の中国出身者が、中国当局から脅迫や嫌がらせを受けたとする報告書を発表した。
HRWは、今年6月から8月にかけて、これまで中国政府によるゼロコロナ政策を批判したり、少数民族への人権侵害を訴えたりする活動などに参加したことがある日本在住の25人の中国出身者に聞き取りを行った。
そのうち16人が、中国政府関係者から活動中止を求められたり、中国に暮らす親族に対して現地の警察から圧力をかけられたりしたと証言した。
報告書によると、日本で暮ら…
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不信を決定付けたウルムチ事件
正論2024年8月号 日本ウイグル協会会長 アフメット・レテプ
2009年7月5日に発生したウルムチ事件から2024年で15年となる。
世界中のウイグル人はこの事件を
「7・5ウルムチ虐殺」
として毎年追悼し、真相究明と責任追及を訴え、中国への抗議活動を続けている。
この事件を境に、ウイグル人と中国人や政府の相互不信が決定的なものとなり、ほとんどのウイグル人が中国人との共存など到底無理だと考えるようになった。
一方の中国政府もウイグル人を
「国家の敵」
と見做し、その独自のアイデンティティを恐怖政治によって徹底的に破壊する方向へ大きく舵を切った。
結果、欧州議会を含む世界11議会でジェノサイド(集団殺害、大量虐殺)と認定、国連も人道に対する罪で警告するまでに至った。
■引き金となった韶関(しょうかん)事件
2009年5月21日、東トルキスタン南部の町、カシュガルのコナ・シェヘル県(中国語表記、疏附県 (そふ-けん))から819人のウイグルの若者が、中国政府が一大プロジェクトとして強行する所謂
「余剰な労働力の東部移送プロジェクト」
の一環で、5000km離れた広東省韶関市の工場に移送された。
1カ月後の2009年6月26日深夜、(「ウイグル族による漢族女性暴行事件が相次ぐ」とのデマをきっかけに)凶器を持った数千人の中国人がウイグル人らの寮に襲い掛かり、政府発表で死者2人、負傷者約120人を出す事件が起きた。
現場にいたウイグル人らは約20人が死亡し、負傷者も政府発表より数倍多いと証言している。
これが、ウルムチ事件の引き金となった韶関(しょうかん)事件だ。
必死で逃げまくるウイグル人と、四方八方から凶器で襲い掛かる中国人、そして周りで撮影しながらウイグル人の皆殺しを叫んでお祭り気分の大勢の中国人の姿を映した動画がネットにアップされ、ウイグル人社会に大きな衝撃が走った。
動画では、血まみれに倒れ、抵抗することも逃げることも出来ない状態の複数のウイグル人を大勢の中国人が楽し気に蹴る、斧で叩き斬る、放尿する姿さえあった。
当時、千葉県に住んでいた私は、その動画を見て全身が激しく震えた。
人間同士がどうやったらあのような残酷極まりない性格になるのだろうかと、頭が真っ白になり、経験したことのない憎しみと無力さに苛まれたことを今でも鮮明に覚えている。
■充満する3つの不満
当時、ウイグル人社会には、死活問題として人々が極度の不満を抱いていた問題が3つ存在していた。
(1)ウイグル語での学校教育の廃止
2002年から、大学の授業を中国語に切り替える政策が始まり、2009年には保育園にまで広がった。
独自文化が継承されるためのルーツを断ち切る狙いがある政策として強い反発はあったが、それを不満として漏らす者には皆決まって
「3つの悪(テロリスト、分離主義、過激主義)に感染した危険分子」
とのレッテルが貼られ容赦なく処罰されていった。
ウイグル語も、ウイグルの文化も全く知らない大量の中国人が続々と学校の教壇に立ち、
「中国語で授業が出来ない」
との理由でウイグル人教員らが大量に職を失うことになった。
(2)カシュガル旧市街地の取り壊し
北京オリンピックが閉幕した2008年8月24日、中国当局はカシュガル旧市街地を取り壊すと通告した。
約6万世帯のうち、50世帯分の住居だけは壊さずに保存するが、それ以外は全て取り壊し、住民を郊外の集合住宅に移住させるという計画だった。
私も大学時代をカシュガルで過ごしたが、カシュガルは、ウイグル人にとって悠久の歴史を持つ古都であり、日本人にとっての京都と同じ存在だった。
旧市街地は、ウイグルの歴史・伝統・文化の全てが凝縮された博物館であり、ウイグルの誇りそのものだった。
中国に言わせれば、古臭い街並みを高層ビルやテーマパークに変えてやるのだから感謝しなさいという理屈だったが、ウイグル人からすれば、ウイグルの歴史や文化が跡形もなく消し去られる結果をもたらすことは火を見るよりも明らかだった。
反発する者は前述した危険分子のレッテル貼りで処罰され、重要文化財に指定された歴史的建造物も含めて取り壊しが強行された。
2009年6月、1300年の歴史を持ち、
「カシュガル皇族神学校」
として当時大学の役割を果たした建物が跡形もなく取り壊され、多くのウイグル人が落胆し悲しんだ。
取り壊された時、中国政府による
「1級文化財」
の看板が建物の玄関に掛けられたままだった。
(3)若者の強制連行と強制労働
2001年、中国は世界貿易機関(WTO)の加盟国として安い中国製品を世界市場で自由に売れるようになった。
4年後の2005年、
「余剰な労働力の東部移送プロジェクト」
がウイグル人社会に突き付けられた。
カシュガル、ホータン、アクスなどウイグル人密集地から、16歳から25歳の未婚のウイグル人女性を、中国沿岸部の複数の都市の工場へ移送するというもので、第11次5カ年計画(2006-2010年)の間、計40万人を目標にするという内容だった。
毎日のように中国各地から政府支援を受けた大量の中国人が入植し職を得ている一方で、地元のウイグル人らを意図的に就職の機会から排除し、
「余剰な労働力」
との名目で家族から引き離し、言葉も文化も異なる5000kmも離れた中国沿岸部へ集団で移送する、行きも帰りも本人の意思とは無関係に密室(政府と移送先企業間)で決まってしまう。
しかも、ウイグルの未来の母となる未婚の若い女性をターゲットにしていることから強い反発が起き、親たちは娘の移送を拒否した。
「職を与えて経済的に助ける」
という政府の説得は不発に終わり、これを受けて、僅かな割合で男性にも枠を広げ
「各戸から5年以内に最低1人を」
とのスローガンが掲げられ、実質的なノルマ制が取られた。
応じない場合は農地の没収等の罰則も設けられた。
参加を拒否した女性の兄弟や父親が逮捕された事例や、移送先の工場から逃げ出して帰って来た女性に地元政府が罰金刑を科した事例等が断続的に伝えられた。
受け入れ先の企業には30万・人民元(約650万円)の補助金制度まで登場した。
低賃金で長時間労働が強いられ、政治学習、厳重な監視、人種差別、性暴力被害、自殺等の事例が伝わるようになると、強制連行を回避するために、娘を慌てて結婚させる親が続出した。
反発が強くノルマの達成が厳しかったため、このプロジェクトに参加し最低でも2年間中国沿岸部の工場で労働に関わった経歴のないウイグル人女性に結婚証明書を発行しないと決める自治体も現れた。
2008年5月には、カシュガル市政府がウイグル人女性に対する結婚証明書の発行を一時停止すると発表した。
中国共産党カシュガル地区委員会の史大剛書記は政府会議で、
「ウイグル族の外部就労を妨げる者は、カシュガル民衆の罪人である」
と非難し、抵抗の排除を訴えた。
強制連行と強制労働以外の何物でもなかった。
政府発表では、このプロジェクトによって移送されたウイグル人は、2008年に16万2500人、2009年に12万3900人となっている。
■7・5ウルムチ虐殺
これらの不満が充満する中で火に油を注ぐように、前述の韶関(しょうかん)事件【2009年6月26日深夜】が発生する。
溜まりに溜まったウイグル人社会の不満は更に高まっていった。
しかも、強制連行を強引に進めてきた政府が、2009年6月26日から2009年7月5日までの間、事件に対する公式な反応を何1つ示さずに放置した。
仮に加害者と被害者の民族が逆だったら即座に大規模拘束に乗り出し、官製メディアも一斉に非難キャンペーンを展開していたはずが、韶関(しょうかん)事件では無関心の様子だった。
日頃から人種差別に耐えながら我慢してきたウイグルの人々が絶望的感情と弾圧されるリスクを背負いながらも、2009年7月5日にウルムチで大学生らを中心とした抗議デモを行った。
最初の頃の現場を写した写真や動画は今でもネット上で確認できるが、当局に説明と公正な裁きを求めているだけだった。
しかし、デモが始まって間もなく、中国当局は説明どころか、武装警察を動員し無理に解散させようとしたため、平和的なデモが衝突へ発展。
武装警察が学生らに発砲したことを受け、街沿いの人々も加わり、参加者が最初の1000人規模から1万人規模にまで膨らみながら衝突し、大惨事となった。
政府発表では、死者192人、負傷者1721人となっているが、現地からの証言等によると、当日の発砲やその後の無差別拘束で3000人以上が死亡し、1万人以上が行方不明となったと見られている。
また、政府発表だけでも3000人以上が死刑判決を言い渡した。
中国当局は、事件の背景にあるウイグル人の不満をひた隠した。
ごく普通の平和的なデモを悲惨な衝突に変えてしまった自らの責任にも一切触れなかった。
国際機関やメディアによる独立した調査を行うことも許可せず、当時米国に住んでいた
「ウイグルの母」、
ラビア・カーディルさんの煽動による計画的な暴動だと主張した。
また、都合よく切り取りしたウイグル人の破壊映像や衝突に巻き込まれた中国人の被害映像だけ発信し、真相究明やウイグル人の被害状況から国際社会の目を逸らすことに成功した。
そのため、国際社会から激しい非難や制裁を受けることもなかった。
また、日本メディアを含む多くの国際メディアは
「ウルムチ暴動」
との中国側の一方的な主張をそのまま引用した。
他所からやって来た者に先祖から受け継いだ伝統や文化が否定され、母語で教育を受ける権利が否定され、誇りに思う街並みが破壊され、ひいては人生の全てを捧げて育てた子供が強制連行されたらあなたはどうするか。
必死で声を上げたところ、銃を向けられたら、あなたならどうするか。
それを
「暴動」
と言って片付けられていいのか。
中国当局は事件の背景にあるウイグル人の不満とは向き合おうとしなかった。
若者の強制連行を含む誤った政策を事件後も続けたのだ。
警察には超法規的な権限が与えられ、些細な事でウイグル人に暴力を振るい、発砲するようになった。
結果、ウルムチ事件(2009年7月5日)後の数年間は衝突が断続的に発生し、その度に当局は
「テロ事件」
と主張したが、中立的な国際機関やメディアが検証し、テロだと事実確認出来た事例は1つも無かった。
国際調査も自由な取材も許されないまま2016年以降の大規模な強制収容へと突き進んだ。
■深刻さを認識してほしい
「余剰な労働力の東部移送プロジェクト」
のスタートから15年、ウルムチ事件から10年以上が経った2020年に、オーストラリアのシンクタンク
「豪戦略政策研究所(ASPI)」

「売りに出されるウイグル人」
と題する調査報告書を発表した。
世界が初めてウイグル人の強制労働問題と向き合うことになった。
しかし、その間に数十万人ものウイグルの若者が犠牲になり、世界中の企業がウイグルの強制労働問題に巻き込まれていった。
この問題を念頭に、欧米では強制労働防止法の法整備や企業の取引見直し等が進んでいる。
日本の行政や企業にも、事の深刻さを再認識し、具体的な対策を進めて頂きたい。
最近、中国の電気自動車メーカー、BYDのCMがよく目につくようになった。
市民の足である路線バスにまでBYDを採用する自治体も出ているようだが、一言申し上げておきたい。
ASPI、英シェフフィールド・ハラム大学、国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ等がウイグルの強制労働問題で複数の調査報告書を発表しており、いずれにも必ず登場するのがBYDだ。
値段だけで判断して良いのか、自分の良心に再度聞いてほしい。

2009年ウイグル騒乱
https://ja.wikipedia.org/wiki/2009%E5%B9%B4%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%AB%E9%A8%92%E4%B9%B1

【取材秘録】2009年ウルムチ暴動 家族を奪われたウイグル女性たちの悲痛な叫び
https://www.youtube.com/watch?v=SgIBbT4NF5I

売り物のウイグル人
−新疆地区を越えての「再教育」、強制労働と監視−
https://hrn.or.jp/wpHN/wp-content/uploads/2020/08/884619c6c323ea22fe2f7bda7da0b11b.pdf

ウルムチ虐殺14周年追悼デモ
https://www.youtube.com/watch?v=5VD7T9j54UU

2013年「7・5ウルムチ虐殺四周年抗議活動」デモ
https://www.youtube.com/watch?v=_fqSix3Bd_o

7・5ウルムチ事件について
2012/1/8お知らせ
https://uyghur-j.org/japan/2012/01/7%E3%83%BB5%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%A0%E3%83%81%E4%BA%8B%E4%BB%B6%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
2009年7月5日に東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)の首府ウルムチで騒乱が起きた。
中国当局の発表によると、武器を手にしたウイグル人が
「暴動」
を起こし、商店や車両に火をつけたという。
しかし実情は、ウルムチのウイグル人学生らによる、
「2009年6月26日の広東省」
の事件の責任を追及する平和的なデモが始まりであり、それに次第に人が合流して1万人の規模になった平和的なデモだったのである。
しかし現地政府は1000人を超える武装警官を投入してデモを鎮圧し、無差別な発砲で数百人を射殺し、更に数人を装甲車で轢き殺した。
また中国政府は
「暴動」
は世界ウイグル会議がインターネットを通じて扇動した、計画的かつ組織的な犯罪であると主張している。
しかし現地と外部との情報のやり取りが厳格に監視されている中で、このような
「暴動」
を計画、実行することなど不可能である。
世界ウイグル会議はこのような扇動など行っていないと完全否定している。
中国政府は平和的なデモを暴動と言い、根拠が無いままに世界ウイグル会議が扇動したと批難しているのである。
ウルムチの学生が抗議した
「2009年6月26日の広東省の事件」
は広東省韶関市の玩具工場で起きたもので、200人のウイグル人が6000人の漢人から襲撃され、多数の死者が出たと言われる。
中国政府は当初、この襲撃事件の起きた原因を有耶無耶にし、犯人を逮捕しようとしなかった。
この2009年7月5日のウルムチの事件をきっかけに、政府は2009年6月26日の広東省の襲撃事件の犯人を逮捕して厳罰で臨むと、方針転換することになった。
しかし、この事件を起こした犯人を逮捕するだけで、この問題は解決するものではない。
直接には扇動された漢人の工員達が起こしたものであるだろうが、その背後には漢人による
「少数民族」
への差別意識があり、更に根本的な原因としては、中国政府が行っているウイグル人への弾圧と、同化政策がある。
何故東トルキスタンから遠く離れた沿岸部の広東省にウイグル人の若者がいるのだろうか。
彼らは経済的な理由から出稼ぎに来ているかのように言われるが、実際には中国政府がウイグル人の若者数十万人を、中国の沿岸部の工場などへ強制的に連行しているのである。
地域ごとに
「出稼ぎ」
に出す若者の数がノルマとして割り振られ、また貧しい農村部の若者に仕事を斡旋するとの名目ではあるものの、実態は安価な労働力として奴隷のように酷使されている。
更に女性であれば売春を強要されることもあるという。
強制連行されたウイグル人達は、政府機関や企業、一般の漢人らによって差別され、政治的にも脅迫され、収容所の囚人のように厳重な監視下に置かれている。
そもそもウイグル人の貧困を、地元での雇用によらずに、沿岸地域に移送させることによって解消しようとするのは何故なのだろうか。
中国の支配下に入ってから、東トルキスタンには大量の漢人が入ってきている。
60年前の総人口に占める漢人の割合は6%に過ぎなかったのが、現在ではほぼ半数を占めるまでに至っている。
地元の要職は漢人によって占められ、ウイグル人は大学を卒業しても地元では仕事が出来ないのが現状である。
漢人の大量移入とウイグル人の若者の大量移出は、東トルキスタンの同化を目的として行われているのである。
また若いウイグルの独身女性を大量に中国内地に移送しており、2006年から2010年で40万人を送る計画であるとのことである。
女性のみを大量に中国内地に送り込むということは、ウイグル人と漢人の通婚を奨励し、ウイグル人同士の婚姻を妨げる意図があると思われる。
このような人の移動による政策以外にも、公教育からのウイグル語の追放、宗教活動や民族の習俗・文化への制限、など様々な方法によって漢人と同化されようとしており、ウイグル人というものが地球上から抹殺されようとしているのである。
2009年7月5日にウルムチで起きたデモが武装警察によって鎮圧された後、中国政府はウイグル人の暴動によって漢人が多数犠牲にあったと、殊更に漢人の被害を強調し、民族対立を煽った。
その結果2009年7月7日には漢人による報復が起こった。
報道された写真に写る漢人らは鉄パイプや手斧を持っているが、彼らは
「デモ参加者」
であるとされている。
これら漢人の暴徒は道を歩くウイグル人を襲い、ウイグル人の商店を襲撃し、モスクに放火した。
しかし、当局はウイグル人に対してしたような激しい鎮圧は行っておらず、
「民族」
毎に違った対応をしている。
また、2008年3月のチベットで起きた騒乱の時に地域を封鎖し、外国人記者を現地から締め出したことで他国からの批判が集まったことからの教訓として、今回の2009年7月5日のウルムチ事件では一転して情報を公開する方針を採るようになった。
しかし情報を公開するとは言っても、
「ウイグル人の暴動」
の映像を提供するなど公式の情報発信の一方で、電話やインターネットなどを遮断して現地と直接連絡が取れないようにしていたのであるから、より効果的な報道統制を狙ったものと言えるだろう。
ウルムチの事件の翌日にはカシュガルやグルジャ(イリ)などにも飛び火し、軍、武装警察による厳戒態勢が敷かれている。
現在現地政府が認定する死者の数は少しずつ増えており、百数十人となっているが、その大部分を漢人の死者であると言っている。
しかし世界ウイグル会議が得た情報では、2009年7月5日以降現在まで、事件の時に武装警察によって殺された者、漢人暴徒の報復行為によって殺された者など、最大で3000人のウイグル人が虐殺されたとみられる。
また、今でも多くのデモ参加者らは逮捕されて監獄に閉じ込められ、拷問を受け、死に至っているはずである。

日本ウイグル協会「デモ参加者1万人が一晩で消えた」 ウルムチ暴動15年、中国を批判
2024/7/4 23:21
https://www.sankei.com/article/20240704-MTWECXJUJJKRBIZDN4HBE2FVT4/
中国新疆ウイグル自治区ウルムチで2009年に起きた大規模暴動から2024年7月5日で15年となるのを前に、日本ウイグル協会は2024年7月4日、東京都内で記者会見を開いた。
「ウイグル族による暴動」
との表現は中国の一方的な発表に基づくものだとし、
「中国は都合よく切り取った情報だけを公表し、事件の背景や不都合な事実を隠している」
と批判した。
事件は2009年7月5日、ウルムチ市内で発生。
広東省の工場でウイグル族の工員が漢族に襲われて死亡した事件への抗議デモがきっかけとなり、一部が暴徒化して漢族や治安部隊と衝突。
当局発表で197人が死亡、1700人以上が負傷した。
協会のレテプ・アフメット会長は
「ウイグル人が中国人との共存は無理だと考えるようになった事件だ」
と指摘。
警察の無差別発砲や漢族の暴行があったとの証言や動画もあり、1万人規模に膨らんだデモの参加者が
「『一晩で消えた』との証言も多い」
と主張し、
「実際の死者数は3000人超、行方不明者は1万人超とみられる」
と訴えた。
中国政府は2000年以降、自治区の学校でのウイグル語教育を順次廃止。
アフメット氏は、当時、毎年10万人程度のウイグル族の若者が強制労働に従事させられ、不満が高まっていたことが事件の背景にあると紹介し、
「事件の背景や当局の暴力を全く伝えず、悲惨な衝突に変えてしまった中国政府の責任は重い」
と非難した。
事件後に逮捕され行方不明となった青年の事例も挙げた。
「母親はメディアに問題提起後、国家機密を漏らした罪で逮捕された」
「国際社会は天安門事件には注目するが、この事件には無関心だ」
と批判。
中国当局によるウイグル族への強制収容や強制労働など、西側諸国が現在批判している問題に繋がる事件だったとして、
「国際社会は中国の一方的な情報を鵜呑みにせず、私たちの小さな訴えに耳を傾けてほしい」
と訴えた。

「ウルムチ暴動」から15年 ウイグル協会が抗議集会「非人道的扱い、激しさ増した」
2024/7/5 18:11
https://www.sankei.com/article/20240705-OCFV5XF77RHY7PM5ERARJEUZ7I/
2009年7月5日に発生した「ウルムチ虐殺」(通称・ウルムチ暴動)から2024年で15年。これを追悼し、在日中国大使館前で抗議集会が開催された=2024年7月5日午前、東京都港区
https://www.sankei.com/article/20240705-OCFV5XF77RHY7PM5ERARJEUZ7I/photo/N4YW4ZVDHNOQLCOVGPDQGMEE3Q/
中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで、2009年にウイグル人デモが漢人や治安部隊に弾圧された
「ウルムチ暴動」
から2024年7月5日で15年となった。
日本ウイグル協会は東京都内の中国大使館前で抗議集会を行い、犠牲者を追悼した。
中国当局は暴動の死者を漢人ら197人としているが、1万人近いウイグル人が行方不明になったとの指摘がある。
同協会は
「ジェノサイド」(民族大量虐殺)
と欧米諸国が非難するウイグル人弾圧の端緒となった出来事だと訴える。
■銃殺、無差別に拘束
「武装警察や軍隊が(ウイグル人の)学生らに発砲し、数千人のデモ参加者が銃殺され、無差別に拘束された人々が行方不明になった」
「その後もウイグル人に対する非人道的な扱いが激しさを増す一方だ」
ウイグル協会の田中サウト氏は集会でこう訴え、ウイグル人弾圧の停止と国際的な調査団の受け入れを求める抗議声明を大使館に投函した。
「ウルムチ暴動」
を巡っては、2009年6月に広東省の工場で起きた漢人によるウイグル人襲撃・殺害事件に抗議するため、ウイグル人の若者らが2009年7月5日にウルムチでデモ行進を行った。
一部が暴徒化すると漢人や治安部隊と衝突し、1700人以上が負傷。
2009年7月7日には漢人が襲撃する
「ウイグル人狩り」
も起きた。
一方、中国当局は、亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」(本部・ドイツ)が扇動したとして、鎮圧を正当化している。
田中氏は
「デモの始まりはウイグル人の権利を求める若者による平和的なデモだった」
「過激な暴力を使ったのは中国側だ」
と強調した上で、
「ウイグル人が暴力で漢民族を刺激したかのようなイメージが作られ、日本のメディアも『ウイグル人の暴動』という言葉がよく使われている」
「一方的に中国から流された情報を鵜呑みにしているのではないか」
と語った。
■平和的デモを衝突に変えた
田中氏は2023年10月に日本国籍を取得したが、暴動当時はウルムチ市内で働いていた。
「20代や30代のウイグル人の若者が町から消えて、高齢者や子供ばかりだった」
「約1万人が消えたのは現実に近いのではないか」
と語る。
田中氏は警察署で指紋や顔写真を撮られたが、その後釈放された。
当時について、同協会のレテプ・アフメット会長は2024年7月4日の記者会見で、
「一般の中国人が町の至る所で、ウイグル人を見つけたら殴り殺すということが散発的に起きた」
「木の上にまで逃げたウイグルの若者も追い掛けて殺そうとされた」
と説明した。
「平和的なデモを悲惨な衝突に変えた中国の責任は重い」
「その後ウイグル人に対して警察が当たり前のように発砲し、暴力を振るうようになった」
「これが色々な衝突を生み出し、その度に中国がテロだと主張するという流れになった」
とも語った。

中国、「テロ対策」名目に締め付け強化 ウルムチ暴動15年「息苦しい状態」とウイグル人
2024/7/5 21:12
https://www.sankei.com/article/20240705-5S3AL36HPJJEXF4YSMIYJODABQ/
中国西部の新疆ウイグル自治区ウルムチで発生した少数民族ウイグル族の大規模暴動から2024年7月5日で15年となった。
中国当局は
「テロ対策」
を名目にウイグル族への締め付けを強め、信仰するイスラム教への管理も厳しさを増している。
暴動は2009年7月5日に発生した。
南部、広東省の工場でウイグル族が漢族に襲われて死亡した事件への抗議デモがきっかけとなり、一部が暴徒化して漢族や治安部隊と衝突。
当局発表で197人が死亡、1700人以上が負傷した。
暴動は、中国当局がウイグル族への抑圧を強化する契機となった。
各地の街頭やモスク(イスラム教礼拝所)などに多数の監視カメラを設置し、ウイグル族の動向を徹底的に監視。
オーストラリア戦略政策研究所は2020年、ウイグル族らを拘束しているとみられる施設が自治区内に380カ所以上あると報告している。
中国政府は2024年1月に発表したテロ対策に関する白書で、
「テロ活動を計画した犯罪者を法に従って処罰し、テロの大部分を計画段階や行動前に粉砕した」
と主張。
自治区を
「反テロの主戦場」
と表現した。
同時に、習近平国家主席が2015年に提起した
「宗教の中国化」
政策の下、中国当局は宗教活動への統制も強めている。
自治区などでモスクなど宗教施設を取り壊し、少数民族の脱宗教化を事実上進めていると指摘される。
その一方で、中国政府がアピールするのが自治区の経済振興だ。
2024年3月には、政府が管轄する国有企業が2024年から3年間で、自治区の新興産業などに総額7000億元(約15兆5000億円)近くを投資すると表明した。
「アメとムチ」
でウイグル族の不満を逸らし、漢族社会への同化を図る狙いがある。

事件当時を知る在日ウイグル人は、中国政府が故郷を分断したとして悲痛な思いを語った。
当時、ウルムチの大学で学んでいた関東在住のサメットさん(30代、仮名)は
「事件を機に自治区内で相互不信が深まった」
「他人を信頼しきれない息苦しい状態だ」
と嘆く。
事件当日、警官が子供を手で掴みながら空に発砲するのを見た。
「当時は中国人として生きていたが、日本に来て中国の酷い仕打ちを知った」
「中国人との共生は無理だと気付かされた事件だ」
と振り返る。
自身も長年帰郷できていない。
「農家の父も土地を奪われ、『死んだ方がましだ』と言っていて胸が痛む」
「国際社会はウイグルを分断した中国に声を上げて」
と訴えた。

見逃されてきた女性の強制労働…ウルムチ事件の真相
日本ウイグル協会会長 レテプ・アフメット
2024/6/24 8:00
https://www.sankei.com/article/20240624-YJSSHGXJS5O65LSOFMFSYJDVS4/
米国で
「ウイグル強制労働防止法」
が2022年6月に施行されてから2年が経過した。
欧米ではウイグル人強制労働問題への対応が着々と進んでいる。
2024年2月にも欧州化学最大手のドイツBASFが、強制労働への関与の可能性が指摘された事業から撤退を発表したし、2024年3月には欧州連合(EU)の欧州議会などが、強制労働で生産された製品の流通や輸入を禁止する規制案で暫定合意した。
2024年5月には米政府が中国企業26社を新たにウイグル強制労働防止法のリストに追加、2024年6月にも3社を追加し、輸入禁止の対象としたことを発表した。
ただ、このように厳しい措置が取られるようになったのは、近年になってからである。
2001年12月、世界貿易機関(WTO)に正式加盟した中国は、安い製品を世界市場で自由に売って急成長する陰で、ウイグル人の強制労働を続けてきたが、国際社会がそれを気にすることはほぼなかった。
中国当局が新疆ウイグル自治区カシュガルなどウイグル人集住地から、ウイグル人女性を
「余剰な労働力」
と称して中国沿岸部の複数都市の工場へ集団移送する政策を始めたのは、WTO盟から4年後の2005年だった。
対象となったのは16歳から25歳の未婚女性で、第11次5カ年計画(2006〜2010年)の間に計40万人の移送が目標とされていた。
毎日のように政府支援を受けた大勢の漢人が入植し職を得ている一方で、地元のウイグル人女性が家族から引き離され、言葉も文化も異なる5000kmも離れた地へ集団で移送されることには強い反発が起きた。
しかし、中国は
「各戸最低1人を」
とのスローガンの下、女性たちを本人の意思と関係なく強制的に連行。
厳重な監視下の長時間労働、人種差別、性暴力などの事例も伝わり、移送先でウイグル人が無差別襲撃され死亡する事件まで発生した。
2009年7月5日、ウイグル人の町ウルムチで起きた
「ウルムチ事件」
は、実はこのウイグル人襲撃に対する大学生らの抗議デモから始まったのだ。
日本では
「ウイグル暴動」
などと報じられたが、実際には平和的なデモを警察が武力で無理に解散させようとしたため、悲惨な衝突に発展したものだ。
そのウルムチ事件から間もなく15年になる。
当時、国際社会は事件の背景にある強制連行、強制労働と向き合うことなく、その結果、問題は10年以上、放置された。
その間、数十万人ものウイグルの若者が苦しみ、数えきれない人々が犠牲になった。
そして、日本を含む世界中の企業が、強制労働による商品を供給するという形で強制労働に手を貸し続けた。
これ以上、この問題を放置せず、厳しい態度を示す日本であってほしい。

群馬「正論」 レテプ・アフメット氏招き講演「進行中のウイグルジェノサイドの実態」
2024/6/6 17:53
https://www.sankei.com/article/20240606-UCM4L5ODJNK6DJK4BQNH7CUEOE/
群馬「正論」懇話会(会長=田中善信・田中二階堂法律事務所長)は2024年6月28日、日本ウイグル協会会長、レテプ・アフメット氏(46)を招き、第66回講演会を開催します。
アフメット氏は中国・新疆ウイグル自治区出身。
平成14年に来日、東大大学院理学系研究科で修士号を取得し日本のIT企業に就職しました。
平成29年頃からウイグルの家族と連絡が取れなくなり、一般人まで強制収容所に送られているという情報が届き始め、父親や弟らも再教育施設即ち強制収容所に入ったことを知ります。
当局の脅迫めいた圧力を受けながらも同じ境遇の同胞と力を合わせ、圧政の告発を続けています。
演題は「進行中のウイグルジェノサイドの実態」。
欧州の人権団体は、中国がここ10年で海外在住のウイグル人やチベット人約1万2000人を強制帰国させたとの報告書を発表。
強制収容所に入れられ死亡した女性もいるとされます。
何のために迫害するのか。
ウイグル支配の歴史的経緯、中国政府による凄惨な実態を語っていただきます。

【日時】2024年6月28日(金)午後1時半開演
【会場】前橋商工会議所会館2階「ローズ」(前橋市日吉町1の8の1)
【申し込み方法】往復はがきに郵便番号、住所、氏名、電話番号を明記、〒371−0858 前橋市総社町桜が丘1037の136 産経新聞前橋支局「正論」係へ。同伴者がいる場合はその名前も。整理券をお送りします。
【一般入場料】1000円
【締切】2024年6月26日必着

http://www.asyura2.com/19/china13/msg/345.html#c2

[政治・選挙・NHK296] 改めて安倍・岸田の大罪判明 庶民は103万円で四苦八苦 軍事費は米の言いなりで青天井(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
31. 秘密のアッコちゃん[1116] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月28日 07:32:02 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[554]
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「私たちは正当な抗議」座り込みでダンプの進路阻む 沖縄・宮城島、土砂搬出開始1週間
2024/11/27 17:15
https://www.sankei.com/article/20241127-YN5HBZIUZ5J37JPMOQE3J33WJM/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設工事で使う土砂を搬出する宮城島(同県うるま市)で2024年11月27日、反対派がダンプカーの前で座り込み、進路を阻んで抗議活動を行った。
県警の機動隊員らが座り込みを続ける人を持ち上げ、歩道の安全な場所まで移動させる一幕もあった。
宮城島では2024年11月20日から土砂の搬出が始まり、2024年11月27日で1週間が経過。
土砂を運ぶダンプカーが出入りするゲート前には
「宮城島の土で基地、造らせない!」
と書かれた横断幕が掲げられ、拡声器で
「ダンプによって宮城島の農道、生活道路が破壊される」
などと訴える声が繰り返し響いていた。
警戒に当たる機動隊員らは
「座り込んだり、立ち塞がったりする行為は道路交通法違反となる」
「低速での歩行や繰り返しの横断については業務妨害(罪)に該当することがある」
と再三に渡り警告。
これに対し、土砂搬出に抗議する人らは
「私たちは正当な抗議です」
と反論し、
「土砂搬入反対」
とシュプレヒコールを上げた。
この日は、牛歩による抗議をしていた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した名護市安和の事故現場で普段抗議活動をしている人の姿も見られた。
辺野古移設工事で使う土砂搬出を巡り、宮城島でも抗議活動が本格化していることが窺える。

ガードレールは抗議者が事故に巻き込まれないよう安全のために設置するものだ。
市民団体と称する反日左翼活動家が事故が起きやすい無茶で危険な抗議活動を行うから事故が起きるのだ。
車道を歩いていけないのは常識中の常識だ。
市民団体と称する反日左翼活動家がいくら屁理屈を言っても心ある人には通じない。
市民団体と称する反日左翼活動家が100%悪い。

警備員死亡の事故現場に「ガードレール設置しないで」 市民団体が沖縄・玉城知事に要請
2024/11/14 17:28
https://www.sankei.com/article/20241114-TVQKJASA5BLJRK73BQYNABNA7U/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、市民団体
「沖縄平和市民連絡会」
のメンバー9人が2024年11月14日、県庁で県の幹部職員と面談した。
市民団体が玉城デニー知事宛てに提出した要請書は
「ガードレールを設置して抗議する市民を排除しても、ダンプトラックの走行が増えれば、交通事故は更に増加する」
と指摘。
「特定の事業者・警備員が公道を封鎖し、歩行者の通行を阻止することなど許されるはずはない」
として、ガードレールや車止めポールなどの設置を認めないよう県に求めている。
事故現場となった名護市安和桟橋付近の国道では以前から牛歩による抗議活動が行われてきた。
港湾を利用する事業者側は令和4年12月以降、県に対して
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請。
費用を負担するのでガードパイプを設置させてほしいと訴えたが、県はいずれも
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めてこなかった。
この日、県庁で応対した県土木建築部の前川智宏部長はガードレールについて
「道路管理者として設置は適切ではないと考えている」
と述べた。
事故現場では現在、警備員がオレンジ色のネットを広げて抗議者がダンプカーの前に出ないようにしている。
市民団体のメンバーからは
「車道を歩くしかない」
「警察官には『車道を歩くな』と言われる」
「おかしいではないか」
「独裁国家だ」
「歩道を完全に止めて封鎖するようなことが許されるのか」
などといった声が上がった。
安和桟橋付近で平成30年以降に発生した交通事故の件数を尋ねられた前川部長が答えに窮していると、市民団体のメンバーから
「何でそんな大事なこと、答えられないの」
と詰め寄られる場面もあった。
市民団体によると、交通事故は30件以上発生しているという。
面談は約45分にも及んだ。

玉城知事の「由々しき」発言でよみがえる尖閣中国漁船衝突事件 辺野古抗議制止警備員死亡
【沖縄考】(50) 那覇支局長・大竹直樹
2024/11/13 9:00
https://www.sankei.com/article/20241113-5TZS3QJ6YJORRGKKEFJSMCVR54/
誤解を恐れずに言えば、沖縄県知事を務める玉城デニーさんは誠実な人だと思っている。
記者会見では質問の論点をはぐらかし、回答になっていないことも多々あるが、批判的な質問をぶつける筆者にも丁寧に答える。
インタビュー取材で撮影した知事の写真をプリントして差し上げたら、わざわざ駆け寄ってきて笑顔でお礼を伝えてくるような人だ。
これはあくまで、玉城デニーさんの人柄の話である。
知事として誠実かといえば、どうであろう。
とりわけ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設工事現場前で今年2024年6月、工事車両を誘導していた男性警備員が、移設の抗議活動を行っていた女性を制止して現場から出てきたダンプカーに巻き込まれて死亡、女性も骨を折る重傷を負った事故。
この件の対応では誠実さが感じられないのだ。
産経新聞は2024年10月10日、事故当時の状況を伝えるカメラ映像を入手し、徐行するダンプカーに足早に近づく女性と、女性をかばうように制止しようとする警備員の姿が映っていたと報じた。
記事を紹介するX(旧ツイッター)の閲覧数(インプレッション)は1000万を超え、交流サイト(SNS)でも話題になった。
だが、玉城知事は2024年10月31日の定例記者会見で
「捜査中の証拠になり得るものは、報道を差し控えるべきではないか」
と批判。
「映像が(報道機関に)提供されたことは由々しき問題だ」
と発言した。
この報道に問題があるなら、テレビのニュースでよく流れる事故当時のドライブレコーダー映像や犯行をとらえた防犯カメラ映像も報じることができなくなるのだが、はて…。
発言の真意は測りかねるが、ともすれば報道の自由を侵害しかねず、正直言って驚いた。
■客観的証拠に背を向ける知事派県議
玉城知事の
「由々しき問題」
発言で、忌々しい記憶が蘇った。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で平成22年9月に発生した中国漁船衝突事件である。
検察担当だった筆者は当時、日夜、取材に明け暮れた。
当時の民主党政権は刑事訴訟法上の証拠に当たることを理由に海上保安庁が撮影した衝突映像の公開を拒み、映像をひた隠しにした。
義憤に駆られた海上保安官(当時)が匿名で映像を動画サイトに流出させたが、この時、当時の仙谷由人官房長官はこれを
「由々しき事案」
と指弾した。
流出した映像によって中国漁船の無法ぶりが世間の知るところとなり、日本側に全く非がないことが証明された。
この事件は中国側が強硬姿勢を示し、邦人4人がスパイ容疑で拘束されたことで民主党政権(当時)は狼狽えた。
「あらゆる外交ルートも遮断」(検察首脳)
され、検察当局は、一旦は逮捕した船長を公務執行妨害罪で起訴する方針を固めながら、
「日中関係を考慮」(那覇地検)
して釈放した。
検察が法以外の判断で処分を変えた。
これこそ
「由々しき事案」
と思うが、為政者にとっては映像の流出の方が問題だったらしい。
閑話休題。
玉城知事が
「由々しき問題」
と指摘した事故当時の映像は2024年10月11日、現場の安全対策を検討する沖縄県議会の土木環境委員会でも閲覧された。
しかし、玉城知事を支持する県政与党会派の議員は閲覧を拒否して退席した。
映像を見た県の前川智宏土木建築部長も
「事故の状況を客観的に捉えたもの」
と評価しているのに、客観的証拠に背を向けたのだ。
玉城知事も同様だ。
産経の報道で多くが目にした映像を、
「私は見ていない」
と言って憚らない。
■安全対策にイデオロギーは関係ない
見ていないのではない。
見ようとしていないのだ。
それは、玉城知事を支持する
「オール沖縄」
などの主張と異なる
「事実」
がそこにあるからなのか。
敢えて言えば、
「不都合な真実」
と置き換えてもいい。
そう勘繰りたくもなる誠意を欠く対応ではないか。
亡くなった警備員の妻は
「妨害行為が問題ないことにされ、家族の死がなかったことのように扱われた」
と心を痛めている。
「妨害行為」
とは、抗議活動中にダンプカーに巻き込まれ、重傷を負った女性の行動を指したものとみられる。
映像では、動き出したダンプカーの前にこの女性が飛び出しているように見える。
事故現場では
「産経新聞はでっち上げ!」
などと拡声器で訴える人もいたが、是非映像という動かぬ証拠を直視してほしい。
事故現場では以前から抗議活動の危険性が指摘されていた。
港湾を利用する事業者側は、現場の国道を管理する沖縄県に
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請。
自ら費用を負担するとも申し出ていたが、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
一方で、本部港塩川地区(本部町)に設置されていた工事車両の往来を妨害する行為への警告を記した看板は、抗議活動を行う数十人が県庁に押しかけて要請し、設置から約2カ月半で撤去された。
本来優先すべき安全を蔑ろにした行政の不作為は明らかだ。
地元メディアは、抗議者が道路を横断し終わると、警備員が1台ずつ安全を確認しながらダンプカーを誘導して工事現場から出していく
「暗黙のルール」
が破られ、2台続けての危険な
「2台出し」
が行われたと指摘しているが、事故原因は捜査中だ。
原因究明や現場の安全対策にイデオロギーは関係ない。
誠実な人柄が窺える玉城知事には、人命が失われた、この事故についても誠実な対応を望む。

<独自>「でっち上げ」辺野古抗議活動制止警備員死亡 事故現場で防衛局職員批判の横断幕
2024/11/11 12:24
https://www.sankei.com/article/20241111-QRF7XRECDFIBBCHHQPVKLLNFR4/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故現場で、特定の防衛省沖縄防衛局職員のイニシャルと顔写真を載せ
「罪をねつ造、でっち上げた」
などと批判する横断幕が掲げられていたことが2024年11月11日、捜査関係者への取材で分かった。
沖縄県警は名誉棄損容疑に当たる可能性もあるとみて捜査している。
捜査関係者らによると、横断幕は2024年10月22日午前7時頃に張り出された。
現場にいた警察官が横断幕に特定の個人の顔写真が載っていることを現認。
間もなく横断幕を設置した県内の男性から任意提出を受けた。
事故現場では2024年9月26日、沖縄防衛局の職員が抗議活動中の70代の男性=暴行容疑で逮捕後、処分保留で釈放=から胸を両手で押され転倒させられる事件が起きており、横断幕に顔写真とイニシャルが載っていた防衛局職員は、この暴行事件の被害者だったという。
横断幕には防衛局職員の顔写真に矢印が付けられ、
「罪をねつ造、でっち上げた防衛局職員」
「この男、行く末が見えている」
と批判。
「許されない!」
といった文言も記載されていた。
沖縄防衛局は産経新聞の取材に
「他人を誹謗中傷したり、職務遂行を妨害したりするような行為は、許されないものと考えている」
「そのような行為が職員に対して確認された場合には適切に対応していく」
としている。

<独自>辺野古抗議活動制止の警備員死亡 沖縄県警、事故現場で実況見分
2024/11/4 10:55
https://www.sankei.com/article/20241104-BOZB62JUIJKADMSH25GRFZ4EXI/
抗議活動中の女性を制止した警備員が死亡した事故現場で実況見分を行う捜査員=4日午前9時45分、沖縄県名護市(大竹直樹撮影)
https://www.sankei.com/article/20241104-BOZB62JUIJKADMSH25GRFZ4EXI/photo/VP4S5DQM3VOAJM5PRVO2PFNJHI/
事故現場で実況見分を行う捜査員=4日午前9時39分、沖縄県名護市(大竹直樹撮影)
https://www.sankei.com/article/20241104-BOZB62JUIJKADMSH25GRFZ4EXI/photo/GNZRGTZ6C5NMVE62BXTXK3WA7U/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、沖縄県警は2024年11月4日、事故現場の名護市安和(あわ)の桟橋前の路上で実況見分を行った。
午前9時半頃から始まり、捜査員らがダンプカーの位置や桟橋と国道を繋ぐ
「車両乗り入れ部」
の長さなどを入念に確認した。
事故は2024年6月28日、移設工事に使う土砂を搬出する桟橋前の路上で発生。
桟橋から左折して国道に出ようとしたダンプカーが、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。
警備員は死亡し、女性は重傷を負った。
その後の調べで、現場付近に設置されたカメラに事故に至る状況が写っていたことが判明。
産経新聞は政府関係者からこの映像を入手した。
映像や関係者らによると、死亡した警備員は当初、重傷を負った女性とは別の抗議者に路上で対応。
警備員はこの抗議者を歩道に誘導したが、歩道後方から足早に近づいてきた女性が警備員と抗議者の間をすり抜け、徐行しながら国道に向かうダンプカーの前に出た。
警備員は女性を制止しようと、ダンプカーと女性の間に割って入る形となり、そのままダンプカーの左前面に衝突する様子が映像に残されていた。
沖縄県警はカメラ映像の解析を進め、事故に至る原因を調べている。

沖縄県が見解「現場は歩道とも車道とも言い切れない」辺野古抗議活動制止の警備員死亡事故
2024/11/1 18:02
https://www.sankei.com/article/20241101-J7MHVNVV3VMXJBUBPSBYSN3IXI/
警備員の足元に見える白線が国道の車道外側線にほぼつながっている=9月、沖縄県名護市(大竹直樹撮影)
https://www.sankei.com/article/20241101-J7MHVNVV3VMXJBUBPSBYSN3IXI/photo/HHSICWXH3BKJ3P7J3DJCEFTFDI/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、沖縄県は2024年11月1日、産経新聞の取材に対し、名護市安和の事故現場は
「歩道とも車道とも言い切れない」
との見解を明らかにした。
路側帯と車道を区画する
「車道外側線」
のように見える白線が6年前、事故現場付近に引かれていたことも新たに分かった。
現場は辺野古移設工事に使う土砂を搬出する安和港近くの桟橋と国道を繋ぐ車両乗り入れ部。
地元では
「乗り入れ部は歩行者を優先する『歩道』というのが県の認識だ」
との報道もあったが、県は
「道路管理者として、歩道とも車道とも言い切れない」
とした。
車両乗り入れ部は、縁石の一部を下げて段差を小さくした
「切り下げ」
と、車道の路面が連続している
「切り開き」
の2種類があり、現場は後者に該当するという。
男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性がダンプカーに巻き込まれた場所は、国道の車道外側線にほぼ繋がるように引かれた白線の内側だった。
県北部土木事務所によると、車道外側線は元々国道に沿って直線に引かれていたが、平成30年に車両乗り入れ部に向かって引き直された。
白線は国道の車道外側線とほぼ繋がっており、2人がダンプカーに巻き込まれた場所は一見すると車道のようにも見える。
ただ、車両乗り入れ部に引かれた白線が車道外側線を示すものかどうかは分かっていない。
県北部土木事務所は
「車両乗り入れ部を分かりやすくするため、平成30年に外側線を変更したものと考えている」
と説明した。
白線が引き直された経緯を調べているという。

沖縄県幹部「映像は事故状況を客観的にとらえたもの」 辺野古抗議活動での警備員死亡事故
2024/10/31 18:49
https://www.sankei.com/article/20241031-325WRUALFBMBDDWNBMSWBFBWBY/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、発生時の状況が映ったカメラ映像を視聴した沖縄県の前川智宏土木建築部長が2024年10月31日、
「映像は事故の状況を客観的に捉えたもの」
との認識を示した。
地元の名護市議会からガードレール設置などを求める意見書を受け取った際、市議らに明らかにした。
事故現場の名護市安和(あわ)の土砂搬出港付近では、市民団体のメンバーらがプラカードを持ってダンプカーの前をゆっくりと横断し、牛歩戦術で土砂の搬入を遅らせようとする抗議活動を展開。
港湾を利用する事業者側が
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請していたのに、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
この日は名護市議会の金城(きんじょう)隆議長らが県庁を訪れ、玉城デニー沖縄県知事宛ての意見書を提出した。
意見書では
「度重なる要請を受けているのにもかかわらず、沖縄県は何の対策もしていない」
として
「県の対応は不十分」
と批判。
ガードレールの設置や、車両通行を妨げる行為をやめるように指導することなどを求めている。
これに対し、前川土木建築部長は
「歩行者の自由な通行を妨げるような構造物の設置は芳しくない」
との考えを強調。
「ちょっと言い訳がましくなるが、道路法ではゆっくり歩く人を規制する根拠がない」
と指摘し、
「道路は車いすの方など不特定多数の人が利用する」
「歩き方が遅いからといって規制や取り締まりはできない」
とした。
ガードレールの設置には否定的な見解を示す一方、ポールについては
「設置する可能性の余地はある」
と述べた。

沖縄・玉城知事「報道差し控えるべきだ」辺野古抗議活動で警備員死亡事故の映像報道を批判
2024/10/31 16:34
https://www.sankei.com/article/20241031-NXOQSGKJMVOYHB6UDCJ3HSJRZY/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、沖縄県の玉城デニー知事は2024年10月31日、事故当時の状況を伝えるカメラ映像を伝えた産経新聞の報道に対し、
「捜査中の証拠になり得るものは、報道を差し控えるべきではないか」
と批判した。
産経新聞が今月2024年10月10日までに政府関係者から入手したカメラ映像には、徐行するダンプカーに足早に近づく抗議活動中の女性と、女性を庇うように制止しようとする警備員の姿が映っていた。
玉城氏は
「映像が(報道機関に)提供されたことは由々しき問題だ」
との認識を示し、報道で判明した事故当時の映像について
「私は見ていない」
と強調した。
記者から見ない理由を尋ねられた玉城氏は
「事故の詳細については現在、警察で捜査中であり、事故映像の報道に係る内容について見解を述べることは今の段階では差し控える」
と述べた。
事故当時の映像を巡っては、現場の安全対策を検討している沖縄県議会の土木環境委員会で、玉城氏を支持する県政与党会派の議員が
「映像の出所や内容も曖昧だ」
などと猛反発し、閲覧を拒否したことも明らかになっている。

「安和事故」映像は不都合な真実か 元朝日記者が沖縄で書いた記事を読んでみた
大手町の片隅から 乾正人
2024/10/18 10:00
https://www.sankei.com/article/20241018-AYHXQT6EEZJOBKYTFOHNJ4JMZQ/
事故のカメラ映像。走行するダンプカーの前に飛び出した女性を警備員が止めようとする姿が見える
大抵の作家は、初期作品に佳品が多い。
昭和の文豪・松本清張もそうで、彼が昭和32年に発表した
「地方紙を買う女」
は、繰り返しテレビや映画で映像化されてきた。
都内に住む心中を装った殺人事件の犯人が、地方紙を短期間購読したのを不審に思った作家が謎を解明していくという筋立てだ。
■「地方紙を買う男」の目
私も犯人ではないが、
「地方紙を買う男」
の1人である。
仕事柄、各地を旅することが多いが、駅に降り立つと必ず地方紙を買う。
小学校の運動会やコメの出来具合などご当地新聞しか報じない情報満載で重宝する。
最近は、有料のデジタル版で読める地方紙も増えており、いくつかは期間を決めて購読している。
沖縄の琉球新報もそのうちの1つだ。
視点が弊紙とは180度違うので、勉強になる。
2024年9月25日付の1面を飾った
「『心は折れない』言葉から勇気 新基地抗議の市民思い新た 安和事故 被害女性に寄せ書き」
という記事もそうだ。
琉球新報と沖縄タイムスの地元2紙が
「安和事故」
と名付けた事故は、2024年6月28日に米軍普天間飛行場の移設予定地である名護市辺野古に近い同市の安和桟橋前の道路で起きた。
辺野古
「新基地」
反対運動に参加していた72歳の女性が、抗議活動中に警備員と共にダンプカーに巻き込まれ、警備員は死亡、女性も重傷を負った。
同記事は、彼女が
「フェニックス(不死鳥)さん」
と呼ばれていると紹介。
「女性が手術前に残した『骨は折れても心は折れない』の言葉に奮い立った市民が目立つ」
と断定し、
「新基地断念まで小さな力を結集させたい」
「再び戦場にさせない」
といった彼女への寄せ書きをいくつも書き連ねている。
明治の昔、自由民権運動の先頭に立っていた板垣退助が暴漢に刺され、
「板垣死すとも自由は死せず」
と語った逸話を思い起こす。
何よりビックリしたのは、1面の記事の中に亡くなった警備員を悼む言葉が一言もなかったことだ。
記事を書いた南彰記者は、新聞労連委員長を務めた元朝日新聞の記者で、琉球新報に移籍した有名人である。
■映像の中身報じぬ沖縄2紙
思い切った記事だと感心していたら、小紙の記者が、現場付近に設置されていたカメラ映像を入手し、2024年10月10日に報じた。
映像では、制止を無視して飛び出した女性を警備員が庇ってダンプカーに巻き込まれたように見える。
この映像は、翌日開かれた県議会土木環境委員会で閲覧されたが、玉城デニー知事を支える
「オール沖縄」
系議員は、
「映像の出所や内容も曖昧だ」
などと猛反発。
閲覧を拒否した上に委員長への不信任動議まで提出した(結果は否決)。
議会事務局によると、県議会で常任委員長に対する不信任案が提出された記録は過去にないというから、与党のお怒りは相当なものだ。
しかも沖縄2紙やNHKは揃って映像の中身を詳しく報じていない。
これでは、なぜ県議会が大騒ぎしているのか読者にはさっぱり分からない。
やはり映像は、基地反対派にとって
「不都合な真実」
だったのか。
沖縄2紙もNHKも知る権利や人権擁護に熱心なはずだが、はて。
警備員には人権はないのだろうか。(コラムニスト)

辺野古抗議事故 動かぬ「証拠」露見懸念か 与党会派、異例の委員長不信任案動議
2024/10/17 21:13
https://www.sankei.com/article/20241017-BFW2WGBYWBPJVDO7WH7M2APSWY/
※産経新聞が入手した事故現場の映像。プライバシー保護のため一部加工しています
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、沖縄県議会の土木環境委員会で、玉城デニー知事を支持する県政与党会派が事故当時の状況を捉えたカメラ映像の閲覧を拒否していることが明らかになった。
映像は、真相究明と現場の安全対策を講じる上で重要な資料となるはずで、閲覧を拒否したことは、極めて疑問だと言わざるを得ない。
■「証拠」映像、玉城知事支持派が閲覧拒否
与党会派は2024年10月11日の沖縄県議会土木環境委員会で閲覧を拒否したが、その理由について、重傷を負った女性の代理人からあった閲覧中止を求める申し立てについて十分協議していない点を挙げた。
更に
「出所や内容も曖昧」
「委員会で確認する妥当性や人権感覚、倫理観、責任問題にも関わる」
などとし、閲覧は多数決で強行されたとも訴え、常任委員会では過去に例のない委員長への不信任案動議まで提出した。
事故を巡っては、抗議活動をする市民団体が、牛歩で抗議者が道路を横断し終わると、警備員がダンプカーに合図を送って1台出す
「暗黙のルール」
があったのに、2台続けてダンプカーを出すこともあったと主張。
辺野古移設を進める防衛省側を批判した。
市民団体と連携するオール沖縄会議の幹部が2024年8月、同省沖縄防衛局長に
「あなたは沖縄県民を1人殺してしまった責任者だ」
と罵る場面も見られた。
しかし、事故前の映像を見る限り、制止を無視して飛び出した女性を警備員がかばってダンプカーに巻き込まれたと見られる様子が確認できる。
あるいは、映像という動かぬ
「証拠」
によって、オール沖縄側の
「主張」
が揺らぎかねない不都合な事実が露見することを懸念したのか。
県政与党の閲覧拒否は、そう疑いたくもなる異例の対応だ。

事故現場の「証拠」映像、沖縄県議会で玉城知事支持派が閲覧拒否 辺野古抗議事故
動画
2024/10/17 18:00
https://www.sankei.com/article/20241017-HVMQQ74AJRLYFOPVQKDO356KQU/
※産経新聞が入手した事故現場の映像。プライバシー保護のため一部加工しています
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、現場の安全対策を検討している沖縄県議会の土木環境委員会で、玉城デニー知事を支持する県政与党会派が事故当時の状況を捉えたカメラ映像の閲覧を拒否したことが明らかになった。
保守系の県議からは
「県民の不信を招きかねない」
との声が上がっている。
事故は2024年6月28日、辺野古移設工事に使う土砂を搬出する名護市安和(あわ)の桟橋前の路上で発生。
桟橋から左折して国道に出ようとしたダンプカーが、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。
警備員は死亡し、女性は重傷を負った。
産経新聞が政府関係者から入手した映像には、別の抗議者に対応していた警備員の後方から足早に近づいてきた女性が、国道に向かって徐行するダンプカーの前に出る様子が映っていた。
議会事務局によると、カメラ映像は2024年10月11日午後、土木環境委員会で非公開で閲覧された。
閲覧した委員によると、産経新聞が入手した映像と同様とみられる。
ただ12人の委員のうち玉城知事を支持する県政与党会派の委員が閲覧を拒否して退席。
残る7人で閲覧した。
閲覧した県議は2024年10月17日、産経新聞の取材に応じ
「誰がどう見ても動いているダンプカーの前に女性が行っており、危険な行為に感じた」
「今後はこうした抗議の在り方も見直すべきだ」
と話し、
「事実関係を調査するための映像をなぜ見ないのか」
などと疑問視した。

<独自>辺野古抗議活動制止警備員死亡 事故映像を入手 11日に県議会で映像確認へ
2024/10/10 18:56
https://www.sankei.com/article/20241010-OGYWEUDQPZOIXPYAULZWOOPFDY/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、現場付近に設置されたカメラに事故に至る状況が映っていることが10日、明らかになった。
産経新聞が関係者からカメラ映像を入手し、確認した。
県議会は11日、土木環境委員会で委員がこの映像を閲覧する方針。
事故は6月28日、辺野古移設工事に使う土砂を搬出する名護市安和(あわ)の桟橋前の路上で起きた。
桟橋から左折して国道に出ようとしたダンプカーが、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。
警備員は死亡し、女性は重傷を負った。
映像や関係者らによると、死亡した警備員は当初、重傷を負った女性とは別の抗議者に対し、路上で対応していた。
警備員は、この抗議者を歩道に誘導したが、歩道後方から足早に近づいてきた女性が警備員と抗議者の間をすり抜け、徐行しながら国道に向かうダンプカーの前に出る様子が映像に残されていた。
警備員は女性を制止しようと、ダンプカーと女性の間に割って入る形となり、そのままダンプカーの左前面に衝突。
10秒ほどの出来事だった。
関係者は
「明らかに女性は警備員の制止を無視して飛び出している」
「警備員は女性を庇うような形でダンプカーに巻き込まれた」
と証言した。
県警はカメラ映像の解析を進め、詳しい事故原因を調べている。
一方、事故現場で牛歩による抗議活動をしてきた市民団体のメンバーによると、重傷を負った女性は
「敢えて飛び出したわけではない」
と説明。
この市民団体と連携する「オール沖縄会議」は7月、2人がダンプカーに巻き込まれたのは
「車両乗入部」
と呼ばれる歩道部分で、
「あくまでも歩行者の通行が優先される場所」
だったと主張する資料を公表していた。

■遺族「精神的に辛い」
事故現場となった辺野古移設工事に使う土砂の搬出港周辺では、移設に反対する市民団体のメンバーらがダンプカーの前をゆっくりと横断して抗議する
「牛歩戦術」
が続けられてきた。
今回明らかになった映像によって、抗議者の女性がダンプカーの前に飛び出した可能性が高まった。
これまで抗議者側は、女性は飛び出したわけではないとの姿勢を崩さず、
「安全に配慮した抗議運動」
を尊重すべきだとも主張していた。
また、骨を折る重傷を負った女性が
「骨は折れても心は折れない」
との言葉を残し、
「市民」
らが勇気づけられたとする地元報道もある。
こうした状況に、警備員の遺族は
「今までで一番憤りを感じる記事だった」
「本当に本当に許せないし、とても辛い」
と心を痛めていたとされる。
今月4日の県議会の一般質問で、遺族の
「思い」
を読み上げた自民党の島袋大県議によると、警備員の妻は
「報道や交流サイト(SNS)では被害者(の女性)に非はなく、非があるのは強引な警備などではないかとの誹謗中傷がほとんど」
と振り返り、
「妨害行為が問題ないことにされ、家族の死がなかったことのように扱われた」
「精神的に辛く、心を痛めていた」
と伝えてきたという。
映像には、徐行するダンプカーに近づく女性と、女性を庇うように制止しようとする警備員の姿が映っており、抗議者側の
「主張」
は崩れつつある。

辺野古ダンプ事故現場の路上で防衛局職員に暴行、抗議活動の76歳男を逮捕 沖縄県警
2024/9/27 17:22
https://www.sankei.com/article/20240927-2MAP7Z24HRODTKPGQUDQCDMDSE/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡する事故のあった現場付近で26日、防衛省沖縄防衛局の職員が抗議活動中の男から暴行を受ける事件があったことが分かった。
県警名護署は同日、暴行容疑で抗議活動をしていた無職の男(76)=同県北中城(きたなかぐすく)村=を現行犯逮捕した。
男の逮捕容疑は26日正午ごろ、名護市安和(あわ)の土砂搬出港「安和桟橋」の出口ゲート付近の路上で、沖縄防衛局の男性職員(54)の胸を両手で押して転倒させたとしている。
現場にいた警察官が暴行を現認し、約1時間後に逮捕した。
捜査関係者によると、逮捕された男は当時、辺野古移設に向けた土砂の搬出に抗議していたという。
現場付近では今年6月28日、抗議活動をしていた女性を制止した名護市の男性警備員=当時(47)=が左折したダンプカーに巻き込まれ、死亡する事故が起きていた。

辺野古ダンプ事故「原因が市民活動にあるかのような印象与えた」 オール沖縄が県警に指摘
2024/9/19 15:52
https://www.sankei.com/article/20240919-PFAF6YA4MJKJXHWIO7JO3CVPZU/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡し、女性が重傷を負った事故を巡り、玉城デニー知事を支持する「オール沖縄会議」と県選出の国政野党国会議員でつくる「うりずんの会」は19日、県公安委員会に対し、苦情申立書を提出したと明らかにした。申し立ては5日付。
苦情申立書によると、県警本部で8月30日、抗議活動の排除や妨害を行わないよう求める要請書を提出しようとした際、椅子やテーブルのない
「倉庫内」
で受け取ると指示され、提出を断念せざるを得なかったという。
県警の対応について、
「県民を愚弄する行為だ」
と抗議している。
要請書では
「県警は『違法行為がなかったかも含め慎重に調べを進める方針』などといった一方的な情報を報道機関に流布した」
と指摘しており、
「事故の原因が(重傷を負った)女性ら市民活動にあるかのような印象を与え、SNSその他のウェブサイトで威圧的な発信が繰り返されている」
と訴えていた。
名護市の安和(あわ)桟橋では8月22日から土砂の運搬作業が再開された。
事故現場には多数の警備員が配置され、オレンジ色のネットを広げて抗議者がダンプカーの前に出ないようにしている。

辺野古ダンプ事故で中止の土砂運搬作業が再開 「対策講じた」と防衛局
2024/8/22 9:58
https://www.sankei.com/article/20240822-TH5U33E4VRMH5IZV6ZNJ5P5BKE/
沖縄県名護市安和(あわ)の国道で6月、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に対する抗議活動をしていた女性が怪我をし、警備中の男性が死亡した事故を受け、政府が中止した埋め立て用土砂の運搬作業が22日、名護市で再開された。
県によると、防衛省沖縄防衛局から21日に
「対策を講じた上で再開する」
と連絡があった。
県側は、事故の原因究明や再発防止が済むまで作業を再開しないよう求めており、玉城デニー知事は21日午後、
「作業再開は誠に遺憾」
と批判していた。
事故は6月28日に名護市安和の国道で発生。
土砂の搬出に抗議するため車道に出た女性と、制止しようとした男性警備員がダンプに巻き込まれた。
警備員が死亡し、女性は重傷を負った。

辺野古ダンプ事故 沖縄・玉城知事宛に防衛局が異例の要請「妨害行為で警備員にも危険」
2024/8/15 17:42
https://www.sankei.com/article/20240815-J6JMDGWK6ZN4NAHKM2YC6OVI5M/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡した事故で、防衛省沖縄防衛局は15日、ガードレール設置などの安全対策や
「妨害者」
への注意・警告の実施を求める玉城デニー知事宛の要請文書を提出した。
防衛局によるこうした要請は極めて異例とみられる。
土砂の搬出港付近では市民団体のメンバーがプラカードを持ってダンプカーの前をゆっくりと横断し、牛歩戦術で土砂の搬入を遅らせようとする抗議活動を続けてきた。
事故について要請文書は
「警備員の制止を聞かず、左折して出ようとする進行中のトラックの前方車道上に(抗議者が)出たことから、制止し続けた警備員がお亡くなりになる事態になった」
とし、
「妨害行為により警備員にも危険が及ぶ事態は重大だ」
と指摘した。
港湾を利用する事業者側が県に
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請し、玉城知事も把握していたが、県が
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めてこなかったことも判明している。
要請文書は
「県の対応が不十分であることは妨害行為が継続していることからも明らかだ」
と強調し、道路や港湾施設の管理者として県が可能な措置を速やかに講じるよう求めている。

辺野古ダンプ事故 「産経新聞はでっち上げ!」への反駁
【沖縄考】(47) 那覇支局長・大竹直樹
2024/8/14 9:00
https://www.sankei.com/article/20240814-MVQJ6M5JPJJ2LOMMJEZ6TZX6SI/
《即、工事断念! もうこれ以上、犠牲者を出すな!》。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡する事故が起きた同市安和(あわ)の現場。
供花の前には7月22日、こう大書きされた横断幕が揺れ、プラカードを持った人が集まっていた。
「産経新聞はでっち上げ!」。
サングラスをした女性が拡声器で叫んだ。
女性が事故に関する本紙報道を批判していることは容易に見当がついた。
とすれば、記事を書いたのは筆者だが、事実と異なることを書いた覚えはない。
女性に近づき、何がでっち上げなのか問うと
「産経新聞は『車道に飛び出した市民』(と書いた)。ここが間違え。でたらめ」
という。
「産経新聞は『飛び出した』と書いていましたか」
「と、思います」
「『思う』で、でっち上げといわれたら困ります」
女性の一言に、思わず色をなしてしまった。
念のため所属を尋ねると、
「普通の市民」
と名乗った。
普通の市民の方といえど、誤ったことをこのまま喧伝されてはかなわない。
1つずつ反駁させていただいた。
■さすがにアンフェアでは
この場を借りて、読者の皆さんにも説明させて頂きたい。
まず本紙は
「土砂搬入のダンプカーに抗議するため車道に出た女性を警備員(記事では実名)が止めに入り、その際、左折したダンプカーに2人とも巻き込まれたとみられている」
と報じた。
一方、地元メディアでは
「死亡した警備員が重傷を負った女性とは別の抗議者を制止したところ、重傷を負った女性がすり抜け、ダンプカーの前に飛び出そうとしたため急いで制止に入り巻き込まれた」
との報道もあった。
だが、少なくとも産経新聞は
「飛び出した」
とも
「すり抜けた」
とも報じていない。
そう指摘すると、女性は
「車道」
の記述も違うと、畳み掛けてきた。
「車道ではない」
とする主張の根拠は、玉城デニー知事を支持する
「オール沖縄会議」
が7月18日に公表した資料に詳しい。
弁護士立ち会いによる現地調査や被害者、目撃者らへの聞き取りの結果、重傷を負った女性と死亡した警備員が倒れていた場所は国道449号の車道部分だったが、2人がダンプカーに巻き込まれたのは、7.3メートル手前の
「車両乗入部」
と呼ばれる歩道部分だった、というのが
「オール沖縄」
側の主張だ。
2人が巻き込まれたのは
「あくまでも歩行者の通行が優先される場所」
で、
「警備員らはまずダンプを止めるべきだったのであり、市民らの歩行を制止したことは法的にも許されない」
と訴えている。
ただ、これまでの沖縄県警への取材で、2人が
「車両乗入部」
で巻き込まれたとの情報は得られていない。
「車両乗入部」
との説明を曲げて
「車道」
と表記したわけではない。
まして、本紙以外の複数の主要メディアも
「車道」
と報じている。
にもかかわらず、産経だけがやり玉に挙げられ、でっち上げとの誹りを受けるのは、さすがにアンフェアではないか。
■「あなたは沖縄県民を殺してしまった責任者」
事故の続報が産経以外のメディアで取り上げられる機会は少ないが、沖縄県議会では俎上に載っている。
自民党会派は、港湾を利用する事業者側が道路を管理する県に
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請していた事実を問題視。
玉城知事もこうした要請を把握していたとして議会で追及した。
事業者側は自ら費用負担するので設置させてほしいと申し出ていたのに、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
と、頑として認めなかったというのだから、玉城県政の不作為と言われても仕方ないだろう。
「オール沖縄会議」
は今月2日、防衛省沖縄防衛局に対し、原因究明と安全対策が整うまで全工事の中止を求める要請書を提出し、
「抗議運動に参加している市民には非難されるべき事情は全くない」
と訴えた。
オール沖縄の幹部は防衛局長に
「あなたは沖縄県民を1人殺してしまった責任者だ」
と罵った。
この様子を報じた産経ニュース転載のヤフーニュース記事には500件以上のコメントが寄せられたが、事故を招いた抗議活動に対する批判が多かった。
捏造は慣用読みで、本来は
「でつぞう」
と読む。
でっち上げは漢字で書けば
「捏ち上げ」。
捏(こ)ねるという意味の
「捏(で)つ」
に由来するという。
死角の多い大きなダンプカーの前をわざとゆっくり歩く。
その抗議手法を省みることなく理屈を捏ね、自らの活動の正当性を主張しているように感じた。
抗議運動に携わる方は是非、世間がどのように受け止めているのか。
ヤフーニュースのコメントやSNSなどの反応を見てほしい。

辺野古移設反対派の理不尽な抗議に屈するな。
辺野古移設反対派の理不尽な抗議に屈しているようでは、屈している側も信用できない。
そんなことでは保守派から見限られる。

<主張>辺野古ダンプ事故 危険な抗議活動をやめよ
社説
2024/7/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20240711-VUIXRIOQYVOAHN4XDGTBXO6Y4U/
沖縄県や県警が適切に対応していたら、防げた事故だったのではないか。
同県名護市安和(あわ)の国道で2024年6月、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議する女性と警備員の男性がダンプカーにひかれ、男性が死亡する事故が起きた。
女性は足を骨折した。
現場では数年前から、辺野古移設工事に使う土砂を運搬するダンプカーの前を反対派がゆっくりと歩いて妨害する抗議活動が行われていた。
車道に出た女性を警備員の男性が制止しようとして、左折中のダンプカーに巻き込まれたとみられる。
何に抗議するのも自由だが、危険な行為は許されない。
事故を招くような抗議活動は即刻やめるべきだ。
玉城デニー知事は事故について、
「県民の安全に責任を持つ者として極めて遺憾だ」
と述べた。
その上で沖縄防衛局に対し、安全対策が十分講じられるまで土砂の運搬作業を中止すべきとの考えを示した。
作業は2024年7月10日現在、中断している。
これはおかしい。
ダンプカーの前をわざとゆっくり歩くという、極めて危険な行為を道路上で繰り返しているのは反対派の方だ。
抗議はほぼ連日行われ、ダンプカーの渋滞も起きていた。
危険な行為を放置せず、交通の安全と秩序を取り戻すのは行政と警察の責任だろう。
県は2023年2月、同様の抗議活動が行われている辺野古移設の土砂搬入の港湾施設に、注意喚起の看板を設置した。
大型車両の往来を妨害する行為は県港湾管理条例の禁止行為に当たるとし、
「警告」
する内容だ。
ところが、反対派の猛烈な反発を受けて2023年5月に撤去してしまった。
理不尽な抗議に屈し、危険を黙認したことに他ならない。
県警も、十分な取り締まりを行ってこなかった。
県内では、自衛隊駐屯地に武器などを搬入する際に一部の活動家らが道路にしゃがんだり寝転んだりして妨害する行為が繰り返されてきた。
県警が道路交通法の禁止行為に当たるとして排除することもあるが、県内の一部メディアは
「強制排除」
と批判的に報じていた。
今回の事故で警備員は、反対派の危険な行為を制止しようとして犠牲になった。
悲劇を繰り返してはならない。

事故現場、再三のガードレール設置要請も沖縄県認めず 玉城知事も把握 辺野古ダンプ事故
2024/7/10 16:25
https://www.sankei.com/article/20240710-KE7OGDNCAJJDVJLVRFMFKJJZWI/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡した事故で、港湾を利用する事業者側が県に対し、
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請していたことが2024年7月10日、分かった。
玉城デニー知事もこうした要請を把握していた。
事業者側は自ら費用を負担するので設置させてほしいとも申し出たが、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
一方、牛歩による抗議活動が行われてきた本部港塩川地区(本部町)に設置されていた
「大型車両の往来を妨害する行為」
が県条例の禁止行為に該当すると明記した警告看板は市民の要請を受け、設置から約2カ月半後に撤去していたことも明らかになった。
いずれも同日の県議会本会議で、自民党の島袋大議員の代表質問に、県土木建築部の前川智宏部長が答えた。
県北部土木事務所などによると、牛歩による抗議活動が行われてきた名護市安和(あわ)の国道では令和4年12月以降、事業者側から何度もガードレールの設置を求める要請があった。
事業者側からは費用を負担するのでガードパイプを設置させてほしいという要請もあった。
だが、県は
「歩道であることからガードレールを設置する予定はない」
「事業者によるガードパイプの設置は歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
県は2023年2月17日、隣接する本部町の本部港塩川地区に
「大型車両の往来を妨害する行為」
などについて、県港湾管理条例で定める禁止行為に該当する旨を明記した警告看板を2枚設置。
禁止行為を行った場合は
「条例に基づき過料を処することがある」
と警告した。
しかし、市民から
「なんで過料を科すのか」
などと
「厳しい意見」
が寄せられたといい、県は現場を確認した上で
「状況は危なくない」
と判断。
2023年5月2日に撤去したという。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/195.html#c31

[政治・選挙・NHK296] <スクープ>玉木雄一郎代表(55)の不倫相手・小泉みゆき(39)は国民民主党の候補者だった!(週刊文春) 赤かぶ
30. 秘密のアッコちゃん[1117] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月28日 14:51:37 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[555]
<■1325行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
川口のクルド人「難民でなく移民」「いなか出身者の行動」トルコ人著名ジャーナリスト語る
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由D
2024/11/28 11:30
https://www.sankei.com/article/20241128-SJUA4VKK4RGIVG7EQWDIX35DFE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の故郷を訪ねた後、首都アンカラで著名なトルコ人ジャーナリストに会った。
ムラット・イェトキン氏(64)。
川口のクルド人問題について
「クルド人だからではない」
「田舎の出身者だからだ」
と指摘。
「彼らは難民ではない」
「より良い生活を求めての移民だ」
などと語った。
■ベテラン記者との対話
イェトキン氏は、トルコの有力紙ヒュリエト英語版の編集長などを歴任し、現在は自身の名を冠したニュースサイトを運営。
政治コラムニストとして現地のテレビでもお馴染みのベテラン記者だ。
「カワグチで起きていることはトルコでも同じだ」
川口のクルド人らによる危険運転や大音量の音楽、ごみ出しなどの問題について尋ねると、こう話し始めた。
イェトキン氏は
「日本のルールやマナーを守らないのは、彼らがトルコの田舎から、いきなり日本の大都市へ来たからだ」
「要するに、田舎出身者の行動だ」
と指摘。
「彼らがルールを守らないなら、警察が注意する」
「それでも聞かなければ、罰金を科せばよい」
クルド人の多くが日本で難民認定申請し在留を続ける現状については、こう説明した。
「彼らは難民ではない」
「実際のところは、より良い生活を求めての移民だ」
「先に行った者が『稼げるから来い』と言う」
「『警察や憲兵に迫害されている』として難民申請すればよい」
「これは日本だけでなく、欧州も同じ問題を抱えている」
2003年からのエルドアン政権によって、トルコは目覚ましい経済成長を遂げ、クルド人も人権状況だけでなく、生活レベルも大幅に上がったという。
イェトキン氏は
「トルコでクルド人はトルコ人らと広く混血が進んでおり、最もクルド人の多い都市はクルド人居住地域の南東部にはなく、大都市のイスタンブールだ」
と指摘し、同国の非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」の名を挙げて続けた。
「一般のクルド人とトルコ人は決して争ったりしない」
「この40年間、争っているのはPKKであり、彼らは意図的に問題を大きくしようとしている」
「この対立の図式を利用して難民申請し利益を得ている人々がおり、カワグチのクルド人もその一部だ」
■クルド系の大統領も
イェトキン氏が親しくしているトルコ政府の閣僚がいる。
メフメト・シムシェキ財務相(57)。
同国内ではクルド系の国政政党がある他、閣僚、国会議員、判事、幹部公務員などの要職に就いているクルド人も多数いる。
1980〜1990年代に首相と大統領を務めたオザル氏もクルド系だったことで知られる。
シムシェキ財務相はトルコ南東部のクルド人の多い地方の村で、9人きょうだいの末っ子に生まれた。
苦学して欧米の投資銀行などでエコノミストとして働き、トルコ政界入りした立志伝中の人物だ。
イェトキン氏は
「私は彼をよく知っているが、本当に努力して今の地位にまでなった人だ」。
自身がクルド人であることを公言しており、副首相時代の2016年、米国での記者会見で、イランのクルド人記者から英語でクルド人の将来について質問された際、
「私はトルコのクルド人だ」
とクルド語で答えて話題を呼んだ。
今回のトルコ取材で、クルド人の政治家や経済人に取材を申し込んだが、断られることが多かった。
一方で、当初は喜んで取材に応じても、後日
「私のことを記事に書かないでほしい」
と連絡があったことも再三だった。
この過程そのものに、トルコでの
「クルド人問題」
の複雑さが表れているようだった。
自身がクルド人だと表立って言えるのは、シムシェキ財務相のような完全な成功者か、反体制者に限られるのが、トルコの現状のようだった。
世界各国の民族問題の
「本質」
もその辺りにあるのではないか。
■子だくさん、高い移民性
トルコは経済協力開発機構(OECD)加盟国で、欧州連合(EU)加盟は実現していないものの、日米欧の先進国に新興国を加えたG20の一員でもある。
一方で、人口8500万人のうち17歳以下が占める割合は26%。
中でもクルド人の出生率は比較的高いと言われ、少子化のトルコで人口が増え続けている。
クルド人の多い南東部は子供の人口が4割を超える県もある。
そうした地域を訪ねた際、田舎にもかかわらず小学校低学年の子供たちが午後10時、11時まで公園で遊んでいる姿が目についた。
大人がついていない場合もあった。
子供の夜ふかしはトルコで社会問題ともなっているという。
それは川口市で夜間、クルド人の子供たちが往来で遊んでいる光景と重なった。
市内に集住するクルド人約2000人のうち、小中学生は推計約400人と突出して多く、
「子だくさん」
のクルド人の
「移民性」
は顕著となっている。
今年2024年3月にトルコのクルド人地域を現地調査した元国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表で、東洋英和女学院大の滝沢三郎名誉教授(76)は
「彼らの多くが経済的理由で来日している以上、問題解決の方向性も、難民認定よりも合法的な就労の道を探ることに力を入れるほうが理に適う」
と指摘。
その上で
「彼らには一旦帰国してもらい、来日して就労を希望する人にはトルコと日本両政府が協議した上で、技能実習に代わる育成就労制度などにより合法的な入国、滞在の道を開いてはどうか」
と提言した。
おわり(「『移民』と日本人」取材班)

クルド人の「迫害と弾圧」は今も続いているのか トルコ政府「問題は民族でなくテロ組織」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由C
2024/11/27 11:30
https://www.sankei.com/article/20241127-7ARBVO6XM5OMXASDNXWMPJDC4Q/
埼玉県川口市など国内に在留するトルコの少数民族クルド人や支援者、一部メディアが
「クルド人への弾圧は今も続いている」
とする同国東部の都市ジズレを訪ねた。
2015〜2016年、トルコ軍が非合法武装組織
「クルド労働者党(PKK)」
への掃討作戦を行った街だ。
当時は一般市民も巻き添えになったというが、現在は市民が買い物に出歩く平和な風景が広がっていた。
■自分の目で見ればいい
シリア、イラク両国境に近いジズレはチグリス川が流れ、人口約13万人の多くをクルド人が占める。
この都市を含む地域で2015年夏以降、トルコからの分離独立を求めるPKKと政府の対立が激化。
トルコ軍や治安機関を狙った襲撃が相次いだ。
軍や治安部隊は同年2015年末から2016年にかけ、PKK掃討作戦を実施。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報告書によると、PKKの構成員だけでなく、多数の住民が巻き添えになって死亡したという。
欧米メディアなどは当時、
「トルコ政府によるクルド人弾圧」
として報道した。
8年経った現在2024年、ジズレは平穏を取り戻し、破壊された建物は政府が再建した。
だが、日本のクルド人支援者や一部メディアは
「弾圧は今も続いている」
として、川口などで難民認定申請するクルド人の
「迫害」
の根拠に挙げている。
ジズレを訪ねた日は休日で、中心部では買い物を楽しむ市民らが歩いていた。
出会った住民の男性に当時のことを尋ねると、こう問い返された。
「今も弾圧が続いているって?」
「そう言う人は、ここに来て自分の目で見てみればよいのではないか」
■エルドアン政権で激変
PKKは
「クルド人国家の樹立」
を掲げて1984年、トルコ政府に対する武装闘争を開始。
1990年以降、国内各地でテロを引き起こし、トルコ国内ではPKKとの戦闘でこの40年間に市民4万人が殺害されたとされる。
トルコ政府の他、米国、英国、欧州連合(EU)がテロ組織に指定し、日本の警察庁も国際テロリスト財産凍結法に基づき
「国際テロリスト」
に指定している。
一方で、トルコ国内のクルド人の人権を巡る状況は、2003年に発足したエルドアン政権により様変わりしたと言われる。
同政権はクルド人との融和を掲げ、国営放送でクルド語の放送が始まり、クルド系政党はクルド語での政治活動が可能になるなど、クルド系住民の権利拡大に努めてきた。
背景には、トルコの悲願であるEU加盟実現のため、国内の人権状況を改善する必要があったことがある。
2012年からは政府とPKKとの和平交渉が始まり、翌2013年、PKKは武装解除を宣言。
だが、2015年6月の総選挙でPKKと連携するクルド系の左派政党が躍進し、エルドアン政権の与党が過半数割れとなった。
PKK内部の路線対立もあって、政府とPKKの対立が再燃した。
首都アンカラでは昨年2023年10月、内務省付近で自爆テロが発生し警察官2人が負傷、PKKが犯行声明を出した。
先月2024年10月23日にはアンカラ郊外の大手防衛企業が襲撃され27人が死傷。
PKKの軍事部門が犯行声明を出し、トルコ軍がイラク北部とシリア北部にあるPKKの関連拠点を空爆するなど応酬が続いている。
■「兵役拒否」も理由に
川口に在留するクルド人の間では、こうした対立状況を
「クルド人への迫害」
と主張し、難民申請の理由とする形になっている。
一方で、トルコで兵役を拒否したことで迫害を受けると主張する人も少なくないという。
トルコは国民皆兵で、兵役は20歳から41歳までの男性に6〜12カ月、義務付けられている。
身体障害などがないかぎり兵役拒否は認められず、罰金などが科せられる。
しかし、これはクルド人に限ったことではなく、昨年2023年10月に発行された英国内務省の難民に関する報告書はトルコの兵役義務が難民条約上、迫害には当たらないと指摘。
条約上の難民の定義は「人種」や「宗教」「政治的意見」など5つの理由から迫害を受ける恐れがある場合で、出稼ぎ目的の経済的理由も難民には該当しない。
川口市内のクルド人を巡っては、トルコ政府が昨年2023年11月、2つのクルド人団体とその幹部らクルド人6人についてPKKを支援する
「テロ組織支援者」
と認定、同国内の資産を凍結した。
認定は現在も続いている。
PKKとクルド人について、トルコ政府関係者は
「PKKに対する我が国政府の措置が、時にクルド人への迫害だと誤解される場合があるが、我々が問題視しているのは決してクルド人という民族ではない」
「問題なのは分離独立のためテロ活動を続けるPKKという組織だ」
と話している。(「『移民』と日本人」取材班)

川口のクルド人、トルコの農閑期に難民申請、農繁期に帰国 血縁集団の絆で「移民の連鎖」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由B
2024/11/26 11:30
https://www.sankei.com/article/20241125-KXJTMJVJGRMLNGXEK2I5GJROOY/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の難民認定申請には、特定の周期があるという。
毎年秋に来日と申請が急増し、そのうちの一定数は翌年夏までに申請を取り下げてトルコへ帰国する。
背景には祖国での生業である牧畜などの農閑期、農繁期のサイクルがあるとみられる。
■血のつながりは大切
トルコ南部、アドゥヤマン県西部の草原地帯で、少年がヒツジの群れを追っていた。
この地にかつて、ヒツジやヤギの放牧を生業とする約300戸2000人の一族がいた。
当初は遊牧民だったが、その後数十キロ離れた2つの村へ移り住み、定住したという。
日本での難民申請者が特に多い4〜5村のうちの2村だ。
これらの村があるトルコ南部3県の出身者が、難民申請者の8割を占める背景には、この一族の存在がある。
2村のうち1つの村を訪ねた際、出会った老人は
「我々はその一族の出身だ」
「2つの村の村民は元を辿れば、4つの家族に辿り着く」
と話した。
こうした一族はトルコ社会で
「アシレット」
と呼ばれ、血縁関係と口伝えによる掟で結ばれている。
トルコ人やアラブ人にも見られるが、特にクルド人は固い結束を誇るという。
現地のクルド人男性は
「私たちは一族の結束が強い上、子だくさんなので親族が本当に多い」
「私もいとこが100人くらいいるので、結婚式は大変だった」。
川口で話を聞いたクルド人男性も
「血の繋がりは物凄く大切」
「親戚がヨーロッパにもオーストラリアにもカナダにもいて、例えば重い病気になったら、日本までお見舞いにくる」
と語った。
1人が来日すると同じ村の家族や知人が先に来た人を頼って次々と来日する
「移民の連鎖」
が起きる要因として、こうした共通の祖先で繋がる血縁集団の絆があるようだ。
■来日順でヒエラルキー
入管関係者によると、クルド人の難民申請者は毎年、冬を迎え農業や牧畜が農閑期となる10〜11月頃に急増。
翌年、放牧の季節が始まる5〜6月頃帰国者が増えるという。
昨年2023年1年間のトルコ国籍の申請者約2400人のうち、3割に当たる700人近くは今年6月頃までに既に帰国した。
入管関係者は
「彼らは夏前になると『問題が解決した』と言って難民申請を取り下げ帰国していく」
「秋になると同じ人物が来日し、『また問題が起きた』といって難民申請する」
「かつての東北地方からの出稼ぎのように、農閑期に合わせた就労目的と考えられる」。
関係者によると、川口周辺では1990年代初めに来日した2村の一族を筆頭に、いくつかの一族が在留している。
先に来日して解体業を始めた一族が、後から来日したクルド人やトルコ人らを雇用するヒエラルキー(階層構造)も生まれているという。
■我々が自由と思うか
アドゥヤマン県では、クルド独立主義者にも出会った。
広大なユーフラテス川を望む丘の上で、農業を営む30代のクルド人男性は誇らしげに言った。
「これがメソポタミアだ」
「クルディスタン(クルドの地)だ」
クルディスタンとは、トルコ南東部だけでなくシリア、イラク、イランなどにまたがるクルド人の居住地域全体を指す。
かつてはオスマン帝国だったが、1920年代、この地域で石油が採掘されたことから帝国主義の欧州列強が分割。
クルド人は
「国を持たない民族」
となった。
特にトルコ政府は1990年代頃まで、
「山岳トルコ人」
と呼んでクルド民族の存在を否定、徹底した同化政策を進めた。
男性一家も山の上にある小さな村の出身だが、同化政策により数十年前に山を下りた。
男性はクルド人の独立を夢見ており、青年時代に公園でクルドの歌を歌っていて警察に3日間拘束された経験を持つという。
川口周辺でクルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題も、インターネットを通じ知っているといい、
「カワグチのクルド人は難民だ」
と主張。
「我々がトルコで自由だと思うか」
と真顔で尋ねた。
「クルド人にとって、クルドの地で暮らすのが最善だ」
「クルディスタンは石油も出る」
「日本よりも豊かだ」
「しかし、トルコでは生きづらいため日本で難民申請しているのだ」
男性は丘陵地帯を走る車の中でクルドの歌をかけながら、
「PKKは我々をトルコ軍の兵士から守ってくれている」
とも言った。
PKK、クルド労働者党はトルコ国内のクルド人非合法武装組織。
「クルド人国家の樹立」
を掲げて長年テロを引き起こしてきた。
かつてトルコ政府によるPKK掃討作戦が行われた同国東部の都市へ向かった。
(「『移民』と日本人」取材班)

川口の難民申請者半数、高校行かず トルコのクルド人成功者、同胞は「努力せず不平言う」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由A
2024/11/25 11:30
https://www.sankei.com/article/20241125-QRFKQ4EKEZLPHDS5E3757O5IHE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族、クルド人の難民認定申請者の半数程度は、学歴が中学卒業以下だという。
トルコ国内の高校進学率はクルド人を含め9割以上で、背景には経済的な問題もあるとみられる。
一方で、トルコでは22人兄弟の中から猛勉強して成功したクルド人にも出会った。
■「クルド人」考えたことない
クルド人が人口の約6割を占めるトルコ南部の都市シャンルウルファの私立学校を訪ねた。
保育園、幼稚園から小中高校まであり、在学生は約700人。
2年前に開校したばかりでクルド人の生徒も少なくないという。
経営者のクルド人、ネジメディン・ゲンチさん(42)は地元出身。
経済的に貧しい農家の22人兄弟の21番目で、苦学して公認会計士の国家試験に合格、現在は親族らと学校2校、建設会社、バス会社、コンサル会社、映画館を経営しているという。
「小学校まで5キロの道を歩いて通った」
「休日はヒツジの放牧を手伝った」
「私は決して勉強ができたほうではないが、これまでクルド人だからと差別されたことなどない」
クルド人地域は歴史的な経緯から複数の国に分割され、
「国を持たない最大の民族」
とも言われる。
ただ、今回トルコで出会ったクルド人の多くは社会的な立場に関わらず
「トルコ人」
として振る舞い、
「クルド人」
かと尋ねると
「なぜ、そんなことを聞くのか」
と怪訝そうな顔をされることも多かった。
一方で遺伝的な特徴などから
「顔を見れば分かる」
と話す人もいた。
ゲンチさんは
「国家試験に合格したのも、頑張ったからだ」
「そもそも、自分がクルド人だからなど、これまで考えたこともない」。
彼はクルド系政党に投票しているというが、そのことで迫害も差別も受けたことはないという。
日本で難民申請している川口のクルド人について尋ねると、
「自分の努力不足を棚に上げて『クルド人だから』と不平不満を言っているだけではないか」。
校舎の壁には宇宙のイラストが描かれ、
「世界の扉は君の前に開かれている」
と書かれていた。
■教育機会の平等は保障
トルコの教育制度は小中高がそれぞれ4年ずつあり、2012年から高校も義務教育になった。
憲法に平等原則が明記され、民族的な出自による差別はない。
公立の授業料は高校、大学まで無償で、競争は激しいが、教育機会の平等は保障されていると言える。
この結果、高校進学率は上昇し、2022年度は91・7%。
大学進学率は4割程度となったが、義務教育にもかかわらず高校に行っていない数%には、農村部に住むクルド人も少なくないという。
現地の教育関係者は
「農村地域はまだまだ子供を牧畜などで働かせている」
「親の世代は高校が義務教育ではなかったため、今も教育に意義を見いだせない人も多いのではないか」。
トルコでは現在、クルド系の国政政党があり、与野党問わずクルド人の政治家を輩出している他、国営放送にクルド語のチャンネルもある。
クルド語の教育機関の設立も認められているが、公用語がトルコ語で、クルド語を学んでも仕事に生かせないため、あまり人気はないという。
公務員試験も憲法で
「採用に当たり職業資格以外に如何なる差別も行ってはならない」
と規定されている。
受験の願書に民族欄もないため、公務員全体のクルド人の割合の統計もないという。
■学歴不問でガテン系
シャンルウルファでトルコ政府の出先機関に勤める国家公務員のクルド人男性(40)は
「小学校に入るまでトルコ語を話せなかった」
「勉強して話せるようになったが、12年前に公務員試験を受けた時、試験は当然トルコ語で苦労した」
と話し、こう続けた。
「外国の人からクルド人は迫害されているのかと聞かれることがあるが、私は迫害はないが差別はあると感じる」
「言葉の壁もあり、自分たちが少数民族と思い知らされる時もある」
入管関係者によると、日本の難民申請書には学歴欄があり、川口周辺に在留するクルド人の難民申請者の半数程度が中卒以下で、高校の義務教育化以降の世代でも教育を受けていないケースが少なくないという。
川口市内では若いクルド人が改造車を乗り回す暴走行為も問題になっている。
トルコの教育関係者は指摘する。

「もちろん学歴が全てではないが、農村からいきなり日本の都会に来て、教育レベルも高くなければ地元住民と軋轢が生じやすくなるのも当然だろう」
「それでも学歴不問の力仕事で簡単に稼ぐことができる日本は、本当に魅力的なのではないか」
(「『移民』と日本人」取材班)

「軍と警察呼んだ」川口クルド人の出身地訪ねた記者を恫喝 両親「日本で成功の息子誇り」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由@(上)
2024/11/24 14:00
https://www.sankei.com/article/20241124-OCA6UR7WZFOQ3I6FJV4RX3M2V4/
埼玉県川口市に集住するクルド人を巡り、法務省が20年前に難民認定申請者の多いトルコ南部の複数の村を現地調査し、
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていたことがわかった。
クルド人が日本を目指す理由は何か。
本当に
「難民」
なのか。
報告書を裏付けるため、彼らの故郷を訪ねた。(報告書の記事はこちら)
■日本から激高して電話
「今オレが軍隊を呼んだ」
「軍も警察もお前を探している」。
記者は日本からの携帯電話でそう脅された。
入管当局が20年前に
「出稼ぎ村」
と断定していた複数の村の1つ、トルコ南東部の都市ガジアンテプ郊外の村。
電話の相手は川口市内で解体工事会社を実質経営する30代のクルド人男性だ。
男性は約20年前、この村を離れ、先に来日していた父親を頼って川口に在留。
トルコ政府から迫害を受ける恐れがあるとして難民申請を繰り返し、5回目の申請中だ。
現在は入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免の状態が続いている。
男性には日本でも何度か取材したことがあり、出身の村の名前も聞いていた。
今回、男性が憤っていたのは、記者が実際に彼の村を訪ねたからだとみられる。
壁に男性の名前が刻まれた家を偶然見つけ、村の人に話を聞いていると、男性の母親を名乗る女性が
「チャイを飲んでいけ」
と、家に招き入れてくれた。
ところが、母親がその場で川口にいる息子とビデオ通話を始め、記者の名刺を見せたところ、男性は激高した。
余りの剣幕に家の外に出ると、冒頭の電話がかかってきた。
政府の迫害から日本に逃れたという
「難民」
が、トルコ軍や警察を動かすのだろうか。
直前まで母親は、日本にいる孫たちの写真入りのバスタオルを見せ、嬉しそうにこう語っていた。
「日本で成功した息子を誇りに思う」
■「働くため」村人が証言
男性の故郷は日本で難民申請者が集中している村でもある。
トラクターが行き交う典型的な農村だが、所々に立派な家が建っており、トヨタの大型乗用車に乗った人もいた。
男性の実家は一際目立つ2階建てで、がっしりした門扉を通り玄関から居間に入ると、50型ほどの大型液晶テレビがついていた。
最初に父親に名刺を渡すと、
「オレ、この村から1番初めに日本へ行ったよ」
と日本語で話した。
父親は川口で解体業をしながら難民申請していたが認められず、10年ほど前に帰国したという。
道端で日本人の姿を見て集まってきた村人は、口々に
「コンニチハ」
「オレ、カワグチにいたよ」
「カイタイの仕事」
「ハッピーケバブも知ってるよ」
と話しかけてきた。
トラクターで通りかかった老人は、川口に近い東浦和の解体会社の
「代表取締役」
という名刺を見せ、
「今は息子が日本にいる」
と自慢げに話した。
村の人によると、約70世帯300人の集落の多くが日本に住んでおり、残っているのは90人程度。
欧州は少ないという。
村人らは隠す様子もなく、こう証言した。
「なぜなら、日本はビザなしで簡単に行けるから」
「働くために日本へ行っている」
「短期滞在で入国して、翌日からカイタイで働けるのだ」

<産経抄>現場に行けば「難民」の真実が見えてくる   
2024/11/26 5:00
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https://www.sankei.com/article/20241126-NG3725XXC5NRJOLP5PSMNPYJRE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人が注目されるようになったのは、昨年2023年の夏からだ。
市立医療センター周辺で起きたクルド人約100人が関与する暴動事件がきっかけである。
▼そもそもどうして遠く離れた日本にやってきたのか。
実は20年前に判明していた。
当時の法務省入国管理局が難民認定申請者の多いトルコ南部の村を現地調査して、
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていた。
▼ところがクルド人側の弁護団が反発して
「封印」
された、と昨日の小紙がすっぱぬいていた。
現在日本で難民申請しているほとんどのクルド人の出身地も、かつて入管関係者が調査した村々と重なる。
▼小紙の記者がその村の1つを訪ねた。
川口市内で解体工事会社を経営するクルド人男性の故郷でもある。
男性が先に来日した父親を頼ったように、多くのクルド人が親族のつてを求めて川口市に集まった。
取材を受けたことのある記者が村にいると知った男性は激高して、日本からの携帯電話で脅しをかけた。
「今オレは軍隊を呼んだ」。
政府の迫害を訴える
「難民」
が、なぜ軍隊を呼ぶのか。
記者の
「疑問」
はもっともだ。
▼難民問題の専門家である滝沢三郎・東洋英和女学院大名誉教授もまた、今年2024年3月にトルコ各地で調査してきた。
帰国後小紙の取材に
「クルド人に対して差別はあっても、身の危険を感じる迫害を受ける状況ではない」
と話していた。
▼かつてクルド人の主な行き先だった欧州諸国は近年、入国審査が厳しくなり、密航には高額な手数料がかかる。
査証(ビザ)が免除され、相対的に渡航費用が安い日本が流入先になった、と指摘する。
難民問題に限らず、現場に足を運ばないと真実は見えてこない。

「難民なんて全部ウソ」「働くため日本へ」川口の難民申請者の8割、トルコ南部3県に集中
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由@(下)
2024/11/24 14:05
https://www.sankei.com/article/20241124-2ZMA4FNKGBJOZIXA6CMPV3RRTM/
埼玉県川口市に在留し難民認定申請するクルド人らについて、トルコの出身地を集計したところ、全体の8割が同国南部の3つの県に集中していたという。中でも特に申請者の多い4〜5つの村がある。
そのうちのいくつかの村を訪ねた。=(上)からつづく
■立ち並ぶ「御殿」
トルコの総人口8500万人のうちクルド人は2割弱の1500万人。
過去20年間で難民申請したトルコ国籍者1万2000人超の大半は、経済的に比較的貧しいクルド人とみられる。
日本とトルコには短期滞在の査証(ビザ)の相互免除措置があり、航空券代さえ負担できれば、パスポートだけで来日し、難民申請することで滞在を継続できる。
入管関係者によると、平成25年から昨年2023年までの11年間に難民申請したトルコ国籍者について、出身地が分かる約4700人を対象に集計。
全体の約8割がトルコ81県のうち、ガジアンテプ県と、カフラマンマラシュ県、アドゥヤマン県の南東部3県に集中していた。
3県は、いずれも民族的にクルド人の多い地域として知られるが、中でも特に難民申請者の多い村が4〜5村ある。
川口市内で解体工事会社を実質経営する30代のクルド人男性の故郷、ガジアンテプ県の村と並んで、アドゥヤマン県の西部にある村もその1つだ。
こちらも荒涼とした丘陵地帯に、立派な
「御殿」
が立ち並んでいた。
■同胞からの迫害ない
クルド人の村長(58)によると、村人約1180人のうち1割近くの約100人が日本にいるという。
「皆仕事の機会を求めて日本へ行った」
「単純に経済的な理由だ」
「1人が行くと、親族や知人が彼を頼って日本へ行く」
村は昨年2023年2月のトルコ地震の震源に近く、倒壊した家も多かった。
十数人が犠牲になったといい、家を失って日本へ避難した人もいたが、最近は落ち着いてきたという。
村の配管工のクルド人男性(47)は自身も日本で13年間働き、しっかりとした日本語を話した。
「航空券代は10万円くらいだから、ちょっと働けば買え、日本でもっと稼げる」
「借金して行く人もいるが、すぐに稼いで返せる」。
川口に在留しているクルド人に触れると、
「我々が難民だなんてウソ」
「皆上手にウソをつく」
と話し始めた。
「入管で『国へ帰ったら殺される』『刑務所へ入れられる』と言うでしょ?」
「全部ウソ」
「本当にウソ」
「皆日本で仕事したいだけ」
「お金が貯まったら、村へ帰る」
「私の国で迫害なんて絶対ない」
トルコの憲兵隊は怖くないか尋ねると、
「なぜ怖い?」
「この辺りはクルド人が多く、憲兵にも警察にもクルド人が多い」
「なぜ同胞が同胞を迫害するんだ」
男性は別れ際、
「もう1度日本に行きたい」
「シャシミ(刺身)が食べたい」
と言った。

<独自>川口クルド人「出稼ぎ」と断定 入管が20年前現地調査 日弁連問題視で「封印」
「移民」と日本人
2024/11/24 12:00
https://www.sankei.com/article/20241124-HDYXVM4BBRM3TMHREBP6PXC2ZM/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人を巡り、法務省入国管理局(現出入国在留管理庁)が20年前の平成16年、難民認定申請者の多いトルコ南部の複数の村を現地調査し
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていたことが2024年11月24日分かった。
しかし日本弁護士連合会が
「人権侵害」
と問題視したことから、調査結果は表に出なくなった。
これらの村などがある3県の出身者は現在も同国の難民申請者の8割を占めることも判明、報告書からは、クルド人の難民該当性について、既に一定の結論が出ていたことが窺われる。
この文書は
「トルコ出張調査報告書」。
当時、クルド人らが難民認定を求めて各地で裁判を起こしており、同省が訴訟対応として平成16年6〜7月、これらの村へ入管職員を派遣し、生活実態などを調査した。
報告書は
「我が国で難民申請した者の出身地が特定の集落に集中している」
「いずれも出稼ぎ村であることが判明」
「村民から日本語で『また日本で働きたい。どうすればよいか』と相談あり」
「出稼ぎにより、近隣に比べて高級な住宅に居住する者あり」
などと記されていたという。
ところが報告書が訴訟資料として法廷へ提出されると、クルド人側の弁護団が問題視。
入管側が難民申請者の氏名をトルコ当局へ伝え、現地の家族を訪問していたことなどを記者会見して非難した。
当時のメディアも
「法務省が不手際」
「迫害の恐れ」
などと批判的に報じたが、報告書の内容自体には触れなかった。
報告書は、氏名を伝えたのは申請者から提出された本国の
「逮捕状」
の真偽を確かめるためで、トルコ側から
「氏名がなければ照会できない」
「欧州各国も同じ方法で事実確認を求めている」
と指摘されたためとしているという。
当時、法務省は
「新たな迫害がないよう配慮して調査した」
と反論したが、弁護団側はクルド人らの人権救済申立書を日弁連に提出。
日弁連は翌平成17年、
「難民申請者の情報を提供することは、新たな迫害を生む恐れがあり、重大な人権侵害だ」
として当時の法相宛てに
「警告書」
を出した。
この結果、法務省は報告書の調査内容について
「封印」
せざるを得なくなったという。
弁護団側は、入管の案内役に憲兵を同行させたことについても問題視したが、報告書には
「村民と憲兵隊との友好関係を確認」
「憲兵や警察は日本の難民申請者に無関心」
などとも記されていたという。
これらの訴訟で原告となったクルド人らが難民と認められることはなかった。
また、入管関係者によると、当時調査した村などがあるガジアンテプ、カフラマンマラシュ、アドゥヤマンの南部3県には、日本に在留するクルド人難民申請者の出身地の8割が集中しているという。
入管庁によると、トルコ国籍の難民申請者は平成16年からの20年間で延べ1万2287人に上るが、難民認定されたのは4人。
また川口市によると、市内のトルコ国籍者は同期間で約200人から6倍の約1200人に増えた。
難民認定申請中の仮放免者を含めると約2000人に上る。

クルド人排斥デモ禁止命令 さいたま地裁仮処分決定
2024/11/21 18:58
https://www.sankei.com/article/20241121-R2BKN7QKPJMWRAVED7MQMPQT7M/
在日クルド人らで作る
「日本クルド文化協会」(埼玉県川口市)
が、ヘイトスピーチに当たるデモで名誉を傷付けられたとして今後実施しないよう求めた仮処分申し立てで、さいたま地裁は2024年11月21日、デモを呼び掛けた神奈川県の団体代表の男性に対し、協会事務所から半径600メートル内でのデモを禁止する決定をした。
協会側への取材で分かった。
協会側代理人の金英功弁護士によると、過去に在日コリアン排除を訴えるデモを禁止する仮処分決定はあったが、クルド人へのデモを禁じたのは初めて。
男性らは2024年11月24日にデモを行うと告知しているが、金弁護士は
「2度と実施しないことを期待する」
と述べた。
決定で市川多美子裁判長は、こうしたデモ行為が
「名誉を毀損または著しく侮蔑するなどして(協会の)業務を妨害する行為」
と認定し、一切実施しないよう命じた。

川口クルド人の危険運転も念頭、市長ら取り締まり相次ぎ要望 埼玉県警「適正に続ける」
「移民」と日本人
2024/11/17 10:30
https://www.sankei.com/article/20241117-ZLILLNB4DFEG5HPGF2XY2DVJUM/
埼玉県川口市で交通死亡事故が多発し、奥ノ木信夫市長や地方議員らが県警に対し、市内に集住するトルコの少数民族クルド人の危険運転も念頭に、取り締まりを強化するよう相次ぎ要望書を出す事態となっている。
県は同市を
「交通事故防止特別対策地域」
に指定、県警は
「適正な取り締まりを続ける」
としている。
市内では2024年9月23日、トルコ国籍の少年(18)が無免許で乗用車を運転、原付バイクの男性2人が死傷するひき逃げ事件が発生。
同2024年9月29日には、中国人の少年(19)が飲酒運転で一方通行を逆走して車と衝突し、運転していた会社役員の男性が死亡する事故が起きた。
この結果、同市は、人口50万人以上の市で3カ月以内に6人以上の交通死亡事故があった場合に指定される特別対策地域となった。
期間は2024年10月8日から3カ月間。
市によると、今年2024年は9月末時点で9人が死亡し、昨年2023年1年間の8人を既に上回り過去5年間の同時期で最多という。
こうした状況を受け、川口市の奥ノ木市長は2024年10月17日、市内を管轄する川口、武南両署長に対し、違法運転などの取り締まり強化を求める要望書を提出。
死亡事故について
「法令違反と運転技術の過信や順法意識の欠如が要因」
と指摘した。
要望書はその上で、クルド人らが経営する解体資材置き場周辺での過積載や速度超過などの危険運転を念頭に、
「市民からは生活上の安全が脅かされるのではないかと今後を危惧する声が数多く寄せられている」
として、取り締まりの強化などを求めている。
また、2024年10月1日には県議会の立憲民主党などで作る会派などが県警本部に対し、2024年11月8日には川口市議会の自民党市議団が川口、武南両署に対し、それぞれ同様の要望書を出した。
埼玉県警は取材に対し
「県民の安心・安全のため引き続き適正な取り締まりと交通安全の広報・啓発を続けていく」
としている。

川口の解体業者7割は中東系、1年で40社増170社 民家の廃材をその場に埋め4人逮捕
「移民」と日本人
2024/11/14 11:50
https://www.sankei.com/article/20241114-CQAUVRW3HRKLNOD47WALDFXWZA/
埼玉県新座市の住宅街で民家を解体後、廃材6.2トンをその場に埋めたとして、川口市に住むトルコ国籍の解体業の男ら4人が2024年11月13日、廃棄物処理法違反の疑いで県警に逮捕された。
川口市内の解体工事業者は255社で約7割は中東系とみられ、大半はトルコの少数民族クルド人とされる。
中東系は過去1年間で約40社増え約170社と急増している。
逮捕されたのは、いずれも川口市に住むトルコ国籍で、解体業のチカン・ハリル・イブラヒム容疑者(35)と23〜39歳の解体工の男3人の計4人。
県警はクルド人かどうかは明らかにしていない。
逮捕容疑は今年2024年4月27日頃から2024年5月7日頃の間、新座市栗原の民家解体工事現場で、解体で出た木くずや廃プラなど産業廃棄物計6.2トンを解体後の更地に埋めたとしている。
県警によると、民家の家主がインターネットで探した解体会社に依頼。
この会社が、チカン容疑者が実質経営する解体会社「H産業」に下請けに出したという。
同社は解体資材置き場を所有しており、県警はなぜ解体現場にそのまま埋めたのか動機を調べている。
■業界での割合も増加
埼玉県が公表している解体業者の名簿のうち、川口市内の業者は2024年10月末時点で255社。
このうち代表者が中東系の名前は約170社あり、全体の約67%を占めた。
大半はトルコ国籍のクルド人とみられる。
これらの業者数を1年前の昨年2023年10月末時点と比べたところ、中東系の名前は約130社から約170社に約40社増え、1年間で1.3倍となった。
また、解体業者全体に占める中東系の割合も約59%から約67%と、8ポイント上がった。
資材置き場は近年、川口だけでなく隣接する越谷市やさいたま市岩槻区などにも広がっており、今回の事件を起こしたH産業も川口市内から越谷市へ移転していた。
■杜撰工事相次ぐ
解体工事を巡っては昨年2023年9月、東京都品川区で杜撰な工事により区が工事停止を指示。
工事は日本企業が中国系業者に発注、更にトルコ人業者に下請けされ、最終的に現場作業したのはクルド人だった。
今年2024年6月には埼玉県富士見市のビル解体工事現場で解体作業中に建物が崩落し、隣接する道路を塞ぐ事故があった。
工事を請け負ったのは中東系外国人が経営するさいたま市岩槻区の解体会社だった。
首都圏の解体業はクルド人の生業となっている。
一方で、川口市にはクルド人が約2000人在留。
大半は難民認定申請中で、出入国在留管理庁によると昨年2023年1年間のトルコ国籍の申請者は2406人に急増し、初めて2000人を超えた。

川口クルド人意見書でれいわ離党の市議、立民愛知から衆院当選 移民問題「答えられない」
「移民」と日本人
2024/11/5 15:52
https://www.sankei.com/article/20241105-3R7OB4DXWJK2JLKVZSJMQFQQVU/?outputType=theme_election2024
2024年10月27日投開票の衆院選で、立憲民主党公認で愛知15区から出馬した前埼玉県川口市議、小山千帆氏(49)が、比例東海ブロックで復活当選した。
小山氏は昨年2023年6月、川口市議会のクルド人問題を念頭に置いた
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書に賛成後、所属するれいわ新選組を離党。
更に市議を辞職していた。
小山氏は
「移民問題」
について
「取材は受けない」
としている。
小山氏は昨年2023年4月の統一地方選でれいわ公認で川口市議に初当選。
同年2023年6月、市議会でクルド人問題を念頭に置いた意見書が可決された際は、立民・れいわの共同会派が反対する中、小山氏は賛成した。
小山氏はその後、れいわ内で難しい立場に立たされたとされ、今年2024年5月、れいわを離党。
無所属で活動後の2024年7月下旬に市議を辞職し、直後に立民愛知15区総支部長に就任した。
小山氏はれいわ離党の際
「川口市民の生活に寄り添った活動をしていきたいため」
と理由を話していたが、市議を辞職した際は取材に対し
「取材は断っている」
と回答。
自身のXも全面削除した。
今回、衆院初当選に当たって、国の出入国管理政策や
「移民」
受け入れの他、川口市のクルド人問題や昨年2023年6月の意見書について取材を申し込んだところ、愛知県豊橋市の地元事務所を通じて
「取材は受けない」
と回答があった。
回答を伝えた事務所の男性に名前を尋ねたところ、回答を断られた。
小山氏の衆院選向け公式サイトには主要政策が4項目列挙されているが、移民問題についての言及はない。

川口クルド人問題、突如衆院選争点に浮上「私におまかせを」埼玉2区、全く触れない候補も
「移民」と日本人
2024/10/16 12:10
https://www.sankei.com/article/20241016-M2LPK63JJZLGHB5FX4XFJEJGOQ/?outputType=theme_election2024
27日投開票の衆院選埼玉2区は、トルコの少数民族クルド人と地域住民との軋轢が表面化している川口市の大部分が選挙区だ。
「地元国会議員が動いてくれない」
との指摘も出る中、今回の選挙では突如、争点に浮上。
公示日の15日、JR川口駅前では
「クルド人問題を解決する」
と公約する候補も現れた。
川口は外国人問題で有名になった
「ルール違反の外国人問題、おまかせください!」
日本維新の会前職の高橋英明氏(61)陣営の選挙カーから、運動員の女性がこう呼び掛けた。
前回は比例復活で初当選。
今年2月の衆院予算委ではクルド人を念頭に地元の外国人問題を取り上げ、当時の岸田文雄首相に対応を求めた。
選挙カーの上でマイクを握った高橋氏は経済再生などを訴えた後、クルド人らも混じる通行人に向かって
「この川口は外国人問題で全国的に有名になってしまった」
と切り出した。
「ルールを守らない外国人は一旦国に帰ってもらって、きちんとした在留資格で来てもらう」
「支援団体もそういうことを手助けすべきだ」
と指摘し、警察官の増員などを訴えた。
■この機会だから申し上げる
9選を目指す自民前職で前経済再生相の新藤義孝氏(66)は、選対本部長に奥ノ木信夫市長を迎え、駅前広場に自民、公明両党の県議や市議ら約25人を集めて出陣式。
150人以上の聴衆に向かって経済再生などを論じた後、
「もう1つ大事なことは治安の確保だ」
と地元の課題に話題を転じた。
「いわゆるクルド人問題」
「この機会だから申し上げるが、難民認定申請を繰り返し、10年も20年も川口にいる人たちが増えてしまった」
と、自身の選挙で初めてクルド人問題を明確に取り上げた。
新藤氏は自身の政策チラシにも
「クルド人問題の解決」
と明記。
この日の演説で、6月施行の改正入管難民法で難民申請中の強制送還停止が原則2回までに制限されたことについて
「法改正まで5年かかった」
と実績として触れ、
「ルールを守ってこその共生だ」
「川口をあやふやな出入り自由の街にはさせられない」
と声を張り上げた。
■なぜ外国人問題に触れるのか
一方、共産新人で元県議の奥田智子氏(55)は川口駅頭で第一声を上げたが、約13分間の演説で外国人問題に触れることはなかった。
演説後、奥田氏になぜ触れなかったか尋ねたところ、
「逆に聞くが、なぜ触れるのか」
「演説の内容は私が選べる」
「触れない理由は敢えて言わない」。
地元のクルド人問題への対応については
「国の政治が悪すぎる」
「それに尽きる」
と入管政策を批判した。
立民新人で歯科医師の松浦玄嗣(もとつぐ)氏(52)も川口駅前での出陣式では外国人問題について言及しなかったが、配布した政策チラシに
「外国人労働者の処遇に明確な法整備を求める」
と掲げた。
取材に応じた松浦氏は
「外国人を労働者としてなし崩し的に受け入れるから問題になる」
「川口で起きていることは10年後、20年後、必ず国全体の問題になる」
「外国人を移民として受け入れるのか、鎖国するのか、ロボットやAIに頼るのか、政治家は国民と議論しなければならない」
と語った。
■早く目に見える成果を
この他、埼玉2区には諸派新人で不動産会社社長の津村大作氏(50)が立候補。
7月の東京都知事選にも出馬した津村氏は今回、強制送還を拒む不法滞在者の入管施設への収容を一時的に解く
「仮放免制度」
の廃止を訴えている。
クルド人の危険運転などに困っているという地元の男性会社員は
「選挙で取り上げられるようになったのは一歩前進だが、市民の間ではまだまだ『政治家は何もしてくれない』との思いが強い」
「早く目に見える成果を挙げてほしい」
と話していた。
▽埼玉2区立候補者(届け出順)
奥田 智子55元県議 共新
高橋 英明61党県代表 維前
新藤 義孝66前経済再生相 自前
津村 大作50会社社長 諸新
松浦 玄嗣52医療法人役員 立新

日本人の安全が何より優先する。
そこを履き違えてはいけない。

<独自>「トルコ人は10月からビザ必要」ニセ情報拡散 外務省「川口クルド問題は認識」
「移民」と日本人
2024/9/18 15:30
https://www.sankei.com/article/20240918-QY7P3S2RXFF4TKEIEZBJPJQBDY/
日本とトルコの間で結ばれている短期滞在の査証(ビザ)免除措置について、トルコ国内の一部メディアやSNS(交流サイト)で
「日本政府が10月からトルコ国籍者にビザ要件を課す」
との偽情報が拡散、トルコ大統領府が否定の声明を出す異例の事態となっている。
日本の外務省も
「そのような事実はない」
と否定した上で、埼玉県川口市でトルコの少数民族クルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題について
「問題は認識し、注意深く対応している」
と述べた。
外務省によると、日本は観光や商用など短期滞在のビザ免除措置を71カ国・地域に実施しており、トルコとは1958(昭和33)年から相互免除が取り決められている。
航空券代さえ負担できれば、パスポート一つで来日し、最長3カ月在留できるため、3カ月後に難民認定を申請して滞在を継続するケースが続出。
川口市に在留するクルド人約2千人の多くがこの方法で難民申請しているとされる。
ところが、今月に入りトルコ国内のSNSで
「日本は10月1日からトルコにビザ要件を課す」
という偽情報が拡散。
一部トルコメディアにも
「短期滞在ビザを利用して日本行きを夢見る人々に悪いニュースだ」
「難民申請の増加や不法就労の問題に苦しむ日本が、トルコへの扉を閉ざすことになった」
などとする記事が掲載された。
トルコ大統領府通信局は今月16日、
「こうした主張は事実ではない」
「一般市民をミスリードする意図を持った主張を信じないでほしい」
と注意を呼びかける声明を発表。
トルコメディアもこの声明を報じた。
トルコとのビザ免除をめぐっては、上川陽子外相が5月の参院決算委で
「日本社会の安全、安心を守ることも重要だが、ビザ免除の見直しが必要とまでは考えていない」
と答弁。
外務省中東一課の担当者は取材に対し、ビザ免除見直しを否定した上で
「最近、一般の方を含め問い合わせは来ているが、国会答弁の通りだ」
と回答。
その上で
「川口のクルド人の問題は認識している」
「外交当局として、二国間にどのような影響があるか注意深く案件をフォローしている」
と話した。
日本とトルコは8月に国交樹立100周年を迎え、記念行事が続いている。
12月上旬には、秋篠宮ご夫妻がトルコを公式訪問されることが決まっている。

川口クルド人問題を新聞・テレビはなぜ報じない 産経新聞コンテンツ統括・皆川豪志
正論10月号
2024/9/1 12:00
https://www.sankei.com/article/20240901-MCH2PHSPSVBG7OO4MC3A34TT44/?outputType=theme_monthly-seiron
川口クルド人問題を知らない人は、かなり少なくなってきたのではないでしょうか。
近年、トルコからクルド人が大勢、日本の埼玉県川口市に移住してきて、暴力的な行為や騒音などで、地域住民に不安や恐怖を感じさせている問題です。
地元住民やインターネットの一部ユーザーでは有名だったのですが、大手メディアではほとんど報じられてきませんでした。
しかし、産経新聞が2023年から、インターネットメディア「産経ニュース」や新聞紙面などで報じ始めた後、一般的にも大きな問題として認識されるようになってきました。
ただ、他の新聞やテレビなど大手メディアは相変わらず、これを無視しています。
「外国人との共生社会」
の理念に反するという理由なのでしょうか、ほとんど報道されないのです。
こうした報道姿勢は果たして正しいのでしょうか。
共生の理念を守るためとはいえ、現に存在する大きな社会問題が無視されていいのでしょうか。
■意見書も暴動も無視
まずは、この問題について詳しくない人たちのためにも、川口クルド人問題を巡る産経新聞の報道姿勢について、説明する所から始めたいと思います。
産経新聞がこの問題を本格的に報じるようになったのは、2023年6月29日、川口市議会が
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書を可決したことと、その直後に
「川口市立医療センター」
周辺でクルド人約100人が関与したとみられている暴動事件が起きたことが大きなきっかけでした。
前者は川口市においてクルド人を巡るトラブル増加を受け、議長を除く市議41名のうち、34名の賛成多数で可決されたものです。
その中には、れいわ新選組所属の議員(後に離党)1人も含まれており、幅広い層の議員が賛成したことが窺えました。
この意見書は、
「一部外国人」
として、
「クルド人」
と名指ししたものではありませんでしたが、少なくともそのことが想定される内容で、全国の自治体でも例のないものでした。
後者はクルド人同士の痴話喧嘩がきっかけで、市内路上で相手を切りつけて暴れた上、搬送先の病院にまで押し掛けるというショッキングな事件でした。
殺人未遂や公務執行妨害容疑などで約10人の逮捕者を出した上、地域唯一の救急医療が一時ストップするなど地元住民にも多大な影響が出ました。
ところが、これらを大きく報じたメディアはほとんどありませんでした。
恥ずかしながら産経新聞もさいたま支局は県版で少し触れた程度でした。
事件の直後に産経新聞本社の編集局に着任した私は、これほどの問題に反応しない体たらくに驚き、記者たちを叱咤し、改めて取材を指示しました。
その結果、2024年7月31日付の産経新聞は1面トップで医療センターの事件を、3面でその背景となる意見書可決の記事を大きく掲載しました。
以降、他メディアがほとんど取り上げない川口市の地元住民とクルド人の軋轢を中心に、外国人労働者や難民認定申請者の増加に伴う問題全般について1年間で約80本の記事を出しました。
それにしても、なぜ新聞もテレビも、この事件や意見書決議をほぼ無視したのでしょうか。
意見書作成を主導した自民党所属の川口市議は市役所の記者クラブの記者に説明したそうですが、記者側からは
「そうなんですけどね」
「難しいですね」
といった言葉が返ってくるばかりで、煮え切らない態度だったそうです。
要するに、支局の一記者がややこしい問題に触れたくないということだったようなのです。
とにかく以後、産経新聞はこのテーマにきちんと取り組むようになりました。
「外国人に対するヘイト報道だ」
との批判を受けることもありますが、それでも、報道を続けることは重要だと思っています。
起こっている事実、少なくとも地元で少なからぬ住民が懸念を持っているような事実について、誰も報じなくて良いのかという強い問題意識があるからです。
実際、川口市内の一部地域では、隣に住むクルド人の騒音を注意した住民が、
「ばばあ出ていけ」
と怒鳴られたり、改造車で自宅の塀を壊されて逃げられたりというようなケースが散見されます。
解体業などに従事するクルド人が物凄い量の廃材をトラックに積んで住宅街を走り抜ける光景も目立ちます。
実際に
「犯罪」
として認知されていなくとも、住民の体感治安は非常に悪くなっているのではないでしょうか。
例えば、こんなことがありました。
川口市に住む30代の女性が、
「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」
として、
「私たちの存在を、消さないで。Native Lives Matter」
という画像を作成し、これがネット上で拡散されたのです。
女性には小さな子供がおり、近所にある資材置き場を出入りするクルド人運転の過積載トラックに恐怖を感じたそうです。
「ヘイトスピーチだ」
などと批判されることを恐れて実名は出せませんでしたが、勇気を振り絞って訴えたといいます。
私たちはこのことについて、2024年の2月28日に報道しました。
■事実は事実として
それにしても、他のメディアはこうした地元住民の気持ちをなぜ汲み取ることができないのでしょうか。
2017年に英国で出版され、ベストセラーになった『西洋の自死』(ダグラス・マレー著)によると、英国の世論調査で国民の過半数は移民の受け入れに否定的だったのに対し、メディアの多くは賛成の論調だったそうです。
その後、英国をはじめ欧州が大量の移民を受け入れるにつれ、移民による犯罪が頻発するようになったそうですが、それでも欧州のメディアは
「人種差別主義者」
と呼ばれるのを恐れて、そうした事実を極力覆い隠そうとしたとのことです。
もしかしたら、これと同じことが日本でも起きているのかもしれない―。
産経新聞では、一連の川口市とクルド人に関する記事について、他紙がどれだけ報じたかについて調べて、一覧表(左)にして掲載したことがあります。
その表からは、他紙がこのテーマを報じる機会が相当少ないことが明らかになりました。
その理由を、私が他社を代弁することはできませんし、メディアによって様々なのかもしれません。
移民問題は報道が難しい問題だからなのか、多面的な見方がある微妙な問題だからなのか、
「ヘイト」
という批判を受けやすいからなのか、あるいは、日本人に我慢を強いても外国人の人権が大事と考えているのか。
私は、理由の1つに地上波テレビがほとんど取り上げていないことも関係していると考えています。
テレビの影響力は今も大きいので、テレビ報道があれば変わることがあるかもしれません。
いずれにしろ、移民に対する考え方はメディアによって様々であっても、事実を淡々と報じるということは、あっても良いはずです。
念のため申し上げますが、産経新聞は決して
「外国人の受け入れ」
全てに反対ではありません。
ただ単に、今後多くの外国人が日本社会に受け入れられていくだろうという現実を前提に、
「では、問題のない受け入れにはどうすれば良いか」
という問題提起をしているだけなのです。
少なくとも私たちは、事実を誇張して何らかの世論誘導をするつもりはありません。
私たちが声を大にして言いたいのは、事実を報じないのはおかしいということです。
日本に在留する外国人にしても、
「難民」
「不法滞在者」
「正規の外国人就労者」
をきちんと区別して考えるべきで、
「外国人差別は良くない」
「強制帰国させるのは可哀想」
などという情緒的な話ばかりでなく、事実をきちんと報じ、現実から出発して、物事を考えることが重要なのではないか。
そう思うのです。
■マスコミへの不満
先ほど、このテーマについて産経新聞に
「ヘイトだ」
という声が寄せられるという話を書きましたが、実は読者からのこうした声は少数です。
少なくとも、弊社に寄せられる声の多くは
「産経、よく書いてくれた」
という趣旨のものがほとんどです。
この種の記事というのは非常に関心が高く、ネットなどでは1日のうちで最も読まれている記事になることもしばしばです。
特に、このテーマで連載や特集などをやると
「他紙はまた報道しない自由ですね」
などという反応が大半です。
重ねて申し上げますが、川口クルド人問題で、何か一定の世論を形成しようという
「上から目線」
のつもりは全くありません。
大事なのは、きちんと事実を報じ、どう考えてもらえるかということなのです。
はっきり言って、この問題について多くのメディアが何も報じようとしない現状はかなり危険です。
報じたとしても
「クルド人の絵画展が開かれました」
「地域との共生イベントが行われました」
といった生温いニュースばかり。
これをみて、実際に困っている住民は何を思うでしょうか。
「マスコミは事実を隠している」
と疑念を持つのではないでしょうか。
現実に、マスコミがこの話題についてあまりに報じないため、逆に
「なぜ報じないのだ」
という批判も広がりつつあるようです。
このまま
「共生が大事」
「多様性は素晴らしい」
みたいなことばかり言い続けていくと、逆に、日本の一般の人たちの心の中に、ルールを守らない外国人に対する憎悪のようなものを生み出す結果になる可能性があります。
マスコミが
「外国人との共生に日本人が協力すべき」
というような論調ばかりになると、却って一般の人の間には不満が溜まり、それがいつか爆発し、社会の分断に繋がることにならないだろうか。
私はこう危惧します。
■「人手不足」という言い訳
川口のクルド人問題に象徴される移民問題、もしくは
「外国人受け入れ」
問題については、政治や言論で批判がタブーになっているとしばしば言われます。
私たちは現在の言論空間について、あまり窮屈だと感じたことはありませんが、ただ、このテーマについて
「何か面倒だ」
と思う人がいる気持ちも分かります。
新聞でもテレビでも、偏らずにこういう話もあるしこういう話もある、という報道があれば、それを元に様々な意見が交わされていくはずですが、実際にはそれとは程遠いというのが現実です。
例えば、
「外国人差別はいけない」
「人権は大事」
などと言われれば、誰も否定できません。
それに対して、
「いやいやこういう外国人の問題もある」
「入管のルールはこうなっていて」
などと一から説明する労力を考えれば、
「否定しません。以上」
で終わったほうが面倒くさくないですから。
下手をすれば
「ヘイト」
と責められかねないようなことを敢えて政治家やテレビのワイドショーなどが取り上げることはありません。
そこを説明したり議論したりすることは、やはり厄介だと思われているのではないでしょうか。
今、産経新聞では断続的に
「『移民』と日本人」
というタイトルで連載が行われていますが、移民という言葉には
「」
が付けられています。
一応、日本に移民はいないことになっているからです。
ただ、移民と言わないだけで
「外国人労働者」
はこれまでも積極的に受け入れられてきました。
これは、
「軍隊」

「自衛隊」
と言い換え、その本質に踏み込まない議論とよく似ているのではないでしょうか。
本質に踏み込めば、議論せざるを得なくなる。
議論すると色々と厄介な問題が見えてきてしまう。
日本人にとっての移民問題は今、そんな感じなのではないでしょうか。
その一方で、マスコミではしばしば
「人手不足」
の解消のため、外国人の受け入れを進めるべきという議論が展開されています。
日経新聞、読売新聞なども、社説などで
「人手不足」
のため外国人の受け入れを進め、外国人に
「選ばれる国に」などと主張しています。
しかし、これは移民推進論とどこが違うのでしょうか。
今さら言うまでもありませんが、移民推進については、経済的視点から、
「安価な労働力流入によって、自国民の所得を下げるだけで、企業努力を妨げる」
と批判されてきました。
経済界などは
「労働力不足」
を前面に訴えていますが、実際は
「安い労働力」
が欲しいだけなのではないかとも指摘されています。
外国人労働者を受け入れれば、目先の
「安い労働力」
という利益は得られるかもしれません。
しかし、労働力として受け入れられた外国人にも人生があり、そのことも受け入れた側の国は考えなければなりません。
簡単に家族帯同などと言いますが、その家族の社会保障はどうするのか、働けなくなったらその家族の面倒も日本社会が見るのでしょうか。
先進国で外国人労働者が従事するのは、自国民が
「やらない」
仕事ではなく、
「現状の賃金ではやりたくない」
仕事です。
こうした仕事については、仮に外国人という選択がなければ、自国民がやりたくなるまで賃金水準は上がり、企業はより一層の技術開発などで乗り切ろうとするでしょう。
日本の高度成長期などは、移民の力は一切借りず、賃金を上げて1億総中流という社会を築いたのですから。
労働力不足を理由に安易とも言える
「移民推進論」
を進めた欧米は、文化や宗教、言葉の違いから、取り戻せないほどの治安悪化に苦しみ、ようやく移民政策の転換を始めました。
欧米の失敗から学ぶべき事は多いのではないのでしょうか。
私たち日本人は、そうしたことを真面目に議論しなければならないと思います。
《この文章は、筆者が『国際人流』(公益財団法人・入管協会発行)2024年7月号に掲載されたインタビュー記事で発言した内容をもとに、書かれたものです》
(月刊「正論」10月号から)

「ペンのチカラ信じたい」川口クルド問題、産経新聞が地元読者の声を全面特集 報道検証も
「移民」と日本人
2024/3/16 8:00
https://www.sankei.com/article/20240316-TFNS5ICNPJJ4NP6WXDR4SW36OM/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、2024年3月16日付の産経新聞が1ページ全面を使って
「報じられない川口クルド問題」
の特集を組んだ。
「秩序なき『共生』 黙殺される地域の声」
との見出しで、川口の地元住民らから上がっている大手メディアの消極姿勢についての疑問の声を詳報。
朝日新聞、共同通信など5つの媒体についてのこの問題を巡る報道状況を検証している。
検証記事については、2024年3月16日午後、産経ニュースでも配信する。

川口クルド問題 朝日、共同などの報道状況を検証 事件報道わずか、イベントには好意的
「移民」と日本人
2024/3/16 13:00
https://www.sankei.com/article/20240316-4G6I7KUVAJO6BPNHSJYY
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、地元住民などから大手メディアの消極姿勢に疑問の声が上がっている。
朝日新聞や共同通信など5つの媒体について報道状況を検証したところ、事件や不祥事については報道量が少なく、扱いも小さい一方、取り上げられる際は、同情的、好意的な報じ方が一般的となっている実態が浮かんだ。
■20件中僅か2件
2023年6月から2024年3月にかけて、産経新聞や産経ニュースが取り上げたクルド人と地元との軋轢を巡るニュースや、クルド人の犯罪についての事案など20件について、朝日、毎日、読売の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の5媒体を対象に、商用データベースなどで報道状況を調べた。
その結果、産経を除き3媒体以上が報じたニュースは20件中、僅か2件しかなかった。
2媒体が報じたニュースは7件、1媒体しか報じなかったニュースが5件、全く掲載していないニュースが6件だった。
1媒体だけの場合は地元紙が多かった。
川口市議会は2023年6月末、国や県などに
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書を賛成多数で可決した。
この意見書は、具体的な民族名こそ挙げていないものの、クルド人を念頭に置いたもので、地方議会としては異例の出来事だった。
■地元紙さえ報じず
産経新聞もこのニュースを報じたのは約1カ月後だったが、クルド人と住民との軋轢の実態や議決の背景、与野党議員の声などを大きく取り上げた。
一方で地元紙も含め、各紙は産経が報道するまで全く報じず、地元紙が2023年8月中旬の企画記事の中で、全国紙の1紙が2023年9月にクルド人問題を巡る政治家の動きを報じる中で触れたのみだった。
2024年3月7日、女子中学生に性的暴行をしたとして不同意性交容疑でクルド人の男が逮捕された性犯罪事件も、産経以外は2紙しか報じなかった。
報道した2紙も
「トルコ国籍」
との表記で、逮捕されたクルド人が事実上の
「移民2世」
であることなど詳しい背景は報じられなかった。
一方で、川口市内で開かれたクルド人の写真展などのイベントはほとんどの媒体が好意的に紹介していた。
クルド人の祭り
「ネウロズ」
の開催を巡り、埼玉県側が公園の使用を一時認めなかった問題も、ほぼ全媒体が報じていた。
■事件報道は「トルコ国籍」
また、
「クルド人」
という民族名は、難民認定申請を繰り返す彼らが法的に不安定な立場に置かれているとして、同情的に報じるケースが目立った。
逆に、事件や不祥事などでは
「トルコ国籍」
とだけ報じて民族的な背景を報じなかったり、単に
「外国人」
とだけ表記したりするケースもあった。
2023年8月、川口市内の男子中学生が大型商業施設への威力業務妨害容疑で逮捕された際に報じた2紙も
「トルコ国籍」
「外国籍」
との表記だった。
また、2024年2月26日の衆院予算委で、川口市を地元とする議員が、外国人の治安問題について民族名の名指しを避けながら質問した際は、共同通信が記事を配信し全国紙1紙が掲載したが、その内容は
「ヘイトスピーチだ」
などとするジャーナリストの談話を掲載した批判的なものだった。
■「実態が報道されない」
今回、地元住民らから寄せられたメールでも、
《日本人の女子中学生がクルド人にレイプされたのに、ほとんどのマスコミが重要視せず、川口の実態が報道されないことは異常としかいいようがない》
《「ヘイトスピーチだ」などとするジャーナリストの談話を掲載した通信社や、そのジャーナリストは本当に川口の実態を知って批判しているのでしょうか》
など、大手メディアへの不信感が渦巻いていた。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)
今回、地元住民から寄せられたメールには、テレビや新聞への不信感が渦巻いていた。
初めて意見を投稿するという東京都の58歳女性は
<大きな問題であるにもかかわらず、大手メディアで取り上げられることはほとんどない>
<取り上げられたとしても過度に配慮した扱いに大きな不安を感じていた>
<川口の問題は他人事ではなく明日は我が身の問題です>
とし、こう続けた。
<国の形を変えるような問題が差別や目先の労働力確保に摩り替えられ、オープンな議論ができない状況で、影響力のある大手メディアが問題提起しない姿勢に疑問を感じていた>
<今回の地元の女性の訴えは、そのような状況に一石を投じるものと感じます>
■川口のクルド人問題を巡る最近の経緯と報道状況
@産経新聞や産経ニュースが報じた事案
A朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の計5媒体のうち
⇒〇3媒体以上、△2媒体、▲1媒体、×掲載なし
★令和5年
・6月29日
@埼玉県川口市議会が、国や県などに「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」を求める意見書を可決
A▲
・7月4日
@川口でクルド人同士の殺人未遂事件。市立医療センター周辺でクルド人約100人が集まる騒ぎ、救急受け入れを5時間半停止
A〇
・8月1日
@川口の大型商業施設に煙幕を出す花火を投げつけたとして14歳のクルド人の男子中学生が逮捕
A△
・8月21日
@7月の殺人未遂事件で埼玉県警がこの日までに計7人を逮捕
A▲
・9月1日
@川口市の奥ノ木信夫市長が、法相へ不法外国人の強制送還などを求める要望書
A△
・9月4日
@東京都内でクルド人業者による解体工事を巡り住民から苦情が殺到、区が工事停止を指示
A▲
・9月14日
@衆院外務委の黄川仁志委員長(当時)が駐日トルコ大使にクルド人問題で「懸念」伝達

・9月25日
@7月の殺人未遂事件でさいたま地検が7人全員を不起訴処分
A△
・9月26日
@川口署内でジャーナリストを「殺す」などと脅したクルド人を逮捕

・10月24日
@ジャーナリスト脅迫事件でさいたま地検がクルド人を不起訴処分

・11月4日
@川口のクルド人団体「日本クルド文化協会」が埼玉県警や地域住民らと合同パトロール
A▲
・11月24日
@公安調査庁が年報「国際テロリズム要覧」2023年版で、テロ組織のリストからトルコの非合法組織「クルド労働者党(PKK)」などを除外。
この日のインターネット上で公開され、内外で反発広がる

・11月29日
@トルコ政府が日本クルド文化協会と代表者らについて、PKKに資金提供している「テロ組織支援者」と認定、トルコ国内の資産凍結を公表
A▲
★令和6年
・1月22日
@不法滞在のクルド人男性が実質経営する解体会社が埼玉県に100万円を寄付、大野元裕知事が男性に感謝状を手渡す

・1月23日
@クルド人の祭り「ネウロズ」の埼玉県営公園での開催許可を巡り、県公園緑地協会が当初の対応の誤りを認めてクルド人支援団体に謝罪
A〇
・2月25日
@2月18日にJR蕨駅周辺で行われたデモの際、日本クルド文化協会関係者が「日本人死ね」とも聞こえかねない発言をしたと指摘され同協会が釈明、謝罪
A△
・2月26日
@衆院予算委で日本維新の会所属議員が川口のクルド人の治安問題を巡り国会で初めてとみられる関連質問
A△
・2月26日
@川口在住の女性が「ネーティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)などと訴えるメッセージ画像をSNSに投稿、急拡大される

・3月5日
@ネウロズ開催を巡り県公園緑地協会が日本クルド文化協会に公園使用を許可
A△
・3月7日
@川口のコンビニ駐車場で女子中学生に性的暴行をしたとしてクルド人を逮捕
A△
*他媒体の掲載状況は商用データベースの検索結果から。2カ月以上経ってからの掲載は除く

川口クルド問題、地元当事者の声続々「政治が動いてくれない」 社会の分断一層進む恐れも
「移民」と日本人
2024/3/9 10:00
https://www.sankei.com/article/20240309-VUIKPV7VPFOW5CLOCN2FG4HAZY/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、産経ニュースがメールで募集した読者の声が止まらない。
全体の約4割が埼玉県民からで、うち約7割が川口市民だった。
「政府も自治体も何もしてくれない」
「このまま川口で暮らしていけるか不安」…。
クルド人とみられる集団の行為を具体的事例を上げて批判する人も多く、住民の喫緊の課題であることが窺えた。
「多様性」
で一括りにして政治がこの問題を放置すれば、社会の分断が却って進む恐れすらある。
■「引っ越せばよいといわれても」
川口市に住んで20年になるという60代女性は
《いつのまにか周りにクルド人が増えた》
とし、道路に溢れるゴミの問題や公園の使い方、夜のコンビニでの体験などを淡々と綴った。
警察に連絡しても特に改善はなく、
《パトロールもしてくれない》
という。
《私には孫がいます。本当にここに暮らして大丈夫なのか? この年になって、そんな不安が出てくるなど思いもしなかった。引っ越せばよいといわれるが、年金生活でお金はありません。市長が出してくれますか》
《私たちはふつうに暮らしていただけです。どうか川口市民の声が大きな声になって市を、国を揺さぶれる力になりますように!》
■「警察を何とも思っていない」
同市内の40歳男性は、クルド人とみられる若者グループによる一方通行での改造車の逆走などの目撃が後を絶たないという。
《彼らは「一部のクルド人」だと言いますが、もはや全体の問題と考えてもおかしくない。一刻も早く、安心して暮らせる社会になることを願う》
同市内の55歳男性は、元々外国人の多い川口は
《日本のどこの住民よりも外国人に慣れている》
とした上で、
《ただ、クルド人とほかの外国人が違うと思うのは、彼らが警察を何とも思っていない点です。法律も関係ない、警察も怖くない、集団で行動するクルド人をこのままにしておけば、この街は無法地帯になります。誰か助けてください》。
《まじめに仕事をしているクルド人もたくさんいるでしょう。日本人がやらない仕事をしてもらって、助かっている部分もあるでしょう。ですが、法律を守らないクルド人は日本から即刻出ていってもらいたい。これはヘイトでも差別でもなく、日本人として当たり前の感情だし、当たり前の前提だと思います》
■「外国人と共生を」メディアが擁護
川口市で生まれ育ち、現在も市内で子育て中という50代女性は
《クルド人の行動や素行をとても恐怖に感じています。私たち川口市民は、この先も川口で生活していくことに不安を感じます。公平って何ですか。それを武器にしないでください》。
埼玉県内の67歳男性は
《すでに何千人も住んでいて民族衣装を着て民族楽器を鳴らしている。ここは日本? これからどうなっていくのか。しかも実態は不法滞在状態の人もいるといわれている》
とし、こう続けた。
《政府は「移民」を急速に増やそうとしている。そのことへの不安が広まり、クルド人問題を大きくしている面があるのではないか》
県内の56歳男性は
《「外国人と共生を」「外国人を差別するな」と政府やメディアが擁護しているが、この問題に対処しない政府には憤りしかありません》
と綴った。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」
「移民」と日本人
2024/3/8 17:25
https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の
「移民2世」
という。
調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。
男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。
女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。
女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は
「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」
と容疑を否認。
同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。
「2世」
とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。

クルド祭り「ネウロズ」埼玉県公園協会許可 楽器使用も一転認める「丁寧に対応する必要」
「移民」と日本人
2024/3/6 12:45
https://www.sankei.com/article/20240306-ZSFLUEWT4JJ27OWNRUFZHIKNIE/
埼玉県川口市などに在留するトルコの少数民族クルド人の祭り
「ネウロズ」
の県営公園での開催を巡り、県公園緑地協会の対応にクルド人側が反発していた問題で、同協会が開催を許可したことが2024年3月6日、分かった。
許可は2024年3月5日付。
祭りは2024年3月下旬に県営秋ケ瀬公園(さいたま市桜区)で行われるという。
この問題は2024年1月、クルド人支援団体からの公園利用の相談に対し、協会側が
「楽器演奏の禁止」
を条件に許可する方針を示したところ、支援団体が
「音楽と踊りは一体だ」
などと反発。
同公園の管理事務所長が対応の誤りを認めて謝罪していた。
協会によると、別の県営公園で楽器を使用する際、
「音量を80デシベル以下にする」
などの条件で許可した例があったことから、今回も同じ条件で、楽器使用も含め許可したという。
協会は取材に対し
「公園の利用は地方自治法上、正当な理由がない限り許可を拒んではならないことになっている」
「今回は協会として速やかに丁寧な対応をする必要があり、他の県営公園の基準に準拠して許可した」
「今後、基準自体を見直す必要がある」
と話している。
協会によると、2023年7月にクルド人約100人が川口市内の市立病院周辺に殺到した騒ぎ以降、
「クルド人に県の施設を貸さないでほしい」
といった電話やメールが複数寄せられていた。

川口クルド問題で市民の声続々「事実報道しない」「過度に配慮」 大半がメディアに苦言
「移民」と日本人
2024/3/4 15:05
https://www.sankei.com/article/20240304-PWXWSDPU4RLCBF7W7ODSN76LJQ/
埼玉県川口市に住む女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像やメールによる訴えなどを産経ニュースで紹介したところ、多くの読者の声が届いた。
近年SNS(交流サイト)などで、個人の意見が
「拡散」
されることが増えているが、比較的短い感想や攻撃的な内容になることも多い。
今回、メールで募集したところ、いずれも長文で、自身の体験や意見を淡々と述べたものがほとんどだった。
「テレビは事実を報道しない」
「ヘイトと言われる日本は本当におかしい」
などと綴られ、全体の4分の1は埼玉県内からだった。
■「正直怯えて子育てしている」
川口市で子供を育てているという40代女性は
《テレビのマスコミは何らかの恩恵や力が働くのかわかりませんが、ほとんど事実を報道しません。記事を読んで、勇気を出して文章にする方もいるんだなと感銘をうけました》。
女性は、以前は横浜市内に住んでおり、
《外国人が多い地域でいろいろな国の友人もいました。外国人に対する差別意識はありません》
とした上で、川口市について
《実際に子育てして住んでみると、治安の悪さに驚きました》。
これまでの自身の経験を綴り、
《正直おびえて子育てしている》
《日本の子供たちに与える影響が怖い》
としつつ、
《何かを発言すればヘイトだとか人種差別だと、圧力や嫌がらせがありそうで、怖くて発言できません》
《安心して子供を公園で遊ばせられる、安全な子育てができる埼玉県に戻ってほしいです》
と結んだ。
■「どこがヘイトや差別なのか」
埼玉県内の33歳女性は
《迷惑行為を繰り返すクルド人の取り締まりを強化して、もともと住んでいた方が平穏に暮らせる生活を取り戻すことの、どこがヘイトや差別なのでしょうか? クルド人問題を提起しただけで「ヘイトだ!」と言われてしまう日本、本当におかしいです》
と訴えた。
こうした声が寄せられた背景には、2024年2月18日にJR蕨駅周辺で行われたデモの際、クルド人団体
「日本クルド文化協会」
の関係者が
「日本人死ね」
とも聞こえかねない発言をしたことや、2024年2月22日のインターネット番組でフリーアナウンサーの女性が
「外国人との共生が不可だとなると、日本人は引っ越しできるので人口が流出するだけ」
などと発言し、物議を呼んだことなどがあるとみられる。
■「オープンな議論できない状況」
埼玉県外からも多くの声が寄せられ、
神奈川県の50代女性は
《この問題に対する貴社以外の一部メディアによる偏向報道や政治・行政の無為無策に憤り、悲しみを感じておりました。川口に無縁であっても、想像力さえあれば、苦しむ川口市民の気持ちは十分理解できます》。
茨城県の38歳男性は
《川口の状況を知らない日本人はたくさんいますし、メディアも政治家もスルーする状況の中、問題解決に向かう大きな一歩だと思いました》
と綴った。
初めて意見を投稿するという東京都の58歳女性は
《大きな問題であるにもかかわらず、大手メディアで取り上げられることがほとんどなく、取り上げられたとしても過度に配慮した扱いに大きな不安を感じていた。川口市の問題は他人事ではなく明日はわが身の問題です》
とし、こう続けた。
《国の形を変えるような問題が差別や目先の労働力確保といった問題に摩り替えられ、オープンな議論ができない状況で、影響力のある大手メディアが問題提起しない姿勢に疑問を感じていた。今回の地元女性の訴えはそのような状況に一石を投じるものと感じる》
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

「行き場ない怒り、悲しみに光」川口クルド問題でメディアの役割とは 地元女性メール全文
「移民」と日本人
2024/3/1 12:28
https://www.sankei.com/article/20240301-H3IBW3M6KBPBRGDWTSL7MCQTLI/
埼玉県川口市に住む30代の女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像を産経ニュースで紹介したところ、女性から
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみに光を当てていただいた」
とするメールが届いた。
画像は、同市内などに在留するトルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢の中、
「苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?」
と訴える内容。
女性は
「市民の意見を聞こうともしないメディア」
に疑問を投げかけている。
移民受け入れに対する報道を巡っては、過去の欧州の経験でもその役割が問い直されている。
■欧米メディアも「報道しない自由」
欧米では現在、不法移民を含む移民の増加による社会の混乱が、国家的な課題となっている。
その背景として、メディアが
「ヘイト」
「差別」
と批判されることを恐れるあまり、必要な報道をしてこなかったとの指摘が出ている。
2017年に英国で出版され、ベストセラーになった
「西洋の自死」(ダグラス・マレー著)
によると、英国の世論調査で国民の過半数は移民の受け入れに否定的だったのに対し、メディアの多くは賛成の論調を張った。
その後、英国をはじめ欧州が大量の移民を受け入れるにつれ、移民による犯罪が頻発するようになったが、欧州のメディアは
「人種差別主義者」
と呼ばれるのを恐れて、そうした事実を極力覆い隠そうとしたという。
英国で2004〜2012年、パキスタン人らの集団が11〜15歳の少女らを性的に暴行し人身売買した事件では、国名や宗教名などはほとんど報じられず
「アジア系」
とだけ伝えられた。
ドイツの都市ケルンで2015年の大みそか、約1000人の外国人らが数百人の女性を集団で性的暴行し、金品を奪った事件は当初、大手メディアが報道せず、事件が明らかになったのは数日後のインターネットのブログを通じてだったという。
■国会質問が「ヘイトスピーチ」
現在の我が国のクルド人を巡る報道はどうか。
その多くは、難民認定申請を繰り返す彼らが法的に不安定な立場に置かれているとして、同情的に扱っている。
クルド人そのものの報道も少なく、取り上げられる際は、好意的な報じ方が一般的となっている。
2023年6月から2024年3月にかけて本紙や産経ニュースが報じた川口市のクルド人を巡るニュース20件について朝日、毎日、読売の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の5媒体を対象に商用データベースなどで報道状況を検証した。
2024年2月26日の衆院予算委で、川口市が地元の議員が外国人の治安問題について、民族名の名指しを避けながら質問した際も、
「ヘイトスピーチだ」
などとするジャーナリストの談話を掲載した通信社の批判記事が配信された。
今回、メッセージ画像を制作した女性は子育て中で、一部のクルド人による危険行為に脅かされながら生活しているという。
画像には
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《私たちの存在を、消さないで。》
《差別やヘイトは絶対ダメ!でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
と訴えている。
女性は産経新聞に寄せたメールで、我が国のほとんどのメディアについて
「もはや信用ができない状態」
などと綴った。
全文をほぼそのまま紹介する。
■「ペンのチカラ信じたい」
自分のような市民の小さな声を拾い上げてくださり、本当に感謝しております。
川口の外国人問題については、貴社以外のメディアは、ほとんど市民の声を聞こうともせず、外国人が起こした事件・事故・迷惑行為を極小化し、
「体感治安が悪化しているのは、川口市民が外国人に対して偏見を持っているからだ」
「もっと川口市民が歩み寄り外国人を理解するべき」
といった、角度がつきすぎた論調に無理やり導こうとしているので、もはや信用ができない状態で、行き場のない怒りを抱いておりました。
この問題に悩んでいる多数の川口市民も同様の気持ちを抱いている状況です。
そのため、記事によって、この
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみ」
に光を当てていただき、本当に感謝しております。
私は貴社の報道とそのあり方を拝見し
「ペンのチカラ」
を、改めて信じたいと思っているところです。
お忙しい中かと思いますが、どうぞご自愛くださいませ。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

「地域住民の人権は無視ですか?」報道されない川口クルド問題、地元女性制作の画像急拡散
「移民」と日本人
2024/2/28 16:00
https://www.sankei.com/article/20240228-LGU5ZQA3YJFU5IXW6BNCV75DPQ/
「私たちの存在を、消さないで。」―。
シルエットの女性がこう訴える画像がSNS(交流サイト)で拡散されている。
作成したのは、トルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢が表面化している埼玉県川口市に住む30代の女性。
「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」。
女性は
「ヘイトスピーチだ」
などと批判されることを極度に恐れつつ、勇気を振り絞ってこの画像を作成したという。
■まるで私たちは存在しないかのように
画像は、
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《差別やヘイトは絶対ダメ! でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
とのメッセージが添えられている。
米国で黒人差別解消を訴える
「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」
運動に倣ったという。
川口市内では、解体資材置き場周辺や住宅密集地での過積載のトラックや改造車の暴走行為が問題化。
女性の自宅近くにも資材置き場があると言い、
「中学生くらいの外国人が携帯をいじりながらトラックを運転していたり、改造車が昼間から走り回り、タイヤを急回転させて白煙が上がっていたりするのを何度も目撃した」
という。
女性は
「暴走行為や迷惑行為などで怖い思いをしても、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「地域住民は存在しないかのように扱われていると感じていた」
「その思いを画像に込めた」。
ここは私たちの地元です
女性には小さな子供がおり、通学路が心配で仕方ないという。
ただ、この問題をSNSなどで敢えて訴えると、
「ヘイトだ」
などとすぐに批判される。
女性の知り合いにも
「反ヘイト団体」
などからSNS上で罵られた人もおり、地元でも声を上げにくい雰囲気があるという。
デザインアプリで画像を作成、2024年2月26日に自身のX(旧ツイッター)に投稿したところ、多くの人が拡散した。
ネット上では
「川口にもとから住んでいる日本人に我慢を強いた上での外国人との共生に何の意味があるのでしょうか」
などのコメントがある一方、
「分断は不幸しか生みません」
「差別の扇動やめなさい」
といった投稿もあり、拡散を続けている。
女性は
「政治家や行政もなかなか動いてくれない」
「ふつうに生活しているだけなのに、安心して暮らせない」
「ネット上では『引っ越せばいい』などと言われるが、ここは私たちの地元です」
「やむにやまれない気持ちを知ってほしい」
と話している。

川口のクルド人めぐり国会で初の関連質問「現地見て」 岸田首相「ルール守るのが大前提」
「移民」と日本人
2024/2/26 17:44
https://www.sankei.com/article/20240226-QGYKPJRNAVD33GGEDALRDT4TDM/
一部外国人と地域住民との軋轢が表面化している問題が2024年2月26日の衆院予算委員会で取り上げられ、岸田文雄首相は
「あくまでルールを守るのが大前提」
などと答弁した。
質問したのは埼玉県川口市が地元の日本維新の会、高橋英明氏。
高橋氏は、川口市という地名や同市に集住するトルコの少数民族クルド人の民族名は挙げなかったものの、2023年7月にクルド人約100人が同市内の市立病院周辺に殺到する騒ぎが起きた際の写真パネルを掲げ、
「ある一部の地域で酷い状態になっている」
と指摘。
「この写真にあるように、市立病院の前で何百人規模でいざこざがあった」
「こうしたことが起きると病院の機能も低下するし、近隣住民にとっては不安で仕方がない」
と訴えた。
この問題が起きた2023年7月以降、川口のクルド人問題が国会で取り上げられたのは初めてとみられる。
さらに、高橋氏は
「国会にいては危機感がない」
「(川口は)ここから1時間くらいのところだ」
「しっかり目で見て耳で聞いて肌で感じてほしい」
と述べ、警察や入管による一斉取り締まりの実施を求めた。
その上で、岸田首相が
「日本独自の外国人との共生社会」
を提唱していることに関し、
「ルールを守らない外国人とも共生するのか」
と質問。
岸田首相は
「外国人との共生の在り方は国によって様々だが、あくまでもルールを守って生活していくことが大前提だと認識している」
などと述べた。
高橋氏はまた、2023年6月に成立し、難民認定申請を原則2回までに制限する改正入管難民法の施行時期についても質問。
小泉龍司法相が
「極力早期の施行が実現できるよう努力する」
と答弁する中、早期実施を求めた。

自民・若林洋平氏、クルド人批判に投稿 「日本の文化・しきたり理解できない人はお帰りを」
2024/2/22 20:44
https://www.sankei.com/article/20240222-PEUMAQOSUBBT3E5OAVNXL33R2M/
自民党の若林洋平参院議員(静岡選挙区)がX(旧ツイッター)で、在日クルド人についてのコメントや外国人らの参加するデモ動画についてのコメントを引用しながら
「日本人の国なので、日本の文化・しきたりを理解できない外国の方は母国にお帰りください」
などと書き込んだ。
この動画には、JR蕨駅前の路上に集団が集まり、
「日本人死ね」
と発言したような声が収録されている。
集団の周囲は多くの警察官が囲み、騒然とした様子も伝わってくる。
若林氏は2024年2月19日付の書き込みで
「我が物顔で日本人に迷惑をかけ、挙げ句日本人死ねというならどうぞお帰りください」
などと記した。
「外国人に対する生活保護などあり得ません」
「それでも日本にいたいなら日本のルールくらい守れ!」
とも書いた。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/205.html#c30

[政治・選挙・NHK296] 斎藤元彦知事“火に油”の言い逃れ…知事選でのPR会社「400人分の仕事はボランティア」の怪しさ不自然さ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
49. 秘密のアッコちゃん[1118] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月28日 15:52:16 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[556]
<■716行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「無謀な『2台出し』やめるべき」 辺野古警備員死亡で沖縄・玉城知事が防衛局に不快感
2024/11/28 14:07
https://www.sankei.com/article/20241128-67XTBT2YQNIMHDTANYOCJE3GO4/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、玉城デニー知事は2024年11月28日の定例記者会見で
「現場で(ダンプカーが連続して出る)『2台出し』のような無謀なことはやめるべきだ」
と述べた。
玉城知事を支持する
「オール沖縄会議」
は2024年7月、事故の背景について、
「2台出し」
や抗議者が渡り終えていないうちに見切り発車でダンプカーを出す危険な状態があったと指摘していた。
事故を巡っては、防衛省沖縄防衛局が県に対する要請文で
「事故は民間事業者の作業を妨害する者による行動に起因したもの」
と断じ、事故から約5カ月経過した今も、県は何ら安全対策が講じられていないとして
「不誠実な対応に終始している」
と批判していた。
防衛局によると、2024年9月以降、現場の安全対策について県の担当者と打ち合わせをしてきたが、県側から具体的な提案は全くなく、
「形式的に場を設けているだけで、安全対策のための実質的な協議になっていない」(防衛局)
という。
これに対し、玉城知事は協議中に防衛局が要請文を出したことに、
「防衛局(の方)が協議にしっかりと対応していないのではないか」
「そう言わざるを得ない」
と不快感を露わにした。
事故現場では、事業者側が以前からガードレールの設置を何度も要請していたが、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
と認めなかった。
一方、市民団体は
「特定の事業者・警備員が公道を封鎖し、歩行者の通行を阻止することなど許されるはずはない」
として、ガードレールや車止めポールなどの設置を認めないよう求めていた。
玉城知事は会見で
「歩行者の通行を妨げるガードパイプの設置ではなく、車止め(ポールなど)の設置は検討可能」
との認識を示し、調整を進めているとした。
事故現場では現在、警備員がオレンジ色のネットを広げて抗議者がダンプカーの前に出ないようにしているが、ガードレール設置などの安全対策は講じられていない。
悲劇を繰り返さないために、少なくとも、死角の多いダンプカーの真ん前を横断する危険な抗議手法は改める必要がある。

「私たちは正当な抗議」座り込みでダンプの進路阻む 沖縄・宮城島、土砂搬出開始1週間
2024/11/27 17:15
https://www.sankei.com/article/20241127-YN5HBZIUZ5J37JPMOQE3J33WJM/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設工事で使う土砂を搬出する宮城島(同県うるま市)で2024年11月27日、反対派がダンプカーの前で座り込み、進路を阻んで抗議活動を行った。
県警の機動隊員らが座り込みを続ける人を持ち上げ、歩道の安全な場所まで移動させる一幕もあった。
宮城島では2024年11月20日から土砂の搬出が始まり、2024年11月27日で1週間が経過。
土砂を運ぶダンプカーが出入りするゲート前には
「宮城島の土で基地、造らせない!」
と書かれた横断幕が掲げられ、拡声器で
「ダンプによって宮城島の農道、生活道路が破壊される」
などと訴える声が繰り返し響いていた。
警戒に当たる機動隊員らは
「座り込んだり、立ち塞がったりする行為は道路交通法違反となる」
「低速での歩行や繰り返しの横断については業務妨害(罪)に該当することがある」
と再三に渡り警告。
これに対し、土砂搬出に抗議する人らは
「私たちは正当な抗議です」
と反論し、
「土砂搬入反対」
とシュプレヒコールを上げた。
この日は、牛歩による抗議をしていた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した名護市安和の事故現場で普段抗議活動をしている人の姿も見られた。
辺野古移設工事で使う土砂搬出を巡り、宮城島でも抗議活動が本格化していることが窺える。

ガードレールは抗議者が事故に巻き込まれないよう安全のために設置するものだ。
市民団体と称する反日左翼活動家が事故が起きやすい無茶で危険な抗議活動を行うから事故が起きるのだ。
車道を歩いていけないのは常識中の常識だ。
市民団体と称する反日左翼活動家がいくら屁理屈を言っても心ある人には通じない。
市民団体と称する反日左翼活動家が100%悪い。

警備員死亡の事故現場に「ガードレール設置しないで」 市民団体が沖縄・玉城知事に要請
2024/11/14 17:28
https://www.sankei.com/article/20241114-TVQKJASA5BLJRK73BQYNABNA7U/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、市民団体
「沖縄平和市民連絡会」
のメンバー9人が2024年11月14日、県庁で県の幹部職員と面談した。
市民団体が玉城デニー知事宛てに提出した要請書は
「ガードレールを設置して抗議する市民を排除しても、ダンプトラックの走行が増えれば、交通事故は更に増加する」
と指摘。
「特定の事業者・警備員が公道を封鎖し、歩行者の通行を阻止することなど許されるはずはない」
として、ガードレールや車止めポールなどの設置を認めないよう県に求めている。
事故現場となった名護市安和桟橋付近の国道では以前から牛歩による抗議活動が行われてきた。
港湾を利用する事業者側は令和4年12月以降、県に対して
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請。
費用を負担するのでガードパイプを設置させてほしいと訴えたが、県はいずれも
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めてこなかった。
この日、県庁で応対した県土木建築部の前川智宏部長はガードレールについて
「道路管理者として設置は適切ではないと考えている」
と述べた。
事故現場では現在、警備員がオレンジ色のネットを広げて抗議者がダンプカーの前に出ないようにしている。
市民団体のメンバーからは
「車道を歩くしかない」
「警察官には『車道を歩くな』と言われる」
「おかしいではないか」
「独裁国家だ」
「歩道を完全に止めて封鎖するようなことが許されるのか」
などといった声が上がった。
安和桟橋付近で平成30年以降に発生した交通事故の件数を尋ねられた前川部長が答えに窮していると、市民団体のメンバーから
「何でそんな大事なこと、答えられないの」
と詰め寄られる場面もあった。
市民団体によると、交通事故は30件以上発生しているという。
面談は約45分にも及んだ。

玉城知事の「由々しき」発言でよみがえる尖閣中国漁船衝突事件 辺野古抗議制止警備員死亡
【沖縄考】(50) 那覇支局長・大竹直樹
2024/11/13 9:00
https://www.sankei.com/article/20241113-5TZS3QJ6YJORRGKKEFJSMCVR54/
誤解を恐れずに言えば、沖縄県知事を務める玉城デニーさんは誠実な人だと思っている。
記者会見では質問の論点をはぐらかし、回答になっていないことも多々あるが、批判的な質問をぶつける筆者にも丁寧に答える。
インタビュー取材で撮影した知事の写真をプリントして差し上げたら、わざわざ駆け寄ってきて笑顔でお礼を伝えてくるような人だ。
これはあくまで、玉城デニーさんの人柄の話である。
知事として誠実かといえば、どうであろう。
とりわけ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設工事現場前で今年2024年6月、工事車両を誘導していた男性警備員が、移設の抗議活動を行っていた女性を制止して現場から出てきたダンプカーに巻き込まれて死亡、女性も骨を折る重傷を負った事故。
この件の対応では誠実さが感じられないのだ。
産経新聞は2024年10月10日、事故当時の状況を伝えるカメラ映像を入手し、徐行するダンプカーに足早に近づく女性と、女性をかばうように制止しようとする警備員の姿が映っていたと報じた。
記事を紹介するX(旧ツイッター)の閲覧数(インプレッション)は1000万を超え、交流サイト(SNS)でも話題になった。
だが、玉城知事は2024年10月31日の定例記者会見で
「捜査中の証拠になり得るものは、報道を差し控えるべきではないか」
と批判。
「映像が(報道機関に)提供されたことは由々しき問題だ」
と発言した。
この報道に問題があるなら、テレビのニュースでよく流れる事故当時のドライブレコーダー映像や犯行をとらえた防犯カメラ映像も報じることができなくなるのだが、はて…。
発言の真意は測りかねるが、ともすれば報道の自由を侵害しかねず、正直言って驚いた。
■客観的証拠に背を向ける知事派県議
玉城知事の
「由々しき問題」
発言で、忌々しい記憶が蘇った。
尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で平成22年9月に発生した中国漁船衝突事件である。
検察担当だった筆者は当時、日夜、取材に明け暮れた。
当時の民主党政権は刑事訴訟法上の証拠に当たることを理由に海上保安庁が撮影した衝突映像の公開を拒み、映像をひた隠しにした。
義憤に駆られた海上保安官(当時)が匿名で映像を動画サイトに流出させたが、この時、当時の仙谷由人官房長官はこれを
「由々しき事案」
と指弾した。
流出した映像によって中国漁船の無法ぶりが世間の知るところとなり、日本側に全く非がないことが証明された。
この事件は中国側が強硬姿勢を示し、邦人4人がスパイ容疑で拘束されたことで民主党政権(当時)は狼狽えた。
「あらゆる外交ルートも遮断」(検察首脳)
され、検察当局は、一旦は逮捕した船長を公務執行妨害罪で起訴する方針を固めながら、
「日中関係を考慮」(那覇地検)
して釈放した。
検察が法以外の判断で処分を変えた。
これこそ
「由々しき事案」
と思うが、為政者にとっては映像の流出の方が問題だったらしい。
閑話休題。
玉城知事が
「由々しき問題」
と指摘した事故当時の映像は2024年10月11日、現場の安全対策を検討する沖縄県議会の土木環境委員会でも閲覧された。
しかし、玉城知事を支持する県政与党会派の議員は閲覧を拒否して退席した。
映像を見た県の前川智宏土木建築部長も
「事故の状況を客観的に捉えたもの」
と評価しているのに、客観的証拠に背を向けたのだ。
玉城知事も同様だ。
産経の報道で多くが目にした映像を、
「私は見ていない」
と言って憚らない。
■安全対策にイデオロギーは関係ない
見ていないのではない。
見ようとしていないのだ。
それは、玉城知事を支持する
「オール沖縄」
などの主張と異なる
「事実」
がそこにあるからなのか。
敢えて言えば、
「不都合な真実」
と置き換えてもいい。
そう勘繰りたくもなる誠意を欠く対応ではないか。
亡くなった警備員の妻は
「妨害行為が問題ないことにされ、家族の死がなかったことのように扱われた」
と心を痛めている。
「妨害行為」
とは、抗議活動中にダンプカーに巻き込まれ、重傷を負った女性の行動を指したものとみられる。
映像では、動き出したダンプカーの前にこの女性が飛び出しているように見える。
事故現場では
「産経新聞はでっち上げ!」
などと拡声器で訴える人もいたが、是非映像という動かぬ証拠を直視してほしい。
事故現場では以前から抗議活動の危険性が指摘されていた。
港湾を利用する事業者側は、現場の国道を管理する沖縄県に
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請。
自ら費用を負担するとも申し出ていたが、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
一方で、本部港塩川地区(本部町)に設置されていた工事車両の往来を妨害する行為への警告を記した看板は、抗議活動を行う数十人が県庁に押しかけて要請し、設置から約2カ月半で撤去された。
本来優先すべき安全を蔑ろにした行政の不作為は明らかだ。
地元メディアは、抗議者が道路を横断し終わると、警備員が1台ずつ安全を確認しながらダンプカーを誘導して工事現場から出していく
「暗黙のルール」
が破られ、2台続けての危険な
「2台出し」
が行われたと指摘しているが、事故原因は捜査中だ。
原因究明や現場の安全対策にイデオロギーは関係ない。
誠実な人柄が窺える玉城知事には、人命が失われた、この事故についても誠実な対応を望む。

<独自>「でっち上げ」辺野古抗議活動制止警備員死亡 事故現場で防衛局職員批判の横断幕
2024/11/11 12:24
https://www.sankei.com/article/20241111-QRF7XRECDFIBBCHHQPVKLLNFR4/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故現場で、特定の防衛省沖縄防衛局職員のイニシャルと顔写真を載せ
「罪をねつ造、でっち上げた」
などと批判する横断幕が掲げられていたことが2024年11月11日、捜査関係者への取材で分かった。
沖縄県警は名誉棄損容疑に当たる可能性もあるとみて捜査している。
捜査関係者らによると、横断幕は2024年10月22日午前7時頃に張り出された。
現場にいた警察官が横断幕に特定の個人の顔写真が載っていることを現認。
間もなく横断幕を設置した県内の男性から任意提出を受けた。
事故現場では2024年9月26日、沖縄防衛局の職員が抗議活動中の70代の男性=暴行容疑で逮捕後、処分保留で釈放=から胸を両手で押され転倒させられる事件が起きており、横断幕に顔写真とイニシャルが載っていた防衛局職員は、この暴行事件の被害者だったという。
横断幕には防衛局職員の顔写真に矢印が付けられ、
「罪をねつ造、でっち上げた防衛局職員」
「この男、行く末が見えている」
と批判。
「許されない!」
といった文言も記載されていた。
沖縄防衛局は産経新聞の取材に
「他人を誹謗中傷したり、職務遂行を妨害したりするような行為は、許されないものと考えている」
「そのような行為が職員に対して確認された場合には適切に対応していく」
としている。

<独自>辺野古抗議活動制止の警備員死亡 沖縄県警、事故現場で実況見分
2024/11/4 10:55
https://www.sankei.com/article/20241104-BOZB62JUIJKADMSH25GRFZ4EXI/
抗議活動中の女性を制止した警備員が死亡した事故現場で実況見分を行う捜査員=4日午前9時45分、沖縄県名護市(大竹直樹撮影)
https://www.sankei.com/article/20241104-BOZB62JUIJKADMSH25GRFZ4EXI/photo/VP4S5DQM3VOAJM5PRVO2PFNJHI/
事故現場で実況見分を行う捜査員=4日午前9時39分、沖縄県名護市(大竹直樹撮影)
https://www.sankei.com/article/20241104-BOZB62JUIJKADMSH25GRFZ4EXI/photo/GNZRGTZ6C5NMVE62BXTXK3WA7U/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、沖縄県警は2024年11月4日、事故現場の名護市安和(あわ)の桟橋前の路上で実況見分を行った。
午前9時半頃から始まり、捜査員らがダンプカーの位置や桟橋と国道を繋ぐ
「車両乗り入れ部」
の長さなどを入念に確認した。
事故は2024年6月28日、移設工事に使う土砂を搬出する桟橋前の路上で発生。
桟橋から左折して国道に出ようとしたダンプカーが、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。
警備員は死亡し、女性は重傷を負った。
その後の調べで、現場付近に設置されたカメラに事故に至る状況が写っていたことが判明。
産経新聞は政府関係者からこの映像を入手した。
映像や関係者らによると、死亡した警備員は当初、重傷を負った女性とは別の抗議者に路上で対応。
警備員はこの抗議者を歩道に誘導したが、歩道後方から足早に近づいてきた女性が警備員と抗議者の間をすり抜け、徐行しながら国道に向かうダンプカーの前に出た。
警備員は女性を制止しようと、ダンプカーと女性の間に割って入る形となり、そのままダンプカーの左前面に衝突する様子が映像に残されていた。
沖縄県警はカメラ映像の解析を進め、事故に至る原因を調べている。

沖縄県が見解「現場は歩道とも車道とも言い切れない」辺野古抗議活動制止の警備員死亡事故
2024/11/1 18:02
https://www.sankei.com/article/20241101-J7MHVNVV3VMXJBUBPSBYSN3IXI/
警備員の足元に見える白線が国道の車道外側線にほぼつながっている=9月、沖縄県名護市(大竹直樹撮影)
https://www.sankei.com/article/20241101-J7MHVNVV3VMXJBUBPSBYSN3IXI/photo/HHSICWXH3BKJ3P7J3DJCEFTFDI/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、沖縄県は2024年11月1日、産経新聞の取材に対し、名護市安和の事故現場は
「歩道とも車道とも言い切れない」
との見解を明らかにした。
路側帯と車道を区画する
「車道外側線」
のように見える白線が6年前、事故現場付近に引かれていたことも新たに分かった。
現場は辺野古移設工事に使う土砂を搬出する安和港近くの桟橋と国道を繋ぐ車両乗り入れ部。
地元では
「乗り入れ部は歩行者を優先する『歩道』というのが県の認識だ」
との報道もあったが、県は
「道路管理者として、歩道とも車道とも言い切れない」
とした。
車両乗り入れ部は、縁石の一部を下げて段差を小さくした
「切り下げ」
と、車道の路面が連続している
「切り開き」
の2種類があり、現場は後者に該当するという。
男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性がダンプカーに巻き込まれた場所は、国道の車道外側線にほぼ繋がるように引かれた白線の内側だった。
県北部土木事務所によると、車道外側線は元々国道に沿って直線に引かれていたが、平成30年に車両乗り入れ部に向かって引き直された。
白線は国道の車道外側線とほぼ繋がっており、2人がダンプカーに巻き込まれた場所は一見すると車道のようにも見える。
ただ、車両乗り入れ部に引かれた白線が車道外側線を示すものかどうかは分かっていない。
県北部土木事務所は
「車両乗り入れ部を分かりやすくするため、平成30年に外側線を変更したものと考えている」
と説明した。
白線が引き直された経緯を調べているという。

沖縄県幹部「映像は事故状況を客観的にとらえたもの」 辺野古抗議活動での警備員死亡事故
2024/10/31 18:49
https://www.sankei.com/article/20241031-325WRUALFBMBDDWNBMSWBFBWBY/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、発生時の状況が映ったカメラ映像を視聴した沖縄県の前川智宏土木建築部長が2024年10月31日、
「映像は事故の状況を客観的に捉えたもの」
との認識を示した。
地元の名護市議会からガードレール設置などを求める意見書を受け取った際、市議らに明らかにした。
事故現場の名護市安和(あわ)の土砂搬出港付近では、市民団体のメンバーらがプラカードを持ってダンプカーの前をゆっくりと横断し、牛歩戦術で土砂の搬入を遅らせようとする抗議活動を展開。
港湾を利用する事業者側が
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請していたのに、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
この日は名護市議会の金城(きんじょう)隆議長らが県庁を訪れ、玉城デニー沖縄県知事宛ての意見書を提出した。
意見書では
「度重なる要請を受けているのにもかかわらず、沖縄県は何の対策もしていない」
として
「県の対応は不十分」
と批判。
ガードレールの設置や、車両通行を妨げる行為をやめるように指導することなどを求めている。
これに対し、前川土木建築部長は
「歩行者の自由な通行を妨げるような構造物の設置は芳しくない」
との考えを強調。
「ちょっと言い訳がましくなるが、道路法ではゆっくり歩く人を規制する根拠がない」
と指摘し、
「道路は車いすの方など不特定多数の人が利用する」
「歩き方が遅いからといって規制や取り締まりはできない」
とした。
ガードレールの設置には否定的な見解を示す一方、ポールについては
「設置する可能性の余地はある」
と述べた。

沖縄・玉城知事「報道差し控えるべきだ」辺野古抗議活動で警備員死亡事故の映像報道を批判
2024/10/31 16:34
https://www.sankei.com/article/20241031-NXOQSGKJMVOYHB6UDCJ3HSJRZY/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、沖縄県の玉城デニー知事は2024年10月31日、事故当時の状況を伝えるカメラ映像を伝えた産経新聞の報道に対し、
「捜査中の証拠になり得るものは、報道を差し控えるべきではないか」
と批判した。
産経新聞が今月2024年10月10日までに政府関係者から入手したカメラ映像には、徐行するダンプカーに足早に近づく抗議活動中の女性と、女性を庇うように制止しようとする警備員の姿が映っていた。
玉城氏は
「映像が(報道機関に)提供されたことは由々しき問題だ」
との認識を示し、報道で判明した事故当時の映像について
「私は見ていない」
と強調した。
記者から見ない理由を尋ねられた玉城氏は
「事故の詳細については現在、警察で捜査中であり、事故映像の報道に係る内容について見解を述べることは今の段階では差し控える」
と述べた。
事故当時の映像を巡っては、現場の安全対策を検討している沖縄県議会の土木環境委員会で、玉城氏を支持する県政与党会派の議員が
「映像の出所や内容も曖昧だ」
などと猛反発し、閲覧を拒否したことも明らかになっている。

「安和事故」映像は不都合な真実か 元朝日記者が沖縄で書いた記事を読んでみた
大手町の片隅から 乾正人
2024/10/18 10:00
https://www.sankei.com/article/20241018-AYHXQT6EEZJOBKYTFOHNJ4JMZQ/
事故のカメラ映像。走行するダンプカーの前に飛び出した女性を警備員が止めようとする姿が見える
大抵の作家は、初期作品に佳品が多い。
昭和の文豪・松本清張もそうで、彼が昭和32年に発表した
「地方紙を買う女」
は、繰り返しテレビや映画で映像化されてきた。
都内に住む心中を装った殺人事件の犯人が、地方紙を短期間購読したのを不審に思った作家が謎を解明していくという筋立てだ。
■「地方紙を買う男」の目
私も犯人ではないが、
「地方紙を買う男」
の1人である。
仕事柄、各地を旅することが多いが、駅に降り立つと必ず地方紙を買う。
小学校の運動会やコメの出来具合などご当地新聞しか報じない情報満載で重宝する。
最近は、有料のデジタル版で読める地方紙も増えており、いくつかは期間を決めて購読している。
沖縄の琉球新報もそのうちの1つだ。
視点が弊紙とは180度違うので、勉強になる。
2024年9月25日付の1面を飾った
「『心は折れない』言葉から勇気 新基地抗議の市民思い新た 安和事故 被害女性に寄せ書き」
という記事もそうだ。
琉球新報と沖縄タイムスの地元2紙が
「安和事故」
と名付けた事故は、2024年6月28日に米軍普天間飛行場の移設予定地である名護市辺野古に近い同市の安和桟橋前の道路で起きた。
辺野古
「新基地」
反対運動に参加していた72歳の女性が、抗議活動中に警備員と共にダンプカーに巻き込まれ、警備員は死亡、女性も重傷を負った。
同記事は、彼女が
「フェニックス(不死鳥)さん」
と呼ばれていると紹介。
「女性が手術前に残した『骨は折れても心は折れない』の言葉に奮い立った市民が目立つ」
と断定し、
「新基地断念まで小さな力を結集させたい」
「再び戦場にさせない」
といった彼女への寄せ書きをいくつも書き連ねている。
明治の昔、自由民権運動の先頭に立っていた板垣退助が暴漢に刺され、
「板垣死すとも自由は死せず」
と語った逸話を思い起こす。
何よりビックリしたのは、1面の記事の中に亡くなった警備員を悼む言葉が一言もなかったことだ。
記事を書いた南彰記者は、新聞労連委員長を務めた元朝日新聞の記者で、琉球新報に移籍した有名人である。
■映像の中身報じぬ沖縄2紙
思い切った記事だと感心していたら、小紙の記者が、現場付近に設置されていたカメラ映像を入手し、2024年10月10日に報じた。
映像では、制止を無視して飛び出した女性を警備員が庇ってダンプカーに巻き込まれたように見える。
この映像は、翌日開かれた県議会土木環境委員会で閲覧されたが、玉城デニー知事を支える
「オール沖縄」
系議員は、
「映像の出所や内容も曖昧だ」
などと猛反発。
閲覧を拒否した上に委員長への不信任動議まで提出した(結果は否決)。
議会事務局によると、県議会で常任委員長に対する不信任案が提出された記録は過去にないというから、与党のお怒りは相当なものだ。
しかも沖縄2紙やNHKは揃って映像の中身を詳しく報じていない。
これでは、なぜ県議会が大騒ぎしているのか読者にはさっぱり分からない。
やはり映像は、基地反対派にとって
「不都合な真実」
だったのか。
沖縄2紙もNHKも知る権利や人権擁護に熱心なはずだが、はて。
警備員には人権はないのだろうか。(コラムニスト)

辺野古抗議事故 動かぬ「証拠」露見懸念か 与党会派、異例の委員長不信任案動議
2024/10/17 21:13
https://www.sankei.com/article/20241017-BFW2WGBYWBPJVDO7WH7M2APSWY/
※産経新聞が入手した事故現場の映像。プライバシー保護のため一部加工しています
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、沖縄県議会の土木環境委員会で、玉城デニー知事を支持する県政与党会派が事故当時の状況を捉えたカメラ映像の閲覧を拒否していることが明らかになった。
映像は、真相究明と現場の安全対策を講じる上で重要な資料となるはずで、閲覧を拒否したことは、極めて疑問だと言わざるを得ない。
■「証拠」映像、玉城知事支持派が閲覧拒否
与党会派は2024年10月11日の沖縄県議会土木環境委員会で閲覧を拒否したが、その理由について、重傷を負った女性の代理人からあった閲覧中止を求める申し立てについて十分協議していない点を挙げた。
更に
「出所や内容も曖昧」
「委員会で確認する妥当性や人権感覚、倫理観、責任問題にも関わる」
などとし、閲覧は多数決で強行されたとも訴え、常任委員会では過去に例のない委員長への不信任案動議まで提出した。
事故を巡っては、抗議活動をする市民団体が、牛歩で抗議者が道路を横断し終わると、警備員がダンプカーに合図を送って1台出す
「暗黙のルール」
があったのに、2台続けてダンプカーを出すこともあったと主張。
辺野古移設を進める防衛省側を批判した。
市民団体と連携するオール沖縄会議の幹部が2024年8月、同省沖縄防衛局長に
「あなたは沖縄県民を1人殺してしまった責任者だ」
と罵る場面も見られた。
しかし、事故前の映像を見る限り、制止を無視して飛び出した女性を警備員がかばってダンプカーに巻き込まれたと見られる様子が確認できる。
あるいは、映像という動かぬ
「証拠」
によって、オール沖縄側の
「主張」
が揺らぎかねない不都合な事実が露見することを懸念したのか。
県政与党の閲覧拒否は、そう疑いたくもなる異例の対応だ。

事故現場の「証拠」映像、沖縄県議会で玉城知事支持派が閲覧拒否 辺野古抗議事故
動画
2024/10/17 18:00
https://www.sankei.com/article/20241017-HVMQQ74AJRLYFOPVQKDO356KQU/
※産経新聞が入手した事故現場の映像。プライバシー保護のため一部加工しています
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が2024年6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故を巡り、現場の安全対策を検討している沖縄県議会の土木環境委員会で、玉城デニー知事を支持する県政与党会派が事故当時の状況を捉えたカメラ映像の閲覧を拒否したことが明らかになった。
保守系の県議からは
「県民の不信を招きかねない」
との声が上がっている。
事故は2024年6月28日、辺野古移設工事に使う土砂を搬出する名護市安和(あわ)の桟橋前の路上で発生。
桟橋から左折して国道に出ようとしたダンプカーが、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。
警備員は死亡し、女性は重傷を負った。
産経新聞が政府関係者から入手した映像には、別の抗議者に対応していた警備員の後方から足早に近づいてきた女性が、国道に向かって徐行するダンプカーの前に出る様子が映っていた。
議会事務局によると、カメラ映像は2024年10月11日午後、土木環境委員会で非公開で閲覧された。
閲覧した委員によると、産経新聞が入手した映像と同様とみられる。
ただ12人の委員のうち玉城知事を支持する県政与党会派の委員が閲覧を拒否して退席。
残る7人で閲覧した。
閲覧した県議は2024年10月17日、産経新聞の取材に応じ
「誰がどう見ても動いているダンプカーの前に女性が行っており、危険な行為に感じた」
「今後はこうした抗議の在り方も見直すべきだ」
と話し、
「事実関係を調査するための映像をなぜ見ないのか」
などと疑問視した。

<独自>辺野古抗議活動制止警備員死亡 事故映像を入手 11日に県議会で映像確認へ
2024/10/10 18:56
https://www.sankei.com/article/20241010-OGYWEUDQPZOIXPYAULZWOOPFDY/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が6月、ダンプカーに巻き込まれて死亡した事故で、現場付近に設置されたカメラに事故に至る状況が映っていることが10日、明らかになった。
産経新聞が関係者からカメラ映像を入手し、確認した。
県議会は11日、土木環境委員会で委員がこの映像を閲覧する方針。
事故は6月28日、辺野古移設工事に使う土砂を搬出する名護市安和(あわ)の桟橋前の路上で起きた。
桟橋から左折して国道に出ようとしたダンプカーが、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。
警備員は死亡し、女性は重傷を負った。
映像や関係者らによると、死亡した警備員は当初、重傷を負った女性とは別の抗議者に対し、路上で対応していた。
警備員は、この抗議者を歩道に誘導したが、歩道後方から足早に近づいてきた女性が警備員と抗議者の間をすり抜け、徐行しながら国道に向かうダンプカーの前に出る様子が映像に残されていた。
警備員は女性を制止しようと、ダンプカーと女性の間に割って入る形となり、そのままダンプカーの左前面に衝突。
10秒ほどの出来事だった。
関係者は
「明らかに女性は警備員の制止を無視して飛び出している」
「警備員は女性を庇うような形でダンプカーに巻き込まれた」
と証言した。
県警はカメラ映像の解析を進め、詳しい事故原因を調べている。
一方、事故現場で牛歩による抗議活動をしてきた市民団体のメンバーによると、重傷を負った女性は
「敢えて飛び出したわけではない」
と説明。
この市民団体と連携する「オール沖縄会議」は7月、2人がダンプカーに巻き込まれたのは
「車両乗入部」
と呼ばれる歩道部分で、
「あくまでも歩行者の通行が優先される場所」
だったと主張する資料を公表していた。

■遺族「精神的に辛い」
事故現場となった辺野古移設工事に使う土砂の搬出港周辺では、移設に反対する市民団体のメンバーらがダンプカーの前をゆっくりと横断して抗議する
「牛歩戦術」
が続けられてきた。
今回明らかになった映像によって、抗議者の女性がダンプカーの前に飛び出した可能性が高まった。
これまで抗議者側は、女性は飛び出したわけではないとの姿勢を崩さず、
「安全に配慮した抗議運動」
を尊重すべきだとも主張していた。
また、骨を折る重傷を負った女性が
「骨は折れても心は折れない」
との言葉を残し、
「市民」
らが勇気づけられたとする地元報道もある。
こうした状況に、警備員の遺族は
「今までで一番憤りを感じる記事だった」
「本当に本当に許せないし、とても辛い」
と心を痛めていたとされる。
今月4日の県議会の一般質問で、遺族の
「思い」
を読み上げた自民党の島袋大県議によると、警備員の妻は
「報道や交流サイト(SNS)では被害者(の女性)に非はなく、非があるのは強引な警備などではないかとの誹謗中傷がほとんど」
と振り返り、
「妨害行為が問題ないことにされ、家族の死がなかったことのように扱われた」
「精神的に辛く、心を痛めていた」
と伝えてきたという。
映像には、徐行するダンプカーに近づく女性と、女性を庇うように制止しようとする警備員の姿が映っており、抗議者側の
「主張」
は崩れつつある。

辺野古ダンプ事故現場の路上で防衛局職員に暴行、抗議活動の76歳男を逮捕 沖縄県警
2024/9/27 17:22
https://www.sankei.com/article/20240927-2MAP7Z24HRODTKPGQUDQCDMDSE/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡する事故のあった現場付近で26日、防衛省沖縄防衛局の職員が抗議活動中の男から暴行を受ける事件があったことが分かった。
県警名護署は同日、暴行容疑で抗議活動をしていた無職の男(76)=同県北中城(きたなかぐすく)村=を現行犯逮捕した。
男の逮捕容疑は26日正午ごろ、名護市安和(あわ)の土砂搬出港「安和桟橋」の出口ゲート付近の路上で、沖縄防衛局の男性職員(54)の胸を両手で押して転倒させたとしている。
現場にいた警察官が暴行を現認し、約1時間後に逮捕した。
捜査関係者によると、逮捕された男は当時、辺野古移設に向けた土砂の搬出に抗議していたという。
現場付近では今年6月28日、抗議活動をしていた女性を制止した名護市の男性警備員=当時(47)=が左折したダンプカーに巻き込まれ、死亡する事故が起きていた。

辺野古ダンプ事故「原因が市民活動にあるかのような印象与えた」 オール沖縄が県警に指摘
2024/9/19 15:52
https://www.sankei.com/article/20240919-PFAF6YA4MJKJXHWIO7JO3CVPZU/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡し、女性が重傷を負った事故を巡り、玉城デニー知事を支持する「オール沖縄会議」と県選出の国政野党国会議員でつくる「うりずんの会」は19日、県公安委員会に対し、苦情申立書を提出したと明らかにした。申し立ては5日付。
苦情申立書によると、県警本部で8月30日、抗議活動の排除や妨害を行わないよう求める要請書を提出しようとした際、椅子やテーブルのない
「倉庫内」
で受け取ると指示され、提出を断念せざるを得なかったという。
県警の対応について、
「県民を愚弄する行為だ」
と抗議している。
要請書では
「県警は『違法行為がなかったかも含め慎重に調べを進める方針』などといった一方的な情報を報道機関に流布した」
と指摘しており、
「事故の原因が(重傷を負った)女性ら市民活動にあるかのような印象を与え、SNSその他のウェブサイトで威圧的な発信が繰り返されている」
と訴えていた。
名護市の安和(あわ)桟橋では8月22日から土砂の運搬作業が再開された。
事故現場には多数の警備員が配置され、オレンジ色のネットを広げて抗議者がダンプカーの前に出ないようにしている。

辺野古ダンプ事故で中止の土砂運搬作業が再開 「対策講じた」と防衛局
2024/8/22 9:58
https://www.sankei.com/article/20240822-TH5U33E4VRMH5IZV6ZNJ5P5BKE/
沖縄県名護市安和(あわ)の国道で6月、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に対する抗議活動をしていた女性が怪我をし、警備中の男性が死亡した事故を受け、政府が中止した埋め立て用土砂の運搬作業が22日、名護市で再開された。
県によると、防衛省沖縄防衛局から21日に
「対策を講じた上で再開する」
と連絡があった。
県側は、事故の原因究明や再発防止が済むまで作業を再開しないよう求めており、玉城デニー知事は21日午後、
「作業再開は誠に遺憾」
と批判していた。
事故は6月28日に名護市安和の国道で発生。
土砂の搬出に抗議するため車道に出た女性と、制止しようとした男性警備員がダンプに巻き込まれた。
警備員が死亡し、女性は重傷を負った。

辺野古ダンプ事故 沖縄・玉城知事宛に防衛局が異例の要請「妨害行為で警備員にも危険」
2024/8/15 17:42
https://www.sankei.com/article/20240815-J6JMDGWK6ZN4NAHKM2YC6OVI5M/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡した事故で、防衛省沖縄防衛局は15日、ガードレール設置などの安全対策や
「妨害者」
への注意・警告の実施を求める玉城デニー知事宛の要請文書を提出した。
防衛局によるこうした要請は極めて異例とみられる。
土砂の搬出港付近では市民団体のメンバーがプラカードを持ってダンプカーの前をゆっくりと横断し、牛歩戦術で土砂の搬入を遅らせようとする抗議活動を続けてきた。
事故について要請文書は
「警備員の制止を聞かず、左折して出ようとする進行中のトラックの前方車道上に(抗議者が)出たことから、制止し続けた警備員がお亡くなりになる事態になった」
とし、
「妨害行為により警備員にも危険が及ぶ事態は重大だ」
と指摘した。
港湾を利用する事業者側が県に
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請し、玉城知事も把握していたが、県が
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めてこなかったことも判明している。
要請文書は
「県の対応が不十分であることは妨害行為が継続していることからも明らかだ」
と強調し、道路や港湾施設の管理者として県が可能な措置を速やかに講じるよう求めている。

辺野古ダンプ事故 「産経新聞はでっち上げ!」への反駁
【沖縄考】(47) 那覇支局長・大竹直樹
2024/8/14 9:00
https://www.sankei.com/article/20240814-MVQJ6M5JPJJ2LOMMJEZ6TZX6SI/
《即、工事断念! もうこれ以上、犠牲者を出すな!》。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡する事故が起きた同市安和(あわ)の現場。
供花の前には7月22日、こう大書きされた横断幕が揺れ、プラカードを持った人が集まっていた。
「産経新聞はでっち上げ!」。
サングラスをした女性が拡声器で叫んだ。
女性が事故に関する本紙報道を批判していることは容易に見当がついた。
とすれば、記事を書いたのは筆者だが、事実と異なることを書いた覚えはない。
女性に近づき、何がでっち上げなのか問うと
「産経新聞は『車道に飛び出した市民』(と書いた)。ここが間違え。でたらめ」
という。
「産経新聞は『飛び出した』と書いていましたか」
「と、思います」
「『思う』で、でっち上げといわれたら困ります」
女性の一言に、思わず色をなしてしまった。
念のため所属を尋ねると、
「普通の市民」
と名乗った。
普通の市民の方といえど、誤ったことをこのまま喧伝されてはかなわない。
1つずつ反駁させていただいた。
■さすがにアンフェアでは
この場を借りて、読者の皆さんにも説明させて頂きたい。
まず本紙は
「土砂搬入のダンプカーに抗議するため車道に出た女性を警備員(記事では実名)が止めに入り、その際、左折したダンプカーに2人とも巻き込まれたとみられている」
と報じた。
一方、地元メディアでは
「死亡した警備員が重傷を負った女性とは別の抗議者を制止したところ、重傷を負った女性がすり抜け、ダンプカーの前に飛び出そうとしたため急いで制止に入り巻き込まれた」
との報道もあった。
だが、少なくとも産経新聞は
「飛び出した」
とも
「すり抜けた」
とも報じていない。
そう指摘すると、女性は
「車道」
の記述も違うと、畳み掛けてきた。
「車道ではない」
とする主張の根拠は、玉城デニー知事を支持する
「オール沖縄会議」
が7月18日に公表した資料に詳しい。
弁護士立ち会いによる現地調査や被害者、目撃者らへの聞き取りの結果、重傷を負った女性と死亡した警備員が倒れていた場所は国道449号の車道部分だったが、2人がダンプカーに巻き込まれたのは、7.3メートル手前の
「車両乗入部」
と呼ばれる歩道部分だった、というのが
「オール沖縄」
側の主張だ。
2人が巻き込まれたのは
「あくまでも歩行者の通行が優先される場所」
で、
「警備員らはまずダンプを止めるべきだったのであり、市民らの歩行を制止したことは法的にも許されない」
と訴えている。
ただ、これまでの沖縄県警への取材で、2人が
「車両乗入部」
で巻き込まれたとの情報は得られていない。
「車両乗入部」
との説明を曲げて
「車道」
と表記したわけではない。
まして、本紙以外の複数の主要メディアも
「車道」
と報じている。
にもかかわらず、産経だけがやり玉に挙げられ、でっち上げとの誹りを受けるのは、さすがにアンフェアではないか。
■「あなたは沖縄県民を殺してしまった責任者」
事故の続報が産経以外のメディアで取り上げられる機会は少ないが、沖縄県議会では俎上に載っている。
自民党会派は、港湾を利用する事業者側が道路を管理する県に
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請していた事実を問題視。
玉城知事もこうした要請を把握していたとして議会で追及した。
事業者側は自ら費用負担するので設置させてほしいと申し出ていたのに、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
と、頑として認めなかったというのだから、玉城県政の不作為と言われても仕方ないだろう。
「オール沖縄会議」
は今月2日、防衛省沖縄防衛局に対し、原因究明と安全対策が整うまで全工事の中止を求める要請書を提出し、
「抗議運動に参加している市民には非難されるべき事情は全くない」
と訴えた。
オール沖縄の幹部は防衛局長に
「あなたは沖縄県民を1人殺してしまった責任者だ」
と罵った。
この様子を報じた産経ニュース転載のヤフーニュース記事には500件以上のコメントが寄せられたが、事故を招いた抗議活動に対する批判が多かった。
捏造は慣用読みで、本来は
「でつぞう」
と読む。
でっち上げは漢字で書けば
「捏ち上げ」。
捏(こ)ねるという意味の
「捏(で)つ」
に由来するという。
死角の多い大きなダンプカーの前をわざとゆっくり歩く。
その抗議手法を省みることなく理屈を捏ね、自らの活動の正当性を主張しているように感じた。
抗議運動に携わる方は是非、世間がどのように受け止めているのか。
ヤフーニュースのコメントやSNSなどの反応を見てほしい。

辺野古移設反対派の理不尽な抗議に屈するな。
辺野古移設反対派の理不尽な抗議に屈しているようでは、屈している側も信用できない。
そんなことでは保守派から見限られる。

<主張>辺野古ダンプ事故 危険な抗議活動をやめよ
社説
2024/7/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20240711-VUIXRIOQYVOAHN4XDGTBXO6Y4U/
沖縄県や県警が適切に対応していたら、防げた事故だったのではないか。
同県名護市安和(あわ)の国道で2024年6月、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議する女性と警備員の男性がダンプカーにひかれ、男性が死亡する事故が起きた。
女性は足を骨折した。
現場では数年前から、辺野古移設工事に使う土砂を運搬するダンプカーの前を反対派がゆっくりと歩いて妨害する抗議活動が行われていた。
車道に出た女性を警備員の男性が制止しようとして、左折中のダンプカーに巻き込まれたとみられる。
何に抗議するのも自由だが、危険な行為は許されない。
事故を招くような抗議活動は即刻やめるべきだ。
玉城デニー知事は事故について、
「県民の安全に責任を持つ者として極めて遺憾だ」
と述べた。
その上で沖縄防衛局に対し、安全対策が十分講じられるまで土砂の運搬作業を中止すべきとの考えを示した。
作業は2024年7月10日現在、中断している。
これはおかしい。
ダンプカーの前をわざとゆっくり歩くという、極めて危険な行為を道路上で繰り返しているのは反対派の方だ。
抗議はほぼ連日行われ、ダンプカーの渋滞も起きていた。
危険な行為を放置せず、交通の安全と秩序を取り戻すのは行政と警察の責任だろう。
県は2023年2月、同様の抗議活動が行われている辺野古移設の土砂搬入の港湾施設に、注意喚起の看板を設置した。
大型車両の往来を妨害する行為は県港湾管理条例の禁止行為に当たるとし、
「警告」
する内容だ。
ところが、反対派の猛烈な反発を受けて2023年5月に撤去してしまった。
理不尽な抗議に屈し、危険を黙認したことに他ならない。
県警も、十分な取り締まりを行ってこなかった。
県内では、自衛隊駐屯地に武器などを搬入する際に一部の活動家らが道路にしゃがんだり寝転んだりして妨害する行為が繰り返されてきた。
県警が道路交通法の禁止行為に当たるとして排除することもあるが、県内の一部メディアは
「強制排除」
と批判的に報じていた。
今回の事故で警備員は、反対派の危険な行為を制止しようとして犠牲になった。
悲劇を繰り返してはならない。

事故現場、再三のガードレール設置要請も沖縄県認めず 玉城知事も把握 辺野古ダンプ事故
2024/7/10 16:25
https://www.sankei.com/article/20240710-KE7OGDNCAJJDVJLVRFMFKJJZWI/
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に抗議していた女性を制止した警備員が死亡した事故で、港湾を利用する事業者側が県に対し、
「抗議者が事故に巻き込まれないようガードレールを設置してほしい」
と何度も要請していたことが2024年7月10日、分かった。
玉城デニー知事もこうした要請を把握していた。
事業者側は自ら費用を負担するので設置させてほしいとも申し出たが、県は
「歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
一方、牛歩による抗議活動が行われてきた本部港塩川地区(本部町)に設置されていた
「大型車両の往来を妨害する行為」
が県条例の禁止行為に該当すると明記した警告看板は市民の要請を受け、設置から約2カ月半後に撤去していたことも明らかになった。
いずれも同日の県議会本会議で、自民党の島袋大議員の代表質問に、県土木建築部の前川智宏部長が答えた。
県北部土木事務所などによると、牛歩による抗議活動が行われてきた名護市安和(あわ)の国道では令和4年12月以降、事業者側から何度もガードレールの設置を求める要請があった。
事業者側からは費用を負担するのでガードパイプを設置させてほしいという要請もあった。
だが、県は
「歩道であることからガードレールを設置する予定はない」
「事業者によるガードパイプの設置は歩行者の横断を制限することになる」
として認めなかった。
県は2023年2月17日、隣接する本部町の本部港塩川地区に
「大型車両の往来を妨害する行為」
などについて、県港湾管理条例で定める禁止行為に該当する旨を明記した警告看板を2枚設置。
禁止行為を行った場合は
「条例に基づき過料を処することがある」
と警告した。
しかし、市民から
「なんで過料を科すのか」
などと
「厳しい意見」
が寄せられたといい、県は現場を確認した上で
「状況は危なくない」
と判断。
2023年5月2日に撤去したという。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/204.html#c49

[政治・選挙・NHK296] 反省するフリで抜け道 まだ続けるのか 自民党「政治とカネ」の猿芝居(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
26. 秘密のアッコちゃん[1119] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月29日 08:40:16 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[557]
<■4072行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>臨時国会召集 立民は重責自覚し運営を
社説
2024/11/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20241129-CSECZLGOFFJ5HENYCTIR3XWTSY/
臨時国会が召集された。第2次石破茂内閣の発足後、初の本格的な論戦が行われる。
衆院選で与党が過半数割れし、立憲民主党が議席を大きく伸ばしたため、委員長・審査会長ポストの半数近くを野党が占めた。
強調しておきたいのは、国会運営の影響で国政の停滞を招いてはならないということだ。
30年前の羽田孜内閣の際も少数与党だった。
国会は混乱し、平成6年度予算の成立は同年6月にずれ込んだ。
審議が尽くされたにもかかわらず、採決を引き延ばすような恣意的な運営は許されない。
予算委員長や憲法審査会長などの重要ポストを得た立民は、国民に対し重責を負っていることを忘れてはならない。
予算委で審議する令和6年度補正予算案は政府の総合経済対策の裏付けとなるものである。
歳出規模、民間支出分を含めた事業規模は共に昨年2023年の経済対策を上回る。
自民、公明、国民民主の3党は年内の早期成立で合意しているが、需要不足が縮小する中で昨年2023年以上の規模にする必要があるのかなど見極める必要がある。
安住淳予算委員長に課せられた責任は重い。
議論の停滞が懸念されるのは憲法審査会だ。
枝野幸男審査会長は、これまで憲法改正の動きにブレーキをかけてきた。
憲法への自衛隊明記は改憲に前向きな政党で意見集約が進んでおり、早期実現が求められる。
南海トラフ巨大地震などの大規模災害や有事への懸念が高まる中、緊急事態条項の創設も急務だ。
自衛隊明記にも緊急事態条項創設にも、立民は反対しているが、枝野氏は憲法審で積み重ねてきた議論を尊重すべきである。
国会は改憲の動きを後退させてはならず、改憲原案の条文化を進めてほしい。
立民は法務委員会を舞台に選択的夫婦別姓制度を実現させようとしており、そのために法務委員長のポストを獲得した。
公明の斉藤鉄夫代表は制度の導入に向けて自民に働き掛けを行う考えを示している。
立民は与党の意見の食い違いを拡大させようとしている。
だが、党利党略で運営すべきでないのは当然だ。
石破首相や自民は家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更を受け入れてはならない。

<産経抄>臨時国会始まる、政治家の「責任」とは
2024/11/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20241129-5NJLUUWRJNLANAGAEQXV2AH7SE/
一説に、
「責任」
には2種類あるという。
自分が
「引き受ける」
ものと他人から
「押し付けられる」
もの。
「自己責任」
は、語感からして後者か。
<たいがいは他人がつける「自己」という語をはね返し「責任」よ立て>俵万智
▼ピリッとした一首に背筋が伸びるのは、当方だけではあるまい。
辞書にある
「責任」
の語釈は、
「引き受ける」
という自発的な色が濃い。
ところが昨今は、
「自分は負わない」
式の無責任が目につく。
その代表格が石破茂首相というのが情けない。
▼臨時国会が始まった。
首相が自らの判断で国民に信を問い、招いた少数与党の試練である。
大敗の責任を未だに取ろうとしない姿勢はいかがなものか。
トップに居座り続け、信頼を取り戻せると考えているのだろうか。
野党もまた国会運営にこれまで以上の責任を負っている。
▼衆院の常任委員会や審査会では委員長・会長ポストの半数近くを立憲民主党などが握る。
憲法改正に待ったをかけるのは論外だ。
社会の基本を崩す選択的夫婦別姓制度では、拙速な議論を慎まねばならない。
「103万円の壁」
の撤廃を掲げる国民民主党の責任も問われている。
▼所得税の非課税枠を引き上げれば、中央や地方の税収が減る。
「財源は与党の責任で」
は、議論が始まった当初の同党の姿勢だった。
議席を大幅に増やした国民民主が国会運営のキャスチングボートを握っている以上、責任の丸投げは許されない。
▼<おろすわさびと恋路の意見/きけばきくほど涙出る>(柳家紫文著『人生に役立つ都々逸読本』から)。
恋路を政治に変えれば、石破首相の苦境にも当てはまる。
ピリッと引き締まった論戦を国民は望んでいる。
政治家の
「責任」
の取り方を示してもらおう。

<主張>総合経済対策 成長に資する効果みえぬ
社説
2024/11/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20241124-YH6SGRF43JI3NMK66FDGOQ6UG4/
中身よりも規模優先なのだろう。
政府が閣議決定した総合経済対策は、これを裏付ける令和6年度補正予算案が13・9兆円程度、民間支出分などを含む事業規模が39兆円程度となり、共に昨年2023年の経済対策を上回った。
石破茂首相は衆院選で昨年2023年を上回る対策にすると訴えた。
その際に政策の中身を軽視していたことは、旧態依然とした施策を漫然と並べた仕上がりを見れば明らかである。
深刻な物価高などに適切に対処すべきは当然だ。
必要なら大胆な財政措置も求められる。
だが、経済の需要不足が縮小する中でこれほど大規模にする必要があったのかは疑問が残る。
政策効果などを十分に吟味すべきなのに、その形跡もほとんど見受けられない。
新型コロナウイルス禍で膨張した歳出構造を元に戻す政府方針も石破首相には意味をなさないのか。
少数与党の苦境を挽回しようと、バラマキで国民の歓心を買おうとしているのなら見当違いだ。
物価高対策の1つは住民税が課税されない低所得世帯への3万円の給付金だ。
岸田文雄前政権でも実施した。
低所得世帯に絞るのはいいが、住民税非課税の高齢者世帯には多くの金融資産を持つ世帯もある。
真に支援が必要な世帯を支えているかどうかを見極めるべきだろう。
電気・ガス料金の補助を再開し、ガソリンの補助金は来年2025年1月以降も継続する。
これらは再開や延長を繰り返し、既に11兆円規模を投じてきた。
脱炭素や省エネに反するとの批判もある施策をダラダラと続けるだけではこの先の展望も開けない。
石破首相が重視する地方創生を巡っては
「新しい地方経済・生活環境創生交付金」
の創設などを盛り込んだ。
だが、交付金を増やせば地方が活性化するという単純な話ではあるまい。
地方創生は長年の懸案だ。
まずは従来施策の問題点を厳しく検証し、それを打開する効果的な政策を講じていくべきだ。
この点は他の施策も同様である。
政策効果の検証や見極めが不十分なままでは、いくら財政・税制措置を講じても政府の目指す
「成長型経済」
の実現は望めまい。
自民、公明両党と国民民主党の合意で経済対策に盛り込み、今後3党で協議する
「103万円の壁」
の見直しやガソリン減税についても、認識しておくべきことである。

石破茂首相、日朝連絡事務所設置案「維持か」 保守党・島田洋一氏、政府答弁書に懸念
2024/11/22 12:58
https://www.sankei.com/article/20241122-Y77FNK2V7FGK5NZTL74IOQQHOY/
政府は2024年11月22日、北朝鮮拉致問題への対応を巡り、日朝間に連絡事務所を設置するとの石破茂首相の持論について
「覆す考えがあるか」
などと問われた質問主意書に対し、
「今後の対応に支障を来す恐れがあることから回答は差し控える」
とする答弁書を閣議決定した。
日本保守党の島田洋一衆院議員が、石破政権の拉致問題解決に向けた基本姿勢を主意書で質問した。
@拉致被害者家族会が反対している、東京と平壌の相互への連絡事務所設置案について、覆す考えはあるか
A石破首相が(首相就任前に)家族会などと一体で活動している超党派の「拉致議連」から、北朝鮮に融和的とされる「日朝議連」へと活動の軸足を移した理由
B「日本はかつて北朝鮮を侵略して甚大な被害をもたらしたのだから、その事実を重く背負わないといけない」などとした日朝議連会長(衛藤征士郎元衆院副議長)の歴史認識を首相も共有するのか
などを尋ねた。
■「政府としてお答えする立場にない」連発
2024年11月22日の答弁書では、
@に関し、
「わが国の一貫した方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致・核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して日朝国交正常化の実現を目指すというもの」
とした上で、
「解決に向けて何が最も効果的かという観点から、北朝鮮への対応を不断に検討していく」
「その点以外のお尋ねについては、今後の対応に支障を来す恐れがあることから、回答は差し控えたい」
とした。
また、Aでは、
「石破首相個人の政治活動に関するものであると考えられることから、政府としてお答えする立場にない」。
Bについても、当該歴史認識は衛藤氏個人の見解を前提としたものであり、
「政府としてお答えする立場にない」
とした。
連絡事務所案を巡っては、拉致被害者の居場所などに関する情報共有を目的としている一方、被害者家族会などは
「北朝鮮は被害者を厳重な管理下に置いており、今さら所在情報を共有する仕組みを構築する必要はない」
「相手の時間稼ぎに乗るだけだ」
などとして反対している。
主意書を提出した島田氏は産経新聞の取材に、
「首相は事務所設置案を捨てておらず、維持していると理解した」
「拉致問題への取り組み姿勢に関し、疑念や懸念を深めざるを得ない」
と語った。

逃げる、怖がる「国防のプロ」 石破首相が防衛省・自衛隊から嫌われるワケ 
2024/11/19 6:00
https://www.sankei.com/article/20241119-C3AOIBQOPFMA7BUWFERAHUMIGQ/
10年以上前の話だが、今振り返っても胃が痛くなる。
石破茂首相が第2次安倍晋三政権で自民党幹事長を務めていた時の話だ。
「杉本さん、やばいっすよ」
旧知の自民党職員から電話がかかってきた。
相当焦った様子だが、何の事だか分からない。
「インタビューですよ、インタビュー」
と言われてやっと思い出した。
この時点で、約束したインタビューの時間を過ぎていた。
取材相手との約束をすっぽかす記者などボンクラもいいところだ。
ましてや、相手は泣く子も黙る自民党幹事長。
急いで茶菓子を買い、泣きそうになりながら謝りに行った。
「これはなんだ? うまそうだなぁ」
石破氏は笑顔で迎え入れてくれ、ムッとした様子はおくびにも出さなかった。
これを機に石破氏の元に足繫く通って信頼獲得に努めるのが政治記者のあるべき姿であろうが、ボンクラのボンクラたる所以で、近寄れないまま時を過ごしてきた。
再び石破氏にインタビューを申し込んだのは、昨年2023年4月のことだ。
石破氏が小泉純一郎内閣で防衛庁長官、福田康夫内閣で防衛相を務めていた時の話を聞くためだった。
過去の失態の負い目があるから言うのではなく、石破氏の話は理路整然としていて、ハッとするような鋭い指摘もあった。
自身に対する周囲からの評価も冷静に受け止めていた。
石破氏は、当時の防衛省・自衛隊の雰囲気についてこう語った。
「この変な大臣、早く代わらないかな、という感じだった」
「国防のプロ」
として名を馳せてきた石破氏だが、防衛官僚や幕僚から嫌われていると感じているようだった。
■今も残る反発
政治家である防衛相自ら防衛省・自衛隊の機構改革をリードした点で、石破氏は類例のない存在だ。
これも、嫌われる理由の1つだったかもしれない。
自衛隊を如何に動かすかを考える運用部門を背広組中心の内局から切り離し、実際に部隊を指揮する制服組中心の統合幕僚監部に統一する構想に先鞭をつけたのは石破氏だった。
自衛隊の装備調達や部隊編成を考える整備部門が内局と陸海空幕僚監部に分散していることを問題視し、組織を一本化する構想も石破氏拘りの政策だった。
いずれの改革も平成21年の民主党政権誕生と共に葬られ、運用部門の再編は第2次安倍政権で実現したものの、整備部門の改革は手つかずのままだ。
石破氏は昨年2023年のインタビューで
「これは(陸海空から)滅茶苦茶抵抗があったから今でも出来ていない」
と語った。
全国を5区画に分け、それぞれに陸上自衛隊方面隊を置く体制の見直しも見送られている。
「石破改革」
に賛同する防衛省・自衛隊関係者がいた一方で、今でも反発は残る。
実現した運用部局の改革に関しては、政治的考慮を抜きにして軍事合理性だけで運用を考えることはできない以上、内局の運用企画局を復活させるべきだと考える防衛省幹部もいる。
■「私、辞めます」
石破氏が防衛省・自衛隊から嫌われる根本的な理由が政策論の是非というよりも、リーダーとしての資質にあるとすれば、事態は深刻だ。
平成26年の秋、安倍首相は石破氏を防衛相に起用する人事を考えていた。
石破氏はこれを断り、地方創生担当相に就任するのだが、自衛隊幹部は後にこう明かした。
「もしも石破さんが大臣になるんだったら、私は自衛隊を辞めようと思っていました」
防衛省・自衛隊の石破アレルギーを形成した要因の1つとして有名なのが、平成20年2月に千葉県沖で海上自衛隊のイージス艦「あたご」と衝突した漁船の2人が死亡した事故の際、防衛相の石破氏が取った対応だ。
この事故の5年後平成25年には、あたごの当直責任者ら2人が業務上過失致死などの罪に問われた刑事裁判で無罪が確定しているが、石破氏は事故直後に関係者の大量処分を断行した。
事故原因が分からない時点でフライング気味に
「自衛隊が悪い」
と決め付け、世論に阿ったと受け止める関係者は多い。
当時、海上幕僚監部防衛部長を務めていた河野克俊氏は後に石破氏の対応を繰り返し批判し、今年2024年11月1日発売の月刊『正論』12月号でもこう述べた。
「全てを部下の自衛隊員が悪いとし、部下を残して逃げられたのだという印象が否めません」
自衛隊が平成15年から平成21年までイラクで行った人道復興支援活動を巡る石破氏の振る舞いも評判が悪い。
防衛庁長官の石破氏がイラクを視察し、現地の安全を確認する案が調整されたが、結局、石破氏は平成16年9月に長官を退任するまでイラクには行かなかった。
当時の事情を知る防衛省関係者はこう語る。
「ああだこうだって言って行こうとしなくて、ようやく行くことになっても
『イラク視察の発表前にマスコミで報じられた』
って理由で結局行かなかった」
「石破さんの次に大臣になった大野功統さんは事前報道があってもイラクに行ったけどね」
石破氏にも言い分があるだろうが、防衛省・自衛隊内には
「石破さんはイラクに行くのが怖かったんじゃないか」
という声があるのも事実だ。
言うまでもなく、首相は自衛隊の最高指揮官でもある。
リーダーが嫌われたり怖がられたりするのは決して悪いことではないが、逃げたがりで、御身大事の怖がりだと思われれば、命を懸けて戦う自衛官は浮かばれない。
石破氏が防衛相を辞めてから16年が過ぎた。
この間、石破氏が最高指揮官になるための修養を積み重ねてきたと信じたい。

中国は信用できない相手なので、警戒を怠るべきではない。

<主張>日中首脳会談 かみ合ったと喜ぶ関係か
社説
2024/11/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20241117-6AX5JFYOTFMY3IYJT54QHGXTIA/
石破茂首相が南米ペルーの首都リマで、中国の習近平国家主席と初めて会談した。
日中両国が戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築する方向性を確認した。
東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を理由に中国側が全面停止した日本産水産物輸入の再開合意の着実な履行を申し合わせた。
石破首相は会談後、記者団に
「非常に噛み合った意見交換だった印象だ」
と満足そうに語った。
習氏と会談を重ねていくことで一致したと明かし、
「首脳間を含むあらゆるレベルで意思疎通、往来を図り、懸案を減らしていく」
と語った。
「嚙み合った」
と本気で感じたのであれば、石破首相の外交感覚はピントがずれていないだろうか。
また、首脳間の往来が習氏の国賓としての来日を含むのであれば許されない話だ。
習氏はウイグル人などへの深刻な人権弾圧の責任者だからだ。
石破首相は習氏に対し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し、東シナ海情勢や領空侵犯など中国軍の活動に深い憂慮を表明した。
深圳での日本人児童殺害を取り上げ、現地日本人の安全確保を求めた。
拘束されている日本人の解放も求めた。
習氏の態度は、ほぼゼロ回答だった。
「日本人を含む全外国人の安全を確保する」
と述べたが、それは国家として当たり前の話に過ぎない。
水産物の輸入再開は実現の時期さえ示さなかった。
これで
「嚙み合った」
と語るセンスを疑う。
懸案を抱える中でも共通の利益の拡大を図るのが戦略的互恵関係だという。
岸田文雄前首相が昨年の習氏との会談で6年ぶりに復活させた。
だが、今の日中はそのような関係を推進できる間柄なのか。
習氏は、来年2025年登場する米国のトランプ政権を警戒し、日米が協力して中国に厳しい対応を取らないように対日姿勢を一時的に調整しているだけだろう。
中国共産党政権の首脳は全員、力の信奉者だ。
日本が防衛力や経済力、科学力などの国力を高めたり、日米同盟の結束を強めたりすることが、対中発言力を増すことになる。
その努力なしに、首脳の往来で握手を重ねても、日本の平和と安全、国益は確保できないと石破首相は肝に銘じてもらいたい。

石破首相、習氏と「かみ合った意見交換」 水産物輸入再開へ前進も政権浮揚見通せず
2024/11/16 18:12
https://www.sankei.com/article/20241116-33HKTDAYWZKADO6KNZLFG3V4SM/
石破茂首相は2024年11月15日(日本時間16日)、南米ペルーの首都リマで就任後初めて米国のバイデン大統領や中国の習近平国家主席と会談した。
一連の会談は政権基盤が脆弱な首相にとって、外交で存在感を示す機会でもあった。
習氏から日本産水産物の輸入再開に向けて前向きな姿勢を引き出し、日米韓連携の
「制度化」
へ前進を図るなど一定の成果はあったが、政権浮揚に繋がるかは見通せない。
日中首脳会談の冒頭、右手を差し出して笑みを浮かべる習氏とは対照的に、首相は厳しい表情で両手で握手を交わした。
しかし会談後は一転、記者団に
「非常に嚙み合った意見交換だった」
と満足そうに語った。
会談では、日中間の懸案の1つである東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受けて中国が停止した日本産水産物の輸入再開について、中国側の態度軟化が目立った。
昨年2023年11月、岸田文雄前首相は米サンフランシスコで習氏と会談し、処理水の海洋放出を巡り激しいやり取りを交わした。
今回の会談について、外務省幹部は
「あの時とは大きく違う」
「ピリッとしたものではなかった」
と語る。
習氏自らが初めて、日中で合意した輸入再開に向けた取り組みの着実な実施に言及し、前向きな姿勢を示した。
習氏の言葉は
「しっかりやれという部下への指示でもある」
「「この問題を動かしていく意思がはっきりした」
と受け止める。
首相も会談後、習氏に応じるように
「首脳同士で会談することの重要性を改めて強く認識した」
と強調し、首脳間を含む人的往来の活性化に意欲を示した。
ただ、中国側の
「原則的な考えは変っていない」(外務省関係者)」
習氏は会談で従来通り処理水を「核汚染水」と呼び、輸入再開時期も不透明なままだ。
首相は会談で、日本周辺で活発化する中国の軍事活動に重ねて懸念を示したが、習氏は従来通り自らの正当性を主張したとみられる。
中国の軍事的脅威に対し、日本は日米同盟を軸に抑止力を高めると共に、中国側との直接対話で歯止めをかけたい考えだが、空振りが続く。
日中間の課題解決には、尚対話の積み重ねが必要となる。
一方、日米韓3カ国の首脳は2024年11月15日の会談で、協力の調整を担う事務局組織の設置で合意した。
北朝鮮の軍事動向が緊張の度合いを増す中、多国間協力の枠組みに消極的なトランプ米次期政権へ移行後も、3カ国連携を後退させないため布石を打った格好だ。
ロシアと北朝鮮による軍事連携の拡大など厳しい東アジアの安保環境を踏まえれば、3カ国連携の重要性は増している。
首相は会談を受け
「トランプ次期大統領との間でも日米同盟を新たな高みに引き上げ、日米韓の戦略的連携を強化するため努力していく」
と強調した。

石破首相、中国の軍事活動「極めて憂慮」日中首脳会談で指摘 水産物輸入再開へ合意再確認
2024/11/16 18:10
https://www.sankei.com/article/20241116-CHNXI5YXGZL6JI6CQFWHCAHGGQ/
石破茂首相は2024年11月15日(日本時間16日)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため訪問したペルーの首都リマで、中国の習近平国家主席と初会談した。
両首脳は東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受け中国が停止した日本産水産物の輸入再開へ、日中両政府の合意を着実に実施することを確認した。
首相は会談で、2024年8月の中国軍機による初の日本領空侵犯など活発化する中国の軍事活動を
「極めて憂慮している」
と表明した。
2024年9月に中国広東省深圳で起きた日本人男児の刺殺事件にも触れ、在留邦人の安全確保を求めた。
習氏は
「日本人を含む全ての外国人の安全を確保する」
と応じた。
日中両政府は2024年9月、国際原子力機関(IAEA)の枠組みで、中国を含む第3国が参加できるよう処理水のモニタリング(監視)体制を強化することを前提に、日本産水産物の輸入を
「着実に回復」
させることで合意した。
中国側は段階的な再開方針を示している。
首相は会談後、記者団に
「習氏自身が(合意の着実な実施に)言及したことは非常に重い」
と強調。
首相は会談で早期の輸入再開を求めたが、再開時期について習氏から言及はなかったという。
また、両首脳は、日中の共通利益を拡大する
「戦略的互恵関係」
の包括的な推進で一致した。
外相の相互訪問や高官レベルの人的交流などの実現に向けて調整を加速させることも確認した。
首相は会談冒頭、
「日中両国の間には多くの懸案が存在しているが、建設的かつ安定的な関係の構築へ大きな方向性を共有している」
と述べた。
中国外務省によると、習氏は会談で、日中関係について
「改善、発展の重要な時期にある」
と指摘。
「新時代の要求に合致した建設的で安定した関係」
の構築を進める考えを併せて示すなど、トランプ米次期大統領の就任を控え、日本との関係安定化に意欲を示した。

首相が習近平氏と初会談、「戦略的互恵関係」推進で一致 水産物輸入再開へ合意履行も確認
2024/11/16 10:43
https://www.sankei.com/article/20241116-AQCO4LD47RKWPOYWRKAARFUIN4/
石破茂首相は2024年11月15日(日本時間16日)、アジア太平洋経済会議(APEC)首脳会議に出席するため訪問したペルーの首都リマで、中国の習近平国家主席と初めて会談した。
両首脳は、日中の共通利益を拡大する
「戦略的互恵関係」
の包括的な推進で一致。
東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を受けて中国が停止した日本産水産物の輸入再開に向け、日中両政府の合意を着実に実施していくことを確認した。
首相は会談冒頭、
「日中両国の間には多くの懸案が存在しているが、建設的かつ安定的な関係の構築へ大きな方向性を共有している」
と述べた。
習氏は
「石破首相と意思疎通と協力を強化し、中日関係の長期に渡る安定した発展を推し進めていきたい」
と語った。
日中両政府は2024年9月、国際原子力機関(IAEA)の枠組みで、中国を含む第3国が参加できるよう処理水のモニタリング(監視)体制を強化することを前提に、日本産水産物の輸入を
「着実に回復」
させることで合意。
中国側は段階的な再開方針を示している。
首相は会談後、記者団に
「習氏自身が(合意の着実な実施に)言及したことは非常に重い」
と強調した。
首相は会談で早期の輸入再開を求めたが、再開時期について習氏から言及はなかったという。
一方、首相は習氏に対し、2024年8月の中国軍機による初の日本領空侵犯など活発化する中国の軍事活動を
「極めて憂慮している」
と表明した。
2024年9月に中国広東省深圳で起きた日本人男児の刺殺事件にも触れ、在留邦人の安全確保を求めた。
習氏は、日本人を含む全ての外国人の安全を確保すると応じた。

立民・安住淳氏が予算委員長に…自民と緊縮大連合≠フ布石か 国民をないがしろ立民が予算の「キャスチングボート」握る悪夢
2024.11/12 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241112-2UOAJ4MHSNJM5PCBLZVDSRVFX4/
石破茂政権は衆院選で自滅し、少数与党に転落した。
2024年11月7日に開催された自民党の両院議員懇談会では、報道によれば石破総裁への退任要求を口にした議員は1人だけだったという。
綱渡り的な国会運営がやがて行き詰まり、遅かれ早かれ辞任するはめに陥るのを見越して、今は静観しているのかもしれない。
ただし石破政権自体は延命に必死である。
衆議院の予算委員長のポストを立憲民主党に譲る方針を打ち出し、立民側も安住淳元財務相を委員長に充てることにした。
予算委員会は国会会期中、最も世間の注目が集まる舞台である。
もちろん国の予算を議論し、成立させることは国会の最重要の役割であり、極めて異例の人事だ。
金子洋一元参院議員(日本維新の会)はX(旧ツイッター)で、野党にも予算審議の責任を負わせることになるとして、その戦略的意義を指摘した。
ただし日本のマスコミは、単純な善悪二元論が大好きである。
与野党が責任を持って予算を審議することを伝えるより、荒れた委員会を外野から煽ることだろう。
野党も
「政治とカネ」
という相変わらずのワイドショー的テーマで予算委員会を振り回し、世論の関心を得ることを目指すのではないか。
予算委員長になる安住氏は、バリバリの緊縮財政派だ。
また立憲民主党は独自の補正予算案を提出する構えだというが、その規模は僅か7兆4000億円だ。
日本経済が安定的にインフレ目標2%を達成するには、PwCコンサルティングの片岡剛士チーフエコノミストや会田卓司クレディ・アグリコル証券チーフエコノミストらが指摘するように、25兆円から30兆円の財政政策が必要だ。
緊縮財政の立憲民主党が予算のキャスチングボートを握ることは悪夢だ。
ただ高橋洋一嘉悦大学教授が指摘するように、立憲民主党と石破自民党との大連合の可能性もある。
もしそのシナリオがあるとしたら、この予算委員長人事は、国民を蔑ろにした緊縮大連合の布石かもしれない。
要警戒だ。
また石破政権の延命が、国民民主党の経済対策をどれだけ飲むかにかかっていることは間違いない。
所得税の控除を103万円から178万円に引き上げることや、消費税減税などは大賛成だ。
所得税控除は恒常的な本予算での措置にすべきだが、今年2024年度は先行して補正予算で対応してもいい。
消費税減税など国民民主党の経済対策の規模は20兆円超ほどだ。
能登半島の震災復興費など立憲民主党の目玉政策も丸飲みして、規模感のある経済対策を打ち出すべきだ。
もし国民民主党の提案も拒否し、あるいは積極財政政策もしないなら、石破政権は単なる国民のお荷物である。 
(上武大学教授 田中秀臣)

世論のホンネは「政権交代」にあらず 政策実現を求める国民の声も 玉木代表率いる国民民主党は執拗な圧力≠フ標的に
2024.11/13 06:30
安積明子
https://www.zakzak.co.jp/article/20241113-DVWJ3IPVONIYLHLC5VUPTSG5H4/
衆院選で惨敗して自公与党が過半数割れとなり、
「史上最短」
になるかと思われた石破茂政権だが、意外としぶとく生き残るかもしれない。
2024年11月11日に召集された特別国会で、石破首相は決選投票で第103代首相に選出され、第2次石破内閣を発足させた。
政権交代が不発だったのは野党第1党の立憲民主党に、石破政権を脅かす力がないためだ。
衆院選で98議席から148議席に躍進したが、内容を詳細に分析すると、興味深いことが浮き彫りになる。
比例区の得票は前回比で7万2106票しか増えなかった。
小選挙区に至っては、同比147万4761票も得票を減らした。
これでは、
「党勢拡大」
とは言い難い。
政局混迷の中、
「政権交代を実現させるため」
というお題目の下、執拗な圧力≠煌|けられ続けた。
標的は、公示前から4倍増の28議席を獲得した、玉木雄一郎代表率いる国民民主党だ。
首相指名で玉木氏を推すと明言していたが、玉木氏や榛葉賀津也幹事長の記者会見では、
「立憲民主党の野田佳彦代表に投じるべきだ」
との主張が繰り返された。
テレビの討論番組でも、
「政党の党首を担う政治家としてあるまじき」
という強烈な批判も出た。
こうした主張は筋違いだ。
そもそも、国民民主党が野田氏を推しても、過半数に達することはない。
立憲民主党と、野党第2党の日本維新の会(38議席)は、外交・安全保障政策などで隔たりがある。
野田氏との党首会談(2024年10月31日)で、首相指名の連携を打診された日本維新の会の馬場伸幸代表は、色よい返事をしなかった。
日本保守党などの新興保守勢力は首相指名で
「野田佳彦」
と書くはずがなかった。
更に言えば、衆院選で国民民主党を推した有権者が、野田政権誕生を希望したわけではない点に注目すべきだ。
選挙戦で国民民主党は
「政治とカネ」
の問題とは距離を置き、手取り増や減税などの
「政策論」

「実現力」
のアピールに徹した。
「対決より解決」
を旗印に、是々非々で臨む姿勢が支持されただけに、首相指名でいずれかを肩入れする選択肢はなかった。
世論が政権交代を望んでいたら、国民民主党への票の多くが、野党第1党の立憲民主党に投じられていたはずだ。
政権交代だけが
「民意」
とは言えない現実がそこにある。
安倍晋三政権や菅義偉政権での
「1強多弱」
時代は終わった。
政党間格差は縮まり、国政に世論の多様な意思が反映される好機とも言える。
自民党は衆院予算委員長をはじめ、重要ポストを立憲民主党に渡した。
懐柔して石破政権延命を図る魂胆だろう。
選挙結果の分析を怠り、現状に甘んじるばかりでは、立憲民主党が政権を奪取することなど不可能ではないか。
 (政治ジャーナリスト・安積明子)

高橋洋一「日本の解き方」
予算委員長を野党に渡す代償 石破政権、延命策は減税中心の補正予算 経済停滞の犯人は財務省だとあぶり出されることも
2024.11/13 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241113-OVUJNZUOKZO7LO5AG3IBQ6KSAM/
与党が過半数割れする中、17ある衆院の常任委員長のうち、予算委員長を立憲民主党に割り振るなど、野党側に7つが配分されることになった。
予算案の審議などにどう影響するだろうか。
予算委員会の所管事項は
「予算」
と定められている。
内閣が提出する予算案の審議を行うことが基本的な役割であるが、予算は内閣の全ての政策の財政的な裏付けになるので、予算を通じて内閣全てのことに関係している。
そのため、予算委員会での質疑の範囲は直接予算に関連するものに限らず、広く国政全般に渡るのが通例だ。
つまり、予算委員会は他委員会とは異なり別格の花形委員会だ。
端的に言えば、予算審議だけでなく不祥事の他、何でも議題として、それをテレビ中継できる。
予算委員会は首相ら全閣僚が出席する委員会で、他委員会の委員長ポストとは比較にならないくらい重要だ。
与党は10の常任委員長ポストを得たが、これを半分以下の4つにしても、予算委員長を死守した方が良かったのではないか。
予算委員長には委員会の開会日時や採決の決定、審議の進行などの権限がある。
つまり、予算委員会の運営は予算委員長の裁量になる。
野党議員が予算委員長に就任するのは異例だが、その裏に万が一、石破茂政権延命の自民と立民の大連立という狙いがあるとしたら要注意だ。
予算成立は内閣の命運を握るが、それを野党に渡したということは、内閣不信任案と共に予算成立も野党が主導権を持つので、何かあればいつでも石破政権は総辞職せざるを得ないだろう。
これが少数与党の定めであり、石破政権はどうあがこうと既に
「死に体」
になっている。
予算委員長には、立憲民主党の安住淳元財務相が就く。
委員長が誰になっても、野党であれば、来年2025年度予算案が
「人質」
となり、来年2025年3月の年度内成立の頃には内閣総辞職くらいの代償を払うことになるだろう。
ただし、そこまで石破政権はもつまい。
2024年11月11日に召集された特別国会の会期については2024年11月14日までの4日間となったが、特別国会後、早期に臨時国会の召集もある。
そこでは、補正予算などが審議されるはずだが、野党案を丸のみしないと成立しない。
補正予算も予算委員会でやるので、下手をすると内閣不信任案が出て、石破政権は万事休すかもしれない。
別のケースとしては、石破政権が保身≠ノ走ることが考えられる。
そこでは財務省の意見が通りにくくなり、国民民主党が主張するような減税中心の補正予算という国民にとっていいものになるかもしれない。
そうなると、これまでの経済停滞の犯人が財務省であることが炙り出されることもあり得る。

<産経抄>自身の責任は取らず、不記載問題に固執する石破首相
2024/11/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20241116-PKHWFJMHLJJENO52OSVSKZSAQY/
マスコミの論調も変化してきたのか。
読売新聞の2024年11月15日の社説は、石破茂首相の政権運営について論じていた。
「内外の課題が山積しているにもかかわらず、首相が先月2024年10月1日の就任以降、最も拘りを見せているのが、派閥の政治資金規正法違反事件への対応だ」
▼更にこう指摘する。
「(刑事事件として決着済みで)衆院選で審判を受けて当選した議員を尚問題視するなら、政治とカネの問題にいつ終止符を打つつもりなのか」
「収支報告書への不記載という形式的なミスを、重大な贈収賄事件などと同列に扱うかのような対応は理解に苦しむ」
▼2024年11月14日の朝日新聞は安藤馨・一橋大教授のこんな論評を載せた。
「不記載を公金横領や贈収賄の類と誤解しているとおぼしき怒れる有権者が見られたのはひとえに『裏金』という語の独り歩きの産物であろう」。
安藤氏は、マスコミによる
「裏金議員」
というラベル貼りは、
「事実認識に基づかない評価をもたらそうとするものであり、民主政にとって有害ですらある」
とも。
▼不記載は論外だが、その分のカネは各議員がパーティー券を売り自分で稼いだもので、国民の税金ではない。
東京地検特捜部が徹底捜査した結果、不起訴議員に私的流用は見当たらなかった。
首相も2024年10月の党首討論で訴えていた。
「裏金は決めつけだ」
「不記載だ」
▼形式犯について大袈裟に騒ぎ立てた野党やマスコミの非が大きいのなら、首相はなぜ堂々と反論せず、衆院選で不記載議員に対して非公認や重複立候補の禁止など、厳しい二重処分を科したのか。
有権者の処罰感情に阿り、仲間を売って保身を図ったのか。
▼自身は衆院選惨敗の責任も取らず、不記載問題ばかりに固執する姿は異様である。

特別国会閉幕 政策論争を置き去りにするな
2024/11/15 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241115-OYT1T50025/
先月の臨時国会は僅か9日間で衆院が解散された。
この特別国会も、政府と与野党が何ら論戦を行うことなく、4日間で閉幕した。
石破内閣発足後、政策論争が置き去りにされているのは由々しき事態だ。
こうした状況に陥っているのは、石破首相が内外の課題について、明確な対処方針を持ち合わせていないためではないか。
衆院選の結果、与党だけでは予算案も法案も通すことはできなくなった。
少数与党になったからこそ、開かれた国会の場で与野党で議論を深め、接点を見い出すことが重要になっているはずだ。
2024年6月の通常国会閉幕後、国会で成立したのは旧優生保護法の被害者救済法だけだ。
審議を通じて行政や法案の問題点を洗い出し、改善を図る、という役割を果たしていないのは問題だ。
日本周辺の安全保障環境は極度に悪化している。
防衛力の強化やその財源を確保することは急務だ。
人口減少に歯止めがかからない。
経済をどう再生し、成長させていくのかも難題だ。
内外の課題が山積しているにもかかわらず、首相が先月2024年10月1日の就任以降、最も拘りを見せているのが、派閥の政治資金規正法違反事件への対応だ。
首相は、政策活動費の廃止に意欲を示している。
政治資金収支報告書に不記載があった旧安倍派などの議員のうち、政治倫理審査会で弁明していない議員に対しては、改めて出席を促すという。
衆院選で政治とカネの問題に焦点が当たって自民党が惨敗したため、首相は政権を維持するには政治改革に積極的な姿勢を示す必要があると考えているようだ。
政治資金の透明性を高めることが重要なのは論を俟ま たない。
だが、この問題は東京地検特捜部が捜査を尽くして派閥の会計責任者らを立件し、既に刑事事件として決着がついている。
強制力のない政倫審を開いても新事実を見つけるのは容易ではあるまい。
首相は、不記載のあった議員を第2次内閣の副大臣、政務官に登用しなかった。
衆院選で審判を受けて当選した議員を尚問題視するなら、政治とカネの問題にいつ終止符を打つつもりなのか。
そもそも収支報告書への不記載という形式的なミスを、重大な贈収賄事件などと同列に扱うかのような対応は理解に苦しむ。
首相が政治資金問題で定見を示さず、延命のため野党の主張を受け入れようとしていることが、混乱を招いているのではないか。

「日朝議連内閣だ」首相、外務、防衛主要3大臣がメンバー、対北融和警戒 保守党・島田氏
2024/11/14 15:17
https://www.sankei.com/article/20241114-2BBKT3CM4NHK3H3CYSRGUG4GXA/
日本保守党の島田洋一衆院議員が産経新聞の取材に応じ、石破茂内閣のうち、首相、外相、防衛相の主要3大臣が
「日朝国交正常化推進議員連盟」(日朝議連、会長・衛藤征士郎前衆院議員)
のメンバーであることに危機感を示した。
同議連は国交正常化ありきで、政権の
「最重要課題」
である北朝鮮拉致問題を棚上げしていると評される。
島田氏は
「そうした集団のメンバーが、国の安全保障の中枢を担う3ポストにいる」
「最早『日朝議連内閣』と呼べる状況であり、今後、北への融和的な姿勢が顕著になってくる可能性が高い」
と訴える。
■朝鮮総連関係者が講師役
石破内閣で日朝議連メンバーとして活動するのは、石破首相、岩屋毅外相、中谷元防衛相の3人。
同じ日朝関係の超党派国会議員連盟では、
「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」(拉致議連)
があるが、異なる組織だ。
日朝議連は平成20年4月、自民党の山崎拓元副総裁と民主党の岩國哲人元副代表らが会談し、平成14年に拉致被害者5人の帰国が実現して以降、
「北朝鮮への圧力路線は成果を生まなかった」
として発足が決まった。
同年6月、ブッシュ(子)政権下の米国が北朝鮮のテロ支援国家の指定解除に着手すると、これを肯定的に評価するなど、北朝鮮への融和的な姿勢で一貫している。
政府の外交方針などに配慮して、一時活動を自粛してきたが、2018年(平成30年)の米朝首脳会談を受けて約10年ぶりに活動を再開した。
当時の総会には、日朝首脳会談(平成14年)開催の交渉役を担った田中均元外務審議官、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)機関紙の「朝鮮新報」の金志永・平壌支局長を講師に招き、今後の日朝関係の在り方などを意見交換している。
田中氏は平壌に連絡事務所を置いて日朝合同調査を行うことなどに言及しており、現在まで続く石破氏の
「日朝連絡事務所設置」
などの持論は、これを機に形成されたものとされる。
■総連が起案したような文案
今年2024年2月の総会では岸田文雄首相(当時)の早期訪朝を求める決議を取りまとめようとしたが、国民民主党の玉木雄一郎代表らが、
「北朝鮮の動きに真摯に対応すべき」
などとした当初案の記載を問題視。
大幅に修正された。
玉木氏は総会後、X(旧ツイッター)に
「朝鮮総連が起案したかと思うような文案には賛成できませんでした」
と記した。
島田氏は日朝議連について、
「国交正常化ありきで、その後に諸課題の解決を図るという、いわゆる出口論に立っている」
と指弾。
今月2024年11月11日には、日本保守党衆院議員として、拉致問題解決に向けた石破内閣の基本姿勢を問う質問主意書を政府に提出したが、その書面でも、
「こうした背景を持つ人々によって構成されている内閣が、『最重要課題』である拉致問題に如何に取り組むのか」
「北朝鮮側の意向を大いに汲む形となるのではないかとの疑念が払拭できない」
とぶつけた。
■横田早紀江さんの訴えを隣で…
当の石破氏は、別組織である拉致議連にも所属している。
平成14年の日朝首脳会談時は、拉致議連の会長として、被害者家族らが東京都内で開いた会見に同席。
横田めぐみさん(60)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(88)が、めぐみさんを
「死亡」
とした北朝鮮側の説明について、
「信じられない。今後も生きていると信じて闘っていく」
と涙ながらに訴える様子を、すぐ隣で聞いていた。
だが、その後に防衛庁長官(当時)に起用されると、対北経済制裁などに慎重な姿勢を示すようになる。
被害者家族会の立場とは対極にあるもので、関係は疎遠に。
次第に日朝議連側へと活動の軸足を移していった。
今回衆院選で初当選した島田氏は出馬直前まで、被害者家族と方向性を一にする支援組織
「救う会」
で副会長を務めるなど、拉致問題への見識が深い。
一方で今国会で実施された委員会人事では、
「北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会」
入りは実現しなかった。
同委員会委員長には立憲民主党の牧義夫氏が就いた。
島田氏は、
「自民など多数の席を持つ党から、1つ譲るくらいの気概がほしかった」
と率直な心境を明かした上で、
「現政権の拉致関連のスタンスには危機感しかない」
「変な方向に行かないように、今後も積極的に質問主意書を提出するなどして、厳しく監視していきたい」
とした。

[社説]石破政権は責任ある与野党協議で政策進めよ
社説
2024年11月11日 19:00 (2024年11月11日 23:15更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK113UB0R11C24A1000000/
特別国会の首相指名選挙で石破茂首相(自民党総裁)が再び選出された。
第2次内閣が始動する。
衆院選で自民、公明両党を合わせた議席が過半数を割り込み、少数与党での不安定な政権運営を余儀なくされる。
野党の賛成なしでは予算案も法案も成立させられず早晩行き詰まる。
政策ごとに野党の協力を得ながら懸案を処理していく必要がある。
着実に成果を積み重ねて国民の信頼を取り戻す他ない。
■首相先頭に信頼回復を
首相は2024年11月11日夜の記者会見で、自民党の政治改革の案をとりまとめ、野党とも協議し2024年年内にも必要な法制上の措置を目指す考えを明らかにした。
半導体や人工知能(AI)分野に10兆円以上の公的支援をする意向も示した。
衆院の首相指名選挙は決選投票となり、首相が立憲民主党の野田佳彦代表を上回った。
衆院の常任委員長人事では、野党が衆院解散前の2ポストを上回る7ポストを手にした。
国会論戦の花形と言われる予算委員長も含み、与党は国会運営を主導しにくくなる。
自民党派閥裏金問題の真相究明と再発防止策をはじめ党のガバナンス改革に指導力を発揮し、踏み込んだ行動を示すよう求める。
政治改革特別委や法務委の委員長ポストは立民が掴んだ。
中略
国政に足踏みしている余裕はない。
内外に課題が山積している。
人口減・少子化と超高齢化社会を支える社会保障は持続可能な制度づくりが待ったなしだ。
日本経済が活力を取り戻すための成長戦略や資産運用立国への経済政策も岸田前政権から引き継がれた。
中略
エネルギー、経済、食料にまで及ぶ安全保障も長期の視点で最適解を見いだすのは国政の役目だ。
米国第一主義を掲げるトランプ前大統領の返り咲きが決まり、多国間の枠組みや安保政策、貿易への影響も懸念される。
それらは日本の国益に直結する。
政府は強固な日米同盟を維持しつつ、対米政策や国際協調に主体的に関わっていく努力が必要である。
ウクライナや中東では国際世論の警告を無視する形で戦線が拡大している。
ウクライナのゼレンスキー大統領は1万人を超える北朝鮮兵がロシアに送り込まれ、戦闘に参加していると語った。
北朝鮮に加え中国の軍事的脅威に日本は晒されており、抑止力を高めるべきだ。
同時に、隣国で経済的な繋がりが深い中国と対話を太くする取り組みも欠かせない。
政権基盤がぐらついて外交に影を落とせば国益を損なう。
政府はこれまでのように法案を原案通りに成立させるのは難しくなる。
国会提出前に与党の意見を反映して了承を求める事前審査と野党との交渉の並行作業になる。野党から内閣不信任案が提出される可能性もあり、与野党で合意を作れるかが試金石となる。
与野党で税制や社会保障、安全保障といった国の根幹の政策を議論し直す機会に出来ないか。
国民の目に見える形で知恵を出し合い、幅広い声を汲み取った政策を実現するのが与野党伯仲の選挙結果に込められた民意だろう。
■野党も建設的に関われ
野党側にも注文をつけたい。
衆院選の公約に拘る余り要求の言いっ放しでは困る。
政策に必要な財源について経済成長による税収増や予算の使い残しで対応するだけでは無責任だ。
野党の主張を与党が丸吞みする展開が繰り返されると財政や税制に歪みが生じ、将来に禍根を残す。
国民に本当に必要な政策と考えるなら、建設的な提案や与野党協議、国会審議を通じて実現を促す役割が少数与党時代の野党に求められる。
国民に耳の痛い負担の議論からも逃げずに、持続可能な社会への改革案を競ってほしい。
政策を磨いて政権担当能力を示すことで国民の安心感に繋がり、政権交代への道も広がっていくだろう。
国政が停滞し、国民生活に支障が生じる事態は避けなければならない。
欧州では近年、少数与党や連立政権の国が少なくない。
日本でも政党の調整力が試される。
形骸化が指摘されてきた国会を与野党の熟議で活性化させたい。
来年2025年夏には参院選や東京都議選を控え、内向きの政争にかまければ国民の厳しい評価に晒される。
政治の力量を示す時だ。

第2次石破内閣 不安定な政権はいつまで続く
2024/11/12 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241111-OYT1T50225/
衆院選で惨敗したにもかかわらず、何事もなかったかのように第2次石破内閣が発足した。
国民の代表で国権の最高機関である国会の決定は尊重されなければならないが、憲政の常道に反するような無理押しの体制では、国政の混乱が長期化しかねない。
石破首相が衆参両院で行われた首相指名選挙を経て、引き続き政権を担うことになった。
衆院の1回目の投票では誰も過半数を得られず、石破氏と、立憲民主党の野田代表の上位2人による決選投票となった。
国民民主党などが決選でも党首名で投票した結果、それらが無効票となって、石破氏の選出となった。
首相は国民民主に協力してもらい、政権を維持しようとしている。
だが、国民民主は自らの主張が通れば賛成するだけで、政権運営全体に責任を負うわけではない。
政策の根拠となる財源の確保は、与党任せにしようとしている。
こうした権力基盤が 脆弱な政権の下、国民に負担を求める施策を前進させることができるのか。
政府は安全保障環境の悪化を踏まえ、防衛予算を段階的に増額しているが、その財源となる所得税などの増税時期は未だに決まっていない。
少子化対策のための、医療保険に上乗せして徴収する支援金の具体化もこれからだ。
国会運営も厳しさを増しそうだ。
衆院選の結果、衆院に17ある常任委員会のうち、野党の委員長は2人から7人へと増えた。
立民は、国会審議の花形とされる予算委員長の他、法務委員長などを確保した。
野田氏は選択的夫婦別姓の実現に拘っており、法務委員会で関連法案を審議、採決を急ぐ狙いのようだ。
社会に大きな影響を与えかねない選択的夫婦別姓については、拙速な議論を避けねばならない。
近年は首脳外交の重みが増しているが、国益がぶつかり合う交渉の場では、基盤の弱い首相が強く出るのは難しい。
米大統領に返り咲くことになったトランプ氏が、一層の防衛負担を求めてくる可能性がある。
中国も、石破政権の足元を見透かしているに違いない。
首相が筋の通らない要求を呑まされたり、外交的な揺さ振りに晒されたりしているようでは、国益を損なう。
政治を安定させるには、自民党は公明党に加え、国民民主と正式な連立を組む必要がある。
そのためには、首相自らが進退にけじめを付けることが欠かせない。

不倫、居眠り、議場で記念写真…緩み切った国会議員に選良の矜持はあるのか
2024/11/13 6:00
https://www.sankei.com/article/20241113-HQVGAKHJ5ZOFXAHX4I6W4BJLJ4/
先の衆院選を受けて召集された特別国会の初日となった2024年11月11日、永田町では驚きの光景が見られた。
衆院選で躍進した国民民主党の玉木雄一郎代表は朝から不倫を
「概ね事実」
と認める記者会見を開き、石破茂首相(自民党総裁)は首相指名選挙中に居眠りをしていたとみられる。
自民の新人議員は撮影が禁じられている議場で記念撮影の大はしゃぎ。
緊張感に欠ける国会の開会となった。
■意気揚々と政策を述べた後…
「報道された内容は概ね事実だ」
「家族のみならず、期待を寄せてくれた全国の皆さんに心からお詫びを申し上げる」
2024年11月11日午前9時半過ぎ、国会内の会議室。
玉木氏は、一部で報じられた女性との不倫関係を認めた上で謝罪した。
遡ること30分前、首相と初の党首会談に臨んだ玉木氏は終了後、記者団に対し
「今こそ手取りを増やす経済政策をやるべきだ」
と、党の看板政策
「103万円の壁の見直し」
を訴えたことについて意気揚々と説明していたが、その直後に自身の不倫について緊急の記者会見を開くことになった。
衆院選で与党が過半数を割り、政権運営のカギを握る存在として脚光を浴びた矢先の不倫報道。
国民民主は早期の事態収拾を図るため、玉木氏の記者会見後の党両院議員総会で玉木氏の代表続投を確認し、同日午後の首相指名選挙では、決選投票も含めて玉木氏に投票することを決めた。
夜には東京・有楽町で玉木氏自らが街頭演説し、
「大事な時期にも関わらず、今回の騒動を起こしたことを悔やんでも悔やみきれない」
と重ねて陳謝した。
聴衆の多くは
「頑張れ」
と玉木氏に声援を送っていたが、不倫問題の影響について玉木氏周辺は
「まだ(どうなるかは)分からない」
と警戒している。
国民民主は与党に対し、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万の壁」
の見直しを求めている。
ただ、巨額の税収減も想定されるため、どこまでその主張が通るのかは見通せない。
自民重鎮は不倫を認めた玉木氏について
「政策しか道がなくなった」
と語る。
訴えてきた政策を確実に実行できなければ存在感が急低下する可能性もある。
■周りに注意する人もなく
2024年11月11日は午後にも驚くべきことがあった。
少数与党に転落し、
「薄氷を踏む思いの国会運営」(自民幹部)
を迫られる首相は、週末にも公明党や日本維新の会との党首会談があるなど予定が立て込んで疲れていたのか、衆院本会議での首相指名選挙中に居眠りをしていたと見られるのだ。
投票の際、腕を組み、目を瞑って下を向いていた。
X(旧ツイッター)に動画が投稿され、立憲民主党のベテラン議員は
「寝ていたとすれば、著しく緊張感に欠ける」
と苦言を呈した。
林芳正官房長官は同日夜の記者会見で首相が風邪気味で風邪薬を服用していたと説明。
実際、首相は2024年11月9日夜、病院で診察も受けていた。
国会での国会議員の居眠りは問題だが、それ自体は珍しいことではない。
ただ、首相の場合は体調がすぐれず、風邪薬の影響があったことを差っ引いても、自身に関わる重要な首相指名選挙の最中に、緊張感を保つことはできなかったのだろうかと疑問に思う。
「信じられないほどの体力だ」
と周囲が語った岸田文雄前首相が国会で居眠りをしているところを見たことはない。
自民党関係者は
「普通は周りの誰かが注意すると思うけど…」
と指摘するが、そうした配慮もなかった。
首相は特別国会が閉会する2024年11月14日から2024年11月21日の日程で南米を訪問し、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議や20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席する。
滞在中は中国の習近平国家主席との初会談を調整している他、米国に立ち寄りトランプ次期米大統領と初の対面会談も目指している。
石破外交の手腕が試される時だ。
日本のリーダーとして万全の体調で会談に臨んでもらいたい。
■大はしゃぎの画像が拡散
新人議員が議場で大はしゃぎする場面もあった。
衆院選で初当選した自民の福田かおる衆院議員はSNSで、議場の自席に座り、同じく初当選した向山淳衆院議員(自民)にスマートフォンで撮影してもらい、笑顔で画像を確認する動画が拡散した。
衆院規則211条は議員について
「議院の品位を重んじなければならない」
と規定しており、議場内での撮影禁止と解釈されている。
福田氏は即座にX(旧ツイッター)で
「議場での撮影が禁止されていることを知らず、本日、写真を議場内で撮影をしてしまいました」
「お詫び申し上げます」
「より一層勉強すると共に、気を引き締めて参ります」
などと書き込み、向山氏もXで陳謝した。
厳しい選挙を勝ち抜き、初登院で気分が高揚するのは理解できる。
ただ、福田氏は元農林水産省職員で法相秘書官を務めた経験もある。
国会の基本的なルールを知らなかったとは残念だ。
国のルールである法律を作ることが国会議員の重要な仕事だ。
与野党共に選良であることの矜持を持って国内外に山積する課題に取り組み、結果を出さなければ政治が信頼を得ることは難しいだろう。

加賀孝英「スクープ最前線」
トランプ氏は石破茂首相とは「合わない」 すでに優先順位低下「安倍氏が『絶対に首相にしてはならない』と語った理由…情報を得ている」
2024.11/12 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241112-YKVRLBXPA5J5PAK2ZE2UFZ4MWQ/
米大統領選で、ドナルド・トランプ前大統領が圧勝した。
来年2025年1月20日の就任式後、ホワイトハウスへの凱旋を果たす。
2022年7月8日、あの奈良での凶行さえなければ、安倍晋三元首相は密かに意欲を燃やしていた3度目の首相登板を果たし、
「トランプ&安倍」
という全世界が認めた黄金コンビが復活していたはずだ。
日本がもう1度、この危機的状況の世界で
「真に輝ける国」
になれたのではないかと思うと、心底残念でならない。
こうした中、旧知の米政界関係者や米情報当局関係者から驚愕情報を入手した。
既に、トランプ氏の政権移行チームは、来年2025年の第2次政権スタートに向けて、
「MAGA(米国を再び偉大に)2・0」
戦略を本格始動させている。
トランプ政権が展開する
「中国封じ込め戦略」
の要として、日米同盟を重視する姿勢は変わらない。
だが、トランプ氏は、石破茂首相を
「合わない」
と感じ、優先順位を下げているという。
初めての電話会談も、たった5分。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は25分、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12分だった。
トランプ氏の態度の理由は、概略以下の通りだ。
「トランプ氏は、盟友である安倍氏が生前、石破首相について『絶対に首相にしてはならない』と周囲に語っていたこと、その理由についても情報を得ている」
「トランプ氏は、中国からの輸入品に60%の関税をかけるなど、中国共産党を追い込む対中強硬策をやる方針だ」
「一方で、トランプ陣営は、石破内閣について『親中』傾向が強いとみている」
石破首相は、2024年11月15〜16日にペルーで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議、2024年11月18〜19日にブラジルで開催のG20(20カ国・地域)首脳会議に出席する予定。
これに合わせて、ジョー・バイデン米大統領、中国の習近平国家主席とそれぞれ会談する意向だ。
これが、トランプ氏周辺を刺激したという。
前出の米政界関係者と米情報当局関係者の情報は、次の通りだ。
「問題は、バイデン氏との日米首脳会談だ」
「石破首相は会談の目的を『日米同盟の強化』と『岸田文雄前首相の路線継承を伝える』と説明している」
「トランプ氏は、バイデン政権のウクライナへ支援などを厳しく批判し、『戦争を終わらせる』と繰り返し発言してきた」
「岸田路線とはバイデン政権への追随と見ており、トランプ氏が石破首相を遠ざけるのは当然だ」
加えて、石破首相は、米シンクタンク「ハドソン研究所」のホームページに、
「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」

「日米地位協定の見直し」
などの持論について寄稿し、国内外の専門家を
「荒唐無稽だ」
と呆れさせた。
怒りを込めて言う。
石破首相の迷走は最悪だ。
日本に危機を呼んでいる。
中国と北朝鮮、ロシアが暴走を始めている。
このままでは日本は潰れてしまう。

自民党が信頼を失っている原因は「政治とカネ」の問題だけでなく、より本質的な原因は「左傾化」にある。

「石破さん、間違ってるだろう」 自民にも立民にも蔓延する無責任体質
一筆多論
2024/11/12 8:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BGT4KAQX75L33J34DPGTSJW6CQ/
石破茂首相の座右の銘は
「鷙鳥不群(しちょうふぐん)」
である。
鷲のような鳥は群れずに行動するとの意味だ。
首相は平成29年のインターネット番組で、この言葉に触れ
「群れて、わらわらやるの嫌いなんです」
「『間違ってるだろう、これ』っていうのを誰かが言わないと」
「誰も言わなくなったら終わり」
と語っていた。
ならば言う。
「石破さん、間違ってるだろう、これ」
首相は衆院選で勝敗ラインに据えた与党過半数を実現できなかったのに続投している。
何事もなかったかのように国民民主党との政策協議を進めている。
首相が非主流派ならば
「間違ってるだろう」
と叫び、退陣を求めていたに違いない。
この異常事態に自民党議員がおとなしい。
「政権陥落の危機に内輪揉めをしている場合ではない」
との理由らしい。
「石破首相にややこしい問題をやらせ、来年2025年の参院選前に新首相でV字回復すればいい」
との声もある。
平成13年に不人気の森喜朗氏から小泉純一郎氏に首相が交代し、爆発的人気でその後の参院選に勝ったことが念頭にあるのだろう。
自民は、なぜ国民の信頼を失ったのかをまだ分かっていない。
派閥のパーティー収入不記載もさることながら、不記載の経緯は解明されず、当事者は
「知らなかった」
の言い訳ばかり。
皆が責任を回避する不道徳な姿勢を見透かされた。
今回もトップが責任を取らず、責任追及も甘い。
こんな醜態は、子供の教育上、よろしくない。
では、立憲民主党に政権を任せていい、ともならない。
野田佳彦代表は衆院選で
「自民の平成以降の首相は菅(義偉)さん以外は全部世襲だ」
と主張した。
これは明確な間違いだ。
世襲を
@親族に国会議員がいて地盤を継承
A父母や祖父母が国会議員
のいずれかと定義すると、平成以降の自民の首相14人中、非世襲は竹下登、宇野宗佑、海部俊樹、森、菅各氏の5人。
非自民の首相は6人。
うち2人(羽田孜、鳩山由紀夫両氏)は世襲で、いずれも約3人に1人の割合だ。
衆院選の候補では、自民の世襲は97人で28・4%の割合だった。
全候補の世襲が136人、10・1%なので確かに多い。
一方、立民は小沢一郎氏ら27人、11・4%で、平均を上回った。
野田氏は、立民は約1割だからよく、自民は約3割だからダメというのか。
野田氏は選挙中、この点を産経新聞記者に聞かれると
「世襲の人たちも含めて政治団体や政治資金の相続をできないようにする法案に皆賛成しているので全然違う」
と色をなして反論した。
何が
「全然違う」
のか理解に苦しむ。
野田氏は民主党伝統の
「ブーメラン」
の名手でもある。
平成21年衆院選で
「マニフェストに書いてあることは命懸けで実行する」
「書いていないことはやらない」
と訴えた。
民主党政権でマニフェストの多くが実行できなかったことは周知の通り。
自身が首相に就くと、マニフェストに書いていない消費税の増税を決めた。
ルールを守らず、発言に責任を持たず、失敗の責任も取らない。
政治家とて人間。
聖人君子たれ、とは言わないが、論語の
「君子はこれを己に求む 小人はこれを人に求む」(リーダーは責任を取る)
ぐらいは実践できないものか。
辞書に
「政治家=噓つきのこと。無責任のたとえ」
と書かれないためにも。
(政治部長兼論説委員)

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
特別国会が召集され、衆院での首相指名選挙の決選投票で、石破茂首相(自民党総裁)が立憲民主党の野田佳彦代表を破り第103代首相に選ばれた。
宮中での親任式などを経て第2次石破内閣が発足した。
石破首相は衆院選で、自身が設定した与党過半数という勝敗ラインを達成できなかった。
国民の信を得られなかったにもかかわらず石破首相も森山裕幹事長も責任を取って辞任することはなかった。
憲政の筋を踏まえない首相続投は残念である。
石破首相に批判的な自民議員は少なくない。
彼らが首相指名選挙で石破氏を選んだのは、安全保障政策などで非現実的な立民の野田氏に国の舵取りを任せるわけにはいかないと考えた末の苦渋の選択だろう。
■少数与党で展望描けず
30年ぶりの少数与党政権として石破首相は再出発を図る。
国内外の課題は山積し、政権基盤が脆弱とあっては石破首相の前途は多難という他ない。
国政の停滞を憂えるばかりだ。
真っ先に取り組むことになるのは政治とカネを巡る問題である。
石破首相は、2024年年内召集予定の臨時国会に政治資金規正法の再改正案を提出し、成立を期す必要がある。
政治資金の透明性確保とパーティー収入不記載事件の再発防止に決着を図らなければならない。
政策活動費廃止や調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開、政治資金を監視する第三者機関設置などが焦点とされるが、外国人・外国法人のパーティー券購入の禁止も不可欠の課題である。
自民、公明両党の与党は衆院でキャスチングボートを握る国民民主党と、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万円の壁」
の解消などについて協議しているが、財源確保の問題もある。
重要なのはデフレからの完全脱却に向け、物価上昇を上回る賃上げを確実なものにし、自律的な経済成長を実現することだ。
衆院が過半数割れである以上、野党側との政策協議は欠かせないが、経済財政運営の大局は見失ってはならない。
最も懸念されるのは、国会運営の混乱で日本の政治が内向きに終始し、国の平和と独立、国民の安全を守る政策遂行が疎かになってしまうことだ。
外交安全保障への関心を失っては大変なことになる。
米国との同盟関係は、国家安全保障にとって死活的に重要である。
石破首相は、米大統領選に勝利したトランプ前大統領と早期に直接会談し、同盟強化を確認しなければならない。
中国、北朝鮮、ロシアの脅威に直面する日本は、日本防衛や台湾有事、朝鮮半島有事への米国の関与を常に確かなものにしておく必要がある。
トランプ氏の関心を、日本および北東アジア、インド太平洋にも向けさせるのは石破首相に課せられた最も重要な責務である。
■国の「基本」を守り抜け
ロシアのウクライナ侵略は続き、派兵された北朝鮮軍がウクライナ軍と交戦する事態となった。
「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を石破首相は忘れず、侵略者ロシアが凱歌をあげるような展開を許さない外交を展開すべきである。
中東は喫緊の課題だ。
戦火が拡大し、イスラエル・イラン間の
「第5次中東戦争」
の様相を呈する恐れがある。
イランなどにいる日本人の帰国や安全確保を急ぐべきだ。
エネルギー需給の面からも備えてほしい。
防衛力の抜本的強化を確実に進めたい。
募集難になっている自衛官確保策の推進や、有事を想定した空港、港湾、シェルター建設も課題だ。
もう1つ懸念されるのは、与党が目先の国会運営に捉われて、十分な議論もなしに国や社会の基本を乱す施策を受け入れてしまうことだ。
自民は衆院で、予算委員会や法務委員会の委員長、憲法審査会の会長などの重要ポストを立民に譲った。
憲法審会長に就く立民の枝野幸男元代表は改憲の動きにブレーキをかけてきた人物だ。
憲法審の議論が滞るなら改憲に前向きな政党で改憲原案の条文化を進めるべきだ。
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

石破茂首相の居眠り? 林芳正官房長官は「風邪薬を服用」と釈明
2024/11/12 0:17
https://www.sankei.com/article/20241112-VDNXTOP5VVMO7F2GO4LVLL5BCA/
林芳正官房長官は2024年11月11日夜の記者会見で、石破茂首相が同日の衆院本会議での首相指名選挙中、しばらく俯き、目を瞑る一幕があったことについて
「(首相は)深夜まで多忙を極める毎日を送っているが、本日は風邪気味で風邪薬を服用していたと聞いている」
と釈明した。
X(旧ツイッター)上に関連の動画が投稿され、
「居眠りをしている」
などのコメントが寄せられていた。
林氏は
「風邪気味であることを除けば、健康状態に何ら問題はない」
と語った。

石破茂首相、政治資金規正法再改正「年内にも」 内閣発足後会見「協力得られるよう努力」
2024/11/12 0:10
https://www.sankei.com/article/20241112-AWVOUTXCYRINHOQ53ZYLQ4L3NI/
石破茂首相は2024年11月11日、第2次内閣の発足後に記者会見した。
自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受けた政治改革について
「速やかに自民党案を取りまとめ、2024年年内にも法制上の措置を可能とするべく、多くの党の協力を得られるよう努力する」
と述べ、政治資金を監視する第三者機関の設置など、政治資金規正法の年内の再改正を目指す考えを表明した。
歳費法の改正を伴う調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開・残金返納や、政策活動費の廃止についても
「党内の意見を早急に取りまとめ、各党、各会派との調整を精力的に進めたい」
と述べた。
野党が主張する企業・団体献金の廃止に関しては
「各党が色んな考え方を持っているので、それが国民に分かる形で議論し、早急に結論を出すことが必要だ」
と述べるにとどめた。
与党過半数割れを受けた国会運営については
「丁寧にやりながら、尚且つ迅速に結論が出るという二律背反みたいなことを満足させるためには、かなりの工夫が必要だ」
と指摘した。
次期春闘での持続的な賃上げや最低賃金の引き上げに向け、今月2024年11月にも政労使の意見交換を開催すると表明。
交流サイト(SNS)などで繋がって強盗や特殊詐欺を繰り返す
「匿名・流動型犯罪グループ」
の摘発に向けた取り組みを推進する考えを強調した。

「互いの利益になる提案を」石破首相、トランプ氏との早期会談に意欲 14日から南米訪問
2024/11/11 23:26
https://www.sankei.com/article/20241111-V2MPR755OBGIJCIGU2HQ56OYWQ/
石破茂首相は2024年11月11日夜、第2次石破内閣の発足を受けて官邸で記者会見し、トランプ次期米大統領について
「なるべく早いタイミングで直接会談する機会を持ちたい」
と述べ、早期の会談に意欲を示した。
その上で、
「米国には米国の、日本には日本の国益がある」
「正面からぶつかってもどうにもならない」
「相乗的にお互いの利益に、アジア太平洋地域の平和と安定に資するものだということをどれだけ提案するかだ」
と述べ、
「どれだけ譲るとか譲らないとか、そういうのは、ディールの世界に尽きるものだと私自身は思っていない」
と語った。
トランプ氏の掲げる政策について、
「大統領選中も色々な主張をしていた」
「ウクライナについて、ガザについて、同盟関係について然り」
「どのような政策を打ち出していくかは現在予測つくものではない」
「選挙期間中にどういう発言したかを詳細に分析する」
と述べるにとどめた。
また、首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するため、2024年11月14日から南米を訪問すると表明した。
バイデン米大統領、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との会談にも意欲を示した。

石破首相、年収の壁見直し「真摯に検討」 国民民主党の主張「多くの支持は極めて重要」
動画
2024/11/11 23:11
https://www.sankei.com/article/20241111-GMXWDYQA4RC3BCBLDJG3WVBLHE/
石破茂首相は2024年11月11日夜の記者会見で、国民民主党が主張している年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の見直しについて、
「与党として真摯に検討する」
と述べた。
今後、両党の政調会長と税調会長の間で
「丁寧に協議を進めていきたい」
とも語った。
首相は、国民の手取りの増え方や労働市場への労働力の供給拡大などに加え、減税に伴う税収全体への影響などを
「精密に計算していかなければならない」
と指摘。
ただ、先の衆院選で国民民主党が見直しの主張を掲げ、
「多くの支持を得たことは極めて重要なことだと思っている」
とも述べた。

石破首相 旧文通費使途公開と残金返還に意欲 政治改革、年内の法整備へ努力 官邸で会見
2024/11/11 22:53
https://www.sankei.com/article/20241111-POJ6XHBHNRAUTNCYOTQLLIJVEI/
石破茂首相(自民党総裁)は2024年11月11日夜、第2次石破内閣の発足を受けて官邸で記者会見し、政治改革に関して
「速やかに自民党案を取りまとめ、2024年年内にも法制上の措置を可能とするべく、多くの党の協力を得られるように努力する」
と強調した。
国会議員に1人当たり月額100万円が支給される
「調査研究広報滞在費」(旧文書通信交通滞在費)
の透明化を急ぐ考えを示し、
「使途の公開、残金の返還について早急に国民に結論を示す」
と述べ、歳費法の改正に意欲を示した。
使途公開が不要な政策活動費の廃止に関しても
「各党各会派に議論してもらい、早期に結論を得るべく、私自身、誠心誠意尽力する」
と述べた
政治資金の透明化に向け、プライバシーへの配慮などのため使途の公開が困難な部分について、独立した第三者機関の監視下に置く必要性に改めて言及した。
政治資金収支報告書のデジタル化に関しては、
「誰もが容易に内容を確認できるデータベースを構築することは喫緊に行う改革だ」
と強調した。
派閥政治資金パーティー収入不記載事件の関与が指摘された議員らに対し、衆参両院の政治倫理審査会への出席を重ねて促した。

石破茂首相、少数与党で険しい政権運営 くすぶる「予算花道」退陣論
2024/11/11 20:01
https://www.sankei.com/article/20241111-T2IXWU2GR5NGTDYPTH3N4OJLYQ/
30年ぶりの決選投票の末、首相指名選挙で選出された石破茂首相(自民党総裁)だが、前途多難な状況は続いている。
先の衆院選で与党過半数割れとなり、少数与党として臨む今後の国会は、多数派工作が奏功しなければ短命となる懸念もある。自民内には通常国会での令和7年度予算成立を花道とした退陣論がくすぶっており、首相は党内外を意識した難しい政権運営を迫られる。
特別国会召集日の2024年11月11日に国会内で開かれた自民の会合で、首相は
「選挙で示された国民の声に応え、我が党一体となり、総力を挙げて難局を乗り切りたい」
と呼び掛けた。
衆院選での大敗により
「自民党・無所属の会」
と公明党の与党会派の勢力は計220人にとどまり、衆院過半数(233)に届いていない。
衆院選では派閥パーティー収入不記載事件の影響が払拭できずに厳しい結果となり、第2次石破政権は厳しい船出となる。
過去に少数与党として臨んだ内閣には、政権運営に苦しみ、短命となったケースもある。
平成6年に発足した羽田孜内閣は、首相指名直後に社会党が連立政権から離脱。
少数与党となり、政権基盤が安定せずに総辞職に追い込まれた。
在職期間は64日間で、戦後2番目の短さとなった。
衆院選での与党大敗は国会のポストにも影響を及ぼしている。
自民は衆院予算委員長など複数の主要ポストを野党側に譲った。
国会運営を円滑に行うために譲歩したとみられるが、予算委員長は議事進行などで大きな権限を持つ。
そのため、政権幹部は
「予算委員会で政府側の答弁に納得いかなければ、『もう1度答えなさい』という場面も出てくるのでは」
と懸念する。
自民内ではこれまでのところ
「石破おろし」
の表立った動きは見られないが、令和7年度予算を成立させた後の退陣論も囁かれる。
少数与党として臨む予算審議では、野党から予算委への頻繁な首相出席など様々な要求が出ることも予想され、予算案に賛成する条件として石破政権の退陣を突き付けられる可能性もある。
自民ベテランは
「普通に考えれば、来年2025年度予算成立後に退陣だろう」
「今は『石破おろし』をするタイミングではない」
と指摘する。
ただ、自民重鎮は
「政治とカネ」
の問題を巡る自民への逆風が収まらないことを念頭に
「首相が交代したところで、何か得るものがあるわけでもない」
と溜息をついた。

(※金カギでお願いします)「野党」で過半数も首相指名選挙勝てず 各党が「わが道」 立民・野田氏は結集へ努力強調
2024/11/11 19:52
https://www.sankei.com/article/20241111-WGTES5CYZVN2DPEOX2OWFTLBEE/
衆院選で自民、公明両党を過半数割れに追い込んだ主要野党だが、2024年11月11日召集の特別国会で行われた首相指名選挙では各党が
「我が道」
を歩んだ。
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月11日の衆院本会議後、記者団に野党を結集できなかった責任を問われ、
「本当に政権を取りに行くという共通認識を作りきれていなかった」
「結集できなかったことは不徳の致すところだ」
と述べた。
同時に来夏2025年夏の参院選や次期衆院選に向け、野党の結束点を見い出せるよう努力を重ねる考えを強調した。
衆院選で野党は過半数を握ったにもかかわらず、決選投票の結果は石破茂首相(自民総裁)が221票、立民の野田氏が160票、無効票が84票だった。
「野党の盟主」
である立民がリーダーシップを発揮できず敗れ、野党各党がそれぞれの道を歩み出した1日でもあった。
選挙後、最も注目を浴びた国民民主党は玉木雄一郎代表に投票した。
「手取りを増やす」
政策を掲げて躍進し、
「政策実現」
に向け与野党との攻防を繰り広げ新しい野党の可能性を示しつつあった。
だが、特別国会初日に玉木氏の不倫報道が直撃。
玉木氏は国会内の党会合で謝罪し、
「政策実現に向けて全力を傾けていきたい」
と語った。
国民民主に対し、野党的な性格を強めそうなのが日本維新の会だ。
首相指名選挙で2回とも馬場伸幸代表に入れた。
馬場氏は2024年11月11日、国会内で記者会見し、今後の在り方について
「結党以来、与野党と『是々非々』でやってきた」
と述べた。
馬場氏は前日の首相との会談でも政府・自民に厳しく臨む姿勢を示している。
一方、共産党は決選投票で野田氏に投じ、
「立憲共産党」
を演じた。
田村智子委員長は2024年11月11日、国会内での記者会見で衆院選で示された民意は
「自公政権ノー」
だと説明。
公示前よりも議席を減らしており、今後の国会運営などで立民に付いた方が得策と判断したようだ。

石破首相、指名選挙で居眠りか うつむき目つぶる 「著しく緊張感に欠ける」野党苦言
2024/11/11 18:26
https://www.sankei.com/article/20241111-NF544UFRJFPCZLG44MZ67YUZKE/
石破茂首相が2024年11月11日の衆院本会議での首相指名選挙中、しばらくうつむき、目をつぶる一幕があった。
X(旧ツイッター)に関連の動画が投稿され
「よく寝ていられるな」
といったコメントが寄せられた。
野党からは
「寝ていたとすれば、著しく緊張感に欠ける」(立憲民主党ベテラン)
と苦言が呈された。
首相が目をつぶっていたのは、1回目の投票時で、他の議員が点呼されている最中とみられる。
隣席の林芳正官房長官が心配したように、首相を見やる場面もあった。

石破首相、45年ぶりに衆院過半数得ずに首相就任 決選投票でも届かず 大平正芳氏以来 
2024/11/11 17:34
https://www.sankei.com/article/20241111-SCHIQQ4DTFD2DMLVNW2LHCAA6A/
衆院は2024年11月11日の本会議で首相指名選挙を行い、決選投票の末に石破茂首相(自民党総裁)を第103代首相に指名した。
ただ、得票数は決選投票でも221票に留まり、過半数(233)には届かなかった。
衆院議員総数に対する比率は47%強。
衆院で過半数を割る得票数で首相に就任するのは、昭和54年、自民党の大平正芳元首相以来、45年ぶりとなった。
衆院規則では、首相指名選挙で過半数を得る候補がいなかった場合は、上位2人による決選投票を行うと定めている。
決選投票では、より多くの得票を得た候補を首相に指名する決まりだ。
今回は、最初の投票で過半数を得た候補がおらず、石破首相と立憲民主党の野田佳彦代表による決選投票となった。
決選投票では野田氏に160票が投じられた他、その他の名前を記載し無効となった票が84票あった。
石破首相は最初の投票と同じ得票数だったが、数の上では野田氏を上回ったため、首相に指名された。
決選投票は過去4回行われた。
このうち、昭和54年11月、
「40日抗争」
と言われる保守分裂下で行われた決選投票では、衆院の過半数256に対して、首相に選出された大平氏が得たのは138票だった。
自民内の反主流派が担いだ福田赳夫元首相が121票を獲得。
野党などの無効票が252票あり、大平氏が指名された。

石破首相が第103代首相に 衆院決選投票で首相221票、野田氏160票、無効84票 
2024/11/11 16:20
https://www.sankei.com/article/20241111-245AB5LUGFALJHR723GSRD4RUQ/
衆院本会議で2024年11月11日午後、先の衆院選を受けた首相指名選挙の決選投票が行われ、石破茂首相(自民党総裁)が第103代首相に指名された。
石破首相は同日中に第2次石破内閣を発足させる。
第1回投票で上位だった石破首相、立憲民主党の野田佳彦代表の2人による決選投票で、石破首相は221票で野田氏の160票を上回った。
その他の名前を記載した84票は無効となった。
第1回投票では石破首相が221票、野田氏が151票で、いずれも過半数の233票を獲得できず、選挙は30年ぶりに決選投票に持ち越されていた。
その後行われた参院本会議は首相指名選挙の結果、自民党の石破首相を選出した。

首相指名選挙 決選投票の結果は?仕組みは?過去の決選投票も
2024年11月11日 16時37分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241111/k100146349110
総理大臣指名選挙は決選投票が行われ、衆参両院で総理大臣に指名された、石破総理大臣が第103代総理大臣に選出されました。
投票の結果や過去の決選投票などについて詳しくお伝えします。
目次
石破首相が第103代の首相に選出
★決選投票の仕組みは?
■石破首相が第103代の首相に選出
衆議院本会議での総理大臣指名選挙は、1回目の投票で決着が付かず、石破総理大臣と野党第1党の立憲民主党の野田代表による決選投票が行われました。
一方、与党が過半数を占める参議院本会議でもこれに先立ち総理大臣指名選挙が行われ、投票の結果、石破総理大臣が指名されました。
この結果、衆参両院で総理大臣に指名された、石破総理大臣が第103代総理大臣に選出されました。
投票結果は次の通りです。
■衆議院 1回目の投票結果
▽石破総理大臣 221票
▽立憲民主党 野田代表 151票
▽日本維新の会 馬場代表 38票
▽国民民主党 玉木代表 28票
▽れいわ新選組 山本代表 9票
▽共産党 田村委員長 8票
▽無所属 吉良州司氏 4票
▽参政党 神谷代表 3票
▽日本保守党 河村たかし氏 3票
■参議院 投票結果
▽石破総理大臣 142票
▽立憲民主党 野田代表 46票
▽日本維新の会 馬場代表 18票
▽国民民主党 玉木代表 11票
▽共産党 田村委員長 11票
▽れいわ新選組 山本代表 5票
▽国民民主党 伊藤孝恵氏 1票
▽参政党 神谷代表 1票
▽自民党 末松信介氏 1票
▽無所属 吉良州司氏 1票
▽自民党 茂木敏充氏 1票
▽白票 1票
衆議院 決選投票の結果
▽石破総理大臣 221票
▽野田代表 160票
▽無効票 84票
■決選投票の仕組みは?
総理大臣指名選挙の仕組みについて、改めて整理します。
総理大臣指名選挙は、衆参両院のそれぞれの本会議で行われ、投票は、1人の名前を書く「単記記名」の方式がとられます。
その投票総数の過半数を得た人が総理大臣に指名されます。
1回目の投票で誰も過半数に届かなかった場合には、上位2人の決選投票が行われます。
決選投票では、上位2人以外の名前が書かれた票は、無効票としてカウントされます。投票の結果、2人のうち、多くの票を得たほうが総理大臣に指名されることになります。
■過去の決選投票は?
総理大臣指名選挙の決選投票は現在の憲法のもとでは衆議院で4回行われてきました。
1948年:吉田茂氏と片山哲氏
終戦後の1948年に行われた総理大臣指名選挙。吉田茂氏と片山哲氏による争いは決選投票にもつれこみました。
その結果、吉田茂氏が総理大臣に指名されました。
1953年:吉田茂氏と重光葵氏
その5年後、1953年にも。再び吉田氏が決選投票に臨み、重光葵氏との争いを制し、総理大臣に選出されました。
1979年:大平正芳氏と福田赳夫氏
1979年には大平正芳氏と福田赳夫氏による決選投票に。自民党どうしの争いでした。
当時、自民党では衆議院選挙での敗北を受けて派閥が激しく対立する
「40日抗争」
が起きていました。
(浜田幸一氏)
「いいか、断わっとくけどな、かわいい子どもたちの時代のために自民党があるということを忘れるな。お前らのためにだけ自民党があるんじゃないぞ」
自民党から2人が総理大臣候補となる異例の事態。制したのは大平氏でした。
1994年:村山富市氏と海部俊樹氏
そして、直近では1994年。村山富市氏と海部俊樹氏の争いです。
政権復帰をねらう自民党が社会党とさきがけと組んで推した村山氏と、新生党や公明党などが推した海部氏。
決選投票の結果、村山氏が総理大臣に選出され、自民・社会・さきがけの3党連立政権が誕生しました。
■選挙後の各党の動きは
衆議院選挙で自民・公明両党が過半数割れとなる中、総理大臣指名選挙に向けて与野党はどう動いたのでしょうか。
今回の衆議院選挙で、自民・公明両党は合わせて215議席と、目標としていた過半数の233議席を下回りました。
こうした中、石破総理大臣は自らが続投し、連立政権を維持していく考えを示しました。
(石破首相 10月28日)
「現下の厳しい課題に取り組み、国民生活を守る、日本国を守るということで職責を果たしてまいりたい」
自民党は、野党と政策ごとに一致できる点を探りながらの政権運営を目指し、総理大臣指名選挙で石破氏が指名されるよう野党側と調整を始めます。
一方、選挙前の98議席から大幅に増やし、148議席となった立憲民主党。指名選挙に向けて、他の野党との連携を模索します。
(立民 野田代表 10月28日)
「自分がまず手を挙げて、ご協力をお願いをするというのが基本だろう。誠意ある対話を明日からでも始められればなと」
野田代表は、日本維新の会や共産党と党首会談を行い、決選投票になった場合は、自身に投票するよう呼び掛けました。
(野田代表 10月30日)
「政権を変えていく大きなチャンスでもあるので、首班指名選挙では私“野田”と、是非お願いをしますと」
(共産 田村委員長 10月30日)
「企業・団体献金の全面禁止。このことが確認をできれば、対応については前向きに検討をしたい」
一方、維新は。
(維新 馬場代表 10月30日)
「国民の皆さんがなるほどと思っていただけるような、やはり大きな大義、そういうものがなければ我々は与することはないと」
こうした中、注目されたのが、選挙前の7議席から4倍の28議席に増やした、国民民主党の動向です。
(国民 玉木代表 10月29日)
「私たちが欲しいのはポストではなくて、選挙で約束した手取りを増やす、国民の懐を潤す、経済政策の実現が欲しいんです」
玉木代表は、自民・公明両党の連立政権に加わらず、党が掲げた政策の実現に向けて政策ごとに協力できるか判断したいという考えを示しました。
その後、国民民主党は、自民党と幹事長会談を行い、新たな経済対策の内容を含め、政策ごとに協議を進めていくことで一致。
公明党とは、いわゆる
「年収の壁」
を巡って国民民主党が主張している
「103万円の壁」
の見直しなどについて、協議を進めていくことで一致しました。
一方、玉木代表は、立憲民主党の野田代表と会談。
政治改革を急ぐため、2024年年内の政治資金規正法の再改正を目指すことで一致し、野田代表は
「103万円の壁」
の見直しに協力する考えを伝えました。
ただ、国民民主党は、総理大臣指名選挙では決選投票になった場合も含め、玉木代表に投票する方針です。
(国民 玉木代表 10月30日)
「1回目・2回目も玉木雄一郎と書くのが一番我々に票を投じてくれた皆さんに、その思いにですね、最も寄り添うものだと」

石破首相221票、野田氏151票 衆院の首相指名選挙は決戦投票へ 玉木氏も28票
2024/11/11 15:22
https://www.sankei.com/article/20241111-M26OMSBFZNACDJALZE4LNFNEQM/
衆院本会議で2024年11月11日午後、先の衆院選を受けた首相指名選挙が行われ、石破茂首相(自民党総裁)が221票、立憲民主党の野田佳彦代表が151票などを獲得した。
しかし、いずれも過半数の233票を獲得できず、選挙は30年ぶりに、両氏による決選投票に持ち越された。
決選投票では石破首相が野田氏より多くの得票を得て、第103代首相に選出される見通し。
衆院本会議での第1回投票の内訳は以下の通り。
石破首相=221票
野田氏=151票
日本維新の会・馬場伸幸代表=38票
国民民主党・玉木雄一郎代表=28票
れいわ新選組・山本太郎代表=9票
共産党・田村智子委員長=8票
無所属・吉良州司氏=4票
参政党・神谷宗幣代表=3票
日本保守党・河村たかし共同代表=3票
無効票は0票だった。

石破内閣が総辞職、臨時閣議で 決戦投票で首相、再選出へ 第2次内閣は夜発足
2024/11/11 9:00
https://www.sankei.com/article/20241111-XLWGF5S37FKA3E77JVYOUIGMVU/
衆院選を受けた第215特別国会は2024年11月11日召集され、石破茂首相(67)=自民党総裁=が同日午後、衆院本会議での首相指名選挙で立憲民主党の野田佳彦代表(67)との決選投票の末、第103代首相に選出される。
首相は皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て、同日夜に第2次石破内閣を発足させる。
衆院選で落選した法相、農相を含む3閣僚が交代、その他の閣僚は再任する。
与党過半数割れに伴う少数与党内閣で、厳しい政権運営を強いられるのは確実だ。
これに先立ち首相は国民民主党の玉木雄一郎代表(55)と会談する。
続いて野田氏と党首同士で会い、政治改革を含めた国会対応などで協力を求めるとみられる。
第1次石破内閣は2024年11月11日午前の臨時閣議で総辞職した。
首相は夜に官邸で記者会見し、2024年度補正予算案や法案審議への取り組み方針を説明する。

きょう特別国会召集 首相指名選挙経て 第2次石破内閣発足へ
2024年11月11日 5時59分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241111/k10014634731000.html
先の衆議院選挙を受けた特別国会が2024年11月11日、召集されます。
衆議院で与党が過半数を割り込む中、総理大臣指名選挙では石破総理大臣が立憲民主党の野田代表との決選投票を経て再び選出される見通しです。
石破総理大臣は選出後、直ちに新内閣の組閣に臨み、11日夜、第2次石破内閣を発足させることにしています。
先の衆議院選挙を受けた第215特別国会が2024年11月11日に召集され、午後、衆参両院の本会議で総理大臣指名選挙が行われます。
与党が過半数を割り込む衆議院では1回目の投票で決着がつかず、石破総理大臣と野党第1党の立憲民主党の野田代表との決選投票になる見込みです。
衆議院での決選投票は30年ぶりとなりますが、野党側による一本化は実現せず、石破総理大臣が再び選出される見通しです。
石破総理大臣は選出後、直ちに新内閣の組閣に臨み、衆議院選挙で落選した閣僚の後任として法務大臣に鈴木馨祐氏、農林水産大臣に江藤拓氏を起用する方針です。
また、公明党の斉藤代表にかわる国土交通大臣には同じ公明党から中野洋昌氏をあて、他の閣僚は再任する方針です。
そして、組閣を終えたあと皇居での親任式と閣僚の認証式を経て、2024年11月11日夜、第2次石破内閣を発足させ、記者会見を行って今後の政権運営の方針などを説明する見通しです。
一方、石破総理大臣は、2024年11月10日の日本維新の会の馬場代表に続いて2024年11月11日も立憲民主党の野田代表、国民民主党の玉木代表と党首会談を行うことにしています。
会談で石破総理大臣は、政治改革をはじめ様々な政策の実現に協力を要請することにしています。

第2次石破内閣11日発足 特別国会、首相指名へ
2024/11/11 1:00
https://www.sankei.com/article/20241111-5MEHGEZUJRPHVD2XHN2VCDGYDU/
衆院選を受けた第215特別国会が2024年11月11日、召集される。
衆参両院の本会議で首相指名選挙が行われ、自民党総裁の石破茂首相が第103代首相に選出される見通しだ。
皇居での首相任命式と閣僚認証式を経て、公明党との連立による第2次石破内閣が同日発足する。
午後の衆院本会議での首相指名選挙は石破氏と立憲民主党の野田佳彦代表の決選投票となる見込み。
日本維新の会や国民民主党、参政党は決選投票を含めそれぞれの党代表に投票する方針で、石破氏の得票が野田氏を上回る可能性が高い。
首相は選出後、組閣本部を設置。法相に自民の鈴木馨祐元外務副大臣、農相に自民の江藤拓元農相をそれぞれ起用する。
公明代表に就いた斉藤鉄夫国土交通相の後任は公明の中野洋昌元経済産業政務官を充てる。
首相指名選挙に先立ち、議長に再選となる自民の額賀福志郎氏、副議長に立民の玄葉光一郎氏を選出。
体調不良を理由に辞任する尾辻秀久参院議長の後任は、自民の関口昌一氏を選ぶ。

石破政権「103万円の壁」撤廃も増税画策≠ノ警戒 手取り増と逆行、厚生年金106万円の壁撤廃へ 浮上財源論≠フ裏に財務省の影
2024.11/10 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241110-C7CIUVCNGBOYNMCXZGWC3VE6SI/
石破茂首相(自民党総裁)と、国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月11日に党首会談を開く予定だ。
自民、公明与党と、国民民主党の政策協議で最大の焦点となるのが
「年収103万円の壁」
の撤廃だ。
幅広い層に
「減税の恩恵」
があり、労働人口を増やす効果も期待できるが、冷や水を浴びせるように
「7兆6000億円の税収減となる」
といった財源論≠ェ指摘され始めた。
財務省や財政緊縮派らが減収分を取り戻そうと
「増税・負担増」
を画策することが懸念される。
現に、厚労省はパートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件
「106万円の壁」
を撤廃する方向で最終調整に入ったが、新たに保険料負担が生じる人もいる。
衆院選で大惨敗しながら
「政権居座り」
を決め込む石破首相の
「増税・負担増」
路線に要警戒だ。

自民党の小野寺五典、国民民主党の浜口誠両政調会長は2024年11月8日、国会内で政策協議の初会合を開き、
「年収の壁」
の見直しへ向け、来週に両党の税調会長を交えて協議することを確認した。
現行制度では年収が基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計である103万円を超えると所得税が発生する。
このためパート労働者らが103万円を超えないように労働時間を抑制する現象が問題視されてきた。
1995年から最低賃金が1・73倍上昇したのを踏まえ、国民民主党は178万円への引き上げを要求している。
玉木氏は
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べ、自民党が応じない場合は、政権運営にも協力しない考えを示した。
産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、年収の壁について
「引き上げるべきだ」
とする回答が77・2%に上った。
物価高対策で最優先で取り組むべきことでも
「減税」
が32・7%と最も多かった。
一方でネガティブキャンペーンまがいの論調もある。
その1つが、基礎控除を75万円引き上げた場合、国と地方を合わせて7兆6000億円の税収減になるという
「政府試算」
だ。
上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は
「財源論が浮上したのは、財務省側の焦りの表れだろう」
「だが、財務省の省益よりも国民のために実施すべきだ」
「恒久的な減税になるように今年2024年の補正予算の1回に留めずに来年2025年以降の本予算に組み込んで効果を持続する方が望ましい」
と語る。
もう1つのネガキャンが、
「高所得者に恩恵」
というものだ。
年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。
加藤勝信財務相は
「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」
と述べた。
■「手取り増」と逆行
しかし、
「手取りの増加率」
でみると年収210万円で4・3%、500万円で2・6%、2300万円で1・7%となっている。
田中氏は
「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率でみれば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」
「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」
「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので吞まざるを得ないだろう」
との見方を示す。
国民民主党はガソリン税の
「トリガー条項」
の凍結解除や消費税率の時限的な5%引き下げなども掲げている。
加藤財務相は前出の会見で、トリガー条項の凍結解除で国と地方の減収が生じるとして、
「脱炭素に向けた潮流なども勘案しながら対応していく必要がある」
と言及した。財務省側がクギを刺した形にも見える。
田中氏は
「財務省は1度得た財源を失いたくない」
「財務省や自民党内の緊縮派は、論点を『年収の壁』に持って行き、消費税やトリガー条項の議論から目を逸らそうととする思惑もあるのかもしれない」
と推測する。
こうした中、厚労省は、会社員に扶養されるパートら短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件(106万円以上)を撤廃する方向で最終調整に入った。
年収要件をなくせば保険料負担が新たに生じ、手取り収入が減る人も出てくる。
「手取りを増やす」
政策とは逆行する動きだ。
また、税制を巡っては、石破首相も防衛力強化の財源を確保する所得、法人、たばこの3税の増税の開始時期について、2024年年末の税制改正の議論で決着させる考えを示した。
石破首相は金融所得課税の強化に言及し、その後撤回する一幕もあった。
来年2025年夏には参院選も控えるが、前出の田中氏は
「現在は増税を言い出すのは難しいだろうが、7兆6000億円を取り戻しに動くため、将来的に『増税・負担増』路線になるだろう」
「防衛増税の開始はもちろん、石破政権が続けば、首相が掲げる防災省設置構想に関連して、インフラ整備のための『防災増税』を掲げるかもしれない」
と警鐘を鳴らした。

石破茂総理では日米関係の安定望めぬ 自分たちの国は自分たちの犠牲で守る覚悟を
【疾風勁草】(16) 弁護士・高井康行
2024/11/10
https://www.sankei.com/article/20241110-3XV6QQWF6VPCXIC26JNKKOZX7Q/
当時総理だった安倍晋三氏は平成29(2016)年11月17日夕(日本時間18日午前)、訪問先の米ニューヨークのトランプ・タワーで、次期米国大統領に就任することになっていたドナルド・トランプ氏と1時間半に渡って会談した。
各国の首脳の先陣を切る会談だった。
この時、安倍氏はトランプ氏にゴルフクラブを贈呈し、トランプ氏は安倍氏にゴルフウエアを贈呈した。
爾来(じらい)、安倍氏とトランプ氏は厚い信頼関係で結ばれ、それが日米関係に確固たる安定をもたらした。
その安定した日米関係は、アジアおよびヨーロッパの安定にも大きく寄与した。
まことに残念なことに、その安倍氏は令和4年7月8日、奈良市内の近鉄大和西大寺駅北口付近で非命に倒れた。
安倍氏が生死の境にあることを知ったトランプ氏は、令和4年7月8日、SNSに、安倍氏は偉大な人間でリーダーであり、私の真の友人で、更に重要なことに、米国にとって真の友人だと投稿して安倍氏を惜しんだ。
トランプ氏と安倍氏の強い絆を感じさせる出来事だ。
一方、石破茂氏は、トランプ氏が大統領だった平成31(2018)年にウォールストリート・ジャーナルのインタビューに対し、
「日本が米国に全面的な忠誠を誓うだけなら無視されるだろう」
「トランプ大統領とゴルフしなくてもいい、トランプタワーに行かなくたっていい」
「日本は手強いぞと思わせることが大事だし、ディールのカードを持つことが大事」
「安全保障でディールのカードを全く持っていない」
と語ったという(平成31(2018)年9月27日配信、ウォールストリート・ジャーナル日本語版「日本の次期首相、石破氏は日米同盟の再構築を提唱」=ピーター・ランダーズ、ミホ・イナダ=)。
この発言には、トランプ氏との信頼関係を確かなものにし、その上に堅固な日米関係を構築するという安倍氏の構想を全面的に否定しようとする石破氏の強い意思が露骨に現れている。
石破氏は首脳同士の信頼関係ではなく、ディールによって日米関係を維持しようとしていることになるが、首脳同士に信頼関係がない中でのディールは不安定で、下手をすると日米関係に深刻な亀裂をもたらす。
■石破氏は甘過ぎる
石破氏は今年2024年8月に発刊された著書「保守政治家−わが政策、わが天命」の中で、在日米軍基地の不可欠性(米国にとっての)、非代替性を根拠に、トランプ氏が米軍駐留経費の日本側負担割合を75%から100%にすると言い出しても、そのような負担割合になれば米軍が日本の傭兵になるがそれでもいいのかという議論が可能だと主張している。
要するに、在日米軍基地がトランプ氏とのディールのカードになると言っているのだ。
しかし、台湾に防衛費を請求すると言っているトランプ氏にそのような議論が通用するはずがない。
それに、米国が世界の警察官であるためには在日米軍基地が不可欠だが、米国が世界の警察官であることを止め、米国第一主義に徹するのであれば、その不可欠性はなくなる。
更に、トランプ氏が、韓国に駐留している米軍を引き上げるとも発言したことがあることを思えば、在日米軍を引き上げると言い出しても不思議ではない。
石破氏は甘過ぎる。
報道によれば、石破氏は、今月2024年11月中にトランプ氏と会談する方向で調整しているということだが、会談ができたとして、果たして、トランプ氏との間に安倍氏のような信頼関係を築けるのだろうか。
石破氏のこれまでの発言や、石破氏が長年安倍氏と敵対関係にあり、安倍氏の政策に否定的だったこと、あろうことか安倍氏の国葬の際に安倍氏を
「国賊」
と罵った村上誠一郎氏を内閣の要職に就けていること程度の情報は、当然、トランプ氏の耳に入っているだろう。
そのような石破氏が、トランプ氏との間で見せかけではない真の信頼関係を築くことができるのだろうか。
その中で石破氏が自分の理屈に基づくディールに拘れば、日米関係は不安定にならざるを得ない。
■予測不能の混沌とした状態に
いずれにしても、我々は、トランプ大統領の再登場により、世界が予測不能の混沌とした状態になりかねないことを覚悟しなければならなくなった。
第1次トランプ政権では、トランプ氏も初めての大統領職で、勝手の分からないところや遠慮があり、側近の忠言や諌言に耳を貸して自分の考えを修正したことがあったとされている。
しかし、第2次トランプ政権では、トランプ氏は自信満々で以前のように側近たちの意見に耳を傾ける気はなく、イエスマンだけを登用するのではないかと見る向きもある。
例えば、今年2024年8月30日に、マーク・モンゴメリーとブラッドリー・ボウマンは、ウォールストリート・ジャーナルに寄稿した
「トランプ勝利なら台湾は米国を頼れるか」
という記事において、第1次トランプ政権の国防戦略の策定に関わり、第2次トランプ政権では国防総省の要職に就く可能性があるとされているエルブリッジ・コルビー氏が、それまでタカ派的な対中政策を唱え台湾を強く支持していたにもかかわらず、最近になって中華人民共和国が台湾に侵攻しても米国が台湾防衛に駆け付けない可能性があると示唆するコメントをソーシャルメディアに立て続けに発信していると伝えている。
要は外交防衛の専門家が、第2次トランプ政権に登用されることを狙って、トランプ氏の主張にすり寄り始めていることを危険な兆候として指摘しているのだ。
こうした傾向を見れば、第2次トランプ政権では、トランプ氏の過激な意見や考えが側近たちによって中和されることなく、そのまま米国の政策となる可能性も十分にあると見ておかなければならない。
■駐留経費の負担増要求なら御の字
わが国のマスコミでは、第2次トランプ政権において、米軍の駐留経費の負担増が要求されるのではないかいうことが盛んに言われているが、その程度のことで済むなら御の字だろう。
米国第1主義にとってもっともやっかいなものは、拡大抑止政策だ。
トランプ氏にしてみれば、日本を核攻撃から守るために米国が核攻撃を受ける危険を引き受けるなどということはとんでもないことだろう。
現にトランプ氏は、1期目の共和党指名争いをしている時、駐留経費の負担増に日本が応じなければ米軍を撤退させると言い、日本や韓国の核兵器保有も容認すると言った。
この時は、当時のライアン下院議長の反対意見を受け入れて、その発言を修正した。
しかし、拡大抑止政策放棄、日本、韓国の核保有容認がトランプ氏の本音だろう。
独裁的傾向を強めるであろうトランプ氏に対して、経済重視・軽武装の宏池会路線で対抗することは難しい。
トランプ大統領の再登場は、我々に、自分たちの国は自分たちの犠牲において守る覚悟を持つことを求めている

「疾風勁草」には、疾風のような厳しい苦難にあって初めて、丈夫な草が見分けられるという意味があります。
刑事司法の第1人者として知られる元検事で弁護士の高井康行さんが毎月1回、コラムを連載し、世相を斬っていきます。
プロフィル
高井康行(たかい・やすゆき)弁護士、元東京地検特捜部検事。
昭和22年、愛知県生まれ。
早稲田大学法学部卒業後、昭和47年に検事任官。
東京地検刑事部副部長、横浜地検特別刑事部長などを歴任し、リクルート事件などを捜査した。
平成9年に退官し弁護士登録。
政府の有識者会議「裁判員制度・刑事検討会」委員を務めた他、日本弁護士連合会の犯罪被害者支援委員会委員長などを務めた。

高橋洋一「日本の解き方」
旧安倍派は巻き返せるのか 鍵握る岩盤保守層の奪還、不信任に備えて態勢作りを 石破首相をおろせないようでは情けない
2024.11/9 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241109-EGSEFNXEWNMGHK73SUGB6VMVII/
2024年10月の衆院選で自民党の旧安倍派は議席を大きく減らした。
今後、保守派が勢力を結集させたり、巻き返したりすることはできるのか。
自民党派閥の衆院での勢力図を見ると、旧安倍派は昨年2023年12月1日時点で59人いたが、衆院選後は無所属となった萩生田光一元政調会長と西村康稔元経産相を除く20人となった。
麻生派は40人から31人に、旧岸田派は34人から26人に、旧茂木派は32人から27人に、旧二階派は31人から21人となり、旧森山派は立候補した7人全員が当選した。
見事なほどに旧安倍派が大幅に減っている。
石破茂首相にとって、党内抗争としては上出来だったのかもしれないが、結果的に自民党は歴史的大敗を喫した。
党勢が表れる比例票について、今回2024年と前回2021年の衆院選を比較すると、前回の選挙より比例票を減らしたのは自民党と公明党、日本維新の会、共産党などで、増やしたのは国民民主党とれいわ新選組だった。
新興政党では参政党と日本保守党も一定の票を獲得した。
自民党、公明党、維新の票は、より右と言える参政党と保守党や、中道の国民民主党に流れたと見る事が出来る。
意外なようだが、立憲民主党は比例票は微増にとどまった。
小選挙区では自民党の自滅によって棚ぼたの議席を得た形だ。
尚、得票率でみると、自民党は民主党に政権を奪われた2009年の衆院選時に26・7%で、前回2021年は34・7%だった。
今回の衆院選では26・7%と政権交代時に逆戻りした格好だ。
維新と国民民主党は共に中道右派で政策が似ているので、単純化すれば、維新の減少分がそのまま国民民主党の増加となったとも解釈できる。
参政党と日本保守党には、自民党の岩盤保守層の票が流れたと見られる。
参政党は95人の候補者を立て、小選挙区で約135万票、比例で約187万票を獲得した。
日本保守党は30人の候補者を立て、小選挙区で約15万票、比例では約114万票を獲得している。
石破自民の政策は、安倍晋三政権当時よりかなり左傾化し、野田佳彦代表の立憲民主党と見間違うほど似通っていた。
となると、岩盤保守層は逃げ出し、受け皿が参政党や保守党になったのだろう。
公明党の減少は自然減と見ていいのではないか。
さて、旧安倍派が党勢を巻き返せるかどうかは、ひとえに逃げた岩盤保守層を取り戻せるかどうかにかかっている。
旧安倍派「5人衆」のうち、離党した世耕弘成前参院幹事長と、無所属の西村氏、萩生田氏、比例と重複しなかった松野博一前官房長官は勝利した。
彼らを中心として巻き返す他ないが、かつての第一派閥が今や第五派閥だ。
まずは、石破首相にどのように対峙するのかが課題だ。
自ら設けた
「自公過半数」
という甘い目標を達成できなかったのに居座りを続ける石破首相を降ろせないようでは情けない。
野党は、いつでも内閣不信任案を提出できるが、その時に備えて自民党内をリードできる態勢を作っておくことが、復権の第一歩だろう。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

トランプ氏勝利 安倍氏の功績で「石破首相でも渡り合える」 麗澤大の江崎道朗客員教授
広島「正論」友の会
2024/11/7 20:54
https://www.sankei.com/article/20241107-UKCGRSVE5BKORIKMVWLI3ZWP5Y/
広島「正論」友の会の第24回講演会が2024年11月7日、広島市中区のリーガロイヤルホテル広島で開かれ、麗澤大客員教授の江崎道朗氏が
「米大統領選と日本の安全保障」
と題して講演した。
江崎氏は、トランプ前大統領が勝利した米大統領選に言及し、
「日本は第2次安倍晋三政権以降、政治や安全保障の仕組みを立て直し、十分渡り合えるようになっている」
と指摘。
トランプ氏と石破茂首相との関係性を不安視する向きも日本国内であるとしつつ
「うろたえる日本を米国は見ている」
「どっしりと構えるべきだ」
と強調した。
中国の脅威が増大し、米国単独で向き合うのが難しい状況下で中国に対峙する以上、
「日本の協力が必要」
「トランプ氏は日本を邪険にできない」
と述べた。
トランプ氏の外交戦略を
「力による平和」
とした上で
「日本にも防衛力増強を求めるはずで、我が国の憲法改正は不可避だ」
「安倍氏が敷いたレールに沿っていけば、石破氏でもトランプ氏は遇する」
との見方を示した。

<正論>日米軍事連携で「力の空白」防げ
麗澤大学特別教授、元空将・織田邦男
2024/11/8 8:00
https://www.sankei.com/article/20241108-3NGJJVOSLVNCZNQPZQY3V6ZF5U/?outputType=theme_uspe
米国の大統領選挙はトランプ氏が異例の大接戦を制した。
だが政治と社会の分断の傷は深く、そう簡単には癒やされまい。
米国第一主義の内向き傾向は強まり、海外への関与は減少し、米国の威信と指導力の低下傾向は止まらないだろう。
同盟国に今以上に自助努力を求めてくるのは確実だ。
■豪速球のトランプ氏に対し
他方、日本では総選挙で与党が過半数を割った。
信を失った首相は、辞任することもなく、少数与党で乗り切ろうとしているようだが、国内政治は混迷を深めるだろう。
経済、安全保障を問わず、豪速球のトランプ氏に対し、現政権が対等にキャッチボールできるとはとても思えない。
東アジアは台湾有事という火種を抱える。
米国の関心の低下、関与の減少、そして日本政府の機能不全が重なれば、東アジアに
「力の空白」
が生じることが懸念される。
ほくそ笑むのは台湾併合を狙う中国である。
「力の空白」
に乗じるのは中国のお家芸と言える。
2013年9月、オバマ大統領は
「米国は最早世界の警察官ではない」
と述べた。
世界各地の
「力の空白」
を容認したに等しい。
中国は、この機を逃さず、南沙諸島で岩礁の大規模な埋め立てを始め、軍事化を図った。
ロシアはクリミア半島併合を成し遂げた。
中国、ロシアは力の信奉者であり、
「力の空白」
には躊躇なく入り込む。
筆者は米国に亡命した中国人学者に
「中国とはどういう国?」
と質問したことがある。
彼は即座に
「『2人のカール』を愛する国だ」
と述べた。
「2人のカール」
とは
「資本論」
「共産党宣言」
で有名なカール・マルクスと
「戦争論」
で有名なカール・フォン・クラウゼビッツである。
両者の共通点は、
「戦争を政治の延長」
と見る現実主義者であり、
「戦争が止まる時は両者の武力が均衡した時だけである」
という力の信奉者であることだ。
戦争は
「血を流す外交」
であり、国益争奪の政治の延長に過ぎず、結局は軍事力が大きくものをいう。
■独善的な中国に対峙し
中華人民共和国建国の父、毛沢東は
「敵進我退、敵駐我攪(かく)、敵疲我打、敵退我追」
(敵が進めば退却し、敵が止まれば攪乱し、敵が疲れれば攻撃し、敵が退却すれば追撃する)
との基本戦略を残した。
強い相手には立ち向かわないが、非力と見れば容赦なく攻めたてる。
力の信奉者の面目躍如だ。
改革開放を推進したケ小平は
「韜光養晦(とうこうようかい)」
(爪を隠し、才能を覆い隠し、時期を待つ)
を掲げ経済建設に邁進した。
軍事力の貧弱さを自認、経済建設と並行し驚異的な軍拡を推し進めた。
国防費は30年間で約32倍に膨れ上がった。
かつて朱鎔基元首相は
「強硬になれるかどうかは実力次第」
と言った。
今や米国に伍する軍事力を備えた中国は、強硬で攻撃的になり、紛争の火種をまき散らしている。
南シナ海のほぼ全域の領有権を独善的に主張し、2023年8月には
「十段線」(それまでは「九段線」)
を示し、区域を拡大した。
2016年に国際仲裁裁判所裁定で南シナ海における中国の領有権主張は退けられたが、これを
「紙屑」
と切り捨て、一顧だにしない。
南シナ海侵出の歴史を見れば中国のやり口がよく分かる。
1950年代、インドシナから仏軍が撤退するや、中国はその空白に乗じて西沙諸島に侵攻。
1973年、ベトナムから米軍が撤退するや、機を見逃さず、西沙諸島全域を支配。
1980年代半ば、ソ連軍がベトナムのカムラン湾の部隊を縮小するや、すかさず南沙諸島西側を占拠。
1992年、米海軍が在比スービック基地から撤退を決めるや、南沙諸島に侵出し、ミスチーフ環礁を占拠し、スカボロー礁を支配した。
1992年に中国は領海法を制定し、南沙、西沙諸島のみならず尖閣諸島まで中国領土と明記している。
■日本の政局混迷の中で
中国は、常に力関係を瀬踏みしている。
相手が弱いと見るや、強硬に出るし、
「力の空白」
には躊躇なく入り込む。
チベット、新疆ウイグル自治区へと版図を広げたやり口は力の信奉者そのものだ。
フィリピンが今、中国の圧力に晒されている。
領有権問題でフィリピンの沿岸警備隊が中国海警の艦船に放水されたり、衝突されたりしている。
公船への放水や衝突などは国連海洋法条約違反である。
日本の海上保安庁の巡視船には決してしないことをフィリピン沿岸警備隊には実施する。
それはフィリピンが弱いからである。
石破茂政権は基盤が脆弱であり、政局は混迷し、東アジアにきめ細かく目配りする余力はないだろう。
米新政権も外交が正常に機能するには来夏2025年夏くらいまでかかる。
日米の機能不全で東アジアに
「力の空白」
を生じさせてはならない。
頼みの綱は、自衛隊と米軍だ。
民主主義国家の軍は政局の影響を受けにくい。
自衛隊と米軍は従前以上に連携を密にし、共同訓練を頻繁に行い、警戒を怠らず、即応態勢を維持する。
そして可能な限りそれを公開することだ。
日米の強固な軍事連携が今ほど求められている時はない。

自民、また譲歩 憲法審査会長に枝野氏「憲法改正・選択的夫婦別姓」担うポストも 岩盤保守層離れ拍車「自民『終わりの始まり』では」
2024.11/9 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241109-HETA6NXDR5MCHBALTUMOPNDIMI/
衆院選での
「自公与党の過半数割れ」
を受け、与野党は2024年11月8日、衆院各派協議会で、委員長と審査会長のポスト配分を確定した。
野田佳彦代表の立憲民主党は予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで確保した。
自民党の党是である
「憲法改正」
が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
石破茂首相の下、自民党の支持基盤が更に危うくなっている。

「自民党の『終わりの始まり』ではないか」
政治学者の岩田温氏は、自民党が、憲法審査会長と法務委員長を明け渡したことについて、こう語った。
石破自民党が惨敗した衆院選によって、前向きな
「改憲勢力」
は国会発議に必要な定数の3分の2を割り込んだ。
こうした中、憲法審査会長に就く立憲民主党の枝野幸男元官房長官は、自民党が憲法改正の優先事項に据える
「緊急事態条項の新設」
に反対し、憲法への
「自衛隊明記も不要」
との立場だ。
改憲慎重派に配慮した審査会運営が予想される。
更に、野田氏は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは
「選択的夫婦別姓の実現」
が狙いと明かした。
野田氏は
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
と語った。
選択的夫婦別姓を巡っては、
「親子別姓」

「兄弟別姓」
に繋がり、
「親子の絆」
「兄弟の絆」
「家族の絆」
を危うくするとの指摘もある。
石破茂首相は総裁選で、
「選択的夫婦別姓の導入」
に前向きな姿勢を示していたが、所信表明演説(2024年10月4日)や、衆院選の政権公約では明確に触れなかった。
「岩盤保守層」
の反発を避けたとの見方もあるが、石破執行部が衆院選で強行した
「非公認」

「比例重複を認めず」
といった対応で、保守勢力は大きく縮小した。
一連の動きをどうみるか。
前出の岩田氏は
「まず、憲法審査会長を明け渡したのは、石破首相の『憲法改正はしない』という意思の表れではないか」
「法務委員長の件も深刻だ」
「もし、夫婦別姓が導入されて『親子別姓』『兄弟別姓』となれば、家族の一体感が保てるかは大いに疑問だ」
「岩盤保守層は、もう自民党には戻らないだろう」
「石破自民党の愚かさは留まることを知らない」
と語った。

正論12月号 覆面座談会「メディア裏通信簿」
2024/11/9 12:00
https://www.sankei.com/article/20241109-NHNWKFV7LRCX7DQZWNMLAW2GBM/?outputType=theme_monthly-seiron
★女史
石破茂さんが新首相になったのはちょっと想定外だったよねえ。
でも、もっとびっくりしたのは、石破さんが就任後は自民党総裁選で訴えた持論を変えたり封印したりして、何だか前とは別人になっちゃったこと。
マスコミに「変わった」とか叩かれて、今度の総選挙も、期待したほどの追い風が吹かなかったよね。
★先生
2024年10月15日付の朝日新聞「時時刻刻」が
「石破カラーどこへ 裏金・政治改革 『深い反省』でも具体策示さず」
として石破の変節を取り上げているんだが、ちょっと筆が鈍いというか、あまり厳しく
「石破はダメだ」
と言ってしまうと
「じゃあ高市早苗のほうが良かったのか」
という話になりかねないので、石破を全否定するわけにもいかないみたいだ。
それが朝日の辛い所で、どうにも中途半端な記事になっていたな。
★教授
朝日では2024年10月15日付「多事奏論」で高橋純子編集委員が
「摘んだ野花は飾るとしおれる」
と題して書いていて、石破批判としては秀逸でした。
「野花を摘んで花瓶に挿したら即しおれましたとさ」
と石破新首相を皮肉っていて、まあこれに尽きているなと思った次第です。
「高市氏が首相にならずホッとした――それだけは言えるとも言えるし、それだけしか言うことはないとも言える」
などとも書いてましたけどね。
★女史
朝日としては石破さんに期待していたけれど裏切られた、という思いが強いんだろうね。
★教授
2024年10月2日「天声人語」では
「石破さん、質問があります」
と書き出して、選択的夫婦別姓制度の導入に前向きだった以前の発言を紹介して
「あの話はどうなっていますか」
と問うています。
更に
「(総裁選で)反対派の高市さんにあなたが決選投票で勝った時は、『やっと政治が動くか』と期待する声もありました」
「ところが、一昨日に公明党と交わした連立政権の合意文書には、『別姓』の記載がありません」
と追撃≠オて
「権力を手にした途端に、あっさり転向ですか」
と不満たらたらです。
聞いた話ですが、この天声人語は朝日社内で非常に好評だったそうです。
★女史
この天声人語の中で、石破内閣には女性閣僚が2人しかいませんって非難がましく書いてるよね。
でも私、朝日新聞のウェブサイトの「役員・組織図」を見ちゃったんだけど、朝日の「役員など」には約30人中、女性らしき名前が4人くらいしかないんだよね。
石破内閣の20人中2人と大して変わらないじゃん。
こういうのを言行(原稿)不一致って言うんじゃない?
★編集者
どれどれ…確かに明らかに女性らしい名前は4人だけですね。
でも男、女とは明記されてませんし
「性自認は女だ!」
という人が他にいるかもしれません。
■石破が辞めると朝日が困る
★教授
コホン。石破首相は元々、政治資金パーティー券収入の不記載問題で党の処分を受けた議員についても、総選挙では公認するつもりでした。しかし十月四日付の朝日一面「裏金議員を原則公認へ」の記事などを受けて、方針を大転換させ、十二人の前議員を非公認としました。こういう事件では、メディアは当人が犯罪に関わっていようとなかろうと、政治家を血祭りにあげたがりますが、石破首相はそれに乗せられてしまったのです。
先生 今回、石破は党内融和よりも国民の共感を得ようと、メディアの口車に乗って不記載議員に厳しい態度に出たが、結果として自民党内に大きな亀裂が入っている。小泉純一郎が郵政民営化の反対派を敵視した二〇〇五年の「郵政解散」を思い出すな。ま、あのときほどの熱気は感じられないけど。
教授 まあ、選挙はテレビ、とりわけワイドショーがどういうふうに取り上げるかによって、結果はずいぶん違ってくるのですが、テレビ局でワイドショーをつくる人たちは基本的に朝日新聞を熟読していますから。突き詰めれば世論はある程度、朝日新聞の政治部がつくっているとみるべきかもしれません。
先生 一部メディアは石破をも血祭りにあげようとしていたよな。ただ、朝日なんかはここで石破を擁護しておかないと、石破が辞めた後に高市が首相に、という流れになったら大変だ。朝日にとっては難しい選挙だっただろう。
■左翼の内ゲバ*u発
★女史
でも野党第一党の立憲民主党もパッとしないと思ったよ。
★先生
2024年10月4日の読売新聞朝刊が自民と立憲民主の公約案を載せていたんだが、双方よく似ていて、しれっと入れ替えても読者は気づかないんじゃないかと思ったぞ。
これは代表の野田佳彦らが、公約を自民党に寄せたんだ。
恐らく立民の作戦だったんだろう。
★女史
細かいことを言えば、立民も
「原発ゼロ」
を封印したりしてたし。
でも本来の過激な主張を封印するっていうこと自体、石破さんのマネなのかも(笑)。
★教授
自民も立民も、左右の岩盤支持層ではなく中間層を狙いにきており、左右の尖った政策は引っ込めていたわけですね。
その結果、立民が右傾化しているように見えて、旧しばき隊(C.R.A.C.)の周辺関係者などは立民ではなく自民への投票を呼び掛けていたという話を聞きましたよ。
★女史
2024年9月24日だから野田さんが党代表に決まった直後だけど、X(旧ツイッター)にこんな投稿をしてた。
「これは『急がば回れ』なのです」
「自民党に対するオルタナティブをきちんと示すまで、たとえ自民が通ろうとも立憲に票を与えてはならない」
「そもそも、野党第一党のくせに自民党と同じようなこと言ってるほうが倒錯しとるだろうが」
「有権者ナメてんのか」。
昔ながらの過激な左の人たちは、野田さんの方針に猛反発してるみたい。
★教授
左翼の中での野田嫌いというのが凄く強烈だというのもあるんですよ。
彼は共産党と選挙協力しないことを明言していますし、安保法制を部分的に認めるという考えも左翼としては受け入れ難い。
ですから左翼の中で、立憲民主党を潰せ、野田を潰せという動きが強くなっているわけです。
★先生
それで共産党は意地になって、小選挙区に泡沫同然の候補を乱立させたわけだ。
立民の候補がいる所にまで後から共産が候補を立てたりとか。
うっかりすると億円単位で供託金没収になって大変だと思うが。
野党は野党でまとまれずに抗争を始めて、自民党は自民党で党内抗争がある。
★教授
なかなか不穏で、今後の政局は見通しにくい状況ですね。
★先生
左巻きの連中の一部は立民に投票したくないから、れいわ新選組の応援にも流れているようだ。
★教授
今回の総選挙で、れいわは比例代表東京ブロックの名簿一位で伊勢崎賢治氏を擁立していましたね。
この方、石破首相とは旧知の仲なのだとか。
★女史
石破さんが昨年2023年の自分のブログに書いてた。
「昨日は『ウクライナ戦争』の即時停戦を求める有識者の集会が議員会館で開かれ、日頃から敬愛する伊勢崎賢治・東京外大名誉教授からのお声掛けもあり、参加して参りました」
って。
★教授
石破氏は
「『今日のウクライナは明日の台湾、台湾有事は日本有事』という相当に短絡的な議論の危うさを改めて感じたことでした」
とも書いていました。
改めて読むと、もう自民党なのかれいわなのか分かりませんね。
★先生
左にウイングを広げるのが石破の持ち味なんだろう。
生前、安倍晋三が
「左に支持を広げるよりも右をきちんと押さえておかないと大変なことになる」
と常々、言っていたが、その心配が現実になりつつある。
何だかんだ言っても、左翼が本当に自民党に票を入れるわけないだろ。
★女史
そうだね。
TBS系「サンデーモーニング」でもお馴染みの元共同通信記者、青木理氏は、津田大介氏とのユーチューブ対談動画で、自民党に投票する人たちを
「劣等民族」
だと呼んでた。
けど逆に批判されてたね。
それで謝罪して発言を撤回し、地上波テレビ出演は当面自粛するんだって。
★教授
それでも文化放送には相変わらず出演していますし、総選挙の投開票日には同局の開票特番に出ることも発表されていました。
ラジオやネット動画では今後も活動を続けていくのでしょうか。
★先生
さすがにテレビ局としてはああいう輩を今後、出演させるわけにはいかないだろ。
危なくて仕方ない。
★女史
サンモニ関連では前法政大総長の田中優子さんも、ある集会で高市さんについて
「安倍さんが女装して現れた」
とか言って炎上してた。
★編集者
それについては元検察官の菅野志桜里元衆院議員がフェイスブックで
「自分の希望に沿わない女性政治家を『中身は男』と非難するのは、性差別です」
「しかも属性で人を貶めて笑いを取るのは、いじめの構造と同じです」
「フェミニストあるあるですけど、これを機にやめましょう」
と、お行儀の悪さをたしなめていました。
■後藤謙次より田崎史郎
★教授
自民党総裁選の当日、私はテレビ朝日の開票速報番組を観ていたのですが、1回目の投票で高市氏が1位になった時、元共同通信の後藤謙次氏が明らかにうろたえているように見えました。
★先生
それは俺も観てた。
確かに呆然として動揺していたな。
★教授
それででしょうか。
彼は高市氏が1位になった背景について、全国の党員に30万部のリーフレットを郵送した効果が現れたという、本質から外れた解説しかできませんでした。なぜ高市氏がこれだけの票を集められたのか、理解できなかったのでしょう。
★先生
その点、TBSの番組に出ていた元時事通信の田崎史郎は、総裁選の前半では見苦しいくらいに小泉進次郎推しだったけれど、途中で日本テレビの世論調査結果が出て小泉の失速が明らかになった辺りからは冷静になって、最後まで
「高市が勝つかもしれない」
と分析していた。
そういう意味では、後藤より田崎の方に俺は誠実さを感じたぜ。
★女史
田崎さんと言えば2024年10月1日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出ていて、石破内閣の顔ぶれについて
「何か非主流派の在庫一掃セールみたいな感じ」
「派閥解消を理由にした余りに露骨な身内びいきの人事」
とバッサリ斬ってたね。
あれは痛快だった。
★編集者
リーフレットの話で思い出しましたが、2024年10月4日付の日本経済新聞に石破首相の著書『保守政治家 わが政策、わが天命』の広告が載っていました。
そこには
「総裁選出馬時、石破氏自ら各議員に手渡しした渾身の書!」
という謳い文句が載っていたのですが、これってセーフだったんでしょうか。
★先生
そりゃ総裁選のルールが公表される前に配り切ったんだろ(笑)。
★編集者
前々回(2024年10月号)で
「この本が売れて、内容が広まったら石破氏は『終わり』なんじゃないか」
とのお話がありましたが…。
★教授
配られたけれども、議員は誰も読まなかったということでしょう(笑)。
私は読みましたが、内容は酷いものですよ。
後になって目を通して
「読むんじゃなかった」
と思っている議員も、中にはいるんじゃないですかね。
ともあれ、総裁選の決選投票では岸田文雄前首相の一派が石破氏を後押しして、議員の間では人気がなかったはずの石破氏がついに首相の座に就きました。
それだけに、嘉悦大学の高橋洋一教授などは
「岸破(岸田+石破)政権」
と呼んでいますね。
★先生
岸田政権の経済政策を石破が全部継承する、という条件で岸田は支持したと言われているな。
もし石破が退陣した場合、岸田の首相返り咲きがあるかもしれないぞ。
★教授
仮にそうなると、一体なんで岸田さんは総裁選出馬を断念したんだろう、という話になってきますが…。
★編集者
そうなると、変な話ですね。
■日本人ヘイトと朝日新聞
★女史
この間、真田広之さん製作・主演のドラマ「SHOGUN 将軍」が米エミー賞で史上最多の18冠を獲得したって大きな話題になったよね。
それについて2024年9月17日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」で、元フジテレビアナウンサーの菊間千乃弁護士が
「エンタメに関しては韓国の方が先に世界に認められた」
「日本としては置いていかれていたという感じがあった」
とコメントしてたのが気になったな。
これは何かの日本叩きのプロパガンダなのか、それとも彼女が本当にそういう風に思い込んでいるのか…。
★編集者
単によくある、五十代女性の感想じゃないっすか。
★女史
でも、この発言に対してはネットで色々と突っ込みが入ってた。
「アカデミー賞初受賞は日本・1951年『羅生門』、韓国・2020年『パラサイト』」
「アカデミー賞受賞回数は日本42二回、韓国5回」
といった具合にね。
今はマスコミ人の発言も、ネットの普及で一般の人に検証されるようになっているからね。
★先生
いずれにしろ、菊間の前後の年代の女性は本当に韓国の芸能が好きな人が多いよな。
★女史
そこでよく言われるのが、韓国は日本と違って徴兵制があるから、男たちがシャキッとして鍛えられているし包容力もあるんだと。
それはいいんだけど、
「戦争反対」
とか主張しているリベラルな価値観の持ち主が、一方でそんな事を言ってるんだよね。
要するに日本が悪くて、韓国はいいというね。
5年前にKポップファンの日本人女性2人が韓国男性にからまれて暴行された事件があった時も、さっきの青木理さんが
「通常なら報道されないニュース」
と、問題にする日本が悪いというような発言をしたじゃん。
仮に日本で在日コリアンが暴行されたら大々的に報じるのにねえ。
★先生
何で青木がテレビで重宝されるかと言えば、日本をディスってくれるからだろ。
何だかんだいって日本人は自虐的だから、ああいうキャラが求められるわけだ。
★女史
そう言えば、今回の
「劣等民族」
発言の後で周りの女の子たちに
「青木さんってどう思う」
って聞いてみたら
「ダンディーなおじさんで、昔からファンだった」
という子が結構いてビックリだった。
★教授
ダンディーな左翼と言えば、姜尚中・東京大学名誉教授を彷彿とさせますね。
★女史
私も昔、朝まで生テレビ!で姜尚中さんが出ているのを観て
「何でこの人があちこちのメディアで引っ張りだこなんだろう」
と不思議だったんだけど、やっぱり周りの若い女の子たちは
「物腰も柔らかくてかっこいい」
と言ってた。
外見が女性ウケするという点で、青木さんと姜尚中さんは似てるなあ、と思ったのよ。
★先生
青木は今回の
「劣等民族」
発言で地上波のテレビに出なくなるからテレビ局は早速、ポスト青木理を探し出すんだろうな。
いくらでも予備軍はいるだろ。
★教授
左の方々はテレビ出演には恵まれていますね。
さすがに青木氏は批判されましたが、それ以外の左翼の日本人ヘイトは基本的にお咎めなしですから。
朝日新聞の一連の
「従軍慰安婦報道」
などはまさに日本人ヘイトだったわけです。
一方で、保守派はなかなかテレビではお呼びがかからないのです。
★編集者
朝日は従軍慰安婦報道で叩かれましたが、確かに、あれもそうかもしれません。
■「自民党員は偏った集団」
★教授
朝日新聞の2024年10月10日付紙面では長谷部恭男早稲田大教授との対談で、杉田敦法政大教授が
「今回の総裁選での自民党員票の総数は有権者のほぼ1%で、必ずしも世論全体を反映するわけではない偏った集団だということを踏まえる必要があります」
「偏りのある集団が事実上、首相を決めているということにもなる」
と発言していました。
自民党員は
「偏った集団」
なのだというわけです。
それは左派の人から見ればそうかもしれないですけれども、何を基準に
「偏った」
と決め付けるのか。
如何なものかと思いますけれどね。
★先生
「首相を決めている」
というが、党員投票で党首を選ぶのは現代では普通だけどな。
日本以外の欧米先進国では大抵、政党の党首は党員投票で決まっている。
日本の場合、自民党でも立憲民主党でも党首を選ぶ際には議員票がモノをいう。
議員は一般有権者による選挙で選ばれているわけだから日本が一番、民主的だと見る事もできるだろ。
★教授
実態を見るなら、自民党員は全体としてそれほど保守的でもありません。
左派メディアはそれを敢えて極右の特殊な人たちの集団だと印象付けようとしているように見えます。
★先生
そうだな。
高市早苗だってメディアが言ってるほど右の人間じゃねえだろ。
安保政策についても高市は、むしろ石破よりも岸田に近いんじゃないか。
「アジア版NATO」
なんてことも言わないし。
それなのに、なぜ岸田は石破を推したのか。
左巻きのメディアが石破を推してきたことと併せて、理解に苦しむな。
★女史
石破さんと言えばこれまで防衛庁長官、防衛相を計3年弱もやってる人でしょ。
実際、石破内閣では岩屋毅外相、中谷元防衛相と防衛族が幅を利かせているように見えるけど、朝日新聞なんかは問題視しないんだね。
★先生
高市は堂々と靖国神社に参拝してきたし、
「首相になっても靖国に参拝する」
と公言していたのが攻撃材料にされてしまった面がある。
かつての安倍のように、首相になった場合のことは曖昧にしておけば良かったのに。
★編集者
もちろん靖国参拝はしてほしいですが。
★女史
でも石破首相、2024年10月の秋の例大祭では靖国神社に真榊を奉納したんだって。
これまで奉納したことはなかったけれど、首相になったんで菅義偉さんや岸田さんの先例にならったらしい。
★先生
いやあ、見事な変節ぶりだよな。
(文中一部敬称略)
(月刊「正論」12月号から)

<産経抄>石破首相の対米外交 安倍氏の手法真似てはどうか
2024/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20241109-4UGHOLPPSRLPXJQ4ADOGE5ER6Q/
政治家の言葉は額面通りには受け取れない。
石破茂首相が2024年1月7日、米大統領選に勝利したトランプ前大統領と初の電話会談を行った後、記者団に述べたこのセリフもそうだろう。
「非常にフレンドリーな感じがした」
「言葉を飾ったり繕ったりするのではなくて、本音で話ができる方だ」 
▼その通りなら、日米両首脳の初接触としてまず成功だと言える。
とはいえ、会談時間は僅か5分間に過ぎない。
双方が通訳を介すので、実質的には2〜3分間ぐらいか。
これで本音で話し合える相手だと確信できるとは思えない。
▼2016年11月、トランプ氏が大統領選に当選した後の当時の安倍晋三首相との電話会談は、約20分間だった。
安倍氏は抄子に、ユーモアを交えて語った。
「彼はかなり強いリーダーが好きみたいで、幸い私も強権と言われているから」
「私にかなりシンパシーを感じている様子だった」。
▼今回、トランプ氏が各国指導者と行った電話外交の一部は会談時間が報じられている。
例えばフランスのマクロン大統領とは約25分間、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とは約12分間である。
長ければいいわけでもないが、首相との5分間は如何にも短い。
▼単純比較はできないが、安倍氏とトランプ氏の場合、電話会談は30〜40分間が普通で1時間を超えることもあった。
対面での会談後、すぐにトランプ氏から電話がかかってきて
「シンゾーがいなくて寂しい」
とこぼされたこともあった。
▼「トランプ大統領とゴルフしなくてもいい、トランプタワーに行かなくたっていい」。
首相は2018年、米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューに語っていた。
安倍氏の外交手法を否定するばかりでなく、たまには取り入れたらどうか。

<主張>自民の両院懇談会 「ガス抜き」で居座るのか 
社説
2024/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20241109-Y7B52NA4OVNEHGDNOMPJYEDZCA/
不満のガス抜きを図って政権に居座ろうとしている―。
石破茂首相(自民党総裁)と自民執行部には、衆院選で示された民意を尊重するつもりがないことが改めて分かった。
自民が、大敗した衆院選後初めての両院議員懇談会を開いた。
出席議員から、石破首相と党執行部の責任を問う声が相次いだのは当然である。
石破首相は
「痛恨の極みだ」
「深く反省し、お詫びしなければならない」
と陳謝したが、本当に反省しているのだろうか。
何の責任も取らず、大敗の検証も示していない。
神妙な表情を作って反省の弁を述べてもけじめをつけたことにはなるまい。
石破首相と森山裕幹事長が本来取るべき行動は、潔く辞任した上で、落選した候補者から直接話を聞くことだ。
責任を問う声は上がったが、懇談会は石破首相続投を事実上容認する形となった。
衆院議員1人1人が自立の気概を持っていた中選挙区制の時代とは異なり、総裁と執行部が個々の議員よりも力を持つ小選挙区制の時代ならではの現象だろう。
安定した国政運営に当たれる議会構成を追求するのは与党を目指す政党の責務だ。
その観点からすれば、2024年9月の自民総裁選で石破首相を選んだ同党議員の責任は重い。
また、今回の懇談会で、衆院選の民意に逆らって首相続投を容認することになった自民は無責任の謗りは免れない。
これは自民が目測力と自浄力を低下させていることを意味する。
懇談会の首相続投支持は消極的なものに過ぎず、自民は一致結束して政権運営に当たれる状況にはない。
衆院選の比例代表で自民の得票数は令和3年の前回衆院選に比べ533万票も減り、1458万票だった。
一方、国民民主党は約350万票増で、参政党と日本保守党の票の合計は約300万票だった。
自民の失った533万票が流れた可能性がある。
これらには、安倍晋三元首相の政策を支持してきた岩盤保守層の離反が原因の動きもあるだろう。
自民はその現実を直視すべきである。
この層の支持も得られなければ安定した国政運営は難しい。
石破首相と現執行部にそれができるのか。

「痛恨の極み」石破茂首相、与党過半数割れを陳謝 自民が衆院選敗因総括の懇談会
2024/11/7 20:38
https://www.sankei.com/article/20241107-2BEZBLHVMFNKNK5A3IZKHUY7EY/
自民党は2024年11月7日、大敗した先の衆院選の敗因を総括する両院議員懇談会を党本部で開いた。
石破茂首相(党総裁)は冒頭、衆院選の勝敗ラインに掲げた
「与党過半数」
を下回った結果について
「痛恨の極みだ」
と述べた上で
「深く反省し、お詫びしなければならないと考えている」
と陳謝した。
出席者の一部からは執行部の責任を問う声があった一方、結束を求める声が多く上がった。
森山裕幹事長は
「強く責任を感じている」
「多くの国民から厳しい批判を頂いたことは、厳粛に受け止めなければならない」
と語った。
懇談会は約3時間に渡った。
意見交換は非公開で行われ、衆院選終盤で発覚した非公認候補が代表を務める政党支部に2000万円が活動費として支給されたことについて、説明を求める声が相次いだ。
また、衆院選の敗因分析の必要性や、党員・党友と有権者との感覚のずれを指摘する意見もあったという。
懇談会後、森山氏は記者団に
「(意見を)整理をして、今後の党運営に活かしていきたい」
と説明した。

自民「石破おろし」広がらず 衆院選大敗も、3時間の両院議員懇で明確な辞任要求は1人
2024/11/7 20:09
https://www.sankei.com/article/20241107-7NSXOTUSIRNLNJTDACXN7WTCZ4/
自民党が2024年11月7日に開いた両院議員懇談会では、大幅に議席を減らした先の衆院選を受け、複数の出席議員が石破茂首相(党総裁)を批判し、責任論に言及した一方、大半は首相の当面の続投を支持した。
与党過半数割れという危機的状況の中、
「内紛している場合ではない」
という声が高まっている。
懇談会は衆院選後初の総括の場だったが、
「石破おろし」
には発展しなかった。
出席議員の発言は報道陣に非公開だったが、3時間で約50人が意見を述べた。
出席議員によれば、冒頭の首相や森山裕幹事長の陳謝の後、口火を切ったのはベテランの船田元・元経済企画庁長官(旧茂木派)。
「一丸となってこの難局を乗り切らないと与党ではいられなくなる」
「色んな責任問題はあるが、まずは一致団結して難局を乗り切るべきだ」
と訴えた。
これに対して青山繁晴参院議員(無派閥)は
「2024年年末に予算編成をするわけで、その前に自ら潔く決意し、辞意を表明されるべきだ」
と主張した。
ただ、青山氏によれば、明確な辞任要求は自身1人だけで、7〜8人が衆院選敗北の責任論に言及した。
西田昌司参院議員(旧安倍派)は、来年2025年度予算案の編成のために首相の当面の続投に関しては理解を示した上で、
「党の体制を刷新しないと(来年2025年夏の)参院選を戦えない」
と語った。
とはいえ、懇談会は続投容認論が大勢。
尾崎正直衆院議員(旧二階派)は出席後、記者団に
「総じて『皆で石破総裁を支えていこう』ということはコンセンサス」
と述べた。
森山氏は懇談会終了後、記者団に、2024年年内の今年2024年度補正予算案や来春の令和7年度予算案の成立を期すことが大事だと強調し、退陣論を否定した。
目立ったのは敗因の検証を求める声だ。
特に、非公認候補が代表を務める政党支部に党が活動費2000万円を支給した問題に矛先が向いた。
柴山昌彦元文部科学相(旧安倍派)は
「如何に国民世論からかけ離れたものか、きちんと執行部に受け止めてもらい、検証を行うべきだ」
と発言した。
それでも2024年年内に首相が退陣に追い込まれる事態にはならなさそうだ。
首相との距離がある麻生太郎最高顧問(麻生派)は懇談会に出席したが、発言しなかった。
反石破勢力から期待されている高市早苗前経済安全保障担当相(無派閥)は欠席。
2024年11月5日、近しい議員らと会食した際も
「(党内が)ガタガタしていたら自民は野党になってしまう」
と結束を呼び掛けた。

「痛恨の極みだ」石破首相、自民の両院議員懇談会で衆院選大敗を謝罪
2024/11/7 16:22
https://www.sankei.com/article/20241107-XJQMEZOOGVOLZIRQVU37RBP234/
自民党は2024年11月7日、大敗を喫した衆院選を総括する両院議員懇談会を党本部で開いた。
石破茂首相は冒頭で
「痛恨の極みだ」
「深く反省し、お詫びしなければならない」
と述べた。
森山裕幹事長は
「強く責任を感じている」
「厳しい批判を頂いたことは厳粛に受け止める」
と語った。

石破首相とトランプ氏会談わずか5分の衝撃 韓国・尹大統領の半分以下 党の両院議員懇談会でも集中砲火、まさに四面楚歌
2024.11/8 11:32
https://www.zakzak.co.jp/article/20241108-J5S64FY5UVPINAX3WEKJIVUNAM/
「政権居座り」
に執着する石破茂首相(自民党総裁)が四面楚歌≠ノ陥りつつある。
2024年11月7日の党両院議員懇談会では、衆院選で勝敗ラインとした
「自公与党で過半数」
を割り込む大惨敗を喫した責任について集中砲火を浴びた。
国会運営では、少数与党ゆえ、躍進した国民民主党の意向に配慮せざるを得ない上、国会の最重要ポストの1つである衆院予算委員長を立憲民主党に譲り渡した。
米大統領選で勝利したドナルド・トランプ前大統領との電話会談は、何と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の半分以下という5分間。
米メディアには、石破首相の
「日米同盟不平等論」
を問題視する向きもある。
過去に現実軽視の持論を並べ立て、他人を批判し続けた
「特大ブーメラン」
が次々と刺さっている悪循環は続きそうだ。

「国民の期待に十分応えることができなかった」
「痛恨の極みだ」
「深く反省し、お詫びしなければならない」
「真摯に受け止め、改革に前向きに取り組んでいく」
石破首相は2024年11月7日、衆院選総括のために開催した両院議員懇談会で、こう陳謝した。
衆院選での自民党惨敗は
「国民の審判」
そのものであり、
「政権居座り」
こそが国民の期待に反するのではないか。
当然、参加者からは、執行部の責任を問う声が相次いだ。
投開票直後から辞任論を掲げていた青山繁晴参院議員は
「2024年年末に予算編成をするわけで、その前に自ら潔く決意し、辞意を表明されるべきだ」
と主張したという。
記者団にも
「『政権選択選挙』で負けたのに責任を取らないのでは、自民党が民主主義を掲げることはできない」
と言い切った。
西田昌司参院議員も
「党の体制を刷新しないと(来年2025年夏の)参院選を戦えない」
と訴えた。
石破執行部に対しては、
「非公認」
候補が代表を務める政党支部にも選挙前に2000万円を支給した判断を問題視する意見も続出した。
柴山昌彦元文科相は
「世論から如何にかけ離れているか、執行部はしっかり受け止め検証すべきだ」
と発言した。
小林鷹之元経済安保相も、執行部から事前に明確な説明がなかったと苦言を呈し、
「党が一丸となって政策を進めていく環境を作る必要がある」
と訴えた。
厳しい批判が噴出する中、馬の耳に念仏なのか、石破首相は具体的な責任論に言及しなかった。
森山裕幹事長も
「強く責任を感じる」
「厳しい批判は厳粛に受け止める」
「(2000万円は)非公認の人が選挙費用に使える仕組みにはなっていない」
と釈明したものの、そのまま続投する意向だ。
石破首相と距離を置く麻生太郎元首相は発言しなかった。
「ポスト石破」
を期待される高市早苗前経済安保相は欠席した。
衆院選で
「非公認」
となり無所属で勝利した萩生田光一元政調会長は、高市氏と連携する意向を示しているが無言を貫いた。
出席議員は執行部を除き約180人で、非公開で約50人が発言したが、大半は
「当面の続投」
を支持したという。
ある閣僚は
「ガス抜きになった」
と語っている。
石破政権は国会運営にも不安がある。
国会の委員会で最重要ポストの予算委員長を、立憲民主党に譲ることで合意したのだ。
予算委員長に野党議員が就くのは30年ぶりだという。
同委員長は採決日程の決定や議事進行などで大きな権限を持ち、局面によっては予算案審議が難航することも想定される。
■米報道日米に「緊張が高まる可能性秘めている」
石破政権は、外交でも不安は尽きない。
石破首相は2024年11月7日午前、米大統領選で勝利したトランプ氏と初めて電話会談を行った。
石破首相は
「日米同盟をより高い次元、段階に引き上げていくことで一致した」
「フレンドリーな感じがした」
「本音で話ができる人という印象を持った」
を手応えを語ったが、時間は5分間だった。
トランプ氏は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とは約25分間、韓国の尹大統領とは約12分間も会談している。
前駐オーストラリア大使の山上信吾氏は2024年11月7日、自身のX(旧ツイッター)で、
「僅か5分しか相手にされず、英語も解さないのに、何を以て『非常にフレンドリー』と判断できるのか?」
「メディアの突っ込みが弱過ぎる」
と指摘した。
米メディアでは
「背後から銃で撃つ」
と党内外から批判された石破首相の政治スタイルを問題視する向きもある。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは、自民党総裁選の投開票日(2024年9月27日)、石破首相が
「日米同盟を不平等だとして再構築を唱えてきた」
と指摘し、米政府との間に
「緊張が高まる可能性を秘めている」
と報じている。
同紙は、石破首相が
「概ね保守的で防衛にタカ派的」
としながらも、安倍晋三元首相や岸田文雄前首相とは異なり
「日米同盟の非対称的な側面に不満を抱いている」
と分析。
更に、2018年に石破首相に行ったインタビューから、
「トランプ大統領とゴルフしなくてもいい、トランプタワーに行かなくたっていい」
「日本は手強いぞと思わせることが大事だし、ディールのカードを持つこと(が大事)」
「安全保障でディールのカードを全く持っていない」
との、安倍氏とトランプ氏の盟友関係を批判的に語った発言を紹介している。
石破政権はどうなるのか。
政治評論家の有馬晴海氏は
「両院議員懇談会は『ガス抜き』で終わったようだが、『石破おろし』を巡る自民党内の見方は甘い」
「選挙を控える参院議員の中では退陣論も挙がる」
「『石破カラー』で支持率回復の目もあるが、石破首相は演出は上手くない」
「我慢強さを見せせ、耐えるしかない段階だが、全てにおいてヨタヨタで、ちょっとしたきっかけで政権が終わる可能性はある」
と語った。
外交はどうか。
評論家の八幡和郎氏は
「トランプ氏との5分だけの電話会談は象徴的だ」
「石破首相のキャラクターと、トランプ氏の相性も懸念されている」
「重要なのは『本音で話す』ことではなく、『メンツを潰さないよう迎合しているかに見せて誘導する』ことだ」
「石破政権には厳しい宿題が多く課されている」
と分析した。

「トランプ側近の本音」石破首相の評価は? パイプ持つ日本保守党・島田洋一議員が聞いた「世論に迎合する信用できない男」
2024.11/8 15:24
https://www.zakzak.co.jp/article/20241108-RH7XVVVQKJJWFGBDK6T74MESFE/
石破茂首相は2024年11月7日、米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ前大統領と電話会談した。
首相はトランプ氏の印象を
「非常にフレンドリーな感じ」
と述べたが、トランプ氏周辺は実際のところ、石破首相や石破外交をどう見ているのか。
国際政治学者で共和党やトランプ陣営と太いパイプを持つ日本保守党の島田洋一衆院議員に
「トランプ側近の本音」
を聞いた。
石破首相は電話会談でトランプ氏に祝意を伝え、日米同盟をより高い次元に引き上げる考えで一致したと話した。
だが、大統領選直後にトランプ氏側近らとコンタクトを取ったという島田氏は
「衆院選にも敗北して政治力もないとして、トランプ氏周辺で石破首相の評価は高くない」
「マイナスからのスタートというより、スタートできるかも怪しい」
と指摘する。
島田氏によると、
「日米地位協定の見直し」

「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」
といった石破首相の持論にも、トランプ陣営の反応は冷ややかだという。
「日米地位協定の改定は米軍の機密保護や米兵の身の安全に関わるため、米国は超党派で反発している」
「アジア版NATOについては、石破首相が発信を控えていることが、却って『世論に迎合するような信用できない男』と見られているようだ」
石破首相とトランプ氏は、早期に対面での会談を調整する方針を確認したというが、島田氏はこんな見方を示す。
「会談では米国と同じ路線で取り組む態勢が出来ていると、しっかりプランを示して行動できるかが重要だ」
「例えば岩屋毅外相は中国寄り≠ニ見られていて、防衛相時代の2018年には韓国海軍による自衛隊機へのレーダー照射問題に対応出来なかった」
「『人事は政策』であり、情報発信にもなるので、刷新すべきではないか」
トランプ氏が2016年の大統領選に勝利した際には、安倍晋三元首相がトランプタワーを訪問するなどして蜜月関係を築いた。
「トランプ政権発足直後の朝鮮半島危機や、中国に対する締め付けにも、安倍元首相は真っ先に協力するなど、間髪入れずにサポートする行動が信頼関係を固めた」
と島田氏は分析する。
これまで学者として北朝鮮による日本人拉致問題や日米関係の強化に取り組んできた島田氏だが、衆院選で日本保守党から出馬して当選し、今後は国会議員の立場で臨むことになる。
トランプ陣営の反応について島田氏は
「日本保守党から出馬し当選したことを
『米国で言えばトランプ現象に値するものだと理解している。日本保守党と連携していきたい』
と言われた」
「日本保守党の『日本第一』は、トランプ氏の『米国第一』と通じ、『脱炭素原理主義』に異を唱える基本線も一致する」
と明かした。
トランプ陣営は今、外交路線をどう考えているのか。
島田氏は
「中国を『主敵』と位置付け、軍事利用可能な技術を含む最先端ハイテク分野や知的財産で厳しく締め上げて供給網から外すことを検討している」
「トランプ氏は経済分野の交渉で習近平国家主席が誤魔化そうとしても許さないだろう」
との見方を示した。

首相に安心して辞めてもらうため
政界十六夜 石井聡
2024/11/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20241108-CEBHVOQ4UJKA5BOFYOEHEQV5GQ/
つい最近まで
「政治家というより評論家」
との評もあった人なら、衆院選大敗を喫しても政権の座にとどまろうとするトップについて、第三者としてどう語っただろう。
敗因は専ら自民党にあり、自分ではないと言わんばかりの石破茂首相は、国民民主党などの協力を当てにした延命工作に勤しんでいる。
首相は衆院選最中の
「掌返し」
は元より、自ら命名した
「納得と共感内閣」
も有権者に納得どころか拒否された。
産経新聞は選挙後の2024年10月29日付朝刊の主張(社説)で
「首相の居座りは許されぬ」
と、直ちに辞職して新総裁選出に移行すべきだと指摘した。
読売は
「速やかに進退を決することが憲政の常道」、
朝日も
「政権の継続は至難の道」
と社説で書いた。
国政や政権政党に対する新聞社のスタンスには異なる点があるものの、敗北した責任者の出処進退を巡る見解を普通に考えればこうなる。
しかしながら、首相が新聞の提言に耳を傾ける気配はない。
衆院選では立憲民主党が50議席増と躍進しながら、野党連立政権への流れを作れなかった。
特別国会の首相指名選挙で、決選投票を経て石破首相への指名が見込まれることも、切迫感を失わせているのだろう。
衆院選翌日の敗戦に関する総裁会見で、首相は
「政治改革や経済対策などの課題に先頭に立って取り組む」
と辞めないことを明言し、大きな理由の1つに
「国政は一時(いっとき)たりとも停滞が許されない」
点を挙げた。
就任直後の国政選挙で大敗を呼び込み、与党の自民、公明両党以外の賛成を得なければ予算も法律も通らない政治状況を生じさせたのだ。
その張本人がとどまること自体が政治の空白を生むという判断を持たないなら、如何ともし難い。
空白を拡大させないため、次の手立てを早急に講じるしかない。
それは、野党に責め立てられて行き詰まる前に、自民党内で首相を退陣に追い込み、新総裁の下で立て直しを図るという自浄作用だ。
来年2025年の参院選の前に再び衆院選を行い、議席を挽回しておくことも課題となろう。
どうも
「〇〇おろし」
という言葉には
「反逆」
「足を引っ張る」
という悪いイメージが伴うようだ。
世論には
「すぐに辞めなくてもよい」
という一種の判官びいき≠烽り、大人しい自民党議員たちに二の足を踏ませている。
異常事態の打開には不可欠な作業なのにである。
その実現には石破首相に取って代わる人物が決起しなければ始まらない。
例えば、先の総裁選で惜敗した高市早苗前経済安全保障担当相や、衆院選後に党選挙対策委員長を早々に辞任した小泉進次郎元環境相らである。
総裁選を戦ったばかりだから政権構想の準備はあるはずだ。
高市氏は衆院選当選後、執行部に対して
「徹底的に自民党を立て直して頂きたい」
と注文していた。
他人事ではなく、自らそれに当たる事が求められる場面ではないか。
むろん、決起する人を支える勢力の再結集も急がなければなるまい。
旧派閥の枠を超えて
「保守派」
どうしの連携などダイナミックな動きを作ることができれば、党再生の活力にもなる。
昨年2023年来の
「岸田おろし」
は気配だけで不発に終わった。
「今はまだその時ではない」
などと身を潜めているのは、自分自身の当座の生き残りには役立つとしても、国の危機を等閑視するに等しい。

中国、韓国が利用する石破首相の歴史観 過去の言動繰り返せば付け入る隙に 
阿比留瑠比の極言御免
2024/11/7 1:00
https://www.sankei.com/article/20241107-3K6TVFPG6RPOZDBYUBB4CSA2ZI/
まだ石破茂首相のことを保守派だと見做していた20年以上も昔の話である。
筆者は当時、安倍晋三元首相や中川昭一元財務相らが熱心に取り組んでいた偏向歴史教科書問題や慰安婦問題など保守系の運動に関わろうとしないことをいぶかり、それらへの参加を促したことがある。
だが、返事はそっけなかった。
「そういうのは、もういいよ」
この時は、単に余り関心がないのかと流したが、徐々にそうではなくて歴史認識自体が大きく異なるのだと分かってきた。
石破氏の考え方は、むしろ左派・リベラルに近かった。
それを反映し、2024年9月の自民党総裁就任時などに、中国や韓国は首相の歴史観を理由に概ね歓迎を示した。
例えば韓国の左派紙、ハンギョレ新聞は同月2024年9月30日の社説で書いている。
「歴史問題についても『政治的ライバル』だった安倍元首相とは異なり、何度も合理的な見解を明らかにしたことがある」
「(中略)謙虚な歴史認識を示してくれることを期待する」
また、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(2024年10月18日付)は、首相が平成18年9月23日付の毎日新聞鳥取県版にこう語ったことを紹介している。
「最近は、自民党の若い議員を見ても、怖い」
「過去の戦争を『全て正しかった』と考えていて、頭は大丈夫かと疑いたくなる」
「日中戦争は明らかに侵略戦争だし、韓国併合は植民地化(だ)」
こうした首相のこれまでの言葉については、月刊誌「明日への選択」2024年11月号の記事
「かくも危うい石破首相の『歴史認識』」
がよくまとめていたので、許可を得て引用する。
それによると首相は平成29年5月、韓国紙、東亜日報のインタビューで慰安婦問題についてこう語った。
「納得を得られるまでずっと謝罪するしかないでしょう」
もっとも、その後の産経新聞の取材に首相は
「『謝罪』という言葉は一切使っていない」
「『お互いが納得するまで努力を続けるべきだ』と話した」
と否定している。
とはいえ、
「努力」
をどう翻訳(意訳)すれば
「謝罪」
に入れ替わるのか理解に苦しむ。
中国共産党系の新聞、世界新聞報のインタビューも防衛相時代の2020年に受け、こう述べたとされる。
「日本には南京大虐殺を否定する人がいる」
「30万(人)も殺されていないから南京大虐殺そのものが存在しないという」
「何人が死んだかと大虐殺があったかは別問題だ」
「日本は中国に謝罪すべきだ」
これについても首相は月刊正論2020年9月号で
「大虐殺があったとは言っていないよ」
と否定しているが、聞き手の評論家、潮匡人氏はこうたしなめていた。
「ですが、そう相手に受け取られる対応も、事実関係で日中間に隔たりがある以上、国益の擁護者として慎重であるべきではなかったかと」
まさにその通りである。
首相が実際にどのような表現を使ったかは判然としないが、相手に利用されるようなことを述べたのは事実だろう。
来年2025年は終戦80年を迎える他、日韓国交正常化60周年にも当たる。
中国も
「抗日反ファシズム戦争勝利80周年キャンペーン」
を準備しているという節目の年である。
韓国や中国の反日勢力がさまざまな仕掛けをしてくると予想できるが、首相が過去の言動を繰り返すようなら、付け入る隙を与えることになろう。
もっとも、それまで首相を続けていられるかどうかは分からないが。
(論説委員兼政治部編集委員)

衆院選で与党過半数割れ 産読朝は首相に辞任を求める 毎東日は熟議の合意形成促す
社説検証
2024/11/6 9:00
https://www.sankei.com/article/20241106-3AZLN7SFRNM3VM35Q5UTMPRLOI/
第50回衆院選は自民党が公示前の議席を大幅に下回り、連立政権を組む公明党と合わせても過半数に届かなかった。
立憲民主党は躍進し、国民民主党は勢力を4倍に拡大した。
産経、読売、朝日は石破茂首相に責任をとって辞任するよう求めた。
産経はまた、国政を停滞させぬよう、各党は安定政権の樹立に向けて努力すべきだと説き、毎日、東京、日経などは、熟議を通じた合意形成を促した。
自民の派閥パーティー収入不記載事件で、石破首相は不記載の候補者を非公認にしたり、比例代表との重複立候補を認めなかったりした。
一気に事を決めずに騒動を続けたのである。
産経は
「世間の関心が『政治とカネ』一色になったのはそのせいでもある」
と断じ、
「言い訳選挙」
になったことで優勢に戦うことができなかったと敗因を分析した。
与党過半数というのは首相自身が設定した勝敗ラインだ。
産経は
「石破首相が政権に居座ろうとするのは信じ難いことだ」
「責任を取って潔く辞職すべきである」
と強調し、
「自民は速やかに総裁選を実施し、新総裁と新執行部が他党と交渉するのが望ましい」
と論じた。
読売は
「大幅な議席減は、政治とカネの問題に象徴される、長期政権の驕りや緩みに対する国民の不信感を反映した結果と言えるのではないか」
との見方を示した。
「政権に居座り、政局の混乱を長引かせることは許されない」
「速やかに進退を決することが憲政の常道である」
と石破首相に退陣を迫った。
朝日は
「石破政権に対し、国民が『不信任』を突き付けた」
「裏金問題に対する国民の怒りや不信を甘く見た結果に違いない」
とし、
「石破首相は職を辞すのが筋だ」
と主張した。
首相への不信任は、自民党政治への不信任だとして、
「自民も今度こそ本気で実態解明に取り組まねばならない」
と訴えた。
毎日、日経、東京は明示的には辞任を求めなかった。
毎日は自民の敗因について
「第2次安倍晋三政権以降に深刻化した政治の歪みや驕りを、根本から正そうとしなかったことだ」
と指摘。
日経は政治資金問題で
「生温い対応に終始し、有権者の不信感を拭う事は出来なかった」
と分析した。
東京は
「派閥の裏金事件に自らけじめを付けなかったことに対し、民意は政治腐敗を明確に拒んだ」
と訴えた。
特別国会での首相指名選挙に向けて与野党の多数派工作が活発化している。
その結果如何にかかわらず、立民の影響力増大が予想される。
産経は、集団的自衛権の限定行使は憲法違反という考えを変えず、反撃能力の保有にも消極的な立民について
「これで国民を守れるのか」
「この政策では日米同盟を危機に陥れた旧民主党政権の二の舞いになる恐れがある」
と政権担当能力に疑問符を付けた。
読売も
「『寄り合い所帯』で、安全保障やエネルギーなど基本政策でさえ一致しているとは言えない」
「そうした現状で、他の野党と政策協議ができるのか」
「まずは立民内の基本政策をしっかりと固めることが不可欠だろう」
と釘を刺した。
朝日は
「与野党が拮抗する政治状況を、立法府の行政監視機能を立て直し、熟議を通じた丁寧な合意形成に繋げてもらいたい」
「立憲の責任と役割は極めて重くなった」
と記した。
毎日も立民に対し
「国会での存在感の高まりに見合った責任を果たすべきだ」
と注文し、
「与野党が伯仲する政治状況下では、緊張感ある論戦を通じて国民本位の合意を見い出すことが欠かせない」
と説いた。
日本の政治は新たな局面に突入した。
来年2025年夏の参院選を睨み、与野党の攻防は激しくなるだろう。
だが、スピード感をもって政策の合意形成を図っていかなければ、迷惑を被るのは国民である。
与野党はその事を肝に銘じてもらいたい。

■衆院選での与党過半数割れをめぐる主な社説
【産経】
・審判を重く受け止めよ/安定した政権の構築を求める(10月28日付)
・首相の居座りは許されぬ/直ちに辞職し新総裁選出を(29日付)
【朝日】
・国民から首相への不信任だ(28日付)
・信失ったままでは困難(29日付)
【毎日】
・「政治とカネ」に重い審判(28日付)
・不信拭う改革が最優先だ(29日付)
【読売】
・長期政権の驕りが不信招いた/国政の停滞は避けねばならない(28日付)
・首相は責任の重さを自覚せよ/政権の枠組み作りが焦点となる(29日付)
【日経】
・自民不信を突きつけた厳しい審判(28日付)
・国政の停滞回避へ責任ある行動を(29日付)
【東京】
・民意は政治腐敗拒んだ(28日付)
・熟議の政治を取り戻せ(29日付)

<主張>与党「過半数割れ」 審判を重く受け止めよ 安定した政権の構築を求める
社説
2024/10/28 5:00
https://www.sankei.com/article/20241028-FCCUJHFOJVJ47OD67N322RXKGY/
第50回衆院選の投開票が行われた。
政権の信を問うと臨んだ石破茂首相は勝敗ラインに自民党、公明党の与党過半数を設定していたが、届かなかった。
立憲民主党は躍進し、国民民主党も議席を伸ばした。
自民にとって野党に転落した平成21年の衆院選以来となる歴史的敗北だ。
首相は選挙結果を重く受け止めねばならない。
今後自民は非公認当選者の追加公認を図る見通しだ。
国際情勢は厳しく、混迷の度合いを増している。
今後、特別国会で首相指名選挙が行われるが、各政党は安定政権を作るべく努力してもらいたい。
国政を停滞させてはならない。
■言い訳選挙では勝てぬ
今回の大敗は、石破首相と自民執行部が
「言い訳選挙」
にしてしまったことが大きい。
言い訳選挙で優勢に戦うことなど望むべくもない。
自民の旧安倍派などの派閥パーティー収入不記載事件への有権者の怒りはくすぶっていた。
それにうまく対応できなかったのが首相だった。
就任後、不記載の前議員の非公認を増やし、比例代表との重複立候補を認めなかった。
しかも一気に事を決めず騒動を続けた。
世間の関心が
「政治とカネ」
一色になったのはそのせいでもある。
選挙戦最終盤には自民が、非公認にした候補が代表を務める政党支部に活動費2000万円を支給したことが報じられ、首相は党勢拡大のためで
「選挙に使うことはない」
と釈明した。
これも有権者の投票行動を左右した可能性がある。
有権者や他党からどう見られるかを考えなかった石破首相や森山裕幹事長には、自民内から疑問の声が上がった。
石破首相は高市早苗前経済安全保障担当相との協力関係構築にも失敗し、閣僚人事で挙党体制を作らなかった。
自民の岩盤支持層の離反を招き、票が日本保守党や参政党などへ流れた。
国会論戦も十分に行わず早期解散に走った。
これで勝てると思っていたのなら信じ難い。
衆院選で政治とカネの問題への有権者の憤りが改めて示された。
各党は政治改革の具体策で合意し、速やかに実行に移すべきだ。
それを怠れば政治不信に拍車がかかる。
言い訳選挙になったのは、もう1つ理由がある。
それは、石破首相が政治とカネの問題を上回る、または匹敵するような政策上の大きな争点を国民に示せなかったことだ。
衆院選は常に日本の独立と繁栄、国民の生活と暮らしがかかった、日本の針路を決める政権選択選挙なのである。
にもかかわらず日本の針路を巡る本格的な論戦は展開されなかった。
とりわけ日本を守る安全保障が重視されなかったのは残念だ。
■立民は国を守れるのか
台湾有事の懸念が高まっている。
公示の前日には、中国軍が台湾を包囲する形で大規模な演習も行った。
今回の衆院選で選ばれた議員が台湾有事に直面する可能性がある。
北朝鮮の軍はウクライナ侵略に加担する見通しだ。
朝鮮半島有事がロシアを含む日本有事へ拡大することもあり得る。
その危機が十分には語られず、抑止力のための防衛力の抜本的強化、国民保護などの具体策の議論が深まらなかったのは問題だ。
立民の影響力は増大する。
野田佳彦代表は外交・安保政策の継続性を重視する考えを示す一方で、集団的自衛権の限定行使は憲法違反という党の立場を変えていない。
反撃能力の保有にも積極的ではない。
これで国民を守れるのか。
この政策では日米同盟を危機に陥れた旧民主党政権の二の舞いになる恐れがある。
政策上の欠陥を抱えたままの立民に政権担当能力があるのか疑問だ。
経済を巡っては、各党がこぞって消費税減税や給付金支給などの物価高対策を示した。
だが財源を含む具体化の道筋には曖昧なものが多く、バラマキ色が目立った。
物価高に負けない賃上げを果たし、デフレからの完全脱却を確実にするには、生産性を向上させて企業の収益力を高める取り組みが欠かせない。
そうした積年の課題を解決しなければならない。
憲法改正の動きを後退させてはならない。
自民の大敗に加え、改憲に前向きな日本維新の会が振るわなかった影響は大きい。
自衛隊明記や緊急事態条項の創設は急務で、国会は改憲原案の条文化を進めるべきだ。

<主張>国民の審判 首相の居座りは許されぬ 直ちに辞職し新総裁選出を
社説
2024/10/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20241029-CEB23AAJIJPI7NMIRKWA2U4OUQ/
衆院選で大敗を喫した石破茂首相(自民党総裁)が2024年10月28日の記者会見で、引き続き政権を担う意欲を示した。
自身が設定した与党過半数という勝敗ラインを割り込む大敗の責任を取らずに、石破首相が政権に居座ろうとするのは信じ難いことだ。
責任を取って潔く辞職すべきである。
自民は比較第1党に踏みとどまった。
友党の公明党と共に政権構築を目指すのは分かるが、それは国民の信を失った石破総裁の下ではあり得ない。
自民は速やかに総裁選を実施し、新総裁と新執行部が他党と交渉するのが望ましい。
■本当に反省しているか
石破首相は会見で、衆院選の審判を
「真摯に厳粛に受け止める」
と語った。
だがその言葉とは裏腹に、
「国政の停滞は許されない」
と繰り返し、
「安全保障、国民生活、災害対応に万事遺漏なきを期すことも私どもが負うべき責任だ」
と述べた。
そこには反省が感じられない。
国民は衆院選で石破首相に国政運営を託したくないという判断を示した。
それが何故分からないのか。
有権者の審判を無視するトップが政権の座に留まろうとして国民の支持を得られると思うなら甘過ぎるし、民主主義から外れている。
全ての自民国会議員は、石破首相の続投こそが、国政の停滞を招くと知るべきである。
自民の小泉進次郎選対委員長は2024年10月28日、
「選挙の結果責任は選対委員長が引き受ける」
として辞任した。
小泉氏は自身の進退について
「目標を達成出来なかったのに責任を取らない自民党では、不信感の方が大きいと思う」
と語った。
これは石破首相、森山裕幹事長にこそ言えることである。
自民千葉県連会長の桜田義孝元五輪相は
「議席をあれだけ減らした」
「責任はある」
と述べ、首相や執行部の早期退陣を促した。
これが国民感覚に沿った判断だろう。
石破首相は、第1次安倍晋三政権時の参院選で自民が大敗し
「ねじれ国会」
となった際に、続投を表明した安倍首相を攻撃した。
党総務会で
「(安倍)首相は『私か小沢一郎民主党代表かの選択だ』と訴えたのに、どう説明するのか」
と非難した。
代議士会では
「首相は『反省すべきは反省する』と言っているが、何を反省し、どう改めるのかはっきりしてほしい」
と責め立てた。
同じ事を石破首相に問いたい。
2024年10月28日の会見で
「自民党は心底から反省し、生まれ変わらなければならない」
と語ったが、トップである自身がまず責任を取るべきだろう。
麻生太郎政権時に農林水産相だった石破首相は、事実上の退陣を迫ったこともある。
過去の言動との整合性がなければ、石破首相への信頼は集まらない。
首相の言葉は限りなく軽いものとしてしか受け取られまい。
■森山幹事長も責任重い
他人に厳しく自分に甘い、主権者である国民の審判を軽んじる。
そこに謙虚さは見当たらない。
このような有り様で与党は特別国会の首相指名選挙に確実に勝てるのか。
よしんば勝ったとしても、自民党内からは辞任論が出て、石破首相の求心力は低下している。
安定した政権運営が出来るのか。
森山幹事長の責任も重い。
選挙戦最終盤には、自民が非公認にした候補が代表を務める政党支部に活動費2000万円を支給したことが報じられ、
「政治とカネ」
を巡る批判に拍車を掛けた。
石破首相は
「選挙に使うことはない」
と述べたが説得力に乏しかった。
支給を主導したのは森山氏だったとされる。
石破首相の就任後に、臨時国会で予算委員会を開かず早期に解散するよう進言したのも森山氏である。
首相と森山氏は衆院選を有利に展開しようと党利党略に走ったが、思惑外れに終わった。
政府与党は首相指名選挙を行う特別国会を2024年11月11日に召集する方向で調整している。
だが、憲法第54条は衆院選投票日から30日以内の召集を定めている。
殊更引き延ばすことはあってはならないが、国会議員中心の自民総裁選を実施するくらいの日程的余裕はある。
自民は新総裁を選び、出直しを図らねば信頼回復は遠く、来年2025年の参院選でも有権者から厳しい審判を受けるだろう。
石破首相が今、日本と国民、党のために出来ることは速やかに辞任することしかない。

衆院選自公惨敗 長期政権の驕りが不信招いた
2024/10/28 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241028-OYT1T50056/
◆国政の停滞は避けねばならない◆
自民、公明の与党が衆院選で惨敗し、過半数を割り込んだ。
今後、一部の野党の協力を得て、引き続き自公が政権を担い続けられるのか。
あるいは、立憲民主党を中心とした野党勢力が政権交代を起こせるのか。
政局は一気に流動化する情勢となった。
また、
「自公で過半数」
を勝敗ラインに設定していた石破首相の進退も焦点となる。
■政局の流動化は確実
第50回衆院選が開票された。
自公は、2012年の政権復帰以降、経験したことのない逆風に晒された。
大幅な議席減は、政治とカネの問題に象徴される、長期政権の驕りや緩みに対する国民の不信感を反映した結果と言えるのではないか。
一方、多くの野党は議席を増やしたが、理念や基本政策の異なる各党で協力できるかは見通せない。
自公、立民それぞれが過半数確保に向け、多数派工作を繰り広げることになりそうだ。
与野党の勢力が伯仲することで、予算案や法案を巡る攻防が激化して政策遂行が遅れる事態が懸念される。
実際、2007〜2008年の福田内閣当時は、野党が国会運営を主導し、国政が停滞した。
今後、政権の枠組みを巡って与野党が駆け引きを繰り広げ、混乱が長引く可能性もある。
山積する内外の難題に適切に対応できるのか。
与野党共に大きな責任を負うことになった。
今回の衆院選は異例ずくめだった。
石破政権が内閣発足直後の
「ご祝儀相場」
を当て込み、戦後最短での衆院解散に踏み切った。
だが、自民党は、政治資金問題を抱えた前議員らの処遇を巡り、原則として全員を公認する方針が批判されると、非公認を次々と増やし、定見のなさを露呈した。
選挙戦の終盤には、非公認となった候補が代表を務める党支部に対し、党本部が公認候補向けと同額の2000万円を支給していたことも発覚し、混乱を広げた。
執行部の失態と言う他ない。
自民が苦戦した背景には、
「岩盤」
と呼ばれた保守層の支持が離れたこともあるのではないか。
岸田前首相が昨年2023年、性的少数者(LGBT)理解増進法の成立に急に舵を切ったことや、総裁選での選択的夫婦別姓の議論に反発する支持者は多かった。
こうした政策に反対してきた参政党や、政治団体・日本保守党が一定の支持を集めたのは、自民に不満を持つ保守層を引き付けることに成功したからだろう。
既成政党に対する不信感が、新興勢力を勢い付けている側面もある。
■現実的な主張が奏功か
先月2024年9月、15年ぶりに党首が交代した公明も厳しい選挙戦となった。
小選挙区選に初めて挑戦した石井新代表が落選したのは、支持母体の創価学会員の高齢化が影響しているとされる。
一方、立民の伸長は、自民の
「金権体質」
を争点化する手法が奏功したことが一因だ。
また、野田代表は、仮に政権交代が実現したとしても、現在の安全保障政策を 概 ね継承する考えを示した他、原子力発電を含むエネルギー政策について、党の綱領で定めた
「原発ゼロ」
に拘らない方針を強調した。
こうした現実的な主張が有権者に安心感を与えたようだ。
国民民主党も躍進した。
玉木代表が
「手取りを増やす」
と主張して、
「生活重視」
の姿勢を取ったことが、特に若い世代の支持拡大に繋がったのだろう。
日本維新の会が伸び悩んだのは、大阪・関西万博の会場建設費が想定以上に膨らんだことや、推薦した前兵庫県知事のパワハラ疑惑が影響したとみられる。
他方、選挙戦で政策論争が深まらなかったのは残念だ。
■課題を蔑ろにするな
物価高を上回る賃上げをどうやって定着させていくかは喫緊の課題である。
社会保障制度を持続可能な仕組みとしていくにはどうすればよいか。
急速に進む人口減少への対策も待ったなしだ。
ウクライナ戦争や中東の紛争が長期化し、国際情勢は激変している。
先進7か国(G7)の一角を占める日本は外交力を発揮し、国際社会の安定に貢献すべきだ。
日本周辺の安全保障環境はかつてないほど悪化している。
防衛力の強化はもとより、日米同盟を深化させると共に、友好国を増やしていく必要がある。
野党の選挙戦術もあって、政治とカネの問題が焦点となったのはやむを得ないとしても、国政の課題を蔑ろにするような事態は避けなければならない。

自民歴史的大敗 首相は責任の重さを自覚せよ
2024/10/29 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20241028-OYT1T50239/
◆政権の枠組み作りが焦点となる◆
国民に信を問うために断行した衆院解散・総選挙で大敗した以上、石破首相が取るべき道は明らかだ。政権に居座り、政局の混乱を長引かせることは許されない。
速やかに進退を決することが憲政の常道である。
衆院選の結果、自民、公明の与党の獲得議席は、首相が「勝敗ライン」とした「与党で過半数」には程遠い215議席だった。自民党は191議席にとどまった。
■勝敗ラインには程遠く
自民党が200議席を下回るのは、民主党に政権を明け渡した2009年以来で、自民結党以降でも2回目だ。今回は歴史的惨敗を喫したと言える。
首相は、過半数割れの少数与党であっても、無所属で当選した議員らの追加公認や、一部野党の協力によって政権を維持しようとしている。選挙後の記者会見では「国政を進めていくことで職責を果たしていく」と述べた。
首相が協力相手として想定しているのは国民民主党だ。国民民主は「対決より解決」を掲げ、予算案や法案の採決で自公と足並みを 揃 そろ えたこともあるため、連携が可能とみているようだ。
だが、衆院選で敗れた首相が少数与党の体制で政権を維持できたとしても、国会では多数派の野党を相手に、必要な法案や政策を実現させていくことは困難で、混乱が長引くだけだ。
首相は責任の重さを自覚し、判断を間違えてはならない。
衆院選の敗因について首相が、「政治とカネの問題で国民の疑念、不信、怒りが 払拭 ふっしょく されていないことが最大の理由だ」と述べたのはその通りだろう。
しかし、新政権が衆院選でとった戦術はちぐはぐで、ことごとく裏目に出たのも事実だ。
そもそも首相就任前に、解散日程を表明したことは異例で、違和感を覚えた人は多かった。
■ミス繰り返した執行部
首相は自民党総裁選の最中、早期の解散に慎重な考えを示していたのに、首相に就任すると、予算委員会を開かず、戦後最短の日程での解散に踏み切った。
こうした策を首相に進言したのは、総裁選で早期解散論を唱えていた小泉進次郎選挙対策委員長だとされている。
首相交代直後の刷新感を武器に選挙を戦おうとしたようだが、これを受け入れたのは首相で、有権者には、誠実さに欠けるという印象を与えたに違いない。
このほか、政治資金収支報告書に不記載があった前議員らを公認するか、非公認とするかを巡って執行部の方針は二転三転した。
選挙戦最終盤には、非公認候補が代表を務める党支部に、自民党から公認候補と同額の2000万円を支給していたことが判明し、「非公認は見かけ倒しの処分だ」といった批判を招いた。
石破政権がこれほど失策を繰り返していたら、支持を失うのも当然だ。執行部に責任を取らせて済む問題ではない。
大敗した自民とは対照的に、立憲民主党と国民民主党は躍進した。自公に代わる受け皿としてみなされたのだろう。日本維新の会と共産党は議席を減らした。
欧州では、エネルギー価格など物価高騰への不満から、自国第一主義を掲げた極右政党が伸長するケースが目立っている。
今回の衆院選では急進的な主張をする勢力が一定の支持を集めたが、その広がりは限定的で、日本の有権者は、穏健な保守や中道路線を支持したとみて良かろう。新たな政権の枠組みは、そうした民意を反映することが望ましい。
立民は、他の野党との多数派工作に力を入れ始めている。野田代表が野党を糾合し、政権交代を実現できるかどうかが焦点だ。
■政策の一致は不可欠だ
ただ、野田氏の足元は盤石とは言い難い。立民は、リベラル系や中道路線を支持する議員などの「寄り合い所帯」で、安全保障やエネルギーなど基本政策でさえ一致しているとは言えない。
そうした現状で、他の野党と政策協議ができるのか。まずは立民内の基本政策をしっかりと固めることが不可欠だろう。
野党各党で協力するにしても、理念や基本政策が 乖離 かいり した状態では、政権は安定しまい。実際、1993年に7党1会派で発足した細川連立内閣は、路線対立が絶えず、1年足らずで瓦解した。
国際情勢は緊迫の度を強め、国内は少子化問題、社会保障制度改革、経済再生など待ったなしの課題が山積している。各党もまた責任の重さを忘れてはならない。

[社説]自民不信を突きつけた厳しい審判
衆議院選挙2024
社説
2024年10月28日 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK271700X21C24A0000000/
政治とカネの問題で自民党に厳しい審判が下った。
第50回衆院選は2024年10月27日投開票され、自民、公明両党は過半数を大きく下回り敗北した。
自公は政権に復帰した2012年以来の岐路に立った。
石破茂首相らの責任論は避けられない。
自公は野党に協力を求めて政権を継続する方針だ。
立憲民主党は躍進し、多数派の形成に向けて野党各党と協議に入る。
政局は流動化し、政権の枠組みが見えない不透明な状況になった。
■世界の潮流が波及
自民は公示前の247議席から大きく減らし、下野した2009年以来の敗北となる。
接戦だった多くの小選挙区で競り負け、閣僚経験者や政治資金の不記載で非公認となった無所属前職ら有力議員の落選が相次いだ。
公明も石井啓一代表が落選したのをはじめ、牙城である関西で苦戦するなど、公示前の32議席を下回った。
立民は公示前の98議席から大幅に議席を伸ばした。
保守系の野田佳彦元首相を代表に据えたことで、自民支持から離反した保守層の受け皿になったとみられる。
自民との議席差を一気に縮める結果は、政権交代への足掛かりを築いたと言ってよいだろう。
自民の敗因が政治資金問題にあるのは明らかだ。
私たちは当初から
「政治とカネの問題は、扱いを誤れば政権の命取りになる」
と指摘してきた。
だが自民は生温い対応に終始し、有権者の不信感を拭うことはできなかった。
与党の敗北は世界的な潮流でもある。
選挙イヤーの今年2024年、各国で相次いだ現職や与党に逆風が吹く流れが日本にも及んできたと言えよう。
物価高や賃金、雇用など身近な課題に既存の政治が十分対応できず、有権者がノーを突き付ける構図だ。
政治資金の杜撰な管理が物価高に耐える国民の不満を増幅したと見るべきだろう。
選挙戦の争点が政治とカネの問題に集中し、政策論争が深まらなかったのは残念だ。
物価上昇を上回る所得向上への道筋や社会保障の給付と負担の見直し、人口減少に伴う地方創生の在り方などは、どんな政権であっても重要課題として取り組まざるを得ない。
日本の政治の安定が損なわれることになれば、対外的に大きなマイナスだ。
米大統領選の行方が見通せない中、日米同盟や日韓関係の不安定要因にならないよう注意する必要がある。
日米韓の連携が動揺し、中国や北朝鮮、ロシアに対日政策の軽視や周辺地域での過激な行動を誘発する事態は避けなければならない。
政治の安定は海外から日本にヒト、モノ、カネを呼び込む誘因の1つでもある。
政局が混迷すれば、日本への投資を控える動きにつながる懸念がある。
ようやく成長軌道に乗りつつある経済に水を差すことがあってはならない。
そのためには出来るだけ早く安定した政権基盤を取り戻す他ない。
自公は過半数を割っても一部の野党と連携することで政権を継続したい考えだ。
連立政権の枠組みへの野党勢力の参加も視野に入れるが、現時点で野党側に自公連立に加わる動きはない。
■熟議を取り戻す契機に
一方、立民は非自民勢力の結集に向けて野党各党と協議する意向だ。
ただ、どのような枠組みで政権を目指すのか、具体的な政権構想はこれからで、成否はまだ見通せない。
自民と立民の議席差が大幅に縮まったことで、衆院選後に開かれる特別国会での首相指名選挙に向け、両陣営の攻防が激しくなる。
国民民主党や日本維新の会などとの連携を巡る綱引きも予想される。
政権の枠組みが見えてくるには時間がかかりそうだ。
与野党の伯仲は政治の在り方として悪い事ではない。
政権交代を目指す立民の伸長は国会審議に緊張感を与える。
中道保守の第1党と第2党が熟議を通じ、重要課題を解決するのは政治の1つの知恵である。
立民にとっては政権担当能力を磨く場となり、政権への近道になるはずだ。
対外的にも日本の政治の安定と成熟を示すことになろう。
ウクライナ戦争や中東情勢は緊迫の度を増している。
与野党とも内向きの政争に陥るのではなく、国内外の情勢に目を向け、国際社会で求められる日本の役割を自覚して安定した政治を取り戻すことを急ぐべきである。

石破おろし起きぬ自民 党内抗争の余裕なく 7日の両院議員懇が試金石
2024/11/5 19:36
https://www.sankei.com/article/20241105-GYVAXXRCA5IRJDOK5GFJPC7A5E/
先の衆院選で議席を大幅に減らした自民党では石破茂首相(党総裁)の退陣を求める
「石破おろし」
は起きず、来週の首相指名選挙で石破首相が再選出される公算が大きい。
危機的状況の中、野党に政権を奪われないことが最優先で、党内抗争の余裕はないからだ。
ただし不満はくすぶっており、2024年11月7日の両院議員懇談会が試金石となる。
■「今度こそ国民に見放される」
同懇談会は全自民議員が参加でき、首相も出席する。
首相は2024年11月5日の党役員会で
「意見を賜り、今後の党運営に共に努力していきたい」
と述べた。
勝敗ラインの
「与党過半数」
を下回ったことから首相への不満が相次ぐ公算が大きい。
首相に批判的な中堅議員は周囲に
「辞任すべきだと言う」
と息巻いた。
とはいえ、
「即退陣」
を求める声は広がっていない。
来週の首相指名選挙までに交代させる時間がない上に、予算案などの可決に必要な衆院過半数の獲得に向けて現執行部の下、野党・国民民主党の協力を得る交渉も始まった。
「今、党内で足の引っ張り合いをしたら、自民は政権を維持できない」(幹部)
との認識が支配的だ。
旧安倍派中堅は
「まずは経済対策」
「出来なければ今度こそ国民に見放される」
と語り、2024年年内の今年度補正予算案の成立を目指すことを優先すべきだと語る。
■交代圧力強まるのは来夏か
首相に批判的な議員が多い旧安倍派の実力者、萩生田光一元政調会長も2024年11月1日夜のインターネット番組で
「就任して1カ月」
「どんどん変えたら政権が不安定化する」
と語った。
反石破勢力から期待されている高市早苗元経済安全保障担当相も発信を控えており、党内の大勢が首相を見限る状況にはなっていない。
2024年11月2、3両日の産経新聞社・FNNの合同世論調査では、首相は「続投してもよい」との回答が55・3%に達した。
反石破勢力の参院議員は
「石破さんにはボロボロになっても来年2025年度予算を通してもらい、退陣してもらう」
と語り、来年2025年度予算成立後の来年2025年春の石破おろしを予告する。
平成13年には、当時の森喜朗首相が
「7月の参院選を戦えない」
との声の高まりを受け、予算成立後の平成13年4月に内閣総辞職した。
来夏2025年夏の参院選前に選挙の
「顔」
の交代圧力が強まる可能性がある。

バラマキ廃し、減税主導の財政へ 衆院選での与党惨敗受け、自民党が政権維持のため
田村秀男の経済正解
2024/11/5 12:00
https://www.sankei.com/article/20241105-NRXE3S4HRJKEDPCB7VDTGZPOSY/
衆院選での与党惨敗を受けて、石破茂首相と自民党は政権維持のために、若い勤労世代の支持を集めた国民民主党の所得税、消費税の減税案を取り込まざるを得なくなっている。
バラマキ偏重の歪んだ財政政策を是正するチャンスが到来したのだ。
「バラマキ」
と言えば、
「岸田文雄前政権のバラマキは酷かった、真にけしからん」
と、1カ月ほど前に会った某財務省幹部の憤懣ぶりが頭に浮かぶ。
一時は
「増税メガネ」
とメディアに揶揄されたほど財務省寄りと思わせた岸田氏が打ち出した電気・ガス料金補助、ガソリン価格への補助金、更に定額減税などのバラマキは許せないのだろう。
元はと言えば、財務省が頑強に減税に抵抗することから、岸田氏はその代わりのバラマキでやり過ごそうとしただけである。
家計の負担を軽くして、所得税や消費税を減税すれば良いはずだが、財務官僚は一旦減税すれば恒久化すると恐れ、自民党税調に反対させてきた。
このパターンは岸田政権時代に限らない。
当初予算で増税、政策経費を削減し、景気が沈みそうになれば、大型補正予算を組むのが歴代政権の恒例行事になっている。
補正予算の大半はその場凌ぎなのだから、計画性に欠け、バラマキに偏してしまう。
バラマキでも、消費が持続的に拡大すればまだしもだが、実際にはそうはならない。
国内総生産(GDP)の6割近くを占める家計消費は実質で2023年後半から前年水準を下回り続けている。
需要が不足するのだから、1990年代後半以来の慢性デフレから未だに脱却できない。
バラマキは砂漠の水撒き同然、国民経済を潤せないのである。
グラフは物価変動分を勘案した12カ月平均の実質賃金指数(1997年3月=100)、更に勤労者収入、収入から所得税、住民税更に社会保険料を差し引いた可処分所得(手取り)についての実質ベースの前年同期比増減率の推移である。
先の春闘では5%を超える賃上げが実現した結果、勤労者の収入と可処分所得は物価上昇分を加味しても2024年5月以降共に前年を上回っている。
それでも、2024年8月には伸び率が下がっている。
実質賃金は2024年5月以降少しずつ上向いている。
しかし、27年前1997年の水準を16%以上も下回っている。
賃金収入に頼る勤労者は貧しくなったままなのだ。
こうみれば、バラマキではなく、きちんと現役世代の減税と社会保険料負担の軽減、可処分所得(手取り)の増加を政策として訴えた国民民主党に若い層が惹かれた理由が分かる。
メディアが実施した衆院選比例区投票先政党に関する出口調査結果の年代別シェアをみると、20歳代、30歳代が最も多く投票したのが国民民主だった。
公明党の石井啓一代表は投票より10日前の2024年10月17日、低所得者世帯に10万円程度の給付が必要との考えを示し、自民党の森山裕幹事長が同調する様子を見せると、交流サイト(SNS)では若者世代を中心に反発する声が湧き上がった。
それを見抜けなかった自公が大敗したのは、バラマキ型政治の終焉を告げている。
自民と国民民主は2024年10月31日に経済対策や税制改正の協議開始で合意した。
自民は予算案など重要案件ごとに国民民主が協力する
「部分連合」
を目指す。
石破政権が存続できるかどうかの瀬戸際に立たされている以上、国民民主の玉木雄一郎代表が、石破首相に国民民主案を丸呑みさせる政治情勢にある。
障害はある。
「政府債務が悪化している中、財源はあるか」
と問われると政治家は弱い。
だが、経済はダイナミックであり、単純な差引勘定では計れない。
現実に、円安の下で法人税収が伸び、物価高で消費税収更に所得税収も増えている。
おかげで政府の基礎的財政収支(国債関係を除く財政収支)は税収増を受けて2025年度は黒字化する情勢にある。
国際的な財政指標である政府の純債務のGDP比率は2022年以降、急速に減っており、2024年6月時点で86%、15年ぶりの低水準にある。
所得税、消費税の減税は家計の可処分所得水準を押し上げ、消費を増やすので税収も増える。
日銀も金融緩和を維持するので、円安基調は変わらない。
所得税の基礎控除を引き上げると、年収103万円以内に年間所得を抑制していた働き手が活気付き、人手不足を緩和し、家計も楽になる。
歪んだバラマキ財政と決別し、減税主導で経済を安定成長軌道に乗せる。
石破首相の活路はそれしかない。
(編集委員)

自民支持率、18歳〜20代は12・5% 「政治とカネ」になお強い不信感
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2024/11/4 19:37
https://www.sankei.com/article/20241104-KOBQI2UPS5NZBAAZVEWCAGPFSU/
産経新聞社とFNNの合同世論調査では、70歳以上の年齢層だけで石破茂内閣の支持が不支持を上回った。
自民党も高齢層の支持が高い傾向が明らかとなった。
18歳〜20代で石破内閣を
「支持する」と答えたのは32・0%で、
「支持しない」は61・0%。
30代も支持が28・8%、不支持が59・4%だった。
唯一、70歳以上で支持(58・5%)が不支持(36・4%)より多かった。
前回調査(2024年10月5、6両日)では、ほとんどの年齢層で支持が不支持を上回っていた。
自民の支持率は25・8%となり、前回調査の34・3%から8・5ポイント下がった。
年代別で「支持政党が自民」と答えたのは、
70歳以上35・0%、
60代28・0%、
50代23・7%、
40代30・3%、
30代14・8%、
18歳〜20代12・5%
だった。
一方、自民の派閥パーティー収入不記載事件を巡り、不記載があった候補者を非公認などとして衆院選に臨んだことで
「政治とカネの問題」
にけじめがついたかを尋ねたところ、
「ついていない」が85・5%、
「ついた」は10・6%
だった。
非公認で当選した議員らが自民会派入りすることについては
「自民会派入りは適切ではない」が52・0%、
「すぐに会派入りしても問題ない」は13・2%
にとどまった。
再発防止に必要な政治改革を2つ聞いたところ、
「政策活動費の使い道の公開」(40・9%)
が最も多く、
「政治資金の透明化やデジタル化での公開」(34・0%)、
「政治資金をチェックする第三者機関の設置」(28・5%)、
「政治資金パーティーの全面禁止」(27・2%)
などが続いた。

与野党連携は「政策ごと」65%支持 国民民主への期待感浮き彫り
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2024/11/4 18:47
https://www.sankei.com/article/20241104-KZUFNYT2PZNJZD4IWBZINNDCUA/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査では、与党との連携の可否を政策ごとに決める国民民主党の方針を支持する回答が65・1%を占め、
「新しい意思決定の仕組み」(玉木雄一郎代表)
に対する期待感が浮き彫りになった。
年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万円の壁」
の解消などを巡り、与党との交渉で具体的な政策推進に繋げられるかが焦点となる。
国民民主は、自民、公明各党との間で、
「103万円の壁」
引き上げなどの案件ごとに政策協議を行う方針を確認している。
2024年11月11日には石破茂首相(自民総裁)と玉木氏が党首会談に臨む方向だ。
国民民主が主張する
「103万円の壁」
の引き上げを巡り、世論調査では
「引き上げるべきだ」
との回答が77・2%に達した。
玉木氏は2024年11月3日放送のBSテレ東番組で、引き上げは
「有権者との約束だ」
と述べ、自民が応じない場合は政権運営に協力しない姿勢を示している。
「壁」
が解消されなければ
「国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
とも指摘した。
与党への牽制を重ねる玉木氏にとって、世論の賛同は追い風といえそうだ。
期待感は政党支持率にも表れている。
2024年10月5、6両日の前回調査で1・3%だった国民民主の支持率は、8・8ポイント上昇して10・1%となった。
今回の調査では、他の野党も前回より支持率を伸ばす傾向がみられたが、6・4ポイント増(13・7%)の立憲民主党、1・4ポイント増(3・5%)の共産党、1.3ポイント増(5・3%)の日本維新の会などと比較して、国民民主の上昇幅の大きさは際立っている。
政策ごとに態度を決める国民民主の方針を評価すると答えた人は、同党支持層に限ると83・9%に達し、自民支持層でも63・2%を占めた。
一方、立民支持層では比較的低く51・1%にとどまった。

適切な政権の枠組みは? 「年収の壁」は? 質問と回答(11月2〜3日)
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2024/11/4 13:16
https://www.sankei.com/article/20241104-2KY7G7Z5GVOJLNTTWBFSDX5DQM/

【問】石破茂内閣を支持するか
支持する43.8(53.3)
支持しない49.8(35.8)
他6.4(10.8)

【問】どの政党を支持するか
支持政党はない28.3(42.4)
自民党25.8(34.3)
立憲民主党13.7(7.3)
国民民主党10.1(1.3)
日本維新の会5.3(4.0)
公明党3.7(2.6)
共産党3.5(2.1)
参政党3.0(0.4)
れいわ新選組2.8(1.1)
日本保守党1.6(−)
社民党0.4(0.2)
その他の政党0.1(0.9)
他1.5(3.4)

【問】今回の衆院選で、与党の議席は過半数を下回った。石破首相が続投してもよいと思うか
続投してもよい55.3
交代すべきだ36.5
他8.2

【問】自民党は政治資金の不記載があった議員について、今回の選挙で、公認見送り、または小選挙区と比例代表の重複立候補を認めない対応で臨んだ。選挙で自民党の「政治とカネ」の問題にけじめがついたと思うか
けじめがついた10.6
けじめはついていない85.5
他3.9

【問】不記載問題で、今回の選挙で自民党から公認されず、当選した議員が今後、国会で自民党の会派に入ることについて、適切だと思うか
自民党会派入りするのは適切ではない52.0
ある程度の期間を経た後であれば問題ない30.9
すぐに自民党会派入りしても問題ない13.2
他3.9

【問】今回の衆院選で、野党の国民民主党は選挙前の7議席から28議席へと4倍の議席を獲得した。与野党とも過半数の議席を維持していない中、国民民主党が与野党の間で今後どのような対応を取るのが望ましいか
政策ごとに与党に賛成、反対の立場を選ぶ65.1
これまで通り野党の立場を取る21.9
自民、公明とともに与党の立場を取る9.5
他3.5

【問】国民民主党は、パートやアルバイトで働く人の「年収103万円の壁」について、非課税枠を引き上げるべきだとしている。103万円の基準を引き上げるべきだと思うか
引き上げるべきだ77.2
引き上げなくてよい16.6
他6.1

【問】11日に衆院で行われる予定の首相指名選挙で、誰が指名されるのがふさわしいか
自民党 石破茂総裁46.1
立憲民主党 野田佳彦代表17.4
国民民主党 玉木雄一郎代表10.2
その他16.6
他7.1
日本維新の会 馬場伸幸代表2.7

【問】今後の政権の在り方について、どうあるべきか
立憲民主党と他の野党が連立して過半数を得て政権交代する31.1
自民・公明が過半数を下回ったまま政権を維持30.5
自民・公明が新たに他の党と連立して、過半数を得て政権を維持30.2
他8.2

【問】石破内閣に今後取り組んで欲しい政策は(2つ選択)
物価高・賃上げ対策43.2(39.5)
経済対策・景気対策34.8(35.0)
年金・医療・介護27.2(27.3)
子供・子育て支援25.4(24.9)
外交・安全保障15.6(17.4)
災害対策10.4(13.0)
政治とカネ9.7(11.1)
地方活性化8.7(9.9)
原発・エネルギー政策6.2(3.6)
行政改革・財政再建5.6(3.4)
憲法改正3.2(2.9)
女性活躍、多様性2.9(3.8)
それ以外1.1(0.7)
他1.2(1.4)

【問】「政治とカネ」問題の再発防止のために、どういった政治改革が重要だと思うか(2つ選択)
政策活動費の使い道の公開40.9
政治資金の透明化やデジタル化での公開34.0
政治資金をチェックする第三者機関の設置28.5
政治資金パーティーの全面禁止27.2
企業などによる政治資金パーティー券の購入禁止15.0
いわゆる旧文通費の使い道の公開14.5
政策活動費の廃止14.0
企業などからの献金禁止11.7
それ以外1.1
他2.7

【問】物価高対策として最優先で取り組むべきことは何か
減税32.7
賃上げの継続23.1
円安の是正など金利政策の見直し15.0
低所得への支援11.4
家計への給付9.6
事業者への支援5.1
他3.0

【問】今後の年金制度について、給付と保険料負担のバランスはどのようにあるべきだと思うか
年金給付が変わらないことを優先し、やや保険料負担が増える30.6
保険料負担が変わらないことを優先し、年金給付がやや減る22.8
保険料負担を減らすことを優先し、年金給付が減る20.0
年金給付を引き上げることを優先し、保険料負担が増える19.0
他7.6

(注)数字は%。カッコ内の数字は10月5、6両日の前回調査結果。「他」は「分からない」「言えない」など。
世論調査の方法
調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。電話の割合は「固定電話4:携帯電話6」。内閣支持率のみ回答が不明確な場合には、「どちらかと言えば」と再度質問して回答を得た。調査対象は全国の18歳以上の男女1012人。小数点以下第2位を四捨五入しているため100%にならないことがある。

石破内閣支持率、異例の急落43・8% 不支持が支持を逆転、続投容認は5割超
産経・FNN合同世論調査
世論調査
2024/11/4 11:44
https://www.sankei.com/article/20241104-II3KPFVE6ZNENPSQP73RF7YTGY/
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2024年11月2、3両日に実施した合同世論調査で、石破茂内閣の支持率は43・8%となり、政権発足直後の前回調査(2024年10月5、6両日)の53・3%から9・5ポイント急落した。
不支持率は前回比14・0ポイント増の49・8%で、支持率を逆転した。
政権発足から僅か1カ月余りで不支持が支持を上回るのは異例だ。
一方で、先の衆院選では与党が議席が過半数を割り込む結果となったが、首相の続投については「続投してもよい」(55・3%)が「交代すべきだ」(36・5%)を上回った。
2024年11月11日召集の特別国会での首相指名選挙で、誰が首相に指名されるのが相応しいかを尋ねたところ、
石破首相(自民党総裁)が46・1%でトップ。
次いで、
▽立憲民主党の野田佳彦代表17・4%
▽国民民主党の玉木雄一郎代表10・2%
▽日本維新の会の馬場伸幸代表2・7%
と続いた。
今後の政権の在り方についての質問では、
「立民と他の野党が連立して過半数を得て政権交代する」(31・1%)

「自公が過半数を下回ったまま政権を継続」(30・5%)、
「自公が新たに他の党と連立して、過半数を得て政権を継続」(30・2%)
の3つの回答が拮抗した。
衆院選で躍進し、国会でキャスチングボートを握った国民民主に関し、今後の対応に望むことについては
「政策ごとに与党に賛成、反対の立場を選ぶ」が65・1%で最多。
「これまで通り野党の立場を取る」が21・9%で、
「自民、公明と共に与党の立場を取る」は9・5%
だった。
また、国民民主が目玉政策として掲げ、自民側に政策協議を求めている
「年収103万円の壁」
引き上げに関しては
「引き上げるべきだ」(77・2%)

「引き上げなくてよい」(16・6%)
を大きく上回った。
一方、自民の派閥パーティー収入不記載事件を巡り、衆院選で不記載のあった候補者を非公認などの対応で選挙戦に臨んだことで「政治とカネ」の問題にけじめがついたかを尋ねたところ、「けじめはついていない」が85・5%に上ったのに対し、「けじめがついた」は10・6%。非公認で当選した議員らが自民会派入りすることについて「自民会派入りは適切ではない」が52・0%に達した。「ある程度の期間を経た後であれば問題ない」は30・9%、「すぐに会派入りしても問題ない」は13・2%にとどまった。
調査では内閣支持率に関し、答えが不明確な場合は「どちらかと言えば」と再度、質問して回答を得た。

<正論>総選挙「議席数」に隠れた民意 
青山学院大学教授・福井義高
2024/11/4 8:00
https://www.sankei.com/article/20241104-2QTI2U72LFO57MIQ72R5XK27EM/?outputType=theme_election2024
衆院総選挙で自民党は大きく議席を減らした。
平成24年に民主党から政権を奪回して以来、単独過半数を維持してきたのに、連立与党の公明党と合わせても過半数に満たない結果となった。
ここでは主に得票率に基づき、やはり今年2024年行われた英仏の総選挙結果と比較しながら、今回の総選挙で示された民意と、選挙制度が政治に与える影響について述べてみたい。
■比較第1党は自民党
まず、自民は議席を大幅に減らしたとはいえ、小選挙区でも比例代表でも、比較第1党の地位を維持した。
他党との選挙協力や候補者個人の魅力にも左右される小選挙区と異なり、政党への支持がそのまま反映される比例で、自民の得票率は前回より7・9ポイント減ったものの26・7%で、第2党である立憲民主党の21・2%を優に上回った。
公明の得票率10・9%を加えると与党全体で37・7%となる。
小選挙区でも自民は38・5%(前回比9・6ポイント減)で、立民の29・0%を大きく上回っている。
更に今回の選挙で注目すべきは、立民の大幅議席増が、同党への支持拡大によるものではないことである。
比例では前回より得票率を1・2ポイント増やしたものの、小選挙区では1・0ポイント減、得票数で147万票失っているのだ。
にもかかわらず、議席を大きく増やすことができたのは、自民の得票率が減ったお陰で、競り勝った選挙区が増えたからである。
その結果、小選挙区で立民は47議席増、自民は57議席減(自民系6人を含めると51議席減)となり、与党を過半数割れに追い込んだ。
■英労働党の大勝と保守票
英国の総選挙でも同様の、しかしもっと極端なことが起こった。
政権与党だった保守党は得票率を19・9ポイント減らし、23・7%しか獲得できず、文字通り大敗を喫した。
一方、労働党は比較第1党となったものの、得票率は1・6ポイント増えただけの33・7%でほぼ現状維持であったのに、議席率は63・2%となり、歴史的大勝となった。
保守党は大敗したとはいえ、得票率と同水準の議席率18・6%を確保した。
保守党政権批判の受け皿となったのは労働党でも、中道の自由民主党でもなく、得票率12・3ポイント増で14・3%となった、保守党より右の「リフォームUK」であった。
ところが、得票率では自由民主党を抜いて第3党となったにもかかわらず、議席率はわずか0・8%に過ぎない。
それに対し、得票率わずか0・7ポイント増の12・2%でほぼ現状維持だった自由民主党は議席を大幅に増やし議席率は11・1%となった。
保守党とリフォームUKを合わせれば得票率は38・0%で労働党を上回っており、より保守的な政治が民意だったとも解釈できる。
にもかかわらず、第3党以下に不利な小選挙区制ゆえ、労働党政権が誕生したのである。
日本でも英国ほどではないにしても、既成保守政党に代わる右派政党への支持拡大がみられる。
比例での参政党と保守党を合わせた得票率は5・5%と、衰えたとはいえ強固な支持基盤を持つ共産党の得票率6・2%と同程度で、無視できない大きさとなっている。
■フランスの場合は
日英とは異なり、フランスでは得票率と議席率で第1党が入れ替わった。
小選挙区制ながら2度投票が行われ、第1回投票で過半数を得る候補がいないと、一定数以上獲得した候補による第2回投票が行われる。
第1回投票で1位となっても、第2回投票では2位以下の候補の一本化によって逆転する可能性が大いにある。
第1回投票では、
「極右」
とされる国民連合が得票率33・2%で比較第1党となり、左派連合が28・1%で続き、与党連合は20・0%であった。
ところが政策の著しい不一致にもかかわらず、
「極右」
政権阻止で一致した左派連合と与党連合が共闘したため、議席率では左派連合が30・8%で第1党、与党連合が26・0%で続き、国民連合は24・6%となった。
そのため、日本でも、予想に反し
「極右」
が失速したと報道された。
しかし、実際には第2回投票で国民連合は更に得票率を伸ばして37・1%獲得し、左派連合の25・7%、与党連合の23・1%を上回っていたのである。
日英仏の選挙結果で示した通り、議席数の変動は必ずしも民意を反映しているとは言えず、獲得議席数(議席率)のみに基づいて、今後の政治動向を議論することには慎重でなければならない。
逆風下にもかかわらず、自民が小選挙区・比例とも第1党を維持したことは、考えようによっては最悪でもこの程度、将来は明るいとみることもできる。
一方、追い風と思われた中、前回と同程度の得票率に終わった立民の将来は、大幅な議席増にもかかわらず、必ずしも明るいとは言えない。
いずれにせよ、今回の選挙の最大の勝利者は、比例で得票率を6・8ポイント増やして11・3%とし、立民の半分の水準にまで至った国民民主党であることだけは確かである。

杉山大志 エネルギーは日本の生命線だ
GDP3%を無駄遣い「脱炭素」政策 グリーン成長などするはずがない!菅政権と岸田政権で推進、GX法ごと根こそぎ廃止すべき
2024.11/1 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-LJW7XOLS4ZKDXN6MWUSLM7OWQY/
自公与党が衆院選で大敗した理由は
「裏金問題」
だけではない。
左翼リベラル化した自民党に対して、保守層が
「ノー」
を突き付けたのだ。
この受け皿が、国民民主党や参政党、日本保守党となった。
菅義偉政権と岸田文雄政権の下で推進された
「脱炭素」
政策も、特に左翼的な政策の1つだった。
政府はグリーントランスフォーメーション(GX)推進法を制定し、今後10年間で150兆円の官民投資を
「脱炭素」
のために実施するという。
投資というと聞こえはよいが、その原資は国民が負担する。
国民1人当たり120万円、3人世帯なら360万円である。
賃上げなど吹き飛んでしまう。
毎年15兆円といえばGDP(国内総生産)の3%に当たる。
防衛費を2%に上げるために大騒ぎしていたのに、その舞台裏ではこのような
「ステルス増税」
が罷り通っていた。
政府は150兆円の投資でグリーン成長するというが、するはずがない。
投資対象が悪いからだ。
洋上風力発電、太陽光発電、その導入のための蓄電池や送電線建設、あるいはアンモニア発電や水素合成燃料など、どれもこれも、やればやるほど光熱費が高くなるものばかりだ。
そもそも、日本政府はかつて、
「太陽光発電の大量導入でグリーン成長する」
と言っていた。
だが、起きた事は
「電気代の高騰」

「産業空洞化」
だった。
今この失敗に懲りずに、同じことを何倍にもして実施しようとしている。
潤うのは一部の再エネ利権などに過ぎない。
そして、その犠牲になるのは一般国民である。
国民は愚弄されている。
政府は150兆円のうち20兆円は国債の発行で賄うとしており、今、政府はその20兆円の償還のための財源としてエネルギーへの課徴金や政府が発行する排出権の売却収入を検討している。
電気なのかガスなのか、灯油なのかプロパンガスなのか、どの料金が上がるのだろうか。
いずれにせよ国民に20兆円を支払わせるということを前提にして、今、ババ抜きのような検討がなされている。
20兆円の収入は、新設の外郭団体である
「GX機構」
が特別会計で回す。
既に天下りも始まっている。
こんなオールドファッションな
「役人天国」
のために光熱費は高騰し、国民経済はボロボロになる。
GX法ごと、根こそぎ廃止すべきだ。

<正論>総選挙「議席数」に隠れた民意 
青山学院大学教授・福井義高
2024/11/4 8:00
https://www.sankei.com/article/20241104-2QTI2U72LFO57MIQ72R5XK27EM/?outputType=theme_election2024
衆院総選挙で自民党は大きく議席を減らした。
平成24年に民主党から政権を奪回して以来、単独過半数を維持してきたのに、連立与党の公明党と合わせても過半数に満たない結果となった。
ここでは主に得票率に基づき、やはり2024年行われた英仏の総選挙結果と比較しながら、今回の総選挙で示された民意と、選挙制度が政治に与える影響について述べてみたい。
■比較第1党は自民党
まず、自民は議席を大幅に減らしたとはいえ、小選挙区でも比例代表でも、比較第1党の地位を維持した。
他党との選挙協力や候補者個人の魅力にも左右される小選挙区と異なり、政党への支持がそのまま反映される比例で、自民の得票率は前回より7・9ポイント減ったものの26・7%で、第2党である立憲民主党の21・2%を優に上回った。
公明の得票率10・9%を加えると与党全体で37・7%となる。
小選挙区でも自民は38・5%(前回比9・6ポイント減)で、立民の29・0%を大きく上回っている。
更に今回の選挙で注目すべきは、立民の大幅議席増が、同党への支持拡大によるものではないことである。
比例では前回より得票率を1・2ポイント増やしたものの、小選挙区では1・0ポイント減、得票数で147万票失っているのだ。
にもかかわらず、議席を大きく増やすことができたのは、自民の得票率が減ったおかげで、競り勝った選挙区が増えたからである。
その結果、小選挙区で立民は47議席増、自民は57議席減(自民系6人を含めると51議席減)となり、与党を過半数割れに追い込んだ。
■英労働党の大勝と保守票
英国の総選挙でも同様の、しかしもっと極端なことが起こった。
政権与党だった保守党は得票率を19・9ポイント減らし、23・7%しか獲得できず、文字通り大敗を喫した。
一方、労働党は比較第1党となったものの、得票率は1・6ポイント増えただけの33・7%でほぼ現状維持であったのに、議席率は63・2%となり、歴史的大勝となった。
保守党は大敗したとはいえ、得票率と同水準の議席率18・6%を確保した。
保守党政権批判の受け皿となったのは労働党でも、中道の自由民主党でもなく、得票率12・3ポイント増で14・3%となった、保守党より右の「リフォームUK」であった。
ところが、得票率では自由民主党を抜いて第3党となったにもかかわらず、議席率は僅か0・8%に過ぎない。
それに対し、得票率僅か0・7ポイント増の12・2%でほぼ現状維持だった自由民主党は議席を大幅に増やし議席率は11・1%となった。
保守党とリフォームUKを合わせれば得票率は38・0%で労働党を上回っており、より保守的な政治が民意だったとも解釈できる。
にもかかわらず、第3党以下に不利な小選挙区制ゆえ、労働党政権が誕生したのである。
日本でも英国ほどではないにしても、既成保守政党に代わる右派政党への支持拡大がみられる。
比例での参政党と保守党を合わせた得票率は5・5%と、衰えたとはいえ強固な支持基盤を持つ共産党の得票率6・2%と同程度で、無視できない大きさとなっている。
■フランスの場合は
日英とは異なり、フランスでは得票率と議席率で第1党が入れ替わった。
小選挙区制ながら2度投票が行われ、第1回投票で過半数を得る候補がいないと、一定数以上獲得した候補による第2回投票が行われる。
第1回投票で1位となっても、第2回投票では2位以下の候補の一本化によって逆転する可能性が大いにある。
第1回投票では、「極右」とされる国民連合が得票率33・2%で比較第1党となり、左派連合が28・1%で続き、与党連合は20・0%であった。
ところが政策の著しい不一致にもかかわらず、「極右」政権阻止で一致した左派連合と与党連合が共闘したため、議席率では左派連合が30・8%で第1党、与党連合が26・0%で続き、国民連合は24・6%となった。
そのため、日本でも、予想に反し「極右」が失速したと報道された。
しかし、実際には第2回投票で国民連合は更に得票率を伸ばして37・1%獲得し、左派連合の25・7%、与党連合の23・1%を上回っていたのである。
日英仏の選挙結果で示した通り、議席数の変動は必ずしも民意を反映しているとは言えず、獲得議席数(議席率)のみに基づいて、今後の政治動向を議論することには慎重でなければならない。
逆風下にもかかわらず、自民が小選挙区・比例とも第1党を維持したことは、考えようによっては最悪でもこの程度、将来は明るいとみることもできる。
一方、追い風と思われた中、前回と同程度の得票率に終わった立民の将来は、大幅な議席増にもかかわらず、必ずしも明るいとは言えない。
いずれにせよ、今回の選挙の最大の勝利者は、比例で得票率を6・8ポイント増やして11・3%とし、立民の半分の水準にまで至った国民民主党であることだけは確かである。

首相即時退陣こそ国益
美しき勁き国へ 櫻井よし子
2024/11/4 8:00
https://www.sankei.com/article/20241104-5RFGKKZHKNJ55EIV7L2CMGI6BI/
衆院選で歴史的惨敗を喫した石破茂首相は国民の審判を受け入れるべきだ。
小選挙区での得票数を約670万減らし、結果を受けた共同通信の世論調査では内閣支持率が50・7%から32・1%に急落した。
就任から1カ月、これほど急速に支持を失った事例は稀有だ。
石破氏は敗因を
「政治とカネ」
問題のせいにするが、真の原因は言動の定まらない本人の資質にある。
国民の声を大事にするのは、民主主義の基本である。
だが民主主義は絶対善ではない。
劣化して衆愚政治となった事例を、ソクラテスに下された死刑判決はもとより、ヒトラーの登場を含め、私たちは歴史の中にいくつも見てきたはずだ。
昭和天皇に月1回の頻度で進講した三上照夫氏が、『第三の文化の時代へ』(ぱるす出版)の中で民主主義について語っている。
人間集団にはこういう国造りをしたい、こういう家庭造りをしたいという共通の目標がある。
この建国の理想を、日本人は奈良朝時代から
「国体」
と言ってきた。
国体実現の手段として日米欧が選んだ政体が民主主義だ。
それはあくまでも手段としての政治原理であり、国家の目標・目的は別にある。
そして指導者に識見、国家観が欠落している時、手段であるはずの民主主義は目標に格上げされ置き換えられてしまう。
石破氏は国民の理解を求め続けて政治とカネ問題の先に行けない状況だ。
民主主義という手段を目的に格上げして自縄自縛に陥ったからである。
自業自得である。
結果として、より大事な国家目標実現の政策論がほぼ空白になり果てている。
長年の勉強不足もたたって、石破氏の提唱する政策は空疎を極める。
アジア版NATO(北大西洋条約機構)創設や日米地位協定見直しはアジア全体を不安定にしかねない。
自民党は両案件を政務調査会で議論するという形で封印した。
鳩山由紀夫元首相の東アジア共同体構想と同類の空疎な石破提案はこうして処理された。
より深刻なのが対中外交だ。
岩屋毅外相が中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談し、戦略的互恵関係を再確認したい旨を、語っている。
戦略的―は2006年、第1次安倍晋三政権が打ち出した。
小泉純一郎元首相の靖国神社参拝で冷え込んだ日中関係を双方が修復しようとした。
だが中国に習近平政権が誕生し状況は一変した。
強権的中国との戦略的互恵関係は日本の国益に合致せず、2017年11月の安倍・習会談以降消えた。
石破政権が岸田文雄元首相の路線を継いで立ち戻るのは悪手である。
安倍晋三元首相が戦略的互恵関係を謳った2006年から18年が過ぎた現在、日中関係は一変している。
中国は軍事大国としての力を誇示し、世界秩序を書き換える野望を隠さない。
18年前2006年、彼らは喉から手が出る程に日本の協力を求めたが、現在は如何にして日本から全てを切り取るか、あらゆる形で攻勢を強めている。
その手法は、小さな動きを積み重ねて圧力を強めるサラミ戦術で、一例が尖閣諸島(沖縄県石垣市)だ。
第2次安倍政権樹立から間もない2013年4月26日、中国外務省報道官は尖閣諸島を
「中国の核心的利益に属する」
と発言した。
その同じ日2013年4月26日、安倍氏は来日中の米軍制服組トップ、デンプシー統合参謀本部議長と会談し
「日本固有の領土である尖閣諸島について、我が国は一切譲歩しない」
と語った。
すると翌2013年4月27日、中国外務省は2013年4月26日の発言を事実上修正した。
現在の中国にそんな配慮はない。
彼らは堂々と尖閣を核心的利益と宣言し、2023年8月に発表した標準地図で示した
「十段線」
の10番目の線は与那国島から12キロの我が国の領海をえぐり取っている(『国防の禁句』岩田清文、島田和久、武居智久 産経セレクト)。
中国軍は2022年8月には与那国島の排他的経済水域(EEZ)内に弾道ミサイル5発を撃ち込んだ。
中国が初めて日本の庭先に実弾を撃ち込んだ事実に注目せよと岩田清文元陸上幕僚長は強調する。
2023年7月、尖閣諸島周辺の我が国のEEZ内で中国の情報収集用のブイが発見された。
2024年1月には中国海警局の船が尖閣上空の我が国の領空を飛行する自衛隊機に
「中国領空」
からの退去を要求した。
2024年6月には中国海警局最大級の巡視船が、尖閣諸島を周回した。
中国保有の軍艦は米国を上回り、2035年には435隻に迫る。
米国は2045年に至っても350隻にとどまる見込みだ。
その中国を岸田文雄政権は2022年末に策定した国家安全保障戦略で初めて
「これまでにない最大の戦略的な挑戦」
と定義した。
だが岸田氏は2023年4月の安保3文書についての国会報告で
「最大の戦略的挑戦」
というくだりを割愛し、更に2024年1月の施政方針演説では、日中は
「戦略的互恵関係を包括的に推進する」
と大幅に後退していた。
実は、戦略的互恵関係は岸田氏の施政方針演説の前、2023年11月16日の日中首脳会談で習近平主席が復活を持ちかけていたのだ。
習氏の意図は中国を最大の戦略的挑戦と定義した我が国の安全保障戦略を上書きすることだと、島田和久元防衛事務次官は警告した(『同書』)が、正しいと思う。
戦略的互恵関係の6年ぶりの復活には、再び日本を取り込む中国の狙いが込められている。
そこに岩屋毅外相が乗るというのだ。
だが、逆戻りしてどうするのだ。
対話の窓口は開けておくとして、我が国は今こそ静かに着実に、核の脅威も含めて中国に対処する力を強化し、体制作りを進める時であろう。
政治家にはそれだけの仕事を進める冷静な思考と胆力が要る。
石破氏がその任に相応しいとは思えない。
1日も早い退陣こそ国益だ。

高橋洋一「日本の解き方」
石破政権の命運が尽きる日 続投に意欲も居座り続けると…自民党は本当にぶっ壊れる 水面下で首相指名に向け多数派工作
2024.11/1 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H73BZLK7ABOXRCTQEW5GLA3X74/
衆院選で大敗した自民党だが、石破茂首相は続投に意欲を見せている。
今後、石破政権はどこまで生き延びることができるだろうか。
自民党内や地方組織からも
「石破おろし」
が始まっている。
かつて石破首相は、第1次安倍晋三政権や麻生太郎政権の時、国政選挙で負けたり、支持率が低迷したりした時、退陣を求めている。
今回自分だけを可愛がるのは誰の目から見てもおかしい。
小泉進次郎氏が選対委員長を辞任したが、問題がそれにとどまるはずはない。
小泉氏の辞任を石破首相は認めたというが、責任を部下に押しつけるようで、これが組織トップの在り方なのか疑問だ。
かつて安倍元首相が、
「石破氏だけは首相にしてはダメだ」
と言っていたのもよく分かる。
新聞各紙の社説も石破首相に責任を取ることを求めている。
朝日新聞は「選挙の結果責任を負うのは、本来、トップ」、
毎日新聞は「政権トップとしての首相の責任は重大」、
読売新聞は「速やかに進退を決することが憲政の常道」、
産経新聞は「直ちに辞職し新総裁選出を」
としている。
石破首相自らが、勝敗ラインを
「自公で過半数」
と明言した。
これは普通ではあり得ないほどの低いハードルであるが、実際には自公で215議席と過半数を18も下回ってしまった。
無所属の追加公認を入れても、到底過半数には及ばない。
衆院選の結果は政治家にとって最も重いものだ。
それを、ゴールポストを動かしてはいけない。
筆者はこうした状態を揶揄)して
「石にかじりつきたい破れかぶれ石破政権」
とポストした。
既に、水面下で首相指名に向けた多数派工作が与野党間で繰り広げられている。
当初2024年11月7日に想定されていた特別国会の召集日を2024年11月11日以降に延期する交渉が行われている。
憲法では衆院投票日から30日以内に特別国会を召集し、内閣総辞職、首相指名が行われる。
つまり、特別国会の召集日は首相指名の帰趨を占う意味でも重要なのだ。
石破政権の寿命はまず、特別国会では内閣総辞職、首相指名が行われるので召集日までだ。
そこから生き延びることが出来るのは、首相指名で1位を確保できる場合だけだ。
石破首相では選挙が出来ないとする参院議員、不条理な制裁を食らったが選挙を生き延びてきた旧安倍派、総裁選で高市早苗前経済安保相を推した麻生派、旧茂木派は
「石破おろし」
を起こす可能性があり、石破首相側にいた人も反旗を翻すかもしれない。
そうなると、特別国会の召集日までに自民党内で両院議員総会を開いて、石破氏を引きずり下ろすだろう。
自民党はモタモタしていると、首相指名の多数派工作でまとまりにならず、野党が主導権を握ってしまう恐れもある。
高市氏が
「党執行部には今の自民党を徹底的に立て直して頂きたい」
としたのは当然だ。
このまま、石破首相が居座りを続けると、自民党が衆院選で負けて、党再建でも負けて、ぶっ壊れてしまう。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

高橋洋一「日本の解き方」
国民民主「103万円の壁撤廃」は実現可能か 控除拡大は減税と同じ効果、財務省へのアンチテーゼに 賃金上昇率目標も検討すべき
2024.11/2 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-4CKOQXQOUFMPPFLNUW5T4DIG6M/
石破茂首相は国民民主党との
「部分連合」
を視野に入れている。
国民民主党は基礎控除の103万円から178万円への拡大、消費税5%などを掲げているが実現可能だろうか。
国民民主党の政策のうち、他党にない
「基礎控除等を103万円から178万円への引き上げ」
について取り上げたい。
まず、178万円という
「中途半端」
な数字に驚く。
これは、1995年からの最低賃金上昇率1・73倍から、103万円を1・73倍して得られる。
103万円は基礎控除と給与所得控除の合計だが、1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きである。
そこで、最低賃金の上昇と合わせて引き上げるべきだというのが国民民主の主張である。
ここまで厳密に拘らくてももいいが、国民民主党らしいとも言える。
控除の拡大は減税と同じだ。
控除額が増えれば、少なくとも所得税として
「75万円×税率(年収に応じて5〜45%)」
の額が手元に残るようになって、手取りが増える。
この政策が面白いのは、財務省は増税しないと言いながら、控除額の縮小を狙う
「ステルス増税」
をしばしば企むが、そのアンチテーゼになるからだ。
例えば、給与所得控除について
「海外と比較すると日本は大き過ぎるので縮小しよう」
と躍起になっている。
一方、基礎控除は日本だけが国際的に低いのは知らんぷりという具合だ。
この
「減税」(控除の拡大)
でも、財源はどうするのかという反論があるだろう。
仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる。
もっとも、この程度であれば、名目で5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える。
また、この政策との関連で、最低賃金について、
「全国どこでも時給1150円以上を早期に実現する」
としている。
自民党の「2020年代に1500円」、立憲民主党も「1500円」を掲げているのと比べると控えめな数字である。
1500円の方がいい加減な数字であるので、国民民主党に逆に信頼感が出るのではないか。
気になるのは、金融政策に関する公約がないことだ。
立民の
「0%超の物価目標」
は論外であるが、労働者の党である国民民主党が公約に掲げていないのは不自然だ。
かつて筆者が玉木雄一郎代表と話した時、インフレ目標ではなく
「賃金上昇率目標」
を主張した。
元々インフレ目標のベースになっているのがインフレ率と失業率の関係を示した
「フィリップス曲線」
であるが、同曲線は賃金上昇率と失業率の関係が元になっているので、玉木代表の意見には一理ある。
大胆に言えば、インフレ目標2%より、賃金上昇率3〜5%のほうが日本経済のためになるので、検討してはどうか。
それを消費税5%、社会保険料の軽減、トリガー条項の凍結解除と共に自公政権にぶつけたら面白い。
今の自公なら受け入れ余地はあるが、石破政権を退けた後からの方がより有望だろう。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

国民民主と政策協議も…自民に裏切り≠フ過去 維新と文通費見直し合意も反故、馬場代表「自民は狡猾、聞いてる振りはする」
2024.11/1 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H5TBRZVN3VLIBK52CGPVQGX2LQ/
自民党と国民民主党が
「部分連合」
に向けた動きを加速させている。
少数与党の石破茂政権は、国民民主党を取り込むことで、首相指名選挙やその後の国会運営を有利に運ぶ思惑だ。
国民民主党は衆院選で公約に掲げた
「年収103万円の壁」
撤廃などの実現に前進するが、要求通りの成果を得られるかは不透明だ。
過去には日本維新の会が自民党との合意を反故にされた経緯もあり、警戒感は強い。
自民党の森山裕幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日の会談で、政策協議を開始する方針で一致した。
公明党を加えた3党は今後、税制や補正予算を巡って合意を模索する。
国民民主党は、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
を撤廃するため、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計を最低103万円から178万円に引き上げることを最優先事項としている。
だが、実現機運に冷や水を浴びせるように、
「税収が計約7兆6000億円減る」
「高所得者ほど恩恵が大きい」
などネガティブな論調が広がった。
玉木代表
「『103万円』引き上げなければ予算、法案に協力できない」
玉木雄一郎代表は2024年10月31日、X(旧ツイッター)で
«財務省がマスコミを含めて
「ご説明」
に回っている効果はさすがです»
と皮肉った。
«引き上げができなければ、我が党は予算にも法案にも協力できない»
と強調する。
与野党の合意が実現しなかった前例もある。
日本維新の会は岸田文雄政権当時の今年2024年5月、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しについて自民と合意文書を交わしたが、反故にされた。
馬場伸幸代表は2024年10月31日放送のMBSの番組で
「自民党さんは狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではない」
「聞いてる振りはするが」
と話した。
国民民主党も、ガソリン税を軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除について岸田政権下で3党協議し、予算案にも賛成したが、議論は頓挫した。
石破政権は国民民主党の案を丸吞みもしたくないが、議論を決裂させて、立憲民主党などが今後、不信任決議案を提出した場合、賛成に回られることも避けたい。
「部分連合」
という名の微妙な関係が続きそうだ。

「軍事オタク」石破首相が自衛隊に入隊したら…「せいぜい3佐止まり」「宰相の器」ではない 自民党を仕切るには荷が重すぎか
2024.11/1 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-QZZY25QUHZIJDPESFQ6IRGUKLI/
「安全保障の専門家」
を自任し、
「軍事オタク」
とも呼ばれる石破茂首相だが、防衛大学校から自衛隊に入隊していれば、どのくらいの階級まで昇進することができただろうか。
「せいぜい3佐(少佐)だろう」
ある自衛隊元幹部はこう言い切る。
海上自衛隊でいうと、2等海佐(中佐)ならば通常の護衛艦の艦長となる。
中佐は英語で
「Commander」
と呼ばれる。
つまり、石破氏は指揮官には相応しくないという意味だ。
防衛相経験者でもある石破首相だが、別の元幹部自衛官たちも
「石破さんと河野太郎さんだけは首相にしてはならない」
と口々に言う。
2024年9月27日に行われた自民党総裁選の決選投票で、高市早苗前経済安保相ではなく、石破氏に投票した国会議員たちに聞かせたかった発言だ。
2024年10月27日投開票の衆院選について、石破首相は自民党と公明党で過半数(233議席)という
「勝敗ライン」
を設定していた。
石破首相がライバル視する安倍晋三元首相も第2次政権時代、
「勝敗ライン」
を同じく自公で過半数と言っていたが、実際には自民党単独で300議席が目標だった。
目標には僅かに及ばなかったが、2012年で294議席、2014年が290議席、2017年が281議席だった。
2021年の岸田文雄前首相の時でも261議席だった。
石破首相が今回獲得した191議席が如何に低い数字であるかは一目瞭然だ。
にもかかわらず、石破首相は
「何で自分が辞めなければいけないんだ」
と開き直っている。
総裁選の決選投票で石破首相に投じた自民党の国会議員には分からなかったことが、国民にはよく分かっていた。
石破首相が
「宰相の器」
ではないということを。
「森山(裕)幹事長に足を引っ張られた」(自民党ベテラン)
との見方もある。
確かに、石破首相は総裁選では新内閣発足後、予算委員会を開いて議論を尽くすべきだと発言していた。
だが、森山氏の1日も早い選挙の方が野党の態勢が間に合わず有利だとの説得に応じ、選挙日程を前倒しした。
森山氏は、パーティー券収入を政治資金収支報告書に記載しなかった候補を一時は公認するとしながら、批判を浴びると12人を
「非公認」
として混乱をもたらした。
選挙戦終盤では、
「非公認」
とした候補者が代表を務める政党支部に公認候補と同額の2000万円を支給し、決定的な打撃を与えた。
森山氏と事務方トップ、元宿仁事務総長の責任は大きい。
そして、最終責任を負うべきは総裁である石破首相である。
石破首相と森山氏に共通しているのは
「小さな派閥」
しか率いたことがないことだ。
自民党のような大所帯を仕切るには荷が重過ぎた。
本来ならば菅義偉副総裁が目配せすべきだったが、かつてのような切れを欠いている。
石破首相は2024年10月28日の記者会見で、
「国政は一時たりとも停滞が許されない」
と続投する意向を表明したが、信を失った石破政権が続くことは国益にならない。
 (産経新聞特別記者・有元隆志)

国民が石破首相ノー¥A任1カ月「権力居座り」に党内外から批判噴出!「衆院選惨敗、責任をとる気配さえない」「党内勢力も尻込み」
2024.11/2 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-FKEB6WKBLBL6TLZR4NZ5CKKMSY/
石破茂首相(自民党総裁)は2024年11月1日、政権発足1カ月を迎えた。
戦後では内閣発足後最短の8日で衆院解散に打って出たが、選挙戦略は悉く失敗し、自ら勝敗ラインに設定した
「自公与党で過半数」
を割り込む大惨敗を喫した。
これまで、歴代首相を激しく批判しておきながら、
「国民の審判」
を無視して
「権力居座り」
を決め込む石破首相に対し、党内外から批判が噴出している。
「衆院選において大変、厳しい結果を頂戴した」
「厳粛に受け止めなければならない」
「示された民意を厳粛、謙虚に受け止め丁寧に政権運営に当たっていく」
石破首相は2024年11月1日、記者団にこう語ったが、民意は
「石破首相ノー」
なのだから、これほどのペテンはない。
自民党ベテラン議員は
「これまで、政治家の『責任』に拘ってき石破首相はどこに行った」
「自公過半数を勝敗ラインに設定した衆院選で惨敗したのに責任を取る気配さえない」
と断じる。
石破首相はむしろ
「政権居座り」
に意欲を強めている。
今月2024年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などに合わせ、ジョー・バイデン米大統領や、中国の習近平国家主席らとの首脳会談を調整しているという。
ある保守系議員は
「バイデン氏も習氏も、『国民の負託』を得られなかった石破首相と真剣な話をしようと思うだろうか」
「ガバナンスが崩壊した政権に内政・外交を委ねれば、次は日本が壊れる」
と批判する。
ただ、権力にしがみつくトップを交代させるのは簡単ではない。
特別国会の首相指名選挙で、国民民主党は決選投票も含めて玉木雄一郎代表に票を投じる方針のため、野党の票は分散し、石破首相が多数を獲得しそうな情勢だ。
政治評論家の有馬晴海氏は
「国民が石破首相に『ノー』を突き付けた」
「本来なら退陣待ったなしだ」
「小泉進次郎選対委員長だけが辞任して、石破首相と森山裕幹事長が続投するなどガバナンスも崩壊している」
「ただ、石破首相に反発する党内勢力も党が弱り切った中で『石破おろし』に尻込みしている」
「石破首相は『低姿勢』『反省』を示し、何とか成果を示そうと必死なのだろう」
と指摘した。

自民得票率、15年前の政権交代時と全く同じ「26・73%」衆院比例、民主系もほぼ同じ
2024/11/2 11:30
https://www.sankei.com/article/20241102-XDBGXUZYRFOH3FEVQDVDTT2XFY/?outputType=theme_election2024
2024年10月27日投開票の衆院選で、各政党の比例代表の得票率を政権交代が起きた平成21(2009)年の衆院選と比べたところ、自民党の得票率はいずれも26・73%で全く同じだった。
自民と公明党を合わせた与党と、民主党系など野党の割合もほぼ同じで、投票率が異なりながら15年前と酷似した状況が浮かんだ。
総務省の発表資料によると、平成21(2009)年と今回の衆院選比例代表で、自民の得票率は26・73%で全く同一だった。
自公を合わせた得票率も平成21(2009)年の計38・18%と今回の計37・66%でほぼ同じだった。
一方の野党も、平成21(2009)年の民主党の得票率は42・41%だったのに対し、今回の主要野党である立憲民主党と国民民主党、日本維新の会の3党の合計は41・88%でほぼ同じだった。
自民は今回、比例の得票を令和3年の前回選挙より約533万票減らした。
しかし、平成21年の投票率が69・27%と高率だったのに対し今回は53・84%と下がっているため、割合はくしくも同一となったようだ。
自民の比例得票率を選挙ごとにみると、平成21(2009)年の26・73%から平成24(2013)年27・62%、平成26(2014)年26年33・11%、平成29(2017)年33・28%、前回令和3年34・66%、今回の26・73%と推移している。

「岩盤保守層」は自民を見放した 過半数割れ「功労者」共産も最盛期から半減
大手町の片隅から 乾正人
2024/11/1 10:00
https://www.sankei.com/article/20241101-U4OIN3HVR5K47CVWO5W6XB2DQI/?outputType=theme_election2024
数字は美しく、残酷である。
昭和61年の衆参ダブル選挙以来、大手町の片隅で13回に渡って選挙報道に携わってきたが、毎回、得票数の精妙さに唸らされる。
衆院選が、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制に変わってからは、比例代表の得票数が、時々の政治状況を鮮やかに切り取ってくれる。
今回、自民党の総得票数は約1458万票に激減した。
前回から27%、533万票も減らし、制度導入以来、過去最低の得票数となった。
平成21年に民主党が大勝し、政権交代が実現したときでさえ、1881万票を獲得していたことから類推すると、安倍晋三元首相の考え方や彼が推し進めた安保法制などの政策を熱烈に支持していた
「岩盤保守層」
のかなりの部分が、自民党を見放した、と見るべきだろう。
衆院選に初挑戦した参政党が187万票、日本保守党が115万票を獲得したが、合わせて300万人以上が自民党から両党に乗り換えたとみて間違いない。
残る230万人余は主に国民民主党へ流れたと推測できる。
■立憲比例票は横ばいだった
というのも、今回大躍進した立憲民主党は、比例代表ではほとんど票を伸ばしていないからだ。
3年前の前回が1149万票で、今回は1156万票と僅か7万票しか増えていない。
つまり、自民党が自滅したため、立憲は小選挙区で競り勝ち、議席数を5割も増やしたのである。
政権交代出来るだけの国民の広範な支持が得られていないのは、数字が冷酷に示している。
比例票から分析すると、危機的状況にあるのは、自民党だけではない。
公明、共産の両党も重症だ。
公明党は、平成21年に805万票を獲得していたのが、徐々に減っていき、今回ついに600万票を割り込む596万票にとどまった。
15年間で200万票以上が削げ落ちてしまったのである。
支持基盤である創価学会員の高齢化と共に、公明党を創設した池田大作氏が昨年2023年死去した影響も見逃せない。
■最盛期から半減した共産党
共産党は、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る「裏金」問題や非公認候補側への2000万円振り込みを機関紙「しんぶん赤旗」がすっぱ抜き、自民党を大敗に追い込んだ最大の功労者だ。
だが、比例票は前回より80万票も減らして336万票しか取れず、れいわ新選組に軽く抜かれた。
平成8年には726万票を獲得していたから半減以下の凋落ぶりだ。
お気の毒に、としか言いようがないが、有権者は共産党の本質をよく見ている。
さて、自民党である。
今回の敗因は、表面的には
「政治とカネ」
への国民の怒りが爆発した結果と見える。
それだけなら軽症で済むが、問題の根は深い。
「岩盤保守層」
のうち参政党などに投票した300万人は、容易に自民党には戻ってこないだろう。
しかも連立相手である公明党のパワーは目に見えて落ちている。
少数与党に転落した石破茂政権は、国民民主党をなびかせるためにリベラル寄りの政策を打ち出さざるを得ず、
「岩盤保守層」
は益々離反するはずだ。
日本にもいよいよ分断と混乱の時代が到来しようとしている。

<主張>自・国の政策協議 石破執行部に資格あるか
社説
2024/11/2 5:00
https://www.sankei.com/article/20241102-GDS25MDC7ZM75MJH3E5JS5FUQI/
自民党と国民民主党が政策協議に入ることで合意した。
衆院選に大敗した石破茂首相(自民総裁)と森山裕幹事長が何の責任も取らずに協議を進めるのは、異様な光景という他ない。
石破首相と森山氏は辞任し、自民は新執行部の下で他党と協議に臨むのが筋だと改めて指摘したい。
石破首相は居座り、国民民主との
「部分連合」
の形成を図るつもりなのだろう。
森山氏と国民民主の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日、会談した。
森山氏は経済対策や令和6年度補正予算案、令和7年度予算案の編成、税制改正での協力を呼び掛けた。
「部分連合」
の構築に向け、両党の政調会長による常設の会議体設置も求めた。
これに対し、榛葉氏は会議体設置を拒み、案件ごとに対応する意向を示した。
森山氏は受け入れた。
国民民主は年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の金額を178万円に引き上げることを最優先事項に掲げている。
林芳正官房長官が7兆〜8兆円程度の減収が見込まれるとの試算を示すと、国民民主の玉木雄一郎代表は
「全くやらないなら協力できない」
「その時は予算も法律も通らない」
と牽制した。
ガソリン税を一部軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除も看板政策の1つだ。
国民民主は衆院選で
「手取りを増やす」
ことを訴えて支持を得たため、その実現に注力するのは分かる。
ただ、両党の協議を巡り懸念はある。
個別政策を切り離して交渉した場合、他の政策とバランスが取れなくなる恐れがあることだ。
厳しい安全保障環境を踏まえれば、防衛力の抜本的強化を滞らせてはならない。
政府は令和9年度までの5年間で防衛費総額を約43兆円と定めているが、増税時期は決まっていない。
防衛増税は令和10年度以降の防衛費をきちんと確保することも睨んだ措置である。
税制改正を行う場合は、税制全体との整合性を図ることも求められる。
国民民主は自党の政策実現だけを目指すのではなく、日本の平和と繁栄のための国家戦略をより明確に描き、日本を守り抜く政策でも責任ある姿勢を示す必要がある。

自民 衆議院 197人で活動へ 会派に無所属で当選の6人追加
2024年11月1日 15時28分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241101/k10014626171000.html
自民党は、国会で活動をともにする会派のメンバーに、今回の衆議院選挙で無所属で立候補して当選した6人を加え、合わせて197人の勢力で活動していくことになりました。
自民党は、2024年11月1日に開かれた衆議院の各会派の代表者による協議会で、今回の衆議院選挙で党の公認を得て当選した191人に、無所属で当選した6人を加えた197人の勢力で会派をつくることを届け出ました。
会派に加わったのは、
政治とカネの問題で自民党から離党勧告の処分を受け離党した
▽世耕弘成氏と
選挙に際し公認が得られなかった
▽平沢勝栄氏
▽西村康稔氏
▽萩生田光一氏の4人に、
自民党の公認候補と争った
▽三反園訓氏
▽広瀬建氏
を加えた、合わせて6人です。
公明党の会派と合わせると、衆議院の与党の勢力は221人となりますが、過半数の233議席までは、12人足りない状況です。

世耕弘成、西村康稔氏らの会派入りを批判 立民の野田佳彦代表「反省足りない」
2024/11/1 14:15
https://www.sankei.com/article/20241101-DPCLWIFSRRJBFDDCZHVHVX5G64/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月1日の記者会見で、自民党の派閥パーティ収入不記載事件に関与し、衆院選に無所属で当選した世耕弘成、西村康稔両氏らが衆院会派
「自民党・無所属の会」
に入る見通しとなったことを批判した。
「選挙が終わり禊が済んだと言うならば、思慮も反省も足りない」
と語った。
自民側の狙いに関しては、特別国会の首相指名選挙で石破茂首相を当選させるため
「数を確保しておきたいとの焦りがあるのだろう」
と指摘した。

言わんこっちゃない自民党大敗 総裁選で高市候補を選ばなかった自民党議員、自らの責任だ 変わり身の朝日新聞、言い訳に笑い
2024.10/31 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241031-VCDRHRXXD5KM3JAK4LCZCNPLMA/
だから、言わんこっちゃない。
石破自民党が歴史的大敗。
自公で過半数割れは15年ぶりだ。
さすがに開票を見守っている時も、各社のインタビューでも石破茂総理に笑顔は一切ナシ。
それでなくても悪い目つきがますます悪くなっていた。
「なぜ、言わんこっちゃない」か。
1カ月前、2024年9月27日の自民党総裁選。
第1回投票で大方の予想に反し、高市早苗候補が、石破候補を圧したのだ。
高市候補 議員票72 党員・党友票109 計181
石破候補 議員票46 党員・党友票108 計154
ところが決選投票ではこれが逆転。
石破候補 議員票189 地方票26 計215
高市候補 議員票173 地方票21 計194
つまり、第2回投票で石破候補の議員票は143票も増えていたのだ(高市候補は101票増)。
岸田文雄前総理の指示か、菅義偉元総理の依頼かは知らないが、143人もの議員が、石破候補を新たに支持したことになる。
この時、高市候補を支持する議員が、あと22人増えてさえいれば高市総理が実現していたのだ。
もし、あの時、高市候補を選んでいれば、日本初の女性総理として、世界のメディアでも話題になったに違いない。
選挙中に自民党の、あのどんよりしたような暗い雰囲気はなく、清新な風が吹いていたろう。
石破総理は応援に来なくていい。
来れば票が減るなんてこともなく、高市さん、全国の候補から引っ張りだこだったろう(総理でなくても引っ張りだこで、全国を飛び回っていた)。
むろん選挙にも負けなかったに違いない。
繰り返すが、総裁選決選投票で石破さんに票を投じた自民党議員の責任は重い。
今回の自民党大敗は、あの時、高市候補を選ばなかった自民党議員、自らの責任だ、だから
「言わんこっちゃない」
と言っているのだ。
むろん、新聞各紙、選挙後、石破総理を一斉に批判。
石破総理に厳しいのが産経。
<石破首相は高市早苗前経済安全保障担当相との協力関係構築にも失敗し、閣僚人事で挙党体制を作らなかった>
<自民の岩盤支持層の離反を招き、票が日本保守党や参政党などへ流れた>
<国会論戦も十分に行わず早期解散に走った>
<これで選挙に勝てると思っていたのなら信じ難い>
意外だが、朝日新聞が一番手厳しい。
社説でハッキリ石破総理に引導を渡している。
<自民党がなお議会第1党だとしても、「自公で過半数」という自ら設定した最低限の目標を達成できなかった以上、石破首相は職を辞すのが筋だ>
党内野党として石破氏が安倍晋三元総理を批判していた時は、散々、持ち上げて、事あるごとに利用してきた朝日、さすがに変わり身が早い。
<期待が大きければ、その分、失望も大きい>
と言い訳しているのが笑える。
党内では
「首相の責任は重大、続投は難しい」
の声も少なくない。
だが、石破総理自身は続投の意志を捨てず、
「色んな選択肢があるだろうよ」
と他人事のように
「続投を明言」
しているらしい(2024年10月28日産経)。
誰か、石破総理の首に鈴を付ける奴はいないのか。
 (月刊『Hanada』編集長・花田紀凱)

<正論>惨敗した首相に国民を守れるか 
麗澤大学教授・八木秀次
2024/10/31 8:00
https://www.sankei.com/article/20241031-UK2MSTVJUFLK5JR4Y2VOXIN2HA/?outputType=theme_election2024
■続投は理屈が通らない
平成19年7月、第1次安倍晋三政権でのことだ。
自民党は参院選で惨敗し、第一党の座を民主党に譲った。
衆参「ねじれ」の始まりだ。
安倍首相は続投の方針を表明したが、この時、党の総務会で
「選挙に負けたにもかかわらず、続投するのは理屈が通らない」
と公然と首相の辞任を求めた議員がいた。
現在の首相の石破茂氏だ。
その後、安倍氏は体調を崩して辞任した。
2年後の平成21年7月、麻生太郎内閣は低支持率に喘いでいた。
都議会議員選挙で自民党が敗れた際、内閣に身を置きながら派閥を率いて
「麻生おろし」
の先頭に立った閣僚がいた。
石破農水相だ。
麻生首相は飼い犬に手を嚙まれる思いだったという。
今月2024年10月27日投開票の衆院選挙で自民・公明の与党は目標とした過半数(233議席)をも大幅に下回る大惨敗を喫した。
参院選や都議選での敗北ではない。
政権選択選挙とも言われる衆院選で、だ。
与党過半数割れのままでは予算案も法案も通らない。
異常事態だ。
何より野党その他の総計が過半数を占めた状態では内閣不信任案をいつでも可決できる。
それでも石破首相は続投を重ねて表明している。
首相就任8日後という戦後最短で解散総選挙を行う理由を憲法69条に言及して
「新しい内閣について、国民に信を問うことが憲法の趣旨からもそういうことだ」
と述べていたはずだ。
国民の信任を得られなかったにもかかわらず、続投するのは
「理屈が通らない」。
過去の自分の言動によって
「後ろから鉄砲を撃たれる」
思いがしていることだろう。
長かった党内での野党暮らしは責任がなく気楽だったはずだ。
「正論」
も述べられた。
今、
「与党」
の首領として生き地獄の苦しさを味わっていることだろう。
■国民的人気も幻だった
大惨敗の原因は
「政治とカネ」
の問題そのものではない。
政治資金の不記載問題は、一部の法令違反は処罰されて当然だが、それ以外は今後、記載を徹底し再発を防止するとすればよかった程度のことだ。
これの処理の仕方を誤って派閥解消などの大きな問題にしてしまい、
「国民の怒り」
を醸成したのが岸田文雄前首相だった。安倍派の力を削ごうとした節も否定できまい。
その岸田氏が低支持率で退任することになり、国民的人気があると勘違いして自民党総裁選で後継に選んだのが石破氏だが、総裁選で大言壮語したものの首相になるや
「変節」
やトーンダウンし、大した政策もなかったことを露呈した。
選挙はこの政策を実現するために力を与えてくださいと訴えて勝つものだが、訴える
「この政策」
がなく、
「政治とカネ」
への防戦一本となった。
当てにした国民的人気も幻で、発足時の内閣支持率は28%(時事通信、2024年10月17日公開)という2000年以降の歴代内閣の最低を記録した。
選挙応援に入る度に票が減ると言われ、自民党支持層まで野党に投票した模様だ。
大惨敗の原因は石破氏の存在が大きい。
不記載議員を原則公認する方針を決めたものの、メディアの批判に圧されて一転して非公認や比例重複なしの
「二重処罰」
にしたが、非公認候補側にも公認と同じ2000万円を振り込んだ。
当選後に追加公認を受けるようにとの狙いだろうが、如何にも場当たり的だった。
これが選挙の最終盤に発覚し報道されたことで
「政治とカネ」
の問題を蒸し返し、
「国民の怒り」
を買って数十議席を減らしたとされる。
判断した森山裕幹事長、小泉進次郎前選対委員長ら執行部の責任は大きい。
■政策無視の「大連立」では
選挙の結果、安倍元首相が第2次政権以来、国政選挙に勝ち続けて築いてきた
「1強」
とも言われた強固な政権基盤はいとも簡単に崩壊した。
過半数割れの
「少数与党」
では政権運営に困難が伴う。
予算案や法案を通すためには野党との協力が必要になる。
当てにしていた国民民主党も日本維新の会も連立政権には加わらない方針だ。
益々野党の主張に歩み寄らざるを得ない。
首相は続投を表明した記者会見で野党の政策を取り入れるとも述べた。
これでは事実上の与野党の
「大連立」
だ。
野党の影響力が大きくなって懸念されるのは安全保障や経済だ。
台湾有事や朝鮮半島有事の危険が迫り、石破氏は否応なく、
「戦時下の首相」
となる可能性もある。
集団的自衛権の限定行使にさえ否定的な軍事音痴の野党第一党との協力で国民の生命を守れるのか。
間もなく選出される米国大統領にも対応できるのか。
財務省の意向に沿うべく積極財政の否定に向かうことはないか。
経済は低迷しないか。
安定的な皇位継承策の検討もこれまでと反対方向に向かうことはないか。
選択的夫婦別姓もそうだ。
憲法改正は進むのか。
党内野党を余儀なくされている高市早苗氏や旧安倍派の議員は党内政権交代に備えて政策を磨き、発信していってほしい。

悪夢の少数内閣が始まる 総裁選、もし林氏や加藤氏が高市氏に勝てば…党内「分裂」も 自民党再生のため石破さんは辞めた方がいい
2024.10/31 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241031-TMJ52B5XUJP4VAT5QKSNN6GVEQ/
石破茂首相は2024年11月28日の記者会見で続投する考えを明らかにした。
理由は
「国政は一時たりとも停滞が許されない」
ということなのだが、
「いや、あなたは国民に信任されなかったので、少しくらい国政が停滞してもいいから誰か別の人に代わってください」
と思う人はいないのだろうか。
仲間の4分の1が落選し、
「勝敗ライン」
の与党過半数を下回った首相がなぜ居座るのか。
ただ、石破首相本人も居座りたくて居座っているのではない。
居座らねばならぬ理由がある。
野党第一党、立憲民主党の議席は大幅増の148議席なのだが、これに日本維新の会の38、国民民主党の28を足しても214で233の過半数には届かず、れいわ新撰組の9、共産党の8を足しても届かない。
つまり、野党だけの連合で政権は取れない。
だから、開票当日夜のテレビ出演で、立憲民主党の野田佳彦代表は、自民党の一部が割れて野党連合に参加することを期待する口ぶりだった。
だが、それは無理なのだ。
党の分裂は自民党も立憲民主党(前身の民主党)も以前経験して酷い目に遭っている。
「分裂だけは損するから、やっちゃダメ」
というのは与野党の共通認識だ。
もし、石破氏が辞めたら自民党は2024年11月11日召集の特別国会での首相指名選挙の前までに新総裁を決めなければならない。
フルスペックの総裁選をやる時間はないので両院議員総会で議員のみの投票で行われる。
本来なら、前回の総裁選で石破氏に惜敗した高市早苗前経済再生相が
「本命」
のはずなのだが、執行部の菅義偉副総裁や森山裕幹事長、更に石破首相誕生の影のキングメーカーである岸田文雄前首相らは気が進まないだろう。
高市氏を応援した人たちの多くが、今回の衆院選で落選している。
もし執行部が林芳正官房長官とか加藤勝信財務相を立てて高市氏に勝つようなことがあったら、党内の
「分断」
は更に進むし、それが
「分裂」
に発展しかねない。
自民党は主流派も非主流派も、絶対に
「分裂」
だけは避けなければいけないことを分かっている。
高市氏や安倍派周辺から
「石破降ろし」
の声が余り上がらないのはそういうわけなのだ。
つまり石破氏はとりあえず今は辞められない。
石破首相が首相指名選挙を乗り切っても
「少数内閣」に
よる予算審議は大変だ。
国民民主党と政策ごとの
「部分連合」
を組み、予算に賛成してもらうために政策をいくつか
「丸呑み」
する必要があるが、大変な作業だ。
最後は
「石破退陣」
を条件に予算成立という局面もあるかもしれない。
悪いことは言わない。
石破首相は退陣して、自民党は新総裁を選び、再スタートした方がいい。
「負けた人」
の下で政党はまとまらないし、先は見えない。
自民党の再生のためにも石破さんは辞めた方がいい。
 (フジテレビ客員解説委員 平井文夫)

<産経抄>居座る石破首相、言行一致の身の処し方を
2024/10/31 5:00
https://www.sankei.com/article/20241031-R6DMQT64N5MG7N6B3LUJYMNMZU/
辞書に載る言葉には、業界用語を出自としたものが多い。
「暗転」
はその1つである。
<物事が悪い方に転じること>
は後から加わった意味で、本来は
<舞台を暗くして、幕を下ろさずに場面を変えること>。
つまり芝居用語だ。
▼対義語を
「明転(あかてん)」
という。
<舞台が明るいままで場面を変えること>。
次の場面がすでに出来上がっており、回り舞台ではよく使われる手法である。
ただし
<物事がいい方に転じること>
の意味はなく、採録しない辞書も多いと聞く。
▼先日の総選挙を下敷きにした舞台『国民の審判』は、過半数割れした
「自公の大敗」
編から
「少数与党の悲境」
編へと場面転換しそうだ。
脇を固めた若手選対委員長の降板をよそに、自身は主役に居座り、場面の明転を待つつもりらしい。
続投の意思を示した石破茂首相である。
▼「国民の批判に適切に応え」
ながら職務に当たるという。
与党過半数を勝敗ラインと明言したのは他ならぬ首相で、続投は現政権を否定した選挙結果への答えになっていない。
「国政の停滞は許されない」
との説明も、責任逃れの方便に聞こえる。
▼石破氏と言えば
「ねじれ国会」
を招いた第1次安倍晋三政権時に、安倍氏を舌鋒鋭く責めた姿が忘れ難い。
麻生太郎政権では閣内から事実上の退陣を迫りもした。
過去のご自分を鏡とし、言動にいささかのぶれもない身の処し方を、信を置ける政治家の作法を見せてもらいたい。
▼安全保障、国民生活、災害対応。
どれ1つとして置き去りにできぬ課題で、国政が停滞すれば国民は甚だ迷惑する。
次の場面に移る前に、一案としてこんなト書きを台本に入れてみる。
<ト ここで暗転、主役交代>。
総裁選を行う気力くらい、なければ困る。

<主張>野田氏の支持要請 現実路線なしでは空論だ
社説
2024/10/31 5:00
https://www.sankei.com/article/20241031-L4VASTN36ZJOBF4YXY6QB5RHE4/
立憲民主党の野田佳彦代表は、日本維新の会の馬場伸幸代表と会談し、特別国会の首相指名選挙で自身に投票するよう要請した。
議席を大幅に伸ばした野党第一党として、他の野党に協力を呼び掛けること自体は否定しない。
だが、基本的な政策を見ると、立民は政権担当能力を欠いている。
衆院選公約などで掲げた政策では日本の独立と繁栄、国民の命・暮らしを守れまい。
衆院選で勢いづいているとはいえ、野田氏が本気で政権を担うつもりなら、反省と基本政策の現実路線への転換が必要だ。
立民は衆院選で外交・安全保障政策について
「日米同盟が基軸」
とした一方で、集団的自衛権の限定行使は憲法違反という立場を変えなかった。
反撃能力の保有にも消極的だ。
これでは抑止力が損なわれ、日米同盟は旧民主党政権時のような危機に陥るだろう。
エネルギー政策では
「原発の新増設は認めない」
と宣言し、党綱領では
「原発ゼロ」
の実現を謳う。
脱炭素化や電力の安定供給に逆行している。
国の根幹をなす憲法改正にも後ろ向きだ。
自民党の自衛隊明記案に反対し、国会議員任期延長を含む緊急事態条項の創設も
「必要ない」
としている。
安定的な皇位継承策では、野田氏は
「女性宮家」
の非皇族男子の夫と子の皇族化に拘っている。
これは日本の皇統を断絶させる
「女系天皇」
に繋がる恐ろしい議論だ。
馬場氏は野田氏の要請を持ち帰り、
「大義や具体的な政治改革案がなければ、与することは出来ない」
「やはり政治とカネの問題だ」
と語った。
政治とカネの問題を主軸に交渉するつもりなら、首相指名選挙を履き違えることになる。
政権の舵取り役を決める選挙なのだから、皇室や外交安保、エネルギーなどの基本政策を重視すべきだ。
普通の国会共闘とは次元が違う。
馬場氏は2024年10月27日、立民について
「外交安保やエネルギー、憲法など基本的な政策で党内がまとまっていない」
と批判していたはずだ。
野田氏は共産党の田村智子委員長にも首相指名選挙での協力を求めた。
党綱領に日米安全保障条約の廃棄を記すなど、基本政策が立民以上に非現実的な共産にまで要請したことは間違っている。

首相、衆院選惨敗を党の責任にすり替え 政策を争点としなかった戦略ミスの反省みられず
阿比留瑠比の極言御免
2024/10/31 1:00
https://www.sankei.com/article/20241031-C5A4Z42JZRJN7KN44VVPHMJ76Y/
私事で恐縮だが、筆者が社会部から異動となり、政治部へと着任したのは26年前の平成10年7月12日、参院選の投開票日だった。
その日の深夜か翌未明に、当時の橋本龍太郎首相(自民党総裁)が次のように述べて、敗戦の責任を取って辞任を表明した。
「全てをひっくるめて私自身の責任だ」
「力不足」
「それ以上に言うことはない」
参院選で自民は16議席減らしたが、44議席を獲得した。
しかも参院選は、政権選択選挙と言われる衆院選とは位置付けが異なる。
にもかかわらずの橋本氏の引責辞任に、政治家、なかんずくリーダーの身の処し方、潔さというものを考えさせられたのだった。
一方、安倍晋三元首相は平成19年7月の参院選で大敗しても辞めなかった。
既に各種世論調査で自民劣勢が明らかだった平成19年7月29日の投開票日の数日前、安倍氏は筆者にこう話した。
「小泉さん(純一郎前首相)からも電話がかかってきて
『負けても絶対に辞めるな。参院選に負けても政権が変わるわけではない。いちいち一喜一憂せずにやればいい』
と言われた」
■続投の安倍首相を攻撃
参院選は政権選択選挙ではないのだから、時の首相によってそれぞれの考え方や判断があるのだろう。
ただ、続投を表明した安倍氏に対し、こう激しく攻撃したのが石破茂首相だったことは踏まえておきたい。
「安倍首相は
『私か小沢一郎民主党代表かの選択だ』
と訴えたのに、どう説明するのか」(党総務会)
「安倍首相は
『反省すべきは反省する』
と言っているが、何を反省し、どう改めるのかはっきりしてほしい」(党代議士会)
石破首相は政権選択選挙である衆院選で惨敗し、与党での過半数も失ったことをどう受け止めるのか。
首相に
「ノー」
を突き付けた民意を無視して続投を決め込み、2024年10月28日の記者会見では次のように党の問題へと摩り替えた。
「自民党は反省が足りないとご叱責を賜った」
「党内の論理、党内の理屈は一切排除し、政治とカネについて抜本的な改革を行っていく」
「党内融和よりも国民のご理解ということの方を私は優先していかねばならないし、党内論理を優先したことが厳しい結果に繋がったのではないかという反省を、私自身は思っているところだ」
せっかく党総裁選で政策論争に注目が集まっていたのに、衆院選では明確な基準も示さないまま党所属議員を非公認や重複立候補禁止処分とし、自ら政治とカネの問題を争点とした自分自身の戦略ミスや判断の誤りへの反省はない。
あくまで悪いのは他者であると強調し、党内融和には目を向けない。
こんな延々と魔女狩りや内ゲバを続けるような姿勢が、有権者の嫌悪感を誘うことには気づかないのだろう。
ろくに党内もまとめられずに、国民の願いや要望に応えることはできるのか。
■「一瞬は人を動かす」
安倍氏は首相時代の令和2年6月17日、自身の次の首相候補とされた岸田文雄前首相と石破首相とを比較して、筆者に語っていた。
「政治は人を動かすかなりの要素、情熱が大事だ」
「岸田さんは最後は人を動かす所を見せないといけない」
「石破さんは本物ではないけど、一瞬は人を騙して動かす能力がある」
「彼こそ本当の『言うだけ番長』なのだけど」
その言葉通り、総裁選で石破首相は一瞬、所属議員を動かし首相の座に就いた。
石破首相に1票を投じた議員らは、自民の転落をどうみているのか。
(論説委員兼政治部編集委員)

どうなる首相指名選挙 石破首相選出の流れも自民内造反の可能性に懸念
2024/10/30 21:03
https://www.sankei.com/article/20241030-EJ6PX23YLBNK7MYACULWRJYDPM/
来月2024年11月11日に召集予定の特別国会で行われる首相指名選挙は、キャスチングボートを握る国民民主党が立憲民主党の野田佳彦代表に投票しない方向となり、自民党総裁の石破茂首相が選出される流れが強まった。
衆院本会議での1回目の投票では、ほとんどの議員が所属政党の党首に投じるとみられ、誰も投票総数の過半数を獲得できない見通し。
石破首相と野田氏の2人による決選投票が行われる公算が大きい。
衆院の過半数は233議席。決選投票は自民、公明両党(計215議席)が支持する石破首相、共産党も投票を前向きに検討している立民の野田氏(立民と共産で計156議席)の2人が他党票の取り込みを狙う。
ただ、
「票田」と
なる日本維新の会(38議席)の馬場伸幸代表は2024年10月29日のBSフジ番組で
「どちらかに軍配を上げることはできない」
と語った。
国民民主(28議席)の玉木雄一郎代表も2024年10月30日の党会合で、決選投票でも玉木氏自身に投票する方針を説明した。
両党とも来年2025年夏に参院選を控える中、
「野合」
批判を避け、独自性をアピールする必要がある。
首相対野田氏の決選投票で投票用紙に
「馬場」
「玉木」
と書けば無効票となり、自公勢力が立共勢力を上回り、首相の勝利が有力だ。
ただ、馬場氏は2024年10月30日、記者団に、立民と政治改革に関する協議を行うと述べた上で、野田氏に投票する可能性について
「これからの協議の中身(次第)だ」
と完全に排除はしなかった。
また、自民内の一部には、衆院選で与党過半数割れとなった責任を首相が取って退陣すべきだとの声もある。
首相周辺は、首相指名選挙の投票を棄権する自民議員が出る事態を警戒している。
このため、現時点で可能性は低いものの、野党の大連合が成立したり、自民内の造反によって野田政権が誕生したりする可能性もゼロとは言えない。

石破首相「辞任必要ない」65・7% 内閣支持率は32・1%に急落 共同調査
世論調査
2024/10/29 18:30
https://www.sankei.com/article/20241029-A5DPYG3NWBMV3CYK7CDXWCWATE/
衆院選の結果を受けて共同通信社は2024年10月28、29の両日、全国緊急電話世論調査を実施した。
石破内閣の支持率は32・1%で、内閣発足に伴う2024年10月1、2両日調査の50・7%から18・6ポイント下落した。
不支持率は52・2%。
与党過半数割れとなった自民、公明両党の連立政権継続を望むとしたのは38・4%で、望まないが53・0%だった。
自民の派閥パーティー収入不記載事件に関与し、当選した議員を要職に起用することに79・2%が反対し、賛成は16・3%だった。
望ましい政権の枠組みは
「政界再編による新たな枠組み」
が31・5%と最多で、自公の少数与党政権は18・1%。
一方、石破茂首相が過半数割れの責任を取り辞任すべきだとの回答は28・6%にとどまり、辞任は必要ないが65・7%だった。
自民の議席減に不記載の影響があったと思うとの答えは91・4%。
選挙結果で
「政治とカネ」
問題が根絶に向かうとの見方は23・9%で、向かわないが72・5%を占めた。

少数与党希望は自民支持層の4割 今後の政権枠組み、無党派層は「政界再編」が最多
世論調査
2024/10/29 18:53
https://www.sankei.com/article/20241029-5BJVP5UYLZLVTLY4M4STSCXYYA/
衆院選の結果を受けて共同通信社が2024年10月28、29の両日に行った全国緊急電話世論調査で、今後の望ましい政権枠組みを政党支持層別に見ると、自民党支持層では
「自民、公明両党による少数与党政権」
が最多の39・8%だったものの過半数に届かなかった。
次いで多いのが
「自公に日本維新の会などを加えた政権」
の28・2%で、一部野党と連携してでも政権の安定化を望む意向がにじんだ。
公明支持層では、自公の少数与党政権が50・9%と過半数に上った。
立憲民主党支持層と共産党支持層は
「立民を中心とした多くの野党による政権」
が最も多く、それぞれ61・7%と59・1%。
維新支持層は
「自公と維新など」
が最多の40・5%だった。
「支持する政党はない」
とした無党派層は
「政界再編による新たな枠組みの政権」
が最多で42・4%。
国民民主党支持層の48・2%、れいわ新選組支持層の55・3%も政界再編を希望した。

自民内から「石破おろし」の声相次ぐ 首相、国民民主と連携に活路 立民も多数派工作
2024/10/28 21:20
https://www.sankei.com/article/20241028-FHBW6MW5XNNW7EZEDBSSZMWDAQ/?outputType=theme_election2024
自民、公明両党で過半数割れの大敗を喫した衆院選の翌2024年10月28日、自民内では石破茂首相(自民総裁)の責任論が相次いだ。
それでも続投を表明した首相は、躍進した国民民主党との連携強化で打開を図る。
だが、国民民主は連立入りを否定。
首相は同党の政策を取り入れて協力関係を築きたい考えだが、予算案や法案ごとに賛成を求めることになれば政権運営が不安定化するのは必至だ。
■目に見える変化が肝要
首相は2024年10月28日の記者会見で
「『自民党は目に見えて変わったね』と実感して頂くことが肝要だ」
と述べ、政策活動費の廃止などを表明した。
自身が辞任するのではなく、衆院選の敗因は自民の改革姿勢の甘さにあると定義し、踏み込んだ改革案を打ち出すことで敗北の責任を取る−という筋書きと言える。
ただ、そんな思惑とは裏腹に、党内では
「石破降ろし」
が始まった。
「自民党石破政権への信を問うてこの結果、ということを軽視しすぎではないのか」。
小野田紀美参院議員は2024年10月28日、自身のSNSで、小泉進次郎選対委員長の辞任だけでは不十分との認識を示した。
山田宏参院議員もSNSに
「選対委員長の辞任で済む話ではない」
と投稿した。
小林鷹之元経済安全保障担当相も党幹部の責任論に言及する。
3氏とも、党内の
「反石破」
勢力から旗頭として期待される高市早苗前経済安保担当相に近い。
■党内論理より国民理解を
党内の反発について、首相は
「等閑視するつもりは全くない」
と語る一方、
「党内融和よりも国民の理解を優先していかねばならない」
「党内論理を優先したことが厳しい結果に繋がった」
と持論を述べた。
首相の念頭にあるのが、勢力を4倍に増やした国民民主との連携だ。
「議席を大きく伸ばした党がある」
「どのような主張に国民が共感、共鳴したのか」
「取り入れるべきは取り入れることに躊躇があってはならない」。
首相が記者会見でこう語ると、同席した森山裕幹事長は何度も頷いた。
森山氏は他党との交渉の中心的役割を担うだけに、政権継続のためには
「辞めさせられない」(別の党幹部)。
ただ、国民民主の玉木雄一郎代表は2024年10月28日、支援組織・連合の芳野友子会長に、自公連立政権に参画しない考えを伝えた。
国民民主は、自民に43議席差まで迫った立憲民主党からも触手を伸ばされている。
立民は同日2024年10月28日の執行役員会で、特別国会の首相指名選挙で、野田佳彦代表に投票するよう野党各党に協力を求める方針を確認した。
■政権への協力は十分ある
野田氏は記者団に、一部野党が石破政権に協力する可能性は
「十分ある」
と指摘。
「注意深く見ながら、こちら(野党側)のチームをどう作っていくかに心を砕きたい」
と述べ、過半数割れした自公による野党勢力の切り崩しを警戒した。
焦りの裏返しか、他党との交渉に関し
「誠意のある対話」
というフレーズを何度も口にした。
もっとも国民民主は、野田氏への投票要請も受け入れない考えだ。
首相指名選挙は1回目の投票で過半数を得た候補がいない場合、上位2人の決選投票を行う。
首相と野田氏の一騎打ちになる公算が大きいが、玉木氏は2024年10月28日の民放番組で
「無効となっても玉木と書く」
と述べた。
榛葉賀津也幹事長も同日、連合傘下の産業別労働組合(産別)に、こうした方針を伝えており、立民の多数派工作も最初から躓きそうだ。

政治空白、許されぬ…政治部長・小川聡
2024/10/28 5:00
https://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/20241028-OYT1T50036/
長期政権のぬるま湯に浸かり、有権者の意識とかけ離れた
「党の論理」
を捨て切れない自民党に、厳しい審判が下った。
これまでの自民党政治家と違う感覚で政権を運営するのではとの石破首相への期待は、瞬く間に失望に変わった。
予算委員会なしでの衆院解散や、政治資金問題に関わった前議員らの公認問題と2000万円の活動費支給を巡る対応などで、総裁選で掲げた
「国民の納得と共感」
よりも自民党の事情と都合を優先する姿勢が露呈し、国民の怒りの火に油を注いだ。
立憲民主党は、3年前2021年の衆院選を教訓に、自民党にお灸を据えようと考える中道保守層の投票の受け皿になった。
野田代表が、
「原発ゼロ」
をはじめとした非現実的な安全保障・エネルギー政策を封印し、共産党との連携に距離を置いたことが奏功したと言えよう。
立民は選挙戦で、
「政治とカネ」
問題への批判に注力し、景気対策や社会保障などの具体策を論じる機会は少なかった。
「敵失」
で議席を伸ばした面が大きく、自らの政策・主張が全面的に支持を集めたという過信は禁物だ。
日本を取り巻く環境は国内外で厳しさを増しており、一刻の猶予も許されない。
経済停滞や社会保障・財政の不安、自然災害への対応などを急がなくてはならない。
北朝鮮や中国による軍事的威圧や威嚇、一方的な現状変更や侵略の脅威に直面し、日本の主権や平和、繁栄を維持できるかどうかの岐路にある。
与党の過半数割れにより、当面、政権が弱体化することは避けられまい。
各党は、政局を優先して分断を加速させるのではなく、 真摯な議論を通じて現実的に答えを出していくことが不可欠だ。
内外の有事を前に、政治空白を作ってはならない。

衆院選、全議席が確定 自民191、立民148、維新38、国民28、公明24、れいわ9
2024/10/28 4:05
https://www.sankei.com/article/20241028-PRREEDNFJRJSFA344HTTAVVAPQ/?outputType=theme_election2024
2024年10月27日投開票の衆院選は2024年10月28日未明、比例代表東北ブロックで立憲民主党が最終議席を確保し、全465議席が確定した。
各党の獲得議席は、自民191、立民148、維新38、公明24、共産8、国民28、れいわ9、社民1、参政3、政治団体の日本保守党3、無所属12で確定した。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/206.html#c26

[政治・選挙・NHK296] 公選法違反疑惑の斎藤知事…PR会社代表を「親しくない」発言は「泣いて馬謖を斬る」か「冷徹な闇バイト切り」か(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
57. 秘密のアッコちゃん[1120] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月29日 08:42:02 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[558]
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地裁判決で認められた「194キロは危険」…だが遺族は問う「懲役8年で抑止できるか」
2024/11/28 22:20
https://www.sankei.com/article/20241128-X2LTWLLPIZIHNDAPAYOL47EYSQ/
大分市の一般道で令和3年、時速194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、会社員の小柳憲さん=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた当時19歳だった被告の男(23)の裁判員裁判の判決公判が2024年11月28日、大分地裁で開かれた。
辛島靖崇裁判長は、危険運転致死罪の成立を認め、懲役8年(求刑懲役12年)を言い渡した。
遺族は
「194キロは『危険』だと当たり前のことを認めてもらい、無念を晴らしたい」
と活動を続けてきた。
思いは一定届いた形だが、懲役8年という量刑には
「事故抑止になるのか」
と疑問視した。
「危険運転致死罪と認められたのはとても大きなこと」。
事故で死亡した小柳憲さんの姉、長(おさ)文恵さん(58)は閉廷後に大分市内で記者会見し、目を伏せながら静かに思いを語った。
「弟があんな目に遭わされて、このまま終われない」。
事故発生以来、その一心だった。
時に法律の壁に直面した。
大分地検は被告の男(23)を一旦過失致死罪で起訴。
「『過失』になれば弟の尊厳が守られない」
と3万人分近くの署名を集めて地検に提出し、訴因変更に繋げた。
しかし、裁判を傍聴していても、複数の専門家が証言しなければ
「194キロは危険」
と立証できない現状に違和感を禁じえなかった。
地裁はこの日、法定速度の3倍以上を出した男の運転を
「常軌を逸した高速度」
と批判したが、同種事案と比べ
「中程度からやや重い部類」
とも言及。
反省の態度を示し、事故時は19歳と若年であることなども考慮し、求刑の懲役12年に対して懲役8年を言い渡した。
主文を聞き、頭が真っ白になった。
「事故抑止にならないといけないのに、これだけ(の刑)でいいのか…。良い判決か悩ましい」
と複雑な心境を覗かせた。
地裁が認定した危険運転致死罪の
「進行制御困難な高速度」
の立証には、カーブや勾配、凹凸といった道路状況が重視される傾向にある。
今回の事故現場のように比較的ハンドル操作が容易な直線道路は適用のハードルが高いとされてきた。
長さんが共同代表を務める
「高速暴走・危険運転被害者の会」
の高橋正人弁護士はこの日の判断を
「非常に画期的」
「大きなリーディングケース(先例)になる」
と評価する。
宇都宮市の国道で令和5年2月、時速160キロ超の車がバイクに追突した事故で佐々木一匡(かずただ)さん=当時(63)=を亡くした妻、多恵子さん(60)は会見に同席。
「大分地裁が思い切った判決を出してくれて、感謝している」
「(自身の)裁判でも検察官が立証を尽くしてくれると信じている」
と語った。

一般道で加速楽しみ194キロ出した男 起こした死亡事故は過失でなく危険 懲役8年判決
2024/11/28 22:08
https://www.sankei.com/article/20241128-G473KKW2DNMTLOJAAW7RLAFDIA/
大分市の一般道で令和3年、時速194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、会社員の小柳憲さん=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた当時19歳だった被告の男(23)の裁判員裁判の判決公判が2024年11月28日、大分地裁で開かれた。
辛島靖崇裁判長は、危険運転致死罪の成立を認め、懲役8年(求刑懲役12年)を言い渡した。
弁護側は過失致死罪の適用を訴えており、危険運転致死罪が成立するか否かが争点だった。
地裁は同罪の要件である
「進行制御困難な高速度」
に該当すると判断した。
同罪を巡っては、時速100キロを超える事故でも
「過失」
と判断された事例もあり、大分地検も当初、過失致死罪で起訴。
遺族の署名活動などを受け、危険運転致死罪に訴因変更を請求し、認められていた。
判決理由で、辛島裁判長は現場道路には補修が必要ない程度ではあるが凹凸があり、車体に対する道路幅にも余裕がなかったと指摘。
こうした道路状況に加え、高速度になるほど車体の揺れが大きくなり、事故時のような夜間は視野が狭くなることも考慮し、たとえ現場が直線道路でも
「194キロで走行中に僅かな操作ミスがあれば、事故が発生する事態が容易に想定できる」
とした。
弁護側は過去にも同程度の速度で一般道を複数回走行したものの支障はなかったと主張したが、
「僅かなミスで事故を発生させる実質的危険性がある速度での走行との評価を左右しない」
と重んじなかった。
検察側は別の要件である
「妨害目的」
も訴えたが、
「妨害の積極的な意図は認められない」
と退けた。
量刑理由では
「常軌を逸した高速度で、危険極まりない」
と指弾。
被告がマフラー音といった加速の高まりを楽しむために猛スピードを出していたことに対し
「身勝手、自己中心的な意思決定は厳しい非難に値する」
と述べた。

<主張>危険運転致死傷罪 遺族感情に応える改正を
社説
2024/11/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20241118-4UPVNVBPQFJYXLR3R5DIIXNA7A/
法務省の検討会が、悪質事故に適用される危険運転致死傷罪の要件見直しを提案する報告書案をまとめた。
曖昧と批判があった高速度と飲酒について、一定の数値基準を設定するよう求めている。
妥当な提案だ。
法改正は悪質運転で大切な人を奪われた遺族が強く求めていた。
遺族の怒りは国民の思いでもある。
国民感情との乖離を埋めるべく、法務省は同罪の適用要件を明確化してほしい。
同罪は、東名高速道で飲酒運転のトラックが女児2人を死亡させた事故をきっかけに平成13年に創設された。
法定刑の上限は20年で、過失運転罪の上限7年とは大きな開きがある。
現行法は高速度の対象を「進行の制御が困難」、飲酒を「正常な運転が困難な状態」とし、具体的な速度や数値を定めていない。
報告書案は一定の速度以上を高速度の対象とし、「法定速度の2倍や1.5倍」とする意見もあった。
令和3年2月、大分市内の県道交差点を右折する会社員の車に、当時19歳の少年が運転する直進車が衝突し、会社員は死亡した。
直進車は法定速度の3倍を超える194キロで走行していたが、大分地検は
「直線道路で走行を制御できていた」
として過失運転致死罪を選択した。
そもそも制御できなかったから、事故は起きたのだ。
納得できない遺族は署名を集めて訴因変更を求めた。
補充捜査を経て訴因は危険運転致死罪に変更されたが、尚争われている。
遺族の声による訴因変更こそが要件の曖昧さを象徴する。
一定の数値設定は必要である。
ただし、要件に定めた速度や数値が厳罰逃れの指標となってはならない。
例えば法定速度の2倍を高速度と定め、60キロ道路で120キロ以上のスピードで事故を起こせば
「危険運転」
となるが、これ以下の速度であっても
「ながら運転」
や飲酒などの複合要因で悪質な運転と判断されるケースはあり得る。
数値を唯一の基準とすべきではない。
遺族らの強い処罰感情は、ただ怒りに任せたものではない。
同じ不幸を経験する人がなくなるよう、事故そのものを恨み、撲滅を目指すものだ。
厳罰化や処罰対象の明確化が悲惨な事故の減少に寄与することは、飲酒運転の取り締まりが証明している。

時速194キロ死亡事故で懲役12年を求刑、危険運転致死罪 大分地裁
2024/11/15 15:48
https://www.sankei.com/article/20241115-3DYFNCAVQVKBZOBOMO5UN6AK44/
大分市の一般道で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性会社員=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)の裁判員裁判が2024年11月15日、大分地裁(辛島靖崇裁判長)であり、検察側は懲役12年を求刑した。
予備的訴因とした同法違反の過失致死罪については懲役5年を求刑した。
弁護側は最終弁論で、同法違反の過失致死罪を適用するよう訴え、結審した。
判決は2024年11月28日。
検察側は論告で、時速194キロで走行した場合、道路の凹凸などによってハンドルやブレーキ操作のミスから進路を逸脱する可能性があり、制御困難だったと指摘した。
起訴状によると、令和3年2月9日午後11時頃、上限が法定速度の時速60キロと定められた県道交差点を、対向から右折する車を妨害する目的で、制御困難な時速約194キロで進入。
右折車に衝突して、会社員の小柳憲さんを死亡させたとしている。

時速194キロで死亡事故 “思いくみ取った判決を”姉が意見陳述
2024年11月15日 14時07分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241115/k10014639291000.html
3年前2021年、大分市の県道で、時速194キロで車を運転して死亡事故を起こしたとして、危険運転致死の罪に問われている当時19歳の被告の裁判で、亡くなった男性の姉が意見陳述を行い
「遺族の思いを汲み取った判決を心からお願いします」
と訴えました。
3年前の2021年2月、大分市の当時19歳の被告は法定速度が時速60キロの市内の県道で、車を時速194キロで運転し、交差点を右折してきた車と衝突して、運転していた小柳憲さん(当時50)を死亡させたとして、危険運転致死の罪に問われています。
これまでの裁判で弁護側は
「車線から逸脱することなく直進できていて、危険運転致死罪は適用できず、成立するのは過失運転致死罪だ」
と主張しています。
2024年11月15日に大分地方裁判所で開かれた裁判で、午前中、亡くなった小柳さんの姉が
「被害者参加制度」
を利用して意見陳述を行いました。
この中で姉は
「弟は突然、人生を終わりにさせられました」
「交差点を右折しただけです」
「これほど理不尽なことがあっていいのでしょうか」
「本人の無念さを思うと胸が苦しくなります」
と述べました。
そして、裁判官や裁判員に向けて
「もう何も言えない弟の無念さや私たち遺族の思いを汲み取った判決を心からお願いします」
と訴えました。
午後には検察の求刑や弁護側の弁論が行われて全ての審理が終わる見通しで、判決は今月2024年11月28日に言い渡される予定です。

[社説]危険運転を根絶する法律に
社説
2024年11月14日 19:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD144HR0U4A111C2000000/
飲酒や猛スピードの走行など悪質な運転による事故の刑事責任を問う危険運転致死傷罪について、見直しを議論してきた法務省の検討会が報告書案をまとめた。
現行法は要件が曖昧で立証のハードルが高いとの批判があり、適用基準を明確にするなどの方針を示した。
更に議論を深め、悲惨な事故の撲滅に繋げなければならない。
危険運転致死傷罪は2001年に新設された。
東名高速道路で飲酒運転の大型トラックが乗用車に追突し、女児2人が死亡した事故がきっかけだ。
飲酒や高速走行、信号無視、煽り運転などによる事故が対象で、法定刑の上限は懲役20年と過失運転致死傷罪(同7年)より重い。
だが同罪に問うには
「進行を制御することが困難な高速度」

「アルコールの影響で正常な運転が困難」
だったことを立証しなくてはならない。
「事故を起こす前まで正常に運転していた」
などの反論が認められる可能性があった。
2024年5月に群馬県伊勢崎市で家族3人が死亡した事故では、飲酒運転で事故を起こしたトラック運転手が過失致死傷罪で起訴された後、遺族らが要望して危険運転致死傷罪に訴因変更された。
飲酒を
「過失」
とするのは市民感覚からかけ離れ、立法趣旨にも反しよう。
遺族らが納得できなかったのは当然だ。
報告書案では、速度や呼気中のアルコール濃度などの数値基準を定め、超えた場合に一律で同罪を適用することとした。
具体的数値はこれからの検討課題になる。
数値だけが適用の物差しになれば、
「基準以下だから危険運転には当たらない」
という発想を誘発しかねない。
法体系全体のバランスを踏まえつつ、適切な刑事罰を科せられるような制度にしなければならない。
厳罰化だけで事故を根絶することはできない。
ドライバー1人1人の安全意識を高めるため、交通教育や啓発を充実させる必要がある。

194キロ死亡事故「加速感楽しんでいた」 裁判員裁判で男性被告
2024/11/12 17:07
https://www.sankei.com/article/20241112-2UE5FVEWWVKTBHMWZG47XXHZHI/
大分市の一般道で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性会社員=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)は2024年11月12日、大分地裁の裁判員裁判の被告人質問で、スピードを出す理由を
「エンジンやマフラー音、加速する感覚を楽しんでいた」
と述べた。
被告は死亡事故を起こすまで、高速道路で時速200〜210キロ、事故現場の県道で170〜180キロ出した経験があると説明。
弁護側からの質問に、事故時は
「150キロくらい出ている感覚だった」
と供述した。
一方、供述調書には、事故直前に感覚では200キロ近く出ていたと述べていたことを検察側から問われると
「覚えていない」
と答えた。

時速194キロ事故「過失のわけがない」 危険運転罪認めず、遺族が批判
2024/11/6 0:01
https://www.sankei.com/article/20241106-RV6O2PJRMRJ7FILIB3YCGVK3WU/
大分市で令和3年、時速約194キロの乗用車で死亡事故を起こしたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)の裁判員裁判初公判で、検察側は2024年11月5日、事故時の様子が写った映像や損傷した被害車両の写真などを示した。
遺族は記者会見で
「一体どんな高速度だったのか」
「過失のわけがない」
と憤った。
弁護側は危険運転罪は成立せず、同法違反(過失致死)罪にとどまると主張している。
死亡した会社員、小柳憲さん=当時(50)=の姉、長(おさ)文恵さん(58)は閉廷後、ドライブレコーダーの映像や小柳さんの着衣の写真を法廷で見て、弟の痛みを想像して涙が溢れたと明かし、
「うっかり起きた過失と一緒にされたら困る」
と語気を強めた。
被告は罪状認否で危険運転罪に関して
「よく分かりません」
と述べる一方、
「小柳憲さんとご遺族に心より謝罪します」
とも口にした。
長さんは、謝罪時に遺族を見ようとしなかったとし、
「誰に向けて謝っているのだろうと感じた」
と非難した。

194キロ危険運転争う姿勢 50歳男性死亡事故で弁護側 大分地裁
2024/11/5 10:58
https://www.sankei.com/article/20241105-ETIDIULAWVIZFCIPXIZSFYQJZE/
大分市で令和3年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性=当時(50)=を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)は2024年11月5日、大分地裁の裁判員裁判初公判で起訴内容について
「よく分かりません」
と述べ、弁護側は
「危険運転致死は成立しない」
と主張した。
令和4年12月に、同法違反(過失致死)罪から訴因変更されていた。
判決は2024年11月28日。
起訴状によると、令和3年2月9日午後11時頃、上限が法定速度の時速60キロと定められた県道交差点を、対向から右折する車を妨害する目的で、制御困難な時速約194キロで進入。
会社員、小柳憲さんの車に衝突して死亡させたとしている。
大分県警は危険運転致死容疑で書類送検したが、大分地検は令和4年7月、一旦同法違反の過失致死罪で在宅起訴。
より法定刑の重い危険運転罪適用を求める署名提出を遺族から受けた後、地裁に訴因変更を請求し認められた。

時速194キロで走行、危険運転致死に問われた元少年は初公判で「そのようなこと分かりません」
2024/11/5 13:07
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241105-OYT1T50067/
大分市で2021年、法定速度の60キロを大幅に上回る時速194キロで乗用車を走行して事故を起こし、男性を死亡させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)に問われた元少年(23)の裁判員裁判の初公判が2024年11月5日午前、大分地裁(辛島靖崇裁判長)で始まった。
元少年は罪状認否で
「そのようなことは分かりません」
と述べた。
事故で大破した小柳さんの車(遺族提供)
起訴状では、元少年は2021年2月9日深夜、大分市の県道交差点で、制御困難な時速194キロで走行。
右折中だった同市の会社員小柳憲さん(当時50歳)の車の通行を妨害する目的で交差点に進入して事故を起こし、小柳さんを死亡させたとしている。
公判では、元少年の運転が、危険運転の適用要件である
〈1〉制御が困難な高速度
〈2〉妨害する目的で通行中の車に接近
に該当するかどうかが主な争点となる。
弁護側はこの日、危険運転致死について否認し、検察側が予備的な訴因として加えている同法の過失運転致死については争わない姿勢を示した。
検察側は冒頭陳述で、小柳さんは事故で締めていたシートベルトがちぎれて路上に飛び出し、骨盤を骨折するなどして死亡したと主張。
〈1〉については、路面の状況から車体に揺れが生じ、ハンドルやブレーキの操作を誤る恐れや、夜間に194キロで運転することで視野や視力に大きな影響を与え、操作を誤る恐れがあったなどとした。
また、右折車が来ることが想定されたとして、
〈2〉の要件も満たすと主張。
「常軌を逸した高速度で、動機は極めて身勝手」
と指摘した。
事故を巡っては、大分地検は2022年7月、法定刑の上限が懲役7年の過失運転致死で在宅起訴。
遺族らは法定刑の上限が懲役20年の危険運転致死への訴因変更を求めて約2万8000筆の署名を地検に提出。
地検は補充捜査の上、変更を地裁に請求し、認められた。

<主張>危険運転致死傷罪 国民常識との乖離埋めよ
2024/2/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240207-V6KMS75HSZNLZB4I5Z5XJLQDXU/
法務省は、危険運転致死傷罪の要件を見直す検討を始めた。
現行要件の基準が分かりにくく、事故遺族らが
「危険で悪質な事案を取りこぼさないようにしてほしい」
と要望していた。
令和3年2月、大分市内の県道交差点を右折する会社員の乗用車に、当時19歳の少年が運転する直進車が衝突した。
会社員は死亡した。
直進車は法定速度60キロの3倍を超える時速194キロで走行し、少年は
「何キロ出るか試したかった」
と供述したのだという。
大分県警は危険運転致死罪の要件である
「制御困難な高速度」
に当たるとして同容疑で送検したが、大分地検は
「直線道路で走行を制御できていた」
などとして過失運転致死罪で在宅起訴した。
危険運転の法定刑の上限は懲役20年、過失運転の上限は7年で、大きな開きがある。
遺族は納得いかない。
そもそも制御できないから衝突したのではないのか。
遺族は署名を集めて訴因変更を求める上申書を提出し、これを受けた補充捜査を経て危険運転致死罪に訴因は変更された。
遺族の声を受けての訴因変更は、要件のあいまいさを物語る。
平成30年12月、法定速度60キロの一般道を146キロで走行してタクシーに突っ込み、乗客ら4人が死亡した事故でも、危険運転致死傷罪で起訴された被告に津地裁、名古屋高裁は
「制御困難な高速度が証明されていない」
として過失運転と判断し、懲役7年の判決が確定した。
現行法では、無免許であっても一定の運転技能ありと判断されれば、危険運転の要件を満たさない。
信号無視による事故は
「殊更に」
無視した場合に限られ、
「殊更」
の証明、解釈に振り回される。
法曹界には他罪種や過去事件の刑罰とのバランスを重視するあまり、危険運転の適用を躊躇する傾向があり、要件の曖昧さがこれを助長しているとの指摘もある。
被害者や家族は、この構図に憤っている。
危険運転致死傷罪は、東名高速道で飲酒運転のトラックが女児2人を死亡させた事故をきっかけに平成13年に創設された。
強い被害感情に応えるための法律が、その運用をめぐって被害者の怒りを倍加させている。
要件の整理と明確化で国民常識との乖離を埋めてほしい。

再考・犯罪被害者
<特報>時速194キロ、危険運転ではないのか 遺族が動かした異例の訴因変更
2023/1/23 8:50
https://www.sankei.com/article/20230123-NBCPUZLDCVJIJAQRRGGPI2ZWXM/
憲ちゃんが亡くなった−。
訃報は突然やってきた。
令和3年2月9日午後11時頃、大分市内の県道交差点。
右折する車に、対向車線を直進してきた1台の乗用車が衝突した。
いわゆる「右直事故」。
右折車を運転していた会社員、小柳憲さん=当時(50)=がこの事故で死亡した。
衝突直前の直進車の走行速度は時速194キロ。
法定速度(60キロ)の3倍を超えていた。
「なんで弟が…」。
事故から半日後、小柳さんの姉は、棺に横たわる弟と対面した。
顔にはほとんど傷がなく、
「事故に遭ったとは思えないほど、いつもの穏やかな表情だった」。
ただ頭部以外は全て包帯でくるまれていた。
「辛い思い出が残るから見ない方がいい」。
受傷の程度が書かれた死亡診断書でさえ、見るのを制された。
大分県警から受けた説明によると、小柳さんは事故当時、シートベルトをしていたが、衝撃でベルトが切れて車外にほうり出され、後続車の近くに倒れているところを発見された。
肋骨や骨盤など全身に多数の骨折があった。
死亡確認は約2時間半後。
「最期を迎えるまで、どれほど苦しかったことか…」。
想像を絶したであろう弟の痛みや苦しみを思い、姉はただ涙を流すことしかできなかった。
直進車を運転していた当時19歳の元少年は調べに
「何キロ出るか試したかった」
と供述したという。
大分県警はこうした事情も踏まえ、元少年の運転が、自動車運転処罰法が定める危険運転致死罪の適用要件である
「制御困難な高速度」
に当たると判断。
事故から2カ月後に元少年を同容疑で書類送検した。
姉も当然、同罪で起訴されるものと期待した。
だが大分地検は翌年令和4年7月、過失運転致死罪で元少年を在宅起訴した。
遺族には
「直線道路で走行を制御できていた」
などと説明し、
「制御困難」
に当たらないとの見解を示した。
《高速度走行(自動車運転処罰法2条2号)その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為》
「一般道を時速194キロで走るのが危険運転でないのなら、一体どんな運転が危険運転になるのか」。
姉は思わず本音をぶつけた。
だが、担当検事は
「捜査の結果、危険運転の立証には至らなかった」
と答えるのみだった。
「前代未聞の高速度」
「家族にも見せることができない身体の損傷」
「原形をとどめないほど大破した車」
「危険運転致死傷罪は生命の尊厳を守るために創設されたはずなのに、こんな理不尽なことがあってもいいのでしょうか」
姉はそれ以降、地検に翻意を促そうと奔走した。
令和4年8月には記者会見を開いて危険運転致死罪の適用が見送られた理不尽さを訴え、同罪への訴因変更を求める上申書を地検に提出。
翌月令和4年9月には犯罪被害者の自助グループ「ピアサポート大分絆の会」(大分県国東市)の支援も受けながら、地検に補充捜査を求める署名活動を行い、全国の賛同者から集まった約2万8000筆を令和4年10月に提出した。
「弟の無念を晴らしたい」。
その一心で続けた地道な訴えは令和4年11月、ようやく実を結ぶ。
地検と県警が当時の事故状況を再現する補充捜査を実施。
僅か2週間後の令和4年12月1日には地検が危険運転致死罪への訴因変更を大分地裁に請求し、同月令和4年12月20日に認められた。
「声を上げなければ過失運転で終わっていた」
「ほっとしました」。
姉は訴因変更の知らせに安堵の言葉を口にした。
事故は今後、裁判員裁判で審理される。
「裁判をしたからといって弟の命は決して戻りません」。
それでもようやく、スタートラインに立てた気がする。
「真っ当な判決が言い渡されてほしい」
「望むことはそれだけです」。
初公判の日を静かに待っている。
■「常識」と乖離する司法
「被告人の運転が常識的にみて『危険な運転』であることは言うまでもない」
小柳さんの事故から間もない令和3年2月中旬。
名古屋高裁は、三重県津市の国道で時速146キロの自動車がタクシーに衝突し、乗客ら4人が死亡、1人が負傷した事故で、被告に判決を言い渡した。
制限速度の2.5倍近い異常なスピードで高級車を駆り、車の間隙を縫うように車線変更を繰り返していた被告。
「あたかも自分1人のための道路であるかのごとき感覚」。
高裁判決はこんな非難の言葉を並べながら、それでも1審津地裁と同様、危険運転致死傷罪の成立を否定した。
市民感覚と司法判断がここまで乖離するのは何故か。
それは同罪が不注意を罰する過失犯ではなく、故意犯であるところに大きな要因がある。
同罪の故意とは、自分の運転行為が法の定める
「危険運転」
の類型に当たることを認識しながら、敢えてそのような運転をしたということ。
条文の文言を知っている必要はないが、
「制御困難」
の要件の場合は、高速度走行の一般的な危険性の認識では足りない。
津市のケースでは、僅かなミスで自分の車を進路から逸脱させるような状況を
「具体的な可能性として現実に頭に思い浮かべていたことが最低限必要」(津地裁判決)
と判示され、被告にこの認識がなかったとして故意が否定された。
事故前に百数十キロで走行しながら複数台の車両を追い抜いたことを
「特段の支障なく進行した」
と被告に有利な事情とみた。
大分の事故現場は、その幅員から
「40メートル道路」
と呼ばれる直線道路。
スピードを出しても比較的コントロールしやすい場所といえ、大分地検が当初、危険運転致死罪の適用を見送る一因になったとみられる。
もっとも同罪の適用を巡っては、司法判断も揺れている。
大分地検が補充捜査で訴因を切り替えたことも、要件解釈が定まっていないことの表れとみることもできる。

過失では済まされないような危険な運転を厳しく罰するため、世論の後押しを受けて制定された危険運転致死傷罪。
しかし厳罰ゆえに検察や司法が適用に慎重になるケースが相次ぎ、被害者遺族の無念は宙をさまよう。
同罪を取り巻く課題を検証する。

再考・犯罪被害者
危険運転致死傷罪、揺れる司法の判断 被害者・遺族の思いをすくい上げるには
2023/1/31 7:00
https://www.sankei.com/article/20230131-UNNJ7SBNRVLLTDM7ARQI5K6YSI/
■危険運転、問われる意義
危険運転致死傷罪の創設から20年以上が経過したが、適用のハードルは高く検察や司法の判断も揺れている。拡大解釈による厳罰化の危険を避けつつ、被害者・遺族の思いをすくい上げるにはどうすればいいのか。有識者2人に聞いた。
時速194キロ、危険運転ではないのか 
■高い起訴のハードル 大嶋実弦弁護士
危険運転致死傷罪は
「悪質な運転による死傷事故を重く処罰してほしい」
「『過失』で済まされるのはおかしい」
という事故の被害者や遺族の思いから出発し、創設された法律だ。
その一方で、実際に同罪が規定する危険運転行為と、一般の人が罪名から想像する行為との間には乖離があり、そのギャップが
「市民感覚を反映していない」
と指摘される要因にもなっている。
率直に
「危険運転ではないのか」
と思えるような行為も、同罪が厳格に定める要件や類型に当てはまらない限り処罰の対象とはならず、それゆえ遺族が不満の声を上げるケースが少なくない。
特に警察が危険運転致死罪で送検するような死亡事故は、遺族にしてみれば理不尽に家族を殺されたという思いが強い。
同罪はそんな遺族の拠り所でもあるはずだが、
「公判が維持できないから」
と検察に門前払いされると、
「なぜ」
というわだかまりと、やり場のない無念さだけが募ることになる。
遺族が声を上げる背景には、同じような境遇に遭う人をなくしたいという強い気持ちがある。
こうした声に世間が共感し、課題が社会に認知され、法改正で是正されてきた経緯がある。
厳罰ゆえに慎重になるのも十分理解できるが、公判の舞台に乗せないと、解釈や適用範囲を巡る司法判断が積み重ならない。
起訴のハードルを下げつつ、市民感覚との懸隔を埋めていくことが求められる。

おおしま・みつる
大阪弁護士会所属。
長年に渡り交通事故遺族らで作る自助団体「TAV交通死被害者の会」(大阪市)の活動を支援している。
処罰範囲の拡大はアンフェア 井田良・中大大学院教授
死傷者を伴う交通事故が起きた時、過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪のどちらが適用されるか、その判断が注目を集めることがある。
そして危険運転の適用が見送られた時、報道で批判的に取り上げられることも少なくない。
危険運転致死傷罪について規定された刑は相当に重いものとなっている。
特に危険な運転を故意に行い、人を死傷させた場合に、傷害罪(上限懲役15年)や傷害致死罪(同20年)と同じように重く処罰するよう制定された経緯がある。
その際、誰もが犯しうるような不注意で重い処罰の対象とするのは適当ではないとして、危険運転に該当する行為を類型化し、その要件を限定した。
いくら危険な暴走行為であっても、この類型化された危険行為に当たらない限り、同罪を適用できないと考えるのが、法律で犯罪と刑罰を規定する
「罪刑法定主義」
の原則だ。
確かに同罪の条文を素直に読むと、問題とされる行為が危険運転に該当しそうに思える事例もあり、被害者側もそこに批判の根拠を持っていることは理解できる。
しかし、規定の解釈に当たっては、元々の立法趣旨や、これまでの判例が積み重ねてきた解釈を無視することはできないし、何より、軽い類型である過失運転致死傷罪との区別が曖昧にされてはならない。
立法趣旨や従来の裁判所による解釈を無視して処罰範囲を拡大することは、不意打ちでアンフェアな処罰である。
解釈による対応が難しければ再び立法が求められることになるが、過失運転致死傷罪との合理的な区別を可能とする新たな危険運転行為の要件を定立することは、相当に難しいことも事実であろう。

いだ・まこと
専門は刑法。
平成13年に危険運転致死傷罪が創設される際の法制審議会の議論に幹事として加わった。
平成28年から現職。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/207.html#c57

[政治・選挙・NHK296] <佐藤章氏>驚愕! 疑惑の兵庫県知事選をめぐる全体の構図が見えた! 立花孝志氏のビックリ応援立候補、折田楓氏の「細腕応… 赤かぶ
23. 秘密のアッコちゃん[1121] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月29日 09:00:02 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[559]
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室谷克実「深層韓国」
「靖国参拝してどこが悪い」林官房長官は言えないのか 生稲晃子氏めぐる共同通信の大誤報 韓国の「靖国神社=悪」に嵌った日本政府
2024.11/29 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241129-AG6AJXYGIFPPVMDUW5EMNARTWQ/
どれほど話し合ったところで徒労でしかない。
基礎認識と目的が違う2者の論争とは、そういうものだ。
新潟県佐渡市で開かれた世界文化遺産
「佐渡島(さど)の金山」
の追悼式を巡る、日韓の(外交チャンネルに限らない総体的)論争。
ようやく、日韓双方が別個に執り行った追悼式が終わったが、残ったのは
「靖国神社参拝は悪いこと」
とするような印象操作ではないのか。
■佐渡島金山・追悼式が残す「印象操作」
佐渡島金山で働いていた朝鮮人労働者は、半島から妻を呼び寄せ、佐渡で2人の子供を儲けた。
日本企業で働いていた朝鮮人労働者は日本人労働者と同等の給与を貰い、国民年金にも加入していた。
日本本土にいた朝鮮人慰安婦は、陸軍大将を上回る収入があり、それをせっせと郵便貯金していた…。
「強制連行された朝鮮人労働者が、まさか」
「強制連行された性奴隷が、あり得ないことだ」
と日教組教育の優等生≠ヘ叫ぶだろう。
だが、これらは日本側に物証が残っている。
韓国紙がお涙頂だい£イの記事の中で、自己矛盾とも気が付かずに報じた事例もある。
それなのに、韓国の一般世論は
「強制連行された労働者」
という虚論で凝り固まっている(慰安婦は『性奴隷』との見方がかなり揺らいできた)。
佐渡の追悼式について、韓国側は
「凝り固まった虚論」
に基づき、日本側に対応を求めた。
日本側が読み上げる
「追悼の辞」
の内容にまで介入するのが国際常識なのか。
基礎認識が違うから、決して一致することはないのだ。
更に、追悼式に政府代表として参列した生稲晃子外務政務官が
「靖国神社に参拝していた」
とする共同通信社の大誤報があった。
韓国マスコミは、それに飛び付いた。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は
「金建希(キム・ゴンヒ=夫人)大事」
が祟って保守系紙にも見放され、支持率20%のレームダックだ。
「ハイ、そんな政務官が出る追悼式には参加しません」
と決断する他なかった。
韓国が自ら開催を求めた追悼式に出ようが出まいが、どちらでもいい。
問題は、林芳正官房長官が
「生稲氏は靖国に参拝していない」
とばかり強調したことだ。
これは、韓国の
「靖国神社=悪」
の決め付けに嵌った釈明でしかない。
「日本の政治家が靖国神社に参拝して、どこが悪い!」
と、何故言えないのか。
追悼式騒動は、
「靖国参拝は悪いこと」
という日韓政府共同の
「印象操作」
を残したのだ。 (ジャーナリスト 室谷克実)

靖国神社に落書きの実行役か、中国で男を拘束と現地報道 別の恐喝事件関与で
2024/8/28 1:07
https://www.sankei.com/article/20240828-YIQVLUZXEBMHHIQL4WREPCCQYA/
東京都千代田区の靖国神社の石柱に落書きが見つかった事件を巡って、中国メディアは27日、中国当局が実行役とみられる男を別の恐喝事件に関わった疑いで拘束したと報じた。
男は董光明容疑者で、警視庁公安部が逮捕状を取り、指名手配している。
5月31日夜、別の中国籍の男2人と共謀し、靖国神社の入り口近くの石柱に赤いスプレーを使って「Toilet」と書き、不敬な行為をした疑いが持たれている。董容疑者は6月1日未明、中国に向け出国していた。
中国メディアによると、浙江省杭州市の警察当局が拘束した。
「鉄頭」という名のインフルエンサーで、落書き事件の直後、インターネット上に「鉄頭」名の動画が出回り、落書きする様子が映っていた。(共同)

靖国神社落書きは中国籍の10代男性か 単独で実行、発覚日にホテルに戻り出国
2024/8/23 13:15
https://www.sankei.com/article/20240823-ZAENFCMM7VKK7B2A3KZGGMBU2Y/
靖国神社(東京都千代田区)の神社名が刻まれた
「社号標」
と呼ばれる石柱への落書きが見つかった事件で、関与した人物は中国籍の10代男性とみられることが23日、捜査関係者への取材で分かった。
警視庁が器物損壊容疑で捜査を続けている。
捜査関係者によると、男性は事件の数日前に複数人で日本に入国。
18日夜に一人でホテルを出て、靖国神社に向かった。
現場の防犯カメラからは同日夜、社号標に上がっているこの男性とみられる人物の姿が映っていた。
男性は一度ホテルに戻った後、19日に出国したという。
落書きは19日未明、神社関係に発見された。
社号標には
「厠所(トイレ)」

「軍国主義」
「狗(犬)」
などと、中国で使われている簡体字を用いて書かれていた。

靖国神社落書き、関与の人物が中国へ出国か 警視庁
2024/8/22 21:52
https://www.sankei.com/article/20240822-JKEW3EKKUFIETNHWPN6O6M6JGA/
東京都千代田区の靖国神社で19日に石柱への落書きが見つかった事件で、関与したとみられる人物が同日に中国へ出国していたことが22日、捜査関係者への取材で分かった。
数日前から日本に滞在していたといい、警視庁が器物損壊の疑いで詳しい経緯を調べる。
捜査関係者によると、18日夜に不審な人物が石柱の台座に上がる様子が防犯カメラに残っており、同一とみられる人物が19日に中国へ出国したことが確認された。
この人物は、落書きの画像を中国の交流サイト(SNS)に投稿したとみられる。
落書きは19日午前3時50分ごろに神社職員が見つけ、石柱に中国語で
「トイレ」
などを意味する文字が書かれていた。

<主張>また卑劣な落書き 靖国神社の静謐守り抜け
社説
2024/8/22 5:00
https://www.sankei.com/article/20240822-PQDXXX7SJBMJTO455UEHCIGINQ/
東京・九段の靖国神社への卑劣な犯罪が再び起きた。
神社名を記す社号標という大きな石柱への落書きが19日未明に見つかった。
中国語でトイレを指す「厠所」や簡体字で「狗(いぬ)」「軍国主義」と読める落書きだ。
中国のSNSに中国人とみられる男が落書きの画像をアップし関与をほのめかす投稿があった。
今年5月にも中国人3人組が社号標に落書きする犯罪があったばかりだ。
靖国神社に祀(まつ)られている戦没者(英霊)を侮辱し、平安な眠りを妨げようというのか。
極めて下品な犯行が再び起きたことに強い憤りを覚える。
許される話ではない。
警視庁は全力で捜査を進めてもらいたい。
靖国神社にどのような見方を持つとしても、神聖さを冒瀆(ぼうとく)し、ほくそ笑むような犯罪をしていいわけがない。
自らの品性を貶(おとし)め、自国のイメージを損なうことさえわからないのか。
5月の事件は犯行の様子が中国のSNSに投稿された。中国人容疑者のうち2人は中国へ逃亡し、日本に残っていた1人が礼拝所不敬などの容疑で警視庁公安部に逮捕された。
今回の事件も中国人の関与が疑われている。
岸田文雄首相や上川陽子外相、警察当局は中国政府に捜査への協力を求め、容疑が固まれば5月の事件と合わせ引き渡しを求めるべきだ。
今回の事件が中国人によるものなら、5月の事件の容疑者を中国国内で野放しにしている中国政府の対応が影響したと言わざるを得ない。
中国外務省報道官は
「外国にいる中国公民は現地の法律を順守」
するよう促していた。
ならば一罰百戒で臨み犯行を抑止すべきだった。
長年の中国政府による反日教育が日本や靖国神社への憎悪を社会に広げ、没義道(もぎどう)な犯行を厭(いと)わない恥知らずの容疑者を生んだ可能性もある。
5月の事件後の警備体制が十分でなく、落書きを許してしまったことを全ての関係者は反省すべきだ。
靖国神社では過去にも中国人、韓国人らによる放火や落書きなどの事件があった。
摘発と警戒を怠れば犯行がエスカレートする恐れがある。
英霊の静かな眠りを守るのは日本の国の義務である。
政府与党や警察当局は、日本の心を守る国家的問題ととらえ、警備を急ぎ厳重にしてもらいたい。

靖国神社、落書きは18日夕方以降か 警視庁 防犯カメラに不審な人物
2024/8/20 14:09
https://www.sankei.com/article/20240820-ZMNMNYLOTNLKTIUC4PH3DHGSLQ/
東京都千代田区の靖国神社の石柱に19日に落書きが見つかった事件で、防犯カメラの映像などから18日夕方以降に書かれた疑いがあることが20日、捜査関係者への取材で分かった。
神社職員が見つけ110番通報した時間よりも前に撮影されたとみられる画像が中国の交流サイト(SNS)に投稿されているといい、警視庁が関連を調べる。
捜査関係者によると、18日夕方以降に不審な人物が石柱の台座に上がる様子が防犯カメラに残っていた。
110番通報は19日午前3時50分ごろ。
石柱に中国語で「トイレ」などを意味する文字が書かれていた。
麴町署が器物損壊などの疑いで調べている。

靖国神社の落書き、中国人が関与か 警視庁が捜査 「厠所」「軍国主義」など
2024/8/20 12:01
https://www.sankei.com/article/20240820-EC45W7RXJ5INRIBOC4LYUZYSNU/
東京都千代田区の靖国神社で19日、入口の石柱に中国語とみられる落書きがされているのが見つかった事件で、落書きは18日の夕刻以降にされた疑いがあることが20日、捜査関係者への取材で分かった。
中国のSNS上には犯行をほのめかす投稿もあり、関連を調べる。
捜査関係者によると、事件後に中国国内のSNSに中国籍とみられる男が落書きの画像を挙げて関与をほのめかす投稿をしていたことが判明。
現場周辺の防犯カメラ画像でも、18日夕以降に投稿者と同一人物の疑いがある男性の姿が確認されたという。
落書きには黒いマジックペンが使われたとみられる。
事件は19日未明に発覚。
神社の職員が神社名を示す「社号標」に中国語でトイレを意味する「厠所」や簡体字で「軍国主義」などと読み取れる落書きがあるのを発見。
警視庁は器物損壊容疑で捜査を進めている。
現場では5月にも中国籍の男3人による落書きの被害があった。

靖国神社にまた落書き 5月と同じ場所「厠所」や「屎」 警視庁が器物損壊容疑で捜査
2024/8/19 9:25
https://www.sankei.com/article/20240819-5ONTTKHVIVIWHB4OHXR4KPRCNU/
19日午前3時50分ごろ、東京都千代田区九段北の靖国神社で
「石柱に落書きされた」
と男性職員から110番通報があった。
警視庁麴町署員が駆けつけたところ、神社入り口の神社名を示す「社号標」に中国語とみられる落書きが6個あった。
警視庁は器物損壊容疑で落書きした者の行方を追っている。
麴町署によると落書きは社号標とその台座に各3個ずつあった。
中国語でトイレの意味の「厠所」や、「屎」「狗」「軍国主義」とも読み取れる簡体字とみられる落書きもあった。
現場の社号標では5月にも中国人の男3人が落書きし、うち1人が器物損壊容疑などで逮捕。
もう2人についても警視庁が逮捕状を取っている。

<産経抄>靖国参拝 ご注進報道はここらで終わりにしよう 
2024/8/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20240824-OCATCWVOYBKEHKBMD6UU2HRENI/
17日の小欄は、木原稔防衛相の靖国神社参拝に関する朝日新聞の
「日韓関係に冷や水も」
との記事に疑問を示し、
「(参拝に)何の問題があろうか」
と書いた。
すると朝日はさらに、米国務省報道担当者のコメントを取り
「防衛相の靖国参拝『後ろ向き』」
との記事を掲載していた。
よほど日韓関係に影響を及ぼしたいらしい。
▼記事は当局者が
「参拝は後ろ向きに見える」
と指摘したと記すが、その認識は正しいのか。
米国人は国務省高官といえども
「日本と韓国が、戦争をしていないことを知らない」(外務省事務次官経験者)
者が多い。
日韓併合は戦争の結果ではなく本来、参拝は韓国とかかわりはない。
▼安倍晋三元首相もオバマ米大統領当時、バイデン副大統領は、韓国にとり慰安婦問題よりも靖国参拝問題が重要だと勘違いしていると指摘していた。
そんな米側の誤解を正すのではなく、そそのかしてどうするのか。
日米韓のどの国の利益にもならない。
▼朝日もずっと靖国神社に否定的だったわけではない。
例えば昭和26年10月7日の朝刊紙面では、東京裁判の国際検事団付として来日した米青年、リード氏が帰国後も絶えず日本の友人に身代わりで靖国参拝をしてもらい、奉納金も送っていることを大きく取り上げている。
▼「靖国神社にねむるみたま≠スちの大きな犠牲が忘れられるなら、それは日本の悲劇だ」
「日本の皆さん、どうかみたま≠ヨ祈りを」。
朝日が紹介したリード氏の言葉である。
匿名の国務省報道担当者の曖昧なセリフより、よほど真情が伝わる。
▼靖国参拝問題も慰安婦問題も、日本側が批判してくれとばかりに外国に
「ご注進」
したことで騒動となった。
このパターンはここらで終わりにしたい。

全ての御霊安らかなれ 靖国神社参拝は戦没者との約束だ 論説委員長 榊原智 
終戦の日に
2024/8/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20240815-VSTWEVBTLBPBJEK457UC4LR4W4/
79回目の終戦の日を迎えた。
日本は、大東亜戦争と呼称した先の大戦で、陸海軍人、民間人合わせて310万人の同胞を喪った。
全ての御霊安らかなれと心からの祈りを捧げたい。
昭和天皇の玉音放送を拝聴し終戦を知った国民は齢を重ね、ごく少数になっている。
そうであっても、日本史上、最大の悲劇だ。
あの戦争を語り継ぎ、鎮魂と平和の祈りを重ねたい。
戦没者(英霊)は日本や故郷、愛する人たちを守ろうと出征した。
子を儲けずに逝った若者も多かった。
■頭を垂れた安倍元首相
尊い命を捧げた英霊にとって靖国神社に永く祀られることは自明で、いわば日本の国との約束だった。
これは極めて大切な話だ。
だからこそ靖国神社が戦没者追悼の中心であり続けるべきなのである。
後世の人間が賢(さか)しらぶって
「新しい国立追悼施設」
など造っていいはずもない。
日本の独立を守った120年前の日露戦争など幾多の戦いの戦没者も靖国神社に祀られている。
今から11年ほど前の話になる。
平成25年4月、安倍晋三首相(当時)が硫黄島を視察した。
昭和20年3月に2万余の日本軍守備隊が玉砕した激戦地だ。
自衛隊の航空基地などの視察を終え父島へ向かう飛行機に搭乗する際、安倍氏は予想外の行動をとった。
滑走路にひざまずき、手を合わせ頭を垂れた。
そして滑走路を撫でたのである。
その下にも英霊の遺骨が眠っていると知っていたのだろう。
滑走路地区を含め遺骨収集は今も続いている。
記者団は父島へ先乗りしており、報道を意識したパフォーマンスではなかった。
当時、海上幕僚長として案内役を務めていた河野克俊元統合幕僚長は
「心底、戦没者に対する哀悼の意が深い方だった」
と振り返っている。
政治のリーダーが英霊への感謝の念を持つことは大切だ。
ただ、安倍氏でさえ、首相在任中に靖国神社を参拝したのは平成25年12月の1度きりだった。
以来、首相の靖国神社参拝は途絶えている。
勅使参向はあるが、天皇陛下ご親拝の環境はいつまでたっても整わない。
政治家が、中韓両国の干渉、メディアを含む左派勢力の反発を懸念しているからだろう。
英霊との約束を守らない日本であっていいわけがない。
自民党総裁選不出馬を表明した岸田文雄首相や閣僚、総裁選への立候補を志す政治家らは終戦の日や春季、秋季の例大祭などの機会に参拝してもらいたい。
国会は主権回復後の昭和28年8月、
「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」
を全会一致で採択した。
政府は関係国政府の同意をとりつけ、死刑を免れたA級を含む全ての
「戦犯」
の釈放を実現した。
刑死・獄死した受刑者の遺族にも年金を支給した。
その後、連合国によって刑死した人々も靖国神社に合祀されるようになった。
■自衛隊は勇戦の顕彰を
「A級戦犯」
として禁錮7年の判決を受けて服役した重光葵(まもる)は東条英機内閣の外相当時、人種平等を掲げた世界初の有色人種諸国のサミット、大東亜会議を実現した人物だ。
恩赦後に衆院議員に当選し、昭和29年から31年まで鳩山一郎内閣の副総理兼外相だった。
国連総会で日本の加盟受諾を演説し、各国代表から盛大な拍手を浴びている。
このようないきさつを顧みず、刑死した
「A級戦犯」
合祀などを理由に靖国神社参拝を難ずる勢力があるのはとても残念だ。
日本は平和を希求する民主主義国だ。
政治家は日本を敵視する国への配慮よりも、英霊や遺族へのおもんぱかりを優先してほしい。
靖国神社を忌避する勢力は自衛隊との切り離しにも拘っている。
だが、自衛隊も陸海軍も日本の軍事組織である点は同じだ。
自衛隊と自衛隊員は、英霊が祖国を守ろうと必死に戦った勇戦奮闘の史実を学び、語り継ぎ、顕彰してほしい。
それは自衛隊を一層精強に育て、平和を守る抑止力を高める。
戦後最も厳しい安全保障環境にある今、台湾有事や朝鮮半島有事が日本有事に容易に転化することは世界の安保関係者の常識となっている。
ロシアのウクライナ侵略や中東情勢、米大統領選の行方も、日本の針路に深く関わる。
首相選びとなる自民党総裁選に名乗りを上げる政治家は英霊への追悼、顕彰の思いを示すとともに具体的な外交安保政策、抑止力向上策を語るべきだ。
いずれも平和を守っていくために大切なことである。

靖国参拝C
<主張>靖国神社を冒瀆 中国は容疑者引き渡しを
社説
2024/6/5 5:00
https://www.sankei.com/article/20240605-PADVPPR7VBKI3IP3M5GJCPS6XE/
靖国神社の石柱に落書きされた部分はブルーシートで隠されていた=2024年6月1日午後、東京都千代田区
https://www.sankei.com/article/20240605-PADVPPR7VBKI3IP3M5GJCPS6XE/photo/E3Y6GOB53ROWTDLSIAS3G5PI3Y/
東京・九段の靖国神社の
「社号標」
という石柱に、英語で
「トイレ」
と落書きされる事件が起きた。
中国の動画投稿アプリで、男が石柱に向かって放尿するような仕草をし、赤いスプレーで落書きする犯行の様子が投稿されていた。
警視庁公安部が器物損壊容疑で捜査している。
容疑者は上海在住とみられる中国籍の男で、撮影役と一緒に中国に向けて出国したという。
靖国神社は246万余柱の英霊が眠る近現代日本の戦没者追悼の中心施設である。
極めて下品な犯行で冒瀆したことは絶対に容認できない。
警視庁は容疑者を急ぎ特定してもらいたい。
岸田文雄首相と上川陽子外相は最大限の憤りを表明し、中国側に容疑者の引き渡しを求めるべきだ。
落書きは2024年6月1日早朝、通行人が発見して警察に通報した。
犯行の動画が投稿されたことからも計画的な仕業とみられる。
中国のSNSでは
「とても美しい」
「よくやった」
と称賛する声が上がったというから呆れる。
靖国神社を批判的に捉えるとしても、今回のような犯行が許されるはずもない。
日本には多くの中国人がいるが、その大多数は今回のような愚かな行為をしていない。
下品な犯行やそれを礼賛する投稿が中国人のイメージ悪化を招くことがなぜ分からないのか。
中国外務省の報道官は記者会見で今回の事件を巡り、
「外国にいる中国公民は現地の法律を順守し、理性的に訴えを表現するよう注意を促したい」
と述べた。
良くない事だったと考えてはいるようだが、注意喚起だけで済む話ではない。
日本と中国は犯罪人引き渡し条約を結んではいないが事は重大である。
中国政府は日本側の捜査に協力し、容疑者を拘束して引き渡してもらいたい。
報道官は同じ会見で靖国神社を
「日本軍国主義が発動した精神的な道具であり象徴だ」
と批判した。
だが参拝者は静謐(せいひつ)な環境で英霊を悼み、平和への誓いを新たにしている。
中国側の長年の反日教育が事件の容疑者の靖国神社への憎悪を掻き立てたのではないかと恐れる。
靖国神社では過去にも中国人、韓国人らによる放火や落書きなどの事件があった。
英霊の静かな眠りを守るため警察が警備を厳重にすべき時である。

靖国神社落書き事件で日本政府が外交ルート通じ中国に懸念表明、注意喚起を要請 
2024/6/4 17:39
https://www.sankei.com/article/20240604-UYXFQGBU2NPCFN6HOMZSXWLKE4/
上川陽子外相は2024年6月4日の記者会見で、靖国神社(東京都千代田区)の石柱に中国籍とみられる男が落書きする映像が中国の動画投稿アプリ
「小紅書(レッド)」
に投稿されたことに関し、
「我が国の関係法令に反すると思われる行為を是認、助長するような動画が作成され、拡散されるようなことは受け入れられるものではない」
と述べた。
その上で
「外交ルートを通じ、中国政府に事案の発生に対する懸念を表明すると共に、中国国民に現地法令の順守、冷静な行動を取るよう注意喚起することを要請した」
と明らかにした。

靖国神社で石柱に落書き疑い中国籍の男、撮影役と約5時間後には出国 計画的か
2024/6/3 21:09
https://www.sankei.com/article/20240603-QW3O22CA4FO7FME3ZSTUUHOJ5U/
東京都千代田区の靖国神社で石柱に落書きが見つかった器物損壊事件で、落書きをした疑いのある中国籍の男が犯行の約5時間後には出国していたことが2024年6月3日、捜査関係者への取材で分かった。
男は出国直前に落書きをしており、警視庁公安部は計画的な犯行とみて捜査している。
捜査関係者によると、男は2024年5月31日午後9時55分から同10時までの間に落書きをしたとみられ、その直後の2024年6月1日未明の便で出国した。
男は中国・上海在住とみられている。
男が落書きする様子は、中国の動画投稿アプリ
「小紅書(レッド)」
に投稿されており、撮影役も一緒に出国したことが確認された。
落書きは2024年6月1日午前5時50分頃、通行人が発見し、周囲にいた警察官に申し出た。
神社入り口の
「社号標」
という石柱に赤いスプレーを使い、英語で
「トイレ」
と書かれていた。
また、同日午後7時頃には同神社のこま犬に中国語で書かれた張り紙があるのを通行人が発見し、110番通報した。
中国語で
「世界人民は団結しよう」
「ただしおまえらは含まない」
という趣旨が記されていた。
公安部が関連を調べている。
動画によると、男は、辺りが薄暗い中、石柱の台に登り、石柱に向かって放尿しているような仕草をした。
その後、赤いスプレーで英語で
「ToiLet」
と書いて立ち去った。
男は英語で
「アイアンヘッド」
と名乗っていた。

靖国神社落書きは「日本人の魂を汚す行為」在日中国人も冷ややか「馬鹿野郎といいたい」
2024/6/3 18:59
https://www.sankei.com/article/20240603-6O3XHXQ5K5HZNMJYR2KCN6VAMU/
靖国神社(東京都千代田区)の石柱が
「トイレ」
と英語で落書きされた。
中国のSNSに投稿された動画では、中国籍とみられる男が石柱に赤いスプレーで落書きし、放尿するような仕草が映っている。
警視庁公安部は器物損壊容疑で男の行方を追っているが、慰霊の場を汚した男に対し、静かな怒りが広がる。
日本で暮らす中国出身者も、日本人の感情を踏みにじる行為に冷ややかな目を向けている。
「どの国も国のために命を落とした人への畏敬の念がある」
「戦争で亡くなった人を祀る、日本人にとって神聖な場所が汚されたのは不愉快で残念だ」
「日本人の魂を汚す行為だ」
民主党の衆院議員だった牧野聖修氏は2024年6月3日、産経新聞の取材にこう語った。
牧野氏は中国共産党政権下で迫害されるチベット仏教徒を支援していることで知られる。
牧野氏は
「僕たちが靖国神社を汚されることが嫌なように、どこの国も国のために命を落とした人に対しては感謝の念と崇敬の思いを持っているはずだ」
「こういうことをすれば歴史問題を巡り、両国関係を友好なものにしようとしても乗り越えられない状況になってしまう」
と指摘した。
中国政府が弾圧している民族や香港人への支援活動を続ける古川郁絵氏も
「私にとっては大切な英霊が祀られている神域だ」
「英霊は日本を守るために命懸けで戦った方々で、今の私たちが存在する先祖そのもの」
「その魂を汚された気がする」
と語った。
在日中国人で中国の民主化を求める
「民主中国陣線」
の盧家熙(ろ・かき)氏は産経新聞の取材に答え、男について
「旧日本軍の侵略への反対などの考えがあったのだろうが、それはデモや集会で表現すればいいことだ」
「日本の法律に違反するような行為を行うべきではない」
と述べた。
■「目の前にいれば首根っこをつかまえる」
日本ウイグル協会理事で、2023年10月に日本国籍を取得した田中サウト氏は
「英語でトイレと書き、放尿するとは一線を越えた行動で、とても驚いた」
「SNSにアップして自身を愛国主義者だと中国人にアピールしたいのだろうが、凄く嫌な感じだ」
「狭い視野で愛国心を煽ることはおかしい」
と不快感を示す。
ベストセラー「歌舞伎町案内人」(角川文庫)の著者で、日本に帰化したジャーナリスト、李小牧氏も産経新聞の取材に、男の行為について
「中国人のイメージが悪くなる」
「中国人の観光客も日本に来ているのに、あの男が全ての中国人の印象になりかねない」
「目の前にいれば首根っこをつかんで110番する」
「元中国人として馬鹿野郎と言いたい」
と語った。

自衛官國参拝と愛する人への言葉
Hanada2024年4月号 元陸上幕僚長 岩田清文
■疑念が残る新聞の大騒ぎ
國神社を私的に参拝する際、公用車を利用したとして、去る2024年1月26日、陸上自衛隊の幹部が処分された。
22名が参拝したのは、2024年1月9日(火)の午後3時過ぎ、皆、時間休を取って私的な立場で参拝している。
報道からは、休暇中の私的な行動において公用車を利用したことが処分の理由とされ、処分のレベル的には軽いものとされている。
しかし、この程度の事でなぜ一部の新聞は大騒ぎするのか。
本件を最初に報道した毎日新聞(2024年1月13日)は、
「第二次大戦のA級戦犯が合祀されている靖国神社を自衛官が組織的に参拝していたとすれば、不適切だと言わざるを得ない」
と指摘し、宗教活動に関する隊員への指揮事項を記した1974年の防衛事務次官通達への抵触にも言及している。
A級戦犯が合祀されている神社に、自衛官が参拝してはいけないということなのか。
A級戦犯や特定の戦没者のみを崇めるために参拝する自衛官はまずいないだろう。
後ほど述べるが、彼らは国を守る務めにおいて純粋に祈願するために参拝しているはずだ。
今回は休暇中の私的な参拝であり、自らの意志に基づくものと思う。
更に、毎日新聞は参拝当日、國神社で待ち構えるようにして取材していたという。
その取材を基に、50年前の古い通達を探し出してきて、通達違反ではないかと厳正な対処を迫った。
これらからは意図的、計画的にこの参拝を大袈裟に取り上げ、自衛隊と國神社との関連性を問題にしたかったと思わざるを得ない。
そもそも、自衛隊内部の行動予定をどのようにして事前に知り得たのか、疑念も残る。
一方で、産経新聞は2024年1月16日の誌面において、
「陸上自衛隊の参拝は当然だ」
と主張している。
参拝の目的が、2023年4月に陸自ヘリコプターが沖縄県・宮古島沖で墜落した事故の調査委員会メンバーが安全祈願をすることにあったとした上で、能登半島地震対応中の緊急性を要する状況におては、公用車を使用することも当たり前だとしている。
更に、A級戦犯に関しては、国会が1953(昭和28)年、
「戦犯」
赦免を全会一致で決議、政府はA級を含め刑死した受刑者の遺族にも遺族年金を支給してきたことを例示し、他国の干渉に迎合せず、日本自身の立場を尊重すべきとの主張だ。
加えて、50年前の防衛省の次官通達を改めるべきとの指摘もある。
このように賛否両論の主張が報道される中、自衛官が國神社を参拝する意味や思いについては、ほとんど報道されない。
もちろん、現役自衛官がそのようなことを公にすることは憚れるのだろう。
そこで、1自衛官OBとしての思いではあるが、紹介させて頂きたいと思う。
現役当時から、個人的には、もしいざという時が訪れ、最後の時が来たならば、國神社に祀ってほしいとの願いを持っていた。
國神社には、日清戦争や日露戦争、そして大東亜戦争に至るまで、
「祖国日本を護る」
との一念の下、尊い生命を捧げられた246万6000余柱が祀られている。
我々自衛官と同じ
「国のために命を懸ける」
との志を持たれていた先人が祀られる國神社に、自分の死後もありたいと思っていたからである。
台湾有事・日本有事の危機感が高まる中、自己の死生観に磨きをかけている自衛官諸氏も多いことであろう。
その中には、いざという時は國神社に祀ってもらいたいという、私と同様の気持ちを持つ自衛官もいるものと思う。
自衛隊員は皆、入隊に当たり、自衛隊法の規定に基づき服務の宣誓を行う。
その宣誓には、
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」
との1文がある。
これは、
「命を賭してでも国を守る」
ことを国家・国民に対して誓うものであり、命のやり取りを意味するものである。
私自身も、その覚悟で37年間勤務してきた。
自らの立場が曖昧な憲法を順守しつつ、自己の命を懸けてでも国を守ろうとする。
この耐え難い矛盾に苦悩しつつも、私は現役時代、自分自身に、そして部下たちに、こう言い聞かせてきた。
「我々は、自己犠牲による利他の精神、他を利する精神を実践する崇高な価値観、生き様を職業としている」
「自らの道が正しいことを信じ、迷うことなく、悩むことなく、ただひたすら誇りと矜持を持って国防の任に邁進すべきである」
■慰霊碑は「誓い」の場
「士は、己を知る者のために死す」
との言葉がある。
国家として、自衛隊員に
「命を懸けろ」
と言うなら、その隊員の気持ちを理解し、あるべき姿に改革していくのが政治の責任だろう。
その改革の1つが、いざという時に、国の命令により究極の任務を遂行し、戦死という最大の犠牲を払った隊員に対する慰霊の在り方である。
最高指揮官である内閣総理大臣の命を受け、国土防衛の任を遂行中に命を賭した場合、その隊員の国家への忠誠と献身を称え、霊を慰めることは不可欠であり、国家としてのその姿勢が、他の隊員をして国を守ろうとする強い気概を育むのである。
その際、隊員の死後、どこに葬るかは士気にも関わる極めて重く重要な問題である。
2022年12月に閣議決定した安全保障関連3文書においては、有事に関する強い危機感が示され、戦争を抑止するための具体化が進んでいる。
その中において、仮に自衛官が戦死した場合の様々な処遇等を検討すると共に、死後における慰霊の在り方についても、静かに議論を進めていくべきだろう。
現状のままであれば、防衛省・自衛隊全体としては市谷駐屯地での慰霊、および各地域としては司令部が所在する一部の駐屯地等において慰霊されるであろう。
しかし一般隊員の視点から見れば、死後、そこに戻るという意識を持つ者は少ないだろう。
それら慰霊碑の前では年に1度、追悼式が執行されているが、一般隊員にとっては、その慰霊碑が共に国のために散った戦友、皆の魂が戻る場所と思っている者は少ない。
どちらかと言えば、2度と事故等で仲間を失ってはならないとの
「誓い」
の場であり、ご遺族にとっては故人に再び
「手を合わせる」
場なのである。
明治以来、日本国は国のため国民のために命を捧げた英霊を、國神社において永遠に慰霊し崇敬することとした。
敗戦の結果として、国家として崇め敬い続けることはできなくなったが、宗教法人としての國神社が国に代わり継承している。
当時、
「死んで國で会おう」
と国の命令で戦地に赴いた方々には、明確に魂が戻る場所、精神的な拠り所があったと認識する。
もちろん、現状、国として1宗教法人を指定して英霊を祀ることはできないことは理解するものの、この点は、今後議論をしていく必要があるのではないか。
■戦後日本の原点
例えば、過去には2001(平成13)年、諮問機関である
「追悼・平和祈念のための記念碑施設の在り方を考える懇談会」
を発足させ、翌2002(平成14)年12月24日に提出された報告書では、国立の無宗教の追悼・平和祈念施設が必要と指摘されていた。
報告はされたものの、その後の動きはない。
当時の報告書には、施設の性格を國神社と区別化するため、次のように説明している。
國神社は、
「國事に殉ぜられたたる人人を奉斎し、永くその祭祀を斎行して、その『みたま』を奉慰し、その御名を万代に顕彰するため」
「創立せられた神社」
とされている。
これに対し、新たな国立の施設は
「死没者全体を範疇とし、この追悼と戦争の惨禍への思いを基礎として日本や世界の平和を祈るものであり、個々の死没者を奉慰(慰霊)・顕彰するための施設ではなく、両者の趣旨、目的は全く異なる」
と述べられており、前述したような戦死した自衛官の魂が戻る場所とは思えない。
追悼施設のみならず、そもそも自衛官の戦死に関わる具体的な検討が疎かになっていること自体が、我が国が未だに戦後レジーム(体制・政治体制)からの脱却が図られていないことの証左かもしれない。
安倍総理は、その戦後レジームから脱却する具体的取り組みの1つとして、終戦から70年経った2015(平成27)年8月15日の前日、2015(平成27)年8月14日に戦後70年談話を閣議決定した。
そこには、
「尊い犠牲の上に、現在の平和がある。これが、戦後日本の原点であります」
「2度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。(中略)先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました」
「自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してきた」
「あの戦争には何ら関りのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
「しかし、それでも尚、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」
と強調している。
特に、
「70年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります」
と述べたことは重要だ。
■主権国家として堂々と
我々日本人は、いつまで國神社での慰霊を他国に配慮し続けるのか。
戦後70有余年、これまでの平和を大事にする日本の歩み、そして日本の生き様に自信と誇りを持ち、主権国家として堂々と生きていくべきではないのか。
主権とは、対外的には国家の独立性を保持し、外国からの干渉を排除する権利と理解する。
であるならば、神社への参拝という日本人としてごく自然の風習を守り続ける独立性、そしてその行為に対する外国からの干渉を排除して初めて、我が国は主権国家と言えよう。
國神社は
「祖国を守るという亡くなられた方々の神霊」
を祀る場であり、そこには日本人として戦い、亡くなった台湾や朝鮮半島出身者、そして大東亜戦争終結時に、いわゆる戦争犯罪人として処刑された方々なども含まれている。
身分や勲功の区別もなく、国のために戦ったという1点において共通していれば一律平等に祀られることこそ、死後、その魂は永遠にこの世に留まり、国や地域などの場所で守り神となるという、悠久の歴史の中で伝わる日本人の伝統的信仰に則するものと私は理解している。
この國神社に赴き、戦没者を追悼して日本の安寧を祈祷することは、日本が長年に渡り培ってきた社会的儀礼であり、習俗的行為である。
私は、陸上幕僚長に就任するその日の早朝、個人的に國神社に参拝し、國神社の神霊に、陸上防衛の責任者としての決意と同時に、願わくばご加護を賜ることを祈祷した。
その3年後、離任当日の早朝、改めて参拝し、陸上幕僚長の職を解かれたことと、併せて37年間の防人としての任を終えることを報告し、感謝の意をお伝えした。
日本人としてごく自然のことであり、参拝後は純粋に清々しい気持ちを持つことができた。
■人的基盤の抜本的検討を
清々しい気持ちで退官はしたが、今になっても尚、現役の後輩たちのことを思うと、彼らが真に命を懸けられる、普通の国としてのあるべき軍事組織に進化すべきであると強く願っている。
現状、防衛省においては、人に関する強化施策の検討が進んでいるようである。
2024(令和6)年1月に防衛省が発表した
「人的基盤の強化に係る各種施策の進捗状況について」
によれば、部外人材も含めた多様な人材の確保や、隊員のライフサイクル全般における活躍を推進することなどが報告されている。
それぞれ重要な施策であり、是非具現化されることを願っているが、そこには、これまで述べてきたような有事に真正面から向き合い、国を守るため熾烈な環境で戦い、状況によっては国土防衛の現場で最期を迎える自衛官の栄典、慰霊・顕彰、遺族に対する手厚い補償、そして負傷した自衛官の一生の処遇など、本質的な検討が見当たらない。
物事の重さから公にはせず、静かに検討がなされていることを願っているが、それこそが人的基盤の抜本的検討ではないか。
冒頭の報道に戻るが、参拝した自衛官たちは、2023年4月6日に宮古島海域において殉職した同僚たちを思いながら、航空安全を誓うと共に祈願するとの純粋な気持ちで参拝したものと信じる。
國神社に参拝する自衛官の思いには、個人ごとに様々な意味があると思う。
しかし共通するものは、いざという時は身をもつて国防の責任を果たすとの強い思いが根拠にあることは言うまでもない。
その殉職した第8師団長坂本雄一陸将はじめ殉職隊員追悼式が、2023年10月21日、岸田首相、木原防衛大臣らが参列して挙行された。
式典の終わりに、遺族代表として坂本陸将の夫人が参列をされた。
私も参列した席で拝聴したが、涙が止まらなかった。
読者の方々にも共有して頂きたく、その挨拶全文を紹介したい。
彼らを含む自衛官、そしてその家族がどういう気持ちで国のために貢献しようとしているのかをご理解頂く一助となれば幸いである。
少し長くなるが、是非最後まで読んで頂きたい。
■自衛官の家族としての覚悟
令和5年度自衛隊殉職隊員追悼式に当たり、殉職隊員遺族を代表致しまして、ご挨拶申し上げます。
この度は自衛隊の皆様をはじめ多くの方々に、救助活動など様々なご支援ご尽力を賜り、深く感謝申し上げます。
そして本日は、自衛隊最高指揮官・岸田内閣総理大臣ご臨席の下、木原防衛大臣主催による殉職隊員追悼式を執り行って頂き、私ども遺族一同、厚く御礼申し上げます。
今から25年前に夫から言われ、ずっと心に在った言葉があります。
「自衛官の家族として、覚悟を持っていて下さい」
”自衛官の家族としての覚悟”、そして夫の言葉の根本にある彼自身の大きな覚悟、今回改めてこの言葉を夫の遺志として理解しました。
命を捧げた自衛官たちは皆一様に、国の守りに覚悟を持って臨み、職務に真摯に懸命に取り組み、身をもつて責務の完遂に務め、最後の瞬間まで誇りを持った自衛隊員であったのだと確信致します。
家族として、1国民として、亡き自衛官たちに深く敬意と感謝の念を捧げたいと思います。
自衛隊の皆様より、心のこもったお言葉をたくさん頂戴致しました。
「仲間を失った悲しみを忘れることなく、その思いを継承し、引き続き日本の平和のために任務に邁進して参ります」
このお言葉は亡き自衛官たちの強い遺志であり、家族としまして大きな支え、励みとなります。
自衛隊の皆様の強い絆に触れる中で、我らが自衛官たちは素晴らしいお仲間に恵まれ、同じ志を持って国防を担い、充実した豊かな人生を送ったのだと実感できました。
この素晴らしいご縁に感謝申し上げます。
ここに集う家族は皆、大切な人を突然なくしました。
その大切な人は誇り高き自衛隊員であると共に、良き家庭人でまおります。
家族をとても大事にし、家族それぞれにとっても彼らは大切な存在です。
大事な息子であり、娘であり、頼れる兄弟、姉妹、愛する夫、尊敬する父、そして、心通う友人であります。
■「ありがとう」を贈りたい
突然の別れにより、今私たちは、それぞれが色々な思いと向き合っています。
悲しみや憤り、混乱、不安な気持ち
この挨拶を考えている時、思いました。
「このまま失ったことを悲しみ続けるのではなく、彼らが残してくれているものを大事に見つめていきたい・・・」
「そして、過去に一緒に出来なかったことを悔やんだり、これから出来ないことを嘆いたりするのではなく、今まで一緒にいられたこと、出来たことを喜びたい・・・」
彼らの強さや優しさ、誠実な言葉や行動、考え方・・・彼らとの関りは私たちに大きな幸せや喜び、良い影響を与えてくれています。
それらはこれからも失われることはなく、私たちの心に残り、大きな力となって支え続けてくれる。
生きていくための道標となっていく・・・。
夫たちも私たちがこのように前向きに考え、笑顔で生きていくことを望み、
「頑張れよ」
「頼んだよ」
と、傍で応援してくれているように感じます。
国のために命を賭し、平和の礎となった自衛官たちを家族として、これまでも、これからもずっと誇りに思い、彼らの今までの足跡や今回の出来事が、今後に活かされ繋がることを願い、そして私たち自身も国の守りについて真剣に向き合い考えることを明言し、先に逝ってしまった愛する人に言葉を贈りたいと思います。
「ありがとう」
「お疲れ様でした」
「これからも見守って下さいね」
最後に、日本の平和を守るために、隙のない備えに万全を期し、覚悟と責任感を持って厳しい訓練や任務に臨まれている自衛隊の皆様に、衷心より敬意と感謝の意を申し上げますと共に、今後、崇高な職務を無事に遂行され、益々ご活躍されますことを祈念申し上げます。
そして本日ご参列の全ての皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げ、日本そして世界の平和を強く願い、遺族代表の挨拶とさせて頂きます。
有難うございました。
令和5年10月21日
自衛隊殉職隊員 遺族代表
坂元雄一 妻(陽子)

<産経抄>靖国神社に参拝してなぜ悪い    
2024/2/26 5:00
https://www.sankei.com/article/20240226-XQ6ZYGBZABLUDJKCQJ2X6HM7XQ/
2024年1月下旬に行われた日教組の教研集会で、日本軍の特攻隊員の遺書を題材にした授業が報告されていた。
日教組も変わったのかと思い、本紙社会部記者が報じた記事を恐る恐る読んだ覚えがある。
▼改めて紹介すると、長崎県の中学教員は修学旅行の事前学習として特攻隊員の遺書を題材にした。
家族や友人への思いなど項目に分け感想を書かせ、歴史的背景を考えさせた。
▼兵庫県の小学校教員は、当時の検閲について触れ、遺書に本音を書けたのかなどの観点で指導した経緯を報告していた。
本紙記者の取材に、近代史の専門家は
「検閲は作戦に支障が出る地名などが対象」
とし、
「検閲されたから一律に本音を書けなかったわけではない」
などと指摘していた。
▼月替わりで靖国神社の社頭に掲示されている遺書に胸を打たれたことを思い出した。
今月は
「兄上に遺(のこ)す」
と題した遺書で、23歳で戦死した特攻隊の海軍少尉は、両親や教師先輩への感謝を綴り、出撃への思いを記している。
▼後半では長男でない自分は家の事に
「何も云(い)う事なし」
とし
「兄上を中心に一家団(だん)欒(らん)して国家の為(ため)に」
と託した。
出撃が迫る中、
「甚だ簡単ですが兄上に遺す」
と結んでいる。
こうした遺書には共通して家族らを思う心情が溢れている。
▼命をかけ国に尽くした英霊を祀る靖国神社に、相変わらず冷淡な論調がある。
朝日新聞は2024年2月25日付の社説で
「陸上自衛隊に続き海上自衛隊でも」
などと批判している。
2023年5月に海自練習艦隊司令部(広島県呉市)の司令官と海自幹部候補生学校の卒業生らが研修の休憩時間に参拝したというのだが、どこが問題なのか。
弊紙は首相をはじめ、靖国神社に参拝しないほうがおかしいと主張しているのだが。

誤解招く行動避けるべきだ 海自靖国参拝で木原防衛相
2024/2/22 11:50
https://www.sankei.com/article/20240222-HDRUCED3YRLZZFILJPZ4ERG4RE/
木原稔防衛相は2024年2月22日の閣議後記者会見で、海上自衛隊の幹部らが2023年5月に東京都千代田区の靖国神社を集団で参拝していたことについて
「誤解を招く行動は避けなければならない」
「私的参拝だったと聞いており、詳細は確認中だ」
と述べた。
木原氏は、海自練習艦隊司令部(広島県呉市)の司令官と海自幹部候補生学校の卒業生らが2023年5月17日に東京・九段下周辺の史跡で研修し、休憩時間に参拝したと説明。
「隊員個々の自由意思により、玉串料は私費で支払った」
と説明した。

海自隊員ら靖国集団参拝 幕僚長「私的」問題視せず
2024/2/20 18:53
https://www.sankei.com/article/20240220-OLDZRETIXJJ7RFS2VZC2TAV5LE/
海上自衛隊練習艦隊司令部(広島県呉市)の司令官らが遠洋練習航海を前にした研修期間中の2023年5月、制服を着用し東京都千代田区の靖国神社を集団で参拝していたことが2024年2月20日、防衛省への取材で分かった。
海自トップの酒井良海上幕僚長は2024年2月20日の記者会見で
「研修の合間の時間に、個人の自由意思で私的に参拝した」
「問題視しておらず、調査する方針はない」
と述べた。
防衛省によると、海自の研修は2023年5月17日、165人が参加し、東京・九段下周辺で実施した。
酒井氏の説明では、司令官の今野泰樹海将補を含む多くが参拝した。
玉串料はまとめて納めたとしている。
2024年1月9日には陸上幕僚副長らが靖国神社に集団参拝し、公用車の使用が不適切だったとして計9人が処分された経緯がある。

防衛省、弊害通達廃止の前例
阿比留瑠比の極言御免
2024/2/1 1:00
https://www.sankei.com/article/20240201-5Q5WLJGVF5OJFDUZJGLD3ZXBEM/
陸上自衛隊幹部らが集団で靖国神社に参拝したことが、部隊としての宗教施設参拝などを禁じた1974(昭和49)年の事務次官通達に抵触するかどうかを調べていた防衛省は、通達違反ではなかったとの結論を出した。
そもそも内閣法制局でもない防衛省が、
「信教の自由」
を定める憲法20条の解釈に踏み込むような通達を出す方が異例だろう。
木原稔防衛相が2024年1月30日の記者会見で、通達改正に言及したのも当然だと言える。
「およそ50年前に策定された非常に古いもので、それ以降、信教の自由や政教分離についての判例もいくつか出ている」
「そういった積み重ねも踏まえ、必要に応じて改正を行うべきだ」
この件に関しては、小沢慶太記者が2024年1月27日の本紙政治面で
「自由意思による参拝をも萎縮させるような通達はむしろ廃止すべきではないか」
と書いていた。
また、2024年1月31日の正論では岩田清文元陸上幕僚長が靖国に参拝する自衛官の思いについて、
「共通して、いざという時は身をもって国防の責任を果たすとの強い思いが根底にある」
と指摘する他、こんな自身の心情も吐露していた。
「我々自衛官と同じ
『国のために命を懸ける』
との志を持たれていた先人が祀られる靖国に、自分の死後もありたいと思っていた」
こうした
「思想・良心の自由」(憲法19条)
に基づく慣習的行為すら、安易に制限を加えようとする発想の方がよほど危険である。
それでも朝日新聞は2024年1月30日の社説
「陸自靖国参拝 組織性は否定できない」
で、こう書いていた。
「旧軍との『断絶』をどう考えているのか。疑問を持たざるをえない」
「航空安全祈願がなぜ靖国神社でなければいけないのかも、よくわからない」
「戦後、平和憲法の下で再出発した自衛隊に、歴史への反省を疑わせるような振る舞いがあってはならない」
朝日新聞の理屈で言えば、戦後に連合国軍総司令部(GHQ)に新憲法を貰って再出発した日本は、戦前の日本とは
「断絶」
しているのだから、朝日新聞が好んで追及する戦争責任も問えないことにはならないか。
なぜ靖国かが本当に分からないなら、岩田氏に取材してみたら如何か。
■猛反発の「言論統制」
ともあれ、小沢記者の通達廃止の提言に付言すれば、防衛省の事務次官通達の中には11年前の2013年に廃止になったものもある。
2010(平成22)年11月の民主党の菅直人政権時、防衛省が出した自衛隊行事での民間人による民主党政権批判を封じる通達がそれである。
航空自衛隊の航空祭で、自衛隊を支援する民間団体の会長が
「まだ自民党の内閣の方がまともだった」
「一刻も早く菅直人政権をぶっ潰して、自民党政権に戻しましょう」
と挨拶したことが
「極めて不適切だ」
として、参加を控えさせることも含めた政治的発言制限の通達を出したのだった。
これには当然、自衛隊やOB組織、そして自民党など野党から
「言論統制だ」
と猛反発が起きた。
翌2011(平成23)年2月に6野党が通達撤回要求で一致したのを受けて、菅直人政権側は翌2011(平成23)年3月に各部隊に行事での民間人挨拶の内容を提出させるよう求めていた文書課長連絡を廃止した。
そして政権交代して安倍晋三内閣となっていた2013(平成25)年2月、通達は廃止された。
前例はあるのだから、木原氏には自衛隊を差別するかのような古びた通達については、改正であれ廃止であれ速やかに実行に移してもらいたい。

<正論>自衛官の靖国参拝の意味と思い 元陸上幕僚長・岩田清文
2024/1/31 8:00
https://www.sankei.com/article/20240131-FHPQHDOPFFJLVIBZ2ABXACDT4U/?809072
■国のため命懸けた先人の志
現役当時から、個人的には、もしいざという時が訪れ最後の時が来たならば、靖国神社に祀ってほしいとの願いを持っていた。
靖国神社には、戊辰戦争に始まり日清・日露戦争、そして大東亜戦争に至るまで、
「祖国日本を護る」
との一念の下、尊い生命を捧げられた246万6000余の柱が祀られている。
我々自衛官と同じ
「国のために命を懸ける」
との志を持たれていた先人が祀られる靖国に、自分の死後もありたいと思っていたからである。
台湾有事・日本有事の危機感が高まる中、自己の死生観に磨きをかけている自衛官諸氏も多いことであろう。
その中には、いざという時は靖国に祀ってもらいたいという、私と同様の気持ちを持つ自衛官もいるものと思う。
2022年12月に閣議決定した安全保障関連3文書でも有事に関する強い危機感が示され、戦争を抑止するための具体化が進んでいる。
その中で自衛官が戦死した場合の様々な処遇等を検討すると共に、慰霊の在り方についても静かに議論を深めていくべきだろう。
現状、防衛省では人的基盤強化の抜本的な検討が進んでいるようであるが、報道のような
「丸刈りの廃止」
という小手先の処置だけでは抜本的改革とは言えない。
特別職の国家公務員という位置付けではなく、いざという時は国のため命を懸けることを誓った存在であることを念頭に置いた、真に
「抜本的」
な検討が必要である。
そもそも自衛官の戦死に関わる具体的な検討が疎かになっていること自体が、我が国が未だに戦後レジームからの脱却が図られていないことの証左かもしれない。
安倍晋三首相(当時)はその戦後レジームから脱却する具体的取り組みの1つとして、2015(平成27)年8月15日の前日、14日に戦後70年の談話を閣議決定した。
そこには
「尊い犠牲の上に、現在の平和がある」
「これが、戦後日本の原点」
「2度と戦争の惨禍を繰り返してはならない」
「先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました」
「自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持」
と述べた上で、
「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」
「しかし、それでも尚、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」
と強調している。
特に
「70年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります」
と述べたことは重要だ。
■慰霊まで他国に配慮する呪縛
我々日本人は、いつまで靖国での慰霊を他国に配慮し続けるのか。
戦後80年を目前に、これまでの平和を大事にする日本の歩み、そして日本の生き様に自信と誇りを持ち、主権国家として堂々と生きていくべきではないのか。
主権とは、対外的には国家の独立性を保持し、外国からの干渉を排除する権利と理解する。
であるならば、神社への参拝という日本人としてごく自然の風習を守り続ける独立性、そしてその行為に対する外国からの干渉を排除して初めて我が国は主権国家と言えよう。
■日本人としてごく自然のこと
靖国神社は
「祖国を守るという公務に起因して亡くなられた方々の神霊」
を祀る場であり、そこには、日本人として戦い、亡くなった台湾や朝鮮半島出身者、そして大東亜戦争終結時に、東京裁判でいわゆる戦争犯罪人として処刑された方々なども含まれている。
身分や勲功の区別なく、国のために戦った1点において共通していれば、一律平等に祀られる点こそ、死後、その魂は永遠にこの世に留まり、国や地域などの場所で守り神となるという、悠久の昔から伝わる日本人の伝統的信仰に基づくものと私は理解している。
この靖国神社に赴き、戦没者を追悼して日本の安寧を祈禱することは、日本人が長年に渡り培ってきた社会的儀礼であり習俗的行為である。
私は、陸上幕僚長に就任するその日の早朝、個人的に靖国神社に参拝し、靖国の神霊に、陸上防衛の責任者としての決意と同時に、願わくばご加護を賜ることを祈願した。
その3年後、離任当日の早朝、改めて参拝し、陸上幕僚長の職を解かれたことと、併せて37年間の防人としての任を終えることを報告し、感謝の意をお伝えした。
日本人としてごく自然のことであり、参拝後は、純粋に清々しい気持ちを持つことができた。
今、現役自衛官の靖国参拝に関する報道があるが、参拝した自衛官たちは、2023年4月に宮古島海域において殉職した同僚たちを思いながら航空安全を祈願するとの、純粋な気持ちで参拝したものと信じる。
靖国に参拝する自衛官の思いには、個人ごとに様々な意味があると思う。
しかし共通して、いざという時は身をもって国防の責任を果たすとの強い思いが根底にあることは言うまでもない。

木原稔防衛相「必要に応じて改正すべき」 部隊参拝禁じた通達見直しに言及
2024/1/30 11:59
https://www.sankei.com/article/20240130-4K2XNROE5ROQNL6AHWG57MVVZ4/
木原稔防衛相は2024年1月30日の記者会見で、陸上自衛隊幹部らが公用車を使って集団で靖国神社を参拝したことを巡り、宗教施設の部隊参拝などを禁じた1974(昭和49)年の事務次官通達について
「内容を不断に検討し、必要に応じて改正を行うべきだと考えている」
との認識を示した。
木原氏は通達について
「50年前のものであり、それ以降、信教の自由や政教分離原則に関する最高裁の判例もいくつか出ている」
と改正の必要性に言及した。
陸自幹部らの靖国参拝について、防衛省は通達違反の可能性があるとして調査したが、憲法で認められる私的参拝と結論付けた。
一方、幹部ら3人が公用車を利用したことは適切ではないとして計9人を処分した。

(社説)陸自靖国参拝 組織性は否定できない
2024年1月30日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S15851129.html?iref=pc_rensai_long_16_article
同じ部署に所属する幹部らが、示しあわせて集団で参拝した。
しかも、確認されただけで、過去5年の恒例行事だったとみられる。
各人の自由意思に基づく
「私的参拝」
だというが、組織性は否定できない。
旧軍との
「断絶」
をどう考えているのか。
疑問を持たざるをえない。
陸上自衛隊の小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)らの今月(2024年1月)初旬の靖国神社参拝を、宗教的活動に関する事務次官通達に抵触する疑いがあるとして調べていた防衛省が、違反はなかったと発表した。
憲法は
「信教の自由」
を保障する一方、宗教上の行為を強制されないことや、国による宗教的活動の禁止を定めている。
これを受け、防衛省は事務次官通達などで、部隊としての参拝や隊員への参加の強制を禁じているが、今回の事例はいずれにも当たらないと結論づけた。
調査によれば、小林氏を委員長とする陸自の航空事故調査委員会の関係者41人に、航空安全祈願のための靖国参拝の案内があり、うち22人が参加した。
全員が自由意思で応じ、私的参拝との認識から、休暇をとり、玉串料も私費で払ったという。
参拝が自発的で、私的参拝の外形を整えていたとしても、
「実施計画」
をつくったうえ、トップを含む大勢のメンバーが一斉に行動している。
これを部隊としての活動ではないというのは、苦しい説明ではないか。
そもそも、航空安全祈願がなぜ靖国神社でなければいけないのかも、よくわからない。
防衛省は通達違反を否定したうえで、小林副長ら3人が移動に公用車を使ったことについては、その必要はなく
「不適切」
だったと認め、訓戒とした。
公用車の使用自体、公務の延長上と受け止められても仕方ないというのに、正面からの検討を避けたと言うほかない。
もちろん、自衛隊員が一国民として、神社仏閣に参拝することに、何ら問題はない。
しかし、自衛隊の幹部が集団を率いて靖国神社に参拝するとなると話は別だ。
靖国神社は戦前、旧陸海軍が共同で管理した。
戦没者を
「英霊」
としてまつり、国家主義や軍国主義の精神的支柱となった。
東京裁判で戦争責任を問われたA級戦犯14人が合祀されてもいる。
それゆえ、政治指導者など公的な立場にある者の参拝は、過去を正当化するものと受け止めざるをえない。
戦後、平和憲法の下で再出発した自衛隊に、歴史への反省を疑わせるような振る舞いがあってはならない。

靖国参拝に公用車利用の陸自幹部処分、信教の自由萎縮させる通達廃止を
2024/1/26 20:27
https://www.sankei.com/article/20240126-D3QMV5DP5RISHC6N2N47ESDVRA/
靖国神社を参拝する際に公用車を利用したとして陸上自衛隊の幹部が処分された。
防衛省の内部調査によって同省が定める公用車の利用基準に照らし、適切ではないと見做されたためだ。
一方で、参拝は
「私的な行為」
で、同省事務次官通達が禁止する部隊参拝には当たらないと判断した。
より規律が重んじられる自衛隊にあって、違反が認められた場合に厳正な処分を下すことは当然だ。
ただ、今回の処分はあくまで公用車利用に関する違反が認められたものであって、自衛隊員による靖国神社参拝の是非とは別の議論である。
今回の参拝を巡っては、極東国際軍事裁判(東京裁判)のいわゆるA級戦犯が合祀されている靖国神社である点を殊更に強調し、批判する向きがある。
憲法20条は、信教の自由を保障している。
自衛隊員といえども一国民として神社仏閣などを自由に参拝する権利がある。
個人であろうが集団であろうが、私的に靖国神社を参拝することに何ら問題はない。
むしろ国を守る自衛隊員が、過去に国を守るため尊い命を捧げた戦没者の追悼施設を訪れることは自然な行為ではないか。
1974(昭和49)年に出された事務次官通達は、隊員個人の信教の自由を尊重すると共に、自衛隊が組織として宗教的活動に関わっていると疑念を抱かれないよう、宗教施設への部隊参拝や隊員への参加の強制を厳に慎むよう定めている。
ただ、2024年と同様の靖国参拝は過去にも行われていたとみられ、全国の部隊が靖国以外の宗教施設を集団で参拝している例もあるという。
通達は半世紀前に出されたものであり、既に形骸化しているとの指摘がある。
防衛省は、参拝に際して公用車の利用や玉串料の公費支出の禁止を通達に追記することを検討するが、今回の事案で明らかなように、私的か公的かの線引きは難しい。
もちろん隊員への参拝の強制はあってはならないが、自由意思による参拝をも萎縮させるような通達はむしろ廃止すべきではないか。

靖国私的参拝に公用車利用で陸幕副長ら9人処分 防衛省
2024/1/26 20:03
https://www.sankei.com/article/20240126-4RUWJQT6KZK7ZOPDLNGUTAOJLY/
防衛省は2024年1月26日、東京都千代田区の靖国神社を私的に参拝した際に公用車を利用したとして陸上自衛隊の小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)ら9人を処分したと発表した。
小林氏ら3人を訓戒、監督不十分で森下泰臣陸幕長(同)ら4人を注意、公用車利用などの報告を受けた2人を口頭注意とした。
同省によると、小林氏ら陸自航空事故調査委員会の関係者22人は2024年1月9日午後、全員が時間休を取得して靖国神社を参拝した。
参拝は新年の安全祈願が目的で、実施計画を事前に作成して行われた。
小林氏ら3人が公用車を利用していた。
陸自は、能登半島地震の災害派遣対応に備えるため公用車を利用したと説明。
同省は参拝時に小林氏が緊急に参集しなければならない蓋然性は低かったなどとして
「適切でなかった」
と指摘した。
一方、実施計画に基づく参拝であることなどを踏まえ、宗教施設の部隊参拝などを禁じた事務次官通達に違反する可能性があるとして調査したが、私的参拝と結論付け、通達違反は認めなかった。

主張
靖国神社 陸自幹部の参拝は当然だ
2024/1/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20240116-3R3N5OQ3KNJYVACCSLHO4MGNUQ/
陸上自衛隊の幹部が靖国神社を参拝したことを、在京の中国大使館や一部のメディアなどが批判している。
防衛省は宗教の礼拝所を部隊で参拝することなどを禁じた昭和49年の事務次官通達に反していないか調査中だ。
いずれも日本の戦没者(英霊)追悼を蔑ろにするもので容認できない。
陸自幹部の靖国神社参拝は公的、私的を問わず何の問題もなく、むしろ推奨されるべき話である。
処分を強行するなら言語道断で、歴代防衛相を含め防衛省自衛隊の幹部が定期的に参拝していない現状の方がおかしい。
小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)ら数十人が2024年1月9日、靖国神社を参拝した。
小林副長は時間休を取得していた。
2023年4月に陸自ヘリコプターが沖縄県・宮古島周辺で墜落した事故の調査委員会メンバーが安全祈願をするのが主な目的だった。
公用車を利用したり、参拝が行政文書に記載されたりした点を難じ、次官通達にも反したという指摘がある。
敗戦で解体された陸軍と、陸自が別組織である点や、極東国際軍事裁判(東京裁判)のいわゆるA級戦犯が合祀されている点を理由にした批判もある。
だが、能登半島地震で陸自は動員中で、事態に応じて直ちに陸幕に戻れるよう公用車を使用するのは当たり前だ。
そもそも安倍晋三、小泉純一郎両元首相ら歴代首相の靖国神社参拝は公用車を利用したではないか。
国会は昭和28年、「戦犯」赦免を全会一致で決議し、政府はA級を含め刑死した受刑者の遺族にも年金を支給してきた。
靖国神社の問題は日本の立場を取るべきで、中国などの内政干渉に迎合してはならない。
靖国神社や護国神社は近代日本の戦没者追悼の中心施設で、他の宗教の礼拝所と同一視する次官通達は異常だ。
戦没者追悼や顕彰を妨げる50年も前の時代遅れの通達は改めるべきだ。
日本を守るため尊い命を捧げた戦没者にとって靖国神社に祀られることは自明だった。
だからこそ、占領期も含め戦後長く、昭和天皇のご親拝や首相、閣僚の参拝が続いた。
国内左派の批判や外国の内政干渉に怯え、首相や閣僚の参拝が近年減ったのは残念だ。
日本の礼節を取り戻すためにも、岸田文雄首相、木原稔防衛相は率先して参拝してもらいたい。

陸自幹部らの靖国参拝巡り「時代遅れの通達こそ見直すべき」自民・山田宏氏
2024/1/12 17:24
https://www.sankei.com/article/20240112-476JJVJLXRFNFGPNIY4UQ6AJUU/
陸上自衛隊幹部や隊員ら数十人が2024年1月9日に東京・九段北の靖国神社を参拝したことを巡り、防衛省が調査に乗り出すなど波紋が広がっている。
宗教施設の部隊参拝や隊員への参拝の強制を禁じた事務次官通達に違反する可能性があるためだ。
幹部らは時間休を取得し、私費で玉串料を収めたが、参拝の実施計画が作成され、一部の公用車使用から部隊参拝に該当するなどと指摘されている。
こうした指摘に対し、自民党の山田宏参院議員は半世紀前の昭和49年に出された通達の見直しを訴える。

国のために尊い命を捧げられた英霊を、自衛官が参拝するのは当たり前だ。
50年前の時代遅れの通達を見直さず、放っておいたことが問題だ。
もちろん参拝の強制はあってはならない。
ただ、隊員が自由意思に基づいて皆で参拝することは、現通達からも問題ないと考える。
世界の常識だ。
2023年4月には陸自ヘリコプターが沖縄県の宮古島周辺で墜落し、隊員10人が死亡した事故が起きた。
今回、靖国で安全を祈願した陸自幹部や隊員は事故を調べた航空事故調査委員会のメンバーだ。
痛ましい事故を2度と起こさせまいと皆で祈願して何が悪いのか。
国のために尽くした英霊に安全を祈願するのは、英霊への慰霊でもある。
陸自幹部の集団参拝は日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」や毎日新聞がスクープとして報じたが、自衛官の靖国参拝を問題視する国民は少ないのではないか。
防衛省は釈明に追われているようだが、萎縮しないかを危惧する。
こんなことで有事の際に自衛隊は戦えるのか。
50年前に比べ、日本の周りは軍事的な脅威ばかりだ。
現在の日本の安全保障環境に合わせて、自衛官の靖国参拝のあり方も他国の軍隊の在り方と同様に国際標準にすべきだろう。

陸幕副長ら集団で靖国参拝 規律違反の可能性、防衛省が調査
2024/1/11 20:49
https://www.sankei.com/article/20240111-FWG5A6IQU5LY7M52SN7CJRRMZQ/
防衛省は2024年1月11日、陸上自衛隊の小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)が2024年1月9日に公用車を使い、東京都千代田区の靖国神社を参拝していたと明らかにした。
小林氏が委員長を務める陸自航空事故調査委員会の関係者数十人と集団で参拝した。
同省は宗教施設の部隊参拝などを禁じた事務次官通達に違反する可能性があるとして、調査を始めた。
同省によると、小林氏らは2024年1月9日午後に時間休を取得して靖国神社を参拝した。
参拝は新年の安全祈願が目的で、同委員会としての実施計画に基づき行われた。
小林氏以外の一部参加者も公用車を利用していた。
同省は、公用車の利用や実施計画による参拝であることを踏まえ
「外形的には事務次官通達に違反する可能性がある」
「規律違反が認められる場合は厳正に対処する」
としている。
陸自は、参拝は
「私的な行為」
で、公用車の使用に関しては
「能登半島地震の災害派遣中であり、速やかに職務に戻るための備えだった」
と説明している。
事務次官通達は昭和49年に出され、宗教上の礼拝所への部隊参拝や隊員に参加を強制することは厳に慎むべきと定めている。
平成27年6月に陸自化学学校が精神教育として隊員に靖国神社を参拝させたことが通達違反に当たるとして関係者が処分された例がある。

陸幕副長、公用車で靖国 「災害派遣に備え」と説明
2024/1/11 11:32
https://www.sankei.com/article/20240111-MGX4N4BB4FMDLGJUX7BHJD757I/
陸上自衛隊の小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)が2024年1月9日午後に公用車を使い、東京都千代田区の靖国神社を参拝していたことが2024年1月11日、陸自への取材で分かった。
小林氏は時間休を取得し、新宿区の市谷にある防衛省との間を公用車で往復。
現地で合流した複数の陸自幹部と共に参拝した。
陸自は、小林氏が参拝したのは勤務時間外で
「私的な行為」
と説明。
公用車の使用に関しては
「能登半島地震の災害派遣中であり、速やかに職務に戻るための備えだった」
と説明している。
小林氏は2024年1月9日午前、防衛省に出勤。
午後に時間休を取った間に公用車で靖国神社を訪れた。
参拝は新年の安全祈願が目的だった。
他の陸自幹部らも勤務時間中ではなかったという。

中国大使館、陸自幹部の靖国参拝に「歴史冒とく」と反発
2024/1/15 19:43
https://www.sankei.com/article/20240115-QT3446AZYRKSPCS7SYP7M5ODEI/
在日中国大使館は2024年1月15日までに、陸上自衛隊幹部による靖国神社参拝について
「歴史の正義を公然と冒瀆し、被害国の民衆の感情を深く傷つけた」
として
「断固反対する」
との報道官の談話をサイトに掲載した。
談話は、日本に対し
「侵略の歴史を直視し、軍国主義と徹底的に決別」
することを求めた。
2024年1月13日に中国語で掲載され、日本語版はない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/210.html#c23

[政治・選挙・NHK296] <佐藤章氏>驚愕! 疑惑の兵庫県知事選をめぐる全体の構図が見えた! 立花孝志氏のビックリ応援立候補、折田楓氏の「細腕応… 赤かぶ
47. 秘密のアッコちゃん[1122] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月30日 08:03:09 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[560]
<■354行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>所信表明演説 対中認識が甘すぎないか
社説
2024/11/30 5:00
https://www.sankei.com/article/20241130-KKRAQ7IFABPOBCBC4GTUYQGQK4/
石破茂首相が臨時国会で、所信表明演説を行った。
政権運営の基本方針として
「国民の声を踏まえ他党にも丁寧に意見を聞き、幅広い合意形成が図られるよう、真摯に謙虚に取り組む」
と語った。
首相は国民民主党が求めている
「年収103万円の壁」
の解消に向け、非課税枠の引き上げを表明した。
少数与党に転じたことを受けての姿勢だが、前途は多難だろう。
内政と共に大事なのが外交安全保障だ。
驚いたのは中国に関する首相の認識だ。
先の習近平国家主席との会談に関し
「噛み合った議論を行うことが出来た」
と改めて自賛したのは理解に苦しむ。
首相は中国軍の活発な活動や深圳での日本人児童殺害などを巡る懸念を
「率直に提起した」
と語ったが、ほぼゼロ回答だったではないか。
中国は日本人に対する短期滞在ビザ(査証)の免除措置を2024年11月30日から再開すると発表した。
首相は
「私が指摘した」
と誇ったが、そもそも中国は在留邦人を不当に拘束する国だ。
最近では無差別殺傷事件も相次ぐ。
喜ぶような話ではない。
首相は
「主張すべきことは主張する」
「協力できる分野では協力する」
「それが国益に基づく現実的外交だ」
と述べた。
主張なら誰でも出来る。
中国の行動を実際に改めさせるのが国益だと、何故考えないのか。
台湾有事が懸念される中、対中抑止力を高めることが必要で、防衛力と日米同盟の強化が欠かせない。
そのためにも首相とトランプ米次期大統領との会談は重要だ。
首相は大統領就任前の面会は困難という理由で断られたが、トランプ氏は少なくともアルゼンチンの大統領とは会っている。
引き続き早期の会談を模索すべきだ。
北朝鮮による拉致問題については、金正恩朝鮮労働党総書記に会談を呼び掛けなかった。
安倍晋三、菅義偉、岸田文雄の歴代首相は国会演説で金氏と向き合う決意を示してきた。
石破首相が会談を求めなかったことが、北朝鮮に誤ったメッセージとなった可能性がある。
憲法改正では岸田前首相は国会演説で
「条文案の具体化」
に言及していたが、石破首相は2024年10月と今回の2つの所信表明演説で条文化を語らなかった。
憲法改正の必要性を本気で訴えねばならない。

少数与党として「幅広い合意形成図られるよう謙虚に取り組む」 石破首相所信表明演説全文
2024/11/29 18:56
https://www.sankei.com/article/20241129-6CRCTNZKWJKSXCIINQDA3P72XE/
石破茂首相は29日の衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。演説の全文は以下の通り。

一 政権運営の基本方針
(民主主義のあるべき姿)
「国政の大本について、常時率直に意見をかわす慣行を作り、各々の立場を明らかにしつつ、力を合わせるべきことについては相互に協力を惜しまず、世界の進運に伍していくようにしなければならない」
これは、昭和32年2月の石橋湛山内閣施政方針演説の一節です。
この言葉に示されているとおり、民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が、真摯に政策を協議し、より良い成案を得ることだと考えます。
先般の選挙で示された国民の皆様の声を踏まえ、比較第一党として、自由民主党と公明党の連立を基盤に、他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう、真摯に、そして謙虚に、国民の皆様の安心と安全を守るべく、取り組んで参ります。
二 3つの重要政策課題への対応
全ての国民の幸せを実現するため、3つの重要政策課題への対応を進めます。
(一)首脳外交を経た今後の外交・安全保障政策
(基本的考え方)
まず第一は、外交・安全保障上の課題への対応です。
国際秩序に大きな挑戦がもたらされています。
ロシアによるウクライナ侵略は今も続き、北朝鮮の兵士がウクライナに対する戦闘に参加しています。
中東地域で続く報復の応酬は未だに終わりが見えません。
我が国周辺に目を転じれば、今年後半だけを見ても、中国、ロシアの軍用機がわが国領空を相次いで侵犯した他、中国空母が我が国領海に近接する海域を航行しました。
戦闘機を含む中国空母2隻の艦載機は約1200回に及ぶ発着艦を太平洋で行いました。
ロシアの哨戒機は我が国を周回する飛行を行いました。
北朝鮮は、ICBM(大陸間弾道ミサイル)級を含め、近年かつてない高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しています。
こうした厳しく複雑な国際社会においても、国家の舵取りを行うに当たっての基本は変わりません。
即ち、我が国としての、そして同盟に基づく抑止力・対処力を維持・強化しつつ、各国との対話を重ね、我が国にとって望ましい安全保障環境を作り出すことです。
これにより、分断と対立を乗り越え、法の支配に基づく国際秩序を断固として堅持して参ります。
(首脳会談の成果)
私は、先般、ペルーでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)、ブラジルでのG20(20カ国・地域)に出席し、自由貿易体制の維持・強化、飢餓・貧困の撲滅といった国際社会の諸課題につき、我が国の理念、施策を発信すると共に、各国首脳との間で個別に意見交換を行いました。
アメリカ合衆国のバイデン大統領とは、今後も、揺るぎない日米同盟をさらに発展させていくことで一致しました。
合衆国では、来年2025年1月には第2期トランプ政権が発足します。
日米安保体制は、我が国の外交・安全保障政策の基軸です。
しかし、同時に、合衆国も、在日米軍施設・区域の存在から、戦略上大きな利益を得ています。
当然のことながら、合衆国には合衆国の国益があり、我が国には我が国の国益があります。
だからこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高め合うことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができると考えます。
トランプ次期大統領とも率直に議論を行い、同盟を更なる高みに引き上げていきたいと考えております。
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とも、来年2025年、国交正常化60周年を迎える中、首脳会談も頻繁に行い、日韓関係を大いに飛躍させる年にしよう、ということで一致しました。
日米韓3カ国の首脳会談も行いました。
中国の習近平国家主席とも、嚙み合った議論を行うことができたと感じています。
日中間には様々な懸案、意見の相違があります。
首脳会談の際、私からは、中国軍の活動の活発化や深圳での児童殺害事件など、我が国の懸念について率直に提起を致しました。
また、日本産水産物の輸入解禁の早期実現、日本産牛肉の輸入再開、精米の輸入拡大も求めました。
私が指摘した短期滞在の日本人への査証免除再開については、既に中国側から明日2024年11月30日に開始するとの発表がありました。
このように、諸課題について、主張すべきことは主張する。
しかし、その上で、協力できる分野では協力していく。
それが私の考える国益に基づく現実的外交です。
中国の安定的発展が地域全体の利益となるよう、習主席とも確認した、
「戦略的互恵関係」
の包括的推進、
「建設的かつ安定的な関係」
の構築という大きな方向性に基づき、今後も首脳間を含むあらゆるレベルで中国との意思疎通を図ってまいります。
日露関係は厳しい状況にありますが、我が国としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。
(防衛力の抜本的強化)
外交と防衛は車の両輪です。
私は、厳しい安全保障上の現実を直視し、国家安全保障戦略等に基づき、我が国の防衛力の抜本的強化を着実に進めると共に、同盟国・同志国との連携を更に深めることで、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守り抜きます。
防衛力の最大の基盤である自衛官の充足が約90%に留まっていることは、極めて深刻な課題と認識しています。
自衛隊の人的基盤の強化に向け、私を議長とする関係閣僚会議を既に3回開催し、議論を重ねています。
隊員の生活・勤務環境の改善等、早急に実現可能な方策は経済対策に盛り込み、併せて、若くして定年退職を迎える自衛官の新たな生涯設計を確立し、退職後も社会で活躍するための施策の方向性についても、年内に結論を得て、可能なものから令和7年度予算に盛り込みます。
沖縄県を含む基地負担の軽減に取り組みます。
普天間飛行場の1日も早い返還を実現するため、辺野古移設が唯一の解決策であるとの方針に基づき、着実に工事を進めて参ります。
沖縄振興の経済効果を十分に域内に波及させ、それを実感して頂けるよう、沖縄経済の強化に向けて支援を継続します。
加えて、在日米軍施設・区域の自衛隊による共同使用を進めると共に、駐留に伴う諸問題の解決にも取り組みます。
サイバー攻撃の脅威は差し迫った課題であり、有識者会議の提言も踏まえ、サイバー安全保障分野での対応能力を向上させるための法案を、可能な限り早期に国会に提出すべく、検討を更に加速します。
(拉致問題)
拉致問題は、単なる誘拐事件であるに止まらず、その本質は国家主権の侵害です。
拉致被害者やそのご家族がご高齢となる中で、時間的制約のある、一時も揺るがせに出来ない人道問題であり、政権の最重要課題です。
国家としての、また、私自身の断固たる決意の下、その解決に取り組んで参ります。
先に述べました日米、日韓の首脳会談においても、引き続きの連携を確認致しました。
(二)日本全体の活力を取り戻す
(基本的考え方)
重要政策課題の第2は、日本全体の活力を取り戻すことです。
人口減少によって、地域の活力、そして経済の活力が低下しています。
こうした状況は、我が国の経済・社会システムの持続可能性への不安を生み出し、更なる人口減少に繋がりかねません。
この流れを反転させるため、地域の活力を取り戻す地方創生の再起動、経済の活力を取り戻す
「賃上げと投資が牽引する成長型経済」
への移行、全世代型社会保障の構築等の3つの取組を強力に進めて参ります。
(地方創生2・0)
地方創生は、日本の活力を取り戻す経済政策であり、そして多様性の時代の国民の、多様な幸せを実現するための社会政策です。
元気な地方から元気な日本を作る試みは、多くの点となって息づいていますが、未だ全国的な広がりには欠けています。
これを集めて面にして、やがては日本中の皆さまに、
「面白い」、
「楽しい」
という思いを広げていかなければなりません。
宮崎県小林市では、フランス語かと思わせるような地元の方言を使うなど、ユニークなわが
「まち」
紹介動画を作成し、話題となりました。
これは、市の職員が学生とともにアイデアを出したものでした。
故郷を離れてしまう前に、故郷に誇りを持ってほしい、そして故郷のために活躍してほしいとの市長の願いからでした。
鹿児島県伊仙町では、町長が集落を回り、町の財政状況を丁寧に説明した結果、高齢者から、子供たちのためにもっとお金を使ってほしいとの意見がでました。
出産や子育て環境を充実させ、平成15年から平成24年までの間、合計特殊出生率日本一となる、
「2・42」、
「2・81」
を実現しました。
これらを決して、1つの
「まち」
の物語に留めてはなりません。
日本中の同じ課題を抱えている皆様と、これまでの地方創生の成功事例から学び、
「産官学金労言」
で英知を集め、我が
「まち」
を輝かせるため、共に取り組んでいく所存です。
デジタル技術の活用や、地方の課題を起点とする規制・制度改革を大胆に進めていきます。
「地方創生2・0」
を起動し、我が国の社会や経済の起爆剤とするため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増します。
新しいICT(情報通信技術)技術もフル活用しながら、持てるポテンシャルがまだまだ眠っている地方の農林水産業、製造業、サービス業の高付加価値化を進めると共に、新たな重点として文化芸術・スポーツの振興にも取り組みます。
来年2025年4月に開幕する大阪・関西万博の機会も最大限に活用します。
この2024年夏、店頭から米が一時消えたことは記憶に新しい所です。
人口減少下においても、農林水産業・食品産業の生産基盤を強化し、安定的な輸入と備蓄を確保することなどを通じて、食料安全保障を確保します。
農林水産業に携わる方々が安心して再生産でき、食料システム全体が持続的に発展し、活力ある農山漁村を後世へ引き継げるよう、施策を充実・強化します。
地方の取り組みが花開くためには、国としての環境整備も必要です。GX(グリーントランスフォーメーション)の例では、洋上風力、地熱や原子力などの脱炭素電源を目指して、工場やデータセンターの進出が進み、教育機関との連携などによって、新たな地域の活力に繫がる動きが始まりつつあります。
投資の予見可能性を高めるため、温室効果ガスの排出削減を求めつつ、国として20兆円規模の先行投資支援を行い、官民で150兆円を超えるGX投資を実現します。
GXによる産業構造や産業立地の将来像について、2040年に向けたビジョンを2024年年内に示し、核となる拠点を広げていきます。
エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画もまとめて参ります。
「地方創生2・0」
には、魅力ある働き方・職場作りも重要です。
男女間の賃金格差が地域によって異なる中、若者や女性が安心して暮らせる
「働き方」
とは何か。
非正規雇用の方の正規化をどのように進めるか。
時間に余裕を持ちながら正社員としての待遇を得る短時間正社員という働き方も大いに活用すべきです。
女性の雇用における
「L字カーブ」
の解消、男性の育児休業の推進にも取り組み、社会の構造・意識の変化に繋げて参ります。
「人づくりこそ国づくり」。
教職員の働き方改革や給与面を含む処遇改善などを通じて、公教育の再生を進めます。
(経済全体の活力)
30年前、日本のGDP(国内総生産)は世界全体の18%を占めていましたが、直近の2023年では4%です。
そして、1位だった国際競争力は、今、38位に落ちました。
配当は増え、海外投資も増えた一方で、国内投資と賃金は伸び悩んできました。
デフレ経済の中、雇用は安定してきたが、給料は上がらない、安い商品はあるが、革新的な商品・サービスはあまり生まれてこない、という状況だったのではないでしょうか。
しかし、ようやく約30年ぶりの高い水準の賃上げと、過去最大規模の投資が実現し、明るい兆しが表れています。
コストカットではなく、付加価値の創出に力点を置いた経営・経済への転換を進めなければなりません。
ドイツや韓国と比較すると、GDPに占める輸出の割合が低いわが国においては、経済安全保障の観点からも、付加価値の高いサプライチェーン(供給網)を国内に回帰・立地させていくことも重要です。
先般の政労使の意見交換において、約30年ぶりの高い水準となった今年2024年の勢いで、来年2025年の春季労使交渉においても大幅な賃上げを行うことへの協力を、私から要請しました。
また、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を、関係閣僚に指示しました。
DXを切り口として、日本の潜在的な強みであるAI(人工知能)、量子、バイオ、宇宙、フュージョン、GX等の戦略分野のイノベーションとスタートアップの支援、スキル向上などの人への投資を進めてまいります。
今こそ、
「賃上げと投資が牽引する成長型経済」
を実現し、我が国を、世界をリードするイノベーションが常に生み出される豊かな国として参ります。
(社会保障等)
これらの取り組みと合わせて、子育て支援を強力に推進すると共に、国民の皆様に安心して頂ける社会保障制度を構築します。
本格的な人口減少の中にあっても、現役世代の負担を軽減し、意欲のある高齢者をはじめ女性、障害者などの就労を促進し、誰もが年齢にかかわらず能力や個性を生かして支え合う、全世代型の社会保障を構築していきます。
今月2024年11月、関係大臣には
「改革工程」
に掲げられた事項の具体化を指示しました。
丁寧な議論を行って、実現できる項目から着実に実施して参ります。
来月2024年12月2日には健康保険証の新規発行が終了します。
マイナ保険証の利用を促進しつつ、お持ちでない方には資格確認書を速やかにお届けすることで、これまで通り診療が受けられるようにしています。
国民の皆様の不安には迅速に応え、丁寧に対応するというのが私の考えです。
「経済あっての財政」
との考え方の下、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済・財政を作っていきます。
(三)治安・防災
(基本的考え方)
重要政策課題の第3は、治安・防災への更なる対応です。
国民お1人お1人に、生き生きと、充実した日々を送って頂くための基盤となるのは、安心・安全な社会です。
(「防災庁」・防災対策)
地理的な条件が不利であり、財政的にも厳しい地域で災害が発生したとしても、被災者の方々を苦難の中に置き続けるということは、国家としてあるべき姿ではありません。
避難所での生活環境を改善し、災害関連死を防ぐためにも、避難所の満たすべき基準を定めたスフィア基準を、発災後早急に、全ての避難所で満たすことができるよう、事前防災を進めて参ります。
また、避難所となる全国の学校体育館の空調整備のペースを2倍に加速します。
能登半島地震・豪雨での教訓も踏まえ、キッチンカー、トレーラーハウス、トイレカーなどの迅速な派遣のための官民連携による登録制度の創設、温かい食事の迅速な提供などを可能とするための資機材・物資の分散備蓄、災害ボランティアとして活動する支援団体の事前登録制度の創設など、避難者の皆様の生活環境の向上のため、最大限の対応をして参ります。
被災者が災害関連の各種申請を容易に行うことが出来るよう、更なる改善に取り組みます。
被災地では、被災者でもある自治体職員の負担を軽減しつつ、災害対応に万全を期する必要があります。
他の自治体に派遣する職員に対する訓練や、職員派遣による経験の蓄積を促進すると共に、特に大規模な災害については、予め支援自治体を定めるなどの準備も進めて参ります。
政府における体制も着実に強化します。
内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面において抜本的に強化することに加え、被災者の方々の声を必ず施策に反映させるとの強い思いから、2024年11月1日に立ち上げた
「防災庁設置準備室」
において、令和8年度中の防災庁の設置に向け着実に準備を進めて参ります。
(東日本大震災からの復興)
「福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし。」
全閣僚が、こうした決意の下、被災者の生活や産業・生業の再建、福島イノベーション・コースト構想の推進に、全力で取り組んでまいります。
(治安対策)
最近、いわゆる
「闇バイト」
による強盗・詐欺の報道を見ない日はありません。
他者への慈しみや堅実な努力といった、日本社会の中で大切にされてきた価値観・道徳観を揺るがしかねないものであり、こうした犯罪を断じて許してはなりません。
悪質な事件の主体となっている、いわゆる匿名・流動型犯罪グループの検挙を徹底するための取り組みを一層推進してまいります。
学校での啓発活動、若者に向けたSNS(交流サイト)による情報発信等を強化すると共に、
「闇バイト」
を募集する情報のインターネット上からの削除にも一層努めて参ります。
防犯カメラ等の整備、青パトによる活動などを国としても支援し、町ぐるみの防犯対策を更に促進して参ります。
また、性暴力、DV(家庭内暴力)、虐待等を防ぎ、被害者支援を推進します。
三 経済対策・補正予算
国民の皆様の暮らしが豊かになったと感じて頂くためには、現在や将来の賃金・所得が増えていくことが必要です。
そのことを最重要課題として、
「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」
を策定しました。
第1に、日本経済・地方経済の成長です。
家計を温めるためにも物価上昇を上回る賃金上昇を実現していく必要があります。
まず、最低賃金の引き上げに取り組む他、中小企業をはじめとした事業者の皆様方が確かに儲かり、物価上昇に負けない賃上げをして頂けるよう、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めると共に、省力化・デジタル化投資の促進や、経営基盤の強化・成長のための支援を充実します。
地方の皆様方が希望と幸せを感じて頂くことも重要です。
地方創生の
「基本的な考え方」
を2024年年末までに取りまとめますが、地域活性化と合わせて、この国の在り方、文化、教育、社会を変革する大きなムーブメントを作り出していくため、いち早く地方の皆様方が動き出せるよう、地方創生の交付金を倍増しつつ、前倒しで措置します。
将来も継続的に所得が増加する手立てを講じておくことも必要です。
資産運用立国および投資立国を実現します。
今後2030年度までにAI・半導体分野に10兆円以上の公的支援を行い、10年間で50兆円を超える官民投資を引き出します。
経済安全保障の強化や、リスキリングを含む人への投資も促して参ります。
第2に、成長型経済への移行に当たり誰1人取り残されないようにすることが重要です。
賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済の実現までの間、賃上げの恩恵を受けにくい方々への支援が必要です。
低所得者世帯の方々に対し給付金の支援を行います。
地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々への支援、価格転嫁が困難な中小企業への支援、学校給食費への支援の他、新たに、厳冬期の灯油支援も行えるようにします。
家庭の電力使用量の最も大きい2025年1月から3月の冬季の電気・ガス代を支援します。
エネルギーコスト上昇に強い経済社会の実現のため、クリーンエネルギー自動車の購入支援や省エネ性能の高い住宅へのリフォームを支援します。
第3に、国民の安心・安全の確保です。
国民の皆様方が豊かさを感じられるのは、安心と安全があればこそです。
能登地域の皆さまが受けた地震・豪雨の度重なる被害からの一刻も早い復旧と創造的復興を一層加速します。
災害廃棄物処理の加速化、公営住宅の建設などの生活再建を進め、被災事業者の生業の再建を後押しします。
防災・減災、国土強靱化を着実に推進します。
シェルターの確保等により国民保護の取り組みを強化します。
以上申し上げてきた、経済対策のとりまとめに当たっては、党派を超えて、優れた方策を取り入れるべく、最大限の工夫を行って参りました。
いわゆる
「103万円の壁」
については、令和7年度税制改正の中で議論し引き上げます。
いわゆる暫定税率の廃止を含む
「ガソリン減税」
については、自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討し、結論を得ます。
これらに伴う諸課題に関しては、今後、検討を進め、その解決策について結論を得ます。
政府としては、この経済対策を出来るだけ早くお届けできるよう、速やかに補正予算を国会に提出致します。
そして、国会でのご審議を頂き、早期の成立を目指します。
四 政治改革への対応
先の選挙結果は、主権者である国民の皆様からの、政治資金問題や改革姿勢に対する叱責であったと受け止めております。
「政治は国民のもの」
との原点に立ち返り、謙虚に、真摯に、誠実に国民と向き合いながら、政治改革に取り組んで参ります。
政党から議員に支出され、その先の具体的な使途が公開されていない政策活動費の廃止、政治資金に関する必要な監査を行う第3者機関の設置、収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築など、政治資金に関する諸課題の改革のための議論を進めて参ります。
調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費の使途公開および残金返納に向けて、既に国会でご議論頂いているところです。
国民の政治に対する信頼を取り戻すため、これらの様々な課題について、党派を超えて議論し、2024年年内に、必要な法整備も含めて、結論をお示しする必要があると考えており、誠心誠意、尽力して参ります。
五 憲法改正
憲法改正については、私自身、これまで長らく衆議院憲法審査会の委員を務め、議論に参加して参りました。
国会による発議の実現に向け、今後、衆議院および参議院に設置された憲法審査会において建設的な議論を行い、国民的な議論を積極的に深めて頂くことを期待します。
六 結語
石橋湛山内閣の施政方針演説では
「常に国家の永遠の運命に思いを致し、地方的利害や国民の一部の思惑に偏することなく、国民全体の福祉をのみ念じて国政の方向を定め、論議を尽くしていくように努めたい」
とあります。
外交においても、内政においても、国民の後押しほど大きな力はありません。
国民の皆様に信頼を頂けるよう、誠心誠意取り組んで参ります。
国民の皆様、並びに、この場に集う全国民を代表される国会議員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/210.html#c47

[政治・選挙・NHK296] 斎藤元彦知事の公選法違反疑惑「潔白」根拠に疑義…PR会社からの請求書にこれだけの不可解(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
21. 秘密のアッコちゃん[1123] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月30日 12:52:25 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[561]
<■2605行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<産経抄>分断を生んだのはトランプ氏ではなくリベラル派
2024/11/30 5:00
https://www.sankei.com/article/20241130-HT6B3LWQIRIR3OQOMDRX4PQGHQ/?509463
昼時、テレビのニュース番組を見ると、米国社会の分断はトランプ次期大統領が作ったかのように論じていた。
確かに、対抗馬だったハリス副大統領も演説で
「トランプ氏は国民を分断し、互いを恐れ合うようにした」
と述べていたし、日本のマスコミにも分断を深めたのはトランプ氏と断じる論調は多い。
とはいえ、本当にそうだろうか。
「トランプ氏が分断を生んだのではなく、米社会の分断がトランプ大統領を生んだ」。
バイデン大統領が就任する前の令和3年1月、安倍晋三元首相は抄子に語った。
そして続けた。
「その分断を作ったのはリベラル派であり、オバマ政権の8年間だった」。
安倍氏は、オバマ政権下ではリベラル派がわれこそ正義とばかりにポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)を過剰に振りかざしてきたと説明した。
その結果、保守派は本音を隠して疎外感を味わい、偽善を排したトランプ氏の登場を歓迎したのだという。
その通りなのではないか。
バイデン政権も同様にポリコレを国民に押し付け、非合法移民を無軌道に受け入れ、LGBTなど性的少数者の権利を女性が身を守る権利の上位に置いた。
今回のトランプ氏の圧勝は、行き過ぎたリベラル政策への反動だと言える。
岸田文雄前首相はこのバイデン路線に従い、静かに放っておいてほしい当事者を含め、誰も本気で喜ばないLGBT法を成立させた。
保守票を減らしてまで強行したわけだが、トランプ氏は
「性別は2つだけ」
と主張しており、米共和党は過激なリベラル政策には断固反対との立場である。
米国をはじめ世界で揺り戻しが起きているのに、日本ばかりがこのまま行き過ぎたリベラル路線を突っ走るのは滑稽極まりない。

ジョージアでLGBT規制法成立 EU加盟遠のく 与党側、議会選へ支持拡大狙う
2024/10/3 22:40
https://www.sankei.com/article/20241003-MVYDF2UY3ZKPVO4W3O3LSJUAAE/
南カフカス地方の旧ソ連構成国、ジョージア(グルジア)の議会のパプアシビリ議長は3日、性的少数者(LGBTなど)の権利を制限する法案に署名し、成立させた。
欧州連合(EU)は2023年12月に
「加盟候補国」
の地位を与えたジョージアの反リベラル化を懸念し、廃案にするよう求めていた。
同法の成立でEUとの関係が悪化し、ジョージアのEU加盟が遠のくのは確実だ。
LGBT規制法に関し、パプアシビリ氏は3日、常識やキリスト教の伝統に基づくものだと主張。
「一部のパートナー国から非難されることは分かっているが、我が国は他者の評価を恐れない」
と表明した。
同法は、
▽同性婚の禁止
▽性的少数者による養子受け入れの禁止
▽性別適合手術の禁止
▽公の場でのLGBTの宣伝の禁止
などを定め、違反すれば罰則を科す内容。
同国のコバヒゼ政権の与党「ジョージアの夢」が法案を議会提出し、9月中旬に可決されていた。
ただ、法案に反対するズラビシビリ大統領が署名を拒否し、法案を議会に差し戻していた。
同国の法律によると、法案は大統領が署名を拒否した場合でも議長が署名すれば成立する。
LGBTの規制で与党側は、今月26日に行われる議会選に向けて保守層からの支持拡大を狙ったとの観測が強い。
与党側が6月、大規模な抗議デモやEUの批判を無視する形で、外国から資金提供を受けて活動する団体を規制する
「反スパイ法」
を成立させた背景にも、議会選に先立って選挙監視NGO(非政府組織)などの活動を抑圧する狙いがあったとみられている。
ただ、ジョージア国民の大半はEU加盟を望んでいる上、与党側の強権的な動きにも批判的だとされ、両法の制定が議会選での与党側勝利につながる保証はない。

ジョージア、反LGBT法案を可決 進む反リベラル化 EU入りに暗雲
2024/9/18 8:38
https://www.sankei.com/article/20240918-LZB3A6NA6NOLVBV37INIBCIEEU/
欧州連合(EU)加盟を目指す南カフカス地方の旧ソ連構成国ジョージア(グルジア)の議会は17日、性的少数者(LGBTなど)の権利を制限する反LGBT法案を可決した。
現地メディアが伝えた。
EUは2023年12月に
「加盟候補国」
の地位を与えたジョージアの反リベラル化を懸念し、法案を廃案にするよう求めていた。
ジョージアとEUの関係悪化は確実で、同国のEU入りの先行きには不透明感が増す見通しだ。
現地メディアによると、法案は伝統的家族観と未成年者の保護を名目とし、
▽同性婚の禁止
▽性的少数者による養子受け入れの禁止
▽性別適合手術の禁止
▽メディアなどでのLGBTの宣伝の禁止
などを定め、違反すれば罰則を科すとする内容。
同国のコバヒゼ政権の与党「ジョージアの夢」が議会に提出していた。
法案は今後、署名のためズラビシビリ大統領に送付される。
同氏が署名を拒否した場合でも、議会が拒否権発動を無効だと議決すれば、法案は成立する。
政権側が法案を可決した狙いは、2024年10月に行われる議会選を見据えて保守層の支持を拡大することだとする観測が強い。
実際、政権側は2024年6月、大規模な抗議デモが相次いだにもかかわらず、外国から資金提供を受けて活動する団体を規制する
「反スパイ法」
を成立させた。
これも議会選に先立って政権側に批判的なNGO(非政府組織)などの弱体化を狙ったものだとみられている。
反LGBT法と反スパイ法を巡っては、類似の法律が施行されているロシアで言論統制の手段として使われてきたことから、ジョージア国内では言論の自由が悪化しかねないとの不満が強い。
EUが批判してきた両法の制定により、ジョージア国民はEU加盟が遠のく事態も懸念している。
このため、両法の制定で政権支持率がかえって低下する可能性も指摘されている。
反スパイ法に続く反LGBT法の可決で、ジョージアとEUとの更なる関係悪化は不可避だ。
反スパイ法の制定に際し、EUはジョージアの加盟手続きの一時停止を発表し、同国への3千万ユーロ(約47億円)の財政支援も凍結した。
米国もジョージアの反リベラル化を批判し、同国政府高官や与党議員ら数十人にビザ(査証)発給を制限する制裁を科した他、9500万ドル(約135億円)超の財政支援を停止した。

「女性スペースは身体的特徴で」法案の要綱全文 自民・女性を守る議連
2024/9/5 11:51
https://www.sankei.com/article/20240905-RVPMLVTZMNHXDIZF26NHZ66S64/
公衆浴場や旅館の共同浴室の利用について男女は身体的な特徴で区別すると定めた自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
がまとめた議員立法の法案要綱は以下の通り。
議連は法案要綱を党総裁選(12日告示、27日投開票)の候補者に提示し、政策への反映を求めていく。

男女別で利用が区別される施設における女性の安全・安心の確保の促進に関する法律案 (仮称) 要綱
第一 趣旨
この法律は、性的な被害の多くが、身体的な面において相対的に弱い立場にある女性に生じていることを踏まえ、男女別で利用が区別される施設を女性が安全にかつ安心して利用することができる環境の確保(以下「女性の安全・安心の確保」)を図ることの必要性にかんがみ、公衆浴場および旅館業の共同浴室に係る男女別の利用に関する措置その他女性の安全・安心の確保の促進に関する措置について定めるものとすること
※「男女別で利用が区別される施設」とは、公衆浴場、旅館業の共同浴室その他第三の1の「特定施設」をいう
第二 公衆浴場および旅館業の共同浴室に係る男女別の利用に関する措置
1 公衆浴場法第1条第1項に規定する公衆浴場(第三の2(1)において同じ) については、同法第3条第1項の措置として、公衆浴場の利用の態様などに応じ、 男女別の利用に関する措置が講ぜられるものとすること
2 旅館業法第2条第1項に規定する旅館業の施設に設けられる共同浴室については、同法第4条第1項の措置として、当該共同浴室の利用の態様などに応じ、 男女別の利用に関する措置が講ぜられるものとすること
3 1および2の措置における男女は、身体的な特徴により区別されるものとすること
第三 その他の女性の安全・安心の確保の促進に関する措置
1 施設の管理者による措置
男女別で利用が区別されている場合における女性用の施設(便所その他通常衣服を着けないで利用される個室状の施設にあっては、男女共用とされているものを含む)で、不特定又は多数の者により利用されるもの(以下「特定施設」)の管理者は、当該施設において女性の安全・安心の確保が図られることとなるよう、構造又は設備に係る対策、巡回、利用者の範囲に関する周知その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと
2 指針の策定など
(1) 特定施設のうち、通常衣服を着けないで共同して利用される施設で、公衆浴場、事業者がその使用する者のために設置する更衣室その他法令上に定めがあるものについては、関係各大臣は、事業者が1により講ずる措置に関する指針を定めるものとすること
(2) (1)に定めるもののほか、国の関係機関は、事業者が1により講ずる措置の円滑な実施を促進するため、事業者に対し、情報の提供、相談、助言その他の必要な措置を講ずるものとすること
第四 施行期日
この法律は、・・・から施行すること(原文ママ)
【参考】公衆浴場法
第3条
1 営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保湿および清潔その他入浴者の衛生および風紀に必要な措置を講じなければならない
2 前項の措置の基準については、都道府県が条例で、これを定める
【参考】旅館業法
第4条
1 営業者は、旅館業の施設について、換気、採光、照明、防湿および清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならない
2 前項の措置の基準については、都道府県が条例で、これを定める。(以下略)

公衆浴場の利用は身体的特徴で男女区別を 自民「女性守る議連」が法案まとめる
2024/9/3 18:06
https://www.sankei.com/article/20240903-X4VKI6C3ZVMTBBJ2KTCMS2GG74/
自民党の保守系議員らで作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
は、公衆浴場の利用について、男女を身体的特徴で区別すると定めた法案をまとめた。
関係者が3日明らかにした。
4日の議連会合に諮る。
党総裁選の候補に配布し、論点としたい考えだ。
2023年6月のLGBTなど性的少数者への理解増進法成立を受け、悪意を持って女性を自認していると称し女性用トイレや公衆浴場を使うケースが出かねないとの懸念が背景にある。
ただ政府は既に同趣旨の通知を自治体に出しており、法制化の必要性に疑問の声も上がりそうだ。
法案は、性的被害の多くが弱い立場の女性に生じているとして、男女別で利用が区分される施設に関し
「女性が安心して利用できる環境の確保」
が必要だと説明。
公衆浴場や旅館、ホテルの共同浴室は
「男女は、身体的な特徴により区別されるものとする」
と定めた。

自民・松山政司参院幹事長「より良い結論得るよう努力」 性別変更で「外観要件」違憲疑い
2024/7/10 18:03
https://www.sankei.com/article/20240710-KMM7VCCE5VKW3FUXOGGS4YQSWM/
自民党の松山政司参院幹事長は10日、戸籍上の性別変更に当たり性同一性障害特例法の外観要件を憲法違反の疑いがあるとした広島高裁決定を受け、法改正に関し
「より良い結論が得られるよう真摯に努力していきたい」
と述べた。
福岡市で記者団の取材に応じた。
保守系議員からは、要件削除に慎重な意見が出た。
保守系有志で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
のメンバーである柴山昌彦政調会長代理は取材に
「外観要件は違憲の疑いが濃いと言っているだけなので、立法府を拘束するものではない」
と指摘。
「生殖能力要件や外観要件を削除という乱暴な議論はすべきではない」
と慎重な対応を求めた。
公明党の谷合正明参院幹事長は取材に、生殖能力要件を違憲とした2023年10月の最高裁判決を踏まえ
「今回の判断は想定されたことだ」
と受け止めた。
秋の臨時国会での法改正に向けて
「自民に更に促していく」
と語った。

女性スペースの利用は「身体的特徴で判断」 自民議連、女性の安全・安心確保法整備へ
2024/6/14 10:39
https://www.sankei.com/article/20240614-S3OEC6PK5BFE3GI7WIDMLRHU3I/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
が、公衆浴場や旅館・ホテルの共同浴室など女性スペースを利用する際は男女の取り扱いを
「心の性」
ではなく
「身体的な特徴」
で区別する議員立法の法案骨子を策定した。
性別適合手術などを経ずに男性器を備えた
「法的女性」
が誕生した場合に備え、性自認は女性だと主張する性犯罪目的の元男性が女性スペースで性加害行為を働く余地を狭める狙いがある。
■各党の賛同を求めて立法化
骨子では公衆トイレを含め、不特定多数の利用者が性別で区別される施設(特定施設)について、管理者に女性の安全・安心を確保するために必要な施設構造の変更や照明設備・警報装置の設置、警備の実施などハード・ソフト両面で努力義務を課した。
議連は各党の賛同を求めつつ条文化し、2024年秋の臨時国会で提出を目指す。
施設側は身体的な特徴の性をもって男女を判断し、性別適合手術などを経ずに男性器を備えた
「法的女性」
らの利用を断ることができる根拠となる。
これまでも公衆浴場での男女の取り扱いに関して、厚生労働省は
「身体的な特徴をもって判断する」
と通知を出している。
その方針を改めて法律に明記する形となる。
女性スペースの安全確保の徹底を図る背景には、性別適合手術を経ないで戸籍上の性別を変更できる可能性が高まっていることがある。
性同一性障害特例法が求めている生殖機能の喪失を要件とした規定は、2023年10月の最高裁で憲法違反と判断された。
変更後の性別の性器に似た外観を備えている外観要件についても憲法適合性の審理が2審に差し戻されている。
■「被害比率の高い方を守る」
一方、性別適合手術を経ないトランスジェンダー女性(生まれた時の性別は男性、性自認は女性)は女性スペースを利用する権利を侵害されることになる。
骨子をまとめた13日の会合後、議連の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は記者団に
「(施設管理者の)注意義務が上がるから(女性や女児の)安心・安全性は高まると思う」
と語った上で、
「(手術要件が撤廃され)社会問題化した場合に備えて、我々は身体的要件で判断するという答えを出した」
「平等に競争している社会の中では一定のルールが必要で、やはり弱い方、被害比率の高い方を守るというのが鉄則だ」
と強調した。
海外でトランスジェンダー女性が女性スペース内で女性に性的暴行を加えた事例が確認されていることから、
「女性のスペースをきちんと管理して守るというのが必要な時代になっている」
と指摘した。

パラ初のトランス陸上選手出場が波紋 他国から「男性として長く生活しており有利」と懸念
2024/9/3 11:40
https://www.sankei.com/article/20240903-4DWGYLYXGZE4FN7FXPIALCYS74/?outputType=theme_paris2024
パリ・パラリンピックの陸上女子400メートル(視覚障害T12)が2日に行われ、パラリンピックでは初のトランスジェンダーの陸上選手として参加したバレンティナ・ペトリロ(イタリア)が出場した。
ペトリロは準決勝で敗退したが、他国の選手からは
「男性として長く生活しており、そのことが有利に働く」
といった懸念が出ており、出場への波紋が広がっている。
50歳のペトリロは予選4組に出場し、58秒35をマークして2位に入り、準決勝に進出。
準決勝2組では57秒58をマークしたものの3位となり、決勝進出を逃した。
ペトリロは女子200メートル(視覚障害T12)への出場も予定している。
英紙デイリー・メール(電子版)によると、ペトリロは視野の喪失を引き起こす遺伝性眼疾患の
「シュタルガルト病」
で、視覚に障害がある。
2019年に性転換手術を受けるまでは男性としてイタリアの国内大会に出場。
既婚者で、2人の子供がいるという。
世界パラ陸上競技連盟の規定では、法的に女性として認められた選手には出場資格があることを認めており、パラリンピックへの出場が決まった。
一方、他国の選手からは
「(ペトリロは)長い間、男性としてトレーニングをしており、このことが(競技で)有利に働く可能性がある」
といった懸念が出ていた。
パリ五輪ボクシング女子では、性別を巡る騒動の渦中にいた66キロ級のイマネ・ヘリフ(アルジェリア)が初の金メダルを獲得し、話題を呼んだ。

性別変更「10年以上の治療と他性別の生活」手術要件撤廃に備え、自民女性守る議連が提言
2024/4/15 14:26
https://www.sankei.com/article/20240415-IPIQTUL4ZJA3DAF25FI7652XZI/
自民党有志の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
が性同一性障害特例法が定める性別変更する上での要件厳格化を求める提言をまとめ、党政務調査会の特命委員会に2024年4月9日、提出した。
提言は10年以上継続して性同一性障害の治療を受け、他の性別で社会生活を営んでいるという要件の追加を求めた。
女性の生殖機能を持った
「法的男性」
が出産する場合などに備え、民法上の親子関係を整理する必要性にも言及した。
■法的男性が妊娠した場合、戸籍は女性に
特例法は性別変更する上で生殖機能の喪失を求める要件があるが、最高裁大法廷は2023年10月、これを憲法違反と判断した。
法改正が迫られているが、要件を撤廃すれば、性同一性障害を抱える人々と女性へのなりすましなどの見極めが困難になるとも指摘されている。
提言は
「一定期間(10年以上)継続して一定の治療を受け、かつ、一定期間(10年以上)継続して他の性別で社会生活を営んでいると認められること」
を新たに要件に盛り込んだ。
カナダや英国では、刑務所や留置場などで、女性に性別変更した元男性による女性への性犯罪が発生している。
これを踏まえ、提言では
「収容施設などにおいては、生物学上の性別に基づき区別して収容される」
ことを求めた。
性別変更する上で、子供と接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する
「日本版DBS」
創設法案に盛り込まれた、就業を制限する
「特定性犯罪」
の前科がないという要件も追加した。
女性の生殖機能を持ったままの
「法的男性」
が妊娠・出産した場合は、戸籍を女性に戻すとの条文の追加についても、検討を求めた。
提言は
「『なりすましによって生じた性的被害への国家賠償』
『女性生殖機能が残っているので妊娠・出産してしまった戸籍上男性が母親になることの社会的混乱』
という、現在までには、ほぼあり得なかったケースがあり得ることになる」
と指摘。
「女性たちの安心と安全を1ミリたりとも危うくしない」
と強調し、リスクの排除を訴えた。
■「診断の判断があやふやに」
平成15年に成立した特例法は、性別を変更するために複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で
@18歳以上
A未婚
B未成年の子がいない
C生殖不能
D変更後の性別の性器に似た外観を備えている
の要件を定めている。
2023年10月、最高裁大法廷は生殖不能要件を違憲と判断し、Dの
「外観要件」
について憲法適合性の審理を広島高裁に差し戻した。
CとDを合わせて
「手術要件」
と言われる。
特例法は性同一性障害者について
「他の性別であるとの持続的な確信を持ち、身体的および社会的に他の性別に適合させる意思を有する者」
と定義する。
ただ、手術要件が撤廃された場合、客観的な基準がなくなり、衝動的に元の性別による性行動に出る場合も含め、
「なりすまし」
が排除しきれないとの懸念もある。
性同一性障害を訴える患者を数多く診断してきた精神科医の針間克己氏は2024年4月9日、特命委の会合に出席後、
「手術要件がなくなると(性同一性障害者の)定義に一致するかどうかの判断が非常にあやふやになってしまう」
「診断が難しくなるので何らかの基準を設けたほうがいい」
と産経新聞などの取材に語った。

<主張>教科書にLGBT 男女否定の授業にするな
社説
2024/3/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20240324-2PWOH4565RKCVKFLAV2GC5BQKQ/
文部科学省の検定に合格し、令和7年度から使われる中学校の教科書で、LGBTなど性的少数者についての記述が増加することになった。
保健体育では、性的少数者に関連し
「性自認」
「性的指向」
など学習指導要領の範囲外の内容が
「発展的内容」
として全ての教科書に掲載される。
英語や社会科地理などの教科書にも関連した内容が入る。
性的少数者への差別をなくす教育は必要としても、男女の性差を否定するような行き過ぎた指導で、思春期の子供たちを混乱させてはならない。
検定結果によると、保健体育では
「人間の性は単純に『男性』と『女性』に分けられるものではありません」
などの説明と共に、合格した全3点の教科書が
「性の多様性」
について踏み込んだ内容を記述した。
性教育とは関係の薄い地理でも
「性的少数者に配慮した社会へ」
として、同性婚を法制化したニュージーランドなどの事例を好意的に紹介するコラムを掲載した教科書がある。
社会科公民では性別に関係なく使える
「だれでもトイレ」
を写真付きで取り上げる例もあった。
2023年6月に成立した性的少数者に対する理解増進法が教科書にも影響した格好だが、同法には反対意見も多く、性は自分で決められるといった
「性自認」
の概念は大人にも分かりにくい。
教師は指導できるのか。
中学生は生殖機能が発達する思春期で、異性への関心が高まる時期だ。
男女の身体的な特徴などを理解させることが重要であり、その前に
「性の多様性」
などと教えても生徒は戸惑う。
男女の性差など違いを知り、互いに認め合う教育が必要だ。
教師用の学習指導要領解説には、性に関する指導は
「発達の段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることなどに配慮することが大切である」
と明記されている。
この原則を守るべきだ。
生徒に行き過ぎた指導を押し付けてはならない。
教科書は流行を追うものではない。
伝統的家族の役割、日本の国柄などについてもしっかり教えてもらいたい。
例年検定結果が注目される社会科では日本の領土に関する記述が一層充実した。
教師自身が歴史経緯などを深く理解しているか、指導力が問われる。

LGBT記述が社会科の教科書に、地理「同性婚法制化」 公民「ジェンダーレス制服」
中学校教科書検定
2024/3/22 16:44
https://www.sankei.com/article/20240322-GEXH3Q6JFJL3ZNJ7PSZVVOFKJA/
LGBTなど性的マイノリティーに関する記述が教科横断的に広がった中学校教科書。
現行本に記載がない社会科地理では、日本文教出版の教科書に登場した。
オセアニア地域の紹介で、豪州やニュージーランドで同性婚が法制化されたことに触れ、
「性的少数者に配慮した社会づくり」
の実例として記述している。
6社が申請した社会科公民では、自由社を除く5社が記述。
東京書籍は、同性カップルに結婚に相当する関係を認める
「パートナーシップ証明書」
や中学校に設置された
「だれでもトイレ」
の写真を掲載するなど複数のページを割いた。
女子生徒向けにスカートだけでなくズボンも選べるジェンダーレス制服を紹介する教科書もあった。
教育出版は国語で、日本社会のLGBT受容に対する感想を綴った日本文学研究者、ロバート・キャンベル氏の文章を掲載。
東京書籍の英語には、パキスタン出身のノーベル平和賞受賞者、マララ・ユスフザイさんのスピーチに関連付ける形で、性的マイノリティーに対する偏見や差別に言及している。

性自認、身体的性別と同列に記述する保健体育の教科書も 専門家「誤解与える」
中学校教科書検定
2024/3/22 16:25
https://www.sankei.com/article/20240322-RUE5JJORYVMJBBRUS6RRY5HIW4/
文部科学省は2024年3月22日、令和7年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。
合格した教科書には、LGBTなど性的マイノリティーに関する記述の充実が目立った。
保健体育では、
「男女」
という生物学的性別を相対化し、自認する性などと同列に説明している教科書もあり、専門家からは誤解を与えかねないとの声も上がっている。
「性には『男性』『女性』という『体の性』以外にも、『心の性』や『好きになる性』、『社会的な性』など、いろいろな『ものさし』があります」。「性の多様性」
をこのような記述で取り上げたのは、東京書籍。
「性の構成要素」
として、体の性(生物学的な性)、心の性(性自認)、好きになる性(性的指向)、社会的な性(性表現)を同列に図示し、
「それぞれが組み合わさって、私たちの『自分らしさ』となっています」
と説明。
同社の編集担当者は
「互いにその人らしさを認め合うことが大切であることを理解できるようにした」
と語る。
■大修館書店の教科書も
「人間の性は単純に『男性』と『女性』に分けれらるものではありません」
と記述。
東京書籍版と同じように性を4つに等分した図を掲載した。
保健体育の学習指導要領は
「身体の機能の成熟とともに、性衝動が生じたり、異性への関心が高まったりする」
などの内容にとどまり、性的マイノリティーへの言及はない。
「子供の成長度合いや保護者の理解、家庭の価値観などのため一律に教えることは難しい」(文科省)
ためだ。
しかし、指導要領の範囲外であることを示す
「発展的な内容」
と明記すれば掲載でき、一部の版元は手厚く扱っている。
「男女」
の性別は戸籍でも使われている。
LGBT理解増進会の繁内幸治代表理事は
「性自認は尊重すべきだが、生物学的な性と同一視はできない」
「性別は性自認に伴って自由に変えられるものではなく、法律の要件がある」
と指摘する。
■虹の旗写真を削除
技術・家庭科(家庭分野)でも手厚い記述が目立った。
開隆堂出版は申請本に
「男・女だけではない性」
などの見出しで、多様性を象徴する虹を象った旗の写真を掲載するなど紙幅を割いた。
「中学生には性の悩みを抱える生徒も多い」
「生徒が直面する悩みに寄り添えるような内容を目指した」
(編集担当)
が、
「家族・家庭や地域との関り」
の学習が求められる部分だったため、検定で
「扱いが不適切」
の意見が付き、文科省と協議して旗の写真や記述の一部を削除した。
多様な価値観がある中、教科書はどこまで踏み込むべきか。
繁内氏は
「記述内容が控えめであったとしても、悩む生徒に周囲の大人への相談を促すことにも繋がる」
「教科書のみに偏らず、学校教育全体での対応を検討してほしい」
と話した。

LGBTに関する記述が増加 学習指導要領範囲外の「性の多様性」教科を横断
中学教科書検定
2024/3/22 14:46
https://www.sankei.com/article/20240322-P4NR7MSM3BPORNGE2D5UY27Z5E/
文部科学省は2024年3月22日、令和7年度から中学校で使われる教科書の検定結果を公表した。
LGBTなど性的マイノリティーについての記述が増加。
社会科地理など現行本には記載がない教科にも登場し、教科横断的なテーマとして扱われるようになった。
保健体育は学習指導要領で定められた教育内容の範囲外だが、全ての教科書が
「発展的な内容」
として掲載した。
現行の学習指導要領に沿った中学校教科書の検定は令和元年度に続く2回目となり、10教科100点が合格した。
技術・家庭(技術分野)でイスペットの1点が不合格となった。
社会科歴史で2点が
「具体的な検定内容が漏れていた」
ことを理由に結果が
「未了」
となり、検定が継続される。
性的マイノリティーに関する記述の増加について、文科省教科書課は
「理解増進法が制定されるなど社会の広い分野で取り上げられていることが影響したのではないか」
と推測する。
性の多様性にとどまらず、男女差別や男女共同参画といったジェンダー(性差)に関する記述が全般的に充実した。
一方、領土問題を巡っては、合格した社会科の公民と地理の全ての教科書が北方領土、竹島(島根県隠岐の島町)、尖閣諸島(沖縄県石垣市)が日本の
「固有の領土」
であることを明記した。
社会科歴史では、山川出版社と学び舎が慰安婦問題を取り上げた。
山川出版社は
「戦地に設けられた『慰安施設』には、日本・朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた」
と記述。
学び舎は
「慰安婦」
の文言が使われた平成5年の河野洋平官房長官談話を引用するなどした。
令和4年の安倍晋三元首相銃撃事件は、社会科の歴史と公民で自由社と育鵬社が記述。
「検定後の訂正申請で増える可能性がある」(文科省)。
動画や音声などにアクセスできる
「QRコード」(2次元コード)
も大半の教科書に掲載された。

民主主義の形
第5部 自由とは(1) 弱者救済招いた「正直者が損」 ワシントン地下鉄 無賃乗車の軽罰化
2023/12/5 8:00
https://www.sankei.com/article/20231205-WYUVH6WGYRM2JDH52XWCG2QDAM/
(中略)
■LGBT法「反対」はヘイトか
「差別主義者だからな、お前は!」
「黙ってろ、バカヤロー!」
東京都杉並区議の田中裕太郎は2022年末から2023年3月にかけて、区役所前やJR阿佐ヶ谷駅で街頭演説を行った。
街頭に立つ度、撮影しながら大声を上げる集団が現れた。
何人かは
「ANTIFASCIST(反ファシズム主義者)」
と書かれた上着を着ていた。
この時期、国会ではLGBTなど性的少数者への理解増進法の制定に向けた動きが進み、杉並区も
「性の多様性社会を尊重される地域社会を実現するための取組の推進に関する条例」
の制定を目指していた。
多様な性の在り方を理解し、尊重するように区民や事業者に求める内容で、2023年4月に施行された。
もちろん、性的少数者にも守られなければならない自由はある。
一方で田中らは、こうした法律や条例が、女性や子供の権利を脅かす可能性もあると考えていた。
「性の多様性は尊重されなければならない」
「だからといって、女性の人権を軽んじていいという理屈は成り立たない」
共に街頭に立ったメンバーには、男性から女性に性別を変えた人もいたという。
田中は
「彼らを差別したり排除したりするような発言をするわけがない」
と説明する。
■封殺
街頭活動の妨害に怒りを覚えたが、更に許し難かったのは、その状況を目撃した後で、田中らの訴えを
「ヘイトスピーチです」
とX(旧ツイッター)に投稿した区議がいたことだ。
田中の抗議を受け、区議は投稿を削除したという。
民主主義を支えるのは、多数決の原理と少数意見の尊重だ。
「民主主義の学校」
とも讃えられる地方自治の場で、根幹が揺れた。
田中は話す。
「LGBT法や条例に反対すれば差別ですか?」
「レイシストになるんですか?」
「それこそ、レッテル貼りによる言論封殺、言論弾圧に他ならない」
「しかも、現職の政治家がそれをやった」
東京都新宿区で2023年10月、市民団体が公衆浴場やトイレなどの女性用スペースの利用は生物学的な女性に限るべきだと主張するデモを行った。
その時にも、大掛かりな抗議が行われた。
勝手な撮影、大声での威圧・・・。
街頭デモに参加した
「女性の定義を守る会」
共同代表の青谷ゆかりは振り返る。
「性的少数者を差別する意図は全くありません」
「性自認も内心は自由です」
「でも、それが行動に現れる時、例えば浴場やトイレを女性が安心して使えなくなるかもしれない」
「他者の権利を侵害してほしくないと言っているだけです」
■廃止
東京・歌舞伎町に2023年4月、開業した複合商業施設
「東急歌舞伎町タワー」。
多様性を認める街づくりの象徴として設置されたのが
「ジェンダーレストイレ」
だった。
2階には性別に関係なく使える個室8室の他、女性用2室、男性用2室、多目的トイレ1室が並んだ。
しかし、2023年8月には廃止されることになった。
原因は主に女性から寄せられた戸惑いの声だった。
「男性の目の前で個室に入りづらい」
「酔った男性に話しかけられた」
大半が不安を訴える内容だった。
一部の女性は利用を避けるようになり、廃止に繋がった。
LGBT理解増進法の成立後、厚生労働省は全国の自治体宛てに通知を出し、公衆浴場などでは
「身体的特徴」
で男女を取り扱うことを求めた。
背景には
「体は男性、心は女性」
の利用者が女湯に入るといったケースが生じかねないとの危惧があった。
通達には2023年4月の衆院内閣委員会の会議録が添えらえていた。
男女を身体的特徴で判断する運用が法の下の平等を定めた憲法14条に抵触しないという見解を示したものだった。
多様性への配慮が生んだ不利益。
理念を現実の中に落とし込むことは、そう簡単ではない。
(敬称略)

最高裁が嵌った「性自認至上主義」
正論2024年1月号 弁護士 滝本太郎
2023年10月25日の最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)の決定には驚かされた。
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下特例法)
に定められた性別変更の要件についての憲法判断で最高裁は、申立人(男性から女性への変更)の訴えにあった特例法3条4号
「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること(生殖機能喪失要件)」
について
「違憲」
と判断してしまった。
更に同法3条5号
「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること(外観要件)」
について、高裁段階で審理が尽くされていないとして、自らの判断を示さぬまま広島高裁に差し戻したのだ。
4号の生殖機能喪失要件が、憲法13条に定めた幸福追求権に反し違憲としたのは、15人全員だった。
三浦守、草野耕一、宇賀克也の3人の裁判官は、5号の外観要件についても差し戻しをせずに違憲だと判断すべきだとしてその意味での反対意見を示した。
残る12人は5号要件の憲法判断を回避した。
最高裁は憲法判断から逃げたのである。
最高裁によるとんでもない暴走である。
女性の権利を劣後させ、余りに矮小化している。
女性が差別され、不利益を被るのは、性別(SEX)を根拠としているという歴史的事実を無視して、つまりは男性の身勝手、女性の侮蔑、差別主義である
「性自認至上主義」
に侵された最高裁になってしまったということである。
「性自認至上主義」
をひた走った先進国では相次いで、女性の安心・安全が害され、脅かされている。
深刻な事態を招いた結果、その反省に立って正常化に舵を切ろうとしながらも、苦労しているイギリスの実態などについて、決定文では何の言及もなかった。
男性として思春期を幾分でも経験した者は女子スポーツ選手権への参加資格はないとした国際水泳連盟や世界陸連の判断なども決定文では一顧だにされていない。
15人の裁判官は何も知らないのだろうか。
不勉強極まると言う外ない。
決定文から読み取れることは、
「性自認は他者の権利法益より優先すべきである」
とする
「性自認至上主義」
に基づく論理展開ばかりなのだ。
私は本誌2023年12月号で、本決定について4つの可能性があると予測した。
第1は
「違憲であり性別変更を認める」
第2は
「違憲状態だ、国会は法を改正せよ」
第3は
「永続的に生殖腺の機能を欠いているなどとして変更を認め、違憲かどうかの判断は回避する」
第4は
「2019年1月の判例と同様、法的性別の変更を認めない、いわゆる手術要件は合憲である」
である。
まさか、4号と5号を分け、4号だけを違憲とし、5号については差し戻しをするとは思わなかった。
仮に広島高裁で5号を違憲として性別変更を認めたならば、最高裁への上訴はなく、高裁決定で確定し、実に不安定なままとなる。
高裁で5号を違憲とせずに
「ホルモン療法で陰茎が小さくなる、などしていれば陰茎ではない」
などと無理に評価し、法的性別の変更を認めてしまう手法を取れば、それが独り歩きしてしまうだろう。
そもそも最高裁は、法律の違憲判断をするかどうかという重大局面なのだから、国(法務省)に家事事件手続法と法務大臣権限法に基づき、利害関係人として参加してもらうべきだった。
最高裁にとって影響が大き過ぎて責任を負えないのならば、法務省に参加を打診すれば良かったのである。
法務省は決定後の2023年11月9日、自民党の
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(女性を守る議連)

「通例は裁判所から要請があって参加する」
と説明するなどこれまた逃げを打っていた。
議連も私どもも法務省(国)宛てに参加を要請し続けたのに、法務省も参加申し出をしないままだった。
挙げ句の4号違憲判決であり、5号は高等裁判所に差し戻して違憲となってしまう可能性がある。
行政の長である首相らに政治責任があると思われる。
差し戻し審があるのだから今からでも参加すべきだろう。
■性別変えず支障なき社会を
決定文には、生殖能力喪失要件について
「2014年に世界保健機関等が反対する共同声明を発し、また2017年には欧州人権裁判所が欧州人権条約に違反する旨の判決をした」
などとあった。
申立人側の主張そのままであろう。
死刑制度について国際的に批判を浴びても世論動向などを踏まえながら決して違憲判決を下さないのが日本ではなかったのか。
性別変更は死刑問題よりも格段に国民生活に影響を与える問題であるにもかかわらず、最高裁が暴走してしまった。
決定文には
「性同一性障害者がその性自認にしたがって法令上の性別の取り扱いを受けることは・・・個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益である」
とあったが、だからと言って制度である
「法的性別」
を歪ませて良い理由になどならないではないか。
「本件規定がなかったとしても、生殖腺除去手術を受けずに性別変更を受けた者が子をもうけることにより親子関係等に関わる問題が生ずることは、極めてまれであると考えられる」
ともあった。
従前から女性という性自認を持ちながら父となった方も相応に居るのだから、生殖腺を失わずに性別変更ができるのであれば
「父である女」
が続々と出現するだろう。
メディアでも報道されているが、乳房切除までしたが、パートナーとの間に子を設けた例もある。
性別変更が認められれば
「母である男」
となる。
決して稀なことではなかろう。
「そもそも平成20年改正により、成年の子がいる性同一性障害者が性別変更審判を受けた場合には、『女である父』や『男である母』の存在が肯認されることとなった」
ともある。
しかし、平成20年の改正では未成年の子がいる場合は、法的性別は変更できないままだった。
子の出生時点で
「出産した母だが男だ」
「父だが生物学的な女だ」
という事態を招くこととは局面も意味合いも全く異なる。
「強度な身体的侵襲である生殖腺除去手術を受けることを甘受するか、又は性自認に従った法令上の取扱いを受けるという重要な法的利益を放棄して性別変更審判を受けることを断念するかという過酷な二者択一」
という記述も変だ。
手術は身体違和がきついから、自分の意思でするのであり、決して断種手術ではない。
むしろそれまで手術を受けて性別変更してきた人たちにとっては戸籍や身分証明上の性別と身体とが一致しているからこそ信頼が得られていたのだ。
それが失われるデメリットを考えなかったのだろうか。
まして精巣の除去は卵巣や子宮の除去に比較して実に容易である。
身体違和がさほどきつくなく、精巣の除去を含めて性別適合手術を必要としない方は、法的性別を変更しなければよいのである。
精巣と陰嚢を持ったままに、書類上である法的性別を女性に変更することが、どうして
「人格的存在と結びついた重要な法的利益」
と言えるのか。
生殖腺機能喪失要件が
「過酷な二者択一」
と言えるのか。
法的性別など変更でずとも、生活に差し支えない社会を作ることこそが重要ではないのか。
女性だと認識し、いわゆる女性装を日々する人も、排泄は認識からではなく、身体からするのだから男子トイレに入ることも相応にある。
その際に時に男性から揶揄され、時に暴力を受けることがある。
それこそが排除であり、差別であろう。
法的性別を変更して女性トイレを利用する権限があるなどとする前に、男子トイレで男性からの揶揄・暴力のない状態にすること、就職差別などないようにすることが重要な人権ではないのか。
4号の生殖腺機能喪失要件、そして5号の外観要件が外れれば、文字通り
「男性器ある女性」
が続々と登場する、その先には
「性同一性障害」
ではなく、ジェンダーアイデンティティ(性同一性・性自認)に基づく法的性別の変更は決定文中1人の裁判官が何度も言及した。
ドイツにおける性自認至上主義の如く、裁判所の関与さえないままに法的性別が変更できる方向となっていくだろう。
性犯罪目的の男や、女性を侮蔑・差別したく、その専用スペースを侵害することで喜びを得ようとする一部の男は、何としても診断書を取り、法的性別を女性に変更するよう努力するだろう。
週刊新潮2023年11月9日号には、診断が取りやすいことで有名な医師が登場し、
「そもそも性自認は当人がどう感じるかだけ」
「医者が決めることがおかしい」
「医師はウソ発見器じゃないですから、本人の言っていることをそのまま聞く。それが基本」
などと述べている。
法律を違憲とすることは法の形成過程の1つで、今回の最高裁決定は、まさに性自認至上主義を大きく伸展させる法律の登場に繋がるものだ。
先行する国々では混乱が多々あるのに、日本に周回遅れでこれに従えとするもので全く異常である。
岡正晶裁判官は補足意見で、立法府の対応について
「(4号要件の)目的を達成するために、より制限的でない新たな要件を設けることや(中略)社会一般の受け止め方との調整を図りつつ、特例法のその他の要件も含めた法改正」
「立法府に与えられた立法政策上の裁量権に全面的に委ねられている」
と述べている。
確かにこれは立法府が定めるべきことである。
3人の裁判官は、5号外観要件も違憲だからこの際、決断すべきとしたが本来、4号、5号とも立法府の広い裁量に委ねられていると言うべきだろう。
見解を異にする方もいると思うが、婚姻時の選択的夫婦別姓を導入していないことについては、憲法には両性の合意のみで婚姻できるとしているのに、最高裁は未だ立法裁量の問題としている。
多くの女性らが不便を被っている案件でその状況なのである。
「手術をしたくないならば法的性別を変えなければ良い」
だけの話なのに、どうして
「日々、トイレや風呂で見る身体違和には耐えられるが、書類上の性別の食い違いには耐えられない」
といった、率直に言って不可思議な権利主張を、そこまで保障しなければならないのか。
先程、最高裁は逃げたと述べた。
これは言い換えれば、最高裁は
「陰茎のある法的女性を出現させて良いか」
について判断するという、負わされた責任から逃げたという意味である。
最高裁から責任を押し付けられた広島高裁は国会の動向を待って判断すべきであろう。
決して2023年中とか2023年年度内に結論を出そうなどと、司法の傲慢に陥ってはならない。
■要件の再構築を求める
左派野党と公明党は、この最高裁決定を受けて早速に法改正を言い出し、立憲民主党は4号、5号要件の削除、また3号にある
「未成年の子が居る場合は変更を認めない」
という要件も削除するという案を言い出している。
一体、
「陰茎がある法的女性」
が出現することや
「他の性別に変わったものと見做す」
ことの重さをどう考えているのだろう。
「どこでも女性として遇せよ」
という法規範が成立した場合の女性スペースの混乱をどう考えているのだろうか。
私が世話人をしている
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」(以下連絡会)
では、議論を重ね、
「女性スペースに関する法律案」

「女子スポーツに関する法律案」
を2023年11月14日に公表し各党に送付した。
2023年の
「LGBT理解増進法」
の制定論議の際、合わせて作ってほしいと作ったものを更新し、特例法の改正案を加えた。
特例法3条の4号と5号の要件は削除するが、新たな4号として
「男性から女性への性別の取り扱いの変更を請求する場合は、陰茎を残していないこと」
と入れるものである。
「女性から男性へ」
と性別変更する場合には要件がないので、比較すると一見不平等に見えるかもしれない。
だがこれは合理的で差別にはならない。
圧倒的多数の性犯罪は陰茎のある者による。
単に要件を削除するだけでは、性犯罪目的の者まで次々と法的女性になろうとする蓋然性がある。
また陰茎という外観上からして明白に男性である者が法的女性となって女性らに不安感・恐怖感を持たせるのは避けるべき強い必要があるからである。
その恐怖は合理的なものであり、決して
「研修」
により消し去れる類のものではない。
女性スペースに関する法律案は、
「女性」
の定義を
「生物学的女性のうち、特例法に基づいて性別を男性と見做されていない者、そして女性と見做された者のうち陰茎を残していない者」
とする。
仮に5号外観要件が削除された特例法により
「陰茎がある法的女性」
となっても、この法律の上では
「法的女性」
とはしない。
特例法4条では
「法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす」
としており、他の法律による異なった対応を許容しているのである。
今の浴場を男女別にすることについては、理解増進法が成立後の2023年6月23日に通達が出ており、それは
「身体的な特徴による」
とある。
これは主に陰茎の有無の趣旨であろう。
法律案は通達を法律に格上げし、かつ女子トイレ、更衣室等の女性スペースの全体を対象とするものだ。
性自認に重きを置いて考える性自認至上主義の立場であれば、
「トランス女性は女性」
となって
「女子トイレの利用公認を」
となるだろう。
ここが最初から最後まで闘いの焦点である。
ただ
「トランス女性は女性である」
と主張する論者らにも、
「女湯については入れないものとする」
と主張する者は多く、事実上
「法的女性」
を一律に扱わないとする合意形成は可能であろう。
だから、理を尽くして女子トイレの安心安全の確保のためには、陰茎がある限り利用を公認できないことを説得していくこととなる。
また、2023年7月11日の経産省トイレ裁判の最高裁判決も考慮しない訳にはいかない。
そこでは
「特定の女子トイレにつき、管理者が当該女子トイレを通例利用する女性の意向を尊重かつ十分聴取した上で、特定人の入場を別途許容し、その趣旨を女性スペースに明示する場合はこの限りではない」
と対応する外ない。
女子スポーツに関する法律では、2022年6月の世界水泳連盟、2023年3月の世界陸連の方針を踏襲する。
男としての思春期を経験した者は、その後、陰茎があってもなくても、女子スポーツ選手権への参加資格がないとするものである。
ただ、ルールは各団体の自治で定められるものである。
公的資金の援助や後援などに限ったルールとなる。
連絡会は、社会全般に対して10項目に及ぶ要望を2023年10月30日の声明と共に示した。
今後、どうすべきかという点で重要なのでこれを最後に紹介したい。
第1に、政府各省庁が、様々な調査をすることだ。
性自認や性別変更を巡って先行した国々のここ数年間の状況と動向、トイレ、共同浴場などにおけるトラブル・刑事事件の調査、性同一性障害の診断の実態と信頼性に関する調査、法的性別を変更した人のその後の調査などである。
第2にメディアには、性同一性障害はトランスジェンダーのうち15.8%に過ぎないのだから、混同して議論することを厳に慎み、国民に様々な見解・情報を伝えるよう求めたい。
第3に、国民は先入観に捉われることなく、自らの意見形成に努めてほしいと願う。論者による議論を拒否する姿勢のまやかしを知ってほしいし、自由な言論空間を確保し合いたい。
第4に、各政党に求めたいことは、当連絡会を含め多くの国民の様々な意見を聴取し、党内で自由に議論して方針を定めてほしい。
第5に、それらの議論にあっては、女性が性別(SEX)によって未だに経済的・社会的に様々な不利益を被っていることを直視されたい。
第6に、国会に求めるのは5号要件が決して違憲判断が下されたものではないからそれも削除すれば良いというものではないことを確認すると共に、様々な調査や国民的に議論した上で新たな要件等を定めてほしい。
第7に、この裁判を差し戻しされた広島高裁は、早期に本件の判断をすべきではなく、様々な調査結果と国民的な議論の行方をよく見極め、国から参加申出があった時は直ちに認めるべきである。
第8に、国はこれからでも法務大臣権限法と家事事件手続法に基づきこの裁判に利害関係人として参加すべきである。
第9に、国民は次の衆議院議員選挙における国民審査において、対象裁判官に罷免の意思を示すべきである。その対象は憲法の規定で10年以内に審査された裁判官を含まないこととなっているが、私は国民からの民主的統制を強めるために、毎回15人を審査できるように憲法を改正すべきと考える。
第10に、内閣は最高裁判官に定年等で欠員が出たならば、このような「性自認至上主義」に嵌っていない方をこそ指名すべきである。私はまた、任命の前に、国会で予定者への質問をする機会を作るべきと考える。
最高裁は今、
「性別」
を蔑ろにして法的性別の概念を弄び、
「性自認至上主義」
により、安易に
「女性」
「男性」
の定義を変更する道を歩み始めてしまった。
司法が暴走した時、それを止めるのは国権の最高機関、国会であり主権者国民である。
「性自認至上主義」
は欧米で猛威を振るい、女性の権利が剥奪されるなど、様々な混乱がもたらされてきた。
その反省から方針を転換、正常化させるべく悪戦苦闘しているイギリスのような例もあるのに、日本は周回遅れでこれから
「性自認至上主義」
に嵌ろうとしている。
何とか止めなければならない。

薬生衛発0623第1号
令和5年6月23日
都道府県
各 保健所設置市 衛生主管部(局)長 殿
特別区
厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課長
(公 印 省 略)
公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における男女の取扱いについて
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001112499.pdf
○國重委員
(略)公衆浴場、いわゆる銭湯や旅館等の宿泊施設の共同浴室について、現在それぞれ衛生等管理要領が定められておりまして、その中で男女別の定めがされています。
これらは風紀の観点から混浴禁止を定めていることから、男女の別は身体的な特徴の性をもって判断することとされていると、事前に政府の方からも説明を受けております。
そこで、念のため確認をさせていただきたいんですけれども、これらの共同浴場における男女の判断基準はトランスジェンダーにも当てはまる、つまり、トランスジェンダーの場合も性自認ではなくて身体的特徴に基づいて判断することになると理解をしていますけれども、これで間違いないかどうか、答弁を求めます。
○佐々木政府参考人
お答えいたします。
公衆浴場や宿泊施設の共同浴場につきましては、厚生労働省が管理要領を定めております。
具体的には、公衆浴場における衛生等管理要領や旅館業における衛生等管理要領になります。
この中で、おおむね七歳以上の男女を混浴させないことなどと定めております。
この要領で言う男女は、風紀の観点から混浴禁止を定めている趣旨から、トランスジェンダーの方も含め、身体的な特徴の性をもって判断するものであり、公衆浴場等の営業者は、体は男性、心は女性の方が女湯に入らないようにする、こういう必要があると考えております。
実際の適用につきましては、都道府県等が条例を定めております。
この条例によって、基本的にこの要領と同じような形で男女の浴室を区別し、混浴を禁止しているものと承知しております。
○國重委員
トランスジェンダーの方であっても、心ではなくて身体的特徴で判断するというようなことだったと思います。
では、共同浴場において、先ほど答弁いただいたとおり、風紀の観点から心の性ではなくて身体的特徴をもって男女を区別する、このような現在行われている取扱いというのは憲法十四条に照らしても差別に当たらないと、念のため確認しますが、差別に当たらないということで間違いないかどうか、答弁を求めます。
○伊佐副大臣
憲法十四条、いわゆる法の下の平等でありますが、この原則が規定されております。
この趣旨としては、合理的な理由なしに区別をすることを禁止するという趣旨でございます。
つまり、合理的と認められる範囲内の区別を否定するものではないというふうに理解をしておりまして、先ほど委員御指摘の、公衆浴場における入浴者については男女を身体的な特徴の性をもって判断するというこの取扱いは、風紀の観点から合理的な区別であるというふうに考えられております。
憲法第十四条に照らしても差別に当たらないものというふうに考えております。

【決定全文】最高裁はなぜ、性別変更の生殖機能をなくす要件を「違憲」としたのか
最高裁15人の裁判官は、生殖機能をなくす「手術要件」を全員一致で違憲と判断。「過酷な二者択一」だとした
ハフポスト日本版編集部
2023年10月26日 15時0分 JST
|更新 2023年10月26日 JST
https://www.huffingtonpost.jp/entry/japan-supreme-court-gender-change-rule-unconstitutional_jp_6538bcb5e4b0783c4b9f005a
裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 山口 厚
裁判官 深山卓也
裁判官 三浦 守
裁判官 草野耕一
裁判官 宇賀克也
裁判官 林 道晴
裁判官 岡村和美
裁判官 長嶺安政
裁判官 安浪亮介
裁判官 渡邉 惠理子
裁判官 岡 正晶
裁判官 堺 徹
裁判官 今崎幸彦
裁判官 尾島 明

岸田政権は改憲で信を問え
支持率低下の岸田政権:起死回生の手段は憲法改正のみ!
WiLL2024年1月号 産経新聞論説委員 阿比留瑠比
■岸田政権の支持率低下が止まりません。
産経新聞とFNNが2023年11月11、12日に実施した合同世論調査では「支持する」が27.8%、「支持しない」が過去最高の68.8%を記録しました。
各社の世論調査でも大体似たような傾向です。
政権の命運に関して、自民党内では”青木の法則”が囁かれ始めました。
「政権支持率と与党第1党の支持率の合計が50%を切ると政権が瓦解する」
と青木幹雄元官房長官が述べたことで広まったあくまで
「経験則」
の話ですが、これが俄かに現実味を帯び始めています。
支持率の低さは、はっきり言えば嫌われ始めた証拠です。
「支持しない」
理由として一番多かったのが、
「政策が良くない」
これは
「増税メガネ」
とネットを中心に揶揄され、岸田文雄首相に”増税イメージ”がはっきりと付いてしまったのが原因です。
実際にはまだ増税を実施しているわけではないのに、安保3文書の改訂に関する閣議決定の前に自民党内の議論を飛ばして防衛増税に自ら言及したため、未だに尾を引いています。
加えて、岸田首相は政策の進め方に難点が多い。
無党派保守層の”自民党離れ”を加速させたLGBT法は、2023年6月に衆参で1日ずつ審議をしただけ。
どこで誰が方針を決めたのかを明らかにせず、結論だけが下りて来た。
岸田首相も本当は自分で急がせておいて
「あれは議員立法だから政府は発言しない」
と逃げ、騙し討ちのようにして通したので、何を言っても信用されない雰囲気が出来てしまいました。
そんなやり方をしたら、国民が岸田首相の政治手法に納得しないのは当然です。
ああ、こんなやり方を取るのか。
また何かの法案でもやりかねないと思われてしまう。
■岩盤支持層なき岸田政権
LGBT法で
「自民党の岩盤支持層が離れた」
という表現をよく目にしますが、岩盤支持層を持っていたのは安倍晋三元首相であって、自民党ではありません。
岸田首相には、元々岩盤支持層など存在しないのです。
だから、崩れ始めると支える地盤がない。
1度失った信頼を取り戻せないまま、2023年9月25日に発表した経済対策の方向性もピリッとしませんでした。
最初に税収増の部分を国民に還元すると宣言した時は、まだ国民の中に期待感がありましたが、それから結論を先延ばしにし、なかなか具体的な中身が出てこなかった。
引っ張った挙げ句、ようやく出てきたのが2024年6月、1人4万円の減税という内容でした。
物価高で賃金が上がらない中、不満を持つ国民が
「たった4万円で、1回きりか!?」
と、がっかりするのは当然です。
官邸の発信力が決定的に欠けているのも、支持率が上がらない要因の1つです。
岸田首相は国家観がない、信念がないと言われていますが、一応は安倍政権の路線を踏襲し、
「安保3文書の策定」
「防衛予算の大幅拡充」
「新型コロナの5類感染症への移行」
と実績を残しています。
にもかかわらず国民から評価されないのは、マスコミを巻き込んでいこうという意識が低いからです。
マスコミを利用するという発想がそもそもないのです。
■「ポスト岸田」不在の自民党
「岸田首相では選挙の顔にならない」
と、党内では既に岸田降ろしの空気も出始めています。
岸田首相は2023年6月に衆議院の解散風を自分で吹かせておきながら、結局、解散できませんでした。
LGBT法に批判が集中したのが一因で、ある意味、自業自得です。
次の手として2023年年内解散を模索しましたが、これも出来そうにない。
解散は衆議院議員からすれば、クビを切られるのと同じです。
政治生命に関わる話なので、弄ぶような煮え切らない対応では党内からも不信感が募る一方です。
更に、党内では2024年も解散は打てないのではないかという見方も出ています。
「岸田総裁では選挙に勝てない」
という空気が以前にも増して強まっており、2024年9月の党総裁に出馬すらできず、政権が終わる可能性も十分あります。
自民党幹部の1人は
「野垂れ死にの可能性もある」
と話していました。
ただし、岸田首相を降ろそうとする勢力はまだ勢いがあるわけではありません。
ポスト岸田に名前が挙がっている面々が余りにも冴えず、国の運営を預けるには危険過ぎる人物ばかりだからです。
「ポスト岸田は誰が相応しいか」
というFNNの世論調査では、
「1位 石破茂」
「2位 河野太郎」
「3位 小泉進次郎」
と相変わらず小石河連合が名を連ねます。
しかし、本当に彼らが相応しいのでしょうか。
石破氏は防衛大臣を務めましたが、2008年に起きた海上自衛隊のイージス艦と漁船が衝突した事故で、自衛官の話を聞かず、何の説明もなしに一方的に謝罪。
自衛官ではなく、自分の立場を守ることを優先し、防衛省から総スカンを食らった人物です。
党内基盤もなく、人望もない。
非常に不安定です。
河野氏は選挙の顔にはなるでしょうが、パワハラ・暴言体質で霞が関の官僚かや党内から
「あいつだけはダメだ」
という声が上がるほど不評です。
河野氏を推していた菅義偉前首相も、河野氏の危険さに気付いたのか、以前ほど乗り気ではなくなっています。
小泉氏はレジ袋の有料化に貢献したくらいで、実績と言えるものは特段なく、総理の器ではありません。
いずれもパフォーマンス先行型の人物ばかりで、名前だけが売れており、実力が伴わない。
知名度だけで安易に考えると、痛い目に遭うのは国民の方です。
一方、党内では派閥の領袖として党内基盤のある茂木敏充幹事長が首相の座に一番近いのではないかと目されています。
しかし、茂木氏もパワハラ気質でイメージが悪く、人望がありません。
ポスト岸田を問う世論調査では、1.9%と国民からの人気が低く、消費税の5分の1にも満たない数字です(笑)。
これでは選挙の顔にはなれません。
上川陽子外務大臣を総理・総裁に担ごうという雰囲気も党内に出ています。
今、名前が挙がっている総裁候補ではどうしようもないと懸念する議員たちが、それなら女性議員を担いで新しい風を起こそうと躍起になっています。
しかし、自分たちの選挙を気にして総裁を決めていたら、それこそ旧来の自民党と変わらず、国民の政治離れを加速させるだけです。
高市早苗経済安全保障担当相も2023年11月15日に勉強会(「日本のチカラ」研究会)を立ち上げましたが、どれだけの広がりが生まれるかまだ見通せません。
名前が挙がっている人たちも、今は総理をやりたくないのが正直な所でしょう。
これだけ自民党に逆風が吹いている中で、下手に総理をやっても火中の栗を拾うだけ。
各地方選挙の結果を見ても、自民党離れの加速は明らかです。
誰も貧乏くじを引きたくないから、党内の政局が盛り上がらないのです。
■活力を失った自民党議員
自民党全体が大人しく、”いい子ちゃん”の集まりになっており、まるで牙を抜かれた動物のように闘争心がありません。
LGBT法にしても、SNS上で反対を唱えはしても、何が何でも反対するというエネルギーと行動が伴いませんでした。
かつて、自民党執行部のリベラル勢力が
「人権擁護法案」
を猛プッシュした時は、中川昭一氏が先頭に立ち、安倍氏らと共に協力して猛反対し、法案を潰しました。
「死んでもこの法案を通してはならない」
という信念があったからです。
そうした気概のある議員がすっかりいなくなってしまった。
政治的信念が希薄なのは、政治家を就職先と見ているからでしょう。
自民党内が大人しく、野党も全く勢いがないから、岸田政権という名の飛行船は低空飛行のまま飛び続け、低いまま安定を保っています。
他に誰も総裁になれる候補がいないのであれば、外交の継続性、憲法改正、皇位継承と掲げているテーマ自体は間違っていないので、不本意ながら当面は踏ん張ってもらうしかない。
ただ、この奇妙な安定は何か事が起これば、すぐに壊れてしまう、大変脆い基盤に立っています。
岸田首相は、無党派保守層の支持を取り戻そうと必死です。
2023年秋以降、憲法改正を以前にも増して主張し、皇室の伝統に則った男系男子の継承を進めるとしきりに言っています。
しかし、本来は保守派が歓迎するべき内容であるにもかかわらず、なかなか響かない。
岸田首相の場合、大きな政策を口にしても、それを成就させるに至る道筋や段取りが見えてこないからです。
だから、本当は具体的に考えていないのではないかと見られてしまう。
■野垂れ死にか、憲法改正か
一方で、こうした特徴には利点もあり、時と場合によってはプラスに作用します。
2022年末の安保3文書の改訂で反撃能力の保有を明記した際も、マスコミや左派勢力は静かでした。
国民の関心がウクライナ危機など、国際情勢に向いたという要因もありますが、岸田首相が本気かどうか分からないうちに、何だかスルスルと動いたからです。
これがもし安部政権下であれば、マスコミや左派文化人がとんでもない大騒ぎを起こしていたでしょう。
よって、憲法改正も岸田首相だからこそ、スムーズに運ぶ可能性があります。
憲法改正は首相と自民党が本気になればいくらでも進みます。
憲法審査会で、自民党がいくら歩み寄ろうと、どのみち社民党や共産党が賛成することはないのですから、ある時点で数の論理で前に進めるしかない。
自民党は左派マスコミからの批判を恐れていますが、国民はその躊躇いにこそ、飽き飽きしているのです。
憲法改正は未だかつてないチャンスです。
自民、公明、民主で議論していた時代は、公明はわざとどっちつかずの対応をしていました。
しかし、今は国会の勢力図も変化しており、日本維新の会も、国民民主党も、憲法改正に賛成しています。
特に維新は9条から手を付けるべきだと主張し、自民党にプレッシャーをかけています。
公明党は自分たちが孤立しないように立ち振る舞うでしょうから、自民党が強く押し切れば着いて来ざるを得ない。
国民世論もウクライナ戦争、イスラエル対ハマスの戦争で、国際情勢の厳しさを思い知っており、台湾有事について真剣に考え始めています。
憲法に自衛を明記し、日本の意思を国際社会にはっきりと示す必要があります。
戦後78年、憲法に自衛隊を明記してこなかった日本が憲法に書き加えるとなれば、国を守るという明確なメッセージを世界に送ることができます。
国民投票にかければ、自衛隊明記に賛成する人がほとんどでしょう。
バイアス(偏向)が掛かっている朝日新聞の世論調査ですら、自衛隊の憲法明記には50%以上が賛成とあり、内閣府の調査では国民の9割が評価しています。
国民意識の方が国会を追い越しているのですから、岸田首相は蛮勇を振るって、本格的に舵を切り、自ら推進力になるべきです。
「経済、経済、経済」
と言って、逆に足元を見られて人気取りだと批判されているのですから、
「これがやりたい」
「これをやるべきなんだ」
「国民のためなのだ」
と言って、押し切る時は押し切ればいい。
それを黙って陰で押し切ろうとするから逆効果となり、失敗するのです。
岸田首相はあまり自分から意見を言わず、目の前の人の意見に合わせる傾向が強いのですが、本音を語らない首相に国民は着いて行きません。
大人しい、丁寧なだけのリーダーは必要とされないのです。
もちろん、行政府の長としての範囲内で発言しなければならない場面は多いでしょうが、その時は
「自民党総裁として言うならば、こう考えている」
と意思を明確にし、議論を牽引していけばいい。
宏池会的な役人チックな発想や言動は捨てるべきです。
2024年6月に解散を打つ選択肢はまだ残されているので、それまでに憲法改正の本気度を示し、国会を主導して前に進める。
安倍政権の遺産を真っ直ぐに引き継げばいいのです。
憲法改正,皇位継承、拉致問題、3つのうち2つでも解決できれば、とんでもない偉業として、安倍元首相以上に評価されるでしょう。
憲法改正を進められるのは自民党だけなので、そうなれば一定数の保守票は戻ります。
もしそれで政権を維持できれば、正当性も生まれます。
岸田首相が生き残る起死回生の選択肢は憲法改正を全力で推し進めることだけ。
野垂れ死にか、憲法改正か。
岸田首相の覚悟が問われています。
岸田首相には、君子豹変を期待します。
安倍元首相のように、時には大きく飛び跳ねるべきです!

最高裁も迷走 とんでもないことをしてくれた岸田LGBT
理念法と言いながら、地方自治体で独自の条例成立が加速する恐れが・・・
WiLL2024年1月号
港区議会議員 新藤加菜
作家 橋本琴絵
■「女性ならでは」・・・
★新藤
岸田首相が内閣改造で女性閣僚5人を登用した際に
「女性ならではの感性や共感力も十分発揮して頂きながら、仕事をして頂くことを期待したい」
と発言し、物議を醸しました。
★橋本
うーん、
「女性ならでは」
という考え方は果たしてあるのでしょうか。
女性を積極的に活用しようと言われていますが、実際、どのように感じておられるのか。
★新藤
率直に言って、LGBT法を成立させた岸田首相の口から、そんな発言が出ること自体おかしい。
ジェンダーロール(性的役割)の押し付けだと左派に批判されるとは思わなかったのでしょうか。
★橋本
初入閣した女性閣僚はいずれも2世議員であり、特に女性起用という印象を受けません。
そもそも、例えば女性閣僚が増えたから、女性の支持層が増えると期待すること自体、性差別主義者の特徴的な考え方です。
「女性ならでは」
というのは、育児や助産などでは能力を発揮します。
しかし、そもそも政治とはあらゆる人の統治に関することですから、女性云々は考慮に値しません。
諸外国では既に
「時代遅れ」
として廃止の方向にある女性優遇枠を大学入試でも今後始めるそうですが、閣僚枠でもやるとは周回遅れも甚だしい。
ただ、政治の世界で女性が少ないのは懸念されます。
私が所属する港区議会は34人中14人が女性なので、バランスが取れていますが、他の区議会など、地方行政の世界は男性議員が圧倒的多数です。
女性の意見は排除されることも多いですから、それこそ
「女性ならでは」
の視点が尊重されるようになってほしい。
でも、
「女性だから」
と要職に就かせるなど、無理矢理下駄を履かせるのは本末転倒です。
■ピントが外れている
★橋本
他にも岸田首相の発言で首を傾げたくなることがありました。
自民党の大家敏志議員が2023年1月の国会で
「育休・産休の期間に、リスキリング(学び直し)によって一定のスキルを身に付けたり、学位を取ったりする方々を支援できれば、逆にキャリアアップが可能になることも考えられる」
と発言。
それを受け、岸田首相は
「育児中など様々な状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々を後押ししていく」
と答えましたが、国会内外で批判を浴びました。
SNS上では
「育児は『休暇中』ではない」
「(育休中にリスキリングをしていたら)ママの負担が増えるだけ」
といった批判が巻き起こりましたが、私も同感です。
子育てはそんなに暇ではありません。
最近の岸田首相は眼鏡を取ったりして、イメージチェンジを図っているようですが、どうもピントが外れている。
★新藤
「女性が活躍する社会」
とは耳に心地よいのですが、キャリアアップを望んでいない女性まで活躍させようとするのは間違い。
「専業主婦」=悪と見られていますが、そんなことは決してありません。
私自身は区議会議員としてキャリアを始めたので、妊娠・出産について悩むこともあります。
少子化対策を課題に挙げながら、女性の社会進出を強要するような風潮を作るのは矛盾です。
安心して家庭にいることができる社会という考え方も”多様性”の一環であり、
「女性ならでは」
の活躍でしょう。
■不透明な中身
★橋本
「異次元の少子化対策」
と言っても、中身については不透明で何も分かりません。
期待もできないでしょう。
とにかく女性が妊娠・出産を若い年齢の時から選択肢の1つとして入れられる社会にしてもらいたい。
出産可能年齢はどうしても決まっています。
でも、今の社会だと女性でも大学進学・就職するべきと考えられている。
若い時に出産し、その後、働きたいとか、柔軟な働き方ができるサポートを望みます。
★新藤
それに、たくさん子供を産んでも、現行制度では見返り(報奨)がありません。
子供を産み・育てると、金銭面・体調面で負荷が掛かる。
たくさん産み・育てられるような制度を整備することは急務です。
橋本さんはSNSで子供の人数に応じて
「扶養控除にしてほしい」
と訴えられましたが、同感です。
後は所得制限を取り払ってほしい。
★橋本
今の制度の多くはシングルマザーが得する構造になっています。
★新藤
ええ、実におかしい。
更にシングルマザーで不安や鬱障害などの精神疾患を抱えていると認定されたら、所得控除の額が一気に増えます。
しかも優先して安い都営住宅に入居することができます。
港区の場合、湾岸エリアだったらタワーマンションのような所も都営住宅なので、月数万円で暮らせます。
そのように支援を受けるだけ受けて、それで生活しているシングルマザーが実際に居ます。
★橋本
シングルマザーは、皆、港区に住みたくなりますね(笑)。
■性愛の有無は関係ない?
★新藤
各自治体では、同性愛カップルにもシングルマザーと同じような優遇措置を取る所が増えています。
でも、一番お金が要る20代、30代の結婚している世代には回っていません。
★橋本
不公平極まりない。
LGBT関連で地方自治体毎に条例がどんどん作られています。
★新藤
ええ、今回のLGBT法は理念法と言っていますが、その法律によって地方自治体で独自の条例成立が加速する恐れがあります。
港区は2023年6月の議会で、同性パートナシップに対して婚姻関係と同等の手当てを認める条例案を可決しました。
今回は港区議員だけを対象にしていますが、今後は徐々に拡大していく可能性があります。
東京都から23区全体に通達があり、議案として上がり、進められた話です。
港区以外でも推進しています。
しかも同性パートナシップ制度は認定要件も各自治体で異なり、自治体間の情報共有もありません。
また既存の婚姻制度のように戸籍に一生残るものではないため、申請の心理的ハードルが非常に低いのです。
在住者でなければ認定されない場合や、さいたま市のように在勤・在学でもOKという場合やカップル同士で住む、もしくは片方在住でもいい、という場合もあります。
港区の議会では、
「性愛の有無は関係ない」
との”名言”も飛び出しました。
性愛がなくてもよいなら、制度の悪用を目的とした友達同士での申請も可能です。
★橋本
不正が罷り通ってしまう。
★新藤
しかも、虚偽の申告が判明しても、現段階で罰則規定はありません。
渋谷区の場合、公正証書なので刑法罰になるという意見もありますが、曖昧です。
実際に調査しようと一歩でも踏み込むと、
「人権侵害だ」
と批判される。
申請の重複も問題なくできてしまう可能性があります。
認定要件に
「社会一般で言う婚姻関係と同等であること」
とありますが、これは人により考え方が異なります。
既存の価値観に捉われない生き方を応援するためのものが、却って多様性を排除しているのではありませんか。
★橋本
むしろ、LGBT当事者の方が、蔑ろにされている。
★新藤
私は決して性的マイノリティの方の権利を否定したいわけではありません。
しかし今後、欧米のように過剰な保護により、社会の多くの人が不安と混乱に悩まされる事態を危惧しています。
男性・女性の定義も
「ジェンダーアイデンティティ」
などを持ち出して曖昧にしようとしている。
その一方で、どんどん制度を整備しているわけですが、将来どのように悪用されるか恐ろしい限りです。
■性別は変えられない
★橋本
小学校の性教育でLGBTが積極的に取り上げられたら、どうなるのか。
自分の子供がそんな教育を受けることに懸念を抱くのは母親として当然です。
★新藤
特に思春期の性教育は慎重にすべきです。
私は女子高出身ですが、多感な頃、異性が異質な存在として映っていました。
そんな中、
「私は女性の方が好きなんじゃないか」
と思い込んだこともあります。
実際に学校内でリアル・レズも盛んでした。
しかも、そういう女子たちは
「BL(ボーイズ・ラブ)」
にも嵌っていましたね。
★橋本
ええ、大人になったら気持ちも落ち着き、男性と付き合ったり、結婚したりする。
ところが、若い頃、過度なLGBT教育を受けることで、性転換したいと、乳房の切除や、ホルモン投与を選択させられたらどうなるのか。
男性の場合は性器を切除することもある。
でも、手術をしたために元の体を取り戻せなくなったら、それこそ悲劇です。
実際に手術した後、後悔する人もいますし、ホルモン投与によって心臓に異常を来したり、関節や骨盤に痛み感じるようになり、ベッドから起き上がれなくなった例も海外ではあります。
『WiLL』2023年10月号の
「性別は変えられない」(ウォルト・ヘイヤー、聞き手:我那覇真子)
は実に示唆に富んでいます。
■法務省の人権意識の低さ
★橋本
ジェンダー平等やLGBT差別をなくそうという美名の下に、公金チューチュー制度がどんどん作られている。
実に憂慮すべき事態です。
実際に気になる動きがありました。
2023年10月11日、静岡家裁浜松支部では、遂に生殖腺の手術がなくても戸籍上の性別を変更できるという決定が出ました。
この事案は女性から男性への変更ですが、決定理由にはしっかりと2023年6月に成立した、LGBT法を根拠にしたことが述べられています。
この法律があるため、公共のトイレや浴場等施設の利用の在り方について社会で様々な議論があるものの、生殖腺手術要件について判断の可否を妨げるものではないと断言しています。
国会答弁で
「生物学的男性の女湯利用が認められるものではない」
などと言っていましたが、現実はこの通りです。
本当に恐ろしいことをしてくれたものです。
★新藤
最高裁でも信じられない判決が出ました。
★橋本
はい。
2023年10月25日に最高裁は、今までは性別変更には成人、現在独身、未成年の子供なし、生殖腺除去、希望する性別の性器に似た外観具備という5要件が必要でしたが、うち生殖腺切除を違憲だと判示しました。
★新藤
今から約20年前、心の性別とは違う性器があるのは苦痛だから切除したいという人々の願いによって性別変更の法律ができたのに、20年経ったら今度は心の性別とは違う性器があることは全く苦痛ではなく、むしろ大切であるが戸籍上の性別表記が苦痛だという人々が現れ、最高裁がその訴えを認めたわけです。
本当におかしい。
★橋本
今回は外観についての破棄差し戻しなので、今後は高裁で裁判をやり直しもあり得ます。
過去には2周つまり6審した例もありますから、確定的なことは言えませんが、少なくとも
「女性の父親」

「男性の母親」
が今後出現する可能性を最高裁は認めたと言えます。
女性の内性器とは違い、男性は外性器ですから
「外観具備要件」
さえ守られれば男性器は切り落とすか、股間に埋没させ縫合するため一応使用不能になりますが、これさえも違憲となれば、女湯や公衆女子トイレはもう女性が使用不可能になると言えるでしょう。
★新藤
その理由には、やっぱり岸田政権が立法したLGBT法の存在が挙げられていますね。
全くとんでもない事をしてくれたと思います。
現在も、
「タック」
といって男性器を接着剤で股間に張り付け、女湯に侵入してくる男性がたくさんいますが、女性は怖くて何も言えない。
そうしたら最高裁は
「特に女性から抗議はなかったので問題ない」
と言う。
女性の人権を否定する限度がなく本当に怖い。
■声が大きいフェミニスト
★橋本
一連の動きが推進される背景には一部のフェミニストたちや活動家などの声が大きいこともあります。
ジャニーズ(現在は「SMILE-UP.」に社名変更)の性加害問題についても、一部の活動家が署名運動する動きがありました。
例えば、任意団体
「PENLIGHT(ペンライト)ジャニーズ事務所の性加害を明らかにする会」
がそうです。
ところが、
「PENLIGHT」
の正体は、韓国の慰安婦支援団体
「キボタネ」
であることがネット上で暴露されました。
フェミニズムも活発に発言しています。
『論点・ジェンダー史学』(山口みどり・弓削尚子・後藤絵美・長志珠絵・石川照子:編著/ミネルヴァ書房)
が刊行されましたが、その中には
「ジャニーズと戦後日本」
というコラムも掲載されています(周東美材・著)。
「テレビ時代の茶の間(近代家族)の人気者となることを基本戦略とした」
「学生らしさ、可愛らしさを売りに、少女ファンばかりでなくその親にもアピールしていったのである」
と指摘していますが、ジャニーズ問題をジェンダー的観点から見ると、私はそこまで非難されるべきとは思いません。
というのも、日本の歴史を振り返ると、ジャニーズの一連の顛末は若衆歌舞伎と全く同じ構図です。
伝統芸能である歌舞伎は、最初、阿国(おくに)歌舞伎つまり女歌舞伎から発展しましたが、売春の横行によって寛永の頃(1624〜1644年)、取り締まりを受けました。
すると今度は、美少年を踊らせる若衆歌舞伎が台頭しましたが、まだデビュー前の
「陰の間」
にいるという意味で、美少年たちは
「陰間(かげま)」
と言われるようになった。
若い役者は出番もなく賃金も安いため、同性愛者のパトロンが付き、性的奉仕の対価に金銭的支援やデビューのサポートをしたのです。
「陰間(かげま)茶屋」
といって美少年を抱く専門のラブホテルまで建設され、幕府の許可を得て江戸市内に50カ所以上建てられ、天保の改革(1841年 - 1843年)で性病蔓延を理由に禁止されるまで続きました。
つまり、明治が始まるほんの26年前まで、日本では同性愛産業が活発だった。
★新藤
そのような伝統があったのですね。
■人権式の低い法務省
★橋本
若衆歌舞伎は風紀の乱れをもたらしたため、幕府は重く見て慶安の頃(1648年〜1652年)に禁止し、以後、現代と同じく美少年の要素を排した野郎歌舞伎になります。
女歌舞伎は「AKB48」など美少女アイドルとして、若衆歌舞伎は「ジャニーズ」として現代に連綿と続いてきたのです。
美少女と美少年という2つの娯楽要素を取り除いたものが現代の野郎歌舞伎というわけです。
こうした歴史的観点から見れば、ジャニーズの性的な問題は非難に値しないのではないでしょうか。
ジャニーズの喜多川氏の特殊な性癖を別にすれば。
★新藤
ジャニーズに入所させる親も、ある程度の覚悟はあったのではないでしょうか。
ジャニー喜多川氏の性加害については、噂が蔓延していましたから。
それでもスターになって、華やかな道を歩んでいるアイドルもいます。
★橋本
もちろん、そうは言っても江戸時代と違い基本的人権の観点から見れば、御法度であるのは言うまでもありません。
特に、ウイグル民族強制労働による生産品を非難してきた立場から言えば、人権侵害を黙認してきたジャニーズを広告として企業が採用するのは看過できないでしょう。
特に最悪なのが、法務省が少年の人権擁護啓発でジャニーズを使い、この問題が露呈した後もしばらくジャニーズを使っていたことです。
法務省の人権意識の低さにはいつも驚かされます。
■日本はジェンダー平等社会
★新藤
そもそも今回のジャニー喜多川氏の性加害問題が大きく取り上げられるきっかけとなったのが、英BBCのドキュメンタリー番組
「プレデター(邦題・J・POPの捕食者)」
が放映されたためです。
制作を担当したモビーン・アザー記者は、日本のメディアにも登場し、
「日本のメディアが何十年もこの問題を無視し続けてきたことは、非常に問題です」
「事務所が何十年も力を持っていた、それは危険な事です」
「1つの組織や会社が何をニュースにすべきか、何に沈黙するかについて決める力を持つべきではない」
と発言しました。
外国の目を気にして、日本のメディアの対応が変化したと見えても仕方がありません。
★橋本
実に情けないですね。
LGBT法にしても外圧が大きく作用した結果と言えます。
日本では、未だに
「欧米では〜」
と、
「出羽守(でわのかみ):他者の例を引き合いに出して物事を語る人」
的な発想が根強くあります。
欧米諸国で新しい価値観が出て来たら、それが正しいとすぐに飛びついてしまう。
一方で、日本人のそういうメンタリティを理解し、逆輸入させようとする日本人がいることも無視できません。
★新藤
欧米の価値観が、日本人の幸せに繋がるかどうか、しっかり判断すべきです。
英国では公共のトイレを全てジェンダーレストイレにした結果、性被害が横行し、女性がトイレに行けなくなる事態に発展、結局、撤去されました。
日本はそういう動向を冷静に見るべきです。
★橋本
新宿・歌舞伎町のジェンダーレストイレは、僅か4カ月で廃止されました。
★新藤
当然の結果です。
ところが、日本は欧米の失敗例を積極的に取り入れようとする。
不思議で仕方ありません。
★橋本
2023年版
「ジェンダーギャップ指数」
が発表されましたが、日本は146カ国中125位で、過去最低に後退したと大騒ぎする。
気にする必要はサラサラないのに。
こんなことを言ったら驚かれるかもしれませんが、日本ではジェンダー平等は既に実現しています。
それは運転免許を見れば分かります。
欧米諸国では女性が運転できるようになるまで大変な道のりがありましたが、日本では大正時代に男女同時に運転免許が交付されました。
また、女性の大学入試自体も大正初期からで(東北大学は1923年、九州大学は1925年、北海道大学は1930年、大阪大学は1935年)、そもそも女子大もあります。
欧米はとにかく男女を同じフィールドに入れることをジェンダー平等と定義しますが、日本では男女それぞれに特権があることでジェンダー平等を担保しています。
これは漫画の世界でも同様です。
欧米は1つの作品内に男女平等を盛り込もうとしますが、日本ではそもそも少女漫画という分野があります。
欧米は少女が経済力を持つことはなかったので少女漫画なる分野はほとんど存在せず、一方、日本では少女漫画雑誌が何十誌とある。
★新藤
『論点・ジェンダー史学』(山口みどり・弓削尚子・後藤絵美・長志珠絵・石川照子:編著/ミネルヴァ書房)
では、橋本さんが指摘されるような日本の性の歴史や観点がすっぽり抜け落ちています。
結局、欧米の流れを主流と捉え、そこから抜け出すことができないでいる。
★橋本
実に浅い見方ですね。
真っ当なジェンダー論、今後ともよろしくお願いします!

世間知らずの最高裁 このままでは変態大行進
性別適合手術を受けずとも性別を変えられる?!
この判決は日本に禍根を残す
WiLL2024年1月号 美容研究家・トランスジェンダー 岡江美希
■親から貰った身体が一番
私は22歳の時、性別適合手術(性転換手術とも)を受け、男性性に別れを告げました。
私はニューハーフ(出生時は男性の身体で生まれたものの、自分の事を女性と認識している人)つまり、トランスジェンダーであり、LGBTの当事者でもあります。
なぜ性別適合手術を受けたのか。
私自身は幼い頃から、精神的な性と身体的な性の不一致が原因で生きづらい思いをしていました。
当時、男に生まれたのだから男らしくしなければならないという考え方が普通で、女性化へのモラル的抵抗もありましたが、一方で、どうしても男性である自分を受け入れられず、女性になりたいという思いもあった。
思春期の頃は、自分の身体が大人の男性になっていくことへの嫌悪感がたまらなかったのです。
小中学校の修学旅行では、男性であることが嫌でたまらず、男風呂に入ることに抵抗があった。
成人し、性別適合手術を受けた時は
「やっと女性になることができた」
と気持ちが晴れ晴れとしたものです。
しかし、それから30年近く経ちますが、実感しているのは親から貰った身体が一番であるということです。
胸を作るためシリコンを入れますが、身体が拒絶反応を起こすので痛みが酷く、シリコンも硬くなったりするので、マッサージは必要です。
人工膣を作っても癒着が始まり、膣口が浅くなって性行為がしにくくなります。
それだけ性別適合手術は危険であり、身体のケアが他の人の何倍もかかってしまう。
世の中ではLGBTに対して寛容であれという風潮が蔓延していますが誤った知識で捉えられることに懸念を覚えます。
■”無知な寛容”は危険
そんな私は、今回の最高裁の判決を非常に危惧しています。
今回の最高裁の判決では、戸籍上の性別を変更するために、生殖能力をなくす規定(生殖能力要件)が憲法に違反するかどうかが争われ、最高裁は2023年10月25日、規定を違憲、無効とする判決を出しました。
これまでは
「性同一性障害特例法」
に則り、性別適合手術をしていることが、性別変更において分かり易い条件であったのですが、今回、手術の必要がないという判断を最高裁は下した。
私は驚きました。
確かに、生殖腺(卵巣や精巣)の除去は身体に強い負担をかけることになりますし、性別適合手術にかかる経済的負担(手術方法により費用は様々だが、概ね100万〜200万円ほどかかる)を考えると、自由に性別が選べるようになることは良いことのように思えます。
でも、私は、身体を女性化すべく、性別適合手術を受けたくて受けたわけですが、これまで性同一性障害と診断された人は、性別適合手術をしなければ、自分の人生を開拓することができませんでした。
性別変更に手術が不要となると、これまで高い手術費用と手術に伴うリスクを覚悟して手術した人たちにとっては、やらなくてもいい手術をやったことになる。
これまでの
「性同一性障害特例法」
は何だったんだと不満が残るのは確かです。
しかし、そんなことは瑣末な問題であり、最も恐れなければならないのは、今回の最高裁の判決(性別適合手術なしで、性別の変更が可能になったこと)を悪用したい人が必ず存在するということです。
今回の判決を下した最高裁は、自分たちが理解できる範囲でしか物事を理解しようとしていない。
この判決を喜ぶ性犯罪予備軍の存在を無視しているのか、あるいは気付いていないのか。
LGBT法の成立以後、社会全体に蔓延りつつある”無知な寛容”は非常に危険です。
自由や平等、個人の解放といった
「性善説」
のみで人間を捉えてしまっては、どういった危険があるのか考えようとしなくなる。
世の中には、自分では理解の及ばないような人たちだっているわけです。
最高裁はそういった所まで配慮しているのか疑問が残ります。
実際に、性別適合手術をして、女性が男性になっても男性のことが好きになったり、男性が女性になっても、結局、女性のことを好きになったりする人がいるのを見てきました。
肉体を女性化したとしても女性が好きだったり、肉体を男性化したとしても男性が好きな人がいる。
つまり、手術した後であっても、恋愛対象が同性になることが普通にあるのであれば、性別の変更に手術の必要をなくしてしまうと、確実に
「性モラルの崩壊」
を招いてしまいます。
■稲田さん、言ってた事と違う
これまで、性別変更は、性別適合手術をしていることが分かり易い条件でした。
では、手術の必要がなくなれば、どうやって性別の判断を行っていくのでしょうか。
「変態が大手を振って街を闊歩できる世の中への足掛かりとなってしまう」
今回の最高裁の判決では私はこのように感じました。
既に問題は表面化しています。
最高裁の判決後、1カ月も経たないうちに、恐れていた事件が起こりました。
2023年11月13日、三重県桑名市の温泉施設の女湯に侵入したとして建造物侵入の疑いで43歳の男性が現行犯逮捕されました。
男性は、女湯に入ったことを認めた上で
「心は女性なのに、なぜ女子風呂に入ってはいけないのか理解できない」
と話しているらしい。
LGBT法の成立を推し進めた稲田朋美議員は、かつて
「心が女性で身体が男性の人が女湯に入るということは起きない」
と発言していますが、この事件をどのようにお考えなのでしょうか。
性のモラルの低い人たちが、性別を自由に変えてしまう。
一部の人間の歪んだ社会的に認められない欲望の被害者は、常に女性です。
人間を見た時に、男女の違いさえ分からなくなるというのは、女性にとって恐怖でしかないと思います。
性自認を悪用する人たちにとって、性の多様性なんて言葉は、喜びでしかない。
男(と思った人)と出会っても男ではないかもしれない。
女(と思った人)を好きになっても女ではないかもしれない。
トランスジェンダーと教えられずに性行為をし、子供ができた後に、カミングアウトされた場合、生まれてくる子供はどうなるのでしょうか。
問題はそれだけではありません。
例えば、妻も子もいる男性が、離婚したいとなった。
そこで性自認を悪用し、
「実は言ってなかったんだけど、僕は女性なんだ」
と言って離婚に持ち込むケースも出てくるかもしれない。
■性別は他人の問題でもある
大前提として男性と女性では、身体的特徴(体の作り)からして、差があり過ぎるのです。
事実、男性の身体に恐怖を覚える女性は一定数いますが、女性の身体に恐怖を覚える男性は極端に少ない。
先述した三重県桑名市の温泉施設の女湯に男性が侵入した事件が、仮に女性が男湯に侵入していたらどうなっていたでしょうか。
事件化すらしなかったと思います。
この、性差における非対称性が消えない限り、精神的な性と身体的な性を自由に選ぶことができるとは思えません。
私は、心の性別は別として”持って生まれた性”に対する責任を持つことが大切だと考えます。
何故なら、ほとんどの人が
「生殖能力」
を保有しているからです。
生殖能力とは、男性で言えば、パートナー(女性)を妊娠させる機能であり、女性で言えば、妊娠・出産する機能のことですが、人間がこうした機能を持っている限り、新しい命への責任が伴います。
であれば、心が男か女かの前に、自分が生物学的にどちらの性を保有しているのかしっかりと自認し、それによって起こり得るリスク(妊娠)をしっかりと理解するべきです。
自分の生殖能力への責任として、これまでの特例法通り、戸籍上での性別変更を望む場合は、性別適合手術を行う。
つまり生殖能力を断つべきです。
特に男性が女性になりたい場合は、絶対に
「女性化」
が必要です。
女風呂に入ったとしても違和感がないくらいの女性化は必要でしょう。
分かり易く言えば、男性器はない方がいい。
何故なら、相手の女性に不安を与えてしまう恐れがあるからです。
また、精巣の除去は男性ホルモンの分泌を減少させるため、性的衝動を抑えるのに極めて効果的です。
常識的に考えて、皆さんは青髭の生えたおじさんを女性として見ることができますか。
男性であっても女性であっても青髭のおじさんを女性と見ることはできないはずです。
つまり、性別とは、個人の問題でもありますが、同時に
「周り(他人)の問題」
でもあるのです。
人間は生きていく上で、他人がいて、その他人に配慮することが
「思いやり」
です。
ジェンダーにおいてもそうした周囲への思いやりを持つことが大切なのではないでしょうか。
今回の判決で今後困るのは、手術なしで性別変更を求める当事者ではなく、周囲の人間だということ。
これまでお付き合いしていた人が、突然
「私は女だから、女性として扱ってください」
と胸を張って言われた時、周囲の人間がそれを素直に受け止めて納得することができるのでしょうか。
むしろ、周りの人が苦痛を強いられてしまいます。
LGBT法や今回の最高裁判決では、トイレやお風呂といったことばかり取り沙汰されていますが、もっと低次元の話で苦痛を感じる人間も現れてくる。
私は自分の性自認を他人に押し付けてくる人間をたくさん見てきました。
男性のまま女性を気取っている人の有害さを知っています。
私の体験に基づくと、彼らは、人に合わせることをせず、自分勝手な人が多い。
納得させるまで自分の性自認を言い続けるので、自己主張も強いのです。
ジェンダーを振りかざす人ほど迷惑な人はいません。
だからこそ、今回の最高裁判決に懸念を覚えるのです。
行き過ぎた寛容性は、悪戯な混乱を招くことを肝に銘じるべきです。

最高裁をも籠絡したLGBT活動家
Hanada2024年1月号 元参議院議員 松浦大悟
■歴史を大きく変える裁判
最高裁大法廷では、2003年に作られた性同一性障害特例法が憲法違反に当たるかどうかの審査が行われていた。
戸籍の性別を変更するには、5つの要件が課されている。
@18歳以上の成人であること
Aその段階で結婚していないこと
B未成年の子がいないこと
C生殖機能がないこと
D変更後の性別の性器部分に似た外観があること
だ。
このうちCとDを達成するには性別適合手術を行わなければならず、健康な体にメスを入れることは人権侵害だとの訴えを受けてのものだった。
もし、CとDに違憲判決が出れば、ペニスが付いていても女性、子宮が付いていても男性として、国は制度を整えなければならない。
申し立て人は、身体男性のトランス女性。
2019年に起こした裁判では、岡山家裁と広島高裁岡山支部は共に変更を認めなかった。
最高裁も、4年前の2019年は手術を合憲としている。
ところがこの間、欧米の潮流は変わってしまった。
自分の性別は自分で決めるというイデオロギー、
「トランスジェンダリズム」(性自認至上主義)
が席巻したのである。
今回の裁判も、その流れの中にあった。
案の定、最高裁は2023年10月25日、4号要件である
「生殖腺の除去」
について、個人の尊重を定めた憲法13条に反しているとの判断を示した。
最高裁は、5号要件である
「外観」
については憲法判断を避け、高裁に差し戻した。
しかしこの件について、トランスジェンダーで群馬大学准教授の高井ゆと里氏は、SNSに次のように投稿している。
<特例法。差し戻しの高裁では、5号要件が違憲判断となることがほとんど完全に確定しています。法曹の方に目安を伺いましたが、およそ半年くらいで、違憲判断が出ます>
何故か、LGBT活動家サイドでは内部の関係者しか知り得ない情報が出回っており、裁判官と裏で繋がっているのではないか、と疑いの眼差しが向けられている。
■今後の展開は深刻だ
判事の1人、草野耕一氏が代表を務めていた西村あさひ法律事務所は、有名な活動家である松中権(ごん)氏が代表の
『work with pride』
に審査料を数万円払い、職場でのLGBTに関する取り組みが評価される
「PRIDE指標」
において、2020年から4年連続でゴールドを受賞している。
岸田総理は参議院予算委員会で、公明党の谷合正明議員の質問に答え、最高裁判決を
「厳粛に受け止める必要がある」
と述べた。
この法律は議員立法であるが、今、超党派で議論すれば何年経っても決着はつかない。
よって岸田総理は、4号5号要件削除を閣法(国会で、内閣が提出した法案のこと。内閣提出法律案。内閣発議立法。政府提案の立法。政府提出法案。)で提出してくる可能性がある。
谷合議員の母、谷合規子(のりこ)氏は埼玉県で新座市議を務め、どの政党よりも早くトランスジェンダーを支援してきた人物である。
そうした経験から、トランスジェンダーには公明党支持者が多い。
解散総選挙に向けてポイントを稼ぎたい公明党と、支持率低下に喘ぐ岸田政権の利害は一致しているように感じる。
岸田総理は軽く考えている節があるが、今後の展開は深刻だ。
まず、国賠訴訟(国家賠償請求訴訟)がなされるだろう。
戸籍変更のため性別適合手術を受けた人は1万人以上おり、
「やらなくてもいい手術をやらされた」
と不満を漏らす声が出てきている。
トランスジェンダーは極貧生活を送っている人が多く、手術にかかった莫大な料金を取り戻そうと考えてもおかしくない。
事実、スウェーデンとオランダでは国家賠償(国家賠償請求訴訟)を行った。
次に、戸籍表記の問題が出てくる。
現在は性別を改変したとしても最終的に国家が追跡できるように、手術を行った者の身分事項に
「平成15年法律第111号3条による裁判確定日〇年〇月〇日」
と記入されている。
こうしたトレーサビリティ(追跡可能性)は当事者の安全を脅かすとして、活動家は削除を要求している。
国会では、出生時の履歴を完全に抹消することの是非が必ず議論になる。
更には、マイナ保険証の問題も浮上してくる。
性別欄に、身体的性別ではなく性自認での性別を記載して本当に大丈夫なのか。
男女それぞれに特有の疾患もある。
患者の身体的性別が分からない中で診療し医療過誤が起これば、今度は医師が訴えられることになる。
一体、この裁判の背景には何があるのか。
以下、詳しく見ていこう。
■代理人は有名な活動家夫夫
最高裁判決後に記者会見した代理人の2人の弁護士ー。
南和行弁護士と吉田昌史弁護士は
『同性婚 私たち弁護士夫夫(ふうふ)です』
という本も出版している有名なゲイカップルであり、今回の裁判だけでなくLGBTにおける様々な訴訟に関与している人物だ。
特に南弁護士は、2015年にアメリカ国務省から招聘され、オバマ政権の下でLGBT研修を受けている。
2013年には、ゲイである筆者たち4人が第1期生としてスカウトされ訪米したが、翌翌年2015年に選ばれた5人が南弁護士たち第2期生となる。
次世代のLGBT運動のリーダーを育成するための研修である。
約3週間に渡って行われるこの研修は、飛行機代は無料。
旅の始めにキャッシュカードが渡され、ホテル代や食事代、お土産代はそこから思うままに支払うよう申し渡される。
至れり尽くせりのアメリカ国務省プログラムの目的は何か。
それは、自由や多様性といったアメリカの価値観を全世界に広げるために、阿吽の呼吸で動いてくれるエージェントを育てることにある。
要は、ソフトパワー戦略の一環だ。
筆者たちがそこで習ったのは、社会の動かし方だ。
@メディアを使え
A司法を使え
Bアライ(支持者)を増やせ
という3つの方法で、アメリカは社会変革を成功させた。
研修生たちは帰国後、それを日本で実践しているのだ。
最近、とみに増えたLGBTドラマには、全てLGBT活動家が監修に関わっている。
南弁護士も、同性愛カップルの親権問題を扱った映画
『his』
の監修を行っている。
これらは@を忠実に実行していると言えるだろう。
また、南弁護士は、情報番組にも数多く出演している。
2023年6月には大阪のABC朝日放送が制作している『正義の味方』でLGBT法案について解説し、その際の発言が物議を醸した。
「みんな大好き杉田水脈議員ですけどね、西宮が生んだ大スター」
「この人が(LGBT理解増進法の採決時に衆議院本会議を)欠席にとどめたというところは、僕は『この法律知らんかった。ごめん』という意味があったと思うんですよ」
「今迄の杉田さんだったら、ここでここぞとばかりに、この政治問題を『人、傷付けること言うたんねん』っていう場に使ったり、自分の炎上アピールに使わはったと思うんです」
「でも、『あっ、そんなんしたら私がアカンっていう風に思われるな』って思ったから、今回スッと欠席にとどめはったんやと僕は思うんです」
この揶揄に、同番組のレギュラーコメンテーターであるお笑いタレントのほんこん氏は激高し、すかさずツッコミを入れた。
「先程ね、先生がね、杉田さんのことを炎上とか言うてはったけど、俺は炎上でも何でもないと思ってるし、杉田さんが言うてたことは一文取られてね、報道されてる部分がある」
「『切り取り』であるから、それは全部読んであげたら分かることやし」
「そういうこともあるから、それもこうやって言うてたらヘイトになるじゃないですか」
「そういうことやと思うんですよ、何でも」
実は、この番組から最初にオファーを受けたのは筆者だった。
台本まで送られてきていたが、前夜にはプロデューサーから電話があり、キャンセルしたい旨を告げられた。
理由は、選挙が近いので日本維新の会秋田1区支部長の筆者を出すわけにはいかないとのことだった。
だが、レズビアンを公表している立憲民主党の尾辻かな子元議員は選挙前に同性結婚式を開き、テレビ各局は大特集を組んだ過去がある。
控えめに見ても、整合性に欠ける話だ。
そして、代わりに登板したのが南弁護士だったのである。
LGBT活動家は、
「松浦を使うな」
と方々のメディアに勧告しているやに聞いている。
自分たちとは違う意見をマスコミに流通させないことも、@の戦略なのである。
ちなみに南弁護士は、ほんこん氏に叱責された後、すぐに
「杉田さん、ごめん」
と謝罪し、その率直で誠実な姿を見た視聴者から、SNSで一定の評価を受けている。
ここが彼の凄い所であり、リスクマネジメントも含めた適応力の高さは流石だと言える。
南弁護士はロースクールに通わず、独学で司法試験に合格した叩き上げである。
彼のような人たらしの活動家たちが、メディアで、司法で、あるいはNGOで、日本のLGBT運動を牽引している。
テレビプロデューサーを懐柔することなど、赤子の手を捻るより容易いのである。
■薄っぺらなパターナリズム
冒頭に記した通り、最高裁の判事たちも、LGBT活動家に折伏(執拗に説得して相手を自分の意見・方針に従わせること)されている蓋然性が高い。
筆者は月刊『Hanada』2023年10月号で、最高裁の戸倉三郎長官が2023年5月3日の憲法記念日の定例会見において、大法廷の判事たちにLGBT研修を受けさせると述べたニュースを紹介した。
「可哀相なトランスジェンダーを救えるのは我々しかいない」
と鼻息を荒くしているのだろうが、彼らの薄っぺらなパターナリズム(強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援すること)が眼鏡を曇らせているのだ。
まず押さえておかなければならないのは、性同一性障害特例法の対象は性同一性障害者であり、トランスジェンダーではないということだ。
性同一性障害者は、身体の性別と性自認が一致しないので苦しくて仕方がない。
故に、手術してまでも身体の性別を性自認に近づけようとする人のこと。
一方、トランス女性/トランス男性は、身体の性別と性自認にそれほどの違和感はない。
故に、異常装をしたり化粧をしたりすれば手術しなくても生きていける人のことである。
性同一性障害者をトランスセクシュアル(身体的性別を越境したい人たち)、トランス女性/トランス男性をトランスジェンダー(社会的性別を越境したい人たち)と区分けすれば分かり易いだろう。
このトランス女性/トランス男性の活動家たちが
「戸籍変更のために性別適合手術を強制することは国家による断種だ」
と叫んでいるのだが、むしろ性同一性障害者は手術がなくなると困るのである。
彼らにとって子宮を取り除くことが断種でない証拠に、次のようなエピソードがある。
筆者が参加した2018年のGID(性同一性障害)学会では医師が登壇し、子宮移植への協力を呼び掛けていた。
子宮が原因で懐胎(子をはらむこと。身ごもること。懐妊。妊娠。)できない女性は日本に6〜7万人いる。
子宮を臓器移植するしかないが、現行の臓器移植法は脳死の人からの子宮提供を認めていない。
たとえ合法となったとしても脳死ドナーは少なく、万一、遺体から取り出す場合でも生命維持臓器が優先されるので、新鮮な子宮は望めない。
そこで医学会が注目したのが、FTM(「女性から男性へ」の略)の人たちだ。
現在、FTMの人たちは、高い金を払って年間700〜800個の子宮を除去してもらっているが、もしドナー登録が可能になれば、タダで手術できることになる。
逆に、子宮提供を受ける側は2000万円かかるが、それでもウィンウィンの関係であることは間違いない。
アンケートでは、8割のFTMが協力の意志があるという。
取り出した子宮は、FTMにとってはただのゴミであり、通常はそのまま廃棄される。
これが、性同一性障害者にとっての子宮という臓器に対する感覚なのである(2023年10月、日本医学会の検討委員会は、子宮がない女性に対し、子宮の生体移植を認める報告書をまとめた)。
■特例法ができた経緯
元々、性同一性障害特例法は、海外などで性別適合手術を受けていた性同一性障害者たちが、外見が変わっているのに元の性別で生活するのは困難なので戸籍の性別を変えてほしいと2001年に家庭裁判所に要求したところ、却下されたことから始まっている。
戸籍法第113条では
「その記載に錯誤」
があれば訂正を申請することになっており、多くの当事者はこれを利用しようとした。
ところが裁判官は、
「戸籍の記載に錯誤があるとは言えない」
と、にべもなく突き放した。
それで当事者たちは立法府に泣きついたのである。
恐らく、この時の贖罪意識が裁判官たちにはある。
性同一性障害特例法を作った中心人物は、南野知惠子(のおのちえこ)元法務大臣(現在87歳)だ。
助産師だった南野氏は、当事者の話を聞いているうちに赤ちゃんを取り上げた時の記憶が蘇り、
「私が出生証明書の性別欄に『男』とマルを付けた人が、成長して女になりたいとしたら・・・」
「不幸な生活を送る人の力になりたい」
と、自民党内をまとめたのであった。
手術は国が強いたわけではなく、ずっと前に手術によって体を変えていた人を救済するための法律だった。
ただし、手術をしたからといって生物学的に女性/男性になれるわけではない。
特例として、
「法律上は女性/男性と見做す」
としているだけなのだ。
それは、困った人たちを助けながらかつ社会秩序を壊さないための保守派のアイデアだった。
裁判官が活動家からどんな
「ご講義」
を受けたか知らないが、国民的コンセンサス(複数の人による合意)も取れていない性別の定義変更(ペニスが付いていても女性/子宮が付いていても男性)を一部のエリートだけで行おうとしているのなら、それは驕りと言う他ない。
ドイツでは1年間の期間をおけば、自己申告で何度も性別をチェンジできる。
我が国も、そんな
「先進国」
を目指すのだろうか。
■男が妊娠・出産?!
では、自己申請だけで性別変更が出来るようになると、社会はどうなるか。
北海道千歳市では2023年、男性が妊娠・出産した。
トランスジェンダー男性のゲイと、シスジェンダー男性のゲイの同性カップルから、赤ちゃんが誕生したのである。
「トランスジェンダー男性のゲイ」
というのは、身体は女性だが性自認が男性、そして好きなる対象も男性という人のことだ。
「シスジェンダー男性のゲイ」
というのは、身体は男性で性自認も男性、好きになる対象も男性という人のことだ。
つまり、トランス男性のゲイは子宮を除去していないので、シス男性のゲイと性交すれば子供が出来るのである。
当初、このトランス男性は性同一性障害と診断され、胸を切除し、ホルモン治療を続けていた。
いずれ子宮と卵巣も取る予定だった。
だが、妊娠が分かったことで
「産みたい」
との欲求が高まり、ホルモン療法を中止した。
札幌医科大学附属病院の担当医師は、
「心が男性の人であれば妊娠は希望しないはずだと思っていた」
「女性の体で生まれたが、男性として生きることを望む人が妊娠したというのはどういうことだろう」
「身構える感じはあった」
と、地元テレビ局の取材に答えている。
妊娠・出産は、自分が女性であることを一番感じなければならない行為だ。
女性であることが耐えられなくて男性に移行しようとしていた人が、何故それを受け入れることが出来るのか、疑問が湧いて来る。
その点について担当医師は何度も質問し確認しようとしたが、このトランス男性は口ごもり言葉を濁すのだそうだ。
取材した女性記者は
「妊娠・出産は女性だけのものではない」
と胸を張るものの、果たしてそのような整理の仕方で良いのだろうか。
リベラリズムは自由を際限なく拡張する。
しかし、どこかに
「定礎」
がなければ、人も言葉も国家も液状化していく。
■悲劇を生む活動家の聖典
「自分が、男性だと思えば男性/女性だと思えば女性」
という考え方の源流は、ジョグジャカルタ原則にある。
2004年、イギリスでは世界で初めて、医療行為なしで法的に性別変更できるジェンダー承認法を成立させた。
その2年後の2006年、キングス・カレッジ・ロンドンのロバート・ウィンテミュート教授たちが、インドネシアのジョグジャカルタに集まり作成した国際文書がジョグジャカルタ原則だ。
法的拘束力はないが、世界中に多大な影響力をもたらした。
第3原則にはこう書いてある。
<各々が自分で定義した性的指向や性自認は、その人の人格と一体化しており、自己決定、尊厳、自由の最も基本的な側面の1つである>
<何人も、自らの性自認を法的に認めるための要件として、性別適合手術、不妊手術、ホルモン療法などの医療行為を受けることを強制されない>
これを
「医療モデルから人権モデルへ」
という。
つまり、科学的根拠は関係ないということだ。
以降、欧米を中心とした国では、男性器の付いた人でも自分が女性だと言い張れば女性となった。
性自認を第三者が否定することは差別となった。
ところが、ジョグジャカルタ原則を作った本人のウィンテミュート教授は、近年になって悔恨の念を述べている。
2006年当時は、セルフID(自己申告での性別)について理解が進んでいなかった。
男性器を持ったままの人が女性の空間にアクセスするとは誰も考えていなかった。
その後、イギリスでは女子刑務所に入り込んだトランス女性がレイプを繰り返したり、国1番の規模を誇るタビストック・ジェンダークリニックで1000人以上の少年少女が誤診によって第2次性徴抑制剤を投与されてしまったりしたため、2023年10月、遂にリシ・スナク首相がテレビカメラの前で演説する騒動にまでなった。
<我々は
「人間はなりたい性別になれる」
と無理矢理信じ込まされるべきではありません>
<そんなことは出来ないんです>
<男は男、女は女>
<それが常識なんです>
ロシアや中国の首相が演説しているのではない。
イギリスの首相がスピーチし、国民から拍手喝采されている所を公共放送のBBCが報道しているのだ。
これが世界の最先端の動きであり、日本のLGBT報道は10年遅れている。
トランスジェンダーの苦悩は分かる。
だがそれは、もう一方の当事者である生得的女性たちの苦悩を無視して良いことにはならない。
我々は、イデオロギーによって女性概念を人工的に改変するのではなく、トランスジェンダーのまま差別されずに生きていける社会を目指すべきではないだろうか。

LGBT異常判決と「電通利権」
Hanada2023年10月号 元参議院議員 松浦大悟
■本当に「可哀相」か
男性器の付いている経済産業省トランスジェンダー職員(戸籍上は男性)が女子トイレを使用させてほしいと要求した。
ところが、勤務するフロアから2階以上離れた場所しか認められず、人事院に処遇の改善を求めたものの退けられたため国を訴えていた裁判で、最高裁はトイレの使用制限をした国の対応は違法だとの判決を出した。
今、多くのLGBT当事者から
「この裁判はおかしい」
との声が上がり始めている。
一体どこが問題なのか、ゲイを公表して政治活動を行っている筆者が考察してみたい。
マスコミは、原告の経産省職員のことを
「7年以上にも渡る法廷闘争の末、逆転勝訴した可哀相なトランス女性」
として伝えたが、実態は違う。
彼女のツイッターでのアカウント名は
『わきまえないトランスジェンダー 霞が関にゃんにゃんOL』
といい、市井のLGBTの間では有名な存在だった。
これは裏アカではなく、れっきとした本アカである。
「キンタマキラキラ金曜日」
「ちんちんフラフラFRIDAY」
が彼女の決め台詞だ。
<女性でヘテロで彼氏か旦那さんがいるのなら、夜はちんぽ咥えて、つっこまれて喜んでいるんでしょ?>
といった卑猥な投稿を繰り返し、閲覧した人は
「これがあの原告なのか?」
と誰もが眉を顰めていた。
批判してきた人には
<夜道に気をつけてね>
<駅のホームも端っこには気を付けてね>
と脅し、
<愚民どもは社会のシステムや法が分かっていないからな。やはり我々エリートの支配階級が正しい方向に指導してやらないといけない>
と、臆面もなく本音を漏らす。
その”エリート”である彼女は、上司から
「(男性器を除去する)手術をしないんだったら男に戻ったらどうか」
と助言されたことに傷付いたとして1年間休職したが、国家公務員の身分は手厚く保証されており、休んでいる間も出勤していた頃と遜色のない額の給料を貰っていたという。
そもそも、彼女は
「手術を受けるためにRLE(*)が必要なのだ」
として女子トイレの使用を要求していたのであり、手術を受けないのであれば話は変わってくる。
*日本精神神経学会の「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」では、身体的治療を希望する者は、治療を行う前に移行先の性別での生活を行ってみる(実生活経験=RLEを行う)ことが推奨されている。
■診断書の入手、実は簡単
生物学的女性たちが訝しく思っているのは、
「なぜ彼女は頑なに手術を拒むのか」
という点である。
「健康上の問題」
との説明がなされているが、どのような健康上の問題なのか、詳細は明らかにされていない。
また、判決文には
<血液中における男性ホルモンの量が同年代の男性の基準値を大きく下回っており、性衝動に基づく性暴力の可能性が低いと判断される旨の医師の診断を受けていた>
と書かれているのだが、ツイッターの投稿を見る限り、とてもそうは思えない。
本当にこの診断は正しかったのかどうか、最高裁は担当医師を呼んで確認すべきではなかったか。
実は、性同一性障害の診断書は簡単に入手できる。
本来なら時間をかけて診察しなければならないのだが、たった1日で診断書を書いてくれる医者が何人もいて、ネットではどのような受け答えをすればスムーズにいくのかマニュアルさえ出回っている。
身体的治療に移るためには2名以上の医者からの診断書が必要だが、セカンドオピニオンにおいても1回でOKを貰える場合が多い。
元SMAPの草場剛氏がトランス女性役を見事に演じ切った映画『ミッドナイトスワン』にも、商業主義に陥り、3分診療で診断書を出すジェンダークリニックの姿が描かれている。
「『性自認』は自己判断だからダメだが、『性同一性』は厳格な審査基準があるので女性の安全を脅かさない」
というのは、現場を知らない者の戯言に過ぎない。
精神科医によると、確かに
「性同一性」
の診断には、
その性別でどのくらいの期間を過ごしているかという
「時間軸」
と、
第三者から見てどのような性別に見えているかという
「社会軸」
が加味される。
しかしながら、24時間クライアントを監視カメラで見ているわけではないので、結局のところ、彼らの主観ベースの話を信じるしかないのだという。
自分史を書かせる医療機関もあるが、これさえも本当かどうか確かめる術はないのである。
経産省職員の彼女は自分のことをトランス女性だと自己規定しているが、そもそも性同一性者とトランス女性はイコールではない。
性同一性障害者、体の性別と性自認が一致しないため苦しくて仕方がない。
だから、自分の体にメスを入れてさえも性自認に体の性別を近付けていこうとする人たちのことだ。
しかし、トランス女性は違う。
身体的性別と性自認の乖離に違和感はあるものの、手術をするほどの苦しみはない。
そのトランス女性の彼女が性同一性障害の診断書を持っていたことで、最高裁は見誤ったのではないか。
■裁判への布石だった?
この訴訟は個別事案であり、直ちに公共施設全体に適用されるものではないという補足意見は付いたが、名古屋市、千葉県、茨城県などでは
「今回の判決を踏まえた対応をしていきたい」
と担当者が取材に答えている。
これは考えてみれば当然であり、同様の訴えを起こされれば最高裁まで戦っても負けることが証明されたわけで、行政職員として瞬時にコスト計算をしたのだとしても不思議ではない。
こうした動きについて、我が国では特段大きな反発の声は出ておらず、国民は概ね良好に受け取っている。
今後は中央政府や地方政府に倣う形で、小・中・高校や大学、民間施設に至るまで、横並びの対応が取られていくだろう。
今回の判決は、このような世間の反応を見るために最高裁が打ち上げたアドバルーン(観測気球)だったのではないか、というのが筆者の推測だ。
なぜなら最高裁大法廷では、今
「性同一性障害特例法」
が課している
「手術要件」
についての違憲審査が行われており、2023年9月27日には申立人側の意見を聞く弁論が開かれる。
こうした家事事件において、最高裁が国民に公開する形での弁論を開くのは初めてのことだという。
身体は男性で性自認が女性の申立人は、高額の手術費や後遺症への不安から精巣の摘出手術は受けていない。
最高裁は世論の涙をバックに、一気呵成に
「性別の定義変更」
を図ろうとしている可能性がある。
最高裁の戸倉三郎長官は2023年の憲法記念日における記者会見で、最高裁判事にLGBT研修を受けさせる旨を述べている。
経産省トイレ裁判の判決文には異例にも、5人の判事全員による意見が付されており、その内容が
「まるでLGBT活動家のようだ」
と、一般のLGBT当事者からも訝しがられている。
男性器の付いたトランス女性が女子トイレを使用することに不快感を持つなら、それはそう感じた女性の方がおかしいのだから、その人には研修を受けさせるべきという意見は常軌を逸している。
一体、裁判官は誰のLGBT研修を受けたのか、国民には知る権利がある。
裁判官の判断に影響を与えているわけだから、これは重要な情報だ。
国会議員は是非最高裁を呼んで、ヒアリングをしてほしい。
筆者が講師として招かれた
「性的マイノリティに関する特命委員会」
には最高裁の事務方が出席し、高階恵美子委員長から意見を求められていた。
三権分立とはいえ、最高裁を呼べない理由はない。
なぜ筆者がそこまで言うかというと、トランスジェンダー当事者の意見は真っ二つに割れているからである。
手術要件廃止派の一方的意見だけ聞いているとしたら、大問題だ。
キリスト教圏に影響を受けた日本のLGBT活動家は、生殖腺を取り除く性別適合手術を国家による
「断種」
だと言い募り、LGBT後進国の日本は非人道的な性同一性障害特例法を廃止しろと叫ぶ。
だが、この法律を欧米のような文脈で語るのは筋違いだ。
1964年に起きたブルーボーイ事件は、男性器を切除する手術を行った産婦人科医が優生保護法によって逮捕された事件である。
それ以降、我が国においては、性を移行したい者にとっての希望が断たれることとなった。
もちろん、これは拷問が目的だったわけではなく、当事者の苦悩に寄り添った結果としての手術だった。
そのことを当事者たちはよく分かっていた。
しかし、手術を受けた人たちが男娼だったため、センセーショナルに伝える週刊誌によって、性転換に負のイメージが付けられてしまった。
それから幾年、やっと手術が合法になったのが2003年。
性同一性障害特例法の成立を、多くの当事者は涙を流して歓迎したのだった。
ところが、そこから取りこぼされた人たちがいた。
手術をするほどの苦痛がないトランス女性/トランス男性たちである。
手術しなければ戸籍上の性別を変更できないこの法律では自分たちは救われないとの不満を抱えながら、それでも
「1人でも多くの仲間が助かるなら」
と利己を押し殺して法案の成立に合意したのだった。
だが、その思いは限界に達した。
当時は主流派ではなかった彼らが今、世界的な潮流に乗り、主客交代劇を繰り広げているのである。
「今度は俺たちが幸せになる番だ」
と。
しかし、手術要件がなくなってしまうと、今度は性同一性障害者たちが困ってしまう。
手術は
「医療」
ではなく
「趣味」
で行うものと見なされ、
「美容整形と何が違うの?」
と言われるからだ。
当然、安倍政権で導入した保険適用も廃止になる。
2021年現在、性別適合手術を受けた人は約1万1000人に達する。
社会の中で、男性/女性として真っ当に暮らしているこの人たちの人生を否定してはならない。
■確信犯で嘘を付く
性別適合手術を廃止し、自己申告だけで戸籍の性別を変更できるよう要求しているのは、性同一性障害者ではなくトランス女性/トランス男性の活動家である。
彼らにしても、伊達や酔狂でやっているわけではない。
自分が信じる正義のために必死なのだ。
社会をグレートリセットさせるためなら少々の嘘は許容範囲だ、と思っている節がある。
例えば
「LGBT法連合会」
という団体は、LGBTの代表でも何でもないただの民間組織だ。
だがマスコミは、それを当事者代表の声として報道する。
2023年3月には、トランス女性へのデマが広がっているとして
「法律ができても、トランス女性は女湯や女子トイレに入りません」
と記者会見したのだが、スピーチに立ったトランス男性である杉山文野自身が戸籍の性別とは違う浴場やトイレに侵入しており、そのことを知る筆者たち関係者は、テレビの前で一斉に椅子から転げ落ちた。
渋谷でのレインボーパレードを主催しているNPO法人
「東京レインボープライド」
共同代表でもある杉山文野氏は自らのツイッターで、男湯に入って歌舞伎町の市川海老蔵氏と遭遇したことを報告している。
同じ内容を海老蔵氏のブログでも確認できるので、是非読んでみてほしい。
タイトルは『男湯に女いた』。
胸を切除しているが子宮は摘出していない杉山氏は、戸籍上は女性だ。
LGBT理解増進法施行に伴い、厚生労働省は
「公衆浴場の男女別は身体的特徴で判断を」
と通知を出したものの、日本で一番有名なLGBT活動家である杉山氏を警察は逮捕できるはずがない。
そんなことをすれば、国際的スキャンダルになるだろう。
杉山氏は信念の下に男湯や男子トイレを使っているのであり、今後もやめることはない。
厚労省の通知は無意味なのだ。
また、身体が男性のトランス女性が女湯に入っていることも、筆者たち当事者の間では常識だ。
「股間タック」
という言葉で検索してみてほしい。
睾丸を指で体内に入れて恥骨に引っ掛け、余った皮で包んで接着剤で止めれば女性器そっくりになる。
そのまま女湯や女性トイレに入っても恍惚とした表情で自撮りをしている画像が、SNSでいくらでも発見できるだろう。
東大教授のクィア学者、清水晶子氏はこれを
「埋没した棘」
と表現し、
「今だって彼女たちは女性スペースに存在する」
「でも女たちは気付いていない」
「気付かないのだからいいじゃないか」
という趣旨の論文も書いている。
よく保守論壇は、戸籍とは違う性別の浴場やトイレを利用する是非について、
「自分たちはトランスジェンダーを差別しているのではない」
「犯罪者との見分けがつかないことを問題にしているのだ」
といった議論をする。
だが、それは本質からずれている。
真の問題は、トランスジェンダーの当人たちが、既にそうした場所に入っているという事実だ。
経産省のトランス女性職員も、省内のトイレは理解が得られず使えなかったが、デパートなどの民間施設では当然女子トイレを利用しているとツイートしている。
三省堂の国語辞典は、2022年版から「男」「女」の項目を変えた。
<生まれたときの身体的特徴と関係なく、自分はこの性別だと感じている人もふくむ>
としたのだ。
このように既成事実が積み上がっていき、最高裁は
「社会は変わった」
との最終判断を下すことになる。
■りゅうちぇる氏の死
タレントのりゅうちぇる氏が自殺した。
そのこと自体は大変残念で悲しい出来事であるが、それに乗じて多様性の素晴らしさを説く生前の彼の言葉を何の躊躇もなく放送することはWHOの自殺報道ガイドライン違反に当たるため、厳に慎まなくてはならない。
自殺者を称賛することは、自殺の連鎖に繋がるからだ。
そして、それによって性同一性障害者の本当の思いが覆い隠されようとしていることにも注意を喚起したい。
りゅうちぇる氏は、同じくタレントのぺこ氏と結婚し、子供をもうけていた。
ところがその後、男性が好きだという気持ちが大きくなり、離婚。
どんどん容姿の女性化が進み、胸も膨らんでいった。
そんな彼に、SNSなどを通して誹謗中傷が届くようになる。
「子どもが欲しいからといってぺこに産ませておいて。女の人生をなんだと思っているんだ」
「家事も育児もぺこに押し付けて自分だけ綺麗になって。男だからできるんだよ。同じことを女がやったらバッシングの嵐だ」
など。
こうした心無い批判が原因で死に至ったと多くのコメンテーターは分析したが、性同一性障害者からは、そうではなくホルモン療法が原因だったのではないか、との問題提起がなされている。
男性から女性になるためには女性ホルモンを投与しなければならないが、ホルモン注射は精神のバランスを崩し、うつ病となって自殺するケースも少なくない。
人によって合う合わないが激しく、長年に渡り偏頭痛に苦しむ人もいる。
りゅうちぇる氏に必要だったのは
「あなた、綺麗ね。素晴らしいわね」
と持ち上げる表面上の友ではなく、
「ちょっと変化が早過ぎるよ。1年かけて考えてみたら?一旦ストップしようよ」
と警鐘を鳴らす真の友だったのだ。
しかし、保守派の性同一性障害者、奥田幸雄氏は、それでも愚行権としてホルモン注射を認めてほしいという。
「真の同一性障害は死んだ性同一性障害だけ」
と言われるくらい性同一性障害の時点で希死念慮はあり、これはホルモン以前の問題だ、もとより死は覚悟している、と。
言われてみれば確かにそうで、自分の体が苦痛でたまらない当事者たちは、親指を噛み切ったり、ガソリンをかぶって焼身自殺したりする。
見るに見かねた医師たちが、
「それだったら」
とホルモン注射を打ち始めたのだった。
打たなくても地獄、打っても地獄は承知の上だった。
こうした当事者の激烈な思いと向き合うことなく、ここぞとばかりに
「多様性」

「ダイバーシティ」
の必要性を煽る左派メディアは、無責任と感じる。
NHKで放送されたドイツのドキュメント番組『レインボーファミリー』は、母親が女性を好きになり離婚したことを美談として伝える。
異性愛者の夫婦であれば不倫となり、LGBTであれば褒め称えるというのは、二重規範以外の何物でもない。
婚姻の途中にジェンダーアイデンティティが変わることはないとは言えないが、子の福祉のことを考えると、りゅうちぇる氏の死を利用した
「ショックドクトリン」
によって、拙速に最高裁で性別の定義変更が行われないように切に願う。
■LGBTにおける歴史戦
安倍晋三元総理は、拉致問題や慰安婦問題、佐渡金山世界遺産登録問題などで歴史戦を戦ってこられた。
月刊『Hanada』2022年6月号では、
「歴史戦で厄介なのは、日本の内部に敵がいること」
とおっしゃっていた。
筆者は、LGBTにおいても歴史戦が始まっていると感じている。
杉山文野氏は、複数のLGBT活動家と共に安倍元総理と会食をしている。
安倍元総理は筆者に、
「誰だか分からないが、昭恵が会ってくれと言ったから会ったんだよ」
とおっしゃっていた。
LGBT活動家は自らを保守と偽り、政権の中枢にまで入り込んでいるのである。
また、LGBT活動家には野党側の活動家だけではなく、自民党側の活動家もいることは案外知られていない。
LGBT理解増進法が成立後、自民党側の活動家のものと見られる音声がSNSで拡散され、大炎上したことがあった。
法律ができれば、学校や企業の講演会などで自分の所に大きな利権が回って来るという内容だ。
LGBT理解増進法の真の目的は、地方自治体でやりたい放題のLGBT活動家の動きを止めるためだと自民党は説明するが、野党側の活動家に代わって自民党側の活動家が元締めとなったところで、利権を貪る主体が変わるだけだ。
だいたい、LGBT理解増進法で左派の動きが止まるとも思えない。
その根拠は、野党側の活動家と自民党側の活動家の比率だ。
筆者の肌感覚で、99.5%対0.5%といったところだ。
これから学校や企業での研修を全国展開するには、左派LGBT活動家の力を借りるしかないのだ。
何故なら、彼らしか人材がいないからである。
そんな彼らが、これまでの主張を変えるはずがない。
石川県では、荒井秘書官の発言で岸田首相を謝罪に追い込んだLGBT活動家、松中権(ごん)氏が多様性条例有識者会議のメンバーになっており、
「LGBT理解増進法は地方の条例を縛るものではなく、運用上はこれまでの流れを受けて『性自認』という言葉を使っても良いということをきちんと明記すべきだ」
と発言している。
松中氏は前出の杉山氏と親友であり、杉山氏の女性パートナーに精子を提供し、子供を2人もうけている。
当初、杉山氏は女性パートナーと2人で生活を送るつもりだったが、途中で松中氏に父親心が芽生え、今では3人親として子育てをしている。
アメリカでは同性婚が認められた次に、こうした多重婚の婚姻形態を求める裁判が起こされている。
LGBT理解増進法は制御装置ではなく、LGBTイデオロギーを更に加速させる機能を果たす。
一旦導火線についた火を消すことはできないのである。
■時給2000円で活動家が
松中氏は
「電通」
出身であり、各広告代理店は今後10年を見据えて動いている、と筆者は想像している。
通常、電通は自民党側、博報堂は野党側の担当なのだが、LGBTにおいては捻じれ現象が生じている。
元電通マンの松中氏が野党側に付き、自民党側には博報堂から出向しているゲイ当事者が付いているからだ。
こうした状況からも、自民党側の活動家が野党側を排して覇権を握ることは困難だと分かる。
いずれは電通の力を背後に持つ松中氏がピラミッドの頂点に立ち、全てを統合する。
自民党側の活動家は、おこぼれを貰うことで精一杯だろう。
LGBT利権についてよく例に出されるのが、一般社団法人
「社会的包摂サポートセンター」
が行っている国の自殺対策委託授業
「よりそいホットライン」
だ。
これを作ったのは、当時民主党政権だった福山哲郎議員。
自殺率の高い秋田県の筆者がPTの事務局長を担当した。
2013年の落選後、筆者にLGBT部門の電話相談員にならないかと誘いがあった。
しかし、面接と実地試験を受けたところ、筆者は見事に落とされたのである。
当時の時給は2000円。
朝から晩までLGBT活動家がシフトに入り、それだけで生活費を賄っていた。
公明党や共産党の市議も、お小遣い稼ぎをやっていた。
こうした事情を筆者に知られたくなかったのかもしれない。
問題は、情報がクローズドで行政事業レビューができないことだ。
筆者が出た電話には、妊娠出産したレズビアンから
「そろそろ浮気をしたいのだがどうすればいいか」
といった相談や、
「統合失調症ゆえに自分をゲイだと思い込んでいる男性が精神病院から電話をしてくる」
といった事案が目立った。
こうしたリピーターが多いので、本当に相談を必要としている人には繋がらないという欠点もあった。
利権と言えば利権に相違ないのだが、そんなレベルではない大きなお金が今後は動いていくだろう。

LGBT2023年12月号E
LGBT法 自民支持層の7割が反対「女性スペース守られない」「議論が拙速」 「くらするーむ政治部!」
2023/11/20 15:30
https://www.sankei.com/article/20231120-EFBL3IELIZA7BHNGZ7VEW24KB4/
産経新聞グループのマーケティング会社「産経リサーチ&データ」は、岸田政権が2023年6月に成立させ、施行したLGBT理解増進法の是非について調査した。
その結果、「反対」「どちらかと言えば反対」が61.2%に上り、その理由(複数回答)は
「女性スペースの安全が守られないと思うから」
が79.8%で最多だった。
自民党支持者に限っても「反対」「どちらかと言えば反対」は69.6%と全体よりも高く、保守層を中心に批判的な傾向が目立った。
同社のウェブ上のアンケートモニターサイト「くらするーむ政治部!」の登録者を対象に2023年11月17日午後〜20日午前まで実施、全国の1751人(男性1238人、女性513人)から回答があった。
LGBT法の是非については
「反対」(40.4%)、
「どちらかと言えば賛成」(30.3%)、
「どちらかと言えば反対」(20.8%)、
「賛成」(8.6%)
の順で約6割が反対側だった。
男女別では、
男性の「反対」が47.2%でより高かったが、
女性は
「どちらかと言えば賛成」(43.1%)、
「反対」(24%)、
「どちらかと言えば反対」(22%)、
「賛成」(10.9%)
の順で、賛成側が過半数を上回っていた。
「反対」「どちらかと言えば反対」の理由を3つ選ぶ設問は、全体では
「女性スペースの安全が守られないと思うから」(79.8%)、
「法律制定までの議論が拙速だったから」(64.3%)、
「立法化するほどのLGBT差別が日本にはないから」(53.2%)
の順。
男性はほぼ同様の傾向だったが、女性はトップの
「女性スペースの安全が守られないと思うから」
が84.7%で突出していた。
賛成側の理由は
「LGBTに対する理解が進むから」(88.2%)、
「立法化したほうがよいLGBT差別が日本にはあるから」(63.1%)、
「小中学生のうちから性の多様性について知ってほしいから」(50.4%)
が男女共に上位を占めた。
支持政党別では、反対の立場が自民支持(69.6%)、日本維新の会支持(61.2%)と保守系政党の支持層で高く、「支持政党なし」層では42.1%だった。
自民支持層の反対理由は、全体の傾向とほぼ同様だった。
一方、
「女性用の公衆トイレや公衆浴場に、身体は男性で心の性別は女性の方が入ることについてどう思いますか」
の問いでは、男女ともに「反対」(54.5%)が最も多かったが、男性(57.4%)より女性(47.4%)のほうが割合は少なく、「仕方がない」と答えた女性も16%いた。
また、
「手術などで外形的特徴が女性であれば構わない」
は男性30.7%、女性34.7%だった。
回答者全体の政党支持率は「積極的支持」「消極的支持」を合わせると、自民38.2%、立憲民主3.5%、維新14%、国民民主2.6%、支持政党なし25.8%。
岸田文雄内閣の支持率は「支持する」「どちらかといえば支持する」は30.4%だった。
自民支持率は前回調査(2023年11月3日〜6日)の40.8%から2.6ポイント、岸田内閣の支持率は35.9%から5.5ポイント減り、2023年7月の調査開始以来最低となった。
通常の世論調査は、調査エリアごとの性別・年齢構成になど合わせて、電話番号を無作為に発生させるRDD方式で電話をかけ、回答数が得られるまで調査を行うなどの手続きを踏むが、「くらするーむ政治部!」ではインターネットアンケートのみに限定、国民の「今感じていること」に焦点を当て、スピード感を持った調査に取り組んでいる。
今回調査の年齢の割合は60代31.9%、50代23.4%、70代22.8%、40代11.5%、30代4.1%で50代以上が多かった。

「心は女」事件、稲田朋美氏の回答に有本香氏が怒りの反論=u誠意あるとは思えない…『逮捕されたからいい』で済ますのか」
2023.11/18 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20231118-WYBKMNGAZNNM3JU6ENF6T7VBX4/
稲田氏回答をジャーナリスト・有本香氏が指弾!
三重県桑名市の温泉施設で
「心は女」
と主張する男が女性風呂に侵入した事件は、LGBT理解増進法の慎重派・反対派が懸念する事態が現実化したものだった。
夕刊フジが同法制定に積極的だった自民党の稲田朋美衆院議員に見解を聞くと、
「事案の詳細を承知しませんが、理解増進法とは関係ないようです」
との回答だった=回答全文は別稿。
同法の問題点や、女性や女児に被害が及ぶリスクを追及し、稲田氏に説明責任を求めていたジャーナリストの有本香氏に聞いた。
「言葉尻の問題かもしれないが、事案を承知しない≠ネらば、関係あるかないかも分からないはずだ」
「この回答からも誠意ある対応とは思えない」
と語った有本氏。
桑名市の事件で男が逮捕されたことが報じられると、稲田氏が2023年4月2日にX(旧ツイッター)で発信した
「心が女性で身体が男性の人が女湯に入るということは起きない」
との投稿が掘り起こされ、批判の声が集まった。
稲田氏は夕刊フジの質問状に回答を寄せたが、内容はこれまでの主張から踏み込んだものではなかった。
有本氏は
「今回のような事案は立法の時点から懸念されていたことだ」
「こうしたことの想像や予測もできずに立法をされては困る」
「稲田氏は法律家(弁護士)でもある以上、問題から逃げてはならないのではないか」
と指摘する。
厚労省は2000年に出した
「公衆浴場での衛生管理要領」
で、
「概ね7歳以上の男女を混浴させないこと」
と定めているが、LGBT法施行を受けて、施設側が身体的な特徴の性によって男女を判断することを容認する通知を改めて出した。
稲田氏は回答で管理要領について触れ、
「(身体的な男性が女性風呂に入ることは)法制定前も後も犯罪であるということをX上などで繰り返し申し上げてきました」
と説明している。
ただ、有本氏は
「管理要領よりも法律の方が上位にある」
「公衆浴場側が利用を拒否しても『差別』として訴えられる可能性も否定できず、犯罪者に免罪符を与えることになる」
「既に女性は裸を見られるという被害≠受けた状態だ」
「稲田氏周辺で同様の事件が起きた場合、『逮捕されたからいい』という考えで済ますのか、本人に聞きたい」
と強調する。
LGBT法に懸念を示し、
「女性スペース」
を守る法律の制定を求める声もある。
今後の稲田氏の
「責任」
について、有本氏は
「性転換した人や女装する人も包摂してきた日本社会には、LGBTに関する法律は不要だが、少なくとも法改正は必要だ」
「同様の事案が相次いで起きれば、LGBTに関する偏見を助長し、理解増進とは逆の方向に進みかねない」
「誤りは認め、是正するのが政治家の良心ではないか」
「議員バッジを外してほしいという思いもあるが、稲田氏自らの手で取り組んでほしい」
と語った。
稲田朋美衆院議員の回答全文は次の通り。

事案の詳細を承知しませんが、理解増進法とは関係ないようです。
公衆浴場や温泉施設の利用に関して厚労省が管理要領を定めており、男女の判断基準は身体的特徴によるものとすることになっています。
これは理解増進法が制定される前後で全く変更はありませんし、法制定前も後も犯罪であるということをX上などで繰り返し申し上げてきました。
いずれにせよ犯罪行為に対して、引き続き厳正に対応していくことは当然です。

現実化した「心は女」事件を受け、自民・稲田朋美氏が回答「LGBT理解増進法とは関係ない」 慎重・反対派の対応策は
2023.11/17 11:48
https://www.zakzak.co.jp/article/20231117-P57FMCHY35LKPGG4CZ5ZUCXQYA/
三重県桑名市の温泉施設の女性風呂に
「心は女」
と主張する男が侵入した事件が波紋を呼んでいる。
多数の慎重・反対論を押し切り2023年6月に施行したLGBT理解増進法については、
「性自認は女性」
と主張する男性が女性スペースに入り込み、女性や女児に危険が及ぶリスクが指摘されている。
推進派だった議員は、懸念された事態が現実化したことにどう答えるのか。
慎重・反対派は如何なる対応策を進めるのか。
それぞれに聞いた。
「事案の詳細を承知しませんが、(LGBT)理解増進法とは関係ないようです」
夕刊フジが2023年11月16日、同法制定に積極的だった自民党の稲田朋美衆院議員に事件への受け止めを聞いたところ、稲田氏側は書面でこう回答した。
稲田氏は2023年4月2日、X(旧ツイッター)上で
「心が女性で身体が男性の人が女湯に入るということは起きない」
などと書き込んでいた。
三重県の事件では、男は女装で侵入し、
「心が女なので、なぜ女子風呂に入ってはいけないのか全く理解できない」
と供述しているという。
事件を受け、インターネット上では稲田氏の発信や姿勢に批判が集まっている。
夕刊フジは質問状で
「説明機会を設けるか」
や、
「法整備など今後取り組むべき課題」
についても聞いた。
稲田氏は従来の主張を崩さなかった=回答全文は別稿。
■滝本弁護士『トランス女性』が女性風呂に入りやすい雰囲気になった
女性の安心安全を目指す
「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」
の世話役を務める滝本太郎弁護士は
「理解増進法により、性自認が女性で体が男性の『トランス女性』が女性風呂に入りやすい雰囲気になったことは認めざるを得ないのではないか」
「司直も逮捕や起訴に及び腰になったり、身体検査や収監の際に厄介な問題も生じかねない」
「厚労省の管理要領は公衆浴場についてのものだが、今後は女子トイレも課題となる」
「女性スペースを守る法整備が急務になる」
と語った。
■片山氏「女性の不安を取り除く明確な対応策が必要だ」
事件を受け、夕刊フジのインタビューに応じた自民党の片山さつき元地方創生担当相は
「今回のような事例の発生は当然、想定された」
「弱者である女性のスペースを確保する法律、ガイドラインを早急に整備せねばならない」
と強調した。
片山氏は同法成立前、今回のようなリスクに警鐘を鳴らしてきた。
施行後は、自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
を立ち上げ、トイレや更衣室などでの「女性専用スペース」の確保や、女性競技への参加を生来の女性に限るための取り組みを進めている。
最高裁は2023年10月、性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する際に生殖能力をなくす手術を受ける必要があるとする法律の要件について、違憲と判断した。
三重の事件のようなケースで警察が難しい判断を迫られる恐れがある。
片山氏は
「LGBT理解増進法の成立後、三重県のような件が増えたとの指摘がある」
「最高裁の判断も社会の認識に影響を与える可能性がある」
「女性の不安を取り除く明確なメッセージ、対応策が必要だ」
と語った。
■稲田朋美衆院議員の回答全文は次の通り。

事案の詳細を承知しませんが、理解増進法とは関係ないようです。
公衆浴場や温泉施設の利用に関して厚労省が管理要領を定めており、男女の判断基準は身体的特徴によるものとすることになっています。
これは理解増進法が制定される前後で全く変更はありませんし、法制定前も後も犯罪であるということをX上などで繰り返し申し上げてきました。
いずれにせよ犯罪行為に対して、引き続き厳正に対応していくことは当然です。

有本香の以読制毒
「心は女」の男、女性風呂に入って逮捕 LGBT法をゴリ押しした議員に説明を求める 稲田朋美氏はなぜ馬鹿げたことを
2023.11/16 11:32
https://www.zakzak.co.jp/article/20231116-EZZQ5V2RARKBFCKIW7BGTSRA4U/
恐れていたことが遂に起きた。
2023年11月13日、三重県桑名市にある温泉施設の女性風呂に入ったとして、43歳の男が逮捕された一件だ。
男は女装して受付を通り、浴場で体を洗っていたという。
逮捕後、男は
「心は女なのに、なぜ女子風呂に入ってはいけないのか、全く理解できません」
と供述しているという。
2023年6月、国会で強引に可決成立させられたLGBT理解増進法の理念≠ニやらに則り、仮にこの一件が不起訴にでもなれば、今後警察は類似事件での逮捕を躊躇するようになるだろう。
同法が、その後の、性別を巡る最高裁判決にも影響したことを考えれば当然の帰結である。
天下の悪法によって、日本の女性、女児の安全が脅かされつつある。
女性は温泉はもちろん普通の銭湯や、公衆トイレも容易に利用しにくくなる。
ネット上のX(旧ツイッター)では、
「稲田朋美」
「稲田さん」
がトレンド入りした。
LGBT理解増進法制定に積極的だった、自民党の稲田朋美議員の発言映像とX投稿が掘り起こされ、
「責任を取れ」
という声が溢れた。
稲田氏の発信はこうだ。
「公衆浴場における衛生等管理要領では浴場と脱衣所は男女を区別することになっています」
「厚労省によればこの男女は身体的特徴による区別を指します」
「従って心が女性で身体が男性の人が女湯に入るということは起きません」
「また理解増進法を制定することでこのようなルールが変わることもありません」
(2023年4月2日のX)
稲田氏が
「起きません」
と断言したことが、今、起きている。
もっとも、市井の国民の多くはこうした事態が起きることを当たり前に予測していたのだが、弁護士資格を持つ、法律のプロである稲田氏は何故、こんな馬鹿げたことを言ったのだろう。
ふと13年前、中国資本による土地買収の件で、稲田氏にインタビューした時の事を思い出した。
新潟で浮上していた中国総領事館の用地買収問題について、氏はこういった。
「法律はこちらにとって良いように読めば(解釈すれば)いいんですよ」
「条約だって同じ」
「日本の国益に適うように読めばいい」
私はこの発言を頼もしく思う一方、危うさを感じた。
稲田氏はLGBT理解増進法制定の過程でまさに、
「自分にとって良いように」
公衆浴場のルールを読み、法律案を読もうとしていたのではないか。
自民党の熱烈支持者の中には、
「変質者は逮捕されたのだから問題ない」
と強弁する人々がいる。
これこそ、とんでもないことだ。
本来、ルールは社会の秩序を守るために制定されるもの。
その大原則が一部の者の思い込みや利益のために歪められるなら、これは私たちの社会の重大な危機である。
稲田氏をはじめとするLGBT理解増進法をゴリ押しした議員、特に与党議員らに説明を求める。
そして、もちろん法改正を求める。
ダンマリを決め込むなら、国会議員のバッジを直ちに外してもらいたい。

性自認に基づく性別変更制度導入を否定 自民有志の議員連盟が声明「日本にはそぐわない」
2023/11/9 18:53
https://www.sankei.com/article/20231109-YDU7VYTRKZPFLFEKCKNOW64O2A/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」
は2023年11月9日、国会内で総会を開き、海外の一部で導入されている、性自認に基づく性別変更を可能とする制度に否定的な声明を取りまとめた。
「心理的な性別だけで性別変更を認める制度は、日本にはそぐわない」
と指摘した。
戸籍上の性別変更の際に生殖能力の喪失を要件にした性同一性障害特例法の規定を憲法違反と判断した最高裁の2023年10月の決定については
「何らかの法改正を行う必要がある」
と明記した。
ただ、生殖不能要件が撤廃されれば、妊娠や出産が可能な戸籍上の男性が登場しかねず、声明は
「現行の多くの法令との整合性が取れない事態に陥らないか」
として関連省庁を挙げた対応を求めた。
法改正の議論では、生殖不能要件撤廃の妥当性や、新たな要件の可否などを検討する方針も示した。
議連の片山さつき共同代表は総会の冒頭、最高裁決定について
「性別の取り扱いの変更と社会一般の受け止めの調整を図り、立法府の責任を発揮していく」
と述べ、議連として対応に力を入れる考えを強調した。

自民・女性守る議連「心理的性別だけで性別変更そぐわない」手術不能要件違憲決定に
2023/11/9 14:50
https://www.sankei.com/article/20231109-FUOKJUBEJJGNPPYJG5PPOVV3C4/
自民党有志議員で作る
「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」(略称・女性を守る議連)
は2023年11月9日、性自認に基づく性別変更を可能とする
「ジェンダー・セルフ・ID制」
の導入に否定的な声明をまとめた。
「心理的な性別だけで法律上の性別変更を認める制度は、LGBT理解増進法が成立したばかりで理解増進の流れを醸成していく段階にある日本にはそぐわない」
と指摘した。
議連は、最高裁が2023年10月25日に性同一性障害者が性別変更する上で生殖能力の喪失を要件とする性同一性障害特例法の規定を憲法違反と判断したことを受け、国会内で会合を開き、声明をまとめた。
約20人が参加した。
最高裁の決定に伴い、与党内では特例法の改正など対応に当たる必要性が共有されている。
一方、
「生殖不能要件」
が完全に撤廃されれば、妊娠や出産が可能な法的な男性が登場しかねない。
声明も、
「何らかの法改正を行う必要がある」
とした上で、
「現行の多くの法令との整合性が取れない事態に陥ることとならないか、危惧される」
と指摘し、内閣の責任で関連省庁を挙げた法令の調査の必要性を訴えた。
議連の共同代表を務める片山さつき元地方創生担当相は会合の冒頭、
「性別の取り扱いの変更と、社会一般の受け止めの調整を図りつつ、立法府に身を置く者の責任をフルに発揮しないといけない」
と強調した。
共同代表の山谷えり子元拉致問題担当相は、
「先行する欧米が修正する混乱に周回遅れで敢えて突っ込み、社会的分断や対立を起こすことにならないかを考えねばならない」
と訴えた。

<独自>千葉県の多様性条例案、LGBTに「懸念」175件 意見公募の内容判明
2023/11/7 21:26
https://www.sankei.com/article/20231107-PW4RQ3NHGNPKHNJOWJBQFB6364/
千葉県が
「(仮称)千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」
の骨子案へのパブリックコメント(意見公募)への意見提出状況をまとめたことが2023年11月7日、分かった。
669人・団体が提出し、延べ1279件の意見があったとしている。
2023年12月議会に条例案を提出する方針の県は、各会派に2023年11月8日、意見提出状況など条例案について説明する予定。
意見提出状況では、単純な賛成、反対の集計は困難であるとして、主な意見に分類し、件数(暫定値)などを紹介している。
主な意見の内訳では
「条例の趣旨に賛同」47件、
「条例制定後の施策への期待」42件、
「条例制定に対する懸念(外国人関係)」81件、
「条例制定に対する懸念(LGBT関係)」175件、
「『性自認』の文言を修正・削除すべきとの意見」42件、
「条例化する必要性がないとの意見」112件、
「時期尚早・議論不足との意見」58件、
「社会の活力向上や活躍よりも、その人らしく生きられることや生きづらさの解消を重視すべきとの意見」155件、
「差別禁止や罰則規定を設けるべきとの意見」44件、
「男女共同参画条例に関する意見」56件。
趣旨に賛同では
「在住外国人が増える中、今まさに必要とされている」
など2つの意見を紹介した。
施策への期待では
「性別を問わず、法律婚を選ばなかったカップルの権利を守るパートナーシップを県全体で認めていただく流れになることを期待している」
といった3つの意見を紹介している。
一方、外国人関係の懸念では
「外国籍の人による様々な問題が起きており、課題解決が先ではないか」
など2つの意見を載せた。
LGBT関係の懸念に関しては
「性自認を主張するだけでそれが尊重されることには反対」
「一般的な県民や女性や子供の安全な暮らしが損なわれ性犯罪などの可能性が増加してくると思われ不安」
など2つの意見を記している。
条例化する必要性がないとの意見では
「日本は元々多様性に富んだ国柄なので、わざわざ条例は作る必要はない」
など2つを紹介した。
その他として、
「東京2020五輪・パラリンピック県内開催、成田空港の機能強化、道路ネットワークの整備進展は、多様性尊重と関係ないのではないか」
といった3つの意見が示されている。
集計では、参考値として女性407▽男性211▽団体21▽不明30−から意見が寄せられたと明記している。
県政策企画課は取材に対し、
「2023年11月22日の議会開会の前には集計結果の詳細を公表したい」
と応えた。

性別適合手術は受忍限度内の措置
正論 2023年12月号
麗澤大学教授 八木秀次
「性同一性障害者の取扱いの特例に関する法律」(特例法)は、家庭裁判所が性同一性障害者の請求によって、その者の性別の取扱いの変更を審判する際に5つの条件を定めている。
@18歳以上であること(年齢条件)
A現に婚姻をしていないこと(未婚条件)
B現に未成年の子がいないこと(子無し条件)
C生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること(生殖不能条件)
Dその身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること(外観条件)
5つの要件を全て満たし、性同一性障害に係る医師2名の診断書の提出がなされれば、家庭裁判所はその者の性別を変更する審判をすることができる。
審判を受けた者は、民法その他の法令の適用について、他の性別に変わったものと見做され、変更した性別による婚姻や養子縁組等が可能となる。
尚、審判前に生じた身分関係や権利義務関係への影響はないとされている。
2020年末までに性別の取扱いの変更を行った者は累計で1万301人になる(「日本性同一性障害・性別違和と共に生きる人々の会」調べ)。
5つの要件のうち、CDを合わせて性別適合手術と言うが、現在、最高裁でその合憲性が争われている。
大法廷が2023年10月25日に決定を出す予定になっており、2023年9月27日には申立人(男性)側の弁論が行われた。
判断次第では手術要件が撤廃されるが、親子関係などの社会秩序や性別で区別される制度・慣行を揺さぶり、社会を大きく混乱させる可能性がある。
性別適合手術とは、精巣や卵巣などの生殖腺の切除(C)と、例えば、男性から女性への性別移行には陰茎の切除(D)を指す。
女性から男性への性別移行には男性ホルモンの投与で陰核が肥大し陰茎に近似した形状になるため、男性から女性への性別移行よりも負担が少ない例が多い。
性別移行には身体を傷付ける手術を必要とすることから憲法13条(個人の尊重、幸福追求権)と14条1項(法の下の平等)に反すると主張されている。
2023年10月12日、静岡家裁浜松支部は
「生殖腺を取り除く手術は、生殖機能の喪失という重大で不可逆的な結果をもたらすもの」
で、
「性別変更のために一律に手術を受けることを余儀なくされるのは、社会で混乱が発生する恐れの程度や医学的見地から見ても、必要性や合理性を欠くという疑問を禁じ得ない」
と、Cの生殖不能要件を違憲とし、無効とする決定を出した。
最高裁判断に先立ったもので注目される。
■性自認と生殖能力は別物
最高裁は同じテーマについて2019年1月23日、第2小法廷で
「現時点では、憲法13条、14条1項に違反するとまでは言えないものの、その疑いが生じていることは否定できない」
としたため、約5年後に改めて大法廷で結論を出すことになった。
2019年時点で最高裁が性別適合手術を是認したのは
「変更前の性別の生殖腺により子が生まれることがあれば、親子関係等に関わる問題が生じ、社会に混乱を生じかねない」
からだった。
明示はないが、性自認と生殖能力は別物で、性自認は生物学上の性別から別の性に変わっても、変更前の性別の生殖腺が残れば、それに伴う生殖能力が残るとの認識があるものと考えられる。
また、性自認は変化する。
即ち性同一性障害者を含むトランスジェンダーであった者が生物学上の性別に伴う性自認に戻るケースも多く確認されているという事情への理解も前提にあったものと思われる。
生物学上の性別に伴う性自認に戻るケースが多くあることは、米国のトランスジェンダーの相談サイトの主宰者ウォルト・ヘイヤー氏が本誌で語っている(「『男→女→男』の私が言う『性』は変えられない」『正論』2022年5月号)。
同氏は自らも元トランスジェンダーでこれまで1万人以上の相談を受け、性自認が元に戻るケースを多く確認している。
その意味では性別適合手術は元の性別に伴う生殖能力を完全に失わせ、子が生まれることがないようにするための不可逆的な措置だと考えられる。
法律上の性別を変更した以上、変更前の性別に伴う生殖能力は完全に失わせ、肉体を変更後の新しい性別に近似させ、たとえ性自認が生物学上の性別に伴うものに戻ったとしても、再び法律上の性別変更がないようにするための措置だと考えられる。
性別適合手術を行い、その後は生涯に渡って変更後の性別で生きていくことを決意させる措置とも言える。
本人の性自認を尊重する考え方からすると、性自認に合わせて法律上の性別を変更しても構わず、身体を傷付ける性別適合手術を要件とするのは苛酷ではないか、ということにもなろう。
性別適合手術は社会保険適用がなく、高額な自己負担が必要にもなる。
同情の余地がないわけではないが、問題はそう簡単ではない。
■性別の概念が壊れるケースも
2019年に最高裁が
「変更前の性別の生殖腺により子が生まれることがあれば、親子関係等に関わる問題が生じ、社会に混乱を生じかねない」
として性別適合手術を合憲とした際には具体例を示していないが、性別変更前の生殖腺を残したまま法律上の性別変更ができ、婚姻も可能であれば、以下の事例が生じ得る。
1)「女性から男性に性別変更した人」(FtM)が女性との間に非配偶者間人工授精(AID)で第三者の男性の精子提供で子を儲ける場合、法律上は夫の摘出子となるが、その子の法律上の父は女性の生殖腺を残した生物学上、女性である。
外見が女性であることも考えられ、性自認も元の女性に戻る可能性もある。
事実上の女性同士による同性婚ともなる。
2)「女性から男性に性別変更した人」(FtM)が女性と結婚するが、自分も子を産みたいとして第三者の男性の精子提供で出産した場合、生まれた子の母は法律上、男性である。
この場合も性別変更前の女性の生殖腺を残していることから妊娠・出産は可能である。
外見が女性であることも考えられ、性自認が元の女性に戻ることも考えられる。
事実上の女性同士の同性婚であり、双方が妊娠・出産する場合も考えられる。
3)「女性から男性に性別変更した人」(FtM)が女性と結婚するが、不貞行為によって第三者の男性との間に子を儲けた場合、子の母は法律上、男性である。
この場合も性別変更前の女性の生殖腺を残していることから妊娠・出産は可能となる。
性自認が元の女性に戻ることも考えられる。
この場合も不貞行為は別として、女性の生殖腺を持つ者同士の関係であり、婚姻の段階で同性婚が成立していることになる。
4「男性から女性へ性別変更した人」(MtF)が男性と結婚するが、不貞行為によって第三者の女性を妊娠させ、出産した場合、子の父は法律上、女性である。
この場合は男性の生殖腺を残していることから第三者の女性を妊娠させることは可能となる。
外見が男性で性自認が元の男性に戻る場合もあり、この場合は事実上の男性同士の同性婚となる。
5)「男性から女性へ性別変更した人」と「女性から男性に性別変更した人」が結婚して子を儲けた場合、子の母(出産した者)は法律上、男性であり、父は戸籍上、女性となる。
男女が逆転しているケースだが、共に性別変更前の生殖腺を残していれば、元の性別での生殖能力により、妊娠・出産できる。
外見が元の性別のままであり、性自認も元の性別に戻る場合もある。
こうなれば、最早性別は意味を持たなくなる。
性別の概念自体が壊れる。
実際には稀なケースだろうが、生じない可能性はない。
性別変更前の生殖腺が残っており、それに伴う生殖能力が維持されていれば、十分に生じ得るケースだ。
まさに
「親子関係等に関わる問題が生じ、社会に混乱を生じかねない」
事例と言ってよい。
その間で生まれ育つ子供の福祉についても考慮しなければならない。
少数でも生じれば、受け入れるよう家族制度全体の変更も余儀なくされる。
1)について補足しておくと、性別変更によって女性から男性となった人(夫)の妻がAIDによって第三者の提供精子で子を懐胎・出産した場合、かつては、その子の夫の摘出でない子(非摘出子)として取り扱ってきた。
しかし、最高裁第3小法廷は2013年12月10日に
「性別の取扱いの変更の審判を受けた者については、(中略)一方でそのような者に婚姻することを認めながら、他方で、その主要な効果である同条(民法第772条)による摘出の推定についての規定の適用を、妻との性的関係の結果儲けた子であり得ないことを理由に認めないとすることは相当ではない」
との決定を出し、法律上、夫の摘出子となるとした。
夫の摘出子としなくとも、特別養子縁組で法的な親子関係を生じさせることもできる。
それを敢えて夫の摘出子と正面から認めることで生物学上は女性である父親の存在を公認したことになった。
この問題は本誌でも西部邁氏との対談で批判したところだ(「《対談》何サマや最高裁!婚外子・性転換『父』子裁判の浅慮と傲慢を糺す。」『正論』2014年3月号)。
■性別の再変更による混乱
2013年の時点では最高裁は性別適合手術を行って女性には再び戻らない存在を法律上の父と認める判断をしたが、10年後には性別適合手術の撤廃を求める判断をし、女性の生殖腺を維持し、場合によっては外見や性自認も女性のままの法律上の父を認めることになるかもしれない。
これは
「女性の肉体をした法律上の父親」
「男性の肉体をした法律上の母親」
を誕生させるなど親子関係を混乱させる。
しかし、実は既に元女性で現在は男性の母や元男性で現在は女性の父は存在する。
特例法が規定する5つの要件のうちの
「B現に未成年の子がいないこと(子無し要件)は2003年の制定当初は
「現に子がいないこと」
とされていたが、2008年に現行の規定に改正された。
当初の
「現に子がいないこと」
との要件は
「女である父」

「男である母」
が生じることによる家族秩序の混乱や子の福祉への影響を懸念する議論に配慮したものだった。
最高裁も2007年10月19日、第3小法廷で
「(この規定は)合理性を欠くもとは言えないから、国会の裁量権の範囲を逸脱するものと言うことはできない」
と合憲判断したが、既に子がいる性同一性障害者について一律に性別変更ができないとすることへの批判が強まり、
「現に未成年の子がいないこと」
へと改正され、要件が緩和された。
これにより成年に達した子との関係では
「女である父」

「男である母」
が生じることになった。
性別変更前の生殖腺を残したまま性別変更し、婚姻できるとすることは、1)2)3)4)の事例のように事実上の同性婚を認めることを意味する。
女性の生殖腺を維持し、外見も女性だが、法律上は男性である者と、生まれながらの女性との婚姻を可能にする。
場合によってはその法律上の男性の性自認は女性に戻っている可能性もある。
その逆に男性の生殖腺を維持し、外見も男性だが、法律上は女性である者と、生まれながらの男性と婚姻を可能にする。
場合によってはその法律上の女性の性自認は男性に戻っている可能性もある。
次には性自認が女性に戻った法律上の男性は、法律上の性別を男性から女性に再変更することを求めてくるかもしれない。
逆に性自認が男性に戻った法律上の女性は、法律上の性別を女性から男性に再変更することを求めてくるかもしれない。
もうこうなってくると法律上の性別が何を意味しているのかも分からなくなる。
現行法では性別の再変更は不可能だが、可能にする法改正を求めるかもしれない。
性別の再変更が実現すれば、法律上の女性同士、法律上の男性同士の婚姻となる。
■外見とは別の法律上の存在
最高裁は既に2023年7月11日、第3小法廷で経済産業省に勤めるトランスジェンダー女性職員が職場の執務階の女性トイレを使用することを制限されたことについて、制限は
「違法」(国家公務員法違反)
として撤回を求める判断をした。
裁判官の補足意見には
「(原告は)性別適合手術を受けておらず、戸籍上は尚男性であっても、経済産業省には、自らの性自認に基づいて社会生活を送る利益をできる限り尊重した対応を取ることが求められていた」
[宇賀克也裁判官(学者出身)]
「自認する性別に即した社会生活を送ることは、誰にとっても重要な利益であり、取り分けトランスジェンダーである者にとっては、切実な利益であること、そして、このような利益は法的に保護されるべきものと捉えること」
[長嶺安政裁判官(外交官出身)]
とする意見もあった。
本人の性自認の尊重を
「切実な利益」
「法的に保護されるべき利益」
と擁護している。
この判決の原告は性別適合手術を健康上の理由から受けていない。
宇賀裁判官は補足意見で
「性別適合手術は、身体への侵襲が避けられず、生命及び健康への危険を伴うものであり、経済的負担も大きく、また、体質等により受けることができない者もいるので、これを受けていない場合であっても、可能な限り、本人の性自認を尊重する対応を取るべきと言える」
と性別適合手術要件の撤廃を主張している。
性別適合手術が不要になれば、専門医の診断が必要であるが元の生殖腺や外性器を残したまま性別変更ができる。
そうなれば、これまでの性別概念は崩れる。
生殖腺や外性器で判断せず、本人の性自認を重視することになれば、男性の外見をした法律上の女性や女性の外見をした法律上の男性が存在することになる。
生殖腺や外性器、外見などで男女の性別を区別してきた性別概念が意味を持たなくなり、性別を前提とした社会制度や慣習が瓦解する。
性自認を虚言して性別変更すれば、同性婚も可能だ。
性自認や外性器を残したままであれば、性自認は別として生殖能力もある。
■性自認は主観的な領域
性自認は心の問題で優れて主観的な領域だ。
性自認が固定せず、流動的な人もいるとされ、極端な場合は日替わり、ある時は男性、またある時は女性という場合もある。
更に性自認と性的指向は必ずしも対応せず、様々な組み合わせがある。
性自認を女性とする自分や女装した自分に、男性として性的に興奮を覚えるというケースもある。
性的嗜好(好み)は多様で、性自認だけを取り上げて尊重すればよいというものでもないらしい。
例えば、トランスレズビアンと呼ばれる生物学上は男性だが性自認は女性で性的指向は女性に向かう人たちは、性別適合手術をしていない場合が多数だが、彼らには男性の生殖能力があり、かつ女性を性愛の対象にする。
性自認の尊重が
「法的に保護される利益」
となれば、こういった人たちの性自認は可能な限り尊重されなければならない。
性自認は女性であるからトイレを含む女性専用スペースへの立ち入りも認められなければならない。
しかし、生まれながらの女性には拒否感情や恐怖の念がある。
男性の生殖能力や性欲を持つことへの恐怖心だ。
海外では女性刑務所にトランスレズビアンを収容し、女性受刑者がレイプされ、妊娠した事件もある。
女子スポーツ界へのトランスジェンダー女性の参入についても、性別適合手術が不要になれば、男性の生殖能力や外性器を持つ人たちを女性として受け入れることになる。
体格や心配能力、腕力が一般の女性より優れていることに加えて、男性ホルモンを分泌しており、闘争心が強い。
スポーツの公平性が問われる。
性別適合手術は身体を傷付ける外科手術であり、当人には苛酷だが、変更した性別で生きることと社会を混乱させないことを両立させるための不可避の受忍限度内の措置と言える。
最高裁には社会全体の在り方を考えた賢明な判断を期待したい。

産経抄
国会と司法にはびこる善魔たち 
2023/11/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20231104-62SHDIERSRM4DJIFPLB3LIAKEQ/
芥川賞作家、遠藤周作さんは度々悪魔ならぬ
「善魔」
という言葉を用いた。
特徴は
「自分以外の世界を認めないこと」

「他人を裁くこと」
だと遠藤さんは述べている。
「自分の愛や善意の感情に溺れ、眼が眩んで自己満足しているのだ」。
日本社会では今、この善魔が跋扈してはいないか。
▼性的少数者らへの理解増進を図るLGBT法成立に始まり、心と体の性が一致しない経産省のトランスジェンダーの女性に、職員女性用トイレ使用を制限するのは違憲だとし、更に戸籍上の性別変更に、生殖不能手術を条件とする特例法条項を違憲とした一連の最高裁判決…。
背景に国会議員や判事の善意があるのは事実だろう。
▼だが、この急速な動きは意見や立場が異なる人々を置き去りにする結果となり、新たな対立と分断を生んだ。
社会の変容に息苦しさを覚える者にとっては、
「悪意のように見える不遜な善意もある」(哲学者、ニーチェ)
のである。
▼「当事者が警戒の目で見られ、差別が一層深まることも考えられる」。
性適合手術を経て女性に性別変更した
「特例法を守る会」
の美山みどり代表は、最高裁判決に憤る。
安心な場所を求める女性の権利と保護も阻害される。
▼立憲民主党の長妻昭政調会長は2023年11月2日、最高裁判決を受けて特例法改正案の国会提出を検討する考えを明らかにした。
国会は最高裁判決に対応せざるを得ないが、近年、司法は立法府に対して越権的ではないかとも感じる。
▼社会学者、ウェーバーは善からは善のみが生まれるものではなく、しばしば逆になると喝破した。
「これが見抜けないような人間は、政治のイロハも弁えない未熟児である」。
社会常識が善魔には通じないのがもどかしい。

性別手術は違憲?最高裁の立法乗っ取り 米弁護士ギブンズ
2023/11/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20231101-QG2B2I7ZZJLMNFUR27QH2ZDVLQ/
これは最高裁判所が判断すべきことなのか。
民意によって選ばれた国会が決めるべきことであり、司法による立法権の侵害なのではないか。
こう危惧せざるを得ない。
性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更するには、生殖不能にする手術などを条件とする
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(特例法)
の条項を違憲と判断した先日(2023年10月25日)の最高裁決定は、司法はあくまで国会が制定した法律を尊重すべきだという憲法原則から大きく逸脱していたと言うべきだろう。
裁判所には、国会の法律が憲法に適合しているか審査する
「違憲審査権」
はあるが、憲法13条には
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」
とあるのみである。
その曖昧な文言を用いて、特例法の条項を無効とした15人の最高裁判事の判断は、司法権の適切な領域を超え、立法権を乗っ取ろうとしているように見える。
私はここで、戸籍上の性別変更を認める条件として、生殖を不可能にする手術を義務付けることの、政策として良し悪しを問題としているのではない。
これに関しては大いに政策的な議論がなされるべきだ。
私が問いたい本質的な問題は、その政策を決定する主体は、国会と裁判所のどちらかということなのである。
戦後80年近く経つ中、日本の最高裁が法律を違憲と判断したのは、今回の事例を含め僅か12例に過ぎないが、それは、政策は国民の代表たる国会や政府が決めることであり、裁判所はあくまで憲法上の審査をする司法機関に徹すべきだいう
「司法消極主義」
という原則が守られてきたからと言ってよい。
しかし、最高裁は今回、その司法消極主義を捨て、憲法解釈を積極的に利用し、自らが政策形成の主体となろうとする
「司法積極主義」
へと舵を切った。
■利用された「違憲審査権」
憲法の曖昧な言葉の解釈を利用した司法積極主義が、極めて反民主的な結果をもたらすことは、私の母国である米国の経験からも明らかである。
米国で、人の体に宿った新しい生命を断つ中絶という行為を権利として認めるべきかという重大な問題を巡り民意が2つに分かれた時、連邦最高裁は憲法修正14条の定める
「Due Process(適正手続き)」

「Equal Protection(平等保護)」
といった抽象的で曖昧な理念に基づき、これを女性の権利であると宣言した。
そのことによって、この重大な問題は議会が判断することではなくなり、事実上、民主的な議論と交渉の場から排除されることになった。
決定権は裁判官だけに握られることになった。
つまり、国民から中絶の是非について決定する権利を奪ったのである。
また、米国で同性婚条例について、多くの州議会が民衆の支持を得られないために制定を断念した時、活動家たちは同性婚を憲法上の権利として定めるために、この問題を自分たちの意に沿うような裁判所に持ち込んだ。
つまり民主主義の結論を覆すために、司法の違憲審査権が利用されたのである。
今回の日本の最高裁による違憲判断は、これらと何ら変わることはないものと言えるが、判断を下した最高裁判事たちは、その重大さを全く認識していない。
その決定が如何に従来の司法権の範囲を超えた急進的なものだったか。
判事たちが新たな政策決定の主体になろうとしたか。
15人の判事が、過去の判例を覆した点に注目すべきだろう。
今回の決定では、前述の曖昧な憲法13条の文言について
「自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由」
を保障するものだとした上で、性別変更を求める人に手術などの条件を付ける特例法の条項は、その自由を制約するのだという論理が展開されている。
しかし、4年前の2019年、同じ最高裁はこの条項について
「意思に反して身体への侵襲を受けない自由を制約する面もあることは否定できない」
としながらも、
「現時点では、憲法に違反するものとは言えない」
と、全く反対の合憲判断をしていた。
司法は、判事が個人の考えで法律を運用しないように、過去の判例の集積の上に立つべきものとされている。
だから通常、裁判所は極めて客観的な法的理由がない限り、自らの判例を、特にこれほど短期間で覆すことには消極的だが、今回の15人の判事たちは、4年前の2019年の判断の破棄を正当化するため、2つの理由を述べた。
第1に、性同一性障害について、
「医学的知見が進展」
し手術は最早必ずしも必要な治療とは言えなくなったこと。
しかし、性同一性障害患者を治療するために、手術が必須ではなくなったことと、戸籍上の性別を変更するための要件は何であるべきか、ということは全く別の話である。
これは単なる医学的な事実の問題ではなく、非常に政治的な問題なのだ。
第2に、性自認が国内外で広く尊重されるようになったこと。
要するに、2019年から2023年の4年間で社会の価値観が変わったというのだが、もしそうであれば、この新しい価値観を法律に反映させる適切な機関は裁判所ではなく、国民の声を直接聞く機能を持つ国会である。
時代遅れとなった法律の改正の責任は国会にあるのだ。
■民主的な議論はどこへ?
今回の最高裁の決定は、実に広範で厄介な影響を及ぼすことになるだろう。
最高裁は、性自認によって自らの性別を選択する権利が憲法上の権利であると明言しているわけではないが、そのことを強く示唆している。
だとすれば、性同一性障害者に対し手術以外にも性別変更に条件を付けている現在の特例法は、今後も違憲訴訟の対象となり、存在意義が問われることにもなる。
だからといって、国会が特例法を完全に廃止すれば、今度は性同一性障害者の性別変更手続きを正当化する法的根拠はなくなる。
それが憲法13条違反になるだとすれば、国会は新たな法制定を求められることになる。
その意味では、最高裁の判断は、司法が国会に法制定を命じているに等しい。
最高裁の論理は、それだけに止まらず、例えば同性婚を巡る議論にも影響を与え得る。
現状では、同性婚は憲法上保障されていないというのが国の立場だが、それも揺らぐことになり得る。
もちろん、性同一性障害や同性婚を巡る議論も、国会が民主的な議論の末に結論を出すならば、それは、どんなものであっても最終的には認めざるを得ない。
ただ、世論が大きく分かれるこのような重大な問題を、選挙で選ばれたわけでもない裁判官が決定するのは誤っている。
国民は個々の裁判官についても、彼らがどのような理由で選ばれたのかについても、全くと言っていいほど知らされていない。
その彼らが、本来、民主的議論で決められるべきことを、自分たちだけで決めるのは、国民に対する反逆と言わざるを得ない。
最高裁の唐突な司法積極主義への傾倒に、日本国民は抗議すべきである。

「15人で国の根幹変えてよいのか」ジャーナリストの櫻井よしこ氏、性別変更手術要件の違憲決定に
2023/10/25 20:05
https://www.sankei.com/article/20231025-NQVS2A2S6JMJNCKNLNQTMACDU4/
性別変更に生殖機能をなくす手術が必要だとする性同一性障害特例法の規定を最高裁が2023年10月25日の決定で違憲としたのは、要件を外すことに反対する性同一性障害当事者の多くの意見が無視されたものだ。
強い違和感と危惧を覚える。
決定の多数意見には
「(特例法施行後)これまでに1万人を超える者が性別変更審判を受けるに至っている中で、性同一性障害を有する者に関する理解が広まりつつあり」
とある。
だが、自らも手術を受けて性別を男性から女性に変更した
「性同一性障害特例法を守る会」
の美山みどり代表らは、1万人以上が手術を受け、手術要件が社会制度として定着しているにもかかわらず、手術をせずに男性の姿のままで女性であるということが通じるのは良くないと主張してきた。
美山氏らは、手術要件が違憲となれば
「女性専用スペースに男性器のある女性が入ることが可能になったり、出産する男性が出てきたりして社会が混乱する」
とも訴えてきた。
多数意見は
「手術を受けずに性別変更審判を受けた者が子をもうけることにより親子関係等に関わる問題が生ずることは、極めて稀」
としているが、
「混乱は限定的だから無視してもいい」
という理屈は成り立たない。
15人の最高裁裁判官が幾百世代も繋がって来た日本の価値観や社会の根幹を変えようとしている。
たった15人の判断でこんなに大事なことを変えていいのだろうか。
日本では最高裁の裁判官について1人1人のキャリアや考え方など詳細な情報はほとんど知られていない。
指名・任命権は内閣にあるが、弁護士会枠や外務省枠などがあるのが実態だ。
法律は日本国民の望む方向に社会を作っていくためのものだ。
何故こんなに多くの国民が不安を感じ、多くの女性が信頼できないと思っているような方向に社会を変えていくのか、理解できない。
最高裁の裁判官は国会同意人事にすべきだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/214.html#c21

[政治・選挙・NHK296] 日本を構造的に腐らせたマーケティングとプロパガンダ 適菜収「それでもバカとは戦え」(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
47. 秘密のアッコちゃん[1124] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月30日 13:14:35 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[562]
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年収103万円の壁@ 阿修羅掲示板
「103万円の壁」動かす財源は存在する 過去最高の税収とムダな基金を還元せよ
2024/11/30 12:00
https://www.sankei.com/article/20241130-KBSNX5VYVFLP3FXYFE3GSCCZKI/
政府の経済対策に、国民民主党が衆院選で訴えていた
「年収103万円の壁」
の引き上げが盛り込まれた。
パート労働者の働き控えなどをなくし、消費や経済の活性化に繋げる狙いがある。
これに対して、
「税収が7兆円以上減る」
とする反発が政府内で根強い。
だが、国や地方の税収全体は増え続けている上、毎年度のように予算の使い残しがあり、基金のムダな運用も指摘される。
政府は労を惜しまずムダ遣いを炙り出し、壁の十分な引き上げの財源に回して国民へ還元すべきだ。
■所得税を払い始める分岐点
「ついに『壁』が動きました」
「皆さんの1票が30年動かなかった壁を動かしました」
「でもまだ数センチ」
「勝負はこれから」
国民民主の玉木雄一郎代表は2024年11月20日のX(旧ツイッター)にこう書き込んだ。
この日、自民党、公明党、国民民主の3党は壁の引き上げを経済対策に盛り込むことで合意。
2025年度税制改正で対応する。
引き上げの狙いは
「『減税』『社会保険料の軽減』『生活費の引き下げ』で、皆の手取りを増やす」(国民民主の衆院選公約)
ことだ。
同党は103万円から178万円への引き上げを求めているが、実際の額はこれから調整する。
年収103万円は、企業などで働く人が、所得税を払わなくていいか払わなければならないかの
「分岐点」
だ。
所得税には、収入や所得から一定の額を引いて税負担を軽くする
「控除」
の制度がある。
給料を貰っている人は
「給与所得控除」
を最低55万円から受けられる。
加えて、年間の所得が2400万円以下なら、原則全ての納税者が対象の
「基礎控除」
を一律48万円受けられる。
つまり、年収が
「55万円+48万円=103万円」
を超えると所得税を払わなければならなくなる。
103万円を超えて税負担が増え、手取り収入が減らないよう、年末に働くのをやめるパート主婦なども少なくない。
これが、いわゆる
「103万円の壁」
の問題だ。
企業からも
「人手不足の中、12月の一番忙しい時パートが来ないと厳しい」(和食チェーン経営者)
などとし、引き上げを期待する声が上がっている。
■法人税伸び、消費税も堅調
ただ、政府内では178万円への引き上げに反対が出ている。
試算では、引き上げによって国と地方の税収が合計7兆〜8兆円減るからだ。
自治体の反発も強く、全国知事会で地方税財政を担当する河野俊嗣宮崎県知事は2024年11月6日、自民党の森山裕幹事長へ税収減に対する懸念を伝え、記者団にも
「物価高や賃上げへの対応が必要な中で、大きな減収だ」
と訴えた。
ただ、
「この程度の税収減なら、賄えるだけの財政の体力は国にある」
との指摘は多い。
まず、近年、新型コロナウイルス禍などがあったにもかかわらず、国の税収全体が増え続けているからだ。
2023年度の国の一般会計の税収は72兆761億円と4年連続で過去最高に。
企業の業績が良く法人税収が伸びたことに加え、消費税収が堅調だったことも後押しした。
4年前の2019年度(約58兆4千億円)からは、13兆円以上も膨らんでいる。
経済ジャーナリストの荻原博子さんは
「景気に左右されない消費税の存在が大きい」
「今後、景気が悪くなることがあっても税収を支えるだろう」
と語る。
地方の税収も伸びており、2023年度の都道府県と市町村の税収は、国からの譲与分も含め合計45兆7千億円で、やはり過去最高を更新する見通しとなっている。
また、国は税収増と並行し、支出に当たる一般会計予算の規模を毎年度広げてきた。
しかし、使われなかった予算もあり、2023年度の場合、盛り込まれたが
「不用」
になった額は6兆8910億円に達した。
「税収はバブルのような状況」
「しかしそれを無駄な支出に回すのでなく、年収の壁の引き上げなどに使って私たち国民の暮らしへ回すべきだ」。
荻原さんはこう強調する。
一方、荻原さんが指摘するのは、政府が作り続けている基金の存在だ。
■「利権の温床」改革が必須
基金は、独立行政法人などが国からの補助金を原資として、特定の使い道のため、他の財産と区別して持っているお金。
「一旦作られると省庁や独立行政法人などの裁量で動かせ、ムダな運用がある」
「実態が不透明」
「族議員などの利権の温床になる」
と批判されてきた。
2019年度に2兆円台だった国の基金の残高は2022年度末に16兆6千億円まで膨張。
さすがに政府は改革に乗り出し、今年2024年4月、152基金の200事業を点検して、使う見込みがない5466億円を国庫に返納することを決めた。
原則、設置10年以内に基金を終了するとのルールも設けた。
しかし荻原さんは
「これからも無駄な基金がないかを検証して、あれば廃止すると同時に、必要でない基金を作ることをやめ、税金のムダ遣いを防ぐべきだ」
と語る。
浮いたお金は、年収の壁引き上げの財源に使うことができる。
ちなみに都道府県や市町村などの自治体もそれぞれ基金を持っており、2022年度末に合計27兆6千億円と年々増加している。
7兆円以上の税金がふところに入ってこなくなれば行政サービスの悪化に繋がる可能性もあるので、政府や自治体の反発も理解できなくはない。
しかし、政府の最大の使命は国民の暮らしを豊かにすることだ。
無駄に使っていたお金を、暮らしを豊かにする政策の財源に回すため、最大限に知恵を絞らなければならない。

<主張>103万円の壁 効果見極め制度の設計を
社説
2024/11/22 5:00
https://www.sankei.com/article/20241122-EHGADLG5HVKOTDLRJZI4T3YZUE/
自民、公明両党と国民民主党が、年収103万円を超えると所得税が課される
「103万円の壁」
の引き上げなどを経済対策に盛り込むことで合意した。
政府は2024年11月22日に経済対策を閣議決定する。
少数与党に転じた自公が、経済対策を裏付ける令和6年度補正予算案を成立させるため、手取り増を公約した国民民主の求めに応じた。
具体的な制度設計は2024年年末の税制改正に向け3党で協議する。
103万円の壁は約30年間据え置かれてきた。
物価や賃金の上昇を踏まえれば、これを引き上げること自体は理に適う。
人手不足が深刻化する中、壁を意識した働き控えをなくすためにも見直すことは妥当だろう。
ただ具体化する際には、巨額の減収を伴う措置でどれほどの政策効果が得られるのかなどを十分に吟味してもらいたい。
今後の焦点は壁の引き上げ幅だ。
国民民主は103万円を178万円まで引き上げるべきだと主張するが、その場合、国と地方の税収が7兆〜8兆円も減るという政府の試算がある。
このため全国知事会などは地方の財政運営への影響などを踏まえた議論を求めている。
国民民主が178万円に引き上げる根拠とするのは最低賃金の伸びだが、物価上昇率に基づけばそこまで引き上げる必要はないはずだ。
国民民主があくまでも178万円に拘るのなら、財源論を含む具体策を明確にする責務があろう。
手取り増による消費刺激効果も問われる。
103万円の壁が引き上げられれば、親の扶養の下で働く大学生らが恩恵を受けるが、アルバイト学生の手取り増による個人消費の伸びは103万円を178万円にした時で約3190億円になるという民間試算がある。
こうした数値を踏まえた上で制度の詳細を詰めなくてはならない。
「年収の壁」
問題には、税だけでなく、社会保険料負担が生じる
「106万円の壁」
などもある。
これらは働き方や扶養の在り方に関わる問題だ。
その根本から議論を深めてほしい。
自公と国民民主は、ガソリン減税を検討することでも合意した。
国民民主との協力が必要だとしても、国民民主が求める要望を3党の税調による協議のみに委ねる必要はない。
まずは石破茂首相が政策の方向性を明確に示すべきである。

「103万円の壁」
に対するネガティブキャンペーンとして
「高所得者に恩恵」
との批判があり、
「金額ベース」
では、年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。
加藤勝信財務相は
「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」
と述べた。
しかし、
「手取りの増加率」
で見ると年収210万円で4.3%、500万円で2.6%、2300万円で1.7%となっている。
上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は
「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率で見れば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」
「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」
「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので飲まざるを得ないだろう」
との見方を示す。

林官房長官、「103万円の壁」で減収を考慮 年内にも規正法改正に向け議論を推進へ
2024/11/17 14:47
https://www.sankei.com/article/20241117-HAHJAOIZW5IWLIEVDXFIDB77TI/
林芳正官房長官は2024年11月17日のNHK番組で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
見直しについて
「国と地方の減収が見込まれ、高所得者ほど減税の恩恵が大きい」
「この辺りを総合的に考慮して決めていく」
と述べた上で、与党と国民民主党の協議に協力するとした。
政治資金規正法は、2024年年内にも必要な法制上の措置が取れるように議論を推進する考えを示した。
少数与党となった国会運営に関し
「各党と着地点をしっかり探りたい」
「国民に分かりやすく説明することに意を用いる」
と強調。
各党から様々な主張が出て政策の決定過程が
「見える化されている」
とも指摘した。

減税ド正論「財源論の前に国民の生存権だ」村上総務相に榛葉節≒y裂 「103万円の壁」撤廃で税収減主張に「取り過ぎた税金を国民へ返す」
2024.11/16 15:01
https://www.zakzak.co.jp/article/20241116-ZUZS6G6XKNM3JBG52I5RDTCXXY/
国民負担の軽減策として浮上した
「年収103万円の壁」
の撤廃を巡り、地方自治体側が
「地方税が減収となる」
と訴えて相次いで反対を表明している。
これに対し国民民主党の榛葉(しんば)賀津也幹事長(57)は2024年11月15日の記者会見で、
「地方財政に悪影響を与えることは絶対させない」
「財源論の前に国民の生存権だ」
と強調した。
国民民主党は基礎控除などの非課税枠を178万円に引き上げることにより
「手取りを増やす」
と主張している。
だが、全国知事会の会長を務める宮城県の村井嘉浩知事は、住民税や地方交付税が減収になるとし
「大きく住民サービスが下がる」
と反対した。
石川県の馳浩知事も2024年11月15日、
「財源についてお示し頂くことが責任政党の姿ではないか」
と注文を付けた。
こうした批判に対して榛葉氏はこの日の会見で
「私も地方の議会出身」
「地方財政に悪影響を与えることは絶対させません」
「是非安心してほしい」
と呼び掛けた。
国民民主党はガソリン税を軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除も主張している。
榛葉氏は
「取り過ぎている税金を国民へ返す」
「地方はガソリンを入れないと生きていけない」
「これは憲法25条の生存権の問題」
だと述べ、地方にとってもメリットが大きいとした。
政府はガソリン代や電気料金について補助金の支給を行ってきたが、榛葉氏は
「補助金行政ではなく減税をすべきだ」
「後から補助金で返すなら最初から取らなければいい」
「何度も言いますけど財源論の前に国民の生存権です」
と熱弁を振るった。
知事らの反対論を巡っては、同党の玉木雄一郎代表(55)がテレビ番組の中で、総務省が地方自治体側に反対の表明を要請するなど
「工作を行っている」
と言及した。
村上誠一郎総務相が知事サイドに連絡し、撤廃の問題点を指摘する
「発言要領」
を作っているとも指摘した。
村上総務相は2024年11月15日の会見で、
「依頼を行った事実はない」
とし、村井知事も否定した。
榛葉氏は
「我々は今週の初めに、
『大臣から全国知事会に連絡を入れていた』
と複数の筋から確認をしている」
「私はあったんだろうと思う」
と再反論した。
2024年11月11日に玉木氏が不倫報道を巡って都内の街頭で行った謝罪について、台などに乗らず後方からは見えづらかったとして、記者から
「アリバイ作りみたいな謝罪」
と批判を受けたが、榛葉氏は
「隠れないために出てきて、皆さんと同じ地べたに足を付けて訴えた」
とフォローした。

<主張>年収の壁 首相は議論整理し説明を
社説
2024/11/16 5:00
https://www.sankei.com/article/20241116-DOPGVECZCVKUHNAOUPQ3XWSA6I/
手取りを増やすのか増やさないのか。
議論を整理し、はっきりさせねばならない。
その上で石破茂首相が説明すべきだ。
「103万円の壁」

「106万円の壁」
などの見直しのことである。
自民、公明両党の与党と国民民主党が、年収103万円を超えると所得税が発生する103万円の壁の解消を巡り協議を始めた。
国民民主は非課税枠を178万円に引き上げることを要求している。
一方、厚生労働省は社会保険料の負担が生じる106万円の壁を撤廃する方向で調整している。
パートら短時間労働者が厚生年金に加入する要件のうち、106万円以上としている賃金要件を撤廃する内容だ。
いずれの壁も働く時間を抑制する要因とされる点では同じであり、人手不足解消や働き方改革を進める上で制度の見直しは必要だろう。
ただし103万円の壁見直しは手取り増のための減税だ。
逆に106万円の壁撤廃は老後の年金給付を手厚くするため、まず保険料を払ってもらう措置である。
長い目で見れば給付増となる。
だが、当面の手取りは減る方向に働く。
これらの制度は全く別の話だが、議論のタイミングが重なり、悩ましいことになっている。
政府や国会は問題を整理する必要がある。
国民の財布は1つだ。
制度の見直しで手取りが増えるのか増えないのか、石破首相は国民に丁寧かつ分かりやすく説明せねばならない。
実質賃金の低迷が消費や経済成長の隘路となっており、国民民主が手取り増を目指すのは頷ける。
ただ、103万円を178万円まで一気に引き上げることが妥当なのか。
政府試算では、国と地方の税収が年7兆〜8兆円減るとされる。
「178万円」
は最低賃金の伸びを根拠にした数字だが、物価上昇率に基づけば、それほど大きな引き上げ幅とはならないと自民側は指摘している。
看過できないのは、国民民主が減収財源について
「基本的には与党の責任」
としていることだ。
主張を反映させたいなら財源確保策についても説得力ある提案をする責務がある。
低所得者よりも中高所得者の方が減税額も大きい。
その点も踏まえて、政策の費用対効果を見極めるべきだ。

石破政権「103万円の壁」撤廃も増税画策≠ノ警戒 手取り増と逆行、厚生年金106万円の壁撤廃へ 浮上財源論≠フ裏に財務省の影
2024.11/10 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241110-C7CIUVCNGBOYNMCXZGWC3VE6SI/
石破茂首相(自民党総裁)と、国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月11日に党首会談を開く予定だ。
自民、公明与党と、国民民主党の政策協議で最大の焦点となるのが
「年収103万円の壁」
の撤廃だ。
幅広い層に
「減税の恩恵」
があり、労働人口を増やす効果も期待できるが、冷や水を浴びせるように
「7兆6000億円の税収減となる」
といった財源論≠ェ指摘され始めた。
財務省や財政緊縮派らが減収分を取り戻そうと
「増税・負担増」
を画策することが懸念される。
現に、厚労省はパートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件
「106万円の壁」
を撤廃する方向で最終調整に入ったが、新たに保険料負担が生じる人もいる。
衆院選で大惨敗しながら
「政権居座り」
を決め込む石破首相の
「増税・負担増」
路線に要警戒だ。

自民党の小野寺五典、国民民主党の浜口誠両政調会長は2024年11月8日、国会内で政策協議の初会合を開き、
「年収の壁」
の見直しへ向け、来週に両党の税調会長を交えて協議することを確認した。
現行制度では年収が基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計である103万円を超えると所得税が発生する。
このためパート労働者らが103万円を超えないように労働時間を抑制する現象が問題視されてきた。
1995年から最低賃金が1.73倍上昇したのを踏まえ、国民民主党は178万円への引き上げを要求している。
玉木氏は
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べ、自民党が応じない場合は、政権運営にも協力しない考えを示した。
産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、年収の壁について
「引き上げるべきだ」
とする回答が77・2%に上った。
物価高対策で最優先で取り組むべきことでも
「減税」
が32・7%と最も多かった。
一方でネガティブキャンペーンまがいの論調もある。
その1つが、基礎控除を75万円引き上げた場合、国と地方を合わせて7兆6000億円の税収減になるという
「政府試算」
だ。
上武大学の田中秀臣教授(日本経済論、経済思想史)は
「財源論が浮上したのは、財務省側の焦りの表れだろう」
「だが、財務省の省益よりも国民のために実施すべきだ」
「恒久的な減税になるように今年2024年の補正予算の1回に留めずに来年2025年以降の本予算に組み込んで効果を持続する方が望ましい」
と語る。
■「手取り増」と逆行
もう1つのネガキャンが、
「高所得者に恩恵」
というものだ。
年収210万円の人の減税額が所得税と住民税を合わせて約9万円なのに対し、年収500万円で約13万円、年収2300万円で約38万円という試算もある。
加藤勝信財務相は
「国と地方において減収が見込まれ、高所得者ほど減税の影響額が大きくなる傾向がある」
と述べた。
しかし、
「手取りの増加率」
で見ると年収210万円で4.3%、500万円で2.6%、2300万円で1.7%となっている。
田中氏は
「金額で見れば高所得者層が有利に見えるが、所得との比率で見れば、低所得者の方が恩恵を受けることは明らかだ」
「『年収の壁』撤廃は国民民主党の看板政策で妥協はあり得ない」
「拒否すれば自民党も補正予算も通せず、政権の存立が危うくなるので飲まざるを得ないだろう」
との見方を示す。
国民民主党はガソリン税の
「トリガー条項」
の凍結解除や消費税率の時限的な5%引き下げなども掲げている。
加藤財務相は前出の会見で、トリガー条項の凍結解除で国と地方の減収が生じるとして、
「脱炭素に向けた潮流なども勘案しながら対応していく必要がある」
と言及した。
財務省側がクギを刺した形にも見える。
田中氏は
「財務省は1度得た財源を失いたくない」
「財務省や自民党内の緊縮派は、論点を『年収の壁』に持っていき、消費税やトリガー条項の議論から目を逸らそうとする思惑もあるのかもしれない」
と推測する。
こうした中、厚労省は、会社員に扶養されるパートら短時間労働者が厚生年金に加入する年収要件(106万円以上)を撤廃する方向で最終調整に入った。
年収要件をなくせば保険料負担が新たに生じ、手取り収入が減る人も出てくる。
「手取りを増やす」
政策とは逆行する動きだ。
また、税制を巡っては、石破首相も防衛力強化の財源を確保する所得、法人、たばこの3税の増税の開始時期について、2024年年末の税制改正の議論で決着させる考えを示した。
石破首相は金融所得課税の強化に言及し、その後撤回する一幕もあった。
来年2025年夏には参院選も控えるが、前出の田中氏は
「現在は増税を言い出すのは難しいだろうが、7兆6000億円を取り戻しに動くため、将来的に『増税・負担増』路線になるだろう」
「防衛増税の開始はもちろん、石破政権が続けば、首相が掲げる防災省設置構想に関連して、インフラ整備のための『防災増税』を掲げるかもしれない」
と警鐘を鳴らした。

「103万円の壁」引き上げで消費喚起も…「供給力強化が必要」と専門家 7〜9月GDP
2024/11/15 18:45
https://www.sankei.com/article/20241115-2E7YJECHCJLDFG3CA547UWVIII/
内閣府が2024年11月15日発表した2024年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)で、個人消費の伸びが加速した。
ただ、定額減税の実施など一時的な要因が大きく、今後は再び低調になる恐れがある。
個人消費が力強さを取り戻すには、賃上げの定着が最も重要だが、それまでの間は家計支援策で凌ぐ必要がある。
与党と国民民主党による
「年収103万円の壁」
の見直しに向けた協議の行方も注目される。
2024年7〜9月は所得環境改善の動きが目立った。
賃上げの広がりやボーナス支給に加え、2024年6月から始まった1人当たり4万円の定額減税、2024年8月に再開した電気・ガス料金の抑制など政策による押し上げが効いた。
それでも物価変動を考慮した実質賃金は2024年8〜9月とマイナスで、家計はまだ厳しい状況が続く。
2024年10月の景気ウオッチャー調査でも、街角の景気実感を示す現状判断指数は2カ月連続で悪化。
「コメや様々な食品が値上がりする中、客が購入数や来店回数を減らし生活防衛している」(九州のスーパー)
などの声が上がる。
定額減税の効果も既に消えつつある。
円相場が2024年11月15日に一時、1ドル=156円台後半に下落するなど、円安の進行も物価の先高観に拍車をかける。
「我が国経済は成長型経済に移行する重大な局面にある」。
赤沢亮正経済再生担当相は2024年11月15日の閣議後記者会見で強調した。
近く策定する総合経済対策で、政府は
「物価高の克服」
を柱の1つに据える。
住民税非課税世帯向けの給付や電気・ガス料金の補助の延長を盛り込む方向だ。
だが今、世間がそれ以上に関心を寄せるのは、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の引き上げだ。
国民民主の主張通り、非課税枠を恒久的に178万円に引き上げた場合、政府は国・地方の税収が毎年約7兆〜8兆円減ると試算する。
ただ、空前の人手不足に直面する日本がこれだけの規模の減税を行って消費を喚起しても、輸入が増えるだけでGDPに反映されない可能性がある。
みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは
「減税の恩恵を満額で受け取るには、供給能力の強化との両輪で取り組む必要がある」
と話している。

高橋洋一「日本の解き方」
財務省の思うつぼ「年収の壁」議論 本筋は29年放置の「ステルス増税」停止だ 代表の不倫報道も国民民主党に公約実行の責務
2024.11/14 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241114-3GMN53KK3ZOH5O6YREWTRWILAA/
自民党と国民民主党は所得税が発生する
「年収103万円の壁」
を引き上げる政策協議を始めた。
マスコミでは
「年収の壁」
と説明されているが、筆者から見ると、問題を複雑化させ過ぎている。
103万円だけでなく、
「106万円」
など社会保険料を含めれば色々な
「壁」
があり、ある意味で財務省の思う壺になる。
問題の本質は、所得税における
「基礎控除48万円」

「給与所得控除55万円」
で合計103万円という額の大きさである。
筆者は、財務省がいつもやるように主要各国の国際比較の資料を出した。
正直に言えば、色々な条件を合わせないと国際比較は出来ないのだが、各国の最低所得に近い所で見てみる。
直近の為替レートで米国の基礎控除が61万円、給与所得控除が219万円で合計280万円。
英国は基礎控除214万円、給与所得控除はなしで合計214万円。
ドイツは基礎控除143万円、給与所得控除は20万円で合計163万円。
フランスは基礎控除160万円、給与所得控除8万円で合計168万円だ。
欧米に比べて日本の控除額が少ないことが分かるが、日本は税率を上げているわけではないので、
「ステルス増税」
だったということだ。
日本の控除額は1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きされている。
ステルス増税を29年も放置していいはずがない。
「ステルス増税をやめろ」
というスタンスでいい。
減収になるとの反論があるが、今の時点で減税政策をすれば、名目成長4〜5%が達成でき自然増収で賄える。
それまで増収がなくても外国為替資金特別会計(外為特会)や国債費などでも捻出できるので、財源問題はない。
減税してうまくいったら、財務省が30年間ついていたウソがバレるのが怖いのかもしれない。
案の定、
「106万円の壁」
が出てきて、厚労省が所得なしでも原則として社会保険料を負担させると言い出した。
問題を複雑化させるだけなので、基礎控除などの引き上げが終わってから検討すべき問題だ。
筆者の穿った見方だが、このように控除引き上げの足を引っ張る動きがあるのは、石破茂政権と野田佳彦代表の立憲民主党との間で
「大連立」
の匂いがある。
正式な大連立にはいかないまでも、東日本大震災後の自民党と民主党のように、財政政策で協調関係が作られるのはまずい。
国民民主党の提案にも自民党がなぜか強気であることにも一抹の不安がある。
立民が衆院の予算委員長を取ったことも筆者の懸念を助長させる。
この人事で石破政権は来年2025年度予算成立まで延命が保証されているという噂も出ている。

高橋洋一「日本の解き方」
なぜか「減税」を嫌がる財務省 「歳出権の拡大」で各省に恩売り…天下りへ 官僚主導の財政支出、民間に任せた方がうまくいく
2024.11/7 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241107-RILEXQW3RZIV5EFHHP3WBES5WE/
国民民主党が掲げている
「年収103万円の壁」
撤廃について、基礎控除を75万円引き上げた場合、
「7.6兆円の減税になる」
「高所得者の減税額が大きい」
などと報じられた。
筆者は先日の本コラムでは
「仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる」
「もっとも、この程度であれば、名目5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える」
と書いた。
少し財政をかじったことがある人であれば、この程度の減収の試算をするのは簡単だが、マスコミが記事にする際には財務省に聞くことが多いのだろう。
2023年度の税収は72兆761億円だった。
名目国内総生産(GDP)が1%変化した時に税収が何%変化するかを示す
「税収弾性値」
は一般的には
「2〜3」
なので、名目成長率が5%だと、税収は10〜15%、つまり7兆〜10兆円程度増加することになる。
また、名目5%成長を実現するには、インフレ率を2〜4%にすればいい。
このためには2%のインフレ目標について、日銀が利上げを遅らせる
「ビハインド・ザ・カーブ」
の運営を行う。
その上で、GDPギャップ(潜在的な供給力と実際の需要の差)をなくすような積極財政をするだけだ。
それにしても、財務省がなぜ減税を嫌がるのか、一般の人には理解できないだろう。
その一方で財政支出はそれほど抵抗なく行う。
減税も
「租税歳出」
と言われ、財政の理論では財政支出と同じことなのに、この態度の差は何か。
実はここに理由がある。
財務省は増税を好むが、増税すると歳出を膨らますことができる。
これを財政用語では
「歳出権の拡大」
という。
これこそが、財務省の権限の源であり、各省に対して売れる恩でもある。
歳出権を各省にばらまいて、そのご褒美として、各省の団体に天下りできるというのが望ましい。
一例を挙げれば、経団連が
「コンテンツ省」
設置を提言し、予算2000億円を増やすように提言したという。
これは、財務省的には受け入れ可能なものだ。
しかし、役人がコンテンツ業界をリードできるはずなく、こうした省庁は間違いなく失敗する。
新しい省庁ができれば、その関連団体もできて、天下りの巣窟になりやすいが、そこで新産業が生まれるはずはない。
これまで官僚主導でうまくいった試しはほとんどないからだ。
筆者は、役人が財政支出するくらいなら、減税して民間に任せた方が遥かにマシだと思っている。
財政の理論では、財政支出と減税は同じであっても、経済効果では政府が主体になるか民間が主体になるかで異なっており、減税の方が経済効果が大きいと思っている。
国民民主党はガソリン税の減税も主張している。
補助金支出でガソリン価格を抑えるより、減税で抑える方がまともな経済政策だと言える。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

高橋洋一「日本の解き方」
国民民主「103万円の壁撤廃」は実現可能か 控除拡大は減税と同じ効果、財務省へのアンチテーゼに 賃金上昇率目標も検討すべき
2024.11/2 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241102-4CKOQXQOUFMPPFLNUW5T4DIG6M/
石破茂首相は国民民主党との
「部分連合」
を視野に入れている。
国民民主党は基礎控除の103万円から178万円への拡大、消費税5%などを掲げているが実現可能だろうか。
国民民主党の政策のうち、他党にない
「基礎控除等を103万円から178万円への引き上げ」
について取り上げたい。
まず、178万円という
「中途半端」
な数字に驚く。
これは、1995年からの最低賃金上昇率1.73倍から、103万円を1.73倍して得られる。
103万円は基礎控除と給与所得控除の合計だが、1995年に103万円に引き上げて以来、29年間据え置きである。
そこで、最低賃金の上昇と合わせて引き上げるべきだというのが国民民主の主張である。
ここまで厳密に拘らくてももいいが、国民民主党らしいとも言える。
控除の拡大は減税と同じだ。
控除額が増えれば、少なくとも所得税として
「75万円×税率(年収に応じて5〜45%)」
の額が手元に残るようになって、手取りが増える。
この政策が面白いのは、財務省は増税しないと言いながら、控除額の縮小を狙う
「ステルス増税」
をしばしば企むが、そのアンチテーゼになるからだ。
例えば、給与所得控除について
「海外と比較すると日本は大き過ぎるので縮小しよう」
と躍起になっている。
一方、基礎控除は日本だけが国際的に低いのは知らんぷりという具合だ。
この
「減税」(控除の拡大)
でも、財源はどうするのかという反論があるだろう。
仮に基礎控除を75万円引き上げると、所得税率が平均10%、住民税率が10%とすれば、7兆円程度の減収額となる。
もっとも、この程度であれば、名目で5%成長すれば自然増収で手が届く範囲であるので、それほど心配する必要はないとも言える。
また、この政策との関連で、最低賃金について、
「全国どこでも時給1150円以上を早期に実現する」
としている。
自民党の「2020年代に1500円」、立憲民主党も「1500円」を掲げているのと比べると控えめな数字である。
1500円の方がいい加減な数字であるので、国民民主党に逆に信頼感が出るのではないか。
気になるのは、金融政策に関する公約がないことだ。
立民の
「0%超の物価目標」
は論外であるが、労働者の党である国民民主党が公約に掲げていないのは不自然だ。
かつて筆者が玉木雄一郎代表と話した時、インフレ目標ではなく
「賃金上昇率目標」
を主張した。
元々インフレ目標のベースになっているのがインフレ率と失業率の関係を示した
「フィリップス曲線」
であるが、同曲線は賃金上昇率と失業率の関係が元になっているので、玉木代表の意見には一理ある。
大胆に言えば、インフレ目標2%より、賃金上昇率3〜5%のほうが日本経済のためになるので、検討してはどうか。
それを消費税5%、社会保険料の軽減、トリガー条項の凍結解除と共に自公政権にぶつけたら面白い。
今の自公なら受け入れ余地はあるが、石破政権を退けた後からの方がより有望だろう。
 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

国民・玉木氏「総務省が自治体工作」、村上総務相は「してない」103万円壁見直しで攻防
2024/11/15 16:06
https://www.sankei.com/article/20241115-A6SPP4N2PNGQFLOQDMEDSBJVXQ/
村上誠一郎総務相は2024年11月15日の記者会見で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の見直し論を巡って、総務省が自治体に反対を呼び掛けているとの一部の見方について、
「そういうことはしていないと思う」
と否定した。
年収の壁の見直しを巡っては、国民民主党が推進を掲げる一方、全国知事会の村井嘉浩会長(宮城県知事)らは地方の税収減に繋がるとして反対を表明している。
国民民主の玉木雄一郎代表は2024年11月13日、東京MXテレビの番組で、
「今一生懸命、総務省が全国知事会や自治体の首長に工作を行っている」
と述べた上で、
「『こういう発言をしてくれ』
『こういう減収があるからやめてくれ』
と、村上総務相が村井知事会会長らに連絡して、発言要領まで作って(いる)」
「如何なものか」
と語っていた。
村上氏は2024年11月15日の会見で
「村井会長に発言の依頼をした事実は全くない」
と否定し、
「発言要領について見たこともない」
「依頼したことも全然ない」
「なぜ玉木氏がこういう事を言ったのか、理解できない」
と強調した。
「全国知事会とは税制などについて日頃から意見交換している」
「事務方から基礎控除の制度概要などについて説明を行った」
とも語った。

「103万円の壁」解消は財源確保が最大の焦点 国民民主、主張崩さず自民と平行線か
2024/11/14 20:27
https://www.sankei.com/article/20241114-PQHUVBMCXVMSBBLERXARLNK3QQ/
2024年11月14日に本格的にスタートした自民、公明両党と国民民主党の税制協議の最大の焦点は、国民民主が主張している年収が103万円を超えると所得税が発生する
「103万円の壁」
の解消のための財源の確保だ。
国民民主は所得税が発生する基準を現行の103万円から178万円に引き上げる主張を崩していない。
税収減を懸念する自民との議論は平行線が続く可能性がある。
■財源は「与党の責任」
「我々としてはちゃんと試算をした上で根拠があって出している」
国民民主の古川元久税調会長は国会内での自民との協議後、非課税枠の178万円への引き上げを譲らない考えを改めて強調した。
政府は国民民主の主張通りに非課税枠を拡大した場合、国と地方で7兆〜8兆円の税収減になると試算。
全国知事会も影響が大きいとして政府や与党に慎重な検討を求めている。
非課税枠の引き上げを実施する場合は代わりの財源が必要となるが、国民民主側はあくまで税収減への手当ては
「基本的には与党の責任」(古川氏)
との立場だ。
■赤字国債で税収減カバーか
国民民主の姿勢に自民は頭を抱える。
小野寺五典政調会長は2024年11月12日夜のBSフジ番組で
「『出る』と『入る』があって初めて政策になる」
「セットで提示して頂くことが大事だ」
と述べた。
もっとも、自民、公明両党は衆院で過半数の議席に届いておらず、令和6年度補正予算案や7年度予算案の成立に国民民主の協力が欠かせない。
国民民主幹部は
「うちが賛成しなければ何も通らない」
と強気だ。
国民民主にとって103万円の壁の解消は看板政策であり、実現の可否は来夏2025年夏の参院選を含めた今後の党勢も左右するため、容易に妥協できない事情もある。
2024年11月14日の税制協議に出席した自民の宮沢洋一税調会長は、記者団に非課税枠を178万円に引き上げる可能性を問われ、
「それは今後の議論次第だろう」
と含みを持たせた。
石破茂政権に影響力を持つ自民重鎮は、こう話す。
「国民民主も譲らないだろう」
「最終的には赤字国債で税収減を補うことになるのではないか」

村井嘉浩・全国知事会長が国民民主の年収の壁見直しに苦言 「夢ごとでなく具体策を」
2024/11/13 16:45
https://www.sankei.com/article/20241113-SZLBZWQ3R5PFBOFCOQXZPU4J3U/
全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事は2024年11月13日の記者会見で、国民民主党が主張する
「年収の壁」
見直しを巡り
「(個人の)収入が増えれば消費が喚起され、税収も増えるといった夢ごとではなく、地に足がついた具体的な方策を示して議論してほしい」
「少なくとも私が首相なら首を縦に振らない」
と苦言を呈した。
総務省は、
「年収の壁」
見直しに伴う個人住民税の減収が4兆円程度に上ると試算。
村井氏は、宮城県と県内市町村の減収額が、地方交付税分も含め計約800億円に上ると明らかにし
「たちどころに財政破綻するだろう」
と述べた。
自治体が減収となることで住民サービスの低下を招くとの懸念も表明。
減収分を国債で充てれば
「恒常的に大きなつけを後世に回すことになる」
「賛成とは到底言えない」
と批判した。

年収の壁、ゼロ回答認めず 国民玉木雄一郎代表、自民に要求
2024/11/3 12:52
https://www.sankei.com/article/20241103-SN3SD5CPUVM5DP5JCK3ASPLKLE/
国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月3日放送のBSテレビ東京番組で、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
の引き上げに自民党が応じない場合、政権運営に協力しない考えを示した。
「有権者との約束だ」
「(引き上げなければ)国民民主に期待した人にとってもゼロ回答だ」
と述べた。
立憲民主党など他の野党と連携する課題として政治改革を例示。
「案件ごとに協力する」
「対象は自民、公明両党に限定されない」
と語った。
玉木氏は、石破茂首相(自民総裁)との党首会談が実現した場合、年収の壁の引き上げは
「国民が求めている」
として、協力を要請する意向を記者団に表明。
立民の野田佳彦代表との会談では、政治資金規正法の再改正に加え、安全保障やエネルギー政策といった基本政策の一致に向けた協議の本格化を求める考えを示した。

国民民主と政策協議も…自民に裏切り≠フ過去 維新と文通費見直し合意も反故、馬場代表「自民は狡猾、聞いてる振りはする」
2024.11/1 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241101-H5TBRZVN3VLIBK52CGPVQGX2LQ/
自民党と国民民主党が
「部分連合」
に向けた動きを加速させている。
少数与党の石破茂政権は、国民民主党を取り込むことで、首相指名選挙やその後の国会運営を有利に運ぶ思惑だ。
国民民主党は衆院選で公約に掲げた
「年収103万円の壁」
撤廃などの実現に前進するが、要求通りの成果を得られるかは不透明だ。
過去には日本維新の会が自民党との合意を反故にされた経緯もあり、警戒感は強い。
自民党の森山裕幹事長と国民民主党の榛葉賀津也幹事長は2024年10月31日の会談で、政策協議を開始する方針で一致した。
公明党を加えた3党は今後、税制や補正予算を巡って合意を模索する。
国民民主党は、年収が103万円を超えると所得税が発生する
「年収の壁」
を撤廃するため、所得税の基礎控除と給与所得控除の合計を最低103万円から178万円に引き上げることを最優先事項としている。
だが、実現機運に冷や水を浴びせるように、
「税収が計約7兆6000億円減る」
「高所得者ほど恩恵が大きい」
などネガティブな論調が広がった。
玉木代表
「『103万円』引き上げなければ予算、法案に協力できない」
玉木雄一郎代表は2024年10月31日、X(旧ツイッター)で
«財務省がマスコミを含めて
「ご説明」
に回っている効果はさすがです»
と皮肉った。
«引き上げができなければ、我が党は予算にも法案にも協力できない»
と強調する。
与野党の合意が実現しなかった前例もある。
日本維新の会は岸田文雄政権当時の今年2024年5月、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の見直しについて自民と合意文書を交わしたが、反故にされた。
馬場伸幸代表は2024年10月31日放送のMBSの番組で
「自民党さんは狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではない」
「聞いてる振りはするが」
と話した。
国民民主党も、ガソリン税を軽減する
「トリガー条項」
の凍結解除について岸田政権下で3党協議し、予算案にも賛成したが、議論は頓挫した。
石破政権は国民民主党の案を丸吞みもしたくないが、議論を決裂させて、立憲民主党などが今後、不信任決議案を提出した場合、賛成に回られることも避けたい。
「部分連合」 阿修羅掲示板
という名の微妙な関係が続きそうだ。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/218.html#c47
[政治・選挙・NHK296] 第3次世界大戦の前哨時代 日本が取るべき生存戦略 古谷経衡 猫と保守と憂国(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
27. 秘密のアッコちゃん[1125] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月30日 13:23:29 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[563]
<■1349行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
トルコ大使も川口クルド人の出稼ぎ認める「経済理由、われわれも共有」「難民制度を悪用」
「移民」と日本人
2024/11/30 13:00
https://www.sankei.com/article/20241130-PBK4PBR2CBPG5PG5U25N6UT2QM/
埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人が法務省から
「出稼ぎ」
と断定されていた問題で、コルクット・ギュンゲン駐日トルコ大使は産経新聞のインタビューに応じ、
「経済的な理由が多いことは、我々も認識を共有している」
と述べ、彼らが
「難民」
でなく
「就労目的」
との見解を初めて示した。
大使は、産経新聞の現地取材や、平成16年に法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)が川口のクルド人の出身地をトルコで現地調査した結果などを受けて取材に応じた。
大使はクルド人の難民該当性の薄さが裏付けられたことについて
「その点は、まさに我々も共有している」
「クルド人が経済的または社会的な理由で来日することはよくある」
と、就労目的との見解を初めて示した。
その上で、クルド人が
「違法な形で日本に滞在し、難民認定制度を悪用して滞在を引き延ばしている」
「これこそが問題だ」
「トルコ共和国としてこの現実は決して後押しできるものではない」
と述べた。
トルコと日本の査証(ビザ)相互免除については
「経済的なメリットもあり、長期的な観点から当然維持されるべきだ」
としながら、
「悪用されるなら、日本の警察当局や入管庁などとも連携して阻止していく」
「最も重要なことは日本の法令を順守することだ」
とも強調した。

川口のクルド人「難民でなく移民」「いなか出身者の行動」トルコ人著名ジャーナリスト語る
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由D
2024/11/28 11:30
https://www.sankei.com/article/20241128-SJUA4VKK4RGIVG7EQWDIX35DFE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の故郷を訪ねた後、首都アンカラで著名なトルコ人ジャーナリストに会った。
ムラット・イェトキン氏(64)。
川口のクルド人問題について
「クルド人だからではない」
「田舎の出身者だからだ」
と指摘。
「彼らは難民ではない」
「より良い生活を求めての移民だ」
などと語った。
■ベテラン記者との対話
イェトキン氏は、トルコの有力紙ヒュリエト英語版の編集長などを歴任し、現在は自身の名を冠したニュースサイトを運営。
政治コラムニストとして現地のテレビでもお馴染みのベテラン記者だ。
「カワグチで起きていることはトルコでも同じだ」
川口のクルド人らによる危険運転や大音量の音楽、ごみ出しなどの問題について尋ねると、こう話し始めた。
イェトキン氏は
「日本のルールやマナーを守らないのは、彼らがトルコの田舎から、いきなり日本の大都市へ来たからだ」
「要するに、田舎出身者の行動だ」
と指摘。
「彼らがルールを守らないなら、警察が注意する」
「それでも聞かなければ、罰金を科せばよい」
クルド人の多くが日本で難民認定申請し在留を続ける現状については、こう説明した。
「彼らは難民ではない」
「実際のところは、より良い生活を求めての移民だ」
「先に行った者が『稼げるから来い』と言う」
「『警察や憲兵に迫害されている』として難民申請すればよい」
「これは日本だけでなく、欧州も同じ問題を抱えている」
2003年からのエルドアン政権によって、トルコは目覚ましい経済成長を遂げ、クルド人も人権状況だけでなく、生活レベルも大幅に上がったという。
イェトキン氏は
「トルコでクルド人はトルコ人らと広く混血が進んでおり、最もクルド人の多い都市はクルド人居住地域の南東部にはなく、大都市のイスタンブールだ」
と指摘し、同国の非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」の名を挙げて続けた。
「一般のクルド人とトルコ人は決して争ったりしない」
「この40年間、争っているのはPKKであり、彼らは意図的に問題を大きくしようとしている」
「この対立の図式を利用して難民申請し利益を得ている人々がおり、カワグチのクルド人もその一部だ」
■クルド系の大統領も
イェトキン氏が親しくしているトルコ政府の閣僚がいる。
メフメト・シムシェキ財務相(57)。
同国内ではクルド系の国政政党がある他、閣僚、国会議員、判事、幹部公務員などの要職に就いているクルド人も多数いる。
1980〜1990年代に首相と大統領を務めたオザル氏もクルド系だったことで知られる。
シムシェキ財務相はトルコ南東部のクルド人の多い地方の村で、9人きょうだいの末っ子に生まれた。
苦学して欧米の投資銀行などでエコノミストとして働き、トルコ政界入りした立志伝中の人物だ。
イェトキン氏は
「私は彼をよく知っているが、本当に努力して今の地位にまでなった人だ」。
自身がクルド人であることを公言しており、副首相時代の2016年、米国での記者会見で、イランのクルド人記者から英語でクルド人の将来について質問された際、
「私はトルコのクルド人だ」
とクルド語で答えて話題を呼んだ。
今回のトルコ取材で、クルド人の政治家や経済人に取材を申し込んだが、断られることが多かった。
一方で、当初は喜んで取材に応じても、後日
「私のことを記事に書かないでほしい」
と連絡があったことも再三だった。
この過程そのものに、トルコでの
「クルド人問題」
の複雑さが表れているようだった。
自身がクルド人だと表立って言えるのは、シムシェキ財務相のような完全な成功者か、反体制者に限られるのが、トルコの現状のようだった。
世界各国の民族問題の
「本質」
もその辺りにあるのではないか。
■子だくさん、高い移民性
トルコは経済協力開発機構(OECD)加盟国で、欧州連合(EU)加盟は実現していないものの、日米欧の先進国に新興国を加えたG20の一員でもある。
一方で、人口8500万人のうち17歳以下が占める割合は26%。
中でもクルド人の出生率は比較的高いと言われ、少子化のトルコで人口が増え続けている。
クルド人の多い南東部は子供の人口が4割を超える県もある。
そうした地域を訪ねた際、田舎にもかかわらず小学校低学年の子供たちが午後10時、11時まで公園で遊んでいる姿が目についた。
大人がついていない場合もあった。
子供の夜ふかしはトルコで社会問題ともなっているという。
それは川口市で夜間、クルド人の子供たちが往来で遊んでいる光景と重なった。
市内に集住するクルド人約2000人のうち、小中学生は推計約400人と突出して多く、
「子だくさん」
のクルド人の
「移民性」
は顕著となっている。
今年2024年3月にトルコのクルド人地域を現地調査した元国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表で、東洋英和女学院大の滝沢三郎名誉教授(76)は
「彼らの多くが経済的理由で来日している以上、問題解決の方向性も、難民認定よりも合法的な就労の道を探ることに力を入れるほうが理に適う」
と指摘。
その上で
「彼らには一旦帰国してもらい、来日して就労を希望する人にはトルコと日本両政府が協議した上で、技能実習に代わる育成就労制度などにより合法的な入国、滞在の道を開いてはどうか」
と提言した。
おわり(「『移民』と日本人」取材班)

クルド人の「迫害と弾圧」は今も続いているのか トルコ政府「問題は民族でなくテロ組織」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由C
2024/11/27 11:30
https://www.sankei.com/article/20241127-7ARBVO6XM5OMXASDNXWMPJDC4Q/
埼玉県川口市など国内に在留するトルコの少数民族クルド人や支援者、一部メディアが
「クルド人への弾圧は今も続いている」
とする同国東部の都市ジズレを訪ねた。
2015〜2016年、トルコ軍が非合法武装組織
「クルド労働者党(PKK)」
への掃討作戦を行った街だ。
当時は一般市民も巻き添えになったというが、現在は市民が買い物に出歩く平和な風景が広がっていた。
■自分の目で見ればいい
シリア、イラク両国境に近いジズレはチグリス川が流れ、人口約13万人の多くをクルド人が占める。
この都市を含む地域で2015年夏以降、トルコからの分離独立を求めるPKKと政府の対立が激化。
トルコ軍や治安機関を狙った襲撃が相次いだ。
軍や治安部隊は同年2015年末から2016年にかけ、PKK掃討作戦を実施。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報告書によると、PKKの構成員だけでなく、多数の住民が巻き添えになって死亡したという。
欧米メディアなどは当時、
「トルコ政府によるクルド人弾圧」
として報道した。
8年経った現在2024年、ジズレは平穏を取り戻し、破壊された建物は政府が再建した。
だが、日本のクルド人支援者や一部メディアは
「弾圧は今も続いている」
として、川口などで難民認定申請するクルド人の
「迫害」
の根拠に挙げている。
ジズレを訪ねた日は休日で、中心部では買い物を楽しむ市民らが歩いていた。
出会った住民の男性に当時のことを尋ねると、こう問い返された。
「今も弾圧が続いているって?」
「そう言う人は、ここに来て自分の目で見てみればよいのではないか」
■エルドアン政権で激変
PKKは
「クルド人国家の樹立」
を掲げて1984年、トルコ政府に対する武装闘争を開始。
1990年以降、国内各地でテロを引き起こし、トルコ国内ではPKKとの戦闘でこの40年間に市民4万人が殺害されたとされる。
トルコ政府の他、米国、英国、欧州連合(EU)がテロ組織に指定し、日本の警察庁も国際テロリスト財産凍結法に基づき
「国際テロリスト」
に指定している。
一方で、トルコ国内のクルド人の人権を巡る状況は、2003年に発足したエルドアン政権により様変わりしたと言われる。
同政権はクルド人との融和を掲げ、国営放送でクルド語の放送が始まり、クルド系政党はクルド語での政治活動が可能になるなど、クルド系住民の権利拡大に努めてきた。
背景には、トルコの悲願であるEU加盟実現のため、国内の人権状況を改善する必要があったことがある。
2012年からは政府とPKKとの和平交渉が始まり、翌2013年、PKKは武装解除を宣言。
だが、2015年6月の総選挙でPKKと連携するクルド系の左派政党が躍進し、エルドアン政権の与党が過半数割れとなった。
PKK内部の路線対立もあって、政府とPKKの対立が再燃した。
首都アンカラでは昨年2023年10月、内務省付近で自爆テロが発生し警察官2人が負傷、PKKが犯行声明を出した。
先月2024年10月23日にはアンカラ郊外の大手防衛企業が襲撃され27人が死傷。
PKKの軍事部門が犯行声明を出し、トルコ軍がイラク北部とシリア北部にあるPKKの関連拠点を空爆するなど応酬が続いている。
■「兵役拒否」も理由に
川口に在留するクルド人の間では、こうした対立状況を
「クルド人への迫害」
と主張し、難民申請の理由とする形になっている。
一方で、トルコで兵役を拒否したことで迫害を受けると主張する人も少なくないという。
トルコは国民皆兵で、兵役は20歳から41歳までの男性に6〜12カ月、義務付けられている。
身体障害などがないかぎり兵役拒否は認められず、罰金などが科せられる。
しかし、これはクルド人に限ったことではなく、昨年2023年10月に発行された英国内務省の難民に関する報告書はトルコの兵役義務が難民条約上、迫害には当たらないと指摘。
条約上の難民の定義は「人種」や「宗教」「政治的意見」など5つの理由から迫害を受ける恐れがある場合で、出稼ぎ目的の経済的理由も難民には該当しない。
川口市内のクルド人を巡っては、トルコ政府が昨年2023年11月、2つのクルド人団体とその幹部らクルド人6人についてPKKを支援する
「テロ組織支援者」
と認定、同国内の資産を凍結した。
認定は現在も続いている。
PKKとクルド人について、トルコ政府関係者は
「PKKに対する我が国政府の措置が、時にクルド人への迫害だと誤解される場合があるが、我々が問題視しているのは決してクルド人という民族ではない」
「問題なのは分離独立のためテロ活動を続けるPKKという組織だ」
と話している。(「『移民』と日本人」取材班)

川口のクルド人、トルコの農閑期に難民申請、農繁期に帰国 血縁集団の絆で「移民の連鎖」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由B
2024/11/26 11:30
https://www.sankei.com/article/20241125-KXJTMJVJGRMLNGXEK2I5GJROOY/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の難民認定申請には、特定の周期があるという。
毎年秋に来日と申請が急増し、そのうちの一定数は翌年夏までに申請を取り下げてトルコへ帰国する。
背景には祖国での生業である牧畜などの農閑期、農繁期のサイクルがあるとみられる。
■血のつながりは大切
トルコ南部、アドゥヤマン県西部の草原地帯で、少年がヒツジの群れを追っていた。
この地にかつて、ヒツジやヤギの放牧を生業とする約300戸2000人の一族がいた。
当初は遊牧民だったが、その後数十キロ離れた2つの村へ移り住み、定住したという。
日本での難民申請者が特に多い4〜5村のうちの2村だ。
これらの村があるトルコ南部3県の出身者が、難民申請者の8割を占める背景には、この一族の存在がある。
2村のうち1つの村を訪ねた際、出会った老人は
「我々はその一族の出身だ」
「2つの村の村民は元を辿れば、4つの家族に辿り着く」
と話した。
こうした一族はトルコ社会で
「アシレット」
と呼ばれ、血縁関係と口伝えによる掟で結ばれている。
トルコ人やアラブ人にも見られるが、特にクルド人は固い結束を誇るという。
現地のクルド人男性は
「私たちは一族の結束が強い上、子だくさんなので親族が本当に多い」
「私もいとこが100人くらいいるので、結婚式は大変だった」。
川口で話を聞いたクルド人男性も
「血の繋がりは物凄く大切」
「親戚がヨーロッパにもオーストラリアにもカナダにもいて、例えば重い病気になったら、日本までお見舞いにくる」
と語った。
1人が来日すると同じ村の家族や知人が先に来た人を頼って次々と来日する
「移民の連鎖」
が起きる要因として、こうした共通の祖先で繋がる血縁集団の絆があるようだ。
■来日順でヒエラルキー
入管関係者によると、クルド人の難民申請者は毎年、冬を迎え農業や牧畜が農閑期となる10〜11月頃に急増。
翌年、放牧の季節が始まる5〜6月頃帰国者が増えるという。
昨年2023年1年間のトルコ国籍の申請者約2400人のうち、3割に当たる700人近くは今年6月頃までに既に帰国した。
入管関係者は
「彼らは夏前になると『問題が解決した』と言って難民申請を取り下げ帰国していく」
「秋になると同じ人物が来日し、『また問題が起きた』といって難民申請する」
「かつての東北地方からの出稼ぎのように、農閑期に合わせた就労目的と考えられる」。
関係者によると、川口周辺では1990年代初めに来日した2村の一族を筆頭に、いくつかの一族が在留している。
先に来日して解体業を始めた一族が、後から来日したクルド人やトルコ人らを雇用するヒエラルキー(階層構造)も生まれているという。
■我々が自由と思うか
アドゥヤマン県では、クルド独立主義者にも出会った。
広大なユーフラテス川を望む丘の上で、農業を営む30代のクルド人男性は誇らしげに言った。
「これがメソポタミアだ」
「クルディスタン(クルドの地)だ」
クルディスタンとは、トルコ南東部だけでなくシリア、イラク、イランなどにまたがるクルド人の居住地域全体を指す。
かつてはオスマン帝国だったが、1920年代、この地域で石油が採掘されたことから帝国主義の欧州列強が分割。
クルド人は
「国を持たない民族」
となった。
特にトルコ政府は1990年代頃まで、
「山岳トルコ人」
と呼んでクルド民族の存在を否定、徹底した同化政策を進めた。
男性一家も山の上にある小さな村の出身だが、同化政策により数十年前に山を下りた。
男性はクルド人の独立を夢見ており、青年時代に公園でクルドの歌を歌っていて警察に3日間拘束された経験を持つという。
川口周辺でクルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題も、インターネットを通じ知っているといい、
「カワグチのクルド人は難民だ」
と主張。
「我々がトルコで自由だと思うか」
と真顔で尋ねた。
「クルド人にとって、クルドの地で暮らすのが最善だ」
「クルディスタンは石油も出る」
「日本よりも豊かだ」
「しかし、トルコでは生きづらいため日本で難民申請しているのだ」
男性は丘陵地帯を走る車の中でクルドの歌をかけながら、
「PKKは我々をトルコ軍の兵士から守ってくれている」
とも言った。
PKK、クルド労働者党はトルコ国内のクルド人非合法武装組織。
「クルド人国家の樹立」
を掲げて長年テロを引き起こしてきた。
かつてトルコ政府によるPKK掃討作戦が行われた同国東部の都市へ向かった。
(「『移民』と日本人」取材班)

川口の難民申請者半数、高校行かず トルコのクルド人成功者、同胞は「努力せず不平言う」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由A
2024/11/25 11:30
https://www.sankei.com/article/20241125-QRFKQ4EKEZLPHDS5E3757O5IHE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族、クルド人の難民認定申請者の半数程度は、学歴が中学卒業以下だという。
トルコ国内の高校進学率はクルド人を含め9割以上で、背景には経済的な問題もあるとみられる。
一方で、トルコでは22人兄弟の中から猛勉強して成功したクルド人にも出会った。
■「クルド人」考えたことない
クルド人が人口の約6割を占めるトルコ南部の都市シャンルウルファの私立学校を訪ねた。
保育園、幼稚園から小中高校まであり、在学生は約700人。
2年前に開校したばかりでクルド人の生徒も少なくないという。
経営者のクルド人、ネジメディン・ゲンチさん(42)は地元出身。
経済的に貧しい農家の22人兄弟の21番目で、苦学して公認会計士の国家試験に合格、現在は親族らと学校2校、建設会社、バス会社、コンサル会社、映画館を経営しているという。
「小学校まで5キロの道を歩いて通った」
「休日はヒツジの放牧を手伝った」
「私は決して勉強ができたほうではないが、これまでクルド人だからと差別されたことなどない」
クルド人地域は歴史的な経緯から複数の国に分割され、
「国を持たない最大の民族」
とも言われる。
ただ、今回トルコで出会ったクルド人の多くは社会的な立場に関わらず
「トルコ人」
として振る舞い、
「クルド人」
かと尋ねると
「なぜ、そんなことを聞くのか」
と怪訝そうな顔をされることも多かった。
一方で遺伝的な特徴などから
「顔を見れば分かる」
と話す人もいた。
ゲンチさんは
「国家試験に合格したのも、頑張ったからだ」
「そもそも、自分がクルド人だからなど、これまで考えたこともない」。
彼はクルド系政党に投票しているというが、そのことで迫害も差別も受けたことはないという。
日本で難民申請している川口のクルド人について尋ねると、
「自分の努力不足を棚に上げて『クルド人だから』と不平不満を言っているだけではないか」。
校舎の壁には宇宙のイラストが描かれ、
「世界の扉は君の前に開かれている」
と書かれていた。
■教育機会の平等は保障
トルコの教育制度は小中高がそれぞれ4年ずつあり、2012年から高校も義務教育になった。
憲法に平等原則が明記され、民族的な出自による差別はない。
公立の授業料は高校、大学まで無償で、競争は激しいが、教育機会の平等は保障されていると言える。
この結果、高校進学率は上昇し、2022年度は91・7%。
大学進学率は4割程度となったが、義務教育にもかかわらず高校に行っていない数%には、農村部に住むクルド人も少なくないという。
現地の教育関係者は
「農村地域はまだまだ子供を牧畜などで働かせている」
「親の世代は高校が義務教育ではなかったため、今も教育に意義を見いだせない人も多いのではないか」。
トルコでは現在、クルド系の国政政党があり、与野党問わずクルド人の政治家を輩出している他、国営放送にクルド語のチャンネルもある。
クルド語の教育機関の設立も認められているが、公用語がトルコ語で、クルド語を学んでも仕事に生かせないため、あまり人気はないという。
公務員試験も憲法で
「採用に当たり職業資格以外に如何なる差別も行ってはならない」
と規定されている。
受験の願書に民族欄もないため、公務員全体のクルド人の割合の統計もないという。
■学歴不問でガテン系
シャンルウルファでトルコ政府の出先機関に勤める国家公務員のクルド人男性(40)は
「小学校に入るまでトルコ語を話せなかった」
「勉強して話せるようになったが、12年前に公務員試験を受けた時、試験は当然トルコ語で苦労した」
と話し、こう続けた。
「外国の人からクルド人は迫害されているのかと聞かれることがあるが、私は迫害はないが差別はあると感じる」
「言葉の壁もあり、自分たちが少数民族と思い知らされる時もある」
入管関係者によると、日本の難民申請書には学歴欄があり、川口周辺に在留するクルド人の難民申請者の半数程度が中卒以下で、高校の義務教育化以降の世代でも教育を受けていないケースが少なくないという。
川口市内では若いクルド人が改造車を乗り回す暴走行為も問題になっている。
トルコの教育関係者は指摘する。

「もちろん学歴が全てではないが、農村からいきなり日本の都会に来て、教育レベルも高くなければ地元住民と軋轢が生じやすくなるのも当然だろう」
「それでも学歴不問の力仕事で簡単に稼ぐことができる日本は、本当に魅力的なのではないか」
(「『移民』と日本人」取材班)

「軍と警察呼んだ」川口クルド人の出身地訪ねた記者を恫喝 両親「日本で成功の息子誇り」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由@(上)
2024/11/24 14:00
https://www.sankei.com/article/20241124-OCA6UR7WZFOQ3I6FJV4RX3M2V4/
埼玉県川口市に集住するクルド人を巡り、法務省が20年前に難民認定申請者の多いトルコ南部の複数の村を現地調査し、
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていたことがわかった。
クルド人が日本を目指す理由は何か。
本当に
「難民」
なのか。
報告書を裏付けるため、彼らの故郷を訪ねた。(報告書の記事はこちら)
■日本から激高して電話
「今オレが軍隊を呼んだ」
「軍も警察もお前を探している」。
記者は日本からの携帯電話でそう脅された。
入管当局が20年前に
「出稼ぎ村」
と断定していた複数の村の1つ、トルコ南東部の都市ガジアンテプ郊外の村。
電話の相手は川口市内で解体工事会社を実質経営する30代のクルド人男性だ。
男性は約20年前、この村を離れ、先に来日していた父親を頼って川口に在留。
トルコ政府から迫害を受ける恐れがあるとして難民申請を繰り返し、5回目の申請中だ。
現在は入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免の状態が続いている。
男性には日本でも何度か取材したことがあり、出身の村の名前も聞いていた。
今回、男性が憤っていたのは、記者が実際に彼の村を訪ねたからだとみられる。
壁に男性の名前が刻まれた家を偶然見つけ、村の人に話を聞いていると、男性の母親を名乗る女性が
「チャイを飲んでいけ」
と、家に招き入れてくれた。
ところが、母親がその場で川口にいる息子とビデオ通話を始め、記者の名刺を見せたところ、男性は激高した。
余りの剣幕に家の外に出ると、冒頭の電話がかかってきた。
政府の迫害から日本に逃れたという
「難民」
が、トルコ軍や警察を動かすのだろうか。
直前まで母親は、日本にいる孫たちの写真入りのバスタオルを見せ、嬉しそうにこう語っていた。
「日本で成功した息子を誇りに思う」
■「働くため」村人が証言
男性の故郷は日本で難民申請者が集中している村でもある。
トラクターが行き交う典型的な農村だが、所々に立派な家が建っており、トヨタの大型乗用車に乗った人もいた。
男性の実家は一際目立つ2階建てで、がっしりした門扉を通り玄関から居間に入ると、50型ほどの大型液晶テレビがついていた。
最初に父親に名刺を渡すと、
「オレ、この村から1番初めに日本へ行ったよ」
と日本語で話した。
父親は川口で解体業をしながら難民申請していたが認められず、10年ほど前に帰国したという。
道端で日本人の姿を見て集まってきた村人は、口々に
「コンニチハ」
「オレ、カワグチにいたよ」
「カイタイの仕事」
「ハッピーケバブも知ってるよ」
と話しかけてきた。
トラクターで通りかかった老人は、川口に近い東浦和の解体会社の
「代表取締役」
という名刺を見せ、
「今は息子が日本にいる」
と自慢げに話した。
村の人によると、約70世帯300人の集落の多くが日本に住んでおり、残っているのは90人程度。
欧州は少ないという。
村人らは隠す様子もなく、こう証言した。
「なぜなら、日本はビザなしで簡単に行けるから」
「働くために日本へ行っている」
「短期滞在で入国して、翌日からカイタイで働けるのだ」

<産経抄>現場に行けば「難民」の真実が見えてくる   
2024/11/26 5:00
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https://www.sankei.com/article/20241126-NG3725XXC5NRJOLP5PSMNPYJRE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人が注目されるようになったのは、昨年2023年の夏からだ。
市立医療センター周辺で起きたクルド人約100人が関与する暴動事件がきっかけである。
▼そもそもどうして遠く離れた日本にやってきたのか。
実は20年前に判明していた。
当時の法務省入国管理局が難民認定申請者の多いトルコ南部の村を現地調査して、
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていた。
▼ところがクルド人側の弁護団が反発して
「封印」
された、と昨日の小紙がすっぱぬいていた。
現在日本で難民申請しているほとんどのクルド人の出身地も、かつて入管関係者が調査した村々と重なる。
▼小紙の記者がその村の1つを訪ねた。
川口市内で解体工事会社を経営するクルド人男性の故郷でもある。
男性が先に来日した父親を頼ったように、多くのクルド人が親族のつてを求めて川口市に集まった。
取材を受けたことのある記者が村にいると知った男性は激高して、日本からの携帯電話で脅しをかけた。
「今オレは軍隊を呼んだ」。
政府の迫害を訴える
「難民」
が、なぜ軍隊を呼ぶのか。
記者の
「疑問」
はもっともだ。
▼難民問題の専門家である滝沢三郎・東洋英和女学院大名誉教授もまた、今年2024年3月にトルコ各地で調査してきた。
帰国後小紙の取材に
「クルド人に対して差別はあっても、身の危険を感じる迫害を受ける状況ではない」
と話していた。
▼かつてクルド人の主な行き先だった欧州諸国は近年、入国審査が厳しくなり、密航には高額な手数料がかかる。
査証(ビザ)が免除され、相対的に渡航費用が安い日本が流入先になった、と指摘する。
難民問題に限らず、現場に足を運ばないと真実は見えてこない。

「難民なんて全部ウソ」「働くため日本へ」川口の難民申請者の8割、トルコ南部3県に集中
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由@(下)
2024/11/24 14:05
https://www.sankei.com/article/20241124-2ZMA4FNKGBJOZIXA6CMPV3RRTM/
埼玉県川口市に在留し難民認定申請するクルド人らについて、トルコの出身地を集計したところ、全体の8割が同国南部の3つの県に集中していたという。中でも特に申請者の多い4〜5つの村がある。
そのうちのいくつかの村を訪ねた。=(上)からつづく
■立ち並ぶ「御殿」
トルコの総人口8500万人のうちクルド人は2割弱の1500万人。
過去20年間で難民申請したトルコ国籍者1万2000人超の大半は、経済的に比較的貧しいクルド人とみられる。
日本とトルコには短期滞在の査証(ビザ)の相互免除措置があり、航空券代さえ負担できれば、パスポートだけで来日し、難民申請することで滞在を継続できる。
入管関係者によると、平成25年から昨年2023年までの11年間に難民申請したトルコ国籍者について、出身地が分かる約4700人を対象に集計。
全体の約8割がトルコ81県のうち、ガジアンテプ県と、カフラマンマラシュ県、アドゥヤマン県の南東部3県に集中していた。
3県は、いずれも民族的にクルド人の多い地域として知られるが、中でも特に難民申請者の多い村が4〜5村ある。
川口市内で解体工事会社を実質経営する30代のクルド人男性の故郷、ガジアンテプ県の村と並んで、アドゥヤマン県の西部にある村もその1つだ。
こちらも荒涼とした丘陵地帯に、立派な
「御殿」
が立ち並んでいた。
■同胞からの迫害ない
クルド人の村長(58)によると、村人約1180人のうち1割近くの約100人が日本にいるという。
「皆仕事の機会を求めて日本へ行った」
「単純に経済的な理由だ」
「1人が行くと、親族や知人が彼を頼って日本へ行く」
村は昨年2023年2月のトルコ地震の震源に近く、倒壊した家も多かった。
十数人が犠牲になったといい、家を失って日本へ避難した人もいたが、最近は落ち着いてきたという。
村の配管工のクルド人男性(47)は自身も日本で13年間働き、しっかりとした日本語を話した。
「航空券代は10万円くらいだから、ちょっと働けば買え、日本でもっと稼げる」
「借金して行く人もいるが、すぐに稼いで返せる」。
川口に在留しているクルド人に触れると、
「我々が難民だなんてウソ」
「皆上手にウソをつく」
と話し始めた。
「入管で『国へ帰ったら殺される』『刑務所へ入れられる』と言うでしょ?」
「全部ウソ」
「本当にウソ」
「皆日本で仕事したいだけ」
「お金が貯まったら、村へ帰る」
「私の国で迫害なんて絶対ない」
トルコの憲兵隊は怖くないか尋ねると、
「なぜ怖い?」
「この辺りはクルド人が多く、憲兵にも警察にもクルド人が多い」
「なぜ同胞が同胞を迫害するんだ」
男性は別れ際、
「もう1度日本に行きたい」
「シャシミ(刺身)が食べたい」
と言った。

<独自>川口クルド人「出稼ぎ」と断定 入管が20年前現地調査 日弁連問題視で「封印」
「移民」と日本人
2024/11/24 12:00
https://www.sankei.com/article/20241124-HDYXVM4BBRM3TMHREBP6PXC2ZM/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人を巡り、法務省入国管理局(現出入国在留管理庁)が20年前の平成16年、難民認定申請者の多いトルコ南部の複数の村を現地調査し
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていたことが2024年11月24日分かった。
しかし日本弁護士連合会が
「人権侵害」
と問題視したことから、調査結果は表に出なくなった。
これらの村などがある3県の出身者は現在も同国の難民申請者の8割を占めることも判明、報告書からは、クルド人の難民該当性について、既に一定の結論が出ていたことが窺われる。
この文書は
「トルコ出張調査報告書」。
当時、クルド人らが難民認定を求めて各地で裁判を起こしており、同省が訴訟対応として平成16年6〜7月、これらの村へ入管職員を派遣し、生活実態などを調査した。
報告書は
「我が国で難民申請した者の出身地が特定の集落に集中している」
「いずれも出稼ぎ村であることが判明」
「村民から日本語で『また日本で働きたい。どうすればよいか』と相談あり」
「出稼ぎにより、近隣に比べて高級な住宅に居住する者あり」
などと記されていたという。
ところが報告書が訴訟資料として法廷へ提出されると、クルド人側の弁護団が問題視。
入管側が難民申請者の氏名をトルコ当局へ伝え、現地の家族を訪問していたことなどを記者会見して非難した。
当時のメディアも
「法務省が不手際」
「迫害の恐れ」
などと批判的に報じたが、報告書の内容自体には触れなかった。
報告書は、氏名を伝えたのは申請者から提出された本国の
「逮捕状」
の真偽を確かめるためで、トルコ側から
「氏名がなければ照会できない」
「欧州各国も同じ方法で事実確認を求めている」
と指摘されたためとしているという。
当時、法務省は
「新たな迫害がないよう配慮して調査した」
と反論したが、弁護団側はクルド人らの人権救済申立書を日弁連に提出。
日弁連は翌平成17年、
「難民申請者の情報を提供することは、新たな迫害を生む恐れがあり、重大な人権侵害だ」
として当時の法相宛てに
「警告書」
を出した。
この結果、法務省は報告書の調査内容について
「封印」
せざるを得なくなったという。
弁護団側は、入管の案内役に憲兵を同行させたことについても問題視したが、報告書には
「村民と憲兵隊との友好関係を確認」
「憲兵や警察は日本の難民申請者に無関心」
などとも記されていたという。
これらの訴訟で原告となったクルド人らが難民と認められることはなかった。
また、入管関係者によると、当時調査した村などがあるガジアンテプ、カフラマンマラシュ、アドゥヤマンの南部3県には、日本に在留するクルド人難民申請者の出身地の8割が集中しているという。
入管庁によると、トルコ国籍の難民申請者は平成16年からの20年間で延べ1万2287人に上るが、難民認定されたのは4人。
また川口市によると、市内のトルコ国籍者は同期間で約200人から6倍の約1200人に増えた。
難民認定申請中の仮放免者を含めると約2000人に上る。

クルド人排斥デモ禁止命令 さいたま地裁仮処分決定
2024/11/21 18:58
https://www.sankei.com/article/20241121-R2BKN7QKPJMWRAVED7MQMPQT7M/
在日クルド人らで作る
「日本クルド文化協会」(埼玉県川口市)
が、ヘイトスピーチに当たるデモで名誉を傷付けられたとして今後実施しないよう求めた仮処分申し立てで、さいたま地裁は2024年11月21日、デモを呼び掛けた神奈川県の団体代表の男性に対し、協会事務所から半径600メートル内でのデモを禁止する決定をした。
協会側への取材で分かった。
協会側代理人の金英功弁護士によると、過去に在日コリアン排除を訴えるデモを禁止する仮処分決定はあったが、クルド人へのデモを禁じたのは初めて。
男性らは2024年11月24日にデモを行うと告知しているが、金弁護士は
「2度と実施しないことを期待する」
と述べた。
決定で市川多美子裁判長は、こうしたデモ行為が
「名誉を毀損または著しく侮蔑するなどして(協会の)業務を妨害する行為」
と認定し、一切実施しないよう命じた。

川口クルド人の危険運転も念頭、市長ら取り締まり相次ぎ要望 埼玉県警「適正に続ける」
「移民」と日本人
2024/11/17 10:30
https://www.sankei.com/article/20241117-ZLILLNB4DFEG5HPGF2XY2DVJUM/
埼玉県川口市で交通死亡事故が多発し、奥ノ木信夫市長や地方議員らが県警に対し、市内に集住するトルコの少数民族クルド人の危険運転も念頭に、取り締まりを強化するよう相次ぎ要望書を出す事態となっている。
県は同市を
「交通事故防止特別対策地域」
に指定、県警は
「適正な取り締まりを続ける」
としている。
市内では2024年9月23日、トルコ国籍の少年(18)が無免許で乗用車を運転、原付バイクの男性2人が死傷するひき逃げ事件が発生。
同2024年9月29日には、中国人の少年(19)が飲酒運転で一方通行を逆走して車と衝突し、運転していた会社役員の男性が死亡する事故が起きた。
この結果、同市は、人口50万人以上の市で3カ月以内に6人以上の交通死亡事故があった場合に指定される特別対策地域となった。
期間は2024年10月8日から3カ月間。
市によると、今年2024年は9月末時点で9人が死亡し、昨年2023年1年間の8人を既に上回り過去5年間の同時期で最多という。
こうした状況を受け、川口市の奥ノ木市長は2024年10月17日、市内を管轄する川口、武南両署長に対し、違法運転などの取り締まり強化を求める要望書を提出。
死亡事故について
「法令違反と運転技術の過信や順法意識の欠如が要因」
と指摘した。
要望書はその上で、クルド人らが経営する解体資材置き場周辺での過積載や速度超過などの危険運転を念頭に、
「市民からは生活上の安全が脅かされるのではないかと今後を危惧する声が数多く寄せられている」
として、取り締まりの強化などを求めている。
また、2024年10月1日には県議会の立憲民主党などで作る会派などが県警本部に対し、2024年11月8日には川口市議会の自民党市議団が川口、武南両署に対し、それぞれ同様の要望書を出した。
埼玉県警は取材に対し
「県民の安心・安全のため引き続き適正な取り締まりと交通安全の広報・啓発を続けていく」
としている。

川口の解体業者7割は中東系、1年で40社増170社 民家の廃材をその場に埋め4人逮捕
「移民」と日本人
2024/11/14 11:50
https://www.sankei.com/article/20241114-CQAUVRW3HRKLNOD47WALDFXWZA/
埼玉県新座市の住宅街で民家を解体後、廃材6.2トンをその場に埋めたとして、川口市に住むトルコ国籍の解体業の男ら4人が2024年11月13日、廃棄物処理法違反の疑いで県警に逮捕された。
川口市内の解体工事業者は255社で約7割は中東系とみられ、大半はトルコの少数民族クルド人とされる。
中東系は過去1年間で約40社増え約170社と急増している。
逮捕されたのは、いずれも川口市に住むトルコ国籍で、解体業のチカン・ハリル・イブラヒム容疑者(35)と23〜39歳の解体工の男3人の計4人。
県警はクルド人かどうかは明らかにしていない。
逮捕容疑は今年2024年4月27日頃から2024年5月7日頃の間、新座市栗原の民家解体工事現場で、解体で出た木くずや廃プラなど産業廃棄物計6.2トンを解体後の更地に埋めたとしている。
県警によると、民家の家主がインターネットで探した解体会社に依頼。
この会社が、チカン容疑者が実質経営する解体会社「H産業」に下請けに出したという。
同社は解体資材置き場を所有しており、県警はなぜ解体現場にそのまま埋めたのか動機を調べている。
■業界での割合も増加
埼玉県が公表している解体業者の名簿のうち、川口市内の業者は2024年10月末時点で255社。
このうち代表者が中東系の名前は約170社あり、全体の約67%を占めた。
大半はトルコ国籍のクルド人とみられる。
これらの業者数を1年前の昨年2023年10月末時点と比べたところ、中東系の名前は約130社から約170社に約40社増え、1年間で1.3倍となった。
また、解体業者全体に占める中東系の割合も約59%から約67%と、8ポイント上がった。
資材置き場は近年、川口だけでなく隣接する越谷市やさいたま市岩槻区などにも広がっており、今回の事件を起こしたH産業も川口市内から越谷市へ移転していた。
■杜撰工事相次ぐ
解体工事を巡っては昨年2023年9月、東京都品川区で杜撰な工事により区が工事停止を指示。
工事は日本企業が中国系業者に発注、更にトルコ人業者に下請けされ、最終的に現場作業したのはクルド人だった。
今年2024年6月には埼玉県富士見市のビル解体工事現場で解体作業中に建物が崩落し、隣接する道路を塞ぐ事故があった。
工事を請け負ったのは中東系外国人が経営するさいたま市岩槻区の解体会社だった。
首都圏の解体業はクルド人の生業となっている。
一方で、川口市にはクルド人が約2000人在留。
大半は難民認定申請中で、出入国在留管理庁によると昨年2023年1年間のトルコ国籍の申請者は2406人に急増し、初めて2000人を超えた。

川口クルド人意見書でれいわ離党の市議、立民愛知から衆院当選 移民問題「答えられない」
「移民」と日本人
2024/11/5 15:52
https://www.sankei.com/article/20241105-3R7OB4DXWJK2JLKVZSJMQFQQVU/?outputType=theme_election2024
2024年10月27日投開票の衆院選で、立憲民主党公認で愛知15区から出馬した前埼玉県川口市議、小山千帆氏(49)が、比例東海ブロックで復活当選した。
小山氏は昨年2023年6月、川口市議会のクルド人問題を念頭に置いた
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書に賛成後、所属するれいわ新選組を離党。
更に市議を辞職していた。
小山氏は
「移民問題」
について
「取材は受けない」
としている。
小山氏は昨年2023年4月の統一地方選でれいわ公認で川口市議に初当選。
同年2023年6月、市議会でクルド人問題を念頭に置いた意見書が可決された際は、立民・れいわの共同会派が反対する中、小山氏は賛成した。
小山氏はその後、れいわ内で難しい立場に立たされたとされ、今年2024年5月、れいわを離党。
無所属で活動後の2024年7月下旬に市議を辞職し、直後に立民愛知15区総支部長に就任した。
小山氏はれいわ離党の際
「川口市民の生活に寄り添った活動をしていきたいため」
と理由を話していたが、市議を辞職した際は取材に対し
「取材は断っている」
と回答。
自身のXも全面削除した。
今回、衆院初当選に当たって、国の出入国管理政策や
「移民」
受け入れの他、川口市のクルド人問題や昨年2023年6月の意見書について取材を申し込んだところ、愛知県豊橋市の地元事務所を通じて
「取材は受けない」
と回答があった。
回答を伝えた事務所の男性に名前を尋ねたところ、回答を断られた。
小山氏の衆院選向け公式サイトには主要政策が4項目列挙されているが、移民問題についての言及はない。

川口クルド人問題、突如衆院選争点に浮上「私におまかせを」埼玉2区、全く触れない候補も
「移民」と日本人
2024/10/16 12:10
https://www.sankei.com/article/20241016-M2LPK63JJZLGHB5FX4XFJEJGOQ/?outputType=theme_election2024
27日投開票の衆院選埼玉2区は、トルコの少数民族クルド人と地域住民との軋轢が表面化している川口市の大部分が選挙区だ。
「地元国会議員が動いてくれない」
との指摘も出る中、今回の選挙では突如、争点に浮上。
公示日の15日、JR川口駅前では
「クルド人問題を解決する」
と公約する候補も現れた。
川口は外国人問題で有名になった
「ルール違反の外国人問題、おまかせください!」
日本維新の会前職の高橋英明氏(61)陣営の選挙カーから、運動員の女性がこう呼び掛けた。
前回は比例復活で初当選。
今年2月の衆院予算委ではクルド人を念頭に地元の外国人問題を取り上げ、当時の岸田文雄首相に対応を求めた。
選挙カーの上でマイクを握った高橋氏は経済再生などを訴えた後、クルド人らも混じる通行人に向かって
「この川口は外国人問題で全国的に有名になってしまった」
と切り出した。
「ルールを守らない外国人は一旦国に帰ってもらって、きちんとした在留資格で来てもらう」
「支援団体もそういうことを手助けすべきだ」
と指摘し、警察官の増員などを訴えた。
■この機会だから申し上げる
9選を目指す自民前職で前経済再生相の新藤義孝氏(66)は、選対本部長に奥ノ木信夫市長を迎え、駅前広場に自民、公明両党の県議や市議ら約25人を集めて出陣式。
150人以上の聴衆に向かって経済再生などを論じた後、
「もう1つ大事なことは治安の確保だ」
と地元の課題に話題を転じた。
「いわゆるクルド人問題」
「この機会だから申し上げるが、難民認定申請を繰り返し、10年も20年も川口にいる人たちが増えてしまった」
と、自身の選挙で初めてクルド人問題を明確に取り上げた。
新藤氏は自身の政策チラシにも
「クルド人問題の解決」
と明記。
この日の演説で、6月施行の改正入管難民法で難民申請中の強制送還停止が原則2回までに制限されたことについて
「法改正まで5年かかった」
と実績として触れ、
「ルールを守ってこその共生だ」
「川口をあやふやな出入り自由の街にはさせられない」
と声を張り上げた。
■なぜ外国人問題に触れるのか
一方、共産新人で元県議の奥田智子氏(55)は川口駅頭で第一声を上げたが、約13分間の演説で外国人問題に触れることはなかった。
演説後、奥田氏になぜ触れなかったか尋ねたところ、
「逆に聞くが、なぜ触れるのか」
「演説の内容は私が選べる」
「触れない理由は敢えて言わない」。
地元のクルド人問題への対応については
「国の政治が悪すぎる」
「それに尽きる」
と入管政策を批判した。
立民新人で歯科医師の松浦玄嗣(もとつぐ)氏(52)も川口駅前での出陣式では外国人問題について言及しなかったが、配布した政策チラシに
「外国人労働者の処遇に明確な法整備を求める」
と掲げた。
取材に応じた松浦氏は
「外国人を労働者としてなし崩し的に受け入れるから問題になる」
「川口で起きていることは10年後、20年後、必ず国全体の問題になる」
「外国人を移民として受け入れるのか、鎖国するのか、ロボットやAIに頼るのか、政治家は国民と議論しなければならない」
と語った。
■早く目に見える成果を
この他、埼玉2区には諸派新人で不動産会社社長の津村大作氏(50)が立候補。
7月の東京都知事選にも出馬した津村氏は今回、強制送還を拒む不法滞在者の入管施設への収容を一時的に解く
「仮放免制度」
の廃止を訴えている。
クルド人の危険運転などに困っているという地元の男性会社員は
「選挙で取り上げられるようになったのは一歩前進だが、市民の間ではまだまだ『政治家は何もしてくれない』との思いが強い」
「早く目に見える成果を挙げてほしい」
と話していた。
▽埼玉2区立候補者(届け出順)
奥田 智子55元県議 共新
高橋 英明61党県代表 維前
新藤 義孝66前経済再生相 自前
津村 大作50会社社長 諸新
松浦 玄嗣52医療法人役員 立新

日本人の安全が何より優先する。
そこを履き違えてはいけない。

<独自>「トルコ人は10月からビザ必要」ニセ情報拡散 外務省「川口クルド問題は認識」
「移民」と日本人
2024/9/18 15:30
https://www.sankei.com/article/20240918-QY7P3S2RXFF4TKEIEZBJPJQBDY/
日本とトルコの間で結ばれている短期滞在の査証(ビザ)免除措置について、トルコ国内の一部メディアやSNS(交流サイト)で
「日本政府が10月からトルコ国籍者にビザ要件を課す」
との偽情報が拡散、トルコ大統領府が否定の声明を出す異例の事態となっている。
日本の外務省も
「そのような事実はない」
と否定した上で、埼玉県川口市でトルコの少数民族クルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題について
「問題は認識し、注意深く対応している」
と述べた。
外務省によると、日本は観光や商用など短期滞在のビザ免除措置を71カ国・地域に実施しており、トルコとは1958(昭和33)年から相互免除が取り決められている。
航空券代さえ負担できれば、パスポート一つで来日し、最長3カ月在留できるため、3カ月後に難民認定を申請して滞在を継続するケースが続出。
川口市に在留するクルド人約2千人の多くがこの方法で難民申請しているとされる。
ところが、今月に入りトルコ国内のSNSで
「日本は10月1日からトルコにビザ要件を課す」
という偽情報が拡散。
一部トルコメディアにも
「短期滞在ビザを利用して日本行きを夢見る人々に悪いニュースだ」
「難民申請の増加や不法就労の問題に苦しむ日本が、トルコへの扉を閉ざすことになった」
などとする記事が掲載された。
トルコ大統領府通信局は今月16日、
「こうした主張は事実ではない」
「一般市民をミスリードする意図を持った主張を信じないでほしい」
と注意を呼びかける声明を発表。
トルコメディアもこの声明を報じた。
トルコとのビザ免除をめぐっては、上川陽子外相が5月の参院決算委で
「日本社会の安全、安心を守ることも重要だが、ビザ免除の見直しが必要とまでは考えていない」
と答弁。
外務省中東一課の担当者は取材に対し、ビザ免除見直しを否定した上で
「最近、一般の方を含め問い合わせは来ているが、国会答弁の通りだ」
と回答。
その上で
「川口のクルド人の問題は認識している」
「外交当局として、二国間にどのような影響があるか注意深く案件をフォローしている」
と話した。
日本とトルコは8月に国交樹立100周年を迎え、記念行事が続いている。
12月上旬には、秋篠宮ご夫妻がトルコを公式訪問されることが決まっている。

川口クルド人問題を新聞・テレビはなぜ報じない 産経新聞コンテンツ統括・皆川豪志
正論10月号
2024/9/1 12:00
https://www.sankei.com/article/20240901-MCH2PHSPSVBG7OO4MC3A34TT44/?outputType=theme_monthly-seiron
川口クルド人問題を知らない人は、かなり少なくなってきたのではないでしょうか。
近年、トルコからクルド人が大勢、日本の埼玉県川口市に移住してきて、暴力的な行為や騒音などで、地域住民に不安や恐怖を感じさせている問題です。
地元住民やインターネットの一部ユーザーでは有名だったのですが、大手メディアではほとんど報じられてきませんでした。
しかし、産経新聞が2023年から、インターネットメディア「産経ニュース」や新聞紙面などで報じ始めた後、一般的にも大きな問題として認識されるようになってきました。
ただ、他の新聞やテレビなど大手メディアは相変わらず、これを無視しています。
「外国人との共生社会」
の理念に反するという理由なのでしょうか、ほとんど報道されないのです。
こうした報道姿勢は果たして正しいのでしょうか。
共生の理念を守るためとはいえ、現に存在する大きな社会問題が無視されていいのでしょうか。
■意見書も暴動も無視
まずは、この問題について詳しくない人たちのためにも、川口クルド人問題を巡る産経新聞の報道姿勢について、説明する所から始めたいと思います。
産経新聞がこの問題を本格的に報じるようになったのは、2023年6月29日、川口市議会が
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書を可決したことと、その直後に
「川口市立医療センター」
周辺でクルド人約100人が関与したとみられている暴動事件が起きたことが大きなきっかけでした。
前者は川口市においてクルド人を巡るトラブル増加を受け、議長を除く市議41名のうち、34名の賛成多数で可決されたものです。
その中には、れいわ新選組所属の議員(後に離党)1人も含まれており、幅広い層の議員が賛成したことが窺えました。
この意見書は、
「一部外国人」
として、
「クルド人」
と名指ししたものではありませんでしたが、少なくともそのことが想定される内容で、全国の自治体でも例のないものでした。
後者はクルド人同士の痴話喧嘩がきっかけで、市内路上で相手を切りつけて暴れた上、搬送先の病院にまで押し掛けるというショッキングな事件でした。
殺人未遂や公務執行妨害容疑などで約10人の逮捕者を出した上、地域唯一の救急医療が一時ストップするなど地元住民にも多大な影響が出ました。
ところが、これらを大きく報じたメディアはほとんどありませんでした。
恥ずかしながら産経新聞もさいたま支局は県版で少し触れた程度でした。
事件の直後に産経新聞本社の編集局に着任した私は、これほどの問題に反応しない体たらくに驚き、記者たちを叱咤し、改めて取材を指示しました。
その結果、2024年7月31日付の産経新聞は1面トップで医療センターの事件を、3面でその背景となる意見書可決の記事を大きく掲載しました。
以降、他メディアがほとんど取り上げない川口市の地元住民とクルド人の軋轢を中心に、外国人労働者や難民認定申請者の増加に伴う問題全般について1年間で約80本の記事を出しました。
それにしても、なぜ新聞もテレビも、この事件や意見書決議をほぼ無視したのでしょうか。
意見書作成を主導した自民党所属の川口市議は市役所の記者クラブの記者に説明したそうですが、記者側からは
「そうなんですけどね」
「難しいですね」
といった言葉が返ってくるばかりで、煮え切らない態度だったそうです。
要するに、支局の一記者がややこしい問題に触れたくないということだったようなのです。
とにかく以後、産経新聞はこのテーマにきちんと取り組むようになりました。
「外国人に対するヘイト報道だ」
との批判を受けることもありますが、それでも、報道を続けることは重要だと思っています。
起こっている事実、少なくとも地元で少なからぬ住民が懸念を持っているような事実について、誰も報じなくて良いのかという強い問題意識があるからです。
実際、川口市内の一部地域では、隣に住むクルド人の騒音を注意した住民が、
「ばばあ出ていけ」
と怒鳴られたり、改造車で自宅の塀を壊されて逃げられたりというようなケースが散見されます。
解体業などに従事するクルド人が物凄い量の廃材をトラックに積んで住宅街を走り抜ける光景も目立ちます。
実際に
「犯罪」
として認知されていなくとも、住民の体感治安は非常に悪くなっているのではないでしょうか。
例えば、こんなことがありました。
川口市に住む30代の女性が、
「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」
として、
「私たちの存在を、消さないで。Native Lives Matter」
という画像を作成し、これがネット上で拡散されたのです。
女性には小さな子供がおり、近所にある資材置き場を出入りするクルド人運転の過積載トラックに恐怖を感じたそうです。
「ヘイトスピーチだ」
などと批判されることを恐れて実名は出せませんでしたが、勇気を振り絞って訴えたといいます。
私たちはこのことについて、2024年の2月28日に報道しました。
■事実は事実として
それにしても、他のメディアはこうした地元住民の気持ちをなぜ汲み取ることができないのでしょうか。
2017年に英国で出版され、ベストセラーになった『西洋の自死』(ダグラス・マレー著)によると、英国の世論調査で国民の過半数は移民の受け入れに否定的だったのに対し、メディアの多くは賛成の論調だったそうです。
その後、英国をはじめ欧州が大量の移民を受け入れるにつれ、移民による犯罪が頻発するようになったそうですが、それでも欧州のメディアは
「人種差別主義者」
と呼ばれるのを恐れて、そうした事実を極力覆い隠そうとしたとのことです。
もしかしたら、これと同じことが日本でも起きているのかもしれない―。
産経新聞では、一連の川口市とクルド人に関する記事について、他紙がどれだけ報じたかについて調べて、一覧表(左)にして掲載したことがあります。
その表からは、他紙がこのテーマを報じる機会が相当少ないことが明らかになりました。
その理由を、私が他社を代弁することはできませんし、メディアによって様々なのかもしれません。
移民問題は報道が難しい問題だからなのか、多面的な見方がある微妙な問題だからなのか、
「ヘイト」
という批判を受けやすいからなのか、あるいは、日本人に我慢を強いても外国人の人権が大事と考えているのか。
私は、理由の1つに地上波テレビがほとんど取り上げていないことも関係していると考えています。
テレビの影響力は今も大きいので、テレビ報道があれば変わることがあるかもしれません。
いずれにしろ、移民に対する考え方はメディアによって様々であっても、事実を淡々と報じるということは、あっても良いはずです。
念のため申し上げますが、産経新聞は決して
「外国人の受け入れ」
全てに反対ではありません。
ただ単に、今後多くの外国人が日本社会に受け入れられていくだろうという現実を前提に、
「では、問題のない受け入れにはどうすれば良いか」
という問題提起をしているだけなのです。
少なくとも私たちは、事実を誇張して何らかの世論誘導をするつもりはありません。
私たちが声を大にして言いたいのは、事実を報じないのはおかしいということです。
日本に在留する外国人にしても、
「難民」
「不法滞在者」
「正規の外国人就労者」
をきちんと区別して考えるべきで、
「外国人差別は良くない」
「強制帰国させるのは可哀想」
などという情緒的な話ばかりでなく、事実をきちんと報じ、現実から出発して、物事を考えることが重要なのではないか。
そう思うのです。
■マスコミへの不満
先ほど、このテーマについて産経新聞に
「ヘイトだ」
という声が寄せられるという話を書きましたが、実は読者からのこうした声は少数です。
少なくとも、弊社に寄せられる声の多くは
「産経、よく書いてくれた」
という趣旨のものがほとんどです。
この種の記事というのは非常に関心が高く、ネットなどでは1日のうちで最も読まれている記事になることもしばしばです。
特に、このテーマで連載や特集などをやると
「他紙はまた報道しない自由ですね」
などという反応が大半です。
重ねて申し上げますが、川口クルド人問題で、何か一定の世論を形成しようという
「上から目線」
のつもりは全くありません。
大事なのは、きちんと事実を報じ、どう考えてもらえるかということなのです。
はっきり言って、この問題について多くのメディアが何も報じようとしない現状はかなり危険です。
報じたとしても
「クルド人の絵画展が開かれました」
「地域との共生イベントが行われました」
といった生温いニュースばかり。
これをみて、実際に困っている住民は何を思うでしょうか。
「マスコミは事実を隠している」
と疑念を持つのではないでしょうか。
現実に、マスコミがこの話題についてあまりに報じないため、逆に
「なぜ報じないのだ」
という批判も広がりつつあるようです。
このまま
「共生が大事」
「多様性は素晴らしい」
みたいなことばかり言い続けていくと、逆に、日本の一般の人たちの心の中に、ルールを守らない外国人に対する憎悪のようなものを生み出す結果になる可能性があります。
マスコミが
「外国人との共生に日本人が協力すべき」
というような論調ばかりになると、却って一般の人の間には不満が溜まり、それがいつか爆発し、社会の分断に繋がることにならないだろうか。
私はこう危惧します。
■「人手不足」という言い訳
川口のクルド人問題に象徴される移民問題、もしくは
「外国人受け入れ」
問題については、政治や言論で批判がタブーになっているとしばしば言われます。
私たちは現在の言論空間について、あまり窮屈だと感じたことはありませんが、ただ、このテーマについて
「何か面倒だ」
と思う人がいる気持ちも分かります。
新聞でもテレビでも、偏らずにこういう話もあるしこういう話もある、という報道があれば、それを元に様々な意見が交わされていくはずですが、実際にはそれとは程遠いというのが現実です。
例えば、
「外国人差別はいけない」
「人権は大事」
などと言われれば、誰も否定できません。
それに対して、
「いやいやこういう外国人の問題もある」
「入管のルールはこうなっていて」
などと一から説明する労力を考えれば、
「否定しません。以上」
で終わったほうが面倒くさくないですから。
下手をすれば
「ヘイト」
と責められかねないようなことを敢えて政治家やテレビのワイドショーなどが取り上げることはありません。
そこを説明したり議論したりすることは、やはり厄介だと思われているのではないでしょうか。
今、産経新聞では断続的に
「『移民』と日本人」
というタイトルで連載が行われていますが、移民という言葉には
「」
が付けられています。
一応、日本に移民はいないことになっているからです。
ただ、移民と言わないだけで
「外国人労働者」
はこれまでも積極的に受け入れられてきました。
これは、
「軍隊」

「自衛隊」
と言い換え、その本質に踏み込まない議論とよく似ているのではないでしょうか。
本質に踏み込めば、議論せざるを得なくなる。
議論すると色々と厄介な問題が見えてきてしまう。
日本人にとっての移民問題は今、そんな感じなのではないでしょうか。
その一方で、マスコミではしばしば
「人手不足」
の解消のため、外国人の受け入れを進めるべきという議論が展開されています。
日経新聞、読売新聞なども、社説などで
「人手不足」
のため外国人の受け入れを進め、外国人に
「選ばれる国に」などと主張しています。
しかし、これは移民推進論とどこが違うのでしょうか。
今さら言うまでもありませんが、移民推進については、経済的視点から、
「安価な労働力流入によって、自国民の所得を下げるだけで、企業努力を妨げる」
と批判されてきました。
経済界などは
「労働力不足」
を前面に訴えていますが、実際は
「安い労働力」
が欲しいだけなのではないかとも指摘されています。
外国人労働者を受け入れれば、目先の
「安い労働力」
という利益は得られるかもしれません。
しかし、労働力として受け入れられた外国人にも人生があり、そのことも受け入れた側の国は考えなければなりません。
簡単に家族帯同などと言いますが、その家族の社会保障はどうするのか、働けなくなったらその家族の面倒も日本社会が見るのでしょうか。
先進国で外国人労働者が従事するのは、自国民が
「やらない」
仕事ではなく、
「現状の賃金ではやりたくない」
仕事です。
こうした仕事については、仮に外国人という選択がなければ、自国民がやりたくなるまで賃金水準は上がり、企業はより一層の技術開発などで乗り切ろうとするでしょう。
日本の高度成長期などは、移民の力は一切借りず、賃金を上げて1億総中流という社会を築いたのですから。
労働力不足を理由に安易とも言える
「移民推進論」
を進めた欧米は、文化や宗教、言葉の違いから、取り戻せないほどの治安悪化に苦しみ、ようやく移民政策の転換を始めました。
欧米の失敗から学ぶべき事は多いのではないのでしょうか。
私たち日本人は、そうしたことを真面目に議論しなければならないと思います。
《この文章は、筆者が『国際人流』(公益財団法人・入管協会発行)2024年7月号に掲載されたインタビュー記事で発言した内容をもとに、書かれたものです》
(月刊「正論」10月号から)

「ペンのチカラ信じたい」川口クルド問題、産経新聞が地元読者の声を全面特集 報道検証も
「移民」と日本人
2024/3/16 8:00
https://www.sankei.com/article/20240316-TFNS5ICNPJJ4NP6WXDR4SW36OM/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、2024年3月16日付の産経新聞が1ページ全面を使って
「報じられない川口クルド問題」
の特集を組んだ。
「秩序なき『共生』 黙殺される地域の声」
との見出しで、川口の地元住民らから上がっている大手メディアの消極姿勢についての疑問の声を詳報。
朝日新聞、共同通信など5つの媒体についてのこの問題を巡る報道状況を検証している。
検証記事については、2024年3月16日午後、産経ニュースでも配信する。

川口クルド問題 朝日、共同などの報道状況を検証 事件報道わずか、イベントには好意的
「移民」と日本人
2024/3/16 13:00
https://www.sankei.com/article/20240316-4G6I7KUVAJO6BPNHSJYY
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、地元住民などから大手メディアの消極姿勢に疑問の声が上がっている。
朝日新聞や共同通信など5つの媒体について報道状況を検証したところ、事件や不祥事については報道量が少なく、扱いも小さい一方、取り上げられる際は、同情的、好意的な報じ方が一般的となっている実態が浮かんだ。
■20件中僅か2件
2023年6月から2024年3月にかけて、産経新聞や産経ニュースが取り上げたクルド人と地元との軋轢を巡るニュースや、クルド人の犯罪についての事案など20件について、朝日、毎日、読売の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の5媒体を対象に、商用データベースなどで報道状況を調べた。
その結果、産経を除き3媒体以上が報じたニュースは20件中、僅か2件しかなかった。
2媒体が報じたニュースは7件、1媒体しか報じなかったニュースが5件、全く掲載していないニュースが6件だった。
1媒体だけの場合は地元紙が多かった。
川口市議会は2023年6月末、国や県などに
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書を賛成多数で可決した。
この意見書は、具体的な民族名こそ挙げていないものの、クルド人を念頭に置いたもので、地方議会としては異例の出来事だった。
■地元紙さえ報じず
産経新聞もこのニュースを報じたのは約1カ月後だったが、クルド人と住民との軋轢の実態や議決の背景、与野党議員の声などを大きく取り上げた。
一方で地元紙も含め、各紙は産経が報道するまで全く報じず、地元紙が2023年8月中旬の企画記事の中で、全国紙の1紙が2023年9月にクルド人問題を巡る政治家の動きを報じる中で触れたのみだった。
2024年3月7日、女子中学生に性的暴行をしたとして不同意性交容疑でクルド人の男が逮捕された性犯罪事件も、産経以外は2紙しか報じなかった。
報道した2紙も
「トルコ国籍」
との表記で、逮捕されたクルド人が事実上の
「移民2世」
であることなど詳しい背景は報じられなかった。
一方で、川口市内で開かれたクルド人の写真展などのイベントはほとんどの媒体が好意的に紹介していた。
クルド人の祭り
「ネウロズ」
の開催を巡り、埼玉県側が公園の使用を一時認めなかった問題も、ほぼ全媒体が報じていた。
■事件報道は「トルコ国籍」
また、
「クルド人」
という民族名は、難民認定申請を繰り返す彼らが法的に不安定な立場に置かれているとして、同情的に報じるケースが目立った。
逆に、事件や不祥事などでは
「トルコ国籍」
とだけ報じて民族的な背景を報じなかったり、単に
「外国人」
とだけ表記したりするケースもあった。
2023年8月、川口市内の男子中学生が大型商業施設への威力業務妨害容疑で逮捕された際に報じた2紙も
「トルコ国籍」
「外国籍」
との表記だった。
また、2024年2月26日の衆院予算委で、川口市を地元とする議員が、外国人の治安問題について民族名の名指しを避けながら質問した際は、共同通信が記事を配信し全国紙1紙が掲載したが、その内容は
「ヘイトスピーチだ」
などとするジャーナリストの談話を掲載した批判的なものだった。
■「実態が報道されない」
今回、地元住民らから寄せられたメールでも、
《日本人の女子中学生がクルド人にレイプされたのに、ほとんどのマスコミが重要視せず、川口の実態が報道されないことは異常としかいいようがない》
《「ヘイトスピーチだ」などとするジャーナリストの談話を掲載した通信社や、そのジャーナリストは本当に川口の実態を知って批判しているのでしょうか》
など、大手メディアへの不信感が渦巻いていた。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)
今回、地元住民から寄せられたメールには、テレビや新聞への不信感が渦巻いていた。
初めて意見を投稿するという東京都の58歳女性は
<大きな問題であるにもかかわらず、大手メディアで取り上げられることはほとんどない>
<取り上げられたとしても過度に配慮した扱いに大きな不安を感じていた>
<川口の問題は他人事ではなく明日は我が身の問題です>
とし、こう続けた。
<国の形を変えるような問題が差別や目先の労働力確保に摩り替えられ、オープンな議論ができない状況で、影響力のある大手メディアが問題提起しない姿勢に疑問を感じていた>
<今回の地元の女性の訴えは、そのような状況に一石を投じるものと感じます>
■川口のクルド人問題を巡る最近の経緯と報道状況
@産経新聞や産経ニュースが報じた事案
A朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の計5媒体のうち
⇒〇3媒体以上、△2媒体、▲1媒体、×掲載なし
★令和5年
・6月29日
@埼玉県川口市議会が、国や県などに「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」を求める意見書を可決
A▲
・7月4日
@川口でクルド人同士の殺人未遂事件。市立医療センター周辺でクルド人約100人が集まる騒ぎ、救急受け入れを5時間半停止
A〇
・8月1日
@川口の大型商業施設に煙幕を出す花火を投げつけたとして14歳のクルド人の男子中学生が逮捕
A△
・8月21日
@7月の殺人未遂事件で埼玉県警がこの日までに計7人を逮捕
A▲
・9月1日
@川口市の奥ノ木信夫市長が、法相へ不法外国人の強制送還などを求める要望書
A△
・9月4日
@東京都内でクルド人業者による解体工事を巡り住民から苦情が殺到、区が工事停止を指示
A▲
・9月14日
@衆院外務委の黄川仁志委員長(当時)が駐日トルコ大使にクルド人問題で「懸念」伝達

・9月25日
@7月の殺人未遂事件でさいたま地検が7人全員を不起訴処分
A△
・9月26日
@川口署内でジャーナリストを「殺す」などと脅したクルド人を逮捕

・10月24日
@ジャーナリスト脅迫事件でさいたま地検がクルド人を不起訴処分

・11月4日
@川口のクルド人団体「日本クルド文化協会」が埼玉県警や地域住民らと合同パトロール
A▲
・11月24日
@公安調査庁が年報「国際テロリズム要覧」2023年版で、テロ組織のリストからトルコの非合法組織「クルド労働者党(PKK)」などを除外。
この日のインターネット上で公開され、内外で反発広がる

・11月29日
@トルコ政府が日本クルド文化協会と代表者らについて、PKKに資金提供している「テロ組織支援者」と認定、トルコ国内の資産凍結を公表
A▲
★令和6年
・1月22日
@不法滞在のクルド人男性が実質経営する解体会社が埼玉県に100万円を寄付、大野元裕知事が男性に感謝状を手渡す

・1月23日
@クルド人の祭り「ネウロズ」の埼玉県営公園での開催許可を巡り、県公園緑地協会が当初の対応の誤りを認めてクルド人支援団体に謝罪
A〇
・2月25日
@2月18日にJR蕨駅周辺で行われたデモの際、日本クルド文化協会関係者が「日本人死ね」とも聞こえかねない発言をしたと指摘され同協会が釈明、謝罪
A△
・2月26日
@衆院予算委で日本維新の会所属議員が川口のクルド人の治安問題を巡り国会で初めてとみられる関連質問
A△
・2月26日
@川口在住の女性が「ネーティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)などと訴えるメッセージ画像をSNSに投稿、急拡大される

・3月5日
@ネウロズ開催を巡り県公園緑地協会が日本クルド文化協会に公園使用を許可
A△
・3月7日
@川口のコンビニ駐車場で女子中学生に性的暴行をしたとしてクルド人を逮捕
A△
*他媒体の掲載状況は商用データベースの検索結果から。2カ月以上経ってからの掲載は除く

川口クルド問題、地元当事者の声続々「政治が動いてくれない」 社会の分断一層進む恐れも
「移民」と日本人
2024/3/9 10:00
https://www.sankei.com/article/20240309-VUIKPV7VPFOW5CLOCN2FG4HAZY/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、産経ニュースがメールで募集した読者の声が止まらない。
全体の約4割が埼玉県民からで、うち約7割が川口市民だった。
「政府も自治体も何もしてくれない」
「このまま川口で暮らしていけるか不安」…。
クルド人とみられる集団の行為を具体的事例を上げて批判する人も多く、住民の喫緊の課題であることが窺えた。
「多様性」
で一括りにして政治がこの問題を放置すれば、社会の分断が却って進む恐れすらある。
■「引っ越せばよいといわれても」
川口市に住んで20年になるという60代女性は
《いつのまにか周りにクルド人が増えた》
とし、道路に溢れるゴミの問題や公園の使い方、夜のコンビニでの体験などを淡々と綴った。
警察に連絡しても特に改善はなく、
《パトロールもしてくれない》
という。
《私には孫がいます。本当にここに暮らして大丈夫なのか? この年になって、そんな不安が出てくるなど思いもしなかった。引っ越せばよいといわれるが、年金生活でお金はありません。市長が出してくれますか》
《私たちはふつうに暮らしていただけです。どうか川口市民の声が大きな声になって市を、国を揺さぶれる力になりますように!》
■「警察を何とも思っていない」
同市内の40歳男性は、クルド人とみられる若者グループによる一方通行での改造車の逆走などの目撃が後を絶たないという。
《彼らは「一部のクルド人」だと言いますが、もはや全体の問題と考えてもおかしくない。一刻も早く、安心して暮らせる社会になることを願う》
同市内の55歳男性は、元々外国人の多い川口は
《日本のどこの住民よりも外国人に慣れている》
とした上で、
《ただ、クルド人とほかの外国人が違うと思うのは、彼らが警察を何とも思っていない点です。法律も関係ない、警察も怖くない、集団で行動するクルド人をこのままにしておけば、この街は無法地帯になります。誰か助けてください》。
《まじめに仕事をしているクルド人もたくさんいるでしょう。日本人がやらない仕事をしてもらって、助かっている部分もあるでしょう。ですが、法律を守らないクルド人は日本から即刻出ていってもらいたい。これはヘイトでも差別でもなく、日本人として当たり前の感情だし、当たり前の前提だと思います》
■「外国人と共生を」メディアが擁護
川口市で生まれ育ち、現在も市内で子育て中という50代女性は
《クルド人の行動や素行をとても恐怖に感じています。私たち川口市民は、この先も川口で生活していくことに不安を感じます。公平って何ですか。それを武器にしないでください》。
埼玉県内の67歳男性は
《すでに何千人も住んでいて民族衣装を着て民族楽器を鳴らしている。ここは日本? これからどうなっていくのか。しかも実態は不法滞在状態の人もいるといわれている》
とし、こう続けた。
《政府は「移民」を急速に増やそうとしている。そのことへの不安が広まり、クルド人問題を大きくしている面があるのではないか》
県内の56歳男性は
《「外国人と共生を」「外国人を差別するな」と政府やメディアが擁護しているが、この問題に対処しない政府には憤りしかありません》
と綴った。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」
「移民」と日本人
2024/3/8 17:25
https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の
「移民2世」
という。
調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。
男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。
女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。
女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は
「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」
と容疑を否認。
同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。
「2世」
とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。

クルド祭り「ネウロズ」埼玉県公園協会許可 楽器使用も一転認める「丁寧に対応する必要」
「移民」と日本人
2024/3/6 12:45
https://www.sankei.com/article/20240306-ZSFLUEWT4JJ27OWNRUFZHIKNIE/
埼玉県川口市などに在留するトルコの少数民族クルド人の祭り
「ネウロズ」
の県営公園での開催を巡り、県公園緑地協会の対応にクルド人側が反発していた問題で、同協会が開催を許可したことが2024年3月6日、分かった。
許可は2024年3月5日付。
祭りは2024年3月下旬に県営秋ケ瀬公園(さいたま市桜区)で行われるという。
この問題は2024年1月、クルド人支援団体からの公園利用の相談に対し、協会側が
「楽器演奏の禁止」
を条件に許可する方針を示したところ、支援団体が
「音楽と踊りは一体だ」
などと反発。
同公園の管理事務所長が対応の誤りを認めて謝罪していた。
協会によると、別の県営公園で楽器を使用する際、
「音量を80デシベル以下にする」
などの条件で許可した例があったことから、今回も同じ条件で、楽器使用も含め許可したという。
協会は取材に対し
「公園の利用は地方自治法上、正当な理由がない限り許可を拒んではならないことになっている」
「今回は協会として速やかに丁寧な対応をする必要があり、他の県営公園の基準に準拠して許可した」
「今後、基準自体を見直す必要がある」
と話している。
協会によると、2023年7月にクルド人約100人が川口市内の市立病院周辺に殺到した騒ぎ以降、
「クルド人に県の施設を貸さないでほしい」
といった電話やメールが複数寄せられていた。

川口クルド問題で市民の声続々「事実報道しない」「過度に配慮」 大半がメディアに苦言
「移民」と日本人
2024/3/4 15:05
https://www.sankei.com/article/20240304-PWXWSDPU4RLCBF7W7ODSN76LJQ/
埼玉県川口市に住む女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像やメールによる訴えなどを産経ニュースで紹介したところ、多くの読者の声が届いた。
近年SNS(交流サイト)などで、個人の意見が
「拡散」
されることが増えているが、比較的短い感想や攻撃的な内容になることも多い。
今回、メールで募集したところ、いずれも長文で、自身の体験や意見を淡々と述べたものがほとんどだった。
「テレビは事実を報道しない」
「ヘイトと言われる日本は本当におかしい」
などと綴られ、全体の4分の1は埼玉県内からだった。
■「正直怯えて子育てしている」
川口市で子供を育てているという40代女性は
《テレビのマスコミは何らかの恩恵や力が働くのかわかりませんが、ほとんど事実を報道しません。記事を読んで、勇気を出して文章にする方もいるんだなと感銘をうけました》。
女性は、以前は横浜市内に住んでおり、
《外国人が多い地域でいろいろな国の友人もいました。外国人に対する差別意識はありません》
とした上で、川口市について
《実際に子育てして住んでみると、治安の悪さに驚きました》。
これまでの自身の経験を綴り、
《正直おびえて子育てしている》
《日本の子供たちに与える影響が怖い》
としつつ、
《何かを発言すればヘイトだとか人種差別だと、圧力や嫌がらせがありそうで、怖くて発言できません》
《安心して子供を公園で遊ばせられる、安全な子育てができる埼玉県に戻ってほしいです》
と結んだ。
■「どこがヘイトや差別なのか」
埼玉県内の33歳女性は
《迷惑行為を繰り返すクルド人の取り締まりを強化して、もともと住んでいた方が平穏に暮らせる生活を取り戻すことの、どこがヘイトや差別なのでしょうか? クルド人問題を提起しただけで「ヘイトだ!」と言われてしまう日本、本当におかしいです》
と訴えた。
こうした声が寄せられた背景には、2024年2月18日にJR蕨駅周辺で行われたデモの際、クルド人団体
「日本クルド文化協会」
の関係者が
「日本人死ね」
とも聞こえかねない発言をしたことや、2024年2月22日のインターネット番組でフリーアナウンサーの女性が
「外国人との共生が不可だとなると、日本人は引っ越しできるので人口が流出するだけ」
などと発言し、物議を呼んだことなどがあるとみられる。
■「オープンな議論できない状況」
埼玉県外からも多くの声が寄せられ、
神奈川県の50代女性は
《この問題に対する貴社以外の一部メディアによる偏向報道や政治・行政の無為無策に憤り、悲しみを感じておりました。川口に無縁であっても、想像力さえあれば、苦しむ川口市民の気持ちは十分理解できます》。
茨城県の38歳男性は
《川口の状況を知らない日本人はたくさんいますし、メディアも政治家もスルーする状況の中、問題解決に向かう大きな一歩だと思いました》
と綴った。
初めて意見を投稿するという東京都の58歳女性は
《大きな問題であるにもかかわらず、大手メディアで取り上げられることがほとんどなく、取り上げられたとしても過度に配慮した扱いに大きな不安を感じていた。川口市の問題は他人事ではなく明日はわが身の問題です》
とし、こう続けた。
《国の形を変えるような問題が差別や目先の労働力確保といった問題に摩り替えられ、オープンな議論ができない状況で、影響力のある大手メディアが問題提起しない姿勢に疑問を感じていた。今回の地元女性の訴えはそのような状況に一石を投じるものと感じる》
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

「行き場ない怒り、悲しみに光」川口クルド問題でメディアの役割とは 地元女性メール全文
「移民」と日本人
2024/3/1 12:28
https://www.sankei.com/article/20240301-H3IBW3M6KBPBRGDWTSL7MCQTLI/
埼玉県川口市に住む30代の女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像を産経ニュースで紹介したところ、女性から
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみに光を当てていただいた」
とするメールが届いた。
画像は、同市内などに在留するトルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢の中、
「苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?」
と訴える内容。
女性は
「市民の意見を聞こうともしないメディア」
に疑問を投げかけている。
移民受け入れに対する報道を巡っては、過去の欧州の経験でもその役割が問い直されている。
■欧米メディアも「報道しない自由」
欧米では現在、不法移民を含む移民の増加による社会の混乱が、国家的な課題となっている。
その背景として、メディアが
「ヘイト」
「差別」
と批判されることを恐れるあまり、必要な報道をしてこなかったとの指摘が出ている。
2017年に英国で出版され、ベストセラーになった
「西洋の自死」(ダグラス・マレー著)
によると、英国の世論調査で国民の過半数は移民の受け入れに否定的だったのに対し、メディアの多くは賛成の論調を張った。
その後、英国をはじめ欧州が大量の移民を受け入れるにつれ、移民による犯罪が頻発するようになったが、欧州のメディアは
「人種差別主義者」
と呼ばれるのを恐れて、そうした事実を極力覆い隠そうとしたという。
英国で2004〜2012年、パキスタン人らの集団が11〜15歳の少女らを性的に暴行し人身売買した事件では、国名や宗教名などはほとんど報じられず
「アジア系」
とだけ伝えられた。
ドイツの都市ケルンで2015年の大みそか、約1000人の外国人らが数百人の女性を集団で性的暴行し、金品を奪った事件は当初、大手メディアが報道せず、事件が明らかになったのは数日後のインターネットのブログを通じてだったという。
■国会質問が「ヘイトスピーチ」
現在の我が国のクルド人を巡る報道はどうか。
その多くは、難民認定申請を繰り返す彼らが法的に不安定な立場に置かれているとして、同情的に扱っている。
クルド人そのものの報道も少なく、取り上げられる際は、好意的な報じ方が一般的となっている。
2023年6月から2024年3月にかけて本紙や産経ニュースが報じた川口市のクルド人を巡るニュース20件について朝日、毎日、読売の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の5媒体を対象に商用データベースなどで報道状況を検証した。
2024年2月26日の衆院予算委で、川口市が地元の議員が外国人の治安問題について、民族名の名指しを避けながら質問した際も、
「ヘイトスピーチだ」
などとするジャーナリストの談話を掲載した通信社の批判記事が配信された。
今回、メッセージ画像を制作した女性は子育て中で、一部のクルド人による危険行為に脅かされながら生活しているという。
画像には
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《私たちの存在を、消さないで。》
《差別やヘイトは絶対ダメ!でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
と訴えている。
女性は産経新聞に寄せたメールで、我が国のほとんどのメディアについて
「もはや信用ができない状態」
などと綴った。
全文をほぼそのまま紹介する。
■「ペンのチカラ信じたい」
自分のような市民の小さな声を拾い上げてくださり、本当に感謝しております。
川口の外国人問題については、貴社以外のメディアは、ほとんど市民の声を聞こうともせず、外国人が起こした事件・事故・迷惑行為を極小化し、
「体感治安が悪化しているのは、川口市民が外国人に対して偏見を持っているからだ」
「もっと川口市民が歩み寄り外国人を理解するべき」
といった、角度がつきすぎた論調に無理やり導こうとしているので、もはや信用ができない状態で、行き場のない怒りを抱いておりました。
この問題に悩んでいる多数の川口市民も同様の気持ちを抱いている状況です。
そのため、記事によって、この
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみ」
に光を当てていただき、本当に感謝しております。
私は貴社の報道とそのあり方を拝見し
「ペンのチカラ」
を、改めて信じたいと思っているところです。
お忙しい中かと思いますが、どうぞご自愛くださいませ。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

「地域住民の人権は無視ですか?」報道されない川口クルド問題、地元女性制作の画像急拡散
「移民」と日本人
2024/2/28 16:00
https://www.sankei.com/article/20240228-LGU5ZQA3YJFU5IXW6BNCV75DPQ/
「私たちの存在を、消さないで。」―。
シルエットの女性がこう訴える画像がSNS(交流サイト)で拡散されている。
作成したのは、トルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢が表面化している埼玉県川口市に住む30代の女性。
「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」。
女性は
「ヘイトスピーチだ」
などと批判されることを極度に恐れつつ、勇気を振り絞ってこの画像を作成したという。
■まるで私たちは存在しないかのように
画像は、
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《差別やヘイトは絶対ダメ! でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
とのメッセージが添えられている。
米国で黒人差別解消を訴える
「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」
運動に倣ったという。
川口市内では、解体資材置き場周辺や住宅密集地での過積載のトラックや改造車の暴走行為が問題化。
女性の自宅近くにも資材置き場があると言い、
「中学生くらいの外国人が携帯をいじりながらトラックを運転していたり、改造車が昼間から走り回り、タイヤを急回転させて白煙が上がっていたりするのを何度も目撃した」
という。
女性は
「暴走行為や迷惑行為などで怖い思いをしても、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「地域住民は存在しないかのように扱われていると感じていた」
「その思いを画像に込めた」。
ここは私たちの地元です
女性には小さな子供がおり、通学路が心配で仕方ないという。
ただ、この問題をSNSなどで敢えて訴えると、
「ヘイトだ」
などとすぐに批判される。
女性の知り合いにも
「反ヘイト団体」
などからSNS上で罵られた人もおり、地元でも声を上げにくい雰囲気があるという。
デザインアプリで画像を作成、2024年2月26日に自身のX(旧ツイッター)に投稿したところ、多くの人が拡散した。
ネット上では
「川口にもとから住んでいる日本人に我慢を強いた上での外国人との共生に何の意味があるのでしょうか」
などのコメントがある一方、
「分断は不幸しか生みません」
「差別の扇動やめなさい」
といった投稿もあり、拡散を続けている。
女性は
「政治家や行政もなかなか動いてくれない」
「ふつうに生活しているだけなのに、安心して暮らせない」
「ネット上では『引っ越せばいい』などと言われるが、ここは私たちの地元です」
「やむにやまれない気持ちを知ってほしい」
と話している。

川口のクルド人めぐり国会で初の関連質問「現地見て」 岸田首相「ルール守るのが大前提」
「移民」と日本人
2024/2/26 17:44
https://www.sankei.com/article/20240226-QGYKPJRNAVD33GGEDALRDT4TDM/
一部外国人と地域住民との軋轢が表面化している問題が2024年2月26日の衆院予算委員会で取り上げられ、岸田文雄首相は
「あくまでルールを守るのが大前提」
などと答弁した。
質問したのは埼玉県川口市が地元の日本維新の会、高橋英明氏。
高橋氏は、川口市という地名や同市に集住するトルコの少数民族クルド人の民族名は挙げなかったものの、2023年7月にクルド人約100人が同市内の市立病院周辺に殺到する騒ぎが起きた際の写真パネルを掲げ、
「ある一部の地域で酷い状態になっている」
と指摘。
「この写真にあるように、市立病院の前で何百人規模でいざこざがあった」
「こうしたことが起きると病院の機能も低下するし、近隣住民にとっては不安で仕方がない」
と訴えた。
この問題が起きた2023年7月以降、川口のクルド人問題が国会で取り上げられたのは初めてとみられる。
さらに、高橋氏は
「国会にいては危機感がない」
「(川口は)ここから1時間くらいのところだ」
「しっかり目で見て耳で聞いて肌で感じてほしい」
と述べ、警察や入管による一斉取り締まりの実施を求めた。
その上で、岸田首相が
「日本独自の外国人との共生社会」
を提唱していることに関し、
「ルールを守らない外国人とも共生するのか」
と質問。
岸田首相は
「外国人との共生の在り方は国によって様々だが、あくまでもルールを守って生活していくことが大前提だと認識している」
などと述べた。
高橋氏はまた、2023年6月に成立し、難民認定申請を原則2回までに制限する改正入管難民法の施行時期についても質問。
小泉龍司法相が
「極力早期の施行が実現できるよう努力する」
と答弁する中、早期実施を求めた。

自民・若林洋平氏、クルド人批判に投稿 「日本の文化・しきたり理解できない人はお帰りを」
2024/2/22 20:44
https://www.sankei.com/article/20240222-PEUMAQOSUBBT3E5OAVNXL33R2M/
自民党の若林洋平参院議員(静岡選挙区)がX(旧ツイッター)で、在日クルド人についてのコメントや外国人らの参加するデモ動画についてのコメントを引用しながら
「日本人の国なので、日本の文化・しきたりを理解できない外国の方は母国にお帰りください」
などと書き込んだ。
この動画には、JR蕨駅前の路上に集団が集まり、
「日本人死ね」
と発言したような声が収録されている。
集団の周囲は多くの警察官が囲み、騒然とした様子も伝わってくる。
若林氏は2024年2月19日付の書き込みで
「我が物顔で日本人に迷惑をかけ、挙げ句日本人死ねというならどうぞお帰りください」
などと記した。
「外国人に対する生活保護などあり得ません」
「それでも日本にいたいなら日本のルールくらい守れ!」
とも書いた。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/213.html#c27

[政治・選挙・NHK296] 斎藤元彦知事代理人の異様な会見…公選法違反疑惑は「桜を見る会前夜祭」と酷似、期待されるPR会社社長の“逆襲”(日刊ゲンダ… 赤かぶ
30. 秘密のアッコちゃん[1126] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2024年11月30日 16:00:56 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[564]
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トルコ大使、川口のクルド人「PKKに利用されている」「ビザ免除、悪用は阻止」一問一答
「移民」と日本人
2024/11/30 13:05
https://www.sankei.com/article/20241130-FXAKBZQTKRKU7K3SCU63J7K5ZU/
コルクット・ギュンゲン駐日トルコ大使のインタビューの主な一問一答は次の通り。
大使は、トルコの非合法武装組織
「PKK(クルド労働者党)」
についても触れ、
「難民申請者はPKKに利用されている」
と述べた。
ーー20年前に法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)がトルコで川口のクルド人の出身地の村を現地調査し、難民該当性は薄いとの報告書をまとめていた
「最初に確認しておきたいのは、トルコは世界で最も多くの難民を受け入れている国ということだ」
「特にシリア難民の中にはクルド人も多い」
「彼らが選んで来ているのは、トルコは暮らすに値する国であり、迫害はないという証だ」
ーー難民該当性が低いことは産経新聞の現地取材でも裏づけられた
「その点は、まさに我々も共有しており、クルド人が経済的または社会的な理由で来日することはよくある」
「日本に長く滞在できるための1つの手段として難民申請が選ばれている」
ーー手段が問題なのか
「誤解してほしくないが、それぞれのクルド人が日本に住みたいと選択することを止めることはできない」
「問題は、彼らが日本の法令に則っていないことだ」
「違法な形で滞在し、難民認定制度を悪用して滞在を引き延ばしている」
「これこそが問題だ」
「トルコ共和国としてこの現実は決して後押しできるものではない」
ーー彼らは難民申請の際、「PKKを支持しているため、トルコ政府から迫害される」と主張すると聞く
「少し違うのは、難民申請者がPKKに利用されているということだ」
「申請の際、『迫害を受けている』などと、トルコ政府に反する立場を言わないといけない」
「これ自体が結果的にPKKの利益になる」
ーーどういうことか
「つまり、PKKはこのからくりによって、日本に滞在したいという彼らの弱みを利用しているのだ」
「PKKはこの手法を日本だけでなく一部の欧州諸国でも使っている」
ーー日本国内にはトルコとの査証(ビザ)相互免除措置を一時的に停止してはどうかという意見もある
「ビザ免除には、投資や観光など経済的なメリットはもちろん、互いを理解し合うという大きな意味がある」
「もし、ビザ免除を停止したら、日本とトルコの友好関係を引き裂くことになる」
「一番喜ぶのはPKKだろう」
「最も重要なことは日本の法令を順守することだ」
ーートルコ政府は昨年2023年11月、川口市内の「日本クルド文化協会」と代表者ら6人をPKKなどの「テロ組織支援者」と認定し、トルコ国内の資産を凍結した
「PKKは国際的なネットワークを持っており、あらゆる手段で組織への資金の流れを確保している」
「文化イベントを装った形もあるし、人道支援の姿もある」
「文化協会と同時に資産凍結されたもう1つの団体は、人道支援の看板の下で活動していた」
ーー両者は、どのような関係なのか
「幹部が同じだ」
「資産凍結は現在も続いており、我々も注視している」

トルコ大使も川口クルド人の出稼ぎ認める「経済理由、われわれも共有」「難民制度を悪用」
「移民」と日本人
2024/11/30 13:00
https://www.sankei.com/article/20241130-PBK4PBR2CBPG5PG5U25N6UT2QM/
埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人が法務省から
「出稼ぎ」
と断定されていた問題で、コルクット・ギュンゲン駐日トルコ大使は産経新聞のインタビューに応じ、
「経済的な理由が多いことは、我々も認識を共有している」
と述べ、彼らが
「難民」
でなく
「就労目的」
との見解を初めて示した。
大使は、産経新聞の現地取材や、平成16年に法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)が川口のクルド人の出身地をトルコで現地調査した結果などを受けて取材に応じた。
大使はクルド人の難民該当性の薄さが裏付けられたことについて
「その点は、まさに我々も共有している」
「クルド人が経済的または社会的な理由で来日することはよくある」
と、就労目的との見解を初めて示した。
その上で、クルド人が
「違法な形で日本に滞在し、難民認定制度を悪用して滞在を引き延ばしている」
「これこそが問題だ」
「トルコ共和国としてこの現実は決して後押しできるものではない」
と述べた。
トルコと日本の査証(ビザ)相互免除については
「経済的なメリットもあり、長期的な観点から当然維持されるべきだ」
としながら、
「悪用されるなら、日本の警察当局や入管庁などとも連携して阻止していく」
「最も重要なことは日本の法令を順守することだ」
とも強調した。

川口のクルド人「難民でなく移民」「いなか出身者の行動」トルコ人著名ジャーナリスト語る
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由D
2024/11/28 11:30
https://www.sankei.com/article/20241128-SJUA4VKK4RGIVG7EQWDIX35DFE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の故郷を訪ねた後、首都アンカラで著名なトルコ人ジャーナリストに会った。
ムラット・イェトキン氏(64)。
川口のクルド人問題について
「クルド人だからではない」
「田舎の出身者だからだ」
と指摘。
「彼らは難民ではない」
「より良い生活を求めての移民だ」
などと語った。
■ベテラン記者との対話
イェトキン氏は、トルコの有力紙ヒュリエト英語版の編集長などを歴任し、現在は自身の名を冠したニュースサイトを運営。
政治コラムニストとして現地のテレビでもお馴染みのベテラン記者だ。
「カワグチで起きていることはトルコでも同じだ」
川口のクルド人らによる危険運転や大音量の音楽、ごみ出しなどの問題について尋ねると、こう話し始めた。
イェトキン氏は
「日本のルールやマナーを守らないのは、彼らがトルコの田舎から、いきなり日本の大都市へ来たからだ」
「要するに、田舎出身者の行動だ」
と指摘。
「彼らがルールを守らないなら、警察が注意する」
「それでも聞かなければ、罰金を科せばよい」
クルド人の多くが日本で難民認定申請し在留を続ける現状については、こう説明した。
「彼らは難民ではない」
「実際のところは、より良い生活を求めての移民だ」
「先に行った者が『稼げるから来い』と言う」
「『警察や憲兵に迫害されている』として難民申請すればよい」
「これは日本だけでなく、欧州も同じ問題を抱えている」
2003年からのエルドアン政権によって、トルコは目覚ましい経済成長を遂げ、クルド人も人権状況だけでなく、生活レベルも大幅に上がったという。
イェトキン氏は
「トルコでクルド人はトルコ人らと広く混血が進んでおり、最もクルド人の多い都市はクルド人居住地域の南東部にはなく、大都市のイスタンブールだ」
と指摘し、同国の非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」の名を挙げて続けた。
「一般のクルド人とトルコ人は決して争ったりしない」
「この40年間、争っているのはPKKであり、彼らは意図的に問題を大きくしようとしている」
「この対立の図式を利用して難民申請し利益を得ている人々がおり、カワグチのクルド人もその一部だ」
■クルド系の大統領も
イェトキン氏が親しくしているトルコ政府の閣僚がいる。
メフメト・シムシェキ財務相(57)。
同国内ではクルド系の国政政党がある他、閣僚、国会議員、判事、幹部公務員などの要職に就いているクルド人も多数いる。
1980〜1990年代に首相と大統領を務めたオザル氏もクルド系だったことで知られる。
シムシェキ財務相はトルコ南東部のクルド人の多い地方の村で、9人きょうだいの末っ子に生まれた。
苦学して欧米の投資銀行などでエコノミストとして働き、トルコ政界入りした立志伝中の人物だ。
イェトキン氏は
「私は彼をよく知っているが、本当に努力して今の地位にまでなった人だ」。
自身がクルド人であることを公言しており、副首相時代の2016年、米国での記者会見で、イランのクルド人記者から英語でクルド人の将来について質問された際、
「私はトルコのクルド人だ」
とクルド語で答えて話題を呼んだ。
今回のトルコ取材で、クルド人の政治家や経済人に取材を申し込んだが、断られることが多かった。
一方で、当初は喜んで取材に応じても、後日
「私のことを記事に書かないでほしい」
と連絡があったことも再三だった。
この過程そのものに、トルコでの
「クルド人問題」
の複雑さが表れているようだった。
自身がクルド人だと表立って言えるのは、シムシェキ財務相のような完全な成功者か、反体制者に限られるのが、トルコの現状のようだった。
世界各国の民族問題の
「本質」
もその辺りにあるのではないか。
■子だくさん、高い移民性
トルコは経済協力開発機構(OECD)加盟国で、欧州連合(EU)加盟は実現していないものの、日米欧の先進国に新興国を加えたG20の一員でもある。
一方で、人口8500万人のうち17歳以下が占める割合は26%。
中でもクルド人の出生率は比較的高いと言われ、少子化のトルコで人口が増え続けている。
クルド人の多い南東部は子供の人口が4割を超える県もある。
そうした地域を訪ねた際、田舎にもかかわらず小学校低学年の子供たちが午後10時、11時まで公園で遊んでいる姿が目についた。
大人がついていない場合もあった。
子供の夜ふかしはトルコで社会問題ともなっているという。
それは川口市で夜間、クルド人の子供たちが往来で遊んでいる光景と重なった。
市内に集住するクルド人約2000人のうち、小中学生は推計約400人と突出して多く、
「子だくさん」
のクルド人の
「移民性」
は顕著となっている。
今年2024年3月にトルコのクルド人地域を現地調査した元国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表で、東洋英和女学院大の滝沢三郎名誉教授(76)は
「彼らの多くが経済的理由で来日している以上、問題解決の方向性も、難民認定よりも合法的な就労の道を探ることに力を入れるほうが理に適う」
と指摘。
その上で
「彼らには一旦帰国してもらい、来日して就労を希望する人にはトルコと日本両政府が協議した上で、技能実習に代わる育成就労制度などにより合法的な入国、滞在の道を開いてはどうか」
と提言した。
おわり(「『移民』と日本人」取材班)

クルド人の「迫害と弾圧」は今も続いているのか トルコ政府「問題は民族でなくテロ組織」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由C
2024/11/27 11:30
https://www.sankei.com/article/20241127-7ARBVO6XM5OMXASDNXWMPJDC4Q/
埼玉県川口市など国内に在留するトルコの少数民族クルド人や支援者、一部メディアが
「クルド人への弾圧は今も続いている」
とする同国東部の都市ジズレを訪ねた。
2015〜2016年、トルコ軍が非合法武装組織
「クルド労働者党(PKK)」
への掃討作戦を行った街だ。
当時は一般市民も巻き添えになったというが、現在は市民が買い物に出歩く平和な風景が広がっていた。
■自分の目で見ればいい
シリア、イラク両国境に近いジズレはチグリス川が流れ、人口約13万人の多くをクルド人が占める。
この都市を含む地域で2015年夏以降、トルコからの分離独立を求めるPKKと政府の対立が激化。
トルコ軍や治安機関を狙った襲撃が相次いだ。
軍や治安部隊は同年2015年末から2016年にかけ、PKK掃討作戦を実施。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報告書によると、PKKの構成員だけでなく、多数の住民が巻き添えになって死亡したという。
欧米メディアなどは当時、
「トルコ政府によるクルド人弾圧」
として報道した。
8年経った現在2024年、ジズレは平穏を取り戻し、破壊された建物は政府が再建した。
だが、日本のクルド人支援者や一部メディアは
「弾圧は今も続いている」
として、川口などで難民認定申請するクルド人の
「迫害」
の根拠に挙げている。
ジズレを訪ねた日は休日で、中心部では買い物を楽しむ市民らが歩いていた。
出会った住民の男性に当時のことを尋ねると、こう問い返された。
「今も弾圧が続いているって?」
「そう言う人は、ここに来て自分の目で見てみればよいのではないか」
■エルドアン政権で激変
PKKは
「クルド人国家の樹立」
を掲げて1984年、トルコ政府に対する武装闘争を開始。
1990年以降、国内各地でテロを引き起こし、トルコ国内ではPKKとの戦闘でこの40年間に市民4万人が殺害されたとされる。
トルコ政府の他、米国、英国、欧州連合(EU)がテロ組織に指定し、日本の警察庁も国際テロリスト財産凍結法に基づき
「国際テロリスト」
に指定している。
一方で、トルコ国内のクルド人の人権を巡る状況は、2003年に発足したエルドアン政権により様変わりしたと言われる。
同政権はクルド人との融和を掲げ、国営放送でクルド語の放送が始まり、クルド系政党はクルド語での政治活動が可能になるなど、クルド系住民の権利拡大に努めてきた。
背景には、トルコの悲願であるEU加盟実現のため、国内の人権状況を改善する必要があったことがある。
2012年からは政府とPKKとの和平交渉が始まり、翌2013年、PKKは武装解除を宣言。
だが、2015年6月の総選挙でPKKと連携するクルド系の左派政党が躍進し、エルドアン政権の与党が過半数割れとなった。
PKK内部の路線対立もあって、政府とPKKの対立が再燃した。
首都アンカラでは昨年2023年10月、内務省付近で自爆テロが発生し警察官2人が負傷、PKKが犯行声明を出した。
先月2024年10月23日にはアンカラ郊外の大手防衛企業が襲撃され27人が死傷。
PKKの軍事部門が犯行声明を出し、トルコ軍がイラク北部とシリア北部にあるPKKの関連拠点を空爆するなど応酬が続いている。
■「兵役拒否」も理由に
川口に在留するクルド人の間では、こうした対立状況を
「クルド人への迫害」
と主張し、難民申請の理由とする形になっている。
一方で、トルコで兵役を拒否したことで迫害を受けると主張する人も少なくないという。
トルコは国民皆兵で、兵役は20歳から41歳までの男性に6〜12カ月、義務付けられている。
身体障害などがないかぎり兵役拒否は認められず、罰金などが科せられる。
しかし、これはクルド人に限ったことではなく、昨年2023年10月に発行された英国内務省の難民に関する報告書はトルコの兵役義務が難民条約上、迫害には当たらないと指摘。
条約上の難民の定義は「人種」や「宗教」「政治的意見」など5つの理由から迫害を受ける恐れがある場合で、出稼ぎ目的の経済的理由も難民には該当しない。
川口市内のクルド人を巡っては、トルコ政府が昨年2023年11月、2つのクルド人団体とその幹部らクルド人6人についてPKKを支援する
「テロ組織支援者」
と認定、同国内の資産を凍結した。
認定は現在も続いている。
PKKとクルド人について、トルコ政府関係者は
「PKKに対する我が国政府の措置が、時にクルド人への迫害だと誤解される場合があるが、我々が問題視しているのは決してクルド人という民族ではない」
「問題なのは分離独立のためテロ活動を続けるPKKという組織だ」
と話している。(「『移民』と日本人」取材班)

川口のクルド人、トルコの農閑期に難民申請、農繁期に帰国 血縁集団の絆で「移民の連鎖」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由B
2024/11/26 11:30
https://www.sankei.com/article/20241125-KXJTMJVJGRMLNGXEK2I5GJROOY/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の難民認定申請には、特定の周期があるという。
毎年秋に来日と申請が急増し、そのうちの一定数は翌年夏までに申請を取り下げてトルコへ帰国する。
背景には祖国での生業である牧畜などの農閑期、農繁期のサイクルがあるとみられる。
■血のつながりは大切
トルコ南部、アドゥヤマン県西部の草原地帯で、少年がヒツジの群れを追っていた。
この地にかつて、ヒツジやヤギの放牧を生業とする約300戸2000人の一族がいた。
当初は遊牧民だったが、その後数十キロ離れた2つの村へ移り住み、定住したという。
日本での難民申請者が特に多い4〜5村のうちの2村だ。
これらの村があるトルコ南部3県の出身者が、難民申請者の8割を占める背景には、この一族の存在がある。
2村のうち1つの村を訪ねた際、出会った老人は
「我々はその一族の出身だ」
「2つの村の村民は元を辿れば、4つの家族に辿り着く」
と話した。
こうした一族はトルコ社会で
「アシレット」
と呼ばれ、血縁関係と口伝えによる掟で結ばれている。
トルコ人やアラブ人にも見られるが、特にクルド人は固い結束を誇るという。
現地のクルド人男性は
「私たちは一族の結束が強い上、子だくさんなので親族が本当に多い」
「私もいとこが100人くらいいるので、結婚式は大変だった」。
川口で話を聞いたクルド人男性も
「血の繋がりは物凄く大切」
「親戚がヨーロッパにもオーストラリアにもカナダにもいて、例えば重い病気になったら、日本までお見舞いにくる」
と語った。
1人が来日すると同じ村の家族や知人が先に来た人を頼って次々と来日する
「移民の連鎖」
が起きる要因として、こうした共通の祖先で繋がる血縁集団の絆があるようだ。
■来日順でヒエラルキー
入管関係者によると、クルド人の難民申請者は毎年、冬を迎え農業や牧畜が農閑期となる10〜11月頃に急増。
翌年、放牧の季節が始まる5〜6月頃帰国者が増えるという。
昨年2023年1年間のトルコ国籍の申請者約2400人のうち、3割に当たる700人近くは今年6月頃までに既に帰国した。
入管関係者は
「彼らは夏前になると『問題が解決した』と言って難民申請を取り下げ帰国していく」
「秋になると同じ人物が来日し、『また問題が起きた』といって難民申請する」
「かつての東北地方からの出稼ぎのように、農閑期に合わせた就労目的と考えられる」。
関係者によると、川口周辺では1990年代初めに来日した2村の一族を筆頭に、いくつかの一族が在留している。
先に来日して解体業を始めた一族が、後から来日したクルド人やトルコ人らを雇用するヒエラルキー(階層構造)も生まれているという。
■我々が自由と思うか
アドゥヤマン県では、クルド独立主義者にも出会った。
広大なユーフラテス川を望む丘の上で、農業を営む30代のクルド人男性は誇らしげに言った。
「これがメソポタミアだ」
「クルディスタン(クルドの地)だ」
クルディスタンとは、トルコ南東部だけでなくシリア、イラク、イランなどにまたがるクルド人の居住地域全体を指す。
かつてはオスマン帝国だったが、1920年代、この地域で石油が採掘されたことから帝国主義の欧州列強が分割。
クルド人は
「国を持たない民族」
となった。
特にトルコ政府は1990年代頃まで、
「山岳トルコ人」
と呼んでクルド民族の存在を否定、徹底した同化政策を進めた。
男性一家も山の上にある小さな村の出身だが、同化政策により数十年前に山を下りた。
男性はクルド人の独立を夢見ており、青年時代に公園でクルドの歌を歌っていて警察に3日間拘束された経験を持つという。
川口周辺でクルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題も、インターネットを通じ知っているといい、
「カワグチのクルド人は難民だ」
と主張。
「我々がトルコで自由だと思うか」
と真顔で尋ねた。
「クルド人にとって、クルドの地で暮らすのが最善だ」
「クルディスタンは石油も出る」
「日本よりも豊かだ」
「しかし、トルコでは生きづらいため日本で難民申請しているのだ」
男性は丘陵地帯を走る車の中でクルドの歌をかけながら、
「PKKは我々をトルコ軍の兵士から守ってくれている」
とも言った。
PKK、クルド労働者党はトルコ国内のクルド人非合法武装組織。
「クルド人国家の樹立」
を掲げて長年テロを引き起こしてきた。
かつてトルコ政府によるPKK掃討作戦が行われた同国東部の都市へ向かった。
(「『移民』と日本人」取材班)

川口の難民申請者半数、高校行かず トルコのクルド人成功者、同胞は「努力せず不平言う」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由A
2024/11/25 11:30
https://www.sankei.com/article/20241125-QRFKQ4EKEZLPHDS5E3757O5IHE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族、クルド人の難民認定申請者の半数程度は、学歴が中学卒業以下だという。
トルコ国内の高校進学率はクルド人を含め9割以上で、背景には経済的な問題もあるとみられる。
一方で、トルコでは22人兄弟の中から猛勉強して成功したクルド人にも出会った。
■「クルド人」考えたことない
クルド人が人口の約6割を占めるトルコ南部の都市シャンルウルファの私立学校を訪ねた。
保育園、幼稚園から小中高校まであり、在学生は約700人。
2年前に開校したばかりでクルド人の生徒も少なくないという。
経営者のクルド人、ネジメディン・ゲンチさん(42)は地元出身。
経済的に貧しい農家の22人兄弟の21番目で、苦学して公認会計士の国家試験に合格、現在は親族らと学校2校、建設会社、バス会社、コンサル会社、映画館を経営しているという。
「小学校まで5キロの道を歩いて通った」
「休日はヒツジの放牧を手伝った」
「私は決して勉強ができたほうではないが、これまでクルド人だからと差別されたことなどない」
クルド人地域は歴史的な経緯から複数の国に分割され、
「国を持たない最大の民族」
とも言われる。
ただ、今回トルコで出会ったクルド人の多くは社会的な立場に関わらず
「トルコ人」
として振る舞い、
「クルド人」
かと尋ねると
「なぜ、そんなことを聞くのか」
と怪訝そうな顔をされることも多かった。
一方で遺伝的な特徴などから
「顔を見れば分かる」
と話す人もいた。
ゲンチさんは
「国家試験に合格したのも、頑張ったからだ」
「そもそも、自分がクルド人だからなど、これまで考えたこともない」。
彼はクルド系政党に投票しているというが、そのことで迫害も差別も受けたことはないという。
日本で難民申請している川口のクルド人について尋ねると、
「自分の努力不足を棚に上げて『クルド人だから』と不平不満を言っているだけではないか」。
校舎の壁には宇宙のイラストが描かれ、
「世界の扉は君の前に開かれている」
と書かれていた。
■教育機会の平等は保障
トルコの教育制度は小中高がそれぞれ4年ずつあり、2012年から高校も義務教育になった。
憲法に平等原則が明記され、民族的な出自による差別はない。
公立の授業料は高校、大学まで無償で、競争は激しいが、教育機会の平等は保障されていると言える。
この結果、高校進学率は上昇し、2022年度は91・7%。
大学進学率は4割程度となったが、義務教育にもかかわらず高校に行っていない数%には、農村部に住むクルド人も少なくないという。
現地の教育関係者は
「農村地域はまだまだ子供を牧畜などで働かせている」
「親の世代は高校が義務教育ではなかったため、今も教育に意義を見いだせない人も多いのではないか」。
トルコでは現在、クルド系の国政政党があり、与野党問わずクルド人の政治家を輩出している他、国営放送にクルド語のチャンネルもある。
クルド語の教育機関の設立も認められているが、公用語がトルコ語で、クルド語を学んでも仕事に生かせないため、あまり人気はないという。
公務員試験も憲法で
「採用に当たり職業資格以外に如何なる差別も行ってはならない」
と規定されている。
受験の願書に民族欄もないため、公務員全体のクルド人の割合の統計もないという。
■学歴不問でガテン系
シャンルウルファでトルコ政府の出先機関に勤める国家公務員のクルド人男性(40)は
「小学校に入るまでトルコ語を話せなかった」
「勉強して話せるようになったが、12年前に公務員試験を受けた時、試験は当然トルコ語で苦労した」
と話し、こう続けた。
「外国の人からクルド人は迫害されているのかと聞かれることがあるが、私は迫害はないが差別はあると感じる」
「言葉の壁もあり、自分たちが少数民族と思い知らされる時もある」
入管関係者によると、日本の難民申請書には学歴欄があり、川口周辺に在留するクルド人の難民申請者の半数程度が中卒以下で、高校の義務教育化以降の世代でも教育を受けていないケースが少なくないという。
川口市内では若いクルド人が改造車を乗り回す暴走行為も問題になっている。
トルコの教育関係者は指摘する。

「もちろん学歴が全てではないが、農村からいきなり日本の都会に来て、教育レベルも高くなければ地元住民と軋轢が生じやすくなるのも当然だろう」
「それでも学歴不問の力仕事で簡単に稼ぐことができる日本は、本当に魅力的なのではないか」
(「『移民』と日本人」取材班)

「軍と警察呼んだ」川口クルド人の出身地訪ねた記者を恫喝 両親「日本で成功の息子誇り」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由@(上)
2024/11/24 14:00
https://www.sankei.com/article/20241124-OCA6UR7WZFOQ3I6FJV4RX3M2V4/
埼玉県川口市に集住するクルド人を巡り、法務省が20年前に難民認定申請者の多いトルコ南部の複数の村を現地調査し、
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていたことがわかった。
クルド人が日本を目指す理由は何か。
本当に
「難民」
なのか。
報告書を裏付けるため、彼らの故郷を訪ねた。(報告書の記事はこちら)
■日本から激高して電話
「今オレが軍隊を呼んだ」
「軍も警察もお前を探している」。
記者は日本からの携帯電話でそう脅された。
入管当局が20年前に
「出稼ぎ村」
と断定していた複数の村の1つ、トルコ南東部の都市ガジアンテプ郊外の村。
電話の相手は川口市内で解体工事会社を実質経営する30代のクルド人男性だ。
男性は約20年前、この村を離れ、先に来日していた父親を頼って川口に在留。
トルコ政府から迫害を受ける恐れがあるとして難民申請を繰り返し、5回目の申請中だ。
現在は入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免の状態が続いている。
男性には日本でも何度か取材したことがあり、出身の村の名前も聞いていた。
今回、男性が憤っていたのは、記者が実際に彼の村を訪ねたからだとみられる。
壁に男性の名前が刻まれた家を偶然見つけ、村の人に話を聞いていると、男性の母親を名乗る女性が
「チャイを飲んでいけ」
と、家に招き入れてくれた。
ところが、母親がその場で川口にいる息子とビデオ通話を始め、記者の名刺を見せたところ、男性は激高した。
余りの剣幕に家の外に出ると、冒頭の電話がかかってきた。
政府の迫害から日本に逃れたという
「難民」
が、トルコ軍や警察を動かすのだろうか。
直前まで母親は、日本にいる孫たちの写真入りのバスタオルを見せ、嬉しそうにこう語っていた。
「日本で成功した息子を誇りに思う」
■「働くため」村人が証言
男性の故郷は日本で難民申請者が集中している村でもある。
トラクターが行き交う典型的な農村だが、所々に立派な家が建っており、トヨタの大型乗用車に乗った人もいた。
男性の実家は一際目立つ2階建てで、がっしりした門扉を通り玄関から居間に入ると、50型ほどの大型液晶テレビがついていた。
最初に父親に名刺を渡すと、
「オレ、この村から1番初めに日本へ行ったよ」
と日本語で話した。
父親は川口で解体業をしながら難民申請していたが認められず、10年ほど前に帰国したという。
道端で日本人の姿を見て集まってきた村人は、口々に
「コンニチハ」
「オレ、カワグチにいたよ」
「カイタイの仕事」
「ハッピーケバブも知ってるよ」
と話しかけてきた。
トラクターで通りかかった老人は、川口に近い東浦和の解体会社の
「代表取締役」
という名刺を見せ、
「今は息子が日本にいる」
と自慢げに話した。
村の人によると、約70世帯300人の集落の多くが日本に住んでおり、残っているのは90人程度。
欧州は少ないという。
村人らは隠す様子もなく、こう証言した。
「なぜなら、日本はビザなしで簡単に行けるから」
「働くために日本へ行っている」
「短期滞在で入国して、翌日からカイタイで働けるのだ」

<産経抄>現場に行けば「難民」の真実が見えてくる   
2024/11/26 5:00
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https://www.sankei.com/article/20241126-NG3725XXC5NRJOLP5PSMNPYJRE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人が注目されるようになったのは、昨年2023年の夏からだ。
市立医療センター周辺で起きたクルド人約100人が関与する暴動事件がきっかけである。
▼そもそもどうして遠く離れた日本にやってきたのか。
実は20年前に判明していた。
当時の法務省入国管理局が難民認定申請者の多いトルコ南部の村を現地調査して、
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていた。
▼ところがクルド人側の弁護団が反発して
「封印」
された、と昨日の小紙がすっぱぬいていた。
現在日本で難民申請しているほとんどのクルド人の出身地も、かつて入管関係者が調査した村々と重なる。
▼小紙の記者がその村の1つを訪ねた。
川口市内で解体工事会社を経営するクルド人男性の故郷でもある。
男性が先に来日した父親を頼ったように、多くのクルド人が親族のつてを求めて川口市に集まった。
取材を受けたことのある記者が村にいると知った男性は激高して、日本からの携帯電話で脅しをかけた。
「今オレは軍隊を呼んだ」。
政府の迫害を訴える
「難民」
が、なぜ軍隊を呼ぶのか。
記者の
「疑問」
はもっともだ。
▼難民問題の専門家である滝沢三郎・東洋英和女学院大名誉教授もまた、今年2024年3月にトルコ各地で調査してきた。
帰国後小紙の取材に
「クルド人に対して差別はあっても、身の危険を感じる迫害を受ける状況ではない」
と話していた。
▼かつてクルド人の主な行き先だった欧州諸国は近年、入国審査が厳しくなり、密航には高額な手数料がかかる。
査証(ビザ)が免除され、相対的に渡航費用が安い日本が流入先になった、と指摘する。
難民問題に限らず、現場に足を運ばないと真実は見えてこない。

「難民なんて全部ウソ」「働くため日本へ」川口の難民申請者の8割、トルコ南部3県に集中
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由@(下)
2024/11/24 14:05
https://www.sankei.com/article/20241124-2ZMA4FNKGBJOZIXA6CMPV3RRTM/
埼玉県川口市に在留し難民認定申請するクルド人らについて、トルコの出身地を集計したところ、全体の8割が同国南部の3つの県に集中していたという。中でも特に申請者の多い4〜5つの村がある。
そのうちのいくつかの村を訪ねた。=(上)からつづく
■立ち並ぶ「御殿」
トルコの総人口8500万人のうちクルド人は2割弱の1500万人。
過去20年間で難民申請したトルコ国籍者1万2000人超の大半は、経済的に比較的貧しいクルド人とみられる。
日本とトルコには短期滞在の査証(ビザ)の相互免除措置があり、航空券代さえ負担できれば、パスポートだけで来日し、難民申請することで滞在を継続できる。
入管関係者によると、平成25年から昨年2023年までの11年間に難民申請したトルコ国籍者について、出身地が分かる約4700人を対象に集計。
全体の約8割がトルコ81県のうち、ガジアンテプ県と、カフラマンマラシュ県、アドゥヤマン県の南東部3県に集中していた。
3県は、いずれも民族的にクルド人の多い地域として知られるが、中でも特に難民申請者の多い村が4〜5村ある。
川口市内で解体工事会社を実質経営する30代のクルド人男性の故郷、ガジアンテプ県の村と並んで、アドゥヤマン県の西部にある村もその1つだ。
こちらも荒涼とした丘陵地帯に、立派な
「御殿」
が立ち並んでいた。
■同胞からの迫害ない
クルド人の村長(58)によると、村人約1180人のうち1割近くの約100人が日本にいるという。
「皆仕事の機会を求めて日本へ行った」
「単純に経済的な理由だ」
「1人が行くと、親族や知人が彼を頼って日本へ行く」
村は昨年2023年2月のトルコ地震の震源に近く、倒壊した家も多かった。
十数人が犠牲になったといい、家を失って日本へ避難した人もいたが、最近は落ち着いてきたという。
村の配管工のクルド人男性(47)は自身も日本で13年間働き、しっかりとした日本語を話した。
「航空券代は10万円くらいだから、ちょっと働けば買え、日本でもっと稼げる」
「借金して行く人もいるが、すぐに稼いで返せる」。
川口に在留しているクルド人に触れると、
「我々が難民だなんてウソ」
「皆上手にウソをつく」
と話し始めた。
「入管で『国へ帰ったら殺される』『刑務所へ入れられる』と言うでしょ?」
「全部ウソ」
「本当にウソ」
「皆日本で仕事したいだけ」
「お金が貯まったら、村へ帰る」
「私の国で迫害なんて絶対ない」
トルコの憲兵隊は怖くないか尋ねると、
「なぜ怖い?」
「この辺りはクルド人が多く、憲兵にも警察にもクルド人が多い」
「なぜ同胞が同胞を迫害するんだ」
男性は別れ際、
「もう1度日本に行きたい」
「シャシミ(刺身)が食べたい」
と言った。

<独自>川口クルド人「出稼ぎ」と断定 入管が20年前現地調査 日弁連問題視で「封印」
「移民」と日本人
2024/11/24 12:00
https://www.sankei.com/article/20241124-HDYXVM4BBRM3TMHREBP6PXC2ZM/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人を巡り、法務省入国管理局(現出入国在留管理庁)が20年前の平成16年、難民認定申請者の多いトルコ南部の複数の村を現地調査し
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていたことが2024年11月24日分かった。
しかし日本弁護士連合会が
「人権侵害」
と問題視したことから、調査結果は表に出なくなった。
これらの村などがある3県の出身者は現在も同国の難民申請者の8割を占めることも判明、報告書からは、クルド人の難民該当性について、既に一定の結論が出ていたことが窺われる。
この文書は
「トルコ出張調査報告書」。
当時、クルド人らが難民認定を求めて各地で裁判を起こしており、同省が訴訟対応として平成16年6〜7月、これらの村へ入管職員を派遣し、生活実態などを調査した。
報告書は
「我が国で難民申請した者の出身地が特定の集落に集中している」
「いずれも出稼ぎ村であることが判明」
「村民から日本語で『また日本で働きたい。どうすればよいか』と相談あり」
「出稼ぎにより、近隣に比べて高級な住宅に居住する者あり」
などと記されていたという。
ところが報告書が訴訟資料として法廷へ提出されると、クルド人側の弁護団が問題視。
入管側が難民申請者の氏名をトルコ当局へ伝え、現地の家族を訪問していたことなどを記者会見して非難した。
当時のメディアも
「法務省が不手際」
「迫害の恐れ」
などと批判的に報じたが、報告書の内容自体には触れなかった。
報告書は、氏名を伝えたのは申請者から提出された本国の
「逮捕状」
の真偽を確かめるためで、トルコ側から
「氏名がなければ照会できない」
「欧州各国も同じ方法で事実確認を求めている」
と指摘されたためとしているという。
当時、法務省は
「新たな迫害がないよう配慮して調査した」
と反論したが、弁護団側はクルド人らの人権救済申立書を日弁連に提出。
日弁連は翌平成17年、
「難民申請者の情報を提供することは、新たな迫害を生む恐れがあり、重大な人権侵害だ」
として当時の法相宛てに
「警告書」
を出した。
この結果、法務省は報告書の調査内容について
「封印」
せざるを得なくなったという。
弁護団側は、入管の案内役に憲兵を同行させたことについても問題視したが、報告書には
「村民と憲兵隊との友好関係を確認」
「憲兵や警察は日本の難民申請者に無関心」
などとも記されていたという。
これらの訴訟で原告となったクルド人らが難民と認められることはなかった。
また、入管関係者によると、当時調査した村などがあるガジアンテプ、カフラマンマラシュ、アドゥヤマンの南部3県には、日本に在留するクルド人難民申請者の出身地の8割が集中しているという。
入管庁によると、トルコ国籍の難民申請者は平成16年からの20年間で延べ1万2287人に上るが、難民認定されたのは4人。
また川口市によると、市内のトルコ国籍者は同期間で約200人から6倍の約1200人に増えた。
難民認定申請中の仮放免者を含めると約2000人に上る。

クルド人排斥デモ禁止命令 さいたま地裁仮処分決定
2024/11/21 18:58
https://www.sankei.com/article/20241121-R2BKN7QKPJMWRAVED7MQMPQT7M/
在日クルド人らで作る
「日本クルド文化協会」(埼玉県川口市)
が、ヘイトスピーチに当たるデモで名誉を傷付けられたとして今後実施しないよう求めた仮処分申し立てで、さいたま地裁は2024年11月21日、デモを呼び掛けた神奈川県の団体代表の男性に対し、協会事務所から半径600メートル内でのデモを禁止する決定をした。
協会側への取材で分かった。
協会側代理人の金英功弁護士によると、過去に在日コリアン排除を訴えるデモを禁止する仮処分決定はあったが、クルド人へのデモを禁じたのは初めて。
男性らは2024年11月24日にデモを行うと告知しているが、金弁護士は
「2度と実施しないことを期待する」
と述べた。
決定で市川多美子裁判長は、こうしたデモ行為が
「名誉を毀損または著しく侮蔑するなどして(協会の)業務を妨害する行為」
と認定し、一切実施しないよう命じた。

川口クルド人の危険運転も念頭、市長ら取り締まり相次ぎ要望 埼玉県警「適正に続ける」
「移民」と日本人
2024/11/17 10:30
https://www.sankei.com/article/20241117-ZLILLNB4DFEG5HPGF2XY2DVJUM/
埼玉県川口市で交通死亡事故が多発し、奥ノ木信夫市長や地方議員らが県警に対し、市内に集住するトルコの少数民族クルド人の危険運転も念頭に、取り締まりを強化するよう相次ぎ要望書を出す事態となっている。
県は同市を
「交通事故防止特別対策地域」
に指定、県警は
「適正な取り締まりを続ける」
としている。
市内では2024年9月23日、トルコ国籍の少年(18)が無免許で乗用車を運転、原付バイクの男性2人が死傷するひき逃げ事件が発生。
同2024年9月29日には、中国人の少年(19)が飲酒運転で一方通行を逆走して車と衝突し、運転していた会社役員の男性が死亡する事故が起きた。
この結果、同市は、人口50万人以上の市で3カ月以内に6人以上の交通死亡事故があった場合に指定される特別対策地域となった。
期間は2024年10月8日から3カ月間。
市によると、今年2024年は9月末時点で9人が死亡し、昨年2023年1年間の8人を既に上回り過去5年間の同時期で最多という。
こうした状況を受け、川口市の奥ノ木市長は2024年10月17日、市内を管轄する川口、武南両署長に対し、違法運転などの取り締まり強化を求める要望書を提出。
死亡事故について
「法令違反と運転技術の過信や順法意識の欠如が要因」
と指摘した。
要望書はその上で、クルド人らが経営する解体資材置き場周辺での過積載や速度超過などの危険運転を念頭に、
「市民からは生活上の安全が脅かされるのではないかと今後を危惧する声が数多く寄せられている」
として、取り締まりの強化などを求めている。
また、2024年10月1日には県議会の立憲民主党などで作る会派などが県警本部に対し、2024年11月8日には川口市議会の自民党市議団が川口、武南両署に対し、それぞれ同様の要望書を出した。
埼玉県警は取材に対し
「県民の安心・安全のため引き続き適正な取り締まりと交通安全の広報・啓発を続けていく」
としている。

川口の解体業者7割は中東系、1年で40社増170社 民家の廃材をその場に埋め4人逮捕
「移民」と日本人
2024/11/14 11:50
https://www.sankei.com/article/20241114-CQAUVRW3HRKLNOD47WALDFXWZA/
埼玉県新座市の住宅街で民家を解体後、廃材6.2トンをその場に埋めたとして、川口市に住むトルコ国籍の解体業の男ら4人が2024年11月13日、廃棄物処理法違反の疑いで県警に逮捕された。
川口市内の解体工事業者は255社で約7割は中東系とみられ、大半はトルコの少数民族クルド人とされる。
中東系は過去1年間で約40社増え約170社と急増している。
逮捕されたのは、いずれも川口市に住むトルコ国籍で、解体業のチカン・ハリル・イブラヒム容疑者(35)と23〜39歳の解体工の男3人の計4人。
県警はクルド人かどうかは明らかにしていない。
逮捕容疑は今年2024年4月27日頃から2024年5月7日頃の間、新座市栗原の民家解体工事現場で、解体で出た木くずや廃プラなど産業廃棄物計6.2トンを解体後の更地に埋めたとしている。
県警によると、民家の家主がインターネットで探した解体会社に依頼。
この会社が、チカン容疑者が実質経営する解体会社「H産業」に下請けに出したという。
同社は解体資材置き場を所有しており、県警はなぜ解体現場にそのまま埋めたのか動機を調べている。
■業界での割合も増加
埼玉県が公表している解体業者の名簿のうち、川口市内の業者は2024年10月末時点で255社。
このうち代表者が中東系の名前は約170社あり、全体の約67%を占めた。
大半はトルコ国籍のクルド人とみられる。
これらの業者数を1年前の昨年2023年10月末時点と比べたところ、中東系の名前は約130社から約170社に約40社増え、1年間で1.3倍となった。
また、解体業者全体に占める中東系の割合も約59%から約67%と、8ポイント上がった。
資材置き場は近年、川口だけでなく隣接する越谷市やさいたま市岩槻区などにも広がっており、今回の事件を起こしたH産業も川口市内から越谷市へ移転していた。
■杜撰工事相次ぐ
解体工事を巡っては昨年2023年9月、東京都品川区で杜撰な工事により区が工事停止を指示。
工事は日本企業が中国系業者に発注、更にトルコ人業者に下請けされ、最終的に現場作業したのはクルド人だった。
今年2024年6月には埼玉県富士見市のビル解体工事現場で解体作業中に建物が崩落し、隣接する道路を塞ぐ事故があった。
工事を請け負ったのは中東系外国人が経営するさいたま市岩槻区の解体会社だった。
首都圏の解体業はクルド人の生業となっている。
一方で、川口市にはクルド人が約2000人在留。
大半は難民認定申請中で、出入国在留管理庁によると昨年2023年1年間のトルコ国籍の申請者は2406人に急増し、初めて2000人を超えた。

川口クルド人意見書でれいわ離党の市議、立民愛知から衆院当選 移民問題「答えられない」
「移民」と日本人
2024/11/5 15:52
https://www.sankei.com/article/20241105-3R7OB4DXWJK2JLKVZSJMQFQQVU/?outputType=theme_election2024
2024年10月27日投開票の衆院選で、立憲民主党公認で愛知15区から出馬した前埼玉県川口市議、小山千帆氏(49)が、比例東海ブロックで復活当選した。
小山氏は昨年2023年6月、川口市議会のクルド人問題を念頭に置いた
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書に賛成後、所属するれいわ新選組を離党。
更に市議を辞職していた。
小山氏は
「移民問題」
について
「取材は受けない」
としている。
小山氏は昨年2023年4月の統一地方選でれいわ公認で川口市議に初当選。
同年2023年6月、市議会でクルド人問題を念頭に置いた意見書が可決された際は、立民・れいわの共同会派が反対する中、小山氏は賛成した。
小山氏はその後、れいわ内で難しい立場に立たされたとされ、今年2024年5月、れいわを離党。
無所属で活動後の2024年7月下旬に市議を辞職し、直後に立民愛知15区総支部長に就任した。
小山氏はれいわ離党の際
「川口市民の生活に寄り添った活動をしていきたいため」
と理由を話していたが、市議を辞職した際は取材に対し
「取材は断っている」
と回答。
自身のXも全面削除した。
今回、衆院初当選に当たって、国の出入国管理政策や
「移民」
受け入れの他、川口市のクルド人問題や昨年2023年6月の意見書について取材を申し込んだところ、愛知県豊橋市の地元事務所を通じて
「取材は受けない」
と回答があった。
回答を伝えた事務所の男性に名前を尋ねたところ、回答を断られた。
小山氏の衆院選向け公式サイトには主要政策が4項目列挙されているが、移民問題についての言及はない。

川口クルド人問題、突如衆院選争点に浮上「私におまかせを」埼玉2区、全く触れない候補も
「移民」と日本人
2024/10/16 12:10
https://www.sankei.com/article/20241016-M2LPK63JJZLGHB5FX4XFJEJGOQ/?outputType=theme_election2024
27日投開票の衆院選埼玉2区は、トルコの少数民族クルド人と地域住民との軋轢が表面化している川口市の大部分が選挙区だ。
「地元国会議員が動いてくれない」
との指摘も出る中、今回の選挙では突如、争点に浮上。
公示日の15日、JR川口駅前では
「クルド人問題を解決する」
と公約する候補も現れた。
川口は外国人問題で有名になった
「ルール違反の外国人問題、おまかせください!」
日本維新の会前職の高橋英明氏(61)陣営の選挙カーから、運動員の女性がこう呼び掛けた。
前回は比例復活で初当選。
今年2月の衆院予算委ではクルド人を念頭に地元の外国人問題を取り上げ、当時の岸田文雄首相に対応を求めた。
選挙カーの上でマイクを握った高橋氏は経済再生などを訴えた後、クルド人らも混じる通行人に向かって
「この川口は外国人問題で全国的に有名になってしまった」
と切り出した。
「ルールを守らない外国人は一旦国に帰ってもらって、きちんとした在留資格で来てもらう」
「支援団体もそういうことを手助けすべきだ」
と指摘し、警察官の増員などを訴えた。
■この機会だから申し上げる
9選を目指す自民前職で前経済再生相の新藤義孝氏(66)は、選対本部長に奥ノ木信夫市長を迎え、駅前広場に自民、公明両党の県議や市議ら約25人を集めて出陣式。
150人以上の聴衆に向かって経済再生などを論じた後、
「もう1つ大事なことは治安の確保だ」
と地元の課題に話題を転じた。
「いわゆるクルド人問題」
「この機会だから申し上げるが、難民認定申請を繰り返し、10年も20年も川口にいる人たちが増えてしまった」
と、自身の選挙で初めてクルド人問題を明確に取り上げた。
新藤氏は自身の政策チラシにも
「クルド人問題の解決」
と明記。
この日の演説で、6月施行の改正入管難民法で難民申請中の強制送還停止が原則2回までに制限されたことについて
「法改正まで5年かかった」
と実績として触れ、
「ルールを守ってこその共生だ」
「川口をあやふやな出入り自由の街にはさせられない」
と声を張り上げた。
■なぜ外国人問題に触れるのか
一方、共産新人で元県議の奥田智子氏(55)は川口駅頭で第一声を上げたが、約13分間の演説で外国人問題に触れることはなかった。
演説後、奥田氏になぜ触れなかったか尋ねたところ、
「逆に聞くが、なぜ触れるのか」
「演説の内容は私が選べる」
「触れない理由は敢えて言わない」。
地元のクルド人問題への対応については
「国の政治が悪すぎる」
「それに尽きる」
と入管政策を批判した。
立民新人で歯科医師の松浦玄嗣(もとつぐ)氏(52)も川口駅前での出陣式では外国人問題について言及しなかったが、配布した政策チラシに
「外国人労働者の処遇に明確な法整備を求める」
と掲げた。
取材に応じた松浦氏は
「外国人を労働者としてなし崩し的に受け入れるから問題になる」
「川口で起きていることは10年後、20年後、必ず国全体の問題になる」
「外国人を移民として受け入れるのか、鎖国するのか、ロボットやAIに頼るのか、政治家は国民と議論しなければならない」
と語った。
■早く目に見える成果を
この他、埼玉2区には諸派新人で不動産会社社長の津村大作氏(50)が立候補。
7月の東京都知事選にも出馬した津村氏は今回、強制送還を拒む不法滞在者の入管施設への収容を一時的に解く
「仮放免制度」
の廃止を訴えている。
クルド人の危険運転などに困っているという地元の男性会社員は
「選挙で取り上げられるようになったのは一歩前進だが、市民の間ではまだまだ『政治家は何もしてくれない』との思いが強い」
「早く目に見える成果を挙げてほしい」
と話していた。
▽埼玉2区立候補者(届け出順)
奥田 智子55元県議 共新
高橋 英明61党県代表 維前
新藤 義孝66前経済再生相 自前
津村 大作50会社社長 諸新
松浦 玄嗣52医療法人役員 立新

日本人の安全が何より優先する。
そこを履き違えてはいけない。

<独自>「トルコ人は10月からビザ必要」ニセ情報拡散 外務省「川口クルド問題は認識」
「移民」と日本人
2024/9/18 15:30
https://www.sankei.com/article/20240918-QY7P3S2RXFF4TKEIEZBJPJQBDY/
日本とトルコの間で結ばれている短期滞在の査証(ビザ)免除措置について、トルコ国内の一部メディアやSNS(交流サイト)で
「日本政府が10月からトルコ国籍者にビザ要件を課す」
との偽情報が拡散、トルコ大統領府が否定の声明を出す異例の事態となっている。
日本の外務省も
「そのような事実はない」
と否定した上で、埼玉県川口市でトルコの少数民族クルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題について
「問題は認識し、注意深く対応している」
と述べた。
外務省によると、日本は観光や商用など短期滞在のビザ免除措置を71カ国・地域に実施しており、トルコとは1958(昭和33)年から相互免除が取り決められている。
航空券代さえ負担できれば、パスポート一つで来日し、最長3カ月在留できるため、3カ月後に難民認定を申請して滞在を継続するケースが続出。
川口市に在留するクルド人約2千人の多くがこの方法で難民申請しているとされる。
ところが、今月に入りトルコ国内のSNSで
「日本は10月1日からトルコにビザ要件を課す」
という偽情報が拡散。
一部トルコメディアにも
「短期滞在ビザを利用して日本行きを夢見る人々に悪いニュースだ」
「難民申請の増加や不法就労の問題に苦しむ日本が、トルコへの扉を閉ざすことになった」
などとする記事が掲載された。
トルコ大統領府通信局は今月16日、
「こうした主張は事実ではない」
「一般市民をミスリードする意図を持った主張を信じないでほしい」
と注意を呼びかける声明を発表。
トルコメディアもこの声明を報じた。
トルコとのビザ免除をめぐっては、上川陽子外相が5月の参院決算委で
「日本社会の安全、安心を守ることも重要だが、ビザ免除の見直しが必要とまでは考えていない」
と答弁。
外務省中東一課の担当者は取材に対し、ビザ免除見直しを否定した上で
「最近、一般の方を含め問い合わせは来ているが、国会答弁の通りだ」
と回答。
その上で
「川口のクルド人の問題は認識している」
「外交当局として、二国間にどのような影響があるか注意深く案件をフォローしている」
と話した。
日本とトルコは8月に国交樹立100周年を迎え、記念行事が続いている。
12月上旬には、秋篠宮ご夫妻がトルコを公式訪問されることが決まっている。

川口クルド人問題を新聞・テレビはなぜ報じない 産経新聞コンテンツ統括・皆川豪志
正論10月号
2024/9/1 12:00
https://www.sankei.com/article/20240901-MCH2PHSPSVBG7OO4MC3A34TT44/?outputType=theme_monthly-seiron
川口クルド人問題を知らない人は、かなり少なくなってきたのではないでしょうか。
近年、トルコからクルド人が大勢、日本の埼玉県川口市に移住してきて、暴力的な行為や騒音などで、地域住民に不安や恐怖を感じさせている問題です。
地元住民やインターネットの一部ユーザーでは有名だったのですが、大手メディアではほとんど報じられてきませんでした。
しかし、産経新聞が2023年から、インターネットメディア「産経ニュース」や新聞紙面などで報じ始めた後、一般的にも大きな問題として認識されるようになってきました。
ただ、他の新聞やテレビなど大手メディアは相変わらず、これを無視しています。
「外国人との共生社会」
の理念に反するという理由なのでしょうか、ほとんど報道されないのです。
こうした報道姿勢は果たして正しいのでしょうか。
共生の理念を守るためとはいえ、現に存在する大きな社会問題が無視されていいのでしょうか。
■意見書も暴動も無視
まずは、この問題について詳しくない人たちのためにも、川口クルド人問題を巡る産経新聞の報道姿勢について、説明する所から始めたいと思います。
産経新聞がこの問題を本格的に報じるようになったのは、2023年6月29日、川口市議会が
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書を可決したことと、その直後に
「川口市立医療センター」
周辺でクルド人約100人が関与したとみられている暴動事件が起きたことが大きなきっかけでした。
前者は川口市においてクルド人を巡るトラブル増加を受け、議長を除く市議41名のうち、34名の賛成多数で可決されたものです。
その中には、れいわ新選組所属の議員(後に離党)1人も含まれており、幅広い層の議員が賛成したことが窺えました。
この意見書は、
「一部外国人」
として、
「クルド人」
と名指ししたものではありませんでしたが、少なくともそのことが想定される内容で、全国の自治体でも例のないものでした。
後者はクルド人同士の痴話喧嘩がきっかけで、市内路上で相手を切りつけて暴れた上、搬送先の病院にまで押し掛けるというショッキングな事件でした。
殺人未遂や公務執行妨害容疑などで約10人の逮捕者を出した上、地域唯一の救急医療が一時ストップするなど地元住民にも多大な影響が出ました。
ところが、これらを大きく報じたメディアはほとんどありませんでした。
恥ずかしながら産経新聞もさいたま支局は県版で少し触れた程度でした。
事件の直後に産経新聞本社の編集局に着任した私は、これほどの問題に反応しない体たらくに驚き、記者たちを叱咤し、改めて取材を指示しました。
その結果、2024年7月31日付の産経新聞は1面トップで医療センターの事件を、3面でその背景となる意見書可決の記事を大きく掲載しました。
以降、他メディアがほとんど取り上げない川口市の地元住民とクルド人の軋轢を中心に、外国人労働者や難民認定申請者の増加に伴う問題全般について1年間で約80本の記事を出しました。
それにしても、なぜ新聞もテレビも、この事件や意見書決議をほぼ無視したのでしょうか。
意見書作成を主導した自民党所属の川口市議は市役所の記者クラブの記者に説明したそうですが、記者側からは
「そうなんですけどね」
「難しいですね」
といった言葉が返ってくるばかりで、煮え切らない態度だったそうです。
要するに、支局の一記者がややこしい問題に触れたくないということだったようなのです。
とにかく以後、産経新聞はこのテーマにきちんと取り組むようになりました。
「外国人に対するヘイト報道だ」
との批判を受けることもありますが、それでも、報道を続けることは重要だと思っています。
起こっている事実、少なくとも地元で少なからぬ住民が懸念を持っているような事実について、誰も報じなくて良いのかという強い問題意識があるからです。
実際、川口市内の一部地域では、隣に住むクルド人の騒音を注意した住民が、
「ばばあ出ていけ」
と怒鳴られたり、改造車で自宅の塀を壊されて逃げられたりというようなケースが散見されます。
解体業などに従事するクルド人が物凄い量の廃材をトラックに積んで住宅街を走り抜ける光景も目立ちます。
実際に
「犯罪」
として認知されていなくとも、住民の体感治安は非常に悪くなっているのではないでしょうか。
例えば、こんなことがありました。
川口市に住む30代の女性が、
「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」
として、
「私たちの存在を、消さないで。Native Lives Matter」
という画像を作成し、これがネット上で拡散されたのです。
女性には小さな子供がおり、近所にある資材置き場を出入りするクルド人運転の過積載トラックに恐怖を感じたそうです。
「ヘイトスピーチだ」
などと批判されることを恐れて実名は出せませんでしたが、勇気を振り絞って訴えたといいます。
私たちはこのことについて、2024年の2月28日に報道しました。
■事実は事実として
それにしても、他のメディアはこうした地元住民の気持ちをなぜ汲み取ることができないのでしょうか。
2017年に英国で出版され、ベストセラーになった『西洋の自死』(ダグラス・マレー著)によると、英国の世論調査で国民の過半数は移民の受け入れに否定的だったのに対し、メディアの多くは賛成の論調だったそうです。
その後、英国をはじめ欧州が大量の移民を受け入れるにつれ、移民による犯罪が頻発するようになったそうですが、それでも欧州のメディアは
「人種差別主義者」
と呼ばれるのを恐れて、そうした事実を極力覆い隠そうとしたとのことです。
もしかしたら、これと同じことが日本でも起きているのかもしれない―。
産経新聞では、一連の川口市とクルド人に関する記事について、他紙がどれだけ報じたかについて調べて、一覧表(左)にして掲載したことがあります。
その表からは、他紙がこのテーマを報じる機会が相当少ないことが明らかになりました。
その理由を、私が他社を代弁することはできませんし、メディアによって様々なのかもしれません。
移民問題は報道が難しい問題だからなのか、多面的な見方がある微妙な問題だからなのか、
「ヘイト」
という批判を受けやすいからなのか、あるいは、日本人に我慢を強いても外国人の人権が大事と考えているのか。
私は、理由の1つに地上波テレビがほとんど取り上げていないことも関係していると考えています。
テレビの影響力は今も大きいので、テレビ報道があれば変わることがあるかもしれません。
いずれにしろ、移民に対する考え方はメディアによって様々であっても、事実を淡々と報じるということは、あっても良いはずです。
念のため申し上げますが、産経新聞は決して
「外国人の受け入れ」
全てに反対ではありません。
ただ単に、今後多くの外国人が日本社会に受け入れられていくだろうという現実を前提に、
「では、問題のない受け入れにはどうすれば良いか」
という問題提起をしているだけなのです。
少なくとも私たちは、事実を誇張して何らかの世論誘導をするつもりはありません。
私たちが声を大にして言いたいのは、事実を報じないのはおかしいということです。
日本に在留する外国人にしても、
「難民」
「不法滞在者」
「正規の外国人就労者」
をきちんと区別して考えるべきで、
「外国人差別は良くない」
「強制帰国させるのは可哀想」
などという情緒的な話ばかりでなく、事実をきちんと報じ、現実から出発して、物事を考えることが重要なのではないか。
そう思うのです。
■マスコミへの不満
先ほど、このテーマについて産経新聞に
「ヘイトだ」
という声が寄せられるという話を書きましたが、実は読者からのこうした声は少数です。
少なくとも、弊社に寄せられる声の多くは
「産経、よく書いてくれた」
という趣旨のものがほとんどです。
この種の記事というのは非常に関心が高く、ネットなどでは1日のうちで最も読まれている記事になることもしばしばです。
特に、このテーマで連載や特集などをやると
「他紙はまた報道しない自由ですね」
などという反応が大半です。
重ねて申し上げますが、川口クルド人問題で、何か一定の世論を形成しようという
「上から目線」
のつもりは全くありません。
大事なのは、きちんと事実を報じ、どう考えてもらえるかということなのです。
はっきり言って、この問題について多くのメディアが何も報じようとしない現状はかなり危険です。
報じたとしても
「クルド人の絵画展が開かれました」
「地域との共生イベントが行われました」
といった生温いニュースばかり。
これをみて、実際に困っている住民は何を思うでしょうか。
「マスコミは事実を隠している」
と疑念を持つのではないでしょうか。
現実に、マスコミがこの話題についてあまりに報じないため、逆に
「なぜ報じないのだ」
という批判も広がりつつあるようです。
このまま
「共生が大事」
「多様性は素晴らしい」
みたいなことばかり言い続けていくと、逆に、日本の一般の人たちの心の中に、ルールを守らない外国人に対する憎悪のようなものを生み出す結果になる可能性があります。
マスコミが
「外国人との共生に日本人が協力すべき」
というような論調ばかりになると、却って一般の人の間には不満が溜まり、それがいつか爆発し、社会の分断に繋がることにならないだろうか。
私はこう危惧します。
■「人手不足」という言い訳
川口のクルド人問題に象徴される移民問題、もしくは
「外国人受け入れ」
問題については、政治や言論で批判がタブーになっているとしばしば言われます。
私たちは現在の言論空間について、あまり窮屈だと感じたことはありませんが、ただ、このテーマについて
「何か面倒だ」
と思う人がいる気持ちも分かります。
新聞でもテレビでも、偏らずにこういう話もあるしこういう話もある、という報道があれば、それを元に様々な意見が交わされていくはずですが、実際にはそれとは程遠いというのが現実です。
例えば、
「外国人差別はいけない」
「人権は大事」
などと言われれば、誰も否定できません。
それに対して、
「いやいやこういう外国人の問題もある」
「入管のルールはこうなっていて」
などと一から説明する労力を考えれば、
「否定しません。以上」
で終わったほうが面倒くさくないですから。
下手をすれば
「ヘイト」
と責められかねないようなことを敢えて政治家やテレビのワイドショーなどが取り上げることはありません。
そこを説明したり議論したりすることは、やはり厄介だと思われているのではないでしょうか。
今、産経新聞では断続的に
「『移民』と日本人」
というタイトルで連載が行われていますが、移民という言葉には
「」
が付けられています。
一応、日本に移民はいないことになっているからです。
ただ、移民と言わないだけで
「外国人労働者」
はこれまでも積極的に受け入れられてきました。
これは、
「軍隊」

「自衛隊」
と言い換え、その本質に踏み込まない議論とよく似ているのではないでしょうか。
本質に踏み込めば、議論せざるを得なくなる。
議論すると色々と厄介な問題が見えてきてしまう。
日本人にとっての移民問題は今、そんな感じなのではないでしょうか。
その一方で、マスコミではしばしば
「人手不足」
の解消のため、外国人の受け入れを進めるべきという議論が展開されています。
日経新聞、読売新聞なども、社説などで
「人手不足」
のため外国人の受け入れを進め、外国人に
「選ばれる国に」などと主張しています。
しかし、これは移民推進論とどこが違うのでしょうか。
今さら言うまでもありませんが、移民推進については、経済的視点から、
「安価な労働力流入によって、自国民の所得を下げるだけで、企業努力を妨げる」
と批判されてきました。
経済界などは
「労働力不足」
を前面に訴えていますが、実際は
「安い労働力」
が欲しいだけなのではないかとも指摘されています。
外国人労働者を受け入れれば、目先の
「安い労働力」
という利益は得られるかもしれません。
しかし、労働力として受け入れられた外国人にも人生があり、そのことも受け入れた側の国は考えなければなりません。
簡単に家族帯同などと言いますが、その家族の社会保障はどうするのか、働けなくなったらその家族の面倒も日本社会が見るのでしょうか。
先進国で外国人労働者が従事するのは、自国民が
「やらない」
仕事ではなく、
「現状の賃金ではやりたくない」
仕事です。
こうした仕事については、仮に外国人という選択がなければ、自国民がやりたくなるまで賃金水準は上がり、企業はより一層の技術開発などで乗り切ろうとするでしょう。
日本の高度成長期などは、移民の力は一切借りず、賃金を上げて1億総中流という社会を築いたのですから。
労働力不足を理由に安易とも言える
「移民推進論」
を進めた欧米は、文化や宗教、言葉の違いから、取り戻せないほどの治安悪化に苦しみ、ようやく移民政策の転換を始めました。
欧米の失敗から学ぶべき事は多いのではないのでしょうか。
私たち日本人は、そうしたことを真面目に議論しなければならないと思います。
《この文章は、筆者が『国際人流』(公益財団法人・入管協会発行)2024年7月号に掲載されたインタビュー記事で発言した内容をもとに、書かれたものです》
(月刊「正論」10月号から)

「ペンのチカラ信じたい」川口クルド問題、産経新聞が地元読者の声を全面特集 報道検証も
「移民」と日本人
2024/3/16 8:00
https://www.sankei.com/article/20240316-TFNS5ICNPJJ4NP6WXDR4SW36OM/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、2024年3月16日付の産経新聞が1ページ全面を使って
「報じられない川口クルド問題」
の特集を組んだ。
「秩序なき『共生』 黙殺される地域の声」
との見出しで、川口の地元住民らから上がっている大手メディアの消極姿勢についての疑問の声を詳報。
朝日新聞、共同通信など5つの媒体についてのこの問題を巡る報道状況を検証している。
検証記事については、2024年3月16日午後、産経ニュースでも配信する。

川口クルド問題 朝日、共同などの報道状況を検証 事件報道わずか、イベントには好意的
「移民」と日本人
2024/3/16 13:00
https://www.sankei.com/article/20240316-4G6I7KUVAJO6BPNHSJYY
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、地元住民などから大手メディアの消極姿勢に疑問の声が上がっている。
朝日新聞や共同通信など5つの媒体について報道状況を検証したところ、事件や不祥事については報道量が少なく、扱いも小さい一方、取り上げられる際は、同情的、好意的な報じ方が一般的となっている実態が浮かんだ。
■20件中僅か2件
2023年6月から2024年3月にかけて、産経新聞や産経ニュースが取り上げたクルド人と地元との軋轢を巡るニュースや、クルド人の犯罪についての事案など20件について、朝日、毎日、読売の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の5媒体を対象に、商用データベースなどで報道状況を調べた。
その結果、産経を除き3媒体以上が報じたニュースは20件中、僅か2件しかなかった。
2媒体が報じたニュースは7件、1媒体しか報じなかったニュースが5件、全く掲載していないニュースが6件だった。
1媒体だけの場合は地元紙が多かった。
川口市議会は2023年6月末、国や県などに
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書を賛成多数で可決した。
この意見書は、具体的な民族名こそ挙げていないものの、クルド人を念頭に置いたもので、地方議会としては異例の出来事だった。
■地元紙さえ報じず
産経新聞もこのニュースを報じたのは約1カ月後だったが、クルド人と住民との軋轢の実態や議決の背景、与野党議員の声などを大きく取り上げた。
一方で地元紙も含め、各紙は産経が報道するまで全く報じず、地元紙が2023年8月中旬の企画記事の中で、全国紙の1紙が2023年9月にクルド人問題を巡る政治家の動きを報じる中で触れたのみだった。
2024年3月7日、女子中学生に性的暴行をしたとして不同意性交容疑でクルド人の男が逮捕された性犯罪事件も、産経以外は2紙しか報じなかった。
報道した2紙も
「トルコ国籍」
との表記で、逮捕されたクルド人が事実上の
「移民2世」
であることなど詳しい背景は報じられなかった。
一方で、川口市内で開かれたクルド人の写真展などのイベントはほとんどの媒体が好意的に紹介していた。
クルド人の祭り
「ネウロズ」
の開催を巡り、埼玉県側が公園の使用を一時認めなかった問題も、ほぼ全媒体が報じていた。
■事件報道は「トルコ国籍」
また、
「クルド人」
という民族名は、難民認定申請を繰り返す彼らが法的に不安定な立場に置かれているとして、同情的に報じるケースが目立った。
逆に、事件や不祥事などでは
「トルコ国籍」
とだけ報じて民族的な背景を報じなかったり、単に
「外国人」
とだけ表記したりするケースもあった。
2023年8月、川口市内の男子中学生が大型商業施設への威力業務妨害容疑で逮捕された際に報じた2紙も
「トルコ国籍」
「外国籍」
との表記だった。
また、2024年2月26日の衆院予算委で、川口市を地元とする議員が、外国人の治安問題について民族名の名指しを避けながら質問した際は、共同通信が記事を配信し全国紙1紙が掲載したが、その内容は
「ヘイトスピーチだ」
などとするジャーナリストの談話を掲載した批判的なものだった。
■「実態が報道されない」
今回、地元住民らから寄せられたメールでも、
《日本人の女子中学生がクルド人にレイプされたのに、ほとんどのマスコミが重要視せず、川口の実態が報道されないことは異常としかいいようがない》
《「ヘイトスピーチだ」などとするジャーナリストの談話を掲載した通信社や、そのジャーナリストは本当に川口の実態を知って批判しているのでしょうか》
など、大手メディアへの不信感が渦巻いていた。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)
今回、地元住民から寄せられたメールには、テレビや新聞への不信感が渦巻いていた。
初めて意見を投稿するという東京都の58歳女性は
<大きな問題であるにもかかわらず、大手メディアで取り上げられることはほとんどない>
<取り上げられたとしても過度に配慮した扱いに大きな不安を感じていた>
<川口の問題は他人事ではなく明日は我が身の問題です>
とし、こう続けた。
<国の形を変えるような問題が差別や目先の労働力確保に摩り替えられ、オープンな議論ができない状況で、影響力のある大手メディアが問題提起しない姿勢に疑問を感じていた>
<今回の地元の女性の訴えは、そのような状況に一石を投じるものと感じます>
■川口のクルド人問題を巡る最近の経緯と報道状況
@産経新聞や産経ニュースが報じた事案
A朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の計5媒体のうち
⇒〇3媒体以上、△2媒体、▲1媒体、×掲載なし
★令和5年
・6月29日
@埼玉県川口市議会が、国や県などに「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」を求める意見書を可決
A▲
・7月4日
@川口でクルド人同士の殺人未遂事件。市立医療センター周辺でクルド人約100人が集まる騒ぎ、救急受け入れを5時間半停止
A〇
・8月1日
@川口の大型商業施設に煙幕を出す花火を投げつけたとして14歳のクルド人の男子中学生が逮捕
A△
・8月21日
@7月の殺人未遂事件で埼玉県警がこの日までに計7人を逮捕
A▲
・9月1日
@川口市の奥ノ木信夫市長が、法相へ不法外国人の強制送還などを求める要望書
A△
・9月4日
@東京都内でクルド人業者による解体工事を巡り住民から苦情が殺到、区が工事停止を指示
A▲
・9月14日
@衆院外務委の黄川仁志委員長(当時)が駐日トルコ大使にクルド人問題で「懸念」伝達

・9月25日
@7月の殺人未遂事件でさいたま地検が7人全員を不起訴処分
A△
・9月26日
@川口署内でジャーナリストを「殺す」などと脅したクルド人を逮捕

・10月24日
@ジャーナリスト脅迫事件でさいたま地検がクルド人を不起訴処分

・11月4日
@川口のクルド人団体「日本クルド文化協会」が埼玉県警や地域住民らと合同パトロール
A▲
・11月24日
@公安調査庁が年報「国際テロリズム要覧」2023年版で、テロ組織のリストからトルコの非合法組織「クルド労働者党(PKK)」などを除外。
この日のインターネット上で公開され、内外で反発広がる

・11月29日
@トルコ政府が日本クルド文化協会と代表者らについて、PKKに資金提供している「テロ組織支援者」と認定、トルコ国内の資産凍結を公表
A▲
★令和6年
・1月22日
@不法滞在のクルド人男性が実質経営する解体会社が埼玉県に100万円を寄付、大野元裕知事が男性に感謝状を手渡す

・1月23日
@クルド人の祭り「ネウロズ」の埼玉県営公園での開催許可を巡り、県公園緑地協会が当初の対応の誤りを認めてクルド人支援団体に謝罪
A〇
・2月25日
@2月18日にJR蕨駅周辺で行われたデモの際、日本クルド文化協会関係者が「日本人死ね」とも聞こえかねない発言をしたと指摘され同協会が釈明、謝罪
A△
・2月26日
@衆院予算委で日本維新の会所属議員が川口のクルド人の治安問題を巡り国会で初めてとみられる関連質問
A△
・2月26日
@川口在住の女性が「ネーティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)などと訴えるメッセージ画像をSNSに投稿、急拡大される

・3月5日
@ネウロズ開催を巡り県公園緑地協会が日本クルド文化協会に公園使用を許可
A△
・3月7日
@川口のコンビニ駐車場で女子中学生に性的暴行をしたとしてクルド人を逮捕
A△
*他媒体の掲載状況は商用データベースの検索結果から。2カ月以上経ってからの掲載は除く

川口クルド問題、地元当事者の声続々「政治が動いてくれない」 社会の分断一層進む恐れも
「移民」と日本人
2024/3/9 10:00
https://www.sankei.com/article/20240309-VUIKPV7VPFOW5CLOCN2FG4HAZY/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、産経ニュースがメールで募集した読者の声が止まらない。
全体の約4割が埼玉県民からで、うち約7割が川口市民だった。
「政府も自治体も何もしてくれない」
「このまま川口で暮らしていけるか不安」…。
クルド人とみられる集団の行為を具体的事例を上げて批判する人も多く、住民の喫緊の課題であることが窺えた。
「多様性」
で一括りにして政治がこの問題を放置すれば、社会の分断が却って進む恐れすらある。
■「引っ越せばよいといわれても」
川口市に住んで20年になるという60代女性は
《いつのまにか周りにクルド人が増えた》
とし、道路に溢れるゴミの問題や公園の使い方、夜のコンビニでの体験などを淡々と綴った。
警察に連絡しても特に改善はなく、
《パトロールもしてくれない》
という。
《私には孫がいます。本当にここに暮らして大丈夫なのか? この年になって、そんな不安が出てくるなど思いもしなかった。引っ越せばよいといわれるが、年金生活でお金はありません。市長が出してくれますか》
《私たちはふつうに暮らしていただけです。どうか川口市民の声が大きな声になって市を、国を揺さぶれる力になりますように!》
■「警察を何とも思っていない」
同市内の40歳男性は、クルド人とみられる若者グループによる一方通行での改造車の逆走などの目撃が後を絶たないという。
《彼らは「一部のクルド人」だと言いますが、もはや全体の問題と考えてもおかしくない。一刻も早く、安心して暮らせる社会になることを願う》
同市内の55歳男性は、元々外国人の多い川口は
《日本のどこの住民よりも外国人に慣れている》
とした上で、
《ただ、クルド人とほかの外国人が違うと思うのは、彼らが警察を何とも思っていない点です。法律も関係ない、警察も怖くない、集団で行動するクルド人をこのままにしておけば、この街は無法地帯になります。誰か助けてください》。
《まじめに仕事をしているクルド人もたくさんいるでしょう。日本人がやらない仕事をしてもらって、助かっている部分もあるでしょう。ですが、法律を守らないクルド人は日本から即刻出ていってもらいたい。これはヘイトでも差別でもなく、日本人として当たり前の感情だし、当たり前の前提だと思います》
■「外国人と共生を」メディアが擁護
川口市で生まれ育ち、現在も市内で子育て中という50代女性は
《クルド人の行動や素行をとても恐怖に感じています。私たち川口市民は、この先も川口で生活していくことに不安を感じます。公平って何ですか。それを武器にしないでください》。
埼玉県内の67歳男性は
《すでに何千人も住んでいて民族衣装を着て民族楽器を鳴らしている。ここは日本? これからどうなっていくのか。しかも実態は不法滞在状態の人もいるといわれている》
とし、こう続けた。
《政府は「移民」を急速に増やそうとしている。そのことへの不安が広まり、クルド人問題を大きくしている面があるのではないか》
県内の56歳男性は
《「外国人と共生を」「外国人を差別するな」と政府やメディアが擁護しているが、この問題に対処しない政府には憤りしかありません》
と綴った。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」
「移民」と日本人
2024/3/8 17:25
https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の
「移民2世」
という。
調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。
男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。
女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。
女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は
「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」
と容疑を否認。
同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。
「2世」
とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。

クルド祭り「ネウロズ」埼玉県公園協会許可 楽器使用も一転認める「丁寧に対応する必要」
「移民」と日本人
2024/3/6 12:45
https://www.sankei.com/article/20240306-ZSFLUEWT4JJ27OWNRUFZHIKNIE/
埼玉県川口市などに在留するトルコの少数民族クルド人の祭り
「ネウロズ」
の県営公園での開催を巡り、県公園緑地協会の対応にクルド人側が反発していた問題で、同協会が開催を許可したことが2024年3月6日、分かった。
許可は2024年3月5日付。
祭りは2024年3月下旬に県営秋ケ瀬公園(さいたま市桜区)で行われるという。
この問題は2024年1月、クルド人支援団体からの公園利用の相談に対し、協会側が
「楽器演奏の禁止」
を条件に許可する方針を示したところ、支援団体が
「音楽と踊りは一体だ」
などと反発。
同公園の管理事務所長が対応の誤りを認めて謝罪していた。
協会によると、別の県営公園で楽器を使用する際、
「音量を80デシベル以下にする」
などの条件で許可した例があったことから、今回も同じ条件で、楽器使用も含め許可したという。
協会は取材に対し
「公園の利用は地方自治法上、正当な理由がない限り許可を拒んではならないことになっている」
「今回は協会として速やかに丁寧な対応をする必要があり、他の県営公園の基準に準拠して許可した」
「今後、基準自体を見直す必要がある」
と話している。
協会によると、2023年7月にクルド人約100人が川口市内の市立病院周辺に殺到した騒ぎ以降、
「クルド人に県の施設を貸さないでほしい」
といった電話やメールが複数寄せられていた。

川口クルド問題で市民の声続々「事実報道しない」「過度に配慮」 大半がメディアに苦言
「移民」と日本人
2024/3/4 15:05
https://www.sankei.com/article/20240304-PWXWSDPU4RLCBF7W7ODSN76LJQ/
埼玉県川口市に住む女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像やメールによる訴えなどを産経ニュースで紹介したところ、多くの読者の声が届いた。
近年SNS(交流サイト)などで、個人の意見が
「拡散」
されることが増えているが、比較的短い感想や攻撃的な内容になることも多い。
今回、メールで募集したところ、いずれも長文で、自身の体験や意見を淡々と述べたものがほとんどだった。
「テレビは事実を報道しない」
「ヘイトと言われる日本は本当におかしい」
などと綴られ、全体の4分の1は埼玉県内からだった。
■「正直怯えて子育てしている」
川口市で子供を育てているという40代女性は
《テレビのマスコミは何らかの恩恵や力が働くのかわかりませんが、ほとんど事実を報道しません。記事を読んで、勇気を出して文章にする方もいるんだなと感銘をうけました》。
女性は、以前は横浜市内に住んでおり、
《外国人が多い地域でいろいろな国の友人もいました。外国人に対する差別意識はありません》
とした上で、川口市について
《実際に子育てして住んでみると、治安の悪さに驚きました》。
これまでの自身の経験を綴り、
《正直おびえて子育てしている》
《日本の子供たちに与える影響が怖い》
としつつ、
《何かを発言すればヘイトだとか人種差別だと、圧力や嫌がらせがありそうで、怖くて発言できません》
《安心して子供を公園で遊ばせられる、安全な子育てができる埼玉県に戻ってほしいです》
と結んだ。
■「どこがヘイトや差別なのか」
埼玉県内の33歳女性は
《迷惑行為を繰り返すクルド人の取り締まりを強化して、もともと住んでいた方が平穏に暮らせる生活を取り戻すことの、どこがヘイトや差別なのでしょうか? クルド人問題を提起しただけで「ヘイトだ!」と言われてしまう日本、本当におかしいです》
と訴えた。
こうした声が寄せられた背景には、2024年2月18日にJR蕨駅周辺で行われたデモの際、クルド人団体
「日本クルド文化協会」
の関係者が
「日本人死ね」
とも聞こえかねない発言をしたことや、2024年2月22日のインターネット番組でフリーアナウンサーの女性が
「外国人との共生が不可だとなると、日本人は引っ越しできるので人口が流出するだけ」
などと発言し、物議を呼んだことなどがあるとみられる。
■「オープンな議論できない状況」
埼玉県外からも多くの声が寄せられ、
神奈川県の50代女性は
《この問題に対する貴社以外の一部メディアによる偏向報道や政治・行政の無為無策に憤り、悲しみを感じておりました。川口に無縁であっても、想像力さえあれば、苦しむ川口市民の気持ちは十分理解できます》。
茨城県の38歳男性は
《川口の状況を知らない日本人はたくさんいますし、メディアも政治家もスルーする状況の中、問題解決に向かう大きな一歩だと思いました》
と綴った。
初めて意見を投稿するという東京都の58歳女性は
《大きな問題であるにもかかわらず、大手メディアで取り上げられることがほとんどなく、取り上げられたとしても過度に配慮した扱いに大きな不安を感じていた。川口市の問題は他人事ではなく明日はわが身の問題です》
とし、こう続けた。
《国の形を変えるような問題が差別や目先の労働力確保といった問題に摩り替えられ、オープンな議論ができない状況で、影響力のある大手メディアが問題提起しない姿勢に疑問を感じていた。今回の地元女性の訴えはそのような状況に一石を投じるものと感じる》
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

「行き場ない怒り、悲しみに光」川口クルド問題でメディアの役割とは 地元女性メール全文
「移民」と日本人
2024/3/1 12:28
https://www.sankei.com/article/20240301-H3IBW3M6KBPBRGDWTSL7MCQTLI/
埼玉県川口市に住む30代の女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像を産経ニュースで紹介したところ、女性から
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみに光を当てていただいた」
とするメールが届いた。
画像は、同市内などに在留するトルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢の中、
「苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?」
と訴える内容。
女性は
「市民の意見を聞こうともしないメディア」
に疑問を投げかけている。
移民受け入れに対する報道を巡っては、過去の欧州の経験でもその役割が問い直されている。
■欧米メディアも「報道しない自由」
欧米では現在、不法移民を含む移民の増加による社会の混乱が、国家的な課題となっている。
その背景として、メディアが
「ヘイト」
「差別」
と批判されることを恐れるあまり、必要な報道をしてこなかったとの指摘が出ている。
2017年に英国で出版され、ベストセラーになった
「西洋の自死」(ダグラス・マレー著)
によると、英国の世論調査で国民の過半数は移民の受け入れに否定的だったのに対し、メディアの多くは賛成の論調を張った。
その後、英国をはじめ欧州が大量の移民を受け入れるにつれ、移民による犯罪が頻発するようになったが、欧州のメディアは
「人種差別主義者」
と呼ばれるのを恐れて、そうした事実を極力覆い隠そうとしたという。
英国で2004〜2012年、パキスタン人らの集団が11〜15歳の少女らを性的に暴行し人身売買した事件では、国名や宗教名などはほとんど報じられず
「アジア系」
とだけ伝えられた。
ドイツの都市ケルンで2015年の大みそか、約1000人の外国人らが数百人の女性を集団で性的暴行し、金品を奪った事件は当初、大手メディアが報道せず、事件が明らかになったのは数日後のインターネットのブログを通じてだったという。
■国会質問が「ヘイトスピーチ」
現在の我が国のクルド人を巡る報道はどうか。
その多くは、難民認定申請を繰り返す彼らが法的に不安定な立場に置かれているとして、同情的に扱っている。
クルド人そのものの報道も少なく、取り上げられる際は、好意的な報じ方が一般的となっている。
2023年6月から2024年3月にかけて本紙や産経ニュースが報じた川口市のクルド人を巡るニュース20件について朝日、毎日、読売の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の5媒体を対象に商用データベースなどで報道状況を検証した。
2024年2月26日の衆院予算委で、川口市が地元の議員が外国人の治安問題について、民族名の名指しを避けながら質問した際も、
「ヘイトスピーチだ」
などとするジャーナリストの談話を掲載した通信社の批判記事が配信された。
今回、メッセージ画像を制作した女性は子育て中で、一部のクルド人による危険行為に脅かされながら生活しているという。
画像には
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《私たちの存在を、消さないで。》
《差別やヘイトは絶対ダメ!でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
と訴えている。
女性は産経新聞に寄せたメールで、我が国のほとんどのメディアについて
「もはや信用ができない状態」
などと綴った。
全文をほぼそのまま紹介する。
■「ペンのチカラ信じたい」
自分のような市民の小さな声を拾い上げてくださり、本当に感謝しております。
川口の外国人問題については、貴社以外のメディアは、ほとんど市民の声を聞こうともせず、外国人が起こした事件・事故・迷惑行為を極小化し、
「体感治安が悪化しているのは、川口市民が外国人に対して偏見を持っているからだ」
「もっと川口市民が歩み寄り外国人を理解するべき」
といった、角度がつきすぎた論調に無理やり導こうとしているので、もはや信用ができない状態で、行き場のない怒りを抱いておりました。
この問題に悩んでいる多数の川口市民も同様の気持ちを抱いている状況です。
そのため、記事によって、この
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみ」
に光を当てていただき、本当に感謝しております。
私は貴社の報道とそのあり方を拝見し
「ペンのチカラ」
を、改めて信じたいと思っているところです。
お忙しい中かと思いますが、どうぞご自愛くださいませ。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

「地域住民の人権は無視ですか?」報道されない川口クルド問題、地元女性制作の画像急拡散
「移民」と日本人
2024/2/28 16:00
https://www.sankei.com/article/20240228-LGU5ZQA3YJFU5IXW6BNCV75DPQ/
「私たちの存在を、消さないで。」―。
シルエットの女性がこう訴える画像がSNS(交流サイト)で拡散されている。
作成したのは、トルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢が表面化している埼玉県川口市に住む30代の女性。
「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」。
女性は
「ヘイトスピーチだ」
などと批判されることを極度に恐れつつ、勇気を振り絞ってこの画像を作成したという。
■まるで私たちは存在しないかのように
画像は、
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《差別やヘイトは絶対ダメ! でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
とのメッセージが添えられている。
米国で黒人差別解消を訴える
「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」
運動に倣ったという。
川口市内では、解体資材置き場周辺や住宅密集地での過積載のトラックや改造車の暴走行為が問題化。
女性の自宅近くにも資材置き場があると言い、
「中学生くらいの外国人が携帯をいじりながらトラックを運転していたり、改造車が昼間から走り回り、タイヤを急回転させて白煙が上がっていたりするのを何度も目撃した」
という。
女性は
「暴走行為や迷惑行為などで怖い思いをしても、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「地域住民は存在しないかのように扱われていると感じていた」
「その思いを画像に込めた」。
ここは私たちの地元です
女性には小さな子供がおり、通学路が心配で仕方ないという。
ただ、この問題をSNSなどで敢えて訴えると、
「ヘイトだ」
などとすぐに批判される。
女性の知り合いにも
「反ヘイト団体」
などからSNS上で罵られた人もおり、地元でも声を上げにくい雰囲気があるという。
デザインアプリで画像を作成、2024年2月26日に自身のX(旧ツイッター)に投稿したところ、多くの人が拡散した。
ネット上では
「川口にもとから住んでいる日本人に我慢を強いた上での外国人との共生に何の意味があるのでしょうか」
などのコメントがある一方、
「分断は不幸しか生みません」
「差別の扇動やめなさい」
といった投稿もあり、拡散を続けている。
女性は
「政治家や行政もなかなか動いてくれない」
「ふつうに生活しているだけなのに、安心して暮らせない」
「ネット上では『引っ越せばいい』などと言われるが、ここは私たちの地元です」
「やむにやまれない気持ちを知ってほしい」
と話している。

川口のクルド人めぐり国会で初の関連質問「現地見て」 岸田首相「ルール守るのが大前提」
「移民」と日本人
2024/2/26 17:44
https://www.sankei.com/article/20240226-QGYKPJRNAVD33GGEDALRDT4TDM/
一部外国人と地域住民との軋轢が表面化している問題が2024年2月26日の衆院予算委員会で取り上げられ、岸田文雄首相は
「あくまでルールを守るのが大前提」
などと答弁した。
質問したのは埼玉県川口市が地元の日本維新の会、高橋英明氏。
高橋氏は、川口市という地名や同市に集住するトルコの少数民族クルド人の民族名は挙げなかったものの、2023年7月にクルド人約100人が同市内の市立病院周辺に殺到する騒ぎが起きた際の写真パネルを掲げ、
「ある一部の地域で酷い状態になっている」
と指摘。
「この写真にあるように、市立病院の前で何百人規模でいざこざがあった」
「こうしたことが起きると病院の機能も低下するし、近隣住民にとっては不安で仕方がない」
と訴えた。
この問題が起きた2023年7月以降、川口のクルド人問題が国会で取り上げられたのは初めてとみられる。
さらに、高橋氏は
「国会にいては危機感がない」
「(川口は)ここから1時間くらいのところだ」
「しっかり目で見て耳で聞いて肌で感じてほしい」
と述べ、警察や入管による一斉取り締まりの実施を求めた。
その上で、岸田首相が
「日本独自の外国人との共生社会」
を提唱していることに関し、
「ルールを守らない外国人とも共生するのか」
と質問。
岸田首相は
「外国人との共生の在り方は国によって様々だが、あくまでもルールを守って生活していくことが大前提だと認識している」
などと述べた。
高橋氏はまた、2023年6月に成立し、難民認定申請を原則2回までに制限する改正入管難民法の施行時期についても質問。
小泉龍司法相が
「極力早期の施行が実現できるよう努力する」
と答弁する中、早期実施を求めた。

自民・若林洋平氏、クルド人批判に投稿 「日本の文化・しきたり理解できない人はお帰りを」
2024/2/22 20:44
https://www.sankei.com/article/20240222-PEUMAQOSUBBT3E5OAVNXL33R2M/
自民党の若林洋平参院議員(静岡選挙区)がX(旧ツイッター)で、在日クルド人についてのコメントや外国人らの参加するデモ動画についてのコメントを引用しながら
「日本人の国なので、日本の文化・しきたりを理解できない外国の方は母国にお帰りください」
などと書き込んだ。
この動画には、JR蕨駅前の路上に集団が集まり、
「日本人死ね」
と発言したような声が収録されている。
集団の周囲は多くの警察官が囲み、騒然とした様子も伝わってくる。
若林氏は2024年2月19日付の書き込みで
「我が物顔で日本人に迷惑をかけ、挙げ句日本人死ねというならどうぞお帰りください」
などと記した。
「外国人に対する生活保護などあり得ません」
「それでも日本にいたいなら日本のルールくらい守れ!」
とも書いた。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/216.html#c30

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