3. 中川隆[-13435] koaQ7Jey 2018年10月04日 22:38:34 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19012]
300A・300B を使ったウエスタン・エレクトリックのオリジナル・パワーアンプ
300A採用のアンプは、『D-95036-F/G』、『86』、『91』、『92』と、1938年以降の製造された『TA-7467』、『TA-7477』があるが(他に300Bを採用した『42』、『46』のモディファイド・ヴァージョンなどがある)、
ファイナルステージがプッシュプルの『86』。シングルの『91』、この2種がシアター用として、もっとも重要な存在である。
1) Western Electric 86 Amplifier
WE-86-C回路図
http://kankyu.ehoh.net/page013.html
『86』は、1934年に発表されているが、’35年のType1〜4システム、’36年のM-3〜4“ミラフォニック・サウンドシステム”の「ダイフォニック」システムをドライヴするパワーアンプとして運用、出力管300Aをプッシュプルで用いた、ウェスタンでもっとも著名な製品の一つである。
『86』は(A)と(C)型で最小47db から最大99db、(B)型で36dbから96dbの幅広い固定式ゲイン・コントロールが行えるのが特徴である。
まず入力信号は1次インピーダンス200Ω、2次インピーダンス110kΩ、昇圧比1:23.5のインプット・トランス261-B(パーマロイ・コア)で受ける。
『86-A』のアウトプット・トランスは166-A、『86-B』では166-B、『86-C』では159-Bとなる。
159-Bは1次インピーダンスが4.13Ω、2次が6Ωと12Ωで、
6Ωのタップの場合 3.5Ω〜7.5Ωのインピーダンスを持つレシーヴァー、
12Ωの場合には7.5Ω〜15Ωのレシーヴァー
を接続するようにとの指示がある。 300Aのバイアス抵抗(ワード・レオナルド製)は、60オームと510Ω(合計570Ω)で、ここには300A×2本分の電流が流れるから、1本分に換算すると1.140Ωになる。わざわざ60Ωと510Ωに分割してあるのは、B電源と510Ωの間に16μFの電解コンデンサーを接続し、A.C.分(B電源のリップルや出力管のアンバランスから生ずる歪)をキャンセルする手法である。また同時に300Aの、高域における電源インピーダンスを下げる効果もある。
『86』はウェスタンで最初に本格的に電解コンデンサー(エアルヴォックス製)を採用したアンプで、これも画期的なことであった。
『86-A』『86-B』とも、パワー・トランスには当初60Hz専用のコア・ヴァリウムの小さめのもの(323^B)が採用されたが、発熱およびレギュレーションの点で不利なため、1935年に47Hz〜63Hz対応のD-96970に交換された『B-86-A/c-86-A/86-C』が生まれる。
『86』は、映画産業の隆盛の波に乗った、ワイド・フリクェシー&ヴォリュウム・レンジを謳う“ミラフォニック・サウンドシステム”を導入したシアター用に、1934年から’37年の間、大量に生産された。 客席数が800〜1500席、100,000〜250,000立方フィート(2,831〜7,079m3)のエア・ヴォリウムを持つシアターでM4システムや、M3システムにおける、ステージ・レシーヴァー駆動用の終段アンプとして充分な実力を発揮した。
TA-4161-A低域レシーヴァー、594-Aレシーヴァー、26-Aホーンを主体とする“ミラフォニック・サウンドシステム”を本機で鳴らしてみると、わずか15Wの出力であるにもかかわらず、その卓越した表現力、色彩感豊かな描写、そして圧倒的な重量感は現代の数百Wのアンプに勝とも劣らないことを強烈に思い知れされる。
オーディトリアムにおける音響機器のテクノロジーは、1930年代にはすでに完成の域に達していた。それが現代民生用オーディオシステムにあまり継承されていないことは残念でならない。音響技術および音楽ソフトの分野に関しては、S/Nが改善され、ダイナミックレンジおよび周波数レンジも拡大してきたが、その代償として失われたものも多いことを考え直す時期に来ているのではないだろうか。
http://www.gokudo.co.jp/index2.htm
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2) WE−91B
WE-86-C回路図 ・WE300Bシングル回路図
http://kankyu.ehoh.net/page013.html
WE-300Bをシングルで使ったアンプとしてその信頼性と設計の良さが語り継がれている。初めて原型のWE-300Aが1936年にWE-1068トーキー映画アンプシステムのWE-86アンプに使われた。その後WE-91Aに使用、改良された300Bが投入されると91Bに改版となった。
電圧増幅はWE-310A(Ef=10V)を2段使い、十分な増幅度を得ている。入力はフォトセル用にT1で昇圧しハイゲインとしている。整流管は274Aを採用して300Bとウォームアップ時間を合わせている。
オリジナルはモノラルアンプ オーディオ用には入力Tと初段を省略する回路が参考にされてきたがオーバーオールのNFBなどの極めて高度な補正が施されている回路は今でも色褪せない。
http://kankyu.ehoh.net/page003.html
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/107.html#c3