吉原毅氏突く原発推進の矛盾 “自然エネは儲かる”が新常識
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2018年2月19日 日刊ゲンダイ
「自然エネ価格は世界規模で急速に低下し、石炭や天然ガスよりも安くなっている」/(C)日刊ゲンダイ
福島第1原発事故を受け「脱原発」を宣言した異色の金融マンは、絶対に「原発ゼロ」をあきらめない。
先月には小泉純一郎元首相らと「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表。全ての原発の即時廃止と自然エネへの全面転換を目指す内容に、「原子力ムラ」に毒されたメディアがかみついたが、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会長の吉原毅氏は「批判はすべて事実誤認」とあきれ顔だ。多くの国民が知らされていない世界のエネルギーの新常識とは――。
■原子力ムラが殺す日本の技術
――基本法案について、産経新聞が1月14日付の社説で〈亡国基本法案〉〈夢想の虚論〉〈これでは国が立ちゆかぬ〉と痛烈に論評していました。これに反論したそうですね。
素晴らしい批判をいただき、感謝申し上げる次第です。おかげで原発推進派の典型的な考え方がよく分かりました。産経新聞でさえ、世界のエネルギー情勢を誤認している。真実を教えて差し上げ、認識を改めていただこうと反論書を送りましたが、いまだ回答はいただけていません。
――産経の社説は〈太陽光や風力発電の電気代が年々、家計に重くのしかかっている〉と高コストを指摘していました。
海外で言ったら、笑われますよ。世界の常識を全くご存じない。自然エネ価格は世界規模で急速に低下し、比較的低コストの石炭や天然ガスよりも安くなっています。太陽光の最安値は1キロワット当たり1・77セント。円換算で2円を切る。風力も肉薄しています。
――ところが、政府は「原発のコストは安い」と喧伝し、ベースロード電源の20〜22%に組み込もうとしています。
コスト計算はわれわれ金融機関が専門です。経済人なら、誰もが原発は採算割れだと知っています。さすがに政府もウソをつけないのか、資源エネルギー庁の発電コストの検証資料には、原発だけ「1キロワット当たり10・1円〜」と余計な「〜」が付いています。「〜」とは無限大の可能性もあるということ。苦肉の策の真意を読み取ってあげなければいけません。
――発電コスト低下の裏で何が起きているのですか。
目覚ましい技術革新です。太陽光や風力の発電設備はシンプルで、生産するほど習熟曲線効果で技術は進歩する。大量生産によって製造コストは下がり、設備投資の額も安くなる。特に中国は愚直なまでに品質を年々向上させ、世界中で飛ぶように売れています。ソーラーパネルと風力装置はともに中国企業が世界シェア首位。今や世界一の自然エネ大国です。
――日本のメーカーはどうなのですか。
技術面で後れを取っています。私も各地の自然エネ推進プロジェクトに関わっていますが、太陽光も風力もバイオマスも、まず日本製が採用されない。現場に聞くと、実績がないし、故障が多いと言うのです。「世界に誇る日本の技術」も経験を積まなければ、国際競争に勝てない。原子力ムラの妨害によって、自然エネ開発が遅々として進まないままだと、日本の技術はますます世界から取り残されます。
――先日も電力各社が「満杯」としてきた送電線の容量が、実際は平均8割も空いていたとの京大の研究グループの調査結果が報じられました。
原発再稼働のために確保しているのです。風力発電の供給を検討していた福島の「飯舘電力」は、送電線に空きがないとして、東北電力から20億円もの送電増強費を要求され、事業断念に追い込まれた。こんなバカげた妨害を政府が容認するから、自然エネは拡大しない。政府が原発即時ゼロを決断し、送電線が空けば瞬く間に普及します。
日本の全原発の廃炉費用は多く見積もっても10兆円でしょう。バブル崩壊後に国内金融機関は110兆円もの不良債権を処理し、旧国鉄の分割・民営化で国は37兆円の債務を処理しています。それらと比べれば、どうってことない金額です。
超党派での法案提出を呼びかけ(C)日刊ゲンダイ
国際金融界からツマハジキ |
――産経は社説で〈日本が資源に乏しい島国であることを完全に無視している〉と書きました。
米エネルギー学者のエイモリー・ロビンス博士は「太陽光、風力、地熱に恵まれた日本は、ドイツの9倍の豊かな資源がある」と語っています。例えば日本の農地460万ヘクタールを使い、農作業しながら空中で発電を行う「ソーラーシェアリング」の技術を用いれば、日本の電力需要の10倍に当たる1840ギガワットの発電が可能です。
農家にもお金が回り、耕作放棄地もなくなる。地方に新たな産業が興れば、さまざまな関連ビジネスや雇用が生まれる。若者も希望を持って帰ってくる。こうして自然エネに転換したドイツやデンマークは、地域経済の活性化に成功しました。自然エネは、安倍政権が掲げる「地方創生」の切り札なのです。
――ワクワクします。
産経が大好きな国防面も盤石です。原油に頼らなくなれば、ホルムズ海峡の封鎖は心配無用。逆に危険な原発が54基もあれば、「さあ、ミサイルを撃ってくれ」と国を差し出すようなもの。産経的には北朝鮮の脅威が高まる中、それでいいのでしょうか。
――皮肉ですね。
何より海外に支払う年間25兆円もの化石燃料費が丸々国内に返ってくる。それだけの富が国民に幅広く行き渡るのに、原発温存による「政策障害」が、日本の経済発展を阻害しています。
――中国の方がよっぽど進んでいますね。
昨年10月の共産党大会で、習近平国家主席は「エネルギー革命を起こす」と宣言。2050年までに自然エネを全電力の8割に拡大させる国家目標を掲げました。中国が自然エネに力を入れるのは単純に儲かるから。利にさとい国ですから、儲からないことはやりません。太陽光も風力も燃料費ゼロ。設備の寿命も40年はもつ。設備投資の減価償却を終えれば、近い将来、コストゼロの電力で経済を賄えるのです。
――なるほど、儲かるに決まっています。
“自然エネは儲かる”が、世界の常識。新たな産業革命ともいわれています。低コストで効率良く、安全性が高い。今や電力の主役です。太陽光の総発電量は毎年純増し、380ギガワットを超えた。風力も500ギガワットを超え、両者で1000ギガワット目前。原発1000基分に匹敵します。
加速度的に市場は拡大しているのに、日本だけが立ち遅れている。自然エネに舵を切らなければ、それこそ「亡国」につながりかねません。
――自然エネには世界の金融機関が、かなり投資しているそうですね。
ゴールドマン・サックスが27兆円、シティ・グループは16兆円など景気のいい話が飛び交っています。また、事業運営の自然エネ100%調達を目指す「RE100」には、アップルやNIKE、BMWなど日本でも有名な世界企業122社が加盟していますが、日本企業はリコー、積水ハウス、アスクルの3社のみ。
もはや環境意識の高い企業でなければ、国際金融界から相手にされません。追い込まれた日本の財界や大企業は悲鳴を上げ始めています。原子力ムラのせいで、国際金融界から日本企業が排除されかかっているとは、由々しき問題です。
■戦艦大和の過ちを繰り返すのか
――自然エネはいいことずくめなのに、政府はなぜ、かたくなにデメリットだらけの原発に固執するのでしょうか。
簡単に言えば、原子力ムラのエゴイズムです。従来の方針を続ければ、とりあえず目先の利益や自分たちの利権は守られる。「今だけ、金だけ、自分だけ」の発想です。
そして政官財ともリーダー不在で、誰もが政策転換の責任を負うのを恐れている。戦前の日本軍も、「航空主兵論」が世界の趨勢だったのに、時代遅れの「大艦巨砲主義」に固執し、戦艦大和に莫大な資金と労力を費やし、無用の長物と化した。その結果、この国は一度、滅びたのです。現政権は同じ轍を踏んでいるように見えます。
――目先の利益といえば、アベノミクスの異次元緩和策にも相通じるものを感じます。
株価上昇が目的なら、問題です。株式投資は一種のバクチ。資産を持つ人が、その資産によって、また儲かる仕組みです。カネがカネを生むような風潮を政府が助長すれば、人々の勤労意欲や社会貢献の気持ちを逆なでします。
拝金主義の蔓延でモラルが崩壊し、国家の衰退を招きかねません。原発の背後でうごめいているのは「原子力ムラ」の住人だけではない。拝金主義の蔓延で増殖した利己主義、自己中心的となった日本の世相が深く根を張っています。
(聞き手=本紙・今泉恵孝)
▽よしわら・つよし 1955年東京生まれ。77年慶大経済学部卒業後、城南信用金庫入職。2010年11月理事長就任。15年6月に退任し、相談役に。17年6月から顧問。東日本大震災以降、被災地支援を精力的に行うと同時に、原発に頼らない安心できる社会を目指して「脱原発」を宣言。17年4月に全国組織「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」を創設、会長に就いた。
【インタビュー】政府は「原発のコストは安い」と喧伝しますが、世界では自然エネルギーの技術革新が進み日本は後れを取っています。吉原毅氏が語る、多くの国民が知らされていないエネルギーの“新常識”とは。 https://t.co/YbGTFLYz3n #日刊ゲンダイDIGITAL
— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) 2018年2月18日
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— 宇宙塵 (@ichi3358) 2018年2月18日
福島第1原発事故を受け「脱原発」を宣言した異色の金融マンは、絶対に「原発ゼロ」をあきらめない。
吉原毅氏突く原発推進の矛盾 “自然エネは儲かる”が新常識https://t.co/fNPLdCbYGy■原子力ムラが殺す日本の技術 「世界に誇る日本の技術」も経験を積まなければ、国際競争に勝てない。原子力ムラの妨害によって、自然エネ開発が遅々として進まないままだと、日本の技術はますます世界から取り残され…
— Hikaru 星 光一 (@utopia_star) 2018年2月18日
吉原毅氏突く原発推進の矛盾 “自然エネは儲かる”が新常識 https://t.co/v5CzsVM8Tn 日本が常に一歩遅れるのは天下り先をまず作ることが役人の優先事項だからね。
— タケシ (@06_take_06) 2018年2月18日
タカレないと動かない。役人だけではない
吉原毅氏突く原発推進の矛盾 “自然エネは儲かる”が新常識https://t.co/fNPLdCbYGy産業革命ともいわれています。低コストで効率良く、安全性が高い。今や電力の主役です。太陽光の総発電量は毎年純増し、380ギガワットを超えた。・・・両者で1000ギガワット目前。原発1000基分に匹敵します。
— Hikaru 星 光一 (@utopia_star) 2018年2月18日
原発推進は放射能公害犯罪として逮捕すべき。
— 森友加計スパコン詐欺(金返せ自民党) (@78rpmnet) 2018年2月18日
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原発と言いリニアと言い、国民どころか国そのものを滅ぼすつもりだろうな。吉原毅氏突く原発推進の矛盾 “自然エネは儲かる”が新常識 https://t.co/pc9DnCzKnb #日刊ゲンダイDIGITAL
— jcrc133 (@jcrc133) 2018年2月19日
吉原毅氏突く原発推進の矛盾 “自然エネは儲かる”が新常識 https://t.co/Jf1Do6W5Y3 #日刊ゲンダイDIGITAL この方を本当に尊敬する。いち早く脱原発を掲げた人。汚い金の亡者達を蹴散らして欲しい。そして、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電等々、原子力に頼らない日本を。中国に負けるな!
— haruto (@miyagichubu) 2018年2月19日
吉原毅氏突く原発推進の矛盾 “自然エネは儲かる”が新常識
— 平岡 (@hiraoka10) 2018年2月19日
産経はウソつきだからどうしようも無い。其れを利用する政権が問題である。世界から弾き出されている日本をこのままウソつき晋三に任せていては滅んでしまう。https://t.co/2VG6DO6Btv #日刊ゲンダイDIGITAL
原発は、血の巡りの悪いバカ者どもが作ったものです。そろそろバカに、おさらばしよう。/ 吉原毅氏突く原発推進の矛盾 “自然エネは儲かる”が新常識 https://t.co/9JEFXVo3ag #日刊ゲンダイDIGITAL
— 飯塚真道 (@shindoiizuka1) 2018年2月19日
吉原毅氏突く原発推進の矛盾 “自然エネは儲かる”が新常識 https://t.co/eaTzUxXXpj #日刊ゲンダイDIGITAL
— Kabao 官から民へ大政奉還 (@kabao15) 2018年2月19日
←原発にしがみつくことがどれだけ有害なのか、とてもよくわかりました。