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[国際18] 「絶望死」が増加する米国社会の暗い闇 米安全保障会議、最大の課題はトランプ 中国が豪州に急接近 ベネズエラ危機−国債急落
Column | 2017年 04月 2日 19:45 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:
「絶望死」が増加する米国社会の暗い闇

 3月29日、1世紀以上ものあいだ、戦争か疫病、あるいは自然災害でもなければこのような状況は発生しなかった。だが、ソ連が崩壊したときにそれは起きた。写真は2014年、ニューヨークの夕暮れ(2017年 ロイター/Lucas Jackson)


Edward Hadas

[ロンドン 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 1世紀以上ものあいだ、戦争か疫病、あるいは自然災害でもなければこのような状況は発生しなかった。だが、ソ連が崩壊したときにそれは起きた。そして今、米国も同じ状況を迎えている。

米国の国民、特に白人で低学歴層の平均寿命が以前よりも短くなっているのだ。主な原因はドラッグ、アルコール、そして自殺だ。

プリンストン大学のアン・ケース教授とアンガス・ディートン教授は、これら「絶望による死」の背景にある統計を紹介している。ブルッキングス研究所のためにまとめられた両教授による最新の研究からは、25─29歳の白人米国民の死亡率は、2000年以降、年間約2%のペースで上昇していることが分かる。

他の先進国では、この年代の死亡率は、ほぼ同じペースで、逆に低下している。50─54歳のグループではこの傾向がさらに顕著で、米国における「絶望による死」が年間5%のペースで増加しているのに対して、ドイツとフランスではいずれも減少している。

米国社会の最底辺では特に状況が深刻だ。

学歴が高卒以下の人々の死亡率は、あらゆる年代で、全国平均の少なくとも2倍以上のペースで上昇している。また、低学歴の米国民のあいだでは、「健康状態が良くない」と回答する人が、以前に比べて、またより大きな成功を収めた米国民に比べて、はるかに多くなっている。

何か重大な問題が進行している──。単に経済云々ではなかろう。というのも、米国経済は成長しているし、失業や脱工業化は他の先進国にも共通する問題だが、そこでは「絶望による死」は増加していないからだ。米国の独自志向にこうした憂鬱なバリエーションが表われるには、何か別の理由があるに違いない。

ケース、ディートン両教授は、低学歴層の「累積的な不利」が、米国では他国よりも大きな問題になっているのではないかと指摘している。なるほどと思わせるが、米国の「3つの弱点」が、文字通り致命的に相互作用していると考えるほうが優るのではないか。

第1に、米国の福祉制度は不十分だ。オピオイド系鎮痛剤中毒の拡大は、どのような制度においても重大な問題になるだろうが、米国の各州による対策は、恐らくどの先進国に比べても整合性がなく、資金も不足している。

米国の福祉制度の貧弱さを擁護する人々は、民間・宗教団体による慈善活動の強力さを指摘することが多い。しかしこの薬物中毒の事例においては、そうした取り組みもやはり力不足である。

第2に、医療制度も混乱している。規制当局も医療関係者たちも、オピオイド系鎮痛剤の処方に関する監視を怠ってきた。鎮痛剤「オキシコンチン」を製造している米医療用麻薬最大手のパーデューファーマなどの企業によるロビー活動を責めることは簡単だ。同社は2007年、虚偽表示の容疑を認め、6億ドルの罰金を納めている。

だが、比較的小規模な企業によるロビー活動にさえ当局が抵抗しにくいというのでは、まるで開発途上国における状況のようである。オピオイド中毒は、もっと大きなパターンの一部にすぎない。米国民は、処方薬である鎮静剤や精神安定剤の利用について、異常なほど無頓着だ。

第3に、米国民は異常なほど自己破壊欲が強い。この国民性を理解するために、まず、現代世界の絶望をめぐる、研究者のあいだの長年の議論を振り返ろう。

ケース、ディートン両教授が実践している統計社会学の端緒となったのは、エミール・デュルケムの1897年の著作「自殺論」だ。デュルケムは、家庭や共同体、既成宗教により提供されてきた伝統的な指針が排除されたことに基づく、きわめて現代的な孤独を仮定した。

彼はこれを「アノミー(無規範状態)」と呼んだ。政治分野の識者は「疎外」、文化分野の批評家は「幻滅」という言葉を使うところだ。心理学者は孤立した個人の抑うつを臨床的に研究し、社会学者はいかに経済的な変化によって社会的な立場や自尊心が広範に失われたかに注目する。

専門家たちは恐らく正しいのだろう。共同体や信仰(哲学者がときに「意味」と呼ぶものを提供しやすくする)を衰弱させるような現代的要因はたくさんある。意味が失われれば、人生はすぐに絶望的な快楽の探求へと堕落してしまい、あるいは生きることそのものが拒否されてしまう。

アノミーや疎外、共同体の喪失が、現代のどの場所よりも米国に大きなダメージを与えつつあることは理解できる。厳格な個人主義を常に尊重してきた国においてこそ、孤独は容易に到来するからだ。

また、米国民のなかでも、非熟練労働が社会的に低く評価されるせいで最も疎外感を感じている人々に最も大きなダメージが生じているというのも筋が通っている。家族の分断が進むなかで、またかつてはこれも先進国中で米国の独自路線の好例であった敬虔(けいけん)な信仰が衰退するなかで、このグループの経済的な苦痛は倍加している。

この国で政治的な対応が遅れている理由も、オピオイド中毒と自殺に対する米国の脆弱(ぜいじゃく)性をもたらしている同じ国家的欠点によって説明できる。政府に対する本能的な不信感や、一枚岩の医療アプローチの欠如、国家的な失敗を認めることへの消極性、これらすべてが思い切った政策を妨げている。

とはいえ、かつては米国政府も積極的だった。1960年代の「貧困との戦争」、そしてこれに関連するリンドン・ジョンソン大統領による「偉大な社会」プログラムは、概ねその目標を達成した。

「絶望との闘い」は、もちろんもっと困難かもしれないが、公的部門の資金と専門能力が役に立つかもしれない。この問題への取り組みが成功しなければ、「米国が再び偉大に」なる可能性は大きくないだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)


コラム:トランプ大統領があざ笑った「ワシントン政治」の逆襲 2017年 03月 28日
「国境課税ならドル高」、トランプ氏の矛盾押し付けで経済破滅=浜田参与 2017年 02月 01日
コラム:トランプ政権の排外姿勢が米観光業に打撃 2017年 03月 03日
http://jp.reuters.com/article/usa-death-failure-column-idJPKBN17218X?sp=true

 


 
ベネズエラで危機深まる、検事総長が大統領に反旗−国債が急落
Andrew Rosati、Fabiola Zerpa
2017年4月1日 07:05 JST

検事総長が最高裁の判断を公に批判
29日の最高裁の判断以降、不安感が強まる

31日のベネズエラでは危機が深まった。長年にわたり与党、社会党寄りだった検事総長が、野党多数の議会の立法権を最高裁が剥奪したことを違憲と発言。小規模なデモが散発的に起こり、これを懸念して国債市場では投げ売りが出た。野党はこの混乱に乗じて、軍隊に憲法上の秩序を「回復」するよう求めている。
  ディアス検事総長が最高裁の動きを憲法上の秩序を「破壊する」とした発言はさしあたって法律上影響はないものの、長年にわたり裁判所を使って議会の力を封じ込めてきたニコラス・マドゥロ大統領にとっては痛手となる恐れがある。
  故チャベス大統領に10年前に任命されたディアス検事総長は、首都カラカスでの記者会見で「こうした事態に懸念を表明するのは私の責務だ」と表明して拍手喝采を浴びた。憲法の小冊を握りしめた検事総長は、ベネズエラは政治的相違を乗り越えるべきだと述べ、「そうすれば憲法を尊重し、相互尊重をはぐくみ、非独裁が維持されて、民主的な道が開けることになる」と力説した。
原題:Venezuela Crisis Deepens, Bonds Sink as Maduro Ally Pushes Back(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-31/ONP6496K50XT01

 

Column | 2017年 04月 2日 19:43 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:米国家安全保障会議、最大の課題はトランプ氏自身か

Kent Harrington

[30日 ロイター] - 政府の委員会が歴史を左右することはめったにないが、国家安全保障会議(NSC)は例外だ。大統領にとっての取締役会に相当し、独自のスタッフを抱えるNSCは、国家安全保障政策の策定や監督に携わっている。

北朝鮮に対する最善対応の決定からロシア台頭への対処に至るまで、NSCがいま取り組んでいる広範囲のテーマを見れば、この機関の重要性と、その課題の重さが分かる。

トランプ政権下でNSCの指揮を執るのは、新たに国家安全保障担当大統領補佐官に任命されたH・R・マクマスター中将だ。軍出身の研究者として敬意を集めるマクマスター氏には、曲芸的な手腕が求められる。

10を越える省庁からNSCに上がってくる政策提案を導き、議論が袋小路に陥らないように配慮し、大統領執務室ではNSCの決定を推進する。どれについても、大統領が外交、経済、国防の点で何を政策目標としているか目配りが必要だ。

これまでの報道からは、マクマスター氏はNSC内に独自色を持ち込もうとしているように見える。彼は2つの次席補佐官職を廃止したが、NSC内の上位グループである定員9人の「主要閣僚」委員会に、国家情報長官と統合参謀本部議長を復帰させたいと考えていると伝えられる。トランプ氏は大統領令によりこの2つの役職をNSCの会合から外し、代わりにスティーブ・バノン大統領上級顧問を加えている。

だが、こうした変更を加えても、マクマスター氏にとっての最大の問題は解決しない。秩序とはおよそ縁遠い大統領のもとで、秩序あるNSCを運営するという課題だ。歴代の国家安全保障担当補佐官と同様に、マクマスター氏は大統領との個人的な絆・信頼関係を構築しなければならない。だが、彼がトランプ氏に影響を与えられるかどうかは、なお未知数だ。

冷戦時代の起源から現在NSCが直面している政策策定上の課題に至るまで、NSCの歴史を顧みれば、マクマスター氏がホワイトハウスにおける自らの立場を築く際に考慮すべき教訓がいくつか得られる。

NSCは必然的に、大統領とその政治スタイルを反映する。

過去の歴史から考える限り、トランプ政権下のNSCは、トランプ大統領の色に染まることになるだろう。

アイゼンハワー大統領はNSCに大きな責任を与えたが、これは同大統領が第2次世界大戦中に連合国軍最高司令官を務め、権限を委譲し、対立する同盟国をまとめて重要な意志決定を下していた経験を反映している。アイゼンハワー大統領は「主要閣僚」委員会を小人数に留めたが、NSCの規模は拡大した。

ケネディ大統領政権下のNSCは、アイゼンハワー政権下とは違った。ケネディ大統領は自らの現場優先のスタイルに合ったスリムな参謀組織を好み、NSCを縮小した。ジョンソン大統領のもとではまた風向きが変わり、外交や政策の細部に関心の薄かったジョンソン大統領は、ほぼNSCを無視するようになった。

重要なのは人間関係だ。

マクマスター氏は、諸々の問題と官僚機構を動かすコツに長けた人材をNSCに揃える必要があるが、さらに重要なのは、ティラーソン国務長官やマティス国防長官といった「主要閣僚」との関係である。こうした関係がギクシャクした場合に何が起きるか、歴代のいくつかの政権に前例が見られる。

カーター大統領のもとで、ズビグネフ・ブレジンスキー補佐官(国家安全保障担当)はソ連に対して強硬な政策を主張していた。対ソ関係をめぐるバンス国務長官との意見不一致は公然たる対立へと発展し、国内外での政権のイメージを損なった。

またライス首席補佐官は、ジョージ・W・ブッシュ大統領とうまくいっていたにもかかわらず、別方面との戦いを余儀なくされた。

チェイニー副大統領とラムズフェルド国防長官が彼女に抵抗し、その立場を揺るがせたのである。チェイニー副大統領は対テロ強硬派であり、9.11同時多発攻撃以降、テロ容疑者の扱いその他の問題をめぐってライス補佐官と衝突した。ライス氏は回想録のなかで、ラムズフェルド氏とほぼひっきりなしに対立していたと回顧している。ラムズフェルド氏は退任後も態度を和らげず、ライス氏を「学者」と批判している。

しかし、国家安全保障担当補佐官は、「主要閣僚」に対して脇役に甘んじるわけにはいかない。

マクマスター氏は国家安全保障全般について大統領の右腕となるはずだ。だが、トランプ大統領が得意とする人騒がせなマネジメント手法、身内で固めた側近、彼自身の往々にして気まぐれな行動を考えれば、マクマスター氏の立場はあまり確実とは言えない。彼の前任者たちも同じような立場にあった。

議会政治の信奉者だったレーガン大統領は、NSCの位置付けを低下させ、主要閣僚に政策の策定や管理を委ねた。彼は政権2期で6人と、次々に国家安全保障担当補佐官を交代させた。実質的にどの補佐官も、シュルツ国務長官やワインバーガー国防長官といった強力な人物の脇役に甘んじた。だが、こうした有力者の意見の相違をまとめる剛腕の補佐官がいなかったため、特に中東情勢や軍縮をめぐる彼らの政策論争によって、政権は身動きが取れなくなってしまった。

レーガン大統領は、イラン・コントラ事件のスキャンダルによって国家安全保障政策の策定が混乱していることが明らかになり、事態を直視せざるをえなくなった。スキャンダルの後、NSCを検証するために任命された「タワー委員会」は、大統領と国家安全保障担当補佐官との関係を批判し、NSCと、これに参加する主要閣僚に対する大統領の指揮権を強めるよう求めた。

これほどの大問題はないにせよ、マクマスター氏は大きな障害に直面している。何よりも、大きいのが、トランプ氏の側近との競争である。トランプ氏の娘婿であるジャレド・クシュナー氏やバノン氏の信奉者数名によって新たに設立されたチームである「戦略イニシアチブグループ」は、NSCの領分を侵食しつつある。

さらにクシュナー氏は20数カ国もの首脳と大統領執務室の連絡役となっており、外国からトランプ大統領に接触する窓口としてのマクマスター氏の立場が危うくなっている。

マクマスター氏にとって政策策定における重要な支援者となるべき主要閣僚のもとには、次官・次官補といった必要な人材が揃っていない。こうした多数のポストが空席のままでは、特に国務長官、国防長官、国土安全保障長官がNSCにおける協議に参加しようとしても、待ち受けるさまざまな問題や決定事項を処理する体制が整わない。

もちろん、マクマスター氏が実力のあるNSCを構築できる可能性は残っている。イラン・コントラ事件の後で国家安全保障担当補佐官に就任したフランク・カールッチ氏とパウエル氏は、レーガン政権下のNSCを改革し、会議の意志決定を効率化した。それにマクマスター氏のもとには、推定400名の職員を含め、任務を果たすための豊富なリソースがある。

だが、現在のホワイトハウスによる国家安全保障政策の特徴とも言える混沌のなかから、マクマスター氏が秩序を構築するためには、大統領の支援が必要だ。つまり、マクマスター氏にとって最大の課題は、トランプ大統領その人なのである。

*筆者は元CIA上級アナリスト。東アジア担当国家情報責任者や、アジア拠点主任、CIA広報部長を歴任。

本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)


訂正:コラム:米政権、ゴールドマン出身の両雄に目立つ不協和音 2017年 03月 22日
コラム:韓国政治混迷で日本に降りかかる「火の粉」=西濱徹氏 2017年 03月 21日
コラム:トランプ大統領があざ笑った「ワシントン政治」の逆襲 2017年 03月 28日
http://jp.reuters.com/article/us-security-nsc-trump-idJPKBN17406W


 


 


World | 2017年 04月 1日 17:35 JST 関連トピックス: トップニュース

焦点:中国が豪州に急接近、トランプ外交の「空白」狙う

 3月29日、5日間に及ぶ中国の李首相(中央)のオーストラリア訪問中、両国は、「米国第一」を掲げるトランプ大統領の保護主義に対抗するとの明確な課題を共有することにより、これまで前例のない合意点を見いだした。写真左はターンブル豪首相。シドニーで25日撮影(2017年 ロイター/David Gray)

[シドニー 29日 ロイター] - 熱狂的なスポーツファンの多いオーストラリアで、ほとんどこれは大失態と言える行為だった。同国を訪れていた中国の李克強首相が、シドニーで行われていたラグビーの試合会場に、相手チームのカラーである青と黒と白のマフラーを身に着けて登場したのだ。

だが李首相はすぐに、ターンブル豪首相に合わせてホームチーム「シドニー・スワンズ」の赤と白のチームマフラーも身に着けた。

李首相はその後、さわやかな秋の夕べに両チームのマフラーを着用するのは「実に暑かった」と告白。しかし両国の指導者が満面の笑みで肩を並べている姿は、就任したばかりのトランプ米大統領とターンブル首相との険悪な電話会談とは明らかに対照的である。

5日間に及ぶ李首相のオーストラリア訪問中、両国は、「米国第一」を掲げるトランプ大統領の保護主義に対抗するとの明確な課題を共有することにより、これまで前例のない合意点を見いだした。

「中国とオーストラリアの協力は、自由貿易を守り、その恩恵を支持するというわれわれの決意を地域と世界に示すものだ」と、ターンブル首相はシドニーで開催されたフォーラムで財界のリーダーや政治家らに向かってこう述べた。李首相も同様の発言を行った。

とはいえ、貿易関係強化は、超大国の間に挟まれたオーストラリアのデリケートな綱渡りの一側面にすぎない。米国との揺るぎない安保関係や西側の民主的価値観は、これまで同国と中国の関係深化を限られたものにしていた。

オーストラリアが将来、経済的に中国に依存せざるを得ないことをよく分かっている李首相は今回の訪問中、オーストラリアに対し「冷戦時のように、どちらかの側につく」ことをけん制した。

これに対し、ターンブル首相は「オーストラリアが中国か米国を選ばなくてはいけないという考え方は正しくない」とすぐさま応じた。しかし、一部の専門家は異を唱えている。

「オーストラリアが直面する問題は、影響力を強めたい中国によって高まる緊張であり、今後オーストラリアは2つの同盟国のどちらかを選ばなくてはならなくなるかもしれない」と、メルボルンにあるラ・トローブ大学のニック・ビスリー教授(国際関係学)は語った。

<中国にシフト>

比較的平和ななか経済成長を遂げてきたオーストラリア国民は、次第に中国に対する認識を変えつつあるようだ。ある世論調査では、中国と米国のどちらがオーストラリアにとって重要かという質問に対し、2年前は米国と答えた人が多かったものの、現在は数字が拮抗しており、変化の兆しが見えている。

トランプ大統領は、米国のアジア重視政策に寄与する環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を表明。TPPには中国は含まれておらず、李首相はその間隙を突いて、おいしい手土産をもってオーストラリアにやって来た。その手土産とは、冷蔵牛肉輸出の規制撤廃というものだ。

中国は昨年、オーストラリアから1500億豪ドル(約12兆8500億円)規模のモノとサービスを輸入しており、大差でオーストラリアの最大貿易相手国の座を獲得。しかし、貿易と安全保障を両立させるのはオーストラリアにとって至難の業である。

同国の軍事的優先事項と経済的優先事項は、発展途上だが戦略的に重要な北部地域でぶつかり合っている。ダーウィンのオーストラリア軍基地には、まもなく新たな米軍駐留部隊が到着する予定だ。同基地は領有権が争われている南シナ海を監視する拠点となっている。

オーストラリアは今のところ、同海域における米主導の「航行の自由」作戦への参加要請を断っているが、米国、英国、カナダ、ニュージーランドと結ぶ諜報に関する協定「ファイブ・アイズ」の一員として、米国との安保同盟を着実に強化している。

その一方で、オーストラリア北部は、中国が掲げるシルクロード経済圏構想「一帯一路」などに組み入れられることによって、インフラや産業への大規模投資を政府が模索している地域でもある。

中国はオーストラリアに対し、同構想に署名するよう求めているが、両国は李首相訪問中に合意には至らなかった。しかし専門家たちによれば、合意はそれほど遠い話ではないという。

<投資と送還>

豪中関係の強化には他にも障害がある。

李首相がオーストラリアを去ってからわずか2日後、10年前に署名された中国との「犯罪人引渡条約」を批准する議会承認案が撤回された。

「首脳級の他国訪問は成果によって評価されるため、中国は李首相のオーストラリア訪問のころに犯罪人引渡条約が批准されることに関心を寄せていただろう」と、豪シンクタンク「ローウィ国際政策研究所」のユアン・グラハム氏は指摘。

「訪問は経済面では非常に成功したように見えるが、条約が批准できなかったことは、いや応なく喪失感を招くだろう」と同氏は言う。

また、ある大規模な豪中ビジネスフォーラムの出席者たちによると、会議の際に交わされた会話のほとんどは、中国の投資に対するオーストラリアの矛盾したアプローチについてだったという。

オーストラリア政府は海外資金の必要性を説く一方で、民営化事業に対する中国主導の入札をリスクと表現している。電力公社オースグリッドや牧場運営大手S・キッドマンの中国企業への売却をオーストラリア政府が阻止したことは、中国政府に遺恨を残している。

「中国の投資家が、そもそもなぜオーストラリアに投資するのかと自問する日が来るだろう」と語るのは、北京大学の査道炯教授(国際関係学)だ。「オーストラリアは、経済的あるいはテクニカルな要因ではなく、政治に基づいて判断を下している」

(Jane Wardell記者、Jonathan Barrett記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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http://jp.reuters.com/article/china-australia-trump-idJPKBN1720I3

http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/809.html

[政治・選挙・NHK223] 米USTR、日本の農業・自動車市場に更なる開放要求 電気ガス値上げ、政府日銀の物価見通し占う 日本の幸福度2位上昇51位
Business | 2017年 04月 1日 17:12 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

米USTR、日本の農業・自動車市場に更なる開放要求

[東京 1日 ロイター] - 米通商代表部(USTR)は31日、2017年版の貿易障壁報告書を公表した。日本に関しては農産物市場に「重大な障壁」が存在すると批判し、牛肉や豚肉などで一層の市場開放を要求した。日本側の食品添加物や農薬規制、自動車流通市場に非関税障壁があるとの見解も示した。

日本はBSE(牛海綿状脳症)対策で米国産の輸入牛肉を月齢30カ月未満に制限しているが、米国側は制限の全面撤廃を要求に掲げている。このほか皮革・革製品、コメ、海産物、保険・共済、郵便事業など各種分野で更なる市場開放が必要としている。

特に自動車市場については、車両の認証制度や販売店網に関する規制などを例に挙げて「さまざまな非関税障壁がある」と指摘。また医薬品についても、薬価の市場拡大再算定制度の透明性向上が必要としている。

トランプ米大統領は31日午後、巨額貿易赤字の原因究明するための大統領令に署名しており、対象貿易相手国として、中国、日本、ドイツ、メキシコなどを想定している。

4月18日に初会合を開く予定の日米経済対話で米側がどのような市場開放を要求するか注目される。

*写真を追加しました。

米中古住宅販売仮契約指数、2月は5.5%上昇 10カ月ぶり高水準
中国国家統計局の3月製造業PMIは51.8に上昇、5年ぶり高水準
EU離脱通知受けポンド上昇、英国株は値下がり
焦点:自民特命チームが「教育国債」有力視、5-10兆円案も 
中国、輸出促進に向けた通貨安政策はとらず=外務次官
http://jp.reuters.com/article/ustr-jp-idJPKBN17333Z


 

Column | 2017年 03月 31日 19:45 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:
5月の電気・ガス値上げ、政府・日銀の物価見通し占う試金石に

田巻 一彦

[東京 31日 ロイター] - 今年の日本の物価は上がるのか──。この「テーマ」の結果を左右する1つの要素として、5月の電気、ガス料金の値上げがある。素直に考えれば、消費者物価指数(CPI)を押し上げるが、市場の弱気派からは「光熱費」の上昇が他の項目の消費を抑え、CPI上昇の力を弱めるとの予想が出ている。年後半の物価上昇加速を予想する政府・日銀にとっても、その予測力の「真価」が問われる時期が近付いている。

<尻上がりの物価上昇予測する政府・日銀>

31日に発表された2月全国のコアCPI(除く生鮮)は、1月の前年比プラス0.1%から同0.2%へとプラス幅が拡大した。

政府・日銀は、今年後半にかけて前年の原油安効果や円高の物価押し下げ効果が剥落、景気が緩やかに回復する中で、物価も「尻上がり」に上昇幅を高めると予想する。

実際、4月の生産予測値は前月比プラス8.3%と大きく伸びているが、これは世界的な景気回復の動きを反映し、輸出を中心に生産を押し上げる構図ができつつある証拠ともいえる。

この基調が継続すれば、実際の成長率と潜在成長率のプラスのギャップが大きくなり、今年後半にコアCPI上昇率が1%に向けて大きくなる可能性が高まる。

<民間に根強い物価腰折れの懸念>

ただ、一部のエコノミストやストラテジストの中には、主に2つの理由で上昇基調が途中で「頓挫」すると予想する。

1つ目の理由は、ヤマトHD(9064.T)の値上げなどの影響が波及し、最終消費財が値上がりした後、需要が落ち込んで値下げに追い込まれるメーカーが続出するとの指摘だ。

今年の春闘では、4年連続のベースアップが実現したものの、総収入ベースの賃上げ率が今のところ昨年を下回っていることも、購買力の制約要因として意識されている。

2つ目に指摘されているのは、5月の電気、ガス料金の値上げ。電気料金は標準家庭で月額100円超の値上げになる。

素直に考えればCPIの押し上げ要因になるが、一部の市場参加者からは、生鮮野菜が値上がりした際に他の分野の消費が抑制されたように、「光熱費」の出費増が意識され、その他の消費項目が伸び悩むとの予想だ。

<値上げ時に台頭する生活防衛的な消費>

このような一部商品・サービスの値上げを他の分野の消費節約で「帳尻合わせ」する思考方法は、物価上昇と給与の上昇がセットで実現した経験のない世代が増えるにつれ、影響力を増している可能性がある。

振り返ってみれば、日経平均が急落し、当時の宮沢喜一首相が長野県軽井沢の別荘から東京に急きょ戻り、経済対策の取りまとめの号令をかけた1992年夏が、バブル崩壊の始まりだった。

それをきっかけに物価と給与がともに上昇し、年収ベースが年々上昇するというパターンは戻ってきていない。

その結果、一部の物価が上がれば、別の支出を減らすという「生活防衛的」な消費パターンがすっかり定着してしまった。

<日銀はインフレ期待の上昇を「期待」>

日銀の黒田東彦総裁は今月24日のロイターニュースメーカーの講演の中で、日本の場合、インフレ期待がなかなか上がらない傾向があると指摘。その一方で、足元の物価水準に影響されやすい面もあるとし、現行の金融緩和策を継続することで、物価が上がり出せば、インフレ期待も上がり、そのことが経済の前向きの循環メカニズム発動につながるとの見解を表明した。

インフレ期待の上昇という日銀流の表現は、言い換えれば、一部の商品・サービスが上がり出した時に、生活防衛的に他の支出を抑制せず、物価の上昇が企業の売上増に結び付き、さらに翌年の給与増につながる姿を期待しているといえる。

政府も日銀と同様の見方を維持しており、世界経済の基調的な拡大という「追い風」もあり、今年後半に向けた国内景気の堅調な拡大に自信を持っている。このため直ちに大型の追加景気対策を検討するという状況ではなく、しばらく景気の強さを見ていく方針のようだ。

ただ、一部の民間弱気派の見通しに近いトレンドになれば、年末に向けて自ずと景気の足取りも失速傾向を強めているに違いない。

政府・日銀の思惑通りに年後半の物価上昇が目立つ展開なのか、それとも再失速に陥るのか。その答えは明日から始まる4─6月期が終わるころに一定の結果が出ている可能性が高い。


コラム:「バフェット信仰」はもうたくさん 2017年 03月 03日
訂正:コラム:米政権、ゴールドマン出身の両雄に目立つ不協和音 2017年 03月 22日
コラム:韓国政治混迷で日本に降りかかる「火の粉」=西濱徹氏 2017年 03月 21日
http://jp.reuters.com/article/cpi-boj-idJPKBN1720X7

 


【世界幸福度ランキング2017】日本は昨年よりも2つランクを上げて51位
2017年03月22日
ワールドニュース気になる話題
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国連と米コロンビア大学は、2017年3月20日、世界155の国や地域を対象にした
世界幸福度ランキングを発表した。

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報告書の幸福度ランキングでは、ノルウェーがデンマークを抜いてトップ、
日本は昨年度からランクを2つ上げて51位だった。 一方、サハラ以南諸国と
シリア、イエメンが下位となった。

【トップ10の国】

Aデンマーク
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Bアイスランド
b929d8c08

Cスイス
2eb6aba71

Dフィンランド
041hghj56x

Eオランダ
maigdfhjk43

Fカナダ
07536c8

Gニュージーランド
6b62619f97

Hオーストラリア
Uluru

Iスウェーデン
39e9bf793e

この他、ドイツ16位、英国19位、フランス31位、米国14位だった。
日本は51位、シンガポール26位、タイ32位、台湾33位などとなった。

【ワースト10の国】
146位 イエメン
147位 南スーダン
148位 リベリア
149位 ギニア
150位 トーゴ
151位 ルワンダ
152位 シリア
153位 タンザニア
154位 ブルンジ
155位 中央アフリカ共和国
http://lingvistika.blog.jp/archives/1065059917.html


「幸福度ランキング」はノルウェーが首位、日本51位=調査

[ニューヨーク 20日 ロイター] - 国連と米コロンビア大学が設立した「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」と同大学地球研究所は20日、最新の「世界幸福度報告書2017」を発表した。

報告書の幸福度ランキングでは、ノルウェーがデンマークを抜いてトップ、日本は51位だった。一方、サハラ以南諸国とシリア、イエメンが下位となった。

ランキングは2012年に開始され、今年で5回目となる。155カ国を対象に、1人当たりの国内総生産(GDP)や健康寿命、困難時に信頼できる人がいるかどうか、政府や企業における汚職からの自由度などを手掛かりに幸福度を調査。

2─10位は、デンマーク、アイスランド、スイス、フィンランド、オランダ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、スウェーデン。最下位は、南スーダン、リベリア、ギニア、トーゴ、ルワンダ、タンザニア、ブルンジ、中央アフリカ共和国となった。

このほか、ドイツは16位、英国は19位、フランスは31位、米国は1ランク下がって14位だった。日本は51位、シンガポールが26位、タイが32位、台湾が33位などとなった。

地球研究所の所長でSDSNを統括するコロンビア大学のジェフリー・サックス教授はインタビューで、米国のランク低下は不平等と不信感、汚職が原因と指摘。さらに、トランプ政権が実現を目指す経済政策は事態を悪化させるとし「富裕層対象の減税、一部の人々の保険制度からの除外、軍事費捻出のための食事配給削減と、全政策が不平等を助長するものだ。提案されているすべてが間違った方向に向いている」と述べた。

さらに、幸福担当相を任命したアラブ首長国連邦(UAE)などに各国が追随するよう望むと述べた。
http://jp.reuters.com/article/happiest-idJPKBN16S0CH


「世界幸福度ランキング」、日本は51位だった
ノルウェーがデンマークを抜いて首位に
ロイター 2017年3月21日

 3月20日、国連と米コロンビア大学が設立した「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」の世界幸福度ランキングで、ノルウェーがデンマークを抜いてトップ、日本は51位だった。一方、サハラ以南諸国とシリア、イエメンが下位となった。写真はノルウェーで昨年10月撮影(2017年 ロイターSvein Nordrum/NTB Scanpix)
[ニューヨーク?20日?ロイター] - 国連と米コロンビア大学が設立した「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」と同大学地球研究所は20日、最新の「世界幸福度報告書2017」を発表した。

報告書の幸福度ランキングでは、ノルウェーがデンマークを抜いてトップ、日本は51位だった。一方、サハラ以南諸国とシリア、イエメンが下位となった。

ランキングは2012年に開始され、今年で5回目となる。155カ国を対象に、1人当たりの国内総生産(GDP)や健康寿命、困難時に信頼できる人がいるかどうか、政府や企業における汚職からの自由度などを手掛かりに幸福度を調査。

2─10位は、デンマーク、アイスランド、スイス、フィンランド、オランダ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、スウェーデン。最下位は、南スーダン、リベリア、ギニア、トーゴ、ルワンダ、タンザニア、ブルンジ、中央アフリカ共和国となった。

このほか、ドイツは16位、英国は19位、フランスは31位、米国は1ランク下がって14位だった。日本は51位、シンガポールが26位、タイが32位、台湾が33位などとなった。

地球研究所の所長でSDSNを統括するコロンビア大学のジェフリー・サックス教授はインタビューで、米国のランク低下は不平等と不信感、汚職が原因と指摘。さらに、トランプ政権が実現を目指す経済政策は事態を悪化させるとし「富裕層対象の減税、一部の人々の保険制度からの除外、軍事費捻出のための食事配給削減と、全政策が不平等を助長するものだ。提案されているすべてが間違った方向に向いている」と述べた。

さらに、幸福担当相を任命したアラブ首長国連邦(UAE)などに各国が追随するよう望むと述べた。
http://toyokeizai.net/articles/-/164020
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/478.html

[経世済民120] 株主はいつ「ポピュリズムの乱」に加わるか 新株公開2割増 優待バブル裏技 タンス預金止まらず 金融市場、日銀独壇も金利↑
Column | 2017年 04月 2日 19:44 JST 関連トピックス: トップニュース


コラム:
株主はいつ「ポピュリズムの乱」に加わるか

James Saft

[27日 ロイター] - いつか、といっても多分近い将来に、ポピュリズムの反乱は、ここ数十年にわたり不満を抱えてきた新たなグループへと拡散していくだろう──。

それは株主たちだ。

過去30年間、不遇をかこってきたのは労働者だけではない。株主も苦しんできた。特に、経営幹部の報酬として与えられたのではなく、自己資金で株式を購入してきた株主たちだ。

ドナルド・トランプ氏を大統領の座に押し上げたポピュリズムのうねりは、企業の利害を最優先する立場からは好都合だった。「株主価値最大化(SVM)」主義を熱心に信奉する企業幹部などにとってありがたいことに、トランプ大統領は法人減税と海外利益を国内に還流(リパトリ)する際の減税を提案しているからだ。

だが皮肉なことに、「利益の最大化こそ企業の唯一の目的である(そしてそれが株価上昇につながる)」という教義を掲げるSVMは、将来に備え資金運用する平均的な投資家にとっては、災厄となってしまっている。

これは少なからず、SVMが経営幹部にとって「金のなる木」になっていることが原因だ。他の株主全体の犠牲のもとに、経営幹部は増える一方の報酬を手中に収めている。それは、経営幹部のインセンティブを、本来彼らの主人であるはずの人々が受け取る報酬に沿ったものにしようという狙いとは裏腹な動きだ。

資金運用会社GMOのジェームス・モンティア氏によれば、SVMは企業幹部以外の株主にとっては無益であり、賃金と投資を抑制し、今日のような低調なイノベーションや経済成長を生み出している。

「SVMは政策選択の結果ではない。企業のガバナンスのあり方が変化した結果だ。言うなれば、企業が選んだものであって、政府が選んだものではない。SVM重視を止めようと企業が決断すれば、それは簡単に止められる」とモンティア氏は投資家への書簡で指摘する。

「それによって、恐らく企業の収益性と競争力は改善されるだろう。もし企業が自らの独立性を重視するのであれば、手遅れになる前にこの警告に耳を傾けるべきだ。ポピュリストにも政策がある」

モンティア氏は、将来的に、政府が企業に対して経営手法を変えるよう圧力をかける、あるいは強制するのではないかと予想する。もしそうなった場合に、少なくとも経営幹部の座にない一般の株主にとってどれだけ状況が好転するかを考えれば、ポピュリズムの反乱が株主に広がっていく可能性はあるだろう。

いくつか際立ったポイントはあるが、最も重要なのは、SVMが支配的になった1990年代以降の株主利益率の推移である。経営幹部の報酬が今よりもはるかに少なく、フランチャイズ・従業員の双方に対する投資が多かった管理資本主義の初期と比べると、実に対照的だ。

<理論は素晴らしいが結果は悲惨>

SVM時代の利益率を管理資本主義の全盛期である1940─1990年と比較すると、インフレ調整後のトータルでわずかに低くなっている。株式市場における企業収益に対する評価の変化を加味すると、年換算では1990年代以前の約7%に対して5%強と、さらに状況は悪くなる。特に数十年にわたって複利で計算すれば、投資実績に大きな差が生じることになる。

またSVMは、企業が借入金によって自社株を購入するトレンドと並行しており、それを助長している可能性が非常に高い。経営幹部に自社株ベースの報酬をふんだんに与えるなかで、株価収益率を高く見せるには有効な戦術だ。1990年以降、企業による支払い、配当、自社株買いは、対GDP比で倍増の5%以上となり、一方で純投資は減少している。

経済政策研究所によれば、現在、CEOの報酬は平均的労働者の給与の276倍となっている。1990年は58倍だった。

こうした要因が重なると、企業内部の関係者にとっては、企業トップの座にある短い期間で株価を上昇させることを狙って四半期ベースを意識して企業経営する一方で、長期的な成長にはあまり関心を払わない、という歪んだインセンティブが生まれる。

投資を抑制したり、従業員給与をギリギリまで削減したりすることをやめるよう、企業を誘導することができれば、第2次世界大戦後にそうであったように、企業の長期的な利益率は改善されるだろうし、可処分所得を抱えた中産階級の多い、より健全で成長ペースの早い経済を相手にビジネスができるようになるだろう。

現在のシステムから恩恵を被ってもいいはずの人々にとって、ポピュリズム的な株主の反乱が最善の利益になるとしても、もちろん、それを成功させるのは容易ではなかろう。

経営幹部と取締役会は、数十年にわたる慣例と、一般株主が正当な権力を行使することを難しくしている企業内の議決ルールによって守りを固めているからだ。

もう一つの問題は、大半のファンドマネジャーが、投資家にとって最善の利益を確保するために行動する責任を負っているにもかかわらず、実際には、市場ベンチマークか同業他社の実績を基準として業績を評価されてしまっている。すると彼らは、企業幹部と同じように、短期的な実績に過度の関心を注ぐようになってしまう。

企業幹部の多くは、トランプ政権のアジェンダを見て、ポピュリズム的な政策に好感を持つかもしれない。

だが、過去1年間私たちが目にしてきたように、ポピュリズムというボールはどこか奇妙な方向に跳ね返っていくことがある。それが強制される前に改革を進めておくことが得策だろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)


訂正:コラム:アップル時価総額1兆ドルへ、バフェット予想に説得力 2017年 03月 07日
コラム:トランプ氏の「壁」、2.46兆円のまずい投資選択に 2017年 02月 13日
コラム:トランプ帝国主義が招くドル高と中国衰退=武者陵司氏 2017年 03月 14日
http://jp.reuters.com/article/markets-saft-idJPKBN1721CI?sp=true


 

 

タンス預金が止まらない 3年で3割増、根強い防衛心理
2017/4/2 20:23日本経済新聞 電子版
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 タンス預金の増加が止まらない。第一生命経済研究所によると、直近の2月末時点で43兆円と前年同月比8%増えた。増加額は3兆円で国内総生産(GDP)の0.6%に達する。日銀はマイナス金利政策による預金金利の低下が一因と分析するが、金利はすでにないようなもの。現場を探ると、金利では説明できない問題が見えてきた。(高見浩輔、川瀬智浄)

 紙幣の発行残高は2月末で4%増の99兆円。このうち決済などに使われる…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC27H0X_Y7A320C1NN1000/

 

 
日本株に優待バブル 裏技でタダ取り、株価高止まり…
機関投資家「配当を軽視」不満強める
2017/4/2 1:20日本経済新聞 電子版 
 自社製品などを株主に贈る株主優待を導入する企業が続々と増えている。実施社数は1300社を超え、今では上場企業の3社に1社が実施する。「贈答好き」の国民性に合致した日本独特の制度で、優待狙いの株取引が盛り上がるのは3月末の市場の風物詩だ。ただ配当を重視する機関投資家は不満を強めており、行き過ぎの弊害を指摘する声も増えてきた。

 「こんなお得な制度は他にない」。長野県に住む30歳代の主婦がこう話すのは…
 

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO14811370S7A400C1SHA000/


 

住宅ローン金利上昇 3メガ銀、マイナス金利前水準に
2017/3/31 21:19日本経済新聞 電子版
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 大手銀行の住宅ローン金利の底入れが鮮明になってきた。4月は3メガバンクが一斉に金利を引き上げ、日銀がマイナス金利政策を導入する前後の水準へ戻る。三菱東京UFJ銀行の10年固定型の最優遇金利は年1.05%と3月に比べて0.50%上がる。長期金利が底堅く推移していることに加え、契約が集まる年度末を越えて銀行間の競争が一服するためだ。

 三菱UFJ銀は2016年7月に始めた金利引き下げキャンペーンを終え…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC31H31_R30C17A3MM8000/

 


 

金融市場、日銀の独壇場 国債保有400兆円、株式最大の買い手
2017/4/1 0:36日本経済新聞 電子版
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 東京金融市場が日銀の独壇場になっている。金融緩和のもとで資産の大量購入を続ける日銀の国債保有額は2016年度末に初めて400兆円を突破。株式市場でも16年度は日銀が最大の買い手だった。突出する日銀の存在感は一般投資家の取引が細っていることの裏返し。多様な投資家の売買によって適正価格を発見する市場機能の低下を懸念する声が強まっている。

 3月20日時点の日銀の国債保有額は423兆円と、15年度末から…
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO14799160R00C17A4EA4000/
 

新規株式公開が2割増、17年1〜3月
2017/3/31 23:05
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 2017年(暦年)の新規株式公開の出足が順調だ。1〜3月に新規上場した企業数は前年同期から約2割増の27社と、07年(43社)以来の多さだった。このうち25社の初値が公開価格(公募・売り出し価格)を上回った。

 今年最初の新規上場は企業の営業活動を効率化するクラウドサービス販売のシャノン。1月の上場は11年ぶりで、初日は買い注文が集中した。翌営業日に付いた初値は公開価格の4倍だった。

 新興市場にはその後も投資マネーが流入し、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営するほぼ日の初値は公開価格の2.3倍。ラーメン店「一風堂」の力の源ホールディングスは3.7倍だった。

 初値が公開価格より低かったのは、インターネットによる市場調査を手掛けるマクロミル、回転ずし大手のスシローグローバルホールディングスの2社。ファンドが売り出す株数が多く、需給悪化の懸念が強かった。

 過去1年に上場した銘柄の値動きを示す「QUICK IPOインデックス(単純平均)」は約10年ぶりの高水準で推移している。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO14790910R30C17A3DTA000/
 

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/634.html

[経世済民120] 4年後に全大学がAO入試化、経済格差を後押し? 計画性、探求力犠牲 日本人の寄付は非常時支え合い 成果出るルーティン会議
4年後に全大学がAO入試化、経済格差を後押し?

和田秀樹 サバイバルのための思考法

従来型の入試で養われた計画性、探求力が犠牲になる恐れ
2017年4月3日(月)
和田 秀樹
 2020年度の大学入試(2021年春施行)からセンター試験が廃止され、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」(以下、「希望者テスト」と呼ぶ)が導入される。


2020年度の大学入試からセンター試験が廃止され、代わりに記述式の問題を含む希望者テストが導入され、二次試験はAO入試化される見通しだ。(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
 また、国立大の二次試験(個別選抜試験)では、学力テストだけでなく、小論文、面接、集団討論、プレゼンテーション、調査書(いわゆる内申書)、活動報告書、大学入学希望理由書、学修計画書、資格・検定試験などの成績、各種大会などでの活動や顕彰(けんしょう)の記録、そのほか受検者のこれまでの努力を証明する資料などを活用するように明記されている(それどころか、二次試験では「希望者テスト」の点を評価の対象にしろとは書いてあるが、学力テストを使えとは書いていない)。この方針を受け入れる大学に予算的な措置をつけるということであるから、やらない大学は恐らくないとすると、すべての大学がAO入試化することになるだろう。

希望者テストの複数回受験、段階別評価は見送りに

 こうした方針は、中央教育審議会による「新しい時代にふさわしい高大接続の実施に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」(2014年12月22日)という答申(今後何度も出てくるので、以下「答申」と呼ぶ)に盛り込まれている。

 実は、この「答申」はかなりラジカルなもので、1点刻みの学力にこだわることを否定するために、TOEFLや米国版のセンター試験と言えるSATのように、「希望者テスト」を複数回受験できるようにする。加えて、試験結果は段階別評価で学校に送る(要するに91点でも100点でもAという形で、大学に成績を知らせる)ことなども提言されていた。要するにミスで点を落とすのは学力がないわけでないし、そういうものにこだわるから本物の学力がつかないという発想である。

 その後、2016年3月31日には、この答申を具体的にどういう形で実現するかについて、文部科学省の諮問会議である「高大接続システム改革会議」が最終報告(以下「最終報告」と呼ぶ)を公表した。

 この「最終報告」では、「希望者テスト」の複数回受験や1点刻みでない採点は見送られるなど、「答申」の方向性は一部改訂された。60万人もの受験生が受ける現状で、そこまでの改革は無理という現実的な判断と言ってよい。しかし、「希望者テスト」での記述式試験の導入や、二次試験をAO入試化する方針など、「答申」の基本的な方向性は継承された。

新制度入試では経済格差がさらに広がる

 この大学入試改革は一見もっともらしいものだが、受験の世界に長く携わり、また精神医学を学んできた者としては、さまざまな危険をはらんでいるように見える。

 面接によって「人が人を選ぶ」大人の社会に対応できるようにするというが、例えば米ハーバード大学では、2000人もの専従職員をアドミッションオフィスが抱え、面接のプロが試験に立ち会う。大学の教授に面接をさせると、教授に逆らわないような大人しい人間が入りがちだが、あえて教授に議論を売るような学生を採るという。

 日本の大学教授はお世辞にも面接のプロとは言えない。むしろ諸外国と比べて、大学以外の社会を知らない人が多いとされる。だから、おそらく予備校が本格的にこの対策を行うようになれば、それを受けた受験生が圧倒的に有利になるだろう。そういう予備校に通うお金のない受験生やそういう予備校のない地方の子どもたちは不利になる。結局、現在でも問題になっている親の経済力や地域による受験格差は広がる。

 また企業だと採用官が採用した人間について責任が問われるが、大学教授にはそれがない。医学部で集団レイプ事件が頻発しているが、ほとんどの医学部が入試面接を実施しているにも関わらず、逮捕者を合格させた教授が責任を問われた例は聞かない。

 また、対人恐怖の傾向があるが、能力が高い受験生なども不利になるだろう。この手の面接に向かない受験生が学力が足りているのに試験で落とされた場合、一般入試だともう1年勉強して再チャレンジを考えるだろうが、面接勝負しかないと悲観して自殺ということだってあり得るだろう。

 集団面接や小論文、自己推薦書にしても、予備校が対策したり、大人が代筆した人間が有利になるのは容易に想像できる。ここでも格差が広がる。

 調査書重視というのも、現行の調査書が、学力だけでなく、意欲や態度など教師の主観部分が75%程度を占めることを考えると、教師に気に入られようとする高校生が増えかねない。思春期の心理発達を考えると、大人に逆らわないことが望ましいとは思えない。また、高校時代に不良だったり、不登校だった人が再起をしようとするときの障害になるだろう。

ペーパーテスト学力の斬り捨ては世界の方向に逆行

 さまざまな危険をはらんだ改革だが、この「答申」にも「最終報告」にもそのようなリスクについての検討が書かれていない。この独善が怖い。多様な考え方ができる人間をつくるための改革のはずが、一方向の改革だけが正しいと思っている人間によってなされている。これでは、逆に日本人を画一化しかねない。

 その独善の最たるものが、これまでのペーパーテスト学力を「従来型の学力」と斬って捨てたことだ。もちろん、時代に即応した新しい学力は必要だろうが、これまでの学力が必要ないとは思えない。実際、1980年以降にさまざまな国で初等中等教育の改革が行われたが、米国も英国もアジア諸国もすべて、ペーパーテストの学力を重視する方向に舵を切った。その手本とされたのが日本だ。

 そういう国では、高校生までは一般的な学力をみっちりつけて、今回の「改革」で求められるような学力は大学教育に委ねられる。そして、専門教育は大学院でというのが基本路線だ。

 ところが日本では企業も大学教育に期待していないから、大学に長くいる人ほど就職が悪く、博士の比率も日本は世界の中で最も低い「低学歴社会」となっている。

 例えば、今回の「答申」で1点刻みの採点が否定されたように、ミスをしても学力があるならいいじゃないかという発想があるが、米国のSATも1点刻みの採点である。1980年以降は米国が数学力重視の初等中等教育を行って、その後のIT革命や金融市場の席巻につながったという話もある。

 少なくとも医者の世界では、「ふだんは実力があるのに、ちょっとしたミスで」という言い訳は通じない。ごく最近、外資系金融企業の人と話をする機会があったが、金融の世界でもミスが許されないそうだ。計算機を使えばミスがないように思われるかもしれないが、概算ができないと、桁数を間違えるという医学の世界でも金融の世界でも致命的なミスをやらかすことがあるようだ。

 「従来型の学力」をみっちりつけさせて、大学教育でそれ以上の学力を充実させるのが国際標準だというのに、日本は大学の教授ばかりが審議会の委員のためか、世界で評価の高い初等中等教育の改革(というかこれまでのものの否定)ばかりに力が入れられ、優秀な海外の留学生に魅力のない大学の改革がまったく行われようとしない。(補助金を握る文科省としては重要な天下り先なのだから、役人上がりでも簡単に教授になれるシステムを温存したかったのかもしれないが)

なんのために「受験勉強」をするのか

 私が特に言いたいのは、この大学入試改革をきっかけにして、「なんのために受験勉強をするのか」ということだ。

 確かに、日本人は受験勉強を動機としてしか勉強しないから(全員とは言わないが、そういう子が多いから、少子化で高校や大学に入るのが簡単になると深刻な学力低下が起こっている)、従来型の学力をつけるのに受験勉強が大いに貢献しているのは確かだろう。現実に、数学を入試に課さないと早慶レベルの学生でも、2割の子が分数の計算ができず、7割の子が解の公式を使う二次方程式が解けないことを明らかにした調査結果もある。

 今回改めて考えてみたが、受験勉強というのは「従来型の学力」をつけるためだけにやるものではないと思う。

 例えば、古文単語や歴史の年号を覚えて社会に出て役立つのかと言われれば、役立たない人のほうがずっと多いだろう。しかし、受験勉強でそれを覚えることで記憶力は鍛えられるし、覚えるためのテクニックを身につける人もいるだろう。

 このようにコンテンツとしての学力より、ノウハウとしての学力を受験勉強で身につけることが私は受験勉強の意義と考えている。

 例えば、スケジュール管理能力や、あるいは志望校を分析して対策を立てる能力、受験の日までに所定の学力が身につかなければ不合格ということだから、締め切りを守る能力だってつくだろう。

 自分の能力を分析する能力を身につければ、どこを伸ばしてどこを捨てて合計点で合格するとかいう戦術が立てられる。今回の「答申」や「最終報告」では、「従来型の学力」の否定ありきで、これまでの受験の良かった点の検討がなかったが、むしろ長所を伸ばすほうが受験の成功にも近づけるし、大人になってからも強いはずだ。

 この手のノウハウ学力の中で私が意外に大切だと思っているのは、方法論を探究する能力である。成績が伸びなかったときに、自分が頭が悪いのでなく、やり方が悪いと思える能力とも言える。こういう人の場合は、あるやり方がうまくいかなければ別のやり方を探す気になる。それによって最終的に点数を伸ばすことができる。

 おそらく方法論を探求する能力や姿勢を受験勉強を通じて身につけることができれば、大人になって、例えばセールスをやっていてうまく売れなければ諦めるのでなく、方法論を探すという解決を求めることができる。答えは本屋にいくらでもある。

 受験で身に着く能力を役人や学者の思いつきで切り捨てることは許されない。

 (本テーマに関連して、3月17日に『受験学力』(集英社新書)という本を出した。ご関心があればぜひお読み頂きたい)


このコラムについて

和田秀樹 サバイバルのための思考法
国際化、高齢化が進み、ストレスフルな社会であなたはサバイバルできますか? 厳しい時代を生き抜くアイデアや仕事術、思考法などを幅広く伝授します。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/122600095/033000006/


 


日本人の寄付スタイルは、非常時の支え合い

御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」

貢献の気持ち育て、寄付文化を醸成するには
2017年4月3日(月)
御立 尚資

日本人は自然災害が起きたときには積極的に寄付をする。(写真:アフロスポーツ)
自然災害があると、寄付の総額が跳ね上がる

 日本には、寄付文化が根付いていない、という。確かに、先進国間で比較すると、寄付総額が小さいのは事実だ。日本ファンドレイジング協会の調査によると、日本における2014年の個人からの寄付は7,409億円、GDPの約0.2%相当に過ぎない。これは、米国の27兆3,500億円、GDPの1.5%という数字とは比べ物にならない。英国の1兆8,100億円、同0.6%と比較しても、かなり低いレベルだ。

(ちなみに、総務省が家計調査を基に推定している数字は、2010年で1,847億円とさらに小さい。家計調査は限られたサンプルをもとに推計を行うものなので、大口の寄付が含まれない可能性が高いこともあるのだろう。寄付文化が低調なせいもあるだろうが、寄付に関わる統計も十分に整備されていない感がある。)

 もう一つ、日本での寄付の特徴は災害発生時の積極性だ。

 前述の調査の数値を再度借りれば、近年の日本の個人寄付額は、
 2009年 5,455億円
 2010年 4,874億円
 2011年 1兆182億円
 2012年 6,931億円
 という具合で、東日本大震災の年が、飛びぬけて多い。

 私がお手伝いしている国連WFP協会という飢餓対策、食料援助のNPOに対する寄付も、国内外で自然災害があると、ぽんと跳ね上がる。

恵まれない子供たちや難民への支援は低調

 日本は、世界の0.25%に過ぎない国土面積ながら、世界の7%、108の活火山を有し、マグニチュード6以上の地震にいたっては、世界の20%以上が発生する地域だ。これに加えて、頻繁に台風の被害も受ける。こういったことから、自然災害はひとごとではなく、「何かあったら、支え合う」という心情が深く根付いているのだろう。

 逆説的に言うと、大きな自然災害の際の寄付には非常に積極的だが、恵まれない子供たち、あるいは難民への支援、といった類の自然災害以外への定常的な寄付に対してはさほどでもない、ということになる。

 自然災害の際の相互扶助の感覚、税制の影響、宗教観、政府による分配策への信頼感、など、寄付が相対的に低調な理由はさまざまだろう。

クラウドファンディングはかなり浸透した

 ただ、体感的には少しずつ変化が見えるような気がしている。たとえば、昨今のクラウドファンディングの台頭は、目をみはるものがある。友人たちが関わっているNPOの中でも、クラウドファンディングを活用してサポートを受ける例が複数出てきている。

 一定の信頼感を持てるプラットフォーム(クラウドファンディングのサイト)上で、自分自身の価値観にフィットするプロジェクトを発見できれば、身銭を切って、何か・誰かをサポートしよう、と考える層がしっかりと存在することが明らかに。これを受けて、クラウドファンディングによる寄付機会の提供と周知がさらに増える、という好循環が始まっているようだ。

ふるさと納税も「貢献したい」思いのあらわれか

 ふるさと納税も、変化のあらわれかもしれない。返礼品の豪華さ競争に対する批判はもっともだが、入り易い入り口とうまくセットしたインセンティブさえあれば、多くの国民の心の中に潜在的にある「何かに貢献したい」という思いが顕在化する余地は大きいことを示している。こう肯定的にとらえてもよいのではないだろうか。

 広義の寄付行為といってもよいボランティアに携わる方々も、増えている。これも日本ファンドレイジング協会の推計だが、2014年に何らかのボランティア活動に従事した人の数は、3,000万人を超えている。これも最近関わらせていただくようになったドナルド・マクドナルド・ハウスという病気の子供たちの家族が滞在できる施設は、全国12か所にあるのだが、そのすべてが地元のボランティアの方々を中心に運営されていて、本当に頭が下がる。

寄付を根付かせるのに必要な「透明性と説明責任」

 さて、少しずつ力強さを増しつつある社会貢献活動と寄付。これを伸ばしていくために、よく言われることが、「透明性と説明責任」という言葉だ。

 寄付として頂いたお金を、何に対してどのように使っているか。この透明性を高め、さらに寄付提供者(ドナー)に、積極的にコミュニケーションする。これが重要であることは、言うまでもない。企業に対してのガバナンスと同様に、透明性担保と説明責任を果たすこと、この二つが健全な緊張感を生み、浄財を効果的・効率的に使う方向に後押しをすることになる。

 ただ、何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。寄付先進国の一部では、この行きすぎがかえってNPOの生産性を低下させ、ひいては必要な人たちに必要な支援をするという本来の目的を損なう例が出てきている。

 ボストン コンサルティング グループのヨーロッパチームが行ったプロボノ(スキルや経験を生かしたボランティア活動)調査の中に、実に興味深い分析結果があった。

南スーダン支援時に領収書を取ることは適切か

 ノルウェーのNRC(Norwegian Refugee Council)というアフリカ等で難民支援を行う大きなNPOの業務を調査したのだが、企業を中心とした大規模ドナーに対する報告作成に関わる時間が膨れ上がっていて、本来業務の時間を奪うこと甚だしい。

 たとえば、大手9ドナーの要求する報告書の内容がすべて異なっていて、これを統一するだけで実に年間11,000時間の削減が可能だという。内容のみならず、報告に使う数値はドナー側がまちまちに定義していて、これを一本化すれば、さらに27,000時間もの業務が削減される。

 課題は報告書の煩雑さや定義がばらばらであることだけではない。あるドナーは、「購買時にかならず領収書を得る」ということを寄付の前提としているのだが、それが行き過ぎてシリア国境や南スーダンでの緊急支援時にもすべて領収書をとれ、というのだそうだ。これでは、本末転倒と言わざるをえない。

 寄付をする側、特に法人ドナーには、株主、社員等数多くのステークホルダーがいて、彼らに対して自らが説明責任を果たすために、事細かなルールを作るのだというが、明らかに行きすぎだろう。

形式を満たすため本質から外れては本末転倒

 企業のガバナンスについても、やや遅れ気味にスタートした日本の場合、形式基準を満たそうとするあまり、本質から外れる例があるように思える。

 NPOの世界でも、寄付文化を強め、定着化させる方向に動き始めた日本。これから透明性と説明責任という言葉が、たびたび語られることだろうが、常に「必要な人たちに必要な支援をする」という本来の目的に立ちかえり、オーバーキルにならないように心がけていくべきだと思う。少しだけだが、この世界に関わっている人間の一人として、自分自身、心していこうと考えている。

 今回の話題、至極当たり前のように見えるが、ころばぬ先の杖、ということで、どうかご寛恕ください。


このコラムについて

御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」
コンサルタントは様々な「レンズ」を通して経営を見つめています。レンズは使い方次第で、経営の現状や課題を思いもよらない姿で浮かび上がらせてくれます。いつもは仕事の中で、レンズを覗きながら、ぶつぶつとつぶやいているだけですが、ひょっとしたら、こうしたレンズを面白がってくれる人がいるかもしれません。
【「経営レンズ箱」】2006年6月29日〜2009年7月31日まで連載
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213747/032800045/

  
成果出るルーティン会議とは

会議が変われば、仕事が変わる

知恵の運営で惰性を防ごう
2017年4月3日(月)
横田 伊佐男

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 多くの企業が新年度を迎える季節。新入社員も加わることから、ビジネスパーソンは新鮮な気持ちで仕事をしていることと思います。私もボールペンを新調したり、ビジネス誌の定期購読を始めたりしています。新たな気分で仕事にスイッチを入れるためです。

 自身にスイッチを入れて、気分を高めるという意味では、スポーツ選手が行う「ルーティン」が有名です。例えば、著名ラグビー選手の五郎丸歩氏にはゴールキック前に両手を組んで動かすなどの一連の動作があります。また大相撲春場所で優勝した横綱・稀勢の里が、取り組み前に顔面を2回たたく動きもルーティンと言えます。

 それらは、毎回寸分違わず繰り返されます。ルーティンは、「routine=決まりきった仕事、慣例」がもともとの意味です。

ラグビー五郎丸選手、横綱・稀勢の里に学ぶ

 ただ、アスリートにとってのルーティンの目的は、ただ1つ。

 勝利へ貢献する精度を高めることです。五郎丸選手は、80%以上の成功率といわれるゴールキックの精度をさらに高めるため。横綱・稀勢の里は、左おっつけから左四つへの展開に持ち込み勝利すること。

 ルーティンは、勝利に近づくための儀式でもあります。

 一方、ビジネスパーソンにもルーティンがあります。例えば、毎週開く「定例会議」。ただ、それは“勝利”に貢献しているでしょうか。その会議で参加者のヤル気が高まり、成果につながる会議であれば、文句はありません。しかし、そうでなければ、ただの「慣例」に過ぎません。

 会社員に会議についての不満を聞くと、生産性が低い「定例会議」に集中します。では、どうすれば改善できるでしょうか。

 まず会議の目的を明確にしましょう。それは大きく3つあります。

・「決定」会議
 決断をする会議。ゴールは、「可決(OK)」か「否決(NG)」か。

・「拡大」会議
 発想を拡大したり、飛躍した意見を求めたりする会議です。ブレスト(ブレインストーミング)とも言えます。

・「共有」会議
 意思伝達のための会議。関係者全員が参加します。全社員会や朝礼がそれにあたります。

 中でも多いのが、「共有会議」です。情報の共有は大切ですが、気を付けないと多くの定例会議が、共有会議のようになってしまいます。本来は意思決定をするべき「決定会議」までもが毎週繰り返すうちにそうなってしまうのです。なぜなら意思決定は大変な労力を伴います。特に議長は異なる意見を調整して、1つの結論を導かなくてはなりません。これに苦痛を覚えるとそれぞれが意見を述べるだけの“共有会議”が増えてしまうのです。

 意思決定を先延ばしするだけではなく、参加者の労力と時間を奪い、企業の競争力も弱めてしまいます。

成果を出す3段階の視点

 つい先日も、ある会社から「共有会議を活性化したい」との相談を受けました。その定例営業報告会議では、各支店のトップが営業報告と最新トピックを話していますが、実際は営業実績など紙にある数字を読むだけとなり、停滞ムードが漂っているとのことです。本来の目的は優秀な営業社員が持つノウハウの共有にあるといいます。

 そこで私は、「何かを気付かせたり、新たな方法を修得してもらったりできるように変えていきましょう」と答えました。

 その具体的な手法は以下の通りです。

 会議を変化させるには3段階、すなわち「会議前」「会議中」「会議後」に分けることから始まります。今回のケースについて、それぞれを見ていきましょう。

・会議前:キーワード「除外する」

 会議で「しなくてもいいこと」を除外します。例えば、営業実績の報告は週報や月報にして事前に共有します。

大切なのは誇りを高めること

・会議中:キーワード「くすぐる」

 営業マンは数字に自負があります。そのプライドをくすぐるために、こんな3つの工夫を行います。

 1つは成績の良い順に座席を決める。上座には、上位成績者、下座には下位者が座ります。社員の間の緊張感を高めるので、月1回ほどにして、指定席が固定化しないように評価基準は毎回変えます。例えば、訪問件数や評判のいい案件などです。

 次に、毎月の上位者は社内報に掲載し、表彰も行います。お金ではなく、名誉を与えます。社内報も表彰も、自宅に持ち帰ることで家族から「すごい」と言ってもらうことを狙います。

 3つめは、会議の発表において「成績上位者」「成績下位者」を分けます。上位者は、成功の要因を発表。下位者は不振の理由を語ります。

・会議後:キーワード「助け合う」

 次の会議までに、「上位者」「下位者」に宿題を出します。お互いを助け合うような宿題です。「上位者」には、前回の会議で出た「下位者」の問題点の解決策を考え、発表してもらいます。「下位者」には、前回会議で出た「上位者」の中から、自分たちでマネできることと試した成果を持ち寄り発表してもらいます。

 これを導入した会社では見事に成果が出ました。諸事情により、成績順の座席だけは試さなかったとのことですが、それ以外はすべて実践しました。その結果、会議の雰囲気は良くなり、営業成績も前年を上回りました。

 会議の進め方を変えるだけで、会社は成長します。考えてみれば当然かもしれません。それだけ会社員は会議に時間を割いているのですから。 

 新年度を機に会議の目的を見定めて、創意工夫を加えてみませんか。

3ステップで組織の生産性が劇的に上がる! 最強の会議術 6月1日(木)、2日(金)開講!

 本コラム著者、横田伊佐男氏による1泊2日の合宿型講座です。「確実に」「ストレスなく」組織の生産性を上げる会議の進行手法を2日に分けてしっかり学べます。

 プログラムは「最大の効果を引き出すためのカンタン準備術」「論点を定める『拡大思考』」「アイディアを整理する『分割思考』」「圧倒的な実行力を生み出す『俯瞰思考』」などで構成。15分の簡易ミーティングから数日に及ぶビジネス合宿まで、各種会議を効率的に取り仕切ることができるようになります。

 2日間の時間投資で、すぐに会議の質が変わる本講座。ぜひご参加ください。詳しくはこちら。

このコラムについて

会議が変われば、仕事が変わる
 会議に次ぐ会議…。ビジネスパーソンにとって「会議」は必要不可欠な活動ですが、忙しければ忙しいほど、非効率な会議は避けたくなるものです。効率的かつ生産性のある「会議」は、上級管理職から一般社員まで共通の願い。とはいえ、理想にほど遠いのが現状でしょう。
 このコラムでは、その課題を解決しつつ、「受動的」に会議にぶら下がる社員から、「能動的」に会議を仕切るビジネスパーソンに生まれ変わるため、カンタンかつ最強の会議術を修得してもらおうと考えています。 
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/16/012600016/032800011

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/652.html

[国際18] ユーロ加盟国、金利上昇に備えるべき=クーレECB専務理事 ルペンならドラギに頼れない ユーロ圏失業8年ぶり低、製造業加速
ユーロ加盟国、金利上昇に備えるべき=クーレECB専務理事

[パリ 3日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は3日、ユーロ加盟国や他の経済主体は借り入れコストの上昇に備えるべきだとの考えを示した。

専務理事はパリで開催された金融会議に出席。「金融セクターや他の経済主体、特に政府は、(金利上昇に)備えなくてはならないことは明白だ」と言明し、「ユーロ圏の政府が、金利は現在の水準にとどまることはないと理解することを願う」と述べた。

専務理事はさらに、ECBが銀行に課しているマイナス金利は金融政策として効果的だったが、これらの銀行を弱体化させるリスクがあり、長期間維持すべきではないと述べた。

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http://jp.reuters.com/article/ecb-policy-coeure-idJPKBN1750UL

 

ルペン氏勝利ならドラギ総裁にもはや頼れない現実−政治的支持が消滅
Mark Deen、Alessandro Speciale
2017年4月3日 14:07 JST

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ECBは対処療法的な既存の政策手段の組み合わせに頼る可能性
 
フランスの極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首による説得が成功し、フランス大統領選で反ユーロ的な立場を国民が受け入れる場合、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、ユーロの救世主になることを再び求められる可能性が高い。
  しかし問題なのは、ドラギ氏には今回、ユーロを救うために何でもやるという意思、あるいは能力の裏付けがないかもしれないという点だ。
  5月7日の仏大統領選決選投票におけるルペン氏勝利に伴う影響に備える兆候は、ドラギ総裁と他のECB当局者から全く示されておらず、むしろ対処療法的な既存の政策手段の組み合わせが示唆されている。2015年の国民投票の際にギリシャの機能停止をほぼ回避することに役立った緊急銀行支援などは、フランスのユーロ圏での将来の立場が明確になるまでの間、継続して実施されることもあり得るだろう。
  7年続く救済や銀行支援、金融刺激プログラムは、ECBが貨幣を増発する能力が理論的に無限であっても、政治指導者の合意に亀裂が入ればすぐそれが消滅することを浮き彫りにする。フランスのユーロ離脱の賛否を問う国民投票実施というルペン氏の公約が現実のものとなれば、そのような状況が生じ、ユーロの運命を政治家が握る一方、ECBは傍観者的な立場に追いやられることになりかねない。
  ブリュッセルを拠点とするシンクタンク、ブリューゲルのディレクター、グントラム・ボルフ氏は「ECBには無限の火力が備わっているが、政治的支持があることが前提だ。フランスとドイツの立場が同じでなくなれば、政治的支持がもはや存在せず、ECBができることがあまりないことをそれは意味する」と指摘した。
原題:A Le Pen-Led France May Be the Euro Crisis That Draghi Can’t Fix(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONTFXP6TTDS001

 

ユーロ圏:2月の失業率、8年ぶりの水準に低下−景気改善の兆候で
Zoe Schneeweiss
2017年4月3日 19:00 JST
 
ユーロ圏の失業率は2月に、ほぼ8年ぶりの水準に低下した。域内経済が勢いを増していることが示された。
  欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が3日発表した2月の失業率は9.5%に低下。これは2009年5月以来の低水準で、ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査での予想中央値に一致した。
  成長とインフレ回復を目指した欧州中央銀行(ECB)の空前の取り組みに助けられ、ユーロ圏の失業率は2013年に達した12%強をピークに緩やかに低下してきた。世界経済の改善で域内経済大国の輸出需要が伸び、ユーロ圏製造業の拡大ペースは2011年以来の高水準に達した。
  ユーロスタットによれば、域内で失業率が最も低いのはドイツの3.9%。一方、スペインは18%だった。ギリシャは入手可能な最新のデータである12月の失業率が23.1%。
原題:Euro-Area Unemployment Declines to Lowest Level in Eight Years(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONTUZK6TTDS201


 
2月のユーロ圏失業率は9.5%、約8年ぶり低水準

[ブリュッセル 3日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が発表した2月のユーロ圏の失業率は9.5%で、市場予想と一致した。9.5%は2009年5月以来、約8年ぶりの低水準。

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ユーロ圏製造業:3月の拡大加速、独仏伊の指数そろって上昇
Jill Ward
2017年4月3日 18:06 JST
 
ユーロ圏では3月に製造業活動の拡大が加速 した。世界経済の改善で域内経済大国の輸出需要が伸びた。
IHSマークイットが3日発表した3月のユーロ圏製造業購買担当 者指数(PMI)改定値は56.2と2月の55.4から上昇し、2011年以来の 高水準となった。ドイツとフランス、イタリアの指数がいずれも前月を 上回り、3国とも新規輸出事業が拡大した。
マークイットはまた、ユーロ相場と商品価格の動きに絡んだインフ レ圧力の高まりについて警鐘を鳴らした。3月に出荷価格は伸びが加速 し6年ぶり高水準付近、同時に、供給業者は需要増大への対応に追われ ている。
マークイットのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は 「春を迎える中でユーロ圏の製造業は明らかに好況に沸いているが、供 給の遅れやコスト上昇という痛みにも見舞われている」とし、「供給の 遅れはインフレ圧力の高まりを示唆する警戒信号だ。注文の多い供給業 者は多くの場合、値上げが可能だ」と指摘した。
原題:Euro-Area Factory Recovery Broadens as Italy, France Improve(抜粋)
--取材協力:Mark Evans.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONTR2W6JIJUV01
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/813.html

[国際18] ロシア軍、バルト海側で態勢強化 24時間で攻撃可能 経済でも“虚像”に終わった朴前大統領  クレディスイス打撃、税務調査
ロシア軍、バルト海側で態勢強化 24時間で攻撃可能
=リトアニア
[ビリニュス 3日 ロイター] - リトアニアの情報機関は3日発表した年次報告で、ロシア軍がリトアニアなどのバルト諸国を命令が出てから24時間後には攻撃できる態勢をとっていると指摘した。

リトアニア、ラトビア、エストニアのバルト3国はかつてソビエト連邦に編入されていたがその後独立し、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)のメンバーになっている。しかし、2014年にロシアがクリミアを併合したのを受け、ロシアの動向に神経をとがらせている。

リトアニア情報機関の年次報告によると、ロシアは昨年、バルト海沿岸のカリーニングラードの軍を増強し、攻撃開始に要する時間を短縮した。

カロブリス国防相は会見で「これはNATOが決定スピードを上げるべきというシグナルだ」とし、NATOの反応は遅いとの認識を示した。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は、定例会見で、反ロシア感情の表れと懸念を退け「モスクワは常にバルト諸国との良好な関係を支持してきた」と述べた。

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http://jp.reuters.com/article/lithuania-russia-idJPKBN17513B

 

 


クレディ・スイスの再建計画、またも不透明に−5カ国が税務調査
Jan-Henrik Forster、Giles Broom、Stephen Morris
2017年4月3日 11:09 JST 更新日時 2017年4月3日 15:38 JST

ティージャン・ティアムCEO Photographer: Alessandro Della Bella/Bloomberg
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ロンドンとパリ、アムステルダムの事務所に当局が「接触」
多額の罰金や欧州部門からの資金引き揚げへの懸念も−アナリスト


最悪期は過ぎたと思ったのもつかの間、クレディ・スイス・グループのティージャン・ティアム最高経営責任者(CEO)が、自身の進める事業再建計画に打撃となり得る事態に再び見舞われている。

  クレディ・スイスは3月31日、脱税とマネーロンダリング(資金洗浄)を巡る調査に直面していることを明らかにした。調査は5カ国の当局が進めており、数千人の口座保有者に及ぶ可能性がある。同行は5年間で3回目となる増資を株主に要請せざるを得ないかもしれない状況にあり、今回の件は新たな頭痛の種だ。

  ティアムCEOは株式発行またはスイス部門の一部の新規株式公開(IPO)を検討している。投資銀行事業を縮小する一方、こうした施策によって資金を確保し、アジアのウェルスマネジメント事業を拡大する戦略だ。同CEOは2月、金融危機時の住宅ローン担保証券事業を巡り53億ドル(約5900億円)の支払いで米当局との決着に至ったことで「状況が一変した」と話していたが、再び不確実な状況に置かれる恐れが出てきた。
  マッコーリー・グループのアナリスト、ピアース・ブラウン氏は「クレディ・スイスにとっての問題は、今回の件の結末がどうなるのか自らが分かっていないように思えることにある」と指摘。「多額の罰金を科されるのか、今回のことで顧客がうんざりして同行の欧州部門から新たに資金が引き揚げられるのか。その2点が懸念されている」と述べた。
脱税容認せず
  クレディ・スイスで国際ウェルスマネジメントの責任者を務めるイクバル・ハーン氏は、会社として脱税を容認しないと強調した上で、顧客への影響を判断するには時期尚早であり、同行の戦略は変わらないだろうと述べた。
  クレディ・スイスは顧客の税務に関連してロンドンとパリ、アムステルダムの事務所で3月30日に当局からの「接触」があったとし、当局に協力していると発表した。調査は秘密裏に進み、スイス当局さえ知らなかった。オランダ当局は2人を拘束し、金の延べ棒や絵画、宝飾品類を押収したほか、スイスの口座に数百万ユーロを隠し持っている疑いで数十人を調べていると31日に発表した。調査はフランス、ドイツ、英国、オーストラリアでも行われている。
  5カ国は欧州連合(EU)の欧州検察機構(ユーロジャスト)を通じて協調行動を取った。ユーロジャストは今回の調査を2016年に開始し、向こう数週間で追加的な行動を起こす公算が大きいとの声明を発表している。
原題:Thiam’s Turnaround Clouded by Tax Probe of Credit Suisse (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONT5I06JTSHN01

 


経済でも“虚像”に終わった朴前大統領
ニュースを斬る
2017年4月3日(月)
田村 賢司
 韓国最大の財閥、サムスングループからの贈収賄などの疑惑で罷免された朴槿恵・前韓国大統領が3月31日、逮捕された。2013年に就任以来、経済面では財閥依存構造を脱し、大企業に頼らないベンチャー、中小企業育成などの改革を掲げたが、ほとんど成果は上げられなかった。大企業と政治の癒着を断ち、財閥依存という韓国の宿痾にも挑む清廉さを期待されたが、経済の面でも“虚像”に終わった。
 朴槿恵(パク・クネ)前大統領がついに逮捕された。1995年の全斗煥(チョン・ドゥファン)・盧泰愚(ノ・テウ)両元大統領に続く3人目の大統領経験者逮捕は、韓国内のみならず、世界を驚かせた。だが、朴前大統領逮捕の裏側には大統領といえども、動かせない経済の岩盤があるように思える。
 2013年2月の当選時、朴大統領が掲げたのは、経済民主化であり、創造経済の発展だった。前者は、韓国経済の特異な構造である財閥依存を是正し、中小企業の成長を促そうという構想である。そして後者は、ベンチャー企業の育成で同様の狙いを達成しようというものだった。

朴槿恵(パク・クネ)前大統領に逮捕状が発付され、ソウル中央地検からソウル拘置所に護送された(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
財閥改革を打ち出して政権は発足したが…
 だが、清廉さが売り物だったはずの前大統領の末路は、親友の崔順実(チェ・スンシル)被告と共謀し、韓国最大の財閥、サムスングループの企業合併を支援して、見返りに433億ウォン(約43億円)相当の賄賂を受け取ったなど計13の疑いを持たれるという悲劇だった。
 なぜなのか。朴前大統領の経済政策の来し方を辿ると、一つの姿が浮かんでくる。就任1年後に打ち出した経済革新3カ年計画は、@経済のファンダメンタルズ強化、A経済革新推進、B内外需の均衡ある発展──を柱に、選挙戦中から訴えてきた経済民主化を進めながら、改革を図ろうというものだった。
 実際、就任後しばらくして「循環出資」と呼ばれる財閥グループ内の不透明な株式の持ち合い構造について、「新規の循環出資は認めない」という改革を打ち出している。循環出資は、「財閥内でオーナー家の持ち株比率の高い企業を中心にグループ内で持ち合い構造をつくり、オーナー家の持ち分が少なくても支配しやすくする」(日本総研の向山英彦・上席主任研究員)ためのものだ。
 この不透明な構造が、オーナーの暴走など、ガバナンス不全を招き、政官経の癒着や財閥独占型の経済につながりやすくしているとして、長年批判されてきた。朴前大統領の施策は、新たに始める循環出資を禁止するというもので十分とは言えないが、財閥支配にくさびを打ち込もうというものではあった。
 その一方で、大企業から下請けへの値下げ要求などへの罰則強化をはじめとした取引の公正化を図り、ベンチャー企業育成にも力を入れようとした。ベンチャー創出のために、インキュベーション施設を全国17カ所に設け、技術開発・導入支援も行った。
 しかし、改革の勢いは長続きしなかった。経済革新3カ年計画が動き出して間もない2014年4月にセウォル号事件が起き、さらに1年後には重い肺炎を引き起こすマーズが国内に広がり、景気は停滞。実質的には改革より景気対策に追われる有様となった。
経済は停滞してきた
韓国のGDP(国内総生産)実質成長率の推移

単位:%
出所:日本総研の資料を基に本誌作成
 住宅ローンの融資規制を緩和し、2014年夏からは韓国銀行が朴前大統領の政策に沿う形で政策金利も引き下げ始めた。平行して自動車購入にかかる特別消費税の引き下げも実施。これで住宅、自動車などをはじめとした消費が拡大し、落ち込む景気を持ち上げようとした。加えて、中国に接近し、輸出で成長する元の経済モデルを追求し始めた。
 こうした施策に前後して、財閥配慮への回帰ともとれる動きが出てくる。2015年8月。会社のカネで自身の投資損失を穴埋めしたなどとして横領などで有罪判決を受け、収監されていた大手財閥、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長を特赦した。崔会長は4年の実刑判決を受け、その時点で2年半、刑に服していた。
経済の中国依存度は上がり続けてきたが…
韓国の輸出に占める中国依存度の推移

単位:%
出所:日本総研の資料を基に本誌作成
ベンチャー企業育成は十分進まなかった
 「もっと投資をして景気回復に貢献せよということだろう」。日本の植民地支配終結を祝う光復節70年を祝うための特赦の一環と説明されたが、当時、韓国ではこんな皮肉な見方も広がっていた。個人消費の刺激で落ち込みかけた景気は、ある程度支えられたが、上向かせるには、より大きな投資が必要。そう考えたのかというわけだ。偶然の一致か、財閥改革の動きもその後、目立つものはなくなった。
 一方で、ベンチャー育成は順調には進まなかった。元々、即効性のある政策などない分野だから予想はされていたものの、停滞感は募る。さらに、住宅投資の拡大などで個人の負債が膨れ上がり、その後社会問題にもなり始めた。朴前大統領にとっては、厳しい環境である。財閥改革に力を入れる余裕はこの状況の中でなくなっていったのだろう。
家計の債務が急増してきた
韓国の家計債務の可処分所得比の推移

単位:%
出所:日本総研の資料を基に本誌作成
 振り返れば、韓国の財閥と政権の間は、持ちつ持たれつとも、癒着ともとれそうな関係が続いてきた。
 例えば、今回の事件で実質的なトップである李在鎔(イ・ジェヨン)・サムスン電子副会長が逮捕されたサムスングループ。サムスンは過去にも、不祥事の度にオーナーを支えるグループの司令塔組織を縮小し、経営のオーナー色を薄めるようなことをしているが、事態が沈静化するとまた元に戻している。
 何があってもオーナーの独裁を維持し続けようとしたかのようだが、政権は何もしていない。それどころか、途中ではオーナーへの特赦まで実施している。
 具体的に見てみよう。最初は、サムスン創業者の李秉普iイ・ビョンチョル)氏の時代の1960年代後半。当時は会長秘書室だったが、グループの肥料会社がサッカリンを建設資材と偽って密輸する事件を起こし、秉侮≠ェ67年に経営の一線を退くと、参謀本部である会長秘書室は大幅に縮小された。しかし、2年後に秉侮≠ェ会長に復帰すると、間もなく規模を拡大し始めた。
事件は、必然的に起きたのか
 2度目は秉侮≠フ息子の健煕(ゴンヒ)現会長が力を振るっていた2006年。政界や法曹界への不正資金提供疑惑などで、当時、「構造調整本部と呼んでいた会長秘書室の後継組織は戦略企画室に名称を変え、大幅に小さくなった」(安倍誠・アジア経済研究所東アジア研究グループ長)。
 2008年には健煕会長が疑惑で会長をいったん辞任。同年7月には別の脱税容疑で有罪判決も受けた。ところが、09年に当時の李明博(イ・ミョンバク)大統領が冬季五輪の招致のためとしてスポーツ界に人脈のある同氏を特赦し、2010年に会長復帰するとすぐに現在の未来戦略室が発足。200人を超える規模にまた拡大した。
 今回の事件で未来戦略室は解体に追い込まれ、主要子会社の社長らが参加し、グループ経営の議論の場ともなってきた社長団協議会も廃止となった。外からは、経営の中枢が崩壊したようにさえ見えるが、過去の経緯を見れば、どうなるかは分からない。
 オーナー経営の維持は財閥の力の温存と一対であり、参謀本部の持続をその重要な要素であるとすれば、復活の可能性があると見るほかない。
 財閥を育成し、それを駆動力として経済成長を図ってきた韓国はそのくびきから逃れられなくなりつつある。朴前大統領も、その例に漏れなかったのだろう。贈収賄事件は、その構図の中で“必然”のように起きた。そう見える。


このコラムについて
ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/033100648

http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/815.html

[経世済民120] 大手百貨店、3月は3社が前年割れ 気温上がらず春物不振 日本企業の株主総還元増、3年連続過去最高 米MMF改革でCP回避
大手百貨店、3月は3社が前年割れ 気温上がらず春物不振

[東京 3日 ロイター] - 大手百貨店が3日発表した売上高速報によると、4社中3社が前年割れとなった。気温が上がらず、春物衣料が不振だった。一方、株高・円安の効果もあり、富裕層による高額品消費や訪日外国人の免税売上高はおおむね堅調に推移した。

高島屋(8233.T)は前年比2.4%増と2カ月ぶりのプラスとなった。免税売上高が50.8%増と大きく伸びたことが底上げにつながった。訪日外国人による化粧品の好調な売上げが続いている。

一方、三越伊勢丹ホールディングス(3099.T)は0.3%減、J.フロント リテイリング (3086.T)も0.3%減、そごう・西武は1.4%減だった。

(清水律子)

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http://jp.reuters.com/article/department-march-idJPKBN1750YG

 

 

日本企業の株主総還元が3%増加、3年連続で過去最高=野村

[東京 3日 ロイター] - 日本企業による株主への総還元額は2016年度も高水準を維持した。野村証券の推計によると、自社株買い(発表分ベース)と配当金額の合計は2016年度、16.4兆円になり前年度比で約3%増加、3年連続で過去最高を更新した。

自社株買いの金額は4.8兆円で、前年比0.5兆円の減少。配当額は11.6兆円と同1兆円増で、3年連続の過去最高更新となる。

調査によると、自社株買いの金額が減少したのは、政府の持分売却に伴い、大規模な自社株の取得を行った企業があったため。この特殊要因を除けば、日本企業の自社株買いは増加基調にあるという。

自社株買いを行った企業数は前年比5.8%増の672社で、株主還元や資本効率を意識する流れは継続するといえる、としている。

取得後の自己株(金庫株)の消却額は3.47兆円となり、社数は132社と高水準だった。前年度は消却の金額が4.63兆円、社数は138社。

取得規模が大きかったのは、1位がトヨタ自動車(7203.T)の7000億円(対時価総額3.6%)、2位ソフトバンクグループ(9984.T)の5000億円(同5.8%)、3位NTT(9432.T)の3450億円(同3.5%)と続き、4位は日産自動車(7201.T)の3057億円(同6.7%)、5位は三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)2000億円(同2.0%)だった。

*見出しを修正しました。

(江本恵美)

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http://jp.reuters.com/article/japan-stock-toyota-idJPKBN1750O3

 

米MMF改革が意図せぬ影響−CP回避でドル資金市場に大きな変化
Alexandra Harris、Liz Capo McCormick
2017年4月3日 09:38 JST

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• CP金利の相対的水準の上昇で借り手はレポ取引など他の手段模索
• プライムMMFからの資金流出がCP需要を抑制

2兆6000億ドル(約290兆円)規模の米マネー・マーケット・ミューチュアル・ファンド (MMF)業界のリスク抑制に向けた規制当局の取り組みは、金融市場全体に思わぬ波及効果を及ぼし、企業や投資家は広範囲にわたり影響を受けている。
  MMF業界の改革を目指す米証券取引委員会(SEC)規則が昨年10月に施行されると、高利回り商品で運用される「プライムMMF」と呼ばれるMMFから1兆ドルの資金が流出。その後、プライムMMFへの資金回帰は予想をはるかに下回る額にとどまっている。プライムMMFは企業や米国内外の銀行が短期のドル建て資金調達のため数十年前から発行してきたコマーシャルペーパー(CP)の主な買い手だ。
  プライムMMFからの需要が抑制された結果、他のマネーマーケット証券と比べたCP金利の相対的な水準が上昇し、現在は金融危機以来の高さとなっている、このため借り手は短期金融市場のレポ取引など、他の資金調達手段を模索している。一方、投資家も、ほとんどのMMFが低利回りの米短期債を抱えていることから危機感を抱いている。さらに、最も安全な米国債のみを購入するガバメントMMFへの大掛かりなシフトに伴い、米議会が長くくすぶり続けている債務上限問題を解決できない場合は障害が生じる可能性も出ている。

原題:Money-Funds Overhaul Spurs Shakeup of Dollar Financing Markets(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONT32L6TTDS001

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/655.html

[政治・選挙・NHK223] 日米韓、対潜水艦で初の共同訓練 北朝鮮けん制 首相、日ロ共同経済活動しっかりやる 共謀罪5月成立へ 日欧EPAが交渉再開
日米韓、対潜水艦で初の共同訓練 北朝鮮けん制
2017/4/3 20:46
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 海上自衛隊は3日、米海軍、韓国海軍と共同で潜水艦を探索・追跡する訓練を3〜5日の日程で実施すると発表した。日米韓3カ国による対潜水艦の訓練は初めて。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発を進める北朝鮮をけん制する狙いがある。

 海自によると、訓練は九州西方の公海上で実施。海自から護衛艦「さわぎり」やP3C哨戒機などが参加し、模擬潜水艦を3カ国が連携して探索、追跡し情報を共有する。韓国国防省は、訓練の目的をSLBMなど北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威に対応するためだと説明している。

 北朝鮮は昨年、相次ぎSLBMを発射し、8月には約500キロメートル飛行させたミサイルが日本の防空識別圏内に落下した。SLBMは地上発射のミサイルに比べ、潜水艦が海中を自由に動き回るため発射を探知しにくく、日米韓は警戒感を強めている。

 

日欧EPAが交渉再開 ルール分野で歩み寄り目指す
2017/4/3 20:40
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 日本と欧州連合(EU)は3日、経済連携協定(EPA)の首席交渉官会合を都内で再開した。3月に安倍晋三首相がトゥスクEU大統領らと交渉加速で合意して以来の会合で、投資やサービス貿易などのルール分野で歩み寄りを目指す。

 EUのペトリチオーネ首席交渉官は3日の会合の冒頭、「できるだけ早く交渉を終わらせるという約束はEU側で共有している」とあいさつ。日本の鈴木庸一首席交渉官も「安倍首相の訪問の意味を考えてこの2、3週間準備してきた」と応じた。

 投資では政府と企業の間で紛争が生じた場合の投資裁判所の新設などを議論する。サービス貿易でも、日本側の金融や保険市場の開放や、EU側のビザ発給要件緩和などで詰めの議論を進める。公共工事でも、地方自治体の入札の開放などを話し合う。

 日欧EPAは2013年に交渉を開始。16年中の合意を目指したが、関税交渉などで折り合えず17年に持ち越していた。日本は今回の交渉から、外務省経済局長や駐仏大使など欧州や通商分野の経験が豊富な鈴木氏を首席交渉官に起用し、交渉を加速する姿勢を打ち出している。3月の日EU首脳会談では、年内の大筋合意をめざす方針を確認している。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H73_T00C17A4PP8000/

 

与党、「共謀罪」5月中の成立目指す 野党「廃案に追い込む」
2017/4/3 20:45
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 自民、公明両党は3日、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を6日に審議入りさせる方針で合意した。4月下旬の衆院通過、5月中の成立を目指す。野党は「廃案に追い込む」(民進党の野田佳彦幹事長)などと反発を強めており、審議日程は遅れる可能性もある。

 与党は衆院法務委員会で、契約ルールを見直す民法改正案を早期に可決し、来週中にも「共謀罪」法案の実質的な審議に入る考え。公明党が優先して審議すべきだと主張していた性犯罪を厳罰化する刑法改正案は「共謀罪」法案の衆院可決後に審議入りする方向だ。同党の山口那津男代表は3日、記者団に「(刑法改正案も)会期内に成立させるべく頑張りたい」と述べた。

 「共謀罪」法案を刑法改正案に先立ち審議することについて民進党の野田氏は記者会見で「国会のルールにも世論にも反する。断じて認めることができない」と批判。共産党の小池晃書記局長は会見で「提出順でいけば刑法改正案を次にやるのが筋だ。順番が違う」と強調した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H6Q_T00C17A4PP8000/
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/523.html

[政治・選挙・NHK223] 首相「活動を支援」監査法人監督の事務局開設 日ロ共同経済活動「しっかりやる」 監査法人監督の常設事務局を開設 都内で開所
首相「活動を支援」監査法人監督の事務局開設
2017/4/3 21:16
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 安倍晋三首相は3日、監査監督機関国際フォーラム(IFIAR)の事務局が日本に開設されることについて「グローバル経済の持続可能な成長のために重要だ。活動を支援する」との祝辞を発表した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC03H1B_T00C17A4EE9000/

監査法人監督の常設事務局を開設 都内で開所式
2017/4/3 21:15
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 監査法人の監督当局でつくる「監査監督機関国際フォーラム(IFIAR)」が3日、都内に本部常設事務局を開設した。金融分野の国際機関が日本に本部を置くのは初めて。アジアの一員である日本に本部を置くことで、中国やインドなど経済成長が続く国々のIFIARへの加盟を促す役割などが期待されている。

 3日に行われた事務局開所式に出席した麻生太郎金融担当相は「IFIARが本部事務局を東京に設置することを決めたのをとても光栄に思う」と話した。

 IFIARは各国の監査監督当局の協力・連携の場として2006年に発足。52カ国・地域が加盟している。これまでは常設の事務局がなかったが、国際的に監査の質の向上が求められるなか、事務局をつくって情報共有を密にする狙いがある。

 日本は事務局誘致に立候補し、昨年行われた投票で参加国から賛成多数を得た。事務局を置く日本にとっては各国の情報がいち早く入るほか、監査法人への国際的な規制の議論が始まれば有利に意見が働くとの期待もある。

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首相、日ロ共同経済活動「しっかりやる」 鈴木宗男氏と会談
2017/4/3 20:32
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 安倍晋三首相は3日、鈴木宗男元衆院議員と首相官邸で会談し、昨年12月に首相とロシアのプーチン大統領との会談で合意した北方領土での共同経済活動について「しっかりやっていく」と表明した。会談後、鈴木氏が記者団に明らかにした。

 首相が27日を軸に調整しているロシア訪問についても意見交換。首相は「(プーチン氏との)信頼関係の構築が一番だ」と述べたという。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H73_T00C17A4PP8000/
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/524.html

[国際18] 南米各国の左派政権、苦戦続く ベネズエラ混乱収束せず  スペイン中銀1−3月成長率0.8%見込17−19年見通し上方修正
南米各国の左派政権、苦戦続く ベネズエラ混乱収束せず
2017/4/3 20:43
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 【サンパウロ=外山尚之】南米各国の左派政権が苦戦を続けている。エクアドルで2日実施された大統領選の決選投票は、左派候補のレニン・モレノ前副大統領(64)がかろうじて勝利を宣言したが、第1回投票から右派候補に大きく差を詰められた。ベネズエラでは議会の機能停止を命じる最高裁の決定を巡る混乱が収束しない。資源依存の経済構造の改革を怠ったという各国共通の課題が、左派政権の退潮に拍車をかけている。

 2日夜、選挙期間中と同じく車椅子に乗り支持者の前に姿を現したモレノ氏は「エクアドルの革命は再び続く」と宣言した。貧困者の福祉向上や積極的な公共投資など、現職コレア大統領の「大きな政府」路線の継承を誓い、喝采を浴びた。

 華々しい勝利宣言とは裏腹に、得票率は51%と伸び悩んだ。2月の第1回投票では右派の野党候補で元銀行頭取のギジェルモ・ラソ氏(61)に11ポイントの差をつけたが、コレア路線の否定を掲げるラソ氏に追い上げられ、事前の世論調査では一時逆転を許す場面もあった。

 4年前の大統領選では第1回投票でコレア氏がラソ氏にダブルスコア以上の差をつけて圧勝しており、左派政権の勢いの陰りは隠しようがない。ラソ氏は2日夜時点で選挙に不正があったとして敗北を認めていないが、接戦に持ち込んだことで政権に対する影響力が増すとみられている。

 コレア政権下で年4%以上の高成長を誇ったエクアドルだが、資源価格の下落や昨年の地震の影響で2016年はマイナス成長に落ち込んだもよう。輸出総額の半分を占めた石油関連の歳入が半減しかつてのような財政支出が難しくなる中、新大統領は限られた手札で失業率の悪化などの問題に追われることになる。

 産油国ベネズエラでも左派政権の苦境は鮮明だ。3月末、マドゥロ大統領の影響下にある最高裁は野党が多数派を占める議会の機能停止を決定。国際社会や国内の野党勢力の猛反発を受け1日に撤回したが、米州機構(OAS)から「民主主義の終わりだ」と非難されるなど傷は浅くない。

 建前としての三権分立さえかなぐり捨てる姿勢からは、目前に迫った財政破綻を避けるために手段を選べない事情がうかがえる。ロイター通信など欧米メディアは野党勢力の声として、ロシアなど外国資本を石油産業に呼び込むため、障壁となっていた議会の影響力を取り除くために政府が事を急いだとの見方を伝える。国際社会の視線が厳しくなる中、今後も綱渡りの状況が続く。

 足元の資源相場は上昇傾向で、アルゼンチンやブラジルの政権交代時に比べて左派政権への向かい風はやや弱まった。とはいえ、資源ブーム時のバラマキという負の遺産は政権運営の重荷となっており、南米各国は今後も難しいかじ取りを迫られそうだ。

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スペイン中銀:1−3月成長率0.8%見込む−17−19年見通し上方修正
Maria Tadeo
2017年4月3日 20:03 JST

スペイン銀行(中央銀行)は、同国経済成長が1−3月(第1四半期)に加速したとの見積もりを示した。3年越しの回復は勢いを増しているもようだ。
  スペイン中銀は3日公表した最新の経済見通しで、1−3月期成長率は0.8%との推計を示した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の中央値では0.7%が見込まれている。スペイン統計局(INE)は28日に1−3月の国内総生産(GDP)統計を発表する。
  同中銀は2017−19年の経済成長率見通しを上方修正。世界経済の見通し改善が輸出の追い風になる期待と国内経済が勢いを増していることを理由に挙げた。中銀によると、今年の経済成長率は2.8%で、18年に2.3%、19年は2.1%に減速する見通し。これまではそれぞれ、2.5%と2.1%、2%と予想していた。
原題:Spain Growth Picked Up at Start of the Year, Central Bank Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONTXTE6K50XV01
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/816.html

[経世済民120] 日銀短観:大企業・製造業DIはプラス12、2期連続の改善 日本株反発、景況改善や設備投資増 外資系金融機関:賞与に不満増
日銀短観:大企業・製造業DIはプラス12、2期連続の改善
日高正裕
2017年4月3日 09:15 JST更新日時 2017年4月3日 10:49 JST
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• 非製造業もプラス20と改善−先行きは製造業、非製造業ともに悪化
• 17年度想定為替相場は1ドル108円43銭と円安方向に
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日本銀行が発表した企業短期経済観測調査(短観、3月調査)の大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は昨年12月の前回調査に続き2期連続で改善した。輸出、生産が持ち直していることが景況感を押し上げた。
キーポイント
• 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス12と前回調査から2ポイント改善ーブルームバーグ調査の予想はプラス14
• 非製造業はプラス20(前回調査プラス18)と2015年9月調査以来6期ぶりの改善−予想はプラス19
• 先行きは製造業がプラス11、非製造業はプラス16へいずれも悪化
• 17年度の為替相場の想定は1ドル=108円43銭と、16年度想定レート(107円30銭)から円安水準に設定


背景
  日銀は3月16日の金融政策決定会合後の発表文で、海外経済の緩やかな成長が続く下で、輸出が「持ち直している」ほか、企業収益が改善する中で設備投資は「緩やかな増加基調にある」と指摘。個人消費も雇用・所得環境の着実な改善を背景に「底堅く推移している」中、鉱工業生産は在庫調整の進ちょくを反映し、「持ち直している」と評価した。
  一方、政府が23日発表した3月の月例経済報告は「景気は一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」との基調判断を維持。個人消費の判断を3カ月ぶりに上方修正したほか、企業収益も2カ月連続で判断を引き上げた。
  為替相場は足元でドル安円高方向に振れているものの、16年度の想定レートより大幅な円安水準で推移している。短観発表後の為替相場は1ドル=111円20銭前後で推移している。
エコノミストの見方
• 農林中金総合研究所の南武志主席研究員は発表後の取材で、「素直に改善していることを評価すべきだ。業種ごとにばらつきはあるが、景気は悪くない」と述べ、改善傾向にある輸出が生産や設備投資に良い影響を与えており、業績も良いと指摘。一方で、トランプ米政権の通商政策や英国の欧州連合(EU)離脱の不透明さがあるため、先行きは慎重にならざるを得ないとしている。
• みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで、短観は「日本経済が緩やかな回復を当面続けそうだという見方を裏打ちする内容になった」としながらも、「金融市場の環境が急変して円高・株安が急進行する場合には、本質的に『エースピッチャー不在』の日本経済は、腰折れの危機にたちまち直面することになる」との見方を示した。
• 三井住友銀行の西岡純子チーフエコノミストは発表後の取材で、「内外に不透明要因が多い中、緩やかな回復が続いているという内容をサポートする材料になる」と述べた。その上で、シナリオ通りに景気が緩やかに回復し、マクロ的需給バランスも引き締まっていることから、日銀は「現状の金融緩和政策スタンスを維持しても良いという容認姿勢だ」としている。
詳細
• 17年度の大企業・全産業の設備投資計画(含む土地投資額)は前年度比0.6%増−16年度は1.4%増と前回調査(5.5%増)から下方修正
• 中小企業の業況判断DIは、製造業がプラス5、非製造業がプラス4といずれも改善−先行きは0とマイナス1へ悪化見込む
• 全規模・全産業の生産・営業用設備判断DI(マイナス2)は1992年2月調査(マイナス2)以来の不足超幅
• 全規模・全産業の雇用人員判断DI(マイナス25)は92年2月調査(マイナス31)以来の不足超幅
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONGQZI6JTSEJ01

 

 


日本株は反発、景況感改善や設備投資増−食料品など内需関連高い
鷺池秀樹
2017年4月3日 07:58 JST 更新日時 2017年4月3日 15:42 JST

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日銀短観の大企業・製造業DIは2四半期連続で改善
ドル・円は1ドル=111円10−40銭台、円高警戒残り上値を抑制

3日の東京株式相場は反発。名実ともに新年度入りし前週末の下げの反動が期待される中、日本銀行の企業短期経済観測調査(短観、3月調査)で景況感が改善した。設備投資計画も強く、国内景気期待から食料品やサービス、小売といった内需関連株が上昇した。
  TOPIXの終値は前週末比4.43ポイント(0.3%)高の1517.03、日経平均株価は73円97銭(0.4%)高の1万8983円23銭。TOPIXは4日ぶり、日経平均は3日ぶりに上昇した。
  三井住友アセットマネジメントの石山仁チーフストラテジストは「設備投資が増え始めていることが短観で確認でき、安心感が広がった」と指摘。今後は設備投資が「賃金の上昇や個人消費につながっていくかを見極める」局面になるという。
 
  日銀が取引開始前に発表した短観では、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がプラス12と、昨年12月の前回調査(プラス10)に続き2四半期連続で改善した。大企業・非製造業もプラス20と前回調査のプラス18から改善した。2017年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比0.6%増、全規模・全産業の雇用人員判断DIはマイナス25と1992年2月調査(マイナス31)以来の不足超幅。バークレイズ証券の永井祐一郎エコノミストらは「世界的な景況感改善を受けて企業マインドが改善した」とリポートで指摘し、設備投資計画は「前向きな材料」とした。
  大企業・製造業の17年度の想定為替レートは1ドル=108円43銭。現水準は3円程度バッファーがある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資情報部の鮎貝正弘シニア投資ストラテジストは「日経平均の株価収益率(PER)が15倍台と過去の平均14倍台後半より高いのは、円安による業績上乗せ分を織り込んでいるため」とみている。
東証ロゴ
東証ロゴ Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  きょうの日本株は午後に上げ幅を拡大、日経平均は一時159円高となったものの終盤に失速し、終値は心理的節目の1万9000円を超えることができなかった。3月31日に発表された2月の米個人消費支出(PCE)の伸びは前月比0.1%にとどまった。米10年債利回りは前日から3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し2.39%となった。米S&P500種株価指数は前日比0.2%安の2362.72だった。
  東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは「米国景気が年後半にかけて強含むとの見方が後退している」と話していた。きょうのドル・円相場は1ドル=111円10−40銭台と、31日の日本株終値時点の111円87銭から円高・ドル安で推移、金融や自動車などの輸出関連が相場の足を引っ張った。
  東証1部33業種は、任天堂を含むその他製品、食料品、倉庫・運輸関連、サービス、小売、医薬品、建設など24業種が上昇。石油・石炭製品、非鉄金属、鉄鋼、銀行、保険、証券・商品先物取引など9業種は下落。

  売買代金上位では、子会社の合併発表を受け事業効率化へ手綱を緩めない点が好印象とアナリストが指摘した東京エレクトロンが上昇、2月の建設統計好調で大成建設や鹿島など大手ゼネコン株も高く、セブン&アイ・ホールディングスやオリエンタルランドも上昇。半面、昨年4−12月期決算の発表が再度遅れる可能性が懸念される東芝、中期経営計画を下方修正した第一生命ホールディングスが下落。
東証1部の売買高は20億1502万株、売買代金は前週末比12%減の2兆2692億円
値上がり銘柄数は1087、値下がりは804
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-02/ONSZYT6KLVR401

 


外資系金融機関:「賞与に不満」4割に大幅増−日本の従業員調査
日向貴彦
2017年4月3日 11:49 JST更新日時 2017年4月3日 15:27 JST

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• 2017年に基本給増加を見込む外資系社員は5ポイント減
• 「ビジネス回復も、ボーナス減少で落胆」−キィデァゼス氏

日本で営業する外資系金融機関で、今年の賞与に不満だとする従業員の割合が増加、また給与アップを見込んでいる社員の割合は昨年より減少したことが、人材コンサルティング会社モーガンマッキンリーの調査で分かった。
  銀行、証券、資産運用会社など約40社の主に外資系金融機関の東京オフィスに勤務する257人のうち、40.2%がボーナスに不満と答え、昨年調査の27.6%から大幅に増えた。また、今年に基本給(ベースサラリー)の増加が期待されると回答した社員は51%で、昨年の56%から減少した。

  モーガンマッキンリーで日本業務を統括するライオネル・キィデァゼス氏はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、「多くの金融機関でビジネスが大きく回復したものの、ボーナスが横ばい、もしくは減少したことが落胆につながったのだろう」と分析した。
  アイルランドに本拠を置くモーガンマッキンリーは、日本の外資系金融機関で合併・買収(M&A)担当バンカー、セールス、トレーダー、リサーチアナリスト、ファンドマネジャー、法務担当者、リスク管理者などを対象に2月15日から3月7日にかけて約1000人に調査を試みた。
日本経済の見通しは「ポジティブ」
  外国証券などで働く社員のボーナスについて、同社のマネジングディレクターであるキィデァゼス氏は、「バンカーたちが家に持ち帰った賞与がより少なくなったことは明らかだ」と述べた。賞与が増額した人の割合は27%にとどまったという。
  一方で、日本経済に対して明るい見通しを持っていることも判明した。今後12カ月の見通しについて、「中立」、「ポジティブ」、「かなりポジティブ」と回答した従業員は84%に上った。16年の調査の63%から上昇した。
英語記事: More Bankers Unhappy With Bonuses at Foreign Firms in Japan (1)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONO8BS6JIJUP01

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/656.html

[経世済民120] 不幸の連鎖、男性の3人に1人「生涯未婚」時代「親が死んだら天涯孤独」と少子化問題 難点が多すぎる教育国債、財政事情の悪化
不幸の連鎖、男性の3人に1人「生涯未婚」時代

「親が死んだら天涯孤独」と少子化問題のゆくえ

パラシュート無き落下の日本学 首都圏の今後
2017年4月4日(火)
山本 一郎

 日本の少子化の原因は、未婚割合の増加が第一にある。国内で行われるすべての調査や少子化関連の研究が指し示す結論はひとつだ。結婚をした夫婦が子供を産むことがマジョリティである日本においては、子供を増やすにあたって求められることは国民が結婚をすること、同時になるだけ早く結婚し初産を若い年齢で行うこと、夫婦の間で子供を持つ人数をできるだけ増やすことがすべてである。

ひとりぼっちリスクは、死亡リスク

 生涯未婚となってしまう独身男女の人生の一番の特徴は、ただただ早死にが避けられないことだ。未婚者と既婚者を比較した死亡率の差異で見ると、本来死亡率が低いはずの45歳から64歳の未婚男性は同じ年齢層の既婚男性より2.0倍から2.4倍程度高くなる[1]。同じく、伴侶に先立たれた男性も、生活リズムの変化や食事内容の劣化、家庭内での話し合える人の喪失など、女性に比べて高い「ひとりぼっちリスク」を抱えることになる[2]。とりわけ、有意に死亡率が高くなるのは糖尿病や心疾患、肝疾患といった、生活習慣に起因する割合の高い疾病が重症化することだ。それも、独身であるというだけで、25歳以降のすべての年齢層で死亡率が高くなる傾向は特筆してしかるべきだろう。男性ばかりを強調するようだが、女性も男性ほど死亡率が高いというわけではないというだけで、リスク自体は既婚女性よりも高くなっている。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/022700044/032900003/g2.png

 また、生活習慣病とは別に、同居する人がいない場合の肺炎による死亡リスクが高くなることは考慮に入れておいたほうが良い。肺炎による死亡リスクは45歳から64歳で独身男性が5.1倍、女性が5.9倍とみられる[1]。また、どの年代層も一人暮らしは肺炎の死亡リスクが常に高い。重症化する肺炎による死者の増加は、一重に看病してくれたり通院に付き添ってくれる人物の有無に関係するものと考えられる。突然死や、死後日数が経ってから発見される特殊死亡例も、本人が頭や胸の痛みに気付いて気を失うまでの間に救急車を呼ぶなどの行動がとれなかったからこそ起きることである。生活を安全かつ健康に送っていくうえで「共に暮らす」結婚の重要性は間違いなくあるといえよう。結婚かどうかに限らず、人生において長く同居してくれる人、何かあったときに助けてくれる人がいるかどうかで、全年齢での死亡リスクに大きな変化があることはもっと広く知られても良いことである。

 どちらにせよ、人間は結婚も含め同居人のいる生活を送ることで生活のリズムを整えるだけでなく、発作など不慮のリスクや経済的、心理的不安を緩衝することができるのだろう。日々の語らいや談笑を通じて、将来に対する不安からくるストレスを解消する側面もあるだろう。

340万人が未婚のまま暮らす、2030年の東京

 本連載の前項でも触れたが、高齢社会において未婚のリスクは死亡率に留まらない。もっとも大きいのは認知症や犯罪傾向であり、日々の話し相手が家庭内にいないことで高齢になってから社会から切り離された存在になっていく。若いころに自由で気ままな暮らしを求めて独身生活を謳歌する代わりに、高齢になってから孤独や生きることへの意義を喪失することに繋がる。現代社会は個人の選択を重視する以上、結婚や何らかの同居を強いることはできないものの、両親が死んだら天涯孤独になってしまう日本人が今後激増するとしたらどうだろうか。

 現状では、日本人男性の3人に1人、29%ほどが2030年には独身のまま一生を終える生涯未婚になると予想されている。生涯未婚率は、50歳の時点で一度も結婚したことのない人の割合を指す。同様に、女性は2030年にはおよそ19%ほどになると予想される。2016年は婚姻においてどちらか一方が再婚である割合も26%を占めるまでになった。また、一部の統計ではLGBTを中心として現行の結婚制度には馴染まないが事実上の同居も無視できない割合になっている。これらの現代社会に生きる日本人の生活様式に応じた多様化した結婚・同居像も話題になってきている。結婚だけが人生ではないが、ここまで身寄りのない独身男女が増えてそのまま高齢者になっていくとなると、やはり何らかの社会的な受け皿が必要になっていくであろう。そして、後述するがこれらの独身高齢世帯は2030年には東京都だけで95万人になり、予備軍となる独身世帯は250万人となる。親元に暮らす独身男女を合わせるとおよそ340万人が未婚のまま大都会東京都で暮らすことになり、親世代の死亡とともに相続や"年金パラサイト"で暮らせなくなった独身者が貧困問題を抱えながら家賃の安い埼玉や千葉に転出していく構造が浮き彫りとなる。

 結婚できない男女で一番の障害になるのは経済問題だ。所得が少なく仕事が不安定であるために結婚に踏み切れない20代男女は、調査によって数字は異なるが、結婚できない理由上位を「結婚資金がないから」と回答している。20代、30代の正規、非正規を問わず支払われる賃金自体は下げ止まっているが、上昇し続ける社会保障費負担もあって手取りは伸びず、賃金が今後上がる保証もないとなれば、結婚よりもまず自身の生活をきちんと安定させるという志向になるのは致し方のないところともいえる。

 2000年代ごろまでの独身像というのは、自由な暮らしをしたいから独身を貫くというスタイルであったが、昨今の独身は後述する通り、追いやられ型が大多数を占める。すなわち、経済的に貧困で稼ぎが悪く貯蓄も少ないので仕方なく独身でいるか、望むような相手を探しても見つからないので異性との交際もしないまま年を重ねて引き返しがつかなくなるケースが多いのだ。

絶望的に高いシングルマザーの貧困率

 一方で、未婚問題で避けて通れないのがシングルマザーの貧困率の絶望的な高さである。同居や出生が日本社会においては結婚という制度ありきになっているため、つい最近まで、離婚や婚外子によるシングルマザー問題に光が当たることはなく、貧困の再生産につながってきた側面がある[3][4]。母子世帯となってしまった理由の80.8%は離婚が原因であり、離婚後の母子世帯の年間平均年収は291万円とされる。ただし、これは平均値であり、養育に扶助をしてくれる近親者(子供にとっての母方の祖母など)がいるのといないのとでは雲泥の差がある。2015年の国民生活基礎調査では母子のみの世帯が79万世帯、父子のみの世帯が9万世帯となっており、片親だけで児童を養育している世帯は我が国の全世帯の2%に及ぶ。その2017年の母子世帯あたりの月間支出は279,249円と前年対比でマイナスになっている。ただしこれもあくまで平均値であって、非正規就労を強いられる母子世帯の収入・所得は非正規雇用の場合は125万円に落ち込む[3]。このわずかな収入で育児をするわけであり、貧困に陥らないはずがない。

 独身もさることながら、離婚や死別によって子供ごと貧困に陥る事例が事欠かないのが日本の結婚周辺事情である。結局のところ、人生においてもっともリスクの少ない暮らし方をしようとすると、結婚し、子供をはぐくみ、人生の最後まで伴侶と手をつないで生きていくことに他ならない。他国の事例を見ても喫煙や高カロリー食よりも独身のほうが人生を短くする要因と認知されており、独身の短命は我が国だけの現象ではない。少子高齢化を根本から考えるとき、我が国の出生率の低下や、結婚できない(しない)男女が増加していくプロセスは、熟考に値する。結婚制度を前提にする限り男女の同居を前提として、それを守り抜いていく暮らしを目指して夫婦で助け合って生きていくしか社会制度的にも生物としてもレールが無くなっているといえる。そして、人口減少の要因はこの結婚ができない男女の増加がそのままダイレクトに少子化に繋がっていることになる。

生涯未婚率の推移(将来推計を含む)

出所:国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2015年版)」、「日本の世帯数の将来推計(全国推計2013年1月推計)」
(注)生涯未婚率とは、50歳時点で1度も結婚をしたことのない人の割合。2010年までは「人口統計資料集(2015年版)」、2015年以降は「日本の世帯数の将来推計」より、45〜49歳の未婚率と50〜54歳の未婚率の平均である。
独身にとどまっている理由

(出所:国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査 独身者調査」)
交際経験なしでも結婚できる男性の条件は「年収」

 では、未婚男女において「結婚しない」人生を主体的に選択しているのだろうか。この手の調査で定番になっている国立社会保障・人口問題研究所の「第15回出生動向基本調査」では、17歳から34歳の独身男女5,276人で「いずれ結婚するつもり」と回答したのは男性85.7%、女性89.3%である[7]。あくまで、これは被験者の希望・意志にすぎないが、それだけ結婚したいと思ってはいることの証左でもある。ある程度の年齢までに結婚しようと考える未婚者は過半数であって、基本的には多くの日本人は良い相手がいれば結婚したいという「希望は持っている」ということは分かる。逆に若いころから「一生結婚するつもりはない」と回答する割合はおおむね1割以下にとどまっており、日本社会における結婚制度の存在の大きさが見て取れる。

 しかしながら、実際には30代未婚男性のおよそ3割が「女性との交際経験なし」である[8]。女性との交際経験がなくとも、お見合いや、地域の補助などで結婚に漕ぎ着ける男性も30代以降では毎年合計4%弱ほどいるが、交際経験がなくとも結婚できる男性のただ一つの条件は年収にある。逆に言えば、所得の低い非正規雇用に喘ぐ男性は、たとえ若かったとしても、民間サービスによっては婚活マッチングに自分を登録することすら断られるぐらい、成婚率が低くなってしまう。30代後半で年収200万円以下の層が民間サービスで登録して結婚相手を見つけられる確率は絶望的な数字となる。安定した生活を実現できる年収のある男性を選びたいという女性からの求婚ニーズに遠すぎて、登録しても相手を紹介されないのだ。統計的に見ると、30代未婚男性でそれまで女性と交際経験がない人は、年代によっても異なるが概ね20人に1人以下しか結婚することができない。

 実際に、女性が結婚相手の男性に求める年収で400万円以上と答える割合は20代で61.7%、30代で65.8%になる[8]。一方で、25歳から29歳男性の最頻値を中心とした50%の収入は290万円〜350万円であり、30歳から34歳は平均こそ438万円となるが400万円以下で区切ると63%から69%程度になる[10][11][12]。つまり、男性の所得は20代では極端に大きな差はつかないものの、学歴、正規雇用、都市部か地方かなどによって大きな差がつき始めるのが30代ということになる。そして、ここで年収が一定のラインに満たない30代は、結果として結婚願望はあったとしても求婚女性の求めるハードルをクリアできず、結婚や交際には至らない。

 一方で、経済状態が改善に向かう男性は結婚意欲に良い変化をもたらす。生活の安定や収入の増加が具体的にみられる非正規雇用から正規雇用への進展が実現すると、おおむね5割程度であった結婚意欲が80%弱にまで向上することが分かっている[13][14]。実際に、追跡調査において年収の増加が見込める環境の変化が男性の結婚意欲に大きな影響を与えることは、結婚相談所など民間サービスにおいても著明な事実として把握されており、実際に転職後に結婚サービスを申し込み、交際相手を見つけて結婚に漕ぎ着けるケースは少なくない割合存在するとみられる。正社員になれたので、結婚にも前向きになるという男性像は年齢を問わず普遍的にみられる現象だ。

20代前半女性は共働き志向が強まるが…

 逆に、離婚理由の上位には毎年必ず夫の失職などの経済事情が入っており、結婚生活における経済の安定は重要な要件となっていることが理解できよう。当たり前のことだが、夫婦間の情愛と経済状況については常にリンクしており、現代社会においてはそのような諸条件をクリアして初めて子供を夫婦間で儲ける、子供を2人ではなく3人養うといった要因になる。そうなると、現代社会においては女性が男性に高い年収を求めることが一般的であり続ける限り、ある程度年を経た男性が厳しい雇用状況に直面すると、これらの低所得の30代以上男性層はごっそり結婚の検討相手から外れることになってしまうことになる。30代中盤までで有利な経済基盤を築ける転職ができる男性は一握りで、年収600万円以上の20代30代男性は5%程度であることを考えると年収以外の何かで女性が妥協できなければ結婚できないのが日本社会の状況になっていると言えるだろう。

 昨今の20代男女の結婚事情でみると、20代後半女性が10年以上前からずっと男性に対し厳しい年収ハードルを掲げ続けているのに対し、最近の20代前半女性は共働き志向が強まり、夫婦が一体となって家庭を築き子育てに励もうとする意識の変化も垣間見える。結婚した後も仕事を続けると回答する独身女性は2002年から2012年にかけて41.8%から44.6%へ増、また出産した後も仕事を続けると回答する独身女性も51.3%から65.1%に増えたのに対し、出産後は仕事をやめると回答した独身女性は24.5%から6.9%に減少している[14]。実際に、出産前有職であった第一子出産女性が出産後も働く割合は、2001年出産の32.2%から2010年出産の45.8%と13ポイントも跳ね上がっている[15]。結婚願望の強い男女において、結婚の障害となっている経済事情を解決するために、共働きを積極的に選択し、出産後も両親で働きに出る社会環境が結婚を後押しする可能性は存在する。ただ、これらの積極的共働き派は、社会環境、とりわけ都市部の待機児童問題や貧困問題と密接に関係すると同時に、所得は低いけれどどうしてもこの人と結婚したいという20代前半特有の行動様式によるものであって、残念ながら30代男女の結婚願望に対する救済にはなかなかならないのが現状でもある。経済的に厳しいのは承知で結婚する、夫婦共働きは当たり前という社会環境を実現するためには、女性が求める結婚相手像の希望年収を大きく引き下げてでも結婚してこの人と暮らしたいという志向を、社会が前向きに受け止める必要がある。

 意識変化の胎動としては、強い地元志向、共働きの是認と、結婚・出産後も働き続けると回答する女性の有意な増加は、人口減少局面にある日本にとって大きな意識変化をもたらす可能性が高いとみられる。その代わり、出産・育児と女性のキャリア上課題となる問題をクリアしてなお雇用される職場は、平均賃金が低い。女性が働きたいと思っても、それに見合う所得が得られる職場が少なく、また子供を預けて働きに出ようにも受け入れてくれる保育園や学童施設が乏しければ、せっかく回復の兆しを見せる若者の結婚志向にも水を差すことになりかねない。

性差による年齢志向は依然として根強い

 婚活女性における男性の判断基準が年収にあるとするならば、長らく婚活男性の女性の価値は「年齢」にあった。男性の結婚願望に対するハードルである「自分よりも若い女性と結婚したい」という基本的な価値観念から逃れられず、希望する女性に巡り合えないまま30代後半まで独身で来てしまう傾向が強いことだ。結婚相手に求める内容は概して女性が男性に求める傾向が強いが、男性は唯一「容姿」に関しては女性よりも多くを求める[7][13]ことからも、全年齢の男性求婚者の傾向は見て取れよう。ただし昨今の調査では男性の求める結婚相手で同じ年を求める回答が41.9%と10年前の29.4%から激増しているところから現実的な判断になりつつあることが確認できる。逆に、子供を儲けたいと望む男性は半数以上が35歳以下の女性と結婚したいと考えており、これは40歳以上を含むどの年代でもおおむね変わらないことから性差による年齢志向は依然として根強いと言える。

 そして、結婚市場において女性側から年収で足切りをされることになる男性にとって、同級生との結婚や親せき、友人からの紹介が得られない場合、低所得者ほど30代後半以降の結婚は絶望的になっていく。結婚したくてもできない理由は30代後半では過半数が「適当な結婚相手に巡り合わない」であり、男性にとっての結婚資金などの経済問題とあわせて年齢を重ねるごとに「結婚しない理由」から「結婚できない理由」へと変遷していくことになる[13]。

 交際経験のない30代後半や40代の男性求婚者は、20代の若い女性との結婚を望む傾向が強く、同様に30代後半で所得の高い女性は所得の高い男性を求める傾向が顕著になる。交際経験がないがゆえに、自分の商品価値を客観視できないか、長らく求婚活動をしてしまっているので安易にハードルを下げられないまま年を重ねてしまい、結果として結婚できないという事例に陥るのだ。

 これらの生涯未婚の問題は、時間とともに天涯孤独に、そして独居老人の増加という不可逆的な問題を引き起こす。男女ともに、独身が健康にもたらす悪影響は先に述べたとおりであり、2010年には65万人であった独居老人は、2030年には95万人と5割近く増加し、さらにこの結婚できない男女が増えていく[16]。東京都だけで予備軍は300万人、一都三県では480万人から540万人が2030年までに独居老人世帯となって、社会から切り離された健康リスクを持つ層として一角を占めることになる。

政策レベルで、結婚に踏み出せる支援策を

 繰り返し述べることになるが、現代社会においては国民に対して結婚を強いることはできない。本人の意志が如何に結婚をしたかろうが子供を欲しようが、適切な相手と相互に巡り合い、また本人同士の同意があって初めて結婚することになる。その相手が見つからない、相応しいと思う相手から選んでもらえなければ、独身でいるしかない。結婚しないことが本人の選択であり、本人の責任だということは簡単だが、いくら独身を謳歌していても基本的には疾病に罹りやすく死亡リスクが高くて社会保障費を若いころから費消してしまうことは避けられない。また、独身世帯は比較的所得が低く貧困に喘ぐケースも多く、シングルマザーなど母子家庭、父子家庭以外は子供も儲けていないために救済の手段も乏しい。

 それでも日本に生まれ、同時代を生きた日本人として、事前(プレ)と事後(アフター)の対処策は考えていかなければならない。まず少子化対策タスクフォースでも重点課題として取り上げられている通り、結婚を考える若者に対して仕事の安定と家庭を築くに足る報酬をどう保障し実現していくのかという主題が事前対応の主眼となる[17]。しかしながら、政府が国民の結婚を実現するために素晴らしい雇用環境が実現してほしいと願ったところで若者がある日突然結婚できるだけの仕事や報酬が降ってくるわけではない。あらゆる政策を総動員して景気を良くしようとしてもそうはならないからこそ政府の経済成長政策は重要なのである。ボトルネックは就業のあり方や生きるにあたっての将来性を明るく感じられるのかの一点にかかっており、重要であると提言する割にはどのように実現するのかについては極めて困難がつきまとう。

 その点で、合計特殊出生率が日本最低になっている東京都の打つべき方策として、住宅補助など生きるために必要な助成をピンポイントで打てる政策を打ち出すことが求められる。厚生労働省でも家庭と仕事の「両立支援制度」を利用しやすい仕組みや、男性の育児休暇を取れる仕組みなど出産後においての支援は充実してきているものの、その入り口となっている結婚に対して踏み込める支援策が政策レベルでは少ないのが現状だ[15]。次世代育成支援対策推進法にしても、基本的には結婚し、出産が終わった世帯の育児負担を軽減するところに主眼が置かれざるを得ない。結婚後の生活は多少楽になるかもしれないが、肝心の結婚に踏み切るための経済的余裕を実現できる政策はなかなか打ち出すことができないのだ。

 結婚相手の紹介に関する諸政策については、自治体や道府県が主体となって進められている事業が中心である。東京都では都が主催する「TOKYO 縁結日2017」が行われたが、あくまでイベントであって婚活・結婚支援サービスは市区町村レベルでの対応が主になっている。もちろん、政策で奨励し「結婚しなさい」「ハードルを下げなさい」と言い、結婚するカップルに助成金を出す仕組みを取ったところで、人生の一大事である結婚に数十万円程度のお祝い金を動機にするほうがおかしい。数十万もらえるから結婚しようという男女がいるだろうか。必然的に、政策面での後押しよりも、結婚しやすい社会環境を心理的にどのように醸成するかが求められている。そしてそれは、もっとも政策を考える議員や公務員の方々が苦手とする分野であることに相違はなく、必然的に、人生の将来に危機意識を持つような後押しを世論として形成する以外ないのだろう。

都市も老いる…その未来に対する壮絶な絶望

 一方、事後(アフター)の問題は切実なものになる。今後、2030年に向けて1,800万人の未婚男女が社会的に孤立し、首都圏だけで500万人前後が独居老人になっていく予測となるならば、大きな社会変動の受け皿として公共や地域が受け持たなければならない役割は重大になっていく。つまり、人間と同じように都市も「老いる」。老い対策のために、若い人の活力をといっても、増え続ける高齢者の社会保障費を若い世代に担わせておきながら、さらに活力を持て、夫婦共働きで頑張れ、子供はたくさん生めといってもなかなか上手くはいかないだろう。

 必然的に、独居かどうかは別として高齢者は高齢者同士集住し、お互いを支えあう形での政策的アプローチを採用していくしか方法はないが、基本的に高齢者の意向を聞くとどの調査でも過半は「いま住んでいる居宅に住み続けたい」という傾向が大多数を占める。他方、東京都の場合は持ち家比率は50%前後と全国平均よりも低く借家住まいが多いうえに、今後10年ほどで30万人ほど増えるであろう現在40代から50代の独身男女は、徐々に親世代の死去とともに独居世帯になって、60代を迎え始める。その過半は引き続き働き続けるものの、すでに所得のピークは過ぎており、現状の地価水準では暮らせなくなる低所得者から順に家賃の安い郊外へと転居をしていく可能性がある。2030年に向けての日本人の独身の理由は「結婚資金が乏しく経済的に不安」「相応しい相手が見つからない」である以上、形を変えた貧困問題であるだけでなく、未来に対する壮絶な不安感、絶望が横たわっているといっても過言ではないのだ。

積極的な都市開発ではなく、縮小前提の政策を

 そうなると、東京都では湾岸地域を中心に都内のファミリー世帯が流入し激増する一方、低所得の独身世帯が郊外へとシフトしていくことになる。東京都は、これから稼ぐ若者世帯の集積化に対応しなければならない一方、充分に暮らせない高齢者対策を同時に行うという難易度の高い都市開発を行っていかなければならないことを意味する。また、埼玉、神奈川、千葉の三県は、東京都をドーナツの中心としたベッドタウン、郊外型経済が縮小すると、過疎化し猛烈に地価の下落に見舞われる外縁部の再編を余儀なくされるであろう。

 今後増えていく独身世帯を抑えきれなければ、独身世帯の高齢化がもたらす社会事情に対して政策的に解決していかなければならない。そうなると、むしろ必要となるのは積極的な都市開発ではなく、この地域には居住すると不利になるという地域を指定して、住むことに適した地域に安定した縮小前提の政策を考えるほかない。

 この人口の急激な減少と日本の社会システムの抜本的な見直しが必要な件については、首都圏が抱える構造的な問題と、それに伴う「東京一極集中批判」が論議の中心となっている。未来の首都圏を見据えるうえで重要なこの議論について、次回は首都圏の人口未来図から読み解く政策論を考えたい。

<参考リンク>
[1] 厚生労働省人口動態統計(2016年度)

[2] 国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成24年1月推計)

[3] ひとり親家庭等の現状について(厚生労働省 2015年)

[4] ひとり親家庭の支援について(厚生労働省 2014年)

[5] 国民生活基礎調査(2015年 厚生労働省)

[6] 家計調査(二人以上の世帯)平成29年(2017年)1月分速報 (2017年3月3日公表)(総務省)

[7] 国立社会保障・人口問題研究所 第15回出生動向基本調査

[8] 明治安田生命 結婚に関する調査 結果概要(2013年)

[9] 平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

[10] 年齢別平均年収ランキング(DODA)

[11] 賃金構造基本統計調査(厚生労働省 2015年)

[12] 民間給与実態統計調査(国税庁 2013年)

[13] 30代後半を含めた近年の出産・結婚意向 (鎌田 健司 2013年)

[14] 第4回 21世紀成年者縦断調査(平成24年成年者)及び 第14回 21世紀成年者縦断調査(平成14年成年者)の概況(厚生労働省 2015年)

[15] 仕事と家庭の両立支援対策について(厚生労働省)

[16] 東京都の高齢社会について(東京都政策企画局 2015年)

[17] 少子化社会対策白書 第2節 結婚・出産の希望が実現できる環境を整備する。 (内閣府 2016年)

このコラムについて

パラシュート無き落下の日本学 首都圏の今後
少子高齢化が進み、人口減少時代を迎えた日本。課題は多く、即効薬はない。しかし、手をこまぬいているわけにはいかない。パラシュートを付けずに落ちるに任せるわけにはいかない。まずはリアルなデータを基に現状を見つめ直すところから始めよう。例えば、声高に叫ばれる「地方の衰退」だけでなく、「首都圏の老朽化」も深刻だ。貧困、孤立がもたらす「高齢者犯罪」などもまた、暗い影を落とす。もう、浮かび上がってきた難題から目を背け、やり過ごそうとするのはやめよう。打つべき手を、打つために。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/022700044/032900003/


 


日経ビジネスオンライン
難点が多すぎる「教育国債」というアイデア

上野泰也のエコノミック・ソナー

財政事情の悪化、世代間の不公平などの懸念も
2017年4月4日(火)
上野 泰也

安倍首相は1月20日の施政方針演説で、「誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない」と訴えた(写真:Motoo Naka/アフロ)
「教育国債」構想が自民党内で浮上

 使途を教育に限定した「教育国債」構想が自民党内で文教族を中心に浮上しており、プロジェクトチーム(PT)が5月の大型連休明けをめどに提言をまとめるという。公明党もPT設置を決定。野党である民進党にも「子ども国債」という同様のアイデアがある。

 ことの発端は、安倍首相が1月20日の施政方針演説で、「誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければなりません」と述べたことだとされている。日本維新の会が憲法改正による教育の無償化を主張していることをにらみ、憲法改正論議を加速させようとする狙いも、自民党内のそうした動きには含まれているという。

「教育国債」は赤字国債の一類型にすぎない

 だが、財政法第4条が規定しているのは、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる」ということ。これに当てはまらない(建設国債ではない)以上、「教育国債」という名前の新しい国債は結局のところ、赤字国債の一類型にすぎないことになる。大規模な長期国債買い入れによって日銀が長期金利を需給面から低位に押さえ込んでいるため、債券市場の健全な価格形成機能が損なわれており、「悪い金利上昇」という財政への警告シグナルが出てこない。そうした中で財政規律が緩んでいることが、こうした構想の浮上によって、間接的に示されていると言えるだろう。

 この「教育国債」という構想に内在している主要な問題点は、以下の通りである。

問題点1 財政事情がさらに悪化

(1)国の借金がさらに増えて、すでにきわめて悪くなっている財政事情がさらに悪化する。文部科学省の試算によると、大学など高等教育の無償化に約3兆1000億円、現在は所得制限がある高校無償化の完全実施に約3000億円、幼稚園・保育園など幼児教育の無償化に約7000億円、合計で4兆円を超える財源が必要になる。

問題点2 大学などに進学するか否かで不公平が発生

(2)「教育国債」の償還財源(税金)は広く国民が負担することになるので、子どもが大学などに進学する(している)世帯とそうでない世帯の間に不公平が発生する。ちなみに、高等教育機関への進学率(就学率)(過年度卒を含む)、すなわち18歳人口(3年前の中学校卒業者及び中等教育学校前期課程修了者)に占める大学・短期大学入学者、高等専門学校4年在学者及び専門学校入学者の割合は、80.0%。うち大学が52.0%である(2016年度学校基本調査)<■図1>。時代の流れとともにずいぶん高くなってきたものの100%というわけではない。保険料を徴収する方式をとる場合にも、こうした不公平が生じてしまう。

■図1:高等教育機関への入学状況(進学率)

(出所)文部科学省
問題点3 子の世代へ教育費負担を「ツケ回し」

(3)突き詰めて言えば現役世代(親の世代)から将来世代(子の世代)への教育費負担の「ツケ回し」だという強い批判を浴びやすい。将来不安ゆえに若年層では支出抑制・貯蓄積み増し意欲が根強いとされているが、そうした傾向が強まることにもなりかねない。

問題点4 大学の淘汰が進みにくくなる

(4)本来であれば進むはずの少子化時代における大学の淘汰が進みにくくなる可能性がある。「そもそも、大学などの授業料無償化は、学生の支援だけでなく、学生の確保に苦労している私立大学などへの『補助金』的要素がある。このため、自民党内でも『大学の淘汰を進める方が先』との声も出ている」という(3月10日 毎日新聞)。

人口減少トレンドを放置したままでは、メリットに限界

 筆者の持論に沿ってさらに踏み込んで言うと、日本経済(特に地方経済)の長期見通しが悲観に傾斜せざるを得ない最大の要因は人口(特に生産年齢人口)の減少という「数」の問題であって、「質」の問題ではない。人口の減少トレンドを放置したまま、若年層の「質」を学力の面で高めようといくらサポートしても、経済全体にもたらされるメリットの総量には限界があるだろう。

 また、国の支援によって高等教育機関への進学率をさらに高めることが労働生産性の向上に着実につながり、それが日本経済の潜在成長力を底上げするという保証はどこにもない。大学教育の現場から聞こえてくるのは、数十年前と比べた場合の学生の「質」の低下である。数学の基礎ができていないため高校の学習内容を大学であらためて教える必要があった、講義ノートをしっかりとる能力が欠けている、課題を出すと「コピペ」だらけで文体も統一されていないものが多数提出されたなど、クォリティーが下がったことを示すエピソードは枚挙にいとまがない。進学率をどうこうするよりも、そうした現実をまず是正するのが先決ではないか。

「あれも必要」「これも必要」では、借金が膨らむだけ

 むろん、経済的理由から進学をやむなく断念する若者をできるだけ少なくするための支援措置を拡充することに、筆者は賛成である。やる気のある学生を増やすことは、大学教育のレベルアップに間違いなく貢献するだろう。だが、奨学金制度の拡充を含め、そうした措置はすでにいくつかとられている。それでも足りないようなら、実情を把握しやすい地方自治体の判断などで、ケースバイケースで対応すべきだろう。

 また、教育関連費用の比率が日本は他国より低いという指摘がある。これに対しては、「だから借金をしてでも予算全体の規模が膨らむことはやむを得ない」といった結論に安易に飛びつくのではなく、「予算全体を原則として同規模に据え置いた上で、政策の優先度に応じた予算配分(付け替え)で対処する」のが望ましいと、筆者は考えている。家計のやりくりに引き付けて考えればわかりやすい。「あれも必要」「これも必要」という家族の声に押されて借金をしまくりながら支出を増やすよりも、借金を返済する原資でもある所得の制約を念頭に置いたうえで、何を買うかの取捨選択を行うというのが、普通で妥当なありようだろう。

消費税率引き上げ、予定通り実施と見る者は多くない

 日本の財政規律は、明らかに緩んできている。2019年10月に再延期された消費税率の8%から10%への引き上げが予定通り実施されるとみている市場関係者は、さほど多くないように見受けられる。東京オリンピック・パラリンピックが終わった後に日本の景気は勢いを弱める可能性が高く、株価がそれを見越して開催前にも下落を始めると予想される中、景気をさらに下押ししかねない選択を安倍首相がするとは考えにくい。それまで国会で説明してきた消費税引き上げ再延期の条件をあっさり捨て去り、再延期を決めたのは「新しい判断」によるものだと説明した首相発言のインパクトは、少なくとも筆者には、かなり強かった。

 むろん、財政規律が緩んでいるという見方に債券市場参加者が傾いても、すでに述べたように、値動きの中から「警告シグナル」が発信されることはまず考えられない情勢である。「教育国債」や消費税の問題について、マーケットに身を置いているエコノミストである筆者が考えを巡らせる際には、一種の空しさがどうしても漂ってしまう。


このコラムについて

上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
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[原発・フッ素47] 米原発作業員も呆れ顔、東芝がハマったWHの泥沼 「2か月間、ただ座っているだけで給料がもらえた」 ニュースを斬る
米原発作業員も呆れ顔、東芝がハマったWHの泥沼

「2か月間、ただ座っているだけで給料がもらえた」

ニュースを斬る

2017年4月4日(火)
篠原 匡、長野 光
 3月29日、東芝の米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)が米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請した。債務保証の履行などによって、2017年3月の東芝の連結最終赤字は1兆100億円に拡大する見通しだ。2009年3月期に7873億円の最終赤字を出した日立製作所を上回る、製造業で史上最大の赤字額である。名門、東芝を債務超過にまで追い込んだ米原発建設の底なし沼。建設にかかわった作業員はどう見ているのか。現場の声を聞いた。

(ニューヨーク支局 篠原匡、長野光)=敬称略
WHが建設を手がけるボーグル原発(ジョージア州)の全景

ジョージア州ウェインズボロにあるボーグル原発。右側の2機が建設中の3号機と4号機。チャプター11(米連邦破産法11条)の適用を申請した直後の3月29日に訪ねたが、建設工事はちゃんと続いていた。もともとの完成時期は3号機が2016年、4号機が2017年だが、着工から4年が経過した現在も3割程度しか完成していない。発注者は米電力会社サザン・カンパニー。(写真:篠原匡)
「間違った会社が工事を始めた」

 ウエスチングハウスは「航空機の衝突などに備えた設計変更や許認可の遅れが、工事が遅れている原因」(※参考 2017年3月13日配信記事「東芝存続には、WHの“破産”以外に道はない」)と日経ビジネスの記者に述べているが、現場に出入りしている作業員は、それだけではないと語る。

 例えば、2011〜14年の3年間ボーグル原発で働いていたジョーンズ(本人の希望で仮名)は「間違った会社が工事を始めた」と語り、工事を請け負っていた原発のエンジニアリング会社、米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W、2015年12月にWHが、米CB&Iから買収した企業。底なし沼となった原発建設の元凶。※参考 2016年12月28日配信記事「東芝、原発事業で陥った新たな泥沼」)を批判した。


東芝の綱川智社長は3月29日の会見で、米子会社ウエスチングハウス(WH)の米連邦破産法11条(チャプター11)の適用申請について説明した。同時に、東芝の2017年3月期の連結最終損益が1兆100億円の赤字となる可能性も発表した。ウエスチングハウスがチャプター11の適用を申請したことで足元の出血は止まるが、工事の進捗次第ではさらなる損失もあり得る(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
「なにせ、原発建設は34年ぶりだったから」

ジョーンズ(ボーグル原発の元作業員):「普通は一定の金額を提示して、その中で工事を終わらせるという契約を取るものだが、今回は作業した分だけ報酬を請求するという形になっていた。これだと、工事が伸びた分だけ請求されるよね。あくまでも私見だけど、最初にお金を出す人が工事の費用をちゃんと見積もれなかったということなんじゃないかな。なにせ、原発建設は34年ぶりだったから」

 「原発工事の歴史を振り返ると、最初の1機を作るときは赤字になるけど、同じものをいくつも作っていくと、より効率的に黒字になっていく。今回も作り続ければWHも利益がどんどん出たと思うよ。ただ、最後に原発を造ったときの感覚で新しい原発を造ろうと思うのは非現実的だ」

WHが建設を手掛けるVCサマー原発(サウスカロライナ州)全景

サウスカロライナ州ジェンキンズビルにあるVCサマー原発。2号機と3号機が建設中だが、こちらも進捗率は3割程度。政府の税制優遇を得るためには2020年末までの運転開始が必須だが、2020年までに運転開始が可能と考えている人間は、取材した限りでは誰一人としていなかった。発注者はスキャナ電力。(写真:篠原匡、以下同)
「3000人で3000人を見ているような状況」

 一方、とび職として現場で足場を組んでいるというグラン・テストンは、WHのてこ入れ策が逆に現場の混乱を招いていると主張する。WHはS&Wの買収を決めるのと同時に、プラント・エンジニアリング大手のFluorが、ボーグル原発とVCサマー原発の現場管理で主導的な役割を担うと発表した。プロジェクト管理に定評のあるFluorを加えることで工事のスピードアップを図ろうとしたが、結果的に上手くいっていないようだ。

ボーグル原発で建設現場の足場を組む、とび職のグラン・テストン

ボーグル原発のそばのコンビニでスロットに興じていたグラン・テストン。「(WHの新型原子炉)AP1000は安価にエネルギーを作るという触れ込みだったけど、いまだに安くなっていないね。ハハハ」
テストン(ボーグル原発のとび職):「ラーニングカーブ(学習と能力の伸び曲線)っていう言葉があるだろ。経験を積むうちに作業効率が上がっていくというアレだ。CB&Iはだいぶカネを消費したが、だいぶ仕事ができるようになってきていた。ところが、Fluorが後を引き継いで仕事の仕方を変えたため、逆に工事がスローダウンしている」

 「この現場で働き始めた4年前、2500人のワーカーを2500人で見ているような状況だった。Fluorになってからは3000人で3000人を見ているような状況だ。管理する人間が多すぎるんだよ。オレがどこの社員かって? 初めはCB&Iに雇われていたが、今はFluorだ」

VCサマー原発の鉄柵

ボーグル原発と異なり、VCサマー原発は森の中にあるため、外観の見られるところが限られている。サイトにつながる林道もこの通り
「10分の仕事をするのに丸1日かかる感じ」

 今回、ボーグル原発とVCサマー原発では10人近くのワーカーを取材したが、マネジメントの混乱や、NRC(米原子力規制委員会)の規制強化を背景にした安全基準の変更も工事が遅れている理由だと声を揃えた。この点については、2012年11月から2016年11月までVCサマー原発で溶接工をしていたフィリップ(本人の希望で仮名)の証言が生々しい。

フィリップ(VCサマー原発の元溶接工):「兄が現場で働いている縁で、オレもVCサマー原発で働くようになったんだ。でもCB&Iが外れてFluorが入った後にレイオフされた。戻りたいという気持ちもあるんだけど、実際のところ、あまり仕事がないんだよ。例えば、最初の2カ月はただ座っているだけで何も仕事がなかった。給料はちゃんともらった。残業代も含めて。でも何もすることがない。ビックリしたよ」

 「どこの現場に行っても同じだけど、“Work package”という大きなバインダーをもらうんだ。そこに仕事の内容が細かく書いてあり、プロジェクトマネージャやエンジニアとミーティングをして働き出す。最初、オレは3号機の現場で働き出したんだけど、そのWork packegeが全然届かなかった。つまり、やることが決まっていないのに人だけ雇っていたんだよ」

原発労働者が生活をするトレーラーハウス

ボーグル原発やVCサマー原発の周辺には作業員が寝泊まりするキャンプ場が数多くある。現場での作業は長期に及ぶため、作業員の多くは自身のキャンピングカーで現場を渡り歩くのだ。
クレーンオペレーターのラリー・ダンキン

ボーグル原発そばのキャンプサイトにいたラリー・ダンキンも、自身のキャンピングカーで現場を渡り歩いている一人。クレーンオペレーターのダンキンは1年半前にオハイオ州から来たという。「このクルマは10年くらい使っているよ。3万4000ドルだった。駐車代は月350ドル。そこの穴にパイプをつなげば排水できるんだよ。今の状況? 別に不安はないな。どうして不安になる必要がある。ウエスチングハウスが破綻しても、どこかが引き継ぐだろう。ここの現場が終わればオハイオに帰るよ」
フィリップ:「その後も、安全に関わるルールが変わるたびに作業が止まるので仕事にならなかった。毎週のように安全ルールが加わるんだ」

 「例えば、何か作業をしているときに今の安全基準に則った場合、どうすればいいのかと疑問に思うことがあるよね。上長に報告するんだけど、上長の意見が割れる。会議になる。ある人はOKと言っても、別の人がこれじゃあダメだよ、という。それで1日が過ぎる。仕事の中身はほかの現場と比べてもそう難しくないけど、ちょっと溶接するにも散々話し合う。10分の仕事をするのに丸1日かかる感じだった」

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/040200649/P3310036.JPG


クレーンオペレーターのスティーブ・クラフト

VCサマー原発の対岸に住むスティーブ・クラフト。彼自身、クレーンのオペレーターとしてVCサマー原発で働いている。「(WHのチャプター11の適用申請で)オレの4万ドルの401Kがどうなるかが不安だよ。他の連中は、“何で電子レンジが動かねえんだ”とかそんな話しかしていないが(笑)」
フィリップ:「また、工程が終わるごとに(作業が適切にされたかを確認する)インスペクションもあって、インスペクターが来るのを待っている間は何もできない(2週間も来ないこともあったと語る作業員もいた)。ボスはむしろ早く仕事を終わらせたいんだけど、そういうわけで終わらない」

 「おかげで現場自体はかなり安全だよ。ただ安全なのはいいんだけど、ほとんど何もできないんだ。4年間いたけど、実際に仕事をしていたのは半年くらいのような気がする。毎日がそんな調子で続くんだよ。待っている間は何をしていたかって? 映画を見たり、寝たり、メールを打ったり。みんな寝てたね」

林業の風景


今でこそボーグル原発が最大の雇用先だが、同原発のあるジョージア州ウェインズボロ周辺は農業や酪農、林業などが主要産業だった。現に周囲には植林された林や丸太の貯蔵スペース、ベニヤ工場などがある
フィリップ:「給料は悪くなかった。税引き後で月に8000ドル(約90万円)。兄貴は階級が上なので月に2万ドル(220万円)くらいもらっているはずだ。だからみんな文句を言わないんだよ。戻りたくないかって?  確かにそうなんだけど、今の現場では1日12時間、結構ハードに働いている。どちらが疲れるかと言えば、サマー原発でヒマしている方が疲れるんだよ」

 「面白いのは、CB&I、Fluorと現場管理の会社が変わるたびに作業員をレイオフするんだけど、また同じ人間を雇うんだ。現場もマネジメントの顔ぶれも同じ。彼らはこの仕事が終わってほしくないから急ごうとしない。できるだけ長くいて、少しでも多くのお金を稼ぎたい。稼ぎはいいからね」


ボーグル原発のすぐそばにあるコンビニ、C&J Convenienceで働くメリンダ・ウィリス。彼女もボーグル原発の建設現場で働いていたが、昨年11月にレイオフされた。今はこのお店の料理人。「工事が始まってウェインズボロの物価がすごく上がった。バブルね。最初に入ったアパートは3ベッドルームで月500ドルだったけど、出て行くときは850ドルになっていた。キャンピングカーも借りると月1500ドル! この辺の土地も急に値上がりしているわよ。じゃあ工事が終わったらどうなるかって。ゴーストタウンに決まっているじゃない!」
「デッドラインに終わる原発工事なんてないんだよ」

 原発の発注元である電力会社のサザン・カンパニーやスキャナが税制優遇を受けるためには、2020年末までに運転を始めなければならない。ボーグル原発、VCサマー原発ともに2020年末までの稼働を目指しているが、作業員の話を聞いていると、今のままでは難しいのではないかと思わざるを得ない。冒頭のジョーンズは以下のように語る。

ジョーンズ:「工事が始まった当初、尋常じゃない雨が降って工事の邪魔をしたという事情はあった。また、福島(第一原発)の事故の後にあった規制の変更も大きい。デザインをし直さなければならなかったから。ただ、福島の事故がなくても予定の期間には終わらなかったと思うよ」

 「経験のある作業員はリタイアしたか、コストが高いので声がかからなかった。学校を出たばかりの若者が工事に携わっても、思うようにはできないものだよ。中断なく工事が進めば2021年か2022年に終わるかもしれない。デッドラインに終わった原発の工事なんてないんだよ」

ボーグル原発の全景

曇天の下のボーグル原発。雷や降雨で作業が中断することもしばしばだったとジョーンズは語る。この後、実際に雷雨になった。

このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/040200649
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[国際18] 遥かなる「ローマの休日」60年後のEUの憂鬱 分裂に向かうのか、再結束に踏み出すのか ブレグジットと「帝国健忘症」歴史教
遥かなる「ローマの休日」、60年後のEUの憂鬱

分裂に向かうのか、再結束に踏み出すのか

岡部直明「主役なき世界」を読む
2017年4月4日(火)
岡部 直明
 欧州連合(EU)の原点であるローマ条約の調印から60年が経った。この3月25日に、ローマ条約に調印したローマのカピトリーノの丘(capitoline hill)でEU特別首脳会議が開催され、英国離脱後のEUの将来像を示すローマ宣言が採択された。参加したのは、英国のメイ首相を除く27カ国の首脳たちである。ローマ条約調印時の6カ国に比べると加盟国は大幅に増え、ユーロ創造など統合は深化した。しかし、いまEUは創設以来の最大の危機に直面している。EUは分裂に向かうのか。それとも再結束に踏み出せるか。節目となる60年後のローマ会議はEU首脳たちにとって「ローマの休日」には程遠かった。

3月25日、ローマ条約の60周年を記念するEU特別首脳会議に出席した欧州各国の首脳ら。(写真:ZUMA Press/amanaimages)
「欧州合衆国」構想の夢と現実
 その日、ローマはまるで初夏のような気候だった。冬支度のまま会議場への坂道を上るのはやや難儀だった。ようやくたどりついても、記者へのセキュリティ・チェックは厳重だった。ちょうど1年前、ブリュッセル空港や地下鉄でテロが起き、こんどはロンドンの議事堂前でもテロが起きたばかりだ。緊迫した雰囲気のなかで開かれたEU首脳会議だが、欧州統合に歴史的な一歩を踏み出したローマ条約調印のような昂揚感は感じられなかった。
 60年前のローマ条約に参加したのは、フランス、西独、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの6カ国である。原加盟国と呼ばれる。第2次大戦後の仏独和解を背景にした欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)設立に続いて、EEC(欧州経済共同体)を軸に欧州統合を幅広く押し進めるのが狙いだった。そこには、欧州統合の父、ジャン・モネの「欧州合衆国」の夢が反映されていた。
 そんな戦後の欧州統合の機運は、ウィリアム・ワイラー監督の米国映画「ローマの休日」(1953年製作)にも映し出されている。オードリー・ヘップバーン演じる王女が記者団を前に欧州統合について語る最後のシーンは印象深い。記者が「欧州の連邦化は経済問題の解決策だと思いますか」と質問すると、「欧州の一致団結を促すなら、どんな政策も歓迎します」と答える。別の記者が「国家と国家の友好は保たれているでしょうか」と聞くと、「そう信じます。人と人との友情を信じるように」と語る。
 これはもちろん「ローマの休日」を楽しんだグレゴリー・ペック演じる記者へのメッセージなのだが、欧州統合は「人と人とを結びつける」というモネの思想にも通じるところがある。名作の舞台であるローマは欧州統合の舞台になり、そしていまEUの将来を占う舞台になった。

映画「ローマの休日」の一場面。(写真:Everett Collection/amanaimages)
大欧州という大所帯を束ねる難しさ
 ローマ条約によるEECから欧州共同体(EC)へ、そしていまのEUへ、EUは拡大と深化を遂げた。しかし、大欧州という大所帯ゆえの難しさに直面している。
 ローマ条約調印にならって、加盟27カ国首脳とEU機関のトップたちがローマ宣言に次々と署名する儀式が行われた。ローマ条約調印で使用されたペンを使ってである。その光景をみていて、それぞれに国家主権を背景にした27カ国の首脳を束ねるのはいかに困難かが実感できた。なにしろ使用言語は20カ国語にも及ぶ。英国などから批判されるブリュッセル官僚のかなりは、実は通訳官や翻訳官である。言語主権を維持しようとすれば、どうしてもコストはかかる。
 「拡大」と「深化」という目標をともに実現できたのは、冷戦終結という歴史的転換にめぐまれたからだった。ふつう「拡大」と「深化」は二律背反する。いまEUはその新しい現実に直面している。
マルチ・スピード構想の光と影
 このローマ特別首脳会議を前に、EU委員会はEUの将来について5つのシナリオを提示している。現状維持から欧州合衆国構想まで幅広く盛り込まれているが、ユンケルEU委員長やドイツのメルケル首相ら主要国首脳は「マルチ・スピード構想」を推奨している。意欲ある一部の国だけが先行して統合を進めるという構想だ。モネが描いた目標である「欧州合衆国」構想は、一つの選択肢にすぎなくなってしまったようだ。いまその夢を語るのは、フェルホススタット欧州議会議員(ベルギー元首相)ら数えるほどしかいない。
 ローマ宣言も柱は「マルチ・スピード構想」である。ローマ特別首脳会議の議長、イタリアのジェンティローニ首相は会議後の記者会見で先行して統合する分野について「防衛や雇用政策などが対象になる」と述べた。
 EUはもともと二重構造の組織である。ローマ条約の原加盟国と英国、スペインなど出遅れ組、そして旧東欧圏、バルト3国など後発組に分かれる。単一通貨ユーロの加盟国と非加盟国、移動の自由を定めたシェンゲン協定の加盟国と非加盟国で大きな違いがある。
 英国はEECへの参加をことわり、加盟後もユーロにもシェンゲン協定にも加わらなかった。EU内ではつねに「アウトサイダー」の立場にあった。EU離脱に動いた背景はここにある。
 マルチ・スピード構想は、英国の離脱などで危機にあるEUを軟着陸させ、EUを将来に向けて束ねていくための現実的選択にみえる。
 その一方で、統合に消極的なら置いて行かれる冷厳な構想でもある。だから後発組の東欧諸国は反発する。ポーランドのシドゥウォ首相は直前になって「ローマ宣言には署名しない」と息巻いた。調印式では、署名前に一瞬、間を置いてみせ不満を態度で表した。これを横目でみていたポーランド出身のトゥスクEU大統領は他の首脳にしていた拍手はせず、苦虫をかみつぶす表情をあからさまにした。ポーランド内の政争がEUに持ち込まれたような光景だった。
反EUポピュリズムの連鎖を防げるか
 EUはいま英国の離脱に続くポピュリズム(大衆迎合主義)の連鎖を防げるかどうかが試されている。とくに米国のトランプ大統領登場がどう影響するかが大きな懸念材料だ。排外主義の連鎖が米欧に広がれば、世界全体を危機に陥れる。
 その先駆けになる恐れがあったオランダの総選挙は、ウィルダース党首率いる極右の自由党が第1党の座を奪えず、ルッテ首相率いる自由民主党はかろうじて第1党を維持した。ローマの特別首脳会議で最も晴れやかな表情だったのはルッテ首相だった。しかし、ルッテ首相のいう通り「ポピュリズムのドミノ倒しを防いだ」かは、仏独の国政選挙の結果にかかっている。
 フランスの大統領選挙は極右、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首がどこまで票を伸ばせるかが焦点だ。英国のEU離脱に続くトランプ米大統領の登場が「追い風」になるとみられていたが、トランプ流排外主義による大混乱で「反面教師」となる可能性も出てきた。
 ブリュッセルのシンクタンク、ブリューゲルのガントラム・ウルフ所長は「ルペン氏とマクロン前経済相(無所属の中道派)の争いになるが、決戦ではマクロン氏が勝利する」と読む。当初、最有力とみられていた共和党のフィヨン候補は妻の給与をめぐる疑惑で後退を余儀なくされている。
 マクロン氏は30歳台と若く行政経験も乏しいが、そこに不安はないとウルフ氏は指摘する。「私の前任の所長、ピサニフェリー・パリ大教授が経済顧問に就いているのが大きい」とみる。ピサニフェリー氏はユーロ危機などでも幅広く提言したバランス感覚あるエコノミストだ。ユーロ共同債の発行などで欧州統合を前進させる必要があることをかつて筆者に語っていた。マクロン大統領が誕生すれば、重要ポストに就く可能性があるという。
 秋のドイツの総選挙では、4期目をめざすメルケル首相と社民党のシュルツ前欧州議会議長の争いになる。ここに右派勢力の「ドイツのための選択肢」が割って入る可能性はほとんどない。メルケル、シュルツ氏とも筋金入りの欧州主義者だけに、EU運営にはプラス材料だろう。
 EUの盟主であるメルケル首相が敗れると今後のEUへの不安が高まる可能性もあるが、シュルツ・マクロンという新しい独仏連携が実現すれば、財政規律最優先から成長重視への転換点になるという見方もある。
「ローマの松」のごとく
 仏独の選挙結果がどうあれ、欧州に浸透した反EUのポピュリズムは簡単には消え去らないだろう。ポピュリズムが危険なのは、知らず知らずのうちに人々の心に入り込むことだ。ローマ法王がEU首脳に警告したように、EUが将来に備えられなければ退化するだけだ。EUはしばらく反EU機運のなかで憂鬱な時代を続けるだろう。
 しかし、危機をバネに再結束に立ち上がるのがEUの歴史でもある。イタリアの作曲家・レスピーギが交響詩に描いた「ローマの松」のごとく、長く大地に根を張るはずである。
【4月13日開催!】イアン・ブレマー氏 来日記念セミナー
“迫りくる「先進国リスク」に、企業としていま何をすべきか”
 欧州問題を早くから提言していたユーラシア・グループ代表のイアン・ ブレマー 氏(政治学博士)が来日。さらに企業経営者やPwC Japanグループ のブレグジット・アドバイザリー・チームに登壇いただき、今後想定される 主要国の政策シナリオ、ならびにその政策シナリオに基づいた各企業として の対応策を検討する上でのポイントを解説します。


このコラムについて
岡部直明「主役なき世界」を読む
 世界は、米国一極集中から主役なき多極化の時代へと動き出している。複雑化する世界を読み解き、さらには日本の針路について考察する。
 筆者は日本経済新聞社で、ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、取締役論説主幹、専務執行役員主幹などを歴任した。
 現在はジャーナリスト/明治大学 研究・知財戦略機構 国際総合研究所 フェロー。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/040300021


 


ブレグジットと「帝国健忘症」
帝国時代よりナチスとの戦争に重点を置く歴史教育に問題
2017.4.4(火) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年3月28日付)

英国、29日にEU離脱手続きを正式に開始へ
英ロンドンで掲げられた英国旗と欧州旗(2017年3月2日撮影)。(c)AFP/Daniel SORABJI〔AFPBB News〕
 ブランド戦略としては不運な展開となった。英国の一部の政府高官が、英連邦諸国と新しい貿易協定を結ぶ仕事を「大英帝国2.0」と呼び始めたのは、単なる内輪の冗談だった。ところが、ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)に批判的な人々はこのフレーズに飛びつき、ブレグジットという考え全体のけん引力が帝国への郷愁であることの裏付けだと主張し始めた。

 筆者はこの様子を見て、英国とその過去との関係が深刻なほど誤解されていると感じ、衝撃を受けている。英国民は帝国時代のことばかり考えているわけではなく、むしろ帝国時代の経験を、ジョージ・オーウェルの言う「記憶の穴」に大量に葬り去ってきた。ほとんどの英国民は主要な政治家も含めて、大英帝国の歴史を本当に知らない。

 しかし、この「帝国健忘症」はブレグジットと大いに関係がある。これは、離脱派の主要なメンバーと「グローバル・ブリテン」の支持者が過去を誤解しており、このままでは将来に禍根を遺すことを意味している。彼らは「偉大なる貿易国家」というかつての姿に戻ることを熱心に説くが、実際のところ、当時の英国は植民地をたくさん抱える大帝国だった。

 この重要な区別をしっかりつけておかないと、ほかの国々との貿易の今後を作り直すという作業を甘く見ることになってしまう。今日の英国は世界の海を支配しているわけではないからだ。

 帝国時代の英国は、世界の市場に強引に踏み込んでいく癖があった。東インド会社は、貿易上の特権が脅かされると武力に訴え、最終的にはインドのほとんどの地域を支配するに至った。19世紀に入って中国がアヘンの貿易を止めようとしたときも英国は戦争に持ち込み、中国の軍艦を沈め、清朝に香港の割譲を認めさせた。

 英国人が大英帝国の歴史を知らないことは、トニー・ブレア元首相の自伝の一節からもうかがえる。ブレア氏の記録によれば、英国が香港を中国に返還した1997年、中国の江沢民国家主席(当時)は、これで英国と中国は過去を忘れることができると述べた。ところがブレア氏は「そのときの私は、その過去がどのようなものだったか、実におぼろげで大ざっぱな理解しかしていなかった」と書いている。

 とはいえ、英国のエリート層は大英帝国時代の歴史をほとんど忘れてしまったかもしれないが、英国が貿易国家としての未来にとって極めて重要だと見なしている国々は、明らかに昔のことを覚えている。

 インドの議会で外交問題委員会委員長を務めるシャシ・タルール氏はつい先日、大英帝国のインド支配を糾弾する著書『Inglorious Empire(不名誉な帝国)』を発表した。英国とインドとの間には「歴史的・文化的なつながり」があるから素晴らしい貿易協定を新たに締結するのは容易だろうと自信たっぷりに語る英国人は、この本を読んでみるべきだ。インドと中国という21世紀に台頭してきた経済大国の――かつて英国に植民地にされたり戦争で負けたりした結果、英国に対して明らかに愛憎相半ばする気持ちを抱いている国々の――目を通して世界を見てみるのに役立つはずだ。

 英国人が大英帝国時代のことをあまりよく知らないのは、学校や大学で教えられている歴史のせいだ。この科目の標準的なカリキュラムは、英国の政治史と議会制民主主義の発展に重点が置かれている。世界のほかの国々とのかかわりについては、ナポレオンやヒトラーとの戦争は学習するものの、大英帝国のことはごくわずかしか学ばない。

 火星人の歴史研究家ならまず間違いなく、英国の近代史で最も興味深いのは世界をまたにかける大帝国を作り上げたことだと考えるだろう。しかし英国人自身にとっては、大英帝国ではなくナチスとの戦争を軸にして国家の物語を組み上げるほうが、心理的に納得できる。

 実際、英国人はそうすることにより、自分たちは帝国主義の抑圧者ではなく自由の擁護者であり勇敢な弱者であるという国全体の自己イメージをはぐくんできた(勇敢な弱者という自己像は、1970年代のテレビのコメディー番組「ダッズ・アーミー」の人気がいまだに衰えないことからもうかがえる)。

 第2次世界大戦での勝利と帝国の喪失がほぼ同時だったという事実も、この傾向を強めた。欧州での勝利に国中が沸き返り、帝国の喪失による心理的な打撃を和らげたのだ。英国の世論形成を主導する人々は皆、欧州での勝利を祝った1945年を記憶に刻み込んでいるが、1947年はインドが独立した年だと言える人はほとんどいない。

 また、2度の世界大戦での勝利は、国家と自由の象徴としての英国議会の役割を不動のものとした。ウィンストン・チャーチルが「(ナチスとは)海岸でも戦う」という有名な誓いを立てたのは、議会下院での演説だった。英国のエリートたちがあがめる英国史は、オリバー・クロムウェルやウィリアム・グラッドストーンや重要な改正法などが登場する議会の歴史にほかならない。

 この歴史が今日、英国の政治家たちの心に刷り込まれていることは、EUから離脱するための法案に「グレート・リピール・アクト(大撤回法)」という名前が付いたことにも反映されている。恐らくこの名称は、意図的に1832年の「グレート・リフォーム・アクト(大選挙改正法)」を下敷きにしているのだろう。

 テリーザ・メイ首相が「グローバル・ブリテン」なるものに向けて未来を築いていきたいと心の底から思うのであれば、市民に教える歴史の種類を変えることを検討してもよいかもしれない。もし将来の英国の政治家たちが、第2次大戦が始まった1939年だけでなく第1次アヘン戦争が始まった1839年の重要性も理解するようになれば有益だろう。

 もっとも、英国のエスタブリッシュメント(支配階層)は昔の大英帝国を作り上げた人々のことをすっかり忘れてしまったと言い切るのは不当だ。例えば、1850年代の第2次アヘン戦争(アロー戦争)のときに首相だったパーマストンの名は、英外務省で今でも記憶されている。省内で飼われているネコには、この元首相にちなんだ名前が付けられているのだ。

By Gideon Rachman
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49625
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/819.html

[経世済民120] 日本の経常黒字が支える米雇用−トランプ氏「貿易不公平」と批判 円全面高リスク回避強まる 南ア、ジャンク 山谷あり伯資産
日本の経常黒字が支える米雇用−トランプ氏「貿易不公平」と批判
Connor Cislo、高橋舞子
2017年4月4日 05:00 JST 更新日時 2017年4月4日 11:46 JST

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ドナルド・トランプ氏 Photographer: Olivier Douliery/Bloomberg
経常黒字は30年以上継続、2005年に所得収支が貿易収支の黒字上回る
トヨタ車人気や農業市場への参入障壁残る−貿易摩擦の懸念消えず


米トランプ大統領が批判してきた日米の貿易不均衡。米国は経常黒字を根拠の一つとして為替報告書の操作国「監視リスト」に日本を加えている。だが、日本の黒字は投資によって得られる所得収支が大半で、実はトランプ氏が訴える米国の雇用増につながっているという側面がある。
  日本は30年以上にわたり経常黒字を積み上げてきており、対米輸出は米国の対日輸出の2倍に上る。同報告書は「巨額の経常黒字は世界全体の需要を押し下げる」と明記し、経常黒字国は成長を強化するための対策を取るよう求めている。
  ただ中国やドイツなど他の「監視リスト」5カ国と異なり、日本の経常黒字の大部分は海外の現地法人や海外への株式投資などから得る利子や配当などの所得収支が占めており、2005年以降は所得収支が貿易収支の黒字を上回る。投資は日本企業の収益になると同時に、米国の雇用に寄与する。例えば、日本の自動車メーカーは米国で約150万人を雇用している。

  ピーターソン国際経済研究所で客員研究員を務めるネイサン・シーツ前米国際担当財務次官は、為替操作の有無を判断するにあたり、経常黒字は重要な情報を提供するが、「100%間違いのない基準になるとは言えない」と指摘する。高齢化が進み、貯蓄率が高い日本のような国では経常黒字になりやすいとも話した。
  選挙戦の最中から政権発足直後まで、トランプ氏はたびたび日本を「貿易不公平」や「円安誘導」と批判してきた。2月の日米首脳会談で安倍晋三首相はトランプ氏と蜜月関係を築いたものの、トヨタ車の米国での販売は好調で、日本の農業はいまだ数々の保護を受けている状況にあり、貿易摩擦の火種が消えた訳ではない。
  ペンス副大統領は今月来日し、麻生太郎副首相兼財務相と日米経済対話の初会合を開く。トランプ氏は先月、対外赤字の原因となるあらゆる形の「貿易上の不正行為」を特定するための包括的調査を命じており、同会合で議論される可能性がある。財務省の浅川雅嗣財務官はブルームバーグに対し、「日本の経常黒字の背景には米国への投資がある。トランプ政権にも理解を求めていきたい」と話した。

  16年の日本の所得収支による黒字は貿易黒字の4倍。ただ、米国に限ると、貿易黒字は経常黒字全体の半分以上を占める。一方で、日本は米国に巨額の投資をしており、15年には英国に次いで2番目の投資国として、4000億ドル以上の資産を抱えていた。
  日本の所得収支が黒字であることは、高齢化に伴い国内経済が縮小傾向にある事の裏返しでもある。日本銀行は異次元緩和を続け、政府は大規模な経済対策を打っているが、民間企業は海外への投資をより魅力的に感じていることを示唆している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONTO8T6S972901

 

南アをジャンク級に格下げ、2000年以来初めて−S&P
Rene Vollgraaff
2017年4月4日 06:05 JST

Annual Meetings Of The International Monetary Fund And World Bank
南アのゴーダン財務相、2016年10月にワシントンD.C.で開催された国際通貨基金(IMF)と世界銀行グループの年次総会にて Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
外貨建て国債の格付けは1段階下げて「BB+」
先週の内閣改造で政局不安定


米格付け会社S & Pグローバル・レーティングは南アフリカを投機的格付けのジャンク級に格下げした。2000年以来17年ぶり。ズマ大統領は先週、内閣改造を断行。その後、同大統領の辞任を求める声が高まるなど政局不安定が理由。
  S & Pは3日、外貨建て国債の格付けを「BB+」に格下げ。これは、投機的格付けとしては最上位。ただ、財政状況や景気動向いかんではさらなる格下げもあり得ると警告している。また、ランド建て国債も「BBB」から「BBB−」に格下げされたが、投資適格水準を保った。格付け見通しはいづれも「ネガティブ(弱含み)」。
  S & Pは発表文の中で「格下げは、ゴーダン財務相を含めた内閣改造が与党アフリカ民族会議(ANC)政権内の分裂を浮き彫りにし、政策続行が不可能になる恐れがあるとの見方を反映している」と述べ、「これが景気や財政に悪影響を及ぼす可能性が高まっている」と指摘している。
  
原題:S. Africa Cut to Junk First Time Since 2000 After Zuma Purge (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONUO7P6JIJUP01

 

 

日本株反落、米景気への楽観薄れる−自動車や素材、金融セクター安い
鷺池秀樹
2017年4月4日 08:07 JST 更新日時 2017年4月4日 12:09 JST

3月の米自動車販売は1660万台、アナリスト予想に届かず
為替は一時1ドル=110円40銭台、1週間ぶり円高水準に


4日の東京株式相場は反落。米国の自動車販売が市場予想を下回り、米経済の先行きに対する楽観的な見方が後退した。自動車株が売られ、鉄鋼や非鉄金属など素材株、海運株も安い。米長期金利の低下を嫌気し、銀行や保険など金融株も下げた。

  TOPIXの午前終値は前日比6.29ポイント(0.4%)安の1510.74、日経平均株価は76円54銭(0.4%)安の1万8906円69銭。
  大和証券投資戦略部の高橋卓也シニアストラテジストは、「昨年12月まで調子の良かった米自動車マーケットは天井を打った可能性がある。販売奨励金を積んでも台数が伸びておらず、日本株の先行きに影を落とす」と指摘した。受注動向を示すハードデータの低調に加え、景況感などを示すソフトデータも「トランプ政権の経済政策が滞れば、暗転する可能性があり、米ファンダメンタルズに対する疑念が出ている」と言う。
東証内
東証内 Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg
  自動車メーカー各社が3日に発表した米国の3月販売統計によると、米フォード・モーターなどの販売が大きく落ち込んだほか、トヨタ自動車は前年同月比2.1%減、ホンダは0.7%減と市場予想を下回った。調査会社オートデータの発表では、3月の米自動車販売は年率換算で1660万台とアナリスト予想の1720万台に届かなかった。
  米自動車販売の軟調を材料に、3日のロンドン金属取引所(LME)では鉛や銅相場が軒並み下落。小幅に下げた米国株市場では、自動車株が安かった。このほか、米供給管理協会(ISM)の3月の製造業総合景況指数は57.2と前月の57.7から低下、2月の米建設支出は前月比0.8%増と、市場予想の1%増を下回った。
  3日の米10年債利回りは2.32%と前週末から7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下、2月27日以来の低水準となった。大和証の高橋氏は、「週末の米雇用統計で平均時給が鮮明に伸びない限り、利上げペース加速への期待は盛り上がらず、米長期金利低下の流れは変わらない」との見方を示す。
  きょう午前のドル・円は、一時1ドル=110円40銭台と1週間ぶりのドル安・円高水準に振れた。前日の日本株終値時点は111円37銭。三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストは、「為替がゆっくり円高方向になっているのが日本株にじわじわ効いている」と分析。円高の背景にはトランプ政権の政策実効性に対する懸念に加え、米国の赤字削減に対し政治的プレッシャーが強くなるとの見方がある、としている。
  下落して始まったこの日の日本株は、日経平均が一時142円安の1万8841円と2月7日以来、およそ2カ月ぶりの日中安値を付けた。ただ、その後は下げ渋り。三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資情報部の三浦誠一投資ストラテジストは、「月後半の決算発表では食品やサービスなど内需系ディフェンシブ銘柄を中心に好業績が確認できるとの見方が多い」と、企業業績に対する楽観ムードを相場全体の下支え要因に挙げた。
  東証1部33業種は海運、鉄鋼、銀行、証券・商品先物取引、輸送用機器、保険、非鉄など22業種が下落。石油・石炭製品や鉱業、電気・ガス、陸運、医薬品、食料品など11業種は上昇。売買代金上位では、メリルリンチ日本証券が上場廃止リスク高まったと指摘した東芝が大幅続落。四半期決算が市場予想を下回ったキユーピーも急落した。第一生命ホールディングスやマツダ、JFEホールディングスも安い。半面、今期営業利益計画が市場予想を上回ったしまむらは買われ、JR東海や塩野義製薬、ニトリホールディングスも高い。
東証1部の午前売買高は10億2991万株、売買代金は1兆735億円
値上がり銘柄数は588、値下がりは1313
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONUV3D6KLVR401

 

円全面高、リスク回避圧力強まる−ドル・円は1週間ぶり安値
小宮弘子
2017年4月4日 11:51 JST

リスク回避で円高圧力
ユーロ・円は昨年11月以来の118円割れ
豪ドルは一時1週間ぶり安値。豪貿易黒字上振れでその後反発


4日の東京外国為替市場では円が全面高。米トランプ経済・通商政策やフランス大統領選をめぐって不透明感がくすぶる中、日本株の下落を背景にリスク回避の動きが優勢となっている。ドル・円相場は1週間ぶり安値を付けた。
  ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨すべてに対して上昇。ユーロ・円は一時1ユーロ=118円を割り込み、昨年11月23日以来の水準となる117円84銭まで円高に振れている。ドル・円は午前11時44分現在、前日比0.2%安の1ドル=110円67銭。米長期金利の低下や米国株の下落を背景にドル売り・円買いが進んだ海外市場の流れを引き継ぎ、一時110円48銭まで下落した。
  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)マーケッツ本部外国為替・コモディティー営業部長の吉利重毅氏は、ドル・円について「ユーロ・円を中心としたクロス円(ドル以外の通貨の対円相場)の下げが主導している感じ。全体的にセンチメントが良くない」と指摘。「年度初めではあるが、本邦勢の本格的な動き出しはゴールデンウィーク明けの仏大統領選の行方を見極めた後とみられ、それまでは不透明感からドル・円は重い状態が続きそう」と話した。

  午前の東京株式相場は下落し、日経平均株価の下げ幅は一時142円まで拡大した。3日の海外市場では米自動車販売が冴えなかったことなどが嫌気され、米国株が下落。一方、米国債市場では10年債利回りが7ベーシスポイント(1bp=0.01%)低下の2.32%と2月以来の低水準をつけた。
  
  あおぞら銀行市場商品部為替マーケットメイク課長の渡辺秀生氏は、海外時間のドル・円の下落について、ロシアのサンクトペテルブルでの地下鉄爆破事件があり、米金利が低下したほか、米自動車販売が弱かったことなどの影響を受けたと説明。目先は先週割れなかった110円を割れるかどうかが注目だが、「目先の材料だけでは厳しいのではないか」と話した。
  株安や商品安を受け、豪ドル・円は一時1豪ドル=83円86銭と5営業日ぶり水準まで下落。その後、予想を上回る豪貿易黒字を手掛かりに84円台前半まで下げ幅を縮小している。豪ドルは対ドルでも一時1豪ドル=0.7589ドルと1週間ぶり安値を付けた後、0.76ドル台前半へ反発している。
  オーストラリア準備銀行(豪中央銀行)は午後1時30分に政策金利を発表する予定だ。ブルームバーグ調査ではエコノミスト29人全員が1.5%での据え置きを予想。みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストはリポートで、将来のバイアスも現在の中立から変更される可能性も低く、豪ドルの反応は大きくならないと指摘している。   
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-04/ONV5C76S972801


 

山あり谷ありブラジル資産、投資歴50年の個人が乗り切る戦略とは
酒井大輔、Yumi Teso
2017年4月4日 00:00 JST 更新日時 2017年4月4日 11:06 JST

General Imagery From Carnival
ブラジルのカーニバル風景 Photographer: Dado Galdieri/Bloomberg
10%前後の金利が付くブラジル国債は本当に魅力がある−栗本氏
ブラジルへの投信全体の純資産残高は5カ月連続で増加


もうあんな辛い思いはしたくない――。景気後退や政局不安などから格付け会社に投資不適格扱いにされたブラジル債。2年前の暴落を経験した投資家からは、こんな声が聞こえてもおかしくないはず。それでも、日本の投資家は同国債の投資に妙味を感じているようだ。
  「国内で良い利回りが得られる金融商品はほとんどない、10%前後の金利が付くブラジル国債は本当に魅力がある」。美容機器メーカーの社長で、投資歴50年の栗本小三郎氏(79)は、ブラジル国債を少なくとも10年間持ち続けている。
ブラジルのカーニバル風景
ブラジルのカーニバル風景 Photographer: Dado Galdieri/Bloomberg
  ブルームバーグの集計データによると、2015年末から3月末時点の金利収入を含むブラジルレアルの対円トータルリターンの上昇率は約37%だった。過去10年では年約50%の評価益が出たときもあるが、20%以上の評価損が発生したこともあるハイリスク・ハイリターン型だ。それでも個人投資家が惹かれる理由は国内債の10倍近く得られる利息と税制面でのメリット。ブラジル国債投資は「みなし外国税額控除」が適用されており、利払い金について源泉徴収された外国所得税相当額のほとんどが確定申告によって還付される。

  モーニングスターが集計したデータによれば、日本の外債投資信託のうち、今年2月末までの運用成績上位10はすべてブラジル・レアルに関連したもので、最大77%のリターンを記録している。外株投資信託でも上位10のうち、9位までがブラジル関連が占めている。
  三菱UFJ国際アセットマネジメント外部委託運用部のシニアマネジャー、久我充昭氏は、「日本からのブラジルへの投信は増える可能性がある。政策金利の引き下げが続く中、現政権の下で景気の回復、財政収支の改善が期待され、ブラジル株式市況は今後も堅調に推移すると考えているからだ。ブラジルレアルも対円で堅調に推移しており、投資家のリスク志向も強まる」とみている。
  一方で別の専門家からは反対意見も聞かれる。ゴールドマン・サックス・グループは世界中がブラジルに傾いているわけではなく、日本は例外的だと指摘。同社の南米エコノミスト、アルベルト・ラモス氏はインタビューで、強力な国際証券投資の流れはブラジルにはまだ回帰していないとし、海外投資家はブラジルに対して建設的だが、財政問題、弱い景気、労働問題などをめぐる不透明感からまだ高い賭けには出ていないと述べた。
  日本の国債利回りは、日本銀行による異次元金融緩和の浸透で皆無に等しく、国内の債券投資家が海外に目を向けなければならない状況を作っている。残存年数8年未満の利回りはマイナスで推移したままとなっており、国内の金融機関にとっては、およそ1800兆円という中国の国内総生産を超える規模の日本の個人金融資産からの流出先が気になるところだ。
 
  アセットマネジメントOneの投資信託プロモーション部マネジャーの宅田寛氏は3月23日のインタビューで、「レアルの回復や高利回りを理由に、ブラジルが日本の個人投資家の視界に戻っている。緩やかながら底堅いトレンドが続くというのが流れだと思う」と述べた。
  投資信託協会によれば、ブラジル公社債へ投資する投資信託の純資産総額は11年に過去最高の2.2兆円にまで膨らんだ。その後は商品市況の不振で同国の景気が悪化したのに伴い、関連投信も縮小。2月末現在の残高は4556億円だった。前月比では一進一退も前年比では3カ月連続でプラス基調を示している。
  栗本氏は、「ブラジル国債に投資し始めた当時、ブラジルはオリンピックと共に成長見通しに大きなポテンシャルがあった。その時にそれを一生のポートフォリオと決めた。一時期と比べると成長という面で、ポテンシャルが少なくなっているかもしれない。それでも一定の割合で利回り収入があるものとして期待している」と語った。
  ブラジル株式へ投資する投資信託の純資産総額は10年に過去最高の6559億円を記録。16年2月には707億円まで縮小したものの、今年2月には1167億円まで持ち直し、3カ月連続で増加している。株式や公社債などを含めた全体では、5カ月連続で増加している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONT0HT6JTSE801

 

寝耳に水だったスイス当局−よみがえるクレディSの脱税ほう助疑惑
Hugo Miller、Jan-Henrik Förster、Albertina Torsoli
2017年4月4日 10:16 JST

英独仏とオランダ当局がクレディSの顧客を捜査
同行の一部オフィスが捜索対象になるとスイスの司法当局は承知せず


スイス銀行2位クレディ・スイス・グループに対し、英独仏を含む5カ国の当局が脱税とマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いで抜き打ち捜査を実施したが、これはクレディ・スイスだけなく、同行の一部オフィスが捜索の対象になると承知していなかったスイスの司法当局にとっても手痛い打撃だ。
  スイス当局は、同国の銀行による米国人脱税ほう助に関する米当局の大掛かりな調査につながる内部告発を行った米国人バンカー、ブラッドリー・バーケンフェルド氏や、資産隠しに利用されたと考えられる世界中のペーパーカンパニーについて明らかにした「パナマ文書」に関係する一連の金融スキャンダルを経験してきたが、今週はクレディ・スイスへの抜き打ち捜査に伴うダメージを最小限に抑える努力を強いられる。
  スイスの金融市場監督機関であるFINMAは、現地時間4日午前9時半(日本時間同午後4時半)から毎年恒例の記者会見を予定する。3月30日にロンドンとパリ、アムステルダムで行われた捜索に関連し、FINMAのブランソン最高責任者は把握している情報について質問を浴びることになるだろう。5日には、スイスのラウバー検事総長がベルンで記者団から質問攻めに遭うことが予想される。
  オランダ当局は2人を先週逮捕したのに続き、スイスの銀行口座に数百万ユーロを隠し持っていた疑いがある数十人をさらに調べており、英独仏とオーストラリアでも刑事捜査が進められている。一連の捜査は、スイスの銀行が脱税ほう助を巡る問題の決着で米司法省と合意する以前に蓄積され、税金が支払われていない資産の名残りなのか、あるいはもっと厄介な問題を示す兆候なのか疑念を生じさせる。
  メインファーストのアナリスト、ダニエル・レグリ氏(チューリヒ在勤)は「使い古されたテーマを再び思い起こさせるものであり、この銀行の評判にとっておおむね好ましくない。クレディ・スイスがしばらく前に既に捨て去ったはずの過去の商慣行をめぐる問題だからだ」と指摘した。
原題:Credit Suisse Probe Puts Swiss Authorities on Back Foot Again(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-04/ONUZ5Q6S972801
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/672.html

[医療崩壊5] 日本の医療崩壊を救った若き女性医師 貧血大国日本 女性の社会進出を拒む意外な盲点、低用量ピル
日本の医療崩壊を救った若き女性医師
新専門医制度を使った医局権力拡大に立ち向かい厚労大臣動かす
2017.4.4(火) 上 昌広
経口避妊薬の米発売から50年、誕生までのいきさつと今後の課題
経口避妊薬(写真)についても本文に登場する山本佳奈医師は記事を書いている〔AFPBB News〕
新専門医制度の議論が急展開しそうだ。3月9日の参院厚生労働委員会で、塩崎恭久厚労大臣は「必要に応じて、地域医療に従事する医師、地方自治体の首長を含めた場で、日本専門医機構に対して、抜本的な対応を求めていきたい」とコメントした。

厚労省関係者は「(日本専門医機構が拠り所とする)2013年度の専門医の在り方に関する検討会の報告書を上書きするための審議会を設置する方向で調整が進んでいる」と言う。

彼らが問題視するのは、プロフェッショナル・オートノミーを錦の御旗に、大学教授たちが独善的に医療制度を変更しようとしていることだ。

彼らの主張は、「すべての医師は専門医になるべきで、そのためには後期研修が必要。研修の場は大学病院が中心になるべきで、専門医の質を統制するため、統一した基準を儲けねばならない」というものだ。

日本の医療界における伏魔殿

いずれも大学教授たちの「妄想」で、彼らの主張を支持するエビデンスは希薄だ。

このような統制は、まさにカルテルと言える。自由主義国家である我が国では独禁法など、様々な法律に抵触する可能性が高い。「プロフェッショナル・オートノミー」とは対極の行為だ。

こんなメチャクチャが通用したのは、大学教授が密室で議論を進めたからだ。日本専門医機構のホームページをご覧になるとお分かりいただけるが、理事の大部分が大学教授か経験者である。議事内容の詳細は一切公開されていない。

また、財務諸表が公開されていないので、このような組織に誰がカネを出しているかも分からない。こんな組織に、我が国の医療の将来を左右する巨大な権限を与えてはならない。

新専門医制度の議論を正常化させるために必要なのは、日本専門医機構の幹部に制度の見直しをお願いする「陳情」ではない。情報開示と公での議論だ。最近、そのような動きが出つつある。

きっかけは、2月に立谷秀清・相馬市長を中心とした医系市長会が、塩崎厚労大臣や菅義偉官房長官に「中・小規模病院が危機に陥る懸念」および「地方創生に逆行する危険と医師偏在を助長」などの意見を伝えたことだ。

この動きをいくつかのメディアが報じ、全国の市町村長たちも問題を認識し、専門医制度が政治課題となった。

医療は社会的な営みだ。その中心は住民である。住民を代表するのが首長であり、議会だ。彼らの意向を無視して、医師、特に大学教授だけで決めていい問題ではない。

ただ、市町村長であれ、大臣であれ、政治家が介入するには世論が必要だ。この世論作りが難しい。

では、誰が世論を作ったのだろう。私は、南相馬市立総合病院の3年目の研修医である山本佳奈氏の果たした役割が大きいと思う。

山本医師は滋賀医大を卒業し、今春、南相馬市立総合病院で初期研修を終えた。大学在学中から私どもの研究室で学び、新聞やウェブ媒体に文章を発表した(JBpressの記事はこちら。1、2、3、4、5)。一昨年には『貧血大国・日本』を光文社から出版した。

産科医不足に悩む病院が産科医を拒否

将来の夢は「女性のための総合医」。そのために貧血も勉強し、3年目以降は南相馬に残り産科研修を希望していた。ところが、彼女の希望は通らなかった。

南相馬は産科医不足だ。市をあげて産科医の招聘に取り組んでいる。なぜ、山本医師が産科医として採用されなかったのだろうか。彼女の前に立ちはだかったのが新専門医制度と大学医局、さらに彼らの意向を忖度する南相馬市だ。

新専門医制度では、福島県の産婦人科の基幹施設は福島県立医大だけだ。南相馬市立総合病院は連携施設という位置づけになる。福島県で産婦人科専門医を取得したければ、福島県立医大のプログラムに沿って研修するしかない。

彼女は、福島県立医大の教授に、「南相馬で産婦人科医として働きながら専門医を取得したい」と相談した。ところが、その回答は「南相馬の市立病院は指導医が1人しかいないから、福島県立医大に所属したとしても派遣されることはない」とつれなかった。

彼女は悩んだ末、専門医の資格を諦めた。そして、病院幹部に「南相馬で働きたい」と希望を伝えた。

ところが、しばらく経って、福島医大の医局に属する40代の指導医が「忙しくて指導できない。山本さんは自由時間を求めて、ずっと病院にいないから、ここで研修するのは無理」と言っていることを伝え聞いた。

私も幹部から直接話を聞いた。そして、呆れ果てた。確かに、この医師は1人医長としてよく働いている。ただ、20代の女性を雇用しない理由として、「ずっと病院にいない」ことを挙げるのは尋常ではない。明白な労基法違反だ。本当の理由は別にあるのだろう。

実は、南相馬市立総合病院で勤務を希望する産科医は、これまでにもいた。直近では福島医大の幹部が仲介して、県外から医師が来る予定だった。ところが、これも南相馬市立総合病院から断ってしまった。山本医師に対する対応と同じだ。

ところが、最近になって、福島医大の後期研修医が急遽派遣されることになった。指導医は、今回は「多忙で指導できない」と断らなかったらしい。この指導医は、自分が務める病院よりも医局の方が大切なようだ。

このような対応は、住民のためにならない。住民の立場に立ち、このような医師の対応に苦言を呈するのは、南相馬市立総合病院の院長、および市長の仕事だろう。ところが、彼らは、その役割を果たさなかった。

驚いたのは、桜井勝延・南相馬市長の対応だ。

桜井勝延・南相馬市長の不可思議な行動

院長が指導医と山本医師の間を懸命に取り持とうとしているのを傍目に、3月中旬になって桜井氏は「福島医大を批判する医師は雇用できない(南相馬市関係者)」と院長に伝えたのだ。さらに「雇用するなら誓約書を書かせる(いずれも南相馬市関係者)」と迫った。

院長は、産婦人科で研修できるか否かはともかく、山本医師に新年度の雇用を約束していた。新年度まで2週間あまりの段階で、雇用関係を破棄するのは「労基法に抵触する可能性が高い(知人の弁護士)」という。

桜井市長が問題視したのは、山本氏が医師専用のサイト「エムスリー」で「福島医大の産科体制を批判したこと(別の南相馬市関係者)」らしい。

医師専用サイトを桜井市長が見るはずがなく、誰が彼に情報提供したかは明らかだ。公で議論する研修医に対して、卑怯な手段を弄したことになる。また、医師同士のサイトでの言論を、市長が人事権をひけらかして抑制するなど前代未聞だ。

実は、桜井市長の対応に「最も怒ったのが、福島医大の竹之下誠一理事長(福島医大関係者)」だ。

竹之下氏は、桜井市長に電話し、「山本医師を雇用するように迫った(福島医大関係者)」。そして、山本医師や及川友好・南相馬市立総合病院院長に対し、「希望する研修ができるように全面的に支援する」と伝えている。

この結果、4月から山本医師は、南相馬市立総合病院の嘱託となり、神経内科に勤務する。「将来的には産科をはじめ、女性を診療する科で学びたいと考えています」と話す。

紆余曲折があったものの、山本医師は何とか後期研修をスタートできた。福島医大の医局員と市長による圧力と戦って、彼女が何とかポジションを確保できたのは、様々な媒体でこの問題を報告してきたからだ。

「そんなことをすると君のためにならない」と忠告してくれた医師もいたが、多くの人が問題点を理解することになった。南相馬市の地域医療にとって、彼女を追い出すか、迎え入れるか、いずれが良いかは議論の余地がない。先入観なく、話を聞けば、みな、真っ当な判断をする。

実は、その中の1人が塩崎厚労大臣だ。塩崎氏にとっても、被災地の医療、地域医療は重大関心事だ。南相馬市の産科医療には大きな関心を寄せている。

若き女性医師の意志が厚労大臣動かす

彼は山本さんの話を聞いて、直接連絡した。そして、面談した。面談の実現には、地元選出の森まさこ議員も尽力した。そして、冒頭の塩崎厚労大臣への発言へと繋がった。

また、竹之下氏は今春、理事長に昇格した。私もおつき合いがあるが、極めて真っ当な人物だ。彼が理事長となり、これまで批判されることが多かった福島医大は変わるだろう。事実、今回の問題は、彼なしでは解決しなかった。

塩崎氏であれ、竹之下氏であれ、彼らが問題を知ったのは、山本医師の発信がきっかけだ。山本医師は実に大きな役割を果たした。

福島の医師不足の緩和には、東京や西日本のような医師の多い地域からの流入が必須だ。ところが、このケースが示すように、時に、医局は部外者を徹底的に排除する。それを地元の市長までが後押しする。

地方の医療を充実させるために必要なのは、医局の独走を防ぐ仕組みを作ることだ。そのためには、徹底的な情報公開と適切な人事だ。

今回の件での桜井・南相馬市長の振る舞いは、やがて多くの市民が知ることになるだろう。桜井氏は年内に改選を迎える。彼を評価する際の1つの基準になるだろう。かくのごとく、政治家に対しては住民が評価できる仕組みがある。

ところが、多くの地方で医局は医師派遣の実権を独占しており、学会は医局を仕切る教授の集まりだ。学会の幹部たちは専門医制度から多くの利益を受ける。彼らが立ち上げたのが日本専門医機構だ。形式的に単なる任意団体だ。

強大な権限を持つのに、住民はもちろん、政府のチェックも受けない。この組織が独走すれば、我が国の医療は決定的なダメージを受ける。抜本的な見直しが必要である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49622


女性の社会進出を拒む意外な盲点、低用量ピル
欧米に比べけた違いに低い服用率、中国・韓国よりも後進国
2016.10.24(月) 山本 佳奈

女性が科学を研究する可能性、男性の半分以下 調査
女性の社会進出を促すには、日常生活の中にある誤解を解いていくことが必要だ(写真は仏パリの研究所で水の中の病原体を調べる科学者)〔AFPBB News〕
リオオリンピックが終わってから、はや2か月。日本選手団の目覚ましい活躍は、記憶に新しい。

さて、女子競泳選手の400メートル個人メドレー後のインビューを皆さんは覚えておられるだろうか?

試合後倒れこんでしまった彼女は、「昨日、生理が始まりすごく疲れていた。でも、それは理由にならない。今日の自分の泳ぎが良くなかった」と述べた。

多くの選手はこのような発言をしない。いや、言い出しにくい。競技のコーチの多くが男性であるがゆえ、「生理中だ」と言えない女性選手は少なくないのだ。

飲み忘れないために机の上に置いたら・・・

私事で恐縮だが、大学生になった頃から生理痛がひどくなってしまった。起き上がることができず、授業に出られない日も多々あった。困り果てて婦人科を受診し、低用量ピルの存在を知った。

ピルの内服から7年が過ぎた。倦怠感や月経痛は多少あるものの、生理痛は内服してすぐに激減した。日常生活に支障を来すことは全くなくなった。

そんな低用量ピルは、毎日内服する必要がある。正しくは、21日間飲み続け、7日間休薬する。医師となった頃から、飲み忘れが多くなってしまった。そのため、医局の自分の机上に置くことにした。その後、飲み忘れることはなくなった。

だが、最近、「ピルを机の上に置かないように」と注意を受けた。理由は、「避妊薬を置くな、という指摘が医師からあったから」だという。

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静かに広がる高齢者の貧血、まさかが命取りに (2016.9.20 濱木 珠恵)
静かに広がる高齢者の貧血、まさかが命取りに (2016.9.20 濱木 珠恵)
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48182



最新研究で明らかになったスポーツ貧血の怖さ
特に若い女性は要注意、周囲のサポートが不可欠
2016.5.27(金) 山本 佳奈

英ロンドン中心部でパレードに参加したチアリーダーたち〔AFPBB News〕
「スポーツ貧血」という言葉を聞いたことはあるだろうか?

ある日の午後、だるそうに診察室を訪れた1人の女子高生。「部活動でバスケットボールをしているのですが、なんだか最近、授業にも部活にも集中できなくて・・・。集中力がもたず、体がだるくて重いんです」と言う。

採血したところ、診断は貧血。血中のヘモグロビン量が減っていた。

これは、診療室ではありふれた光景だ。実は今、部活動でスポーツをしている中高生や大学生の貧血が深刻な問題となっている。特に女子の貧血は深刻だ。

平成21(2009)年度、高知県競技力向上対策事業の一環として、国体強化指定選手のメディカルチェックが実施された。

強化選手の4分の1が貧血

第64回国民体育大会の強化指定選手である中学生、高校生、成年170人を対象に採血を実施し、ヘモグロビン値を測定したところ、25.3%に貧血が認められた。

成年女性が50%と最も高く、次いで高校女子が27.9%、高校男子が24.7%と続いた。さらに、貧血の割合は、年々増加傾向が見られた。

なぜ、スポーツをする女子に貧血が多いのだろうか。女性アスリート特有の何かがあるのだろうか?

実は、スポーツをする人は、男女を問わず貧血になりやすい。理由は大きく4つある。

第1の理由として、スポーツをする人は筋肉量が多いことが挙げられる。筋肉は、多くの酸素を消費する。その酸素を運ぶのがヘモグロビンであり、必要となる時まで貯蔵しておくのが、筋肉細胞に存在するミオグロビンだ。どちらも主成分は鉄だ。

そのため、一般人に比べて筋肉量が多いスポーツ選手は、より多くの鉄が必要となり、鉄不足に陥りやすい。結果として貧血になる。

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46926




貧血大国日本で鉄の過剰摂取を警告する不思議
ただでさえ貧血になりやすいスポーツ選手の実態を知っているのか?
2016.5.2(月) 山本 佳奈

陸上、ボストン室内グランプリ。女子3000メートルに臨むメセレット・デファー(2016年2月14日撮影)〔AFPBB News〕
4月16日、日本陸連栄養セミナー2016「陸上選手の貧血について考える」が開催された。日本陸連が2008年に立ち上げた「食育プログラム」の一環として行われた初のセミナーである。

今回取り上げられたのは、陸上選手にとって重要な問題の1つである「貧血」だった。貧血であるアスリートは多い。貧血は、正真正銘の病気だ。

今回のセミナーでは、貧血に対する基礎的な知識や貧血の対処法から予防法や改善法に至るまで、様々な議論がなされたが、日本陸連がアスリートの貧血に対して警鐘を鳴らしていることは大切な指摘である。

だが今回、注意すべき点として「鉄の過剰摂取」が取り上げられた。安易な鉄の静脈内投与は体内の鉄過剰状態を引き起こして非常に危険なので、経口鉄剤を試すことなく体調が悪いという訴えだけで鉄剤を絶対に注射してはならない、という。

簡単に言えば、鉄が足りないのが「貧血」で、鉄の過剰な蓄積が「鉄過剰症」だ。

人間は鉄の排出機能を持たないため、鉄の過剰摂取や繰り返しの輸血、ヘモクロマトーシスといった遺伝性疾患によって鉄の過剰な蓄積が生じると、臓器障害を引き起こす。

とはいえ、臨床現場において、鉄過剰症はほとんど見られない。普通に生活しているだけでは、鉄の過剰にはならない。まして、貧血になりやすいアスリートの鉄の過剰は、そう簡単に起きるものではない。

そもそも、鉄剤注射は、貧血改善のための治療法の1つにすぎない。どうしても鉄剤の注射をする以外に方法がない場合もある。

鉄剤注射は、決してドーピングではない。にもかかわらず、「危険だから鉄剤は注射するな」というのは、貧血に対する誤解を生じさせないだろうか?
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46703


http://www.jaaf.or.jp/medical/nutritionseminar2016.html


福島第一原発・廃炉作業現場に見た地域社会との隔壁
地域社会との交流を進めなければ本当の復興はできない
2015.9.17(木) 山本 佳奈



福島第一原子力発電所で、放射能汚染水対策のための「凍土壁」の建設現場で放射線量を測定する東京電力の職員〔AFPBB News〕
 東日本大震災から4年半が経った。町の様子も様変わりし、社会の関心も薄れたように感じられる。

 原発も例外ではない。最近の報道は、もっぱら汚染水に関するものばかり。しかも報道内容はまちまちで、専門家によって意見がかなり異なっている。専門家ではない人には何が真実なのか、よく分からないというのが現実ではなかろうか。

 私自身、南相馬に医師として赴任して半年が経ち、メディア報道を通じてではなく、自分の目で福島第一原子力発電所を見たいという思いが募っていた。その矢先、福島第一原発を見学する機会を得た。

 やはり聞くと見るとでは大違い。私にとって本当に貴重な経験となった。そこで、自分の目で見て感じたこと、考えたことを正直に書きたいと思う。

毎日150往復するバス

 Jヴィレッジをご存知だろうか。楢葉町と広野町にまたがる、このスポーツ施設は、幸か不幸か福島第一原発から半径20キロ、つまり避難対象地域との境目に位置している。このため、原発事故収束のための拠点施設としての役割を担うこととなった。

 毎朝、6700人もの作業員が、Jヴィレッジからバスに乗り込み、片道40分かけて福島第一原発へと向かう。バスは、早朝から夜遅くまで動き、150回もJヴィレッジと原発を往復する。

 我々もJヴィレッジからバスに乗り込み、福島第一原発へと向かった。道中、楢葉町と富岡町を通過した。ご存知のように、楢葉町はつい数日前に避難指示が解除されたばかりである。

 除染作業で発生した土砂を入れるまっ黒なフレコンバックの数が原発に近づくにつれて増えていく。この景色は、何度見ても心を締めつけてくる。黒い大量の袋が整然と並べられている様だけは慣れることができない。

 国道6号線を北上し福島第一原発へと着いた途端、視界の半分を巨大な大量のタンクによって占領されてしまった。1日に約300トンもの地下水が原子炉建屋内に流れ込んでいるため、タンクは今もなお増え続けている。

 施設内では厳重な管理体制のもと、放射性物質のスクリーニングが徹底して行われていた。作業員の方々は、流れ作業の如く大きな器械の中を通り抜けてセキュリティーを通過していく。その光景はまるで機械に人間が支配されている近未来の映画の世界のようだった。

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44792


男性が接種しても利点多い、子宮頸癌ワクチン
頭頸部癌や肛門癌の予防に効果が期待できる・・・
2014.2.26(水) 山本 佳奈

 ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)に対する接種の副作用が社会の関心を集めている。2009年にワクチン接種が開始されてから、注射部位の腫れや痛み・しびれ・関節痛を訴える報告が相次いだからだ。報告数の累計は956件にも上る。

 一連の副作用報告を重視した厚生労働省は、昨(2013)年6月に接種勧奨を中止し、時間をかけて副作用対策を議論してきた。1月20日、厚労省の検討会は一連の議論をまとめ、副作用の多くは「接種による痛みや不安に対する心身の反応が引き起こしたもの」と結論づけた。

医学的に確立しているワクチンの有効性

 これを受けて、厚労省は接種勧奨を再開する予定だと言う。果たして、このまま接種勧奨を再開してもいいのだろうか。私は、もう少し議論が必要だと思う。

 まず、HPVワクチンの有効性について説明したい。世間では、様々な意見があるようだが、このワクチンの有効性は、ほぼ医学的に確立していると言っていい。

 HPVは子宮頸癌の原因だ。HPVは性交渉により感染するため、我が国では20代から30代の女性を中心に毎年1万5000人が罹患する。現在、我が国では、グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」と、MSD社の「ガーダシル」の2種類のHPVワクチンが承認されている。

 英国で実施されたPATRICIA試験では、健康な15歳から25歳の女性1万6162人を2群に分け、AS04アジュバンドを含むHPVワクチンとアルミニウムアジュバントを含むA型肝炎ワクチン(対照群)を接種したところ、34.9カ月の間に子宮頸癌を発症したのは、HPVワクチン接種群で1人、対照群で53人だった。実に、子宮頸癌のリスクを98.1%減らしたことになる(1)。

 HPVワクチンの問題点は2つある。1つは費用だ。通常、HPVワクチンは3回接種しなければならず、自己負担の場合、総額4万5000円前後もかかる。HPVワクチンが、2013年から予防接種法に基づく定期接種となり、小学校6年生から高校1年生の女子は全額公費で接種できるようになったことは、国民にとってありがたい話だ。

 これ以降、接種者は急増し、日本におけるHPVワクチン接種率は2012年で約67%、販売開始から2013年3月末までの接種者数は258万人に上る。

 実は、私もHPVワクチンを接種した。ワクチン接種が始まってすぐ、子宮筋腫に苦しんだ母に、接種すれば子宮頸癌にならずにすむと説得されたからだ。同じ頃、大学の友人も、徐々に接種するようになった。

 HPVワクチンを打った時、痛みが強かった記憶がある。痛みは、体に様々な悪影響を及ぼす。予防接種に限らず、注射や採血の際の痛みが迷走神経を刺激して、失神する人がいる。

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40026
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[経世済民120] 転勤を命じた相手は、親を介護する52歳の元上司 トランプ国防政策立ちはだかる財政赤字、待ったなし軍改革 中国人闇ガイド増
転勤を命じた相手は、親を介護する52歳の元上司

河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

コスト重視とベテラン軽視の象徴でもある「50代の転勤」
2017年4月4日(火)
河合 薫

 人事異動の季節。私の周りでも「ええ〜〜、マジ??」という異動が、相次いだ。

 企業にとっては「社員」の配置転換の一幕だが、当の「社員」や、社員と関係ある人にとっては、ときに緊要な選択を迫られる。

「自分にはどうすることもできませんでした。決して他人事ではないのに、自分の無力さに嫌気がさしています」

 52歳の年上の部下を持つ48歳の課長職の男性は、こうため息をついた。

 男性の話は私自身、とても考えさせられるものだった。というわけで、今回は「50代の転勤」をテーマにしようと思う。

 まずは彼の話をお聞きください。

「もともと彼は僕の上司だったんです。でも、昨年ラインを外れて、部下になった。なので、人事から彼の転勤を打診されたときは、正直ホッとした。関係が悪いわけではなかったんですが、やはり難しい部分もあって。彼も僕が上司だとやりづらそうだったので、彼にも転勤は朗報だと思いました。

 ところが、『親の介護があるので、転勤は勘弁して欲しい』と相談されて。どこに配属されてもいいから、転勤だけは勘弁してくれと泣きつかれてしまったんです。 僕、全く知らなかったんですが、数年前からお父さんの介護で大変だったみたいで。同居しているらしいんですが、奥さんひとりに任せることはできないので転勤はムリだと。僕だけで判断できる事案ではないので、上長に相談しました。

 でも、答えは「ノー」でした。即答です。当然といえば、当然の反応でした。

 今って子育て世代を下手に転勤させると、パワハラとか言われてしまう場合もあるので50代の人たちに行ってもらうしかない。そもそもうちの会社では55歳になると、早期退職か、賃金減額でそのまま60歳まで働くか、賃金維持で転勤や出向も受け入れるかを選ぶようになっていました。ところがこれも非情な話なんですけど、選択する年齢が53歳に引き下げられることになった」

「でも、その方はまだ52歳ですよね?」(河合)

「50歳以上はお荷物でしかない」

「はい。そこが……アレなんですよ。結局、会社にとって50歳以上はお荷物でしかないので、どうにかしてコストを減らしたいんです。

 つまり、先に転勤させ、そこで賃金減額か退職を選ばせようっていう魂胆です。そうなれば、転勤か減額かの二者択一ではなく、転勤させたまま減額することが可能になる」

「えっと、ちょっとよくわからないのですが……、『賃金維持で何でもやる』方を選べば、逆に本社に戻れる可能性もあるんじゃないですか?」(河合)

「それはないです。そんなことしたら、恐らくもっと遠隔地に飛ばされます。実際には追い出し部屋みたいなものです。社内には『定年までイキイキ働こう!』とかポスターが貼ってあるんですけど、なんかブラックジョークですよね」

「では、その部下の方はどうなさるんですか?」(河合)

「上からノーという答えがきた以上、転勤を受けるしかないと思います……。

 僕の両親はまだ元気ですけど、妻には『あなたの親の下の世話はできない』って、宣言されている……。だから他人事じゃないんです。一方で僕は、かつての上司に肩たたきをしてる……。なんか自分に嫌悪感ばかりが募っています」

 介護と転勤――。

 この二つが重なったとき、どうすべきなのだろうか?

 それこそ同じ転勤でも、名古屋と福岡では違うだろうし、大阪と北海道でも異なる。また、一言で介護と言っても、昨日までは身の回りのことはできていた親が、突然、歩くことが出来なくなる場合もある。ひとつの小さな変化が次々と予期せぬ変化につながっていく。

 そもそも親の変化はある日突然で、実際に問題に直面するまで、リアリティを持つのが極めて難しい問題である。

 奇しくも、週刊新潮の4月6日号に「他人事ではなかった「介護殺人」の恐怖」という見出しで、芸能人や文化人の介護経験が掲載されていたけれど、介護ほど、実際に直面した人でないとその深刻さを理解できない問題はない。そこで降る雨の冷たさは当人にしかわからず、「家族のこと」だけに孤独で、逃げ場をなくし、自分でも恐ろしいほどの感情に翻弄され続ける。

 ……、本当に、どうすればいいのだろう。

「介護のため転勤を断り、結局パート勤めに戻った」

 昨年11月に全国で初めて実施された転勤に関する大規模調査では、「転勤で困難に感じること」に、全体の7割超が「介護」と回答。「育児」の5割を上回った。(労働政策研究・研修機構「企業における転勤の実態に関する調査」 )

 親の介護などを理由に転勤の免除などを求めた社員の3割以上が、会社側から配慮されず、転勤していたこともこの調査では明らかになっている。

 厚生労働省ではこうした調査結果をもとに、「「転勤に関する雇用管理のポイント(仮称)」策定に向けた研究会」において議論を進めている。ただ、これはあくまでも企業の労務管理に生かしてもらうのが目的であり、その内容に法的な強制力があるわけではない。

 企業の中には、地域限定社員なるものを増やす動きもあるようだが、こういったことができるのは相応の規模がある大企業だけだ。実際、先日インタビューした方の会社では、支店を減らすことになり地域限定社員の扱いに困っていると聞いた。

 また、ある48歳の独身女性は、「やっと正社員に転換できて喜んでいたら、地方転勤を命じられた。高齢の母親をひとり残していくことも、連れていくこともできない。結局、会社を辞め、パート勤めに戻った」と嘆いていた。

 なんだかとっても難しい……。本当、なんでこんなにも「働く」という行為が難しくなってしまったのか。

 しかも、先日政府が発表した「働き方改革の実行計画」(全79ページ)の中には、「介護」という文字は………、ん?……、へ?………、「うわぁ〜、やっとあった!」という程度しか書かれていない(以下、資料内22ページ「子育て・介護と仕事の両立支援策の充実・活用促進」の項目から抜粋)。

「介護をしながら仕事を続けることができる「介護離職ゼロ」に向け、現役世代の安心を確保することが重要であり、総合的に取組を進めて行く。介護の受け皿については、2020年代初頭までに、50万人分以上の整備を確実に推進する。

(中略)

女性の就業が進む中で、依然として育児・介護の負担が女性に偏っている現状や男性が希望しても実際には育児休業の取得等が進まない実態を踏まえ、男性の育児参加を徹底的に促進するためあらゆる政策を動員する。

(中略)

制度があっても実際には育児休業等を取得しづらい雰囲気を変えるため、育児休業の対象者に対して事業主が個別に取得を勧奨する仕組みや、育児目的休暇の仕組みを育児・介護休業法に導入する。併せて、部下や同僚の育児・介護等に配慮・理解のある上司(イクボス)を増やすため、ロール・モデル集の作成やイクボス宣言を広める」
「とにもかくにも、“家族”でよろしく!」のニッポン

 ううむ……。介護と育児がごっちゃで、何度読んでも理解できない――。

 介護の受け皿を増やすと提言しているけど、50万人以上の整備をどうやってやるというのか? 育児参加に積極的な男性と介護はどういう関係があるのだろうか?

 イクボスは育児には理解あるかもしれないけど、どうやって介護のロールモデル集を作るのだろう? 

 2020年には「大人の10人に8人」が40代以上になり、2025年前後には「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者に突入する。AIによる自動化・ロボット化が進んで、介護ロボットの導入が広がろうとも、親やパートナーの介護自体がなくなるわけじゃないし、働く人の負担が完全になくなる訳じゃない。せいぜい横綱級の大変さが、大関級になるくらいだ。

 たぶんこれを作った人たちは、介護と仕事の両立に苦労したり、転勤を命じられたらとビクビクした経験がないのだと思う。

 遡ること40年前の1979年。大平正芳首相のときに自民党が掲げた政策方針である「日本型福祉社会」が現在でも踏襲されているのが、日本の現実なのだ。日本型福祉社会では「社会福祉の担い手は、企業と家族」で、北欧に代表される「政府型」や、米国に代表される「民間(市場)型」じゃない。「とにもかくにも、“家族”でよろしく!」と、独自路線の福祉政策が基本だ。

 確かに2000年には、要介護者を「社会全体」で支え合うという理念の下、介護保険制度が創設された。だが実際には、「介護離職」という言葉が一般化しているほど、介護家族の負担はとてつもなく重い。

 少々古い話になるが、2006年に政府がまとめた「今後の社会保障の在り方について」には、こう書かれている。

 我が国の福祉社会は、自助、共助、公助の適切な組み合わせによって形づくられるべきものであり、その中で社会保障は、国民の「安心感」を確保し、社会経済の安定化を図るため、今後とも大きな役割を果たすものである。

 この場合、全ての国民が社会的、経済的、精神的な自立を図る観点から、

1)自ら働いて自らの生活を支え、自らの健康は自ら維持するという「自助」を基本として、

2)これを生活のリスクを相互に分散する「共助」が補完し、

3)その上で、自助や共助では対応できない困窮などの状況に対し、所得や生活水準・家庭状況などの受給要件を定めた上で必要な生活保障を行う公的扶助や社会福祉などを「公助」として位置付けることが適切である。
 また、世界人権宣言にある「家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する」という条文と同様の内容の一文は、自民党の改憲草案には見られない。一方で、現行憲法にない「家族の尊重、家族の相互の助け合い」が追加されている。

目に見えない、数字で測ることのできないベテランの力

 家族イデオロギーに基づいた政策は、育児や介護など、他者の助けを借りる必要のある問題を、自己責任にすり替える。お金がある一部の超高額所得者ならベビーシッターや介護ヘルバーさんを雇えるかもしれないけど、一般ピーポーにはムリだ。

 しかも、企業はいまだに「仕事第一主義」。

 3年前に日経ビジネスの「隠れ介護 1300万人の激震」という衝撃的な見出しの特集が話題となったけど、当時は働く人の5人に1人が隠れ介護(介護をしながら働いている人)と試算された。「隠れなきゃいけない」「会社に言えない」状態ほど不健康なものはない。どんなにワークライフバランスだ、長時間労働削減だと声を上げても、その一方で、転勤に「ノー」と言えない状況がいまだに存在する。

 転勤が企業にとって避けられない「異動」なら、介護も家族にとって避けられない「異変」だ。

 冒頭で紹介した男性の企業のように、50代の人を地方に転勤させるというやり方が絶対ダメだとは言わない。地方での生活を楽しもうと考える人もいるだろう。でも、転勤を指示するのであれば、会社は当の社員とちゃんと話し合い、本人の意向を確認したうえで、介護などの問題が伴う際には最大限配慮を行うべきだと思う。

 また、50代以上の社員をお荷物扱いする会社は多いけど、その人たちがいるから、その会社の“ファン”になっている人って意外と多いはずだ。

 いかなる職種であれ、ベテランの人の会話力は高い。たわいもないコミュニケーションが信頼にもつながるし、ベテランならではの気付きに救われることもある。若い人には若い人のいいところがあるように、ベテランにはベテランなりのいい面がある。

 少なくとも私は日常のさまざまな場面で、ベテラン店員やベテラン社員のおかげで、心地良さを感じてきた。そして、その心地よさが「また、次も行こう」「また、次もお願いしよう」というその企業へのロイヤリティにつながった。

 目に見えない、決して数字で測ることのできないベテランの力。そういった人材を上手く活用したり、重宝がる企業が増えれば、安易に、「有無も言わさず転勤!」なんてこともなくなっていくのではないだろうか。

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このコラムについて

河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/033100099


 


トランプ政権の国防政策に立ちはだかる財政赤字
厳しい財政事情のなか、待ったなしで迫られる軍改革
2017.4.4(火) 矢野 義昭
米国防予算10%増、海外援助や環境予算は大幅減 トランプ氏方針
米バージニア州のラングレー空軍基地で、大統領専用機エアフォース・ワンに向かって歩きつつ敬礼するドナルド・トランプ米大統領(2017年3月2日撮影)〔AFPBB News〕
米国のドナルド・トランプ大統領は国防費の600億ドル増額を公表し、「米国を再び偉大にする」、そのために「強大な軍を再建する」との公約の実行に乗り出した。

台頭する中国、地域的な脅威である北朝鮮、イラン、現在進行中のIS(イスラム国)などの脅威に対処し、サイバー、宇宙、電磁波など新しい戦闘空間での優位を維持するには、先端軍事技術の研究開発と最新装備の配備が不可欠である。

しかし、連邦の財政赤字は約20兆ドルに達し、国防費の増額のためには、連邦の関連予算を含めた予算配分全般に関する徹底した選択と集中、さらなる軍改革が欠かせない。

1.オバマ政権の国防予算の特色とトランプ政権に残された課題

2013年に歳出削減に関する強制措置が発動された。しかし、国防費については、バラク・オバマ政権の下でも強制削減措置は先延ばしにされてきた。

「急激に変化する安全保障環境のもと、米軍が現在と将来にわたり、国家に最善を尽くし国防の任務を果たすため必要とする優先事項を反映したものとするため」、超党派で「超党派予算法2015」が成立した。同法に基づき、2016年度と2017年度の国防費は、歳出強制削減のための予算執行差し止めを免除された。

2016年2月9日、オバマ政権が議会に提案した議会裁量分の予算額は、5827億ドルである。そのうち基本予算(basic budget)は5239億ドルで前年度に対し22億ドルの増加、「海外緊急事態作戦(OCO: Overseas Contingency Operations)」経費は588億ドルで前年度とほぼ同額となっている。

アシュトン・カーター前国防長官が、国防予算案と同日に議会への説明のため発表した「2017年度防衛態勢に関する表明:長期の見通しと将来への投資」の第2章では、現在を「戦略的転換点」であると位置づけ、第4章では、「戦略的変化への調整」のため対処すべき課題として、以下の事項が列挙されている。

第1が「テロリズムへの対処」
第2が「ロシアを抑止するための強力でバランスのとれた戦略的アプローチ」
第3が中国の台頭を意識した、「アジア・太平洋でのリバランスを可能にすること」
第4が「北朝鮮の抑止」
第5が「地域の友好国と同盟国を強化しつつイランの悪影響を阻止すること」
第6が「サイバー、宇宙、電磁戦への対応」

第5章では、「未来のための好機の把握」と題し、以下の4項目の対応策が述べられている。

「戦争戦略、作戦構想、戦術の見直しと洗練」
「賢明で不可欠な技術革新の推進」
「将来のための全志願制軍の建設」
「国防総省の事業改革」

しかし、カーター長官は、議会に対し、今後歳出強制削減措置がとられれば、2018年度から2021年度の間に国防予算は1000億ドルの削減を余儀なくされ、そうなれば「許容しがたいリスクを招く」と警告している。

トランプ政権の脅威認識、対応策も基本的にはオバマ政権と同様だが、脅威認識では力点の置き方が異なっている。

トランプ大統領は、ISとの戦いで勝利することを当面最優先することを明確にしている。また、ロシアにはシリア問題などで融和的政策を追求する一方、中国に対しては、対台湾政策、南シナ海問題などの安全保障面のみならず、為替操作国と非難し対米貿易赤字を不公正とするなど金融、通商面も含め、非難を強めている。

またカーター前国防長官が指摘した、財政上の危機状態も問題が先送りされただけで、むしろ悪化している。この危機にどう対処するかが、トランプ政権が直面している国防政策上の最大の課題とも言えよう。

財政問題が解決されない限り、新たな脅威や課題に対応するための戦力構造の変革や新装備の開発配備もできない。

2.歴代政権による基本予算のOCO経費への繰り入れの問題点とトランプ政権がとり得る是正策

OCO経費は海外での緊急事態に対する作戦用として短期間に必要とされる経費であり、中長期にわたる恒常的な経費は、基本予算に組み入れなければならない。しかし、オバマ政権は、アフガン、イラク、シリア、リビア、イエメンなどでのOCO経費に、訓練費や装備品の維持整備費など、本来基本予算に計上すべき予算を組み入れている。

このような、OCO経費に基本予算に計上すべき経費を組み入れるというごまかしは、ジョージ・W・ブッシュ政権時代から行われてきたが、歳出強制削減措置が発動された2014年度以降の予算では、顕著になってきた。

オバマ政権の国防予算では、OCOの約半分に当たる300億ドルが基本予算に組み入れられるべき計画や活動に割り当てられるまでになっている。これは、形の上だけ、基本予算の上限額を歳出強制削減措置により課せられた上限枠(cap)に辻褄を合わせるための苦肉の策であった。

しかしその結果、本来なら基本予算として、10年以上の長期間にわたり安定的に予算が保証されるべき、即応性、継戦能力などの軍の基礎的な軍事能力を構成する、訓練費、装備品の維持整備費などの予算が、安定的に保証されなくなるおそれがある。

「国防授権法(NDAA: National Defense Authorization Act)」では、OCO経費の基本予算への組み入れを制限している。国防予算の健全化のためには、この法律違反の抜け道を防がねばならない。

オバマ政権下でもOCO経費のうち基本予算に計上すべきものを基本予算に戻すことが検討されたが、歳出強制削減の上限枠が延期されない限り困難と判断され、見送られた。もし上限枠内でOCO経費を基本予算に戻すとすれば、年額200億〜300億ドルの予算削減をもたらすことになる。

このことについて国防総省は2016年9月に、「前方展開や即応性維持のために必要な予算として、アフガン、イラク・シリアでの作戦が終了しても、今後4年間は毎年300億ドルの恒常的な予算が必要になる」と表明している。

すなわち、対テロ作戦が終了したとしても、実質的に基本予算を300億ドル増額しなければ、軍の即応性や前方展開の維持ができなくなることを意味している。

このため、トランプ政権の下で2017年度に予想されていた赤字見通しはさらに悪化する。2017年度から2023年度までの5年間に見込まれている2.3兆ドルの赤字に、基本予算増額4年分の1200億ドルの赤字が加算されることになる。

しかも、これには本来のOCOである戦費は含まれていない。アフガン、イラクなどでの戦いが長引けば、さらに赤字は増加することになる。トランプ政権としては、テロとの戦いを何としても早期に終結させ、OCO経費を大幅に削減しなければならない。

今米国の議会内と政権の間では、複雑な予算を巡る駆け引きが行われている。共和党内では、国防費の増額のためには、それに相応した他の予算科目の削減が伴わねばならないとの議論がされてきた。民主党議員は、基本予算であれOCOであれ国防予算の増額には、非国防予算の同額の増額が必要と論じてきた。

トランプ政権の2018年度国防予算提案では、OCO内の基本予算の扱いが焦点となっていたが、アフガン、イラク、シリアでのOCOはそのまま維持すると仮定して、いくつかの選択肢が考えられる。

1つは、基本予算の増額をすることなく、OCOに含まれていた基本予算該当部分を基本予算に戻すという案である。この案では、赤字が増加することはなく、歳出の上限枠を引き上げる必要もない。上院で民主党議員の賛同を得て予算案を通過させるのも容易であろう。

しかしこの場合、現在国防総省が計上している装備品取得、戦力構造、即応性維持などに必要な予算から、300億ドルを削減しなければならないことになり、議会内の国防族強硬派からの強烈な反対を招くことになる。

この案は、前述した、カーター前国防長官が『2017年度国防体制に関する表明』で述べているように、米国が直面している脅威を考慮すれば、国家安全保障上は容認できない案である。

第2の案として、OCOを基本予算に戻すと同時に、適切な額の基本予算を増額させるという案もある。しかしそのためには歳出の上限枠を引き上げる必要があり、議会を通過させるのはより難しくなり、特に上院の民主党議員への説得が必要になる。

オバマ政権が提案した基本予算を維持しつつ、OCOに含まれていた300億ドルの基本予算相当分を基本予算に戻すと、年600億ドルの基本予算増額になる。トランプ政権が新たに何らかの戦力構造の追加を求めれば、さらに増額しなければならない。

第3の案として、OCOの抜け道をそのまま維持するという方法もある。

この場合、歳出上限枠の引き上げ分は軍事費増額に使われるかもしれない。共和党内の保守的な財政緊縮論者と、非軍事費の増額を要求する民主党はこの手法に反対し、議会でも政権内部でも反対が高まるであろう。特に、OCOは基本予算のように5か年計画により裏付けられないため、予算の不透明性が増すという問題点がある。

第4の案として、基本予算の歳出上限枠を引き上げ、相殺するための予算削減を行いつつ、OCOから基本予算分を徐々に基本予算に移転するという、中間的な方法がある。

5か年計画の中で、毎年どの程度の予算をOCOから基本予算に移転し最終的になくするかを計画することができる。

この案は一部すでに実行に移されている。予算の上限枠を引き上げながら、効率化や事務官の削減などにより埋め合わせのための予算削減を併用するというものである。この方法は、財政強硬派、国防族強硬派、民主党員のいずれも満足させるものではないが、一応合意しうるぎりぎりの妥協案と言えよう。

平時の活動のためのOCO経費への依存の増大は、オバマ政権が解決できなかった最大の国防予算上の課題である。そのために、軍の予算見通しに不透明性が増し、軍事力強化計画が切り詰められ、軍の近代化計画に悪影響が及んでいる。

この問題は、過去約15年間にわたり解決できずに悪化してきたが、トランプ政権はまずこの問題の解決を迫られることになる。

3.トランプ政権の2018年度国防関連予算に見られる思い切った選択と集中

今年3月16日ロイター通信は、トランプ政権の予算教書について、国務省と国際開発庁(USAID)を合わせた予算は256億ドルで、28%の支出削減になると報じている。イスラエルへの安全保障支援費31億ドルが含まれる一方で、国連や関連機関、世界銀行など多国間開発銀行への拠出金などは、削減される計画と報じている。

このように、国防予算以外の対外関連予算は極力削減されており、予算配分の選択と集中が断行された。国防予算以外の関連予算の思い切った選択と集中にトランプ政権の「米国第一主義」の姿勢が明確に示されていると言えよう。

国防予算についてトランプ政権は今年3月16日、政権発足後初めてとなる2018会計年度(17年10月〜18年9月)予算教書の骨格を議会に提示した。国防費の基本予算を前年度比10%増の5740億ドル(約65兆円)とし、国境警備の予算も拡充。

一方で(オバマ政権が重視していた)海外向け援助や環境保護関連は大幅に削減し、「米国第一主義予算」を打ち出した。

国防関係では、OCO経費は前年とほぼ同水準の646億ドルを要求。国土安全保障省の予算には、メキシコ国境の壁建設の関連費として、26億ドルを盛り込んだ(『JIJI.COM』2017年3月15日)。

このように、トランプ政権は公約通り、「再び米国を偉大にするため」、「強大な軍を再建」し、国防、治安を最重視した「米国第一主義」に立った予算編成を目指している。

約10%の基本予算増額は、OCO経費を前年度とほぼ同額としていることから、前記の第4の選択肢をトランプ政権は選択したことになる。

基本予算の約600億ドルの増額は、オバマ政権の基本予算にOCOに含まれていた基本予算該当分300億ドルを上乗せし、さらに国防総省が要求していた基本予算約300億ドル分を減額することなくそのまま認めた合計額にほぼ相等する。これで軍の前方展開や即応性は何とか維持されることになるであろう。

その意味では、第2の選択肢に実質的に近いが、残された純然たるOCO予算の大幅な減額、すなわちイラク、シリア、アフガンなどでのテロとの戦いを2018年度以内に縮小撤退しなければ、累積赤字幅が2023年までに2兆5千億ドル以上に拡大することを意味している。

2011年に予算管理法が成立したにもかかわらず、米国防予算額はすでに2011年度の50%増に達している。それでいて、陸軍の旅団、艦艇、航空機、兵員のいずれも数的には削減されている。能力は向上していると言われるが、検証はできない。

このような予算の増大と兵力数の減少に対し、トランプ政権が抜本的な軍改革を必要としていることは明らかである。

国防省の要求通り基本予算の増額を認めたとしても、そのことは軍改革の必要性を軽んじたものではない。むしろ、トランプ大統領は実業家としての経営感覚を踏まえ、国防省予算配分のいっそうの効率化、選択と集中を断行するとみられる。

すでにトランプ大統領は就任前の2016年12月に、ボーイング社の大統領専用機に対し代替機を採用すべきだと指摘し、数十億ドルに上る国防総省内の予算の無駄遣いを『ワシントン・ポスト』紙上で認め、ロッキード社の「F-35」計画では数十億ドルの節約を認めさせている。

CSIS(戦略国際問題研究所)の国防予算分析の専門家トッド・ハリソン研究員は、上記のようなコスト高の事業について個別に契約企業をやり玉に挙げてコスト削減を強いるというやり方では限界があり、抜本的な軍改革のためには、以下のような諸施策を総合的にとるべきであると主張している。

まず、主要な取得計画についてそれぞれの投資と利得に焦点を当てて、取得計画全般の組み合わせを、ボトムアップで見直すこと、それと同時にこれらの計画の国家にとっての価値を考慮に入れること。

防衛においては、投資の利得は軍事力の質的向上により評価される。取得計画はF-35の場合3790億ドルに上るなど、極めて高価になりがちだが、トランプ政権の戦略にとりそれぞれの装備がいかに重要かという要因を考慮しなければならない。

例えば、ステルス性能は中露のように高度な能力を持つ敵の防空網に浸透するには重要な要素だが、対テロ戦や対暴動戦での近接航空支援では必須ではない。攻撃に脆弱な前進基地にさほど依存しない場合は、射程や弾頭の搭載量は重要である。しかし、別のより安価な手段で同様の能力が発揮できるなら、それを採用すべきである。

逆に、トランプ政権の戦略にとり死活的な重要性を持つ能力に関する計画への投資を拡大し、指向性エネルギー兵器や先進的な無人兵器システムのように、高い利得が潜在的に期待できる革新的技術には、少額でもハイリスクの資金を賭けておかねばならない。

新政権のリバランシングは取得計画のみにとどまるべきではない。国防省総予算額の3分の2を占める、給与、諸手当、訓練費、即応性などに使用される予算も再評価しなければならない。

もしも新政権がこれらのコストを統制し軍の作戦の効率化を実行できなければ、軍事力の増強は制約され、資金は必須の兵器システムに必要な投資から作戦や維持費に吸い取られることになる。

トランプ政権は以下の改革を考慮すべきである。

第1に、2016年度に制定された国防授権法の新規定を活用し、達成度に応じて国防省の事務官雇用者数の削減を実行すべきである。国防省の事務官の下位5%を解雇すれば年30億〜40億ドルが節約できる。

第2に、軍の給与と諸手当について、民間部門と同様に競争力を働かせるため、軍隊にとっての価値を最重視して、現金支払いとし、軍にとり価値の低いものへの給与などは最小限にとどめ、非現金払いとし諸手当給付も繰り延べすること。

第3に、国防省の事務官人事制度を改革するため、労働者を、全般計画の人事制度から切り離し、管理者に対しより柔軟に、高度の能力を持った労働者を採用し成果の上がらない者を解雇できるように、特別に構築された国防省内の新しい制度に移行すること。

第4に、軍人の管理システムを近代化しかつ中央統制を緩和して、指揮官に採用と解雇の権限をより多く与え、かつ軍人自身に彼らの軍役間のキャリアー統制の権限をより多く与えること。

第5に、軍事手段の即応性について、入り口での要求ではなく、出口での成果に焦点を当てるように、変革すること

人事制度と即応性は人事・即応局担当次官の権限だが、過去8年間、軍の強い要望に応えた改革に失敗し、4年以上も議会が承認した次官が就任していない。ゲーツ元国防長官も、人事・即応局の官僚主義的な抵抗を回想録の中で、厳しく非難している。

トランプ政権は、この局を廃止し各軍種、国防省統制官、コスト評価・計画評価局の間に責任を分割すべきである。

軍はこれ以上のコスト増大と兵力規模の縮小には耐えられない。軍改革の機は熟し切っている。改革なしに国防費を増額させることは、問題の渦中に無駄金を投じるものであり、今日軍が経験している非効率性を改めることにはならない。

トランプ政権は、国防費を、過去16年間欠けていた、将来を見通す眼力と会計規律の視点をもって、再配分し直すべきである。

孫や子の世代に非効率な1950年代の人事制度やこれから直面する脅威に適合しない兵器システムを引き継がせるわけにはいかない。新政権は、近代的兵器システムと近代化された人事制度、活性化された文官たちを後世に遺すための軍改革を、いま断行すべきである。

まとめ

以上、トランプ政権が直面する国防関連予算の累積赤字問題の深刻さと、それに対応するための具体策のいくつかについて紹介した。「軍改革」を進め、「強い米国を再建する」ことは容易ではない。

過去のしがらみにとらわれない、思い切った人事制度改革、国益と新たな脅威に応ずる斬新な戦略の創出、それを可能にする新たな装備体系の開発配備、戦略上の要求と費用対効果に基づく取得計画の抜本的見直し、他省庁、民間と一体となった国を挙げた協力態勢、同盟国の分担協力確保など、課題は山積している。

しかし、このような米国の苦境は決して他人事ではない。日本もまた深刻な財政赤字を抱えており、社会保障費の肥大と防衛費の伸び悩み、新装備の研究開発資金の不足、人材の募集と育成の困難などの共通の課題を抱えている。

トランプ政権の目指す方向はおおむね正しいと評価できるが、それが実行できるかは不透明である。日本も国益、安全保障環境の変化を踏まえつつ、米国と歩調を合わせ自らの改革に真剣に取り組まねばならない。その際に、米国の試みは大いに参考になるものと思われる。

中露朝など周辺国の脅威、サイバー、宇宙、電磁波など新空間での戦いに備えるには、日米協力が不可欠であり、相互の軍改革に向けた取り組みでの協力と教訓、関連情報の交換は今後ますます重要になるであろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49557

 


埠頭で煙草ポイ捨て、中国人の闇ガイドが増えた理由
「不人気」言語になってしまった中国語
2017.4.4(火) 姫田 小夏
鹿児島に寄港した大型クルーズ船「コスタ・セレーナ号」
 水平線の彼方に白い船が姿を現した。船影が大きくなるにつれ、次第に輪郭がくっきりと形づくられていく。中国・上海を出発して博多、鹿児島などをめぐるクルーズ船「コスタ・セレーナ号」である。
 船が着岸するのは、鹿児島市の大型観光船埠頭「マリンポートかごしま」だ。着岸が1時間後に迫ったマリンポートかごしまには、子ども連れの家族や高齢者が集まり始めていた。近づいてくるクルーズ船に向かってオレンジ色の旗を振っている。彼らは「おもてなし隊」の会員で、登録を行うとこのオレンジ色の旗を渡される。高齢の女性は、「出迎えるのはこれで15回目」と言う。
 13時の着岸が近くなるにつれ、周囲は慌ただしくなった。次から次へと観光バスが押し寄せて来る。整列して乗客を待つ大量の観光バスの姿は圧巻だ。80台は下らないだろう。
埠頭に集結するガイドの正体は?
 埠頭に集まったのは観光バスだけではない。中国人の通訳ガイドも集まり始めていた。
下船する乗客を待ち構える大勢の通訳ガイド
 通常、日本の観光の現場では「通訳案内士」が活躍する。通訳案内士になるには国家資格が必要だ。試験に合格するためには、相当な時間を費やさなければならない。
 しかし、目の前にいる中国人の通訳ガイドたちは、とても「プロのいでたち」とは異なる。服装はだらしがなく、しゃがみこんでタバコを吸い、その吸殻を投げ捨てる者もいれば、背中を丸め、両手をポケットに入れてうろつく者もいる。そうした姿を見て、筆者に同行した友人は「ガラが悪いなあ」とつぶやいた。
 通訳を本業としている人はこの中に何人いるのだろうか。業界に詳しい日本人の通訳案内士、Sさんによれば、「クルーズ船がやって来ると、プロアマ問わず九州全土から日本語を話せる中国人がかき集められます。3000人を超える中国人客に対応しなければなりませんので、留学生にも声がかかります」という。
 着岸を待つ間、そばにいた中国人の女性ガイドに話しかけてみた。福岡から来たという。「ここに集まっているガイドさんたちは、資格のない人も多いんでしょう?」と尋ねてみると、拙い日本語で「最近はネ、みんな勉強して資格取ってるヨ」とあわてて切り返してきた。
 とはいうものの、通訳案内士の資格者証を首にかけている者はほとんどいない。現場にいるのは無資格ガイドばかりと見てよさそうだ。
地方都市には中国語の正規ガイドがいない?
 いよいよ船が接近してきた。その姿はさながら巨大マンションのようだ。
 この日、コスタ・セレーナ号には約3500人が乗船していた。ほとんどが中国人客である。接岸すると、車いすの高齢者を先頭にタラップから乗客がどっと降りてきた。その大勢の客をさばくのが、中国人の通訳ガイドの仕事だ。
 鹿児島のような地方都市では、どうしても無資格の闇ガイドに頼らなければならない事情がある。「地方には、正規の中国語の通訳ガイドがきわめて少ない」(前出のSさん)のだ。
 そもそも正規の中国語の通訳ガイドは東京や京都などの大都市に集中している。また、クルーズ船で訪日する中国人客は「格安ツアー」に参加しているため、通訳ガイドへの報酬はほとんど期待できない。「地方に派遣されると、交通費が支給されないどころか、逆に食費、宿泊費を徴収されてしまうケースすらあります」(同)。だから、地方に来て仕事をする中国語の通訳ガイドがいないのだ。
 中国人の闇ガイドならば、客を“ぼったくり免税店”に連れて行くことで、報酬を確保しようとする。だが日本人の正規ガイドにとって、そうした行為はご法度である。
「不人気」言語になってしまった中国語
 日本で正規の中国語の通訳ガイドが不足しているという問題は深刻だ。
 通訳案内士の合格者は約9割が英語の通訳者だ。中国語の通訳者は約1割に過ぎない。だが日本を訪れる2403万人の外国人客のうち約3割を中国人が占めている。日本では明らかに「中国語需要」が高まっているのに、それに対応できる通訳ガイドがいない。
 問題を突き詰めれば、中国語を学習する日本人が少ないという現実に突き当たる。今日、中国語の通訳ガイドが不足しているのは、これまで日本社会が中国語を重視してこなかったことの“因果応報”だとも言える。
 中国ブームに沸いた2000年代は、中国語の習得に将来の夢を託した若者も少なくなかった。中国への留学生は日本人が最多を占める時期もあった。しかし、2010年代に入ると、日中間の政治的冷え込み、日本企業の中国からの撤退などによって、中国語の人気は低下する。中国語検定の受験者は、2010年の上海万博以降、尖閣諸島の領有をめぐって日中関係が悪化すると目に見えて減少してしまった(図参照)。
中国語検定(1次試験)の受験者数(単位:人、日本中国語検定協会のデータをもとに筆者作成)
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/5/7/370/img_579c19ae0e360071406804b268a3cadc16947.jpg

 だが、日本に来る中国人旅行者は増え続けている。その結果、増殖したのが“闇ガイド”だ。
 闇ガイドによって正規の通訳ガイドの仕事が奪われている。問題はそれだけではない。観光名所の関係者からは、「中国人ガイドはいい加減な説明しかしない」という不満の声が聞こえてくる。闇ガイドたちは日本の文化や歴史を正しく伝えられないため、“歪んだ日本像”が独り歩きしてしまっている。
 安倍政権は「2020年までに訪日外国人観光客を年間4000万人に増やす」ことを目標に掲げている。その目標の達成に「中国からの訪日客をさらに増やす必要がある」(旅行業界幹部)ことは言うまでもない。今こそ「拙い中国語でも、日本人が日本を案内する」ことの意義を再評価すべきではないだろうか。
[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49594

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/677.html

[社会問題9] なぜ大学はそこまで「キャリア支援」に入れ込むのか? どこから来てどこに向かう 偽ニュースの拡散は脅威、科学者が対策に本腰
なぜ大学はそこまで「キャリア支援」に入れ込むのか?
大学のキャリア支援・教育はどこから来てどこに向かうのか(4)
2017.4.4(火) 児美川 孝一郎
キャリア教育・支援は、このまま進んで問題ないのだろうか。
 これまでの記事では、大学における「就職支援」が、2000年代以降、「キャリア支援・教育」へと拡張し、急速に普及してきた様子を明らかにした。
 変化の様相をもう一度整理しておくと、以下のようになる。

 変化の転換点は、2000年頃であるが、現時点に近くなればなるほど、多くの大学が「変化後」の取り組みに乗り出すようになり、支援そのものが分厚くなっていった。
キャリア支援・教育の花盛り?
 かくして、今日の大学においては、学生に対する「キャリア支援・教育」が花盛りなのである。
 試みに、文部科学省による「大学における教育内容等の改革状況について(平成26年度)」を見ると、学部段階で「キャリア教育を教育課程内で実施している大学」(=単位化された「キャリア教育科目」を設置している大学)は、715校(全大学の96.8%)に上り、「キャリア教育を教育課程外で実施している大学」(=少々紛らわしいが、本稿の用語では、教育課程外で「キャリア支援」を実施している大学)も、693校(93.8%)である。
 まさに「キャリア支援・教育」の拡張は、飛ぶ鳥も落とす勢いで進んでいるわけであるが、はたしてそこに盲点はないのか。――いや、ないどころではなく、大いにあるというのが、筆者の見立てである。以下、この点について述べてみたい。
「キャリア教育科目」が学業を圧迫
 第1に、キャリア支援・教育が、あまりに肥大化してしまっているのではないか。
 学生たちが、大学時代に活用することのできる時間やエネルギーは、無限にあるわけではない。有限である。しかも、今日の経済状況の下においては、多くの学生は、学費や生活費に当てるためのアルバイトの時間を削ることができない。残りの時間を、サークル活動や趣味などの個人的な時間、そして、授業外の学習なども含めた「学業」に割り当てるわけである。
「学業」に当てられる時間は、そもそもそれほど高い割合ではないのが実情であるのに、その学業のうちの少なくない時間が、「キャリア支援」という名のセミナーや講座など、「キャリア教育」という名の科目群に費やされるのである。
 これが、大学教育の本体である教養教育や専門教育を圧迫しないわけがない。大学設置基準が定める卒業所要単位は、最低124単位であるが、「キャリア教育科目」を多く履修すればするほど、その分だけ大学教育本来の教養科目や専門科目を履修しなくても卒業できるという図式が、少なくとも一般論としては成り立つわけである。
*もちろん実際には、卒業所要単位数は、大学や学部等が独自に決め、履修上の条件を設定することもできるので、事情はそれぞれ異なる。しかし、「大衆化の衝撃」を被った中・下位ランクの大学ほど、上記のような図式が成立しているのではないか。
 ここ数年、経団連のガイドラインに関連して、大学生の就職活動の「解禁日」が話題となってきた。その際に、つねに論点とされたのは、就活が学生の学業を圧迫しているという点である。
 しかし、事実に目を向ければ、学生の学業を圧迫しているのは、就活の期間中の活動だけではない。就職活動の準備に向けられた、大学入学時からの系統的な「キャリア支援・教育」もまた、学生たちの学業を圧迫していることが危惧されるのである。
大学の本音は「就職支援」?
 第2に、肥大化したキャリア支援・教育の内容は、結局のところ、就職支援寄りに傾斜しているのではないか。言い方を変えれば、ライフキャリアも含めて、学生たちがどう自律的にキャリア形成をしていくのかについての幅広い支援や教育ではなく、ワークキャリアを軸にした支援・教育に偏っているのではないかということである。
 そうなる理由は、2つある。
 1つめの理由は、前回の記事でも指摘したように、拡張された「キャリア支援」や新設された「キャリア教育科目」を主要に担ったのは、もともと大学にいた職員や教員といった専任スタッフであるよりは、新たに導入された「外部からの人材」であったからである。ここで言う「外部からの人材」とは、人材ビジネス系の業者から派遣された者や、人材会社や企業の人事部などの出身者のことを指す。
 これらの人材は、ライフキャリアを含めたキャリア支援の専門家であるわけではなく、ワークキャリアを軸にした支援や教育を得意としていたという事情である。いや、もう少し率直に言ってしまえば、今でこそキャリア教育科目の実践事例も蓄積され、幅広い観点を持ったテキストなども発行されるようになったので、参考にすることもできるが、当初は、ワークキャリアを軸にした支援や教育しかできなかったのである。
 2つめの理由は、大学側の「本音」である。キャリア支援・教育についての「建前」は別としても、少子化による大学間競争が激化する中、大学としては何としても就職実績を上げたいわけであり、そのためには、キャリア支援・教育がワークキャリアに偏り、実質的には就職支援に近いものになったとしても、それはそれで、好都合だったわけである。
 その意味で、担い手の側(=外部からの人材)の力量や傾向性と雇う側(=大学)の本音の間には、緊張関係は存在していなかった。だからこそ、学生募集に苦労しているような大学の「キャリア教育科目」をシラバス(講義要綱)のレベルまでよく見ると、低学年次から、これはほとんど「面接対策」や「SPI対策」の講座ではないかと見紛うような科目が並んでいたりもするのである。
「キャリア教育科目」は本当に必要なのか?
 第3に、「キャリア支援」はもともと正課外活動であるが、正課課程にある「キャリア教育科目」も、大学の教育課程全体の中に有機的に位置づけられてはおらず、教養科目や専門科目との連携が図られていない。つまり、キャリア教育科目は、大学教育に「外付け」されているのである。
 例えば、経済産業省が提唱した「社会人基礎力」という概念がある。「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力が、それである(それぞれの能力のもとに、さらに12の能力要素が設定されているが、ここでは省略する)。これらは、確かに学生が社会人となる前に身につけておくべき能力であるかもしれない。
 しかし、こうした能力は、キャリア教育科目として特設された授業でしか身につかないものなのかと言えば、そんなことはない。課題解決型の学習形態をとる授業を通じても、ゼミでの学習活動を通じても、十分に獲得を見込めるものであろう。
 実は、現在、「キャリア教育科目」を通して教えられていることの多くは、そう意識し、工夫をしていけば、大学教育の本体である教養教育や専門教育を通じても身につくことである。にもかかわらず、それはキャリア教育として特設され、外付けにされている。だから、キャリア教育科目が肥大化していくのである。
「キャリア支援・教育」栄えて「大学教育」滅ぶ?
 見てきたような意味で、大学における「キャリア支援・教育」は、大学教育の本体から遊離して「外付け」にされ、肥大化している。その一方で、大学教育本体の教養科目や専門科目の改善や改革は進まない。
 これが、現在の姿なのだとすれば、それはやはり相当に歪であると言わざるをえないのではないか。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49584

【コラム】偽ニュースの拡散は脅威、科学者が対策に本腰−F・フラム
Faye Flam
2017年4月4日 09:16 JST
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11th July 1932: After fourteen years of work and a cost of over ?6000, brilliant young English scientist Harry May claims to have completed the most perfect robot in the World. The mechanical man can talk, sing, whistle (for half an hour), laugh, carry on a conversation, tell the time and date, fire a revolver and read the small print of a newspaper. The robot has been named Alpha, and was built specifically for the Mullard Valve Company. (Photo by Evening Standard/Getty Images)
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多数の偽ニュースを書いた男性は昨秋、米紙ワシントン・ポストに対して、人間は昔より愚かになっていると語ったが、実際にはそうではない。ただ米国のメディアでは、明らかにねつ造記事が急増している一方で、大統領がニューヨーク・タイムズなど伝統的な報道機関が「偽ニュース」を配信していると非難するという、奇妙な事態が起きている。
  フェイスブックやツイッターでのニュース共有方法を調査している研究者らは、一般の人に誤った情報を与えようとする組織的な取り組みが脅威になりつつあると指摘する。虚偽情報を流す人間は、新たなソーシャルメディアのおかげで、伝統的な報道機関を使うよりずっと多くの読者に情報を届けることが可能となった。このため、行動科学者やコンピューター科学者が解決に取り組んでいる。
  問題の一部は、人間の社会的動物としての進化過程にまでさかのぼると、研究者らは指摘する。「われわれは生まれつき、人気がある行動を模倣する傾向にある」と、インディアナ大学のフィリッポ・メンツァー教授は指摘する。同教授は最近2日間の日程で開催された偽ニュース対策セミナーでの講演者の1人。
  この傾向のため、人間は「ボット」と呼ばれるソフトウエアが流した偽ニュースにも反応してリツイートする。ソーシャルメディアにメッセージを自動的に配信するボットは、数の力を使い、数千人もの人がツイートまたはリツイートしているかのような印象を与える。行動科学とコンピューター科学の両方を専攻するメンツァー教授は、 ある人間やアイデアが人気があるという幻想をボットが作り出す方法を研究している。同教授と同僚はツイッターのアクティブユーザーの9ー15%がボットだと推定している。
  メンツァー教授と同僚は、ボットと人間を識別するプログラムを開発。同教授が発見したのは、ボットが流すアイデアが大人気になるのは広い人脈を持った人や有名人にリツイートされるケースだということだ。
  昨年11月の米大統領選直後、トランプ氏には300万人の不法入国者が対立候補のクリントン氏に投票したという情報が多数のボットから寄せられ、トランプ氏はこの情報をツイートした。このうわさはある1人の人間の情報源との関連が指摘されているが、ボットは数百人からの支持を得られているかのような印象を作り出したかもしれない。
  一方、ソーシャルメディアを調査する他の研究者は、偽ニュースのパターンが右派と左派で異なっていると指摘。ハーバード大学のバークマン・クライン・センター・フォー・インターネット・アンド・ソサエティーの共同ディレクター、ヨチャイ・ベンクラー氏は、「メディア・クラウド」と呼ばれる、記事の拡散方法を追跡するオープンソースのシステムを利用した。
  同氏が百万超の記事の流れをたどると、左派寄りニュースを共有する人は、ニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナル、CNNなどの伝統的なニュースソースも共有する傾向にあることが分かった。一方、ブライトバートなど右派寄りサイトの記事を共有する人が、こうした主流ニュースソースを拡散する傾向は低かった。
(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)
原題:Scientists Gear Up for a Battle Against Fake News: Faye Flam(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-04/ONTK5Z6K50XS01 

http://www.asyura2.com/12/social9/msg/780.html

[戦争b19] 米下院、北朝鮮「テロ国家」再指定要求 本会議で可決「北朝鮮はますます危険 世界一のテロ支援国家イランと結託」トランプ後押
米下院、北朝鮮「テロ国家」再指定要求 本会議で可決
2017/4/4 13:16
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 【ワシントン=共同】米下院本会議(定数435)は3日、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮を米独自の金融制裁の対象とする「テロ支援国家」に再指定するよう国務省に求める超党派の法案を賛成多数で可決した。上院でも審議され、対北朝鮮で圧力強化を目指すトランプ政権の判断を後押しする。

 本会議では北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を非難する決議案も賛成多数で可決。中国に北朝鮮への影響力行使を求める内容が含まれており、6日からの米中首脳会談を前に中国へのけん制となりそうだ。

 法案の採決結果は賛成394、反対1。非難決議案は賛成398、反対3。いずれも共和党議員が反対した。

 法案では、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件について、北朝鮮の政府当局者が猛毒の神経剤VXを使って殺害に関与したとするマレーシア政府の主張を、再指定を求める根拠の一つに挙げた。法制定後90日以内に国務長官に再指定するかどうかを議会側に示すことを要求した。

 採決前の討論では、ポー下院議員(共和党)が「北朝鮮はますます危険になっている。世界ナンバーワンのテロ支援国家であるイランと結託している」と強調。シャーマン議員(民主党)も、北朝鮮による日本人拉致問題がいまだに解決されていないとして「今こそ北朝鮮のテロ行為に再び焦点を当てるべきだ」と訴えた。

 北朝鮮は大韓航空機爆破事件の翌年の1988年にテロ支援国家に指定されたが、ブッシュ(子)政権下の2008年10月に解除された。米議会では指定解除は間違いだったとする声が根強い。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM04H4A_U7A400C1EAF000/
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/868.html

[経世済民120] 米自動車需要が大幅減−トランプ大統領の新工場建設ごり押しに黄信号 米経済データに矛盾 債券↑TOPIX安 世界一熱い通貨
米自動車需要が大幅減−トランプ大統領の新工場建設ごり押しに黄信号
David Welch、Jamie Butters
2017年4月4日 15:25 JST

3月の米国自動車販売では、フォード・モーターの「フュージョン」が37%減少したほか、ゼネラル・モーターズ(GM)の「シボレー・マリブ」は36%減、トヨタ自動車の「プリウス」は29%減となった。
  これらの数字が示すように、米国ではスポーツタイプ多目的車(SUV)が好まれ、急速にセダン離れが進んでいる。米自動車業界は3月にこのあおりを受けた。
  消費者の嗜好の変化は、中古車価格の下落や、サブプライム自動車ローンから撤退の動きと並び、自動車メーカーの状況を一変させている要因の一つに過ぎない。トランプ米大統領は自動車業界に新工場建設と雇用拡大を求めているが、これを実現するのは難しそうだ。新車と中古車市場の供給過剰がインセンティブ競争を招いており、自動車メーカーは新たな製造ラインを全く必要としていない状況にあるからだ。
  3月の業界全体の自動車販売は、1月と2月に小幅減少した後、回復を示すと予想されていた。しかし、調査会社オートデータによると、3月の米自動車販売は調整後ベース年率換算で1660万台と、前年同月の1670万台を下回った。アナリスト予想は1720万台だった。 昨年の米自動車販売台数は1760万台と、過去最高を記録していた。
  モーニングスターのアナリスト、デービッド・ウィストン氏は、「私は以前から減速を予想していた」と指摘。「これは驚くべきことではないはずだ。販売がピークに達したら、その後は悪いニュースしかないように思えるものだ」と述べた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iZSYA_qc2OtU/v2/-1x-1.png
原題:U.S. Car Demand Collapses in Threat to Trump’s Factory Push (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-04/ONVEWQ6JTSES01


米経済「ハード」と「ソフト」データの差は縮まるか−今週雇用統計
Patricia Laya
2017年4月4日 16:06 JST


• 3月雇用統計は7日発表−非農業部門新規雇用者数は17.5万人の予想
• 米経済の実体はハードデータとソフトデータの示す中間辺りか

米国経済について「ソフト」データが示す好調さが「ハード」データに反映されつつあるかどうか、世界は今週末には今よりも良いアイデアを持てるようになるが、確固たる答えは恐らく得られまい。
  今週発表される米経済指標には2月の貿易収支と製造業受注、3月の雇用統計などがある。3月の非農業部門雇用者数は前月比17万5000人増の見通しで、伸び鈍化が見込まれている。3日に米供給管理協会(ISM)が発表した3月の製造業総合景況指数は製造業活動の力強い拡大が続いていることを示した。これに先立ち3月31日に発表された2月の米個人消費支出は、経済の大きな部分を占める同消費が少なくとも1−3月(第1四半期)は景気拡大の広がりを制限する可能性を示唆するものだった。
  消費者や企業の心理状態を判断するための調査を基にしたソフトデータと、個人消費支出など具体的な実績数字で発表されるハードデータとの間に存在する格差が今年の米経済の特徴となっている。今後数カ月の経済を占う上でどちらがより良い指標であるかを導き出すことは、企業や投資家が今年下す決定にとって極めて重要となる。
  ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ライアン・スイート氏は「まだ決定は下っていない。米経済の基本的な状態はソフトデータとハードデータの中間辺りといったところだ。第1四半期の国内総生産(GDP)統計が示すだろうほどには惨めな状況ではないと思うと同時に、各種調査が示唆するほど強いとは思っていない」と語った。
  

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  ニューヨーク連銀はGDP予測に消費者や製造業購買担当者の調査を含むソフトデータを採用しており、第1四半期は2.9%成長と予想。一方、アトランタ連銀は実際の支出データや貿易統計など従来GDP統計産出に利用されるハードデータに厳密に注目し、1.2%成長を見込む。ブルームバーグ調査の予想中央値は1.8%成長。
原題:U.S. Economy’s ‘Hard’ Stuff Gets Airing in This Week’s Data(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-04/ONVH2Z6K50XS01


 

ヘッジファンドが新しい命吹き込む−世界で一番ホットな通貨
Ben Bartenstein
2017年4月4日 15:34 JST

• 11カ月ぶりにペソのポジションをネットロングに
• ヘッジファンドの新資金なければ息切れとシティが予想していた
今年最も好調な通貨を、ヘッジファンドがさらに後押しし始めた。
  レバレッジを効かせた投資家たちが、ドナルド・トランプ氏が米共和党の大統領候補の座をほぼ確保した昨年5月以降で初めて、メキシコ・ペソに強気に転じた。米証券先物取引委員会(CFTC)の最新データが示した。トランプ氏の通商政策への懸念から昨年10月には弱気ポジションが過去最大に達していた。
  ペソは今年に入りドルに対して11%上昇し、世界最高のパフォーマンス。トランプ氏の当選後に急落したが、新政権の通商政策はまだ明確ではないことから売られ過ぎとの見方が優勢になった。
  シティグループのストラテジスト、ディルク・ウィラー氏は先月下旬のリポートで、ヘッジファンドからの新たな資金流入がなければ、今後数カ月はアンダーパフォームするだろうとの予想を示していた。
  CFTCによると、3月28日終了週のヘッジファンドのポジションは8361枚のネットロング。昨年10月は10万枚近いショートだった。
ヘッジファンドがペソをロングに、トランプ氏の脅威薄れる−チャート

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原題:Hedge Fund Bulls Breathe New Life Into World’s Hottest Currency(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-04/ONVFZF6K50Y801


 
債券上昇、新年度初の10年入札こなし買い安心感−株安・円高も支え
三浦和美
2017年4月4日 08:03 JST更新日時 2017年4月4日 15:51 JST


• 日銀買い入れ額に警戒感、どんどん金利下がる感じでもない−岡三証
• 先物は18銭高の150円40銭で終了、新発10年債利回り0.06%に低下

債券相場は上昇。新年度入り後で最初の10年国債入札を波乱なく通過したことで買い安心感が広がった。前日の米国市場の流れを引き継いで日本株安・円高の展開となったことも相場を支えた。
  4日の長期国債先物市場で中心限月6月物は前日比6銭高の150円28銭で取引を開始。午後に10年入札結果が伝わると一段高となり、150円44銭まで上昇した。結局は18銭高の150円40銭と、終値ベースで4営業日ぶりの高値で引けた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iS_NFxxYSsio/v2/-1x-1.png

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「米国の金利低下や、今日は国内で株安・円高と債券にはフォローの状況だったところに、10年債の入札をこなしたという安心感で相場がさらに上昇した」と説明。ただ、「明日は日本銀行の中期と長期ゾーンの国債買い入れオぺが予定されており、初回の額に不透明感が残る」とし、「どんどん金利が下がっていく感じでもない」と言う。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値から0.5ベーシスポイント(bp)低い0.065%で寄り付き、午後には0.06%まで買われた。
10年債入札
  財務省がこの日に実施した10年利付国債入札の結果は、最低落札価格が100円32銭と市場予想の中央値と一致した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.96倍と、前回の3.74倍から上昇。小さければ好調を示すテール(最低と平均落札価格の差)は3銭と、前回の4銭から縮小した。
過去の10年債入札の結果はこちらをご覧ください。
  日銀は5日に長期国債買い入れオペを実施する。事前に発表された4月のオペ運営方針によると、買い入れの対象は残存期間1年超5年以下と5年超10年以下となる。
  岡三証の鈴木氏は、「2年債の利回りなどはイールドカーブ上から見てもかなり低過ぎる。需給も締まっている」とし、「中期ゾーンの利回りが低い間は減額が続く可能性があり、どの程度続くのか見極めたいところ」と指摘。「10年についても本来であれば発行額が減った分くらいは減額しても良い状況で、もしかしたら減額もあり得るとの警戒感がある」としている。
日本株安・円高
  この日の東京株式相場は反落。日経平均株価は前日比0.9%安の1万8810円25銭で取引を終えた。外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=110円台前半と3月28日以来の水準まで円高が進んだ。
  3日の米株式市場では主要3株価指数がそろって下落。原油安を背景にエネルギー株が売られた他、販売台数の落ち込みで自動車メーカーの株価が下げた。一方、米債相場は株安を受けて上昇し、10年債利回りは7bp低下の2.32%と2月27日以来の低水準を付けた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ilwarsY8ufhs/v2/-1x-1.png

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONUVG86JTSEW01

 


TOPIX4カ月ぶり安値、米経済の楽観後退−景気敏感、証券下げる
鷺池秀樹
2017年4月4日 08:07 JST更新日時 2017年4月4日 15:45 JST


• 米自動車販売が市場予想届かず、為替は110円30銭台へ円強含む
• リスク回避で小型株売り顕著、マザーズ指数は3%超す下落
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iqfW6nvB1EGs/v2/-1x-1.png

4日の東京株式相場は反落し、TOPIXは4カ月ぶりの安値。自動車販売の下振れで米国経済に対する楽観的な見方が後退し、米金利の低下や為替のドル安・円高推移も嫌気された。輸送用機器株のほか、鉄鋼や非鉄金属など素材株、海運株といった景気敏感セクター、証券や銀行株が安い。

  TOPIXの終値は前日比12.49ポイント(0.8%)安の1504.54と昨年12月7日以来、日経平均株価は172円98銭(0.9%)安の1万8810円25銭と1月24日以来の安値水準に沈んだ。
  ちばぎんアセットマネジメントの加藤浩史シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、「3月の米自動車販売は弱い。米国の景気サイクルがピークに近づきつつある、との見方が一部で出ている」と指摘。機関投資家による期初の益出しとみられる売りが続き、「早めに売った方が得とみて、利益を確定する動きが強く出ている」との認識を示した。

東証内

Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg
  自動車メーカー各社が3日に発表した米国の3月販売統計によると、米フォード・モーターなどの販売が大きく落ち込み、トヨタ自動車は前年同月比2.1%減、ホンダは0.7%減と市場予想を下回った。調査会社オートデータの発表では、3月の米自動車販売は年率換算で1660万台とアナリスト予想の1720万台に届かなかった。
  大和証券投資戦略部の高橋卓也シニアストラテジストは、「昨年12月まで調子の良かった米自動車マーケットは天井を打った可能性がある。販売奨励金を積んでも台数が伸びず、日本株の先行きに影を落とす」と言う。
  米自動車販売の軟調を材料に3日のロンドン金属取引所では鉛や銅相場が軒並み下落し、米国株も自動車株中心に小幅に下げた。このほか、米供給管理協会(ISM)の3月の製造業総合景況指数も57.2と前月の57.7から低下した。3日の米10年債利回りは2.32%へ低下、2月27日以来の低水準となっており、大和証の高橋氏は「週末の米雇用統計で平均時給が鮮明に伸びない限り、利上げペース加速への期待は盛り上がらず、米長期金利低下の流れは変わらない」とみている。
  きょうの為替市場では円買いが優勢、ドル・円は一時1ドル=110円30銭台と1週間ぶりのドル安・円高水準に振れた。三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストは、「為替がゆっくり円高方向になっているのが日本株にじわじわ効いている」とし、円高の背景にはトランプ政権の政策実効性に対する懸念、米国の赤字削減に対し政治的プレッシャーが強くなるとの見方がある、と話した。
  この日の日本株は、TOPIXが午後に一時1495.52と日中ベースでおよそ3カ月ぶりに1500ポイントを割り込み、日経平均の下げ幅も200円を超える場面があった。大引けにかけやや下げ渋ったが、全般的に売り圧力が高まっており、リスク資産圧縮の影響を受けやすい小型株の下げが顕著。TOPIXの時価総額と流動性別指数ではコア30の0.6%安に対し、スモール指数は1.3%安。東証マザーズ指数は3.2%安と下落率が大きかった。
  東証1部33業種は海運、証券・商品先物取引、非鉄、鉄鋼、輸送用機器、ガラス・土石製品、銀行など29業種が下落。石油・石炭製品、陸運、電気・ガス、パルプ・紙の4業種は上昇。売買代金上位では、メリルリンチ日本証券が上場廃止リスク高まったと指摘した東芝が大幅続落。四半期決算が市場予想を下回ったキユーピーも急落した。任天堂や日産自動車、第一生命ホールディングス、野村ホールディングス、マツダ、JFEホールディングスも安い。
  半面、今期営業利益計画が市場予想を上回ったしまむらのほか、JR東海やニトリホールディングスは高い。石川製作所や豊和工業など低位防衛関連銘柄が急伸。前日にロシアのサンクトペテルブルクで地下鉄爆発事件があり、テロの脅威や地政学リスクを材料視する動きもあった。
• 東証1部の売買高は22億6050万株、売買代金は前日比13%増の2兆5741億円
• 値上がり銘柄数は325、値下がりは1620
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONUV3D6KLVR401


http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/685.html

[国際18] 離脱後の英国二分する「不完全な羅針盤」ジブラルタルが示すEU離脱の危険 ギリシャ4次支援必要 豪金利据置 人民元改革遅い
Column | 2017年 04月 4日 15:47 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:
離脱後の英国二分する「不完全な羅針盤」

Peter Thal Larsen

[ロンドン 31日 ロイター BREAKINGVIEWS] - デービッド・グッドハート氏の著作「The Road to Somewhere」は注目すべき1冊である。同作のなかでグッドハート氏は、階級の概念を中心には回っていない英国社会について論じている。

欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の決定は、国際的なエリート層と急速な変化によって置き去りにされた人たちの分断を露呈したと同著は主張している。しかし、緊張は実際に存在するものの、そのような区別は政策を語るうえで不完全な羅針盤だと言えよう。

英国は29日、正式なEU離脱手続きを開始した。しかし離脱を決定した昨年の国民投票以前にも、社会科学者たちは左や右といった旧来の区別を超えた新しい政治的志向を提案していた。

その一方は、経済発展と社会的自由の強化という「2重のリベラリズム」を広く支持する高学歴の都市居住者。もう一方は、自由化の恩恵をあまり共有しておらず、その影響によって不安定な状況に置かれている人たちである。グッドハート氏は、この2つのグループを「Anywheres」と「Somewheres」と呼んでいる。英国の国民投票によって、後者による前者の拒絶が示された。

人口6500万人の国家を2つのグループに分けようとすることは全くの一般化につながる。英国民投票における投票パターンはそのような単純化とは一致しない。例えば、英国の政治エリートの権限を拒否するスコットランド国民党支持者の多くはEU残留を支持しているし、EUの規制を嫌う自由貿易の強い支持者たちの多くは、離脱運動に加わった。

グッドハート氏も、大半の人が自身の区分けにうまく当てはまらないと認めている。とはいえ、同氏は人々の見方を単純化したり誇張したりすることをあきらめてはいない。

「より良いグローバル化は可能であり、多くのSomewhere国家の協力に基づく世界秩序は、1つの超国家的なAnywhere大国によるものよりもはるかに好ましい」と同氏は指摘。だが、この場合のグローバルな政府を誰が支持しているかについては説明していない。

グッドハート氏は、Somewheresがあまりに長きにわたって無視されてきたと考えており、大半の英国人が地理的な流動性に欠け、多様性を受け入れず、彼らを代表して決断を下す政治的・官僚的階級よりも不平等の拡大に苦しんでいることを示す統計や世論調査を振りかざしている。これらの要因は、ブレグジット派にとって決定的問題の1つである反移民姿勢に表れた。

このような分析には重大な欠陥がある。

英国で最も外国人が少ない地域において、反移民感情が最も強くなることがよくある理由を説明していない。また、経済不安は、数世代前から英国で暮らす南アジア出身のマイノリティーと比較的新しい東欧出身者との文化的対立のせいだと混同している。しかしこうした議論において、感情が事実を支配している。

グッドハート氏は、遠い昔の英国を気難しく嘆いている。それは、自由貿易が製造業を空洞化し臨時雇いの雇用を生み出す以前に、減税とグローバルな資本主義が富の分配を二極化する以前に、ポーランドから配管工がやって来る以前に、そしてイスラム教徒の前に「過激派」と付く以前に存在した英国である。

英国の首都については次のように豪語している。「一部が主張するように、もしロンドンが国全体の未来だというなら、それはほとんどの人が望んでいない未来である」と。

リベラルな「プロスペクト」誌の元エディターであるグッドハート氏は、自身の恵まれた経歴と、最終的に都会的な仲間を拒絶するに至った思考過程について正直に記している。しかしながら、「白人の英国人」という種族に対する擁護が時に押しつけがましく感じられる。それはかつて、ロンドンのサロンにいながら労働者階級を称賛した社会主義者の知識人を思い起こさせる。

さらに言えば、Somewheresとしてグッドハート氏が一緒くたにするあらゆるグループが、一元化された目標を認識しているわけではない。イングランド北東部の元工場労働者と同南西部の農業従事者に、明らかに重なる利害はほとんどない。このような共通点の欠如は、格差を縮めるための政策を立案する難しさを浮き彫りにしている。

グッドハート氏は、英国市民のために公共部門の雇用確保、退学者の将来に道を開くために徒弟制度の復活、そして小政党や地域政党の声をより届けるため選挙制度の改革などを提唱している。だが、そのような政策課題を支持する確かな協力は存在しないと認めている。

同氏はまた、英国の高齢化する労働力を活性化する移民の役割や、ロンドンと南東部の活動が他の地域を支援する規模といった経済的考察については重視していない。

ブレグジットが決まってから9カ月が経過したが、英国の政治は抜本的な再編成をまだ経験していない。国民投票は、経済的・社会的リベラリズムに対する世界的な反動の始まりを示していたのだろう。あるいは、他の多くのことには賛同しないであろう有権者たちの緩い連帯をもたらしたのかもしれない。

「言うまでもなく、変化は絶え間なく、それは人間の存在においてわれわれの大半が好ましく思わないことの1つである」とグッドハート氏は記している。奇妙なことだが、まさにこうした感情が、多くの年月で英国が経験してきたなかで最も痛みを伴う変化が起きるのを後押ししたのである。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

http://jp.reuters.com/article/column-brexit-flawed-compass-idJPKBN17603Z?sp=true


 

 
[FT]英領ジブラルタルが示すEU離脱の危険(社説)
2017/4/4 16:40
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Financial Times
 マイケル・ハワード氏は短期間ながら保守党党首を務めたが、2005年の総選挙で敗北を喫し、上院に転じて影の薄い存在になっていた。そのハワード氏が今も騒ぎを起こせるというのは気がかりだ。英国が欧州連合(EU)からの離脱交渉に入ろうとするなか、英領ジブラルタルに関するハワード氏の好戦的な発言は無益と言わざるをえない。同氏は2日、35年前にサッチャー首相が英領フォークランド諸島をアルゼンチンから守ったように、メイ政権もスペインからジブラルタルを守るために戦争をする覚悟があるだろうと述べた。

ジブラルタルに翻る(左から)英国、ジブラルタル、欧州連合(EU)の旗=ロイター
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ジブラルタルに翻る(左から)英国、ジブラルタル、欧州連合(EU)の旗=ロイター
 ジブラルタルの地位を英国のEU離脱交渉の優先事項の一つにするという欧州理事会の決定に、英政府は不意を突かれた。EUの交渉指針の草案には、将来の対英関係に関する合意はスペインの同意なしにジブラルタルに適用されることはないと明確に記されている。

 EU側の指針の草案にスペインの拒否権が明記され、スペイン政府が英国のEU離脱交渉でジブラルタルの共同主権を主張する可能性があることについて、英政府が不安を感じるのも無理はない。しかしながら、この微妙な時期での暴言、ましてや戦争を口にすることなど正当化できない。

■EU内で特権的な地位

 イベリア半島の南端に位置するジブラルタルは、1713年にスペインから英国に割譲された。ジブラルタルは英国の海外領として唯一、EUの領域となっている。昨年の英国民投票では、ジブラルタルの有権者の96%がEU残留に票を投じた。

 それには相応の理由がある。ジブラルタルはEU内で特権的な地位を享受しているのだ。関税同盟の外にありながら単一市場の中にあるという環境は、スペイン側から「密輸拠点」とさえいわれる。ジブラルタルへのモノの流入はほぼすべてスペインからで、1万人以上のスペイン人労働者(ジブラルタルの労働力の半数を占める)が毎日、自由に境界を越えている。

 このミクロな経済が栄えたのは、おおむねEUのおかげだ。スペインは3世紀にわたり英国のジブラルタルに対する主権に異を唱え、境界の長期封鎖という事態にも至った。その封鎖は1985年、スペインの欧州共同体(EC、EUの前身)加盟決定とともに解除された。それからの30年、境界はEU法の下で開放されている。

 英国のEU離脱でジブラルタルの状況が複雑化する大きな理由は、英国が自由な移動を終わらせてEUからの移民流入を制限することに主眼を置いているからだ。これが英国の中心的な要求である限り、EUも同様の姿勢で応じることが考えられる。そうなると、ジブラルタルとスペインの間で厳しい国境管理が行われることになる恐れがある。アイルランドも同様になるだろう。

 英国のEU離脱交渉の行方がジブラルタル問題の解決に懸かることにはならないだろう。だが、EU側はこの問題を交渉指針の草案に盛り込むことで、より広範な取引の協議に持ち込もうとする英国への警告としてEU加盟国の団結を示している。

 EUの外に出れば厳しい状況が待ち受ける。スペインは事の重大さをさらに思い知らせるべく、スコットランドが英国から独立してEU加盟申請をした場合には反対するとしていた方針を翻した。スコットランド独立派をさらに勢いづかせる材料だ。これまでスペインは、同国東部カタルーニャ地方の分離独立派を勢いづかせることを懸念して反対を示していた。

 対英主要投資国であるスペインは、EU離脱後の英国と良好な関係を維持することに、あらゆる点で関心がある。それは英国側にも当てはまる。メイ首相は3日、ハワード氏の発言を一笑に付そうとした。だが、メイ氏も内閣も、保守党内の強硬なEU離脱派の無責任で狭量な発言と距離を置く努力が大きく欠けている。

(2017年4月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/

(c) The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM04H3Y_U7A400C1000000/

 


Column | 2017年 04月 4日 14:24 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:ギリシャ債務問題、見えてきた第4次支援の必要性

 4月3日、ギリシャは、第4次となる新たな支援の枠組みが恐らく必要になるだろう。写真は同国の国旗。アテネで2015年3月撮影(2017年 ロイター/Alkis Konstantinidis)
Hugo Dixon

[アテネ 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ギリシャの債権団は先週、年金改革を巡る議論が長時間にわたって紛糾したにもかかわらず、第3次金融支援に基づく今回の支払い実行を近く承認する公算が大きい。だがこれはギリシャ政府にとって来年半ばまでの時間稼ぎにすぎない。その後同国は、第4次となる新たな支援の枠組みが恐らく必要になるだろう。

チプラス首相は、7月に期限を迎える約75億ユーロを返済するため、ユーロ圏の債権団から十分な資金を得ることが不可欠だ。ギリシャとして、第3次支援が順調に進んでいると合意しないとそうした資金を確保できない。ところがチプラス氏には、困難な仕事に立ち向かうよりも交渉を引き延ばす性癖があり、これが既に経済に打撃を与えている。ギリシャは昨年第4・四半期にマイナス成長に陥り、今年第1・四半期もプラスに浮上できそうにない。

チプラス氏は、最終的には厳しい改革策を受け入れるように見える。たとえ人気のない年金の削減や2019、20両年の増税を含んでいてもだ。これらの措置によって、国内総生産(GDP)の2%相当の財政資金を節約できる。もっとも緊縮の度合いは今後和らげられるだろう。もしギリシャの財政運営が昨年同様、目標よりも良い成績で推移し続ければ、法人減税などによって改革がもたらす逆風を緩和することは可能になる。

ただしユーロ圏がギリシャを窮地に追い込んでいる。チプラス氏は7月の債務返済に十分な資金を得るはずだが、ユーロ圏の債権団の条件を受け入れないと、国内のサプライヤーに対する支払いの滞納を余儀なくされ、国内経済に痛手となる。こうした苦痛が長引けば、民間セクターの積極的な活動意欲がさらに損なわれてしまう。

チプラス氏にとって致命的とみなされるのは、今後銀行に起こるかもしれない事態だ。今年になって再び預金の流出が続いている。これは単に金融環境がまた引き締まるというだけでなく、経済が新たな下降局面に突入した場合は銀行に改めて資本注入が必要になるということだ。昨年導入された厳しいユーロ圏の銀行ルールに基づけば、預金者が損失負担を迫られるかもしれない。チプラス氏は2015年、瀬戸際交渉戦術で経済を混乱させ、資本規制を採用するという失策をおかしたが、もう一度試そうとすれば愚の骨頂となる。

次に債務軽減の問題がある。ドイツがギリシャ支援へ関与すべきだと主張している国際通貨基金(IMF)は、ユーロ圏の債権団がギリシャの負担を緩和することを望んでいる。そこでドイツのメルケル首相と、IMFのラガルド専務理事は、ギリシャ支援の輪にIMFをとどめながら、総選挙を9月に控えたドイツで有権者によるメルケル氏批判を招かないような形の債務軽減に関する言い回しを一致して生み出さなければならない。

こうした新たな言い回しは恐らく5月に案出され、欧州中央銀行(ECB)にギリシャ国債を資産買い入れ対象に組み込ませるだけの説得力を与えてくれるはずだ。そうなれば先行きへの期待が高まる。ギリシャが具体的な債務減免を受けられるのは来年からになるだろうが、チプラス氏の交渉力が弱まっている現状からすれば、その点について影響力はあまり行使できない。

ギリシャへの第3次支援の期限は来年半ばで、その後同国は自力で市場から資金を調達できるのだろうか。当然ほとんど現実味はなく、少なくとも何らかの助けなしでは立ち行かない。つまり第4次支援が想定される。

最低限としてギリシャはユーロ圏から予防的な借り入れ枠を設定してもらう必要がある。第3次の総額860億ユーロほどでないにせよ、いくらかの「実弾」も不可欠かもしれない。それでも今後の金融支援は、新規融資ではなく主に債務減免の形式になりそうだ。2022年以降に訪れる利払い額が膨らむ局面への対応が優先項目になるだろう。

ドイツなどの債権者は、こうした支援を厳しい条件なしに行うことはあり得ない。意のままにならないロバに言うことを聞かせるには、ニンジンをただ食べさせるのではなく、むちの先にニンジンを括り付けるべきだという古いことわざを彼らは承知している。

だから債務減免は、ギリシャが財政状況を改善させるのに伴って何度にも分けて実施されるとみられる。IMFが支援に加わることになれば、さらなる構造改革要求が盛り込まれても不思議ではない。

度重なる公約違反によって国内での支持が低下しているチプラス氏の立場では、こうした債権者側のすべての要求は受け入れるには過大かもしれない。そうなるとギリシャは来年再び総選挙となり、中道右派の新民主主義党(ND)が勝利に最も近い位置にある。それでも変わりそうにないのは、ギリシャがずっと先まで債務を抱えて身動きがままならない状態に置かれるということだろう。

●背景となるニュース

*ユーログループのデイセルブルム議長は3月31日、ギリシャへの第3次金融支援を巡る最新の審査について、次回4月7日にマルタで開くユーロ圏財務相会合までに結論に達しないとの見方を示した。ただカティメリニ紙によると、デイセルブルム氏はギリシャと欧州債権団の協議は進ちょくしたと述べたという。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/eurozone-greece-breakingviews-idJPKBN17609S?sp=true

 


 
豪中銀:政策金利を据え置き−住宅市場過熱と高失業率で動けず
Michael Heath
2017年4月4日 14:12 JST 更新日時 2017年4月4日 15:15 JST

「労働市場の状況を示す一部指標は最近軟化」−ロウ総裁
ブルームバーグ調査ではエコノミスト29人全員が据え置きを予想

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は4日、 政策金利を据え置くことを決めた。住宅市場の過熱で緩和に踏み切ることができない一方で、引き締めるには景気が力強さを欠き、一種の政策まひ状態に陥っている。
  ロウ総裁率いる準備銀はオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を過去最低の1.5%に据え置くことを決定した。シドニーの不動産価格は3月に急伸し、失業率は2016年1月以来の高水準となった。ブルームバーグの調査ではエコノミスト29人全員が金利据え置きを見込んでいた。
  ロウ総裁は声明で、「最近のデータは、現在の緩やかな成長と整合性がある」と指摘。「労働市場の状況を示す一部指標は最近軟化している。特に失業率が若干上昇しているほか、雇用者の伸びは小幅にとどまっている」と分析した。
  豪ドルはシドニー時間午後2時47分(日本時間同1時47分)現在、1豪ドル=0.7580米ドルと、政策発表前の0.7605米ドルから下落。金利先物の動きは、トレーダーが年内の金利変更の可能性はほとんどないと引き続き予想していることを示している。
  QICのチーフエコノミスト、マシュー・ピーター氏(ブリスベン在勤)は「利下げも利上げもできないというジレンマは、オーストラリアが現在、財政と金融の両方のマクロ経済安定化政策を活用できなさそうだという好ましくない状況にあることを意味する」と指摘した。
原題:RBA Extends Rate Pause as Property Heat Meets Labor Market Slack(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-04/ONVC806JTSE801

 


 


Column | 2017年 04月 4日 14:52 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:人民元改革、中国の踏み出す一歩小さく

 3月31日、人民元の鳴り物入りの国際金融市場へのデビューに関して言えば、中国は川の小石の上に一歩を踏み出したに過ぎない。写真は人民元紙幣。北京で2011年3月撮影(2017年 ロイター/David Gray)
Tom Buerkle

[ニューヨーク 31日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トウ小平が約40年前に中国で「改革開放」政策を推し進め、市場経済への移行を始めた際、同氏は自らの改革を「渡り石を探りながら川を渡る」ようなものと例えた。人民元の鳴り物入りの国際金融市場へのデビューに関して言えば、中国は川の小石の上に一歩を踏み出したに過ぎない。

国際通貨基金(IMF)が31日に公表したデータによると、第4・四半期の人民元の外貨準備全体に占める割合は1%強だった。IMFは今回初めて外貨準備における人民元の割合を公表。約850億ドル相当の人民元外貨準備は、カナダドルの半分に過ぎず、ユーロの1兆6000億ドルやドルの5兆1000億ドルに比べるとほんのわずかだ。

中国政府はこれまで、外国中銀との通貨スワップ協定の拡大や人民元建て貿易決済の推進、国内株式・債券市場の海外投資家への開放などを通じて、積極的に人民元の国際化を推し進めてきた。

IMFはこうした取り組みを評価し、昨年IMFの特別引き出し権(SDR)に人民元を採用した。これは、人民元が国際通貨としてIMFの「お墨付き」を得たことを意味する。

もちろん、元の国際化は緩やかに進む。ただ、これまでのところさほど大きな進展がみられないのは、人民元に対する国際的な信認が低下していることを示しているかもしれない。習近平国家主席は自由化に消極的で、国際化の流れに逆行する。

中国当局は2015年、国内株価の大幅下落を受けて様々な措置を講じたが、株価は下げ止まらなかった。その後の元安抑制に向けた為替介入で、中国の外貨準備は約1兆ドル減少した。最近では、資本流出を阻止するために、企業や個人の国外送金の規制強化に躍起だ。

人民元建ての貿易決済はむしろ減少している。国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、貿易や投資の決済に使われる通貨のシェアで人民元は、2016年12月に1.7%と、2015年の2.3%から低下した。

今後、人民元の世界的役割は確実に増す。ただ、中国当局が自由化に再び前向きにならない限り、国際化に向け中国が小石の上に踏み出す一歩は小さく、向こう岸はずっと先だろう。

●背景となるニュース

*IMFが31日に公表した第4・四半期の世界外貨準備のデータによると、各国中銀の保有する人民元外貨準備は845億1000万ドルで、全体の1%強だった。

*外貨準備の保有比率が最も高いのはドルで、ユーロ、ポンド、円、カナダドル、豪ドルと続き、人民元は7番目。ドル準備は全体の64%を占め、ユーロは20%だった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/column-yuan-reform-idJPKBN1760A2?sp=true
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/823.html

[経世済民120] 完全雇用下の日本、円高が望ましい訳 黒田ETF買は相場歪めてない 資金供給増 企業物価横這 国債波乱不可避 利上4回不信
コラム:
完全雇用下の日本、円高が望ましい訳

河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 4日] - 最近、自民党のある会合で、円安が本当に望ましいのか、解説を依頼された。円安が株高につながるとしても、有権者や中堅・中小企業からの反発に直面し、自分たちが進めてきた政策が一国全体の経済厚生の改善につながっているのか、心配する政治家が増えているのだろう。

安定した為替相場が望ましいことを前提とした上で、一般的な回答としてどちらが望ましいかは、景気の良し悪しに依存する。不況局面にあり、負の需給ギャップを抱えているのなら、円安が望ましい。そうした経済状況では、金融緩和が望ましく、それが円安を促す。輸出が刺激され、需給ギャップが改善される。

反対に景気拡大が続き、経済が完全雇用に達したのなら、円高が望ましい。そうした経済状況では、金融緩和の手じまいが望ましく、それが円高を促す。供給制約で経済全体のパイの拡大が困難になっても、円高が輸入を促すことで、消費水準を高め経済厚生を改善できる。

アベノミクスがスタートした2012年末の段階では、それほど大きくはなかったとはいえ、日本経済は負の需給ギャップを抱えていた。それゆえ、どちらかと言えば円安が望ましく、アグレッシブな金融緩和の是非はともかく、円安を促す金融緩和は望ましかったと言えるかもしれない。

しかし、2013年の景気拡大の結果、2014年初頭以降、日本経済は完全雇用にある。その後もなんとか景気拡大が続き、人手不足はさらに深刻化している。

もし2014年年初以降、量的・質的緩和の手じまいを開始していたのなら、円高が促されていたはずだ。そうなれば消費増税による実質購買力の悪化を、円高による輸入物価の引き下げがある程度相殺し、消費の落ち込みを避けることができたかもしれない。

だが実際に取られたのは、追加的な金融緩和による一段の円安誘導であり、家計部門はダブルパンチを食らい、消費は大きく落ち込んだ。消費の低迷が続いているのは、消費増税の悪影響が長引いているからではなく、誤って採用した円安誘導の悪影響が続いているからだ。

1990年代末から2000年代初頭にかけて、筆者は、アグレッシブな金融政策による円安誘導が望ましく、国際政治上、可能なら、大幅な円安水準での為替レートの一時的なペッグを行うべきだと考えていた(スイス中銀が近年行ったスイスフランのユーロペッグのような目標相場圏導入)。それは当時、日本経済が深刻な不良債権問題にあえぎ、資産デフレの中で、大きな負の需給ギャップを抱えていたためである。

通貨安に誘導することで、日本で生産される財・サービスを外国人に対して割安にし、輸出を増やすことができれば、国内の生産を増やし、需給ギャップを改善できる。円安は海外で生産される財、サービスが日本人にとって割高になることを意味するが、国内に大きな失業を抱える場合、それを放置するコストは相当に大きい。大きな負の需給ギャップが存在した2000年代初頭は円安が望ましかったのだ。だが、完全雇用にある現在は円高が望ましい。

こう書くと、完全雇用にあると言っても、インフレ率は低いままで、何より厳密な意味での供給の天井に達しているわけではないのだから、金融緩和を続け、円安を促すことには意味がある、と反論する人もいるかもしれない。だが、こうした政策を長期化すると、所得分配、資源配分を大きく歪め、経済厚生を著しく損なうとともに、潜在成長率を低下させる。2%程度のインフレ率を確保することが望ましいとしても、以下論じるように、政策の得失を比較考量すると、デメリットの方が大きいのは明白だ。

<経済厚生を損ねる円高回避の金融緩和>

まず、多くの国がそうであるように、日本でも所得・支出アプローチの視点に立ち、輸出回復を起点にした景気回復を目指してきた。金融緩和による円安誘導が輸出数量の回復をもたらし、それが生産の回復、企業の所得回復、企業の支出回復を喚起し、家計の所得回復、個人消費の回復につながるという図式である。

所得・支出アプローチに立つ人は、生産回復による雇用者所得の改善ばかりにこだわるが、企業から家計への回復の波及メカニズムはそれだけではない。需給ギャップが改善すれば、本来、市場金利が上昇し、円高が進むことで、家計の利子所得は増え、輸入物価の下落による実質購買力の改善も享受できる。これが新古典派的な均斉成長の波及メカニズムであり、負の需給ギャップが解消されれば、所得・支出アプローチに沿った金融緩和による円安誘導政策の手じまいを開始しなければならない。

だが、景気拡大が最終局面に入っても円高による輸出企業の業績悪化を恐れ、いつまでも金融緩和が続けられる。利子所得の回復や実質購買力の改善が阻害されるから、個人消費はいつまでも回復しない。本来、個人消費の回復を伴う均斉的な成長を目指すのなら、金融緩和の手じまいを開始し、円安誘導を修正しなければならない。

一般に、円安が進めば、輸出セクターには2つの選択肢が生まれる。1つは、円安を原資に、現地での販売価格を引き下げ、輸出数量を増やし、国内生産を増やすことで、利益を拡大させることだ。もう1つは、輸出数量や国内生産の拡大を狙わず、現地での販売価格を据え置き、円安による利益率の向上によって、利益を改善させることだ。2012年末以降の円安局面で日本の輸出企業が選択したのは後者であり、その背景には、人手不足で供給制約に直面していたことがある。

もちろん、当時、輸出数量が増えなかったのは、生産拠点の海外シフトが加速したことや、2014年末の新興国バブル・資源バブルの崩壊も影響しており、円安の輸出刺激効果が消滅したわけではない。しかし、遊休資源がほとんど残されていない以上、今後、輸出数量が大きく拡大しても、経済全体のパイの拡大は限られる。円安によって実質購買力が抑制されるため、輸入とともに個人消費が抑制され、内需セクターの設備投資もあまり伸びないのだ。輸出を増やすために、円安を甘受し、輸入が割高となって個人消費が抑制されていたのでは、経済厚生は改善しない。

そもそも私たちが貿易をしているのは、輸出を増やし、貯蓄を溜め込むためではない。多様で安価な財・サービスを国内外から購入し、消費水準を高め、経済厚生を改善させるためだ。ただ、不況局面では、失業を放置するコストは経済的にも政治的にも大きい。このため、国内生産を増やすべく、金融緩和で円安に誘導し、内外の需要を国内の財・サービスに惹き寄せることは大きな意味を持つ。しかし、経済が完全雇用に達した後も円高回避のために金融緩和を続けていたのでは、所得分配が大きく歪み、経済厚生はいつまでも改善しない。重商主義的政策とは決別する必要がある。

<製造業の生産性上昇率も低下させる円安誘導>

さらに、円安に誘導することは、内需セクターに広く薄く課税し、輸出セクターに補助金を与えることを意味する。少なからぬ政策当局者が生産性上昇率の高い製造業をサポートするために、生産性上昇率の低い内需セクターが多少犠牲になるのはやむを得ないと考えているが、これは明らかに誤った考え方である。

確かに製造業の生産性上昇率は高く、非製造業のそれは低い。製造業は1990年代が年率2.7%、2000年代も2.7%、2010年代は2.0%、非製造業は1990年代が0.7%、2000年代が0.2%、2010年代が0.6%である。また、2015年度における付加価値のシェアは、製造業が20.4%、非製造業が79.6%だった。

仮に製造業のウエイトを高めることで、経済全体の生産性上昇率を0.5ポイント高めようとするなら、計算上、製造業のウエイトを35ポイント高めなければならない。だが、現実には不可能だろう。製造業が生み出す財・サービスに対する需要が限られる中で、同部門は生産性上昇率が高いからこそ、労働投入量は減り、経済全体の付加価値に占めるシェアも増えない。

加えて、日本では引退年齢を迎える人が増える一方で、若年人口は年々減少している。輸出企業からすれば、日本では安価な若年の労働力を安定的に確保することが難しいがゆえに、生産工程を海外にシフトさせている。一国全体で見れば、生産年齢人口の減少が続いているのだから、さまざまな経済メカニズムを通じ、限られた労働力が貿易可能財の生産から非貿易財の生産にシフトすることは極めて自然な動きだ。貿易可能財であれば、付加価値の高い工程を国内に残した上で、収益性の低い生産工程は海外に移し、完成品を輸入すればよい。

だが、円安誘導がこうした流れを阻害する。あまり認識されていないが、製造業をサポートしようとする政策が、非製造業の足を引っ張るだけでなく、その意図に反し、製造業の足も引っ張る。

まず、円安によって課税される非製造業では経済資源が奪われ、過少な雇用、過少な設備となる。既存企業の成長が抑制されるだけでなく、消費者の支出が抑制される結果、消費者が欲する新たな財・サービスの誕生につながるようなイノベーションの可能性を秘めた成長企業の出現も阻害される。

一方で、円安によって補助金を獲得する製造業では、過剰な雇用や過剰な設備が蓄積される。この結果、経済資源を奪われた非製造業だけでなく、恩恵を受けた製造業の生産性上昇率も低下し、経済全体の生産性上昇率も低下、ひいては潜在成長率も抑制される。

<100円割れ回避の金融緩和は本末転倒>

では、製造業のウエイトを引き上げようとすることが経済全体の生産性上昇率を引き下げるとするなら、どのようにして生産性上昇率を引き上げるか。まず、経済が完全雇用に達したのだから、円安誘導のための金融緩和の手じまいを開始することだ。資源配分、所得分配の歪みを抑え、製造業、非製造業の生産性上昇率への悪影響を緩和できる。

また、経済全体の生産性上昇率を0.5ポイント引き上げるには、非製造業の生産性上昇率を0.6ポイント引き上げるべく、規制緩和を追求すべきだ。もちろん、それも決して簡単だとは言えないが、製造業の付加価値ウエイトを35ポイントも引き上げるより、はるかに実現性は高く、弊害は小さい。非製造業が生み出す法人向けサービスは製造業にも投入されており、非製造業の生産性向上は、製造業の生産性上昇にもつながる。

現在、日本のドル円レートの適正水準を100―120円程度と考える人が少なくない。しかし、実質実効円レートで見ると、現在は、2014―15年のボトムほどではないものの、相当な超円安水準で、1977―82年のボトム圏と並ぶ。プラザ合意以前の為替レートは相当に割安だったという認識はコンセンサスだと思われるが、現在は、当時よりもさらに円安水準にある。

内閣府が発表する「企業行動に関するアンケート調査」で見ると、2016年度における輸出企業の採算レートは1ドル=100円程度だった。採算レートと言っても、足元の為替レートの水準に左右されるため、真の採算レートはさらに円高の水準にあると考えられる。

人手不足でどこも困っているのだから、1ドル=100円を割り込んだ途端に存続が難しくなると悲鳴を上げるような輸出企業を、金融緩和による円安誘導で守る必要はあるだろうか。もしそうした企業が解散すれば、生産性の高い企業が雇用を吸収し、経済全体の生産性上昇率も改善するはずだ。

1ドル=120円に達する前に家計部門から悲鳴が上がってくることを考えると、やはり多くの人が円高の上限と考える1ドル=100円が過少なのではないか。購買力平価の視点で考えるなら、控えめに見ても、1ドル=100円を中心に、90―110円が均衡的なレートだろう。もちろん、短中期的な均衡レートは金利に大きな影響を受けるが、現在の金融政策そのものが経済ファンダメンタルズと必ずしも整合的とは言えない。

このまま1ドル=100円を円高の上限と考え、100円割れを回避するためにいつまでも金融緩和を続けていれば、資源配分や所得分配が歪み、消費も回復せず、潜在成長率は低下が続くばかりだ。こうした大きな犠牲を払ってまで、2%インフレを早期に達成する必要はあるのだろうか。それでは本末転倒である。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

(編集:麻生祐司)

http://jp.reuters.com/article/column-ryutaro-kono-idJPKBN176058?sp=true

 


 


国債市場の波乱避けられず、黒田総裁は「あうんの呼吸」を
島本氏
野沢茂樹
2017年4月3日 00:00 JST更新日時 2017年4月3日 12:36 JST


Koji Shimamoto Source: Societe Generale
• 実体経済の改善を受けた金融緩和の縮小観測が引き金−島本氏
• 欧州ではECBの出口をにらんだ動きが進行

日本の国債市場は世界的な景気と物価の改善を背景に今年後半にも波乱に見舞われる、と仏銀2位のソシエテ・ジェネラルは予想する。日本銀行の黒田東彦総裁に求められるのは、金融緩和の修正をめぐる市場との「あうんの呼吸」だと言う。
  ソシエテ・ジェネラル証券の島本幸治副社長は、「行き過ぎたグローバル化の反省として、過去30年にわたって金融政策に任せ過ぎた分配政策で政府の役割が増していく流れは変わらない」と指摘。足元の国際金融資本市場はトランプ米政権の財政拡張など「リフレ的な政策の実現には時間がかかると気づく『反動の反動』の局面にあるが、年後半にかけて景気と物価の回復が進む実体経済にテーマが移っていく」と言う。
  黒田総裁は、日々の国債買い入れオペ運営を通じた政策見通しの示唆や海外長期金利の上昇に応じた誘導目標の引き上げを明確に否定する。ただ、市場は経済成長とインフレ率の上昇につれて、金融緩和の修正を「自ずと意識してくる」と島本氏は予想。米国経済の改善を背景に円相場が年末に1ドル=123円まで下げ、TOPIXが足元から1割近く上がる中で、新発10年国債利回りは0.15%に上昇するとみている。
  島本氏は先月のインタビューで、国債利回りは当面は長期・超長期ゾーンが下げるブルフラット(平たん)化が続くが、その後は国内外の大規模で迅速な景気刺激策などを背景に長期ゾーン以降が上がるベアスティープ(傾斜)化にはならないと予想。実体経済の改善と金融緩和度合いの見直しを織り込んで短期中ゾーン主導で上昇するベアフラット化が進むとの見方を示した。
市場との対話が重要
  日銀の金利コントロール策は国債買い入れを通じて利回りを望ましい水準に誘導する仕組みなので、金融緩和の縮小観測は国債市場での不透明感とボラティリティ(相場変動率)の大幅な上昇につながると島本氏は指摘。長期金利の水準に直接関与するという歴史的な金融緩和策に「踏み出した以上は避けて通れない道」であるとし、「市場との対話が非常に重要になる」と述べた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iW7mzJCItC3Q/v2/-1x-1.png

  金融緩和の縮小観測を受けた国債利回りのベアフラット化は、日銀と似た量的緩和とマイナス金利下のユーロ圏で進行しつつある。欧州中央銀行(ECB)は9日の定例理事会で、責務の範囲内で「あらゆる手段」を駆使するとの文言を声明文から外し、域内銀行向け長期資金供給(TLTRO)の延長を見送った。量的緩和の終了前に利上げがあり得るかについても検討したと伝わった。
  域内金利の指標となるドイツ国債利回りは短中期ゾーンが上昇する一方、長期金利は低下。2年物と30年物の利回り格差はECB会合の当日に209ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と2014年7月以来の水準に拡大したが、その後の3週間足らずで約25bp縮んだ。
  米国でもトランプ政権の大規模な景気刺激策を先取りして長期金利が大幅に上昇したにもかかわらず、2年債と30年債の利回り格差は大統領選直後の204bpをピークに、連邦準備制度理事会(FRB)が2四半期連続で利上げする中で徐々に縮小。足元では170bp台で推移している。一方、日本国債の同利回り格差は市場がオペをめぐる混乱の最中にあった2月中旬と比べても10bp弱しか縮んでいない。
  日銀が先月に開いた金融政策決定会合では、一部の政策委員が現時点で望ましい利回り曲線は「若干スティープであるべき」「金融政策の転換が必要となるまでには相当に時間がかかる」などと発言。ただ、日銀の見通しに沿って物価の基調が高まれば長期金利の上昇圧力が強まると見込まれ、「長短金利操作の手順や政策反応関数について、今のうちから議論しておく必要がある」との意見も出ていた。
次期総裁人事に影響も
  金融緩和の縮小をめぐる議論は今年後半から広がってくるー。島本氏がそう読むのは「物価は上昇していくが賃金はなかなか上がらない状況が、かなりの確度で生じる」とみるからだ。「黒田緩和もアベノミクスも世論主導で出て来た面がある」ので、さらなる金融緩和ではなく、最低賃金や企業の協力も含めた分配のあり方が焦点になると言い、「世の中、国民の期待を映す」来春の次期総裁人事も緩和の行方に影を落とすとみる。
  インフレ率は原油価格の持ち直しによる押し上げ効果が剥落した後も、日銀が重視する基調的な部分は上昇基調が続くと島本氏は予想している。金利コントロールは国債利回りに直に働きかける政策なので「市場との対話がなおさら重要だ。黒田総裁はどこかで緩和姿勢に関する発言のニュアンスを変えないといけなくなる」と言う。
  例えば、金利を低く抑える方針を強調し続ける一方で、名目金利からインフレ率を差し引いた「実質金利」という言葉に軸足を移していけば、物価が上がっていく局面では名目金利の緩やかな上昇も容認すると示唆できると、島本氏は説明。国債相場のボラティリティが高まる中で、日銀は市場と「あうんの呼吸」が通じるように対話の工夫を図る必要があると言う。
  国債買い入れオペの運営に関しては、巨額の保有国債の一部であっても「売りオペを実施するのは難しいので、市場へのコミットメントとテーパリングを穏やかな形でミックスするしかない」と指摘。「金利の誘導目標を徐々に上げていった後は、どこかの時点でコミットメントをぼかしていく」のも有用だと言う。
  日銀の金利コントロール策は第2次世界大戦中と戦後の米国に類例がある。FRBは1942年から51年まで、長めの米国債の利回りが2.5%以下になるよう買い支える事実上の金利ペッグ制を実施。米政府の借り入れコストを抑え、戦費調達と戦後の債務安定化を支えた。大恐慌の研究家であるバーナンキ前FRB議長が、日銀の導入直後に「米国の先例がある」と指摘したゆえんだ。
金利キャップ制
  FRBが推進した事実上の金利キャップ制は、政府支出の増大と予想インフレ率の上昇を受けたインフレ加速で最終的には機能不全に陥り、米金融当局は51年に米財務省との間で金利の上限維持策の終了を宣言するアコード(共同声明文)の発表に追い込まれた。島本氏は、「日銀はかつてのFRBと同様の過程をたどり、利下げと量的緩和を経て、国債利回りという市場価格のコントロールに至っている」とみる。
  当時のFRBが置かれた状況との「根本的な違いは自由に取引できる巨大な為替市場の存在だ。政府は全く管理できない」ー。島本氏は「トランプ政権の国境税は為替相場に直に効くので、政治的な合意が加速すれば一気にドルが上がりやすくなる」と言い、この場合には「円安・ドル高が日本の物価上昇を通じて日銀の金利コントロール策にも影響を及ぼしていく」と読む。
  黒田総裁は先月の講演で、現時点で金融緩和の度合いを緩める理由はないとあらためて表明した。ただ、その後の質疑応答では、為替レートは変わらないのが物価見通しの前提であり、円安は他の条件が一定なら物価の押し上げ要因になるとし、物価の状況が変わってくれば長短金利操作が議論になるとの見解を示した。
  島本氏は「日銀にとって想定外の円安は振り上げた拳を降ろす良い口実になる」と指摘。「金利機能の正常化はいずれ避けて通れない。本来操作すべきは翌日物の金利だ。市場機能をうまく使っていかないと金融・財政政策とも所期の効果を生まない。デフレ脱却を最優先する政策判断があったわけだが、必要がなくなれば、国債利回りをコントロールする非常手段は採らない方が良いのは自明だ」と言う。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-02/ONMBE46KLVRC01


 


黒田日銀総裁、ETF買い入れ「株式相場をゆがめてはいない」 国会答弁
2017/4/4 10:32
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 日銀の黒田東彦総裁は4日午前、衆院財務金融委員会に出席し、上場投資信託(ETF)の買い入れについて「株式相場をゆがめているものではない」とし、「2%の物価目標の早期達成に必要な政策だ」と述べた。民進党の鷲尾英一郎氏の質問に答えた。

 ETFを購入することの目的はリスクプレミアム(リスクに応じた資産価格の割引幅)に訴えかけることであり「(日銀の買い入れで)投資家の先行きへの安心感を高めて、適切な株式の価格形成を促すのが目的だ」とした。また「特定の株価水準を念頭に置いてはいない」とも強調した。

 一方でETFや株式の購入については「金融政策の目的で主要先進国の中央銀行が実施した例はない」と話し、異例の政策であることを認めた。ETF買い入れによって日銀のバランスシートは膨張している。金融政策の正常化に向けた出口戦略については「その時々の経済物価情勢によって変わる」と述べ「現行の金融政策全体で出口を議論するのは時期尚早だ」と、これまでの考えを強調した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL04H8S_U7A400C1000000/

 


3月末の資金供給量、447兆2678億円 3カ月ぶり増
2017/4/4 9:14
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 日銀が4日に発表した3月の資金供給量(マネタリーベース、月末残高)は2月末から13兆6082億円増の447兆2678億円だった。3カ月ぶりに前月を上回った。

 3月の平均残高は前年同月比20.3%増の436兆2634億円だった。内訳は日銀の当座預金が26.4%増の332兆877億円、紙幣の発行高は4.5%増の99兆4636億円、貨幣(硬貨)の流通高は1.0%増の4兆7121億円だった。

 マネタリーベースは市中に出回るお金(紙幣、硬貨)と金融機関が日銀に預ける当座預金の合計。日銀は消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年比上昇率が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大を続ける方針をとっている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕



ドバイ原油・4日午後、反落 51.10ドル前後
2017/4/4 16:54
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 アジア市場で原油の指標となる中東産ドバイ原油のスポット価格は4日、反落した。取引の中心となる6月渡しは1バレル51.10ドル前後と、前日に比べて0.80ドル安い。3日のニューヨーク市場で原油先物が下落した流れを引き継いだ。

「不況」にもがくアパレル ユニクロ、3月売上高は前年割れ
2017/4/4 16:21日本経済新聞 電子版
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 衣料品市場の減速が続くなか、アパレル企業が生き残りをかけてもがいている。ファーストリテイリングが4日に発表した3月の「ユニクロ」の国内既存店売上高は前年同月比1%減、カジュアル衣料のアダストリアも経常減益となる決算を発表した。しまむらが3日に発表した決算は好調だったが、インターネット通販の拡大など経営環境の変化は激しくなっている。今後は優勝劣敗がさらに鮮明になる可能性がある。

 ユニクロの既存店売…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ04HEP_U7A400C1000000/


韓国株4日、反落 現代自動車が大幅安、サムスンは高い
2017/4/4 16:25日本経済新聞 電子版
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 4日の韓国株式市場で総合株価指数(KOSPI)は反落した。終値は前日比6.41ポイント(0.29%)安の2161.10だった。前日の米国株の下落を受け、投資家心理が悪化した。

 3月に中国での新車販売が急減したと伝わった自動…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASB2IDE22_U7A400C1000000/


 

運用者は業界統合を予想、パッシブへの流れで将来に暗い見通し−調査
Charles Stein
2017年4月4日 07:18 JST

マネーマネジャーらは将来に明るい見通しを抱いていない。運用会社数もその利益も、運用者に活躍の場を与えるアクティブ投資ファンドも減少傾向だとみている。
  世界的な業界団体のCFAインスティチュートが昨年12月に業界リーダー1145人を対象にまとめた調査で、圧倒的多数が将来について厳しい見方を示した。84%が向こう5−10年の業界統合進展を予想。70%はパッシブ運用への一段の資金の流れを見込んでいる。そして52%が資産運用会社の利益率低下を予想した。
  CFAが3日、「投資専門職の将来の状態」というリポートを公表した。モーニングスターのデータによると、2月28日までの1年間にはアクティブ運用ファンドから3070億ドル(約34兆円)が流出、パッシブ運用ファンドには6140億ドルが流入と明暗を分けた。
  CFA調査による、回答者の57%は機関投資家が社内での運用を増やすことも予想した。
  リポートの筆者の1人、レベッカ・フェンダー氏は、投資家が入手できるデータが増えたことがアクティブ運用者の優位性を失わせたと分析した。調査は世界の5地域の資産保有者や資産運用者を対象に実施した。   
原題:Money Managers See Consolidation as More Cash Flows to Passive(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONU7KR6TTDS301

 

債券トレーダー、17年の4回利上げなど信じず−3月雇用統計見極めへ
Brian Chappatta
2017年4月4日 06:48 JST

4−6月(第2四半期)が始まり、債券トレーダーらは米連邦公開市場委員会(FOMC)のどの当局者が米経済を最もしっかりと見定めているかを、最新の雇用統計から見極めようとするだろう。
  10年物米国債利回りは3月31日、同月の最低付近で終了した。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は同日、2017年に3回の利上げという予想は「妥当」であり、景気は過熱していないと述べた。一方、ボストン連銀のローゼングレン総裁はその2日前、過熱のリスクに言及し17年の4回利上げが妥当になることもあり得るとの考えを示した。サンフランスシコ連銀のウィリアムズ総裁も4回利上げの可能性を排除しなかった。
  しかし債券市場はニューヨーク連銀のダドリー総裁を信じた。リフレトレードへの疑念も深まる中で、市場に基づくインフレ期待は今年の最低水準からあまり高まろうとしない。経済指標が予想を上回る度合いもシティグループのデータによると、14年来の高水準から離れつつある。
  アリアンツ・インベストメント・マネジメントの投資ストラテジスト、ジョン・ブレデマス氏は「米国債市場はより慎重な見方をし、『証拠を示せ』と言っている」と指摘。「いろいろな約束があるが、インフレ加速が金利上昇を正当化することについてわれわれはここ数年に何度も失望させられている」と話した。
  7日発表の3月の米雇用統計が、いずれかの証拠になる見込みだ。ブルームバーグの調査では中央値で、雇用者数17万5000人増が見込まれている。

原題:Bond Traders Are No Fools, Dismissing Bluster of Four Rate Hikes(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-03/ONU0TE6K50XZ01

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/686.html

[国際18] 免疫療法の登場で進む「がん治療薬の高額化」 ルペンの乱に備える仏銀行 「正反対」の米中首脳、摩擦激化もあり得る初会談の行

ews | 2017年 04月 4日 15:41 JST 関連トピックス: トップニュース

アングル:免疫療法の登場で進む「がん治療薬の高額化」

[3日 ロイター] - 免疫療法といった新たながん治療薬の登場により患者の生存率は改善している。だがその一方で、薬価には競争原理が働かず、治療コストは年25万ドルを上回る可能性もあるなど高額化の道をたどっている。

がん治療薬には、米製薬大手ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY.N)やドイツの製薬・化学品大手メルク(MRCG.DE)、スイス製薬大手ロシュ(ROG.S)が特に注力している。クインタイルズIMS・インスティチュートによると、製薬業界で開発中のがん治療薬は2005年から15年の間に63%増加しており、承認され製品化されるものも多い。

がん免疫療法の世界市場は、2015年には169億ドルだったが、2022年には758億ドルへと4倍超に膨らむと調査会社のグローバルデータは予想している。

薬剤給付管理大手の米エクスプレス・スクリプツのチーフ・メディカル・オフィサー、スティーブ・ミラー氏は「一般にがん治療薬に関して言えば、われわれがコストを下げるのは難しい。自分の子供に対し最善のがん治療薬ではなく、次善のものを使うなどと言われるのは誰でも嫌だからだ」と説明する。

トランプ大統領も含め、米議会は党派を超えて処方せん薬の価格抑制と格闘している。解決策として議論されてきたのはメーカーとの薬価交渉の活用や、製薬メーカー間の価格競争を促すため新薬をより速やかに承認することなどだ。トランプ大統領はホワイトハウスで製薬メーカートップに対し「競争が薬価引き下げの鍵だ」と語っている。

しかし、体の免疫システムにがん細胞を認識、攻撃させるよう働く「免疫チェックポイント阻害剤」といった新薬の場合には、価格競争原理は働かない。

収載されているチェックポイント阻害剤の薬価は現在、それぞれ年15万ドル近くする。米食品医薬品局(FDA)が、進行がんなどに併用して使うことを承認した、ブリストルのがん治療薬「イエルボイ」と「オプジーボ」の場合、年間費用は25万6000ドルに跳ね上がる。

「処方薬の価格に関し議論する際には、イノベーションや新薬発見に費やした巨額の投資費用を考慮しなければならない」というのが製薬業界の言い分だ。

<価格設定に制約なし>

スローン・ケタリング記念がんセンター傘下の機関でディレクターを務めるピーター・バック氏は「製薬企業の戦略はたいてい、制限を受けない価格設定力を前提としている。コスト効率を追求しているのは見たことがない」と指摘する。

糖尿病治療薬など、いくつもの会社が似たような薬を出している場合、保険会社は価格の引き下げを交渉することも可能だ。しかし、新しい、革新的ながん治療薬の値引きは通常は考えにくい。

エクスプレス・スクリプツのミラー氏などは、こうした強力な価格設定力の背景には、医療保険の構造的な問題や、治療薬をつき合わせて比較する研究が足りないことなどがあると指摘する。

米国のメディケア(高齢者・障害者向け公的医療保険制度)のパートD(処方せん薬割引プログラム)では、大半の処方せん薬が対象とされており、保険ではがんやエイズウイルス(HIV)など6つの分野をカバーしなければならないとされている。

トランプ大統領は最近、政府にメディケアの薬価に関する協議を認めるための法律草案を巡り民主党議員と意見を交換したが、その法案でも6分野のカバー義務は維持されている。

(Deena Beasley記者)

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焦点:ブレグジットでEUに起きる「5つの変化」
http://jp.reuters.com/article/cancer-drug-idJPKBN1760BZ?sp=true


http://jp.reuters.com/article/analysis-eu-brexit-draft-idJPKBN1760GH?sp=true

 


 


 


News | 2017年 04月 4日 15:19 JST 関連トピックス: トップニュース

 アングル:
「ルペンの乱」起きるか、リスクに備える仏銀行

[パリ 3日 ロイター] - フランスの銀行は、4月の同国大統領選で極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首が予想以上に善戦し、信用収縮や取り付け騒ぎなどの波乱に見舞われるリスクを想定した準備を迫られている。

ルペン氏は、自分が勝利すればユーロ離脱(フレグジット=Frexit)を問う国民投票を実施し、中央銀行の紙幣増刷により財政支出を賄い、商業銀行に小規模企業への貸し出しを義務付け、銀行が顧客に課す手数料を半分に削ると約束している。

世論調査によると、4月23日の第1回投票ではルペン氏が得票率25─30%で第1位となるが、5月7日の決選投票では中道系独立候補のマクロン前経財相が勝利する見通しだ。

上席のバンカー4人がロイターに語ったところによると、2月の世論調査でルペン氏が支持率を伸ばし、フランス国債利回りが急上昇したのを受け、欧州中央銀行(ECB)担当者らは市中銀行に対し、不測の事態に備えて十全の対策を講じるよう働きかけている。

バンカーの1人は「フレグジットを含むさまざまなシナリオに対する当行の計画を聞かれた」と話した。

ECBはコメントを控えている。

銀行が問い合わせを受けているシナリオの1つは、ルペン氏が第1回投票で予想以上に得票を伸ばし、2週間後の決選投票で勝利の確率が高まるケースだ。

2人目のバンカーは、決選投票までの短期間に市場で流動性が低下する可能性について「2週間なら、どんな困難な状況でも十分切り抜けられる」と述べた。

ECBの担当者は銀行に詳細な計画を別個に提出するよう求めているわけではなく、定期的な調査票に大統領選に関する質問を加えるにとどめている。このため銀行は大きく身構えてはいない。

複数のバンカーによると、銀行は外国人投資家への対処についても大枠を示す必要がある。第1回投票で候補者が2人に絞られ、決選投票に持ち込まれる大統領選の仕組みなどを外国人に説明しなければならない場合もあるからだ。

3人目のバンカーは「外国人投資家から多くの質問が寄せられている。われわれは投票が2回行われることを繰り返し説明している」と話した。

パリ在住弁護士の何人かは、フランスのユーロ離脱が法的に可能かどうかや、フレグジットの手順、銀行で取り付け騒ぎが起こった場合に国はどのような対処が可能かなどについて、投資家から問い合わせを受けていると話した。

ある弁護士は「確かなのは、取り付け騒ぎのリスクが出て何らかの対処が必要になれば、国は政令によって対処できるということだ」と述べ、キプロスが2013年、銀行危機に際して資本管理を実施した例を挙げた。

一方、国営金融機関ケス・デ・デポのピエールルネ・ルマ頭取によると、フランスの個人投資家は潤沢な手元資金を確保しており、過去3カ月間で非課税の貯蓄口座に多額の資金流入が見られた。

(Julien Ponthus記者 Leigh Thomas記者)

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http://jp.reuters.com/article/banks-frexit-idJPKBN1760AB


 


 


 

 


 


 

News | 2017年 04月 4日 13:18 JST 関連トピックス: トップニュース

 焦点:「正反対」の米中首脳、摩擦激化もあり得る初会談の行方

[ワシントン/北京 3日 ロイター] - トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が、6─7日に米フロリダ州で初の直接会談に臨む。今回の会談では、両国の政策面の大きな隔たりだけでなく、両首脳の性格の違いも改めて浮き彫りになりそうだ。

2人とも自国を再びに偉大にすると表明している点こそ共通するかもしれないが、それ以外は政治姿勢から外交経験までほぼ正反対。思ったことをすぐ発信する「ツイート王」のトランプ氏に対し、習氏は慎重に計算し尽した言動に終始する人物と言える。

そのトランプ氏は大統領選勝利から5カ月を経てもなお、中国に歩み寄ることなく真正面から対峙する路線を変えておらず、両国が妥協点を見いだせるのかどうか疑問が広がっている。

トランプ氏はツイッターで、中国の貿易慣行が米国の雇用を損なっている点を踏まえると、習氏との会談は「非常に困難」になると発言した。トランプ氏が北朝鮮の核問題について、米中の貿易関係の重要性をてこに中国側の北朝鮮への圧力強化を引き出そうとするのかどうかも注目される。

ホワイトハウスの一部関係者は、トランプ氏の女婿のジャレド・クシュナー氏が対中姿勢を和らげるよう、とりなす役割を果たす可能性があるとの見方を示した。クシュナー氏は中国の駐米大使とともに首脳会談のお膳立てをしたとされる。

ただ手はず通りに事態が進行することを重視する中国側にとって、政策面の衝突より怖いのが、トランプ氏の予測できない振る舞いによって習氏が公の場で当惑を見せることだ。ある中国政府高官は「習氏の面目を保つことに万全を尽くすのが、わが国にとって最優先事項だ」と話した。

トランプ氏が首脳外交の場で、ドイツのメルケル首相が求めた握手を無視するようなそぶりをしたり、オーストラリアのターンブル首相との電話会談で乱暴な口調になったことが、中国側の警戒感を誘っている。

トランプ氏と習氏はともにナショナリズムを掲げており、これが両国の摩擦を激化させかねない。トランプ氏は、中国などの外国に長年経済的に欺かれてきた米国は輝きを取り戻す必要があると主張。習氏は、古代の大帝国であった中国が国際社会で存分に力を行使したいと考えている。

アジアが専門だった元政府高官は「習氏とトランプ氏は自然な友人ではない。問題はトランプ氏の『米国を再び偉大にする』という方針と習氏のスローガン『中国夢(チャイニーズ・ドリーム)』がぶつかった場合、どんな結果になるかだ」と懸念を示した。

米中貿易戦争が両国にとって利益とならない点からすれば、トランプ氏が中国への圧力を高める政策にポピュリズム(大衆迎合主義)的な要素を盛り込むかどうかはっきりしない。

だが複数の側近は、特にトランプ氏が何十年も前から声高に論じてきた通商問題で強硬姿勢を引っ込めることはないとみている。そうなると北朝鮮や南シナ海を巡る問題で米中がお互いに折り合えるかどうかは分からない。

またアナリストの中からは、政治外交手腕に長けているとみなされている習氏に対してトランプ氏が優位に立てるのだろうかとの疑問も聞かれる。トランプ氏は大統領になってまだ10週間余りだが、習氏は2013年に国家主席の座に収まってからずっと対米戦略に磨きをかけてきた。

トランプ政権発足から間もない今の時期に首脳会談開催を決めたことから、米中双方とも首脳間の個人的な関係を築くのは有意義だと考えていることが分かる。

それでもトランプ政権のアジア政策チームは内部に意見対立を抱え、政権としての対中政策が完全に出来上がっているわけでもない。

こうした事情もあり、両国ともに今回の会談で目に見えるような成果が得られるとはあまり期待していない。2013年の習氏とオバマ前大統領の会談のような、お互いを知る機会という位置付けだ。

2月の日米首脳会談と異なり、「ゴルフ外交」も予定されていない。中国共産党は汚職追放運動の一環として政府当局者によるゴルフの自粛を求めている。

(David Brunnstrom、 Matt Spetalnick、Ben Blanchard記者)

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米・トルコ大統領が電話会談、IS対策協議=ホワイトハウス
バイデン米副大統領、クリントン氏当選しても政権入り望まず
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トランプ氏「オバマ・クリントン両氏はISの共同創設者」と発言
オバマ米大統領、9月に任期中最後のアジア歴訪 中国主席らと会談
http://jp.reuters.com/article/usa-china-summit-idJPKBN17609G

 


 


 
星野リゾート代表、都市観光ホテルを全国展開へ−大阪には20階建て
桑子かつ代
2017年4月4日 15:56 JST

国内外でリゾートホテルや温泉旅館を運営する星野リゾートは、国内観光市場の成長を見込み都市での観光ホテルを全国展開する。今月から北海道旭川市で地上17階建てホテルの運営を開始し、大阪市でも600室以上の大型ホテルを計画している。
  星野佳路代表は4日都内で会見し、「都市観光ホテルを日本の観光都市の多くで展開していきたい」と述べた。これまで地方中心に展開していた「星のや」「リゾナーレ」「界」に続く、4番目のブランドに位置付ける。大阪には初進出として新今宮駅前に600室以上の大型ホテルを計画している。
  星野代表は、増加する訪日観光客が訪れるトップスリーは東京・大阪・京都と指摘したうえで、「都市観光市場は伸びていく。この重要な市場を放置するわけにはいかない」と語った。また大都市に多いビジネスホテルとの競合について、「他社は商用目的をメインに考えている施設とサービスなので、必ずしも弊社と直接競合するとは思っていない」と述べた。
  中国人観光客らによる爆買いブームは去ったものの、訪日外国人数は伸び続けている。日本政府観光局によると、16年の訪日外国人数は約2400万人で統計を開始した1964年以来最多。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-04/ONVFT36K50XY01


http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/825.html

[経世済民120] スマホ時代到来から10年、2強が迎える「天王山」 米ミレニアル世代クレカ狂騒曲 中国のシェア自転車、急増で「悲惨な運命」
スマホ時代到来から10年、2強が迎える「天王山」
アップルとサムスンのユーザー間で機種乗り換えも

韓国サムスンの最新モデル「ギャラクシーS8」は従来機種より縦長で薄く、本体の上から下までほぼ全面がスクリーンとなっている PHOTO: MARY ALTAFFER/ASSOCIATED PRESS
By
TIMOTHY W. MARTIN AND TRIPP MICKLE
2017 年 4 月 3 日 10:03 JST
 今年は「スマートフォン戦争」にとって重要な年になりつつある。
 戦いの火ぶたを切ったのは韓国の サムスン電子 。同社は先週、旗艦シリーズの最新モデル「ギャラクシーS8」を発表、今のところ評判は上々だ。約半年後には 米アップル が「iPhone(アイフォーン)」の10周年記念モデルを発売するとみられる。アナリストの予想では、ここ数年で最も革新的なスマホになりそうだ。
 ところがスマホ業界はかつての勢いを失っている。ここ数年、メーカーはユーザーを驚かせるような新機能の開発に苦戦しており、消費者は同じ端末をこれまでより長く使うようになった。世界的に販売台数の伸びは鈍り、ほとんどのユーザーはなじみのあるブランドから離れなくなっている。つまり、アップルやサムスンなどのスマホメーカーはブランドにこだわらない比較的少数の消費者を奪い合っているという構図だ。
 ジャックダウ・リサーチのテクノロジーアナリスト、ジャン・ドーソン氏は「新規の顧客が少なくなり、メーカーはなんとかして既存の顧客に端末を買い替えてもらわなければならなくなっている」と指摘する。
またとない好機到来
 ただ今年はいくつかの要因から、他社から消費者を奪う――逆に失うこともあるが――またとない好機がもたらされつつある。
 サムスンはギャラクシーS8で昨年の「ギャラクシーノート7」バッテリー発火問題からの復活を果たそうとしている。この問題で同社は50億ドル(約5570億円)の費用をかけて300万台の端末を回収、消費者の信頼は損なわれた。サムスンの広報担当者は「ギャラクシーS8は安全対策を見直すことで消費者の信頼回復に取り組んだ証し。当社のスマホの歴史における新たな節目になる」と述べた。

米国スマホ市場のメーカー別シェア
https://si.wsj.net/public/resources/images/BF-AP500_PHONEW_16U_20170330200606.jpg

 アップルもスランプを抜け出しつつある。2月には株価が2年ぶりの高値を付けた。昨年発売の「iPhone 7」が前モデルのマイナーチェンジにすぎなかったという批判も乗り越えようとしている。アナリストらはiPhoneの10周年モデルに重要な新機能が搭載されるとみている。予想価格は1000ドルと異例の高さで、そこにはリスクも伴う。サムスンのギャラクシーS8は約750ドルで販売される予定で、大きいサイズはそれより100ドル高い。
 アップルは次期iPhoneに関する臆測についてコメントを差し控えた。
 「今年は乗り換えがいつになく多い年になりそうだ」と話すのは、市場調査会社HISマークイットの主席アナリスト、ウェイン・ラム氏。ギャラクシーS8の印象的なデザインや次期iPhoneが秋まで発売されないことなどが理由だという。
 一方、その他のスマホメーカーは大手2社の隙を狙っている。市場調査会社ストラテジー・アナリティクスによると、アップルとサムスンは世界のスマホ販売台数の3分の1以上を占め、利益では実に業界の95%を握る。この2社を2021年までに市場シェアで追い抜こうとしている中国の華為技術は2月、自社ブランドの高級モデルを発表した。アルファベット傘下のグーグルも昨年末に自社ブランドから「ピクセル」を発売、市場で勢力を増している。
硬直化する米国市場
 米国のスマホ市場はいくつかの点で硬直化している。市場調査の専門家らによると、スマホ時代の到来から10年がたち、消費者は自分のスマホにこだわりを持っている。消費者がここまでこだわった製品や購入品はほとんどないという。
 一方で他国の市場は米国より流動的だ。特に中国やインドでは、価格に敏感な消費者が頻繁にブランドを乗り換えている。ただメーカーにとっては、消費者が概して上位機種により多く支出する米国が主戦場だ。
 米国ではほとんどの消費者はiPhoneかアンドロイド端末――主力メーカーはサムスン――のどちらかを使い続けている。市場調査会社コンシューマー・インテリジェンス・リサーチ・パートナーズによると、アンドロイド端末のユーザーのうち、昨年にiPhoneに乗り換えた人はたった11%。iPhoneユーザーでアンドロイド端末に乗り換えた人も15%にとどまった。
 乗り換えの障害は少なくなった。音楽や映画はアップルの「iTunes(アイチューンズ)」に頼らなくても、 ネットフリックス やスポティファイなどのストリーミングサービスで楽しめるようになった。多くのスマホはハードのスペック面も外観も似たり寄ったりだ。しかし消費者は動かない。

アップルが昨年発売した「iPhone 7」 PHOTO: GEORGE FREY/GETTY IMAGES
 消費者がスマホで自動車や家電を操作できる時代に近づきつつある世界では、わずか数%でも市場シェアの変動は重要だ。ストラテジー・アナリティクスによると、米国のスマホ出荷台数では、2015年には35.3%あったアップルのシェアが16年には32.5%に低下し、サムスンのシェアは23.6%から25.7%に上昇した。そのあとには韓国の LGエレクトロニクス と中国の 中興通訊 (ZTE)が続く。
 サムスンはこれまでより長いスクリーンと仮想アシスタント機能「ビクスビー」が売りのギャラクシーS8で地歩を固めたい考えだ。
 ただこうした機能は一定の評価を得てはいるが、サムスンを取り巻く状況は厳しい。マーケティング企業フルエントが先月実施した調査によると、昨年のノート7のリコール後、米国のサムスンユーザーの約37%が次もサムスンのスマホを買う可能性は低いと回答しているのだ。
 フルエントの最高マーケティング責任者、ジョーダン・コーエン氏は「アップルにとっては非常に大きなチャンス」と語った。
 しかしグッゲンハイム・パートナーズのアナリスト、ロブ・シーラ氏によると、新しいiPhoneが高額になると予想されているため、一部の顧客でiPhone離れが起きるかもしれない。アナリストらによると、10周年モデルには新たなディスプレイ、ワイヤレス充電、顔認識機能などが搭載される可能性がある。アップルは引き続き安価なモデルの販売も続ける見通しだ。
 競争激化で各メーカーはサービス拡充を図っている。アップルは音楽ストリーミングサービス「アップル・ミュージック」に力を入れており、フランク・オーシャンなど人気アーティストと新作アルバムの配信で独占契約を結んだ。サムスンが多額の資金を投じて開発したビクスビーには、アップルのアシスタント機能「Siri(シリ)」に関わったクリエーターのうち2人が開発したディープラーニングソフトが採用されている。
 市場調査会社カンター・ワールドパネルのローレン・グーンバー氏は「ブランド以上に体験が重要になるだろう」と話した。
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http://jp.wsj.com/articles/SB10352219306287233570804583061503935082078

 

米ミレニアル世代のクレジットカード狂騒曲
ポイント狙いで次々入会、1年半で29枚つくった人も
アレンさん夫妻は40枚のカードでためたポイントでジャマイカのモンテゴベイを訪れた
アレンさん夫妻は40枚のカードでためたポイントでジャマイカのモンテゴベイを訪れた PHOTO: KYLE ALLEN
By ROB COPELAND
2017 年 4 月 4 日 11:51 JST

 米フロリダ州オーランドの金融アナリスト、カイル・アレンさん(29)は、仕事から帰ると真っ先に郵便受けをのぞく。新しいクレジットカードの入会案内が届いているかもしれないと期待しているのだ。アレンさんは妻と合わせて40枚のカードを持ち、これまでに149万2500ポイントをためた。このポイントを使い、ザ・ビーチ・ボーイズの曲「ココモ」に出てくる目的地をほぼ制覇した。

 ミレニアル世代が夢中で収集しているのは、マンガ本でも年代物のランチボックスでもなく、クレジットカードとその特典だ。マニアは訪れる先々の都市で新たなカードを申請する。同じカードのさまざまなバージョンを持つのだ(認められることが多い)。

 彼らの強迫観念に拍車を掛けるかのように、クレジットカード会社は特典の大きさで競争を繰り広げている。こうした傾向を受けて、カード保有者が情報を交換したり戦果を誇ったりするブログや掲示板が乱立している。

  JPモルガン ・チェースの「チェース・サファイア・リザーブ」カードは最近まで、入会特典として10万ポイントを提供していた。旅行であれば数千ドル相当になることもあるポイント数だ。このカードは昨年8月に登場したが、人気が高すぎたため10日後にはカード作成に必要な材料が不足した。

 シティグループや アメリカン・エキスプレス 、その他の競合他社も対抗して自社のカードを強化している。

カード年会費は計10万円以上

 カード好きを自認するサンフランシスコのサイバーセキュリティー担当マネジャー、メリー・シュさんは、ポイント欲しさに高級カードの会費を年間1000ドル(約11万円)超支払っている。

 昨年10月にサファイア・リザーブへの入会申請が却下された時にはとても落ち込んだ。そこで数時間かけて段ボールでカードを作成。これを身につけた写真を送り、2度目のチャンスに期待した。

 申請は約3カ月後に認められた。

 シュさんは「それをつけてハロウィーンのパーティーに行った。私のおかげで少なくとも十数人がカードをつくると思う」と話す。

 信用調査会社トランスユニオンによると、昨年7-9月期(第3四半期)のクレジットカード新規申請は前年同期比14%増えたが、その一因は景品マニアにある。同社によると、10-12月期(第4四半期)には40歳未満の利用者のクレジットカード残高が急増した。

 多くのカード発行会社は、1人が取得できるカードの枚数に制限を設けていない。普通はカードの枚数よりも支払い履歴と債務総額の方が審査で重視される。

 一部のカード保有者は入会ボーナスの資格を得られる金額だけ利用するとすぐに新しいカードに移る。

 首都ワシントンで広報ディレクターをしているダニエル・シートンさん(31)は2月にニューヨークに出張した時、地元では作れないカードの申請をした。過去1年半で29枚目の新規カードだった。

カードつくるため4時間運転

 一方、メーン州に住む不動産投資家のベンジャミン・ゴウディさん(34)は、カードの入会ボーナスを得るためのドライブに恋人のアナ・ガードナーさんを誘った。店舗で直接申し込む必要があり、4時間の道のりだ。ガードナーさんは「銀行に行くために土曜日を丸々無駄にしたくなかった」ため断った。

 結局ガードナーさんが根負けし、2人は3月初めのある明け方、一番近いチェースの支店を目指してトヨタのプリウスで出発した。コネティカット州にあるその支店に着いてみると、ニューイングランド地方全域から入会希望者が殺到していた。

 ゴウディさんによると、「アナは集まった人を見て、思っていたほど私がおかしくないと感じたようだ」。自身も入会申請をしたというガードナーさんは「悔しいけど私の負けだった」と話している。

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http://jp.wsj.com/articles/SB11413359042169914429804583063472063854906


 

中国のシェア自転車、急増で「悲惨な運命」

中国の自転車シェアリングは乗り捨て場所が特に決まっておらず、窃盗や破壊、いたずら行為の横行で悲惨な運命をたどる自転車が少なくない(英語音声、英語字幕あり) Photo: SIPA/ZUMA PRESS
By
TREFOR MOSS
2017 年 4 月 4 日 14:17 JST

【上海】中国の都市部で急速に拡大している自転車シェアリング。しかし、シェア自転車のひどい扱いも問題になっている。ゴミ箱に投棄されたり、木に吊されたり、運河に投棄されたりといった具合だ。
 郊外では車の下敷きになっていたり、ぼろぼろの状態で山積みされている自転車もある。
 あるビデオでは、天津市の川岸に若者が自転車を持って行き、無造作にそれを川の中に捨てている。別のビデオでは、子供たちの集団が自転車を喜々として壊したり、高齢の女性が自分の自転車をハンマーで殴打したりしている。
 中国では過去1年で、20社以上の新興企業が数百万台に上るシェア自転車を路上に送り出した。大人気となったシェア自転車は、15−45ドル(約1700円−5000円)の保証金を払えば、1時間当たり数セント(数円)で利用できる。

中国の自転車シェアリングサービス利用者数の推移
https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AX016A_CBIKE_16U_20170322060305.jpg

 米国や欧州のレンタル方式とは異なり、これらの自転車には「ドッキングステーション(指定の駐輪場)」がない。自転車はどこにでも放置でき、利用者はスマートフォンアプリを使って自転車のロックを外す。
 ロンドンとニューヨークで利用されているドッキングステーション型レンタル自転車は合計約2万3000台。これに対し、中国では上海だけで50万台のシェア自転車がある。自転車の数が多いことにくわえ、乗り捨て場所は特に決まっていない。その上、窃盗や破壊、いたずら行為が横行する結果、悲惨な運命をたどる自転車が少なくない。
 シェア自転車のひどい扱いが目に余るようになったため、中国各地で数百人の「良心的な人々」が事態改善に動き出した。26歳のスン・シーユエさんは、昼間は上海の コカ・コーラ 子会社で働いているが、夜になると懐中電灯を持って近所をパトロールする。中国最大級の自転車シェアサービス「Mobike(摩拝単車)」で壊されたり悪用されたりしている自転車を探すのだ。
 Mobikeアプリを使って問題を報告し、誤った場所に駐輪されている自転車があれば移動する。また自分で書いた小さな通知の紙を自転車のサドル部分にテープで貼り付け、無責任な行動をしないように利用者を戒めることもあるという。

壊されたり悪用されたりしている自転車を探すスン・シーユエさん PHOTO: TREFOR MOSS/THE WALL STREET JOURNAL

 中国では自転車はかつて、新婚夫婦が所有したいと願う4つのステータスシンボルの一つだった。他の3つは腕時計、ラジオ、そして裁縫用ミシンだった。中国経済が成長するにつれて自転車は輝きを失ったが、交通渋滞が問題になったため人気が復活した。
 過去数カ月間で、投資家たちは自転車シェアを手掛ける中国企業に10億ドルを投資した。
 Mobikeと並ぶもう一つの大手は「Ofo(共享単車)」だ。同社の派手な黄色の自転車は製造コストが1台60ドル以下だという。コストを抑えるためロック部分の構造もシンプルで、セキュリティを初歩的なものにとどめている。利用者は自転車のIDナンバーをOfoのアプリに入力した後、ロックを解除するためのコードを受け取る。
 Ofoは2015年9月のサービス開始以降、自転車の1%を失った。比率は小さいが、依然として大きな数字だ。同社は年内に2000万台を街頭に配置する構えだ。

済南市の路上に並ぶシェア自転車 PHOTO: ZHU ZHENG/XINHUA/ZUMA PRESS

 一方、Mobikeのシェア自転車は製造に1台400ドルかかる。利用者はスマホで自転車のQRコードをスキャンしてロックを解錠する。GPS追跡機能や警報システムなどセキュリティ対策も満載だ。同社の広報担当マーティン・ライディ氏は「この結果、Mobikeの喪失率は無視し得るほど小さくなっている」と述べた。
 しかし、ハイテクに精通している窃盗犯たちは、Mobikeの偽のQRコードを製造し始めた。利用者が偽コードをスキャンすると、場合によっては料金をこれら詐欺犯たちに送金することになる。国営メディアによれば、寧波(浙江省)と福州(福建省)では3月、この種の詐欺を働いたとして男2人が起訴された。
 各種のシェア自転車が盗まれ、塗り直されて郊外の店で売り出されていることもある。
 成都(四川省)では、分解されたシェア自転車の部品に囲まれていた男が先月、現行犯逮捕された。地元メディアによれば、男は自転車を分解し、部品を混ぜた上で新しい自転車にして売っていたと自供した。
 中国南部の深圳(広東省)では今年1月、数百台のシェア自転車が何者かによって大量に投棄されているのが見つかった。

中国ではシェア自転車のひどい扱いが目に余るようになっている PHOTO: MOBIKE YIZU/SUN SHIYUE

 当局は、これまで総じて自転車シェアに協力的だったが、駐輪自転車が大通りや交差点をふさぐ例が増えていることに閉口し始めている。
 北京の長距離バスステーション「八王墳」のある売店主によれば、数千台に上るシェア自転車が恒常的にバスの発着を妨害している。「口論の原因になっており、けんかさえ発生している」という。
 一部の地方当局は、何千台もの自転車を没収。上海の当局は自転車シェア会社に対し、街頭の自転車をこれ以上増やさないよう警告した。MobikeとOfoはいずれも、こうしたトラブルを解決するため、当局と協力していると述べている。

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http://jp.wsj.com/articles/SB10352219306287233570804583063854080347428 


http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/690.html

[政治・選挙・NHK223] (社説)失速する日本の安倍首相 政治スキャンダルが安定政権を脅かす 
【社説】失速する日本の安倍首相 政治スキャンダルが安定政権を脅かす
2017 年 3 月 31 日 13:36 JST

 向かうところ敵なしだった安倍晋三首相が、わずか6週間の間に弱みを見せるようになった。安倍内閣は読売新聞の2月の世論調査では支持率66%を付けるなど、野党にも自民党内にも、これといった脅威は見当たらなかった。しかし、超国家主義的な人物との関係をめぐるスキャンダルが安倍氏の人気に影を落とし、市場も動揺を見せている。

 スキャンダルの中心にいるのは、大阪の学校法人「森友学園」理事長を務める籠池泰典氏。同氏は民間政治団体「日本会議」の一員とされる。安倍氏や安倍内閣の閣僚の半数以上も日本会議を支援する議員連盟に所属する。籠池氏は衆参両院の予算委員会で行われた証人喚問で、安倍昭恵首相夫人から首相名義で100万円の寄付を受け取ったと語った。首相夫妻は寄付を否定している。

 スキャンダルが発生したのは今年2月。森友学園に対し、国有地が大幅に値下げした価格で下げられたことが発覚したのが発端だった。

 今回のスキャンダルで安倍首相が失脚することはないだろうが、政治的目標を設定するうえでの力には影響するだろう。安倍氏は、規制緩和や正社員の雇用と解雇を容易にする労働市場改革など、必要不可欠な経済改革を先延ばしにしてきた。今となっては、仮に首相がそれを望んだとしても、国会で関連法案を通過できるか疑わしい。

 これまでのアベノミクスは金融政策が大部分を占め、資産価値の上昇には貢献したものの、デフレは克服できていない。安倍氏は2012年と2014年の選挙で得た有権者からの支持を追い風に、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更など、安全保障面の課題に集中して取り組んだ。これら改革は価値があったが、経済より優先させるのは間違いだった。日本国民はアベノミクスにますます懐疑的になっているが、代わりとなるリーダーがいないという理由で安倍氏の人気は高く維持されていた。

 しかし、それは変わるかもしれない。第1次安倍政権で2007年に防衛大臣を務めた小池百合子東京都知事は、7月に行われる都議選で勝利するとみられている。同氏がいずれ国政に復帰し、首相の座を狙うとの憶測も出ている。

 安倍氏が日本会議とは距離を置き、経済再生に集中するのなら、このような挑戦者の登場は歓迎すべきことだろう。だが今回のスキャンダルは、政治力ははかなく、それゆえに浪費してはいけないことを再認識させてくれる。

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【寄稿】アジアの発展を阻む5つのリスク
【オピニオン】日本と同じ道たどれば米国は寸断
東芝が物語る「アベノミクスの失敗」
【社説】安倍首相が真珠湾で示した日本の価値
米国不在のアジア、空白に入り込む中国

http://jp.wsj.com/articles/SB11885338817628184768404583055403489061948 
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/564.html

[国際18] 米中首脳会談、トランプが「ビッグ・ディール」をものにする!? 米・ティラーソン国務長官の外交力は小学生レベルかもしれない
米中首脳会談、トランプが「ビッグ・ディール」をものにする!?
すべてはこの日のための布石だった…
近藤 大介『週刊現代』編集次長
プロフィール

「ディール外交」第1幕

紆余曲折を経て、ついに4月6日と7日、トランプ大統領のフロリダ州の別荘で、トランプ大統領と習近平主席との初の米中首脳会談が開かれる。安倍晋三首相に遅れること2ヵ月、習近平主席も、あの豪華絢爛な「マー・ア・ラゴ」を訪問することになったのだ。

今回の米中首脳会談のキーワードは、「ディール」(取引)だろう。世界の2大国が「ディール外交」を展開し、ビッグ・ディールを成立させる(もしくはディールが決裂する)第1幕になるというわけだ。

「ディール外交」とは、自国の国益と他国の国益とを取引する、まるでビジネスのような外交という意味だ。

「ディール外交」においては、安全保障問題と経済貿易問題といった、本来は異なる分野でも、一緒にテーブルの上に置かれて、「ディール」の対象となる可能性がある。ごく大雑把に言えば、「安全保障分野ではこちらが妥協するから、経済貿易問題ではこちらの主張を呑め」といったことだ。

ビジネス業界で半世紀近くを過ごしてきたトランプ大統領は、まさにそんな「ディール外交」を展開しようとしている。対する習近平主席も、独特の外交をする中国の代表だから、条件次第ではディールに乗ってくるだろう。

このトランプ流の「ディール外交」は、オバマ時代までのアメリカ外交とは、根本から異なるものだ。

第二次世界大戦後の伝統的なアメリカ外交は、「三元外交」で進めてきた。表の交渉は国務省が担当し、その裏でCIA(中央情報局)が諜報活動や工作活動を行ってサポートする。さらに国防総省が世界最強のアメリカ軍を駆使して睨みを利かせ、場合によっては威嚇や攻撃に出る。このように外交官・諜報員・軍人が三位一体となった外交によって、アメリカは第二次世界大戦後の世界の覇権を維持してきたのである。

「三元外交」では、自由・民主・人権といった建国以来の「アメリカの理念」を、錦の御旗として掲げてきた。そうした「人間の普遍的価値観」を前面に押し立てることによって、アメリカの国益を世界全体に拡大させた。

ところがトランプ大統領は、こうした「アメリカの理念」には、さほど価値を置いていない。

実は、アメリカの建国以来の伝統にはもう一つあって、それは「実利主義」である。特にヨーロッパからの移民が流れ着いたニューヨークには、マーチン・スコセッシ監督が映画『ギャング・オブ・ニューヨーク』で描いたような、己の腕力と才覚だけに頼って富を勝ち取る「実利主義」の精神が、脈々と根づいている。トランプ大統領はまさに、『ギャング・オブ・ニューヨーク』でレオナルド・デカプリオが演じたアムステルダムの末裔のような男と言えるだろう。

そのようなトランプ大統領にとって、「アメリカの理念」など、単なるきれいごとに過ぎない。同時に、アメリカが戦後70年にわたって推し進めてきた「アメリカの理念」を掲げる「三元外交」は、いまや無駄が多く、現在のアメリカ人の国益には直接結びつかないと考えている。

だからこそ、トランプ大統領は3月28日、オバマ大統領が進めてきた地球温暖化対策を目的とする規制を見直す大統領令に署名したのだ。これによって、2015年12月に採択された「パリ協定」は、大きく後退することになった。

そのような「実利主義」に徹したトランプ大統領の方が、ある意味、オバマ大統領までの戦後の歴代大統領たちよりも、「アメリカ人の原型」に近いと言えるかもしれない。未開の地で己の腕力と才覚だけに頼って貪欲に最大限の富を求めていく――こうした「アメリカ人の原型」こそが、トランプ大統領を誕生させた最大の要因だろう。

アメリカの原点に立ち返り

その「実利主義」政治の延長線上に、トランプ外交がある。腕力を見せつけるには、軍隊を増強する必要がある。だから軍事予算を9%もアップする2018年度予算案(2017年10月〜2018年9月)を作った。アメリカを防衛するための国土安全保障予算も7%増だ。

逆に、「アメリカの理念」と結びつくような「ヤワな部署」に対しては容赦ない。環境保護庁予算は31%減、国務省29%減、農務省21%減、労働省21%減、保健福祉省18%減、商務省16%減、教育省14%減、運輸省13%減、住宅都市開発省13%減、内務省12%減……。

この「トランプ予算案」が、そのまま議会を通過するとは思えないが、それにしてもトランプ大統領の考えは、極めて明瞭である。

NEXT ?? 商談の前にまず相手を牽制

このようなトランプ大統領が目指すのが、「ディール外交」と言える。「ディール外交」の目標は、アメリカの富と雇用を増やすことである。しかも短期的に。そのためには手段を選ばないというわけだ。

そんな視点からアジアを俯瞰した時、真っ先に目に入るのが、アジア最大の経済大国で、最大の人口と市場を有する中国だろう。

そもそも、250年にも満たないアメリカ合衆国の歴史は、中国との交易史と言っても過言ではない。トランプ大統領の祖先のニューヨーカーであるサミュエル・ショー(1754年〜1794年)は、アメリカ独立戦争が終結した翌1784年2月に、ニューヨーク港から大型商船『エンプレス・オブ・チャイナ号』を、中国に向けて出港させている。

この商船はケープタウンからインド洋に出て、2万900qも経て、8月に広州に到着。積み荷の毛皮、綿花、人参、鉛などを、中国製の陶器、シルク、茶葉などと交換し、翌1785年5月にニューヨークに到着した。この航海で大成功を収めたショー船長が、ジョン・ジェイ外務大臣(ニューヨーク州知事)に、中国ビジネスの無限の将来性について報告したため、ニューヨークで中国ビジネス・ブームが巻き起こる。

サミュエル・ショー船長は、その後、初代の広州領事(アメリカ大使)に任命される。以後、1840年にアヘン戦争が起こるまで、計6代の駐広州アメリカ領事はすべて、商人である。

アメリカは、アヘン戦争後の1844年に清国と望厦条約を結んでからは、まさに中国ビジネスに猪突猛進した。便利な太平洋航路が確立すると、中国ビジネスを安全に行う経由地として日本に目を付けた。アメリカの蒸気商船に水・食料・石炭などを提供してもらうため、ペリー提督率いる黒船を日本に送り込んだというわけだ。

トランプ大統領は、そのようなニューヨーク商人の末裔なのである。そして4月6日と7日に習近平主席を招き入れ、アメリカの原点とも言える視点に立って、「ディール外交」を展開しようとしているのである。

台湾も日本もディールの道具

トランプ大統領は、昨年11月に大統領選挙で勝利してから、先祖代々、展開してきた中国ビジネスを成功に導く方策を、模索してきたに違いない。『トランプ自伝』(ちくま文庫)に描かれたトランプ式のビジネス手法によれば、ビッグ・ディールを行う場合、商談の前にまず相手の嫌なところを衝いて牽制し、本気にさせるという。

そのためトランプ氏が、中国との「ディール外交」のダシに使ったのが、中国に敵対する台湾と日本だったのではなかったか。昨年12月2日、1979年に米中国交正常化を果たして以降の歴代大統領及び大統領当選者として初めて、台湾総統と直接、電話で話した。この「トランプ・蔡英文12分電話会談」は、中国に衝撃を与えた。

〔PHOTO〕gettyimages
トランプ氏は続いて12月11日、FOXテレビのインタビューで、「一つの中国を認めるかどうかは中国次第だ」と嘯いた。この時の中国の衝撃たるや、その9日前をはるかに超えるものだった。

中国からすれば、「台湾は中国の一部分である」という「一つの中国」の原則の上に、1979年以来のあらゆる米中関係が存在しているという認識である。だがそれさえも、トランプ氏はディールの道具にしてしまったのだ。

年が明けて、1月20日、大統領に就任すると、トランプ大統領は2月10日から12日まで、アジアで中国と最大のライバル関係にある日本の安倍首相を、この上ない敬意をもってもてなした。このパフォーマンスを最大限に演出するため、わざわざ安倍首相と会う前日に習近平主席と長電話してみせるという用意周到ぶりである。

私はトランプ大統領があの時、安倍首相に想定外の厚遇を示した最大の理由は、中国に見せつけるためだったと見ている。すべては、来る中国とのビッグ・ディールを有利に進めるための布石というわけだ。

その頃、中国はどうだったか。実は、習近平政権が最も懸念していたのは、日米蜜月ではなくて、米ロ蜜月だった。

中国には、1972年に社会主義の兄貴分であるソ連を裏切ったという「前科」がある。それまで米ソ中の3大国は、「資本主義陣営のアメリカ」vs.「社会主義陣営のソ連+中国」という構図だったが、この年にニクソン大統領が訪中したことで、米中vs.ソ連という構図に変わった。1991年にソ連が崩壊した遠因には、この時のニクソン・ショックがあったと分析している中国の研究者もいるほどだ。

トランプ大統領は、選挙期間中から「オバマ大統領よりプーチン大統領を尊敬している」などと発言し、ロシアとの関係改善を明言していた。そのため中国は、トランプ大統領の就任後、もしも習近平主席よりも先に、プーチン大統領が訪米したら、1972年の「報復」とも言えるトランプ・ショックが起こるのではと、警戒を強めていたのである。

それが2月13日に、親ロ派筆頭だったマイケル・フリン大統領安保担当補佐官の辞任が発表されたことが契機となって、早期のプーチン大統領の訪米は立ち消えとなった。7月初旬には、ハンブルクG20が開催されるので、そこでトランプ・プーチン会談が開かれる。ならばそれまでに、習近平主席が訪米し、トランプ新政権とのパイプを太くしておくことで、米ロ接近を牽制しようと考えたのだ。

だが、3月19日に北京で、習近平主席とティラーソン国務長官が会談した時にも、習近平主席の訪米は発表されなかった。ホワイトハウスと中国外交部が発表したのは3月30日と、何と会談の1週間前だった。

中国首脳の外交日程は通常、遅くとも2週間前までには確定させている。特に習近平主席の日程ともなれば、かなり以前から確定させる。それが1週間前の発表というのは、米中が水面下で、「習近平主席が訪米する、しない」も含めた激しいディールを行っていたためだろう。

NEXT ?? 韓国へのTHAAD配備に中国激怒

中国の「悪夢」

米中は、いったい何をそんなに揉めていたのか?

考えられることは2点ある。第一に、台湾の扱いである。

『読売新聞』(4月2日付)は、《米「台湾」で中国けん制 通商・為替の「交渉カード」》という見出しのスクープ記事を掲載した。

〈 米国は、最新鋭ステルス戦闘機F35のほか、最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」なども売却の検討対象としている。台湾は潜水艦の自力建造を目指しているが、技術力が不十分とされるため、トランプ政権は技術譲渡も視野に入れているという 〉

このコラムの正月の号で詳述したが、今年後半に第19回中国共産党大会を終えた後、習近平政権の後期5年の最大目標が台湾統一だと、私は見ている(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50673)。

そんな中で、台湾統一の最大の障害は、言うまでもなくアメリカ軍の存在である。トランプ政権が台湾に、F35戦闘機、THAAD、潜水艦などを次々に売却していけば、習近平主席が抱く「中国の夢」は遠のくことになる。中国にとっては、まさに「悪夢」だ。

『読売新聞』が書いたようなことは、現実に起こりうるのか。アメリカと台湾に精通したある日本の防衛関係者に聞くと、次のような見解を述べた。

「遠い将来はともかく、近未来には起こりえないだろう。第一にそんなことをすれば、中国が猛反発して、アジアが大混乱になる。第二にアメリカ軍は台湾軍を信用していない。台湾軍の幹部はほとんどが国民党員だが、彼らの一部は中国共産党と通じている。そのため台湾軍に最新鋭の兵器を売却すれば、すぐにそれらの軍事機密が中国大陸へ渡ってしまうと、アメリカ軍は警戒しているのだ」

こうした話を勘案すると、この『読売新聞』の記事の内容は、トランプ政権が習近平政権に対するディールの一環として、故意に流布させた可能性がある。そうでなくて、本気で台湾への最新兵器の売却を考えているのなら、アメリカの軍需産業を活性化させ、雇用を増やす目的だろう。

「5年前」の再来か?

米中が水面下で揉めているもう一つの懸案事項は、アメリカが韓国に配備しようとしているTHAADである。

アメリカ軍が「韓国へのTHAAD配備を協議する」と正式に発表したのは、昨年2月7日、北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射実験を強行した当日のことだった。それまで朴槿恵政権は、「THAADについてアメリカから要請はなく、協議もなく、決定もない」という「三無発言」を繰り返していた。その後、昨年7月8日に韓国への配備を決定し、9月30日に配備場所を慶尚北道星州のロッテのゴルフ場にすると発表した。

この頃までは、アメリカは「THAADは朴槿恵政権のうちに配備する」として、2017年の年末頃を念頭においていた。だが、昨年10月に朴槿恵大統領のスキャンダルが勃発したことや、トランプ候補の大統領選勝利などで、今年に入って急転回した。

2月28日にロッテとの土地提供契約が締結し、3月7日には発射装置2基が搬送された。5月9日に行われる韓国大統領選挙で、「親北反米」で知られる強硬左派の文在寅「共に民主党」前代表が勝利することが見込まれるため、文在寅新大統領の就任までに配備を終えてしまう可能性もある。

〔PHOTO〕gettyimages
こうしたTHAADの韓国配備に怒り心頭なのが、中国である。ある中国政府関係者は、習近平政権の立場をこう代弁する。

「THAADのミサイルは北朝鮮のミサイルに対する防衛用かもしれないが、付属のレーダーの監視能力は半径2000qに及び、人民解放軍を監視する目的が明白だ。それによって人民解放軍の北部戦区、中部戦区、北海艦隊、東海艦隊などの軍事行動が丸裸にされてしまう。

人民解放軍は昨年来、過去半世紀で最大の機構改革を断行中だが、それにも大きな影響が出てくる。THAADのレーダーを首都・北京の近くに構えられては、7月1日の建軍90周年を盛大に祝うこともおぼつかなくなる。

3月にティラーソン国務長官が訪中した際にも、THAAD配備を思いとどまるよう強く抗議したが、暖簾に腕押しだった。だが引き続き、強く抗議を続けていくし、対抗策も取っていく。とにかく、アメリカがどうしてもTHAADを韓国に配備するというのなら、北朝鮮の核ミサイル問題に関して、中国がアメリカに協力できることは、限定的なものになるだろう」

数ヵ月後にTHAADが星州に配備された時、中国で起こりうるのは、「5年前の再来」だろう。

2012年9月11日、日本政府が尖閣諸島の国有化を強行した。すると、中国の100ヵ所以上の都市で激しい抗議デモが勃発し、日系企業が狼藉に遭い、日本車が燃やされた。いまだ記憶に新しいあの時の光景が、今度は韓国を対象として甦るのではなかろうか。そうなると、韓国に文在寅政権が誕生したとしても、新政権の初仕事は、中国での「反韓暴動」への対処ということになる。

先週会った韓国政府関係者は、こうぼやいた。

「韓国は単に場所を貸しているだけで、アメリカ軍がアメリカ製の兵器を配備するのだから、中国は文句があるなら、アメリカに言えばいいのだ。そして中国国内で暴動を起こすのだったら、『反米暴動』を起こせばよいではないか。それが世界最強国のアメリカは恐いから、代わりに弱い韓国をイジメる。中国がいま韓国に対してやっていることは、まさに大国の驕りだ」

私は、「その通りかもしれない」と思ったが、口に出しては言えなかった。大国間に挟まれた小国が犠牲になるケースは、古今東西、枚挙にいとまがない。

このTHAADの韓国への配備問題を巡っては、「早期に配備するのだったら習近平主席は訪米しない」「北朝鮮問題でアメリカとの協調路線は取らない」などと言って、中国側がアメリカ側にゴネたことが推定される。もしくは逆に、「早期に配備しないのであれば、貿易問題や北朝鮮問題でアメリカに妥協してもよい」と、ディールを持ちかけたとも考えられる。

中国でこうした水面下の交渉を担っている責任者は、崔天凱駐米大使(前駐日大使)である。来年3月に、王毅外相に代わる次期外相ポストを狙っている崔大使としては、最大の正念場と言えるだろう。

NEXT ?? 北朝鮮への先制攻撃も辞さない!?

「中国が北朝鮮問題を解決しないなら…」

そんな中、4月6日の米中首脳会談に合わせて、北朝鮮が6度目の核実験を強行する気配を見せている。少し前のことになるが、あるアメリカ政府関係者は、次のように述べていた。

「もし次に北朝鮮が核実験を強行したなら、トランプ政権が考えているのは、とびきりの金融制裁だ。過去のあらゆる北朝鮮への制裁を検証したところ、最も効果があったのが、2005年9月に、マカオにあるバンコ・デルタ・アジアに制裁をかけた時だった。金正日総書記の52口座計2,500万ドルを凍結したことで、北朝鮮はパニックに陥ったのだ。今度はもっと広範囲に同様のことを行い、金正恩政権を締め上げる」

実際、3月31日にアメリカ財務省は、機先を制すように、新たに北朝鮮の銀行や貿易会社の代表など11人を、金融制裁の対象に加えた。

4月2日付のFTは、トランプ大統領のインタビューを掲載したが、トランプ大統領はこう述べている。

「中国は北朝鮮に大きな影響力を持っている。中国が北朝鮮問題を解決しないなら、われわれが解決する」

中国との貿易問題に関しても、トランプ大統領は3月30日、「来週行われる中国とのミーティングは、非常に厳しいものになるだろう。これ以上の貿易赤字は認められない」とツイッターで記した。昨年の対中貿易赤字が、約3,470億ドル(約38兆5,000億円)に上り、赤字全体の47%を占めたことを指している。

このように、すでに水面下での米中のディールは、激しさを増している。果たして、米中首脳会談でビッグ・ディールは成立するのか。全アジアが固唾を呑んで見守っている。

<付記>
トランプ新政権は、今週行われる米中首脳会談を通じて、中国を最大限に「活用」しようとしています。日本もいまこそ、「中国活用術」を考えるべきだと説いた新著です。どうぞご高覧ください!

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『中国対外経済戦略のリアリティー』
著者=梶田幸雄、江原規由、露口洋介、江利紅
(麗澤大学出版会、税込2,916円)

5月14日と15日、今年の中国外交最大のイベント「一帯一路国際フォーラム」が北京で開かれる。習近平政権の近隣外交戦略である「一帯一路」についての研究書を求めていて見つけたのが本書である。4人の著者はそれぞれ、中国経済戦略分析のエキスパート。中国の経済戦略を丸裸にした格好の解説書だ。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51367


 


国際・外交日本中国アメリカ韓国
米・ティラーソン国務長官の外交力は小学生レベルかもしれない
日韓中歴訪で露呈した信じ難い能力不足
近藤 大介『週刊現代』編集次長
プロフィール

「超内向き」なトランプ政権

まだ前任のオバマ大統領の時代のことだ。アメリカとアジアの国際関係論を教えるアメリカ人の旧知の大学教授が来日したので、オバマ政権と安倍政権との関係などを聞いた。するとその教授は、日本酒をしこたま飲んで赤ら顔になって、たまりかねたようにこう述べた。

「正直言うとね、オバマ大統領というのは、戦後の歴代政権の中で最も内向きな大統領で、海外のことなんか全体の10%くらいしか考えていない。かつ海外のことと言えば、ロシアが一番で、次がEU。その後に中東が来て、中国が来て……日本の占める割合なんか、おそらく5%くらいだろう。

つまり、10%の中の5%だから、全体の0.5%。だから、0.5%のことを捉えて、『オバマ大統領は安倍政権をどう見ているか?』なんて質問すること自体が愚問だよ。ほとんど何も考えていないに決まっているではないか」

なぜこんな話をほじくり返したかと言えば、3月15日から19日まで、日本、韓国、中国とアジア3ヵ国を歴訪したレックス・ティラーソン国務長官の姿を見ていて、「内向き」と言われたオバマ政権に輪をかけて、トランプ政権が「超内向き」な政権になりそうな気配が多分に感じられたからだ。

思えば、いまから8年前の2009年2月16日の夕刻、就任したばかりのヒラリー・クリントン国務長官が羽田空港に降り立った時は、ビッグニュースだった。

「私はアメリカにとってアジア太平洋地域との外交が不可欠との信念から、初の外遊先にアジアを選び、アジア歴訪の最初の訪問地に日本を選んだ」

クリントン長官は、記者団に囲まれて勇ましく発言した。

翌17日には麻生太郎首相主催の大々的な歓迎晩餐会を開いたし、東大で講演したり、拉致被害者の家族と面談したりして、2泊3日の滞在中、常にニュースの的だった。その間、麻生首相の訪米を決め、海兵隊のグアム移転を発表した。

日本を発った後、インドネシア、韓国、中国と回り、オバマ政権の「アジアへの回帰」を鮮明に打ち出したのだった。

それに較べて、今回のティラーソン国務長官の来日たるや、寂しいものだった。私が一番驚いたのは、ティラーソン国務長官のアメリカメディアの同行記者が、たった一人しかいなかったことだった。

北朝鮮はミサイルを飛ばし、韓国は大統領を罷免し、中国は空母を旋回させ、アメリカ軍は、史上最大規模の米韓合同軍事演習を実施している真っ最中だ。そんなホット・スポットをアメリカの新国務長官が歴訪するというのに、ティラーソン国務長官と共に降り立った同行記者は、たったの一人だけ。しかも『インディペンデント・ジャーナル・レビュー』というあまり聞き覚えのない保守系インターネット・メディアのエリン・マクパイクという若い女性記者である。

3月15日、羽田空港に降り立ったティラーソン氏〔PHOTO〕gettyimages
ティラーソン氏が記者に語ったこと

さて、そのマクパイク記者は、アメリカ帰国後の3月22日、「いかにしてレックス・ティラーソンは『アメリカ・ファースト』を外交政策に転換していくか」と題した長文の記事を掲載した。そこで、ティラーソン国務長官に最も近いアメリカ人ジャーナリストは、次のようなことを記している。

NEXT ?? 日本に残したのは、不安と不満

・今回のティラーソン国務長官の日本・韓国・中国歴訪は、トランプ大統領が唱える「アメリカ・ファースト」を、いかに外交政策に転換させていくかという旅だった。ティラーソン国務長官自身は、「アメリカ・ファースト」はアメリカの外交政策と矛盾しないと考えている。

・トランプ大統領はせっかちで衝動的、多弁だが、ティラーソン国務長官はゆったりしていて慎重派、寡黙だ。「まだ就任して6週間だから勉強中だ」と述べている。

・「トランプ予算」によって、国防総省は予算が10%増えるのに、国務省は28%も減らされる。この史上最悪の予算のため、ティラーソン国務長官は、トランプ大統領と国務省の摩擦の矢面に立つ。意気上がる国防総省と意気消沈する国務省は対照的だ。

・ティラーソン国務長官の初仕事は、マティス国防長官と組んでISISを打ち負かすことである。それは、軍によるISISの打倒、政権の移行、地域の安定化という3段階のプロセスを踏む。

・かつてブッシュJr.大統領は、クリントン大統領がオサマ・ビンラディンとアルカイダに甘かったから彼らが挑発的になったとして、イラク戦争に踏み切った。同様にトランプ政権は、オバマ政権がISISに甘かったから増殖したと見て、ISISを叩いて成功を収めようとしている。

・トランプ政権では、ティラーソン国務長官、マティス国防長官、ポンペオCIA長官、マクマスター安保担当大統領補佐官が積極的な関係を築いている。特にティラーソンとマティスの関係は、ジンとベルモットのようだ。

・ティラーソン国務長官は、トランプ大統領と毎日話をしていて、ホワイトハウスのトランプ大統領の執務室にアポなし訪問してよい許可を得ている。だが、まだ国務省改造計画について、トランプ大統領と詰めていない。

・ティラーソン国務長官は、かつてエクソンモービルで10万人の社員を7.5万人までリストラして、フォーチュン500強のトップ企業に導いた経験があり、国務省を効果的で効率的な組織に変えるよい機会だと思っている。ロス・ペロー、スティーブ・フォーブス、ミット・ロムニーなど、ビジネスマンが政府に貢献した例はある。

・トランプ政権は、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国に、GDPの2%を国防予算にするよう要求した。アメリカは引き続き、NATOと共にある。

・ティラーソン国務長官は、イエメン問題にも多くの時間を割いている。20年以上も前、数年間イエメンに暮らしたことがあり、イエメン問題については明るいが、事は深刻だと考えている。

・核とミサイル開発に邁進する北朝鮮も大きな脅威だ。さらに韓国ではリベラルな文在寅が次期大統領になろうとしていて、中国政府は北朝鮮への関与政策を取っている。ティラーソン国務長官は、アメリカは20年の時間と13.5億ドルの予算を北朝鮮に空費したと考えている。

・今回のアジア歴訪では、メディアによるリスクを軽減するため、ティラーソン国務長官のスタッフは、私一人しか国務省専用機への同行取材を認めなかった。ティラーソン国務長官はそもそも目立つことが嫌いで、外交とは、アップル社がiPhoneの新商品の中身や発売日を教えないようなものだと思っている。

・ティラーソン国務長官は3月15日の夜、東京に降り立った時、大勢のマスコミが待ち構えて出迎えたことに、不愉快になった。その後、3ヵ国で何度もアジアの要人たちとカメラの放列の前で握手することにも、戸惑いを覚えた。

・3月23日木曜日に65歳になるティラーソン国務長官は、私にこう言った。

「3月にはエクソンモービルを引退して、孫たちと過ごすつもりだった。私はこの仕事を望んでいなかった。また求めてもいなかった。妻が『あなたならできるんじゃないの』と言うから承諾したのだ。

私はトランプ候補が大統領選に勝利するまで、面識もなかった。トランプ氏から『世界について語り合いたい』と申し出があり、会いに行って話をしたら、最後に『国務長官を引き受けてくれないか』と言われたのだ。そこで帰宅して、妻のレンダ・セント・クレアに話したら、『神はあなたのそばを通り過ぎたりしないわ』と言われた」

〔PHOTO〕gettyimages
韓国でもやらかした…

3月16日、岸田文雄外相とティラーソン国務長官の日米外相会談が1時間20分にわたって開かれたが、8年前のクリントン国務長官の訪日時に較べれば、何ともお寒い内容だった。

「2+2を早期に開催する」「辺野古移転が普天間飛行場移転の唯一の解決策である」「北朝鮮の核とミサイル開発は容認できない」「東シナ海の平和と安定のために協力する」……。どれも以前から決まっていることで、トランプ政権は「オバマ政権との違い」をアピールしているというのに、何一つ真新しい内容はなかった。

応対にあたったある日本政府の関係者は、こんな感想を述べた。

「ティラーソンという男は、何を考えているのかサッパリ分からなかった。日本側が北朝鮮の拉致問題について説明した時には、『何だそれは?』という顔をして聞いていた。もしかしたら、日本では中国の悪口を言って、中国では日本の悪口を言うような男なのではないか。

総じて、トランプ新政権がアジアで一体どんな外交を展開していこうとしているのかが、見えてこなかった。ティラーソン国務長官が日本に残したのは、不安と不満だった」

NEXT ?? 韓国で起こった「謎の事件」

ティラーソン国務長官は、続く韓国で、3月17日に尹炳世外相との米韓外相会談を行った後、共同記者会見を開き、次のように述べた。

「いまや北朝鮮の脅威は、近隣諸国ばかりかアメリカや他の国の脅威にもなりつつある。北朝鮮を平和的に安定させようというこの20年の努力は、失敗に終わった。アメリカは1995年以降、北朝鮮への助力に13億ドルを費やした。だが北朝鮮は、核兵器を開発し、弾道ミサイルを増強させ、アメリカと同盟国を恫喝した。

北朝鮮の脅威が増加した現在、次のことをはっきりさせる。(オバマ政権の)戦略的忍耐は、もう終わりにし、新たな外交安保と経済のステージに入る。すべてのオプションが机上にある。核とミサイルを放棄することだけが繁栄の道だと、北朝鮮は思い知るべきだ。

THAADを韓国に配備するのは、まさにこのためだ。中国の韓国に対する経済的な報復は認識しているが、それは正しい行いではないし、トラブルのもとになる行為だ。中国には、そのような行為を慎むことを求める。その代わり、中国には、エスカレートする北朝鮮の脅威に向き合うことを促していく」

このように、3月から4月に史上最大規模の合同軍事演習を行っていることもあって、ティラーソン国務長官は米韓一体をアピール。合わせて、THAADの正当性を述べ、中国に対しては韓国イジメを止めるよう呼びかけた。

〔PHOTO〕gettyimages
「深い溝」が浮き彫りに

だが、この米韓外相会談&共同記者会見の後、物議を醸す「事件」が起こった。ティラーソン国務長官はあろうことか、尹炳世外相主催の夕食会をキャンセルしたのだ。

この真相はいまだに謎だが、3月18日に、ソウルから北京へ向かう国務省専用機の機内で前述のマクパイク記者が行った独占インタビューによれば、次のように答えている。

マクパイク:「韓国紙は、あなたが疲労困憊でディナーをキャンセルしたと書いている。しかもあなたは韓国よりも日本で長く過ごしたとも書いている。一体何が起こったのか?」

ティラーソン:「韓国側はわれわれをディナーに招待していはいなかった。だがギリギリになって、それでは対面が立たないことに気づき、私の疲労のせいにして発表したのだ」

マクパイク:「それでは、彼らは嘘つきってこと?」

ティラーソン:「それが彼らの説明だということだ」

マクパイク:「分かったわ」

ティラーソン:「でもちゃんと夕食は食べたから」

マクパイク:「誰と? あなたのスタッフと? 分かったわ」

ティラーソン:「そういったことはホスト国が決めるものなのだ。訪問者は決めない」

つまり、米韓が互いに責任を押し付け合っているというわけだ。一方では、史上最大規模の合同軍事演習を実施中というのに、実際にはトランプ新政権と韓国との間に、深い溝があるということだ。

それはもしかしたら、「大統領になったらアメリカよりも先に北朝鮮を訪問する」と公言している親北反米の文在寅「共に民主党」前代表が、5月9日の大統領選挙に勝利する瞬間が近づいていることとも関係があるのかもしれない。

NEXT ?? べらべらしゃべりすぎ

ヒマで仕方ないのか?

ところで、ティラーソン国務長官は、ソウルから北京へ向かう国務省専用機で、他にやることがないのかと訝いたくなるほど、マクパイク記者のロング・インタビューに応じている。その要旨は以下の通りだ。

・日本は経済規模から言って、この地域における最重要の同盟国だ。それは安全保障、経済、平和と安定などの立場から見て、過去においても現在でも同様だ。

・韓国は日本と似ているが、北東アジアの平和と安定において、比較的安定した、重要なパートナーだ。

・アメリカの目的は、朝鮮半島の非核化だ。核開発が必要だと結論づけている北朝鮮の体制に、その誤った理解を変えさせることだ。

・われわれはあらゆるオプションを排除しない。その一つは、北朝鮮に「制裁」という強力なメッセージを送ることだ。プレッシャーを強めて、いま彼らが考えている道は閉ざされていくと分からせることだ。

・第一ステップは、国連安保理による制裁で、もっと広範にやっていく。それは北朝鮮の恫喝外交を助長するためではなくて、彼らの道を変えさせるためだ。

・もしそれでも彼らが核とミサイル開発を続けるなら、われわれは誰も望まない方向に向いていくだろう。そうしたアクションによって彼らの考えを変えさせていくしかない。それはいまよりもかなり危険な状態になる。

・中国にも、このことで北朝鮮に影響を与えてもらう。米中両大国は共に、朝鮮半島の平和と安定を望んでいるのだから。二つのグレートパワーとして、朝鮮半島を非核化しようということだ。

・中国とは広範な問題について話すつもりだが、北朝鮮の脅威は差し迫ったイシューだ。彼らは兵器を開発し、それを運搬するシステムを身に着けようとしているからだ。

・中国に関しては、トランプ大統領と習近平主席との間で、ハイレベルの話をしてもらわないといけない。とにかく両首脳が顔を合わせて話すことが大事だ。

・中国自身の人権問題も、改善するよう言及したい。

・われわれは米中関係の歴史的な瞬間に立ち会っている。ニクソン大統領とキッシンジャー補佐官が訪中し、道を開いてから40年。中国は経済発展し、世界に存在を見せつけてきた。米中は過去に、朝鮮半島以外で直接戦ったことはない。特にこの40年間の関係は素晴らしかった。いまは互いにフレッシュな気持ちで、次の50年の両国関係について話す時だ。それは米中で紛争が起こらない時代を作るということだ。

他にも、ティラーソン国務長官はなぜメディアを同行させないのかとか、公用の携帯電話と孫と話す私用の携帯電話を使い分けているとか、ダラダラと語っているが、それはアジア情勢とは無関係なので、省略した。

〔PHOTO〕gettyimages
米中外相会談を終えて

3月18日、北京で王毅外相と米中外相会談を行った後、両外相が共同記者会見を行った。その時にティラーソン国務長官が語ったのは、以下のようなことだった。

・過去40年以上にわたって、米中に紛争や軍事衝突が起こっておらず、互恵とダブルウインの関係を築いてきた。いまこそ両国のリーダーが、次の半世紀の関係を話し合うべき時に来ている。両国は世界の2大経済大国であり、安定と成長を促進していかねばならない立場にある。両国はフェアで配当を払うポジティブな貿易関係に向かって進んで行くべきだ。

・王毅外相と、北東アジア及びアジア太平洋の安定と安全保障の重要性について話した。過去20年の北朝鮮の違法な兵器開発を止める努力は成功してこなかった。中国も朝鮮半島の非核化を目指しているので、米中は決意を新たにして北朝鮮問題に望みたい。

・海上の紛争と、航行・航空の自由については、ルールに基づいた秩序作りが重要だということを議論した。アメリカは、人権や宗教の自由など普遍的価値の提唱は続けていくと明らかにした。

・北朝鮮に関しては、王毅外相と、現在かなり危険なレベルになっているとの認識で一致した。そして重要なのは、北朝鮮に核開発の方針を変えてもらうことだということでも一致した。

NEXT ?? 素人国務長官

ヒマで仕方ないのか?

ところで、ティラーソン国務長官は、ソウルから北京へ向かう国務省専用機で、他にやることがないのかと訝いたくなるほど、マクパイク記者のロング・インタビューに応じている。その要旨は以下の通りだ。

・日本は経済規模から言って、この地域における最重要の同盟国だ。それは安全保障、経済、平和と安定などの立場から見て、過去においても現在でも同様だ。

・韓国は日本と似ているが、北東アジアの平和と安定において、比較的安定した、重要なパートナーだ。

・アメリカの目的は、朝鮮半島の非核化だ。核開発が必要だと結論づけている北朝鮮の体制に、その誤った理解を変えさせることだ。

・われわれはあらゆるオプションを排除しない。その一つは、北朝鮮に「制裁」という強力なメッセージを送ることだ。プレッシャーを強めて、いま彼らが考えている道は閉ざされていくと分からせることだ。

・第一ステップは、国連安保理による制裁で、もっと広範にやっていく。それは北朝鮮の恫喝外交を助長するためではなくて、彼らの道を変えさせるためだ。

・もしそれでも彼らが核とミサイル開発を続けるなら、われわれは誰も望まない方向に向いていくだろう。そうしたアクションによって彼らの考えを変えさせていくしかない。それはいまよりもかなり危険な状態になる。

・中国にも、このことで北朝鮮に影響を与えてもらう。米中両大国は共に、朝鮮半島の平和と安定を望んでいるのだから。二つのグレートパワーとして、朝鮮半島を非核化しようということだ。

・中国とは広範な問題について話すつもりだが、北朝鮮の脅威は差し迫ったイシューだ。彼らは兵器を開発し、それを運搬するシステムを身に着けようとしているからだ。

・中国に関しては、トランプ大統領と習近平主席との間で、ハイレベルの話をしてもらわないといけない。とにかく両首脳が顔を合わせて話すことが大事だ。

・中国自身の人権問題も、改善するよう言及したい。

・われわれは米中関係の歴史的な瞬間に立ち会っている。ニクソン大統領とキッシンジャー補佐官が訪中し、道を開いてから40年。中国は経済発展し、世界に存在を見せつけてきた。米中は過去に、朝鮮半島以外で直接戦ったことはない。特にこの40年間の関係は素晴らしかった。いまは互いにフレッシュな気持ちで、次の50年の両国関係について話す時だ。それは米中で紛争が起こらない時代を作るということだ。

他にも、ティラーソン国務長官はなぜメディアを同行させないのかとか、公用の携帯電話と孫と話す私用の携帯電話を使い分けているとか、ダラダラと語っているが、それはアジア情勢とは無関係なので、省略した。

〔PHOTO〕gettyimages
米中外相会談を終えて

3月18日、北京で王毅外相と米中外相会談を行った後、両外相が共同記者会見を行った。その時にティラーソン国務長官が語ったのは、以下のようなことだった。

・過去40年以上にわたって、米中に紛争や軍事衝突が起こっておらず、互恵とダブルウインの関係を築いてきた。いまこそ両国のリーダーが、次の半世紀の関係を話し合うべき時に来ている。両国は世界の2大経済大国であり、安定と成長を促進していかねばならない立場にある。両国はフェアで配当を払うポジティブな貿易関係に向かって進んで行くべきだ。

・王毅外相と、北東アジア及びアジア太平洋の安定と安全保障の重要性について話した。過去20年の北朝鮮の違法な兵器開発を止める努力は成功してこなかった。中国も朝鮮半島の非核化を目指しているので、米中は決意を新たにして北朝鮮問題に望みたい。

・海上の紛争と、航行・航空の自由については、ルールに基づいた秩序作りが重要だということを議論した。アメリカは、人権や宗教の自由など普遍的価値の提唱は続けていくと明らかにした。

・北朝鮮に関しては、王毅外相と、現在かなり危険なレベルになっているとの認識で一致した。そして重要なのは、北朝鮮に核開発の方針を変えてもらうことだということでも一致した。

NEXT ?? 素人国務長官

以上である。ちなみにこの時の王毅外相の発言要旨は、以下の通りだ。

・中国は、朝鮮半島の非核化、対話と交渉による問題解決、朝鮮半島及び地域の平和と安定ということで、朝鮮半島にコミットしてきた。

・朝鮮半島の核問題は基本的に、アメリカと北朝鮮の問題だ。

・中国はこれまでも、できる限りの尽力をしてきた。3者協議、6者協議なども行った。それらは主に、米朝協議をサポートするためのものだった。国連安保理で制裁決議も行ってきた。2005年9月には、6者協議で共同声明も出した。

・最も重要なのは、どんな時でも平和的に外交的手段によって解決していかねばならないということだ。

・いまや再び新たな岐路に立っていて、このまま状況がエスカレートしていけば、最後は軍事衝突に至るだろう。だから交渉をリスタートさせるべきだ。

・まずは関係各国が頭を冷やすことだ。われわれも新たな交渉に、アメリカ側に立って協力していく。

・朝鮮半島の核問題をめぐる今日のティラーソン国務長官との議論で、双方は完全には一致しなかったが、基本的なコンセンサスや方向性は共有している。ティラーソン国務長官が述べたように、中米双方が目指すゴールは、朝鮮半島の非核化だ。中米はこれからも、しっかりと協力し合っていく。

〔PHOTO〕gettyimages
存在の耐えられない軽さ

米中両外相の共同記者会見を見ていると、明らかに王毅外相の方がリード役だった。王毅外相は4年も外相をやっていること、中国のホームグラウンドであることなどもあるが、王毅外相にとっては、一世一代の晴れ舞台だったことも大きい。

王毅外相の任期はあと一年で、今年後半に開かれる第19回中国共産党大会で、次の処遇が決まる。王毅外相としては外交担当国務委員(副首相級)に昇進して、中国外交の最高責任者になりたい。

ところが、いまそのポストにいる楊潔篪国務委員(前外相)は、「王毅外相は日本畑の外交官なので、最重要の対米外交ができない」と理由をつけて、もう一期5年務めたい。つまり、中国国内で楊潔篪vs.王毅の激しい「内交戦」が再燃しているのである。すべては習近平主席の胸先三寸だ。

そのことを差し置いても、日本、韓国、中国と3ヵ国歴訪したアメリカの新国務長官の「存在の耐えられない軽さ」には驚いた。

まず第一に、マクパイプ記者との長いインタビューの発言を確認すると、外交官や政治家としての経験がないとはいえ、ある意味、トランプ大統領以上に、小学生のような言い回しばかりが目につく。世界最強国の外務大臣にしては、信じられないほどの役不足、能力不足なのである。おそらく本人もそのことをよく自覚していて、自信がないから、大のマスコミ嫌いなのだろう。

第二に、ティラーソン国務長官は、キッシンジャー元国務長官のような戦略型でもなければ、ヒラリー・クリントン国務長官のような理念型でもない。あえて言うなら、国務省という組織を、予算削減に合わせてダウンサイジングしていく総務型、庶務型の国務長官に思える。そのため、アジア各地で凄んでは見せたが、北朝鮮に先制攻撃するとかいう大それた外交を展開できるような器ではない。

第三に、3月8日に、アジア太平洋担当国務次官補だったダニエル・ラッセル氏が、突然、国務省を去っていったことだ。

ラッセル次官補は、アメリカの対北朝鮮外交最大のキーパーソンで、トランプ候補の大統領選勝利の後も、「北朝鮮外交があるから」と言って残った数少ない国務省幹部だった。それがティラーソン国務長官のアジア歴訪の1週間前になって突然、辞任したのは、ティラーソン国務長官とアジア外交を巡る齟齬があったとしか思えない。そして、キーパーソンを失ったアメリカのアジア外交は、漂流とまではいかないかもしれないが、一時的後退は免れないのである。

第四に、北京でも、マクパイプ記者に対しても、ティラーソン国務長官は、トランプ大統領と習近平主席の早期の米中首脳会談の重要性を力説していながら、その日程を発表できなかった。すでに4月6日、7日に習近平主席が訪米と書き立てたメディアもあるが、3月27日時点で発表がないのは不自然だ。中国は首脳の外交日程を、通常は2週間前に発表するからだ。特に、中国がティラーソン国務長官を尊重しているなら、その訪中時に発表してもよかったはずだ。

思うに、THAAD配備問題を巡って、米中で調整がつかなかったのではないか。加えて中国としては、このような「素人国務長官」を任命するようなトランプ政権との本格交渉は、急ぐ必要がないと判断したことも考えられる。

ともあれ半年か一年後には、ティラーソン氏は「前国務長官」として、自宅で悠々と孫と遊んでいるような気がしてならない。

<付記>
アメリカが当てにならなくなってきた日本が取るべき対中外交とは? 新著をどうぞご高覧ください。

日本を代表する現代中国ウォッチャーが、綿密な現地取材・分析をもとに、これからの日本の対中戦略を展望する
【今週の推薦図書】


『暗黒の巨人軍論』
著者=野村克也
(角川新書、税込み864円)

プロ野球とはあまり縁のない私だが、野村克也氏の本だけはたくさん読んでいる。野村氏が巨人のことを論じる時、「巨人」を「日本」に置き換えると、そのまま日本論の教科書のように思えてくるのだ。すなわち、「暗黒の日本論」である。
実際、野球と国際関係は、類似点に溢れている。巨人「軍」と呼ぶように、野球は疑似戦争だからだ。日本の将来を考える上でも、実に示唆に富んだ一冊だった。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51324

 
パナソニック、中高年向けLED照明 黄色を抑制
2017/4/4 19:08
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 パナソニックは4日、中高年向けに色を鮮やかに映す住宅用の発光ダイオード(LED)照明を6月1日に発売すると発表した。黄色の光を抑え青色の光が引き立つよう光の波長を調整した。年を取るにつれて目でレンズの役割を果たす水晶体が黄色く変色し、色を識別しにくくなる。青色を補うことで明るく感じるようになり、文字も読みやすくなるという。

 市場想定価格は8畳用で4万5千円前後(税別)。光源を覆うカバーを台形にしたことで発光面が大きくなった。天井を照らす光量も増し、部屋全体を明るくできる。点灯時にカバー表面に波状の模様が映るデザインを採用した。

 重さを従来製品より約10キログラム軽くし、小回りをききやすくした電動アシスト自転車も6月に発売する。価格は税別11万円。両製品とも日本製の高級家庭用品のブランド「Jコンセプト」シリーズに加える。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ04HN9_U7A400C1TI5000/


http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/827.html

[政治・選挙・NHK223] ロシア地下鉄爆発)安倍晋三首相「テロは絶対許すことできない」プーチンのロシアでは珍しくない凄惨なテロ 死者14人キルギス

ロシア地下鉄爆発】安倍晋三首相「テロは絶対許すことできない」 

プーチン大統領と電話首脳会談

首相公邸前で記者団の質問に答える安倍晋三首相=4日午後、首相公邸(桐原正道撮影)
 安倍晋三首相は4日夜、ロシア西部サンクトペテルブルクの地下鉄で起きた爆発を受け、プーチン大統領と電話で会談し、犠牲者らへのお悔やみとお見舞いの言葉を伝え、「どんな理由があるにせよ、テロは絶対に許せない。断固として非難する」と述べ、テロとの戦いでロシアを含む国際社会と協力していく考えを強調した。電話会談後、首相官邸で記者団に語った。首相の発言全文は次の通り。

 --プーチン氏とはどのような話をしたのか

 首相「はい、先ほどプーチン大統領と電話首脳会談を行い、サンクトペテルブルクにおけるテロに対するお悔やみとそしてお見舞いを申し上げました。そして、私からはどんな理由があるにせよ、テロは絶対に許すことができない。断固として非難します。そして、困難な時を迎えているロシア国民に対して連帯の意を表明したところです。

 そして、今後テロを根絶するために、ロシアを始め世界各国と、国際社会と協力していくことを話したところであります。

 プーチン大統領からは私の弔意に対するお礼の言葉があり、そして今後、テロを根絶するために日本とともに協力をしていきたい旨の発言がございま
http://www.sankei.com/world/news/170404/wor1704040043-n1.html


 


プーチンのロシアでは珍しくない凄惨なテロ
A Timeline of Terrorism in Russia under Vladimir Putin
2017年4月4日(火)17時30分
トム・オコーナー
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2002年のモスクワ劇場占拠事件では129人もの人質が命を落とした Sergei Karpukhin-REUTERS
<強権で抑えつけるほど反動も大きいのか。ひんぱんにテロ攻撃の的にされ、劇場や学校で多くの人質が犠牲になったこともあるロシアのテロを振り返る>

ロシア第2の都市サンクトペテルブルクの地下鉄で4月3日、2度の爆破が起き、11人が死亡、45人が負傷した。

【参考記事】ロシア地下鉄で爆破11人死亡 イスラム過激派の自爆テロか

地元メディア局Rossiya-24は、サンクトペテルブルク市長広報官の話として、爆発で2つの車両が吹き飛び、10人が死亡し、少なくとも50名ほどが負傷したと報じた。爆発の原因はまだ確認されていない。ロシア国内の地下鉄ではこれまでも、過激派武装勢力による爆破事件が起きている。特に多いのが、チェチェン共和国南部の強硬な分離主義者と、ISIS(自称イスラム国)に忠誠を誓う武装勢力によるものだ。ロシアはシリア政府と協力して、シリアでISIS掃討作戦を繰り広げている。

【参考記事】プーチンが空爆で背負った内なる戦争
【参考記事】空港爆破テロにロシアの意外な対応

ロシアは2000年からウラジーミル・プーチン大統領(一時、首相)が率いている。プーチンは対テロ政策として諜報機関の機能を強化、ひとたびテロが起きれば武力をもって徹底的に排除してきた。以下は、プーチンのロシアで起きた主なテロ事件。

人質139人が巻き添え死
2002年10月:モスクワにある劇場をチェチェン人の武装勢力兵士42人が占拠し、700人を人質に取った。事件発生後3日目、ロシアの治安部隊は、建物内に強力な催眠ガスを送り込んで武装兵士を抑制し、劇場に突入を試みた。犠牲者の大半は、治安部隊が突入した際に巻き添えになった。最終的な死亡者数は、チェチェン人兵士41人、人質129人で、その大半は催眠ガスの不適切な利用が原因だった。

2003年8月:北オセチア共和国南部、チェチェンとの国境付近で、チェチェン人武装勢力による自爆攻撃が発生した。爆発物を積んだトラック1台が陸軍病院に突っ込み、50人が死亡した。

2003年12月:ロシア南部のスタヴロポリ地方にあるエセントゥキ駅近くで爆発が起き、46人が死亡、146人が負傷した。

2004年2月:モスクワの地下鉄駅で自爆テロが発生。少なくとも39人が死亡、100人が負傷した。

2004年6月:チェチェン人の武装勢力が、チェチェン共和国の隣国であるイングーシ共和国の内務省ビルなどを襲撃。少なくとも92人が死亡した。その中には、内務大臣代理のアブカル・コストエフも含まれていた。

2004年8月:2人のチェチェン人自爆テロ犯が、ロシアの別々の旅客機内でほぼ同時に自爆。90人が巻き添えとなって死亡した。

2004年9月:ロシア南部に位置する北オセチア共和国の都市ベスランで、チェチェン武装グループが学校を襲撃し、1000人を超える生徒や教師らを拘束した。占拠中と、その後のロシア治安部隊と地元自警団による突入で死亡した人の数は331人以上に上った。その半数は子どもだった。

次のページ 冬季五輪の1カ月前にも

2009年8月:イングーシ共和国南部にある最大の都市ナズランで、自爆テロ犯1人が爆発物を積んだトラックで警察署に突入。20人が死亡、138人が負傷した。

2010年3月:自爆テロ犯2人が、チェチェンの隣国ダゲスタン共和国の地下鉄駅で自爆し、40人が死亡した。

2013年12月:自爆テロ犯2人が、ロシアのヴォルゴグラード(元スターリングラード)で連続爆破事件を起こし、少なくとも30人が死亡した。ソチで2014年冬季オリンピックが開幕するおよそ1カ月前の出来事だった。

2015年10月:ロシアのエアバスA321型機がエジプトを離陸後、シナイ半島上空で爆発し、乗員乗客224人が死亡した。のちにISIS(自称イスラム国)が犯行声明を出した。

2016年12月:シリアに向かっていたロシア軍機がソチ近くの黒海に墜落し、乗員乗客92名が死亡した。乗客の多くは軍の音楽隊メンバーで、シリアにあるロシア空軍基地で新年を祝うコンサートを開催する予定だった。爆発物らしきものはまだ発見されていないが、当局はテロである可能性を否定しておらず、捜査は現在も続いている。

(翻訳:ガリレオ)
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http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/04/post-7317.php

 

キルギス出身容疑者が自爆テロか=死者14人に・同時爆破狙った疑い−ロシア地下鉄

4日、モスクワの地下鉄駅構内を巡回するロシアの警官(AFP=時事)
 【モスクワ時事】ロシア第2の都市サンクトペテルブルクの地下鉄車内で3日に起きた爆破事件で、中央アジアのキルギス治安当局は4日、同国出身の容疑者が自爆テロを実行したとの見方を示した。インタファクス通信が伝えた。またロシアのスクボルツォワ保健相は同日、爆破事件の死者が3人増え、14人になったと明らかにした。負傷者は49人に上っている。
〔写真特集〕ロシアの地下鉄で爆発

 自爆テロを実行したとみられるのはアクバルジョン・ジャリロフ容疑者。ロシアのメディアによれば、キルギス南部オシ出身の22歳。現在はロシア国籍を取得しているとみられ、サンクトペテルブルクには6年以上住んでいる。
 連邦捜査委員会は4日、「地下鉄車両内で遺体の一部が見つかった男が爆発物を起爆した可能性があることが明らかになった」と述べ、自爆テロと確認した。ただ、容疑者の身元は明らかにしなかった。容疑者はロシアで活動が禁止されているイスラム過激派と関連があるとみられ、当局が捜査を進めている。
 プーチン政権は、シリアで過激派組織「イスラム国」(IS)への軍事作戦を展開しており、ISも報復テロを予告している。中央アジアはISが浸透している可能性が指摘されており、ロシア治安当局は中央アジアの過激派がロシアでテロを行うことを強く警戒している。プーチン大統領は事件後、トランプ米大統領と電話で話し、「テロは共に戦っていくべき悪だ」との認識で一致した。

 一方、ロシア治安当局筋は「(自爆テロ犯は)地下鉄に乗り、『センナヤ広場駅』と『工科大学駅』の間で起爆装置を作動させた」と指摘。バックパックに爆発物を入れていたという。同筋によると、これとは別に地下鉄の「蜂起広場駅」でも爆発物が見つかり、不発処理をされたが、同容疑者が仕掛けた疑いが持たれている。同時爆破を狙った可能性が浮上している。(2017/04/04-20:18)
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http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/570.html

[政治・選挙・NHK223] 中国の民主化、困難な理由と実現の可能性を問う 中産階級理論は破綻 日本よ民主共同体の盟主に 孔子を捨てた国―中国残酷物語
中国の民主化、困難な理由と実現の可能性を問う

中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス

民主化運動の楊建利氏「日本よ、アジアの民主共同体の盟主に」
2017年4月5日(水)
福島 香織
 中国は民主化する可能性があるのか。“中国屋”と呼ばれる中国専門ジャーナリストや研究者の永遠のテーマだが、先日、米国最大手の中国の民主化運動を推進するNGO・公民力量の主宰者、楊建利が東京を訪れていたので、私もインタビューしたし、明治大学現代中国研究所が主催した講演会にも行ってきた。独裁体制をより強化しようとする習近平政権の登場で、中国の“党内民主”化は以前よりも遠のいたようではあるが、楊建利が“中国の民主化をあきらめない”とする分析もなかなか興味深いので、ここで紹介したい。

まず、困難な理由を分析すべき

 楊建利は高校を経ずに飛び級で山東省師範学院数学系に入学し、1989年の民主化運動に参加したのち、米国に移住。ハーバード大学で政治経済学、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)で数学の博士の学位を取得し、米国に拠点を置きながら、中国民衆の権利と自由を推進する活動を続けてきた。当然、中国当局からは中国入国拒否のブラックリストに入る人物だが、2002年に中国東北部の失業者大規模デモの状況を視察するため、他人のパスポートで入国したところを逮捕され、不法入国などで5年間投獄された経験を持つ。2007年、当時のブッシュ大統領の働きかけで釈放され米国帰国後、中国のNGO・公民力量を創設し、中国の民主化を海外から働きかける。

 
 楊建利は、中国の民主化は非常に困難、と認めながらも、その実現をあきらめていない。その困難を打開するためには、その困難である理由を分析すべきだし、日本を含む国際社会の支援が必要だと指摘する。

 まず中国の喫緊の民主化運動が挫折した歴史、1989年の天安門事件当時を振り返ろう。この虐殺事件は中国人大衆と共産党政府の双方に深いトラウマを残した。民衆は政治について議論することに恐怖を覚えるようになった。共産党政府は、人民が本音のところで自分たち共産党の統治を否定していることに気づいてしまった。人民と政府、双方が人権や民主化の問題を口にしないようになった。一方、国際社会においては、旧ソ連が解体され、このことは共産党の危機感を呼び覚ました。中国は人道無視の残酷な国家として国際社会で孤立した。共産党政府はこの危機をどう打開するべきかわからず、狼狽した。

 救いの手をのべたのは、実は米国だった。ブッシュ政権は天安門事件発生後3週間たたないうちに、特使を派遣、外交上の立場としては中国を非難するものの、米中関係は維持していく方針を伝え、ケ小平は安堵した。米国内では、反中世論が盛り上がったが、日本が米国の意向を汲んで真っ先に対中経済制裁を解くことで、国際社会世論の流れを変えることになった。

 この日本の対中経済制裁解除の代わりに、中国民主化運動リーダーの物理学者・方励之の米国への出国を中国が認めた裏取引については、方励之自身も知らず、彼は死ぬまで日本の態度を非難していたが、これは米国世論をなだめながら中国との関係回復を模索していた米国の頼みを断りきれずに、日本が泥をかぶったかっこうだった。この件については、産経新聞が当時大使だったジェームズ・リリーと橋本恕に生前インタビューし、裏をとっている。

 日本が国際社会の対中包囲網に穴をあけることになるが、やがて欧米も立場を変え、中国に対する投資を競うようになった。欧米諸国の建前は、いわゆる中産階級理論、つまり中国が豊かになれば中産階級が生まれ、彼らは自然と民主、自由を求めるようになり、中国の民主化が進むであろう、という主張だった。

 だが実際はこの通りにはならなかった。むしろ、習近平政権になってから、ますます民主化は遠のき、毛沢東時代に先祖返りを見せている。

なぜ中産階級理論は破たんしたか

 楊建利は「なぜ中産階級理論は破たんしたか?」と、考える。

 まずケ小平の南巡講話以降、中国共産党中央は落ち着きを取り戻し、冷静に現実を見極めることができた。そして一つの結論にたどり着く。人々への共産党への忠誠は、イデオロギーは関係ない。むしろ経済、金による。そこで、党員に金儲けをさせ、腐敗させ、そのうまみを与え弱みとして党への忠誠を約束させる方法をとる。腐敗を統治の手段とし、全面的な腐敗を認めたのだった。

 さらに党員に資本家を招き入れ、“有限会社共産党”化することで、経済成長を推進していく。一方、人民の人権水準は依然低いままにしておき、人民を安価な労働力として使い倒す。この安価な労働力にひかれて、外交資本が中国に殺到し、奇跡的な経済成長を実現させた。

 共産党の政治エリート、資本家ら経済エリート、そして政治・経済エリートが協力して掌握するメディアによる洗脳教育で知的エリート、文化エリートも有限会社共産党の一員となる。プロレタリアートのための共産党は、完全にエリートたちの金儲け機関に変化してしまった。エリートになれば、共産党の利益にあずかれる、というシステムを作り上げれば、エリート=中産階級は共産党に刃向かわなくなる。党の主導によって実現した経済発展で生まれた中産階級エリートは、党に忠誠を誓い、中産階級が民主化を求めるという欧米式の中産階級理論は破たんした、という。

 だが、利益と腐敗で結びついた党中央が絶対的安定を築いたかというと、そうではなかった。楊建利はこの結果、中国が二つに分断された、という。つまり、有限会社共産党の利益に属するエリート。そして、10億人以上の、党の利益にあずからない、何の力もない、庶民の中国。国際社会が中国に持つイメージは有限会社共産党だが、それはメディアコントロールの影響であり、現実は10億人以上のエリート以外の人民の国だ。

分断とウィルスと反腐敗と

 一方、国際社会、特に欧米社会の状況を振り返ると、中国の貿易を通じての経済力によるコントロールを受けたことで、“中国ウィルス”にも感染してしまった。楊建利は言う。

 「米国では、ある作家が、ウイグル族の本を出版するとなると、編集者はわざわざ中国大使館に電話して、これは政治的目的の本ではありません、文化を紹介する本です、と事前に告知するんです。出版の自由がある米国で、なぜ、編集者はわざわざ中国大使館の許可をとらなければならないのでしょう。米国メディアは時の政権を批判したりからかうネタは放送できるが、中国政府をネタに扱うときは慎重になる。ハリウッドも中国映画市場を考えると中国批判はできない。中国政府は米国に文句をつけることができるが、米国は中国の嫌がることはできません」

 中国ウィルスに感染すると、公然と中国を批判できないのである。

 中国の経済発展に伴い、もう一つ重要な問題が台頭してくる。それが安全保障問題だ。共産党の正当性、権威を支える柱は三本ある。経済力、ナショナリズム、軍事力だ。経済力の発達は軍事力増強につながり、それはナショナリズムの発揚につながる。天安門事件の民主化の挫折後、欧米民主国家は、中国をこのような国に育ててしまった。

 そういう状況で習近平政権が登場した。

 習近平政権は近代中国史上、最大の反腐敗運動を開始した。同時に、民主化・法治化を徹底的に拒む姿勢を見せた。党独裁の絶対維持の決心を見せた。

 習近平の反腐敗キャンペーンには三つ理由がある。一つは政敵打倒、独裁の強化だ。二つ目は、政治エリートに嫉妬する国民の支持を得ることだ。三つ目の理由は、現実として共産党に新しく生まれる中産階級を吸収する余裕がない。つまり経済成長がすでに下降に入った段階で、これ以上、統治集団=利益集団メンバーを増やすことができないのだ。

 となると、楊建利が想像する習近平の思考は次のようになる。中国の構造は、利益にあずかれるエリート(中産階級)と、利益にあずかれない大衆の二つに分裂している。この二層構造が不安定となる原因だと考えた。だから、エリート層を弾圧した。反腐敗キャンペーンで政治的エリート、経済エリートを弾圧し、メディア・言論統制強化で文化エリートを抑え込む。だが、習近平は毛沢東のように庶民の力を利用する勇気はない。毛沢東は庶民から崇拝されていたが、習近平は庶民との間にそういう関係を構築しようとして、結局できなかった。だから、庶民に対する締め付けも強化した。

三つに分断、三つの根拠、四つの条件

 この結果、何が起こったか。エリート・中産階級が統治集団と距離を置くようになり、庶民も統治集団と距離を置き、中国は三つに分断されることになった。楊建利によれば、これは習近平にとって大きな危機のはじまりだという。

 つまり、まず、ゲーム理論になると、二人のプレイヤーが三人のプレイヤーになり、中国共産党独裁の基盤が揺るがされる。次に、共産党統治の正当性の三つの根拠、経済発展、ナショナリズム、軍事力のうち、経済発展そのものが揺らぎ、そのバランスをとるために、ナショナリズムと軍事力を利用せざるを得なくなる。その結果、周辺国家と摩擦を起こし、外部の敵をつくることで、政権の維持をはかろうとするようになる。これが、今の習近平政権の状況だという。

 だが、こういうかつてないほど共産党統治が不安定な状況だからこそ、民主化運動にとってはチャンスもあるのだという。

 「いますぐ、革命は起きるとは思っていないのですが、それが起きるときのために準備を整えておくことが今必要だと思います。民主化には、四つの条件が必要です」

 四つの条件とはつまり、@政治の現状に対する普遍的かつ強い不満、A持続可能な全体的な生命力のある民主化運動、B共産党指導部の分裂、C国際社会の承認と支持。

 このうち中国にすでにあるものは@だ。

 エリート外の10億人以上の中国人はおおむね現状に不満を抱いている。それどころか、習近平政権の反腐敗キャンペーンによって中産階級、エリート層にも不満が広がっている。

 Aは現在は存在しない。だが、習近平の反腐敗キャンペーンによって統治集団から離反した政治・経済エリート、中産階級が底辺の庶民層との関係を回復すれば、民主化運動の新たな勢力を形づくることができるかもしれない。

 B指導部の分裂も、激しい権力闘争は継続しているが、決定的な政治路線の違いによる対立はまだ表れていない。だが可能性は存在している。その可能性を示したのは、クーデターを起こそうとした薄熙来だ。今の統治システムに不満を持つ指導部は存在する。指導部に分裂が起きたとき、それに呼応して、Aの民主化運動が起きやすくなる。

 そして最後に重要なのが、国際社会の支持。天安門事件のとき、もし国際社会がもっと積極的に中国に干渉していればどうなったか。

日本よ、民主共同体の盟主に

 楊建利はここで、今の中国の現状についてこう警告する。

 「習近平政権は、総書・国家主席二期目10年の統治システムを変更して、三期目も権力を維持する個人独裁化を進めようとしている。これは従来の共産党秩序、システムを破壊しようとする動きだ。

 となると、習近平政権が三期目を続けるには新たな正当性の理由が必要だ。その正当性の理由付けとしてありうる可能性の一つは選挙だ。習近平が“人民の選挙による大統領”であれば、その権力の正当性は建前上認められる。だが、独裁志向の強い習近平により選挙が導入されたならば、不正選挙の似非民主であろう。その似非民主もうまくやれば、やがて本物の民主になる可能性もあるが、むしろユーゴスラビアの大統領のミロシェビッチのような結末になる可能性が強い。

 もう一つの可能性は、何らかの政治的危機を演出することだ。非常事態を乗り越えるために、経験豊かな習近平が三期目も総書記・国家主席を続投する、という理由になる。その政治的危機とは、戦争の可能性がある。そのシナリオを考えて対策を立てる必要はあるだろう」

 おりしも、米国ではトランプ政権が誕生し、国際社会の旧来の秩序も変革に差し掛かっている。戦争、紛争の火種はあらゆるところにあり、また揺るぎないと思われてきた人権や自由や民主の普遍的価値観よりも、自国の利益を最優先に考えることが、先進国の間でもトレンドとなってきた。楊建利は、トランプ政権が当初のような対中強硬姿勢を今後も貫く可能性について「まだどうなるかは不確定だが、あまり期待はしていない」と語り、むしろ米中二強国によって世界が振り回されることを懸念する。

 そういう時代だからこそ、日本に期待を寄せたいという。

 「アジアで最も経済実力を持つ民主化された先進国である日本に、アジアをカバーする民主共同体の盟主となってほしい。中国の民主化運動にもっと興味をもってほしい。かつて辛亥革命を手伝ったのも日本人でしたね。中国が民主化し、共通のルールや価値観のもとで、話し合いで問題を解決できる近代国家になれば、日本にとって一番の安全保障になると思います」

 
 国際秩序の大きな変わり目を迎えた今、そろそろ日本の担うべき役割や責任を真剣に考える時期ではないだろうか。

【新刊】『孔子を捨てた国――現代中国残酷物語』

 ともに儒教を文化の基盤にしているから「中国人とは理解しあえる」と信じる日本人はいまだに多い。だが、習近平政権下の空前の儒教ブームは、政治に敏感な彼らの保身のための口パクにすぎず、中国人はとうに孔子を捨てていたのだ。 「つらの皮厚く、腹黒く、常に人を疑い、出し抜くことを考え、弱いものを虐げ、強いものにおもねりながら生きていかねばならない」中国人の苛烈すぎる現実を取材した。
飛鳥新社 2017年2月15日刊

このコラムについて

中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス
 新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
 中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
 特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/040300095
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/573.html

[経世済民120] ミリ波レーダーだけで歩行者を検知 男性アイドルブームが!テレビ離れとネット化が生み出した新市場 前代未聞の日本企業再生論
ミリ波レーダーだけで歩行者を検知
from 日経テクノロジーオンライン
独フォルクスワーゲングループが続々採用
2017年4月5日(水)
久米秀尚=日経Automotive
 歩行者の認識にはカメラが必須――。こうした常識が崩れた。独フォルクスワーゲン(VW)は、新型SUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)「ティグアン」にミリ波レーダーだけで機能する歩行者検知システムを搭載した(図1)。
図1 フォルクスワーゲン「ティグアン」を手始めにアウディにも展開

(a)VWのSUV「ティグアン」は、フロントグリルのエンブレム裏にミリ波レーダーを配置した。(b)アウディの小型車「A3」は、ティグアンと同じ「MQB」プラットフォームを使用している
 カメラ不要のこの機能は独アウディの新型「A3」にも展開。VWグループの普及価格帯の車両への採用が加速しそうだ。
 歩行者の認識はこれまで、カメラの専売特許とされてきた。形状的な特徴を判断しやすいためだ。実際、トヨタ自動車をはじめ、VWグループ以外の自動車メーカーは皆、カメラに歩行者検知を任せている。ミリ波レーダーは、反射波の時間差や強度などから距離や相対速度を計算し、どんな物体かを認識する。車両の認識は得意だが、反射波が小さい人の認識は難易度が高い。
 トヨタの自動ブレーキ「Toyota SafetySense P」はカメラとミリ波レーダーを使う。両方の情報を組み合わせて歩行者を検知するが、ミリ波レーダーの情報はあくまで補助である。VWのセダン「パサート」でも歩行者検知の機能は実現していたが、カメラとミリ波レーダーを併用していた。
 ミリ波レーダーだけで歩行者を検知可能としたのは、VWではティグアンが初めて。同車の歩行者検知システムは、ミリ波レーダーで歩行者を検知すると運転者に警告を出す。それでも運転者が回避行動を取らずに衝突の危険性が高まると、自動でブレーキをかけて危険を回避・軽減する。
 ミリ波レーダーは、フロントグリル中央の「VWマーク」の裏に内蔵している。アウディのA3はナンバープレート下に配置した。ミリ波レーダーは独コンチネンタル社製の「ARS410」を採用した。76GHz帯(76G〜77GHz)の品種だ。車線維持機能などに必要な白線の検知には、オプションの単眼カメラが必要になる。
低コストで“五つ星”を
 そもそも、歩行者を対象とした自動ブレーキへの対応は、自動車アセスメントが大きく影響している。欧州の「EuroNCAP」や日本の「JNCAP」が、2016年から歩行者検知に対応した自動ブレーキを評価に加えているのだ。いかに低コストで“五つ星”の高評価を獲得するか。VWグループが出した答えが、ミリ波レーダーのみで歩行者検知を実現させることだった。
 ティグアンとA3はいずれも、VWグループの主力プラットフォーム「MQB(横置きエンジン車用モジュールマトリックス)」の適用車。MQBは同グループのスペインのセアト社やチェコのシュコダ社にも展開される。このため、ミリ波レーダーによる歩行者検知システムは今後さらに採用が増えそうだ。
自動車未来サミットspring
【2017年4月18日開催】
〜部品メーカーが考える自動運転の将来と2017年の展望〜
自動運転によるクルマの革新は、自動車メーカーだけでなく、サプライヤーのビジネスも大きく変える可能性があります。特に大手部品メーカーは、自動運転システムの構成部品だけでなく、地図やバックエンドの配信システムなどを含めた自動運転サービスのサポート体制を整えつつあります。これまでのハードウエア中心のビジネスから、ハードウエアと車両の制御・情報ソフトウエアを組み合わせたシステムが重視される状況になっているのです。当セミナーでは大手部品メーカーの自動運転に向けた取り組みや戦略を捉えるとともに、2017年の生産・販売動向がどのように推移するのかを展望します。 〜詳細はこちら〜。
日程 : 2017年4月18日(火)10:30〜17:00
会場 : JA共済ビル カンファレンスホール (東京・千代田区)
主催 : 日経ビジネス/日経Automotive
歩行者の手足の動きに着目
 アウディの担当者によると、今回開発したシステムは、「歩行者が道路を横切った時に作動する」という(図2)。道路脇に立ち止まっている歩行者は認識しない。ここに技術のポイントがある。
図2 検出できるのは道路を横切る歩行者

(a)道路を横断する歩行者の手や足の動きをミリ波レーダーで捉える。(b)歩行者が5km/hの速度で横断したときに、ミリ波レーダーが取得する情報の例。相対速度にばらつきが生じる。(b)は欧州自動車工業会(ACEA)の資料を基に作成した
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/277609/040400009/p2.jpg

 「人が歩く時は、手足が前後に振れる。この特性に着目した」。こう語るのは、コンチネンタル社Business Unit ADAS, Strategy & Planning Asia, Engineering ManagementのRolf Adomat氏である。同氏によると、ミリ波レーダーの人からの反射波は、「金属製の小型車の1/10ほど」という。他の物体の反射波に埋もれがちな歩行者の反射波を見分けるため、歩行者ならではの特徴に目を付けた。
 重要なのは相対速度の情報だ。認識の対象物が車両であれば、安定した反射波が返ってくる。これに対して人は、歩く際に手や足を振る。手足に当たって反射してきたミリ波信号はばらつき、相対速度に変化が生じる〔図2(b)〕。この相対速度のばらつきは「人に特有のもので、そこから歩行者であることを推定できる」(同氏)という。
 EuroNCAPは、試験シナリオを細かく規定している。歩行者検知に対応した自動ブレーキでは、車両の前をダミー人形が横切る。ダミー人形は、移動速度だけでなく、手足を振る周期や幅なども決まっている(図3)。ティグアンやA3が採用した自動ブレーキは、この試験条件を強く意識して開発したものと言えそうだ。
図3 EuroNCAPでの試験の様子

歩行者に対する自動ブレーキ試験で使うダミー人形は、手足を振る周期や幅などが細かく規定されている
 コンチネンタル社のミリ波レーダー技術は、EuroNCAPが2018年に追加する二つの自動ブレーキ試験にも対応可能だ。対象の一つが夜間の歩行者。夜間に認識精度が落ちるカメラとは違い、ミリ波レーダーは昼夜で性能差がない。
図4 Continental社の自転車検知技術

ミリ波レーダーだけで自転車に乗った人を検出し、自動ブレーキをかける技術を開発済みである。
 もう一つが自転車で、こちらもコンチネンタル社はミリ波レーダーだけで対応できることを確認済だ(図4)。EuroNCAPでの試験条件はまだ確定していないが、コンチネンタル社も「策定に向けた議論に参加している」(Rolf Adomat氏)という。見通しのよい場所で、自転車が右から横断するシナリオなどが有力である。


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from 日経テクノロジーオンライン
製造業/ハイテク産業に携わる技術者・研究者・製品企画者などの方々に向けた総合技術情報サイト「日経テクノロジーオンライン」から、厳選した記事をお届けします。日経テクノロジーオンラインのサイトはこちら。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/277609/040400009/

 
男性アイドルブームがやってきた!

アイドル産業に学ぶ

テレビ離れとネット化が生み出した新市場
2017年4月5日(水)
齊藤 美保
ジャニーズ、EXILE、韓流の3極がけん引してきた男性アイドル市場。しかし今、大手事務所が相次ぎ男性アイドルグループをデビューさせ市場が急拡大している。背景にあるのは、ネットを使ったビジネスモデルへの移行だ。

MEN'S UNIT DELiGHTには、12組の男性アイドルグループが参加した
 3月9日、赤坂BLITZのライブ会場は異様な熱気に包まれていた。会場を見渡す限り、女性、女性、女性・・・。ペンライトや手作りの応援ウチワ、垂れ幕などを手に、皆ソワソワした様子だ。17時半、黄色い歓声とともにキラキラした男性アイドルグループが勢いよく飛び出してきた。

 この日、赤坂BLITZで開催されていたのは、「MEN'S UNIT DELiGHT」。月刊誌「JUNON」とスマートフォン(スマホ)向けアプリを手がけるフォッグ(東京・渋谷)が主催するライブイベントだ。出演者は、12組の男性アイドルグループ。入れ代わり立ち代わりステージに登場し、各々の持ち歌を歌っていく。セーラー男子(「ZEN THE HOLLYWOOD」)、おとぎ話コンセプト(「SUPER FANTASY」)、名古屋発ユニット(「#ハッシュタグ」)など12組それぞれ特長があり、趣向を凝らしたパフォーマンスで会場を盛り上げた。

 「アイドル好き」を周囲に公言しテレビの歌番組もよくチェックしている記者だが、正直なところ、12組の男性アイドルグループの半分以上が初見だった。しかし会場に目を向けると、ファンは彼らのダンスを真似して踊ったり、メンバーの名前をひたすら叫んだりしている。熱量がすさまじい。

 「テレビの露出は少ないけれど、たまたまYouTubeでMVを見てファンになった」。ライブ終了後、神奈川から来たという女性2人組に話を聞くと、ファンになるきっかけはネットだったという。「毎週どこかでイベントをしている。直接会える機会が多くて嬉しい」と笑顔だ。

ジャニーズに勝ったご当地アイドルグループ

 男性アイドル市場が黎明期を迎えている。ここ数年で、エイベックスやスターダストプロモーション、ワタナベエンターテインメントなどの大手事務所がこぞって参入。大手に限らず地方発の男性アイドルグループも続々と誕生している。

 「AKB48グループやももいろクローバーZの人気に火がついた7〜8年前の『女性アイドルブーム』と同じ空気を感じる」。フォッグが運営するアイドルの画像投稿アプリ「チアーズ」で、企画推進チームのリーダーを務める関根康人氏はこう語る。

 その象徴的なエピソードがある。昨年8月末、ジャニーズの人気グループ「Kis-My-Ft2」と名古屋発のアイドルグループ「BOYS AND MEN」が同日にシングル曲を発売したところ、オリコンデイリーランキングでBOYS AND MENが1位を獲得。週間ランキングではKis-My-Ft2が逆転したものの、「発売初日でジャニーズに勝ったグループ」としてBOYS AND MENの名前は一気に知れ渡った。

 女性アイドルの画像投稿サービスを手掛けてきたフォッグも、こうした大きな流れを受けて今年から男性アイドルや俳優が集まる画像投稿サービスの提供を開始した。

 これまで男性アイドル市場は、ジャニーズ、EXILE、東方神起などの韓国アイドルがけん引してきた。しかし、ここにきて一気にプレーヤーが増え、市場が拡大している。なぜか。

 一つは、冒頭のイベントに参加した女性の言葉にもある「ネット」の活用だ。

 アイドル産業がバブル崩壊以降に見舞われた環境変化の一つに、「歌番組の減少」がある。「世代やジャンルを超えて音楽をセレクトし、広く一般に音楽の楽しみを提供する放送番組がなくなってきた」(経済産業省「音楽産業のビジネスモデル研究会」報告書)と言われるように、減少は著しい。特に男性アイドルの場合、「ジャニーズが出演するときは“暗黙の了解”で他の男性アイドルグループは出られない」(業界関係者)などのハードルがあったと言われる。歌番組の全体数が減少し、自分たちをプロモーションする場を失ったアイドルたちが即座に移行したのが、ネットだ。

ツイッターは当たり前

 冒頭のイベントで登場した12組全ての男性アイドルグループがSNS(交流サイト)「ツイッター」の公式アカウントを開設。ライブの告知や自分撮りの写真をアップするなどし、ファンとの交流を深めている。また、無料の動画配信サイト「YouTube」にもダンスレッスンの映像や新曲のMVをいち早くアップ。SNSやYouTubeの利用をほとんど禁止してきたジャニーズとは正反対の動きだ。(新曲のPRのために一時的にアカウントを開設する動きは過去あった)

 歌番組の消滅でテレビ露出のハードルが高くなった今、アイドル産業ではネット空間でファンダムを作り上げ、ライブやイベントで収益を上げるモデルが主流になり始めている。「聞いたことがないのに、人気らしい」と言うアイドルが増えているのは当然。ファン以外への露出はかつてに比べ少ない、スモールビジネスに変化しつつあるのだ。

テレビか、ネットか

 ネットの力がこれほどまでに強くなったのは、しばしば口にされる「テレビ離れ」にほかならない。NHKの調査によると、10代女性のテレビの平均視聴時間(平日)は2005年の2時間12分から、2015年は1時間38分に減少。10代男性も2時間6分から1時間33分へと大幅に減少している。10代の落ち込みが最も大きいが、20〜60代の男女全てでテレビの視聴時間は減少傾向にある。テレビの視聴時間が減る一方、ネットの利用時間は格段に増加している。

 男性アイドルのトップに君臨するジャニーズは、先述の通りネットよりもテレビに重きを置いている。しかし、テレビそのものが衰退し始めていることによって、ネットで活動する男性アイドルグループが顧客の心をつかみファン層を拡大、一気に市場が台頭しているのだ。

 フォッグの関根氏はこう言う。「アイドル産業はいわば、レジャーのようなもの。『コト消費』でファンの心を掴めるかが、重要になってくる」。かつて人気アイドルと言えば、テレビで頻繁に目にするお茶の間の人気者だった。それが、ネットの台頭でテレビ離れや歌番組の消滅が一斉に起き、アイドルたちはSNSやYouTubeなどのネットを使った「コト消費」でファンの欲求を満たすことを重視し始めている。結果、様々な男性アイドルにもビジネスチャンスが広がり、ジャニーズ、EXILE、韓流だけだった男性アイドル市場に確実に地殻変動を起こしている。


このコラムについて

アイドル産業に学ぶ
日経ビジネスの読者から“最も遠い産業”、アイドルビジネス。
そんな分野に、日本企業が抱える様々な課題を解決する多くのヒントが隠されている、などと主張して何人の読者が信じてくれるだろうか。
アイドル産業は不安定な業界であるがゆえに、経営システムを独自に進化させざるを得なかった。
その結果、ずば抜けた「変化対応力」「顧客管理力」「グローバル力」を磨き、今に至っている。
戦後72年間、紆余曲折を経ながらエンターテインメント産業の中核に彼らが居続けるのはその紛れもない証拠だ。
前代未聞の日本企業再生論、まもなく開演。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/033000127/040300002
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/693.html

[戦争b19] 米中が朝鮮半島で談合する時 早読み深読み朝鮮半島 「北の核」と「米韓同盟」を取引しよう『孤立する韓国「核武装」に走る」
米中が朝鮮半島で談合する時

早読み 深読み 朝鮮半島

「北の核」と「米韓同盟」を取引しよう
2017年4月5日(水)
鈴置 高史

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/040300100/aflo_LKGB107937.jpg
「ヤルタ体制に戻れ」。中国の学者の主張が注目を集めている(写真:AP/アフロ)
(前回から読む)

 「米中が協力し朝鮮半島を統一・中立化する」構想が米中双方で語られる。北朝鮮から「核」を取り上げるのが目的だ。

「韓国主導で統一を」と中国学者

鈴置:今、アジア専門家の間で注目を集めている講演があります。中国の有力な学者が「韓国が主導する朝鮮半島の統一」を訴えたのです。

 主張したのは中国の冷戦研究の第一人者と言われる華東師範大学の沈志華教授です。中朝関係史に詳しく、豊富な資料を駆使して『最後の「天朝」』(日本語)を書いた人でもあります。「中国と北朝鮮は血盟の間柄」との神話を打ち砕いた大著です。

 沈志華教授は3月19日、大連外国語大学で「中朝関係史の角度から見た『THAAD問題』」(中国語)と題し講演しました。講演筆記は中国のSNS(交流サイト)の「微博」など、ネットで読めます。

「韓国による統一」に中国政府が動く可能性があるのですか?

鈴置:この講演の存在をご教示下さった中国研究者の辻康吾氏は「『韓国による統一』を中国政府が直ちに受け入れるとは考えにくい。しかし、こうした主張が堂々と中国のネットに掲載されていることには注目すべきだ」と語っています。

 これは私の見方ですが、この講演が広く公開されているのは「1つの選択肢として提示し、米国の反応を見る」目的と思います。

 「韓国による統一」は上手にやれば中国の利益になりますが、その実現は米中の足並みがそろわなければ難しいからです。

 辻康吾氏は毎日新聞の香港・北京支局長を歴任した後、東海大学と獨協大学の教授を経て、現代中国資料研究会代表を務めるベテランの中国学者です。講演筆記は長文なので、辻康吾氏による抄訳を以下に引用します。

北は敵、南は友人

表面的には中朝は同盟関係にあり、米国と日本が支持する韓国は北朝鮮と対峙している。だが、これは冷戦の遺物に過ぎない。状況は根本的に変化した。北朝鮮は中国の潜在的な敵となる一方、韓国は中国の友人となった。
中朝が朝鮮戦争を共に戦ったことによる特殊な関係はすでに瓦解した。原因は3つある。1970年代初めから中・米関係が大きく改善したという「外交的要因」。北朝鮮が欲しいものは何でも与えるという姿勢を中国が改めたことによる「経済的要因」。そして1992年の中韓国交正常化という「政治的要因」だ。
中朝関係の根本的変化が北朝鮮を孤立させ、その核開発を引き起こした。北朝鮮の相次ぐ核実験が朝鮮半島の危機をエスカレートし、中国を取り巻く環境を不安定にした。
中国の根本的な利益には平穏な環境、対外発展が必要だが、北朝鮮の核武装で失われた。中朝の利益は必然的に対立している。であるからして北朝鮮の核問題は中国が主導的に解決すべきである。北朝鮮の立場に立っての解決は不可能なのだ。
米・朝を喜ばせた「中韓」の悪化

「中国が主導的に解決すべき」とは?

鈴置:中国政府はこれまで「北朝鮮の核問題は米朝が対立していることが原因だ。解決には米朝対話が不可欠だ」と主張してきました。

 沈志華教授は「そんな外交的レトリックを使って逃げてばかりでは、問題は解決しない」と断言。そのうえで「こうした受け身の姿勢により、敵に得点を与えている」と政府を厳しく批判しました。

 「敵に得点」とは北朝鮮の核武装を放置したため、東北アジアでの戦力増強や「米日韓3国軍事同盟」結成の名分を米国に与えたことです。

 さらには、米軍の戦力増強の一環であるTHAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)配備により、中韓関係が悪化したことです。沈志華教授は、これも米国と北朝鮮を喜ばせるだけだった、と言うのです。

兵糧攻めで「統一」を飲ませる

今の状況は、中国からは「米国の得点」に見えるのですね。

鈴置:米国や日本からは「北朝鮮の核武装を暗黙裡に認めることで中国は、在韓米軍撤収や米韓同盟廃棄と交換するカードを着実に作っている」と見えるのですがね。

 実際、中国はしばしば「米韓合同軍事演習の中断と、核実験の中断を交換せよ」と米朝に呼び掛けます。表「朝鮮半島を巡る米・中のカード」で示したように、米朝対話のシナリオの大団円として中国は「米韓同盟廃棄」を考えていると思われます。

朝鮮半島を巡る米・中のカード
米国 中国
THAAD配備留保 従来より強い対北朝鮮制裁容認
米韓合同軍事演習の中断と一部制裁の解除 北朝鮮の核・ミサイル実験の中断
米朝平和協定(不可侵協定)の締結
 ・米朝国交正常化
 ・在韓米地上軍撤収
 ・在韓米軍撤収
 ・米韓同盟廃棄 北朝鮮の核兵器廃棄
 ・核弾頭の増産中断
 ・弾頭再突入技術の開発中断
 ・弾頭小型化技術の開発中断
 ・保有核兵器の全廃
「朝鮮半島の非核化・中立化」の制度的保障
注)左右の項目は必ずしも連動しない
では、沈志華教授はどんな大団円を主張するのですか。

鈴置:結局は「米韓同盟廃棄」ということなのでしょうが、表向きは「南北統一」を掲げています。講演では以下のように語っています。

(中国にとって必要な)米日韓3国軍事同盟の打破と、朝鮮半島の長期的な平和には第1に「統一」、第2に「米国との関係」がポイントになる。
 そして「統一された朝鮮半島は中国の脅威にならない」「それどころか韓国主導の統一国家は、中国・東北部の経済発展に大きく寄与する」と強調したのです。

確かに統一すれば、米国や韓国に負けまいと作った北朝鮮の核は不要になります。でも、どうやって統一に持って行くのでしょうか。

鈴置:ええ、その疑問がわきます。「統一」が簡単にできるのなら、とっくにしているはずです。ことに「韓国主導の統一」を北朝鮮が素直に飲むとは思えません。途方もない状況を作れば別ですが。

 沈志華教授は講演で「統一」に至るプロセスに一切、触れていません。が、現実には「途方もない状況を作る」――例えば、中国が北朝鮮との貿易を完全に中断して兵糧攻めにする――くらいしか選択肢はありませんので、それを念頭に置いていると思います。

 あるいは米国が北朝鮮の核・ミサイル施設を先制攻撃し、金正恩(キム・ジョンウン)政権が死に体となった後の「出口戦略」として「韓国による統一」が有効と考えているのかもしれません。

人民解放軍が北に侵攻

中国は「米国による対北先制攻撃」は、何が何でも阻止したいのではありませんか?

鈴置:中国政府はその姿勢を打ち出してはいます。しかし「米国による北の核開発能力の除去」、果ては「金正恩の除去」を期待する中国の専門家もいます。

 何と、中国人の学者が米国での講演会で堂々とそう語ったのです。聯合ニュースが「China scholars, policy makers begin talking about supporting surgical strike on N.K.: Chinese professor 」(2016年10月7日、英語版)で報じています。以下は前文と本文の書き出し部分の邦訳です。

中国の学者と当局者が、北朝鮮への外科手術的な攻撃と指導者である金正恩の権力からの追い落としを、政策の選択肢として支持する方向で議論し始めた。
コロンビア大学(Columbia University)のZhe Sun上級客員研究員がワシントンで開いた安全保障に関するフォーラムで、そうした会話が中国の指導層で交わされていると明かした。
 情報源を明示した上での報道です。記事によると、Zhe Sun上級客員研究員は以下のように踏み込んで語りました。

米韓による「外科的手術と首のすげ替え」を支持すべきだと語り始めた学者や当局者がいる。もっと過激な意見もある。中国が指導者(金正恩)を換えねばならない。軍が国境を超えて北朝鮮に駐屯し、核開発の放棄と改革開放政策の採用を迫る――との意見だ。
暗殺事件の引き金か

金正恩がこれを読んだらパニックに陥ったでしょうね。

鈴置:そう思います。隣の大国、それも同盟国が自分の国への侵攻と自身の「除去」を議論し始めたのです。この記事は英文でしたので、そのまま世界中の媒体に掲載されました。「面子も丸つぶれ」です。

 マレーシアでの異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏暗殺事件(2017年2月13日)は、この記事が引き金となった可能性があります。「首をすげ換える」としたら、金正男氏が後継と見なされていましたから。

中国の人民解放軍が北朝鮮に侵攻して核開発を止める、なんてことがあり得るのでしょうか。

鈴置:米国に先に実施されて主導権を握られるぐらいなら、自分が先にやろうと中国が考えても不思議ではありません。

 ちなみに、私の書いた近未来小説『朝鮮半島201Z年』(2010年11月刊)でも、米軍ではなく中国軍が北朝鮮に侵攻して「核」を北から取り上げます。

北京の目と鼻の先に空軍基地

なるほど「中国による侵攻」も否定できないのですね。では「統一韓国」が生まれた後、米韓同盟はどうすべきだと沈志華教授は言っていますか?

鈴置:それにも明確には言及していません。しかし米韓同盟は当然、廃棄すべきだと考えていると思います。そうしなければ中国は米軍が駐留する「統一韓国」と国境を接してしまいます。

 北朝鮮を消滅させるために汗をかく中国としては割の悪い話です。それを避けるために、米軍は朝鮮半島南部――現在の韓国にだけ駐留できるとの約束を取り付ける手もあります。

 しかし今や、米国と対等な関係を目指す中国人の目には、それも不愉快千万な状況に映るでしょう。中国は米国のそばに軍事基地を持たない半面、米国は北京と目の鼻の先の韓国に空軍基地を置き続けるのですから。

韓国の反米情緒を活用

韓国が同盟廃棄を飲むと沈志華教授は考えているのですか?

鈴置:直接的には語っていませんが、講演では「米日韓3国軍事同盟」に関連し、次のように述べています。

韓国には親米勢力と反米勢力が存在する。外交的な手段を上手に駆使すれば韓国の反米情緒をかき立て、反米勢力をして「3国軍事同盟」を解体することができる。
 統一すれば、反米派の「米国との同盟は不要」との主張がより説得力を持つようになります。仮想敵である北朝鮮が消滅するのですから。

しかし、中国というもっと大きな脅威と国境を接することになりませんか、「統一韓国」は。

鈴置:それを懸念して米国との同盟を続けたいと考える韓国人もいるでしょう。ただ日本人や米国人が想像するほどには、彼らの「中国に対する恐怖」は大きくないと思います。

 千数百年間にわたって、朝鮮半島の歴代王朝は中国大陸の帝国の一部――朝貢国でした。「中国人の下で生きて行くこと」に韓国人は慣れているのです。それを楽しいと思うかは別の問題ですが。

ヤルタ体制に戻れ

米国は米韓同盟の廃棄に応じると沈志華教授は見ているのですか。

鈴置:少なくとも呼び掛ける価値は十分にあると考えているようです。先ほど引用した部分でも「朝鮮半島の長期的な平和には『統一』に加え『米国との関係』がポイント」と言っています。

 辻康吾氏は沈志華教授の講演の最後の部分「冷戦で崩壊してしまったヤルタ体制に戻れ」に注目します。中国にとって「ヤルタ体制」とは「アジアのことは中国が仕切る」との国際的な約束なのです。

 沈志華教授は「ヤルタ体制では朝鮮半島や台湾は米国の防衛線の外に置かれた」とも語っています。それからすると「統一韓国」は中国のシマになるべきと考えているはずです。狙いは最低で朝鮮半島の中立化、できれば「統一韓国」と中国の同盟でしょう。

 トランプ政権が北朝鮮の核武装阻止に本気で動き始めました。中国にとっては「北の核」と「米韓同盟」を同時に廃棄しようと米国に取引を持ちかける、絶好のチャンスが来たのです。

 沈志華教授はそれを「韓国による統一」という糖衣でくるみ、米国や韓国が飲みやすくしたのです。もちろん北朝鮮に配慮せねばならない中国政府は「過激な意見」と見なすのでしょうが。形式的ではありますが中朝同盟はまだ、存在しています。

米国から呼応

米国が韓国を見捨てるでしょうか?

鈴置:興味深いことに、沈志華教授が「朝鮮半島の統一」――本音ベースでは「ヤルタ体制への復帰」を唱えた直後に、それに呼応するような意見が米国で語られました。

 「核問題解決には、米中が協力して朝鮮半島の統一と非同盟化を進めるしかない」との論文が有力外交誌に載ったのです。「米韓同盟を打ち切る」つまり「韓国を見捨てる」のが前提の議論です。

 「Foreign Policy」の「China and America Need a One-Korea Policy」(3月21日、英語)です。

4月6、7日と米国で米中首脳会談が開かれます。

鈴置:いずれの記事も、それに合わせて掲載されたかと思われます。

(次回に続く)=4月6日に掲載予定

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『孤立する韓国、「核武装」に走る』

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ

北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。

もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。

目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。

◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録

『中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』 に続く待望のシリーズ第9弾。10月25日発行。

このコラムについて

早読み 深読み 朝鮮半島
朝鮮半島情勢を軸に、アジアのこれからを読み解いていくコラム。著者は日本経済新聞の編集委員。朝鮮半島の将来を予測したシナリオ的小説『朝鮮半島201Z年』を刊行している。その中で登場人物に「しかし今、韓国研究は面白いでしょう。中国が軸となってモノゴトが動くようになったので、皆、中国をカバーしたがる。だけど、日本の風上にある韓国を観察することで“中国台風”の進路や強さ、被害をいち早く予想できる」と語らせている。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/040300100

 

米国から「同盟国」と呼ばれなくなった韓国

早読み 深読み 朝鮮半島

「食事会なし」で韓国を離れた米国務長官
2017年3月23日(木)
鈴置 高史

尹炳世外相と臨んだ会見で、ティラーソン国務長官は厳しい表情を見せた(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(前回から読む)

 米韓の間の外交的な亀裂が、傍目にも分かるほどに広がった。

岸田外相とは飯を食べたのに

鈴置:米国のティラーソン(Rex Tillerson)国務長官の訪韓で騒ぎが起きました。国務長官は3月15日からの訪日の後、17日にソウル入りしました。

 米国は現在、THAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)の在韓米軍への配備を進めています。それを韓国が邪魔しないよう督励に来たのです。

 マティス(James Mattis)国防長官らの訪韓と同様、対韓圧力の一環です(「米国のTHAADを巡る対韓圧力」参照)。

米国のTHAADを巡る対韓圧力
2016年
12月20日 安全保障補佐官に内定のフリン元陸軍中将、訪米した韓国政府高官に「THAAD配備は米韓同盟の強固さの象徴」
2017年
1月31日 訪韓を前にしたマティス国防長官、韓民求国防長官に電話し、THAAD配備を確認
2月2日 マティス国防長官、訪韓し「北朝鮮の核の脅威が最優先課題」と表明、THAAD配備も再確認
3月1日 マクスター安全保障補佐官と金寛鎮・国家安保室長、電話会談し「THAAD配備を再確認」
3月1日 マティス、韓民求の米韓両国防長官、電話で会談しTHAAD配備を再確認
3月6日 米軍、THAADの一部機材を烏山空軍基地に搬入
3月17日 訪韓したティラーソン国務長官、会見で「韓国の次期政権もTHAADを支持することを期待する」
 ティラーソン国務長官は翌18日に北京に向かいましたが、韓国政府の誰とも食事をしませんでした。これが騒ぎの発端です。

 韓国各紙は「尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官が夕食に誘ったのに断られた」と一斉に書きました。

 中央日報の「米国務長官、日本外相と1時間の夕食会、韓国では会談だけ」(3月18日、日本語版)から引用します。

予想されていた尹長官との夕食会がなかった。韓国側は今回の訪韓を契機に両国外相間のスキンシップ強化を内心望んでいた。
このため外交部は当初、夕食会の日程を構想していたが、ティラーソン長官は個人の日程を消化するという立場だった。外交部は招待を断られる格好となった。
ティラーソン長官は岸田外相とは3月16日午後5時40分から1時間ほど業務協議を兼ねて夕食会をした。
同長官は3月17日の晩、ナッパー(Marc Knapper)駐韓米国大使代理と食事をし、韓国の動向などについて報告を受けたという。
国務長官の「疲れ」のせいだ

「差別された」と怒っているのですね。

鈴置:韓国人はどんなことでも「日本並み」の待遇を受けないと怒り出します。当然、この怒りを英語でも発信しました。

 コリア・ヘラルド(The Korea Herald)はティラーソン訪韓のまとめ記事「US says 'strategic patience' on NK is over」(3月17日、英語)の最後でそれを訴えました。

Tillerson spent almost 2 1/2 hours with Japanese Foreign Minister Kishida including a dinner, and another hour with Prime Minister Abe. But his meetings with Yun and Hwang were each confined to about an hour, without a lunch or dinner gathering. Seoul officials said the US side opted not to have a meal together, citing the secretary’s “fatigue.”
 岸田外相とは夕食付きで2時間半も話したのに、尹外相とはたったの1時間。ランチも夕食もなかった――という恨み節です。

 これだけなら「また韓国人がひがんでいるな」という話で終わったと思います。が、韓国の役人が言ったとされる「余計な一言」が問題に火を付けました。「食事なしはティラーソン長官の疲労のせい」との部分です。

 米国の外交界には「韓国疲れ」(Korea Fatigue)という言葉があります。日本の足を引っ張ろうと韓国政府が「日本の首相を米議会で演説させるな」などと無理難題を言うようになったからです(「米国の『うんざり』が『嫌韓』に変わる時」参照)。

 米国の外交担当者は一時は韓国人に会うのも嫌がるようになりました(「『アベの米議会演説阻止』で自爆した韓国」参照)。でも、今回の「疲れ」は肉体的な「疲労」です。

 この記事を読んだ誰もが「それぐらいの体力がなくて米国の国務長官が務まるものか」と考えたことでしょう。さっそく、世界のメディアがこの記事を引用しました。

 ワシントン政界に大きな影響力を持つ政治サイト「ザ・ヒル(The Hill)」は「Report: Tillerson cuts short South Korean Visit, citing ‘fatigue’」(3月17日、英語)と「疲労」を見出しにとりました。

 訪韓のまとめ記事ですが「疲労のために訪韓日程をはしょった話」から書き起こしています。

韓国政府は嘘八百

なぜ、韓国の役人は「疲れのせい」にしたのでしょうか。

鈴置:米国側の、それも不可抗力の理由にしておかないと「日本と比べ軽んじられた」との怒りが、自分たちに向くと思ったからでしょう。韓国の役人が本当にそう言ったとしての話ですが。

 国務長官としての資質に疑問を付けられたティラーソン長官は、直ちに反論しました。3月18日、ソウルから北京に向かう機中で、ただ1社だけ長官搭乗機への同乗を許されたウェブメディア「インデペンデント・ジャーナル・レビュー」(IJR)の記者に以下のように語ったのです。

 「Transcript: Independent Journal Review’s Sit-Down Interview with Secretary of State Rex Tillerson」(英語)から引用します。記者の初めの質問が「韓国紙は疲労から夕食会を断ったと報じているが、何があったのか?」で、それへの答えです。

They never invited us for dinner, then at the last minute they realized that optically it wasn’t playing very well in public for them, so they put out a statement that we didn’t have dinner because I was tired.
 ティラーソン長官は「私が夕食会を断ったのではない。韓国政府が招いてくれなかったのだ」と明言しました。さらには「それが明らかになると世論に悪い影響が出ると気がついた韓国政府が、私の疲労のせいにしたのだ」と言い切りました。

 すると記者がすかさず「韓国側が嘘を言っているのですね?」と確認しました。それに対してティラーソン長官は「いや、状況を説明しただけだ」と答えました。

中国の顔色を見た韓国

「状況を説明しただけ」ですか……。

鈴置:「韓国人が嘘つきと大声で言うつもりはないが、彼らの言っていることは嘘だ」ということです。

 長官は自らの主張を補強するためでしょう、「政府高官の日程はホスト国が組むものだ」と付け加えています。

どちらの言っていることが本当なのでしょうか。

鈴置:それに関しては「ヴァンダービルド」のペンネームで外交・安保に精力的に筆をふるう韓国の識者が考察を加えています。

 崔甲済(チェ・カプチェ)ドットコムの「朴槿恵の最悪の失策は尹炳世の起用」(3月20日、韓国語)の一部を翻訳します。

ティラーソン長官の主張が事実なら「尹炳世の外交部」の態度(思惑)を以下のように推定(仮定)しても無理筋ではない。
「中国はTHAAD配備に反対している。ティラーソン長官は配備を督励(強調)するために韓国に来た。その長官を我々(韓国外交部)が手厚くもてなせば、中国が不快に思うことだろう」
「ズボンが破れた」と言い訳

「飯なし」は中国の顔色を見てのことだった、というのですね。

鈴置:十二分にあり得る話です。中国の反対を懸念して韓国外交部はTHAAD配備に消極的でした。朴槿恵政権内部でも、配備派の国防部と厳しく対立していました。

 2016年7月8日、国防部は在韓米軍司令部と突然、「2017年末までの配備に合意した」と発表したのです。この時「尹炳世の外交部」は決定に「すねて見せる」パフォーマンスを敢行しました。

 国防部の記者会見と同時刻に尹炳世長官は「ズボンが破れた」と称し、ソウル市内の百貨店の紳士服売り場でショッピングをして見せたのです(「『中国入り陣営寸前』で踏みとどまった」参照)。

 外相として顔を出してもいい会見には出ず、敢えて衆目の中で買い物をする――。韓国では「私は配備に反対しました」との中国に対する言い訳だったと見なされました。

 中国に気に入られるためなら、せこいパフォーマンスを平気でやる外相ということです。である以上は今回の「飯なし事件」の犯人も韓国側と見なされてもおかしくはありません。

安倍首相にも「飯なし」

そう言えば、訪韓した安倍晋三首相に対しても「飯なし」でしたね。

鈴置:2015年11月、日中韓首脳会談に出席するため訪韓した安倍首相は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と2国間でも会談しました。が、食事には招待されませんでした。朴槿恵大統領は李克強首相に対しては晩さん会で歓迎しましたから、露骨な嫌がらせです。

 どの国でもそうですが、ことに韓国では客に飯を出さないというのは異常なこと。当時、韓国では「いくら日本との関係が悪いからと言って、これは恥ずかしい」との声も上がりました。

 ヴァンダービルド氏も先ほど引用した記事で、安倍首相とティラーソン長官がそれぞれ経験した「飯なし事件」を並べて書いています。以下です。

「尹炳世の外交部」にはすでに「反日に迎合する昼食不提供(対安倍)」という前科がある。先の推定が正しければ、今回は「親中に迎合する夕食不提供(対米国)」である。
中国の顔色を見、反日勢力の顔色を見るためなら、友好国(米日)との外交に悪影響を及ぼす非礼も辞さないアマチュア(国益毀損)外交を「尹炳世の外交部」は展開してきたのだ。
「文在寅の門前」に市

韓国人はよほど中国が怖いのですね。

鈴置:元・朝貢国とはそういうものなのでしょう。もっとも「尹炳世の外交部」が顔色を見るのは中国だけではありません。

 5月9日の大統領選挙で本命と見られるのが文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」前代表です。

 朴槿恵前大統領の「国政壟断事件」が起きる直前には、北朝鮮との関係を疑われて支持率が低迷していました。というのに大統領の弾劾事件を主導した形となって、他を大きく引き離す人気No.1候補に躍り出たのです。

 文在寅・前代表は反米左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で秘書室長を務めました。今も「大統領になったら、THAAD配備の見直しや開城工業団地の再開を検討する」と明言しています。

 そして「共に民主党」は大統領権限代行の黄教安(ファン・ギョアン)首相に対し「THAAD配備は国会の批准を得てからにせよ」と米国との約束をひっくり返すよう要求し始めました。

 朝鮮日報が「事前に約束もなしに突然、黄代行を訪れTHAADを抗議した民主党」(3月21日、韓国語版)で報じています。

 政権をとったかのような「共に民主党」の一連の振る舞いに、同紙は社説「いくら支持率1位とは言え、やり過ぎの民主党人士」(3月17日、韓国語版)で厳しく批判しています。

 一方、役人も次期政権で登用してもらおうと、文在寅氏の周辺に群がっています。朝鮮日報の「文の前に列を成す官僚たち」(3月17日、韓国語版)が詳しく報じました。

韓国はただのパートナー

それを聞くと今回の「飯なし事件」の犯人は「尹炳世の外交部」という気がしてきました。

鈴置:確たる証拠はありませんが、状況証拠では真黒です。ティラーソン長官も、そうしたレクチャーを受けたと思います。ちゃんと「お返し」しています。

 先に引用した「インデペンデント・ジャーナル・レビュー」(IJR)の「Transcript: Independent Journal Review’s Sit-Down Interview with Secretary of State Rex Tillerson」で、「尹炳世の外交部」を真っ青にさせる発言をしました。

 「韓国人の嘘」に関する会話の次に「日本に何を求めるか」と聞かれた長官は以下のように答えました。

Japan is ― because of the size of their economy ― they are our most important ally in the region, because of the standpoint of both security issues, economic issues, stability issues. So that’s not anything new. That’s been the situation now, for decades. South Korea, similarly, is an important partner relative to stability of northeast Asia.
 「日本は最も重要な同盟国」と語った後に、聞かれてもいない韓国に触れ「北東アジアを安定させるための重要な1つのパートナー」と述べたのです。

 韓国では「日本が最も重要な同盟国と位置付けられた半面、我が国は同盟国と呼んでもらえなかった」「米国にとって、我が国は『1つのパートナー』に過ぎない」と問題になりました。

 聯合ニュースのシム・インソン・ワシントン特派員の「ティラーソン『日本は同盟、韓国はパートナー』で論議、日本優先の本音が露呈?」(3月20日、韓国語版)は、必死で火を消そうとする韓国の外交関係者の発言を紹介しています。

ティラーソン長官はインタビューで米日と韓米関係に不均衡はないと言っている。全体の文脈を見れば「同盟」か「重要なパートナー」かに意味を与える必要はない。
 しかし、この記事はそれを否定する次のような「反証」も載せています。

米国の当局者は通常、友好国に言及する時には戦略的な重要度に応じて、同盟―友人―パートナーの順で言及する。
お灸を据えた米国

「同盟国事件」は、ひがみがちな韓国人の思い過ごしでしょうか。

鈴置:いいえ、ティラーソン長官は意図的に韓国を「同盟国」扱いしなかったのだと思います。

 この「たった1人の同行記者」との一問一答は実によく練られていて、米国政府の意向の微妙なヒダまで伝えています。

 例えば「日韓の核武装」というテーマにも触れていますが、日本で大騒ぎにならないよう言葉を選ぶ半面、「北の核武装を許すのなら日韓にもさせるぞ」と、ちゃんと中国を脅しています。

 米国政府の意向をとにかく正確に伝えることを狙ったこの記事で、不要な誤解を招く発言をするはずはありません。明らかに韓国にお灸を据えるために「同盟国から外した」のだと思います。

身から出たサビ

そもそも韓国は米国から離れ始めていますしね。

鈴置:そこです。韓国人は「米国が大事にしてくれない」と文句を言いますが、韓国自身が米中二股外交に邁進して来て今、一気に「離米」に動くところなのです。「軽んじられる」のは当然です。身から出たサビなのです。

 ことに第2次朝鮮戦争が始まるかもしれないという時です。米国にすれば、在韓米軍を守るTHAADの配備を韓国政府に邪魔されてはかなわない。

 ティラーソン長官の訪韓の最大の目的は、韓国が中国側に寝返ってTHAAD配備を拒否することを防ぐことでした。

 しかし5月中旬にスタートする次期政権は配備拒否に動く可能性が高い。現政権でさえ、中国の顔色を見るのに必死であることが現地に来てよく分かったことでしょう。

 となれば、ここで一発、韓国を脅しておく必要があります。「THAAD配備を拒否したら同盟を打ち切るぞ」――とです。

 同盟を直ちに打ち切るかはともかく、配備を拒否したら米国は在韓米軍の撤収に動くと見るのが日米の専門家の常識となっています。

 「パートナー」という言葉にも意味があるのかもしれません。米軍は北朝鮮の核武装を防ぐために韓国の基地を使う可能性が大です。

 「パートナー」からは「とにかく基地は使うからな。その後、同盟がどうなろうと気にしない。もう、お前は一時的な協力者に過ぎないのだ」との米国の気分が嗅ぎ取れます。

「米韓」は「日米」の下受け

ティラーソン長官の脅しは効きましたか?

鈴置:大いに効きました。韓国経済新聞の社説「『日本は核心同盟、韓国はパートナー』と述べた米国務長官」(3月21日、日本語版)は「同盟国事件」と「飯なし事件」に関し、強い懸念を表明しました。

韓米同盟は我々にとって死活的な利害関係だ。繁栄を可能にした原動力でもある。「隷属だ」と騒ぐ一部の声は民族主義的な安っぽい感傷論にすぎない。
米国は「アメリカファースト」のスローガンの下、外交安保葛藤を覚悟して原点から見直している。世界は動いているが、韓国外交部はどういう考えなのか心配だ。
 朝鮮日報は3月21日の社説「米国務長官の言葉通り、朝鮮半島の未来は予測できない」(韓国語版)で以下のように書きました。

トランプ政権は韓米同盟を米日同盟の下部システムと認識している感もある。米国の朝鮮半島政策と韓米関係が、これまでは想像もできなかった方向にも行くかもしれないという事実をまずは受け入れねばならぬようだ。
 「米韓同盟」は「日米」の下請けに過ぎなくなった。それに気づかず今まで通りに行動していると、米国から見捨てられるかもしれない、との焦りの表明です。

陳謝のためワシントンへ?

 中央日報の金玄基(キム・ヒョンギ)ワシントン総局長も同じ日に「あきれる韓国外交」(日本語版)を書きました。この記事は「飯なし事件」を主題にしていますが、興味深いくだりがあります。

怒ったティラーソン長官に陳謝でもするかのように、尹炳世外交部長官は会談4日後の21日、我々には特に急ぎでもない米国務省主催の「反イスラム国(IS)外相会議」に出席するためワシントンへ行く。
 確かに、尹外相のこの会議への参加発表には唐突感がありました。「陳謝」のための可能性が大です。記事は以下のように結ばれています。

朝米間、米中間の衝突より韓米間の衝突が先に発生するしかない構造だ。その場合、「コリアパッシング」どころか、韓米同盟64年の最大の危機を迎えることもある。大統領候補らはそのような覚悟ができているのか。
「名誉革命」が呼ぶ米韓同盟の危機

 ほとんどの保守系紙を含め、韓国メディアは「世界に誇る名誉革命」と、朴槿恵弾劾劇を誇って来ました(「『名誉革命』と韓国紙は自賛するのだが」参照)。

 でも、その結果「反米左派政権」が誕生しそうです。「革命」を煽っているうちに、国を滅ぼしかねない危険な穴に自らを落とし込んでしまったと保守系紙もようやく気がついたのです。今となってはもう、手遅れの気もしますが。

(次回に続く)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/032100099/
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/871.html

[不安と不健康18] “命のロウソク”DNAのテロメアを伸ばすには? おとなのカラダゼミナール テロメアが短いと動脈硬化、がんになりやすい
“命のロウソク”DNAのテロメアを伸ばすには?

おとなのカラダゼミナール

テロメアが短いと動脈硬化、がんになりやすいことが判明!
2017年4月5日(水)
伊藤和弘
聞きたかったけど、聞けなかった…。知ってるようで、知らなかった…。日常的な生活シーンにある「カラダの反応・仕組み」に関する謎について、真面目にかつ楽しく解説する連載コラム。酒席のうんちくネタに使うもよし、子どもからの素朴な質問に備えるもよし。人生の極上の“からだ知恵録”をお届けしよう。

 最近耳にする機会が多い気がする「テロメア」という言葉。これは細胞の染色体の末端にある特殊な構造物で、その長さを見ると人の寿命が分かるといわれているが、本当だろうか?

 テロメアの本来の役割は、染色体を保護し、染色体同士がくっついたりするのを防ぐこと。細胞が分裂するたびにテロメアは短くなっていき、ある程度まで短くなると細胞はもう分裂できなくなる。そのため、「老化の回数券」と呼ばれることもある。実際、赤ん坊のテロメアは長く、老人のテロメアは短いという。


細胞の染色体の末端部分にある、遺伝情報が入っていない特殊な構造物がテロメアだ。(近藤准教授の話を基に編集部で作成)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/091500068/040300013/1s.jpg

 ではテロメアというのは、落語の「死神」に出てくる「命のロウソク」みたいなものなのだろうか? 老化のメカニズムに詳しく、日本基礎老化学会理事も務める京都大学医学部附属病院(京都市左京区)地域ネットワーク医療部准教授の近藤祥司さんに聞いた。

テロメアが短くなると細胞は分裂しなくなる

 「そもそも染色体とは、ゲノムDNAにヒストンなどのたんぱく質がくっついて小さく折りたたまれたもの。DNAには4種類の塩基に遺伝情報が書き込まれています」と近藤さんは話し始めた。

 4種類の塩基とは、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)だ。DNAの上にはこの4種類の塩基があり、その並び方によって、すべての遺伝情報が伝えられる。

 哺乳類の場合、DNAの末端部分は「TTAGGG」という6個の塩基のセットがいくつも続く形になっている。この6塩基のリピート部分がテロメアだ。「ここには遺伝情報が入っていない。つまり、なくなっても大丈夫なようにできているんです」と近藤さんは説明する。

 細胞が分裂するときDNAがコピーされるが、完全にコピーすることはできず、末端の部分だけ欠けてしまうという。この欠ける部分がテロメアだ。染色体として見ると、細胞分裂する度に末端部分のテロメアが欠けて、短くなっていくことになる。

 「テロメアが一定以上に短くなると、染色体同士がくっついたり、染色体がちぎれたりすることで、異常な染色体ができてしまう。そのため、あるレベルまでテロメアが短くなると細胞は分裂しなくなります」(近藤さん)

テロメアが短いと動脈硬化が進んでいる

 テロメアの長さは血液中の白血球やリンパ球で調べることができる。先に触れたように、一般に赤ん坊より老人のほうがテロメアは短い。ある程度は年齢に比例するが、個人差が大きく、年齢が同じでもテロメアの長さが同じとは限らないという。

 では、テロメアを見ると、その人があと何年生きるか分かるのだろうか?

 「血管年齢のように、テロメア年齢という表現はできるかもしれません。ただし、細胞の老化はテロメアの長さだけでは決まらない。活性酸素による酸化ストレスなど、他の要因もありますから」と近藤さんは苦笑する。

 つまり、テロメアの長さは「細胞の老化度」を見るひとつの尺度にはなるが、それだけで「あと何年生きられます」などと単純に寿命を判断することはできないわけだ。

 とはいえ、テロメアが短いということは、それだけ細胞が老化しているとはいえるだろう。実際、「テロメアが短い人は動脈硬化が進んでいることが多い、といった報告はいくつもあります」と近藤さん。テロメアが短い人はがんになりやすい(*1)、テロメアが短いと心疾患と脳血管疾患のリスクが高くなる(*2)といったことも確認されている。

 単純に数値化はできないとしても、細胞の老化度を示すテロメアの長さは、その人の寿命とも無関係ではなさそうだ。

その気になればテロメアは“若返る”?

 テロメアはすり減っていく一方ではない。「最近の研究から、運動などの生活習慣によってテロメアが伸びることが分かってきました」と近藤さんは続ける。

 「テロメラーゼというテロメアを伸ばす酵素があります。これがあれば細胞が分裂してもテロメアは欠けない。生活習慣を改善することでテロメラーゼが活性化され、テロメア寿命を延ばすことができるんです」(近藤さん)

 ちなみに精子や卵子を作る生殖細胞やiPS細胞(人工多能性幹細胞)はテロメラーゼが活性化しているため、何回分裂してもテロメアが短くならない“不死の細胞”だ。

 同じ平均年齢51歳の集団で、若い頃から運動習慣のある人たちとない人たちの白血球を調べた研究がある。運動している人たちのほうがテロメラーゼ活性が高く、テロメアも長かった(*3)。

 カリフォルニア大学予防医学研究所のディーン・オーニッシュ所長は、35人の男性のうち10人にライフスタイルの改善を指導した。低脂肪で野菜や果物の多い食事、週5回以上の有酸素運動、ストレス管理など、トータルで「健康的な生活」をしてもらった。5年後に採血してテロメアの長さを測ると、何もしなかった人たちが3%短くなっていたのに対し、指導を受けたグループは逆に10%長くなっていたという(*4)。テロメアの長さだけを見れば“若返った”わけだ!

 つまり、「努力でテロメアを伸ばすことができるんです」と近藤さんは指摘する。

  *1 PLoS One. 2011;6(6):e20466
*2 BMJ. 2014 Jul 8;349:g4227
*3 Circulation. 2009 Dec 15;120(24):2438-47
*4 Lancet Oncol. 2013 Oct;14(11):1112-20
座っている時間が長いとテロメアは短くなる

 テロメアを伸ばすのは、それほどハードな運動ではない可能性も高い。

 最近は「セデンタリー」(=Sedentary、じっと座っていること)が健康に悪いことが注目されており、WHO(世界保健機関)は「セデンタリーはがん、糖尿病、心臓病のリスクを高める」と警告している。

 大阪大学が40〜70代の日本人約8万人を19年間追跡した調査もある。1日のテレビ視聴時間が2時間延びるごとに肺塞栓症による死亡率は1.4倍高くなり、1日5時間以上テレビを観る人の死亡率は2時間半未満の人の2.5倍だった(*5)。

 このセデンタリーは、どうやらテロメアの長さにも影響するらしい。

 スウェーデンで平均68歳の49人を運動するグループとしないグループに分けて、運動とテロメアの関係を調べた。6カ月間運動を続けた人たちは体重や体脂肪率が減少したが、意外なことにテロメアの長さは運動量とは関係しなかった。ところが運動と別に「1日に座っている時間」を調べてみると、座っている時間が短い人ほどテロメアが長いことが分かったのだ(*6)。

 テロメラーゼ活性を高めてテロメアを伸ばすには、まず健康的な食生活や運動を心がけること。それ以上に「まめに席を立ち、長時間座りっぱなしでいないこと」が大切なのかもしれない。

  *5 Circulation. 2016 Jul 26;134(4):355-7
*6 Br J Sports Med. 2014 Oct;48(19):1407-9
近藤祥司(こんどう ひろし)さん
京都大学医学部附属病院 地域ネットワーク医療部 准教授
近藤祥司(こんどう ひろし)さん 1967年生まれ。京都大学医学部卒業。ロンドン大学と英国がん研究所で細胞老化と解糖系代謝の研究をし、2006年に京都大学医学部附属病院にアンチエイジング外来を開設。2017年より現職。著書に『老化はなぜ進むのか―遺伝子レベルで解明された巧妙なメカニズム』(講談社ブルーバックス)、『老化という生存戦略―進化におけるトレードオフ』(日本評論社)など。

このコラムについて

おとなのカラダゼミナール
 聞きたかったけど、聞けなかった…。知ってるようで、知らなかった…。日常的な生活シーンにある「カラダの反応・仕組み」に関する謎について、真面目にかつ楽しく解説する連載。酒席のうんちくネタに使うもよし、子どもからの素朴な質問に備えるもよし。極上の“からだ知恵録”をお届けしよう。
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[政治・選挙・NHK223] 森友問題、やましくないなら早々に決着を  高市早苗総務相の寄付金控除問題 小宮一慶
森友問題、やましくないなら早々に決着を

小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字

2017年4月5日(水)
小宮 一慶
 森友学園の問題が世間を賑わせています。衆参の予算委員会は3月23日、同学園の籠池泰典理事長を証人喚問しました。政府・与党としてはここで決着させたかったのでしょうが、問題はむしろ拡大しつつあるように見え、終息の見通しも立たないままです。

 籠池氏がわざわざ自分から「昭恵夫人を通じて安倍首相から100万円を受け取った」と言い出しました。それが虚偽かどうか今の時点では不明ですが、籠池氏の個人的な感情があるからではないかと私は見ています。

 籠池氏は、安倍首相に心酔していると言っていいほど慕っていたという話があります。幼稚園児に運動会の場で首相に「ありがとうございます」と言わせ、首相の名前を小学校の校名に付けようとしたほどですからね。一方、安倍首相はそんな籠池氏に対して危機感を覚え、距離を置こうとしたのではないかとの見方がある。籠池氏は安倍首相に“ふられ”、逆上したのではないでしょうか。ひょっとしたら「死なばもろとも」と考えているのかもしれません。

 今回は、数字とは関係しませんが、森友問題について私の思うことを述べたいと思います。

国会での証人喚問で証言する森友学園の籠池氏(写真:つのだよしお/アフロ)
やましいことがないなら、早々に昭恵夫人を証人喚問すべき

 籠池氏の証人喚問では、安倍晋三首相の妻である昭恵夫人から寄付金100万円を受け取ったかどうかや、国有地売却において政治家の関与があったかどうかなどが問われました。

 私がまず思ったのは、なぜ政府・与党は籠池氏を偽証罪で告発しないのかということです。籠池氏は、「2015年9月5日、私と昭恵夫人の2人しかいない密室で100万円の現金が入った封筒を受け取った」と述べました。

 一方、安倍首相は「自分は寄付をしていないし、妻個人でも寄付はしていない」と反論しています。双方の言い分が完全に食い違っています。

 証人喚問の後、自民党幹部から「籠池氏は嘘つきだ」との声が上がっていました。そう言うならば、事実を明確にすればいいのではないでしょうか。

 政府は今のところ「二人きりの密室で、昭恵夫人が籠池氏に100万円を渡していないことを立証するのは難しい」として告発はしていません。

 確かに、密室で金銭の授受がなかったことを証明するのは難しいかもしれません。しかし、「二人だけで密室に入ったかどうか」は立証できるでしょう。首相夫人は秘書を同行させていたはずです。籠池氏の秘書も近くにいたはず。双方の秘書を証人喚問して、「二人だけで密室に入ったかどうか」の事実を問えばよいのです。密室に入っていなければ、現金の授受もなかったことになるわけですから。

 また、仮に安倍首相が森友学園に寄付していたとしても、逆にお金を受け取っていれば別ですが、それ自体に法律上の問題はありません。もちろん、「自分も妻も籠池氏との間に深い関わりはなかった」という首相の主張が“ウソ”だったことになるのはイヤでしょう。それでも、道義上の問題はあっても法律上の問題はないはずです。

 なぜ、政府・与党は偽証罪での告発をためらっているのでしょうか。偽証罪は裁判所で裁かれることになる。色々と詮索されるのは好ましくないと判断しているのだと考えればつじつまが合います。

国有地売却問題の「忖度」自体に違法性はない

 国有地取得問題では「忖度」という言葉が注目されています。財務省近畿財務局が安倍首相の考えを「忖度」し、籠池氏に配慮したかどうか、この点は証明のしようがないでしょう。昭恵夫人は、森友学園が新設する小学校の名誉校長に就任することになっていたわけですから、普通に考えて財務省は忖度すると思います。

 ただし、仮に財務省などが忖度していたとしても、それに関して、政治家の口利きや賄賂などの問題がないのならば、政治家や籠池氏の法律的な責任を問えるかどうかは分かりません。

 確かに、評価額9億6000万円の国有地が、ゴミの撤去費用8億2000万円を差し引いた1億3000万円で売却されたという話は、人々の疑念をかき立てる話です。しかし、「ゴミが埋まっているから土地を値下げする」こと自体に、その値下げ分が大きいという問題はあるものの、違法性はないのです。

 違法性が乏しいことに関して、何を隠し立てするのでしょうか。安倍首相は正々堂々とや関係者を証人喚問させて、事実関係を明らかにし、この問題をできるだけ早く決着すべきではないでしょうか。腹を探られたくない事情があると言われても仕方ありません。

 また、この問題に関して、大阪府に対して、小学校の建築費が3通りに提出されたことについては、違法性(補助金詐欺)の疑いが高いと考えられます。籠池氏本人も、国会の証人喚問の場で「刑事訴追の恐れがあるのでコメントしない」としています。これに関して、詐欺被害を受けた可能性があるのは大阪府です。

 この問題は刑事告発されていますが、報道によれば、告発したのは高松市の男性となっています。本来大阪府が告発すべきでしょうが、これも大阪府が最初に告発しなかったのは、検察や裁判の場で争いたくないことがあるからなのでしょうか。

 首相にしても、大阪府にしても、それをしないのは、何か探られたくないことがあるのではないかと疑わざるを得ません。世論調査でも7割以上の国民は納得していません。このまま何もしなければ、問題は長期化してしまうでしょう。そういった意味でも、夫人の証人喚問も含めて、首相は早期に手を打つべきでしょうが、それをできなければ、さらに疑念は深まるばかりです。

ロッキード事件に比べたら森友問題は卑小な話だが徹底究明を

 今回の一連の出来事で私が思い出したのは、「ロッキード事件」や「ダグラス・グラマン事件」での証人喚問です。私たちの世代には、大きく心に残る事件です。

 ダグラス・グラマン事件は自衛隊の次期主力戦闘機選定にからむ汚職事件でしたが、中心人物である当時の日商岩井の副社長だった海部八郎氏が証人喚問の場で極度に緊張する様子がテレビに映し出されました。手が震えて、証人宣誓書になかなか署名できなかったのです(海部氏は、その後、議院証言法違反容疑で逮捕)。

 ロッキード事件は、5億円という巨額の賄賂が動き、田中角栄元首相が逮捕されるという大事件でした。政商の名を欲しいままにした国際興業社主の小佐野賢治氏が証人喚問された時、「記憶にございません」を繰り返したエピソードは有名です。彼が非常に緊張していましたのもよく覚えています。

 これらの事件が発覚した当時の政財界の激震に比べれば、今回の森友問題など小さな話ですが、私が印象に残ったのは、籠池氏が証人喚問の場で、とても堂々としていたことです。それを見て私は、籠池氏は覚悟を決めていて、「死なばもろとも」と思っているのではないかと考えたのです。森友学園は、こういう状況では財政的にも維持は難しいでしょうからね。もちろん、それでも徹底解明をするのが筋であることは言うまでもありません。

 ところで、政治家とお金にまつわる別の話として、高市早苗総務相の寄付金控除問題について、私はとてもおかしな話だと思っています。

 高市氏は2012年11〜12月に、自分が代表を務める政党支部から1220万円を自分自身に移動し、再び1000万円を支部に寄付し、寄付金控除の還付金約300万円を受給したとして強く非難されています。

 自分のお金を政党支部に寄付したのならば何の問題もありません。しかし、支部から移したお金を往復させただけで300万円が生じるのはおかしな話です。本人は「法律的には違法性はない」としていますが、こうした“錬金術”が可能になるのは法律の盲点と言えるのではないしょうか。もちろん、政治家として倫理的にも大きな問題があります。法律を改正すべきですし、高市氏はそのお金を返還すべきです。

 いずれにしても、疑念だらけと言える現状で、後ろ向きの対応に非常に多くのエネルギーを取られている政府の現状ですが、「本物の」成長戦略策定など、国民のために早く本来のあるべき政治に戻ってほしいものです。

(つづく)


このコラムについて

小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字
 2020年東京五輪に向けて日本経済は回復するのか? 日銀の金融緩和はなぜ効果を出せないのか? トランプ米大統領が就任した後、世界経済はどこに向かうのか? 英国の離脱は欧州経済は何をもたらすのか? 中国経済の減速が日本に与える影響は?
 不確定要素が多く先行きが読みにくい今、確かな手がかりとなるのは「数字」です。経済指標を継続的に見ると、日本・世界経済の動きをつかむヒントが得られる。
 企業の動きも同様。決算書の数字から、安全性、収益性、将来性を推し量ることができる。
本コラムでは、経営コンサルタントの小宮一慶氏が、「経済の数字」と「会社の数字」の読み解き方をやさしく解説する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000037/040300009
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/578.html

[戦争b19] シリア 67人死亡 サリンなど神経ガス使用か  政権側は否定 動画
シリア 67人死亡 サリンなど神経ガス使用か
4月5日 6時51分
内戦が続くシリアで空爆が行われたあと、多くの市民が化学兵器の使用が疑われる症状を訴え、これまでに子どもを含む67人が死亡、およそ200人が病院で手当てを受けています。現地で活動しているNGOは、被害を受けた人々の症状から猛毒のサリンなどの神経ガスが使われた可能性が高いという見方を示しました。
シリア北西部イドリブ県の反政府勢力が支配する町で4日、激しい空爆があり、その後、付近にいた市民の多くが呼吸障害やおう吐、けいれんなど、化学兵器の使用が疑われる症状を訴えました。

シリア国内で医療機関を支援しているNGOによりますと、これまでに子どもを含む67人が死亡し、およそ200人が病院で手当てを受けています。

このNGOはNHKの取材に対し、被害を受けた人々は瞳孔が収縮するなどの症状を見せており、猛毒のサリンなどの神経ガスが使われた可能性が高いという見方を示しました。

シリアではアサド政権が4年前に化学兵器の廃棄に応じたあとも、塩素ガスなどを使った攻撃を続けていると指摘されていて、今回も反政府勢力は政権側によるものだと非難していますが、政権側は国営通信を通じて、これを否定し、反政府勢力による自作自演だと反論しています。

国連人権理事会が設けたシリアの人道状況を調べている調査団は4日、声明を出し、「攻撃を実行した者を特定しなければならない」として、国連が主体となり、現地調査を行う必要性を強調しました。
国連安保理 緊急会合へ
ニューヨークの国連本部では4日、イギリスとフランスが安保理で緊急の会合を開くよう議長国のアメリカに要請しました。

これを受けて、アメリカのヘイリー国連大使は記者団に、「シリアで起きた化学兵器による攻撃は極めて深刻な事態だ」と述べ、5日午前10時(日本時間5日午後11時)に緊急の会合を開催することを明らかにしました。

また、国連のデュジャリック報道官は4日の定例の記者会見で、「化学兵器の使用は、いかなる場合も世界の平和と安全にとって、重大な脅威であり、国際法の深刻な違反だ」と述べ、厳しく非難しました。
米 攻撃を非難
シリア北西部での空爆で化学兵器が使用された可能性が出ていることについて、アメリカのトランプ大統領は4日、声明を出し、アサド政権による攻撃だとの見方を示したうえで、「女性や子どもを含む無実の市民に対する化学兵器を使った攻撃は無視できない。アメリカは同盟国とともにこの耐え難い行為を非難する」としています。

一方、ホワイトハウスのスパイサー報道官は、大統領が補佐官と対応を協議しているとしながらも、「これからどこに向かうのかに踏み込みたくない」と述べ、具体的な対応への言及は避けました。

アメリカのオバマ前政権は、アサド大統領の退陣を強く求めてきましたが、トランプ政権の高官は「シリアの人たちが自分で決めることだ」などと発言していて、アメリカが方針を転換する可能性があると受け止められています。

さらにスパイサー報道官は、2013年にもシリアで化学兵器が使用された際、オバマ前政権がシリアへの軍事行動の可能性を示唆しながら結局は見送ったことに触れ、「今回の攻撃もオバマ前政権の弱さと優柔不断さが招いた結果だ」と述べ、オバマ前政権に批判の矛先を向けました。

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シリア 化学兵器使用か 67人死亡 政権側は否定4月5日 5時28分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170405/k10010937371000.html


 

 

シリア 化学兵器使用か 67人死亡 政権側は否定
4月5日 5時28分
内戦が続くシリアで空爆が行われたあと、多くの市民が化学兵器の使用が疑われる症状を訴え、これまでに子どもを含む67人が死亡し、およそ200人が病院で手当てを受けています。反政府勢力はアサド政権側が化学兵器を使ったと非難していますが、政権側は、これを否定し、反政府勢力による自作自演だとしています。
シリア北西部イドリブ県の反政府勢力が支配する町で4日、激しい空爆があり、その後、付近にいた市民の多くが呼吸障害など化学兵器の使用が疑われる症状を訴えました。

シリア国内で医療機関を支援しているNGOによりますと、これまでに子どもを含む67人が死亡し、およそ200人が呼吸困難などを訴えて、病院で手当てを受けています。

シリアでは、アサド政権が4年前に化学兵器の廃棄に応じたあとも、塩素ガスなどを使った攻撃を続けていると指摘されていて、今回も、反政府勢力は政権側によるものだと非難していますが、政権側は国営通信を通じて、これを否定し、反政府勢力による自作自演だと反論しています。

シリアの内戦でアサド政権側が優勢となる中、イドリブ県は今も反政府勢力の数少ない拠点となっており、去年12月に政権側が北部のアレッポを制圧したあと、次の標的になることが懸念されていました。

国連人権理事会が設けたシリアの人道状況を調べている調査団は4日、声明を出し、「攻撃を実行した者を特定しなければならない」として、国連が主体となり現地調査を行う必要性を強調しました。
国連安保理 緊急会合開催へ
ニューヨークの国連本部では4日、イギリスとフランスが安保理で緊急の会合を開くよう議長国のアメリカに要請しました。

これを受けて、アメリカのヘイリー国連大使は記者団に、「シリアで起きた化学兵器による攻撃は極めて深刻な事態だ」と述べ、5日午前10時(日本時間5日午後11時)に緊急の会合を開催することを明らかにしました。

また、国連のデュジャリック報道官は4日の定例の記者会見で、「化学兵器の使用は、いかなる場合も世界の平和と安全にとって、重大な脅威であり、国際法の深刻な違反だ」と述べ、厳しく非難しました。
英外相「紛れもない戦争犯罪」
イギリスのジョンソン外相は4日、ロンドンで開かれた記者会見で、「この攻撃にアサド政権が関わっていたことが証明されれば、この政権が憎むべき存在だということが改めて、はっきりするだろう」と非難したうえで、「市民に対する攻撃に化学兵器を使用することは紛れもなく戦争犯罪に当たり、責任追及は免れない」と述べました。
仏大統領「アサド政権支持の国は重い責任」
フランスの大統領府は4日、オランド大統領の声明を発表し、「2013年の時のように、アサド大統領は国際社会で禁じられた手段で市民を攻撃した」として、4年前にシリアの首都ダマスカスの郊外で化学兵器が使われ多数の死傷者が出たことにも言及し、アサド政権を非難しました。
そして、「アサド政権は証拠を否定し、同盟国を頼りに罰を免れようとするだろうが、政権を支持する国は政治的にも人道的にも重い責任を負うことを改めて思い知るだろう」と述べ、アサド政権を擁護するロシアを暗に批判しました。

また、エロー外相も4日、声明を発表し、「国際社会が、この問題に注目し、責任を明確にして化学兵器の使用を根絶しなければならない」と述べ、国連の安全保障理事会でこの問題を協議するよう呼びかけました。
薗浦外務副大臣「英仏と連携」
薗浦外務副大臣は4日、滞在先のロンドンで記者団に対し、「イギリスやフランスなどと連携して、事実関係をまず確認したい」と述べ、国連の安全保障理事会の緊急会合の開催を求めたイギリスやフランスと連携して、対応していきたい考えを示しました。
そのうえで、こうした非人道的な状況が繰り返される事態を防ぎたいとして、シリアの化学兵器の廃棄をめぐる国際社会の取り組みに関与していく姿勢を示しました
ロシア国防省 関与を否定
シリア北西部での空爆に化学兵器が使われた可能性が出ていることについて、ロシア国防省は4日、「この地域で空爆は行っていない」として、ロシア軍の関与を否定しました。

ロシア軍は、シリアを拠点とする過激派組織IS=イスラミックステートをせん滅するとして、おととし9月からシリアでアサド政権の政府軍を支援して軍事作戦を続けています。
しかし、去年12月にアサド政権の政府軍とともに北部の要衝アレッポを制圧した際には、反政府勢力側の多くの市民が犠牲になったとして、欧米などから厳しい批判を受けています。

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化学兵器使用か シリア北西部 空爆で58人死亡4月4日 19時23分動画
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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170405/k10010937311000.html
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/872.html

[政治・選挙・NHK223] 官房長官「ミサイル落下は排他的経済水域内ではない」60キロ余飛行 テロ支援国家再指定なら金正恩「破れかぶれ」 悲惨な末路
官房長官「ミサイル落下は排他的経済水域内ではない」
4月5日 8時05分
菅官房長官は午前8時すぎから、臨時に記者会見し、「本日、午前6時42分ごろ、北朝鮮東岸より1発の弾道ミサイルが発射され、数十キロメートル飛しょうし、日本海に落下したと見られる。落下したのは、わが国の排他的経済水域内ではないと推定している」と述べました。
菅官房長官は臨時の記者会見で、「政府においては、総理大臣官邸の危機管理センターに設置している北朝鮮に関する官邸対策室において、情報を集約するとともに、関係省庁局長級会議を開催し、対応を協議した。引き続き、確認中だが、現時点において付近を航行する航空機や船舶への被害報告等の情報は確認されていない」と述べました。

また、菅官房長官は「今回の弾道ミサイルの発射は、航空機や船舶の安全確保の観点から極めて問題のある行為で、安保理決議等への明白な違反だ。わが国としては、北朝鮮のたび重なる挑発行為を断じて容認できず、北朝鮮に対し、厳重に抗議を行い、強く非難した。引き続き、情報の収集、分析に全力を挙げ、今後、追加して公表すべき情報を入手した場合には速やかに発表したい」と述べました。
防衛省・自衛隊 情報収集と警戒監視
防衛省によりますと、5日午前6時42分ごろ、北朝鮮の東岸より1発の弾道ミサイルが日本海に向けて発射され、数10キロ、飛しょうした模様だということです。これを受けて稲田防衛大臣は、防衛省・自衛隊に対し、引き続き、情報収集と警戒監視に万全を期すよう指示し、防衛省は、関係幹部による会議を開くなど、対応にあたっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170405/k10010937441000.html

 


 
北朝鮮が弾道ミサイル発射 約60キロ余飛行
4月5日 8時03分
韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が5日朝、東部のハムギョン南道、シンポ付近から、弾道ミサイル1発を発射したと発表しました。米韓両軍は、アメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席の初めての首脳会談が行われるのに合わせて、北朝鮮が何らかの挑発を行うおそれもあるとして、警戒と監視を強化していました。
韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が5日午前6時42分ごろ、東部のハムギョン南道、シンポ付近から、弾道ミサイル1発を発射したと発表しました。

弾道ミサイルは60キロ余り離れたところに落下したということで、韓国軍は、その種類などについて、アメリカ軍と連携して詳しい情報の収集を急いでいます。

北朝鮮は去年8月にも、同じシンポ付近からSLBM=潜水艦発射弾道ミサイル1発を発射し、ミサイルはおよそ500キロ飛行して、日本の防空識別圏の日本海に落下しました。このときは韓国政府の関係者が、ミサイルを1000キロ以上飛ばすことも可能だったとする見方を示していました。

一方、北朝鮮は先月6日、北西部のピョンアン北道トンチャンリ付近から、日本海に向けて弾道ミサイル4発を日本海に向けて同時に発射し、3発が日本の排他的経済水域に落下しました。

北朝鮮は、アメリカ軍と韓国軍が先月1日から行っている合同軍事演習に反発していたほか、6日から行われるアメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席の初めての首脳会談に合わせて何らかの挑発を行う可能性も指摘されていただけに、米韓両軍が警戒と監視を強化していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170405/k10010937431000.html

 


 
北朝鮮・金正恩「斬首作戦」決行リミットになった韓国大統領選 週刊実話 2017年4月4日 13時00分 (2017年4月5日 07時34分 更新)

 韓国最大野党「共に民主党」の文在寅前代表が次期大統領になる可能性が大。そうなれば在韓米軍を追い出し、金正恩朝鮮労働党委員長と手を結ぶことは確実だ。その前にあの凶暴な独裁者を葬らないと、アジアは未曽有の危機に陥る。
 文氏については、トンチンカンな反日論調を繰り返す朝鮮日報でさえ的確な批判をしている。《文氏は『当選すれば直ちに開城工業団地と金剛山観光を再開する』と明言している。これらは国連による制裁に違反するのはもちろん、金正恩委員長の息を吹き返させ、米国とも深刻かつ無用な対立を引き起こすだろう》とまで言い切るのだ。

 北朝鮮と同様、文氏が在韓米軍の撤退を主要目標に掲げていることは周知の事実で、リベラル派のニューヨークタイムズでさえ、この幼稚な安全保障認識しか持たない次期大統領最有力候補を危険視し始めている。
 「オバマ前政権の対北政策である『戦略的忍耐』の結果はどうだったか。明らかに北朝鮮の作戦勝ちです。朝鮮日報も『オバマの対北政策は戦略的忍耐ではなく“意図的責任回避”だ』と酷評したことさえあった。オバマが手をこまねいている間に、北は過去5回の核実験を実施し、弾道ミサイル開発も米本土まで届くところまで来てしまった。移動式の連続発射技術も備え、第2撃を可能にする潜水艦発射弾道ミサイルの発射実験まで行ったといった具合に、着実に核能力を拡大しているのです。米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト『38ノース』によれば、北朝鮮北東部・豊渓里の核実験場の坑道入口で動きがあるとし、6回目の核実験に向けた準備ではないかと指摘しています。…


核の小型化にまい進している今、日米韓は金正恩の斬首作戦を実行しないと取り返しのつかないことになるのです」(軍事アナリスト)

 日本は今、豊洲移転問題や森友学園騒動でやかましいが、すでに北のミサイルが日本の防衛能力では迎撃できないレベルに達しているということに、もっと関心を持つべきだろう。北朝鮮は3月6日、弾道ミサイル4発を秋田と能登半島沖に同時発射。これに対し、日本が船舶に対する注意報を出したのは発射の13分後だ。北ミサイルの飛翔時間は10分以下だから、もしこれが東京だったら警報前に弾着している。
 「菅義偉官房長官は『事前通告なしに発射されたから、どこに飛ぶか察知は困難』と弁明しましたが、実戦で北が発射を事前通告してくれることなどあり得ません。日本のミサイル防衛費はすでに1兆8000億円に達していますが、そのカネは地震予知と同様、誰かの胃袋に収まり、屁と糞になって消えています。悔しいですが、韓国の保守派に“打倒文在寅”を果たしてもらう以外に日本が核の脅威から逃れるすべはありません」(軍事ジャーナリスト)

 現在、韓国にとって重要な戦略パートナーの日米両国の外交代表はソウルに駐在していない。米国大使の不在はトランプ政権誕生直後であり、まだ新任大使が決定されていないこともあるが、釜山の慰安婦像設置問題に抗議して帰国した長嶺安政日本大使はいまだ帰任していない。日米大使の同時不在という状況は、現在の韓国の“孤独死”を予見するに十分だ。…


 「韓国の保守派は、朝鮮半島の『赤化(共産主義)統一』を恐れており、左派政権発足を見越して“倒閣運動”の声を上げています。要するに弾劾決定は憲法違反だとして、『国民抵抗権』を発動するとの意思表明です。この権利は、政府が体制を揺るがすような政策を取った場合に、国民が街頭に出て政権を倒すことは憲法上許されるというもので、左右両派の大規模デモもそうですし、過去には李承晩政権を民衆が倒した『4・19革命』(1960年)を再現することなのです。右派は間違いなく逆襲に転じるでしょう」(大手紙元ソウル特派員)

 恐らく、選出された韓国の新大統領には訪問要請の招待状は一通も届かず、外国の国家元首は誰も訪韓しないだろうと、この元特派員は指摘する。そうならないと韓国国民は夢から覚めない。
 「北朝鮮の国連大使は、金正男氏暗殺のVXガスは韓国から搬入したものだと主張していますし、暗殺事件の黒幕は米国だと言い放ちファイティングポーズを取っている。一方、先頃、北京入りした米ティラーソン国務長官は、王毅外相に『米国の要求に従わない場合は、米国に進出している中国の銀行に制裁を課すことも検討中である』と伝えました。これに対して、中国は王外相に、『アジア情勢の悪化は米国の韓国へのTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備が原因であり、米韓軍事演習は直ちに止めるべきだ』と国連の安保理決議を無視したたわごとを繰り返し言わせ、その舌の根も乾かないうちに在韓米軍を監視するレーダーを追加配備して、朝鮮半島と日本全域を監視下に置きました。…


このシステムは一部の分析でTHAADレーダーの3〜4倍も強力なものだとされ、最新鋭のF35Bステルス戦闘機の動向さえ把握できるといわれます。中国は、韓国に自国に最も都合のいい大統領が誕生するとタカをくくっており、政権空白の現在の韓国には一連の中国の圧力をはねのける力はありません」(同)

 中国属国時代が復活する韓国と北朝鮮のタッグ――。日本にとっては悪夢の核武装国家“高麗連邦”の出現が目前に迫っているのだ。
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http://www.excite.co.jp/News/society_g/20170404/Weeklyjn_12428.html?_p=4

 


北朝鮮「テロ支援国家」再指定なら金正恩氏の「破れかぶれ」が加速する
高英起 | デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
4/4(火) 19:30
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金正恩氏
米下院は3日、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するよう求める法案を圧倒的な賛成多数(賛成394:反対1)で可決した。法案は今後、上院を通過し、大統領が署名すれば成立する。

可決後、法案を発議したテキサス州選出のテッド・フォー議員は金正恩党委員長を「Little Kim(キムの坊や)」と呼んで小馬鹿にし、敵意をむき出しにした。

法案の内容は、ティラーソン国務長官に対し法案成立から90日以内に北朝鮮がテロ支援国家の要件を満たしているかどうかを調査し、議会に報告することを求めるものだ。

その後、再指定を求める声はあちこちで上がっていたが、北朝鮮と対立を深めたオバマ前政権下においても、その要求は通らなかった。理由はいくつかあるが、北朝鮮が現在進行形でテロに関わっている具体的な証拠がなかったこともそのひとつだろう。

しかし、金正恩氏の異母兄・金正男(キム・ジョンナム)氏殺害の背後に北朝鮮がいるのは確実と見られている上、同事件で化学兵器の神経剤VXが使用されたこともあり、トランプ政権ならば、この法案が成立することは十分にあり得る。

北朝鮮は1988年1月から米国政府によりテロ支援国家に指定されていたが、核問題をめぐる6者協議の進展を受けて2008年10月に解除された。当初は米朝関係改善の足掛かりになるとの見方もあったが、結局のところ、状況に対した変化は起きなかった。米国は北朝鮮に対して多数の法律で何重にも制裁をかけており、ひとつを解除しただけではほとんど意味がないのだ。

そこで2009年7月、オバマ前政権のクリントン国務長官(当時)は次のような提案を行った。

「完全かつ後戻りできない非核化に同意すれば、米国と関係国は北朝鮮に対してインセンティブ・パッケージを与えるつもりだ。これには(米朝)国交正常化が含まれるだろう」

インセンティブ・パッケージとは、米国が国交正常化、体制保障、経済・エネルギー支援などを、北朝鮮は核開発プログラム、核関連施設はもちろん、ミサイルなどすべての交渉材料をテーブルに載せ、大規模な合意を目指すことを念頭に置いていたものとみられる。

ところが、北朝鮮はこれにも乗らなかった。理由はおそらく、人権問題である。米国にはブッシュ政権時代に出来た、北朝鮮人権法という法律がある。日本人拉致問題も含め、北朝鮮の人権状況が改善されない限り、米国から北朝鮮への人道支援以外の援助を禁止すると定めたものだ。

恐怖政治で国民を支配する北朝鮮の体制にとって、人権問題は体制の根幹に触れるものであり、交渉のテーブルに乗せることなどできるはずがない。

(参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」)

同じ理由から、仮にテロ支援国家に再指定されたとしても、正恩氏はさして痛痒を感じない可能性がある。北朝鮮の人権侵害は、正恩氏の時代になって悪化している部分もあり、「人道に対する罪」に問われかねない立場にある同氏は、国際社会に華々しくデビューすることなどかなわなくなっているのだ。

(参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認)

正恩氏がその状況を理解しているのならば、「テロ支援国家だろうが何だろうが、好きにしやがれ」という心境であるはずなのだ。そしてそうでなければ、衆人環視の中で兄を殺させるようなことはしないだろう。

こう考えてくると、正男氏殺害は核兵器開発や弾道ミサイル発射と同じく、正男氏の「あきらめ」あるいは「破れかぶれ」による暴走だったとも見ることができる。

いずれにせよ、北朝鮮がテロ支援国家に再指定されれば、正恩氏の暴走は拍車がかかる可能性がある。米国の政治家はこのことをよく考え、正恩氏の暴走に対する「次の一手」を用意しつつ行動してもらいたい。

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高英起
デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kohyoungki/20170404-00069535/

 


金正恩氏の治安部隊にはめられた女性を待つ悲惨な末路
高英起 | デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
4/5(水) 6:33
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金正恩氏
北朝鮮の内部資料を国外に持ち出そうとしていた女性が、当局に逮捕される事件が起きた。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、最近、道内の普天(ポチョン)郡の国境付近で、職業総同盟が発行した政治学習用の内部資料数冊を、中国側にいる何者かに手渡そうとしていた女性が国境警備隊に逮捕されてしまった。

女子大生を拷問
この資料は、当局が住民を対象に行っている政治講演会の講演提綱(レジュメ)と思われる。資料の具体的な内容は不明だが、逮捕されたのは咸鏡南道(ハムギョンナムド)洪原(ホンウォン)郡在住の女性。彼女は、国境警備隊の隊員にワイロを掴ませ、協力する約束を取り付けた上で資料を中国側に手渡そうとした。しかし、この隊員が密告したため、逮捕されてしまう。隊員にとっては、私腹を肥やし、実績も上げられて一石二鳥となった形だ。

金正恩党委員長は、国外へ情報が流出することや国内に情報が流入することを、体制を揺るがす不安材料と見て、極めてナーバスになっている。大々的な取り締まりを行う指示を繰り返し出しているが、今回のように内部資料が海外に持ち出される事例が後を絶たない。

資料だけでなく、口コミでの情報漏洩にも神経を尖らせている。ここ数年の北朝鮮では、スマートフォンのユーザーが拡大しているが、LINEやカカオトークなどのコミュニケーションアプリに対しても警戒を強めている。韓国と携帯通話しただけで、女性が見せしめで処刑されたケースすらある。

(参考記事:北朝鮮当局、韓国と「携帯通話」した女性3人を「見せしめ」で処刑)

相次ぐ情報漏洩に業を煮やした朝鮮労働党の組織指導部は、取り締まる側の秘密警察・国家保衛省(以下、保衛省)にさえ、大々的な検閲(監査)を行っており、多くの幹部が更迭されている。

そして、北朝鮮の住民にとって甚だ迷惑なことだが、保衛省の幹部たちはクビにされまいと、厳しい検閲を行い、必死に実績をあげようとしている。当局は、4月15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)までに検閲を終えるとしており、保衛省の幹部は、休日返上で住民の逮捕に血眼になっている。

保衛員にとって、適当な罪をでっち上げて逮捕することなど朝飯前だ。さらに、「隣人の動向を報告すれば、後日何かあったときに見逃してやる」と言って、住民間の相互監視を煽っている。もともと保衛省は拷問を伴った恐喝さえ厭わない残虐な治安機関だ。保身のために、罪なき人々が次から次へと逮捕される状況に、あちこちから非難の声が上がっている。

(参考記事:口に砂利を詰め顔面を串刺し…金正恩「拷問部隊」の恐喝ビジネス)

つい最近も、生活必需品と食品を中国に密輸出していた商人がスパイ容疑で逮捕されるという事件が起きた。これも一連の摘発キャンペーンを受けた密告によるものだと住民に知れ渡り、「いつ誰に密告されるわからない」という不信感が住民の間に漂っているという。

そうでなくても、住民たちは厳しい検閲に加えて連日の政治行事への動員で「毎日がつらい」とこぼしている。5月になれば、都市住民が農村に動員される「田植え戦闘」が始まるが、そのほうが今よりまだマシだろうとの声が上がるほどだ。

気になるのは、逮捕された女性のその後だが、間違いなくただではすまないだろう。金正恩体制になってから、北朝鮮の治安機関、とりわけ保衛省はあらゆる情報の流出入に対して厳しく対処しており、時には拷問も厭わない。韓流ビデオのファイルを保有していたという容疑だけで女子大生に過酷な拷問を加えるほどだ。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…)

件の女性は逮捕された理由が理由だけに、この女子大生以上に悲惨な末路がまっているだろう。

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高英起
デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kohyoungki/20170405-00069530/
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/583.html

[経世済民120] 東京23区の成年後見格差、認知症への支援を急げ 先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り 過熱する高齢者見守りビジネス最前線
【シリーズ:認知症700万人時代に備える】
PART1:

東京23区の成年後見格差、認知症への支援を急げ
2017/04/03
塩川慎也 (Wedge編集部)
 団塊の世代が75歳以上になる2025年、認知症の人が全国で最大約730万人に達すると見込まれている。25年の65歳以上高齢者数が約3650万人と予想されているため、実に5人に1人の高齢者が認知症という日が、8年後に迫っている。

(写真・ iStock)
 国は将来の「認知症社会」を見越して、2000年に判断能力が低下した高齢者や知的障害者等に代わって親族や弁護士などが財産の管理などができる「成年後見制度」を整えた。家庭裁判所から選任された「成年後見人」が、本人の預貯金の管理や不動産の処分などを行うとともに、介護サービスの利用や福祉施設・病院の入退院手続きといった日常生活にかかわる契約など(身上監護)を支援する。成年後見人は裁判所の決定により、本人の財産の一部から報酬を受け取ることができる。報酬額の目安は、基本報酬が管理する財産額に応じて月額2万〜6万円と幅があり、身上監護などで煩わしい案件に対応した場合は基本報酬の50%を上限に追加報酬が加算される。
パラサイトされる高齢者
 池田惠利子・あい権利擁護支援ネット理事は、「判断能力が低下しても、本人の意思を尊重した生活を後見人がマネジメントでき、経済的な搾取や虐待など権利侵害からも本人を守れる」と成年後見の意義を説く。
 「最近も90代の男性が70代の内縁の妻に連れられ介護保険の申請の相談にやってきました。事情を聞くと、近親者が身近にいない男性は、自宅を既に売却し、遺言状も作成済み。女性は無年金状態で、男性にパラサイトしている状態でした」
 経済的搾取の実態を打ち明ける墨田区地域包括支援センターの志賀美穂子・前センター長は、区と連携しながら、男性を説得した上で、成年後見を始めたという。
 また、東京都のある自治体の福祉担当者は家族による虐待を振り返る。
 「青あざを顔に作った女性に事情をきくと、同居する息子に暴力を振るわれ、預金や年金を横取りされていることも発覚しました。最初は自宅を出ることを嫌がっていましたが、本人納得の上で(本人や親族に代わって成年後見を申し立てる)首長申立てを行い、今は施設で安心して暮らしています」
 高齢者は犯罪や消費トラブルにも巻き込まれやすい。65歳以上が暮らす2350万世帯の内、単独もしくは夫婦のみ世帯が55%を占める。「高齢社会白書」(16年版)によると、振り込め詐欺被害件数の8割を60歳以上が占め、消費生活センターに寄せられた70歳以上の相談は20万件にものぼる。成年後見制度は、判断能力のレベルに応じて「補助」、「保佐」、「後見」の3類型に分かれるが、日常生活に支障がなくても、判断能力が不十分であれば「補助」の申し立てができる。しかし、制度の利用は進んでいない。
 現在は500万人超が認知症とされているが、成年後見制度(3類型の合計)の利用は15年末時点で約19万件に留まっている。「国民に制度を周知できていない」(法務省)ことも大きな理由の一つだが、利用を促進させるためには、「親族だけでなく、専門職、市民後見人、社協など、あらゆる分野で後見の担い手の養成を急がなければならない」(中央大学法学部・新井誠教授)。
 成年後見人(保佐人、補助人含む)の担い手はこの10年で様変わりした。04年には親族が8割、弁護士や司法書士などの第三者が2割だったが、15年には親族が3割、第三者が7割へと成年後見の専門職への「外注化」が顕著になっている。15年に全国で後見を開始した約3万5000件の内、4分の1強を占めたのは司法書士。成年後見センター・リーガルサポートの大貫正男相談役は、「1人で40〜50件の成年後見を行っている司法書士も出てきており、身上監護に重きを置いた後見ができるかが問われている。執務基準を策定するなどして後見の質を高めていきたい」と課題を口にする。

写真を拡大 成年後見人の7割は親族以外が占める 出所:最高裁判所の資料を基にウェッジ作成
 また、親族でも専門職でもない後見の担い手として期待される市民後見人の養成も徐々に進んでおり、全国で1万人に上るという。東京都江戸川区では講習を終えた67人の内、現在25人が後見人として活動している。その内の一人、皆川栄子さん(67歳)は80代女性の成年後見人を7年以上も務めている。「最初は不安でしたが、世の中に貢献していることを実感するので人生が充実しています」と、女性が入所する特別養護老人ホームに月1回のペースで通う。
 しかし、15年に新規で選任された市民後見人は、約200件と総数の1%にも満たない。というのも、市民後見人が選任されるには、「地域のサポートが必要」(最高裁家庭局・石井芳明課長)であるが、どこの地域も財政難で支援体制が弱いため、専門職が選任される傾向にある。
東京23区の「後見格差」
 東京23区の後見実績からも支援体制の地域差が窺える。

写真を拡大 東京23区でも成年後見利用に大きな地域差 出所:ウェッジ作成
注:社会福祉協議会の法人後見数および監査人件数は、2015年度末までの累積件数。江東区のみ未回答。首長申立件数は、各区の65歳以上人口(16年1月)1万人当たりの過去5年間(11〜15年)の区長申立件数。いずれのデータも高齢者関係のみ。
 例えば、社会福祉協議会が市民後見人の監督人を受任した件数(15年度末までの累計)が、品川区と世田谷区では100件を超えるが、半数以上の区では1桁に留まっている。また、社協が法人として後見人に選任されたケース(法人後見)をみると、品川区が約170件と群を抜いているが、半数以上の区は10件にも満たない状況である。

 「身上監護は専門職よりも地域に密着して同じ目線で接することができる市民後見人の方が向いている。市民後見人を増やすには、地域で信頼できる社会福祉法人等を、自治体や専門職、福祉関係者が連携しながら育てあげるしかない」(後見人サポート機構・元代表理事の小池信行弁護士)という。
 また、高齢者1万人当たりでみた過去5年間の各区の区長申立ての数も、最大で30倍の開きがある。居住者の属性や地域特性もあるため、一概には言えないが、首長申立てが少ない地域には、潜在的な後見ニーズを発見できていない可能性が高い。
 さらに、首長申立てにより社協や市民後見人が受任するケースは、資産が少ない高齢者が多いため、行政による後見人への報酬助成が発生する。後見を一旦開始すると、亡くなるまで助成が続く。「財政負担が累積していくため申立てを躊躇し、判断能力が低下したまま放置されているケースがある」と関係者は指摘する。
行政が一歩踏み出せるか
 成年後見制度の利用を促進するために、昨年5月に成年後見制度利用促進法が施行された。今年1月に利用促進委員会が取り纏めた意見を踏まえ、3月に基本計画が閣議された。しかし、利用促進に向けて国と地方の足並みは揃わない。
 「一律に法律で義務付けるなら、もうこの議論には参加できない!」
 昨年開かれた利用促進委員会の席上、全国町村会の代表として委員を務めていた河村文夫・東京都奥多摩町長が声を荒らげた。各地域での医療や福祉、法律業界のネットワーク作りや、後見を支援する協議会等の運営を行う中核機関を設置しようとする議論の中で出た発言だ。「大都市と違って小さな町村には自治会組織や民生委員が機能しており、成年後見も数件しかない。総論は賛成だが、地方に責任だけ負わされても、財源の手当がなければやりたくてもできない」(河村町長)という。ちなみに、「国の補助はスタートアップにかかる費用のみが対象で、会議費を補助する程度。ランニングコストは地方持ち」(厚生労働省)となる。
 また、ある自治体の担当者からは、「成年後見制度の運営主体はあくまでも社協であり、地域連携も社協が先頭をきっていくべきだ」といった本音も聞こえてくる。そんな「期待」を押し付けられる社協は、「国民の生命や財産を守るのはまさに行政の仕事、一歩踏み出すべきだ。社協も一緒にネットワークを作っていくが、行政に逃げられると困る」(全国社会福祉協議会地域福祉部長・高橋良太氏)と嘆く。
 基本計画では、中核機関の設置は強制力をもたない「努力義務」に留まり、その実効性は疑わしい。しかし、後見ニーズが爆発的に増える事態は目に見えており、地域連携の強化は待ったなしである。国も地方もカネがないなかで、支援の輪をどう広げていけばよいか。「後見先進地域」からそのヒントを探る。

*「先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り―認知症700万人時代に備える(PART2)」へ続く(4月4日公開)
【column】後見人の不正をどう防ぐ 財産の信託化で被害額は半減
 56億7000万円。2014年に報告された後見人による不正額で、事案の9割以上が親族によるものだ。1つの財布で家計を管理する家も多く、「親の金だから使って良いかと思った」という知識不足が原因のケースも多い。後見人が不正を働くと、裁判所は選任責任と監督責任を問われかねず、過去には裁判所の過失が認められたこともある。後見人が親族から弁護士など専門職へとシフトした背景には、「裁判所のリスク回避という側面もある」(元裁判官)という。
 こうした不正の防止策として、「後見制度支援信託」の活用がある。生活費など日常的に支出する金額を後見人は管理し、残りの財産を信託化すれば、家庭裁判所の指示なく払い戻しや解約ができない仕組みだ。「15年には被害額が半減しており、一定の成果が出ている」(最高裁)と更なる活用を勧めるが、取り扱う銀行が信託銀行などに限られていることが課題だ。
 一方、専門職の不正は37件、約1億円(15年)。対策はもとより、「一罰百戒」の厳しい対応が必要だ。
【シリーズ:認知症700万人時代に備える】
PART1:東京23区の成年後見格差、認知症への支援を急げ
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・前編:品川モデル
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・中編:「品川モデル」構築のキーマン・インタビュー
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・後編:大阪モデル
PART3:過熱する高齢者見守りビジネス最前線

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9207?page=4

先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・前編:品川モデル
認知症700万人時代に備える(PART2)
2017/04/04
今野大一 (Wedge編集部)
東京都品川区と大阪市は、成年後見制度が始まった当初から地域連携の仕組みを作ってきた先進地域だ。「認知症700万人時代に備える(PART2)」では両モデルを紐解き、持続可能な仕組みを、品川モデル、品川モデル・キーマンインタビュー、大阪モデルの3回に分けて探る─。
社協主導の「品川モデル」
 「狭い部屋で、お茶も出さないですみませんねえ。足は崩して伸ばしてくださいね。いやあ、いつもほんとに皆さんにこうして助けて頂いて、この歳になっても幸せな毎日が送れています」 
 東京都品川区在住の村田昭江さん(仮名、93歳)は、柔和な笑顔で記者を4畳半ほどの自室に招き入れてくれた。アルツハイマー型の認知症を患っているが、子どもはなく、10年前に夫を亡くして以来、一人暮らし。近くに親族もいない。
 こうした独居高齢者を孤立させないため、品川区の社会福祉協議会(社協)は区の高齢者福祉課などと情報を共有しながら、生活の支援に取り組む。村田さんの場合も、社協が本人に代わり「首長申立て」の制度を使い、2年前から法人として後見している。

品川区社会福祉協議会では、市民後見人からの相談も受けるなど支援の体制も手厚い(写真・MASATAKA NAMAZU)
 毎週、社協の後見受任案件を手伝う非常勤の支援員2人が、村田さんの預金から2万円の生活費を届けている。それでも、「財布をなくすことも多く」(社協職員)、第三者による金銭管理が欠かせない。この日も支援員が金銭を渡したが、30分ほど世間話をした後には、金銭を受け取ったことをすっかり忘れていた。
 品川区社協の齋藤修一・品川成年後見センター所長は「支援員や市民後見人の方々の存在が、地域の高齢者の生活を支えている」と話す。同センターは全国に先駆けて制度の普及啓発や市民後見人の育成に取り組んできた。成年後見に関する相談の受け付けから家庭裁判所への申し立て、後見の実施までを一括して行う「ワンストップセンター」であり、関係者の間では「品川モデル」と呼ばれている。
 品川区の特徴は、社協が主体となって区や有識者、専門職らが情報を共有し、知恵を出し合う「チーム対応」だ。被後見人一人ひとりの事案に対して、3段階の審査を経て後見人のミスマッチを防ぎ、後見開始後は身上保護に重きを置きながら生活を支援する。
 審査の第1段階は、月2回開かれる、区の高齢者福祉課や地域包括支援センター、民生委員などが集まる「ケース会議」だ。要介護度や認知症度、健康状態、世帯状況や親族の関与、収支・資産・相続の状況など、各々が得た情報を共有する。

支援員は2人体制で毎週高齢者の自宅を訪ねる。(上)、生活費2万円を支援員から受け取る村田さん(下)(写真・Wedge)
 「本人の性格や金銭管理に対する意向などを踏まえて、在宅か施設入所かなど、どんな支援を必要としているかを見極め、短期と中長期両方の支援策を協議する」(齋藤所長)。
 
 支援の方向性が決まると、次は後見人候補のマッチングを検討する。資産が少なく家族関係が複雑でない場合のみ、市民後見人に依頼する。
 一方、身上保護面で困難を抱えるなど、組織的に対応する必要性がある場合には、NPO法人「市民後見人の会」などに、不動産の売却などを含む案件の場合は、専門知識を持つ信用金庫OBで組織される「しんきん成年後見サポート」などに依頼する。
 適切に振り分けるためには被後見人の状況を詳細に把握する必要がある。品川区では自治体の調査権を駆使した徹底的な事前調査と情報共有を行う。もし事前の情報が不足し、マッチングがうまくいかなかった場合、受任した市民後見人に過大な負担がかかることになるからだ。
 記者は30人以上の市民後見人を取材したが、他区では知識がないために不動産売却でトラブルになった市民後見人や、家族間での経済的な虐待が後に発覚して家族と紛争を抱え、家裁に辞任届けを出した元市民後見人も実際にいた。「市民後見人にお願いするのか、法人にお願いするのかなど後見の担い手は個別事例ごとに慎重に検討し、ミスマッチのないようにしている」(齋藤所長)。
生涯設計まで慎重に検討
 第2段階として、「方針決定会議」を3カ月に1回開催。今年1月18日の方針決定会議では、社協職員に加え、区の部課長クラスなど約30人が参加し、更なる検討が加えられていた。
 「保有のマンションを売却することで介護施設の入所費用を捻出できると考えている」「残りの財産である300万円がなくなった後は生活保護への切り替えが必要だが、生活保護制度について知識のある市民後見人にお願いしようと考えている」など、新規の申し立て案件一人ひとりに関して協議がなされ、後見人をつけた後の生涯設計までが慎重に検討されていた。 

品川社協で行われた運営委員会では白熱した議論がなされていた(写真・Wedge)
最終段階の審査は、3カ月に1度、学識経験者や医師、弁護士、福祉関係者ら10人を交えた「運営委員会」で行われる。
 1月25日の委員会では、医師から「レビー小体型認知症は意識の変動が激しく対応が難しいことがあるが、市民後見人候補者はそのあたりを心得ている方か?」といった医学的な観点からの質問が出ていた。また弁護士からは「今後、相続が発生する案件なので、専門知識を持つ法人での受任には賛成だ」などの発言もあった。
 会議の後半、すでに後見を開始した人らの近況を社協職員が報告した。
 「グループホームに入所している被後見人さんが得意なお絵描きを、区の展覧会に出品したり、子どもたちに教えたりする機会を作ろうと考えています」。「判断能力を失って施設に入所することになった被後見人さんが自宅を引き払いました。すると大家さんから『長く住んで頂いたことに感謝しており、一言お礼が言いたい』とのことで、施設で引き合わせると、被後見人さんが瞬間的に思い出してくれて、とても喜んでくれました」。
 判断能力をなくした後も、被後見人にとって最良の人生が何かを、全員が知恵を出し合って考えた跡が感じられた。運営委員会の委員長を務める中央大学法学部の新井誠教授は語る。
 「財産管理だけでなく、身上保護の観点から一人ひとりの状況を踏まえ、本質的な運用を心がけている。介護事業者などの関係者と連携している点も品川の連携の強さを良く表している」
自ら稼ぐ人件費
 品川区社協は、障害者なども含めると累計で約320件の法人後見を受任。件数は増え続けている。現在も約175件を社協で受任しており、所長を除く職員16人で担当している。他の区では成年後見担当の職員は2〜3人が常だが、なぜ品川区はこのような手厚い人員体制を構築することができたのか。
 それは極力、社協主体で後見を受任することで、安定的に後見報酬を得る体制を作れているからだ。2015年度は、約8000万円の後見報酬を得たが、後見報酬の伸びを元手に、06年には6人だった職員数を、17人まで増やすことができた。

 人件費を自ら稼ぎ、経済的な自立度は極めて高い。また冒頭でも紹介したように、非常勤だが、実に91人の支援員を雇っている。つまり計100人以上で品川区の高齢者を支える体制が作れているのだ。
 どこの自治体も財政状況は厳しいため、事業を担当する社協職員の配置は十分ではない。東京都墨田区の社協は、都内でも有数の市民後見人の養成者数を誇るが、成年後見担当の職員は3人のみ。社協として法人後見は行っておらず、「区の補助金に頼らず、人員を強化していくためにも、法人後見への着手は喫緊の課題だと考えている」(墨田区社協の藤藪明知氏)。
  品川区社協が後見を受任することで報酬も得られ、かつ職員の側にもノウハウが蓄積されていく。経済的にも職員の経験の面でも、好循環が生まれている。これが品川モデルの強みである。

品川成年後見センターのオフィスは活気に溢れていた
(写真・MASATAKA NAMAZU)

*「先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り INTERVIEW:「品川モデル」構築のキーマン―認知症700万人時代に備える(PART2)」へ続く(4月4日公開予定)
【column】プロ集団結成!国内初≠フ金融機関による成年後見事業
 2015年1月、品川区内に営業店を持つ5つの国内信用金庫(さわやか信用金庫、芝信用金庫、目黒信用金庫、湘南信用金庫、城南信用金庫)が、国内初≠フ金融機関による成年後見事業法人「一般社団法人しんきん成年後見サポート」を設立した。同法人は、品川区社会福祉協議会と連携し、品川モデルの一端を担う。
 成年後見人の職務の生活支援活動などを行っているが、担当するのは信用金庫の職員OB・OGだ。理事長を務める城南信用金庫相談役の吉原毅氏は、「専門知識豊富なOB・OGが後見人を担う上、税理士や弁護士などとも緊密なネットワークがあり、困難な案件にも手厚い対応ができる」と話す。実際に、入院費を数百万円滞納していた認知症高齢者の不動産物件の売却手続きを行い、入院費・治療費に充てるなど、専門知識を要する事案に迅速に対応している。 「市民後見人が1人でこうした案件を担うのは非常に大変だ。専門知識、豊富な人脈を持って後見人を担うことのできる法人がもっと増えていくことが理想だ」(吉原氏)
【シリーズ:認知症700万人時代に備える】
PART1:東京23区の成年後見格差、認知症への支援を急げ
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・前編:品川モデル
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・中編:「品川モデル」構築のキーマン・インタビュー
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・後編:大阪モデル
PART3:過熱する高齢者見守りビジネス最前線

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9215


先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・中編:「品川モデル」構築のキーマン・インタビュー
認知症700万人時代に備える(PART2)
2017/04/04
今野大一 (Wedge編集部)
東京都品川区と大阪市は、成年後見制度が始まった当初から地域連携の仕組みを作ってきた先進地域だ。「認知症700万人時代に備える(PART2)」では両モデルを紐解き、持続可能な仕組みを、品川モデル、品川モデル・キーマンインタビュー、大阪モデルの3回に分けて探る─。
「予算がないからできない」は言い訳だ
「品川モデル」構築のキーマン 齋藤修一
 地域の独居高齢者を見守るために自治体はいかに連携し、支援の枠組みを構築していけばいいのか。10年かけて「品川モデル」を築いてきた地域連携の伝道師に聞いた。

品川区社会福祉協議会 品川成年後見センター所長 1950年福島県生まれ。73年中央大学法学部卒。79年品川区役所入区。総務課、企画課などを経て、03年品川区社会福祉協議会派遣。11年より品川成年後見センター所長。内閣府成年後見制度利用促進委員会臨時委員などを歴任。
(写真・MASATAKA NAMAZU)
編集部(以下、――)自治体は何から始めればいいのか
齋藤:まずは後見制度を必要としている人たちが地域のどこにいるのか、その把握から始めることだ。
 現状は後見制度について潜在的な後見ニーズに応えられているとは言いがたい。早期にニーズを発見し、本人が意思表明できる段階から支援につなげていくことが重要だ。
 多くの自治体が認知症の高齢者を発見しても介護施設や医療施設に入所させるところまでで支援を止めてしまっている現実がある。施設に入所した後も、金銭の支払いや契約の更新などが必要となってくるが、手続きを代行してくれる親族が周囲にいないのであれば、後見が必要だ。
─地域での連携を進めるには
齋藤:社会福祉協議会などの中核機関を作ることが欠かせない。行政が社協とタッグを組み、責任をもって関与することで、家庭裁判所は市民後見人の選任をしやすくなる。実績のあるNPO法人と連携することも有益だ。ネットワークを作ることで、様々な事例に対応できるようになる。
 このように、仕組みを作ることができれば、地域福祉の担い手を増やすことができるようになる。
 社協の内部だけで対応していると、間違った判断をしていることに気がつかない。そのような意味でも外部の有識者を交えた協議会という場を設定する意義は大きい。
─社協の人材をどう育成しているか
齋藤:職員一人ひとりが、成年後見制度が何のための制度かを理解しなければならない。あくまでも本人本位の制度であり、それこそが判断の基準になるからだ。また、職員を養成するという目的から「運営委員会」など専門家を交えた委員会にはすべての職員を参加させ、他人の扱っている事例を聞かせたり、対応の仕方を学ばせたりすることでノウハウの共有化を図っている。第三者に自分の扱っている事例を、短時間で伝えるのも良い訓練になる。
─予算がないといって及び腰になっている自治体も多い
齋藤:確かにどこもお金がないのが実情だ。しかし予算がないからできないというのは、言い訳に過ぎない。決して品川区が特別だったわけではない。
 この10年間、成年後見センターは、区や民生委員らと連携して身寄りのない高齢者を支援してきた。その中で見えてきたのは自治体が主体的にかかわることの重要性だ。まさに自治体のやる気にかかっているとしか言いようがなく、意識改革が必要だ。
 徘徊や孤独死、消費者被害など、高齢者を取り巻く問題は個人の問題ではなく、地域全体の課題だ。認知症の高齢者が増える中、こうしたことを成年後見制度の枠組みで食い止めることができるのかが、今問われている。

*「 先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・大阪モデル―認知症700万人時代に備える(PART2)」へ続く(4月4日公開予定)
【シリーズ:認知症700万人時代に備える】
PART1:東京23区の成年後見格差、認知症への支援を急げ
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・前編:品川モデル
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・中編:「品川モデル」構築のキーマン・インタビュー
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・後編:大阪モデル
PART3:過熱する高齢者見守りビジネス最前線

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先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・後編:大阪モデル
認知症700万人時代に備える(PART2)
2017/04/04
今野大一 (Wedge編集部)
東京都品川区と大阪市は、成年後見制度が始まった当初から地域連携の仕組みを作ってきた先進地域だ。「認知症700万人時代に備える(PART2)」では両モデルを紐解き、持続可能な仕組みを、品川モデル、品川モデル・キーマンインタビュー、大阪モデルの3回に分けて探る─。
市民が主役の「大阪モデル」
 「いよいよ養成講座の最終日になりました。4日間の施設実習はいかがでしたか? 今日は実習で得られた経験を皆さんと共有し、学びの場にして頂ければと思います」
 2月4日、大阪市社会福祉協議会で開かれた市民後見人養成講座で、同市の市民後見活動をけん引してきた大阪市立大学大学院の岩間伸之教授が約40人の受講者に呼びかけた。

養成講座受講者に力強く語りかける市民後見人の中元圭佑さん(写真・Wedge)
 養成講座では市民後見人の先輩として中元圭佑さん(73歳)が、「人助けの形をとってはいるが自分助けの面もあり、自分が人生をどう生きていくかを日々考えるきっかけになっている」と自身の体験を力強く語った。
 大阪市は、高齢者の独居世帯率が政令指定都市の中で最も高い。品川区社協のように、社協として法人後見も後見監督も行っていないが、市民後見人による後見が進む「先進地」だ。07年から養成を始め、現在231人が登録、延べ135件の後見を受任している。なぜうまくいくのか。それは市が主体となり作り上げた、法律家や福祉の専門職団体との共同の仕組みにある。
無報酬でも市民が活躍する理由
 岩間教授は「市民後見人は市民が市民を支える活動の一環であり、あくまでも主役は市民。行政は市民が主体的に活躍するための舞台作りをする」と語る。品川区では、市民後見人は月1万円程度の報酬を得るが、大阪市は「無報酬」だ。しかし、平均訪問回数は月3〜4回と、東京と比べても市民後見人の意識は高い。これは社協が「受任は1人1件」「自宅から30分以内の候補者」と、市民後見人に負担をかけ過ぎないようなルールを設けていることが大きい。
 市民後見人が活躍するには、地域の専門職による支援体制も欠かせない。大阪市では、養成講座で講師を務めた弁護士や司法書士、社会福祉士が週2日、専門相談の機会を設けるなど、専門職が近い距離で市民後見人を支援する。被後見人の危篤時などにも対応できるよう、緊急時には24時間で社協職員と連絡が可能な体制も整えている。
 時間が経つに連れて高齢者の状態は変化していくので、専門職の定期的なサポートは欠かせない。大阪弁護士会、リーガルサポート大阪支部、大阪社会福祉士会という「三士会」の組織的な協力が、市民後見人を生かす仕組みを支えている。「行政が主体となり専門職らを交えた『大阪市後見的支援研究会』を市役所内に06年に設けた。市民後見人を支えるための連携のあり方を継続的に模索してきたことが実った」(岩間教授)。
 また、社協が専門職によるバックアップ体制を構築しているため、家裁の信用も得ている。「毎年、家裁の裁判官とマッチングに携わる学識経験者や専門職、社協職員が懇談会を開き、市民後見人に適した事案の協議を重ねることで、家裁から市民後見人の推薦依頼を継続的に頂いて来た」(大阪市成年後見支援センターの伊関玉恵所長)。
 最高裁判所家庭局の西岡慶記裁判官は「自治体が責任を負い、なおかつ専門職の支援を得ている環境であれば、裁判所としても市民後見人を選任しやすい。社協と家庭裁判所が市民後見人に割り当てる事案のイメージを共有することが大切だ」と語る。
 大阪市社協は後見報酬や監督報酬を得ておらず、財源は市からの毎年の委託金約5000万円のみだ。被後見人の情報を、社協と家裁が双方向に共有する大阪市のモデルは、多くの市区町村にとって参考になるはずだ。
 こうした大阪市の市民後見人養成の仕組みは大阪府全域へ展開されつつある。現在21市町で同一の活動基準を運用。市民後見人が転居しても、市民後見人を養成している転居先自治体で活動できる。現場が抱える危機感を共有し、自治体の壁を越えて連携を築いている。地域の連携で「後見力」は確実に上がるが、それも市民のボランティア精神があってこそだ。

*「 過熱する高齢者見守りビジネス最前線―認知症700万人時代に備える(PART3)」へ続く(4月5日公開予定)
【シリーズ:認知症700万人時代に備える】
PART1:東京23区の成年後見格差、認知症への支援を急げ
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・前編:品川モデル
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・中編:「品川モデル」構築のキーマン・インタビュー
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・後編:大阪モデル
PART3:過熱する高齢者見守りビジネス最前線

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9271


過熱する高齢者見守りビジネス最前線
認知症700万人時代に備える(PART3)
2017/04/05
浅野有紀 (Wedge編集部)
 都心から電車、タクシーを乗り継ぐこと約2時間、東京都の多摩地域西部に位置する檜原村(ひのはらむら)に到着した。周りを急峻な山嶺に囲まれた自然豊かな村で、「夏にはキャンプやバーベキューをしに観光客が集まる」(タクシー運転手)そうだが、筆者が訪れた冬の昼下がりには外を歩く人は少なく、静けさが広がっていた。
 檜原村の人口は約2300人だが、そのうち65歳以上の高齢者は約50%を占めている。若者世代の多くは村外へ出て行き、村では高齢世帯が増加している。
 こうした状況を踏まえ、檜原村は、2015年12月に日本郵便と提携し、高齢者の見守りサービスを開始した。独居高齢者や高齢夫婦の世帯を主な対象とし、月に1度、郵便局員が配達業務とは別に訪問し、30分ほど会話をする。そして、生活の様子を確認し、村の福祉係に報告するというサービスだ。福祉係は郵便局員から受け取った報告内容を把握し、遠方で暮らす家族へ連絡する。

広範なネットワークを活用して見守りサービスを行う日本郵便(写真・Wedge)
 また、毎日同じ時間帯に電話が鳴り、その日の体調を自動音声で確認する別のサービスも提供している。費用は、訪問サービスが月1980円、電話サービス(固定電話の場合)が月980円(いずれも税抜)で、村が全額負担している。村は、この見守りサービスの予算として、16年度で約115万円を計上している。サービス利用者は両サービスあわせて約40人(2月1日現在)だ。
 「職員だけで高齢者の見守りを行っていくのは厳しい。民間がこうしたサービスを提供してくれることは、とても心強い」
 そう話すのは、檜原村福祉けんこう課の長田隆太氏だ。実際に、「体調が悪そうだ。いつもと少し様子が違う」という郵便局員からの報告で職員が駆けつけたこともある。
 何より、「高齢者が強く求めているのは人と話す機会。利用者からは、『寂しさがまぎれる』、『時間があっという間に過ぎてしまう』という声をよく聞く。単純な状況確認だけではなく、高齢者を元気づける効果も大きい」と長田氏は話す。
 日本郵便は、こうした高齢者の見守りサービスを13年から開始した。当初は全国103局でサービスを提供していたが、今では約800局まで増加している(2月1日現在)。
 同社トータル生活サポート事業部企画役の西嶋優氏は、「全国に広がる郵便局のネットワークを活用することで、色々な地域で幅広く見守りサービスを提供することができる」とその手応えを語る。今後は「タブレット端末を用いた新たなサービスを導入するなど、本格的に高齢者支援事業に参入し、収益基盤も拡大させていく予定」だと言う。
品物の配達と同時に見守りを

品物の配達時に、顧客の健康状態を確認するヤマト運輸のセールスドライバー
(写真・YAMTO TRANSPORT CO.,LTD.)
 日本郵便と同様に、既存のネットワーク網を生かした見守りサービスを行っているのが、ヤマト運輸だ。
 高齢者が電話で地元のスーパーマーケットの品物を注文し、ヤマト運輸のセールスドライバーがその品物を家まで配達する。そして、配達の際に、顧客の健康状態や困りごとを確認して、行政に連絡するというのが、同社の代表的な見守りサービスだ。
 このサービスは、岩手県内で働いていたセールスドライバーが、配達でよく顔を合わせていた顧客が孤独死していたことをきっかけに発案し、誕生した。同社の見守りサービスは全国に広がり、16年6月現在で125の自治体にサービスを提供している。
 営業推進部プロジェクトマネージャーの山口直人氏は、「高齢者見守りサービスは需要が高く、もはやCSRと言われるような社会貢献活動を通した取り組みではなく、本業としての取り組みになっている」と語る。また、「こうしたサービスを行うことで、高齢者向けの新たなサービスを展開する際にも警戒心を和らげることができる。どのようなサービスを求めているかという声、情報も集まりやすくなる」と、そのメリットを話す。
所要時間14分の緊急駆けつけ
 「一昨年の春頃から使い始めました。体はまだ元気だけど、何かあったときにすぐに助けが来るという安心感があり、お守りのようなものです」

緊急ボタン付きのペンダントを首に下げて暮らす加藤さん。(写真・Wedge)
 そう話すのは、綜合警備保障(ALSOK)の緊急ボタン付きのペンダントを首から下げて暮らす加藤秀子さん(仮名、82歳、千葉県浦安市在住)だ。
 ALSOKは、高齢者支援事業として、全国約1700の自治体のうち、約500の自治体と提携し、緊急駆けつけサービスを提供している。定期的に訪問して見守りを行うサービスと異なり、急な助けが必要なときに警備員が駆けつけるのが特徴で、通報後、約14分(全国平均)で駆けつける。
 ボタンを押すだけで通報できる機器を家の中に取り付ける基本サービスに加え、加藤さんが使用しているような首から下げられるペンダントや、トイレのドアなどに機器を取り付け、一定時間動きがなかった場合に自動的にALSOKに通知がいくなどのオプションサービスもある。

写真を拡大 警備員を呼ぶ通報機器
(写真・Wedge)
 HOME ALSOK営業部企画課担当課長の羽生和人氏は、「急速な高齢化により、緊急駆けつけサービスの依頼をしてくる自治体は増えており、ここ数年では、年間約20自治体から依頼がある」と話す。
 ALSOKと提携する千葉県浦安市では、市が全額負担で緊急駆けつけサービスを独居高齢者や高齢夫婦の世帯を中心に提供している。16年度の利用者数は1000人弱で、申し込み件数は右肩上がりに伸びている。
 実際、昨年1年間で、浦安市における高齢者の緊急駆けつけ通報は239件あり、そのうち67人が救急搬送されている。
 このサービスに対する16年度の市の予算は約1900万円に上り、前年度決算より約150万円増額している。
 「高齢者の人口が増え続けていて、職員の力だけでは対応しきれない。どこに住んでいてもすぐに駆けつけてくれるサービスは、安心感が全く違う」と浦安市高齢者福祉課長の河野良江氏は話す。
一般市民を巻き込んだ徘徊対策
 ALSOKは現在、認知症の人の徘徊対策に特化したサービスを試験的に始めている。「みまもりタグ」というBluetooth無線を発信する軽量の小型端末を活用したサービスで、全国10カ所の自治体と提携して実施している。

「見守りタグ」とそれを取り付ける専用の靴
(写真・SHOGO SECURITY SERVICES CO.,LTD.)
 みまもりタグは、専用の靴に装着でき、それを履いた認知症の高齢者等が、専用アプリをインストールしたスマートフォン(スマホ)や、地域内の多数箇所に設置された「みまもりタグ感知器」とすれ違った際に、スマホや感知器のGPS機能により、自動的にサーバーに位置情報が蓄積される。これにより、行方が分からなくなった時に居場所を特定することができる。アプリをスマホにダウンロードしてくれるボランティアが多いほど位置情報の精度が上がる。
 東京都多摩市では、昨年、ある認知症の高齢者が行方不明になり、未だ見つかっていない。同市は、この「みまもりタグ」による事業でALSOKと提携し、認知症に関する養成講座を受講した1万人を超える認知症サポーターに加え、一般市民にまで、アプリをダウンロードするよう協力を呼びかけている。
 また、徘徊対策をより効果的に進めるために、みまもりタグの事業でALSOKと提携している他の9の自治体のうち、隣接する稲城市にも協力を呼びかけている。
 「民間が入ることで、自治体同士がネットワークを構築するきっかけになった」と多摩市健康福祉部長の荒井康弘氏は話す。
 自治体が「地域による高齢者の見守り」を行うのが困難になってきているなか、全国に広がるネットワークや最新機器を持つ民間企業が高齢者の見守り事業に本格的に参入してきている。今後も高齢化が進行していくなか、こうした官民連携による見守り事業はますます拡大していくだろう。
【シリーズ:認知症700万人時代に備える】
PART1:東京23区の成年後見格差、認知症への支援を急げ
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・前編:品川モデル
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・中編:「品川モデル」構築のキーマン・インタビュー
PART2:先進地域に学ぶ成年後見の拠点作り・後編:大阪モデル
PART3:過熱する高齢者見守りビジネス最前線

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9220


http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/705.html

[経世済民120] 遠のくトランプ大減税、米景気悲観は不要 ドル110円割れは買 相場の落とし穴 中国にトランプ報復で好機 ECB金政策維持
FX Forum | 2017年 04月 6日 18:57 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:
遠のくトランプ大減税、米景気悲観は不要

竹中正治龍谷大学経済学部教授
[東京 5日] - 税制改革、インフラ投資と並んでトランプ政権の目玉の1つだった医療保険制度改革法(オバマケア)の改廃法案の可決に失敗したことで、同政権の先行きに不透明感が濃くなった。

議会共和党の幹部とトランプ大統領は、税制改革法案の組成に向かうと言っており、同政権への期待はまだ剥落していない。しかし、税制改革について議会共和党の首脳部は財政赤字を膨張させない「歳入中立(revenue-neutral)」の方針を貫こうとしているようだ。国境調整税の導入や法人税率の引き下げを伴う改革も、税収入全体ではあまり減らないものになる可能性が高い。

つまり「トランプ大減税で今後10年間に4―6兆ドルの減税」という選挙キャンペーン、並びに大統領就任直後まで語られてきた減税の「大盤振る舞い」が実現する可能性は大きく後退しつつあると考えた方が良いだろう。そうなれば大減税がもたらす短期・中期的な景気の大上振れというシナリオも消える。

それでは期待剥落で株価もドル相場も急落、長期金利も低下基調になるかと言うと、それほど単純でもない。なぜなら米国の実体経済は水準としては底堅く、方向としては上向いているからだ。今後は過剰な期待の下方修正と底堅い実体経済の双方がどの辺に収束するかがポイントとなる。本論では、こうした条件下での2018年末までの長期金利を推計してみよう。

<高い景気楽観度と低い大統領支持率のパラドックス>

まず現下の米国経済の様相は、景気の先行きに対する各種の信頼感指数(confidence index)が実体経済の動向を超えて大きく上振れていることが特徴だ。これは消費者から大企業、中小企業の経営者まで広範囲に見られる。

例えば米国のコンファレンス・ボードが公表する消費者信頼感指数は2016年10月の100.80から直近3月は125.60に急上昇し、リーマン・ショック前の高値である2007年8月の111.90の水準を超えている。

また、大企業経営者の景況感調査であるCEOエコノミック・アウトルック指数(四半期ベース)は、2016年10―12月期の74.2から2017年1―3月の93.3に19.1ポイント上昇している。四半期の上昇幅としては2009年10―12月期以来の大きさだ。

さらに、中小・個人事業経営者層の同種の調査データであるNFIB(National Federation of Independent Business)小規模事業楽観度指数は、2016年10月の94.1から直近3月の105.3に急上昇している。これは2004年1月の107.70に次ぐ高さだ。

ところが一方で、トランプ大統領に対する支持率は、ギャロップの調査によると35%で、就任後間もない大統領への支持率としては異例なほど低く、不支持率は59%と高い(3月28日時点)。このパラドックスをどのように理解したら良いのだろうか。

もちろん、雇用、賃金、企業利益など2016年まで緩やかな回復が続いてきたので、その累積的な変化が消費者から経営者層まで主観的な景気楽観度(confidence)を押し上げている面はある。海外の景気も穏やかに上向いてきた。しかし、それだけでは各種の景気楽観度指数が2016年11月を境にそれまでのトレンドから上方屈折的に急上昇していることを説明できない。上方屈折が生じたタイミングから判断して、こうした主観的な景況感の急上昇も「トランプ現象」の一部と考えられる。

筆者が考えるに、このパラドックを説明できるのは「隠れトランプ支持者仮説」である。選挙前の大統領候補支持率調査ではトランプ候補は地域別支持調査でも明らかに劣勢だった。ところが、実際の大統領選挙結果ではトランプ票が意外に伸び、大逆転の結果となった。このギャップの説明として指摘されたのが「隠れトランプ支持層」の存在だ。彼らは選挙前の候補者調査では「トランプ候補支持」とは答えなかったが、選挙では同氏に票を投じたわけだ。同様のギャップが大統領支持率調査と景況感の調査の間に生じているのではなかろうか。

つまり「あなたはトランプ大統領を支持しますか」と問われると、就任後も大統領にふさわしくない言動を繰り返している同氏を「支持します」と答えることに躊躇(ちゅうちょ)する。しかし、既存の政治家・政党にうんざりし、トランプ大統領が何かしらの快挙を遂げ、経済的なブームを起こしてくれると密かに期待している人たちが意外に広範に存在していると考えると、上記のパラドックスは辻褄(つじつま)が合う。

もっとも、「隠れトランプ支持者」というのは一種の比喩であって、実際はそうした心情的な傾向が広範に存在していると言った方が適切だろう。この推測が正しければ、今後トランプ政権の支持率の実相は、政治面の支持率調査に上記の景気楽観度指数類を参照して判断すべきだろう。

そうした期待の一方、経済学の目で見れば、トランプ政権の掲げる政策の中に米国の長期的な経済成長率を押し上げるようなものは、ほとんど見いだせない。「規制緩和政策」にはそうした可能性があるが、成長促進のための規制改革という難しい調整を実行できる能力を同政権が備えているようには見えない。大看板の保護主義政策や反移民政策は成長マイナス政策である。

短期・中期的に唯一景気を上振れさせる可能性のあった大減税やインフラ投資による拡張的な財政刺激は、冒頭に述べた通り、議会共和党の首脳部の意向で実現しそうにないか、あるいは大幅にスケールダウンしそうである。したがって、いずれ過剰な期待は剥落し、高騰した景気楽観度指数類は実体経済に見合った水準まで低下するだろう。

<実体経済の底堅さが救い>

ただし、それは必ずしも悲観的なシナリオを意味しない。前回コラム「日本経済の春はいつまで続くか」(2017年2月27日付)で述べた通り、2009年を底に始まった米国経済の回復は失業率が4%台後半(4.8%、2017年2月)まで下がった結果、景気回復の終盤局面に入り始めてはいるが、まだ回復継続の余裕はある。

米株価にはやや高値感も出ているが、リーマン・ショック前やITバブル時のような金融・投資面で目立った過剰な信用膨張や不均衡も生じていない。自動車ローンの延滞率上昇を懸念する向きもあるが、自動車ローンは米国家計債務に占める比率で10%以下であり、その延滞率の上昇は住宅ローン危機のようなマクロ経済に大ショックを起こすものにはなり難い。

大きな外生的なショックがなければ、次の米国の景気後退は物価上昇を受けた金利上昇によってブレーキがかかるという戦後典型的に繰り返されたものになろう。むしろ今の局面で大減税などやってしまう方が、不必要な景気の過熱から、金利高とドル高を経て、その後の反動的で大きな景気後退を起こすリスクが高まるだけだ。

次に米連邦準備理事会(FRB)が予想(3月公表時点)する2.1%程度の経済成長が2018年末まで続いた場合、長期金利(10年物国債利回り、2.4%、3月31日現在)がどの程度上昇するか、推計してみよう。

トランプ相場が始まる前の当コラム「ドル長期金利はどこまで上がるか」(2016年9月27日付)では、ドルの長短金利格差と国内総生産(GDP)ギャップの相関関係の高さに注目し、推計を行った(因果関係としてはGDPギャップの変化が原因、長短金利格差が結果)。

GDPギャップとは、実際のGDPと経済がフル稼働した場合に実現できる潜在的なGDP成長の乖(かい)離度を示すものだ。需要不足の景気後退局面では「実際のGDP<潜在GDP」となり、GDPギャップはマイナスとなる。景気が回復するに伴いGDPギャップのマイナスは縮小し、好況期にはプラスに転じる。連邦議会予算局(CBO)の直近の推計では2016年10―12月期のGDPギャップはマイナス0.9%である。

その後の検証で、長期金利(10年物米国債利回り)の変化は、1)GDPギャップ、2)短期金利(翌日物フェデラルファンド金利)の2つの独立変数を使った重回帰分析で高いレベルで説明できることがわかった。期間2000―16年の月次データによる回帰分析の結果、変数間の関係性は有意(関係性が偶然でない)で、説明度を示す決定係数(R2)は0.82である。これはGDPギャップと短期金利の変化で長期金利の変化の82%を説明できることを意味する。

また、それぞれの変数の関係を見ると、短期金利の1%ポイントの上昇は長期金利を0.63%ポイント上昇させる。さらにGDPギャップ1%ポイントのプラスの変化は長期金利を0.20%ポイント低下させる。掲載図には10年物米国債利回りの実績値と推計値を示した。もちろん推計値は実績値とぴったり重なりはしないものの、そのトレンドによく沿っていることがわかる。

http://static.reuters.com/resources/media/editorial/20170404/fxforum.gif

「GDPギャップのプラスの変化(=景気回復の進行)が長期金利を低下させる」との点に首を傾げる読者もいるだろう。しかし、昨年9月の論考で述べたように、GDPギャップと長短金利格差には負の相関があることを想起していただきたい。

景気後退局面への移行局面(GDPギャップはマイナスに変化)では、金融緩和で短期金利が長期金利よりも急速に低下するので長短金利差は拡大する。一方、景気回復の終盤局面(GDPギャップはプラス)では金融引き締めで短期金利は高水準になるが、景気の天井感が次第に強まり、長期金利は上げ渋るので長短金利差はむしろ縮小する。この結果、GDPギャップと長短金利差の関係は負の相関となる。こうした事情が働いているので、長期金利を短期金利とGDPギャップの2つの要因(説明変数)で回帰分析すると、GDPギャップと長期金利の関係には負の相関が見られることになるのだ。

また、経済・金融現象の時系列的な回帰分析は対象期間を変えると、変数間の関係性を含む回帰結果ががらりと変わってしまうことがよくある。しかし、期間を1990―2016年、2005―16年に換えて同様の分析をしても、安定的に同じ関係性が見られることを言い添えておこう。

<米10年債利回りは来年3%超えへ>

さて、以上の回帰分析で得られた推計式を使用し、3月に公表されたFRBの経済見通しに従って2018年末までの長期金利を推計してみよう。FRBの見通しでは、実質GDP成長率は2017年、2018年とも2.1%、フェデラルファンド金利は2017年末1.4%、2018年末で2.1%である。これは0.25%の金利引き上げを年平均3回実施した場合(今後2018年末まで5回)にほぼ等しい。

この想定で得られる10年物米国債利回りの予想推計値は、2017年末で3.0%、2018年末で3.5%となった。ちなみに期間1990―2016年から得られる推計式を使うと2018年末の予想値は3.4%、同じく2005―16年では3.1%となる。

もちろん、この種の推計は確率的なブレを伴うものだ。大ざっぱに可能性の高いブレの範囲は2%台後半から4%前後程度のレンジとなる。結論として、2018年末までには10年物米国債利回りは3%を超える可能性が高いと考えておくべきだろう。とりわけ昨年暮れから年初にかけた米国長期債の利回り上昇・価格低下で評価損を被った債券投資家には要注意の予想である。

今後の税制改革案で減税が大幅にスケールダウンする、あるいは税制改革法案自体が行き詰まれば、消費者や経営層の過剰な景気楽観度は低下、調整を免れない。それに伴い株価やドル相場も下落、調整局面となる可能性が高い。

しかし、実体経済の回復が継続し、FRBの穏やかな金利引き上げシナリオが続く限り、拡大する金利格差がドル相場の下落を底支えすることになろう。その結果、ドル相場の対円での下落はそれほど大幅なものとならず1ドル=100円台にとどまるのではなかろうか。もっと深いドル安・円高は、米国経済が再び次の景気後退に入る時になるだろう。

*竹中正治氏は龍谷大学経済学部教授。1979年東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、為替資金部次長、調査部次長、ワシントンDC駐在員事務所長、国際通貨研究所チーフエコノミストを経て、2009年4月より現職。経済学博士(京都大学)。最新著作「稼ぐ経済学 黄金の波に乗る知の技法」(光文社、2013年5月)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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http://jp.reuters.com/article/column-masaharu-takenaka-idJPKBN1761US?sp=true


 


 


FX Forum | 2017年 04月 6日 11:59 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:ドル110円割れは買いか、3つの根拠

植野大作三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト
[東京 5日] - 2017年度が幕を開けた。例年、桜の季節を迎えると、本邦の為替市場関係者の間で「新年度のドル円相場」を巡る論戦が活発化する。以下、筆者の見解を述べておきたい。

まず目先の相場展開については、円高気味のスタートを想定している。毎年、新しい会計年度が始まると、「本邦投資家による新年度の外国証券投資が動き出す」「金融商品販売各社の期初商いが活発化する」などの思惑を背景にした円安期待が強まりやすいが、今年度に限れば、それを妨げる要素がたくさんある。

最初に、米国ではトランプ大統領の目玉公約だった医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案の下院採決が頓挫したことで、米新政権の政策遂行力に対する疑念が明滅している。市場の期待の本丸である米税制改革やインフラ投資の可視化が遅れることへの焦燥感が漂っており、当面はドル円相場の上値を抑える心理的な重しになりそうだ。

次に、この先の政治日程を眺めると、トランプ政権下で新設された「日米経済対話」の初会合が4月中旬に予定されている。来日するペンス米副大統領やロス商務長官による厳しい対日要求への警戒感が広がっているほか、米財務省が近く公表する「為替報告書」でも日本の通商・金融・為替政策に対する批判的記述があるかもしれないとの懸念が渦を巻いている。

加えて、すでに佳境入りしているフランス大統領選挙についても、5月7日の決選投票で極右政党・国民戦線(FN)党首であるルペン候補の敗退が確定するまではフランスの欧州連合(EU)離脱いわゆる「フレグジット」への警戒モードを解除できない。事前の世論調査ではルペン候補の敗色は濃厚であり、市場経済派のマクロン候補(元経済相)が勝利しそうだが、昨年の英国民投票や米大統領選挙は世論調査通りの結果にならなかった。

為替の神様のいたずらか、奇しくも仏大統領選挙の決選投票は日本のゴールデンウィーク最終日に行われる。古参のドル円ファンたちは、「日本人が休みの間に相場が荒れた」記憶を非常にたくさん持っている。

このため、日本の連休明け頃までは、本邦在住の為替市場関係者の間にリスク許容度の緩和による円安気運が広がることを期待し難い。どちらかと言えば上値が重く、下値の柔らかい地合いが続くのではないか。もしも節目の1ドル=110円を割ってストップロスを誘発した場合、さらに数円程度の余地で円高が進む可能性はあるだろう。

ただし、仮に目先110円を割り込んだ場合でも、定着するレベルではないと考える。今年度のドル円相場について、筆者は「買いたい弱気派」に所属しており、110円割れのレベルでは、むしろ買い下がりで臨みたい。理由を3つ挙げておく。

<過大評価されるルペン・リスクと日米通商摩擦懸念>

第1に、仏大統領選挙は「ルペン敗北・マクロン勝利」で決着するだろう。いわゆる「政治ネタ」に予断を持つのは禁物だが、メインシナリオを決めずに相場の予測はできない。昨年の英国民投票や米大統領選挙が「まさか」の結果になった後、両国から伝わってくる諸々の報道は、大方のフランス人にとって他山の石になっていそうだ。

あくまで私見だが、現在の英国や米国を見て、「自分の国もあんな風になりたい」と考えるフランスの有権者が過半数を超えそうだとは思えない。仏大統領選挙が終了した後の為替市場では、恐らく「ルペン・リスク」からの解放感が広がるだろう。

第2に、日米通商摩擦による円高リスクを筆者はあまり重視していない。米国の対日貿易赤字の大きさから見て、今後の2国間交渉で何らかの改善策は要求されそうだが、プラザ合意前に240円を超えていたドル円相場が一時70円台になっても米国の対日赤字はなくならなかった。目に見える結果を早く求めるトランプ政権は、日本に対して為替よりも直接的で即効性のある不均衡の解消策を求めてくるのではなかろうか。

もちろん、日米間の通商協議が行き詰った場合は、交渉の道具として為替口先介入や文書介入による「円高カード」を切ってくる可能性はある。だが、3月の当コラムで指摘したように、近年のドル円市場の売買金額は、年間約2京4700兆円程度に膨張している。

為替市場よりはるかに規模が小さい国内外の債券・株式市場でも、長期金利や株価は政治家が意のままに動かすことはできない。独立した中央銀行による金融政策と自由な国際資本移動が確立されている2国間の為替レートは、政府による操作がより困難なはずだ。

あくまで筆者の見解だが、日米両国でどんな要職にある人物でも、特定の政治家や閣僚が為替相場に対する自らの想いを口頭や文書で伝えるだけでは、せいぜい数日から数週間、長くても数カ月程度の一時的ショックを市場に与えられるだけだ。長期間にわたってドル円の上下限を制限し続けたり、長期的なすう勢を支配したりすることは、無理な時代になりつつあると考えている。

<日米金融政策格差によるドル円上昇圧力が再浮上>

第3に、衆目に明らかな日米金融政策の印象格差が今後一層鮮明になり、次第に「政治的ノイズ」による円高観測を凌駕し始めるだろう。まず米国サイドでは、いわゆる「トランプノミクス」への期待が急速に萎える中でも景気が堅調に推移、「一刻も早くトランプ財政が発動しなければ失速する」との危機感は漂っていない。

現在、主要通貨圏では米国だけで孤高の利上げが進行しており、トランプ政権の迷走を目の当たりにしても、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーからは、今年3月に実施した利上げを含めて「年内3回」程度の実施を支持する発言が相次いでいる。

昨年末の記者会見でイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は、ほぼ完全雇用状態に達した米国経済に財政刺激は「明らかに必要ない」と述べていた。一般に、民間の活力で経済がうまく回っている間、規制緩和以外の政策について、政府はむしろ「何もしない」のが一番良かったりする。足元の米国経済はそんな状態にあるのではないか。

次回の米利上げは6月に実施される可能性が高く、マーケット・トークの題材としてはすでに相当織り込まれている。だが、ドルの短期調達コストや運用利回りが今の水準からさらに0.25%程度の幅で上昇した場合、その影響を回避できない国内外の投機家や投資家の為替売買行動に無視できないインパクトが及んでいくだろう。

翻って日本の金融政策に目を転じると、異次元緩和開始から4年が過ぎても「物価目標2%」の達成が視野に入っていない。「短期金利=マイナス圏に水没、長期金利=ゼロ%界隈に固定」という異例の金利操作は長期化の可能性が極めて高い。「インフレ率実績を目標から上振れさせる」という「オーバーシュート型コミットメント」を撤回しない限り、ベースマネーの漸増も続く仕組みになっている。

日銀の金融政策に対する評価は十人十色だが、筆者は日本中の金融機関、諸法人、個人投資家が安全かつ満足のいく円金利を稼げる機会を見いだすのがどんどん困難になっている点を重視している。仏大統領選挙絡みのモヤモヤ感が晴れる頃まで待つ必要はあるが、日銀が現在の超低金利政策を根気よく続けていれば、米追加利上げ観測の実現とともに、ドル高・円安圧力が表出してくる時期が早晩やってくるだろう。

年度後半に想定すべきドル円の上値めどをピッタリ当てる自信はないが、ひとまずは心理的節目の115.00円、そして昨年末高値の118.66円などを意識している。これらを抜いた場合はその時の状況を踏まえ、120.00円前後の攻防まで踏み込むか否かを検討したいと考えている。

*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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Column | 2017年 04月 6日 11:25 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:米株高騰を招いたトランプ相場の「落とし穴」

James Saft

[3日 ロイター] - 米リフレ政策期待を背景とするいわゆる「トランプ相場」による株式市場の高騰は、2つの相互に関連する問題をはらんでいる。つまりそれは、トランプ大統領とバリュエーションだ。

トランプ政権が医療保険制度改革(オバマケア)代替法案を撤回したことで、減税、インフラ投資、規制緩和といった面でも同様の失敗が繰り返されるリスクが明確になった。株式市場のバリュエーションが歴史的に見て高水準にあり、米連邦準備理事会(FRB)が利上げ局面に入っている今日、こうしたリスクは大きな脆弱(ぜいじゃく)性の原因となっている。

大統領選挙後に見られたリスク資産の価格上昇を支える中心的な論理は、共和党がホワイトハウスと議会の双方を握ったからには、経済成長を加速するだけでなく、経済成長が企業の収益改善につながりやすくするような政策を強行するだろう、という考え方だった。

そのような動きが生じるのはこれからかもしれないが、S&P500銘柄に関して、株価売上高倍率が史上最高、過去10年間の収益で計算した株価収益率も、「ドットコム・バブル」の崩壊後には見られなかった高水準にあることを思えば、誤解の余地はほとんどない。

ヤルデニ・リサーチの市場ストラテジスト、エド・ヤルデニ氏は、「いずれも目がくらむほど高い水準だ。しかし、トランプ氏が規制緩和を進め、減税の実施に成功すれば、この水準も正当化されるかもしれない。彼の政策がGDP(国内総生産)成長率とS&P500社の売上高を押し上げるうえでどれだけ役に立つかは分からない。とはいえ、企業収益の追い風になるのは確かだ」と書いている。

「ただし、トランプ氏の勝利により、ファンダメンタルズやバリュエーションに関する合理的な評価とは何の関係もない、溶解システムを作動させたというリスクはある」

確かに、消費者信頼感指数や中小企業景況感指数などは上昇しているが、これらセンチメントに基づく経済指標と、実際に動いた金額を記録するよりハードな指標とのあいだには、顕著な乖離(かいり)が現れている。アトランタ地区連銀が発表する予測「GDPナウ」では、第1・四半期の米国の経済成長率は1.2%にすぎない。

もちろん、センチメントが独自の現実を生み出すことはある。だが、アナリストが予測する企業収益改善のペースは、選挙前よりも減速している。選挙前には、法人税減税も、海外利益の国内還流に対する減税措置も、甘い期待程度のものでしかなかったにもかかわらず、である。

政策による刺激によって促される前に、米国企業社会において投資、雇用、成長という好循環が突然始まると期待するのは、ばかげている。そのような政策変更が現在の政権運営のもとで行なわれると期待するのもリスクが大きい。実際にそうした政策変更が実現したとしても、その政策がうまくいくと見るのは憶測にすぎない。

<バリュエーションと将来利回り>

また、FRBの政策担当者のなかに、バリュエーションの高水準を指摘する声が増えつつあるという事実がある。これは恐らく、少なくとも今回は、彼らが金利設定の調整において、そうしたバリュエーションの高さを実際に織り込み始めている可能性を示唆している。

ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は先週、FRBが引き締めのペースを加速すべき理由として「高水準の資産市場価格」を挙げ、一部の資産市場が「少し高めに」なっていると述べた。またサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁も、特に株式市場は「少しバブル気味かもしれない」と指摘している。

ローゼングレン総裁同様、ウィリアムズ総裁は、FRBで金利決定を担当する連邦公開市場委員会において今年は投票権を持っていないが、財政政策への期待という点で市場は「少し現実よりも先走っている感がある」とも述べている。

市場の動きが実体経済に裏付けられ、財政・経済政策によって上げ相場がさらに拡大する可能性はあるが、他方で、市場の過熱を防ぐ意味も込めてFRBが金融引き締めを予想よりも加速させる可能性もある。

状況がどのように推移しようと、1つの事実は残る。過去の実績からして、将来の利回りが期待できないレベルまで、現在のバリュエーションが上昇してしまっているということだ。

いくつかの指標からすると、バリュエーションの中央値は世界的に過去最高の水準にあり、将来の利回りが、債券投資をわずかに上回る程度になることを示唆している。

ソシエテジェネラルのロンドン法人でクオンツストラテジストを務めるアンドリュー・ラプソーン氏は、「高いバリュエーションは将来の利回りを予想するうえで非常に参考になることが分かっている」と書いている。

「たとえば利回り2.0%以下(つまり配当よりも小さい)の債券よりも総利回りが大きければ、リスクがはるかに大きくても株式を保有する見返りとして十分だと考えるのであれば、今日のバリュエーションでもかまわないということになるだろう。株式投資にはリスクプレミアムが伴うべきだと考えるのであれば、今日の水準には問題がある」

現在の株式市場の投資家は、そろって現在のバリュエーションを容認する方向に賭けているが、トランプ政権が公約している、あるいは示唆している各種の計画の相当部分を実現しない限り、これが成功するとは考えにくい。

だが、米国において包括的な税制改革が最後に実施されたのは、1986年のレーガン政権時代である。時代も今とは大違いだし、共和党も現在とは大きく異なり、もっと一枚岩だった。それを考えると、これはリスクの高い賭けである。

税制改革が断片的で、海外利益の国内還流に対する減税措置のように手っ取り早く成果を挙げることを意図したものになるとしよう。減税分の大半は、自社株の買い戻しを通じて株式市場に還元されるだろう。

経済成長とインフレを20世紀の標準的な水準に押し戻すようなリフレーションが生じる可能性は、それよりもはるかに低い。株価は、最終的には確実に、この事実を反映するはずである。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

アングル:米国株は割高にあらず、株価収益率の盲信は危険
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Business | 2017年 04月 6日 16:47 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース

現行の金融政策スタンスから外れる必要性ない=ECB総裁

[フランクフルト 6日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は6日、現在の金融政策スタンスを見直す必要性はみられないと述べた。

当地で開催された会議で「記者会見の冒頭で一貫して示している認識から外れる理由はない」と述べた。

また「金利、資産買い入れ、フォワードガイダンスといったスタンスの構成要素に選択肢を設けるには、インフレ率が中期的にわれわれの目標に近づいており、あまり緩和的でない金融政策状況でもその状態が維持されると確信する必要がある」と指摘した。


ECBの超緩和策、リスクは一段と明確=独連銀総裁

緩和的な金融政策、現時点で適切─独連銀総裁=英FT
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ECB理事会メンバー2人、一段の緩和策必要ないと主張
http://jp.reuters.com/article/ecb-draghi-idJPKBN1780QQ

 

 

 Column | 2017年 04月 6日 18:10 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:中国に対するトランプ氏の「報復」が生む好機

Pete Sweeney

[香港 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ大統領は、「非常に困難」だと大統領自身が認める会談に向けて準備を進めている。中国の習近平国家主席は6─7日、米フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘を訪れるが、米政権内の強硬派は、対中貿易赤字を減らすべく懲罰的措置を求めている。

貿易戦争となれば破滅をもたらしかねない。だが、愚行と何も手を打たないことのはざまには、外国企業への長年にわたる規制に対して報復する余地がある。そうなれば、中国で活動する米企業のみならず、窮地に立たされている中国の改革派にも歓迎されるだろう。

中国共産党は秋の党大会で指導部を刷新する予定だが、米中首脳会談について、一部の米外交官は圧力をかける絶好のチャンスと捉えている。中国の経済リベラル派から見ても、会談は建設的になり得る。彼らは長い間、金融サービスやテクノロジー、エンターテインメントなどの分野において外資参入の強化を推進してきたからだ。

中国の指導者層は米国のお化けを引き合いに出して、怖がらせることで改革を進めてきた。1990年代、当時の朱鎔基首相は、中国の世界貿易機関(WTO)加盟に関連した米国の要求を、国有企業改革の口実として利用した。

最近では、人民元が国際通貨基金(IMF)特別引き出し権(SDR)の通貨バスケットに採用されるとの見通しが、経済保守派に対し、為替と金利の管理を緩め、債券市場を開放するための説得材料となった。

とはいえ、中国が約束したにもかかわらず、世界第2位の経済大国の大部分において、外国人投資家は排除されたままである。同国では依然として国有企業が優位に立っており、過去2年間、政府による投資が経済を軌道に乗せてきた。

中国消費の「奇跡」を伝える話はいろいろあるが、世界銀行のデータによると、同国の家計消費は2015年、国内総生産(GDP)のわずか37%を占めるにすぎない。一方の米国は68%である。

何十年もの間、このようなゆがみに外国企業は寛容だった。改革の勢いに自信があったし、収益も伸びていたためだ。しかし現在、中国にいる米国企業の経営者たちは悲観的な見方を強めている。

在中国の米国商工会議所が1月に発表した調査によると、投資先としての中国の魅力は2012年以降、年々低下し続けている。また、ロジウム・グループのデータは、同期間中に米国が行った対中直接投資の価値が低下していることを示している。

その一方で、中国政府による保護は強化されている。

2025年までに国内の先進製造業の成長を促進し、付加価値の低い製造業からシフトを図る包括的な計画「中国製造(メード・イン・チャイナ) 2025」では、国内の外国ブランドを締め出し、国の支援を全面的に受けたバリューチェーンを強化することによって海外での競争力も高めることを提唱している。暴露系のメディアでは、ケンタッキーフライドチキン(KFC)やスターバックスのような外国企業を攻撃するキャンペーンも行われている。

<これぞ投資>

それ故、米国政府の仕事人間たちは一連の政策手段を打ち出している。1つの選択肢は、経済安全保障を検討するため、対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を拡大することだ。CFIUSはもともと、機密の技術取得を防ぐために設立された。

もう1つの選択肢は、中国の産業政策によって損害を被った米産業界を代表して、米国政府が通商ルールに基づいて申し立てを積極的に行うことだ。

だが現在はやっている言葉は「相互主義」である。これは、中国の差別的な政策を自国企業に向かわせることによる完全報復へと道を開くことになるだろう。議員たちは、米国企業が中国で現在締め出されている業界に中国企業が投資するのを阻止するかもしれない。本土企業に現地で合弁事業を設立することを義務づけたり、主要テクノロジーの譲渡を求める可能性がある。

極端なことを言えば、米国は中国のオンラインサービスに対し、独自のネット規制を立ち上げることも可能だ。このようなシナリオにおいては、大連万達集団(ワンダ・グループ)の米映画館運営大手AMCエンターテインメント・ホールディングス買収のような企業買収も阻止できる。あるいは、買い戻すこともあり得るだろう。

理論的には、こうした手法が与える脅威は、中国に門戸を開放させ、米国のように行動させるには十分だろう。その一方で、最終的に米国が中国のようになってしまうリスクもある。

たとえそうだとしても、相互主義への選択的アプローチによって、中国の国民を苦しめることなく同国からより良い政策を引き出せるかもしれない。例えば、中国企業からの投資が阻まれても、米中どちらかの経済成長が必ずしも落ち込むわけではない。完全雇用に近づき、株式市場も記録的高水準にある米国は、中国のキャッシュにあまり飢えてはいない。

一方、中国は米国による投資を今なお必要としている。エンライト・スコット・アンド・アソシエーツの調査によれば、中国GDPの35%近くが、そして雇用の4分の1以上が、外国企業かその関連企業で占められている。そのような投資の大半は、とりわけハイテク業種においては米国企業で占められている。

残念なことに、トランプ大統領の照準は間違った方向に合わせられている。米国の対中投資よりも、自国に資本と雇用を取り戻すことを心配している。大統領はまた、米国で販売される中国製品のコスト増を求めている。このような考え方は、中国市民の多くから仕事を奪いかねない。UBSのアナリストによると、中国輸出企業の雇用者数は4000万人に上る。

中国の交渉担当者たちは、自称「取引の達人」であるトランプ大統領との実りある議論を楽しみにしている。もし米国大統領が、米国での貿易障壁を設けることより、中国での投資障壁を減らすことに重点を置くなら、中国政府内で鳴りを潜めている同調者に活力を与えることになるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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Technology | 2017年 04月 6日 17:00 JST 関連トピックス: トップニュース

NTTが固定電話で新料金、24年から全国一律3分8.5円に

[東京 6日 ロイター] - NTT(9432.T)は6日午前に開かれた総務省有識者委員会で、2024年から固定電話の通話料金を全国一律3分8.5円にすると表明した。固定電話網(PSTN)をインターネットの技術を使ったIP網に移行するのに伴い変更する。

これまでは距離に応じて通話料金が高くなる仕組みだったが、新たに提供する「メタルIP電話」はIP網の特性を活かして全国一律の通話料金を採用。現状の市内通話3分8.5円を全国に拡大することで、長距離は大幅に安くなる。基本料金は現行水準を据え置いた。

固定電話網はIP網に移行するが、利用者宅までは従来のメタル回線を使う。変換装置は局舎に置かれるため、利用者宅の工事は不要で電話機もそのまま使える。

固定電話網の要となる交換機はすでに製造が停止されており、NTTによると2025年には維持限界を迎える。こうした状況を踏まえ、同社は同年までにIP網へ移行する構想を公表していた。

ただ、IP網に移行すると、事業者間の調整や一部サービスを終了する必要が出てくる。このため、総務省は情報通信審議会に電話網移行円滑化委員会を設置、IP網への移行で生じる問題などについて議論を進めている。

6日の委員会では有識者から、固定電話市場の更なる縮小が予想される中で、「(足元にメタル回線を使う)メタルIP技術に固定しないで考えていくことも必要なのではないか」といった意見も出ていた。

NTT東日本の矢野信二取締役は6日午後に開いた説明会で、東西合わせて2172万件(昨年末)の固定電話の回線数について「2024年には半分近くになると見込んでいる」と述べ、1000万件程度まで縮小するとの見通しを示した。

<二次答申に向けユニバ議論も>

固定電話の議論と切り離せないのが、ユニバーサルサービス制度との関係だ。現在、固定電話は国民生活に不可欠な通信サービス(ユニバーサルサービス)として指定されており、NTT東西会社は固定電話を誰もが使える料金で全国一律に提供する義務を負っている。

だが、携帯電話など新たな通信手段が台頭する中で、固定電話の利用率は年々低下しており、業界では制度が時代に即していないとの声も聞かれるようになってきた。

総務省有識者委員会はこうした点も議題に上げ、今年の夏から秋をめどに移行のあり方に関する二次答申を取りまとめる方針だ。

高市早苗総務相は2月14日、閣議後の記者会見で「将来を見据えて最低限度のサービスとして必要なものが何であるか、考える時期だと思っている」と述べ、見直しを示唆した。

*内容を追加します。

(志田義寧)

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http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/719.html

[経世済民120] 最先端”の日本に学ぶFRBと 昔のFRBに学ぶ日銀のねじれ 「大人の引きこもり」と高齢化する親、困窮家庭に行政の光は
2017年4月6日 加藤 出 [東短リサーチ取締役]
“最先端”の日本に学ぶFRBと
昔のFRBに学ぶ日銀のねじれ


日本の人口減少問題を「世界最先端」と評した、サンフランシスコ連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁 Photo:REUTERS/アフロ
 この4月4日で、黒田東彦総裁率いる日本銀行が実施している異次元金融緩和策は5年目に入る。

 4年前に日銀は「マネタリーベースを2年で2倍にして、インフレ率を2%に引き上げる」と宣言した。当時130兆円台だったマネタリーベースは、今や3.3倍の440兆円台に達した。米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)よりも圧倒的に大胆な緩和策が行われているのだが、期待された効果はなかなか表れてこない。

 民主党政権下の2012年に比べれば、為替レートは円安水準にあり、企業業績は上向き、株価も高い。しかし、この4年間の世界経済の回復に日本経済が助けられてきた面も多分にある。

 4年前はまだQE3(量的緩和策第3弾)を実施中だったFRBだが、米経済の改善を反映してこの3月に3度目の利上げを決定した。ECBも欧州経済の回復を受けて昨年12月にQEの縮小を決定し、マリオ・ドラギECB総裁は3月の記者会見で「デフレ勝利宣言」を行った。年内にマイナス金利政策の縮小に着手する可能性も出てきた。

 対照的に日銀は、今のマイナス金利政策と、10年物国債の金利をゼロ%近辺に誘導する政策を粘り強く継続することを強調している。FRBやECBと違って、緩和策による景気刺激効果が得られていないからだ。

 3月24日に行われた講演でも黒田総裁は、海外から金利上昇圧力が日本に及んでも、基調的な物価上昇期待に力強さがない今のような状況では政策は変えないと言明した。

 一方、同じ3月24日に米ワシントンで行われたカンファレンスでは、ジャネット・イエレンFRB議長の右腕といわれている、米サンフランシスコ連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁が興味深い発言をしていた。

 彼は数年前に日本を訪問した際の経験に触れ、面談した全てのエコノミスト、経済学者が人口減少の影響を懸念していたことに強い印象を受けたという。

「スタンダードな経済モデルで仕事をしているわれわれのようなマクロエコノミストには、人口動態は重要だとは思えない。しかし、日本の経験はわれわれに警告を発していると思う」

「人口動態の問題は、次の10年でわれわれにもやって来る。潜在成長率だけでなく、貯蓄と投資のバランスや、中立金利(景気を刺激も抑制もしない金利)にも影響が出る。日本は世界の他の国々がいまだ経験したことのない最先端の状況にある」

 ウィリアムズ総裁は、人口減少で期待成長率が低下している経済では金融政策の効果が弱まるリスクを感じている。ベン・バーナンキ前FRB議長を筆頭に、以前は「日銀の金融政策が下手だから日本経済は低迷している」と考える幹部が多かったFRBだが、様子が変わり始めている。

 しかし、今の日銀はバーナンキ時代のFRBの発想に沿って政策を行っており、「ねじれ現象」が起きている。

 異次元緩和策が長期化すると金融機関は資金運用難に直面し、その副作用が多方面で現れてくる。人口減少にもかかわらず、相続税対策のアパート建設への融資が急増したのはその一例だ。

 日銀は単に超緩和策の継続を強調するのではなく、構造改革の必要性をよりアピールしていくべきだろう。

(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
http://diamond.jp/articles/-/123336

 


【第276回】 2017年4月6日 池上正樹 [ジャーナリスト]
「大人の引きこもり」と高齢化する親、困窮家庭に行政の光は届くか?


高齢化する50代の引きこもりと80代の親に象徴される“8050問題”に対して、行政もいよいよ対応を始めた
行政がいよいよ対策に乗り出した
「引きこもり」長期化と親の高齢化

 いわゆる“8050問題”とも言われる、引きこもる本人の長期化と親の高齢化に対応しようと、行政も取り組みに乗り出した。

 3月28日、参議院決算委員会で、公明党の山本博司議員の質問に対し、内閣府の加藤勝信特命担当大臣は、「40歳以上の引きこもり状態の方々の実態把握は重要。次回調査に向け、引きこもり状態について知見のある有識者とも連携して、40代以上も調査の対象に加える」方針を明らかにした。

 国による「大人の引きこもり」全容調査に向けて、大きく前進したと言える。

 なぜなら、内閣府は昨年9月に、15歳から39歳の引きこもり者が約54万人に上るという第2回調査の推計結果を公表したものの、増加している40歳以上の実態調査は省略されたため、「大人の引きこもり」状態の課題については、これまで置き去りにされていた。

 しかし、引きこもり家族会全国組織である「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」が、40歳以上の引きこもり当事者についての家族らからの聞き取り調査を実施し、長期化高齢化の課題に関する中間報告を今年1月に公表。いわゆる「8050問題」と言われる、80歳代の親が50歳代の子供の面倒をみる事例が増えている実態を報告した。

「私も議員となってからこの10年間、引きこもり支援について取り組んで参りました。長期化すればするほど孤立は深刻になり、社会復帰が困難となります。安倍政権では、一度失敗してもチャレンジできる社会を目指しておりまして、大人の引きこもり支援は大変大事でございます」

 山本参議院議員がこう質問すると、内閣府の加藤大臣は次のように答弁した。

「40歳以上の引きこもりの状態にある方々の実態把握は重要だという風に認識をしておりまして、次回調査に向けて、関係省庁や引きこもり状態について知見のある有識者などと十分に連携をさせていただいて、40歳以上の方々も対象に加えるべく検討して参りたいと思います」

 このように、加藤大臣が今回、内閣府で調査すると明言した意味は大きい。ちなみに、次回調査の時期は、1回目が2010年度、2回目(昨年9月公表)が2015年度という流れから考えると、5年後ということになる。しかし、内閣府の担当者は「5年後ということではない。このところの情勢の変化もあるので、もっと前に行うことも含め、これから検討していくことになる」と話している。

 また、検討するにあたっては、「子ども・若者」以外の領域の有識者や、厚労省社会援護局などの省庁とも連携していくということなので、前向きに取り組んで行こうという意志が感じられた。

 今後、いつ調査を実施するのか、家族などの当事者たちは注視している。

 さらに、厚労省の塩崎恭久大臣も、40歳以上を含めた引きこもり状態の当事者たちに対し、都道府県などに設置されたひきこもり地域支援センターでの相談支援や、生活困窮者自立支援制度における相談窓口での包括的支援とともに、こう答弁した。

「現在、国会にも提出をして、先ほど審議入りをいたしました地域包括ケアシステム強化法案の中においても、包括的に支援をする体制を整備している。この中で、これまでの支援に加えて、大人も含む引きこもりなどの社会的孤立の状態に置かれている方々を早期に発見し、確実に支援することができる地域づくりを目指してまいりたい」

東京都も乗り出した
「大人の引きこもり」対応

「大人の引きこもり」対応に関しては、首都・東京都でも動きがあった。

 3月22日に行われた都議会厚生委員会で、公明党の中山信行都議の質問に対し、高橋生活支援担当部長は、「区市の相談員のさらなる資質向上を図るため、民間団体などの協力も得て、発達障害、DV、引きこもりなどのテーマ別検証を実施し、相談員が窓口で適切な支援を行えるよう、都内の実際の相談事例を踏まえた自立相談支援マニュアルを作成」することを明らかにした。

 担当する都の生活支援課によると、このマニュアルは、生活困窮者自立支援の相談窓口向けに、引きこもり事例の様々な課題の共有と就労に向けたノウハウ的なものを寄せ集めたいという。

「生活困窮の窓口だけでは、解決できない問題も多い。マニュアルの作成にあたっては、引きこもり家族会や、場合によっては当事者団体などからの意見をお聞きする場を設けることも含め、ヒアリングや紹介なども想定しています」(担当課長)

 今後、この自立相談支援マニュアルを年度内に作成。都内の生活困窮者自立支援法に基づく相談窓口50カ所と島しょ部4支所に配布する。都は、研修なども含めた事業費として、今年度予算に2千万円余りを計上した。

 都の「引きこもり」施策については、これまで青少年・治安対策本部が担当していて、「34歳までで年齢を線引きするのはおかしい」「犯罪者予備軍のように捉えているのではないか」といった批判が、当事者や家族、支援者側からも挙がっていた。

 福祉領域の部署が、生活困窮者対応に含める形とはいえ、社会的孤立にある「引きこもり」状態の課題に乗り出すのは、初めてと言える。

地域から「孤立」をなくせるか?
衆議院で審議される社会福祉法改正

 ここ数年、引きこもる本人たちや家族を取り巻く環境も大きく変わってきた。

 地域に埋もれ、孤立していた当事者たちが声を出せるような空気もできてきて、社会的にも少しずつ認知されているように思う。

 現場からの声を救い上げる周囲の人たちの意識や行政などの体制にも、幅が広がるなどの変化が生まれてきている。

 厚労省の社会援護局などの福祉部局では現在、「我がごと・丸ごと地域づくり」が進められている。その中で、社会的な孤立状況に置かれた人たちの解題を見つけて、その人の状況に応じた適切なところにつなげていける地域づくりが大事だ。

 地域の住民が、「孤立」などの課題を把握できるような地域づくりを市町村に努力義務で課そうという趣旨の「社会福祉法」の改正も現在、衆議院で審議されている。

「社会福祉法は、すべての人たちが役割を持って社会に参加できる地域をつくっていこうという地域共生社会の中で、支えたり支えられたりという“地域力”を再生しようというものです。引きこもり青年や、高齢者が一方的に支えられるだけでなく、そういった方々も支える側に回れるような社会を作りたいということです」(厚労省担当者)

 順調に進めば、同法案は今国会の6月中には成立する見込みだ。

(ジャーナリスト 池上正樹)
http://diamond.jp/articles/-/123817

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/720.html

[経世済民120] 気づいたら「バブル」になっていた日本経済    資産家がわざわざローンを組んで不動産を買う理由 産運用のパラダイムシフト
気づいたら「バブル」になっていた日本経済
地価も賃金も上向きに。歴史は繰り返されるのか
2017.4.6(木) 新潮社フォーサイト
新潮社の会員制国際情報サイト「新潮社フォーサイト」から選りすぐりの記事をお届けします。

都内の道路を歩く人々(2014年11月28日撮影、資料写真)。(c)AFP/Toru YAMANAKA〔AFPBB News〕
(文:青柳 尚志)
3月の金曜日の夜更け、深夜2時を過ぎた六本木交差点。飲み過ぎて時間ばかりが経過し、街に出てタクシーを拾おうと思っても、拾えない。そこにはタクシーを待ち、虚しく手を挙げる酔客たち。さすがに1万円札をかざす人は見かけなかったが、街の雰囲気がちょっと違う。送別会のシーズンだからかもしれないが、銀座コリドー街の賑わいも尋常ではない。 
目を見張る大阪の地価上昇
国土交通省が3月21日に発表した、今年1月1日時点の公示地価。住宅地価格が9年ぶりに底打ちし、わずかながら上昇した。新聞記事は見出しを採りやすい住宅地に焦点を当てたが、住宅地ばかりでなく、商業地と工業地の価格も上昇している。そして神々は細部に宿る。大阪の動きに目を見張る。商業地の上昇率の上位5地点をみてみよう。 
41.3%上昇 道頓堀1−6−10(づぼらや) 1
35.1%上昇 宗右衛門町7−2(CROESUS(クリサス)心斎橋) 2
34.8%上昇 小松原町4−5(珍竹林) 3
33.0%上昇 心斎橋筋2丁目39番1 4
30.6%上昇 茶屋町12−6(エスパシオン梅田ビル) 5
いずれも大阪市で前年比の上昇率は3割を超えている。ちなみに6位は京都市の祇園町、7位は名古屋市の名駅、8〜10位は東京の銀座だが、大阪が上昇率のトップ5を席巻したのは初めてだろう。1位に輝いた道頓堀エリアは地下鉄なんば駅から450メートルの距離。鑑定評価員によれば、「外国人観光客の増加にともなって、賑やかさが増していることから新規の出店需要が強い。さらに周辺部はホテル用地としての需要も旺盛」というのだ。 
大阪の観光名所、通天閣にほど近い地下鉄・恵美須町駅(大阪市浪速区)。訪日外国人が多く乗降する出入り口からすぐの場所で、約360室の大型ホテルの建設が進んでいる。日本経済新聞によれば、同じ場所には2014年までシャープの営業拠点があったが、売却されていた。 
興味深いことに、所有者はアジア系の大手旅行会社。不動産鑑定士によると「公示地価を大幅に上回る価格で土地が取引された」。新設するホテルは外国人客が多い「道頓堀ホテル」を展開する王宮(大阪市)が運営する計画で、「電機大手などのオフィスからホテルへ」という動きを象徴する。 
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・「国家安全保障戦略」から日本の防衛を考える
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2016年に大阪を訪れた外国人観光客は941万人と4年連続で過去最高。13年は263万人だったから、4年間で3.5倍である。関西国際空港の国際線旅客数は16年には15%増の1876万人。うち外国人客数は21%増の1217万人で、いずれも過去最高を記録した。各国の格安航空会社(LCC)や大手航空会社が新規路線を開いたうえに、首都圏よりもアジアに近い地の利がある。 
ヤマト運輸は運賃値上げ
エコノミスト・吉崎達彦氏の最新刊『 気づいたら先頭に立っていた日本経済』になぞらえれば、大阪は「いつのまにか先頭に立っていた」のだが、埼玉県入間市の存在も見逃してはならない。残念ながら観光スポットとしてではないし、朝鮮半島の緊張激化に伴い航空自衛隊入間基地に脚光が当たっているといった事情でもない。西武池袋線・入間市駅から5キロメートル離れた、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)周辺の土地(入間9−1)が、工業地として全国一の上昇率(10.3%上昇)に輝いたのだ。
用途は物流施設である。そういえば、2月に大火事を起こして世間を騒がせたアスクルも、物流倉庫の所在地はこの近隣の入間郡三芳町だった。圏央道の埼玉県および神奈川県内の区間が相次いで延び、さらに2月には茨城県区間が全線開通した。圏央道の輸送ルートとしての使い勝手が格段に良くなるとして、沿線地域で物流用地の需要が高まっている。 
その底流には、インターネット販売の普及という消費構造の地殻変動がある。ネットでの注文にタイムリーに応えるには、大規模な物流施設が不可欠。商業地の不動産需要が「オフィスからホテルへ」とシフトしているように、ネット販売の拡大とともに工業地の不動産需要も「工場から物流倉庫へ」と大きく変わっているのだ。 
ネット販売が普及する陰で、人手不足が深刻さを増している。ヤマト運輸による27年ぶりの運賃値上げ要請が話題となっている。象徴的なのは、相手方がネット販売大手のアマゾンだったことだ。数時間刻みの配送や留守宅への再配達など、きめ細かな宅配サービスを続けようにも、人手が足りず現場環境は過酷になっている。だから、運賃値上げを認めてほしい。こんなヤマトの要請には、うなずく消費者も多かった。 
非正規社員の時給も上昇
43.9%の企業で正社員が足りない。帝国データバンクが今年1月、企業に従業員の過不足を尋ねたところ、そんな回答が返ってきた。正社員が足りないとの回答は、半年前の16年7月調査から6.0ポイント増加した。正社員の人手不足は、過去10年で最高に達した。 
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正社員の人手不足が最も著しい業種は「放送」の73.3%で、「情報サービス」「メンテナンス・警備・検査」「人材派遣・紹介」「建設」が60%台で続く。「運輸・倉庫」も58.1%の企業が正社員の人手不足を訴えている。 
非正規社員が人手不足という企業は29.5%。半年前から4.6ポイント増加した。最も非正規社員の人手が足りないのは「飲食店」の80.5%。これに「娯楽サービス」の64.8%、「飲食料品小売」の59.4%が続く。「旅館・ホテル」も53.3%で人手が足りない。 
人手不足はアルバイト・パートの時給にも反映している。リクルートジョブズの調べでは、今年2月のバイト・パートの時給は前年同月比2.3%増の1001円と、2月としては初めて1000円の大台に乗せた。年末のかき入れ時である昨年11月、12月に1000円台に乗せ、年明け1月には993円まで低下していたのだが、人手不足の度合いが強まったことで早くも持ち直した。 
ホテルフロントの時給が前年同月比3.6%増、金額にして36円増の1022円になったのは、外国人観光客の増加を映してのことだろう。ホテルスタッフ、宿泊施設関係(旅館・民泊)も979円と978円ながら、前年同月比ではそれぞれ3.2%増、4.2%増となっている。金額にすると30円と39円の増加である。 
ヤマトの運賃値上げ要請の背景にあるのは、ドライバーの不足。フォークリフトなどのオペレーターの時給は同7.4%増の1102円と、ついに1100円台に乗せた。ドライバー・配送・デリバリーは同2.6%増の1022円、ドライバー(中型・大型・バス・タクシー)は同2.1%増の1113円になっている。 
このほか介護スタッフが同1.0%増ながら1019円に。ホームヘルパー(訪問介護員)が1.6%増の1160円、介護福祉士が4.5%増の1133円になったのも目を引く。介護の仕事はきつくて、低賃金といった紋切り型の言い回しが流布するなかで、労働需給の逼迫は確実に時給に反映されつつあるのだ。 
「春闘」の動きは鈍いが・・・
その一方で今年の春闘について、連合は3月24日、ベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた平均賃上げ額は6224円、賃上げ率で2.05%だったとの中間集計を発表した。23日朝までに回答のあった1243組合の集計で、前年同期と比べ111円、0.05ポイント減少した。 多くのメディアはこうした春闘の結果を「4年目の官製春闘の限界」などと大見出しで報じた。 
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春闘の賃上げとバイト・パートの時給増加を単純には比較できないにせよ、どちらの元気が良いかは明らかだろう。企業がいったん雇ったらなかなか解雇されない長期雇用が保証された「正規雇用」と、その都度の事情で雇われるバイト・パートなどの「非正規雇用」。日本の雇用市場は、この正規、非正規に分断されているといわれる。 
正規雇用の場では、企業経営者はいったん賃金を引き上げると、その後の景気後退期に賃金をカットすることが難しい。いわんや解雇をや。だから賃金引き上げにはどうしても慎重になる。組合も企業内組合だから、そうした経営側の事情には「忖度」を働かせる。反対に非正規雇用では労働需給に応じて賃金が決まるので、最近のように景気が持ち直し、人手不足が目立つ局面では賃金が上昇しやすい。 
かくて「官製春闘」とは別世界の、非正規の雇用市場で賃金上昇のメカニズムが働きだしたのである。ところが政府も組合もマスコミも、大企業が春闘相場という形で賃金水準を決め、中小企業や非正規雇用に波及していくとの思考に囚われている。その結果、バイト・パートの時給の変化にはメディアの関心が向かわず、街行く人たちも認知ラグに陥っている。 
GDP計算方法を改訂してみると
政府は3月の月例経済報告で、個人消費に対する判断を若干上向かせた。2月の「持ち直しの動きが続いているものの、このところ足踏みがみられる」から、「総じてみれば持ち直しの動きが続いている」へと変更したのだ。企業収益の判断を政府は、2月の「改善の動きがみられる」から、3月は「改善している」へと上向かせた。消費と企業収益は足並みをそろえているようにみえる。 
そうは言っても、人口減少に向かう日本経済は右肩下がりではないか。そんな疑問をぬぐえない向きも多いだろう。皮肉にも人口が減少し、労働力の供給が限られているからこそ、多少の景気上昇で、雇用が逼迫してしまうのだが、そうした議論をする前に、日本経済の全体像である国内総生産(GDP)を点検してみよう。 
直近16年の日本の名目GDPは537.3兆円。前年比で1.3%増え、1997年以来19年ぶりに過去最高を更新した。あれれ、日本の名目GDPは500兆円くらいじゃなかったの。いつの間に30兆円以上も水増しされたの。そんな疑問を抱いた方がいるなら、経済に土地勘のあるご仁だ。実は政府はGDPの計算方法を改定し、米欧のように企業の研究開発費(R&D)などを投資に加えたのだ。その結果、15年の名目GDPを比べると、従来の基準で500.6兆円だったものが、532.2兆円へと30兆円余り拡大した(下記グラフ)。 

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旧基準と新基準のGDPを年度ベースで比較すると、日本経済の自画像が違ってくる。まず旧基準のイメージ。97年の521.3兆円をピークに、07年にはいったん513.0兆円まで持ち直したものの、リーマン・ショック(08年)と東日本大震災(11年)で大きく落ち込み、その後多少回復したとはいえ500兆円どまり。経済の天井は着実に低下している、という右肩下がりのイメージだ。 
新基準のイメージは異なる。07年にはほぼ97年のピークに近づき、その後リーマン・ショックと大震災に見舞われたものの、15年には再びピークに接近している。16年(暦年)にはついにピークを更新したことを含め、粘り腰といったイメージを抱かせる。 
安倍政権の経済運営(アベノミクス)の見立ても違ってくる。政権発足前の12年と3年目の15年を比較すると、旧基準でのGDP増加額は26.2兆円。これに対し新基準では37.5兆円の増加となる。10〜12年を民主党政権時代とし、09年と12年を比べると、旧基準では0.4兆円、新基準でも2.6兆円にとどまるから、GDPを物差しとした経済運営の成果は明らかだろう。 
バブルの歴史は繰り返すか
もちろん、こうしたGDPの拡大の背景には、日銀の異次元緩和によるマネーの大量増刷が存在する。そしてマネーの大量増刷にもかかわらず、消費者物価指数は今年1月にようやくプラスに転じたばかりで、政府・日銀が13年1月の政策合意で定めた2%の物価目標の達成からは程遠い。2%物価を目標とする、黒田東彦総裁率いる日銀は、米国が利上げしようと、欧州が量的緩和の出口を模索しようと、異次元緩和を継続する構えである。 
皮肉にも、アベノミクスの成果を認めたがらないエコノミストもメディアも、足元の景気実態を過小評価しがちだ。日本経済の地力ははるかに低下しているとはいえ、1980年代後半から90年にかけてのようなバブル景気が繰り返されることはないのだろうか。森友学園問題への政権の対応をみていると、リクルート事件が走馬灯のようによみがえってくる。事件の発覚は88年6月、ときの竹下登政権は当初、問題を過小評価して未公開株問題への対処が後手に回った。 
折しも89年4月には消費税の導入という不人気なイベントが控えていた。振り返れば当時がバブル景気の真っ只中だったのだが、消費者物価は落ち着いていた。株価と地価が急騰するなか、日銀は消費税の引き上げ前の公定歩合引き上げをためらい、初の利上げは消費税導入の翌月の89年5月だった。 
今回も政局が動揺するようだと、おのずと日銀への過剰期待が台頭するはずだ。消費税再増税の時期は19年10月。再増税の決断は18年中だが、そのときまでに2%物価を達成できているかは、再増税の重要な判断材料となるだろう。いきおい経済の実態に比べて緩和の度合いが強まるはずである。バブルの歴史は繰り返すのだろうか。このところ話題の名著『 バブル』の著者は、少なくともそうした危うさを感じ取っているようにみえるのだが。
◎新潮社フォーサイトの関連記事
・厚労省「全面禁煙」案は自民党の反対で「風前の灯」
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・「国家安全保障戦略」から日本の防衛を考える

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49628


 

資産家がわざわざローンを組んで不動産を買う理由
資産運用のパラダイムシフトはすぐ目の前?(第1回)
2017.4.6(木) 加谷 珪一
資産家はお金があるのにローンを組んで不動産を買うことがある(写真はイメージ)
 このところ資産運用の世界で、大きなパラダイムシフトが起こりつつある。長年続いた低金利の時代が終わり、金利上昇が本格化するのではないかとの見方が台頭してきているのだ。

 もしこの転換が本物だった場合、個人の資産運用は抜本的な見直しを迫られることになる。金利が上昇し、インフレが進む局面において、銀行預金に依存し過ぎることはリスク要因となる。

 そこで今回から3回にわたって、新しい時代を迎えつつある個人の資産運用と、すべてのカギを握る「金利」の動向について論じていきたい。

資産家はなぜわざわざローンを組んで不動産を買うのか

 多くの人は「金利」について普段、あまり注意を払っていないかもしれない。銀行の定期預金にお金を預ける時に「こんなに利子が少ないのか」と嘆いたり、逆に住宅ローンを組む際にパンフレットの表示を気にするくらいだろう。

 だが資産運用の世界において「金利」ほど重要な指標はない。金利が持つ力をどれだけ活用できるのかで、長期的な資産形成のレベルは天と地ほど変わってくるのだ。その代表的な例が住宅ローンである。

 普通に考えれば、住宅ローンを組むのはお金がないからである。家を買えるだけの現金を持っていないので、銀行からお金を借りて家を買うという理屈である。

 もちろん、この話はほとんどの人にとってウソではない。現金でポンと家を買える人はそうそういないので、現実問題として銀行からお金を借りなければ、家を買うことはできないだろう。

 だが世の中には、家を買うことができる現金を持っているにもかかわらず、わざわざローンを組んで家を買う人がいる。こうした人はたいていが資産家である。当然のことだが、ローンを組めば金融機関に金利を支払わなければならない。絶対的な支出という意味では確実に損してしまう。

 では資産家は、なぜ現金を持っているのに、時としてわざわざローンを組んでまで不動産を買うのだろうか?

 その理由は、資産家は金利が持つ意味を熟知しており、それを活用してさらに資産を増やそうと戦略的に考えているからである。

 家の購入も立派な投資行為の1つと見なすことができるので、これが成功するかどうかは、購入時とその後の不動産価格の推移に大きく左右される。安いところで買うというのは投資の鉄則であり、それは不動産も同じである。

 価格が破格に安くなった時が最大の投資チャンスということになるわけだが、そのようなチャンスはそうそうやってこないと多くの人は考えている。だが実際はそうでもなく、10年に1回程度は大きなチャンスに巡り会うことができる。最近では2003年前後と2010年前後にこうした局面が見られた。

不動産を購入する最大のチャンスはいつ?

 日本の不動産価格はバブル経済の頂点だった1991年をピークに下落が続いており、現在は当時の半分以下の水準となっている。だが不良債権問題がピークに達した2003年前後、市況は特に悪化し、価格を考えずに投げ売りする物件が急増した。リーマンンショック後も同様で、この時期に不動産を取得すればかなりの利回りが実現できた。

 こうしたチャンスを資産家は決して見逃さないのだが、彼等はなぜそのタイミングが市況の底だと判断できたのだろうか。もちろん経験や勘による部分も大きいが、それだけが理由ではない。資産家の多くは金利について非常に敏感であり、それゆえに市場の動向をより正確に把握できている可能性が高い。

 2002年から2003年にかけて、それまで平均すると1.5%程度だった長期金利が一気に0.5%まで下がった。これは金利のメカニズムをよく知っている人にとっては強力なサインとなる。市場が底を打った可能性が高く、かつ金利が大きく下がったことで資金調達のコストも低下する。このようなタイミングでは、思い切って銀行からローンを引っ張り、積極的に投資した方が得策なのだ。

 その後、不動産価格は急上昇し、高値で売却できた人は短期間で極めて大きな資産を作ることに成功した。リーマンンショック崩壊後も同様である。2009年4月には1.4%程度だった長期金利が2010年8月には1%を切る水準まで低下している。この時も、後になってみればアベノミクス相場における最大の買い場となっていた。

 この話を聞いて「その後、日本はさらに低金利になったではないか」との感想を持った人がいるなら、残念ながら金利との付き合い方はまだまだである。確かに日本では量的緩和策によって意図的に金利を低くする政策が行われたので、金利の絶対値はさらに下がった。

 しかし、投資の成否は金利だけで決まるものではなく、取得コストと金利を総合したものが最終的な投資コストになる。人為的に金利が引き下げられた後のタイミングでは、すでに取得コストが上がっており、トータルの採算は悪化していた可能性が高い。

金利は市場参加者の心理的な「時間軸」と関係している

 詳しくは第2回以降で解説するが、金利というものは市場参加者が持つ心理的な「時間軸」と密接に関係している。この部分を理解できるかどうかが投資を成功させるカギとなる。

 金利が高いということは、今後、物価が上がると多くの人が予想していることを意味している。物価が上がっている時は好景気であることも多いので、景気拡大を予想していると解釈することもできるだろう。

 逆に金利が下がっている時は、多くの人が今後は物価が下がり、景気が縮小すると考えていることになる。

 ではある時期、これまでとは大きく乖離して金利が急低下した場合に、どう考えればよいのだろうか。現実の景気や物価というのは、数日で変化するようなものではなく、半年や1年という時間をかけて状況が変わっていくものである。

 それにもかかわらず、ごく短い期間に大幅に金利が下がったということは、市場参加者の心理が急激に悪化したことを意味している。すべてのケースにあてはまるわけではないが、このような時は、市場が底を打つサインとなることが多い。2003年や2010年の金利低下局面はまさにこうしたタイミングだった。

 多くの人は、株価や不動産価格など、資産価格の推移しか見ていない。このため、価格が継続して下落していると、この先もっと下がるのではないかと考えてしまい、安く買えるチャンスを認識できなくなってしまう。逆に、まだまだ下がる可能性があるにもかかわらず、安易に飛びついてしまい、含み損を抱えてしまうということもあるだろう。

 もちろん金利動向を分析したからといって、将来の動きを確実に予想できるわけではない。だが金利の動きを知っているのと知っていないのとでは、判断に大きな差が出てくる。

金利を知っていればバブル市場を売り抜けられた

 もう1つの例をあげてみよう。

 1980年代後半のバブル経済崩壊前夜、市場参加者の誰もが株価の上昇を信じて疑わなかったといわれているが、金利はそうではないことを如実に示していた。

 1987年に4%台だった長期金利は上昇を続け、1990年には9%に達する勢いになったが、これは従来トレンドから見ると相当に乖離した水準だった。株価は一旦上昇相場が始まると青天井で上昇が続くことがあるが、金利はハイパーインフレにでもならない限り上限が決まってくる。このため、株式や不動産よりもピークを把握しやすいという特徴がある。

 実際、金利が急騰したこのタイミングが株価のピークであり、ここで株式から債券に乗り換えた投資家はごくわずかだが存在する。彼等は周囲がバブル崩壊に苦しむ中、年利9%という驚異的な利回りを長期間にわたって享受することができた。

 リーマンショク直前も同様である。米国の長期金利は基本的には長期的な下落トレンドだったが、株や不動産価格が暴落する直前の2年間はトレンドを乖離した金利上昇が見られた。金利の動向に注意を払っていれば、リーマンンショックもある程度は予想できたことになる。

 金利というのは将来見通しを示したものだという話は、具体的にはこのようなことを意味している。

 このあたりについては、2月に上梓した『最強のお金運用術』(SBクリエイティブ)で詳しく解説しているので、参照していただきたい。

 次回は、そもそも金利というものがなぜ発生するのかという少々、根源的な部分について議論を進めていく。これが理解できるようになると市場の見方が大きく変わってくるはずだ。さらにその次の回では、100年単位の金利の動きを分析し、今後の市場動向について考えてみたい。

(次回は4月7日に掲載します)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49620
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/727.html

[経世済民120] GPIFは円安なしで稼げるか、 黒田副作用で収益ゼロの恐れも ほぼゼロ社債発行困難 日本株年初来安値 超長期債上昇
GPIFは円安なしで稼げるか、 黒田副作用で収益ゼロの恐れも
野沢茂樹、竹生悠子
2017年4月6日 00:00 JST 更新日時 2017年4月6日 12:26 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ieghpdD8VrjY/v2/-1x-1.png

米「量的引き締め」迫る−10年債利回り3%未満ならアジアは大丈夫か

1−3月期の収益額はほぼゼロか小幅なマイナス−市場の推計
運用成績は為替相場に最も大きく影響されるとSMBC日興証

エンジンのない帆だけのヨットが風なしで水面を走るのは困難だ。世界最大規模の公的年金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も円安の追い風が吹かなければ苦境に陥る恐れがあると、市場関係者はみている。
  GPIFは昨年10−12月期の資産運用で、収益率約8%、収益額約10.5兆円という過去最高を記録した。その原動力は、トランプ新米大統領が掲げる大規模な景気刺激策を先取りした投資家のリスク志向を背景にした円安の進行だ。円の対ドル相場は四半期ベースで約21年ぶりに15%下落。日本株を押し上げる要因にもなった。外国債券の運用指標は現地通貨建てでマイナス3.5%だったが、円換算ではプラス7.6%。外国株式の複合指標も現地通貨ベースの3.4%が円建てでは17%に膨らんだ。

  ところが、今年から雲行きが怪しくなっている。トランプ米政権の発足後は市場の過度な期待が後退しつつあるためだ。リフレ政策の財源を賄うはずだったオバマケア代替法案は撤回に追い込まれ、国境調整税をめぐる調整も難航している。1−3月期は米国の株価と国債相場がともに上昇したが、円相場は対ドルで4.8%上昇し、日本株は小幅に下げた。SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストはGPIFの収益額が配当・利子収入を含めた全体でゼロ前後にとどまったと推計する。 

GPIF

  GPIFの収益は「今後も円高が進むと減少の恐れがあり、トランプ政策の行方に左右される」と、末沢氏はみている。「かつては円高時は国内債券の金利低下がリスク性資産の価格下落を中和したが、今は構成比の低下と国債利回りをほぼ動かさない日本銀行の金融緩和策により、本来の分散投資効果が低下している。運用成績は為替相場に最も大きく影響される。円安時は大きな収益が上がるが、円高には弱い」と言う。

  BNPパリバ証券の推計によれば、GPIFの収益額は1−3月期に国内債がマイナス2400億円前後、国内株が400億円弱の微減、外債が円高の影響を含めてマイナス7200億円強、外株がプラス6600億円前後。アクティブ運用の比率と短期資産の規模にもよるが、全体で3000億円程度のマイナスになったもようだ。
  同社の井川雄亮金利ストラテジストは、昨年末で約144.8兆円という運用資産の規模を考慮すると「若干のマイナスだ」と指摘。変動が読みにくい短期資産を除いた3月末時点の構成比は国内債が35.3%、国内株は25.5%、外債は13.8%、外株は25.3%程度と推計。現地通貨建ての評価額が振れにくく、円高で円換算額が目減りした外債をはじめ、どの資産も年金積立金全体に対する構成比の目標値に達していないとみる。
  GPIFが公表している基本ポートフォリオ(資産構成割合)によると、国内債は35%、内外株式はそれぞれ25%、外債は15%。昨年末時点は国内債が33%と初めて同水準を下回り、上下10%ずつの乖離(かいり)許容幅の活用が市場関係者の注目を集めた。高橋則広理事長は年初の記者会見で、リスク性資産が目標値を上回っても乖離許容幅の範囲内なら容認する姿勢を示唆したが、足元ではむしろ小幅な逆戻りの可能性すら出てきた。
  ブルームバーグの試算によれば、GPIFの運用資産に年金特別会計が管理する約2.5兆円も含めた積立金全体に占める国内債の保有額は昨年末に約49兆円、国内株は35兆円、外株は34.1兆円、外債は19.7兆円。積立金全体の規模が変わらなければ、国内債は目標値まで約2.6兆円、国内株は約1.8兆円、外株は為替損益も含めて約2.7兆円、外債は約2.4兆円の積み増しが必要だった計算だ。3月末にはこの必要額が膨らんでいる可能性がある。
  井川氏は、外債と外株の買い増し余地は5円の円高で約1兆円増え、円安の場合も同程度の影響を受けるとみている。GPIFの収益と資産別構成比は「結局、為替次第だ。資金配分は四半期末にかけて、デュレーションの長期化だけでなく、円相場をにらみながら構成比の調整に動いてくる可能性が高い」と言う。
GPIFの基本ポートフォリオの定期検証に関する公表資料はこちらをクリックしてください
  GPIFは資産運用で、2014年10月の構成見直しの直前から翌年6月末までに12兆円余り稼いだ。その後の1年間では逆に13兆円を超える運用損を計上し、昨年10−12月期には過去最高となる約10.5兆円の運用益を記録するという波乱含みの展開が続いている。
  振れが大きいのは、期待収益率が高い分、価格変動も大きいリスク性資産の割合を高めたからだ。GPIFは第2次安倍晋三内閣の肝いりで、安全性は高いが低利回りの国内債が6割という資産構成を、3分の2近くがリスク性資産という目標値に一変させた。

「中途半端」で円高も
  3月にGPIFの「GPIF Finance Awards」を受賞したオーストラリア国立大大学院の沖本達義准教授は、授賞式の講演で、主要な株式市場間の相関性が高まり、分散投資の効果が顕著に低下する一方、1990年代には同一方向に動く傾向にあった株価と国債価格は近年は逆相関が強まっていると指摘。株式と信用リスクが低い国債への投資は分散効果が非常に大きいとの見解を示した。
  ただ、分散投資の効果は相場自らが調整し最適化するという市場原理に基づいたもののはず。日本国債の場合、黒田東彦日本銀行総裁が10年債利回りを「ゼロ%程度」に誘導する金利コントロール策を推進するなど、相場の自由度が低下している。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りはトランプ氏の当選以降の変動幅が23.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、同年限の米国債利回りの約4分の1しかない。リスク性資産の価格が下がる局面では、全体の収益を下支えする力が十分に発揮されない恐れがある。
  市場では、トランプ相場の根幹にある米国政府の経済政策の実現性に対する疑念も高まっている。野村証券で政治・地政学の調査を担当する吉本元シニアエコノミストは「オバマケア代替法案の撤回でも分かるように、米共和党内で意見が一致しないものは通らない」と指摘。財政出動や税制改革でも党内調整が不十分な点があり、市場では「中途半端なものが出て来るのではないかとの不透明感が広がっている」と言う。
  米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長人事をめぐっても「指名するトランプ政権側は金融機関出身のハト派を起用したいようだが、承認する共和党の上院議員は量的緩和のような非伝統的な金融政策には距離を置く議員が多い」とし、「市場は先読みして織り込み出すので、人事がなかなか決まらない様子だと、米利上げの思惑が振れて、為替や金利のボラティリティが高まる可能性もある」とみている。
  GPIFの運用方針には公務員や大学関係者らが加入する3共済年金も追随している。運用目標やリスク管理を15年10月からGPIFと一元化している積立金は合計で約28.5兆円、独自の判断で運用するが同じ資産構成の目標値を採用した資金も約22.5兆円ある。GPIFの運用資産と合わせると200兆円近くに上り、ゆうちょ銀行の総資産に迫る規模だ。
  三菱UFJ国際投信・戦略運用部の石金淳チーフストラテジストは「日本企業の1−3月期決算は前年比1割程度の増益となりそうなので、日本株を叩き売る理由はない」と指摘。ただ、トランプ政権の政策実行力と通商問題への懸念を背景とした「緩やかな円高はじわじわ効いている。中国やドイツなどに比べて米国への直接投資が圧倒的に多い日本に過度な圧力はかからないにせよ、少なくとも円安にはなりにくい」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-05/ONXE516TTDS401

 

 

公的年金2年ぶり黒字 16年度、民間試算
2017/4/6 22:19日本経済新聞 電子版
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 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用する2016年度の公的年金の運用実績が、2年ぶりの黒字に転換した。野村証券の西川昌宏チーフ財政アナリストの試算によると、通期の運用益は約7兆6千億円。トランプ米大統領の経済政策への期待感から株価上昇や円安が進んだためだ。ただ足元ではトランプ相場の停滞感も広がりつつあり、先行きは不透明だ。

 通期では国内株で約4兆5千億円、外国株で約4兆1千億円の利益…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF06H0P_W7A400C1EE8000/

損保8年ぶり収入減 16年度の国内保険料
2017/4/6 20:57
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 大手損害保険3グループが6日発表した2016年度の国内保険料収入(速報値)は、前年度から微減の計7兆6037億円だった。前年度実績を下回ったのは8年ぶり。15年度に生じた駆け込み需要の反動で、保険料が4〜11%程度減った火災保険の落ち込みが響いた。円高による保険料の目減りや世界的な海運市況の低迷で、海上保険も軒並み苦戦した。

 MS&ADグループ、東京海上ホールディングス、SOMPOホールディングスが、傘下の主要損保の保険料収入を集計し、公表した。

 15年度には各社が契約期間10年を超える火災保険の取り扱いを15年10月にやめる前に割安感のある長期契約に切り替える駆け込み需要が発生。16年度はその反動で火災保険料が落ち込んだ。海上輸送の停滞を映し、輸送中の貨物を対象とする貨物保険や船舶の損害を補償する船舶保険も10%前後の減少だった。全体の約半数を占める主力の自動車保険はそろって微増だった。

 単体ベースでは、損害保険ジャパン日本興亜が14年9月の合併時から守ってきた首位の座を初めて東京海上日動火災保険に明け渡した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC06H1O_W7A400C1EE9000/


 


日本株は年初来安値、米政策停滞や北朝鮮リスク−下落銘柄1900超す
鷺池秀樹
2017年4月6日 08:03 JST 更新日時 2017年4月6日 15:48 JST

米下院議長が演説、税制改革実現には要時間との報道
6−7日にフロリダで米中首脳会談、極東「核の脅威」も議題に

6日の東京株式相場は反落、TOPIXと日経平均株価は年初来安値を更新した。米国の政策停滞や株価波乱のリスクが警戒され、米中首脳会談を前に北朝鮮情勢を懸念する売りも広がった。電機など輸出株、鉄鋼や海運、証券株と幅広く下げ、東証1部の下落銘柄数は1900を超え、ことし最多。

  TOPIXの終値は前日比24.48ポイント(1.6%)安の1480.18、日経平均株価は264円21銭(1.4%)安の1万8597円6銭。TOPIXは昨年12月6日以来の安値で、1500ポイントの節目を終値ベースで割り込んだ。日経平均は同7日以来の低水準。
  ヴィレッジ・キャピタルの高松一郎最高投資責任者(CIO)は、「FOMC議事録は米当局者が金融引き締めに前のめりな印象。トランプ米大統領の経済政策も遅れ気味で、北朝鮮リスクもあり、海外勢が地理的に近い日本株を売った」とみていた。特に米金融政策をめぐっては、「株式市場が嫌気しているのは流動性の吸収。過剰流動性の中で米国の高いバリュエーションが正当化されてきたが、その土台にひびが入る可能性がある」と言う。
東証正面と歩行者
東証正面と歩行者 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  米下院のライアン議長は5日、ワシントンで演説し、税制改革の実現に医療保険制度の見直し以上に時間を要する可能性があると述べた、とロイター通信が報道した。
  米連邦政府の17年会計年度暫定予算は28日に期限切れを迎える。医療保険制度をめぐる議論が難航し、政府機関の閉鎖も懸念される状況だ。みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長は、閉鎖を回避しても米ヘルスケア改革法案の採決は5月にずれ込む可能性が高いと指摘。税制改正やインフラ投資などトランプ氏政策を具体化する18年会計年度予算案の成立は「早くて10−12月期、越年のリスクも出ている」と懸念を示す。
  
  また、連邦準備制度理事会(FRB)が5日に公表した3月14ー15日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は、一部参加者が株価に関し、バリュエーション指標と比較し非常に高い水準と捉えたと言及。4兆5000億ドル(約500兆円)規模のバランスシートは、大部分の当局者が年内の縮小開始が適切になる可能性が高いと判断していることも示された。バランスシート圧縮は利上げ代替の見方につながり、5日の米10年債利回りは2.34%と3ベーシスポイント低下。一時200ドル近く上げていた米ダウ工業株30種平均は下落に転じて終えた。
  きょうのドル・円は、一時1ドル=110円20銭台と前日の日本株終値時点110円74銭からドル安・円高に振れた。大和住銀投信投資顧問の門司総一郎経済調査部部長は、「昨年11月から12月にかけて日本株を買い、円を売ったヘッジファンドがポジションを閉じようとしている」とし、最近は「余裕がなくなり、無理をしても売ろうという感じになっている」と話した。
  日本株は午後の取引で一段安となり、日経平均の下げ幅は一時300円を超えた。6ー7日の米中首脳会談を前に、極東情勢のリスクも材料視された格好だ。トランプ米大統領は安倍晋三首相との電話会談で、同盟国支持のため、軍事能力を100%活用すると発言。米中首脳会談では北朝鮮問題が議題の1つになる。ヴィレッジの高松氏は、「今までテールリスクとして相場に織り込まれていなかった北朝鮮問題が少しテールから真ん中に寄りつつある」としている。
  東証1部33業種は鉱業を除く32業種が下げ、下落率上位は鉄鋼、電気・ガス、海運、証券・商品先物取引、精密機器、電機、ガラス・土石製品、非鉄金属など。売買代金上位ではみずほフィナンシャルグループやソニー、三菱電機、ダイキン工業、村田製作所、安川電機が安い。半面、物流倉庫火災で遅れていた四半期決算を前日発表したアスクルは、不透明感の後退で逆行高。任天堂やSUMCO、大和証券が目標株価を上げたアドバンテストも堅調だった。
東証1部の売買高は20億6830万株、売買代金は前日比10%増の2兆4589億円
上昇銘柄数は73、下落は1919、下落銘柄数は米大統領選の結果を受けた昨年11月9日(1934)以来の多さ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-05/ONYKNG6KLVR701#media-1
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-05/ONYKNG6KLVR701

 

超長期債が上昇、流動性供給入札は無難との見方−株安・円高も支え
三浦和美
2017年4月6日 08:05 JST 更新日時 2017年4月6日 16:13 JST

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米長期金利が低下

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待機していた資金が少しずつ円債市場に入ってくる−パインブリッジ
新発20年債利回り0.625%、新発30年債は0.84%と、3日ぶり低水準

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債券相場は超長期債を中心に上昇。超長期ゾーンを対象とした流動性供給入札の結果が無難だったとの見方から、買い圧力がかかった。また、米トランプ政権の経済政策に対する先行き不透明感などを背景に日本株安・円高が進んだことも相場を下支えした。
  6日の現物債市場で新発20年物160回債は日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照利回りより2ベーシスポイント(bp)低い0.625%、新発30年物54回債利回りは2.5bp低い0.84%、40年物9回債利回りは3bp低い1.05%と、それぞれ3営業日ぶりの水準まで下げた。
  長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、0.5bp高い0.065%で取引を開始し、午後は横ばいの0.06%で推移している。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「株安・円高で債券が買われやすい状況。今日の流動性供給入札は警戒感が強かったが、無難な結果となりようやく買いが入ってきた」と指摘。「これだけ株安・円高が進むと、当面は日本銀行の国債買い入れ額が減ることも想定されず、待機していた資金が少しずつ市場に入ってくる」とみる。
  長期国債先物市場で中心限月6月物は前日比5銭高の150円46銭で開始。午後には一時8銭高の150円49銭まで上昇した。その後は伸び悩み、いったん2銭安の150円39銭まで下げたが、結局、1銭高の150円42銭で引けた。
  この日の東京株式相場は、日経平均株価が1.4%安の1万8597円06銭で取引を終えた。一方、外国為替市場ではドル・円相場が一時1ドル=110円29銭と、2営業日ぶりの水準まで円高が進んだ。
  パインブリッジの松川氏は、「米下院議長の発言で税制改革の早期実現に不透明感が出ており、トランプトレードの終焉が意識されやすい。仮に米10年金利が2.3%を割り込むようであれば、円債買いに拍車がかかる」と見込む。

流動性供給入札

  財務省がこの日に実施した残存期間15.5年超39年未満の流動性供給入札は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が2.81倍と、前回の同年限入札の2.32倍を上回った。
過去の流動性供給入札の結果はこちらをご覧ください。
  パインブリッジの松川氏は、「20年債は発行が減額になる上、キャリー&ロールもあるので魅力的」とし、「今期利益を上げるのなら、マイナスの5年を買うよりも、20年や30年」と話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-05/ONXCXN6TTDS301

 


「ほぼゼロクーポン」社債発行は困難、日銀トレードの収益減少
呉太淳、Finbarr Flynn
2017年4月6日 06:00 JST 更新日時 2017年4月6日 10:59 JST

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マイナス金利政策で資生堂と大和ハウス工業などクーポン0.001%
3月の社債買いオペ応札倍率4.4倍、足切り金利が上昇


日本銀行のマイナス金利政策の影響で2016年度の社債発行額は過去最大となり、表面利率(クーポン)がほとんどゼロに近い超低利発行も目立った。しかし、最近は日銀の社債買いオペ金利が上昇し、17年度はゼロクーポンに近い発行が困難との見方が市場関係者の間で出ている。
  ブルームバーグのデータによると、16年度の国内社債発行額は約11兆5000億円と前年度比65%も増加。クーポンが最も低かったのが資生堂や大和ハウス工業などの0.001%で、応募者利回りは0.00033%。クーポンが0.1%以下の社債は3兆8060億円と、前年度の約7.5倍に急増した。
日銀本店
日銀本店 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  金利低下で企業の起債意欲は増す。一方でクーポンがゼロ近辺の社債でも投資家が購入するのは、日銀が月に1回行う社債買いオペに応札すれば、ゼロよりも低いマイナス金利で転売できるからだ。社債価格に置き換えると、より高く日銀に買い取ってもらえるので転売益が得られ、市場関係者は「日銀トレード」と呼んでいる。
  昨年1月に導入されたマイナス金利政策を受けて、16年度の社債オペは6、7月に落札足切りレートが史上最低のマイナス0.304%まで低下。しかし、昨年10月以降は同レートが引き上げ(価格は引き下げ)られることが多くなり、直近の3月はマイナス0.014%と、マイナス金利導入直前の15年12月以来の高水準だった。
  日銀トレードで得られる投資家の売却益は縮小し、SMBC日興証券デット・シンジケート部長の新堂尚紀氏は、クーポンが「ほぼゼロ%での社債発行は難しくなった」と指摘。社債オペの対象となる1−3年債について「今後3年債を出すのなら、それ以上のクーポンが必要だろう」との見方を示した。
  今後数週間以内に引き続き0.01%以下のクーポンで起債の可能性はあるものの、投資家らはクーポンがほぼゼロの社債発行は減っていくだろうとみている。

社債オペ
  ブルームバーグのデータによると、オペ対象となる3年社債の発行額は2、3月の両月で前年同期の倍以上の3753億円に膨らんだ。SMBC日興証券の阿竹敬之クレジットリサーチ課長は、「オペで売るのを前提に買った人が多かった」として、日銀トレードが大量発行につながったとみている。
  ところが、投資家が大量に買い過ぎたため、「オペでは思うような値段で売れなかった」結果、足切りレート上昇につながったと阿竹氏は分析。オペで売り切れずに投資家の手元に残った1−3年債の繰越額は3000億円以上あるとみており、もはや金利のマイナス幅が大きい水準で「日銀に売るのは簡単ではない」と述べた。
  日銀の買い入れ予定額に対する応札額の割合(応札倍率)は16年度、高くても2.6倍程度だったが、年度末の3月は4.4倍に跳ね上がっている。
17年度も高水準
  16年度の社債発行額が過去最大を記録したのは、日銀が昨年1月に採用したマイナス金利政策が背景にある。起債額が最も大きかったのは英半導体設計会社のアーム・ホールディングスを買収したソフトバンクグループの9710億円。以下、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループの順となっている。
  SMBC日興証券によれば、17年度の社債発行額は約10兆5000億円と16年度をやや下回るものの、高水準となる見通し。例年よりも社債償還が多く、借り換え需要があるほか、東京電力の起債再開が背景にある。
  みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストは、16年度の社債発行増について企業が「資金調達の前倒しを金利が低い間に行っていた」と指摘。17年度については、その反動減に加えて「今年も設備投資が大幅に良くなっていく感じはなく、国内の資金需要は強くない」とみている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-05/ONVF1W6KLVR401


 

中国の簿外債務、財政の実態隠す−地方の建設向け債券発行も活発
Bloomberg News
2017年4月6日 15:49 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iZpmERtEcpl4/v1/-1x-1.png

米「量的引き締め」迫る−10年債利回り3%未満ならアジアは大丈夫か
中国の財政赤字目標は対GDP比3%
簿外資金は「古き良き刺激策」−ラボバンク

中国が国債・公債発行の工夫を重ねており、公的債務の実態が見えにくくなっている。
  中国は財政赤字の水準目標を国内総生産(GDP)の3%としているが、これには全ての公債が含まれているわけではない。中国で「専項債」という名称で知られる簿外の債券は除外されている。専項債の発行は2015年の8倍に膨らんでいる。
  省などの地方当局は、高速道路や鉄道などの建設事業向けの資金確保のため、8000億元(約12兆8200億円)規模の専項債を今年発行することを承認している。UBSグループとオックスフォード・エコノミクスによれば、こうした債券の発行を含めれば、中国の財政赤字はGDPの4.3%相当に達する。
  ラボバンク・グループの金融市場調査責任者マイケル・エブリー氏(香港在勤)は、簿外資金で成長と雇用を支えることはできるが、安定的な景気拡大時よりリセッション(景気後退)時により適した「古き良き刺激策」にすぎないと指摘。「持続不可能だ。今しばらくはいいだろうが、最終的にハッピーな落ち着き先は見込めない」と述べた。

原題:China’s Debt Puzzle Grows Complex as ‘Off-Book’ Bonds Surge (1)(抜粋)https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-06/ONZ43R6K50XV01


 

最高裁、払い戻し認めず 相続争いの法定相続分与金
2017/4/6 23:08
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 遺産相続を巡って親族間の争いがある場合に、法定相続分の預金を払い戻せるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は6日、預金の払い戻しを認めない判断を示した。

 遺産相続では、法定相続人となる子や配偶者らで合意できない場合、家裁に「遺産分割」の調停や審判を申し立てることができる。これまでの判例では預貯金が「遺産分割」の対象外だったため、相続人全員の合意がなくても自身の相続分を払い戻すことが認められていた。

 昨年12月の大法廷決定は過去の判例を変更。預貯金が「遺産分割」の対象になると判断。預貯金だけを自動的に法定相続分に応じて分けることはできないとした。今回の判決は、大法廷決定の流れに沿った判断となった。

 訴えを起こしたのは、2010年に母を亡くした男性。母が信用金庫に残した約3300万円のうち法定相続分(2分の1)の払い戻しを求めた。二審・大阪高裁判決は預金や定期預金計約1600万円の払い戻しを認めた。同小法廷は二審判決を破棄した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG06H5T_W7A400C1CR8000/
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/730.html

[経世済民120] ホームレス、平均60歳超す 高齢・長期化進む 米新規失業保険申請件数:23.4万件に減少、5週間ぶり低水準 
ホームレス、平均60歳超す 高齢・長期化進む
2017/4/6 23:09
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 厚生労働省が昨年10月に実施したホームレスの全国実態調査で、平均年齢が初めて60歳を超えたことが6日までに分かった。路上での暮らしが10年以上続いている人の割合も3人に1人となり、過去最高。高齢化と長期化が進んでいる。

 実態調査は、ほぼ5年に1度実施。ホームレスが30人以上いる自治体で1435人に面接した。

 平均年齢は61.5歳で、前回2012年調査の59.3歳を2.2歳上回った。年代別では、07年調査で34.8%だった60代が46.0%に増加。70歳以上も7.4%から19.7%に増え、60歳以上で3分の2を占めた。性別は男性96.2%、女性3.8%。

 路上生活の期間は10年以上が34.6%で、07年に比べ倍増。半数以上が仕事をしていたが、平均月収は約3万8千円。

 求職活動をしている人は11.4%にとどまり、活動しない理由として半数近くの人が「病気、障害、高齢」を挙げた。

 ホームレス数は減少傾向で、国がホームレス自立支援法に基づき人数を調査し始めた03年には2万5296人。16年には6235人まで減少している。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG05H74_W7A400C1CR8000/

 
米新規失業保険申請件数:23.4万件に減少、5週間ぶり低水準
Shobhana Chandra
2017年4月6日 22:53 JST

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「ほぼゼロクーポン」社債発行は困難、日銀トレードの収益減少
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GPIFは円安なしで稼げるか、 黒田副作用で収益ゼロの恐れも

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iQr5DDesJpaU/v2/-1x-1.png


先週の米週間新規失業保険申請件数は5週間ぶりの低水準となった。
  労働省が6日発表したところによると、1日終了週の新規失業保険申請件数は前週比で2万5000件減少して23万4000件。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想は25万件だった。週間での減少幅は2015年4月以来の最大。前週は25万9000件(速報値25万8000件)に修正された。

より変動の少ない4週移動平均は先週に25万件と、前週の25万4500件から減少した。
  一方、失業保険の継続受給者数は3月25日までの1週間に2万4000人減少して202万8000人となった。
  統計の詳細は表をご覧下さい。
原題:U.S. Jobless Claims Decline to a Five-Week Low of 234,000(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-06/ONZOKP6S97CM01
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/731.html

[原発・フッ素47] 原発裁判オセロ、電力会社が巻き返し 高裁判断が異例の「判例化」 日本で原発議論が進まない真の理由 反発逃れだけの無計画
原発裁判オセロ、電力会社が巻き返し

記者の眼

高裁判断が異例の「判例化」
2017年4月7日(金)
寺岡 篤志
 3月28日、関西電力高浜原子力発電所3、4号機の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定を大阪高裁が取り消した。初めて司法が原発を止めた事案の抗告審とあって注目を集めたが、関電の全面勝利に終わった。再稼働後直ぐに停止していた2基について、再々稼働に向けた手続きが始まる。全国で30件以上が係争中の原発裁判は、高裁判決が2件続けて再稼働容認の姿勢を示したことで大きな潮目の変化を迎えている。

大阪高裁決定は関西電力側の主張に沿った内容となり、高浜原発の再稼働を認めた
 「新電力に移ったお客様にぜひ戻ってきてほしい」

 大阪高裁決定を受けて会見に臨んだ関西電力の岩根茂樹社長は、経営への好影響を「非常に大きい」と表現。公約してきた「再稼働後の値下げ」も着実に実行する姿勢を示した。同社の株価は経営改善への期待で急伸。3月28日の終値と比べ29日の始値は7%上昇した。

 当初、記者はこうした動きを期待が先行し過ぎているとみていた。というのも、以前このコラムで指摘した通り、脱原発弁護団全国連絡会が仮処分の申し立てを立て続けに行う戦略を立てているからだ。より詳しく説明しよう。

 仮処分は、申立人の権利を急ぎ保護する必要があると判断されたときに認められる。三審制による最終判断が下るよりも前に、たとえ一審段階でも処分決定が出た瞬間から効力を発揮する。さらに、行政訴訟ではなく電力会社を相手取った民事事件なので、各住民が申立人として適格と認められるためのハードルは低い。つまり、原発から遠方の住民も申立人に加わりやすい。原告団は、原発から概ね30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)よりも更に外側、250キロ圏の住民まで申立人の対象としている。

 するとどうなるか。1つの原発に対し複数の地裁で申し立てをすることができる。しかも、原告が変われば何度でも「再戦」を挑める。うち1つでも原発再稼働に懐疑的な裁判官が担当となれば、原発は止まる。極端に言えば、1勝を上げるまで諦めなければ、何敗しようとも住民側は目的を達成できる可能性がある。

最高裁はオセロの四隅

 こうしてじわじわと全国の地裁から原発再稼働を止める決定を少しずつ勝ち取った上で最高裁へと乗り込む。弁護団はこんな青写真を描いている。そのため、弁護団は今回の大阪高裁決定、そして昨年4月に川内原発1、2号機の再稼働を認めた福岡高裁宮崎支部の決定についても、最高裁に抗告しなかった。

 最高裁での判断は、原発再稼働が白か黒か、裁判官の判断がまだ移ろう中で、オセロの四隅が決まることに等しい。もしも最高裁で原発再稼働を認める決定が出れば、地裁の裁判官もその判例に倣って「白」と判断するようになり、弁護団は1勝を挙げることすら困難になる。裁判官の寄る辺となる最高裁の判例を与えないことで、趨勢を決しないまま小さな1勝を積み上げていくという狙いだ。

 この戦略にこれまで電力会社は翻弄されてきた。現在、原発を巡る仮処分事案や訴訟は、大阪高裁の案件以外にも全国で30件以上が係争中。全国の原発の1.5倍以上の数だ。高浜原発でも、改めて弁護団は別の申し立てに向けて住民を募る考えだ。

 以上の弁護団の戦略を踏まえ、「また高浜原発が司法にストップをかけられる事態になるかもしれない」。これが関電の株価上昇を記者が冷ややかに眺めていた理由だ。しかし、恥ずかしながら、この見方はややのんびりとしすぎていたようだ。

 四隅の奪い合いがまだ決していなくても、盤上の情勢は大きく変わりつつあるのだ。

高裁判断を「参照する」

 大阪高裁決定の翌々日、30日に、広島地裁が四国電力伊方原発3号機の再稼働を容認した。その決定内容の一部を引用する。

 新規制基準の審査に合格した原発を巡る仮処分事案で「司法審査の在り方について直接言及した判例は見当たらない」。通常、判例とは最高裁の判断を指す。つまり、まだ四隅は決していないということだ。

 しかし、福岡高等裁判所宮崎支部の再稼働容認決定を「司法審査の在り方について一定の判断を示した、確定した抗告審決定であって、(中略)ほかに同種の事案に係る別の裁判所による確定した抗告審決定は見当たらない」と評価した。そして「本件における司法審査の在り方については、福岡高等裁判所宮崎支部の決定を参照とする」。

 分かり易く言えば「判例として参照できる最高裁決定がないので、川内原発の再稼働を容認した福岡高裁宮崎支部決定を判例として扱いますね」ということだ。高浜原発訴訟の住民側弁護団長で元裁判官の井戸謙一弁護士は「前代未聞。重大な事案ではあり得ない恣意的な判断だ」と憤る。

 大阪高裁と福岡高裁宮崎支部が住民側の主張をことごとく退けた考え方の枠組みは、1992年の伊方原発を巡る最高裁判決に沿っていると言える。高度な専門性が絡む原発の問題について、不合理な点が確認できなければ行政の裁量性を広く認める内容の判決だ。これが福島第1原子力発電所の事故前までに原発訴訟の四隅を担っていた判例だった。続く広島地裁が福岡高裁宮崎支部決定を引用したことで、1992年の判決は隠然たる影響力をもつ流れができてきたとも言える。

未だ見えない損害の全体像

 しかし、それで本当によいのだろうか。新規制基準とその審査の不合理性は無く、審査に合格した原発の事故発生確率が極限まで小さくなったのだとしても、関電自身も認めているとおりリスクがゼロになることはありえない。ならば、事故発生時の損害の大きさはどうなのか。発生確率が極小でも、損害が極大なら意味が無い。日本社会が大きな原発事故を経験したことがなかった時代に示された「1992年の判決」が、福島第1原子力発電所の事故後に、そのまま前例として踏まえられていくことには違和感を禁じえない。

 昨年、経済産業省が示した福島第1原子力発電所の事故処理費用21・5兆円は、損害規模算出の1つの指針になるのかもしれないが、高レベル放射性廃棄物の処理方法がまだ未確定など、不合理だらけの試算といえる。結論を急いでよい問題ではないはずだ。今後もまだまだ続く原発訴訟の中で、現実と向き合った議論が少しでも深まってほしい。


このコラムについて

記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/040600440/


 


 
日本で原発議論が進まない真の理由

地元の反発から逃れるためだけの無計画さ

田原総一朗の政財界「ここだけの話」

2017年4月7日(金)
田原 総一朗
 福島第一原子力発電所の事故から6年が経った。今、原発はどういう状況なのか。

 先日、東芝が開発したサソリ型ロボットが、福島第一原発の敷地の中でも格納容器内の放射線量が最も高いとされる2号機に投入された。ところが、スロープ上に積もるゴミに足を取られてしまい、結局2時間ほどで立ち往生してしまったという。

 こんな状況の中で、福島第一原発を廃炉にできるのだろうか。


事故から6年が経った福島第一原子力発電所。(代表撮影/ロイター/アフロ)
 問題は、技術的なものだけではない。事故に伴う費用がどこまで膨らむのか、明確には分からないのだ。当初、廃炉・賠償費はおよそ2兆円と見積もられていたが、その後11兆〜12兆円に修正され、今では21.5兆円まで膨らんでしまった。実際は30兆円を超えるのではないかとの話もある。

 今、東京電力はメルトダウンした核燃料などが固まった「燃料デブリ」を取り出そうとしているが、原発反対者のみならず推進者の間からも「無理なのではないか」という声が上がっている。第一、燃料デブリを取り出したとしても、どこに持っていくのか。その場所がない。

地元の反対が強いから、非現実的な計画を打ち出している

 そもそも、なぜ福島第一原発の燃料デブリを取り出して移動させようとしているかといえば、地元の反対が強いからだ。しかし、持っていく場所がない。実のところ、地元の反発を抑えるために、できもしないことを「やれる」という格好を見せているだけのようだ。

 使用済み核燃料の問題も同様だ。今、日本には1万6000トンもの使用済み核燃料がある。そのほとんどが青森県六ケ所村に集まっているが、ここからどうすればいいのか誰も分からない。

 原発反対を主張している小泉純一郎元首相が「反対」と言い出したきっかけは、2013年にフィンランドの核廃棄物の最終処分場「オンカロ」を視察したことだった。固い岩盤の地下400メートル以上の場所にトンネルを掘り、使用済み核燃料を埋めるのだが、これが無害化するまでに10万年もかかるという。この10万年という途方もない数字が、小泉元首相を反原発に向かわせた。

 火山列島の日本には10万年も安定しているような場所はないから、オンカロを建設することはできない。行き場のない使用済み核燃料をどうするのか。

 おそらく、日本が最初に米国から原発を導入したときには、「使用済み核燃料の処理方法については、米国がそのうち技術を開発してくれるだろう」と安易に考えていたはずだ。

 ところが、いまだに米国はその技術を開発していない。砂漠の真ん中に頑丈な鉄容器をつくり、その中に使用済み核燃料を保存しているのだ。

 米国は広い国だから砂漠の真ん中に保存すればいいだろうが、日本はそれができない。最終処理技術も開発されていない。

 そこで日本は、かつて1兆円を超える国費を投じて高速増殖炉「もんじゅ」を独自に開発した。核燃料サイクルを確立して、使用済み核燃料を再利用するためだ。しかし、問題が多発して、結局もんじゅは20数年もの間ほとんど稼働することがないまま、昨年12月に廃炉が決まった。

 ところが今、政府は「もんじゅは廃炉にするが、核燃料サイクルの開発は続ける」と言っている。使用済み核燃料を生かすために、新しい高速炉を建設しようとしているのだ。

 ここにも大きな問題がある。新しい高速炉の開発はいくつかの段階があり、まずは「実験炉」、次に「原型炉」、「実証炉」を経て、ようやく「実用炉」に進む。もんじゅは「原型炉」だ。

 本来ならば、政府は原型炉の徹底検証をしなければならないのに、段階を飛ばして実証炉を開発しようとしている。あまりにも無茶苦茶な話だ。

地元の反発を抑えるための無意味な計画

 民主党政権時代の2012年9月14日、野田佳彦首相(当時)は「2030年代末までに原発をゼロにする。使用済み核燃料の再処理もやめる。青森県の大間原発の開発計画も抜本的に見直す」と表明し、9月19日に閣議決定しようとした。しかし、それは実現できなかった。

 なぜかと言えば、青森県が猛反発して、「もし使用済み核燃料の再処理をしないのであれば、六ケ所村で預かっているものをすべて各地の原発に返す」と言ったからだ。

 もんじゅは停止しているから、核燃料を再利用することはできない。でも、本当に原発に返されたら困る。だから野田首相は、ほとんど意味を成さない使用済み核燃料の再処理を認めてしまった。さらには、青森県の怒りをなだめるために、大間原発まで認めてしまったのだった。

 僕は、新しい高速炉開発についても、同じことを繰り返しているだけのではないかと思う。もんじゅを廃炉にすれば、六ヶ所村の使用済み核燃料の再処理は必要なくなってしまう。そうなれば六ヶ所村は使用済み核燃料を返すと言うだろう。それを回避するために、政府は無理矢理にでも「核燃料サイクルを確立する」と言っているのではないか。

 このように、原発の周辺では今、地元の反発を抑えるために、その場しのぎの非現実的な計画を進めるようなことがたくさん起こっているのだ。

「責任者不在」が最大の問題だ

 では、根本的な問題は何なのか。一番大きな問題は、自民党に原発問題の責任者がおらず、原発をどうするのかという具体的な計画が立てられないということだ。

 福島第一原発事故が起こった当時は民主党政権だった。民主党は、論客は多いのだが、原発問題のような「汚れ仕事」を嫌う人も多い。しかし、そこで泥をかぶる覚悟をした男がいた。仙谷由人氏だ。

 仙谷氏は、前原誠司氏、細野豪志氏、枝野幸男氏、古川元久氏らをまとめ、協力体制をつくり上げた。ここまではよかったのだが、仙谷氏が引退すると、みんなバラバラになってしまった。

 当時野党だった自民党も、原発問題については民主党と協力する必要があると考えていた。そこで僕は、自民党の大島理森氏と仙谷氏を会わせ、協議をしてもらった。当時、通産省官僚で後に東電の役員になった嶋田隆氏、安倍首相の秘書官である今井尚哉氏が加わり、みんなで東電処理を行うこととなった。

 その途中で自民党政権が発足し、最終的に原発問題の処理は大島氏がやったのだが、後に衆議院議長になってしまったことで原発問題から離れてしまう。結局、今は原発問題の責任者が不在なのだ。

 その時に僕は、自民党の幹部たちに「原発の責任者を決めろ」と迫ったのだが、みんな嫌がった。こんな状況で、原発をどうするのか。使用済み核燃料をどうするのか。核燃料サイクルをどうするのか。今は誰も決められない。言ってみれば、とても無責任状態なのだ。ここに大きな問題がある。

 僕は、自民党の幹部たちに、「河野太郎氏を原発の責任者に据えればいいのではないか」と言ったことがある。河野氏本人もやる気を見せていた。しかし、幹部たちは皆、いい顔をしなかった。

責任者不在では、原発問題は一歩も進まない

 はっきり分かっていることは、日本で原発の新設は無理だということだ。どこに建設しようとしても、地元の強い反発は避けられない。今、原発は40年で廃炉にするという原則が定められているが、仮に60年に延ばしたとしても、あと30〜40年ですべてなくなってしまう。

 そこで、日本のエネルギー計画はどうするのか。責任者不在の日本では、その点も全く議論できていない。

 原発をなくすのならば、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを普及させればいいという意見もある。しかし、実際にどれくらいのコストがかかり、どれくらいの電力を生み出せるかなどといった具体的な見積もりすらできていない。

 これが、今の実態だ。

 政府はどうするべきか。自民党は最初に、「原発の新設はしない」と決めてしまうことが必要だと思う。そうすれば、再稼働についても国民の反応が変わってくるだろう。国民は、先がどうなるか分からないから、強く反発しているのだ。

 同時に、責任者を決める必要がある。先にも述べたが、僕は河野氏を推している。

 自民党議員たちのほとんどが、原発を推進すべきか反対すべきか、明確にしていない。実のところ、安倍首相自身もよく分かっていないのではないかと思う。

 まず、政府は責任者を決めることだ。その上で方向性を定め、早急に原発問題、エネルギー計画を一歩でも前に進めるべきだ。


このコラムについて

田原総一朗の政財界「ここだけの話」
ジャーナリストの田原総一朗が、首相、政府高官、官僚、財界トップから取材した政財界の情報、裏話をお届けする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/040500015
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/756.html

[経世済民120] 「失われた20年」が終わったと考える理由 円急伸、米シリア空爆リスク回避 トランプ相場終わり核心データ 原油価格、大上昇
「失われた20年」が終わったと考える理由
政治と市場の“正しい”見方
日本株は長期上昇局面入り
2017年4月7日(金)
門司 総一郎
 今年に入ってからの日本株は、さえない動きを続けています。他市場が上昇しているにもかかわらず横ばいのまま。投資家たちはフラストレーションを貯めつつあるようです。
 しかし、長い目で見れば、日本の経済や株式市場の見通しはむしろ明るさを増しています。バブル崩壊後から続く経済や株式市場の停滞は「失われた20年」と呼ばれます。筆者は、この失われた20年は既に終了し、日本株は持続的な成長局面に入ったと考えています。今回はそう考える理由を説明します。
失われた20年の原因は3つの構造問題
 失われた20年が生じた原因について定説はありませんが、筆者はa.不良債権と金融システム不安、b.経済・企業の競争力低下、c.政治の機能不全、の3つと考えています。ただし、この3つが失われた20年の全期間を通じて影響したわけではありません。前半(1990年-2003年)は不良債権問題が、後半(2007年〜?)は残りの2つが原因となりました。
日本の実質GDP成長率(四半期、前年同期比)

出所:内閣府ホームページより大和住銀投信投資顧問作成
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/243048/040600019/g1_1.png

東証株価指数の推移(月次)

出所:ブルームバーグより大和住銀投信投資顧問作成
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/243048/040600019/g1_2.png

不良債権問題は小泉内閣で解決
 1990年にバブルが崩壊し、失われた20年が始まりました。その後、1995〜96年や99〜2000年のように景気や株式市場が回復した時期もありましたが、いずれも一時的なものにとどまりました。これは、これらの回復が金融緩和や財政出動などによるもので、構造問題は手つかずだったことが理由です。当時の構造問題は不良債権と金融システム不安でした。
 不良債権問題に本格的に手を付けたのが、小泉純一郎首相(当時)です。当時、慶応大学教授だった竹中平蔵氏を金融担当大臣に抜擢。2002年には金融再生プログラムを作成して問題解決に乗り出しました。
 小泉・竹中コンビの努力の甲斐あって不良債権問題は決着、経済や株式市場は03〜07年の初めにかけて回復を続けます。多くの人は「失われた10年は終わった」と思いました。
 しかし実際はそうではなかったことが間もなく明らかになります。リーマン・ショックをきっかけに景気も株式市場も停滞局面に逆戻りしてしまったからです。「失われた10年」は「失われた20年」になりました。
競争力低下と政治の機能不全
 ただし、この停滞は不良債権問題が再燃したからではありません。当時欧米では多くの大手金融機関が破綻、あるいは政府による救済に追い込まれましたが、日本ではそうした事例はありませんでした。不良債権問題が解決され、金融システムが強化されていたためです。
 にもかかわらず停滞局面に逆戻りしてしまったのは、新たな構造問題によるものです。それは日本経済や企業の競争力低下、特に韓国、台湾、中国と比較しての競争力低下でした。
 2012年末に第2次安倍内閣が発足して以来、景気は回復し、株式市場も上昇を続けています。しかしこれはアベノミクスの第1、第2の矢である金融緩和と財政出動がきっかけとなったもの。構造問題がこのままなら95〜96年や99〜2000年のように長期停滞に逆戻りすることになりかねません。そうならないために競争力の回復が不可欠であり、そのために必要なのがアベノミクスの第3の矢、成長戦略の遂行です。この点については後ほど述べます。
 競争力低下と共に、失われた20年後半の原因となったのが、政治の機能不全です。2006年の第1次安倍内閣から2012年の第2次安倍内閣まで、7年連続で日本の首相は交代しました。こうした状況で、政府に何かを期待できるはずがありません。特に09〜12年の民主党政権は、党内抗争に明け暮れて、「決められない政治」「政治の機能不全」などと呼ばれました。これも失われた20年を生んだ原因の1つです。
 ここまで失われた20年の経緯と原因について述べました。ここからは失われた20年が終了したと考える理由を説明します。
企業業績は史上最高を更新
 失われた20年を引き起こした原因のうち、不良債権と金融システム不安は小泉政権が解決しました。したがって残り2つの構造問題を解決することが、失われた20年を終了させるための、必要条件です。まずは競争力について考えます。
日本企業の経常利益の推移(全産業、年度ベース)

出所:財務省ホームページより大和住銀投信投資顧問作成
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/243048/040600019/g2.png

 財務省が発表する法人企業統計によれば、日本企業全体の経常利益は、07〜09年度にかけて3年連続で減少したものの、その後は15年度まで6年連続で増加しました。2013年度には06年度を上回って、過去最高を更新しました。その後も更新を続けています。
 今後についても、増益が続く見通しです。例えば大和証券では、日本の主要上場企業210社(大和210)の経常利益が2016年度が2%増、17年度は11%増になると見ています。
 リーマン・ショック後の一時期いわれた「日本企業は韓国企業や台湾企業に勝てない」などの声も最近は聞こえなくなりました。日本企業の競争力は既に相当程度回復したように思います。ではどのようにして日本企業は競争力を回復したのでしょうか?
経営者にやる気を取り戻させたアベノミクスの成長戦略
 まず大切なことは、企業の経営姿勢の変化です。失われた20年の後半には「日本企業は必要以上に現金を抱えたがる」といわれました。経営者としては「リーマン・ショックのような危機の再発に備えるため現金を保有しておきたい」のですが、そんな消極的な姿勢では競争力の向上は望めません。このままではじり貧という状況がしばらく続きました。
 こうした企業の姿勢を変えたのが安倍首相の2度目の登場です。2012年末に発足した第2次安倍内閣は、法人減税、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加、インフラ輸出など親ビジネス的な成長戦略を矢継ぎ早に打ち出しました。これが企業経営者にやる気を取り戻させます。
 特に効果が大きかったのがコーポレート・ガバナンス強化です。これにより上場企業の経営者は、自己資本利益率(ROE)などの経営目標やその目標を実現するための戦略を株主に提示し、実行することが求められるようになりました。もはや特段の理由なく現金を抱える経営は許されません。こうして日本企業は独自の成長戦略を展開するようになります。
スピード感を身に付けた日本企業の経営者
 昨年10〜12月の決算は円高にもかかわらず上場企業全体で増益となり、好決算だったと評価できます。各社の決算発表を見ると、それぞれの成長戦略とその成果を見ることができます。
 岡三証券の集計では2月13日までに10〜12月の決算を発表した東証1部上場1642社の売上高は前年同期比で2.4%減、経常利益は8.8%。減収ながらも増益となりました。
 注目したいのはこの期間の為替レートです。2015年10〜12月のドル円レートは平均で1ドル=121円、2016年は109円です。1ドルあたり12円という決して小さくない円高にもかかわらず、日本企業は増益を達成しました。この増益には世界経済の安定や原油をはじめとする資源価格の持ち直しなどいくつかの理由がありますが、最も重要なのは個々の企業が努力し、結果として日本企業の全体の収益力が向上したことです。
 先ほど述べたようにこの期間は減収増益ですから利益率が高まったことになります。岡三証券の分析によれば、売上高経常利益率は2015年10〜12月が7.7%、2016年は8.6%です。売上高が変わらなければ、この経常利益率の上昇分だけで経常利益の総額は12%増加することになります。
 この収益力の向上は個々の企業の努力によるものです。例えば日立製作所は物流や金融など本業と関係が薄い子会社を切り離したことで、10〜12月期は連結で10%減収ながらも増益。三井化学も、収益率が低い商品を地道に見直した効果により、今期は10%減収ながらも最高益を更新する見通しです。
 キヤノンが決算に伴って発表した2017年度の業績見通しは3期ぶりの増益を見込んでいます。これはスウェーデンのネットワークカメラ企業アクシスや東芝の医療機器部門の買収など、ここ数年進めてきたM&Aが業績に寄与し始めたことが理由です。
 三井化学のようなボトムアップ的な収益改善は日本企業のお家芸ですが、キヤノンや日立のようなトップダウン的なM&Aや事業ポートフォリオの見直しはリーマン・ショック前の日本企業には見られないものでした。しかし、今では多くの企業がこうした手法を積極的に活用しています。日本経済新聞で「大企業のM&A急増」(3月24日)、「日本企業の海外M&A、最高の11兆円」(4月3日)など日本企業のM&Aを報じる記事が増えているのはこの表れと言えます。
 リーマン・ショックが起こる前、内製化へのこだわりや意思決定の遅さが、日本企業の欠点としてしばしば指摘されました。しかし、こうした欠点はかなり修正されました。このような官民の努力により、競争力の喪失という2番目の構造問題も既に解消できたと考えています。
 3番目の政治の機能不全についても同様。2012年に第2次安倍内閣が発足して以降、日本で首相交代はなく、支持率も高いままです。日本経済新聞が実施した直近の世論調査(3月24〜26日の調査)が示す内閣支持率は、森友学園問題があったにもかかわらず60%と、前回と同じ値を維持しました。欧米と比べて日本の政治が安定していることは明らかです。
長期停滞から長期成長、長期上昇へ
 単に安定しているだけではありません。安倍首相は他国のトップにも頼りにされている模様です。2月24日付の読売新聞はオーストラリアのターンブル首相が安倍首相に非公式に電話したと報じました。電話の理由について「訪米でトランプ氏と信頼関係を築いた安倍首相から、関係改善の糸口を探りたかったのだろう」という政府関係者の発言を紹介しています。
 政治はもはや、日本にとって構造問題ではなく、強みの1つと考えるべきでしょう。
 このように3つの構造問題は既に解消され、それぞれ健全な金融システム、回復した競争力、安定した政治と安倍首相のリーダーシップに変わりました。
 以上を踏まえて、失われた20年は終了しており、日本の経済や株式市場は長期的な成長、上昇局面にあると考えています。投資家は目先の株式市場の動向に一喜一憂することなく、この観点から日本株への投資を考えるべきでしょう。


このコラムについて
政治と市場の“正しい”見方
 今、日本は新政権の誕生で「政治」と「金融市場」の関係がこれまで以上に強まり、複雑化しています。さらに欧州の債務危機や米国の財政の崖、中国の新執行部選出など、政治と市場を巡る動きは、海外でも大きな焦点となっています。
 しかし、市場関係者がこの両者の関係を論じる場合、「アベノミクスで日本は変わる」など物事を極めて単純化した主張になりがちで、十分な分析がなされているとは言えません。そこで、このコラムでは政治と市場の関係について深く考察し、読者の皆様に分かりやすく解説していきます。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/243048/040600019/

 

円が急伸、米国のシリア空爆でリスク回避−対ドルで110円台前半
小宮弘子
2017年4月7日 11:52 JST

ドル・円相場の推移

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iKAEA7ZlywP4/v2/-1x-1.png

円は全面高、豪ドルやユーロに対して昨年11月以来高値
株価動向次第で1ドル=110円トライ意識せざるを得ず−IG証
 
7日の東京外国為替市場では円が急伸。米国によるシリア空爆を受け、リスク回避の動きが強まっている。
  米国は6日、シリアへの空爆を開始したと発表した。シリアのアサド政権が化学兵器を用いて多数の民間人を殺害したことで国際的非難が巻き起こり、トランプ大統領は「人道とはかけ離れたものだ」と批判していた。 
トランプ米大統領
トランプ米大統領 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
  ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨全てに対して上昇。ドル・円は1ドル=111円ちょうど付近で小じっかりとなっていたが、空爆のニュースを受けて一時110円13銭と3月27日以来の水準まで円高に振れた。
  IG証券の石川順一シニアFXストラテジストは、今のところそれほどヒステリックな反応はしてないが、「株価動向次第でドル・円は110円トライの可能性を意識せざるを得ない状況」と指摘。「オバマ政権よりも積極的に軍事介入してきたということで、同じことが今後、北東アジアを含めて起こる可能性がある」とし、米中首脳会談を控えて北朝鮮問題をめぐる「米中の思惑は非常に重要なファクターになる」と話す。

米国のシリア空爆の記事はこちらをご覧ください
  地政学リスクの高まりから、7日午前の東京株式相場はマイナスに転換。日経平均株価は一時79円安まで下げている。また、質への逃避から米債利回りは時間外取引で急低下し、10年債利回りは昨年11月末以降、レンジの下限だった2.3%を割り込んで2.287%まで低下した。
  トランプ大統領は6日午前のFOXニュースとのインタビューで、中国の習近平国家主席との会談は「非常に面白くなる」とし、米国は中国に「ボールを投げていく。われわれは非常にうまくできると思う」と話した。大統領は「ずっと以前から、米国の貿易は不公正な扱いを受けてきた」とあらためて言明。「北朝鮮とも大きな問題を抱えている」と述べた。
米中首脳会談に関する記事はこちらをご覧下さい。
  円は対オーストラリア・ドルで昨年11月以来初めて1豪ドル=83円を突破し、一時82円80銭前後まで上昇。対ユーロでも1ユーロ=118円台前半から一時117円32銭と同11月以来の高値を更新している。
  石川氏は、北朝鮮をめぐる地政学リスクについては、北東アジアに日本も入るので円売りとリスク回避の円買いと2つの議論あるが、円が資金調達通貨として選好されている面は変わらず、「どこでリスク回避の芽が出てこようと借りていた円を返す需要が働きやすい」と指摘。このため、最初の反応は円買いになる可能性が高いとみている。  
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO0Q0P6JIJUQ01

 


原油価格、大きく上昇−米軍がシリアをミサイル攻撃
Ben Sharples
2017年4月7日 11:31 JST

原油価格はアジア時間7日の取引で大きく上昇。米軍がシリアへのミサイル攻撃に踏み切ったことで、世界の金融市場が動揺した。
  ニューヨーク市場では原油価格が一時1.7%上昇。ロンドン市場の北海ブレント原油価格は1.6%高となった。米当局者は、シリア時間の7日早朝に行われたシリア空爆について、空軍基地1カ所の格納庫や航空機、燃料タンクが標的だと説明。株式や通貨を含めて金融市場はこれを受けて大きく動いた。
  CMCマーケッツのチーフ市場アナリスト、リック・スプーナー氏(シドニー在勤)は、「シリアは大きな産油国ではないが、地域全体で状況がエスカレートするリスクを高める可能性がある」と指摘した。
原題:Oil Surges After U.S. Strike Against Syria Roils Global Markets(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO0OXB6TTDTF01

 


【米国ウオッチ】「トランプ相場」の終わりを告げる核心データ (下)
Tsuneo Yamahiro
2017年4月7日 06:56 JST

関連ニュース
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4日に配信した前回の当コラムでは「トランプ相場」の終わりを告げるデータとして、米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数を取り上げてみた。ISMが同指数を発表した翌日に明らかになった非製造業の総合景況指数は、製造業のトレンド転換をより明確な形で裏付けた。
  現下の景気拡大期で製造業景況指数は3つ目の山を形成しつつあるが、非製造業指数でも緩やかながら、同様のパターンが見て取れる。同指数は3月に前月比で2.4ポイントの大幅低下を記録して55.2となった。今回の山は昨年8月の51.7を起点とし、2月の57.6で頂上に到達したようだ。景気循環が煮詰まる段階では、両指数とも57〜58近辺でピークを付ける傾向がある。今回も2月の製造業指数が57.7。同月の非製造業指数は57.6で、ほぼ一致した。

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  ISMの製造業ならびに非製造業の景況指数は企業経営者のマインドの動きを探るものだが、消費者サイドの動きはどうだろうか。伝統のあるミシガン大学の消費者信頼感(期待指数)と企業経営者のマインドを比べると、両者の間にかなり高い相関が認められる。さらに「トランプ相場」で舞い上がった株価の動きを加えて見ると、ドナルド・トランプ第45代大統領の指揮の下、消費者、経営者、投資家らが繰り広げる三者三様のバブルの舞が見事に一致してきたことが分かる。

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  この見事な三者の舞もそろそろ、横ばいから下降線をうかがい始めたように見える。ここまでは企業経営者、消費者のセンチメントに基づくいわゆるソフトデータから迫ったが、実際の経済活動に基づくハードデータでさらに固めてみよう。
  今回は国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費支出(PCE)を中心に分析する。3月30日に発表された昨年第4四半期実質GDP確定値の個人消費項目が前期比年率3.5%増に上方修正されたことを好感して、株式市場では買いが入っていた。
  しかしその翌日に発表された2月のPCEは、インフレを除いた実質ベースで前の月に比べ0.1%の減少となった。1月は0.2%の減少だったので、これで2カ月連続でマイナスを記録した。30日の株式市場で買い材料とされたのは、第4四半期、つまり10、11、12月の個人消費の平均値である。

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  今年第1四半期に入ってから1月、2月と連続してマイナスに転じてきたわけだ。3月の実質PCEが前月比横ばいと仮定すると、第1四半期の実質PCEは前期比年率で0.9%増と、前期の3.5%増から急減速する。実質PCEが3月もマイナスを継続すれば、傷はさらに深くなる。
  PCEの先行きに影を落としているのは、自動車販売台数の落ち込みである。3月の全自動車販売台数は年率換算で1653万台と、前の月から5.4%の大幅減少を記録している。これで3カ月連続マイナス。米金融当局が実施したゼロ金利政策に乗って販売店もゼロ金利ローンで突っ走ってきたが、どうやらピークを過ぎ、下り坂に差し掛かってきたようだ。
  今回の景気拡大は自動車が強い牽引力を発揮してきただけに、その失速の影響は大きい。「トランプ相場」も風前の灯火にみえる。

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 (【米国ウオッチ】の内容は記者個人の見解です)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-06/OO022R6KLVRF01



http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/742.html

[政治・選挙・NHK223] 「米韓同盟」も「中朝」も賞味期限切れだ「朝鮮半島2つの核」備えよ 米シリア空爆開始アサド政権の化学兵器使用に対抗 円急伸
「米韓同盟」も「中朝」も賞味期限切れだ

早読み 深読み 朝鮮半島

「同盟国を捨てる機会」を見計る米中
2017年4月6日(木)
鈴置 高史

1972年、ニクソン大統領と周恩来首相が交わした“本音”は、今も米中の共通認識となっている(写真:AP/アフロ)
(前回から読む)

 米国と中国が仕切る「朝鮮半島の統一・中立化」は実現するのか。

統一による平和

前回は「米中が協力して朝鮮半島の統一を進めよう」との声が両国であがり始めた、という話でした。

鈴置:中国の学者、華東師範大学の沈志華教授の主張を要約すれば「北朝鮮の核問題は小手先では解決しない。『統一』という大技を発動すべきだ。それこそが中国の利益になる」です。

 米国にも「統一による非核化」を主張する学者が登場しました。カーネギー国際平和財団( the Carnegie Endowment for International Peace)のマイケル・スウェイン(Michael Swaine)シニアフェローです。

 米外交誌の「Foreign Policy」に「China and America Need a One-Korea Policy」(3月21日、英語)を載せました。

 この記事の副題は「北朝鮮(の核武装)を止めるには、朝鮮半島の将来の統一と、非同盟を保証するしかない」です。

「統一による非核化」という点で沈志華教授と全く同じですが、より明確に「中立化」をうち出しています。原文は以下です。

The only way to stop North Korea is by guaranteeing the peninsula will eventually be united--and non- aligned.
「日本は我慢しろ」

 本文のポイントを訳します。

この数十年間、米中韓日、そして時にはロシアが北朝鮮に核武装計画を断念させようと懐柔、威嚇、甘言をもって努力を続けてきた。しかし、完全な失敗に終わった。
米中は過去の失敗を再演するのではなく、協力を始める時だ。米中は双方が受け入れることのできる朝鮮半島の平和的な統一を目指し、誠意を持って行動に移るべきだ。半島の統一と、広い意味での非同盟化(すなわち、外国軍が駐留しない)が解決策である。
なぜ今、こうした声が米中であがり始めたのでしょうか。

鈴置:北朝鮮の核武装が時間の問題となったからです。ただ、平和裏に解決するには中国の強力な経済制裁しか手がない。けれど、それは北東アジアの安保環境の激変につながる。だからこそ、スウェイン・シニアフェローは次のように強調したのです。

非同盟化は韓国と日本を危険にさらす。しかし、北朝鮮に対し極度の孤立と崩壊の危険を選ぶのか、あるいは核武装なしで安全を確保するのかを問いただす道は、中国の対北影響力を完全に発揮することだけなのだ。
 軍事力を使わずに北朝鮮から核を取り上げるには、中国の経済制裁を通じた「統一・中立化」しかない。米国から事実上、同盟を打ち切られる韓国と、大陸に向けた盾を失う日本は不安にかられるだろうが、北の核をなくすのだから我慢しろ、ということです。

出そろう取引材料

 沈志華教授はこの状況を見て「米国が困っている今だからこそ、朝鮮半島から手を引かせられるチャンスだ」と考えたのでしょう。

 スウェイン・シニアフェローは「統一・中立化構想」を「future Korea」と名付け、これを協議する米中双方の「取引条件」にも具体的に言及しています。以下です。

米国はすべての戦闘力の朝鮮半島からの撤収と、米韓連合司令部の解体、米韓合同軍事演習の中止、THAAD(=サード、地上配備型ミサイル迎撃システム)配備撤回の可能性を探らねばならない。
一方、中国は北朝鮮とのすべての経済的な関係の中断を準備すべきだ。「統一韓国」に対しては明快で拘束力のある安全保障上の保証を与える必要がある(これには外国の軍隊が挑発的な姿勢で展開しないとの約束も含む)。将来は中朝軍事同盟も廃棄すべきだ。
 表「朝鮮半島を巡る米・中のカード」でも示したように、両国が話し合うとするなら、この辺が取引材料となるのです。

朝鮮半島を巡る米・中のカード
米国 中国
THAAD配備留保 従来より強い対北朝鮮制裁容認
米韓合同軍事演習の中断と一部制裁の解除 北朝鮮の核・ミサイル実験の中断
米朝平和協定(不可侵協定)の締結
 ・米朝国交正常化
 ・在韓米地上軍撤収
 ・在韓米軍撤収
 ・米韓同盟廃棄 北朝鮮の核兵器廃棄
 ・核弾頭の増産中断
 ・弾頭再突入技術の開発中断
 ・弾頭小型化技術の開発中断
 ・保有核兵器の全廃
「朝鮮半島の非核化・中立化」の制度的保障
注)左右の項目は必ずしも連動しない
時間がかかる米中合意

「future Korea」は実現するのでしょうか。

鈴置:米中の話し合いというか、談合路線には1つ難点があります。合意を得るのに、あるいは対北制裁の効果が出るのに時間がかかりそうなことです。下手すると、その間に北朝鮮が核武装に成功してしまう。

 4月2日、FTがトランプ(Donald Trump)大統領にインタビューしました。4月6、7日の習近平主席との会談直前ですから「米中間の取引」について聞いています。

 日本語では日経の「〔FT〕トランプ氏会見、中国に北朝鮮への対応迫る」(4月3日)で読めます。FTの元記事は「Donald Trump warns China the US is ready to tackle North Korea」です。

 FTの質問は「中国が北朝鮮への圧力を強める代わりに、将来の朝鮮半島からの米軍引き揚げを保証する『大きな取引』を検討しているか」でした。

 それに対しトランプ大統領は「中国が北朝鮮問題を解決しないなら、我々がやる。今言えるのはただそれだけだ」と述べました。原文は以下です。

Asked if he would consider a “grand bargain” ? where China pressures Pyongyang in exchange for a guarantee that the US would later remove troops from the Korean peninsula ? Mr Trump said: “Well if China is not going to solve North Korea, we will. That is all I am telling you.”
 その前段では「中国は北朝鮮に対し非常に大きな影響力を持っている。中国は北朝鮮問題で我々に力を貸すか否かを決めることになる」「米国に協力するなら、それは中国にとって非常に良いことだ。協力しないなら、誰にとっても良くない結果になるだろう」と語っています。

左派政権誕生を待つ中国

 要は「北朝鮮への強力な経済制裁をかけるよう中国に要求する。それが嫌なら米国は北への先制攻撃で核問題を解決する」と宣言したのです。

「大きな取引」(grand bargain)に対しては否定も肯定もしていませんが、トランプ大統領の一連の発言からは「問題解決に時間をかけるつもりはない」とのワシントンの空気がひしひしと伝わってきます。

 もっとも、中国は「大きな取引」あるいは「future Korea」にすぐには応じないと見る向きが多いのです。5月9日の韓国の大統領選挙で左派「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補が勝つ可能性が極めて高いからです。

 「反米親北」色の濃い次期政権が米国との関係を悪化させれば中国は米国への譲歩、つまり対北圧力なしでの米韓同盟の弱体化、消滅を期待できるのです。

 成均館(ソンギュングァン)大学のキム・テヒョ教授は朝鮮日報に寄稿した「米国は北朝鮮より韓国を懸念する」(4月3日、韓国語版)で以下のように書いています。

中国にすれば、韓国の次期大統領さえちゃんと選ばれれば問題は解決する。あえて米国と韓米関係で争う必要はない。
韓国を格下げした米国

「米中の談合」が今すぐ始まる可能性は低いということですね。

鈴置:その通りです。ただ、それでも「米中による統一・中立化に向けた話し合い」には目を向けておく必要があります。それは「筋がいい解決法」だからです。

 まず、この方法を捨てれば、軍事行動をとるしかなくなります。米国が北朝鮮の核・ミサイル施設を破壊する場合、空・海軍力だけを動員すると見られています。

 地上戦に持ち込めば被害が大きくなるからです。ただ、それは米国の思惑であって、限定戦争のつもりが北朝鮮の反撃にあって、全面戦争に拡大する可能性がないわけではない。

 その際にも中国は参戦しないでしょうが、北朝鮮からの難民を引き受けるリスクが高まります。それに戦争の結果、北東アジアにおける米軍の存在感が一気に高まってしまいます。

 もう1つ、米中にとって「筋がいい」理由があります。それは賞味期限切れの「米韓」「中朝」の両同盟を、北の核問題を解決するとの名分の下、解消できるからです。

 沈志華教授が強調したように、中朝同盟は形骸化したうえ、中国にはお荷物になっています(「米中が朝鮮半島で談合する時」参照)。

 米国にとっても韓国との同盟は不良資産化しています。米国が同盟国と中国包囲網作りに励む中、韓国だけがそっぽを向いています。それどころか米中対立を利用して、両国を天秤にかける「二股外交」まで始めました。

 米国が巨額の予算と人材を投入し、韓国を北朝鮮の脅威から守っているというのに、あまりのやり方です。

 ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官が韓国を「同盟国」ではなく「パートナー」と呼んだのも当然です(「米国から『同盟国』と呼ばれなくなった韓国」参照)。

共通の主敵を失った米韓、中朝

なぜ、そんなことになったのでしょうか。

鈴置:米韓が共通の主敵を失ったからです。米国の最大の仮想敵は中国。しかし韓国は絶対に「隣の巨人」中国を敵に回そうとはしません。

 在韓米軍へのTHAAD配備問題が揺れるのは、米韓同盟の矛盾の象徴です。中国との良好な関係を維持したい韓国は、在韓米軍を守るための兵器の導入に難色を示し続けたのです。次期政権は配備を拒否するかもしれません。

 仮想敵の異なる国同士の同盟は極めて不安定です。どうせ長続きしない同盟なら、それを捨てて見返りに中国から「強力な対北制裁」を引き出そうと米国が考えても不思議ではありません。

 半島の構図は合わせ鏡です。中朝も共通の敵を失いました。中国の仮想敵は米国と日本であって韓国ではありません。

 半面、北朝鮮の主敵は韓国であって米国ではありません。できれば米国や日本とは関係を改善し「国境を接する巨人」である中国を牽制したいのです。

寿命の尽きた2つの同盟

確かに「米韓」「中朝」の2つの同盟は寿命が来ていますね。

鈴置:いずれも惰性で続いているのです。沈志華教授はこの構図を見切ったからこそ「強力な対北制裁」つまり「北朝鮮の切り捨て」を実行し、その代価として米国に韓国を捨てさせようと主張しているわけです。

 赤字の事業を抱える大企業が2社あると想像下さい。収益が悪化し続けるというのに、ライバルと張り合うため2社ともその事業を嫌々ながら続けてきた。ある日、その馬鹿馬鹿しさに気づいた2社のトップが談合、それぞれの赤字事業を同時に切り捨てる――というアイデアなのです。

それはあり得ますね。ただ、最近の米中は決して仲が良くない。

鈴置:でも、朝鮮半島に関しては「極めて仲がいい」のです。米中には「朝鮮民族の内輪もめに引き込まれ、多大の人的損害を出した朝鮮戦争の失敗を2度と繰り返したくない」との共通認識があるからです(「韓国は無視して『パンドラの箱』を開ける米国」参照)。

 1972年、米中関係正常化のためニクソン(Richard Nixon)大統領が訪中しました。その際、周恩来首相に以下のような本音を漏らしています。

「衝動的な人たち」に嫌気

 『ニクソン訪中機密会談録』(毛里和子・毛里興三郎訳)の100ページから引用します。『増補決定版』では136ページです。原文は「Nixon's Trip to China」の「Document 2」の17ページで読めます。

朝鮮人は、北も南も感情的に衝動的な人たちです。私たちは、この衝動と闘争的態度が私たち両国を困らせるような事件を引き起こさないよう影響力を行使することが大切です。朝鮮半島を我々両国政府の争いの場とするのは愚かでばかげたことです。一度起こってしまいましたが、二度と起こしてはなりません。首相と私が協力すればそれを防ぐことができると思います。
 周恩来首相も次のように答えました。

そのことがまた南北の接触を促進するでしょう。
 「感情的に衝動的な」(emotionally impulsive)人々には大昔から、米中ともに嫌気がさしているのです。

 日本は米中が突然に談合し、朝鮮半島を投げ捨てる日に備える必要があります。それは「北の核」が平和的に解決される時はもちろん、力で解決される場合にも「後始末」として起こり得るのです。

(次回に続く)

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■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ

北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。

もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。

目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。

◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録

『中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』 に続く待望のシリーズ第9弾。10月25日発行。

このコラムについて

早読み 深読み 朝鮮半島
朝鮮半島情勢を軸に、アジアのこれからを読み解いていくコラム。著者は日本経済新聞の編集委員。朝鮮半島の将来を予測したシナリオ的小説『朝鮮半島201Z年』を刊行している。その中で登場人物に「しかし今、韓国研究は面白いでしょう。中国が軸となってモノゴトが動くようになったので、皆、中国をカバーしたがる。だけど、日本の風上にある韓国を観察することで“中国台風”の進路や強さ、被害をいち早く予想できる」と語らせている。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/040400101/

 


米国、シリアへの空爆開始−アサド政権の化学兵器使用に対抗措置
Tony Capaccio、Nick Wadhams
2017年4月7日 10:43 JST 更新日時 2017年4月7日 12:40 JST

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シリア空爆後、フロリダ州で発言するトランプ米大統領(6日) Bloomberg

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巡航ミサイル「トマホーク」59発でシリア空軍基地を攻撃
トランプ大統領は「シリアが化学兵器を使用したことは明白」と指摘

米国は6日、シリアへの空爆を開始したと発表した。シリアのアサド政権が化学兵器を用いて多数の民間人を殺害したことで国際的非難が巻き起こり、トランプ大統領は「人間性を踏みにじる行為」と批判していた。
  トランプ大統領は同日夜、中国の習近平国家主席を迎えたフロリダ州の別荘で記者団に対し、「今晩、私は化学兵器による攻撃拠点となったシリアの空軍基地に対し、限定的な軍事攻撃を指示した」と発言。さらに「致死的な化学兵器の拡散と使用を予防・阻止することは、米国の国家安全保障にとって極めて重要な利益だ」とした上で、「シリアが禁止されている化学兵器を使ったことは疑いの余地がなく、化学兵器禁止条約に違反した」と説明した。
トマホークを発射する米ミサイル駆逐艦「ポーター」(7日、地中海上で)
トマホークを発射する米ミサイル駆逐艦「ポーター」(7日、地中海上で) Photographer: Ford Williams/U.S. Navy via AP
  ロシアのサフロンコフ国連次席大使は米空爆前に、「米国のいかなる軍事行動も否定的な結果をもたらす」と述べていた。
  米国防総省によれば、シリア時間7日早朝の空爆の対象になったのは、シリアのシャイラト空軍基地の格納庫や軍用機、燃料タンク、防空システム。地中海に展開していた米海軍駆逐艦2隻からレイセオン製の巡航ミサイル「トマホーク」59発を発射した。
  米軍の戦略担当官らの任務は、アサド政権の反政府勢力掃討を支援するためシリア国内に駐留するロシア軍の存在によって、より高いリスクにさらされている。国防総省のデービス報道官によると、米国は攻撃開始に先立ちロシアに通告し、空軍基地のロシアあるいはシリア人へのリスクを最小限にするよう予防措置を講じた。
  上院外交委員会の民主党筆頭理事、ベン・カーディン議員はシリア空爆について、「化学兵器使用を禁じる国際規範や規則を守るために米国は立ち上がるという明確なシグナルだ」と声明で述べた。ただ、「トランプ政権がシリアでの軍事作戦を長期化するか、規模を拡大するためには米議会と連携する必要があろう」と指摘した。
  アサド政権への軍事行動を以前から主張していた共和党上院議員のジョン・マケイン、リンゼー・グラム両氏は、アサド政権がプーチン大統領のロシアから支援を受けて無実のシリア市民を化学兵器で殺害し、空爆するのを米国はもはや傍観しないという重要なメッセージを送ったと表明した。
  ティラーソン国務長官は空爆後、ロシアがアサド政権を支援していることを批判。シリア国内から化学兵器の備蓄を一掃するはずだった4年前の米ロ合意の取り決めを守っていないと指摘した。
シリア空爆後、フロリダ州で発言するトランプ米大統領(6日)
シリア空爆後、フロリダ州で発言するトランプ米大統領(6日) Bloomberg
  同長官はトランプ大統領に続き、記者団に対し、「ロシアは2013年の確約実行を怠っている。従ってロシアはシリアに加担したか、あるいは実行する能力がなかったかいずれかだ」と語った。また他の中東諸国の政府は米国の行動を支持していると説明した。
  トランプ大統領は昨年の選挙戦中、過去の米大統領が中東紛争に巻き込まれたことを批判していた。しかしトランプ氏は今週に入って、今月4日のシリアの攻撃で多くの子供が犠牲になったことについて、「一線を超えた」と表明。これをきっかけに考えをあらためた。
  ティラーソン長官はこの日の空爆前にフロリダ州パームビーチで、外部団体がサリン使用の疑いがあるとしたシリアの攻撃に関し、「重大な問題であり、本格的な対応が必要だ」と語っていた。また、同盟を動員してシリアのアサド大統領を退陣させるための「措置が進行中」だが、そうした取り組みは同国で過激派組織「イスラム国(IS)」を打破し、同国が多少の安定を回復した後になる可能性が高いと発言した。
  国務省当局者は6日午後、ティラーソン長官は12日のロシア高官との会談のため、予定通りモスクワを訪問すると述べた。訪問中、プーチン大統領との会談も予定されている。
原題:U.S. Launches Missile Strike on Syria in Response to Gas Attack(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO0N256JTSE901

http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/692.html

[政治・選挙・NHK223] シリア アサド政権の軍事施設に 米軍が巡航ミサイルで攻撃 自民高村「レッドライン越えた」外務省「対応そう遠くない将来に明
シリア アサド政権の軍事施設に 米軍が巡航ミサイルで攻撃
4月7日 13時58分
アメリカのトランプ政権はシリアで化学兵器の使用が疑われる攻撃で多数の死傷者が出たことへの対抗措置として、シリア国内にあるアサド政権の軍事施設を巡航ミサイルで攻撃しました。シリアの内戦が始まって以降、アメリカがアサド政権への攻撃に踏み切ったのは初めてです。
シリアでは今月4日、北西部イドリブ県の、反政府勢力が支配する町で空爆があり、少なくとも72人が死亡したほか、住民の多くに呼吸困難やけいれんなどの症状がみられ、猛毒のサリンのような神経ガスや塩素ガスなどの化学兵器が使われた疑いが強まっています。

これを受けてトランプ政権は、アサド政権による攻撃だとして6日、対抗措置としてシリア国内にあるアサド政権の軍事施設を巡航ミサイルで攻撃しました。

トランプ大統領は、滞在先の南部フロリダ州で声明を発表し「シリアの独裁者、アサドが無実の市民に対して化学兵器を使って攻撃を行った。このとても残虐な攻撃でかわいい赤ちゃんたちも無慈悲に殺害された」とと述べました。

そのうえで「シリアの空軍基地に対する軍事攻撃を指示した。この攻撃は化学兵器の使用と拡散をやめさせるためアメリカの安全保障上、非常に重要な国益だ」と述べ、シリアへの攻撃に理解を求めました。

アメリカ国防総省によりますと、地中海に展開するアメリカ軍の駆逐艦からシリア軍の飛行場に対して巡航ミサイル59発を発射したということです。

アメリカはシリアで過激派組織IS=イスラミックステートに対して空爆を続けてきましたが、アサド政権への攻撃に踏み切ったのは今回が初めてです。

この攻撃について、シリアの反政府勢力はアサド政権が化学兵器を使ったと強く非難していますが、アサド政権とその後ろ盾のロシアはこれを否定し、双方の主張は真っ向から対立しています。
米国防総省の声明 空軍基地にミサイル発射
アメリカ国防総省の声明によりますと、トランプ大統領の指示を受けて、アメリカ軍が日本時間の7日午前9時40分ごろ、シリアのシャイラート空軍基地に対し巡航ミサイルを発射したということです。

巡航ミサイルは、地中海に展開するアメリカ海軍の駆逐艦「ポーター」と「ロス」の2隻から、シリアの空軍機、燃料や弾薬施設、それにレーダーや防空施設を標的に合わせて59発が発射されたということです。

また、シャイラート空軍基地は、化学兵器の貯蔵に使われていたとしていて、アメリカの情報機関はこの基地を離陸した空軍機が化学兵器の攻撃を実施したと判断したとしています。

また、空軍基地にいるロシアとシリアの人員が被害を受ける可能性を最小限にするため、アメリカ軍の攻撃について事前にロシア軍に通報したとしています。

アメリカ国防総省は、現在、今回の攻撃の結果を調べていますが、現時点では、シャイラート空軍基地にある空軍機や設備に大きな損害を与え、シリア政府による化学兵器の使用能力が低下したとしています。
シリア 反政府勢力「攻撃を歓迎」
アメリカがシリア国内にあるアサド政権の軍事施設を巡航ミサイルで攻撃したことについて、アサド政権と戦闘を続けるシリアの反政府勢力、シリア国民連合の広報担当者は、フランスのAFP通信の取材に対し、「攻撃を歓迎する。アメリカ政府がアサド政権の空爆能力を無力化させるよう求める」と述べました。
シリア国営通信 化学兵器使用の疑惑自体がねつ造
アメリカのトランプ政権が、シリア国内にあるアサド政権の軍事施設を巡航ミサイルで攻撃したことについて、シリアの国営通信は「アメリカの侵略行為は、イドリブ県で起きたことをめぐる、多くのテロ支援国によるプロパガンダのあと行われた」と伝え、アサド政権が化学兵器を使ったという疑惑自体が、アメリカなどの反政府勢力の支援国によってねつ造されたものだと強調しました。
「空軍基地1か所が攻撃受けた」
シリア国営通信は「きょう7日の明け方に空軍基地1か所がアメリカ軍が発射したミサイルによって攻撃を受け、被害が出た」と伝えました。

また、ロイター通信によりますと、シリアの国営テレビは、シリア軍関係者の話として「アメリカによるミサイル攻撃によって、シャイラート空軍基地に損害が出ている」と伝えています。

一方、ロイター通信は、アメリカ国防総省の話として「アメリカが標的にしたのは、ロシアが駐留しているとされている場所ではない」と伝えています。

アメリカ軍がミサイルで攻撃したと伝えられているシャイラート空軍基地は、シリア中部の都市ホムスの近くにあります。アメリカメディアは、このシャイラート空軍基地は、化学兵器の使用が疑われる攻撃に関わった戦闘機が離陸した基地だと伝えています。
岸田外相「事実関係の確認に全力」
岸田外務大臣は衆議院の外務委員会で「情報は承知しており、現在、わが国としても事実関係の確認に全力で取り組んでいる。シリアについては、化学兵器が使われたのではないかという事案が発生した後、安全保障理事会で議論が行わていたところであり、日本としても、まずは安保理の場で、国際社会の対応、議論にしっかり貢献していかなければならないと考えている。国連の場などを通じて情報収集、分析に努めたい」と述べました。

また、岸田外務大臣は7日正午すぎ、外務省で記者団に対し、「わが国としては、まず事実関係の確認と調査を進めている。事実関係を確認したうえで、日本政府としての考えを明らかにしなければならない」と述べました。
また、記者団が「アメリカの対応を支持するのか」と質問したのに対し、岸田大臣は「日米間で意思疎通は緊密に行っているが、詳細は控える」と述べました。

外務省の杉山事務次官は7日午後1時半ごろ総理大臣官邸を出る際、記者団が「安倍総理大臣に状況説明を行ったのか」と質問したのに対し、「そうだ。谷内国家安全保障局長を中心に、外務省、防衛省などから」と答えました。また記者団が、「日本政府の対応はちかぢか発表するのか」と質問したのに対し、「そう遠くない将来、明らかにする」と述べました。
自民 高村氏「レッドライン越えたことが決意に」
外交・安全保障政策に詳しい、自民党の高村副総裁は、党本部でNHKの取材に対し、「アサド政権が化学兵器を使ったという確証を持っていて、レッドラインを越えたということだろう。このことが、『無法国家』にアメリカの決意を知らせることになり、『無法』ができなくなるということが考えられる。その反面、北朝鮮が、『シリアは核を持っていないから攻撃された』と、ますますミサイルや核が必要だと考えるかもしれない。トランプ政権はオバマ政権と違い、レッドラインを越えたと思えば思い切ったことをやるというメッセージが、『無法国家』を抑制させる効果が出ればいい」と述べました。
少なくとも2種類の化学兵器使用か
シリア北西部イドリブ県では、4日、反政府勢力の支配地域が空爆を受け、子どもを含む少なくとも72人が死亡し、数百人が病院で手当てを受けています。現地で活動する国際NGO国境なき医師団は、患者の症状から、少なくとも2種類の化学兵器が使用された疑いがあるとしています。

現地の病院に医療チームを派遣している国際NGO、「国境なき医師団」は5日、声明を出し、治療した患者から瞳孔の収縮や筋肉のけいれんなど猛毒のサリンのような神経ガスに特徴的な症状が見られたと明らかにしています。

さらに、別の病院に運ばれたほかの患者からは、塩素にさらされた可能性があることを示す漂白剤のような臭いが確認されたということで、少なくとも2つの種類の化学兵器が使われた疑いがあるという見方を示しました。

この攻撃について、シリアの反政府勢力はアサド政権が化学兵器を使ったと強く非難していますが、アサド政権はこれを否定し、双方の主張は真っ向から対立しています。WHO=世界保健機関は、専門家チームを派遣し、犠牲者の検視に立ち合うなどして攻撃に使われた物質を特定する調査に乗り出しました。

また、国連安全保障理事会は、5日、緊急会合を開き、欧米各国は、攻撃を行ったのは、アサド政権だと厳しく非難しましたが、ロシアは真っ向から対立したため、真相究明を求める欧米が共同で提出した決議案は採決が見送られています。アサド政権は4年前、国内の化学兵器の廃棄に応じましたが、その際、廃棄の対象とはならなかった塩素ガスなどによる攻撃を続けていると国連などから指摘されていました。
トランプ氏 急速にアサド政権への強硬発言
アメリカのトランプ大統領は、シリアで化学兵器が使われた疑いが強まっていることをめぐり、ここ数日急速にアサド政権に対する強硬な発言が目立つようになっていました。

このうち5日には、「罪もない市民に対する化学兵器を使った攻撃は恐ろしいことでこのようなアサド政権による凶行は許容されてはならない」と述べて厳しく非難しました。

そのうえで許容できない一線、いわゆるレッドラインを越えたのかという質問に対し「私にとっては『レッドライン』の域を越え、いくつもの線を越えている」と述べて何らかの行動を取る可能性を示唆していました。

さらに、トランプ大統領は、6日南部フロリダ州に向かう飛行機の中で同行の記者団に対して「アサド大統領がまだシリアで取りしきっている。何かが起きるべきだ」と述べ何らかの対抗措置が必要だという考えを示し、強硬な姿勢を示していました。
プーチン政権はアサド政権の政府軍を支援
シリアのアサド政権を擁護してきたロシアのプーチン政権は、2013年、アメリカのオバマ前政権が、シリアのアサド政権が化学兵器を使ったとしてシリアへの軍事行動に踏み切ろうとした際、シリアの化学兵器を国際管理下に置く提案を行い、アメリカ軍による軍事行動を断念させました。

ロシアは、おととし9月からアサド政権からの要請を受け、シリアを拠点とする過激派組織IS=イスラミックステートをせん滅するとして、シリアでアサド政権の政府軍を支援して軍事作戦に踏み切りました。

今回、シリア北西部で化学兵器が使われたと見られることについて、ロシア国防省は、ロシア軍の関与を否定したうえで、化学兵器は反政府勢力のものだとの見方を示していました。

これまでロシア軍が軍事行動を続けてきたシリアで反政府勢力を支援するアメリカが軍事行動に踏み切ったとことでアメリカとロシアの間でシリア問題をめぐる対立が一層先鋭化することが予想され代理戦争になるおそれも懸念されます。
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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170407/k10010940131000.html

 

突然の攻撃に驚き シリア、日本でも不安の声
2017/4/7 13:41
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 内戦状態が続く中東シリアのアサド政権側施設に7日、米軍がミサイルを発射した。シリア国内での化学兵器使用も取り沙汰される中での突然の攻撃に、日本国内からも「今後どうなるのか」「混乱が深まる」と不安の声が上がった。

 「大変なことになっている」。街頭テレビでシリア攻撃の一報が流れた東京・有楽町。東京都中央区の主婦(59)は、化学兵器による被害も報じられていることを念頭に「小さな子供が犠牲になっている映像を見て、気の毒で仕方なかった」と心配していた。

 千葉県市川市の主婦(64)は「トランプ政権は危ういと思っていた」と不安な様子。4月に入ってから北朝鮮のミサイル発射やロシアで地下鉄テロが起きており、「怖い世の中になっている」と表情を曇らせた。

 スマートフォン(スマホ)のニュースアプリでシリア攻撃を知ったという千葉県柏市の男性会社員(59)は「最近の不安定な国際情勢を踏まえると、さほど驚かない」と冷静な様子。「株価への影響が気になる」と話し、スマホに目を落とした。

 東京都世田谷区の男性会社員(30)は「とても人ごとではない。アジアでは北朝鮮のミサイル発射が問題になっている。今回の米軍の行動が北朝鮮を刺激しなければいいが……」と案じていた。

 練馬区の男性会社員(32)は「トランプ大統領は移民を巡る政策などで過激なことをする印象が強かった」としつつも「まさか武力行使に出るとまでは予想していなかった」と険しい表情。

 シリア料理などを提供する料理店「ゼノビア」(東京・渋谷)で働く外国人男性は「問い合わせの電話が20回ぐらい来ているが、話せることは何もない」と慌ただしい様子で日本語で答えた。

 東京・赤坂にあるシリア大使館は7日昼、ビル玄関が施錠され、静まり返っていた。入り口の表示によると業務時間は午前9時半〜11時半。インターホンにも応答はなく、付近の住民によると朝から特に変わったことはなかったという。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07H4E_X00C17A4CC0000/


 
ロシア、シリア非難で欧米に対抗案 安保理、採決再見送り
2017/4/7 9:46
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 【ニューヨーク=高橋里奈】ロシアは6日、国連安全保障理事会で米英仏によるシリア北西部での化学兵器使用の非難決議案への対抗案を示した。ロシア案では4日の化学兵器を使ったとみられる空爆に「深い懸念を覚える」とし、「非難」という言葉を除いてアサド政権に配慮。米英仏は6日夜に非難決議案の採決を目指したが議論は混迷し、採決は再び見送られた。

 シリア北西部イドリブ県の空爆でサリンなど化学兵器が使用された可能性を巡り、米英仏3カ国は「最も強い言葉で非難する」との決議案を配布していた。だがアサド政権軍の空軍基地への立ち入り調査や飛行記録・計画、指揮官名の提出を求める決議案にシリアを支援するロシアが反発。独自案を提示した。

 さらにスウェーデンなど10カ国の非常任理事国も米英仏案を基本とする妥協案を示し、協議は難航、採決を見送った。ロシアはこれまでもシリア危機を巡ってたびたび拒否権を行使し、反体制派を支持する欧米と対立してきた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H0J_X00C17A4EAF000/
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/693.html

[戦争b19] シリアへの米軍ミサイル攻撃で複数の死者=地方首相 空軍基地に被害―シリア軍 1度限り 攻前にロシア軍に通知 米大統領声明
シリアへの米軍ミサイル攻撃で複数の死者=地方首相

[ベイルート 7日 ロイター] - 米軍が6日、シリア西部ホムス付近の軍事拠点をミサイル攻撃したことについて、ホムス県のバラジ知事は7日、複数の死者が出ていることを明らかにした。レバノンのアルマヤディーンテレビに述べた。

同知事はロイターの電話取材で、攻撃を受けた空軍基地は、東部パルミラで過激派組織「イスラム国」(IS)と戦う政府軍の支援に使用されていたと指摘し、ミサイル攻撃はイスラム国など「武装テロ組織」を利するとの見方を示した。

米軍の攻撃は「(間接的に)武装テロ組織を支援し、テロと戦うシリア軍の能力を弱める」と述べた。

またシリアの国営テレビの電話インタビューで「シリアの指導部も政策も変わらない。(ミサイル攻撃は)初めてではないし最後でもないだろう」と語った。

「シリア、特にホムス県の軍事拠点」が標的にされたとし、「シリアのテロ組織とイスラエルの目標を長期的に達成する」ことが目的と指摘した。


 
米軍のミサイル攻撃で空軍基地に被害―シリア軍関係筋=国営TV

[ベイルート 7日 ロイター] - シリア軍関係筋は、米軍のミサイルによる空軍基地への攻撃を受けて「被害」が出ていることを明らかにした。

国営テレビはニュース速報で、関係筋が「中央部にある空軍基地1カ所が本日、米国によるミサイル攻撃を受け、被害が出た」と述べたことを報じた。
http://jp.reuters.com/article/mideast-crisis-syria-source-idJPKBN1790AN


 

米国のシリア攻撃は「1度限り」=米国防当局者

[ワシントン 6日 ロイター] - 米軍が6日に行ったシリア軍基地へのミサイル攻撃について、米国防当局者は「1度限り」と述べ、現時点では第2弾の攻撃を行う公算は小さいことを示唆した。

当局者はロイターに、ミサイル攻撃は、内政に照準を合わせているトランプ政権の方針転換を示唆していないとの見方を示した。
http://jp.reuters.com/article/usa-syria-one-off-idJPKBN1790FC


 


米軍、シリア軍基地へのミサイル攻撃前にロシア軍に通知 
[ワシントン 6日 ロイター] - 米国防総省のデービス報道官は6日、米軍がシリア空軍基地への攻撃について事前にロシア軍に通知し、ロシア軍が駐留しているとされる場所を攻撃しなかったことを明らかにした。攻撃に関する記者会見で述べた。

米軍は6日、シリアでの過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦の際に衝突事故を防ぐために設置していた連絡手段を通じて、攻撃前にロシア軍側と連絡を取った。
http://jp.reuters.com/article/usa-russia-syria-idJPKBN1790CF


 

トランプ政権、巡航ミサイルでシリア攻撃 化学兵器使用を非難
•  
[ワシントン 6日 ロイター] - トランプ米大統領は6日、米軍にシリアの空軍基地に対するミサイル攻撃を命令したと発表した。シリアで今週、禁止されている化学兵器を使用したとみられる空爆で多数の死者が出たことを受けた対抗措置。
大統領は攻撃について「化学兵器の拡散・利用を防ぐことが米国の安全保障上の重要な利益だ」とし、「アサド政権の行動を変えようとする長年の試みはすべて失敗、それも劇的な失敗に終わった」と述べた。
中国の習近平国家主席と首脳会談に臨んでいるトランプ大統領の別荘「マール・ア・ラーゴ」で会見した。
米当局者らによると、アサド政権軍の支配下にある空軍基地に対し、米軍が数十発の巡航ミサイルを撃ち込んだ。
米国防総省の報道官は、地中海東部に展開する米海軍の2隻の駆逐艦から、59発の「トマホーク」ミサイルがシリア政府軍の空軍基地の航空機、防空システム、燃料貯蔵庫などに向けて発射されたと述べた。
 

 4月6日、トランプ米大統領は米軍にシリアの空軍基地に対する攻撃を命令したと発表した。シリアで今週、禁止されている化学兵器を使用したとみられる空爆で多数の死者が出たことを受けた対抗措置。写真は米駆逐艦から発射されたトマホークミサイル。米国防総省提供(2017年 ロイター)
 
空爆は米東部時間6日午後8時45分(7日0045GMT)ごろに行われた。
シリア国営テレビは「多数のミサイル」による「米国の攻撃」はシリアの軍用基地を標的にしたもので、軍関係者の話を引用し、「被害が出た」と報じた。
トランプ大統領は「今夜、化学兵器を使用した攻撃の拠点となったシリアの飛行場に対し、軍事攻撃を命じた」と述べ、「シリアが禁止されている化学兵器を使用し、化学兵器禁止条約に違反し、国連安全保障理事会の求めを無視したことに議論の余地はない」と付け加えた。
シリア北西部のイドリブ県では4日、化学兵器を使用したとみられる空爆があり、こどもを含む少なくとも70人が死亡した。
トランプ大統領は5日、この空爆はアサド政権によるものと非難。6日にはアサド大統領に対し「何かが起こるべきだ」との考えを示していた。
トランプ大統領は外交上で北朝鮮や中国、イラン、イスラム国など多くの問題に直面しており、今回の化学兵器使用を受けた比較的素早い対応は、友好国や敵対国に、必要なら武力行使をいとわない決意を見せる意図があった可能性もある。
*情報を更新しました。

私たちの行動規範: トムソン・ロイター「信頼の原則」
http://static.reuters.com/resources/media/editorial/20170407/syria-missile-strikes.gif


トランプ氏、シリア化学兵器「いくつもの一線を越えた」と非難

米英仏、シリアでの化学兵器使用の疑いで安保理決議案
シリア北部の空爆で死者多数、化学兵器使用の疑い 政権側は否定
コラム:米国が踏み出した「終わりなき戦争」
http://jp.reuters.com/article/us-syria-strike-idJPKBN17907C?sp=true
 

 

シリア攻撃を命じたトランプ米大統領の声明全文

[6日 ロイター] - シリアの空軍基地に対する米軍の巡航ミサイル攻撃について、トランプ大統領が6日会見した。大統領の声明内容は以下の通り。

米国民の皆さん、シリアの独裁者であるアサド大統領は4日、罪のない市民に対し、恐ろしい化学兵器を使用して攻撃を行った。致死率の高い神経ガスを使い、無力な男性や女性、そして子どもたちの命を奪った。

あまりに大勢の人に対する、緩やかで残忍な死を招いた。残酷なことに、美しい赤ちゃんたちもこのような非常に野蛮な攻撃によって殺された。神の子は誰一人としてそのような恐怖に遭ってはならない。

米軍がシリアに巡航ミサイル攻撃
米軍がシリアに巡航ミサイル攻撃
今夜、私は化学兵器を使用した攻撃の拠点となったシリアの飛行場に対し、軍事攻撃を命じた。化学兵器の拡散・使用を阻止し抑止することは、米国にとって不可欠な国家安全保障上の利益の一部である。シリアが禁止されている化学兵器を使用し、化学兵器禁止条約に違反し、国連安全保障理事会の要請を無視したことに議論の余地はない。

アサド政権の行動を変えようとする長年の試みはすべて失敗、それも劇的な失敗に終わった。その結果、難民危機は悪化し続け、地域も不安定化し続けており、米国と同盟諸国に脅威を与えている。

今夜、私はすべての文明国に対し、シリアにおける大量虐殺に終止符を打つため、そしてあらゆる種類のテロを根絶するため、共に手を取ろうと呼びかけた。

非常に困難な世界に直面し、われわれは神の英知を求めている。けがを負った人々が助かるように、また、亡くなった人たちの魂のために祈りをささげよう。そして米国が正義のために立ち上がる限り、最終的に平和と調和が勝利することを祈ろう。

それでは皆さん、神のご加護が米国と全世界にあらんことを。ありがとう。
http://jp.reuters.com/article/syria-us-strike-statement-idJPKBN1790FM


http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/893.html

[国際18] EU離脱交渉、英国がいくら出すかがカギ 英離脱主因、国家の老化 出口終止符打ちたいドラギに待った トランプ疑うウォール街
EU離脱交渉、英国がいくら出すかがカギ

FINANCIAL TIMES

独政府が恐れているのは、英国の穴埋めをさせられること
2017年4月7日(金)
FINANCIAL TIMES


ドイツのメルケル政権は今、英離脱後、EUの第2の資金拠出国である英国の穴埋めを求められることを恐れている(写真:ロイター/アフロ)
 交渉をうまく運ぶには、「ウィン・ウィン」の考え方に基づくのが一番よいというのは、ビジネスパーソンや外交官にとって馴染みの深い決まり文句だ。しかし、英国の欧州連合(EU)からの離脱交渉には、この原則は当てはまらない。英国とEU双方が今、目指しているのは、どちらも相手により打撃を与えようとする「ルーズ・ルーズ」の合意だからだ。

EUより英国の方が打撃を被るべきというEUの決意

 つまり、双方とも相手に自分が満足できるほどの痛みを負わせることができれば、自分は交渉に成功したと言える、と考えている。

 まず、英国は既に離脱するという行為そのものによってEUに打撃を与えている。英国離脱により、EUの市民は英国に無条件で移住できるという権利を失うことになる。EUは、英国における法的管轄権を失い、さらにEUの予算を大いに支えてくれてきた資金拠出国を失うことになる。

 EUは面目を失うことにもなる。もし事態が極めて悪い方向に転がり、他の加盟国が英国に続いて離脱すれば、EU自体が崩壊するかもしれない。実際に被る打撃も、今後、生じ得る打撃も含め、こうした事態を前にEUは、英国には離脱されるEU側以上に打撃を被ってもらわなければならないと決意している。

 EUより英国の方が打撃を被るべきだという問題は、EUにとっては正義にかかわる問題であると同時に、EUの存続に関わる問題でもある。英国がEU離脱により目に見える形で痛みを負わなければ、他の加盟国もEUにとどまるべき理由がなくなるからだ。EUへの負担金や責任を放棄した英国に対して、なぜ加盟国と同等の恩恵をすべて認める必要があるのか、というわけだ。

 英国政府は表にこそ出さないが、互いに「相手により打撃を与えなければならない」というこの論理を理解している。そのことは、ハモンド英財務相が最近、「我々は、離脱するのに加盟国としての権利も維持するという両方を手にすることはできない」と発言したことからもうかがえる。だからこそ英国政府にとって交渉の焦点は、離脱の代償をいかに抑えるかになる。

英国の前に立ちはだかる4つの難題

 しかし、互いにある程度の打撃を被るのは致し方ないという「ルーズ・ルーズ」の合意形成を目指すに当たって、英国の前には4つの難題が立ちはだかる。第1に、英国の一般国民は、離脱には相当なコストが伴うことについて心構えができていない。第2に、これは対等な立場にある者同士の交渉ではないという点だ。英国のEUに対する貿易依存度は、その逆よりもはるかに高い。

 
 第3に、交渉の仕組みがそもそもEUに有利にできている。もし2年後までに合意に達しなければ、英国は何の協定も結ばないまま離脱することになる。そうなると、英国にとって最大の単一市場であるEUに輸出する場合、関税を課され、様々な規制を受けることになる。

 最後に、英国にもEUにも強硬派が存在する点を忘れてはならない。彼らは、貿易協定も、それまでの暫定協定も締結できずに「列車が正面衝突するような破局的な離脱になればいい」と考えている。英国から投資が引き上げられていく様子を楽しみにしている人々がEU本部だけでなく、欧州各地に多くいる。彼らは、英国からの輸出品を積んだトラックが、税関での新たな規制への対応に苦慮し、ドーバー港の外で立ち往生したまま列をなしている光景を目にしたいと願っている。

 一方、英国の側にも、EUと合意にこぎ着けられないまま離脱に至っても何も恐れる必要などないと主張する強硬派がいる。彼らは、英政府が離脱交渉で少しでも譲歩すれば裏切り行為だと叫ぶだろう。メイ英首相でさえ、「合意できなくても、悪い条件で合意するよりは望ましい」と発言している。

 言葉遣いこそ勇ましいが、英国政府が破局的な離脱の危険性を理解し始めていることは明らかだ。メイ英首相が3月29日にEUに正式に離脱を通知した翌日、英政府の主要閣僚であるハモンド財務相とジョンソン外相がドイツのエリートたちの支援を取り付けようと訪独した。

 両氏は、英独各界の重要人物を集めて毎年開催される「ケーニヒスビンター会議」に出席した。筆者も同会議に参加したが、そこで両氏は、ドイツ人参加者を英国ひいきにしようと必死だった。両氏への参加者の反応は礼儀正しく、時に温かくさえあったが、その反応よりも重要なのはおそらく参加者の顔ぶれだ。

 今年はベルリン近郊で開催されたにもかかわらず、ドイツ政府からはハモンド氏やジョンソン氏に相当するクラスの閣僚の出席はなかった。そこから読み取れるメッセージは明白だ。英国は今、ドイツが英国を必要としている以上にはるかにドイツを必要としているということだ。

EU第2の資金拠出国である英国の穴を埋めるのはドイツ?

 ドイツにとっての最優先課題は、EUの残る27加盟国の結束の維持だ。これは、出て行こうとする英国の要求より、(英国などに多くの移民を出しており、人の移動の自由の確保を重視する)スロバキアや、スペインの要求のほうが、無条件に高い優先順位を持つ、ということを意味する。

 EU側が残る加盟国重視をどう進めるかについての最初の兆候は、英領ジブラルタルの問題を巡る姿勢に垣間みることができる。ジブラルタルは長年、スペインが英国からの返還を求めてきた。EUが3月31日に示した英国との離脱交渉ガイドライン(指針)の草案に、ジブラルタルの地位を問うという項目が含まれていたからだ。

 ドイツ政府の今の関心は、英国が離脱した後のEUのあり方についてだ。いろんな意味でドイツは離脱後のEUへの懸念を深めている。悩ましい問題の一つは、EU第2の資金拠出国である英国の離脱で失われるEU予算の穴埋めを誰がするのかという点だ。メルケル独政府は、ドイツがその負担を迫られるのではないかと恐れている。

 この資金を巡る懸念は、離脱交渉において英国にとって小さなチャンスとなるだろう。英国は、離婚に伴う和解金を十分に支払うと提案すれば、良好な対応を得られるかもしれないからだ。露骨に言えば、単一市場へのアクセスをカネで買うという合意だ。

 このような合意形成を成し遂げることは、技術的にも、政治的にも極めて難しい挑戦になる。専門的な細かい問題以上に、相手により大きな打撃を与えなければならないという心理的問題がたちはだかる。

 英国とEUは、互いの利益のために協力することができる、という考えを改めて発見する必要がある。現在の互いに相手により大きな打撃を与えようとする「ルーズ・ルーズ」という考え方の問題点は、それが必ず容赦のない仕打ちにつながり、一層悪化していくということにある。

 「ウィン・ウィン」の交渉が大事だとの言葉は使い古された表現かもしれないが、今はそうした観点から世界を見ることが必要だ。どちらかが一方的に勝利するのではなく、双方にとって少しでもいい方向に交渉を進めることが大切だ。

Gideon Rachman, Chief foreign affairs commentator
(cFinancial Times, Ltd. Apr. 3, 2017)

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英国のEU離脱の主因は、国家の「老化」である

神野正史の「人生を豊かにする世界史講座」

歴史上のどんな強国も、衰亡の歴史を繰り返す
2017年4月6日(木)
神野 正史
イギリス、いよいよEU脱退へ

 去年の6月、イギリスが欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票を行った結果、民意は「EU離脱」を選択し、世界中で大きく報道されました。この結果により、すでに事が成ったかのように離脱派の人たちが熱狂して喜ぶ映像が全世界に流されたものです。

 しかし、離脱派が勝ったといっても、離脱:残留=52:48という僅差。その上、残留派が多い若者層の投票率が低かったことから、全国民で見るとおそらく残留派の方が多いだろうということ。また、そもそも国民投票の結果は「法的拘束力」を持たないこと。さらには、「イギリス政府は本当に、EUを離脱してやっていく自信と方策と手腕があるのか?」という疑念があって、以前に「まだまだこの先、ほんとうに離脱するのかどうかは未知数」という旨の記事を書きました。(日経BPネット 2016年6月28日配信記事「離脱しないかも? 英国のEU離脱を歴史視点で完全理解」)

 ところが先日(3月29日)、イギリス政府はEUに離脱の意思を通知し、いよいよ本格的に「EU離脱」へ向けて舵を切りはじめたようです。


3月29日、イギリス政府がEUに離脱の意思を通知すると、一方のEUは、離脱交渉指針の基本原則として以下の項目を挙げた。@「離脱後はEU加盟国と同等の権利や恩恵は受けられない」、A「単一市場へ特定の産業分野だけ参加を認める手法はとらない」、B「27カ国が統一した立場で交渉に臨む。イギリスとの個別交渉はしない」 (画像:PIXTA)
身勝手なイギリス

 しかし、イギリスがこれまで望んできた条件をみると思わず苦笑してしまいます。

移民(難民)は受け容れないけど、できればEUとの経済協定はこのまま存続したい。

 なんと都合のよい!

EU加盟国である以上、法的に移民(難民)の受け入れを拒否できないから、たとえ脱退してでも拒絶する。でも、EU加盟国としての経済的利得は捨てたくない。

 もちろん、こんな身勝手なイギリスの「EU離脱条件」が通るわけはありません。

 EUがそんなことを許したら、他の加盟国も一斉に脱退、EUはその瞬間に崩壊してしまうことは火を見るより明らかだからです。建国以来、海千山千の国際外交の舞台を渡り歩いてきたイギリスともあろうものが、そんなことも分からないとは考えにくく、これはやはり、イギリス政府にはハナから離脱の意思がなく、わざと無理難題の条件を突きつけて、あえて“破談”に持っていき、「一応、“民意(国民投票の結果)”に沿って努力はしてみたけど、やっぱりダメでした」という“国民向けアピール”のための方便ではないかと勘繰りたくなるほどです。いずれにせよ、英国とEUの交渉に対する考えの溝は深く、困難な交渉となるのは必至です。

“移民”の歴史、因果は巡る

 「身勝手」と言えば──。一般的に「イギリス人」といえば、民族系統はゲルマン系(アングロサクソン人)というイメージですが、実際には、スコットランド・ウェールズ・コンウォール・アイルランドに住む人たちの多くはケルト系民族です。そもそも、これらの各地域を含むグレートブリテン島に住んでいた人たちの多くはケルト系民族でした。今もこれらの地域には、ゲール語、スコッツ語など英語以外の言語が残っています。

 そこに5世紀ごろ、現在のデンマークのあたりに住んでいたアングロサクソン族が海賊行為を行いながら侵掠(しんりゃく)してきて、原住民であったケルト系の人たちを西に北に駆逐しながら居座りました。その末裔こそが、現在イギリスに住むアングロサクソン人です。現在のイングランド地方に住んでいる人々は、その昔イギリスに「移民」してきたと言うことができます。

 因果は巡る。自分たちが昔したことを、今、自分たちがされる側に立った途端、必死になってこれを排斥しようとしている姿は、人間の身勝手さが露骨に顕れていて失笑させられます。

事態打開できない政治家の取る常套手段

 しかも今回の脱退騒ぎは、一部の政治家やそれに煽動された国民が、現在イギリスが立たされている経済苦境の原因を「すべて移民のせいだ!」と、移民をスケープゴート(生贄、身代わり)とした結果です。

 しかしながら、じつのところイギリス経済が悪化の一途をたどっているのはそんな短絡的・些末なものではない、と筆者は考えています。確かに近視眼的にみればそういう側面もなきにしもあらず、ですので、歴史に疎い国民が「移民のせいだ!」と煽る政治家に騙されてしまっても致し方ない側面もあります。


東欧などからの移民に職を奪われ、移民への社会保障給付で税負担まで重くなる。そんなイギリス国民の不満がEU離脱を選んだ直接の理由だと言える。残留派だったキャメロン首相(当時)が与党内の離脱派を取り込もうと国民投票を持ち出したものの、結果的には移民排斥を訴える政治勢力に利用されてしまった。キャメロン首相の見通しが、甘かった。(画像:PIXTA)
 しかし歴史を紐解けば、今回のイギリスの意図もよく見えてきます。ひとつの国家が政治的・経済的苦境に陥りながら、政府がそれを打開する政策を持ちあわせないとき、政府中枢の政治家たちは国民の不満の矛先が自分たちに向くことを懼(おそ)れるようになります。

 「政策も持たぬのなら、政治家などさっさと辞めてしまえ」とツッコみたくなるところですが、「政治家」という職業、いつの時代でもどこの国でも一度就いたら辞められない“旨味”があり、政治家はこれを吸い続けたい。

政治的スケープゴートを仕立てあげる

 そこで一部の政治家は一計を案じます。「政治的スケープゴートを仕立てあげて国民を煽り、そのスケープゴートにすべての責任を押し付けて、自分たちの地位を守ろう!」 企業においても、経営が傾いてきたにもかかわらず、これに対処できず、なおかつ自分の地位を守りたい者が、部下に責任を押し付ける姿と似ています。

 そうした“スケープゴート”に選ばれるのは、たいてい「国内(社内)における異分子」であることが多い。たとえば、戦前においてアドルフ・ヒトラー(1889年〜1945年)は「現在のドイツの苦境はすべて国内に住むユダヤ人のせいだ!」と主張し、国民の不満を彼らに向けさせました。

 それが、400万とも600万とも言われるユダヤ人虐殺を生むことになりましたが、現在のイギリスの政治家が「すべて移民のせいだ」と責任転嫁し、国民もこれを支持している構図自体は、ヒトラー・ドイツのユダヤ人迫害の構図と変わりません。

 18世紀、フランス革命が進行する過程においても、スケープゴートに責任を押し付けるという事件がありました。当時のフランス経済は一向に安定せず、国民の不満が内乱となって頻発。そのうえ不敗将軍ブラウンシュヴァイク公(1735年〜1806年)率いるプロイセン軍が迫るという、まさに内憂外患の中、これらの国家問題になんら対処できない革命政府は、突如として「すべての元凶は国内にいる裏切者のせいだ!」と主張して殺戮事件(九月虐殺、1792年)を起こしています。

 他にも例を挙げればキリがありませんが、だいたい政府がこのようなスケープゴートをでっちあげて政策無能を隠そうとするとき、すでにその国は“終わりの始まり”にあるときがほとんどです。

イギリス衰退の真因は「老人の病」

 しかし今、イギリスが衰亡の一途をたどっているのは「移民問題」とか、そんな些末な理由ではなく、もっと大略的歴史的観点から見れば、「老人の病」のようなものといえます。

 たとえば──。若いころは屈強だった肉体が見る影もなく老い、病みがちになったとき、医者はその原因として「酒」「煙草」「過食」「睡眠不足」「ストレス」などなど、いろいろな生活習慣的原因を指摘するかもしれません。しかし、実際のところ、そんな不摂生など若いころならビクともしなかったのに、ちょっと無理をしただけでたちまち体調を崩すことを考えあわせれば、その根本的な原因は「老い」だということができます。

 老いない人間も死なない人間もいないように、国家もまた「老い、死に至る(滅亡する)」宿命を避けることはできません。ただ、人間の寿命に比べて国家の寿命はだいたい200年、300年…と長いので、一般的にはなかなかこれが理解できないだけです。現在のイギリスは、人間に喩(たと)えれば「後期高齢者」といってよい。

 今のイギリスの経済苦境も、老いさらばえた体(国)が今まさに多臓器不全を起こして“老衰”を迎えようとしているにすぎません。大きな歴史の枠組みの中で今回の動きを捉えたとき、「移民阻止」を掲げてEU脱退に生き残りをかけようとしているイギリスの姿は、「老衰によってまさに死を迎えようとしている老人に酸素吸入器を付け、心臓マッサージをし、必死に延命措置を施している医師」に似ています。

 しかしながら、どんな名医がどんな施術を施そうとも、「寿命による死」を免れることはできないように、今回のイギリスがたとえ「移民阻止」を実行したところで、大した効果もないどころか、事態は悪化の一途をたどるであろうことを、筆者はここに“予言”しておきましょう。

 繰り返しになりますが、歴史的観点からみればイギリス衰退の根本原因は「そこ(移民問題)」にあるのではなく、「老い」にあるからです。

21世紀は「欧米諸国衰亡の世紀」

 イギリスだけでなく現在の欧米諸国はこぞって、中国でいうなら19世紀末ごろの清朝末期、日本でいうなら幕末のような衰亡期に入っています。このあたりの詳しい解説は、拙著『「覇権」で読み解けば世界史がわかる』に譲るとして、19世紀の中国や日本でも、今のイギリス同様、さまざまな人々が躍起になって清朝/幕府を護ろう、維持しよう、蘇らせようと人生をかけて努力したものです。

 清朝では曾国藩(そうこくはん、1811年〜1872年)・李鴻章(りこうしょう、1823年〜1901年)・左宗棠(さそうとう、1812年〜1885年)・張之洞(ちょうしどう、1837年〜1909年)らが自国を護ろうと尽力しました。もちろん日本でも、徳川幕府を護ろうとして命がけの戦いをした者たちがいました。

 しかしながら、どんなにすぐれた人物がどれほどの努力を投じようとも清朝や、徳川幕府を救うことはできなかったように、「老いから来る死(滅亡)」を逃れる術は存在しません。

 18世紀に躍進し、19世紀にAA圏(アジア・アフリカ文化圏)の人々を隷属させて我が世の春を謳歌したヨーロッパ諸国も、20世紀には停滞し、21世紀は「老い」の症状を示して「衰亡の世紀」となるでしょう。そして22世紀には、もはや世界的に見てほとんど影響力を持たない“辺境国”となり下がって、ヨーロッパのことなど誰も顧みない時代が到来していることでしょう。

振り返って日本

 しかしながら、もちろんそれは“対岸の火事”ではありません。栄えた者は必ず潰(つい)える。日本もまた20世紀末、日本メーカーが世界を席巻し、繁栄を謳歌する「バブル時代」を迎えました。歴史を紐解けば、こうしたときが一番殆(あや)うい。

勝って兜の緒を締めよ。

 こうしたときこそ、いよいよ気を引き締めていかなければならないのに、当時(20世紀末)の日本は上から下まで、そして右から左まで、まさに日本中が浮かれ、舞い上がっていたものです。“大人買い”と呼ばれる「ここからここまで全部ください」という常軌を逸した商品の購入の仕方が横行したり、ソバに金粉をまぶしたり、数千万円の福袋が飛ぶように売れたり、OLがタクシーで通勤したり、眉をひそめたくなるようなお金の使い方が横行していきました。筆者は当時まだ大学生でしたが、こうした風潮に危機感を感じていたものです。

嗚呼、こんなことでは日本はこれから厳しい時代がやってくるぞ。

 筆者の予想どおり、まもなくバブルははじけ、以来、四半世紀経った今ものたうち回って苦しみ、そのころ全盛を誇ったソニーやシャープ、東芝は今や風前の灯火です。

 しかし──。第二次世界大戦の敗戦で国をリセットしてからすでに約70年が経っているとはいえ、同じく衰えを見せている欧米諸国とは違い、筆者は日本にはある種の期待を抱いています。それは、筆者が日本人であるという贔屓(ひいき)目もあるかもしれませんが、何と言っても日本は、これまで何度も国家存亡の機に立たされながらこれを日本人特有の智恵と努力で乗り越え続け、人類史上でも唯一「神話時代から一度も滅亡したことがない国」だからです。

 日本はこれからも長く辛酸を味わう歴史を歩むことになると思われますが、しかしいざとなれば、持ち前の「日本力」を発揮してくれることを期待しています。

【4月13日開催!】イアン・ブレマー氏 来日記念セミナー
“迫りくる「先進国リスク」に、企業としていま何をすべきか”
 欧州問題を早くから提言していたユーラシア・グループ代表のイアン・ ブレマー 氏(政治学博士)が来日。さらに企業経営者やPwC Japanグループ のブレグジット・アドバイザリー・チームに登壇いただき、今後想定される 主要国の政策シナリオ、ならびにその政策シナリオに基づいた各企業として の対応策を検討する上でのポイントを解説します。

このコラムについて

神野正史の「人生を豊かにする世界史講座」
人生に役立つ知識を世界の歴史から学び、読者の方々が日々の生活に役立てていただくことを目指します。筆者は日頃、歴史を学ぶ歓びを人々に伝える、「歴史エヴァンジェリスト」として活動しており、このコラムをきっかけに、1人でも多くの方に「歴史を学ぶ楽しみ」を知っていただければ幸いです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122700036/040300009/

 

出口議論に終止符打ちたいドラギ総裁、待ったをかけるバイトマン氏
Alessandro Speciale
2017年4月7日 07:33 JST
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iwJRHJatrZsc/v2/-1x-1.png

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世界最大のヘッジファンド、トレーディング責任者が退社−関係者
トランプ政権の本気度疑うウォール街−グラス・スティーガル法復活
• ECBの政策スタンス、変更するべき時ではない−ドラギECB総裁
• 正常化をめぐる議論は正当なこと−独連銀のバイトマン総裁

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、出口戦略を巡る議論に6日に終止符を打てるものと思っていたかもしれない。それは簡単ではないことは、すぐに判明した。
  ドラギ総裁はフランクフルトでの講演で、ECBが計画より早く引き締めを開始するとの臆測や、いずれ迎える刺激策解除への道筋についての疑念を払しょくしようとした。しかし3時間もたたないうちにドイツ連邦銀行のバイトマン総裁が、ECBフォワードガイダンスについて議論することは正当だと発言し、問題を蒸し返した。
  現在のECBガイダンスは量的緩和(QE)を今年いっぱい続け、QE終了後も相当期間は低金利を維持するというものだ。ドラギ総裁はこれまで一貫しているこのガイダンスから「離れる理由は見あたらない」と述べた。「インフレ見通しに関するわれわれの認識を大きく変えるような証拠は見られない。インフレ見通しは依然、かなり著しい度合いの金融緩和を前提としている」と話した。
  一方バイトマン氏はベルリンで、「ユーロ圏の持続的で力強い景気回復と物価圧力上昇の見通しを踏まえ、金融政策の正常化をいつ検討するべきか、それに沿ってあらかじめコミュニケーションをどのように調整すべきかを話合うのは正当なことだ」と述べた。

原題:Draghi Struggles to Shut Down ECB Debate Weidmann Wants to Have(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-06/ONZXMH6JIJUO01


 

トランプ政権の本気度疑うウォール街−グラス・スティーガル法復活
Zeke Faux、Donal Griffin
2017年4月7日 08:37 JST

ANA社長、出資伴う提携が世界潮流の一つに−アジアなどで模索
議会の優先議題でなく、法律の復活は想像しにくいとアナリスト
コーン氏発言でも6日の米株式市場でBofAとJPモルガンは上昇

トランプ米大統領と大統領顧問らは預金を扱う商業銀行業務と投資銀行業務の分離を定めた大恐慌時代の法律、グラス・スティーガル法の復活を明言している。しかしウォール街はこれが実現するとはみていない。
  コーン米国家経済会議(NEC)委員長は5日の議員らとの非公開会合で、グラス・スティーガル法を支持するトランプ政権の立場をあらためて示した。しかしアナリストらは、抜本的な規制改革が行われる可能性は低いと指摘。6日の米株式市場では、同法が復活した場合、最も大きな影響を受けるとみられるバンク・オブ・アメリカ(BofA)とJPモルガン・チェースが上昇した。

グラス・スティーガル法の復活にウォール街は懐疑的 Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

  1930年代の銀行危機の際に作られ、99年に廃止されたグラス・スティーガル法を復活させるには、米銀行ルールの改定が必要になる。ドッド・フランク法(米金融規制改革法)の際は議会が1年強、改定作業に取り組んだ。トランプ政権はまだ計画の詳細を明らかにしておらず、下院共和党が提案した修正案はグラス・スティーガル法復活に言及していない。
  キャピタル・アルファ・パートナーズのアナリスト、イアン・カッツ氏は「グラス・スティーガル法に似た法律で成立しそうなものはなく、想像しにくい」と述べ、「単純に議会の優先議題ではないということだ」と説明。上下両院で多数派の共和党は銀行規制の強化ではなく緩和を望んでいると指摘した。
原題:Wall Street Doubts Trump Wants to Split Up Big U.S. Banks (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-06/OO0EZE6JTSEN01


http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/849.html

[中国11] 「母親汚辱殺人事件」無期懲役判決に非難殺到 警察も裁判所も「侮蔑的違法取り立て黙認」の欺瞞 北村豊中国キタムラリポート
「母親汚辱殺人事件」無期懲役判決に非難殺到

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

警察も裁判所も「侮蔑的違法取り立て黙認」の欺瞞
2017年4月7日(金)
北村 豊
 広東省の週刊誌「南方週末」は3月23日付で、同誌記者の“王瑞鋒”が山東省の“冠県”から発信した、『“刺死辱母者(母を辱めた者を刺殺)”』と題する記事を掲載した。冠県は山東省西部の“聊城(りょうじょう)市”の管轄下にあり、河北省と河南省の2省と境を接する人口80万人の小都市である。刺殺事件は冠県の中心から直線で5kmの距離に位置する“冠県工業園(冠県工業団地)”内にある“山東源大工貿有限公司”(以下「源大工貿」)で発生したものだった。王瑞鋒記者が報じた記事の概要は以下の通り。

容赦のない借金取り立て

【1】源大工貿は、社長の“蘇銀霞”が2009年に設立した自動車用ブレーキパッドの生産を主体とする、資本金1億元(約16.5億円)の中小企業である。蘇銀霞は1970年生まれの46歳、1歳年下の夫“於西明”(失踪中)との間に1人息子の“於歓(おかん)”(1995?生まれの21歳)がいる。

【2】不況の影響を受けて、源大工貿の資金繰りが悪化したため、蘇銀霞は高利貸しの“呉学占”から運営資金を借入れた。呉学占は自身が経営する“冠県泰和房地産開発公司(冠県泰和不動産開発会社)”を表看板に、裏で高利貸しを本業としていた。蘇銀霞は呉学占から2014年7月と2015年11月の2度にわたり100万元(約1650万円)と35万元(約580万円)をそれぞれ月利10%の条件で借入れた。蘇銀霞は2016年4月までに184万元(約3000万円)を返済すると同時に、源大工貿の敷地内にある70万元(約1160万円)の価値を持つ建物の所有権を引き渡したが、残りの17万元(約280万円)はどうしても工面できなかった。これに対して、呉学占はならず者を十数人集めて“催債隊(貸金の返金催促チーム)”を組織し、彼らを源大工貿へ差し向けて、蘇銀霞に対する返金の催促と嫌がらせを繰り返していた。以下、催債隊のメンバーを呉学占の「手下」と呼ぶ。

【3】2016年4月13日、蘇銀霞が物を持ち出すためにすでに所有権を引き渡した建物に入ったところ、それを蘇銀霞の行動を監視していた呉学占に見つかった。呉学占は無理やり建物内の便所に蘇銀霞を引きずり込むと、蘇銀霞が見ている前で手下に大便をさせ、大便が湯気を立てている便器の中に蘇銀霞の頭を押し込んだ。そうして、呉学占は暴言を吐きながら蘇銀霞に残金の返済を迫った。この日の午後、蘇銀霞は4回にわたって110番(警察)と聊城市の“市長熱線(市長ホットライン)”に電話を入れて、窮状を訴えた。この結果、源大工貿へ複数の警官が派遣されたが、彼らは蘇銀霞から事情を聴取しただけで帰ろうとした。この時、蘇銀霞は警官と一緒にその場を離れようとして、呉学占に阻止されたが、警官はそれを見て見ぬ振りで立ち去った。

【4】翌14日、呉学占の貸金返済を要求する行動はますますエスカレートした。午前中に蘇銀霞と於歓の2人は呉学占の手下4〜5人によって源大工貿の“財務室(財務部門の部屋)”に押し込められて監禁された。彼らはスマートフォンにポルノ映像を映し、音量を最大にして2人を愚弄した。その後、2人は監禁を解かれて財務室から出ることを許されて自由を得た。午後4時半頃、ナンバープレートが無い車3台が源大工貿の門前に乗り付け、若い女1人を含む10人が車から降りた。彼ら10人が門の外から大声で貸金の返済を要求すると、源大工貿のビルから出て来た蘇銀霞と於歓が門の内側から大声で応酬し、双方は門を挟んで相互に怒鳴り合いを続けたが、怒鳴り疲れて休戦に入り、蘇銀霞と於歓はビルの事務室へ引き上げた。

【5】一方の10人は源大工貿の門前に残留してたむろしていたが、午後7時頃になると、乗って来た車からバーベキューコンロとテーブルを持ち出し、門を越えて源大工貿ビルの玄関前に置き、持参した肉を焼き、酒を飲んで、酒盛りを始めた。この頃、蘇銀霞と於歓の2人は炊事場でゆっくりと夕飯を食べて8時頃に1階の事務室へ戻ったが、この間も呉学占の手下が2人を見張っていた。事態が動いたのは8時過ぎで、“杜志浩”という名の手下が車で源大工貿に到着してからだった。酒盛りに加わった杜志浩は先行していた10人と一しきり飲み食いして楽しんだ後、やおら立ち上がると事務室へ行き、中にいた蘇銀霞と於歓、これに事務室にいた女性職員の“劉暁蘭”を加えた3人に“接待室(応接室)”へ移動するように命じた。3人が応接室へ移った頃、外にいた10人の手下も応接室へ移動し、3人は呉学占の手下11人に取り囲まれた。この時、時計の針は午後9時50分を指していた。

“罵語”を投げつけ、靴を口に

【6】応接室には黒色の1人掛けソファーが隣り合わせで2脚並び、その対面に1脚の2人掛けソファーがあった。蘇銀霞と於歓は1人掛けソファーにそれぞれ座らせられ、劉暁蘭は2人掛けソファーに蘇銀霞と向かい合う形で座らせられた。債権者として債務者に絶対優位に立つ杜志浩は、蘇銀霞に罵詈雑言を浴びせ、「カネがないなら、身体を売れ、1回100元(約1650円)で、俺がお前に80元(約1300円)払ってやる」、「お前の息子に俺をお父さんと呼ばせろ」などと中国人の面子を傷つける“罵語(ののしり言?)”を投げつけた。

【7】言葉だけならまだしも、嵩(かさ)に掛かった杜志浩は、於歓の靴を脱がして、蘇銀霞の口に無理やり押し込んだ。この時、蘇銀霞と於歓はぶるぶると怒りに震えていたが、反抗しようとした於歓は杜志浩に横面を引っぱたかれた。続いて、杜志浩はくわえていたタバコの灰を蘇銀霞の胸元へ故意に落とす嫌がらせを行った。その後、杜志浩は突然何を思ったのか、自分のズボンを押し下げ、片足を蘇銀霞が座るソファーに掛けると、“用極端手段汚辱蘇銀霞(極端な手段で蘇銀霞を侮蔑した)”のだった。杜志浩による母親に対する非道な仕打ちを目の前で見ていた於歓は、怒りに震えて精神的に崩壊寸前にあったと、現場に居合わせて、その一部始終を目撃した劉暁蘭は語っている。

【8】応接室の片側は透明のガラス窓であったから、蘇銀霞、於歓、劉暁蘭の3人が11人の男女に取り囲まれて嫌がらせを受けている様子は外から見て取れた。これを目撃した源大工貿の工員が、於歓の“姑姑(父親の姉妹)”に当たる“於秀栄”に急いで警察へ通報するよう要請したので、於秀栄は密かに源大工貿を抜け出して数百メートル離れた場所にある電話を使って110番へ救援を要請した。こうして、午後10時13分に1台の警察車両が源大工貿に到着し、数人の警官が応接室へ踏み込んだ。しかし、警官たちは室内の11人から「蘇銀霞に対し貸金の返済を要求している」との説明を受けると納得し、「借金取りは良いけど、暴力はだめ」と言い残して、警官たちは22時17分頃に応接室を後にした。

【9】警官たちが応接室に立ち入ってから出てくるまではわずか4分間。警官たちは3人を救出することなく、応接室に置き去りにして、源大工貿から立ち去ろうとしていた。この警官たちのふざけた対応に驚いた於秀栄は、警察車両の前に立ちふさがり、このままでは蘇銀霞の親子が殺されると警官たちに涙ながらに訴え続けた。於秀栄の真剣さに打たれた警官たちが応接室へ戻ろうとした時、応接室の中で事件は発生した。

果物ナイフで4人を死傷

【10】警官たちが事情聴取しただけで応接室から出て行くのを見た於歓は、激しく動揺し、衝動的に立ち上がると外へ走り出ようとした。しかし、於歓は杜志浩たちによって押し止められ、横にあった椅子で身体を押され、後方に置かれていた事務机まで後退を余儀なくされた。事務机に身体を押し付けられた於歓があがく間に、その手が偶然に机の上に置かれていた果物ナイフに当たり、於歓はそれを咄嗟に握りしめた。果物ナイフを持った於歓は手下たちの攻撃を避けようと、「来るな、近づいたら刺すぞ」と叫んだが、於歓を完全に見くびっていた手下たちは、杜志浩を先頭に攻撃して来た。於歓はこれに応戦し、無我夢中で果物ナイフを振り回した。

【11】於歓が気付いた時には果物ナイフは血に染まり、彼の周囲には腹部を刺された杜志浩を含む4人の手下たちが血を流していた。4人が刺されたことを知った手下たちは我先にと応接室から逃げ出し、門前にいた警官たちに事件発生を通報した。22時21分、警官たちは応接室へ引き返し、血染めの果物ナイフを持って茫然としていた於歓を現行犯で逮捕した。一方、刺された4人は仲間の車で“冠県人民医院”へ運ばれて治療を受けた。腹を刺された杜志浩は、運ばれた医院の門前でささいなことで仲間と喧嘩をするほどに元気だったようだが、後に出血性ショックで死亡した。また、残る3人のうちの2人は重傷、1人は軽傷であった。

【12】2016年11月21日、“聊城市人民検察院”は於歓を“故意傷害罪”で起訴し、起訴状を“聊城市中級人民法院(地方裁判所)”へ提出した。同年12月15日、聊城市中級人民法院は、於歓の“故意傷害罪”に関する審理を公開で行った。2か月後の2017年2月17日、聊城市中級人民法院は於歓に対し一審判決を言い渡した。それは、「裁判所は於歓の行為が故意傷害罪を構成すると認定するが、被害者に違法行為が存在し、於歓もありのままに供述していることから、無期懲役に処す」であった。<注>

<注>中国の刑法234条は、他人の身体を故意に傷付けて重傷を負わせた者は3年以上10年以下の懲役刑、死に至らせたり、特別残忍な手段で重傷を負わせて、重大な障害をもたらした者は10年以上の懲役刑、無期懲役あるいは死刑に処すと規定している。於歓の場合は死者1人と重傷2人であるから、本来なら死刑だが、情状を酌量して無期懲役に処すということ。

【13】12月15日に行われた一審の審理では、於歓の犯罪が“故意殺人”か“故意傷害”のいずれを構成するのか、また於歓の行為が正当防衛を構成するかが論議の焦点になった。最終的に判決は“故意傷害”を構成すると認定したが、被告が身体の自由を拘束され、侮辱を受けていたとはいえ、相手が刃物を使用しておらず、於歓も母親も命の危険性は比較的小さかったとして、正当防衛を構成するとは認定しなかった。

【14】死亡した杜志浩の家族を含む原告側と被告側の於歓の双方は、一審判決を不服として“山東省高級人民法院(高等裁判所)”へ上訴した。本事件は正当防衛を構成すると思われ、於歓に対する無期懲役の判決は法の公平さを欠いていると考える。なお、死亡した杜志浩は、2015年9月30日に冠県の“東古城鎮”で14歳の女学生を車で跳ねて死亡させ、逃亡していた。

 さて、王瑞鋒記者は上記の記事が南方週末に掲載されたのと同じ3月23日に、自身がSNSの“微信(WeChat)”に持つ公式アカウント「杞人陌桑」を通じて南方週末に掲載されたのと同じ題名の記事を掲載したのだった。その内容は南方週末の記事とほぼ同じだったが、一部だけ異なる箇所があった。それは、上記【7】にある「杜志浩は突然何を思ったのか、自分のズボンを押し下げ、片足を蘇銀霞が座るソファーに掛けると、“用極端手段汚辱蘇銀霞(極端な手段で蘇銀霞を侮辱した)”のだった」という個所であった。

 南方週末の編集部は、杜志浩が蘇銀霞に対して行った侮辱行為を赤裸々に報じることを躊躇して、王記者の原稿を婉曲な表現に書き直して掲載した。それを潔しとしない王記者は、敢えて微信を通じて自身のオリジナル原稿を発表したのだ。オリジナル原稿の当該部分には、「杜志浩は自分の生殖器を蘇銀霞の顔にこすりつけてから、それを蘇銀霞の口にくわえさせた」とあった。自分の母親がそれほどまでの屈辱を受けるのを眼前で見ていた於歓はどう思っていただろうか。杜志浩にその行為を止めさせたいと思っても、於歓は手下たちに押さえつけられて身動きできなかった。彼が杜志浩に殺意を抱いたとしても不思議ではない。於歓が杜志浩を果物ナイフで刺したのは、立派に正当防衛を構成する行為と言えるのではないだろうか。

判決文に侮蔑行為の記述なし

 しかしながら、2月17日に聊城市中級人民法院が下した一審判決の判決文には、杜志浩を含む呉学占の手下たちが、蘇銀霞と於歓に対して行った一連の侮蔑行為に関する記述は全く無かったのである。その理由は簡単で、呉学占が経営する“冠県泰和房地産開発公司”の住所は「冠県東古城鎮政府所在地」となっていて、彼が運用する資金の出資者は同鎮政府の役人たちという構図なのである。出資者には冠県政府のみならず聊城市政府の役人も含まれている可能性も否定できない。共に助け合う役人の輪には司法の役人も含まれるから、検察も“法院(裁判所)”も原告側に味方して、被告側に有利な事柄は排除する。そこには司法の中立性は存在しない。また、その後、死亡した杜志浩の二番目の兄が“冠県検察院”に勤務していることも判明した。これでは公平な裁判は望むべくもない。

 3月23日に南方週末と王瑞鋒記者の「杞人陌桑」が、『“刺死辱母者(母を辱めた者を刺殺)”』の記事を報じると、中国社会の注目を集め、於歓に対する無期懲役の一審判決を不当として、司法の公平性を要求する世論が全国各地で沸き上がった。これに慌てたのは国民の反発を恐れる中央政府と山東省政府であった。3月26日、山東省高級人民法院は、通称「於歓事件」に関する文書を発表し、3月24日付で原告側と被告側の双方から出された控訴を受理したとして、近日中に双方の弁護士から意見聴取を行う旨を表明した。同日、“最高人民検察院(最高検察庁)”は、於歓事件を重視するとして、専門官を山東省へ派遣して山東省検察機関から状況報告を受けると表明した。

世論に押され、覆るか

 最高人民検察院が主管する法律サイト“正義網(ネット)”は3月27日付で次のように報じた。すなわち、最高人民検察院は於歓事件を全面的に審査するが、於歓の行為は正当防衛に属し、過剰防衛は故意傷害であるから、法に基づく審査を経て正当防衛と認定されるだろう。また、メディアが指摘している本件執行の課程における警察による職務怠慢並びに汚職行為は法に基づき調査した上で処罰する。

 この於歓事件が今後どのように推移し、いかに決着するかは予断を許さないが、恐らく於歓は正当防衛を認められ、無罪あるいは執行猶予付の軽い懲役刑に処せられることになるのではなかろうか。

 時事評論家の“江楓”は、『母親を侮辱されたことによる殺人事件の古今対照』と題する評論の中で次のように述べている。

 漢代の大儒学者“董仲舒”の6世の孫“董黯”は、母親が“王”という隣人に侮辱されてから病の床に伏し、間もなく病気で亡くなった。董黯は王の母親が高齢であるので、王の母親が亡くなり、葬儀が終わるまで怒りを抑えて耐えた。その後、白日の下で堂々と王の首を切り、母親が侮辱された仇(かたき)を取った。この孝行話を聞いた漢の和帝(79〜105年)は、董黯を罰しなかったばかりか、官職を授けて、その孝行心を褒めたたえた。

 於歓は母親が他人に侮辱されるのを眼前で見させられた。於歓が悪党どもをナイフで刺したことは、気骨があり、良識のある人なら、誰もが同じことをしただろう。本事件は警察が違法な高利貸しの後ろ盾となったことに起因するのに、正当防衛も認められず、於歓は無期懲役の判決を受けた。悲しいかな、中国の古代と現代では“孝子(孝行息子)”に対する扱いがいかに異なることか。

このコラムについて

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/101059/040500095/?
http://www.asyura2.com/17/china11/msg/373.html

[国際18] プーチン露大統領 シリア攻撃は侵略 国際法違反「テロどの国も標的に」 「プーチンの子供たち」が反旗を翻すロシア新政治地図
プーチン露大統領 シリア攻撃は侵略

配信日時 2017年4月7日(金)15:03:00 掲載日時 2017年4月7日(金)15:13:00
米軍によるシリアへの攻撃を受けて、シリアのアサド政権を支持するロシアのプーチン大統領は「シリアへの攻撃は侵略行為とみなしている。国際法違反」と激しく非難した。
http://klug-fx.jp/fxnews/detail.php?id=364396

 

「テロ、どの国も標的に」 プーチン大統領が危機感
2017/4/6 0:16
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 【モスクワ=田中孝幸】ロシアのプーチン大統領は5日、同国第2の都市サンクトペテルブルクで起きた地下鉄テロに関し「(テロを巡る)状況は残念ながら改善していないことを示した。どの国もテロの標的になり得る」と述べ、危機感をあらわにした。モスクワで開いた独立国家共同体(CIS)諸国の治安機関トップとの会合で語った。

 ロシアや中央アジアからシリアの過激派組織「イスラム国」(IS)に加わった戦闘員は1万人を超えるとされる。地下鉄テロの実行犯のジャリロフ容疑者もシリアで一時期、戦闘に参加していたとの情報もある。プーチン政権はテロの抑止に向け、各国と協力してこうした戦闘員の帰国を防ぐ考えだ。

 プーチン氏は安全保障への主要な脅威として「(他国の)内政に影響を及ぼそうとする外部勢力」も挙げた。ロシアでは3月26日にはモスクワなどで政府高官の汚職に抗議する反政権デモが発生。欧米は当局によるデモへの抑圧を非難していた。今回のテロを契機に、政権側が反政権運動の引き締めを図るとの見方も出ている。

 地下鉄テロを巡っては、連邦捜査委員会がISとジャリロフ容疑者との関連や背後関係に関する捜査を続けた。5日には中央アジア出身のISの勧誘員6人を拘束したと発表した。ただ、同容疑者とのつながりを示す情報はないという。

 事件を受け、ISの浸透が懸念されている中央アジア各国もテロ対策の強化を急いでいる。5日、モスクワでプーチン氏と会談したウズベキスタンのミルジヨエフ大統領は両国が共にテロに対して「極めて厳しい措置」をとることを提案した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H6G_V00C17A4FF2000/

 

「プーチンの子供たち」が反旗を翻すロシアの「新政治地図」--名越健郎
投稿日: 2017年04月04日 12時34分 JST 更新: 2017年04月04日 12時34分 JST
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ロシアの80以上の主要都市で3月26日に起きた同時発生的な反腐敗デモは、若者を中心に計数万人が参加。呼び掛けた反政府指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏をはじめ1000人以上が一時拘束された。

2011年末の与党による選挙不正に抗議した反プーチン・デモ以来最大規模の反政府運動となり、長引くプーチン時代への閉塞感や現状への不満が背後にありそうだ。

今回の反政府デモは、「プーチン時代の安定や一定の繁栄の恩恵を受けてきたプーチンの子供たち」(評論家のグレブ・パブロフスキー氏)が反旗を翻したことに特徴がある。これによってプーチン体制が揺らぐ気配はないが、来年3月11日の大統領選に向けてロシア内政が微妙な展開をたどるのは間違いない。

大型ヨット、ワイナリーも

デモの発端は、ナバリヌイ氏が率いる反政府組織「反腐敗基金」が3月2日ネット上で公開したメドベージェフ首相の腐敗を告発する動画。約50分の動画は、同首相が賄賂で莫大な財産を得たとする内容で、ナバリヌイ氏がナレーターを務め、「基金」が独自に集めた内容を13の章に分けて編集している。

それによると、メドベージェフ首相はロシア1の大富豪、アリシェル・ウスマノフ氏ら新興財閥から計380億ルーブル(約710億円)の賄賂を「寄付」として集め、モスクワ郊外やサンクトペテルブルク、祖先が住んだクルスク州、南部のアナパなどに広大な豪邸や別荘、ワイナリー、大型ヨットを保有。

他人名義ながら、大学時代の友人や側近らが運営する複数の慈善財団に運営させているという。動画は、首相が3カ月間に73枚のTシャツ、20足のスニーカーを財団名義でオンラインで購入したとし、それらを着ている写真を面白おかしく公表。1カ月足らずで1500万回以上の視聴回数という人気動画となった。

ナバリヌイ氏は動画で、「ロシアのナンバー2であるメドベージェフ首相が腐敗した慈善団体のネットワークを構築し、新興財閥から賄賂を集めて内外の資産を買いあさっている。彼はロシアで最も豊かな人物の1人で、最も腐敗した官僚だ。従来、腐敗した高官は豪奢な生活を隠してきたが、最近は生活がオープンになり、調査が容易になった」とし、26日に腐敗と闘うデモへの結集を呼び掛けた。

呼び掛けはSNSやフェイスブック(FB)を通じて拡散し、組織化されなくても自然発生的に市民が参集した。参加者は一般市民と見分けがつかず、治安当局は封じ込めに苦慮したという。プーチン時代の反政府デモは、都市部の中間層やトラック運転手などの労働者、それに年金生活者が散発的に実施したが、今回は参加者の大半が25歳以下の若者とされ、全く新しい現象だった。

若者が変化の触媒

予想外に拡大した今回の反政府デモが、プーチン体制を揺るがすのか、従来同様ガス抜きとして短期間で終わるのかは不明だが、ロシアの識者らは新味が多いという認識で一致している。ロシアの若者文化に詳しいジャーナリストのアルチオム・トロイツキー氏は「ニューヨーク・タイムズ」紙(3月29日)に対し、「若者は常に時代の変化の触媒になり得る。

今回、10代を含む若者が多数デモに参加したことは、若者が政治的無関心から政治参加に目覚めたことを意味する。潮流が変わったとは言えないが、何かが変わりつつある」とコメントした。

社会学者のミハイル・トミトリエフ元経済発展省次官は、3年前のウクライナ干渉に伴う愛国主義が今後鎮静化し、中産階層が集中するモスクワを中心にうっ積する不満が台頭するとし、「彼らの矛先は西側勢力から官僚機構や移民に移るだろう。教育や医療、公共サービスなどの要求が高まる」と予測した。

政府系評論家のアレクセイ・チェスナコフ氏は、「プーチン政権は近年、『ナーシ』など若者の愛国主義運動への支援を縮小し、若者の活動を野放しにしていた。今後は一線を超えないよう対策を練るだろう」としながら、「i-Phoneを持ち歩き、スタバのコーヒーを手にする都市部の若者がプーチン体制への新たな挑戦者になり得る」と述べた。

評論家のドミトリー・オレシキン氏は「今回の反政府デモは政治の展開を根本的に変化させかねない。有権者になったばかりの若者が政治的に活動し始めた。これまでは政治に無関心だったが、ナバリヌイ氏は彼らにアピールする手段を獲得した」と指摘した。

ロシアのメディアでも、「新しい抗議の波は、政権に対する不満の高さと若者の政治化を示した」(ベドモスチ紙)、「これはウクライナのマイダン運動のような政権打倒闘争ではなく、多くの問題をはらむ官僚組織への自然な反応だ。政権側は適切な対応がとれていない」(ガゼータ紙)と注目されている。最大野党のロシア共産党の一部は動画を評価し、政府に徹底究明を要求。ナバリヌイ氏を共産党大統領候補に担ぐ意見も出ている。

プーチンが最も恐れる男

天才的ブロガーとされるナバリヌイ氏(40)は来年3月の大統領選出馬を表明しており、今後ロシア政治の台風の目になりそうだ。11年の下院選不正事件では、与党・統一ロシアを「詐欺師と盗人の党」と糾弾し、10万人デモの先頭に立った。2000年に野党・ヤブロコの党員として政治活動を始め、ネットやツイッターを駆使した反政府活動を展開。プーチン政権の腐敗を糾弾する急先鋒となった。

幾度もの逮捕・投獄経験を持ち、「プーチンが最も恐れる男」(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)といわれる。13年のモスクワ市長選に出馬し、27%の票を獲得、現職のソビャーニン市長を追い詰めた。党首を務める進歩党は、反汚職・リベラル・親欧米を掲げる。

しかし、ロシア世論調査機関レバダ・センターの2月の調査によれば、国民の半数以上はまだナバリヌイ氏を知らず、大統領選で同氏に投票すると答えた人は1%にすぎなかった。

同氏は13年、キーロフ市の裁判所から横領の罪で5年の懲役刑を言い渡されており、ロシアの法律では、重大な犯罪で有罪判決を受けた者は大統領選に出馬できないとされている。

最高裁は昨年、裁判のやり直しを命じたが、有罪にするかどうかは政権が事実上決定する。ペスコフ大統領報道官は今回の反政府デモで、「若者は挑発とウソにそそのかされた。彼は若者を扇動し、逮捕されるとカネを払うと若者に約束している」と糾弾した。

クレムリンにとって、来年の選挙でナバリヌイ氏の出馬を認めるかどうかは難しい判断になろう。出馬すれば、人気が急上昇する可能性があり、出馬を拒否するなら、若者の怒りが爆発し、欧米諸国も非難するだろう。

前出のオレシキン氏は「メドベージェフ首相の腐敗動画は、明らかにプーチン大統領に矛先を向けたものだ。ナバリヌイ氏は今や、クレムリンの脅威となった。次回大統領選に向けて、プーチン対ナバリヌイの対立構図が深まろう」と予測した。

とはいえ、レバダ・センターによれば、プーチン大統領の支持率は反政府デモ後も86%と微動だにしない。老獪なプーチン大統領はこれまで、政治危機の高まりを巧みに阻止しており、今回も未然に摘み取る可能性がある。

首相はレームダック

ただし、腐敗の全貌を告発されたメドベージェフ首相の政治的将来はこれで絶望的になった。同首相は大統領時代、汚職対策を最優先課題に掲げ、「汚職・腐敗はロシア社会の最も先鋭な問題だ」「汚職にまみれた公務員を銃殺してしまいたい」と述べたこともあるが、自らが腐敗の温床だったことが判明してしまった。

腐敗動画公開の後、首相はしばらく閣議などに姿を見せず、プーチン大統領は3月13日「彼は風邪をひいている」と説明した。しかし、メドベージェフ首相は23日、「風邪などひいていない」と病気を否定。2人の間に微妙なさや当てがあった。

モスクワでは、メドベージェフ首相解任説も出始めたが、クレムリンに近い政治評論家のアレクセイ・ムヒン氏は「両者の間には、少なくとも17年末まではメドベージェフ氏が首相にとどまるという合意がある」と述べた。2011年9月にメドベージェフ大統領とプーチン首相が職務交代で合意した際の密約があったという。その場合でも、来年3月の大統領選前後に首相更迭が十分考えられよう。

モスクワ・タイムズ紙電子版(3月29日)は政権に近い筋の話として、「ナバリヌイ氏の調査とその後の抗議活動は、ロシアの政治状況を劇的に変え、メドベージェフ首相は大統領復帰の夢を絶たれた。プーチン大統領の再選後も首相にとどまることはありそうになく、長年の政治的野望が終焉を迎える」と伝えた。

同紙によれば、プーチン大統領は今秋、大統領選出馬を正式表明するとみられ、最後の大統領任期をフレッシュな政府で迎えそうだという。同紙は専門家の話として、改革派のクドリン元財務相、ソビャーニン・モスクワ市長、トルトネフ副首相兼極東発展相らが新首相に起用される可能性があるとしている。

ナンバー2の首相は大統領が職務執行不能に陥った場合、大統領代行を務め、3カ月後の選挙を管轄するなど、後継者として有利な地位に就く。「メドベージェフ首相はもはやレームダックであり、次の首相をめぐる舞台裏の競争は、潜在的にプーチン大統領の後継者レースになる可能性がある」(同紙)。

政権内リベラル派ながら「反日」のメドベージェフ首相はこれまで北方領土を3度訪れ、「1島たりとも返還しない」と豪語したこともある。首相交代は日露関係にとっては多少プラス材料となろう。(名越健郎)

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名越健郎
1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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(2017年4月3日「フォーサイト」より転載)
http://www.huffingtonpost.jp/foresight/putin-riot_b_15770012.html
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/850.html

[経世済民120] 働きすぎの現状を上司にどう伝えるべきか 貧困解消「子ども食堂」欠けた視点 終末期の望まない蘇生、救急「医師に確認し中止を
働きすぎの現状を上司にどう伝えるべきか
レベッカ・ナイト:ボストンを拠点とするジャーナリストで、ウェズリアン大学講師。
2017年4月7日
自分のオーバーワーク状態を解消するためには、上司としっかり話し合うことが避けられない。その際、どんな姿勢と言葉をもって問題を伝えるべきなのだろうか。専門家が助言する。


 近頃は、仕事を抱えすぎている人が多いようだ。自分は働きすぎだと誰もが感じ、不満を口にしている。

 では、仕事量が多すぎることを上司に単刀直入に伝えるには、どうすればよいのだろう。怠惰、仕事にコミットしていない、チームプレーができない――そんな社員のようには誰しも思われたくない。勤勉というイメージを守りながら、もう限界であることを伝えるにはどうすればよいか。

●専門家のアドバイス

 どんなに多忙を極めていても、仕事量が多すぎることを上司に告げるのは非常に難しく感じられる場合がある。

 生産性の専門家で、『上位10%の人は知っている、仕事がうまくいく方法』の著者であるジュリー・モーゲンスターンによると、それには2つの理由があるという。

 まず、過重労働だと訴えることで仕事を失うのではないか、という心配だ。「内心でこう感じているのです。自分が仕事をこなせなければ、他の誰かがやるだろう。自分は代えが効く消耗品にすぎない、と」。次に、「生来の気質として、こう思い込んでしまう人がいます。自分は頑張りが足りない、賢さが足りない、十分に能率的でない。もっとうまくやらなければいけない、と。そのため誰にも悩みを打ち明けられず、苦しんでしまうのです」

 しかし、それは危険である。チームマネジメントの向上を支援する3COzeの共同創設者で、You First: Inspire Your Team to Grow Up, Get Along, and Get Stuff Doneの著者であるリアン・デイビーは、次のように指摘する。「野心のため、あるいは上司を感心させるために、無理して頑張るとしましょう。それでも完遂できない、または急ごしらえで仕事の質が低いとなれば、信頼できないという悪印象を与えてしまいます」

 したがって、仕事に押し潰されていると感じたら、本当に上司に知らせるべきなのだ。以下に、上司との会話を円滑に進める方法をいくつか紹介しよう。

●自分に寛大になろう

 過重労働にあえぐのは、平均以下の社員だからだというわけではない。「自己評価が厳しすぎてはいけません。たいていの組織や企業は、より少ない資源でより多くのことをやろうとします。そのため、仕事の量は必要時間よりも多いものです」(モーゲンスターン)。

 優秀な人が、時折仕事の依頼を断ったり猶予を求めたりしても、「それは怠慢な振る舞いではなく、評判が落ちることもありません」。むしろ、時々「ノー」を言うことで信用が高まるのだという。「上司が部下に望んでいるのは、最高のパフォーマンスを妨げる何かがあったら遠慮なく言ってもらうことです」

 与えられた仕事を全部はこなせないと認めることは、気が引けるものだ。しかし、そうすることは「組織への責任」なのだとデイビーは言う。「行き詰まったまま任務を果たせなければ、チームを窮地に追い込みます」

●他者に助言やサポートを求めよう

 忙しすぎると思ったら、仕事量を他者の視点から見てもらうのがよいとモーゲンスターンは言う。「第三者を通して、現実に立ち返ることができます」。自分のプロジェクトと責務の概要を、信頼できる友人や同僚に説明するとよい。仕事量を見てもらい、1人で抱えるには多すぎるかどうか、正直な意見をもらうのだ。

 また、上司にアドバイスを求め、過重労働への対処法を指導してもらうのもよいとデイビーは言う。そうすることで何を期待されているかが明確になり、仕事の効率アップにもつながる。「たとえば、『私は財務部へのレポートの作成に月5時間ほどかかっています。これはあなたの期待に叶っているでしょうか。作業プロセスを合理化する方法について、何かアドバイスをいただけませんか』と持ちかけるのです」。結局のところ、「上司も同じように、大変な思いをした経験があるはずです」

●解決策をみずから提案しよう

 自分の仕事量について上司と率直に話すには、相応の適切な姿勢が必要だとモーゲンスターンは述べる。「自分と上司で、会社の目標を達成するためのパートナー同士になるのです」

 話し合いのはじめに、「会社全体の目標」について触れ、自分と上司の考えが一致していることを確認する。その後、全社目標を達成するうえで何が自分の障壁となっているかを説明する。できる限り具体的に示そう。たとえば、「この案件は大量のリサーチを必要とするので、時間がかかっています」または「自分はいまではチームを管理しています。以前よりもプランニングに多くの時間を割いているため、日常的な業務に費やす時間が十分にありません」といった具合だ。

 そして、次の段階が非常に重要となる。ここで、問題を解決するためのアイデアを3つ提案するのだ。たとえば、ある業務を毎月ではなく四半期ごとにする、同僚にサポートに加わってもらう、仕事量の負担を減らすために会社に臨時スタッフを雇ってもらう、などだ。「解決策がなければ、上司に問題を持ちかけるべきではありません」(モーゲンスターン)。ここでの目標は、どのプロジェクトが「延期、委譲、中止、縮小」できるのかをはっきりさせることだ。

●優先順位をつけよう

 すでにパンク寸前の時に、上司からさらに別の仕事を与えられるのは耐えがたいことだ。「上司は往々にして、個々のタスクにかかる時間を知らぬまま、仕事を割り振るものです」(デイビー)。その場合には、自分が抱えている仕事を説明し、「この中で最も重要なものはどれで、それ以外については優先順位をどうすればよいですか」と尋ねるべきである。

 モーゲンスターンが勧めるのは、それぞれの仕事に「どのくらいの労力を割くべきか」「最大、最小、ほどほどの労力とはどの程度か」を上司に尋ねることだ。新しい仕事に関しては、完遂できるかわからない場合は、絶対にその場で引き受けてはならない。「たとえば、こんなふうに言って時間を稼ぐのです。『その仕事の要件を教えてください。いま進行中の他のプロジェクトをふまえて、できるかどうか検討します。明日お返事してもいいですか』」

●可能な範囲で協力しよう

 仕事に忙殺されていても、可能な部分で協力するのが、親切かつ仕事人として賢明な振る舞いだろう。上司への言い方として、デイビーはこんな例を挙げる。「このプロジェクトを引き受けると、いまやっている他の業務に支障が出ると思います。でもスケジュールを調整すれば、これを担当する人に私が助言することはできます」。たとえばブレーンストーミングに参加する、原案に目を通す、相談役になる、などでもよい。そして、いつでも要望に応じられる準備をしておくようデイビーは勧める。

 自分にできることがたとえ限られていても、ささやかな助けの手を差し伸べることは、「組織の成功にコミットしている責任感あふれる人、という周囲からの認知」を強めるのだとモーゲンスターンは言う。

●正直になろう

 誰の人生にも、プライベートでの重大な出来事を他の何よりも優先すべき時がある。たとえば、母親が重い病気だと診断された、息子が学校で問題を抱えている、などだ。その場合、事態を正直に告げるべきだとモーゲンスターンは述べる。上司にこう伝えてもよい。「これを何とかしなければ、私の家族にとって深刻な負担になり、自分の仕事のパフォーマンスにも支障が出ます」。率直な言い方、そしてできるだけ自制心と冷静さをもって伝える必要がある。

 デイビーもこの点に同意している。「状況を具体的に伝え、期限を定めましょう。たとえば、『こんなことは滅多にないのですが、向こう2週間はちょっと大変な状況になるので、手助けが必要です』というふうに」。分別のあるよき上司ならば、理解を示し、正直な態度を評価してくれるだろう。「英雄になろうと頑張っても、燃え尽きるまでやってしまうのは得策ではありません」

●同僚を味方につけよう

 過重労働であることを上司に伝えても、必ずしも望ましい結果が得られるとは限らない。上司に改善する意図が見られなければ、自分が大変な思いをしていることを同僚に知らせるべきだとデイビーは言う。「上司が理解を示してくれなくても、同僚はわかってくれるかもしれません」。

 彼らが負担の一部をなくしてくれたり、こちらの遅れに対処してくれたりするかもしれない。たとえ手助けが得られないとしても、自分が限界を超えていて全力を尽くせないのだと伝えることにはなり、信用の失墜を避けられる。

 上司が部下の過労にいつまでも無関心な場合には、転職の必要性を検討すべきだとモーゲンスターンは指摘する。過重労働は長期的に持続可能ではないからだ。

覚えておくべき原則

【やるべきこと】
●個々の仕事に費やす時間をどう減らすかについて、マネジャーや同僚に助言を求める。
●優先順位の変更や、案件によってトレードオフが可能かどうか、率直に相談する。
●同僚やプロジェクトを微力ながら支援する方法がないか尋ね、協力の意思を示す。

【やってはいけないこと】
●自分に厳しすぎてはならない。場合により依頼を断ったり猶予を求めたりするのは、怠惰なことではない。
●新たな仕事をその場ですぐに引き受けてはならない。現在の仕事量を考慮したうえで追って返答すると上司に伝え、時間を稼ぐ。
●上司が耳を貸さない場合でも、同僚に事情を隠してはならない。限界を超えている時にはその旨を発信すれば、同僚からの信頼を損なわずに済む。

事例1:解決策を提示し、助言を求める

 ミネアポリスを本拠とするセリディアンは、人材マネジメント用のソフトウェアを提供する企業だ。リサ・スターリングは、同社の製品戦略バイスプレジデントを1年間務めた頃、最高人材責任者に昇進した。当初、彼女は両方の職務を掛け持ちする予定だった。

 しかし数ヵ月後、リサは膨大な仕事量に圧倒されていた。そして上司であるセリディアンのCEO、デイビッド・オシップに相談しなければと思いつつも、不安を感じていた。「これまで、上司に『助けてほしい』と訴えたことは1度もなかったんです」と彼女は語る。「上司との関係は良好でしたが、私は不安がありました。彼が(私を昇進させた)自分の判断は間違いだったと思うのではないか、私は適任ではなかったと感じるのではないか、と」

 リサは話を切り出す際に、「自分が理解している、会社の優先事項」を述べた。自分がデイビッドに求められている注力事項を、きちんと理解しているか確認するためだ。次に、製品部門と人事部門の両方で自分が関わっているプロジェクトを網羅したリストを彼に提示した。「そのうえで、どこが順調で、どこで苦労しているのかを話したのです」

 最後に、リサは解決策をいくつか提示した。「私はチームに、こうアドバイスしています。『私に問題を持ち掛ける時は、もし自分が私と同じ立場なら、その問題をどう解決するかを考えておくように』と」

 今回のケースでリサが提案したのは、組織的取り組みの一部を棚上げにできること、そして、ある製品の発売を一時的に延期できるということだ。さらにもう1つ、彼女の職務の一部を引き継ぐ、製品戦略ディレクターを雇うという提案もした。

 デイビッドはどちらの案にも賛意を示した。また、リーダーシップに関する有益な指導と助言も授けてくれた。「彼はこう言いました。キャリアを積むにつれ、日常的な管理業務の重要性は減り、チームを育てることが主な仕事になるのだと。自分がいろいろなことに首を突っ込みすぎていたと気づきました。他人に任せる能力を伸ばし、チームのメンバーがみずから仕事を全うできるよう、自分が一歩下がる必要があったのです」

 リサは、率直に話してよかったと思っている。「目が開かれた思いです。助けを求めなかったら、経営者によるこんなコーチングを受ける機会はなかったでしょう」

事例2:正直に、率直に話す。それでも上司が理不尽ならば、転職も考える

 ジャニーン・トゥルイットは数年前、大規模な病院グループの人事部で働いていた。ニューヨークのロングアイランドを拠点とするその組織は、毎年従業員数を急増させており、人事部はそのスピードにまともに追いついていなかった。

「私は、10ヵ所の施設の初級職から上級管理職に至るまでを担当していました」とジャニーンは振り返る。「上司はさらに、病院拡張に向けた特別プロジェクトと人材計画も私に割り振っていたのです」

 医療業界で10年近く働いてきた彼女は、限界に達していた。しかし、上司に相談する前に、親しい同僚たちと自分の仕事量について話し合った。「同僚に話をしたのは、仕事量が多すぎることに同意してもらうためというよりも、精神的な支えを得るためでした。どの人も仕事量が私よりだいぶ少なく、同情してくれました」

 彼女は上司に、この問題について話し合う機会を持ちたいと訴え、面談では率直な言葉で伝えた。「いまの仕事量をこなし続けるのは難しい、と上司に告げました。声を挙げることで自分がどんな結果になるかは、気にしませんでした。ただし同僚、ひいては患者さんを失望させてしまうことが心配でした」

 ジャニーンは、状況を改善するための方法をいくつか提案した。たとえば、初級職の採用は若手の人事スタッフに任せ、自分はもっと戦略的なポジションの採用に専念するなどだ。また、病院拡張プロジェクトの話し合いには、もっと早い段階から加わらせてほしいとも頼んだ。「そうすれば、何が必要となるかが早めにわかり、将来的により適切な人材配置ができますから」

 残念ながら、彼女のアイデアは上司にことごとく拒絶された。失望したジャニーンは、同僚に再び相談した。「私たちが取り組んだのは、同じ施設で似たようなポジションの採用が必要な場合に協力し合うことでした。そうすることで、負担をいくらか軽減できました」

 それでもジャニーンの仕事量は、辞表を提出するその日まで「限界を超え続けていた」という。現在の彼女は、事業戦略とマネジメントのコンサルティング会社、タレント・シンク・イノベーションズの最高イノベーション責任者を務めている。

 前職は彼女にとって素晴らしい思い出ではないが、貴重な教訓を得たという。「人材計画は、効率よく事業を進めるうえで最重要事項の1つです。顧客と従業員の定着率を高く、離反率を低く保ちたいならば、合理的な範囲を超えた過重労働が頻繁に起きないよう、万全を期す必要があるのです」


HBR.ORG原文:How to Tell Your Boss You Have Too Much Work January 13, 2017

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レベッカ・ナイト(Rebecca Knight)
ボストンを拠点とするジャーナリストで、ウェズリアン大学講師。ニューヨーク・タイムズ紙やUSAトゥデイ紙、フィナンシャル・タイムズ紙にも記事を寄稿している。
http://www.dhbr.net/articles/-/4779

 

2017年4月7日 みわよしこ [フリーランス・ライター]
子どもの貧困解消を目指す「子ども食堂」ブームに欠けた視点


子どもの貧困解消を目指す「子ども食堂」がブームとなる一方で、現状が大きく改善する気配はない。現在ある「子ども食堂」にはどんな視点が欠けているのだろうか

広がる「子ども食堂」は
子どもの貧困を解決できるのか?

 2017年3月20日、三連休の最終日となった春分の日の午後、シンポジウム「子どもの貧困対策の未来 子ども食堂をこえて」が大阪市で開催された。主催したのは、大阪市生野区を中心に活動する「生野子育ち社会化研究会」。直接支援を行うNPOや研究者など、子どもの成育に関わる多彩なメンバーで構成された民間研究会だ。私自身も、本連載で研究会の活動を紹介したことが契機となり、昨年末より研究会の一員として活動している。

「子ども食堂」がブームとなる一方で、子どもの貧困問題が大きく改善する気配はない。子どものいる家庭の生活保護基準は、引き下げの検討や実施が続いている。また教育に関しても、財務省はより一層の削減を求めている。国レベルの予算削減が続き、深刻化していく子どもと親の貧困そのものを解決する力は、現在の「子ども食堂」にはないことを認めざるを得ないだろう。少なくとも「子ども食堂」に加えて、現在の「子ども食堂」を質量ともに超えるための何かが必要なのは間違いない。

 そのような問題意識は、多くの人々に何となく共有されていたのだろう。この日の大阪市は、好天のポカポカ陽気であったにもかかわらず、会場となった大阪教育大学天王寺キャンパスのホールは、多数の参加者で埋め尽くされた。

 プログラム前半では、私が露払いとして、子ども食堂に関するメディア報道の動向、米国の民間の取り組み、米国の寄付と助成の仕組みなどを紹介した。続いて後半では、「子ども食堂」活動を実際に行っている4名、研究者3名(社会福祉学・保育学・障害児教育)、報道に携わる私の合計8名によるパネルディスカッションが行われた。


プログラム前半で講演する筆者。「子ども食堂」と「子どもの貧困」報道の、短期間ながら複雑かつダイナミックな歴史を振り返っているところ
 本記事では、パネルディスカッションで語られた内容を中心として、子どもの貧困と「子ども食堂」の現在を、多面的に眺め直してみたい。貧困と欠食の中で心身にハンデを背負いながら育つ子どもにも、経済的には不自由のない生活をしているゆえに困難を訴えにくい状況にある子どもにも、それぞれのニーズがある。内容の違いや濃淡があっても、ニーズや困難は「地続き」であるはずだ。

 パネルディスカッションで「子ども食堂」活動への取り組みについて話題を提供したのは、隅田耕史氏(NPO法人フェリスモンテ)、高橋淳敏氏(ニュースタート関西事務局)、津守佳代子氏(藍朱〈らんじゅ〉とピンポン食堂)、そしてCPAO・徳丸ゆき子氏だ。といっても、目的、対象、スタイルはそれぞれ大きく異なっている。

4つの「子ども食堂」は
運営者もスタイルも様々


シンポジウム「子どもの貧困対策の未来 子ども食堂をこえて」の事前告知チラシ。筆者自身にとっても、多様な内容・多彩なパネリストとともに「これから」の次の一歩を考える貴重な機会になった
 まず、最初に注目していただきたいのは、「子ども食堂」を運営する立場から話題を提供した4人のうち、2人は男性であることだ。現在、子ども食堂の運営の中心は、子育てを経験した専業主婦層とイメージされることが多い。確かに、子育てを経験したミドル世代、シニア世代の専業主婦には、地域でのボランティア活動に参加しやすい条件が整っている。時間的にも経済的にも一定の余裕と安定があり、生活のために働く必要はない。子育てを通じて形成した、地域の学校などとの人的ネットワークもある。

 しかし、食事、居場所、人間関係などが地域に不足していることを感じ、それらを提供することや、互いに提供し合うことの必要性を感じ、実際にそういう場を設けて運営することが、子育てを経験した専業主婦の“専売特許”であるはずはない。立場の弱い人々の安全が保障される限り、多様な人々が関わることは、それだけで有益なはずだ。

 4つの「子ども食堂」のスタイルは様々だ。開催頻度は、不定期かつイベント的であったり、週に4回であったりする。訪れて食事をする人々は、「子ども食堂」という以上、地域の子ども中心とイメージされるが、時には中高年しか来ないこともある。

 また中高生など、子どもとはいえ幼少ではない人々を主対象としていることもある。同じように、欠食状態の子どもたちを主対象としていても、オープンで子ども限定ではない「子ども食堂」もあれば、逆にオープンにしないことで子どもたちの安全感・安心感を確保しているところもある。

 いずれにしても大切なことは、「誰のため?」「何のため?」という対象と目的が、その時々ではっきり見えていることではないだろうか。今、はっきり見えていないのなら、「いるはずの誰かの気配を感じ、必要としている何かの手がかりをつかむ」ことが“とりあえず”の目的となり得るだろう。

 ちなみにCPAOは現在、子どもたちに居場所と食事を提供する「ごはん会」活動を週4回行っているだけではなく、給食のある学校や地域の居場所に行けない子どもたちに食事を届ける活動を、月1回行っている。これらの活動の始まりは、1ヵ月に1回程度の「子ども食堂」だった。各地域で1ヵ月に1回程度しか開催していなかった「子ども食堂」が、欠食状態の子どもたち多数の存在を発見するきっかけとなり、子どもたちのニーズに沿う形で、現在の「食事と居場所」という活動につながっている。

 とはいえ、一民間団体の力では、地域のすべての子どもの貧困を解決することは、質・量ともに不可能だ。それどころか、貧困の全貌を把握することも不可能だろう。まだまだ、多様性という面でも人数の面でも、関わる人々の豊かさが、より一層、必要になりそうだ。そのためには、公的資金がどうしても必要ということになるかもしれない。

 4つの「子ども食堂」のストーリーには、関わる人々の「豊かさ」を増やす方法のヒントが、数多く含まれている。

「当事者である」「当事者だった」の
生々しさが持つ強み

 フェリスモンテの子ども食堂は、19歳の女性の「中高生だったとき、家でも学校でもない第3の居場所が欲しかった」という思いから始まった。フェリスモンテ自体は、親世代の介護を経験した50代の主婦たちの「住み慣れた地域で最期まで暮らしたい」という思いから始まり、高齢、障害、子育て、地域など多様な問題に関わる活動を続けてきた団体だった。

 1999年に活動を開始した実績と、直前に中高生だった女性の思いが結びつき、2015年、「子ども食堂」活動が開始されることとなった。当初、中高生は来ずに中高年ばかりの時期もあったが、徐々に子どもたちの参加者が増え、現在は小中学生も大人も来るようになっているという。

 CPAOは2013年5月、大阪で起こった2児置き去り死事件、母子変死事件をきっかけとして、「助けてって言ってもええねんで!」をキャッチフレーズとして活動開始した。2013年5月の2つの事件では、幼い2児を置き去りにして死なせた母親も、幼い我が子とともに変死体で発見された母親も、様々な困難を抱えたシングルマザーだった。

  CPAO代表の徳丸ゆき子氏は、育児真っ只中のシングルマザーである。活動の原動力となっているのは、徳丸氏自身のシングルマザーとしての当事者性であり、CPAOに集うシングルマザーたちとの「ピア(仲間)」としての関係性である。

 かつて子どもであり、少年であり、青年であったりしたすべての人々に、「子ども時代の自分に、こういう場があったら」「青少年期の自分に、こういう機会があったら」という思いがあるだろう。

 また、親としての育児経験があれば、子どもの養育責任の重さも社会のサポートの手薄さも「わがこと」だ。その思いは、努力やガマンや子どもへの愛情が不足しているように見える他の親に対する攻撃につながることも多い。

 しかし一歩進めば、問題だらけの子育てを続けざるを得ない状況にある親に対する「あのお父さん自身は、自ら望んで、ああいうダメ親になっているのではないかもしれない」という想像や、「あのお母さんは非難が怖くて他人を近づけないみたいだけど、お天気の話くらいは安心してできるような接近の仕方はないだろうか?」という思慮の基盤にもなるだろう。「子育て」「子どものいる生活」という共通経験があり、それが想像や思慮の基盤になるからだ。

 では、「当事者だった」「当事者である」というファクターは、どうしても必要なのだろうか。そんなこともなさそうだ。残る2つの「子ども食堂」を見てみよう。

「よその人」「他人」の距離感も
適切な関わり方や役割のヒントに

「藍朱(らんじゅ)とピンポン食堂」は、地域の子どもが家庭で虐待に遭っていることに津守佳代子氏が気づいたことがきっかけとなり、2016年2月、活動を開始した。とはいえ、地域の大人にできることは多くない。もちろん、深刻な状況にあれば、児童相談所へ通報することはできる。しかし、虐待が認められて児童相談所が子どもを保護すると、子どもは地域からも親からも引き離されてしまう。

 もちろん児童相談所の保護は、そのときの子どもの心身と生命を守るために必要な措置であり、現在の日本では唯一の選択肢でもある。しかし、子ども本人、親、地域の関係者の思いを大切にしながら、長期的に幸せな関係を築くためには、必ずしも有益ではない。

 津守氏はパネルディスカッションの場で、時折、涙で声をつまらせながら、気がかりな子どもたちの様子を語った。また、親との信頼関係構築の難しさ、行政や学校との連携の難しさ、目的や活動形態に関する迷いやジレンマを率直に語り、参加者たちの大きな共感を集めていた。

「ニュースタート事務局関西」は、不登校、ニート、引きこもりの支援を行う団体として活動を開始した。現在は、引きこもりだった青年たちや、地域生活をする精神障害者の仕事場づくりも行っている。また、その人々が共同生活する施設も運営している。

 子ども食堂活動は、CPAOと提携して2013年に開始されたが、現在は不定期でイベント的な活動状況となっている。地域の子どもは参加せず、参加者は“身内”ばかりということもある。活動の場は、共同生活施設の中、公民館、グランドに張ったテント、お寺の境内の屋台、公園など様々だ。

 活動の背景には、「子どもの貧困の原因は、大人社会の関係の貧しさにある」という思いがある。また、引きこもりなどの困難を通過し、就労収入による自活も、親となることも難しい人々に対し、社会に対して責任を果たす大人となる回路を開く目的もある。いずれにしても、頻度多く充実した活動を通じて、「地域の子どもの貧困を具体的に解決した」という結果に結びつけるのは難しいかもしれない。

 しかしながら、時々の「子ども食堂」活動は、収入や社会的地位や家族の有無と無関係に自分の存在や活動を認め認められ、幸せに毎日を送る大人たちという「モデル」を世の中に、もちろん子どもたちに提供するだろう。

 不登校もニートも引きこもりも、そうならないことが望ましい状態かもしれないし、将来の選択肢や可能性を減らすかもしれない。でも、それで人生が終わるわけでも何でもなく、幸せに生きていけるらしい――。様々なプレッシャーに対して苦しい思いをしている子どもたちにとって、その事実は大きな救いになるだろう。

「子どもの貧困」を超えて
社会の「貧困」解決を


パネルディスカッションで、8人のパネリストが並んでいる様子。マイクを握っているのは池谷航介氏。左端にいる筆者は、このとき、虫に刺された耳をガマンできずに掻いていた
「子どもの貧困」という大きな問題そのものを解決する力は、子ども食堂にはない。そもそも、子どもが貧困状態にあるのは、親が貧困だからである。パネルディスカッションに参加した研究者たちは、この点への目配りを忘れなかった。

 加美嘉史氏(佛教大学・社会福祉学)は、親の所得を引き上げ、親の経済的困窮に対策する必要性を指摘した。「対策」とは、労働環境全般の改善、子どもと家族への公的支出の増加、公的給付利用に対する抵抗感(スティグマ)を解きほぐすことを含む、所得再分配の強化である。

 奥野隆一氏(佛教大学・保育学)も、困難や貧困に対する「子ども食堂」のセンサー機能を評価し、さらに磨く必要性を指摘しつつ、公的支援の必要性への指摘を忘れなかった。奥野氏が言う公的支援は、財政、活動の場、活動に携わる人々を支援することなど多岐にわたる。

 最後に挨拶した池谷航介氏(大阪教育大学(当時)・障害児教育)は、子どもの育ちに関する専門家として、「大人がどういう形で子どもに手を出せばよいのか」という社会課題の実践と発見の場の1つとして、「子ども食堂」を位置づけた。活動を継続するのは、容易なことではない。しかし、実際に手を出して動けば、社会の課題が見えてくる。


本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中
 さらに池谷氏は、実際に動いている団体が手をつなぎながら「批判」しあうことの重要性も指摘した。批判の「批」は手偏。手を動かして、責任を持って批判することは、忘れてはならないポイントなのだ。

 これから、何をすればよいのか。何ができるのか。必要な資源はどう確保すればよいのか。問題も課題も山積している。だからこそ、飽きずウンザリせず、エネルギーを枯渇させず、燃え尽きず、息長く活動することが必要なのだろう。

 そのためには、どうすればよいのだろうか。答えは見当たらない。社会の大人として、取り組み続け考え続けなくてはならない課題であることだけは、はっきりしている。
http://diamond.jp/articles/-/123978

 

終末期の望まない蘇生、救急隊員「医師に確認し中止を」
2017/4/7 14:56
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 自宅などで最期を迎えようとしている終末期の患者に対する救急隊員の対応について、日本臨床救急医学会は7日、提言を発表した。心肺停止後の蘇生処置を望まないと事前に書面で残している場合、かかりつけ医に是非を直接確認した上で蘇生処置を中止するよう求めた。

 総務省消防庁の基準では、生命に危険がある場合、応急処置を行うよう定めている。ただ最近は事前に蘇生措置を拒否する意思表示をする人が増えている。こうした場合への対応は示されておらず、現場では救急の原則か患者の意思尊重かで対応に苦慮している。

 同学会は2015年4月に検討委員会を立ち上げ議論してきた。

 提言によると、患者が心肺蘇生を希望していない場合、家族は「119番通報をしないのが望ましい」としている。しかし容体の急変に慌てて救急車を呼んでしまうことがある。こうしたケースでは現場に駆けつけた救急隊員は、家族などからを希望しないとの書面の提示を受けたとしても、心肺蘇生を始めるべきだとした。

 その上で、かかりつけ医と連絡をとり、中止を指示されれば患者本人の意思を尊重して心肺蘇生を中止する。かかりつけ医と連絡がとれない時は、日常の救急業務で相談している医師を代役として指示を求めるべきだとしている。

 都内で記者会見した同学会の坂本哲也代表理事は「提言を参考に、地域の消防、医師会などが集まって運用をどうするか議論していただきたい」と述べた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07HBQ_X00C17A4000000/
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/743.html

[不安と不健康18] ガンコな肩こりが10分で解消、自宅でできる意外な方法とは?「噛み合わせが悪いと肩こりや腰痛が引き起こされる」と言われ始め
2017年4月7日 夏目幸明 [ジャーナリスト]
ガンコな肩こりが10分で解消、自宅でできる意外な方法とは?
「噛み合わせが悪いと肩こりや腰痛が引き起こされる」と言われ始めたとき、この意見は様々な反論にさらされた。しかし現在は社会的に認められ、最初に主張した群馬県高崎市の「丸橋全人歯科」には様々な症状の患者が治療に訪れている。今回はそんな“噛み合わせのプロ”に、噛み合わせの悪さが全身に悪影響を及ぼす理由と、その対処法を聞いた。(フリージャーナリスト 夏目幸明)
噛むたびに、顔の筋肉が
ひっぱられている!
今や肩こりや腰痛は国民病とも言えるほど、誰でも持っている症状。意外にも、歯の噛み合わせが原因であるケースが多いという
 人間の頭の重みは、体重の10%程度で、ボーリングの球と同じくらいずっしり重い。人間はこれを骨格で支えている。背骨の上に頭が乗り、肩や首の力を抜いても倒れないのが「よい姿勢」だ。しかし姿勢が悪いと、人は頭の重みを筋肉で支えざるを得ない。この状態がずっと続くと、筋肉の過度な緊張により首や肩のこりを感じるようになる。
 姿勢が悪くなる原因はいくつもある。たとえば「前傾姿勢でスマホやノートパソコンを見つづける」「常に鞄を片方の腕で持つ」などだ。丸橋全人歯科の亀井琢正医師が話す。
「そして、歯です。噛み合わせが悪いと、噛むたびに顔や首の筋肉があらぬ方向に引っ張られ、次第に体がゆがんでいくのです」
 ここで読者に、簡単な「噛み合わせ診断法」をお伝えしたい。まず、立ってまっすぐ前を向き、あえてぽかーんと口をあけ、全身の力を抜く。そして、ゆっくりと口を閉じていく。最初に一部の歯だけがあたったら、その歯は「早期接触」している。

「左の図を見てください。早期接触している歯のせいで、歯がカチンとあたるたびに周囲の筋肉が少しずつ引っ張られ、体がゆがむ原因になるのです。実際に、軽く歯をあてたあと、グッと歯をくいしばると……早期接触の歯があった場合、片方の首の筋肉だけが引っ張られるのを実感できると思います。一方、歯列全体がカチンとあたる場合は、噛み合わせがいい状態です」(亀井医師)
 こうして片方の筋肉だけが引っ張られると、頭の重心が乱れ、その重みを肩や首の筋肉で支えるためにこる。
 それだけではない。慢性的な血行不良は手足のしびれの原因になる場合もあり、さらには痛みが人の心にも影響を及ぼし、鬱などの諸症状につながることもある。同歯科の名前を丸橋「全人」歯科と名付けた由来はここにある。まさに歯が全身状態に影響を及ぼしているのだ。
噛み合わせを整えれば
スポーツ選手の記録も上がる
 また、集中力や筋力を発揮できるかどうかにも、噛み合わせが大きく影響している。人は集中するときや力を出すとき、自然と歯を食いしばって骨格を安定させる。しかし、上の歯と下の歯の接触が悪いと、歯を食いしばっても力が上手く伝わらないのだ。
「ウエイトリフティングの選手の歯を調整したら、10kgほど記録が伸びた例もあります。逆に、試しに片方の歯にティッシュやガーゼを挟んで噛んでみてください。片方の筋肉だけがひっぱられる不快感を実感できますよ」

 噛み合わせによって生まれたゆがみは、見た目にも現れる。
 鏡で顔を見ながら口を開け、「イー!」と言いながら歯が見えるようにし、上下の歯を軽くカチンとあててみてほしい。
 この時、鼻筋、鼻の下くぼみ、上の歯列の中心(2枚の前歯の中心)、下の歯の中心が傾きのない直線になっていれば、噛み合わせはいい、と言える。逆に、ラインがゆがんでいる場合は噛み合わせが悪い(左図参照)。

「体を見ることでもわかります。全身が映る鏡の前で、まっすぐ立って力を抜いてみてください。首が傾いたり、肩が片方だけ下がっている場合は、このゆがみが肩・首のこりの原因です。そして、根本的な原因は噛み合わせであることが多いのです(右図参照)」
 筆者が丸橋全人歯科を訪ねたとき、丸橋賢理事長から、いきなり「左肩だけこりませんか?」と見事に言い当てられたことが、この記事を書くきっかけにもなっている。プロは体を一目見ただけでわかるのだ。
ティッシュで肩こりを
軽減する方法
 では、これをどう直すのか。本質的には噛み合わせをよくするしかないが、簡単な方法もなくはない。亀井医師が話す。

「ティッシュやガーゼをタバコのように丸めます。これを奥歯全体で噛み、グッと噛んだとき、歯の力が奥歯へ均等にかかるように調整するのです」(右図参照)。
 ティッシュやガーゼを口に含むと唾液で濡れてくる。充分に濡らしたあと、これを噛みしめ、どこかが分厚いと感じたら、歯でギリギリッと噛みしめてそこを低くする。慣れれば難しいものではない。
「その後、10分ほど軽く運動し、10分くらいリラックスすると、肩のこりがほぐれたり、鏡を見たとき、肩の左右差や首の傾きが改善しているはずですよ」
 注意してほしいのは「歯並びがいいから、噛み合わせもいい」とは言えないこと。「歯並びがいい」は、純粋に他人から見た時に歯列が美しい状態を指す。歯列が美しくても、歯の早期接触がないとは言えない。
 だが、その知識はまだ知られていない。
「例えれば、車体の一部がゆがんだ車が快調に走らないことは誰でもわかります。しかし、いまの日本人の多くは、自分の体のゆがみに気づいていません。いまや肩や首のこりや腰痛は国民病です。本当はもっと様々な歯科で噛み合わせを調整できるとよいのですが、現状はむしろ、虫歯の治療で歯にかぶせものをしたときに噛み合わせが悪くなり、体調を崩す方がいるくらいです」
 しかも、亀井医師によると、日本人の噛み合わせは年々、悪くなっているのだという。

http://diamond.jp/articles/-/123976


http://www.asyura2.com/16/health18/msg/483.html

[経世済民120] 4月の日本株に「異変」、海外勢の売り止まらず トレーダーが備えた「重要な金曜 日本株は反発 円と米債、割高資産にチャンス
2017年4月7日 ロイター
4月の日本株に「異変」、海外勢の売り止まらず


4月6日、新年度入り後も日本株の下げが止まらない。写真は株価ボードを眺める男性、都内で昨年4月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 6日 ロイター] - 新年度入り後も日本株の下げが止まらない。4月は例年、海外投資家による資金流入がみられる時期だが、今年は売りの勢いが強く、日経平均は年初来安値を更新した。米連邦準備理事会(FRB)のバランスシート縮小や、北朝鮮リスクなどが警戒されている。

 ただ、米中首脳会談を無事通過すれば、日本企業の業績拡大や株主還元を好感した買いが入るとの見方も根強い。

4月の海外勢は16年連続買い越し

 東京証券取引所が公表する投資主体別売買動向によると、4月は海外投資家は2001年以降、昨年まで日本株を現物で16年連続で買い越している。リーマン・ショックの影響が強く残っていた09年、東日本大震災直後の11年も買い越しだ。

 その理由については海外勢が、1)国内勢によるニューマネーの流入を意識、2)業績見通しや株主還元に関する報道を材料視──していることなどがあると言われてきた。

 しかし、今年4月は、4営業日だけのデータとはいえ、様子がやや異なる。現物と先物を合わせたベースでみると、1月第1週から3月第5週まで海外投資家は日本株を合計約2.1兆円売り越したが、4月に入っても売り越し姿勢が続いている可能性があるとみられている。

 4月第1週の海外勢の売買動向を確認するには来週まで待つ必要があるが、4月以降の東証の空売り比率は40%超と高水準。6日は45.3%まで上昇し、今年最高となった。「空売り比率が高まる時期と、海外投資家が売りに動く時期が重なるケースが多い」と、水戸証券・投資顧問部チーフファンドマネージャーの酒井一氏は指摘する。

プット買い観測

 6日の東京株式市場で、日経平均は年初来安値を更新。下げ幅は一時300円を超えたほか、東証1部銘柄の95%が値下がりする全面安商状となった。

 こうしたなか、日経平均ボラティリティー指数は一時20.59ポイントまで上昇し、取引時間中としては2月6日以来、2ヵ月ぶりの高水準を付けた。市場では、「海外勢によるプット買いに伴うヘッジの先物売りではないか」(国内投信トレーダー)との見方がもっぱらだ。

 同指数は昨年11月の米大統領選で一時30ポイント超、英国のEU(欧州連合)離脱を問う国民投票時には一時43ポイント超まで急伸している。

 これを考慮すれば、上げ方はまだおとなしい。「市場が大きく混乱しているという感じではない」と、eワラント証券・トレーディング部ヴァイスプレジデントの堤壮一郎氏は話す。

 ただ、ソシエテ・ジェネラル証券・株式営業部長の杉原龍馬氏は「ファンダメンタルズではなく、リスクセンチメントで動く相場。市場に織り込みづらいリスクファクターが多く、反発に向かうカタリストもみえない」とみる。

米中首脳会談を前に北朝鮮リスクを警戒

 リスクファクターの1つは、FRBのバランスシート縮小だ。前日公表された3月14─15日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、大半のメンバーが、年内にもバランスシート縮小に着手すべきとの考えを示していたことが判明した。

 しかし、金融緩和相場のベースとなっているFRBのバランスシート縮小は、世界のマーケット全体に影響が及ぶ問題だ。ドル/円は米株安を嫌気し、やや円高に振れたが、110円台を維持しており、日本株の下落率が突出している理由とは考えにくい。

 もう1つのリスクファクターは北朝鮮問題だ。6─7日に開催される予定の米中首脳会談を前に、北朝鮮が5日朝の発射に続き、新たなミサイルを日本海に向け発射したり、核実験を強行する可能性など、地政学リスクが強く意識されている。

「北朝鮮問題に関して、米中間の隔たりは大きい。地理的に北朝鮮は日本に近く米軍基地もある。海外投資家はこうしたリスクに敏感だ」と、アムンディ・ジャパンの市場経済調査部長、濱崎優氏は指摘する。

 6日の東証1部市場では、わずか73銘柄(3.6%)しか、上昇銘柄がなかったが、上位には石川製作所や豊和工業<6203.T>など防衛関連株が並んだ。

「米中首脳会談を無事通過し、日本企業の業績拡大や株主還元に注目が集まれば、海外勢のマネーも流入しやすくなる」(外資系証券)とされる。

 しかし、トランプ米大統領の政策実現に不透明感が強くなっているほか、フランスなど欧州の選挙も待ち受ける。

 4月を乗り越えたとしても、今度は「セル・イン・メイ」のアノマリーを警戒する声が出てくるかもしれない。

(長田善行 編集:伊賀大記)

http://diamond.jp/articles/-/124129


 

 

トレーダーが備えた「重要な金曜日」にシリア攻撃−格好の売り材料か
Bloomberg News
2017年4月7日 13:52 JST

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• MSCIアジア太平洋指数は日本時間午前の段階で0.2%安
• 原油市場では北海ブレントおよびWTI相場が一時1.5%余り上昇

3月の米雇用統計が発表される7日の金曜日は、トランプ米大統領の就任後初めての米中首脳会談も重なるため、今後の方向感を提供する重要な日になるとトレーダーらは位置付け、それに備えてきた。
  そこにトランプ政権がシリア攻撃に踏み切るという突発的な事件が加わった。
  株式と通貨、商品を含むあらゆる市場がこの動きに直ちに反応した。相場の変動は特に大きなものとはならなかったが、今回のシリア攻撃は、トランプ政権の広範な外交・国家安全保障戦略への疑問を提起するものだ。トランプ大統領がフロリダ州に所有する高級リゾート「マールアラーゴ」を中国の習近平主席が訪れ、北朝鮮の核開発問題が議題に上る可能性の高い米中首脳会談が実施されるタイミングで、今回の攻撃は行われた。米国は北朝鮮に対して一方的な行動に踏み切る可能性を否定していない。

リスクオフ
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  ショー・アンド・パートナーズのシニア・ウェルスマネジャージェームズ・オーディス氏(シドニー在勤)は電話取材に対し、「市場では神経質な展開が終日続くことになろう。市場は売りの材料を探していたが、今回の出来事を巡る先行き不透明感がそのための確かな口実を与え、北朝鮮情勢を背景に韓国市場には明らかな影響の波及があるだろう」と指摘した。

金相場
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  中東の緊張がエスカレートするという観測が原油価格を押し上げ、北海ブレントおよびウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)相場は、一時1.5%余り上昇した。MSCIアジア太平洋指数は上昇から下げに転じ、日本時間午前11時19分時点で0.2%安となっている。
  新興諸国通貨も韓国ウォン中心に下落。これに対して、先行き不透明感の下で選好される金は、貴金属相場の上昇をけん引。

円相場
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  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、次のニュースが起こった時に備えて投資家は恐らくセーフヘイブンへの逃避を準備しているだろうと述べた。
原題:Here’s What Trump’s Syria Strike Just Did to Financial Markets(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO0TWW6KLVR401


 


 

日本株反発、米景気堅調と安値反動−米軍シリア空爆で原油関連に買い

  東京株式相場は反発。米国雇用関連統計の堅調に加え、前日に年初来安値を付けた反動から見直し買いが入った。米軍によるシリア空爆を材料に国際原油市況が急伸し、鉱業や石油株が大幅高。決算評価のセブン&アイ・ホールディングスなど小売株の上げも目立った。
  TOPIXの終値は前日比9.59ポイント(0.6%)高の1489.77、日経平均株価は67円57銭(0.4%)高の1万8664円63銭。
  しんきんアセットマネジメント投信の鈴木和仁シニアストラテジストは「米軍によるシリア攻撃は1度限りとの見方が広がり、過度な警戒は一服した。新規失業保険申請件数が予想以上に良い内容など米国のファンダメンタルズは堅調。世界景気、日米の企業業績も良く、目線は上向き」と話した。
  東証1部33業種は鉱業、石油・石炭製品、小売、その他金融、不動産、繊維、海運、パルプ・紙など31業種が上昇。空運とその他製品の2業種は下落。鉱業や石油は、米軍のシリア空爆を受け、アジア時間7日のニューヨーク原油先物が急伸したことが材料視された。
  売買代金上位では、好決算と米コンビニ事業の買収が評価された7&iHD、ゴールドマン・サックス証券が中国成長の可能性を再確認できたと業績予想を上げたニトリホールディングスが高い。通販大手のアマゾン・ドット・コムの当日配送サービスの受託から撤退する方針と報じられたヤマトホールディングスのほか、国際石油開発や楽天も買われた。半面、マッコーリー証券が投資判断を下げたSCREENホールディングスは売られ、任天堂や村田製作所も安い。
東証1部の売買高は24億145万株と昨年12月12日以来、売買代金は2兆7655億円と先物の特別清算指数(SQ)算出日だった3月10日以来の多さ
値上がり銘柄数は1475、値下がりは430

●長期金利が1カ月ぶり低水準、米シリア攻撃でリスク回避−日銀オペも

  
  債券相場は上昇。長期金利は約1カ月ぶりの低水準を付けた。米国のシリアへのミサイル発射を受けてリスク回避の動きが高まり、米長期金利がアジア時間で低下し、国内債市場でも買いが優勢となった。 
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高い0.06%で開始。米軍のシリア攻撃の報道を受けて水準を切り下げ、0.05%と2月28日以来の低水準を付けた。新発2年物375回債利回りは一時1.5bp低いマイナス0.225%、新発5年物131回債利回りは1bp低いマイナス0.15%まで買われた。超長期ゾーンもしっかり。新発20年物160回債利回りは1bp低い0.615%まで下げた。
  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは「シリアや北朝鮮の問題の影響は分かりづらいが、地政学的リスクが終息するには時間がかかりそうだ。安全資産需要としての国債買いはしっかりする。フランス大統領選挙も控えており、先行きの不透明感が非常に強い状況だ」と話した。
  長期国債先物市場で中心限月6月物は前日比3銭高の150円45銭で取引を開始。その後は水準を切り上げ、18銭高の150円60銭と約1カ月ぶりの高値で引けた。

●円全面高、米国のシリア空爆でリスク回避−米中首脳会談を注視

  東京外国為替市場では円が全面高。米国によるシリア空爆を受け、リスク回避の動きが強まった。
  ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨全てに対して上昇。ただ、条件反射的な買いが一巡した後は、日本株の持ち直しや米長期金利の下げ渋りに伴い、上昇幅を削る展開となった。ドル・円は1ドル=111円ちょうど付近から一時110円13銭と3月27日以来の水準まで円高が進行した。午後4時19分現在は110円53銭前後となっている。
  大和証券投資戦略部の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、ドル・円の急落や米長期金利の2.3%割れについて、「動いているのはアルゴだけ。いったんこの辺りで止まっても良いと思うが、動きが激し過ぎる」と指摘。これで米連邦準備制度理事会(FRB)の政策が変わるわけでもないとし、「全面的な戦争というのは考えづらく、単に限定的な警告を発したということだろう」と話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO13V16KLVR901



日本株週間展望】反発、割安な株価水準見直し−地政学リスクは警戒
Toshiro Hasegawa
2017年4月7日 16:02 JST

米金融決算などからもファンダメンタルズ見直しの公算
日本株PERは米大統領選時まで調整、テクニカル面の過熱感も後退

4月2週(10ー14日)の日本株は5週ぶり反発が予想される。短期的な下落によって日本株の割安感が強まっており、ファンダメンタルズ面から徐々に見直し買いが入りそう。ただ、シリアなど地政学リスクを背景とした円高警戒は引き続き上値の重しとなる。

  2週はマクロからミクロへやや市場の関心が移り、ファンダメンタルズの良好さが再認識される可能性がある。米国では月初の重要経済指標が一巡し、13日にはJPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴ、シティグループなどの企業決算発表が予定されるなど、決算シーズンが次第に本格化してくる。雇用などの改善から米景気指標はおおむね良好だけに、堅調な企業決算が確認されれば金融市場のサポート要因となりそうだ。

  また、足元の株価調整により、日経平均株価のPER(暦年ベース)は6日時点で16.3倍と、米大統領選の結果が判明した2016年11月9日(16.2倍)にほぼ並ぶ水準まで急低下した。東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオが6日にことし最低を更新するなど、トランプラリーによる一時の株価過熱感も払拭(ふっしょく)されつつある。米政策期待の後退を株価は徐々に織り込みつつあるだけに、株価の割安感からの買いも入りやすいと想定される。

  一方、シリアのアサド政権が化学兵器を用いて多数の民間人を殺害したことを受け、米国は6日にシリアへの空爆を開始した。今回は限定的な軍事攻撃にとどまったものの、軍事衝突の拡大や米国とロシアの関係悪化、それに伴う北朝鮮問題の深刻化などが懸念されることで有事の円買いが起こりやすい状況にある。金融市場への長期的な影響を懸念する向きは多くないものの、状況はなお流動的であることから円高警戒は日本株の上値の重しとなる。米政策期待の後退などから第2週の日経平均株価は週間で1.3%安の1万8664円63銭と、4週連続で下落。

≪市場関係者の見方≫

明治安田アセットマネジメントの杉山修司チーフストラテジスト

  「ボラティリティは高いながらも、堅調となりそうだ。シリアは目立った産油国ではないことから米空爆による原油価格へのインパクトは少なさそう。過去の経験則からも株価の中期的なトレンドを形成するのは地政学リスクではなく、ファンダメンタルズだった。FOMC議事録は財政政策を織り込んでいない状況下で景気上振れリスクをより意識した内容であり、米ハードデータは企業や家計のソフトデータに追いついてくるだろう。米長期金利とドル・円相場はこのところのレンジの下限にあり、チャート上からもダブルトップを形成、米中会談後は落ち着きを示す可能性がある」

三菱UFJ国際投信・戦略運用部の向吉善秀シニアエコノミスト

  「日経平均1万9000円前後を目指しそう。景気指標が強い中、資金需要拡大や長期金利の安定から米金融株の1−3月決算は悪くないだろう。強めの米企業決算でファンダメンタルズの良さを確認すれば、株式市場にはポジティブ。米国のシリア空爆はロシア側の出方などをみる必要があるが、世界経済や米景気の失速につながらない限り、一時的な調整にとどまる可能性が高い。日米とも景気循環は上、米中首脳会談などを通過すれば、市場の関心はファンダメンタルズに移る。日経平均の予想PERは一時16倍を超えていたが、15.2倍まで低下し、過去3年ほどの平均15.5倍を下回るまで調整が進んだ。景気サイクル上向きの中、15倍以下が定着する状況ではない」

セゾン投信の瀬下哲雄ポートフォリオマネジャー

  「トランプ米政権の政策不透明感が引き続き円安の妨げになり、軟調を予想している。米国の政策停滞で失望感が強まれば、景気が良くても米長期金利は2%程度まで低下する可能性があり、意識すべきはトランプラリー始動時の1.8%。米金利の下押し圧力で円安シナリオは描きにくく、1ドル=110円程度では輸出企業中心に来期の業績期待は広がらない。世界で不確実性が高まる中、シリアなど地政学リスク、仏大統領選などテールリスクを意識、短期的には企業業績などファンダメンタルズ以上に市場を動かす材料になりそうだ。経済指標では14日の米消費者物価指数に注目。予想を下回る伸びにとどまると、景気回復鈍化を連想させ、ネガティブに反応しよう」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/ONZC0X6S972901

 

シリア空爆、金融市場を揺さぶる−ルーブル下落、米10年債利回り低下
Adam Haigh、竹生悠子
2017年4月7日 16:19 JST

米国がシリアの基地をミサイル攻撃したことで金融市場は動揺し、投資家は安全資産に走った。
  トランプ政権下で初の軍事行動への当初反応としてボラティリティーが急上昇したが、その後の影響は弱まっている。米株価指数先物は下落し、円と原油、金は値上がりした。ロシア・ルーブルは落ち込み、米10年債利回りは低下。
  米国はシリアのアサド政権が化学兵器を使用して民間人を殺害したことを受け、空爆に踏み切った。
  プリンシパル・グローバル・インベスターズの最高経営責任者(CEO)、ジム・マコーガン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「質への逃避は万一まずい状況になった場合に備えたものだ」として、米国の攻撃が短期的なものに終われば「市場はこの事件を乗り越えて回復するだろう」と話した。
  日本時間午後3時40分現在、円は対ドルで0.2%高の1ドル=110円56銭。一時は0.6%高となった。ルーブルは0.9%安と、2015年7月以来の高値付近から下落。
  米S&P500種株価指数先物は0.2%安、10年物米国債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.32%。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iXwob0gT2a7U/v2/-1x-1.png
原題:Syria Strike Jolts Financial Assets; Ruble Drops: Markets Wrap(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO124B6S972801

 

FX Forum | 2017年 04月 7日 13:53 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:円と米債、割高資産に宿る投資チャンス

村上尚己アライアンス・バーンスタイン(AB) マーケット・ストラテジスト
[東京 7日] - 前回3月のコラムでは、日本株の方向性が定まらない背景には、トランプ政権の経済政策に対する米国の株式市場と債券・為替市場の「期待の温度差」があると述べた。

米株が最高値圏で推移していた一方で、米債市場では長期金利上昇が止まり、為替市場ではドル安円高地合いが強まったためだ。そして、高値更新を続ける米株を後追いし、米金利はいずれ上昇、ドル高円安が再始動すると予想した。

実際、3月14―15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)開催前に、早期利上げ開始が織り込まれ、さらに底堅い米経済指標もいくつか続くと、米10年債利回りは2016年の高値を超えて一時2.6%台まで上昇した。この時までは筆者の予想通りだったと言えよう。

しかし、その後、米10年債利回りは再び低下に転じ、北朝鮮やシリアを巡る地政学リスクの高まりもあって、日本時間4月7日午後1時現在、2.3%近辺で推移している(米軍によるシリアへのミサイル攻撃を受け、一時2.289%付近に低下)。

また、米株に目を移しても、医療保険制度改革法(オバマケア)の改廃法案を巡る政治混乱を受け、3月末に下落。債券高に伴うリスク回避的なムードも株高を抑える方向に作用している。

では、3月に示したシナリオは修正が必要なのだろうか。結論から言えば、現時点では不要だと考える。

そもそも、3月後半からの米金利低下については、欧州中銀(ECB)の緩和政策に対する思惑が揺れ動く中で、ドイツ国債利回りが大きく低下したことも影響していた。米株下落についても、後述するように、トランプ政策の実行性に対する不安がいたずらに先行しているきらいがある。

むしろ、この状況には投資チャンスが宿っているように思える。以下、筆者の見方を説明しよう。

<トランプ政策への失望は時期尚早>

まず、筆者の読み違いを1つ素直に認めれば、オバマケア改廃を巡る政治的ドタバタだ。それによって米金利のすう勢を決めるトランプ政策(成長率を高める政策)の実行性に疑いの目が向けられたのは想定外だった。トランプ政権が公約として掲げていたオバマケア改廃について共和党議員をまとめられなかったという事実に対し、市場の初期反応がネガティブなものになったのは当然の流れだろう。

ただ、今回のオバマケア改廃法案に共和党保守派の議員が反対した経緯を冷静に見れば、トランプ相場そのものに過度に慎重になる必要はないとみている。もともとライアン下院議長(共和党)の案はオバマケアの枠組みを残すものだった。この点について、トランプ大統領は今後、民主党と妥協してヘルスケア改革を進める可能性を示している。

一方、減税政策に関しては共和党案に含まれる国境調整税(BAT)が増税となっているため、ホワイトハウスは現在、BATと距離を置いている。だが今後、共和党との間で調整・妥協が行われる見通しだ。

オバマケア改廃法案で反対した共和党保守派は税収中立にこだわらない考えを示しており、景気刺激につながる減税政策が実現する可能性は依然高い。オバマケア改廃法案が頓挫したから、減税政策・インフラ投資政策の実現性が低くなったと考えるのはあまりにも拙速だろう。

トランプ大統領が政権2期目も考えているのなら、公約に掲げた雇用回復を、景気刺激策によって実現することは妥当で合理的な政策になる。減税法案の議会への提出時期など不透明な部分はあるが、現段階でトランプ政権に失望することは時期尚早に思える。

ちなみに、米国では1―3月のハードデータは総じて弱めで、同期の成長率は年率2%に届かない可能性が高まっており、これも投資家のリスク許容度を低下させている要因ではないかとの見方がある。確かに、企業景況感、消費者心理などのサーベイデータは総じて好調なのに、それらに比べると弱いハードデータが散見される点は筆者にとっては意外だ。だが、米国を含めた世界経済の方向性は本来、サーベイデータの動きで判断するのが妥当だろう。

そもそも、アトランタ連銀とニューヨーク連銀が公表している2つの国内総生産(GDP)トラッキングは乖(かい)離している。どちらが妥当かの判断は難しいが、低成長を示唆するアトランタ連銀算出のトラッキングは、季節性の調整がうまくいっていないハードデータの歪みが大きく影響している可能性がある。

<日本円は米債以上に割高か>

ところで、3月に行われたFOMCの議事要旨が5日公表されたが、複数のメンバーが「株価は割高」と言及していたことが判明した。また、米連邦準備理事会(FRB)が年内にもバランスシート縮小を始めるプロセスについて、具体的に議論していることも確認された。これらは、どう捉えるべきなのか。

筆者は、実際にはイエレンFRB議長ら主流派メンバーは米株を割高とはみていないと思うが、こうしたFRBの姿勢が伝わったことで目先、株式市場の疑念が強まるかもしれない。ハードデータの弱さ、トランプ政策に関する不透明感、FRBの政策姿勢、そしてシリア政策や対中政策の動向などこれだけ不確実な要因が重なれば、市場のリスク選好を阻害するのはやむを得ないだろう。

ただ、こうした市場不安の高まりは、ファンダメンタルズからかい離した価格形成をもたらす可能性がある点を忘れてはならない。振り返れば、2016年秋のトランプ大統領当選前にも、根拠に乏しい円高が進み、その後の反転局面で、結局、円高が投資機会を提供していたことが分かった。言い換えれば、「割高な金融資産」は投資チャンスを提示しているということだ。

では、現在「割高な金融資産」は何か。筆者には、FOMCメンバーらが指摘する米株ではなく、FRBの政策姿勢への反応が限定的になっている米債であるように思える。そして、日本円だ。ドル円は米金利の値動きに連動して上下しながら、現在、米金利低下よりも下落(円高ドル安)幅が大きくなっている。このことは、日本円は米債以上に割高になっている可能性を示唆していると言えよう。

*村上尚己氏は、米大手運用会社アライアンス・バーンスタイン(AB)のマーケット・ストラテジスト。1994年第一生命保険入社、BNPパリバ、ゴールドマン・サックス、マネックス証券などを経て、2014年5月より現職。著書に「日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?」(ダイヤモンド社、17年2月)など。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)


焦点:米株大幅安、調整入り不安も トランプ政策の綻び表面化
http://jp.reuters.com/article/markets-fret-trump-idJPKBN16T03R
焦点:期待の反動でドル/円急落、本格調整入りの分岐点に
http://jp.reuters.com/article/focus-dollar-yen-idJPKBN16U0ZK
コラム:トランプ政策とドル円、3つのシナリオ=門田真一郎氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-shinichiro-kadota-idJPKBN16Y0IJ
「トランプ政策迷走」だけでない、市場が慎重になる10の要因
http://jp.reuters.com/article/global-markets-volatility-idJPKBN16U07G
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-naoki-murakami-idJPKBN1790D6

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/746.html

[経世済民120] 金融庁の新行政手法、銀行は経営方針や人事への介入を警戒 景気一致指数上昇 1年後に物価「上がる」上昇 独景気明るい鉱工業
2017年4月7日 ロイター
金融庁の新行政手法、銀行は経営方針や人事への介入を警戒


4月6日、金融機関に対する検査・監督手法の改革に向けて、金融庁の有識者会議がまとめた報告書が波紋を広げている。2013年11月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 6日 ロイター] - 金融機関に対する検査・監督手法の改革に向けて、金融庁の有識者会議がまとめた報告書が波紋を広げている。報告書をもとに同庁が新体制に移行すれば、金融機関の将来の経営方針や人事に「介入」されるとの懸念が浮上しているためだ。行政の対応が過剰になる弊害を抑制するため、外部の有識者が金融行政を監視する必要があるとの指摘も出ている。

「お目付け役」の派遣おそれる銀行

 地銀などを中心に金融界では、ある疑念が浮上している。今回の報告書を受け、金融庁が検査・監督両局を統合すれば、金融機関の経営状態に応じてオフサイト(聞き取り調査)とオンサイト(立ち入り調査)を使い分けるようになり、「経営内容が厳しいところは、ビジネス・モデルや経営の選択肢について、オンサイトを中心にしてこれまで以上に追及される」(金融機関関係者)との思惑が出ている。

 ある地銀の幹部は「金融庁にされて一番困るのは、人事に口を出されること」と打ち明ける。検査局と監督局の組織の一体化で、人事への介入に警戒している。

 金融庁が顧客企業への人材紹介などによって官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)と密接に連携するよう、行政方針の中で金融機関に求めていることもあり、同地銀幹部は「地域の実情に必ずしも精通しているとは言えないREVICの人材を、金融庁が経営のお目付役として送り込んできたら大変なことになる」と話す。

 一方、金融庁は全く別の情勢認識をもとに組織改革に着手しようとしている。

 検査と監督を別組織にしたのは、金融庁の前身である旧金融監督庁が発足した1998年から。当時は、バブル崩壊の影響で金融機関の不良債権が膨張。不良債権の全体像は政府高官でも把握できていないと言われたため、検査官は「レントゲンのようになれと言われた」(元金融庁幹部)という。検査官が配慮を加えては、銀行の財務状況が正確につかめず、全容解明が頓挫してしまうからだ。

厳しいビジネス環境、変化意識する金融庁

 だが、約20年が経過して金融機関を取り巻く環境は激変した。人口減少の進展や超低金利政策の長期化、国際的な金融市場の急変リスクなど、預金を集めて企業に貸し出すだけの単純なビジネスモデルでは、経営が行き詰まるリスクが高まる。

 検査官は「金融機関の業績を分析し、経営陣と対話できる力が必要になった」(金融庁幹部)とされ、 2016年12月からコンサルタントや金融機関の経営者などさまざまな分野の専門家を講師に招き、検査官を対象にした集中的な研修を実施中だ。

 検査官の育成によって金融機関ヘのモニタリング業務の質を上げ、効率的な経営に結び付けようという「戦略」を金融庁は実行し始めたと言える。

 加えて金融庁が金融機関との対話ツールとして重視するのが、金融行政上の「プリンシプル(原則)」だ。

「プリンシプル」は、法律とは異なり、金融機関が守るべき事項を細かく規定せず、プリンシプルに従うかどうかは金融機関の裁量に委ねられる。従わない場合は、プリンシプルに掲げられた目標をどのように達成するのか説明が求められる。

 3月30日には金融機関が顧客本位の業務運営を行うために順守すべき原則を公表した。

第三者による行政監視が必要の声も

 しかし、法律家からはプリンシプルにもとづく行政に潜むリスクを懸念する声が出ている。

 西村あさひ法律事務所の有吉尚哉弁護士は、「顧客本位」、「投資家の利益」など、プリンシプルが掲げる抽象的な目標を達成するため、金融機関には創意工夫の余地があるが、同時に「指導する側も幅広い指摘ができることを意味する」と分析する。

 有吉弁護士は、金融庁が間違った方向に進んでいると判断した金融機関に対し、商品やサービスの販売対象や販売方法など、これまで以上に詳細な行政指導をする可能性もあると指摘。市場関係者や学識経験者などの第三者が、金融行政を注視する必要があると述べている。

(和田崇彦 取材協力:伊藤純夫 編集:田巻一彦、江本恵美)


 

2月の景気一致指数0.4ポイント上昇 3カ月ぶりプラス
2017/4/7 15:00
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 内閣府が7日発表した2月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.4ポイント上昇の115.5と3カ月ぶりにプラスに転じた。生産指数(鉱工業)や耐久消費財出荷指数などが改善した。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」で据え置いた。

 前月から比較可能な7指標のうち、生産指数(鉱工業)、耐久消費財出荷指数、鉱工業用生産財出荷指数の3つがプラスに寄与した。生産指数(鉱工業)では北米向けの乗用車や国内電力向けの蒸気タービンなどが好調だった。投資財出荷指数(輸送機械を除く)や有効求人倍率(学卒を除く)など4つはマイナスに働いた。

 数カ月先の景気を示す先行指数は0.5ポイント低下の104.4だった。下降は5カ月ぶり。新設住宅着工床面積などが悪化した。

 景気循環について、内閣府は景気の拡大や後退を判断する景気動向指数研究会の開催は決めておらず「今のところ景気の山を判断するような状況ではない」との認識を示している。第2次安倍晋三政権発足の12年12月以降から17年3月まで景気回復局面が続いているとの判断になれば、バブル経済期を抜き戦後3番目の長さとなる見通しだ。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL07HZW_X00C17A4000000/


 


 
1年後に物価「上がる」が67.0%に上昇、12月は64.7%=3月日銀調査

[東京 7日 ロイター] - 日銀が7日発表した3月の「生活意識に関するアンケート調査」(第69回)によると、1年後の物価について「上がる」との回答が67.0%となり、前回の昨年12月調査の64.7%から上昇した。「1年後の物価は現在と比べて何%程度変化すると思うか」との質問に対する回答では、平均値が3.5%上昇、中央値が2.0%上昇となった。

5年後については、「上がる」との回答が79.3%となり、前回調査の77.6%から上昇。毎年の変化率は平均値で3.4%上昇、中央値で2.0%上昇となった。

日銀は、2%の物価安定目標の実現には家計や企業などの期待の転換が重要と位置づけており、同アンケートなどによる家計の物価見通しの変化が注目されている。
http://jp.reuters.com/article/marboj-survey-idJPKBN1790GK

 


ドイツ:鉱工業生産、2月は予想外の増加−明るい景気見通し確認
Carolynn Look、Piotr Skolimowski
2017年4月7日 15:31 JST
ドイツの鉱工業生産は2月に予想に反して増加した。独経済の明るい見通しがあらためて確認された。
  独経済省が7日発表した2月の鉱工業生産指数(季節・インフレ調整済み)は前月比2.2%上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は0.2%低下だった。1月は2.2%上昇に改定された。2月は前年同月比では2.5%上昇。
  前日に発表された2月の独製造業受注も増加し、大幅減だった1月からの回復を示していた。
  経済省は電子メールで配布した声明で、「製造業セクターの生産は1−3月(第1四半期)に全体として極めて好調だった」とコメントした。
  2月は投資財が1.1%増、消費財が1.4%増、建設が13.6%増だった。
原題:German Industrial Production Unexpectedly Rises in February(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO10C96KLVRJ01

http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/747.html

[国際18] 情報BOX:米軍のシリア攻撃に対する米政界の反応  ポール上院議員(共和党)われわれの安全を高める何の役にも立ってない
情報BOX:米軍のシリア攻撃に対する米政界の反応
 
[6日 ロイター] - トランプ米大統領は6日、米軍にシリアのアサド政権軍の支配下にある空軍基地に対するミサイル攻撃を命令した。シリアで今週、化学兵器を使用した攻撃が同基地から行われたと断定した。

シリア攻撃に対する米政界の反応は以下の通り。

<ライアン下院議長(共和党)>

適切かつ当然の行動。

長年にわたるシリアの危機解決は複雑な課題だが、アサド大統領は責任を負う必要があり、大統領の支持者に対しても、方針を変更するよう説得しなければならない。

<コーカー上院外交委員長(共和党)>

自国民に対する恐ろしい犯罪について、逃げおおすことはできないとアサド大統領に知らしめることが不可欠であり、今回の措置は適切だ。

今後は政権が議会に諮り、米国民に戦略を余すところなく明確に伝えることが重要になる。

<シューマー上院民主党院内総務>

卑劣な残虐行為に対しては、代償を払う必要があるとアサド大統領に分からせることは正しい。

戦略を策定し、実施前に議会と協議することはトランプ政権の義務だ。

<カーディン上院議員(民主党)、外交委員会メンバー>

トランプ政権によるシリアでの長期もしくは大規模な軍事作戦については、議会との協議が必要になると強調したい。

立法府と米国民に、今回の行動の法的根拠、追加的な軍事行動、全体的なシリア政策について通知するのは大統領の責任だ。

<ポール上院議員(共和党)>

われわれは皆、シリアでの残虐行為を非難するが、米国は攻撃を受けていない。(トランプ)大統領は憲法の定め通り、軍事行動について議会の承認を得る必要がある。

適切な議論のため、議会に出向くことを大統領に求めたい。この地域に対するわが国のこれまでの介入は、われわれの安全を高める何の役にも立っておらず、シリアでもそれは変わらない。
http://jp.reuters.com/article/mideast-crisis-syria-instant-idJPKBN1790K5?sp=true


 


ロシア、シリア攻撃を非難=「米ロ関係に重大なダメージ」【4/7 15:46】
【モスクワ時事】ロシアのペスコフ大統領報道官は7日、「プーチン大統領は米国のシリア攻撃を主権国家に対する侵略と考えている」と非難、米ロ関係に「重大なダメージを与える」と述べた。インタファクス通信などが報じた。

ロシアはシリアのアサド政権を支持。プーチン大統領は化学兵器が使われたとみられるシリアでの攻撃についても「根拠のない非難は受け入れられない」と述べ、米欧の対ロ非難に反発していた。


シリア空軍基地を破壊=兵士ら6人死亡、米ミサイル攻撃―ロシア、「侵略」と非難【4/7 17:13】
【カイロ、ワシントン時事】米軍が現地時間の7日に実行したシリアのアサド政権軍に対する巡航ミサイル攻撃で、同国中部ホムス県のシャイラト空軍基地はほぼ完全に破壊され、シリア兵ら少なくとも6人が死亡した。アサド政権軍にとって重大な打撃で、同政権の後ろ盾であるロシアは「主権国家に対する侵略で、米ロ関係に重大なダメージを与える」と非難した。

2011年にシリア内戦が始まって以降、米軍がアサド政権を標的に攻撃したのは初めて。トランプ米政権下で改善に向かうとみられていた米ロ関係の緊迫化は避けられそうになく、内戦をめぐる混迷も一層深まりそうな情勢だ。

シャイラト空軍基地は、ロシア部隊も駐留する西部ラタキア県の基地に次ぐシリア空軍の重要拠点。米軍の攻撃により滑走路や燃料庫、防空システムが損壊した。兵士数十人が負傷したとの情報もあるが、ホムス県の知事は「人的被害は大きくない」との見方を示した。

米国は、アサド政権が4日、北西部イドリブ県で猛毒神経ガスのサリンと疑われる化学兵器を使用し、多数の民間人を殺害したと断定。今回の攻撃でシャイラト空軍基地に巡航ミサイル59発を撃ち込んだ。在英のシリア人権監視団は、信頼できる筋の話として、化学兵器攻撃を加えたとみられるアサド政権軍の戦闘機は、この基地から出撃していたと述べた。

トランプ米大統領は6日、米中首脳会談のため滞在しているフロリダ州で声明を読み上げ、「化学兵器の拡散と使用を防止することは、米国の安全保障にとって死活的に重要な利益だ」と説明した。


〔アジア外為〕軟調=米シリア攻撃で安全資産に買い(7日)【4/7 17:05】
【シンガポール・ロイターES=時事】7日のアジア外国為替市場は、一部の通貨がドルに対して売られている。米国のシリア攻撃を受けて、投資家が安全資産買いに動いていることが背景。

韓国ウォンは一時1140.0ウォンと、約3週間ぶり安値をつけた。その後持ち直し、直近では約0.1%安の1133.80ウォン。

台湾ドルは3週間ぶり安値の30.700台湾ドルをつけた。直近では、0.2%安の30.627台湾ドル。

他の通貨はほぼ横ばい。一方インド・ルピーは約20カ月ぶり高値をつけた。

インド準備銀行(中央銀行)は6日、予想通りレポレートを6.25%に据え置いた。一方、リバースレポレートを5.75%から6.00%に引き上げ、市場を驚かせた。過剰流動性の吸収を図るための措置とみられるが、中銀がインフレ高進を一段と警戒していることが示された。

0508GMT(日本時間午後2時8分)現在のアジア新興国通貨の対米ドル相場と前日比は以下の通り

円 110.52 +0.25%

シンガポール・ドル 1.4018 +0.02%

台湾ドル 30.627 −0.22%

韓国ウォン 1133.80 −0.05%

タイ・バーツ 34.61 −0.25%

フィリピン・ペソ 50.180 −0.01%

インドネシア・ルピア 13330 +0.02%

インド・ルピー 64.41 +0.18%

マレーシア・リンギ 4.4350 −0.00%

人民元 6.8996 −0.02%
 


http://fx.dmm.com/market/news/
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/853.html

[政治・選挙・NHK223] 医療費の自己負担割合を高くすると人々の健康状態はどうなるのか 消費増税「絶対必要」榊原会長 景気先行5カ月ぶり低下内閣府
【第11回】 2017年4月7日 中室牧子、津川友介
医療費の自己負担割合を高くすると人々の健康状態はどうなるのか

高齢化の影響で日本の医療費は年々高くなっており、近年、社会問題化になっている。この問題に対処する方法の1つとして、自己負担割合が低い高齢者に対して、優遇をやめて自己負担割合を若年者と同じレベルまで上げるべきという意見がある。その一方で、病気を持っていたり体の弱っている高齢者の自己負担割合を高くすることは、高齢者の健康にとってマイナスの影響があるのではないかと危惧する声も聞かれる。
どちらの意見が正しいのだろうか。『「原因と結果」の経済学』 の著者である中室牧子氏、津川友介氏によると、「この問題に白黒つけた研究が海外ではすでに存在している」という。詳細を聞いた。

医療費の自己負担割合が増えると
「健康」はどうなるか?

 日本では近年、医療費増大が社会問題となっている。2015年に日本が世界3位の高医療費国(対GDP比)になったというニュースを見て驚いた人も多いだろう。
 2017年2月現在、日本の医療費は、70歳未満は3割自己負担なのに対して、70〜74歳が2割負担、75歳以上が1割負担(ともに現役並み所得者は3割)となっており、高齢者のほうが自己負担割合が低くなっている。
 高齢者の自己負担割合がゼロだった1973〜1983年と比べたら世代間の差は小さくなっているものの、依然として若年層が覚える不公平感は強い。
 医療費高騰に対する危機感は日に日に強くなっている。これを受けて、高齢者の医療費の自己負担割合を引き上げるべきではないかという議論が盛んになっている。
 自己負担割合を引き上げることで、軽症にもかかわらず頻繁に病院に通うという「コンビニ受診」を抑制し、医療費を削減できるのではと期待されている。
 しかしその一方で、自己負担割合が高くなると、高齢者は支出を抑えるために病院に行くことを控えてしまうかもしれない。そうすると、病気の早期治療を逃し、高齢者の健康状態に悪影響を与えてしまうのではという懸念もある。もしそうであれば、発見が遅くなってから治療が開始されるので、医療費自体も逆に高くなってしまうという可能性もある。
 もし高齢者の健康状態に悪影響がないのであれば、自己負担割合を引き上げることで医療費を抑制するというのは合理的だ。しかし、悪影響があるのであれば、慎重に検討されるべきだろう。実際にはどちらなのだろうか。
 実はこの問いに答えを出した研究が存在している。それが「ランド医療保険実験」である。
 ハーバード大学の医療経済学者ジョセフ・ニューハウスらが、アメリカを代表するシンクタンクの1つであるランド研究所に勤務していたときに行った研究である。
 アメリカの6市に住む2750世帯を対象に1971〜1986年に実施された。現在の価値で3億ドル(約300億円)もの研究費を使った壮大な実験である。
 この研究のためだけに民間医療保険会社が設立され、研究の対象者は無料で医療保険に加入することができた。ただし、彼らはランダムに自己負担割合の異なる次の4つのグループに割り付けられた(ランダム化比較試験。第3回を参照)。

• グループ1 自己負担割合ゼロプラン
• グループ2 自己負担割合25%プラン
• グループ3 自己負担割合50%プラン
• グループ4 自己負担割合95%プラン

 自己負担割合がゼロのグループ1(「介入群」と呼ぶ)と、自己負担割合があるグループ2〜4(「対照群」と呼ぶ)にランダムに割り付けることによって、対象者は自己負担割合の有無を自分の意思で選択できなくなる。
 その結果、健康状態に影響を与えそうなほかの要素が似たもの同士になり、両者は「比較可能」になるのである。
 この状態で、健康状態の差を取れば、「医療費の自己負担割合」と「健康状態」の因果関係を明らかにすることができるというわけである。

ランド医療保険実験の結果
 早速、ランド医療保険実験の結果を見てみよう。まずは各グループがどれくらい医療費を使っただろうか。図表1のとおり、グループ1(自己負担割合ゼロ)の医療費が圧倒的に高い。

http://diamond.jp/mwimgs/2/c/-/img_2c5e44ff547df7f82462a7093c93f5b836765.jpg

 特にグループ4(自己負担割合95%)と比較すると、約30%もの差があった。つまり、医療費の自己負担割合が高くなれば、国全体で支払う医療費は減少すると考えられる。この研究の結果、医療費の自己負担額が10%上昇すると、住民が使用する医療費は約3%低くなることが明らかになった。
「コンビニ受診」についてはどうだろうか。図表2のとおり、同じくグループ1(自己負担割合ゼロ)とグループ4(自己負担割合95%)には外来受診回数に約30%もの差があった。

http://diamond.jp/mwimgs/a/3/-/img_a3adebae8e1062e74e8c22d5e964674736823.jpg

 つまり、医療費の自己負担割合が高くなると、人々は病院を受診したり入院したりする回数を減らすということがわかる。

自己負担割合を高くしても
貧困層以外の健康状態は変わらない

 ここまでは特に驚くに値しない。しかし、このランド医療保険実験が明らかにしたことはこれにとどまらない。なんと、医療費の自己負担割合と人々の健康状態のあいだには因果関係がないことを明らかにしたのだ。
 高血圧症などの30項目の健康指標において、グループ1(自己負担割合ゼロ)とグループ2〜4とのあいだには、統計的に有意な差は見られなかった(「統計的に有意な差」が見られないというのは、その差は偶然の範囲で説明できる差ということである)。
 つまり、医療費の自己負担割合が高くなっても、人々の健康状態の悪化にはつながらない。むしろ、医療費の自己負担割合の増加はコンビニ受診を防ぎ、国全体の医療費の抑制につながることが示されたのだ。
 しかし、注意すべきこともある。所得が低く健康状態の悪い人々に限ってみると、自己負担割合の増加は健康状態を悪化させることが確認されている。
 つまり、自己負担割合を上げることは、総じて見れば健康状態に悪影響はないものの、貧困層の健康状態に悪影響を及ぼすと考えられる。
 これはもちろんアメリカで行われた研究である。日本ではどうだろうか?日本ではもちろんこのような大規模な実験が行われたことはない。
 しかし、サイモンフレーザー大学の重岡仁氏が日本のデータを用いて行った観察研究 の結果によると、日本においてもやはり、自己負担割合が上昇しても死亡率には変化がないことが明らかになっている。
 財源は限られているので、医療費を抑制するために高齢者の自己負担割合を高くするというのは当然検討されるべき政策である。そして過去の研究結果から、自己負担割合の引き上げは、経済的に比較的余裕のある高齢者に関しては健康上のデメリットはないことが明らかになっている。
 その一方で、貧困層に限って言えば健康状態に悪影響があると考えられるため、医療費の自己負担割合を引き上げることが検討される場合には、経済的に余裕のない人たちに限って自己負担割合は無料にしたり、低く抑えるなどの手厚いセイフティーネットを維持する仕組みが必要であると考えられる。

参考文献
「日本の医療費は高額 新基準で世界3位─対GDP、OECDまとめ」『日本経済新聞電子版ニュース』2016年8月21日
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS18H1I_Y6A810C1SHA000/
Manning, W. G., Newhouse, J. P., Duan, N., Keeler, E. B., Leibowitz, A. and Marquis, M. S. (1987) Health Insurance and the Demand for Medical Care: Evidence from a Randomized Experiment, American Economic Review, 77 (3), 251-277.
Shigeoka, H. (2014) The Effect of Patient Cost Sharing on Utilization, Health, and Risk Protection, American Economic Review, 104 (7), 2152-84.

http://diamond.jp/articles/-/124035

 

消費増税、「絶対必要」=榊原氏が会長就任―財政審【4/7 14:46】
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は7日、総会を開き、会長に経団連の榊原定征会長が就任することを互選で決定した。榊原会長は総会後の記者会見で、2019年10月に予定される消費税率の引き上げに関し、財政健全化に向けて「絶対に必要だ」と強調した。

榊原氏は20年度に国・地方の基礎的財政収支を黒字化する政府の財政健全化目標について「簡単なターゲットではないと思うが、必ず実現していかなければならない」と表明。社会保障分野を中心に一段の歳出改革が不可欠との認識を示した。



シリア攻撃、党派超え賛否=議会関与求める声も―米【4/7 15:10】
【ワシントン時事】トランプ米大統領が化学兵器使用への対抗措置だとしてシリアの飛行場へのミサイル攻撃を命じたことに対し、米連邦議会では党派を超えて賛否が交錯した。今後の展開によっては議会の関与を求める声も強まりそうだ。

共和党きってのタカ派として知られるマケイン上院軍事委員長は6日、同僚のグラム上院議員と共同声明を発表。普段の辛口コメントは封印し、「大統領は(軍事介入をためらった)前政権と異なり、重要局面に向き合って行動を起こした。その点は米国民の支持に値する」と称賛した。

大統領選で共和党の指名を争ったルビオ上院議員は「何のとがめもなく戦争犯罪を犯せる日々は終わったことを明確にした」と大統領の決断を評価。民主党上院トップのシューマー院内総務も「見下げ果てた残虐行為を犯せば代償を払うことになると知らしめたことは正しい」と指摘した。

ただ、議会では異論も党派の垣根を越えて上がった。共和党のポール上院議員は「米国が攻撃されたわけではない。軍事行動を起こすなら議会の許可を得る必要がある」と苦言を呈し、民主党のリー下院議員も「これは戦争行為。議会での議論が必要だ」と歩調を合わせた。

情報提供:株式会社時事通信社株式会社時事通信社
http://fx.dmm.com/market/news/

Business | 2017年 04月 7日 14:40 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
2月景気動向指数、先行が5カ月ぶり低下 住宅減など響く=内閣府
[東京 7日 ロイター] - 内閣府が7日公表した2月の景気動向指数は、景気の先行きを示す先行指数が104.4となり前月比で0.5ポイント低下、5カ月ぶりのマイナスとなった。足元の景気を示す一致指数115.5で前月比0.4ポイント上昇し3カ月ぶりにプラスとなった。

先行指数は、構成する経済指標のうち、新設住宅着工床面積や鉱工業生産在庫率指数など6指標が悪化し、最終需要財在庫率指数など3指標が改善した。分譲住宅の減少や鉄鋼・金属製品の在庫増などが響いた。新規求人数や東証株価指数も悪化要因だった。

一致指数は、、鉱工業生産や耐久消費財出荷指数など3指標が改善、投資財出荷指数や有効求人倍率など4指標が悪化した。自動車やはん用機械、化学工業の生産増や自動車・二輪車の出荷が増える一方、資本財などは出荷が減少した。

一致指数から機械的に判断する景気の基調判断は「改善を示している」で据え置いた。

(竹本能文)
http://jp.reuters.com/article/feb-leadingeco-indx-idJPKBN1790L9

http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/700.html

[経世済民120] 景気拡大期間、バブル超え 52カ月到達、戦後3位に 中国経済人質「不動産バブル」1人も助からぬ バブル入社組を襲う恐怖の
景気拡大期間、バブル超え 52カ月到達、戦後3位に

2017年4月7日 18時21分


 第2次安倍政権が発足した2012年12月から続く景気拡大が今年3月で52カ月(4年4カ月)を迎え、1990年前後の「バブル景気」を抜いて戦後3位の長さに達することが確定的となった。内閣府は7日発表した2月の景気動向指数で「景気改善」の見方を維持し、3月以降も回復傾向が続く見込み。円安による企業収益の改善が支えているが、個人消費は置き去りで、家計には好景気の実感が乏しい状況だ。
 バブル景気は86年から91年にかけて51カ月続いた。最長記録は小泉政権時代の02年に始まり08年まで続いた73カ月。
(共同)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017040701001877.html

 

「中国人は1人も助からない」 不動産バブルがもし崩壊したら? =中国報道
2017-04-05 22:12

 日本の「失われた20年」という言葉は中国でも広く知られているが、これは日本がバブル崩壊によって経済成長を失ってしまったことを指す言葉だ。不良債権の処理など、バブルの清算には非常に長い年月と労力を費やすこととなったが、不動産バブルの存在が指摘されて久しい中国において、もしバブルが破裂したらどのような事態が起きるのだろうか。

 中国メディアの新浪は4日付で、中国不動産バブルが崩壊した場合の結果について考察する記事を掲載し、もしそうした事態が生じれば「中国人は1人も助からない」と論じている。

 中国では不動産価格が高騰しており、一般庶民にはなかなか手が出せない価格となっているが、記事は「中国不動産バブルが崩壊すれば、家が安く買えると喜ぶ人もいるかもしれない」と主張する一方、バブル崩壊による影響を受けない中国人は1人もいないと説明した。

 またその崩壊の恐ろしい結果として、まず失業率が大きく上昇することがあると説明。失業者が街にあふれれば社会不安につながるであろうことは容易に想像がつく。また不動産業には鉄鋼、セメント、コンクリート、ガラス、家電、家具、内装など様々な産業が直接的あるいは間接的に関わっており、不動産バブルが崩壊すれば多岐にわたる産業において給与の減少あるいは解雇が起きる可能性があることを指摘した。

 また中国も日本のように長年にわたる景気後退を迎えることにもなると説明、先進国である日本でさえその影響が長期間に及んだのであれば、都市化が40%に満たない段階の中国は「中所得国の罠」に陥り、不況は数十年に及ぶだろうと指摘した。

 さらに記事は、不動産バブル崩壊のあおりを受け、給与が減少あるいはリストラされる人が増えれば、住宅ローンが払えなくなる人も増え、結果的に不良債権が増加、そして株価も暴落することになると指摘し、結果として「われわれ中国人は1人も助からない」と結論付けた。

 北京などの都市部には不動産市場に関する「伝説」がある。過去に80万元(約1288万円)で買ったマンションがその後800万元(約1億2880万円)になったという話や、商売に失敗して200万元(約3221万円)もの資金を失ったものの、かつて100万元(約1610万円)で購入していた不動産に1000万元(約1億6100万円)以上の値が付いたためにビジネス上の損失を埋め合わせることができたという話だ。確かに中国の不動産バブルの恩恵を受けた人も数多く存在するであろうが、仮に中国の不動産バブルが崩壊することになれば、これとは全く違う種類の伝説が世界中で語り継がれることになるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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http://news.searchina.net/id/1632973?page=1


 


2017.4.6 11:00
【石平のChina Watch】中国経済を人質にとった「不動産バブル」 中国政府はなぜ「毒薬」を飲み続けなければならないのか?


北京の人民大会堂で、全人代の閉幕式に出席した習近平国家主席(手前中央)ら。経済問題にも頭が痛い=3月15日(共同)
 中国では以前から、不動産バブルの崩壊を憂慮し、Xデーの到来に戦々恐々としている人が多い一方で、「バブルがなかなか崩壊しない」という現実を逆に危惧してやまない声もある。

 いわゆる「不動産バブルによる中国経済の人質論」というものだ。例えば、昨年9月15日付の中国青年報に、社会科学院の魯洲研究員が登場して、「不動産市場は中国の実体経済を確実に人質に取ってしまった」と論じたのが一例である。あるいは今年3月に、香港環球経済通信社の首席経済学者である江濡山氏が「不動産は経済だけでなく政府と民衆をも人質に取った」と訴えている。

 「不動産が中国経済を人質にとってダメにした」という彼らの論調の根拠は、バブルが膨らんできている中で、中国経済に占める不動産業と不動産投資の比重が、あまりにも大きくなりすぎたということである。

 2016年、中国の国内総生産(GDP)に占める不動産投資額の比率は何と23・7%(国際通貨基金試算)に上っている。日本の場合、同じ16年における不動産投資の総額はせいぜい4兆円程度で、GDPの1%にも満たない。この対比から見ても、中国における不動産業の異常な肥大さがよく分かる。

 不動産業がそこまで肥大化してしまうと、それが伝統的な製造業やIT産業などの新興産業の生存と発展の余地を奪ってしまう。問題をさらに深刻化させているのは、産業の「血液」ともいうべき銀行からの融資も、もっぱら、不動産市場へと流れていくことである。

 2016年、中国全国の金融機関から企業や個人に貸し出された新規融資の総額は12・65兆元(約200兆円)であるが、そのうち、個人向け不動産ローンへの貸し出しは5・68兆元で全体の45%にも上っている。当然、どの産業分野に対する融資よりも圧倒的に高い数字である。

 つまり今の中国では、銀行の融資という産業の発展にとって最も重要な資源が産業にではなく、個人の不動産購入に集中的に費やされているのだ。そのことは逆に、本来なら国民経済の基幹であるもろもろの産業に対する金融支援が徹底的に細くなっていることを意味する。

 しかも、産業部門への銀行融資の大半は、政府が守らなければならない伝統的国有大企業に集中しているから、経済の活力となるべき民間企業や経済の未来を担うべき新興産業には新規融資がほとんど流れていかない。

 不動産業や不動産市場への銀行融資の集中は結局、中国の産業全体をダメにし、中国経済発展の未来を奪うこととなっているのだ。上述の経済学者たちが語る「不動産による中国経済人質論」の真意はまさにここにある。

 もちろん、この程度のことなら、当の中国政府は百も承知のはずだ。問題は、政府が知っていながら、このような状況を変えることもできない点にある。

 もし政府が金融支援を実体経済に向かわせるために不動産市場への融資を制限するようなことをしたら、結果的に不動産の買い手が急速に減少し、不動産価格の暴落、すなわち「不動産バブルの崩壊」は目の前の現実となる。しかしそれはまた、中国経済の破滅を意味する悪夢のような展開であろう。

 つまり中国政府が金融支援で不動産バブルを維持するようなことは「毒薬を飲む」のと同じことだと分かっていながら、当面の中国経済の延命のために、それを飲み続けなければならないのだ。

 その結果、中国政府は結局、バブルの崩壊による「ショック死」よりも、「毒薬」を飲み続けることによっての「慢性自殺」を選ぶことにもなりかねない。中国経済にはやはり、未来はない。

                   ◇

【プロフィル】石平

 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
http://www.sankei.com/column/news/170406/clm1704060006-n1.html

 


IT業界のバブル入社組を襲う恐怖の役職定年
池上 俊也=ITpro 2017/04/06 ITpro
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 一定の年齢に達すると役職を外され、実質的な給与ダウンとなる「役職定年」。IT業界でも導入が進んでいるが、一方で現場をリードしてきた50代の管理職が翻弄されている。モチベーションが下がり、長年勤めた会社を去るケースも。50代を襲う“恐怖の役職定年”を探った。

IT業界は他業界に比べて導入率が高い

 厚生労働省の「退職金、年金及び定年制事情調査」や、経団連の「中高齢従業員の活躍推進に関するアンケート調査結果」によると、役職定年を導入している企業は約50%に上る。従業員数が増えるほど割合は高く、中小企業の導入は少ない。ただし、導入していない理由は「後任者がいない」「業務への影響大」など、中高齢従業員が活躍する場が存在する企業に限られているようだ。

 IT業界はさらに導入率が高いと見られる。多くの企業は非公表だが、NECやNTTデータ、富士通など大手ITベンダーで役職定年を採用している。ほとんどの場合が、50代の管理職を対象にした制度だ。

 実際、IT企業のクライアントが多い社会保険労務士事務所・SRO労働法務コンサルティングの杉本一裕氏は「お付き合いのあるIT関連企業の大半が役職定年制を導入している。他の業界よりも多くなっている。資格や役割グレードといった等級を下げることで役職を下げ、給与減を行っている」と説明する。

バブル入社の中高齢従業員を総攻撃

 杉本氏によると、役職定年を導入するメリットは企業にとって極めて大きい。「定量的には人件費の抑制がメリット。そして(ポストが空かないという)人事の渋滞解消と、昇格登用による次世代社員のモチベーションの引き上げにつながる」(杉本氏)。言い換えれば、役職定年は企業と次世代社員のためのもの。役職定年対象となる50代は、いわゆるバブル時代に大量入社した世代。彼らを会社と次世代社員が“総攻撃”している構図のようだ。

 杉本氏は一方で、役職定年のデメリットをこう指摘する。「一番大きなデメリットは、役職定年者、つまり高年齢者層のモチベーションの低下。個人差はあるが、現実に起こっている。これは企業全体から見て生産性・効率性の低下につながる」(杉本氏)。

 杉本氏はさらに「やる気をなくした社員は扱いにくい」とも指摘。組織の雰囲気を悪くする可能性が大きいという。企業には年金の支給開始年齢と連動して65歳までの雇用義務がある。「今後、高年齢者層が増えることでデメリットが顕著に表れてくるだろう」と杉本氏は警鐘を鳴らす。

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役職定年を理由に「退職」を迫るブラック企業も
 

 モチベーションの下がった役職定年者を社内に置くデメリットを解消するためか、違法同然の役職定年もIT業界にはまかり通っている。2017年3月31日付で役職定年で退職した元エンジニア・Aさん(仮名)に取材ができた。

 Aさんが勤務しいたITベンダーには、部長以上の社員が53歳になると強制的に「辞表」を提出させられる役職定年があるという。退職強要に当たる可能性が高いが、Aさんは「会社の決まりだから仕方がない」と悔しさをにじませる。

 53歳で部長職だったAさんは2017年3月31日、約30年勤めた同社を退職した。まだまだやれる自信はあった。IT技術者として開発現場で鍛えられ、技術力とリーダーシップを発揮して着実に昇格していった。全社標準の整備にもかかわるなど、組織全体の技術力向上にも貢献した。にもかかわらず、「53歳」を理由に会社を去る羽目に。グループ会社への再就職を目指したが、面接官からは「稼げないエンジニアは不要」とバッサリ。結局、社外のベンチャー企業に転職した。

 このケースの問題は、役職定年と称して会社側が「辞表」の提出を求めたことだ。しかもAさんが出席した説明会では「○○○○○の都合により」と書かれたた部分が、実際に配布された辞表のテンプレートには「一身上の都合により」となっていた。会社側が自己都合と主張するための対応と見られるが、前出・杉本氏は「事実だとしたら退職強要に当たる。違反、ブラックな状態だ」と指摘する。筆者はこの会社に事実確認を求めたが「ノーコメント」だった。

 もっとも、当のAさんは4月からの新たな出発を楽しみにしているようだ。「規模が小さい会社なので、いろんな挑戦ができる。やりたいことにどんどんチャレンジしたい」(Aさん)と前向きだ。筆者は間違いなく新しい会社でも活躍できると感じた一方、優秀な人材が流出していく企業の末路を危惧した。

 50代にとっては、まさに恐怖の役職定年だ。新たな活躍の場を自ら見つけられなければ、人生そのものの輝きを失いかねない。転職や起業、学生にまで転じるケースもある。会社側と次世代社員から総攻撃を受けている以上、会社側に高年齢層が活躍する場を求めるのは難しいかもしれない。

 ちなみに日本IBMには、役職定年がない。代わりにあるのは「早期定年」と呼ぶ制度だ。これは、勤続5年以上の50代を対象に、定年年齢を前倒しできるもの。これは一例だが、企業側は強制的に役職を外して給与ダウンしたり、退職を強引に迫ったりせず、これまで会社を支えてきたベテラン社員に敬意を払い、社内外を含めたキャリア形成の支援が求められるだろう。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/watcher/14/334361/032900812/?P=2
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/751.html

[経世済民120] 緩和強める状況でなくなった、今は極端な円高でない=浜田参与 アベノミクス成功 ロシア・ルーブル急落 原油急上昇 不確実性
緩和強める状況でなくなった、今は極端な円高でない=浜田参与

[東京 7日 ロイター] - 安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授はロイターとのインタビューで、雇用情勢の改善などアベノミクスは好調とし、物価上昇は鈍いものの、日銀がさらに金融緩和を強化する状況ではなくなった、との認識を示した。

浜田参与は、景気回復が持続し、2月の完全失業率が2.8%と22年ぶりの水準に低下するなど雇用も改善が続いており、「アベノミクスは物価目標以外はうまくいっている」との認識を示した。

消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は2月に0.2%上昇と2カ月連続のプラスとなったが、物価2%目標にはほど遠い状況。

それでも、雇用情勢がひっ迫する中で、業種によっては賃上げの動きも目立ち始めるなど「経済はインフレ方向に少しずつかじを切っているのではないか」とし、「金融政策が、これ以上アクセルを踏む状況ではなくなった」と語った。

そのうえで「完全雇用で生産が好調であれば、もはや物価は根本的な目的ではない」と言明。物価目標の実現は「第1の経済目的ではなく、国民生活により重要な雇用と生産を高めるためのあくまで2次的な目標」と位置づけた。

日銀が推進するイールドカーブ・コントロール(YCC)政策では、物価目標達成前に現行の長短金利の目標を引き上げることも可能だが「引き上げのタイミングは難しい」とし、利上げは経済が過熱する局面で検討されるべき、との見解を示した。

トランプ米政権への政策期待のはく落などを背景に、足元で為替相場が円高気味に推移していることについては「今の110円強くらいは、日本のビジネスにとって、それほど極端な円高ではない」との認識を示した。

<日米経済対話、自動車・農業も議論に>

トランプ政権は、日本や中国などとの二国間における貿易不均衡の是正に強い意欲を示している。

浜田氏は、こうした米政権の姿勢を「国際貿易論の基本を全く理解していない」と批判しながら、4月中旬の日米経済対話では米国が重視する自動車や農業分野が議論になるのは「当然」と指摘。「お互いがウィンウィンとなる条件は何か、そういう交渉は当然あるだろう」と語った。

貿易問題を巡っては、かつてトランプ氏が円安批判をしたことがあるが「日本は為替市場介入もしていないし、為替操作をしていない」と述べ、そうしたことを日本政府として「強く主張すべき」と訴えた。

*インタビューは、6日に行いました。

(伊藤純夫 金子かおり 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/abe-hamada-idJPKBN1790VT


 

 
配信日:2017年4月7日

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緊急レポートPART2 不確実性との付き合い方

「耳のある者は聞きなさい」と聖書にあるが、「聞く気のある者」だけが聞くのである。(イーヴァル・エクランド『偶然とは何か ー 北欧神話で読む現代数学理論全6章』)

昨日のレポートのフォローアップ
昨日、緊急レポートを出した。主旨は、北朝鮮リスクが高まっているので、売れるものは売ってキャッシュポジションを高めておくにこしたことはない、というものであった。

ところが例によってツイッターをはじめネットの世界では、僕のレポートに対する批判や悪口、揶揄などが散見された。批判を集約すると、「4月から5月にかけて好業績を織り込めば日経平均は2万円などと吹聴していたくせに、いまさら売れとはどういうことだ!」という怒りの声が多い。どうにも、いいたいことが伝わらないもどかしさがある。

これまで何度も「期待値」で判断するということを述べてきた。相場シナリオの予想に賭けるのではなく、各シナリオの生起確率とそのシナリオが起きたときのリターンを掛け合わせて、「期待値」がプラスなものに賭けることを繰り返せば長い目でみて成功する可能性が高い。

昨日のレポートでは、「株が下がるから売るべきだ」とは一言も述べていない。「株が下がる可能性が高い」とも言っていない。万が一のことが(朝鮮半島の有事を想定)起きた場合は半端な下げにとどまらない。暴落となる危険性がある。そのようなリスクが高い状況ではポジションを落とすなりヘッジをするなり、エクポージャーを下げることが賢明だと述べたのである。

相場の先行きについては決算発表で好業績を織り込んで日経平均は2万円をつけるだろう、というのがメインシナリオで変わらない。だが、(くどいですけど、当たり前ですけど)メインシナリオは「絶対起きる」シナリオではなく、いくつかある可能性のひとつでしかない。真に「Most Likely」シナリオであるかさえ定かではなく、僕が主観的に割り振った確率がもっとも高いシナリオでしかない。

それに対して朝鮮半島の有事が起きる確率というのは低いだろう(と僕の主観はとらえている)。しかし、確率の低いそのシナリオが起きた時には大惨事となる。だったら、どういう投資行動、どういうポジション調整をするのが賢明ですか?という話である。

フランク・ナイトの不確実性
前段で「期待値」とか生起確率とか述べたが、そもそもその「生起確率」がわからない。では何もしようがないのか。そうではない。昨年6月、英国の国民投票を前に書いたレポートを引用するのでご一読いただきたい。

<ギャンブルの定義を、「期待値がマイナスなものに賭けること」としてきた。世論調査の結果も当てにはならない。そうなると、そもそも確率を合理的に見積もることができないのだから、「期待値」をはじきようがない。サイコロの丁半博打やコイントスなら(いかさまがなければ)確率は5分5分なのでまだ賭けようがあるが、Brexit のYes/No に賭けるのは丁半博打より難しい。

それでも賭けようがないわけではない。「賭ける」というのは一種の意思決定であり、われわれは意思決定をするときに理論的・客観的な根拠を必要とする - と思い込みがちである。しかし、意思決定の理論は、未来の出来事に確率を割り振るとき客観的な根拠を要求してはいない。当たり前だが、確率が主観的でも意思決定はできる。フランク・ナイトの定義する「不確実性」と「リスク」の話だ。

ナイトの言う「リスク」とは確率計算である程度予想できるものであり、それに対してまったく予想もつかないものを「不確実性」とナイトは定義した。世の中一般的には「不確実性」を忌み嫌う傾向があるが、賭け、あるいはギャンブルとは、この「不確実性」というほうのリスクを厭わずとるという行為に他ならない。>
(2016年6月21日付ストラテジーレポート)

フランク・ナイトの不確実性の話は何度も書いてきたけど、これも読者にじゅうぶん伝わっているか確信が持てないでいた。そんななか、密かに私淑している小幡績・慶應義塾大学准教授がナイトの不確実性について書いている文章を読んで、僕自身本当に腹に落ちたので紹介したい。

<ナイトの不確実性とは、一般のリスクと異なり、確率分布を描けない不確実性のことだ。だから、平均や分散はもちろん計算できないし、何が起こるか、分布の範囲ですらわからない。分布しているかどうかもわからない。一度限りのものであるから、経験則も成り立たない。そういう不確実性である。

したがって、いわゆる金融危機後(リーマンショック後)は、リーマンショックは想定外で、ナイトの不確実性だといわれたり、2011年の震災や津波も原発事故も想定外でナイトだと言われた。

しかし、ナイトの不確実性とは想定外という意味では全くない。もともと確率分布が描けないのだから、何が起きてもある意味、想定内である。想定外が起こることこそ想定内だからこそナイトの不確実性なのである。>
(小幡績「新・経済発展理論体系(4)経済発展のエンジンである新結合の源泉は何か?」)

何が起きても、想定内である。想定外が起こることこそ想定内なのだ。

朝鮮半島で、中東で、フランスで、世界の至る所で、「想定外」は起こり得る。それを想定して投資行動をとるべきである。

今後の展開
売れるものは売るべき、と述べたが、実際に何を売るかはひとそれぞれであろう。デリバティブが使える投資家なら先物なりオプションなりでヘッジすればよい。インバース型のETFを買ってもいい。実際にポートフォリオの銘柄を売却するのがもっとも基本的な投資行動だ。全部売らないまでも、株数を半分に減らすとか3分の1にするとか。儲かっているとか含み損があるとかは関係なく、買い戻すことも想定して流動性を第一に考えたい。その意味ではインデックス・ファンドで株式のエクスポージャーを持っているひとは個別銘柄は置いておいて、まずインデックス・ファンドのポジションを落としてはどうだろう(僕自身はこのパターン)。

今後を展望すると、地政学的リスクの高まりやFRBのバランスシート縮小議論など不透明材料が多いなかで来週末はイースターのグッドフライデーで海外市場の多くは休場、欧米投資家はイースター休暇に入る。そのロング・ウィークエンドのど真ん中、15日(土)は金日成生誕105周年で軍事パレードがあるとみられている。それに合わせたミサイル発射も十分可能性があり有事勃発のリスクが高い。

自分がトレーダーやファンドマネージャーで巨額のポジションを管理する立場だったらどうするか?イースター休暇前にはポジションを落とすなり、ヘッジをかけるなりするだろう。こんな局面で無理に勝負にはいかない。よって、下値を無理に売り込むような動きにはならないと思うが、そうした売り圧力で上値は重いだろう。今晩の雇用統計を確認したあとは、すでにポジション調整の動きが出始めると思う。
https://info.monex.co.jp/report/strategy/index.html


 

原油先物が一時2%超上昇、米軍のシリア攻撃で

[シンガポール 7日 ロイター] - 米軍によるシリア空軍基地へのミサイル攻撃を受け、原油先物が一時2%超上昇し1カ月ぶり高値をつけた。ただ、その後は供給への直接的影響はないとの見方から伸び悩んでいる。

北海ブレント先物LCOc1は攻撃の報道に反応し一時1バレル=56.08ドルに急伸。その後上昇は縮小し、0623GMT(日本時間午後3時23分)時点では1.1%高の55.51ドルで推移している。

WTI先物CLc1も一時2%超の上昇となり52.94ドルまで上昇した後、1.26%高の52.35ドルに伸び悩んだ。

どちらも3月以来の高値を更新した。
http://jp.reuters.com/article/global-oil-idJPKBN179082

 


ロシア・ルーブル急落−米国のシリア空爆が米ロ関係改善期待に冷や水
Ksenia Galouchko、Olga Voitova
2017年4月7日 17:10 JST

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7日のロシア金融市場で、通貨ルーブルが急落。国債利回りは上昇した。米国のシリア空爆がトランプ新政権下での米ロ関係改善への期待に冷や水を浴びせた。
  モスクワ市場の取引開始時にルーブルは対ドルで前日比1.1%安と、約1カ月ぶりの大幅下落。ロシアのプーチン大統領は米国の攻撃は侵略だと断定、米ロ関係にダメージを与えると言明した。ルーブル建て国債の利回りは、2月以来の大きな上昇。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i2aDglhi375U/v2/-1x-1.png

原題:Ruble Tumbles After U.S. Syria Strikes as Politics Eclipse Carry(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO14SM6JTSE801


 
 
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/760.html

[政治・選挙・NHK223] 個人の景況感「暮らしにゆとり」増加3月日銀調査 倒産50年ぶり低水準 静岡人口70万割、政令市で初 米雇用増、失業率低下
個人の景況感「暮らしにゆとり」増加 3月日銀調査
2017/4/7 20:02
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 日銀が7日発表した3月の「生活意識に関するアンケート調査」は個人の景況感が改善したことを示した。足元の暮らし向きについて「ゆとりが出てきた」との回答割合から「ゆとりがなくなってきた」を引いた暮らし向き指数(DI)は前回調査(2016年12月)から5.9ポイント改善し、マイナス32.4となった。

 雇用環境や所得が改善していることに加え、葉物野菜など生活のなかで意識されやすい食品価格の高騰が一服したことが影響したとみられる。1年先の物価上昇率の見通しは中央値が2.0%で前回から横ばいだった。

 日銀が2月8日から3月6日にかけて全国4千人を対象に調査し、2174人から回答を得た。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC07H2Y_X00C17A4EA4000/

 

 
静岡市、推計人口70万割れ 政令市で初か
2017/4/7 21:05
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 静岡市の推計人口(4月1日現在)が69万9421人となったことが7日、分かった。若者の流出が主な要因で、20の政令指定都市で70万人を割るのは初めてとみられる。静岡市が政令市に移行した当時の人口要件は70万人だったが、総務省によると、人口減少で指定を取り消す規定はないという。

 静岡市によると、18〜22歳の人口減が目立ち、進学や就職で首都圏に転出したのが原因とみられる。静岡市に次いで人口が少ないのは岡山、相模原両市で3月1日現在の推計人口は約72万人。

 政令市の人口要件は「人口100万人」または「近い将来100万人になる見込み」とされる。静岡市が政令市に移行したのは2005年4月で、01〜10年は市町村合併を支援するため「70万人」に緩和されていた。

 静岡市は県外の大学に進学した学生に新幹線の定期代を補助するほか、東京都内に開設した移住支援センターで希望者の相談を受け付けるなどの人口減少対策を進めている。田辺信宏市長は3月30日の記者会見で「一時的に70万人を切ってしまうのは仕方がない。25年には70万人にしたい」と話した。〔共同〕

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG07HDW_X00C17A4000000/

 

倒産50年ぶり低水準、16年度 九州・沖縄
2017/4/7 21:30
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 東京商工リサーチ福岡支社が7日発表した2016年度の九州・沖縄の企業倒産状況(負債総額1千万円以上)によると、倒産件数は13.6%減の605件と5年連続で減り、1966年度以来50年ぶりの低水準だった。中小企業向け融資が積極的に行われていることや熊本地震における金融支援などが倒産抑制につながった。

 負債総額は6.4%減の1169億6900万円だった。業種別では卸売業が51件減り65件となり、過去40年間で初めて100件を下回った。建設業も34件減って124件となり、過去40年間で最少だった。

 帝国データバンク福岡支店が同日まとめた16年度の九州・沖縄の倒産件数(法的整理のみ)は、件数・負債ともに5年連続の減少。件数は13.8%減の549件、負債は1.8%減の1133億6500万円だった。熊本地震の関連倒産は10件。このうち6件は建物や設備に被害が生じ、事業継続が困難になった直接被害による倒産だった。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASJC07H6L_X00C17A4LX0000/

 

米雇用統計、3月9.8万人増 失業率は4.5%に低下
2017/4/7 21:34
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 【ワシントン=長沼亜紀】米労働省が7日発表した3月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数が前月比で9万8千人増えた。増加幅は市場予測(18万人程度)を大幅に下回り、昨年5月以来10カ月ぶりの低水準となった。失業率は4.5%で前月より0.2ポイント低下し、2007年5月以来9年10カ月ぶりの低水準となった。

 1月の増加幅は23万8千人増と2万2千人下方修正され、2月の増加幅も21万9千人増と1万6千人下方修正された。直近3カ月は月平均17万8千人増となり、好調の目安とされる20万人を割り込んだ。

 3月は専門・ビジネスサービスや鉱業部門で雇用が増えたが、小売業が3万人雇用を減らした。

 3月の平均時給は26.14ドルで前年同月比2.7%増えた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN07H2X_X00C17A4000000/


http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/709.html

[国際18] ギリシャ支援、追加改革策大筋合意ユーロ圏財務相会合 英製造建設縮小 英住宅4年ぶり低い トランプ相場の終わりデータ(上)
ギリシャ支援、追加改革策大筋合意
ユーロ圏財務相会合

2017/4/7 21:24
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 【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)は7日、地中海の島国マルタでユーロ圏財務相会合を開き、7月に巨額の債務返済を控えるギリシャへの支援融資を再開させる交渉を加速させる方針で一致した。会合ではギリシャと債権団が融資再開の条件である年金削減など追加財政改革で大筋合意。会合終了後に記者会見したデイセルブルム議長(オランダ財務相)はギリシャ危機再燃の回避へ「大きな進展だ」と語った。

 ギリシャは金融支援の見返りに実行する改革策を巡って、EUや国際通貨基金(IMF)など債権団との交渉が難航し、追加融資が凍結されている。7月には72億ユーロ(約8500億円)の国債償還を控える。このまま融資凍結が長引けば、2015年夏のギリシャ危機が再燃するとの懸念もくすぶり出している。

 この日の会合では債権団とギリシャ政府が交渉の最大の難所となっていた追加財政改革策で大筋合意した。19年と20年に実施する年金削減や課税対象年収の引き下げなどが柱で、同国の国内総生産(GDP)の2%に相当する。改革実行の代わりに、ギリシャには財政拡大策の導入を一部認め、「財政緊縮」の要求は軟化させた。

 交渉の「難所」を乗り越えたことで、ギリシャの追加融資へ大きく前進した格好だが、危機回避にはなおハードルも残る。最大の課題はIMFのギリシャ支援融資への復帰だ。

 IMFは15年夏にまとめた現行の第3次金融支援に基づく融資への参加を見送っている。復帰の条件として、財政改革に加えて抜本的なギリシャの債務軽減策もユーロ圏側に求めている。一方、ドイツやオランダはギリシャへの追加融資を認める「必須条件」としてIMFの融資復帰を位置づける半面、さらなる債務軽減には慎重だ。

 今後、債権団は今回の大筋合意を踏まえて、ギリシャ追加融資の承認の条件となる包括的な財政改革策をまとめた「事務レベル合意」を目指す。デイセルブルム議長は「事務レベル合意が成立した後に、我々はギリシャの中期的な財政再建の道筋や債務の持続可能性の問題の協議に入る」と語った。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07HC2_X00C17A4000000/

 
英国:製造業と建設業、2月は予想に反し縮小−減速の兆候増える
Lucy Meakin
2017年4月7日 19:57 JST

天候要因で鉱工業生産が落ち込む
貿易赤字は拡大、1−3月成長への貢献望めず

英国では2月に製造業と建設業の活動が予想に反して縮小した。1−3月(第1四半期)に同国経済が勢いを失った兆候が増えた。
  英政府統計局(ONS)が7日発表した2月の製造業生産指数は前月比0.1%低下。エコノミスト予想は0.3%上昇だった。鉱工業生産生産指数は0.7%低下した。季節外れの暖かさでエネルギー需要が減少したためだ。建設業は1.7%低下と、約1年ぶりの大きな落ち込みを記録。エコノミストらは0.1%上昇を見込んでいた。
  鉱工業生産と建設業は依然として1−3月期の成長に幾分プラス寄与する公算が大きいものの、昨年10−12月(第4四半期)の景気拡大のけん引役だった貿易は貢献しない見通しだ。
  2月の貿易赤字は36億6000万ポンド(約5030億円)に拡大。輸出が前月比0.1%減った一方、輸入は1.2%増えた。
  インフレ加速で消費者の購買力が低下するとともに、いよいよ始まる欧州連合(EU)離脱交渉が投資見通しを曇らせ、英経済を巡る状況は悪化している。イングランド銀行(英中銀)金融政策委員会(MPC)のブリハ委員は今週、過去最低にとどまっている政策金利の引き上げを急がない考えを示唆した。
原題:U.K. Manufacturing, Construction Point to Loss of Momentum(抜粋)
U.K. Feb. Industrial Output Falls 0.7% M/m; Med. Est. 0.2% Rise(抜粋)U.K. Feb. Construction Output Falls 1.7% M/m; Est. +0.1%(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO1B8Q6S972A01


 

 

英住宅価格:1−3月は4年ぶり低い伸びにとどまる−ハリファクス
Fergal O'Brien
2017年4月7日 18:08 JST

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• 前年同期比3.8%上昇、2013年3−5月以来の低さ
• 3月の住宅価格は前月から変わらず

英国では1−3月の住宅価格の伸びが4年ぶりの低さにとどまった。英銀ロイズ・バンキング・グループの住宅金融部門ハリファクスが明らかにした。
  7日発表によると、1−3月の住宅価格は前年同期比で3.8%上昇。これは2013年3−5月以来の低い伸び。わずか1年前に記録したピークの10%の半分にも届かなかった。3月の住宅価格は前月比では横ばいで、21万9755ポンド(約3020万円)となった。
  ハリファクスは、賃金が伸び悩んだ中での近年の住宅価格の大幅上昇で、住宅所有まで手が届きにくくなり、これが需要を抑制していると説明。ただ、売り出し物件不足が英国では問題となっており、これが住宅価格を支える要因になっているとも指摘した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ieOn_Ovl4aK8/v2/-1x-1.png

原題:U.K. House-Price Growth Slows to Weakest in Almost Four Years(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO16SE6JTSE801

 

【米国ウオッチ】「トランプ相場」の終わりを告げる核心データ (上)
Tsuneo Yamahiro
2017年4月5日 06:44 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/izVUCO1xngEQ/v2/-1x-1.png

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• トランプ大統領とともに上昇してきたISM景況指数が下げに転換
• 現下の好況は90年代の景気拡大期における最終局面と相似形

データ分析の天才とうたわれたグリーンスパン第13代米連邦準備制度理事会(FRB)議長が最も重視した統計の一つである米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数は、3月に7カ月ぶりに下げに転じた。それでも同指数がなお57.2(50が活動の拡大と縮小の分岐点)と高い位置にあるため、市場では製造業の回復に変化はないとの楽観が優勢だが、皆が変化に気付いたときにはすでに手遅れになる。
  この一見すると小さな変化は、大きな変動の予兆かもしれない。ISM製造業総合景況指数が上昇に転じたのは昨年9月だった。前の月の縮小圏から一気に51.7と、拡大圏に浮上していた。10月は52.0と小幅上昇にとどまったが、トランプ氏が大統領選挙に勝利した11月には53.5と伸びが加速している。

グリーンスパン元FRB議長
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg *** Local Caption *** Alan Greenspan
  さらに12月54.5、1月56.0、2月57.7と強い伸びを記録。つれて株式相場やドル相場が力強く上昇するにおよび、市場では「トランプ相場」なるフレーズが錦の御旗となり、米金融当局の利上げ再開を難なくこなして一段高へと突き進んだ。しかし「トランプ相場」は夢を追った側面が強く、1月20日にトランプ第45代米国大統領が正式に就任するとともに、懐疑が頭をもたげてきた。世界最大の投資信託会社、米バンガード・グループは「株式市場はシュガーハイ(砂糖の過剰摂取による興奮状態)に陥っている恐れがある」と警戒し始めた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iIEmN9Jw8jzs/v2/-1x-1.png

  こうした慎重な見方を背景に、ニューヨーク株式市場のS&P500種株価指数は3月1日に史上最高値を付けた後には勢いを失い、ISM製造業総合景況指数が低下に転じたことと符節を合わせている。そもそも「トランプ相場」なるものは、2009年6月を谷とする今回の景気拡大期で最後の上昇局面と重なって、都合良く調理された可能性が高い。
  選挙中は「現行体制の破壊」を唱えてきたトランプ候補が有利になるのは悪材料として、市場では扱われていた。実際、11月8日にトランプ候補の勝利が伝わるとまず、市場は売りで反応した。その後、トランプ勝利が買い材料へと転換するまで時間はかからなかった。実体経済が上昇局面に向かう中で、トランプ大統領の政策が景気拡大を加速するという大きな夢に市場の期待は膨らんだものだ。
  オバマ第44代大統領が2009年の就任早々に導入した約1兆ドルにも上る史上最大規模の景気刺激策で米国が強くなるどころか、低成長軌道に移行し、インフラは一段と悪化したことを忘れてはならない。トランプ大統領はインフラ投資でその尻ぬぐいに動くようなものだ。これは失敗を重ねるだけだ。そもそも、インフラ整備をする以前の問題として、それを担う十分な人材が払底(ふってい)していることだ。
  オバマ前大統領もインフラ整備をうたい文句としていたが、連邦政府は200万人以上の職員を抱えながら、構想をまとめる能力のある専門家はほとんどおらず、外部のコンサルタントに丸投げされていた。ワシントンではオバマ政権の財政出動が「コンサルタント保護法」と揶揄(やゆ)されていたものだ。
  こうした失敗もすぐ忘れられ、新大統領の登場とともに、夢よ再びとなった。しかし、夢はあくまでも夢である。トランプ第45代大統領の手腕に疑問が生じ、さらに実体経済が力を失うにつれ、現実の世界に突き戻されることになる。現下の景気拡大期は今年6月で9年目に入り、さらに2年以上拡大期が続けば、米国史上最長記録を更新する。しかしこれが難しいことを、以下の分析で説明する。
  潜在成長力が弱まっている分、景気拡大局面が細く長く続く可能性も否定できないが、逆に金余りを背景に、株価など資産価格は史上最高の高騰を記録しており、危険信号が点滅している。「トランプ相場」は最後の吹き上げだった可能性も否定できない。
  実体経済に戻ると、ISM製造業景況指数は現下の拡大期で既に2つの山(上昇と下降)を形成し、現在3つめの山を形成する過程にある。「歴史は同じようには繰り返さないが、韻を踏む」。米国の作家、マーク・トウェインが残した言葉である。現下の景気拡大局面は1990年代から今世紀にかけて形成された拡大期と重なる。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/izpIQQJsInAc/v2/-1x-1.png

  1990年7月−91年3月の景気後退期(チャートの細い赤の縦じま)を経て、2001年3月まで10年間続いた史上最長の景気拡大期において、ISM製造業景況指数は91年1月に付けた39.2をボトムに3つの山を描いて景気後退へと突入していった。1つ目の山のピークは94年10月に付けた59.4、二つ目が97年7月の57.7、3つ目が99年11月に記録した58.1だった。この3つ目の山から1年4カ月後に景気後退に突入する。
  現下の景気拡大期では、同指数はグレートリセッション(2007年12月ー2009年6月、黒みがかった赤の縦じま)最中の08年12月の33.1でボトムを形成した後、11年2月の60.0でピークを付けている。そして2つ目の山は14年8月(57.9)、3つ目の山が今年2月に記録した57.7である。
  1991年から今世紀にかけての景気拡大期のパターンを、今後も繰り返すとすれば、2018年6月に景気後退突入ということになろう。現下の景気拡大局面では、ボトムから3つ目の山に至る期間が90年代より9カ月短い。景気拡大期の寿命が90年代よりも短いことを示唆しており、次回の景気後退入りも早まる可能性が高い。
  ISM製造業景況指数は1948年までさかのぼることができるが、3つの山を形成した景気拡大期は史上最長となった1990年代と、2番目に長い1960年代の2回だけであり、4つ目の山が形成されたことはない。現下の景気拡大局面でも3つの山で終わるだろう。この新山の形成が終われば、次の論点は次回の景気後退期に記録されるボトムの深さへと移っていく。

 (【米国ウオッチ】の内容は記者個人の見解です)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-04/ONW46C6JIJUO01

「失われた20年」が終わったと考える理由 円急伸、米シリア空爆リスク回避 トランプ相場終わり核心データ 原油価格、大上昇
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/742.html

http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/856.html

[原発・フッ素47] 改正原子炉等規制法が成立 原発検査、抜き打ち方式に 改正法成立、20年度開始
改正原子炉等規制法が成立
2017/4/7 19:04
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 原子力発電所の検査制度見直しを柱とする改正原子炉等規制法が7日の参院本会議で可決、成立した。原子力規制庁の検査官が原発に自由に立ち入ることができる「抜き打ち」方式の導入を盛り込んだ。原子力規制委員会は2020年度の制度開始に向け、詳細なルール作りの議論を進める。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS07H42_X00C17A4EA3000/


原発検査、抜き打ち方式に 改正法成立、20年度開始
2017年04月07日 11時35分
 原発などの検査制度を刷新し、原子力規制庁の検査官がいつでも自由に施設に立ち入ることができる「抜き打ち」方式の導入などを盛り込んだ改正原子炉等規制法が7日、参院本会議で自民、民進各党などの賛成多数により可決、成立した。原子力規制委員会は2020年度の新制度開始に向けて、詳細なルール作りを進める。

 新制度は、原子力施設の設備が国の基準を満たしているかどうかの確認義務は事業者にあると明示。その上で、検査官は機器やデータを自由に確認できるようにして、事業者の取り組みを包括的に監視する。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/science/article/320054


炉規法改正案きょう成立へ/参院環境委で可決

New 2017/04/07 1面
 参議院環境委員会は6日、原子炉等規制法(炉規法)改正案を原案通り可決した。自民党、公明党、民進党、日本維新の会が共同提案した全16項目の付帯決議も採択。きょう7日の参院本会議で可決・成立の見通しだ。
 炉規法改正案は、原子力施設に対する検査制度の見直しが柱。低レベル放射性廃棄物のうち比較的放射能レベルが高い炉内構造物などを長期間地中深くに埋設する「中深度処分」についての土地利用制限などを規定した。…
https://www.denkishimbun.com/archives/11909


原子力規制委員会 Nuclear Regulation Authority
https://www.nsr.go.jp/law_kijyun/index.html
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/757.html

[経世済民120] 2月の日経BI、前月比1.3ポイント上昇 中小企業景況調査 戦後3番目の景気回復=2月指数改善で51カ月−消費は低迷、実
2月の日経BI、前月比1.3ポイント上昇
2017/4/7 18:00

日本経済新聞社が4月7日に算出した2017年2月の日経景気インデックス(日経BI、速報値)は前月から1.3ポイント上昇し105.0(2010年平均=100)となった。日経BIは2カ月連続で改善し、14年4月の消費増税以降で最も高い水準となった。同時に公表した1月の確報値は、速報値から0.1ポイント上方修正の103.7だった。
 景気の水準と勢いを示す日経BIは、鉱工業生産、所定外労働時間、有効求人倍率、商業販売額の4指標に共通する「景気の波」を取り出して指数化している。
■2月は2指標が改善

http://www.nikkei.com/content/pic/20170407/96958A9E93819499E2E59AE6E18DE2E5E2E6E0E2E3E59BE2E2E2E2E2-DSXZZO1503809007042017000000-PN1-1.jpg

 2月は日経BIの構成4指標のうち、改善が2指標、横ばいと悪化が1指標ずつだった。鉱工業生産指数は前月比2.0%上昇し、消費増税前の駆け込み需要で生産が拡大した14年1月以来の高い水準となった。新車を増産した輸送機械や、化粧品が伸びた化学など15業種中9業種が前月から上昇した。製造工業生産予測調査によると、3月は前月比2.0%低下するものの、4月は同8.3%と大きく上昇する見込み。
 サラリーマンの所得変動を示す所定外労働時間(規模30人以上)は、前月比2.2%増と11年6月(同2.7%増)以来の高い伸びだった。卸売・小売業や建設業などが減少したが、医療・福祉や教育・学習支援業などが大きく伸びた。
 公共職業安定所(ハローワーク)での求職者1人あたりの求人件数を示す有効求人倍率は、前月と同水準の1.43倍だった。有効求人数は前月比0.7%減、有効求職者数は同0.5%減だった。
 需要動向を示す商業販売額は前月比0.2%減だった。卸売業は商社など各種商品や鉱物・金属材料が増加したが、機械器具が減少した。小売業でも機械器具が減少したが、織物・衣服・身の回り品が持ち直したほか、原油価格の上昇により燃料が前月より増加した。経済産業省は小売業の基調判断を「持ち直しの動き」で据え置いている。
(デジタル事業BtoBユニット)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK07H43_X00C17A4I00000/


 


【図解・経済】景気動向指数の推移

http://www.jiji.com/news2/graphics/images/20170407j-04-w410.gif

戦後3番目の景気回復=2月指数改善で51カ月−消費は低迷、実感乏しく
※記事などの内容は2017年4月7日掲載時のものです
 内閣府が7日発表した2月の景気動向指数(2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が3カ月ぶりに上昇した。基調判断は「改善を示している」に据え置いた。安倍政権が発足した12年12月に始まった景気回復局面は51カ月に及び、バブル期と並んで戦後3番目の長さになったとみられる。ただ、個人消費の低迷が長引く中、景気回復の実感は乏しい。
 景気の「山」と「谷」は景気動向指数を基に、内閣府の有識者研究会が事後的に判定する。日本経済は、安倍政権発足後の円安・株高などを追い風に回復局面に入った。14年4月の消費税増税以降は個人消費の落ち込みに苦しんだが、内閣府は「今のところ景気の山を判定するような状況にない」として、景気後退は確認されていないとの見方を示している。 
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_index-diffusion


【図解・経済】日銀短観・大企業の業況判断DI


http://www.jiji.com/news2/graphics/images/20170403j-03-w370.gif

景況感、2期連続改善=海外経済回復と円安で−先行きは悪化・3月日銀短観
※記事などの内容は2017年4月3日掲載時のものです
 日銀が3日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でプラス12となった。昨年12月の前回調査を2ポイント上回り、2四半期連続で改善した。海外経済回復や円安を受け、輸出企業を中心に企業心理が押し上げられた。
 3カ月後の見通しはプラス11にやや悪化。非製造業も悪化を見込む。トランプ米大統領の経済政策や欧州政治情勢に対する警戒感に加え、日銀は「人手不足や円高リスクを懸念する企業があるためではないか」(調査統計局)とみている。
 DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値。製造業では、全16業種のうち12業種が改善。「自動車」が8ポイント改善のプラス18、「汎用(はんよう)機械」が11ポイント改善のプラス25となったのが目立つ。市況回復や自動車の増産で「鉄鋼」も7ポイント上昇した。一方、「石油・石炭製品」、「紙・パルプ」は悪化した。
 2017年度の想定為替レートは1ドル=108円43銭となり、16年度(107円30銭)から1円13銭円安方向となった。16年度のレートは前回調査から2円以上円安方向に修正された。 
企業の景況感/ 法人企業統計調査/ 景気動向指数の推移/
月例経済報告・景気の基調判断などの動き/ 地域別景気判断/ 大企業の業況判断DI
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http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_economyreport-company

 

【図解・経済】1世帯当たりの実質消費支出

http://www.jiji.com/news2/graphics/images/20170331j-01-w350.gif

2月の消費者物価、0.2%上昇=家計支出は12カ月連続減
※記事などの内容は2017年3月31日掲載時のものです
 総務省が31日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が99.6となり、前年同月比0.2%上昇した。2カ月連続のプラス。エネルギーの値上がりが影響し、上昇幅は1月の0.1%から拡大した。
 項目別では、エネルギーが1.6%上昇と、2年2カ月ぶりにプラスに転じた。原油高に伴いガソリンが15.8%値上がりし、全体を押し上げた。エアコンなどの家庭用耐久財は0.6%上昇、生鮮食品を除く食料は0.7%上昇した。
 生鮮食品とエネルギーを除く総合は0.1%上昇。生鮮食品などを含めた全体は0.3%上昇した。
 全国の先行指標とされる3月の東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比0.4%下落した。
 同時に発表した2月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は26万644円となり、物価変動の影響を除いた実質で3.8%減少した。マイナスは12カ月連続。うるう年で前年の消費が伸びた反動が出たが、そうした影響を除いても支出はマイナスとなる。総務省は消費の基調について「引き続き弱い」と指摘した。
 内訳は、食料が5.8%減、被服・履物が5.3%減、自動車購入を含む交通・通信が7.4%減などとなった。2月に始まったプレミアムフライデーの当日は外食の伸びが確認されたが、全体の消費を押し上げるには至らなかった。
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_index-consumptionexpenditure


【図解・経済】消費者物価指数の推移

http://www.jiji.com/news2/graphics/images/20170331j-02-w350.gif

2月の消費者物価、0.2%上昇=家計支出は12カ月連続減
※記事などの内容は2017年3月31日掲載時のものです
 総務省が31日発表した2月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が99.6となり、前年同月比0.2%上昇した。2カ月連続のプラス。エネルギーの値上がりが影響し、上昇幅は1月の0.1%から拡大した。
 項目別では、エネルギーが1.6%上昇と、2年2カ月ぶりにプラスに転じた。原油高に伴いガソリンが15.8%値上がりし、全体を押し上げた。エアコンなどの家庭用耐久財は0.6%上昇、生鮮食品を除く食料は0.7%上昇した。
 生鮮食品とエネルギーを除く総合は0.1%上昇。生鮮食品などを含めた全体は0.3%上昇した。
 全国の先行指標とされる3月の東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比0.4%下落した。
 同時に発表した2月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は26万644円となり、物価変動の影響を除いた実質で3.8%減少した。マイナスは12カ月連続。うるう年で前年の消費が伸びた反動が出たが、そうした影響を除いても支出はマイナスとなる。総務省は消費の基調について「引き続き弱い」と指摘した。
 内訳は、食料が5.8%減、被服・履物が5.3%減、自動車購入を含む交通・通信が7.4%減などとなった。2月に始まったプレミアムフライデーの当日は外食の伸びが確認されたが、全体の消費を押し上げるには至らなかった。 
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_eco_index-consumerprice

 

中小企業景況調査
平成29年3月28日公表
第147回 (2017年1-3月期)中小企業景況調査(484KB・PDF)
中小企業の業況は、一部業種に足踏みが見られるものの、持ち直しの動きを 示している。

(1) 2017年1−3月期の全産業の業況判断DIは、▲17.0(前期差1.7ポイント増)となり、 2期ぶりに上昇した。

(2) 製造業の業況判断DIは、▲13.0(前期差2.5ポイント増)となり、3期連続して上昇した。
業種別に見ると、鉄鋼・非鉄金属、輸送用機械器具、木材・木製品、家具・装備品、印刷、化 学、電気・情報通信機械器具・電子部品、金属製品、機械器具、窯業・土石製品の10業種で上 昇し、パルプ・紙・紙加工品、食料品、繊維工業、その他の製造業の4業種で低下した。
(参考)調査対象企業のコメント(例) ・今期、新規受注品の受注量が急増している為、設備増強が追い付かない。29年7月頃までは、現 状が継続する状況。[機械器具 栃木]

(3) 非製造業の業況判断DIは、▲18.4(前期差1.2ポイント増)と2期ぶりに上昇した。
産業 別に見ると、卸売業、建設業、サービス業、小売業のすべての産業で上昇した。
(参考)調査対象企業のコメント(例) ・製造業の設備投資が持ち直し、FA関連の需要が好転している。来年度以降も引き合いが活発化し ており、採算面も好転すると予想する。[卸売業 島根]

(4) 全産業の資金繰りDIは、▲13.1(前期差0.8ポイント増)と上昇し、長期資金借入難易度 DIは、▲3.7(前期差0.0ポイント)と横ばい、短期資金借入難易度DIは、▲1.7(前期差0.1 ポイント減)とわずかに低下となった。
今期の原材料・商品仕入単価DI(「上昇」−「低下」、前年同期比)は、22.1(前期差1.6 ポイント増)と2期連続して上昇した。 一方で、売上単価・客単価DI(同)も、▲14.2(前期差1.4ポイント増)と3期ぶりに上昇 したため、採算(経常利益)DI(同)は、▲25.2(前期差0.2ポイント増)とやや上昇した。
(参考)調査対象企業のコメント
(例) ・原料価格の高騰によりようやく販売先様にも値上げ交渉をとりつけたが、販売価格が上がってしま ったので売れゆきが悪い。
[食料品 和歌山] 従業員数過不足DI(「過剰」−「不足」、今期の水準)は、▲17.1(前期差0.9ポイント減) と3期連続して不足感が高まった。
産業別に見ると、製造業で▲15.7(前期差2.2ポイント減)、サービス業で▲20.9(前期差0.9 ポイント減)、小売業で▲10.4(前期差0.8ポイント減)と不足感が高まった。
http://www.smrj.go.jp/keiei/dbps_data/_material_/b_0_keiei/chosa/pdf/147th.pdf

第147回 資料編(609KB・PDF)
http://www.smrj.go.jp/keiei/dbps_data/_material_/b_0_keiei/chosa/pdf/shiryo_147th.pdf

• 時系列データ
※現状と今後の動向をわかりやすく解説した、
中小企業景況調査レポート(新規ウィンドウ表示)もJ-Net21にて公開しています。
http://j-net21.smrj.go.jp/watch/report/index.html

【地域別】調査報告書
地域別の中小企業景況調査及び時系列データについて掲載しています。
• 地域別の中小企業景況調査
前回までの調査報告書
前回までの全国版の調査報告書を掲載しています。
なお、中小企業景況調査30周年記念報告書も発行しています。

http://www.smrj.go.jp/keiei/chosa/keikyo/


http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/764.html

[政治・選挙・NHK223] 安倍首相、米の決意支持=シリア攻撃「事態深刻化防ぐ」 シリア内戦 写真特集 
安倍首相、米の決意支持=シリア攻撃「事態深刻化防ぐ」

シリア攻撃について、米政府の決意に支持を表明する安倍晋三首相=7日午後、首相官邸
 安倍晋三首相は7日、米国によるシリアのアサド政権に対する軍事攻撃について「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を日本政府は支持する。これ以上の事態の深刻化を防ぐための措置と理解している」と表明した。首相官邸で記者団の質問に答えた。
〔写真特集〕シリア内戦〜米駆逐艦からミサイル発射〜

 アサド政権の化学兵器使用について、首相は「何の罪もない多くの一般人が犠牲となった。幼い子どもたちもが犠牲となった惨状を目の当たりにし、国際社会は大きな衝撃を受けている」と指摘。「極めて非人道的であり、国連(安全保障理事会)決議にも反する」と強く非難した。
 また、首相は北朝鮮の核・ミサイル開発を念頭に「東アジアでも大量破壊兵器の脅威は深刻さを増している」と強調。「国際秩序の維持、同盟国と世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを日本は高く評価する」と述べるとともに、米国と連携して国際社会の安定に貢献する姿勢を示した。 
 菅義偉官房長官は7日の記者会見で、アサド政権が化学兵器を使った根拠を米国から示されたか尋ねられたのに対し、「シリアで化学兵器による甚大な被害が発生したことは認識している。それ以上の事実関係は国連機関で調査中だ」と述べるにとどめた。(2017/04/07-19:08)
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http://www.jiji.com/jc/article?k=2017040701007&g=pol


 
シリアへの米軍ミサイル攻撃で複数の死者=地方首相
 空軍基地に被害―シリア軍
 1度限り
 攻前にロシア軍に通知 米大統領声明
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/893.html

 

米軍のシリア攻撃に対する米政界の反応
 ポール上院議員(共和党)われわれの安全を高める何の役にも立ってない
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/853.html


 

 
シリア内戦 写真特集
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地中海上の米駆逐艦からシリアに向けて発射された巡航ミサイル=2017年4月7日[米海軍提供]【AFP=時事】 米軍は6…

 地中海上の米駆逐艦からシリアに向けて発射された巡航ミサイル=2017年4月7日[米海軍提供]【AFP=時事】
 米軍は6日夜(日本時間7日午前)、シリアの軍事施設を標的に巡航ミサイルを発射し、アサド政権に対して初めての軍事攻撃を行った。巡航ミサイル59発を撃ち込んだ。トランプ米大統領は対シリア攻撃を発表し、アサド政権が「禁止された化学兵器を使用したことに議論の余地はない」と述べ、シリアで猛毒の神経ガス、サリンの疑いがある化学兵器が使用されたとみられる攻撃の対抗措置だと明らかにした。
 米テレビなどによると、地中海上の米駆逐艦から、巡航ミサイル「トマホーク」が発射されたもよう。標的はシリア中部ホムス県にある飛行場で、ロイター通信は「滑走路と航空機、燃料設備」を狙ったと報じた。米軍によれば、航空機などを破壊した。
 トランプ大統領は声明で、「シリアでの虐殺と流血を終わらせることを目指すよう、全ての文明国に呼び掛ける」と表明。「化学兵器の拡散と使用の防止は、米国の安全保障にとって死活的利益だ」と述べた。アサド政権に振る舞いを改めるよう求める国際社会の試みは失敗したとも断じた。
 AFP通信によると、ティラーソン国務長官はシリア問題で、アサド政権の後ろ盾のロシアが責任を果たさなかったと批判した。ロイター通信によれば、米国防総省はシリア攻撃について、ロシアにも事前通告したという。
 これに対して、シリア国営テレビは「米国は多くのミサイルを使い、シリア軍事施設を狙って侵略した」と反発した。
 これまで米国はシリア内戦で、過激派組織「イスラム国」(IS)などテロ組織の掃討作戦を進める一方、アサド政権に対する攻撃は避けてきた。軍事攻撃により、内戦は新局面を迎えた。
 軍事攻撃に先立ち、ティラーソン氏は6日、フロリダ州で記者団に対し、化学兵器攻撃について「アサド政権に責任があるのは疑いない」と述べ、同政権の退陣を目指す考えを表明していた。これに対し、ロシアのサフロンコフ国連次席大使はシリアへの軍事介入による「マイナスの結果を考えなければならない。イラクやリビアを見てみろ」と警告した。
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http://www.jiji.com/jc/d4?p=bbs116&d=d4_zz


http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/712.html

[政治・選挙・NHK223] 米軍シリア攻撃 日本政府“支持”立場示す 米与野党支持 英「野蛮行為への適切な対応」独「理解」 恐るべきリスク取る仏
米軍シリア攻撃 日本政府“支持”立場示す
2017年4月7日 17:56ツイートするシェアする

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【特集】米軍がシリアにミサイル攻撃 “化学兵器”使用を受け
全文
 アメリカ軍がアサド政権への対抗措置だとして、シリア国内の空軍基地に向けて巡航ミサイル50発以上を発射した攻撃について、安倍首相は7日午後、「アメリカ政府の決意を支持する」と表明した。

 各国の中でもいち早く支持の立場を示した日本政府だが、どの程度強い言葉で支持を表明するかは慎重に検討してきた。

 安倍首相「幼い子供たちもが犠牲となった惨状を目の当たりにして、国際社会は大きな衝撃を受けています。化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を、日本政府は支持いたします」

 ただ、「決意は支持」とする一方で、軍事攻撃そのものについては「事態の深刻化を防ぐための措置」であり「理解している」と表現を使い分けている。さらに安倍首相は、核やミサイル開発を進める北朝鮮を念頭に「東アジアでも大量破壊兵器の脅威は深刻さを増している」「トランプ大統領の強いコミットメントを高く評価する」と付け加えた。

 政府内では、トランプ政権のシリアへの迅速な軍事攻撃は北朝鮮に対しても「メッセージになる」と抑止効果を期待する声もある一方で、「オバマ政権と明らかに違う」と緊張感も漂っている。
http://www.news24.jp/articles/2017/04/07/04358437.html

 


米軍のシリア攻撃、フランスに事前通知=仏外相
2017年04月07日(金)15時54分 

 4月7日、フランスのエロー外相は、米国がシリア軍基地へのミサイル攻撃についてフランスに事前に通知したと明らかにした。写真はパリで昨年3月撮影(2017年 ロイター/Benoit Tessier)
[ヌアクショット(モーリタニア) 7日 ロイター] - フランスのエロー外相は7日、米国がシリア軍基地へのミサイル攻撃についてフランスに事前に通知したと明らかにした。

同相は訪問先のモーリタニアの首都ヌアクショットで、ロイターと仏ラジオ局フランス・インフォに対し、「レックス・ティラーソン(米国務長官)から夜に連絡があった」と語った。

また「化学兵器の使用は衝撃的だ。戦争犯罪であり、罰せられるべきだ」とし、ロシアとイランはシリアのアサド政権を支持する意味がないことを理解する必要があると指摘。フランスは、この両国と対立するつもりはないと述べた。
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/world/2017/04/190072.php
 

英政府、米のシリア攻撃を支持 「野蛮行為への適切な対応」
[ロンドン 7日 ロイター] - 英首相官邸報道官は7日、米軍によるシリアの空軍基地に対するミサイル攻撃について、英国政府は全面的に支持すると表明した。

報道官は「英政府は米国の行動について、シリア政権による化学兵器を使用した野蛮な攻撃に対する適切な対応であり、さらなる攻撃を阻止する意図があると確信している」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/ukgov-comments-syriaattack-idJPKBN1790MC


 
[FT]シリア攻撃支持で恐るべきリスクを取るフランス  
 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 フランスはシリアに対する軍事攻撃に参加する用意があるというオランド大統領の宣言を受け、ケリー米国務長官が米国の「最古の同盟国」としてフランスをたたえた時、フランスの評論家たちは満足感で身震いした。

G20夕食会の前にキャメロン英首相と話すオランド仏大統領(5日、サンクトペテルブルク)=AP
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G20夕食会の前にキャメロン英首相と話すオランド仏大統領(5日、サンクトペテルブルク)=AP
 だが、最近消極的になった英国に取って代わり、フランスが米国政府と肩を並べたことから来る満足感は、長続きしなかった。米議会の承認を軍事行動の条件とすることにしたオバマ大統領の予想外の動きにかき消されてしまったのだ。パリでは、先の週末の声明でオバマ氏がフランスに一言も触れなかったことが大きく取り沙汰された。

 オランド、オバマ両氏は6日、モスクワでシリア情勢について会談する予定になっていた。だが、オバマ氏の策略は、フランス政府にとって極めて不快な現実を浮き彫りにした。フランスの政策について決定権を握るのは、今やエリゼ宮(大統領官邸)ではなく米議会だということだ。

■いち早く軍事介入を主張したオランド氏

 フランスが単独では攻撃を仕掛けられないことをオランド氏は認めている。これは軍事的、外交的な現実の認識にすぎない。だが、この状況は、大統領のスタンスがイラク進攻に反対した10年前のフランスの立場とは好対照に、フランスをほぼすべての欧州諸国よりも前面に立たせたことを浮き彫りにしている。

 オランド氏の率いる社会党政権は、シリア政府に対する民衆蜂起の初期から、率先して反政府勢力を支持し、アサド大統領の退陣を求めてきた。

 フランス政府は英国とともにシリアへの武器禁輸を解除するよう欧州連合(EU)を説得した。反政府勢力への殺傷兵器の供与については、イスラム主義勢力の手に落ちることを懸念して二の足を踏んだが、8月21日にダマスカス郊外で化学兵器による攻撃が起きると、オランド氏はほとんど間を置かずに軍事行動を支持した。

 シリア攻撃の支持は、今年1月、イスラム過激派による制圧を防ぐためにマリ介入に踏み切ったオランド氏の大胆な行動に続くものだ。この決断は広く支持された。

 シリアを巡って、マリ介入がオランド氏に有利に働くことはなかった。社会党は今のところ、「あるまじき人権侵害」についてアサド氏は罰せられなければならないというオランド氏の主張を強く支持している。


 
米議会、シリア攻撃を与野党とも支持
2017/4/8 0:13日本経済新聞 電子版
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 【ワシントン=川合智之】米議会は与野党の指導者や有力議員がトランプ政権によるシリア攻撃を支持した。共和党重鎮のマケイン、グラム両上院議員は「米国はアサド氏をもはや静観できない」とする共同声明を発表した。民主党上院トップのシューマー院内総務も「アサド氏は卑劣な残虐行為の対価を払うことになる」と表明した。

 ライアン下院議長(共和)は攻撃を「適切で当然だ」としたうえで「アサド氏はもはや米国の不作為をあ…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07HCG_X00C17A4EA2000/

 

米国のシリア攻撃は「理解可能」=独外相

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[ベルリン 7日 ロイター] - ドイツのガブリエル外相は7日、米国のシリア空軍基地攻撃について、「理解可能」との認識を示した。

「国連安全保障理事会が、シリアの罪無き市民に対する化学兵器使用に明確に反応できないことは耐え難いことだ。米国がこの残忍な戦争犯罪をひきおこしたアサド政権の軍を攻撃したことは理解できる」とのコメントを発表した。
http://jp.mobile.reuters.com/article/marketsNews/idJPKBN17915G


http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/721.html

[国際18] 着弾は23発と主張=米ミサイル性能「非常に低い」ロシア国防省 米軍事攻撃協議―国連安保理 トラック突入3人死SW首相テロ
着弾は23発と主張=米ミサイル性能「非常に低い」ロシア国防省
【4/7 23:49】
【モスクワ時事】ロシア国防省は7日、米軍がシリアの空軍基地に対し発射した巡航ミサイル「トマホーク」59発のうち、半数以下の23発しか着弾していないと主張し、ミサイルの性能は「非常に低い」と強調した。

国防省はシリア空軍基地の損害について、修理中のミグ23戦闘機6機とレーダー施設、倉庫などが破壊され、4人が死亡したと述べた。ラブロフ外相は滞在先のウズベキスタンで、ロシア軍人の死者は出ていないとの見方を示した。

国防省はまた、シリア政権軍の防空システムの能力強化に向け、対策を講じる方針を表明した。

一方、タス通信は軍事外交筋の話として、巡航ミサイルを備えたロシア黒海艦隊のフリゲート艦が地中海に入り、シリア西部タルトスのロシア海軍基地に向かうと伝えた。

プーチン大統領は7日、主要閣僚や治安機関トップらを集めて安全保障会議を主宰し、シリアでのロシア軍の軍事作戦に関して検討を行った。

シリア空軍基地を破壊=兵士ら死亡、民間人も犠牲か―米ミサイル攻撃【4/7 23:48】
【カイロ、ワシントン時事】シリアのアサド政権軍に対する米軍の巡航ミサイル攻撃で、シリア中部ホムス県のシャイラト空軍基地は7日、ほぼ完全に破壊され、シリア兵ら少なくとも7人が死亡した。シリアの国営メディアは、基地に近い地域で子供4人を含む民間人9人が死亡したと報じた。

アサド政権軍にとって大きな打撃で、同政権の後ろ盾であるロシアは「主権国家に対する侵略で、米ロ関係に重大な打撃を与える」と非難。シリア領空での偶発的衝突回避に向けた米ロ合意の履行を停止すると発表した。米国とロシアはともにシリアで軍事作戦を展開しており、緊張が高まる可能性がある。

2011年にシリア内戦が始まって以降、米軍がアサド政権を標的に攻撃したのは初めて。米軍はこれまで、シリアでの作戦の対象を「イスラム国」(IS)など過激派組織に限定していた。今後、内戦の構図が複雑化し、混迷が一層深まりそうな情勢だ。

攻撃について、シリア大統領府は声明で「ばかげた無責任な行動」と指摘。アサド政権軍は「米国の侵略行為だ」と非難し、同政権とも敵対するISなどのテロリストを利することになると訴えた。

シャイラト空軍基地は、ロシア部隊も駐留する西部ラタキア県の基地に次ぐシリア空軍の重要拠点。米軍の攻撃により航空機や滑走路、燃料庫、防空システムが損壊した。兵士数十人が負傷したとの情報もある。

米国は、アサド政権が4日、北西部イドリブ県ハンシャイフンで猛毒神経ガスのサリンと疑われる化学兵器を使用し、多数の民間人を殺害したと断定。今回の攻撃でシャイラト空軍基地に巡航ミサイル59発を撃ち込んだ。

在英のシリア人権監視団は、信頼できる筋の話として、化学兵器攻撃を加えたとみられるアサド政権軍の戦闘機は、この基地から出撃していたと述べた。ハンシャイフンでは米国のミサイル攻撃の後、政権軍かロシア軍によるとみられる空爆があった。政権側が「米国の圧力」に屈せず、作戦を続行する意思を示したものとみられる。


トラック突入、3人死亡=首相「テロ行為」―スウェーデン首都【4/7 23:42】
【ロンドン時事】スウェーデンの首都ストックホルム中心部の繁華街で、トラックが人混みの中に突入し、警察によると3人が死亡、8人が負傷した。ロベーン首相は「あらゆることが、テロ行為であることを示している。スウェーデンが攻撃を受けた」と述べた。

事件は午後3時(日本時間同10時)前、ストックホルム有数の繁華街にある歩行者天国のドロットニングガータン通りで発生した。現場からの映像によると、トラックはデパートに前部を突っ込んだ状態で止まっている。

トラックはビール会社のもので、配送中に盗まれたとみられる。警察によるとこれまで逮捕者はなく、犯人の行方は不明。

事件を受けて、警察は市民が中心部に来ないよう呼び掛けた。市内では地下鉄全線が休止されたほか、現場に近い中央駅からも乗客が退避させられた。



シリア問題で緊急会合=米軍事攻撃を協議―国連安保理【4/7 23:40】
【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は7日午前11時半(日本時間8日午前0時半)、米国のシリア軍事攻撃をめぐり緊急会合を開く。会合はロシアが要請した。

米国はシリア北西部イドリブ県での化学兵器使用疑惑を受け、シリア時間の7日未明、軍事攻撃に踏み切った。シリアのアサド政権の後ろ盾であるロシアは米国の攻撃を「主権国家に対する侵略」と非難しており、米ロの応酬の場となりそうだ。

グテレス国連事務総長は声明で「激化するリスクに留意してほしい。シリア国民の苦しみを深める行動を回避するよう自制を求める」と訴えた。

緊急会合は公開で実施。ヘイリー米国連大使は会合を前に声明で「シリア政権の残虐行為を擁護する国は公の場でそれを行うことになる。全世界が聞けるように」と述べ、ロシアをけん制した。

シリア問題をめぐり、安保理は近年、ロシアの拒否権行使で機能不全に陥り、有効策を打ち出せていない。

化学兵器使用疑惑を受け、米英仏は4日、調査への全面協力をシリア政府に求める安保理決議案を配布したが、ロシアは「受け入れられない」と拒否し対案を提示した。
http://fx.dmm.com/market/news/
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/857.html

[戦争b19] シリア化学兵器の「恐ろしい教訓」 ロシア強く非難、米国連大使「一段の行動も」ストックホルムでトラック突っ込み3人死亡テロ
Column | 2017年 04月 8日 07:59 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:
シリア化学兵器の「恐ろしい教訓」

Peter Apps

[4月5日 ロイター] - 少なくとも70人が犠牲になったとされるシリアのハンシャイフン近郊で起きた化学兵器とみられる空爆は、数十万人が亡くなったシリア内戦において、その死者数だけを取り上げれば到底重大だとは言えないだろう。

だが、化学兵器となると話は別だ。

第1次世界大戦のさなかに欧州の大国が最初に使用して以来、化学兵器は多くの意味で、その物質的もしくは軍事的効果とは不釣り合いなほど大きな心理的、そして政治的な衝撃を与えてきた。生物兵器の脅威と並び、化学兵器は突出した恐怖をはらんでいる。

第1次大戦の塹壕で軍医たちは、通常の砲爆撃の方が死者の数がはるかに多いにもかかわらず、毒ガス攻撃に対する身もすくむような恐怖の方が、砲爆撃のそれを上回ることが多いのに気づいた。大戦終結の頃には、基本的なガスマスクと化学防護装備により、多くの兵士は毒ガス攻撃を受けてもほとんどダメージなく生還できるようになっていた。

にもかかわらず、大半の国が化学兵器を禁止するに至ったのは、こうした兵器に対する恐怖だ。

1993年に署名された化学兵器禁止条約の調印国は現在192カ国に達しており、世界で備蓄されていた既存の化学兵器の90%以上が昨年末までに廃棄されたと考えられている。

だがシリア内戦によって、時と場合によっては、さほど深刻な結果を抱え込むことなく、政府が自国民に対して化学兵器を使用することができるということが確認されてしまったようだ。

ここ数週間、ティラーソン国務長官やマティス国防長官を含む米国高官は、「シリアのアサド大統領の排除はもはや優先課題ではない」と示唆していた。アサド政権は、ほぼ何の報復を受けずに国内反体制派に対する行動を起こせると感じていることを誇示しているかのようだ。(編集部注:米軍は6日、化学兵器の使用に対する対抗措置として、アサド政権下の空軍基地に対するミサイル攻撃を実施した。)

大量破壊兵器に関する国際的なルールと規範を損ない、米国の力と影響の限界を露呈するという意味で、これは警戒すべき兆候だ。今も政権側と戦っているシリア市民にとっては、さらに抵抗を続けることによる犠牲について残酷な警告を受けたことになる。

化学兵器による反体制派への攻撃は目新しい戦術ではない。1920年代や30年代には大英帝国が、同じような狙いでイラクの村落に対して毒ガスを使用した。ムッソリーニ政権下のイタリアもアビシニア(現エチオピア)に対して同じことを行なった。イラクのサダム・フセインはハラブジャ周辺のクルド人市民に対してサリンガスを使って推定数千名を殺害し、残虐な独裁者というイメージを確定させた。

今回のケースは、多くの点が意図的にボカされて分かりにくくなっている。恐らく、他国からの反発や報復の可能性をさらに低下させるためだろう。西側諸国の政府も、独立した監視機関も、シリア空軍による意図的な攻撃を示す証拠があると述べている。だがアサド政権を支持しているロシアは、政権側による空爆によって反体制派側の武器倉庫から化学物質が流出したとしている。

そうした可能性もゼロではないとはいえ、空爆による着弾箇所が道路や見通しのいい原野だったことを示す画像など、これまで得られた大半の証拠はその逆を示している。過激派グループはこれまでにも定期的に化学兵器の製造を試みており、特に「イスラム国(IS)」は、イラク第2の都市モスルの支配を維持するために毒ガスを用いている。

だが5日の攻撃には、2013年にダマスカス郊外で発生したアサド政権絡みの化学兵器による攻撃との顕著な類似点が見られる。このときは市民数百名が殺害されており、一時は、米国がアサド政権との直接的な武力対決に踏み込む契機になるだろうと見られていた。

それ以前から米国のオバマ前大統領をはじめとする西側諸国の指導者は、化学兵器が使用されれば、外部からの介入の引き金となる限度を越えることになると宣言していた。だがアサド政権側は2013年に入ってから、ごく少数の死者しか出ないような、小規模の化学兵器攻撃を行うことで、この限度を探ってきた。

シリアは2013年に化学兵器禁止条約に調印し、ロシアの仲介による取引の一環として、米国による軍事行動を回避すべく、化学兵器の備蓄をすべて引き渡したものと思われていた。今やそれは事実ではなかったように見える。5日の攻撃以前にも、はるかに限定的な規模の化学兵器による一連の攻撃が見られたからだ。

アサド大統領とその背後にあるロシアが、トランプ政権にはいかなる軍事的対応をとる意志もないと考えているのはほぼ確実である。何しろ、オバマ政権時代のホワイトハウスと同様に、長期的に介入しようという意欲もなければ、そのための戦略も持っていないからだ。

皮肉なことに、化学兵器が政治的な武器としていかに効果的かをシリア政府が示しつつある一方で、国境を越えたイラクでは、戦場において化学兵器の効果がどれほど限定的かをISが悟りつつある。米国やイラクなどの連合軍や人権監視団体の報告によれば、昨年9月、10月、そして今年の3月にやや原始的な毒ガス攻撃が数回にわたって行なわれたというが、被害者は比較的少数にとどまっているとみられる。

過激派グループによる化学兵器・生物兵器を利用した攻撃への懸念は何十年も言われているが、実際の例はきわめてまれであり、多くは効果をあげていない。

専門家によれば、アルカイダやISはいずれも化学兵器・生物兵器を利用したいと考えているが、どちらも高い優先順位を与えているわけではないという。これらのグループは最近、テクノロジーという点では対極的な方向に関心を注いでおり、ブリュッセルやパリ、そして3月の英ウェストミンスターでの攻撃に見るように、トラックやナイフ、小火器といった、利用できる限りで最もシンプルな武器を使っている。

だが、これが常に真実であるとは限らない。

日本のカルト宗教であるオウム真理教は、生物兵器を利用する試みに失敗した後、サリンの製造に成功した。1995年にこれを使って東京の地下鉄への攻撃を行ない、死者13人の他、6000人以上が重軽傷を負った。専門家らは、さらに効率よくサリンを散布するシステムを完成させていたら、死者数は大幅に増えただろうと指摘する。

しかし一般的には、5日にシリアで起きた事件が示しているのは、化学兵器による攻撃のリスクが最も大きくなるのは、ある国の政府が自国民の一部を見せしめとして使いたいと考える場合だ、ということだ。 これに対して、米国にせよ他の西側諸国にせよ、どのように対処すればいいのか手をこまねいている、というのが厳しい現実なのだ。

(編集部注:このコラムは米軍がアサド政権軍の支配下にある空軍基地をミサイル攻撃した6日以前に執筆されました。)

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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World | 2017年 04月 8日 09:41 JST 関連トピックス: トップニュース
ロシアが米シリア攻撃を強く非難、米国連大使「一段の行動も」

[国連/モスクワ/ベイルート 7日 ロイター] - ロシアは7日、内戦が続くシリアの空軍基地を米軍が巡航ミサイルで攻撃したことについて「非常に深刻な」結果をもたらす可能性があるとして警告した。トランプ米政権による初の海外紛争への介入をめぐり、早くも米ロ間の対立が鮮明になっている。

ロシアのサフロンコフ国連次席大使はこの日に開かれた国連安保理会合で、「米国によるすべての違法な行動を強く非難する。こうした行動は地域、および国際的な安定に非常に深刻な影響をもたらす恐れがある」と述べた。

ロシアのメドベージェフ首相もこの日、米軍によるシリア攻撃は違法との考えを示し、ロシアとの軍事的衝突まで「あと一歩」のところに迫っていると警告している。

一方、ヘイリー米国連大使は安保理会合で「化学兵器の使用と拡散の防止が米国の安全保障上の重要な利益となる」とし、「米国は一段の行動を起こす用意がある」と述べた。ただ一段の行動が必要にならないことを願っているとした。

トランプ米大統領はシリアで化学兵器を使用したとみられる空爆で多数の死者が出たことを受けた対抗措置として6日、米軍にシリアの空軍基地に対するミサイル攻撃を命令。米当局は攻撃に先立ち、ロシア軍への被害を回避するため事前に通告していた。

ロシアのインタファクス通信によると、ロシア国防省は米国防総省に対し、シリアでの偶発的な衝突を回避するためのコミュニケーションを休止させるとの旨、通達した。

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ロシアが安保理緊急会合を要請、米のシリア攻撃は「無分別」と非難

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http://jp.reuters.com/article/sweden-attack-fukada-idJPKBN1792YW

 
World | 2017年 04月 8日 09:01 JST 関連トピックス: トップニュース
ストックホルムでトラック突っ込み3人死亡、首相「テロ攻撃か」

[ストックホルム 7日 ロイター] - スウェーデンの首都ストックホルム中心部で7日、トラックが歩道に突っ込む事件が発生した。これまでに3人の死亡と8人の負傷が確認されている。

同国のロベーン首相は「スウェーデンが攻撃された。すべての状況がテロ攻撃であること示している」と語った。

事件発生後、ストックホルム中心部の一部は封鎖され、主要駅など現場近辺から避難するよう指示が出された。地下鉄全線の運行も停止された。政府筋によると、政府機関もすべて閉鎖された。

警察によると、現時点で逮捕者は出ていないほか、犯行声明も出されていない。

スライドショー:スウェーデン首都でトラック突入


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A truck is seen after it crashed into a department store Ahlens at Drottninggatan in the central of Stockholm, Sweden April 7, 2017. TT News Agency/Andreas Schyman/via
REUTERS/TT NEWS AGENCY
http://jp.reuters.com/article/sweden-attack-fukada-idJPKBN1792YW
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/899.html

[経世済民120] 新入社員が3年もたずに辞めてしまう会社の特徴 心が折れる職場で気分を簡単に上げる ポケモンGO効果絶大、自殺者ゼロ更新中
【第61回】 2017年4月8日 小宮一慶
新入社員が3年もたずに辞めてしまう会社の特徴

部下が「働く喜び」を感じるために、「良い仕事」に専念させているか?

 前回は、「経営改革派のリーダーが失敗する理由」というテーマで、リーダーの言うことやミッション・ビジョン・理念などが部下に十分に伝わるための2つの条件の1つ目として、リーダーは「人望・人徳」を身につける必要があると述べました。では2つ目は何か?


小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表
 それは社員に「働く喜び」を感じてもらうことです。そのためには「良い仕事」に集中できるような環境を整えなければなりません。

 私が考える「良い仕事」の定義は3つ、(1)お客さまに喜んでもらえること、(2)働く周りの仲間に喜んでもらえること、(3)工夫、の3つです。

 この3つに集中できれば社員は働く喜びを感じることができるはずです。現場で働く人ほど良い仕事をする(させる)ことに集中することで、働く喜びを深く感じることができます。そして、働く喜びを深く感じられた人ほど、リーダーの言葉や理念などを理解できるようになるのです。逆に働く喜びを感じられない人に、崇高なミッションや理念を話しても、伝わらないのです。

 私の人生の師匠である故・藤本幸邦老師(曹洞宗・円福寺住職)がよくおっしゃっていたのが、「お金を追うな、仕事を追え」ということです。

「仕事を追う」から、工夫して、それをより速く、より良く、より多くやるようになる。それがまた仕事の質を高め、お客さまや周りの人に喜んでもらえ、より良い仕事をしようという気持ちになります。お金は、良い仕事をした対価、結果として回ってくるものです。

 ところがお金を追ってしまうと、良い仕事ができず、結果としてお金を稼ぐこともできなくなります。

 リーダーの立場では、部下を「良い仕事」に集中させると、結果として数字がついてきます(結果が出ないのは良い仕事をしているとは言えません)。そうやって良い仕事を追い求める、良い組織をつくっていけばいいのです。

社員がダメになっていく理由

 ただ割合は少ないとは思いますが、中には人に喜んでもらうことをそれほどうれしいと感じない人もいます。そのような人には別の道があるはずなので、採用の失敗を反省すべきです。もともとそういう人は採用すべき人ではないのです。

 そうではなくて、人に喜んでもらうことに喜びを感じ、仕事に対しても喜びを感じられるはずの新入社員が2年、3年と働くうちにダメになっていく、3年ももたずに辞めていくのは、経営者自身が良い仕事の環境を作ることができていないせいです。お金や数字を追っているからです。

 会社の存在目的は、良い商品やサービスを提供して、お客さまに喜んでもらい、社会に貢献することと、働く人を活かし幸せにすることです。

 経営者がそれらの目的を実現するための経営を心がけ、かつ社員に良い仕事をすることに専念させていれば、自然に社員が良い仕事をする環境が整い、社員は喜びを感じながら働けるはずです。

 しかし経営者が「目的」と「目標」を取り違えて、本来は目標である売上高や利益ばかりを追って、それが目的化している会社では、社員は、自分は会社が利益を得るための道具にされていると感じるようになり、働く喜びをなかなか感じられません。

 現在の東芝の状況はまさに経営者が目的と目標を取り違えた結果です。

お客さまに喜んでもらえているか、社員が幸福でいるか

 前回の冒頭で、三越伊勢丹ホールディングス(HD)の社長辞任の話をしました。しかし私は自分が顧客としての立場では、三越や伊勢丹という百貨店については良い印象を持っています。

 ひとつエピソードを紹介しましょう。

 お客さまからいただいたネクタイを手違いから洗ってしまったことがありました。大切なネクタイだったので同じものを求めようと、まず普段お世話になっている某百貨店の店員に尋ねたところ「このネクタイは置いていません」という、つれない返事でした。

 それでも諦めきれず伊勢丹のメンズ館へ行きネクタイを見せると、「この商品はお取り寄せができると思いまという返事でした。

 しばらくして届いたという連絡があり再度出向くと、一見の客にもかかわらず「1シーズン前の物なのでお値引きします」と言うのです。

 そして何よりも感心したのは、洗濯をしてしまったネクタイを必要かと尋ねられたので、持って帰ると答えたら、なんと、ネクタイ用の袋にきちんと入れて戻してくれました。新品のネクタイをそうしてくれるのは普通かもしれませんが、紐にでも使おうかと思ったものまで、新品同様きちんとネクタイ用の袋に入れたくれたのです。私は感心するとともに、店員さんの丁寧さやネクタイに対する愛情を感じました。

 もちろん、このエピソードだけで三越伊勢丹HD全体を判断することはできませんが、少なくとも応対してくれた店員さんは、私が感動するくらい、お客さまに喜んでもらえるような仕事をしていました。

 一般論に戻りますが、新入社員の大半は本来は仕事に喜びを感じられる人であるはずです。

 それなのに3年も経たないうちに、やる気を失って辞めてしまうのは、繰り返しになりますが、目的と目標が入れ替わり、経営者が勘違いして売上高や利益を上げることが目的となっている会社で働いているからです。ブラック企業でない限り、仕事の厳しさは関係ありません。

 経営者として業績を上げることはとても重要ですが、お客さまに喜んでもらえているか、社員が幸福でいるかという最も大切な部分を決して忘れてはいけません。むしろ、業績は、それらがきちんとできているかどうかの結果なのです。

 人望・人徳を生まれた時から身に付けている人はいません。良い本を読んで勉強をし、実践することです。

 どの本を読んでいいのか分からないというのなら、まず松下幸之助さんの『道をひらく』や稲盛和夫さんの『生き方』を読むことから始めてください。

「良い仕事」についても、それを自分がまず指揮官先頭で実践し、リーダー自身がそこから「働く喜び」を感じなければ、そのことの大切さが人には伝わりません。

(小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)
http://diamond.jp/articles/-/124149

 

 

2017年4月8日 dot.
「心が折れる職場」で気分を簡単に上げる方法


 どうにも職場の雰囲気が暗い。上司のキャラクターかもしれないが、いつもピリピリしていて息が詰まる……。職場の空気が悪くて嫌だという人も大勢いると思いますが、「自分が少し変わるだけで、職場の気分も簡単に上がります」とコーチングのプロは語ります。


自分の感情にふたをして、無視すると、気分は落ち込む。感情は感情としてしっかりと受け止めた上で、それでも「前向きで楽しい気分」を自分で選ぶことが大事(『やっぱり、気分を上げればすべてうまくいく』より)
『やっぱり、気分を上げればすべてうまくいく』(朝日新聞出版)の著者でもあるプロコーチの藤由達藏さんに、暗い職場を簡単に明るくする方法について聞きました。

「ブラック企業」とか「心が折れる職場」「不機嫌な職場」というキーワードが脚光を浴びるようになって久しいですが、1日の大半を過ごす職場環境の良しあしは働く人個々人の気分に大きな影響を与え、その結果、仕事のパフォーマンスを上げもすれば、下げることにもなります。

「職場の雰囲気が悪い」「上司が不機嫌で、みんなの士気が下がっている」「誰も助けてくれない」といった、さまざまな痛みや苦しみの声が渦巻いていますが、自分自身がちょと変わるだけで、周りや職場の気分を上げられる簡単な方法をいくつかご紹介します。


やっぱり、気分を上げればすべてうまくいく
藤由達藏著
定価:1,404円(税込)
●“気分”の強力な感染力を利用する

 不機嫌な人が1人いると、周りの空気も悪くなる。逆に明るい人が1人いれば、周りの空気もパッと良くなる。この「気分の感染力」については、実感としてわかる人が多いのではないでしょうか。

 私たちのコミュニケーションは、「合わせ鏡」によく例えられます。こちらが仏頂面なら相手も仏頂面になりますし、こちらが笑顔で接すれば、相手も笑顔を返してくれるのです。

 この原理を利用して、どんなに不機嫌な職場でも、自分だけはいつも口角を上げて、ほほ笑みながら人に接するようにしてみてください。自分が「良い気分の発信源」となるだけで、職場の雰囲気はじわじわと良くなっていきます。

●イライラ、パワハラ系上司への対処法

 そうはいっても、いつもイライラして、怒鳴り散らしているような上司には、とても笑顔で接することなんてできない、という人もいるかもしれません。

 そういう上司と接するときに有効なのが、「成功の要因を聞く」という方法です。基本的にどんな人でも、質問されるとついつい答えを考えてしまいます。その性質を利用するのです。

「成功の秘訣(ひけつ)を教えてください」「どうやったらそんな風にうまくできるのですか」という質問をされて、嫌な気分になる人はいません。イライラのパワハラ上司でも、何かしら人より秀でているところはあるはずですから、そこに注目し、タイミングよく質問を投げかけるだけで、上司の態度も軟化して、職場の空気もよくなるはずです。

●「できていないところ」ではなく、「できているところ」に着目する

 これはリーダー的な立場にいる人にとくに心がけて欲しいことですが、部下のできていないところばかりが目に付いたとしても、できるだけ「できているところ」に着目することが大事です。

「注目し、指摘したことが増大する」というのが心理現象の法則です。営業数字が上がらない部下がいたとして、「数字が足りていないのにやる気がない!」「1日の訪問件数がまったく足りていない!」とその原因を指摘する前に、できている点を指摘しましょう。

「目標数字には達していないけど、70%まできたね。残り30%の数字をどうやって作ろうか?」「1日の訪問件数、忙しい中、平均3、4件回れているのは良いね。ここからさらに増やすには、どういう工夫ができるかな」というように、できていることを指摘して、そこからのもう一工夫を促す話し方を心がけてください。

 これは職場に限らず、お子さんへの声掛けや、パートナーへの声掛けにも当てはまる法則です。


藤由達藏さん
 人はついつい、できていないところに目がいき、そこを指摘してしまいがちですが、そうすればそうするほど、良くないところが増大する、という法則を忘れないでください。

 まずは自分自身の気分を整えて、明るい気分で周りと接する。声をかけるときも、できていないことではなく、できていることに着目して質問を投げかける。

 これを続けていけば、あなたの良い気分に感染した人が増えていき、気分よく働ける職場に変わっていくはずです。

(プロコーチ・夢実現応援家 藤由達藏)

※dot.より転載

藤由達藏(ふぢよし・たつぞう)/夢実現応援家。株式会社Gonmatus代表取締役。 「人には無限の可能性がある」をモットーに、作家・シンガーソングライターから経営者・起業家・ビジネスパーソン、学生・親子まで幅広い層に、夢実現の個別対話や対話型研修、創造性・才能開発のワークショップを提供している。 1991年早稲田大学卒業後、文具・オフィス家具メーカーPLUSに入社。全プラス労働組合委員長として、労働組合活動にコーチングの要素を取り入れ、組合員に対するセミナーの講師を務める。 2013年9月、独立。チームフロー(代表・平本あきお氏)スタイルのコーチングを核に、各種心理技法や武術、瞑想法、労働組合活動、文芸・美術・音楽創作等の経験を統合し、独自の「夢実現応援技法」を確立。企業、労働組合、業界団体からの講演依頼も多数。ユーモアを交えて熱く語るスタイルが親しみやすいとの定評がある。 著書にシリーズ累計で40万部を超えるベストセラーとなった「結局」シリーズ(『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』<青春出版社>など)がある
http://diamond.jp/articles/-/124143

 


2017年4月8日 dot.
ポケモンGO効果絶大…東尋坊、今年“自殺者ゼロ”を更新中!


東尋坊で「ポケモンGO」に興じる観光客
 せり出した岩肌に日本海の荒波が打ち寄せる景勝地、福井県の東尋坊。地元民の悩みの種は、断崖絶壁から身を投げる人が後を絶たないことだ。しかし、「ポケモンGO」のおかげで事態は一変、「レアポケモンが多く出るスポット」として有名になり、観光客が途切れることなく訪れるようになった。

 この結果、場の雰囲気が変わり、常に人の目があることで抑止効果が生まれたのか、2017年に入ってからの自殺者はゼロ。「自殺の名所」と言われてきた東尋坊が、汚名を返上した格好である。

 アプリがリリースされた直後の昨年夏、東尋坊にポケモン目当ての観光客が大挙して押し寄せていると話題を集めた。夜間に多くの人がテントを張って陣取り、闇の中でたくさんのスマートフォンの画面が光っている光景などが地元紙で報じられたことも。「今でも、にぎわっているのか?」。3月下旬の平日午前中、東尋坊へ向かった。


平日の午前中でも東尋坊は観光客でいっぱい
土産物店が軒を連ねる通りの入り口横にある市営駐車場は、ほぼ満車で福井県以外のナンバーがほとんど。歩き始めると、多くの若者とすれ違った。春休み中だからだろう。岩場の手前にある日本海が一望できる場所では、海外からの観光客が写真を撮影し、手前にある芝生の広場ではポケモンGOのプレーヤーが10人ほど集まってスマートフォンを操作していた。坂井市三国観光協会によると、昨年夏から秋にかけて激増したポケモン目当ての観光客は冬場に入って減った。しかし、雪解けを待って増えている様子である。

 プレーヤーの20代男性会社員は「富山市内で勤務していますが、実家が福井県あわら市にあるので帰省のついでに寄りました」とのこと。石川県小松市から来た40代と思われる母と10代の娘は「親子の会話が弾むので来ました。今回で2度目。レアなキャラクターが出ていますよ」とうれしそうに笑い合っていた。


NPO法人「心に響く文集・編集局」代表の茂幸雄さん
 岩場に向かう通りの中ほどにNPO法人「心に響く文集・編集局」の活動拠点がある。同法人代表の茂幸雄さんは「東尋坊の“ちょっと待ておじさん”」。福井県警OBで、三国署(現・坂井西署)勤務時代、自殺防止のパトロールを始めた。任期中、自殺したとみられる21人の検視を行い、約80人を保護した。自殺を思い立って東尋坊に来るのは、9割以上が福井県外以外の人らしい。

「自殺者が家族に宛てた遺書をみせてもらいましたが、誰一人『死にたい』とは書いていませんでした。また、金銭問題などはっきり原因が分かる人は少ない。人間関係のつまずきといった、ちょっとしたきっかけで自殺を考えた人が『助けてくれ』と心の中で思っても、救いの手を差し伸べられていない現状があります」(茂さん)

 定年退職後の2004年4月にNPO法人を立ち上げ、現在はメンバー16人がローテーションを組んで午前11時から日没までのパトロールに当たっている。このほか、講演活動や著書を通じて自殺防止を呼び掛け、自殺を思いとどまった人と関わって、職場・家庭・地域の人と連携を取りながら問題の解決を支えている。


日本海側有数の景勝地、東尋坊
 茂さんによると、東尋坊での自殺者は過去40年間に10人から30人で推移してきたが、NPO活動を始めると減少に転じ、14年は最少の7人と初めて2桁を割った。15年は12人、16年は14人と増えたものの、17年は3月末の時点で0人である。茂さんたちの活動とともに、「ポケモンGO効果は絶大」とのこと。「このペースで、自殺者ゼロが続いてほしい」という。

 ポケモンGOのプレーヤーが集まる芝生の広場、かつては自殺を決意した人が最後に思いを巡らす場所だった。東尋坊に足を運ぶと分かるが、荒々しい岩肌は約1キロにわたって続いており、眺望のいい記念撮影スポットから少し奥に入ると人通りの少ない場所がある。

「自殺願望者が暗がりに身を隠し、日没を待って観光客を避けて岩場へ向かうことなどないように、パトロール体制をもっと充実させます」と茂さん。現在、ドローンの導入を検討しているとのこと。「ポケモンGO効果」を喜んでいても、気は抜けないのである。

(ライター・若林朋子)

※dot.より転載
http://diamond.jp/articles/-/124018

 



http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/768.html

[経世済民120] シンガポールに集まる富裕層の「節税事情」を解説!相続・贈与税なく投資益非課税 大阪・西成は激安B級グルメの聖地、値段はC

シンガポールに集まる富裕層の「節税事情」を解説!

【第20回】 2017年4月8日 花輪陽子

相続税や贈与税がなくキャピタルゲインも非課税と、
富裕層には魅力的なシンガポールの税制の実態は?

 ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。

 シンガポールには、有名な大富豪がたくさん住んでいます。例えば、世界的にその名を知られる投資家のジム・ロジャーズ氏や、世界の長者番付で上位にランクインしている「フェイスブック」共同創業者のドゥアルド・サベリン氏。また、スペインのサッカーチーム・バレンシアのオーナーとして有名な、シンガポールの投資家ピーター・リム氏など。

 米国の経済誌「フォーブス」の長者番付に名を連ねる大富豪の多くは、不動産関係者、投資家、石油取引業者、銀行業の関係者などとなっています。ちなみに、シンガポールにおける長者番付の現トップは、不動産デベロッパー「ファー・イースト・オーガニゼーション」を率いるロバート・ウン氏とフィリップ・ウン氏の兄弟で、約1兆円の資産を保有しているとされています。


 シンガポールに住む著名な日本人としては、エイベックスグループ代表取締役社長の松浦勝人氏と妻の畑田亜希氏、村上ファンド事件で有名になった村上世彰氏、医師と結婚してシンガポールに移住をした、フリーアナウンサーの中野美奈子氏などが挙げられます。投資好きのタレントとして有名な松居一代氏も、シンガポールに住んだことがあるようです。

 街やコミュニティーが小さいので、一般人でもパーティーやオーチャードのカフェなどで著名人を見かける機会が多々あります。「あの人、日本で騒がれているけど、シンガポールにいるのね……」といった具合に、日本ではあまり遭遇しないような人にも、身近なところで出会う機会があって、よく驚かされます。

シンガポールは「相続税」「贈与税」がない!
所得税・法人税も低水準で節税目的の移住者が多数

 それにしても、なぜ世界中からこれだけの富裕層が集まっているのでしょうか。事情はさまざまでしょうが、やはり「節税」を目的としている人が多い印象です。

 シンガポールは相続税や贈与税がかからず、キャピタルゲインも非課税、所得税の最高税率は20%、法人税は17%と、とても税率が低い国です。さらに、シンガポールの居住者になっても、年金など国外で発生した所得には、税金がかかりません。そのため、外国人がビジネスを起こして働いたり、資産運用したりするには、とても有利な国なのです。

 また、シンガポールには、起業家向けの「Entre Pass(アントレパス)」という制度があります。「Entre Pass」を活用すると、日本円で約400万円の資本金で会社を立ち上げ、事業を行う場合に、雇用の承認と居住のビザを取得することができます(カフェやフードコートなど、一部対象外の事業もあります)。

 家族を連れてきたり、「Entre Pass」の更新をしたりするためには、一定以上の売り上げや「ローカルスタッフを何人雇わないといけない」など条件が増えますが、起業時のハードルは低めです。

 投資用永住権の「Global Investment Program(GIP)」に関しては、かなりハードルが高く、約2億円で新規事業を立ち上げるか、既存事業の拡大に投資をする、もしくは約2億円を「GIPファンド(シンガポールにベースを置く企業に投資をするファンド)」に投資する必要があります。しかし、それだけのお金がある超富裕層であれば、お金で永住権を獲得できるわけです。

「非居住者」と認定されれば、日本に納税義務はない!
ただし、この認定を巡って過去には事件も発生

 ところで、シンガポールでいくら税率が低くなったとしても、日本で税金をとられるのではないか? と思う人も多いでしょう。しかし、日本国籍を持っている場合も、「非居住者」になると税金が変わってきます。非居住者とは、「日本に住んでいない」と認定されている人のことです。

 非居住者になると、日本で発生する所得に対しては日本の税金がかかりますが、外国で発生した所得については、原則日本では課税されません。そのため、シンガポールで働いて得た収入に関しては、シンガポールで納めることになります。

 また、相続税・贈与税に関しても、財産を渡す人ともらう人の両者が国外に5年以上居住し、財産が国外財産の場合は、日本で原則課税されないことになります。シンガポールのような相続税・贈与税が非課税の国に居住している場合は、日本でもシンガポールでも課税されないというケースも出てきます。

 ただし、裁判になった武富士創業者の長男のケース(香港に居住地を移したうえで、海外資産の贈与が行われた)では、「非居住者の判定」が争点になりました。非居住者と判定されるには、海外に一定期間以上在住し、海外に生活の拠点を置いていることが証明できなければなりません。

資産を守るために国籍を変え、新天地を選ぶ人も多数!
フットワークの軽さ、情報収集力が富裕層の力

 しかし、日本のような非居住者への優遇がない国もあります。たとえば米国はそうです。米国の国籍や永住権を保有している人は、原則として国外に居住していても本国に税金を支払わなければなりません。


 そのため、なかにはフェイスブックのドゥアルド・サベリン氏のように、米国籍を放棄する人もいます。シンガポールに住んでみて、お金のために国籍を放棄する人や、居住権を得て海外に渡る人が世の中に多くいることを実感し、大変驚かされました。

 高齢のシンガポール人でも、子どもを頼りにオーストラリアなどの海外に渡っていく人が少なからずいます。日本人ならば、高齢になってからこれまでの交友関係を捨てて、海外に永住する人は少ないのではないでしょうか。シンガポール人の場合、英語ができることが大きいのでしょうが、フットワークの軽い人が多い印象です。

 お金持ちは一国にこだわらず、どこの国で働き、どこの国で資産運用をして、どこの国で子どもに教育を受けさせ、どこの国に居住するのが有利かを考えて、自分の拠点を決めています。その拠点は、目的によって複数に分かれていることもしばしばあるのです。

 永住権取得を手助けするコンサルタントもおり、シンガポールを含む税制のメリットが大きい国で、永住権を取る外国人もたくさんいます。世界の富裕層は、どこの国で何をするのが有利かという情報を熟知しており、それを忠実に実践しているところがすごいと感じます。
http://diamond.jp/articles/-/123923

 

2017年4月8日 秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]
大阪・西成は激安B級グルメの聖地、値段はC級、人情A級!(上)

ホームレスが大勢いる「日雇い労働者の街」というイメージが前面に出ている大阪市西成区、通称「あいりん地区」。実は、格安のB級グルメの聖地としての、もう1つの顔を持つ。今回、西成で特に人気の有名店を中心に、西成グルメの現状をレポートする。(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

安くて美味いB級グルメの聖地
西成の「もう1つの顔」

 大阪市西成区・あいりん地区――ともすれば「日雇い労働者の街」としての一面だけが取り上げられるここは、今、安くて美味いモノを求める「グルメ」たちが集う場所でもある。そんな「B級グルメ街」でもある“西成”を取材した。


西成では「誰もが知っている有名店」として名を馳せているホルモンうどん・そば店「きらく」。隣にあるのは露店の焼き鳥屋。西成は「安くて美味い」店がたくさんある 写真:秋山謙一郎(以下同)
「こらっ、こらっ〜。写真撮るなら店だけやで!人の顔は絶対に写すなよ!うちら指名手配かかっとるさかいな!!」

 西成では「誰もが知っている有名店」(地元住民)、ホルモンうどん・そば店の「きらく」の外観を記者が撮影していた時のことだった。その隣にある露店の焼き鳥屋で呑んでいる客と店の大将から声掛けされた。

 その口調は正直、ちょっと怖かった。でも、どこか温かい。今、世代を問わず西成に「魅せられる」人が多いという。それはこの西成に住む人たちの剥き出しの「人情」に触れられるからかもしれない。

 店の外観を撮影しているだけだと伝えて非礼を詫びると、店の大将と3人の客は一転して優しい口調になり、「何の取材や?」と興味津々といった様子で聞いてきた。

「いや、西成で安くて美味しいところ……、できたら、ほら、ネットで全国区になってる目立つところやのうて、地元の人しか知らんようなところを紹介させてもらいたい思いまして。どっかないですか?」

 すると、露店の客たちは、「そしたらここや!」という。早速、話を聞こうと記者がメモを取り出すと、その中のひとりで70歳代と思しき客が、ゆっくりと静かに諭すような口調で言った。

「あのな、西成のええところはな『人と触れ合い』や。呑んで、食って、話して。そら喧嘩になることもあるよ。もちろん売られた喧嘩は男なら買わなあかん。せやけど喧嘩しても、次、会ったら、仲良く話せる。マスコミに取り上げてもろうて大勢の客が来たら、俺ら、折角の仲間が来られへんようになるやんか……」

 そして、こう付け加えた。「でも、大勢のお客さん来てくれたら嬉しいけどな」。

居酒屋なのに料理は「ドカ盛り」
お造りはミナミの半額!

 事実、西成の飲食店では、ブログや飲食店を紹介するサイト、マスコミの紹介で、「一時的に大勢の客が来ることに困惑している」(西成あいりん地区にある飲食店店主)という実態もある。そのためいくつかの店からは、「(店の)外観を撮影するのは構わないが店を紹介することはやめてほしい」という声もあった。

 いずれも「地元の人、常連を大事にしたいから」という理由からだ。地元放送局の男性有名アナウンサーや女性ローカルタレントが“常連”として知られる店もある。

「まあ今、この西成も、若い人や外人さんも大勢来てはるしな。もう、地元の人間だけゆうわけにもいかんのやろうな……」


「霧島の豚鳥店」の店内。大手居酒屋より少し安め、しかしボリュームのスゴさはピカイチだ
 周囲にいた他の客、そして大将が黙って頷く。その一瞬の静寂を破ったのが別の客の次の言葉だった。

「おおっ、それやったらな、西成警察署近くにある『霧島』行ってみ。あそこは『安くて美味い店』ゆうことならぴったしやで!」

 こうして西成の有名店『きらく』横から、西成警察署に向かって歩くこと数分、評判の店・「霧島の豚鳥店」へと向かうことになった。この「霧島の豚鳥店」は、大阪市西成区役所のプロジェクトチーム「ぼちぼちいこ課」が発行のガイドブック「ぼちぼちいこウォーカー」にも掲載されている、「西成区で一推しの店」(大阪市関係者)のひとつでもある。

 たしかに評判の店だけあって、平日の夕方の早い時間にもかかわらず、カウンター席はすでに満員状態だった。お勧めは「メニュー全部」(ママさん)だそうだが、地元の人の間では「チキン南蛮」が特に好評だという。その価格は550円。全国大手居酒屋チェーン店の同メニューよりもやや割安といったところ。だが、そのボリュームのスゴさは他の店の追随を許さない。

 居酒屋というよりも「食堂」と言った方がいい。10代、20代の男性が好むであろうド迫力に度肝を抜かれる。鳥、豚と肉系を得意としているが、「刺身などの魚系も新鮮で美味い」と地元住民の間でも評判だ。

 この「霧島の豚鳥店」に居た客に、「今、西成で評判の店」として教えてもらったのが、西成・あいりん地区の中心に位置する西成警察署から東へ、飛田新地方面に向かって歩くこと数分の寿司店「からし志」である。

「コスパがええんや!大阪・ミナミの寿司屋と比べると握りで100円から200円安い。造りなんかミナミの半額ちゃうか?でも味も鮮度も“からし志”のほうが上や!それと飲み物やな。ビール大瓶で380円やで。信じられへんやろ?」

 西成区・あいりん地区からJR環状線で駅ひとつ、天王寺駅近くの職場からやって来たという50代サラリーマン男性は言う。

若者にも人気の西成グルメ
火付け役はユーチューバー


ビール大瓶380円が「西成価格」。大阪市内の相場より100円以上も安い。西成なら、美味い寿司をつまみながら呑んでも5000円で収まるとう
 確かにビールも安い。今、大阪市内の飲食店でビールを注文すると、大瓶で500〜600円、中瓶で400〜500円、小瓶で300〜400円が平均的な価格だといわれている。しかし西成の飲食店の多くは「大瓶で380円」というのが一般的な価格である。

「天王寺や難波で寿司をツマミながら呑むとなると5000円ではちょっとキツいんとちゃいます?でも、西成やったら1人5000円あれば美味い寿司に酒もそこそこ呑める。財布に優しいと思うからついつい足を運んでしまうですわ」

 こう語る前出・50代サラリーマン男性だが、西成の飲食店に足を運ぶのにはもうひとつ、大事な理由があるという。

「タバコが吸えるんですよ。今、飲食店のほとんどが吸えませんよね?とくに寿司屋でなんて吸えません。でも、西成の店なら大抵のところは吸わせてくれる。愛煙家にとっては有り難いですよね」

 実際、西成では、ほとんどの飲食店が「喫煙可」としている店が多いという印象だ。これについてある飲食店店主は苦り切った表情を隠さず、次のように語った。

「西成でも(タバコを)吸わへん人もいるんよ。せやけど、吸う人が多いさかい、吸うてもらわな商売にならんわな。料理を食べにくるんやなくて『喫煙場所』として来てくれるのやったら、料理人としてはあんまり嬉しいもんやないわな……」

 さて、冒頭部でも触れたが、今、西成には10代、20代の若い世代も数多くやってくる。彼らがやって来るのは、ひとえに西成という街が醸し出す「非日常感」と食に限らない「物価の安さ」だ。

「はちゃめちゃ感がすごくて。ヤバいですよね…。どのお店も安いし。ちょっとイカツイおじさんもたまにいますよ。でも、そんなおじさんたちも私たちが話しかけると応えてくれますよ。元気がもらえるので、暇ができれば1人でも来ます」

 専門学校生という、この19歳女性は西成に足を運ぶ理由をこう語った。今では月に1度は西成に足を運ぶという。その彼女が西成にハマったきっかけは意外にも「Youtube」だという。

「ユーチューバーでジョーさんという人がいるんです。彼の動画『ジョーブログ』で西成が紹介されているのを観て、来てみたいと思ったんです。来てみると若い女の子でも行ける店もあるし。よく言われる“怖い”という感じはないですね」

 10代、20代世代から絶大な人気を誇るYoutube動画「ジョーブログ」は、西成の地元住民の間でもよく知られた存在だ。この「ジョーブログ」の動画内での西成特集を観てここにやって来たという若い世代はよく耳にするところだ。

>>(下)に続く
http://diamond.jp/articles/-/124147

2017年4月8日 秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]
大阪・西成は激安B級グルメの聖地、値段はC級、人情A級!(下)

>>(上)より続く

格安の西成グルメも
ホームレスには高嶺の花

 今、西成には、この若い世代の彼、彼女らが喜びそうな飲食店もいくつか存在する。ジャズバーやクラシック音楽バーもある。なかでも人気は西成警察署近くにあるカレー店「薬味堂」や、居酒屋兼ライブハウス「難波屋」だ。2日間煮込んだというカレーが人気の「薬味堂」は、大阪の下町らしく牛筋肉の煮込みが入った「どてカリー」が600円、コーヒーが300円だ。

 “投げ銭ライブ”で知られる「難波屋」では一推しメニュー「肉豆腐」は250円、「焼きそば」も同じく250円で提供している。大阪市内の他地域に比べると若干、安い。いわゆる“西成価格”での提供だ。それにしても、なぜ西成の飲食店は安価での商品提供が可能なのか。地元飲食店主のひとりがその内情を明かしてくれた。


いくら安くて美味いといっても、ホームレスや日雇い労働者にとって、こうした飲食店に入るのは贅沢。彼らがもっぱら好むのは自販機の酒や、露天商から買うコンビニの廃棄食品だ
「地代が安いからとちゃうかな?代々、受け継いだ家・土地やったり、借地や借店舗でも、キタやミナミとは比較にならへん。それにいくら安いゆうたかて、下手なもん出したらお客さん来てくれへん。大阪のなかでも、みんな顔見知りの地域やさかい、おかしな評判が立つと困るんや。だから美味いもんを安く出すしかないんや」

 もっとも、こうした「安くて美味いもん」を、西成に集うホームレスや日雇い労働者が口にすることは滅多にないという。

「あの人たち(ホームレスや日雇い労働者)は、自販機の酒とコンビニ廃棄の露天商から買ったもんだけやろう。それか、せいぜい立ち呑み屋やな」

 一般人には格安でも、やはりホームレスや日雇い労働者には手の届かない「高級グルメ」なのだろう。では、どんな人たちが西成の飲食店に立ち寄っているのだろうか。

「昔からここに住んではる人や。地の人(地元の人という意味)が多いな。商売してはる人もおれば、サラリーマンの人もおるし、生活保護受けてはる人とかかな。年金生活の人もいてはるけど。それ以上に、今も昔も、外から来てくれはる人やな」

地元住民も悩む
ホームレスの扱い

 こう語る前出・地元飲食店主は、「そもそも西成は『ホームレスの街』ではない」とし、西成という街を次のように教えてくれた。

「昔の『赤線(1958年の売春防止法施行以前、全国の公認で売春が行われていた地域の俗称)』、今の飛田新地やけど、そういうのがあるところって“繁華街”やろ?だから呑み屋とか飲食店が賑わうわな。ただの繁華街なんやけど、そこに日雇い仕事にアブれた者がホームレスになったり、よそからホームレスが来るようになって、今みたいな『スラム街』になってもうたんよ。せやから西成は、それこそキタやミナミと一緒とまでは言わんけど、元々は“歓楽街”やと思うてくれたらええ」

 この歓楽街である西成の飲食店に、今、若い世代やサラリーマンが、「安価」という理由から大勢、やって来るようになったというわけだ。

「東京やったら、サラリーマンやOLのお姉さんが、地下鉄乗ってランチに出たりするんやろ?この西成も天王寺から駅ひとつ、2分の距離で来られるわな。そういうのがもうちょっと広がってくれると、うちら地元の飲食店経営者は助かるんや」

 このように前出・地元飲食店主は、行政による「ホームレス浄化」が進めば、近隣地域からの客の流入が見込めると話す。

 他方、近年、「観光地化」が著しい西成だが、そこに「ホームレスがいない」状況は、「鹿がいない奈良公園と同じだ」という声もある。別の地元飲食店主が語る。


幕の内弁当200円、カツカレー400円など、割安弁当を売る弁当屋も多い西成地区。安い弁当もホームレスたちに好まれる
「最近、若い人が西成にやって来るのは、『物見遊山』『怖いモノ見たさ』やろ?面白半分で来るな!――そんな声もあるけどや。でも、ホンマにホームレスの人がここからいなくなったら、きっと不動産価格も騰がるわな。そしたら今みたいな“西成価格”なんて吹っ飛ぶで!難波や天王寺と同じような値段でサービス提供するようなことになったら、もう誰も西成には来ないんとちゃうか?若い外人さんなんか日本に来られへんで!」

 なかにはこんな声もある。労働者の街である西成には「弁当屋」が数多く存在する。家庭的な弁当を提供する店が多く、全国チェーン店よりも割安、200円程度の価格帯で「幕の内弁当」を出している。400円で「カツカレー」を供する店もあるくらいだ。

「ホームレスの人を追い出したら、この商売している人らがいちばん割を食う筈や。あの人らにとっては、弁当屋が売る弁当は“ご馳走”やし、命を繋ぐもんやさかいな」

サラリーマンの夜の宴会も
西成「3大有名店」で

 この「ホームレスの人たちが命を繋ぐ」格安弁当も、最近では、ごく一般の外からやって来たサラリーマン客から人気が出ている。

「営業でこの辺に来たら、買って帰ります。だって200円で腹一杯になるんですよ。店に入っても、うどんやラーメンが300円くらいです。お得ですよね?」

 こう語るのは、大阪市内の印刷会社でサラリーマンをしているという40代男性。職場での宴会も、わざわざ勤務先から遠く離れた西成で行うことが多くなったという。

「僕らの仲間内では『西成3大有名店』と言ってるんですが、『きらく』『なべや』『やまき』、どこも夜9時には閉店なんです。だからダラダラと宴会ということもないし、楽しく盛り上がって、安く呑んで、食べて、さっと切り上げられる――それができますしね。天王寺や難波だと、夜遅くまで店が空いてるから、なかなか“お開き”とならないのです」


ホルモン1串70円という激安価格の「やまき」。開店から閉店まで、周辺はおろか、「全国から客が押し寄せている」という盛況ぶりだ
 一人鍋600円で、すき焼きがぶっ倒れるほど食べられるという「なべや」、ホルモン1串70円という低価格で、開店から閉店まで大勢の客で賑わう「やまき」、どちらもネット時代を反映して、「全国から客が押し寄せている」(地元住民)という盛況ぶりだ。

 年々、ホームレス浄化によって彼らの人数が減り、それと入れ替わるように生活保護受給者が増えてきたといわれる西成あいりん地区。今では「昼間は生活保護受給者と、ごく一般のサラリーマンが主な客層」(地元飲食店店主)といわれている。

 アベノミクスの奏功で景気はいいという向きもあるが、ここ西成の現状を見るにつけ、ごく普通のサラリーマンと生活保護受給者の「差」は、むしろだんだんと狭まっているのではないだろうか?そう感じさせられた今回の取材だった。
http://diamond.jp/articles/-/124212
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/769.html

[経世済民120] 労働力調査 VS 三橋貴明「完全失業率3%未満の日本」という幻。政府の嘘とカラクリを暴け
#三橋貴明は 図1 http://mtdata.jp/data_55.html#Unemp17Feb において
統計局のデータ http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/
を元にして就業者数が減少(〜6250万)と主張している。

ただし統計局の元データでは、全体で「6427万人。前年同月に比べ51万人の増加。50か月連続の増加」(非農林で6269
万)となっており

少子高齢化により64歳以下の現役世代人口が減少に転じているにもかかわらず、2012年の安倍政権誕生直前の6263万(非農林6043万)から大幅に増加している。
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2014np/

こうした誤りの原因は、三橋が直近1年の円高反転状況でのデータのみを見ていたことによる結果だと言える。


a-3 就業者【全産業,「農業,林業」,「非農林業」】(エクセル:297KB) (1953年1月〜)
http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.htm

統計局ホームページ 
労働力調査(基本集計) 平成29年(2017年)2月分 (2017年3月31日公表)
  年平均 月次(季節調整値)
2014年 2015年 2016年 2016年11月 12月 2017年1月 2月
完全失業率 3.6% 3.4% 3.1% 3.1% 3.1% 3.0% 2.8%
<<ポイント>>
 (1) 就業者数,雇用者数
   就業者数は6427万人。前年同月に比べ51万人の増加。50か月連続の増加
   雇用者数は5754万人。前年同月に比べ48万人の増加。50か月連続の増加
 (2) 完全失業者
   完全失業者数は188万人。前年同月に比べ25万人の減少。81か月連続の減少
 (3) 完全失業率
   完全失業率(季節調整値)は2.8%。前月に比べ0.2ポイント低下


• 労働力調査(基本集計) 平成29年(2017年)2月分結果の概要(PDF:269KB)

http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/201702.pdf


「完全失業率3%未満の日本」という幻。政府の嘘とカラクリを暴け=三橋貴明
2017年4月4日

日本の完全失業率が3%を切ったのは、アベノミクスのおかげではありません。人口構造の変化により雇用環境が改善している風に「見える」としか説明のしようがありません。(三橋貴明)
記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年4月1日・3日号より

※本記事のタイトル・リード・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです
【関連】安倍政権の移民受け入れがもたらす「日本の韓国化」という悪夢=三橋貴明
【関連】NHKニュースが報じない「2016年 実質賃金増加」のカラクリ=三橋貴明


“雇用改善”は現代日本の必然、アベノミクスの果実ではない
「完全失業率2.8%へ改善」は本当に安倍政権の手柄なのか?

17年2月の雇用統計が発表されました。予想通り、完全失業率がついに3%ラインを突破し、2.8%に低下。若年層失業率は、何と4.1%!もちろん、主要国最低です。

総務省が31日発表した2月の完全失業率(季節調整値)は前月より0.2ポイント低い2.8%となり、1994年12月以来、22年2カ月ぶりの2%台を記録した。

完全失業率は、リーマン・ショックの影響で雇用情勢が悪化した2009年7月に過去最高の5.5%を記録して以降、景気回復とともに低下傾向が続いている。2%台前半で推移した1990年前後のバブル期の水準には及ばないが、失業率の低下で労働市場の需給は引き締まり、人手不足感が強まっている。(後略)
出典:2月の失業率2.8% 22年ぶり2%台 – 朝日新聞(2017年3月31日)

日本の失業率の下落について、安倍政権の経済政策の「おかげ」と、懸命に印象操作を図っている論客が少なくありませんが、もし本当にそうであったとしたら、就業者数が増えるはずです。ところが、現実には就業者数はすでに頭打ちになり、下落を始めています。

日本の完全失業率・若年層失業率(%、左軸)と就業者数(万人、右軸)
出典:三橋貴明ブログ『新世紀のビッグブラザーへ』
http://mtdata.jp/data_55.html#Unemp17Feb

2017年2月の就業者数は、ほぼ1年前の水準に戻ってしまっています。就業者数が減り、同時に失業率が改善した。人口構造の変化(生産年齢人口比率の低下)により、雇用環境が改善している風に「見える」としか説明のしようがありません。
少子高齢化により、人口の瘤である団塊の世代が労働市場から退出したとしても、それを埋める若者は労働市場に入ってきません。日本の雇用の改善は、少子高齢化による生産年齢人口比率低下がもたらす「必然」なのです。
ちなみに、産業別就業人口をグラフ化すると、以下の通り。

日本の産業別就業者数の推移(単位:万人)
出典:三橋貴明ブログ『新世紀のビッグブラザーへ』

http://mtdata.jp/data_55.html#Unemp17Feb

日本の雇用を改善させたのは「生産年齢人口比率の低下」である

日本で雇用が伸びている産業は、医療・福祉「のみ」といっても過言ではない状況なのです。すなわち、介護産業が現在の日本の失業率の低下をもたらしています。少子化で、生産年齢人口比率が低下した。同時に、高齢化により介護分野の需要が拡大。医療・福祉の就業者数が増加することで、失業率が2.8%に低下した。若年層失業率が4%を割り込む寸前に至っている。これが、日本の雇用改善の真実です。

なぜ、日本の雇用改善の真因が「生産年齢人口比率の低下」であると繰り返すのかといえば、失業率低下が、「あ、ならばデフレ対策の財政出動はする必要がないね」と、緊縮財政に活用(悪用)される可能性が濃厚であるためです。

現在の日本の失業率の低下は、安倍政権の経済政策の効果ではありません。もちろん、オールオアナッシングではなく、多少は影響しているでしょう。とはいえ、その場合は「金融政策拡大により、介護分野の雇用が増えた」という政策波及経路について、説明する必要があります。少なくとも、わたくしには不可能です。

日本の雇用改善が「少子高齢化による生産年齢人口比率の低下である」と正しく認識し、民間や政府が人手不足解消のための「投資」を拡大することで、「現在の需要(主に投資)不足を解消し、将来の生産性向上で人手不足を解消できる」という、まさに一石二鳥の経済政策となり、将来の日本国の繁栄をもたらすのです。

Next: 失業率の改善を口実に実行される「緊縮財政」と「構造改革」が日本を滅ぼす

「緊縮財政」と「構造改革の正当化」が日本を滅ぼす

不思議なことに、日本では構造改革や緊縮財政が推進された際に、何らかの理由により「一見、好景気に見える」という状況が訪れます。それ故に、構造改革が正当化され、実際にはデフレの長期化を招いてしまうのです。
小泉政権期、かつてないほどに猛烈に構造改革が推進された時代、アメリカではサブプライムローンの流行などで不動産バブルが起きていました。
アメリカの家計は、本来はローンを組めない所得水準の人々までもが住宅を購入し、住宅価格が値上がりすると、価格上昇分のお金をさらに借り入れ(ホーム・エクイティ・ローン)、消費に回しました。結果的に、世界経済はアメリカのバブルと消費拡大の恩恵で、活況を呈しました。

日本にしても、実質輸出が1.5倍に拡大する状況になり、反対側で小泉政権がデフレを深刻化させる公共投資削減と、構造改革をバリバリと推進したにも関わらず、悪影響が目立ちませんでした。当時、アメリカの不動産バブルという「特需」がなかった場合、公共投資削減を中心とする緊縮財政で経済が極端に悪化し、構造改革は頓挫せざるを得なかったのではないかと思うのです。
2012年末に第二次安倍政権が発足し、異次元の金融緩和が始まりました。金融市場で投機的需要が拡大し、円安が進行。円安になれば、外国人株主が日本株を買うというわけで、日経平均は上昇していきました。結果的に、何となく「アベノミクスが上手くいっている」という印象が広まり、国民の実質賃金が下がり続けているにも関わらず、財務省主導の緊縮財政が橋本政権、小泉政権を上回る勢いで推進されました。
同時に、TPP(頓挫はしましたが)、国家戦略特区、派遣法改正、農協法改正、電力自由化、発送電分離、外国移民受入、患者申出療養(混合診療)開始、ガス自由化といった構造改革が強行されます。さらには、上下水道民営化、公共インフラのコンセッションによる売却、種子法廃止と続き、安倍政権の「日本の国の形をぶち壊す」構造改革は、とどまるところを知りません。

そして今、緊縮財政と構造改革というデフレ化政策が進んだにも関わらず、少子高齢化に端を発する生産年齢人口比率の低下により、失業率が改善していっています。今度は、株価ではなく、失業率の改善が緊縮財政や構造改革の目くらましに使われるのでしょう。

「失業率が改善している。日本経済はもはやデフレではないため、財政拡大は必要ない」「アベノミクスの効果で、人手不足が深刻化している。生産性向上のための『規制緩和』が必要だ」といったレトリックが、政治家やエコノミストなどにより繰り返されることになると思います。
とはいえ産業別に見ると、日本で伸びてい
る雇用は、ほとんど「介護」だけなのです。なぜ、アベノミクスや金融緩和の効果で「介護分野の需要が増えた」のか、誰も説明しません。真実は、単に少子化により若者の労働市場への参加が減り(母数が減っている以上、当たり前です)、高齢化で介護の需要が増えた。ただ、それだけの話です。
「金融緩和により雇用が改善した」といった説が広まってしまうと、「ならば、財政出動はいらないね」という話になるに決まっているのが、我が国の言論スタンダードなのでございます。

現在の日本政府に求められるのは、公共インフラの整備や技術投資の拡大により、社会全体で生産性向上をもたらすことです。レントシーカーに「ビジネス」を提供する規制緩和ではありません。インフラ整備や技術投資は、「現在の需要不足(デフレ)を終わらせ、将来の生産性向上をもたらす」というわけで、まさに現在の日本にふさわしい一石二鳥の政策なのです。

ところが、「失業率が下がっている」といった目くらましにより、インフラ整備や技術投資の予算は「カット」され(されています)、日本の国力を衰退させると同時に、一部のレントシーカーに所得をもたらす規制緩和、自由貿易といった構造改革が行われるのが日本国なのです。
このままでは我が国は、インフラ後進国、技術後進国と化し、外資系を含むレントシーカーたちに食い荒らされ、中長期的に衰退していくことになるでしょう。何とかしなければなりませんが、何とかなるのでしょうか。分かりませんが、とりあえず足掻くことなしで、事態は改善しないでしょうから、足掻き続けることに致します。

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http://www.mag2.com/p/money/167311


http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/771.html

[政治・選挙・NHK223] 「日本は借金大国」という大ウソを報じた、政府とNHKの罪と罰 「テレビが伝えない真実」 武田邦彦
「日本は借金大国」という大ウソを報じた、政府とNHKの罪と罰
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『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』
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「日本は借金大国」という大ウソを報じた、政府とNHKの罪と罰

なぜ日本人の給料は上がらないのか? 武田教授が暴露する巨大なウソ
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前回「なぜ日本人の給料は上がらないのか? 武田教授が暴露する巨大なウソ」で、財務省とそれに従う御用学者の嘘を論理的に暴いた中部大学教授の武田邦彦先生。今回のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』では、前回に続き「日本には膨大な借金がある」という、もはや一般常識となりつつある認識について、日本の連結決算などを引きながら真っ向から反論。「本当は消費税ゼロも可能」という、衝撃の持論を展開しています。

日本国全体には本当に膨大な借金があるのか?

読者の方は、財務省やNHKという権威のあるところが、ここ10年以上も繰り返し「日本国には膨大な借金がある」「そのツケを子供に回してはいけない」「だから消費税を上げて、財政を立て直す必要がある」というのを聞いているのだから、おいそれと著者の言うことに納得するはずもない。

確かに政府には借金がないのかも知れないが、日本国全体には借金があるのではないか? と思うのが素直な日本人だろう。

そこで、何段階かに分解して、収支決算をしてみる。

まずは日本政府の連結決算だ。企業に単独の決算(子会社などを含まない決算)と、連結決算(その会社が支配している子会社などを含めて決算)の2種類があり、本当にその会社の状態を知るには連結決算を見てみなければ分からないことは誰でも知っている。

日本政府の大きな子会社は日銀だが、その外にも政府が財産を自由にできる機関は多い。それらを合計すると、資産が900兆円、国債が350兆円、徴税権が750兆円で合計約2000兆円だ。政府単独が約1000兆円だから、連結にすると約2倍の資産を持っていることになる。

これに対して負債は国債が1350兆円、日銀券が350兆円で1700兆円だ。日銀券は負債のように感じられないかも知れないが、現実には日銀が「金などの裏付けなし」に発行しているので、負債は負債である。

単純な引き算でわかることだが、連結ベースの場合、資産が2000兆円、負債が1700兆円だから、差し引き300兆円だけ「余っている」。つまり連結した日本政府は赤字どころか300兆円も余っているし、日銀は日銀券をさらに発行して国債を買い上げたりできるので、利子を払わなければならない国債を自分の意思で減らすことすらできる。

後の世代に借金を残さず、消費税ゼロは「実現可能」

さらに、「日本国全体」を見てみよう。

(日本国全体=政府+銀行(金融機関)+会社+個人)だから、財産全体は政府よりズッと多い。政府が480兆円、銀行が2700兆円、会社が850兆円、個人が1500兆円で、日本国の資産は約5600兆円だ。国全体で計算するときには、政府が発行した国債の償還権は銀行や国民が持っているので、銀行や国民の資産として計上している。

一方、負債は政府が1000兆円、銀行が2700兆円(資産と同じ)、企業が1200兆円、そして個人が400兆円で、300兆円ほど余っている。

つまり、政府の借金だけ言えば1000兆円の借金と言うけれど、日本国全体では300兆円も余っているし、会社は350兆円ほど、個人は1100兆円も貯金がある状態なのだ。

今の日本国は子供に借金を残すことなく、消費税ゼロが実現可能である。

このような状態を財務省やNHKは知っていたのだろうか? もちろん、東大を出てトップクラスの人間の集団だから、こんな初歩的なことは分かっている。

「政府」が「日本国」ではないこと、「国債」を借りているのは政府だが、持っているのは国民だから国民に借金などないことはよく分かっている。だから、「日本国は借金が膨大で、子供にツケを残す」というのは「意図的なウソ」である。

最近、これがハッキリしてきたので、「政府には貸借対照表、複式簿記などという概念はなかった」ということを言っているが、そんな難しいことを言わなくても、「持っている資産やお金と借りているものの差し引きが借金だ」というぐらいは誰でも分かる。財務省やNHKが知らないはずもない。

政府とNHKのウソは、もはや犯罪レベル

ところで、このような数字を出すと、かならず細かいことにケチを付けてくる。今までのウソがバレるので、あれこれと小さいことを言ってくる。たとえば、上記の数字には若干のダブルカウントや分類違いがある。それは余りに大きなウソの中の数字を拾ってくるので、全部がガラス張りのようになっていない。

だから結果的に数10兆円ぐらいのダブルカウントや、逆に計算漏れが生じる。

それをついてくる人が必ず現れるが、その人に「それでは正確な数字を出してください」というと言を左右にして出さない。ケチの目的は誤魔化すことにあるからだ。もし日本が民主主義なら、政府は国民の命令で行政をやっている公僕だから、正確な数字を出すのは政府の役目であって、国民ではない。もともと、これまでの財務省やNHKの発言、報道は犯罪的であり、このことだけで財務省の役人の解雇やNHKの職務停止があっても良いぐらいの大規模なものである。


『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』
著者/武田邦彦(記事一覧/メルマガ)
東京大学卒業後、旭化成に入社。同社にてウラン濃縮研究所長を勤め、芝浦工業大学工学部教授を経て現職に就任。現在、テレビ出演等で活躍。メルマガで、原発や環境問題を中心にテレビでは言えない“真実”を発信中。
http://www.mag2.com/p/news/245237
http://www.asyura2.com/17/senkyo223/msg/738.html

[経世済民120] 米国株は「2029年まで続く超長期上昇トレンド」の第2ステージに入った=江守哲 「日経1万円割れ&1ドル最低でも87円」
米国株は「2029年まで続く超長期上昇トレンド」の第2ステージに入った=江守哲

2017年4月4日 ニュース

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私は目先の動きを気にしていません。もっと先を見ています。以前から申し上げているように、米国株は上昇し始めると17年間はそのトレンドが続く傾向があるのです。(江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて)

本記事は『江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』2017年4月3日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守 哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

目先の材料に一喜一憂は不毛、かつてない大相場が始まっている

米国株式市場〜心配無用

米国株は上昇しています。特にナスダック指数とS&P500は堅調です。

米国株の動きを語るとき、多くの人がダウ平均株価で語ります。それ自体は間違ってはいないのですが、実際にはS&P500やナスダック指数の動きの方が明らかに堅調です。そして、これらの指数の方が数多くの銘柄をカバーしています。

ですので、より本質的な米国株の動きを見るには、まずはS&P500の動きを見て、さらにナスダック指数を見るのが賢明と考えています。これらの指数はきわめて堅調ですので、全く心配していません。

しかし、この1週間ほどは、市場関係者がとにかくトランプ政権の将来性に対する不安を煽るような報道を繰り返しました。まさに「それ見たことか」と言わんばかりのけなしぶりです。

オバマケア見直し法案を撤回しただけで、何を言っているのか、というのが私の考えです。ですので、下げれば喜んで買い増しをしました。そうすると、あっという間に戻りました。

このような、近視眼的な方々の意見は聞かないことにしています。全く本質とは異なりますので。医療保険制度改革(オバマケア)見直し法案が見送られれば、それだけでコストが削減できます。悪い話ではありません。

それでも、トランプ大統領の政権運営能力に対する懸念は根強いようです。オバマケア代替法案の扱いや、税制改革の実現性を見極めるため、市場は新たな手掛かりを待っているようです。

いまは何もしないほうがよいトランプ

しかし、それは不毛な時間になるだけでしょう。

また、税制改革やインフラ投資にしても、本来は景気が悪化しているような時期にやるべき政策です。むしろ、いまは何もしない方がよいくらいでしょう。これだけ景気が良いわけですから。

トランプ大統領はオバマケア代替法案の可決を阻止した共和党保守派議員に対して、「重要政策の立法化をこのまま阻害し続ければ、次回の議会選挙で敗北に追い込む」とけん制したと報じられています。

トランプ氏はツイッターで、党内の保守派下院議員で構成する「フリーダム・コーカス」のメンバーに対して、「フリーダム・コーカスが早急にチームに協力しないなら、共和党の政策課題をすべて損なう。われわれは18年に彼らと民主党と戦うべきだ」と発言したようです。

これもまた余計なことです。何もしなければよいのに、自尊心を傷つけられたのでしょう。

一方、フリーダム・コーカスのジャスティン・アマシュ議員は「大半の人はいじめを快く思わない」と反論し、「小学5年生なら思い通りになって建設的かもしれないが、政府はこうは機能しない」と糾弾しています。

これもまたひどい言い方ですね(笑)。トランプ大統領が尊敬されていないことの証左といえます。

これに対してライアン下院議長は、「大統領の不満は理解できるし、共有する」とし、共和党内で対話継続を促すとしています。

さらにライアン氏は、共和党内の意見の対立を受けて、「トランプ大統領が民主党と協力して選挙公約の実現を目指す事態を懸念している」とし、「そうした状況は望まない」としています。

トランプ大統領はこれまで自説を押し通す戦略で、権力を振りかざしてきましたが、結果的に上手くいっていないようです。もう少し柔軟に対応し、現実路線になれば、米国への評価はさらに高くなるのに、と思わざるを得ません。

貿易戦争は「場外ショー」

また、トランプ政権はオバマケア見直し法案での失敗を取り返すべく、米通商代表部(USTR)が外国の貿易障壁に関する年次報告書を発表し、慢性的な過剰生産能力や強制的技術移転などを指摘して中国を非難しています。

さらに、トランプ大統領も貿易に関する大統領令に署名するなど、貿易戦争に矛先を向けており、強硬姿勢を貫いています。

トランプ政権は貿易の是正に厳しい姿勢で臨むと強調するなど、これまでに失墜した政権への信頼回復を図ろうとしています。その上で、貿易赤字に関連して中国の巨額の貿易黒字を批判し、強硬政策の矛先を中国に向けるなど、市場に不安感が広がる可能性があります。

米中首脳会談も控える中、市場がこれらの言動を不安視するようでれあれば、再び株式やドルが売られ、金に投資家の関心が向かうことも想定されます。

しかし、よくまあここまで、強硬姿勢を続けるかなぁと思います。もう少し柔軟に対応した方が、最終的には上手くいくように思うのですが、これがこれまで成功していたトランプ流なのでしょうから、仕方がないですね。

まあ、政治の混乱で経済がおかしくなるとは考えていませんので、あくまで場外ショーぐらいにしか捉えていませんが(笑)。

Next: 米国の景気は堅調/あと10年以上続く超長期上昇トレンドを捉えよ


米国の景気は堅調

一方、市場が気にしている点に、FRB高官の発言があります。しかし、これも結論から言えば、繰り返しているように、市場は気にしすぎだと思います。

先週もいろんな方が、今後の金融政策や利上げペースについて言及しました。市場はそれを気にするそぶりを見せていましたが、そのような発言を今の時期に気にしていても、仕方がありません。

FOMCでの政策決定がすべてです。まして、投票権を持たない地区連銀総裁の発言は、ほとんど無視してよいと思います。

FRB関係者の様々の発言が市場を動かすわけですが、それは一過性のものにすぎません。そのような声に振り回されず、本質的な意見だけに耳を傾けることが肝要です。

一方で、景気は堅調です。昨年10〜12月期の米実質GDP確定値は年率換算で前期比2.1%増と、改定値の1.9%増から上方修正されました。

GDPの約7割を占める個人消費が3.5%増(改定値は3.0%増)と堅調だったことに注目が集まりました。

GDP統計で米国経済の力強さが確認されたことから、市場に買い安心感が広がり、30日の株価は上昇しました。

前期比でのプラスは11期連続です。大きな伸びとなった7〜9月期の3.5%増からは減速しましたが、GDPの約7割を占める個人消費は堅調さを維持しており、米国経済の力強さが改めて示されたといえるでしょう。

米国経済の拡大は3月末で93カ月となりました。第1四半期(1月〜3月)も堅調だったとの見方が多いようです。

過去平均は95カ月であり、そろそろ景気拡大は終了するとの声もあります。

しかし、現時点では、過去3回の景気拡大が終了した背景であるバブルが見られないことや、ハイテクバブル時には120カ月の景気拡大があったことを考慮すれば、今回は19年半ばまで現在の拡大基調が続いてもおかしくないでしょう。

今の段階で、米国景気はピークアウトしたので、株価も下げると考えるのは短絡的でしょう。

一方、米国債の利回りは抑制されています。 2.5%を下回っており、過熱した状態にはありません。

おそらく、今後はインフレ率の上昇も抑制されるでしょう。原油価格の上昇基調が鈍いからです。せいぜい2%から2.5%の間で推移すると考えています。そうなれば、FRBが利上げする理由もなくなります。

また、米国経済成長は堅調ですが、経済成長率が過去のように3%台に大幅に上昇することもないでしょう。

そうであれば、景気の過熱も抑制され、国債利回りの上昇ペースもかなり緩慢なものになるでしょう。

また、オバマケア代替法案の撤回を受けて、トランプ政権が税制改革などでも大きな課題に直面する可能性があるとの見方も金利上昇を抑えるでしょう。減税やインフラ投資が見送られれば、財政悪化が避けられるとの思惑から、金利は上昇しづらくなると思われます。

そうなれば、配当利回りとの比較で株価はまだ高値を維持してもよいとの判断になります。

あと10年以上続く超長期上昇トレンドを捉えよ

もっとも、私は目先の動きを気にしているわけではありません。もっと先を見ています。

以前から申し上げているように、米国株は上昇し始めると17年間はそのトレンドが続く傾向があります。

今回の上昇トレンド入りは2012年であり、ここから17年間上昇するとすれば、2029年まで続くことになります。目先の上下に振り回される必要は全くない、というのが私の考えです。

過去のダウ平均の年率騰落率は平均で8.75%であり、このペースで上昇すれば、2029年には58800ドルになる計算です。現在の2.8倍という、ものすごい上昇率です。この考え方が米国株への投資では重要だと考えています。あとは継続するだけです。

米国株は2029年までの超長期上昇トレンドの第2ステージに入ったばかりとの認識です。

過去のデータでは、米国株投資で10年以上保有できれば、最低でも2倍のリターンは確保できています。このように考えると、目先の材料や市場の懸念を気にするのが、本当に不毛に思われます。

米国株を長期的に見ながら、押し目を拾っていくのが株式投資の王道であると思います。このような長期的に安定したリターンは、残念ながら日本株では得ることができません。

これは紛れもない事実です。日本の証券業界関係者がもっとも触れてほしくない事実ともいえるでしょう。われわれは長期的なトレンドを重視し、本質的な材料をしっかりとみていくようにしましょう。

下に4月のレンジを掲載しておきます。今年は見事に強気トレンドのレンジに入っていますね。今年は想定以上に市場が正確に動いてくれています。ぜひご確認ください。

4月は上昇しやすい月です。強気に見て、21600ドルまでの上昇を想定しておきたいと思います。

【ダウ平均株価:2017年の想定レンジ】

強気シナリオ19310ドル〜23185ドル(17年末22870ドル)/弱気シナリオ16050ドル〜20195ドル(17年末17850ドル)

【ダウ平均株価:4月の想定レンジ】

強気シナリオ20370ドル〜21605ドル/弱気シナリオ18535ドル〜19970ドル

Next: 東京株式市場〜日経平均株価しか見ていない人が知らないこと

東京株式市場〜日経平均株価しか見ていない人が知らないこと

日本株はまだまだ上値が重いですね。何か意図的な売りが入っているかのような動きです。もちろん、その背景はわかりませんが。

なかなか基調が上向きませんが、結局のところ、投資家が日本株全体に期待感を持てないということでしょう。

しかし、そんな中でも何とかして株価を押し上げようとする人たちが居ます。それが、ドル建て日経平均株価の話をする証券関係者です。

このような説明をする方が非常に多い印象があるのですが、何が目的なのでしょうか?おそらく、日本株はドル建てだと堅調だと言いたいのでしょう。

だから、どうしたというのでしょうか?日本株は強いという検証をしているつもりなのでしょうか?全く意味が分かりません。

我々が米国株を見るときに、円建てで見るでしょうか?そのようなことはあり得ません。

であれば、ドル建て日経平均という、架空の指数を投資家に示して、「日本株は堅調だから買い」というのは、私の感覚ではほとんど詐欺に近いですね。そのようなまやかしをしてまで、日本株が堅調であると言いたいのでしょうか?全く意味がないと思います。

日本の株式市場がグローバル化しない一因は、このような古いあるいは誤った考えの方がまだ多く存在することが背景にあるように感じます。わかりやすく言えば、スマートさがないということです。さらに言えば、本質とは違うところばかり見ているということです。

これは、市場動向を伝えるアナリストやストラテジスト、さらにマスコミにも責任がありそうです。

私からすればどうでも良い材料を、くどくどと市場変動の要因として説明しています。しかし、実際にはそのような些末な材料で市場は動いていません。

この2カ月間、日本株にどっぷりとつかって、実際に資金を入れて個別株を投資してみましたが、日経平均株価がいかに実態とかけ離れているかを実感しました。この指数を中心に見ていても、ほとんど意味がないことがわかりました。

個別株は本当に活況です。大型主力株だけを語っているアナリスやストラテジストには、これらの動きが見えていないのではかないと感じました。

もちろん、すべてを責めるわけにはいかないのも事実でしょう。大型主力株を中心に市場解説をしないといけないという不文律があるからです。中小型や新興株の動きだけを取り上げて説明すれば、多くの方が違和感を覚えるでしょう。

しかし、そうだからこそ、収益チャンスもないということになります。大型主力株に収益チャンスが多くあるとは感じません。安全かもしれませんが、市場全体が伸びていかないと株価も上がりません。

視点を変えると、こうも市場の見え方が違うのかと思うようになります。特に今年はそのように感じる場面が多いように思います。

私も仕事柄、テレビやラジオで市場解説をします。わかったようなことを話します。しかし、そんなものは必要ないのではないかと思うようになっています。そんなことを言っては、元も子もないのですが(笑)。

朝の某テレビ番組を見ていても、知らないと投資判断できないような話はほとんどありません。最近はあまり見なくなっていますが、それで困ることはほとんどありません。

知り合いがたくさん出ているので、出来るだけ見るようにしていますが、投資判断に影響を与えるようなコメントをされる方はまずいません(すいません、本当です)。所詮、その程度のものです。もちろん、自分も含めてですが(笑)。

さて、そんなことを言っていると、メルマガの読者が居なくなってしまいますので、この程度にしておきます(笑)。

Next: 日経平均株価は「見事な弱気トレンド」に突入している

日経平均株価は「見事な弱気トレンド」に突入している

さて、日経平均株価ですが、3月末に19150円を維持できるかを注視していました。

それは、3月末時点での強気シナリオのレンジ下限だったからです。これを維持できれば、辛うじて上記トレンド継続と判断しようと考えていました。

結果だけを言えば、3月31日の相場は大幅安でした。19000円も割り込んでしまいました。動きだけを見れば、とても弱いです。弱気トレンドに突入との判断になります。

19350円を明確に超えてくれば、上昇基調に入ると考えていましたが、少なくとも、3月末時点ではそのような判断はできませんでした。4月の動きに期待するしかないのですが、材料を探しても何も見えてきません。

確かに、期待感はないですね。そうなると、やはり投資家が日本株に積極的に等するとの判断にはなりづらいでしょう。こうなると、値動きを重視するしかないともいえます。

結果的に投資家が買いを入れて、それが株価を押し上げるのかを見るわけです。その方が効率的であることもあります。

もっとも、日経平均のPERが低い水準にあるとすれば、長期的には上昇が期待できると考えることもできそうです。大手企業の中には過去最高収益になっている企業や、連続増収の企業も少なくありません。

そのような企業に投資することが肝要です。まだ割安なものもあるでしょう。そのような銘柄に投資したいものです。

日経平均株価が4月以降、上昇に向かうにはさらにハードルが上がることになります。そのように考えると、日本株が上昇基調に回帰するのはかなり難しいというのが本音です。

米国株の上昇に助けられるか、それとも円高が圧迫するのか。いずれにしても、相当の材料がないと、日経平均株価が上昇するのは難しそうです。

そう考えると、やはり今後の成長が期待できる企業への投資を中心に据えることが肝要でしょう。

割安感があり、下げても下値が限定的と考えられる銘柄に投資することで、資金的かつ心理的な負担を軽減したいところです。PERが低い株は、下落しても限定的です。逆に上昇に向かうと、上昇余地が大きいので、収益機会が一気に拡大します。

一方、新規IPOなどのマネーゲームに参加すれば、巻き込まれた末の急落後の処理が大変です。

PER60倍以上の企業や赤字転落企業などに投資すると、一時的な上昇に惑わされて、買った後に暴落するようなことが多くみられます。これらの企業への投資は全くお勧めしません。銘柄選択を間違えると、本当にあとが大変です。よく吟味した上で行いたいところです。

さて、4月3日には日銀短観が発表されます。内容次第では株価への好影響も期待できるとの声もあります。それは確かにそうでしょうが、これらの材料はあくまで結果を見て判断すればよい話で、期待するものではありません。

経済指標に対しては、期待を持たずに冷静に対処することが肝要です。4月の日経平均株価のレンジについては、以下にアップデートしてあります。これらのレンジを念頭に入れながら、市場動向を見ていくようにしたいと思います。

現時点では見事に弱気トレンドの中にあります。4月の強気シナリオのレンジ下限が19735円です。これを超えない限り、上昇の可能性はないと言っておきましょう。

【日経平均株価:2017年の想定レンジ】

強気シナリオ18335円〜23400円(17年末23020円)/弱気シナリオ14970円〜19915円(17年末15620円)

【日経平均株価:4月の想定レンジ】

強気シナリオ19735円〜21550円/弱気シナリオ17960円〜19540円

Next: 早く上場廃止になるべき?東芝株について

早く上場廃止になるべき?東芝株について

最後に東芝株についてです。

このような企業や銘柄に対して、どのように対処するのがよいのでしょうか?

少なくとも、これまでの状況では、東芝株への投資はギャンブルとの位置づけです。これだけひどい状況では、とても会社として信用できません。粉飾決算、決算発表の延期など、会社としての体をなしていません。

監理ポストに入りましたが、早く上場廃止にした方がよいとさえ感じています。

大きい会社であることや、原子力ビジネスに絡んでいるということで、政府の力が働いているとすれば、まさに本末転倒です。いずれにしても、これらの判断は非常に難しいのですが、私の考えでは、基本的にはこのような銘柄には手を出しません。

一方、今回の臨時株主総会での決定をきっかけに、東芝が生まれ変わるかもしれません。しかし、現時点では材料不足ですし、投資するとなれば、やはりギャンブルの域を出ないでしょう。

それでも一発狙いで投資される方は、自己責任で行われればよろしいかと思います。それ以上に期待できる銘柄はいくらでもありますので、私はそちらに投資しますが。ちなみに、私のシャープ株は順調に育ってます。

http://www.mag2.com/p/money/167770

 

「日経1万円割れ&1ドル最低でも87円」が十分あり得るこれだけの根拠=江守哲

2016年4月7日 ニュース

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堅調な米国株と比較して「日本株は売られすぎ」とする証券関係者が多いようですが、何もわかっていません。円建てでダウ平均を見れば、日本株の動きとほとんど同じです。来年以降、日経平均株価は1万円割れ、ドル円は最低でも87円まで円高が進む可能性があると見ています――有料メルマガ『江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』創刊を記念して、2016年4月4日に配信された第1回の一部を無料公開します。

※第2回は4月11日配信予定、興味のある方はぜひこの機会に定期購読を!本記事で割愛した購読者限定記事「マーケット人生物語〜私の人生を変えたアノ事件」もすぐ読めます。

プロフィール:江守 哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

円高基調変わらず、日本株は本格的な長期調整相場入りも

「日本株は売られすぎ」という講釈は的外れ

4月1日のマーケットでは、日本株が急落しました。日銀短観の内容が予想以上に悪化したことが背景にあるようです。それにしても、下げが大きかったですね。

期初の機関投資家の売りが出たようですが、これは例年通りですから、驚くに値しません。むしろ、売りを待っていた向きが、日銀短観を利用して売り浴びせてきたと考えたほうがよさそうです。

【関連】ドル円はとにかく戻り売り継続。「英国ショック」はトリガーにすぎず=江守哲

こうなると、週明けの日本株は非常に危うい動きになりそうですね。再び下値を試すことになりそうです。円高が進んでいますので、これも重石になります。

米国株の堅調さとの違いから、「日本株は売られすぎ」とする証券関係者が多いようですが、何もわかっていません。

円建てでダウ平均株価を見れば、日本株の動きとほとんど同じです。為替相場がいかに株式市場に影響を与えているか、ということです。これは、ドイツのDAX指数が上昇していないことにも通じます。このような基本的なことぐらいは、知っておきたいところです。

日本株は調整第3波スタートの可能性が大

さて、日本株は調整の第3波がやってきた可能性が高いと見ています。これは、昨年8月のチャイナショック、年初の急落に次ぐ3回目の調整局面です。ここから本格的な長期調整相場が始まるのかもしれません。

来年以降に「日経平均が1万円割れ!」などという見出しが躍っているかも知れません。少なくとも、私はそう見ています。日本株の買い場はまだかなり先のようです。

日銀短観の内容は確かに衝撃的でしたが、これもある程度は予想できていたはずです。さらに円高が今後は企業業績の悪化を後押しするでしょうね。115円以上にはいかないと考えていますので、私からすれば、117円台がドル円の想定レートのようですが、かなり甘い算定ですね。つまり、企業業績の悪化がこれから本格化するわけです。

日経平均株価の一株当たり利益(EPS)が1119円にまで急低下しています。このトレンドは今後も続くでしょうね。日経平均株価は、現時点では16800円以上は割高です。この水準が今後、企業業績見通しの下方修正に伴い、徐々に低下していくはずです。

Next: 円高基調は変わらず、将来的にドルは最低でも87円

円高基調は変わらず、将来的にドルは最低でも87円

それにしても円高基調が変わりません。市場関係者は、円安を望んでいますが、しばらく円安にはなりません。これは安倍政権がどう頑張っても無理でしょう。ドル円相場の方向性は米国が決めています(と私は思っています)ので、日本サイドの要因で円安に行くことはありません。

将来的に、ドル円は最低でも87円、最大で65円まで円高が進む可能性があると見ています。

「その根拠は何か?」と聞かれそうですが、相場は行く方向にしか行きません。現在のドル円はすでに円安トレンドが終わっています。円安トレンドは通常3年で終わります。2012年12月に始まった円安トレンドはすでに昨年末で終了しました。これも、セミナー等で以前から申し上げている通りです。

セミナーに参加された方や別のメルマガを購読されている方はご存知ですが、昨年12月のドル円の123.65円での売りは絶妙でしたね。最高のところでショートできました。このように、いろいろな角度から相場の行くべき方向を知っていれば、トレンドの重要な転換点で上手く対応することができます。このあたりは、このメルマガでも順次ご紹介していきたいと思います。

いずれにしても、円高基調が変わらないのですから、上記のように、日本株も厳しい局面が続くことになるでしょう。円高で株安、株が下げて円高、と言った具合に、それぞれがそれぞれを押し下げるような動きになるかもしれません。

世界の投資家は着実に金を買っている

今年に入ってからの金市場の堅調さには目を見張るものがあります。世界の投資家は着実に金を買っています。日本に居て、日本株しか見ていない投資家は気の毒ですが、グローバル投資家はしっかりと金を買っています。

2014年と15年に金上場投資信託(ETF)から資金が大量に流出しました。しかし、今年に入ってから、この流出した資金以上に金ETFに資金が流入しています。これらの事実から、「今年は金融危機が起き、株価が大きく下げるリスクがある」と考えているグローバル投資家の行動が見えてきます。

現在は「マイナス金利」です。「金には金利が付かない」として、普段は金を敬遠する投資家も少なくありません。しかし、いまは金利が付かない金がむしろ有利な時代です。

過去にも現在と同じような金投資が優位な時期がありました。1995年から2005年、2008年です。前者では金価格は4倍に上昇、後者では2倍以上になりました。そして、今回が3回目の金投資に優位な時期なのです。今はまさに金投資にうってつけの時期なのです。

また、実質金利から見ても、金はきわめて割安な状態にあります。低金利な中、インフレ率が少しでも上昇すれば、それは金相場に有利に働きます。賢明なグローバル投資家は、この点にも着目していると考えられます。長期金利は上昇しませんし、インフレ率は原油価格の下落に歯止めが掛かることで徐々に回復します。実質金利は自動的に低下し、金投資に有利に働きます。セオリーに素直についていくことが、いまの市場環境では重要といえそうです。

セミナーで投資家のお話を聞く機会が多いのですが、原油ETFなどに投資をしている投資家が非常に多いですね。しかし、長期的には私は金が有利と見ています。原油も上がるかもしれませんが、いまはマイナス金利によるメリットを確実に取っておくべき局面であると考えています。

原油は上がり始めてから買うほうがリスクも少なく、心理的な負担も少ないと思います。原油は一旦調整しそうです。40ドル以上の高値で買いついた投資家が増えてしまったので、一度は調整して、これらの買い持ちが解消されないと上昇しないでしょう。

Next: 今週の「ポジショントーク」〜金と資源国通貨を買いました


http://www.mag2.com/p/money/9462


 


 
結論は売り。今がレンジ相場の最終局面、これで上昇なら驚くほかない=江守哲

2016年10月11日 ニュース

米国株はモメンタムを失っています。上昇もしなければ下落もしない。完全に狭いレンジ相場にスタックした状態です。しかしこのような相場展開が長期化することはありません。(江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて)

本記事は『江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』2016年10月10日号外の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
 

割高明白な米国株と日本株。今が最終局面、最後のチャンス

現在の米国株は歴史的な割高圏

このような状況で、無理に米国株の高値を買う理由はないでしょう。まして、米国株は歴史的な割高圏にあります。

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞した、米国のロバート・シラー教授の考えに基づく米国株の評価である「CAPEレシオ」でみても、割高感は鮮明です。

CAPEレシオは「S&P 500 Cyclically Adjusted Price-Earnings Ratio」が正式名称です。

CAPEレシオは、株価を1年間の利益で割って算出する株価収益率(PER)とは異なり、過去10年という長期間の利益・配当、さらに物価変動も考慮して算出します。つまり、景気循環の影響を除き、企業の実力を株価と比較する指標です。

一般的には、CAPEレシオが25倍前後まで上昇すると、株価は割高と判断されます。CAPEレシオは、直近では8月に27.07倍にまで上昇していました。

25倍を超えると割高と判断するのであれば、今の米国株の水準はすでに割高圏にあるとの判断になります。

過去にも、2000年のITバブル期の1999年12月には44倍という、途方もない数値に達しました。

1966年には24倍、1929年には32倍などをつけましたが、いずれも株価はその後に暴落しています。

特に1929年には「世界恐慌」が起きました。米国株は大きく下落し、株価水準の回復に8年間もの時間を要したことはよく知られています。

現在の27倍という数値自体は、過去の水準と比べても、すでに十分に高いわけです。

これから第3四半期(7月〜9月)の企業決算の発表がありますが、株価を押し上げるのに十分な業績でなければ、結果的に売り込まれてしまう可能性はあると思います。

米国株は4割下げも。注意すべきアノマリー

そして、忘れてはならないのが、今年は年初に大きく下落している点です。株価が急落した1937年や2008年よりも下落率が大きかったのです。このアノマリーでいくと、米国株は4割近くの下落になると試算されます。

さらに、米国株は大統領選挙の前年に下落したことがありませんでした。しかし、昨年は初めて下落しました。

このように、不吉なデータが山のようにあります。しかし、それでも市場は楽観的です。このままあと3カ月を安閑と過ごすことができるとはとても思えません。

それではいったい何が起きるのか、その結論は早ければ今週中に出るのではないかと考えています。

繰り返しますが、基本は売り目線です。いまは下げても驚いてはいけない市場環境にあることを理解しておきたいところです。
http://www.mag2.com/p/money/24232


 


米国市場発「8年ぶりの悪夢」と「ドイチェショック」は始まっている=江守哲

2016年9月20日 ニュース

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FRBは利上げによる株価急落を非常に気にしているようです。しかし20・21日のFOMCでの利上げの可能性は意外に高いと考えています。折しも16日にはドイツ銀行の株価が1日で9.3%も急落したばかり。このようなタイミングで金融政策決定会合があるとはまさに皮肉ですね。日銀が株価下落のトリガーを引いてくれるのか、非常に見ものです。(江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて)

本記事は『江守哲の「投資の哲人」〜ヘッジファンド投資戦略のすべて』2016年9月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した全文もすぐ読めます。

プロフィール:江守 哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

ドイツ銀行株が急落。そして米国株が最も下げやすい週が始まった

今週、FRBが懸念する市場崩壊は起こるか?

いよいよ重要な週になりました。20・21日はFOMCです。利上げがあるのか、見送られるのか。市場はこの決定に注目しています。

しかし、繰り返すように、結果を待つしかありません。結果をあらかじめ予想して、それに対してポジションを持つことは、あまり賢明でありません。これはいつも繰り返し述べていることです。

巨額の資金を運用するヘッジファンドや機関投資家は、イベントごとにポジションを調整するのは不可能ですが、個人投資家はこれができます。機動的に動くことができる個人投資家の方が有利な時は最近は増えているように思います。

それにしても、最近の市場関係者や投資家は、FRB関係者の発言や金融政策の動向に、あまりに過敏に反応しすぎているように思います。これはFRBも同じです。市場動向を気にしすぎていることで、利上げが遅れている可能性があるからです。

雇用はすでに十分すぎるほど回復しています。完全雇用状態にあるというのが、市場のコンセンサスになっています。

また、懸念されていたインフレについても、16日に発表されたCPIはコアベースで前年比2.3%の上昇となっており、水準自体はすぐにでも利上げできる状況です。

このように、実際には利上げはいつでもできる、むしろすぐにでもしておいた方がよい状態になっています。しかし、FRBは利上げによる株価急落を非常に気にしているようです。さらに言えば、世界的な低金利状態による米国債への過剰投資の巻き戻しを恐れているともいえます。

手だてが遅れたことによる、今後の市場崩壊リスクの増大に戦々恐々としているわけです。

日本と欧州の中銀による量的緩和策の継続とマイナス金利の導入で、世界的な低金利状態が加速しました。これが「低金利バブル」を作り出しています。

時限爆弾のスイッチはすでにオンの状態

最近になって、これまでの低金利と過剰な債券への投資に警笛を鳴らす声が多くなり始めました。

残念ながら、多くの投資家はすでに大量の債券投資を行っており、金利上昇に耐えられない状況を自ら作ってしまいました。

したがって、金利が上昇し始めると、世界の多くの投資家は耐えられなくなり、債券ポジションの解消に走らざるを得なくなります。これがさらに金利上昇を招くという、まさに負のスパイラルを引き起こします。

こうなると、債券の代替として買われてきた、高配当株や公共株も暴落せざるを得ません。これまでこれらの株式を購入してきた背景が180度変わってしますのですから、機械的な売りが出てきます。

このバブルの崩壊による市場への影響は甚大なものになることは確実とみています。

時限爆弾のスイッチはすでにオンの状態になっています。あとは、爆発までの時間がどの程度にセットされているかだけです。

もしかすると、FRBがあえて利上げというトリガーを引いて、想定よりも少し早く爆発するかもしれません。

Next: 9月利上げの可能性は意外に高い/ドイツ銀行の株価が急落!


米国市場を取り巻く環境は、あまりに材料がそろい過ぎているように思います。先週も書いたように、これまでたまりにたまったマグマがまさに爆発しようとしています。20・21日のFOMCを契機に、大きな下げに見舞われるのか、要注目です。

ちなみに、19日の週は米国株がもっとも下げやすい週です。

このようなデータがそろっているときに、まさに状況証拠がそろい過ぎているのも怖いところです。

急落は避けられたとしても、じわじわと下げていくでしょう。リーマンショック時のように、1年以上かけて下げるのか、それとも短期間で急落するのか。いずれにしても、方向は決まったと考えています。あとはそのスピードと幅だけの問題でしょう。

私が年初から指摘し続けてきたことが、いよいよ示現しそうです。
http://www.mag2.com/p/money/22954

江守哲

29

2017年4月4日
米国株は「2029年まで続く超長期上昇トレンド」の第2ステージに入った=江守哲
私は目先の動きを気にしていません。もっと先を見ています。以前から申し上げているように、米国株は上昇し始めると17年間はそのトレンドが続く傾向があるのです。…
57
From Wikimedia Commons
2017年3月14日
杞憂に終わる「ダウ暴落」イエレン利上げで米国株式市場が死なない理由=江守哲
今のFFレート目標は0.50%〜0.75%。仮に0.25%利上げを年4回実施しても2%以下と歴史的に見て超低金利の範疇です。それよりも今後ぜひ見ておきたい…
242
Joseph Sohm / Shutterstock, Inc.
2017年2月21日
日本株に固執する投資家はなぜ眼前の「歴史的チャンス」に気づかないのか?=江守哲
日本株は円高で軟調、ドル円は見事に115円で打たれました。これで円安の目はなくなりました。それでも日本株に固執する人は、歴史的投資機会を逸することになるで…
105
Antonio Scorza / Shutterstock.com
2017年1月17日
ソロス氏も大損失!「トランプ相場の荒波」を個人投資家が乗り切る方法=江守哲
トランプ氏の大統領就任式が注目されていますが、手元のデータを利用して理論的に考えれば、現在のドル円が118円を大きく超えて円安になることはないとの結論にな…
37
From 首相官邸ホームページ
2016年12月27日
2017年 強気筋の予想「1ドル130円、日経2万3000円」に死角はあるか?=江守哲
2017年の日経平均レンジは、強気シナリオは高値24400円/安値17800円、弱気シナリオは高値21000円/安値14400円。2万円には到達するとして…
41

2016年11月10日
住商巨額損失事件のウラ〜私が元上司の「簿外取引」を通して学んだこと=江守哲
江守哲氏は1996年、当時勤務していた住友商事で上司だった浜中非鉄金属部長の簿外取引(住商巨額損失事件)に遭遇し、その後始末として2600億円の損失確定処…
196

2016年10月11日
結論は売り。今がレンジ相場の最終局面、これで上昇なら驚くほかない=江守哲
米国株はモメンタムを失っています。上昇もしなければ下落もしない。完全に狭いレンジ相場にスタックした状態です。しかしこのような相場展開が長期化することはあり…
273

2016年9月20日
米国市場発「8年ぶりの悪夢」と「ドイチェショック」は始まっている=江守哲
20・21日のFOMCでの利上げの可能性は意外に高いと考えています。折しも16日にはドイツ銀行株が急落したばかり。ここで日銀が株価下落のトリガーを引くのか…
165
Featureflash Photo Agency / Shutterstock.com
2016年8月2日
「魔の8月」の恐れも。日銀の追加緩和を逆手に取る外国人投資家=江守哲
日本株に大きな影響を与える外国人投資家やヘッジファンドは、今回の日銀追加緩和をどのように捉えるでしょうか?彼らに評価されないと、むしろ株価は下がってしまい…
207

2016年6月27日
ドル円はとにかく戻り売り継続。「英国ショック」はトリガーにすぎず=江守哲
英国のEU離脱がトリガーではありましたが、ドル円はやはりどうやっても円高にしかならないようです。たとえ麻生財務相が円売り介入をしても円安基調にすることはで…
45

2016年6月13日
米国株の堅調地合いもここまでか? やはり上がらない日本株とドル円=江守哲
日本株に関して、PER14倍以下なのでこれ以上の下げはないとの主張があります。しかし、このPERを算出するための一株当たり利益(EPS)がそもそも正しいの…
28
Frederic Legrand - COMEO / Shutterstock.com
2016年5月24日
「消費増税先送り&衆参W選挙」はアベノミクス最後の切り札となるか?=江守哲
G7では麻生財務相とルー米財務長官の認識の溝が浮き彫りになりました。伊勢志摩サミットでも各国の協調は期待できないため、安倍首相は最終手段に出ることになるで…
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160503emori_eye
2016年5月3日
日経14700-15250円、1ドル102円が目先ターゲット〜歴史的転換点の可能性も=江守哲
今回の下落で日経平均株価は上昇トレンドラインを明確に下抜け、下落に向かう可能性がきわめて高くなっている。株価収益率(PER)の観点からも日本株の浮揚は困難…
308
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2016年4月19日
【年金】GPIFよ、おまえはアマチュアか? あり得ない運用成績隠し=江守哲
国民の大事な年金を運用するGPIFが、今回の株安でパフォーマンスを悪化させたうえに、運用成績の発表を政治的な都合により遅らせようとしています。ひどい話です…
463
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2016年4月7日
「日経1万円割れ&1ドル最低でも87円」が十分あり得るこれだけの根拠=江守哲
堅調な米国株と比較して日本株は売られすぎとする証券関係者が多いようですが、何もわかっていません。来年以降、日経は1万円割れ、87円まで円高が進む可能性があ…
http://www.mag2.com/p/money/tag/%E6%B1%9F%E5%AE%88%E5%93%B2
 

江守哲さんを語りましょう
http://tamae.2ch.net/test/read.cgi/market/1479126162/101-n
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/774.html

[経世済民120] 暴落待ち 「信用取引の売り残高」に注目 今年こそ暴落 「世界の終わり」米国崩壊 2018年1月1日から世界金融危機が本格

暴落待ち
野次馬 (2017年4月 7日 04:30) | コメント(14)
ネットで株の売買を出来るようにして、アベ退陣大暴落があったらボチボチ仕込もうかと思ってるんだが、その予兆なのか、このところ軟調だねw トランプ効果もそろそろオシマイという事なのか? このところ、北朝鮮情勢を見ていると、トランプも戦争屋ユダヤの手口に乗せられてる風情なんだがw

日経平均株価 250円超値下がり ことし最安値を更新
6日の東京株式市場は、アメリカのトランプ政権の税制改革の実現が遅れるなどといった見方から全面安の展開となり、日経平均株価は250円以上値下がりし、取り引き時間中のことしの最安値を更新しました。
日経平均株価、午前の終値は前日より263円76銭安い、1万8597円51銭。
東証株価指数=トピックスは22.13下がって、1482.53となっています。午前の出来高は10億1326万株でした。

去年のいま頃は、16000円台でウロウロしていたんだよね。それが10月くらいからドカドカと上げて来て、今年に入ってからはずっと、19000円台。それが崩れて、回復の見通し立たず。これでアベが辞めたらドカッと来るw それがいつなのか?
http://my.shadowcity.jp/2017/04/post-10917.html
http://matometanews.com/archives/1848474.html

 

万が一の暴落に備えるには「信用取引の売り残高」に注目
冷静な対処が大事
清水 洋介
2017年04月03日
mailto:?subject=URLをメールで送る&body=/tk/news/articles/0/166042 URLをメールで送る 印刷 印刷

 日本市場はさえない展開が続いている。米国の利上げの後、円安にならなかったことで売られる場面もあったものの、足元の好調な業績などを見直す動きもあって下値は限られた。一方、積極的に買い上がるということでもなく、決算期末の持ち高調整の売り買いが中心となり、指数の方向感には乏しい展開となっている。

 本来であれば、高配当が期待される銘柄も多く、株主優待を取るような動きがあっても良い。しかし、配当はともかく、株主優待を値動きのリスク無しで得ようとする動きもあって、指数が動きがたいということなのかもしれない。配当を取るということでは先物を利用した動きもあり、「期末要因」のその後の動きで右往左往させられたということだろう。

 そうした「期末要因」の余韻は残るものの、4月に入って配当や優待を得たあとの手仕舞い売りなども含めて持ち高調整の売り買いが一巡となり、ようやく「今期業績」を考える相場になってくると思う。「アベノミクス相場は終わった」とも言われているが、金融緩和という状況が続き、デフレ脱却という方向も変わらないのだから、「お金を使うこと」に関しては企業収益の拡大は期待できると思う。

 また、米国で今年3〜4回の利上げが織り込まれているとすれば、素直に消費動向や企業業績に反応することになるのだろうから、経済指標や決算発表などに注目しての投資でゆっくりと利益を出すことはできるのではないか。

暴落はあるか?
 「ヒンデンブルグ・オーメン(米国株の暴落を予兆するとされるシグナル)」などと言って暴落を懸念する向きもあるようだ。ただ、株が暴落をするケースを考えると、リーマンショック時のように「信用収縮=リスク回避」というケースがほとんどだ。それ以外は暴落と言っても一過性であることが多く、暴落時に冷静に対処できれば特に問題はないはずだ。

 米国でのトランプ政権に対するリスクは今に始まったことではない。また、当初から政策の実現性は疑問視されていたのであるから、政治リスクというよりは金利上昇の影響からの消費の落ち込みや企業決算の悪化など現実的なリスクに注意していればいい。そうしたリスクは経済指標の発表や業績発表、そして自分で感じる身近な企業の動向などを見ておけばいい。

日本でも政治リスクが取りざたされているが、日本の場合は特に政治的なリスクというよりは政治リスクを取りざたしての目先的な需給要因で相場が動くことが多い。相場全体という意味では、政治的なリスクというよりは日銀の金融政策などの方が与える影響が大きそうだ。

 ここから暴落があるとすれば、米国の景気や企業業績が思ったよりも悪く、利上げが見送られる可能性が出て、その結果として金利差が広がらないこと、新興国などの景気にも影響があることなどが取りざたされて円高に振れるという要因での暴落となりそうだ。その場合には、暴落からの株価下落傾向が続くことになるかもしれない。

 また、目先の需給要因で暴落がある場合、信用取引の売り残高が減った後ということになりそうである。先に述べた株主優待を得るための信用売りを含めて信用取引の売り残高が依然として多く、下がれば買い戻しが入るという状況には変わりない。したがって、株主優待を得るための信用取引の売りの決済が終わること、そして株価が下落するだろうということで売っていた投機家が期日などで決済を余儀なくされるか、相場が下落することで利益確定の買い戻しが進み、売り方の回転が効いてきた場合なども暴落する可能性はある。

相場の波乱要因は「期末要因」の次は業績動向?
 また、4月下旬から前期の決算発表が行われ、今期業績見通しや経営計画などが発表される。業績の見通しが芳しくないということになると、一気に手仕舞い売りに押され、売られたことで売り方の回転が効いてくるということもありそうだ。期待したほどの見通しとならないというだけで手仕舞い売りを急ぐということもあるだろう。

 さらに、フランスの大統領選挙や、「セル・イン・メイ」という季節的なアノマリーなどを考えると、利益が出ているものはいったん利益を確保するという動きが出てくる可能性も高い。目先の需給や相場変動要因を考えても、少なくとも積極的には買いがたいということになりそうである。そうした中で相場が上昇するということであれば、昨年10月頃から増え始めた信用取引の売りの買い戻しを急ぐ動きからの上昇であり、買い戻し一巡後の下落に注意する必要がある。

 いずれにしても時期的にはこの4月、5月という月は今期業績の見えがたい時期でもあり、少なくとも上値は重くなるのではないか。したがって、暴落要因がないことはないということを頭に入れつつ、ここは慎重に好決算などが期待されながらも目先の需給要因、配当取り後の手仕舞い売りなどに大きく押された銘柄群、たとえば三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)やみずほフィナンシャルグループ(8411)などの金融株や三菱商事(8058)などの商社株などに注目である。

 日経平均の水準としては1万9000円を割り込むと買い戻しなども見られることを考えると、引き続き1万9000〜1万9500円を中心とした水準での保ち合い相場という見方で良いのではないか。

清水洋介/大和証券、マネックス証券、リテラ・クレア証券など経て、現在アルゴナビスでフィナンシャルコンシェルジュ
https://shikiho.jp/tk/news/articles/0/166042/2

 

今年こそ暴落がやってくる? ストックマン元議員の「3月15日危機」警告

2017年3月12日 ニュース

https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=^DJI&ct=z&t=2y&q=c&l=off&z=m&p=m65,m130&a=

元米下院議員で、レーガン政権では米行政管理予算局長を務めたデビッド・ストックマンは「米国経済はこの夏から下り坂となり、経済災害の奈落に落ちていく」と警告しています。「その始まりは、3月15日である」と。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年3月2日第197号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

2017年の「米国債務上限問題」は、これまでとはまったく違う

3月15日以降、米政府の一部の機能がシャットダウンする可能性

デビッド・ストックマンは、ミシガン州選出の元下院議員で、レーガン政権では米行政管理予算局の局長を務めた経済通。

ロスチャイルド財閥の米投資ファンド大手、ブラックストーン・グループで、シニア・マネージング・ディレクターを務めた経歴を持ち、ストックマンの意見には多くの専門家が耳を傾けてきました。

彼は2012年頃から、「2008年金融危機後の連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和策は、持続不可能どころか、経済成長の火を完全に消すことになる」と、中央銀行制度のまやかしを糾弾し、「米国の終わり」を強く警告してきました。

2014年には、グリーンスパン元FRB議長を、ひたすら紙幣を印刷させて米国の未来を潰した「史上最凶の中央銀行の詐欺師」と名指しまでしています。そのグリーンスパンは、量的金融緩和が失敗であったことを認めました。

デビッド・ストックマンは、2014年10月、日銀の金融政策決定会合において、9人の政策委員のうち5人が、マネタリーベースで年間80兆円の金融緩和を決定したとき、「日銀の狂った5人の委員が、金融サメをジャンプさせて襲いかからせる」と酷評。

反対した他の4人についても、「彼らは半分だけ狂っているだけマシだ」と、日銀の異次元の金融緩和をボロクソに批判していました。

「中央銀行バブルが世界中で始まっている。日本が、再び経済成長路線に乗ることなどあり得ないどころか、破綻は避けられない」と、その舌鋒の鋭さは以前にも増してシャープになっています。

しかし、デビッド・ストックマンの警告は、多くのアグレッシブな投資家にとっては耳障り以外の何物でもありません。

そんな彼らでさえ、つい10日ほど前に行われたインタビューでの、「3月15日以降、すべては急停止する」という真に迫ったストックマンの警告だけは無視できないようです。

2016年にトランプ勝利を予測する『トランプ』と題した本を書いたストックマンは、「トランプが奇跡でも起こさない限り、米国の経済崩壊は止められない」と悲観的な予測を出しています。

Next: Zero Hedge(ゼロヘッジ)にアップされた「ストックマンの警告」の要点

Zero Hedge(ゼロヘッジ)にアップされた「ストックマンの警告」の要点

世界最大の投資専門投稿サイト・ゼロヘッジ(2月27日アップ)は、「ストックマンの警告」の要点を以下のようにまとめています。

今、市場は過熱しており、何を警告しても焼け石に水の状態だ。

トランプが米国経済の救世主だって?そんなものは妄想だ。まるで、赤ちゃん同士が、バブバブ言い合っているかのようだ。

それに大減税だって?それを押し進めるために何が必要なのかは全く分析されていない。要するに、トランプは罠に嵌められているのだ。

今日、米国政府の債務は20兆ドルをゆうに超えている。それはGDPの106%に相当する。トランプが公約を果たすとすれば、今後10年間で、さらに10兆ドルの赤字を積み増しすることになる。

そんな状況でも、トランプは国防支出を増大させるという。彼は企業と国民のために思い切った減税を行おうとしている。彼は、メキシコとの国境警備と法の執行に、今まで以上の予算を投入しようとしている。彼は退役軍人の手当を厚くしようとしている。彼はこの1兆ドル規模のインフラ投資計画を実行するつもりでいる。

トランプが、これらすべてを同時にやろうとすることは狂気の沙汰だ。

すでに帳簿に載っている20兆ドル以上の借金を背負っている国に、いったい誰が10兆ドル以上の借金をすることを許すというのだ。そんなことは、絵に描いた餅、実現しない。

――ストックマンの警告の中には、爆弾発言が含まれている

人々が見落としているのは、2017年3月15日という日付だ。これは、2015年10月の最後の選挙の直前に、オバマとベイナー下院議員がまとめた債務上限の取り決めだ。それは、連邦債務上限を引き上げ、「米国の借り入れ上限を2017年3月まで延長する」というものだ。

これは、2015年11月3日にも資金が枯渇し、迅速に対応しなければデフォルトのリスクを回避できないとする米財務省の緊迫した財政難を反映したものだ。

しかしそれは、2017年3月15日に終わるのだ。そのとき、債務上限は20兆ドルで凍結されるだろう。これは法律で決められているのだ。

今現在、米財務省は約2,000億ドルの資金を保有している。しかし、政府は、毎月750億ドルの資金を取り崩しながら運営している。夏までに、それは底をついてしまう。クラッシュアウトするのだ。

トランプが、それを無視して公約どおり財政出動しようとすれば、それ以後は、借金の青天井だ。

いずれにしても、すべてが止まる。 政府はシャットダウンする可能性がある。

オバマケアの廃止と代替案の実施には、1秒とも無駄にはできない。減税なども夢のまた夢だ。もちろん、1兆ドル規模のインフラ投資刺激策もありえない。

ますます、債務限度額を上回る巨額の財政赤字が増え、もう誰も彼や彼の共和党には投票したくないと言い出すはずだ。

Next: ストックマン「市場は容易に20%、おそらくもっと多く修正するだろう」

市場崩壊? 3月15日以降に訪れる2つのビッグ・イベント

このインタビューで、ストックマンは、こうも言いました。

「市場は容易に20%、おそらくもっと多く修正するだろう…」

そして、「現在の株価と、米国経済の実際のパフォーマンとの間には紛れもない断絶があることに注目すべきだと」言いました。

2つのビッグ・イベントの1つは、債務上限危機です。

3月15日を境に、米国政府は法律の定めるところによって、これ以上借金をすることによる追加資金の調達ができなくなります。以後、政府は、毎月の税収のみで運営しなければなりません。

もちろん、それだけでは現在の支出水準を満たすことはできず、このままでは、この夏にも、財務省が保有する約2,000億ドルを使い切ってしまうことは確実です。

米議会が何らかの方法で予算を手当てできないとウォール街が理解すれば、それは投資家による売り浴びせを誘発することになる、とストックマンは警告しているのです。

米議会は、過去、70回もの債務上限の引き上げを行ってきましたが、おそらく、今回、議会は債務上限を引き上げるための法案の提出はできないので、現在の取り決めでは、予算の割り振りをする権限が大統領に与えられているため、まず予算の切り捨てが断行されるだろうとストックマンは見ているのです。

事実、トランプは、気候変動対策のような環境保護局(EPA)の予算をカットし、水質浄化プログラムを中止しようとしています。

それほど予算はひっ迫しており、各省庁の予算カットが進むと、最終的には政府機能の一部が停止する事態を引き起こすでしょう。

もっとも懸念されるのが、債務上限を抑えられるため、オバマケアを廃止して代替プランに移行することが困難になることです。

ストックマンは、それが金融市場に悪影響を及ぼし、現在の市場における強気な楽観主義は、すぐに潰え去ってしまうだろうと見ているのです。

Next: ストックマン「1987年の株価大暴落より、もっと凄まじいことになる」

ストックマン「1987年の株価大暴落より、もっと凄まじいことになる」

もう1つのビッグ・イベントとは、連邦政府の利上げです。

ストックマンは、「連邦準備制度理事会(FRB)は、3月15日あたりに利上げを行うつもりでいる」と見ています。

事実、数時間前のテレグラフも「FRB議長のジャネット・イエレンが3月中の利上げを示唆」との記事をアップしました。

「トランプとFRBとの対立が、いよいよ本格化してきた」そうした見方もできないこともありませんが、FRBが通貨の発券権限を独占している限りは、紙幣の印刷の暴走を制御するための政策としては、それは理にかなっているのです。

主流メディアが報じているように、本当に3月15日あたりに利上げが行われた場合、他の通貨に対してドルが強くなるのでドル高になります。

金利の上昇は、反対に、金(ゴールド)や銀(シルバー)などの貴金属の下落要因となります。実際に、イエレンの利上げを示唆するアナウンスがあってから、金と銀は下落しています。

これに対してストックマンは、1トロイオンス当たりの銀(シルバー)価格は、現在の18ドル近辺から4ドル以上、下落すると見ています。

インタビューの最後にストックマンは、「私は、1987年の株価大暴落のときより、もっと凄まじい暴落を演じると予想している」と付け加えました。

1987年10月19日、いわゆる「ブラック・マンデー」では、たった1日でNYダウが前日比で508ドル(下落率では22.6%)も暴落しました。翌日20日の日経平均も一気に連れ安して、前日比3836円安(下落率では14.9%)を記録したのです。

翌日、リバウンドがあったものの、しばらくの間、乱高下を繰り返して、その後、低位で足止めされたのです。このストックマンの見立てが正しいのかどうか、もうすぐ判明します――

ブロックチェーンの光と影 各国の中央銀行が仮想通貨を発行−未来の支配者は誰か?(その1)

・ブロックチェーンが地球上のすべての取引に地殻変動を起こす
・ブロックチェーンは反中央集権的な技術
・ブロックチェーンが中央銀行に利用されるとビッグブラザーの危険性が出てくる
・不思議な中央銀行「イングランド銀行」もブロッチェーン技術の導入を計画
・「ビッグブラザー」は通貨によって支配・監視する
・日銀は国際決済銀行(BIS)が世界統一通貨を明言するまで態度を明らかにしないだろう
・ブロックチェーンは株式取引の姿を激変させる
・インドで実行された社会工学的な実験
・BIS、IMF、世銀、そしてFRBは世界統一政府の恒久的な確立を目指している
・パナマ文書のリークと「腐敗対策サミット 2016(Anti-Corruption Summit)」は茶番劇である
・実は「99%」の人々ほど、「私は何をすべきでしょうか」と訊ねたがる

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年3月2日第197号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。本記事で割愛した続き(混沌のヨーロッパより深刻なのは米国の差し迫った消費不況/待つばかりのシアーズの死・・・始まった“小売の黙示録”/象徴的な「ファミリー・クリスチャン」の永眠)や、最新号(3月9日第198号パート1)もすぐ読めます。
【関連】「世界の終わり」に本気で備え始めたシリコンバレーのIT長者たち

【関連】トランプ米大統領と「エホバの証人」知られざるユダヤ・コネクション

【関連】なぜ黒田総裁は日本経済を破滅に導くのか?「異次元緩和」本当の狙い


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http://www.mag2.com/p/money/36308/4


 
「世界の終わり」に本気で備え始めたシリコンバレーのIT長者たち

2017年2月12日 ニュース 
レディット(Reddit)のハフマンCEOは、迫りつつある災厄に備えています。それは地震、核戦争、パンデミックではなく「米国の大規模な崩壊」です。自然災害ではないのです。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年2月2日第193号パート1の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

あの有名企業創設者まで…彼らはどんな災厄に備えているのか?

ビル・ゲイツの「核シェルター」

ドナルド・トランプが大統領選に勝利したことによって、新自由主義の富裕なエリート層の間では、未来の不確実性について議論する人々が増えました。

彼らは、現在の世界情勢を緊急事態であると認識しているようです。

金持ちのエリートほど、実は懐疑的で用心深く、そして、空想的です。この傾向は、軍産複合体に取り込まれたシリコンバレーの人々において、特に顕著です。

もともとシリコンバレーの中には、黙示録的なシナリオを信じており、その準備に膨大な時間と労力、そしてコストをかけることを厭わない若手IT長者が多数いることで知られています。

【関連】ゴルバチョフが警告する大戦争。トランプとプーチンは「IS掃討後」に激突する
http://www.mag2.com/p/money/33305

 

 

「2018年1月1日から世界金融危機が本格化する」著名コラムニスト予測の根拠
2016年4月5日ニュース

3月28日のブルームバーグ・ガドフライ(Bloomberg Gadfly)に非常に気になる記事が掲載されました。クリストファー・ラングナーというブルームバーグの市場コラムニストが書いた「銀行業界に吹き荒れる次の大嵐」(The Next Perfect Banking Storm)という記事です。(『カレイドスコープのメルマガ』)

「バーゼル3発効に先駆けて、2018年1月1日から金融激変が起こる」

世界中の金融機関を委縮させる「バーゼル3」爆弾とは?

クリストファー・ラングナーは、ロイター、フォーブス、ウォール・ストリート・ジャーナル、マージャーマーケット(Merger)などに記事を書いてきました。
まず、この記事を読んでいただく前に、ロシアのスプートニクの3月29日付の記事を読んでください。
ブルームバーグのクリストファー・ラングナーが、2018年1月1日から世界の金融危機が始まると予測しています。
銀行が資金を貸し出す際に、国際的なルールが適用され、優良な借り手以外には資金を貸し出すことができなくなる可能性について警告している記事です。
これによって、将来性が有望なベンチャーでさえ、資金手当てが困難になる事態が生じることが考えられます。
これは、バーゼル3が本格的に適用されることによって起こることです。
バーゼル3とは、主に西側主要国の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が、銀行の健全性を維持するために導入した自己資本規制のことです。
バーゼル3は、1998年のバーゼル合意(いわゆるBIS規制)に端を発しています。
その後、バーゼル合意が見直され、2004年にはバーゼル2(いわゆる新BIS規制)が発効され、銀行の自己資本比率を高めることが要求されるようになったのです。
そして、その範囲が拡大され、株式や内部留保などからなる銀行の資産に加え、投資や融資(債権)などによるリスク資産についても総合的な評価が行われ、それらの総資産に対して、一定割合以上の自己資本を持つことが強制されるというのがバーゼル3です。
確かに、銀行の財務体質強化、経営の健全化にとっては良いことですが、その反動として、銀行がバランスシートを重視するあまり、リスクを取らなくなってしまう恐れが出てくるのです。
これは、産業社会にとっては死活問題となり、ショックが大きければ、財政的なパニックを誘発することにつながってしまうのです。
バーゼル3では、銀行の事業によって蓄積してきた利益の内部留保(中核的自己資本)の比率を、実質7.0%以上とすることが求められており、2012年末から段階的に導入されてきましたが、いよいよ2019年から全面的に適用される運びとなったものです。
(参考記事:バーゼル3が銀行に与える影響)
2019年から、バーゼル3が適用されることで銀行の貸出能力を束縛されてしまうことから、銀行にとって、まさに最高の借り手にだけに資金を貸し付けるということが起こって来るのです。
これは世界標準なので、世界規模で企業や自治体の破産を速めることにつながってきます。
しかし、どんな金融規制が発効される場合でも、その実施日より先に影響が現れるものなのです。
クリストファー・ラングナーは、バーゼル3の発効に先駆けて、2018年1月1日から適用される新しい規則によって金融激変が起こると警告しているのです。
まず、レバレッジの比率(銀行の自己資本比率の何倍までなら融資や投資に回してもいいか)が、国際会計基準審議会になって定義されている銀行監査と国際財務報告基準(IFRS)No.9にのっとって、バーゼル委員会によって設定されてしまうのです。
これまでは、リスク評価をする際に、それぞれの銀行の手法に委ねられていましたが、それが銀行から取り上げられ、すべての国際業務までを行っている銀行に厳しい規則が等しく課されることになるのです。それは、来年から導入されます。
バーゼル3は、世界市場における流動性を減少させ、信用成長を遅くしてしまうため、すでに世界中から非難されています。
Next: これは世界危機の“レシピ”〜多くの企業が破産、労働者はレイオフに

これは世界危機の“レシピ”〜多くの企業が破産、労働者はレイオフに
規制が増えれば、金融機関の信用審査に関連する業務は急減することになります。
たとえば、国際財務報告基準(IFRS)No.9は、想定される信用損失が、どの程度なのか、銀行に対して初期の認知を義務付けています。
数人の信用アナリストによれば、3分の1程度の銀行では、非パフォーマンス資産(運用に回さない資産)を増加させる動きがすでに出ているということです。
信用損失を厳正な審査によってあらかじめ算定すると、今まで問題のなかった債権が、突然、不良債権化するということが起こってきます。
すると資金需要の先細りが表面化してくるのです。
どういうことかというと、銀行は融資に際して、よりハードルを高くせざるを得なくなるので、借り手の借り入れコストの上昇につながってしまいます。そうすれば、銀行側としても貸し出しが困難になるでしょう。
新しいバーゼル規制は、バーゼル3が適用される次の2年以上、影響するでしょう。
その影響とは、まだゆとりがある銀行でさえ、どのように貸し出しリスクを考慮すればいいのかと会議をしたり、頭を悩ませたりする楽しみが取り上げられてしまうことです。
2008年の世界的な財政危機後に押し付けられた新しい規制は、銀行はドルを貸し出す際に、借り手の信用状況に依存しながらも、より多くの資本を蓄えることを銀行に要求しています。
困ったことに、世界的な監査機関は、銀行自体に対する信用度の決定を残したままなのです。
「2013バーゼルの研究」では、類似の資産に付帯しているリスクウェイトに限り20パーセントの変動があることが発見されました。
こうしたことから、金融機関は2017年から、取引の相手方に対するリスク評価を行う際に、彼らの内部モデルを使用することがもはやできなくなってしまうのです。
2018年には、それは証券化にも拡大され、その後、正確な日付は決定されていませんが、貸し手は、バーゼル委員会によって設定された標準に基づいて、彼らのローン希望者全員を評価しなくてはならなくなるのです。
規則案によると、より高い収益力と低いレバレッジを持っている企業は、それだけ銀行から必要とする資本が少なくなるのです。
このことは、銀行が、より確立された事業を持つ最大手企業にのみ貸し出しを行いたいという誘惑にかられることを意味します。
反面、売上を増やすために資金を必要としている中小企業にとっては、死活問題です。
問題は、その規則が実施される前に、レバレッジ比率が2018年1月1日から実施(有効)されるのです。
このことによって、銀行は世界進出が困難になってきます。たとえ、ベンチマーク収益率(ベンチマークの騰落率。いわゆる市場平均収益率)が、どんなに低く、あるいはマイナスであったとしても。
バーゼル3を前にして、銀行は経営を引き締め、ディレバレッジ(自己資本比率を向上させる)に努めているので世界もそうなるでしょう。
つまり、融資を抑制し、場合によっては株式などへの投資も控えめになるかも知れないのです。
このことは、多くの企業の破産と労働者のレイオフ、そして仕事の減少につながってきます。
これは、どうも世界危機の“レシピ”のように思えます。
信用の世界標準を導入することによって、信用アナリストなどの人の手を介在させなければ、情け容赦なく機械的に企業を潰し、リスクの高そうな金融機関を情け破産させることができます。
世界は大混乱するでしょう。
しかし、国際金融資本にとっては、優良企業と優良金融機関だけを残し、後にそれらを統合することによって一元化を進めることができるのです。
これこそが、「彼ら」が管理しやすい世界の再構築につながるのです。
バーゼル3は、金融機関だけの問題ではなく、私たちの生活の隅々までじわりじわりと影響してくるでしょう。経済サバイバルの方法についても、再度、見直す必要が出てきました。この問題は、とてつもなく広い領域を含んでいます。
Next: いま日本で起こっていること〜報道されないスティグリッツ来日の真相

いま日本で起こっていること〜報道されないスティグリッツ来日の真相
日銀の果敢な量的金融緩和によって薄日が差し始めていた日本経済が、再びデフレの崖っぷちに追いやられてしまったのは、安倍首相が、浜田宏一イェール大学名誉教授の「増税は時期尚早」の警告を振り払うようにして、2014年4月、5%から8%の消費増税を決行したことが主な原因であることは間違いのないことです。
この愚を再び犯さないようにと、反増税派の本田悦朗内閣官房参与の招きによって、2014年11月初めに来日したのがノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授でした。
このとき、安倍首相は、クルーグマン教授から、8%から10%への消費増税を強行することのリスクをとんとんと諭されたことによって、消費増税延期を決定し、11月21日の衆院解散総選挙を宣言したのです。
安倍首相の腹の内は、すでに「延期」だったわけですが、公に宣言するために何らかの外圧を欲していたということです。
このとき、「10%引き上げは、たとえどんな理由があろうとも、1年半後の2017年4月には実施する」と宣言した安倍首相でしたが、アベノミクスの失敗が決定的となった今、日銀は最終的な手段である禁じ手のマイナス金利導入にまで追い込まれてしまいました。
そこで、今回も、安倍官邸はポール・クルーグマン教授に頼ることとなったのです。
安倍首相は、消費税引き上げの最終検討を行うための国際金融経済分析会合を設け、その第1回目が3月16日午前、首相官邸で開かれました。
初会合に呼ばれたのは、やはり、ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授。
政府の「スティグリッツ教授は、2017年4月からの消費税率引き上げに否定的な見解を示した」との発表を受けて、日本のメディアはいっせいに「10%先送りか」と報じていますが、事実はまったく違います。
スティグリッツ教授が日本側に提言したのは、「TPPは悪い貿易協定であるというコンセンサスが広がりつつあり、米国議会で批准されないであろう」ということと、安倍首相に直接、「アベノミクスを停止し、経済政策を180度転換することによって、7月のG7サミットで主導権を取るべきである」とアドバイスしたことの2点で、来年4月に予定されている消費増税には触れていないのです。
国際金融経済分析会合とは、安倍官邸が、夏の参院選対策のために、ノーベル経済学受賞者という権威を借りて本来の公約であった「10%見送り」を正当化するためのイベントに過ぎなかったわけです。
なぜなら、官邸は、スティグリッツ教授の中心的提言であった「TPP問題」と「アベノミクス」については触れず、スティグリッツ教授が言ってもいない消費増税問題をことさら強調しているからです。スティグリッツ教授は、それに利用されたのです。
Next: クルーグマンが「10%増税の延期を主張した」も正確な報道ではない

クルーグマンが「10%増税の延期を主張した」も正確な報道ではない
さらに、第3回国際金融経済分析会合には、今度もポール・クルーグマン教授が招かれ、22日夕方から首相官邸で安倍首相と他の閣僚との会談が行われました。
ここでもクルーグマン教授が「10%増税の延期を主張した」と報じられていますが、それも正確な報道ではありません。
スティグリッツ教授から多大な影響を受けているクルーグマン教授は、おそらく日本政府に利用されないようにスティグリッツ教授からアドバイスを受けたのでしょう、22日の首相との会談後4日経ってから自身のツイッターで「会談で話したことのすべてを公開する」とツイートしました。
それが、このpdfファイルです。
国際金融経済分析会合が、安倍官邸のシナリオどおりに進められたことに確信を持ったクルーグマン教授は、自身の発言が安倍首相サイドによって恣意的に利用されることを危惧したのです。
幸いなことに、ここに会談の全文訳が上がっています。
読んでわかるように、クルーグマン教授は、今回は消費税アップに反対するというよりは、デフレ脱却を果たすためには、引き続き財政政策の継続が必要で、消費税引き上げだけでなく、景気回復の足を引っ張るような間違った政策は一切やるべきではないと進言したのです。
にもかかわらず、官邸からの発表をそのまま記事にするだけのマスコミ各紙は、「クルーグマン教授も消費税引き上げ、先送り進言」という見出しを付けるのです。まったく本末転倒で、財政政策を継続するために消費税は止めるべきだと教授は言ったのです。これは非常に重要なことなのです。
官邸は、「ノーベル経済学賞を受賞した世界的権威二人が、消費税の引き上げに待ったをかけている以上、10%引き上げを強行することは断念せざるを得ない。だからといって、アベノミクスが失敗したということにはならない」といった落としどころを考えたのでしょう。
Next: 麻生大臣の不気味な発言「米国は1930年代の不況を戦争によって克服した」

麻生大臣の不気味な発言「米国は1930年代の不況を戦争によって克服した」
さて、問題は、クルーグマン教授が公開したこのpdfファイルの中身です。
会合に同席していた麻生財務大臣が、恐ろしい発言をしているのです。それが、この部分です。
日本企業の稼ぎだす収益は過去最高に達しているのですが、しかし彼らは、それを設備投資へ支出しようとはしていません。
日本は、企業という部分では大きな収益が手元にあるのです。それは賃金上昇や、配当や、設備投資に使われるべきなのですが、企業はそれをしていません。現金や預金を手放そうとはしないのです。内部留保は積み上がる一方です。
1930年代のアメリカも同様の状況が起きたました。
この問題を打開したのは何だったのでしょうか?
戦争です!
第二次世界大戦が1940年代に起こり、それが米国にとっての解決策となりました。
おそらく、麻生大臣は、クルーグマン教授に「戦争を起こすことも選択肢としてはありうる」と言ってほしかったのでしょう。
クルーグマン教授は、麻生財務大臣の発言にやや憤慨したのか、「戦争は恐ろしい過ちだった。不況の大きな第二波を引き起こしたからだ。言うまでもなく、我々が求めているのは、戦争ではなしにそのようなことを達成するということである」と返しています。
日本側の大臣たちの発言からにじみ出てくるのが、「戦争を最終的な解決手段にしよう」という潜在的な願望です。大変、危険なことです。
Next: 「大本営発表」を取り戻すNHKの破れかぶれの洗脳番組

「大本営発表」を取り戻すNHKの破れかぶれの洗脳番組
この数日、信じられないことが立て続けに起こっています。気が付いたでしょうか。
それらのすべてが、「ある一点」に向かって収斂しつつあることが。
個人的に、もっとも驚いたのが、昨夜(3月29日夜)放送のNHK・BSプレミアムの特番「幻解!超常ファイル「世界はだまされている!?陰謀論の闇に迫る」でした。
番宣のコピーは、「9.11アメリカ同時多発テロは、政府の自作自演だった!?フリーメイソンは世界征服を狙ってる?こうした怪しげなウワサを、信じるか信じないかをお任せせず、きっちり答えます!」
内容は、「こうした怪しげなウワサのすべてが根も葉もない陰謀論」であると決めつけて、最終的には、「陰謀論を信じる人たちはヒトラーと同様、危険な人々である」結論付けて終わる、という凄まじく「支離滅裂で怪しげな」番組でした。
2、3人の見るからに胡散臭いライターを登場させて、ことごとく事実とは違う解説を加え、その際に引用するデータも、当のアメリカでも使っていない捏造データばかり。
民放ならまだしも、公共放送であるNHKが、いったいどうしたことだろう、と多くの人たちが、さっそくネット上に「NHK番組異変」について書きたてています。
私は、日本より、むしろ英語圏の世界のニュースサイトを見ているので、番組制作の段階で使用するソースを見ると、番組制作者の意図が奈辺にあるのか、おおよそ突き止めることができます。
この番組は、明らかに「陰謀論などありえない」「だから、日本政府、アメリカ政府の言うことだけが正しい」と視聴者に刷り込む目的を持った洗脳番組です。他の意図がある可能性は、まったく考えられないほど、あからさまな捏造番組でした。
夏の衆院選に向けても異常なことが連続して起きています。
中でも、安倍政権が、共産党を破防法の適用対象とする閣議決定をしたことです。
2013年12月6日、自公の強行採決によって秘密保護法案が成立しましたが、今でも国民の8割以上が憲法違反と反対している法律です。
この法律は、警察公安が権限拡大のために政権を強力にプッシュしたことによって決まったのですが、その後、共謀罪までもが俎上に乗せられたのです。
そして、今度の参院選で自公が勝てば、「緊急事態条項」を、またもや数の論理で強行採決してしまうでしょう。
「緊急事態条項」とは、一朝有事の際には内閣総理大臣にすべての権限を集中させ、場合によっては戒厳令を発動してすべての法律を停止する権限を持たせるという法律です。
こうした政府の不穏な動きの数々から、戦前の治安維持法の暗黒時代から第二次世界大戦に突き進んでいったことを想起した人は少なくないはずです。
【関連】2020年「預金封鎖」への道〜国民に牙をむく政府・日銀の秘められた計画

http://www.mag2.com/p/money/9318/6


 
ポール・クルーグマン 『私が東京で言ったこと』
http://ch.nicovideo.jp/niconicoffee/blomaga/ar997582
http://www.gc.cuny.edu/CUNY_GC/media/LISCenter/pkrugman/Meeting-minutes-Krugman.pdf

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