★阿修羅♪ > 軽毛 jHmW0Q > 100010
 
g検索 jHmW0Q   g検索 pa/Xvdnb8K3Zc
 前へ
軽毛 jHmW0Q コメント履歴 No: 100010
http://www.asyura2.com/acpn/j/jh/jhm/jHmW0Q/100010.html
[経世済民119] 中国:1月の生産者物価、5カ月連続で上昇−予想上回る トランプ政策、成長にマイナス 米政権、中国の通貨安政策阻止で新戦略
中国:1月の生産者物価、5カ月連続で上昇−予想上回る伸び
Bloomberg News
2017年2月14日 11:09 JST
 
中国の1月の生産者物価指数(PPI)は5カ月連続で上昇した。世界最大の輸出国である中国が物価上昇をさらに後押しする状況となる中、世界的なリフレーション見通しが一段と強まっている。
  国家統計局が14日発表した1月のPPIは前年同月比6.9%上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値では6.5%の伸びが見込まれていた。昨年12月は5.5%上昇だった。一方、1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.5%上昇。1月終盤から1週間にわたる春節(旧正月)連休が押し上げに寄与した。エコノミスト予想は2.4%上昇だった。
原題:China’s Factory Prices Rise a Fifth Month, Bolstering Reflation(抜粋)

 
中国の1月消費者物価、前年同月比2.5%上昇 卸売物価は6.9%上昇
2017/2/14 10:50
保存 印刷その他
【NQN香港=桶本典子】中国国家統計局は14日、中国の2017年1月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比2.5%上昇したと発表した。上昇率は16年12月の2.1%から拡大し、ダウ・ジョーンズ通信が集計した市場予想の中央値(2.4%)を上回った。14年5月(2.5%)以来2年8カ月ぶりの上昇率となり、4カ月連続で節目の2%を上回った。

 併せて発表の中国の1月の工業生産者出荷価格指数(卸売物価指数、PPI)は前年同月比6.9%上昇した。上昇率は16年12月の5.5%から拡大し、ダウ・ジョーンズ通信が集計した市場予想の中央値(6.5%)も上回った。11年8月(7.3%)以来5年5カ月ぶりの上昇率。16年9月から5カ月連続の上昇となった。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL14HGD_U7A210C1000000/


 

 

トランプ米大統領の政策、結局は成長にマイナス−ゴールドマン
Luke Kawa
2017年2月14日 04:48 JST

関連ニュース
黒田総裁のほほ笑みが消えるとき−日銀の国債保有が残高の4割突破
米トランプ政権、中国の通貨安政策阻止で新たな戦略を検討−WSJ紙
ルペン氏「テールリスク」をトレーダー警戒−オプション市場に初期兆候
高額報酬が裏目に、グーグルの自動車プロジェクトで人材流出加速

トランプ米大統領が米経済を急発進させることに懐疑的な陣営に、ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミストのジャン・ハッチウス氏が加わった。
  ゴールドマンの政治アナリストらがトランプ大統領の保護主義的政策のリスクを指摘した1週間後、ハッチウス氏とエコノミストのジャリ・ステーン氏は、政府支出拡大による景気浮揚は遅れるだろうとして、支出法案の成立が2017年遅くか18年序盤になるとの見通しを示した。さらに、トランプ大統領の政策の中の「マイナスの部分」は依然として相当大きいとも指摘した。
  「米政府の政策をめぐるリスクはややネガティブ方向に転換した」とエコノミストらは記述した。
  
  実際に、トランプ大統領の計画を基にゴールドマンが推定したデータを連邦準備制度の景気予測モデルに当てはめてみると、同大統領の政策は任期満了時点までに、現状維持の場合に比べて成長に負の影響を与えるという結果が出る。
  基本シナリオに対する落ち込みは、財政出動によるプラス効果が薄れる一方、労働力拡大への制限が残ることで拡大する。「輸出に対する事実上の関税率が上昇する公算が大きいとみられるほか、移民の減少はわれわれが選挙直後に考えたより大きいと考えられる」とエコノミストらは書いている。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/idRcxo9Z34XM/v1/-1x-1.png

原題:Trump Looks Like a Net Negative When It Comes to Growth: Goldman(抜粋)
Trump Looks Like a Net Negative on Economic Growth: Goldman (1)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-13/OLBOD86VDKHS01

 


米トランプ政権、中国の通貨安政策阻止で新たな戦略を検討−WSJ紙
David Tweed
2017年2月14日 12:01 JST
Share on FacebookShare on Twitter
中国との真っ向からの衝突を避ける内容
WSJは政策の策定に関わっている当局者らを引用
 
米トランプ政権は、中国が通貨安を通じて輸出促進を図るのを阻止するため、新たな戦略を検討している。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)がこの政策の策定に関わっている当局者や報告を受けた関係者からの情報として伝えたもので、中国と真っ向から衝突するのを避ける形を取る。
  同紙によれば、検討中の計画では中国を名指しせず、国家が行う為替操作を不公平な補助措置と米商務長官が認定する内容。これにより、米企業は中国やその他の国の補助政策への対抗措置を米商務省に求めることができるという。
  新設の国家通商会議(NTC)は、米中関係の安定を維持しながら、特定の政策については中国に是正を求めることを目指しており、新たな為替戦略に関する協議はそうした取り組みの一環。トランプ氏は就任前、中国を為替操作国に認定し同国からの輸入品に高率の関税を課す考えを示していた。
原題:U.S. Mulls New Way to Prod China on Currency Policy, WSJ Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLCFTJ6TTDS001
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/172.html

[国際18] パリ郊外の暴動続く、ルペン氏が強く批判−移民問題がますます争点に ルペン「テールリスク」をトレーダー警戒−オプション市
パリ郊外の暴動続く、ルペン氏が強く批判−移民問題がますます争点に
Helene Fouquet
2017年2月14日 04:06 JST
Share on FacebookShare on Twitter
Share on Facebook
Share on Twitter
反移民のフランス大統領戦候補、ルペン国民戦線(FN)党首はパリ郊外で暴動が続く状況を捉え、マイノリティーへの攻撃をソーシャルメディアで展開した。
  パリ周辺の一部の地域で5日以降、黒人の青年を警察官4人が暴行したとされる事件についての抗議行動が続いている。
  これについてルペン候補は声明を発表し、「こうした人間のくず集団は治安当局を標的とし、もはや何人も彼らを止められないように見える」と指摘した。
  移民と安全をめぐる不安がフランス大統領選の争点になっている。ルペン党首はオンラインで警察当局を支えるよう呼び掛け、側近と支持者らはソーシャルメディアを使って抗議行動の参加者らを批判、社会党政権の責任を追及した。
  側近のフロリアン・フィリポ氏は12日ツイッターで「人間のくずだ」と言明。13日のテレビ出演でも同様の論調で、「外国人ならすぐに国外撤去、あるいは終身刑」と言明。支持者らはこの発言を再投稿して広めた。
  大統領戦の最有力候補となっているマクロン前経済相のキャンペーン幹部リチャード・フェロン氏は「犯罪や劇的な事件、暴力を、恐怖感をあおって国民を引き付けるために利用している」と批判した。
原題:Le Pen Calls Rioters Scum as Violence Roils Paris Suburbs(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-13/OLBLQM6VDKI901


 

ルペン氏「テールリスク」をトレーダー警戒−オプション市場に初期兆候
Tanvir Sandhu、Vassilis Karamanis、Simon Ballard
2017年2月14日 04:07 JST
Share on FacebookShare on Twitter
関連ニュース
東芝株下げ足速める、原子力事業での減損含む決算発表を一時延期
黒田総裁のほほ笑みが消えるとき−日銀の国債保有が残高の4割突破
米トランプ政権、中国の通貨安政策阻止で新たな戦略を検討−WSJ紙
高額報酬が裏目に、グーグルの自動車プロジェクトで人材流出加速
Share on Facebook
Share on Twitter
投資家はフランス大統領選挙で極右のルペン国民戦線(FN)党首が勝利するリスクを意識し始めたようだ。オプション市場にその初期の兆候が見られる。
  ルペン氏の勝利は依然、可能性の低い「テールリスク」と見なされているものの、昨年の英米両国の意外な選挙結果を受け、政治リスクをめぐる投資家の意識が高まってきた。フランスの通貨同盟離脱を目指すとするルペン氏の政策はユーロの存続を脅かし得る。
  投資家の懸念は次のような兆候に表れ始めている。衝撃が起こった時に最も顕著なのはドイツ国債への質への逃避だろう。オプショントレーダーの一部は10年物ドイツ国債の利回りが現在の0.3%前後からゼロまで下がることを見込んでいる。投資家がルペン氏勝利のリスクを織り込むに伴い、ドイツ国債の買いオプションの需要が高まりつつある。
  ユーロ安を見込む取引も増え、投資家は現在ユーロについて昨年6月以来の弱気となっている。ルペン氏の勝利はスポットとオプション市場双方で下押し圧力を生じさせる公算だ。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/izxTjy29INC0/v2/-1x-1.png
原題:Le Pen Tail Risk Puts Traders on Alert as Volatility Creeps Up(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-13/OLBA3F6JIJUQ01
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/176.html

[自然災害21] 全米一高いダムに穴、18万人超が避難、写真5点 緊急避難命令が発動、米カリフォルニア州オロビル湖 
全米一高いダムに穴、18万人超が避難、写真5点
緊急避難命令が発動、米カリフォルニア州オロビル湖
2017.02.14


このエントリーをはてなブックマークに追加


オロビル・ダムの放水路の中央に開いた穴。これにより、米カリフォルニア州水資源局は放水を一時停止し、2月11日土曜日の朝にダム完成以来初となる緊急用放水路の使用に踏み切る。だがそれも破損し、住民に緊急避難命令が出される事態に。(Photograph by Randy Pench/The Sacramento Bee via AP)
[画像のクリックで拡大表示]
続報:米カリフォルニア州水資源局はこれまで周辺の住民に危険はないとしていたが、ダムの水位が上昇し続けているのを受け18万8000人が緊急避難した。現地時間の2月12日の夜に状況は安定したものの、避難する住民の車で道路は大渋滞で混乱を極めた。

 全米で最も高いダムがある米国カリフォルニア州のオロビル湖が、昨年から降り続く大雨のためほぼ最高水位に達し、設備が悲鳴をあげ始めている。(参考記事:「ダムが気象に影響、老朽化で災害も」)

 これは2015年末と比べると、正反対の事態といえる。当時は、数年間続いた干ばつのために、湖の水量は最大容量の33%にまで下がり、観測史上2番目に低い水位になった。 (参考記事:「雪不足が招く米国西部の干ばつ」)


2014年に撮影した、オロビル湖ビッドウェル・マリーナのボートをおろすコンクリートスロープ。この年、湖の水位は記録的に低く、干上がった湖底が左右に広がっている。(Photograph Courtesy the California Department of Water Resources)
[画像のクリックで拡大表示]
 ところが2017年2月10日の朝には、湖の水は貯まりに貯まって一時、最大容量の96%に達した。

 オロビル湖はオロビル・ダムによってせき止められた人造湖で、ダムの堤高は235メートル。ダムの利用目的は水力発電と水の供給、そして治水だ。

 思わぬ大雨により水位はみるみる間に上がっていった。ダムの設備は苦難に立たされ、エンジニアらは水を抑え込もうと取り組んだ。しかし、それでは乗り切れそうにないとの判断が下り、2月11日の朝には、ダムが完成した1968年以来一度も使われたことのない緊急用放水路がついに開かれた。だがそれも破損し、住民に緊急避難命令が出される事態に陥っている。

 それまでカリフォルニア州水資源局は、緊急用放水路の使用を避けるために放水量を増やしていた。しかし、そのせいで常用放水路の水流が激しくなり、水路のスロープの中央が陥没して大きな穴が開いてしまった。穴は、陥没のダメージを調べようと放水路に上がったエンジニアを飲み込もうとするように見えるほど巨大だった。(参考記事:「カリフォルニアで地盤沈下が深刻化」)


水資源局は、緊急用放水路の使用を避けるべく、放水量を毎秒1132〜1840立方メートルに増加したが…。ビュート郡にあるオロビル湖とオロビル・ダムで。(Photograph Courtesy the California Department of Water Resources)
[画像のクリックで拡大表示]
 穴の損傷のひどさをエンジニアたちは見て取り、放水を一時的に停止せざるをえなくなった。


オロビル・ダムの主要放水路の全景。水位が上がった後にあいた陥没穴が見える。 (Photograph Courtesy the California Department of Water Resources)
[画像のクリックで拡大表示]
 この出来事により、周囲の河川にも影響が出ている。400万匹のサケの稚魚が、このほどフェザー川孵化場から避難させられた。陥没穴から泥が流れ出し、養魚池にいる稚魚が死ぬ恐れが出たからだ。(参考記事:「米国西部でダム3基撤去へ、自然再生めざす」)

 カリフォリニア州水資源局の2月11日の発表では、オロビル・ダムの堤防自体は損傷を受けておらず、住人に差し迫った危険はないとしていた。(参考記事:「巨大洪水の歴史、USGSがランキング」)

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/021400050/ph_thumb.jpg 
カリフォルニア州水資源局はオロビルのフェザー川孵化場にいた400万匹のサケの稚魚を避難させた。オロビル・ダムの放水路が損傷し、孵化場の水が泥で汚れたためだ。(Photograph Courtesy the California Department of Water Resources)
[画像のクリックで拡大表示]
文=Delaney Chambers/訳=潮裕子
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/021400050/?s_cid=bpn_TopMR
http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/768.html

[経世済民119] 投資家とOPECの蜜月関係に陰り−米シェール層掘削が活発化 SP500$20tn史上初 日米経済対話で開く「円高の扉」 
投資家とOPECの蜜月関係に陰り−米シェール層掘削が活発化
Mark Shenk
2017年2月14日 08:55 JST
資産運用会社のWTI買越残高は過去最高から5.4%減−CFTC
WTIは過去2カ月間、おおむね1バレル=50−55ドルで推移

投資家と石油輸出国機構(OPEC)との蜜月関係に陰りが見られつつある。
  OPECが世界的な原油供給過剰を緩和するとの前例になく楽観的な見方が広がっていたが、資産運用会社はウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油の値上がりを見込む買越残高を1カ月ぶりに減らした。OPECと他の主要輸出国が原油生産を削減する一方、米国の在庫と生産は増加し、シェールオイル掘削会社のリグ(掘削装置)稼働数は引き続き伸びている。米指標原油のWTIは過去2カ月間、おおむね1バレル=50−55ドルでの推移となっている。
  エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は電話インタビューで「現在の取引レンジについて疲労感が出始めている。夏季まで上昇傾向となることはないだろう」と指摘した。
  米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、ヘッジファンドによるWTIの先物とオプションの買越残高は7日終了週に2万540枚(5.4%)減少し35万9387枚となった。
原題:Investor Honeymoon With OPEC Falters as Shale Drilling Booms (3)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-13/OLC52E6K50XU01


 


 
Value of stocks on S&P 500 pushes through $20tn for first time
Optimism over US growth under Donald Trump and strong corporate profits power advance


The value of stocks listed on the S&P 500 eclipsed $20tn on Monday for the first time, as investor optimism over faster US economic growth and stronger corporate profits propelled the Wall Street equity gauge deeper into record territory.

The index, which tracks the largest American companies, has rallied by close to 25 per cent over the past year, pushing its market value $3.6tn higher, according to S&P Dow Jones Indices. About two-fifths of the advance has come after the surprise election in November of Donald Trump. Investors have bet that the billionaire businessman cum politician will be able to spur faster economic growth with tax cuts, regulatory relief and government spending, which will in turn bolster inflation and buoy corporate sales. “For the first time, we have a confluence of factors that is finally resurrecting the animal spirit,” said Jim Paulsen, chief investment strategist at Wells Fargo Capital Management.

The benchmark index was accompanied by new records for the technology-heavy Nasdaq Composite, the blue-chip Dow Jones Industrial Average and the small-cap Russell 2000.

The advance through the $20tn threshold was in part driven by a resurgence in Apple shares, the largest constituent on the S&P 500. The iPhone maker’s stock closed at a record high of $133.29, valuing the group at $700bn — more than General Electric and Walmart combined. It has climbed after better than expected earnings in its latest quarter, as demand for the iPhone improved. The US market’s value has been concentrated in just a handful of groups, with the five largest companies — Apple, Alphabet, Microsoft, Berkshire Hathaway and Amazon — worth more than 10 per cent of the entire index. Each has gained more than 15 per cent over the past year, including a 60 per cent advance by ecommerce retailer Amazon. The gains have been catalysed by a brightening outlook for the US economy. The country is forecast to have grown at an annualised pace of 2.7 per cent in the first three months of this year, an acceleration from the 1.6 per cent rate in the fourth quarter of 2016, a running calculation by the Atlanta Federal Reserve shows.


https://www.ft.com/__origami/service/image/v2/images/raw/http%3A%2F%2Fcom.ft.imagepublish.prod-us.s3.amazonaws.com%2F3bef6f62-f246-11e6-8758-6876151821a6?source=next

High quality global journalism requires investment. Please share this article with others using the link below, do not cut & paste the article. See our T&Cs and Copyright Policy for more detail. Email ftsales.support@ft.com to buy additional rights.
https://www.ft.com/content/df7b1ef8-f23a-11e6-95ee-f14e55513608

Corporate earnings are also looking healthier: per-share profits of S&P 500 companies rose 5 per cent in the final three months of 2016 from the year prior, according to FactSet data that blend reported results with analysts’ predictions. That would mark an increase from the 3.1 per cent growth rate notched in the previous quarter that snapped a 15-month recession. For the first time, we have a confluence of factors that is finally resurrecting the animal spirit Jim Paulsen, Wells Fargo Capital Management “Investors are looking at the strength we’re seeing [in the economy], and you have a potential accelerant in policy,” said Peter Stournaras, a portfolio manager with BlackRock, adding that “chief executives have been extremely confident, conversation after conversation”. Still, US investors may be getting ahead of themselves, cautioned Ian Winer, director of equity trading at Wedbush. “Markets are in a heads I win, tails you lose mentality right now,” he said. “You’ve assumed all of the good at this point. And you’ve discounted a decent amount of the bad.” Mr Winer said that while some of the tax proposals currently on the table, like a lower corporate tax rate, may be bullish for business, others may have the opposite impact. In particular, he pointed to a potential border adjustment tax that would penalise imports as something that could have a profoundly negative impact on corporate America. “There hasn’t been a lot of talk about it,” he said.

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiWxrn-vI7SAhXDl5QKHewUDSYQFggcMAA&url=https%3A%2F%2Fwww.ft.com%2Fcontent%2Fdf7b1ef8-f23a-11e6-95ee-f14e55513608&usg=AFQjCNG1kILbl6bjhixkKPgfous3fnId9A


日米経済対話で開く「円高の扉」

佐々木融JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
[東京 14日] - 10日の日米首脳会談は、約40分間の会合と1時間程度のワーキングランチだったという。この程度の時間で重要事項について突っ込んだ話が行われたとは思えず、共同声明も記者会見の冒頭発言も、あらかじめ決まっていたものだったのだろう。

トランプ大統領は記者会見も早く終えたかったようで、会見を打ち切ろうとしたところを、安倍晋三首相にもう1人の記者の質問を受けるように促されていた。そして、その質問に答えた後、「フロリダに行こう」と、うれしそうに約30分間の会見を締めくくった。その後、ツイッターには大統領専用機「エアフォースワン」内で撮影したツーショットが投稿された。

11日朝、トランプ大統領はツイッターに「メラニアと私は日本の安倍首相夫妻をパームビーチのマール・ア・ラーゴにお迎えしている。彼らは素晴らしいカップルだ」とコメントを投稿。その数時間後にはゴルフ場で2人がハイタッチしている写真も投稿した。およそ5時間かけて27ホールもプレーしたとのことで、会談や記者会見の長さを考えると、明らかにゴルフがメインイベントだったようだ。

その夜、ツイッターには安倍首相らとワーキングディナーを行ったと投稿し、「Very good talks!」とコメントしているが、さすがに27ホールもプレーした後のディナーで突っ込んだ話が行われたとは考えにくい。要するに、今回の会談で、日米通商摩擦の可能性が遠のいたと決め付けるのは早計だろう。

<安全保障面では日本側に「最高の結果」>

ただ、安全保障と日米同盟に関しては、日本から見て「最高の結果が得られた」とは言えそうだ。共同声明でも記者会見でも最も強調されたのは、この2点だった。共同声明ではしっかりと「日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを確認」と明記された。日本にとってはここが最も重要なポイントだったと言えよう。

加えて、記者会見の冒頭発言の中で、トランプ大統領は在日米軍をホストしてくれているとして、日本に対して謝辞まで述べた。選挙期間中、米軍駐留経費の全額負担を要求していたのとは大きな違いだ。

また、同じく冒頭発言内で、トランプ大統領は北朝鮮のミサイル・核兵器の脅威に対する防衛は非常に優先度が高いともコメントしていたが、ちょうどトランプ大統領と安倍首相のゴルフが終わった頃を見計らってか、北朝鮮が弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。

これに対して、ゴルフ、ディナーを終えた2人が、現地時間夜10時半頃に2人で現れて、2分間だけの共同記者会見を行い、トランプ大統領は一言、「米国は素晴らしい同盟国である日本を100%支持している」と言い切った。北朝鮮のミサイル発射は予想していなかっただろうが、それにより駄目押し的に日米同盟の強固さを印象付けることができたと言えよう。

<会見で垣間見えたトランプ大統領の問題意識>

筆者は、実は今回の日米首脳会談で、トランプ大統領側から何らかの形で日本の為替・金融政策に対して懸念が示されたり、円安修正に対する圧力をかけられたりする可能性があるのではないかと警戒していた(前回コラム)。だが、今回の会談では、とりあえずそのような懸念は杞憂に終わったようだ。

円安に対する不満、貿易不均衡是正のための圧力はいずれ強まることは目に見えている。多少の時間的な余裕を稼げたことは日本経済にとって好ましかったと言えるだろう。

ただ、通商問題に関して、トランプ大統領は記者会見で、日米は「自由、公平、互恵的で、両国にベネフィットがある通商関係を目指す」とコメントしている。通貨政策に関しては、直接的な言及はなかったが、日本メディアの中国に関する質問に対して、以下のように、トランプ大統領は通貨切り下げへの不満を表明した。

「通貨切り下げに関しては、私はずっと不満を述べてきた。最終的には恐らく多くの人が理解し考えているよりもはるかに早く、我々は皆、公平な競争の場(level playing field)に立つことになると信じている。なぜなら、それが公平な唯一の道だからだ。貿易やその他の事で公平に競争できる唯一の道だ。我々はその場に立ち、我々の国に素晴らしい貢献をしようと懸命な努力を続けるだろう。だが、それ(競争の場)は公平でなくてはならず、我々が公平なものにする」

ちなみに、記者の質問は「中国が(為替政策を)大統領が望む方針に転換した場合、米国のアジア太平洋地域への対応に変化はあり得るか」と、中国の為替政策に限ったものではなかったため、トランプ大統領の不満の矛先が中国だけに向けられたものなのか、一般的な通貨切り下げの話だったのかがやや分かりにくかった。

だが、これが日本の為替政策も対象にした発言であるなら、早晩、円安修正を求める圧力がかかってきてもおかしくないだろう。

<過去15年で見れば日本も大規模な円売り介入>

日本は確かに2011年11月以降、円売り介入を行っていない。したがって、過去5年と数カ月、為替操作はしていないとの主張は正しい。

もっとも、過去15年間で見ると、日本は合計55兆円もの巨額の円売り介入を行っている。被害を受けていると思っている側からすれば、過去15年では大量に介入を行っているのであれば、そのおかげで円が割安に放置されていると言うだろう。なお、日本の過去15年間の円売り介入額は、同期間における財の貿易黒字の7割にあたる。

新たな経済対話の枠組みについては、麻生太郎副総理とペンス副大統領の下で対話をしていくこととなった。また、為替に関しては財務相間で議論が継続されていくという。しかし、ここまでの流れを見ると、通商・通貨問題が全て副大統領、財務長官に委ねられて、トランプ大統領がツイッターで全くつぶやかなくなるということではないだろう。

1980年代から90年代にかけて、日米構造協議、日米包括経済協議が設定され、日本は貿易不均衡問題に関して米国から圧力をかけられてきた。今回は安倍首相からの提案によるものだったようだが、日米経済対話が、過去の協議と同じような状況となるリスクは排除できないのではないか。

筆者は引き続き、今年は政治がドル円相場の主要なドライバーとなり、米国の保護主義的な姿勢が円、ユーロ、スイスフランといった資本調達通貨に対するドルの下落につながるとみている。

また、それが日本の企業・投資家が保有する巨額の円ショートポジションの巻き戻しやヘッジ加速を誘発するリスクも高いと考えており、ドル円相場が年末までに100円を割り込むとの予想を維持している。

――関連コラム:トランプ政権「次の標的」は日本か=佐々木融氏

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
おすすめ記事


女性元行員、4億円を着服か 2016年 12月 22日
しばらくは円安・ドル高に振れる傾向続くだろうという大方の予想と同じ=麻生財務相 2017年 01月 31日
視点:トランプ円安は幻想、進む「米国の日本化」=青木大樹氏 2017年 01月 23日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-tohru-sasaki-idJPKBN15S1NP
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/174.html

[戦争b19] トランプ氏の「ディール外交」通じない北朝鮮 トランプ氏「より強力に対処」 北朝鮮ミサイル巡り発言 ワシントン=峯村健司
コラム:トランプ氏の「ディール外交」通じない北朝鮮

Jun Yang

[香港 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領にとって、残念ながら北朝鮮に対しては「切るべき札」がない。トランプ氏は貿易相手の日本や中国と米国が抱える潜在的なあつれきを和らげるために独特な外交術を駆使してきた。

ところが北朝鮮はもっと厄介な相手だ。雇用や商取引で折り合う余地がほとんどないからで、トランプ氏がビジネスで培った巧みな手腕は役に立たない。

北朝鮮は今回の発射で8月に実験した弾道ミサイルの性能向上を誇示している。米政府にとって懸念されるのは、新型ミサイルの射程が伸びた点にある。北朝鮮は国連安保理決議を無視して、米国土に届く核兵器の開発を進めている。トランプ政権発足後としては、今回が初めてのミサイル発射だった。

北朝鮮にしてみれば、米国が中国や日本と交渉を始めている中で「わが国も忘れるな」とのメッセージを発したように思われる。ミサイル発射直前に、トランプ氏は安倍晋三首相と非常に友好的な首脳会談を開催。先週には中国の習近平国家主席との電話会談で、以前には破棄する姿勢を見せていた「1つの中国」の原則を受け入れた。

トランプ氏はビジネスマンで、それは自身の外交にも表れている。日米首脳会談の前には日本を名指しして通貨を切り下げていると批判し、安倍首相が提唱してきた環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を宣言した。これに対して日本は、トランプ氏をなだめるために米国内での雇用創出を約束する形になった。中国との間でも、大規模な貿易や投資が米中関係を壊さないようにするための十分な理由となっている。

しかし北朝鮮はまったく違う難題をぶち上げている。米国との貿易はゼロで、対米投資するような企業も存在しない以上、トランプ氏の流儀では交渉を始める根拠は乏しい。安倍首相とトランプ氏はともに北朝鮮にミサイル発射実験を中止し、国連安保理決議の「厳格な履行」を強く促したが、同国への圧力を強めれば強めるほど、瀬戸際政策をエスカレートさせるだけに終わるリスクがある。今のところ、北朝鮮を経済的に国際世界に取り込むという代替策は検討課題に上っていない。つまり、トランプ氏の「ディール外交」は無用の長物化している。

●背景となるニュース

*北朝鮮は13日、新型中距離弾道ミサイルの試射に成功したと発表した。発射は日米首脳会談直後だった。

*北朝鮮は今回の発射実験で同国の核兵器技術が一段と進歩したとしている。ただ、これまでの実験で核弾頭をミサイル搭載可能なほど小型化できたという同国の主張は、外部機関によってまだ証明されていない。

*安倍晋三首相は北朝鮮の行動を「断じて容認しない」と語り、国連安保理決議の順守を求めた。安倍首相とともに会見に登場したトランプ米大統領は「私が皆さんに理解し、完全に承知してほしいのは、米国が偉大な同盟国である日本を100%支持するということだ」と述べた。

*北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は新年の演説で、同国が大陸間弾道弾(ICBM)の発射実験に近づいていると発言。同国がICBMの保有に成功すれば、米国の一部が射程内に入る恐れがある。今回のミサイルはICBMとみなされていない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

ロイターをフォローする
おすすめ記事


コラム:トランプ氏のトヨタ批判ツイート、神通力に限界 2017年 01月 09日
ペンス米副大統領、4月来日調整 2017年 02月 14日
オバマ氏、「取引外交」に苦言 2017年 01月 19日

http://jp.reuters.com/article/northkorea-missiles-breakingviews-idJPKBN15T06C?sp=true

 

トランプ氏「より強力に対処」 北朝鮮ミサイル巡り発言
ワシントン=峯村健司2017年2月14日12時55分
シェア
0
ツイート
list
ブックマーク
1
メール印刷
[PR]
 トランプ米大統領は13日、北朝鮮が12日に弾道ミサイルを日本海に向けて発射したことについて「極めて重要な問題で、より強力に対処していく」と述べた。政権として検討している新たな対北朝鮮政策が、より強硬になる可能性を示唆した発言だ。

 ホワイトハウスでのカナダのトルドー首相との共同記者会見で語った。トランプ氏は当選後、情報機関から北朝鮮についての情勢報告を受け、「人々が想像できないほど深刻な問題であることを認識した」と説明した。10、11両日に会談したトランプ氏と安倍晋三首相は、ミサイル発射から間もなく滞在先の南部フロリダ州で北朝鮮を非難する共同会見をしている。

 一方、米国防総省のデービス報道部長は13日の記者会見で、北朝鮮が公開したミサイル発射の映像などを分析した結果、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を地上発射型に改良した新たな中距離弾道ミサイルであることを確認した、と明らかにした。

 注入する際に時間がかかり探知されやすい液体燃料ではなく、固体燃料を使っており、発射台つきの車両に搭載して移動できる。デービス報道部長は「探知されずにミサイルを発射できるようになった」と説明。その上で、ミサイルが日本海に落下したことについて「北朝鮮がそれを狙っていたのなら、成功ということになる」と述べた。(ワシントン=峯村健司)

関連ニュース
北朝鮮ミサイル「固体燃料使用の可能性」 稲田防衛相
安保理、北朝鮮ミサイル発射を強く非難 全会一致で声明
「隣人が餓死した」 核開発進める北朝鮮、地方は困窮
北朝鮮ミサイル、「米国の姿勢厳しくなる」 首相が認識
http://www.asahi.com/articles/ASK2G2F1RK2GUHBI004.html
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/668.html

[国際18] フリン米大統領補佐官が辞任、対ロ制裁巡る疑惑で 後任は不倫(フリン)問題で執行猶予中のあの人
フリン米大統領補佐官が辞任、対ロ制裁巡る疑惑で

[ワシントン 13日 ロイター] - 米ホワイトハウスは、フリン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が13日夜に辞任したと発表した。同氏を巡っては、トランプ大統領の就任前にロシア側と米国の対ロ制裁について協議した疑いが出ている。

辞任に伴い、国家安全保障会議(NSC)のアドバイザーを務める元陸軍中将のキース・ケロッグ氏が代行を務める。

ホワイトハウスのある高官によると、フリン氏の後任には、ケロッグ氏のほか、デビッド・ペトレイアス元中央情報局(CIA)長官、中央軍副司令官を務めたロバート・ハワード氏が検討されている。

フリン氏は当初、ロシア側と制裁について協議したことはないと説明していたが、傍受された通話記録により、フリン氏とキスリャク・ロシア大使との会話に制裁問題が取り上げられていたことが発覚した。

就任前だったフリン氏がロシア側と制裁について話すことは、民間人による外交政策への介入を禁止した法律に抵触する可能性がある。

フリン氏は辞表のなかで「遺憾なことながら、ロシア大使との電話に関して、うかつにも不完全な説明をしてしまった。私は大統領と副大統領に心からの謝罪を行い、私の謝罪は受け入れられた」などと語った。

米政府高官はフリン氏とロシア大使の通話記録について、フリン氏は制裁解除を約束はしなかったと述べた。ただ、ウクライナ問題を理由にオバマ大統領(当時)が科した制裁は「米国とロシアの関係改善を目指す政権に引き継がれるとは限らない」ことを示唆していたという。

*内容を追加します。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
ライス米大統領補佐官が来週訪中、南シナ海問題で自制求める方針
英EU離脱に伴う安全保障上の懸念「少ない」=米大統領補佐官
カナダ首相、トランプ米大統領と13日に初会談 ホワイトハウスで
アングル:トランプ氏訪問に揺れる英国、EU離脱絡み世論二分
北京市が大気汚染対策を強化、一部ガソリン車を規制=新華社
http://jp.reuters.com/article/flynn-resign-idJPKBN15T0CN

 


フリン米大統領補佐官が辞任 後任は不倫(フリン)問題で執行猶予中のあの人?
The Huffington Post | 執筆者: Christina Wilkie, S.V. Date, Sam Stein
投稿日: 2017年02月14日 14時42分 JST 更新: 58分前 MICHAEL FLYNN
シェア
0
ツイート

コメント
0
印刷
ホワイトハウスの国家安全保障担当マイケル・フリン大統領補佐官は2月13日夜、ドナルド・トランプ大統領就任前に駐米ロシア大使と接触した疑惑を受けて辞任した。

フリン氏はトランプ大統領就任前にセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と連絡をとり、経済制裁解除について協議していた疑惑が報じられていた。フリン氏の行動は、民間人が外交政策を禁じる法律に違反する可能性がある。

この数カ月間、フリン氏はトランプ大統領就任前にロシア駐米大使と電話で密談したという疑惑を否定してきた。

マイク・ペンス副大統領も繰り返し「アメリカの対ロシア制裁措置についてロシアとは協議していない」と、疑惑を否定していた。

しかし2月9日、ワシントンポストは、フリン氏の電話について知っているという9人の情報源の話をもとに、密談はあったと報じた。フリン氏は「大使との電話協議で経済制裁について全く話さなかったという確信が持てない」と、これまでの説明が虚偽だったことを事実上認め、ペンス副大統領に謝罪した。

就任後4週目のスタートとなった13日、ドナルド・トランプ大統領は、フリン氏が政府高官に虚偽報告したという報道を受け、同氏の解任を求める強い圧力に直面していた。

トランプ氏は10日、フリン氏と他の最高顧問たちと共にパーム・ビーチに向かう大統領専用特別機の中で、「疑惑についての報告書は見ていない。調べるつもりだ」と、同乗する記者団に約束した。大統領が戻った12日夜、フリン氏は大統領専用特別機から出てきた側近の中にいた。この時点ではトランプ氏はフリン氏を擁護していた。

しかし、フリン氏の電話疑惑について新事実が明るみになり、他の政権高官との間に亀裂が生じていることから、トランプ氏は不満を募らせ、フリン氏は苦しい立場に追い込まれていた。

フリン氏は13日、特殊作戦部隊での晩餐会に向けた演説を突然取り止めた。しかし、政権側は、フリン氏による演説は予定されていなかったと主張した。

ホワイトハウスは安保担当の大統領補佐官代行に、退役陸軍中将のジョゼフ・キース・ケロッグ氏を指名した。ある情報筋は、大統領の側近たちが現在、後任の大統領補佐官に「複数の選択肢を準備しようとしている」と語った。フリン氏が辞任したことで、新しい担当選びが加速するとみられる。

現在、フリン氏の後任候補として、元陸軍大将デヴィッド・ペトレイアス氏が挙がっていると、国家安全保障理事会の現職員、元職員らがハフィントンポストUS版に匿名で語った。ペトレイアス氏は元CIA長官で、イラク戦争とアフガニスタン紛争でアメリカ軍を指揮した人物だ。国家安全保障や情報機関関係者の間で信頼が厚い。

しかし、ペトレイアス氏の任命には障害もある。2015年の春、ペトレイアス氏は機密情報を彼の伝記の著者であり、不倫の関係にあったポーラ・ブロードウェル少佐に漏らした罪を認めた。司法取引の結果、ペトレイアス氏は2年間の執行猶予が与えられているが、期間満了を迎えるのはこの春だ。まだ執行猶予期間中のペトレイアス氏にトップレベルの機密情報を扱う許可が与えられるのかは不明だ。

トランプ氏は大統領選で、機密情報の誤った取り扱いについて民主党の対立候補ヒラリー・クリントン氏を執拗に激しく非難した。理論的には、トランプ氏が突然意見を変え、執行猶予期間中の人物を公職に任命することは難しい。

しかしペトレイアス氏の任命は、大統領がアメリカ中央情報局(CIA)との関係を修復するにあたり大きな役割を果たすことになる。CIAはかねてから大統領と、フリン氏を含むトランプ政権の核となる側近グループに警戒してきた。

「ペトレイアス氏が任命されれば、みんな満足するだろう。それは間違いない」と、ホワイトハウスの側近たちは語った。

2016年末、トランプ氏はペトレイアス氏の国務長官任命を検討したことがあったが、最終的にはエクソンモービルの元CEOレックス・ティラーソン氏を任命した。その際、ペトレイアス氏は「生涯を通じてアメリカに奉仕してきたことが、ブロードウェル氏との不倫問題という深刻な過ちを埋め合わせるのに十分かどうか判断するのは、トランプ大統領次第だ」と述べた。

「ホワイトハウスがそれを織り込み済みとするかどうかだ」と、ペトレイアス氏はABCニュースに自分の前科について話した。また、「38年半にわたって軍とCIAでアメリカに奉仕してきたことももちろん、織り込済みにしなければならない」とも語った。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

▼画像集が開きます

Close

トランプ政権の100日間
1 / 26  
(Photo by Alex Wong/Getty Images)
トランプ政権の100日間<a name=【Day-001】1月20日(金)" width="52" height="52"/> <a name=【Day-002】1月21日(土)" width="52" height="52"/> <a name=【Day-003】1月22日(日)" width="52" height="52"/> 【Day-004】1月23日(月)【Day-005】1月24日(火)【Day-006】1月25日(水)【Day-007】1月26日(木)【Day-008】1月27日(金)【Day-009】1月28日(土)【Day-010】1月29日(日)【Day-011】1月30日(月)【Day-012】1月31日(火)【Day-013】2月1日(水)【Day-014】2月2日(木)【Day-015】2月3日(金)【Day-016】2月4日(土)【Day-017】2月5日(日)【Day-018】2月6日(月)【Day-019】2月7日(日)【Day-020】2月8日(月)【Day-021】2月9日(木)【Day-022】2月10日(金)【Day-023】2月11日(土)【Day-024】2月12日(日)
次へ
Previous
Next
(スライドショーが見られない方はこちらへ)

関連記事

マイケル・フリン氏とは何者か トランプ政権の国家安全保障補佐官、イスラム嫌悪を扇動
もっと見る: 国際 トランプ トランプ大統領 ドナルド・トランプ マイケル・フリン 大統領補佐官 国家安全保障
http://www.huffingtonpost.jp/2017/02/14/michael-flynn_n_14735080.html
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/178.html

[国際18] マクロン氏、ロシア「偽ニュース」の標的に 仏大統領選、中道・欧州支持マクロン勝利予想なお優勢=世論調査 
マクロン氏、ロシア「偽ニュース」の標的に 

[パリ 13日 ロイター] - 仏大統領選の中道系・独立候補、マクロン前経済相の関係者は13日、マクロン氏がロシアメディアによる「偽ニュース」の標的となっており、陣営はロシア国内から数千に及ぶサイバー攻撃を受けていると明らかにした。

マクロン氏が結成した新党「アン・マルシュ(進め)」の幹事長、リシャール・フェラン氏は、ロシア政府系の「ロシア・トゥデイ」と「スプートニク」が、マクロン氏の支持率低下を狙って誤った情報を報道していると話した。

マクロン氏は、右派統一候補のフィヨン元首相が妻への不正給与支給疑惑で支持率を落とす中、大統領選の最有力候補に躍り出た。

欧州支持者のマクロン氏は、欧州が結束して世界でより大きな役割を果たすことを望んでいるため、ロシアの標的になったとの見方をフェラン氏は示した。その上で、フランスの民主主義に対する外国の介入を防ぐため、政府に対策強化を求めた。

ロシアメディアによるマクロン氏の報道は、フィヨン氏がスキャンダルに見舞われてから浮上した。フィヨン元首相はロシアのプーチン大統領について肯定的に語っている。

*カテゴリーを変更します。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
シリア反体制派にアレッポからの「名誉ある」撤退案、ロシアは否定
米共和党組織とトランプ氏陣営にサイバー攻撃=関係筋
未知のハッカー集団が攻撃、中・ロ企業など標的に=シマンテック
マクロン仏経済相が初の政治集会、大統領選出馬との憶測呼ぶ
英国のEU離脱、世界の貿易拠点として重要性失われる=仏経済相

http://jp.reuters.com/article/france-election-cyber-fake-news-idJPKBN15S1UR


 

仏大統領選、マクロン氏勝利予想なお優勢=世論調査

[パリ 13日 ロイター] - フランスの調査会社オピニオンウェイが13日公表した仏大統領選に関する世論調査によると、中道・無党派のエマニュエル・マクロン前経済相が5月の決選投票で極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首を破り勝利することが見込まれている。

調査によると、4月23日の第1回投票ではルペン氏が他の候補を抑え勝利するものの、5月7日の決選投票ではマクロン氏、右派統一候補のフィヨン元首相いずれかの候補に敗れるとの見方が引き続き大勢となっている。

第1回投票の得票率予想はルペン氏が26%、マクロン氏が22%、フィヨン氏が21%。

ただ、フィヨン氏が決戦投票に進んだ場合の得票率予想はルペン氏が42%、フィヨン氏が58%。ルペン氏の得票率予想は年初以降に実施された調査では最高の水準に達し、フィヨン氏との差を縮めていることが明らかになった。

決選投票でマクロン氏とルペン氏が対決することになれば、マクロン氏の得票率は63%、ルペン氏は37%になることが見込まれている。

*写真を付け、カテゴリーを追加して再送します。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
米大統領選でトランプ氏勝利なら世界的に政治右傾化へ=仏大統領
オランド仏大統領の支持率過去最低に、再選への道のり厳しく
スイスの法人税制改革案否決に失望=モスコビシ欧州委員
カナダ首相、トランプ米大統領と13日に初会談 ホワイトハウスで
米カリフォルニア州、ダムの決壊危機回避 次の嵐前に修復急ぐ
http://jp.reuters.com/article/france-election-poll-idJPKBN15S1P8
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/179.html

[経世済民119] 平等に貧しくなろう 上野千鶴子「みんなで貧しく」が物議 平等に貧しくは不可能。船は下から沈むし、人は希望があるから生きて
平等に貧しくなろう
 社会学者・東京大名誉教授 上野千鶴子さん

 日本は今、転機だと思います。最大の要因は人口構造の変化です。安倍(晋三)さんは人口一億人規模の維持、希望出生率一・八の実現を言いますが、社会学的にみるとあらゆるエビデンス(証拠)がそれは不可能と告げています。

上野千鶴子さん
写真
 人口を維持する方法は二つあります。一つは自然増で、もう一つは社会増。自然増はもう見込めません。泣いてもわめいても子どもは増えません。人口を維持するには社会増しかない、つまり移民の受け入れです。

 日本はこの先どうするのか。移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか。どちらかを選ぶ分岐点に立たされています。

 移民政策について言うと、私は客観的に無理、主観的にはやめた方がいいと思っています。

客観的には、日本は労働開国にかじを切ろうとしたさなかに世界的な排外主義の波にぶつかってしまった。大量の移民の受け入れなど不可能です。

 主観的な観測としては、移民は日本にとってツケが大き過ぎる。トランプ米大統領は「アメリカ・ファースト」と言いましたが、日本は「ニッポン・オンリー」の国。単一民族神話が信じられてきた。日本人は多文化共生に耐えられないでしょう。

 だとしたら、日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。一億人維持とか、国内総生産(GDP)六百兆円とかの妄想は捨てて、現実に向き合う。ただ、上り坂より下り坂は難しい。どう犠牲者を出さずに軟着陸するか。日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい。国民負担率を増やし、再分配機能を強化する。つまり社会民主主義的な方向です。ところが、日本には本当の社会民主政党がない。

 日本の希望はNPOなどの「協」セクターにあると思っています。NPOはさまざまな分野で問題解決の事業モデルをつくってきました。私は「制度を動かすのは人」が持論ですが、人材が育ってきています。

 「国のかたち」を問う憲法改正論議についても、私はあまり心配していない。国会前のデモを通じて立憲主義の理解が広がりました。日本の市民社会はそれだけの厚みを持ってきています。

 (聞き手・大森雅弥)

 <うえの・ちづこ> 1948年、富山県生まれ。認定NPO法人「ウィメンズ アクション ネットワーク」理事長。『ケアの社会学』『おひとりさまの老後』など著書多数。近著は『時局発言!』(WAVE出版)。
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/hiroba/list/CK2017021102000006.html


 


 
上野千鶴子「みんなで貧しく」が物議 「バブルを満喫してきた世代が何言ってるの?」


「みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい」――衰退する日本社会への対処法を語った上野千鶴子さん(68)の言葉が物議を醸している。

この発言が掲載されたのは、中日新聞の「この国のかたち 3人の論者に聞く」(2月11日)。 ダースレイダーさん(ラッパー)、デービッド・アトキンソンさん(小西美術工藝社社長)と並んで登場した上野さんは、人口が減少し続ける日本社会への処方箋を語った。

「泣いてもわめいても子どもは増えません」
上野さんは、日本はいま転機を迎えているという。人口の減少を止めることができないからだ。安倍晋三首相は、「人口一億人規模の維持」などを目標にしているが、上野さんは「泣いてもわめいても子どもは増えません」と一刀両断。

人口の自然増が望めない以上、人口を増やすためには移民を受け入れるしかない。そのため日本社会は「移民を入れて活力ある社会をつくる一方、社会的不公正と抑圧と治安悪化に苦しむ国にするのか、難民を含めて外国人に門戸を閉ざし、このままゆっくり衰退していくのか。どちらかを選ぶ分岐点に立たされている」という。

しかし上野さんは移民を受け入れることは無理だという。なぜなら「世界的な排外主義の波にぶつかった」からであり、「日本人は多文化共生に耐えられない」からだ。

「だとしたら、日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。(中略)日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい。国民負担率を増やし、再分配機能を強化する。つまり社会民主主義的な方向です」

ただし、「日本には本当の社会民主政党がない」ため、「NPOなどの『協』セクター」にこそ希望があるという。

「こちらの世代は生まれてこのかたずっと貧しくなってんじゃい」
上野さんのこの発言に対しては、反論が相次いだ。編集者の中川淳一郎さんは、次のようなツイートを投稿した。

「上野千鶴子の『平等に貧しくなろう』(中日新聞・東京新聞)には大いに意義を呈したい。理由は、『平等に豊かになるべく努力しようぜ』だからだ。なんで全員揃って貧しくならなくちゃいけねぇんだよ。努力や工夫をして豊かになってもいいだろ、オラ、と昨日の東京新聞を読んで思った次第でございます」

「みんなで貧しくなっていけばいい」語っていた上野さんに対して、「平等に豊かになろう」というのが中川さんの主張だ。

「みんなで貧しく」と言いながらも、上野さん自身は、医者の娘で東大名誉教授。自分が恵まれているのに「みんなで貧しく」は矛盾ではないのかと感じる人も多かった。

さらに、今の中高年は、戦後日本が成長していく過程で豊かさを享受してきた世代でもある。1990年代以降に社会に出て安月給と長時間労働に苦しんできた世代からすると、そんな世代にどうこう言われたくないだろう。

「高度成長もバブルも満喫した世代が自己満足で『平等に貧しくなろう』とか言ってんじゃねーよ。こちらの世代は生まれてこのかたずっと貧しくなってんじゃい。寝言は寝て言え。」

移民に関する考え方についても批判が相次いだ。政治学者の五野井郁夫さんは、「下らねえこと言う前に川崎見て頭下げてこいよ」と強い口調で批判。上野さんは「日本人は多文化共生に耐えられない」というが、外国人が多いことで知られる川崎などではすでに多文化共生が進んでいるということが言いたいのだろう。

「みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい」と上野さんは言うが、日本全体が衰退していくとき、そのしわ寄せが貧困層に偏ってしまう恐れはないのだろうか。記事では「国民負担率を増やし、再分配機能を強化する」と語っていたが、そう簡単に実現できるわけではない。中川さんの言うように「平等に豊かに」なれれば一番よいのだが……

あわせて読みたい:「外国人IT人材を3万人から6万人に」 実現のためには何が必要?

関連記事
「一億総下流時代」到来!? 若者が「下流老人化」を防ぐために今出来ること――NPO法人「ほっとプラス」代表・藤田孝典さんに聞く
シリコンバレーの悲しい裏側 米国人労働者が「外国人エンジニア」に追い出される
移民も核も「問題を先送りしない」スウェーデン 理想を持ちつつ現実問題に対処する姿に羨望
米IT企業の創業者は「移民」ばかり アップル、グーグル、フェイスブック、アマゾンも…
朝日新聞「ゼロ成長はそれほど悪なのか」が紛糾 「貧困対策どうする」「ブルジョアがなに言ってんの?」
タグ:
貧困上野千鶴子
支持する(17)
コメント(166)
この記事を筆者のサイトで読む
FacebookでBLOGOSをフォロー


http://blogos.com/article/209990/


 


記事
水口洋介2017年02月13日 02:07平等に貧乏になる日本  
上野千鶴子氏の中日新聞の意見に思う


上野千鶴子氏の意見が物議を醸しているようだ。

東京新聞でこの意見を読んだが、わたしの見方と半分は一致している。この上野千鶴子氏の事実としての予測(少子化・人口減少はもはやとめられないということ、移民を日本に大量に受けいれたときに社会的混乱が生じるということ)は現状での事実予測としては当然でしょう。

少子化は、もはやどうしても止めることはできない。仮に、今の30歳以下の女性が明日全員子供を産んでも、日本の人口減少はとめられないそうだ。その理由は、もはやその年代の女性の数が劇的に減少しているから。

ちなみに、結婚した夫婦は現在でも平均すれば、基本的に2人弱の子供を産んでいるそうです。少子化・人口減少の原因はマクロ的に見れば、結婚した夫婦が子供をつくらなくなっているのではなく、若い男女の晩婚化であり、もっといえば非婚化(法律婚であろうと、事実婚であろうと関係なく子供を産むというカップルにならない)という事実であることが、統計分析が教えるところだそうです。だから、保育園をつくっても少子化が解決するわけでないことも厳然とした事実だそうだ。

保育園は、少子化対策ではなく、女性の社会進出を図るための重要な施策です。人口減少社会では、女性が働くことは、女性の自己実現だけではなく、社会的にも必要不可欠なのですから。

結局、日本の少子化・人口減少は不可避で、その結果、近い将来、日本の国民経済、国家財政と社会保障システム(年金等)は破綻することが避けられない現実なのだそうです。(じゃあどうすれば良いか?・・・、私にはわかりません。)

このような日本経済が下降線をたどるときに、大量の移民を入れれば、外国人・移民と職をめぐって競争となり、そうなれば日本人お得意の「右ばね」が働き、日本社会での「人種差別」が横行し、欧州のような「右翼民族主義勢力」が台頭することは不可避でしょう。

もちろん、これとたたかうリベラル派や社会民主主義勢力も必ずいますが、これがけっして日本では多数派にならないことは、明治維新以後の現代までの歴史を見れば明らかです。

今後、今の若い日本人が、自由と平等、平和と民主主義を愛して、外国人に対する人種差別を憎み、右翼とたたかう自立した「市民」に変貌するなんてことはありえないでしょう。逆に右翼の先頭にたちそうだし。

このあたりまで、まったく上野千鶴子氏と同じ予想。違うのは、そのあとです。

「政府」と「経営者層」は、必ず、外国人移民を大量に日本にいれるでしょう。そうしなければ、国力と経済力を維持できないからです。国内に排外主義がはびこっても、国力(財政)と経済(儲け)を維持するために外国人や外資導入は必須です。そのため、右翼民族主義が発生しても、それを利用して政権を奪取し、維持しようとする政治勢力(政治家)が日本の主流となるでしょう。そして、治安維持のため警察権力を強化し(盗聴と共謀罪のセット)、大量の移民と外資導入を活用して国力と経済を維持するということに必ずなると思います。でもって、憲法改正という結果になりなねない。

みんなそろって政策的に平等に貧乏になるなんて、上野千鶴子氏の予測するような綺麗事では絶対すまないでしょう。「貧乏」になるときは、社会の混乱と人々の不幸せが大量に起こる時代なんだよね。

我ながら、絶望的だな。

上野千鶴子氏は、実は私と同じように絶望的に考えているんだけど、それでは救いがいないと思って、「平等に貧乏になる日本」って言っているだけなのかもしれない。


この国のかたち 3人の論者に聞く
 きょうは、建国記念の日。二十世紀終盤、司馬遼太郎は著書『この国のかたち』で「日本、そして日本人とは何か」を問い続けた。
CHUNICHI.CO.JP
タグ:
少子化東京新聞人口減少上野千鶴子
支持する(4)
コメント(4)
この記事を筆者のサイトで読む
FacebookでBLOGOSをフォロー


水口洋介
フォローする
弁護士が業務の内外で感じたことを語るブログ
映画「この世界の片隅に」−韓国からの批判に思う
「同一労働同一賃金の原則」について思う
映画評「シン・ゴジラ」
ヘイト本と出版の自由−出版労連シンポジウム
「同一労働同一賃金原則」の法制化?
http://blogos.com/article/209930/

 

 
記事
いいんちょ2017年02月13日 08:53
上野千鶴子「平等に貧しくなろう」について


この国のかたち2017
上野千鶴子
「平等に貧しくなろう」
・人口増えない
・移民は無理
・日本は人口減少と衰退を受け入れるべき
・平和に衰退していく社会のモデルになればいい

こっわ
2017年2月11日 08:16
3,781 3,781件のリツイート 1,991 いいね1,991件
以前、上野さんが貧する現代の若者たちに対して「賃金が上がらないといっても、外食せずに家で鍋をつついて、100円レンタルのDVDを見て、ユニクロを着ていれば、十分に生きて行けるし、幸せでしょう?」とアツい助言をしていることについて書いたことがありますが、今度は、日本人は気質的に移民を受け入れるのはムリだから、労働人口が減っていく中で「平等に貧しくなろう」と主張されています。

これまで、「平等に◯◯しよう」の◯◯にはいろいろな言葉が入ってきましたが、ここに「貧乏」を代入しているのを見るのは極めて稀です。ここまでひん曲がってしまったのには、(元々だろというツッコミは置いておいて)なにか原因があるのではないか、と思わざるを得ない。

短いインタビューなので真意はわかりませんが、「平等に」というのはどういうことでしょう。

大前提として、もうすでに日本は「不平等に貧しい」。そして「犠牲者」は出ています。「同じ幅だけ貧しくなろう」というなら、もう底をついてる人にはどうすんだという話です。一方「同じ所得まで貧しくなろう」というなら上野さん、あとはあなた方高齢者が降りてくるだけですよ!待ってますね!!

だいたいこういう「清貧の思想」を説くのは焼きが回った団塊の世代ですが、彼らは日本が最も豊かな時代を謳歌したはずです。豊かになることに、何か負い目でもあるのでしょうか?

移民受け入れの部分についてもいただけない。「(日本では)単一民族神話が信じられてきた。日本人は多文化共生に耐えられないでしょう」とおっしゃる。

「日本人は◯◯」とくくって論じること自体、フェミニズムで商売してきた上野さんからしたら大した思想的な変節ですが、それをしかたないで片付けるのはどうしようもない。

何が汚いって、「私は間違っているとわかっているが、あんたらが変わらない」とでも言うかのような口ぶりです。それは理知的なようでいて、悪しき現状追認でしかありません。

それをどうにかして変えようと、もうちょいごちゃごちゃガチャガチャ足掻けよと。いちおうお前も知恵を持った人類だろと。「水の低きに就く如し」だったら、誰も何も主張しなくていいんですよ。「しかたないから平等に貧しくなろう」なんて対案でもなんでもない。社会に発信なんかしなくていいし、どうぞ老後を満喫してくださいとしか思えません。

タグ:
移民貧困上野千鶴子
支持する(68)
コメント(108)
この記事を筆者のサイトで読む
FacebookでBLOGOSをフォロー


いいんちょ
フォローする
Twitter
名もなきネットヲチアルバイターのブログどす。
【書評】ソープランドでボーイをしていました/玉井次郎
「電通の先輩」の教えでまた電通マンを哀れんでしまった
【映画評】沈黙 -サイレンス-
体験に偶然性をブチ込む TSUTAYAの「NOTジャケ借り」が面白いワケ
年明け早々に目撃した「お笑いリンチ」について
記事一覧へ
http://blogos.com/article/209925/


 

 
上野千鶴子氏の発言に想う。


上野千鶴子氏の発言が炎上しています。
既にご存知の方も多いかと思いますが、その発言の概要は以下の通り。

ーー 日本は移民を受け入れることはできない。だから、平等に貧しくなっていけばいい。その現状を受け入れるべきだ。

(全文はこちらから)

その発言に対していろいろな方が様々な角度から批判をし、あるいはコメントをしています。ここでご紹介するブログもその一つです(とても参考になります)。批判される方も多いですし、批判したくなる気持ちもわかります。

でも、今回の上野氏の発言を通じて、ひとつ進んだと肯定的に評価できるとすれば、それは現状を追認すること、イコール日本の衰退だということをリベラルの権威といっても良いこの方が正面から認めたことで日本の将来を議論するための出発点を共有できたこと、そしてその後の考え方の違いがはっきりしたことだと考えています。

上野氏は今後貧しくなっていく日本を受け入れるべきだと結論付けています。でも、全く持って賛同することはできないどころか、正直憤りしか感じません。

というのも、この上野氏の世代は、人生のほとんどを高度経済成長の中で過ごし、狂乱するバブル景気を享受したど真ん中の世代です。そういう、日本の歴史の中でも有数の恵まれた時間を過ごしてきた世代が、「これから日本は貧しくなっていくから現状を受け入れろ」というのはあまりにも無責任に過ぎると思いませんか。

僕も移民政策は日本がとるべきものだと思っていませんので、現状を追認するだけでは日本が貧しくなっていくだろうことは意見が一致しています。でも、だからこそ、自分は、今まで規制改革を訴え、産業構造の変化を訴え、そういった取り組みを通じて一人当たりの生産性を上げなければならないと訴えて参りました。

確かに産業構造を変革することは痛みを伴うかもしれないし、規制改革を進めることによって個々人が今まで通りの安穏とする生活は過ごせなくなるかもしれない。AIでもロボットでも何でもいいから活用することで、これから少なくなっていく現役世代の生産性を上げていくことでしか、今の豊かな生活を次の世代に引き継いでいくことはできません。

我々世代の責任は、次の世代に対してより過酷な将来を押し付けることにならないよう、努力をしていくことだと考えています。「平等に貧しく」などならないで済むためにも、自分は今後も政策提言を続けて参ります。

タグ:
移民日本経済上野千鶴子
支持する(1)
コメント(1)
この記事を筆者のサイトで読む
FacebookでBLOGOSをフォロー


三谷英弘
フォローする
Twitter
前衆・無所属/知的財産権、個人情報等を専門とする弁護士
改めて「分配論」を考える。
立法過程の面白さ ( と一種の「恐怖」 )。 〜 ワンセグ携帯のNHK受信料問題を巡って
日本の技術革新力 〜 日本がこれからも経済成長できる、その理由。
「アンブッシュマーケティング」と東京五輪。〜小池百合子新都知事に期待すること
「熊本地震」の現場へ。

http://blogos.com/article/210161/


 

記事
おときた駿(東京都議会議員/北区選出)2017年02月12日 23:57

「平等に貧しくなろう」は不可能。船は下から沈むし、人は希望があるから生きていける


こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今週末は社会学者の上野千鶴子先生の「平等に貧しくなろう」なるインタビューコラムが物議を醸し出しておりまして、私も現役世代の政治家としてこれに対しては一言述べておきたいと思います。

上野千鶴子「日本人は多文化共生に耐えられないから移民を入れるのは無理。平等に貧しくなろう」
https://togetter.com/li/1080097

上野千鶴子先生と言えば、「家父長制と資本主義」は社会に一石を投じた名著で何度も読み直しましたし、社会学者として一時代を築いた方だと思います。

しかしながら、多くの方がすでに指摘している通り、この発言にはまったく首肯できません。内容を三行でざっくり言うと、

・これから人口を増やすことは不可能
・移民を受け入れることも不可能だし、やるべきではない
・日本は人口減少と衰退を受け入れ、平和に衰退していくモデルになろう

ということになりますが、移民についてはとりあえず置いておきます(これも大問題だと思うけど)。

フォローする
宇佐美典也 @usaminoriya
上野千鶴子女史の件だけど「高度成長もバブルも満喫した世代が自己満足で『平等に貧しくなろう』とか言ってんじゃねーよ。こちらの世代は生まれてこのかたずっと貧しくなってんじゃい。寝言は寝て言え。」としか言いようがない。
2017年2月12日 17:01
820 820件のリツイート 581 いいね581件
感情的に言えばまさにこの通りで、「自分たちは散々美味しい思いをしてきて満足したので、若い人たちはみんな我慢して苦労して生きてくださいね」ということを言っているわけで、到底看過できるものではないでしょう。

そして客観的・論理的にこの発言の問題点を指摘すると、まず平等に貧しくなることはできません。

こうした場合、船は必ず下から沈む=貧しい人から切り捨てられるので、真っ先に困るのは貧困層です。それはこうした言説を振りかざしている上野千鶴子氏自身が、貧しさに直面することなくケア付き住宅で、さしたる不自由なく「お一人様の老後」を過ごせることからも明らかでしょう。

加えて、貧しくなるのを受け入れるということは、すでに経済成長率を上回って伸びている社会保障費をガンガン削っていくことを意味しますが、そんな弱者切り捨てを許容することは現実的に極めて困難です。

言うまでもないことですが、「再分配」だけで貧困や社会問題を解決することはできず、その原資となる経済成長という果実があって初めて、再分配が意味を持ちます。貧困を解決できるのは、根本的には経済成長だけです。

そして後段で、日本にはこのような主張をする社会民主政党がないと述べていますが、これは半分正しく半分間違っています。

世界に存在する社会民主政党の多くは、いずれもイノベーティブであり経済成長をきちんと求めます。なんでも反対、経済成長反対、現状追認のみで対案のない日本のリベラル政党は、その意味では存在しないに等しいと言えるのかもしれません。

いずれにせよこうした言説を目にしてネットなどで若い世代が猛反発し、そして私自身もやや危機感を覚えるのは、こうした言説が上野千鶴子氏の世代を中心に受け入れられる素地があることを感じているからでしょう。

人間は、希望があるからこそ、いま仮に貧しくても前を向いて努力ができるのです。貧しくなるだけの世の中では、誰も努力をしなくなり、社会不安が増大し、やがては暴動などで社会秩序が乱れることになります。

「平和な衰退」という幻想を抱くのは個人の自由ですが、こうした恐ろしい思想が政治や政策に反映されることは防がなければなりません。

世代間対立に陥るのではなく、老若男女が力を合わせて豊かな社会を築いていけるよう、微力ながら政策提言を続けていきたいと思います。

それでは、また明日。

ギャル男でもわかる政治の話
おときた駿、人生初の著作、ついに発売決定!!
前代未聞のエンタメ政治入門本

「ギャル男でもわかる政治の話」
Amazonで購入する


おときた駿
おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 33歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。

友だち追加
twitter @otokita
Facebook おときた駿

タグ:
貧困上野千鶴子
支持する(16)
コメント(16)
この記事を筆者のサイトで読む
FacebookでBLOGOSをフォロー


おときた駿(東京都議会議員/北区選出)
フォローする
都政をアップデートする。日本初の「ブロガー議員」
都職員が、都議会議員の質問原稿を書いちゃダメ!…って、そんなの当たり前では??!
「鳥取県のPRができるならっ!」バラエティまでそつなくこなす平井信治知事に、プロの魂をみた【ほぼ雑談】
いわゆる「JKビジネス」を規制する条例案が提出予定。でも、ホンモノの女子高生が働いているケースはどれくらい?
まさかの脅迫めいた予告、からの…事務所がトラックに当て逃げされました。
石原元知事に浜渦元副知事…豊洲市場問題特別委員会で参考人招致が決定も、都民ファーストの会は参加できず。。
記事一覧へ
あわせて読みたい

"平等に貧しく"ならぬ規制改革を
三谷英弘

"皆で貧困"上野千鶴子に批判殺到
キャリコネニュース

上野千鶴子の"平等に貧困"に呆れ
いいんちょ

上野千鶴子の予測より絶望的時代
水口洋介

鳥越候補の応援演説に上野千鶴子教授が登場
木走正水(きばしりまさみず)
「上野千鶴子」の記事一覧へ
トピックス
http://blogos.com/article/209949/



http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/177.html

[経世済民119] ガーナは「チョコレートの国」か? チョコレートにみる「矛盾との向き合い方」 インド卸売物価、予想超える上昇−最大の伸び 
ガーナは「チョコレートの国」か? チョコレートにみる「矛盾との向き合い方」


 日本では一般的に、アフリカの国は、その国名すらほとんど知られていないことが珍しくありません。そのなかで、「ガーナ」は例外的に、少なくとも国名に関しては、知名度のある国の一つです。その「功績」が、あの製菓メーカーの商品名にあることは言うまでもなく、バレンタインが近づくにつれ、あちこちの広告でその名を目にする機会が増えます。

 しかし、アフリカ研究を専攻し、ガーナを題材に博士論文を書いた身からすると、ガーナが「チョコレートの国」としてのみ認知されていることには、やや複雑な思いがあります。現在、ガーナの最大の輸出品は原油で、カカオ豆ではありません。そのうえ、ガーナは確かに世界第二のカカオ豆生産国ですが、現地ではチョコレートもココアもあまり消費されていません。

 そのスウィートさと裏腹に、チョコレートにはビターな影がつきまといます。それは誕生から現在に至るまで、形を変えながらも一貫しているといえます。

なぜヨーロッパでチョコレート生産が盛んなのか
 授業でよく学生に問いかけることの一つに、「ベルギーやフランスでチョコレート生産が盛んなことを、おかしいと思わないか」という質問があります。カカオ豆は熱帯性の作物で、寒冷地の多いヨーロッパではほとんど生産されていません。それにもかかわらず、これらの国でチョコレート生産が一大産業となっているのは、植民地主義の遺産に他なりません。

 カカオ豆はもともと中南米原産の作物で、15世紀の大航海時代にスペイン人によってヨーロッパに伝えられ、チョコレートは18世紀頃までに貴族や富裕層、中間層にまで広まっていました。しかし、チョコレートがヨーロッパの庶民レベルで大量に消費されるようになった転機は、19世紀の産業革命にありました。

 近代以前のヨーロッパは、世界的にみて貧しい土地だったといえます。寒冷地が多く、土地がやせているため、大量に商品を生産するための原料となる農作物は多くありませんでした(実際、ヨーロッパ原産の農作物は数えるほどしかない)。さらに、人口も多くなかったため、大量に商品を売りさばくために必要な消費者の頭数にも限界がありました(現在でも人口が1億人を超えるのはドイツだけ)。そのなかで、資本主義経済と科学技術だけが発展したために、ヨーロッパ諸国は原料の供給地および独占的な市場として植民地を確保するため、海外進出を加速させたのです。

 軍事力をもって支配したうえで、それらの土地から農作物や天然資源を輸入し、そして自分たちが作った工業製品を独占的に売りつける。これが植民地支配の基本的な構図でした。もっとも、「自分たちの利益のために外の土地を支配する」というのは、いくらなんでも聞こえが悪いため、そのためにヨーロッパ人たちは高尚な理屈をひねり出しました。「『未開・野蛮な』アジアやアフリカを『文明化する』ことが『文明人たる白人の責務』である」と、半ば本気で語られるようになったのも、この頃でした。もちろん、これは外聞の悪さを覆い隠すための、理論武装以外の何物でもありませんでした(これは日本と同様ヨーロッパでも「植民地支配は悪いことばかりでなかった」という言い分の源流になっている)。

 ともあれ、植民地支配はヨーロッパ発展のステップとなり、それにともない華麗な文化が花開くことになりました。英国といえば紅茶の国ですが、これは茶葉の生産地だったインドを支配し、ケニアなどアフリカの植民地でもその生産を奨励した結果、可能になりました。現代の日本で、特に2月14日前後にスポットがあたるベルギーやフランスのチョコレートも、植民地主義の遺産という意味では、ほぼ同様といえます。補足すれば、紅茶やチョコレートに付き物の砂糖も、アメリカ大陸において奴隷制のもとで大量に生産され、輸出されたことで、ヨーロッパで普及していきました。

チョコレートが結ぶガーナとベルギー
 ベルギーでは1894年に「カカオが成分の35パーセント以上を占めること」を定めた法律ができ、産業としてのチョコレート生産がほぼ確立されました。その後、1912年には、現在ベルギーを代表するチョコレート企業の一つであるノイハウスが、焙煎したナッツ類を混合させたプラリネを初めて世に送り出すなど、花形となる企業や商品も誕生。ベルギーは一躍チョコレート王国となったのです。

 ただし、ベルギーは国力が小さく、英仏などとの植民地獲得競争にも出遅れたため、アフリカでの植民地はルワンダやコンゴなど、ごく少数にとどまりました。また、これらの土地は、カカオ豆生産に必ずしも適しません。そのため、ベルギーは英仏などの植民地からカカオ豆を輸入することで、チョコレート生産を活発化させたのです。

 ベルギーのカカオ豆の輸入元の一つが、英国の植民地だったガーナ(英国人の当初の目的は金の採掘だったため、植民地名は「ゴールドコースト(黄金海岸)」というミもフタもないものだった)でした。ガーナでのカカオ豆生産も、やはり19世紀からの英国による植民地支配のもとで本格化しました。逆に言えば、それ以前のガーナの人々にとって、カカオ豆は全くといっていいほど馴染みのないものでした。

 外から持ち込んだカカオ豆を生産させるため、英国は巧妙な仕組みを作り出しました。まず、現地人に人頭税などの税金を課します。しかし、植民地化以前のアフリカでは貨幣がほとんど使用されていなかったため、現地人は税金の支払いに困ります。払わなければ、逮捕・投獄されるのは、目に見えています。そのなかで英国人はカカオの苗木などを現地人に提供し、生産されたカカオ豆を買い上げることで、現地社会に貨幣を流通させていきました。これによって、英国は税金を集める一方で、カカオ豆の生産を促していきました。そして、現地人が生産したカカオ豆は、英国が設立した専売公社(マーケティング・ボード)が独占的に買い上げ、輸出していったのです。

 こうしてガーナでは、現地人がカカオ豆をほとんど消費しないままに、その生産だけを行い、しかし利益の多くを英国が吸い上げる仕組みが完成しました。これはガーナ以外のアフリカの国でも、カカオ豆以外の農産物でも、ほとんど同様でした。

 こうしてみたとき、チョコレート生産が植民地主義の遺産の象徴であることは確かで、そこには数多くの人々の苦難が凝縮されています。チョコレートは、それ自体に負けず劣らず、黒い歴史を背負っているといえるでしょう。

チョコレートと現代の「奴隷制」
 現代でも、チョコレートには黒い話がつきまといます。なかでも、チョコレート産業は児童労働と人身取引の温床として、しばしば取り上げられます。

 2014年段階で、コートジボワールとガーナのカカオ豆生産は、世界全体約60パーセントを占めます。しかし、これらの国のカカオ栽培の現場では15歳以下の子どもが数多く働いており、そういった子どものうちコートジボワールでは40パーセントが、ガーナでは10パーセントが、それぞれ学校に通っていないとILO(国際労働機関)は報告しています。

 そのなかには、親の仕事を手伝っている子どもだけでなく、親の借金のカタとして、あるいは誘拐されて、売り飛ばされてきた子どもも含まれます。とりわけ、世界最大のカカオ生産国であるコートジボワールでのそれは深刻で、米国務省は同国のカカオ産業で10万人以上が無給労働や性的虐待などをともなう「最悪の形態の児童労働」のもとにあり、このうち約1万人を人身取引の犠牲者と試算しています。その「調達先」は国内だけでなく、マリやブルキナファソなどの周辺国からも、日本円に換算して一人当たり5000円ほどで売られてきているとみられます。アフリカはかつて白人により奴隷貿易の憂き目に遭いましたが、現代ではむしろアフリカ自身によって人間の商業取引が盛んに行われているのです。

 ただし、外部もこれと無縁ではありません。2015年、スイスに本社のある世界的な食品メーカー、ネスレの系列に属する、コートジボワールの260のカカオ農園で、18歳未満の労働者が56名いることが発覚し、このうち27名は15歳未満でした。

 カカオ栽培はもともと人手が頼りで、児童労働が蔓延しやすい環境にあります。そのため、ネスレをはじめとする世界のチョコレートメーカーは、米国議会の呼びかけに応じる形で、2001年に「最悪の形態の児童労働」をなくすために努力することを申し合わせました。しかし、申し合わせに法的拘束力はないため、その後もチョコレート産業では児童児童がしばしば報告されており、ネスレの件は一つの例に過ぎません。また、現地政府がこれに加担する、あるいは少なくとも見て見ぬ振りをすることも稀でなく、コートジボワールでは2010年にカカオ産業をめぐる汚職を報じた3人のジャーナリストが当局に逮捕されています。

矛盾を「断つ」のではなく「ほぐす」忍耐
 こうしてみた時、チョコレートは世界の矛盾の縮図とさえ映るかもしれません。

 ただし、チョコレートそのものを忌避しても、拒絶しても、その暗い歴史が覆ることは決してありません。また、目立つ特定の企業や業界の商品をボイコットしたとしても、それは必ずしもチョコレートにまつわる問題を解決するとは限りません。開発途上国に蔓延する貧困や政府の汚職、企業活動に対する規制などの問題がそのままであるなら、人身取引や児童労働の現場が他の企業・業界に移動するだけで終わりかねないのです。つまり、複雑に入り組んだ問題に直面するなかで、万能の特効薬はないと言えるでしょう。

 そのなかで重要なのは、言い古されたことではありますが、まず知ることしかありません。逆に、問題の複雑さにしびれを切らして、一気呵成に問題を解決しようとすれば、副作用だけが大きくなりがちです。フランス革命で「反革命的」とみなされた人々が「貧者に対する哀れみのために」相次いで断頭台の露と消えたことも、世界のあらゆる問題を一刀両断に解決する方法として「イスラーム国家の樹立」という処方箋を示した「イスラーム国」も、そして「安全のためなら何をしても許される」と豪語するトランプ氏も、この点では同じです。

 「一刀両断」を目指す人々に欠けているのは、「万能でない人間が考えることに100パーセントの正解がない」ことを認めない傲慢さと言えるでしょう。人間社会につきものの矛盾と向き合うためには、無理やり「断つ」のではなく、「ほぐす」努力が必要なことを、甘くてほろ苦いチョコレートは語っているのかもしれません。


※Yahoo!ニュースからの転載
タグ:
アフリカ
支持する(8)
コメント(11)
この記事を筆者のサイトで読む
FacebookでBLOGOSをフォロー


六辻彰二/MUTSUJI Shoji
フォローする
国際政治学者
「トランプ・ワールド」で緊張の高まるパレスチナ:イスラエルのガザ侵攻はあるか
西アフリカ・ガンビアの「独裁者」はなぜ退陣したか:周辺国による介入の条件
「中国を含めたTPP」を求める声:米国の退場、日本の袋小路、中国の逡巡
トランプ大統領の誕生が示す歴史的な意味としての「先進国の開発途上国化」
イスタンブール銃撃テロで顕在化したウイグル系イスラーム過激派のインパクト:ISが結ぶトルコと中国
記事一覧へ
あわせて読みたい

対アフリカ政策ないトランプ政権
新潮社フォーサイト

ガンビアの独裁者が退陣した理由
六辻彰二/MUTSUJI Shoji

ガンビア新大統領の帰国に大歓声
BBCニュース

ガンビア前大統領が"持ち逃げ"か
BBCニュース

ガンビア前大統領が退任拒否継続
BBCニュース
「アフリカ」の記事一覧へ
トピックス
主要
政治
経済
ライフ
ウェブ
メディア
中国の海外旅行客が世界を救う?
"倒産企業の社名"頭文字アが1位
チョコレートは世界の矛盾の縮図
"第2の日米貿易摩擦"の可能性
トランプ氏"伝統的な外交姿勢"に
韓国でシェア99%"カカオトーク"
トヨタがレース活動を続けるワケ
ニトリの"アパレル参入" 狙いは?
米政界のドンが語る経済の展望
同族経営は"婿養子"で成功する
社員が選ぶ幸せな会社ランキング
首相厚遇の背景に日本の移民制限
http://blogos.com/article/210107/


 


インド:1月のWPI、予想超える上昇−14年7月以後で最大の伸び
Jeanette Rodrigues
2017年2月14日 16:39 JST
インドの卸売物価指数(WPI)が1月に予想以上に上昇した。2014年7月以後で最大の上昇となり、政策スタンスを「緩和的」から「中立」にシフトしたインド準備銀行(中央銀行)の方針を裏付けている。
  商工省が14日発表した1月のWPIは前年同月比5.25%上昇。ブルームバーグがエコノミスト25人を対象にまとめた調査の中央値では、4.35%上昇と見込まれていた。
  インド中銀は8日、主要政策金利を6.25%に据え置く一方で、政策スタンスを「中立」と従来の「緩和的」から変更した。
原題:Wholesale Inflation Soars as Economists Call End to India Easing(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLCSOT6JIJV001
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/179.html

[経世済民119] 中国は金融危機回避、27年までに高所得国に−モルガンSが強気 アジアの成長「転換点」貿易鈍化、自由貿易不可欠―日銀総裁
中国は金融危機回避、27年までに高所得国に−モルガンSが強気 
Enda Curran
2017年2月14日 16:35 JST

「われわれはなぜ中国に関して強気か」と題するリポートを公表
中国は付加価値のある製造業・サービス業にますますシフトしている

中国は金融危機を回避する可能性が高く、2027年までに高所得国となる途上にある。米銀モルガン・スタンレーが中国の長期見通しについて新たなリポートをまとめた。
  「われわれはなぜ中国に関して強気か」と題されたこのリポートで、同行のアナリストらは中国が付加価値のある製造業・サービス業にますますシフトしていると指摘。これが1人当たりの国民所得を現在の8100ドル(約92万円)から今後10年で1万2900ドルに押し上げる中心的役割を果たすと分析した。世界銀行は高所得国の定義を1人当たりの国民所得(グロスベース)が少なくとも1万2476ドルとしている。
  中国全体の債務は昨年時点で国内総生産(GDP)の279%相当と、07年の147%から膨らんだが、モルガン・スタンレーは金融ショックのリスクは引き続き小さいと指摘。借り入れは国内の貯蓄で賄われ、投資に活用されていると説明した。経常黒字や高水準の外貨準備高、金融システムを不安定にする大きなインフレ圧力がないことに加え、ネットベースでの力強い資産ポジションが緩衝役になるとしている。
  人民元については一段安が見込まれるものの、通貨切り下げが行われる公算は小さいとしている。
原題:Morgan Stanley Says China to Avoid Bank Shock, Reach High Income(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLCRVN6JIJV001

 

アジアの成長「転換点」=貿易量鈍化が影響―日銀総裁【2/14 17:44】
黒田東彦日銀総裁は14日、新潟市で開催された北東アジア経済発展国際会議で講演し、製造業主導で高成長を遂げてきたアジア諸国について「転換点を迎えている可能性がある」と指摘した。2008年のリーマン・ショック以降、世界の貿易量が鈍化しているとし、アジア各国でサービス産業の生産性を高めることが重要だと語った。

黒田総裁は「仮に世界の貿易活動が以前ほど活発にはならないとすると、アジアの国々は成長モデルを見直す必要がある」と話した。

世界の貿易量が鈍化した背景の一つとして、「貿易の自由化が停滞し、保護主義的な動きが少しずつ見られ始めている」と述べた上で、「今後のアジア経済の成長にとって、自由貿易体制の維持が不可欠だ」と訴えた。

アジアの成長に自由貿易が不可欠、鍵はサービス業=日銀総裁

[新潟市 14日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は14日、新潟市内で講演し、世界的に貿易取引の伸びが鈍化している中で、「世界の工場」というアジア地域の経済成長モデルは転換点を迎えているとの認識を示した。今後の成長にはサービス業の生産性を高めてけん引役としていくことが重要とし、自由貿易体制が維持されることも不可欠と語った。

総裁は、「世界の工場」として世界経済をリードしてきたアジア地域は、金融危機以降の世界経済の成長率の鈍化に加え、国際分業ネットワークであるグローバル・バリュー・チェーン(GVC)構築の一服、中国の内製化の進展、保護主義的な動きの強まりという構造要因によって、「経済成長モデルが転換点を迎えている可能性がある」との見方を示した。

アジア地域の所得水準が上昇する中で、今後の成長モデルとしてサービス業が「ひとつの鍵を握る」と指摘。サービスの貿易には「まだまだ拡大余地」があるなどとし、「サービス業の生産性を高め、次の成長のけん引役としていくことが重要」と語った。

そのうえで、アジアの成長を可能としたGVCは「引き続き重要なエンジン」とし、「GVCの再編に向けた動きを梃子(テコ)にして、投資の拡大や生産効率の改善を進め、自らの新しい比較優位を創出していく努力が重要」と指摘。「そうした努力の大前提となるのが、これまで世界経済の成長を支えてきた自由貿易体制の維持だ」と強調した。

(伊藤純夫)

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
1月末の中国外貨準備高、2011年2月以来の3兆ドル割れ
焦点:パナホーム子会社化に異論、企業統治コード試す例に
金融庁「市場の変化に応じ迅速な意思決定を」、大手行に要請
中国保険業界の保険料収入、2016年は27.5%増の3.1兆元=保監会
焦点:日銀の中期国債買入に減額観測、現物枯渇で浮上 注目のオペ対応
http://jp.reuters.com/article/boj-gvc-kuroda-idJPKBN15T0OB
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/180.html

[経世済民119] 米債務上限引き上げ問題、財務長官候補は無力か 首都圏マンション7.4%減91年来高価格 金下落ドル125円今年は退屈な年
コラム:
米債務上限引き上げ問題、財務長官候補は無力か

Gina Chon

[ワシントン 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 連邦政府債務の上限引き上げ問題が再浮上しているが、米財務長官に指名されているムニューチン氏は、債務上限という天井をただ座って見詰めることしかできないかもしれない。

議会は過去数十年間、定期的に法定債務上限を引き上げてきたが、過去10年において債務上限の引き上げは、主に財政保守派により譲歩を勝ち取るための政治的武器として使われてきた。

この問題はここ数年何度か浮上。2011年には議会は土壇場で合意に達したものの、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米国の格付けを引き下げた。2013年には議会での対立で一部政府機関が2週間閉鎖された。

現在は「2015年超党派予算法」により法律で規定されている債務上限が適用されなくなっている。ただ、3月15日以降は再び法定上限が復活する。米国の債務は約19兆9000億ドル。3月半ばまでには20兆1000億ドルに達する可能性がある。何も対策がとられなければ、財務省のキャッシュバランスは約250億ドルにまで大幅に縮小される必要がある。財務省は最近、国債入札を制限しており、キャッシュバランスは昨年末の水準から25%以上減少し、3000億ドルを下回っている。

トランプ大統領の選挙活動中のコメントもほとんど安心材料にはならない。トランプ氏は、米国がデフォルト(債務不履行)したとしてもさほど一大事でなないと何度か示唆している。これを受け、過去に債務上限引き上げ問題で議会が対立した時と同じように、金融市場は混乱した。トランプ氏はその後発言を撤回したが、懸念する理由は他にもある。

理論的には、ムニューチン氏の財務長官としての職務は、共和党が過半数を握る議会では、さほど難航しないとみられる。ただ、財政タカ派は債務上限引き上げと引き換えに歳出削減を要求してくるかもしれず、財政健全派とされる行政管理予算局(OMB)局長候補のミック・マルバニー下院議員が加勢するかもしれない。

●背景となるニュース

*米上院は11日にもムニューチン氏の財務長官承認の是非を問う採決を実施する予定。

*財務省はキャッシュバランス縮小に向け国債入札を減らしており、2016年末時点に4000億ドルだったキャッシュバランスは2月8日時点では約2870億ドルとなった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

ロイターをフォローする
おすすめ記事


アングル:任天堂「スイッチ」によぎる不安、発売後2週間が鍵 2017年 01月 13日
首相はスネ夫―民進幹事長 2017年 02月 13日
来週は日米首脳会談を消化、ドル115円試す可能性も 2017年 02月 10日
http://jp.reuters.com/article/column-us-debt-mnuchin-idJPKBN15T077?sp=true

 
日米財務相会談、3月で調整=為替の認識焦点―ムニューチン氏承認【2/14 16:36】
スティーブン・ムニューチン米財務長官の就任承認を受け、日本政府は麻生太郎財務相との初の日米財務相会談を、ドイツで3月17、18両日に開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせて行う方向で米側と調整に入る。トランプ大統領が貿易赤字削減に向けて他国の通貨安を批判する発言を繰り出す中、為替をめぐる認識を日米間でそろえられるかが焦点となる。

10日の日米首脳会談では、新たな経済対話を新設して、2国間の貿易枠組みやマクロ経済政策の連携などについて議論することで合意。トランプ氏から事前に懸念された円安批判はなく、為替に関する日米協議は従来通り財務相間で行うことを確認した。

ただ、日米首脳会談後の共同記者会見でトランプ氏は、中国の為替政策に触れた質問に対し「速やかに公平な競争の場をつくる」と強調した。

昨年までのG20や先進7カ国(G7)の国際会議では、為替について相場の過度の変動が経済の安定に悪影響を及ぼすことや、通貨安競争を回避することが重要との認識で一致。同時に、デフレ脱却などを目的とする金融緩和の結果として生じる通貨安は容認してきた。

麻生財務相はムニューチン氏との初会談で、為替に関する従来の国際合意の重要性を改めて日米で確認し、金融市場の安定につなげたい考えとみられる。

とはいえ、今後もトランプ政権からは他国の為替相場の水準に関する発言が続く可能性がある。日本の財務省関係者は、「財務長官を支えるスタッフの陣容が固まれば、事務レベルで議論が進むようになる」と期待している。

税制改正が最初の関門=ムニューチン新財務長官―米【2/14 16:57】
【ワシントン時事】米財務長官に金融大手ゴールドマン・サックス出身のムニューチン氏が就任し、「米国第一」を掲げるトランプ政権の経済政策が本格始動する。最初の関門は月内発表を目指す税制改正。法人税引き下げや輸入への課税強化などの取りまとめで手腕が問われる。

「2、3週間以内に驚くべき発表をする」。トランプ大統領は9日、こう予告した。政府高官によれば、レーガン政権時代の1986年以来の大幅な税制改正になる見込みで、ムニューチン氏も検討に加わってきた。

トランプ氏は法人税を現行の35%から15%に引き下げ、個人所得税も最高税率を下げると表明。国内生産を促進する狙いから、メキシコなどからの輸入品には「国境税」を課す意向も示してきた。しかし、国境税などには、輸入に依存する業界が反発。世界貿易機関(WTO)が禁じる輸出補助金に当たる恐れもあり、実行は容易でない。

為替に関する発言も注目される。ムニューチン氏は上院公聴会で、ドル高は長期的に重要と述べながら、その後「短期的には悪影響を与える可能性がある」と説明。ドル高をけん制したトランプ氏に沿う見解を示した。今後も同様の発言を繰り返せば、金融市場に動揺が広がりかねな
http://fx.dmm.com/market/news/

 

 


ムニューチン氏、対中政策の初動に注目−米財務長官にようやく就任
Saleha Mohsin、Enda Curran
2017年2月14日 16:14 JST

東芝、暫定決算発表、原発減損額7125億円、今期株主資本マイナスに

フリン米大統領補佐官が辞任−ロシア大使との接触疑惑めぐり
日本株は3日ぶり反落、米政権人事と円高嫌気−精密、内需下げ目立つ
クレディ・スイス:10−12月は23.5億フランの赤字−法的費用計上

3月17、18両日のG20財務相・中銀総裁会議が国際デビューの場に
通貨や通商で米政権に「統一の政策があるかどうか」不明との指摘も

トランプ米大統領が財務長官に起用したスティーブン・ムニューチン氏が13日、上院本会議での指名承認を経て、正式に就任した。これにより、他国の通貨政策への批判を公然と口にするトランプ政権に、各国の財務相は直接のカウンターパートをようやく持つことになった。
  トランプ政権発足後の数週間、大統領やその顧問が唱える内向きの通商政策について、20カ国・地域(G20)の財務相は説明を求めようにも、米財務省トップが不在のまま暗中模索の状態に置かれていた。中国や日本、メキシコ、ドイツなど多額の貿易黒字を計上する国々を名指しした発言で、市場が反応するケースもあった。

  為替に関する不規則発言が大目に見られた政権始動直後の非公式の猶予期間は終わりを迎え、今後も口先介入を続けて為替相場の変動を招けば、「通貨の競争的な切り下げを回避する」ことを再確認した昨年9月のG20首脳会議の共同宣言の約束に反するか、通貨戦争を招く恐れがある。
  世界中の市場や政策立案者が固唾(かたず)をのんで見守っているのは、トランプ政権として一段と厳しい態度で臨むと公約してきた中国に対し、その初動がどうなるかだ。大統領選を通じ、就任直後に為替操作国の認定に踏み切るとしていたトランプ氏だが、その後、強硬姿勢を後退させている。ムニューチン氏は、必要ならこうした認定を支持する意向を表明している。

  調査会社ビーコン・ポリシー・アドバイザーズ(ワシントン)のマネジングパートナー、スティーブン・マイロー氏は「対中通商紛争がどのように始まるか正確に予想するのは困難だ」としつつも、4月に公表予定の半期に一度の為替報告書で「少なくとも米財務省が中国を為替操作国に認定すると見込まれる」と語った。

  一方、キャピタル・エコノミクスのアジア担当チーフエコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏(ロンドン在勤)は、大統領顧問の多様な見解を踏まえれば、市場が期待しているような明確な方針をムニューチン財務長官が示すことにはならない可能性もあるとみる。
  ウィリアムズ氏は、通貨ないし通商をめぐりトランプ政権に「統一の政策があるかどうか」不明だと指摘。「通常は財務省が主導すると予想される」が、国家通商会議(NTC)委員長の「ピーター・ナバロ氏のような人々が横やりを入れ、大統領がその助言を受け入れる可能性もある」との見方を示した。

  ムニューチン氏が成果を上げられるかどうかは、巧妙な議会対策に加え、商務長官に起用されたウィルバー・ロス氏や国家経済会議(NEC)のコーン委員長といった政権経済チームの他のメンバーとどのように協力していくかに左右される。

  対外関係では3月17、18両日にドイツのバーデンバーデンで開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議でのデビューが、ムニューチン氏にとって世界的な協力に向けた最初の関門となる。
  ドイチェ・バンク・セキュリティーズの為替調査責任者、アラン・ラスキン氏は中国や日本、メキシコ、ドイツなどに言及し、「多額の二国間黒字を抱える国々は為替相場の水準や変動が政治問題化する事態に多く直面する事になるだろう」と語った。
原題:Mnuchin G-20 Debut Clouded as U.S. Unspools World Currency Pact(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLCPW66K50Y301

 


 

首都圏マンション、7.4%減=91年6月以来の高価格―1月【2/14 16:26】
不動産経済研究所(東京)が14日発表した1月の首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の新築マンション発売戸数は前年同月比7.4%減の1384戸と2カ月ぶりに減少した。都心部で一戸当たり1億円を超える高額物件の発売が相次いだため、全体の平均価格は24.1%増の6911万円に上昇。バブル期の1991年6月(6946万円)以来の高い水準となった。

価格の高止まりで一般勤労者層の購入意欲は低迷。1月の契約率は61.6%と、好不調の目安とされる70%を2カ月ぶりに下回った。同研究所は価格について「1月は例年、発売戸数が少なく、高額物件が供給されると影響を受けやすい」と指摘。「建設費は落ち着き始めており、今後は下落していく」とみている。

近畿圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県)の発売戸数は55.3%増の1396戸。大阪市や神戸市でワンルームなどの供給が増え、7カ月連続のプラスだった。契約率も75.1%と好調。近畿圏の発売戸数が首都圏を上回ったのは、91年3月以来という。

〔東京貴金属〕金、NY安受け反落=白金も下落(14日)【2/14 15:48】
金は反落。終値は、中心限月の12月先ぎりが前日比15円安の4465円、他の限月は13〜18円安。日中立ち会いは、ニューヨーク金先物相場の下落を眺めた売りが先行した。その後、米大統領補佐官の辞任報道や株安などを背景に市場のリスク警戒感が強まる中、取引中のNY金相場は上昇したが、円も同様に買われたため、強弱材料が打ち消し合いとなり、方向感は乏しかった。東京ゴールドスポット100は16円安の4479円で取引を終えた。

銀はおおむね軟調。当ぎりの1円10銭高を除き、30〜60銭安で終了した。

白金は反落。12月先ぎりは32円安の3642円、他の限月は27〜38円安。NY白金の下落を眺めた売りに軟調に始まり、日中立ち会いはマイナス圏で推移した。パラジウムは4月きりの11円高を除き30〜37円安とおおむね軟調だった。(了)

[時事通信社]

東京市場サマリー(14日)【2/14 17:53】

【東京株式】3日ぶり反落=米大統領側近辞任受けリスク回避

トランプ米大統領側近のマイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)の辞任で先行き不透明感が高まり、リスク回避目的の売りが広がった。日経平均株価は前日比220円17銭安の1万9238円98銭、東証株価指数(TOPIX)は15.08ポイント安の1539.12と、ともに3営業日ぶりに反落。銘柄の60%が値下がりし、34%が値上がりした。出来高は21億0466万株、売買代金は2兆4041億円。

【東京外為】ドル、113円台半ば=終盤は買い戻し優勢

東京外国為替市場のドルの対円相場(気配値)は、フリン米大統領補佐官の辞任や株安を受けて軟化したが、終盤には欧州勢による買い戻しが入り、1ドル=113円台半ばと前日終値から横ばい圏となった。午後5時現在は113円55〜59銭と前日(午後5時、113円53〜53銭)比02銭の小幅ドル高・円安。ユーロは対円、対ドルとも下落。午後5時現在は1ユーロ=120円44〜44銭(前日午後5時、120円84〜85銭)、対ドルで1.0607〜0607ドル(同1.0643〜0644ドル)。

【東京債券】先物、横ばい圏=長期金利は0.090%

債券先物は横ばい圏。長期国債先物の中心限月2017年3月物は前日比01銭高の149円86銭で取引を終えた。長期金利の指標となる新発10年物国債345回債の利回りは0.005%上昇の0.090%。

【短期金融市場】無担保コール翌日物速報値、マイナス0.026%

日銀が公表した短期金融市場での無担保コール翌日物の速報値は、加重平均がマイナス0.026%(前営業日確報値マイナス0.027%)、最高レートは0.001%(同0.001%)、最低レートはマイナス0.080%(同マイナス0.080%)だった。

【東京原油】中東産原油、4日ぶり反落=円の硬化受け安値引け

中東産原油は4営業日ぶりに反落。終値は、中心限月7月先ぎりが前日比830円安の3万8400円、他限月は600〜800円安。日中立ち会いは、13日の欧米原油相場が、ドル高や米国内の増産観測を背景に下落したことから、売り先行で始まった。午前は小幅レンジでもみ合ったが、午後は米大統領補佐官の辞任を受けて外国為替市場で円相場が引き締まると、これに圧迫されて下げ幅を拡大、この日の安値圏で取引を終えた。

【東京金】NY安受け反落

金は反落。終値は、中心限月の12月先ぎりが前日比15円安の4465円、他限月は13〜18円安。日中立ち会いは、ニューヨーク金先物相場の下落を眺め売りが先行した。米大統領補佐官の辞任報道や株安などから市場のリスク警戒感が強まる中、取引中のNY金相場は上昇したが、円も同様に買われたため、強弱材料が打ち消し合い方向感を欠いた。

【経済統計】

◆1月の中国消費者物価、2.5%上昇=14年5月以来の高水準―国家統計局

◆1月の首都圏マンション発売、前年同月比7.4%減の1384戸=不動産経研

◆12月の鉱工業生産確報値、0.7%上昇に上方修正=経産省

【要人発言】

◆安倍首相:3本の矢認められており日銀の金融緩和入っているのは当然=日米共同声明

◆黒田日銀総裁:貿易自由化が停滞し、保護主義的な動きが少しずつ見られ始めている

【ニュースから】

◆東芝、決算発表1カ月延期=米原発事業で不適切対応―監査中に内部通報

◆日米財務相会談、3月で調整=為替の認識焦点―ムニューチン氏承認
http://fx.dmm.com/market/news/


〔アジア外為〕上昇=米大統領補佐官の辞任受けドル下落(14日)【2/14 17:48】
14日の大半のアジア新興国通貨は対ドルで上昇。フリン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が辞任したことを受けてドルが下落した。

韓国ウォンは1.2%の大幅高。国内の輸出業者がドル売りを加速した。また為替取引業者によると、海外ファンドのドル売りも支援したという。

台湾ドルも上昇し、2015年6月以来の高値を付けた。

シンガポールドルは0.4%上昇し、タイバーツも0.3%高。

コモンウェルス銀行のアジア通貨ストラテジストは、フリン大統領補佐官の辞任を受けて、トランプ政権が経済政策を含むすべての公約を実行できるかどうかについて懸念が強まったと指摘した。

0655GMT(日本時間午後3時55分)現在のアジア新興国通貨の対米ドル相場は以下の通り。

日本円 113.29

シンガポール・ドル 1.4174

台湾ドル 31.030

韓国ウォン 1137.05

タイ・バーツ 34.97

フィリピン・ペソ 49.865

インドネシア・ルピア 13320

インド・ルピー 66.93

マレーシア・リンギ 4.4450

人民元 6.8723

http://fx.dmm.com/market/news/


 


 

〔東京貴金属〕金、NY安受け反落=白金も下落(14日)【2/14 15:48】
金は反落。終値は、中心限月の12月先ぎりが前日比15円安の4465円、他の限月は13〜18円安。日中立ち会いは、ニューヨーク金先物相場の下落を眺めた売りが先行した。その後、米大統領補佐官の辞任報道や株安などを背景に市場のリスク警戒感が強まる中、取引中のNY金相場は上昇したが、円も同様に買われたため、強弱材料が打ち消し合いとなり、方向感は乏しかった。東京ゴールドスポット100は16円安の4479円で取引を終えた。

銀はおおむね軟調。当ぎりの1円10銭高を除き、30〜60銭安で終了した。

白金は反落。12月先ぎりは32円安の3642円、他の限月は27〜38円安。NY白金の下落を眺めた売りに軟調に始まり、日中立ち会いはマイナス圏で推移した。パラジウムは4月きりの11円高を除き30〜37円安とおおむね軟調だった。(了)

[時事通信社]

 


http://fx.dmm.com/market/news/


〔アジア外為〕上昇=米大統領補佐官の辞任受けドル下落(14日)【2/14 17:48】
14日の大半のアジア新興国通貨は対ドルで上昇。フリン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が辞任したことを受けてドルが下落した。

韓国ウォンは1.2%の大幅高。国内の輸出業者がドル売りを加速した。また為替取引業者によると、海外ファンドのドル売りも支援したという。

台湾ドルも上昇し、2015年6月以来の高値を付けた。

シンガポールドルは0.4%上昇し、タイバーツも0.3%高。

コモンウェルス銀行のアジア通貨ストラテジストは、フリン大統領補佐官の辞任を受けて、トランプ政権が経済政策を含むすべての公約を実行できるかどうかについて懸念が強まったと指摘した。

0655GMT(日本時間午後3時55分)現在のアジア新興国通貨の対米ドル相場は以下の通り。

日本円 113.29

シンガポール・ドル 1.4174

台湾ドル 31.030

韓国ウォン 1137.05

タイ・バーツ 34.97

フィリピン・ペソ 49.865

インドネシア・ルピア 13320

インド・ルピー 66.93

マレーシア・リンギ 4.4450

人民元 6.8723

http://fx.dmm.com/market/news/

 

 

株安でドル113円前半に下落、米FRB議長の議会証言に関心

[東京 14日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点と比べ、ドル安/円高の113円前半だった。午前は方向感なく推移したが、午後は株安などを背景に下押し圧力が強まった。市場の関心はイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言に向かっている。

正午付近に113.70円台だったドルは、午後1時過ぎにかけて113.39円まで下落した。東芝の決算発表の遅れやフリン米大統領補佐官(国家安全保障担当)の辞任報道などで日経平均が下げ幅を拡大。ドル売り/円買いが優勢となった。トランプ氏の側近が早々に辞任したことで、先行き不透明感が嫌気されたという。

フリン氏を巡っては、トランプ大統領の就任前にロシア側と米国の対ロ制裁について協議した疑いが出ている。

その後、ドルはいったん113.54円まで持ち直したが、午後3時にかけて日経平均の下げが200円超に拡大すると、ドルも連れ安となり113.26円まで弱含んだ。

きょうはイエレンFRB議長の議会証言に関心が集まっている。このところの米経済指標はおおむね堅調で、ネガティブな発言が出てくる可能性は低いとの見方がある。その一方、利上げについてはトランプ政権の具体的な財政政策が見えないことや、欧州政治利リスクの台頭などもあり、市場にヒントを示さないとの指摘も多い。

<午前のドルは方向感欠く>

午前の取引でドルは底堅さを維持する一方、上値の重さも意識された。

安倍晋三首相は衆院予算委員会で、日米首脳会談の共同声明で「われわれの3本の矢が認められ、そのなかに日銀の金融政策も入っている」と答弁した。

共同声明は「日本および米国は、世界の国内総生産(GDP)の30%を占め、力強い世界経済の維持、金融の安定性の確保および雇用機会の増大という利益を共有する。これらの利益を促進するために、首相および大統領は、国内および世界経済の経済需要を強化するために相互補完的な財政、金融および構造政策という3本の矢のアプローチを用いていくのとコミットメントを再確認した」と記述されている。

ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

午後3時現在 113.34/36 1.0618/22 120.35/39

午前9時現在 113.68/70 1.0597/01 120.48/52

NY午後5時 113.73/76 1.0597/00 120.52/56

(為替マーケットチーム)

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
東京マーケット・サマリー(25日)
イエレン米FRB議長の議会証言要旨
前場の日経平均は小反落、円安進まず利益確定売り優勢
スイス中銀の要求払い預金が増加、先週介入の可能性
米国株式市場は続伸、主要3指数が最高値更新 税制改革に期待

http://jp.reuters.com/article/tokyo-fx-idJPKBN15T0J5?sp=true


 

ドルは125円に接近へ、今年は政治的に「退屈な」1年−テンプルトン
Netty Ismail
2017年2月14日 16:56 JST
関連ニュース
Signage for Toshiba Corp. is displayed atop the company's headquarters in Tokyo, Japan, on Monday, Jan. 23, 2017. Toshiba's shares climbed the most in three weeks on Monday after reports that the companys plan to sell a stake in its chip unit is drawing attention from possible investors. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
東芝、暫定決算発表、原発減損額7125億円、今期株主資本マイナスに

フリン米大統領補佐官が辞任−ロシア大使との接触疑惑めぐり
日本株は3日ぶり反落、米政権人事と円高嫌気−精密、内需下げ目立つ
クレディ・スイス:10−12月は23.5億フランの赤字−法的費用計上

ドルは「政治的に退屈な」2017年に上昇し、1ドル=125円、対ユーロではパリティ(等価)にそれぞれ近づくと、フランクリン・テンプルトン・インベストメンツが予想した。16年のように反体制派のまさかの逆転劇が起きる可能性は低いとみている。
  焦点は再び経済、特に米国と欧州・日本の間の金融政策乖離(かいり)に移り、これがドル押し上げ要因になると、ロンドン在勤の債券担当ディレクター、ジョン・ベック氏が述べた。
  16年には英国の欧州連合(EU)離脱選択とドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利という驚きがあった。17年はフランスとドイツ、オランダで重要な選挙があるが、昨年の繰り返しはない公算だと同氏はみている。反ユーロのルペン国民戦線(FN)党首が次期仏大統領に選ばれる可能性は低く、ドイツでメルケル首相が敗れたとしても、その相手は中道の政治家だろうという。
  「16年が政治に衝撃が走った年なら、17年は経済の基本に立ち返る年になるのではないか。恐らく金利上昇がドルを支えるだろう」と、ベック氏はシンガポールでのインタビューで語った。
  ロンドン時間14日午前6時31分のドル相場は1ドル=113円31銭、1ユーロ=1.0620ドル。

原題:Templeton Sees Dollar Near 125 Yen Amid ‘Political Boredom’ (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLCT0M6KLVR401
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/186.html

[国際18] (北朝鮮情勢)金正男氏、北の女スパイ2人が毒針で殺害か 韓国テレビ報じる 北朝鮮の金正男氏 マレーシアで殺害か=暗殺
2017.2.14 20:54
【北朝鮮情勢】金正男氏、北の女スパイ2人が毒針で殺害か 韓国テレビ報じる

http://www.sankei.com/world/news/170214/wor1702140053-n1.html

金正男氏=2007年3月18日、マカオ市内(撮影・清水満)
 【ソウル支局】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(ジョンナム)氏が13日、マレーシアで殺害されたとする情報に関し、韓国のテレビ朝鮮は「北の女スパイ2人が毒針が用いて毒殺した」と報じた。複数の政府関係者の話として伝えた。
http://www.sankei.com/world/news/170214/wor1702140053-n1.html


北朝鮮の金正男氏 マレーシアで殺害か=暗殺の可能性も
聯合ニュース 2/14(火) 20:48配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170214-00000095-yonh-kr.view-000

北朝鮮の金正男氏 マレーシアで殺害か=暗殺の可能性も
金正男氏=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】故金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男、正男(ジョンナム)氏が13日午前、マレーシアで殺害されたもようだ。韓国政府消息筋は14日、伝えた。正男氏は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の腹違いの兄に当たる。

 一時、正日氏の後継者として有力視されていた正男氏は2001年に偽造パスポートで日本に入国しようとして摘発され、その後は後継者争いから外れ、マカオや中国などで生活していた。

 正男氏は2001年5月に息子と2人の女性を同行し、偽造パスポートで成田空港から日本に入国しようとしたが、逮捕され追放された。

 金正恩政権が発足してからは北朝鮮の世襲体制を強く批判しており、正恩氏が自身の偶像化の障害となる兄を暗殺した可能性があるとの指摘も出ている。

 韓国外交部は正男氏の殺害について、「確認することはできない」とコメントした。

最終更新:2/14(火) 20:48
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170214-00000095-yonh-kr
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/184.html

[政治・選挙・NHK220] 残業月60時間提示=繁忙期100時間は見送り−働き方会議 上限「年720時間」 残業がなくなれば、人生はバラ色になるの?
残業月60時間提示=繁忙期100時間は見送り−働き方会議

働き方改革実現会議で発言する安倍晋三首相(右から2人目)=14日午後、首相官邸
 政府の働き方改革実現会議は14日、首相官邸で第7回会合を開き、長時間労働是正に向け、残業時間の上限を年720時間、月平均60時間とする事務局案を提示した。繁忙期は月100時間まで残業を認める方針だったが、労働界から長過ぎるとの批判が出たため、具体的な数字の明記は見送った。3月末に取りまとめる実行計画での扱いが焦点となる。

主婦業も36協定結びたい=サラリーマン川柳100選−第一生命

 安倍晋三首相は席上、残業時間の上限規制について「多数決で議決するものではない。労使で合意形成してもらわなくてはこの法案は出せない」と述べ、関連法案提出に向け、労使間の協議を深めるよう求めた。
 労働基準法は、労働時間を原則1日8時間、週40時間と定めているが、36条に基づく「三六協定」を結ぶと、事実上無制限で残業させることができる。事務局案では、三六協定を見直し、残業時間の上限を定め、年720時間、月平均60時間に制限する。違反企業には罰則も科す。

http://www.jiji.com/news/kiji_photos/20170214ax18_p.jpg

 繁忙期に関しては、政府内で月100時間まで、2カ月平均では月80時間まで残業を認める案が検討されていた。しかし、労働界は「(脳・心臓疾患の)発症前1カ月で100時間程度」となっている過労死認定基準と同程度だとして反発している。連合の神津里季生会長は会議後、記者団に「過労死ラインは最後まで外せない」と指摘しつつも、使用者側との合意形成に努める考えを示した。
 政府は、過労死基準を超えない範囲で上限を設定する方針だが、経済界には月100時間までの残業を認めるよう求める声が強い。経団連の榊原定征会長は記者団に「実態とかけ離れた厳しい上限規制があると、企業の国際競争力を低下させる懸念があるので留意してほしい」と理解を求めた。(2017/02/14-20:16)

【経済記事一覧へ】 【アクセスランキング】
関連ニュース
経済全体の協力議論を=日米の新対話
日本の「円安誘導」是正を=米上院議員、トランプ氏に要請
日本の自動車市場は「公平」=米大統領発言に反論
次期会長に大成建設の山内氏=日建連
万博誘致トップに榊原氏=大阪府知事の要請承諾

 

「破滅への道」たどる中国のインフラ建設
サムスン損失、2800億円超に=「速度第一主義」危機招く−韓国紙
トランプ氏「自分がオバマ氏なら中国出ていた」
サムスン、黒田など3社に500億円請求=シャープも対象か
円相場、117円28〜28銭=15日正午現在

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017021401018&g=eco

 


<働き方改革>残業の上限「年720時間」 新制度案を提示
毎日新聞 2/14(火) 20:44配信

 政府は14日に開いた働き方改革実現会議で、長時間労働是正のための新制度案を提示した。現在は厚生労働相告示で定める残業時間の上限(月45時間、年間360時間)を法律に明記する一方、特例で「年720時間(月平均60時間)」まで認める。繁忙期など一時的に業務量が増える場合に設ける1カ月の上限時間については、労使間で意見の隔たりがあり、明示しなかった。

 労働基準法は労働時間を1日8時間、週40時間と定め、残業させる場合は労使協定(36協定)を結ぶ。さらに特別条項を付けると、最大6カ月まで無制限に残業させることが可能になり、長時間労働の温床となっている。

 政府案は、残業時間の上限を法律で定め、違反企業に対する罰則を設ける。一方、特例で月平均60時間までの残業を認め、労使協定を義務付ける。月平均60時間は「過労死ライン(直前2〜6カ月の平均が月80時間超)を踏まえ、ワーク・ライフ・バランスを改善する」ことを目指す時間という。厚労省の調査では、60時間を超える残業をさせている企業は4.4%だった。

 ただし、無制限の残業を防ぐため、1カ月の上限時間を定める。政府は100時間まで認める案を検討しているが、連合側が反発している。3月末に働き方改革実現計画をまとめるまでに、関係者間で調整する。

 会議後、経団連の榊原定征会長は記者団に「上限規制には賛成だが、実態とかけ離れた厳しい規制は、国際競争力や中小企業に影響を及ぼす懸念がある」と指摘。連合の神津里季生会長は「労働時間に上限を設ける意義は極めて大きい。立場によって開きはあるが、合意形成を図っていきたい」と述べた。【阿部亮介】

 ◇長時間労働是正の政府案

・時間外労働の上限を月45時間、年360時間と法律で明記し、違反には罰則を科す

・特例として年720時間(月平均60時間)まで認める

・特例であっても超えられない月当たりの上限時間を設ける

・特例適用には労使協定を義務付ける

・災害などの場合に労働時間の延長を認める現行法の規定は継続

【関連記事】
最終利益31%減へ 緊急増員や仕事量抑制で
外部の労働環境・監督委設置へ 過労自殺問題受けて
入選決定 この100句 悲哀ごまんと 詰まってる 応募20年ぶり5万句超え
全国入選作100句決まる
要件厳格化…残業月60時間未満
最終更新:2/14(火) 20:44
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170214-00000096-mai-soci


 


残業がなくなれば、人生はバラ色になるの?――ワークライフバランスの正しい取りかた (1/4)
ワークライフバランスが叫ばれている昨今、残業も大きな問題になっています。しかし、「残業=悪」なのでしょうか。仕事の不満や悩みを解消するヒントをお届けする本連載。今回のテーマは、エンジニアの「仕事と残業の在り方」です。
[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]
印刷/PDF
メールで通知
見る
78
23
-
-

 皆さんは、先月何時間残業しましたか? 1日2時間として20日だと40時間ぐらい?

 2014年にITmediaビジネスONLINEに掲載された「社会人の残業は平均47時間、残業が多い業界は?」によれば、「IT・通信・インターネット」業種の中で、残業が最も多い「インターネット」分野の残業は「月63.36時間」だそうです。IT業界は技術の変化も早いし、顧客の要望もそれに応じて変わってくるしで、忙しいですよね。

 ところで、最近の報道によれば、政府は「働き方改革」として「企業の残業時間を月60時間に制限する」上限規制の原案をまとめたそうです(※)。忙しい月は100時間までの残業を認めますが、年間では月平均60時間に抑えるよう企業に義務付けると言います。おっと! IT業界も引っ掛かってしまうではないですか!

 というわけで、IT業界で働く人にとって、残業は切っても切れないテーマです。そこで今回は、「エンジニアの仕事と残業の在り方」について考えます。

※参考:残業上限、月平均60時間=繁忙期は100時間−政府調整(時事通信 2017年1月28日)

残業に対する世の中のトレンド

 まず、残業に関する世の中のトレンドを見てみましょう。

 今の残業に対するトレンドは、「残業=悪」ではないでしょうか。実際、政府の「働き方改革」では、違反企業には原則として罰金を科すとしていますし、ネット上の情報を見ても、「60時間でも多い」という意見が多いようです。つまり、「残業はしてはいけない」という意見に傾いているように見えます(良い/悪いではありません。傾向の話です)。

 「ワークライフバランス」という言葉も、これに拍車を掛けているように感じます。

 ワークライフバランスは、「ワークとライフのバランスを取りましょう」という意味です。言葉からイメージするのは、こんなイラストですよね。


ワークとライフをバランス良く……って、難しいなー。
 ちなみに、政府広報オンラインでは、ワークライフバランスを次のように紹介しています。

働く全ての方々が、「仕事」と育児や介護、趣味や学習、休養、地域活動といった「仕事以外の生活」との調和をとり、その両方を充実させる働き方・生き方のことです。

出典:知っていますか?ワーク・ライフ・バランス | 政府広報オンライン
 厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」の説明も紹介しましょう。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。社員の能力がより発揮されやすい環境を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

他方、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性が高くなり、生産性は低下します。また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じさせることになります。社員のために、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が求められているのです。
 残業を少なくして、仕事以外の時間を充実させれば、人生の全てがうまくいく……というのは大げさかもしれませんが、世の中の傾向は「残業はしてはいけない」に傾いていると思います。

残業がなければ人生は充実するのか?

残業がなければ人生は充実するのか?

 でも私は、「残業さえなくなれば、バラ色になるのかな?」という疑問を持っています。

 なぜなら、普通の人から見たら「うわー、大変そうだなー」という働き方をしていても、本人は全く気にもしていない人が、少なくとも私の周りにはいるからです。

 例えば、私の知人のWebデザイナーは昼夜逆転するようなスタイルで仕事をしています。働いている時間もかなりのものです。傍から見ていると体が心配になりますが、彼にとってはそれが通常のリズムなのだそうです。また、毎日終電という知人もいます。朝は多少ゆっくりみたいですが、先日、「毎日帰りが遅いみたいですけど、大丈夫ですか?」と聞いたら、「このペース、嫌いじゃないんです。というより、楽しい」と言っていました。私は「まぁ、楽しいなら、自然とそうなるよな」と思いました。

 これはごく限られた一部の人の話かもしれません。また、年齢や性別、置かれている環境によっても違うでしょう。

 でも、やりたい仕事、興味のある仕事に関わっていると、時間も忘れて没頭してしまうことって、あると思うんです。ノリにノっているときは「もうちょっとだけ」と区切りのいいところまでやりたくなるし、納得いくまで仕事をしたくなる。エンジニアならきっと、多かれ少なかれ似たような経験をしたことがあるんじゃないでしょうか。

 楽しいことをやっていると時間を忘れて熱中してしまうように、「仕事が楽しい」と思っている人にとって、時間が与える影響は少ないようです。

 だからといって、やみくもに長時間働くスタイルを勧めたいわけではありません。「食べて」「動いて」「休む」……これが十分あってこそ、人間の頭と心はちゃんと動くんだと思います。

 そうではなく、「労働時間が減ると人生が充実する」、あるいは「労働時間が長いと人生は充実しない」……という単純な話ではないということを言いたいのです。時間の長さよりも、仕事がどれぐらい好きか、楽しいかの方が、充実感に与える影響は大きいんじゃないかなぁ。

ライフは正義で、ワークは悪者?

どちらを悪者にせざるを得ない

 また、ワークとライフは本来、切り離すことができないものです。「ワーク」と「ライフ」を切り離してしまうと、つい「どちらかが充実すると、どちらかは充実しない」と考えてしまいがちです。


「ワーク」と「ライフ」のどっちかを増やすと、どっちかが少なくなるの?
 私が「ワークライフバランス」という言葉にやや違和感を抱くのは、ワークとライフはバランスを取る対象ではないのに、バランスを取らせようとするところです。

 天秤(てんびん)に掛ける2つの対象のバランスを取るためには、対象が横並びである必要があります。けれども、「ワーク」は「ライフ」の一部であり、横並びではありません。ですから、本来はバランスを取ろうにも取りようがありません。

 人は物事を理解するときに、「白と黒」「善と悪」「ポジティブとネガティブ」のように二元的に捉えようとします。本来、切り離せない「ワークとライフ」を切り離し、2つを並べることによって、どちらかを善でどちらかを悪にしないと、何となく気持ちが悪い。「ライフ」は人生そのものですから、そちらを善にしようとすると、必然的に「ワーク」は悪になります。

 「ワーク」と「ライフ」を切り離すと、二元的な思考が働いて「やっぱり仕事って、人生にとって何かとマイナス面が多いよね」となりやすい。つまり、仕事に対するイメージがネガティブになってしまうのです。ここは、非常に問題だと思います。

 残業時間の長さと、人生の充実は関係ありません。一生懸命仕事をすることによって充実感を得る人もいます。

 ここを間違わないようにしないと、社会の「良しあし」に流されてしまいがちです。今、エンジニアとして働いている皆さん、そして、これから社会に出ようとしている若い人たちに、「仕事にはやりがいや楽しさもあるよ」と私は伝えたいし、「ライフ」と「ワーク」という言葉を使うなら、「エンジニアの仕事が私のライフワークです」といえる人が増えればいいのになと思います。

ワークとライフのおいしい関係

自分にとっての「充実とは何か」を考えてみよう

 もっとも、ここで「ワークライフバランス」の言葉の問題を指摘しても、あまり意味のないことかもしれません。皆さん1人1人が「ワークはライフの一部である」「仕事によって得られる人生の充実感もある」ということを、再認識すればよいわけですから。

 けれども、「残業=悪いこと」「仕事=悪いこと」に多くの人の意識が振れてしまうのは、問題だと思います。仕事は決して、悪いことばかりではないし、充実できる要素もたくさんある。もし、理想を何でも実現できるとしたら、一律で「残業60時間以上はダメ」ではなく、皆さん1人1人の好みや状況で判断するのが理想的でしょう。

 けれども、仕事に価値を置いている人ばかりではないし、自分の意思とは関係なしに残業させられて、長時間労働で苦しんでいる人も実際にいます。そういう人たちが救われないと、社会としては問題です。そこで、どこかでバサッと一律に区切ってしまおう、というのが今のところの現実解なのでしょう。

 だからといって、「残業は悪いことなんだ」「仕事はほどほどにしてそれ以外を充実させましょう」という社会の「良しあし」に流されると、仕事で充実感を得ることが難しくなります。

 人生とは、何かと何かを切り離して奪い合うものではなく、いろんな要素が融合して成り立っているものだと思います。

 家族、親、地域社会との関わり、仕事、そして、個人としての自分……いろんな要素がある。それらの「おいしいとこ取り」でいいんじゃないでしょうか。


人生にいろんな要素を追加したら、とってもおいしそうになったよ
 ましてや、ビジネスパーソンにとって仕事は、1日の中で最も多くの時間を過ごすものです。それを「悪」にしてしまうのはもったいない。

 エンジニアの仕事は、自分の感性で「充実している」や「していない」が分かる仕事です。「今の仕事で充実しているのかどうか」、もし充実していなければ、「どんな仕事や環境だったら充実しているといえるのか」「少しでも仕事を充実させるために、今の環境の中でできそうなことはないか」を、自分の感性で判断していくことが、社会の「良しあし」に流されないコツじゃないかな、と思います。

今回のワーク

 大切なのは、「なるほどね」で終わらせないことです。静かな場所に行って、コーヒーでも飲みながら、紙とペンを取り出して考えてみてください。

1 先月の残業時間は何時間でしたか?

2 今の人生(ライフ)の充実レベルを表現するとしたら何点ですか? その中で、仕事(ワーク)が占める割合は何%ですか?

3 「人生 vs 仕事」ではなく「仕事は人生の一部」としたら、仕事とどう関わりたいか考えてみましょう
この連載を「連載記事アラート」に登録する
筆者プロフィール
竹内義晴
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
Twitter takewave
Facebook 竹内義晴
仕事が「つまんない」ままでいいの? 連載一覧
次回の掲載をメールで受け取る
26
残業がなくなれば、人生はバラ色になるの?――ワークライフバランスの正しい取りかた
25
その「こだわり」は、犬も食わない――エンジニアの「本質」とは
24
「仕事の楽しさ」って何だろう?
23
「物事の捉え方」が肯定的に変わる、2つのシンプルな習慣
22
「死にたい」と思うほど仕事でストレスを抱えたときに――最も大切なのは、あなた
過去の連載記事が 21 件あります
チェックしておきたい人気記事
5分で絶対に分かるワークライフバランス5分で絶対に分かるワークライフバランス
「仕事の楽しさ」って何だろう?「仕事の楽しさ」って何だろう?
「そこまで手が回らない」から:ワークライフバランス、64%の企業が未着手「そこまで手が回らない」から:ワークライフバランス、64%の企業が未着手
ワークライフバランスとは「自分の人生の主導権を握ること」ワークライフバランスとは「自分の人生の主導権を握ること」

関連リンク
しごとのみらい
@IT自分戦略研究所 FBページ
@IT自分戦略研究所 Twitter
@ITメールマガジン
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1702/13/news015_4.html
http://www.asyura2.com/17/senkyo220/msg/679.html

[経世済民119] ロボット導入が、人の価値を高める 日本企業で進むRPA革命の本質 AIが誘う「価格100分の1」の世界 凄い値付け

ロボット導入が、人の価値を高める
日本企業で進むRPA革命の本質
2017年2月15日(水)
安部 慶喜、金弘 潤一郎、大石 直子、澤井 秀俊、北村 尚子

(写真:Andrew Bret Wallis/Getty Images)
 RPA(Robotic Process Automation)ツールの技術は日々進歩している。だが現在のロボットができることは、人間ができることの一部分に過ぎない。一方で、ロボットの方が人間よりも優れている部分もある。では、現時点でロボットはどこまで人に代われるのか。有効なRPA活用を考える上では、それを理解する必要がある。
 私たち人間が日々行っている業務を分解し、ロボットに「出来ること」「出来ないこと」、あるいは「得意なこと」という視点で整理してみたい。

作成:アビームコンサルティング
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/012300104/021400006/p1.png

 人間はそれぞれのステップにおいて、「目」「耳」「口」「手」「頭」を駆使して作業を実行している。例えば、「情報を視覚的に認識し(目)、必要な情報を取捨選択(頭)する」とか、「選択した情報を入力(手)し、情報を集計(頭)後、帳票に出力(手)する」といった具合だ。
 ホワイトカラー業務を遂行する際には、「Input(情報の取得)」「Process(情報の加工)」「Output(情報の提示)」という3ステップを必ず行っている。それらをロボットにどう置き換えるか。現状の技術水準や今後の動向について、順に見ていこう。
9割の入力作業を削減した企業も
 まずはInput。人は目や耳を使って紙資料や画像、音声を認識し、取捨選択の判断や取得の範囲の検討を行っている。この作業をロボットの機能に照らし合わせて考えてみよう。ロボットは、「目」にあたる画面認識や光学文字認識(OCR)といった技術を利用して、元の資料や画面に表示される内容を認識し、組み込まれた一定のルールに従って必要情報を抽出する。
 現時点のロボットは、人間の目のように何でも不自由なく読み取れるという訳ではない。テキストデータ等に電子化している情報であれば、社内システムの画面や手元のエクセルファイル、外部のウェブサイトであっても問題なく認識することができる。
 一方で、紙に印字された情報や、写真のように電子化できていない媒体からの認識精度はまだ100%ではなく、その読み込みを完全にロボットに任せることは難しい。また、人間であれば紙資料などの様々なフォーマットも柔軟に意味を読み取れるが、現在のロボットではその機能はまだ発展途上にある。
 企業の導入事例を見てみよう。流通業で従業員4000人程度のある企業では、子会社から様々な申請書類が紙で送られて来て、それをシステム入力する作業を行っていた。申請書はファクスや紙で受領し、人が目で見て必要情報を手で入力していた。
 当初、この業務をロボットで代行する際には、これまで通りファクスや紙で受領した資料を直接ロボットに読み込ませて、登録処理を行うようにして欲しいという要望だった。しかし、現在のロボットでは紙媒体からの読込精度が100%にならないため、精度が重要な当該業務においてはその方式でのロボット化を見送った。
 そこで、受領する申請書の大部分をエクセル化し、電子メールに添付して送付する形に業務を変更するよう、各子会社に依頼した。できないものは従来通り人間が読み取って手入力する。一部手作業は残ったが、大部分の申請をロボット化し、結果として90%の作業が削減できたという。

作成:アビームコンサルティング
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/012300104/021400006/p2.png

 人間とロボットの機能を比較した時に、現時点で圧倒的にロボットに優位性があるのは「作業スピード」だ。人間の手作業では限界がある。どんなに作業が早い人でも、何時間も同じスピードで作業をし続けることは難しい。「正確性」も圧倒的にロボットの方が優秀だ。しかし、フォーマットの柔軟性では人間に軍配が上がる。
自己学習して自動的に機能を付け加える開発が進む
 続いてProcess、情報の加工を見てみよう。
 人間は頭脳を駆使して情報の整理・集計・組み換えを柔軟に行うことができる。必要であれば過去の経験からの類推や、情報から示唆を読み取ることも可能だ。ロボットはまだ自分でやり方を考えるというレベルに達しておらず、作業を手取り足取り教え込むことが前提となる。そのため、作業手順や条件によるパターンの分岐を漏らさずルール化が必要となる。
 一度覚えた作業はどんなに膨大で複雑でも、正確に繰り返し実行できるのはロボットの特長だ。定型的で繰り返し頻度が高い業務を優先的に教えていくことが、効果を最大化する近道となる。
 機械製造業を営む従業員約2500人のある企業は、月次の実績管理業務の中で、「会計システムへの計上データ」と現場からの契約書やエクセルの明細情報等の「裏付け情報」との整合チェック業務に悩まされていた。確認項目が多数ある上に、件数も膨大。不整合を発見するまでに膨大な時間と、正確に行うための集中力が必要だった。
 当初はすべてのチェック処理をロボットにより完全自動化する姿を描いていた。しかし、そのためには不整合を摘出した上で、その理由がミスなのか、容認できるイレギュラーなのか、人為的な不正なのかといった内容の分析までパターン化し、ロジック化する必要があると判明した。これではロボットが完成するまでに多大な労力がかかってしまう。
 そこで、まずはデータ面での不整合のみ精査する一次チェックをロボットに任せることにした。ロボットが抽出した不整合案件についてのみ、原因について人間が担当者へのヒアリングや分析するということで、作業を絞り込んだ。これにより、作業の約60%を自動化できたという。
 なお、現在は人間が業務のルールを定めてロボット化するという関係であるが、RPAツールにAI機能を取り込むことで、ルール自体を自己学習して自動的に付け加える機能の開発が、北米の金融業界で進んでいる。今後は、ロボットが自ら過去の実績や知見・知識を基に新しいビジネスルールを自ら学習・発見するといった自己学習機能が発達する可能性が十分にある。
 3つ目のOutput、情報の提示を見よう。人間は処理した結果をどのように伝えるかを考え、レポートや報告書を作成する。また、報告すべき人とタイミングを判断し、報告作業を行っている。
 現在のロボットは、複数の定型フォーマットからルールに従って出力すべきフォームを選定し、レポートや報告書を作成することはできる。また、決められた人に報告書を送付したり、エスカレーションすべき順序に従って、ワークフローのようにルールに従って承認したりすることも可能だ。
 ただし、あくまで定型化されたフォーマットへの出力しかできない。分析結果に基づいて柔軟に報告様式を変えたりすることは難しい。人のように多少の変更等をタイムリーにフォームへ反映したり、処理結果を基に、より分かりやすい表現を考えたりすることは現段階では難しい。
 東証一部に上場するある企業は、決算分析レポート作成のロボット化を検討をした。ロボットが定型分析フォームに出力すると同時に、集計データに応じた分析コメントまで記載できないかという要望を当社が貰ったケースがあった。
 残念ながら現段階では、データを解釈して分析コメントを作成することは難しいと説明し、資料の数値データ部分はロボットが迅速に作成し、データを吟味して分析コメントを加える作業は人間が行う形となった。以前は、数値データ作成に半日以上費やしていたが、1時間程度で作成可能となったという。
 ロボットが作成した数値データには間違いがなく、複数人で数値データをチェックする手間も同時に省くことに成功した。自動化で新たに創出された時間を利用して、人間はしっかりと分析作業ができるようになった。
「働き方改革」実現のツールとしても注目

作成:アビームコンサルティング
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/012300104/021400006/p3.png

 ロボットは、業務量や実施時間帯に応じて「配置」「増員」「削減」が柔軟にできる。一般的に部署や時期によって、業務量や繁忙期が異なるため、一部の人に負荷がかかってしまうことがよくある。
 昨今の残業規制やワークライフバランスを重視する働き方への転換に対応するためにも、負荷を軽減する措置が必要だ。ただ、期間限定の雇用や配置換え等を考える必要があり、管理者側も現場側も対応に向けたハードルは高い。
 例えば、ある企業では海外マーケットの金融商品のファンド価格を取得して登録する業務において、海外マーケットの取引時間に合わせて深夜に作業する担当者を持ち回りで設ける必要があった。
 この業務をロボット化したことにより、深夜に誰も働かなくて済むようになった。また、別の企業では、ある情報を沢山の企業ホームページから取得する業務が発生。この作業を従業員が自力で行うことは困難と判断し、調査会社から数百万円で情報を購入する予定だった。だが、結果的に情報をホームページから抽出するロボットの導入で対応できた。調査会社への支払費用に比べて10分の1の投資でロボットを導入できたため、大きな費用の削減につながった。費用削減だけではない。従業員を不毛な単純労働から解放できたのだ。
 ロボットには「人事異動」や「転職」はない。そのため、一度覚えたノウハウは失われず、知識が属人化することを防ぐことができ、その会社の財産となり永遠に保持される。
ホワイトカラー業務の半数はロボットに置き換え可能
 ある企業では、資金移動計画表を作成する業務において、作業時間と作成作業ノウハウの属人化に悩んでいた。従来は熟練者が経験を元に作業を実施していた。だが、熟練者が不在の場合には経験の浅い担当者が熟練者の2倍以上の時間をかけて作業を行わなくてはならず、その作業の正確性も不十分だった。
 この作業をロボット化することで、作業時間の短縮や作業品質の向上につながり、かつ今まで個人の頭の中にしかなかったノウハウを可視化できた。ロボットによって、ノウハウを共有、活用できるようになったのだ。
 昨今のRPA導入事例から得られる情報を総合すると、日本企業のホワイトカラー業務は、業務量比率で約60%はルール化が可能なもので構成されている。そしてルール化できた業務にRPAを適用すると約80%の業務はロボットに代替できている。
 つまり、ホワイトカラー業務工数の約半分はロボットに置き換えることができると考えられる。
 本稿では、あくまで現時点の技術に基づいて「ロボットがどこまで人に代われるか」を考えてきた。機械学習や自然言語処理といったRPAの周辺技術は日進月歩の様相であり、今後ロボットがより広い領域をカバーする様に進化すると予想される。
 そのようなロボットの進化に従って、私たち人間がすべき業務は、より付加価値の高い領域にシフトしていくことになる。では、ロボットと共存し、ロボットにはできない領域で活躍する人材とはどのような人なのか。企業は今後の変化にどの様に備えるべきなのか。次回は、来るべきロボット化時代に向けて、我々はどのように準備すべきなのかについて論じて行きたい。


このコラムについて
日本企業で進むRPA革命の本質
AIやIoTに続くキーワードとして、RPA(Robotic Process Automation)に注目が集まっている。顧客対応や秘書業務などの企業事務を、ロボットを使って自動化することで効率化を図るのがRPAだ。欧米の企業を中心に導入が始まり、日本でも大手金融機関や製造業での導入が進んでいる。人間はロボットとどう協働すればいいのか。RPA時代のこれからを、専門家が解説する。


http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/012300104/021400006


 

AIが誘う「価格100分の1」の世界

凄い値付け

一般消費者から中小企業まで――効率化の先に広がる新市場
2017年2月15日(水)
水野 孝彦
 市場が成熟化し、多くの分野で寡占化が進んでいる。新規事業を始めたくても、そこには実績があり既に顧客を囲い込んだガリバーたちがいる。地の利を持つ強敵と競り合うには、相手とは比較にならないほどの低価格で勝負することが突破口になる。その武器となるのがAI(人工知能)の活用だ。

 競合がひしめく不動産業界で、そのAIを巧みに活用しているのがイタンジ(東京都港区、伊藤嘉盛代表取締役)だ。賃貸物件の仲介手数料は家賃の1カ月分というのが相場だ。その中で、同社が運営するインターネットを活用した不動産仲介サービス「ノマド」の仲介手数料は一律3万円。仲介物件の家賃次第だが、「月額家賃15万円の物件なら手数料は通常の5分の1になる」(イタンジの横澤佑輔取締役)。2014年11月にサービスを始め、営業エリアは東京都と神奈川県東部限定だが既に月間5000人が利用するまでになった。

質問の6割にAIが回答

 通常、不動産仲介会社のスタッフが1カ月の間に対応できるのは40人程度の見込み客だという。一方のイタンジは、スタッフひとり一人の負担を減らし、1人のスタッフで普通の不動産仲介会社のスタッフの25倍に当たる1000人の見込み客に対応できるようにした。具体的には、物件への問い合わせの約60%をAIがチャットで自動的に返答している。また、物件を下見する際の同行はアルバイトに任せる。物件の見学は有料(1回3時間・3部屋までで3000円)だが、最初の見学時の費用は契約成立時にキャッシュバックされる仕組みだ。


不動産仲介サービス「ノマド」のアプリ画面。利用者の質問にAI(人工知能)が答えている
WEBコンサルティング料を100分の1に

 2010年創業のWEBコンサルティング会社WACUL(読み方:ワカル、東京都千代田区、大津裕史社長)は元々、成果報酬方式で1カ月から1カ月半の時間を掛けて個別企業のWEBサイトの分析と改善の提案を実施していた。成果報酬は1案件当たり400万円。そのコンサルティング価格は同業他社並みだったという。

 同社は2015年5月、「AIアナリスト」の名称でWEBのアクセス分析にAIを導入。従来の100分の1の価格である4万円(WEBサイトの規模で若干異なる)を1サイト当たりの月々のコンサルティング料として得る形に変更した。

 「AIアナリスト」には無料で利用できる機能がかなりあり、まずは無料でサービスの一部を利用してもらって、有料サービスへの移行を促す仕組みだ。無料での登録は既に9000サイト以上で、そのデータもAIの精度を高めるビッグデータとして活用している。2017年中に有料での契約数は1000サイトに達する見込みだ。

5日分の作業をAIは10分で終わらせる

 では、なぜ同社では従来の100分の1の価格でサービスが提供可能なのか。WEBサイトを分析するうえで最も人手が掛かる作業は、ユーザーがWEBサイト内の各ページをどの様な順番で閲覧しているのかを把握することだ。その回遊パターンは大手EC(電子商取引)サイトなどでは20万〜100万通りにもなる。「回遊パターンの分析に以前は5〜10日間掛かっていたが、AIなら10分で分析できる」と同社COO(最高執行責任者)の大淵亮平氏は説明する。

 AIの分析結果は利用企業も閲覧可能で、各企業の担当者はその結果に沿ってアドバイスをしている。1社当たりの作業量が減り、以前よりはるかに多くの案件を担当可能で、価格を大幅に引き下げることができた。


「AIアナリスト」の画面。分析結果からのAIのの提案に加え、WEB上で担当者からのアドバイスも得られる
中小企業に利用客を広げる

 低価格でWEBサイトのコンサルティングが可能になったことで、「高額のコンサルティング料を支払えなかった中小企業の利用が増えており、同業他社とは異なる新しい需要を掘り起こした」(大淵亮平氏)。

 そうした新規客の1つが、オーダーメイドでシルバーアクセサリーを製作するWEBショップ「工房 史(ふみ)」だ。同店が最重要指標(Webサイトが目指す成果)としているのは、無料で提供するデザイン診断の問い合わせ件数を増やすことだ。そこで「AIアナリスト」の分析に基づき、各商品ジャンルのトップページに商品の人気度を示す「絶対喜ばれる!プレゼントランキング」といったコーナーを設けたり、黄色の目立つバナーでデザイン診断に誘導するといった対策を実施し、着々と問い合わせ件数を増やしている。

 WACULではコンサルティングの対象として開拓可能な市場の規模はAI導入前の16倍に広がったと見込んでいる。その市場はコンサルティング料金の高い大手競合他社には手が出せない同社だけのフロンティアというわけだ。


このコラムについて

凄い値付け
経営の神様こと松下幸之助氏ですら長年、頭を悩ませたと言われる「値付け」。
経営の最重要事項であるはずのそんな価格戦略で、日本企業の迷走が深まっている。
収益力の向上を目指し値上げに踏み切ったものの、客離れを招く企業あり。
逆に「デフレは続く」と一段の値下げに走った結果、業績が低迷する企業もある。
成熟時代には、中途半端な値段を付ける戦略では十分な利益は上がらない。
常識価格を大きく上回る値段を設定し、その分、消費者が驚く付加価値を乗せるか、
前代未聞の安値を打ち出し、顧客を力技で引き寄せる。いずれかの姿勢が必要だ。
モノを売りたきゃ倍値か半値──。そんな「大胆値付け戦略」を先進企業に学ぶ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/020900110/021400004
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/190.html

[国際18] 欧州には悪くないトランプの経済政策 ロシアの経済は急成長   「一中原則」米中の駆引きは中国の勝利 強者こそが強者と平等

 


 


欧州には悪くないトランプの経済政策

インタビュー

欧州金融機関から上がる期待の声
2017年2月15日(水)
蛯谷 敏
トランプ大統領の予測不能な行動に振り回されているのは、日本だけではない。EU(欧州連合)やNATO(北大西洋条約機構)に批判的な態度を取るトランプ大統領を、欧州でも警戒する動きが広がっている。

2月3日にマルタで開催されたEU非公式首脳会議では、トゥスクEU大統領が、トランプ政権をEUにとっての「外的脅威」と位置付けた。イスラム圏7カ国の国民に対する入国制限に対しても、EU主要国が批判。EUと米国の政治的な溝は深まっている。

ただし、経済面を見れば、必ずしも悪いことばかりではない。トランプ大統領が提唱する金融規制の緩和や経済政策には欧州金融機関からも期待の声が上がる。欧州経済に及ぼすトランプ効果を、大和総研の菅野泰夫シニアエコノミストに聞いた。

菅野泰夫(すげの・やすお)氏
1999年大和総研入社。年金運用コンサルティング部、企業財務戦略部、資本市場調査部(現金融調査部)を経て2013年からロンドンリサーチセンター長。研究・専門分野は欧州経済・金融市場、年金運用など。
トランプ大統領が打ち出した経済政策をどう見ていますか?

菅野:経済政策に特化して見れば、極めて真っ当な政策を打ち出しているとの印象です。トランプ大統領の狙いは、シンプルです。すなわち、財政出動による景気拡大と、反グローバリズムの通商政策により国内雇用を増やし、中間層の所得水準を上げるというもの。移民についても、これまで受け入れ過ぎた反省から、適切な水準での管理に舵を切っていくということでしょう。

 もちろん、彼独特の政策の打ち出し方や、ツイッターを使った“口撃”という手法については賛否が分かれますが、市場関係者から見れば結果が大切です。ダウ平均株価の水準を見る限り、トランプ大統領の打ち出した施策は今のところ期待されていると言っていいでしょう。

 自動車メーカーに米国内で工場を作るように介入したりする行為も、自動車メーカーが従っているのは、米国の力を認めているからに他なりません。もし、本当に米国に未来がなければ、メーカーは米国から逃げ出してしまうわけです。こうした事情も勘案した上で「取引(ディール)」がなされているとの見方もできます。トランプ大統領が今後繰り出す施策は予測不能ですが、今のところ米国企業や米国で事業を展開する外国企業双方の利益が確保されていると考えられるでしょう。

 彼にとっては、貿易交渉もディールの感覚に近いのではないでしょうか。TPP(環太平洋経済連携協定)のような多国間交渉よりも、2国間で交渉をまとめた方が、取引がしやすいし、スピードは速いですからね。ビジネスマンの発想ですべての政策を動かしている印象です。

 マクロ経済をみると、財政出動への期待が高まれば、株価は上がる傾向にあります。現時点での株価を見る限り、金融市場はトランプ大統領の政策を評価していると見ていいでしょう。

 ただし、大型のインフラ投資や減税策に関する法案が提出されるのは2017年春以降となりそうです。選挙公約には、与党である共和党内から反発の声が上がる恐れがあり、可決までに時間がかかる可能性がありますね。従って、実際に財政出動が始まるのは、2018年以降と想定する向きも多く、現段階では期待が先行し過ぎているという見方も否めません。

当然ながら、トランプ氏の政策は、欧州の経済にも影響を与えますね。

菅野:そうですね。ポイントは、3つあると思います。

 1つは金融政策です。結論を言えば、長らく続いた低金利の潮目が欧州でも変わる可能性があります。

欧州の低金利が正常化する可能性も

 トランプ大統領は、低金利に批判的なスタンスで知られています。このため、今後の金融市場は、現状よりも高い金利になるという見方が金融関係者の間で一致しています。

 一方、為替市場では、為替操作国を名指しするなど、トランプ大統領が口を出しすぎる状況が続くと予想されます。大統領の発言がファンダメンタルズに即しているとは思えず、各国の金融政策担当者にとって悩ましい状況が続くでしょう。口先介入で永遠に相場が決定されることはないと思いますが。

 ただ、実際に米国金利が上昇すれば、欧州にも影響を与える可能性があります。折しも、世界の主要国で金融政策の有効性に対する信頼性が揺らいでいるタイミングです。金融緩和によって長らく低金利が続いてきた欧州でも、金利がある程度正常化する可能性はあります。

 特にECB(欧州中央銀行)の政策金利はグローバルな経済環境の変化を受けて決定されます。年央以降の金融政策会合の場で、ドラギ総裁が進める現行の金融緩和政策に対する出口戦略がどのような形で決定されるかに注目しています。

英国では英中銀のイングランド銀行が利上げを模索していると見られていますが…。

菅野:英国は、国内のインフレ率上昇という別の要因もあり、利上げに転じる可能性は十分にあるでしょう。焦点となるのは、ここでもECBですね。ドラギ総裁が、トランプ効果によって、いつごろ意思を変化させるのかが今後の注目の一つになるでしょう。ドラギ総裁は現段階では金融引締め、利上げに否定的な見方をしています。そのタイミングを見計らって(通貨防衛の意味合いも含め)、英中銀の動きがあわただしくなると思います。

 2つめのポイントは、財政政策です。先程も述べたように、米国は財政出動を拡大させることで、景気拡大を推し進める考えです。その流れは、欧州にも広がる可能性があります。EU離脱を決めた英国は、財政拡大の姿勢を既に明確にしています。フランスの大統領選でも、財政拡大が一つの論点になるとみられています。

EUを事実上取り仕切るドイツの厳しい監視は、加盟国が財政支出を拡大させるハードルになりませんか。

菅野:もちろん、EU主要国は、財政規律を順守することを求めるでしょうが、その声が弱まりつつあるのも確かです。欧州委員会も、2017年以降に財政支出を拡大させる必要性を2016年11月に指摘しています。これはドイツに対するメッセージだとして注目されました。ドイツ側は相変わらず、財政拡大による景気浮揚効果について異論を唱えており、反発しています。欧州委員会がこのドイツの方針をどこまで変えられるかが、一つの注目点になるでしょう。

 最後のポイントが、金融規制です。トランプ大統領は2月3日に、金融規制の一つであるドッド・フランク法などの見直しを命じる大統領令に署名しました。加えて、新たな規制の導入も凍結すると発言しており、金融危機以降に実施した金融改革を見直す方向に向かっています。

 この結果、世界共通の金融規制枠組みの策定に向けて、米国の関与が弱まる可能性があります。例えば、現在進められている銀行規制のバーゼルIII規制改革(バーゼルIV)は、欧州銀行の意向をより多くくんだ形で最終決着する可能性が濃厚です。そうなれば、欧州の銀行にとっては、追い風になる可能性もあります。

EU離脱を決めた英国と米国との関係はどうなりますか?先日のメイ首相とトランプ大統領の会談では、特別な関係をアピールしていました。

菅野:この会談が英国にとって一定の成果となったのは確かでしょう。米国との特別な関係を改めて確認するとともに、トランプ大統領からNATOへの100%コミットを引き出すことに成功しました。メイ首相は、米国のコミットを取り付けるため、防衛支出をGDP(国内総生産)比で2%支払うようNATO加盟国に説いて回ることを約束しています。

 ただし、英国が米国とEUの橋渡し役になるという目論見については、疑問符がつきます。2月3日にマルタで開かれたEU非公式首脳会議で冷遇されるなど、英国はEU諸国から冷ややかな目で見られ、橋渡し役となる目算は外れた形になりました。さらに、トランプ大統領が発表したイスラム圏7カ国の国民に対する入国規制によって、親密さをアピールした英国は苦しい立場に立たされる可能性があります。

 一方で、英国にとって米国はEU離脱後のパートナーとして欠かせません。EU離脱後すぐに貿易協定を締結できるように、準備を進めていくでしょう。ただ、もちろん、ここにも問題はあります。例えば、EUを離脱する英国の農家はEUからの助成金を喪失する可能性が高く、そうした中で、米国の農業とどう伍していくのか。トランプ大統領と折り合うのは、決して簡単ではありません。

ロシアの経済は急成長へ

ロシアへの影響についてはどう見ますか

菅野:あまり語られていませんが、今回のトランプ大統領の就任で大きく注目されているのは、ロシアです。石油価格の回復に伴い、昨年までマイナス成長だった経済は今年はプラス成長が予想されています。このタイミングで西側の経済制裁解除が重なれば、ロシア株式市場や通貨ルーブルも大きく回復することが予想されています。

 一方で、経済制裁解除に関して米国の与党共和党からも批判が出ています。マケイン上院議員は対ロシア制裁を法制化するよう主張するなど強気の姿勢を取り続けています。ただ、ホワイトハウスの内部にいる関係者が、すでに経済制裁解除に関する大統領の令草案ができていると語るなど、大統領と議会の対立が激しさを増しています。

 「取引」好きを自認するトランプ大統領が、経済制裁解除が利益になると考えれば、3月の解除に向けて一気に情勢が動く可能性もあります。そうなれば、7月に更新を迎えるEUによる経済制裁の解除につながることも考えられます。そうなれば、欧州企業のビジネスも段階的に拡大していくでしょう。結果的に、トランプ大統領の親ロ姿勢は、ロシアが急成長する機運を高めることになりました。

 総合的に見れば、トランプ大統領の政策は、停滞する欧州経済に風穴をあける可能性があります。ただし、英国をはじめとする欧州首脳は、従来の常識が通じないトランプ大統領の一挙一動に、当面の間、右往左往させられることになりそうです。欧州首脳たちがどのように対処していくのか、今後も注目されます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/021400078/?


 


 


「一中原則」米中の駆け引きは、中国の勝利か?

中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス

トランプと習近平「強者同士の握手」の行方は
2017年2月15日(水)
福島 香織

日本の「戦略的人柄」外交は一定の成果を得たが、中国はどんな握手を米国に求めるのか(写真:ロイター/アフロ)
 日本首相の安倍晋三が訪米し、大統領となったトランプと初の会談を行った。印象的だったのは、トランプの力任せの19秒の握手と、それに対する安倍のおどけた表情かもしれない。少年漫画では、よく試合の前に、宿命のライバルが笑顔で力任せの握手を交わし、どちらが強者かを握力でもって相手にわからせようとするシーンがあるが、まさに、あれである。ただ安倍の場合は力任せに握り返すようなことはせず、おどけたような、困ったような表情でそれをやり過ごした。

「戦略的人柄」の見返り

 その漫画に出てくるような画面については、日米の蜜月ぶりを示すと肯定的にとらえた評価と、相手を痛がらせるような挑発的握手を重要な同盟国たる日本首相にしょっぱなにかますトランプの非礼を批判する声と、握手が痛くて長かったことに対してまんざらでもない表情でおどけてみせる安倍の様子を「媚び」「へつらい」だと揶揄する意見があったと思う。個人的な感想をいえば、米中蜜月というのは、今のところ日本の「媚び」によって基本的に維持される関係であり、この場合の「媚び」は、戦略的だと容認したい。「戦略的媚び」といってもいいし、媚びという表現が悪ければ「戦略的人柄」と言い直してもいい。

 導火線がだんだん短くなってきている火薬庫みたいな半島や、内政問題と外交的圧力の狭間でいつ何をするかわからない覇権主義の中国と海一つ隔てたところにいながら、正規の国防軍もなければ正規の諜報防諜機関もない、か弱き日本の首相がプライドばかり高くてもしょうがない。巨額インフラ投資の手土産をもって強国に媚びたその見返りが、北朝鮮の弾道ミサイル発射をうけて、パームビーチで開かれた共同記者会見での「米国は100%日本とともにある」との大統領発言であり、マティス米国防長官訪日の際の尖閣諸島の防衛が日米安保の適用範囲であるとの言明だ。

 高いか安いかは、まだ何ともいえないが、当面の外交方針としては間違ってはいまい。もちろん日本の安全保障政策設計の最前線にいる人たちは、この「安心」を鵜呑みにして、ほっとした気分に浸ってはいけない。

 それよりも気になるのが、安倍訪中直前に行われた米中首脳電話会談だ。このタイミングで、トランプは中国を思いっきり揺さぶった「台湾カード」をあっさり引っ込め、「一つの中国」(一中)原則を尊重することを言明したのはなぜだろう。

 米国が一中原則を尊重するということは、台湾海峡の緊張を大きく引き下げたという点で、日本にとっても朗報である。それだけ軍事衝突に巻き込まれる可能性が減ったわけだ。だが、米国が中国に対して強硬姿勢を貫くことを期待していた一部の日本の保守派からすれば、ちょっと拍子抜けかもしれない。台湾カードは、もっとも使い方が難しいが、もっとも中国に打撃を与える最強カードだったからだ。それをあっさり引っ込めたというのは、米国が中国の圧力に屈したというのだろうか。

米国の姿勢転換の背景は…

 この米国側の姿勢転換の背景については、各メディアがいろいろ報じている。

 ロイター通信によれば、これまでの発言を撤回してトランプが一中原則を尊重するように政策を転換した背景には、元駐米大使で外交担当国務委員の楊潔篪が2月3日、トランプ政権の国家安全保障補佐官だったマイケル・フリン(2月14日に辞任)を電話で説得したことと関係があるようだ。また北京大学国際関係学院院長で中国政府の外交政策顧問の賈慶国が、米中関係を安定させるために中国が実務的に忍耐力をもって努力を尽くすことを訴えていたので、おそらくは習近平サイドの「戦略的忍耐」も功を奏したといえる。

 BBCによれば、フリンとともに国務長官のレックス・ティラーソンもトランプに「一中政策」を堅持するよう促したという。習近平から大統領就任の祝賀電報をもらいながら、無視を決め込んでいたトランプが中国の元宵節(旧正月15日にあたる2月8日)に、祝電を送るように提言したのもティラーソンらしい。その二日後の10日に電話会談で、一中原則堅持の方針を伝えたのだ。

 新華社など中国公式メディアによると、北京時間の10日(米国東部時間9日夜)に習近平とトランプは電話会談をした。習近平から一中原則の堅持を求められると、トランプは「米国が一中政策を非常に尊重していることを私は十分理解している。米国政府は一中政策を堅持する」と語った。両者は貿易問題から私生活まで、様々な話題を45分語り合ったという。

 これはトランプ当選以降、初めて一中原則を明確に支持した発言となった。昨年12月、トランプが大統領に就任する直前に、台湾総統の蔡英文に直接電話し、蔡英文をプレジデントと呼び、その後、一中原則に対する疑問を呈して以降、中国は表向き、戦略的忍耐と称して公式発言を抑制しつつ、台湾に対する武力統一をほのめかす恫喝メディア世論を形成しつつ、米国に対する中国企業家らからの投資アプローチを展開しつつ、外交官は米国の一中原則放棄姿勢を覆すために各地を奔走した。

政治的駆け引きから経済的駆け引きへ

 ちなみに、中国外交部の動きを見ると、楊潔篪は、昨年12月中旬のメキシコ訪問前にニューヨークに立ち寄り、フリンと早々に面会も果たしていた。楊潔篪とフリンはその後、政権同士の窓口の役割を果たしていたようだ。

 一方で、外相・王毅は1月にナイジェリアを訪問、ナイジェリア政府に「一中原則」を認めさせ、台湾の交流窓口機関を首都から退去させるよう約束させた。中国は12月、サントメ・プリンシペにも台湾と断交させ、ブルキナファソにも台湾と断交すれば500億ドルを供与するなどと持ち掛けている。王毅は2月にはオーストラリアを訪問、トランプが1月28日に電話会談して暴言を吐いたとして不仲説が取り沙汰されるターンブル首相を中国サイドに取り込むべく動いている。

 中国サイドの認識では、トランプはビジネスマンとしての感覚で政治領域を動かそうとしており、その発言に理屈も知識も畏れもない。中国としては、政治駆け引きをいかに経済駆け引きに転嫁させるかという点が、トランプ攻略のキモとしているもようだ。

 トランプ政権サイドも、必ずしも中国に強面ばかりを見せているわけではない。娘・イヴァンカを、中国語を勉強中という孫娘とともに中国大使館の春節パーティーに参加させる一方で、女婿クシュナーは中国大使の崔天凱と非公開会見を果たした。この会見内容に、「一中原則問題」が含まれていたかはわからない。

 フェニックステレビは、こうした中国外交の成果として、トランプの一中原則軽視の姿勢を180度転換させたと分析している。

 フェニックステレビはこう指摘する。

強者こそが強者と平等に

 「トランプはビジネスマンであり、頭の中はビジネス的な思考で満ちている。また感情的な面があり、その性格は率直な一面もある。オバマに比べてイデオロギーによる束縛は少なく、利益が明らかであれば、中国とも交渉するときに、問題を棚上げにすることができる。今回の首脳電話会談では、双方とも重要な共通認識を得た。中米間にも、相互的な利益が多く存在し、トランプが米国を再び偉大にするという目標と、中国の長期的利益が水と火のように絶対相いれないというものではない。たとえば、トランプが一心に願っている米国の交通インフラ建設などは、中国の得意とする領域であるし、相互に利益が行きわたるプロジェクトとすることができるだろう」

 「トランプは安内(国内安定)を攘外(外敵をはらう)に優先させ、攘外を安内に優先させるという、大きな任務に直面している。ムスリム国家からの“入国禁止令”が司法に反駁され、トランプは一時的に国内の反撃をけん制するのに精力を注がざるを得ない。年初以来、米国は南シナ海問題、日中の尖閣問題でも中国を挑発してきたが、これはいったん冷静期に入った。中米関係の緊張はいったん緩むであろう」

 「トランプは強者を崇拝する性格であり、国際関係もそうだろう。今後の米中関係の道はでこぼこがあるだろうが、強者こそが強者と平等に対話する権利があるのだ。…時間とチャンスはわが方にある。この一中原則をめぐる中米の外交の駆け引きは中国の完全勝利だった!」

 もちろん、こうした見方は中国の希望的観測が大いに入っている。本当に中国の完全勝利なのかどうなのかは、まだ今後の展開を見てみないとわからない。米国の言う一中は、中国の一中と若干ニュアンスが違い、台湾の地位に関しては未定論が主流である。だからこそ台湾関係法という矛盾する法律があるのだ。

 台湾サイドは「一中政策」は米国の内政問題だとして、特に立場を表明しておらず、今回のトランプの姿勢転換についても、「意外性はない」と冷静だ。

 ところで、フェニックスのコメントの最後の「強者こそが強者と平等に対話する権利がある」という表現は、いかにも米国や中国の外交の本質を端的に示している。安倍の外交が恫喝や当てこすりもせず、相手の機嫌をとり、痛い握手も我慢して、相手に気に入られることで、自分たちの要求を相手に求めていく「戦略的媚び外交」あるいは「戦略的人柄外交」であるなら、トランプや習近平は、まず恫喝やはったりをかまして、相手を慌てさせ、ひるませるところから始める「強者の外交」だ。

マッドマンたちは、どんな握手を?

 そういう意味では米中はやはり似たもの同士である。いわゆる「マッドマンセオリー」(狂人のふりをして、こいつ何をしでかすかわからない、と相手をひるませるやり方)でぐいぐい来るタイプのトランプだが、迎え撃つ習近平も本気で戦争をしかねないと思わせる「マッドマン」ぶりなので、双方がお互いのマッドマンぶりを甘くみると、軍事衝突もあり得ると懸念されるのだが、お互いの思考が想像できる分、妥協のしどころもわかるともいえる。

 歴史上、米中が厳しい対立関係から一転、世界を出し抜くように蜜月関係になったこともあったのは、そういうわけだろう。「一中原則」問題について、最初にはったりをかましたのはトランプで、中国はずいぶん狼狽させられたが、最終的にトランプを説得できた。中国の戦略的忍耐と外交努力、そしてその一線を越えたら戦争も辞さないという狂気をうまく演出して引き出した妥協という点では、中国の勝ち星だといえる。

 中国は、これをきっかけに米国の対中強硬姿勢が緩むとの期待を見せているが、トランプ政権のドラゴンスレイヤーぞろいを見れば、そう思い通りにはいくまい。少なくとも中国はいつ一中原則カードを持ち出されるかもしれぬと、オバマ政権当時よりも慎重に対米外交を展開するのではないか。となると、いわゆる米中対立という新冷戦構造の緊張感の中での安定という状況が当面続きそうな予感だ。

 だが、そういう猶予期間が与えられている間に、日本としては切実に国家としての強さというものを考えねばならないだろう。パックスアメリカーナで世界の平和が約束されていた時代は、米国に対する戦略的人柄外交で十分、日本の安全は守られた。だが米国の強者の地位が揺らぎ、あるいは強者が米中二者になれば、その狭間にいる国は対立する二者ともに媚びを売るわけにはいかない。つまり、日本自身も強くあることを求められるようになる。中国ははっきりと「強者しか相手にしない」と言っているのだから、中国と直接、対等に外交を展開して、日本の安全を守ろうとするなら、強者の外交をしなければならないということだ。

 トランプ・習近平の直接会談はいつになるのかまだわからないが、双方が互いの握力を競うような握手をするのだろうか。米中関係の本当の方向性は、この二人の握手の仕方を見てから判断したい。

【新刊】中国が抱えるアキレス腱に迫る
『赤い帝国・中国が滅びる日』

 「赤い帝国・中国」は今、南シナ海の軍事拠点化を着々と進め、人民元を国際通貨入りさせることに成功した。さらに文化面でも習近平政権の庇護を受けた万達集団の映画文化産業買収戦略はハリウッドを乗っ取る勢いだ。だが、一方で赤い帝国にもいくつものアキレス腱、リスクが存在する。党内部の権力闘争、暗殺、クーデターの可能性、経済崩壊、大衆の不満…。こうしたリスクは、日本を含む国際社会にも大いなるリスクである。そして、その現実を知ることは、日本の取るべき道を知ることにつながる。
KKベストセラーズ刊/2016年10月26日発行

このコラムについて

中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス
 新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
 中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
 特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。
日経BP社
Copyright © 2006-2017 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/021400088/


http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/190.html

[経世済民119] 「消費者に価値は正確に分からない」前提に立て FRB軌道維持すれば一段の利上 米生産者物価12年以降最大の伸 独伊は低迷
日経ビジネスオンライン
「消費者に価値は正確に分からない」前提に立て

記者の眼

売れない時代に売る秘訣
2017年2月15日(水)
水野 孝彦
 「最近の若者はモノを買わなくなった」「世の中にはモノがあふれ、消費者が買いたいものがもうない」――。そうした意見を聞くことは少なくない。しかし、実態は異なると記者は考える。総務省の家計調査によれば、一世帯当たりの実収入は2000年に月間56万2000円(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)だったが、2015年には52万5000円まで低下した。つまりこの15年間で月額4万円近くも収入が減っている。

 減っているのは「物欲」ではなく「所得」で、その分だけ国内で商売をすることが難しくなったのは間違いない。2月13日号の日経ビジネス本誌では価格設定をテーマとした特集「凄い値付け」を担当したが、消費者心理を理解した価格設定の重要性が増しているのは確かだ。そして参考になるのが「行動経済学」的な発想だと考える。

人に「本当の値段」は分からない

 行動経済学とは、従来の経済学のように人間を合理的な存在とは考えず、実際の人間の行動を実験などから分析した経済学の一つのジャンルだ。その行動経済学が専門で価格戦略にも詳しい、立命館大学大学院客員教授、ルディー和子氏は「人は物の価値を正確に判定できるわけではない」と指摘する。この視点は重要だと感じる。


立命館大学大学院客員教授のルディー和子氏。行動経済学が専門で「合理的なのに愚かな戦略」(日本実業出版社)など著作多数
 例えば、価格700万円の国産車に本当に700万円分の価値があるかどうかを、材料費や技術開発に要したコストから判断している消費者はいないだろう。ベンツやBMWの様な高級外車と比較して割高か割安かを主観的に判断しているはずだ。

 つまり、直感や比較で物の価値を判断しようとする人間の行動パターンを理解したうえでの値付けが大切になる。例えば、商品の価格は1000円や1万円といった大台を超えないように意識することは値付けの基本の1つ。ある商品の価格が1020円や1030円だった場合、人はこの商品を直感的に1000円より20円高い、30円高い商品だと感じる。逆に価格が980円や970円なら1000円より20円安い、30円安いと感じる。1000円を超えるかどうかだけで価格への印象が全く違ってくる。

 比較という点では、消費者に参照できる価格を提示することで、売り込みたい商品の価格がお値打ちであることを示すことも重要だ。例えば、バーゲン時には定価をあえて見せたうえでバツ印を付けて、「〜割引き」といったバーゲン価格を示している。定価や同等品と比べてお得感を示すことで、消費者は安心してその商品を購入できる。「『損失回避性』といって、人は利益を得ることよりも損を避ける傾向がある」(ルディー和子氏)ので価格に納得感を与えることが欠かせない。

 そして、企業が高価格帯の商品を売りたい場合に重要なのが、商品にストーリーを作ることで価格に納得感を与えることだ。「人間は物語が好きで、感情移入をしやすい。脳の活動を分析する機器を使ったある実験では、登場人物に感情移入をしながら小説を読んでいる読者の脳の中では、登場人物が本の中で感じていることや経験していることを、まるで自分自身も経験しているかのような反応が起きている」(ルディー氏)。

 競合品とは違う価値があり、価格が高いのにはワケがあるという作り手のこだわりをストーリーとして丁寧に伝えられれば、高額商品であっても、その価格に納得感が与えられる可能性は高まる。

居酒屋には3000円のカベがある

 人間の心理に基づいた値付けに最も熱心な業種の1つが「外食」だ。外食業界のベテランコンサルタント、石田義昭氏は「居酒屋には客単価3000円のカベがある」と話す。来店客は使うお金を1人3000円前後までに抑えたいと考えている。一方で、料理は3品・ドリンクは2〜3杯を楽しみたいとも思っている。その結果、「1品あたり600円を超える金額の商品は頼みたくない」という心理が働いていると石田氏は指摘する。

 見方を変えれば、1品あたり600円の半額以下の商品であれば、注文数のカウントも楽で安心して注文ができる。急成長している焼き鳥専門店チェーンの「鳥貴族」は全品280円。串カツ店チェーンの「串カツ田中」も1本100円台のメニューがメーンだ。「この値段設定なら簡単には3000円を超えないと感じるので、料理やお酒を安心して楽しめる」(石田氏)というわけだ。

 鳥貴族の2017年7月期は売上高25%の増収予想。串カツ田中も2017年11月期は売上高28%の増収予想と共に好調に推移している。値付けを工夫した商品をそろえることの効果の高さを、この2社の躍進は証明している。

 冒頭で触れたとおり、消費者が失ったのは物欲ではなくて所得だ。現在、政府はデフレからの完全脱却を目指しているが、その効果が労働者の所得にまで及ぶようになれば、消費者は徐々にお金を使うことができるようになるはずだ。そのときに備えて、物欲を刺激する価格設定について今のうちから準備を進めることは有益なはずだ。


鳥貴族(左)と串カツ田中。共に価格設定に特徴があり、業績が好調なチェーンだ

このコラムについて

記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
日経BP社
Copyright c 2006-2017 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/021400409/?


 

イエレンFRB議長:経済が軌道維持すれば一段の利上げ必要に
Christopher Condon、Craig Torres、Jeanna Smialek
2017年2月15日 00:49 JST

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、経済が緩やかなインフレ率上昇や労働市場の引き締まりという金融当局の見通しと一致すれば、一段の利上げが適切になるとの認識を示した。
  議長は14日、上院銀行委員会の公聴会で証言。事前に配布された原稿によると、「今後の会合では、連邦公開市場委員会(FOMC)は雇用とインフレがそうした予想と一致する形で改善し続けるかどうかを評価することになる。そう判断された場合は、フェデラルファンド金利のさらなる調整が適切となる可能性が高い」と述べた。
  イエレン議長はこの日、半期に一度の金融政策報告を議会に提出。トランプ米大統領の下では初となる。
  議長は「緩和解除を長く待ち過ぎるのは賢明ではない。待ち過ぎればFOMCは最終的に急速なペースでの利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ経済をリセッション(景気後退)に追いやるリスクが生じる恐れがある」と指摘した。    
原題:Yellen Sees More Rate Hikes Needed If Economy Stays on Course(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLDF1N6VDKHT01

 

1月米生産者物価指数:前月比0.6%上昇、12年9月以降で最大の伸び
Shobhana Chandra
2017年2月15日 00:34 JST

関連ニュース
イエレンFRB議長:経済が軌道維持すれば一段の利上げ必要に
Signage for Toshiba Corp. is displayed atop the company's headquarters in Tokyo, Japan, on Monday, Jan. 23, 2017. Toshiba's shares climbed the most in three weeks on Monday after reports that the companys plan to sell a stake in its chip unit is drawing attention from possible investors. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
東芝、暫定決算発表、原発減損7125億円、今期株主資本マイナスに
米エトナ:370億ドルのヒューマナ買収を断念−判事決定に控訴せず
クレディ・スイス:10−12月赤字−年内に最大6500人追加削減へ


1月の米生産者物価指数は前月比で2012年9月以来で最も高い伸びを記録した。特にガソリンが上昇し、インフレが加速しつつあることが示唆された。
  米労働省が14日発表した生産者物価指数(PPI)は前月比0.6%上昇、前月の0.2%上昇から伸びが加速した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.3%上昇だった。前年比では1.6%上昇と、市場予想(1.5%上昇)を上回った。

  項目別に見ると、食品やエネルギーなど財部門のPPIは前月比1%上昇と、2015年5月以来の高水準だった。特にガソリンは12.9%上昇と大幅に上昇、医薬品やヒーティングオイル、天然ガス、豚肉も上昇した。サービス部門のPPIは0.3%上昇と、先月の0.1%上昇から伸びが加速した。
  食品とエネルギーを除くPPIコア指数は前月比0.4%上昇。前月は0.1%上昇だった。前年比では1.2%上昇した。
  食品とエネルギー、商業サービスを除いたベースのPPIは前月比0.2%上昇した。前月は0.1%上昇だった。前年比では1.6%上昇(前月1.7%上昇)。
原題:Wholesale Prices in U.S. Increase by Most Since September 2012(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLDC2C6VDKI001


 

ドイツとイタリア:10−12月成長が予想下回る−世界的不透明の中
Alessandro Speciale
2017年2月14日 16:25 JST 更新日時 2017年2月14日 18:36 JST

ドイツの10−12月GDPは前期比0.4%増、イタリア同0.2%増
いずれもエコノミスト予想を0.1ポイント下回る

ドイツの2016年10−12月(第4四半期)成長率は前期から加速したものの、世界的に不透明感が広がる中、エコノミスト予想に届かなかった。イタリアの成長率も予想を下回った。
  ドイツ連邦統計局が14日発表した第4四半期の国内総生産(GDP)速報値は季節調整済みで前期比0.4%増。統計局は1月に、第4四半期成長率は約0.5%との推計値を示していた。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想も0.5%増だった。16年7−9月期は0.1%増に改訂された。
  同日発表されたイタリアの第4四半期GDPは0.2%増で、こちらもエコノミスト予想を0.1ポイント下回った。
  ドイツ統計局の発表によると、第4四半期の成長は内需がけん引した。政府支出が大きく伸びたほか個人消費も若干増加。投資も増えた。輸入の伸びが輸出を上回り、純貿易はGDPにマイナス寄与となった。
原題:German Growth Accelerates Less Than Forecast Amid Trade Drag(抜粋)
Germany, Italy Grow Less Than Forecast Amid Global Uncertainties
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLCRWI6JTSE801
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/194.html

[政治・選挙・NHK220] 日本経済は絶好のポジション、アベノミクス下で最高 正社員の増加が非正規上回る 米国株上昇、主要指数は最高値更新FRB楽観
日本経済は絶好のポジション、アベノミクス下で最高
エコノミスト野原良明 2017年2月15日 06:00 JST

関連ニュース
イエレンFRB議長:経済が軌道維持すれば一段の利上げ必要に
米国株:上昇、主要指数は最高値を更新−FRB議長が経済を楽観
NY外為:ドル堅調、FRB議長発言が支援材料−3月利上げ確率上昇
米ゴールドマン・サックス株が最高値更新-トランプ政権に楽観的見方

• 外需依存、財政政策頼みの構造変わらず−鍵は国内の変化
• 正社員の増加が非正規を2年連続で上回る−消費へ波及期待も

2017年の日本経済を取り巻く環境はここ数年で最高との見方が、エコノミストの間に出てきている。世界経済の回復が需要を押し上げ、政府の財政政策も後押しをするという構図だ。
  メリルリンチ日本証券やJPモルガン証券などは、今年の日本経済は潜在成長率(0.8%)の約2倍の成長を達成すると予想している。足元で輸出は12月に15年9月以来初めて増加し、生産も2カ月連続で回復が続いている。消費者物価指数もマイナス幅を縮小しており、円安やエネルギー価格の上昇を受けて年内にプラス圏に浮上するとエコノミストはみている。
  日本経済は「4年ぶりに最高の状況」とみるのは、メリルリンチ日本証券のデバリエいづみ主席エコノミストだ。背景の一つとして拡大している財政政策を挙げる。同氏は今年の実質GDPを1.5%増と予想する。ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値は1%で、13日発表された16年と同じ伸び率となっている。デバリエ氏の今年の予想はエコノミスト調査の中で2番目に高い水準。アベノミクス元年の13年の成長率は2%だった。
昨夏の経済対策の記事はこちら
  目先で景気の腰を折るような材料は見当たらない。消費増税はすでに延期され、日本銀行は緩和政策を続けている。問題は今回の景気拡大が自律的かつ持続的なものにつながるかどうかで、その鍵を握るのが企業の動向だ。円安によってこれまで大手の輸出企業の収益が数字の上で膨らんできたが、人口減少で国内マーケットが縮小する中、国内の設備投資や賃上げには慎重な姿勢が続いている。
  変化が起きるのは非製造業分野の設備投資かもしれない。人手不足が深刻になり、小売りやサービス業や物流では機械化などを通じた生産性の向上が避けて通れない。政府も非製造業でのロボットの市場拡大を狙っている。
ロボット革命に関する記事はこちら

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iphbhM.A7j2E/v3/-1x-1.png

  人手不足は、ゆっくりではあるが労働市場に重要な変化をもたらしている。総務省の労働力調査によると、15年と16年は正社員の増加数が非正規の増加数を上回った。同調査の16年の基本集計をみると正社員が前年より51万人増加。15年以前の詳細集計と比較すると、増加数は統計を取り始めた02年以来最大となっている。
  こうした傾向は、非正規労働者が増えることによって所得も消費も伸び悩むという流れに歯止め掛がかかっていることをうかがわせる。デバリエ氏は、非製造業の設備投資ニーズや労働市場の変化を理由に、「今回の景気回復には内需拡大の後押しがある可能性がみられる」と言う。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/itTNKsZdGLMM/v2/-1x-1.png

  一方、日本経済の根本的な構造は変わっていないとみるエコノミストもいる。
  明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは、成長をけん引するのは引き続き外需との見方だ。好調な米景気を背景に「円安、株高のトレンドは大崩れしない」と指摘。内需は基本的には弱く設備投資も賃金上昇もあまり進まないので、「内需主導の自律的な前向きな循環というのは働かない」と言う。同氏は17年の実質GDP1.3%増を予想。リスク要因としてはトランプ米政権による保護主義台頭を挙げる。
  JPモルガン証券は今年1.6%の成長を見込んでおり、ブルームバーグ集計の中では最も高い予想となっている。しかし18年は0.7%増への減速を予想する。同証の足立正道シニアエコノミストは17年の成長について、顕著な海外需要を背景とした設備投資に加えて、財政政策の効果によるところが大きいと指摘。政府が目先の循環的な景気回復を重視し、ショックのたびに財政出動をして政府債務が悪化するという大きな構造は変わってないという。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OKZYB36JTSE801

 

米国株:上昇、主要指数は最高値を更新−FRB議長が経済を楽観
Oliver Renick
2017年2月15日 06:19 JST 更新日時 2017年2月15日 07:12 JST
Share on FacebookShare on Twitter
関連ニュース
イエレンFRB議長:経済が軌道維持すれば一段の利上げ必要に
NY外為:ドル堅調、FRB議長発言が支援材料−3月利上げ確率上昇
米ゴールドマン・サックス株が最高値更新-トランプ政権に楽観的見方
米国債:続落、イエレン議長証言を市場はタカ派的と受け止め
Share on Facebook
Share on Twitter
14日の米株式相場は上昇。朝方下げていたが反転した。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長がこの日の議会証言で、個人消費や家計の所得・資産の増加が経済成長を支えており、それが利上げを正当化する可能性があるとの認識を示したことが背景。主要指数は過去最高値を更新した。
  ゴールドマン・サックス・グループは終値ベースで最高値となった。イエレン議長は利上げを長く待ち過ぎた場合、金融市場を混乱させる恐れがあると指摘した。
  S&P500種株価指数は前日比0.4%高の2337.58。これで6営業日続伸と、昨年12月9日以降で最長の連続高。ダウ工業株30種平均は0.5%上昇し20504.41ドル。ナスダック総合指数は0.3%上げた。

  イエレン議長は上院銀行委員会の公聴会で、「緩和解除を長く待ち過ぎるのは賢明ではない。待ち過ぎればFOMCは最終的に急速なペースでの利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ経済をリセッション(景気後退)に追いやるリスクが生じる恐れがある」と指摘した。
  議長証言を受けて、市場での3月利上げの確率は34%に上昇。先物市場では年内3回の利上げの確率はなお50%未満だが、トランプ大統領の成長促進に向けた政策で金融当局の利上げペースが速まる可能性はある。
  S&P500種の業種別11指数では金融株の指数が1.2%上昇。一方で不動産や公益、電気通信サービスの指数は下げた。
  朝方発表された1月の生産者物価指数(PPI)は前月比0.6%上昇、前月の0.2%上昇から伸びが加速した。
原題:U.S. Stocks Advance With Banks as Yellen Eyes More Rate Hikes(抜粋)
原題:Yellen Economy Optimism Boosts Stocks, Bonds Slump: Markets Wrap(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLDUYJ6VDKHT01
http://www.asyura2.com/17/senkyo220/msg/692.html

[経世済民119] ゴールドマン、投資銀バンカー100人が2016年のボーナスなし ドル堅調FRB利上げ確率上昇 日本株反発へ円安推移を好感
ゴールドマン、投資銀バンカー100人が2016年のボーナスなし

Dakin Campbell、Alex Sherman、Hugh Son
2017年2月15日 07:57 JST

ボーナスなしバンカーの数が増えたと関係者
ウォール街で「白紙やガチョウの卵受け取り」は退社勧告を示唆


米ゴールドマン・サックス・グループは、買収・合併助言や証券引き受けを手掛けるバンカー約100人に、2016年のボーナスを支給しなかった。個人成績不振のため暗に退社を勧められる従業員の数が増えたもようだと事情に詳しい関係者が明らかにした。
  関係者が匿名を条件に述べたところによると、過去数年は上司からの評価の低いバンカーも幾らかのボーナスを得ていた。ここ数週に支払われるはずのボーナスを受け取れなかった従業員の数は、前年より多いという。ボーナスは通常、バンカーらの報酬の主要部分になる。
  資本が十分あり利益を出している金融機関のバンカーやトレーダーにとって、ボーナスがないというのは通常、不要な人材であり転職を模索した方がよいことを強くほのめかす事態だ。業界では「白紙」受け取りとか、「ガチョウの卵(ゼロを意味する)」あるいは「ベーグル」「ドーナツ」をもらうといった隠語で表されるという。
  ウォール街では個人の成果が年末ボーナスの数字に集約される。ゴールドマンは年末の成果レビューで従業員を5グループに分ける。今回は成績で下から20%の最下位グループはボーナスがなかったという。経営陣は成績優秀者には報いる必要があると判断し、全体としての報酬費用をコントロールするため生産性が低かった従業員はボーナスをなしにすることにしたと、関係者2人が述べた。
  ゴールドマンの広報担当者はコメントを控えた。
原題:Goldman Sachs Said to Deny Bonuses for 100 Investment Bankers(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLDP5C6VDKHU01


 


 
ロンドンでなければ最先端でない−ダブリンでトレーダーの人材不足も
Gavin Finch、John Detrixhe、Peter Flanagan
2017年2月15日 07:03 JST

ダブリンでは適材を見つけるまでに最大1年かかることもあり得る
アイルランド人社員を最初にダブリンに異動させることを銀行を検討

ロブ・ボードマン氏が電子ブローキングおよび私設取引システム 「ダークプール」部門で働く人材をアイルランドの首都ダブリンで探そうとする場合、適材を見つけるまでに最大1年かかることもあり得る。
  インベストメント・テクノロジー・グループの欧州最高経営責任者(CEO)として、ダブリンで2010年から採用を続けるボードマン氏は「人材の質ではなく、量の問題だ。金融サービス分野でフロントオフィス・トレーダーの採用は難しいだろう」と話す。
   
  欧州連合(EU)で英語を主要言語として話す英国以外の唯一の拠点であり、ロンドンに準じた法令が適用されるため、英国の離脱後に切れ目のないEUへのアクセスを求めるロンドンのバンカーにとって、ダブリンは頼りになる選択肢と受け止められている。だが、1つ大きな問題がある。人材の不足だ。
  エグゼクティブ専門の人材あっせん会社ニューイントン・インターナショナルのグローバルマーケッツ担当パートナー、ジョナサン・アストベリー氏は「ロンドンで働くアイルランド人バンカーの数は、ダブリンよりも恐らく多い。フロントオフィスにいるような人々の間では、ロンドンにいなければ最先端でないという感覚が今も残っている。ロンドンは結局のところ今後何年も銀行業界の中心であり続けるだろう。ダブリンが最も優秀な人材を引き付けようと売り込んでも、なかなか難しい」と指摘した。
  自分が勤務する金融機関の緊急対応計画に詳しい関係者2人によれば、これらの金融機関はロンドンで現在勤務するアイルランド人社員をまずダブリンに異動させることを検討。最初は数百人単位のポツリポツリとした異動となる計画だが、19年までに英国からEU単一市場へのアクセスが全て遮断されるようなハードな離脱になりそうな場合、雪崩を打って人が動くこともあり得るだろう。
原題:Banks Eyeing Dublin Hub Post Brexit Face Shortage of Top Traders(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLCNEL6JTSE801

 


 

NY外為:ドル堅調、FRB議長発言が支援材料−3月利上げ確率上昇
Dennis Pettit
2017年2月15日 06:36 JST

14日のニューヨーク外国為替市場ではドルが堅調。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は議会証言で、利上げの可能性については全ての会合が予断を持たずに協議する「ライブ」の会合になると述べた。また「緩和解除を長く待ち過ぎるのは賢明ではない」と発言したことから、この1週間で鮮明になりつつあるドル堅調に新たな追い風が吹いた。
  ロンドン在勤のトレーダーは、ドル・ショートの可能性があった市場にイエレン議長の証言はきっかけを与えたと述べた。アマースト・ピアポントのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏はイエレン議長の議会証言としては「最もタカ派的なメッセージだった」と述べた。
  ドルは主要10カ国(G10)通貨の大半に対して上昇した。ブルームバーグ・ドル指数は一時0.4%上昇した。ニューヨーク時間午後4時30分現在、ドルは対ドルで0.4%上昇して1ドル=114円24銭、対ユーロでは0.2%上昇して1ユーロ=1.0579ドル。
  金利先物市場が織り込む3月利上げの確率は、約34%に上昇した。
原題:Hawkish Fed Talk Refuels Dollar Rally; March Rate Hike Odds Rise(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLDVCV6VDKHT01


 

 
日本株は反発へ、FRB議長発言後の円安推移を好感−金融や輸出上げ
佐野七緒
2017年2月15日 08:00 JST

関連ニュース
イエレンFRB議長:経済が軌道維持すれば一段の利上げ必要に
米国株:上昇、主要指数は最高値を更新−FRB議長が経済を楽観
NY外為:ドル堅調、FRB議長発言が材料−3月利上げ確率上昇
ゴールドマン、投資銀バンカー100人が2016年のボーナスなし−関係者

15日の東京株式相場は反発する見通し。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の発言で早期利上げ観測が強まり、為替のドル高・円安を好感する。自動車や機械など輸出関連株、保険や銀行など金融株を中心に買いが広がりそうだ。
  SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長はイエレン議長発言を受け「FRBは3月利上げも辞さないと金融市場では認識している」と指摘。メーンシナリオは6月ではないかとみているとしながらも、「次回の雇用統計で賃金が大きく伸びればトランプ氏の財政政策の内容が明らかになるのを待たずに利上げしなければならないという方向に流れていく可能性がある」と予想した。
  米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物(円建て)の14日清算値は1万9475円と、大阪取引所の通常取引終値(1万9280円)に比べて195円高だった。
日米紙幣
日米紙幣 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  イエレン議長は上院銀行委員会の公聴会で、「緩和解除を長期間待ち過ぎるのは賢明ではない。待ち過ぎればFOMCは最終的に急速なペースでの利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ経済をリセッション(景気後退)に追いやるリスクが生じる恐れがある」と指摘。大半のFOMCメンバーは「年内に数回利上げするのが適切との結論に達した」とし「3月、5月、6月のいずれにせよ、当局が行動を起こす正確な時期だということは分かっている」と語った。
  また、ダラス連銀のカプラン総裁も「早めに緩和を解除するべきだと考える」と、ヒューストンでの昼食会で発言。米労働市場は比較的タイトで、緩い労働市場ではないとの見方を示した。米労働省が14日発表した1月の生産者物価指数(PPI)は前月比0.6%上昇、前月の0.2%上昇から伸びが加速し、前月比で2012年9月以来で最も高い伸びを記録した。特にガソリンが上昇し、インフレが加速しつつあることが示唆された。ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値は0.3%上昇だった。
  イエレン議長の証言はタカ派的と受け止められ、14日の米国債相場は続落。10年債利回りは一時6.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 上昇の2.5004%を付けた。市場が織り込む3月利上げの確率は証言前の30%から34%に上昇。為替市場ではドルは主要10カ国通貨の大半に対して上昇し、ドル・円は一時1ドル=114円50銭と、1月30日以来のドル高・円安水準に振れた。14日の日本株の通常取引終値時点では113円35銭だった。
  14日の米国株市場は上昇し、S&P500種株価指数が0.4%高の2337.58、ダウ工業株30種平均が0.5%高の20504.41ドルと過去最高値を更新した。金融株がけん引し、ゴールドマン・サックス・グループは最高値で取引を終えた。
  個別では、16年4−12月期決算を発表したSOMPOホールディングスやMS&ADインシュアランスグループホールディングスなど保険株が上昇しそうだ。クレディ・スイス証券の山中威人アナリストは保険セクターのリポートで、ガイダンスに対して進ちょく率の高い会社が多く、利益の上振れ余地があると指摘した。一方、監査法人承認前の4−12月期暫定決算は4999億円の最終赤字と発表した東芝は続落の公算。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLDYYU6KLVRP01


 

日本経済は絶好のポジション、アベノミクス下で最高 正社員の増加が非正規上回る 米国株上昇、主要指数は最高値更新FRB楽観
http://www.asyura2.com/17/senkyo220/msg/692.html
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/201.html

[政治・選挙・NHK220] 日本の子どもは、戦争の準備万端だ 「憤慨する国家主義」の独善化 
Cristian Martini Grimaldi 日本の子どもは、戦争の準備万端だ
投稿日: 2017年02月08日 10時45分 JST 更新: 2017年02月08日 11時48分 JST
 
ジャーナリズムが崩壊しつつある、という批判は、もう目新しいものではない。
多様なメディアの「ジャーナリズムごっこ」に、惑わされた経験のある人は少なくないだろう。さらに、ジャーナリズムそのものが、誤解や嘘を広めている元凶となれば、救いようのないことだ。
 
先日、イタリアの主要雑誌に載った、ある記事のタイトルが目を引いた。

『日本では、幼稚園から愛国者を育てている』

magazine

何かの間違いかと思ったが、記事を読み進めて、さらに驚嘆した。
 
このイタリア語で書かれた記事は、国際的ニュース通信社ロイターの記事の「丸パクリ」だった。
そして、その元となった記事(英語版)は、日本のニュースサイトに2年前に掲載された記事と、ほぼ同じ内容なのだ。正確に言えば、一部を抜粋し、トーンを変えたもの、と言えるだろう。

2年前に日本のニュースサイトに載せられた記事は、
『安倍首相夫人·アッキーも感涙...園児に教育勅語教える"愛国"幼稚園 「卒園後、子供たちが潰される」と小学校も運営へ』というタイトルで、2015年1月に投稿されている。
 
ところが、2016年12月にロイターに投稿された記事(英語版)のタイトルは、
『日本の幼稚園では、戦前の国家主義を教えている』となっている。
タイトルだけを読み流す読者だっているだろう。彼らを騙そうとでもしているのだろうか。
(実際に、ワシントンポストの調査では、約60%のアメリカ人読者がタイトルしか読まないと言われている。)
 
さらに、記事を読み進んでみると、
「立ち止まり、裕仁天皇と香淳皇后の御真影の前でお辞儀をする園児」
というキャプション付きで、(階段を登っているようにも見える)園児の写真を載せ、
「"父母に孝行し、兄弟仲良くし、もし危急の事態が生じたら、公のために奉仕する"と園児は唱える」
と、教育勅語の一部を抜粋し、勝手に繋げた形で紹介しているのだ。

japanese hirohito

ロイターに載せられた記事では、
戦後に日本国憲法に基づいて教育改革が行われた、ということは説明されているものの、
この幼稚園で行われている、「御真影へのお辞儀」や「日本国旗の前での君が代斉唱」、「教育勅語や五箇条の御誓文の朗唱」が、日本中の幼稚園で行われているわけではない、とは明記されていない。
 
そして、イタリア語に翻訳された記事は、さらにもっと極端なものとなり、
戦後の教育改革についての記述すらも削除され、
「日本では3〜5歳の幼児に、愛国心を育み、国家のために犠牲となるよう教育している」
とも思わせてしまうような書きっぷりをしているのだ。

さらに、タイトルの上に赤色で書かれた、「NUOVI SAMURAI(新生侍)」の文字を見つけた時は、驚きを通り越して、呆れてしまった。

要するに何が言いたいかというと、
首相夫人が訪問したという、おそらく日本でも珍しいであろう、「超ユニークな」(実際、2年前の日本の記事ではこの言葉が使われている)幼稚園に関する地域のニュースが、
翻訳編集を重ねられ、2年後には、「日本の教育は、生徒に、天皇陛下と国家への服従と道徳心を教えている」なんていう、極端な誤情報を伝える記事となり、国際的な注目に値するとして、世界に出回ったのだ。

『日本の子どもは、戦争の準備万端だ』
なんて記事が、どこかの国で出回る日が来るかもしれない。
 
メディアの「ジャーナリズムごっこ」は、「伝言ゲーム」のようになってしまっている。
新しいニュースが出れば、メディアはそれを翻訳編集し、伝えていく。
もしも、意図的に内容を変えているというならば、
伝わらないからこそおもしろくなる、流行りの「イヤホンガンガン伝言ゲーム」に近いのかもしれない。

誤解や、ステレオタイプ、偏見がどうやって生み出され、どうやって広まるのか、
疑問に思っていたのなら、この例で答えの一つが分かるだろう。

Cristian Martini GrimaldiさんをTwitterでフォローする: www.twitter.com/martinigrimaldi
もっと見る: 社会 メディア ジャーナリズム ロイター イタリア 教育

議論

 

くろかわ けんたろう
大げさや興味本意ではいけませんね。なかなか正確な理解、外国の方に知ってもらい理解を広げていくのも、一朝ではいかないかもしれませんね。写真で見る限りでは、健全なナショナリズムの範囲内ではないでしょうか。社会全体が高齢化し、リベラル民主主義が定着した国では、あまり好戦的にはならないのがよくあることと思います。よく公立でも、国旗や国歌、あるいは伝統文化をイデオロギーとして強調するというのは、賛否ありますが、やはり外部に脅威を感じはじめており、国家としての団結を図りたいという希望があるのかもしれません。
いいね! · 返信 · 2017年2月7日 23:28

立木 光 · 岩手県 盛岡市
タイトルで嘘をつく、この Huffington Post Japan の得意技ですね。
いいね! · 返信 · 4 · 2017年2月8日 2:41

Eric Figuière
フランス語版もそうですし、HuffPostは全体的に釣りタイトルのプロだと思います。
いいね! · 返信 · 2017年2月9日 6:26

Koji Yagasaki
集団主義、制服、行進、校内清掃、上下関係の強勢。
これだけで他国から見れば十分に『日本の子どもは、戦争の準備万端だ』といえる。私の住むスウェーデンで育った子どもよりも戦争への順応が早いのは間違いない。
いいね! · 返信 · 3 · 2017年2月8日 5:27

Katuhiro Fujii · 京都市
すごく興味深いご意見です。
私たちが当然のように過ごしてきた環境ってそういう見方が出来るんですね。成る程。納得。
いいね! · 返信 · 2017年2月8日 23:48

田中一郎
最近は「捏造」と言わずに「フェイクニュース」とまろやかな言葉に言い換えるようになりましたね
この伝言ゲームのような話もやってるのは日本人だったりするので、そこまで追っかけてもらえたら面白かったのに

国連に「日本人の女子高生は30%が売春している」という嘘の報告をあげたのも日本人でしたね
いいね! · 返信 · 3 · 2017年2月8日 6:24

Ryu Tanabe
塚本幼稚園のことですね。

カルト宗教である「日本会議」系列で、日本の戦前体制を模倣した軍国主義思想を園児に教え込むトンデモ幼稚園として私も名前を知っています。園児たちに教育勅語や五箇条のご誓文などを復唱させる教育に身の毛がよだちますね。私はイタリア語を読めませんが、要するに「日本中の幼稚園が昔の軍国カルト教育に逆戻りした」という記事の内容だと思います。現時点ではもちろん違います。

しかし、安倍首相と日本会議が目指しているのは、記事の通りの日本の姿です。おそらく、その記事を書いた記者は、日本の将来をとても憂慮されているのだと思います。現実問題、安倍首相と日本会議の勢力による政治工作・世論工作によって、日本は戦前体制に逆戻りさせられる瀬戸際に追い詰められています。もしも、安倍首相の目論見通り、憲法改正(=憲法改悪)が実現したら、日本の民主主義は終わりを遂げ、戦前とソックリの軍事国家が復活します。

そのような日本の姿を私は観たくありません。
いいね! · 返信 · 8 · 2017年2月8日 7:13 · 編集済み

Nobutaka Tanaka · 明治大学
「フェイク」ニュースに関しては、「ポストトゥルース→オルタナティブ・ファクト」と言う「ご都合解釈」そのモノを「米国現政権は認める」と言う時点で、事実の「捏造」か「裏ずけ無き誤認」かまたは「拡大解釈」か?だけに私たちは「注目」してる。米国大統領が公式記者会見でCNNを「フェイク!」と罵る時代なのだ。とても残念な事に。
メリル・ストリープは「国家のリーダーが他者を虐めるとは此の行為にお墨付きを与える事」と警告した様に、私たちは「此の報道」を単に「当方への言われなき批判」と言う受け止め方で「此の現況」の是非を問うてはならない。
「此の報道」から読み手に「真の」読解力が有るならば(1)日本の或る幼稚園は戦前の「間違った」教育を復活させた。(2)安倍照江と言うなんと「現職首相夫人」が此の幼稚園を訪れ戦前教育を非難どころかその「復活」に讃を唱えた。(3)然るに日本は戦前ファシズムが「復活」為ると言う「怪しく危険な」国に成ってる様だ。さらに(4)日本と言う国の今後の動向と此の国の「民主主義の危機」を憂う。と言う4点にのみ「注目」為るのが本筋と心得る。
いいね! · 返信 · 4 · 2017年2月8日 16:13

Masachika Ishiguro
世界の混乱は、マスコミが作っているようにしか思えないな。
その根底にあるのは、どんな欲なんだろう。
社会学の研究に値するものだとおもうし、その原因を潰すことが出来れば、社会はよりよくなるように思える。
いずれにしろ、取材コスト、裏付けコストをかけないマスコミは消えるべきだな。
いいね! · 返信 · 4 · 2017年2月8日 21:30

Taichi Ono · 自営業(個人事業主) フリーランス
これら捏造記事が全て「人種差別による偏見」だということを指摘する日本人がいない点が、日本人の国際感覚のなさ、ガラパゴスを示している。

>2016年12月にロイターに投稿された記事(英語版)のタイトルは、
>『日本の幼稚園では、戦前の国家主義を教えている』となっている。
>イタリア語に翻訳された記事は、さらにもっと極端なものとなり、
>「日本では3〜5歳の幼児に、愛国心を育み、国家のために犠牲となるよう教育している」
>さらに、タイトルの上に赤色で書かれた、「NUOVI SAMURAI(新生侍)」の文字

以上も全て欧米白人国家のメディアだ。
中韓のメディアは確かに日本への感情的な憎悪による酷い差別記事が多いが、このように「野蛮で遅れた国民だ」という前提による書き方のものは少ない。...もっと見る
いいね! · 返信 · 2 · 2017年2月9日 17:21 · 編集済み

Tomo Moriya · 勤務先: 自由業
国連特別報告者マオド・ド・ブーア=ブキッキオ氏の援助交際13%発言も似たようなケースだね。
いいね! · 返信 · 1 · 2017年2月9日 19:54
http://www.huffingtonpost.jp/cristian-martini-grimaldi/chinese-whispers-journalism_b_14633476.html


 

 

「憤慨する国家主義」の独善化
2017/02/14
岡崎研究所
 フィナンシャル・タイムズ紙主任経済コメンテーターのマーティン・ウルフが、1月17日付同紙にて、今の世界には世の中に憤慨する者を基礎とする国家主義がはびこり、選挙を踏まえた独裁主義が生まれつつある、と警告しています。要旨、次の通り。

(iStock)
 国家は共同体の中で最も強い絆を与える。歴史的に国家は戦争をするか、貿易をしてきた。貿易は協力と繁栄をもたらす。しかし、貿易は国家に対する忠誠を弱める。それと同時に、グローバル化の勝ち組は、勝たなかった者への関心を怠った。また勝ち組は金融危機をもたらし、彼らの誠実さと能力の評価は地に落ちた。

 これを背景に、「憤慨する国家主義」と称すべきものが扇動された。社会的、経済的変化で世界が変わってしまったと見る者が、憤慨する国家主義と保護主義に走るのは不思議ではない。憤慨する国家主義は、下からのものだけではなく、権力を求める者の戦術でもある。彼らは彼らを支持する「真の国民」と、「国民の敵」を区別する。彼らにとって毎日が戦争であり、戦争ではすべてが正当化される。

 そして彼らは自由民主主義を「国民投票に基づく独裁主義」に変えるのは当然であると考える。ポーランドやトルコがいい例である。独立の情報源は腐敗しているとみなされる。トランプはどこまで国民投票に基づく独裁主義への道を歩むのであろうか。

 大方は米国の諸制度がしっかりしているので、たいして進まないだろうと見ている。しかし制度の強さはその制度を運用する人による。米国の司法は言論の自由を守るだろうか。議会は投票権を守るだろうか。トランプは彼に反対する者を脅して黙らせるだろうか。

 イスラエルの思想家のYuval Harariは、自由民主主義と自由市場に幻滅を感じたと言っても、誰もそれに代わる世界的に魅力のあるビジョンを打ち出していない、と言った。しかし「権威主義的国家主義」がそれに代わり得る。いまや権威主義的国家主義が世界体制の中心に座るようになった。

出典:Martin Wolf,‘The economic peril of aggrieved nationalism’(Financial Times, January 17, 2017)
https://www.ft.com/content/5c7c6a26-db0a-11e6-9d7c-be108f1c1dce

 ウルフはこの論説で、2つの新造語により、世界の現状を説明しようとしています。一つは「憤慨する国家主義」で、これはグローバル化に取り残された層の怒りを基礎とする国家主義という意味のようです。もう一つは「国民投票に基づく独裁主義」で、選挙に基づいてはいるが、言論の自由の規制などで事実上独裁政治を行うことを意味していると思われます。今の西側世界の潮流が、反グローバル化、反移民で国家主義の色彩を濃く帯びているのは事実です。トランプも「アメリカ第一主義」を唱えるなど、その主張は国家主義的と言わざるを得ません。

明白となった米国内の分裂

 ウルフは米国も、「国民投票に基づく独裁主義」に陥る危険なしとしない、と警告しています。確かに、トランプは彼に批判的なメディアや反対意見を激しく攻撃しています。しかし、ウルフ自身が引用しているように、米国は諸制度がしっかりしており、しかも、その制度を支える人の多くは良識に富んでいます。米国をポーランドやトルコと同列に論じるのは行き過ぎでしょう。

 米国の問題は、むしろ大統領選挙を通じて明白となった国内の分裂ではないかと思われます。トランプは就任演説で、国民の融和について何の言及もしませんでした。トランプの就任式の日、そしてその後の激しいデモが象徴するような分裂は根が深く、当分続くと見られます。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/8865


http://www.asyura2.com/17/senkyo220/msg/703.html

[国際18] 北朝鮮独裁者、「身内殺し」の系譜 北朝鮮ミサイル発射、債券を「再び偉大に」 米国第一影響?ナチス時代の旧独国歌を流す
北朝鮮独裁者、「身内殺し」の系譜
2017年2月15日(水)10時54分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載
1
0
1

金正男殺害を伝える韓国のニュース番組(2017年2月14日) Lim Se-young/News1 via REUTERS
<北朝鮮の金正恩党委員長の異母兄、金正男がマレーシアで死亡した。北朝鮮の工作員により暗殺されたとみられているが、北の独裁者による「身内殺し」は今に始まったことではない>

北朝鮮の故金正日総書記の長男、すなわち金正恩党委員長の異母兄である金正男(キム・ジョンナム)氏が暗殺されたとの情報に、各方面が衝撃を受けている。そして、奇しくも今日からちょうど20年前の1997年2月15日、韓国・ソウル市郊外のアパートで、ひとりの男性が凶弾に倒れた。男性の名前は李韓永(イ・ハニョン)。1960年に平壌で生まれた李氏は、正日氏の2番目の妻ソン・ヘリム氏の姉であるソン・ヘラン氏の息子だった。

韓国当局は李氏が射殺された事件を、北朝鮮の南派工作員による最初の脱北者殺害と見ている。そして刺客を放ったのは、外ならぬ正日氏だった。

李氏は、北朝鮮にいたときの本名を李一男(リ・イルナム)といった。平壌では、正日氏夫妻とその息子・正男(ジョンナム)氏と生活をともにし、金王朝の深奥の秘密に通じていた。

同氏はモスクワ留学1期生に選抜され、1978年にモスクワ外国語大学文学部に入学する。フランス語研修のためにスイスのジュネーブに渡るが、1982年、現地の韓国公館を通じて韓国に亡命した。

その後、1987年12月にロシア語放送のプロデューサーとしてKBSに入社。ソウル五輪では通訳兼記者として活動した。

この頃、韓国人女性と結婚して家庭を築き、1990年にKBSを退社し事業家に転身。だが、苦労を知らずに育った上、韓国のビジネス事情に疎いこともあって、商売はまったく上手くいかなかった。

李氏は1996年、金正日氏とロイヤルファミリーの私生活を赤裸々に綴った手記『大同江ロイヤルファミリー・ソウル潜行14年』を出版。それ以降も各種メディアを通じ、「喜び組」や「秘密パーティー」など、体制の恥部とも言える秘話を暴露していく。

(参考記事:将軍様の特別な遊戯「喜び組」の実態を徹底解剖)

正恩氏の私生活も
これに、正日氏は激怒したという。

李氏は1997年2月15日、京畿道城南市盆唐区ソヒョン洞のアパート14階のエレベータ前で、2人組の男に銃撃された。ただちに病院へ搬送されたが、10日後に死亡する。

本人は襲撃を受けた直後、意識を失うまで「スパイ」にやられたと話していたという。現場には北朝鮮の工作員が用いる拳銃の薬きょうが残されていた。また李氏は以前から、北朝鮮からテロ予告を受けていたし、韓国の情報機関も危険情報を入手していた。状況証拠は、北朝鮮工作員による犯行を強く示唆していたが、犯人を特定するには至らなかった。

しかし8か月後、事態が動く。

1997年10月、韓国に夫婦として潜入していた2人の工作員――チェ・ジョンナム(当時35歳・男性)とカン・ヨンジョン(同28歳・女性)が摘発された。いわゆる「夫婦スパイ団事件」である。

2人は韓国当局による取り調べに対し、「李氏殺害は金正日総書記の命により、北の社会文化部所属のテロ要員、チェ・スンホと氏名不詳の20代の男の2人で構成された特殊工作チームが実行した」と供述。殺害実行の1カ月余り前に韓国に潜入していた彼らは、事件後には北に戻って英雄称号を授与され、新たな任務のために整形手術を受けたとも説明したという。

1997年2月は、正日氏の父である故金日成主席の元側近、黄長ヨプ(ファン・ジャンヨプ)元朝鮮労働党書記が中国の韓国大使館に駆け込み、北朝鮮の工作員が周囲を取り巻く中、韓国入りの機会をうかがっていた時期だ。

黄氏は李氏殺害を知り、「亡命直前の私に対する警告だ」ととらえたという。実際、2010年4月20日には、黄氏の暗殺を企てた北朝鮮の工作員2人が韓国当局により検挙されている。

そして今、韓国には最近脱北した北朝鮮エリートたちが様々な情報をもたらし、金正恩党委員長の私生活がまるごと暴かれそうな勢いでもある。

(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳)

この状況下、正恩氏は強力なけん制手段を必要としているはずだ。彼が父親と同じ「選択」をしないとは限らないのである。

[筆者]
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト)
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)、『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、花伝社)など。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。

※当記事は「デイリーNKジャパン」からの転載記事です。
dailynklogo150.jpg

今、あなたにオススメ
尖閣問題で大騒ぎする中国人の「本音」は (コラム&ブログ)
「日韓逆転」の勘違いから抜け出せ (ビジネス)
アラブの怒りより日中の怒りが怖い理由 (ビジネス)
ドナルド・トランプ第45代米国大統領、就任演説全文(英語) (ワールド)
Recommended by
毛を生やすのはビタミンC?隠れヒット商品とは
PR(アサ芸+)
急増中!40・50代女性の薄毛問題を劇的に解決するあの方法とは?
PR(LUMIERE)
Content X powered by
関連記事
金正男、クアラルンプールで暗殺 政権転覆恐れた金正恩の指示か 2017.02.15
トランプ政権、北朝鮮ミサイル発射の制裁に手詰まり感 2017.02.14
サードは無力? 北朝鮮の新型ミサイルは米韓の戦略を無効にする 2017.02.13
北朝鮮、新型中長距離弾道ミサイル「北極星2型」発射成功と発表 2017.02.13
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/02/post-6978.php


 

北朝鮮のミサイル発射、債券を「再び偉大に」
By WILLIAM PESEK
2017 年 2 月 14 日 18:11 JST
 不動産は立地が全てだが、地政学的な挑発行為はタイミングが全てだ。

 そのことを北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)党委員長は知っているだろうか。金氏が12日に実施した弾道ミサイルの試験発射は絶妙なタイミングだった。米フロリダ州でのドナルド・トランプ米大統領との「ゴルフ外交」で報道陣を引きつけようとした安倍晋三首相の努力に水を差す格好となった。安倍首相は米国との貿易関係と経済的な相互依存関係を強調しようとしたが、金氏が経験が浅く予測不可能なトランプ大統領を挑発し、安全保障上の脅威に目を向けさせたことで影...
http://jp.wsj.com/articles/SB10675506150565094895104582621000942926704


 

他国構わぬ「米国第一」影響? ナチス時代の旧独国歌を流す

2017年2月14日 朝刊


 ロイター通信によると、米ハワイでのテニスの女子国別対抗戦フェド杯で十一日、ドイツ−米国戦の試合前に、ナチス時代に歌われたドイツの旧国歌が誤って独唱され、ドイツチームが憤りをあらわにする場面があった。他国の事情に構わない「米国第一」主義などと揶揄(やゆ)されかねないハプニング。ドイツのテニス協会は、全米テニス協会が謝罪してきたとしている。
 試合前に男性歌手が歌ったのは「ドイツよ、ドイツよ、すべてのものの上にあれ」という一節で始まる旧国歌。一八四一年に歌詞が書かれ、第二次大戦中はナチスの国家主義的なプロパガンダとして使われた。
 第一試合に登場したドイツのアンドレア・ペトコビッチ選手は、試合にも敗れ「無知の典型だ。二〇一七年の今、こんな恐ろしいことが起きて当惑している」と語った。ドイツは全試合に敗れ、ベスト4に進めなかった。 (奥田哲平)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201702/CK2017021402000117.html
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/200.html

[政治・選挙・NHK220] 福澤諭吉は民主主義者ではなく軍国主義者だった 中国の若者のナショナリズムは高まっていない 大学教授が毛沢東批判、解雇
福澤諭吉は民主主義者ではなく軍国主義者だった 週刊朝日 
 
https://cdn.images-dot.com/S2000/upload/2017011800026_1.jpg
福沢諭吉 (c)朝日新聞社

「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」。人間の自由平等を説いた福澤諭吉。明治の偉人だが、その実体は超国家主義者だとしたら……。『マンガまさかの福澤諭吉』(遊幻舎)の作者・雁屋哲氏が、検証した福澤のウラの顔を本誌に語った。

──「美味しんぼ」の原作者がなぜ福澤諭吉に関心を持ったのですか。

 中学高校で教わった通り、福澤諭吉は民主主義の先駆者だと思い込んでいました。ところが30年ほど前にあるきっかけから福澤の「帝室論」「尊王論」を読むと、日本国民は「帝室の臣子(家来)なり」と書かれていて驚いた。世間の福澤諭吉像を覆すような文章がどんどん出てくる。それが興味を持った始まりです。

──あの名言も実は福澤の言葉ではなかった。

 代表作「学問のすすめ」の冒頭には「『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず』と言えり」とあります。「言えり」は伝聞体で、本人の言葉ではない。一説によるとアメリカの独立宣言の一部を意訳したとも言われている。つまり、もともと福澤の思想から出た言葉ではないのです。このことは福澤が創立者となった慶応義塾大学のウェブサイトにも明記されています。

──「まさか」ですね。

 まさに、まさかの連続でした。「学問のすすめ」だけを読んでも「分限(身の程)を知れ」「(自分の)身分に従え」など、およそ自由平等とは程遠い言葉が次々に出てくる。教育のない者を「無知文盲の愚民」と呼び、そうした人々を支配するには力ずくで脅すしかないと言いきっています。独裁者でもここまで露骨なことは言えません。

──「学問のすすめ」は、教育の大切さを説く本です。なぜ、そんなことを言ったのでしょうか。

 教育といっても、福澤は政府が政治をしやすいような人間になるために学問を推奨し、その結果、国民に報国心を抱かせようとしていた。そうなると「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」は単なるキャッチコピーに過ぎません。最初にこの言葉に興味を持った人を、民主主義とは反対の方向へ導こうとする。これでは思想的な詐欺と変わりありません。「学問のすすめ」では「大名の命も人足の命も、命の重きは同様なり」など、人間本来の平等を説いている部分も何カ所かある。これは人が経済的、社会的に成功するかどうかは智を持っているかどうかで、生まれつきの違いはないと福澤が考えていたからです。こうした思想は、中津藩の下級藩士だった父親が身分格差から名を成すことができなかったことが影響しているといわれています。一方で智なき愚人は嫌悪の対象とし、当時の平民を「表向きはまず士族と同等のようなれども、(中略)その従順なること家に飼いたる痩せ犬のごとし」と見下しています。

──福澤が明治15年に立ち上げた時事新報は、当時の新聞が政党機関紙化していたなかで独立を掲げ、一躍日本を代表する新聞になりました。

 ところが福澤はその新聞発行の趣旨で、自分が一番やりたいことは国権皇張だと言っています。これは日本の権力を他の国に及ぼすという意味。つまりアジア侵略です。侵略される側からしたらたまったものではありません。日本最大の新聞を発行し、慶応の塾長も務めた人間がこんなことを堂々と述べていたのです。もともと福澤の大本願は日本を「兵力が強く」「経済の盛んな国にする」こと。そのために天皇を国民の求心力の象徴として利用しました。

──富国強兵ならぬ強兵富国とは。つまり民主主義者とは正反対の考えを持っていたということですか。

 実際に、日本が朝鮮支配を進めるために福澤が果たした役割は小さくなかった。詳しくはマンガを読んでほしいのですが、朝鮮宮廷内で起きたクーデターを計画したうえで実行にも加担し、明治政府が仕掛けた日清戦争では言論であおりまくった。戦争に勝つと国権皇張ができたと嬉し泣きしています。そのうえ軍は天皇直属であり、日清戦争は外交の序開きだと言うなど、侵略している意識すらなかったのです。戦争になったら国のために死ぬことが大義だと言い、教育勅語を歓迎した人物が民主主義者のわけがありません。福澤は天皇制絶対主義や皇国思想を日本人に浸透させ、朝鮮人、中国人への激しい侮蔑心をあおった。そのレールの上を走り、日本は第2次世界大戦に負けました。アジア蔑視は、現代の日本人にまで尾を引いています。

──しかし、福澤はそうした軍国主義的な思想を自分の新聞で堂々と述べています。それがなぜいまや民主主義の礎を築いた偉人に?

 昭和に入り福澤諭吉を高く評価し、その研究に多くの時間を割いた丸山眞男氏の罪です。丸山氏は福澤の言葉のなかから、自分の都合の良い部分だけつまみ食いしました。例えば「市民的自由主義」という言葉を使っていますが、福澤の文章のどこをとってもそんな表現はない。逆に福澤が「人民は政府の馬だ」と述べた部分は一切省いている。丸山氏は福澤の文章の行間を重視したり、著書をバラバラにして再構築する方法を採ったと述べています。それでは一体、福澤が何を言いたかったのかわからなくなります。

─なんのためにそんなことを?

 丸山眞男は戦後を代表する知識人。日本に民主主義を根付かせるために、あえて福澤を誤読したとも言われています。ですが、そのためにオリジナルの主張を捻(ね)じ曲げているとしたらとんでもない。多くの人は原本を読まず、丸山氏ら学者の権威に従って福澤を偉人と思い込んでいるのです。

──福澤の思想が、現代の保守政治家たちにも影響を及ぼしているのが問題だと。

 安倍晋三首相は2013年の施政方針演説で、福澤の「一身独立して一国独立す」の言葉を使い、日本を強い国にすると言いました。また日本会議は天皇を中心とする大日本帝国的な社会に戻ることを目指しています。これらの考えの最初の一歩を始めたのが福澤諭吉。つまり、福澤が明治の人々に行った洗脳はいまだ続いています。いま日本は、駆けつけ警護という訳のわからぬ言葉で、自衛隊が海外で敵と思った相手を銃撃できる国になりました。人を殺す戦争のできる強い国を目指すのは、まさに福澤の思想です。

──日本会議は皇室を敬愛する国民の心が日本の伝統にあるといいます。でも明治時代前の日本人は、殿様は知っていても天皇は知らなかった時代が長かったのでは?

 日本会議の言う日本の伝統とは討幕後の明治時代に意図的につくられたもの。大日本帝国時代のわずか80年の歴史だけをもって、日本の伝統ということ自体がおかしいのです。

──いま福澤を知る意味はなんでしょうか。

 日本がなぜこうなってしまったのか。まずそれを考えるには、その大本の思想をつくりだし、日本人を洗脳した福澤を正しく理解することが必要です。そのうえで真の日本のあるべき姿を議論できると考えています。(構成 桐島 瞬)

※週刊朝日  2017年1月27日号 

トップにもどる 週刊朝日記事一覧
【関連記事】
文豪・夏目漱石を生んだ街・ロンドンを歩いたAERA
ピース又吉印税3億円超え? 注目の次作とお笑いの行方週刊朝日
70年前にGHQが残した啓蒙メモから読み解く日本民主化のビジョン週刊朝日
資産家人脈でブランド向上…慶応に同族企業社長が目立つワケ週刊朝日
OGの寄付きっかけに 慶應大が戦争の記録を検証AERA
室井佑月 報道番組のワイドショー化に「もうどうにもできないのかしら?」週刊朝日
西山ゆかりプロを初優勝に導いた芹澤信雄の「チーム芹澤」とはNHK出版
読書の秋!上半期のベストセラーをご紹介しますtenki.jp
https://dot.asahi.com/wa/2017011800026.html


 

ちょうど130年前の1887年2月15日、日本最初の総合雑誌が誕生した…
2017年02月15日 10時30分
 ちょうど130年前の1887年2月15日、日本最初の総合雑誌が誕生した。熊本県出身の言論人、徳富蘇峰が創刊した「国民之友」だ。当時としては極めて先進的な内容。自由、平等、平和な社会を目指す「平民主義」を掲げ、富国強兵に突き進む藩閥政治を批判した

▼蘇峰は水俣の郷士の家に生まれ、新島襄が創設した同志社英学校で学んだ。帰郷後は熊本市に大江義塾を開いて後進を育てた。門下には孫文の辛亥革命を支援した宮崎滔天(とうてん)がいる。実弟は作家の徳冨蘆花

▼86年に出版した「将来之日本」では、社会を「腕力世界と平和世界」「武備主義と生産主義」「貴族社会と平民社会」の対立構図で分析し、世界の動きを見れば、それぞれ後者が前者を克服すべきだと主張した。著書は評判となり、蘇峰は中央での言論活動を決意。上京し国民之友を発行した

▼同誌には中江兆民、内村鑑三、坪内逍遥、北村透谷らが寄稿し、政治、経済、文化など幅広い分野で明治の日本に大きな影響を与えた。ただ、蘇峰は後に国家主義に転じ、同誌は98年に廃刊した

▼出版不況や総合雑誌の苦戦が取り沙汰される昨今。雑誌の原点を振り返ってみてもいいかもしれない。熊本市の塾跡と水俣市の生家跡は記念館になっていて、兄弟の足跡をたどれる

▼ちなみに、塾跡の庭には、恩師新島が蘇峰に贈った種から育ったカタルパが毎年5月ごろ、白い花を咲かせるそうだ。


=2017/02/15付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syunzyu/article/308232


 

中国の若者のナショナリズムは高まっていない──論文

2017年2月8日 (水) 19:50 配信 ニューズウィーク日本版
お気に入りに追加
<中国の若者は言われるほどナショナリズムには傾いておらず、むしろ好ましい方向に変化している>

中国指導部は国民のナショナリズムが自らに向くのを防ぐため、強硬な対外姿勢を取る傾向がある。南シナ海で領有権を主張したり、日本の歴史問題を執拗に追及したりするのもそのせいだというのが、欧米メディアの通説になっている。

実際、高齢化する「毛沢東主義者」もいれば「怒れる若者」(中国語で「憤青」)もいる。中国政府の「防火長城(グレート・ファイヤーウォール)」をすり抜けて、フェイスブックやツイッターに国家主義的な投稿をする「ピンク色の若者」(中国語で「小粉紅」)と呼ばれる若い女性たちもいる。

だが月初に安全保障研究の専門誌「インターナショナル・セキュリティ」に掲載された米ハーバード大学のアラステア・イアン・ジョンストン教授(政治学)による最新の論文は、中国で国家主義的傾向が強まっているという報道は、いくつかの重要な点で的外れの可能性があると指摘した。

【参考記事】「冷静に、理性的に」在日中国人のアパホテル抗議デモ

ジョンストンは1998年から北京の名門国立大学である北京大学の研究者と共同で、外交政策を含めた様々なテーマに関して、北京の住民を対象にした意識調査を行ってきた。その結果集まった「北京エリア調査」と称する珍しいデータを頼りに、ジョンストンと共同研究者らは北京市民の意識の変遷をたどり、回答者の年齢など多数の異なるカテゴリーに基づく分析を実現した。

高齢層とは正反対の意識

2002年以降の調査では、回答者の国家主義的傾向を探るための質問も加わった。そのなかで、次の意見に同意するか否か、また同意する度合いも尋ねた。

1)たとえ世界中のどの国を選べたとしても、自分は中国人でありたい
2)一般に、中国はほとんどの国より良い国だ
3)たとえ政府が間違っていても、国民の誰もが政府を支持するべきだ

論文は結論として、北京市民の間に国家主義的傾向の高まりはみられないとした。むしろ1)と3)の質問に対し「大いにそう思う」と回答した割合が2002年から15年にかけて激減した。しかし中国のほうが「他の国より良い」かどうか尋ねた2)の質問に対しては、「大いにそう思う」と答えた割合が微増した。調査開始以来、北京では個人所得もインフラも著しく改善したのだから、それは理解できる。

【参考記事】「中国がネット検閲回避のVPNを全面禁止」は誤報です

この結果からは、単に国家主義的な感情が下火になっただけでなく、中国の少なくとも都市部の若者たちは上の世代よりも国家主義的ではないことがはっきりした。1978年以降に生まれた世代では、2002年以降のどの調査でも、国家主義色の強い意見に同意すると答えた割合が上の世代より圧倒的に少なかった。最も目を見張るのは、2015年の時点で、「政府が間違っていても国民は政府を支持すべき」という意見に強く賛同した若年層の割合は、高齢層の半分になっていたことだ。

時の経過とともに若者が一層国家主義的になったということもなかった。少なくとも北京の若年層にはその傾向が認められなかった。より自由な風土で、遠く離れた南方の沿岸部にある広州などの巨大都市圏と比べるとかなり政府寄りと見なされてきた首都にとっては、驚くべき発見だ。

確かに、北京五輪が開催された2009年の調査では、国家主義的な傾向が一気に上昇し、若者の70%以上がどの国よりも中国籍を保持したいと回答(2007年は約50%)、若者の60%以上が中国は他のほとんどの国より良いと答えた(2007年は30%強)。だが五輪効果は一時的な現象に過ぎなかったようだ。2015年時点で、国家主義的な意見に強く同意する若者はせいぜい4人に1人と、2009年から一気に降下し、2007年の水準よりも低くなった。

【参考記事】【ダボス会議】中国が自由経済圏の救世主という不条理

北京市民の対日感情と対米感情の変化についても追跡した。中国では、長年の敵である日本はいまだに広く悪者扱いされ、アメリカは地政学的なライバルの位置づけだ。調査で日本とアメリカを肯定や否定する感情の強さを探ったうえで、日米両国の国民と中国人の間にどれほど大きな違いがあると感じているかを数値化した。

調査期間中、2001年には米軍の偵察機と中国軍の戦闘機が空中接触して中国軍機が墜落し、2012年には中国が領有権を主張する尖閣諸島を日本が国有化するなど、反米や反日感情を煽る政治的な衝突が起きた。それにも関わらず、質問への回答は概ね安定していた。日米両国に対して強く否定的な見方をし、中国との相違点が極めて大きいとした回答者の割合は、2000年からほとんど変わらなかった。

強硬なのは政治エリートか

中国事情に詳しい読者なら、比較的教育水準が高く豊かな生活を送る北京市民の感情は、あれほど巨大で多様な中国全体の国民感情を反映し得ないと気が付くだろう。ジョンストンの論文はその限界を認める一方、2008年に非常に似た方法を用いて別の学術機関が行った中国全土を対象にした調査でも、今回発表した北京とほぼ一致する結果が出たと指摘する。

これらの調査結果は、重要な政治的意味を持つ。中国が習近平国家主席の指導の下でより強硬な外交政策に舵を切ったのは、国内で高まる国家主義に呼応したからではないのかもしれない。論文は、中国の政治エリート層における国家主義的傾向のレベルなどが外交方針の転換の要因になった可能性を、より体系的に研究するよう促した。

アメリカにすれば、執拗に反米を掲げる中国人の若者が増えるのを懸念する必要はないという話かもしれない。いずれにせよ、未来の中国の指導者は、習やその後継者よりも明らかに国家主義的傾向が弱い世代から生まれる可能性がある。

From Foreign Policy Magazine


マット・シュレーダー
関連するおすすめニュース
クーデター後初のタイなど、4つのアジア注目選挙
中国の大学教授が毛沢東批判をSNSで掲載 左派から批判され解雇
中国の習近平主席、新年の演説で「領土主権・海洋権益断固守る」
中国・メキシコが関係強化で一致 反トランプで連携か?
中国の習近平とトランプが電話会談 「協力が唯一の選択肢」
http://top.tsite.jp/news/news/o/34372768/?sc_int=tcore_news_recent

 


中国の大学教授が毛沢東批判をSNSで掲載 左派から批判され解雇
2017年1月10日(火)18時50分 

1月10日、中国中部にある山東建築大学の美術の教授(62)が、毛沢東を批判するコメントをオンラインに投稿し、左派の怒りを買うなどして解雇された。写真は北京で2012年11月撮影(2017年 ロイター/David Gray)
 中国中部にある山東建築大学の美術の教授(62)が、毛沢東を批判するコメントをオンラインに投稿し、左派の怒りを買うなどして解雇された。

 毛沢東は1976年9月9日(訂正)に死亡。近代中国の創設者として共産党から崇拝されているほか、過去30年の改革・開放により中国が過度に資本主義的に、不平等になったと主張する左派から特に尊敬されている。

 教授は、昨年12月26日の毛沢東の123回目となる誕生日に、300万人が死亡した飢饉や200万人が死亡した文化大革命の責任者は毛沢東だと短文投稿サイト「微博(ウェイボー)」に投稿した。

 中国でこうした公の批判は珍しく、毛沢東の支持者らは教授の投稿直後から、「毛沢東に反対する者は誰であれ人民の敵」などと街頭で抗議活動を繰り広げた。

 中国共産党機関紙「人民日報」系の国際情報紙である環球時報は9日、教授が5日に山東省政府の相談役の職を解任されたと報じた。大学側は声明で、教授がもはや教鞭を執ったり、構内で社会的なイベントを組織したりすることは許されない見通しだと述べた。

 教授のコメントは得られていない。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/01/sns-7.php

http://www.asyura2.com/17/senkyo220/msg/706.html

[国際18] 金正男氏は「毒殺」=北朝鮮「5年前から狙う」―中国が身辺保護か・韓国国情院 色白の肩まで髪が伸びた北朝鮮人とみられる女2
金正男氏は「毒殺」=北朝鮮「5年前から狙う」―中国が身辺保護か・韓国国情院【2/15 12:18】
【ソウル時事】韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は15日、北朝鮮の故金正日総書記の長男、金正男氏が毒物で殺害されたという見方を示した。また、「(北朝鮮は)5年前から暗殺を試みていた」と指摘し、「中国が金正男氏の身辺を保護していた」との情報も明らかにした。国家情報院から説明を受けた議員が記者団に明らかにした。

正男氏を殺害すれば、中国との関係悪化が予想されるにもかかわらず暗殺した理由については、国情院は「分からないが、(金正恩朝鮮労働党委員長の)性格のせいではないか」と回答したという。

韓国統一省報道官も15日、マレーシアで殺害された人物について「(韓国)政府は金正男氏だと確実視されると判断している」と述べ、ほぼ断定したとの見解を明らかにした。

国情院は「毒物(による殺害)は間違いないが、毒針だったかどうかは、司法解剖を通じて確認する必要がある」と指摘したという。

一方、韓国の黄教安大統領代行(首相)は15日、金正男氏暗殺情報を受けて国家安全保障会議(NSC)常任委員会を主宰。「北朝鮮政権の仕業と確認されれば、金正恩政権の残虐性、反倫理性を見せつける事件だ」と非難した。

黄代行は「わが政府はこの事件を極めて重大だと認識し、北朝鮮の動向を注視している」と述べ、真相把握のため、マレーシア当局と緊密に協力するよう指示した。さらに、「北朝鮮の新たな挑発などあらゆる可能性を念頭に置き、徹底した対応策を検討しなければならない」と強調した。


 

女2人組が液体かける=金正男氏殺害で―マレーシア紙【2/15 11:52】
【クアラルンプール時事】15日付のマレーシア有力紙スターは、北朝鮮の金正男氏がマレーシアで殺害されたことに関し、色白の肩まで髪が伸びた北朝鮮人とみられる女2人組がクアラルンプール国際空港で金氏の顔をつかみ、液体をかけて現場を離れたと報じた。

女の1人は白い衣服にデニムのスカートを着て、青いリュックサックを持っていた。もう1人は青い服にジーンズの格好をしていた。2人は犯行後、足早に歩いて空港ターミナルを出てタクシーに乗ったという。

情報提供:株式会社時事通信社 
http://fx.dmm.com/market/news/

http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/203.html

[国際18] 動物保護施設の獣医、安楽死の薬を自分に注射 台湾
動物保護施設の獣医、安楽死の薬を自分に注射 台湾
2017/02/07
BBC News
http://ichef.bbci.co.uk/news/872/cpsprodpb/11931/production/_90958917_9b4e8b54-6926-4e50-9d98-e7fc48b12b36.jpg
台湾では今月、保護施設に収容された犬や猫の殺処分を廃止する新法が施行された。今から1年近く前、殺される動物たちが見るに忍びないと、施設で働いていた女性獣医が自殺し、台湾に衝撃が広がっていた。BBCのシンディー・スイ記者が取材した。

動物が大好きだった獣医の簡稚澄さんは、動物保護施設で働いていた。別の仕事、別のタイミングだったら、もしかすると避けられた悲劇だったのかもしれない。

台北に近い桃園市の施設で捨て犬の保護活動に関わっていた簡稚澄さんの同僚、ウィニー・ライさんは簡さんについて、「しょっちゅう残業していて、めったにお昼休みをとらなかったし、いつも犬を気にかけて、犬のために休日を犠牲にしていました」と語った。

最難関の台湾大学を卒業し、公務員試験をトップの成績で合格した簡さんは、中央官庁のデスクワークに就くこともできたが、たくさんの捨て犬の世話をすることを選んだ。

保護施設のロビーには、訪れる人に犬の里親になってもらおうと簡さんが描いた犬の絵が飾られていた。しかし、犬の多くは安楽死させられる運命にあった。

2016年5月5日、簡さんは自らの命を絶った。動物たちを安楽死させる同じ薬品を使って。迷い犬がどんな目に遭うか、台湾の人々に理解してもらいたいという書き残して。

彼女の死が報じられると、台湾には怒りと当惑が溢れた。若い女性の命がなぜこのような形で終わってしまったのか、悲劇を大勢が理解しようとした。

一方で、捨て犬や捨て猫の現場で奮闘する職員が、なぜこれほどのプレッシャーを感じなくてはならないのか問う声もあった。

簡さんは地元CITテレビからインタビューを受けた際、初めて殺処分に立ち会った時のことを語っていた。

「家に帰って一晩泣き明かしました」

しかし、メディアに出たことがきっかけで、簡さんに対する個人攻撃が始まった。簡さんが2年間で700匹を殺処分したと報じられると、一部の人は簡さんを「美しき虐殺者」と呼んだ。

保護施設の職員は、できる限り殺処分などしたくない。しかし簡さんたちは、引き取り手がなく、老いていたり、里親が見つかりにくい動物たちが、過密状態の施設で病気にかかる危険にさらされるより、安楽死の方が良い選択肢だと考えていた。

簡さんの同僚、高瑜婕さんはこう話す。「彼女(簡さん)のことを肉屋と呼ぶ人がいました。(中略)私たちは怒鳴りつけられることも多く、地獄に落ちるだろうと言う人もいる。私たちが喜んで殺しているとか、残酷だとか。だけど、犬は今でも捨てられています。犬が狂暴だとか、逆に弱すぎるとか、鳴き声がうるさい、ちゃんと吠えないなど、いろんな理由が付けられて」。

高い殺処分率

台湾は捨て犬の問題で2つの大きな課題を抱えている。捨てられるペットの数と野犬の避妊措置だ。

実際のところ、10年前に比べると状況は改善した。国民の意識が向上し、保護施設の関係者や活動家らが、捨て犬を思いとどまらせ、里親を呼びかけるなどしたからだ。

しかし、殺処分される動物の数は依然として多く、保護施設では資金や人手が不足している。業務も重労働で長時間働かなくてはならない。一部の保護施設では収容された動物の半数が殺処分される。

2015年には約1万900匹が処分された。また病気などが理由で約8600匹が死亡した。

簡さんはCTIのインタビューで、殺処分の手順を説明している。

「まず散歩に連れて行き、軽く食べさせて話しかけます。それから『慈悲の部屋』に入れます」

「台の上に乗せると、とても怖がって、体じゅうが震えているんです。だけど薬を注射すると3秒から5秒で震えが止まる。実際とても悲しいことです」

職員たちには心理カウンセリングが提供されていない。台湾では、このような保護施設だけでなく、心の面での支援があるのはほぼ皆無だ。

桃園の保護施設は国内でも最も安楽死率させる率が低く、里親が見つかる比率は最も高かった。

しかし、簡さんの遺書の内容から、犬の境遇に対する心痛が自殺のきっかけだった様子がうかがえる。同僚たちの話もそれを裏付けている。どんな自殺の背景にも多くの複雑な要因が絡んでいるものだというのが、専門家の意見だが。

前出のライさんは、「(簡さんは)とても自分に厳しかった。動物のことをとても気に掛けていたし、仕事のプレッシャーが強かった」と語った。

簡さんの遺書にはこう書かれている。「私の死によって、捨てられた動物にも命があるということを皆さんに分かってもらえればうれしいです。(問題の)原因に対処する重要性を政府に理解してもらいたいです。命を大切にして」。

「命を大切にして」という言葉を残して、若い女性が命を絶った。その事態はあまりに皮肉で、大勢がその意味を受け止めた。誰のせいだと責める責任者探しもすぐに始まった。

台湾の新聞各紙は、政府が簡さんを「殺した」と非難。多くの新聞は、政府が捨て犬や避妊に効果的な策を打ってこなかったと指摘した。

簡さんは仕事のプレッシャーに耐えられなかっただけだと、「高級官僚ら」が国民に思い込ませようとしている――そう非難する新聞もあった。

施設の職員を批判するのはたやすいが、社会全体が責任を感じるべきだとコメントする識者もいた。

多くの人は、動物の不妊と去勢に関する現行法制がきちんと執行されていないことが、問題の根源にあると考えている。

台湾行政院(政府に相当)の農業委員会で動物保護を担当する江文全さんは、犬の不妊・去勢処置を義務付ける法律は最近施行されたばかりで、すぐに罰金を科すことはできないと説明した。

職員は毎年、6万匹の犬の飼い主を訪問し、新たな法律の順守を促しているが、不妊・去勢処置をうけた犬は、台湾全体の170万匹のうち3割に留まっている。

「あまりに人手が足りない。動物保護スタッフは台湾全体でわずか140人しかいない」と江さんは話す。「仕組みそのものの問題だ。安楽死を止めて保護施設や職員の陣容を拡大するだけでは、問題は解決しない」。

台湾では、不妊・去勢処置が犬の性格を変えてしまうと反発する人もいる。また、子どもを産ませて友人にあげたり、売ろうと考える人もいる。

短期的な措置

簡さんは自殺する前、犬猫の殺処分を禁止する新しい法律が間もなく施行されると、承知していた。

今月4日に施行された新法によって、捨て犬や猫の殺処分は廃止された。予算は4割増加。検査官が増員され、保護施設にペットを持ち込む人からは125ドル(約1万4000円)が徴収される。

当局者らは新法と簡さんの死とは関係がないとしている。簡さんが置かれていた状況と彼女の自殺は、単に人間的な悲劇だと。

台湾政府は、保護施設の予算増と人員増強のほか、心理カウンセリングを提供すると約束している。しかし、多くの人はそれが目先の対応にしかならなないとみている。

活動家らは政府に対し、ブリーダーの取り締まり強化、不妊・去勢処置を提供するNGO(非政府組織)への資金援助、迷い犬を保護する団体への支援を求めている。

簡さんの死が改革を後押したわけではないかもしれない。しかし同じように動物保護に携わる簡さんの夫や同僚たちは、簡さんの死に衝撃を受け、嘆き悲しみ、そして動物を愛する彼女の気持ちを忘れることはないだろう。

(英語記事 The vet who 'euthanised' herself in Taiwan)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-38851315

http://wedge.ismedia.jp/articles/print/8850
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/206.html

[経世済民119] 日米の信用力が09年来の逆転、欧米の政治リスク回避で円債回帰 フランス避け米国債 日本株急反発、保険株指数1年半ぶり高値
日米の信用力が09年来の逆転、欧米の政治リスク回避で円債回帰も
呉太淳
2017年2月15日 00:00 JST 更新日時 2017年2月15日 12:55 JST


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iQhYm1GfcFns/v2/-1x-1.png

関連ニュース

ソフバンク:米フォートレスを共同買収、投資能力強化−3800億円
東芝:銀行に支援要請へ−原発減損7125億円、今期末で債務超過に
イエレン議長:財政政策のいかんにかかわらず経済見通しは利上げ支持
ゴールドマン、投資銀バンカー100人が2016年のボーナスなし−関係者


日本のCDSは26bp、米国は27bp、フランスは56bp
「政治の安定は投資の大前提、円債回帰は起こりえる」−みずほ証

米国と欧州が大きな政治変動リスクに直面する中、日本の信用リスクが米国を7年半ぶりに下回った。利回りを求めて外債に投資していた日本の投資家が、相対的に政情が安定している日本の債券に回帰するとの見方も出てきた。
  CMAによると、日本の5年物CDSは1月末、09年6月以降で初めて米国を下回り、現在は26ベーシスポイント(bp)で推移。米CDSは11月のトランプ大統領の選出から拡大し現在は27bp。また、4月の大統領選で「反ユーロ」のルペン氏勝利の可能性もあるフランスのほか、ドイツやイタリアを含む欧州各国のCDSも年初来で上昇している。


  トランプ政権による移民・難民の入国制限などで米国では対立が深まり、政権内部でもフリン大統領補佐官が辞任するなど混乱が生じている。また、英国が欧州連合(EU)から離脱することになった欧州では、フランス大統領選のほかオランダやドイツでも総選挙が行われ、移民流入やEUに否定的な勢力の伸長が懸念されている。
  みずほ証券の香月康伸シニアプライマリーアナリストは「政治の安定は投資の大前提」とし、「海外には依然不透明感が残り、円債回帰は起こり得る」と話す。ユーロ圏のフランス大統領選については「欧州に背を向ける選択をすればブレグジット以上のインパクトがある」と指摘。また米国はインフレ政策で金利上昇懸念があるのに対し、日本は米欧に比べ「政治的安定がクローズアップされている」という。

  トランプ政権はかねて対日経済問題として、貿易不均衡や円安を挙げていた。ワシントンで10日に行われた日米首脳会談では、マクロ政策や貿易の枠組みなどで経済対話を行うことで合意したものの、具体的な政策要求はなかった。
外債売り越し
  財務省の統計によると、それまで1年半買い越しが続いていた対外中長期債投資は昨年12月、今年1月と2カ月連続で売り越しに転じた。フコクしんらい生命保険の林宏明取締役は、「欧米への投資はリスキー」なのに対し、国内債は「為替リスクもなく、金利上昇もある程度コントロールされている」と述べた。

国民戦線のルペン党首

  日本銀行のマイナス金利政策で昨年7月には一時史上最低のマイナス0.3%まで低下していた10年物国債利回りは、今月3日には一時約1年ぶりの0.15%まで戻した。ニッセイ基礎研究所の徳島勝幸年金研究部長は、「日本の金利が上がったから、無理して外債に行かなくて良くなった。国内でいいやと言うことになっている」と話す。
  JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長も、「日銀が国債買い入れ規模を再度拡大しつつあるのと、トランプ大統領の為替相場に対する口先介入で国内投資家の間で海外投資に対する不安が浮上しており、日本国債に目が向きやすくなっている」と述べる。

金利差は依然大きい

  もっとも日本国債と外債の金利差は依然大きく、10年物国債の日米利回り格差は2.39%となっている。みずほ証の香月氏は、現状のイールドカーブならば、来年度は日本国債の約6割がマイナス金利で発行されることになると予想。「運用難の状況は変わらず、地方債や財投機関債、社債などでプラス利回りを求めざるを得ない環境が続く」と指摘する。
  野村証券の魚本敏宏チーフクレジットストラテジストは、国内では利回りの高い商品が少ないこともあり、引き続き「できれば海外に行った方が良い」と見ている。世界的に政治リスクが高まる中でも、比較的米国は安定的だとみているため、米国の社債などへの投資が有効だと語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLAW3C6TTDS801

 


フランス避け米国債、トランプ政権でもまだ安全−ダンスケ銀運用者
Peter Levring
2017年2月15日 07:32 JST

ダンスケ銀運用部門、欧州債から米国債に保有資産移す
米国債はパニック時に究極の保険になり得る−ダンスケ銀


ダンスケ銀行で2000億ドル(約22兆6700億円)規模のウェルスマネジメント部門を率いる運用者らは、ドナルド・トランプ氏が大統領であっても米国債の方が欧州債よりも今年は安全かもしれないと考えている。
  ダンスケの年金部門ダニカで債券運用に携わるほか、ウェルスマネジメント事業全体の債券投資を統括するポール・コバラック氏は、「恐らく、今ほど市場に政治リスクがあふれ返っていることはない」と話す。今年の欧州は来月のオランダ、4月のフランスと重要な選挙が相次ぐ。ダンスケの運用部門は債券エクスポージャーを欧州から米国債へと移しているという。
  ダニカとダンスケ・ウェルス部門の投資責任者のアンデルス・スベンセン氏は、フランス大統領選挙でルペン国民戦線(FN)党首が勝利するリスクを考えれば、最終的には米国債の方が安全ということになり得ると述べた。市場の懐の深さとドルの基軸通貨としての地位から、米国債は市場のパニック時に究極の保険になるという考えだ。
  また、欧州債の大部分の利回りの低さから、投資家はリスクとの比較でのリターンについて考え始めるかもしれない。ポートフォリオに大量の仏国債を抱えている運用者は恐らく既に、それが賢明だろうかと自問しつつあるだろうと、コバラック氏は指摘。「大半の投資家が仏国債の保有高をチェックしていると思う」と述べた。
原題:Wealth Masters at Danske Turn to U.S. Bonds to Dodge French Risk(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLD8CS6KLVR501


 


日本株急反発、米金利上昇と円安を好感−保険株指数は1年半ぶり高値
佐野七緒
2017年2月15日 08:00 JST 更新日時 2017年2月15日 12:15 JST

ソフバンク:米フォートレスを共同買収、投資能力強化−3800億円
東芝:銀行に支援要請へ−原発減損7125億円、今期末で債務超過に
イエレン議長:財政政策のいかんにかかわらず経済見通しは利上げ支持
日米の信用力が09年来の逆転、欧米の政治リスク回避で円債回帰も

FRB議長が議会証言、緩和解除待ち過ぎは賢明ではないと発言
上昇率上位に金融セクター、保険は決算や株主還元も後押し


15日の東京株式相場は急反発。連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言で米国の早期利上げ観測が広がり、米長期金利の上昇や為替のドル高・円安推移が好感された。保険株が急伸し、銀行や証券株など金融セクターが業種別上昇率上位を占有。化学など素材株、電機など輸出株と幅広く高い。
  TOPIXの午前終値は前日比17.10ポイント(1.1%)高の1556.22、日経平均株価は234円52銭(1.2%)高の1万9473円50銭。日経平均は前日下げ分(220円)を埋めた。
  第一生命経済研究所の島峰義清主席エコノミストは、「イエレンFRB議長があえてトランプ要因を無視して話をしたことで、市場は米景気の強さにあらためて気付いた。米国が3%成長を軸に動くなら、今の短期金利は低過ぎ、FRBは早くニュートラルに戻したいだろう」と指摘。強い景気の材料に金利が上昇反応を見せれば、「その分だけ為替は円安になる」と話した。
米ドルと日本円
米ドルと日本円 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  イエレンFRB議長は14日の上院銀行委員会の公聴会で、「緩和解除を長期間待ち過ぎるのは賢明ではない。待ち過ぎれば、FOMCは最終的に急速なペースでの利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ経済をリセッションに追いやるリスクが生じる恐れがある」と指摘した。大半のFOMCメンバーは、「年内に数回利上げするのが適切との結論に達した」とし、「3月、5月、6月のいずれにせよ、当局が行動を起こす正確な時期だということは分かっている」とも述べた。
  また、米労働省が14日に発表した1月の生産者物価指数は前月比0.6%上昇と2012年9月以来で最大の伸びとなった。こうした中、同日の米10年債利回りは一時6.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 上昇し、2.5004%を付けた。市場が織り込む3月利上げの確率は証言前の30%から34%に上昇。米国株市場では金融株が買われ、S&P500種株価指数が0.4%高の2337.58と連日で史上最高値を更新した。きょうの為替市場では、1ドル=114円台前半と前日の日本株終値時点113円35銭からドル高・円安方向に振れた。
  日本株上昇を引っ張ったのは金融セクターで、中でも保険の上げが突出。16年4ー12月期の純利益が前年同期から2割以上増えたMS&ADインシュアランスグループホールディングスなどが大幅高。クレディ・スイス証券の山中威人アナリストは、第3四半期決算はガイダンスに対し進捗(しんちょく)率の高い会社が多く、利益の上振れ余地があるとの見方を示した。保険株指数は15年8月以来の高値を付けた。
  東海東京調査センターの中井裕幸専務は、トランプ政権の政策期待もあり、「米長期金利は再び上向き方向」とし、「金融株の上値余地はまだあり、デフレ脱出も追い風。日本株はリフレラリーだ」と話した。
  東証1部33業種は保険、銀行、証券・商品先物取引、非鉄金属、化学、機械、鉄鋼、電機など32業種が上昇。ゴム製品1業種のみ下落。東証1部の売買高は11億2174万株、売買代金は1兆1161億円。上昇銘柄数は1491、下落は407。
  売買代金上位では、三菱UFJフィナンシャル・グループや東京海上ホールディングス、第一生命ホールディングス、アルバックが高く、今期の増配計画と自社株買いが好感された電通は急伸。半面、監査法人承認前の4−12月期暫定決算は4999億円の最終赤字だった東芝は大幅続落。楽天やシマノ、ジャパンディスプレイ、今期は3割を超す営業減益計画の住友ゴム工業も安い。.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLDYYU6KLVRP01

http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/208.html

[戦争b19] 対ロ警戒感あらわに=安保補佐官辞任「影響なし」―米国防長官 トランプは本気でNATOを壊すのか? 軍事費増求め独に矛先
対ロ警戒感あらわに=安保補佐官辞任「影響なし」―米国防長官【2/15 12:00】
【ワシントン時事】マティス米国防長官は14日、対ロシア政策に関し、「(ロシアがクリミア半島を編入した)2014年が分岐点だった。ロシアと何らかのパートナー関係を結ぶことへの希望は、その多くが無駄だと最終的に示された年だ」と述べ、警戒感をあらわにした。ブリュッセルで15日から開かれる北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会に出席するため、ベルギーに向かう機中で記者団に語った。

国防総省によれば、マティス長官はこの中で、フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)の辞任がNATO国防相理事会での議論に影響するかどうかについて「何の影響もない。(各国国防相への)メッセージも変えない」と言明。「誰が補佐官だろうと、一緒に仕事をする」と強調した。

情報提供:株式会社時事通信社株式会社時事通信社
http://fx.dmm.com/market/news/

米国防長官 NATO国防相会議に初めて出席へ
2月15日 6時58分
アメリカのマティス国防長官は、日本時間の15日からベルギーで行われる、NATO=北大西洋条約機構の国防相会議に初めて出席し、過激派組織IS=イスラミックステートへの対応などについて協議します。今週は、アメリカのペンス副大統領とティラーソン国務長官も、ヨーロッパで開かれる国際会議に初めて出席する予定で、トランプ政権の外交が注目されます。
NATOの国防相会議は、ベルギーの首都ブリュッセルで、現地時間の15日午後(日本時間の今夜)から2日間の日程で開かれます。

会議には、アメリカのマティス国防長官が初めて出席し、過激派組織ISへの対応などについて協議が行われる予定です。
トランプ大統領は、ISの撲滅を掲げる一方で、NATO各国に防衛費の増額なども求めていて、アメリカがヨーロッパの同盟国と結束してIS対策を推進できるかが焦点です。

マティス国防長官は、17日からアメリカのペンス副大統領とともにドイツで行われるミュンヘン安全保障会議にも出席し、世界各国の首脳や閣僚などと意見を交わすことになっています。

また、アメリカのティラーソン国務長官も、初めての外国訪問として、今月16日からドイツのボンで開かれるG20=主要20か国の外相会合に参加し、地域の紛争や難民・移民対策などについて話し合う予定で、ロシアや中国との初めての外相会談が行われるかも関心を集めています。

このほど、安全保障を担当するフリン大統領補佐官が辞任し、混乱も見られるトランプ政権が、どのような外交を展開するか注目されます。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170215/k10010877131000.html


 

http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/0/f/350/img_0fe552f20374cdf2b1cbe186f8b9b23785838.jpg

 
トランプ大統領、NATO軍事費増求め独に矛先
By JULIAN E. BARNES IN BRUSSELS ANTON TROIANOVSKI IN BERLIN
2017 年 2 月 15 日 12:12 JST 更新
 今年1月、ドイツはリトアニアに軍隊を配備し始めた。北大西洋条約機構(NATO)軍傘下の部隊としては初めて、ロシアとの東部国境での防衛を強化する狙いがある。

 だが、それは力の圧倒的な誇示ではない。当初のドイツ派遣部隊の規模は460人にすぎず、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、そしてノルウェーの兵士数百人がこれを補充するだけだ。

 米国の現職当局者や元当局者の一部は、この部隊を「フランケンバタリオン(フランケン大隊)」と蔑んで呼び、NATO防衛支出の負担を公平に分担しないドイツの一例だ...
http://jp.wsj.com/articles/SB10675506150565094895104582622364116779658


 


 


NATO
防衛費1兆円増…米国にらみ支出拡大も 16年

毎日新聞2017年2月15日 10時55分(最終更新 2月15日 10時55分)
アメリカ
ベルギー
欧州
北米
速報
国際
 【ブリュッセル八田浩輔】北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は14日、米国を除くカナダと欧州計27加盟国の2016年の国防支出の総額が、前年から3.8%伸び約100億ドル(約1兆1340億円)増えたと明らかにした。同盟国の安保「ただ乗り」批判を繰り広げたトランプ米大統領の誕生で、加盟国の国防費引き上げのペースは速まる可能性がある。

 NATOは15、16両日にトランプ政権発足後初となる国防相会議をブリュッセルで開き、米国に偏る費用負担の不均衡を是正していく必要性で一致する見通しだ。米国からはマティス国防長官が初参加し、米国が従来通りNATOに関与し続ける方針を報告する。トランプ氏は選挙期間中に繰り広げたNATO批判の矛をおさめているが、加盟国は「マティス国防長官から具体的に新政権が望むことを直接聞ける機会を待っていた」(NATO外交筋)という。

 冷戦終結を契機にNATO加盟国の国防費は削減が続いてきた。しかし、ウクライナ危機などロシアの軍事的圧力の高まりやテロ対策の必要性から、14年にオバマ政権の主導で加盟国の国防費を国内総生産(GDP)比で2%以上に引き上げる基準を設定。現在は米英など5カ国のみが満たし、米国は3.8%と突出している。一方で、米国を除く国防費総額では15年に前年比で0.6%増に転じた。

 ストルテンベルグ氏は14日に発表した16年の実績について「重要なステップだが、まだ十分ではない」と指摘。NATOは24年までに全ての加盟国で2%目標を達成したい考えだ。トランプ政権は今後、目標達成の前倒しなどを求めるとの見方も広がるが、ストルテンベルグ氏は巨額の債務を抱えるイタリアなどを念頭に「ただちにすべての国が達成すべきだとは言わないが、まずは国防費の削減を止める必要がある」と述べた。

文字サイズ
印刷
シェア
Timeline
1
0
関連記事

前年比で防衛費1兆円増 努力継続
3月に訪独、メルケル氏と会談 米国の考え伝達

メルケル氏と来月会談 米国の考え伝達
NATO国防相会議に出席へ

NATO首脳会議出席へ
http://mainichi.jp/articles/20170215/k00/00e/030/228000c

 

 
トランプは本気でNATOを壊すのか?
2017/02/13
岡崎研究所
 ワシントン・ポスト紙が1月17日付で「トランプの内閣はNATOが重要であると知っている。トランプがそれに同意しているのか、はっきりしない」との社説を掲載、閣僚などはトランプがNATOを破壊しないように最善を尽くすべきである、と論じています。論旨、次の通り。


(iStock)
 トランプが指名した安全保障関係閣僚は、1945年以来西側と米国の世界的指導力を裏打ちした同盟を次期政権は解体しないと述べた。国防長官に指名されたマティスは「NATOがなければ、それを創設する必要があるだろう」と述べ、国務長官に指名されたティラーソンは欧州同盟国を守るとの米国の条約上の約束は「不可侵」とのべた。

 しかし、トランプがこれに同意しているのか、はっきりしない。ロンドン・タイムズ紙のインタビューで、トランプは、NATOは時代遅れである、テロと戦っていないし、加盟国は防衛費を約束通り増やしていないと述べた。その上で、EUが存在するかどうかはどうでもよい、さらに離脱する国があるだろう、と予測し、ドイツのメルケルとプーチンへの信頼を同等であるとした。モスクワはトランプの発言を歓迎し、欧州の指導者は警戒心を示した。

 メルケルは発言を重視していない。彼女は正しいかもしれない。トランプは、NATOは重要とも言っている。トランプの言葉は真剣に受け取る価値はない。しかし、トランプの意図が大西洋同盟を掘り崩し、EUの解散を奨励し、再選を狙うメルケルを引きずり降ろすというものであれば、彼は効果的であった。プーチンの狙いと軌を一にする。

 ロシアは既に、メルケルの信用を失墜させる偽情報作戦を、インターネットを使ってやっている。ドイツ人がトランプの介入がロシアの攻撃を強めるようになされていると考えても許されよう。トランプは難民問題でメルケルは「破局的間違い」をしたと非難し、ドイツは欧州統合を自己利益のために使っていると言った。

 米国はEUの生き残りに関心がないというのは間違っている。EUは大国間戦争を考えられないものにし、民主主義と人権擁護をポルトガルからルーマニアまで確立する助けになった。NATOについては、マティスが「近代世界史でもっとも成功した軍事同盟」といったのは正しい。  

 NATOは米国の力と世界での影響力を増幅した。それなしには、ロシアの新帝国主義を封じ込める効果的手段がない。

 メルケルはトランプが就任後どうするかを見たいと述べた。世界での米国の立場に価値をおくアメリカ人は閣僚も含め、トランプが言葉通りに行動しないようにするために最善を尽くすべきである。西側同盟は壊されたら簡単に再建できない。

出典:‘Trump’s Cabinet knows NATO is important. It’s not clear he agrees.’(Washington Post, January 17, 2017)
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/trumps-cabinet-knows-nato-is-important-its-not-clear-he-agrees/2017/01/17/e767258a-dcd2-11e6-acdf-14da832ae861_story.html

 トランプがNATOを壊しかねない、またはNATOから脱退しかねない、との危機感をもって書かれた社説です。

 しかし、いくら何でもそういうことにはならないでしょう。閣僚に指名された人で、そういうことを主張している人はいません。トランプといえども、自分が指名した閣僚が猛反対する政策を打ち出していくことには躊躇すると思われます。

単純な事実誤認

 トランプという人は、物事の軽重や関連についての判断が極めて悪い人ではないかと考えられます。たとえば、対ロ制裁緩和と米ロでの核兵器削減交渉を絡めて、核削減を目指すようなことを言っていましたが、そのような取引が成立するわけがありません。NATOについても、「加盟国が国防費増について約束したことを守っていないから時代遅れである」と言いましたが、NATOが時代遅れであることと、加盟国の中に十分な防衛予算を確保できない国があることとは別の問題です。NATOはテロと戦っていないなどというのは、単純な事実誤認です。

 トランプ内閣の閣僚の承認公聴会で明らかになったことは、大統領と閣僚候補の間にある相当大きな考え方の違いと、それを調整する努力の驚くべき欠如です。たとえば、ティラーソン国務長官は、ロシアについてトランプと話し合ったことはないと証言しました。トランプとティラーソンのロシアに対する態度についての疑念がずっと出ている中で、これは驚くべきことです。こんなことで新政権はきちんと機能するのか、心配になります。

 なお、米国であれ、欧州であれ、選挙にロシアが介入して、選挙結果を変えるなどは至難の業であり、こんなことでの大騒ぎはもうやめたらどうかと思います。民主主義は外国の情報機関工作で壊されるようなものではありませんし、工作にそういう力があると考えない方が良いでしょう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8864
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/674.html

[国際18] ロシア側に失望と怒り−フリン氏辞任はクレムリンに対する「妄想」 フリン氏、ロシア大使との会話 ロシアの踊る女子学生たち 
ロシア側に失望と怒り−フリン氏辞任はクレムリンに対する「妄想」
Stepan Kravchenko、Ilya Arkhipov
2017年2月15日 12:24 JST

関連ニュース
日本株は反発、米金利上昇と円安を好感−保険株指数は1年半ぶり高値


東芝:3月末までの融資継続を要請、主力行は支援表明−関係者
ブラックロックCEO悩ます「不吉な影」−債券トレーダー心理代弁か
トランプ政権は自立していないとコサチョフ国際問題委員長
法的な問題はないが信用上の問題はあると判断−スパイサー米報道官

フリン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)辞任にロシアの有力議員は失望感と怒りをあらわにし、トランプ政権がクレムリンに対する「妄想」の犠牲になりつつあるとの見方を示した。
  ロシア連邦院国際問題委員会のコンスタンチン・コサチョフ委員長はツイッターへの14日の投稿で、ロシアのキスリャク駐米大使と接触したフリン氏の辞任はトランプ政権が自立しておらず、「ロシア嫌い」に苦しんでいることを示していると主張。米国のタカ派はロシアとの対話を英小説家ジョージ・オーウェルが「1984年」で描いたような「思想犯罪」として扱おうとしているとコメントした。
  ロシア大統領府のペスコフ報道官はコメントを控えた。同日の記者団との電話会見では、フリン氏辞任は米国の「内政問題」だと語った。
フリン氏
フリン氏 Photographer: Win McNamee/ Pool via Bloomberg
  米国ではスパイサー大統領報道官が14日、ホワイトハウスのマクガーン法律顧問が「法的な問題はないが、信用上の問題はあると判断した」と記者団に説明。フリン氏のロシア大使との話し合い、それに同氏がペンス副大統領らの判断を誤らせた可能性があることが「一線を越えて持続不可能な状況を生み出した」と述べ、こうした状況が「信頼の程度を損ねた」と指摘した。
原題:Russia Accuses U.S. of ‘Paranoia’ After Trump Adviser Ousted (1)(抜粋)Trump Asked for Flynn’s Resignation After ‘Eroding’ Trust (1) (抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLE8976TTDS301


 

フリン氏 ロシア大使との会話の内容を語る © AP Photo/ Carolyn Kaster
米国
2017年02月15日 15:36(アップデート 2017年02月15日 15:44) 短縮 URL
0 23532
13日に辞任したフリン米大統領補佐官は、大統領補佐官として応じた最近のインタビューで、キスリャク駐米ロシア大使との会話では「境界を越えなかった」と述べた。デイリー・コーラー紙が15日にかけての深夜、インタビューを公開した。

フリン米大統領補佐官辞任 政権発足前にロシア当局者と対ロ制裁について協議していたとの報道を受け
© AP PHOTO/ ANDREW HARNIK
フリン米大統領補佐官辞任 政権発足前にロシア当局者と対ロ制裁について協議していたとの報道を受け
フリン氏によると、キスリャク大使とは、米大統領選挙にあたかもロシアが介入したということを理由とするロシア人外交官35人の米国からの追放について手短に議論したという。
フリン氏は「これは制裁には触れていない。話をしたのは追放された35人についてだ。これは結局こういうことになった。全体として会話は次のようなものだった-『私は何が起こったのかを知っています。我々は全てを調査します』。私は、我々が制裁を見直したり、あるいは何かそのようなことをするつもりだとは一度も言わなかった」と述べた。

Washington Free Beaconが多数の消息筋の情報として伝えたところによると、オバマ前米大統領政府のメンバーらは、トランプ新大統領の国家安全保障システムを妨害し、イランとの核合意を維持するために、何カ月にもわたってトランプ新米政権のフリン前米大統領補佐官の信用を失墜させる秘密の活動を展開していいた。

消息筋によると、オバマ政権で大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)を務めていたベン・ローズ氏を含むオバマ氏の支持者らは、イランとの核合意に反対したフリン氏の信頼を損なうことを目的とした資料をメディアに渡した。

消息筋によると、フリン氏はオバマ政権によって意図的に隠された核合意に関する数多くの詳細を公開する準備をしていたという。
https://jp.sputniknews.com/us/201702153345215/


 

ロシアの踊る女子学生たち ネット上で物議を醸す

ビデオクラブ
2015年04月15日 18:18(アップデート 2015年04月15日 21:24) 短縮 URL
3243331615
ロシア・オレンブルクの女子学生たちが、お尻を振るダンス「Twerk」を躊躇せずに踊っている動画が、インターネット上で人気を集めている。

https://www.youtube.com/watch?time_continue=2&v=IQbDmCKGtuU


ユーチューブでは、すでに再生回数800万回を突破した。これにロシアの大勢のネットユーザーたちが怒りをあらわにしている。

ユーザーたちは特に、女性学生たちが若いことや、学生たちの衣装が、オレンジと黒のゲオルギーのリボンを彷彿させる点を指摘している。

ロシアのパーヴェル・アスタホフ児童権利問題大統領全権代表は、自身のツイッターで、「このような『芸術』に法的評価を与えるのは難しい。しかし、道徳的には、無礼であると評価せざるを得ない」と指摘した。


一方で、この動画に非難されるような点はないと考えるユーザーもいる。動画に対するコメントでは、学生たちのTwerkに反対する人々と、問題はないと考える人々が激しい論争を繰り広げている。
なお、このような大きな反響を受けて、ロシア連邦捜査委員会が調査を開始した。

なお、調査が行われている間、Twerkを踊ったダンススクールKredoは、一時的に閉鎖される。伝えられたところによると、今後ダンススクールKredoは、Twerkの代わりにヒップホップあるいはバレエの教室になる可能性があるという。
https://jp.sputniknews.com/videoclub/20150415198222/
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/209.html

[経世済民119] インフレ失速意外でない−ブラジル政策金利10%割も 中国経済バブル化 英インフレ加速せず FRB,財政政策によらず利上げ

 

【インサイト】
インフレ失速意外でない−ブラジル政策金利10%割も
Marco Maciel
2017年2月15日 09:27 JST

関連ニュース
ソフバンク:米フォートレスを共同買収、投資能力強化−3800億円
東芝:銀行に支援要請へ−原発減損7125億円、今期末で債務超過に
イエレン議長:財政政策のいかんにかかわらず経済見通しは利上げ支持
日米の信用力が09年来の逆転、欧米の政治リスク回避で円債回帰も

ブラジルの1月消費者物価指数(CPI)の前月比上昇率は0.38%と、昨年12月の0.30%から上昇した。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)エコノミクスの予想(0.39%)とほぼ一致したが、ブラジル中央銀行の週間調査のコンセンサス(0.47%)とブルームバーグ集計のエコノミスト予想(0.42%)には届かなかった。
  1−3月(第1四半期)の月間平均CPIを0.35%を上回る水準に押し上げたインフレ圧力は季節要因に伴うもので向こう2カ月で弱まる見通しであり、今年上期のインフレ率は前年比で引き続き低下する可能性が高い。BIエコノミクスのシミュレーションに基づけば、この結果CPI上昇率の予想コンセンサスは短期的に押し下げられて年間4.64%から4.45%に下がり、政府目標の4.5%を下回る見込みだ。また大多数のエコノミストの今年末の政策金利予想も9.5%から9%に低下し、BIエコノミクスの予測を0.75ポイント下回る見通し。
  インフレの失速は意外ではない。物価圧力は輸送(バス料金、エタノール、ガソリン)や通信、上水道など規制価格の再調整から発生する。しかし、これらの値上げは季節的かつ短期的であるため、1−3月期のインフレ率は前年比で大幅な低下が続くと予想される。一方、 価格決定力が比較的大きい一部セクターには強力なインフレ圧力が根強く存在するが、それらのセクターは医療などほんのわずかだ。このような好ましいインフレ見通しは、中銀が政策金利を現行の13%から2月と4月に0.75ポイントずつ引き下げるという市場およびBIエコノミクスの予想を裏付けるものだ。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i5GU1dsIYmc8/v3/1200x-1.png

  中銀の週間調査は2月のCPI上昇率(前月比)が0.60%に加速することを示唆しているが、これは主に季節要因によるものであり、せいぜい1カ月半しか続かない見通しだ。BIエコノミクスが予測する2月のCPI上昇率は市場コンセンサスを0.1ポイント下回る0.5%となっており、物価への比較的強い影響のほとんどが教育費や授業料の変更など一時的要因によるものであることを考えると、中銀が政策金利を上期にさらに11%に引き下げ、年末までに9.75−10%とする余地は十分ある。BIエコノミクスのシミュレーションによると、月間のCPI上昇率がプラス方向で予想から外れた場合、今年の年間インフレ率と年末の政策金利のエコノミスト予測は修正されることになる。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i8BrLo6LJdL0/v4/1200x-1.png


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ianDHhfNbOf0/v3/1200x-1.png

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ixpP4SaIo6OU/v4/1200x-1.png

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ikkeLIrA4k4c/v3/-1x-1.png
原題:BRAZIL NOTE: Bullish Expectations and Inflation Outlook

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLCJKV6TTDSQ01
 


 

中国経済全体のファイナンス活動、1月に大きく拡大−予想以上
Bloomberg News
2017年2月14日 19:07 JST

経済全体のファイナンス規模は3兆7400億元−予想3兆元
新規人民元融資は2兆300億元−予想2兆4400億元

中国経済全体のファイナンス活動が1月に大きく拡大し、レバレッジ(借り入れ)縮小と資産バブル抑制を図る政策当局に新たな課題が突き付けられた。
  中国人民銀行(中央銀行)が14日発表した1月の経済全体のファイナンス規模は3兆7400億元(約62兆円)。ブルームバーグの調査では3兆元(中央値)と予想されていた。
  新規人民元融資は2兆300億元。予想中央値の2兆4400億元は下回った。マネーサプライ(通貨供給領)のM2は前年同月比11.3%増と、昨年12月と同じ伸び率となった。
  北ドイツ州立銀行(ノルトLB、ハノーバー)の中国担当チーフエコノミスト、フレデリック・クンツェ氏は、「資産バブルと債務水準増大を抑える中国の対策がうまくいくことを想像するのがますます難しくなっている」と述べた上で、「中国の金融市場がまだ構築の途上であることが示された」と指摘した。
原題:China Credit Surges to Record as Borrowing Binge Rolls On (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLCZDI6TTDS001


 

英国:1月のインフレ率1.8%、予想ほど伸びず−中銀目標に達せず
Fergal O'Brien
2017年2月14日 19:33 JST
Share on FacebookShare on Twitter
関連ニュース

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iHYQYgHrQ8J8/v2/-1x-1.png

ソフバンク:米フォートレスを共同買収、投資能力強化−3800億円
東芝:銀行に支援要請へ−原発減損7125億円、今期末で債務超過に
イエレン議長:財政政策のいかんにかかわらず経済見通しは利上げ支持
日米の信用力が09年来の逆転、欧米の政治リスク回避で円債回帰も

英国では1月にインフレがエコノミスト予想ほどは加速しなかった。衣料品の値引きのため、イングランド銀行(英中央銀行)の目標に達しなかった。
  英政府統計局(ONS)が14日発表した1月の消費者物価指数 (CPI)は前年同月比1.8%上昇とブルームバ ーグがまとめたエコノミストの予想中央値の1.9%に届かなかった。昨年12月の上昇率は1.6%だった。1月のコアインフレ率は1.6%で、前月と同水準。

  燃料コスト上昇とポンド安が相まって、インフレ率は英中銀が目標とする2%を近く超える見通しだ。一部エコノミストは年内に3%に達すると見込んでいる。生産者物価の仕入価格は2008年以来の大幅上昇となり物価圧力が高まる兆候を示した。
  この日の発表によると、衣料品価格が1月に前月比4.2%下落し、年間ベースの上昇率はゼロとなった。総合インフレ率を押し上げたのは自動車燃料。食料品価格の下落率はここ2年余りで最小だった。
  1月の輸入物価は前年同月比で20%余り上昇し、2008年以来の高い伸びを記録。原油は88%値上がり。21世紀に入ってから最大の上げを演じた。
原題:U.K. Inflation Rate Rises Less Than Expected, Stays Below 2% (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLCZ7A6K50XS01


 

イエレン議長:財政政策のいかんにかかわらず経済見通しは利上げ支持
Christopher Condon、Craig Torres
2017年2月15日 09:10 JST
関連ニュース
ソフバンク:米フォートレスを共同買収、投資能力強化−3800億円
東芝:銀行に支援要請へ−原発減損7125億円、今期末で債務超過に
日米の信用力が09年来の逆転、欧米の政治リスク回避で円債回帰も
ゴールドマン、投資銀バンカー100人が2016年のボーナスなし−関係者

• 財政政策をめぐる臆測は金利判断のベースでない−上院銀行委で証言
• 「緩和解除を長く待ち過ぎるのは賢明でない」と、景気への影響指摘

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、トランプ大統領が減税や財政出動でどんな行動を取ろうとも、利上げを今年の使命とする姿勢を示唆した。
  14日に上院銀行委員会の公聴会で質問に応じたイエレン議長はこの点を明確にし、利上げするに当たってトランプ政権による財政刺激策の計画を待つ必要はないと指摘。財政政策をめぐる「臆測は、現在の金利に関する当局の判断のベースではない」と述べ、米経済の「力強い前進」こそ「当局の政策決定を主導する」要因だと強調した。
  1年前に比べると微妙ながらも重要な情勢変化が見られる。連邦公開市場委員会(FOMC)は当時、昨年中に計4回の利上げを予想していたが、3月までには世界経済の状況を懸念し始めており、結局、12月に1回利上げしただけだった。
  今年3回の利上げを予想するFOMCの確信の源泉には、上振れと下振れのリスクが同程度と受け止められるとの認識の変化がある。企業景況感の指標は上向いており、投資増強につながる可能性がある。FOMCは昨年12月、労働市場の改善が完全雇用と見なす水準よりも若干進めば、インフレを多少勢いづかせる可能性があるとの見通しを示していた。
  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏(ニューヨーク在勤)はイエレン議長発言について、今年前半の1回の利上げ見通しに一致する内容だと語り、失業率が低下方向にあることを踏まえると、「議長にとって重要なのはインフレリスクだ」と分析した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/icFO6dcv.Yvg/v2/-1x-1.jpg

  イエレン議長は、インフレ高進の抑制で後手に回れば米経済にはマイナス面の方が大きくなり、景気拡大を早めに終わらせる事態になりかねないとの認識をあらためて表明。「緩和解除を長く待ち過ぎるのは賢明ではない。待ち過ぎればFOMCは最終的に急速なペースでの利上げを迫られる可能性があり、金融市場を混乱させ経済をリセッション(景気後退)に追いやる恐れがある」と述べた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i12SYPNHxQM8/v1/-1x-1.png

原題:Fiscal Policy or Not, Yellen Says Outlook Supports Raising Rates(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLDXP86S972801


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/215.html

[国際18] トランプ米大統領、前政権の反汚職ルールを廃止−議会決議案に署名 米ゴールドマン・サックス株が最高値更新−トランプに期待 
トランプ米大統領、前政権の反汚職ルールを廃止−議会決議案に署名
Catherine Traywick
2017年2月15日 12:46 JST
議会評価法が16年ぶりに活用され、資源会社への規制が廃止された
トランプ大統領は他の多くのルールも撤廃する意向示す

トランプ米大統領は14日、オバマ前政権時代に公布された汚職対策ルールを撤廃する議会決議案に署名した。連邦政府が公布した主要規則をその施行前に評価する権限を議会に付与する議会評価法が16年ぶりに活用された。
  トランプ大統領の署名によって廃止が決まったのは石油・天然ガスなどの資源会社に外国政府への支払いを開示するよう義務付ける規則。2010年金融規制改革法(ドッド・フランク法)の下で米証券取引委員会(SEC)がまとめた。今回のルール以外にも、議会は鉱山の下流河川の汚染防止ルールなどオバマ政権時代に公布された他の規則の撤廃も検討している。
  トランプ大統領は署名式典で記者団に対し、「これは多くの案件の1つだ。ほかにも多くが残っており、多数の雇用を取り戻せる」と語った。
  今回の規則撤廃はエクソンモービルやシェブロンなど米大手石油会社に恩恵をもたらし得る。石油業界団体の米石油協会(API)のジャック・ジェラード最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「トランプ大統領の議会評価法に基づく署名は米国の競争力と雇用にとって歓迎すべき前進だ」と表明した。
原題:Trump Repeal of Obama SEC Regulation Signals More to Come (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLE8RO6TTDSF01


 
米ゴールドマン・サックス株が最高値更新−トランプ政権に期待
Dakin Campbell
2017年2月15日 06:21 JST 更新日時 2017年2月15日 08:04 JST
昨年11月の米大統領選以降では37%上昇、ダウの値上がりを主導
選挙戦でゴールドマン批判のトランプ氏、同社出身者を多数起用

14日の米株式市場でゴールドマン・サックス・グループの株価が上昇し、最高値で取引を終えた。トランプ政権の主要ポストに同社の元幹部が就任し、米政府が法人税率を引き下げ、規制を緩和するなどの楽観的な見方から買われた。
  同社株は1.3%高の249.46ドルで通常取引を終え、2007年終盤に記録した終値ベースの最高値を更新した。昨年11月の米大統領選でのトランプ氏当選以降では37%の上伸と、ダウ工業株30種平均の値上がりを主導している。
  投資家の間では、トランプ政権が金融危機後に導入の規則を撤廃し、米金融業界への最も激しい批判の声を退けて、インフレ加速や長期金利の上昇促す政策を追求すれば、米大手金融機関が一段の増益を計上し、株主への還元も増やせるとの期待が広がっている。
  選挙戦で米政界におけるゴールドマンの影響力を繰り返し攻撃してきたトランプ氏だが、昨年12月にホワイトハウスの国家経済会議(NEC)委員長に同社のゲーリー・コーン社長(当時)を起用。今月13日には同社パートナーだったスティーブン・ムニューチン氏が財務長官に就任した。
  同社出身者ではこのほか、慈善投資責任者を務めたディナ・パウエル氏が大統領補佐官、20年余り前に退社したスティーブン・バノン氏が首席戦略官として政権入りしている。さらに、現在同社でマネジングディレクターを務めるジム・ドノバン氏も加わる可能性がある。
原題:Goldman Stock Hits Record on Bets Trump Will Unleash Wall Street(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-14/OLDVB76K50XV01
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/211.html

[戦争b19] コラム: 北朝鮮の核問題、トランプ政権下で最悪の事態も 核・ミサイル開発を制止することは無理
コラム:
北朝鮮の核問題、トランプ政権下で最悪の事態も

 
 2月13日、現在、北朝鮮と対峙するトランプ大統領だが、同国の核・ミサイル開発を制止することは無理だと判明するかもしれない。写真中央は、北朝鮮の指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長。KCNA提供(2017年 ロイター/Handout via Reuters)


Peter Apps

[13日 ロイター] - ジョージ・W・ブッシュ元米大統領は、結局は存在しなかった大量破壊兵器を保有しているとしてイラクに侵攻した。オバマ前大統領は、イラクによる原子力爆弾の開発を阻止するため、サイバー兵器と制裁を用いた。

現在、北朝鮮と対峙するトランプ大統領だが、同国の核・ミサイル開発を制止することは無理だと判明するかもしれない。それは同大統領にとって最初の、そして恐らく決定的な国際危機となる可能性がある。

歴代大統領がうまく対処できなかった北朝鮮の核問題は、今やトランプ大統領の手に委ねられた。その間、北朝鮮は、破壊困難あるいは迎撃困難な、かつてないほど危険な兵器システムの開発を続けてきた。

トルーマン大統領の時代から、北朝鮮は米国にとって悩みの種だった。朝鮮戦争では、核対立を招く危機寸前にまで迫った。マッカーサー元帥が中国と北朝鮮の敵軍に対し核兵器を使うことを、ホワイトハウスは阻止したのだった。現指導者である金正恩・朝鮮労働党委員長の下で、北朝鮮はその当時以来、最も危険なポイントに到達している。

ワシントンの外交政策専門家らは、多くの点でトランプ大統領とは意見を異にする。大統領は間違った移民政策を取り、ロシアには手ぬるく、中国に対しては危険なほど強硬姿勢に出ていると、彼らは考えている。一方、北朝鮮に関しては、現実的な解決策がないことから、専門家も大統領も同じ穴のむじなである。

これは、誰もが来ることを予想していた危機だ。日本の安倍晋三首相が、大統領就任前のトランプ氏を訪れるなど、ご機嫌取りに必死なのもそのためだ。北朝鮮が12日に新型の中距離弾道ミサイル発射実験を実施したとき、安倍首相は再びトランプ氏と共に過ごしていた。今回は、フロリダ州にある同氏の別荘「マール・ア・ラーゴ」に滞在し、ゴルフをしながら親睦を深めていた。

また、マティス国防長官が最初の公式訪問先として日本と韓国を選んだことも北朝鮮が理由である。トランプ氏が大統領選で何を言ったとしても、マティス長官の最優先事項は、米国がとりわけ日本と韓国と共にあることを両国に安心させることだった。

北朝鮮が初めて核実験を行ったのは2006年。そこまで到達した唯一のイラク型、あるいはイラン型の「ならず者国家」となった。以来、核爆弾だけでなく、それを搭載するミサイルの開発を続けている。

北朝鮮の最終目標は、米国本土を攻撃する能力を有することだ。トランプ氏はツイッターで「起こらない」と強弁するが、今のところ、それを阻止する計画を誰かが持っている兆候はほとんどない。

自殺行為となるような一方的な攻撃を仕掛けることが北朝鮮の野望ではない。狙いは、イラクやリビアのような「政権交代」を防ぐための抑止力を手に入れることだ。

そのためにはまず、少なくとも日本を射程圏内に収める地上配備型の核弾頭搭載ロケットが複数必要だ。実験はこうした目的の実現性を高める。

やや長期的には、北朝鮮は通常動力型潜水艦の小艦隊にロケットと弾頭を装備する能力獲得を目指すだろう。これらは沖合や山岳地帯の海岸線に配備できるため、追跡したり破壊したりするのが困難である。また、位置の特定が予測不可能であることから、ロケットが発射された場合の迎撃が一段と困難となる。

米国の行動が、そうした野望をひどく妨げたということはない。イラク戦争後、北朝鮮の核開発を減速させようと当時のブッシュ大統領が行った金融支援や、制裁強化による脅しは、ある程度は有効だった。北朝鮮は、寧辺核施設の冷却塔を破壊さえした。

それでも北朝鮮が2006年に実施した核実験を阻むには十分ではなかった。父の金正日総書記が死去し、2011年に金正恩氏が指導者となって以来、同国は核の野望にひたすらまい進している。

イランの核開発プログラムに対して用いたコンピューターウイルス「スタックスネット」の成功を受け、オバマ前政権は北朝鮮に対し同様の策を試したとみられるが、イランほど成功したとは言えないようだ。そのような秘密工作が続けられている可能性はあるが、十分ではないかもしれない。

1990年代のクリントン大統領に続くこれまでの大統領は、空爆やミサイル攻撃のような直接行動を取る選択肢を提示されてきた。だが、そうした手段がどれくらい成功するかは分からない。米国と韓国の標的を攻撃するのに、とりわけ核を用いない従来のミサイルを使用して応戦する方法に北朝鮮は事欠かない。人口1000万人以上の韓国首都ソウルは、北朝鮮の機関砲の射程距離内にある。

米国が今検討できる選択肢の1つは、今後起こり得る北朝鮮のミサイル発射実験を、同地域に配備する弾道弾迎撃ミサイルの一部で阻止しようとすることだ。12日の発射実験では実現しなかったが、それは今回の実験が北朝鮮の領土のほぼ上空かその付近という比較的短い距離であったことが一因だろう。

長距離ミサイルを迎撃しようとする方が簡単だが、それが成功する保証はまったくない。失敗すれば、基本的に米国は北朝鮮のミサイルを迎撃する能力がないと宣伝する羽目に陥り、地域の不安を高めることになりかねない。

また、いかなる米大統領にとっても、迎撃失敗がもたらす政治的影響は計り知れない。

そうなると、中国を通じて圧力をかけるというような外交的選択肢が残される。

中国の経済支援は北朝鮮の存続に不可欠であり、トランプ大統領と中国の習近平国家主席との初の電話会談で、北朝鮮問題が話し合われた可能性は高い。とはいえ中国は、北朝鮮の崩壊を招き、韓国軍や米軍兵士が自国の国境沿いに配備される事態を生じかねない、どんな行動にも消極的である。

中国はまた、北朝鮮を弱体化させるために同国が何かをすれば、体制の崩壊を早め、核戦力で反撃に出てくる危険をもたらす可能性があるとずっと主張してきた。

米国までは到達できないとしても、北朝鮮にはさまざまな標的となり得る場所がある。そのなかには、韓国だけでなく、グアムにある米軍基地なども含まれる。とりわけ第2次世界大戦での残虐行為に対する怒りが消えていないことから、日本が標的になる可能性が最も高い、と多くの専門家は考えている。

そうした脅威はやがて、日本を独自の核兵器保有へと向かわせるかもしれない。そうなれば中国は反発し、地域が一段と不安定化することはほぼ間違いないだろう。

「取引という芸術」の達人だと自身を捉えている節のあるトランプ大統領は、北朝鮮の指導者と会う可能性を示している。大統領にとって問題なのは、行うべき取引がないかもしれないことだ。このような状況は、危険を増すばかりである。恐らくは、本当に激変するような何かが起きるまでは。

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 

おすすめ記事


コラム:米中対立の副産物、トランプ円高到来か=佐々木融氏 2017年 01月 15日
〔マーケットアイ〕外為:ドル114円前半で小動き、個人投資家は取引レンジ狭める 2017年 02月 15日
コラム:ソフトバンクの巨大ファンド、ハイテクバブル増幅へ 2016年 10月 17日
http://jp.reuters.com/article/column-nk-trump-nuke-idJPKBN15U08A


 

http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/675.html

[国際18] FRB議長、トランプ氏に規制緩和反対のメッセージ バレンタインデーの日に

 
コラム:
FRB議長、トランプ氏に規制緩和反対のメッセージ

Tom Buerkle

[ニューヨーク 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領は選挙中、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長を好ましく思わない態度を露骨に表した。そしてイエレン氏はまさにバレンタインデーの日に、そうしたトランプ氏の感情にきっちりと「返礼」をした。

上院銀行住宅都市委員会における証言で、金融危機後の規制改革について、銀行を強じんにして融資を活発化させたと強く擁護したのだ。トランプ氏は空席のFRB理事を埋めることはできるだろうが、金融規制改革の撤廃となると次のFRB議長の登場まで待つ必要があるかもしれない。

トランプ氏は今月、財務長官に経済成長促進の観点から金融規制を見直すよう記した大統領令に署名した。ゴールドマン・サックス(GS.N)前社長で米国家経済会議(NEC)委員長に就任したゲーリー・コーン氏は最近、2010年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)やその他の規制を政権が緩和する意向だと表明し、銀行融資の足かせになっている点を理由に挙げている。

しかしイエレン氏は、控えめな表現ながらもこうしたコーン氏の見解に反論した。イエレン氏が引用したのは、2010年以降に商工業融資が75%余りも増加し、2兆1000億ドルに達したというデータだ。さらに全米独立企業連盟(NFIB)が最近行った調査で、小規模企業のうち資金調達が最大の問題と回答した割合がわずか2%だったことも指摘した。

イエレン氏は、規制が過度の負担となって米銀が競争力を失っているというコーン氏の主張も否定。逆に資本基盤が強化されたことで、米銀は利益と企業価値が増大し、欧州のライバルから市場シェアを奪取できたという面で「競争上の優位をもたらしている」と説明した。

イエレン氏が資本に重点を置く発言をしたことで、同氏が守ろうとしている部分が浮かび上がってくる。言及されなかった銀行の自己勘定取引を制限したボルカー・ルールなどは対象外ということだろう。

一方、今回の証言ではイエレン氏と共和党議員がお互いの立場をある程度確認することができた。イエレン氏にとっては、政策金利決定においてテーラー・ルールのような厳密な枠組みよりもFRB独自の裁量を持つことが優先事項だ。共和党議員は、中小銀行のために政策金利決定ルールはもっと分かりやすくすべきだと強調した。

FRB理事は現在空席が2つあり、規制担当のタルーロ理事が4月に退任する。ただしイエレン氏の議長任期が終わるのは、フィッシャー副議長とともに来年だ。トランプ氏がFRBを変える本当のチャンスはその時になるだろう。

●背景となるニュース

*イエレン議長は14日、金融危機以降に導入した規制改革措置を強く擁護し、米銀はしっかりと資本が備わり、欧州のライバルから市場シェアを奪って、かつてないほど融資を実行していると指摘した。

*イエレン氏はまた、政策金利決定におけるFRBの裁量的なアプローチの妥当性も主張。共和党議員の一部が提唱する、需給ギャップと結び付けるいわゆるテーラー・ルールのような機械的なやり方に基づくと、望ましい政策金利は現行の0.5─0.75%よりずっと高い3.5─4%になると説明した。

*イエレン氏は、トランプ政権の財政政策が金融政策に及ぼす影響を判断するのはまだ早過ぎるとしながらも、連邦公開市場委員会(FOMC)は今後の会合で利上げする公算が大きいとの考えを示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

ロイターをフォローする
おすすめ記事


〔マーケットアイ〕外為:ドル114円前半で小動き、個人投資家は取引レンジ狭める 2017年 02月 15日
保育園「騒音」の請求棄却、神戸 2017年 02月 09日
訂正:今日の株式見通し=続伸、米国株高を背景に昨年来高値を試す 2017年 02月 14日
http://jp.reuters.com/article/usa-fed-breakingviews-idJPKBN15T34E?sp=true
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/214.html

[経世済民119] ドル円相場だけが間違っている 円高予想の蔓延がもたらす投資機会  ブラックロックCEO悩ます「不吉な影」  債券先物上昇
ストラテジーレポート
配信日:2017年2月14日

チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、実践的な株式投資戦略をご提供します。
広木 隆が投資戦略の考え方となる礎を執筆しているコラム広木隆の「新潮流」はこちらでお読みいただけます。
ドル円相場だけが間違っている広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)

人間は自分の信じたいことを信じたがる。(ユリウス・カエサル)
昨年9月22日付のブログ Dance With Market 「FOMCを終えて - 円高だけがおかしい」で書いた状況の再現である。株も債券もリスクオンに傾いているのに為替だけが円高気味で動かない。
米国株式市場は活況に沸いている。ダウ平均が3日続けて過去最高値を更新し、ナスダック総合とS&P500種株価指数もそろって最高値を付けた。付け加えるなら小型株の指数であるラッセル2000も最高値更新。この株式市場の「4冠」達成を、僕はUSA TODAYの表現を借りて、「SUPERFECTA」と呼んでいるけれど、FT(Financial Times)は「グランドスラム」と表現していた。次期iPhoneへの期待からアップルが終値ベースの最高値を更新したことが話題だ。その一方で小型株指数のラッセル2000も最高値更新。時価総額最大の企業から小型株まで、まんべんなく買われているということだ。
米国株高の背景は言うまでもなく、トランプ大統領の政策期待だ。トランプ大統領は先日'phenomenal' (驚くべき)税制に関する発表を2〜3週間のうちにおこなうと発言した。2〜3週間と言えば28日に予定されている議会での演説に合わせて発表するつもりなのだろう。その演説は例年、大統領が1月におこなう一般教書演説に相当するものだ。詳細までは詰められないだろうが、トランプ大統領が掲げてきた政策が、米国の議会というオフィシャルな場に初めて提示される。それを先取りする形で米国の株式相場は上昇し、債券は売られ金利が上昇している。動いていないのは為替だけだ。これは昨年9月のブログで述べたのと同様に、今回も為替市場だけが間違っている可能性が高い。前回同様、いずれ修正を迫られるだろう。
日米首脳会談が両国の良好な関係を前面に打ち出して無難に終了したこともあって、週初の日経平均は一時節目となる19500円を上回った。今日は東芝の悪材料と、国家安全保障担当のフリン米大統領補佐官辞任のニュースもあって午後から下げ幅を広げたものの、それでも日経平均はほぼ昨年来高値圏にあるのに対してドル円は昨年12月と今年年初につけたダブルトップ118円台後半から5円も円高水準にある。逆に言えば円安の追い風が無くても日本株は堅調さを保っているということだ。
ドル円と日本株の相関はいまさら説明するまでもないが、最近は為替と株価の乖離が目立つ。局所的な動きは別として、あまり為替に左右されなくなってきた。「為替離れ」とも言える。

背景は上場企業の業績改善である。今週で3月決算企業の4-12月期決算が出そろう。上場企業の今年度業績は2期ぶりに最高益を更新する見通しだ。円高の影響で売上高こそ減収となるが、高付加価値の製品・サービスで採算が改善する。円高という逆風を跳ね返して企業の稼ぐ力が高まっている格好だ。
先週土曜日の日経新聞は、上場企業の売上高純利益率が今期初めて4%を超えそうだ、と報じたが、東証1部上場の全銘柄ベースでは既に14年度から4%台に乗せている。アナリスト予想の平均であるクイックコンセンサスによれば、東証1部上場全銘柄の売上高純利益率は4.5%と過去最高になる見通しだ。
ROE(自己資本利益率)も2期ぶりに8%台に乗りそうだが、14年度に8%を超えたときより売上高純利益率が高まっており、理想的なROEの改善と言える。日本企業のROEは欧米企業に比べれば見劣りするし、8%ではやっと「伊藤レポート」の最低要求水準に達しただけだ。それでも日本企業のROEの低さの問題点である、利益率の低さ=本業の稼ぐ力の弱さがやっと改善に向かう兆しが出てきた。不採算部門から撤退を含む事業再編など合理化を進めた結果が数字に少しずつ表れてきた。
     
上場企業が為替動向に左右されずに稼ぐ力をつけてきているのだから、株価も為替の影響を受けにくくなるのは当然だろう。
過去のレポート
2017年2月14日
ドル円相場だけが間違っている
2017年2月1日
天動説を信じますか? トランプ大統領の暴言は無視するべき
2017年1月26日
NYダウ平均、史上初の2万ドルの大台へ
2017年1月19日
調整一巡 トランプラリー第二幕のスタートへ 後講釈と後知恵バイアス
2016年12月26日
2017年 相場予測 PART3  大きな時代の転換点 チャンスとリスク
https://info.monex.co.jp/report/strategy/index.html 


 


 
コラム:円高予想の蔓延がもたらす投資機会

村上尚己アライアンス・バーンスタイン(AB) マーケット・ストラテジスト
[東京 15日] - 年明けの118円台から2月初旬の111円台まで大きく下落したドル円相場はここ数日、落ち着きを取り戻し、112―114円台のレンジ内で推移している。トランプ米政権への期待(景気刺激策)に基づくドル高圧力と懸念(保護主義政策)に起因するドル安圧力が拮抗している格好だ。

筆者は、1月17日付のコラムで、「米保護主義政策への懸念を背景とする年初からのドル円下落は長期化しない」と述べた。実際、現段階ではその通りの展開となっている。

振り返れば、日本のエコノミストや為替アナリストの多くは、昨年11月のトランプ氏の大統領選勝利に前後して、ことあるごとに「円高リスク」を吹聴してきた。筆者はそのたびに、円高予想が跋扈(ばっこ)すること自体が大きな投資機会をもたらすとの見解を述べてきたわけだが、実際に悲観論が蔓延していたタイミングがリスク資産の押し目買いの好機となったことは明らかだろう。

そして、足元でも同じような機会が生じている。国内のエコノミストや為替アナリストの多くが相も変わらず「円高リスク」を唱えているためだ。今度は「米中対立」に起因するドル安懸念、そして10日に行われた日米首脳会談と結び付けた円高懸念などが取り沙汰されている。

もちろん、トランプ政権が保護主義政策を打ち出しているのは事実だ。ただ、実際にドル安が進むかどうかは、米経済が減速し、2016年9月までのように米連邦準備理事会(FRB)が利上げを中断するかどうかにかかっている。

この点については、トランプ政権が掲げる財政拡張(減税やインフラ投資)の有無が決定的に重要な鍵を握ると見ている。財政拡張が実現すれば、成長率は押し上げられ、FRBの利上げが継続し、2%インフレ目標達成に向けて追い風となるだろう。ちなみに、筆者は、米経済はまだ完全雇用に達していないと分析している。よって、財政拡張によるバブル発生の懸念も現時点では杞憂だと考える。

一方、ミクロ政策に限定されると見ている保護主義政策は特定セクターに影響を及ぼす可能性はあるが、ドル円のすう勢には影響しない。以上の筆者の見方は、実はトランプ大統領当選直後から全く変わっていない。

また、衰退産業への保護政策の本質は外国との競争ではなく国内の分配問題だ。トランプ大統領が長期政権を目指すならば、そのことをいずれ理解するのではないか。

<初の日米首脳会談に高望みし過ぎ>

さて、10日の日米首脳会談は、大統領別荘地でのゴルフを通じてトランプ大統領と安倍晋三首相が濃密な時間を過ごしたということだけでも、両国の外交・安全保障関係が強まる点で、心配性な市場参加者を安堵させたのではなろうか(筆者にとってはほぼ想定通りだ)。

そして、経済問題に関する日米対話の新たな枠組み作りについて、麻生太郎副総理と、日本の自動車工場が多いインディアナ州知事だったペンス副大統領のリーダーシップに委ねる格好となったのも望ましい流れだろう。

ところが、「円高リスク」をことさら唱えるエコノミストやアナリストには、どうやら違う風景が見えているようだ。今回の日米首脳会談では「円安批判は封印されただけ」などとの声が聞こえてくる。

確かにドル円相場で2月初旬に一時、111円台まで円高に動いた背景には、トランプリスクへの懸念があったのかもしれないが、今回の会談はトップ同士の信頼関係を高め、そして安全保障体制を確認することが主たる目的だった。また、米国では経済閣僚人事の任命が遅れていた。そうした中で、トランプ大統領の口から直接「円安批判」が飛び出すという懸念そのものが、そもそも行き過ぎだっただけのことだろう。

円高派の指摘の中で特に納得がいかないのは、安全保障面では強固な同盟を確認するという成果があったものの、最大の懸案事項である通商・為替など経済問題では、摩擦を避けたがゆえに、多くの不透明要素が残った、といった論調だ。

筆者は、「日米中の安全保障動向が経済活動を揺るがす」リスクシナリオを一応念頭に置いているので、円高派の理屈には違和感を覚える。不透明要素が残ったなどという批評は、初の日米首脳会談に高望みし過ぎではないか。

また、一部では、トランプ大統領の暴走を日本は防ぐべきなどという論調も聞かれるが、(是非はともかく)トランプ政権は国民に示した公約を忠実に実行しようとしているだけだ。他国の内政に首を突っ込むような役回りを安倍政権に求めるのは筋違いだろう。

確かに、今後もトランプ大統領が、自国製造業への配慮をアピールするため、ドル安誘導を想起させる言動をソーシャルメディア上などで発信する可能性は否めない。そうした場面では、ドル安に振れるかもしれない。とはいえ、真の円高リスク(トランプ政権の機能不全で米経済が減速する兆候)が現時点ではほとんど見られない以上、政治リスクに起因するドル安円高は、2016年のようには長続きしないだろう。

日米首脳会談後も日本の大手メディアやエコノミスト・アナリストの論調がどちらかと言えば円高方向の相場観に傾いていることを踏まえれば、外貨建て資産などリスク資産全般についてリターンの上ぶれ余地が期待できると筆者は見ている。

*村上尚己氏は、米大手運用会社アライアンス・バーンスタイン(AB)のマーケット・ストラテジスト。1994年第一生命保険入社、BNPパリバ、ゴールドマン・サックス、マネックス証券などを経て、2014年5月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

ロイターをフォローする
おすすめ記事


コラム:日米中銀悩ますシムズ案とトランプ政策=永井靖敏氏 2017年 02月 03日
コラム:トランプ氏の円安誘導批判は「空砲」=池田雄之輔氏 2017年 02月 06日
コラム:日銀は長期金利目標を引き上げるか=河野龍太郎氏 2017年 01月 18日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-naoki-murakami-idJPKBN15U0FJ?sp=true


 

 

ブラックロックCEO悩ます「不吉な影」−債券トレーダー心理代弁か
Brian Chappatta
2017年2月15日 15:28 JST

関連ニュース
日本株は反発、米金利上昇と円安を好感−保険株指数は1年半ぶり高値
ソフバンク:米フォートレスを共同買収、投資能力強化−3800億円
東芝:3月末までの融資継続を要請、主力行は支援表明−関係者
ゴールドマン、投資銀バンカー100人が2016年のボーナスなし−関係者


米国債利回りはある程度まで上昇するとブラックロックは予想
米国債相場はレンジ取引となりトランプトレードは宙に浮いた状態に

「I’m pretty confused.(私はかなり困惑している)」と米ブラックロックのローレンス・フィンク最高経営責任者(CEO)は先週述べたが、この3つの言葉は、多くの債券トレーダーの心理をうまく代弁している。

  グローバル・リフレーショントレードは最近数週間ほとんど動きがなく、米国の10年国債利回りは昨年12月に約2年ぶりの高水準に達した後、年明け以降は25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)のレンジで推移している。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が、利上げを長く待ち過ぎることは「賢明」ではないと14日の上院銀行委員会で証言したが、このレンジが揺らぐことはなかった。

  世界最大の資産運用会社であるブラックロックのグローバル・チーフ投資ストラテジスト、リチャード・ターニル氏と、グローバル債券の最高投資責任者(CIO)を務めるリック・リーダー氏は、リフレーションが今後数カ月にわたり市場のテーマであり続けるとの同社の見通しを示したが、「不吉な影」を予感させるフィンク氏の発言は、グローバル経済を悩ますデフレ圧力という亡霊を想起させる。

  インフレ期待の指標である米国10年国債と同年限のインフレ連動国債(TIPS)との利回り格差(ブレークイーブンレート)は約2%と、2014年以来の高水準に近づいており、iシェアーズ米国物価連動国債上場投資信託(ETF)への資金流入額を見る限り、投資家は、昨年11月の大統領選直後以来のペースでインフレ高進に備える金融商品を購入している。

  ブラックロックは3カ月の見通しに基づき、通常の米国債をアンダーウエートにするよう勧めている。しかし、フィンク氏は8日開かれたヤフー・ファイナンス・オールマーケッツサミットで、10年国債の利回りは4%に上昇することもあり得るだろうが、2%を下回る水準に低下する可能性も高いと発言。技術革新に加えて、国際貿易が崩壊する危険は、デフレのリスクが今も残っていることを意味していると語った。
原題:Fink’s BlackRock Captures Struggle With Reflation and Stagnation(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLEGDZ6K50XS01

 


きょうの国内市況(2月15日):株式、債券、為替市場
Bloomberg News
2017年2月15日 16:42 JST

関連ニュース
日本株は反発、米金利上昇と円安を好感−保険株指数は1年半ぶり高値
FILE PHOTO: Pedestrians walk past a SoftBank Group Corp. store in Tokyo, Japan, on Tuesday, May 9, 2016. SoftBank on July 18, 2016, agreed to buy ARM Holdings Plc for 24.3 billion pounds ($32 billion), securing a slice of virtually every mobile computing gadget on the planet and future connected devices in the home. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

ソフバンク:米フォートレスを共同買収、投資能力強化−3800億円
Signage for Toshiba Corp. is displayed atop the company's headquarters in Tokyo, Japan, on Monday, Jan. 23, 2017. Toshiba's shares climbed the most in three weeks on Monday after reports that the companys plan to sell a stake in its chip unit is drawing attention from possible investors. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

【インサイト】沈没しつつある東芝、宝物を放出して救うのは正しい
ブラックロックCEO悩ます「不吉な影」−債券トレーダー心理代弁か


国内市況の指標はここをクリックしてご覧下さい。過去の国内市況の記事はこちらです。
●日本株は反発、米金利上昇と円安を好感−保険株指数は1年半ぶり高値
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京株式相場は反発。連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言で米国の早期利上げ観測が広がり、米長期金利の上昇や為替のドル高・円安が好感された。業種別上昇率トップの保険株を中心に金融セクターの上げが目立ち、商社や化学、不動産、機械株など幅広い業種が高い。
  TOPIXの終値は前日比14.57ポイント(0.9%)高の1553.69、日経平均株価は199円(1%)高の1万9437円98銭。日経平均は一時、250円以上上げる場面があった。
  ニッセイアセットマネジメントの西崎純チーフ・ポートフォリオ・マネジャーは、「FRB議長発言を受け、市場は米国の年3回利上げを確信、多少懐疑的だった向きは軌道修正を強いられた。1回目の利上げは3月だろう」と予測。日本株は、「業績安心感とそれを支える米景気順調が重なり、投資しやすい環境になっている」と話した。
  東証1部33業種は保険、卸売、銀行、パルプ・紙、証券・商品先物取引、化学、不動産、非鉄金属、機械など29業種が上昇。電気・ガス、その他製品、ゴム製品、鉄鋼の4業種は下落。東証1部の売買高は21億459万株、売買代金は2兆2945億円。上昇銘柄数は1385、下落は500。
  売買代金上位では三菱UFJフィナンシャル・グループや三菱商事、東京海上ホールディングス、第一生命ホールディングスが高く、米投資会社を買収するソフトバンクグループも堅調。今期営業利益計画が予想を上回った東洋ゴム工業、今期の増配計画と自社株買いを受けた電通は急伸した。半面、今期末に債務超過になる見通しを示した東芝は大幅続落。今期3割を超す営業減益計画の住友ゴム工業も売られ、任天堂や楽天、ディー・エヌ・エー、シマノも安い。

●債券先物は上昇、日銀オペ下支えや中期需給引き締まり−超長期も戻す
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  債券市場では先物相場が上昇。前日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長発言を受けた米国債相場の下落で売りが先行した後、日本銀行による中長期ゾーンの国債買い入れオペが下支えした。特に中期債は需給の引き締まりから堅調に推移した。
  長期国債先物市場で中心限月3月物は前日比7銭安の149円79銭で取引を開始した。日銀買いオペ通知に向けて横ばい圏に戻し、午後は149円94銭と日中取引で9日以来の高値を付けた。結局は4銭高の149円90銭で引けた。
  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「5年ゾーンのオペ結果が強く、先物が買われ、10年や超長期の金利も抑えられた」と指摘。「米国では利上げ織り込みが進んだような形で金利が上昇したが、国内では中期債など需給が引き締まっている。5年債は前日の入札でショートをやや解消したが、売りが出る感じではない」と言う。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)高い0.10%と1週間ぶりの水準で取引を開始し、午後は0.09%に戻した。新発5年物国債130回債利回りは1bp低下のマイナス0.105%まで買われた。2年物373回債利回りは1.5bp低いマイナス0.24%と、新発として1月25日以来の低水準を付けた。
  日銀はこの日、残存期間「1年超3年以下」と「3年超5年以下」、「5年超10年以下」を対象とした長期国債買い入れオペを実施した。買い入れ額は全て前回と同額。応札倍率はいずれも3倍台に上昇したが、按分利回り差が「3年超5年以下」でマイナス0.004%、「1年超3年以下」はマイナス0.012%になった。
  現物債市場の超長期ゾーンでは、新発20年物国債159回債利回りが1.5bp高い0.71%を付けた後、0.695%に戻した。新発30年物53回債利回りは1.5bp上昇の0.905%で始まった後、0.89%を付ける場面があった。

●ドル・円が上昇、イエレン米FRB議長発言が支え−114円台半ば
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京外国為替市場のドル・円相場は上昇。前日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を受けた米金利の上昇を背景としたドル買い・円売りの流れが続いた。
  午後4時29分現在、ドル・円相場は前日比0.3%高の1ドル=114円56銭。仲値公表が集中する午前10時前後にかけて一時114円51銭を付けた後に伸び悩む場面があったが、欧州市場に向けて114円59銭まで上値を拡大した。
  バークレイズ証券の門田真一郎シニア為替・債券ストラテジストはイエレン議長の議会証言について、「市場が年3回の利上げシナリオをあらためて確認するものになった」とした上で、「すでにトランプ米大統領の『驚異的な』減税策発言でドルが上がっていただけに、ドル買いになりやすい地合いにあった」と説明。一方で、「米利上げについても減税政策の詳細が重要になる」とし、「28日に予定されている上下院合同本会議での講演をめどに、税制などの詳細が出てくるまでは、ドル・円は大きな方向性を持った動きにはなりづらい」と述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLELXO6TTDS001

http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/218.html

[国際18] 金正男氏事件、女1人逮捕=ミャンマー人か―北朝鮮トップ指示、毒物で暗殺? 
金正男氏事件、女1人逮捕=ミャンマー人か―北朝鮮トップ指示、毒物で暗殺?【2/15 19:30】

【ソウル、クアラルンプール時事】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏殺害事件は15日、発生から3日目を迎え、現場となったマレーシアでは容疑者が逮捕されるなど解明に向けた動きが進んだ。韓国では情報機関、国家情報院(国情院)が15日、「金正恩政権発足後(暗殺の)継続的な指示があった。5年前から暗殺を試みていた」と国会情報委員会に報告、事実なら正男氏は北朝鮮最高指導者の指示で常に命を狙われる身だったことになる。

マレーシア警察は15日、実行犯とみられる女2人組のうち1人をこの日朝(日本時間同)、暗殺現場と同じクアラルンプール国際空港で逮捕したと発表した。警察によると、女はベトナムの旅券を持っていたが、ミャンマー人とも報じられている。もう1人の女と、監視カメラの映像から浮上した仲間とみられる男4人の行方を追っている。

マレーシアの報道によると、警察は殺害に使用されたとみられる有毒薬物を特定したと主張している。15日に逮捕された女は、残りの仲間が逃走するため、おとりにされた可能性があると警察は考えている。

一方、国情院によると、正男氏は2012年4月、「私と家族を助けてほしい」と暗殺指令の撤回を求める助命嘆願書を正恩氏に送っていた。しかし、その後も北朝鮮当局は暗殺の機会をうかがっていたとみられる。

正男氏の身辺を保護していたのは中国当局で、暗殺を強行すれば中国との関係悪化が予想される。それにもかかわらず殺害した理由について国情院は「正恩氏の性格に起因しているのではないか」と分析した。

韓国亡命阻止を狙ったという報道もあるが、国情院は「これまで亡命を試みたことはなかった」と説明した。家族は北京とマカオにおり、中国当局が保護しているという。


ベトナム旅券持つミャンマー人か=逮捕の女、逃亡のおとり?―金正男氏・マレーシア【2/15 19:26】

【クアラルンプール時事】マレーシア警察は15日、北朝鮮の金正男氏殺害事件で、容疑者とみられる女1人を逮捕した。警察は女がベトナムの旅券を所持していたと発表した。一方、ベルナマ通信は、女はミャンマー人だと伝えた。謎が深い事件は、東南アジアの国名が入り乱れる複雑な様相を呈しつつある。

警察は、殺害犯と伝えられた女2人組のうち1人を15日午前8時20分(日本時間同9時20分)ごろ、クアラルンプール国際空港で逮捕した。もう1人の女と事件に関与したとみられる男4人の行方を追っている。

マレーシア紙「東方日報」(電子版)によると、2人が犯行後、クアラルンプール国際空港から乗ったタクシーの運転手も13日に逮捕されたが、事件と無関係と分かり既に釈放された。当局者は女2人について「ある国に金氏暗殺のために雇われたと考えている」と述べた。また、殺害に使用したとみられる有毒薬物を特定したと語ったが、薬物名の言及は避けた。

星洲日報(電子版)は、逮捕された女について、犯行時と同じような時間帯の15日朝、空港内を徘徊(はいかい)していたと伝えた。当初は取り調べに対し、もう一人の女からの指示で正男氏に何らかの物体を浴びせたと供述したが、調書を取ろうとすると否認に転じた。

星洲日報によると、男4人の存在は監視カメラの映像から浮上。また、女1人が空港を徘徊していたのは、残る仲間が逃げるためのおとりだったと警察は考えている。東方日報は「女は犯行後、5人に捨てられた」と報道。犯行後、一緒に行動し、ホテルまで行ったが、突然残る5人は消えてしまったという。

一方、金氏の遺体は15日朝、検視のためにプトラジャヤの病院からクアラルンプール市内の病院に移された。

情報提供:株式会社時事通信社
http://fx.dmm.com/market/news/
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/217.html

[国際18] 衝撃の結果、欧州10カ国で移民に「ノー」 移民の受け入れを「停止すべき」はポーランドで71%  
衝撃の結果、欧州10カ国で移民に「ノー」

ニュースを斬る

移民の受け入れを「停止すべき」はポーランドで71%
2017年2月16日(木)
蛯谷 敏
 「米国の安全を強化するため、極めて迅速に行動する」

 トランプ大統領が突如発表したイスラム圏7カ国を対象にした入国規制。特定の国を狙い撃ちした強引な手法は、メディアだけでなく、世界各国から集中砲火を浴びた。入国規制は連邦控訴裁(高裁)の判断によって差し止めの状態が続いているが、トランプ大統領が方針を改める気配はない。

 移民問題は、ここ欧州にとっても他人事ではない。EU(欧州連合)からの離脱を決めた英国の国民投票で、EU諸国から流れ込む移民の管理が争点となったのは記憶に新しい。今年3月に行なわれるオランダ下院選挙、4月に予定されるフランス大統領選、そして9月のドイツ議会選挙でも、移民を巡る政策が大きな注目を集めるのは間違いないだろう。

 トランプ大統領が命じた入国規制を、EUに加盟する主要国の首脳は揃って、厳しく批難した。ロンドンやパリなどの大都市では、この大統領令に反対する大規模なデモも起きた。ただし、表向きは入国規制に「反対」で団結しているように見えるEUも、その内実は決して一枚岩ではない。その一端を示す調査結果を、英国の著名なシンクタンクが発表し、波紋を広げている。

トランプ大統領が発した、イスラム圏7カ国から来る人々に対する入国制限に反対して、ロンドンでも大規模なデモが起きた(写真=アフロ)
 調査結果は、英王立国際問題研究所、通称「チャタムハウス」が2月7日に発表した「What Do Europeans Think About Muslim Immigration?(記事はこちら)と題したリポートだ。その名の通り、欧州10カ国の国民約1万人に、イスラム圏から欧州に流入する移民についての考えを聞いている。

 調査項目はただ一つ。「イスラム圏からの、これ以上の移民流入を停止するべきか」というものだ。これに対し、10カ国平均で実に55%が「停止すべき」と答えた(結果はこちら)。

イスラム圏から、これ以上の移民流入を停止するべきか?

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/021500575/graph-1.png

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/021500575/hyo01.png

出所:英王立国際問題研究所
「衝撃の結果だった」

 今回の調査で対象としたのは、英国、フランス、ドイツ、ベルギー、ギリシャ、スペイン、イタリア、オーストリア、ハンガリー、ポーランドの10カ国。その中で「停止すべき」と回答した割合が最も高かったのが、ポーランドの71%で、オーストリアの65%、ハンガリーの64%が続いた。

 一方、「停止すべきでない」との回答の割合が最も多かったのはスペインの32%。英国とイタリアが23%で続いた。ただし、10カ国すべてで、「停止すべき」が「停止すべきでない」を上回った。

 先にも触れたように、EU主要国の首脳はトランプ大統領が命じた入国制限を批判。欧州メディアの大半も、反入国制限の立場で報道を続けている。ところが、足元の国民は、10カ国平均で2人に1人が、イスラム移民の流入に否定的な考えを示していることが明らかになった。今回の調査を担当し、リポートをまとめた筆者の一人であるマシュー・グッドウィン英ケント大学教授は、「衝撃の結果だった」と述べている。

 今回のリポートは欧州の政策関係者にも驚きを持って受け止められた。チャタムハウスは、米ブルッキングス研究所などと並ぶ、世界有数のシンクタンクとして知られている。発表内容に対する信頼も高いからだ。

 欧州メディアもこのリポートに反応し、「多くの欧州市民が、実はトランプ大統領の入国規制に賛成している」という趣旨の報道をした(ただし、今回の調査が実施されたのは、トランプ大統領が入国制限を発表する前だった)。

高齢者、低学歴、地方在住が入国制限に賛成

 リポートでは、回答者の属性も分析している。そこから浮かび上がる、移民に反対する人々の人物像は、「高齢者」「低学歴者」「地方在住」に大別できる(グラフはこちら)。


 イスラム移民の入国停止に賛成する人の割合は、年齢別に見ると、18〜29歳の若年層では44%なのに対して、60歳以上では63%に達した。学歴別では、大卒以上では48%である一方、高校卒業以下では59%に上る。地域別では、都市部では52%なのに対して、地方では58%だった。「いわゆる、経済成長に取り残されたと感じている層に重なる」(グッドウィン教授)。

 もちろん、今回の調査結果が欧州10カ国のイスラム移民に対する姿勢を正しく反映していると断言することはできない。移民に対する考えや結果は、誰にどのように聞くかで結果が変わる。それでも、移民に対する考えが欧州でも大きく割れていることが、調査結果を通して明らかになったのは興味深い。

取材現場の肌感覚に近い

 というのも、この調査結果は、欧州の現場で移民問題を取材している記者の感覚に近いからだ。英国のEU離脱を巡る昨年の国民投票では、世代、学歴、住んでいる場所によって、移民に対する見解が分かれた。特に都市部と郊外の居住者では離脱を巡る考えは異なり、郊外に住む人の方が、移民に対して批判的だった。

 記者は今、3月15日に予定されているオランダ下院選挙の現場を取材しているが、ここでは、特に世代間の意見の相違が大きい。今回の選挙は、「反イスラム」「反EU」を掲げる極右政党の自由党が躍進すると見られている。同党を強く支持しているのは高齢者だ。

 4月に大統領選を控えるフランスでも、反移民を掲げる極右政党、国民戦線への支持は、都市部よりも農村部で高いことが世論調査で明らかになっている。

 「エリートへの敬意が保たれるのは、彼らが国民の安全を担保しているときだけだ」。フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏は、かつて、本誌の取材にこう語ったことがある。

 グローバル化によって経済が拡大した裏で、その成長に取り残されたと感じ、将来に不安を抱く人々が、欧州で増えている。国境をまたいで自国に入ってくる移民は、彼らの不安をあおる象徴的な存在だ。「このままでは自分の身が脅かされる」と感じる恐怖が、移民流入に反対する根底にある。

 おそらく、この構造は米国でも同じだろう。「高齢者」「低学歴」「地方在住」の人々が抱く不安を理解しているからこそ、トランプ大統領は、メディアからいくら批判されても、強硬な移民規制に乗り出そうとしているのではないか。

どう転んでも移民管理は強化される

 そう考えれば、移民の流入に不安を覚えるEU加盟国は、自国民が抱える不安を取り除く行動に出る。移民への管理を一層強化することになるだろう。

 実際、先に触れたオランダ下院選挙では、自由党の勢いに押され、与党・自由民主党のルッテ首相が1月23日、「我が国の価値観を否定するなら『出ていけ』」と主張する意見広告をオランダの新聞に掲載。移民に対する寛容姿勢を改めた。フランスでも、反移民を掲げる国民戦線に対抗するため、共和党などが、移民に対する管理を強化する方針を掲げる。

 間もなくEUとの離脱交渉を始める予定の英国も、メイ首相はEU単一市場への残留よりも、移民の管理を優先すると明言している。

 これまで、移民の受け入れを進めてきたドイツも、方針を転換し始めている。メルケル首相も9月に選挙を控えているためだ。移民を大々的に受け入れた2年前のような行動を取るのは難しい。受け入れ後に暴漢事件やテロが相次いだため、移民への対応を厳格化せざるを得ない状況に追い込まれている。

 移民問題への抜本的な解決策を見出すのは困難で、この状況が続くほど、欧州各国で国民の不満がさらに増す悪循環が続く。移民管理を強化する英国や米国の動きが、EU内の結束を揺さぶる可能性もある。

 じわじわとEUを窮地に追い込む移民問題。EUの基本理念の一つである「人の自由な移動」は今年、最大の正念場を迎える。


このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/021500575
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/224.html

[経世済民119] なぜか増加する「山林を買う人たち」1万坪が10万円 米消費者物価上昇ガソリンが押し上げ ルペン大統領にはハードル超え必要
なぜか増加する「山林を買う人たち」

凄い値付け

1万坪が10万円で取り引きされたケースも
2017年2月16日(木)
水野 孝彦
 本特集では様々な商品の値付けの妙に迫ってきたが、世の中には価格設定の根拠が一般人からは分かりにくいものがある。その1つが山林の価格だろう。
 そこで、山林売買を専門とする「山林バンク」の代表、辰己昌樹氏に山林売買の相場や購入者たちの実態について聞いた。

 まず、気になるのはどんな人たちが山林を買うのかだ。辰己氏によるとメーンは杉、ヒノキの植林や伐採を目的とした林業を営む業者だ。「新たに林業へ新規参入するために異業種の企業などが購入するケースも増えている」という。そのほかでは、アウトドアを楽しむためや医療施設を作るといった目的で購入するケースもある。また、「田舎暮らしを目的として、都会に住む人が購入する場合も増えている」(同氏)。

価格はピークの10分の1

 肝心の山林の価格だが、取引事例が少なくケース・バイ・ケースにならざるを得ない。それでもあえて目安を示すなら「1ha(約3000坪)で30万円〜80万円」(辰己氏)。ただし、杉、ヒノキなどが植林されている場合だ。人工>自然とは一般人から考えると意外だが、植林ではなく天然林の山林の方が価格は下がって「1haで20万円〜30万円」が目安となると辰己氏は話す。1万坪が10万円で売買されたこともあるそうだ。山林の価値は植林された樹木の将来の売却価値に左右されていることが特徴だ。

 かつては地方の富裕層にとって山林は投資先の1つだったが、山林価格のピークは1979年〜1980年で当時は今の10倍の価格で取り引きされていた。ピークから10分の1と大幅に価格が下がったことで、通常の不動産とは異なり、今では好不況の波にもあまり影響を受けなくなり価格が安定しているという。


山林バンクの代表、辰己昌樹氏。13年にわたって山林売買に関わり、取引実績は1500万坪以上になる
山林売買の注意点

 山林売買の注意点は、1万坪以上といった大規模な山林売買に事前届け出制を導入する県も増えていること。山林の取得後は市町村に届け出る義務もある。また国からもアンケート調査の用紙が届くので、それに答えることも必要だ。

 一時期、海外投資家が日本の水資源を狙って、山林を買いあさっているという報道も見られたが、その心配はないようだ。林野庁の調査では海外資本と思われる「森林買収の事例」は2006年〜2015年までの10年で合計108件・1232haに過ぎない。「ある程度の規模以上の山には大抵、源流となる小川があり、山林の価格を評価する場合に源流が評価されることはない」(辰己氏)と話す。

 最近では山林所有者の高齢化などもあり、空き家ならぬ「放置林」が問題になっている。日本の自然を守るという意味でも、山林の所有に興味を持ってくれる人が増えてくれればと辰己氏は願っている。


源流がある土地の例。面積は120万坪でミズナラ(高級な建築材になる)が植林されている。30年後に伐採が可能で、その価値から9500万円の価格で売りに出されている

このコラムについて

凄い値付け
経営の神様こと松下幸之助氏ですら長年、頭を悩ませたと言われる「値付け」。
経営の最重要事項であるはずのそんな価格戦略で、日本企業の迷走が深まっている。
収益力の向上を目指し値上げに踏み切ったものの、客離れを招く企業あり。
逆に「デフレは続く」と一段の値下げに走った結果、業績が低迷する企業もある。
成熟時代には、中途半端な値段を付ける戦略では十分な利益は上がらない。
常識価格を大きく上回る値段を設定し、その分、消費者が驚く付加価値を乗せるか、
前代未聞の安値を打ち出し、顧客を力技で引き寄せる。いずれかの姿勢が必要だ。
モノを売りたきゃ倍値か半値──。そんな「大胆値付け戦略」を先進企業に学ぶ
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/020900110/021500005


 


 
1月の米消費者物価指数:前月比0.6%上昇−ガソリンが押し上げ
Shobhana Chandra、Patricia Laya
2017年2月15日 23:48 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iptBu7Ib1dMw/v2/-1x-1.png

1月の米消費者物価指数(CPI)は前月比で上昇、2013年2月以来最大の伸びとなった。ガソリンが大きく値上がりしたほか、サービス関連も上昇した。
  米労働省が15日発表した1月のCPIは前月比0.6%上昇。伸びはブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値(0.3%上昇)を上回った。前月は0.3%上昇だった。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.3%上昇と、5カ月で最大の伸び。
  1月の総合CPIは前年比では2.5%上昇と、12年3月以降で最大の伸び。コアCPIは前年比2.3%上昇だった。

  項目別に見ると、ガソリンが前月比7.8%上昇し、全体を押し上げた。このほか衣料品が1.4%上昇、新車も0.9%上げた。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Consumer Prices in U.S. Increase by Most Since February 2013(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLF65E6VDKHU01


 

ルペン氏が仏大統領になるにはこのハードル超えが必要−チャート
Helene Fouquet、Blaise Robinson
2017年2月15日 16:28 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iBHTaW81UkIs/v2/-1x-1.png

  フランス大統領選挙の極右候補、ルペン国民戦線(FN)党首は4月に行われる第1回投票については世論調査で首位を走っているが、5月の決選投票での勝利はない見込みだ。フランスの登録有権者数は約4480万人で、1988年以降の大統領選挙での平均投票率は81.3%。これに基づくと当選には1820万票前後が必要で、これはルペン氏の2012年の得票数の3倍に近い。
原題:Le Pen May Need to Triple Votes to Win French Election: Chart(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLEN3F6JIJV501

http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/229.html

[経世済民119] 「シムズ理論」批判の落とし穴 持続可能なエネルギーへの転換、新興国の役割拡大=世銀 ソフトバンク、フォートレス買収で賢く
コラム:
「シムズ理論」批判の落とし穴

嶋津洋樹MCP シニアストラテジスト
[東京 15日] - 昨年の夏以降、主要国政策担当者の間で「物価水準の財政理論(FTPL:Fiscal Theory of the Price Level)」が注目を集めている。日本におけるブームのきっかけは、内閣官房参与として安倍政権の経済政策を支える浜田宏一・米イエール大学名誉教授が言及したことだろう。

従来、デフレをマネタリーな現象とし、主に金融緩和を通じたデフレ脱却を主張していた浜田氏がFTPLに言及したと報じられたことで、日本国内で一段と注目されるようになったと考えられる。

FTPLは確かに「財政政策が物価水準を決める」理論と説明することができ、従来の「金融緩和を通じたデフレ脱却」という考えとは全く異なった印象を受ける。しかし、実際には金融政策の効果を否定しているわけではない。浜田氏がFTPLに衝撃を受けたとの告白を、金融政策の否定と解釈するのは、必ずしも正確ではないだろう。

それは、米プリンストン大学のシムズ教授が2016年8月に米カンザスシティー地区連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で行った講演でも確認できる。

浜田氏がFTPLに関心を持つきっかけになったという同講演録で、シムズ氏は「インフレが急速に高まる際も、低いインフレと金利が長期にわたって続く際も、財政政策と金融政策の協調が必要だ」と述べている。

FTPLの批判者たちは、ハイパーインフレをもたらす毒薬、あるいは効果を望めない机上の空論などと一刀両断するが、そもそも金融当局や政府がデフレ脱却やその前提となる景気回復を目指し、さまざまな可能性を議論するのは当然のことだ。

金融政策がゼロ金利の下限に達しているとか、副作用が大きいとかいう主張は、行動することによって生じる責任を回避し、経済の停滞を容認しているのと同じことだろう。そうした姿勢は敗者に美学を見いだす日本人の心を揺さぶることはあっても、経済的な弱者を救う処方箋にはならない。

例えば、サマーズ元米財務長官らが主張する「長期停滞論」は、日本では長期的な経済停滞を正当化する理論として紹介されがちだが、本来はむしろ、そうした現実を認識した上で、どのような処方箋が必要かを考えるための問題提起だ(サマーズ氏は政府主導のインフラ投資の必要性を主張している)。そして、シムズ氏がジャクソンホール会議で示した処方箋がFTPLなのだ。

ちなみに、両氏の提案はいずれも実質金利を中立金利よりも低くすることを通じて緩和的な金融環境を作り出そうとしている点で同じだ。ただし、サマーズ氏が財政政策で中立金利を引き上げることを重視しているのに対し、シムズ氏は「期待インフレ(予想物価上昇率)に働き掛ける」ことで、実質金利を引き下げることに重点を置いている。

<「シムズ理論」の正しい理解>

シムズ氏は、財政政策が予想物価上昇率に働き掛ける仕組みについて、政府の借金である国債が保有者にとっては資産であることを使って次のように説明している。

つまり、政府が将来の増税を約束して国債を発行すると、保有者は償還を確信する限り、資産としての国債を手放す可能性が低下する。政府が国債で調達した資金を国民の預金口座に振り込んだとしても、それを使う人は限られるだろう。

また、政府が国債償還の資金を増税で賄うと強く認識された世界では、金融政策の一環として中央銀行が国債を購入したり、金利低下で利払い費用が減少したりすると、国債の希少価値が一段と高まる。そうした世界では国債を手放そうと考える人は先ほどのパターン以上に減るはずだ。

このようにFTPLに基づくと、金融緩和をしても資金需要が高まらない世界をたやすく説明できる。そして、人々が国債はいずれ増税で償還されると強く予想している限り、金融緩和で予想物価上昇率を引き上げることは難しいことを示す。

一方、政府が増税を約束せずに国債を発行する場合、保有者は償還を確信できずに国債を手放す可能性が高まる。政府が中央銀行に国債を引き受けさせて、その資金を国民の預金口座に振り込めば、それを使う人は上述のいずれのパターンよりも増えるはずだ。

例えば、シムズ氏が提案するように、消費増税や基礎的財政収支(プライマリーバランス)の改善をインフレ目標の達成と結び付けると、物価がインフレ目標に近づくまでは、増税や歳出削減が実施されないと見て、人々が消費や投資活動を活発にすることが期待される。

もちろん、FTPLはハイパーインフレを説明することも可能だ。政府が増税を約束せずに国債を大量に発行し、同時に中央銀行が金融緩和を続ければ、国債の価値が大幅に低下する。政府の徴税能力が十分でなかったり、政治的な理由などで増税が困難だと見られたりする場合、人々は国債をすぐにでも手放して、他の資産に資金を移そうとするだろう。

そうした環境下で中央銀行が金融緩和に踏み切れば、資金はますます国債以外の資産へ向かい、国債価格が大幅に下落(金利は上昇)する。それは政府の利払い負担を急速に増加させ、債務の発散を招くだろう。ただし、現在の日本で政府が徴税能力を失うようなシナリオはテールリスクとしてさえも描きにくい。

実際、上述のシムズ氏の提案では、物価がインフレ目標に近づけば近づくほど、増税の可能性が高まったと人々が意識して消費や投資活動を控えることが期待される。インフレ目標を2%と設定して政策を続ければ、予想物価上昇率を2%に固定することもできるだろう。

<日銀緩和も同じメカニズムを金融面から説明>

実は、日銀の一連の金融緩和はFTPLと同じメカニズムを金融面から説明していると考えることができる。というのも、「量的・質的金融緩和」「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」はいずれも、名目金利を引き下げつつ、予想物価上昇率を引き上げることで実質金利を引き下げ、緩和的な金融状態を作り出すことを目指しているからだ。

ただし、これまで説明してきた通り、FTPLは名目金利と予想物価上昇率が非常に低い場合、金融政策よりも財政政策の方がスムーズに実質金利を引き下げられる可能性を示す。

FTPLはまた、マイナス金利政策導入後に、期間が20年や30年といった長い金利がゼロ近辺まで急速に低下したことも簡単に説明できる。それは、マイナス金利政策の導入が人々に2017年4月の消費増税の可能性が高まったと認識させた可能性である。

実際に当時、市場参加者の多くは、2017年4月の消費増税を可能とするために金融緩和が不可避との見方を示していた。金融緩和が消費増税の実施と結び付けられて見られている以上、上述した通り、国債の希少価値が高まり、国債を手放す保有者はいなくなる。

マイナス金利政策導入後の金利急低下は、投資家が財政規律に全く疑いを抱いていないことを示したと理解できる。金融緩和が資金需要を刺激せず、実体経済に効果をもたらさないとの主張も、財政規律を信じていることの表れと言えるだろう。

では、FTPLに基づく政策の導入は日本に必要なのか。筆者は、商品市況や世界経済の安定を見れば、差し迫った必要性はないと考える。しかし、環境はいつ変化するか分からない。デフレからの確実な脱却に向けた手段を愚直に模索することは、できない理由を並べて批判するよりも重要に思える。

――関連インタビュー:インフレ税はなぜ日本に必要か=シムズ教授

*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントなどを経て2016年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネジャーとしての経験を活かし、経済、金融市場、政治の分析に携わる。共著に「アベノミクスは進化する」(中央経済社)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。 
おすすめ記事


中国、北朝鮮を「仮想敵」視 2017年 01月 30日
視点:トランプ円安は幻想、進む「米国の日本化」=青木大樹氏 2017年 01月 23日
為替こうみる:日米首脳会談後のトランプラリー継続は困難=FXプライム 上田氏 2017年 02月 10
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hiroki-shimazu-idJPKBN15U0LR?sp=true


 

 
持続可能なエネルギーへの転換、新興国の役割拡大=世銀

[ロンドン 15日 トムソン・ロイター財団] - 世界銀行は15日、新たな報告書を発表し、2030年までに持続可能なエネルギーへの転換を目指す世界的な取り組みの中で、中国やブラジルなどの新興国がリーダーとして頭角を現してきていると述べた。手ごろで信頼できる、再生可能なエネルギーへのアクセス向上を支援する政策を強化しているという。

一方、先進国はエネルギー効率をより一層向上させるための努力が必要と指摘した。

報告書によると、調査対象となった111カ国のうち約40%が持続可能なエネルギーへの転換に向けた対策を実施していた。

世銀のエネルギー部門のトップであるリカルド・プリティ氏は、2030年の目標達成は「時間との戦い」とした上で、達成には「民間および公的な多くの資金・投資が必要」と述べた。

この目標は、2015年に国連で採択された貧困撲滅、不平等解消、気候変動対応に向けた「持続可能な開発目標(SDGs)」に含まれているほか、地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」も下支えしている。

今回の調査は、世銀などによる持続可能なエネルギーに関する国際イニシアチブ「万人のための持続可能なエネルギー」の一環。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
今年の世界成長見通し2.4%に下げ、商品価格や需要低迷で=世銀
3月オランダ下院選の選挙戦開始、反イスラム政党が支持率首位
ギリシャ支援協議は進展、一段の合意必要=モスコビシ欧州委員
4500億ドルの市場・70万人の雇用創出効果、米に表明へ=政府筋
メキシコ経済相、米の国境税構想実現を疑問視
http://jp.reuters.com/article/climatechange-energy-idJPKBN15U0Q9


 
コラム:ソフトバンク、フォートレス買収で賢く人材も獲得

Tom Buerkle

[15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(9984.T)の孫正義社長は「クレイジーなアイデア」を好む。オルタナティブ投資を手掛ける米フォートレス・インベストメント(FIG.N)買収に約33億ドルを投じたのは予想外だったが、あながちクレイジーとは言えない。ソフトバンクは投資分野に大きな野心を抱き、フォートレスはどこに投資すべきかを心得ている。

今回の買収はソフトバンクがサウジアラビアの支援を受け設立を予定する1000億ドル規模の「ビジョン・ファンド」を直接巻き込むものではないが、関連するのは明らかだ。同ファンド責任者、ラジーブ・ミスラ氏はドイツ銀行の元トレーダーで、2014年にソフトバンクGに入る前、フォートレスに1年間在籍していた。また、今回の買収には、ミスラ氏のドイツ銀時代の元同僚3人が昨年立ち上げた投資顧問会社F.A.B.パートナーズが関与しており、同社はビジョン・ファンドも支援している。

プライベートエクイティ(PE)会社として1998年に設立されたフォートレスはクレジット、ヘッジファンド、普通債といった分野に投資先を多角化している。普通債は利益の少ない投資分野だが、同社の運用資産の半分近くを占め、それが運用利益率13.8%と株価収益率(PER)8.2倍という控えめな数字を表している。

孫氏は13日のフォートレス終値に約39%のプレミアムを付けたたが、PERにすると10倍をわずかに下回る水準。同氏はこの買収で140億ドルのPE事業と190億ドルのクレジットファンドを手にし、合わせて13億ドルの未実現利益を得た。また、フォートレス創業者3人も同社に残るという。企業買収専門の会社やヘッジファンドは人に関わるビジネスであるため、これは重要だ。最高の人材が去れば、その会社はすぐに弱体化する。

フォートレスのコネクションや専門知識は有用だろう。ソフトバンクの組織や財務取引などを支援する可能性がある。割安の株や企業を見分けることで、資産の継続的な拡大につながるかもしれない。

昨年12月のトランプ米大統領との会談で、孫氏は米国に500億ドルを投資し、5万人の新規雇用を創出することを約束した。フォートレス買収は、その約束の型破りな手付金だ。

●背景となるニュース

*ソフトバンクグループは2月15日(日本時間)、米投資会社フォートレス・インベストメントを買収することで合意したと発表。買収額は約33億ドル。フォートレスのクラスA株主は1株当たり8.08ドルを受け取る。この金額は13日のフォートレス終値に38.6%のプレミアムをつけた価格。

*孫正義社長はニュースリリースで「フォートレスの素晴らしさはこれまでの投資実績から明らか。ソフトバンクにとっても、近く設立予定のソフトバンク・ビジョン・ファンドにとっても、この機会はグループ全体のポテンシャルを拡大する」と述べた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

ロイターをフォローする
おすすめ記事


ベトナムに新造巡視船6隻を供与 2017年 01月 16日
コラム:「中間管理職」的なトランプ大統領 2017年 01月 21日
コラム:中国の米企業へ、トランプ氏のメッセージは「くたばれ」 2016年 12月 07日
http://jp.reuters.com/article/column-softbank-fortress-idJPKBN15U0VQ

http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/230.html

[経世済民119] 金融緩和を停止し円高誘導しなければ賃金と消費が減少する 市場誤謬 米3月利上急速に視界−予想上CPI上昇 米株高止まらず
【第22回】 2017年2月16日 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
金融緩和を停止し円高誘導しなければ賃金と消費が減少する

 2016年7〜9月期までは、実質消費が順調に増えていた。これは、消費者物価が低下して実質賃金が上昇したためだ。しかし、10〜12月期では、円安によってその状況が変わり、実質消費の伸びが鈍化している。
 この状況が続けば、実質賃金の下落と実質消費の減少という現象が再現する。
10〜12月期は
実質消費伸び率が鈍化
 2月13日に公表されたGDP統計(1次速報)によると、2016年10〜12月期の実質GDPの成長率(対前期比、季節調整済み)は、0.2%となった。この結果、16年の実質成長率は1.0%となり、15年の1.2%よりは低下した。
 図表1に見るように、実質民間最終消費支出の前年伸び率は、14年、15年と連続してマイナスだったが、16年にはプラス0.4%になった。伸び率の絶対値はそれほど大きくないものの、2年連続して落ち込んでいた実質消費が増加したことの意味は大きい。
 これは、1〜3月期、4〜6月期、7〜9月期と連続して対前期比がプラスだったためだ。
 こうなったのは、消費者物価が下落し、実質賃金が上昇したからだ。
 16年は、年初から円高が進み、株価が下落した。11月のいわゆる「トランプ相場」までは、こうした状況が続き、経済があまり順調でないという印象を持つ人が多かった。
 しかし、実質GDPで見れば、7〜9月期までは順調な成長が実現した年だったのだ。
 しかし、10〜12月期には、この状況が変化している。
 後で見るように、11月からの円安と原油価格の持ち直しによって、輸入物価指数は上昇に転じており、それを反映して、消費者物価指数の対前年伸び率のマイナス幅が縮小しつつある。
 このために、10〜12月期には名目民間最終消費支出は0.3%の伸び(対前期比、季節調整済み)であったにもかかわらず、実質ではマイナス0%になってしまった。
 政府経済見通し(17年1月20日閣議決定)では、16年度の実質国内総生産(実質GDP)成長率は1.3%程度とされている。日本銀行は、1月31日の金融政策決定会合で、16年度の実質成長率見通しを、従来の1.0%から1.4%に引き上げていた。実績は、これらには届かない可能性が強い。
◆図表1:実質消費支出伸び率

7〜9月期までは
実質消費が伸びていた
 実質民間最終消費支出が1〜3月期、4〜6月期、7〜9月期と連続して増加したのは、実質賃金が上昇したからだ。
 厚生労働省が2月6日に発表した毎月勤労統計調査によると、2016年の実質賃金は前年比0.7%増となり、5年ぶりのプラスとなった。
 図表2には、実質賃金(現金給与総額、事業所規模)の対前年比を示す。
 15年前半までは、ほとんどの月において、対前年比がマイナスだった。これは、円安によって輸入価格が上昇し、それによって消費者物価が上昇したことが大きな原因だ。
 14年4月に行なわれた消費税増税の影響もあるが、それだけが原因でないことに注意が必要だ。事実、13年には、消費税増税の前であるにもかかわらず、かなり顕著に実質賃金の対前年比がマイナスになっている。
 ところが、15年後半から対前年比がプラスの月が続くようになり、16年には、すべての月において対前年比がプラスになったのである。
◆図表2:実質賃金の対前年比

消費増は
円高と原油価格上昇の効果
 では、なぜ実質賃金が上昇したのか?
 それは、名目賃金の上昇率が高まったからではない。
 円高と原油価格低下によって輸入物価が下落し、消費者物価が下落したからだ。
 輸入物価指数と国内企業物価指数の推移は、図表3に示すとおりだ。
 輸入物価指数の対前年比は、2015年1月からマイナスになり、15年8月から16年10月までは、対前年比の絶対数が2桁だった。
 国内企業物価指数の対前年比も、これに対応した動きを示している。すなわち、15年4月からマイナスになっており、16年5月にはマイナス4.6%にまでなっていた。
 交易条件は14年秋から上昇。16年にはさらに上昇した。
◆図表3:輸入物価指数、国内企業物価指数の対前年比

 以上の動きが、時間遅れを伴って、消費者物価に影響した。
 12年と13年初めまでは、消費者物価指数の対前年比がマイナスの月が多かったのだが、13年5月に0%になった。その後、伸び率が高まり、13年11月には1%を超えた。そして、14年5月には1.4%になった。
 こうした動きが、実質賃金の対前年比をマイナスにさせたのだ。
 しかし、消費者物価指数はその後低下し、15年2月には0%となり、16年3月以降はマイナスとなっている。
 これが、15年後半から16年にかけての実質賃金増に反映したのだ。
 円高は、企業経営者や株式投資家から見れば望ましくないことと考えられている。しかし、労働者や消費者の立場から見れば、望ましいことなのである。16年のデータは、そのことを明確に証明している。
◆図表4:消費者物価指数の対前年比

実質賃金が
再び落ち込む可能性も
 ところが、以上で見た状況に、2016年秋以降、変化が生じている。
 米大統領選の影響で、11月から円安が進んだことと、原油などの商品価格が持ち直したためだ。
 この結果、図表3に見るように、輸入物価指数の下落率は、16年11月からは1桁になり、17年1月にはプラスに転じた。国内企業物価指数の対前年比も、17年1月にはプラスに転じた。
 また、交易条件も、図表5に見るように、16年秋以降は下落している。
◆図表5:交易条件の推移

 そして、図表4に見るように、消費者物価の対前年比も、いまだにマイナスではあるものの、絶対値が縮小している。
 図表4に示してあるのは「生鮮食品を除く総合」だが、「総合」で見ると、16年4月から9月までは対前年比がマイナスだったが、10月から上昇に転じている。対前年比は、10月は0.1%、11月は0.5%、12月は0.3%の上昇率だ。
 これが上で見たような、実質消費の伸び率低下をもたらしたのだ。
 つまり、日銀のインフレ目標が達成できなかったために経済成長が実現したが、その状況が変わってきたために、実質消費の伸びが鈍化してきたのだ。この状況が続けば、実質賃金の下落と実質消費の減少という現象が再現するだろう。
 いま日本に求められているのは、金融緩和を停止し、為替レートを円高に導き、実質賃金を引き上げて消費主導の経済成長を実現することだ。
 なお、10〜12月期には、輸出がかなり伸びていることが注目される(季節調整済み実質輸出の年率換算対前期比は、11.0%)。円安が進行して輸出が増えているということになると、トランプ米大統領からの批判の対象となる危険がある。
(早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問 野口悠紀雄)

http://diamond.jp/articles/-/118032

 
米の3月利上げの可能性、急速に視界に−予想上回るCPI上昇で
Alexandra Harris、Andrea Wong
2017年2月16日 09:16 JST
Share on FacebookShare on Twitter
関連ニュース
Billionaire Masayoshi Son, chairman and chief executive officer of SoftBank Group Corp., adjusts his spectacles during a news conference at the Tokyo Stock Exchange (TSE) in Tokyo, Japan, on Wednesday, Feb. 8, 2017. SoftBank Group reported third-quarter profit that missed analyst estimates as losses at U.S. unit Sprint Corp. outweighed earnings from the companys wireless and internet businesses in Japan. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
フォートレス幹部3人の保有株価値膨らむ−ソフバンクによる買収で
米国株高の勢い止まらず、イエレン議長のタカ派寄り発言でも
ヘッジファンド内部抗争、直感信じる守旧派とデータ魔術師のクオンツ
A man naps at a mall in a cool and cloudy afternoon in Tokyo, Tuesday, Oct. 22, 2013. Cool and damp air flow in the Pacific coast of Japan, causing cloudy and cool weather along the area, according to meteorological bureau. (AP Photo/Junji Kurokawa)
寝不足がもたらす膨大な経済損失、頭痛だけでなく生産性の低下も
イエレン議長の議会証言がタカ派的と受け止められたのも背景に
市場が織り込む3月利上げの確率、42%に急上昇
 
ほんの数日前にはあり得ないシナリオとされていた3月の米利上げの可能性が、急速に視界に広がってきた。1月の米消費者物価指数(CPI)が予想を上回る上昇となったことや、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言内容がタカ派的と受け止められているためだ。
  1月のCPIが2013年2月以来の高い伸びとなったのを受け、デリバティブ(金融派生商品)トレーダーが織り込む3月14、15両日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率は42%と、今月6日時点の24%から跳ね上がった。これは、次回利上げ後のフェデラルファンド(FF)金利が実効ベースで、新たな誘導目標レンジの半ばで取引されるとの想定に基づく。
  3月の利上げ確率の急上昇の背景としては、イエレン議長が14、15両日に上下両院で行った半期に一度の証言で、緩和解除を長く待ち過ぎるのは「賢明ではない」と語ったことも挙げられる。
  トレーダーは引き続き年内2回の利上げしか織り込んでいないが、FOMC参加者が先に示した今年3回の利上げ見通しに追い付き始めており、こうした市場センチメントの移り変わりで米国債利回りが一段と上昇するリスクもある。
  ジェフリーズのチーフ金融エコノミスト、ウォード・マッカーシー氏(ニューヨーク在勤)は「インフレ加速は個人消費部門の力強いパフォーマンス持続と相まって米金融当局が3月にも利上げする展開に道を開き、その可能性を高めるものだ」と語った。
  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏(ニューヨーク在勤)は15日のリポートで、3月は米金融当局にとって利上げするには早過ぎるかもしれないが、5月利上げに市場を備えさせるには良い機会だと指摘。同氏は次回利上げ時期の予想を従来の6月から5月に前倒しした。
  3月利上げの確率については、ジャン・ハッチウス氏率いるゴールドマン・サックス・グループのエコノミストも従来の20%から、30%に高まったと15日のリポートに記した。
  一方、アンブロシノ・ブラザーズのシニアバイスプレジデント、トッド・コルビン氏(シカゴ在勤)は「データが米利上げの極めて強力な論拠となり、人々もそれを受け入れ始めているものの、完全に受容しているわけではない」とコメントした。
原題:March Fed Hike in Play for Bond Traders After Inflation Blowout(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-16/OLFVT26JIJVM01


 


 
米利上げについて市場に「誤謬」も−過去の経験からの類推は危険
Bloomberg News
2017年2月16日 07:03 JST

関連ニュース
米の3月利上げの可能性、急速に視界に−予想上回るCPI上昇で
Billionaire Masayoshi Son, chairman and chief executive officer of SoftBank Group Corp., adjusts his spectacles during a news conference at the Tokyo Stock Exchange (TSE) in Tokyo, Japan, on Wednesday, Feb. 8, 2017. SoftBank Group reported third-quarter profit that missed analyst estimates as losses at U.S. unit Sprint Corp. outweighed earnings from the companys wireless and internet businesses in Japan. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
フォートレス幹部3人の保有株価値膨らむ−ソフバンクによる買収で
米国株高の勢い止まらず、イエレン議長のタカ派寄り発言でも
ヘッジファンド内部抗争、直感信じる守旧派とデータ魔術師のクオンツ
「トランプ大統領はインフレ要因」−BTインベストメントのゴア氏
トランプ大統領は景気を刺激し過ぎるリスクとシャーウッド氏

米利上げについて、市場に「誤謬(ごびゅう)」があるかもしれない。当局の今後の行動を、過去の経験に基づいて類推しようとするのは危険だと、一部の投資家が指摘している。連邦準備制度はこれまで、市場予想よりもハト派的であることが多かったが、今後数年はこれが変わるかもしれない。
  一部で取り沙汰されているシナリオはこうだ。歴史的な低失業で米経済にスラック(たるみ)がないところへトランプ政権の財政政策によってインフレが急激に高まる。そうなるとイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長は速いペースでの引き締めを迫られ、ドルが大きく上昇する。
  BTインベストメント・マネジメントの金利等責任者ビマル・ゴア氏はシドニーで14日開かれた会議で、「トランプ大統領はインフレ要因だ」とし、金融当局がファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)の変化に対応する公算が大きいことを考えると、向こう数年についての金利予想は「心配なほど」低いと指摘した。
  イエレン議長は同日、緩和解除を遅らせ過ぎるべきではないと発言。3月もまた利上げを検討する「ライブな会合」だとも述べた。それでも、市場は今年の利上げを2回しか計算に入れていない。
  米金融当局が予想以上の引き締め姿勢で市場を驚かせたことはまれだが、パーペチュアルの投資戦略責任者マシュー・シャーウッド氏(シドニー在勤)は「トランプ大統領は景気を刺激し過ぎるリスクがある」と話している。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iIRag4u_qWfY/v1/-1x-1.png

原題:The Market May Be Guilty of Gambler’s Fallacy on Fed Hikes (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLEW3A6JIJUP01


 

米の3月利上げの可能性、急速に視界に−予想上回るCPI上昇で
Alexandra Harris、Andrea Wong
2017年2月16日 09:16 JST

関連ニュース

フォートレス幹部3人の保有株価値膨らむ−ソフバンクによる買収で
米国株高の勢い止まらず、イエレン議長のタカ派寄り発言でも
ヘッジファンド内部抗争、直感信じる守旧派とデータ魔術師のクオンツ
A man naps at a mall in a cool and cloudy afternoon in Tokyo, Tuesday, Oct. 22, 2013. Cool and damp air flow in the Pacific coast of Japan, causing cloudy and cool weather along the area, according to meteorological bureau. (AP Photo/Junji Kurokawa)


イエレン議長の議会証言がタカ派的と受け止められたのも背景に
市場が織り込む3月利上げの確率、42%に急上昇
 
ほんの数日前にはあり得ないシナリオとされていた3月の米利上げの可能性が、急速に視界に広がってきた。1月の米消費者物価指数(CPI)が予想を上回る上昇となったことや、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言内容がタカ派的と受け止められているためだ。
  1月のCPIが2013年2月以来の高い伸びとなったのを受け、デリバティブ(金融派生商品)トレーダーが織り込む3月14、15両日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率は42%と、今月6日時点の24%から跳ね上がった。これは、次回利上げ後のフェデラルファンド(FF)金利が実効ベースで、新たな誘導目標レンジの半ばで取引されるとの想定に基づく。
  3月の利上げ確率の急上昇の背景としては、イエレン議長が14、15両日に上下両院で行った半期に一度の証言で、緩和解除を長く待ち過ぎるのは「賢明ではない」と語ったことも挙げられる。
  トレーダーは引き続き年内2回の利上げしか織り込んでいないが、FOMC参加者が先に示した今年3回の利上げ見通しに追い付き始めており、こうした市場センチメントの移り変わりで米国債利回りが一段と上昇するリスクもある。
  ジェフリーズのチーフ金融エコノミスト、ウォード・マッカーシー氏(ニューヨーク在勤)は「インフレ加速は個人消費部門の力強いパフォーマンス持続と相まって米金融当局が3月にも利上げする展開に道を開き、その可能性を高めるものだ」と語った。
  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏(ニューヨーク在勤)は15日のリポートで、3月は米金融当局にとって利上げするには早過ぎるかもしれないが、5月利上げに市場を備えさせるには良い機会だと指摘。同氏は次回利上げ時期の予想を従来の6月から5月に前倒しした。
  3月利上げの確率については、ジャン・ハッチウス氏率いるゴールドマン・サックス・グループのエコノミストも従来の20%から、30%に高まったと15日のリポートに記した。
  一方、アンブロシノ・ブラザーズのシニアバイスプレジデント、トッド・コルビン氏(シカゴ在勤)は「データが米利上げの極めて強力な論拠となり、人々もそれを受け入れ始めているものの、完全に受容しているわけではない」とコメントした。
原題:March Fed Hike in Play for Bond Traders After Inflation Blowout(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-16/OLFVT26JIJVM01


 

豪州:1月の失業率、予想に反して低下−フルタイム雇用者数は減少
Michael Heath
2017年2月16日 10:08 JST

オーストラリアの1月の雇用統計では、フルタイム雇用者数の落ち込みにもかかわらず失業率が予想に反して低下し、まだら模様となっている同国労働市場の状況が浮き彫りになった。
  豪統計局の16日発表によると、1月の雇用者数は前月比1万3500人増と、エコノミスト予想(1万人増)を上回る伸び。失業率は5.8%から5.7%に低下。エコノミスト予想では5.8%が見込まれていた。
  フルタイム雇用者数が4万4800人減る一方、パートタイム雇用者数は5万8300人増えた。労働参加率は64.7%から64.6%に低下。エコノミスト予想は64.7%だった。
原題:Australia Unemployment Rate Falls Despite Full-Time Jobs Plunge(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-16/OLG02J6TTDS001


 

 


米国株高の勢い止まらず、イエレン議長のタカ派寄り発言でも
Joseph Ciolli
2017年2月16日 08:06 JST 
関連ニュース
米の3月利上げの可能性、急速に視界に−予想上回るCPI上昇で
フォートレス株・オプションの売買急増−ソフバンクによる買収発表前
ヘッジファンド内部抗争、直感信じる守旧派とデータ魔術師のクオンツ
日本株は円安一服で輸出や素材安い、金融は高い−指数は小動き
株価は3年余りで最長の上昇局面へ、市場は議長発言気に掛けず
デフレ論議は鳴りを潜め、当局の役割はインフレ抑制に回帰
 
金利上昇のかすかな兆候が相場を急降下させた時代は遠い昔となり、今では米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が比較的タカ派寄りの姿勢を見せても株価は3年余りで最長の上昇局面に向かっている。
  1年前、世界経済成長のもたつきや相場下落にもかかわらず、金利は緩やかに上昇するとイエレン議長が発言した際には相場はさらに崩れ、S&P500種株価指数は1%強下落した。それから1年後、イエレン議長の意志は一段と固い。労働市場の改善と個人消費の加速は経済成長を持続させており、長く待ち過ぎれば危険なほどだと議長は述べた。その結果はといえば、S&P500種は連日の最高値更新、世界の株式相場は大幅上昇となった。
  コモンウェルス・ファイナンシャル・ネットワークのブラッド・マクミラン最高投資責任者(CIO)は「1年前に議長が同じことを言ったら、相場はパニックに陥っていただろう」と述べ、「経済は8年を掛けてゆっくりと持ち直し、回復してきた。離陸するとは誰も考えていなかったが、ここにきてその可能性は十分ある」と指摘した。
  米連邦準備制度が景気過熱の防止に取り組み続ける限り、市場は当局のタカ派寄り姿勢を気に掛けていないようだ。過去7年にわたる強気相場を通じて、物価上昇を刺激するための異例の政策を実施してきた当局の役割は、ここに来て大きく転換。インフレを取り締まるという、当局にとってよりなじみ深い役割に回帰しつつある。
  多くの変化があった。企業収益は増加し原油相場は上昇。デフレ論議は鳴りを潜め、中国による世界経済への脅威はあまり話題にならなくなっている。トランプ米大統領の企業心理への影響も無視できない。企業景況感の指標は大統領選後に大きく上昇し、投資家は株式ファンドに多額の資金を投じている。

原題:Stock Rally Steamrolls Through Yellen Rate Talk, Trump Headlines(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLFQ846KLVR401


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/247.html

[経世済民119] 寝不足がもたらす膨大な経済損失、頭痛だけでなく生産性の低下も 独連銀総裁、金融規制緩和は誤り ドル軟調ロング手じまい
寝不足がもたらす膨大な経済損失、頭痛だけでなく生産性の低下も
氏兼敬子
2017年2月16日 08:40 JST

関連ニュース
米の3月利上げの可能性、急速に視界に−予想上回るCPI上昇で
フォートレス幹部3人の保有株価値膨らむ−ソフバンクによる買収で
米国株高の勢い止まらず、イエレン議長のタカ派寄り発言でも
ヘッジファンド内部抗争、直感信じる守旧派とデータ魔術師のクオンツ

• ユニ・チャームなど勤務間インターバル制度を導入する企業も
• 日本の損失は年間1380億ドル、調査対象5カ国でGDP比が最大

睡眠不足は翌日に頭痛や倦怠(けんたい)感を引き起こし、日常生活に支障を来すだけではない。労働者の生産性を低下させ、死亡リスクを高めることにより、日本経済に多大な損失をもたらしている。睡眠不足の原因の1つとなっている長時間労働の抑制に向けて企業も動き出している。
  非営利研究機関 ランド・ヨーロップの調査研究によると、睡眠不足による経済損失額を国内総生産(GDP)比で見た場合、日本は2.92%となり、調査対象5カ国のうちで最大となった。損失額で比べると、最大は米国で、年間で最高4110億ドル(約47兆円)、日本は1380億ドルで2番目となる。

出所:RAND Europe
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iq4o3t5MufGA/v2/1200x-1.png

  睡眠不足は、職務遂行能力の低下などを通して生産性を下げる。同調査によると、日本は社会全体で年60万日を超える労働時間を損失しているという。1日の睡眠時間が平均6時間を下回る人は、7〜9時間の人に比べて、死亡リスクが13%高くなると指摘。6時間未満を6〜7時間に増やすことで日本経済には7570億ドルのプラス効果があると試算している。

長時間労働の文化

  厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の男女で1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は2015年に39.5%となり、比較可能な05年以降で最高となった。また、同省の「過労死等防止対策白書」によると、フルタイムの正社員調査で睡眠時間が「足りていない」、「どちらかと言えば足りていない」と回答した人の割合は4割を超え、理由としては、「残業時間が長いため」が最も多かった。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ilL2.HYJ5RKI/v2/-1x-1.png

  第一生命経済研究所の柵山順子主任エコノミストは「長時間労働をしなくてはいけないような雰囲気や長時間労働をすることで求められている以上のものを返すことを良しとするような文化が、結局は睡眠時間の不足や生産性の上がりにくい状況を作ってきている」と指摘。「もう少し時間を意識したような働き方に変えることが大切」だとし、それが長時間労働の是正につながると述べた。
勤務間インターバル制度
  長時間労働の見直しに向けて注目されているのが、勤務終了後、一定時間以上の休息期間を設けることを義務付ける「勤務間インターバル制度」だ。休息時間を確保することにより労働の質を高め生産性を高めることが狙いで、同制度を導入する企業が増えている。
  おむつメーカーのユニ・チャームは、1月からインターバル制度を導入し、全社員に対して、勤務終了から翌日の勤務開始まで8時間以上の休息を義務化した。また、同社では午後10時以降の勤務を原則禁止した。三井住友信託銀行では、12月に、退社から出社まで9時間以上空ける対象を、嘱託を含む全行員に広げた。
  同制度については、すでに欧州連合(EU)では加盟国に最低連続11時間の休息を確保するよう義務付けているが、日本では法制化されていない。厚生労働省によると、同制度を導入している企業は調査した約1700社のうち2%にとどまる。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ig38G3yfAi38/v2/-1x-1.png

  政府は勤務間インターバル制度の導入を後押しするため中小企業を対象にした助成金制度を始める。17年度予算で約4億円を計上し、50万円を上限に対象経費の4分の3を補助する方針。就業規則等の作成・変更費用、研修費用、労務管理用のソフトウェアや機器等の導入・更新費用などが対象となる。
  柵山氏は、過労死を減らすために長時間労働を是正しなくてはいけないのは大前提だとした上で、人口が減少する中で長時間労働をできない人も増加するとし、「長時間労働をしなくても回るような仕組み作りに真剣に取り組まなくてはいけない時期にきていると思う」と述べた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OL002C6TTDS201

 


独連銀総裁、金融規制緩和は誤りと指摘

[ベルリン 15日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのワイトマン独連銀総裁は、金融危機後に導入された、銀行に資本バッファーの上乗せを義務付けた規制を緩和することは誤りだとの見解を示した。独紙ビルトが15日伝えた。

総裁は同紙に「(金融危機の)重要な教訓は、銀行に対する監視を厳格化し、資本バッファーの上乗せを義務付けたことだ」と指摘。

「規制緩和を競うような状況は断固として避けなくてはならない」と強調した。

トランプ米大統領は金融規制改革法(ドッド・フランク法)の見直しを指示している。これに関し、ショイブレ独財務相は14日、金融規制を緩和しないようムニューチン米財務長官を説得すると述べた。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
ユーロ圏の景気拡大基調、英EU離脱決定でも不変=独連銀総裁
コラム:トランプ氏の「国境税」と「国境調整」の違いは
さらなる法人税下げ、企業の賃上げ・設備投資見極めたい=安倍首相
ソフトバンクG、米フォートレスを約3750億円で買収
米FRB議長、緩和や銀行規制で共和議員から追及
http://jp.reuters.com/article/germany-weidmann-us-regulation-idJPKBN15V03H

 

NY外為:ドル軟調、データ主導の騰勢失う−ロングが手じまい
Dennis Pettit
2017年2月16日 06:30 JST更新日時 2017年2月16日 07:29 JST

関連ニュース
米の3月利上げの可能性、急速に視界に−予想上回るCPI上昇で
フォートレス幹部3人の保有株価値膨らむ−ソフバンクによる買収で
米国株高の勢い止まらず、イエレン議長のタカ派寄り発言でも
ヘッジファンド内部抗争、直感信じる守旧派とデータ魔術師のクオンツ

15日のニューヨーク外国為替市場でドルが軟調。米経済統計を手掛かり上昇していたドルは、ここにきて失速した。
  ブルームバーグ・ドル指数は0.2%低下。一時は0.5%上昇した。朝方発表された経済統計では1月の米小売売上高が予想を上回ったほか、1月の米消費者物価指数(CPI)は2013年以来最大の伸びとなった。ロンドンと欧州のトレーダーらによると、週初以来レバレッジ系によるドル・ロングが積み上がっていたが、ドルの騰勢が崩れた途端に一部が利益確定に動いた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iJbxbkb0xL5E/v2/-1x-1.png

  ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で0.1%下げて1ドル=114円16銭、対ユーロでは0.2%安の1ユーロ=1.0601ドルとなっている。  
  イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は前日の議会証言で、インフレ目標の達成に近づいているとし、「緩和解除を長く待ち過ぎるのは賢明ではない」と指摘した。ロンドンのトレーダーはイエレン議長の証言後に市場参加者は次回の利上げ時期を見極める上で一段とデータ重視に傾いたと指摘した。
  CPIと小売売上高の発表後に金利先物市場が織り込む3月利上げの確率は44%に上昇した。前日のイエレン議長の議会証言前は30%前後だった。6月の利上げ確率は80%となっている。
  ボストン連銀のローゼングレン総裁とフィラデルフィア連銀のハーカー総裁がより早急な利上げが必要になる可能性があると述べると、ドルは下げ幅を縮小した。  
原題:Dollar Loses Traction, Longs Bail as Data-Driven Gains Evaporate(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-15/OLFPXV6VDKHU01 


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/248.html

[戦争b19] 米中建艦競争、15年後には中国海軍が世界一に  トランプ氏パレスチナ国家の樹立は中東和平の必須条件ではない
米中建艦競争、15年後には中国海軍が世界一に
2017/02/16
岡崎研究所
 元米海軍大佐のジェイムス・ファネルと米海軍作戦部長スタッフのスコット・チェイニー=ピータースが、1月19日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙掲載の論説において、中国は今後も海軍を大幅に増強するものとみられ、米国はそれに対抗するため、思い切った海軍増強策を講じるべきである、と述べています。要旨、次の通り。

(iStock)
 現行の米海軍艦船建造30年計画では、艦船数を現在の「展開可能な戦艦」273隻から308隻に増加するとしているが、11月トランプの側近は目標を350隻とすべきであると提言した。これは海軍自身の「戦力構成評価」の提案と軌を一にしている。

 これらは中国海軍がインド・アジア・太平洋で、対等の競争者として登場していることを認めるものであるが、中国の今後の拡張を十分考慮していない。米海軍大学の分析によれば、中国海軍は2030年までに430隻以上の主要海上艦と約100隻の潜水艦を有すると予測される。そうなると、今後15年で中国の海軍は、規模と能力で米国海軍を劇的に上回ることとなる。

 中国海軍はこれまで毛沢東時代の旧式の艦船と潜水艦を廃船し、近代的なもので置き換えてきたが、それが終わり、最新の艦船と潜水艦の製造に全力を挙げている。中国の海軍は、空母攻撃艦隊、潜水艦発射弾道ミサイル、艦隊のネットワークにより、世界的プレゼンスを享受するであろう。

 世界秩序に対する中国の海軍力による挑戦に対抗するため、米海軍がより多くの艦船、より信頼できる抑止能力を必要としているのは明らかである。戦艦建造拡大計画についてのトランプ政権の提案を超党派で支持することが、世界における米国の国益を守るために重要である。

出典:James E. Fanell & Scott Cheney-Peters,‘Defending Against a Chinese Navy of 500 Ships’(Wall Street Journal, January 19, 2017)
http://www.wsj.com/articles/defending-against-a-chinese-navy-of-500-ships-1484848417

 米海軍大学の予測によれば、2030年までに中国海軍は、規模と能力で米国海軍を劇的に上回ることになります。これは、米国が海軍の「戦略構成評価」の提案通り海軍力を増強したとしてもそうなるということです。筆者が米国の戦艦建造拡大計画を一層推進する必要があると警告する所以です。

世界的に海軍力を投影しようとする中国

 米海軍大学の予測は、中国が単に南シナ海の制海権を樹立しようとするのみならず、より広く世界的に海軍力を投影しようとしていると見ています。おそらく中国の長期的ビジョンはそうなのでしょう。

 それが可能かどうかは、中国が長期的に国防費を増額できるかどうかと、中国政府の優先度の置き方にかかっています。中国の軍事力の強化を最優先する考え方は、経済・財政的制約がよほど大きくならない限り、基本的に変わらないのではないかと思われます。

 トランプは選挙戦中、米陸軍、海兵隊の規模の増大、海軍の艦船の350隻への増加を中心とする軍事政策を発表しています。しっかりした戦略に基づく発表とは思えませんが、方向としては軍備増強を志向しています。トランプ政権が、中国の長期的海軍増強計画を見据えて、中国の挑戦に対抗できるような海軍増強計画を検討することが望まれます。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8867


 

トランプ氏、米国は中東和平の「2国家共存解決」にこだわらず
2017/02/16
BBC News

http://ichef-1.bbci.co.uk/news/904/cpsprodpb/D3C8/production/_94661245_hi037920946.jpg

ドナルド・トランプ米大統領は15日、イスラエルとパレスチナの紛争については「2国家共存構想」を支持してきた米国の長年の中東和平方針を撤回すると表明した。

ホワイトハウスでイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談後に共同記者会見に臨んだトランプ氏は、自分が「最高の」和平合意を実現すると約束しつつ、そのためには双方が妥協しなくてはならないと述べた。

「2つの国家と1つの国家を検討していて、僕は双方が好きな方が好きだ。双方が好きな方を、僕は大いに歓迎する」とトランプ氏は発言。

「僕はどちらでも構わない。しばらくは、2つの案で2国家の方が簡単かもしれないと思っていた」、「正直言って、ビビ(ネタニヤフ首相の愛称)とパレスチナの人たちが、もしイスラエルとパレスチナがそれでいいと言うなら、僕はみんなが一番いいと言う方でいい」と大統領は述べ、「2国家共存構想」にはこだわらない姿勢を示した。

さらに究極的には、和平合意にたどりつくかどうかは、イスラエルとパレスチナの双方次第だと述べた。

イスラエルとパレスチナの和平交渉は2014年以降、実質的に中断している。

記者会見でトランプ氏はネタニヤフ首相に対して、イスラエル入植地の建設を「少しの間」、「控えて」もらいたいと求めた。

トランプ大統領が1月20日に就任して以降、イスラエル政府はヨルダン川西岸と東エルサレムの入植地において大量の住宅建設を承認している。

記者会見では両首脳とも、独立パレスチナ国家の樹立を支援すると言明しなかった。米政府は長年にわたり超党派で、パレスチナ国家の樹立を一貫して支持してきた。

トランプ氏は大統領選中、米国大使館をテルアビブからエルサレムに移設すると公約していた。パレスチナ人にとっても重要な意味をもつエルサレムを米国がイスラエルの首都のように米国が扱えば、和平交渉の大きな障害となり得る。

トランプ氏は「大使館のエルサレム移設については、そうなれば本当にいいと思っているし、とてもとても熱心に検討している。非常に慎重に、非常に慎重に検討している。本当だ。どうなるか考えている」と答えた。

ネタニヤフ首相は「2国家共存構想」について尋ねられると、「レッテル」ではなく「内容」を重視していきたいと答えた。

「和平の前提条件が2つある。第一に、パレスチナはイスラエル国家を承認しなくてはならない。第二に、どのような和平合意でも、ヨルダン川の西側地域全体の治安維持全般についてはイスラエルが権限を維持しなくてはならない」と首相は述べた。

トランプ政権発足以降、両首脳が直接会談するのは初めて。オバマ政権と対立することの多かったイスラエル政府は、トランプ政権で米国との関係改善を期待している。

一方で、ロイター通信によるとパレスチナ自治政府は、「2国家共存構想」を堅持すると強調し、イスラエルによる占領支配の終結をあらためて求めた。自治政府関係者は首脳会談に先立ち、パレスチナ国家発足の目標を放棄しないよう米政府に呼びかけていた。

2国解決構想の放棄については、ホワイトハウス高官が14日にパレスチナ国家の樹立は中東和平の必須条件ではないと語り、その可能性を示唆すると共に、トランプ氏は解決策を当事者に「押し付ける」つもりはないと述べていた。

パレスチナはヨルダン川西岸と東エルサレムを、将来的なパレスチナ国家の領土として主張している。しかしイスラエルは1967年に両地域を軍事占領して以来、140の入植地建設を強行。60万人以上のイスラエル人が入植地で生活している。

国際社会はイスラエルの入植地建設を国際法違反と非難しているが、イスラエルはこの判断を受け入れていない。

2国構想とは

イスラエルとパレスチナの間の数十年にわたる対立の解決策として、双方と国際社会がかねてから目標として来たのが「Two-state solution」(2国構想、2国共存解決案など)だ。

@1967年の第3次中東戦争(いわゆる「6日間戦争」)でイスラエルがガザ地区、東エルサレムを含むヨルダン川西岸を軍事占領する以前の停戦合意状態に戻し、A同地域内に独立パレスチナ国家を樹立し、Bパレスチナ国家がイスラエル国家と平和的に共存する状態を目指す。

国連、アラブ連盟、欧州連合(EU)、ロシア、そして今までは米国も、この構想を一貫して支持してきた。

<解説>ネタニヤフ首相に同行して――ギディ・クライマンBBC中東プロデューサー

ネタニヤフ首相とトランプ大統領の初会談にあたって、かなりの人数の報道陣がイスラエルから首相に同行した。オバマ政権の8年間では厳しい両国関係が続いた後だけに、この首脳会談への期待は大きかった。

会談に先駆けて、会談の方向性が不透明だという懸念が、同行記者団から多く聞かれた。

2人はうまくやれるのか、そしてなによりイスラエルとパレスチナの紛争と2国共存案についてどういう発言が出るのか。

ホワイトハウスのイーストルームで記者会見を待ちながら、イスラエルの記者たちは原稿を送り、ソーシャルメディアに投稿し、ホワイトハウスの入館証を持った自分の写真を撮っていた。イスラエル政府関係者も同じだった。

両首脳が会見室に入り、温かい言葉を交わす光景は、両国関係の新しい幕開けのようにも見えた。

しかし同時に、2国共存案から離れるという意味でも大きな分岐点だったのかもしれない。両首脳とも、2国共存案という言葉はあえて使わなかった。

自信たっぷりな両首脳の様子からは、もしかすると穏健派アラブ諸国との間ですでに何らかの地域合意案の検討が始まっているのではないかという印象を受けた。

今後どうなるのか、記者団は想像するしかなかった。あるいはトランプ氏が言ったように、「様子を見る」しかないのだ。

(英語記事 Trump relaxes US policy on Middle East two-state solution)


この話題についてさらに読む

Video トランプ氏「僕はどちらでも構わない」 中東紛争の解決方法
24分前
Video パレスチナとイスラエルはなぜ話し合っていないのか
2017年01月18日
イスラエル警察、ネタニヤフ首相を事情聴取
2017年01月3日
イスラエル首相、米国大使呼びつけ抗議 安保理決議で
2016年12月26日
国連安保理、イスラエル入植地非難決議を採択 米国棄権
2016年12月24日
トランプ氏抗議で国連イスラエル非難決議案の投票先送り
2016年12月23日
【米政権交代】 トランプ氏、核軍拡が必要とツイート
2016年12月23日
イスラエル・テルアビブで銃乱射 4人死亡
2016年06月9日
中東和平の国際会議 パリで開催へ
2016年06月3日
イスラエルでアラブ人の警視副総監が誕生
2016年04月14日
イスラエルでパレスチナ人による切りつけ事件相次ぐ 米国人観光客も殺害
2016年03月9日
【米大統領選2016】トランプ氏、イスラエル訪問延期 「大統領になってから」
2015年12月11日
Video イスラエルで護身術教室が活況 相次ぐ襲撃事件受け
2015年11月26日
テルアビブ、ヨルダン川西岸で襲撃相次ぐ 5人死亡
2015年11月20日
Video 暴力が日常に エルサレムの若い女性4人が語る
2015年11月9日
パレスチナの旗、国連本部前で初めて掲揚
2015年10月1日
提供元:http://www.bbc.com/japanese/38989032
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8938


 

トランプ氏「僕はどちらでも構わない」 中東紛争の解決方法
24分前
共有する
ドナルド・トランプ米大統領は15日、イスラエルとパレスチナの紛争について「2国家共存構想」を支持してきた米国の長年の中東和平方針を撤回すると表明した。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相(愛称「ビビ」)との記者会見でトランプ氏は、2国家構想について、「僕はどちらでも構わない」とこだらわない姿勢を示した。
http://www.bbc.com/japanese/video-38988962
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/679.html

[国際18] 王朝の息子が死去 金正男氏はなぜ殺害されたのか 正男は正恩の脅威ではなかった 韓国メディアの情報操作と歪曲
【寄稿】 王朝の息子が死去 金正男氏はなぜ殺害されたのか 
2017/02/15
BBC News

マイケル・マッデン ジョンズ・ホプキンス大学米韓研究所客員研究員

(文中一部敬称略)

金正男(キム・ジョンナム)氏は、北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男で、現在の北朝鮮の指導者、金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄だった。

1971年5月に平壌で生まれた。母親は北朝鮮の映画女優、成恵琳(ソン・ヘリム)だった。成の両親は、朝鮮戦争の最中に韓国から北朝鮮に移住した、共産主義の知識人だった。

成は金正日より4〜5歳年上で、付き合い始めた時にはすでに結婚して子供もいた。

保守的な北朝鮮社会にとって、2人の関係はかなりの醜聞で、正日は長年にわたり内縁の妻と2人の間に生まれた息子のことを、父・金日成主席から隠していた。

正男が生まれた当時、正日が第一後継者とみられていた。成との関係の詳細が明るみに出れば、後継者としての芽は摘まれていたかもしれない。正日の当時の最大のライバルは、お互いに嫌悪し合っていた継母の金聖愛(キン・ソネ)だったので、なおさらだ。

その存在を世間から隠されていた正男は、平壌中心部の大邸宅に隔離されて育った。

様々な心身の病気を抱える母親は、頻繁に北朝鮮の外で治療を受ける必要があった。そのため正男は、母方の祖母と母方のおば、成恵琅(ソン・ヘラン)と共に暮らした。成恵琅は作家で、夫はすでに失い、子供が2人いた。

10年の旅路

正日の妹・金敬姫(キム・ギョンヒ)が、甥にあたる幼い正男を連れ去り、自分の息子として育てようとしたことがある。その希望はかなわなかったが、敬姫は常に正男に味方し続けた。

そして正男は、文字通り宮殿の門の内側で、秘密裏に育てられた。

正日は息子を溺愛した。一緒に眠り、食事を共にし、忙しすぎて帰宅できないときには息子に電話をしていた。

韓国側がしきりに広めた噂とは裏腹に、正男は最終的には祖父の日成と面会し、祖父と孫としての関係を築くに至った。

正男は1979年から10年間、北朝鮮の外で暮らし始め、学校に通った。

ロシアとスイスに滞在し、フランス語と英語を堪能に使えるようになった後、1980年代後半に帰国した。

外の世界を経験した正男は、世間から隔絶された平壌や元山での暮らしに不満を覚えるようになり、やがては北朝鮮の政治経済体制に疑問を抱きはじめる。

そうした息子の言動にしびれを切らした正日は、若い正男を強制収容所送りにする、政治犯として炭鉱で働かせると繰り返し脅していた。

正男の叔母によると、正日の脅しはかなり本気だったため、家族はいつ収容所に送られてもいいようにと余分の服や靴を買いそろえていたという。

「遊び人」

収容所送りは逃れたものの、正男は父親の要求や非現実的な期待を浴びながら20代を過ごした。

父親の後継者となる可能性は決してなかったが、それでも家業には参加。北朝鮮の公安活動や海外での外貨獲得活動に関わった。

1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」で市民数十万人が死亡するなか、国営工場の運営状況を調べる党幹部による監査に、正男も参加した。

工場監査の結果、「国家から盗んだ」罪をかけられた工場経営者たちが処刑される姿を、正男は目にする。

様々なことを要因に、正男は自分が生まれた国、自分の父と祖父が率いる国の政治体制に幻滅するようになる。

1990年代後半に結婚し、数人の子供をもうけた。2000年代初め以降は北朝鮮の外で過ごすことが増え、マカオや北京にある一族の邸宅に滞在するようになる。

数十億ドル相当になる一族の資金口座の管理が、正男の役目だった。北朝鮮による非合法事業にも関わっていた可能性がある。

麻薬密売や武器密輸といった事業に正男が直接関わったことはないが、正規か非正規かを問わず、事業収益が各国政府当局の監視をすり抜けるよう手配するのが、仕事の一部だった。

アジア各地のカジノの常連となり、一族の資産維持に携わる結果、気ままに世界中を飛び回る派手な生活の遊び人として知られるようになったのも、偶然のことではない。

身内の対立

1979年に話を戻そう。正男が最初に海外に渡った時のことだ。

出国する息子を見送った正日はしたたかに酔い、涙ながらに成恵琅をなじった。「お前のせいだ。お前は、私から息子を取り上げようとしている」。

1970年代後半にもなると、正日は大阪生まれの在日朝鮮人で万寿台芸術団の一員だった、高英姫(コ・ヨンヒ)と交際するようになった。

正男が外国にいる間に、正日は高と暮らすようになり、子供3人をもうけた。真ん中の二男が、現在の国家指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長だ。

他の妻や内縁の妻と異なり、高は政治に興味を示した。そして何より、正日が高に夢中になった。

正男は後に、自分が留学した後、父親は自分の不在による欠落を高と3人の子供たちで埋めようとしたのだと話している。

高には野心があった。夫を取り巻く側近や将軍たちに接近し、親しくなるよう努めた。

1980年代後半に正男が留学を終えて帰国すると、すでに高が子供たちを後継者にしようと画策していると、使用人の間で噂が飛び交っていた。北朝鮮では、指導者の世襲を話題にすることは禁止されており、銃殺刑になってもおかしくない。

1990年代後半から2000年代前半にかけて、高は事実上のファーストレディとして振る舞い、軍の視察や政府指導部の歓待などの際に夫と同行した。

それによって、2人の息子の正哲、正恩兄弟のいずれかが後継者になるよう、下地を作っていたのだ。

2001年5月に偽造旅券で日本に入国しようとした正男が東京で逮捕された一件は、当初は金一族と北朝鮮上層部の面目失墜だとして受け止められた。国の幹部が偽造旅券で移動していることが、露呈されてしまったからだ。

その後は、この事件のせいで正男が後継者争いで敗れ、脇に追いやられたのだと誤って解釈され、誤って伝えられた。彼が後継者だったことはないのに。

しかしこの高は事件を国内で大いに活用し、自分の2人の息子のどちらかが正日の後継者になるべきだと運動した。その結果、ひょんなことから、正恩と正男は長年にわたるライバル関係にあると大げさに伝えられたのだ。

正恩は異母兄を殺させたのか?

正恩が北朝鮮政府幹部を次々と粛清する「恐怖の支配」を繰り広げているとか、正恩の統治力(あるいは精神衛生)は「不安定」だという宣言や分析が相次ぐなか、異母兄を殺しても正恩の世間的イメージには何の役にも立たないし、政治的利益にもつながらない。

単に噂がますます膨らむだけで、韓国側にそれ見たことかと言わせるような真似を、正恩があえてするだろうかというのは疑わしい。

正男は正恩やその支配態勢にとって脅威ではなかった。指導者になろうとは、まったく思っていなかったのだし。

外国暮らしが長かった正男は、北朝鮮首脳部の間に権力基盤を作ることができなかったし、統治機構のどこをどう掌握すれば実権が握れるのかもほとんど理解していなかった。

正男は、中国指導部と密接につながり、ある程度までは中国当局の保護下にあった。

数カ月前から北朝鮮は、最大の同盟相手で貿易相手の中国との関係強化に尽力していた。

正男が中国政府の一部にとって役立つ存在でなくなったというならともかく、アジア地域における地政学的な利害関係から言っても、正恩が異母兄殺害を命令するのは、理にかなわない。

孫のような存在

正男は平壌に、実態を伴う権力基盤を持ち合わせていなかった。

公にも私的にも、北朝鮮の支配に関心がある様子はほとんど見せなかった。

しかし生まれが生まれだけに、北朝鮮首脳陣の年長者、特に金日成に近かった人たちは正男を孫のような存在として見てきた。

金日成の元側近たちは正男の生い立ちや経歴を承知していた。ゆえに正男に特別な親愛の情を抱く国の英雄が、少なからずいたのだ。

この親近感や関係性が、必ずしも国内政治基盤のもとになるとは限らなかった。しかしもし正男がいつの日か、異母弟の政敵として立ち上がるつもりになったとしたら、役に立つものではあった。

2011年に正恩が権力を握って以来、北朝鮮の国営メディアはこうした革命の長老たちが正恩を褒め称える姿をことさらに伝えてきた。

そして公式行事となると、正恩は常に、ことさらに長老たちを歓迎し、その姿を撮影させていた。

年長者や国の英雄に敬意を払うという次元を、はるかに超えた待遇ぶりだ。

むしろプロパガンダの一環として、北朝鮮建国の世代の祝福を必要としているのは正恩の方だ。そして何より、若き指導者を国の指導陣が一致団結して支えているのだというメッセージを伝えるのが大事なのだ。

もしも正男が権力掌握を目指して、自分こそが正統な後継者であると主張し、正恩に挑戦していたとするなら、自分を支持してくれただろう叔父・張成沢(チャン・ソンテク)と叔母の金敬姫がもはや国の中枢にいないことは、痛手だったはずだ。

張は2013年、正恩の命令で処刑された。そしてそれを機に、敬姫は北朝鮮政治から事実上引退した。

情報操作と歪曲

正男は30年近く、韓国メディアの標的にされ、韓国メディアは正男について情報攪乱(かくらん)を続けてきた。

ビジネス上の行動、あるいは個人としての行動(いずれも逮捕される可能性があった)への配慮から、正男は自分について何を言われ、どういう噂が飛び交っても、ほとんど反論しなかった。

外から北朝鮮の指導部を眺めても、そこに見えるのは「霧」でしかないという状況が望ましいという父親の考えに、正男は従っていた。

とは言うものの、北朝鮮ウォッチャーはひとまず、マレーシア当局がきちんと捜査を進められるよう、しばらく事態を静観すべきだ。

正男の死について、早くも異なる情報が錯綜している。もしかすると、単に心臓発作を起こしただけかもしれないのに。

(英語記事 Death in a dynasty: What led to the demise of Kim Jong-nam?)

提供元:http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-38977508
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/8928
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/240.html

[経世済民119] 2020年代、若者を襲う「就活の地殻変動」仕事が消滅する時代 単純で生産性の低い仕事は外注〜を減らす 賢人ほど説明が短い
10年後、君に仕事はあるのか?
【第2回】 2017年2月16日 藤原和博

2020年代、若者を襲う「就活の地殻変動」

AIの台頭や一層のグローバル化、就活の地殻変動などの影響で到来する「仕事が消滅する時代」。そんな時代に必要とされるのが、「雇われる力」(エンプロイアビリティ)だ。本連載では、藤原和博氏の最新刊『10年後、君に仕事はあるのか?』の内容をもとに、「高校生に語りかける形式」で2020年代の近未来の姿と、未来を生き抜くための「雇われる力」の身につけ方をお伝えする。今回はその第2回。

「AI×ロボット技術」と「人間の知恵」とが掛け合わされる場所

早く正確に処理する仕事、つまり単純な処理作業はいまでも続々とコンピュータに置き換えられています。これは当たり前ですよね。

でも、簡単な判断が求められる仕事もすでに機械ができるようになっていて、この10年でさらに、かなり複雑な判断が求められる仕事までAI×ロボットに奪われていくだろうと予測されているのです。

面白いのは、電車の運転士はかなり早い段階でAI×ロボットに取って代わられる運命にあるけれど(すでにモノレールなどで実現)、同じ電車運行の仕事でも、車掌のほうは意外と生き残るだろうという予測もあることです。

最終的な安全確認や電車の運行中に病人が出たときの対応など、想定外の(予測が難しい)事態への対応は人間に任せたほうがうまくいくと考えられているからでしょう。逆に言えば、そういう仕事が残るということでもあります。

だから君たちには、AI×ロボットの時代に入るこのときに、人間として本当に必要な知恵と力を身につけてほしいと思うのです。

「AI×ロボット技術」と「人間の知恵」とが掛け合わされる場所に、必ずや新しいタイプの人間の仕事の場、すなわち「フロンティア」が開けてきます。介護でも、保育でも、教育でも、はたまた伝統文化を継承する仕事でさえも。

この危機をチャンスととらえ、1人ひとりが独自のフロンティアを切り開いていってもらいたい──。これは、現在、私が校長を勤める奈良市立一条高校の入学式で話した話題でもあります。

2020年代に起こる就活の地殻変動とは?

2020年代を通してAI×ロボット革命が進むにつれて事務系の処理仕事がなくなっていきます。

加えて、オリンピック開催後のギリシャや中国がそうだったように、東京五輪後の日本の経済は、宴のあとの状態で沈み込むはずです。

このダブルパンチを受けて就活においても、首都圏では、私立大学卒業生のメインの就職先だった伸び盛りの中堅・準大手企業に、国公立の卒業生が押し寄せることになるでしょう。

また、全国各地で、地方大学卒業生の定番だった地方の有力企業や公務員の求人枠に、エッというような東京や関西の有名大学から学生が攻め込んでくるということが起こると思います。就活の地殻変動が起こる。

新卒だけでなく、中途採用でも同じです。

でも、意外にもこの流れが、多様な人材を地方に呼び込むことになって、本当の意味での地方の活性化が図られるかもしれません。だから、悪いことばかりじゃない。

「地方創生」という言葉が流行ったけれど、僕の経験では、東北の石巻市雄勝(雄勝石を使った時計をプロデュース)でも、佐賀県武雄市(武雄市特別顧問)でも、移住して住んだ奈良市でも、地元の人材だけではなかなか大きな仕掛けはできないものです。人材については、地産地消だけでは無理なんですね。だから、こうした流れは良い知恵が生まれるキッカケになります。

ここで、2020年代に起こる地殻変動に対して、強いと思われる職種を2つだけ挙げておきましょう。それは、観光とプログラミングです。

極端な円高にならない限りですが、日本を訪れる観光目的の外国人(いわゆるインバウンド)は増え続けると予想されます。それは、海外旅行を楽しめるほど収入があるアジアの中間層が、現在の数億人規模から2030年までに20億〜30億人に達するだろうと試算されているからです。

観光業での生き残りは国家戦略の1つに位置づけられていますし、インバウンドで外国人が日本国内で使ってくれるお金は、かつて加工貿易立国だった頃に輸出で稼いだ外貨と同じ意味を持つのです。

一方、プログラマーが足りなくなるのは言うまでもありません。プログラミングを理解しているかどうかは、2020年代には、かつての「英語ができるかどうか」と同じ意味を持つことになるでしょう。

だから、一条高校には、図書館の奥にリクルートのスタッフが詰めて「一条観光倶楽部(IKC)」と「一条プログラミング倶楽部(IPC)」を運営することにしました。関心のある生徒が、学科や部活の壁を超えてゼミのようにプロから学べるようにです。

2020年代に若者に厳しい現実が押し寄せるのには、じつはもう1つ理由があります。社会に対する若者の負担が増えてしまうという問題です。

人口割合として、お年寄りが増え、若者が減ることは明らかです。このままでは社会保障が破たんするから、消費税が15%程度にはなると僕は予想します。

これについては、2020年代の年代別人口動態の推移を踏まえれば、十分納得がいくでしょう。

つまり、三重の衝撃、トリプルパンチなんです。
http://diamond.jp/articles/-/117214

 

残業ゼロがすべてを解決する
【第37回】 2017年2月16日 小山 昇

単純で生産性の低い仕事を外注して残業を減らす方法

小池都知事が「夜8時には完全退庁を目指す」、日本電産の永守社長が「2020年までに社員の残業をゼロにする」など、行政も企業も「残業ゼロ」への動きが急加速中!
株式会社武蔵野は、数十年前、「超ブラック企業」だった。それが日本で初めて日本経営品質賞を2度受賞後、残業改革で「超ホワイト企業」に変身した。
たった2年強で平均残業時間「56.9%減」、1.5億円もの人件費を削減しながら「過去最高益」を更新。しかも、2015年度新卒採用の25人は、いまだ誰も辞めていない。
人を大切にしながら、社員の生産性を劇的に上げ、残業を一気に減らし、過去最高益を更新。なぜ、そんな魔法のようなことが可能なのか?
『残業ゼロがすべてを解決する』の著者・小山昇社長に、人材育成のヒントを語ってもらおう。

アウトソーシングの効果


小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/
わが社は、パート・アルバイトを入れると約850名に及ぶ大所帯です。
でも、経理部門はわずか3名です(社員2名とパート1名)。
月次決算は、翌日の夕方6時には、PL/BSが出ます。
総務に至っては、ひとりしかいません。
経理も総務も、最少人数でできるのは、社員に完璧さを求めていないからです。
経理や総務に求めるスキルが、他の会社が100とするなら、わが社は「90」の仕事をしてくれればいい。

では、残りの10はどうするか?
アウトソーシング(外注)すればいい。

専門的なことや非生産的な作業は、社内でやらずにアウトソーシングする。
武蔵野は以前、ISOやPマークの認証取得や運用を自社で行っていましたが、今考えると本当にムダでした。
担当者をつけてノウハウを覚えても、人事異動で担当者が変わると、またイチからやり直しになるからです。

ISOやPマークの取得も、手間がかかるわりには、それ自体が利益を生み出すわけではありません。
これならアウトソーシングしたほうが得と考え、ISO総合研究所に運用代行をお願いした。

人が採れない時代に
人を辞めさせない対策

私は、何もかも、すべての仕事(作業)を社内でやるべきだとは思っていません。
「効率がいい仕事」「生産的な仕事」だけを社内で行い、それ以外の「効率が悪い仕事」「非生産的な仕事」は、アウトソーシングすればいいと考えています。
なぜなら、単純で生産性が低い仕事をさせると、従業員が腐って、離職の原因になるからです。

ムダな仕事が減れば、当然、残業時間も減り、早く帰ることができます。
「人が採れない時代」に大切なのは、人を辞めさせないことです。
だとすれば、単純作業でもアウトソーシングが正しい。
社長の仕事は、社員が働きやすいように環境を整えることです。
小田島組の小田島社長は、残業を減らすために積極的にアウトソーシングを活用中です。

「これまでは、建設現場事務所(建設現場で限られた期間のみ必要とされる事務所)を自社の社員が建てていた。現在は、アウトソーシングです。また、パンフレットやポスターは社内制作でしたが、現在は専属の女性デザイナーにお任せしています」(小田島社長)

小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/
http://diamond.jp/articles/-/114455

 

2017年2月15日 鶴野充茂
頭がいい人ほど例外なく「説明が短い!」

上司やクライアントに説明する際に、なるべく詳しく情報を増やそうと努力していませんか。実は「話は短く、余計なことは話さない」ほうが相手には的確に伝わるのです。『図解 頭のいい説明「すぐできる」コツ』を上梓したコミュニケーションの専門家・鶴野充茂氏が、説得力ある説明の仕方を実例を交えてレクチャーします。

「長い説明を短くする」と
中味がグンと濃くなる!

 情報の量を増やせば増やすほど、わかりやすくなる──。

「説明がへたな人」に限って、そんなふうに考えてしまうようです。

 ビジネスシーンでは、情報の量を増やせば増やすほど、混乱を招くことが多いもの。

 説明を聞けば聞くほど、何を言いたいのかがわからなくなり、次第に話の趣旨とは違ったところに興味が向かい、ついには勝手な妄想を始めてしまったりするのです。

 そこで有効なのが「メディア・トレーニング」──新聞やテレビなど、マスメディアの取材を受けることが多い企業の経営者や広報担当者が受講する研修のことです。

 このトレーニングでは、メッセージの伝達効率──「伝えたいメッセージを確実に伝える」技術──を高めるための、さまざまなコツを学びます。

 簡単に言えば、「わかりやすい表現」「相手に誤解を与えない表現」の、基本から応用までを細かく学ぶのです。

 このメディア・トレーニングで繰り返し強調されることがあります。

「長く話さない」ということです。

 つまり、余計なことは話さない。話はできるだけ短くする──。

 なぜならば、話は短いほうが、聞き手にはよくわかるからです。一つひとつの言葉の意味を咀嚼しやすくなるからです。

「不必要な情報」を
どう見分けてカットするか


『図解 頭のいい説明「すぐできる」コツ』鶴野充茂 著 三笠書房刊 1,100円+税
 話が長い人はなぜ、「説明がへた」なのか──。

 明快です。

 話が長くなると、「必要な情報」と「不必要な情報」がゴチャゴチャになるからです。だから、何を言いたいのか相手に伝わらないのです。

 ここにこそ「頭のいい説明」の鉄則があります。

 説明というのは、「不必要な情報」をカットするだけで格段にスッキリし、「頭のいい説明」になるのです。

 では、「不必要な情報」とは何でしょうか?

 それは、聞き手にとって「重要度の低い情報」のことです。

 聞き手にとって聞きやすい「話の流れ」を考えた際、後回しにされる情報を言います。

 これを「背景情報」と言います。

 背景情報は後回し、できればカットする。

 それだけで話はわかりやすくなります。

 ムダに話が長い人が、あなたの身近にもいないでしょうか?

 そのような報告・説明は、聞いていて、とても疲れます。「必要な情報」と「不必要な情報」がゴチャゴチャになっているので、何とも言えない「間のび」感があるのです。

 そこで、重要度の「高い情報」と「低い情報」を整理すると、ガラリと変わります。

 重要度の「高い情報」とは、まさに聞き手が「聞きたい」と思っている情報のことです。

 では、重要度の「高い情報」と「低い情報」を区別するには、どうすればいいのでしょうか?

 簡単です。

「そのときに自分が思いついた順番」ではなく、「相手が聞きたいと思う順番」で話せばいいのです。

 具体例で見ていくことにしましょう。

 たとえば、IT企業のマーケティング系部署で、業界動向をチェックするために展示会に参加した人がいるとします。翌日、その展示会の様子を簡単に上司に報告することになりました。

 こんな場面で、「話が長い人」は、以下のように話します。

「昨日、幕張メッセで開かれたITフェアに参加してきましたので、そのときの様子を報告します。ITフェアは今年で15回目の開催で、全体のテーマは「さらにつながる世界」でした。これが会場入り口の写真です(と、パワーポイントで貼りつけた写真を見せる)。3日間開催されていて、私は2日目に行ってきました。

 展示会全体は、モバイル、ネットワーク、ビジネスソリューションの3つに分かれていて、モバイルのセクションに人が一番多かったように思います。場内の様子は、こんな感じです(と、また写真を見せる)。

 私が目新しさを感じたのは、XX社の新製品で、これなんですが(製品の写真を見せる)、業界最小・最軽量で、初公開ということもあり、大勢の人がこのブースには集まっていました。実際に手に持った感じは「見た目より重いな」と。でも、「表面の加工とか質感はいいなあ」と思いましたね。

 あ、そういえば、今年はYY社のブースが大きくて、逆にZZ社のブースが小さかったです。YY社の知り合いが会場にいたので聞いてみたら……」

 さて今の説明の中で、あなたは、重要度の「高い情報」と「低い情報」を整理できましたか?

「相手が聞きたい情報」から話すと
説明は見違えるほどよくなる

 聞き手が「何を聞きたいと思っているか」を考える──。

 それが情報の重要度を区別するはじめの第一歩です。

 そのようにして、重要度の「高い情報」と「低い情報」を分けたら、思いきって、重要度の低い背景情報をカットします。

 さらに「話の流れ」を整理し、重要度の高い部分を少し「補足」します。

 それだけで、さきほどの説明は見違えるほどよくなります。

「昨日、幕張メッセで開かれたITフェアに参加してきましたので、そのときの様子を報告します。ITフェアの今年のテーマは「さらにつながる世界」。展示でも、今まで「つながる」ことのなかった機器同士がネットワーク接続されて新しい使い方を提案するものが実際に増えていると感じました。これは業界のひとつのトレンドかもしれません。YY社などがそのよい例で、今年はブースが大きくなっていました。逆に、「つながる」製品の少ないZZ社のブースは小さくなっていました。

 展示会全体では新製品発表が多かったモバイルのセクションに人が一番多く(写真を見せる)、とりわけ大勢の人が集まっていたのはXX社の新製品のコーナーです(製品の写真を見せる)。業界最小・最軽量で、実際に手に持つと見た目より重い印象でしたが、表面の加工や質感の完成度は高くてわれわれの強力なライバルになりそうです」(傍線部を補足)

 説得力がグンと増したはずです。

 部下からこのように報告してもらえると、かなり簡潔にまとめられている印象を受けるものです。聞いていてストレスを感じることもなく、聞き終わったときに一つひとつ質問しなくても基本的な情報は得られているので、やり取りも短くてすみます。

 そのためにはまず、「聞き手にとって重要度が高い・低い」という観点から情報を分ける。そのうえで、重要度の低い背景情報をカットすることです。

「説明能力」が、そのまま「仕事の能力」として評価されるのです。
http://diamond.jp/articles/-/117440
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/252.html

[政治・選挙・NHK220] 実名リスト・霞が関全省庁キャリア官僚108人「天下り先と退職金」 もちろん文科省だけじゃない!
不正・事件・犯罪行政・自治体週刊現代
実名リスト・霞が関全省庁キャリア官僚108人「天下り先と退職金」
もちろん文科省だけじゃない!

週刊現代
講談社
毎週月曜日発売
プロフィール

定年後、死ぬまで働け。ただし、給料は半分。これがサラリーマンの実態だ。一方、働かなくてもいいし、おカネもあげる、というケースがある。そう、天下りだ。あぁ、相も変わらぬ「役人天国」。
雨あられのように天下り
エリート官僚は高額の退職金を手にし、かつ、厚遇で「天下り先」に迎え入れられ、悠々自適に第二の人生を過ごす。よく言われることだが、残念ながら事実である。
たとえば、'13年まで財務事務次官を務めた真砂靖氏(62歳)は、'14年に日本テレビホールディングスの社外取締役に就任。'15年には読売新聞大阪本社の非常勤監査役や三井不動産の社外監査役にも就任している。
このような例は枚挙にいとまがない。他にも、財務省出身で内閣府事務次官に上り詰めた松元崇氏(64歳)は三菱マテリアル社外取締役に、元財務事務次官の木下康司氏(59歳)は日本政策投資銀行副社長に、元金融庁長官の細溝清史氏(60歳)は三井物産顧問に、元財務官の山崎達雄氏(59歳)はみずほ銀行顧問に天下っている。
photo by gettyimages
「銀行は大蔵省の昔から経済官庁の天下りを受け入れてきました。国の経済政策や世界の経済情勢の分析において一家言ある方が多く、アドバイスをしてもらうというのが表向きの理由です。
しかし実際は、金融政策がどうなるのかという情報を取ったり、金融庁の検査に対する『お守り』だったりすることも多い。OBが顧問をしている金融機関にはどうしても手心を加えたくなるのが、人情ですからね。
常勤でもない限り、顧問の人たちが会社にいて執務を行うことはありません。現場で働く私たちから見れば、ろくに姿も見せずに1000万円をゆうに超える高額の顧問料を取っているのですからふざけるなって話ですよ」(メガバンク行員)
複数の顧問をかけもちすれば、それだけで年収は数千万円にも上る。しかも、彼らは天下りに先立って、超高額の退職金をもらっているのだ。
その額は、事務次官経験者で6340万円。退職金は法律で定められた「俸給月額」によって決められる。指定職8号俸である事務次官の「俸給月額」は117万5000円(なお、これに各種手当が加算され、事務次官の「月給」は139万2400円)。
35年以上勤続し、定年退職を迎えた場合、支給率「49.59」が乗じられ、さらに特定職に在任した期間に応じた「調整額」が加算される。事務次官だと、局長や審議官を歴任していることがほとんどなので、基本額5827万円に500万円程度の調整額が上乗せされる。
文部科学省が試算したモデルケースによると、事務次官の退職金が前述のように6340万円で、局長級(5号俸)の場合は5260万円だ。
一方、民間企業に35年間務めた会社員(大卒)の退職金は平均で2156万円('13年、厚生労働省調べ)である。
「昔の天下りは、天下り先で個室や秘書、専用車が付いていて、日がな一日新聞を読むだけ、という話がありましたが、最近はそこまでの高待遇は少なくなっているようです。
とはいえ、財務省や経済産業省は今も民間企業とのつながりが強く、OBはどこかの企業に顧問や役員として天下っています。元財務事務次官の勝栄二郎氏も民間のIT企業、インターネットイニシアティブの社長として迎え入れられました」(元財務官僚)
経産省の天下り先を見ると、たしかに民間企業がほとんどだ。元経済産業審議官の石黒憲彦氏(59歳)は'16年8月にNEC顧問として天下り、10月には執行役員副社長に就任した。
NEC関係者が言う。
「NECでは、元経産審議官で'12年に退官した岡田秀一さん(65歳)を'14年に執行役員副社長として、元官僚では初めて経営陣として迎え入れました。当時の経営陣が三顧の礼でお願いしたと聞いています。実際、国際的なネットワークや人脈はたいしたもので、彼が海外出張をすると現地の大使館の人が出迎えるほどだったとか。
その岡田さんが2年で退任してしまい、後釜として推薦されたのが石黒さんなんです。手腕はまったくの未知数ですが、一度受け入れてしまった以上、断れません」
NEXT ▶︎ 天下り先で暇を持て余す
「暇だ、暇だ」と愚痴
石黒氏の同期で、経産事務次官を2年務めた立岡恒良氏(59歳)は、各方面からひっぱりだこだ。'15年に退官するや、東海地方のエネルギー会社、TOKAIホールディングスの顧問に就任。
その後もNTTデータ経営研究所、レイヤーズ・コンサルティングなどの顧問を引き受け、昨年はニトリホールディングスや旭化成、日本生命といった有名企業の社外取締役や特別顧問にも就任している。
外務省では、前事務次官の齋木昭隆氏(64歳)も複数の企業で顧問を務める。昨年6月に退任して、間をおかず、伊藤園、三菱商事、プリンスホテルの顧問に収まった。
厚生労働省では、冤罪事件で逮捕され、後に事務次官に抜擢された村木厚子氏(61歳)が数多くの団体で要職を務める。大阪大学男女協働推進センター招へい教授、コニカミノルタのアドバイザー、大妻学院理事、伊藤忠商事社外取締役に加えて、いくつもの公益財団法人などの役員に名を連ねる。
事務次官まで務めたのだから、頭脳は優秀なのだろうが、民間企業の経験のない人物に大企業の要職が務まるのかは大いに疑問である。文部科学省の元幹部が明かす。
「何もしなくていい、というのが実情です。企業にしてみれば、所管官庁の元幹部が天下りしていることで官庁とのやり取りがスムーズになるし、それが一番のメリットなんです。
外務省出身者を雇うのは海外でビジネスを展開している企業が多い。進出しようとしている地域に関して、ご見識を賜ります。別にビジネスの手腕を期待しているわけではありません。
それよりも問題なのは、財団法人などに理事として天下った官僚です。いつ会っても『暇だ、暇だ』と言っています」
そういった天下りがとくに多いのが、国土交通省だ。OBの再就職先を見ても、森記念財団、国土計画協会、民間都市開発推進機構、日本建築センター、道路新産業開発機構、橋梁調査会、日本建設情報総合センターといった一般財団法人の名前がずらりと並ぶ。
国交省で局長以上にまで出世すれば、こうした法人の理事長や副理事長として迎え入れられる。
「本人は仕事をしたいという気持ちもあるようなのですが、事務などの単純作業をさせるわけにはいきませんし、重要な仕事を任せるとなると部下を付けなければならず、余計な人件費がかかる。個室が用意されていますが、座敷牢みたいなもので、そこで新聞や雑誌に目を通して、時間を潰すのに必死です。
現場のスタッフは財団が独自に採用していますから、彼らからすれば、仕事もしないのに高い給料をもらっている天下りは無能な老人としか思っていません。もちろん、元役人の側もそうした気持ちには気づいているのですが、それでもしがみつくしかないのが、役人の性なのでしょう」(前出・文科省元幹部)
総務省ではジャニーズ事務所所属の櫻井翔の父親で、昨年、事務次官を退任した桜井俊氏(63歳)が三井住友信託銀行の顧問に就任したことが話題を集めた。元総務省中堅官僚が解説する。
「旧郵政省(総務省)が『かんぽ』で集めた資金を信託銀行で運用していた時代の名残で、今も信託銀行には役人が数多く天下っています。桜井さんは在職中、通信畑でしたから、信託銀行で活躍できるとは思えませんが、何か起こったときのために役所の元トップとつながりがあるというのは大きいのでしょう」
桜井氏の他には、元内閣官房国土強靭化推進室審議官(総務省出身)の佐々木克樹氏(59歳)が三井住友信託銀行、元内閣府審議官(防衛省出身)の井上源三氏(62歳)が三菱UFJ信託銀行の顧問として天下っている。
NEXT ▶︎ 官僚の天下りが最も多い業界は?
保険会社に天下りをする理由
官僚の天下りが最も多いのが、保険業界だ。今回リストアップしたキャリア官僚108名のうち、実に19名が生損保各社や保険関連団体に天下っている。外資系保険会社の幹部が明かす。
「保険会社が役人の天下りを積極的に受け入れる理由は二つあります。一つは役所の情報を集めるためです。保険は認可商品ですから、監督官庁の認可が下りやすくするには何が必要なのかを情報収集することは極めて重要なのです。
二番目は何かあったときに手心を加えてもらおうという下心。保険は営業の仕方まで保険業法で細かく規定されていますが、ぎりぎりのグレーな部分はあります。そうした場合、行政処分を受けるか、指導だけで終わるかは、監督官庁の担当者の気持ち次第の部分も多い。
そうしたとき、担当者の先輩を顧問として受け入れている会社には処分が甘くなることが考えられる。天下りの顧問を通じて、役所側が落とし所をどう考えているのかがわかるだけで大きなメリットです」
photo by iStock
さらに役所のOBは、保険会社にとっても大量の契約を取る「ビジネスチャンス」でもあるのだという。
一連の文科省の天下り問題は、再就職の斡旋をしていたOBが人事課から情報提供を受けていたことが発端だった。このOBが保険代理店の顧問として天下っていたことが、民進党代議士・玉木雄一郎氏らの指摘で判明している。
「つまり、OBが天下っている保険代理店を通じて、損保各社が文科省職員に保険を売り、OBは代理店から顧問料を受け取っているわけです。他の省庁でも同じスキームがあるはずです。すでに、国土交通省にも同様の保険代理店が存在し、そこに国土交通省のOBが天下っています」(玉木氏)
警察OBは「用心棒」として雇う
保険会社にとっては官公庁に出入りする多くの職員から契約を取ることが、天下りとしてOBを受け入れるメリットにもなっているわけだ。
「保険会社は警察からも天下りを数多く受けていますが、これは『用心棒』として雇っている側面があります。保険金の支払いで契約者とトラブルになるケースも多いですし、そこに反社会的勢力が登場することも珍しくありません。警察はそういった扱いに慣れていますからね。防衛省や自衛隊からの天下りも多い。
こちらは日本全国の自衛官に生命保険や自動車保険、火災保険を買ってもらうのが目的です」(前出・保険会社幹部)
この発言を裏付けるように、元警察庁長官の米田壯氏(64歳)が東京海上日動に、元警察大学校長の竹内直人氏(57歳)が明治安田生命に、元防衛審議官の徳地秀士氏(61歳)が三井住友海上に、それぞれ顧問として天下っている。
自分たちは甘い汁を吸い、一方で国民には増税で負担を押し付ける――。どんなに批判を受けても、国民を舐めたこの体質は変わらない。
NEXT ▶︎ 全省庁天下り先と退職金完全リスト
天下り先と退職金」完全リスト

http://gendai.ismcdn.jp/mwimgs/f/5/-/img_f53dc04f84b8ee5b21918772e701bfc5888703.jpg 拡大画像表示 

http://gendai.ismcdn.jp/mwimgs/e/f/-/img_ef5c713e96709f72194b8d532799a6b1936883.jpg 
拡大画像表示

拡大画像表示

拡大画像表示

拡大画像表示
「週刊現代」2017年2月18日号より

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50932

http://www.asyura2.com/17/senkyo220/msg/746.html

[国際18] 韓国パスポート所持の女拘束 金正男氏殺害  フォン容疑者「相手が正男氏だとは知らなかった」
韓国パスポート所持の女拘束 金正男氏殺害
2017年2月16日 13:23ツイートするシェアする


 北朝鮮の金正恩委員長の異母兄弟にあたる金正男氏が殺害された事件で、韓国メディアはすでに逮捕されている女とは別に韓国のパスポートを持つ女の身柄を拘束したと伝えた。現地マレーシア・クアラルンプールから生野真吾記者が最新情報を伝える。

 金正男氏の遺体が安置されているクアラルンプールの病院には、15日に引き続き16日も多くのメディアが詰めかけている。

 金正男氏が殺害された事件で、韓国紙「東亜日報」など複数の韓国メディアは、マレーシア警察が、これまでに逮捕したドアン・ティ・フォン容疑者(28)とは別に韓国のパスポートを持つ女の身柄を拘束したと伝えた。この女について捜査当局の関係者は「韓国人に見えるが、調べには終始英語で応じている」と話したという。

■15日に逮捕された女についての情報は

 現地メディアは、逮捕されているフォン容疑者が犯行の様子を詳しく供述していると伝えた。その内容によると、別の女性1人と旅行のためにマレーシアに来た、北朝鮮・ベトナム国籍の男性4人から乗客にいたずらしようという提案を受けた、接近して1人が顔にスプレーをばらまいて他の1人がハンカチで顔を覆えと言われたという。

 女は、相手が正男氏だとは知らなかったとも話していて、工作員と言えるのかどうかわからない。その女は16日、裁判所に出向いて調べを受ける可能性があり、大勢の報道陣が集まっている。

■正男氏の遺体の状況は

 病院で正男氏の遺体の司法解剖は15日に終わっている。警察は16日にも記者会見を開く予定で、死因などを明らかにする可能性もある。

■現地クアラルンプールでの北朝鮮大使館の様子は

 一方、16日は故・金正日総書記の生誕記念日にあたる。クアラルンプールにある北朝鮮大使館でも記念行事が開かれるという。一方、金正男氏殺害のニュースを知らされているか、という問いに対しては、口をつぐんだまま誰も何もこたえなかった。

 容疑者の逮捕や拘束が続いているが、事件の経緯はまだナゾが多く、捜査当局の徹底した捜査が続いている。
http://www.news24.jp/articles/2017/02/16/10354311.html

金正男氏殺害 28歳の女1人を逮捕
2017年2月15日 21:26ツイートするシェアする

Play Video
全文
 北朝鮮の金正恩委員長の異母兄弟にあたる金正男氏がマレーシアの空港で殺害された事件で、警察は女1人を逮捕したと発表した。

 マレーシアの警察によると、逮捕されたのは、ドアン・ティ・フーン容疑者(28)で、15日午前、クアラルンプールの空港で1人でいたところ逮捕された。ベトナムのパスポートを持っていたということで、空港の監視カメラの映像から特定されたとしている。

 また、現地の中国系メディア「マレーシア東方日報」によると、この他、男4人、女1人の容疑者がいて、2人の女が正男氏を襲撃、4人の男はその様子を監視していたという。

 一方、15日午後、正男氏の遺体が安置された病院に、北朝鮮の大使館関係者を乗せた車が入った。マレーシア側に対して遺体の引き渡しを要請したと見られる。

 車はおよそ6時間後に病院から出たが、遺体は病院から搬送されていない模様。16日にも遺体の司法解剖の結果が出るものとみられる。
http://www.news24.jp/articles/2017/02/15/10354264.html
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/242.html

[経世済民119] 楽観論を捏造する中国、不動産市場の過熱ぶり隠ぺい 人民元国際化後退アジア試練 トランプ円高は妄想 財政が景気刺激なら利上

 
コラム:楽観論を捏造する中国、不動産市場の過熱ぶり隠ぺい

Pete Sweeney

[香港 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国では1日また1日と、信頼できる経済指標が姿を消している。過熱する中国不動産価格の動向を示す独立経済指標2つが最近、静かに公表を停止した。

スモッグが濃さを増し、データが不鮮明になっている同国は文字通り、そして比喩的にも一段と不透明になっている。エコノミストらはポジティブな見方を貫くよう命じられている。

政府は公的に命令を発したことはないものの、不動産市場の自主規制は自発的に行われているようだ。ただ今回公表が停止されたのは、製造業の活動や大気汚染などを示す民間指標のうち、ごく一部に過ぎない。

ただ、信用できる情報がない中では、投資家は統計より口コミに頼りがちになる。過去の経緯からみて、一般の中国人は公式声明に対する根深い不信感を持っており、うわさに対してはパニックになった家畜の群れのようになる。中国政府が風説の流布の疑いで多くの処罰を行ってきたのはこれが理由だ。過去、未確認のうわさが株価急落、銀行破綻を招き、人々をボトル入り飲料水やヨード塩や粉ミルクの買い占めに走らせてきた。

不動産データにブラインドを下ろすのは、特に危険だ。家計や資金の貸し手は、政府が一段の価格抑制策を打ち出すのではないかと戦々恐々としている。公表が停止された捜房網(ソーファン・ホールディングス)(SFUN.N)の調査がこの見方を裏付けており、100都市の不動産価格上昇は公式統計を上回る大幅上昇となっていた。

不動産規制の強化に対する懸念は住宅価格の急落だけでなく、より危険な状況を誘発する可能性がある。不動産に投資している流動性のより高い債券や富裕層向け商品も急落する事態だ。

独裁体制における最もよく知られた、最も危険な自己欺瞞(ぎまん)は、楽観論を捏造(ねつぞう)することで人為的に本物の自信を生み出すのは可能だということだ。

最近まで中国政府は、事態が正しい方向に進んでいると国民に納得させることに関して、かなり良い仕事をしていた。だがそれは、事態が本当に改善していたという要因が大きかった。中国経済は実際急速に成長していたし、制度改革や社会の自由化も進んでいたのだ。

いまやファンダメンタルズは不安定となり、制度改革は後退し、反対意見は沈黙させられ、政府幹部は国民など簡単にだませるとの嘆かわしい錯乱に陥っているようだ。

だが、中国資本は引き続き海外脱出を目指す。政府が明かりを暗くすればするほど、何かが隠されているとの疑念を抱く国民は増えていくだろう。

●背景となるニュース

・中国の不動産ウェブサイト運営会社ファン・ホールディングス傘下のチャイナ・インデックス・アカデミー(中国指数研究院)が、国内100都市の月次の住宅価格指数の公表を昨年11月以来中止。

・E―ハウス・チャイナ(易居)も288都市の月次の住宅価格指数の公表を無期限に中止。

・ファンの会長は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、公表停止は自分が主導したと説明。「影響力のある調査会社として、より安定的な市場動向を調べるのが良いと考えた」と述べた。

・昨年9月には、金融情報プロバイダーのマークイットが製造業購買担当者景気指数(PMI)の速報値の発表を停止。製造業PMIは公式統計と矛盾することが多かった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

 

コラム:入国制限で米企業が窮地、反対と沈黙の双方にリスク 2017年 01月 31日
コラム:保護主義強めるトランプ大統領、「現実の壁」に直面 2017年 01月 23日
コラム:トランプ米大統領、対メキシコ強硬姿勢で「共倒れ」も 2017年 01月 26日
http://jp.reuters.com/article/china-real-estate-hide-idJPKBN15V0XD

 


 

コラム:人民元国際化が後退、トランプ時代のアジアに試練

Pete Sweeney

[香港 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国は、自国通貨の国際化計画を放棄してしまった。アジア各国はこのことを悔やむ羽目に陥るかもしれない。トランプ米政権下での「ドルショック」に対するリスク回避を強いられる可能性があるからだ。

人民元が、ドル、ユーロ、ポンドや円と並ぶ地位を確立することは確かだと思われていた。外国人投資家は、高い国債利回りとともに、急速に拡大する大国経済を目にしてきた。中国指導部は、米金融政策のリスクにさらされていることに対していら立っていた。

中国当局は、香港やロンドン、シンガポール、そして台湾にまで人民元のオフショア市場が発展することを支援し、人民元の取引と投資を容易にするための規制緩和を打ち出した。その一方で、まったく新しい関連商品やサービスを販売する期待に沸いた外国の銀行は、それによっていかに利益を上げられるかについてリポートを量産した。

人民元は昨年、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨バスケットに採用された。楽観主義者は、それによって新たな改革の波が訪れると期待していた。

しかし、その波は引いてしまった。スタンダード・チャータード銀行によると、人民元建てで決済されたクロスボーダー貿易の割合は、昨年12月に全体の11.5%と、2013年9月以来の低水準となった。最大のオフショア人民元市場である香港における人民元建て預金残高は、1兆元(約16兆6600億円)を突破した2014年のピーク時に比べ、半分近くにまで落ち込んでいる。

オフショア人民元建て債券「点心債」の市場は眠りについている。ロイターのデータによれば、点心債の2016年発行額は21%減少して225億元だった。それに比べ、日本、韓国、中国、フィリピン、インドネシア、マレーシアといったアジア主要経済6カ国のドル建て債券発行額は計2500億ドルで、2015年から27%増加している。

世界中どこでも取引されている米ドルとの差は明らかだ。人民元は中国の国内市場にほぼ閉じ込められており、本土の企業間で取引され、中国政府によって厳しく規制されている。

中国政府はこうした人民元の後退に無関心に見える。主要な外国為替市場であるロンドンで、人民元建て債券発行を増やす計画も当面ない。中国当局は外国人投資家がオンショア資産に向かうことを歓迎している一方で、資金流出に対する監視をこれまで以上に強化している。

そのため、外国人投資家に中国国内市場の株式や債券を買わせることは中途半端な策と言える。中国人民銀行(中央銀行)のデータによれば、IMF通貨バスケットに組み入れられてから4カ月となる今年1月、外国人機関投資家による中国の国債保有額は減少した。

<無秩序な新世界>

問題は米国経済が復活するのと同時に表面化した。2014年後半からドルが強くなり、人民元は10%超下落。さらなる元安期待から、企業は元を売ってドルに替えた。このことが中国金融市場の流動性を引き締め、金利引き下げによる景気刺激策を一段と困難にさせている。

中国の外貨準備高は、2011年以来約6年ぶりに3兆ドルを割り込むなど着実に減少している。これは、中国の未来に対して不信任案を突きつけている、と一部で受け止められている。毎月のように資金流出に対する新たな取り締まりが行われている。

オフショア市場で人民元を使えるようにすることは常にチャレンジだった。ドルの高い普及率は、輸入品へのドル建て決済がもたらす長期の貿易赤字によって維持されている。中国の貿易黒字は年5000億ドル強に上る。人民元建て海外投資は、中銀間の通貨スワップのように補うことが可能だろうが、海外投資や外貨準備における人民元の比率を相当な水準にまで増やすには多大な努力を要するだろう。

だからといって、試してみる価値がないと言っているわけではない。人民元の撤退はドルに依存する不健全な世界を助長したように見える。IMFのデータによると、正味の世界外貨準備高は2014年以降、減少しているが、ドルの比率は高まっている。

とりわけ人民元の比率を高めるには好環境にあったアジアの経済国が、代わりにドルへの依存をいっそう強めている。国際決済銀行(BIS)のデータによると、アジア太平洋地域の途上国が抱えるドル建て債務は昨年9月、1.1兆ドルで、史上最高額を記録した6月をやや下回る高水準だった。

中国など債務を抱える新興経済国にとっては、ドルに過度に依存する現状は、かつてないほど最悪な状況かもしれない。

トランプ大統領はワイルドカードと言える。同大統領が唱える財政出動はインフレ過熱を招く可能性がある。外交面では貿易戦争、あるいはそれより悪い事態を勃発させる恐れもある。ドルの流動性引き締めは十分にあり得ることだ。米国が自国のエネルギー依存度を高めたり、あるいは貿易赤字を減らす場合はなおさらそうである。

国内の成長を守るために人民元の国際化を停滞させたことにより、中国がもし仮に、すぐに国際化を再始動させようとしても、それは非常に困難な道となるだろう。アジアはドルを抱えて、かつてないほど立ち往生している。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
おすすめ記事


コラム:元安容認とAIIB出資、米中取引あるか=村田雅志氏 2016年 12月 21日
コラム:トランプ氏の譲歩、理性ある米中対立の到来か 2017年 02月 13日
豊洲建設費、高級ホテル以上 2017年 02月 02日

http://jp.reuters.com/article/column-yuan-trump-asia-idJPKBN15V07S?sp=true


 


 


コラム:トランプ円高は妄想、側近論文にヒント

村田雅志ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジスト
[東京 16日] - 日本ではあまり知られていないようだが、トランプ米政権下で新設された国家通商会議(NTC)のナバロ委員長と、商務長官に指名されているロス氏は昨年9月、大統領選挙中のトランプ陣営のシニアアドバイザーの立場で「トランプ経済プランの達成(Scoring the Trump Economic Plan)」と題した小論文を公表している。

小論文では冒頭で、トランプ氏の経済プランは、減税、規制緩和、エネルギーコストの低下、そして慢性的な貿易赤字の削減であると明記。その目標は、米国の国内総生産(GDP)成長率を大幅に高め、数百万の新たな雇用と数兆ドル規模での所得と税収を生み出すことにあるとしている。

すでにトランプ大統領はいくつかの経済政策を明らかにしているが、その多くは小論文に沿った内容となっている。同氏は、貿易赤字の削減に通ずると思われる通商政策において、環太平洋連携協定(TPP)からの正式離脱に関する大統領令に署名。メキシコとの関係がきわめて不公平だったとの認識を示し、同国との関係見直しを中心とした北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に強い意欲を示している。

為替についてトランプ大統領は、他国が資金供給と通貨切り下げで有利な立場をとっており、中国や日本が何年も通貨安誘導を続けていると批判。ナバロ委員長は、ユーロが過小評価されており、ドイツがユーロを利用することで米国や欧州連合(EU)の貿易相手国よりも有利な立場を得ているとの見解を示した。

こうした発言を受け、トランプ政権はドル安を指向していると指摘する声も出ている。また、一部市場関係者からは、トランプ政権は円安に対する不満を「いずれ」強めると推定し、ドル円が円高方向に向かうとの予想も示されている。この種の見方は、トランプ大統領の保護主義的な言動と一致しているようにも思われ、もっともらしく聞こえるが、真相は果たしてどうなのだろうか。

<側近論文で円安是正の必要性に言及なし>

まず注意しなければならないのは、トランプ大統領が目指しているのは(米成長率の加速のための)米貿易赤字の削減であって、円安の是正ではないということだ。現に上述したナバロ委員長らによる小論文では円安是正について全く議論していない。

小論文では米国が慢性的な貿易赤字に陥った主因として、1)通貨操作、2)主要貿易相手国による重商主義的な貿易慣行、3)米国にとって不十分な交渉に基づく貿易取引、の3つを指摘している。

通貨操作に関する部分では、中国が人民元を変動相場制にせず、管理相場制を維持していることを指摘。また、欧州通貨統合にも触れ、ユーロは南欧経済の弱さを背景に旧ドイツマルクの水準に比べ安い水準のままであると批判した。その一方で、円については、小論文のどこにも触れられていない。

小論文における日本への批判は、対米貿易黒字が大きいことに集中しており、これはトランプ大統領や同政権の言動と一致する。例えば大統領就任前の記者会見で、米国の貿易協定は惨事であるとし、中国やメキシコと一緒に日本を名指しで批判した。

10日の日米首脳会談では、円相場に関する言及はまったくなく、麻生太郎副総理とペンス副大統領をトップとする経済対話にて日米間の貿易に関する枠組みを議論することが決まった。

円安是正は米貿易赤字の削減につながるため、トランプ政権は円安是正に動く、との見方も可能なように思えるかもしれない。一部からは、その根拠として、日本は1980年代から90年代にかけて、日米構造協議、日米包括経済協議などを通じ貿易不均衡問題に関し米国から圧力をかけられ、ドル円相場は円高方向に向かったことが指摘されている。

しかし、ここで忘れてはならないのは、円高が進んだ90年代において米国の貿易赤字は対日赤字も含め縮小することはなく、むしろ拡大したという事実である。

また、さまざまな実証研究によると、貿易収支に与える影響は、為替変動よりも2国間の景気や制度変更の方が大きいことが知られている(しかも、為替変動の影響が表れるのは数年後とされる)。効率性・生産性を重んじ、短気な姿勢が目立つトランプ大統領が、数年後に少しだけ表れるかもしれない米貿易赤字の縮小効果を期待し、円安是正に動くとの見方に説得力があるとは思えない。

<円安誘導を批判したトランプ大統領の真意は>

むしろ、トランプ大統領は、貿易赤字削減効果がいつ表れるか定かではない円安是正よりも、より直接的かつ強力な効果が得られると期待される貿易不均衡の是正策を日本政府に要求するのではないか。

TPP交渉からの撤退を宣言したのも、多国間協議により共通ルールを作られてしまうと、米貿易赤字の削減が難しくなる可能性があるためで、2国間協議を通じ日本政府に米貿易赤字削減のために動くよう圧力をかけることが有効であると考えたと推察される。

もちろん、過去の発言から考えれば、トランプ大統領が今後もツイッターなどを通じ、円安を批判する発言を繰り返す可能性は否定できない。しかし、その目的は、ドル円相場をドル安・円高方向に誘導することではなく、円安批判を通じ日本政府に圧力をかけることにあるとみるべきだ。

仮に筆者のこうした見方が誤っており、トランプ政権が真剣に円安是正・円高誘導を望んだとしても、ドル円相場がその通りに動くとも言い切れない。当局の意向が為替市場に影響を与えることは否定しないが、為替市場参加者の多様性の高まりや取引高の拡大を背景に、近年の為替市場は当局の意向通りに動かなくなっている。中国当局は巨額の元買い介入を数年にわたり続けているが、元安に歯止めがかかっていないのは分かりやすい一例である。

ファンダメンタルズから考えれば、ドル円相場はむしろドル高・円安基調が続くとみるのが自然だろう。今週行われたイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長による議会証言では、FRBが利上げを中心とする金融政策の正常化を目指す意向が強いことが改めて示された。米景気は堅調地合いを強めており、ニューヨーク連銀の経済モデル「ナウキャスト」によると、第1四半期の米成長率は3.1%と、前期(1.9%増)から大きく加速すると予想されている。

また、1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)をみると、米国だけでなく、日本、ユーロ圏、英国など先進各国はいずれも改善方向で推移しており、株式市場は米国を中心に堅調地合いが続いている。こうした状況下で、トランプ政権の保護主義的な姿勢を理由に、いわゆるリスクオフを主因とした円買いの動きを期待するのは無理があるように思われる。

*村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。近著に「人民元切り下げ:次のバブルが迫る」(東洋経済新報社)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
 


認知症自覚なしで不起訴、横浜 2017年 02月 16日
コラム:トランプ相場でドル125円へ=田中泰輔氏 2017年 01月 10日
為替こうみる:日米首脳会談後のトランプラリー継続は困難=FXプライム 上田氏 2017年 02月 10
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-masashi-murata-idJPKBN15V0EA?sp=true


 


財政政策が景気刺激なら今後数カ月に利上げへ=NY連銀総裁

[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米ニューヨーク連銀のダドリー総裁は15日、米経済がトレンドを上回るペースで成長し続け、予想通りに財政政策が景気を刺激すれば、連邦準備理事会(FRB)は今後数カ月に利上げするとの見通しを示した。

ダドリー総裁は、米経済が2%強のペースで成長し、インフレが上昇し続ければ、「今後数カ月に若干金利を引き上げると予想する」と述べた。

トランプ大統領と議会がどのような政策で景気を刺激するのか不透明なため、「予測に織り込みにくい」と指摘。昨年11月の大統領選以降に不透明感が広がっているとし、トランプ氏が政策変更しようとしている移民や自由な貿易は、一般論としては経済に恩恵をもたらすとした。

一方、「ある時点で財政政策が打ち出されるだろう。それは経済の上振れリスク要因となる」とも指摘した。

FRB当局者の金利見通しでは、今年は3回の利上げが示唆され、4兆5000億ドルに膨らんだバランスシートがいずれかの時点で縮小される可能性がある。

タイミングについての質問にダドリー氏は、バランスシート縮小は利下げが必要にならないとの一段の確信が得られるまで遅らせたいと説明。

「(満期を迎える債券の)再投資の縮小や停止をいつかは決めるとなれば、それもまた緩和解除の一つの手段で、短期金利上昇の代わりにもなる」とした上で、「それによって(利上げ)プロセスが伸びることになるかもしれない」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
段階的に利上げする時が来ている=米カンザスシティー連銀総裁
段階的な米利上げ時期到来=カンザスシティー連銀総裁
NY市場サマリー(23日)
ドルが対円で軟化、FRBの利上げ姿勢めぐり不透明感=NY市場
イエレン議長発言で景気循環株へのシフト継続か=今週の米株市場
http://jp.reuters.com/article/nyfrb-comment-idJPKBN15V05U


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/256.html

[経世済民119] 米国債売り越し拡大、日本は3カ月連続保有高1位 フリン辞任トランプ政権の脆さ露呈  オバマケア修正案、加入手続き厳格化ら
米国債売り越し拡大、日本は3カ月連続保有高1位
12月対米証券投資
[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米財務省が15日発表した2016年12月の対米証券投資統計によると、海外投資家が米国債を9カ月連続で売り越す中、日本が3カ月連続で保有高1位となった。

海外投資家による米財務省証券投資は219億ドルの売り越し。売り越しは9カ月連続で、売り越し額は前月(2億0500万ドル)から大幅に拡大した。

投資家別では、民間投資家が405億ドルの売り越し。12カ月連続で売り越していた中央銀行など海外公的機関は186億ドルの買い越しに転じた。

アナリストの間では、今回の統計が昨年11月の米大統領選でトランプ氏が勝利した後、リスクオンになったことを反映しているとの見方も出ている。

TDセキュリティーズの金利ストラテジスト、ジェンナディ・ゴールドバーグ氏は、12月に米国債利回りが大きく変動したことが影響しており、高い利回りを選好する海外公的機関の誘因となったとみている。米10年債利回りは、12月初め時点で2.44%だったのが2.64%まで上昇。11月の米大統領選から12月中旬の間に93ベーシスポイント(bp)上昇した。

国別では、日本の米国債保有高が1兆0900億ドルで、3カ月連続で中国を上回り首位となった。2位となったものの中国の保有高は、前月の1兆0490億ドルから1兆0580億ドルに増えた。

TDセキュリティーズのゴールドバーグ氏は、中国政府が人民元下支えるための原資確保へ米国債を売り続けていたことを踏まえ、「米国債をかなり売った結果、資金的な余裕ができて再び投資しようということになったのではないか」との見方を示した。

種類別では、米長期有価証券(株式スワップ等除く)が129億ドルの売り越し。前月は344億ドルの買い越しだった。

短期債も含めた証券は428億ドルの売り越し。前月は302億ドルの買い越しだった。

米国株式は99億ドルの売り越し。売り越しは4カ月連続で、売り越し額は前月(58億ドル)から拡大した。

*キャプション内を修正し、再送します。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
3カ月物ドルLIBOR上昇、7年ぶり高水準
エネルギー株上昇、ウォルマート1年2カ月ぶり高値=米株市場
対米証券投資、6月は米国債3カ月連続で売り越し
中国国務院、深セン・香港の株式相互取引を承認 開始日は不明
対米証券投資、4月は米国債が78年統計開始以来の大幅売り越し
http://jp.reuters.com/article/usa-treasury-securities-idJPKBN15U2UA?sp=true
 

 

コラム:フリン氏辞任劇、トランプ政権の「脆さ」露呈

Peter Apps

[14日 ロイター] - 13日夜に辞任したフリン大統領補佐官(国家安全保障担当)が、大統領選で苦戦していた頃のドナルド・トランプ氏に必要とされた「正統性」を与えてくれる存在だと思われていたのは、そう遠い昔ではない。

就任からわずか24日、フリン氏の辞任は自業自得だ。なんといっても、トランプ大統領の就任直前にロシア大使と協議した内容について、ペンス副大統領などの政権上級幹部に、正直とは言いがたい説明をしたのだから。

トランプ氏が第45代大統領に就任してからまだ日も浅い。だが、これまでの、どのエピソードにもまして、フリン氏をめぐる事件は私たちに大切なことを告げている。米国政界のみに留まらず、特にロシア政府関係者は、心して聞くべきだ。

トランプ氏にとって、ロシアは今や毒物なのだ。

ロシアのプーチン大統領とトランプ大統領(あるいは単にその側近たち)のあいだで、米国政府の方針について何か秘密の合意があったとすれば、すでにその謀略は脱線してしまっている。

ロシアが何かをやっていたとしても、たとえそれが民主党幹部メールのハッキングであっても、それだけで大統領選の形勢がトランプ氏有利に傾いたなどと考える人はほとんどいない。とはいえ、不適切な関係を窺わせる兆候は今や至るところに見られ、消えようとしない。

事実がどうかよりも、どう見られているかの方が重要なのかもしれない。トランプ氏の就任前にフリン氏がロシア大使と会談したことは異例である。ビジネス面でモスクワとの関係があることも、大統領自身以上にフリン氏が「弱みを握られている」という噂をあおっている。

だが、トランプ氏とプーチン氏との関係をめぐる疑惑が消えないことを思えば、トランプ政権には、対ロ関係において「弱腰」という印象を与えることも、もちろんロシア側に操られていると見られることも許されないのだ。

トランプ政権下のホワイトハウスにおいて、(恐らく大統領本人を除けば)誰も無敵の存在ではあり得ない。

フリン氏はこれまでも常に物議を醸してきたし、トランプ氏の選挙運動を支持したことで、それが少しでもマシになったわけでもない。国防情報局に在籍していたときでさえ、彼を批判する人は多かった。

なかには、フリン氏が自分の主張を裏付けるために必要に応じて「フリン流の事実」をでっち上げるという批判もあった。フリン氏がヒラリー・クリントン候補を攻撃する「彼女を監獄へ(Lock her up)」というスローガンの音頭を取る様子を見て、国内で最も敬意を集める元米軍将校たちでさえ、「将軍経験者が政治に関わるべきではない」と公言したほどである。

これだけ敵が多いにもかかわらず、またイスラムの「危険」に対する極端な思想にもかかわらず、情報・安全保障関係者のなかにも、またそれ以外にも、フリン氏を支持するファンはいた。

しかしホワイトハウスでは、入閣後まもなく、「マッド・ドッグ(狂犬)」の異名を取る海兵隊出身のマティス国防長官の陰に隠れてしまった。選挙期間中は「資産」だったフリン氏は、あっというまに「負債」と化してしまったのだ。

スパイサー大統領報道官から、もっと居心地のいい立場にいるバノン首席戦略官・上級顧問、プリーバス首席補佐官に至るまで、政権に加わった他の人々も、このフリン氏の教訓を考慮すべきだ。

トランプ政権は、米人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のような、政治的な大量殺りくの舞台になる可能性がある。少なくとも、至るところから情報がリークされている。

この流れは止まりそうにない。次にクビになるのはプリーバス首席補佐官かもしれない。トランプ一家と親しいクリストファー・ルディ氏が先週末、ジャーナリストに対し、首席補佐官が「きわめて難しい状況」に置かれており、解任されるはずだと述べている。

これは公表を前提としたインタビューのなかでの発言だったが、もっと広い範囲では、政治任用官もキャリア官僚も、膨大な数の憶測やゴシップの断片を、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、ポリティコといったメディアに流し続けているようだ。

結果として、ホワイトハウスは混乱に陥っているように描かれている。日常的な手続きを誰も理解しておらず、言動を予想しにくい大統領は孤立しており、誰もがお互いを批判し合っている。さすがにこれは誇張かもしれないが、特にトランプ氏はこのような描写に腹を立てているに違いないし、これが自己実現的な予言になってしまう可能性がある。

これではあまり「ポスト真実」の世界とは言えない。証明可能な嘘は命取りになる可能性がある。

フリン氏の運命を左右したのは、彼が実際にロシア大使に言った内容ではない。同氏が、(はっきり言えば、ペンス副大統領に対して)うそをついたという認識が問題なのだ。フリン氏を辞任に追い込んだのは、米国の情報機関がいつものようにロシア大使館の電話を発信・着信とも監視しており、通話の書き起こし記録を政権に提出することができた、という事実なのかもしれない。

フリン氏は辞任表明のなかで、ロシア大使との電話に関して、ペンス副大統領に、「ついうっかり」不完全な情報を伝えてしまったと述べている。その結果、副大統領は、フリン氏はロシア大使との協議のなかで対ロ制裁については言及していないと公式に発表してしまった。しかしこれはまったく真実ではなかった。

これはホワイトハウスにとっては困った事態である。何しろ、大統領自身が、同様に信頼性の低い証人だということを暴露してしまっているからだ。就任式の参加者数を水増ししようと試みたことで、トランプ大統領の評価はすでに低下してしまった。他の人に真実を語るよう迫るには、説得力に乏しい。

だが、フリン氏が実証したのは「許される嘘には限度がある」ということだ。副大統領や上級幹部に誤った情報を与えることは致命傷になり得る。大統領の場合は、他の誰よりも許してもらえるだろう。何しろ、彼を解任することは非常に難しいからだ。だがその大統領でさえ、連邦議会や米国民に対して、何か重要なことについて嘘をついたことが分かったら、ただでは済まないかもしれない。

ペンス副大統領は、強力な、そして恐らく非常に重要な地位にある。ワシントンでは今回の騒動の真の勝者は副大統領だと思われている。

歴代の米国大統領と副大統領の関係はきわめて多様である。ジョージ・ワシントン大統領の下で副大統領を務めたジョン・アダムズは、その役割を「人間がこれまで作りだしたなかで最も取るに足りない役職」と表現した。だが、政務のプレッシャーは、正副大統領を非常に親密にすることもある。オバマ前大統領は、バイデン前副大統領が「兄弟」のようになったと語っている。

トランプ大統領と、福音主義キリスト教徒のペンス副大統領は、そのような関係としては奇妙な組み合わせに思われる。だがトランプ氏は今回の騒動において、これまで親密だったアドバイザーではなく、副大統領に味方した。

フリン氏など他の人々とは違って、ペンス副大統領がその職を追われるとしたら、トランプ大統領と同様、弾劾手続による場合だけである。そして、もし大統領が任期途中で挫折するようなことがあれば、ペンス副大統領がすべてを継承する可能性がある。

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
 


在日中国人が抗議デモ 2017年 02月 05日
トランプ氏、新たな入国規制検討 2017年 02月 11日
コラム:トランプ氏の金融規制見直し、結局は肩透かしか 2017年 02月 07日
http://jp.reuters.com/article/us-trump-flynn-debacle-idJPKBN15V0OD?sp=true


 

米政権、オバマケア修正案提示 加入手続き厳格化など 
[ニューヨーク/ワシントン 15日 ロイター] - トランプ米政権は15日、医療保険制度改革法(オバマケア)について、個人向け販売のマーケットプレイス(エクスチェンジ)に関するルール変更を提案した。

保険会社は良い出発点と評価しているが、消費者にとってはコスト上昇につながる可能性がある。

トランプ大統領と議会共和党はオバマケアの見直しを目指しているが、代替案での合意は難航している。

米厚生省の担当部署がまとめた新ルールでは、オバマ政権が導入した制度を補強するための修正を提案。加入手続きを厳格化するほか、未納保険料の回収を保険会社に認め、加入・解約を繰り返すことを難しくする案などを提示した。

所得に応じた補助など、法律による修正が必要な課題には踏み込んでいない。

アナリストはこれらの提案について、保険会社の収益にプラスとなる可能性があるが、どの程度かは分からないとの見方を示した。

これとは別に、トランプ政権は15日、医療保険への加入義務の監視強化を見送った。2016年分の納税申告から、医療保険に加入しているか、非加入の場合は罰金を支払ったか回答することが義務付けられる予定だったが、米内国歳入庁(IRS)は15日、規制緩和に関する大統領令を受け、医療保険に関する回答がない納税申告も受け付ける方針を明らかにした。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
ロシアが巡航ミサイル配備、軍縮条約に違反か─米当局者=報道
アングル:トランプ氏訪問に揺れる英国、EU離脱絡み世論二分
米環境保護局長官の指名、コリンズ共和党上院議員が反対表明
金正恩氏の異母兄、金正男氏がマレーシアで殺害される=韓国メディア
在EU英国人、83%が離脱の影響を懸念=調査
http://jp.reuters.com/article/usa-obamacare-idJPKBN15V02C

 

 
豪住宅ローン、大半は返済能力ある富裕層の借り入れ=中銀総裁補

[メルボルン 16日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のルーシー・エリス総裁補は、国内の住宅ローンの大半は返済能力のある富裕層による借り入れだ、との認識を示した。

同総裁補は、高所得層は、居住用の住宅以外にも投資目的で不動産を購入することがあると指摘。「そのため、国内の住宅ローンの大半は、最も返済能力がある人々が借りている」との考えを示した。

その上で、低所得層で住宅ローンを組んでいる人は、所得に対して比較的高水準の債務を抱えている傾向があると指摘。全般的に安定している状況において、将来問題化するかもしれない要因があることを認識すべきだ、との考えを示した。

オーストラリアの家計債務は、他の先進国よりも比較的高水準。そのため、金融安定を脅かす可能性を指摘する声もある。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
米追加利上げ、世界は用意できている━豪中銀総裁=WSJ
米追加利上げ、世界の用意整う━豪中銀総裁=WSJ
インフレ目標を変更することはない=豪中銀総裁
豪中銀の声明全文
フリン氏辞任問題、米与野党双方から議会調査求める声
http://jp.reuters.com/article/australia-rba-housing-idJPKBN15V058

http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/258.html

[国際18] トランプ減税、米6大銀利益を計1.4兆円押し上げも−ウェルズF最大 中国対外投資、35.7%減−対中直接投資も前年割れ 
トランプ減税、米6大銀利益を計1.4兆円押し上げも−ウェルズF最大
Yalman Onaran
2017年2月16日 19:00 JST

関連ニュース
野村、ゴールドマンなどが日本郵政株売り出し主幹事に応募−関係者
A pedestrian walks past the Marriner S. Eccles Federal Reserve building in Washington, D.C., U.S., on Tuesday, Dec. 15, 2015. Economists and traders expect the policy-setting Federal Open Market Committee to raise interest rates tomorrow for the first time since 2006, marking the beginning of the end for the unprecedented era of easy monetary policy. Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

米の3月利上げの可能性、急速に視界に−予想上回るCPI上昇で
日本株は反落、円強含みを警戒−輸出一角や小売安い、保険堅調が支え
ANAHD:全日空社長に平子氏、国際線拡充−篠辺氏は副会長に


大手銀への連邦税の実効税率は28%で大企業の2倍
低い税率は銀行に追い風、影響は他業界より大きい−キャノン氏


米6大銀行の通期利益は、トランプ大統領の法人税減税が実施されれば、平均で14%増加する可能性がある。
  これら金融機関は通常、税控除が他業界に比べて少なく、減税の恩恵を受けやすい。ブルームバーグの集計データによると、今回の法人税減税により6行合計で年間120億ドル(約1兆3700億円)が減免される計算だ。トランプ大統領は法人税を現行の35%から15%に引き下げると訴えてきた。 

トランプ氏が公約を守れば、米大手銀行は数十億ドルの減税を受けられる可能性
  投資家はトランプ氏の公約である金融機関への規制緩和に注目しているが、減税の方がより実現に時間がかからず、影響も大きいかもしれない。ブルームバーグの集計データによると、大手銀行は2015年までの3年間で連邦税の実効税率を平均28%課せられており、大企業の平均14%の2倍だ。銀行株は選挙後に大幅上昇し、米銀24行で構成するKBW銀行株指数は同期間に29%上昇し、ゴールドマン・サックス・グループ株は今週、最高値を更新した。


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iNB4Crf9Dcqo/v1/-1x-1.jpg

  「税制改革は難しいが、増税や減税はやりやすい」と、キーフ・ブルイエット・アンド・ウッズの世界調査ディレクター、フレッド・キャノン氏は指摘する。「低い税率は銀行にとって追い風で、影響は他の業界よりも大きい。銀行は産業界や小売業界のような控除を受ける機会が少なく、高い実効税率を課せられているからだ」と述べた。
  ウェルズ・ファーゴでは、税率が15%で現在の控除がなかったとしたら、15年に支払った税金は38億ドル少なくて済んだ計算となる。同銀は収益の大半を35%の税率が課せられる米国内で稼いでいるため、最も大きな恩恵を受け、収益は実際より16%高かったことになる。JPモルガン・チェースは30億ドルを減免され、純利益は14%高くなる計算だ。
  シティグループの場合は米国外での収益が多いことから恩恵は少なく、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は既に国内で低い実効税率を適用されており、現在の控除が適用されなくなると減免額は少なくなるだろう。ゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレーもウェルズFやJPモルガンと同様の恩恵を受けられそうだ。
  各行の広報担当者は取材に対して回答を控えた。
原題:Trump Tax Cuts Could Boost Profit $12 Billion at Big U.S. Banks(抜粋)

 


中国:1月の対外投資、35.7%減−対中直接投資も前年割れ
Bloomberg News
2017年2月16日 15:40 JST
中国の対外投資は先月、前年の水準を大きく割り込んだ。本土からの資金流出に歯止めをかけようと、当局が記録的ペースで拡大してきた海外での企業の合併・買収(M&A)などに対する審査を強化した。
  中国商務省が16日発表した1月の対外投資は前年同月比35.7%減。海外からの対中直接投資も9.2%減った。
  対外投資と対中投資の減少は、前年同月の水準が高かったことと、年ごとに時期がずれる春節(旧正月)の連休の影響もある。同省の孫継文報道官は北京での記者説明会で、「1月のデータにはある程度の振れが見られたが、海外からの投資を呼び込む年間トレンドを示すものではない」と述べた。
原題:China’s Record Global Buying Spree Wanes Amid Capital Flow Curbs(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-16/OLGEGT6JIJUP01
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/246.html

[経世済民119] フィッシャーFRB副議長:金融政策は想定軌道に、目標の達成は近い 米新規失業保険申請5千増23万9千人継続受給者は微減

フィッシャーFRB副議長:金融政策は想定軌道に、目標の達成は近い
Jeanna Smialek
2017年2月17日 00:12 JST

関連ニュース
米住宅着工件数:1月は前月比で減少、予想は上回る−許可件数は増加
野村、ゴールドマンなどが日本郵政株売り出し主幹事に応募−関係者
トランプ減税、米6大銀利益を計1.4兆円押し上げも−ウェルズF最大
ANAHD:全日空社長に平子氏、国際線拡充−篠辺氏は副会長に
進展続けば利上げは近いとしたイエレン議長の見解と整合
利上げは緩やかなペースになるとあらためて予想

米連邦準備制度理事会(FRB)のフィッシャー副議長は米連邦公開市場委員会(FOMC)が担う二大責務の達成に近づいていると述べ、金融政策は想定された軌道に乗りそうだと指摘した。FOMCは昨年12月の時点で、2017年には3回の政策金利引き上げを予想している。
  「具体的な数字をここで挙げるつもりはないが、この時期に想定していた状況と現状は一致している。つまりインフレ率が2%に近づき、労働市場は力強さを増し続けるという想定だ」とフィッシャー副議長はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで発言。「この二つが実現すれば、ほぼ想定していた通りの軌道に乗ることになるだろう」と述べた。
  フィッシャー副議長の見解は、経済の進展が持続すれば利上げの日は近づいているとしたイエレン議長の見方と整合する。
  フィッシャー副議長はこの日のインタビューで、賃金の伸びは「現実のものとなり始めた」と指摘、これから発表される賃金データは「われわれが想定していたものと大きく違わないだろう」と述べた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iZ3g.vczYbhA/v2/-1x-1.png

  「長い間、金利の動きは緩やかになると述べてきた。数年前の水準に戻るのだとすれば、それまでに数年間かかる」とフィッシャー副議長。「インフレ率2%を今後もめざし、そこに近づく可能性はかなり高いだろう。そして完全雇用については現時点でかなり近く、やや低い可能性もある」と述べた。
  次回FOMCは3月14ー15日に開かれる。
  トランプ政権が減税やインフラ投資、規制緩和を約束したことから、市場には成長重視政策への期待がある。フィッシャー副議長は昨年の大統領選挙以降、「われわれは経済の先行きについて、あまり見方を変えていない」と話す。「経済は妥当なペースで成長していくと予想される」と述べた。
原題:Fischer Echoes Yellen Seeing Economy on Fed’s Rate Hike Path (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-16/OLH2686VDKI501


米新規失業保険申請:5000人増の23万9000件、継続受給者は微減
Patricia Laya
2017年2月17日 00:04 JST

米労働省が16日発表したところによると、11 日終了週の週間新規失業保険申請件数は前週比で5000件増加して23 万9000件となった。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の中央値 は24万5000件だった。
より変動の少ない4週移動平均は24万5250件と、前週の24万4750件 からわずかに増加した。
失業保険の継続受給者数は4日までの1週間に3000人減少して207 万6000人だった。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Fewer Americans Than Forecast File for Unemployment Insurance(抜粋)
--取材協力:Shobhana Chandra、Jordan Yadoo.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-16/OLH0O76K50XU01

http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/267.html

[経世済民119] 中国の怪しい統計が新たにここに  事故による死亡者が減少しているのはホント? 残業削減の特効薬ではない「インターバル規制
中国の怪しい統計が新たにここに 

事故による死亡者が減少しているのはホント?
2017年2月17日(金)
The Economist


中国の事故は本当に減っているのか(写真:Imaginechina/アフロ)

 中国の炭鉱は危険なことで悪名高い。だが数字を基に判断すると、近年、その度合いは大幅に低下している。政府は今年1月、炭鉱事故による死亡者数が2016年には538人にとどまり、10年前のわずか11%に減少したと発表した。石炭生産100万トン当たりの死亡者数は過去最低を記録した。

 炭鉱業だけでなく中国の産業全体にわたり、安全に関わるデータは改善している。2002年には14万人が労働災害で命を落とした。2016年はこの数字が3分の1以下に減少している。交通事故についても同様の改善がみられる。交通事故の死亡者は2004年の10万7000人から2015年の5万8000人に減った。政府関係者はまだ決して「満足のいくものではない」と認めるが、安全性を高める努力は効果を生んでいるように見える。

罰則を避けるために?

 恐らく、安全性は高まっているのだろう。だが数字を鵜呑みにしてはいけない。ボストン大学のレイモンド・フィスマン教授 と南カリフォルニア大学のヨンシャン・ワン准教授 は、近々発表する論文で、中国政府が2004年に実施した労災および交通事故による死亡率減少を目指すキャンペーンについて分析した。同キャンペーンは全国および地方単位で死亡者数の年間上限目標を課した。この目標を超えると、担当者が罰せられることになっていた。

 このキャンペーンの結果はどうなったか。フィスマン教授とワング准教授は、各省に与えられた上限を分母、発表された死亡者数を分子とする比率を計算した。ほとんどの省は目標に近い数字になった――つまり1を若干上回るか下回る――と予想することだろう。

 だが実際には、算出された比率はほぼすべて1を下回ったのだ(図表を参照)。このことは、統計がごまかしであることを示唆している――政府が高すぎる上限を設定したとは思えないからだ。両氏は、中国の安全性は統計が示唆するほど改善したわけではなさそうだと結論付けている。

© 2017 The Economist Newspaper Limited.
Feb 11th-17th 2017| From the print edition, All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。


このコラムについて

The Economist
Economistは約400万人の読者が購読する週刊誌です。
世界中で起こる出来事に対する洞察力ある分析と論説に定評があります。
記事は、「地域」ごとのニュースのほか、「科学・技術」「本・芸術」などで構成されています。
このコラムではEconomistから厳選した記事を選び日本語でお届けします。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/224217/021400123/


 

 
残業削減の特効薬ではない「インターバル規制」

ここが間違い、女性の攻め方

2017年2月17日(金)
野村 浩子
 2月に入り「働き方改革実現会議」で、「長時間労働是正」に向けての議論が始まった。争点は、「残業時間の上限規制」と「勤務間インターバル規制」の導入。先んじて制度を導入している先端企業の事例から、その効果と課題を探りたい。まずは、「勤務間インターバル規制」を既に全社員に導入しているKDDIを訪ねてみた。

 夜11時――。残業を終えてようやく帰宅の途へ。

「家に着くのは12時。ビールを一杯飲んで、風呂に入って寝るのは2時。明日は朝9時から会議だから、睡眠時間はせいぜい4、5時間かなあ」

 翌日の出社時間から逆算して、何時間眠ることができるか。忙しい会社員なら、こんな計算をしたことがあるだろう。ところが、これからは悩むことなく少なくとも6時間は睡眠が確保できるようになるかもしれない。いま「働き方改革実現会議」で議論されている「勤務間インターバル規制」が実現し、仕事が終わったあとに11時間の休息時間を取らなければならないとされたら、夜11時まで残業した場合、翌日10時までは出勤しなくてよいことになる。

 「勤務間インターバル規制」は、長時間労働是正のひとつの策として現在導入が検討されているもの。お手本はEUで、すでに1993年からインターバル規制が導入されており、「1日の仕事の終了後に11時間の休息を確保しなければならない」とされている。

 現在日本で、勤務間インターバル規制を導入する企業は2%ほどとされる。そのひとつとして知られるKDDIを訪ねてみた。

月100人は"違反者"が出るが、健康管理の意識高まる

 KDDIでは2000年に、設備の保守運用を手掛ける社員に限ってインターバル規制を導入した。24時間体制で保守を行うなか、連続シフトはNG、最低でも次の勤務までに7時間は空けることとした。

 2012年には裁量労働制の導入に伴い、企画型の仕事をする裁量労働の勤務者に限定し、働き過ぎを防ぐために、8時間のインターバルを置くとした。

 さらに2015年、組合の要求を受け入れる形で、インターバル規制を全社員約1万4000人に広げた。その方法は以下の2つである。

(1)非管理職は「8時間のインターバルを設けること」とする就業規則を導入
(2)管理職を含め全社員を対象に、「インターバルが11時間を切る日が1カ月の半分を超えたら健康チェック」を義務化

ルールを守れないと人事面談もあり。場合によっては異動も

 その結果、どうなったか。まずは、就業規則に組み込んだ必達目標である(1)の「8時間インターバル」。仕事の継続性、連続性が必要な場合、また突発的な仕事に対応しないといけない場合は認めるという「例外規定」はあるものの、「8時間インターバル」が守れない人が対象社員約9600人のうち月100人ほどいるという。ただし、いずれも「常習」ではなく月1回程度で、かつ翌日は健康配慮のために早帰りか休日とするといった対応がほぼ100%達成されているとか。

 (2)の「月半分以上の11時間インターバル」はどうか。対象となる全社員約1万4000人のうち月20〜30人は、このルールに抵触して健康管理の対象者となる。まずは、セルフチェックによる問診票を提出。ここで「要確認」となった人は、人事部のスタッフと面談、さらには産業医の面談に進む人もいる。人事との面談では、ケースバイケースの判断がなされる。「2、3日有給休暇を取るように」「向こう3カ月残業禁止」などと人事担当が申し渡すこともある。直属上司と相談したり、仕事の負荷を軽減したり、場合によっては異動とすることもある。

 「見えにくい過重労働が『見える化』化した。働く側は、より健康に気を付けて仕事をするようになった」と、人事担当は健康管理面での効果を強調する。そもそもインターバル規制の導入は「社員の健康管理のため」だったという。

EUのインターバル規制の目的は残業削減ではない

 日本がモデルとするEUのインターバル規制もまた、実は残業削減ではなく、従業員の健康管理を目的とするものだ。「その制定根拠は、労働者の健康と安全を保護すべきとのEC条約第137号」にあると、労働政策研究・研修機構の主席統括研究員の濱口桂一郎氏は解説する。

 従来の日本型企業では、猛烈に頑張る社員は睡眠時間を削ってでも走り続けるもの――こうした神話がまかり通っていた。しかし、それがいかに健康を害するものか、いかに生産性を下げる働き方であるかというレポートがいま次々に出されている。

 そのひとつが『スリープ・レボリューション』(日経BP社刊)。インターネットメディア「ハフィントンポスト」の創始者で知られるアリアナ・ハフィントン氏は、仕事と子育てに睡眠を削ってフル回転して、ついには倒れて頬骨を折る大けがを負うに至ったことを吐露する。自身の経験から、睡眠不足がいかに心身の健康を蝕み、そして職場の生産性にもマイナスとなるか、さまざまなデータで説いている。

 睡眠不足と、うつ病との関連性は、先の電通の女性社員の過重労働による自殺でも知られている通りだ。さらに、睡眠不足は心臓疾患、脳血管障害、免疫の低下など身体にさまざまなダメージをもたらす。脳の働きに及ぼすマイナス面も大きい。

長時間労働をしている「脳」は、酒気帯び程度の認知力?


「6時間睡眠を2週間続けるだけで、私たちの能力は24時間眠っていないのと同じくらい低下する」

「オーストラリアの研究によれば、17〜19時間眠らずにいると(多くの人にとって日常のことに違いない)、認知能力は血中アルコール濃度が0.05%(米国の多くの州の酒気帯び運転基準よりわずかに低い値)のときと同程度まで低下するという。さらにあと2〜3時間起きていると、0.1%、つまり酒気帯び運転と同程度に達する」

 睡眠不足で頭が働かないのはよくあることだが、酒気帯び運転と変わらない程度だと数値をつきつけられると愕然とする。これを仕事の生産性の低下として換算すると、経済的にも大きな損失だと、同書は畳みかけるように解説する。

「人々が睡眠を削って働いたことで生産性はがた落ちしている。米国労働者一人あたりの低下分は1年間で11日以上、金額にして約2280ドルだ。睡眠不足が『アブセンティーイズム(常習的欠勤)』や『プレゼンティーイズム(出勤していても生産性が上がらない状態)』というかたちで米国経済に与えている損失は年間630億ドルを超える」

 従業員の心身の健康を守るためにも、そして職場の生産性を上げるためにも、休息時間の確保を保証する「インターバル規制」は、効果があるといえそうだ。

実は「残業時間の削減」には、直接の効果はない?

 では、いま導入が議論される「勤務間インターバル」は特効薬かというと、そうばかりとも言えない。

 海外の雇用制度に詳しい雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏によると、ドイツ、フランス、英国などは、11時間のインターバル規制を設けるものの、厳しい違反罰則が国内法にはない。日本で導入しても「『法が守られない日本』では、違法行為が蔓延することも考えられる」と、その効果を疑問視する。

 悪しき前例が「サービス残業」だという。「労働基準法37条1項で、サービス残業自体はすでに禁じられている。にも関わらず、未だに横行している。法律があっても守られない日本社会では、新たに法律を作るだけでは、規制として物足りない」というのだ。

 実効性を高めるには、北風と太陽の両面作戦が必要だろう。労働基準監督署の立ち入り検査の対象を広げるといった北風作戦、また制度を導入した中小企業への助成金制度を導入するといった太陽作戦も検討されている。電通社員の一件をみてもわかる通り、長時間労働は悪であるという意識を高め、社員の健康を守らない企業は許されないという世論を高めることも、外圧となるだろう。

 再び、規制に先んじて制度を導入したKDDIの事例をみてみよう。いま議論の盛り上がる残業削減を実現するうえで、インターバル規制はどの程度効き目があったか、改めて尋ねてみた。

「会社全体でみると、インターバル規制のみで残業が大きく削減されたとはいえない」

 とやや拍子抜けする答えが返ってきた。というのも、導入前から同社はすでに、全社平均で残業は月30時間という水準だった。2016年12月からは「働き方改革」をさらに加速し、今年に入り原則20時以降の残館禁止とすることで、全社の残業時間は月25時間にまで減ったという。

 インターバル規制も含めての「働き方改革」で、残業削減効果が最も上がったのは、新規事業の立ち上げ部署など長時間労働となりがちな部門だ。(残業の上限規制を定める労働基準法の)三六協定の特別条項を適用しない範囲である月30〜45時間の水準まで残業が削減された。

 繰り返しになるが、同社のインターバル規制の導入目的は、あくまでも社員の健康を守るため。長時間労働の是正は「労基法の三六協定の見直しと、インターバル規制などを組み合わせれば、効果が上がるでしょう」という。

真の壁となるのは「社員の意識」

 インターバル規制は打ち出の小槌ではなく、あくまでも残業時間の上限規制などとの「合わせ技」により、長時間労働の是正につながるというのだ。さらに、真の壁となるのは「社員の意識」だという。一律に時間で管理したがる管理職、がむしゃらに働きたいという社員の意識を変えない限り、規制を入れたからといって残業はなかなか減らないという。

 では、インターバル規制など導入しても無駄ではないかと思われる方もいるかもしれない。しかし、私自身は、残業時間の上限規制と併せてインターバル規制を導入する意味は大きいと考える。長時間労働が常態化している職場では、残業を減らすことにつながるだろう。また、「インターバル規制」という枠を設けることで形から変え、意識変革を促すことになる。

 たとえ罰則規定がなくても、規制があることで、「違反企業」には社会的な監視の目を光らせることができる。インターバル規制の導入は、従業員の健康を守ることがいかに大切かという意識を高めると同時に、従業員の休息の確保は組織の生産性を高めるという認識を共有するきっかけともなる。インターバル規制は、働き方改革の重要な打ち手のひとつとなるはずだ。

『女性に伝えたい 未来が変わる働き方』(野村浩子著、KADOKAWA刊)


元『日経WOMAN』編集長が提案する、二極化時代の新しい生き方、働き方

働きにくさ、生きづらさを変えるためのヒント。

男女雇用機会均等法の施行から30年が経ち、女性たちの働く環境はどう変わったか。多様化する時代の中で、自分らしく働くためにはどうすればよいか。豊富な事例から、新しい時代の「働き方」「生き方」を探る。

このコラムについて

ここが間違い、女性の攻め方
 働く女性を後押ししよう――、あちこちで「女性活躍推進」の大合唱が聞かれる。ところが、そこには大きな壁がある。「勘違い」や「思い込み」である。2013年4月、安倍晋三首相は「働く女性の環境を整えることこそ、成長戦略の大きな柱」とスピーチ、その中で「3歳まで抱っこし放題」を実現すると発言した。「ああ、わかってないな」、多くの女性がため息をついたものだ。企業はいま、女性社員が働き続けるための環境を整え、女性管理職の登用を進めるものの、経営幹部の「刷り込み」がネックになることも少なくない。
 一方、消費の場面に目を転じると、女性顧客の力が増している。しかし、従来の発想では、女性市場は攻めきれない。家族のあり方が大きく変わり、女性の経済力も増すなかで、ライフスタイルが大きく変化しているからだ。
 女性社員を、女性市場を、企業はどう攻めればいいのか。「ダイバーシティ推進」「ワークスタイル」「ライフスタイル」の3つの柱を軸に、働く女性の心理を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/261748/021300013
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/268.html

[原発・フッ素47] 原発ゼロで割れる民進「ふがいない」小泉元首相  原発ゼロ前倒し、民進紛糾 問われる蓮舫代表の指導力
原発ゼロで割れる民進「ふがいない」 小泉元首相
2017年2月17日00時13分
シェア
2
ツイート
list
ブックマーク
0
メール印刷
写真・図版
似顔絵 小泉純一郎首相 自由民主党総裁
[PR]
 小泉純一郎元首相が16日、東京都内であった原発をテーマにした映画の試写会の後で記者会見した。「2030年原発ゼロ」をめぐり意見が割れる民進党に対し、「ふがいないよ。野党第1党何してんだ。もう選挙勝たなくていいのか」と指摘。民進の支持母体である連合の集票力を念頭に、「電力関係は多くて50万票。その声を聞いてグラグラして決まらない。50万票欲しさに、500万以上ある一般国民の声を聞いてないのが今の民進党だ」と首をかしげた。

原発ゼロ前倒し、民進紛糾 問われる蓮舫代表の指導力
 小泉氏はまた、原発が争点となった新潟知事選を引き合いに「野党が候補者を一本化して原発ゼロを争点にすれば自民党が負ける」と重ねて主張した。

関連ニュース
福島第一2号機内、「サソリ」ロボ立ち往生 手詰まりに
柏崎刈羽の免震棟、事故時の使用は困難 規制委現地調査
蓮舫代表、基幹労連訪問 「原発ゼロ」に理解と協力要請
非日常的な作業がルーティンに 福島第一、記者が構内へ
線量上昇に緊張・厳重検査に不安… 初めて見た福島第一
http://www.asahi.com/articles/ASK2J5QZSK2JUTFK00S.html


原発ゼロ前倒し、民進紛糾 問われる蓮舫代表の指導力
関根慎一、贄川俊2017年2月16日23時57分
シェア
2
ツイート
list
ブックマーク
3
メール印刷
写真・図版
民進党のエネルギー・環境調査会の後に記者会見した蓮舫代表=16日午後、中崎太郎撮影
写真・図版
写真・図版
[PR]
 民進党は16日、蓮舫代表の執行部が検討する「2030年原発ゼロ」をめぐり、全議員を対象にした会合を初めて開いた。支持母体である電力などの労働組合出身議員から強い反対意見が噴出。安倍政権への対抗軸として、3月の党大会で打ち出せるのか。蓮舫氏の指導力が問われそうだ。

原発ゼロで割れる民進「ふがいない」 小泉元首相
 党エネルギー・環境調査会(玄葉光一郎会長)の会合が非公開で行われ、約60人が出席し、うち22人が発言した。従来の党方針の「30年代ゼロ」から「30年ゼロ」に時期を前倒しする新方針に対し、賛否両論がほぼ半数ずつだった。

 支持母体の連合傘下で、電力業界の産業別労組「電力総連」出身の小林正夫参院議員が冒頭、「30年代ゼロとしていたのに、急に30年ゼロを打ち出す進め方は違和感を覚える」と強く反対。造船重機などの産別労組「基幹労連」出身の高木義明元文科相も「みんなで議論して決めた『30年代』のままでいい。原発ではなく働き方改革などで民進党らしさを出すべきだ」と反対論を唱えた。

 一方、調査会副会長の高井崇志氏が「20年代ゼロにしてもいいくらいだ」と賛成論を述べるなどし、議論は紛糾。14日に基幹労連、15日に電機連合を訪ね、30年ゼロに理解を求めた蓮舫氏は、途中まで出席したが、発言はしなかった。

 会合の直前、蓮舫氏は連合の神津里季生会長(基幹労連出身)とも会談していた。神津氏は会談後の会見で「30年代ですら相当ハードルが高い。中身無しに数字だけ30年であれば、国民の支持を集められるのか」と厳しく批判。17日に予定していた民進と連合の意見交換会も中止となった。

 蓮舫氏は記者会見で、「支援団体ではあるが、政策がすべて一緒というものではない」と主張。3月12日の党大会に向け「(東日本大震災の)3・11の6年目で、その翌日だから、私たちの考えを示したい」と述べ、今のところは反対論を抑えてまとめる構えだ。脱原発派の中堅は「蓮舫代表は労組ではなく国民世論を見て、30年ゼロを党大会で打ち出す腹を決めないと」と語り、その指導力が問われる局面であることを指摘した。(関根慎一、贄川俊)

関連ニュース
蓮舫代表、基幹労連訪問 「原発ゼロ」に理解と協力要請
蓮舫代表「脱原発、卒原発。再生エネ、進めよう」
民進の「2030年代原発ゼロ」、小泉元首相がダメ出し
非日常的な作業がルーティンに 福島第一、記者が構内へ
線量上昇に緊張・厳重検査に不安… 初めて見た福島第一
今、あなたにオススメ(PR)
Recommended by
トップニュース
朝日新聞デジタルのトップページへ
写真
NHK、看板アナを一新
正男氏報道「トップに置かず見出しは1行」 中国が規制(23:02)有料記事
転売品の美容機器でやけど 厚労省「直ちに使用中止を」(23:11)
原発ゼロで割れる民進「ふがいない」 小泉元首相(00:13)
鶏のひな6万羽焼け死ぬ 鶏舎で火災 北海道・伊達(23:27)
2026年W杯は「複数国開催を」 FIFA会長(22:59)有料記事
新幹線巡る質問に「北海道は?」 参院議長が不規則発言(22:44)
風を味方に平昌で高梨53勝 「まさか勝てるとは」(22:31)有料記事
故金正日氏料理人、平壌に日本料理店 外為法違反疑いも(18:00)
注目の有料ニュース
http://www.asahi.com/articles/ASK2J4WK1K2JUTFK00F.html
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/533.html

[経世済民119] 独立で知った“会社の傘”なきミドルの辛苦  トランプ時代に考える「儲かる取引」の理屈 「日経ビジネスベーシック」から
独立で知った“会社の傘”なきミドルの辛苦

ここでひと息 ミドル世代の「キャリアのY字路」

2017年2月17日(金)
山本 直人

「うまいデザイナー」ではなく「できるデザイナー」

 この7年余りは何だったのだろう。まもなく50歳になるデザイナーのRさんはしばしば、起伏の激しかったその期間を、複雑な思いで振り返る。

 彼は、大手広告会社のデザイナーだった。そして40歳を過ぎて独立した後、紆余曲折を経て、今はとあるデザイン会社でデザイナーの仕事をしている。運と実力、そしてさまざまな「社会の波」が実に複雑に絡まり合ったその道程は、働き手としての自分を正しく認識するうえで、必要な通過儀礼だったのかもしれない。

 独立のきっかけは、あの金融危機に続く大不況、いわゆる「リーマンショック」が起きたことだった。あらゆる業界の企業が広告費を削減したために、広告業界も未経験の大逆風を受けた。

 しかし、Rさんには追い風だった。彼は同年代のデザイナーの中ではいち早くデジタル分野に目をつけていた。新聞広告や雑誌広告が急減する中で頼られる人材だったのである。

 Rさんは「できるデザイナー」と言われていた。しかし、「うまいデザイナー」とはあまり言われない。ブティックに掲げられるようなアーティスティックなポスターではなく、クライアントの要望に応えてさまざまな広告を作ってきた。時には、みんながやりたがらないスーパーマーケットの売り場におく販促物などにも丁寧に取り組んだ。

 同僚が昔ながらの広告作りに固執する中で、いち早くインターネットの勉強もした。「あんなのアートじゃないよ」という陰口も耳に入ってきたがRさんは気にしなかった。

 社内でも「これからはデジタルの勉強をしろ」という号令がかかる。40歳を過ぎて「さっぱりわからないよ」と愚痴をこぼす同僚のクリエイターを尻目にRさんのところにはどんどん仕事が舞い込んできた。

 そして、独立する決心をしたのだ。それは、ようやく金融危機に続く嵐がひと段落したころだった。

出足は好調も、すぐに「異変」が…

 独立に際しては、周囲は祝福してくれた。どちらかというと、人が嫌がるような仕事も引き受けてきたRさんは、営業スタッフからしても重宝な存在だ。独立したRさんに、広告主からの依頼を「丸投げ」することも可能になる。

 インターネット関連については同年代の営業でも苦手な者が多い。Rさんであれば、そのあたりのことも忖度して対応してくれる安心感があった。

 そんな発注を見越して、勤めていた会社の近くに事務所を設けてアシスタントも雇った。そして最初の1年は順調すぎるほどの船出だった。慌ててアシスタントを増やしても、追いつかないほどだった。

 Rさんの仕事に「異変」が起きたのは、独立して3年目になる頃だった。発注される仕事の内容が、段々と自分の経験でカバーしきれなくなってきたのである。

 理由の1つは、スマートフォンの普及だった。今では当たり前のようになっているが、「スマホ対応」のサイトが求められるようになってくる。今までの延長線で対応できる部分もあれば、一から考え直す必要もあった。

 Rさんにとって、インターネットといえばパソコンのブラウザーだった。その中で、美しく実用的なデザインを作ることにおいては業界でも評価が高い。しかし、スマートフォンに対応したデザインにはどうしても馴染めなかった。

 いくつかの案を出しても、広告主もなかなか首を縦に振らない。むしろ若いアシスタントが考えたアイデアの方がスッと通ったりする。広告主の会社でも、若いスタッフが担当を任されているようだ。

 スマートフォンを使いこなしている者どうしの方が話が早い。間に入っている古巣の営業も「もうわからないんだよ」と愚痴をこぼすようになった。

 かつて新聞や雑誌広告に執着していた同僚を見ていたRさんは、時代に取り残される恐ろしさを知っていた。しかし、気が付くと自分もまさに危うい位置にいることを感じた。

 その一方で得意だったはずの分野でも問題が起き始めていた。

頼みの綱、前の職場からの発注が急減

 Rさんはいわゆる「ネットキャンペーン」の仕事も請け負っていた。企業のサイト上から懸賞などに応募したり、写真や動画を投稿してもらうような販促活動だ。

 個人情報に対する規制も厳しくなり、ネット上の安全についても求められるハードルはどんどん上がる。そのために、作業工程でさまざまな人が関わるようになり、納品までの検証作業にも時間がかかるようになる。

 デザインを開発する時間も減ってくる一方で、Rさんの知識も追いつかなくなってきて対応も後手に回る。そうなると、「今回は別のところに」ということで、段々と発注が細ってくる。

 独立からわずか3年あまり。周囲の景色が全く変わっていることに気づいた。

 もちろんRさんも理解はしている。しかし頭でわかっていても、感覚的にはしっくりこない。自分でもスマートフォンは使うが、どこか「パソコンの代用品」だと思っている。

 そのため、危機感をもって若返りに取り組んでいる広告主との溝が段々と広がってきてしまったのだ。

 そんな時に、大きな転機となる出来事があった。

 独立以来長いこと仕事をつないでくれていた古巣の営業マンが相次いで現場を離れてしまったのだ。

 考えてみると、彼らはRさんよりやや若いけれどもう40代だった。会社としても若返りを図りたくなるのだろう。中には、故郷に戻って実家の家業を継ぐといって退職したものもいた。

 彼らはどちらかというと「古いスタイル」の営業だった。だからデジタル関連の技術についてはずっとRさんに頼りきりだったが、そのRさんが追いつけなくなると仕事がうまく回らなくなる。

 気が付いてみると、Rさんの事務所の売り上げは来期のメドがまったく立たなくなっていた。古巣からの仕事が十二分すぎるほどにあったので、新規得意先を開拓していなかったのだ。

 若いアシスタントたちは、こちらから言う前に転職先を見つけて去っていった。そして、Rさんもいろいろな伝手をたどって中堅のデザイン会社に雇ってもらうことにした。

 こうして、わずか数年間の「自分の城」はあっさりと陥落した。

「三重の過信」が足をすくった

 Rさんは今でも、「できるデザイナー」として重宝がられている。

 再就職して真っ先に声をかけてくれたのは、会社員時代に競合だった広告会社の営業だった。

 「ずっとお願いしたかったんですけど、なかなか隙がなくて」と苦笑いされたが、悪い気はしない。もともといた会社とのつながりが切れないので、とても頼めなかったのだという。

 Rさんも雇われの身になったので、気持ちに余裕ができた。改めて最新の技術を学び、いろいろなセミナーにも通ってキャッチアップすることができた。

 しかし、再び独立しようという気持ちはまったくない。

 そして、「3つの過信」があったと振り返る。

 1つは「技術知識に対する過信」だ。自分が最先端を知っていると思っていたデジタル分野は、想像以上の加速が起きていた。そのスピードを甘く見たことが大きな問題だった。

 2つ目は「センスに対する過信」だ。スマートフォンが中心になろうとしていても、自分のデザインセンスに対するこだわりを変えきれなかった。そのために提案内容が古く見られて、広告主との信頼関係が徐々に弱まっていった。

 3つ目は「営業ルートに対する過信」だ。古巣からの発注を受けていれば、自分自身で頭を下げて営業する必要はない。そのため「そろそろ動かねば」という時には、すっかり出遅れていた。
 そして、なじみの営業の異動などがとどめとなったのだ。

 結局は「自分自身への過信」だったとRさんは思っている。得意先とのルートはもちろん、最新技術にしても会社にいたからこそ学べていた。自分のセンスが古くなっても、組織にいれば若手を生かす道もあっただろう。

 そして、いま思っていることはシンプルだ。

 どんな環境であっても「できる限りデザイナーの仕事をしたい」それが今のRさんの願いである。

■今回の棚卸し
 会社の中でキャリアを重ね、多くの仕事をこなすことで、スキルは向上し、信頼を得ていく。

 しかし、そのスキルや信頼は一面、会社によって育ててもらったものでもある。独立すれば、多かれ少なかれ、「会社の傘」のありがたみを感じることになる。

 会社から離れたらどうなるか? 独立するしないにかかわらず、「自分の力」や「自分が本当にやりたいこと」を客観的に見つめるうえで、この視点は大切だ。キャリアの終着点が近づき、様々な選択を迫られるミドル世代においては、特に重要となる。

■ちょっとしたお薦め
 誰もが学生時代に「漢文」の授業を受けたことがあるだろう。しかし、その中で語られていることの真髄を知るには、それなりの人生経験が必要となる。ミドルになってから改めて手に取れば、日ごろ感じる世の中の理不尽や、人間の哀感などに共感できるのではないだろうか。

 加藤徹氏の「漢文力」は、そんな時に読んでみたい一冊だ。どこかで耳にしたことのあるフレーズの真の意味合いや、古人の深い洞察力に触れることでさまざまな示唆が得られると思う。

このコラムについて

ここでひと息 ミドル世代の「キャリアのY字路」
50歳前後は「人生のY字路」である。このくらいの歳になれば、会社における自分の将来については、大方見当がついてくる。場合によっては、どこかで自分のキャリアに見切りをつけなければならない。でも、自分なりのプライドはそれなりにあったりする。ややこしい…。Y字路を迎えたミドルのキャリアとの付き合い方に、正解はない。読者の皆さんと、あれやこれやと考えたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/032500025/021300023

 

 

トランプ時代に考える「儲かる取引」の理屈

「日経ビジネスベーシック」から

飯田泰之の「キーワードから学ぶエコノミクス」・04
2017年2月17日(金)
飯田 泰之
この記事は、「日経ビジネス」Digital版に掲載している「日経ビジネスベーシック」からの転載です。連載コラムは「飯田泰之の『キーワードから学ぶエコノミクス』」。記事一覧はこちらをご覧ください。詳しい説明はこちら 。

 トランプ大統領の登場以降、自由貿易や市場への攻撃がきつくなってきました。自由主義経済の基本の基本を、ここで見直してみるのもいいかもしれません。

 自由な、自発的な(=「詐欺」や「脅迫」のない)取引が成立するのは、「売り手にとっても買い手にとっても得な価格」が存在していたからです。

 だって、両者にとって得になる価格が存在しないならば、そもそも取引は成立しません。

 これはあまりにも単純で、そして単純であるが故に強力な論理です。なぜならば以上の事実は「自発的な取引は常に当事者双方を幸福にしている」ことを示しているからです。この論理は自由主義経済を擁護するもっとも基礎的な論理です。


飯田泰之(いいだ・やすゆき)
明治大学政治経済学部准教授 1975年東京生まれ。マクロ経済学を専門とするエコノミスト。シノドスマネージング・ディレクター、規制改革推進会議委員、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。著書は『経済は損得で理解しろ!』(エンターブレイン)、『ゼミナール 経済政策入門』(共著、日本経済新聞社)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)、『ダメな議論』(ちくま新書)、『ゼロから学ぶ経済政策』(角川Oneテーマ21)、『脱貧困の経済学』(共著、ちくま文庫)など多数。
 次に、ここまでの論理に国境や国籍の話が一切関係なかったことに注目してください。以上の結論は取引当事者の間に国境があろうとなかろうと成立します。これが自由貿易の有用性を根拠づけるもっとも単純な論理です。

 国内での自由な取引と、自由貿易を正当化するロジックは全く同じものです。

 したがって、国内での取引は自由に行われるべきだが、貿易は制限すべきだという主張は、経済以外の理由付けがなければ成立できません。アメリカ人同士の自由な取引はすばらしいが、アメリカ人とメキシコ人の自由取引は良くないことだ……というためのロジックとしてどのようなものがあり得るか、是非考えてみてください。

お得な取引相手は誰?

 「双方が得すること」こそが取引の本質であるというコトが理解できると、次に興味がわくのは「じゃ、自分にとってよりお得な取引って何だろう」という話ではないでしょうか。話が急に俗っぽくなってしまいますが……アダム・スミスが指摘したように、みんなの俗な欲求がすばらしい社会をつくるのです(すいません開き直りです)。

 ここで買い手の場合を例に説明しましょう。あなたが、あるコンサートのチケットに対して5000円までなら払っても良いと考えていたとしましょう。そんなとき、ネットで3000円で購入できたなら……ちょっとお得感がありますよね。

 取引における買い手の利益とは、「自分が支払ってもよいと考えていた値段(前回でご説明したとおり、買い手の“主観的な”評価額ですよ)」と実際の金額との差になります。売り手にとっても事情は同じです。主観的な評価や制作費用などから決まる「手放してもよい最低限の値段」より高く売れた分が取引の利益、と言うことになるでしょう。

 では、取引の果実が一番大きくなるのはどんな取引でしょう。そう。「支払ってもよいと考えていた値段」と「手放してもよい最低限の値段」の差が大きければ大きいほど――「主観的な価値観の隔たりが大きい者同士の取引」ほど、そこから得られる買い手の利益は大きくなるのです。売り手ならばこの逆になりますが、価値観の差が大きいほど利益が拡大する、という部分は同じです。

 「自分とは価値観が異なる相手との取引ほど、利益が大きい」という結論は、ビジネスの展開を考える上で非常に重要です。自分にとって何の価値もないものに価値を感じる人、自分が大切だと思うことを軽視している人を探すことこそが、ビジネスの出発点です。

 自分が手に入れた、特に興味がないアイドルの握手券を売るのに最適な相手は、そのアイドルの大ファンの人です。そして、多くのビジネスマンにとって最大の資産である「自身の労働力」を販売する場合も同じです。例えば、あなたにとって英語を日本語に翻訳することが対して苦にならない作業だとしましょう。それであれば取引相手として最適なのは、翻訳にものすごく苦痛を感じている人、となるわけです。

違う人との接触を増やすことが、経済学的には正しい

 価値観の異なる取引相手こそ、お互いに利益が大きい取引ができる可能性が大きい…。

 説明すると当たり前のように感じられるかもしれません。にもかかわらず、私たちは同じような好み、同じような能力を持っているもの同士で「連(つる)み」がちです。

 なぜ取引相手として最適な相手とより多くの時間を過ごそうとしないのですか? 
 なぜ仕事を分担し合う相手として最適な人と組んで仕事をしようと思わないのでしょう? 

 自分とは何か違う人との接触機会を増やすこと。ここに(金銭的なモノに限らない)大きな利益が眠っているのではないでしょうか。そういう意味で「なんとかファースト」には、経済学的には大いに疑問がありますね。

[3分で読める]ビジネスキーワード&重要ニュース50

 今さら聞けないけど、今、知っておきたい――。ネットや新聞、テレビなどで日々流れている経済ニュースを読みこなすための「ビジネスパーソンのための入門編コンテンツ」がムックになりました。

 新進気鋭のエコノミスト、明治大学政治経済学部准教授・飯田泰之氏による「2017年の経済ニュースに先回り」のほか、「ビジネスワード、3ポイントで速攻理解」「注目ニュースの『そもそも』をすっきり解説」「日経会社情報を徹底活用、注目企業分析」「壇蜜の知りたがりビジネス最前線」などで構成されています。

 営業トークに、社内コミュニケーションに、知識として身につけておきたい内容が、この一冊に凝縮されています。


このコラムについて

「日経ビジネスベーシック」から
このコラムでは、「日経ビジネスBasic」に掲載した記事の一部をご紹介します。日経ビジネスBasicは、経済ニュースを十分に読み解くための用語解説や、背景やいきさつの説明、関連する話題、若手ビジネスパーソンの仕事や生活に役立つ情報などを掲載しています。すべての記事は、日経ビジネスの電子版である「日経ビジネスDigital」を定期購読すれば無料でお読みいただけます。詳しくはこちらをごらんください。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/041300033/021500018
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/270.html

[経世済民119] “ジャイアン”トランプに対して 日本は“スネ夫”であるべきか トランプも止められない米国「雇用の喪失と富の二極化」の未来

 

2017年2月16日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
“ジャイアン”トランプに対して
日本は“スネ夫”であるべきか

ドラえもんがいない現実世界において、ジャイアンとそっくりな態度を示すトランプ米大統領と、日本はどう付き合うべきか Photo:アフロ
 ドナルド・トランプ米大統領は2月6日、彼の政策への支持率が低いという世論調査を基にした報道記事は、全て「偽ニュースだ」とツイッターでわめいた。相変わらず「俺さまに従わないやつはぶっ飛ばす」という態度をまき散らしている。

 こうしたガキ大将のような幼児的権威主義は、テレビアニメ「ドラえもん」に出てくるジャイアンとそっくりだ。普通は大人になるとそうした傾向は弱まるものだが、彼はそのまま70代に到達した。

 この“ジャイアン”と日本は付き合っていかなければならない。ドラえもんがそばにいれば、のび太でもジャイアンと対峙できるが、現実にはいない。となると、われわれは身を守るためにスネ夫のようにジャイアンへ貢ぎ続けなければならないのだろうか。

 外交はいつも正論で済むものではないから、戦略的に“スネ夫”になることも確かに時には必要だ。とはいえ、最近の日本の論調は、いかにしてトランプさまの逆鱗に触れないようにやっていくか、あるいはいかにしてご機嫌を取っていくか、という視点に過度に傾斜しているように思われる。

 特に1月31日にトランプ氏が、中国、日本、ドイツは為替レートを減価させて好き勝手にやっていると発言してからは、日本はスネ夫的に擦り寄っていくしか選択の道がないかのような空気が流れている。しかし、トランプ氏のあの発言は米国ではさほど大きな扱いになっていない。米ワシントン駐在の知人は、「日本の新聞を見たら、1面トップの扱いだったのでびっくりした」と話していた。

 問題の発言があったのは、トランプ氏と大手製薬会社トップとの面談の中だったが、会合の主眼は製薬業界に対する薬価の引き下げと国内生産回帰の要求であって、海外当局の為替政策の話題はついでに出てきた話である。

 トランプ氏が、海外当局はマネーサプライと通貨減価を利用していると話した部分は、日本では日本銀行の金融緩和策が攻撃されたと解釈されて大騒ぎとなった。だが、米紙の「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」はその部分を報じていない。

 もちろん、国内生産を重視する政策は必ずドル高抑制のスタンスを招く。日銀の緩和策をトランプ氏が正面から批判し始める可能性は十分ある。しかし、1月31日の軽いジャブ程度のコメントに日本側がここまで大騒ぎしているのを知れば、「日本はくみしやすい相手だ」と、彼はほくそ笑むだろう。

 対照的な対応を見せているのが欧州だ。ドイツは米政権幹部から、より明確に通貨安誘導を非難されたが、アンゲラ・メルケル独首相は歯牙にもかけず、一蹴した。

 2月3日、マルタで開催された欧州連合(EU)サミットでは、先日トランプ氏と面談したテリーザ・メイ英首相が米国との橋渡し役を申し出たが、他のEU幹部はあっさり拒絶。リトアニアの大統領は「橋渡しは必要ない。米国とはツイッターで連絡が取れる」と、米国との特別な関係をアピールするメイ氏に強烈な皮肉を放った。

 EUの首脳たちは、トランプ氏は欧州の基本的価値観を攻撃しており、米国はもはやロシアや過激派組織「イスラム国」(IS)と並ぶ脅威だと見なし始めている。

 日本はそこまで敵意を見せる必要はないと思うが、東アジアの安定にとって日本は極めて大事な同盟国であることなどを主張しつつ、環太平洋の国々と連携を深めて米国と接していくことが重要だろう。

(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
http://diamond.jp/articles/-/117586

 


 

トランプ大統領にも止められない、
アメリカの「雇用の喪失」と「富の二極化」の先にある未来

[橘玲の世界投資見聞録]

 このコラムでも何度か紹介したが、クリントン政権で労働長官を務めたリベラル派の経済学者ロバート・ライシュは、1991年に世界的ベストセラーとなった『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』で、21世紀のアメリカ人の仕事はクリエイティブクラスとマックジョブに二極化すると予言した。それから25年後、ドナルド・トランプが大統領に選出される前年に出版された『最後の資本主義』は、ライシュの勝利宣言であると同時に、敗北宣言でもある。

 勝利したのは経済学者としてのライシュで、敗北したのはリベラリストとしてのライシュだ。原著のタイトルは『Saving Capitalism』となっているが、そのうえでライシュは、「資本主義を救い出さなくてはならない」と述べる。これはどういう意味なのか、その主張を検討してみよう。

ブルーワーカーの仕事がなくなり、サービス業の賃金が下がった

『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』でライシュは、より正確には、将来のアメリカ人の仕事は(1)ルーティン・プロダクション(定型的生産)サービス、(2)インパースン(対人)サービス、(3)シンボリック・アナリティック(シンボル分析的)サービスに分かれると述べた。『最後の資本主義』では、四半世紀を過ぎた時点で自らの予言と現実が比較されている。

 ルーティン・プロダクション・サービスは工場労働などの「繰り返しの単純作業」で伝統的なブルーカラーの仕事だが、部下の仕事を繰り返し監視する仕事や、標準的な業務手順を遵守させる管理業務、定期的なデータ入力やデータ検索などのバックオフィスの仕事も含まれる。

 1990年当時、こうした仕事に従事するアメリカ人は被雇用者全体の25%程度だったが、テクノロジーの進歩とグローバル化(新興国の低賃金労働者への置き換え)によってその割合は着実に減少していくとライシュは予測した。

 2014年時点で当時と同じ方法で調べたところ、ルーティン・プロダクション・サービスに従事するアメリカ人の割合は20%以下まで減っているばかりか、物価調整後の賃金の中央値は15%も減少していた。

 インパースン・サービスは小売店の販売員、ホテルやレストランの従業員、介護施設の職員、不動産仲介業者、保育園のスタッフ、在宅医療従事者、フライトアテンダント、理学療法士、警備員など、「人間的な接触が欠かせないために人の手によってなされる仕事」だ。

 1990年時点でこうした仕事に就いているアメリカ人は約30%で、ライシュはその数が増加する一方、賃金は下がると予想した。かつてルーティン・プロダクション・サービスで働いていたひとたち(主にブルーワーカー)がインパースン・サービスでしか仕事を得られなくなり労働力の供給が増えることに加え、ATMやコンピュータ制御のレジ、自動洗車機、自動販売機、自動給油機など省力化のテクノロジーとも競争することになるからだ。

 2014年時点で「対人サービス」の仕事は米国全体の半分ちかくを占め、新たに創出された雇用の大半がこの職業区分に属していたが、その賃金の中央値は物価調整後の数字で1990年の水準を下回っていた。ライシュが予想できなかったのはテクノロジーの急速な進歩で、Amazonはドローンによる配達を計画し、Googleの自動運転車は450万人にのぼるタクシーやバス、トラックの運転手、清掃業従業員の雇用に深刻な脅威を与えている。

 シンボリック・アナリティック・サービスは「問題解決や問題発見、データ、言語、音声、映像表現などのシンボルを操作する戦略的媒体」にかかわる仕事で、エンジニア、投資銀行家、法律家、経営コンサルタント、システムアナリスト、広告・マーケティングの専門家、ジャーナリストや映画製作者、大学教授などが属する。これらの仕事の本質は、「数学的アルゴリズム、法的論議、金融技法、科学の法則、強力な言葉やフレーズ、視覚パターン、心理学的洞察をはじめ、思考パズルを解くためのテクニックなどのさまざまな分析ツールや創造のためのツールを用いて抽象的なシンボルを再構築」することだとライシュはいう。これを要約すれば、「知的でクリエイティブな仕事」のことだ。

 1990年、ライシュはシンボル分析の専門家が米国の被雇用者の20%を占めており、その割合も彼らの賃金も増えつづけると予想した。

 現実に起きたのは、ライシュの予想をはるかに上回る富の集中と格差の拡大だった。いまやアメリカでは、最富裕の上位400人が所有する富が下位50%の富の合計を上回り、上位1%が米国の個人資産の42%を所有している。

 下位50%の家計が所有する富の割合は1989年時点では3%だったが、2014年時点では1%まで下落した。1978年、上位0.01%の家計は総じて平均的家庭の220倍裕福だったが、それが2012年には1120倍に達している。物価調整後の数字で比較すると、フルタイムで働くひとびとの週当たり賃金の中央値は2000年以降下落しており、時給の平均も40年前より低くなった。

 このように、ライシュの予言はすべて的中した。これが「経済学者としての勝利宣言」だ。

アメリカでは高級住宅地と貧困地区で公教育格差がある

 待ち構える暗鬱な未来をそのまま放置することはできないものの、リベラリストであるライシュは「メキシコとの国境に壁をつくれ」とか「不法移民を追い返せ」とはいわない。――ただしライシュは、NAFTA=北米自由貿易協定やTPP=環太平洋戦略的経済連携協定には批判的だ。自由貿易は比較優位を交換するWIN-WINの関係ではなく、グローバル企業だけが得をし、貧しいひとたちが一方的に損をする理不尽な取引だからだという。

『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』でライシュが提示した処方箋は、大企業や高所得者から税を徴収し、それを原資に公教育を立て直すことだ。グローバル化とテクノロジーの進歩でブルーワーカーの仕事がなくなり、サービス業の賃金が下がるのるなら、先進国の労働者に残された道は「シンボリック・アナリティック・サービス」すなわちクリエイティブクラスの仲間入りをすることだけだからだ。

 だがライシュの期待に反して、アメリカでは低所得の子どもと高所得の子どもの学力差は拡大している。

 1985年当時、家計資産上位10%の家庭の子どもと下位10%の子どものSAT(大学進学適性試験)の平均点の差は800満点中90点だったが、2014年にはその差は125点に広がった。先進国の生徒の学習到達度調査(PISA)でも、参加63カ国中、所得別の数学力の差は米国がもっとも大きく、読解力では高所得世帯の子どもが低所得世帯の子どもを平均で110点上回った。

 世帯所得による子どもの学力差は、人種によるちがいよりも、裕福な地域と貧困地区の学校の財政状況の影響が大きい。これはアメリカの公教育に特殊な事情で、公立学校に投入される「公費」の割合は連邦予算が10%、州政府が平均して45%で、残りは学区の自治体が調達することになっている。その財源の多くは地方固定資産税、すなわち不動産資産への課税だ。

 これは日本など他の国とは大きく異なる制度だが、その結果、どういうことが起きるのだろうか。

 もう10年以上前のことだが、ハワイの住む知人が、小学校の学力比較表と不動産物件情報を真剣な表情で見比べていて不思議に思ったことがある。彼の話では、よい学校のある住宅地ほど物件価格が高く、安い物件のある地区は教育事情が悪い。そこでどの親も、マイホームの予算の範囲内でもっともいい学区に家を買おうと必死になるのだという。

 このようにアメリカでは、不動産価格と地域の学校の教育レベルが強い相関関係にある。これは、学校の評判がよくなれば不動産価格が上がり、評判が悪くなれば不動産価格も下がるということだ。そうなると高級住宅地に住む裕福なひとたちは、子どもによりよい教育環境を与えたいという親心とマイホームの価値を上げたいという経済的理由の、ふたつの強力なモチベーションによって地域の学校のために協力を惜しまなくなくなる。これが、たんに高い固定資産税を納めるだけでなく、バザーなどを積極的に開いて地域の学校の財源に充てようとする理由だ。

 この好循環は、子どもが学校を卒業しても終わらない。地域の教育環境をよくすることが不動産資産の価値を守るもっとも効果的な方法なのだから、富裕層は漫然と国や州に所得税を払うのではなく、税控除のできる寄付で地域の学校に立派な講堂や図書館、音楽ホールなどをつくったほうがいいと考えるだろう。このようにして、全米でもっとも地価の高いシリコンバレー周辺では、「公立」でありながら上流階級向けのどんな私立にもひけをとらない豪華な学校ができあがることになる。

 その一方で、地価の安い貧困地域ではこれと同じメカニズムが逆に働いて、教育環境はますます悪くなる。満足に固定資産税を徴収できない自治体は公教育に予算を割り振れないし、住民たちも、荒れ果てた学校のために努力するのは穴の開いたバケツに水を注ぐようなものだと考えるだろう。

 このようにアメリカにおいて、高級住宅地と貧困地区で子どもの学力差が拡大するのは制度的必然なのだ。

 公教育の歪んだ構造はライシュをはじめ多くの論者が指摘しているが、改善はきわめて困難だ。

 誰もが真っ先に考えるのは、固定資産税で自治体の教育予算を賄うのを止め、連邦政府や州政府が一括して税を徴収して公立学校に平等に分配することだろう。これによって地域の学力差は縮まるだろうが、それはすなわち、高所得者の子どもが通う学校の教育レベルが低下する=住宅価格が下落する、ということだ。いくら社会全体のためだと説得しても、このような改革(改悪)を強い政治的影響力を持つ富裕層・高所得者層が受け入れるはずはない。同様の理由で彼らは、貧困地区の子どもたちが学区を超えて入学することにも頑強に反対するだろう。

 左側通行を右側通行に変えられないのと同様に、特殊な制度やルールにもとづいていったん既得権層ができあがると、彼らが損失を被るような変更はほとんど不可能になる。こうした例は社会に溢れているが、アメリカの公教育の二極化もその典型なのだ。


 
ライシュの「リベラリストとしての敗北宣言」

 何年か前、ライシュはある発電所で働く従業員向けに講演を頼まれた。当時、この発電所では従業員たちが労働組合をつくるかどうかを検討しているところだったが、組合結成に反対票を投じようとしていた一人の若者が、自分はいまもらっている14ドルの時給が妥当で、それ以上もらえるような仕事はしていないといいだした。

「何百万ドルも稼いでいる人たちは、本当に素晴らしいと言いたいです。自分も学校に通って、お金を稼げる頭脳があれば、そのぐらい稼げたのではないかと思うけど、自分は学校にも行かなかったし、頭も良くないので、肉体労働をやってるんです」

 この場面はライシュがカリフォルニア大学で行った授業をもとに制作されたドキュメンタリー映画『みんなのための資本論』(ジェイコブ・コーンブルース監督/サンダンス映画祭審査員特別賞)にも収録されているが、「働く若者にこんなことをいわせる社会は間違っている」という怒りが伝わってくる。こうしてライシュは、「公教育を立て直すだけではダメだ」と考えるようになった。

 ライシュ自身ははっきりとは書いていないが、その理由は明快だ。国をあげて抜本的な公教育改革を行なえば貧困層からクリエイティブクラスの仕事に就く若者が増えるだろうし、もちろんこれは素晴らしいことだが、同時に「能力主義」の神話を強化することになるからだ。

 アメリカに蔓延する「能力主義」をライシュは、「人間の価値は労働市場の評価によって決まる」という価値観だという。10億ドルのボーナスを受け取る投資銀行のCEOはそれだけの価値があり、時給14ドルの若者にはそれだけの価値しかないのだ。

 このような価値観の社会で高所得者への課税を強化し教育にさらなる公費を投入できたとしても(これ自体がほとんど実現不可能だが)、すべての若者がクリエイティブクラスになれるわけはなく、現実には成功者はごく一部にちがいない。だとすれば、それでも落ちこぼれた多くの若者たちの自己評価はどうなるのか……。

 こうしてライシュは、「自助努力」「自己責任」と訣別して、アメリカ社会の制度を批判する。『最後の資本主義』の9割(あるいは95%)は、「アメリカはなぜこんな不道徳な社会になったのか」の詳細なデータに基づく告発だ。

 だがライシュは、富裕層やグローバル企業を「悪」、貧困層を「被害者」として単純に断罪するわけではない。そこにはアメリカの公教育と同じく、「こうなるほかはない」制度的な必然がある。

 アメリカ憲法修正一条は「市民が政府に対して請願する権利」を保障しており、これが政府や政治家に対するロビー活動の根拠になっている。さらに最高裁判所は2010年、右派市民団体「シティズン・ユナイテッド」が連邦選挙管理委員会に対して起こした裁判で、企業(法人)にも人格権を認め、憲法に定められた「言論の自由」が保障されているとの判決を下した。これによって政治広告に対する企業支出を制限した2002年の超党派選挙改革法(マケイン=ファインゴールド法)は憲法違反となり、企業の政治活動が無制限に解禁された。

 そうなれば企業は、自社のビジネスにすこしでも有利になるようさまざまなロビー活動を行なうようになるだろう。株主は企業収益の拡大を望んでいるのだから、そのような努力をしない経営者はさっさと解雇されてしまうにちがいない。

 だが話はこれだけでは終わらない。高徳の株主と経営者のいる企業があって、不道徳なロビー活動はいっさいしないと宣言したとしよう。これは美談かもしれないが、その企業のビジネスモデルや諸権利はたちまちライバル企業のロビー活動によってむしりとられ、事業を継続できなくなってしまうだろう。そうなれば株主が大損するばかりか、従業員も仕事を失って路頭に迷ってしまう。企業による「請願」が広く認められた制度のもとでは、道徳的であろうがなかろうが否応なくライバル企業と同等の、あるいはそれ以上のロビー活動をするしかないのだ。

 アメリカの高級住宅地に暮らす親たちは、子どもによりよい教育環境を与え、自分たちの不動産の価値を守ろうと努力している。そこになんら不正なところはないが、それが間接的に貧困地区の公教育を荒廃させている。

 同様に大企業も、株主の期待にこたえ従業員の生活を守るために、政治に関与してすこしでも有利な条件を引き出そうと努力している。そうしたロビー活動の一つひとつには不正なところがないとしても、それが積み重なると市場のルールは大きく歪められ、富める者がよりゆたかになり、貧しいものがより貧しくなる不道徳な社会ができあがるのだ。――これがライシュの「リベラリストとしての敗北宣言」だが、だったらどうすればいいのか?

アメリカにベーシックインカムが導入される日が来るのか

 じつは『最後の資本主義』のなかで、超格差社会アメリカをどのように立て直すのか、というライシュの提言はものすごくあっさりしている。要は、「このまま政治不信が強まればいずれ理性的な拮抗勢力が現われ、社会のあらゆる不正を改革するだろう」というだけなのだ。この「拮抗勢力」がどのようなもので、なにを政治的基盤とし、どこから登場するのかという具体的なことはいっさい書かれていない。これでは「いずれ印籠を掲げた水戸黄門が登場する」といっているのと同じで、まったくリアリティがない。

 強欲資本主義の改革案としては、株主だけでなく従業員や地域社会、環境への影響も含めたステークホルダー全体の利益を考慮する「ベネフィット・コーポレーション」が紹介されているが、その説明もあっさりしたもので、2014年までに27の州で設立を認める法律が制定され、「121の業種で1165社以上がベネフィット・コーポレーションとして認証を受けている」事実が記されているだけだ。

 ここにライシュのリベラリストとしての限界を指摘するのはたやすいが、じつはライシュ自身がそんな拮抗勢力(第三党)になんの期待もしていないのではないだろうか。

『最後の資本主義』でもっとも興味深いのは、「ロボットが取って代わるとき」と「市民の遺産」と題された巻末の短い章だ。

 ここでライシュは、テクノロジーの発達によって顧客数に対する従業員の割合がきわめて低くなっていることを指摘する。

 2012年に写真共有サイト、インスタグラムが約10億ドルでフェイスブックに売却されたとき、ユーザー数3000万人に対して従業員は13人だった。その数カ月前にフィルムメーカーのコダックが破産申請したが、コダックは最盛期に14万5000人の従業員を抱えていた。

 2014年はじめにフェイスブックがリアルタイムメッセージサービスのワッツアップを190億ドルで買収したが、ワッツアップは4億5000万人の顧客に対して従業員は55人しかいなかった。

 このように、デジタル化が進むと企業は多数の労働者を必要としなくなる。1964年、米国で企業価値上位4社の時価総額の平均は1800億ドル(2001年米ドル換算)で雇用者数は平均45万人だった。47年後の2011年には時価総額は1964年のトップ4社の約2倍になったが、そこで働く従業員は4分の1にも満たないのだ。

 ライシュは、いずれ大量生産と大量消費の時代は終わり「少数による無制限の生産と、それを買える人だけによる消費」になるという。だが当然のことながら、そのようなビジネスモデルは持続不可能だ。商品やサービスを買うことはもちろん、家族を養うことも、自分自身が生きていくことすらできない膨大な貧困層が社会に溢れているのだから。

 こうしてライシュは、富の二極化がこのまま拡大していけば、ベーシックインカムを導入するほかに社会問題を解決する方法はなくなるだろうと予想する。ライシュのいうベーシックインカムは、「受給者とその家族が最低限のまともな暮らしをするのにぎりぎりの金額」を、必要とするひと全員に無条件で支給することだ。

 テクノロジーが究極まで発達すれば、ほとんどの仕事はAIとロボットにやらせればいい。それを発明したごく少数のひとたちは莫大な富を手にすることになるだろうが、功利主義的に考えれば、彼らはそれを独占して社会を大混乱させるより、貧困層にベーシックインカムを支給して安定した社会を維持した方が好ましいことに気づくはずだ、というわけだ。こうして、「人々はそれぞれがあらゆる種類の芸術や趣味の追求に意義を見出すことができ、社会は芸術活動やボランティア活動による成果を享受できる」ようになるのだと、ライシュはいう。

『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』で四半世紀後の未来を的中させたように、自助努力と自己責任の国アメリカにベーシックインカムが導入される日がくるのだろうか。

 私は、その可能性は思いのほか高いのではないかと考えている。

 トランプは右派ポピュリズムで大統領の座を手にし、不法移民を追い出し自由貿易を否定する「ブードゥー経済学」でアメリカ経済を復活させようとしている。それが失敗したときは(間違いなくそうなるだろうが)、アメリカの怒れる有権者に残された選択肢は左派ポピュリズムしかないのだから。――もっともそれで、すべてのひとが「自己実現」できるユートピアが訪れるとは思えないが。

橘 玲(たちばな あきら)

作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(ダイヤモンド社)など。中国人の考え方、反日、歴史問題、不動産バブルなど「中国という大問題」に切り込んだ『橘玲の中国私論』が絶賛発売中。近刊『「言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)が30万部のベストセラーに。

●橘玲『世の中の仕組みと人生のデザイン』を毎週木曜日に配信中!(20日間無料体験中)

橘玲の書籍&メルマガのご紹介
世の中(世界)はどんな仕組みで動いているのだろう。そのなかで私たちは、どのように自分や家族の人生を設計(デザイン)していけばいいのだろうか。
経済、社会から国際問題、自己啓発まで、様々な視点から「いまをいかに生きるか」を考えていきます。質問も随時受け付けます。
「世の中の仕組みと人生のデザイン」 詳しくはこちら!
橘 玲の『世の中の仕組みと人生のデザイン』 『橘玲の中国私論』好評発売中!
1
2
トランプ大統領にも止められない、 アメリカの「雇用の喪失」と「富の二極化」の先にある未来 [橘玲の世界投資見聞録][2017.02.16]
現代のポピュリズムは「原理主義的なリベラル」。 トランプ大統領は「公約を守り巨悪と戦うヒーロー」を演じつづけるだろう [橘玲の世界投資見聞録][2017.02.02]
「しょぼくれたアメリカ」への怒りが、 より過激なトランプ新大統領を生み出した [橘玲の世界投資見聞録][2017.01.27]
メキシコ国境の先にある「世界でもっとも危険な街」と トランプ新大統領の主張の前にできていた「国境の壁」 [橘玲の世界投資見聞録][2017.01.19]
同じ南米の大国なのに、 アルゼンチンがブラジルとは全く印象が異なる理由 [橘玲の世界投資見聞録]

http://diamond.jp/articles/-/118272


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/275.html

[政治・選挙・NHK220] 小泉進次郎が農政改革の「骨抜き」批判に大反論 トランプ「米中友好は日本に利益」 原発で割れる民進「ふがいない」小泉元首相
2017年2月16日 週刊ダイヤモンド編集部
小泉進次郎が農政改革の「骨抜き」批判に大反論
週刊ダイヤモンド2017月2月18日号特集「儲かる農業」より
「農業を儲かる産業へ変える」と宣言して農政改革を主導してきた小泉進次郎・自民党農林部会長。だが、昨年11月に政府がまとめた「農林水産業骨太方針」では、守旧派の抵抗に遭い、改革が一歩後退したように見える。農政改革は「骨抜き」になってしまったのか。小泉農林部会長を直撃した。(週刊ダイヤモンド2017月2月18日号特集「儲かる農業」より)

農業人材の新陳代謝と
国際認証を同時に進める

──ちょうど1年前の本誌インタビュー(ダイジェスト版はこちら)では、自民党農林部会長として農政改革にどのように挑むのか、意気込みについて語っていただきました。その際に、小泉議員は、三つの公約【(1)補助金漬け農政とは決別する、(2)農協改革の手綱を緩めない、(3)生産者起点から消費者起点へ転換し、世界で稼ぐ体制を構築する】を掲げています。それぞれの改革の手応えはいかがですか。


Photo by Masato Kato
 そうですね。僕の実感では、農業者の意識が本当に変わってきたなと感じています。

 僕の地元、神奈川県三浦市の農家さんと話すとね。開口一番で、「おい、進ちゃん、肥料が安くなったぞ」って言ってくる。こんな声が聞かれたことはこれまでなかったよね。そして、彼はなんて言ったと思います? 「次は、段ボール(の値下げ)をよろしく」って言っていた。僕によろしくねと言うのではなくて、農業者の皆さんが農協に対して、「高いものは高い」とちゃんと言わなきゃ駄目ですよね。

 でも、農家さんの口から資材やコストの話が出るなんてね。こんな会話が自然にできるようになったことに、農政改革の手応えを強く感じています。

 改革のフェーズは、公約(1)の政治、公約(2)の農業団体まで進みましたが、最終的には、農家自身が改革を求めていく世界にならないといけません。そうした意味で、公約(3)生産者が世界で稼ぐ体制の構築はまだ道半ばです。


こいずみ・しんじろう/1981年生まれ。2004年3月関東学院大学経済学部卒業。06年米コロンビア大学大学院政治学部修士号取得。シンクタンク研究員、父・小泉純一郎氏の秘書を経て、衆議院議員。当選3回。15年10月より自民党農林部会長。 Photo by M.K.
 でも手段は考えていますよ。今後、経営の質の向上や世界で稼ぐ手段として、国際認証(グローバルGAP)の導入を積極的に進めていきたいと思っています。

 この3月にはオリンピック・パラリンピックの食の調達基準が決まりますが、日本では国際認証を取得している農家ってほとんどないんです。特に若い世代の農業人材の育成も兼ねて、農林高校ではグローバルGAP取得の義務化を進めていきたいですね。

──小泉議員は農政改革を政治主導で進めてきたことは確かですが、補助金からの脱却はできていないのではないでしょうか。米国離脱が必至の環太平洋経済連携協定(TPP)予算にせよ、コメ農家向けの補助金メニューにせよ、相変わらず補助金政治は続いている印象を受けますが。

 いろんなご指摘はあると思いますけど、予算の使い方はだいぶん変わったと思います。一時的に農家を救済するだけの一過性の「死に金」から、「生き金」になるお金の使い方をするようにしました。

 あえて俯瞰した立場で話をしますが、厚生労働省の予算は30兆円です。一方の農林水産省の予算は2兆円です。農水省15個分の予算が厚労省で使われているわけですよね。それを思うと、医療や社会保障にお金を使う国から、健康な食を取り戻して、食生活から真に健康になっていくことで社会保障費を抑制できるんじゃないかと思います。もちろん予算ありきの農政では駄目なんだけれど、着実に将来につながるタネは必要です。

 僕はこれまで、農業のイノベーションは軽視されてきたと思います。人工知能(AI)が搭載された自動収穫ロボットとかね。もっと投資していくべきだと思います。

 トヨタ自動車が、長野県でジビエの移動式解体処理車を販売しているんですが、せっかくトヨタがやってくれるんだったら王道のトラクターとかコンバインとかも造ってほしいですよね。トヨタだったら幾らの農機ができるんだろうか。そうなれば、農機の寡占4社体制に揺らぎを与えられます。

骨抜きなんて言わせない
守った「外部人材の登用」

──農協改革は全農自身が行う「自己改革」に委ねられることになりました。農政改革が後退し、「骨抜き」になってしまったのでしょうか。

 それは違いますね。じゃあ規制改革推進会議のタマ通りにやれば改革が成功したという評価になるのでしょうか?

 まず、全農がこうやって表舞台に引きずり出されることは、これまでなかったはず。最近、驚いたのですが、農協の人でも、農家の人でも、実は、全農がどういう存在なのかきちんと把握していない人が多いということです。

 全農の取扱高は5兆円。これはだいたい伊藤忠商事と同じくらい。職員数8000人は、三菱商事の6000人を上回る規模です。そして、手掛けている事業は、英国の食品卸SFGホールディングスを買収したり、欧州に和牛レストランを展開したり、米ミシシッピ川から飼料を持ってきたり。そして、農家の皆さんに農業資材を売ったり、農家の皆さんが生産した農作物を販売したりしています。

 これだけの多岐にわたる事業を展開しているのが全農という組織なのです。この超メガ企業のガバナンスって誰が統治できるんでしたっけ。そんな人材が内部にいるんでしたっけ。というのが、僕の根本的な問題意識です。

 一連の農協改革の中で、僕が一番問いたいのはそこなのです。現在の全農の役員は皆、地方の組合上がりの人ばかりです。現在の全農の機能不全を起こしている組織の在り方は、本当に農家の皆さんのためになるのかと。

 だから、11月の骨太方針では、「外部人材の登用」という言葉を盛り込みました。あのペーパーの最後6行分は、全農との攻防で落とせと言われたところです。僕は、絶対に落とさないと押し切りました。この攻防を経て残したところを評価されることなく、「骨抜き」と言われるならば、言わせておけばいいと思いますね。

──発表直後に、「負けて勝つかな」とおっしゃっていた真意は、どこにあるのですか。

 自分がここまで踏み込みたいというところまではできなかったけれど、改革が逆回転することはないよう、良い仕掛けはできましたよという意味です。

今国会では農水省だけで
8本もの法律を提出

──全農にボールを投げて、彼らが改革する形に落ち着きました。身を切る改革は期待できないのではないでしょうか。

 でもね、僕はこの骨太方針の形が一番、全農にとっては苦しむ改革になると思っているのですよ。

 全農は、自分たちで改革をやり切ると言ったんですから。議論の途中で、全農は、資材の共同購入のやり方が徹底されていなかったことを認めました。農産物の販売でも、買い取りの部分が不十分だったことを認めたのです。

 これらの欠点を踏まえて、それでも全農は自分で改革をやると言ったんです。あと2年ほどしかない「改革集中推進期間」でやり遂げると。

 一方で、規制改革推進会議の丸のみになっていたら、全農にとっては一番楽だったと思いますね。あまりに高いボールを投げられても、1年で改革できるはずもなく、「これだから現場を知らない政治主導は駄目だ」と改革は実質的に頓挫していたと思います。

 とにかく、農業者のための全農なんですか。それとも単なる資材メーカーなんですか。彼らにはそれが問われている。

──全農改革はこれまで何度も頓挫していますが、今度こそ、うまくいくという根拠はどこにあるのですか。

 今国会では農水省だけで8本もの法律を提出するんですよ。農水省でこんなに法案提出が多いのは10年ぶりのことです。11月の骨太方針が卵だとすると、これらの法律を今国会で成立させることが、卵をふ化させるということになります。これ以上、改革を担保するものはないと思いますよ。

農業は私のライフワーク
農業者の思いに応えたい

──小泉議員は自身の役割を、(政府と農林族の利害調整をする)“中間管理職”のようなものとおっしゃっていました。中間管理職はいずれ、農林部会長ではなくなってしまいます。奥原正明・農水省事務次官や奥野長衛・JA全中会長といった「改革派」もそう遠くない未来に任期を終えます。改革派が全員去り、守旧派がパワーを盛り返し、農政改革は後戻りするのではないでしょうか。米国の離脱により、TPPをてこに改革を進めようという機運も低下してしまいました。

 改革の逆戻りというのはあり得ないです。あり得ません。TPPが雲散霧消したら、何の手を打たずともこのまま安泰だなどと思っている人がいるとしたら、それこそ、最大の脅威です。

 変わる気のない人に変わりましょうと言っても、それは政治ができることのノリを超えています。僕は結果の平等はないと思っているから。

 やはり、先を見据えて、新しいことにチャレンジしたい。もっと自分の経営力を高めたい。これからも、そういう人たちを全力で後押ししていきたいです。これは、誰が農林部会長になっても変わらないことです。

 農林部会長になってから、全国の若い世代の農家さんとの出会いの場をたくさん持たせてもらいました。このままで大丈夫なんて思っている人なんて誰もいないです。

 米国でトランプ大統領が誕生して、企業も個人も身構えていますよね。トランプ大統領の言動に左右されるのは仕方のないことだけれど、日本独自でやれることもあるはず。

 その一つが農政改革です。農は国の本なりという言葉がありますが、今こそ、農政改革の歩みは、日本にとって必ずやプラスに働きます。土台を固める。国家の基礎をしっかり固める。その足腰になるのが農業です。残念ながら、日本の農業の構造問題を解決するのに残された時間は多くはありません。

 今や、農業は私のライフワークです。農林部会長という経験なく、政治家として歩む道があったとするならば、それは想像しただけでも恐ろしいですね。日本の農業を何とかしなきゃいかんという思いを強く持たせてくれたのは農業者との出会い。その皆さんに応えたい。そう強く思っています。
http://diamond.jp/articles/-/118090

 


トランプ大統領が言った「米中友好は日本に利益」は本当か

Photo:首相官邸HP
 安倍首相は2月10日、ホワイトハウスでトランプ米大統領と会談、日米同盟の強化で合意した。トランプ氏が選挙中に唱えた駐留米軍経費の100%日本負担や、日本の輸出品への高率関税などの話は出ず、会談後の共同記者会見でトランプ氏は「私たちの軍を受け入れてくれる日本の皆様に感謝したい」と述べ、共同声明では安保条約5条が尖閣諸島に適用されることを再確認したから、防衛省幹部は「満額回答に近い」と言う。

 だがこの会談前日の9日夜、トランプ大統領は中国の習近平国家主席と1時間の電話会談を行い「一つの中国」政策を尊重することを表明、共同記者会見では「中国国家主席と素晴らしい会話をした。私たちは仲良くなろうとしている。日本にとってもそれはとても利益になるでしょう」と述べた。

 事前に日米の事務方が用意した共同声明では、中国の南シナ海などでの行動を非難して同盟の強化を謳ったが、トランプ大統領は習主席と“Cordial”(誠意に満ちた)な会話でさまざまな問題を話し合い、米中は「仲良くなる」と言うのだから、風向きがほとんど逆になってしまった。

日中双方に良い顔をしたい
米国の思惑

 これと似た状況は2015年4月27日の「日米防衛協力のための指針」(ガイドラインズ)改定の際にも起きた(第51回「日本のために中国と対決したくはない 新ガイドラインに垣間見える米国の本音」参照)。日本側は尖閣問題や、中国の海洋進出に対抗するためガイドラインズの改定を求め、新たな指針が中国に対する抑止力強化、少なくとも牽制になる、としていた。だが新指針に日米が合意、公表される前に米国は中国に対しその内容を伝え、中国に敵対するものではないことを説明していた。

 これは新指針公表の2日後の4月29日、中国外務省の記者会見で新華社の記者がガイドラインズ改定について、「米国は公表前に内容を中国に通知していたとの話があるが事実か」と質問し、洪磊(コウライ)報道官がそれを認め「中国は釣魚島などの問題に対する厳正な立場を再度伝えた」と答えたことで明らかとなった。

 当時中国では、新指針で日米が中国に対して結束し、脅威となるような報道もあったから、中国外務省としては「米国との関係は悪化していない」と言いたかったのだろう。だが米国側が好意的に事前に「ご説明」に来たのを、外務省が発表しては非礼だから、親しい記者に質問をしてもらい、答えるかたちにしたのだろう。米国が中国に対して事前に説明するようでは「牽制」どころではない。

 米国は日中双方に良い顔をしたいから、2013年10月の東京での外交・防衛閣僚の協議「2+2」で指針改定には応じたものの、その協議後の共同発表では日本側が準備した草稿に多くあった「中国」「東シナ海」の語を米国側がほぼ全て削除し、唯一残ったのは中国に建設的役割を求める、との趣旨の箇所だけだった。

 今回、トランプ大統領が2月8日に習主席あての親書をワシントンの中国大使館に届けさせ、安倍首相訪米前日の9日夜に電話会談をしたのも、日本との共同声明が中国側を硬化させるのを案じ、その前に中国との関係修復をしておく必要があったためだろう。

 トランプ氏は当選6日後の昨年11月14日、習主席と電話会談し「偉大で重要な国」中国との関係強化を語った。だが12月2日に台湾の蔡英文総統からの電話を受けて10分程話し、それが米国内で「従来の対中関係の原則に反する」と批判されると「なぜ中国は一つ、の原則に縛られなければならんのか」と反論したため、中国は抗議した。

 ちょうどこの12月2日、かつて1972年にニクソン訪中、米中和解を実現し、トランプ氏が尊敬するキッシンジャー元国務長官(93歳)が特使のようなかたちで北京を訪れ、これまで7回も会い親交のある習主席と会談、米中の協力関係拡大を話していた。だからトランプ氏と蔡総統の電話問題につき中国は一応抗議はしたものの、ほぼ静観し、世界に拡がったトランプ批判に加わらなかった。

 政権移行の間、米国駐在の崔天凱中国大使はじめ在米の中国人実業家、チャイナロビーなどがトランプ氏取り込みに活発に行動した模様だ。12月7日にトランプ氏が習主席の30年余の友人であるアイオワ州のブランスタッド知事を中国大使に起用したことにもそれが表れていた。トランプ氏自身が中国金融機関との関係が深く、世界最大の銀行である准国営の中国工商銀行の米国本部はニューヨークのトランプタワー20階にあるほどだから、中国の米国への働きかけは強力だ。

米国と中国が友好的なら
日本の経済発展に寄与する

 トランプ氏の長女で、経営手腕があり、同氏の第一の相談相手と言われるイヴァンカ女史は今年2月1日、中国大使館の春節(中国の正月)の宴会に出席、5歳の娘アラベラちゃんが中国語で新年を祝う歌を披露した。イヴァンカ女史は中国との関係が米国経済に将来ますます重要、として、娘には1歳8ヵ月から中国語を習わせている由だ。

 中国は米国債約1兆2000億ドルを保有し、米国財政を支える点で日本と並ぶだけでなく、3兆ドル近い外貨準備の大半をウォール街で運用し、米国の金融・証券界の第一の海外顧客でもある。中国の中産階級は爆発的に増大し、自動車販売は昨年2803万台(日本の5.6倍)に達し、米国系の車が296万台も売れ、米国車のほぼ唯一の海外市場だ。米国製旅客機を中国は毎年150機も輸入し、米国の軍産複合体の中核、航空機産業の最大海外顧客でもある。

 こうした状況を考えれば、米国の経済的利益を第一とするトランプ政権が中国と敵対することは考えにくく、キッシンジャー氏やイヴァンカ女史の動きに注目すれば、米中が和解、協力に向かう公算が大きいことは予測可能だった。

 トランプ大統領が共同記者会見で、米国が中国と仲良くなろうとしていることは「日本にとってもとても利益になるでしょう」と言ったのは正しい。もし米中が敵対関係になり、両国の経済関係が断絶、双方の経済が麻痺すれば、日本の2015年の輸出の23.1%は中国向け(香港の5.6%を含む)、20.1%が米国向けだから、日本の経済に致命的打撃だ。仮に中国との貿易だけが停止しても一大事だ。

 一方米国と中国が友好的なら、日本は気兼ねなしに双方との経済関係を発展させられる。安倍首相が本来唱え、いまも時折口にする中国との「戦略的互恵関係」と「日米友好」が両立する。

 日本政府や保守派の中には「日米同盟堅持」のためには、米中が対立し、かつてのソ連にかわり中国が日米共通の仮想敵となることを期待し、その願望に合致する情報ばかり重視する向きも少なくない。それは日本の安全保障と経済両面の国益に反し、今回の「トランプ・習電話会談」のような予想外の事態に当惑する結果になる。

 日本に駐留米軍経費の一層の負担を求める発言については、2月3日に来日し安倍首相らと会談した国防長官マティス大将が、共同記者会見で「日本の経費分担は他国の模範」と述べたほどだから、トランプ大統領も会談では持ち出さなかった。米国防総省内では20年以上も前から“ジャパン・モデル”という語が使われ、それをNATO諸国に受け入れさせることの難しさが論じられ、日本の気前良さは知られていた。さすがのトランプ大統領もその説明を受けて要求を引っ込めたようだ。

尖閣は安保の適用範囲だが
それと米軍の武力行使は別

 尖閣諸島は安保条約第5条の適用範囲、と共同声明で認めたのは新たな成果ではない。2010年9月の中国漁船と日本の巡視艇の衝突事件後にも当時のクリントン国務長官がそれを明言し、オバマ前大統領も述べていた。尖閣諸島は1972年の沖縄返還協定でも沖縄の一部とされ、それに属する赤尾礁、黄尾礁はいまもその名で地位協定による米軍への提供施設(射爆撃訓練の標的)となっているから、安保条約の適用対象であることは明白で、米国側はそれを認めざるをえない。

 だが安保条約の適用範囲であることと、米軍が参戦するか否か、は全く同一ではない。安保条約第5条は各締約国(日米)は「自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動する」としている。米国の憲法では連邦議会が宣戦を行い、戦争を開始する権限を持っている。ただ奇襲に対処する場合には、大統領は議会の宣戦を待たずに防衛的な軍事力行使ができる、と解釈されている。

 実際には宣戦布告も、議会との事前協議もなしに大統領が武力行使を命じた例も多いが、相互防衛条約があっても戦争をしたくなければ憲法に従った正規の手続きに従って、議会に宣戦布告を求め、上下両院で過半数の賛成がなければ参戦しなくても条約に反しない。

 米国が日本の無人島(オバマ前大統領は「岩」と呼んだこともある)を巡って米中戦争を始め、巨大な経済権益を失い、甚大な人的被害と戦費の支出を生じることを覚悟することは考えにくい。平時の演習と異なり、実際の戦争は局地の数日の戦闘で終わることは稀だ。どこかで戦端が開かれれば国と国が全力を挙げて戦うことを考えねばならない。真珠湾攻撃が「ハワイ戦争」で終わらなかったのは当然だ。米国議会も尖閣問題で中国に宣戦布告するほど非常識ではあるまい。

 現実にはもし日中の武力衝突が起きれば、米国は仲裁に乗り出し、双方の兵力(艦艇や巡視船など)の引き離し(周辺海域への立入禁止)と現状の維持で戦闘の拡大を防ぐ公算が大だろう。停戦になっても日中の敵愾心は残るから軍備競争が激化しそうだ。日本が軍備強化に巨費を投じても、GDPが日本の3倍近い相手側も対抗して軍事力を拡大するから安全性は一向に高まらず、敵対感情が高まり、双方の破壊力が高まるから危険はかえって大きくなる。

 また、2015年に改定された「ガイドラインズ」の英文では自衛隊が防空、ミサイル防衛、日本周辺での船舶の保護、着上陸作戦の阻止、撃退などで“Primary Responsibility”(一義的責任)を持つと定めているが、邦訳では「自衛隊が主体的に実施する」とごまかしている。自国の防衛に自衛隊が一義的責任を負うのは当然で、こんな言わずもがなの語句が繰り返し7ヵ所もガイドラインズに入っているのは、もし米軍がなにもしなくても責任を問われないためだろう。「製造者責任」の訴訟に備えて、やたらに注意書を入れる米国製品の取扱い説明書に似ている。

 ガイドラインズでは特に島嶼の奪回について「もし必要が生じれば、自衛隊は島の奪回作戦を行う」と明記され、米軍は尖閣諸島の奪回に直接参加しないことになっている。

安倍首相は入国禁止例に関して
言及を避けるしかなかった

 安倍首相は共同記者会見でトランプ大統領の入国禁止令についての米国記者の質問に対し「それぞれの国が行っている入国管理、難民政策、移民政策につきましては、その国の内政問題でありますのでコメントは差し控えたいと思います」と答えた。

 米国内でも、世界の多くの国々でもこの大統領令には非難が高まり、米国の連邦控訴裁判所もその命令の執行停止を認め、最高裁に上告しても政府に勝ち目は乏しいから、上告をあきらめた状態だ。

 その中で安倍首相がこの問題を避け、フロリダ州パームビーチの別荘に招かれてゴルフを楽しみ、5回も食事を共にする異例の厚遇を受けて蜜月関係を演じたため、反トランプ意識が高まる米国のメディアからは「こんなにオベッカを使う首脳は見たことがない」とも評された。

 だが日本は昨年1万901人の難民申請に対し、28人を認定し、他に「人道的配慮」で97人に在留を許しただけだ。専門の知識、技術を持つ外国人のほか、研修などの名目で出稼ぎ労働者の入国を許しているが、入国時から日本に永住する目的の「移民」はほとんど認めていない。他国の難民に対する政策を批判し「貴国はどうしておられるか」と聞かれるとヤブ蛇だから「内政問題」と避けるしかなかったろう。

(軍事ジャーナリスト 田岡俊次)
http://diamond.jp/articles/-/118083

 


原発ゼロで割れる民進「ふがいない」小泉元首相  原発ゼロ前倒し、民進紛糾 問われる蓮舫代表の指導力
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/533.html

小泉氏はまた、原発が争点となった新潟知事選を引き合いに「野党が候補者を一本化して原発ゼロを争点にすれば自民党が負ける」と重ねて主張した。

http://www.asyura2.com/17/senkyo220/msg/776.html

[経世済民119] マーケティング・オートメーションがネット時代の顧客開拓を変革する ストレスと上手に付き合い 「燃え尽き」を防ぐ5つの方法
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

マーケティング・オートメーションがネット時代の顧客開拓を変革する
SATORI
2017年2月10日
インターネット上の情報が充実し、製品・サービスを簡単に調べられるようになった。候補を絞り込むまで営業担当に会う必要がなくなった顧客の開拓は難しさを増している。いま必要なのは、ネットで事前に情報収集している段階の顧客へのアプローチだ。SATORIのマーケティング・オートメーション(MA)ツールは、そのためのテクノロジーと仕組みを提供。設立1年で100社以上が導入している。

購買プロセスの最初の相手は
人からネットに変わった


SATORI代表取締役 植山浩介氏
「最近、私が体験した家を買うプロセスを考えてみましょう」。マーケティング・オートメーション・サービスを提供するSATORIの代表取締役、植山浩介氏は語り始めた。

「広い運動場がある小学校に子どもを通わせたい」と考えた植山氏は、都心から少し離れた場所へ引っ越すことを検討、評判のよい学校、住環境がある地域をネットで調べ始める。

最初の調査段階で、A市がよさそうだと結論づけた植山氏は、次に、売り手のウェブサイトで不動産情報を収集する。まだこの段階では、植山氏は匿名のまま調査している。連絡先などを不動産業者に初めて明かすのは、その次の段階。

いくつか気になる物件を見つけ、業者に資料請求する際だ。こうして収集した10件の物件情報の比較表をつくった植山氏は、さらに3件ほどの候補に絞り、業者を直接訪問した(図表1)。

この話のポイントは、購入プロセスの大半は、営業担当に直接会う前に終わってしまっているということだ。以前なら、不動産に詳しい人だった最初の相談相手は、いまやネットになった。これは不動産販売に限ったことではない。

BtoBビジネスでも、非対面のネット調査段階で、比較表の候補に残ることができなければ、コンペに参加すらできない。「だからこそ、早い段階で手を打つことが重要」と植山氏は強調する。

見込み客の関心度を察知し
最適アプローチにつなげる

顧客が、資料請求やコンペをする前に行う、ネット上での情報収集の動きを分析して、最適なアプローチのタイミングをつかむことがマーケティング・オートメーション(MA)の目的だ。テクノロジーの進展で、必要なデータの取得が容易になり、導き出されるタイミングの信頼性も高まっている。

自社のウェブサイトを訪れた顧客が、どの情報をチェックしていたかがわかる「行動履歴」のデータを収集、分析すれば、顧客の購買意欲の程度を把握することも可能になっている。BtoBの場合、競合他社との比較に関する情報をチェックし始めた顧客は、コンペに向けた比較表づくりを始めているとみられ、近々購買に至る可能性が高い。また、自社サイトの行動履歴だけでなく、競合他社の情報が掲載された外部サイトの履歴も入手すれば、さらに分析の精度は上がる。

営業担当がアプローチすべき最適なタイミングがわかれば、営業活動自体も大幅に効率化される。SATORIの場合、見込み客(リード)を、まだ買いそうにない「そのうち客」と、購買に向けた動きを見せている「いますぐ客」に分類。

「そのうち客」はマーケティング担当に任せ、営業担当は「いますぐ客」に絞ってアプローチすることで、商談化率80%、成約率30%という驚異的な営業効率を誇る。植山氏は「MAは営業効率化という次元に留まらず、営業のやり方そのものを変革するインパクトを企業にもたらすはずです」と、同社が自ら実践し、ノウハウを蓄積してきた、MAによるマーケティングと新たな営業手法に自信を示す。

MAベンダーは世界に200社、国内に20社あり、MAに対する注目度に比例して市場は着実に拡大している。背景には、クラウドサービスとしてMAを提供することで、大企業以外の小さな組織でも利用できる低価格を実現したことも大きい。植山氏は「当社のSATORIは、中小企業や一事業グループといった小さな単位でもご利用いただいています」と話す。

従来MAの1000倍以上に
アプローチ可能な
SATORI式MA

一般的なMAは「そのうち客」と「いますぐ客」を分類して、営業活動を最適化するが、これまでのMAとまったく異なるアプローチを採用するSATORIでは、それ以外に、連絡先がわかる「実名客」と、だれだかわからないが自社のウェブサイトを訪問している「匿名客」(アンノウン・リード)という独自の分類を行うことが大きな特徴になっている。

SATORIの見込み客は、営業活動の対象となる「いますぐ&実名」と「そのうち&実名」「いますぐ&匿名」「そのうち&匿名」という四つのステージに分けられる(図表2)。従来のMAがカバーしていなかった「そのうち&匿名」を含めることで、「いますぐ&実名」のみに比べて1000倍以上の見込み顧客数を管理することが可能で、「匿名客」を「実名」や「いますぐ」に育てる方策を講じることができる。

具体的には、「いますぐ&匿名」客には、ネット上で「資料請求」や「無料トライアル」を促し、連絡先を登録してもらうことで実名客になってもらう。一方、「そのうち&匿名」客は、購買意欲が高くないのに、いきなり連絡先を求められると不快感を抱くおそれがあるので、サービスを訴求しないマーケティング・ハンドブックなどを提供。無料ダウンロードの代わりに連絡先を登録してもらうといった手法で、実名客になってもらう。

同時に、さまざまな記事を見せて、SATORIへのエンゲージメントを高めることで「いますぐ」化も図る仕掛けだ。SATORIの詳細や活用事例については、東京・大阪で毎週開催しているセミナーでも紹介している。

SATORIを知り「そのうち&匿名」客となった、この記事の読者には、「段階的に実名化、いますぐ化を促されるマーケティングを、顧客側からぜひ体験していただければ」と、植山氏は呼びかけた。

DIAMOND,Inc. All Rights Reserved.
http://www.dhbr.net/articles/-/4673

 
ストレスと上手に付き合い
「燃え尽き」を防ぐ5つの方法
キャンディ・ウィーンズ,アニー・マッキー:エグゼクティブコーチ、組織変革コンサルタント
2017年2月14日
大病院の医療責任者らに訊く、ストレス管理法。本記事が示す5つの習慣はどれも、心の知能(EQ)に直結している。


ストレスと燃え尽き(バーンアウト)は同じではない。たしかに、ストレスが燃え尽きにつながることはよくある。とはいえ、長時間労働、強いプレッシャー、仕事上のピンチなどに対し、燃え尽きの症状から自身を守りながら対処することは可能だ。燃え尽きの症状とは、(1)感情の消耗、(2)他者への虚無的・非人間的な対応、(3)個人的達成感の欠如、である(心理学者クリスティーナ・マスラークの定義による)。

カギは、心の知能(EQ)の活用にある。

これは筆者らの1人(ウィーンズ)が、35の大病院で働く35人の最高医療責任者を対象とした最近の調査で明らかにしたことだ(英語論文)。我々は、彼らのストレスのレベルを検証したうえで、燃え尽きへの何らかの対策をしているか、答えがイエスならばそれは何かを調べた。

その結果には驚かされた。医療責任者の大多数(69%)は、現在のストレスレベルは「高い」「非常に高い」または「最悪」と答えた。にもかかわらず、過半数は「マスラーク・バーンアウト尺度(MBI)」で燃え尽きの状態を示さなかったのだ。医療責任者たちへのインタビューのなかで、ストレスをコントロールする共通の要因が見つかった。それがEQである。

筆者らのもう1人(マッキー)が以前にも書いたとおり、EQは慢性的なストレスに対処し燃え尽きを防ぐうえで有効であることが、研究で示されている(本誌論文「EQの高いリーダーが生み出す組織活力」)。

たとえば、EQの一要素である「感情の自己認識」によって、フラストレーションや不安の原因を理解でき、他の反応による対処を考えやすくなる。また「自己コントロール」によって、ストレスに直面しても平静を保ち、衝動を抑制し、適切に行動できる。「対立管理」のスキルがあれば、不安や感情を問題解決モードに転換できるため、一晩中眠れないほど悩むこともない。

「共感」もストレスとの闘いに役立つ。他者を積極的に理解しようとすれば、おのずと相手に配慮できるようになるものだ。「思いやり」は他のポジティブな感情と同様に、ストレスの生理学的影響に対抗できる。そして他者の視点、態度、信念に寄り沿う「同調」は、信頼の獲得と他者への影響力につながる。これは多くの場合、きわめて実際的な意味を持つ。ストレスが燃え尽きに至ってしまう前に、周囲から必要な助けを得られるということだ。

●ストレスと上手に付き合い、燃え尽きを防ぐ方法

人はストレスを抱えると、さまざまな破壊的行動に走る。過食、薬物やアルコールの濫用、力を抜かずに頑張りすぎてしまう、などだ。

医療責任者たちへの調査からわかったのは、ストレスに対処し燃え尽きを防ぐためにEQを活用できるということである。次のような対策を試してみるといいだろう。

1.自分でわざわざストレスを増やさない

あまりにも多くの人が、身体的な反応を伴うほどのストレスを、みずから生み出している。憂鬱になりそうな未来の出来事や出会いを、ただ想像しただけでそうなるのだ。何かをどうしても達成しなければならない人や、完璧主義者ほど、自分でストレスを増やす傾向がある。我々が調査から学んだのは、自分で生み出すプレッシャーについて理解しているリーダーほど、ストレスのレベルをうまくコントロールできるということだ。

ある医療責任者はこう語った。「私のストレスの多くは、長年自分に対して厳しすぎたせいで、みずから招いているものだと気づきました。それが引き起こす問題を悟ったいまでは、自分にプレッシャーをかけ続けないよう自重できています」

2.自分の限界を知る

自分の強みと弱みをしっかり把握していれば、どこで助けを求めるべきかを判断しやすい。我々が調査した医療責任者たちは、臨床医からリーダーの立場への移行が大きなストレスの原因だったと述べている。仕事上の要求が自分の能力を超えていると判断できた人は、1人で難題に立ち向かったりしない。周囲に信頼できるアドバイザーを何人も置いて、助力を求めている。

3.緊張と不安が急激に高まっていると感じたら、深呼吸する

マインドフルネス(目の前の瞬間に意識を集中させることで、惰性から脱却し能動的に気づきを得るプロセス)の実践は、眼前のストレス要因や長期的な困難に対処するうえで有益である。調査対象のうち数人は、ストレス要因に直面したとき、マインドフルネスの手法を使って心拍数と緊張レベルを下げていると述べた。あるリーダーは、マインドフルネスによって「他の解決策に対してオープンになり、頑固さで時間を無駄にすることがなくなる」という。

呼吸に意識を集中するのは、最初は難しいかもしれないが、この注意力は自己コントロールの最たるものであることを覚えておこう。

4.状況の見方を考え直してみる

自分はある状況を、何か大切なものへの脅威だと見ているのか、それとも解決すべき問題だと見ているのか。いま体験しているのが有害なディストレス(distress)なのか、それとも有益なユーストレス(eustress)なのかを見つめ直すことは、ストレスレベルを下げるうえで驚くべき効果をもたらしうる。ある医療責任者は意識の変化をこう説明した。「かつてはただストレスと感じていたものが、いまでは有益なストレスになっています。前向きに解決すべき問題だと捉えるようになったのです」

5.他者の立場になって考えることで、対立を緩和する

他者との対立によるストレスは燃え尽きにつながることが多く、可能であれば対立を和らげるのが得策だ。相手に対する探究心を持ち、質問をし、よく話を聞こう。相手にしっかりと注意を向けて、こちらに伝えようとしているメッセージに集中しよう。相手の立場を理解しようと努めれば、その人から信頼され、こちらから影響を与えやすくなる。

我々がインタビューした1人は、常にこの手法を使っていた。共感を持って話を聞くスキルを磨くことで、同僚との協力関係を強め、支持を得ることができているという。

最近、ある医師が彼のオフィスに飛び込んで来て「すぐにこうしてください、さもないと赤ちゃんたちが死んでしまいます」と言った。ここで防御的な反応を示せば、事態を悪化させる可能性もある。だが彼はしっかりと自分を保ち、医師の立場を理解することに集中した。その対応が対立を緩和し、ストレスの少ない健全な会話に結実した。

心の知能を高め活用することで、自分および他者の燃え尽きを防ぐことができる。ただし、EQを高めるには時間と努力がいることも覚えておこう。自分に対して忍耐強く、寛大で優しくあらねばならない。EQを伸ばすことが新たなストレス要因になるのだけは、誰しも望まないはずだ。


HBR.ORG原文:Why Some People Get Burned Out and Others Don’t November 23, 2016

■こちらの記事もおすすめします
成功に必要なのは、自尊心よりも、自分を慈しむ心
EQが高い人材を採用するためにすべきこと、やってはいけないこと


キャンディ・ウィーンズ(Kandi Wiens)
エグゼクティブコーチ、組織変革コンサルタント。主な研究分野は変革に対する個人と組織の柔軟性向上、心の知能、燃え尽き症候群。


アニー・マッキー(Annie McKee)
ペンシルバニア大学のシニアフェロー。ペンシルバニア大学教育大学院でチーフ・ラーニング・オフィサー養成プログラムのディレクターも務める。テレオス・リーダーシップ・インスティテュートの創設者。共著にPrimal Leadership(邦訳『EQリーダーシップ』)、Resonant Leadership(邦訳『実践EQ 人と組織を活かす鉄則』)などがある。
http://www.dhbr.net/articles/-/4686

 

自己否定の「内なる声」には
4つのステップで打ち勝つ
サビーナ・ナワズ:CEOおよびエグゼクティブへのコーチ、リーダーシップに関する基調講演者、ライター
2017年2月16日
自分を責める「内なる声」が頭から消えない。そんな人たちに贈る、ポジティブ思考への転換法。カギは、「5対1」という比率にあるという。


ほとんどの人が頻繁にやってしまう、自分を消耗させる振る舞いがある。それは、「頭の中の批判的な声」に耳を傾けることだ。

その元々の原因は、外部からの批判か、あるいは自身が抱く恐れや疑いかもしれない。ともあれこの批判的な声は、「自分は力が足りない」「思いやりが足りない」「生産性が足りない」等々と語りかけてくる。研究によれば、マイナス思考を繰り返しているとうつ状態になる確率が増し、周りから孤立し、目標の追求が妨げられる。

某ハイテク企業で10億ドル規模の事業を担当する上級バイスプレジデントのラジーブも、この思考に陥った。彼はスピード昇進し、輝かしい業績をいくつも収めてきた。彼が編成した複数のチームも、協力してうまく機能していた。

だが組織の上に昇るにつれて、彼に対するフィードバックは減っていく。自分の仕事ぶりをさらに改善するには何ができるかについて、とにかく情報が欲しい。そこで彼は、私をコーチとして雇った。自分が周囲にどう認識されているかをもっと理解するために、15人の同僚たちにインタビューするよう私に依頼してきたのだ。

インタビューの結果は、このうえなく肯定的だった。同僚たちはラジーブの頭のよさとビジネス手腕を敬愛し、将来を見据えて断固たる行動を取れる能力を称賛していた。

ところがラジーブは、この肯定的な意見に目を向けない。代わりに、報告書で言及されていたごく些細な批判を重く受けとめた。目標に集中するあまり、その過程で人間関係をおろそかにすることがある。それによって同僚たちは、自分が無視されていると感じたり、焦ったりする場合がある、という指摘だ。

ラジーブはこれを受け、ひどく落ち込んでしまった。

このようなフィードバックは彼にとって初めてではなく、しかも妥当なものであった。だが、彼を失望に陥れるきっかけになったのは、指摘内容に関する実際の認識ではない。一部同僚のコメントのトーンや言い回しに囚われてしまい、頭の中で彼らの声を聞いたのだ。その声が原因で、彼はオフィスにこもるようになり、仕事のペースと生産性が鈍化し、ひいては重要なビジネス上の決断を避けるようになったのである。

ラジーブには立ち直るための戦略が必要だった。いくつかの研究によれば、私たちは精神の安定、幸福感、生産性を実感するためには、頭の中の否定的な声1つに対して、肯定的な声5つが必要だという(英語記事)。ラジーブの場合は幸運にも、さらに5つの声を探し出す必要はなかった。報告書はすでに肯定的な声で溢れていたからだ。それらを利用するだけでよかった。

我々は計画を立て、彼は4つのステップに従った。マイナス思考から抜け出して生産的になる方法を、以下に紹介しよう。

1.自分のよい面を探す

改善の見込みが最も高い策は、自分の弱みを克服することだと思われがちだが、強みを活かすことも重要だ。ギャラップによれば、強みを日々発揮する人は仕事への意欲が6倍高く、強みを重視したチームは生産性が12.5%高いという。

自分が何を誤ったのかだけを尋ねるのではなく、肯定的なフィードバックも求めよう。「私のプレゼンの、どんなところが気に入りましたか」「このプレゼン資料の中で、あなたの役に立ったのはどの箇所でしたか」などと尋ねるとよい。

2.肯定的な意見に耳を傾け、受け入れる

私のクライアントの多くは、肯定的なフィードバックも求めるが、いざメモを取り始めるのは批判的な部分に入ってからだ。よい点も書き留めれば、今後も反復すべき部分がわかる。そしてフィードバック提供者に対し、よい点への言及も要改善点と同等に重要だという合図を送ることにもなる。

3.肯定的な面を掘り下げ、理解する

あえて称賛に身を委ねて、その意味を深く考える。最近受けた賛辞について考えてみよう。そのとき、あなたはどう応じただろう?「運がよかっただけだよ」などと、何か他の要因のせいにしただろうか。「たくさん助けていただいたからです」と卑下して、よい面を最小化してはいないだろうか。せいぜいのところ、「ありがとうございます」で済ませたことだろう。

対照的に、批判的なコメントを受けた場合は、どう応じるだろうか。質問をして、具体例を求めさえするはずだ。称賛を受けたときも、自分の優れた部分に関する具体例を収集する機会にすべきである。たとえばこんな具合だ。「私のワークショップがお役に立ててよかったです。特に有益だったのは、どこでしたか。学びに役立ったのはどの部分でしょうか」

4.肯定的な意見を信じ、それが事実であるかのように行動する

上記3つのステップを何とか実践できたとしても、自分に関する他者の意見を信じるのがどうしても難しい場合もあるかもしれない。もしかすると、フィードバックをくれた相手の魂胆を怪しんでいるのかもしれない。しかしそうせずに、相手の意見が実際に真実である可能性を信じるべきである。

私が「ジャリルの声」と称しているものを自分の中に培えば、人を信じることが容易になる。ジャリルは私の人生で初めて、励ましの言葉で私を助け、命まで救ってくれた人物だ(英語動画。9歳の頃に自殺を考えた筆者を、励ましの言葉で救った)。心からあなたのためを思ってくれる人、必ず本音を語ってくれる人を見つけよう。その人たちの声を何度も繰り返して聞けば、よい面にもっと目が向くようになり、その声を内在化できるのだ。

***

こうしてラジーブは、頭の中に肯定的な声を取り込む方法を習得した。すると仕事がより生産的になったばかりでなく、他者に向ける彼自身の言葉のトーンをいっそう意識するようになった。頭の中の批判的な声が治まったとき、自分が何をどう言えば同僚たちにとって肯定的な声になるのかを自覚したのだ。これが功を奏して、一部の同僚は自身の悲観的思考から解放されて生産性を高め、好循環が生まれた。

5対1の割合を目指すことを、毎日の習慣にしてみよう。頭の中で響かせる肯定的な声と批判的な声の数を、毎日正確に数え続けることは無理かもしれない。だが、ひとたび肯定的なコメントを蓄積し始めれば、自身の活力とアウトプットに違いが生じることに気づくはずだ。タンクがいっぱいになれば、もっと容易に善意を次の人に伝え継ぎ、自分が他者にとっての肯定的な声になれるのである。


HBR.ORG原文:Silence the Critical Voices in Your Head December 05, 2016

■こちらの記事もおすすめします
「孤独の時代」を生き抜くために、職場での絆を深める6つの方法
勝ち続けるための戦略は「心の余裕」から生まれるプロゲーマー・梅原大吾
成功に必要なのは、自尊心よりも、自分を慈しむ心


サビーナ・ナワズ(Sabina Nawaz)
CEOおよびエグゼクティブへのコーチ、リーダーシップに関する基調講演者、ライター。26ヵ国以上で活躍し、フォーチュン500企業、政府機関、非営利団体、学術機関の最高幹部にアドバイスを提供している。HBR.orgに加えて、FastCompany.com、Inc.com、Forbes.comにも寄稿している。
http://www.dhbr.net/articles/-/4699
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/277.html

[経世済民119] 若返る日本人、「高齢者」は75歳以上−栄養・衛生改善で学会が提案
若返る日本人、「高齢者」は75歳以上−栄養・衛生改善で学会が提案
Yoshiaki Nohara
2017年2月17日 06:00 JST


Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
関連ニュース
日本株続落、円強含みで業績楽観論が後退−輸出や金融、不動産安い
米ブラックロックは金を支持、市場が理解していないリスクのヘッジで
反ユーロ掲げるポピュリズム台頭、ソブリン債めぐる懸念かきたてる
中国に改革促す気付け薬はトランプ米大統領−北京高華証券の宋氏

• 元気で働きたい人は社会を支える側に、明るい超高齢化社会実現へ
• 個人の健康にも国の財政にもプラス−若い世代の負担も軽減

「高齢者」とは何歳か。
  現代日本では「75歳以上」が妥当ー。こんな提言が学会から上がっている。現在出版されている国語辞典の多くは高齢者を「65歳以上」と定義。公的年金も現在は65歳を標準的な受給開始年齢とする制度に移行している。
  提言したのは日本老年学会と日本老年医学会。今年1月、65−74歳を「准高齢者」、75−89歳を「高齢者」、90歳以上を「超高齢者」とする新たな定義区分を公表した。既成概念を変えることで、「従来の定義による高齢者を、社会の支え手でありモチベーションを持った存在」として捉え直し、超高齢化社会を「明るく活力あるものにする」と意義付けている。
  縮小を続ける生産年齢人口は、この提言に基づいて再定義すると大幅に増える。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iFSYBepUn.vA/v2/1200x-1.png

  提言のワーキンググループで座長を務めた大内尉義氏(虎の門病院院長)は、今の高齢者は数十年前に比べて若返っていると言う。考えられる要因として、戦後の経済成長で栄養状態が良くなったことや、医療の進歩や衛生環境の改善などを挙げた。65歳で高齢者とレッテルを貼り活力を利用しないのは損失だと主張。自身も68歳で、高齢者だとは「全然思ってません」と笑う。
  日本人の平均寿命は健康寿命とともに延びている。内閣府が14年に60歳以上を対象に実施した調査では、回答した約4000人のうち51.3%が自身を高齢者だとは考えず、高齢者は70歳以上と考えている人が大半を占めた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/imeqYrMoQ1bw/v2/-1x-1.png
  政府は深刻化している労働力不足を補うために高齢者の就労を促している。年金の支給開始年齢も60歳から65歳に引き上げられる過程にある。大内氏は、今回の提言はあくまでも医学など客観的なデータに基づいたものであり、政府による年金支給年齢の一律引き上げのような根拠に使われることには反対との立場だ。
  一方で、社会参加は個人の健康にとっても良いことであり、健康寿命が延びれば結果として医療費を抑制し若い世代の負担軽減にもなる、と話している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-16/OLGGGW6TTDSJ01

http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/290.html

[経世済民119] ベーシックインカムを福祉以外の理由で支持する人たち 『自分の時間を取り戻そう』第1章より

【第9回】 2017年2月17日 ちきりん
ベーシックインカムを福祉以外の理由で支持する人たち 『自分の時間を取り戻そう』第1章より
発売から3ヵ月で約7万部のベストセラーとなっている『自分の時間を取り戻そう』。「生産性」をテーマとした同書には、個人の働き方の提言に加えてもう1つ、「社会の高生産性シフト」という社会派ブロガーの著者ならではの興味深い分析があります。その解説部分を紹介する最後の回です。

同床異夢のベーシックインカム論

言葉にしたのはこの本が最初かもしれませんが、社会の高生産性シフトが急速に進むと気づいている人は少なくありません。そして最近、そういう人の多くが、ベーシックインカム制度の必要性を語り始めています。このため同制度を推進すべしと唱える人の中には、目指す場所がまったく異なる、ふたつのグループが形成され始めているのです。 

ベーシックインカムとは、保有資産や所得の高低にかかわらず、全国民に最低限の生活が可能になる金額の現金を、毎月配布する制度です。そんなことは不可能だと思われるかもしれませんが、この制度が導入されれば年金も失業保険も生活保護も不要となり、そのための予算、ならびに、これらの制度を維持するために働いている人の人件費もすべて不要になる(たとえば全国にある年金事務所も役所の生活保護課もすべて不要になる)ので、財源はなんとか確保できると試算する人もいます。 

実際に2016年には、スイスで大人ひとりに月27万円(=2500スイスフラン。子供には625スイスフランで約6万5000円)を現金支給するベーシックインカム制度の導入の是非を問う国民投票が行なわれました。結果は否決されましたが、現実の社会においてもすでに検討が始まっています。 

早くからこの制度に賛成している人の中には、福祉充実派の人たちがたくさんいます。生活保護はプライドがあって受け取りたくないと考える人もいるし、審査があるため必要性が高いのに拒否される人もいます。でもベーシックインカムなら全員がもらえるので気も楽だし、審査もなく全員に行き渡るからです。 
これに対して最近出てきているのは、福祉制度としてではなく、生産性の低い人を労働市場から排除するためのベーシックインカム論です。――どういうことかわかりますか? 

前提にあるのは、社会の生産性がめちゃくちゃに上がれば、ごく一部の人が働くだけで全員が食べていける社会になるという話です。だから大半の人は働かなくても国からベーシックインカムがもらえるようになると。 
そんな時代は来るはずがないと思いますか?でも、そうでもないのです。日本では江戸時代、人口の9割=数千万人が農民でした。それなのにしょっちゅう飢饉が起こり、地方では餓死する人もいるほどでした。ところが今や日本で農業に従事しているのは、200万人ほどにすぎません。 
日本は食料自給率が低いと言われますが、主食の米は今も100%自給です(むしろ余り気味で困っています)。200万人の中には野菜や果物だけを作る農家も含まれているので、実際にはもっと少ない人数で日本人全員分の米は作られています。 

このように農業の生産性は、江戸時代に比べて何十倍も高くなったわけですが、今後もまだまだその生産性は上がります。ロボットが種をまき、画像で田畑の様子を確認した人工知能が農薬散布の時期と量を決めてドローンに指示を出すようになるまで、そんなに長くはかからないでしょう。 
そうして米作りの生産性が今の10倍になれば、200万人どころかたった20万人で日本人全員が食べても余るほどの米が作れるようになるのです。ちなみに20万人というのは、私のツイッターのフォロワー数レベルの人数です。 
農水省は農家の人数を維持したいのでしょうが、消費者としては農業従事者の人数が減っても、同じ量の作物がとれるなら問題ありません。農家は人手不足だと言われていますが、人手不足なのは生産性の低い農法のままだからです。 

日本人全員分の米が、すでにごくわずかな人が働くだけで全量まかなえるところまで来ている。これと同じことが他の食物や、工業製品、そしてサービス業でも起これば、ごく少ない人数が働くだけで冷蔵庫も自動車も製造でき、レストランもコンビニも無人営業となって小売店で働く人も不要になり、アマゾンで買った商品が自動運転のトラックで運ばれてきて、最後はロボットが家の前まで届けてくれるようになる……そうすれば誰も働かなくてすむ世界が本当にやってきます。 

もちろん働きたい人は働けばいいし、そういったシステムを作るという仕事は残ります。つまり、社会を高生産性化させていくしくみに関わる人だけが働き、それ以外の人の仕事は消えていくのです。 


「働かないでほしい」と望まれる人たち

もうひとつ、情け容赦のない話を書いておきましょう。実は今、働いている人の中には、その仕事の価値がゼロ以上の人と、マイナスの人がいます。 
たとえば生産性の低い産業を守るために余計な規制を作っているような人――こういう人は働かないでいてくれたほうが、社会全体に生み出される価値が大きくなります。人気企業家を微罪(見せしめ?)で逮捕、起訴するような警察や検察官、粉飾決算をしてまで将来性も競争力もないビジネスに有能な技術者を投入し続ける経営者や、生産性を高める新技術の導入に全力を挙げて反対する既得権益者たち。彼らも、社会に及ぼすその価値はマイナスです。 
だったらそういう人には、今と同じだけの給与を払うので、働くのは止めてもらう――そうするほうが社会全体としてはトクだということになります(図3)。 

http://dol.ismcdn.jp/mwimgs/5/d/540/img_5db9b7208c3dc73e21409818cbb166cb1295373.jpg

ベーシックインカム制度を導入したとき、そういう(働くことで社会にマイナスの価値を出している)人の一部でも「働かなくても金がもらえるならオレは働かない!」と考えてくれるなら、社会全体としてはそのほうがトクになります。つまり価値を出していない人は今後、「給与分の金は払うから働かないでくれよ」と頼まれる時代がくるのです。 
資本主義は弱肉強食だと言われますが、現代社会における強者は、弱者の肉を食べたいと思っているわけではありません。彼らは単にとことんまで生産性を上げたいだけです。でも世の中には新技術や新制度が嫌いで、すぐに反対運動をする人たちがいます。自分の分野で生産性が上がれば、生産性の低い自分の働く場所がなくなってしまうと不安にかられるからでしょう。 
高生産性社会を志向する人がベーシックインカム制度に賛成するのは、それが福祉制度として優れているからではなく、そうした生産性向上への反対論者に邪魔をされたくないからです。だから「生活費は渡すから遊んでいてくれ。仕事をすることで、人の邪魔をしないでくれ」と伝えられるベーシックインカム制度を歓迎しているのです。 
身も蓋もない話を書いてしまいましたが、社会が高生産性シフトを起こすというのは、極端に言えばこういうことです。生産性の低い人はどこかの段階で「あなたは働かなくていいです。あっ、もちろん生活費はお渡しします」と言われる時代がやってきてしまう。 
そう言われたくなければ、やることはひとつです。とにかく生産性を上げるしかありません。働かなくても給与(ベーシックインカム)がもらえれば幸せだという人もいるでしょうが、一方で、「金は払うから働かないでくれ」などと言われたら、嬉しいとは思えない人もたくさんいるはずです。なにより人生が長すぎて困るでしょう。 
大半の人が働かなくてもいいくらい生産性の高い社会が実現するかもしれない今、私たちにはなにが求められるのか?それが 『自分の時間を取り戻そう』のテーマなのです。

http://diamond.jp/articles/-/117912?


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/293.html

[国際18] 日本を裏で操る米国「ジャパンハンドラー」はなぜ排除されたのか? 日本株への影響は?トランプ大統領とイエレンFRB議長「本
日本を裏で操る米国「ジャパンハンドラー」はなぜ排除されたのか?=高島康司
MONEY VOICE K
16 2月 2017
トランプ政権がこれまで外交の中枢を担っていた外交官・職員を排除している。これにより日本と歴代米政権を仲介する「ジャパンハンドラー」も排除された可能性が大きい。(『未来を見る!ヤスの備忘録連動メルマガ』高島康司)

※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2017年2月10日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

日本と米政権を結ぶ「ジャパンハンドラー」の失脚が意味するもの

アメリカ支配は崩壊しつつあるのか

トランプ政権が発足してからまだ1カ月も経っていないが、過激な大統領令などその衝撃はあまりに大きい。しかし予期せぬ変化は、大統領令のような報道されているものだけではない。省庁の人事なども例外ではない。

【関連】トランプの大統領令、真の狙い。そして中国が中東全域を制覇する=高島康司

日本の外務省にあたる国務省だが、大量の外交官や専門職員が辞任している。当初この辞任は、トランプ政権への抗議としての辞任ではないかと報じられたが、実際はそうではなかった。トランプ政権は人事を刷新するため、書面で外交官らに対し、これ以上彼らの職務は必要ない旨を通知していたのだ。

これには、これまで外交の中枢を担っていた高官も含まれている。ジェントリー・スミス外交使節室長、ジョイス・バー次官補、ミシェル・ボンド次官補、パトリック・ケネディ国務次官、そしてヌーランド国務長官補・欧州ユーラシア担当も辞任している。特にビクトリア・ヌーランドは、ジョン・マケイン上院議員とともに、2014年のウクライナ政変を背後から仕掛けた張本人だ。

この人物が排除されたということは、トランプ政権はロシア敵視の工作を、少なくともこれまでのようには実施しないということを表している。

Next: 日本と歴代米政権を仲介してきた「ジャパンハンドラー」も排除へ

排除されたジャパンハンドラー

これとともに、日本と歴代の米政権を仲介していたジャパンハンドラーと呼ばれるチームも排除された可能性が大きい。ジャパンハンドラーとは、ジョセフ・ナイハーバード大学教授、ジェラルド・カーチスコロンビア大学教授、リチャード・アーミテージ元国務副長官、マイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)副理事長、カート・キャンベル元国務次官補などの面々だ。

彼らは、日本の主要メディアでは「知日派」として報道されているが、それは事実に反する。彼らは、軍産やネオコンなどの歴代の米政権をコントロールしているパワーグループの指令を日本に伝えることを役割としている、いわばエージェントの集団だ。

普通、アメリカと関係を持つ多くの国々は、歴代の政権に影響を与えることのできるさまざまな人脈のチャンネルを持っている。例えば韓国だが、キリスト教福音派の「ヨイド福音教会」などを中心にして、米共和党内の福音派に強いパイプがある。福音派は共和党内の最大派閥なので、韓国はこのパイプを使って米政権に影響を与えることが可能だ。

また中国だが、「パンダ・ハッガーズ」と呼ばれる親中派の議員団が存在し、政界で中国政府の利害を反映するロビー活動を展開している。

さらに米国務省には、親中派の外交官が多い。これは中国外務省が過去何十年にもわたって、アメリカの外交官を多数輩出している「ハーバード大学外交大学院」に、中国外務省の職員を大量に留学させているからでもある。国務省の外交官と中国外務省の職員は、いわばクラスメートなのである。

また、中国に生産拠点がある米大手の製造業も、歴代の政権に影響を与えることができる立場にある。ちょっとうがった見方をすれば、彼らは北京政府の意向と利害で動く親中派の代表だ。

このように、どの国も歴代の米政権とは複数の強いパイプで結ばれており、米政府から一方的に指令を受ける立場ではない。このようなチャンネルを通して、韓国や中国は米政府に強く働きかけることも十分に可能だ。韓国や中国はこの他にも有力な人脈を複数持っており、米政府とは重層的な関係が展開できる状況にある。

ところが日本の場合、米政府に繋がるあらゆるパイプはおもに軍産系を中心としたジャパンハンドラーだけに限定され、その他のチャンネルは実質的に存在しないに等しい状態だ。

(続きはご購読ください。初月無料です)

初月無料購読で今すぐ読める!第419回「暴かれる日本の影の支配構造、インフラに埋め込まれたマルウエア」の目次

日本のアメリカ支配は崩壊しつつあるのか?

・排除されたジャパン・ハンドラー

・日本の隠された影の支配構造

・選挙の支配構造

・マスメディアの支配構造

・「電通」の凋落が意味するもの

・抑圧されていた情報の解禁

・日本のインフラにマルウエアが仕掛けられている

・マルウエアは「スタックスネット」のこと

※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2017年2月10日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
【関連】今年の主役はNYダウとビットコイン、そして…?未来予測プログラムが分析=高島康司

【関連】狂気か?打算か?「トランプ外交」が世界に突きつける2つのシナリオ=高島康司

未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ(2017年2月10日号)より一部抜粋・再構成

※太字はMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ

[月額864円(税込) 毎週金曜日]

いま私たちは先の見えない世界に生きています。これからどうなるのか、世界の未来を、政治経済のみならず予言やスピリチュアル系など利用可能なあらゆる枠組みを使い見通しを立ててゆきます。ブログ『ヤスの備忘録』で紹介しきれない重要な情報や分析をこのメルマガで配信します。『ヤスの備忘録』とともにお読みください。
http://www.mag2.com/p/money/33677/amp

 
日本株への影響は?トランプ大統領とイエレンFRB議長「本当の相性」=E氏
2017年2月14日ニュース
シェア
10
ツイート
12
はてブ
0
Pocket
今の市場には楽観と警戒が混在しています。その原因はトランプの場当たり発言だけではありません。FRBの金融政策とトランプ政権の不整合が先行きを不透明にさせているのです。(『元ヘッジファンドE氏の投資情報』)
プロフィール:E氏
国内大手生保、ゴールドマン・サックス、当時日本最大のヘッジファンドだったジャパン・アドバイザリーでのファンドマネージャー経験を経て、2006年に自らのヘッジファンドであるINDRA Investmentsを設立し国内外の年金基金や富裕層への投資助言を開始。2006年10月からのファンド開始後はリーマンショックや東日本大震災で、期間中TOPIXは5割程度下落した中で、6年連続のプラス(累積30%)のリターンを達成。運用歴25年超。
日本株を待ち受ける悲劇。トランプはどこの国の大統領かを考えよ
右往左往するマーケット
トランプ政権が発足して1ヶ月近くが経ちましたが、依然としてトランプ大統領のTwitterや非公式会合での発言でマーケットは右往左往している有様です。
他国首脳に喧嘩を売る発言をしたかと思ったら、突如トランプ節が鳴りを潜めてナイスガイになったりする。政策発表は思いつきのようなTwitterでの発言や、業界団体との非公式会合での発言が洩れて即座に市場に織り込まれるものの、政権高官からの正式な発表や具体的な政策が付いてこないままなので、大統領による独断ばかりです。
つまり、実現性があるかどうかも不明な中で、思いつきのようなトランプ大統領の発言にマーケットが振り回されているのです。
米国民にとって耳障りの良い発言を連発していることでダウは期待先行で連日市場高値を更新していますから、一見すると昨年11月のトランプショック以降のリスクオンマーケットが続いているように見えます。
しかし、年初来でもっともリターンが良いアセットはゴールドですし、年初来で米国金利は低下、安全資産である円も上昇しているなど明らかにリスクオフ的な傾向も出ています。
このように楽観と警戒が混在するマーケットになってしまっているのは、トランプ政権の情報発信スタイルだけの問題ではありません。FRBの金融政策とトランプ政権の政策との整合性もマーケットの先行きを不透明にさせているのです。
では、このトランプ政権とFRBの金融政策の方向性に違いはあるのでしょうか?そして、それはどういった方向に変化していくか、それに伴って日本株や円相場の先行きはどうなるかについて本日は解説します。
【関連】それでも日経2万円が遠い理由と、リスクオン再開に向けた僕なりの仮説=長谷川雅一
トランプ政権とFRBの親和性と相違点
まず、両者の金融政策の方向性の確認ですが、FRBの金融政策のベースとなる米国及び世界の経済情勢に対する見方は昨年6月のBrexit後をボトムにして、緩やかに強気にシフトさせてきています。
昨年12月のFOMCにおける(メンバーそれぞれのFFレート見通しをプロットした)ドットポイントでは今年の利上げ回数のコンセンサスは2回でしたが、今年に入ってからさらにタカ派的な発言をするFOMCメンバーが増えてきており、従来ハト派と目されていたメンバーの中にも今年の利上げ回数は3回が妥当という主張するメンバーも現われてきました。
FOMCの投票権の半分を押さえている議長や理事達にハト派が多いため、今時点で年3回ペースの利上げ提案を行っても却下されるでしょうが、こういった発言が増えるにつれてマーケットに向けたメッセージは確実にタカ派色に転じています。
一方、トランプ政権から正式に金融政策に関するコメントは出ていません。中央銀行は政権から独立した機関であるので、金融政策不介入は当然ですが、トランプ政権の発信する情報でマーケットの期待値とFRBの政策の差に着目すると、政権とFRBの金融政策の親和性や相違が見えてきます。
2013年12月のテーパリング(緩和縮小)開始決定からほぼ一貫して、マーケットはFRBの金融政策の方向性より常にハト派的な見方をしていました。テーパリング(緩和縮小)終了時期も、初回利上げ開始時期も、昨年12月に決定された2回目の利上げ決定もいずれもFRBはもっと早い段階で到達すると見ていたのですが、結果的に非常にハト派的なマーケットにFRBの決定が収斂しています。
つまり、FRBは米国及び世界の経済情勢に対して常に楽観的かつ強気過ぎたのです。
尤も、FRBの見通しが市場見通しより精度が低くなってしまったのは、必ずしも分析能力が劣るからではありません。
マーケットの混乱を避けるという名目で、金融政策の決定前に十分に引き締めアナウンスをする結果、マーケットがそれを先取りする形でリスクオフになってしまったり、その結果新興国市場などからの資金引き揚げが加速するという、自らの強気見通しでマーケットがリスクオフに転じる結果、経済が見通しより後退してしまうためなのです。
バーナンキFRB元議長と違って、イエレンFRB議長が混乱を避けるために市場との対話を重視するスタンスを採っている以上、これは仕方がないことです。
このマーケットコンセンサスが常にFRBの見方より楽観的というのは昨年秋まで続いていましたが、トランプ氏が大統領選で当選してからがらりと変わってしまいました。
選挙前は想像だにしていなかったトランプ氏が大統領に選ばれたショックで、マーケットはトランプ氏の選挙向けに掲げていた政策がすべて実現するという前提で動いてしまったのです。
トランプ大統領の政策は移民政策などで目立っていますが、選挙選での目玉は大型経済対策など景気浮揚の政策でした。財源の根拠がないにも関わらずの大型対策は大衆迎合的な側面が強く、具体性に乏しい実現確度が低いものでしたが、マーケットは「経済対策が実行されることで、米国経済は更に加速し、インフレ率が上昇していく」という世界を想像してしまったのです。
この結果、米国長期金利が上昇し、期待インフレ率の上昇でドル高が加速することで、日本やドイツは自国通貨安と株高の双方で恩恵を受けることになったのですが、この金融政策の方向性に関する急激なタカ派シフトの結果、マーケットとFRBとの金融政策に対する見方はイエレンFRB議長就任以降初めてといえる均衡状態になりました。
即ち、昨年12月時点でマーケットが考える2017年の利上げ回数は2〜3回で、一方のFRBも同様の見方をしていたのです。
しかし、ここで注意しなければいけないのは、FRBの金融政策の方向性は一貫しているものの、マーケットが考えるトランプ政権後の金融方向性は一貫性に欠けているという事です。
Next: ドル高とドル安、実現するのはどちらか?トランプの政策を全て実行は不可能

トランプの経済金融政策は矛盾だらけ
実は、トランプ政権の経済金融政策は、それ自体が整合性に欠けています。
彼は通商政策や雇用政策では米国内での雇用回帰を重視しているのでドル安を指向しているといえますが、大盤振る舞いとも言える経済対策期待を市場に過度に植えつけることは(選挙後のマーケットの反応のように)ドル高政策に繋がりますから、彼が公約に掲げている政策が全て実現する可能性は低いのです。
経済対策で景気が上向きインフレ率が上昇することでドル高になる米国に、米企業は雇用維持のために(他国に作るはずだった)工場を米国に作るはずがありません。世界的に展開する多国籍企業の収益ウエイトが高いこともあり、米国株のバリュエーションを決定する企業収益にドル高は多大な開く影響を及ぼします。
このため、ドル高政策である経済対策とドル安政策である国内雇用重視、米国企業の国際競争力上昇が同時に実現すことはありえません。おそらくは、大型経済対策を実行しても財源の裏づけが乏しいので、ドルの信認が低下するということになるので、大型減税などの経済対策を行ってもドル安に向かうというのが正しい方向と私は考えていますが、今のマーケットはこの矛盾しているトランプの政策発信で右往左往しているのです。
つまり、対外圧力の情報発信が相対的に多いときはドル安/他通貨高につながり、先週木曜に突如出てきた減税策のような財源なき経済対策の情報発信が先行した場合はドル高に向かうのです。
年初来、世界のマーケットがドル安リスクオフ的になった理由は、昨年11月以降の過剰とも言えるインフレ期待が落ち着き、政権が実際に発足してからの彼の政策優先順位がドル高政策でなかったからです。
トランプ大統領は就任後外交面でタカ派的な政策を打ち出していますし、孤立主義ともいえる米国の産業保護に重きを置いた外交、通商政策を展開していましたので、マーケットはドル安に反応していたのです。
では、この動きが一貫性を持っているかというと全く違います。先週木曜に業界団体との会合で突如出てきた「目を見張るような減税が今後数週間程度で出てくる」という発表で先週木曜の米国株及び、金曜の日本株は急伸しましたが、この補足が政権高官から一切出てきません。
つまり、相変わらず、経済対策は大衆迎合的で財源の裏づけも議会への根回しも一切されていない実現性に乏しいものなのです。
そもそも、トランプ大統領がどういう順序で思いつき発言をするかなんて誰も知りえませんし、おそらく本人も理解していないでしょう。思いついたらTwitterやその場に居合わせたメンバーにしゃべっているだけで、きちんとした段取りで公式な発表をしていません。
だから、たまたま米国景気に期待が持てるような発言が続くと米国株はリスクオンになりますが、移民政策など強硬な姿勢が目に付くと先行き懸念でリスクオフ的になってしまうだけです。これは一貫性も方向性もなく、場当たりでしかありません。
つまり、FRBは緩やかにタカ派的な見方にシフトしていますが、トランプ政権は、公約の優先順位上位の政策自体に矛盾を抱えているので、どの政策が話題になっているかで、ドルや米国金利の方向性が一喜一憂しているだけで明確な方向性はありません。たまたま、現時点ではFRBの見方とトランプ政権の政策による今年期待される金融政策の見方が均衡しているというだけなのです。
Next: 約束された市場の破綻。目先のリスクオンムードは本物か?

目先のリスクオンムードは本物か?
ただ、はっきりしていことは、大衆迎合的なリップサービスを言い続けることで、消費者のセンチメントを上向かせるのは事実なので、トランプ政権の情報発信がマーケットの期待を裏切らないで出続ける限りにおいては、FRBは緩やかなタカ派シフトを続けるでしょうから、その場合は、金融政策とトランプ政権の政策に大きな相違は見られないと思われます。
しかし、あまりに非現実だとか、思いつきの政策がことごとくお蔵入りするなど、市場の信認を一旦失ってしまったら、現在の期待先行のマーケットはあっという間にしぼんでしまうでしょう。
この場合、マーケットの期待値がリスクオフになるスピードより、FRBの政策方向性の変化のスピードのほうが遅いと思われるため、FRBよりマーケットがハト派にならざるを得ない事態、即ち、大幅な株価調整によるリスクオフ的な世界になるでしょう。
これがいつ具現化するかは不明ですが、トランプ大統領が掲げた基本的な公約が矛盾を抱えている以上、いつかは政策の不整合が表面化しますので、いつまでも期待先行のブルマーケットが続くことは無いでしょう。
ただ、目先は、先週木曜に口走った減税期待もあって、リスクオン&ドル高が続き易い状況です。
これは数週間程度で目を見張る内容の減税プランが出てこないと失望に変わる性質のものですが、期待通りに素晴らしい減税プランを財源の根拠を明示した上で市場にアピール出来た場合、マーケットの米国経済に対する高い信認が数ヶ月は続くかもしれません。
しかし、それでも、ドル高政策と米国内の雇用維持政策によるドル安が相容れない政策である以上、彼のリップサービスはどこかで破綻します。
ドル安政策は企業や他国に対する恫喝で実行できる要素が多いですが、経済対策は財源の根拠が乏しいと信認低下による通貨安に繋がりかねないので、どちらかに収斂するとしたら収斂する先はドル安でしょう。
しかし、FRBは株価が大幅調整するまでは緩やかなタカ派シフトを続けるため、減税期待が剥げたあとは(米国株に期待が残ったとしても)、ドル安と金融引き締めが基本的な方向性になる以上、世界的にはドル安によるリスクオフという年初来のトレンドに戻り易いと思われます。
Next: 梯子を外されるリスクが高い?日本株への影響を予測するヒント
日本株への影響を予測するヒント
最後に、こうしたFRBの見方とトランプ政権の政策が、短期的に日本株及び円相場にどういった影響を与えるかですが、ごく短期的には根拠なき期待感でリスクオンが続き易いと思われますが、FRBの金融政策の方向性やトランプ政権の公約を考えると、基本的に円高に推移する可能性の方が高いので、突然梯子を外されるような下げに対する注意が必要でしょう。
先週金曜の日本株があれほど上げたのは、本邦投資家による買いが原因です。これは米国の減税に対する期待と週末の日米首脳会談期待がメインと言われていますが、ダウが2万ドルに乗せているのだから、日経平均も2万円になって然るべきという根拠なき相場観も少なからずあると思われます。
週末の日米首脳会談はポジティブに捉えられましたが、当然ですが、トランプ大統領は米国の大統領であって、日本の大統領ではありません。なので、本来日本の国益なんか考える必要はないし、実際そのようにするはずですが、今は懸念していた割には脅されなかったという安心感が、過度な日本株期待/円安に結びついています。
本来日本株には関係がない米国の減税で米国株が期待先行で強いのは頷けますが、本邦投資家はダウが更に上がると、置かれたファンダメンタルズが全く違うのに、日経平均も2万円に乗せるべしという見方で買い進む動きが継続するかもしれません。
しかし、トランプの政策が日本向けでない以上、先週金曜以降の株価上昇はファンダメンタルズの裏づけに乏しいものなので、目標到達後は独歩安を覚悟すべきでしょう。
実は、年初来のドル安円高基調は、トランプ政権の政策優先順位がドル安的なものが続いただけではなく、昨年11月のトランプショック以降の動きがあまりに行き過ぎだった反動による投機筋の買戻しによるマーケットインパクトも大きいです。
過剰ともいえるインフレ期待が是正され、トランプ政権の政策優先順位の高さが「ドル高政策より雇用維持というドル安政策」だと見え始めたことで、昨年末にかけて投機筋によって作られた過大な円ショートポジションが巻き返されているのです。年初来一貫して、投機筋の円ショートは買い戻されていますが、依然としてピークの半分程度しかショートの解消が進んでいません。
トランプ大統領が次にどんな政策をつぶやくかは誰にも知りえませんが、彼が日本重視の政策をする可能性よりは、上で見たようにドル安政策をする可能性の方が高い以上、投機筋のショートスクイズはまだ続きやすいです。
従って、少なくとも今年前半は円高基調が続き易いといえる中で、万が一、日本株が日経平均2万円乗せというファンダメンタルズのサポートなき目標で突き進んだ場合、本邦投資家以上にマーケットインパクトを持つ投資家によって梯子を外されるリスクが高くなるでしょう。
米国人以外で、米国人向けに大衆迎合政策を行うトランプ政権を、日本人ほど日本にとってポジティブだと考える人種は他にいないでしょう。
赤信号もみんなで渡れば怖くないないので、こんな根拠なき信念でも日本株がファンダメンタルズと乖離して独歩の動きをし続ける可能性はありますが、みんなが考えていた目標に到達するか、為替政策や通商政策などで対日圧力が出てきた場合、当然悲劇的な末路が待っているといえます。
それは、本邦投資家による円買い戻し圧力と日本株叩き売りです。つまり、日本人自らで買い上げて、自らで叩き売る独演会が始まったのです。
いくら場当たり的な政策発表で一貫性がないと言っても、トランプ大統領は米国の大統領なので、日本の国益に合致した政策をするよりは日本にとって不利な政策発表をする可能性の方が高いのです。
昨年の米国の貿易赤字で中国に次いで2番目の赤字を計上させたのは他でもない日本なのですから、ゴルフをして長い時間ハグをしたからといって、いつまでも日本株に都合が良いトランプ大統領でいるはずはありません。
トランプ大統領がどこの国の大統領か、今一度思い起こしておく必要があるでしょう。
【関連】安倍総理の「成果」は本物か?日米首脳会談で日本が得たもの失ったもの=斎藤満
【関連】日経平均は新たな上昇局面、一気の「21000円超え」を目指しはじめた=伊藤智洋
1 2 3 4
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年2月14日)
http://www.mag2.com/p/money/33533/4

ダウ平均はなぜ最高値を更新し続けるのか?で考える投資のヒント=栫井駿介
2017年2月12日株式情報
シェア
5
ツイート
16
はてブ
1
Pocket
ダウ平均が史上最高値となる2万ドルを突破しました。初めて1万ドルを突破した1999年から約18年で2倍になった計算です。一方で、同期間の日経平均株価の上昇率はダウ平均を大きく下回ります。しかし、それだけで米国株の方が日本株よりも優位性があると考えるのは早計です。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
脳天気でもプリオンでもない、NYダウが上がり続ける本当の理由
インフレ調整後では日本株は米国株を上回る
ダウ平均とは、米国の主要企業から選び抜かれた30銘柄からなる単純平均株価です。単純平均株価は構成銘柄1つ1つの影響が大きく、必ずしも市場全体の優位性を表すものではありません。純粋な市場の実力を見るのであれば、時価総額加重型平均であるS&P500やTOPIXを見るのが適当と言えるでしょう。
【関連】5年ぶり減収減益 トヨタが怯える「トランプ以外」の隠れリスクとは?=栫井駿介
1998年末から2016年末までのS&P500(米国株)とTOPIX(日本株)を比較すると、S&P500は82%上昇しているのに対し、TOPIXは40%の上昇にとどまります。単純にこの数字だけ見れば、米国株に優位性があるように見えます。
しかし、ここで考えなければならないのは両国のインフレ率の違いです。インフレが大きい国では、株式の価値が上がらなくても株価は上昇します。通貨が違えば、インフレ率を調整する必要があります。
1998年からの18年間におけるアメリカのインフレ率は年平均2.2%です。一方、日本は−0.02%と、インフレどころかデフレになっています。1年だけ見れば大した違いではないように思われますが、18年経つと50%近く差が出ます。
例えば、1999年に米国で1ドルだったものは、インフレ率に従うと1.47ドルになっていますが、日本で100円ものはほぼ100円のままです。つまり、インフレ率の高い国では、インフレ率以上に株価が上昇しなければ、実質的に損が出てしまうのです。
指標 S&P500 TOPIX ダウ平均 日経平均
1998年12月 1,229.23 1,086.99 9,181.43 13,842.17
2016年12月 2,238.83 1,518.61 19,762.60 19,114.37
上昇率 82.1% 39.7% 115.2% 38.1%
インフレ調整後 23.8% 40.1% 46.3% 38.5%
上の表にあるように、インフレ率調整後のS&P500は24%の上昇に止まる一方、TOPIXは40%の上昇です。インフレ調整後の日本株のパフォーマンスは米国株を上回っているのです。
ダウ平均が強いのは「厳選」かつ「入れ替え」
表を見る限り、ダウ平均はインフレ調整後でもS&P500、TOPIX、日経平均の全てを上回っています。それぞれを株のポートフォリオとして見れば、やはりダウ平均はこの中で最も優秀なポートフォリオと言えます。
ダウ平均はわずか30銘柄で構成され、日経平均の225銘柄、S&P500の500銘柄、TOPIXの約2000銘柄に対して圧倒的に少なくなっています。
30銘柄は米国の超一流企業であり、その構成は数年に一度見直しが行われます。1999年以降で見ても、30銘柄のうち13銘柄が入れ替わっています。
例えば、1999年にインテルやマイクロソフト、2013年にゴールドマン・サックス、2015年にアップルが組み入れ銘柄に採用されています。現在の構成銘柄で当初から採用されているのはGEのみで、そのGEですら出入りを繰り返しています。
つまり、ダウ平均の30銘柄は厳しいふるいにかけられた超優良銘柄ばかりなのです。そこから入れ替えが行われることにより、昔ながらの銘柄だけではなく、ITなどの最近勃興してきた企業も含んでいます。
計算する期間等により一概には言えない部分もありますが、ダウ平均が大きく株価を伸ばしたのは、多くの銘柄を機械的に組み入れるからではなく、銘柄を絞ることで「勝ち組企業」の成長を反映してきたことが理由の一つと言って差し支えないでしょう。
Next: ダウ平均の「惜しい点」を理解して、最高のポートフォリオを構築する
厳選・割安投資で最高のポートフォリオを目指す
この考え方は、個人投資家のポートフォリオにも応用できます。S&P500のようなに玉石混交の銘柄を購入していては大きなリターンを上げることは難しく、厳選銘柄を組み入れていれば、長期的にみて力強い成長力を有する可能性があります。
重要なのは、厳選銘柄のメンテナンスです。落ち目にある企業はポートフォリオから外し、将来に期待が持てる銘柄を購入することをいつも意識しなければなりません。そのために、投資家は社会の動きをチェックしなければならないのです。
ダウ平均の惜しい点は、割安銘柄をポートフォリオに組み入れにくいということです。時価総額などがある程度大きくならなければ採用されないため、安い時に買うのが難しいのです。それでも優良銘柄を組み入れるだけで高いリターンを出せるという事実には目を向けるべきでしょう。
個人投資家のポートフォリオでは、時価総額の制限はありません。そのため、理想のポートフォリオは厳選された優良銘柄を、価格が安い時に購入することです。この2つを遵守することで、より高いパフォーマンスをあげることができるでしょう。
まとめ
 インフレ調整後では、日本株のリターンは米国株を上回る
 ダウ平均が強いのは、厳選銘柄で構成され、常に入れ替えが行われているから
 優良銘柄を割安な時に購入すれば、長期的に高いパフォーマンスが得られる
つばめ投資顧問は相場変動に左右されない「バリュー株投資」を提唱しています。バリュー株投資についてはこちらのページをご覧ください。記事に関する質問も受け付けています。
※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。
【関連】バリュー投資の視点で選ぶ「2017年注目セクター」と厳選銘柄3つ=栫井駿介
【関連】さらば発泡酒! 酒税改正に揺れるビール業界、生き残りの条件とは=栫井駿介
1 2
『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2017年2月1日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
無料メルマガ好評配信中
バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問
[無料 ほぼ 平日刊]
【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。
関連する記事

iDeCoとバリュー株投資の幸福な出会い〜「守り」と「攻め」の資産運用術=栫井駿介

5年ぶり減収減益 トヨタが怯える「トランプ以外」の隠れリスクとは?=栫井駿介

政府も後押し!本気で儲けに行く「サラリーマンの副業」入門以前=俣野成敏

安倍総理の「成果」は本物か?日米首脳会談で日本が得たもの失ったもの=斎藤満

NHKニュースが報じない「2016年 実質賃金増加」のカラクリ=三橋貴明

トランプの大統領令、真の狙い。そして中国が中東全域を制覇する=高島康司

バフェットの遺言。億万長者を生む「インデックス投資」の秘密とは?=東条雅彦

逆説の日本復活論。「トランプの関税」は我が国を再びバブルに導くか=児島康孝

FXディーラーが最も心躍る瞬間。顧客注文を「呑んで」儲けるテクニック=岡嶋大介

数十万円の「格安リゾートマンション」を絶対に買ってはいけない理由=姫野秀喜
http://www.mag2.com/p/money/33186/2 

http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/278.html

[経世済民119] トランプ政権が導入へ動く「国境調整」とは何か それでも市場は「トランプ信仰」唱え続ける トランプと電話会議ダメ
トランプ政権が導入へ動く「国境調整」とは何か

ニュースを斬る

矛盾多く日本企業への影響は非常に大きい
2017年2月19日(日)
今村 卓

(写真:ロイター/アフロ)
 トランプ政権が月内にも発表するとみられる約30年ぶりの抜本的な税制改革。その目玉は法人税改革であり、焦点は下院共和党が導入を提唱している「国境調整」である。下院共和党案は、法人税の最高税率を現在の35%から20%に引き下げた上で、輸出で得た収益は課税を免除する一方、輸入は費用からの控除を認めないという「国境調整」を新設する。輸入には20%の法人税がそのまま課税される仕組みになる。

 トランプ大統領は、一時は中国に45%、メキシコに35%など米国の二国間の貿易赤字が大きい国に対して高関税を適用する「国境税」を主張し、下院共和党案は「複雑すぎる」と批判的だった。だが、その後に大統領側近がトランプ氏は「国境調整」に乗り気になっていると述べ、同氏も自ら2月10日の日米首脳会談後の記者会見で「インセンティブに基づく(Incentive-based)」税制にする方針と語った。近くトランプ政権が、「国境調整」を盛り込んだ法人税制改革が発表する可能性は高そうだ。

今後の審議に耐えられない下院共和党の「国境調整」案

 しかし筆者には、いくらトランプ政権が下院共和党案の「国境調整」を支持しても、同案がこのまま今後の議会、特に上院での審議に耐えられるとは思えない。そもそも同案が昨年6月、オバマ前政権下で、大統領選ではトランプ候補の当選の可能性は低いとみられていた頃に発表された、おそらく誰も成立の可能性が高いとは思っていなかったからこそ、野心的に作られたプランである。だからこそ、トランプ氏の「国境税」よりは税率が低いとはいえ、「国境調整」の輸入にいきなり20%もの課税強化という十分に激変な措置が盛り込まれているのである。これでは耐えられないと思った輸入依存度が高い米国の大手小売業は、「国境調整」に反対の声を上げ、上下両院の議員へのロビー活動の攻勢を強めている。

 これに対して「国境調整」を理論面で支えるシンクタンクや経済学者は、「国境調整」を導入すればドル高が進むことは確実だから、輸入企業も仕入コストが低下するので、税負担は大して増えないと説得している。一部の試算では25%のドル高になるという。だが、この論理に矛を収める輸入企業は皆無だろう。長期的にみればドル高が進む可能性は高いだろうが、「国境調整」の実施からすぐにドル高になる保証などないからだ。

 為替相場は過去の変動の激しさが示すように、税・財政の変化以上に、金融政策や米国と海外の景気のずれなど多様な要因が影響を与える。輸入企業にとっては、輸入への20%もの課税強化の後、ドル高が進むまで時間を要するのなら、税負担の大幅な増加から逃れられず、小売価格に転嫁せざるを得なくなる。それなら「国境調整」の意図に従って、調達を輸入から国内調達に切り換えればよいだろうといわれても、限界がある。例えば、ドル高がすぐに発生しなければ、輸入依存度が高いガソリンは小売価格が13%も上昇し、家計の年間負担は400ドル近く増えるという試算がある。皮肉にも、トランプ政権の税制改革によって、トランプ氏の支持基盤である白人労働者階級はかえって生活が苦しくなるという事態が生じかねないのだ。

 逆にドル高が速やかに発生すれば、別の問題が生じる。ボーイングやゼネラル・エレクトリック(GE)など輸出の多い米国企業25社は「国境調整」を支持する団体(America Made Coalition)を結成した。だが、その輸出は、ドル高が進めば、法人税減免で得た価格競争力は瞬時に消える。結局、マクロで輸出と輸入を対象にした「国境調整」は長い目でみれば米国経済に中立的ということであり、これに異論を唱える経済学者はいないだろう。しかし、トランプ大統領はおそらく違う。ドルが高すぎると騒ぎ立て始めるかもしれない。

 このような下院共和党案の「国境調整」がもたらしうる様々な混乱や矛盾が明らかになれば、議会では共和党議員であっても「国境調整」に胡散臭さを感じ、それを支持すれば自らの再選が脅かされかねないと感知する議員が増えて、可決が難しくなる。現に、上院共和党では、先週から「国境調整」への反対が強まりかねない雰囲気が強まってきて、共和党の下院指導部が慌てて説得に走り回る事態になっている。しかし、説得の根拠がドル高ぐらいしかないのなら、支持に回る上院議員の数は限られるだろう。それでもトランプ政権と共和党の上下両院指導部が、「国境調整」を実現しようとすれば、エネルギーなど輸入品の一部を「国境調整」の対象から外すなどの譲歩が必要になる。

廃案か大幅修正もあり得る、成立でも今年秋以降か

 しかし、この議会の共和党内部での大掛かりな調整が必要になれば、「国境調整」を含めた抜本的な税制改革の成立は、今年の秋以降、年末など相当先になるだろう。それは、今のライアン下院議長など下院指導部のこれまでの根回しのなさ、当面の議会はオバマケアの廃止・置換を優先し、税制改革は夏以降というライアン氏の審議日程の組み立て方をみても、明らかである。しかも、トランプ政権も、ようやく担当閣僚のムニューチン財務長官が就任したばかりで関係する政府高官が揃わず、トランプ政権独自の「国境調整」の具体的な提案は当面、望むべくもない。トランプ大統領も、「国境調整」を取り上げてツイートすることは多々あるだろうが、リーダーシップを発揮する機会はおそらくないだろう。現時点では、月内に示されるトランプ政権の税制改革案でも、「国境調整」は下院共和党案の受け入れが示される程度とみる。

 その後、来月から夏にかけても、「国境調整」は共和党内でも意見が分かれ、産業界も輸出企業と輸入企業による支持と反対に二分され、最終的に断念に追い込まれるのか、輸入の例外品目を認めるなど譲歩があるのか、非常に不透明な状態が続くだろう。それでも、トランプ政権も議会共和党も、「国境調整」を早期に断念することはないだろう。国境調整で見込む税収が10年間で1兆2000億ドルと非常に大きく、これがなければ財政赤字の拡大を抑えて法人税の大幅な税率引き下げを実施することは困難だからだ。「国境調整」が実施されれば、そのスケールの縮小があっても、米国への輸出が多い日本企業への影響は非常に大きいと思われるだけに、今後のトランプ政権、上下両院からの声と審議状況を注意深く追い続ける必要があろう。

 日経ビジネスはトランプ政権の動きを日々追いながら、関連記事を特集サイト「トランプ ウオッチ(Trump Watch)」に集約していきます。トランプ大統領の注目発言や政策などに、各分野の専門家がタイムリーにコメントするほか、日経ビジネスの関連記事を紹介します。米国、日本、そして世界の歴史的転換点を、あらゆる角度から記録していきます。

このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/021900580/

 

それでも市場は「トランプ信仰」唱え続ける−不支持と投資決定は別物
Brian Chappatta、Oliver Renick
2017年2月20日 06:20 JST

関連ニュース
米クラフト・ハインツ:ユニリーバへの買収提案を撤回
トランプ大統領を米議会支持の見通し、中国を為替操作国に認定なら
Tモバイル株上昇−ソフバンク、スプリントとの合併に前向きとの報道
米シティ:コルバットCEOの16年報酬は17.5億円−6.1%引き下げ

• 就任後1カ月の株式市場、リンドン・ジョンソン大統領以来の好調
• 8年間の悪夢からようやく目を覚ました−シュルツ・アセット

マネーの流れを追え。ワシントンでは使い古された言い回しだ。
  今のウォール街でマネーの流れを追うとすれば、ホワイトハウスが陥っている混乱にもかかわらず、金融市場がなぜこうなっているのか理解に苦しむだろう。
  ロシアの介入やマイケル・フリン氏の辞任、トランプ大統領のツイッター投稿、CNN報道にもかかわらず、株式市場はドナルド・トランプ米大統領の下で次から次へと最高値を更新した。確かに最初の1カ月、政権運営はトラブルに見舞われた(大統領本人は16日に、「整備の行き届いた機械のように運営されている」と主張しているが)。それでも相場は上昇している。大統領就任早々の市場としては、リンドン・ジョンソン大統領以来で最高のパフォーマンスだ。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/itWVa_CvjSvk/v2/-1x-1.png

  株価収益率や強気相場の長期化などさまざまな要素を挙げて、株価はこれ以上は上昇しない、トランプ波乱に市場は屈する、そうなるはずだとの悲観論もある。経済に活気があるのはホワイトハウスでふんぞりかえっている男ではなく、何年にもわたる金融緩和のおかげだという主張は説得力があるだろう。株式相場というのは右肩上がりが普通だ、何を今さらと言われるかもしれない。
  しかし投資家に話を聞くと、違う言葉が返ってくる。今は何年かに1度しか訪れない絶好の買い場だと。
  「8年間の悪夢からようやく目を覚ましたような気分だ」と、シュルツ・アセット・マネジメントを創立したジョージ・シュルツ最高投資責任者(CIO)は語る。同氏はトランプ大統領について、「好き嫌いは別として、これまでにやると決めたことはやり通してきた男だ。ビジネスマンとして成功しており、意欲的な計画を練っているようだ」と称賛した。
アニマル・スピリット
  S&P500種株価指数は昨年11月の大統領選挙以降、10%近く上昇し、オバマ前政権下で始まった強気相場は今年3月で9年目に入る。2月16日の終値は、金融危機が深刻化する前の2007年10月に付けた高値を50%上回っている。
  政治的な支持・不支持はともあれ、トランプ氏はその存在だけで経済にアニマルスピリットを吹き込んだ。そもそもその経済は、ほとんどの指標において順調だった。トランプ効果がさらに株価を押し上げる兆候なのか、あるいは投資家がいずれ劇的な転落を迎える兆候なのか。
  ウェルズ・ファーゴ・プライベートバンク(カリフォルニア州ランチサンタフェ)のエリック・デービッドソン最高投資責任者(CIO)は、「顧客から寄せられるコメントの90%以上は最近まで、うまく行かなくなるはずはないだろう、という類いのものだ」と話す。「かつて投資家は自分の影に怯えてたが、今ではずっと楽観的になっている」と述べた。
  トランプ政権とロシアのつながりや、移民政策への非難が渦巻いているが、投資家は結局のところ、気にしていないようだ。少なくとも投資の決定は左右されない。
  「先行きは不透明で心配だとの声は多い」と、プレミア・プランニング・グループ(ペンシルベニア州フェニックスビル)のマネジングパートナー、フランク・ヘネシー氏は話す。「しかしそう言う人がどのように投資するかは、まったく違う話を物語っている」と述べた。
原題:‘In Trump We Trust’ Is Market Mantra as Chaos Besets White House(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-19/OLIXA36VDKHT01


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/345.html

[経世済民119] 反ユーロ掲げるポピュリズム台頭、ソブリン債めぐる懸念かきたてる  英小売3カ月連続減、ポンド安で トランプと電話会議ダメ
反ユーロ掲げるポピュリズム台頭、ソブリン債めぐる懸念かきたてる
Chiara Albanese、Sid Verma
2017年2月17日 17:30 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iEfkttPMUsas/v2/-1x-1.png

関連ニュース
IMF:モンゴルに4.4億ドルの融資供与へ、外部支援総額55億ドル
欧州株(17日):ほぼ変わらず−ユニリーバが急伸、銀行株は下げる
北朝鮮籍の男を逮捕、金正男氏殺害に関与の疑い−マレーシア警察
米大統領報道官:不法移民取り締まりで州兵動員検討せず−報道を否定

• 焦点はCDS決済につながる信用事由と債券契約書の文言
• リアルな可能性に転じたら価格見直しは大規模となる公算−ピクテ

フランスやイタリアでのポピュリスト政党の台頭が、欧州で長く忘れられていた懸念をよみがえらせつつある。単一通貨ユーロの採用国が通貨統合を離脱すれば、ソブリン債がユーロ導入前の自国通貨建てに戻りかねないからだ。
  こうした懸念は、ギリシャの財政問題に端を発したユーロ圏債務危機の深刻さをあらためて思い出させるものだ。今再び焦点となりつつあるのは、デフォルト(債務不履行)に備えた一種の保険であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の決済を引き起こす信用事由(クレジットイベント)と、ソブリン債再編を円滑に行うことを意図した債券契約書の文言だ。
  JPモルガン・アセット・マネジメントの金利責任者デービッド・タン氏は「途上国で見られるような、こうした契約条項を考えることにわれわれは慣れていない」と述べた上で、それでもユーロ採用国の「自国通貨回帰リスクは高まっている」と指摘した。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iEfkttPMUsas/v2/-1x-1.png

  フランス10年国債のドイツ国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は10日終了週、2012年以来の水準に達した。イタリア10年債のスプレッドは14年以来の大きさ。
  ピクテ・ウェルス・マネジメントのユーロ圏担当エコノミスト、フレデリック・デュクロゼ氏(ジュネーブ在勤)は「イタリアもしくはフランスがユーロから離脱するとのリスクは全くもって織り込まれていない。もしリアルな可能性に転じたら、価格の見直しは大規模となる公算が大きく、資本逃避の脅威が著しく高まり、特に銀行セクターに極めて悪い影響を及ぼすだろう」と話した。
原題:Le Pen Stirs Dormant Re-Denomination Risk for Europe’s Investors(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-17/OLID1K6S972801

 

英国:1月の小売売上高は3カ月連続で減少、予想外−物価上昇が影響
Jill Ward
2017年2月17日 20:34 JST


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iPmZy01LCuWc/v1/-1x-1.png

関連ニュース
それでも市場は「トランプ信仰」唱え続ける−不支持と投資決定は別物
米クラフト・ハインツ:ユニリーバへの買収提案を撤回
トランプ大統領を米議会支持の見通し、中国を為替操作国に認定なら
Tモバイル株上昇−ソフバンク、スプリントとの合併に前向きとの報道

• 小売売上高指数(自動車用燃料含む)、前月比0.3%低下
• 2017年は英消費者にとって厳しさが増す可能性−INGのスミス氏

英国の小売売上高は1月に予想に反して減少。3カ月連続の落ち込みとなった。インフレ加速が消費者の支出動向に影響を及ぼし始めたことが示唆された。
  英政府統計局(ONS)が17日発表した1月の小売売上高指数(自動車用燃料含む)は前月比0.3%低下。エコノミスト調査では1%上昇が見込まれていた。昨年12月は2.1%低下(改定値)だった。
  INGバンクのエコノミスト、ジェームズ・スミス氏(ロンドン在勤)は、「欧州連合(EU)離脱選択後に英消費者が示してきた注目すべき弾力性はついに終わりを迎えそうだ」と述べ、「2017年は英消費者にとって厳しさが増す可能性がある」と指摘した。
  インフレ率は1月に1.8%に達し、年内の上昇が続くとみられている。昨年の国民投票でのEU離脱選択後にポンドが急落し、輸入コストを押し上げている。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iPmZy01LCuWc/v1/-1x-1.png 
原題:U.K. Retail Sales Unexpectedly Decline as Inflation Bites (1)(抜粋) 
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-17/OLILAP6K50XV01 

 


「トランプ大統領と電話会議」なぜダメか
会議が変われば、仕事が変わる
会議は「自分の優先順位を上げるため」に使う
2017年2月20日(月)
横田 伊佐男
 拘束時間が長く、ムダに回数が多い「非効率会議」への不満は尽きることはありません(前回参照)。よく、こんな声を耳にします。
• 決まった人しか発言しない
• 参加者の目に輝きがない
• 遅刻者が多い
• 会議自体が形骸化
• 上司の顔色だけ気にして、合意形成に至らない
• 前回の会議決定事項が、1つも実行されない
 会議は、コミュニケーションツールの1つです。ただ、メールやチャット、テレビ会議というテクノロジーの発展に伴い、コミュニケーションは、革命的と呼べるほどの変化がありました。一斉に配信することができ、形に残りやすい。後から検索しやすいなど、メールやチャットは現代のビジネスシーンでなくてはならないものです。
 しかしながら、会議に対する不満の声は後を絶ちません。チャットやメールなどのコミュニケーション革命で、効率は上がったのでしょうか。「非効率会議」は減ったのでしょうか。
そこまでしてでも「会う」メリット
 メールやチャットの発展に伴い「非効率会議」が減少したのかどうかを確かめる術はありません。しかし、オフィスの会議室が減少した、もしくはなくなったという話を聞いたことがありません。
 私は企業研修などで、多くの企業に出入りしますが、いつも、どこも会議室は予約で一杯です。企業に勤めるビジネスパーソンなら、会議室が取り合いになる、確保するのに四苦八苦した経験があるはずです。
 そういう状況を見るに、「チャットやメールのコミュニケーション革命は、会議の本質的課題を解決してないのではないだろうか」との疑問が湧いてきます。
 では、「会わなくてもいい」チャットやメールが発達した現代、そもそも「会わなければならない」会議の必要性は何でしょうか。
 会議は、メールやチャットほどラクではありません。会議を招集する側も、招集される側も多大な労力を要します。それなのに、なぜ会議をするのか。そこまでしてでも「会って」会議をするのは、会議だからこそ得られるメリットがあるからです。
 会議ならではのメリット、それは関係者の「プライオリティ(優先順位)」を上げることです。メールやチャットより、はるかに効果があります。言い換えれば、会議参加者の「優先順位」を上げることだけに、対面する会議を活用し、そうでない事務連絡などはメールやチャットに任せた方が効率的です。
 1つ事例を挙げましょう。
 2017年2月10日、安倍晋三首相は、アメリカのドナルド・トランプ大統領とゴルフを交えた会談を行い、共同声明を発表しました。国家の首脳同士のことであり、一般のビジネスマンが参考にできることはないと考えると、大きなヒントを見逃してしまいます。
 安倍首相は、トランプ氏が大統領に「内定」した昨年11月にも緊急渡米しているので、4カ月間で2度の訪米という異例の頻度です。安倍首相とトランプ大統領の会談は、労力が少ないメールやチャットではダメだったのでしょうか。 
 安倍首相の狙いからして、その代替案(チャットやメール)では絶対にダメなのです。ここに会議の本質があります。
「どうでもいいこと」を最優先事項に格上げする
 メールやチャットでできず、対面会議でこそ得られるメリットは、関係者のプライオリティ(優先順位)を上げることです。トランプ大統領も就任直後、山積する問題を抱えています。そこで日本が最優先する事項が、後手に回らないようにすることが必要だったのです。
 結果として、
• 日米同盟による安全保障の確認
 → 尖閣諸島の防衛につながる
• 経済分野での分野横断的な対話の合意
 → 日本製品の輸出先確保や駐米日本企業の安定経営につながる
• TPPに関し、最善方法を探求し、議論していく
 → これまでの合意事項を遵守してもらうことにつながる
ということを文書に盛り込むことに成功しています。
 日本にとっての優先事項を形にしたのです。文書に盛り込む、共同声明を発表するということは、合意事項が多く円満に会議が終わった証です。
 日本が文書に盛り込みたかった事項は、アメリカファーストを標榜するトランプ大統領には、二の次、言葉悪く言えば、「どうでもいいこと」だったかもしれません。しかし、それらを優先度高く位置付け、合意に至ることは、メールやチャットではなし得ないことなのです。会議を構成する3ステージ分析においても、理想的なことがわかります。
安倍・トランプ会談の分析

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/16/012600016/021500006/p2.jpg

 トランプ大統領も会談が終了し、安倍首相が帰路に就くやいなや、会談内容もどんどん新鮮味がなくなってしまいます。山積する問題に取り掛かり始めなければならないからです。
 だからこそ、なのです。
 議事録たる合意文書を作り、共有することが大事なのです。議事録を当日配布することは、関係者と共同声明を発表することと同じです。
 テーマと人員選定を慎重に選び(会議前ステージ)、短い時間で雰囲気良く会議を運び(会議中ステージ)、成果を文書化すること(会議後ステージ)は、会議を行う上で大いなる手本になります。
「3つの欠如」が生まれるのはガンがあるから
 2大国家の首脳会談をヒントに自分ごとに置き換えてみてください。あなたの会社で会議を使い倒し、他人を巻き込んで優先順位を上げている人はいるでしょうか。
 上述の「安倍・トランプ会談の分析」のように、会議前にテーマと人員選定で事前招集し(会議前ステージ)、効率よく会議を取り仕切り(会議中ステージ)、全員がうなずいたことを議事録として即日共有(会議後ステージ)しているでしょうか。
 もしくは、会議に招集される側として、理想的な会議運営になるよう「不平」を「提案」へと改善活動しているでしょうか。
 会議で拘束される時間が長いことには意味があります。いや、意味を持たせるためにもメールやチャットでできないことを会議で行いましょう。それは、関係者を巻き込んで優先順位を上げることです。
 国家の経済・安全保障という大きなテーマ、会社の小さな問題解決などサイズは異なっても会議を効率的に使い倒すステージと原則はまったく同じです。原則は同じですが、我々ビジネスパーソンの会議が非効率会議であれば、そちらの方が深刻です。トップ会談のように時間制約のプレッシャーがない分、日常ゴトとして甘えて改善放棄されてしまうからです。
 もし、あなたの会議が非効率なままでしたら、前回の記事で掲げた3つの欠如が改善されていないことになります。
非効率会議における3つの欠如と具体状況

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/16/012600016/021500006/p3.jpg

 3つの欠如を生み出すのは、「ガン」があるからです。ガン細胞なら除去すればいいのですが、非効率会議におけるガンはやっかいです。その多くが「人」に関することだからです。
 次号以降、ガンを慎重に除去するためにその実態を見極めていきます。
3ステップで組織の生産性が劇的に上がる! 最強の会議術 2月23日(木)開講!

講師の横田伊佐男氏
 本コラム著者、横田伊佐男氏による1泊2日の合宿型講座です。「確実に」「ストレスなく」組織の生産性を上げる会議の進行手法を2日に分けてしっかり学べます。
 プログラムは「最大の効果を引き出すためのカンタン準備術」「論点を定める『拡大思考』」「アイディアを整理する『分割思考』」「圧倒的な実行力を生み出す『俯瞰思考』」などで構成。15分の簡易ミーティングから数日に及ぶビジネス合宿まで、各種会議を効率的に取り仕切ることができるようになります。
 2日間の時間投資で、すぐに会議の質が変わる本講座。ぜひご参加ください。詳しくはこちら。


このコラムについて
会議が変われば、仕事が変わる
 会議に次ぐ会議…。ビジネスパーソンにとって「会議」は必要不可欠な活動ですが、忙しければ忙しいほど、非効率な会議は避けたくなるものです。効率的かつ生産性のある「会議」は、上級管理職から一般社員まで共通の願い。とはいえ、理想にほど遠いのが現状でしょう。
 このコラムでは、その課題を解決しつつ、「受動的」に会議にぶら下がる社員から、「能動的」に会議を仕切るビジネスパーソンに生まれ変わるため、カンタンかつ最強の会議術を修得してもらおうと考えています。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/16/012600016/021500006/


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/346.html

[経世済民119] 世界の記述 「勤務時間外メール禁止法」成立で賛否渦巻くフランス 日系企業にボロボロにされたタイ人の本音
世界の記述
「勤務時間外メール禁止法」成立で賛否渦巻くフランス
2017/02/20
宮下洋一 (ジャーナリスト)
 日本では、連日「働き方改革」について報道されているが、フランスでは、1月1日、「勤務時間外メール禁止法」がスタートした。これは、勤務時間外に仕事用の電子機器の「電源をオフにする権利」を従業員に与え、過労やストレスを軽減させる目的でつくられた労働改革法だ。

 スマートフォンの利便性にあやかる一方、仕事と私生活の境界線が失われ、労働者の不満が爆発した。職場生活の質とリスク回避を追求するコンサルティング事務所「エレアス」が実施した昨年10月の調査によると、労働人口の37%が勤務時間外メールへの対応に追われていると答え、幹部クラスになると、その数字が44%に上っていたことが発覚した。


勤務時間外にもメールに追われ、労働者の不満が爆発(写真・MARTIN-DM/GETTYIMAGES)
 歯止めのきかない状況の中、労働法第55条第3項にある「労働における男女平等と労働の質」が見直され、昨夏、オランド大統領の「働き方改革」の一環として、新法が改正労働法に組み込まれた。

 同法は、従業員50人以上の企業が対象で、運用は各社の判断に委ねられる。メールやSMSなどが勤務時間外に送られてきても、読む読まないは社員の自由。メールを開封しなくても罰せられないのが特徴である。

 ECサイト「プライスミニスター」に勤務するアレクシア・ルフブル氏は1日に数百通のメールを受信する。「仕事メールは、週末も含めて毎日、休まずに読める」と皮肉り、「敢えて、読まない時間を作らなければならない」と答えた。

 同じく、勤務時間外メール禁止法が施行されたことで、恩恵を受ける労働者は多い。

 テレコム会社「ウーロップ」に勤めるビルジニ・レブレ氏(32)は、公共ラジオに向け、「プライベートをきちんと楽しむことによって、仕事に集中でき、効率も上がる。働き続けるためのモチベーションになる」と話し、仕事のめりはりの重要性を訴えた。

 しかし、デジタル情報化社会の中で、勤務時間外のメールに応じないことで生じる問題も懸念されている。

 26万人の従業員を持つフランス郵政公社「ラ・ポスト」に勤務するフロリアン氏(42)は、こう話す。

 「会社のメールに勤務時間以降に対応しない場合、緊急の郵便に間に合わないことがある。結果として、仕事が翌朝に溜まってしまう」

 パリ大学のグザビエ・ジュニゴ社会学教授は、ラジオ局「フランス・キュルチュール」の番組で、「必ずしも、(仕事を忘れ)思考をオフの状態にしておくことが良いとも言えない。次にメールを開けた瞬間にもっとストレスになる可能性もある」と指摘した。

 大手食品会社の元幹部、ジャン=ジャック・フレッジ氏(51)は、「従業員をデジタルハラスメントや燃え尽き症候群から守るためには画期的な法だ。しかし、立法者側がどれだけ各企業のマネジメントを理解しているかは、甚だ疑問だ」と示唆した。さらに「時差のある海外企業と取引があれば、この法自体がナンセンスになる」と釘を刺した。

 今回の法律は、そもそも勤務時間外に残業することに対して、フランス人が日本人以上に抵抗感を抱いているからこそ成立した法律だと言えるのではないか。

 労働時間を減らし、仕事から解放される時間を多く持つことが、果たして幸福の証なのか─。フランス人と日本人の労働に対する考え方には、根本的な違いがあるのかもしれない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8927


 
Bangkok駐在便り
日系企業にボロボロにされたタイ人の本音
2016/02/18
横山了一 (ジャーナリスト)
 JETROバンコクの調査によれば、2014年の時点でタイに進出している企業数は4567社。製造業から金融、飲食など業種や規模も多種多様だが、ほぼすべての企業に共通しているのが、タイ人を雇用しているという点。日系企業がタイ人を雇用する場合に重視するスキルが、英語か日本語を話せるということ(レストランなどは特に必要とせず、もはやタイ人ではなく、ラオス人やミャンマー人といったことも多い)。

 業務内容はまちまちだが、バンコク郊外の工業団地などでは通訳・翻訳や現場での調整役、バンコク都内のオフィス街では経理や営業といった仕事に就くことが多い。前述した英語や日本語を話せる新卒の現在の月給は、2万5000バーツほど(約7万8000円)と言われ、2〜3年前は1万5000バーツ(約4万7000円)がトレンドだったことを考えれば、人件費の高騰が如実に表れているのがわかる。


バンコク市内(iStock)
 日本語を話す多くのタイ人は、子どもの頃からマンガやアニメ、アイドルといった日本文化に傾倒。日本文化に慣れ親しみ、大学に入っても日本語学科を専攻、そして日本に留学。帰国後、仕事でも日本語を使いたいと日系企業を志望するのが王道パターンとなっている。そして、なぜか女性が多く、日系企業で働くタイ人スタッフのほとんどは女性で、男性は全体の2割ほどというのが印象。ここら辺については「南国の男性は働かない」「そもそも難易度の高い日本語を学ぶほどの我慢ができない」といったところに落ち着くのだろうか……。とはいえ、真面目に働いているタイ人男性もいるため、ここでは割愛させていただく。

 そこで今回はタイ人目線から「日系企業って一体どうなの?」をテーマに、実際に日系企業に勤める3人のタイ人にインタビューをし、現状を聞いた。

 アルミや鉄の製造・販売を行う企業で勤務する女性・プロイさん(仮)は、現在26歳。同社には3年前に入社し、経理や秘書などを担当。日本に留学した経験を持ち、日本語が堪能。就職活動では、何社かの日系企業を受け、同社に決めた理由は「かっこいい日本人スタッフがいたので(笑)」という単純な理由だった。

 現在、同社には日本人のスタッフが2名おり、35歳のマネージングダイレクター(通称MD/日本では社長にあたる)、27歳の男性のマネージャーという構成。タイ人スタッフは4名でいずれも女性。タイ人は全員プロイさんよりも年下、そして彼女が日本語を話せるということで、日本人スタッフとタイ人スタッフとの調整役も担っている。前述した通り、主な職種は経理だが、ときには通訳もし、MDをヘルプする秘書業務も行う。労働時間は朝の8時からスタートし、終わるのはだいたい19時半。残業代はしっかりと支払われ(タイの日系企業では常識)、月給は基本給2万7000バーツ+手当てやインセンティブ8000バーツほどで、だいたい3万5000バーツ。タイ人のなかでは、高給取りの部類に入る。

大切な日本人上司のケア
同僚のタイ人にムカつく

 今年に入り、経理のシステムが変更されたため、それまではだいたい17時半には終わっていた業務が19時過ぎまでかかるようになった。「プライベートの時間が少なくなりましたね」とボヤきながらも、大きな不満にはなっていないという。「日本人の上司たちがケアしてくれますし、お給料やインセンティブの分配もフェアなので、辞めたいと思ったことは一度もないですよ」と満足している様子。

 むしろストレスの矛先は日本人ではなく、同じタイ人だった。「ちょっと忙しくなってくると、『先輩、やってもらえませんか?』って言ってくるんですよ。『自分でやりな!』って突き返しますけど(笑)。タイ人は子どもっぽいんです」。タイは現在、不景気が続くが、同社の業績は順調。入社した当初、月額の売り上げ目標は200万バーツだったが、現在は700万バーツにまで成長し、今後もさらなる飛躍を見込んでいるという。「会社が大きくなってくれることは素直にうれしいですね。辞めるとき? 結婚するまではないでしょう(笑)」。日本人、タイ人との人間関係も比較的よく、給料にも不満がない、ということがプロイさんの大きなモチベーションとなっている。

 とはいえ、日系企業に勤めるタイ人のほとんどが満足しているとは限らない。むしろ彼女のような不満がないパターンは少ないのではないだろうか。

 続いて2人目は男性・ボーイさん(仮称)。年齢は29歳。学生時代は文部省の奨学金で留学するほどの頭脳の持ち主で、日本語は堪能。両親が中華系のため、ルックスも日本人ともそう変わらず、タイ人と言われなければ気づかないかもしれない。そんな彼だが、一番最初に入った日系企業でいきなり大きな壁に出くわす。

面接時と話が違う仕事
ボーナス支給後に退職

 自動車部品などを扱う商社に入社したボーイさん。当初、営業職という約束で入社したものの、気がつけば、回ってくる仕事は通訳ばかりになっていた。「面接時と話が違う……」。これは「日系企業あるある」だったりするが、日本人はタイ語はおろか、英語も苦手な人が多く、あらゆるシーンで日本語堪能なタイ人に頼りがち。ボーイさんは、本来の営業という仕事は取り上げられ、通訳に終始する日が続いた。希望していなかった仕事をやらされ、専門用語が連発する通訳の現場でときに日本人からなじられ、ストレスが溜まる日々が続き、1年で退職。退職届けを出したのは、ボーナスをもらった直後だった。「給料は悪くなかったです。最後は辛かったですが、ボーナスをもらいたかったので」。ちなみにボーナス支給後にタイ人の退職者が続出するのは、この国では日常的な光景。まだまだ売り手市場のタイでは、なんら不自然なことではない。

iStock
 そして、2社目。ボーイさんには、さらなる不幸が待っていた。そこは日本人なら知らない人はいない、超大手の日系商社。今回もまた募集は営業職だったが、いつの間にか通訳にさせられていた……。1社目の悪夢がよぎったが、とき既に遅し。毎日毎日、通訳をさせられ、ついには体を壊して入院。1週間後、退院した彼に待っていたのは、日本人上司からの「サボりたかっただけじゃないの?」という非情な言葉だった。当時のことを思い出しながら、悲痛な顔を浮かべる彼を見て、こちらも心が痛む。日本の商社であれば、若手のうちから当たり前のようにキツい現場を体験するからこその言葉だったかもしれないが、その感覚は海外では通用しない。数日後、ボーイさんは退職届を出した。

 3社目は、バンコクから車で1時間半ほどの工業団地。契約社員だったため、「このまま続けていいのだろうか」と悩む日々が続いた。そんな折、まさかの2社目から「君をいじめていた日本人はいなくなった。戻ってこないか?」と誘われ、出戻りの形で復帰。戻った理由は、シンプルに「お金のため」。体を壊すほどのストレスを受けた古巣だったが、再び戻るというのが、なんともタイ人らしい選択だろう。

 しかし、順風満帆な日々はそう長くは続かない。携わったプロジェクトが買収によって、頓挫したため、自ずと退社することとなった。現在では5社目が決まり、落ち着いた生活を取り戻しつつある。「まさか30歳前で5社も経験するとは思いませんでした。なかなかうまくいかないものですねぇ。今回は長く勤めたいと思いますよ」。どこか吹っ切れた彼の顔を見て、こちらもどこかホッとした。

 3人目は、日系のインターネット系サービス企業で働くションプーさん。26歳、独身。日本語は堪能で、家が中華系ということもあり、ルックスは日本人と変わらず、「日本人とよく間違えられます」という。同社に入社して3年。スタッフは日本人10人、タイ人が約40人と、日系企業としては大所帯の構成(ちなみにタイの日系企業では、日本の超大手企業でも、日本人スタッフが1〜2人というところも普通だったりする)。エンジニアをサポートするのがションプーさんの主な仕事だが、プロイさんと同様に、日本人とタイ人との橋渡し役を担うことも多々ある。

日本人は命令するだけで説明しない
商習慣の違いを理解することが重要

 彼女の日系企業に対する不満は、やはりコミュニケーションの問題。「個人の目標数字を達成すれば、それでいいの?」「本音を言わなさすぎ」「一方的に命令はしておいて、説明はしない。それでいて、進行の遅れを納品直前で気づくことが多い。責任感がないのでは?」と不満が続いた。営業マンであれば、自分の数字を達成すれば目的は完遂なのかもしれないが、全体を俯瞰している彼女にしてみれば、「おかしくない?」という感覚らしい。営業が強い会社とのことで、「ほかの部署は営業のアシスト役なの?」といった、タイに限らず、どこの企業でもあり得そうな不服を漏らした。

 また、「本音を言わない」とは、日本人独特の“空気を読む”コミュニケーションに対するもの。表では「淡々と仕事をしながらも、裏では平然と文句を言っている」ことが我慢ならないらしい。特に彼女は日本語が堪能だからこそ、日本人、タイ人双方の文句の聞き役にもなり、ストレスが溜まっているよう。「責任感がないのでは?」ということについては、これも日本流の仕事のやり方に起因する。ここタイでは、メール一本で「●●をやっておいて」では、仕事が思い通りに進むことはほとんどない。

 メールを送った上で、さらに口頭で説明することが大切。ここら辺は日本人にはもどかしいが、やはり言語も違う国では、当人を理解させ、納得してもらわなければ円滑には仕事が進まない。逆に言えば、日頃からコミュニケーションをとっていれば、業務は滞りなく進行する。最初に登場したプロイさんの企業が好例だろう。とはいえ、ションプーさんも「辞めたい」ほどの不満を抱えているわけではなく、しばらくは同社に勤めるという。後輩もでき、仕事に対する責任感も増え、業務自体は前向きに行っている。給料も3万バーツ弱と、同世代に比べて、高いことも仕事を続ける一つの理由にはなっている。

 プロイさん、ションプーさんに共通していたのが、日系企業に勤めるタイ人は「辞めたい、辞めたい」と言いながら、なんだかんだで働き続けるパターンが多いという。そこはやはり高給ということが大きな理由になっているのだろう。「本当に辞めたい」というレベルまで不満を抱いているのは、彼女たちの感覚によれば、全体の2割ほどらしい。また、職場でのセクハラ問題については「ほとんど聞いたことがない」と口を揃えて話していた。

 タイの労務管理は、やはり日本とは大きく異なる。言語も通じず、「阿吽の呼吸」もなければ、日本人が苦労するのは当然のこと。だからこそ、コミュニケーションの問題をクリアすることが最も重要。「最初の約束とは違う」といったことも、タイ人にとっては深刻な問題であり、日本ではしばしば聞く“思いもよらない”人事異動などは「ありえない」のだ。常日頃からスタッフに話しかけ、ときにはプライベートまで心配するほどの気遣いをもって臨むことが、タイでは大切であり、それが円滑な業務推進につながってくるのも事実である。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6152
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/358.html

[経世済民119] 高学歴にも「賞味期限」がある。何歳までか 「カネを生み出さない人」の排除 発達障害を流行させる私たち 米経済学者はどこに
転職で幸せになる人、不幸になる人 丸山貴宏
【第56回】 2017年2月20日 丸山貴宏 [株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役]

高学歴にも「賞味期限」がある。何歳までか

東大、京大など一流大学を出ていても、齢を重ねるにつれ、学歴には賞味期限があります。転職の際に、学歴が武器になると考えている方は注意しなくてはなりません

企業が学歴を
重視する理由

?人材採用において、多くの企業が学歴を重視しています。特に新卒採用においてはそうです。「学歴差別」という批判はあっても、なぜ企業は採用において学歴を重視するのか、まず確認しておきましょう。

?その大きな理由は、選考の効率がよいからです。要するに世の中でいう一流大学出身者のほうが、企業が“合格”と考えている水準以上の人の出現率が高いのです。地頭のよさと学歴はかなり関連性があり、採用の際に候補者の効率の良いグルーピングをしようとするとき、出身大学の水準は非常に参考となる指標です。

?また、上記の理由とも関連しますが、一定の水準以上の大学に入学した人は、受験勉強をきちんとできた人と考えられます。天才的な頭脳の持ち主が楽々と一流大学に合格するようなケースもありますが、多くの場合、大学受験の結果はどれだけ合格に必要な勉強をきちんとしてきたかの指標になります。

?全員とは言いませんが、一流大学の出身者は頑張り方をわかっている人が多いと感じます。やはりテレビや遊びなど目の前の誘惑に流されて、勉強しなければいけないときに勉強しなかったら、そうした大学への合格はおぼつきません。

?大学に入学してからスイッチが入って一生懸命勉強する人もいるので、企業はそうした人たちを採用する機会も用意しておいたほうがよいですが、利潤を追求している企業が採用で学歴を重視するのは必然的です。

大学の偏差値順に
評価が決まるわけではない

?学歴という点から見ていくと、評価が高い大学は東大と京大であるのは言うまでもありません。早稲田、慶応、あるいは東工大、一橋といった大学も評価が高いものの、やはり東大、京大が頭一つ抜けています。ただし、大学の偏差値順に候補者の評価が自動的に決まるのかといえば、必ずしもそうではありません。

?企業と大学には相性があります。私がリクルートで採用を担当していたとき、偏差値が高くても合格者の出現率が低い大学がありました。A国立大学より偏差値の低いB私大のほうが合格者の出現率が高い、といったフィット感の違いが企業によってあるのです。

?大学だけでなく出身高校も重視されます。灘や開成に代表されるトップレベルの高校出身者はやはり期待されます。

?逆に厳しく見られがちなのは、大学にAO入試や推薦入試で入学した人です。必ずしも学力が担保されておらず、一般的に認識されているその大学の水準と学生の水準が一致していない場合があるためです。

?また、同じ大学であっても、どのゼミでどんな内容を学んできたかという、大学で勉強してきたことも評価されるようになっています。一昔前とは異なり、面接で「この教授、なかなか単位をくれないんだよね」といった話題が取り上げられ、大学で一生懸命勉強したことが報われる方向に変わっています。

地方によっては「地元校重用」も
学歴が重視されるのは何歳までか?

?面白いのは、地方では地元の国公立大学が有利になり、都内の有名私大出身者より高く評価されることもざらにあります。また、地域経済の中核となっているのが地元商業高校出身者のネットワークということもあります。

?そのため、地方に進出して人材採用する場合、地元の大学や商業高校出身者は見逃せない経歴です。ある県に営業拠点をつくり、本社から優秀な社員を送り込んだものの成果が上がらなかった会社が、地元出身者を採用したところ、すぐに成果が上がり始めた、というケースも見られます。

?では、企業の採用において学歴はいつまで重視されるのでしょうか。職歴とのバランスで言うと、新卒採用時は職歴がゼロですから学歴の評価が100パーセントです。それが徐々に齢を重ねていくにつれ、職歴の割合が増えていき、32〜33歳頃にその割合が逆転します。


本連載の著者・丸山貴宏さんの『そのひと言で面接官に嫌われます』が好評発売中!
青春出版社
192ページ
926円(税別)
?転職コンサルタントとしての経験から感覚値で言うなら、35歳であれば80〜90%が職歴、そして40歳になれば学歴の評価はほぼゼロになります。ですから、一流大学を出た人でも、40歳になる頃には学歴があまり評価されなかったり、逆に学歴がいま一つだった人が仕事の頑張りによって非常に高い評価になったりすることもあり得ます。

?このように、学歴には「賞味期限」があります。転職の際に、ご自身の学歴が武器になると考えている方は注意しなくてはなりません。逆に学歴を気にされていた方は、仕事で実績を積むほどに、学歴は気にされなくなると知っておくといいでしょう。当たり前のことですが、どの大学を卒業したかにかかわらず、やはり社会に出てからの本人の頑張りが大切なのです。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役?丸山貴宏)
http://diamond.jp/articles/-/118431?


 


河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

発達障害を“流行”させる私たちの自己防衛の牙


無意識下で進めている「カネを生み出さない人」の排除
2017年2月21日(火)
河合 薫

 今回はあまり報道されなかった、でも、とてもとても、ものすごく大切な話を取り上げようと思う。

 2月15日、「あらゆる立場の人々が参画できる社会の構築」を目的とする参議院の「国民生活・経済に関する調査会」参考人質疑が行われた。

 参考人のひとり、熊谷晋一郎氏は生まれた時に酸欠状態になった後遺症で、肢体に障害が残る脳性麻痺患者として車いすで生活している。ご自身のリハビリ生活を赤裸々に描いた「リハビリの夜」(医学書院)は、第9回新潮ドキュメント賞を受賞。東京大学医学部に進んだのち小児科医として病院に勤務し、現在は東京大学先端科学技術研究センターで准教授を務めている。

「障害を持ちながら必死で生きていたけれど、今回の事件でそれを否定された気持ちになった、自分の尊厳が脅かされている」

 神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」に入所していた19人が殺害された事件のとき、メディアへの取材にこう答えていた熊谷氏。

 彼が今回の参考人質疑で話した内容は、“今の社会の病巣”を捉えていて、
「私たちだって、いつ“障害者”なってもおかしくない」
……、そんな気持ちにさせるものだった。

 以下、調査会でのコメントを抜粋・要約する(参考人質疑でのやりとりはこちらから視聴できますので、お時間あるときに見ていただきたいです。当該ページにて、「国民生活・経済に関する調査会」で検索してください)。

「昨年7月26日、痛ましい事件がおきました。ある容疑者が障害者施設を襲って、19名の仲間たち、障害をもつ仲間たちが殺されました。私は大きな衝撃を受けて8月6日、事件の10日後に追悼集会を開きました。

 その追悼集会には国内外からおよそ400通のメッセージが届きました。たった10日間に400通です。当時のアメリカ大使館の大使からのメッセージもありました。 

 その中で、特に私の印象に残ったメッセージを、ひとつだけ紹介します。

 カナダのソーシャルワーカーのライナスさんという方です。彼女は、

『このような困難な状況において、一部の人々が問題を“外部化”し、他者(犯人など)を責めたくなることは理解できます。しかし、私たちは自分たちの住むこのコミュニティーに、“他者”などおらず、暴力行為や依存症、そして精神疾患は、症状にすぎないということを知っています。そうした症状は、社会のより深部にあり、満たされていないニーズを反映している』

と言っています。

 つまり、こういった事件がおこると“犯人探し”をしたくなる。
 そして、自分とは関係がないと思われる他者にすべてを押しつける。
 人間というのは、犯人である彼らを責め上げ、社会から排除することで、あたかも“自分たちのコミュニティー”は、またクリーンな状態に戻ったという幻想をいだきたい動物なんだと。

 しかし、それは全く問題解決になっていません。

 むしろ真犯人は、社会全体なんだ。そして、それを支えている私たちひとりひとりが、真の加害者なんだということを見つめましょう。そういうことを述べているのです」
「排除のために、発達障害が非常に“活用”されている」

 さらに、熊谷氏は“能力主義と格差問題”について意見を求められると、次のように語った。

 「発達障害という概念が広がり、バブル崩壊以降でしょうか。私の周りには“発達障害”と診断される人が急に増えました。しかし、彼らは発達障害とラベリングされる以前は、健常者と共に生活していました。

 おそらくかつての日本企業の特性、つまり、年功序列、メンバーシップ型雇用が機能していた時代であれば、その中に包括されていた人たちだったわけです。

 ところがそういった人たちが、急速に社会から排除されている。その排除を個人化するための概念として、発達障害というものが非常に活用されている。

(中略)

 ……そのなんといいますか……、非常に難しいんですけど、能力主義といいますか、メディアを通じて知る国内外の政治の動きの中で、『私たちは生きていていいのか』と不安にさいなまれている人(障害者)は非常に多くいます。

 ですから……、政治には、『生きていていいんだ。そこは党派を超えて、みんなでコンセンサスが取れている』というのを、一丸となって発信していただけると、明日も生きられるというか、そういう気持ちになれると思うんです」
 委員会では、先日問題となった「津久井やまゆり園」の建て替えにも質問がおよんだ。この問題の経緯は、以下のようなものである。

 神奈川県は事件から2カ月後の昨年9月に、現在の場所での建て替えを決め、工事中は横浜市にある県立の知的障害者施設「ひばりが丘学園」に移ってもらう方針を発表。建て直しにより「再生のシンボル」にしたい考えを示した。

 ところが家族や関係者から、「大規模収容施設は時代錯誤だ」「入所者本人の意向を確認すべきだ」といった異論が噴出。全国手をつなぐ育成会連合会は、「140人規模の施設が存続する限り、県内各地から利用者を集め、出身地域との関わりを薄める装置として機能してしまう」とする声明を発表した。2006年に施行された障害者自立支援法では、「障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する」と明確にうたっている。

 黒岩祐治・神奈川県知事は、「国の施策の流れは承知しているが、私が強引に建て替えを決めたかのように思われ心外だ」としながらも、再度検討するとコメント。

 県が建て替えを早々に決めた背景には、入所者の家族と、園を運営する社会福祉法人からの要望があったとされ、建て替えを望む家族会からは「地域への移行ができないから園で暮らしている。現実を考えたら、1日も早い建て替えを」と訴えている。

 で、参考人質疑で、この対立する意見への見解を求められた熊谷氏はこう答えた。

「当事者の意見を尊重する事は大事だが、選択肢をいくつか用意したうえでしか、自由な選択は行われない。究極の選択にしかならない」

「カネを生み出さない人」を暗黙裡に排除する社会

 さて、みなさんは熊谷氏の言葉をどう受け止めただろうか。

 私は……、3時間にも及ぶやりとりを見ながら、「障害者ってなんなのだろう」と自問した。「四肢や精神的に問題があること=障害者」ではないんじゃないか、と。

 「排除」は私たちの周りのいたるところで起こっている。

 高齢者、がんなどの病いを患っている人、うつ傾向に陥った人、育児する人、非正規社員、貧困家庭……、いわゆる「弱者」だけにとどまらず、40代以上の“使えない“と揶揄される人、結果を出せない、能力が低いとされる人……。

 「カネを生み出さない人」、「普通より手間がかかる人=ダメな人」とレッテルを貼り、暗黙裡に排除するのが今の日本社会だ、と。

 “彼ら”は、決して「建物」に集められ、収容されてはいない。しかしながら、目に見えない“牢獄”に閉じ込められ、十分な選択肢を与えられず、「何?ムリ?だったらいらない」と排除されているのだ。

 つまり、生産活動“だけ”に、プライオリティーをおいている社会である以上、「障害者」はいたるところで作られる。

 そして、“私”もそのひとりになるリスクを、常に抱えている。

 生きていていいんだよ――。もし、そんなメッセージを政府が出してくれたら、どんなに心強いことか。熊谷氏はそれを「障害者」に向けてのメッセージとしていたけど、いわゆる「健常者」の人たちの中にも、そのたった一言に救われる人はたくさんいる。そう思えてならないのである。

答えは実にシンプル。「人に仕事を合わせた」から。

 先日、「幸福な職場」という舞台を見た。放送作家としても活躍するきたむらけんじさんの作・演出で、2009年の初演以来上演を重ねており、チョークなどの文房具を製造・販売する日本理化学工業の実話を題材にしている。

 日本理化学工業は日本で最初に障害者雇用を始めたとされる会社だ。1960年に知的障害者の少女2人の雇用からスタートし、現在は、全社員83人のうち「知的障害者」が62人を占め、そのうち半数近くが「重度」に該当する(2017年1月現在)。

 なぜ、そんなにも多くの知的障害者が働けるのか?

 答えは実にシンプル。「仕事に人を合わせる」のではなく、「人に仕事を合わせた」から。

「ここ(養護学校)を出たら、施設で一生をすごしかないんです。どうかこの子たちに一度でいいから、“働く”という経験をさせてください」

 日本理化学工業の近くにある養護学校の先生は、何度も何度も「働かせて欲しい」と会社を訪れた。しかしながら、答えは「ノー」。社長も社員も「知的障害者に仕事なんてムリ」、「知的障害者なんて雇ったら、世間から何をいわれるかわからない」と、ひたすら首を横に振り続けた。

 だが、最後は先生の熱意に根負けし、「期間限定の業務実習」で少女を受け入れることになったのである。

 知的障害のある少女は、ものごとを理解するのに時間がかかる。が、社員が一つひとつ丁寧に教え、納得できると、きちんと仕事をすることができた。

 少女たちは覚えた仕事(シール貼り)をとても楽しそうにやり、「仕事が楽しい。もっとやっていたい」と昼食の時間も惜しんで仕事に励む。誰よりも早く出社し、誰よりも遅くまで仕事する。そんな少女たちの姿に、社員たちは困惑したそうだ。

 「なんで、こんなにうれしそうに仕事をするのか?」と。

 そこでもう少し高度な仕事を教えようとするが、彼女たちはできなかった。

 彼女たちには「数字」という概念がないため、「5グラムずつ測る」とか、「10分たったら止める」という作業がどうやっても理解できなかったのだ。

 それでも「仕事がしたい」と食い下がる少女。「正確に分量が測れなければ、チョークは作れない」と言い返す社員。誰もが複雑な気持ちで「実習が終われば、施設に入るしかない」と思っていたときに、「そっか!数字を色に変えればいいんだ!」と社長がひらめいた。

 彼女たちが理解できる色で分量を測り、時計を砂時計に変え、仕事に人を合わせるのではなく人に仕事を合わせることで、少女たちは高度な作業もこなせるようになったのである。

 まさしく知的障害者の少女2人が、“排除”ではなく、“包括”されたのだ。

 なぜ、少女たちはご飯を食べる時間を惜しむほど、楽しそうに働いたのか?

 ……うん、ホントに楽しかったのだと思う。理屈じゃない。ひたすら楽しかったのだと思いますよ。だって、本当は仕事は楽しいものだもの。人はカネだけのために働いているわけではない。

誰もが老いる。誰もが病気になる。

 仕事が日常に組み込まれていると、「仕事=つらい」となってしまうのだが、仕事とは本来、私たちの生きる土台をつくる最良の作業だ。

 私自身、仕事はどちらかというとしんどいことの方が多い。でも、人から感謝されたり、無理だと思っていたことができたり、自分の力を十分に発揮できたりした時、……そんなときは無条件にうれしい。

「生きていていいんだ」

 少女たちは、仕事をすることでそう感じたのではないだろうか。

 日本理化学工業の川崎市の工場ではJIS規格をクリアした高品質のチョークを、1日に10万本製造しチョークの品質、及び生産性は業界トップクラスだという。

 何をもって「障害者」というのか?

 誰もが老いる。誰もが病気になる。「鉄人28号」でいつづけることなど、誰にもできやしない。

「真犯人は、社会全体。私たちひとりひとりが真の加害者」———。

 熊谷氏の語ったこの言葉こそが、不安が極大化した今の社会の根っこにある。

 おそらく私の解釈だけではなく、それぞれの方の“社会の窓”で解釈は変わるはずだ。既存のほとんどのメディアが伝えなかった(私が調べた限り、朝日新聞が一部を報じただけ)熊谷氏の言葉を、ぜひ聞いて欲しい。

悩める40代~50代のためのメルマガ「デキる男は尻がイイ−河合薫の『社会の窓』」(毎週水曜日配信・月額500円初月無料!)を創刊しました!どんな質問でも絶対に回答するQ&A、健康社会学のSOC概念など、知と恥の情報満載です。

このコラムについて

河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/021700092/?
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/364.html

[経世済民119] 日ガスが自由化に殴り込み、東京ガスより3割安 トランプ政権下で米経済学者はどこに行ったか 
日ガスが自由化に殴り込み、東京ガスより3割安

ニュースを斬る

東電と提携、「3段構え」で市場攻略に挑む
2017年2月21日(火)
飯山 辰之介
 今年4月から始まる都市ガス自由化に向けて、LPガス大手の日本瓦斯(ニチガス)が2月20日都内で会見を開き、家庭向け都市ガスの料金プランを発表した。競合する東京ガスよりも最大で3割引きとなる安い料金体系を提示することで、同社から顧客を奪う計画だ。今後は7月にも市場参入する見通しの東京電力と組んで、事業拡大を狙う。

日本瓦斯の和田眞治社長は2月20日、戦略的な価格プランを発表した。広告には、お笑いタレントの出川哲朗氏を起用する。
 「プレミムアム5+プラン」と名付けられた新料金プランは、東京ガスを利用する一般家庭の標準的なガス料金より3.6%以上割安とする。3月末までの先行キャンペーン期間中での申し込みやインターネット接続サービスの利用など5つのプランを同時に適用すれば、最大で東京ガスよりも3割程度安くするという。メニューの一つであるガス器具購入割引では、東京ガスのキャンペーンやチラシ価格より5000円割り引くという、大手家電量販店のような取り組みを始めることも明らかにした。

 ニチガスは昨年末、東京電力グループで小売りを手がける東京電力エナジーパートナー(東電EP)と共同会見を開き、東電からのガス供給を受けて初年度にも11万件の新規顧客を獲得すると発表していた。ニチガスの和田眞治社長はその目標値を今回の発表で大幅に引き上げ、「22万件程度を目標にしたい」と語った。同時に前回掲げた11万件について「第1四半期(2017年4〜6月)中にも達成したい」と自信を見せた。

需要開拓の「尖兵」

 和田社長が強気の姿勢を打ち出す背景には、提携先の東電EPの存在がある。同社も都市ガス事業に参入する計画だが、その時期は2017年7月と自由化から3カ月程度遅れる。東電グループは電力自由化の際、新電力が料金を算定するのに必要な各家庭の電力使用量データをシステム障害によりスムーズに通知することができなかった。その反省を踏まえ「今回は万全を期して慎重に準備を整える」(東電EPの小早川智明社長)ため、展開が遅れるという。

 都市ガスの原料となるLNG(液化天然ガス)を大量に抱える東電が参入する影響は大きいが、それが自由化から3カ月遅れでは消費者に対するインパクトはどうしても薄れてしまう。

 一方のニチガス。東電と組んで都市ガス事業を展開することは和田社長の数十年越しの悲願であり、提携により東京ガスの牙城を切り崩して市場を開拓しようと準備を進めてきた。足元の市場調査では目標としている22万件を大きく上回る潜在顧客がいるとも予測している。そこで東電EPの「尖兵」として、自由化直後から東京ガスに攻勢をかけることで、消費者に都市ガスを選ぶ自由ができたことを強く印象付ける狙いがある。

 当面、ニチガスと東京EPはそれぞれ別個に顧客開拓していく計画だが、和田社長は「東電とタイアップし、ガスだけでなく電力でも割引ができるようなプランを作ろうと準備している」と話す。さらに、今後は提携関係を強化し、両社で合弁会社を設立、共同で異業種が参入しやすい都市ガス小売り事業のプラットフォーム(基盤)を開発する計画も進める。

 都市ガス小売り事業に異業種が参入するハードルは電力事業よりも高い。LNGを抱える企業は電力、ガス会社を除けば限られており、ガス機器の保安義務も異業種が手がけるのは難しい。そこで原料を多く抱える東電EPと、保安ノウハウのあるニチガスが原料調達と業務を担い、ガス小売り参入を検討する企業に開放していく計画だ。関係者によれば、このプラットフォームの利用を検討する企業が既に水面下で東電EPやニチガスと協議を進めているようだ。

盛り上がるか関東圏のガス競争

 ニチガスはLPガス業界で強気な営業をする「暴れん坊」として知られる。ITを使った事業の効率化に力を入れ、近年ではネットベンチャーと資本業務提携したり、仮想通貨ビットコインを決済に取り入れたりと、保守的な姿勢が目立つ業界では異色の会社だ。今回の都市ガス小売り参入にしても、「AI(人工知能)やフィンテックなどを取り入れて今までにない都市ガス事業を展開し、生産性を上げていくことが目的」(和田社長)と強調する。

 この「暴れん坊」がまずは自ら都市ガス市場で攻勢をかけて、消費者の需要を喚起する。これを第一段階とすると、東電EPという電力とLNG界の「巨艦」と共同して市場開拓に乗り出すのが第二段階と言えるだろう。さらに、両社で異業種参入の枠組みを作り東京ガスを包囲する大船団を作りあげる。ニチガス和田社長が思い描く野望は壮大だ。

 株式市場や業界関係者からは「東電が本気でニチガスと組む気があるとは思えない」(業界アナリスト)といった指摘や、「ニチガスはブランドの認知度が低いから、需要喚起の主役にはなり得ない」(業界関係者)といった冷ややかな見方も出ている。ただ東電は福島第一原子力発電所の事故費用を賄うため国から収益を上げることを強く要請されており、小売り分野で営業力のあるニチガスを利用しない手はないだろう。またガス自由化を成功させたい国としても、前のめりで市場攻略に挑むニチガスを後押しこそすれ、足を引っ張ることはないとみられる。

 ニチガス・東電連合を迎え撃つ東京ガスは1月31日、独自のポイント制度を拡充してガスと電力を割り引く新プランを発表した。ポイントによりサービス強化を図ることで過度な料金競争は避けたい考えだが、ニチガスや東電EPの出方次第では、新たな対応を迫られるかもしれない。

 既に料金競争が激化している関西圏などと比べ、関東圏は盛り上がりに欠けていると指摘されてきた。ニチガスはどこまで国内最大消費地である関東圏の都市ガス市場で暴れることができるか。その巧拙はガス自由化の成否にも直結しそうだ。


このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/022000582/


 

トランプ政権下で米経済学者はどこに行ったか

岡部直明「主役なき世界」を読む

誤った経済観を正すとき
2017年2月21日(火)
岡部 直明
 ノーベル経済学賞の授賞者を多く輩出している米国の経済学者たちがトランプ政権下で冬の時代を迎えている。経済政策の理論的支柱であるはずの大統領経済諮問委員会(CEA)委員長の座はいまだに人選されていない。トランプ政権が繰り出す「米国第一」の保護貿易主義や個別企業への強制介入は、経済学の基本原則を大きく踏み外している。にもかかわらず、米経済学者の警告はあまり聞かれない。トランプ流排外主義は、世界経済を停滞させ、結局、米国経済を悪化させる。米経済学者には経済学の基本原理をトランプ政権に説く重い責任がある。

エコノミスト不在のトランプ政権

 「ドル高がいいかドル安がいいか」。トランプ大統領からの真夜中の問い合わせに、ロシアへの経済制裁解除をめぐって疑惑をかけられていたマイケル・フリン国家安全保障担当大統領補佐官は戸惑ったはずだ。「わかりません。エコノミストに聞いてください」と答えたという。聞く方も聞く方なら、答える方も答える方である。これがトランプ政権の中枢でのやり取りだとすれば、あまりにお粗末である。

 フリン氏はこのあと、ロシア疑惑で辞任に追い込まれたのだから、二度とご下問はないだろうが、大統領の質問に答えられるまともなエコノミストがトランプ政権にはいないことを如実に示す結果になった。

 トランプ大統領は「経済学者不要論者」なのかもしれない。だいいちCEA委員長のポストをどうするか真剣に考えた形跡はない。CEA委員長は米連邦準備理事会(FRB)議長への登竜門ともいえる重要なポストである。長くFRB議長をつめたアラン・グリーンスパン氏をはじめ、ベン・バーナンキ前議長、ジャネット・イエレン現議長もCEA委員長経験者である。ほかにもノーベル経済学者のジョセフ・スティグリッツ教授、グレン・ハバード教授ら有力経済学者がCEA委員長をつとめている。単なる政権のお飾りではなく、政権の経済観のバックボーンであり、大統領の経済指南役として重要な役割を担ってきた。


ジョセフ・スティグリッツ教授=2016年(写真:Polaris/amanaimages)
 トランプ大統領は、経済学者から指南など受けたくないということだろう。大統領の経済感覚がまともなら、それでも問題は小さいかもしれないが、大統領が経済の現実からかけ離れた誤った経済感覚にとらわれているとすれば、世界経済にとって大きなリスクである。

大統領の経済観は間違いだらけ

 トランプ大統領は北大西洋条約機構(NATO)を「時代遅れ」と批判したが、大統領の経済感覚ほど「時代遅れ」のものはない。輸出は利益で輸入は損失だという見方は大きな誤解にもとづいている。誤った経済観にもとづく2国間主義は時計の針を30年戻すようなものである。2国間の貿易不均衡を是正しようとして、保護主義を連発し管理貿易に走れば、世界貿易は縮小し、世界経済は停滞するだけである。

 環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱し、北米自由貿易協定(NAFTA)を見直す。海外に工場進出した企業からの輸入には「罰を課す」として、35%の高関税をかける方針だ。自動車業界をはじめ個別企業への直接的な介入は日常茶飯事だ。「米国第一」の名のもとに、企業のグローバル戦略を力づくで抑え込んでいる。これでは、中国の「国家資本主義」を批判できなくなる。

 トランプ大統領の経済観はこの30年間、進化してないようにみえる。冷戦後のグローバル経済の相互依存は、世界経済全体を大きく底上げした。たしかに先進国の製造業は新興国に追い上げられたが、情報通信革命など産業構造転換が新たな雇用機会を生んだ。この経済の新しい現実を無視して、衰退産業を保護しようとすれば、結局、より大きな雇用機会を失うことになる。長い目で見れば、大統領選でトランプ氏を支えた白人の中低所得層の雇用を奪い、所得格差をさらに拡大させることになる。

 危険なのは、石炭産業の規制緩和などで地峡温暖化防止の潮流に水を差すことだ。環境長官には温暖化懐疑派のスコット・プルイット氏が起用された。化石燃料回帰によりパリ協定から離脱に動けば、世界経済だけでなく地球を危機にさらすことになりかねない。

経済学者の声は小さすぎる

 問題は、トランプ大統領の誤った経済観に対して、経済学者の批判の声が小さすぎることである。もちろん、批判のつぶやきは聞こえる。グローバリズムの進展に警鐘を鳴らしてきたジョセフ・スティグリッツ教授は「2国間の貿易収支にこだわるのは誤りだ。赤字削減で政治的に勝利しても市場経済をゆがめる」と警告する。「特定の企業への脅しは市場経済の原則を傷つける」とも指摘する。

 シムズ理論(物価水準の財政理論)で知られるクリストファー・シムズ教授は「法人減税やインフラ投資など人気取り政策は財源の具体性を欠く。インフレ圧力の抑制が難しくなる」と警告している。そのシムズ教授は、先進国中最悪の公的累積債務を抱える日本には、「財政健全化目標などやめて財政拡大を」と指南しているのだから、皮肉な話である。日本よりトランプ政権にまず厳しく注文をつけるべきだろう。

 経済学者らしい意地をみせているのは、イエレンFRB議長ぐらいである。トランプ政権の財政政策は持続可能ではないと指摘するとともに、移民を制限すれば「米国経済は減速する」と警告している。トランプ政権が打ち出している金融規制緩和にも「金融規制が低成長の要因ではない」と異論を唱えている。

 それでも、トランプ政権の暴走ぶりからすると、米国の経済学者の声は小さすぎる。トランプ政権が大変身しないかぎり、政権入りは経済学者としての将来を損なうことになりかねない。トランプ政権での内からの改革が無理なら、政権外からトランプ政策を正すため先頭に立つしかないだろう。

遥かなる黄金時代

 米国の経済学者ほど政権に大きな影響力を発揮してきた存在はない。なにしろノーベル経済学賞を授賞した米国の経済学者は51人にものぼる。日本人経済学者は皆無なのだから、米国人経済学者の影響力の大きさは明らかだ。

 米国人経済学者として初めてノーベル経済学賞を受けたのはポール・サムエルソン教授だ。世界的なベストセラー「経済学」の著者として、また新古典派総合の理論経済学者として戦後の世界の経済学を主導した。同時に、民主党のケネディ政権の経済顧問としてワシントンに大きな影響力を誇った。その系譜は甥の経済学者、ローレンス・サマーズ元財務長官に受け継がれた。

 筆者は1980年代、MIT(マサチューセッツ工科大)のサムエルソン教授の研究室をたびたびたずねた。教授のデスクには、かならずウォールストリートジャーナル紙が置かれていた。大経済学者は、米国経済、金利、為替など現実の経済について、嫌な顔ひとつせず語ってくれた。象牙の塔にこもるのではなく、常に経済の現実を見据えていた。

 そのサムエルソン教授のライバルは、ミルトン・フリードマン教授だった。マネタリストで自由主義者の教授は、共和党のニクソン政権、レーガン政権の理論的支柱になった。金ドル本位のブレトンウッズ体制はニクソン・ショックで崩壊し、変動相場制に移行することになるが、その背景にいたのがフリードマン教授だった。

 1985年のプラザ合意のあと、スタンフォード大のフーバー研究所にいたフリードマン教授に会った。目標相場圏構想が取りざたされていたころ「変動相場制は、最も問題の少ない国際通貨制度だ。各国の通貨当局が市場を操作しようとしなければ、もっとよくなる。変動相場制は将来も存続するだろう」と言い切った。ドル高是正のため通貨当局が市場介入で協調したプラザ合意には、自由経済論者らしくあくまで批判的だった。


ミルトン・フリードマン教授=2006年(写真:ZUMA Press/amanaimages)
「ものいえば唇寒し」でいいのか

 いまの米国の経済学者にサムエルソン教授やフリードマン教授のような絶大な影響力を期待するのは無理だろう。二人の経済学の巨人のような鮮明な経済学説も経済思想もカリスマ性も現代の米経済学者にはない。

 それにしても、世界第一の経済大国にあって、その大統領が時代遅れで誤った経済観にもとづいて経済運営を実施しようとするとき、経済学者がはっきりと「ノー」を突きつけられないとすれば、何のための学問かが問われることになる。

 ノーベル経済学賞の授賞者を中心に、米国の経済学者は結束し共同宣言をまとめ、トランプ政権の暴走を止める責務がある。さらに日欧など世界中の経済学者に参加を呼び掛けることだ。「ものいえば唇寒し」はもう許されない。トランプ政権発足から1カ月。いまこそトランプ政権の誤った経済観を正すため声を上げるときだ。経済学者の出番である。


このコラムについて

岡部直明「主役なき世界」を読む
 世界は、米国一極集中から主役なき多極化の時代へと動き出している。複雑化する世界を読み解き、さらには日本の針路について考察する。
 筆者は日本経済新聞社で、ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、取締役論説主幹、専務執行役員主幹などを歴任した。
 現在はジャーナリスト/明治大学 研究・知財戦略機構 国際総合研究所 フェロー。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/022000018/
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/365.html

[経世済民119] 10年周期の金融危機は杞憂か シムズ理論があおる日銀不安 トランプ円安に「逆回転」の芽 ドル120円予想支える2つの根拠
コラム:
10年周期の金融危機は杞憂か

斉藤洋二ネクスト経済研究所代表
[東京 18日] - 米国の株価は2009年3月以来8年に及ぶ上昇トレンドの中、史上最高値を更新し、為替相場もドル高地合いが続くなど、市場は依然、強気に包まれている。

とはいえ、1987年のブラックマンデー、1997年のアジア通貨危機、2007年のサブプライム問題と、10年ごとに金融危機が市場を襲ったのは周知の通りだ。したがって、10年周期で危機が訪れるというアノマリー(経験則)に対し、2017年は警戒が必要との声もちらほら聞かれる。

振り返れば、年初早々118円台に上昇した今年のドル円相場は、1月下旬のトランプ米大統領による円安誘導批判を受け、保護主義政策に対する警戒感が強まり、2月初旬には一時111円台へと下落した。ただ、112円近辺では円売り介入を連想させるようなドル買いが散見され、円高圧力を抑えている。

その意味で市場ではトランプ大統領と安倍晋三首相による10日の日米首脳会談が注目されたが、通商問題などについてはペンス副大統領と麻生太郎副総理をヘッドにした経済対話に委ねられることとなった。特に貿易不均衡を是正する手段として万民に分かりやすい為替調整は財務相間での交渉へと持ち越しになり、ムニューシン氏の財務長官就任を受けて議論の本格化が待たれるところだ。

ついては、そうした議論にも大きな影響を与えるであろう日本の経常収支構造と財政・金融政策の行方を整理し、今後のドル円相場の行方を予想したい。

<「日本たたき」の時代とは異なる経常黒字の中身>

まず、最大の相場かく乱要因であるトランプ大統領の言動について言えば、フォロワー数2500万を超える自身のツイッター・アカウントで、不規則かつ奔放な「つぶやき」を連発し、政権の混乱ぶりを際立たせるとともに、情報の不確実性を高めてしまっている。

特に懸念されるのは、そのつぶやきなどからトランプ大統領の通商・為替問題についての認識が、「ジャパン・バッシング(日本たたき)」真っ盛りの1980年代から90年代初頭に形成されたと見受けられる点だ。トランプ大統領は貿易相手国の通貨安誘導(その結果としてのドル高)が国内の雇用を奪っているとの思いにとらわれているようであり、その信念を大きく覆し、現下のドル高地合いを肯定するようになるとは予想し難い。

そもそも、米商務省発表の貿易統計(通関ベース)によれば、2016年のモノの貿易での対日赤字は689億ドル(約7.7兆円)と、国別では対ドイツを抜いて、対中国に次ぐ2番目に大きい金額となっている。日米首脳会談では対日批判は表立って聞かれなかったが、貿易不均衡をことさら問題視するトランプ大統領がこのまま大人しく黙っている保証はない

ただ、日本の経常収支の推移に目を移せば、違った風景が見えてくる。2016年の日本の経常収支は貿易収支の黒字転換を背景に、20.6兆円と9年ぶりの大きさになったとはいえ、その黒字額の大宗を占めているのは18.1兆円に上る第1次所得収支の黒字だ(貿易収支黒字は5.6兆円)。

生産拠点の移転など海外投資が増えるにつれ貿易収支黒字は圧縮され、対外資産から得られる配当や金利収入などが経常収支黒字の大部分を占めるようになっているのだ。

このようにモノ、カネの流れを含めて日本の経済構造が大きく変化していることから、円高が日米対外不均衡の是正に有効な政策だとは必ずしも言い難い。だが、トランプ大統領にそうした正論が通じるかどうかは楽観できない。

一方、為替需給の観点から言えば、東日本大震災以降5年にわたる貿易収支の赤字傾向が2016年に入りようやく黒字へと転じたように、需給に緩みが生じつつある。その背景に、原油価格の低下があるのは明らかだ。

財務省貿易統計によれば、2016年の原油や天然ガスなどの鉱物性燃料輸入は12兆円と、日本の輸入(66兆円)の約18%に相当する。その大半はドル建てである。仮に為替レートが10%もしくは原油の入着価格が10%変動するだけで、ドル需給は数兆円規模の影響を受けることになる。

つまり、油価の上昇とドル高が重なれば需給のタイト感は一気に高まり、逆に油価の下落とドル安が重なれば余剰感が醸し出される。原油価格とドル相場の上下動が、今後もドル円レートの振幅を大きくする可能性には注意が必要だろう。

<トランプ大統領の円安誘導批判に反論できるか>

さて、為替需給に続いて注目されるのが日本の財政・金融政策だ。アベノミクス始動から4年が経過したが、2%を目標に掲げたインフレ率が依然、ゼロないしは若干マイナス(生鮮食品を除くコアベース)で低迷していることからも当面、財政拡大的、金融緩和的な政策に著変はなさそうで、政府・日銀の円安志向は継続する可能性が高い。

この点において気になるのは、アベノミクスの理論的支柱と目される浜田宏一・内閣官房参与(米イエール大学名誉教授)が、金融緩和の効果を高めるためには財政政策の拡大が不可欠との見方を示し始めたことだ。ロイターなどのインタビューによれば、米プリンストン大学のシムズ教授(2011年ノーベル経済学賞受賞者)らが提唱する「物価水準の財政理論(FTPL:Fiscal Theory of the Price Level)」に触発されたものだという。

FTPLに基づくシムズ教授の提案は、ゼロ金利下限では金融政策の有効性は失われているため、財政拡大でインフレ目標の達成を目指すよう勧めている。その是非は別として、2019年10月に予定される消費増税の延期や基礎的財政収支(プライマリーバランス)改善目標の先送りなどの方便として、使われる可能性がある。

仮にそうなった場合、国内総生産(GDP)比230%超の政府債務残高を有する日本において、インフレ率が目標の2%を超えて、急進していく可能性(ハイパーインフレが起こる恐れ)はないのか、注意深く見守る必要があろう。

一方、日本の金融政策については、2月初旬に10年物国債利回りが0.15%へ急上昇した際に、日銀が指値オペで抑え込みを図るなど、今後も昨年9月に導入した長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を最優先政策として維持すると思われる。

そうした中で、米連邦準備理事会(FRB)による継続利上げ観測を背景に、米金利上昇期待は根強い。つまり、金融政策面からドル高円安圧力は今後も増すことはあっても、米景気が腰折れしない限り、大きく減ることはなさそうだ。日銀の金融政策は「通貨安」を目的としていないとトランプ大統領に納得してもらうのはそうたやすいことではない気もする。

<ドル円のフェアウェイは87―107円近辺>

このような視界不良の相場環境下で、手掛かりがあるとすれば、やはり購買力平価(PPP)だと考える。国際通貨研究所によれば、ドル円のPPPは昨年12月時点で、消費者物価ベースでは126.59円、輸出物価ベースで76.32円、企業物価ベースで96.88円だ。

このうち相場の経験則から最も重視されるのは企業物価ベースであり、同PPPの上下10%程度の範囲で動くと仮定すれば、87―107円近辺がゴルフに言う「フェアウェイ」だろう。

当面、「ラフ」とも言える110―116円範囲でのボックス的な動きが続くとみられるが、その次の局面は、足元で主要6通貨に対するドル指数が14年ぶりの高水準にあることや米景気拡大もピークアウトが近いことなども勘案すれば、フェアウェイのセンター、つまり100円割れの方向へと円高が進むリスクにも備えが不可欠なのではないだろうか。

関連インタビュー:インフレ税はなぜ日本に必要か=シムズ教授

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。近著に「日本経済の非合理な予測 学者の予想はなぜ外れるのか」(ATパブリケーション刊)。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
 
おすすめ記事


コラム:世界的デフレ終焉、今回は本物か=嶋津洋樹氏 2017年 01月 17日
コラム:日米中銀悩ますシムズ案とトランプ政策=永井靖敏氏 2017年 02月 03日
コラム:この先のドル買いはハイリスク・ローリターン=竹中正治氏 2013年 05月 22日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yoji-saito-idJPKBN15W0AY?sp=true

 

 

コラム:シムズ理論があおる日銀不安=永井靖敏氏
永井靖敏
永井靖敏大和証券 チーフエコノミスト
[東京 20日] - 円債市場は、日銀のオペに振り回されている。現行の金融政策枠組みの持続性に不安を感じる中、日銀からの情報発信が少ないため、投資家は、手探り状態で運用しているようだ。

具体的な不透明要因として、現状ゼロ%程度としている長期金利の操作目標変更に対する日銀の考え方、長期金利の操作目標からの乖(かい)離許容度と日銀のコントロール能力などが挙げられる。

前者の変更時期については、現時点では、物価の実績値が低いことから、喫緊のテーマではないが、物価の実績値が上昇するにつれて、注目度が高まりそうだ。

2016年9月に導入した「新しい枠組み」は、期待インフレ率が上昇するのに合わせて長期金利の操作目標を引き上げても、金融引き締めではないという建て付けだが、実際に期待インフレ率を計測できないこと、できるだけ早期に「物価安定の目標」達成を目指していることなどから、安易に引き上げることはできないだろう。

とはいっても、「物価安定の目標」達成後は、長期金利の操作目標を2%以上に引き上げる必要があり、その間のパス(経路)はブラックボックスの状態にある。

<長期金利制御不能に陥るシナリオは杞憂か>

後者のかい離許容度とコントロール能力については、すでに市場参加者の間でも主要なテーマになっている。市場では「ゼロ%程度」はプラスマイナス0.1%とした見方がコンセンサスになっていたが、日銀のオペの不透明感などを受け、長期金利は一時0.15%まで上昇した。

日銀が市場実勢より低い金利水準での指値オペを機動的に実施したことで、上昇を抑えることができたが、先行きについては見方が分かれている。

筆者は、日銀は今後も無制限にオペを実施することができるため、基本的にコントロール可能と考えている。国債の買い入れ額については、「保有残高の増加額年間約80兆円程度」という「めど」はあるが、金利を優先している。おおむね現状程度の買い入れペースで、長期金利の水準を抑えることができなくなっても、買い入れ額を増やすことで対応できる。

ただし、長期金利の水準をコントロールすることは難しい。日銀も、Q&A形式で日銀の業務や金融政策などを説明しているホームページの「教えて!にちぎん」のコーナーで、長期金利について、「オーバーナイト物金利のように資金量を調節して誘導することは容易でない」とした回答を掲載していた(2016年11月に削除)。

市場参加者の中でも、やがてコントロールできなくなると見る向きも少なくない。短期的には、コントロールできても、中長期的には日銀よりも市場の力の方が勝るため、やがて抑制不能になると主張している。

ポイントは、政府や日銀の信認だろう。確かに、市場からの信認を失い、やがてコントロール不能の状況に陥るというシナリオを完全に無視することはできない。

<シムズ理論は日銀政策と相いれない>

こうした中、黒田東彦日銀総裁は、14日の衆議院予算委員会で、「物価水準の財政理論(FTPL:Fiscal Theory of the Price Level)」に関する民進党の前原誠司議員からの質問に対して、「理論的には興味深い」としながらも、「いろいろな前提を置かなければ出てこない話」と語った。

FTPLは、「政府が財政健全化を目指さない」と国民に信じさせることで、物価の押し上げが可能という考え方だ。物価上昇が行き過ぎるリスクや、国債が格下げされるリスクなどが指摘されているが、その前に、国民に信じさせることが難しいという大きな問題がある。

米プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授はこのFTPLに基づき、「物価が2%に上昇するまで、消費税増税を延期するというルールを作り、このルールを国民に信じ込ませる」という案を提示したが、これまで消費税増税の延期を繰り返してきたにもかかわらず、物価が上昇していないことを踏まえると、効果があるとは思えない。

「物価が2%に上昇するまで、すべての税金を停止する」というような、極端な政策を導入しない限り、国民の物価観が変わるほどの変化は生じないだろう。

そもそも、これまでの異次元緩和も、金融政策運営の抜本的な転換により、人々のインフレ期待を変化させることを狙っていた。シムズ教授の案は、物価が上昇するまで、現行の金融政策を維持する、という日銀の政策運営と大差ない。

FTPLは、財政に関する理論であるため、日銀が採用の是非を議論する話ではない。ただ、少なくとも長期金利の操作目標を設定している現行の金融政策とは、相いれない。すでに、国民の多くが「政府が財政健全化を目指さない」と感じている中、極端な政策を導入して、目指さない姿勢をより鮮明にすると、政府の信認が低下し、日銀の信認も低下する。

日銀の信認が低下すると、長期金利をコントロールすることができなくなる。FTPLを導入することで、やがて物価は上昇するかもしれないが、その前に長期金利の上昇圧力が発生する。日銀が調整能力を失った状況で上昇圧力が発生すると、市場は危機的な状況に陥る。

なお、FTPLのポイントは、あくまでも、政府が財政健全化を目指さないと国民に信じさせることだ。ただ、一部で、「財政政策により物価押し上げを狙う理論」と従来のケインズ経済の域を脱しない説明をする向きがある。金融政策に対する閉塞感が強まる中、シムズ理論の本質とは異なる部分が切り取られ、消費税増税延期の口実に使われるリスクについても、意識する必要がありそうだ。

閉塞感を打破するためにも、「いろいろな前提」を置いた上で、日銀が金融政策の先行きに対する方針を提示することが望まれる。

――関連インタビュー:インフレ税はなぜ日本に必要か=シムズ教授

*永井靖敏氏は、大和証券金融市場調査部のチーフエコノミスト。山一証券経済研究所、日本経済研究センター、大和総研、財務省で経済、市場動向を分析。1986年東京大学教養学部卒。2012年10月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
 


為替こうみる:日米首脳会談後のトランプラリー継続は困難=FXプライム 上田氏 2017年 02月 10日
コラム:トランプ相場でドル125円へ=田中泰輔氏 2017年 01月 10日
〔マーケットアイ〕外為:ドル112円後半で上値重い、貿易収支は5カ月ぶり赤字 2017年 02月 20日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yasutoshi-nagai-idJPKBN15Z0UY?sp=true
 

 

 
ドル120円予想を支える2つの根拠=鈴木健吾氏
鈴木健吾
鈴木健吾みずほ証券 チーフFXストラテジスト
[東京 17日] - 1月20日のトランプ米大統領誕生からほぼ1カ月が経った。この間、メキシコ国境の壁建設やイスラム圏7カ国からの入国禁止措置など過激な政策に加え保護主義的な発言もあり、円高リスクが意識される場面もあったが、日米首脳会談やイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言などを経て、そのリスクは後退したと感じている。

これまで示したシナリオ通り、年後半に1ドル=120円超えに向かう下地が徐々に整いつつあるようだ。

トランプ大統領の政策に対する評価はなお割れている。過激な政策に対して、戦略性がなく発言も場当たり的で、今後の政策運営も期待できないとのネガティブな評価もあるが、メキシコの壁もイスラム教徒への発言も昨年の選挙期間中からのことであり、公約を実行に移しているだけとも言える。今後は減税やインフラ投資など、景気刺激策に関する公約も有言実行の期待が持てる、とのポジティブな見方を筆者は抱いている。

予算措置が必要な政策は議会の立法が必要なものが多く、実行の順序が後回しになり、環太平洋連携協定(TPP)離脱といった大統領令ですぐに実行できるものが優先されているが、トランプ大統領が9日に「向こう2、3週間後に税に関する驚くべき提案を行う」と発言した通り、おそらく減税策などの景気刺激策が今後徐々に姿を現すだろう。

<日銀の手足が縛られる懸念は後退>

日米首脳会合の成果も大きい。トランプ大統領はオーストラリアのターンブル首相との電話会談で、難民・移民に関する話題で衝突し会談を途中で切り上げたとされるが、安倍晋三首相との会談では衝突する可能性のある貿易や為替に関する話題にほとんど触れず、友好関係を強くアピールした。

国防では、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを確認したうえ、在日米軍の受け入れに対する謝意まで述べた。これには2つの大きな意味がある。トランプ政権が中国に対する強硬姿勢をとる中、アジアの同盟国としての日本の重要性が確認されたこと。もう1つは誤った認識をあっさりと修正したことだ。

選挙期間中は「米国は日本を守っているが、日本は公平な負担をしていない」などと発言していた。日本との貿易に関してもトランプ大統領は「日本が通貨安攻勢をかけ、米国の製造業に不公平な競争を強いている」という意味合いの発言をしているが、今回の会談で日本サイドは、ここ5年ほど為替介入をしておらず、日本企業は米国で多くの雇用を行い、直接投資も英国に次いで2位、1980年代の貿易摩擦があった頃とは大きく違うことを説明しただろう。

巨額の対中貿易赤字などを意識してトランプ大統領の保護主義的な発言が大きく変わることはないだろうが、日本を名指しした批判は減る可能性が高い。また、会談後に公表された共同声明においても、「国内及び世界の経済需要を強化するために相互補完的な財政、金融及び

構造政策という3本の矢のアプローチを用いていくとのコミットメントを再確認」している。これにより通貨安誘導という批判によって日本の金融政策の手足が縛られる懸念は後退した。

さらに、日米首脳会談後、空席だった財務長官に下馬評通りムニューシン氏の起用が決定している。事実上為替政策の責任者になるが、これまで「長期的にはドル高が重要」などと発言しており、保護主義的な側面からしか為替相場を見ないトランプ大統領とは一線を画す。

トランプ大統領の在日駐留米軍に関する発言が、おそらくは来日したマティス国防長官の説明で変わったと思われるのと同様に、金融のプロであるムニューシン財務長官の為替に対する認識が大統領の考えに影響を与える可能性も十分にあるだろう。

<年後半の120円超えシナリオを堅持>

トランプ政権の現実路線シフトに加え、今年のドル高見通しを支えるもう1つの要因がFRBの利上げ姿勢だ。これまでイエレンFRB議長が1月18日に講演、2月14日に議会証言を行ったが、基本ハト派とされる議長の発言からも利上げに対する前向きな姿勢が明らかになっている。

1月18日の講演では「2019年末までに政策金利が長期的に中立な3%に達するとの見通しを、FOMC(連邦公開市場委員会)メンバーの大部分が共有している」とした。現状0.50―0.75%の政策金利を2019年末に3%にするには、1回0.25%として9回の利上げが必要だ。これから3年間、単純平均で年3回ペースでの利上げ実施を「大半のメンバーがおおむね共有」していることになる。

また、今月14日の議会証言では次回の利上げが比較的近い可能性にも言及した。「あまりに長く緩和の解除を待ち過ぎることは賢明ではない」として「目先開催されるいくつかの会合(upcoming meetings)でさらなる金利の調整が適切になる可能性がある」とし、3月の利上げ実施の可能性を排除しなかった(筆者のメインシナリオは6月実施)。FRBは目先も、そしてその後3年間も、利上げに対する前向き姿勢を打ち出している。

今後、最大の注目はトランプ大統領の具体的な景気刺激策となろう。米国企業に海外利益の本国還流(リパトリエーション)を促す優遇税制措置の有無をはじめ減税の規模や種類、インフラ投資・財政出動の具体策や規模などがどのようなものになるかが大きな鍵となる。

そもそも、トランプ大統領の景気刺激策による景気拡大や物価上昇期待が、株や金利、ドルの上昇やFRBの利上げペース加速期待を後押ししているわけで、その政策がこれまで以上に「過激」なものとなるかどうかが、今年のドル円相場の方向性を決めると言っても過言ではない。

現状、ドル円相場は年初の118円台から一時111円台まで下落する動きを見せているが、前回のコラムで言及した通り、春先に向けてはおよそ110円―117円程度のレンジを中心に調整的な動きを予想している。

その後は徐々に明らかになるトランプ政権の景気刺激策やFRBの利上げペース、欧州での選挙結果を確認しつつ、年後半には1ドル=120円を超える展開を引き続きメインシナリオにしている。現状、その下地が整いつつあるのではないか。

*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

 
おすすめ記事


コラム:円高予想の蔓延がもたらす投資機会=村上尚己氏 2017年 02月 16日
〔マーケットアイ〕外為:正午のドルは113円前半で小動き、米休日踏まえ取引盛り上がらず 2017年 02月 20日
コラム:米国よりも深い欧州「反イスラム」の闇 2017年 02月 13日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-kengo-suzuki-idJPKBN15W0B4?sp=true


 

 

 

コラム:トランプ円安に「逆回転」の芽=内田稔氏
内田稔
内田稔三菱東京UFJ銀行 チーフアナリスト
[東京 20日] - トランプ米大統領は9日、米航空大手の首脳らを招いた会合で、2、3週間以内に「税に関する驚くべき発表をする」と述べた。大統領は28日に米議会の上下両院合同本会議で今後の経済政策などに関して演説を行う予定であり、その場で減税に関する全体像が見えてくると期待される。

同氏は選挙期間中、すでに法人税を35%から15%へ引き下げる方針を掲げてきた。また、米企業による海外での滞留資金を米国に還流させる際の減税(いわゆるリパトリ減税)を挙げているほか、所得税減税や最近になって浮上した国境税の骨格も示される可能性がある。

米連邦政府債務残高の拡大に慎重姿勢を示す保守強硬派「ティーパーティー(茶会)」の勢力を抱える共和党だが、減税の方向性ではトランプ大統領と一致している面もある。減税幅は大統領の主張通りとなるか予断を許さないが、減税実現の可能性は高いだろう。

これに折からの金融規制緩和との期待も加わり、米国の株式相場の続伸や国債利回りの上昇が見込まれている。また、日米金利差拡大を背景に、ドル高円安が進むとの見方が合理的だ。

<ドル円と日米金利差が相関を失った理由>

ところが、今年に入り、その日米金利差とドル円相場の相関はほとんどなくなっている。両者の相関の強さを見ると、昨年11月の米大統領選後から年末までの期間、2年物、10年物国債の金利差のいずれもドル円との重相関計数は0.9を超えていたが、年明け以降、どちらも0.1前後へと急低下している。

確かに、14―15日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長による議会証言にて利上げペースの加速やFRBのバランスシート縮小の可能性が示され、米国債の利回りが上昇したが、ドル円は上昇を阻まれ、かえって上値の重さが浮き彫りとなっている。

14日時点のシカゴIMMの先物市場における投機筋の円ショートは5万枚を少し超えた程度にすぎない。円売りの持ち高の重さが一段の円安進行を阻んでいるというわけでもないだろう。

ドル円と日米金利差が相関を失っている背景としてまず考えられるのは、そもそも昨年11月の米大統領選後のドル円急騰劇も日米金利差の拡大のほか、ドル資金の需給逼迫(ひっぱく)度合いが強く影響していた可能性がある点だ。

円を担保にドル資金を調達する際のプレミアムを示すドル円のベーシススワップのスプレッドは、昨年11月に急拡大し、本邦勢のドル資金の調達は難しさを増した。これは、ヘッジ外債投資を行う本邦投資家にとって、そのヘッジコストが急上昇したことを意味する。

3カ月物で見て一時は190ベーシスポイント(bp)にまで跳ね上がったヘッジコストを目の当たりにした本邦投資家によるヘッジ外し(ドル買い円売り)がドル円を押し上げた一因だった可能性が高い。ただ、足元では年末年始を越えた季節要因もあり、そのスプレッドが急縮小している。それとともに昨年11月に見れらた強いドル買い円売りは影を潜めており、こうした説明と整合的だ。

また、トランプ政権が金融規制の緩和を進めれば、米国の金融機関によるドル資金の供給力は飛躍的に高まり、スプレッドの縮小要因になると期待される。そうなれば、米国の利上げ観測の台頭や実際の利上げによってドル調達のプレミアムが急拡大し、為替市場での強力なドル買いにまで波及するといった事態は今後、起こりにくくなっていくだろう。

こうした環境であれば、事前に織り込み済みの利上げが実現する程度で、ドル円が力強く上昇するとは考えにくい。

<年後半は105―110円圏へじり安か>

ドル円と日米金利差が相関を失っている、もう1つの背景として考えられるのが、米国債の需給悪化だ。

例えば、米国債の最大保有国である日本と中国は、昨年11月から年末までに、それぞれ411億ドル、573億ドルと計984億ドルもの米国債を処分している。中国は、人民元を買い支える為替介入の原資として米国債を売却していくとの観測が根強い。

日本の投資家勢も米国債相場が大きく下落した上、前述の通り、為替ヘッジコストの先行きが見通しにくいことから、米国債の残高を減らしたと考えられる。今後、トランプ政権が打ち出す減税策は、その財源の多くを長期国債の増発に依存すると予想される。大統領選後の動きが示す通り、長期金利には上昇圧力(国債価格下落圧力)が加わる可能性があるだろう。

また、完全雇用とされる米国経済における財政出動がインフレ高進を招くとの見方を強めれば、それも金利上昇を促すと考えられる。さらに、FRBはここにきてバランスシート縮小の議論を始める姿勢を見せており、将来的な需給悪化懸念を高めやすい。

こうした状況も見据え、本邦投資家から見た日本の超長期国債の投資妙味も増す見込みだ。なぜなら、イールドカーブ・コントロールによって日本国債の利回り上昇が抑制されているとはいえ、30年債の利回りは世界的な金利上昇の影響を受け、利回り水準が0.9%台を回復している。

本邦投資家の外債投資が加速した時期は、2016年1月のマイナス金利政策導入よりも少し早い、30年国債利回りが1%を割り込んできたタイミングだ。FRBによる利上げによって、本来であればドル建資産がより魅力を増し、ドル高をもたらすと期待されている。しかし、米国債の需給悪化要因がこれだけ目白押しとなっている上、為替ヘッジコストの先行きも読みにくいことを考慮すると、ことヘッジ外債と比べた円債の投資妙味も今後、増してこよう。これもドル円の上昇を抑えると予想される。

税制改革や規制緩和といった米経済に対する追い風が見込まれる一方、利上げや保護主義が重しとなり、すでに8年目を迎えている米国の景気拡大がさらに勢いを増すのは容易ではない。このため、高まった米経済好転への期待が和らぐ過程で、ドル高の勢いは年末に向けて次第に和らいでいくと考えられる。

他方、日本では昨秋以降、石油輸出国機構(OPEC)による減産合意や米大統領選後のドル高といった外的な要因によって期待インフレが上昇し、実質金利が低下。これが、円安をさらに後押ししたとみられるが、ここまで指摘した背景によってドル高円安が進みにくくなるに連れ、今度は次第に日本株の上値が重くなろう。これまでとは逆に、期待インフレ率の低下と実質金利上昇によって、円高圧力がじわりと強まってくると思われる。

こうしたことを踏まえると、ドル円は年前半には底堅く推移すると考えられるが、いずれピークに達し、その後は徐々に軟化。年末にかけて105円から110円圏に向けて、じり安に推移すると予想している。

*内田稔氏は、三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチのチーフアナリスト。1993年、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、国内外で一貫して外国為替業務に携わる。J-money誌の東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では2013年から16年まで個人ランキング1位。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司) 
おすすめ記事


金正男氏殺害で両国非難の応酬 2017年 02月 20日
コラム:世界的デフレ終焉、今回は本物か=嶋津洋樹氏 2017年 01月 17日
コラム:トランプ氏の円安誘導批判は「空砲」=池田雄之輔氏 2017年 02月 06日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-minori-uchida-idJPKBN15Z0EB?sp=true
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/366.html

[政治・選挙・NHK221] 米連邦議員団が安倍首相表敬、経済関係の強化などを確認 貿易収支5カ月ぶり赤字、予想より拡大−輸入増 株式市場で静かな革命
米連邦議員団が安倍首相表敬、経済関係の強化などを確認 
[東京 20日 ロイター] - 米連邦議会の超党派議員で作る「米議会日本研究グループ」の議員団らは20日午後、安倍晋三首相を表敬訪問した。約30分間の意見交換では、先日の日米首脳会談や両国の経済関係の強化などが話題に上った。

会談後に記者団の取材に応じたビリー・ロング下院議員は「安倍首相とトランプ米大統領は良い関係を築いているようだ」と指摘。通商を巡るやり取りについての詳細は明言を避けた。

ロング氏はまた、両首脳が首脳会談の際にゴルフをプレーしたことにも触れ、首相にゴルフボールやゴルフ用の帽子を贈呈したと明らかにした。
http://jp.reuters.com/article/abe-us-idJPKBN15Z0MM


 
1月の貿易収支は5カ月ぶり赤字、予想より拡大−輸入は増加
高橋舞子
2017年2月20日 09:09 JST更新日時 2017年2月20日 13:07 JST

関連ニュース
ドル・円が上昇、米利上げ期待や日本株高で−113円台前半
日本株式市場で静かな革命進行中−配当や自社株買いで内部留保に対応
三井住友とりそな、傘下の関西地銀3行の統合を検討−関係者
トランプ政権「もう一つの事実」を経済統計でも主張か−専門家が懸念

• 中華圏の春節の影響で輸出が伸び悩む−2、3月まで勘案して判断を
• 輸入は円安や原油価格の上昇が影響−米国からシェールガスも初輸入

輸出から輸入を差し引いた日本の貿易収支は1月速報で5カ月ぶりの赤字となった。赤字幅は市場予想を上回った。正月休みに伴い輸出が伸びず、輸入が円安の進行や原油価格の上昇で25カ月ぶりに増加に転じたことが主な要因。
キーポイント
• 貿易収支は前年同月比67.8%増の1兆869億円の赤字(ブルームバーグ調査の予想中央値は6259億円の赤字)−前月(確報)は6404億円の黒字
• 輸出は1.3%増の5兆4219億円と2カ月連続で増加−前月(同)は6兆6793億円
• 輸出数量指数は0.3%減と3カ月ぶりに減少
• 輸入は8.5%増の6兆5088億円と25カ月ぶりに増加−前月(同)は6兆389億円



https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipxQ5hpxlrdY/v2/-1x-1.png

背景
  世界経済の回復に伴い輸出が増加基調にある中、貿易収支が赤字に転じた背景には原油価格の上昇や米大統領選後の円安によって輸入額が増加に転じた要因がある。昨年2月中旬ごろだった中華圏の春節が1月下旬ごろに前倒しとなり、輸出が伸び悩んだ影響も考慮する必要性がある。
エコノミストの見方
• 明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは統計発表後の取材で、輸出について「回復に向かう中で伸びが一時的に鈍った。引き続き回復傾向にある」と指摘。先行きについては円安と原油高で、個人消費の伸びが限定的なものにとどまることから、「今後も、外需主導の景気回復、内需は弱いという構図は変わらない」とみている。
• SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは統計発表後のリポートで輸出は実質でも数量でも「明らかに弱い」とした上で、「春節の影響は推し量りにくい。2月、場合によっては3月データまで勘案して判断するべきと言える」と指摘。「2017年の輸出は引き続き強気で見ておいて良い」と予想している。
詳細
• 輸出は鉱物性燃料が前年同月比52.3%増、自動車の部分品が12.5%増と増加に寄与
• 輸入は原粗油の数量は3.5%減少も、金額ベースで35.6%増加、中国が過剰採掘を抑制している石炭も同52.2%の大幅増
• 米国向け輸出は前年同月比6.6%減と2カ月ぶり減、欧州連合(EU)向けは5.6%減と4カ月連続減
• 中国向けは3.1%増と3カ月連続の増加−財務省は中華圏の春節では通関手続きの遅れなどにより日本の輸出が弱めに出ると説明
• シェールガスを初めて米国から輸入−同国からの液化天然ガスが全増の159億円に

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-20/OLIEFO6S972N01

 


 
日本株式市場で静かな革命進行中−配当や自社株買いで内部留保に対応
Adam Haigh、Finbarr Flynn
2017年2月20日 14:54 JST
Share on FacebookShare on Twitter
関連ニュース
日本株3日ぶり反発、ブリヂストやソフバンク高い−代金最低
三井住友とりそな、傘下の関西地銀3行の統合を検討−関係者
トランプ政権「もう一つの事実」を経済統計でも主張か−専門家が懸念
EU離脱どこ吹く風か、エクスペディアやアマゾンがロンドンで人員増
ブルームバーグ ニュースをフォローする
Facebook Twitter
ROE重視を政権当局者やGPIF、機関投資家などが働き掛け
「日本株式会社」は歴史的転機にあり、トレンド継続するとの見方も
Share on Facebook
Share on Twitter
失望が絶えなかった日本の株式市場で、静かな革命が進行中のようだ。
  日本企業は何年も、現金を蓄え続けてきた。その規模は昨年9月時点で2兆4000億ドル(約272兆円)相当と世界最大。この資金を株主にいかに還元するかがずっと課題だった。
  株主資本利益率(ROE)への関心を高めることがアベノミクスの重要な要素であり、今や一部の投資家が変化を実感しつつある。世界で1兆ドル余りを運用する仏アムンディ・グループもその一つで、資金力に富みながら経営面で改革の機が熟している企業を投資対象として注目している。
  アムンディ・ジャパンのチーフ・インベストメント・オフィサー、岩永泰典氏は今月のインタビューで、「この業界で25年働いているが、このようなアプローチは過去に見たことがない」と述べ、「企業からはここ数年で配当支払いや自社株買いを増やす対応が見られる。この傾向は続くはずだろう」と付け加えた。

 
  こうした変化の背景には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の存在がある。1兆3000億ドル相当を運用するGPIFが圧力をかけ、機関投資家や企業幹部に内部留保問題への対応を迫るほか、安倍政権の下でROEや企業統治重視の新株価指数の算出が始まったことで、構成銘柄にはGPIFや日本銀行から買いが入る。与党当局者からは企業の内部留保に追加課税するアイデアさえ浮上した。
  そして、責任ある機関投資家の諸原則に関する日本版スチュワードシップ・コードが年内にも改定される可能性があるほか、15年に導入された企業統治指針は会社から独立した立場の社外取締役の選任につながってきた。この指針についても将来の改定に向けて議論がなされている。
  「日本株式会社は歴史的な転機に差し掛かった」と語るのは、UBS証券ウェルス・マネジメント本部の日本株リサーチヘッドの居林通氏だ。「新しい企業統治指針とスチュワードシップ・コードが日本企業の経営を一変させるとみている」と語った。
  UBSのデータによれば、16年に自社株買いプログラムを発表した企業数は824と、前年を16%上回った。購入の規模は6兆円余りに上ったという。この傾向を17日に如実に示したのはブリヂストンで、同社は少なくとも2000年以来の規模となる自社株買いを発表。1500億円を上限に購入する計画を明らかにした。
  こうした傾向は、比較的低水準の配当とROEに特徴付けられた日本の株式市場を突き動かすはずだ。UBSのデータによれば、自社株を12年1月以降に買い戻した企業の株価はベンチマーク指数を39%余り上回っている。
原題:A New Play Looms for Japan Stocks, and It’s All About Cash (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-20/OLNPX46JIJVE01

http://www.asyura2.com/17/senkyo221/msg/147.html

[経世済民119] シムズ理論、10の疑問 トランプ為替認識に危険 今年ドルピーク、マネー米国離れ 新聞トランプ景気 英最大懸念、移民<経済
コラム:
シムズ理論、10の疑問

河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 21日] - 日本の財政について、筆者が懸念しているのは、ノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授らが主張する「物価水準の財政理論(FTPL)」を根拠として、安倍晋三首相が財政健全化の方針を転換し、2%インフレが達成されるまで、消費増税と基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字達成目標を凍結することである。

以下、筆者がよく尋ねられる疑問に答える形で、「シムズ理論」を現実に応用する問題点を指摘したい。

Q1)シムズ理論とは何か。

理論のエッセンスは、1)ゼロ金利制約で金融政策が有効性を失う場合、追加財政が代役となり得る、2)その場合の追加財政は、将来の増税や歳出削減で賄うことを前提にした通常の財政赤字ではなく、インフレでファイナンスされた財政赤字、というものだ。これまで追加財政を繰り返しても、必ずしもインフレ醸成につながらなかったのは、追加財政を行う際、政府が同時に財政健全化を約束していたからだという。

追加財政を行っても、将来の増税や歳出削減を政府がアナウンスすると、人々もそれを前提に行動するから支出は必ずしも増えず(リカーディアン効果)、それゆえ、需給ギャップの改善も十分ではなく、インフレ醸成にも十分つながらなかった。そこで、リカーディアン効果を回避すべく、増税や歳出削減を一切予定せず、インフレによる返済を前提とした追加財政を行うべき、というのがシムズ教授らの主張だ。

極端に言えば、政府に財政規律があるからインフレが醸成されないのであり、公的債務を将来の増税や歳出削減で賄おうとしない非リカーディアン型政府になって、一時的に財政規律を捨て去れと言っているようなものである。

ポール・クルーグマン米ニューヨーク市立大学教授(ノーベル経済学賞受賞者)のインフレ醸成理論は、「中央銀行が無責任になればインフレ醸成が可能」というものだったが、シムズ教授はそうははっきりと言わないものの、結局、「政府が無責任になればインフレ醸成が可能」と解釈できる主張である。

Q2)政府の宣言だけでインフレ醸成は可能なのか。

もちろん、政府の宣言だけでインフレ期待が醸成されるのは、理論の世界の話だ。1998年以降、大規模財政が繰り返され、一方で財政健全化は掲げられてはいるが、先送りが繰り返されてきた。安倍政権になっても、2度も消費増税が先送りされ、一方で2014年初以降、完全雇用にあるにもかかわらず、毎年、補正予算で追加財政が繰り返されている。

すでに財政規律は弛緩し、非リカーディアン的世界にかなり近いが、インフレ期待は醸成されていない。実際のインフレ醸成には、政府の宣言だけでなく、需給ギャップを大幅に改善させるほどの、大規模な追加財政も必要だろう。

Q3)従来のアベノミクスとの整合性は取れるのか。

シムズ理論とアベノミクスとの親和性は相当に高い。まず、アベノミクスが掲げるデフレ脱却は残念ながら、まだ道半ばだ。さりとて、金融政策もほぼ限界である。無理を承知で金融緩和を進めて円安が進めば、一時的にはインフレ醸成も可能かもしれない。だが、そうなると、2014―15年と同様、実質購買力の棄損する家計の不満が募り、次期衆院選には逆風となる。

さらにトランプ政権の誕生を背景に、一段の金融緩和によるインフレ醸成は、円安誘導批判の誹りを避けることができず、日米関係を考えると難しい。国内の家計の不満を背景に、すでに2015年頃からアベノミクスの政策の主軸は、金融政策から財政政策にシフトしていた。シムズ理論という「新たな矢」を加えることで、アベノミクスを進化させると訴える可能性がある。

シナリオとして考えられるのは、2%インフレが達成された後に、消費増税と財政健全化を再開するというものだろう。換言すれば、2%インフレが達成されるまで、消費増税と財政健全化は凍結される。FTPLは、政府の財政行動が物価を規定する理論であるから、現実的な妥当性はともかくとして、理論的には整合性は担保される。

Q4)政府は、日銀と2013年1月に結んだアコード(共同声明)で、日銀が物価目標の早期達成を目指す一方で、構造改革と財政健全化を進めることを約束した。政府側のアコード破棄で日銀は困らないのか。

確かに、アグレッシブな金融緩和は財政ファイナンスではないという主張が可能だったのは、そのアコードが存在していたからだ。ただ、アコードを政府が反故(ほご)にするから、日銀も大量の国債購入やイールドカーブ・コントロールを直ちに止めるとは宣言できない。長期金利が急騰すれば、経済や金融システムへ悪影響を与えるからだ。

ちなみに、未曽有の公的債務が積み上がっているにもかかわらず、すでに日銀がイールドカーブ・コントロールを採用しているため、ここでシムズ理論が実践され、追加財政が開始されれば、それはすなわち、「財政従属」の明白な開始を意味する。

通常、我々が金融政策を論じる際、リカーディアン型政府を前提にしていた。つまり、経済と物価の安定を図るべく金融政策を決定し、政府はそれを前提に、財政運営を行う。

しかし、非リカーディアン型政府は公的債務の返済に責任を持たず、中央銀行がその尻拭いをする。中央銀行の金融政策の主目的は、国債管理、すなわち長期金利の上昇回避となり、マクロ経済や物価の安定ではなくなる。イールドカーブ・コントロールがすでに採用されているため、日銀が現在の政策を続けるだけで財政従属への移行となる。

<危機の臨界点が訪れるのは2025年か>

Q5)追加財政が繰り返されると、インフレではなく、金利が上がるのではないか。

シムズ理論が採用されるか分からない現状では、あくまで頭の体操だが、人々のインフレ期待が簡単には変わらないとすれば、追加財政が繰り返され、国債の需給悪化から金利上昇圧力が増すだけかもしれない。リフレ派の困ったところは、インフレが醸成されないのは金融緩和が足りないからと主張することだが、追加財政に対しても同様の主張がなされるのは目に見えている。

問題は、長期金利が上昇すると、マクロ経済や金融システムに大きな悪影響が及ぶことだ。それを避けるため、日銀は国債購入を増額し、その結果、バランスシートは止めどもなく膨張する。日銀は財政赤字の2倍の国債を毎年購入し、国債発行残高の4割強をすでに保有しているが、それがさらに膨らむ。追加財政に伴う金利上昇を抑えようと中央銀行がバランスシートを際限なく膨らませれば、必ずインフレは生じるはずだ。

Q6)どのようなメカニズムでインフレが始まるのか。

すでに日本経済が完全雇用にあることを考えれば、それほど追加財政を繰り返さなくても、需給ギャップが改善し、インフレ率が上昇する可能性もある。金融政策はゼロ金利制約に直面すると効かないが、継続的な追加財政は、将来負担の増加懸念が現役世代の消費を抑制するなどの非ケインズ効果がよほど大きく現れなければ、需給ギャップの改善を通じ、インフレ圧力を生む。

また、公的債務の発散が懸念されれば、理屈上は、長期金利上昇圧力や円安圧力が増すが、前者については、すでに日銀が証明して見せた通り、抑え込むことは難しくない。問題は、金利を引き上げられないため、円安圧力については、抑えられない点だ。

むしろ、円安でインフレが上昇すると、長期金利に上昇圧力が掛かり、それを日銀が吸収すると実質金利が低下し、さらなる円安とインフレのスパイラルがもたらされる。限界はあるものの、政府のドル売り・円買い介入で円安を抑え込もうとするのだろうか。円安ドル高を嫌うトランプ政権が協調してドル売り・円買い介入に付き合えば抑え込めるだろうか。

Q7)インフレ上昇で公的債務は圧縮されるのか。

インフレが上昇すれば、実質成長率が低迷しても、名目成長率の上昇で税収は増えるから、公的債務は圧縮される。これが、シムズ理論が説明するインフレ税による公的債務圧縮だ。

もちろん、シムズ教授も高インフレは想定しておらず、インフレ率が上昇すれば、伝統的金融政策の有効性の復活で、非リカーディアン型財政行動を修正すればよいと考えているはずだ。そうなれば、消費増税もPB黒字目標も再開できる。だが、それは「ハーベイロードの原則(賢人政治)」を前提にしたものであり、現実の社会では、うまくいかないというのが筆者の従来からの考えだ。

選挙に直面する政治家が、インフレが上がれば追加財政を止めるというのは現実的な仮定か。追加財政を止めれば、実際問題として「財政の崖」による景気の落ち込みに直面するため、必ずや繰り返される。

繰り返す分には、コストは物価上昇だけで済み、有権者の嫌う増税も歳出削減も不要だ。我々は、良識ある善良な専制君主の下で政策を決定しているのではなく、議会制民主主義の下で、選挙に直面する政治家が、複雑な政治過程の中で政策を決定する世界にいることを忘れてはならない。

Q8)中央銀行制度が骨抜きになるのか。

中央銀行制度が確立する前は、政府自らが発行する政府紙幣が大量に印刷されて財政ファイナンスが行われ、それが高率のインフレにつながる現象も頻繁に観測された。それはまさに非リカーディアン的世界であり、政府の負債(公的債務残高)が物価動向を規定していた時代だ。

現代において、高率のインフレが回避されるようになったのは、中央銀行がうまく物価のコントロールを行うようになったから、と説明されることが多い。確かにそうした面もあるが、高率のインフレが回避されるようになった真の理由は、政治的に独立した中央銀行制度の確立によってマネタイゼーションの誘惑を政府自らが断ち切ったためである。組織形態はともあれ、政府が自制を失い、再び非リカーディアン型政府に移行すれば、高率のインフレが訪れる。

Q9)非リカーディアン型政府へのシフトは日本だけの現象か。

政府が自己抑制として、政治的に独立した中央銀行制度を確立したのは、民主主義がうまく回っていたから、というのが筆者の第1の仮説である。そして民主主義がうまく回っていたのは、高い成長の時代だったから、というのが筆者の第2の仮説だ。

しかし、今や高い成長の時代は終わり、分配すべき成長の果実は失われ、負担を配分する時代に入っている。当然、負担増は有権者に嫌われ、低成長時代の政治的帰結として、ポピュリズムが世界を席巻している。

第1と第2の仮説から得られる推論(第3の仮説)は、「低成長の時代には、民主主義がうまく回らず、リカーディアン型政府は非リカーディアン型政府に取って代わられ、中央銀行は再び国債管理を割り当てられて、社会は高率のインフレを経験するようになる」というものだ。近年のポピュリスト政権の誕生と、金融政策から財政政策への世界的なシフトはこうした文脈で捉えるべきではないか。世界的に財政インフレの時代が訪れる可能性がある。

Q10)危機の臨界点はいつどのようにして訪れるか。

経済規模が縮小し、将来の税収では返済できないと人々が認識し始める段階が臨界点であり、その辺りからインフレが始まる。これが現実経済に当てはめた場合のFTPLに関する筆者の理解である。

FTPLでは人々の期待が重視されるが、現実の世界では、フォワード・ルッキングな期待形成がなされなくても、総需要に比べ総供給が小さくなる中で、政府消費が膨張を続け、バックワード・ルッキングにインフレが上昇するという極めて分かりやすい現象となるのではないか。具体的なタイミングの1つとして考えられるのは、団塊世代が75歳を迎え、医療費が急増する2025年前後だ。資本の取り崩しが始まり、潜在成長率が明確なマイナスの領域に入る。

もし2019年10月の消費増税を先送りすれば、内閣府の試算から類推される通り、仮に高成長が実現しても、PB黒字は2025年も達成されない。もちろん、資本輸入で資本蓄積を賄い、潜在成長率を維持することも理論上は可能だが、資本流入を促すための金利上昇に、政府と日銀を合わせた統合政府の巨額の負債は耐えられなくなっているはずだ。

仮に運良く2025年問題に対応できても、団塊世代が85歳を迎え、介護費も急増する2035年問題を乗り切るのは相当難しい。

――関連インタビュー:インフレ税はなぜ日本に必要か=シムズ教授

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)


コラム:トランプ流保護主義に「ドル安」は不可欠=亀岡裕次氏 2017年 01月 30日
コラム:成長の時代はなぜ終わったのか=河野龍太郎氏 2017年 01月 15日
コラム:日米中銀悩ますシムズ案とトランプ政策=永井靖敏氏 2017年 02月 03日
http://jp.reuters.com/article/column-ryutaro-kono-idJPKBN1600IX

 


 

コラム:トランプ米大統領の為替認識に潜む「危険」

Edward Hadas

[ロンドン 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 生半可な考えは、まったくのでたらめよりも危険な場合がある。トランプ米大統領の為替レートに関する考えはその良い例だ。それは一面で本当だが、提唱している解決方法が問題自体より有害なことから、なおさら始末が悪い。

トランプ氏と米国家通商会議のナバロ委員長は、中国とドイツ、そして恐らく日本が人為的に為替レートを押し下げているとみなしているようだ。その結果、米国から雇用が奪われているという。

こうした批判には一片の真実が含まれている。為替レートは輸出入にある程度影響し、対外収支は雇用を幾分左右する。例えば中国は、人民元を強引に低いレートに抑え込み、輸出拡大を後押しして、経常黒字は2007年に国内総生産(GDP)の10%まで拡大した。この大規模な対外不均衡は、雇用の不均衡も意味した。つまり中国が世界に製品を提供するために生み出した雇用は、残りの世界が中国向け輸出に絡んで創出した雇用よりも多くなった。

しかしこれは真実としても、ほんの些細な事象にすぎない。米経済が抱える問題において、不公正な貿易というのは重要度のリストでは下の方に属する。米国の対GDP比2.5%という経常赤字は、国内の労働市場や経済的繁栄に相応の変化をもたらすにはあまりにも小さすぎる。米国の輸出産業が創出する雇用、米国への輸入品を外国が生産することで奪われる雇用の量はさほど差はない。

また経常収支から見ていくらかの「雇用の赤字」があるとしても、その大半は資本収支の黒字で穴埋めされるはずだ。資本収支が黒字ということは、外国人が対米輸出で稼ぎ、米国からの輸入品購入に使っていない資金が存在する。これらは米国の金融市場を通じて雇用を伴う投資として有効に活用され得る。もし米国がその機会を逃しているなら、それは貿易相手国が悪いからではなく、愚かな政府もしくは金融システムの不適切な管理が原因だろう。

百歩譲って対外不均衡が問題だと考えても、ドイツや米国のような先進国では為替レートは解決策としては大して効果がない。確かに、通貨安はしばらく輸出拡大に寄与するが、別の要素の方がずっと影響力が大きい。高度な製品は価格よりも品質やサービスが物を言う。さらに世界的なサプライチェーンの存在は、大幅な為替レートの変動も最終価格段階ではかなり小さくしてしまう。

各国はやろうと思えば国内の税制や資本フロー、金融政策を駆使して貿易に影響を及ぼせる。トランプ氏に政策を助言しているエコノミスト、ジュディ・シェルトン氏はウォールストリート・ジャーナル紙に対して、日本の大規模緩和は主に輸出促進が狙いで、米国に打撃を与えているとの見解を示したが、いささか被害妄想の気がある。さまざまな国家が米国のためにならない経済運営をしているからというだけで、不正になるわけではない。

いずれにせよ通貨価値に焦点を当てた政策は予測不能で、貿易への影響も測りがたい。日本のケースを見ても、アベノミクスが輸出にプラスかどうかこれまでのところはっきりしていない。

為替レートについてもう少し理屈の通った不満と言えるのは、変動が激しすぎることだ。ドルの実質実効レートは2011年以降に39%上昇し、02─11年は33%も下落した。いずれもなぜそうなったのかもっともらしく説明したり、正当化するのは難しい。

より短期的な乱高下も同じくその動きは勝手気ままで、国境を越えた投資のハードルを上げる。為替トレーダーにとってこそ好都合だが、実体経済には足かせとなる。

こうしたボラティリティを抑える最適な方法は、実効レートの安定化に主要中央銀行が協力することだ。国際協調が実現すれば、米国の富はより急速に、より着実に、より安全に増加していける。しかし現時点でこれは想像外の世界にある。シェルトン氏は固定相場への回帰を主張するだけでなく、為替市場への政府介入も非難している。

トランプ氏は、無害な貿易不均衡への対応として経済政策の中で最も信頼性が劣る「輸入代替(輸入に頼っていた製品を国産に転換すること)」を提案した。

同氏や側近は、輸入代替を実現する一番のやり方は個別企業たたきと関税措置の組み合わせだと考えている。もし外国政府が報復に動けば、お互いを傷つける貿易戦争が勃発する可能性がある。たとえ通商面でそれほど波風が立たなくても、米経済は国際貿易に背を向けることで大きな損をすることになる。輸入代替は、米国民が現在の輸入品より質が低く割高な製品を生産する結果を招く。輸出産業の雇用は、より低質なかつての輸入品の代替製品生産業に置き換えられる。

為替レートは何世紀にもわたって経済が抱える問題の1つになってきた。固定相場制度の時代は、動きがあまりに小さかったり、突然崩壊する場面があった。現在の変動相場制では、動きが急速すぎるか、突発的すぎる面がある。それでもトランプ氏の考えのように為替レートに対する筋の悪い解決策は、何も手を打たないよりも害が大きい。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


視点:トランプ円安は幻想、進む「米国の日本化」=青木大樹氏 2017年 01月 23日
コラム:中国の外貨準備高、越えた危険な一線 2017年 02月 08日
女性元行員、4億円を着服か 2016年 12月 22日
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-forex-breakingviews-idJPKBN1600AN


 


 
今年がドルのピーク、マネーは米国から離れて行く−プリンシパル
小宮弘子、Chikako Mogi
2017年2月21日 08:05 JST更新日時 2017年2月21日 16:17 JST

関連ニュース
日本株は続伸、欧州政治の不安後退と円安−輸出や金融堅調、紙パ急伸
フリン氏後任の米大統領補佐官にマクマスター氏−直言恐れぬ論客
米国債市場の歴史的データ、リフレトレードに疑問呈す
東芝:メモリ事業売却で1兆円超調達へ、信用不安打ち消し−関係者

• 米国からより成長率の高いところへマネーはシフトへ
• 年後半に日欧で金利上昇圧力、米長期金利は一段と上昇へ

「今年はドルにとってピークの年だろう」ー。プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフグローバルエコノミスト、ボブ・バウア氏は、世界的に景気回復基調が強まる中で、グローバルマネーの米国離れが起きるとみている。
  バウア氏は20日のインタビューで、「一般的に世界経済が回復している時は、マネーが米国からより成長率の高いところに流れるため、ドルにとってフレンドリーではない」と指摘。「世界生産高をドルで見た場合、2015年は1930年代以降で最悪のリセッションだったが、昨年の第1四半期から回復が始まり、今や世界中で名目成長率がピックアップしている」とし、グローバルマネーの流れを変える環境が整いつつあるとの見方を示した。同社の運用資産総額は4000億米ドル(約45兆円)超。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iNTvfhdZkzE8/v2/-1x-1.png

  欧州の政治不安や米トランプ政権の保護主義的姿勢を背景に世界的なリフレトレードに一巡感が広がる中、ドル指数と米長期金利は昨年末以降、伸び悩んでいる。
  バウア氏は、ドイツや日本の国債利回りの上昇なしに、米長期金利がさらに上昇するのは難しいとした上で、欧州ではインフレ率が高まっており、夏以降にはドラギ総裁ら欧州中央銀行(ECB)のハト派トーンが弱まると予想。日本はデフレが終わり、年末に向けて日本銀行が長期金利の誘導目標を現在のゼロ%から0.25%程度に引き上げると見込み、「この両方が起こった時に米金利は一段と上昇する」と語った。
  一方、米国の金融政策については、「今年は2回、恐らく3回の利上げで十分」だとし、市場に準備させるためにも、次回利上げは3月でなく、5月か6月の公算が高いと予想。米長期金利は、年末までに3〜3.5%まで上昇する可能性があるとみている。ただ、欧州や日本でも利回りが上昇しているため、ドルは「それほど強くはならない」と言う。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i6oZVA_MI5b8/v2/-1x-1.png

  トランプ米大統領の政策については、「米国や世界経済にとってかなりポジティブ」な減税・規制改革と、内容によっては「かなりネガティブ」な通商政策の「二つのトランプ」があるが、後者についてはすでに一部主張を軟化させており、米政府は税制や規制改革に重点的に取り組むだろうと語った。
  
  市場ではトランプ政権の為替政策に対する警戒感も強い。バウア氏は、トランプ氏はドル高は製造業の雇用を増やすという目標にとって助けにならないとコメントしているだけで、ドル高是正で行動を起こすとは思わないと指摘。そもそも世界の準備通貨であるドルの水準に対してトランプ大統領ができることはほとんどないとし、「トランプ氏はいくつかツイートする以外、ドルにあまり重点を置かないだろう」と述べた。
  ドル・円相場については、年後半に120〜125円へ上昇する可能性はあるものの、それ以上のドル高・円安進行の可能性は低いと予想。日本の利上げが遅い中で、110円を超える円高も考えにくいと語った。
  バウア氏は今年の米経済について「3%に近い」成長を予想。「世界経済において最も重要なのは根本的な経済状態であり、われわれがまだ2015年のリセッションからの著しい回復局面の最中にあるということは、根本的なファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)はかなり良好で金利の方向性は緩やかに上向きということだ」と指摘した。
  その他の発言の要旨は以下の通り。
• 株に対して強気。特に米国株やヘッジベースの日本株は5〜10%程度の上昇余地
o 一部ディフェンシブ株、有配株は割高。景気循環株、バリュー株および小型株の上昇を予想
• 金利上昇でほぼ全てのソブリンボンドを推奨せず。社債はオプションも、デュレーションは短め
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-20/OLP1S36KLVRX01

 

 

焦点:新聞業界に思わぬ「トランプ好景気」、広告増を招くか

Jessica Toonkel

[ニューヨーク 16日 ロイター] - 伝統的ニュースメディアに対して「野党」や「フェイク・ニュース(偽ニュース)」とこき下ろすトランプ政権の敵対的な姿勢は、電子版に読者や広告主を集めようと苦心する新聞業界にとって今年最大の希望になりつつある。

ニューヨーク・タイムズ(NYT.N)、フィナンシャル・タイムズ(FT)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)やガネットは、2016年の大統領選挙期間中に、偏らない報道を戦略的に売り込むことによって獲得したデジタル版の購読者を、今後の足掛かりにしたいと願っている。

ただし、こうした新たな読者層が、広告収入につながるかどうかについては、リスクが残る。一部の新聞に対しては、政治的に偏向しているという批判もあるからだ。調査会社エデルマンが28カ国3万3000人以上を対象に行った調査では、メディアに寄せる信頼が過去最低となる35%にまで落ち込んでいる。

とはいえ、これまでのところ新聞社の経営幹部や投資家が楽観的に構えるだけの理由はある。

トランプ大統領がツイッター上の投稿で「破綻しつつある」と表現したニューヨーク・タイムズは、昨年10月─12月に電子版の有料会員が約27万6000人増え、過去最大の伸びを記録。今期の電子版の広告収入も10─15%増を予想している。同社は電子版の有料会員も20万人増加することを期待している。

WSJは直近の四半期で電子版の有料会員を約11万3000人増やした。約12%近い急成長だ。同社は、1月はさらに好調だというが、詳細は明らかにしていない。

FTの電子版有料会員数は昨年10月─12月に6%増加し64万6000人に達した。一方、ガネットの「USAトゥデー・ネットワーク」を構成する米地方新聞109紙のデジタル有料会員数は、同四半期に26%増えて18万2000人となった。

ガネットは、同ネットワークの一部であり有料課金モデルではないUSAトゥデーについて、収入が1.4%増加したと指摘。USAトゥデーの昨年10月―12月期の広告収入のうち68%はデジタル部門が稼いだものだという。

プロパガンダ目的で虚偽の記事を公開する「偽ニュース」サイトが増えるなかで、伝統的なメディアにとってもう1つの課題は、折に触れて彼らの報道を「偽ニュース」だと表現するトランプ大統領が示す敵意にどう対応するか、である。

大統領を補佐するスティーブ・バノン上級顧問は1月、ニューヨーク・タイムズとのインタビューで、「野党は(民主党ではなく)メディアだ」と述べている。

<「傾きなし」と宣伝>

WSJは、大統領選の期間中にウェブサイトと紙面で、広告主と読者の信頼を得るための広告を掲載した。その1つはピンボールマシンの写真に「傾きなし。公平な選挙報道」というキャプションを付したものだ。

WSJは選挙後も、同紙のコンテンツは「現実の編集部で書かれ、編集され、校閲されたもの」だと強調する広告を掲載している。

購読料収入の増加に力を入れるニューヨーク・タイムズは、1月、「真実」と題するキャンペーンを開始。「真実。そのためにはあなたの支援が必要だ」と読者に購読契約を促すオンライン広告である。

ニューヨーク・タイムズのマーク・トンプソンCEOは最新の業績報告のなかで、同紙が公正で正確であることを読者に理解してもらうことに活路を見出しており、今後数週間でまた新たな販売キャンペーンを開始する計画だと述べている。

FTは、大統領選挙、そして現在はトランプ政権に関する報道を宣伝する「事実、真実」キャンペーンを行っている。

「USAトゥデー・ネットワーク」という呼称のもとで刊行物のブランド再編を行なったガネットは、同社が全米に地方紙ジャーナリストを抱えていることを強調するために大統領選挙を活用した、と最高マーケティング責任者アンディ・ヨースト氏は語った。

<広告主は集まるか>

選挙運動によってあおられた米国内の分断ゆえに、ブランド側は、政治的に偏っている印象のある出版物を避けているという。ロサンゼルスに本拠を置くブランド戦略代理店フェノメノンで戦略担当者を務めるナタリー・プラウト氏はそう指摘する。

たとえば、11月の選挙以来、あるブランドがハフィントンポストに広告を出稿すれば、そのブランドはリベラル派の主張を支持していると認識されることへの理解が高まってきた、とプラウト氏は言う。

またブランド側では、「フェイク・ニュース」と見られる記事に自社の広告が表示されてしまうことも懸念している。したがって、第三者を通じてデジタル広告枠を購入する「プログラマティック広告」を利用する場合にも、これまでより神経を尖らせている。

自社の広告が表示されたくないサイトを挙げるよりも、どのサイトに表示したいかを選択する出稿企業が増えている、とニューヨークに本拠を置く広告代理店ザ・メディア・キッチンのバリー・ローウェンタール社長は語る。

最近は購読者数が増えているとはいえ、新聞各紙は依然として強い逆風に悩まされていると新聞業界のアナリスト、ケン・ドクター氏は指摘。「紙媒体の広告料は急落している」とドクター氏。「基本的な状況は変わっていない」

WSJを系列下に置くダウ・ジョーンズの最高マーケティング責任者スージー・ワットフォード氏は、デジタル版購読者の増加は、たとえばカンファレンスなど、他の分野での広告出稿を促すうえでも有益であると話している。

「人々を呼び込む能力が上がるほど、健全な広告ビジネスを構築して維持することが可能になる」とワットフォード氏は語った。

(翻訳:エァクレーレン)

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
トランプ氏、選挙活動の軌道修正か撤退すべき=WSJ論説
トランプ氏は軌道修正か撤退を、WSJが辛らつ批判
クリントン氏、22日に副大統領候補発表の見通し ケイン議員が最有力
マクドナルド株大幅高、「ポケモンGO」日本配信で提携と報道
テンセント、ソフトバンク傘下のスーパーセル買収で交渉=関係筋

http://jp.reuters.com/article/newspapers-trump-campaigns-idJPKBN160056?sp=true


 


英国人の最大懸念、移民でなく景気


[ロンドン 21日 ロイター] - 調査会社ニールセンが21日公表した調査では、英国人がテロや移民の問題よりも景気について懸念していることが明らかになった。英国の欧州連合(EU)離脱計画について懸念が強まっていることが改めて示された。

調査は504人を対象にオンラインで実施。16年末時点で最も懸念が大きい2つの問題の1つとして経済を挙げた回答者は28%と、1年前から12%ポイント上昇。一方、テロ、移民との回答はともに20%に低下した。1年前はテロは32%、移民は22%だった。

ニールセンの英国・アイルランド担当マネジング・ディレクター、スティーブ・スミス氏は「EU離脱に向けた政治・経済の計画策定が進むなか、消費者は国内雇用の喪失について懸念を強めている」と指摘した。

英政府はEU離脱交渉で移民流入の制限を優先し、EUの単一市場から脱退する方針を明らかにている。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
英EU離脱を率いたファラージ氏、トランプ氏の集会で演説
スペイン経済相、16年財政赤字目標未達の可能性示唆
コロンビア左翼ゲリラ、武装解除開始の準備整う=大統領
ポルトガル、IMF融資の半額を返済完了
日欧EPA、17年中の妥結を想定=欧州委筋
http://jp.reuters.com/article/postbrexit-economy-idJPKBN16004G


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/383.html

[経世済民119] 米原油先物が続伸、投機筋の買い越は過去最高 米国債リフレトレード疑問 フランスPMI8カ月連続50超 豪中銀楽観成長加速
米原油先物が続伸、投機筋の買い越しは過去最高

[東京 21日 ロイター] - 米原油先物相場が21日のアジア市場で2日続伸。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した週間統計などで、ヘッジファンドなど投機筋による米原油先物・オプションの買い越しが過去最高となったことを受けた動き。

米国産標準油種WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)CLc1は23セント高の1バレル=53.63ドル。米国の休日による前日20日の短縮取引では約29セント(0.5%)上昇した。

北海ブレント先物LCOc1はまだ取引が成立していない。前日は0.7%高の56.18ドルで取引を終了した。

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国による昨年の減産合意が投機筋の買いの背景。

インターコンチネンタル取引所(ICE)が20日発表した週間統計でも、米原油市場での楽観を反映し、投機筋のブレント先物・オプションの買い越しが過去最高を記録した。

ただ、クリッパーデータのアナリスト、マット・スミス氏は「ヘッジファンドの買い越しが未知の領域を突き進んでいるため、価格が急反落するリスクも高まっている」と警告している。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
米原油先物が3%超下落、在庫統計で供給過剰懸念再燃
原油先物2%高、イランが増産凍結に前向きとのニュース受け
アングル:VIX先物の大規模な売りポジションに隠された真相
原油先物下落、中国燃料輸出増で供給過剰懸念
原油先物3%下落、中国燃料輸出増などで供給過剰懸念高まる
http://jp.reuters.com/article/global-oilfuture-trading-idJPKBN16004Y

 

 


米国債市場の歴史的データ、リフレトレードに疑問呈す
Liz Capo McCormick
2017年2月21日 13:21 JST

関連ニュース
日本株は続伸、欧州政治の不安後退と円安−輸出や金融堅調、紙パ急伸
フリン氏後任の米大統領補佐官にマクマスター氏−直言恐れぬ論客
東芝:メモリ事業売却で1兆円超調達へ、信用不安打ち消し−関係者
三井物:主戦場の米国市場に参入、不動産運用事業−最大620億円投資

• 過去数十年のデータは5月から9月まで利回りが低下する傾向示す
• 今年は欧州の選挙をめぐる政治的な緊張も影響か

歴史が手掛かりになるとすれば、債券投資家はトランプ政権が米経済をフル稼働させ、米国債利回りを年末まで押し上げるという賭けにのめり込むことには慎重になるべきだろう。
  インフレ率上昇の兆候を受け米金融当局による利上げ観測が高まる中、一部の年限では利回りが今年最高の水準にある。だが、米国債市場の目利きたちはリフレトレードの耐久力についてなお疑問を抱いている。その論拠は単に長年続いた季節的パターンで、年初は債券に厳しい状況になりがちだが、その後数カ月に利回りの低下が続くケースが一般的だという。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iaPMSPD6ZJpo/v2/-1x-1.png

  BMOキャピタル・マーケッツの計算によると、米10年債利回りが年初4カ月間に平均で上昇したのは1990年代と2000年代。その後、9月半ばまでは低下に向かう傾向が90年代と2000年代、2010年代の3つの期間でいずれも見られ、平均で38ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の低下だった。2010年代は年初4カ月間に利回りが低下しており、世界の主要中央銀行による異例の債券購入プログラムと時期が重なるという。
  こうした季節的傾向が意味を成すのは、「5月に売って市場を離れろ」という株式市場格言にあるタイミングに符合し、5月以降に株式相場が下振れしやすいことが一因だ。
  BMOの米金利戦略責任者、イアン・リンジェン氏は「季節的パターンは歴史的に米国債市場に意味のある影響を与えている」と指摘。「私はトランプノミクスを根拠に大幅下落が見込まれる確率を考える際に季節的傾向を確実に尊重する」と述べた。
  季節的パターンは2017年に繰り返される可能性はある。10年債利回りは2.41%と、年末からほぼ変わらない水準にあり、昨年12月に付けた2年半ぶりの高水準からさほど離れていない。インフレ期待を示す市場の指標は2014年以来の高水準付近にある。
  季節的パターンを支え、利回り上昇予想を覆す落とし穴もあり得る。トランプ大統領が約束した減税やインフラ投資に関する議会審議を早期に前進させられる保証はない。大統領が「驚異的な」税制プランを発表する約束を果たしたとしても、地政学的問題が債券市場の弱気派を圧倒するかもしれない。今後数カ月の欧州の選挙をめぐる政治リスクを背景に、安全資産としての米国債の需要に弾みがつくとの見方もある。フランス大統領選挙で極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首の掲げる政策がユーロの安定を脅かす恐れもある。
原題:Three Decades of Bond-Market History Sow Doubt on Reflation Bets(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-21/OLPBNF6TTDS301

 

 
フランス:2月の総合PMI、上昇−8カ月連続で50超え
Carolynn Look
2017年2月21日 17:58 JST

フランスではサービス業の活動が2月も拡大し、民間セクターの伸びがほぼ6年ぶりのハイペースとなっている。
  IHSマークイットが21日発表した2月の仏総合購買担当者指数(PMI)速報値は56.2と、1月の54.1から上昇。市場予想は53.8だった。8カ月連続で、活動縮小・拡大の境目である50を上回った。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iutIfvLNim2M/v2/-1x-1.jpg
原題:French Economy Grows Fastest Since 2011 as Services Strengthen(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-21/OLPUTT6S972901


 

 
豪中銀、楽観的な経済見通し 成長加速を予想=2月議事要旨

[シドニー 21日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は21日、2月の理事会の議事要旨を公表した。鉱業投資の減少による成長鈍化は間もなく解消されるとして、楽観的な経済見通しを示し、利下げは検討課題でないとの見方を強めた。

中銀は2月の理事会で政策金利を7カ月連続で過去最低の1.5%に据え置いた。

経済成長率は年末までに3%に加速すると予想し、昨年第3・四半期のマイナス成長は「一時的な要因」によるものとした。

議事要旨は「経済は鉱業投資ブーム後の移行が続いている」とし、「低コストの鉄鉱石生産者によるさらなる生産増が見込まれるほか、液化天然ガス生産の生産増も成長に大きく貢献するとみられる。鉱業投資の減少による成長鈍化も弱まる見通し」とした。

現在1.5%の低水準にとどまるコアインフレ率は、今年年央までに1.75%前後に緩やかに上昇するものの、2019年半ばまでは豪中銀が目標とする2─3%に戻らない可能性が高いとした。

「消費の伸びは16年半ばよりは強いとみられる。しかし、家計所得の伸びが緩やかとの予想から、消費の伸びも限定的になるだろう」と予想した。

理事らは、主要なコモディティー(商品)の輸出価格が過去数カ月で急騰したとあらためて指摘。昨年12月の貿易黒字が過去最大に伸びた要因になったとした。*内容を追加します。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
豪就業者数、7月は予想以上に増加 フルタイム就業者は大幅減
米追加利上げ、世界は用意できている━豪中銀総裁=WSJ
米追加利上げ、世界の用意整う━豪中銀総裁=WSJ
今月の利下げ、成長加速が狙い=豪中銀議事要旨
8月利下げは成長加速が狙い=豪中銀議事要旨
http://jp.reuters.com/article/rba-feb-idJPKBN16003R


 


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/386.html

[自然災害21] 戦争もあり得る、気候変動が21世紀にもたらしかねない脅威 気温上昇で氷が溶け、出てきた天然資源をめぐりロシアなどが争う
戦争もあり得る、気候変動が21世紀にもたらしかねない脅威
安保会議
Jonathan Tirone
2017年2月21日 07:54 JST
関連ニュース
日本株は続伸、欧州政治の不安後退と円安−輸出や金融堅調、紙パ急伸
フリン氏後任の米大統領補佐官にマクマスター氏−直言恐れぬ論客
米国債市場の歴史的データ、リフレトレードに疑問呈す
東芝:メモリ事業売却で1兆円超調達へ、信用不安打ち消し−関係者
• ミュンヘン安全保障会議で国連や欧州の当局者らが警告
• 米国からはマティス国防長官やケリー国土安全保障長官も参加
海面上昇や永久凍土の溶解、スーパーストームなど、気候変動が21世紀にもたらしかねない脅威の一つに、欧州の指導者らは前世紀を最も脅かしたリスクを持ち出した。戦争だ。
  地球温暖化が及ぼす結果を環境面に絞り過ぎると、軍事的な脅威を過小評価することになりかねないと、ミュンヘンで先週末に開かれた安全保障会議で欧州や国連の当局者らが指摘した。このような警告は、気候変動が資源や国境をめぐる紛争を引き起こしかねないとの防衛・情報機関の結論を受けてのものだ。
  エスピノサ国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長は同会議で、「気候変動は社会の混乱、ひいては武力衝突のレベルに増幅しかねない脅威だ」と発言した。この会議には米国からマティス国防長官やケリー国土安全保障長官も参加した。

Source: Met Office Hadley Centre and Climatic Research Unit, University of East Anglia
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iJrKXF7qkiEI/v2/1200x-1.jpg

  気候変動による軍事紛争の「火種が集中する地域」としてフィンランドのニーニスト大統領がパネル討論会で挙げたのは北極圏。気温上昇で氷が溶け、地表に出てきた天然資源をめぐり、ロシアなど一部の国が争うだろうと予想。「緊張は高まる」と述べた。
  同会議でロシア側当局者は欧州との平和的共存を望むとし、地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」を守ると言明した。一方、トランプ米大統領はパリ協定からの脱退をうたっており、新政権は化石燃料企業を対象とする規制の緩和に動いている。
原題:War Is the Climate Risk That Europe’s Leaders Are Talking About(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-20/OLO0Z36JIJUP01

http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/771.html

[国際18] スペイン経済相、16年財政赤字目標未達の可能性示唆 ルペン支持率上昇、安全に関して最良 ユーロ圏、2月経済活動の拡大加速
スペイン経済相、16年財政赤字目標未達の可能性示唆

[マドリード 20日 ロイター] - スペインのデギンドス経済相は20日、昨年の財政赤字について、対国内総生産(GDP)比で4.6%とする目標が達成できなかった可能性を示唆した。

政府は11月に目標は達成できるとの見通しを示していた。15年の財政赤字はGDP比で5.1%と、欧州連合(EU)と合意した目標の4.2%を大きく上回った。

デギンドス氏は記者団に対し「16年末の実績が判明するのを待つ必要があり、3月末に欧州委員会にデータを送る見通しだ。少しの変動はあるかもしれないが、目標にできるだけ近いことを望む」と語った。

スペインは17年の財政赤字目標を3.1%にすることでEUと合意している。

欧州委は1月、スペインの17年予算はEUの目標を「おおむね」満たしており、追加的な政策対応の必要はないとの判断を示した。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
NZ中銀、政策金利見通しで35bpの利下げを想定=総裁
コラム:黒田緩和検証、20の疑問(下)=河野龍太郎氏
アングル:政治・金融リスクは二の次、欧州債買いに走る投資家
ユーロ圏消費者物価指数改定値、7月は前年比+0.2% 予想と一致
スペイン公的債務、6月は過去最高の1.1兆ユーロ GDP比100.9%
http://jp.reuters.com/article/spain-budgetdeficit-idJPKBN16003B


ルペン氏の支持率上昇、安全に関して最良の仏大統領候補と世論調査
Helene Fouquet、Gregory Viscusi
2017年2月21日 03:37 JST

関連ニュース
日本株は続伸、欧州政治の不安後退と円安−輸出や金融堅調、紙パ急伸
フリン氏後任の米大統領補佐官にマクマスター氏−直言恐れぬ論客
東芝:メモリ事業売却で1兆円超調達へ、信用不安打ち消し−関係者
英HSBC:株価急落−10−12月利益が期待外れ、予想外の減収

フランス大統領選挙では極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首の支持率が上昇した。安全をめぐる懸念が同候補の追い風となっているもようだ。
  オピニオンウェイが毎日集計する世論調査によると、20日には第1回投票におけるルペン氏の支持率が1ポイント上昇して27%。 マクロン前経済相とフィヨン元首相はいずれも20%で変わらずだった。決選投票については、ルペン氏勝利を示す世論調査結果はまだないものの、差は縮まった。マクロン氏対ルペン氏なら58%対42%でマクロン氏が勝利する見込みだが、マクロン氏のリードは2週間弱の間に半分になった。

Marine Le Pen

  警察の暴虐に対する抗議行動が先週フランス全土に広がり、デモ自体は総じておとなしいものだったが、これに対するルペン氏の強硬な姿勢が支持を集めている。フランスでは2年余りの間にテロで200人以上が犠牲となり、有権者は安全を重視している。
  オピニオンウェイのディレクター、ブルーノ・ジャンバール氏は「安全が全てだ」と述べた。また、「他の候補がお互いを非難し、自身の問題を払しょくできないことが、ルペン氏の追い風になっている」とも指摘した。ハリスによる別の世論調査で、安全に関してはルペン氏が最良の大統領候補との見方が示された。
  先頭を走っていたマクロン氏は週末に、フランスの植民地政策についての発言でつまづいた。社会党のブノワ・アモン氏と左翼党のジャンリュック・メランション氏は共闘を検討したが、結局非難合戦を繰り広げた。調査でアモン氏の支持率は16%、メランション氏は12%で、共闘すればルペン氏との闘いで有利に立てるはずだった。
   世論調査会社Elabeの政治研究責任者、イブマリー・キャン氏はこの週末の闘いは熾烈(しれつ)だったとして、「ますます結果の見えない大統領選挙だ」と話した。第1回投票は4月23日、決戦投票は5月7日に行われる。

原題:Le Pen Advances in French Polls as Security Concerns Sway Voters(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-20/OLOKVB6VDKHT01

 


ユーロ圏:2月経済活動の拡大加速、受注と景況感が堅調
Carolynn Look
2017年2月21日 18:50 JST

ユーロ圏の製造業とサービス業を合わせた経 済活動は2月に拡大が加速し、ほぼ6年ぶりのハイペースとなった。域 内の景気回復が広がりを見せ、物価上昇圧力は強まっている。
IHSマークイットが21日発表した2月のユーロ圏総合購買担当者 指数(PMI)速報値は56.0と、1月の54.4を上回り、1−3月(第1 四半期)の経済成長率0.6%を示唆した。エコノミスト調査では54.3へ の低下が見込まれていた。PMIは50を上回れば活動拡大を、下回れば 縮小を示す。
マークイットによれば、新規受注の動向と企業景況感の堅調が向こ う数カ月の活動拡大加速の可能性を示唆している。
マークイットのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏 は、「売り上げ増と十分な受注残を背景に、企業は現在、事業拡大を優 先目標としている」とし、「欧州中央銀行(ECB)はもちろん、選挙 や英国の欧州連合(EU)離脱が今年の事業環境を損ねる可能性を懸念 し続けるが、成長加速と物価上昇圧力の回復の兆しを歓迎するだろう」 と語った。
マークイットによれば、2月のユーロ圏製造業PMI速報値は55.5 と、1月の55.2から上昇。サービス業PMI速報値は55.6で、1月 の53.7を上回った。
原題:Euro-Area Economy Picks Up Speed as Orders and Optimism Surge(抜粋)Eurozone February Flash Manufacturing PMI: Summary (抜粋)Eurozone February Flash Services PMI: Summary(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-21/OLPWLP6K50XV01
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/313.html

[国際18] 激動の就任1カ月、トランプ氏が頼る「勝利の方程式」 米株上昇リスクオンでもドル円上がらない 米中貿易戦争、選択肢ならない
焦点:激動の就任1カ月、トランプ氏が頼る「勝利の方程式」

[ワシントン 17日 ロイター] - トランプ米大統領は、就任から激動の1カ月を経て、もっと友好的で親しみやすく、活気を取り戻せそうな場所に向かおうとしている。つまりそれは、選挙遊説だ。

閣僚をめぐるメディアとの対立、入国制限令の法的敗北、フリン大統領補佐官の辞任、そして自身の選挙陣営とロシア情報機関との疑惑に関する調査など、相次ぐ困難に見舞われたトランプ大統領は、自身をホワイトハウスへと導いた勝利の方程式に頼ろうとしている。それは熱烈な大観衆に向かって烈火のごとく怒りのスピーチを行うことだ。

トランプ大統領は、ヒラリー・クリントン民主党大統領候補にとって代わる新たな敵を見いだした。ホワイトハウスをめぐる機能不全などの問題を痛烈に報じる新聞やテレビだ。そうした報道機関についてトランプ氏は「うそつき」で「腐敗」、「衰退」していると表現し、17日には「米国民の敵」だと言い放った。

トランプ氏がその翌日にフロリダ州メルボルンで開いた集会は、「不公平なメディア」を回避し、自分の支持者に直接メッセージを訴える機会となった。

「彼(トランプ氏)には今でも大勢の支持者がいることを人々に思い知らせることになる。恐らくそのような機会を彼は必要としている」と、共和党ブレーンのジョン・フィーヘリー氏は指摘。「バブルのなかにいるとき、支持者と再びつながってエネルギーを充電するというのは悪いアイデアではない」

クリントン氏と争ったトランプ氏の選挙活動は、活気に満ちた大規模な集会が特徴だった。トランプ氏の気質や自身の選挙陣営とロシア情報機関とのつながりをめぐる疑問が高まるなか、同氏は最も熱心な支持者に直接訴えかけ、イメージ刷新を図ろうとしており、フロリダ州で行った今回のような集会は今後増える可能性がある。

好戦的で77分間という異例の長さに及んだ16日の単独記者会見を終えた直後、トランプ大統領のチームは「メディアの説明責任に関する調査」と題する資金集めの電子メールを支持者に送った。

同メールのなかでトランプ氏は「メディアの雑音をシャットダウンして、米国民に直接語りかけるようにしている。大統領選でそれはうまくいった。向こう4年間もうまくいくだろう」と語っている。

「最初の敵は主に共和党内の反対者だった。次にヒラリー・クリントン。そして現在は悪意あるメディアだ」と見るのは、共和党ブレーンのリッチ・ガレン氏。「彼は選挙活動で用いたこうしたやり方がとても性にあっているようだ」と同氏は語った。

<早いスタート>

フロリダ州での集会は、2020年の大統領選で再選を目指すトランプ大統領が切った異例なまでに早いスタートと言える。1月20日の大統領就任から5時間後、トランプ氏は再選に必要な書類を連邦選挙委員会(FEC)に提出している。

一方、オバマ前大統領の場合は、1期目の2年以上が経過した2011年4月に同様の書類を提出している。

書類提出がトランプ氏の正式な立候補を意味するわけではないが、「アメリカを再び偉大に」と書かれた人気の赤い帽子の売り上げなど、資金集めを継続することが可能となる。トランプ氏の陣営は昨年12月に960万ドル(約10億9000万円)を集め、FECへの最新の報告によると、昨年末に約760万ドルを手にしている。

オバマ前大統領や他の大統領は、自分たちの政策を訴えるために選挙活動のような集会を開いてきた。だがその場合、集会を組織して費用を出すのはホワイトハウスだった。ホワイトハウスによると、18日の集会はトランプ氏の選挙本部がすべて取り仕切るという。

ウェブサイトも含め、選挙本部を残しておくことによって、トランプ氏は「永遠の選挙活動」というコンセプトを現実のものにした。大統領就任式の写真を掲載した同ウェブサイトは、「われわれはやることがまだたくさんある」ため、選挙活動を終えることはできないと強調している。

トランプ氏が大統領就任後、ワシントン以外で初めて出席した行事は、サウスカロライナ州ノースチャールストンにあるボーイング(BA.N)飛行機工場で17日行われた同社の最新ドリームライナー機のお披露目式典だった。

式典に出席した後、エアフォースワン(大統領専用機)のなかでホワイトハウスのサンダース報道官は、トランプ大統領が遊説を再開すると語った。メディアが大統領のメッセージを必ずしも十分伝えるとは限らないことを理由に挙げ、「舞台に上がり、米国民に直接訴えることによって、非常に効果的にそれを行うことが可能だ」と述べた。

再選に向けたトランプ氏の早いスタートは、職場での政治活動を禁止する法律に違反しないかと危惧する連邦職員の間に、いくぶん混乱を招いている。

不公平な人事実務から連邦職員を守る独立した政府機関の米特殊検察官局は、トランプ氏が再選の意思を示していることから、同氏に対する考えを表明していいかという「無数の」問い合わせを受け、連邦職員向けのガイダンスを作成した。

それによると、連邦職員が職務中にトランプ氏の再選あるいは敗北を求めるのであれば法律に違反するが、選挙がまだ3年も先のことであるため、職員は同氏の政策や行動に賛否を表明できるという。ただし、「トランプ氏を2020年に再選させよう」と書かれた看板をオフィスに飾ったり、職場で同氏の立候補について意見を表明したりしてはいけない。

また、トランプ氏が正式に立候補を表明した後は、職務中あるいはオフィスにいる職員は、「同氏の立候補の成否につながるような」いかなることもしてはいけない、としている。

(John Whitesides記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
バイデン米副大統領、クリントン氏当選しても政権入り望まず
米・トルコ大統領が電話会談、IS対策協議=ホワイトハウス
米国、シリア難民受入枠を拡大へ 今年度は1カ月早く定員上限に
クリントン氏、現時点で米大統領選実施なら95%の確率で勝利=調査
ウィキリークス、クリントン氏選挙活動絡みの「重大」情報公開へ
http://jp.reuters.com/article/trump-comfort-zone-idJPKBN1600NA


 


 

 
米FOMC議事録、インフレ見通しへの自信示されるか注目−22日公表
Matthew Boesler
2017年2月21日 16:02 JST

関連ニュース
日本株は続伸、欧州政治の不安後退と円安−輸出や金融堅調、紙パ急伸
ユーロ圏:2月経済活動の拡大加速、受注と景況感が堅調
東芝:メモリ事業売却で1兆円超調達へ、信用不安打ち消し−関係者
英HSBC:株価急落−10−12月利益が期待外れ、予想外の減収


バランスシートをいつ、どのように縮小させるかの議論にも高い関心
トランプ政権の政策案の影響、当局者がどう見るかの手掛かり期待薄


22日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、金融当局者がインフレ見通しへの自信を強め、連邦準備制度のバランスシート縮小のための選択肢を討議した様子も示されるかもしれない。そうなれば、次回利上げの時期をめぐる議論が活発化しそうだ。
  フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジ据え置きを決めた1月31日と2月1日のFOMCの議事録は、米東部時間午後2時(日本時間23日午前4時)に公表される。
  1日に公表されたFOMC声明には、参加者が見通しをどう考えているかや、トランプ米大統領が提案する可能性のある財政面の景気刺激策について、新たな材料がほとんどなかった。FF金利先物の取引を見ると、投資家は年内に0.25ポイントずつ少なくとも2回の利上げを見込むが、3月14、15両日の次回FOMCについては据え置きを予想している。
  ノーザン・トラスト(シカゴ)のチーフエコノミスト、カール・タネンボーム氏は「声明は新味に乏しく、財政政策や金融面の行き過ぎ、バランスシート縮小の時期、インフレ動向をめぐり金融当局の見解を知りたいとして関心が高まった」と指摘。イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長が先週議会で行った証言も多くのヒントを示すのを避けたと、タネンボーム氏は語った。

  1日の声明では、インフレ率がFOMCの目標を下回る水準に抑えられている要因としてのエネルギー価格の軟調とドル高への言及が取り除かれ、「インフレ率は中期的に2%に上昇するだろう」との見通しが示された。
  ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのシニアエコノミスト、サム・ブラード氏は「声明に盛り込まれたインフレに関する文言が強めだったため、当局者の見通しに肉付けがあるか興味深い」とコメント。しばらくの間、目標を上回るインフレを容認することにFOMC参加者がどの程度安心感があるかが、議事録で分かるかもしれないと話した。
  4兆5000億ドル(約511兆円)規模に膨らんだ連邦準備制度のバランスシートをいつ、どのように縮小させていくかについての議論も議事録で浮き彫りになる可能性がある。数人の当局者はこのところ、バランスシート縮小についての話し合いを開始する時期だと明言している。
  ニューヨーク連銀で政策顧問を務めた経歴を持つマクロ・インサイト・グループのチーフ市場ストラテジスト、シェフリヤール・アンティア氏(ニューヨーク在勤)は「私が楽しみにしているのバランスシートに関する議論で、それが今回最も有益な内容だろうと考える」と発言。米金融当局者がこの問題について公然と言明するようになっているのは、バランスシート縮小の戦略を考え出すプロセスが勢いを増していく兆しだとの見方を明らかにした。
  一方、トランプ政権の経済政策案は米経済見通しに大きな影響を及ぼしそうだが、考えられるインパクトについて金融当局者がどうみているのかについては、議事録からほとんど手掛かりが得られない可能性がある。昨年12月のFOMC議事録は、政権の政策案の詳細とその実行可能性をめぐる不確実性に言及し、金融当局者は引き続きこの点を強調している。
  元FRBのエコノミストで現在はジョンズ・ホプキンス大学の教授を務めるジョナサン・ライト氏は「FOMC参加者は会合で財政政策について何か発言するのに消極的だったのではないか」とし、「その重要性は明らかだが、FOMCとして財政政策の中身を予測するのは望まなかったと考えられる」と述べた。
原題:Fed Minutes May Show Inflation Confidence, Discuss Balance Sheet(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-21/OLPMSO6K50XT01


 

 


2017年02月21日
第247回 米株上昇、リスクオン相場でもドル/円が上がらないワケ
【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

米国株が史上最高値更新を続ける中、ドル/円相場は112円台にまで円高ドル安が進行しています。通常のリスクオン相場なら米国株が高ければ、ドル/円相場も強い展開となるはずですが、なぜドル/円相場は上がらないのでしょうか。

◆米株堅調も日本株の上値が重い

東芝は決算期末の今年3月末に債務超過を回避できなければ、8月1日付で東証2部に降格されることが指摘されていますが、2015年に発覚した不正会計問題によってすでに特設注意市場銘柄に指定されているため、公募増資を行うことが困難な状況にあります。特設注意市場銘柄に指定された2015年9月15日から1年6ヶ月以内に「内部管理体制確認書」を提出し状況改善を報告する義務があるのですが、仮に東証の審査で内容不十分だと判断された場合は上場廃止となる可能性も孕んでいます。機関投資家らは日経225やTOPIXなどのインデックス・ファンドで株式を運用していますが、連動性を担保するために株価指数の構成銘柄をそのシェアに応じて保有しています。東芝株を保有していた複数の機関投資家らは、東芝に対して損害賠償請求訴訟の準備に入っているという報道がありますが、GPIFはすでに昨年130億円もの損害賠償請求を求めて提訴しています。つまり、東芝株下落は東芝単体の問題ではなく、東芝株を保有していた機関投資家らの資産を圧迫しており(個人投資家も同じですね)日本株市場全体の問題です。東芝問題が日本株市場の上値を抑えてしまっている可能性は否定できず、日本株軟調がドル/円相場の上値を抑えてしまっていると言えるでしょう。

◆停滞し始めた米国金利上昇〜警戒される米債ショートポジション

14日、イエレンFRB議長は議会証言で3月利上げの可能性を排除しないとしたタカ派的発言を行いました。この発言を受けて米国債利回りは大きく上昇したものの、勢いはすぐに失速。足元では3月の利上げの織り込み度は上がってきていません。米国債10年物利回りも2.5%前後で膠着してしまっています。つまり、米国株が史上最高値圏にあるのに、債券市場にも一定の資金流入があるということなのですが、もう一つ警戒されているのが、米国債のショートポジション。ヘッジファンド勢らの米国債先物市場でのショートポジションが積みあがっていることが指摘されています。米10年債のネットショートポジションは2月7日の30万4,577枚から2月14日時点では34万1,524枚に4万枚も増えています。先物市場に入っている資金は、いずれこのポジションを解消する必要に迫られるという性質のものです。いずれ債券売りのポジションが買い戻されるということは、債券価格の上昇を促す可能性があり、債券利回りを低下させます。対して、現在リアルマネーと呼ばれる機関投資家らは、債券ロングポジションを積み上げています。(先物市場ではない)一定の米国債券買いがあるために利回りが上昇しない状況に陥っているのですが、にもかかわらず、いずれ反対売買にて決済を強いられる先物市場で債券ショートポジションが積みあがっているという状況にある、、、ということ。先物市場の債券ショートポジションが一斉に買い戻され、米国債利回りが低下すれば、日米金利差縮小からドル/円相場は下落を強いられることとなってしまいます。

2月28日にトランプ大統領の議会演説が予定されていますが、具体的な政策が出てくることを期待していると見え、米株市場は堅調地合いが続いています。議会演説が膠着しつつある日本株やドル/円市場にとって次なる手がかりとなるのかもしれません。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

TwitterAccount@hirokoFR
前の記事:第95回 「自動運転」を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】 −2017年02月20日
http://lounge.monex.co.jp/pro/special2/2017/02/21.html

 


米中間の貿易戦争、選択肢となってはならない−中国の高商務相
Bloomberg News
2017年2月21日 16:02 JST
中国の高虎城商務相は21日、米中間の貿易戦争が選択肢の1つになってはならないとの考えを示した。
  同相は北京での記者会見で、中国と米国が交渉を通じ貿易摩擦を克服できることを歴史が示していると指摘。貿易の規模を踏まえるとささいない対立は不可避だとも話し、中国は2国間の経済関係を着実に推し進めるとともに、対立には適切なやり方で対処していくと語った。
  「協力は双方に恩恵をもたらす一方、対立は打撃となり得るだけだ」と述べた。
原題:China Minister Says Trade War With U.S. Shouldn’t Be an Option(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-21/OLPPIN6S972901

http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/314.html

[IT12] トイレ休憩も上司は監視、オフィスの最新センサーは離席・在席を感知 Rebecca Greenfield 2017年2月2
トイレ休憩も上司は監視、オフィスの最新センサーは離席・在席を感知
Rebecca Greenfield
2017年2月21日 06:55 JST

関連ニュース
日本株は続伸、欧州政治の不安後退と円安−輸出や金融堅調、紙パ急伸
フリン氏後任の米大統領補佐官にマクマスター氏−直言恐れぬ論客
米国債市場の歴史的データ、リフレトレードに疑問呈す
東芝:メモリ事業売却で1兆円超調達へ、信用不安打ち消し−関係者

1年ほど前に報じられた話だ。英紙テレグラフの記者が机の下に小さな黒いボックスがあることに気付いた。「OccupEye」と表示されているその機器は、記者の在席と離席を感知する道具だった。トイレに行く時間まで上司に監視されていると、記者やエディターらは不安になった。全英ジャーナリスト組合は小説「1984年」のような監視について、経営陣に苦情を出した。会社側は不要な暖房や冷房を減らす省エネが目的だと説明したが、説得力はなく、機器は撤去された。

  室温以外のあれこれを感知するセンサーは実際、既にオフィスのあちこちに設置されている。目立たないし、あからさまに監視を意味するような名前も付いていないので「たいていの人はオフィスに足を踏み入れても気付かない」とセンサー会社、エンライテッドの最高経営責任者(CEO)、ジョー・コステロ氏は話す。同社はフォーチュン500企業の15%を含む350社以上の企業にセンサーを設置している。照明やIDカードの中に隠され、会議室の利用状況や従業員の所在、同僚と話をしない時間の長さなどを監視している。

オフィスの最新センサーはあなたがデスクを離れるのも感知している


  センサーを活用する側は、効率が目的だと説明する。空間利用を最適化するためにヒートマップで人の動線を示すセンサーもある。OccupEyeのセンサーは空調システムとつながっている。オフィスデザイン会社のゲンスラーはニューヨークの新オフィススペースにエンライテッドのセンサー1000個を設置。動きや日照、エネルギー使用をモニターし照明レベルを調節する。従業員の行動パターンも学習する。ある部署の従業員が午前10時から業務を開始するならば、それまでは照明は暗い状態に抑えられる。これまでにエネルギーコストが25%節約できたという。設置のための初期投資額は20万ドル程度で、5年で回収できる見込み。

  法律的には、米企業は「サウロンの目」のように従業員を監視できる。ナショナル・ワークライツ・インスティチュートのプレジデント、ルイス・モルトビー氏は「雇用主はトイレ以外の職場のどこでも好きなだけ監視できる」と言う。データに個人名が付されないなら監視を気にしないという従業員もいる。ゲンスラーのデザインストラテジスト、ルーク・ロンデル氏(31)は「気にならない」と述べた。ピュー・リサーチ・センターの昨年の調査では、過半数の勤労者が安全のためならば監視とデータ収集を容認すると答えた。

  ただ、それも程度の問題なのかもしれない。ボストン・コンサルティング・グループは従業員からボランティア100人を募り、マイクと位置センサーを組み込んだバッジを配布した。従業員の動きと会話をモニターするもので、同社はオフィスの設計と従業員間のコミュニケーションの関係を調べるのが目的だとしているが、外部からはジョージ・オーウェルの小説のようだ、企業の横暴ではないかとの批判もある。
原題:New Office Sensors Know When You Leave Your Desk(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-20/OLOKNM6VDKHU01

http://www.asyura2.com/14/it12/msg/231.html

[経世済民119] 45万円のイヤホンが完売した理由 予備校「裏メニュー」にすがる悲しい大学 ロボット化が問う、人間が発揮すべき価値とは
45万円のイヤホンが完売した理由

記者の眼

2017年2月22日(水)
西 雄大
 4320万円の希少な木を使ったテーブル、30万円のウォークマンーー。日経ビジネス2月13日号特集「凄い値付け」のために、価格設定で工夫した企業ばかりを取材した。冒頭はその一例だ。価格だけを聞くと驚いてしまった。だがこれらは決して奇をてらったものでなく、綿密に考えたうえで販売価格を決めていた。特集で紹介した事例以外でも、まだまだ凄い値付けはある。市場価格の100倍以上であったり、新しい市場価値を作り出したりといったことに取り組んでいる。

 これらの企業が凄いのは値付けだけでなく、市場に受け入れられるために売り方も工夫していることだ。

45万円のイヤホンでも富裕層狙わず

 まず販売価格を高額に設定し、狙う顧客層を明確にしたのが、エスネクスト(神奈川県川崎市、細尾満社長)だ。45万円のイヤホン「LABII」を200本限定で売り出したところ、即完売となった。イヤホンは2000円も出せば、必要十分な性能の商品が手に入る。「LABII」は200倍以上も高いが、想定を上回る反響だったため、追加生産を検討しているほどの人気だ。


45万円のイヤホンを開発したエスネクストの細尾満社長。あっという間に完売したため追加生産を検討中(写真:北山宏一)
 45万円のイヤホンは、NTTデータと技術提携し三次元CAD技術で高精度な駆動部を作り、ケーブルはスーパーコンピューターのデータ伝送にも使われる素材を採用した。不要な振動を抑えられる形状としたことで、臨場感ある音楽再生ができるようになった。エスネクストは「LABII」以外にも、25万円のイヤホンを販売するなど高級品を専門に扱っている。


独特の形状をした駆動部。三次元CAD技術によって実現した(同)
 どれも高額品なので「富裕層を狙って販売戦略を立てているのか」と細尾社長に聞いてみたが、意外な答えが返ってきた。「違う。あえて富裕層は狙っていない。たとえ月収20万円の方でも音楽好きな人を狙った」(細尾社長)。

 富裕層に狙いを定めると、良い商品だということを継続してアピールするために広告宣伝費が欠かせない。一方で、音楽好きに狙いを定めれば、巨額な広告宣伝費をかけることなく確実に欲しい人だけに届けられる。凄い値付けの裏には緻密な販売戦略があった。

 マーケティングに力を入れない代わりに、顧客との対話する時間を大切にしている。同社は工場上にショールームを設置した。その場所は川崎の武蔵小杉駅から徒歩20分ほどかかる。

 わざわざ来てくれた見込み客であるため、じっくりと好きな音を納得いくまで聞いてもらう。「こんな不便な場所に冷やかしの方は来られない。だから我々も何時間でもお付き合いする」(細尾社長)。閉店時間が過ぎても試聴に付き合うこともあるという。

 販路開拓も高級オーディオを扱う専門店の担当者に的を絞り、気に入ってもらえた店とだけ取引する営業手法を採用している。「販売員の頭のなかには、見込み客が数人浮かんでいることが多い。彼らに丁寧に説明すれば売れる」(細尾社長)。

 エスネクストのように対象顧客がはっきりすれば、営業にかける人員も最小限で済む。人員に限りがある中小企業でも大手と対等に張り合える戦術といえそうだ。

日本のマンガの新しい輸出モデル

 エスネクストのように徹底的に顧客を絞り込んで戦う土俵を変えてしまう方法もあれば、販売先を海外に移すやり方もある。それを実践するのがアニメなどのコンテンツ管理や配信を手がけるダブルエル(東京・品川、保手濱彰人社長)だ。収入が減っている漫画家に新しい稼ぎ方を提案している。

 それが海外の原作を元に、日本人の漫画家が描くモデルだ。現地で人気がある原作を日本人の漫画家が描く。漫画家がアイデアを考えても、ヒットする確率は不透明。しかも海外となると好みが異なり、成功のハードルはあがってしまう。その点、原作があれば大きくはずしてしまうことは少ない。

 このモデルでダブルエルが目指すのは漫画家の収入の安定だ。漫画家はヒット作品を生み出せば高額な報酬を得られるが、ヒット作に恵まれないと収入がないといったように安定性に欠けていた。「漫画家に1ページ1万円以上は支払え、日本での仕事よりも高い報酬を払える。仕事量が一定になり、収入もぶれなくなる」(保手濱社長)。 

 国内の漫画市場は15年ほど前まで5000億円ほどあったものの、年々縮小傾向にある。漫画家が活躍できる場は減っている。ダブルエルによると、漫画家に支払う単価も下落する一方だという。保手濱社長は「デジタル配信で作品を公開する場は増えているが、漫画家として生活できる人はひと握りしかいない」と指摘する。

 日本の漫画家は決して売れっ子でなくても技術力が高いという。「週刊誌の連載のように、何週にもわたって飽きさせないストーリーを考える能力はほかの国の漫画家と比べて長けている」(保手濱社長)。海外でのアニメや漫画の需要は大きい。漫画家の業務を分解して強みだけ残したことで、新しい市場を開拓しようとしている。

 この2つのケースのように戦う土俵を変えれば、従来とは異なる市場に挑める。既存の顧客層と異なり、収益も確保しやすい環境が整う可能性がある。

 ただし、土俵を変えるには大きな決断が不可欠だ。競争相手が多く収益が厳しいとはいえ、一定の需要を捨てる勇気が必要となる。ただし価格設定を大きく変えれば、対象顧客をがらりと変えられる。この変化対応力はイヤホンや漫画に限らず、多くの業界で求められている考えではないかと感じた。


このコラムについて

記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/022000413

 

予備校の「裏メニュー」にすがる悲しい大学

行きたい大学がない

「たくさん来ます。入学試験を作ってほしいという依頼が」
2017年2月22日(水)
松浦 龍夫
 日経ビジネス2月20日号の特集「行きたい大学がない」では、大学という組織の弱体化が、想像を超えるペースで進んでいることを浮き彫りにした。その証左として、大学の授業など「本業」ともいえる業務まで受験産業にアウトーシングしている実態が明らかになった。極端な例としては、入試問題の作成まで外部委託するケースがある。国からの予算が減らされるなど、大学の経営が厳しさを増す中で、試験問題を独自に作る人材さえもが、不足しているのだ。将来の日本を背負う若者の教育を、「空洞化」が進む大学に任せることに不安を感じざるを得ない。

大学の中には、入試問題の作成まで外部委託するケースがある(写真は本文とは関係ありません:Photoshot/アフロ)
ある有力予備校担当者の告白

「来ますよ。毎年たくさん来ます。入学試験を作ってくれないか、という依頼が」

 ある有力予備校の担当者は、うんざりとした表情でこう告白する。この予備校は大学の業務の外部委託を引き受けてはいるが、入試問題の作成は、受けないことにしており、大学側にもそう伝えている。それでも毎年大学から依頼が来るという。

 問題の作成が難しいなら、大学が作成した問題の事前チェックをお願いできないか、と頼まれる場合もあるが、それも事前に入学試験の問題を見てしまうことには変わりない。同予備校は「問題が漏えいした場合のリスクが大きすぎる」として断っている。「先日は『問題を10問作ってほしい。そこからこちらが勝手に3問選ぶ。それなら事前に知る確率も減るでしょ』と粘られたが、それでも断った」(担当者)。

 問題作成を請け負っていることを明言している企業もある。著名な予備校講師だった古藤晃氏が設立した古藤事務所だ。同社のホームページには「おかげさまで、毎年受注数は増え続け、2015年度には、サンプル問題作成24大学159本のご依頼を受けました」と明記してある。古藤氏によると、「入試回数の増加を背景に、毎年依頼される数は増えている」という。

 大手予備校も作成をしているところがあるが「大学向けの裏メニューだ」(受験産業大手のある幹部)として、その存在を公にすることはほとんどない。高校生に教えたり、模擬試験を実施したりする受験産業として、問題の流出など機密性に疑問をもたれ、いらぬ嫌疑をかけられたくはないからだ。

 先ほどの古藤事務所は、2016年2月に明光義塾などで知られる明光ネットワークジャパン(明光)の傘下になった。高校生への指導を行う企業の傘下入りで問題が生じないのだろうか。それについて古藤氏は、日経ビジネスの取材に答えて、「明光の人を古藤事務所に派遣せず、問題の情報のやり取りは一切しない約束で傘下入りした。独立資本でやっていたときと体制は変わらない」と述べた。

なぜ大学が任せてしまうのか

 いずれにしても、問題作成の依頼は、一般には知られていないが、大学関係者間では当たり前といった雰囲気さえある。文部科学省も「問題作成を外部委託している大学があるのは承知している」(高等教育企画課)とその存在を認識しているが、強い指導を行うこともなく半ば黙認している状況だ。

 どんな人材を大学に入れて育てるのかを左右する「魂」とも言える入試問題を、どうして大学は外部へ作成依頼するのか。ある私立大学の入試責任者は、「大学に金がないことが根本的な原因だ」と話す。

 少子化が進む中で、大学が増え続け経営が厳しくなっていることに加え、国からの補助金も減っている。大学経営が厳しくなる中、大学教授が退職しても新たな常勤の教員は補充しないといった手段で、教員数を削減する動きが広がる。結果として、正しく高校の学習内容の範囲で問題を作れる教員がいなくなった。いたとしても少数であるため、「推薦やAO入試など、多様な入学方式を自分たちが作ったがために、試験の種類が数倍に膨れ上がり、自分たちで作成できなくなった」(予備校関係者)面もある。

 では大学は、入試の種類を減らして単純化するのが合理的なのではないか。しかし、それは難しいという。「大学は定員割れすると、4年間欠員分の収入が入ってこない。大幅な定員割れを避けるために、一般入試前に一定数を合格させて“基礎票”を固める必要がある」のだ。「受験料も貴重な収入源で手離せない」という事情もある。大学は自縄自縛の状態に陥ってしまっている。


授業など多様な業務も委託も進む

 大学が受験産業へアウトソーシングしているのは入試関連業務だけではない。中核業務である「授業」の関連でも、外部委託が拡大している。

 ベネッセコーポレーションや河合塾グループのKEIアドバンス、代々木ゼミナールの高宮学園、駿台予備学校の駿河台学園などの著名な受験産業大手が、受け皿になっている。例えば、AOや推薦で合格した高校生は、一般入試の学生よりも、基礎学力が低い場合もあり、入学前に学力を補う補習授業を提供することもある。大学1年生が授業についていけるように補習授業を担う例や、「大学教員に対して、効果的な教え方を伝授するサービスもある」(河合塾グループのKEIアドバンス)。

 最近では一部の授業だけでなく、学部のあり方全体もコンサルティングする例も出てきている。例えば教育産業大手が、私立大学が新設する国際学部についてプログラム内容や留学先の選定などで全面協力する例もある。

 関係者によると、大学の業務委託は、規制緩和の流れの中で、1990年代以降増えた。ただ10年ほど前にも、過剰なアウトソーシングが問題視されたことがあった。このため、文部科学省は2007年に大学設置基準を改正。「大学が授業科目を自ら開設する」などと明確にして、いわゆる「丸投げ」を禁じた。最近の多様な業務の受託について、ベネッセの担当者に聞くと「あくまで大学が判断し、その指示のもとに提供しているもの。大学による丸投げではない」と反論する。

 2000年代頃、多くの企業がコスト削減、本業集中の掛け声の中で、IT(情報技術)部門の業務をアウトソーシングした。もちろん、うまく業務を効率化できた企業もあるが、時間の経過とともに自社の業務内容を横断的に理解する社員が減り、支障をきたす例も頻出した。

 まして大学は、教育・学問という効率性だけで処理するべきではない任務を担っている。コストや時間の節約を優先して、安易にアウトソーシングを続けていくと、「大学」といえるような中身が伴わない、空虚な存在になってしまう。そのときは、本当に学生や親から見捨てられることにもなりかねない。


このコラムについて

行きたい大学がない
大学の空洞化が静かに進んでいる。さまざまな世界ランキングでも、軒並み地盤沈下する日本の大学。東京大学はもう眼中にない。そう言い切る高校生も増えている。アジア各地の大学も力を付け、日本に留学する意義が薄れてきた。将来を担う若者に対する教育の劣化は、日本にとって致命傷となりかねない。大学改革は今度こそ離陸するのか。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/021700112/022100003/

 

 
ロボット化が問う、人間が発揮すべき価値とは

日本企業で進むRPA革命の本質

2017年2月22日(水)
安部 慶喜、金弘 潤一郎、大石 直子、澤井 秀俊、北村 尚子

(写真:Javier Pierini/Getty Images)
 これまで3回にわたり、企業の飛躍的な生産性向上を実現する手法として広まりつつあるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とはどういうものなのかを解説してきた。今回はRPA時代を迎えるにあたり、人の働き方や求められる人材はどのように変わるのか、あるいはどのような準備が必要なのかという視点で深掘りしていきたい。

 RPAが人間の仕事を奪って、人間の仕事が無くなってしまうというのは誤解であると第2回に述べた。RPAが働き方をどのように変えるかを考える前提として、今後予想される日本の就労人口の構造変化とその影響について押さえておきたい。


(作成:アビームコンサルティング)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/012300104/022100007/p1.jpg

 2016年4月に経済産業省が発表した「新産業構造ビジョン 中間整理」では、2015年現在の日本の就労人口6334万人が、2030年には5599万人と735万人も減少すると予測している(現在の性・年齢階級別の労働力率が将来も変わらないとする労働参加現状放置シナリオの場合)。

 一方で、今後の第4次産業革命をリードすることで日本経済の成長を促し、国内総生産(GDP)を532兆円から846兆円へと約1.6倍増大させるビジョンを掲げている。

 これを実現するためには、就労人口1人あたりGDPを2倍近く引き上げなければならない。そのためには、人は今とは異なる、付加価値の高い働き方にシフトする必要がある。その解決の1つがロボット化の導入だ。

 日本経済は潜在成長率の天井にぶつかり、企業はビジネスチャンスはあるのに実現する人が居ないという事態に陥りかねない。ロボット化を進めないと人が足りない時代がやってくるのだ。

RPA時代に求められる人材とは

 RPAの活用が進んだとき、ホワイトカラー業務はどの様な姿になっていくだろうか。ロボットが得意な定型的な業務や、非定型で専門的な業務もロボットが代替するようになるとき、ロボット活用を前提とした新たな役割分担が進むと予想される。

 まず、現在は比較的定型的な業務を行っている人の多くは、商品企画、顧客と接する提案型の営業といった人間ならではの知恵・感性やコミュニケーションが必須となる役割にシフトせざるを得ない。

 商品ライフサイクルの短期化が指摘されるようになって久しい。これは個人にも置き換えられる。自分に合った新しい価値を求めるユーザー欲求は飽和することがなく、今後も加速するだろう。作業レベルの仕事はロボットが担ってくれるようになる反面、人間の感性や知恵により、顧客が求める新しい価値を継続的に生み出すことが企業継続の必須要件になる。この領域で活躍する「クリエイティブな事業推進者」の役割を担う人が増加するのではないだろうか。

 一方、企業内の各種機能(経理・人事・総務・法務・監査・工場管理等)はどうだろう。RPAやAIの活用によって人間の仕事が「壊滅」するのかというとそうではない。RPAやAIが処理した内容や出した答えを確認し、各機能としての意思決定をするのは今後も人間だからだ。

 また、環境変化を認識して新たな仕組みに変え、その手法を取り込むといった構造改革を行うのも人間の役目になる。RPA時代における各機能の専門家は、より専門性を研ぎ澄まして、ロボットやAIを部下として使いながらしなやかに会社機能の舵を取る「高度な機能スペシャリスト」へと変化する。 

 新たに求められるのが、RPA・AIの活用を推進する役割である。RPA・AIは全てのホワイトカラーに身近な手段へと浸透していくが、その技術自体は日々進歩し、活用度合いが競争力に直結する時代となる。それら技術の特性を幅広く理解し、最適な活用方法を横断的に進める役割=「RPA・AIによるプロセスイノベーター」だ。


(作成:アビームコンサルティング)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/012300104/022100007/p2.jpg

 現在、RPA導入を進めるある鉄道会社のプロジェクトリーダーは「どうやったらロボット化できるかを考えるうえで、業務の標準化やルール化を推し進めることができた」と打ち明ける。まさに将来のRPA・AIベースのプロセスイノベーターが誕生した瞬間と言えるだろう。

 RPA導入の現場に関わっていると、この様に進取の気性を持ったRPA時代を切り開く方々に出会う反面、RPAを新たな黒船襲来のようにとらえ、遠ざけて関わらない人もいる。スタンスの違いはRPA時代の到来とともに、活躍度合いに大きな格差を生む可能性が高い。

 RPA・AIが何を出来るかという最新状況を知ることを心がける。新たな役割分担に照らした自らの方向性を意識して、RPA・AI活用に積極的に関わる人材こそが今後、活躍する人材となっていくだろう。

 先日、ある大手建設企業でRPA(Robotic Process Automation)導入プロジェクトの第1フェーズが完了し、プロジェクトメンバーで打ち上げをした。その宴席でのこと。ロボット化の効果は良好で、和やかな雰囲気で杯を重ねていたが、リーダーを務めた部長がふと神妙な面持ちで次のように語っていた。

 「日本の多くのホワイトカラーは、自分も含めて作業を忙しくやって、仕事をした気になっている割合が多いのかもしれない。ロボット化は我々が人間として発揮すべき価値を再考する機会になる」

 ロボット化で企業や組織が受けられる恩恵は、効率化だけではない。人間としての価値をさらに拡大させるための好機となるのだ。

RPA経営の浸透に向けた3つの共通項

 ロボット活用を前提とした「RPA経営」の導入に向けて、先進企業はどのような手順で準備を進めているのか。各社の動きを俯瞰すると、必要な準備の共通項が見えてくる。

(1)全社戦略としてのRPA・AI活用の打ち出し

 現場からのボトムアップ的なRPA検討の例もあるが、先進企業では全社方針としてRPA検討を決定し、推進している。経営層がRPAの可能性に着目し指示することで検討スピードは格段に向上することから、新たな経営課題として捉え、重点的に進める戦略として打ち出すことが望ましい。

 最近、ある大手精密機械製造業の企業に訪問した際、「ロボット・AI経営への進化」という方針が大書されたポスターが社内の各所に掲げられていた。現場はこの方針を受けて具現化に向けた検討を活発化していた。この例のように、多くの企業で経営方針にロボット・AI活用が反映されようとしている。

(2)RPA活用体制の構築・人材育成の推進

 RPAは今までのITと違い、現場と一体となって「ロボットの部下」として協働すべきものだ。全ての社員の身近なものとなっていく。つまり、ロボットというインフラが企業を支える時代になる。その状態を見据えたとき、ロボットの状況を横串で管理し、ロボットの効率的な使い方を伝播する機能が必要となってくる。

 あるメガバンクは、RPAを生産性向上の基盤として全社活用することを決定した。単にロボット開発を進めるだけでない。質の高いロボットが生み出される運用体制や、上司が居ないロボットが発生しないような管理の仕組みを策定するなど、ロボット活用の拡大に向けた動きが活発化している。

(3)段階的拡大アプローチ

 RPAという新たな手法を導入するうえでは、先進企業といえども、まずトライアル導入というステップを踏んでいる。従来の情報システム導入の様に数千万円〜数億円の投資が伴うもの比べ、数百万円レベルの投資で範囲を絞った導入を柔軟に実施可能であることもRPAの特徴だ。まずロボットと付き合ってみることでロボットとはどういう存在かを実感し、現実的な活用を拡大していく進め方は先進企業に共通する定石と言える。

 このように、ホワイトカラー人材の各個人と企業レベルでの変革への準備が必要だ。両者が噛み合って積極的なRPA活用が進んだ企業が、次世代のRPA経営を実現する企業としての地位を得ていくだろう。

 これまで4回にわたり、日本企業のRPA導入を支援する立場から、RPAという新たな手法がもたらす変革の持つ意義について解説してきた。今後益々日本企業のRPAへの期待は大きくなり、それに応える形でRPA技術も進化し生産性改革を支える重要な手法へと進化すると確信している。


このコラムについて

日本企業で進むRPA革命の本質
AIやIoTに続くキーワードとして、RPA(Robotic Process Automation)に注目が集まっている。顧客対応や秘書業務などの企業事務を、ロボットを使って自動化することで効率化を図るのがRPAだ。欧米の企業を中心に導入が始まり、日本でも大手金融機関や製造業での導入が進んでいる。人間はロボットとどう協働すればいいのか。RPA時代のこれからを、専門家が解説する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/012300104/022100007
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/392.html

[不安と不健康18] 青学の箱根駅伝3連覇を支えた疲労解消法とは? ハードな運動後は寒い日でもしっかりアイシング 遠回りしない体メンテ術
青学の箱根駅伝3連覇を支えた疲労解消法とは?

[中野ジェームス修一]遠回りしない体メンテ術

ハードな運動後は寒い日でもしっかりアイシング
2017年2月22日(水)
松尾直俊=フィットネスライター
 ビジネスで多忙を極める日本の30〜40代は体力の低下が著しく、40歳以上の5人中4人が将来寝たきりになる「ロコモティブ症候群(シンドローム)」の予備軍とされている。パワフルに働き、50代以上になっても健康的な生活を維持するには、正しい運動、食事、休養を行うことが大切だ。そのために日頃から体力づくりや健康のために、ジョギングやランニング、そしてジムトレーニングなどに励んでいるビジネスパーソンも多いことだろう。
 そこで今回は、箱根駅伝3年連続優勝、加えて出雲、全日本と学生駅伝大会三冠を成し遂げた青山学院陸上部のトレーナーとしても活躍する中野ジェームズ修一氏に、青学が成し遂げた偉業の基礎となったトレーニングを参考に、一般人がやるべき運動後のケアについて語ってもらった。

 2015年の箱根駅伝で驚異的なタイムで優勝を果たした青山学院陸上競技部は、その後も快進撃を続け、昨年、そして今年と三連覇。出雲、全日本学生も制し、三冠までも成し遂げた。この好成績は原晋監督の指導力、そして選手たちの努力が成し得たものだ。しかしその陰で彼らを支えたのが、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんをトップとする、スポーツモチベーションのトレーナーチームだった。


箱根駅伝3連覇を達成した青学大が徹底していたのは、練習後の疲労回復のための措置だった。(©PaylessImages-123RF)
青学駅伝チームの練習では疲労回復を重要視

 「2016年の箱根駅伝後は、"練習やレース後の体のリカバリー"、つまり疲労回復に力を入れてきました。スタッフにもその指示を出し、うちのトレーナーたちが練習場に行けない時には、週に1回、研修を受けにやってくる青学陸上部のマネージャーたちが、選手たちに徹底して疲労回復のリカバリーを行わせていたのです」(中野さん)

 練習やレースで負荷をかければ、筋肉は必ず小さな損傷を起こす。その傷が完全に回復しないうちにまた次の負荷をかけると、損傷が積み重なって大きなケガへと発展する。すると故障した選手は練習ができなくなり、競技能力の向上が遅れてしまう。チームとしても戦力ダウンだ。疲労回復のためのリカバリーは、ランナーにとって大切な練習の一部なのだ。

 「若い選手は筋肉の回復が早いですが、年齢が高くなるほど回復が遅くなります。例えば、私が現役復帰のサポートをしたテニスの伊達公子選手は当時39歳。半年で20代の頃のような筋力まで戻せましたが、疲労回復に要する期間を短くするのは非常に困難でした。ですから一般ランナーの方も、走ることばかりに気を取られず、リカバリーをしっかり考えるようにしてください」(中野さん)

運動後の疲労を放置すると正常な細胞にも悪影響が

 体を速やかに疲労から回復させるには、単に漠然と体を休めたり、静的ストレッチを行ったりといったことでなく、「運動生理学に裏付けされた方法で戦略的にリカバリーを行うことが大切」と中野さんは説く。ハードな練習を行ったら、翌日までにどれだけ回復できるかが重要だ。基本的には、練習やレースを行う前の状態までコンディションを戻すことが目標。そうすれば、翌日もまた同じ質の走りや練習ができ、ケガをする確率も低く抑えられる。

 中野さんによると「練習やレースは、筋肉に普段以上の負荷をかけることになります。すると、多かれ少なかれ、細胞膜が破れて損傷を受ける部分ができ、細胞液が流れ出します。毛細血管も切れているので、流れ出た細胞液や血液が、まだ無事な周囲の細胞に浸透します。これが障害につながるのです」とのことだ。

 正常な細胞の周りに流れ出した血液や細胞液の圧力で、周囲の毛細血管が圧迫されて血流が阻害される。すると正常な細胞に酸素や栄養が供給されにくくなり、機能が悪くなったり、死滅し始めたりといった"二次的低酸素障害"が拡大してしまうのだ。

 「その拡大を防ぐのが"アイシング"です。一時的に冷却して血管を収縮させ、炎症や出血を抑えるのです。すると障害を軽減できます。また細胞の代謝レベルも下がりますから、細胞液の流出による周囲の正常な細胞への二次的低酸素障害の広がりを防ぐことになるのです。最近の青学の選手たちは、競技会場に最後まで残っていることで有名になりました。他のチームが帰っても、クールダウンのストレッチやアイシングを念入りにしているんですよ(笑)」(中野さん)

アイシングで細胞の損傷拡大を最低限に

 アイシングというと、ケガをした時の応急処置といった印象を持っている人も多いかもしれない。それも正解だ。しかし、ケガ自体の発生リスクを低減させ、大きな障害に発展させないための予防的措置としても有効なのだ。例えばその昔、野球のピッチャーは「肩を冷やすな!」という理由で、水泳まで禁止されていた。しかし、現在のプロ選手は、投球後に必ず大きな氷嚢(ひょうのう)で肩やひじを冷やす。故障して投げられなくなることを防ぐためだ。

 「アイシングは被害拡大を防ぎ、細胞の損傷を最小限に抑えるための手段です。壊れた細胞が少なければ少ないほど、回復が早くなります。何かのコマーシャルのコピーではないですが、“その日の疲れは、その日のうちに”(笑)という考え方を、一般ランナーの方々こそ取り入れて欲しいですね。趣味や健康増進のためのランニングでケガをしたり、走れなくなったりしたら本末転倒ですから。私自身も走ることが大好きで、月間100q以上走りますが、その後のアイシングは欠かしません。実際、青学もアイシングをはじめとしたリカバリーを徹底させることで、故障で走れない選手をゼロにできた月もありました」(中野さん)

 「気温が低いから大丈夫」「冬は体を冷やしてしまうから」という理由で、走った後やトレーニングの後に違和感を覚える部分をアイシングでケアしなければ、それが積み重なって、走れない状態になることがある。真冬でもしっかりアイシングする必要があるのだ。

 ましてや、専門のトレーナーから適切なアドバイスを受けることが少ない市民ランナーこそ、疲労回復のリカバリーに重点を置いたほうがいい。そうしなければ、ケガで仕事や日常生活にまで支障を来たすようになってしまう恐れがある。

アイシングは20分間、氷は細かく砕く

 「走った後に膝や股関節、足首などをアイシングするのであれば、1回に20分が目安です。30分以上行うと、逆に血行が阻害され過ぎて悪化させる恐れがあります。もし、明確にケガをしたという状態であれば、その部位に対して2時間に1回、それぞれ20分のペースで継続的に24〜72時間(最低2日間)続けます。私はこれを『2・2・2の法則』と呼んでいます。加えて、アイスラップのようなもので圧迫し、患部を心臓よりも上にした(挙上)状態で休ませます」(中野さん)

 これがいわゆる、スポーツ障害後の『Rest=安静、Ice=アイス、Compression=圧迫、Elevation=挙上』のRICE処置。ケガの予防のためであれば、20分1回だけでもいい。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/110700081/022100007/2.JPG


 「氷の作り方にもコツがあります。あまり大きなブロックやキューブだと、患部に密着させることができません。できるだけ細かいクラッシュアイスにしてから氷嚢に入れて冷やします。氷嚢がなければビニール袋を二重や三重にして、利用してもいいでしょう。痛みや違和感がある時は、自分が思っているよりも広い範囲をアイシングする必要がありますから大量の氷が必要になります。ですから、青学は氷が大量に入手できない場所では基本的に合宿をしません。これだけは徹底しています」(中野さん)

 大量の氷が入手できない場所では練習しない。一見、陸上競技とは全く関係ないようなことだが、実は選手たちが速く、強くなるためには大切なことなのだ。「どうしても氷が用意できなければ保冷剤でもいいですが、その場合、患部に密着させることが難しいので効果は低くなると思ってください。でも、全くやらないよりは良いでしょう。また、保冷剤は0度以下になることがあるので、皮膚に炎症を起こさないよう気をつけてください」と中野さん。アイシングは故障を減らして、健全な肉体を作り上げるためには、是非とも身につけたい習慣だ。

疲労度が高い場合はアイスバス、交代浴

 また、青学の選手たちは究極まで体を追い込むような練習やレースをした後は、“アイスバス”という方法を使って、クールダウンをすることもあるという。

 「水風呂で下半身を冷やすことで血管が収縮します。これで過度の炎症を抑制できるのです。また、冷やさないでいると、血液循環が高い状態、いわば体のアイドリング状態が続いて、それだけでエネルギーを消費します。つまり疲労が続いていくのです。それを防ぐために、一早くクールダウンさせる方法です。私たちが関わるようになった年には、合宿所にはアイスバスはなかったのですが、原監督に必要性を理解していただき、次の年には設置してもらいました。一般ランナーの方だと自宅にアイスバスを設置するのは大変ですから、大きめのバケツに水を入れて足を突っ込んだり、水のシャワーで冷やしたりといった方法で代用していいでしょう」(中野さん)

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/110700081/022100007/3.JPG

 以前、マラソンの取材をした時、優勝した国際的な選手がレース終了後に氷水の入ったポリバケツの中に足を入れて冷やしているのを見かけた。当時はそんなことをしても大丈夫なのだろうかと一瞬驚いたが、理にかなったリカバリー方法だったのだ。

 そのほかにも、青学の選手たちは高強度の練習を行った時には、“交代浴”という方法でリカバリーを早めている。

 「名前が表す通り、温浴と冷浴を繰り返すものです。血管の収縮と拡張を繰り返すことで、血液の循環を良くして疲労物質の排出を促すことができます。全身を40〜45度の温浴で温めた後、下半身のみを15〜20度のアイスバスで15〜30秒間冷やします。そして再度、温浴で30〜60秒ほど温めて1セットです。それを5〜10セットほど繰り返すのです」(中野さん)

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/110700081/022100007/4.JPG 

 自宅で行うのは難しいが、レースを走った後や高強度のトレーニングにチャレンジしたのであれば、水風呂のある銭湯などで実施してみるのもいいだろう。

 「家庭で行う場合は、下半身だけ水のシャワーをかける方法でもいいと思います。青学の選手たちも最初は半信半疑で、やらない選手もいました。でも、なぜこれが必要か、体の中ではどんな変化が起こっているのかという理論を説明していくと、実行することが当たり前になっていきました。新入生も、先輩たちがやっているので自然にリカバリーに対する意識ができています。逆に社会人になって、実業団に入った選手は、そこで実施されていないので、自分だけがやるのは気が引けるという選手もいるようですが(笑)」(中野さん)

 ランニングやジョギング、それに筋肉や関節に負担をかけるウエイトトレーニングの後にも、アイシングをはじめとしたリカバリーは有用だ。健康的な体を維持するため、体力を向上させるためのトレーニングを続けている人、あるいはこれから始めようと思っている人も、ただ、体を鍛えるだけではなく、疲労を回復させることにも気を使うようにしよう。そうすれば、さらに効率良く健全な体づくりができるようになるのだ。

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん
フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定運動生理学士
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん 1971年生まれ。日本では数少ない肉体面と精神面の両方を指導できるトレーナー。卓球の福原愛選手など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に「青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ」(徳間書店)、「世界一やせる走り方」(サンマーク出版)など多数。

このコラムについて

[中野ジェームス修一]遠回りしない体メンテ術
ビジネスで多忙を極める日本の30〜40代は体力の低下が著しく、5人中4人が将来寝たきりになる「ロコモティブシンドローム」の予備軍とされている。パワフルに働き、50代以上になっても健康的な生活を維持するには、正しい運動、食事、休養を行うことが大切だが、誤った健康術にまどわされ、成果が出ずにいやになってしまうケースも少なくない。一流アスリートから一般人まで、フィジカルトレーニングをサポートしている著名トレーナーの中野ジェームス氏が誤った健康常識を一刀両断。効率的で結果の出る、遠回りしないための健康術を紹介する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/110700081/022100007/
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/415.html

[自然災害21] 高層ビルで大地震に遭遇!外に避難するか、とどまるか 危機管理最前線 from リスク対策.com
危機管理最前線 from リスク対策.com
【第28回】 2017年2月22日 リスク対策.com
高層ビルで大地震に遭遇!外に避難するか、とどまるか

現代の高層ビルディングは震度7程度の地震には耐え得る設計となっているが、高い建物ほど揺れは大きく長時間続く。大地震に遭遇したとき、あなたは冷静に行動できるだろうか(※写真はイメージです)
大地震が起これば高い建物ほど揺れは大きく長時間続く。一般に現代の高層ビルディングは震度7程度の地震には耐えうるとされているが、耐震性が十分保証されていたとしても、私たちがパニックに陥らずに安全かつ冷静に行動できるだろうか。今回は、高層オフィスビルで大きな地震に襲われたとき、冷静に判断し、手際よく行動するにはどうすればいいか、BCP(事業継続計画)策定支援アドバイザーの昆正和氏が緊急対応時の3つのポイントを解説する。(「リスク対策.com」の連載企画・昆正和の『これなら作れる! 緊急行動の成否を分けるERP策定講座』の「揺れてこまるのはビルも心もいっしょです」[2017年2月2日]掲載の記事を転載したものです)

大地震発生!高層ビルの
オフィスは大混乱

 午後3時過ぎ、33階にあるオフィスにて。コーヒー片手にメールをチェックしていると、ふと目まいのような感覚に襲われる。あれ…?と思うと間もなく、とつぜん「ゴーッ」という音が建物全体を包み込み、オフィスが大きく揺れ出す。地震だ。スチール製の棚やファイルキャビネットがギシギシと音を立て、机、椅子その他ありとあらゆるモノが揺さぶられ、あるいは軋みながらすべり出す。

 オフィスにいた社員たちは、とにかく動かないものにしがみつこうと必死だが、なすすべがない。固定されていない備品類の多くが積み木を突き崩したようにガラガラと崩れ落ち、書類は次々と棚から落ちてカーペット一面に散らばっていく。ノートパソコンやプリンタはケーブルや電気コードを引きちぎって床に落ちて破損、複合機は勝手にあちこち移動し、壁にぶつかりパーティションや観葉植物をなぎ倒す。机にしがみつく者、壁に背中を擦りつけて座り込む者、うずくまる者いろいろ。まるで荒波にもまれる船の中にいるみたいだ。

 しばらく続いた大きな揺れがやっとおさまった直後、ビルの危機管理センターから避難指示のアナウンスが入る。6基あるエレベータはすべて停止。非常灯のみが点灯しているうす暗い廊下から非常階段を伝って1階まで降りなければならない。

 みんな青ざめた顔とおぼつかない足取りで避難を始める。メガネやコンタクトレンズをなくしてうまく歩けず進行の妨げになる者、俺のスマホがない!と通路に立ち止まってひんしゅくを買う者。各階から多くの人が狭い非常階段目がけてなだれ込む。階段の上から下から「押すな押すな!」「慌てるな、ゆっくり降りろ!」「エレベータに大勢人が閉じ込められているらしいぞ!」と、さまざまな声が飛び交う。そうした避難の混乱に追い打ちをかけるように、時おりゴーッと余震が襲う。もう生きた心地がしない…。

危機の察知
最初の3分間を生き延びるには…

 以上は、高層オフィスビルを例に、地震発生時の状況を描いたものです。大地震が起これば高い建物ほど揺れは大きく長時間続きます。一般に現代の高層ビルディングは震度7程度の地震には耐えうるとされています。

 しかしたとえ建物の耐震性が十分保証されていたとしても、そのことと私たちがパニックに陥らずに安全かつ冷静に行動できるかどうかとは何の関係もありません。みなさんは、大きな地震に見舞われたとき、冷静に判断し、手際よく行動する自信はありますか?

 例によって、ここでは緊急対応の3つの要素の一つ、危機の「察知」を考えてみましょう。地震が発生したとき、あなたがどこにいて何をしているかはその時になってみないとわかりません。おまけに私たちがとっさに身を守るためにとれる行動には限界があります。したがって、まずはどこで何をしていようとも、身を守るための最低限の行動パターンを決めておくことが地震ERPのコツです。地震発生直後の3分間を考えてみましょう。例えば次のように。

・机やテーブルがあればその下に潜り込み、揺れが収まるのを待つ
・火気や窓、背の高い棚や備品、機械装置のそばには近づかない
・「緊急地震速報」→ただちに作業・操作の手を止め、安全な姿勢をとる
・揺れが次第に強くなる→頭を守り、外へ避難(落下・転倒物に注意)
・外にいる時→速やかに広いスペースに避難。建物、電柱等には近寄らない
・車を運転中→車を道路の左側に止め、キーをつけたまま車外に出て避難

 ただし、高所での作業や精密機器の操作、有害物質の処理など、業務環境そのものに日常的にリスクが付きまとう場合は、それらに即した安全確保手順が必要となります。3番目のように、大地震では「緊急地震速報」が役立つこともあります(ただし直下型や震源に近い場合は機能しない)。地震波(S波)到達までの数十秒の間に身の安全を確保するためにできることは何か、話し合っておきましょう。

危機の伝達
避難するかとどまるかの呼びかけ判断

 次に危機の「伝達」について考えてみましょう。地震における「伝達」という場合、出張中の社長にオフィスが地震被害を受けたことを報告するとか、エスカレーション(より上位の人・チームに被災状況を伝え、対応を要請する)のことを想像する方が多いのではないでしょうか。

 確かにこれらも伝達に含まれますが、どちらかと言えば「危機への対処」の一環としてとらえるのが自然でしょう。ここでは時系列的にもっと手前の「避難の呼びかけ」に焦点を当ててみます。避難に関しては、ERPと連携させるツールとして「避難計画」が必要なことは前に述べたとおりです。しっかりした避難計画があれば、それに従えばよいだけの話ですが、単純に"地震が起こったから即避難せよ"とは言えない場合があるのです。

 地震は火災のようなローカルな災害とは異なり、揺れが始まったら直ちに外に避難した方がよい場合、その場にとどまって机の下などにもぐり込んだ方がよい場合など状況によってさまざまです。一つの建物に数千人が滞在する高層オフィスビルなどでは、全員一斉避難を呼びかけると非常階段などではかえって危険なこともあります。

 また、高層ビルに限ったことではありませんが、ビルの建っている場所によって外への避難を優先するかオフィス内にとどまるかを振り分ける必要がある。沿岸部の街で津波が予想される場合は、建物の上階に避難するでしょうし、1階や2階の室内や廊下で天井や壁からミシミシ音がして不気味さを感じるなら、多少の危険を冒してでも急いで外に出るよう呼びかけた方がよい場合もあります。

 自社ビルや自社工場をお持ちの会社では、このあたり、ある程度一貫性ある手順を組み立てることができるでしょう。冒頭の例のように、テナントビルに入居している場合には、ビル運営会社の危機対応(各階の整然とした避難誘導体制ができているかどうかなど)を含めて、前もって確認しておくことが必要です。

危機への対応
人的被害対応と物的被害の確認を急げ

 地震ERPにおける「危機への対応」は、地震発生直後の人的、物的な被害の確認とそれに伴う暫定対応までを指します。重要業務の継続や復旧に向けた段取りまでは踏み込みません。ポイントは次のとおり。

・負傷者対応
・安否確認
・緊急点検と周辺調査
・次にとるべき行動を関係者に指示

「負傷者対応」「安否確認」「緊急点検」は、一連の緊急時行動としてあらかじめ各担当者の脳裏にインプットされていなければなりません。この3要素について逐一指示されなければ動けないようでは困りますので、定期的に訓練でカバーしてください。

「安否確認」は、「避難計画」と同レベルで独立した書式で作成しておきましょう。地震に限らず他の災害の時でも使えるからです。また安否確認の手順と複数の伝達手段を持つことについての規定もお忘れなく。

「緊急点検」については、建物や被災現場の安全を確認した上で、頻発する余震に注意し、いつでも避難できる態勢をとりながら作業に当たらなければなりません。安全な装備(ヘルメット、軍手、安全靴など)を身に付けること、万一のことを考えて二人一組で点検に当たることなども規定してください。

 緊急点検に付随する「周辺調査」とは、公共インフラ等(公共交通機関や道路状況など)の確認を指します。最後の「次にとるべき行動を関係者に指示」とは、従業員の安否や被害状況の報告を受けて、どのような指示を出すのか、ということ。一般従業員は帰宅してよい、緊急時対策メンバーは残りなさい、帰宅できない社員がいたら非常時備蓄から食料と毛布を支給しなさい(帰宅困難者をケアせよ)といったことです。

昆 正和/BCP策定支援アドバイザー。主に中小企業のBCP策定指導や研修、講演活動を行っている。近著に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP』、『山で正しく道に迷う本』(以上日刊工業新聞社)の他、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。ブログ:「昆正和のBCPブログ」
http://diamond.jp/articles/-/118775
http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/772.html

[経世済民119] 「生産性」を人口減の日本で上げるには効率的な投資しかない トランプノミクス読解 50年以上働く長寿社会に不可欠な6の仕組
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層
【第228回】 2017年2月22日 熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
「生産性」を人口減の日本で上げるには効率的な投資しかない

「生産性上昇」を巡る議論への違和感
「人口が減少しても、技術革新によって生産性を上げれば、日本経済は衰退しない」、「働き方改革で長時間労働を是正すれば生産性が上がって給与は増える」など、経済論議の中でしばしば生産性上昇が話題にされる。

 筆者の違和感は、それほど単純に生産性を上げる営みを「自由自在に操作できるとは思えない」というところにある。議論の中で生産性上昇が指すものは、具体性のないシンボルのような扱いであるからだ。
「ではどうやって生産性を上げるのか?」――。
 その点が実はブラックボックスになっていて、生産性上昇を語る人たちの話の説得力を落としている一方で、生産性上昇という話にリアリティを感じない人は、その曖昧さに違和感をおぼえている。多くの「生産性上昇」に関する議論が、その具体的手法を欠いている点で、その主張を弱くしているのが実情だ。

企業は率先して
投資を増やそうとはしていない
 経済学のアプローチでは、生産性を上げる場合、労働人口減少などの人口の制約があっても、労働投入の代わりに資本投入と技術革新によって一国の生産物が増える。つまり労働1単位当たりの生産性は、設備投資や技術導入によって促進される。
 1人あたりの資本装備率の上昇により生産性がアップするわけだ。投資に応じて、固定資産の減価償却費や資金調達コスト(金融費用)、研究開発費などのコストも増えるが、生産性が大きく上がった分、生産の量的拡大によって賃金も上昇する。
 わかりやすく言えば、3人の従業員が動かしていた生産機械の台数を5台から7台に増やすと、1人当たりの従業員の生産物は増えて、機械投資のコストを上回って利益が増えて、賃金上昇も可能になるということである。
 しかし問題は、企業が生産性上昇を目指して、率先して投資を増やそうとはしていないことだ。厳密にいえば、国内投資を手控えて、海外投資にシフトする流れはまだ続いている。日本銀行は、企業の資金調達コストが低くなるように、限界まで金融緩和の度合いを強めているが、企業は内部資金を上回って投資を増やすのを躊躇している。
 なぜならば、国内の成長期待は乏しく、資本ストックを増やしたときに金利支払いなどの固定費負担が重くなることを警戒するからだ。リーマンショックのトラウマもあるが、人口減少によって市場が収縮する恐怖を持っていることが、投資を躊躇させることになっている。
 これは、経営者が終身雇用の正社員を雇うことに、消極的になる心理と同根である。大胆な金融緩和で物価を上げようとするリフレの発想は、実質成長率は操作できないが、インフレ期待はコントロールできるから、人口減少下でも名目成長率を上昇させることは可能というものだ。インフレ期待を引き上げれば、成長期待の下振れを補うことができると考えている。
 だが、本稿では、深入りしないが、リフレの発想は、実務家や経営者をそう信じさせることには成功しておらず、筆者は「作戦失敗」だと見ている。
 つまり、生産性上昇のために、投資拡大が必要だとしても、国内市場が収縮していくリスクが強く意識されていると、本当は投資によって活路を開くことができても、それが阻止されて生産性を低迷させる結果になっているのだ。

サービスの
生産性向上がポイント
 生産性について考える上で、実際のデータを確認しておくことは有用である。例えば、2015年の国内総生産(名目値)は、528.8兆円である(内閣府「国民経済計算」)。これを就業者数6629万人で割り、さらに年間総労働時間(雇用者分)の1751.4時間で割ると、1時間当たり4554円が求められる。
 これにマクロの労働分配率49.5%を乗じると、時間給に相当する2255円の報酬が求められる。4554円の生産性を上げれば、それに同調して2255円の時間当たり報酬も増えるという理屈である。
 次に、業種別に就業者1人当たりの所得(人件費)のランキングをみてみよう(図表1)。生産性が高いのは、電気ガス、情報通信、金融保険、公務、そして製造である。生産性の高さにほぼ応じて1人当たりの所得も高いことがわかる。

◆図表1:業種別にみた所得ランキング(名目値)

※上段の産業ほど所得水準が高い
※()内は生産性対比の割合。非営利法人は、他の業種に分類されたものを集約した区分となっている。 出所:内閣府「国民経済計算」(2015年) 拡大画像表示
http://diamond.jp/mwimgs/f/a/-/img_fa19c7b7836cf64886c1f7a115a0de62127912.jpg

 この表からわかるのは、卸小売とサービスは、もっと資本集約度を上げて生産性上昇の余地があるように思えることだ。この2つの業種は、全体の就業者に占めるウエイトが高く、併せて56.6%と過半の雇用を吸収する。サービスの内訳を細かく見ると、保健衛生・社会事業とその他サービス、宿泊・飲食サービスの3つの生産性はとくに低く、おそらく1人当たり資本装備率も低いだろう。もともと対人サービスが主で労働集約的な仕事とはいえ、それでもこの分野では、もっと資本を投下して生産性上昇ができるように思える(図表2)。

◆図表2:サービス業の中での種類別の所得ランキング(名目値)

※上段の産業ほど所得水準が高い  出所:内閣府「国民経済計算」(2015年) 拡大画像表示
http://diamond.jp/mwimgs/0/0/-/img_0089b9f67cffbf35023d6f96f593a23577994.jpg

 業種分類がわかりにくいので説明すると、保健衛生・社会事業の中には、医療・介護が含まれている。その他サービスには、クリーニング・理容・美容などの生活関連サービスが含まれる。こうした消費者向けのサービスは、顧客が高齢者、すなわち年金生活者が多いから、高価格のサービス提供が成り立ちにくい。
 卸小売にも共通するが、高齢者の人数こそ増えて市場としては大きくなっても、サービス単価が上げられないために効率化に向けた投資が行いにくい。医療・介護も公的保険が広く適用されていていわゆる保険外サービスでの高単価のサービスをする領域が限られている。人口減少のもとで投資が増えにくくなっているのに加えて、卸小売、サービスでは、高齢社会における公的保険などの制度設計が、投資を増やしにくくしているといえる。
 過去からの就業者の推移を見ると、リーマンショックのときでさえ、医療・介護などのサービス従事者は増加を続けていた。就業者がシフトしていく先の生産性が低いということは、趨勢に任せていると、生産性の水準は自然に落ち込んでいく。
 成長のためには「生産性を上げればよい」と、表面的な説明で終わらせてしまうと、人口減少と高齢化の重石が投資を抑制している問題をすっぽり抜かして、言葉ばかりの処方箋が繰り返されることになる。
 ましてや、インフレ期待をコントロールして実質金利を下げると投資が自然に増えるという「教義」を信じこんで、時間を空費することは、成長期待が鈍化するトレンドを放置することにつながるだけだ。

人口減少下で投資を増やす方法
賃上げが効率化投資を促す

 では、どうすればいいのか。
 本来は、医療制度改革や規制緩和によってビジネスチャンスを掘り起こすのが主眼となるべきだが、政策誘導を考える際にも、しっかり見据えるべきだ一つの対策は、労働力不足をカバーする効率化の投資であろう。生産能力増強のための投資の需要はなくとも、設備の更新需要はある。企業が先行きを考えて省力化・効率化のための新しい技術を盛り込んだ設備を導入する。
 このメリットは、まさしく人手不足に悩んでいる卸小売サービス業にとって、より大きな動機付けになるからだ。人手不足は、サービス・卸小売の企業経営者にとって、業容を現状維持するための脅威でもある。難しいのは、人手不足を解決するための効率化投資がイメージしにくいことだ。これまで労働集約的であったスタイルを、機械化で乗り切るという手法やビジネスモデルは思いつきにくい面はある。
 しかし、マクロ統計には表れなくとも、宿泊・飲食サービスなどの分野では、ホテルの受付の無人化、オーダーを券売機が代替するなど、漸進的に省力化が進んでいる。まだ、実現には時間がかかりそうだが、無人運転車の普及がタクシー・トラックのドライバー不足を補う可能性はある。
 経済論壇では、逆に新しい産業革命で技能労働者が職を奪われるとか、AIが会計士などの肩代わりをするなど、ネガティブな面が強調される時もあるが、筆者は、労働力不足の日本ではこうした産業革命はメリットが大きいとみる。課題は、実務的にどういった機械・システムを導入すれば、効率化の成果が表れるのかが見えにくいことである。
 この点について、筆者は経営者らに効率化投資を促す動機付けを強めなくてはいけないと考える。具体的には、パート・アルバイトを含めた労働単価の引き上げだ。マンパワーを機械に置き換えるインセンティブは、賃金が上昇するほどに高まる。
 現在、政府が「働き方改革」の旗を振り、総労働時間が短縮する方向にあるが、この流れも、時間当たりの労働コストを押し上げることになる。賃上げの動きが正社員から、パート・アルバイトへと波及し、サービスや卸小売の効率化投資が増えることが期待される。成長のためにはマクロの設備投資が増えればよいという発想から、生産性上昇に寄与する投資拡大の重視へと、エコノミストや政策当局者の注目点が切り変わっていくことも期待したい。
DIAMOND,Inc. All Rights Reserved.

http://diamond.jp/articles/-/118841


 


News&Analysis
2017年2月22日 週刊ダイヤモンド編集部

トランプノミクスを経済学部生向け教科書で読み解いてみた

先日行われた日米首脳会談では、両国間の経済問題は先送りのかたちとなった。では「トランプノミクス」を、どう評価したらよいのか。社会人でも読みこなせる大学の経済学部レベルの教科書をベースに、トランプノミクスを分析してみると、「ドル高」の帰趨がその成否を握っていることが見えてくる。(「週刊ダイヤモンド」編集委員 原 英次郎)


社会人でも読みこなせる大学の経済学部レベルの教科書をベースに、トランプノミクスを分析してみる
 先日行われた日米首脳会談は、両国間の経済問題はペンス副大統領と麻生副総理兼財務大臣による日米経済対話に委ねられることになった。

 これから本格化する交渉の前提として、トランプ政権の経済政策である「トランプノミクス」を、どう評価したらよいのか。トランプ氏当選直後から、事前の予想に反して、日米の株価はトランプノミクスを囃して大きく上昇した。果たしてそれは妥当な評価なのか。そこで、ここでは筆者も含め社会人でも読みこなせる大学の経済学部レベルの教科書をベースに、トランプノミクスを分析してみる。

 教科書で解説されている経済理論は、現実をあまりにも単純化した前提の上に成り立っているという批判もあるが、先人たちが営々と積み上げきた知の蓄積でもある。そこからは将来を考える上で、多くの示唆が得られるはずだ。ここではノーベル賞学者ジョセフ・スティグリッツ氏が著わし、経済学部向け教科書として定評のある『マクロ経済学(第4版)』(東洋経済新報社)を参考にした。

変動相場制下における
拡張的財政政策の効果は小さい

 まず、トランプノミクスの柱をおさらいしよう。トランプ政権の最重要課題は「雇用第一」で、(1)大幅減税とインフラ投資=拡張的財政政策、(2)保護主義的な通商(貿易)政策、(3)移民の制限、(4)規制緩和の4本柱から成り立っている。

 なかでも注目されるのが、(1)の拡張的財政政策だ。(1)は経済理論ではどう評価されえるのか。開放経済下の財政・金融政策の効果を分析するのに用いられる代表的な理論が「マンデル=フレミング・モデル」である。開放経済とはモノ、おカネ(資本)が国境を越えて自由に取引される世界である。

 同モデルによる拡張的財政政策の効果を文章で表せば、次のようになる。大幅減税&インフラ投資(財政支出の拡大)は、国内需要を増加させ一時的にGDPを増加させる→財政赤字をファイナンスするために、米国の実質金利が上昇する→資本の移動が自由な変動相場制のもとでは、より有利な投資機会を求めて、金利高の米国に海外から投資資金が流入して外貨をドルに変えるため、ドル需要が増えドル高になる→ドル高の結果、輸出減少・輸入増加となり、GDPは減少して元のGDP水準に戻る。つまり、為替レートの変化が、拡張的財政政策の効果を打ち消してしまう。

 2番目の保護主義はどうか。トランプ大統領は中国からの輸入品には45%、メキシコからの輸入品には20%の関税をかけ、関税収入を使って国境に壁を築くとぶち上げている。輸入関税については同書の初版が詳しい。それによれば、輸入関税をかけると輸入関税の対象製品の輸入が減少する→輸入の減少によって、為替市場では輸入業者が輸入のためにドルを売って外貨を買う需要が減るためドル高になる→ドル高によって、輸入が増加し関税による輸入削減効果は小さくなる。

 3番目の移民の制限を評価するには、経済成長の理論が役に立つ。経済(GDP)成長率=労働投入量(総労働時間)増加率+労働生産性上昇率に分解できる。ざっくり言えば、より長い時間働くか、労働者の数が増える(労働投入量の増加)、あるいは労働者1人当たりの生産量が増えれば(労働生産性上昇)、その分、GDPは成長するということだ。

 では、労働生産性の上昇は何によってもたらされるのだろうか。それは(1)資本蓄積(いわゆる設備投資)、(2)労働力の質の改善、(3)低生産性部門から高生産性部門への資源の再配分、(4)技術進歩によってもたらされる。とすれば、移民の制限は労働投入量の増加率を低下させる、加えて有能な移民も制限されれば、(2)、(4)にも悪影響を与える可能性がある。このため、移民の制限は、「中長期」では経済成長率を下げる方向に働く。

 4番目の規制緩和の目的は、新規参入を促し競争を促進して、労働生産性を上げることにある。トランプ政権は金融分野やエネルギー分野の規制緩和を掲げているが、その内容がまだはっきりせず、評価できる段階にない。

 以上のようにトランプ経済政策は、中長期で見ると経済成長率を下押しするものが多い。要するに、他の条件が変わらなければ、トランプノミクスの効果は短期的なものにとどまり、中長期的には失敗する可能性が高い。

トランプノミクスの成否を
握るのは金融・為替政策

 ただし、トランプノミクスが成功するケースも想定できる。他の条件が変わる場合である。ここにトランプ政権のこれからの出かたを占うヒントがある。

 最大のポイントは為替だ。ドル高を防ぎ為替を安定させれば、拡張的財政政策は、輸出減や輸入増によって、効果が減殺されることがない。そしてドル高を防ぐために考えられる第1のケースは、米国が金融引き締め(利上げ)を遅らせて金利の上昇を抑え、内外の金利差を拡大させないことだ。それ故に、トランプ政権が金利引き上げモードに入っているFRB(連邦準備制度理事会)に、どのような圧力をかけるのか注目される。

 もう一つは、国際的な政策協調。要は、米国と同様の政策を外国にも採用させることである。例えば、FRBが利上げに動いたとしても、日本がより一段の拡張的財政政策を採れば、日本の金利も上がり、日米の金利差が広がらない(日本から米国に投資資金が流れない)ため、ドル高を防ぐことができる。加えて、トランプ大統領は日本が円安を実現するために、金融緩和政策を利用していると批判している。日本銀行が超金融緩和を解除すれば、日米の金融政策は同じ方向を向くことになりドル高を防ぐことができる。

 折しも、マクロ経済の原因と結果をめぐる実証的な研究でノーベル経済学賞を受賞したクリストファー・シムズ氏が来日し、日本のデフレ脱却には財政支出の拡大が必要だと述べた。トランプ大統領の対日批判は、一見するとバラバラで思いつきのように見えるが、案外、経済理論に適っている。したたかな交渉相手であることは間違いなさそうだ。
http://diamond.jp/articles/-/118850

 

山崎元のマルチスコープ
2017年2月22日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
50年以上働き続ける長寿社会に不可欠な6つの仕組み

長寿化に対応した人生設計が必要とされている
長寿国・日本で関心を集める
「LIFE・SHIFT」

 本連載でも一度取り上げたことがあるが、「LIFE・SHIFT」(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著。池村千秋訳。東洋経済新報社)という書籍が、大いに売れており、方々で話題を集めている。

 簡単に言うと、長寿化に対応できる人生設計のモデルはどのようなものであるかを論じた本だが、先進国の中にあって、ひときわ平均寿命の長いわが国にあって、このテーマが関心を集めることは自然に見える。

 端的に言って、人は今までよりも長く働かなければならないという話なのだが、今の高齢者がかつての高齢者よりも元気であって、長く働けること自体は幸せだし、より長く生きる自分を養う必要があるのだから、自然な結論だろう。また、政府も、労働人口が確実に減る見通しのわが国にあって、女性と並んで高齢者の労働参加を促進したいと考えている。

 それでは、高齢者がより有効に、かつより快適に労働参加を続けるために、わが国は制度として何を用意したらよいのかを考えてみよう。

複数の仕事を自由に持ち
自分を高める時間も確保する

(1)副業制限の禁止

 国民が長寿化に対応して働いていくために、何が最も重要かと考えてみると、後で述べるいくつかの項目も大事なのだが、一番大事なのは、会社員・公務員の「副業」を幅広くかつ明確に解禁することではないだろうか。

 例えば、22歳で大学を卒業して75歳まで50年以上働くと考えた場合、一つのビジネスが50年以上無事に継続するかどうかは、かなり心許ない。「会社」は必ずしも50年以上続かないだろうし、50年以上続いたとしても、個々の社員がその会社のビジネスに適合し続けられるとは限らない。

 俗に「親方日の丸」と言われる公務員の場合、職場は民間の会社よりは安定しているが、やはり本人が職場に適合し続けるかどうかは不確実だ。本人が嫌になる場合もあれば、職場の側が個人を使えないと判断する場合もあろう。両方の判断が尊重されるべきだ。

 会社員でも公務員でも、高齢になって職場を離れた後に、次に働くことができる「場」を持つことが重要だ。

 そのためには、率直に言って、それなりに長い準備期間が必要だ。

 将来、組織を離れて働ける場を確保するためには、一つの会社や役所に100%時間を捧げるのではなく、さりとて、組織から離れていきなり起業するようなリスクを取るのでもなく、次の職業スキルを身に付けながら、次に自分を雇ってくれる相手や、独立した場合の顧客を探す時間があることが望ましい。

 そのためには、会社員も公務員も、一定の労働時間以外では、副業を自由に行っていいとする労働のルールを作るべきだろう。

 もちろん、会社員の場合は、業務上知り得た企業の業務上の秘密を副業に流用できないような利益相反の禁止ルールが必要だろうし、公務員の場合にはそれがもっと厳しくあるべきだろうが、例えば、デパートの店員が休日にファイナンシャルプランナーの仕事をしたり、市役所の戸籍係が副業で夜間に英会話の塾を開いたりするようなことがあっても、構わないだろう。もちろん、自分で仕事を作るのではなくて、別の組織に時間を限定して雇われるのでも構わない。

 複数の仕事を自由に持てるようにならなければ、「LIFE・SHIFT」時代を安心して乗り切ることはできない。

(2)残業の制限及び強制の禁止

 副業が自由になっても、残業を強制されるなどのかたちで時間を自由に使えなくなると、効果が制約される。わが国では、現在、残業時間の上限を制限しようとする流れにあるが、副業を認めるのと同時に、残業強制の制限を組み合わせると、「ブラックな労働」を抑止する効果がかなりあるように思われる。

 副業を禁止されたり、遠慮したりすることで、雇用主の顔色を覗わなければならないことがサラリーマンの職場環境を「ブラック」にしている。「会社を辞めても、副業で稼げる」、「副業で稼ぎながら、転職先を探せばいい」と社員が考えるようになると、ブラックな労働条件の強制はより難しくなる。

「LIFE・SHIFT」対応以前に、労働者の待遇改善と安倍政権が切望する賃金が上昇する環境のためにも、労働者側の交渉力を強化することが有効なのではないかと付け加えておく。

 また、書籍「LIFE・SHIFT」で強調されている、社会人人材が自らを再教育する必要性に対応するためにも、会社員や役人に、確実に自分の自由になる時間を確保させることが重要だ。

人生を1つの組織、仕事に
捧げることのリスクを知る

(3)金銭補償による解雇の自由

「LIFE・SHIFT」時代にあっては、転業・転職がより容易にできるのでなければならない。また、経済全体の生産性を上げるためにも、人材の再配置が容易であることが望ましい。

 正社員に対する解雇の規制を緩和することは、人材の再配置に対して効果的であるばかりでなく、人材市場の流動性を高めるので、仮に個人が解雇されたり、自分で職を探そうとしたりした場合に「職が見つかりやすい環境」の形成にも役立つことが期待される。

 また、中小企業では、事実上社長の一存でクビになり、何の補償も得られないケースが少なくないことなどを考えると、解雇の際の金銭補償に一定のルール付けがある方が、労働者に優しい。

 もちろん、経営者側にとっても、一定の予想可能なコストで人材の入れ替えを行う事ができることは経営の自由度を高めるし、今よりも、気楽に社員を雇うことを容易にする。

(4)「定年」の禁止

 そもそも「定年」という制度は、個人の能力や働きぶりを考慮せずに年齢で人の扱いを変える不当な「差別」である。

 一方、現実問題として、定年を廃止すると、いつまでも辞めないし、辞めさせにくい高齢者が組織に滞留しそうだが、解雇に関する条件を緩和し、経営者と管理職が本来必要な判断を行うなら、形式的な定年というものは必要ない。定年後でも役に立つ人材は適当な報酬の下に雇い続けるといいし、定年前でも役に立たないと判断した人材は解雇できることが望ましい。

 会社にせよ役所にせよ、一律に年齢で決めるのではなくて、個人を個別に判断して、どのような条件で雇うか、あるいは雇わないかを判断するのが当然だ。

 もちろん、正社員も役人も、ルール化された一定の金銭的な補償(かなりいい条件の補償だが)の下に解雇できる仕組みを儲けることが適切だと思われる。

(5)転職の不利の解消

「LIFE・SHIFT」時代は、個人が自分の人生を一つの組織に委ねることに大きなリスクがある時代である。

 働く人々が、この条件に十分適応するためには、会社や役所などの職場を移る「転職」が個々人にとって不利なく選択できるオプションである必要がある。

 現在、企業年金や退職金の制度設計にあっては、短期間の勤務で転職した場合に当該個人が不利になることを許容するような、「転職抑制的」なインセンティブを含む制度設計が広く許されている。つまり、経営者が社員を会社に縛り付ける一手段を与えているが、これは余計だ。

 そもそも人の扱い方として不公平だし、転職の抑制は、個人が、長期化する職業人生とそれに伴う変化の必要性に対する適応を阻害する方向に働く。

(6)確定拠出年金の加入期間延長

 政府は、一方で公的年金の支給額を実質的に減額しつつ、他方で高齢者の労働参加を奨励し、しかも「貯蓄から投資へ」を実現しようとしているのに、確定拠出年金の加入(掛け金を拠出できる)年齢をなぜ60歳までとしているのかは、全く理解に苦しむ。

 確定拠出年金の加入可能年齢はすでに70歳くらいでいいはずだ。そうすると、節税できる人と金額の範囲が拡がることが問題なのだろうか。

 他の項目ほど「働き方」に対する影響は大きくないと思うが、これは早急に行うべき変更ではないだろうか。

いくつかでも、少しずつでも
実現してくれることを願う

 筆者は、さすがにここで挙げた「要望」の全てが実現するとは予想していない。しかし、人が長寿化する「LIFE・SHIFT」の時代は着実にやって来つつあるので、これらのうち、いくつかでも、あるいは、部分的に少しずつでも、実現してくれることを願っている。

 個々人が柔軟に人生設計できる環境を実現したい。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
http://diamond.jp/articles/-/118847
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/400.html

[経世済民119] 英国、EU離脱で巨額支払い覚悟を−「ただ」とは思うなと欧州委員長 英中銀の失業率下、議会が説明要求 低金利に苦しむ欧州銀
英国、EU離脱で巨額支払い覚悟を−「ただ」とは思うなと欧州委員長
Marine Strauss、Ian Wishart
2017年2月22日 02:53 JST

英国はEUへのコミットメント履行をとユンケル欧州委員長
英国の未払い額は推計で約600億ユーロ
 
英国は欧州連合(EU)を離脱する時に、「巨額の支払い」が必要になるだろうと、EU欧州委員会のユンケル委員長が述べた。離脱交渉の中で最大の争点の一つとなる要素に言及した。
  「値引きはないし、ただではないということを英国民は知っておく必要がある。英国はEUに対するコミットメントを履行しなければならない」とユンケル委員長は21日、ブリュッセルのベルギー議会で述べた。「巨額の支払いになる」と続けた。
  推計で600億ユーロ(約7兆1800億円)と見積もられる英国の支払いは、離脱にかかる罰金というわけではなく、英国がEU加盟国であった間に約束したさまざまな拠出金の合計だ。EU職員の年金基金やEU予算、プロジェクトに拠出を約束した資金などだ。英国もEUも最終的な金額を正式に示してはいない。
  「巨額」の定義を問われた欧州委のシナス報道官は、「アイデアであって数字ではない」とブリュッセルで記者団に語った。「実務者レベルで作業が進められているが、現時点で特定の数字を挙げることはできない」と述べた。  
原題:U.K.’s Brexit Bill Will Be ‘Hefty,’ EU Commission President Says(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-21/OLQF1X6VDKHS01

 

英中銀の均衡失業率予想引き下げ、議会が総裁に説明要求 

[ロンドン 21日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は21日、低金利の正当化につながる均衡失業率の想定引き下げを巡り、議会で説明を求められた。

英中銀は今月、インフレ率が上昇し始める失業率の均衡水準を従来の5%から4.5%に予想外に引き下げた。これにより中銀は、欧州連合(EU)離脱決定後の英経済が比較的堅調に推移する中でも、より長期にわたる低金利維持を正当化できる可能性がある。

そのため議員からは、失業率の均衡水準が利上げの是非をめぐる決定で重要な判断材料になるとして、総裁に経緯の説明を求める声が上がった。

カーニー総裁は議会での質疑応答で、中銀が均衡失業率の想定引き下げを決めたことについて、年次の見直しの結果であり、金融政策委員会の一部メンバーは何年も前から想定水準は高すぎると感じていたと答えた。

英失業率は現在4.8%と、11年ぶりの低水準にある。だが賃金の伸びは鈍く、2007─09年の金融危機以前の水準を下回っており、中銀は雇用の伸びと賃金、インフレ率の関連性について見直しを迫られている。

カーニー総裁はまた、インフレ率が2%の目標水準を上回って加速するとの中銀見通しについて、EU離脱決定後のポンド安が要因との見方を変えていないと指摘。だが「賃金やその他の物価にもインフレ加速の影響が及び始めれば、上振れへの許容は限界に近づく」とした。

*内容を追加して再送します。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
〔アングル〕返り咲き目指すサルコジ氏、仏大統領選で移民に厳しい姿勢強調
英4━6月労働生産性0.5%上昇へ、2四半期連続プラス=国立統計局
豪就業者数、7月は予想以上に増加 フルタイム就業者は大幅減
コラム:問題はらむ世代間格差拡大、早めの政策対応を
英失業者数、7月は予想外の減少 EU離脱決定の影響表れず
http://jp.reuters.com/article/britain-boe-idJPKBN16019U

 

2017年2月21日 ロイター
低金利に苦しむ欧州銀、米国発の金利上昇に期待

2月17日、ECBのマイナス金利政策により、昨年は欧州の大手銀行の収益が前年にも増して大きく圧迫されたが、現在は米金利上昇が欧州にも波及し、収益への影響は間もなく最悪期を脱するとの期待が広がっている。パリ近郊のビジネス街で1月撮影(2017年 ロイター/Christian Hartmann)
[フランクフルト/パリ 17日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利政策により、昨年は欧州の大手銀行の収益が前年にも増して大きく圧迫された。しかし現在、米国の金利上昇が欧州にも波及し、収益への影響は間もなく最悪期を脱するとの期待が広がっている。

 マイナス金利は景気浮揚を狙った政策だが、市中銀行が中央銀行に預ける預金に手数料を課す形になるため、体力の弱った欧州銀には重い負荷がかかる。

 欧州大手行20行を対象にロイターが2月半ばに実施した調査によると、純金利収入が減少した銀行は2015年が7行だったのに対し、16年は12行に増えた。減少率も15年の平均5%から16年は7%超に広がった。

 16年はクレディ・スイスの純金利収入が約19%減少、ドイツのコメルツバンクは13%、ドイツ銀行は8%、イタリアのウニクレディトは6%、スイスのバンキアは20%、それぞれ減少した。

利上げ期待

 ただ、今年は米国で追加利上げが予想されており、銀行幹部らは最終的にECBの金融政策にも波及するとみている。

 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のチャールズ・グッドハート氏は「通常、先陣を切るのは米国だ。トランプ米大統領が拡張的な財政政策を実行に移せれば、金利が上がるだろう」と述べ、欧州にも影響が及ぶとの見方を示した。

 BNPパリバの場合、低金利によって2013年から16年に失われた収入は10億ユーロに上る。ラール・マシュニル最高財務責任者(CFO)は「金利の低下は収入に悪影響を及ぼした。それが転換すれば(失われた分と)近いものが戻ってくるだろうが、時間はかかりそうだ」と話した。

預金を削減

 銀行がマイナス金利政策による収益への悪影響を回避する手段としては、預金者にコストを転嫁する方法と、預金受け入れ額を低く抑えて貸し出しを増やす方法がある。

 今のところ、スイスのオルタナティブ・バンク・スイスが預金者に手数料を課している。またスウェーデンの銀行は概して預金水準が低いため低金利政策の影響を受けにくく、スウェドバンクの純金利収入は約3%増加した。

 一方、コメルツバンクは企業顧客からの預金受け入れを約220億ユーロ減らす戦略に出たが、昨年はマイナス金利の影響で収入が2億ユーロ以上圧迫された。

 それでも独保険大手アリアンツのチーフエコノミスト、ミヒャエル・ハイゼ氏は「金利環境はついに変化する希望が見えている。政策担当者の姿勢が変わったのは明らかで、来年は金利が上がる可能性があると思う」と明るい見通しを示した。

(John O'Donnell記者 Maya Nikolaeva記者)
http://diamond.jp/articles/-/118842
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/401.html

[政治・選挙・NHK221] マスコミが「天下りをちょっと批判してあとは見て見ぬ振り」の理由 終身雇用=同じ穴の狢 部下を叱れない「ダメ上司」が急増し
2017年2月20日 橘玲
マスコミが「天下りをちょっと批判してあとは見て見ぬ振り」の理由

[橘玲の日々刻々]

トランプ新大統領が引き起こす混乱はいまだ収まる気配がありませんが、今回のテーマは文部科学省による天下りの斡旋です。なぜかというと、いまはたくさんにひとが怒っていますが、この話題はすぐに消えていく運命にあるからです。

すでに報じられているように、文科省の人事課は、OB団体が天下りを組織的に斡旋する手の込んだシステムを構築し、それを隠蔽するウソの説明の想定問答までつくっていました。「学の独立」を高らかに掲げる私立大学の雄が、文科省の指示に従って再就職等監視委員会の調査で口裏を合わせていたことも暴露され、教育行政に対する信用は大きく失墜しました。――この私立大学はなぜか「被害者」の立場に収まっていますが、ふつうは違法行為の幇助というのでしょう。

不思議なのは、文科省をきびしく批判するマスメディアが、どうすれば天下りを根絶できるかを説明しないことです。

ピラミッド型の組織は、その構造上、昇進にともなって余剰人員を減らしていかなくては成り立ちません。ところが日本の企業や官庁は入社時に終身雇用を約束して、その対価として組織への忠誠を求めます。ちょっと考えればわかるように、もともとこれは両立不可能です。

高度経済成長の時代は、大企業は子会社や取引先に中高年の社員を押しつけてこの矛盾を糊塗してきましたが、市場の縮小と業績悪化でそんな余裕はなくなり、日本を代表する一流企業にまで「追い出し部屋」が蔓延しました。それにともなって、官僚の天下りに冷たい視線が集まるようになったのです。

日本の官庁は、入社年次を「同期」として、「昇進は年次が上の同期を越えない」というきわめて特殊なルールで運営されています。この人事制度では、ピラミッドの頂点に立つ事務次官が決まれば、同期はすべて省を去らなければなりません。ということは、課長くらいまでは平等に昇進しても、40代半ばからは徐々に人員を間引いていく必要があります。しかし彼らも「終身雇用」なのですから、省庁の人事課のもっとも重要な仕事は退職者の職探しになるのです。

天下りの根絶に最初に取り組んだのは小泉政権で、官僚が民間企業に転職し、民間企業からも官庁幹部に登用するアメリカ型の「リボルビング(回転)ドア」を目指しました。この抜本改革が頓挫したのは、民間企業も終身雇用の中高年社員の処遇に困り果てており、50代の「元高級官僚」の席など、よほどのお土産をつけなければ用意できるはずがなかったからです。

2013年に前事務次官がOBの再就職の口利きをした問題が発覚した国土交通省では、その年の退職者がこぞってハローワークに登録したものの、「そんな職はない」と断れるというマンガのような事態も起きたとのことです。自分で再就職できないのなら、組織が面倒をみるほかありません。

こうして、官僚制度を維持するには天下りは仕方がないという暗黙の了解が生まれました。文科省が批判されたのは、そのやり方があまりに露骨だったからです。

原理的に解決不可能な問題を議論しても意味がありません。だから今回も、ちょっと騒いで、あとは見て見ぬ振りをすることになるでしょう。

参考:朝日新聞2012年2月2日朝刊「翌日には再就職1割」
『週刊プレイボーイ』2017年2月13日発売号に掲載

橘 玲(たちばな あきら)

作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(ダイヤモンド社)『「言ってはいけない残酷すぎる真実』(新潮新書)など。最新刊は、小説『ダブルマリッジ』(文藝春秋刊)。

●橘玲『世の中の仕組みと人生のデザイン』を毎週木曜日に配信中!(20日間無料体験中)
http://diamond.jp/articles/-/118728


 


2017年2月21日 安藤広大 [識学代表取締役社長]
部下を叱れない「ダメ上司」が急増している理由

最近、「部下に人気のある上司」が理想とされているせいか、「部下を叱ることができない上司が増えている」という話を頻繁に聞くようになった。なぜ、部下を叱ることができないのか、なぜ、叱る必要があるのか。(株式会社識学代表取締役社長、組織コンサルタント 安藤広大)

「部下からの評価」を
恐れている

「部下を叱ることができない上司が増えてきている」と、よく耳にします。私たちがコンサルティングをさせていただいている会社でもよく相談を受けます。

 では、なぜ、部下を叱ることができないのでしょうか?

 まず、ここで「叱る」という行為についての定義を合わせておきたいと思います。

「叱る」とは「目下の者の言動のよくない点などを指摘して、強くとがめる」と辞書(デジタル大辞泉)に書いてあります。

 やはり、組織を運営していくにあたっては、「よくない」ことを部下がしている時には「叱る」必要はありそうです。また、部下を成長させていくためにも、管理者としては、「叱る」必要はありそうです。成長をさせるためには、「よくない点の指摘」は必要だからです。

 それでは、業務上、管理者として必要な「部下を叱る」ということが、なぜ、できない人が増えてきているのでしょうか。

 一つは、「部下からの“評価(評判)”が下がるのが怖い」からです。

 本来は、上司は部下からの評判を気にする必要がありません。というのも、上司は、「チームの成績」や「部下の成長」に責任ある立場であるために、意思決定をするという権限を持つからです。つまり、チームの成績や部下の成長に「責任のない立場の人間」には、本来「その意思決定を評価する」という資格はありません。

 もちろん、上司はその意思決定によって出た結果について、その上の上司から評価されます。上司が社内にいない社長やCEOであれば、市場から評価をされます。

 それなのに、本来必要のない「部下からの評判が下がること」や「嫌われること」を恐れて、必要である部下を「叱る」ことができなくなっているのです。

人気がある上司が
「良い上司」の間違い

 なぜ、このような勘違いが起きてしまっているのでしょうか――。

 それには、最近の社会情勢や風潮が大きく影響をしています。昨今の「流行」は部下から人気を獲得できる上司こそが「良い上司」とされる傾向があるからです。

 しかし、考えてみれば、これほど無責任なことはありません。なぜなら、上司は部下よりも「遠い未来」を見なければならない責任を負っているからです。

 だからこそ、「今」部下からの評判が下がろうとも、「今」部下からの人気が獲得できなくとも、やるべきことをやる。つまり、「未来のためにこれが正しい」と思うのであれば、「部下にとって必要だ」と思うのであれば、「叱る」ことをしなければいけません。

 自ら「部下から嫌われること」や「評判が下がること」を恐れ、「部下を叱る」ことから逃げることで、結果的に、チームが負けてしまう。あるいは、「部下の成長機会を奪う」ということを認識しても、まだ「部下を叱る」ことができないのであれば、管理者は辞めた方がいいかもしれません。

 そして、「叱る」ことのできないもう一つの理由は「ルールがない」あるいは「ルールを認識していない」ということです。

「ルール」があれば
叱る理由が明確になる

 ルールがある状態で「叱る」のは、あまり、労力を割かなくてすみます。「ルール違反」を指摘するだけだからです。

 例えば、「赤信号では道を渡っていけない」というルールと、「交通違反は警察が取り締まる」というルールがあるときに、赤信号を渡っている人に対して、警察官がルール違反を指摘することは、躊躇するようなことではないはずです(もちろん、中には心理的に躊躇される警察官もおられるかとは思いますが)。

 つまり、双方認識している「ルール」が合致しているときに、「叱る」という行為は、ただルール違反を指摘する行為を無機質に実行しているだけに過ぎず、「叱る」時の相手にどう思われるかという心理的負担や、言うことを聞かせるために「マウント」を取るような、相手を威嚇するような言動も必要なくなるのです。

「叱る」必要性を認識しながらも、「叱る」ことができていない管理者の方は、まずは、部下と業務上の「ルール」の認識を一致させることをお勧めします。

最悪なのは
感情的に怒る上司

 最後に、部下を「叱る」上で一番やってはいけないことをお伝えします。それは、感情的になって「怒る」という行為です。

 感情的に「怒る」上司を見て、部下はどう思うでしょうか。

「個人的な感情で自分のことを指摘しているんだな」と感じる部下が多いのではないでしょうか。

 しばしば「怒る」と「叱る」の違いはという話があると思いますが、まさに、叱っているというよりは、単純に感情的な要因で「怒っているんだな」と認識されてしまうのです。

 そうなると、部下はどう思うのか。


安藤広大さんの『伸びる会社は「これ」をやらない!』(すばる舎)が好評発売中。224ページ、1620円(税込み)
 今、上司が指摘している内容は、「個人的な見解」あるいは「思いつき」だなと認識するようになります。そもそも「怒る」というのは「個人の感情」の状態を示すものであり、「叱る」は「対象者に対しての行為」を示すものであり、まったく違うものだからです。

 部下が、上司の言うことを素直に聞くことができるのは、前述した通り、組織が勝利するためや個人が成長するための「ルール」だと認識した時です。

 つまり、感情的に「怒る」ということは、発している内容が「ルール」ではなく、「個人的な見解」であると認識させることに他なりません。

 部下を「叱る」ことから逃げてはいけません。それは、管理職として、リーダーとしての「重要な役割」だからです。その際、部下と前提のルールをしっかりと合わせておくことを意識してください。そして、絶対に感情的に「怒る」ことはやってはいけません。
http://diamond.jp/articles/-/118704
http://www.asyura2.com/17/senkyo221/msg/200.html

[経世済民119] 円高派と円安派、年末に笑うのはどちらか シムズ理論、財政再建がいい加減に=麻生 超長期債で抜駆我慢の生保、フラット化HF
コラム:円高派と円安派、年末に笑うのはどちらか=尾河眞樹氏
尾河眞樹
尾河眞樹ソニーフィナンシャルホールディングス 執行役員・金融市場調査部長
[東京 22日] - 先日、都内の某所で行われたセミナーで、筆者も懇意にさせていただいている2人の為替ストラテジストが、2017年の為替相場見通しを語った。興味深かったのは、2人の見通しが真逆だったことだ。

ドル円の年末予想値は120円と99円に割れた。ただ、為替の場合、ここまで大きく予想が割れるのは珍しいことではない。為替を動かす材料は多岐にわたっており、根拠の軸をどこに置くかで予想値は全く変わってくるからだ。

同セミナーに登壇した2人の場合、円安派は米国のインフレ加速と日米の金利差拡大に、円高派はトランプ米政権の保護主義や欧州の政治リスクに力点を置いていたが、いずれもロジックがしっかりしており、さすがに「なるほど」と唸(うな)る非の打ちどころのない内容だった。

「金利差」なのか「政治リスク」なのか、どちらが色濃く相場に反映されるかで年末のドル円レートは大きく異なる。足元、ドル円が112―113円台という、極めて「中途半端」な水準で膠着(こうちゃく)しているのは、現段階ではこのいずれも実現する可能性がそれなりに高いからだろう。

市場参加者の中には115円を先に上抜けるという予想と、110円を先に割り込むという予想が混在しており、これによって相場もその中間点で綱引きになっているのだ。

<持ち合い相場はいつ崩れるか>

米株価とドル円相場のグラフを重ねると、株と為替で、市場によっても見通しが割れていることが如実に表れている。昨年11月の米大統領選後に、トランプ政権の財政政策への期待から、トランプラリーが起こり、米株価とドル円はパラレルに上昇した。しかし、今年1月20日のトランプ大統領就任式以降、米株価とドル円の相関性は崩れた。

大統領就任演説やその後の円安批判など、トランプ政権の保護主義が前面に出たことが背景だ。トランプノミクスによる米景気拡大への期待から米株価は連日高値更新となる一方で、「米保護主義=ドル安政策」を意識した為替市場ではドル円がずるずると下落した。株式市場と為替市場では、トランプノミクスの注目ポイントも異なるし、おのずと反応も違ってくるのだ。

ただ、こうした市場のゆがみはいずれ修正され、ドル円の持ち合い相場も崩れるときが来るだろう。タイミングとしては、3月上旬が有力だ。ドル円は日足一目均衡表の雲(109.96円から115.30円)に入って2月23日でちょうど1カ月となる。この間、概ね111―115円のレンジ相場が続いてきたが、3月上旬になると、この雲が114円台半ば付近でねじれるポイントがある。その頃はちょうどトランプ政権の税制改革案が発表されるタイミング(トランプ大統領の発言によれば3月上旬が期限)と重なるのだ。

おそらくこの税制改革案を市場がどう評価するかが、111―115円の持ち合いから上下どちらに抜けるかの分かれ目となろう。トランプ大統領は2月9日に、米国の航空会社幹部との会合で、「驚異的な」法人税制改革の計画を2―3週間以内に発表すると述べた。

この「驚異的」発言で事前に大型減税への期待が高まっただけに、減税が予想外に小規模にとどまった場合には、失望感から円高に振れるのではないかとの見方もあるが、トランプ大統領のこうしたリップサービスや気まぐれな発言を、果たして市場参加者がどの程度真剣にとらえているかと言えば、もともと期待値はさほど高くないはずだ。

それよりも、ムニューシン米財務長官の就任によって、財政政策の策定が進み、予算教書が議会に提出される流れとなれば、これらが米経済を押し上げるとの安心感につながり、米国の長期金利が上昇する中、ドル円はじわり115円を上抜ける可能性が高いとみている。

<元高が招く円高リスク>

ただし、その後も一直線に120円を目指す展開になるかと言えば、まだ紆余曲折がありそうだ。冒頭に記載した円安派の「日米金利差拡大」か、円高派の「政治リスク」かで言うと、4―5月にかけては円高派が主張する「政治リスク」が目白押しだ。

まずは4月中に、米財務省が議会に対して「為替報告書」を提出する。最大の注目は、トランプ大統領の選挙中の公約通りに、米政府が中国を「為替操作国」に認定するかどうかだ。ムニューシン米財務長官が2月13日に就任してから、早速、中国の汪洋副首相、ハモンド英財務相、麻生太郎財務相、ショイブレ独財務相らと相次いで電話会談するなど積極的に外交を行う中で、いくら選挙公約とはいえ、中国が4月に為替操作国に認定される可能性は低いだろう。

加えて中国当局はこれまで資本流出に歯止めをかけるために、むしろ人民元買い介入を行っていたのであり、このために中国の外貨準備は急速に減少している。為替を「操作」していることは確かだが、自国通貨安誘導の介入ではないため、これをもって「為替操作国」に認定するのは無理があろう。

もちろん、一部海外メディアでは、「中国と韓国が為替操作国に認定されるのでは」との観測報道もある。また、米上院外交委員会の重鎮、グラム議員(共和党・サウスカロライナ州)は2月19日、「議会では中国の為替操作国認定に対して超党派の支持があるため、仮に認定した場合は、議会もこれを支持する」との見解を示している。もしも認定に至った場合には、一時的とはいえ、人民元高に巻き込まれる形で円高が進行するリスクには警戒が必要だろう。

<ブレグジットの教訓>

また、4月23日にはフランスの大統領選第1回目の投票が行われる。ここではどの候補も過半数を獲得できない見通しで、1位と2位で5月7日の決選投票に持ち込まれる公算が大きい。おそらく極右政党「国民戦線」のルペン党首と、中道・無党派のマクロン前経済相との戦いになるとみられている。

オピニオンウェイの世論調査によれば、2月21日時点で58%対42%と、最有力候補と言われるマクロン氏をルペン氏が急速に追い上げている状況だ。マクロン氏のリードは2週間で約半分になった。ルペン氏は「ユーロの通貨同盟を離脱する」と主張しており、ここのところ仏国債が売られ長期金利が上昇するなど、市場もルペン氏勝利による混乱をじわり織り込み始めた。

実際、ルペン氏の主張するユーロ離脱や、欧州連合(EU)離脱、「自国第一」を明記する憲法の改正などには、議会の過半数の支持が必要であり、国民戦線が過半数を占めるのは困難であることを考慮すれば、ルペン氏が勝利したとしても、これらが実現する可能性は低いと言える。とはいえ、仮に第1回投票でルペン氏の支持率が予想外に高い、あるいは決選投票で実際に勝利するとなれば、いったんは市場がリスクオフに傾き、円高が進行する可能性は高いだろう。

では、やはり円高派が優勢なのか。ヒントは昨年6月の英国民投票でのEU離脱(ブレグジット)決定後の相場動向にありそうだ。実はブレグジット決定後のドル円相場は、106円から99円まで一日で急落したものの、その1カ月後には107円まで回復している。仏大統領選に関しても、ドル円単体への影響は、振れ幅は大きくても一時的に過ぎないだろう。

こうしたイベントを乗り越えて、6月以降、米連邦準備理事会(FRB)が2―3回の利上げを決定するとなれば、市場の目は再び「日米金利差拡大」に向かい、年後半にドル円は緩やかに上昇。年末時点では120円付近まで上昇している可能性が高いとみている。

*尾河眞樹氏は、ソニーフィナンシャルホールディングスの執行役員兼金融市場調査部長。米系金融機関の為替ディーラーを経て、ソニーの財務部にて為替ヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。著書に「本当にわかる為替相場」「為替がわかればビジネスが変わる」「富裕層に学ぶ外貨投資術」などがある。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)


視点:トランプ円安は幻想、進む「米国の日本化」=青木大樹氏 2017年 01月 23日
コラム:ドル120円予想を支える2つの根拠=鈴木健吾氏 2017年 02月 20日
ベトナムに新造巡視船6隻を供与 2017年 01月 16日
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-maki-ogawa-idJPKBN1610D7

 


 
ドル・円が反落、米利上げ期待で下値は限定的−一時113円台前半
酒井大輔
2017年2月22日 12:43 JST 更新日時 2017年2月22日 16:05 JST

関連ニュース
ヘッジファンドのゴッサムも採用か、「1%か30%」の手数料−関係者
Haruhiko Kuroda, governor of the Bank of Japan. Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
超長期債で抜け駆け我慢の生保、フラット化のヘッジファンドに勝算は
フィヨン氏がマクロン氏逆転、ルペン氏決選投票支持上昇−仏大統領選
必読はIMFやBISの公表資料、ブログに金塊も−市場分析の専門家

朝方の113円台後半から一時113円33銭まで下落した後は下げ渋る
FOMC議事録がタカ派度強めれば、ドル・円は114円台も−野村

22日の東京外国為替市場のドル・円相場は反落。輸出企業などによる売りで一時1ドル=113円台前半まで水準を切り下げたものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の公表を米国時間に控えて、米利上げへの期待感から下げ渋った。
  午後4時4分現在のドル・円相場は前日比0.2%安の113円45銭。朝方に付けた113円73銭から、一時113円33銭までドル安・円高に振れたが、その後113円台半ばまで値を戻した。
  NBCフィナンシャル・マーケッツ・アジアのディレクター、デービッド・ルー氏(香港在勤)は、ドル・円の下落について、「輸出入企業の売り買いで小動きだったが、輸出企業の売りが優勢となった」と説明した。一方、野村証券外国為替部の高松弘一エグゼクティブ・ディレクターは、ドル・円の下落が限定的だった背景として「FOMC議事録がタカ派度を強めるのではないかと警戒されているのでは」との見方を示した。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)マーケッツ本部外国為替・コモディティー営業部長の吉利重毅氏は、「年度末を控えた2月というタイミング的に本邦機関投資家の動きが出づらいこともあり、短期勢のみの動きで動意が見られない」と指摘。「市場は減税策が出てくるかもしれない来週28日のトランプ米大統領の上下院合同本会議での演説を前に様子見になっている」と言う。
  前日の海外市場で、ドル・円は一時113円78銭と16日以来の水準までドル高・円安が進んだ。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁がMNIとのインタビューで、3月利上げの可能性を排除しないと発言したことが材料視された。
  クリーブランド連銀のメスター総裁は22日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「米経済が現在の軌道を維持すれば金利が上昇することに満足するだろう」と述べたほか、金利について「われわれは市場を驚かせたくない」と発言。この日の米国時間には、1月31日−2月1日開催分のFOMC議事録が公表される。
  野村証券の高松氏は、「連銀高官のタカ派的な発言が続いているにもかかわらず、市場の今年の利上げ回数の織り込みは2回とちょっと程度しかない」とした上で、「金利について市場を驚かせないというFRBのスタンスからすれば、市場に2.5回分くらいは織り込んでほしいのではないか」と指摘。今回のFOMC議事録については、「タカ派度を強める可能性があり、その場合ドル・円は114円台に上昇する可能性がある」との見方を示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLR9AA6TTDS001

 


 
超長期債で抜け駆け我慢の生保、フラット化のヘッジファンドに勝算は
野沢茂樹、近藤雅岐
2017年2月22日 00:00 JST

BOJ Governor Haruhiko Kuroda
黒田東彦日銀総裁 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
関連ニュース
ヘッジファンドのゴッサムも採用か、「1%か30%」の手数料−関係者
英銀ロイズ:16年10−12月の税引き前損益は黒字−増配実施へ
必読はIMFやBISの公表資料、ブログに金塊も−市場分析の専門家

トランプ米政権、不法移民取り締まりの概要打ち出す

円スワップ金利の内外格差が海外勢のポジションを示唆
ヘッジファンドは払いから年明け以降は受けに回っている−嶋村氏

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ist_A7ZspC7k/v2/-1x-1.png

「巨大なヘッジファンドが日本国債にフラットニング(利回り曲線の平たん化)を仕掛けている」−。こんなうわさを耳にしたマスミューチュアル生命保険の嶋村哲氏はその動向を探るため、超長期のスワップ金利取引のわずかな変化に日々、目を凝らしている。
  同社の運用戦略部で金利統括グループ長を務める嶋村氏が注視するのは、デリバティブなどの金融取引を仲介するメイタン・トラディションが提供する金利スワップの決済・清算値だ。海外ヘッジファンドなどの利用が多いロンドン証券引所グループ(LSE)傘下の世界最大手LCHが提示する超長期の円スワップ金利は、メガバンクなどの邦銀が使う日本証券クリアリング機構(JSCC)の清算値を上回るが、その格差の変化から海外勢による売買の一端がうかがえると言う。

  JSCCの円スワップ金利が海外の取引所より低いのは、国内勢が日本国債の約9割を保有する中、投資家が平均残存期間を保つための固定金利受け(債券買いに相当)需要が優勢になりがちだからだ、と嶋村氏は分析。ヘッジファンドなどの売買を映すLCHとの格差から「クリスマス休暇でポジションを閉じるまでは払い(債券売りに相当)方向だった海外勢が、年明け以降は受けに回っている」と読む。

  LCHとJSCCの格差が最も生じやすいのは40年物で、2.75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)程度。昨年9月下旬に1.375bpまで縮んだ後、11月下旬にかけて3.625bpと3倍弱に拡大。現物取引での40年債利回り上昇に先行した。年初からは今月8日に2.375bpを付けるなど縮小傾向に転換した。ただ、40年債の金利上昇はヘッジファンドによるフラットニングの観測にもかかわらず、まだ続いている。
  トランプ米大統領が掲げる大規模な景気刺激策の効果を先取りした海外金利の上昇と円安・国内株高が頭打ちとなった後も、日本では超長期債の利回り上昇が継続。20年、30年、40年債利回りは今月、軒並み昨年2月以来の高水準を付けた。財務省の発行額と日本銀行の長期国債買い入れ規模という需給関係と、黒田東彦総裁が進める金融緩和策をめぐる思惑の両面が影響している。

  超長期ゾーンは需給面で金利上昇に弱い構造だ。残存10年超25年以下のオペは1回2000億円で毎月5回程度。20年債では今年度発行額の約91%、来年度はほぼ同額を市場から吸収する計算だが、25年超では同1200億円なので今年度の30年債と40年債の発行額の約58%にすぎず、発行増となる来年度は57%に低下する。海外資金の流入も限定的なので、生命保険や年金基金などの売買動向で金利が上下しやすい。
  これは日銀オペと外国人の争奪戦でマイナス利回りが定着している中期債と対照的だ。残存1年超3年以下のオペは毎月2兆4000億円前後で、今年度の2年債発行額を4%程度、来年度を約9%上回る。3年超5年以下は同2兆5200億円前後と、5年債発行額より今年度は5%程度、来年度は約15%多い計算になる。


  また、黒田総裁は日銀当座預金の一部に対するマイナス0.1%の付利に加え、10年債利回りが「ゼロ%程度」になるように国債を買い入れる「長短金利操作」を導入した昨年9月、利回り曲線の過度な低下・フラット化が保険や年金の運用に及ぼす副作用を認めた。市場では日銀が超長期債については秩序だった利回り上昇を容認しているとの観測が盛んだ。
スティープ化は主に国内要因
  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは「新年度には発行が減る事情もあり、日銀は国債買い入れの減額を模索する」と予想。「市場では30年債で1%を超えても良いのではないかとの思惑が漂っており、抜け駆けで買ったりせずに皆で自重しようというのが債券村の雰囲気だ」と言う。ただ、「投資家にとって望ましい水準に達する前に誰かに買われてしまうのではないか」と感じている。
  日本証券業協会の統計では、生損保による超長期国債の買越額は1月に2684億円と前年同月比1.9%減少、年金基金の売買動向を映す信託銀行は2102億円で同38%減った。40年債と新発2年債の利回り格差は21日に132bpと、昨年6月の過去最小から約3.6倍に拡大。米国では30年債と2年債の利回り格差が11月上旬より約20bp低下しており、日本国債のスティープ化が主に国内要因である可能性を示している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-21/OLPQVH6K50YN01

 


 

 
シムズ理論、財政再建がいい加減になりかねないリスクも=麻生財務相
[東京 22日 ロイター] - 麻生太郎副総理兼財務相は22日午前の財務金融委員会で、インフレによる政府債務解消を目指す「シムズ理論みたいなものがでてくると『いいじゃないか』と言う、いい加減な奴が出てくる」と批判し、あくまで歳出削減・歳入拡大による財政再建を進める重要性を強調した。

同理論については内閣官房参与の浜田宏一米イエール大名誉教授が評価、安倍晋三首相は「傾聴に値する」と評価する一方、日銀の黒田東彦総裁は「一定の条件で成立する話」と慎重な見解を示している。

麻生財務相はその上で「2020年度までの基礎的財政収支黒字化目標は、達成を目指してがんばる」との従来方針を改めて繰り返した。マイナス金利国債について、「現段階でただちに発行しようとは思っていない」と述べた。

民進党の前原誠司委員への答弁。

*誤字を修正し再送します。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
米インフラは空港・発電所など老朽化、融資考えられる=JBIC総裁
中国人民銀の外貨取引、1月は2088億元の売り越し
ポルトガル、2016年公的債務の対GDP比率は130.5%
東京マーケット・サマリー(22日)
金融機関の合併・統合は選択肢の一つ、収益力強化が課題=黒田日銀総裁
http://jp.reuters.com/article/aso-sims-idJPKBN16105S

 
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/412.html

[国際18] ルペン氏の戦略奏功か−大統領選の「鍵」、フランス女性の支持じわり 中国が危険なキャンペーン−金融商品投資家の救済はない 
ルペン氏の戦略奏功か−大統領選の「鍵」、フランス女性の支持じわり
Helene Fouquet
2017年2月22日 18:31 JST

関連ニュース
ヘッジファンドのゴッサムも採用か、「1%か30%」の手数料−関係者
超長期債で抜け駆け我慢の生保、フラット化のヘッジファンドに勝算は
英銀ロイズ:16年10−12月の税引き前損益は黒字−増配実施へ
必読はIMFやBISの公表資料、ブログに金塊も−市場分析の専門家

フランス大統領選挙の極右候補、ルペン国民戦線(FN)党首の女性から支持を集める戦略が効果を表しつつある。前回出馬した2012年に比べて既に女性支持者を200万人ほど増やし、女性有権者の間で同氏は子供3人を育てるシングルマザーとして好意的な見方が広がっている。
  反ユーロ・反移民を掲げるルペン氏は第1回投票で得票率トップが見込まれるが、5月7日の決選投票では敗れる見通し。これを覆す鍵は、女性票にあるかもしれない。
  パリ政治学院の研究者、ノナ・メイヤー氏は「女性が鍵だ」と話す。「女性は選挙を棄権することが多いが、今回は自分たちの雇用と安全を守るためにルペン氏に投票しようとしている」と指摘した。
  女性はフランス有権者の半数余りを占めるが、男性に比べて投票に行く確率がはるかに低い。女性の関心を捉えることができれば、眠れる票を掘り起こすことが可能だ。ルペン氏は移民と安全、フランスの白人コミュニティの経済的衰退傾向に対する懸念をトランプ米大統領から拝借した強力な大衆迎合主義に織り交ぜ、有権者に語りかけている。
  ルペン氏の女性票狙いは明白だ。同氏は4日から配布を開始したグラビア雑誌スタイルの選挙戦パンフレットで、初の女性大統領として「フランス女性を守る」政策を強調。「男性社会」で闘う女性としての自身の姿をアピールしている。女性が「スカートをはくこと、職を持つこと、ビストロに行くこと」をやめさせようとするイスラム原理主義者に対する盾になるとも訴えた。
  21日には訪問先のベイルートでイスラム教高位聖職者との会談でスカーフを被ることを拒否し、自身の主張を実践してみせた。2015年末にドイツのケルンで発生した集団暴行事件後の論説でも移民と女性の権利を関連付けて論じた。
  12年の選挙でルペン氏への女性の支持は17%で男性からの20%を下回っていたが、Ifopの調査によると、直近の支持率は男女同じで26%だった。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i0OTyGQHap1g/v4/-1x-1.png

原題:Le Pen Wins Over the Women Voters Who Feel Left Behind in France(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLRPE46S972901

 

中国が乗り出す危険なキャンペーン−金融商品投資家の救済はない
Bloomberg News
2017年2月22日 16:59 JST
Share on FacebookShare on Twitter

関連ニュース
ヘッジファンドのゴッサムも採用か、「1%か30%」の手数料−関係者
超長期債で抜け駆け我慢の生保、フラット化のヘッジファンドに勝算は
英銀ロイズ:16年10−12月の税引き前損益は黒字−増配実施へ
必読はIMFやBISの公表資料、ブログに金塊も−市場分析の専門家

資産運用商品の新規定、政府保証がないことを明確化へ−関係者
• 当局の行動が強過ぎれば一斉に資金が引き揚げられるリスクも

中国は、最も野心的かつ最も危険なキャンペーンを始めようとしているのかもしれない。市場が今度混乱しても救済を当てにはできないと投資家に納得させる取り組みだ。
  複数の金融監督当局が珍しく協力し、資産運用商品に関する新規定の策定を進めているが、その狙いはこうした投資商品に政府保証は付かないと明確にすることだ。事情に詳しい関係者がブルームバーグ・ニュースに対し21日明らかにした。

  銀行預金より高いリターンを約束しながら、多くの投資家がリスクのない貯蓄の1つの形態と見なしているこうした金融商品はすでに、中国の金融システムの欠くべからざる一部となっている。規模はここ数年で急増、昨年6月末時点で9兆ドル(約1020兆円)近くに膨れ上がっている。
  難しい綱渡りを迫られているのが政策当局だ。暗黙の政府保証という認識を投資家から払拭(ふっしょく)できなければ、高リスクの投資がまん延し、アジア一の経済大国が次の弱気相場入りした際に金融システムへの脅威はさらに大きくなる。だが今、強力に行動し過ぎれば、銀行にとって重要な資金源となっている金融商品から一斉に資金が引き揚げられるリスクがある。
  米財務省の元中国専門家で、現在は運用会社TCWグループのアナリストであるデービッド・ロービンガー氏は電子メールで、「中国にとって最大の金融課題だ。投資家が救済されることはないと明言することは重要だが、それが本気であることを示す必要がある」とコメントした。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ih2G9rL7evjw/v1/-1x-1.png
原題:China’s $9 Trillion Moral Hazard Problem Grows Too Big to Ignore(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLRLFU6JTSEI01

http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/329.html

[経世済民119] 世界の人口成長率はすでにピークを過ぎた? 地球の人口は160億人まで増える!? 世界の平均寿命、2030年には90歳超も

マッキンゼーが予測する未来
【第4回】 2017年2月21日 マッキンゼー・グローバル・インスティテュート,リチャード・ドッブス,ジェームズ・マニーカ,ジョナサン・ウーツェル,吉良直人

世界の人口成長率はすでにピークを過ぎた?


日本では、一足先に人口減少が実際のものとなっているが、世界の人々にとって、人口問題はまだ現実的な課題とは言えない。この未来の問題を長期的視点で世界一のコンサルティング・ファーム、マッキンゼーはどう見ているのか。マッキンゼー・アンド・カンパニーの経営および世界経済の研究所所属メンバーが発表する刺激的な超長期トレンド予測が詰まった書籍『マッキンゼーが予測する未来――近未来のビジネスは、4つの力に支配されている』のさまざまな分析テーマを抜粋して掲載する。

日本の最大の問題は
ロボットが解決してくれる?

?ロボットが床を掃除してくれることは、珍しいことではなくなった。日本では、ロボットが執事の仕事をこなし、介護を助け、心を癒す友人へと急速に進化している。WAM(腕全体のマニピュレーター)として知られるロボット技術のハードウエアを使い、コンピュータ知能と腕を組み合わせ、日本の奈良先端科学技術大学院大学とバレット・テクノロジー社の共同開発チームの研究者たちは、人間が上着、シャツ、パジャマなどを着たり、脱いだりするのを手伝ってくれるロボットを開発した。

?京都のATRクリエイティブ社と大阪のヴイストン社が設計・開発した(ロボビーR3)という人型ロボットは、まるで「スターウォーズ」の映画に出てくるR2−D2というロボットに命が吹き込まれたようだ。ロボビーR3は、ショッピングモールの中を最大時速1.5マイルで買い物客の横についてまわり、高齢客の手を引いて混雑した店内を案内してくれ、おまけに買い物かごを持ってくれる。しかも、くたびれたからお茶を飲んで休みたい、などとはけっして言わないのだ。

?東京を初めて訪れた外国人が、この国の首都は未来都市みたいだと口にするのは、別に珍しくない。豊田市でプリウスを生産する高効率の自動車工場と同様に、日本の工場ではロボット機器が、人間による労働力をすでに長年にわたり置き換えてきた。しかし、ロボビーR3などのロボット製品は、製造といった産業用途以外の目的で設計されている。具体的には、人口の年齢の中央値が46歳で、65歳以上人口が24%を占める、世界で最も高齢化の進んだ日本という国ならではの、今現実にある人間のニーズを満たすための設計なのだ。

?高齢化に加えて、移民の流入はきわめて少なく、低水準の出生率(女性が一生のうちに産む平均的な子供の数は1.4名)の結果、増加する日本の高齢人口の世話をする人の数が足りない現状があるからだ。

?豊田市の市長がある会合で記者団に、日本はこの人口問題にどう取り組んでいけばよいのでしょうか、と尋ねられたことがある。その答えは、「たぶん、ロボットが解決してくれるのではないでしょうか」という、少しがっかりさせるものであった。

?世界経済の分析家は、とかく成長期の若者の世界を描くことを好み、成人に育つのをただ待ちたがる。世界中のかなりの部分では、まさにそれが現実だ。パキスタンでは国民の年齢の中央値は22.6歳であり、人口の55%近くが25歳以下である。また、サハラ砂漠以南のアフリカでは人口の40%が15歳以下である。

?だから、あらゆる消費財メーカーやサービス業界の大企業も、今後増加する若い消費者の多い市場をどう攻略しようかと考えている。

?しかし、このことがコインの片面だとしたら、実はもう一つの面が存在し、それは今日世界中で明らかなことなのに、最も見過ごされているトレンドだ。第2次大戦後の何年かは、世界中の平均年齢が若くなるように見え、富める国も貧しい国も、ほぼどの国でも人口が増加した。予防接種の改善、幼児死亡率の低下、そして世界戦争による膨大な破壊の終息により好循環が生み出された。

?世界人口が増加し続けるにつれ、労働可能年齢層は歩調を合わせて増加し、経済成長を助長した。この人口統計学上の余剰は、大きな配当となって返ってきた。人が増えたことは、製品やサービス、住宅、学校の需要の増加につながり、それが雇用の増大と税収の増加を生み出した。しかも、技術進歩がこうした効果の増幅装置となり、増えた人口はそれまでより高い生産性で働くことができた。

?ところが今は、簡単に言ってしまえば、世界中の人口が老齢化している。こうした展開になることはかなり前からわかってはいたのだが、長期予測がまさに現実のものとなろうとしている。

?多くの大規模高度先進経済諸国、そして世界最大の新興国経済である中国でも、国民の寿命は長くなる一方で、人口1人当たりの子供の数は少なくなっている。ベビーブーム世代は高齢層に加わろうとしており、徐々に引退生活に入っている。その一方で出生率は急激に低下している。

?こうした複数のトレンドが組み合わさった結果、世界人口はもうすぐ転換点を迎えようとしている。今後何十年かのうちのどこかで、アフリカを唯一の例外として、世界中の大多数の国の人口カーブが、近代史の流れにおいて初めて横ばいになる。

?世界中で幅広い年齢帯は高齢人口となり、労働人口も高齢化し、政府の社会保障費用が膨らんでいくのである。この人口動態予測の点で、人口がすでに減り始めている日本は、今後変わっていく世界の姿を、先行して実際に見せてくれると言えるだろう。

?こうした数々の変化の方向を理解すれば、私たちがこれまで経験から導いてきた直観をリセットしなければならないことがわかるだろう。とくに老人について持っている考え方を変えなければならない。

?だが老人を、消費者として、顧客として、社員として、そして今後の世界の利害関係者であるステークホルダーとして、どう考えるべきなのだろう。

世界人口の成長率は
急速に低下する

?世界各国の歴史を振り返ると、国が豊かになるにつれ出生率が低下する傾向がうかがえる。経済が発展すると国民が出産制限をするようになる。女性には選択の幅が広がり、親たちも経済的な理由から子供を必要以上に産もうとしなくなり、幼児死亡率のリスクに対する備えとしていた過去のようには、大勢の子供を持とうとはしなくなる傾向がある。

?その結果、国が豊かであればあるほど、女性が一生のうちに産む子供の数は少なくなるのが普通だ。合計特殊出生率(全女性が出産可能年齢の終了まで生存すると仮定した場合の、女性が一生のうちに産む子供の平均数)は、たとえばドイツの場合1.4だが、ニジェール、ソマリア、マリなどの国では6を超える。

?最近の研究では、高所得の国であっても、特に移民の受け入れが多い国では、出生率低下のトレンドを限定的に逆転できることが示されている。たとえば、イギリスでは出生率は1.96ある。他の先進国でも、育児支援や育児期の親の継続勤務支援などの施策を実施すれば限定的な逆転は可能かもしれないが、出生率の低下という長期的トレンドを反転する可能性は少ない。

?30年前には出生率が当時の世代交代を保ち、人口維持に必要な出生率よりも著しく低い国はほんの数えるほどしかなく、そうした国の人口を合計しても、世界人口中わずかな比率にしかならなかった。当時の人口維持出産数は、先進国で女性1人当たり2.1人、発展途上国では2.5人であった。

?高い出生率で人口増加の大半をけん引したのは開発途上国であり、1970年の統計では女性1人当たりの出産数は、メキシコとサウジアラビアでは実に7人であり、それにインド、ブラジル、インドネシアが5人と続いていた。

?低い出生率を抱える多くの先進国では、移民の流入が人口増を生んでいた。1960年代から2012年の間に、総人口に占める移民の子弟の比率は、イギリスで4倍に増加し(3%から12%に)、アメリカでは倍以上に(6%から14%に)、そしてカナダとフランスでは1.5倍に増加した。

?しかしながら、世界的な繁栄の広がりのおかげで、出生率が人口維持水準を下まわる国々の総人口は、2014年までに世界人口のおよそ60%を占めるようになっていた。

?この中には大多数の先進経済諸国が含まれ、それと同時に中国(1.5)、ブラジル(1.8)、ロシア(1.6)、ベトナム(1.8)といった、いくつかの巨大開発途上国も含まれている。

?人口増加の要因である移住者ネット数(国内への流入移民数から国外への流出移民数を引いた数)も、経済規模順位の上位19カ国中、18の国で減少するものと考えられている(唯一の例外がメキシコである)

?2006年に公開された、アルフォンソ・キュアロン監督の反ユートピア的未来を描いた“Children of Men”という映画(邦題『トゥモロー・ワールド』)では、子供の出産は非常に稀な事件となり、奇跡とさえ呼ばれている。現状はそこまで行ってはいないが、ほとんどすべてのヨーロッパ諸国では、出生率は人口維持水準より低い。EU諸国全体を通じて、2040年まではなんとか現在よりも5%人口が増えはするものの、その後減少に転じると予想されている。

?EUの中でも人口増加率が目立って低かったドイツでは(2014年の出生率は1.4)、欧州委員会の予測では、2060年までに今よりも人口が19%減少すると信じられている。

?その結果、2010年には5400万人だったドイツの労働年齢人口は、3600万人になると予想される。

?ドイツはこれまで、ロシア、トルコ、アフリカなど国外からの移民を吸引することで、人口減を目立たなくしてきた。しかし、新たな移民を引き付けられるドイツのような強い経済力や文化的要素を、すべての国が持ち合わせているわけではない。

?出生率の低い多くのヨーロッパ諸国では、外国に成功の機会を求めようと考える若者が増え、大規模な頭脳流出に悩んでいる。ヨーロッパの中でも、バルト海および黒海周辺地域では、人口減少がすでに始まっており、今後何十年かの間にゴーストタウンの集合になりかねない。ブルガリアの人口は2060年までに27%減少すると予想されており、ラトビア、リトアニア、ルーマニアの人口も同程度減少する可能性がある。

?こうしたトレンドの例外がイギリスであり、2060年までにはドイツに追いつき、仮にEUを離脱していなければ、EUで最大の人口を持つ国となっているのかもしれない。これは、祖先がイギリスへの移民であった世帯の出生率が高いことと、今日の比較的高水準な移民の流入のおかげである。

?だが、これはヨーロッパ特有の現象ではない。世界中で人口増の期間が終わり、ピークはもう過ぎたと判断せざるをえなくなる可能性は、アフリカを除きどの大陸にもある。

?1964年から2012年の間の世界人口の年平均成長率は1.4%であったが、今後50年間には年平均0.25%に低下する可能性があり、このトレンドは世界経済と政治に深刻な影響をもたらすだろう。

『マッキンゼーが予測する未来』より
http://diamond.jp/articles/-/118581

 

経済は地理から学べ!
【第4回】 2017年2月21日 宮路秀作 [代々木ゼミナール・Y‐SAPIX東大館地理講師]

地球の人口は160億人まで増える!?教養としての「人口論」

「経済×地理」で、ニュースの“本質”が見えてくる!仕事に効く「教養としての地理」

地理とは、農業や工業、貿易、交通、人口、宗教、言語にいたるまで、現代世界の「ありとあらゆる分野」を学ぶ学問です。

地理なくして、経済を語ることはできません。

最新刊『経済は地理から学べ!』の著者、宮路秀作氏に語ってもらいます。


人口を決める「2つの要素」とは?

「可容(かよう)人口」という言葉を知っていますか?これは、地球上における収容可能な人口数のことです。転じて、「ある地域における収容可能な人口数」として使われることがあります。

?ドイツの地理学者、A・ペンクは「ペンクの公式」と呼ばれる計算式を考案し、地球上に収容可能な人口を約160億人と算出しました。こうした「想定」はいつの時代にもあるもので、その時代の最先端の研究を利用して未来を読むものです。

?ところで、「ある地域における収容可能な人口数」は、どういった要素で決まるのでしょうか?

?それは就業機会と食料供給量です。

?就業機会や食料供給量が多ければ、可容人口は多くなります。就業機会が多ければ、多くの人が仕事を求めてそこに定住しますし、仕事がなくなれば、別の地域に仕事を求めます。

食料供給量が人口を決めていた

?現代世界において、基本的に食料供給の心配をする必要はありません。しかし、人類の長い歴史を振り返ると、その99%は獲得経済期でした。

?獲得経済とは、食料を自然界から獲得して供給することです。当然、毎日安定して食料が手に入るわけではありません。増えゆく人口を支えるだけの食料供給量が得られず、人口はさほど増えませんでした。

?しかし、約1万年前の最終氷期の終了によって地球が温暖化し、メソポタミア地方を中心とした西アジアで小麦の生産が始まると、瞬く間に人口が増え始めました。

?西アジアは、モンスーンの通り道とはならないため、年降水量が極端に少ない乾燥アジアの一地域です。ティグリス川、ユーフラテス川といった外来河川(砂漠を貫流して海まで流れる、流量が豊富な河川)のおかげで、灌漑が可能となり、農耕も可能となりました。

?その結果、人口が増え、文字が生まれ、文化が形成されていったのです。

?メソポタミア文明は、一次的中心地でした。ここから二次的中心地が作られます。エジプト文明やインダス文明です。メソポタミア文明からの物理距離が小さいこと、外来河川の存在(エジプト文明はナイル川、インダス文明はインダス川)などが背景にあります。

?農業の始まりによって、世界の人口は徐々に増え始め、それまで500万人ほどしかいなかった地球上の人口は、西暦元年には2億5000万人に増加したといわれています。
http://diamond.jp/articles/-/118615

 

世界の平均寿命、2030年には90歳超えも=国際調査

[ロンドン 21日 ロイター] - 世界の多くの国で、2030年までに平均寿命が延びる見通しであることが分かった。一部には90歳を超える所もあり、国レベルの対策が必要になるとみられている。

英インペリアル・カレッジ・ロンドンの科学者らが主導し、世界保健機関(WHO)などと協力して実施した大規模な国際調査で明らかになった。

最も平均寿命が長くなるのは韓国で、2030年生まれの女性の平均寿命は90.8歳、男性は84.1歳となる見通し。調査は原因として、幼年期の栄養状態が良いこと、低い喫煙率、医療へのアクセスの良さ、新しい医療の知識と技術などを挙げた。

一方、高所得国中、米国の平均寿命は最も短く、男性が79.5歳、女性が83.3歳という。これは、クロアチアやメキシコなど中所得国と同水準。調査は原因として、米国では国民誰でもが受けられる医療がないことに加え、母子死亡率が比較的高いほか、殺人や肥満の発生率が高いことなどを挙げた。

欧州では、フランス人女性の平均寿命が88.6歳、スイス人男性が約84歳と、最も長いとみられている。

調査は、米国、カナダ、英国、ドイツ、オーストラリア、ポーランド、メキシコ、チェコなど開発国と途上国合わせて35カ国を対象に実施。結果は医学誌ランセットに掲載された。 

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
身長世界一はオランダ男性とラトビア女性=調査
肥満や太り過ぎに早死リスク、英研究者が1000万人超データ分析
米ボーイスカウト、トランスジェンダーの加入認める
世界7大陸制覇のマラソン大会、米男性が優勝
ブリュッセルに「小便小僧」の衣装博物館、133点を展示
http://jp.reuters.com/article/expectancy-idJPKBN1610P0
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/413.html

[国際18] 米国人の外食が減少傾向、高コスト理由に IMF加盟国為替政策で「率直な」分析期待=米財務長官 逃げる案件追わずバフェット
米国人の外食が減少傾向、高コスト理由に=調査

[ロサンゼルス 21日 ロイター] - ロイターとイプソスが実施した調査で、3カ月前に比べて外食の頻度が減っている米国の成人が全体の3分の1に達していることが分かった。コストが主な理由となっている。

米国の飲食業界は、ゼロ成長だった16年からの巻き返しを図っている。だが、利用者の財布の紐が固くなっていることに加え、スーパーや、食材宅配のブルー・エプロン、食品の販売に進出したアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)などとの熾烈な競争がますます大きな問題となっている。

NPDグループのデータによると、2009年以降、年間の飲食店利用者数は、前年比で横ばいから1%増にとどまっている。

今回の調査は、1月14─25日、全米50州の成人4200人超を対象に、オンラインを通じて英語で実施した。

その結果、回答者の3分の1が3カ月前より外食の頻度が減ったと回答。さらにこのうち62%が、最大の理由はコストと答えた。回答者の3分の2強が、家で食べるほうが「非常に」または「多少」安価と答えた。

最近の最低賃金引き上げで一部の飲食店が値上げを行う一方、より労働集約性の低い食品店は値下げを実施。食品店と飲食店の価格差は歴史的な水準に拡大している。

ただ、食品業界の戦略構築会社ペンタレクトのパートナーで共同操業者のボブ・ゴールディン氏は、食品店の利用が顕著に増加しているわけではないとし、コストだけではこの現象を説明できないと指摘。「食費が削られ、パイが大きくなっていない。支出額ではなく、支出先が変化している」と述べた。

*見出しを修正しました。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
自動走行やドローン、技術革新が阻害されない環境整備を=安倍首相
三井物産、米資産運用会社CIMに出資へ=520─630億円の見込み
インタビュー:米国債券投資、大統領選後から再開=ゆうちょ銀副社長
麻生財務相、米利上げとドル安発言はかい離 政策に時間
ポルトガル、2016年公的債務の対GDP比率は130.5%
http://jp.reuters.com/article/usa-restaurant-poll-idJPKBN1610M9

 


 


IMF、加盟国為替政策で「率直な」分析行うと期待=米財務長官

[ワシントン 21日 ロイター] - ムニューシン米財務長官は21日、ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事と電話会談し、IMFが加盟国の為替政策に関し「率直な」分析を提供すると期待していると伝えた。米財務省報道官が明らかにした。

ムニューシン長官はまた、米政権が国内の雇用と成長促進を重視している点に言及したほか、IMFが加盟国の経済政策に断固とした助言を行うことや世界の不均衡に対処することへの期待も表明した。

IMFのライス報道官は、電話会談について「IMFについて幅広く建設的な話し合いが行われた」とし、IMFは「米当局との緊密で生産的な関係の継続を期待している」と述べた。

米国はIMFへの拠出額が最大で、議決権の約17%を保有し、IMFの主要な決定への事実上の拒否権を有している。

トランプ米大統領が「米国第一主義」を掲げ、中国やメキシコなどとの貿易赤字の解消を訴える中、通貨安競争を避け、世界貿易システムを維持するという20カ国・地域(G20)の公約を米国が破棄する可能性が懸念されている。

IMFの元理事会メンバーのドメニコ・ロンバルディ氏は「トランプ政権は、対外目標を達成し、中国とドイツへの圧力を強めるのにIMFとG20を活用しようとする」との見方を示した。

トランプ氏は大統領選で、中国が貿易を有利にするため為替操作を行っていると批判。トランプ大統領が新設した「国家通商会議」の責任者であるピーター・ナバロ氏は1月、ドイツは「過小評価が著しい」ユーロを利用することで米国よりも有利な立場を得ているとの見解を示した。

ただ、中国からの資金流出を阻止するため、中国人民銀行(中央銀行)がここ1年間、人民元の買い支えを続ける中、IMF当局者はもはや元が過小評価されているとはみなしていない。

先週就任したばかりのムニューシン長官は、自身が重視する政策課題をまだ明らかにしていない。

長官就任前には、上院財政委員会に対する回答書で、IMFなどの多国間の枠組みでは「為替操作を阻止できていない」との見方を示している。

*内容を追加しました。

ロイターをフォローする
今、あなたにオススメ
焦点:為替と政策に振り回されるGDP、潜在成長率の引き上げ急務
韓国、構造問題に財政発動で対応する必要=IMF
中国、GDP目標の設定やめるべき 柔軟運用を=IMF年次審査
経済成長促進と恩恵分配には構造改革が重要=IMF専務理事
ラガルド氏公判開始へ、仏財政相時代の職務怠慢問題で
http://jp.reuters.com/article/usa-treasury-imf-honest-idJPKBN1602JQ?sp=true


 


 

 

逃げる案件追わず、バフェット氏が学んだテッド・ウィリアムズの知恵
Zeke Faux
2017年2月22日 06:35 JST

関連ニュース
トランプ米政権、不法移民取り締まりの概要打ち出す
NY原油(21日):8週ぶり高値、OPECが減産の完全順守に自信
米AIG:バーモント州のスキー場運営権をベイル・リゾーツに売却へ
米ブリストル・マイヤーズ株が上昇−アイカーン氏株取得との報道で
ウィリアムズの著書「バッティングの科学」を引き合いに解説
「バットを振れ」とヤジが飛んでも気にしないこと−バフェット氏

数々の大型案件をとりまとめてきたウォーレン・バフェット氏。同氏の考え方は、多くのビジネスマンや投資家にとって飽くなき研究の対象となっている。しかしそんなバフェット氏でも常に思い通り、というわけではない。このことについても、同氏には共有したいアドバイスがある。
  米食品メーカーのクラフト・ハインツは先週、バフェット氏の支援を受けて英蘭系のユニリーバに買収案を提示したが、19日にあっさり撤回した。実現すれば世界2位の食品・飲料メーカーが誕生し、バフェット氏が成功させた大型案件リストに加えられるはずだった。


バフェット氏 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg *** Local Caption *** Warren Buffett

  この撤回は、バフェット氏が好む投資の原則「案件を追う必要はない」を物語る。同氏によれば、企業の買収は野球で打者がヒットを狙うことに似ている。得意のゾーンに入ってこないボールは打ってはいけない。
  「投資のコツは一球一球をじっと見守り、狙ったコースに入ってくる絶好球を待つことだ」と、バフェット氏はHBOのドキュメンタリー「Becoming Warren Buffett (仮訳:ウォーレン・バフェットになるには)」の中で語る。「観客から『バットを振れ』とヤジが飛んできても、気にしないことだ」と話した。
  同氏は米野球殿堂入りを果たした強打者テッド・ウィリアムズ氏(2002年死去)の著書「バッティングの科学」を引き合いに解説している。この本にはウィリアムズがど真ん中の投球に対しては球史に残る高い打率を誇る一方、低めの球やストライクゾーン外の球はプロ失格となりそうなほど打てていないことがチャートで示されている。
  バフェット氏はこの件について、1998年に投資家に宛てた書簡で「テッド(ウィリアムズ)とは違うわれわれが、ストライクゾーンぎりぎりの球を3球見送っていてはお呼びがかからなくなる。とは言うものの、来る日も来る日も肩にバットを乗せて見送りを続けていては楽しくない」と説明した。
原題:Buffett Takes His Own Advice in Walking Away From Unilever Bid(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-21/OLQCUJ6VDKHS01
 

http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/330.html

[経世済民119] ECBの非伝統的政策による損失額、ドイツ連銀が推計へ ドイツ景況感、予想外の改善−景気拡大見込  メルケル首相の対抗馬 
ECBの非伝統的政策による損失額、ドイツ連銀が推計へ
Jana Randow
2017年2月22日 19:45 JST

ドイツ連邦銀行(中央銀行)は欧州中央銀行(ECB)の非伝統的政策によって生じる損失額について推計を示す公算だ。
  独連銀はECBが債券購入プログラムを最終的に巻き戻し利上げを開始すれば、損失を被ると想定している。23日に連銀の年次報告書公表に併せ、バイトマン総裁は同問題に触れるかもしれない。昨年のイベントでは、金融政策引き締めに伴うコストを吸収するため「相当額」を引き当てる必要があるだろうと述べていた。
  連銀はマイナス金利のドイツ国債を購入し保有しているために損失を被っている。今のところは中銀預金のマイナス金利、つまり市中銀行が中銀に支払う金利によって相殺されているが、預金金利がプラス圏になれば連銀の財務は悪化する公算だ。
原題:Bundesbank Considers Exit Cost From ECB’s Unconventional Policy(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLRU2Z6JTSE901

 

ドイツ:2月のIfo景況感、予想外の改善−独連銀は景気拡大見込む
Catherine Bosley
2017年2月22日 18:39 JST

ドイツのIfo経済研究所がまとめた2月の独企業景況感指数は予想に反して前月から上昇。ドイツ連邦銀行(中央銀行)は同国経済が今年初めに勢いを増したと見込んでいる。
  Ifo経済研が22日発表した2月の独企業景況感指数は110.0と、1月の109.9(改定値)から上昇。ブルームバーグが集計したエコノミスト予想中央値は109.6だった。
  米国の経済政策や英国の欧州連合(EU)離脱交渉、フランス大統領選などの政治イベントが勢いをそぐ可能性はあるものの、2016年に5年ぶり高成長を遂げた独経済は、今年もユーロ圏をけん引するとみられている。
  独連銀は月報で、「極めて堅調」な受注を考慮すると、力強い経済の勢いが見込まれ、これが輸出にも反映されるだろうと分析。2017年1−3月(第1四半期)も成長が強まるとの見通しを示した。
  2月の現況指数は118.4と、1月の116.9から上昇。期待指数は104.0で、前月の103.2を上回った。
原題:German Business Sentiment Rises as Bundesbank Sees Growth Pickup(抜粋)8090love軽毛
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLRRN06S972801

 

メルケル首相の対抗馬 シュルツ氏はプロサッカー選手を目指していた
ニュースソクラ 2/15(水) 11:30配信

メルケル首相の対抗馬 シュルツ氏はプロサッカー選手を目指していた
CC BY /Martin.Ehrenhauser
アルコール依存症の過去 挫折を克服し党の顔に
 今秋9月24日に行われるドイツ連邦総選挙に際し、社会民主党(SPD、現在メルケル首相の率いるキリスト教民主同盟CDUと大連合を組んでいる)は、元欧州議会議長のマルティン・シュルツ氏を次期首相候補に擁立した。メルケル首相の最大のライバルと目されるシュルツ氏とはどんな人物なのだろうか。

 シュルツ氏は1955年、ノルドライン・ヴェストファレン州の小さな村、ヘールラートの警察官の家庭に生まれた。ヘールラートは、昔から褐炭採掘場のある、ドイツとオランダ・ベルギーの国境沿いの小さな行政区であり、子供のころから「欧州」を意識する環境で育ったことになる。

 シュルツ氏は、プロサッカー選手にあこがれ、スポーツ一辺倒の日々を過ごし、11年生のときに(日本の高校年)2度進級試験に落第。結局、大学進学資格となる高校卒業試験を受けることができず、その後もサッカーに没頭した。

 しかし、膝の負傷が原因で、プロのサッカー選手への道を断念、書店経営の資格を修得したが、そのころ、アルコール依存症に陥っていた。この時期には、SPDの次世代をになう若者の育成組織JUSOSのメンバーにもなっていたが、その中で、きちんとしたポジションについて活動することは、無理と自覚していたという。

 このような毎日を過ごす中、1980年6月26日に、自殺未遂を起こす。幸い、兄弟に救われ、その後、4ヶ月の精神安定ための治療を受けた。この期間に、自分のなりたかった夢と現実の狭間、サッカーのプロ選手になれず、また、大学もでていない自分を見つめなおしたという。

 幸いこの治療が効果を発揮し、出身地ヘールラートのあるヴュルセレンに書店を開店。自分の店舗内に並べた本から、大学で学ぶことを独学で習得していった。そして、造園士の資格を持つ妻、インゲさんと結婚、一男一女をもうけている。

欧州を立ち直らせたい
 1987年31歳のときに、ヴュルセレンの市長になり、7年後に、欧州議会へと選出される。結局、22年間、欧州議会に在籍、同議会のSPDの党首、そして、議長へとキャリアを積み、今回、ドイツ連邦の次期首相候補となった。

 シュルツ氏は、EU(欧州連合)擁護派である。友人でもある映画監督ヴィム・ヴェンダース氏 の言葉を引用しながら「『ヨーロッパ』は、いまや官僚主義で固まってしまった。いまこそ、欧州に生活する人々のことをもっと考えなければならない。ヨーロッパの理想へともう一度軌道修正するために、EU自身が変革されなければならない。各国ベースでの政治よりもさらに良い政治をEUレベルでできることを示すべきである。地球温暖化、各国間の貿易、移民に関する問題、ユーロ通貨問題、野望にこりかたまる金融投機家への挑戦と課題は多いが、粘り強く解決すべきだ。私は、周知のとおり、苦境から立ち直った。決して、ヨーロッパのスーパースターではないが、自分の経験を生かして、欧州を立ち直らせてゆきたい」と話している。

 SPD本部の期待にどう応えるかが、今後の焦点となるが、シュルツ氏は市長としての経験から、一番大切なのは、市民と直接触れ合う市などの地方行政単位での政治と語っている。

 支持率を落とし続けているSPDに新風を吹き込むことができるか? ここ1週間のSPDへの支持率は、瞬間的には、上がっており、約250名もの新規メンバーが、SPD On-Lineを通して登録するなど、シュルツ氏が遊説を開始してから驚くほどの支持を集めている。

 SPDは、1998年以来、各州の州首相の座の過半数を占めてきた。13州およびベルリン・ハンブルグ・ブレーメンの計16名のドイツ連邦下の州・自由都市首相のうち、9名がSPDに属している。

 しかし、ヴィリー・ブラント氏、ヘルムート・シュミット氏が首相であったときに比べて、SPDは長い間膠着状態にあり、ドイツの政治を刷新できる力を持てていない。

 特に、メルケル首相と連合を組みながらも、対抗できるだけの具体的政策を出せないでいたシュルツ氏の前任者ジグマー・ガブリエル(現副首相・経済兼外務大臣)氏の人気が低く、党の支持率が落ち込んでいた。

 不人気なガブリエル氏が首相候補であれば、かなり優位に次期首相選に臨めると思っていたメルケル首相にとり、シュルツ氏の立候補はショックだ。今秋の総選挙は、CDUおよび同首相にとり苦戦となることは間違いない。

次ページは:なかなか決断しない性格
なかなか決断しない性格
 シュルツ氏の欧州議会時代の業績はどんなものなのだろうか。ユーロ債などについては、欧州全体の連帯責任で処理するべきという考えの持ち主だ。EU予算のかなりの部分は、ドイツが負担しており、ドイツには不利なスタンスをとっていたと見られている。

 また、シュルツと親交関係にある欧州委員会委員長ジャン=クロード・ユンケル氏への脱税疑惑に対する欧州議会調査委員会の活動を阻止したとの見方もある。

 シュルツ氏は、首相候補になる前の昨年6月のハイデルベルグ大学での講演で、難民はドイツ社会の将来への潜在力と述べ、難民受け入れ数に歯止めをかけていないメルケル首相に同調する発言をおこなっている。

 「自分は、飛行機の長旅があまり好きではない」「小市民的プロレタリアート」「なかなか決断をしない性格」「自分の頭部が卵形」など、自信のなさを漂わせる言葉を思わず口走ってしまう癖がある。今後は、おそらく、アドヴァイザーをつけて、首相候補にふさわしいスタイルへと言動を修正してゆくだろう。

 SPDはCDUとの連合政権の中で、総選挙に向けた具体的な公約を明らかにしていない。これらを準備することが、シュルツ氏の最大の課題だ。

 メルケル政権が長すぎることに飽きていながら、右翼のドイツのための選択肢( AfD)に投票したくない一般市民たちが、現在、消去法でSPDに期待しているという見方もある。SPDとシュルツ氏の今後の動きに、ドイツの有権者が注目している。

■シュヴァルツアー節子(在ミュンヘン・ジャーナリスト)
慶応大経済卒、外務省専門職として在英国大使館勤務、オックスフォード大学留学。ドイツでの日系企業勤務を経て、大手新聞の助手など務める

前へ
1
2
次へ
2/2ページ
【関連記事】
ネオナチに乗っ取られた政党「ドイツのための選択肢」とは
仏原発10基以上が停止に 電力不足で洗濯機の使用制限まで始まる
欧州・カナダ包括的自由貿易協定、一転調印
最終更新:2/15(水) 11:30
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170215-00010000-socra-int&p=2


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/419.html

[国際18] 4か国で食糧危機 「子ども140万人が命の危険に」 貧困から生じる病 壊疽性口内炎、栄養失調の子どもに広がる恐怖 
4か国で食糧危機 「子ども140万人が命の危険に」
2月22日 7時45分
武力衝突やテロが繰り返されているアフリカや中東の4か国では深刻な食糧危機が拡大していて、国連は、このままではことし中に140万人もの子どもが重度の栄養不良で命を落とす危険にさらされると警告しています。
これは、ユニセフ=国連児童基金が21日に緊急の声明を発表して明らかにしたものです。

それによりますと、武力衝突やテロが繰り返されているアフリカのナイジェリア、ソマリア、南スーダン、それに中東のイエメンの4か国では、食糧の生産が減ったり支援が行き届かなかったりして深刻な食糧不足に陥っており、このままでは、ことし中に140万人もの子どもが重度の栄養不良で命を落とす危険にさらされるということです。

このうち、政府軍と反政府勢力の武力衝突が続いている南スーダンでは、20日、一部の地域で最悪の飢餓状態を示す「飢きん」の発生が宣言されています。

また、ナイジェリアの北東部でも、イスラム過激派組織、ボコ・ハラムによるテロや襲撃が相次ぎ、重度の栄養不良に陥る子どもが45万人に達すると予想され、一部で「飢きん」が発生していると見られています。

ユニセフでは、これらの国々でさらに飢きんが拡大するおそれがあると警告していて、レーク事務局長は「子どもたちにはもはや時間が残されていない」として、子どもたちの命を守るため国際社会に一層の支援を呼びかけています。
関連リンク
「戦火の中東 子どもたちを救おう!」(くらし☆解説)解説委員室ブログ 12月16日
食べ物が足りなくて子どもが140万人亡くなるかもしれないNEWSWEB EASY 2月22日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170222/k10010885541000.html

 

イエメンなど4か国、子ども140万人が飢餓で死亡の恐れ
2017年02月21日 13:31 発信地:国連本部/米国

ヘルス
このニュースをシェア

検索メールで送る
イエメンなど4か国、子ども140万人が飢餓で死亡の恐れ
南スーダン・アウェルにある「国境なき医師団(MSF)」の医療施設で、急性栄養失調の子どもを診察する医師(2016年10月11日撮影)。(c)AFP/ALBERT GONZALEZ FARRAN
▶ メディア・報道関係・法人の方向け 写真購入のお問合せ
【2月21日 AFP】国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は20日、イエメン、ナイジェリア、ソマリア、南スーダンの4か国で飢饉(ききん)により計140万人近くの子どもが深刻な栄養不良に陥っていると報告した。これらの子どもは年内に死亡する恐れがあると警鐘を鳴らし、国際社会に迅速な対応を呼び掛けた。

 2年近くにわたり内戦が続くイエメンでは、急性栄養不良の子どもが46万2000人に達している。ナイジェリア北東部でも、深刻な栄養不良の子どもが45万人に上っている。

 米国際開発局(USAID)の飢餓早期警報システムネットワーク(FEWS NET)によれば、ナイジェリア北東部ボルノ(Borno)州の一部の遠隔地域は既に昨年後半から飢饉に見舞われているが、援助が届かないため飢饉は今後も続く見通しだという。

 ユニセフは、ソマリアでは干ばつによって飢餓に直面している子どもが18万5000人いるとした上で、その数は向こう数か月で27万人に増えると予測している。

 内戦状態にある南スーダンでも、栄養不良の子どもが27万人余りに達している。2万人の子どもが住む北部ユニティー(Unity)州の一部については、飢饉の発生が宣言されたばかり。

 ユニセフのアンソニー・レイク(Anthony Lake)事務局長は「まだ大勢の命を救える」と述べ、迅速な行動を促した。(c)AFP

▶ ヘルス 一覧へ
PR
PR
こんな記事も読まれています

米で生中継中に銃撃、リポーターら2人死亡 容疑者は自殺
冷凍庫に女性器の一部21個保管、デンマーク人の男逮捕 南ア
ニシキヘビ、ヤマアラシをのみこんで死ぬ 南ア
壊疽性口内炎、栄養失調の子どもに広がる恐怖 ニジェール

http://www.afpbb.com/articles/-/3118596?cx_part=txt_topics

 

壊疽性口内炎、栄養失調の子どもに広がる恐怖 ニジェール
2015年07月18日 15:11 発信地:ジンデル/ニジェール

ヘルス

http://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/0/8/500x400/img_08d04346b66d1807495cfddb4b22993e216148.jpg

ニジェールのジンデルに設置されたスイスのNGO「サンティネル」の診療所で、壊疽性口内炎(水がん)の治療を受ける少女(2015年5月26日撮影)。(c)AFP/ISSOUF SANOGO


【7月18日 AFP】13歳の少女、ムルジャさんの鼻は壊疽(えそ)によって溶けてしまっている。上唇と、上側の歯茎の一部もだ。栄養失調が原因で発症する壊疽性口内炎(水がん)に冒されているのだ。

 最貧国の一つ、西アフリカのニジェールに住む、はにかみがちの少女ムルジャさんは「前はもう少しましだったのに」と不安げな様子で話した。複数の菌の感染によって起こる壊疽性口内炎で大きく損なわれた外見を気にして、ムルジャさんは相手の目をまっすぐ見て話すことができない。最初は炎症を起こした歯茎から出血し、そのわずか3日後には、鼻などの組織が急速に壊死し、彼女の美しさと子ども時代は失われた。

 1992年からニジェールで活動するスイスのNGO「サンティネル(Sentinelles)」の看護師、ファティ・バダマシさんは「問題はこの病気の進行が非常に速いということ。壊死は72時間以内に起こる。顔に黒っぽいまだらが現れてから患者が来るころには、もう手遅れだ」と話した。

 ニジェールでの慈善活動を監督しているアリ・アダさんによると、壊疽性口内炎は「死体から臭うような腐敗臭」を放つ。「事務所に着いて、壊疽性口内炎の患者が来ているとすぐに分かる」という。ムルジャさんの患部からも強い臭いがしていた。

Next >> ■貧困から生じる病
貧困から生じる病

 壊疽性口内炎は、食糧不足の地域で主要なビタミンが欠乏し発症することが多い。水の細菌汚染など衛生問題も関係している。また自然免疫力が極端に落ちた状態でも発症しやすい。

 ニジェールでは食糧危機が頻繁に起こる。保健、教育、所得に関する国連開発計画(UNDP)の指標、人間開発指数(HDI)では最下位だ。また国連によると、1人の女性が生涯に産む子供の数では、ニジェールが7.6人で世界のトップ。だが、14年6月の時点で、5歳未満の子どもの15%超が飢餓状態にあり、毎年、4000〜6000人の幼児が栄養失調で亡くなっている。

 世界保健機関(WHO)によれば、壊疽性口内炎はアフリカ諸国の大半の他、アジアのラオス、一部の南米諸国でもみられるが、世界全体で1年間に発症する14万〜18万人のうち大半を占めるのはニジェール人だ。

 WHOの専門家、ブノア・バレンヌ(Benoit Varenne)氏によると、欧州では第2次世界大戦末期、連合軍がその劣悪な環境を直接目にしたナチス・ドイツ(Nazis)の強制収容所での症例の記録が最後だ。「そう考えれば、どのような類の感染症を相手にしているのか、イメージがつかめるだろう」とバレンヌ氏はいう。

 ニジェールの疾患対策に関わるイブラヒム・ハマドゥ(Ibrahim Hamadou)氏は、同国の壊疽性口内炎に関する信頼できる統計はないとしながら「90%の子どもが基本的な手当てを受ける前に亡くなっている」と説明した。

Next >> ■予防に懸ける政府
予防に懸ける政府

 スイスのNGO、サンティネルの協力で、ムルジャさんはまもなく同国ジュネーブ(Geneva)へ渡り、鼻と口の再建手術を受ける。しかし、同じく目など顔の左半分が壊死したセイミ君もスイスで皮膚と筋肉組織の移植手術を受けたが、外見が大きく損なわれた状態は変わらない。片方の目は完全に失われてしまった。

 ジュネーブ大学病院(Geneva University Hospitals)のブリジット・ピッテ(Brigitte Pittet)外科教授は「私たちがやっていることはほとんど奇跡だが、完璧にはほど遠い」と話した。

 しかも手術の費用は極めて高い。そこでニジェール政府は、壊疽性口内炎の予防に関する知識を広める活動と抗生物質に期待をかける。疾患対策当局のハマドゥ氏は「母親たちにショックを与えるような恐ろしい写真を見せて」、子どもが感染した場合には一刻も早く手当てを受けるよう呼び掛けていると話した。「十分早い段階で壊疽性口内炎を発見できれば、結果は非常に向上する」

(c)AFP/Joris FIORITI
http://www.afpbb.com/articles/-/3054191?page=3

http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/342.html

[政治・選挙・NHK221] 終わりを告げる経団連の時代 存在感を高める生団連、パーティーに政治家たちが参集 トランプ米中は経済戦争突入か、問題は日本
終わりを告げる経団連の時代
存在感を高める生団連、パーティーに政治家たちが参集
2017.2.23(木) 三田 宏
生団連・臨時総会で握手を交わす生団連新会長の小川賢太郎・ゼンショーホールディングス会長兼社長(左)と前会長のライフコーポレーション清水信次会長(右)(2017年1月27日撮影)
(震災からの復興が)「単なる復興にとどまる場合には、日本経済は没落に向かう」

 東日本大震災が起きた年の2011年8月4日、経団連(日本経済団体連合会)経済政策委員会企画部会で講演した戸堂康之・東京大学教授(当時)は、日本経済の行く末に警鐘を鳴らした。

 日本の1人当たり実質GDPはアメリカとの差が開く一方であり、今や新興国にも追い抜かれようとしている。日本経済はグローバル化と産業集積によって復興を超えた飛躍的成長を果たさなければ未来はない──、という厳しい指摘だった。

 この日本経済に対しての「没落する」という警告は、今や経団連自身にも向けられていると言えそうだ。東芝の転落は、まさに経団連の時代が終わりつつあることを予感させる。

経団連の歴史的役割は終わった

 経団連の構成企業や団体は長らくほぼ製造業、しかも「重厚長大産業」が中核を占めてきた。流通サービスなど第3次産業もかなり含まれているものの、実質的に経団連は、戦後の高度成長を支えてきた重厚長大産業の代表者が牛耳ってきた経済団体である。

 経団連会長はかつて「財界総理」と呼ばれ、政官界に絶大な影響力を誇った。東芝は石坂泰三氏、土光敏夫氏という2人の経団連会長を輩出している。石坂氏は貿易・為替の自由化、資本自由化を政府に強く迫り、土光氏は第2次臨時行政調査会、臨時行政改革推進審議会の会長として政府に行政改革を迫った。

 しかし現在、「経団連会長」の政治的・社会的影響力は大きく低下している。会長の一挙手一投足がメディアの関心を集めることはなくなった。人材不足から最近では後任人事も難航するようになった。

 経団連が設立されたのは1946年。もともと経団連は、戦前の財閥による経済界支配に対するアンチテーゼのような存在だった。金融資本による経済支配を突き崩し、製造業が中心となって日本を立て直すことを目指した。確かに戦後の復興と経済成長は輸出型の製造業に牽引された。だが現在、輸出産業のGDPへの貢献度はわずか1割ほどしかない。日本のGDPの74%は流通サービス産業で稼ぎ出しており、従業者で言えば70%を占めるまでになっている。経団連はその歴史的な役割を終えているということなのかもしれない。

 経団連に2人の会長を送り出し、日本の製造業の中核として揺るぎない地位を誇った東芝が債務超過に陥り、深刻な経営難にあえいでいる。もちろん杜撰な経営に起因しているわけだが、経団連の時代の終焉を示す出来事としていかにも象徴的である。

政治家たちが駆けつけた生団連のパーティー

 片や、ますます意気軒昂なのがサービス産業の経済団体だ。

 1月27日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニに名だたる政治家たちが続々と参集した。自民党からは二階俊博幹事長と細田博之総務会長、公明党からは井上義久幹事長、民進党からは蓮舫代表。少し遅れて菅義偉官房長官も駆けつけてきた。

 彼らが向かったのは「生団連」(国民生活産業・消費者団体連合会)が開いた「平成28年度臨時総会・新年賀詞交歓会」のパーティー会場である。主催者によると自公民で23名の国会議員が出席していたという。


生団連臨時総会で挨拶する政治家たち。野党からも蓮舫氏が駆けつけた
 生団連は食品スーパー最大手、ライフコーポレーションの清水信次会長が設立を呼び掛けて、2011年12月に設立された経済団体だ。スーパーや百貨店、食品メーカーなど、消費者と関わりの深い企業や業界団体、それに消費者団体など合わせて555の企業と団体が加盟している。

 清水氏は、経団連や日商(日本商工会議所)と生団連との違いを次のように説明している。

「日本経済団体連合会や日本商工会議所などの経済団体と比べて、生団連の大きな違いは、消費者とかかわりが深い企業、団体から構成されるという点だ。会員企業には流通、食品メーカーなどのほか、消費者団体も含まれており、国民の生活や生命を守ることを目的に、政策提言などを行っていく」(出所:ダイヤモンド・オンライン)

 清水氏の発言にみられるように、生団連は消費者の側に寄り添うことを大きなアイデンティティとしている。実際、生団連の主張を見ると「デフレ時の増税はするべきではない」「東電の電気料金の値上げは容認できない」など経団連とは大きく異なる。

 臨時総会では、清水氏から小川賢太郎・ゼンショーホールディングス会長兼社長へと生団連会長のバトンが受け継がれた。小川氏は就任挨拶で、生団連の活動について次のように抱負を語った。

「流通産業では多くの企業が平和的に世界展開し、当地の人々に喜ばれています。それは、日本の厳しい消費者に鍛えられた流通業、最高の商品を作るメーカーには文化と技術力、そして心があるからです」

「生団連は、消費者団体と生活産業メーカー、流通サービス産業、こういった団体や会社が、日本を良くしていこうという思いの下に集まりました。──力を合わせて『世界に範たる日本』『尊敬される日本』にしていきましょう」

 国会議員たちは生団連の影響力が高まっていくことを理解している。国会の会期中にもかかわらず与野党の重鎮が臨時総会に詰めかけたことからも、政界は生団連の存在を軽視できなくなっていることがうかがい知れる。臨時総会はマスコミにはほとんど取り上げられなかったようだが、東芝の「解体」を契機に確実に流れは変わっていくのではないか。

(参考)
・「国民生活産業・消費者団体連合会(生団連)会長 (ライフコーポレーション会長)清水信次 行革の公約実現が最優先  性急な消費増税には反対だ」(ダイヤモンド・オンライン)
・「経団連と一線画す『生団連』加盟550団体に急増」(MSN産経ニュース)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49242


 


トランプ政権下で米中は経済戦争に突入するか
経済的な相互確証破壊が確立している両国より問題は日本
2017.2.23(木) 瀬口 清之
習主席、保護主義に警鐘 トランプ新政権にらみ、ダボス会議で講演
世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で講演する中国の習近平国家主席〔AFPBB News〕
1.相互確証破壊

 安全保障の専門用語に相互確証破壊という言葉がある。2つの国がともに大量の核兵器を保有している場合、片方の国が相手国を核兵器によって先制攻撃すれば、相手国も核兵器による報復攻撃を行う。

 最初の攻撃で相手国の核兵器を全滅させることができない限り相手国からの核兵器による報復攻撃を受けて、先制攻撃を仕かけた国も壊滅的な打撃を被る。

 したがって、大量の核兵器保有国同士は、一方が核兵器で先制攻撃すると最終的には双方が壊滅的な打撃を受ける関係にあることを双方がともに確証する。これが相互確証破壊と呼ばれる概念である。

 相互確証破壊の関係が成立している国同士の間では理論上は直接的な軍事衝突が発生しない。これが核抑止力と呼ばれる核兵器配備の重要な目的の1つである。

2.米中両国経済は相互確証破壊の関係が成立

 米中両国の経済関係を見ると、この相互確証破壊と似たような関係が成立しているように見える。

 もし米国が中国に対して、中国からの輸入品に対する関税の大幅な引き上げ、あるいは、為替操作国と認定したうえでの制裁措置発動といった経済戦争を仕かければ、中国も米国に対して報復する。

 米国企業の自動車、パソコンなどの不買運動、米国系スーパー・百貨店に対する焼き討ち・投石、米国系コンサルティング企業・会計企業・弁護士事務所などに対する中国政府関係機関・国有企業の入札参加リストからの排除などが考えられる。

 いずれも尖閣問題発生直後に日本企業が直面した問題である。

 日本企業の場合、尖閣問題発生後のこうした不買運動などによる被害は大半の企業にとって2〜3か月、長くても数か月でほぼ沈静化した。

 加えて、各地方政府は地域の雇用と税収の支えとして貢献の大きかった日本企業を必死に引き留めたこともあって、尖閣問題で日本企業が大量に撤退を迫られることはなかった。

 しかし、万一米中経済戦争が深刻化し、上述のような報復措置が長期化・エスカレートすれば、米国企業は中国市場からの撤退、あるいは大幅な事業縮小を余儀なくされる可能性が高まる。これは米国経済にとって巨大な打撃となる。

 中国が米国に対して厳しい報復措置を採れば、トランプ政権は中国に対してさらに厳しい経済制裁や貿易戦争を仕かけてくると考えられる。その結果、両国の経済はともに深刻なダメージを受け、成長率が低下し、失業が増大する。

 この程度の最悪シナリオは誰でも簡単に想像できるはずだ。経済版相互確証破壊の関係が成立していると言って差し支えないだろう。

3.日米貿易摩擦当時の日米経済関係と現在の米中経済関係の違い

 具体的な経済指標(国際通貨基金=IMF世界経済見通し2016年10月)を見ると、米国のGDP(国内総生産)に対し、中国のGDPのウェイトは2016年が61%、2020年には75%に達する。

 1980年代から90年代にかけての日米貿易摩擦の真っ只中にあった1990年の日本のGDPは米国の52%(ちなみに2016年は25%)。中国はすでにそれを大幅に上回っており、急速に米国に接近している。

 2016年、米国の中国からの輸入金額は米国GDPの2.1%に相当し、対中貿易赤字幅は同じく1.4%。1990年当時の日本は、米国の対日輸入が米国GDP比1.5%、対日赤字幅は0.6%だった。この貿易不均衡のインパクトを比べても現在の中国は1990年の日本を大きく上回っている。

 さらに日本と中国の決定的な違いは中国の国内市場の開放度の高さである。日本の国内市場は高度成長期から現在に至るまで極めて閉鎖的で、外国企業による対日直接投資の受け入れに対しては一貫して消極的である。

 これとは対照的に、中国は市場開放による積極的な外資導入を梃に急速な経済発展を実現してきた。2016年の中国の対内直接投資は中国のGDPの1.1%。これに対して1990年の日本の対内直接投資は日本のGDPのわずか0.06%だった。

 このため、日本で成功した米国系企業は日本IBM、コカコーラ、マクドナルドなど数えるほどしかない。これに対して、昨年の米国企業の中国国内での自動車販売台数はGM、フォードを中心に296万台に達した(ちなみに日本企業は379万台)。

 米国を代表するスーパーマーケットのウォルマートは2016年末現在、中国国内の189市に439店舗を開設している。このほか、アップル(スマホ、PC)、キャタピラー(建設機械)、コーニング(ガラス)、ファイザー(製薬)、P&G(洗剤、化粧品等)など、米国を代表する巨大企業が中国市場で巨額の利益を稼いでいる。

 1990年代の日本であれば不買運動を仕かけられても米国としては痛くもなかったが、現在の中国で、もし米国製品の不買運動が始まれば、米国企業の損失の大きさは計り知れず、米国経済そのものへの影響も深刻である。

 しかも、日本は安全保障面で米国に依存しているため、日米関係に対する特別の配慮が働く。それに対して、中国は米国から完全に独立しているため、日本に対するような脅しは通用しない。

 米国の強硬策に対しては強硬策で報復する可能性が高い。トランプ政権はこの点も十分考慮すべきである。

 以上のような米中経済関係を考慮すれば、両国政府が冷静に判断する限り、経済戦争を仕掛けることは双方にとってあまりにリスクが大きすぎることを認識し、互いにそうした事態を回避するはずである。

 もしこの2大国がそうした冷静な判断を無視して経済戦争に突入すれば、世界経済はリーマンショック以上の衝撃を受け、欧州の財政金融危機や新興国の通貨危機が再燃し、世界大恐慌に陥る可能性も十分ある。

 そうならないことを期待するとともに、その両国と緊密な関係にある日本として、そうした事態を回避するよう両国間の相互理解と冷静な判断を促進する役割を担うべきである。

 もっとも米中間には経済戦略対話(S&ED)が毎年開催され、両国政府主要機関のトップレベルでの交流が続けられてきているほか、王岐山政治局常務委員とポールソン元財務長官に代表される人脈など、これまでは日中両国間以上に太いパイプがあった。

 トランプ政権と習近平政権がこれをうまく活用すれば相互理解は十分図れるはずである。

4.日本の経済戦略のあり方を考える

 振り返って日本の立場を考えてみると、日本は世界第3位の経済大国であり、米中両国とはとくに緊密な経済関係を保持している。2016年の日本の国別輸出ウェイトを見ると、米国向けは20.1%、中国向けは17.5%と両国が極めて重要な貿易相手国であることは言うまでもない。

 これらの両国に対して日本は国内市場(GDP)の規模そのものが小さく(米国の4分の1、中国の3分の1)、しかも閉鎖的であるため、米中両国と日本の間には経済面で相互確証破壊の関係が成立していない。このままでは将来の不測の事態に伴う経済戦争リスクへの対応能力面で不安が残る。

 国内市場が小さい日本が米中両国に対して相互確証破壊の関係に似た交渉力を持つためには、相手国の国内市場において日本企業の雇用、税収、技術開発面での貢献を高める必要がある。

 日本企業を排除すれば米中両国ともに経済が深刻な打撃を受けるという関係を構築することを目指す。つまり経済面でのウィンウィン関係の強化である。

 おそらく日中間では現時点ですでにそれに近い関係が成立している。尖閣問題が発生した直後に各地方政府は、日本企業が撤退しないよう、地元の日本企業をきちんと保護する姿勢を打ち出した。

 日中双方のメディアはこうした事実を報道しないため一般には認知されていないが、こうした中国政府の対応が日中経済関係の安定保持に大きな役割を果たしている。

 日中関係においてさらにこの関係を強化するには日本企業の対中投資を拡大し続けることが重要である。それによって、日本は核兵器に頼らなくても中国との間でウィンウィン関係の強化によって相互確証破壊に似た関係を成立させることが可能である。

 これは長期的な日中関係の安定確保に大きく貢献する。

 日米両国は日米安全保障条約に基づく強固な同盟国であるが、安全保障面では日本が米国に従属しているため、日本の交渉力は弱い。

 せめて経済面だけでも、日本企業が米国経済にとってなくてはならない重要な存在として、米国民から高い評価を得られるよう、ウィンウィン関係のさらなる強化に向けて努力を継続することが必要である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49227
http://www.asyura2.com/17/senkyo221/msg/243.html

[経世済民119] 米国の嫉妬も当然?軽自動車は「匠の技」の塊だ オペルの雇用不安で揺らぐドイツの誇り ボルボ、東京に「クルマなし販売店」
米国の嫉妬も当然?軽自動車は「匠の技」の塊だ
JBpress 2/20(月) 6:15配信

米国の嫉妬も当然?軽自動車は「匠の技」の塊だ
新型ワゴンRの各モデル(筆者撮影、以下同)
 先の日米首脳会談の場では直接議題になることはなかったが、トランプ大統領が自動車分野における日米の貿易不均衡に強い関心を持ち、問題視していることは確かである。

 安倍晋三総理は帰国後にテレビ出演時などで、日米はいま、80年代に貿易摩擦があった状況とは大きく違い、自動車を含めた日系企業がアメリカ国内で製造拠点を持っておりアメリカでの雇用を生んでいることをアメリカ側にしっかりと説明したと語っている。今後は、麻生副総理兼財務大臣とペンス副大統領の間で経済対話を進めるとしており、自動車分野もその中に含まれる模様だ。

 自動車分野での日米間の交渉というと、TPPでの日米二国間協議を思い出す。2013年の二国間協議で米国側が指摘したことの1つが、日本固有の車両規定だった。アメリカ車を日本国内で販売する場合、車両の細部にわたる適合が必要だ。それに伴う書類の作成やコストなどが非関税障壁になっている、という批判だった。

 さらに、アメリカ側は軽自動車をやり玉にあげ、車両規定の見直しも要求してきた。当時はそれを受けて「軽自動車がなくなるかもしれない」といった報道もあった。

 今後、トランプ政権との交渉の中でも、「なぜ日本でアメ車が売れないのか?」についてアメリカが再検証し、日本側に対応を求めてくる可能性は十分にある。

■ 新型ワゴンRがフルモデルチェンジ

 こうした中、日本では軽自動車の王道であるスズキ「ワゴンR」がフルモデルチェンジした。1993年の初代発売から数えて今回が6代目となる。同車の累計販売台数は約440万台、現時点で市場にある保有台数は約280万台と推定される人気車種だ。

 新型ワゴンRの商品特徴は大きく4つ。(1)デザインを大幅に刷新、(2)全モデルがマイルドハイブリッド車(発進・加速時にエンジンをモーターでアシストするハイブリッド)で、モーターのみの走行も可能に、(3)独コンチネンタル社製の先進的な運転支援装備を搭載、(4)軽ワゴンで最大の室内長を誇る広い室内、である。

 モデルは大きく3つ設定された。ベースモデルの「FX」、主力の「FZ」、さらに斬新なボディデザインとターボエンジンが特徴の「スティングレー」だ。価格は、廉価モデルの約108万円からスティングレー・ハイブリッド Tの約180万円までと幅広い。

 燃費はリッターあたり33.4キロメートルと、軽ワゴンでは最良の数値である。その実現のために、エンジン本体の改良に加えて、モーター付きの発電機(ISG)の出力を上げ、リチウムイオン2次電池の容量を増やした。

改良による改良が重ねられている軽自動車

 新型ワゴンRの走り味は見事だった。

 試乗は東京の調布市周辺の一般路で行った。主力モデル「FZ」と「スティングレー」にぞれぞれ乗ってみたが、逸品なのは「FZ」だった。

 走り出してすぐに感じたのは「やさしい走り味」だ。ステアリング操作に対するクルマ全体の動きが実に素直であり、柔軟だ。そして安心感が高い。これらを総合する言葉を走りながら考えたが、出てきたのは「やさしさ」だった。

 車体の剛性を上げ、サスペンションの稼働幅を広げ、重量を20キログラムも軽量化。そして、モーターで走行した時の心地良い押し出し感。新型「ワゴンR」の良い点は「FZ」の方が分かりやすく感じることができた。

 また、スティングレーを含めて圧巻はインテリアだ。車内各部の質感は、300万円級のミニバンに匹敵すると言っても過言ではないステアリングにはカーナビやラジを操作するスイッチが装着されており、非常に使いやすい。さらには、スピード表示などの走行情報を運転席正面の反射板で映し出す「ヘッズアップディスプレイ」を軽自動車として初めて装備するなど、軽自動車とは思えない“上質”な空間が広がっていた。

 軽自動車は日常の足として使うユーザーが多いため、メーカーには細かく厳しい要望が数多く寄せられる。しかも近年は、スズキ、ダイハツの2強にホンダがNシリーズで対抗し、三菱自動車も日産向けOEM供給で売り上げを伸ばす「デイズ」や「ルークス」を展開するなど、軽4メーカーによる競争が激しくなってきている。

 そうした状況の中で各社は、ボディサイズが全長3.4メートル×全幅1.48メートル×全高2.0メートル、エンジン排気量が660tを上限とする車両規定のなかで、改良による改良を重ねている。

 軽自動車の技術開発は、まさに「匠の技」とも言える領域だ。アメリカの自動車メーカーは「この価格で、どうしてここまで造り込めるのか」と思っていることだろう。軽自動車は、アメリカ人技術者が嫉妬するような商品なのだ。

 日本のユーザーにとって、軽自動車がどんどん進化するのは非常にありがたいことである。だが、アメリカにとってはやはり「邪魔な存在」なのかもしれない。日米首脳会談の数日後、最新型の軽自動車を運転しながら本気でそう思った。

 【筆者からのお知らせ】
新刊『自動運転でGO!  〜クルマの新時代がやってくる〜』 (マイナビ新書) が発売されます。目からウロコが落ちるような「自動運転の未来」を紹介しています。ぜひご一読ください。

 [JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

桃田 健史
前へ
1
2
次へ
2/2ページ
【関連記事】
日本ではなぜ報じられないのか?車の潮流はEVへ
ベンツの高級ピックアップが“聖地”を狙わない理由
中国での売れ筋モデルが示す電気自動車の未来
日産はしてやったり、安い買い物だった三菱自工救済
主要産油国の減産ゲームに飽き始めた市場
最終更新:2/20(月) 11:05
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170220-00049214-jbpressz-bus_all&p=2


 

 
ボルボ、東京に「クルマなし販売店」

ニュースを斬る

新投入の「S90」はウェブ予約限定、販売デジタル化へ布石
2017年2月23日(木)
島津 翔
 「『S90』はオンラインでの予約販売限定となります」

 2月22日、スウェーデンの自動車大手ボルボ・カーの日本法人は高級セダン「S90」や高級ワゴン「V90」など3車種を同時に国内発売した。発表会見での木村隆之社長の何気ない一言に、同社の戦略が隠されていた。

にほん

ボルボが22日に発売した「S90」。木村隆之社長は「3車種で2500台を売る」と意気込む
 同社の90シリーズは、新プラットフォーム「SPA」を初採用した高級ライン。第一弾のSUV(多目的スポーツ車)「XC90」は2016年に国内発売し、予想の倍に当たる1000台が売れた。より顧客層の広いセダン「S90」とワゴン「V90」「V90クロスカントリー」の3車種を同時発売し、ボルボは国内で前年1500台増となる1万6000台の販売を狙う。

 ボルボの強みは安全へのこだわりだ。本社のあるスウェーデン・イエテボリに自前の事故調査隊を常駐させ、半径100km以内で事故があれば地元警察と連携して事故の原因分析に当たる。どの角度からでも衝突実験できる本社横の「セーフティセンター」は、ボルボの象徴ともいうべき場所だ。

 安全へのこだわりは新発売した90シリーズにも現れている。ボルボの事故調査隊によれば、スウェーデンにおける重傷者発生事故の要因のトップは、路肩などに転落する「道路逸脱事故」だった。

 90シリーズでは、世界で初めて逸脱回避機能を搭載した。車載カメラと赤外線レーダーが車線や縁石などを認識して、逸脱が差し迫っている場合には自動でステアリングとブレーキを操作する。


世界初となる逸脱防止機能をS90などに搭載した
 ボルボは近年、自動運転で米ウーバーテクノロジーズといち早く提携するなど独自路線を走ってきた。欧州では2014年にウェブでの限定予約を開始。S90をウェブ限定発売するのも、この独自路線に沿ったものだ。

 同社の木村社長が日経ビジネスの取材に応じ、クルマのデジタル販売について狙いを語った。意外にも、その狙いは「中国生産」を見据えたものだった。

700万円のクルマを『ポチ』は無理


ボルボ・カー日本法人の木村隆之社長。1987年にトヨタ自動車入社。2003年にユニクロを展開するファーストリテイリングに営業本部長補佐として転職。2008年に日産自動車へ移り、2009年インドネシア日産社長などを経て、2014年にボルボ・カー・ジャパン社長に就任
会見では一言だけ「S90をオンライン限定で発売する」とのアナウンスがありました。その具体的な中身とは?

木村隆之社長(以下、木村):「S90」は日本国内では当面、スウェーデンの本社工場製の500台を限定で販売します。輸入車の場合、台数が限定されていると全国の各販売店が在庫に配置して、その販売店の顧客がそれぞれのクルマを買う。でもこの売り方は公平じゃない。

 全国にあまねく存在する顧客に平等に知ってもらうためには、ウェブは非常に有効な手段です。全ての(オプションやカラーリングなどの)組み合わせを500台分、ウェブでオープンにして、そこから自由に選んでもらおうと。それが出発点です。

決済までウェブでやるのでしょうか。

木村:いや、取引まではやりません。EC(電子商取引)の流れは理解していますが、私はクルマで簡単にECが普及するとは思っていません。クーリングオフの問題もある。ナンバーを付けたクルマを納車してクーリングオフされたら我々も困ってしまう。

 ただ、購入プロセスの一部をデジタル化することは非常に価値がある。顧客は販売店に行かずにウェブ上で予約だけして、実際にクルマを見たり試乗したりして気に入らなければ買わなくて構わない。そのクルマはまたウェブ上で予約できる状態に戻るだけです。

 正直な話をすると、ボルボのような700万円もするクルマをアマゾン・ドット・コムのようなサイトを使ってワンクリックで「ポチっと」買うか。買わないですよ。

 より欲しいクルマを買えるようにデジタルの力を使う。これが本筋でしょう。

500台を売るためだけにウェブサイトを立ち上げると、かえって効率が悪くなる気がします。

木村:もう一つの狙いがあります。実は、500台という制約は生産面から生まれたものです。S90の生産場所は、現在のスウェーデン本社工場から、建設中の中国工場に切り替わります。S90だけは欧州向けも北米向けも全て中国工場で生産することになる。

在庫商売はもうやめる

木村:日本法人では、これを機に輸入車ではほとんど例がない受注生産に切り替える検討をしています。つまり、日本で自分の好きなように仕様を組み合わせ、それを受注してから中国工場で生産する。

 つまり、「在庫商売」をやめるということです。各販売店が限られた在庫を持っていると、「この色なら安くしますよ」となりがちなんですね。こういうのはもうやらない。


ウェブで限定発売する「S90」
 まずS90の限定発売で「ウェブでしか買えない」という流れをつくり、中国生産に切り替わってもウェブで仕様を選んでもらう形にしたいと思っています。

 加えて、500台の販売で顧客の嗜好をつかみたい。先ほど言った通り、販売店が在庫を持っていると、どうしても「うちに黒の在庫があるから黒を薦める」というセールストークになる。これは販売店からしたら当然の考えなんですね。でも、これでは本当に客が欲しかった仕様が何なのか分かりにくい。

 S90はセダンで、我々は(メルセデス・ベンツやBMWなどの)独プレミアムメーカーにチャレンジする立場。ドイツ車ではなくてボルボのクルマに乗りたいと思う層がどんな嗜好を持っているのかを知りたいんです。挑戦者なので、新しいことをしなければならない。

昨年10月にホーカン・サムエルソンCEO(最高経営責任者)にインタビューした時、デジタルと融合した超小型店舗を、東京やマンハッタンなど世界で4カ所に設けると日経ビジネスに明かしました。

木村:その話でCEOに火を付けたのは、我々日本法人なんですよ。だから日本発と言ってもいい。「絶対に必要だ」と進言したんです。

なぜ必要だと。

木村:「あなたの思い通りの一台が作れます」という店舗にしたいんです。楽しさがあるでしょう?全てオーダー制にして、在庫を持たない。デジタルで選んでもらって、実車は近くのディーラーで確認してもらう。店舗の内部空間も、北欧らしい空間にしたいと持っています。

 日本には青山などの都心にブティック型のクルマの店舗がありますが、どの自動車メーカーもうまくいっていない。小さい販売店の機能しか持たないものと、博物館のようなものに二極化しています。我々はどちらにもしたくない。デジタルと店舗の融合をやります。

新店舗の進ちょくは?

木村:青山周辺で立地の選定は終わりました。近々発表します。オープンの前に、青山通りで予告広告を出します。

トランク配送サービス、日本でも

北欧では、ECサイトで買った商品を配送会社がボルボ車のトランクに不在時でも届けてくれる「インカーデリバリー」を始めました。日本での導入予定は?

木村:これは、日本でできる限り早く始めたいと思っています。ただ、今はグローバルで実験段階中。北欧限定で開始していて、セキュリティー面の検証をしています。


注文した荷物がトランクに届く「イン・カー・デリバリー」
 日本は世界トップクラスのスマートフォン普及率で、ECサイトも充実している。ただし、物流の観点で「ラストワンマイル」の問題点が指摘されています。全ての戸建てに宅配ボックスを設置するのは現実的ではありませんが、クルマのトランクにならすぐに届けられる。非常に望まれているサービスだと思います。日本独自サービスの機会が当然出てくるでしょう。様々なEC事業者との会話も必要になると思います。

新世代の90シリーズが発売され、2020年までには主力の40シリーズ、60シリーズも登場予定です。中期的な販売戦略は。

木村:これはシンプルで、2020年に国内販売2万台。これが目標です。ただ、ターゲットとしては過去最高の2万4000台を見据えています。

 まずは投入した3車種で2017年に2500台の販売目標を立てています。私は国内市場の二極化が進むと思っています。先に、下の需要が顕在化した。軽自動車の保険や税が安いという理由があるでしょう。ラインナップも増えた。

 ただ、高級車市場は消費者の選択肢が依然として少ない。ホンダもアキュラブランドを投入していないし、日産自動車もインフィニティブランドを売っていない。トヨタ自動車のレクサスもまだ12年の歴史しかない。まだまだ高級車市場には開拓の余地が残っています。

 S90やV90は、それに応えられるクルマだと思っていますよ。


このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/022200584


 

オペルの雇用不安で揺らぐドイツの誇り
PSAによる買収提案、選挙イヤーに独仏関係の緊張が高まる恐れ
2017.2.23(木) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年2月20日付)

GM、オペル従業員1万人を削減の方針
ドイツ・ルッケンヴァルデ(Luckenwalde)で撮影されたオペル代理店の看板(2009年9月9日撮影)。(c)AFP/MICHAEL URBAN〔AFPBB News〕
 通常なら社会党の率いるフランス政府は、国内最大級の事業会社が関わる数十億ユーロ規模の大型合併のニュースが出たならば盛大に騒ぐはずである。数千人規模の雇用喪失につながりかねないM&A(合併・買収)は、特にそうだ。

 だが、「プジョー」や「シトロエン」を生産するフランスの自動車大手グループPSAが米ゼネラル・モーターズ(GM)の赤字の欧州事業を買収する交渉をかなり進めているとのニュースが出た後も、フランス政府は珍しく落ち着いていた。実際、したり顔だったと言ってもいいくらいだ。

「非常にポジティブだ」。政府に近いある関係者はこう言い、オペル買収は一段と大きなフランスのチャンピオン企業を生み出すと付け加えた。PSAの仏キリスト教労働者同盟(CFTC)代表者の1人、フランク・ドン氏は、「これはすごい朗報だ」と述べた。

 アナリストや業界関係者らによれば、フランス側がこのような態度を見せる理由は、雇用削減の圧倒的多数がドイツ、英国、スペインにあるオペルの6工場に割り当てられ、6万5000人いるPSAのフランス人労働者はそれに比べると無傷で済む可能性が高いからだ。

「フランスがこれで敗者になるとは思えない。むしろ(英国とスペインの)周辺工場を合理化する可能性の方が高い」。LMCオートモーティブの幹部ジャスティン・コックス氏はこう述べたうえで、その理由の1つは、フランス政府がPSAの主要株主だからだと指摘する。

 一方、ドイツと英国の政府は、折しも反グローバル化を掲げる過激主義政党がすでに欧州の元工業地帯で台頭しているときに、何千人もの怒れる労働者を抱え込むことになるのを懸念し、雇用維持の保証を模索してきた。

 フランスと同じように選挙イヤーに入っているドイツにとっては、特に微妙な問題だ。アンゲラ・メルケル首相は極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」からの脅威に直面しているだけでなく、世論調査では、主流派のライバル、マルティン・シュルツ氏にも追い上げられている。

 メルケル氏は2月17日、「ドイツの雇用と工場が確実に安泰であるようにするために」政治的に可能なことはすべてやらねばならないと述べた。

 3つの工場と本社のほか、オペルの従業員3万8000人の3分の2が拠点を構えるドイツでは、自動車産業は国の経済的アイデンティティーの心臓部を占めている。買収は、雇用だけの問題ではないのだ。

 ドイツ政府は、メディアの報道によってPSAとオペルの協議について知ったとき驚愕し、フランス政府も当該企業も知らせてこなかったことに激怒した。

 メルケル政権の怒りは、欧州の最も重要な政治的関係である独仏間の緊張を高める恐れがある。もっとも、協議に通じたある人物は、フランス政府はドイツ政府より先に買収提案について知っていたわけではないと主張している。

 ドイツ政府はここへ来てGMおよびPSAと話し合いの場を持った。当初、閣僚らは自分たちの深い懸念をはっきり表明していた。

「労使協議会の関与なしで、このような交渉が行われていたことは受け入れられない」とブリギッテ・ツィプリース独経済相は述べ、さらにオペルの工場での雇用の保護を「最優先事項」にすべきだと付け加えた。GMの幹部らは、政治家と話し合い、緊張を和らげるためにドイツに駆けつけた。

 オペルが1899年から自動車を生産してきたドイツのリュッセルスハイム工場で雇用が失われるとの不安がある。この工場は難しい小型車市場で、レンヌにあるPSAのフランス工場とともに競い合っているからだ。

 仕事を終えてリュッセルスハイム工場から去るエンジニアの集団は、大規模なレイオフを心配していると話してくれた。1人はこう言った。「もしフランスから来るプラットフォームプラットホーム(車台)を再設計するだけになったら、我々のエンジニアリングをどれほど守れるのか。再設計をやるには約半分の人員がいればいい」

 別の人は、残される仕事の質も問題だと言った。「我々は、ただのシトロエンの継子にはなりたくない。シトロエンは好成績を上げてきた・・・だが、それは我々が作りたいような車ではない」

 英国では、買収提案は特に微妙なタイミングで訪れた。国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めたことが、すでに自動車産業で不確実性を生んでいるからだ。オペルが「ボクソール」ブランドで事業を展開している英国での懸念は主に、英国、欧州大陸向けに小型車「アストラ」を生産しているエルズミア・ポート工場を取り巻くものだ。

 英国がEU離脱を決めた後、この工場はすでに立場が弱いと見られていた。生産の約80%を大陸に輸出する一方で、部品の大半を輸入しているからだ。英国が単一市場から離脱したら、エルズミア・ポート工場は大打撃を受ける恐れがある。

 ドイツと英国の政府が心配するのは当然だ。PSAのカルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)は、名高いコストカッターだ。2014年にCEOの座を受け継いで以来、自動車事業の利益率を5%超に引き上げるという偉業を成し遂げた。これは独フォルクスワーゲン(VW)をも上回る水準だ。

 利益率の改善は部分的に、サプライチェーン(供給網)の改善とモデル数の削減、力強さを増す欧州市場のおかげだったが、人員削減も貢献した。PSAは2014年以降、従業員数の1割以上に当たる1万4000人の雇用を削減し、現在、さらに数千人減らしている途中だ。

 これは政府にとっては悪い知らせかもしれないが、投資家にとっては朗報かもしれない。

 PSAはタバレス氏が着任する前の2年間で72億ユーロの損失を出した後、破綻の瀬戸際に立たされていた。あるアナリストは、そのPSAでタバレス氏が成し遂げた迅速な経営再建を、「月面を歩きながら、同時にヒトゲノムを分裂させる」ような偉業になぞらえた。

 だが、ほかの人たちは、タバレス氏はマジシャンではなく、欧州でオペルの再生を図るのは、PSAよりかなり難しいと話している。PSAでは、代々のCEOが着手したリストラの途中まで来ていたからだ。

「PSAでは、タバレスは非常に包括的なリストラ計画を受け継ぎ、それが欧州市場の回復の追い風と相まって、利益の急上昇につながった」と、エクサーヌBNPパリバのアナリスト、ドミニク・オブライアン氏は言う。

 だが、市場にとって大きな問題は、M&Aから生じるシナジー(相乗効果)のレベルだ。シナジーの一部は共同調達とプラットホーム共通化から生じるが、工場合理化と、ほぼ確実に雇用削減からも生まれる。

 そして、その成功は少なくとも部分的には、政治に行き着く。リュッセルスハイムでは、ドイツ全体と同様、この買収においては経済性と並んで国家のプライドがかかっていることが明白だった。

 オペルに就職するために出した願書が却下されることを心配している機械工学科の学生は、地元の人たちはもう、お互いに「グーテンモルゲン」と挨拶しなくなったと言う。「今じゃ、みんな、『ボンジュール』と言ってますよ」

By Michael Stothard in Paris

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49259


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/431.html

[政治・選挙・NHK221] 原発事故から6年、都合の悪いことを黙殺し続ける私たちの「病理」南相馬の精神科医が目にしたものメディア・マスコミ東日本大震
メディア・マスコミ東日本大震災日本人
原発事故から6年、都合の悪いことを黙殺し続ける私たちの「病理」
南相馬の精神科医が目にしたもの

堀 有伸
精神科医
ほりメンタルクリニック院長
プロフィール

ある老医師の「戦死」
2016年12月30日、福島県広野町にある高野病院の高野英男院長が火事で亡くなるという痛ましい事件が起きた。享年81。高野病院は2011年に事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所から22kmの地点にある。
震災後は、病院にただ一人残った常勤医師として休むことなく診療に当たった。元来は精神科医であったため、震災前には一般的な救急患者の受診を受け入れてはいなかった。
しかし、周囲の病院が軒並み休業したため、高野病院が福島県双葉郡において診療を行う唯一の病院となってしまい、震災後には救急車で搬送される患者の受け入れも行うようになった。年間の当直回数が100回を超えたこともあったという。
生前の高野医師の姿はテレビでも放映され、その過酷な勤務内容と、次第に足腰が弱りテレビの前で転倒してしまうような姿も、全国で知られるところとなった。
しかしながら、その負担が大きく軽減されることはなく12月の事件につながった。私の脳裏に浮かんだのは、すさまじい戦闘を繰り広げている最中での「戦死」という言葉であった。
高野医師のことはその死後にもくり返し報道され、数多くの人がその姿に感動し、従六位に叙勲されることにもなった。
しかし私は複雑な気分である。もちろん、高野医師が讃えられることに何の異存もない。
そうではあるが、やはり、なぜ生前に高野病院が存在する福島県双葉郡(ここに福島第一原発が立地している)の医療体制が整えられ、高野医師の負担が軽減し、穏やかな余生を過ごすような環境を創ることができなかったのか、そこを問いたいと思う。
高野病院がある広野町よりも原発に近い楢葉町の避難指示は、2015年の9月に解除されている。そしてそれよりもさらに原発に近い富岡町の避難指示も、今春に解除される予定である。
それなのに、そこでただ一軒だけ診療を継続してきた病院が、このような状況で放置されてきたのは、私たちの精神性に根強く残っている戦略性の欠如を示しているのではないだろうか。
お国のために戦って死んで英霊となった高野医師の名誉は大々的に顕彰されている。しかし、高野医師には震災後の人口減少が起きたために経営が苦しくなった民間病院の経営者という顔もあった。
そして、その高野病院の民間の事業者としての側面に対しては、行政からの介入は乏しく、その態度は冷淡なままである。兵站についての関心が乏しかった、昔の大日本帝国の軍部のように――。
高野病院以外にも、原発事故によって避難指示が出た地域の復興のために、人口が激減した不利な状況でも何とかしようとしている多くの事業主たちがいる。
しかし、その人々も現状では多くのサポートをえているとは言えない。4兆円の費用を投じて行われている除染とは、対照的だ。
NEXT ▶︎ 日本人は変わってしまった…
「日本的ナルシシズム」という思考法
筆者は、昨年に『日本的ナルシシズムの罪』という本を上梓し、現代日本に蔓延する病理性について報告した。
そこでは「和を持って貴しとなす」という美徳についての誤解が行われ、狭い仲間内でのみ通用する都合のよい「想像」を共有することが人間関係において過度に重要視されてしまい、その想像と合わない現実を扱うことや、想像を共有しない他者との関係性を構築することがきわめて困難になるという特徴があると記載した。
具体例を挙げた方が分かりやすいだろう。
2011年の原発事故が起きるまで、ほとんどの日本人が共有していた原子力発電についての「安全神話」とそれによって維持されていた日本社会の連帯と安定が、その一つの現れである。
2011年の事故によって明らかになったのは、それが都合のよい想像だったのであり、その想像を強く共有したために私たちが「原子力発電所は事故を起こすかもしれない」という現実を適切に扱えなくなっていたという事実である。
たとえば、原発事故前に津波対策の不十分さも指摘されたのに、それが無視されていたことも、私たちは知らされている。
原発事故によって私たちが失ったものは大きい。
日本人の感性やアイデンティティは、自然の恵みや豊かな風土によって支えられてきた。その多くを私たちは自分たちの手で放射線によって汚してしまった。
避難などの影響が大きい震災関連死として、福島県だけで2000名以上の人が亡くなった。地域のコミュニィティはズタズタにされてしまった。その他にも、技術立国としての自信とプライド、そして信頼も、大きく傷つけられた。
恥を重んじる、伝統的な日本人の心性からすれば、耐えられないことだろう。
〔PHOTO〕gettyimages
「想像的な一体感」と「現実的な一体感」の落差
しかし、どうやら日本人は変わってしまったらしい。
原発事故による損失という現実に向き合い、それを修復し、国民の間に本当の連帯感をもう一度作り上げようという機運は、残念ながらきわめて乏しいと考える。
代わりに目立つのは、事故の責任が不問に近い状態のままであること、生活環境が整わないままの原発事故被災地への帰還の方針の強調、事故を起こした原発の廃炉事業の主体を民間企業に任せたまま国の直轄としない無責任さ、どこまで膨らむのか予想がつきにくい賠償や除染費用についての議論の乏しさ、持てるものと持てないものの格差の拡大などである。
ここに現れているのは、「原発事故によって私たちは多くのものを喪失した」という現実についての否認である。国家の無謬性を、どうしても維持したいと願っているかのようだ。
このような方法で保たれる一体感は想像上のもので「ナルシシズム」の産物に過ぎず、立場の異なる者による対話を不可能にさせて分断をもたらす性質を持っており、それゆえに厳しい試練に耐えられるものではない。
国民が力を合わせて現実の困難を乗り越えることで醸成される本当の「誇り」とは、全くの別のものである。
NEXT ▶︎ 「原子力ムラ」批判の限界
「原子力ムラ」批判だけでは変わらない
つい「原子力ムラ」という言葉を使い、それに厳しい批判の言葉を投げかけたくなる。
たとえば、賠償や除染・廃炉に今後どのような費用がかかったとしても、結局はそれを電気料として広く国民が負担することになり、電気事業者の権益は確保されるとの指摘がなされている。
そしてそのような方法で維持される経済力を背景に、前述したような原発事故の否定的な影響を小さく見せるようなキャンペーンが展開されているという憶測も行われることがある。
もしそうならば、電気事業者は原発事故によって適切な処罰を受けることなく、かえって影響力を増したことになる。しかしそれは誠に不遜な事態であり、厳しく糾弾しなければならない、そのように考えたくなる。
しかし、精神病理学の立場からは、その思考法を進め、その中に埋没する危険性にも意識的でありたい。「全て良い。問題ない」という感覚を「全て悪い。問題ばかり」という反対の感覚に転換させても、現実から遊離した想像にとらわれていることに違いはないのだ。
〔PHOTO〕gettyimages
たとえば「東京電力」という企業について、「原子力ムラ」を代表する悪のイメージに染め上げてしまい、事あるごとにその非についての批判・攻撃を行ったとしても、そこで期待できることは感情の発散に留まるだろう。
「悪を糾弾する」ふるまいを中心にアイデンティティーができてしまうと、批判すべき巨悪への精神生活における依存度が高まってしまう。
その結果、何かについての批判は行えるが、自発的に問題を発見し、その解決を提案・実行する力が大幅に損なわれてしまうことも、警戒したい。
やはり、まず虚心坦懐にあるがままの「東京電力」の姿をみることを行わねばならない。そして現実を踏まえた上で、一つひとつの課題について「是々非々」の判断を行っていくことが必要である。
私は2012年4月から福島県南相馬市に居住している。そこで見聞したものの一つは、事故対応時および廃炉の事業における東京電力の関係者の英雄的な働きである。
事故の最中や直後は、その場にいただけで恐ろしかったに違いない。わずか半年前に完成したという重要免振棟があったので作業が可能となったが、人が長時間留まって作業する環境としては、そこは劣悪であったという。
その人々の貢献が無ければ、原発事故による放射性物質の拡散がより広範囲に大量に行われた可能性があるし、今後の廃炉の事業の進展に大きな問題が生じるのは明らかである。
しかし福祉的な視点からは、東京電力の自社の現地職員や協力企業の関係者への処遇を含む、原発事故によって「それまでの生活を奪われた人々」への対応に疑問が残る。
帰還を目指す人にも避難を続けている人にも、そのどちらに対しても、新しい生活を再建することを可能にする繊細な対応が行われているとは評価できない状況がある。
また、原発の再稼働に向けて、重要免振棟の設置は必須の要件にはなっていないという。より費用のかからない耐震構造でも良いとされているが、私たちは東京電力をはじめとする各電力会社の、事故防止に取り組む姿勢にも注意を払い続けるべきだろう。
NEXT ▶︎ 私たちの心は「分裂」している?
私たちの心の分裂(スプリット)とその克服
精神病理学で「分裂(スプリット)」という用語が用いられることがある。
同じ対象についての矛盾した空想が、私たちの心の中に同時に存在しながらそのことについては無自覚なままであることを指す。
そして、このような「分裂(スプリット)」を抱いている対象については、私たちは一貫性のある現実的な対応を取れなくなってしまう。
「原子力」について、私たちの心の中には、良いイメージ群(系列1)と悪いイメージ群(系列2)が分裂(スプリット)したままで存在している。それぞれのイメージ群の内部の空想上の対象のいくつかは、相互に自動的に結びつき、全体の空気や気分を形作っている。
系列1:「良い原子力」=「強大なエネルギーとそれを保持したい願望」=「国策と伝統の正しさと無謬性」=「経済的な優位性の確保」=「原発事故の否定的な影響、特に放射線による直接的な健康影響の否定」=「帰還」=「原発再稼働」=「保守」
系列2:「悪い原子力」=「強大な破壊力とそれを穢れとして払いたい願望」=「国と権威者たちによる失敗と迫害の事実の隠蔽」=「経済的な搾取と格差の拡大」=「原発事故の否定的影響、特に放射線による健康影響の強調」=「避難」=「反・脱原発」=「リベラル」
さらに、これらのイメージ群に、憲法や自衛隊や沖縄の基地や天皇制などの問題が連動してしまうこともある。
もちろん、これらは本来別々の問題である。一つひとつのテーマについてしっかりと検討した上で結論付け、それを踏まえた上で全体としての結論を目指すのが適切な推論であろう。
しかし、別の場面では現実的に物事を考えられるはずの日本人の中に、こういったテーマについては「系列1」か「系列2」のどちらかを選ぶ独断が先行して、その気分的なもの(空気)に従属することを現実的な思考よりも優先する傾向が生じてしまう。
その空気に巻き込まれることが良しと感じられない場合には、その場から撤退することとなり、思考を欠いた空気が分裂したまま交わらないままに留まる。そして、現実的な課題の解決は先送りにされ、無為に時間が経過することとなる。
幸い、東日本大震災・原発事故を通じて、私たちには考え直す機会が与えられている。しかしながら、私たちは震災から6年の月日を、無為に過ごさなかったと言えるだろうか。
震災と原発事故について、具体的な課題についてしっかりと考えてその解決を目指すことが、この精神的課題を乗り越えることにつながっている。
そのことによって私たちは想像的な一体感に支えられた日本的ナルシシズムを脱却し、現実的な一体感に裏付けられた日本的な誇りを再建することができるだろう。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51030?page=4


http://www.asyura2.com/17/senkyo221/msg/250.html

[環境・自然・天文板6] 世紀のゲノム編集技術「クリスパー」、その特許紛争の気になる結果 なぜオリジナルの考案者が敗れたのか
医療・健康・食生命科学アメリカ
世紀のゲノム編集技術「クリスパー」、その特許紛争の気になる結果
なぜオリジナルの考案者が敗れたのか

小林 雅一
作家・ジャーナリスト
プロフィール

あらゆる動植物のDNA(遺伝情報)を自由自在に書き変える、最新鋭のゲノム編集技術「クリスパー(CRISPR Cas9)」の特許紛争が一里塚に達した。
米特許商標庁(USPTO)は先週、クリスパー技術の基本特許を、事実上、米ブロード研究所に所属するフェン・ジャン(Feng Zhang)博士らの研究チームに与える裁定を下したのだ。
ただし彼らと争ってきたジェニファー・ダウドナ(Jennifer Doudna)教授らが所属する米カリフォルニア大学バークレイ校は、連邦控訴裁で引き続き争う公算が高く、最終的な決着はまだついていない。
今回の特許紛争は、特許商標庁の「特許法廷(Patent Trial and Appeals Board: PTAB)」において、一種の裁判形式で争われたきた。
その端緒から今回の判決(裁定)に至るまでの経緯、さらに今回の判決自体も非常に複雑で分かり難いので、以下、なるべく理解し易いように整理して説明したいきたい。
2015年10月、ニューヨーカー誌のイベントで顔を合わせたダウドナ氏(左)とジャン氏(右) 〔PHOTO〕gettyimages
クリスパーの誕生
もともと、クリスパーの発明者として衆目の一致するところは、前述のダウドナ教授とフランス出身の生物学者、エマニュエル・シャルパンティエ(Emmanuelle Charpentier)博士らの共同研究チームだった。
彼らが2012年6月、米サイエンス誌に発表した学術論文“A Programmable Dual-RNA–Guided DNA Endonuclease in Adaptive Bacterial Immunity”が、クリスパーの誕生を告げる記念碑的な論文(日付は同年8月)として知られている。
ところがクリスパーの基本特許を取得したのは、大方の予想に反し、(ダウドナ氏らとは全くの別人である)ジャン博士らの研究チーム、つまり米ブロード研究所(米マサチューセッツ工科大学とハーバード大学が共同設立した研究機関)だった。それは2014年のことである(https://www.google.com/patents/US8697359)。
これに対しダウドナ陣営(カリフォルニア大学バークレイ校)は当然のごとく異議を唱え、USPTOにクリスパー特許の再審査を請求。これが受理され、2016年1月に特許法廷で再審査(裁判)が開始された。
ちなみに、この種の特許紛争は一般に「Patent Inteference(特許抵触、あるいは特許干渉)」と呼ばれる。
と言っても何のことやら分かり難いだろうが、「ある特許申請と別の特許申請がinterfere(干渉)する」とは、要するに「それら別々の特許(申請)が、実質的には内容が同じの同一特許である」という意味だ。
申請のタイミングと特許内容の同一性が問題
これにはクリスパーの技術開発と特許申請のタイミングが大きく関係してくる。
実は両方ともダウドナ陣営の方がジャン陣営もよりも先にやっている。
しかしジャン博士らは、特許申請の際に若干の割り増し料金をUSPTOに払っていたため、ダウドナ教授らよりも先に申請書類を審査され、先に特許を取得してしまった(ダウドナ陣営の特許申請はいまだにペンディング、つまり保留状態に置かれている)。
つまりダウドナ陣営の言い分は、「クリスパーの技術開発でも特許申請でも、あたし達の方が先にやったのに、なんで、あんた達(ジャン陣営)が特許取っちゃうのよ!」ということだ。
これに対するジャン陣営の反論は、「違うよ、あんたら(ダウドナ陣営)がやったのはクリスパーの基礎研究に過ぎないんだよ。俺たちは単なる基礎科学じゃなくて、たとえば医学や新薬の開発、さらには農畜産物の品種改良などに応用できる、つまり実際に使えるクリスパー技術を開発したんだ。だから俺たちが特許を取得するのは当然だろ!」ということだ。
しかしダウドナ陣営では、「何言ってんのよ、あたし達とあんた達の特許申請は、実質的には同じ内容でしょ!」と反論。
もしも、この主張が特許法廷で認められると、技術開発のタイミングでは明らかにダウドナ陣営の方がジャン陣営よりも先にクリスパーを開発していたので、2014年にジャン氏らに与えられたクリスパー特許が無効になり、今回、改めてダウドナ氏らのチーム(カリフォルニア大学バークレイ校)に(現在、審査が保留中の)クリスパーの基本特許が与えられることになる。
NEXT ▶︎ ダウドナ劣勢の理由
「何」のDNAを書き換えたのか?
従って今回の特許裁判(再審査)の最大のポイントは、ダウドナ陣営による特許申請の内容(つまり彼女たちが開発したクリスパー技術)とジャン陣営による特許申請の内容(彼らが開発したクリスパー技術)が本当に同じものなのか、ということになる。
この点になると、ダウドナ陣営は劣勢に立たされた。ここではクリスパーによるゲノム編集、つまり「DNAの書き換え」の対象となるものが問題になる。
実は前出の2012年の論文では、この点が曖昧にぼかされている。この論文には、彼女たちが開発したクリスパー技術によって「DNAを書き換えることができた」とあるが、「一体それがどんな生物のDNAなのか」は全く記されていないのだ。
たとえば動植物のような「真核生物(細胞内にある核の内側にDNAが格納されている生物)」のDNAなのか、それともバクテリア(細菌)のような「原核生物(核を持たないため、細胞質に直接、DNAが格納されている生物)」のDNAなのか、あるいは人工的に化学合成されたDNAなのか、いろいろな可能性があるが、2012年の論文では、そのいずれであるかが明記されていない。
おそらくダウドナ氏らは意図的にそれを曖昧にしたと思われる。
実は彼女たちが開発したのは、「(試験管内に抽出された)バクテリアのDNA」をクリスパーでゲノム編集する(=書き換える)技術だった。
彼女たちが、この段階で研究成果を科学論文にして発表したため、(おそらく)これを参考にジャン氏の研究チームは「人やマウスをはじめとする生きた動植物(真核生物)」のDNAをゲノム編集できるクリスパー技術を開発したのである。
「バクテリア」は便宜的な手段に過ぎなかった
ダウドナ氏らが何故、自らの論文の中で「バクテリア(細菌)のDNA」ということを明記せず、あえて単に「DNA」と記したのか、その理由は改めて言うまでもない。
バクテリアのDNAをクリスパーで書き換えたところで、それだけでは社会的には、ほぼ何の役にも立たないからだ。
むしろ様々な動植物(真核生物)のDNAを書き換えることができた時点で、それは漸く(医療や新薬開発、あるいは農畜産物の品種改良など)本当に社会に役立つ技術になる。
しかし、いきなり最初から、動植物のDNAを改変するのは無理があるので、とりあえずは(操作が容易と見られる)バクテリアから分離されたDNAをクリスパーで書き換えてみた。これに成功したので、次はいよいよ(人間を含む)動植物の細胞内にあるDNAで同じことをやろうとしたが、こちらの方ではジャン陣営に先を越されてしまった、というわけだ。
〔PHOTO〕gettyimages
そこで2016年1月に開始された特許裁判の中で、ダウドナ陣営は以下の点を強調した:
「私達のチームがクリスパーで(バクテリアの)DNAをゲノム編集できることを実験的に証明した時点で、この技術をマウスやヒトなど様々な動植物に応用できることは自明だった。それは、どれほど平凡な科学者でも(ある程度の時間をかければ)やれたはずだ」と。
つまり「ジャン氏らの研究成果には本質的な意味がない」と言っているのだ。
別の言い方をすれば「確かに私達がやったのは『バクテリアのDNAをクリスパーで書き換える』ことだが、『バクテリアの』という但し書きには大した意味がない。実際には、あらゆる動植物のDNAを書き換えるゲノム編集技術のベースがこの時点で完成していた。ジャン氏らの研究では、これをちょっと改良したに過ぎない。従ってジャン氏らの特許申請(技術)と、私達の特許申請(技術)は実質的に同じ内容だ」ということになる。
ダウドナ陣営にも「何らかの」特許は与えらえる?
しかし先週下された判決の中で、特許法廷の判事らは、こうしたダウドナ側の主張を却下した。
つまり「(ダウドナ氏らのチームが開発した)試験管内に抽出されたバクテリアのDNAをゲノム編集するクリスパー技術を、マウスやヒトなど動植物のDNAに応用することは、『どれほど平凡な科学者でもやれること』ではない。むしろ、それは極めて困難な作業で、これを成し遂げたジャン氏の研究チームには当然、クリスパーの特許が与えられてしかるべきだ」とする判決である。
〔PHOTO〕gettyimages
一方で、同判決は「ダウドナ陣営によるクリスパーの特許申請も有効である」としている。
つまり同じクリスパーでも、「ダウドナ陣営とジャン陣営の技術(特許)は実は別物であって、それらは互いにinterefere(抵触、あるいは干渉)しない」という結論に至ったのである。
が、勝負はまだ決したわけではない。今後の展開には、幾つかの可能性が考えらえる。
まず今回の判決(裁定)を受けて、今現在、ペンディング(保留)状態のダウドナ側による特許申請の審査が再開され、まず間違いなく(何らかの)クリスパー特許が彼女たちのチーム(カリフォルニア大学バークレイ校)にも与えられる。
しかし、同じクリスパー特許でも、その内容が問題である。
NEXT ▶︎ まだ決着がついたわけではない
生物全般をカバーする特許なのか
仮にダウドナ陣営に与えられる特許が、「単なるバクテリアのDNA」を書き換える技術に関するものだとすれば、その特許にはほとんど何の意味もない。(繰り返すが)バクテリアのDNAを書き換えたところで、産業的には何の役にも立たないからだ。
もしも、この結果に終われば、ダウドナ陣営にとっては致命的な敗北であり、ジャン陣営にとっては「勝者総取り」のような恰好になる。
逆に(ダウドナ陣営が主張してきたように)単なるバクテリアではなく、より一般的な、つまり(バクテリアは便宜上の目的に過ぎず)あらゆる生物のDNAをゲノム編集するためのベースとなる技術に対して特許が与えられるとすれば、それはダウドナ陣営にとって許容範囲内であろう。
もちろんジャン陣営に与えられたクリスパー特許も有効のままだが、彼らの特許は「ダウドナ陣営の技術(特許)をベースに開発された技術(特許)」という位置づけになる。
しかし、この場合、今後、クリスパー技術を使って画期的な新製品(新薬や遺伝子組み換え作物など)を開発しようとする大手製薬会社やバイオ・メーカー、各種ベンチャー企業などにとって、金銭的な負担が倍化してしまう。なぜならダウドナ陣営(カリフォルニア大学バークレイ校)とジャン陣営(ブロード研究所)が各々持っている特許に対して、特許使用料を個別に支払わねばならないからだ。
一方、ダウドナ陣営とジャン陣営では、おそらくクロス・ライセンス契約を結ぶことによって、お互いに特許使用料を払う必要はなくなるだろう。
今後の展開は?
米国の知財専門家の間では、今後、ダウドナ陣営に与えられる特許は「単なるバクテリアのDNAをゲノム編集する技術に対する特許」との見方が若干優勢だ。しかしもちろん、まだ決着がついたわけではない。
と言うのも、かつてジャン氏らの研究チームに所属していた留学生からの内部告発(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49531)などから判断する限り、実際にはジャン博士らが開発したクリスパー技術は、ダウドナ/シャルパンティエ博士らの共同チームが2012年に発表した科学論文に基づいている公算が高いからだ。
となると、ダウドナ陣営の期待通り、(単なるバクテリアに限定されず)「あらゆる生物のDNAを書き換えるためのベース技術」という位置付けのクリスパー特許が、彼女たちのチームに与えられる可能性も十分残されている。
最後に残された3つめの可能性は、ダウドナ陣営が当初の強気を貫いて、今後、連邦控訴裁に控訴することだ。
仮に、ここで逆転勝訴すれば、ダウドナ陣営とジャン陣営のクリスパー技術は実質的に同じ技術とみなされる。結果、先にこの技術を開発し、特許申請もしたダウドナ陣営にクリスパーの基本特許が与えられ、ジャン陣営は全てを失う。
しかしダウドナ陣営が控訴する可能性は高いが、そこで逆転勝訴する可能性は低いと見られている。
人工知能と「神の技術」を融合すれば、人間の寿命は500歳まで延びる!?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51037?page=3 

http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/502.html
[国際18] トランプ大統領:予算に「膨大な量の作業」必要、優先課題実現で 米中古住宅販売:前月比3.3%増、予想上回る−在庫減少続く
トランプ大統領:予算に「膨大な量の作業」必要、優先課題実現で
Margaret Talev
2017年2月23日 06:43 JST

税制改革案に先立ち医療保険制度案を公表すると大統領
予算教書提出は3月上旬〜中旬の見込み

トランプ米大統領は22日、財政赤字を減らしつつ、軍隊増強や公共インフラ投資、移民法執行の強化、減税といった政権の優先課題を反映した連邦予算案をまとめるには自分のチームは「膨大な量の作業をこなさなければならない」と述べた。
  トランプ大統領は税制改革案に先立ち、3月上旬から中旬に医療保険制度案を公表するとし、同案は「順調に策定されつつある」と説明した。連邦予算を議論する上級顧問らとの昼食会で記者団に語った。
  トランプ大統領はまだ、国境警備と不法移民取り締まりに当たる職員の1万5000人増員や、軍隊の増強、インフラ整備プログラム、個人所得・法人減税の財源をどう確保するのか説明していない。
  ホワイトハウスは2018会計年度(17年10月−18年9月)予算教書を3月13日までに議会に提出する見込みだと、上下両院の議会スタッフが明らかにした。スパイサー大統領報道官も、予算教書の提出はその前後になると述べた。
原題:Trump Says ‘Enormous Work’ Ahead on Budget to Deliver Priorities(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLSNUE6S972901


 


米中古住宅販売:前月比3.3%増、予想上回る−在庫は前年比で減少続く
Patricia Laya
2017年2月23日 01:17 JST

関連ニュース
FOMC議事録:「かなり早期」の利上げも−景気の過熱回避で
英バークレイズ、投資銀行部門のボーナス3年連続でカット−関係者
土佐「はちきん」は証券投資で稼ぐ−縮む地方でわが道行く信用金庫
仏大統領選挙、マクロン氏がバイル氏との共闘に合意−中道連合で勝機

1月の米中古住宅販売件数は前月比で増加し、2007年以来の高水準となった。過去6カ月では5カ月目の増加。
  全米不動産業界(NAR)が22日発表した1月の中古住宅販売件数は、季節調整済み年率で前月比3.3%増の569万戸。これは07年2月以来の高い水準。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は555万戸だった。
  中古住宅価格(中央値)は前年同月比7.1%上昇して22万8900ドルと、昨年1月以来の大幅な伸びとなった。
  在庫は前年同月比7.1%減の169万戸と、前年比では20カ月連続の減少。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/in5nnA1WnODc/v2/-1x-1.png
  NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「金利が上昇しているにもかかわらず、消費者の住宅購入意欲に支えられ、かなりの底堅さが見られる」と指摘。「問題は引き続き在庫が非常に限定されていることだ」と述べた。
  中古住宅販売は全米4地域のうち3地域で増加。西部で6.6%、南部では3.6%それぞれ増えた。
  販売に対する在庫比率は3.6カ月で、前月から変わらず。NARは同比率が5カ月を下回ると供給タイトと認識している。
  1月の一戸建て販売は2.6%増の年率504万戸。コンドミニアムなど集合住宅は8.3%増の65万戸だった。
  NARでは2017年の中古住宅販売について、前年比1.7%増加すると予想している。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Existing U.S. Home Sales Rise More Than Forecast as Supply Drops(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLS9LQ6K50XU01

http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/348.html

[経世済民119] ウォール街、銀行株上昇を不安視−株式アナリストが警鐘  苦悩する中国、人民元安「負の連鎖」止まらないトランプ政権の圧力
ウォール街、銀行株上昇を不安視−株式アナリストが警鐘
Lu Wang
2017年2月23日 07:03 JST

関連ニュース
FOMC議事録:「かなり早期」の利上げも−景気の過熱回避で
英バークレイズ、投資銀行部門のボーナス3年連続でカット−関係者
仏大統領選挙、マクロン氏がバイル氏との共闘に合意−中道連合で勝機
土佐「はちきん」は証券投資で稼ぐ−縮む地方でわが道行く信用金庫
• 米大統領選挙後の29%上昇でバリュエーションが危険水域
• 投資家は銀行株ETFを新たに100億ドル相当購入

ウォール街は銀行株の上昇相場に不安を感じ始め、株式アナリストらは警鐘を鳴らしている。
  ブルームバーグのデータによれば、昨年の米大統領選挙以降、JPモルガン・チェースやシティグループなど銀行株の投資判断引き下げが相次ぎ、その数は引き上げの2倍近くに上っている。選挙前の3カ月は1.5倍程度だった。
  KBW銀行株指数は大統領選後に29%上昇し、バリュエーションは世界金融危機以降の最高に達した。銀行は米金利上昇とトランプ政権の政策から恩恵を受ける立場にあるものの、株価は短期間のうちに上がり過ぎたとアナリストらは懸念する。
  株価上昇で長期的なリターンの見通しを示すインプライド株式資本コストは10%を割り込んだ。これは通常、今後半年について株式リターンがマイナスになることを示唆すると、シティのキース・ホロウィッツ氏が16日のリポートに記述した。
  ただ、こうした懸念は銀行株上昇の継続を見込む投資家がひしめく現在の大勢とは相いれない。金融株に投資する上場投資信託(ETF)にはトランプ氏の大統領選挙勝利以降、約100億ドル(約1兆1320億円)の新規資金が流入した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/idWjakS6Ctfw/v1/-1x-1.png
原題:Wall Street Getting Anxious on Bank Rally as Downgrades Pile Up(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLRZZ96S972N01

 


苦悩する中国、人民元安から始まる「負の連鎖」が止まらない
さらに厄介なトランプ政権の圧力も…

安達 誠司
エコノミスト
プロフィール

中国当局の介入に効果なし
このところ、中国人民元レートの下落傾向は一服している。だが、その理由は明らかで、これは、中国の通貨当局による短期金利の引き上げによるものと思われる。
中国の市場短期金利である「Shibor(上海銀行間取引金利)」は昨年12月以降、急上昇している。2月21日時点で翌日物金利は2.483%、3ヵ月物金利は4.272%となっている。
翌日物金利の上昇ペースは緩やかだが、3ヵ月物などの「ターム物」金利の上昇幅は著しい。それにともない、米中の短期金利差は大きく拡大しており、これが人民元の下げ止まりから反発へと波及している(図表1、2)。

拡大画像表示

拡大画像表示
実は、人民元レートの下落は中国の外貨準備高がピークアウトし、減少局面に転じて以降、趨勢的に続いている。
人民元安の進行に対し、中国当局は当初、為替介入(人民元買いドル売り介入)によって人民元の下落を止めようと試みるが、介入の効果は一時的なものに終わりがちである。
それどころか、人民元買いドル売り介入の実施による外貨準備の減少がオフショア市場などでのさらなる人民元安を誘発してしまうことも多く、中国当局の介入はほとんど効果がない状況が続いている。
中国当局は資本取引規制を強化するなどの措置を講じるが、国際収支統計を見る限り、資本取引規制も効果を上げているとは言い難い。
むしろ、海外からの投資(直接投資)の減少などをもたらし、中国でのビジネスリスクを高めることになり、中国経済にとって逆効果となっている。
そこで、次の段階として、中国の通貨当局は資金供給を抑制し、市場短期金利を引き上げることによって人民元安の進行を止めようと試みる。これが現在の状況である。
この市場短期金利の引き上げは、確かに人民元安抑制には効果がある。だが、短期金利の上昇、及び、その背後にある資金供給の抑制は、中国経済に大きなダメージをもたらしかねない。
現に、2014年末から2015年初めにかけてのShiborの上昇は人民元安の進行に歯止めをかけたが、その後、株価や不動産価格の大幅下落をもたらし、それが中国の景況観の悪化に波及した。
中国の場合、景況観の悪化は社会不安に結びつき、体制批判を高めることになりかねないので、結局、当局は金融緩和への転換を余儀なくされる。そして、それは人民元安の次のサイクル入りを意味することになる。
NEXT ▶︎ ついに変動相場制へ?
「変動相場制への転換」はあるか
以上のような、人民元安の進行、外貨準備高の減少、内外金利差の変動(その背後にある金融政策の変更)の連関は、「通貨危機モデル」が示唆する(Crawling)Peg制崩壊から変動相場制の転換のパターンをほぼ踏襲していると思われる。
この「変動相場制への転換」がいますぐ迫っているということはないかもしれない。
理論的には、外貨準備の枯渇がみえてくる段階で通貨当局がペッグ制の維持を放棄するというパターンであるが、中国の場合、減少が著しいとはいえ、残高そのものはまだ多い(そもそも、中国の外貨準備高は先進諸国のそれと定義自体が異なっており、その実態もつかみづらい)。従って、ペッグ制を死守できる「体力」はまだあると思われる。
だが、この「サイクル」が今後、何度も続くことになれば、人民元はいずれどこかの段階で変動相場制への転換を余儀なくされるのではないか、というのが筆者の考えである。
その外貨準備の減少だが、ひとつ気になるデータがある。米国の財務省発表の中国が保有する米国債の残高が、昨年半ば以降、急減している点だ(図表3)。

拡大画像表示
これまでも、中国の外貨準備全体の減少はみられたが、米国債保有残高はほぼ一定で推移していた。
だが、今回の人民元下落サイクルにおいて、中国当局は、保有していた米国債を売却することで介入のための原資を調達し始めた可能性がある。介入余地を米国債保有残高で見た場合、中国が現在の通貨制度を維持できなくなるリスクは増大したかもしれない。
その一方、「通貨危機モデル」に従うと、前述のように、今後、短期金利引き上げの影響が他の資産市場ないしは実体経済に波及することで、通貨当局は、短期金利引き下げを余儀なくされ、これが人民元安を再び加速させるというプロセスが想定される。だが、昨年来、それは発生していない。
逆に、これまでのところ、短期金利上昇にもかかわらず、中国の株価も不動産価格も堅調を維持している(図表4、5)。

拡大画像表示

拡大画像表示
中国の場合、個人の資産運用手段として株式市場と不動産市場は競合関係にあるといわれている。すなわち、不動産市場が過熱して当局が取引規制をかけると、不動産市場に流れていた資金が株式市場にシフトし、今度は株価を押し上げるというような状況がこれまで観察されてきた。
この両者の逆相関関係が、中国経済を下支えするというシナリオも想定されるが、昨年来、株式市場、不動産市場ともに底固い展開が続いており、株式市場、不動産市場間での資金シフトが頻繁に起こっているとも考えにくい。
このような資産市場堅調の理由は、中国当局が人民元の下落を許容しながら金融緩和を再開させたためだと推測される(図表6)。

拡大画像表示
これは、前述の2015年の通貨防衛による短期金利引き上げが株価、不動産価格の下落とその後の景気悪化をもたらしたことの反省と、それをリカバリーさせるための政策発動であったのだろう。
中国の場合、通貨当局による「流動性」の供給(マネタリーベース供給)は株価や不動産価格に先行する傾向があるため、ここまでの資産市場の堅調は、昨年までの金融緩和の効果がいまだに残っているためだと考えられなくもない。
さらにいえば、現在、中国景気の持ち直し(半導体や鉄鋼需要の回復)が日本を含む世界的な輸出の回復を後押しし、これが世界全体の景況観の改善につながっている側面があるが、これも昨年における中国当局の金融緩和の効果ではなかったかと推測される。
中国通貨当局の金融緩和が株式や不動産などの資産価格を引き上げ、これらの資産取引を拡大させたことで、景気が回復し、その結果、社会融資総量も年後半から急拡大した。例えば、昨年11月の社会融資総量は前年比で+78.7%の大幅増であった。
以上のように考えていくと、現時点では過去の金融緩和の効果が残っていると思われるものの、最近の短期金利の急上昇は、今年後半以降の中国の信用収縮をもたらす懸念がある。
だが、このことを当然、中国通貨当局は理解していると思われるので、今は金利引き下げのタイミングをうかがっているところではなかろうか。
NEXT ▶︎ トランプ政権の出方によっては…
当局が為替介入を実施できないと…
だが、ここで中国当局にとってやっかいなのが、トランプ政権の対中国政策である。
トランプ政権は、中国を「為替操作国」に認定し、不公正貿易によって不当に貿易黒字を稼いでいるとして圧力をかけてくる可能性が高まっている。
そのため、中国当局が金利引き下げを行い、人民元レートが再び下落した場合、中国に対する攻撃姿勢を強めてくることが想定される。
この場合、為替介入を実施しても、外貨準備の減少が、次の人民元レート下落を誘発する懸念もあるし、人民元買い介入とはいえ、トランプ政権は為替介入自体を批判する懸念もある。
さらに、中国通貨当局が為替介入を実施できないということが市場のコンセンサスになれば、投機筋による人民元売り浴びせの「通貨アタック」が始まる懸念も台頭するかもしれない。資本取引規制の強化も考えられるが、これもトランプ政権は攻撃対象とする可能性もある。
〔PHOTO〕gettyimages
結局、中国通貨当局は、再び市場短期金利の引き上げを実施せざるを得なくなる。
これは、「流動性」の収縮をも意味するので、中国の株式市場や不動産市場を痛めつけ、株価や不動産価格の大幅下落をもたらす可能性がある。
トランプ政権が中国に対してどのような態度で接するかに依存している部分もあるが、今後、短期金利の引き下げが実施され、それによって再び人民元安となった場合、その後の中国経済はかなり厳しいものとなりそうだ。
トランプ政権の通商・貿易政策は、アメリカ経済自体に与える影響はそれほど大きくないのではないかと考えるが、中国にとってはかなり大きなものになる可能性があるため、注意が必要ではなかろうか。
トランプは経済で“大化け”する可能性を秘めている。気鋭の人気エコノミストが、世界と日本の動向を鋭く予測する!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51041?page=3


http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/438.html

[経世済民119] FOMC議事録「かなり早期」の利上げも−景気の過熱回避で 米国債反転FOMCタカ派色薄く ブラジル利下げ金利12.25%
FOMC議事録「かなり早期」の利上げも−景気の過熱回避で
Craig Torres、Christopher Condon
2017年2月23日 04:24 JST 更新日時 2017年2月23日 05:56 JST


米連邦準備制度理事会(FRB)が22日公表した連邦公開市場委員会(FOMC、1月31日−2月1日開催)議事録によると、金融政策当局者らは緩やかなペースでの利上げに対する自信を示しつつ、景気が過熱するリスクを回避するため「かなり早期」の利上げが適切になる可能性があるとも指摘した。
  議事録では、「多くの参加者は、労働市場やインフレに関して今後入手する情報が現在の予想と一致ないし予想より力強い、もしくは最大限の雇用およびインフレに関する委員会の責務をオーバーシュートするリスクが高まった場合には、フェデラルファンド(FF)金利をかなり早期に再度引き上げるのが適切となる可能性があるとの認識を示した」と記された。

  今回の議事録では、トランプ政権の財政面での刺激策からドル高がもたらし得る向かい風に至るさまざまな問題をめぐる不確実性への対応に政策当局者らが苦慮していることが示された。「かなり早期」の利上げをめぐる議論がある一方、短期的なインフレリスクへの懸念がほとんどないことを示唆する発言もあった。

  議事録では、投票権を持つメンバーの多くは「失業率が中長期的に見て正常といえる水準を大幅にアンダーシュートし、インフレ圧力が顕著に高まるというシナリオが現実化するリスクは低いものにとどまると引き続き予想した」とされた。
  このほか議事録によれば、FRBのバランスシートをめぐる計画は進めず、今後の会合で対応するとした。

  議事録では「参加者は、米財務省証券の償還資金、および政府機関債と住宅ローン担保証券の償還元本を再投資する現行方針の変更を正当化するような経済情勢について、またそうした方針の変更をどう実施し伝達するかについての議論を委員会が今後の会合で開始すべきだとの見解でおおむね一致した」と説明した。
原題:Many Fed Officials See Rate Hike ‘Fairly Soon,’ Minutes Show(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLSIVHSYF01T01


 


米国債:上昇、一時の下げから反転−FOMC議事録タカ派色薄く
Elizabeth Stanton
2017年2月23日 06:10 JST 更新日時 2017年2月23日 07:42 JST

22日の米国債相場は上昇。一時下げていたが、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を受けて反転した。議事録公表後、市場が織り込む3月利上げの確率は50%未満にとどまった。また株式相場がこの日の高値付近から下げたことも、米国債を下支えた。
  議事録では多くの参加者は「かなり早期」の利上げが適切になる可能性を指摘した一方で、投票権を持つメンバーの多くは「インフレ圧力が顕著に高まるというシナリオが現実化するリスクは低いものにとどまる」と予想した。またFRBのバランスシートをめぐる計画は進めず、今後の会合で対応するとした。
  ニューヨーク時間午後4時59現在、10年債利回りは前日比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 下げて2.41%。
  5年債入札で需要が低調だったことを受け、米国債利回りはこの日の最高水準に上昇した。
  5年債入札(発行額340億ドル)では、投資家の需要を測る指標の応札倍率が2.29倍だった。過去6回の入札の平均は2.49倍。
  MUFGセキュリティーズ・アメリカの米国債トレーディング責任者、トーマス・ロス氏(ニューヨーク在勤)は議事録について「FOMCが積極的に動き、3月もしくは5月に利上げを実施する可能性に対する市場の見方を変えるほどタカ派的な内容ではなかった」と分析した。
  議事録発表後、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)に基づく3月の利上げ確率は21%と、発表前の25%から低下。6月の確率は95%に下げた(発表前は100%)。
  当局の再投資政策については、TDセキュリティーズUSAのストラテジスト、プリヤ・ミスラ氏は、議事録では保有債券の再投資政策の変更が「全く差し迫っていない」ことを示唆していると指摘した。
原題:Eurodollars Pare Losses, USTs Gain as March, June Hike Odds Fall(抜粋)
原題:Treasuries Erase Declines After Fed Minutes Lack Hawkish Slant(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLSMYC6VDKHT01

 
ブラジル中銀:0.75ポイント利下げ−政策金利12.25%
Mario Sergio Lima、Matthew Malinowski
2017年2月23日 06:50 JST 更新日時 2017年2月23日 09:47 JST

ブラジル中銀が0.75ポイントの利下げを決定するのは、2会合連続
エコノミストのうち1人を除く全員が0.75ポイントの利下げを予想

ブラジル中央銀行は22日、政策金利を0.75ポイント引き下げ、12.25%とすることを決めた。インフレ率の大幅な低下が続き、景気回復の兆しがほとんど見られない状況で、中銀は積極的な利下げペースを継続した。また、一段の利下げのためには、政府支出抑制の取り組みでさらなる進展が必要だと示唆した。
  ブラジル中銀は2会合連続で0.75ポイントの利下げに踏み切った。ブルームバーグが調査したエコノミストのうち1人を除く全員が0.75ポイントの政策金利引き下げを予想。エコノミストのうちの1人は1ポイントの利下げを見込んでいた。
ゴールドファイン中銀総裁
ゴールドファイン中銀総裁 Photographer: Lula Marques/Bloomberg
  中銀は声明で、ディスインフレがさらに拡大しており、食品価格の上昇率低下が「供給ショック」となっていると指摘した。
  中銀はその一方で、ディスインフレの持続と構造金利(中立金利)の低下を確実にするためには、 政府支出を中心とする一段の構造改革が必要だとの見解を示した。
  コンサルティング会社ローゼンバーグ・コンスルトレス・アソシアドスのチーフエコノミスト、タイス・ザラ氏は、より大幅な利下げの可能性について「財政改革の進展など、中立金利が低下していることを示す進歩が必要だ」と指摘。中銀は「次回会合での一段と積極的な利下げの余地を残している」と述べた。
原題:Brazil Says Pushing Rate Cuts Into Overdrive Requires Reforms(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLSPIY6S972O01
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/439.html

[経世済民119] 野村HD:社員の賃上げ決定、若手は2%アップ−在宅勤務制度も導入 英バークレイズ、投資銀行部門のボーナス3年連続でカット
野村HD:社員の賃上げ決定、若手は2%アップ−在宅勤務制度も導入
中川寛之
2017年2月22日 16:24 JST

野村ホールディングスは22日、給与水準引き上げと合わせ、人材の能力発揮を促す働き方改革への取り組みなどを発表した。傘下の野村証券と野村アセットマネジメントの社員の給与は、若手中心の「初級職」で平均2%の引き上げとなる。
  野村証の発表によると、初級職の賃上げは4期連続で、引き上げ率は累計10.7%となる。総合職A、B社員の初任給を24万5000円とした。4月から実施する。同社広報担当の山下兼史氏によると、初級職は主に20歳代で対象人数は約1500人。引き上げ額は一律5000円となる。
  また野村は働き方改革の一環として、在宅勤務制度や人間ドック休暇、語学研修サポートなどを導入する。今週末から実施されるプレミアムフライデーについても、午後の半日有給休暇の取得を促進するとした。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-22/OLRK6H6K50XT01

 

英バークレイズ、投資銀行部門のボーナス3年連続でカット−関係者
Macarena Munoz、Aaron Kirchfeld、Stephen Morris
2017年2月23日 09:06 JST

英銀バークレイズは投資銀行部門の従業員に支払うボーナスの総額を3年連続で減らした。事情に詳しい関係者が明らかにしたもので、減額幅は前年並みだった。
  金額の減少は2016年の人員削減と採用凍結が一因だと、関係者が匿名を条件に述べた。ポンド安のためドルでの支払いのポンド建て金額が大きくなり、減額幅がやや小さくなったという。若手バンカーのためのボーナス準備は人材つなぎ留めのため増えたことから、減額の影響を受けたのは主にシニアバンカーとトレーダーだった。
バークレイズ銀の企業ロゴ
バークレイズ銀の企業ロゴ Photographer: Waldo Swiegers/Bloomberg
  1年前には、投資銀行部門のボーナスの総額は前年比7%減の9億7600万ポンド(約1380億円)となっていた。減額は3年目で、10年に比べると60%以上減っている。ジェス・ステーリー最高経営責任者(CEO)は、投資銀行を分離するよう求める声には否定的だが、従業員を削減し、アジアやロシア、ブラジルなどのオフィスの大半を閉鎖した。
  また、ボーナスの支払い繰り延べについて今まで部門によって異なっていたポリシーを同行全体で同じにする計画だと関係者の1人が述べた。
  広報担当のウィル・バウエン氏はコメントを控えた。
  
原題:Barclays Said to Cut Investment Bank Bonus Pool for Third Year(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-02-23/OLSI4KSYF01T01
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/442.html

[経世済民119] 残業好き社員にはもう、お灸を据えるしかない  熊本のメーカーに見た「働き方改革」の答え  「“出家”して何が悪い」 
残業好き社員にはもう、お灸を据えるしかない

キーパーソンに聞く

鍼灸院 Five Elementsの坪井武揚氏に聞く
2017年2月23日(木)
鈴木 信行
 先進国の中でも最低レベルにある日本企業の生産性。大手広告代理店の過労死事件などもあって、全国的に働き方を見直す動きが高まっている。一億総活躍社会の実現を掲げる安倍政権も長時間労働の是正に本腰を入れ始めた。

 だが、国や企業が様々な施策を打ち出しても、当の働く社員達が本気で働き方を変えようとしなければ、残業削減はままならない。日本企業の社員の中には、大した仕事もないのに頑なに残業を続ける人がいるのも事実。「残業代が減るとローンが払えない」「家に帰っても居場所がない」――。理由は様々だが、そんな“残業好き社員”が所属長クラスになった暁には、部署全体に「有給なんて、とんでもない」「定時帰りなんて、ただじゃおかない」的な空気が漂うのは時間の問題だ。そうした中、「部下であれ上司であれ、残業が多い社員には、たっぷりお灸を据えると良い」との主張を掲げる鍼灸師がいる。“残業好き上司”に日々悩まされている社員には願ってもない話だが、どうお灸を据えるのか。詳しい話を聞いてきた。

聞き手は鈴木信行

坪井 武揚(つぼい・たけあき)
東京都生まれ。サービス業や会社員などを経験した後、社会の疲れた人々を見たり、トレーニングやスポーツの疲労などで自身も悩んだりした経験から、様々な症状で悩む人の助けになればと思い、30代半ばで鍼灸の勉強を始める。鍼灸免許を取得し、さらに鍼灸教員資格を得るために5年間に及ぶ学生生活を終え、鍼灸院「Five Elements」を東京都世田谷区に開業するに至る。働くサラリーマン、特に男性会社員向けのメニューが充実しており、他県からも多くの客が訪れる。
非常に斬新な残業防止策だと思います。どんなに口酸っぱく言っても働き方を見直そうとしない“残業好き社員”も、所詮は人の子。終業時間と同時にアタマにもぐさを乗せられ火を付けられれば、さすがに帰宅するに違いありません。働き方も根本的に見直すでしょう。オフィスで煙を出すと火災探知機が作動するのではないかなど、心配な面もありますが。

坪井:あのー、少し誤解されているようですが、私が言っているのはそういう話ではありません。

ああ、なるほど。“お灸”というのは物の例えでしたか。ではどんな“お灸”がいいんでしょう。「残業したら罰金」「残業したら降格」。いろんな“お灸”があると思いますが。

坪井:いえ、物の例えでもなく、私が提言したい残業対策には、やはり実際に鍼灸を活用します。

ほう。とりあえずお話を伺いましょうか。

鍼灸で残業を減らすメカニズム

坪井:ここ最近、社員の残業が増えることに敏感になっている企業が多いと聞きます。私も鍼灸師をする前、企業に勤めていた時期がありましたが、その頃は残業が美徳とされる時代でした。私自身は「残業はプライベートを圧迫する」という考えでしたので、どうして残業しないのかと会社から注意されていた記憶があります。ところが今は逆だと言う。社員の残業を増やせと言うならともかく、減らせと言うなら鍼灸に出来る事があります。

それは初耳です。

坪井:残業が発生する理由はいくつかあると思います。一つは「作業量と処理能力が一致していない場合」です。これについては、適切な人員配置などにより会社側がその社員の仕事量を見直すしかなく、鍼灸の力を持ってしても如何ともし難い面があります。しかし、「作業量は適切なのに、本人の作業効率が高まらず仕事が終わらない場合」であれば、鍼灸による改善が考えられます。

どのように?

坪井:社員本人は一生懸命やっている。なのに、細かなミスが多くなったり、上手く頭が働かなかったり、本人も気づかないうちに効率が落ちてしまい、残業してしまう――。そんな方は、往々にして、自律神経のバランスが崩れている恐れがあります。人の体というのは自律神経に支配されています。自律神経というのは交感神経と副交感神経という二つの神経がシーソーのように上がったり下がったりするシステムで、片方が優位の場合は片方が劣勢になります。例えば、昼食後に寝ていたり、ぼーっとしている社員がいますよね。

います。

坪井:あれは気合が入ってないのではなく、自律神経的には当たり前のことなんです。物を食べると人の体は副交感神経が優位になり、消化器が活発になります。それで上手く消化出来るのですが、副交感神経が優位になると体はリラックスし、眠くなってきます。そのぐらい自律神経は人間が活動する上で大切なのですが、そのバランスが崩れると、交感神経を高め集中しなければいけない時間帯に、副交感神経が働いて効率が下がってしまったり、逆に、リラックスしなければいけない時間帯に、交感神経が働いて意味なく頭が冴えてしまったりします。

「残業ダラダラ社員」は自律神経に問題がある

その結果、例えば夜眠れず、昼間ぼーっとしてしまい、作業が進まず残業が増えてしまったりする、と。

坪井:そもそも、現代社会には様々なストレスが溢れています、通勤電車の中、仕事の人間関係…。言いたいことも言えず我慢を強いられることも多い。ストレスは東洋医学で言う「肝」に影響します。「肝」は自律神経も司っているので、肝が乱れると自律神経も乱れるのです。

鍼灸はそうした自律神経のバランスを整えるものだ、と。

坪井:鍼灸は東洋医学に基づいています、東洋医学では心と体は別々に考えません。互いに影響をしあうものとして、心と体が総合的にバランスよく釣り合うことが健康であると考えるのです。例えば、「内関」というツボは安神作用があり、自立神経の乱れを安定させるなどと言われています。東洋医学は一箇所を治すのではなく、複雑に絡み合った症状の原因を正し、正常に巡るよう導く作業なのです。怪しい世界と思われがちですが、きちんとしたロジックに基づいて鍼や灸を使用しています。

――そうなんですか。

坪井:効くか効かないか分からない曖昧な世界と思われがちな鍼灸ですが、じわじわと効くものなので変化が分かりづらいだけだと思っています。鍼とお灸、一番手早くできて心地よく、しかも自分でできるのはお灸です。数年前に「お灸女子」などという言葉を聞いたことがありますが、お灸男子でもいいのです。お風呂が好きな方も多いように、暖かさと言うのはリラックスにつながり、副交感神経を優位にする働きが高いように感じます。

自律神経ではなく、腰や肩が痛いなど体の慢性的なこり・痛みで効率が高まらず、残業してしまう社員もいると思いますが、そういう人にも鍼灸は効きますか。

坪井:自律神経の調整に比べ即効性があり、鍼灸の効果をより実感しやすいのが腰痛や肩こり、筋肉疲労などです。現代の会社員は仕事ではパソコン、プライベートではスマートフォンなどにより目や首の回りを非常に酷使しますし、疲労により「腎」の領域である腰を弱めがちです。じっくりとお灸をして温めるのもいいし、鍼もガツンと効きます。血行を促進し血液内の発痛物質を流すのです。

なるほど。ただ、それだけでは、鍼灸で残業社員を撲滅するのは難しい気がします。

坪井:なぜです?

「家に帰りたくない社員」にも鍼灸が効く可能性

「残業の多い社員」=「効率的に働きたくても体が言うことをきかない人」ではないからです。中には、健康なのに「家に自分の居場所がない」という理由で、無駄な残業をしている人も少なくありません(スペシャルリポート「残業が減らないのは家に帰りたくないから」(参照)。そうした人たちには鍼灸は通用しないのでは?

坪井:いえ、大丈夫です。鍼灸は、「仕事が終わらないのではなく、家に帰りたくないから残業している」という社員にも、効果をもたらす可能性があります。

本当ですか。

坪井:家に帰りたくない理由には、「一人だと寂しい」とか「家庭に何かしらの問題がある」など様々なケースが考えられますが、私は「そもそも早く帰っても何をすればいいのか分からない人」が増えているのではないかと思います。ここにも自律神経が関係しているというのが私の考えです。仕事が忙しく、交感神経から副交感神経への切り替えが上手にできず、その結果、「仕事以外に何をすればいいか思い浮かばない」という状況に陥っている可能性です。つまり、リラックスできづらい体になってしまっているのです。

自律神経のバランスを整えると、仕事以外にやってみたいことが思い浮かんでくる。その結果、残業を減らして効率的に働くようになる、と。

坪井:その可能性はあります。

会社員の現状に非常にお詳しいですが、お客さんには男性社員が多いのでしょうか。

坪井:世田谷と言う場所柄か、忙しくお仕事をされている方が多く、出張や会議のストレスでぐったりした方がよくいらっしゃいます。中には、房総半島の方や神奈川、埼玉などから来る方もいらっしゃいます。

そんな遠方から来るとは、何か他の鍼灸院にないメニューなどがあるんですか。

男性専用メニューがある利点

坪井:男性専用コースというものを用意しており、それを目当てにいらっしゃる方が多いですね。鍼灸院の世界でも「女性による女性のための治療」はよくありますが、「男性による男性のための治療」というのはあまり見かけません。ですが、男性の体を治療する場合、ソフトな治療ではあまり効果が望めません。女性に比べ厚みのある筋肉の深部にアプローチするには、ノウハウが必要です。 筋肉の厚みに慣れていない、鍼を深く刺すことが苦手、長い鍼を刺せない…。そんな鍼灸師だと、表面のごく浅い筋肉に物足りない刺激だけを与えるため、結果的に「鍼が効かなかった」と思われてしまいます。特に、当院で鍼灸とセットで施術する「男性による男性のためのオイルトリートメント」は対応できる者が少ないため、探しているお客様も多いようです。オイルトリートメントを男性限定にしている理由は、最近ニュースで話題になっている施術者のセクハラ問題とも関係があります。女性の場合、デリケートな部分に触れてしまうと問題になる可能性がありますから。

なるほど。

坪井:個室対応も特徴の一つです。鍼灸院というとカーテンだけで仕切られたベッドがいくつかあって、横に人の気配を感じます。当院は完全入れ替え制になっているため周りには誰もいません。また、鍼灸院に行くと、数人の患者さんを1人の鍼灸師が対応することがありますよね。 鍼を打った後にしばらく打ったままにしておき、その間に他の患者さんに対応するため、お客様からは「鍼を打たれたまま一人ぼっちで不安」という声もよく聞かれます。当院は完全マンツーマン対応なので、そういう心配はほぼありません。特にお灸の場合、火傷の心配があるので、マンツーマンでない鍼灸院の中には、安全上、最初からやらない鍼灸院もあります。

背中などを除けば、お灸は自分でもできますよね。

坪井:そうです。近くのドラッグストアに行けば販売されています。ネット上にもお灸をするポイントなどが解説されています。ただ、自分でできないところも沢山あるので、そういう時は私たちにご依頼いただければリセットのお手伝いができると思っています。

いずれにせよ、残業好き社員にはこってりお灸を据えた方がよさそうですね。


このコラムについて

キーパーソンに聞く
日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/238739/022000238


 


「“出家”して何が悪い」

遙なるコンシェルジュ「男の悩み 女の嘆き」

「死なない」。そのことについて、よかったと思う
2017年2月24日(金)
遙 洋子

ご相談

芸能界を騒がしている清水富美加さんの「出家騒動」、遙さんはどう見ましたか。(20代女性)

遙から

 清水富美加さん、今は千眼美子さんというそうだが、清水さんだった時のことから辿りたいので、清水さんとお呼びして書くことにする。清水さんの「出家宣言」に対するメディアの反応に、あれこれ違和感を覚え、そのひとつひとつを自分の言葉で置き換えていきたいと思う。

 仕事していて「死にたい」と思う人は清水さんだけだと思わないし、睡眠時間3時間というのも、安すぎる給料というのも、清水さんだけではないだろう。「給料5万円」は過去のことと横に置いたとしても、世の中は清水富美加さんだらけではないのか、という問いがよぎった。

 宗教的行為としての「出家」の是非も横に置き、精神的に追い詰められた状況からいかに抜け出すかという点に目を向ければ、芸能界のみならず、多くの人が向き合う可能性のある問題だと思うからだ。

違和感その1

 「死にたいというけれど、仕事で一緒だったときには全然そうは見えなかった」という周囲の発言について。

 バカかと思う。死にたいと思うことと、死にたいと見せることは違う。しんどそうに見せられない立場にあったり、それを許されない環境や職業にあったり。そうしたこと自体も「死にたい」と感じさせるストレスの一要因になっていることなど普通にある。「そうは見えなかった」と発言するメディアの奴は、自分の鈍さをさらけ出しているにすぎない。その問題に気づいていない分、「そういうお前も、ストレス要因なんだよ」と教えてあげたい。「死にたい」という言葉を本人が口に出した時、それは他者が判断することではなく、本人がそういうなら、そうなのだ。それ以上でも、それ以下でもない。

 先般、娘が過労自死をし「死ぬまで働いてはいけません」と涙ながらにメディアに訴えた母親の姿が重なった。「死にたい」と思うほどに追い詰められた本人に、冷静な判断を求めるのは酷だ。本人のいう「死にたい」は悲しいことに本気なのだ。「そうは見えなかった」という人には「あなたが見ようとしなかっただけではありませんか」と返したい。

違和感その2

 「出家するにしても、周りに迷惑をかけないタイミング、というのがあったはず。これほど迷惑をかけるのはいかがなものか」的発言について。

 結論から言おう。私は迷惑はかけていいと思う。私も芸能界で30年以上働いている。せっかく収録したものが台無しになる、ということは、あってはならないことだが、実際にはある。選挙時の立候補問題などもその一例。収録したものがボツになるなど見慣れた光景だ。

 一個人の生き方の選択で、大勢のスタッフと共演者の努力が台無しになる。でも、「立候補止めました」で、復帰もできるのが芸能界のユルさでもある。

 私はこういうユルさも芸能界の救いだと思っている。何か一発迷惑かけたら追放だ、くらいの厳しい社会のほうがよほど怖い。迷惑かけたら、かけられたほうは「もおー!」といって、そして許す。いい職場じゃないか。

 清水富美加さんは、撮影が途中なのに中断してしまった映画もあるという。もちろんこれも迷惑だ。こうしたことが起きないに越したことはない。

 しかし、スポンサーが逃げてしまっての撮影中断だってある。すべて撮影し終わったのに、代理店がカネ持って逃げる、という騙され方もある。芸能界はそういうとても胡散臭い職場なのに、そこで"周りに迷惑をかけない"と正論を言うことがどれほどの説得力を持つだろう。

 死にたいと思いながらも周りの迷惑を考え、正しく区切りまで働ける精神力の人もいるだろう。だが、正しく区切りまで精神が持たない人もいる。そりゃ、人間だもの。何が正しいか分かっていても、その正しさを貫ける人と弱い人とがいて当たり前だ。自分の精神力を基準に弱い精神力の人を批判するのはいかがなものか。

 「死にたい」と思う人が、本当に死ぬくらいなら、そして、後に「死ぬまで働いてはいけません」と大事な人を泣かせるくらいなら、私は、職場にとんでもない迷惑をかけてもいいから、「生きろ」と言いたい。その拠りどころが宗教だって、不倫だって、ロクでもない男との遁走だってかまわない。生きることが、あらゆるものを超えて最優先されるべき、というのが私の考えだ。

違和感その3

 「結局、移籍騒動にすぎないんじゃないか」という発言について。

 そうなのかもしれない。それでもいいと私は思う。移籍とはとても難しいことを私は自らも経験している。清水富美加さんくらいの年齢の頃、私も事務所移籍というのをしたかった、が、事務所はさせてなるものか、と、時には脅し、時には無視し、時には「もう次の仕事が入っている」と言いくるめにかかり、契約書の区切りなど仕事が入っていれば無効になるといわんばかりの扱いをする。結果、私は出家ではなく、弁護士に駆け込むことにした。なんと、弁護士は契約書を手にし、電話一本で、その場で事務所を辞めることを事務所に納得させたのだ。

 20代の女性が、手ごわい大人相手ににっちもさっちもいかない時に、弁護士は一本の電話で事を済ませた。これが、20代の女性が経験する社会だ。自分一人では舐められる。頼りになる大人の登場で、やっと戦うべき大人を議論の場に引っ張り出すことができる、ということ。

 私と似た経験を清水さんもした。頼る大人の種類は違ったが、それで事務所を移籍できるというのなら、ここでも事務所側の意向を横に置けば、本人にとっては、いい結果ということになる。それから売れようが売れまいが、それは見る側が決めること。その結果も本人が引き受けること。辞めたいことを辞められず苦しむ人がいて、その人を助けてくれる人がいた。そんなこと、この業界に限らず、どこにだってある話だと思うが。

違和感その4

 「告白本出すの早くない? 告白というわりに中身薄いし」

 もう、笑ってしまう。『全部、言っちゃうね。』というタイトル、添えられた「本人しか語れない、ほんとうの気持ち」という惹句を見ただけで、見えてこないだろうか。その中身の薄さが。そもそも「ほんとうの」という発想というか、言葉選びに、私は幼さを見る。「ほんとうの」というのはあくまで主観に基づくものだから、その中身が読み手に手ごたえがあろうがなかろうが、関係ない。本人にとっての「本当」とか「真実」とかはそもそも客観性を求めておらず、どれほどの大事件を起こした人の告白本を読んでも、主観に基づく得手勝手なものであることなど、めずらしくもない。

 仮に、本の中身がこちらが期待するものでなかったにせよ、それはそういうものだと諦めるしかない。

 主観に基づく「本当」を描いたのなら、本人にとって本当であることが大事。他人の期待に応える衝撃的事実とそれが重なれば確かに衝撃的であろうが、きっとそれはなかなか重ならない。客観的事実を積み上げて読み解いた"田中角栄氏の真実"やら"あの事件の衝撃的事実"の並びに、"出家の衝撃的真実"が、書かれていると思うほうが間違いだろう。

 批判する人には、いったい何を期待しているのか、と、逆に問いたい。

 清水さんはそもそも作家ではない。作家なら300枚くらいの原稿用紙を、編集者がブラッシュアップを重ね、出版まである程度の歳月を要する。が、いわゆる"タレント本"のカテゴリーだと、数回の"語り"取材で、代理のライターが言葉起こしをしてちゃっちゃと出版など、常識的なこととして、日常的に行われている。

 清水富美加さんをかばおうが、批判しようが、私は「20代女性、仕事に疲れた女性、男性社会の中で、戦う精神力がまだ未完成な女性」という意味で、フツーの女性の悩みが、これほど共有されないものか、と、改めて、メディアの言論で感じるのだ。

 件の本を読んだ後、「随所に、疑問が残る」という男性タレントもいる。

 当然だ。お前らに20代女性の疲労感など、わかってたまるか、と、私は思う。

自分で戦う未来

 月5万円の給与? 私なんか月8000円だった。主演なのに嫌な仕事? 私なんか死体役だ。嫌だった。でも、私は死にたいとは思わなかった。

 「安すぎる。移籍しよう」とは思ったし、やった。

 清水富美加さんが、「安い」と思い、「死にたい」と思い、仮に「移籍したい」と思い、それらが解決されたなら、私から届ける言葉があるとすれば、「おめでとう」だ。

 ただし、これから先、“大人”を頼るのではなく、自分で判断し、自分で戦わねばならない時もやがてやってくるだろう。その未来の清水富美加さんに期待したい。

 とりあえず、おめでとう。でも、人生、そこで終わらないからね。先輩である私からの言葉として届けたい。


遙洋子さん新刊のご案内
『私はこうしてストーカーに殺されずにすんだ』

『私はこうしてストーカーに殺されずにすんだ』
ストーカー殺人事件が後を絶たない。
法律ができたのに、なぜ助けられなかったのか?
自身の赤裸々な体験をもとに、
どうすれば殺されずにすむかを徹底的に伝授する。

このコラムについて

遙なるコンシェルジュ「男の悩み 女の嘆き」
 働く女性の台頭で悩む男性管理職は少なくない。どう対応すればいいか――。働く男女の読者の皆様を対象に、職場での悩みやトラブルに答えていきたいと思う。
 上司であれ客であれ、そこにいるのが人間である以上、なんらかの普遍性のある解決法があるはずだ。それを共に探ることで、新たな“仕事がスムーズにいくルール”を発展させていきたい。たくさんの皆さんの悩みをこちらでお待ちしています。
 前シリーズは「男の勘違い、女のすれ違い」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213874/022200043/


 


熊本のメーカーに見た「働き方改革」の答え

記者の眼

「知られざる世界企業」で発見した秘策
2017年2月23日(木)
池松 由香
 「働き方改革」は今や、日本企業が取り組むべき最重要課題の一つとなっている。だが、実践者となるはずの働き手の多くは、こう思っているのではないだろうか。

 「やれやれ。働く時間を短くしても仕事を減らしてもらえるわけじゃなし。仕事を家に持ち込まなければ終わらないのに、残業代は減る。良いことなんか一つもない」

 一方、残業代を減らせる経営者は喜んでいるのかというと、これもまた違う。働き手たちが上述のような理由で「働き方改革」を「労働対価の減少」と捉えてやる気を失うので、生産性は上がるどころか落ちる可能性の方が高い。コストは減っても売上高も減れば意味はない。声高には言わないが、本音では「誰も得をしないのではないか」と疑心暗鬼になっている経営者も少なくないのではないだろうか。

 2017年2月20日には、味の素が4月から、従業員の給与を一律1万円、ベースアップ(ベア)することを決めたとの報道が流れた。働き方改革で減った残業代を補填し、社員のやる気を維持するのが目的だという。こうした報道を見聞きするたびに記者は、「経営者も悩んでいるのだろうな」と考えていた。

 そんな矢先、働き方とは全く別の取材で「それが答えか!」と目からウロコが落ちるような話を聞くことができた。

熊本の知られざる優良メーカー

 それは平田機工という熊本市に本社を置くメーカーを取材した時のこと。3代目(社長としては4人目)の平田雄一郎社長が、こんなことを言っていた。

 「社員の仕事を減らした方が会社の業績は良くなる。社員の仕事を減らすことこそが経営者の仕事ですよ」

 同社は業界では世界にその名をとどろかせる「世界屈指のトップメーカー」だが、一般の人たちにはほとんど知られていない。というのも、同社が作っているのは、メーカーが製品を作るために必要な「生産ライン」だからだ。

 その生産ラインを購入する顧客は、聞けば誰でも知っているような大手自動車メーカーや家電メーカーなど。同社が明かしている顧客名はインテルやダイソンだ。

 工場の中に隠れて見えないモノを作っているので、業界に詳しい人以外はほとんど知らない。平田機工の高い生産技術力は優良な顧客を引き寄せ、2017年3月期の売上高は前年同期比で250億円増の780億円、経常利益は同37億円拡大の65億円を見込んでいる。

 平田機工の強さの秘密は2017年3月6日号の本誌に掲載する「企業研究」欄をお読みいただくことにして、ここでは同社の働き方改革につながる取り組みに焦点を当てる(平田社長自身は「働き方改革」という呼び方はしていなかったが……)。


平田機工は1951年に設立。生産ラインを作るのが仕事なので、1500人を超える社員のほとんどが、何らかの技術を持つ「エンジニア」だ。写真は熊本の工場で働くエンジニアたち(写真:浦川祐史)
技術者の仕事を減らすと会社が儲かる?

 まず平田社長が目標の一つに据えているのが、生産ラインを設計・製造する各種エンジニアの仕事量の削減だ。「仕事量」と言っても漠然としていて見えないので、平田社長は「生産ラインの元となる設計図の枚数」とした。

 普通に考えれば、設計図の枚数が減れば、それだけ会社としての売上高も減ることになる。ところがそうはならなかった。取り組みの結果、2016年3月期の設計図の枚数は2014年3月期に比べて25%削減できたが、売上高は逆に13%増加した。

 なぜこんなことが起きたのか。そのカラクリは、少し冷静になって考えてみると分かる。

 たね明かしをする前に、まず一般的な企業が働き方改革をすると、結果として売上高が下がるカラクリについて考えてみる。

知識集約型の仕事ほど働き方改革は機能しない

 記者の仕事を例に取る。ある記者が1本の記事を書くのに平均4時間かかっていたとしよう(実際には取材したり記事の構成を考えたりする時間も必要になるが、ここでは話が複雑になるので除外する)。この記者が1日に書ける記事の本数は、単純計算で2本。これ以上はどう頑張っても書けない。

 無理をすれば3本、書けるかもしれないが、慌てて書くので自ずと品質は下がる。間違いが生じれば後で修正が必要になり、後工程(記事をチェックするデスクや、記事をレイアウトに流し込む制作担当者など)に余計な負荷をかけることになる。

 これは平田機工のようなメーカーで働く設計者も同じだ。無理に量産して設計図の品質が落ちるようなことになれば、後工程である製造工場で作ったモノにも不具合が生じ、作り直し(場合によっては設計変更)が必要になる。顧客にも迷惑がかかるので、長期的に見れば顧客の減少、すなわち売上高の縮小につながる。

 記者や設計者のような知識集約型、かつ上流工程での品質の作り込みが商品そのものの品質に大きな影響を与える仕事であればあるほど、この傾向は顕著になる。経営者が「短い時間で多くの仕事をしろ」と言ったところで、結果的に何の生産性向上にもつながらないという悲しい結果を招きかねない。

 ではそこに解はないのかというと、ある。

量は減らすが付加価値は上げる

 その答えが、平田社長が進める「社員の仕事を減らす」ということだと記者は感じた。

 ただし、売上高を落とさないためには、ある条件をクリアしなければならない。「仕事1件当たりに得られる対価を上げる」ということだ。記者の仕事で言えば「記事1本の付加価値(値段)を上げる」こと、平田機工の仕事で言えば「設計図1枚の付加価値(値段)を上げる」こととなる。

 「そんなこと、できるならとうの昔にやっていた!」というツッコミが聞こえてきそうだが、平田社長の取り組みの本質はまさにそこにある。

働き方改革を進めるのは社員ではなく経営者

 平田機工はこれまで一貫して、「顧客が喜ぶ仕事」にトコトンこだわるよう社員を教育してきた。顧客が喜ぶ仕事とは、「お客様の工場で、効率よく、不具合なく高品質な製品を製造できる生産ラインを作ること」(平田社長)だ。

 ところが、そんな仕事ができる設計者を育てるのには、相応の時間がかかるのは言うまでもない。時間をかけたとしても、ただルーチンワークをやらせているだけではダメだ。普通の設計者なら根を上げてしまいそうな難しい課題を与え続け、頭と心を鍛え上げる必要がある。

 一人前の設計者を効率よく育てる方法が、仕事の件数を減らすことだった。受注件数を減らす一方、競合他社が難しいからと引き受けたがらない仕事を率先して受け、仕事の付加価値を上げた。

 すると、常に難しい案件にチャレンジして鍛えられた設計者は、さらに難しい仕事を請け負えるようになり、会社の競争力も上がって売上高が拡大した。すると、付加価値の高い仕事がより一層、平田機工に集まってくるようになり、さらに設計者は鍛えられ……という好循環が生まれた。

 社員の仕事を減らす(高付加価値案件にシフトする)ことができるのは、経営者しかいない。働き方改革を本当の意味で推進できるのは、社員ではなく経営者の方ではないだろうか。


このコラムについて

記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/022200414
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/451.html

[国際18] 欧州最後の“独裁者”に振り回されるロシア 世界が仰天トランプ中東発言 国境フェンスの向こう側にあるアメリカ庭で大量の麻薬
欧州最後の“独裁者”に振り回されるロシア

解析ロシア

人口1000万人弱の隣国が強気に出る理由
2017年2月24日(金)
池田 元博
 ロシアが隣国の“独裁者”に振り回されている。近隣の独裁者というと、思い浮かぶのは北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長かもしれないが、そうではない。西の隣国ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領だ。

2016年2月、ベラルーシの首都ミンスクで行われた首脳会談の際の、ベラルーシ・ルカシェンコ大統領(左)とロシア・プーチン大統領(写真:Sputnik/Kremlin/ロイター/アフロ)
7時間超すマラソン会見でロシアを批判

 ベラルーシはロシアとポーランドの間に位置する小国だ。ロシアと同じスラブ系主体の国家で、人口は1000万人弱。かつてはソ連を構成した共和国のひとつで、最も親ロシア的な国とされてきた。そのベラルーシとの関係に、ロシアが困惑しているのはなぜか。


(出所:外務省ホームページ)
 事の発端は今月3日、ルカシェンコ大統領が国内で開いた記者会見だ。7時間を超す異例のマラソン会見で、ロシアへの不平、不満を並べ立てたのだ。

 大別すると、大統領の不満は3つ。ロシアからのエネルギー供給問題、両国間の国境管理問題、そしてロシアによるベラルーシからの食品輸入制限の問題だ。

 まずはエネルギー問題。ベラルーシは石油、天然ガスの調達をロシアに依存しているが、ロシアはガスの未払い代金が5億5000万ドルに上ったことを理由に、年初からベラルーシ向けの原油供給量を一方的に削減し始めた。大統領はこれを「合意違反だ」としてかみついたのだ。

 天然ガスの未払い代金は、契約価格が1000立方メートル当たり132ドルだったにもかかわらず、ベラルーシが昨年、年間を通じて同107ドルしか払わなかったために発生した。

 ところが、ルカシェンコ大統領は国際的な原油安の状況を踏まえれば、ロシア産のガス価格は同83ドルが妥当だと主張。ベラルーシにはガス代金の支払額を引き下げる権利があるとし、それにもかかわらず、ロシアが原油供給の削減という手法で圧力をかけるのは「違法」と断じた。

 「我々は兄弟国ではなかったのか?」

 大統領はロシアの油田開発権をベラルーシ企業に付与することまで要求。さらに「我々はイランやアゼルバイジャンの原油を調達すれば、ロシアの原油なしでもやっていける。ロシアはそれが分かっていない」と、ロシア政府の高圧的な対応に激しい怒りをぶつけた。

ロシアによる「国境ゾーン」の設置に猛反発

 次に国境管理の問題。ベラルーシはロシアが主導するユーラシア経済同盟に加盟し、両国間の国境管理も原則廃止されている。

 ところが、ロシア連邦保安庁(FSB)は最近、ベラルーシとの国境地域のスモレンスク、ブリャンスク、プスコフの3カ所に「国境ゾーン」の設置を命じた。ルカシェンコ大統領はこの決定が国境管理の復活につながると猛反発したのだ。

 実は、ルカシェンコ大統領は先月、米欧や日本を含めた80カ国を対象に、5日以内の滞在なら査証(ビザ)なしで入国を認める大統領令に署名した。ロシアによる「国境ゾーン」の設置はそれに対処したもので、FSBは特にベラルーシ経由のテロリスト流入を阻止するのが目的とする。しかし大統領は事前に何ら打診もなかったとし、「両国関係を悪化させるだけだ」と非難した。

 そして食品の輸入制限問題。大統領はロシア連邦動植物検疫監督庁が衛生管理の問題を理由にベラルーシからの食肉、乳製品などの輸入を頻繁に禁止、制限していると非難。同庁長官の対応が「ベラルーシ国民に多大な損害を与えた」として、刑事事件として立件するよう内務省に指令したと述べた。

 これもロシアには言い分がある。欧米の食料品輸入禁止措置との関連だ。

 ロシアはウクライナ領クリミア半島を併合した2014年以降、欧米からの食料品輸入を禁止している。ウクライナ危機に伴って欧米が発動した対ロ経済制裁への対抗措置だが、禁輸対象の欧米の食料品がベラルーシ経由でロシア市場に流入するケースが頻発した。ロシア当局にしてみれば、ベラルーシからの食料品の輸入には、ことのほか目を光らせなければならないというわけだ。

今月前半に予定されていたモスクワ訪問も見送り

 ベラルーシはかつて、ロシアによるクリミア併合を支持した数少ない国のひとつだ。2014年3月、国連総会で「ウクライナの領土一体性」に関する決議を採決した時も、ロシアを除く旧ソ連諸国で「反対」した国はアルメニアとベラルーシだけだった。

 ただし、ウクライナ危機にはかなり神経をとがらせており、ドイツとフランスが仲介した停戦協議の場を提供したこともある。もちろん、ロシアが発動した欧米からの食料品禁輸措置には否定的で、しかも自国に「多大な損失」を与えているとすれば、大統領として黙っていられなかったのだろう。

 ルカシェンコ大統領はこうした一連のロシアの措置に善処が見られない限り、プーチン大統領と会談しても「意味がない」として、国際会議の場を含めた両国の首脳会談を拒否する構えだ。現に昨年末にサンクトペテルブルクで開いたユーラシア経済同盟の首脳会議は欠席し、今月前半に予定されたモスクワ訪問も見送られた。

 ベラルーシ大統領の尋常でない「憤り」に慌てたのがロシアだ。ロシア大統領府はルカシェンコ大統領のマラソン会見があった当日、さっそく両国関係に関する異例のコメントを発表した。

 ロシアはベラルーシとの統合プロセスの継続を優先課題とみなしている――。コメントは両国関係の重要性を強調するとともに、経済問題は実務協議を通じて冷静に解決すべきだと指摘。「国境ゾーン」の設置も第三国の市民を対象にしたもので、国境管理を導入する意図は毛頭ないと弁明した。

 一方で、エネルギー問題に関しては、「ロシアは2011年から2015年にかけ、毎年1800万〜2300万トンもの原油を関税ゼロでベラルーシに供給してきた」と言明。それに伴うロシアの歳入減は223億ドルに上ったと具体的数字を挙げ、いかに多額の支援をベラルーシに施しているかを訴えた。

 所詮、ロシアの支援抜きには国家経済が成り立たないのに、あれこれ文句をつけるとは何事か。ロシア大統領府のコメントからは、そんな不満もにじみでているようにもみえる。

べラルーシの怒りを放置できない理由

 ロシア国民の反発も強まっている。全ロシア世論調査センターが先に実施した調査では、市場価格より安い価格でのベラルーシへの原油・天然ガス供給に69%が反対し、78%が両国間のビザなし制度を廃止すべきだと回答した。


 しかし、プーチン政権がルカシェンコ大統領の怒りをそのまま放置しておけないのも事実だ。

 国内人気が高いルカシェンコ氏は1994年に大統領に就任して以降、すでに5選を果たしている。「兄弟国」ロシアとの関係を最優先にするとともに、かつては国内で野党勢力の弾圧やメディア統制を強めたことから「欧州最後の独裁者」と呼ばれた。欧州連合(EU)が制裁を科したこともあった。

 ところが、ウクライナ危機の長期化の影響もあって、ロシアとベラルーシの関係は次第にぎくしゃくしつつあるのが実情だ。ルカシェンコ大統領自身、欧州との関係にも配慮するようになり、政治犯の釈放などにも応じた。EU側も昨年、人権問題で改善がみられたとして制裁の大部分を解除している。

 大統領が80カ国の市民を対象に、ビザ免除で短期入国を認める措置を打ち出したのも、西側との関係改善と交流拡大を視野に入れたとみられる。

 こうしたベラルーシの“ロシア離れ”を黙認すれば、ロシアにとって打撃となりかねない。まず、ロシアが主導するユーラシア経済同盟への影響だ。現在はベラルーシのほか、カザフスタン、アルメニア、キルギスが正式加盟しているが、その成果は乏しく加盟国の不満も多い。仮にベラルーシが抜けるようなことがあれば、この同盟がますます形骸化しかねない。

ベラルーシの地政学的な重要性

 さらにロシアが危惧しているのは、北大西洋条約機構(NATO)対策という安全保障への影響だ。ベラルーシはポーランドや、バルト諸国のラトビア、リトアニアと国境を接する。いずれもNATO陣営の中で反ロシア色が最も強い国々だ。ロシアにとって、ベラルーシの地政学的な重要性は増している。

 ロシア軍はかねてベラルーシにも空軍を展開している模様だが、ウクライナ危機で緊張が高まって以降、NATOに対する抑止力強化が喫緊の課題となっている。プーチン政権はその一環として2015年、ロシア軍の空軍基地設置を認める合意文書に署名するようベラルーシに要請した経緯がある。

 しかし、ルカシェンコ大統領はロシア側の要請を拒否。先の会見でも「ロシアは空軍基地を設置するのではなく、我が国に軍用機を引き渡すべきだ」と強弁した。こうした発言には、ロシアがベラルーシを独立国家ではなく属国のようにみなしていることへの不満もにじむ。

 かといってロシアの支援が命綱なのが現実だけに、ルカシェンコ大統領の執拗な対ロ批判はロシアからより多くの援助を引き出す戦術といえなくもない。両国の関係が完全にこじれることはないとみられるが、ロシアも隣国の“独裁者”の機嫌取りを怠ると、将来的に大きな痛手を被りかねない。


このコラムについて

解析ロシア
世界で今、もっとも影響力のある政治家は誰か。米フォーブス誌の評価もさることながら、真っ先に浮かぶのはやはりプーチン大統領だろう。2000年に大統領に就任して以降、「プーチンのロシア」は大きな存在感を内外に示している。だが、その権威主義的な体制ゆえに、ロシアの実態は逆に見えにくくなったとの指摘もある。日本経済新聞の編集委員がロシアにまつわる様々な出来事を大胆に深読みし、解析していく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/040400028/022200023/


 
世界が仰天したトランプ大統領の中東発言

The Economist

イスラエルとパレスチナ「2国家共存」方針を転換?
2017年2月23日(木)
The Economist


首脳会談後の記者会見に臨んだイスラエルのネタニヤフ首相(左)とトランプ米大統領(写真:Abaca USA/アフロ)
 オバマ政権(当時)とイスラエルの複数の右派政権の関係が冷却化していた過去8年間、米国の官僚はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を「自国の狂信者に立ち向かう気概のない腰抜け政治家」と揶揄した。

 だがドナルド・トランプ氏が大統領となったホワイトハウスをネタニヤフ首相が初めて公式訪問した2月15日、そんな嘲りとは正反対の光景が繰り広げられた。

 確かに、トランプ大統領は一定の自制を示すようイスラエルを促した。会談前の共同記者会見ではネタニヤフ首相に対し、イスラエルが1967年から占領しているパレスチナ自治区でのユダヤ人入植地の建設について「少し差し控える」よう伝えた。加えてトランプ大統領は、和平交渉の参加者をアラブ諸国に広げるべきだと発言している。

 しかし、この程度の忠告であれば、ネタニヤフ首相の補佐官でも書ける。同首相は連立政権内の強硬派を抑え込む手段として、入植地の拡大に米国が過敏に反応していることを引き合いに出したがる。同首相は米国の反応を操る能力において自分の右に出る者はいないと主張する。

 イスラエルの強硬派はパレスチナ国家成立の可能性を否定し、ヨルダン川西岸地区の一部を併合するようネタニヤフ首相に求めている。

2国家共存の方針を転換

 米国は今回、微妙であるものの、重大な方針転換を示した。トランプ大統領は歴代の米国政権が党派の違いを超えて長年掲げてきた2国家共存という方針、つまり「ユダヤ国家と並んでパレスチナ主権国家を樹立することでしか和平は実現できない」という主張を捨てたのだ。

 トランプ大統領は「2国家でも1国家でも、双方が望む方でいい。(米国は)どちらでも受け入れ可能だ」と述べ、米国が当事国の決定に従うつもりであることを示唆した。トランプ大統領のこの発言は、現在まで掲げられてきた外交上の“絵空事”をほぼ終焉させるものだ。国際社会はこれまで、2国家共存の実現に向けてあらゆる当事者が努力しているとの前提の下、占領地区をどうするかについての決断をイスラエルに求めてきた。

 ネタニヤフ首相はパレスチナ国家の樹立について「無条件で」交渉する意思があると繰り返し表明してきた。だが今回の記者会見で、長年主張している2つの「和平の必要条件」の重要性を強調した。一つはパレスチナがユダヤ国家を認めること。もう一つは、全ての地域において治安上の全権をイスラエルが掌握することだ*。

*:原文のまま訳した。ネタニヤフ首相は「ヨルダン川西岸における治安権限」を求めた
 訪米中、ネタニヤフ首相は一定の譲歩を余儀なくされた。トランプ氏は大統領選で「米国大使館を現在のテルアビブからエルサレムへ移設する」と公約した。これに対して、大統領に就任後、同盟諸国から「イスラエルとパレスチナの双方が首都であると主張する都市でそのような象徴的な動きをとれば、反発だけでなく暴力沙汰につながるリスクがある」と警告されている。トランプ大統領はホワイトハウスでの記者会見で、大使館の移転について「極めて積極的に」検討していると述べた。

矛盾はらむ対イランと対IS

 ネタニヤフ首相は訪米中、慎重な態度を貫き、「米国は、オバマ政権下で欧米など6カ国が、核開発を阻止すべくイランと成立させた核合意を破棄すべき」という以前からの要望を強く主張することはなかった。

 トランプ大統領はこの核合意について、今まで見た中で「最悪の協定の一つだ」と主張する。だが同盟国やトランプ陣営のメンバー、例えばジェームズ・マティス国防長官などは、米国が合意内容を従来より厳格に行使し、弾道ミサイル技術など他分野での違反についてイランに制裁を科すつもりなら、この協定はイランの核開発を遅らせる上で最も”まし“な選択だとトランプ大統領に伝えている。

ネタニヤフ首相はイランの「行為」に対してトランプ大統領がより強硬な路線を進んでいることを称賛するにとどまった。

 また、ネタニヤフ首相は、トランプ大統領の外交政策においては、スンニ派イスラム過激組織「イスラム国(IS)」の撲滅が優先事項だという現実にも直面した。イスラエルにとってはそれよりもまず最大のシーア派イスラム教国であるイランを封じ込めることが急務だ。

 だがイラン自身がシリアとイラクでISと戦火を交えていることを考えれば、米国の目標とイスラエルのそれは互いに矛盾しているとさえ言える。米国のシンクタンク、ワシントン近東政策研究所のロバート・サトロフ所長はこう指摘する。「イランに力を与えずにどうやってISを破れるのか」(同氏)。

ネタニヤフ首相はISとイランの違いから目をそらし、両者を一括りに「過激なイスラム主義者」と呼んで非難した。同時にトランプ大統領は「イスラム過激派が実行するテロ」に対して「多大なる勇気」を持って取り組んでいると褒め称えた。

 前回のホワイトハウス訪問と比べてずいぶんと変わったものである。

© 2017 The Economist Newspaper Limited.
Feb 18th-24th 2017 | From the print edition | Middle East and Africa, All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。


このコラムについて

The Economist
Economistは約400万人の読者が購読する週刊誌です。
世界中で起こる出来事に対する洞察力ある分析と論説に定評があります。
記事は、「地域」ごとのニュースのほか、「科学・技術」「本・芸術」などで構成されています。
このコラムではEconomistから厳選した記事を選び日本語でお届けします。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/224217/022200124

 

“国境のフェンス”の向こう側にあるアメリカ

トランプのアメリカ〜超大国はどこへ行く

「庭で大量の麻薬を見つけたこともありました」
2017年2月24日(金)
篠原 匡、長野 光
 米国最南端の町、ブラウンズビル。国境を隔てるリオグランデ川の向こう側はメキシコのマタモロスである。2つの町に架かる橋の料金はわずか1ドル(メキシコに行く場合)で、ブラウンズビルの住民は安価な薬や歯科治療などを求めて、マタモロスの住民は仕事や買い物のために日常的に国境の橋を渡る。ブラウンズビルとマタモロス。2つの町は密接に結びついている。

 トランプ大統領は1月25日、メキシコとの国境に「通過不可能な物理的な障壁」を建設するという大統領令に署名した。いわゆる国境税や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉は大統領が取り組む課題の中でプライオリティが高い。米墨国境に物理的な障壁だけでなく、経済的な障壁を築くという大統領の野心は、いまだに燃えさかっている。

 もっとも、ブラウンズビルには国境のフェンスが既にある。それも、極めて奇妙な形で。

 ところどころ蛇行しているリオグランデ川。川に沿ってフェンスを敷設するとコストがかさむため、国境のフェンスは直線的に建てられている。場所によっては実際の国境から1km以上も離れたところだ。川とフェンスの間に取り残された住民も少なからずおり、彼らの日常生活に支障が出ないように、道路が走っているところはフェンスが切れている。

 フェンスの向こう側のアメリカ。それを地元の住民は“No Man's Land”と呼ぶ。

 「米国第一主義」というスローガンの下、トランプ大統領は雇用の国内回帰と治安の強化を推し進めようとしている。その政策を支持する米国人は一定数、存在する。それでは、国境に住む人々はどう感じているのか。“No Man's Land”に住む人々に聞いた。

 第1回目は70年以上もブラウンズビルで暮らすパメラ・テイラー氏を取り上げる。

(ニューヨーク支局 篠原 匡、長野 光)

メキシコとの国境に接するブラウンズビル(米国テキサス州)。国境のフェンスよりメキシコ側に住むアメリカ人が少なからずいる

国境の橋を渡る人々。金網の向こうに見える小さな川が両国を隔てるリオグランデ川 (写真:Miguel Angel Roberts、以下同)

道路のところで切れた国境のフェンス。奥に見えるのは巡回しているボーダーパトロールの車両

ブラウンズビル。メキシコの文化が色濃いサウステキサスの典型的な街並み
フェンスの向こう側 Vol.1 パメラ

Pamela Taylor(パメラ・テイラー)
88歳
元高校の校長秘書

“No Man's Land”に住むパメラ・テイラー氏。不法移民は定期的に見かけるという
 私がブラウンズビルに引っ越してきたのは1946年、17歳の時です。私は英国で生まれましたが、第二次世界大戦の時に同じ病院で働いていたGI(米軍兵士)と結婚して、彼の実家のあるこの場所に来たんです。この辺は今と全然違って、マタモロスの人々がうちの庭に来て、庭でトルティーヤを焼いて食べるなんていうことがよくありました。あの当時はブラセロ・プログラム(注)があり、メキシコ人が家族で米国に来て、仕事をしてメキシコに戻るということが許されていたんです。

<注>米国の労働力不足、特に農場での労働力を補うため、メキシコ人労働者を期間限定で受け入れた制度のこと。1942〜1964年まで22年間続いたが、そのまま米国に居着いたメキシコ人も数多い。

不法移民についての2つの感情

 不法移民については2つの感情があります。一つは気の毒だという気持ち、もう一つは怖いという気持ちです。私はここを通る不法移民のために、いつも水や炭酸水を用意しています。なぜかとよく聞かれますが、そうしなければならないと感じるんです。

 例えば、戦場では敵機が爆弾を投下しますが、だからといって落とした人間を憎むかというとそうは思いません。だって、それが彼らの仕事なんですから。ドイツの旅行者を嫌ったりしませんよ。それは不法移民でも同じです。赤ん坊を抱えているような女性には洋服だって渡します。

 私は第2次大戦を経験していますから、他の米国人とは違う感覚で不法移民を見ているのかもしれません。


庭のクーラーボックスには水や炭酸水が用意されている
 一方で、怖い思いもしています。ある時、庭でちょっとした作業をしていて、午後4時くらいに戻ってきたら男性のシェービングクリームのにおいがして。最初は義理の息子のものかと思ったんですが、よく見たら知らない男性が洗面所で髭を剃っていた。10年くらい前の話ですね。それ以来、家のドアのカギを閉めるようになりました。

 またある日、一台のクルマが私の家のすぐそばに止まりました。最初は娘が帰ってきたと思ったのですが、すぐに国境警備隊のクルマが何台も続いてきて、そのクルマのドアをこじ開けたんです。中からは大量の麻薬が出てきました。

 何が驚いたって、そのクルマが娘のものと同じようなクルマだったんですよ。メキシコの麻薬カルテルは娘のクルマの車種を調べて、ここを通ったんでしょう。国境警備隊のカメラに写っても怪しまれないように。


「自宅で不法移民が髭を剃っていたこともあった」とパメラ氏は語る
庭に置いてあった大量のマリファナ

 大量のマリファナを見つけたこともありました。庭の雑草を刈っている時に見知らぬバッグがあって。そのあたりで不法移民が着替えをすることがよくあるので、その荷物かなと思ったんです。それで、国境警備隊を呼んだところ、中からマリファナが大量に出てきた。国境警備隊は「あなた、麻薬ですよ」と。そんなの知らないわよ。実際にバッグを置いたところを見ているわけじゃありませんし。

 その後、国境警備隊は保安官のところにマリファナを持っていきました。その人物は今、刑務所に入っています。マタモロスの麻薬カルテルとつながりがあったんですね。私は彼のところに麻薬を届けたようなものです。あなたは笑うけど、私たちにとって危険なことなんですよ。


パメラ氏のキッチンにかかっている額縁。ここがテキサスだということを思い起こさせる
 家の裏にフェンスができたのは2010年でした。驚くべきことに、ワシントンの人たちは誰もフェンスの建設について相談にこなかったんです。当時、私は癌で闘病中でしたが、国土安全保障省の長官に手紙を書きました。だってそうでしょう。私たちは普通に暮らしているのに、家の向こう側にフェンスができたらどうやって暮らせばいいんですか?

 最終的に、政府は道路をフェンスで塞ぐことはできませんでした。空いた部分に警備員を配置するだけの余裕もないので、フェンスはほとんど意味がありません。フェンスを壁にしたって意味はありませんよ。壁は止めて、軍隊に国境警備をやらせることでしょうね。国境を警備する人が少なすぎる。私はトランプ氏に投票しましたが、それは今の政治を変えてほしいと思ったため。今の政治は全く物事について無関心です。

 トランプ政権になって、多くの移民の子供たちがデモをしています。デモは法的に認められていますが、彼らはメキシコ国旗を振りかざしている。私は米国に来て、市民権を取って働きました。それが正しい方法だと思います。国境を勝手に越えるのは犯罪です。


国土安全保障省の長官などに宛てた手紙の束
 日経ビジネスはトランプ政権の動きを日々追いながら、関連記事を特集サイト「トランプ ウオッチ(Trump Watch)」に集約していきます。トランプ大統領の注目発言や政策などに、各分野の専門家がタイムリーにコメントするほか、日経ビジネスの関連記事を紹介します。米国、日本、そして世界の歴史的転換点を、あらゆる角度から記録していきます。

このコラムについて

トランプのアメリカ〜超大国はどこへ行く
1月20日に第45代米大統領に就任したドナルド・トランプ氏。通商政策や安全保障政策など戦後、米国が進めてきた路線と大きく異なる主張をしているトランプ大統領に対する不安は根強い。トランプ氏は具体的に何を実施し、何を目指しているのか。新大統領が率いるアメリカがどこに向かうのか。それをひもといていこうというコラム。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/012700108/022200009
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/355.html

   前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 軽毛 jHmW0Q > 100010  g検索 jHmW0Q

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。