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[政治・選挙・NHK219] 中国人観光客による新千歳空港での「暴動」、真相はこうだった 矛先は中国国際航空から日本の観光行政へ
莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見
【第297回】 2017年1月19日 莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
中国人観光客による新千歳空港での「暴動」、真相はこうだった 矛先は日本の観光行政へ

2016年12月22日から24日にかけての大雪で、新千歳空港では1万6000人もの人々が空港に足止めされ、空港内で3日間にわたって滞在を余儀なくされた人も出た。大混乱の空港で、一部の中国人乗客が騒ぎ出し、航空会社と衝突したというが…… Photo:読売新聞/アフロ
 今、Googleの検索欄に、「千歳」「中国人」という日本語のキーワードを入れてみると、検索単語の予測候補として自動的に現れるのは、こんな言葉である。

「千歳 中国人 暴れる」「千歳 中国人 海外の反応」「千歳 中国人 暴動」「千歳 中国人 航空会社」「千歳 中国人 騒ぎ」「千歳 中国人 欠航」「千歳 中国人 反応」……。

 昨年12月22日から24日にかけて大雪に見舞われたため、新千歳空港では航空便の欠航が発生した。一時、1万6000人もの人々が空港に足止めされ、空港ターミナル内で3日間にわたって滞在を余儀なくされた人も多く、空港は大混乱になったという(後述する西本紫乃さんのレポートによる)。そのなかで、一部の中国人乗客が航空会社と衝突した。

 それを「騒ぎ」ととらえて報道した日本メディアの記事に出てくるのが、冒頭のようなキーワード群なのである。

 日本のメディアに出ている最初の一連の報道記事を読むと、いつものように中国人観光客を悪者にする報じ方と過激な言葉が目立つ。中国国内でもこうした報道を受けて、同胞はまた海外で馬鹿げたことをした、といった批判の声が上がった。「騒ぎに出た人間はそのまま海外に追放せよ」といった過激な声も出ているぐらいだ。

問題を起こしたのは
どの会社のどの便だったのか

 しかし、当初から私が不思議に思っていることがある。中国系航空会社とか、航空会社とかの表現はあるが、どの航空会社のどの便についてはほとんどの記事が触れていない。航空会社からの抗議を恐れたためのメディアの自衛手段だろうと思った。

 ただ、時間が経つに連れ、新千歳空港で実際に何が起きたのかといった情報が次第に伝わってきた。まず、欠航で問題を起こした航空会社は中国国際航空、キャセイパシフィック航空(日本航空との共同シェア便)、中国海南航空傘下の香港航空だ。

 中国のメディア「人民網日本語版」2016年12月28日の報道によれば、「この大雪の影響で、キャセイパシフィック航空のほかにも、東方航空、中国国際航空、大韓航空などの便も欠航となり、足止めされた旅客も非常に多かったこともあって、空港内にはやや混乱が見られたという。その後、次々と離陸していく航空会社がある中で、キャセイパシフィック航空の離陸だけが遅々として進まなかった」という。

 スキーを楽しむために休暇を利用して北海道にやってきたのに、新千歳空港で3日間も足止めされた香港の女優ミッシェル・リー(李嘉欣)もいよいよ我慢できなくなったのか、12月25日未明の3時頃、SNSの微博にキャセイパシフィック航空を名指して、私たちは新千歳空港で3日間も待たされていたのに、キャセイパシフィック航空から情報の連絡や手配の一つも提供されていない。一方、他の航空会社は次々と運航を再開した、と批判の書き込みをした。

騒動の詳細を分析した
日本人学者のレポート

 1月17日、北海道大学公共政策大学院専任講師・西本紫乃さんという方が、「『新千歳空港で暴れた中国人乗客』騒動の真相」という長いレポートを発表し、新千歳空港で発生した「騒動」事件の詳細を公にした。

 そのレポートでは、欠航で問題を巻き起こした航空会社と便名を明らかにした。中国国際航空の北京行きCA170便だ。

 西本さんのレポートでは、具体例を詳細にわたって挙げながら、騒ぎを大きくした一番の原因は「乗客の不満を招いた航空会社対応の不備」にある。「(ようやく)中国国際航空の中国人責任者が現場に姿を現したが、結局、乗客が満足するような対応はしてくれなかった」と容赦なく指摘した。同じく欠航のため出発できなかった台湾人乗客の中には、「航空会社手配で食事やホテルが用意されて買い物や温泉を楽しみ、2日間の余分な日本滞在に満足をしていた人もいた」と他の航空会社の対応のよさを実例で説明し、それが中国国際航空の乗客の不満の原因の一つになったのは間違いない、と西本さんは見る。

 次に、その批判の矛先を在札幌中国総領事館にも向けた。「中国人乗客の中には、新千歳空港での自分たちの窮状を、札幌にある中国総領事館に電話で訴え、助けを求める人もいた。この時に実際に領事館に電話をかけた人の話によると、中国総領事館の対応は冷たかったそうで、乗客たちにとって何ら問題解決にはならなかった」と舌鋒が鋭い。

 三番目に、新千歳空港の管理レベルの低さもこの大雪による欠航事件でクローズアップされた。深夜に現れた空港ターミナルの責任者らの乗客への接し方は非常に高圧的で、「あなたたちの自業自得だ」と繰り返し、「自業自得」という言葉に多くの中国人が反発を覚えた、と西本さんのレポートは厳しく指摘している。

不満の矛先はやがて
航空会社から日本へ

 空港管理者側と乗客との板挟みになった中国国際航空の日本人スタッフが悔し涙を流してしまったほどだ。それを見た乗客の数人がその日本人スタッフに駆け寄って慰める一幕もあった、という。

「乗客のほとんどを占める中国人たちは、空港側の対応に強い怒りを覚えた」。最初、中国人乗客たちの不満の矛先は主に航空会社の対応に向けられていたが、24日の深夜からは、「乗客らの嫌悪感は日本側に向かう」ことになった、と現場での乗客たちの気持ちの変化がこう報じられている。

 新千歳空港の現場にいた中国人乗客らもSNSなどで、2000万人、4000万人の外国人観光客を受け入れるといった数字目標よりも、受け入れ能力の強化を先にやるべきだ、と日本の観光行政をたしなめる声を上げている。

 新千歳空港の非常時の対策の強化などを含め、観光インフラの受け入れ能力、職員や事業従事者のサービス意識や態度の向上が課題になっていると、私も思う。

(作家・ジャーナリスト 莫 邦富)
http://diamond.jp/articles/-/114700
http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/381.html

[国際17] トランプ氏のモスクワでの変態行為はロシアのワナか 「西側陣営」も終焉?
【第74回】 2017年1月19日 田岡俊次 [軍事ジャーナリスト]
トランプ氏のモスクワでの変態行為はロシアのワナか 「西側陣営」も終焉か

「ミス・ユニバース機構」のオーナーでもあるトランプ氏。モスクワで開かれたミス・ユニバース・コンテストに出席した同氏は、宿泊先のモスクワ・リッツカールトンホテルの要人用特別室にコールガールを呼んで異常な性行動に及んだというのだが……Photo:REUTERS/AFLO
1月20日の米大統領就任式を前に、同11日ドナルド・トランプ氏が当選以来74日目に初めて行った記者会見は極めて異様だった。

会見が始まる前、ホワイトハウス広報担当に就任予定の人物が「左翼ブログがわいせつで完全に間違った情報を流している」などとメディアを批判した。

次いで演壇に立ったトランプ氏はCNNテレビの著名な記者の質問に対し「あんたじゃない」と言い、他の記者に当てようとした。その記者が「報道機関を攻撃するなら、質問の機会をいただけませんか」と言うのに対しトランプ氏は「無礼をするな。あんたには質問はさせない。あんた方は偽ニュースだ」と怒鳴った。

トランプ氏が「偽ニュース」と言っているのは何のことか。日本の主要メディアは「トランプ氏の不名誉な個人的情報」などと報じたが、これでは表現が上品に過ぎて事態の核心が全く分からない。

実はトランプ氏がモスクワのホテルの特別室に複数のコールガールを入れ、“Golden Shower”(放尿)をさせるなど乱痴気騒ぎをしたのを、ロシア情報部が隠しカメラで撮影していた、というのがCNNなどの報道の内容だった。

これが事実であれば、次期米大統領はロシアに致命的な弱味を握られていて、その操り人形にもなりかねない。1998年に当時のビル・クリントン米大統領が研修生のモニカ・ルインスキーとホワイトハウスの書庫で戯れていた事件が発覚したが、これは全く私的な非行にすぎなかった。

だがロシア情報機関に変態的な性的行為の映像を撮られたとすれば、それは米国の対露政策に影響しかねない。米国の同盟国など他の諸国も米大統領がロシアの工作員となっている疑いを抱きつつ接する必要が生じるから、事実なら世界史的な大事件だ。

CNNの報道内容は2013年11月、モスクワで開かれたミス・ユニバース・コンテストにトランプ氏は「ミス・ユニバース機構」(同氏が1996年買収、本部はニューヨークのトランプタワー内)代表として列席、オバマ大統領夫妻も公式訪問の際に泊まったモスクワ・リッツカールトンホテルの要人用の特別室に宿泊した。彼はそこで上記のような異常な性行動に及び、ロシア連邦保安庁(FSB、KGBの後身)がそれを撮影していた、というものだ。

もしこのビデオが存在し、公開されれば次期大統領は弾劾か辞任を免れまい。大統領の変態的行為は金銭的不正以上に米国民の怒りと侮蔑を招くだろうし、ましてそれをロシアに握られたとなれば、大統領がロシアの意のままになるからだ。

ロシア担当20年の英国MI6
敏腕諜報員の仕事

この情報をつかんだとされるのは英国MI6(対外情報部)で20年以上ロシア情報を担当したクリストファー・スティール氏だ。同市はケンブリッジ大学卒業後外務省に入り、モスクワの英国大使館2等書記官、パリの英国大使館1等書記官などを歴任したが、これは表向きの職名で、実際には敏腕のベテラン諜報員だった。

彼は2009年に元同僚と情報コンサルタント会社を設立、ロシアと取引する企業の相談に応じていた。「元MI6職員」と言われるが、情報の世界では「元」と「現役」の境はあいまいで肩書きは変幻自在だ。彼はロシアのFSBや外務省の幹部に深く喰い込み、その情報の確度は英国の情報関係者から高く評価されていたという。

トランプ氏はモスクワで華麗なミス・ユニバースの大会を開催して「開かれたロシア」のイメージ作りに貢献し、ロシアの大銀行の頭取や「ロシアの不動産王」と称されるプーチン氏に近い人物との関係も密接だった。このため米共和党内の反トランプ派は元英国MI6のロシア専門家スティール氏にトランプ氏とロシアとの関係の調査を依頼、その35ぺージの報告書には、ロシアが約5年間にわたり、トランプ氏抱き込みにつとめてきたこと、トランプホテル建設など不動産事業での便宜供与の申し出(これは実現していない)や私行、財政状況などの調査を行ってきてことが、スティール氏の情報源(匿名の複数)の話として記述されている。

この報告書はMI6にも提出され、英国から米国の中央情報庁(CIA)などにも伝達された様で、英米の一部のメディアも昨年夏ごろには仄聞していたが、確証が無いため報道されなかった。

ところが米国のインターネットメディア「バズフィード」が1月10日にその報告書全文を公開した。これは真偽の調査をせずに流したものだが、同日CNNは裏付け調査で事実と認めていた部分だけを放送した。その中にリッツカールトンホテルでの撮影などが含まれていた。CNNがどのような「裏取り」をしたかは不明だが、CIAに当たったこと、部屋の後始末をしたホテルの従業員に供述を求めたことはある様子だ。

ロシア政府は隠し撮りを否定しているが外国要人の泊まる部屋に情報機関が盗聴、盗撮の仕掛けをしていることは常識だ。冷戦時代の1970年には在モスクワ日本大使館に仕掛けられた盗聴器の探知、除去に派遣された自衛隊の技術者2人が大使公邸に到着、まず紅茶を飲んだ途端、苦しみ出したこともある。これは殺してはまずいから、脅しだったのだろう。そうしたことはロシアに限らず、米国も世界的な盗聴網「エシュロン」を設け、日本もその対象となっている。

KGB出身のプーチン大統領もその分野の専門家だ。彼はエリツィン大統領時代の1998年からFBS長官だったが、当時大統領側近の汚職事件の捜査を進めていた検事総長が2人の若い女性相手に性行為に及んでいる映像をテレビ局に流して検事総長を失脚させ、捜査を中断させてエリツィン政権を救った功績により、99年首相に指名された、と言われる。

各国の政治指導者、官僚、軍人、記者、銀行家などにとっては外国のオフィスやホテル、自宅などが盗聴、盗撮の的となることは承知の上だが、トランプ氏はもっぱら米国内での不動産開発業者であり、政官界の経験はないし、ロシアと対立する立場にもなかったから、盗聴などについて聞いてはいても警戒心が薄かったことはありそうだ。

トランプ氏が謹厳実直な人物であったなら「そんな馬鹿なことはするまい」と人々は思うだろう。だが、彼は浮気が原因で離婚するなどで、3回結婚し、ミス・ユニバースのコンテストで候補者が半裸でいる更衣室に入り込んだり、「相手が有名人ならば女性は何でもさせる」と豪語した、など放埓な逸話の多い人物だ。それだけに、ロシアでの御乱行も「ありそうな話」と感じる人も少なくあるまい。

国務長官などに親露派を据えた
トランプ氏の事情

トランプ氏は対外強硬論者である一方、ロシアだけに対しては妙に融和的で、シリアでロシア軍がアサド政権に組みし、米国が支援してきた反政府勢力を攻撃していることについても「イスラム国と戦うロシアとの協力」を唱える。

ウクライナ東部での親露派の分離活動をロシアが陰に陽に支援していることを米国、欧州諸国は非難し、限定的経済制裁を行ってきたが、トランプ氏は制裁解除の動きを示す。

11日の初の記者会見では彼はロシア、中国、日本、メキシコの4国に言及したが、ロシアについては「協力」を語り、他の3国は非難の対象とした。

国務長官に指名したエクソン・モービルの会長レックス・ティラーソン氏は2013年にロシアから「友好勲章」を授与されたほど、石油開発の合併事業でロシアとの関係が深い。安全保障担当の大統領補佐官マイケル・フリン陸軍中将(元国防情報庁長官)はイスラム過激派に対して米露は同盟を結ぶべきだ、と唱え、モスクワでの夕食会ではプーチン大統領の隣に座を与えられたほどの親露派だ。

本来タカ派的色彩が濃厚なトランプ氏が親露派を対外政策の要に登用したことには、何らかの事情があるのでは、との疑いを抱かざるをえない。

ロシアが米大統領の選挙中、サイバー攻撃でクリントン夫人の失点を探し、トランプ氏の当選をはかろうとした形跡は十分ある。同氏を米大統領にすることがロシアにとり極めて有利、との確信を得ていなければ、そのようなリスクを冒すことはないと思われる。

トランプ大統領の出現で
「西側陣営」も終焉か

ロシア政府は盗撮を否定している。実際には行っていたとしてもそれを認めること自体、怪し気な情報活動を公表して世界の非難を受けることになるだけではない。もしビデオがあったとして、それを公開してトランプ氏が失脚すれば、折角作り上げた史上最も大物の工作員を失うのだから元も子もない。核兵器と同様、持っていて脅しに使うことに意味があり、使えば全て御破算だ。

それを考えれば、この問題は「白か黒か」の決着がすぐ付くことは考えにくく、疑惑として論争が続く可能性が高い。トランプ氏もその側近もCNNなどの報道後は露骨な親露的姿勢は取りにくくなったろう。

記者会見でCNNの質問を遮り「無礼」として退けたトランプ氏の対応には、従来「右派偏向報道」と評され、CNNと対立してきたFOXNewsすら「報道の自由を妨げた」としてトランプ批判に加わった。選挙中から米国メディアのほとんどはトランプ批判を続けてきたから、同氏が当選後最初の記者会見で手袋を投げ、ケンカを売った以上、米国メディアは競って彼の私行の問題や政策の失敗を探すことになりそうだ。

日本や、他の諸国もトランプ政権と過度に親密にしていては、混乱のとばっちりを受け、米国民から非難の的となる危険がある。もし米国に伝えた機密事項がホワイトハウスからクレムリンに流れはしないか、とどの国も慎重にならざるをえまい。「東側陣営」の崩壊で1989年に冷戦が終わっても、他方の「西側陣営」だけが形骸化しつつ27年間も残った状況は、トランプ大統領の出現によりついに終わりを迎えることになるかもしれない。

(軍事ジャーナリスト田岡俊次)
http://diamond.jp/articles/-/114564

http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/373.html

[社会問題9] 鎌田實医師が感じた生き方への疑問を「言葉の力」が救った 遊行
2017年1月19日 木原洋美 [医療ジャーナリスト]
鎌田實医師が感じた生き方への疑問を「言葉の力」が救った

「自分の人生はこれで良かったのか」――。人生や会社生活について、誰でも真剣に悩むことはある。医師にして作家、ニュース番組のコメンテーターとして知られる鎌田實氏も、かつて自分の生き方に疑問を感じ、もがき悩んでいたという。そこで、鎌田氏がたどり着いのが「遊行」の精神。「遊行」とは、先入観やこだわりを捨て、自由な感性で生きることだという。折しも、鎌田氏は1月21日に『遊行を生きる 悩み、迷う自分を劇的に変える124の言葉』(清流出版)を上梓する。そこで、本を書いたきっかけや遊行の精神などについて聞いた。(ジャーナリスト 木原洋美)

野垂れ死にするほど
自由になれ

 人はつくづく見かけによらない。

 医師にして作家、ニュース番組のコメンテーターでもある鎌田實氏もそうだ。諏訪中央病院名誉院長を務めるかたわら、チェルノブイリ、イラク、東日本大震災の被災地支援等に取り組み、「がんばらない」をモットーにしながら、多方面で常に100%以上の精力的な活動を行っているこの人ほど、人生を自由に、思いのまま生きてきた人はいないように見えるのだが、実は70歳を目前にして「ある壁」にぶつかり、悩み、苦しんでいたという。

「ある壁」の正体は、自分の生き方に対する疑問――。

「これまでの自分は、本当に自分自身を生きてきたのだろうか」「(周囲の期待に応えようと)"いいカマタ"を演じて、無意識のうちに無理をしてきたのではないか」「このまま老い、死んでいくときに後悔してしまうのではないか」と悩み、もがき続けていた鎌田氏を救ったのが、著書のタイトルにも使われている「遊行(ゆぎょう)」という言葉だった。

「遊行」とは、古代インドの聖人が、人生を「学生期」「家住期」「林住期」「遊行期」の4つに区切った最後の時期で、死の準備の時期、人生の締めくくりの時期とされているが、鎌田氏の解釈はちょっと違う。


かまた・みのる
東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県・諏訪中央病院へ赴任。30代で院長となり、潰れかけていた病院を再生させた。「健康づくり運動」を実践し、脳卒中死亡率の高かった長野県はいまや長寿日本一、医療費も安い地域となった。 一方 1991年より25年間、ベラルーシ共和国の放射能汚染地帯へ100回を超える医師団を派遣し、約14億円の医薬品を支援してきた(JCF)。 2004年にはイラク支援を開始。イラクの4つの小児病院へ10年間で4億円の薬を送り、凶暴な過激派集団「イスラム国」が暴れ、空爆が行われているイラク北部の都市アルビルを拠点に、難民キャンプでの診察を続けている(JIM-NET)。 東北の被災者支援にもいち早く取り組み、「がんばらない」「1%はだれかのために」と言いながら、多方面で常に100%以上の精力的な活動を行っている。
「僕は字の通り、『遊び、行く』と考え、フラフラしてもいいと考えています。この時期こそ、自分の好きな仕事や、やりたいことをするときでもあるのです」

 死のことなんか考えず、野垂れ死にしてもいいほどに自由になれる時間を指す「遊行」という言葉に出会ったことで悩みから解放され、生きるのが楽になったのだと語る。

 言葉の力、偉大なり。『遊行を生きる』には、これまで鎌田氏が出会ってきた、「悩み、迷う自分を劇的に変える124の言葉」が、心を打たれた背景と独自の解釈を添えて紹介されている。今、なぜ、この本を世に出したいと考えたのか、出版を通してどんなメッセージを送りたいのか。

老いも若きも、はじけていい
尾崎豊のように

――どのような気持ちで、この本を書いたのですか?

「遊行」という言葉は以前から知っていましたが、改めて出会って、僕だけでなく、時代が必要としている言葉だと思ったんですね。

 年齢から言えば、僕は「林住期(りんじゅうき)」を語った方がふさわしいかもしれない。実際、2008年に五木寛之さんが『林住期』という本を出し、ベストセラーになりました。林住期とは、老年を迎えて行く時期で、森や林に隠棲しながら、人間とは何か、生きるとは何かなど、さまざまな「人生の問題」を解決しようという時期で、非常に哲学的で内向きです。

 あの本が出た頃は、もっと日本が元気で、経済的にも好調でしたから、それでよかったのだと思います。でも今は違う。みんなが林の中に入り込んで内向きになったら、とんでもないことが起きますよ。

 今、イギリスはEUを離脱し、アメリカではアメリカ第一主義のトランプ政権が誕生するなど、世界はどんどん内向きになり、自分たちさえよければいいという風潮になっています。ここで日本までもが内向きになってしまったら、絶対にいけないと思います。

 はじけること、外へ出て行くことは、決して怖い事じゃない。「どうせいつかは死ぬんだし」と考えた時に、「ああ遊行なんだ」と。尾崎豊が若くして死んだにもかかわらず、いまだに聞かれ続けているのはやはり。若いけど遊行のテイストがあったからでしょう。

 そういう意味では、若い人だろうが中年だろうが、「遊行」のテイストは持っていた方がいい。ビジネスマンも、リアルに生きるだけじゃなく、何か1つ、超えたものを持っていることの大事さを、僕はこの本で伝えたいと考えました。

 もちろん、僕と同年配の方々も、「林住期」なんかに落ち着かず、動き回ってみたらいい。僕も最近、遊行を自覚するようになってから、若い人たちとの出会いや付き合いが増え、人生がまた面白くなってきました。

――「自由に生きる」という意味では、鎌田さんは既に昔から、「遊行」のテイストを持って生きて来たのではないですか?

 言われてみればそうかもしれませんね。東京医科歯科大学の医学部を卒業して、地方(30代で長野県・諏訪中央病院の院長となる)に赴任したのは、同級生では僕一人でした。あれは遊行の始まりだったかもしれません。

 チェルノブイリの放射能汚染地域に通い始めたのは、まだソ連の時代でした。これも遊行ですよね。来週からイラクの難民キャンプに行くのですが、それも遊行ですね。

 でも「本当に自由だったのかな」と、悩んでいました。周囲から「鎌田は自由でいいよな」と言われながらも、潰されずに生きてこられたのは、ただ失敗しないように器用に生きて来ただけなんじゃないかと。

 だからこれからは、もっと自由に、もっと失敗を恐れずにやりたいことをやれば、もっと面白いことができて、結果として社会のためにもなるんじゃないかなと気がついたのです。

言葉は、医者の薬よりも
強い力になる

――「言葉の力」の大きさについて繰り返し言及していますね。医療の現場で、言葉の治癒力のようなことを実感することは多いのでしょうか?

 非常に多いです。たとえば言葉の力で、すっかり元気をなくしていた末期がんの患者さんが急にニコニコしだしたり、最後まで自分らしく生きることができるようになったりしたのを、私は何度となく見てきました。医者が出すどんな薬よりも、言葉の力は大きいと思います。

 先日も、末期の膵臓がんを患っておられる90歳の男性患者さんの元へ往診した際、言葉の力を感じました。大学教授で、物理の専門家というだけあって飄々とされていましたが、元気がない。「実は悩んでいる」とのことでじっくりお話しているうちに、「死は怖くないが、認知症の妻を残して逝くのが気がかりでたまらない」と打ち明けてくれました。

 そこで「奥様の面倒は、ちゃんと僕たちがお子さんと相談しながら見るから大丈夫ですよ」と約束してあげたところ、表情が明るくなり、みるみる元気を取り戻しました。

 その方にとっては、僕たちの心を伝える、ほんのちょっとした言葉が、抗がん剤や手術以上に必要だったのですね。

 僕が名誉院長を務めている諏訪中央病院には、都会の病院で冷たい言葉を投げかけられ、見捨てられたような気持で転院してこられた患者さんが常時、40人も50人も入院しています。

 僕は、そういう患者さんやご家族を、なんとかエンパワーできないかなと意識して診療に当たっています。薬よりも効果を発揮するのは、「心」です。温かい信頼関係の中で、心を言葉で伝えることによって、患者さんは自分の人生を振り返り、人生を肯定的に捉え直したり、ご家族との関係や僕等医療従事者との関係もよくなったりすることができる。言葉には、人と人との関係をとりもってくれる力もありますよね。

 今回選んだのは、僕自身悩みながら、胸の内で10年20年かけて発酵してきた言葉が中心です。中には、ニーチェの「脱皮しない蛇は滅びる」など、有名な言葉もいくつか取り上げました。

 各々の人生の中にいる人たちに向けて、それぞれ違う形で影響を与えられたらいいなと思いながら、最終的には124になっていました。

――元プロ野球選手の清原和博さんに向けた言葉も書かれていますね。

「『ダメな自分』を認めたところから、自分革命は起きる」――。

 あれは清原君に向けたのと同時に、現在さまざまな「依存症」で苦しんでいる大勢の方々に向けた言葉でもあります。日本人は、アルコール依存症やギャンブル依存症、セックス依存症など、依存症に罹っている人がものすごく多い。

 遊行を生きるとは、自分自身に厳しくすることではなく、快感を欲する自分も含めて、ダメな自分や弱い自分を否定する心からもっと自由になることです。素直に弱さを認め、「助けてください」と言える人なら、アルコールやギャンブルに溺れなくても済むかもしれない。それが言えないために苦悩を抱え込み、麻薬やアルコールに逃避するのではないでしょうか。

 依存症は快感に溺れ、快感から脱出できなくなる病気ですが、僕は、快感は悪ではなく、もっと上手に使えば人生が面白くなるし、社会も明るくなると考えています。

 これからの社会は少し、躁状態になったほうがいい。そのためには、社会を構成する僕たち一人ひとりがもっと躁状態にならないといけませんから、快感というのはそんなに悪いものではないはずです。ただし、快感だけが先行してしまったら、身を滅ぼすことは目に見えている。
 快感を健康的に楽しめるコツが「遊行」なのだと僕は思います。

マグネットホスピタルの
磁力は"温かさ"と"自由"

――患者さんも随所に登場していますね。諏訪中央病院はずいぶん、医師と患者さんとの距離が近いように感じます。

 ほかの病院とはぜんぜん違うと思います、とにかく温かい。マグネットホスピタル(患者・医師・看護師を磁石のように引きつけて離さない魅力ある病院)だと思います。

 田舎病院で、救急医療や高度医療の面では、ぜんぜん大した病院ではありませんが、これほど若い医者が全国から集まってくる病院はないでしょう。日本中、どんなに有名な病院も若手の医師不足で困っているけれど、うちにはそれはありません。

 理由の第一は、患者さんに対しても医師に対しても、温かいこと。決して見捨てません。そして二つ目は、自由であること。その人らしくいられることを常に大切にしています。

 日本の病院はたいがい大学の関連病院で、慶應義塾大学や東京大学といった大学の下部組織のようになっている。それ以外の大学の人も当然いますが、なかなか部長や院長になれないなど、学閥主義がはびこっています。

 僕はもともと、そういうことは嫌いで、オールウエルカムです。よその大学から来る先生が不安じゃない土壌を、時間をかけて作り上げてきたし、これからも受け継がれていくでしょう。

――人を惹きつけるにはやはり「温かさ」が大事?

 21世紀は、「心の温かさ」が、すごく大事だと思います。

 資本主義が壁にぶつかっていることは間違いないし、世界はこの数年大変なことになっています。そういう中で、資本主義社会は大きな発想の転換を迫られているわけですが、そのためには、一人ひとりの人間の意識が変わって行かないといけません。トップが変わったり、革命起こしたりして、上から変えて行くことは、もうできないことだとはっきりしています。

 僕は、来週からイラクの難民キャンプに行くのですが、行くことによって、一人ひとりの意識を変えたいと思っています。温かい発想が必要です。

 イラクやシリアから、一時期凄い勢いでヨーロッパに難民が出て行きましたね。それをやればヨーロッパの治安や経済が悪化するのは目に見えています。だけど、拒絶したり、追い出すのは間違っています。

 中東の人たちは、できることなら中東で暮らしたいと思っていますし、暮らせるようにしてあげることが大事です。僕はそのためにはどうしたらいいのかを常に考えています。


『チョコ募金』のチョコレートとパッケージ Photo by Hiromi Kihara
 たとえば僕は今、3つの診療所をイラクのアルビルというキャンプの中に作っています。人口150万人のイラク第2の都市ですが、一時期ISに制圧され、現在は半分が奪還されました。アルビルにいる難民の中には医師や看護師や薬剤師がいます。僕たちが診療所を作り、そこに薬を供給してあげさえすれば、難民のドクターが難民を診ることが叶います。

 働く場と愛する人がいることは、絶望の中で生きて行く上でものすごく大事です。特に雇用は、治安にも平和にも重要です。テロリストに若者が流れてしまうのも、雇用の問題が大きいですよね。


『遊行を生きる 悩み、迷う自分を劇的に変える124の言葉』
鎌田 實著
清流出版
1080円(税込み)
232ページ
 この活動の資金を作るために、僕は「チョコ募金」の活動に取り組んでいます。缶入りのチョコを16万個作って1個500円で購入してもらう。全部売れると8000万円になります。チョコは北海道の六花亭製、缶は埼玉県の小さな製缶工場で作ってもらい、発送は障害者施設の共同作業所にお願いしています。

 皆が少しずつ発想の転換をしなくてはいけない今、こういう事業も「遊行」の1つかなと。
 遊びのようなつもりで、だけど資本主義のルールの中で、面白いことを考えて行けば、まだまだやれることは多いんじゃないかなと思います。

 ◇

「遊行」には、一人ひとりの人間の意識を変え、さらに世界を変える力がある。「124の言葉」には、単なる啓発本を超えた大いなる野望が秘められているのだ。
http://diamond.jp/articles/-/114703
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/752.html

[経世済民118] アルファ碁が神の領域に。AI進化速度は予測を超える SFに学ぶAI「シンギュラリティ」の超え方(中)
三谷流構造的やわらか発想法
【第156講】 2017年1月19日 三谷宏治 [K.I.T.虎ノ門大学院主任教授]
アルファ碁が神の領域に。AI進化速度は予測を超える
SFに学ぶAI「シンギュラリティ」の超え方(中)

アルファ碁、たった1年2ヵ月で人智を越える神となる

 この年末年始、またもや囲碁界に激震が走りました。

 Googleのアルファ碁が、囲碁界の最強棋士のひとりイ・セドル九段を破ったのが昨年の3月のこと。それから9ヵ月、アルファ碁はさらなる進化を遂げ、囲碁界に降臨したのです。

・2016年12月29日〜30日、囲碁サイト「東洋囲碁」で30戦
・2017年1月1日〜4日、同「野狐囲碁」で30戦

「Master」というハンドルネームで登場したその正体不明の棋士(?)は、井山裕太六冠を含む日中韓のあらゆる強豪を打ち倒し、なんと60戦無敗で去って行きました。多くのプロ棋士たちが「Master」を、人智を越えた存在と評しました。1月5日、Googleは「Masterはアルファ碁の進化形である」「テストは終わった」と公表しました。

 新生アルファ碁の凄さはその圧倒的強さ(だけ)でなく、その「進化スピード」と「打ち手の独創性」にあります。


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 アルファ碁の進化スピードは超絶的で、プロ二段(欧州チャンピオンのファン・フイ)を破ってから、イ・セドル九段を圧倒するまで5ヵ月。それからこの神の領域まで達するのに9ヵ月しか掛かっていません。

 この世の誰が一体、この進化スピードを予測していたでしょうか?

ヒトはAI進化速度を予測できない

 打ち手がほぼ無限にある囲碁は、もっともAIが苦手な分野だと長く信じられてきました。状況判断(その時点で優勢か劣勢か)の判断が難しい上に、何手も先の先を読むプログラムをつくるのは至難の業でした。

 しかし2005年に「モンテカルロ法」をベースにした「Crazy Stone」が開発されて、状況は一変します。その名の通り、とにかく多くのサイコロを振る(打ち手をランダムにシミュレーションする(*1))ことで、その勝ち負け予測をして手を決めていきました。

 モンテカルロ法は並列処理に向いているので、マルチコアCPUをフルに活かせますし、コンピュータを増やすことでいくらでも性能を上げられます。

 それでも多くの棋士や学者たちは懐疑的でした。2008年頃の常識は「プログラム(AI)がヒト(トッププロ棋士)に勝つにはあと50年は掛かる」でした。実際には8年でした。

 その力が急激に高まり、当初アマ三段レベルだったものがアマ六段レベル(もうすぐプロレベル)に上がった2014年ですらそうでした。「コンピュータが人間に勝つのは10年後」という認識でした。実際には2年でした。

 そして、ついに2016年イ・セドル(当時の世界ランク5位)が負けたときでも「アルファ碁にはまだ接近戦での凡ミスや、攻め合いの大勝負に弱い」「人類はまだ負けてない」という意見が根強くありました。でもそれも9ヵ月の命でした。

 独自に自己を変異させられるAIの進化スピードは、世代毎の突然変異と自然淘汰を待つ、われわれ生命の進化スピードとはまったく異なります。ヒトはAIの進化スピードを予測できないのです。

 そして、その到達レベルも。

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*1 2006年トリノで用いられたCrazy Stoneでは1秒あたり約5万件の対局シミュレーションがランダムに実行された。

アルファ碁の打ち手の独創性

 アルファ碁も含めて、従来の囲碁AIには共通の弱点がありました。大橋拓文六段の観戦記に曰く、

・長手順の読み(死活(*2)、攻め合い、正確さが必要)
・複雑な手順(左右両側から絡めるようなもの)
・コウ(*3)(無限循環に陥りがち)

 などです。しかし新生アルファ碁は、それらを克服しただけでなく、さらに多くの「新手」を繰り出していました。それらはトップ棋士たちにも「悪手」と映るほどの常識外れの斬新な手であったと言います。

「人間では理解できない手が30手以内に出てくる。しかし、後にそれが良い場所になってくる不思議、マジックのようだった」(J-CASTニュースでの大橋六段のコメント)

 アルファ碁はまずヒトから学びました。過去の思索の結晶である棋譜を3000万局分読み込み、それを手本としました。しかしその後は独学です。自らを相手とした強化学習で鍛え上げ、人智の及ばぬ領域に到達しました。たった1年余りで。

「私たちが永遠に変わらないと考えていた囲碁の真理が破壊された」(中国の古力九段のTwitterコメント)のです。

リバースエンジニアとしての人類?

「創りだしてしまった神」とわれわれ人類はどう付き合えば良いのでしょうか?

 2008年にモンテカルロ法の囲碁AI「Crazy Stone」と対戦した王銘エン九段は、その真の潜在能力を見抜いたひとりでした。関係者みなが囲碁AIの弱点をあげつらう中、彼は言い切りました。

「運動能力という点では、モンテカルロ囲碁は人間とぜんぜん違う原理の筋肉で動いている」「その潜在能力はすでに人間を遥かにしのいでいるかもしれない」

「モンテカルロ囲碁は柔軟だ」「本気で研究され出して2、3年にもかかわらず、もうこんなところまできている」「プロレベルまで10年以内で来るのではないか」

 まさに慧眼といえるでしょう。そして彼はその先についても語っています。

「モンテカルロ囲碁恐るべしと、身構えなくてもいい」「敵はしょせん完璧ではなく、つねにリベンジ可能」「そのときこそ、碁打ちが神の道を目指す本当の旅が始まる」

 アルファ碁に、「真理の探究」という概念は(今のところ)ありません。しかし、AIが人間の常識を超えた新手を示してくれるからこそ、ヒトはそれを辿って、囲碁の真理を解き明かせるのでしょう。一種のリバースエンジニアリングです。

*2 打たれた石が「取られない生きた石」なのか「取られる死んだ石」なのかの判断。
*3 互いが交互に相手の石を取り、無限に続きうる形。さまざまなルールによって、無限反復は禁止されている。

SFに学ぶ「創られた神」との付き合い方

 本業がテクニカルライターだと言う、寡作のSF作家 テッド・チャンが2000年に発表した『人類科学の進化(The Evolution of Human Science)』は、たった4頁半の小品です。

 そこには、圧倒的な知力を持つ超人類を生んでしまった人類の物語が、科学者の立場から描かれています。

 遺伝子操作によって生まれた超人類は、新しい言語を開発し、それで思考しコミュニケーションします。その研究成果が発表されても、人類はそれを理解どころか読みこなすことすら困難です。そこで、人類は単独での独創的研究を諦めますが、2つの領域での科学探究を頑張ります。

・超人類「文献」解釈学:新言語で書かれた文献の翻訳を試みる
・超人類「製品」解釈学:つくられた製品の解析(リバースエンジニアリング)によってその動作原理や未知の物理法則を解き明かす

 アルファ碁は自らの戦い方について論じてくれないので、当面できることは後者のみ。これからの数年、プロ棋士たちはアルファ碁の残した棋譜を解析し、そこに潜む囲碁の真理を解き明かしていくでしょう。

 それによってアルファ碁に一矢報いることもあるかもしれません。そしていつか、アルファ碁とその真理について語り合う日が来るのかも。もしアルファ碁がそうしたいと思ってくれればの話ですが。

 さて「最初のシンギュラリティをどう生むか」についてはいよいよ次回。J・P・ホーガンのSF『未来の二つの顔』、山本弘の『アイの物語』を取り上げます。

 参考情報・サイト
・「コンピュータ囲碁」Wikipedia
・「第30話 かんぱいモンテカルロ」王銘エン(メイエン事件簿 2008.09.08)※エンは「王」へんに「宛」
・「コンピュータ囲碁について、王銘エンの危惧」福地 健太郎(2008.9.8)
・「プロ棋士はもはや囲碁AIに勝てない 進化型アルファ碁「Master」の衝撃」(J-CASTニュース 2017.01.06)
・「Googleの囲碁ソフトがプロ棋士に初勝利」たろちん(ねとらぼ 2016.01.28)
・「AlphaGo の論文をざっくり紹介」(technocrat 2016.03.14)
・「Masterの正体」大橋拓文(ひろふみのブログ☆ 2017.01.08)
・『あなたの人生の物語』テッド・チャン(早川書房)

(K.I.T.虎ノ門大学院主任教授 三谷宏治)

お知らせ

 1/22(日)はなんと1日で3つの講演・研修となりました。

・10:00〜 どんぽぽ(親向け)@千葉・船橋
・14:20〜 MBA4校合同説明会@KIT虎ノ門大学院
・18:00〜 Globis講義@新大阪

 千葉、虎ノ門、大阪の強行軍ですがガンバリます〜。大雪とかになりませんように……。お時間ある方は「MBA4校合同説明会@KIT虎ノ門大学院」に是非お立ち寄りください。虎ノ門ヒルズのお隣です。

 記事へのご質問・ご意見、また「うちでも講演やって!」のご依頼などはHPまでお寄せください。Official Websiteの「お問い合わせ」で受け付けています。
http://diamond.jp/articles/-/114597
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/107.html

[経世済民118] 韓国「江原ランド」が映し出すカジノ解禁の光と影−日本への警告に 独銀人員削減続く、ボーナス大幅減 Gマン収入減で人材放出
韓国「江原ランド」が映し出すカジノ解禁の光と影−日本への警告に
Kanga Kong
2017年1月19日 12:12 JST
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江原ランドは韓国で国民が利用できる唯一のカジノ
日本では先月、統合型リゾートの整備を政府に促すIR推進法が成立
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4年前、キム・ジョングさんは韓国江原道(カンウォンド)の山あいの町、舎北(サブク)に向かった。30代の娘が金の無心を続けるのはなぜかを知るためだった。
  キムさんは国内にある17軒のカジノで国民の利用が唯一認められている「江原(カンウォン)ランド」を訪れた当時を振り返り、「カジノで見つけた時、娘は高利貸に借金漬けにされていた」と語った。
江原ランド
江原ランド Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg
  しかし、キムさん自身もすぐにギャンブルにはまり、約1億8000万ウォン(現在の為替レートで約1800万円)もの金を失った。帰る家もないことに気付いた時、キムさんはギャンブルをやめると約束した人に提供される政府の補助金を受けることを決めた。77歳だった。今は舎北で家賃が月200ドル(約2万3000円)のアパートに暮らしている。
  舎北でのギャンブル依存者の拡大は、税収と経済効果の可能性に誘惑された韓国の議員だけでなく、最近では日本に対しても警告を発する一例だ。江原ランドはかつて炭鉱の町だった舎北に雇用をもたらす一方、さまざまな社会悪も招く結果となり、地域の自殺率は全国平均の2倍に上る。
  
  舎北の繁栄を取り戻そうと、江原ランドは2000年にオープンした。鉱業の衰退が痛手となり、この町の人口は1980年代のピーク時の5万人から5500人程度に減少した。
  韓国の西海岸に国民が利用できる2軒目のカジノ開設を目指す議員にとって、カジノは雇用をもたらす半面、怪しげな側面が難題となる。舎北では質店や売春宿が乱立し、電柱には高利貸の広告がべたべたと貼られている。

  野党「国民の党」のキム・グァンヨン議員は昨年8月、2軒目の国民向けカジノ開設に向けた法案を提出した。韓国人が海外でギャンブルに使っているとされる3兆ウォンの一部が国内に戻ってくるとして、同議員は「巨大な」経済的恩恵を見込んでいる。
  キム議員はシンガポールのカジノリゾート「マリーナ・ベイ・サンズ」の例を挙げ、「依存を防ぐためのより厳しいルールがあれば、もっとうまくやれる」と語る。だが、実現は難しい状況だ。カジノ政策を所管する文化体育観光省が2軒目の国民向けカジノ開設に反対しているためだ。同省の国際観光部門ディレクター、キム・ホンピル氏はギャンブル依存と家族の崩壊を理由に挙げている。
  カジノを含めた統合型リゾートの整備を政府に促す法律(IR推進法)が先月成立したばかりの日本では、カジノ解禁に伴う法規制などを定めた実施法案の策定に議論が向かう中、反対派が唱えるのは同じような懸念だ。テレビのニュース番組や一部の議員は江原ランドを引き合いに出して国民へのギャンブル解禁の悪影響を訴えている。
  MGMリゾーツ・インターナショナルやラスベガス・サンズなど国際的なカジノ運営企業は、特に中国からの観光客に沸く日本への投資を検討している。CLSAの昨年12月のリポートによれば、大都市に統合型リゾート2軒がオープンした場合、収入は100億ドルに上る見込みで、そうした施設が全国に広がれば、収入が300億ドルに増える可能性がある。
舎北の質屋街
舎北の質屋街 Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg
原題:Homeless Korean Casino Gambling Addicts Signal Warning for Japan(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-19/OK08146S972801


 

ドイツ銀:人員削減は続くと警告、ボーナス大幅カット後も−関係者
Stephen Morris、Ambereen Choudhury、William Canny
2017年1月19日 03:33 JST

グローバル・マーケッツ部門で週内にも実施と関係者
投資銀行部門の一部では最大20%の行員に影響も

ドイツ銀行は18日、人員削減を継続すると一部行員に伝えた。事情に詳しい関係者が明らかにした。同行は上級従業員に対するボーナスの大幅カットを決めている。
  投資銀行部門の一部の管理職は削減対象候補としてパフォーマンスで下位20%のメンバーを選び出すことを求められたと別の関係者が述べた。関係者らはいずれも匿名を条件に語った。グローバル・マーケッツ部門では今週と来週にフロントオフィス従業員の削減を実施すると3人目の関係者が述べた。同関係者は18日に削減について伝えられたという。
  同行の現在の事業計画は2015−18年末の間に世界従業員総数の9%に相当する約9000人の削減を想定しているが、ジョン・クライアン最高経営責任者は昨年10月に、「さらに野心的な人員削減」を目指す考えを示していた。
  ドイツ銀は18日の文書で、最高幹部のボーナス支払いを2年連続で取りやめるとともに、他の上級従業員の変動報酬も大幅削減することを明らかにしている。
原題:Deutsche Bank Said to Warn Job Cuts Continuing as Bonuses Axed(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-18/OJZLKG6VDKHT01


 

【インサイト】ゴールドマン人材放出、米政権登用なくても必要の公算
Gillian Tan
2017年1月19日 13:16 JST

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米銀ゴールドマン・サックス・グループは2016年にスリム化した。人員が減ったのは、トランプ次期米大統領が同行の人材を新政権に起用したからだけではない。

ゴールドマン・サックスのロゴ

Photographer: Daniel Acker/Bloomberg
  ゴールドマンが18日発表した16年10−12月(第4四半期)の利益はアナリスト予想を上回った。人員500人カットを含むコスト節減策などが寄与した。同行の昨年1年間の人員削減数は全体の7%に相当する2400人と、競合大手より大規模だった。
  人員削減で他の主要行の先を行くのがゴールドマンとシティグループであることは注目に値する。シティも同じく18日発表した昨年10−12月(第4四半期)の利益が市場予想を上回った。両行がスタッフを減らしたのは、今後収入が低下すると読んだことが理由であった可能性がある。

. https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i_6wQbx.xxOQ/v1/-1x-1.png

.
  ゴールドマンの報酬比率は人員削減にかかわらず、38.1%に上昇した。1年前は37.5%だった。ただKBWのアナリスト、ブライアン・クラインハンズル氏は17年に37%、18年に36.7%へと低下し、流れが反転するとみている。トレーディングや投資銀行、融資などの分野での手数料収入次第で同行の報酬比率は一段と低下し、シティの30%、JPモルガン・チェースの31.3%の水準に近づく可能性がある。

. https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ilqvp.na7QkU/v1/-1x-1.png

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  ゴールドマンは必要に応じて人員カットを継続するのと同時に、トレーニングや技術、法務コストなど報酬以外の費用も引き続き抑制する必要がある。この種の費用は16年に87億ドル(約9970億円)に減少。最高財務責任者(CFO)以外に共同社長と共同最高執行責任者(COO)を務めるハービー・シュワルツ氏は07年以来の低水準だと説明した。マーティン・チャベス次期CFOも同様に、あるいはこれまで以上に支出管理を厳しくすることを目指すべきだ。
  金利上昇や規制緩和、予想される税制改革、経済成長などが収入を押し上げるという楽観的な見通しの一部は思い描いたようにならない可能性もあり、コスト抑制を優先すべきだろう。

. https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i_S0xrSiyhik/v1/-1x-1.png

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(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません。)
原題:Goldman Exodus Isn’t Just About Filling Trump Posts: Gadfly (抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-19/OK08Q06KLVR401

http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/113.html

[国際17] ユーロ圏は崩壊も、大衆迎合に向き合わなければ−JPモルガンCEO 中国が最も保護主義的NAFTA最初に見直す次期商務長官
ユーロ圏は崩壊も、大衆迎合に向き合わなければ−JPモルガンCEO
Hugh Son、Sonali Basak
2017年1月19日 04:56 JST

ユーロ圏の政治指導者らが大衆迎合主義の台頭につながっている市民の不満ときちんと向き合わなければ、通貨同盟が崩壊することもあり得ると、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者が指摘した。
  ダイモン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、欧州連合(EU)の指導者らが、英国民が離脱を選んだ理由を考察し、変えるべきところを変えるよう望むと述べた。それは今までのところ起こっておらず、フランス極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首など国家主義のリーダーが欧州で政権を握るようなことになれば、「ユーロ圏は存続できないかもしれない」と語った。
  「間違っていたことは英国にとってだけ間違っていたのではなく全員にとって間違っている」とダイモン氏は世界経済フォーラム年次総会が開催されているダボスで語った。リーダーらが根本的な懸念に対処しない限り、「移民について、各国の法について、ブリュッセルが持つべき権限について、同じ政治問題が続くだろう」と指摘した。
  ダイモン氏の欧州に関する悲観論はいつになく厳しかった。一方、同氏はトランプ次期米政権に関してあらためて楽観的な見方を示した。
  また、ゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクファインCEOもCNBCとのインタビューで、欧州のリーダーらは経済同盟を作り上げる長く複雑な道筋の中で反動に直面していると、欧州をめぐる懸念に言及した。
原題:Dimon Says Euro Zone May Not Survive If Concerns Are Ignored (1)(抜粋)
Dimon Says Euro Zone May Not Survive If Concerns Are Ignored (2)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-18/OJZP6H6VDKHT01


 


「中国が最も保護主義的」−NAFTAを最初に見直すと次期商務長官
Andrew Mayeda
2017年1月19日 11:25 JST

中国は自由貿易を語りながら実践していないとロス氏
私は反貿易主義者ではなく、賢明な貿易を支持する立場だと同氏

トランプ次期米大統領が商務長官に指名した著名資産家のウィルバー・ロス氏は18日、米上院商業科学運輸委員会の指名承認公聴会で、中国が世界主要国の中で最も保護主義的だと述べ、鉄鋼の過剰生産能力の削減を中心に同国との間で公平な貿易条件の確保を目指す考えを表明した。
  ロス氏は「中国が主要大国の中で最も保護主義的だ。非常に高い関税障壁と極めて高い非関税障壁の両方が存在し、自由貿易を実際の行動に比べてはるかに多く語っている」と述べた。
  同氏は公聴会の冒頭の発言でどの国も名指しすることは避けながらも、政府主導のビジネスや補助金による生産に言及し、中国への間接的な批判と判断することが可能だ。鉄鋼やアルミニウムへの反ダンピング(不当廉売)関税により大きな関心を向ける必要があるとの見解も示した。
  ロス氏はまた、トランプ次期政権が北米自由貿易協定(NAFTA)の下でのメキシコやカナダとの関係見直しに速やかに動くと言明。「NAFTAは必然的にわれわれが対処しなければならない最初の課題だ。他の管轄区域に移る前にわれわれの地域において最善の方法で関係を確立しなければならない」と主張した。
  同氏はさらに「私は反貿易主義者ではない。貿易の支持者だが、賢明な貿易、すなわち米国の勤労者と国内製造業のベースに有害ではない貿易を支持する立場だ」と述べた。
原題:Commerce Pick Ross Calls China ‘Most Protectionist’ Major Nation(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-19/OK07ZF6K50XU01

http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/376.html

[経世済民118] AIの経済効果を考える:雇用は減るのか増えるのか 自動化で消える職業は全体の5%ダボスリポート AIと働く日はもうすぐ!
AIの経済効果を考える:雇用は減るのか増えるのか
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RR505_automa_IM_20170118140224.jpg
セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ

By SAM SCHECHNER
2017 年 1 月 19 日 11:51 JST

【ダボス(スイス)】人工知能(AI)の大きな進歩は中間層の仕事にどう影響するのか。企業や当局の間では、急速に変化するハイテク技術と雇用の関係を巡って緊張感が高まっている。

 当地で開催されている世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)には、政界や財界のリーダーたちと並んで、IBM、マイクロソフト、フェイスブック、グーグルの親会社アルファベットなどAIの可能性を追求している企業の幹部が集まっている。彼らの討議の大きなテーマになっているのが、自動化の拡大が仕事に及ぼす経済効果だ。

ダボス会議2017

民衆の怒りに触れた「貴族」
先進国の綱渡り:高齢社会で成長維持
欧米有権者の不満と「成長率4%」の壁
 企業幹部やエコノミストの多くは、学習あるいは自律的な行動ができるAIが発達すれば、最終的には雇用の純増につながると考えている。つまり、かつての工業化の波と同様に、旧来の雇用がなくなる以上に多くの新たな雇用が生み出され、全体的には繁栄をもたらすという見方だ。しかし、一部には、次の技術革新で得られる利益が不公平にしか分配されない恐れがあり、新たな労働モデルへの移行が多くの労働者にとって厳しいものになりかねないと懸念する向きもある。

 「ディスラプション(破壊)の始まりをわれわれは本当には経験していないと思う」。こう語るのは、セールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)。同社はクラウドを基盤にした顧客情報管理(CRM)システムで大きな市場シェアを持つ。ベニオフCEOは「技術の波は生産性の大幅な上昇を生み出すだろう。しかし同時に、はるかに大きな不平等に直面するリスクがある」と指摘した。

 グローバルな競争激化と自動化の進展は、多くの西側諸国で雇用および賃金の伸びが停滞している要因の一つになっているとエコノミストらは言う。WEFの委託で行われた調査によれば、先進26カ国の年間所得(中央値)は2008−13年に2.6%減少した。

 複数の著名IT企業幹部は、AIなどの技術発展に伴う破壊は、労働者が新たな環境に順応するのに十分なほど漸進的なものになると考えている。例えばIBMのバージニア・ロメッティCEOは17日、「人間か機械かということではない」とし、「それはシンビオティック(共生的)な関係だ。われわれの目的は、人間が行うことに(新技術が)奉仕し、補強することだ」と語った。

 しかし、懸念を呼ぶ前例はある。英オックスフォード大学の経済学者、カール・ベネディクト・フレイ氏によれば、産業革命から生じた生産性上昇は当初、賃金の上昇につながらなかった。そして、賃金上昇が実現したのは、新世代の労働者たちが新たなスキルを身につけた後の約80年後だったという。

 また米マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学者、デービッド・オーター氏によると、製造業などの分野で多くの定期的な仕事が自動化によって失われた一方で、より低度なスキルの手仕事には成長が見られた。また、より柔軟な人知が要求される高度な仕事でも同様に成長が実現した結果、米国の労働力が二極化されたという。

 一部の研究者は、将来的には、配車アプリ大手ウーバー・テクノロジーズなどが手掛ける自動運転車がドライバーの仕事をなくす可能性があるとみている。また、ソフトウエアが執筆や分析など一部のホワイトカラーの仕事を自動化し始める可能性も言及されている。

 コンサルティング大手マッキンゼーの新たな調査によると、世界では11億人以上(米国と欧州は1億人分以上)のフルタイムの雇用が自動化可能な仕事に関連がある。

 マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは18日、「課題はこうした中間スキルの仕事だ」とし、社会の混乱や重い規制を回避するため、企業は新たな社会モデルを検討すべきだと指摘。「われわれはなんとか、資本リターンと労働リターンが均衡する新たな世界に到らなくてはならない。うまく事を進めなければ、悪循環に陥るだろう」と警告した。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiE38vW183RAhXIebwKHYjdAAIQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10504433381807684657504582568170831815222&usg=AFQjCNGkVLU8KENjYf1WwJ28e4YkDB6XAA



 
自動化で消える職業は全体の5%
ダボスで発表された3つの新リポート
ダボス会議で発表された新たなリポートは、完全に自動化されるリスクにさらされているのは全職業のわずか5%にとどまると予測(写真は伊カッシーノにあるフィアット・クライスラー・オートモービルズの工場)

By LAUREN WEBER
2017 年 1 月 19 日 09:50 JST 更新

 スイスの山岳リゾート地ダボスで今週開かれている世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)では、自動化や仕事の未来に焦点を当てた新たなリポートがいくつか発表された。その中から特筆すべきリポートを紹介する。

 いずれロボットが人間の仕事を奪うとの話をよく耳にするが、米マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの新たなリポートによると、完全に自動化されるリスクにさらされているのは全職業のわずか5%にとどまる。 

 仕事は消滅するのではなく劇的に変化するのであり、労働者は変化への順応を余儀なくされるという。同リポートは800種の職業と2000種の業務を分析。既存テクノロジーの利用で2055年までに、現在の労働者が担っている業務の半分が自動化される可能性があると予測する。

 こうした変化は大量の失業につながるわけではなく、自動化により向こう50年間で世界の生産性が年間0.8〜1.4%向上するとリポートは結論づけている。

 ではこうした生産性の向上から恩恵を受けるのは誰か。米コンサルティング大手アクセンチュアの研究によると、社会的・感情的知能といった人間の能力に依存する業務を遂行するために、労働者が技能を磨けるかどうかどうかは企業のリーダー次第だ。戦略的な再訓練のペースを2倍速めることで、自動化の影響を受けやすい仕事の割合を減らせるだろうとアクセンチュアは論じている。

 一方、労働者自身は自動化を敵視しているわけではない。1万人余りを対象に実施されたアクセンチュアの調査によると、向こう5年の間にテクノロジーが自分たちの仕事をどう変化させるかについて、楽観視している人の割合は87%に達した。そうした変化に対する準備ができていると回答した労働者の割合も同程度あった。回答した労働者の約半数が高い技能が必要な職種に就いており、残り半数は中程度もしくは低い技能の職種に二分された。

高技能労働者の育成、1位はスイス

 とはいえ、近い将来も残っていく職業に就くためにどういった技能が必要かについて10人に4人が確信はないと回答。また、常に技能を最新のものにしておくために必要な訓練を雇用主は提供していないとの回答は過半数に達した。

 将来を見据えた労働力の育成は国によって差がある。世界的な人材サービス企業アデコグループ、シンガポールのヒューマン・キャピタル・リーダーシップ研究所、仏インシアード経営大学院の教授らが共同でまとめたリポートでは、高い技能を持った労働者の育成とつなぎ留めに長じた国のランキングでスイスが1位となった。

 2位以下はシンガポール、英国、米国、スウェーデンと続く。労働市場が国全体というより特定地域に偏在することも多いため、同リポートは都市のランキングも作成。それによると、デンマークのコペンハーゲンがトップで、続いてチューリヒ、ヘルシンキ、サンフランシスコ、スウェーデンのヨーテボリとなっている。

 人材という観点から将来性が高いとされた都市の中には、あまり知られていない小都市も少なからず含まれる。例えば、9位につけたオランダのアントホーフェン、11位の英カーディフなどだ。こうした都市では豊かな生活水準が才能ある人材を引きつけているほか、少数ながらも大企業が存在しているおかげで国際的な経験とキャリアを積める機会もあるのだ。 

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ロボット時代に雇用を確保するための知恵
ロボットが雇用奪う?「自分の職は大丈夫」8割
ロボットが人間より優れている10の職業

http://jp.wsj.com/articles/SB11163456931573304514904582566493718009400


 


江藤哲郎のInnovation Finding Journey
ここまできた翻訳マシン、AIと働く日はもうすぐ!
起業パワー都市(その5)
2017/01/19
江藤哲郎 (ベンチャーキャピタリスト)
 私は昨年12月初めに、マイクロソフト本社のあるワシントン州レドモンドのビルディング99でMSR(マイクロソフト・リサーチ)のチーフ・プロダクト・オフィサーであるヴィクラム・デンディと会い、スカイプにAIを搭載した日英のリアルタイム・トランスレータのデモを体験した。まだ発表前の製品だったが、英語から日本語への同時通訳にかなりの自信を持っているようだった。思わず、同行していた日本の大手メーカーやIT各社幹部と目を合わせたが、やはり反応は芳しくなかった。日本語に関しては我々が日本人であり要求レベルが高いことを差し引いても、まだかなり改良の余地ありだった。しかし私は思った。日本語が最後の方に後回しになるよりは良かったと。一方で英中のデモ映像は上海の会議場で収録されたもので、それを見る限り精度は実用化のレベルまで達していた。
シアトルから望むマウント・レーニア ©︎Naonori Kohira
 同社はその3カ月ほど前の9月、それまで各部署に分散していたAI開発と事業関連の部署全てをMSRが母体となる形で一カ所に統合した。約5000人の部隊として発足したのがマイクロソフトAI&リサーチ・グループだ。この新しい事業部の活動によりコルタナは勿論、スカイプ、オフィス365などの同社の代表的製品がAIの機能を順次搭載していく。同社の言うAIの民主化の一環であり、現実的なアプローチだ。これらは世界中で使われている正にグローバル・スタンダードのソフトウェアであり、この何億人というユーザーがAIのベネフィットを最初に享受するべきだという考え方だ。

真のオープン化

 日本に戻った私は年末に、同社品川オフィスにて80年代のサードパーティ同窓会の様な面々の集まりに参加した。日本のWindows対応ソフトの草分けであるイーストの下川和夫社長の呼びかけだった。そこで伊藤かつら役員配下の現役のエバンジェリストの皆さんから説明を受けた。同社のAIのサービスを受けるにあたり、OSはもはやWindowsである必要はない。MacでもLinuxでもいい、と。素晴らしいことだ。最もユーザー本位の考え方であり、真のオープン化だ。これなら対応ソフトを開発する側もやりやすい。四半世紀ほど前、Windowsソフトを増やすためにコンソシアムを立ち上げた身としては、本当に嬉しかった。アップルとのユーザ・インターフェイス訴訟、IBMとのOS/2を巡る確執、ソフトバンクの孫正義社長にコンソシアム会長就任をお願いしビル・ゲイツと握手して貰ったことなどの数々の記憶が頭を巡ったが、ここにエバンジェリズムは脈々と生きていた。

 同社はこれに先駆けオープン・プラットフォームに方針を転換しているが、これには大きな理由がある。主戦場がクラウドに移行したのだ。アジュールに収容してくれさえすれば、その上で機能するOSなどプラットフォーム以上のレイヤーは何でもいいということだ。それらのレイヤーでのテクニカルなギャップはプラットフォーム事業者などBtoBの世界で全て吸収してくれるので、ユーザーはそれぞれが持っている端末からのアクセスが可能になる。

 主戦場となったクラウドの提供者は、アマゾン、グーグル、IBMを加えた所謂4強であり、AIエンジンの4強でもある。各社とも技術のオープン化を推進しつつ、スタートアップの囲い込みには余念がない。中でもマイクロソフトとアマゾンはお膝元のシアトルでAI関連の有望なスタートアップにはアジュールとAWSを無償供与している。青田買いのための奨学金供与競争みたいなもので、しかもマシン・ラーニングのモジュールとセットだ。そのためシアトルではAIで有望なスタートアップが多いこと、マイクロソフト・アクセレレータで現在育成する10社は全てマシン・ラーニングかデータ・サイエンスであることなどは第7回でも述べた。こうしてこの地ではAI産業の裾野が広く形成されつつある。

 AIといえば、多くの方々がチャットボットを連想するほどになったが、この分野も日進月歩だ。マイクロソフトが以前デビューさせたTayは悪意による攻撃で差別や陰謀論を学習したために停止を余儀なくされたものの、問題となった部分に制限をかけZo.aiとして12月に再公開された。Zoは前述のレドモンドでのデモで見たスカイプにも搭載されるという。日本語対応の精度向上と共に期待したい。

 アマゾンの動きもAIのオープン化へ向けて加速中だ。2014年に他社に先駆けて発売したチャットボット家電とも言えるエコーはAI搭載スピ―カーで、そのAIの名はアレクサ。出荷が遅れたグーグル・ホームやJiboなどライバルを尻目に、既に500万台以上を販売した。アレクサは家庭やオフィスで人々と会話しながらどんどん賢くなって行く。注目すべきはアレクサのインターフェイスを公開することで、他社の製品やサービスとの接続が可能になったことだ。レノボのスピーカー、GEの冷蔵庫などの家電は今後ユーザーがアレクサと会話をすることによる操作が可能になる。

右肩あがりの自動車向けAIニーズ

 私のカークランドのオフィスからほど近くに、交通情報を分析し渋滞予測を含めたインテリジェント・データとして放送局などに提供するINRIXがある。私は2年ほど前にCEOのブライアン・ミステレと会い話したが、フォード、マイクロソフトで幹部を歴任した彼は、自動車のインテリジェント化に20年来取り組むパイオニアだ。INRIXはアマゾンのアレクサを同社の自動車運転席用プラットフォームであるOpenCarと接続し、社内のオーディオを操作するサービスを開始する。運転者や同乗者が喋る声だけで選曲し、音読してほしい本のリクエストもできるわけだ。さらに同社が最も得意とする交通情報は乗車中のみならず、出発前に家庭やオフィスでエコーに話しかければ答えてくれるようになる。

 近年ニーズが右肩上がりの自動車向けAIは、その利用法が自動運転から車内エンタテインメントや車内外での情報取得へと広がっている。家電とAIとの接続も米国勢によりどんどん実用化が進む。自動車とエレクトロニクスが未だ基幹産業である日本にとっては、脅威に映るだろう。しかし、その動きを加速させているキーワードがオープン化であり、台風の目はスタートアップであり、彼らの目指すところがグローバル・スタンダードであるということを理解していれば、他国でも打つ手は沢山ある。AIスタートアップの取り込み方次第では、勝ち組になるチャンスもまだまだある。もちろん日本にも。

 その日本でAIについて講演をしていると、シンギュラリティについて意見を聞かれることがある。私は昨今問題とされている2045年にAIが人知を超える云々という点より、もっと手前に大きな課題があると考えている。シンギュラリティの遥か手前、2020年代にも会社の中に必ずAIがやって来る。コーポレート・シンギュラリティの時代の幕開けだ。これは日本にとって歴史的なインパクトになる。

世界ではじめて体験する日本

 そもそも日本は大企業がリードする企業社会だ。これまで人々は所属企業に尽くしながらその人生を形成してきた。会社の中でのポジションや成果を必死に求めてきた日本人の目の前に現れるAIは、会社と彼ら彼女らとの間に入って来る。AIはすでに経理、法務などのバックオフィス部門のみならず、営業などの現場でも業務を支援し、あるいは顧客に対しても相対し始めている。今後はチャットボットがより進化した形で前面に出て来るだろう。日本は少子高齢化とコーポレート・シンギュラリティの両方を、世界に先駆けて身を持って体験する国となる。

 近年、企業の現場では顧客からの注文がより高度化細分化し、特に上場企業は順守せねばならないルールが増えた。しかしそれら全てに対応するためとはいえ、労働時間を増やす方向には行けない。人も時間も増やせない以上、システムにAIにそのリソースを求めていくのは当然だ。そういう意味でも日本はAI先進国となる必然性がある。

 実は人々が求めているのは、自分の質問などのリクエストに対して常時誠実に答えてくれるチャットボットAIではないだろうか。いわば相棒だ。パソコンやスマホ、あるいは車内で端末は違っても同じ相棒AIを頼りにしながら仕事をし、話し相手としても共に生活する。そうなれば仕事場でもプライベートでも、AIはもっと身近で欠かせない存在となるはずだ。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8688
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/118.html

[経世済民118] FRB、19年末まで年数回の利上げを想定 経済は目標に近い 景気拡大継続 バズーカを下ろす各国中銀 
FRB、19年末まで年数回の利上げを想定

イエレンFRB議長はFOMC参加者が19年末まで年に数回の利上げを想定していることを明らかにした
By DAVID HARRISON
2017 年 1 月 19 日 06:12 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は18日の講演で、力強い経済指標を受け、連邦公開市場委員会(FOMC)参加者が2019年末まで年に数回の利上げを想定していることを明らかにした。

 イエレン議長は、今後、長期的な課題が経済成長を押し下げる可能性があると警鐘を鳴らしながらも、FRBは労働市場とインフレの目標達成に近づいていると語った。

 失業率が4.7%に低下していることを挙げ、米国経済の短期的な見通しを楽観視するとともに、インフレ率はFRBの目標の2%に近づきつつあると述べた。

 こうした強い経済指標を受けて、FRBは昨年12月、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げた。イエレン議長は、前回のFOMC参加者は「長期的な均衡金利が2019年末までにFRBが推定する3%に近づくまで、年に数回利上げすると予想している」と語った。

 しかしここ数年、生産性の伸び率が低下しているなど、前途にはさまざまな課題が待ち受けている。

 イエレン議長は「生産性が年に2%上昇すれば、平均的な生活水準は約35年ごとに2倍に向上する。つまり、われわれの子どもたちは今よりも経済的に豊かになると期待することができる。だが、生産性の上昇率が年1%の場合は、そのスパンが70年ごとになる」と述べた。

 議長はさらに、FRBは無党派であり、短期的な政治的圧力に屈せず長期的に健全な経済の醸成に注力する考えを示した。

 米国では20日にドナルド・トランプ氏が次期大統領に就任する。トランプ氏は選挙期間中、FRBとイエレン議長が民主党政権に肩入れしていると批判していた。

 イエレン議長はFRBが設立された1913年は「公益に資する政府改革の時代」だったと述べ、FRBは歴史的に米議会やホワイトハウスから干渉されることなく金融政策を決定してきたと指摘した。

 トランプ氏は選挙運動で減税と政府支出の増加を約束した。これらの政策は今後インフレと経済成長を押し上げる可能性がある。

 イエレン議長はトランプ氏や同氏の政策案には言及しなかったが、FRBが議会から委託された責務である完全雇用と低水準の安定したインフレの達成に向けて経済動向に対応していく方針であることを明確に示した。

 イエレン議長は「FRBが長期的に米国経済にとって最善の政策に注力できるように、当時築かれた体制は意図的に目先の政治圧力からFRBを隔離している。時には不完全なこともある情報と証拠によって、できるだけ客観的に最善の決断を下し、それを実現することを約束する」と述べた。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjDzoKk183RAhVHy7wKHZDXAkEQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582567700365995844&usg=AFQjCNEcSfJSWIi48MxXIqJHhX3w44QZbA


 
エラリアン氏:イエレン議長の発言、予想よりもハト派的だった
Lisa Du、Katherine Chiglinsky
2017年1月19日 13:20 JST

アリアンツの主任経済顧問を務めるモハメド・エラリアン氏は、18日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演内容に関し、金融引き締めをめぐる同議長の姿勢は予想ほど積極的ではなかったとの見方を示した。
  エラリアン氏は同日のブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで議長発言について、「経済の現状を踏まえれば、私の予想よりも幾分ハト派的」だったと語った。
  イエレン議長はサンフランシスコでの講演テキストで、「金融政策の支援レベルを緩やかに減らすのが合理的だ」と述べるとともに、次回の利上げのタイミングは「米経済が今後数カ月間に実際にどのように推移するかに左右される」と発言した。
  エラリアン氏は、議長のコメントからは景気加速を後押しするような財政政策の変化と構造改革を歓迎する姿勢がうかがわれると指摘。「議長は米経済への構造的な逆風を認識しているが、金融政策への過度の依存に伴う非効率性にどのような意味があるか、示唆はなかった」と話した。
  ブルームバーグ・ビューのコラムニストも務めるエラリアン氏は、もっとタカ派的なシグナルを発するお膳立てもあり得たが「議長はそこまで踏み込まなかった」と論じた。
原題:El-Erian Says Yellen Remarks More Dovish Than He Was Expecting(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-19/OK0E7Q6TTDS001

 


米FRB議長:経済は目標に近い−緩やかな利上げ正当化
Craig Torres
2017年1月19日 05:13 JST更新日時 2017年1月19日 09:01 JST

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• 「金融政策の支援のレベルを緩やかに減らすのが合理的」
• 次回の利上げのタイミング、米経済の実際の推移に左右される

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は18日、米経済について、FRBの目標である完全雇用と安定した物価に近いと述べるとともに、経済の改善が続くと自信を示した。
  同議長はサンフランシスコでの講演テキストで、「米経済が最大限の雇用に近く、インフレ率がわれわれの目標に向かっていると言うのが妥当だ」と指摘。「金融政策の支援のレベルを緩やかに減らすのが合理的だ」が、次回の利上げのタイミングは「米経済が今後数カ月間に実際にどのように推移するかに左右される」と述べた。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iTAdAWBx.Lo8/v2/-1x-1.png

  連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の予測中央値によると、昨年12月時点で当局者らは0.25ポイントの利上げを今年3回行うとみていた。イエレン議長は、「私と同僚の大半が」先月、2019年末にかけて「年数回」の利上げを予想していたと語った。
  FOMCは先月、1年ぶりの利上げを実施し主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5ー0.75%のレンジに引き上げたが、これについてイエレン議長は「経済の改善が続くというわれわれの確信」を反映した行動だと説明した。
  18日の市場では、議長が米経済への自信を示したことや追加利上げ見通しを投資家が織り込んだため、ドル相場は上昇。米国債相場は下落した。米国株はまちまち。
  議長は質疑応答で、米経済成長の改善を支えにドル相場が主要貿易相手国通貨に対して堅調に推移し米国の輸出を鈍らせていると指摘し、こうした重しは今後も続くと予想。また、米国の金融安定性へのリスクは「大きくない」と話した上で、トランプ次期政権の新たな政策とそれに伴い米金融当局の見通しがどう変化し得るかを見極めていく考えも表明した。
  海外経済の成長については、世界の不確実性をめぐる「懸念が近年よりも若干薄れている」との認識を示した。
原題:Yellen Says Economy Near Goals Warrants Gradual Rate Hikes (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-18/OJZS5X6K50XU01


 

米地区連銀景況報告:「緩やかな」景気拡大が継続
FRBが18日公表した地区連銀景況報告によると、一部の小売業者の販売価格は値引き競争による打撃を受けた。(写真は米フロリダ州マイアミビーチの屋外カフェ)
By HARRIET TORRY
2017 年 1 月 19 日 06:00 JST

 【ワシントン】米連邦準備制度理事会(FRB)が18日公表した地区連銀景況報告(ベージュブック)によると、昨年末にかけて米国の大半の地区で緩やかな景気拡大が継続し、企業は2017年の経済成長について楽観視していることが示された。

 全米12地区の経済情勢をまとめたこの報告は、「多くの地区で、労働市場が17年も引き締まり続けると予想されており、賃金上昇圧力は高まり、雇用ペースは現状維持あるいは加速する可能性があるとの回答だった」とした。

 今回のベージュブックは、昨年11月下旬から1月9日にかけての経済活動に関する12地区連銀からの事例報告をまとめたもの。大半の地区は賃金が緩やかに上昇したと指摘したほか、8地区は緩やかな物価上昇を報告した。

 総じて全米の上向きな経済情勢が示されたものの、消費支出には不透明感が広がった。大半の地区がホリデーシーズンに小売売上高が増加したと報告した一方、複数地区は期待外れだったと指摘した。小売業者の販売価格が値引き競争による打撃を受けたほか、「1つ以上の地区が、電子商取引(Eコマース)が成長を遂げた一方、実店舗のみの小売業者が犠牲を強いられたと報告した」と記した。

 11月30日に公表された前回のベージュブックによると、一部の企業は大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことを受けた不透明感を報告していた。今回の報告書では新政権が政策を見直すことで見込まれる影響への不透明感を引き続き報告した業種もあった一方、多くが次期政権への期待感を示した。

 クリーブランドとダラスの両地区では、大統領選後の規制緩和と減税への期待から見通しが明るさを増したとの報告があった。

 この報告書は1月31日・2月1日に開催される次回の連邦公開市場委員会(FOMC)を2週間後に控えて公表された。エコノミストや金融市場は概ね、FRBが次回会合で主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.50?0.75%に据え置くと予想している。

 CMEグループのデータによると、FF金利の先物市場が織り込む次回会合での利上げ確率は18日時点で4%にとどまった。

 FRBは12月の前回会合でFF金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げた。利上げを決めたのはこの10年で2度目。FRB当局者は年内にさらに75bpの利上げを見込んでいる。3回に分けて実施する公算が大きい。

 この日のベージュブックは主要なメッセージを一層効果的に伝えるため、新たな形式で発表された。

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バズーカを下ろす各国中銀−広がる緩和疲れ

トランプ次期米大統領はイエレンFRB議長の任期が終わる2018年初めに交代させる方針を明らかにしている
By JON HILSENRATH
2017 年 1 月 17 日 14:14 JST

――筆者のジョン・ヒルゼンラスはWSJ経済担当チーフコレスポンデント

***

 異例の金融刺激策の時代は終わりに近づきつつある。

 各国の中央銀行は、金融資産価格の押し上げを目的とした低金利(場合によってはマイナス金利)政策と債券買い入れによって経済成長を促す取り組みに疲弊している。

 現在は政治的な反発、インフレの気配、財政出動の兆し、失業の減少、政策自体が裏目に出る懸念といったさまざまな要因が、各中銀にこれ以上利下げしないよう圧力をかけている。

 こうした中で最初に動いたのは米連邦準備制度理事会(FRB)だ。約1年の間に 25ベーシスポイント(bp)の利上げを2回実施し、2017年の利上げ回数は3回と予想した。万事計画通りに進めば、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は年末時点で1.375%と、リーマン・ブラザーズが破綻した08年9月以来の水準に達する。

 投資家はこうした転換を想定し、すでに長期金利を押し上げている。10年物の米国債利回りは昨年7月の1.37%から2.5%近くへ跳ね上がっている。

 ドナルド・トランプ氏の大統領就任はFRBにとって転機になるかもしれない。トランプ氏の攻撃対象にはFRBも含まれている。同氏が公約に掲げる減税とインフラ支出は米経済の活性化につながり、低金利への依存は減る可能性がある。

 FRBはトランプ氏の出方を注意深く見守っている。ジャネット・イエレンFRB議長は昨年12月、「そうした政策がどう展開するかは時期尚早で分からない」との見解を示した。

 だが米国の実体経済は、利上げできる状態にある。12月の失業率は4.7%と、労働市場のスラック(余剰)が減少しつつあると言って問題ないほど低かった。賃金は上昇し始めており、インフレはFRBが目標とする2%にそう遠くない。

FRB、ECB、日銀の政策金利

https://si.wsj.net/public/resources/images/WO-BC629_DAVCEN_16U_20170112191205.jpg 

 今年はイエレン議長の任期最後の年になるであろう。トランプ氏は選挙戦で、イエレン氏の任期が終わる2018年初めに議長を交代させる方針を明らかにした。

 その他の国の中央銀行は低金利政策に疲労感をにじませている。

 イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は昨年8月、「私はマイナス金利の支持者ではない」とし、「金融システムの中にその悪影響を見ている。その他の領域でも見てきた。預金者にも問題だ」と述べた。

 昨夏の国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まったことを受け、英国経済は減速するとみられていた。だが減速はせず、政策当局は追加利下げの計画を取り下げた。イングランド銀は現在、英ポンド相場の急落に注意を払わなければいけなくなっている。ポンド安でインフレ率は中銀が年間目標とする2%を年央までに超えるとみられている。

 欧州中央銀行(ECB)は量的緩和として知られる資産買い入れプログラムを17年末まで9カ月延長した。ただ、4月以降の月次買い入れ額は800億ユーロから600億ユーロ(約7兆3000億円)に減額する。

 ECBもすでにマイナスとなっている短期金利の一段の押し下げに神経をとがらせている。12月のユーロ圏インフレ率は1.1%と3年ぶりの高水準に達し、欧州で金融刺激策の緊急性が薄れつつあることを示唆した。

 アジアでは、日本銀行の追加緩和が差し当たり議論から外れる一方、中国人民銀行(中央銀行)は経済成長の必要性と、大幅利下げをちゅうちょさせる信用拡大に主導された不動産ブームとのバランスを図ろうとしている。日本と中国を含め、米国以外の至るところでは、通貨にかかる下押し圧力が一種の刺激として加わっており、利下げの必要性は低下している。

 低金利の時代に経済の急成長は実現しなかった。この政策を支持した先進国では、国内総生産(GDP)成長率が6年連続で2%以下となり、国際通貨基金(IMF)は17年もそうなると予想している。

 低金利政策は預金者や銀行を痛めつけつつ金融市場にゆがみをもたらしたと批判する向きもある。各国中銀は、07〜09年の金融危機がもたらしたデフレ圧力を考慮すると、危機後に選択の余地はなかったと主張している。

 政策当局はこれからFRBとトランプ次期米政権に導かれ、繁栄に向かう別の道筋を見極める新たな時代に突入する。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjh8v2u283RAhXEy7wKHdaxAz4QFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582564342239514130&usg=AFQjCNFLp-_h43PTkUYyFlXl1yYc0WL9hA


 

日経平均は円安進行で1万9000円台回復、東芝・タカタ株急落
 1月19日、東京株式市場で日経平均は続伸。為替が1ドル114円台までドル高/円安方向に振れたことで、主力株を買い戻す動きが広がった。終値は3営業日ぶりに1万9000円台を回復。上げ幅は一時200円を超えたものの、戻り売りに押された。写真は株価ボード。都内で2015年3月撮影(2017年 ロイター/Yuya Shino)
 1月19日、東京株式市場で日経平均は続伸。為替が1ドル114円台までドル高/円安方向に振れたことで、主力株を買い戻す動きが広がった。終値は3営業日ぶりに1万9000円台を回復。上げ幅は一時200円を超えたものの、戻り売りに押された。写真は株価ボード。都内で2015年3月撮影(2017年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 19日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は続伸。為替が1ドル114円台までドル高/円安方向に振れたことで、主力株を買い戻す動きが広がった。終値は3営業日ぶりに1万9000円台を回復。上げ幅は一時200円を超えたものの、戻り売りに押された。

トランプ次期米政権の財務長官に指名されたムニューチン氏の指名公聴会を前に、上値追いに慎重な姿勢もみられた。

33業種中、鉱業、石油・石炭、小売業を除く30業種が上昇。海運など景気敏感セクターや、銀行をはじめとした金融関連株が堅調に推移した。

ドル/円JPY=が114円台後半で伸び悩んだことが日本株の上値を圧迫し、後場の寄り付き後に日経平均はいったん1万9000円を下回る場面があったが、押し目買いが入り持ち直した。ムニューチン氏の指名公聴会のほか、20日には米大統領就任式が予定されており、次第に様子見ムードも強まった。

岡三アセットマネジメント・シニアストラテジストの前野達志氏は「就任演説で具体的な政策の話が出るとは見込みにくいが、当面はトランプ政権への期待感が続くとみられる。何らかの裏付けのあるドル高けん制の動きがトランプ氏側から出ない限り、もうしばらく相場が上昇する可能性は高い」と話す。

個別銘柄では東芝(6502.T)が一時26%超安と急落。取引時間中では昨年4月以来、9カ月ぶりの安値を付けた。共同通信は19日午前、米国原発関連での損失が最大で7000億円規模に膨らむ可能性があることが分かった、と報じた。経営の先行きを懸念した売り圧力が強まった。

タカタ(7312.T)はストップ安比例配分。同社の再建をめぐり有力スポンサー候補2陣営が、タカタの法的整理を提案していることが分かった、と日本経済新聞が報じ、こちらも売り注文が殺到した。空売り調査会社ウェル・インベストメンツ・リサーチがレポートで取り上げたユーグレナ(2931.T)も軟調。一時2年7カ月ぶり安値を付けた。

半面、任天堂(7974.T)が反発。2月2日から配信するスマートフォン向けゲーム「ファイアーエムブレムヒーローズ」では、同社として初めて「ガチャ(有料の電子くじ引き)」型の課金システムを採用したと伝わった。収益面での好影響を期待した買いが優勢となった。

東証1部騰落数は、値上がり1546銘柄に対し、値下がりが364銘柄、変わらずが94銘柄だった。

日経平均.N225

終値      19072.25 +177.88

寄り付き    19082.83

安値/高値   18982.13─19122.39

TOPIX.TOPX

終値       1528.15 +14.29

寄り付き     1528.84

安値/高値    1521.01─1533.98

東証出来高(万株) 225444

東証売買代金(億円) 22666.71

*見出しを修正しました。

(長田善行)

中国の外貨準備は潤沢、資本流出への対応策ある=外為当局
新日鉄住金、ウジミナスからの撤退検討 合弁相手と協議も=幹部
世界の石油・ガス発見量、2016年は70年ぶりの低水準=調査会社
インタビュー:人民元、17年に5%下落の可能性=元人民銀顧問
UBS、ロンドン拠点の1000人に英EU離脱の影響─会長=BBC
http://jp.reuters.com/article/nikkei-jumps-idJPKBN1530KY?sp=true


日本株続伸、米金利上昇と円安で業績期待が復活−景気敏感、銀行上げ
鷺池秀樹
2017年1月19日 08:06 JST更新日時 2017年1月19日 15:36 JST

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タカタ再生案、国内で法的整理の再建求める、出資候補−関係者

• イエレンFRB議長は2019年末にかけ年数回の利上げ示唆
• 為替は一時1ドル=114円80銭台、4営業日ぶり円安水準

19日の東京株式相場は続伸。連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が米国経済に自信を示し、米長期金利が上昇、為替もドル高・円安に振れたことを好感した。企業業績に対する楽観的な見方が復活し、自動車など輸出株、海運株など景気敏感セクター、銀行株中心に高い。

  TOPIXの終値は前日比14.29ポイント(0.9%)高の1528.15、日経平均株価は177円88銭(0.9%)高の1万9072円25銭。日経平均は3日ぶりに1万9000円台に戻した。
  しんきんアセットマネジメント投信の鈴木和仁シニアストラテジストは、米国の消費者物価指数(CPI)でインフレ加速が示唆されたほか、「米景気にかなり慎重とみていたイエレン議長が利上げに前のめりになった印象。ことしの米利上げは6月と12月の2回と予想していたが、3回になることも念頭に置かないといけない」と指摘。完全雇用のような状況でインフラ投資や減税など米次期政権の政策が打たれるため、「米長期金利は高止まり、ドル高・円安基調が続く」との見方を示した。

東証ロゴ

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  米労働省が18日に発表した昨年12月のCPIは前月比0.3%上昇と、前月の0.2%から伸びが拡大した。また、FRBのイエレン議長は18日のサンフランシスコでの講演で、米経済はFRBの目標である完全雇用と安定した物価に近く、改善が続くと先行きにも自信を示した。さらに「私と同僚の大半」が2019年末にかけて年数回の利上げを予想していたとも発言。ダラス連銀のカプラン総裁は、より力強い成長と構造改革により、「米金融政策当局は一段と早急に金利を正常化できるだろう」と述べた。
  このほか、12月の米鉱工業生産指数も前月比0.8%上昇。18日の米10年債利回りは10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上げ2.43%となった。為替市場ではドルが見直され、きょうの東京市場で一時1ドル=114円89銭と13日以来のドル高・円安水準に振れた。前日の日本株終値時点は113円30銭。証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は、「米長期金利の目先のボトムを確認でき、ドル安・円高を通じた日本株下落への警戒感が後退した」と言う。
  この日は朝方から輸出、金融セクター中心に買いが先行、日経平均は午前に一時228円高の1万9122円まで買われた。その後も堅調に推移したが、午前の高値は抜け切れず、午後前半には一時87円高と伸び悩んだ。岡三証券の阿部健児チーフストラテジストは、20日のトランプ次期米大統領の就任式が近づき、「取引は短期筋の手じまいがほとんど」と指摘。11日の会見では貿易不均衡問題で日本を名指しするなど市場関係者の失望を呼んだだけに、就任演説では「財政出動などプラス材料と保護主義政策といったマイナス材料のバランスを見極めたい」としている。
  東証1部の売買高は22億5444万株、売買代金は2兆2667億円。値上がり銘柄数は1546、値下がりは364。東証1部33業種は海運、銀行、パルプ・紙、輸送用機器、非鉄金属、空運、ガラス・土石製品、証券・商品先物取引、機械など30業種が上昇。鉱業、石油・石炭製品、小売の3業種は下落。鉱業や石油は、前日のニューヨーク原油先物の下落がマイナス材料となった。
  売買代金上位では、三菱UFJフィナンシャル・グループやファナック、第一生命ホールディングス、商船三井が買われ、JPモルガン証券が目標株価を上げたホンダも高い。半面、米原子力事業での損失が7000億円規模の可能性と共同通信が報じた東芝は急落。空売り調査会社のウェル・インベストメンツ・リサーチが「売り」を推奨したユーグレナも安い。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ic7LXbJwZzqY/v2/-1x-1.png
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-18/OJZZ3P6JTSEC01


 

シティ、最後の割安銀行株−今が狙い目

シティは今後も業績好転が続くと予想され、投資家にとって割安株を拾うチャンスだ PHOTO:BLOOMBERG NEWS
By
AARON BACK
2017 年 1 月 19 日 15:16 JST
 米銀行大手シティグループの2016年10-12月期(第4四半期)決算を見ると、最近の株高局面において大手銀行の中で同行の株価に出遅れ感がある理由がはっきり分かる。幾らか紆余曲折はあるだろうが、シティは今後も業績好転が続くと予想され、投資家にとって割安株を拾うチャンスだ。
 シティの10-12月期の純利益は前年同期比7%増となり、アナリスト予想を上回った。一方、純営業収益は同8%減少し、予想より悪かった。シティ株の18日終値は前日比1.70%安だった。
 純営業収益の減少は、不良債権の受け皿であるシティ・ホールディングスに起因する。金融危機でほぼ破綻しかけたシティグループが売却予定の資産や業務の一時的保有を目的に09年に設立した会社だ。最終的には清算される予定であるこの受け皿会社を決算対象から外すと、純営業収益は同7%増となる。
 幸い、シティ・ホールディングスの資産規模は急速に縮小しつつある。16年末時点でシティ・ホールディングスの資産残高は540億ドル(約6兆1900億円)で、15年末時点から3分の1減少した。シティグループは17年決算から、シティ・ホールディングス単体としての財務内容は開示しない。
 より心配なのは、10-12月期の株主資本利益率(ROE)が6.2%と、前期の6.8%から低下したことだ。6%台というのは同行の理論的な資本コスト(約10%)をはるかに下回る水準だ。シティグループの株価純資産倍率(PBR)が依然として1倍を大きく下回っているのは、こうしたROEの低さのせいでもある。
 シティは18日、有形自己資本利益率(ROTCE、有形自己資本とは普通株式や利益剰余金で構成される資本のことで優先株などは含まない)を19年までに10%に引き上げる目標であることを明らかにした。16年10-12月期のROTCEは7.1%。10%の目標に到達するためには、費用節減、株主への持続的な資本還元、そしてある程度の運が必要だろう。
シティグループの株主資本利益率(ROE)、四半期ベース
Back in the Wrong Direction Citigroup's quarterly return on equity
 THE WALL STREET JOURNAL Source: The company

 シティにとって金利上昇は追い風になるはずだ。いささか意外なのは、10-12月期の純金利マージンが前期から7ベーシスポイント(bp)縮小し、2.79%となったことだ。ジョン・ガースパッチ最高財務責任者(CFO)は、低金利カードローンの販売促進を強化し、同ローン残高が増えたことを一因に挙げた。
 シティグループは米会員制量販店大手コストコ・ホールセールのクレジットカード事業を金融総合サービス大手のアメリカン・エキスプレス(アメックス)から買収し、キャッシュバック付きクレジットカードを提供するなどして、カードローン業務へ積極的に参入している。シティ発行のカードと提携先企業が発行したクレジットカードの両方を合わせると、シティのカードローン残高は16年に17%増加し、1270億ドルに達した。ガースパッチCFOによると、新規顧客のローン残高が増え、ローン金利がより高い水準にリセット(再設定)されるのに伴い、17年後半までにカード事業は利益を生み始める見通しだ。
 ROE押し上げのためには、470億ドルの繰延税金資産を減らすことも重要だ。繰延税金資産を計上すると、自己資本が増える。金利上昇を受けて一部の保有証券について評価損を計上したため、10-12月期に繰延税金資産は少し増加した。だが、金利の上昇は明らかに長期的なプラス材料だ。金利が上昇すれば、シティは利益を増やすことができ、ひいては繰延税金資産が減るからだ。
 シティグループは非常に魅力的な銀行とは到底言い難いが、正しい方向に進んでいる。米大統領選以降の金融株の上昇を受け、足元のPBRがわすか0.77倍のシティは、大手米銀の中で最後に残った割安株でもある。この株価水準なら、忍耐強く待った投資家にはいずれ利益がもたらされるはずだ。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwigs_Sm183RAhWIXrwKHam1A80QFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10504433381807684657504582568453707647784&usg=AFQjCNG-6r-qYNHAq7a3q_VOQ0Ypqi0v3w


http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/119.html

[国際17] 米国民の大多数「トランプ氏はツイッターやめよ」 ドル高包囲トランプ 利益相反 商務長官通訳 共和党国境税調整 人民元下落
米国民の大多数「トランプ氏はツイッターやめよ」
世論調査
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WSJとNBCの世論調査では、米国民の大多数はトランプ氏のツイッター多用を悪い考えだと思っていることがわかった(英語音声、英語字幕あり) Photo: Getty
By JANET HOOK
2017 年 1 月 19 日 12:35 JST

 米国民は、ドナルド・トランプ次期大統領に対して明確なメッセージを1つ持っている。それは「ツイッターをやめよ」というものだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCが行った新たな世論調査によると、米国民の大多数はトランプ氏のツイッター多用を悪い考えだと思っている。

 今回の調査では約69%の成人が、「一瞬のうちにメッセージが精査されないまま意図せぬ重大な影響を持つ可能性がある」という理由から、トランプ氏のツイッター利用に否定的であることが明らかになった。

 対照的に、同氏のツイッター利用が良いのは「大統領が即時に直接国民と対話できるためだ」という意見に同意したのは26%にとどまった。

 トランプ氏のツイッター発信に対する否定的な見方は、党派に偏ったものでない。共和党支持者の間でも、47%は同氏のツイッター利用が悪いアイデアだと述べ、良いと答えた46%を上回った。否定的な人の割合は、無党派の3分の2、民主党支持者の89%に上った。

 最もソーシャルメディアを利用しているミレニアル世代でも、トランプ氏のツイッター利用は良く受け取られていない。18―34歳のうち、約76%は同氏のツイッター利用が悪い考えだと回答した。

 トランプ氏は午前中にツイートすることが多い。その内容は医療保険政策に関するものから、コメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ」内で放送されたミニコントに関する反応(トランプ氏を風刺したコントなので、同氏の反応はもちろん否定的)に至るまでさまざまだ。

 同氏が発信したツイートは、その日のワシントンでの政治的議論の方向を決めることもしばしばある。

 今回の世論調査は、これまでと違ったタイプの大統領になりそうなトランプ氏の複数の特徴について評価するよう回答者に求めた。例えば政治の政界にビジネス志向のアプローチを持ち込むことや、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と前向きで個人的な関係を持とうとすることをどう評価するかだ。

 この回答の中で、最も不評だったのがツイートだった。回答者の55%がツイートに強く反対すると回答したのに対し、強く支持すると回答した人はわずか9%だった。

 調査は成人1000人を対象に1月12-15日に実施された。誤差の範囲はプラスマイナス3.1ポイント。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj85fyo183RAhWMe7wKHd6FCfoQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10504433381807684657504582568220661528512&usg=AFQjCNFj-qJfTf6BWBhW5y5OZH3e66b3Uw

 


トランプ氏「利益相反」でなお残る疑問
事業を息子たちに譲るというが、専門家は不明点を指摘
当選後初の記者会見に臨んだトランプ次期米大統領と弁護士のシェリ・ディロン氏

By ALEXANDRA BERZON
2017 年 1 月 19 日 11:57 JST

 ドナルド・トランプ次期米大統領は世界中に保有する膨大な資産を自身から確実に切り離すための計画を発表したが、その詳細については不明な点が多いと法務・財務の専門家は指摘する。

 「多くの疑問が残されたままだ」。ジョージ・W・ブッシュ前大統領の倫理担当弁護士で、トランプ氏に資産を売却するよう進言したこともあるリチャード・ペインター氏はこう話す。

 トランプ氏は先週行われた当選後初の記者会見で、事業を売却したり、ホテルなどの所有資産をブラインド・トラスト(白紙委任信託)に移したりする必要はないと述べた。これは国家の利害と大統領の個人財産に関する利害を明確に切り離すために行われてきた慣例に反する。

 モルガン・ルイス・アンド・バッキアス弁護士事務所がまとめた全6ページの「白書」によると、トランプ氏の資産を含む信託は息子たちとトランプ・オーガニゼーションのアレン・ウィーゼルバーグ最高財務責任者(CFO)が管理し、トランプ氏には事業に関する詳細へのアクセス権がなくなる。

 外国政府によるホテルへの支払いで得られた利益はすべて国庫に寄付する計画も盛り込まれている。会社に利益が流れ込むのは憲法違反になりかねないとの懸念を払拭(ふっしょく)するのが狙いだ。加えて、新規事業はすべて米国内に限定されるほか、倫理担当の顧問らの承認を得なければならない。

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トランプ氏は利益相反を避けるための計画を発表したが専門家からは批判が出ている(英語音声、英語字幕あり)Photo: Getty Images.
 白書によれば、トランプ氏の家族や同社幹部は米政府筋から得られた非公開情報を自分たちの財務上の利益のために利用することはできないことになっている。

 だが専門家はこのトランプ氏の案が多くの重要な問題に言及していないと指摘する。例えば、トランプ氏の息子たちやビジネスパートナー、他の企業幹部などによるロビー活動には制限が設けられるのか、国内の事業プロジェクトに対する外国からの投資を引き続き受け入れるのか、トランプ氏の子供たちは父親の事業とは別に独自に取引ができるのか、またその資金の出所に関する情報は公表されるのか、信託はどのように管理されるのか、といった点だ。

 ロビー活動は禁止されるのかとの問いに対してトランプ氏の報道担当者は電子メールで、トランプ・オーガニゼーションは政府に対してロビー活動はしないと回答した。外国人による国内事業への投資に関する質問に対しては、顧問委員会や倫理担当顧問などが全ての投資を精査し、新規事業は倫理担当顧問による承認が必要になるとした。

 トランプ氏の政権移行チームはこの件に関してその他の質問には答えなかった。モルガ・ルイスの代表者は、顧客に代わって質問に答えることはないと話した。

 米国の憲法には、選挙で選ばれた公職者が外国政府から支払いを受けることを禁じる条項がある。専門家によると、これがトランプ氏にとって大きな問題となる可能性がある。トランプ氏の弁護士は白書の中で、同氏の事業に対するこうした支払いは大統領としての活動に関係していないため憲法違反になるとは考えていないが、それでも「何であれ邪魔なものは取り除く」ために、懸念への対策を講じていると述べている。

首都ワシントンにあるトランプ・インターナショナル・ホテル ENLARGE
首都ワシントンにあるトランプ・インターナショナル・ホテル PHOTO: ZACH GIBSON/BLOOMBERG NEWS
 共和党全国委員会で法務顧問を務めていたジャン・バラン氏は、将来起こり得る問題に対してトランプ氏は適切に取り組んでいると思うと話した。連邦政府の職員には自身の財産に影響を与えるような事柄について決定しないよう義務づける法律が適用されるが、大統領と副大統領は適用除外となることを考えればなおさらだという。バラン氏は倫理関連の専門家が訴えている懸念は大したことではないと述べた。

 「彼の富は前例がなく、事業の性質も前例がない。彼がやろうとしていることも前例がない。問題はこれが実際にどう運ぶかだ。彼は事業から距離をおくか? そうするだろうし、できると思う」

 大統領の家族が事業取引を巡って論争の矢面に立たされることは過去にもあった。例えばジミー・カーター元大統領の弟ビリー・カーター氏がビールのブランド「ビリービール」を宣伝したときだ。

 「うまい具合に対処しなければ『ビリービール』の1000倍くらいの問題になるだろう」と、ブッシュ前大統領の弁護士だったペインター氏は話した。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjMgbCv183RAhVGu7wKHZfHDkUQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10504433381807684657504582567992429698290&usg=AFQjCNH27-TxAgRthGN8yhQfkAntu9YqrQ


 

ドル高に包囲されたトランプ次期大統領
次期政権が始動すれば、ドルは一段と上昇する可能性も
By JUSTIN LAHART
2017 年 1 月 19 日 12:19 JST

―WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 ドナルド・トランプ次期米大統領には申し訳ないが、今はどのような発言をしてもドル高が進行する状況にあるとお伝えしたい。

 トランプ氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューの中で、ドルは「強すぎる」と発言した。そう言いたくなる理由もよく分かる。同氏は米国から雇用を移転し海外で商品を製造する企業を批判しているが、ドルが強ければそれら輸入企業には仕入れコストを減らせるメリットが生じる。一方で米国からの輸出品は競争力を失い、トランプ氏が支援する労働者たちが痛みを感じることになるからだ。

 皮肉なのは、トランプ氏の当選を受けてドル高が一層進んだということだ。この背景には、同氏が減税やインフラ投資、規制緩和を断行することで、米国に海外からの投資が向かいやすくなるだろうという見方がある。WSJとのインタビューにおける発言を受けてドルは多少売られたが、それでも他国通貨に対して2000年代初頭以来の高い水準にある。

 実際トランプ氏がどのような発言をしようとも、投資家の期待通りに経済成長を達成できれば、ドル高はさらに進むだろう。消費が拡大し、企業利益が増え、金利が上がれば、米国はより魅力的な市場になるからだ。仮にトランプ氏が輸入企業に罰を科すなどして状況を変えようとすれば、なおさらドル高が進行し、どのような対策を採ろうともその効果が弱められることになる可能性がある。

 トランプ氏は、議会共和党の法人税改革案に盛り込まれている「国境調整」案を批判しているが、受け入れたと仮定してみよう。これは輸入品に税金をかける一方で、輸出品はそれを免除するという措置だ。その目的は、企業に米国内で雇用を生みだし、製造を行うよう促すことにある。この場合、輸入量は輸出量と比較して相対的に減ることになり、結果的に貿易赤字は縮小する。

 しかし、輸入が減少すればその支払いに必要な外貨の需要も減少し、相対的にドルの需要が高まることにもつながる。その結果、やはりドル高が進むことになるだろう。一部専門家は国境調整の効果を相殺する為替の変化が起こると主張しており、下院共和党案に基づけば、その場合ドルは25%上昇する。貿易以外にも為替はさまざまな要因を受けて変動するので、この推計は過剰かもしれない。しかし、ドルが大きな揺さぶりを受ける可能性があるのは確かだ。ドルで取引される金融商品の多さや世界で大量のドル建て債務が発行されていることを考えれば、世界の金融市場もかなりの影響を受けることになるかもしれない。

 トランプ氏は法人税の国境調整が「複雑すぎる」と批判している。そのため投資家は、トランプ政権が大幅な関税をかけて貿易制裁も実施するような最終シナリオを考慮する必要もある。国境調整と同じように、これによって輸入が減少してドル高が進む可能性もある。しかもこの場合、貿易相手国が何かしらの報復措置に踏み切る可能性が高い。

 トランプ氏にはドルを制御することはできない。18日の為替の動きがその証しだ。次期大統領にとっては、通貨高の影響を相殺できるほどの経済成長を実現させることが最良の筋書きだろう。それができなければトランプ氏がどのような発言をしても、強いドルが米国経済に重くのしかかることになる。

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コラム:ドル安誘導で「不確実性」高まるトランプ経済政策
 

Peter Thal Larsen

[ダボス(スイス) 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ドナルド・トランプ次期米大統領は遠からず、どの経済目標を切り捨てるか決断を迫られるかもしれない。

20日に大統領に就任するトランプ氏は、米国の貿易赤字を縮小すると同時に、法人税減税によって米国経済を押し上げたいと考えており、ここにきて、ドルが高過ぎるとも発言している。

しかし、こうした計画をうまく調整することは、長年にわたって確立されてきたタブーを破らなければ不可能だ。

大統領選におけるトランプ氏の発言から、理路整然とした一連の政策を見定めることは無理な話だ。投資家は、トランプ新政権と議会が法人税率を引き下げることにより経済を押し上げるとの結論を下した。国際通貨基金(IMF)もまた、今週に入り、2018年における米国経済の成長見通しを2.5%に引き上げている。

しかし、米国経済はすでに好調だ。過去1年の大半において、失業率は5%を下回っている。リスクと言えば、財政刺激策が賃金と物価の上昇へと波及し、米連邦準備理事会(FRB)が予想よりも早く利上げを行うことだ。ハト派のブレイナードFRB理事でさえ、そのような見方を強めている。

そのような利上げ期待は、一方でドル上昇を招いている。米大統領選でトランプ氏が勝利した後の2カ月で、ドルは、いくぶん押し戻されはしたが、主要通貨に対し6%超上昇した。ドル高は貿易赤字の拡大を招き、米企業に雇用を海外に移転する動機を与えかねない。この2つの問題こそ、まさにトランプ氏が解決すると約束していることではなかったか。

トランプ氏と同氏のアドバイザーたちはこの脅威に気づいた。ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、トランプ氏はドルが「高過ぎる」と発言している。賢明な決断は、減税規模を縮小し、インフラ投資と米国の長期的な潜在成長を押し上げることになるであろう教育に財政支出することだろう。

とはいうものの、トランプ氏が貿易赤字を関税で帳消しにしようとする危険性も残されている。そうなれば、世界的な貿易戦争が引き起こされるだろう。あるいは、FRBに利上げをしないよう政治的圧力をかける可能性もある。中央銀行の独立性をむしばみ、インフレを招くリスクが生じる。

どちらの場合も、長期的に見れば、米国経済は悪化するだろう。だがもしトランプ氏の経済チームが理性的であろうとするなら、まずは大胆なアイデアのいくつかを断念するよう、同氏を説得せねばなるまい。

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コラム:ロス次期米商務長官、トランプ政策を巧みに「通訳」

By Gina Chon

[ワシントン 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ次期米政権の商務長官に指名された著名投資家のウィルバー・ロス氏は18日、上院商業科学運輸委員会の指名承認公聴会で、トランプ氏の発言の「通訳係」を買って出たようだ。

ロス氏は貿易戦争が起こるとの懸念を鎮め、中国による鉄鋼製品のダンピング(不当廉売)などの慣行を制止することに焦点を当てた。こうした対応は議会で広く支持されているものだ。北米自由貿易協定(NAFTA)に関する協議が最初の試金石となるだろう。

トランプ氏の選挙運動では、貿易問題で特に中国を批判することが定例化。最近では、BMW(BMWG.DE)などの自動車メーカーがメキシコで生産して米国へ輸出する車両に35%課税すると脅している。トランプ氏はまた、環太平洋連携協定(TPP)を破棄し、NAFTAについては再交渉する意向だ。

ロス氏は、こうしたトランプ氏の論調を和らげるとともに、通商政策では「むち」よりも「あめ」を駆使する方針を表明。自動車メーカーに対する課税の警告については、貿易相手国に変革を促す有効な手法と位置付けつつも、成長を押し上げるには輸出促進の方が効果的だと述べた。上院商業科学運輸委のジョン・スーン委員長はロス氏の証言について、トランプ氏の発言に「震え上がっていた」多数の人々に「安心感を与える」内容だったと述べた。

さらにロス氏は、米国に必要なのは平等な競争環境を整備することだと指摘。こうした取り組みには、製品を国内よりも安い価格や生産コストを下回る価格で輸出している貿易相手国への対抗措置として、輸入関税をより有効に実施することが含まれるだろう。民主党の上院議員数人も、こうした手法を称賛した。

公聴会で注目度が比較的低かったのは、これまで貿易で利害が生じてきた業界におけるロス氏の金融資産だ。例えばロス氏は2002年に製鉄会社インターナショナル・スチール・グループ(ISG)を設立。同社は当時のブッシュ大統領が導入した輸入鉄鋼製品に30%の関税を課す措置で恩恵を受けた。ロス氏は2004年にISGをアルセロール・ミタル(ISPA.AS)の前身企業に45億ドルで売却した。さらにロス氏は利益相反を避けるため、何億ドルもの資産を売却し約50の役職から退くと表明した。

通商問題に関するトランプ氏の激しい論調と比べ、ロス氏の主張は分別をわきまえている。ロス氏は商務長官としての最初の業務はNAFTAの再交渉になると話した。ロス氏がトランプ氏の真意を代弁しているのかどうかが分かるのは、その時になってからだろう。

●背景となるニュース

*ウィルバー・ロス氏は18日、上院商業科学運輸委員会の指名承認公聴会で、自分は貿易に反対しているのではなく、賢明な通商政策が好ましいと考えていると強調した。

*ロス氏は、米当局者は外国によるダンピング製品の対米輸出を阻止したり、輸出品への助成を相殺する取り組みの強化が必要だと主張したが、それよりも輸出の促進に重点を置く考えを示した。指名が承認されれば、NAFTAの再交渉を最優先すると表明した。

*ロス氏は利益相反の問題を回避するため、何億ドルもの資産を売却し約50の役職から退くと述べた。
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米共和党幹部、国境税調整の必要性訴える トランプ氏の批判受け

[ワシントン 18日 ロイター] - 米議会下院歳入委員会のケビン・ブレイディ委員長(共和党)は18日、共和党が検討する法人税の国境税調整をトランプ次期大統領が「複雑すぎる」と批判したことについて、米企業の国外移転を阻止するためには税制改革に盛り込む必要があると訴えた。

ブレイディ氏はCNBCとのインタビューで、国境税調整について共和党議員はトランプ氏の政権移行チームと協議中であることを明らかにしたうえで、「この規定を前に進められると確信している」と強調。「この規定がなければ、雇用や製造業は引き続き国外に移転するだろう」と語った。

トランプ氏は17日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、国境税調整を「複雑すぎる」と批判。「国境調整と聞いて良いと思ったことはない。なぜなら調整によっていつも損するからだ」と述べた。

国境税調整は輸出企業の税を軽減し、輸入企業の税負担を増やす仕組みで、輸入への依存度が高い業界からは批判が出ている。ただ、米製造業の雇用促進につながるとみられていることから、トランプ氏の発言は経済界に意外感を持って受け止められた。

トランプ氏の発言を受けて、ゴールドマン・サックスは下院共和党が推進する税制改革の一環として国境税調整が導入される「主観的な確率」を30%から20%に引き下げた。

ただ、トランプ氏はニュースサイト「アクシオス」が18日に掲載したインタビューで、国境税調整を引き続き検討していると述べた。

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トランプ氏、選挙活動の軌道修正か撤退すべき=WSJ論説
トランプ氏は軌道修正か撤退を、WSJが辛らつ批判
TPPは「終焉」、2国間交渉に注力=トランプ氏顧問
中国からロンドンに貨物列車が到着、「一帯一路」大きく前進
日本の対台湾窓口機関、1月から名称変更 中国は不快感表明
http://jp.reuters.com/article/taxreform-us-idJPKBN15308E


 


インタビュー:人民元、17年に5%下落の可能性=元人民銀顧問

[ダボス(スイス) 18日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)の顧問を務めた清華大学の李稲葵教授が、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に合わせてロイターが開いたグローバル・マーケッツ・フォーラムに参加し、人民元が2017年に5%下落する可能性があるとの見方を示した。

主なやり取りは以下の通り。

──人民元は3年連続で下落しているが、人民銀の抑えがきかなくなる水準はどの辺りか。

「水準は5%安だと考える。5%より大きく下げれば、さらなる資金流出の引き金となる」

──人民銀の外貨準備は14年7月以降に1兆ドル目減りした。為替変動のコントロールにあとどれぐらい使うつもりなのか。

「オンショア、オフショアともに介入するだろう。人民銀が適切に対応すれば、あと2000億─3000億ドルの投下で目標を達成するのではないか」

──資本逃避抑制に向けた最近の措置についてどう思うか。

「これまで資本流出の80%は企業によるものだ。人民銀は企業主導の資本流出の6割に上る実体を伴わない輸出に厳しく対処するだろう。家計の米ドル両替にはそれほど措置が取られるとは思わない」

──中国は今年、「痛みのある」改革を推し進めるために成長鈍化を受け入れると思うか。

「中央政府や最高指導部はそうするだろう。しかし、今年は共産党党大会が開かれる。地方政府の当局者らは昇進へ競い合っており、国内総生産(GDP)が改革推進より分かりやすい。このため、最終的には成長が最優先となる」

──人民銀が年内に引き締め政策を取ると思うか。インフレ率が上昇すれば、金利を引き上げるか。

「企業が低い借り入れコストを切望しているため、金利引き上げは考えにくい。しかし、人民銀は社会融資総量の水準をある程度に維持しようとしており、信用の伸びを注視している。(望ましい信用の伸びは)年率12%を超えないレベルだ」

──人民銀にとって今年最大のチャレンジは何だと思うか。

「トランプ次期米大統領だ。世界の投資家らは最初の半年間、『トランプ経済』に多大で非現実的な期待を抱くだろう。例えば、インフラ、減税、貿易推進といった分野だ。米ドルは上昇して資金が米国に流れ込み、元には問題となる。しかし、そのうち『トランプ経済』が機能するには時間がかかると分かってくるだろう。このため、半年たつと米ドルは下落すると考える」

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http://jp.reuters.com/article/interview-rmb-idJPKBN1530GJ
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/377.html

[経世済民118] 「中国を見くびるな」=対米貿易で報復主張―共産党系紙 株続伸ドル買 ムニューチン次期米財務長官は「差し押さえ王」
「中国を見くびるな」=対米貿易で報復主張―共産党系紙【1/19 17:46】
【北京時事】19日付の中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報(英語版)は社説で、トランプ次期米大統領に対して「中国を見くびるな」と批判した。その上で、中国への高率関税などで貿易紛争を仕掛けてきた場合、米ボーイング製の航空機や農産物を標的に報復すべきだと主張した。

実際に報復措置が発動されると、米国産大豆を中国に大量に販売している日本の大手商社などにも影響が及びそうだ。

トランプ氏が商務長官に指名したウィルバー・ロス氏は18日、「中国は最も保護主義的」として、「不公正貿易」の是正を迫る考えを表明。対中強硬姿勢を鮮明に打ち出した。

同紙は「中国の対米貿易黒字は不公正貿易の結果ではなく、相互補完の関係によるものだ」と指摘。「中国は米国産綿花、小麦、豆類、ボーイング機の主要な買い手」とした上で、状況次第でこうした物を対象に中国政府が報復することがあり得るとの見方を示した。

中国外務省の華春瑩・副報道局長も19日の記者会見で「どの国が保護主義なのかについて、ロス氏は真逆のことを言っている」と不快感を示した。

中国は「貿易紛争となれば双方とも傷を負うだけだ」(習近平国家主席)と警告しながら、新政権の実際の出方をうかがっている状況。共産党系紙を使ってトランプ氏をけん制したとみられる。


東京市場サマリー(19日)【1/19 17:20】
【東京株式】続伸=積極買いは限定的

外国為替市場での円安を背景に幅広い銘柄が買い戻され、日経平均株価は前日比177円88銭高の1万9072円25銭、東証株価指数(TOPIX)は14.29ポイント高の1528.15と、ともに続伸した。ただ、トランプ次期米大統領の就任を前に積極的な買いは限られた。銘柄の77%が値上がりし、値下がりは18%。出来高は22億5444万株、売買代金は2兆2666億円だった。

【東京外為】ドル、114円台後半=イエレン講演で終盤も買い

東京外国為替市場のドルの対円相場(気配値)は、前日の講演でイエレンFRB議長が利上げへ前向きな姿勢を示したことから買いが強まり、1ドル=114円台後半に大幅上昇した。午後5時現在は114円82〜83銭と前日(午後5時、113円32〜33銭)比1円50銭のドル高・円安。ユーロは対円で大幅上昇、対ドルで下落。午後5時現在は1ユーロ=122円19〜20銭(前日午後5時、121円02〜02銭)、対ドルで1.0641〜0641ドル(同1.0678〜0678ドル)。

【東京債券】先物、下落=長期金利は0.070%

債券先物は下落。長期国債先物の中心限月2017年3月物は前日比23銭安の150円09銭で取引を終えた。長期金利の指標となる新発10年物国債345回債の利回りは0.020%上昇の0.070%。先物は午前中、前日の米債売りの流れを受けてマイナス圏でもみ合った。午後は5年債入札が「低調だった」(国内証券)ため、入札直後に一時150円00銭前後まで売られた。その後も円安・株高基調から小動きが続いた。

【短期金融市場】無担保コール翌日物速報値、マイナス0.047%

日銀が公表した短期金融市場での無担保コール翌日物の速報値は、加重平均がマイナス0.047%(前営業日確報値マイナス0.047%)、最高レートは0.001%(同0.001%)、最低レートはマイナス0.078%(同マイナス0.078%)だった。

【東京原油】中東産原油、米欧安受け反落=あと下げ幅縮小

中東産原油は反落。終値は、中心限月6月先ぎりが前日比400円安の3万8340円、他限月は160〜440円安。為替相場は大きく円安・ドル高に振れたが、18日のニューヨーク原油(WTI)が、米国内の増産観測を背景に急落したことから、日中立ち会いは整理売り先行で始まった。その後は、WTIの堅調地合いを眺めて下げ幅を縮小、午後はマイナス圏でもみ合った。

【東京金】円安受け反発

金は反発。終値は、中心限月の12月先ぎりが前日比13円高の4407円、他限月は9〜12円高。日中立ち会いは、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)の発言を受けて早朝に急速に円安が進んだことを受け、買いが先行した。ニューヨーク金先物相場の軟調を受け、上げ幅を縮小する場面もあったが、午後はプラス圏でもみ合った。

【経済統計】

◆16年の工作機械受注、15.6%減=内外需ともに不振―日工会

【要人発言】

◆特になし

【ニュースから】

◆東芝、米原発事業の損失5000億円超も=政投銀に支援要請

◆監視委、天下りあっせん問題で調査結果通知へ=文科省、幹部ら処分―次官は辞意

◆16年首都圏のマンション発売、24年ぶり低水準=価格高騰で需要冷え込み

 


ホテルに雪崩、死者多数=震源地近くのスキー場―イタリア中部【1/19 18:19】
【パリ時事】イタリアからの報道によると、18日夜(日本時間19日午前)、伊中部ファリンドラのスキー場のホテルが雪崩に襲われ、多数の宿泊客が死亡した。

ホテルには約30人が滞在していたとみられる。19日朝(同日午後)までに2人が救助されたが、うち1人は危険な状態という。地元当局者は「多数の死者が出ている」と話した。

ファリンドラは、昨年以降大規模な地震が続く中部の町アマトリーチェから南東に約100キロ。18日にもアマトリーチェ付近を震源とするマグニチュード(M)5.7の強い地震があった。


〔ロンドン外為〕円、114円台後半(19日午前9時)【1/19 18:09】
【ロンドン時事】19日朝のロンドン外国為替市場の円相場は、米追加利上げ観測を背景にドル買いが進んだ海外市場の流れを引き継ぎ、1ドル=114円台後半に下落した。午前9時現在は114円60〜70銭と、前日午後4時(113円20〜30銭)比1円40銭の大幅な円安・ドル高。

ユーロの対ドル相場は午前9時現在1ユーロ=1.0650〜0660ドル(前日午後4時は1.0690〜0700ドル)。対円では同122円10〜20銭(121円10〜20銭)。

情報提供:株式会社時事通信社株式会社時事通信社
http://fx.dmm.com/market/news/


 


ムニューチン次期米財務長官は「差し押さえ王」? 早わかりQ&A
消費者保護団体や借り手に貼られたレッテルは果たしてその通りか
米国の次期財務長官に指名されたスティーブン・ムニューチン氏は19日、上院の指名承認公聴会に臨む
By ANNAMARIA ANDRIOTIS
2017 年 1 月 19 日 10:18 JST

 米国の次期財務長官に指名されたスティーブン・ムニューチン氏は19日、上院の指名承認公聴会に臨む。同氏は米カリフォルニア州パサデナに本拠を置くワンウエスト銀行の会長、そして米金融大手ゴールドマン・サックス・グループのパートナーを務めた経歴を持つ。ムニューチン氏にまつわる疑問に答えた。

1. 「差し押さえ王」だったのか

 このレッテルはムニューチン氏の財務長官指名が発表されて以降、一部の消費者保護団体や借り手によって貼られたものだ。実際は微妙だ。

 ワンウエストは確かに多くの物件を差し押さえたが、大半の貸し手ほど多かったわけではない。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の委託を受けてアトム・データ・ソリューションズが行った分析によると、同行は2009年3月から15年7月の間に13万7000超の住宅を対象に差し押さえ手続きを開始した。

 これは業界全体で同期間内に開始された手続きの1.8%に当たる。同期間中に手続きが完了した件数は4万1000件近くで、業界全体の0.8%に相当する。

2. 差し押さえにまつわる恐ろしい話は本当か

 ワンウエストが住宅金融機関のインディマック銀行を買収した2009年には差し押さえ手続きの開始件数が倍以上となり、業界全体の3%近くに達した。

 こうした手続きが開始されたのは、ムニューチン氏がインディマックに関わる前だ。米連邦預金保険公社(FDIC)が経営破綻したインディマックを2008年7月に管理下に置いたとき、同行は2カ月以上返済が滞っている住宅ローンを6万件以上抱えていた。これは第1順位の抵当権が付けられた住宅ローン65万3000件のうち9.2%に当たる。

 差し押さえの開始件数が急増したのは、ムニューチン氏が関与する前のことだ。開始件数は2008年に2万5000件以上となり、07年の9500件から大幅に増えた。

3. インディマックの融資は大半の銀行よりも悪質だったのか

 そうだ。少なくとも、これ以上ないくらい悪質な部類の1つに当てはまる。サブプライムローン(信用力の低い個人向け融資)を扱っていた上、借り手に返済能力があることを証明する書類も作成していなかった。そのようなローンを少ない返済額で組んだことで、むしろ借り手の債務残高は増加した。それが悲惨な結果を招くことになった。

 業界誌インサイド・モーゲージ・ファイナンスによると、インディマックは2006年当時、サブプライムとプライムの中間に位置づけられる「オルトA」ローンで米国最大の貸し手となっており、借り手の所得や資産の裏付けなしに700億ドルの住宅ローンを提供していた。このカテゴリーで膨大な融資残高を保有していたため、2006年時点で住宅ローン業界全体で9位の大手行となっていた。

4. ワンウエストは融資条件の変更に応じなかったのか

 ワンウエストが借り手が住宅を保有し続けられるよう支援していなかった証拠はいくつかある。

 FDICを含む規制当局と議員に送付された2011年の書簡で、ワンウエストに勤務していたと述べる複数の人々が、同行が「融資条件の変更を認めていれば、差し押さえで得たほどは稼げなかっただろう」と主張した。この書簡によると、融資条件の変更を担当していたスタッフは「条件変更の申請書を日常的にシュレッダーにかけて」おり、電話をかけてきた住宅所有者にはうそをついていたという。

 WSJは情報公開法に基づいてこの書簡の写しを入手した。

 FDICの監察総監室は、この主張を裏付ける証拠が見つからなかったと述べた上で、書簡内容の一部が事実に反すると指摘した。

 米財務省が公表した2013年のリポートによると、融資条件の変更申請が受け入れられなかった、あるいは審査がキャンセルされた住宅所有者に対する差し押さえ完了比率は、住宅ローン大手の中でワンウエストが2番目に高かった。

5. ワンウエストの元経営幹部は何と言っているのか

 同行の元上級幹部たちは意図的な不正行為は一切なかったと主張している。幹部らによると、ムニューチン氏は返済に苦しむ借り手の条件変更を検討するよう同僚に指示していたという。これはFDICが2008年にインディマックを管理下に置いたときに取り決めた行動と一致する。

 「可能な限り全ての借り手の物件を差し押さえることは、スティーブが最もやりたがっていなかったことだ。なぜなら苦労して資産を買収し、その価値を守ろうとしていのだから」。元幹部の一人はこう話している。

 ワンウエストの元幹部と元規制当局者によれば、同行は資格があると認めた借り手に対しては融資条件の変更に応じていた。しかし、同行ではローンの大半が売却され、投資家が条件変更よりも、差し押さえ手続きを進めることを望む場合が多かった。

 また、一部ローンはかなり不良化し、借り手が条件変更の資格を得ることができなかった。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi9u7fr183RAhVEW7wKHZTBANMQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10504433381807684657504582566421043214692&usg=AFQjCNF3qBrHz4uy0W5hx50OfWXN0VrIZQ


http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/123.html

[政治・選挙・NHK219] 退位めぐる国会の考え方 3月中旬めどにまとめる方針  刑法犯 初の100万件割 殺人896件、戦後最少 詐欺など増加
退位めぐる国会の考え方 3月中旬めどにまとめる方針
1月19日 19時00分

天皇陛下の退位をめぐる法整備などに向けて、衆参両院の正副議長が与野党の各会派に対し、来月中旬以降に各会派から個別に意見を聞いたうえで、3月中旬までをめどに国会としての考え方をまとめる方針を伝え、了承されました。
天皇陛下の退位をめぐる法整備などに向けて、衆議院の大島議長、川端副議長、参議院の伊達議長、郡司副議長は、19日に国会内で与野党各会派の幹事長らを集めて、今後の議論の進め方を協議しました。

この中で、正副議長は「しっかりと意見を聞くため、静かな環境で進めたい」として、来月中旬以降に各会派から個別に意見を聞いて、共通点と相違点を整理し、3月中旬までをめどに国会としての考え方をまとめる方針を伝えました。また、必要に応じて各会派が出席する会議を開く考えも伝えられたのに対し、各会派から異論は出されず、正副議長の方針は了承されました。

一方、協議の中で、議論の透明性を高めるために議事録を随時公表するよう求める意見が相次ぎ、衆参両院の正副議長が調整することになりました。

この後、行われた記者会見で大島議長は「立法府の主体的な取り組みとして国民の総意を見いだすことは、国会の使命だという共通認識だ。私としては、通常国会で最終的な結論を出すべきだという思いだ」と述べました。
自民党の二階幹事長は国会内で記者団に対し、「国民の意見も参考にしながら、天皇陛下は国民統合の象徴であるという憲法の重い規定にふさわしい審議をしていくことが重要だ。慎重かつ丁寧に審議を進め、国民の期待に添うものになるようやっていきたい」と述べました。
民進党の野田幹事長は記者団に対し、「天皇陛下のお気持ちをそんたくするならば、一代限りの特別法ではなく、恒久的な制度として退位を考えるべきで、皇室典範改正という結論におのずと結びつくのではないか。まずは、退位を可能にするための環境整備や法整備をすることが最優先だが、皇族の減少も放置できるテーマではない。悠長に構えてよい問題ではないので、しっかり議論のテーブルにのせるよう主張していきたい」と述べました。
公明党の井上幹事長は国会内で記者団に対し、「天皇の地位は国民の総意に基づくもので、その総意をどう見いだすかは立法府の大きな責任だ。わが党も、日程の目標が示されたので、党内の取りまとめの努力をしたい。できるだけ、党内のすべての議員の意見を聞く機会を作りたい」と述べました。
共産党の小池書記局長は記者会見で、「退位の問題は、政治の責任で、真剣な検討と対応が必要であり、一代限りではなく、きちんとしたルールを定めるため皇室典範の改正が筋ではないか。また、国民的な議論を進める意味でも、個別の意見聴取だけでなく、各党各会派が一同に会する全体会議を、適切な形で開くことが大切だ」と述べました。
日本維新の会の片山共同代表は記者会見で、「国民の代表は国会なので、衆・参両院の議長が各会派から個別に意見を聞き、意見集約を図るのは普通のやり方だ。私個人としては、天皇陛下のお気持ちに沿うには議論を急ぐべきで、一代限りの特別法を作るのが望ましいと思うが、政府の有識者会議の論点整理が示された後、党内で議論していく」と述べました。
自由党の玉城幹事長は記者団に対し、「将来の天皇制の安定のためにも、単なる特例法の制定ではなく、根本的な議論をしっかり深めるべきだ。政府の有識者会議では特例法の利点だけが表に出ている気がするが、国会は政府の追認機関ではない。速やかに、しかも円満に協議が整うよう、各党とも真摯(しんし)に協力していこうという気持ちだと思う」と述べました。
社民党の又市幹事長は記者会見で、「皇位の継承については、憲法に規定されているので、法制化の場合には、当然、皇室典範の改正で行うものと認識している。党としても、検討委員会を設けて、来月中旬ごろには考え方を報告したい。各党からの意見聴取などの議事録は公表して、国民の論議に寄与すべきだ」と述べました。
日本のこころを大切にする党の中山代表は「わが党は、終身制を維持しつつ、例外的に譲位を実現することもあってよいのではないかと考える。皇室典範の付則に例外的な譲位を認める根拠規定を置き、それに基づいて特別措置法を制定して、譲位を実現できるようにしてはいかがかと考えている。各党間で、静ひつな議論のもとに、一刻も早く結論を出す必要がある」などとする談話を発表しました。
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「退位」法整備 衆参正副議長きょう与野党幹事長らと協議1月19日 6時04分動画
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退位めぐる国会としての考え方 3月中に取りまとめへ1月16日 4時52分動画
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170119/k10010845461000.html

 


刑法犯 初の100万件割れ 殺人896件、戦後最少 昨年

毎日新聞2017年1月19日 西部夕刊
社会一般
オッショイ!九州

http://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/01/19/20170119k0000e040168000p/9.jpg

 警察庁は19日、昨年1年間に全国の警察が把握した刑法犯認知件数は99万6204件(前
年比9・4%減)で、記録の残る1946年以降、初めて100万件を下回ったと発表した。殺
人(未遂を含む)も896件(同4%減)で、戦後最少を記録した2015年よりさらに減った
。【川上晃弘】

 刑法犯認知件数は159万9968件だった48年以降、横ばいから減少傾向が続き、73年
に119万549件まで減った。その後は増加傾向となり、02年のピーク時には285万37
39件を記録したものの再び減少。07年には200万件を下回り、15年は109万8969
件になっていた。

 人口1000人当たりの認知件数を示す犯罪率は、73年に11・0件で底を打った後、02
年には戦後最多…
http://mainichi.jp/articles/20170119/ddg/041/040/005000c

警察把握の刑法犯、戦後最少を更新 詐欺などは増加傾向
編集委員・吉田伸八2017年1月19日10時50分

http://www.asahicom.jp/articles/images/AS20170119000919_commL.jpg

刑法犯認知件数と検挙率の推移
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 昨年1年間に警察が認知(把握)した刑法犯は99万6204件(暫定値)で、戦後初めて100万件を下回った。42年ぶりに戦後最少を更新した2015年から9・4%減り、14年連続の減少。警察庁が19日発表した。同庁は「官民を挙げた防犯対策が奏功しているのではないか」と分析している。ただ、詐欺など一部の犯罪は増加傾向にある。

 戦後の刑法犯認知件数は1973年に約119万件まで減ったが、その後増加。80年以降は外国人犯罪や少年犯罪の深刻化を背景に悪化し、02年に285万3739件と戦後最悪を記録した。その後は毎年減り続け、15年に109万8969件と戦後最少を更新していた。

 昨年は、刑法犯の7割以上を占める窃盗が前年より10・4%減少した。侵入盗や自動車盗、ひったくりなどの「重要窃盗」で見ると、統計のある54年以降、初めて10万件を下回った。

 凶悪犯は8・7%の減少。罪種別では殺人が戦後最少だった15年より37件少ない896件だった。放火と強姦(ごうかん)はいずれも終戦直後以来、1千件を下回った。

 警察庁は、犯罪減少の要因として、▽車やオートバイ、自動販売機などの盗難や破壊を防ぐ対策を進めた▽地域住民による見守りなど防犯ボランティア活動が普及した▽街頭への防犯カメラの設置――などの効果を挙げる。

 一方、詐欺は4万999件で前年を4・0%上回った。特殊詐欺事件の勢いは収まらず、還付金を受け取れると偽って金をだまし取る手口などが増加。子どもがインターネットを通じて知り合った男らに連れ回されるといった略取誘拐が228件と増加している。

 逮捕など検挙した事件数を認知件数で割った検挙率は、刑法犯全体で33・8%と前年より1・3ポイント伸びた。殺人や強盗などの「重要犯罪」で見ると4・3ポイント上昇の76・6%、「重要窃盗」は2・0ポイント増の54・6%と、いずれもやや改善したが、高い水準とは言えない。警察庁は「捜査の科学化や取り調べ技能の向上などをさらに進める」としている。(編集委員・吉田伸八)

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http://www.asahi.com/articles/ASK1L5F63K1LUTIL02J.html


http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/393.html

[IT12] 割り勘アプリ「paymo」は日本のキャッシュレス化を進められるか 
割り勘アプリ「paymo」は日本のキャッシュレス化を進められるか
関根千尋
 
[2017/01/19]
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オンライン決済サービスを提供するAnyPayは1月19日、個人間の割り勘アプリ「paymo(ペイモ)」のサービスリリース発表会を行った。

AnyPay、個人間の割り勘アプリ「paymo」をリリース
割り勘+コミュニケーション
「paymo」はユーザー同士が個人間で手軽に割り勘ができるアプリだ。飲み会などで飲食代を立て替えたユーザーがアプリから請求し、請求を受け取ったユーザーはアプリ経由でクレジットカードかアカウント残高もしくはポイントで自己負担分を支払う。立て替え分として受け取ったお金はpaymo内で次の支払いに使用するか、自分の銀行口座に引き出すことができる。

paymoのイメージ(発表会資料より)
請求時にはコメント入力やキャラクターのスタンプが利用できるので、「この前の飲み会代、よろしく!」といったように、簡単なコミュニケーションが可能だ。アプリユーザー同士であればそのまま請求情報を送信し、アプリ同士でのやり取りがない場合は直接URLかQRコードを送付して請求する。

請求をする流れ(発表会資料より)
日本における電子決済サービスはまだ遅れている
AnyPay 代表取締役社長の木村新司氏はニュースキュレーションアプリ「Gunosy」創業者の一人としても知られる人物。2016年に木村氏が設立したAnyPayは、paymoの他に小規模事業者向けクレジットカード決済プラットフォームサービス「AnyPay」も提供している。木村氏がAnyPayを立ち上げて決済事業に参入した背景には、「海外で感じた日本の不便さ」が根底にあるという。
木村氏「日本はモバイルを中心とした電子決済サービスが遅れている。その理由は『日本のサービスが非常に行き届いている』からである。例えば、日本は人口あたりのATM設置台数が世界でも突出しており、電子決済をせずともすぐにATMで現金を引き出せる環境にある。同じ理由でデビットカードも海外と比べて普及しておらず、ネットバンキング利用率も低い」
だが、世界におけるモバイルを中心とした電子決済市場は変革期を迎えている。木村氏によると、電子決済化が最も進んでいるのは中国で、アリババ系列の「Alipay」や「WeChat Pay」が普及しており、屋台でも電子決済を使えるほどだという。アメリカでもモバイルウォレットの「PayPal」やモバイル送金決済の「venmo」などがあり、電子決済が日常で行われている。
シンガポール在住の木村氏はこうした世界とのギャップを肌で感じ、「日本のキャッシュレス化を加速させていく存在になりたい」と思い、サービスの提供に至ったそうだ。

アメリカと中国の電子決済サービス(発表会資料より)
paymoがあえて「割り勘」に特化した理由とは
サービスが遅れているとはいえ、日本でもLINEやYahoo! JAPANなどが電子決済サービス市場に参入している。その多くは「割り勘」だけでなく、「送金」機能も併せ持っているが、paymoはあえて「割り勘」のみに特化したサービスとなっている。その理由について、AnyPay 取締役の日向諒氏は次のように語った。
日向氏「なぜ割り勘に特化したかというと、モバイル決済が行われるシーンは飲食店が一番多いから。そのモバイル決済のほとんどが割り勘のトランザクション(取引)だ。venmoの月間流通額は1,200億円以上まで成長し、さらに加速している。割り勘アプリは立て替えた人と請求された人がそれぞれアプリをダウンロードし利用するため、バイラル性が非常に高く、メッセンジャー系アプリのように非常に高いペースで広がる可能性がある」

電子決済市場の転換期が起こる(発表会資料より)
また「送金」というサービスは、身元がわからない相手にも使えるため、不正利用される危険がある。資金移動業者が扱う送金サービスでは、不正防止のためにユーザーは免許証などの個人認証を行わなくてはならない。しかし、その手間がアプリ利用の大きな障壁となる。割り勘の面倒くささを少しでも減らすためアプリを使おうとしているのに、逆に手間が増えてしまうのは本末転倒だ。
一方、paymoが扱う「割り勘」は「個人間送金」ではなく、個人間に発生した「債務」に当たる。支払い請求時に債権の証拠となるレシートの写真を添付させ「債務」という形式にすることで、免許証の登録などの手間をなくすことに成功した。ユーザーは姓名、ID、アドレス、パスワードを登録し、クレジットカードなどの支払い方法を入れるだけで、決済手数料無料で自由に支払いや請求ができるのである。
終わりに
サービスのターゲットは、モバイル決済利用経験が高く、アプリへの親和性がある20代〜30代の社会人。この年代は、友人同士や会社での飲み会、合コンや女子会などの機会が多く、「割り勘」に遭遇するシーンが多々ある。
彼らの中には、お金を立て替えたが手元に細かいお金がないからとなかなか払ってもらえなかったり、どんぶり勘定にされてしまったりといろいろ面倒くさい思いやトラブルを経験してきた人も多くいるだろう。

「楽しかったあとの面倒」をちょっと手軽に
割り勘アプリはそのような「楽しかったあとの面倒」をちょっと手軽にしてくれるサービスだ。幹事はその場でお金を集める手間が減り、クレジットカードで立て替え決済すればかなりのポイントがもらえる。支払いはその場でオンライン決済できるので、「次に会ったときに返すね!」といってそのまま受け取り忘れることも減りそうだ。
請求された側も、請求額が1円単位であっても小銭を用意することなくスマートに返済でき、こちらもクレジットカードで決済すれば、その分のポイントがもらえる。
現金より楽でお得に使える割り勘アプリ「paymo」。その手軽さが日本の電子決済市場を大きく変える日が来るかもしれない。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。





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http://news.mynavi.jp/articles/2017/01/19/paymo/ 


http://www.asyura2.com/14/it12/msg/223.html

[経世済民118] ボールペンに見る中国の重商主義 トランプドル高心配早い 変る金融規制 GPIF、PEインフラ投資拡大 仏大統領ルペン優位
【オピニオン】
ボールペンに見る中国の重商主義
自給自足経済主義に阻まれる経済改革
中国製のステンレスで作られたボールペンのペン先

By DAVID FEITH
2017 年 1 月 19 日 17:18 JST

――筆者のデービッド・フェイスは香港支局のWSJ論説委員

***

 世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で中国の習近平国家主席が17日に親交を深めている間、中国政府は国内で風変わりな偉業を祝福していた。李克強首相は同国が「滑らかな書き心地のボールペン」を作れないことを嘆いていたが、国有鉄鋼メーカーの太原鋼鉄(集団)は、5年にわたる研究を経て、ついにそれが可能になったと明らかにした。

 ボールペンは1931年に発明され、1940年代までに商業化された。ただ、ここで主題としているのは中国の技術の後れではない。同国には高度な産業能力があり、すでに世界のボールペンの80%、1年当たりで380億本ほどを生産している。

 問題は中国がボールペンを完全生産していないことだ。高品質製品のペン先を作るには高精密機械だけでなく、非常に硬く、極度に細い鋼板などの金属加工が必要とされる。このため、中国で作られるボールペンの9割のペン先は輸入品だ。同国の指導部は、半導体のようにペンの「自給自足」を目指している。そして現在、同国はそれを達成するだろうと主張している。

 中国科学技術省が出資する太原鋼鉄(集団)の偉業について、国営メディアは「躍進」ともてはやした。共産党機関紙の人民日報は、すでに複数のペンメーカーが同社の技術を採用しており、「向こう2年で輸入されたボールペンのペン先に取って代わる」可能性があると報じた。

中国の重商主義の縮図

 ここに中国の重商主義の縮図が見て取れる。習主席は自分が貿易とグローバル化の擁護者であるというイメージを打ち出そうとしているが、それを信じてはいけない。中国政府は基本的に、疑わしいゼロサム方式で経済および戦略問題に対処しており、国内外で為替の自由化、競争優位、法の支配を軽視している。もちろん中国も貿易をしているが、産業政策と保護主義を優先させている。

 中国の指導者たちは、あらゆる「高付加価値」のペン先やマイクロチップを生産できるようになるまでは、同国が外国の競合との争いで危うい立場に立たされると考えている。そのため、国内で教育と研究を後押しし、イノベーション(技術革新)を喚起する一方で、外国の競合を(技術移転の強要、ハッキング、スパイ活動など通じて)食い物にし、市場効率をほとんど考慮せずに、政治的な目標に資金を投入している。

 他のあらゆる種類のものと同様、ペン先のイノベーションを後押しする最善の方法は、知的財産権を尊重する法制度を構築することだろう。しかし、それは権威主義的なコントロールを望む中国政府の意向に反する。したがって、供給過剰な中国の鉄鋼市場に年間1000万トンの鉄鋼を供給している太原鋼鉄(集団)が、年間総需要が1000トンのペン先を5年かけて開発することで資金を得られているのだ。

経済学者リードの教え

 米国の経済学者のレオナルド・リードは1958年、「われは鉛筆」という短いエッセーを執筆した。そこでリードは次のように記している。

 鉛筆のように身近で単純に見えるものを「どうやって作るのか知っている人間はこの地球上に一人もいない」。この製品には伐採、採鉱、輸送、塗装、製造、国際取引に従事する何百万人もの人々が関わり、それぞれが特別なスキルを持ち、価格メカニズムのみによって間接的に結びついている。そこには「こうした無数の作業をするよう命令したり強制したりする」黒幕がいるわけではない。

 リードはこのプロセスは「驚きと畏敬」に値すると指摘している。ただし、われわれはそれを当たり前と思っている。

 中国は1958年から世界市場に組み込まれるようになったが、同国の指導部は依然として一種の自給自足経済をやみくもに崇拝している。そこでは資本分配が政治化され、経済改革が阻まれ、外国の貿易相手国との摩擦が生み出される。ペン生産の自立のような重商主義的目標を重視するのを中国政府がやめれば、中国、そして世界はもっと良くなるだろう。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiu-fmHic7RAhVLf7wKHYjcBxkQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10504433381807684657504582568154178935594&usg=AFQjCNEASt6XKPmiLT0OwCJRSetdG1uzZA

 


【社説】トランプ氏、ドル高心配するのはまだ早い
トランプ氏は成長を加速させることを優先すべき

2017 年 1 月 19 日 17:08 JST

 米大統領としてドナルド・トランプ氏がやることは、仕事ではなく冒険になりそうだ。今週は外国為替市場に口先介入し、ドルを下落させた。これは大統領選後のドル上昇につながった同氏の政策とは完全に矛盾する。

 トランプ氏がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで「ドルは高すぎる」と発言したことを受け、ドルは17日に1%余り下落した。だが翌18日には反発した。

 インタビューでトランプ氏は、「ドルが高すぎるため米企業は(中国に)対抗することができない。これはわれわれにとって打撃だ」と述べた。このことは同氏がドルについて、米国の経済的利益を代表する政策立案者ではなく、依然としてマフラーやステーキを売る商売人のような立場で考えていることを示している。

 ほとんどの大統領はドル相場に関するコメントを注意深く避けている。コメントすれば当然、相場に影響を与える恐れがあるためだ。歴代の大統領はドルについての発言は財務長官に任せており、財務長官は常に「強いドルは米国の国益にかなう」と繰り返してきた。

 金融危機後に米国の輸出を後押しするために連邦準備制度理事会(FRB)がとったドル安政策についてバラク・オバマ政権がひそかに歓迎していた時でさえ、財務省は「ドル高は国益にかなう」と発言していた。

 だがトランプ氏はこうした前例にとらわれないだろう。ただ、ドル安を伴う米経済を受け入れる前に、景気動向についてある程度考慮しようとするかもしれない。経済が最も好調な時期に大統領だったのは、ロナルド・レーガン氏とビル・クリントン氏。両氏の任期は、ドルが極めて強かった時期に当たる。

 1980年代から90年代にかけて米国は急成長し、数年にわたり年率4%の成長が続いた。米国での新たなビジネスチャンスを求めて外国資本が流入。その結果、ドル高が米国の生活水準を押し上げ、原油などの商品価格が低く抑えられた。ガソリン価格が1ガロン=0.90ドル(1リットル=約27円)だったことがクリントン氏の弾劾回避に役だったという見方はあながち間違いではないかもしれない。

 一方、長期にわたるドル高によって一部の米企業は海外企業に対する競争力を失い、米国は多額の財政赤字に陥った。1985年、当時の財務長官ジェームズ・ベーカー氏は、欧米5カ国が金融政策で協調し為替相場を安定させることを目指す会議に参加し、プラザ合意が発表された。

 米国の好景気は続き、1990年代前半の軽度のリセッション(景気後退)を除いて米経済はさらに長期間、ドル高と高成長を持続させた。リチャード・ニクソン氏、ジミー・カーター氏、ジョージ・W・ブッシュ氏、オバマ氏が大統領を務めたドル安期の経済状況とは対照的だ。

 トランプ氏が留意すべきなのは、成長を促す同氏の政策に伴ってドルの上昇が見込まれるということだ。税制改革は、多額の海外利益の本国送金(リパトリエーション)につながる可能性がある。規制緩和によって米国は低コストで事業を展開できるようになる。必然的に資金は米国に流入する。

 オバマ政権下で平均年率2%だった成長率が3%に加速すれば、労働市場が逼迫(ひっぱく)し、賃金は上昇する。トランプ氏が支援を約束した中間層の有権者は満足するだろうが、こうした人々は貿易赤字についてはあまり関心を持たないだろう。

 トランプ氏には、まず経済成長を再び加速させてほしいと言いたい。ドル高を心配するのはその後でよい。あるいは、心配する必要は全くない。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj11qHviM7RAhVCf7wKHSJkBCoQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10504433381807684657504582568620142479312&usg=AFQjCNEpVf2Mrs1uGZzAIsG6tLq2bn2AqA


 

トランプ政権で変わる「ポスト金融危機」時代の金融規制
トランプ政権になれば金融規制が大きく変わりそうだ 
By JACOB M. SCHLESINGER
2017 年 1 月 19 日 19:11 JST

 オバマ米大統領が20日に退任した後、ドナルド・トランプ次期米大統領の通商政策の代弁者として、資本家のアンソニー・スカラムッチ氏が新政権に加わる。これは、政権交代に伴いワシントンに訪れる数多くの大きな変化の1つを象徴する。米国の金融規制の変化だ。

 2008年の金融危機時に誕生したオバマ政権は、危機の再発防止を目的とした過去最高レベルの規制作りに力を注いだ。トランプ氏は、こうした規制が経済成長を阻害したと非難し、大統領に就任したら「廃止する」と明言している。

 トランプ政権が金融規制をどのように緩和するかは不明だ。トランプ氏は撤廃や見直しの対象として、医療制度や貿易・移民政策といったオバマ氏の「レガシー(政治的遺産)」を標的としている。民主党は連邦議会で議席を減らしたとはいえ、今も政策変更を阻止する大きな影響力を保持している。政治経験が比較的少なく、意見が分かれることもあるトランプ氏の顧問たちは野心的な政策を実行できずに終わるかもしれない。

 それでも、トランプ時代は金融危機後の時代が終わり、金融政策も転換期を迎えることになる。すなわち、金融が利用すべき資源ではなく、抑制すべき危険なものとして扱われ、政府が色眼鏡でウォール街を眺めていた時代が終わりを告げる。

 もはや金融システムの安全性は十分かどうかや、安全性を高めるには何ができるかなどは議論されなくなり、リスクテークを増やし、成長を促すには何ができるかといった問題が焦点になろう。オバマ氏が指名した人々は、新たなメルトダウンを防ぐことの計り知れないメリットを引き合いに出して、新規則の導入に伴うコストを正当化した。トランプ政権は、より研ぎ澄まされた、かつ懐疑的な費用対効果分析を要求する可能性が高い。オバマ政権の後半、ウォール街での経験が政府高官のポストに就任できない理由とされたケースがある。トランプ氏の経済チームのメンバー5人の中で、ゴールドマンに在籍したことがあるのは(今のところ)スカラムッチ氏だけだ。

 こうした事態になるのも自然な時の流れだ。8年もたてば記憶が薄れ、優先順位も変わる。もしヒラリー・クリントン氏が大統領に就任していたら、今後1年間の議題は全く異なるものになっただろう。同氏は選挙運動期間中、ヘッジファンドなど規制の緩い金融分野に対する安全網の拡大を求める政策綱領を掲げていた。

 民主党のリベラル派が後押しするクリントン氏は「説明責任の強化」、つまり金融分野の不正行為に対する取り締まり強化も求めた。オバマ氏は金融危機の裏にある犯罪行為の定義付けとそれに対する処罰に向けた取り組みが不十分だったとする批判を肯定するかのように、任期の最後の1週間で司法省が相次いで大手金融機関と和解した。住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売問題で、ドイツ銀行とクレディ・スイスは合わせて125億ドルを支払うほか、ムーディーズはMBSの格付けを巡り8億6400万ドルを支払う。

 トランプ氏は最初からオバマ氏とは異なる色を出すことができる。実際、そうした意向を示している。法律を改正しなくても、トランプ氏が規制当局の主要ポストに指名した人々には、現行規則の実施方法を変える大きな権限がある。

 また、トランプ氏が就任1年目に指名できるポストはたくさんある。それには証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の委員長も含まれている。連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)、連邦準備制度理事会(FRB)のトップも来年2月までに任期が終わる。

 FRBの銀行監督責任者は間違いなく世界で最も有力な金融当局者だ。このポストは現在、空席だが、FRBのダニエル・タルーロ理事が非公式にその任務を果たしている。タルーロ氏は、オバマ氏の大統領就任当初に金融業界の混乱を解決するために理事に指名された。同氏は広範な権限を巧みに行使して、巨額の損失を防ぎ、リスクをとる余地を狭めるために、金融機関に自己資本の積み増しを義務付けた。年次ストレステスト(健全性審査)と「生前遺言」の導入にもひと役買った。トランプ氏が誰を指名するかによって、その行方が大きく変わる可能性がある。

 トランプ氏とその顧問、そして側近らは、より劇的な変革への望みをにじませている。危機後に発展した体制、もしくは受け身の権力行使を終わらせるにとどまらず、解体のようなことを考えている。そうするためには、金融規制改革法を成立させた議会の承認が必要となる。当時議会を制していた民主党はもはや多数派ではない。だが大きな変革を阻止する力はまだ十分にあり、民主党指導部は今のところそうすると明言している。

 今年の議会は危機後の体制のどの程度を存続ないし廃止するかで対立する一方で、その原型を設計した人たちがそれは間違った議論だと警鐘を鳴らす。彼らは作業が完了していないと考えており、システムは以前より強度が増したものの、まだ多くの点で危険なほど脆弱だとみている。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwimlcXRiM7RAhUOPrwKHUZ4CZgQFggaMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10504433381807684657504582568790764826110&usg=AFQjCNHwzCn_HNgHagdaqbQBfzNoUTunAw&bvm=bv.144224172,d.dGc


 

GPIF、今年はPE・インフラ投資拡大へ=理事長

[香港 19日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の高橋則広理事長はロイターのインタビューで、GPIFが今年、プライベートエクイティ(PE)とインフラ事業への投資を増やす計画だと明らかにした。

また、リターンの拡大に向け、近く不動産投資を開始し、オルタナティブ投資の割合を現行の0.04%から引き上げる可能性があると語った。

GPIFは昨年9月末時点の運用資産が132兆8000億円で世界最大の年金基金。

高橋理事長は春までにコンサルタントを1人、できれば夏までにゲートキーパーと呼ばれる専門家を複数採用して、年内にファンド・オブ・ファンズに投資したいと語った。

GPIFは運用資産の5%までPE・インフラ投資に充てることが可能だが、投資の大半は日本の国債と国内株に振り向けられている。

GPIFの運用額の大きさから、投資戦略のシフトによって、PE会社には多額の投資資金がもたらされる可能性がある。

高橋理事長は、日本国内には投資機会が乏しいため、GPIFの新たな投資先は海外資産となる可能性が高いと指摘。「日本の資産を買いたいところだが、国内にはインフラやPE関連の案件がわずかしかない」と語った。

また、将来的に海外のファンドと共同投資を行う可能性も示唆。まずはファンド・オブ・ファンズ型の投資を始め、次の段階でカナダ公的年金基金投資委員会(CPPIB)やシンガポール政府投資公社(GIC)のような大手ファンドとの共同投資を検討したいと述べた。

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http://jp.reuters.com/article/japan-gpif-idJPKBN1530YV


 
フランス大統領選、国民戦線のルペン氏が優位−世論調査
Mark Deen
2017年1月19日 18:58 JST
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フランスの大統領選挙の初回投票に向けて、極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が主要な世論調査でリードしている。
  イプソス・ソプラ・ステリアとルモンドの調査でルペン氏はそれぞれ25%と26%の支持を集め、共和党のフィヨン元首相の23%と25%を上回った。昨年12月半ばはフィヨン氏が約28%、ルペン氏が25%前後だった。
原題:Le Pen Moves Into Lead in French Race, Le Monde Poll Shows (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-19/OK0TZP6S972A01
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/125.html

[戦争b19] “北朝鮮 新型ICBM いつでも発射可能” 韓国軍が警戒 北が新型弾道ミサイル開発か 発射車両に2基
“北朝鮮 新型ICBM いつでも発射可能” 韓国軍が警戒
1月19日 17時52分

韓国軍の関係者は、北朝鮮が新型のICBM=大陸間弾道ミサイルと見られるミサイルを開発して、いつでも発射できる状態にあると明らかにし、韓国軍は、アメリカのトランプ次期大統領の就任式を前に、警戒と監視を強化しています。
韓国軍の関係者が19日、NHKに対して明らかにしたところによりますと、米韓両軍は、北朝鮮がこれまで国営メディアなどを通じて公開したことがない新型のICBM=大陸間弾道ミサイルと見られるミサイルを開発し、2基を展開させていることを確認したということです。

ミサイルは2段式で、全長はおよそ15メートルあり、北朝鮮が開発後に1度も発射していないICBMの「KN08」や、その改良型の「KN14」よりも短いとしています。

また、この関係者は、ミサイルが移動式の発射台に搭載され、いつでも発射できる状態にあるという見方を明らかにしました。

ICBMをめぐっては、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が元日の演説で、ICBMの発射実験の準備が「最終段階に入った」と述べたほか、北朝鮮外務省の報道官も8日、「任意の時刻に任意の場所から発射されるだろう」と、発射を強行する可能性を示唆しています。

韓国軍の合同参謀本部は19日の記者会見で、「北のICBMの開発動向を注視している」と述べ、アメリカのトランプ次期大統領の就任式が20日に行われるのを前に北朝鮮に対する警戒と監視を強化しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170119/k10010845451000.html

 

2017.1.19 10:55
【北ミサイル】北が新型弾道ミサイル開発か 発射車両に2基、韓国聯合ニュース


北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信撮影・共同)
 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられる新型弾道ミサイル2基を新たに開発したと、韓国の聯合ニュースが19日、韓国政府高官らの話として報じた。2基は発射台付き車両に搭載されている状態という。

 同ニュースは「金(キム)正恩(ジョンウン)朝鮮労働党委員長が指示すれば、いつでも発射できる状態だ」との見方を伝えた。

 金委員長は1日の「新年の辞」で、ICBMの試射準備が「最終段階に達した」と主張していた。北朝鮮が開発するICBMは米本土を狙っているとされ、新型ミサイルを示すことで、20日に発足するトランプ米政権を牽制(けんせい)する思惑もあるとみられる。

 新たに確認されたミサイルは2段式で胴体部分の長さは15メートル未満。開発が伝えられながら発射に成功していないICBM「KN08」(19〜20メートル)、改良型の「KN14」(17〜18メートル)より短い。北朝鮮が昨年4月に実験を公開した「新型高出力エンジン」が搭載されたとの分析もある。
http://www.sankei.com/world/news/170119/wor1701190023-n1.html
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/544.html

[経世済民118] ソロス氏:トランプ氏勝利後の株高は終了へ、EUは崩壊しつつある 議長FRB後手でない ムニューチン強いドル重要 中国安定
ソロス氏:トランプ氏勝利後の株高は終了へ、EUは崩壊しつつある
Simone Foxman、Saijel Kishan
2017年1月20日 09:39 JST

トランプ次期米大統領は失敗する
メイ英首相が政権を維持する可能性は低い

今、誰よりも将来を憂えているのは資産家のジョージ・ソロス氏かもしれない。
  ソロス氏はスイス・ダボスでブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、米国は将来の独裁者を大統領に選んだほか、欧州連合(EU)は崩壊しつつあると語った。また、英国がEU離脱の準備を進める中で、メイ首相が政権を維持する可能性は低いほか、中国は一段と抑圧的な社会になる可能性があるとの見方を示した。
  ソロス氏はメイ首相の閣僚や支持基盤は分裂しており、英国民はEU離脱による経済への影響を直視しようとしないと述べた。
  ソロス氏は特に、20日に米大統領に就任するトランプ氏を厳しい言葉で批判、 「ペテン師」と呼んだ。トランプ氏の考えは矛盾しており、顧問や閣僚の間で争いが見込まれるためトランプ政権は失敗するとソロス氏は述べた。次期閣僚の上院の指名承認公聴会で、トランプ氏の主張と相反する見解が示されていることに言及したものと思われる。またトランプ氏が公約した規制緩和や歳出拡大への期待で昨年11月の大統領選後に株価が上昇したが、この株高は終了するとソロス氏は述べた。
  ソロス・ファンド・マネジメントの会長であるソロス氏は、「不確実性は今がピークだ。そして不確実性というものは実際、長期投資の敵だ」と指摘。「相場はあまり好調に推移するとは思わない。現在はまだご祝儀相場だが、現実が訪れたら、現実が勝利する」と述べた。
原題:Soros Says Markets to Slump With Trump, EU Faces Disintegration(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK1XBA6K50XT01

 

イエレン議長:FRBは後手に回っていない、緩やかな利上げ支持
Rich Miller、Vivien Lou Chen
2017年1月20日 10:06 JST 更新日時 2017年1月20日 13:04 JST

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中国:10−12月GDPは前年同期比6.8%増−景気がさらに安定
George Soros, billionaire and founder of Soros Fund Management LLC, gestures as he speaks during an interview at the World Economic Forum (WEF)in Davos, Switzerland, on Thursday, Jan. 21, 2016. World leaders, influential executives, bankers and policy makers attend the 46th annual meeting of the World Economic Forum in Davos from Jan. 20 - 23. Photographer: Matthew Lloyd/Bloomberg *** Local Caption *** George Soros
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財政政策は見通しを曇らせる不確実性の1つにすぎず
経済の過熱を容認するのはリスクを伴い賢明でない

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は19日、米金融当局がインフレ圧力の抑制で後手に回っていないと述べ、緩やかに金利を引き上げる戦略を支持する考えを示した。ただ、景気の過熱を容認することはできないとした。
  イエレン議長はカリフォルニア州のスタンフォード大学経済政策研究所で行った講演のテキストで、「金融政策のスタンスを時間をかけて徐々に調整するのが賢明だと考える」と述べた。一方で、こうした見通しをめぐってかなりの疑念があることを強調した。

スタンフォード大で講演するイエレン議長

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iTAdAWBx.Lo8/v2/-1x-1.png

  同議長はドナルド・トランプ氏の大統領就任式を翌日に控えた講演で、財政政策の将来の変更について、今後の金融政策の策定に当たり当局が取り組む必要のある多数の不確実性の1つにすぎないと指摘。こうした変更の規模や時期、構成が不明なだけでなく、経済への影響に関する財政専門家の予測も相当多岐にわたると講演テキストの脚注で補足した。
  BNPパリバの米国担当シニアエコノミスト、ローラ・ロスナー氏(ニューヨーク在勤)は「イエレン議長は経済が過熱していると受け止めていない。議長講演からは3月に利上げする強いシグナルは見当たらない」と指摘した。
  イエレン議長は米金融当局が後手に回っていないと主張する裏付けとして、賃上げのペースが「緩慢なものにとどまり」、製造業部門の稼働率が能力をかなり下回っている点を挙げ、こうした状況がすぐに変わることはないとの見方も示した。雇用の伸びは鈍化しており、外需の弱さや予想される緩やかな金利上昇を踏まえると、経済成長が「著しく上向く可能性は当面低いと見受けられる」と述べた。
  一方で、景気過熱やインフレ期待が制御不能になる事態を許容することの危険性を認め、「経済が著しく熱い状態が続くのを容認するのはリスクを伴い賢明でない」と語った。
「受動的」解除
  緩やかな利上げアプローチを支持する論拠には、FRBのバランスシートを通じた金融緩和策の「受動的」解除と議長が呼んだ要素もある。
  議長は講演テキストの別の脚注で、連邦準備制度が保有する債券の平均残存期間が短くなり、バランスシートを最終的に縮小していくアプローチを取れば、米10年債利回りは今年の場合15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇する可能性があると分析した。これはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の0.25ポイント引き上げ2回分にほぼ匹敵するという。議長はバランスシートを縮小し始める時期については言及しなかった。

  議長はまた、前日の講演で達成に近いと述べた完全雇用と物価安定という2つの目標について詳述。「緩やかなペースでの景気拡大が続くと見込まれる中、今後数カ月で労働市場はさらに強くなると予想する」と述べ、「好調な労働市場」に支えられインフレ率は今後2年程度で当局の目標とする2%に押し上げられるとの見通しを示した。
原題:Yellen Backs Gradual Rate Rises as Fed Not Behind the Curve (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK20FC6K50XU01

 


ムニューチン氏:強いドルは長期的に重要−金融界での経歴を弁明
Michelle Jamrisko、Saleha Mohsin
2017年1月20日 07:06 JST

トランプ氏の「強過ぎる」ドル発言、長期を意識したものにあらず
米国の債務のデフォルト回避を最優先、税制改革を推進へ
 
トランプ次期米大統領が財務長官への起用を決めたスティーブン・ムニューチン氏は19日、上院財政委員会で開かれた指名承認公聴会で、強いドルは長期的には重要だと述べ、現状は「非常に、非常に強い」との認識を示した。長官指名が承認された場合は、米国の債務のデフォルト(不履行)回避を最優先する考えも明らかにした。
  ムニューチン氏はまた、住宅危機時のワンウエストバンク創業者としての経歴を弁明するとともに、トランプ次期大統領が公約した景気てこ入れを目指す重要な方法として税制改革を推進する考えを示した。
米公聴会で証言するムニューチン氏
米公聴会で証言するムニューチン氏 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
  トランプ氏は先に米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、ドルが「強過ぎる」と発言し、為替市場の動揺を招いた。これについてムニューチン氏は、「次期大統領がドルについて発言した際、長期を意識した発言とは意図していなかった」と述べ、「自由市場で人々が米国への投資を望んだ結果としてのドル高は恐らく、短期的には貿易面で米国の能力に多少悪影響を及ぼした可能性があるという意味だったのだろう」と説明した。
  ゴールドマン・サックス・グループ幹部から転身してハリウッド映画の資金集めも手掛けた経歴を持つムニューチン氏は、ヘッジファンドのデューン・キャピタル・マネジメントで経営トップを務めたことを含め、職歴について民主・共和両党から質問を受けた。同氏は米当局が税金詐欺や脱税を減らす必要があると主張した上で、自身がオフショア勘定を利用したのは非営利団体や年金を支援するためで、「米国での課税逃れのために使ったことは決してない」と何度も繰り返した。
  
原題:Mnuchin Defends Banking Past, Advocates Strong U.S. Dollar (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-19/OK1PEM6JTSE801


 


中国:10−12月GDPは前年同期比6.8%増−景気がさらに安定
Bloomberg News
2017年1月20日 11:32 JST
 
中国経済は昨年10−12月(第4四半期)に前年同期比ベースで2年ぶりに成長が加速した。景気がさらに安定する形となり、共産党指導部が中立的な政策への移行を進め、トランプ次期米大統領との貿易摩擦の可能性に備える中で、余裕が生まれることになった。
  国家統計局が20日発表した10−12月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.8%増。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は6.7%増だった。2016年通年のGDPは6.7%増と、1990年以来の低成長となったものの、政府が設定した成長率目標(6.5−7%)のレンジ内となった。
北京市内
北京市内 Photographer: Giulia Marchi/Bloomberg
  12月の小売売上高は前年同月比10.9%増(市場予想は10.7%増)。12月の工業生産は同6%増(市場予想は6.1%増)。16年通年の固定資産投資は前年比8.1%増。
原題:China Ends Year of Stabilization on High Note as Consumers Spend(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK23HF6TTDS001
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/147.html

[不安と不健康18] 虫歯は遺伝するか? 米教授の見方 米国では5人に1人が未治療の虫歯を抱えている
虫歯は遺伝するか? 米教授の見方
米国では5人に1人が未治療の虫歯を抱えている
By HEIDI MITCHELL
2017 年 1 月 20 日 14:21 JST

 いつも入念に歯みがきをし、フロスで歯間を掃除している大人でさえ、歯科医から恐ろしい言葉を浴びせられる。「虫歯がありますね」と。虫歯の発生には多くの要因が絡むが、この問題を増幅させる「虫歯遺伝子」なるものを持つ人は存在するのだろうか。そこで、DNAがどのように歯に悪影響を及ぼし得るのか、なぜシーラント(コーティング材)が歯にとって最良の友になり得るのかを、米ニューヨーク州立大学バファロー校歯学部のマイケル・グリック教授に聞いた。

親を責める

 グリック氏はジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・デンタル・アソシエーション誌の編集長を務めている。同氏によると、遺伝は乳歯が虫歯になる確率を最大64%引き上げる可能性があることが、一部の研究で示されている。しかし、虫歯の形成過程のどの部分が影響を受けるのかは明らかでない。同氏は「遺伝が影響を及ぼす可能性が最も高いのは、歯の表面にエナメル質が形成される過程だろう」と話す。

 虫歯の遺伝的ルーツに関する情報は、主に一卵性双生児の研究から得られる。だがグリック氏によると、こういった研究は、甘いもの好きという嗜好(しこう)上の特徴が遺伝し得ることも示している。同氏は「虫歯になりやすくする糖分の多い食事と、遺伝的素質とを区別するのは困難だ」と指摘する。

 同氏によると、遺伝的に虫歯になりやすいグループがいることを立証した研究はまだない。特定のコミュニティーに虫歯が多い傾向はあるものの、それは食事の内容に関連している公算が極めて大きいという。

糖分は敵だ

 グリック氏は、たとえあなたが虫歯遺伝子を持っていると確信したとしても、「糖分がなければ虫歯にならないことを示す確かな証拠がある」と話す。同氏は、糖分の消費量と摂取頻度をどれだけ減らすべきかをアドバイスしている。とりわけ歯にくっつきやすいキャンディーや甘い飲み物など、糖分が歯に残りやすいものについてだ。「飲み物の選択肢に糖分入りの炭酸飲料がある地域に目を向けると、人々の歯の状態がかなり悪いことに気付く」という。

特別なケアをせよ

 自分が虫歯になりやすい体質だと思うのなら、口の中を清潔に保つためのアドバイスに従うことが特に重要だとグリック氏は言う。それは、@1日2回歯を磨く、A定期的にデンタルフロスで歯間を掃除する、B毎日、抗菌効果のあるマウスウォッシュで口をすすぐ、C少なくとも年に2回は歯科医の診察を受ける―というアドバイスだ。同氏は、「多くの米国のコミュニティーで水道水にフッ素が添加されているが、これは1950年代以降に行われている公衆衛生上の介入で最善のものの1つだ」と話す。

 歯科医院で受けられるプラスチックのシーラントも、虫歯を予防する上で非常に効果的だ。同氏によると、「この素材は歯にもともとあるくぼみを覆う。このため、そこには食べ物や糖分が残らなくなる」という。シーラントはまた、歯の再石灰化も促進する。「このため、初期の虫歯があったとしても、あなたの歯自体がエナメル質を少し強化して治すことが可能だ」という。

虫歯は珍しくない

 グリック氏は、虫歯は一般に多く見受けられるものであり、遺伝的に虫歯になりやすいか否かについては過度に気にするべきでないと言う。米国では5人に1人が未治療の虫歯を抱えている。これらは歯の根管に至って強い痛みにつながる恐れがある。また、オーラルケアを怠っている人は少なくない。同氏によると、60歳を超えた米国人の約25%が全ての歯を失っている。

 同氏は、遺伝のことはくよくよ心配するなと話す。親にたくさんの虫歯があろうとなかろうと、「頻繁に歯科医の診察を受け、定期的に歯みがきをして、虫歯がみつかれば早急に治療すべきだ」と勧めている。

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http://jp.wsj.com/articles/SB10504433381807684657504582570333485218216
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/320.html

[経世済民118] 中国GDP、たとえ「嘘」でも不十分 中国経済、10−12月に一段と安定−個人消費がけん引役 不動産投資、販売7年ぶり高い
コラム:
中国GDP、たとえ「嘘」でも不十分


Rachel Morarjee

[北京 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の経済統計を巡っては、でっち上げとの批判があるかもしれないが、安心できるほど嘘で固められているともいいがたい。

中国国家統計局が20日発表した第4・四半期国内総生産(GDP)の伸びは、直近数四半期と不気味なほど一致。2016年通年の成長率は政府目標レンジのちょうど真ん中に収まった。

数日前には、遼寧省で経済統計の水増しが発覚。

中国では統計データの水増しがまん延しているため、中央政府当局者にでさえ、GDP統計を有益な情報というよりも政策シグナルとみなす姿が見受けられる。

李克強首相は遼寧省の党書記だった当時、GDPデータを無視し、これに代わる経済指標として鉄道貨物量や電力消費、銀行融資に注目していた。ただ、「李克強指数」と呼ばれるこの指標は重工業に着目しており、現在の中国が構築を目指す「新経済」ではない。

中国政府は長期経済計画で、投資集約型産業からサービス業やハイテク産業における「新たな成長エンジン」への構造改革を目指している。固定資産投資への依存度を減らしつつ、雇用の安定を図る計画だ。

その場合、GDPは自然に鈍化することになる。ただ、2016年はこの構造改革という面ではほとんど進展はなく、2017年も同様の状況が予想される。

中国指導部は2017年の経済成長率目標を6.5%程度とし、昨年目標(6.5─7%)から引き下げる方針と伝えられているが、それは高すぎる。

結局のところ、中国の政策当局者はいまだに旧ソ連型の成長目標に固執している。

政府は今週、西部の新疆ウイグル自治区で道路建設に約250億ドルを投じる計画を発表。鉄道や空港への投資も大幅に増やすとした。これらの投資がGDPの伸びに寄与することは間違いないが、こうしたプロジェクトが過疎地域にとって不要であることは懸念すべきだろう。

当局者がこの成長モデルにこだわるかぎり、中国は不要なプロジェクトや重工業への過剰投資を続け、銀行の債務を拡大させ、環境汚染をさらに深刻化させることになる。

このような投資へのリターンは低下している。CLSAの資産では現在、1元のGDPを生み出すために6元が必要。2008年時点では、GDPの費用対効果は大体1対1だった。

生産性の低い投資の増加は中国の将来への真の脅威だ。同国のGDP目標が問題の大部分を占めており、GDPを生み出すために非生産的な投資が繰り返されているのがこの国の現実だ。

●背景となるニュース

・中国第4四半期GDPは予想上回る、16年成長率は6.7%[nL4N1FA1L7]

・中国GDPの推移 tmsnrt.rs/1PFmwVG

・主要国の民間債務の対GDP比率 reut.rs/2iZwTxn


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http://jp.reuters.com/article/breakingviews-china-gdp-idJPKBN1540T5?sp=true

 

中国第4四半期GDPは予想上回る、16年成長率は6.7%

[北京 20日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した第4・四半期国内総生産(GDP)は前年同期比6.8%増で、市場予想の6.7%増をやや上回った。前期比で成長率が加速したのは2年ぶり。政府歳出の増加と過去最高水準にある銀行融資が寄与した。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)のエコノミスト、トム・ラファティ氏は「第4・四半期GDPの回復が今年に入っても拡大するとは思わない」と指摘。「不動産市場の減速やコモディティーセクターの供給不足への対策により、需要や生産が押し下げられるだろう」と述べた。

第4・四半期も住宅市場が成長を支援した。12月の不動産投資は11.1%増加。一部の大都市では住宅価格がさらに冷え込む兆しが出ているが、11月の5.7%増から加速した。

個人消費も好調で、12月の小売売上高は前年比10.9%増と1年ぶりの大幅な伸びに。自動車や化粧品の売り上げが増えた。

一方、昨年の固定資産投資は同8.1%増となり、1999年以来の小幅な伸びに。12月の民間企業による投資が再び鈍化した。ロイターの算出によると、民間セクターによる固定資産投資は4.07%増と、11月の4.93%増を下回った。

安定化の兆しが見える中、政策当局者はロイターに対し、中国指導部は今年の成長率目標を6.5%前後に引き下げると予想。債務リスクを低減する改革推進のための余地を設けるのではないかとみる。

ING(シンガポール)のエコノミストであるティム・コンドン氏は「経済的安定性は常に重要だが、今年は秋に中国共産党第19回全国代表大会を控えているだけになおさら優先順位が高い」と述べた。

2016年の伸び率は6.7%となり、政府目標の6.5─7%は達成したが、26年ぶりの低成長となった。

ロイター調査のエコノミストは年間のGDPについても6.7%の成長を予想していた。第3・四半期GDPは6.7%増だった。

第4・四半期GDPは前期比で1.7%増と、前期の1.8%増から若干減速。アナリスト予想と一致した。

PIMCOの新興市場ストラテジスト、ジーン・フリーダ氏は、「17年に入って成長率は安定したようだが、第2・四半期はさらなる減速が避けられない」と分析。

「成長率は大規模な財政・金融刺激策を講じて初めて安定化したが、公的および民間債務の対GDP比率は今年、285%を超える公算が大きい」と述べた。

不動産ブームが陰りを見せ始め、これまでの刺激策の効果が剥げ落ちるとみられるなか、17年の先行きについては不透明感が増している。

*内容を追加します。

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http://jp.reuters.com/article/china-gdp-idJPKBN1540AE


 


中国経済、10−12月に一段と安定−個人消費がけん引役に
Bloomberg News
2017年1月20日 11:32 JST更新日時 2017年1月20日 14:06 JST

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• 12月の小売売上高は前年同月比10.9%増、予想上回る
• 消費が主要な成長エンジンだとIHSのビスワス氏

中国経済の成長率は昨年10−12月(第4四半期)に前年同期比ベースで2年ぶりに加速した。景気がさらに安定する形となり、共産党指導部が中立的な政策への移行を進め、トランプ次期米大統領との貿易摩擦の可能性に備える中で、余裕が生まれることになった。
  国家統計局が20日発表した10−12月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.8%増。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は6.7%増だった。2016年通年のGDPは6.7%増と、1990年以来の低成長となったものの、政府が設定した成長率目標(6.5−7%)のレンジ内となった。

北京市内

Photographer: Giulia Marchi/Bloomberg
  12月の小売売上高は前年同月比10.9%増(市場予想は10.7%増)。12月の工業生産は同6%増(市場予想は6.1%増)。16年通年の固定資産投資は前年比8.1%増えた。
  IHSマークイットのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス氏(シンガポール在勤)は「従来の成長のけん引役だった投資と輸出が鈍る中、個人消費が経済成長の主要なエンジンとなっている」と指摘。「この傾向は中期的に続く見通しだ」と述べた。
  16年のGDP成長率への消費の寄与は64.6%だったと、統計局の当局者が会見で明らかにした。統計によると、サービス業は昨年のGDPの51.6%を占めた。
  ブルームバーグのエコノミスト調査では、中国の17年通年の成長率は6.4%に鈍化すると見込まれている。一方、国際通貨基金(IMF)は中国の17年成長率予想を6.5%に上方修正した。成長率の維持には人民元安や資本流出圧力の高まりなど政策課題への対応が必要となる。

原題:China Ends Year of Stabilization on High as Consumers Spend (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK23HF6TTDS001

 


中国不動産投資、2016年は+6.9% 販売は7年ぶりの高い伸び

[北京 20日 ロイター] - 中国国家統計局が20日発表した2016年の中国不動産投資は、前年比6.9%増加した。大都市の不動産ブームで、販売の伸びが7年ぶりの高水準になった。

約40の事業分野に直接的な影響を及ぼす不動産投資は、中国経済にとって極めて重要な推進役とされる。同日発表された16年国内総生産(GDP)は前年比6.7%増で、予想と一致した。

16年の不動産販売(床面積ベース)は22.5%増だった。

ロイターの推計によると、12月の不動産投資は11.1%増加。一部の大都市では住宅価格がさらに冷え込む兆しが出ているが、11月の5.7%増から加速した。

不動産販売も、11月の落ち込みにつながった大都市での購入規制がある中で増加。12月は床面積ベースで11.8%増となり、前月の7.9%を上回った。

さらに、不動産開発業者の景況感を示す新設住宅着工件数は、12月に12.5%増。11月は3.3%増だった。

ただ、昨年の成長下支えに不動産市場が大きな役割を果たしたとはいえ、この日発表された不動産投資の数字はなお記録的な低水準にある。

一方で、当局は投資が過熱する都市で住宅購入規制を相次いで導入し、価格抑制を急いでいる。政府系シンクタンクによると、こうした規制は17年中は続く見通しで、政府は投機を防ぐため長期的なメカニズムを開発する意向だという。

不動産コンサルタント会社ナイト・フランクのリサーチ部門代表、デービッド・ジー氏は、中国国内で投資の選択肢が限られていることから、不動産への投資は依然人気があると指摘。「現行規制にも関わらず、不動産投資は打撃を受けていない」との見方を示した。

一部のアナリストは、米中の通商摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱が中国経済に影響を与えることを懸念。さらに、不動産市場が2017年に中国経済の足かせになると警戒している。

一方、国家統計局の高官はこの日、中国の不動産市場は2017年も「健全な発展」を続けるとの見方を示した。

*内容を追加します。

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http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/152.html

[経世済民118] ミスター円、トランプ次期政権下の円高を予想 FRB着実な利上 百貨店売上36年ぶり6兆割 侍債14年来高 日本株優位の波
ミスター円、トランプ次期政権下の円高を予想
元財務官で「ミスター円」の異名を持つ榊原英資・青山学院大学教授
By TAKASHI NAKAMICHI
2017 年 1 月 20 日 14:45 JST
 【東京】元財務官で「ミスター円」の異名を持つ榊原英資氏は19日、ドナルド・トランプ次期米政権の1年目には1ドル=100円割れまで円高が進む可能性があるとの見解を示した。次期政権が輸出企業の支援による雇用創出を目指しているためだという。

 現在青山学院大学教授の榊原氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、「トランプ自身もドル高は困ると言い始めた。ドル安誘導を口先でする可能性がある」と語った。

 トランプ氏はWSJが先週行ったインタビューで、米国の通貨は「強すぎる」と述べており、日本には警戒感が広がっている。この発言が伝わると、ドルは18日の取引で6週間ぶり安値の112円57銭まで下落した。

 榊原氏は「輸出増は国内雇用を増やすためには非常にプラスなので、ドル安のほうが望ましい。そういう論理だと思う」と述べた。

 また、大幅な円高・ドル安となった場合でも政府は介入すべきでないと語った。日本企業は1ドル=100円でもやっていける上、トランプ氏も介入を快く思わないためだという。

 榊原氏は、相場の乱高下を抑えるためであれ方向転換させるためであれ、トランプ氏は直接的な為替介入を容認しないだろうと指摘。「アメリカの了解なしに強引にやっても効果はない」と話した。

 さらに、口先介入もしないよう政府にくぎを刺した。「アメリカを刺激するから、と市場が思えば、反応は逆になる」という。

 ただ、日米間で1990年代のような貿易摩擦が復活するとはみていない。トランプ氏が中国に対して貿易・軍事の両面で歴代大統領以上に強硬なアプローチを示唆しているためだという。米国にとって、日本はアジアにおける対中勢力として戦略上の重要性が増すはずだと述べた。

 「中国叩きと同時に日本叩きをするというのは考えられない」という。

 また、米国の貿易赤字に占める中国の割合が圧倒的であることにも言及した。1993年、当時のビル・クリントン大統領が為替や貿易に関して日本に厳しい姿勢を取っていた時、米国の赤字に占める日本の割合は約半分だった。昨年は中国の割合が約50%であるのに対し、日本は約9%にとどまった。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiOp_G7odDRAhWCVLwKHVhBCHYQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582570423234699112&usg=AFQjCNHUr6a3Evl4Ay9Wpugr8b7vHY8pdg


 



イエレンFRB議長、着実な利上げ路線を強調
イエレン議長の発言から、FRBが慎重かつ段階的に利上げを進める計画を堅持していることがうかがえる E
By DAVID HARRISON
2017 年 1 月 20 日 11:34 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長は19日、米経済に過熱のリスクは見られず、成長が近く大幅に加速するとはみていないとの見解を示した。FRBが慎重かつ段階的に利上げを進める計画を堅持していることがうかがえる。

 多くの投資家は、ドナルド・トランプ次期米政権の減税・歳出拡大計画が経済成長やインフレを加速させ、FRBに速いペースでの利上げを促すとみている。だがこれに反し、議長は着実な路線を強調した。

 イエレン議長はトランプ氏の大統領就任式前日、スタンフォード大学で講演。講演原稿によると、経済は依然としてさまざまな長期要因に制約を受けていると語った。

 外需の低迷や金利の上昇、高齢化や他の要因による制約が続いていることを考えると、「経済成長が広範囲にわたって近く大幅に上向くことはなさそうだ」と議長は語った。

 ただ、FRBは利上げに時間をかけすぎ、インフレを制御不能にすることは避けたいと述べた。従って「時間をかけて金融政策姿勢を徐々に調整することが賢明」だろうとし、自身や他のFRB当局者が利上げペースの見通しについて表現する際に最近用いる言葉を繰り返した。

 FRBは昨年12月、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ0.50%?0.75%とし、今年の利上げ回数を3回と予想した。

 12月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、参加者のほぼ全員が、新たな税制や歳出政策が経済成長を促す可能性はあるが、それらがどのように実施され、経済にどう影響するか把握するには時期尚早だと考えていたことが明らかとなった。

 イエレン議長は講演で、トランプ氏の政策以外の要因もFRBの今後の金利判断に影響すると強調。「今後数年間の金融政策の経路はさまざまな要因に左右されるだろう。財政政策はその一つにすぎない」と語った。

 議長はその一方、FRBの利上げが遅すぎてインフレの危険な高進を招くとの懸念を一蹴した。

 「失業率は長期の正常水準に近く、今年やや低下する可能性が高いため、金融政策が立ち遅れているのではないかというのはもっともな疑問だ」とした上で、「答えは簡単に言えば『ノー』だ」と語った。

 失業率は現在4.7%と低いが、足元の賃金の小幅な伸びは「過熱した労働市場と整合するようには思えない。その上、経済全般が過熱している兆しも乏しい」と述べた。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj1sOyXodDRAhWJU7wKHdRWDJ8QqOcBCCQwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582570162309951698&usg=AFQjCNGrj69mI1W7YILwtjqDltp5drt0jg


 

 

来週のドル/円は一進一退、突発的な要人発言に警戒

[東京 20日 ロイター] - 来週の外為市場で、ドル/円は一進一退が予想される。トランプ氏の大統領就任演説が市場の不安をあおればドルは売られやすい。演説が穏当なら初期反応はドル買いとなるとみられるが、市場の関心事である具体的な政策が示されない可能性も高く、高値では利益確定や戻り売りに押される展開も予想される。

このところ米連邦準備理事会(FRB)高官や次期米政権関係者のコメントで相場が変動するケースが多く、突発的な要人発言に警戒が必要との声も出ている。

予想レンジはドル/円が112.50―116.50円、ユーロ/ドルが1.0500―1.0800ドル。

トランプ氏の演説が穏便な内容なら、市場は安心感からドル買いで反応し、さらに市場が期待する具体的な政策を語れば「トランプラリーが再開して上値を試しそうだ」(国内金融機関)という。

ただ、市場の失望を誘った11日の記者会見から間もなく、演説時間もそれほど長くはない予定。今回、詳細な政策が示される可能性は低いとみられ、今後の一般教書演説や予算教書演説を待つ必要があるとの指摘も多い。

来週は米国で12月中古住宅販売件数、同新築住宅販売件数、10─12月期国内総生産(GDP)、12月耐久財受注などの発表がある。これらが良好な内容となれば、利上げペースが加速するとの思惑からドル買いにつながりやすい。

一方、トランプ氏が中国やメキシコなど特定の国を名指しで批判するなどして、先行きの懸念を強める恐れもある。ただ、次期政権の政策の全容が明らかになるまでは期待感が維持されることもあり得、ドルが売られても「演説直後に2円以上の変動はないのではないか」(外為アナリスト)との見方が出ていた。

中国は27日から2月2日まで春節(旧正月)の休暇となる。この間はアジア時間の参加者が少なくなるため、26日はポジション調整の動きが広がる可能性もある。

<ユーロは底堅さ意識>

ユーロ/ドルは、19日にドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁がハト派的な見解を示したことでいったん売られた。その後、持ち直しているが、上昇は調整が主体で、ユーロ買いの持続性は乏しいとの指摘がある。

半面、底堅さも意識されており、「トランプラリーが再開してドル買いの展開となっても、ユーロの下値は1.05ドル程度ではないか」(国内金融機関)との声があった。

(為替マーケットチーム)

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全国百貨店売上高、2016年は36年ぶりに6兆円割れ 衣料品が低迷

[東京 20日 ロイター] - 日本百貨店協会が20日発表した2016年の全国百貨店売上高は前年比2.9%減の5兆9780億円で、2年連続でマイナスとなった。6兆円を割り込むのは、1980年の5兆7225億円以来36年ぶり。主力の衣料品が低迷しているほか、訪日外国人による免税売上高も一時の勢いがなくなっている。

全国百貨店売上高は、91年に9兆7130億円のピークを付けて以降、市場は約4割減となっている。16年は、うるう年で営業日が1日多かった2月を除き、11カ月はマイナスでの推移となった。

免税売上高は5.3%減の1843億円。購買客数は18.5%増と拡大しているものの、単価の下落が影響している。

12月の全国百貨店売上高は、店舗数調整後で前年比1.7%減の6942億円と、10カ月連続マイナスになった。

12月は、主要5品目のうち、衣料品や食料品などが引き続き前年割れとなった。ただ、雑貨だけは化粧品の好調や株高効果による美術品などの回復で、5カ月ぶりに前年を上回った。顧客別にみると、国内市場が2.0%減とふるわなかった一方、インバウンドは、為替の影響もあって8.3%増の192億円と9カ月ぶりに前年を上回った。これは、単月の売上高としては過去2番目の水準となる。

調査対象の百貨店は81社・234店舗。東京地区は前年比1.0%減と、5カ月連続マイナスとなった。

(清水律子)

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http://jp.reuters.com/article/department-store-idJPKBN1540RQ


 


 

 
サムライ債発行が2014年来の高水準、仏BPCEがTLAC基準で起債
Finbarr Flynn
2017年1月20日 16:52 JST

1月に入ってからのサムライ債発行が4937億円相当に達し、月間ベースで2014年5月以来の高水準となっている。
  フランスのBPCEが20日、3本立てで総額1427億円相当を起債したが、この中には総損失吸収能力(TLAC)基準に従って仏銀が初めて円建てで発行する債券が含まれた。同債券の利率は0.64%。フランス電力も同日、総額1370億円を起債した。
  ブルームバーグのデータによれば、今年これまでのサムライ債発行は既に昨年1−5月の規模を上回っている。
  BPCEがTLAC基準で起債した5年債は696億円相当。日本の投資家から強い需要が見られ、他の発行体による今後の起債を促すだろうと、野村証券シンジケート部エグゼクティブ・ディレクターの五十嵐晃洋氏が述べた。
原題:Samurai at 2014-High as BPCE Sells 1st French Yen TLAC Bond(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK2HR86K50XS01


 

 

 

 
【債券週間展望】超長期利回り上昇か、トランプ政策や40年入札にらみ
三浦和美
2017年1月20日 16:49 JST
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円安・株高期待を背景に相場は上値の重い展開続く−岡三証
40年入札弱いと超長期中心に売り要因になりやすい−メリル日本証

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iWZve2UoOwjo/v2/-1x-1.png

来週の債券市場では超長期債利回りが上昇し、スティープ(傾斜)化圧力がかかりやすいと予想されている。米国のトランプ新政権の発足に伴い、財政拡大やインフラ投資など景気浮揚策の本格始動への期待感から株高・円安となり、債券が売られやすいことが背景。40年利付国債の入札に対する警戒感も出ている。
  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、国際通貨基金(IMF)が公表した2017年、18年の世界経済見通しでは、トランプ新政権の財政刺激策を踏まえ、米国の経済成長見通しが上方修正されたとし、「米国を中心とした世界経済の回復見通しに当面変化はない」と指摘。「トランプ政権の政策にらみの状況が続く中、円安・株高期待を背景に債券相場は上値の重い展開が続く」と見込む。
  今週の新発10年物国債345回債利回りは0.05%でスタート。17日の20年債入札を無難に終えたことで18日には一時0.04%まで買われる場面もあった。19日の5年債入札が低調になると売りが優勢となり、0.075%と1カ月ぶりの水準まで上昇した。

  20日の取引では超長期債が売られ、新発20年債利回りは0.635%、新発30年債利回りは0.80%、新発40年債利回りは0.945%と、いずれも昨年12月半ば以来の高水準を付けた。
トランプ次期米大統領
トランプ次期米大統領 Bloomberg
  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「トランプ氏の発言次第では、為替や株が上下に動くことが想定されるが、円債市場については日銀の国債買い入れと投資家の様子見姿勢の中で、振れは相対的に小さくなりそう」だとみる。
  財務省は24日に40年利付国債入札を実施する。利回り競争入札によるダッチ方式で、応札は0.5ベーシスポイント(bp)刻み。発行額は5000億円程度となる。
過去の40年債入札の結果はこちらをご覧ください。
市場関係者の見方
*T
◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*日銀の金融緩和姿勢が続き良好な需給環境が長期金利の上昇を抑えようが、引き続き上値追いには慎重な投資家が多い
*40年入札控えて超長期国債は上値の重い展開続こうが、利回りが上昇したことで生保や年金資金からの需要で無難に消化されよう
*長期金利の予想レンジは0.05%〜0.10%
◎メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジスト
*40年債入札の結果弱いと超長期ゾーン中心に売り要因になりやすい
*超長期中心にスティープニング圧力加わりそう
*長期金利の予想レンジは0.03%〜0.10%
◎三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッド
*27日の消費者物価に注目。市場の目線は2月か3月に前年比ゼロ%に戻り、年内に1%に届くかといった辺り、この見通しを維持できる数字が出て来るか
*20年債入札で落ち着きかけた超長期ゾーンの需給が24日の40年債入札でどうなるか
*長期金利の予想レンジは0.05%〜0.10%
◎T&Dアセットマネジメント債券運用部の泉功二ファンドマネージャー
*日銀による金利コントロールの外にある超長期ゾーンは相変わらず軟調
*FOMCがタカ派バイアスを強めてくる可能性には注意が必要
*長期金利の予想レンジは0.03%〜0.09%
*T
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK2GE06TTDS901


 

 
【日本株週間展望】上昇、堅調な企業業績が下支え−米新政権に注目
関根裕之
2017年1月20日 15:55 JST
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日本電産など決算本格化、保守的な為替前提で上振れ期待高い
20日に米新政権が発足、視線は経済ファンダメンタルズへ

1月4週(23−27日)の日本株は、3週ぶりに上昇する見通し。本格化する国内企業の第3四半期決算では、円安の追い風を受けて外需中心に堅調な業績が見込まれている。ただ、20日に発足するトランプ米新政権をめぐり警戒感も依然くすぶる。
  国内では23日に安川電機、24日に日本電産、26日にファナック、27日に三井住友フィナンシャルグループなどが2016年4―12月期決算を発表する。昨年11月以後の円安・ドル高の流れに一服感はあるものの、保守的な想定為替レートを踏まえると、現行水準でもなお輸出企業を中心に業績の上振れ期待は強い。日本銀行が昨年12月に発表した企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の16年度下期の想定為替レートは1ドル=103円36銭、日電産の前提は100円で円安による業績押し上げ効果は相対的に大きい。
  米国では24日に中古住宅販売件数、27日に新築住宅販売件数と10−12月期の国内総生産(GDP)が発表される。12月の中古住宅販売の市場予想は前月比1.1%減と、米大統領選以後の金利上昇の影響から4カ月ぶりのマイナスが見込まれている。中国では27日から2月2日まで春節(旧正月)のためマーケットは休場となる。
証券会社前の株価ボード
証券会社前の株価ボード Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  米国ではトランプ新政権が20日に発足する。大統領選挙期間中に掲げた政策目標に対し、トランプ氏からどうのような発言が出てくるのかを市場は引き続き注目している。こうした中でも、アイザワ証券投資顧問室の三井郁男ファンドマネジャーは、「先進国のファンダメンタルズは良好で、企業収益が堅調な日本株に投資を積極化しようという動きは続く」とみる。第3週の日経平均株価は週間で0.8%安の1万9137円91銭と続落した。
<<市場関係者の見方>>
岡三アセットマネジメントの前野達志シニアストラテジスト
  「米大統領就任式というイベント通過に伴い、米経済の先行き期待に関心が向かうだろう。トランプ大統領の政策が見えてくる過程では、インフラ投資など米経済にポジティブな部分が強調され、日米株式は再びご祝儀相場的に買われやすい。日経平均は年始高値の1万9600円付近を探る場面がありそうだ。米国の保護主義への懸念もいったん織り込み、1万9000円割れがあっても一時的だろう」
アストマックス投信投資顧問の山田拓也運用部長
  「20日のトランプ米大統領の就任演説が大統領選の勝利演説のようなマイルドな内容になれば、再度リスクオンとなる公算が大きい。米中古住宅販売など住宅統計は金利上昇の影響で減少が見込まれているが、実体経済は強く、センチメントの急変がない限り利上げペース鈍化など前向きに解釈されるだろう。国内企業決算は為替感応度の高い外需中心に良好な内容が想定される上、大統領選後の上昇局面で買い遅れた向きの押し目買い意欲も旺盛だ」
セゾン投信の瀬下哲雄ポートフォリオマネジャー
  「トランプ相場に息切れ感が出ており、米新政権の現実を見極めていく局面だ。米経済指標では金利上昇の影響を受けやすい住宅関連が悪化する見通し。住宅が景気回復をけん引しただけに、不安視される恐れがある。国内企業決算は円安で業績上振れ期待が先行しているため、期待に届かなかった場合は反動が大きくなりそう」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK2EGY6K510J01


 


アベノミクス相場3度目の日本株優位の波、持続性のボールは米国に
長谷川敏郎、関根裕之
2017年1月20日 08:40 JST

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• TS倍率は0.7倍に接近、15年夏の0.81倍が視野に
• 日本株は依然割安、春頃の資金シフトが有効とゴールドマン

日本株はいま、アベノミクス相場下でパフォーマンスが米国株を上回る3度目の波に乗っている。世界景気敏感株としての位置づけが追い風となる日本株に対し、金利上昇がネックとなる米国株は次第に上値が重くなり、波はさらに高くなる可能性がある。
  TOPIXを米S&P500種株価指数で割ったTS倍率は昨年7月に0.57で底打ちし、12月16日には0.69まで上昇した。TS倍率は高いほどTOPIXのパフォーマンスがS&P500種に比べて良好なことを示す。1月19日時点でも0.68と高値圏を維持しており、2015年8月に付けた0.81が視野に入っている。
  アベノミクス相場での日本株優位は、12年後半から13年前半にかけての「第1波」、14年半ばから15年半ばまでの「第2波」以来。東京海上アセットマネジメントの橋爪幸治シニアファンドマネジャーは、第1波を「金融緩和での円安や財政期待」、第2波を「コーポレートガバナンスなどで日本企業が変わるとの期待や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の買いに合わせて投機的な買いが入った」ことが背景だったと振り返った。今回は「円安」が原動力と言う。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iASkK_brjvdI/v2/1200x-1.png
  昨年11月の米大統領選後、米金利上昇による日米金利差拡大から1ドル=118円台までドル高・円安が進んだ。それまでは100円台前半で推移していた。楽天証券経済研究所の香川睦シニアグローバルストラテジストは「世界経済の低成長・デフレ・円高という流れが成長率回復・インフレ・円安に変わり、グローバル経済の見通しが改善する中で、世界で最も景気に敏感な日本株の見直しがさらに進むだろう」と予想する。
「春」のスイッチに妙味か
  ゴールドマン・サックス証券の日米株価見通しでは、米S&P500種株価指数が6日終値と比較して3カ月後に6%高、12カ月後に1%高と低下するのに対し、TOPIXは3%高、7%高と伸びる。同証では日本の1株利益成長率は16年度の9%から17年度に12%に拡大、米国は同5%から10%と予想する。17年度ベースのPERは6日時点で日本が15.1倍、米国は19.6倍。
  ゴールドマンのキャシー松井チーフ日本株ストラテジストは、経済対策を支援材料とする堅調なマクロ環境や利益成長の持続が17年の日本株の評価ポイントだと指摘。日米株の想定パフォーマンスの違いは、金利上昇による資本コストの上昇で米国株の高いバリュエーションが低下することだという。日米株で運用するなら、米国株から日本株へのスイッチのタイミングは「春ごろ」が最適だろうと話した。 
今回は米国の政策がカギ、ドル高容認はいつまで
  TS倍率の上昇第3波は以前の2回と異なり米国の政策に依存するところがあるため、持続性が読みにくい面がある。岡三アセットマネジメントの前野達志シニアストラテジストは「経常赤字の米国が拡張的な財政政策を採ってインフラ投資を進め、減税するなら、海外から資金を呼び込むには高い金利が必要」と指摘。金利上昇に伴うドル高をトランプ新大統領が「どこまで容認するのかが一番の肝。ドル高を容認している間は日本株の優位が続く」との見方だ。

日米の紙幣

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  りそな銀行の戸田浩司チーフ・ファンド・マネジャーは「景気がそこそこ強い中で景気刺激策が打たれるなら、財政と金融のサポートがしっかりしている日本株が相対的に強い」と考える。逆に、「米国第一主義が行き過ぎると日本企業に悪影響が出るとの見方が台頭し、投資資金の米国回帰が強まる」とも指摘した。
  岡三アセットの前野氏は、ドル高・金利上昇が米企業の景況感を悪化させ、「ブルーカラーのリストラにつながった途端にドル安政策に転換する恐れがあり、それが日本株のピークになる可能性が高い」とみる。ニッセイアセットマネジメントの久保功株式ストラテジストは、もし新政権の財政拡張が大規模にならなかった場合、「米長期金利の水準はいいところまで来ており、年前半はドル高の反動が出るかもしれない。その場合は6割の確率でTS倍率は近々ピークアウトする」と予想する。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-19/OJM03K6KLVRE01



http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/154.html

[国際17] トランプ政権に備える企業、就任式に献金 国民の反発と途方もない機会 就任演説 意図的カオス バフェット閣僚人事を支持
トランプ政権に備える企業、就任式に献金
就任パレードが行われるルートに沿ってたなびく米国旗
By REBECCA BALLHAUS
2017 年 1 月 20 日 17:00 JST

 昨年夏には、大統領候補だったドナルド・トランプ氏への懸念から共和党全国大会への献金をためらった企業が多かった。そのため、献金額は開幕の数日前の時点で予算を600万ドル下回っていた。

 数カ月後、トランプ氏の支持者が就任式のための献金を募ったとき、そうしたためらいは消えていた。献金は、週末のパレードやコンサート、その他のイベントに充てられる。

 7月の全国大会で支持を表明しなかったり献金を減らした企業のうち、少なくとも4社が就任式実行委員会に献金した。同委の幹部によると、献金額は過去最大の9000万ドルに達した。これは、バラク・オバマ大統領の実行委員会が集めた5300万ドル(2009年)と4400万ドル(13年)を大きく上回る。

 ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、ウォルマート・ストアーズ、コカ・コーラ、モトローラ・ソリューションズは、昨年夏の共和党大会には献金をしなかったか金額を減らしていたが、実行委員会には献金している。UPS、ウォルマート、コカ・コーラは、共和党と民主党の過去の党大会には献金をしていた。

 こうした献金事情は、米国企業がトランプ氏との関係をシフトさせていることを物語る。大半の企業は、大統領候補だったトランプ氏と関連づけて考えられることを警戒していた。産業界の大部分は民主党のヒラリー・クリントン前国務長官を支持していた。

 投票日以来、多くの企業がツイッターなどでトランプ氏の攻撃を受けてきた。

 トランプ氏は最近、ゼネラル・モーターズやボーイングといった企業をツイッターで批判する一方、フォード・モーターなどに対しては他国ではなく米国内での生産増強計画を発表したことから称賛した。ウォルマートなど多くの企業が、雇用計画の引き上げを発表するなどしてトランプ氏の批判をかわしたばかりか、ツイッターで称賛にあずかっている。

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トランプ氏がホワイトハウスに持ち込む「意図的なカオス」
ENLARGE
リーランド州のアンドリューズ空軍基地に到着したトランプ次期米大統領とメラニア夫人(19日) PHOTO: EVAN VUCCI/ASSOCIATED PRESS
By
MICHAEL C. BENDER
2017 年 1 月 20 日 15:27 JST
【ワシントン】ドナルド・トランプ氏は、政治的な攻撃と大胆な約束を連発する型破りな選挙運動で米大統領選を制した。20日に第45代大統領に就任するトランプ氏は、そうした戦略の多くをホワイトハウスに持ち込むことになる。
 トランプ氏は最近、来る医療・税金面での変更についてのツイートやコメントで、議会を主導する共和党議員を混乱させた。自国の情報機関にけんかを売り、米国に不可欠な軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)に対しては批判を繰り返して困らせている。
 トランプ氏が指名した閣僚候補の多くはまだ上院の承認を受けていない。これに対し、バラク・オバマ大統領には就任当日に7人の閣僚がいた。上院情報委員会の幹部はトランプ氏や側近らとロシアの関係を調査している。
 ジョージ・W・ブッシュ政権で働いた経験を持つ共和党の政治ストラテジスト、スティーブ・シュミット氏は「彼(トランプ氏)の周辺はカオスだが、それは意図的なカオスだ」と述べ、「同氏のために最大限のコントロールを保持する種類のカオスだ」と説明した。
 トランプ氏は大胆にも、就任イベントと自身の政権は輝かしいものになると言ってきた。側近らによるとその背景には、これまで銀行や規制当局者、政敵と渡り合う際に、混乱を意図的に利用して成功してきたことがある。
 同氏の政治アドバイザーだったエド・ブルックオーバー氏は「われわれが選挙戦で見たトランプ氏が、大統領に就任するトランプ氏だ」と説明。「どの政権もそれぞれの運営スタイルを模索する。運営しながら習得することも多い」と述べた。
互いに認識異なる次期閣僚
 トランプ氏が構築する閣僚チームも型破りだ。次期閣僚の多くは気候変動やロシアの役割を含む問題について互いに異なる認識を持っており、トランプ氏の考えと違うケースも多い。そうした集まりは議論続きになる可能性もあるが、相反する見解に最後まで耳を傾けたうえで最終的な結論を出すのがトランプ流だと側近らは話す。
 だが同氏が引き継ぐ職務の範囲を考えると、そのスタイルでうまくいくかどうかは不明だ。

就任前の支持率(紫:不支持 グレー:支持)
https://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CN350_INGPOL_16U_20170118195106.jpg

 ホワイトハウスには政府の中枢となるウエストウイング(西棟)があり、その下には巨大な官僚機構がある。そしてトランプ氏は世界的スケールでの政権運営を迫られる。過去の大統領経験者によれば、オーバルオフィス(大統領執務室)では日々決定を求められる。トランプ氏自身も17日、1つ決定を間違えば破滅的な結果を招く恐れがあるとの認識を示した。
 トランプ氏は新興メディア「アクシオス(Axios)」とのインタビューで、過ちを犯すことについて質問され、「間違いはある」と答えたうえで、「それらは甚大な影響は及ぼさず、調整できるような間違いでなくてはならない」と述べた。
 大統領報道官に指名されているショーン・スパイサー氏は、20日に各機関に乗り込む政権移行チーム幹部を上陸作戦のチームにたとえた。次官、副次官、海外大使の長い指名リストも準備が整っており、トランプ氏の承認を待つだけだという。それら候補者の大半は、上院からの承認が必要となる。
 スパイサー氏は18日、記者団に対し、「初日に向けた準備は万端だ」と述べた。
 トランプ氏は、就任初日に連邦職員の採用凍結や、議員任期を制限する憲法修正の提案など10件以上の措置を講じると言明していた。だがスパイサー氏によれば、就任直後に大統領令を出すのは、治安上の理由で必要な「4、5件」になるとみられる。
就任1週間前のWSJインタビューでは
 選挙で約束していたイスラム教徒の入国禁止については、トランプ氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、就任数日中に「非常に綿密な調査」手続きを設けることになりそうだと説明。「テロリスト国家や、テロ絡みで大きな問題を抱えているシリアといった国からは、1人も受け入れない」と述べた。
 1週間前の13日、トランプタワーでインタビューに応じたトランプ氏は、自身を待ち受けている仕事についてリラックスしている様子だった。携帯電話に着信があると、おおむね笑顔で話し、政治戦略について短い会話に興じた。
 インタビューに戻ると、「以前はビルを建てていたことが信じられない」としたうえで、「実際は、ある意味で同じことだ」と話した。
 だが政権移行期間が終わりに近づくなか、就任後に予想される現実が頭をよぎったのか、間が空くこともあった。スパイサー氏は、移行プロセスを通じて新たな職務について学ぶトランプ氏が「一貫して謙虚」だと述べた。
 トランプ氏は、就任演説に細心の注意を払って臨むという。言葉の操り手として知られているわけではない同氏は、就任演説の執筆、編集、練習に力を注いできたとスパイサー氏は述べた。
 スパイサー氏によれば、演説の長さは20分程度、移民政策の変更やインフラ支出拡大への意欲が中心になる見通しだ。
トランプ政権へ始動
• トランプ氏と利益相反、早わかりQ&A
• ドル高に包囲されたトランプ次期大統領
• 米国民の大多数「トランプ氏はツイッターやめよ」


https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiI0b_CodDRAhUEfLwKHWNpAAgQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10504433381807684657504582570133467212516&usg=AFQjCNHbh23F7xI7B3O0JH36vM-E2LvrtQ

 


【社説】トランプ氏の船出、国民の反発と途方もない機会
国民はその資質に懐疑的だが政策面に期待
大統領就任式のリハーサルが行われている連邦議会議事堂(15日)
2017 年 1 月 20 日 16:35 JST

 米大統領就任式を20日に控えたドナルド・トランプ氏は過去に前例のない反発に直面している一方、目の前には途方もない機会が広がっている。トランプ氏が目の当たりにしているのはパラドックスを抱えた国民だ。同氏の大統領としての資質には疑問を抱きつつも、機能不全に陥ってさえも権限を強める政府を変革させるという公約を果たしてくれるのではと国民は期待している。

 その意味でトランプ氏はバラク・オバマ大統領とは正反対だ。米国民はオバマ氏の人格は称賛したものの、公約を果たすという点では失敗したとみている。トランプ氏は人格面への高評価という貯金なしに大統領職に就くことになる。つまり、国民の支持を勝ち取るために、過去の多くの大統領よりも実績を上げなければならない。

***

 そしてトランプ氏は、あからさまに、かつ執拗に自らの失敗を望んでいる反対勢力と対峙する中で実績を上げる必要がある。大統領就任式は通常、政治的結束の瞬間であり、国家として目指すことを訴える場である。だがトランプ氏にハネムーン期間はない。

 民主党の幹部らはトランプ氏の当選は正当性がないと主張し、メディアの大半は同氏の自滅を望んでいる。それは党派心とイデオロギー、それにトランプ氏は勝てないし勝つべきではないという選挙期間中の自分たちの見解の正しさを単純に証明するためにだ。メディアと官僚からこれほど敵意ある反発を受けている大統領はリチャード・ニクソン氏以来だ。

 だがこうした敵意に対して怒るのではなく、トランプ氏はこれを好機ととらえるべきだ。多くのエリートたちは同氏が失敗するだろうと考えているのだから、初期の小さな成功であっても彼らは困惑するだろう。多くの左派がファシズムの台頭を予想しているのだから、連邦議会とうまく渡り合えば彼らの顔をつぶすことができる。多くのメディアが億万長者の集まりのリーダーとしてトランプ氏をみているのだから、貧困からの脱却と学校選択制の拡大を目指した政策で形勢逆転できるではないか。

 トランプ氏が僅差ながらも勝利したのは、リスクを取ってもトランプ氏に投票する価値があると判断した中道右派と無党派の有権者のおかげだ。注目すべきは、彼らが同氏への判断を保留しているように見えることだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースが共同で実施した世論調査によると、トランプ氏個人を肯定的にとらえている国民は回答者の38%である一方、否定的にとらえている割合は48%と、否定的な見方が10ポイント多い。就任時の数字としては近代のどの大統領よりも低い。

 だがこれも注目すべきことだが、国民はトランプ氏の人格や資質よりも、政策面に関心を向けている。税制改革、過激派組織「イスラム国」(IS)に対する作戦、道路や橋の整備、健康保険制度の手直しなどは広く支持されている。仮にトランプ氏の人格に関して有権者がどっちつかずの思いを感じているのであれば、政策面で支持を得る余地があるということだ。

***

 トランプ氏に託された一番の、そして最もやり遂げる必要がある使命は、経済を1〜2%の低成長から脱却させ、オバマ政権下で伸び悩んだ中間層の収入を上げることだ。オバマ氏は経済成長より自らの社会的・政治的信念を優先させ、米国と自らの立場を苦しめてきた。オバマ政権下で成長を妨げてきた障害物を取り除くことで、これまで弱かった投資を解き放つことができるのはトランプ氏にとって好機となる。

 規制を緩和し、税制を改革し、国内のエネルギー生産の制限を解き、健康保険市場を取り戻せば、資本が湧き出て投資意欲が再活性化される。そうすれば新たなベンチャーが創出され、抑えられていた事業取引も成立するようになる。トランプ氏には貿易に制限を設けようとする衝動があるが、成長を目指した政策を台無しにすることのないよう、そうした衝動を十分に封じ込めておかなければならない。トランプ氏流で成長を再活性化させることは懐疑派を納得させる最善の方法だ。

 国民の暮らしへ見境なく介入することから、ほとんど信頼されていない政府の改革も次期大統領の仕事だ。公共サービスを目に見える形で手直しすることが必要だ。例えば、納税者の質問にきちんと答える内国歳入庁(IRS)、退役軍人を見殺しにしない退役軍人向けのサービス、そしてより多くの選択肢があり保険料の安い健康保険だ。

 われわれはトランプ氏の移民政策に関する考えには同意しないが、国境政策が厄介である理由の1つは、違法移民が無法と無秩序の感覚を想起させるからだ。また、公共事業の承認手続きの迅速化は優先されるべき政策だ。

 ワシントンでトランプ氏に必要なのは、自身の政策を動かすことのできる協力者だ。連邦議会の共和党は専門知識と助言の源であることをトランプ氏は認識すべきだ。トランプ氏が議会共和党を協力者として活用し、目的を共有できれば、最初の2年間をロナルド・レーガン政権の1期目以来、最も際立ったものにできるはずだ。逆に、感情的なことや政策上のたわいのない違いなどで彼らと衝突すれば、民主党がその亀裂を利用し、4年後、もしくはそれより早く、トランプ氏をオフィスから追い出すことになるだろう。

***

 トランプ政権で最大の不確定要素は外交関係だ。外交に関してトランプ氏は直感はもっているものの、経験はない。しかも同氏の衝動的なコメントは不安を招く可能性がある。オバマ氏は友好国との関係を犠牲にしてでも敵対国と上手く付き合う方針だったため、友好国を心配させた。トランプ氏は、自身が掲げる「米国ファースト」というスローガンは単に表紙が異なるだけで、中身は同じ米国の後退を意味しているのではないかと懸念している同盟諸国を安心させる必要がある。少なくとも防衛力の強化は友好国、敵対国ともに強い印象を与えることになるだろう。トランプ氏が予算を理由に諦めることはないと仮定すればの話だが。

 トランプ氏の口が最も災いをもたらす領域が外交だ。ドイツのメルケル首相に対する今週の発言は無駄に相手を怒らせる類のコメントだ。トランプ氏が欧州の頭越しにロシアとの関係の「リセット」を図るのであれば、ドイツと米国を分断させるというロシアのウラジーミル・プーチン大統領の目標を達成させることになる。そのうえ、トランプ氏が望んでいる北大西洋条約機構(NATO)による負担増が決してかなわないこととなる。

 メキシコに関しては、貿易面での「いじめ」によってこの隣国を反米左派の国に押しやり、数十年続いた経済成長を終わらせることのないよう、態度を緩めるべきだ。違法移民が問題であると考えているのであれば、仮にメキシコに左派のポピュリスト政権が誕生すれば、今どころの問題では済まなくなる。

***

 トランプ氏は現状打破を約束した。大統領として成功するためには、この公約を果たさねばならない。それは冒険となるだろう――ホワイトハウスには少なくとも6つの権力中枢があるように見えるため、なおさらだ。方向性のない「カオス(混沌)」による政権運営は混乱を招きかねない。それでも、トランプ氏の閣僚人事はオバマ、ブッシュ両氏よりも良い。見事な人選もある(国防長官に指名されたジェームズ・マティス氏)。

 「ネバー・トランプ」というスローガンを掲げている勢力の抵抗は激しいだろう。だが一般国民は結果を待っている。トランプ氏の成功は国内における好景気と、米国に対する諸外国の尊敬を勝ち取るとした公約を果たせるかどうかにかかっている。

トランプ新大統領特集

大統領就任式の準備進む首都ワシントン
就任控えたトランプ氏、支持者は複雑な思い
トランプ氏と利益相反、早わかりQ&A
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjt8MzrqdDRAhUKjLwKHV4eAOUQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582570453570328424&usg=AFQjCNGBBWFxR8K6nAkCDxTYqKOSd2BelQ

 


【寄稿】トランプ氏の就任演説、前例ないものとなるか?素晴らしい大統領ほど短い演説を行う傾向
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RR008_dibacc_IM_20170117153920.jpg
大統領就任演説を行う米初代大統領のジョージ・ワシントン
By THOMAS V. DIBACCO
2017 年 1 月 20 日 17:14 JST

――筆者のトーマス・V・ディバッコ氏は首都ワシントンにあるアメリカン大学の名誉教授

***

 ジョージ・ワシントンが米国初の大統領就任演説を行ったのが1789年。以来、多くの就任演説が行われてきた。こうした演説が法律で要求されているわけではないが、ワシントンは新たに採択された合衆国憲法に対する自身の見方を表明するのが適切だと感じていた。この演説は先例となった。必ずしも良いものとは言えないが。

 ワシントンと異なり、多くの歴代大統領は平凡な言葉を就任演説に詰め込んできた。それぞれの演説は過去の演説に倣って構成されるため、その効果は時間がたつにつれ、ある種の増幅された無関心を聴衆にもたらすようになってきた。

 一般的に、就任演説の構成は3つに分かれている。つまり、新大統領が就任を誇りに、そして(あるいは)慎み深く受け止めていることを認識し、米国の歴史からいくつかのエピソード(見習うべき良い例、または避けるべき悪い例)を引用し、次期政権の方向性を語るのだ。前任者に暖かい言葉が向けられるときもあるが、それはあくまで「時々」にすぎない。

 就任演説の長さと大統領の質の間には負の相関関係があるように思える。歴史家から最上級の評価を得ている大統領は無口だった。ワシントンの2期目の演説に含まれた単語数は135語だ。また、トーマス・ジェファーソン、アンドリュー・ジャクソン、セオドア・ルーズベルト、ウッドロー・ウィルソン、フランクリン・ルーズベルトの演説も簡潔だった。9000語近くの最も長い演説はウィリアム・ヘンリー・ハリソンのもので、1841年の寒い雨の日に行われた。ハリソンは風邪をこじらせて肺炎となり、1カ月後に死去した。

 評判が劣る大統領のもろさは演説に反映されている。軍人として40年を過ごしたザカリー・テイラーは言葉の達人とは言えなかったが、自分のために軍人に近い規範を提示した。「知らされ得る限りにおいて、私は誠実性、能力、そして忠誠をもって官職を授かるのに不可欠な前提条件とするつもりだ」

 フランクリン・ピアースは、同氏が任期中に取ることになるのと同じ取り乱した態度で演説を始めた。「同郷の人よ、私が自分にとって望ましいというより、むしろ他人にとって最適な職位を担わされる結果になったことに対し、私自身以外に誰も個人的な後悔とつらい悲しみを知り得ないと感じることに安心感を覚える」

 次に、カルバン・クーリッジが1925年に行った演説はかなり基本に忠実なものだった。「共和国の本質は代議政治だ。われわれの議会は人民と各州を代表している。あらゆる立法問題において、それは大統領の自然な協力者なのだ」

 大統領の中には、就任演説を利用して勇敢な姿勢を示す者もいた。ラザフォード・B・ヘイズは憲法を改正して大統領の任期を1期6年に制限するよう提案した。ジョン・F・ケネディとグロバー・クリーブランドは自立を促した。クリーブランドは1893年、「家父長主義の教訓は捨て去るべきだ。より良い教訓は、人民は愛国的かつ快活に自分たちの政府を支援すべきで、その(政府の)機能に人民の支援は含まれないと教えることだ」と述べた。

 いくつかの就任演説は精彩を欠くものだったが、歴史として読むとちょっとした慰めになる。連邦政府が直面する問題は決して変わらず、最大の問題は財政なのだ。ジェームズ・ブキャナンは1857年、「われわれの現在の財政状況は歴史上比類がない」と嘆いた。

 20日の就任演説で、ドナルド・トランプ氏が誰の例に倣うのだろうか。

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バフェット氏:トランプ次期米大統領の閣僚人選を「圧倒的に」支持
Amanda Gordon、Noah Buhayar
2017年1月20日 15:47 JST

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大統領選挙中はクリントン氏を支持し、トランプ氏とは頻繁に衝突

米資産家ウォーレン・バフェット氏はトランプ次期米大統領による閣僚人選を「圧倒的に」支持すると述べた。
  米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるバフェット氏は19日、自身の人生に関するドキュメンタリー作品の試写会で、「私は誰が大統領でもそのように感じる」とコメントした。同氏は「私もそうだが、CEOは運営上役立つ人材を選定する能力を持つべきだ」と述べ、「失敗すれば、自分の責任であり、新しい人を起用する必要がある」と付け加えた。
  バフェット氏(86)は大統領選中、民主党候補のヒラリー・クリントン前米国務長官を支持し、ネブラスカ州オマハを同候補のために遊説した。一方、トランプ氏とは頻繁に衝突し、過去約40年、主要政党の大統領候補が開示してきた確定申告書を同氏が公表しない点を厳しく批判していた。
  ただ大統領選後は、バフェット氏はトランプ氏に対しより融和的な口調を用い、結束を呼び掛けている。昨年11月のCNNとのインタビューでバフェット氏は、人々はトランプ氏に同意できないかもしれないが、最終的には同氏は「あらゆる人からの尊敬に値する」と述べていた。
原題:Buffett Says He Supports Trump’s Cabinet Picks ‘Overwhelmingly’(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK2DOF6JTSEW01


http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/395.html

[国際17] トランプ氏、大統領就任後すぐに規制撤廃・先送りに着手へ 閣僚承認待たず貿易公約実行  ハイテクで偉大な民主主義を取戻せ 
トランプ氏、大統領就任後すぐに規制撤廃・先送りに着手へ
By ANDREW ACKERMAN AND AMY HARDER
2017 年 1 月 20 日 17:25 JST

 【ワシントン】ドナルド・トランプ氏は大統領就任後、すぐにも公約に掲げた規制緩和に着手する見通しだ。投資顧問業から住宅ローン保険、発電所の二酸化炭素排出に至るまで、ありとあらゆる分野の規制が対象になる。この件について政権移行チームと協議しているロビイストらが明らかにした。

 ロビイストらによると、トランプ氏が20日に大統領に就任してから最初に取る行動の1つは、連邦政府機関に規則制定手続きを一時中止するよう命じることかもしれない。これは、歴代大統領が対立政党出身の大統領と交代した時に取った手法と似ている。

 トランプ氏はさらに、今年発効するオバマ政権の主な優先政策の先送りを命じるとみられる。最大の標的は、数兆ドル規模の退職貯蓄運用業界を揺るがしている新しい規則だ。ロビイストらによると、4月に発効する、いわゆる「受託者規則」の実施を6カ月先送りすることを検討している。そうすれば、この規則を無効にする時間を議会に与える可能性がある。

 トランプ氏は公式声明を発表し、オバマ大統領の2期目の任期の最優先事項だった気候変動関連規則を廃止する意向を表明する見込みだが、実際に廃止するには時間がかかりそうだ。

 トランプ氏の政権移行チームは19日、コメントの要請に応じなかった。

 トランプ氏はこれまでに、新政権は全ての政府機関の規制に狙いを定めると述べており、物議を醸しているオバマ政権の規制の一部撤廃を望んでいる共和党議員の支持を得られる可能性がある。だが、米国企業に対する規制を廃止するという約束をトランプ氏が果たすには数年かかりそうだ。手続きが複雑であるほか、民主党議員と州の司法長官が抵抗しているからだ。

 それでもロビイストらによると、すぐに一部の規制撤廃に向けた行動を始める見通しだ。例えば、新政権は来週初めまでに、連邦住宅局(FHA)の住宅ローン保険料の引き下げを延期するための措置を講じる予定だ。FHAは、頭金が少なく信用力が低い住宅購入者向けの住宅ローン債務を保証している。

 FHAを管轄する住宅都市開発省(HUD)は今月、2年ぶりに保険料を引き下げると発表した。これは、以前からFHAの保険プログラムが連邦政府に多大なリスクを負わせていると声高に批判している共和党員の間で論争の的になっている。

 銀行抵当協会(MBA)のデービッド・スティーブンス社長兼最高経営責任者(CEO)はインタビューで、保険料引き下げの延期は、新政権が保険プログラムの評価を行うための賢明な措置だと述べた。

 広範囲にわたる規制の一時中止は、まだ連邦官報で公表されていない、オバマ政権下の規制当局が取った措置を阻むかもしれない。例えば、連邦準備制度理事会(FRB)が先月制定した新しい救済防止規則が今後どうなるか疑問視されている。

 FRBの広報担当者はコメントを避けた。

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トランプ氏、閣僚人事承認待たずに貿易協定で公約実行へ=報道官

[ワシントン 19日 ロイター] - トランプ次期米大統領の報道官、スパイサー氏は19日、トランプ氏が公約に掲げる環太平洋連携協定(TPP)からの離脱と北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しについて、米議会による閣僚人事の承認を待たずに実行に移す方針だと述べた。

トランプ氏は20日に大統領に就任する。同氏は昨年11月、TPPが「米国にとって大惨事となる可能性がある」とし、就任初日にTPPからの離脱を通告すると表明していた。

スパイサー報道官は記者団に対し、貿易協定に関する公約実行について、トランプ氏が大統領令を通じて実施すると述べたとし、間もなく行われるとの考えを示した。報道官は「トランプ氏は待たないだろう」と述べ、公約の一部が「重要な優先課題であることを(同氏は)明確にしている」と指摘した。

財務長官に指名されたスティーブン・ムニューチン氏は19日に上院で行われた承認公聴会で、米政府は米国とメキシコの双方が恩恵を受ける形でNAFTAを見直すことは可能との考えを示した。

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http://jp.reuters.com/article/usa-trump-trade-idJPKBN15404Y


 

ハイテクで「偉大な民主主義」は取り戻せるか政治家の言動をまとめるオンラインツールの必要性と課題
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ハイテク技術は民主主義をどう変えるのか。WSJのパーソナルテクノロジー担当コラムニスト、ジェフリー・ファウラーが解説する(英語音声のみ)
By GEOFFREY A. FOWLER
2017 年 1 月 20 日 11:40 JST

――筆者のジェフリー・ファウラーはWSJパーソナルテクノロジー担当コラムニスト

***

 米国には選挙で選ばれた公職者がおよそ51万9000人存在する。そこで新たな大統領が就任するのを機に、ぜひ試してもらいたいことがある。アプリでもウェブサイトでも何でも使っていいので、地元選出の約30人を全員探し出すチャレンジに挑んでみてほしい。

 地元選出の議員だけでなく、会計監査官や学校の役員まで全員調べるのはなかなか難しいはずだ。

 今はスマートフォンを使えばどこのスターバックスに行くにしても道のりを細かく調べることができ、訪れた店舗の前で自撮りをすることも可能だ。しかし責任ある有権者となるための情報を提供するアプリは、実はまだ道半ばの状況だ。

 昨年の大統領選の結果に関してはさまざまな意見があるが、たくさんの人がソーシャルメディアという名のブラックホールに吸い込まれたのは事実だろう。しかし、ソーシャルメディアを通して正しい知識を得ることは少なかったようにも感じられる。そこで筆者は今回、さまざまな政治家の言動をチェックできるような中立なオンラインツールを探してみた。

 中にはドナルド・トランプ次期大統領のテレビ発言をデータベース化している非営利電子図書館「インターネット・アーカイブ」など、可能性を感じさせる新しいサービスもあった。しかし州政府や地方政府の最新の情報を利用者が簡単に入手できるサービスは少ないと感じた。

 データへのオープンアクセスを推進する「サンライト財団」のような組織は、インターネットが政治を変える可能性を10年以上前から主張し続けている。また、「コード・フォー・アメリカ」のような組織では数千人ものボランティアが働く。従来は州議会議事堂の地下室でコピーを取る必要があったデータも、彼らの努力によってオンラインで閲覧可能となってきた。

 しかしこれら団体の技術者たちは、道のりがまだ遠いことに不満を感じていると話す。オンラインでは政府情報のほんの一部しか入手できず、その情報も多くのデータベースに分散しているからだ。

 これらデータベースをつなげて情報を整理し、自分の選挙区で当選した政治家がどのように活動しているか知ることは大切だ。しかしサンライト財団では資金調達が難航した結果、技術開発部門が閉鎖された。重要な選挙前にこれら善意のプロジェクトが進展するため、リソースを持つ組織との協力が必要になるだろう。

 責任ある市民は何をするべきなのか? 政治家が誠実であり続けるように圧力をかけることができるオンラインツールをいくつか見つけたので、ここで紹介したい。

地元選出の議員は誰?

 最初にしなければいけないのは、自分の選挙区から選ばれた議員が誰なのか知ることだろう。すべての議員を調べられる場はないが、まず手始めに「myreps.datamade.us」から当たってみるのがいいかもしれない。シカゴの団体によって立ち上げられたこの無料サイトは、住所を入力するだけで地元から選出された議員の連絡先を見つけることができる。場合によっては州政府や市議会議員の情報も手に入れられる。

Myrepsの画面 ENLARGE
Myrepsの画面
 選挙で選ばれた公職者51万9000人のうち、同サイトには5万人が登録されている。無料のサイトとしてはこれ以上の数が登録されている場を筆者は見つけられなかった。ただ筆者の選挙区に関しては1人間違って登録されていた上、地元議員は20人ほど探すことができなかった。この場合は図書館などで情報を得るしかないかもしれない。

 議員に寄付した企業や個人を調べたい場合は、「Opensecrets.org」というサイトがあり、州レベルの調査には「followthemoney.org」も便利だ。ナンシー・ペロシ下院院内総務(民主党)は筆者の地元から選出されているが、同氏にとって昨年最大の献金者がフェイスブックであることを初めて知ることができた。

 すべての政治家を網羅するには、大人数でひとりひとりの議員をこまめに調査していくしかないだろう。一般市民や地元政府がその作業に協力できるようなシステムも必要になる。これは非営利団体ではなかなか実現できないだろうが、利用者への情報提供で利益をあげているシリコンバレーの大企業なら可能かもしれない。グーグルは市民のためのデータベース作成に取り組んではいるが、まだ本腰を入れるには至っていない。

議員の発言を知りたい場合

 保守派評論家ビル・オライリー氏やコメディアンのジョン・オリバー氏のようなコメンテーターを見ていると、彼らはネタにできる情報をたくさん抱えているように見える。一般市民も政治家の過去の発言をデータベースとして所有することができたらどうなるだろうか。

 それを実現させようとしているのが、インターネット・アーカイブがとりかかっている「トランプ・アーカイブ」だ。このデータベースには2009年以降にトランプ氏が出演した800ものテレビ番組が記録されており、利用者は発言を元に動画を調べることができる。

 インターネット・アーカイブは数年前から20のテレビ局のニュース番組を録画し続けている。ニュースの動画に字幕を付けたことで、キーワードで検索をかけられるのが特徴だ。政治家の発言の真偽が問われることが多い中、このサービスを利用すれば利用者が直接動画を見て確認できる。

 ただトランプ・アーカイブは、テクノロジーを使って議員の発言を記録していく作業の難しさも浮き彫りにしている。動画は字幕の情報を元に分類されるが、発言の中に人物の名前が出てくると、それを発言者の名前と誤解をするようなパターンも見られる。仮に何千人もの政治家について同じようなデータベースを作成する場合、顔認識技術や音声認識技術を持つテクノロジー企業からの援助が必要になるという。

 われわれはオンライン上の情報が永遠に消えることがないと考えているが、実はそうではない。議員の言葉や行動を逐一記録することを仕事にしている人はいないからだ。インターネット・アーカイブでは政府がサーバーに保管しているデータが消えてしまわないようなプロジェクトにも取り組んでいるという。

トランプ・アーカイブのスクリーンショット ENLARGE
トランプ・アーカイブのスクリーンショット
議員の活動内容を知りたい場合

 有権者が政治に無関心になることがないよう、インターネットの可能性を最大限活用して政府の重要な情報が手に入れられるようにすることも重要だ。

 「Govtrack.us」 というサイトでは、連邦議会議員が議案にどのような票を投じたかを調べられるだけでなく、本人が参加する活動や支持を表明している法案に大きな動きがあった場合はメールで知らせてくれる機能もある。ただ問題は、実際に何が起きているか知るためには、ワシントンでしか通じないような政治用語を理解する必要があることだ。

 「Votesmart.org 」では、具体的な課題に関して議員がどのような言動をとったかを知ることができる。また 「Washingtonwatch.com」では連邦法が一般家庭にどれぐらいの経済的負担を生じさせたかを知ることが可能だ。「Brigade.com」 は政治情報をソーシャルメディア風に入手できるサイトだが、今は選挙の詳細を中心に伝える内容になっている。

 筆者はフェイスブックやツイッターを通して可能な限り地元選出議員をフォローしようとした。そうすれば議員たちがどのようなことに関心を持っているかを知ることができるだけでなく、機会があれば質問も投稿できるからだ。ちゃんとしたコメントを残せば、何かしらの反応を受ける可能性もあるだろう。

 フェイスブックは米国内の利用者に対し、今回の選挙で当選した議員とつながりを持つことを推奨している。また同社は偽ニュースを分析する活動にも取り組んでいる。

 フェイスブックの広報担当者は、市民の社会参画にかかわるプロジェクトをこの他にも手掛けていると語る。ならば筆者の選挙区から当選した議員の投稿や活動がすぐわかるような機能を追加してもらいたい。猫のおもしろ動画を見つけるのと同じぐらい、デジタル民主主義に参加することも容易になるべきだからだ。

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http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/396.html

[国際17] 現地専門家が見るトランプ政策の勝算 中間管理職的CEOへ脱皮を ウォール街に圧力ファイアウオール復活、次期財務長官が検討
コラム:
現地専門家が見るトランプ政策の勝算

井上哲也野村総合研究所 金融ITイノベーション研究部長
[東京 20日] - トランプ米国新政権による「最初の100日間」の政策に世界の注目が集まっている。トランプ氏は企業活動の米国回帰というミッションを掲げているが、筆者が年初にニューヨークを訪問した際には、その実現に向けた経済政策として、1)税制改革、2)通商政策、3)インフラ投資の3本柱を挙げる向きが多かった。

このうち税制改革の狙いは、法人税と所得税の引き下げによって国内の支出行動を刺激することだ。なかでも法人税率は、現行の35%から、共和党の案(昨年6月公表の「Blueprint」)では20%、トランプ氏の案(昨年9月の講演などで表明)では15%へと大きく引き下げ、他の先進諸国(20%台に分布)対比でも低位にすることが企図されている。

また、海外子会社による米国の親会社への利益配当にも、双方の案とも法人税の顕著な優遇(現金保有分について共和党の案は8.75%、トランプ氏の案も10%)を提案している。所得税に関しても、累進税における限界税率の簡素化、所得控除の拡充、事業所得との衡平化などを通じた負担の軽減が提唱されている。

税制改革の実現には議会の協力が不可欠であるが、政権と共和党の方向性が一致していることもあり実現の可能性は高い。現地でも、通常の政権移行に比べ具体案の策定が遅延気味との指摘もあるが、遅くとも春以降には議論が本格化し、夏の議会休会前に関連法案が成立するとの見方が聞かれた。

しかも、税制改正の一部は遡及適用される可能性もあり、速やかに企業収益や家計所得に効果を及ぼすことも考えられる。

<国境税をめぐる誤解と本当の効果>

通商政策では、米国の輸出に係る法人税を減免し、輸入に係る法人税を賦課する国境調整(Border Adjustment)の仕組みに関する共和党の提案が注目を集めている。

その狙いは、輸出入の相対コストを変化させることで、米国の輸出の国際競争力を高めることにある。また、共和党案(前述したBlueprint)は、米国企業による海外生産のインセンティブを減殺し、国内回帰を促す効果も目的に挙げている。

もっとも、この政策に関しては、貿易赤字の縮小がドル高を招き、結局は政策効果が減殺されるといった理論的な懸念がある。加えて、税制改革による法人税の簡素化に逆行するという技術的問題もあり、現地の評価は必ずしも芳しくなかった。

ちなみに、国境税という言葉の響きのせいか、関税と解釈する向きがあるが、それは正しくない。実は日本や欧州にも「国境税調整」は存在する。付加価値税(消費税)がそれだ。

例えば、米国から日本へ輸入する業者には8%の消費税が賦課されるが、日本から米国への輸出業者には8%の消費税が還付される(むろん、日本国内においては輸入業者も国内業者にも同率の消費税が課されるので、税制上の不公平は生じない)。

実は米国には、小売段階で課される州レベルの売上税などはあるが、消費税のような多段階課税の付加価値税がない。そのため、実質的に国境調整をすでに行っている日欧との税収面での整合性向上という面は確かにある。

ただし、前述したように、貿易収支改善によって、ドル高を招きやすいことから、通商政策としての有効性には疑問が示されているわけだ。その点では、皮肉なことにトランプ氏による「口先介入」の方が効果を発揮している面もある。

<ドル高を国際政治問題化する可能性>

インフラ投資の狙いは国内需要の刺激にあるが、従来型の投資によって非熟練労働者に雇用機会を創出することも政治的に重要な意味を持つとみられる。

もっとも、現地では3本柱の中で最も期待が薄い印象を受けた。そもそも、総額1兆ドルといった規模感はともかく、トランプ氏は具体案を示していないほか、公共投資による景気刺激が常態化した日本と異なり、企画や優先度の選定、関係先との調整や用地取得などに多大な調整と時間を要するとの見方が強い。トランプ政権の第1期(4年間)をかけても予算の執行が完了しないとの指摘もあった。

これらの政策による経済成長への効果に関しては、具体的な内容が不透明であるだけに現地でも慎重な意見が多かったが、「効果は2017年後半から出現し、18年をピークに19年まで続く」「政策対応がない場合に比べ、ピーク時には年率1%前後の効果を発揮する可能性がある」といった指摘はあった。

それでも、米国の長期的な潜在成長率の低下トレンドを変え、トランプ氏が言う持続的な3%以上の成長をもたらす可能性には、少なくとも現時点で否定的な見方が多かった。

市場への影響では、いうまでもなく、ドル相場が注目されている。財政赤字の拡大(米ブルッキングス研究所は10年間の税収減を約6.1兆ドルと推計)、保護主義的な通商政策、実体経済の拡大に伴う金利上昇とファンダメンタルにはドル高圧力につながる要因がそろっている。

しかし、それはトランプ氏が掲げる企業活動の国内回帰という目標達成にとって望ましい話ではない。トランプ新大統領がツイッターで「口先介入」を行うことにとどまらず、いずれドル高対策に行き詰まり、最終的に国際政治の場にドル高問題を持ち出すというリスクシナリオを意識する向きも少なくなかった。

*井上哲也氏は、野村総合研究所の金融ITイノベーション研究部長。1985年東京大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。米イエール大学大学院留学(経済学修士)、福井俊彦副総裁(当時)秘書、植田和男審議委員(当時)スタッフなどを経て、2004年に金融市場局外国為替平衡操作担当総括、2006年に金融市場局参事役(国際金融為替市場)に就任。2008年に日銀を退職し、野村総合研究所に入社。主な著書に「異次元緩和―黒田日銀の戦略を読み解く」(日本経済新聞出版社、2013年)など。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
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http://jp.reuters.com/article/column-tetsuya-inoue-presidency-idJPKBN1540AY?sp=true


 


コラム:中間管理職的なトランプ氏、求められるCEOへの脱皮

Gina Chon

[ワシントン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国の次期大統領に就任するドナルド・トランプ氏の言動は、企業で言えば最高経営責任者(CEO)というよりも中間管理職のようだ。選挙の勝利から、20日の就任式が目前に迫った今までを見ると、些細な問題に関心を向け過ぎるきらいがある。

不動産王として、トランプ氏は、ビジネス上のどんな小さなことにも注意を怠らない人物と評されてきた。大統領に就任すれば非常に幅広く重大な結果をもたらし得る問題に取り組むことになるが、トランプ氏はこのミクロ経営スタイルに固執している。大統領就任式実行委員会のトム・バラック委員長はニューヨーク・ポスト紙に対して、トランプ氏自らが就任パーティー用のテーブルクロスを選んでいると明かした。バラック氏は「トランプ氏にはずっと、テーブルのセットなどは私に任せて、自由世界をどう運営していくかという仕事に戻ってくれと頼んでいる」という。

トランプ氏がとらわれているのは、こうした取るに足らない雑事ばかりではない。彼は国家情報当局から毎日説明を受けるのを拒んでいるが、ボーイング(BA.N)とロッキード・マーチン(LMT.N)のトップと会談して航空機の費用に不満をぶちまける時間はひねり出した。そんな状況で、大統領経済諮問委員会などいくつかの機関の幹部人事はまだ固まっていない。

ニューヨークのトランプタワーには有名人や自治体幹部、スポーツ選手らがトランプ氏に面会するため続々と詰め掛け、同氏は忙しい中で時間を割いている。その中にはラッパーのカニエ・ウエストさんや有名コメディアンのスティーブ・ハーベイさんといったアフリカ系の人々の姿もある。

そしてトランプ氏はツイッターの更新にも熱心だ。雇用問題でゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)などを批判することで、米国の産業政策をそれとなく決定してしまう。それだけでなく、テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で俳優アレック・ボールドウィンさんが演じるトランプ氏の物まねに文句を言い、ゴールデン・グローブ賞授賞式でトランプ氏の差別的言動に物言いをつけた女優メリル・ストリープさんを「過大評価されている」と決めつけた。

トランプ氏の課題は、米国民への新たな医療保険提供から税制の抜本改革、国際貿易協定の再交渉まで多岐にわたる。大統領就任が目前となった今、同氏の振る舞いが本来の地位にふさわしい形に進化するのを願うしかない。

●背景となるニュース

*トランプ氏は20日、第45代の米大統領に正式に就任する。宣誓後にホワイトハウスまでパレードし、夜には舞踏会が開催される。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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ウォール街に圧力も−ファイアウオール復活、次期財務長官が検討示唆
Jesse Hamilton
2017年1月20日 14:28 JST
ムニューチン氏は自己勘定取引の制限に一定の支持を表明
「21世紀版のグラス・スティーガル法」を検討する必要性も認める

トランプ次期米大統領が財務長官に指名したスティーブン・ムニューチン氏は銀行の自己勘定取引を制限するボルカー・ルールに支持を表明し、商業銀行と投資銀行のファイアウオール(分離)を定めたグラス・スティーガル法も何らかの形で復活させるメリットがあるかもしれないと語った。
  米銀ゴールドマン・サックス・グループ出身のムニューチン氏が、財務長官就任後にウォール街が望む全てを与えるわけではないと示唆した可能性がある。
  ムニューチン次期財務長官(54)は19日に上院財政委員会で行われた指名承認公聴会で、預金保険による公的保証の対象となる金融機関には「自己勘定取引という概念はふさわしくない」と指摘し、ボルカー・ルールが銀行による投機を制限していることには意味があるとの見解を示した。
  ムニューチン氏は十数年前に廃止されたグラス・スティーガル法の復活には反対するとしながらも、「21世紀版のグラス・スティーガル法」を政策担当者が検討する必要性を認めた。具体的な中身には踏み込まなかった。
  同氏はその一方で、ボルカー・ルールによる取引制限は行き過ぎだと述べ、簡素化の必要があると考えていると発言。「私はボルカー・ルールを支持するが、何ができて何ができないか銀行が理解できるようにきちんとした定義が必要だ」と述べた。
原題:Mnuchin Puts Pressure on Banks Over Volcker Rule, Glass-Steagall(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK28XH6K50XS01
 
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/397.html

[政治・選挙・NHK219] 「非正規という言葉の一掃」目指す安倍政権−賃金格差解消など課題に 06年日銀議事録、政府ゼロ金利解除難色=安倍日銀不信
「非正規という言葉の一掃」目指す安倍政権−賃金格差解消など課題に
氏兼敬子
2017年1月20日 11:18 JST


Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
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• 非正規の時給は正規の6割、パートはさらに低い水準−厚労省調査
• 賞与制度があると回答した非正規労働者の割合は31%−厚労省調査

官製春闘と揶揄(やゆ)されながらも、企業に対し賃上げを求めてきた安倍晋三政権。目標としているデフレ脱却の時期が見通せない中、労働者全体の約4割を占める非正規雇用労働者の待遇改善に取り組み出している。
  正社員と非正規労働者の格差が如実に表れているのが賃金。厚生労働省の2015年賃金構造基本統計調査による一般労働者の月給を時給に換算して比較すると、正社員が1958円なのに対し、非正規労働者はその6割程度の1258円にとどまる。パートなど非正規の短時間労働者は1044円とさらに低い。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iPXLhf8LGdNc/v2/-1x-1.png

  非正規労働者に対する各種手当や福利厚生の適用割合も、正社員を大きく下回る。厚労省の調査によると、賞与制度があると回答した非正規労働者の割合は31%となっている。また、同省の別の調査によると、正社員とパートの両方を雇用している事業所で、パートに定期的な昇給を行っている事業所の割合は28%、住宅手当を支給している割合は2%にとどまる。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iE6qRRhY.4lA/v2/-1x-1.png


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iRoATzejRX7k/v2/-1x-1.png

  政府は、昨年12月に働き方改革実現会議の会合を開き、非正規労働者と正社員の待遇格差を是正するための「同一労働同一賃金ガイドライン案」を示した。同案では、賞与について、会社の業績への貢献度が同じなら正規・非正規にかかわらず同一の金額を支給すべきだと明記。また、通勤手当や時間外労働手当などの諸手当や慶弔休暇などの福利厚生も必要とした。
  賃金が伸び悩むことで消費の重しとなり、安倍政権が目指す経済再生の足を引っ張っている。エコノミストの中には正社員に対する解雇規制の緩和など労働市場改革をさらに進めるよう促す意見もある。安倍首相は「非正規という言葉をなくしていきたい」と再三述べており、政府はガイドライン案をもとに必要な法改正を進めていく方針だ。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK1ZBD6KLVR401


 


 


2006年下期日銀議事録、政府がゼロ金利解除に難色

[東京 20日 ロイター] - 日銀は2006年7月から12月に開催された金融政策決定会合の詳細なやり取りを記載した議事録を公表した。世界的な好景気と円安・株高基調を背景に、福井俊彦総裁ら執行部は7月にゼロ金利政策を解除して利上げに踏み切るが、政府側は時期尚早として強くけん制。直後の8月に、消費者物価指数が基準改定により大幅に下振れた。

当時の安倍晋三官房長官(現首相)は、この際に日銀への不信感を募らせたと推察される。

当時の世界経済は、リーマン・ショック前の拡張期。ドル/円JPY=EBSは110円台後半、日経平均.N225は1万5000円━7000円台で推移した。

日銀は、同年3月に金融機関が日銀に預ける当座預金を拡大する形での量的緩和政策を打ち切り、金融緩和の目安を量から金利にシフト。短期金利をゼロとする政策を展開していた。現在の日銀も、昨年9月に金融緩和の目安を金利にシフトしており、奇しくも政策運営の局面に類似点がみられる。

短期金利を従来のゼロ%から0.25%に引き上げた7月13━14日の決定会合では、福井総裁が「経済・物価情勢は、今後ともシナリオどおり推移するがい然性が高い」と、物価の上昇に強い自信を表明。「これまでの政策金利水準をそのまま維持し続けると、逆に結果として、将来、経済・物価が大きく変動する可能性、リスクにつながる」と主張した。

他の委員も「ゼロ金利解除は金融市場で確実視されており、見送った場合、サプライズとなり金融市場が混乱する可能性が高い」(水野温氏審議委員)と平そくを合わせる。

一方、政府側出席者の赤羽一嘉財務副大臣は、ゼロ金利解除の提案後、財務相らとの意見のすり合わせを行い、会合は20分間中断。その後「インフレの懸念が見られない現在の状況では、ゼロ金利政策の解除については、必ずしも急ぐ必要はない」と、明確な反対姿勢を表明した。

仮に解除する場合は「金融政策の先行きの考え方や道筋について、丁寧に説明していただく必要あり、今後の利上げが連続的なものとなるわけでないとのメッセージをきちんと発信していただきたい」と要請した。

直後の7月18日に政府は、経済財政白書でインフレ目標の設定を提言。具体策として、1)低金利を一定期間続けることを事前に約束、2)望ましい物価上昇率を掲げるインフレ目標政策、3)デフレがなければ実現した本来の物価水準に達するまで、高い物価上昇率を許容する物価水準目標政策――の3手法を例示している。

8月の会合では「株価、為替レート等の動きを見ると、利上げが織り込まれていたこともあって、市場が政策変更を平静に受け止めたことがわかる」(須田美矢子審議委員)と、利上げによるネガティブなインパクトはなかったとの評価した。

一方、春英彦審議委員は、帝国データバンクの調査を引用し「企業の6割が、年度内の追加利上げによって、景気が腰折れすることを懸念している。企業の間では、金利上昇への警戒感が根強い」と慎重な見方を示した。

8月の基準改定によって消費者物価指数は、目安となる生鮮食品を除く消費者物価(コアCPI)が0.5ポイントも下方改定された。

しかし、9月の決定会合では、福井総裁が「そもそも技術的な改定であり、背景にある実体経済は、物価の見方が変わらない以上、これに大きくとらわれることはない」と総括している。

<高まる年内追加利上げ観測、要人発言で市場迷走>

その後、経済・物価が日銀のシナリオに沿って改善していく中で、市場では追加利上げ観測が台頭する。

11月の会合では、須田委員が10月末に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示したシナリオへの確信が強まれば「実質的な緩和度合いがバブル期以上に強まっている状況下、政策変更についてはちゅうちょなく検討すべきだと考えている」と発言。

水野委員は「展望リポートで示したメカニズムについての判断を維持するのであれば、10月の展望リポートの中間評価を行う1月の金融政策決定会合までに、金利水準の調整を行うべきである」と、タイミングにも言及している。

12月に入ると市場の年内利上げ観測が強まり、日銀関係者や利上げに否定的な政府・与党幹部らの発言が交錯するたびに市場は上下に振れやすくなった。

結局、追加利上げは翌年の2月会合まで見送られるが、12月会合で須田委員は市場を揺らした要人発言について「市場の金利形成から得られるはずの貴重な情報を歪める」とし、「われわれが新たな金融政策の枠組みで目指す市場との対話方法とはかけ離れたものであり、クレディビリティを失うことにもつながりかねない」と述べた。

(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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[東京 20日 ロイター] - 安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は19日、ロイターとのインタビューで、金融緩和の効果を高めるためには財政政策の拡大が不可欠とし、消費税率引き上げの再延期と法人税減税の必要性を指摘した。

政府が掲げる国と地方の基礎的財政収支(プライマリー・バランス、PB)を2020年度までに黒字化する財政健全化目標にこだわる必要はないとも語った。

浜田氏は、アベノミクスの導入後しばらく効果を発揮した大胆な金融緩和策が、長期金利までゼロ%程度に沈むゼロ金利制約などで「昨年はうまく機能していないようにみえた」とし、緩和効果を高めるには「財政刺激策をさらに進めるべきだ」との見解をあらためて示した。

具体策として、2019年10月に延期された消費税率10%への引き上げについて、安倍首相の政治判断としながらも「アドバイザーとして延期すべきと断言する」と強調。トランプ次期米大統領が法人税の大幅減税を公約に掲げていることを踏まえ、国際競争力の観点からも日本のさらなる法人税率の引き下げが重要と述べた。

財政拡大によって2020年度のPB黒字化目標の達成が一段と難しくなるが、「期限にこだわる必要はない」と主張。

米プリンストン大のクリストファー・シムズ教授らが提唱する「物価水準の財政理論(FTPL)」に触れ、こうした理論には問題点もあるとしながらも、「デフレのうちは公債を発行すれば皆がこれもお金と思い、より使ってくれるようになる。そうした政策をとればプライマリー・バランスもある程度改善し、物価も上がる」との見解を示した。

日銀が長期金利をゼロ%程度に誘導しているもとで「財政を拡張すれば金利が上がるが、日銀が金利を抑えることでいい循環ができる」と指摘。デフレ脱却まで日銀は長期金利目標をゼロ%程度に維持すべきとし、物価が2%を超えて上昇を続ける状況では「消費税率を引き上げてもいい」と語った。

一方、急速に円高が進行する局面では「1日に7円とか8円とか円高に動くようなら、政府は投機筋を罰するために介入すべき」とした。

ドナルド・トランプ次期大統領は11日の記者会見で、日本を名指しして貿易赤字に不満を表明した。日本政府の対応について浜田氏は「自分勝手な指導者を喜ばせるために日本が協力すれば、世界のシステムを壊してしまう。追随する政策はよくない」とし、「日本には日本の国益がある。米国が無理なことを言っている場合は、それをとがめることも必要だ」と述べた。

黒田東彦日銀総裁は来年4月に5年間の任期を迎える。浜田氏は 後任人事には「ノーコメント」としたが、日銀総裁の資質について「黒田総裁は国際的な発信力があり、経済学の正しい理解を持っている。それは重要なことだ」と語った。

*このインタビューは、1月19日に実施されました。

(伊藤純夫 金子かおり 編集:田巻一彦)

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[東京 20日 ロイター] - 日銀の中曽宏副総裁は20日、日米の金融政策の方向性が分岐した場合、ドル調達コストが容易に急上昇する可能性があると警告した。

副総裁は国際銀行協会が都内で主催した会合で講演。「日銀は、邦銀がドル建て投資のための調達コスト上昇に伴って信用と流動性リスクの両面で過剰なリスクを負わないよう、引き続き邦銀の活動を注視する」と述べた。

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[経世済民118] ECB、ドイツのインフレ懸念を受け流す 預金金利下回る債券購入方法でまだ正式合意なし 英首相ハードブレグジットは危険な賭
ECB、ドイツのインフレ懸念を受け流す
ECBのドラギ総裁は、インフレ率の上昇は「持続的」かつ「自律的」でなければならないと強調したs

By RICHARD BARLEY
2017 年 1 月 20 日 12:12 JST

 欧州中央銀行(ECB)は何もしなくても市場を動かすことができる。見た目には回復しているユーロ圏の経済成長とインフレについて同行のマリオ・ドラギ総裁がハト派的な見方を示したことで、ユーロは一時1.06ドルを割り込んだ。

 ECBは昨年12月、月額800億ユーロの債券買い入れを2017年4月から600億ユーロに縮小する一方で、買い入れ期間を同年末まで延長し、必要に応じてそれ以降も継続することを決めた。そして今回の理事会でその政策を維持し、経済情勢が悪化した場合は買い入れ規模を再び拡大する可能性があると述べた。

 もっとも、ドラギ総裁が19日の記者会見でユーロ圏のインフレ率が上昇していることに関して質問を受けたのは確かだ。域内の消費者物価指数(CPI)上昇率は昨年前半、ゼロ近辺で推移していたが、12月は1.1%に達した。HSBCのエコノミストらは、CPI上昇率は今年2月までに1.8%となり、「2%弱」というECBのインフレ目標に近づくと考えている。インフレ率の回復は、昨年12月にインフレ率が1.7%に達したドイツの不安をかき立てている。この不安は、ドラギ総裁が受けた数多くの質問からもうかがえた。

 ドラギ総裁は、インフレ率の上昇は「持続的」かつ「自律的」でなければならないと強調した。エネルギー価格の上昇だけでは力不足だ。また、最も重要なのは、物価上昇がユーロ圏諸国の一部だけではなく全体に行き渡ることだ。ドイツの不満は考慮に値しない。なぜなら、通貨ユーロの誕生間もない時期にユーロ圏のインフレ目標を達成できたのは、ドイツ以外の国のインフレ率が上昇し、経済改革を進めていたドイツでインフレ圧力が低下した分を相殺していたからだ。今度はドイツがインフレ率を押し上げる番だ。

 全体的なメッセージははっきりしている。つまり、当面は様子見姿勢を取るということだ。米連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派的な姿勢を強めるのに伴い、そうしたECBの態度はユーロ相場を下げる可能性がある。だが、その鍵を握っているのは米国だ。投資家が注目するのは、ジャネット・イエレンFRB議長やドナルド・トランプ次期米大統領であって、ECBでもなければ、ドイツの批判に対するECBの抵抗でもない。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjV56qaodDRAhUHUrwKHaQfAjEQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582570212776529158&usg=AFQjCNGhVJdaCeP2uq0WOKmrmGcc150UMQ


ドラギECB総裁の記者会見、5つのポイント
ドラギ総裁はインフレ率を目標まで押し上げてその水準に維持するための闘いはこの先もまだまだ続くと強調した

By PAUL HANNON
2017 年 1 月 20 日 10:01 JST

 欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁が今年初めての記者会見で認めたように、ここ数週間に発表されたユーロ圏の経済指標はどれも堅調だった。だが総裁は、長らく景気低迷にあえいできたユーロ圏にとって状況は改善しつつあるように見えるものの、インフレ率を目標まで押し上げてその水準に維持するためのECBの闘いはこの先もまだまだ続くと繰り返し強調した。以下に会見の5つのポイントを挙げる。

1.一時的な物価上昇は「取り合わない」 

2016年12月のユーロ圏総合消費者物価指数(HICP)は前年同月比1.1%上昇した。伸び率は約3年ぶりの高水準となり、中銀が目標とする2%弱に近づいた。だが総裁は、緩和策を縮小するのは時期尚早と考えており、主に燃料の値上がりに起因する一時的なものと判断される物価上昇については「取り合わない(look through)」ことで政策担当者らは意見が一致したと述べた。

2.高いハードル 

 ECBの厳格な基準で見た場合、何をもってインフレ率が上昇したと判断するのか。その定義について、総裁はここ数回の会見よりもさらにハードルを上げた。条件としては、インフレが中期的に持続可能で、しかもそれが域内中核国だけでなくユーロ圏全体に広がっていること。そして、ECBが緩和策を解消してもインフレが続く可能性が高いことだ。

3.ドイツへの配慮 

 債券買い入れ策を17年末まで延長するという16年12月政策理事会での決定をドイツが強く批判したことを受け、総裁と広報チームがドイツを意識して今回の会見内容を練り上げたのは明らかだ。総裁はドイツの預金者や投資家などに対し、将来において確実に高い金利を実現するためにはいま金利を低くしておくしかないのだから辛抱してほしいと訴えた。また、ドイツの借り手や起業家、労働者は低金利の恩恵を受けてきたと指摘し、ユーロ圏全体の景気が回復すればドイツにもプラスになると強く主張した。

4.トランプ氏

 ドナルド・トランプ次期米大統領が欧州連合(EU)離脱国は増えると発言したことやドル高に警告を発したことについて、総裁は2回にわたり意見を求められたが、トランプ氏の政策を評価するのはまだ早過ぎるとしてコメントを差し控えた。

5.ブレグジット

 英国のEU離脱についても総裁は多くを語らなかった。だが、この質問を回避したせいでドイツに対するメッセージの説得力が薄れてしまった可能性もある。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwig4YjOoNDRAhUCXbwKHcJqA00QqOcBCCMwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582570023392741082&usg=AFQjCNFRRyJuZuB9VcUG--_8eyAEYyqgHA

 


ECB理事会後のドラギ総裁の発言要旨

 1月19日、ECBは理事会で、市場の予想通りに主要金利と資産買い入れ策を据え置くことを決めた。主要政策金利は0.00%、中銀預金金利はマイナス0.40%にそれぞれ維持した。写真はドラギECB総裁、フランクフルトで19日撮影(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[フランクフルト 19日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は19日に開いた理事会で、市場の予想通りに主要金利と資産買い入れ策を据え置くことを決めた。主要政策金利は0.00%、中銀預金金利はマイナス0.40%にそれぞれ維持した。

ドラギECB総裁の会見での発言要旨は以下の通り。

<ユーロ圏の雇用創出>

3、4年前を振り返り、雇用創出と経済活動の拡大に実際に効果があるどのような政策が導入されていたかを考えてみると、ECBの金融政策により作り出された異例の資金調達状況のおかげで、消費と投資にけん引され回復が徐々に力強さを増していったことが分かる。

これが唯一の要因だろうか。おそらくそうではない。他にも要因はあった可能性はある。

<ユーロ圏の債務>

いかなる加盟国の債務も持続不可能であると見ていない。

<インフレの分化>

ユーロ圏でインフレの分化が拡大する可能性は低いと考える。

<インフレリスクのバランス>

インフレは大きく上向いた。来四半期、おそらくは向こう2四半期の見通しは、これまでのわれわれの見通しよりも高くなる。現時点でカギとなっているのは2次的影響だ。

<理事会に見解の相違は存在しているか>

(理事の間の政策をめぐる見解の相違をめぐり、判断を誤ったと認めた理事はいるかとの質問に対し)われわれには罪を公に告白するような仕組みはない。われわれは単に討議を行い、政策は効果を発揮していると全般的な充足感が示された。

<金融政策>

金融政策の伝達状況は改善したが、だからといって気を緩めることはできない。

<金利、最終的に上昇へ>

将来の金利上昇に向けて、現時点で低金利は必要だ。ユーロ圏全体の回復は、ドイツを含めたすべての国の利益にかなう。ドイツの貯蓄者は、貯蓄者としてだけでなく、すべての域内他国民同様、借り手や事業家、労働者として恩恵を受けてきた。したがって、われわれは辛抱強くなければならない。回復傾向が堅調さを増せば、実質金利も上昇する。

<基調的なインフレは抑制的>

主にエネルギー価格に左右されるインフレや、基調的なインフレ圧力は引き続き抑制的だ。

<ドル相場に影響を与えたトランプ次期米大統領のコメントについて>

トランプ次期米大統領の発言についてコメントするのは時期尚早だ。

これまでも重ねて申し上げてきたが、為替については、われわれの目標ではないが、物価安定と成長にとって重要ということは言える。

また主要7カ国(G7)、20カ国・地域(G20)の間では、競争的な通貨切り下げを回避するとの強力な合意がある。

G7、G20では、為替について各国がどのような対応を取るべきかを定めた指針がある。

<買い入れ可能債券>

(ECBが購入できる債券の入手可能性について)何ら問題はないと見ている。

<英国の欧州連合(EU)離脱交渉とその影響>

これについて何か発言するのは時期尚早だ。交渉の最終的な結果は非常に重要となるが、同時に、それが経済的な結果を及ぼすかどうかは交渉にかかる時間、およびその形態に左右される。

<基調インフレ>

基調インフレが確実に上向き傾向にあることを示す兆候はまだ見当たらない。

総合インフレは主にエネルギー価格の前年比での動きを反映し、短期的にさらに上向く公算が大きいが、基調インフレ指標は中期的にもっとゆるやかに上昇すると予想される。

<インフレ>

総合インフレは主にエネルギー価格のベース効果により最近上昇したが、基調インフレ圧力は依然として抑制されている。理事会は物価上昇が一時的なのか、また中期的な物価安定見通しとの関連性はないのかを見極めるため、欧州連合(EU)基準の消費者物価指数(HICP)動向を引き続き注視していく。

ユーロ圏のインフレ圧力が高まり、中期的な総合インフレの支えとなるには相当の金融緩和が必要になる。理事会は目標達成に向け正当と判断されれば、責務の範囲内であらゆる可能な手段を用いて行動する。

<構造改革>

構造改革の実施を大幅に強化していくことが必要となる。財政政策も欧州委員会の規則に則りつつ、景気回復の下支えとなるはずだ。

<必要に応じて一段の措置実施する用意>

目標達成に向け正当化されるなら、理事会は責務の範囲内で利用可能なあらゆる措置を利用して行動を起こす。

特に、見通しが悪化した場合、もしくは金融情勢がインフレの道筋の持続的な調整に向けた一段の進展に沿ったものでなくなった場合、われわれには資産買い入れプログラムを規模、実施期間の面で拡大させる用意がある。

<成長と改革>

ユーロ圏の経済成長は、構造改革のペースが緩慢になっていることで鈍化すると予想されている。

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ECB、預金金利下回る債券の購入方法でまだ正式合意なし−関係者
Jana Randow
2017年1月19日 20:25 JST
ユーロ圏の中央銀行は利回りが中銀預金金利を下回る債券を購入する仕組みについてまだ正式合意に達していないと、事情に詳しい関係者が述べた。
  ECBは先月、債券購入を少なくとも今年末まで延長するとともに、現行マイナス0.4%の預金金利を下回る利回りの債券も購入対象に含めると決定した。これを承認する法は先週公表され、13日から購入が開始できることになったが、ECBと各国の中銀をつなぐユーロシステムの市場操作担当委員会は実践の仕組みについて議論をまとめることができていないという。関係者が匿名を条件に語った。
  合意がなくても購入は可能で、預金金利を下回る債券の購入を最も多くこなす公算の大きいドイツ連邦銀行は既に幾らか購入したと、関係者の1人は明らかにした。ECB報道官はコメントを控えた。
原題:ECB Said to Lack Agreement on How to Buy Debt Below Deposit Rate(抜粋
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-19/OK0W7Q6KLVR401

 

 


 
焦点:英首相の「ハード・ブレグジット」は危険な賭けか

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1月17日、英国のメイ首相(写真)は、ついに彼女にとっての「ブレグジット(英国のEU離脱)」の本当の意味を明らかにした。ロンドンのランカスター・ハウスで演説する同首相。代表撮影(2017年 ロイター)

Andy Bruce

[ロンドン 17日 ロイター] - 英国のメイ首相は、ついに彼女にとっての「ブレグジット(英国のEU離脱)」の本当の意味を明らかにした。英国は欧州連合(EU)を完全に脱退し、独自路線を歩むが、その一方で、EUとの包括的貿易協定の合意が得られることを期待する、というものだ。

英国は、製品・サービス双方にわたるEUの巨大な単一市場から離脱し、その代わりに「大胆で野心的な」自由貿易協定(FTA)の締結を試みる。ノルウェーやスイスといった一部の欧州諸国が世界最大の経済地域であるEUと結んでいるような貿易協定は否定された。

メイ首相は17日に行った演説で、離脱交渉を2年以内に完了するとして、EUとの協力を強調し、ブレグジットに向けた「段階的な」移行過程を求めた。

首相演説を受けて、このところ下落していた英ポンド相場は同日回復し、対ドルで1日としては少なくとも1998年以降で最大となる上昇を記録。だが、EU諸国の政府首脳からは、微妙な反応が返ってきており、メイ首相が望んでいるような貿易協定への合意は、苦痛も伴う難しい作業となる可能性を示している。

「こちらから奪うばかりだ。差し出すものはどこにあるのか」とチェコのプロウザEU問題担当相は、ツイッターに投稿。アイルランド政府は、ブレグジットの規模については何の幻想も抱いていないと述べている。

メイ首相は交渉上の優先課題として、移民制限、欧州司法裁判所(ECJ)管轄からの離脱、EU関税同盟の正式加盟停止など12項目を挙げた。関税同盟への加盟は英国独自の貿易協定締結の妨げとなっているとしたほか、欧州とはなるべく摩擦のない形で貿易を維持したいとの考えを明らかにした。

包括的な自由貿易協定(FTA)を目指すことによって、メイ首相は、加盟国間の移動の自由やEU予算への多額の拠出といった政治的に評判の悪い妥協をほとんど考えずに、白紙に近い状態で交渉に入ることが可能となる。

<FTAに見込みはあるか>

だが、FTA合意に至るプロセスはリスクに満ちている。メイ首相は、EUと英国の今後の関係について2年以内に合意し、その後に導入期間を設けたいと発言した。

しかし、自由貿易協定の交渉には通常、2年よりもはるかに長い時間がかかる。カナダとEU間のFTAの場合、予想される発効時期までに7年かかる見込みだ。

「合意形成をめぐる不確実な状態が長く続けば、経済にとって大きな問題となるが、これを克服するために消費者によけいな出費を求めるわけにはいかない」と英有力シンクタンク、国立経済社会研究所のジャグジット・チャダ所長は語る。

最近の英国経済にとっては、貿易や投資といった他の要因が伸び悩むなかで、個人消費が主なけん引役となっている。

また、英国経済の主力となっているサービス部門における貿易障壁の撤廃を求めることも、困難なものとなる可能性が高い。もっとも、ブレグジット支持者は、EU内部でもすでに障壁が存在していると主張しているが。

また、英シンクタンク、センター・フォー・ユーロピアン・リフォーム(CER)によれば、貿易協定が充実すればするほど、英国が遵守しなければならないEU規制も増えてくるという。

FTAという選択肢に賛同する人々は、これによって、ほぼ従来どおりにEUとの貿易を維持しつつ、単一国としては最大の貿易相手国である米国や、ブラジル、インドといった新興市場諸国とのあいだで、じかに貿易協定を締結する自由も与えられる、と主張している。

さらにブレグジット支持者は、EUに対する英国貿易は、製品分野において、2016年11月に過去最大となる85億9000万ポンド(約7400億円)の大幅な赤字となっていると指摘。EUとしても、これだけの市場を切り捨てる余裕はあるまい、と主張する。

<究極の選択>

メイ首相は、こうした貿易状況が交渉材料になると考えているようだ。演説では、不利な貿易協定であれば、ない方がましだと述べており、これは、各国の関税上限を定める世界貿易機構(WTO)のルールに訴える可能性があることを実質的に認めたに等しい。

こうしたシナリオになれば、英国は、金融など規制の厳しい部門を中心に、サービス分野における障壁に直面することになろう。これは「非常に危険な道」だとJPモルガンのエコノミスト、マルコム・バー氏は懸念する。

「成功する交渉戦略には、野心的な目標と、確実な落とし所があるものだ。メイ首相に前者があるのは確かだが、後者を用意しているかどうかは疑問だ」とバー氏は顧客向けの書簡で記している。

確かに、メイ首相が「国際協調主義の英国」というイメージを掲げる一方で、ハモンド財務相は英国議会に対し、EUとの包括的なFTAが実現しないようであれば、英国は強硬姿勢を取り、法人税の大幅引き下げで対抗する可能性もあると語っている。

「(ブレグジットに向けた妥当な条件が得られないとしても)英国民は、単に屈服して今までより貧しくなることを甘受するつもりはない」とハモンド氏は述べた。「わが国の競争力を維持し、生活水準を守るために、できることは何でもやる」

(翻訳:エァクレーレン)

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http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/158.html

[経世済民118] 米トップクラスの富裕バンカー、金融株上昇の恩恵155億ドル−新顔も 米景気見通し不確実性は並 PHP債券強気
米トップクラスの富裕バンカー、金融株上昇の恩恵155億ドル−新顔も
Tom Metcalf
2017年1月20日 14:47 JST
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昨年11月8日の米大統領選以降に富裕なバンカーの資産がさらに増加
M&TバンクのウィルマーズCEOも資産10億ドルでビリオネアに

ドナルド・トランプ氏が昨年11月の米大統領選挙で予想外の勝利を収めた後に銀行株が上昇したことで、20日の同氏の就任式を前に資産額が10億ドル(約1150億円)を超えるビリオネアバンカーが新たに誕生した。
  ニューヨーク州バッファローに本社を置くM&Tバンクの株価は11月8日の大統領選以降、23%上昇。ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、同行のロバート・ウィルマーズ最高経営責任者(CEO、82)の資産は選挙後にネットベースで1億ドル余り増え、10億ドルとなった。
  ウィルマーズ氏はこれで、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン氏やゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクファイン氏らと同様にビリオネアの銀行CEOの仲間入りを果たした。ダイモン、ブランクファイン両CEOは大統領選以降、約1億5000万ドルずつ資産規模を拡大。債券トレーディングの復調で銀行業界の収益が押し上げられたこともあり、S&P500銀行株指数は同選挙以降、今月18日までに21%上昇した。米金融業界で最も富裕な層の資産は、大統領選以降にネットベースで計155億ドル増えたことになる。
  この間の株価上昇で資産家カール・アイカーン氏と投資会社ブラックストーン・グループのスティーブ・シュワルツマン会長がそれぞれ10億ドル余り資産を増やした。投資・保険会社バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏は差し引き56億ドルの増額。バークシャーが保有するウェルズ・ファーゴ(保有比率10%)やM&T(同3.5%)などの銀行株上昇が資産をさらに膨らませる原動力の一つとなった。
原題:Buffalo Banker Becomes Billionaire as Trump Spurs Finance Rally(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK28CT6TTDS201


 

米景気見通し、不確実性は通常より高くない=米SF地区連銀総裁

[19日 ロイター] - 米サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は19日、トランプ次期大統領の就任を控え、米景気の見通しに不確実性はあるが、その度合いが通常よりも強いということはないとの認識を示した。

カリフォルニア州北部ソラノ郡の経済団体の会合で総裁は、「金融政策を決定する際にわれわれは常に不確実性と向き合っている」と指摘。「財政政策や新政権、議会の新体制をめぐる不確実性だけではない。無論、そういった政策がどうなるのか、景気にどのような影響を及ぼすかについては数多くの疑問があり、われわれは注視している」とした。

そのうえで、総裁は、国内政策と同様に過去数年間に米経済にショックをもたらしてきた世界の経済環境やコモディティー価格についても不確定要因が多いと述べた。ただ、これまでと違う点は、不確定要因が比較的バランスが取れた状態にあり、プラスとマイナス両方向のサプライズが生じる可能性があるとした。

「私や同僚のほとんどは、現在の不確実性は概してこれまで経験してきたものと同じと見なしている」とした。

また、イエレン連邦準備理事会(FRB)議長の前日の発言内容をほぼ踏襲し、景気の回復に前進がみられたことを踏まえると、現時点で利上げは「理にかなう」と述べた。

FRBは現在、緩やかな利上げができる状況を見込むが、新たな情報が入れば、こうした見方を「再評価する用意は常に整っている」とした。
http://jp.reuters.com/article/fed-williams-idJPKBN15339X

 


16年は最弱、17年は安定感抜群か−アジア新興通貨でフィリピン・ペソ
Yumi Teso、Liau Y-Sing
2017年1月20日 07:14 JST

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• ブルームバーグが外為アナリスト10人を対象に調査を5−12日実施
• タイ・バーツとインド・ルピーが同率2位−最後尾は中国人民元

アジア新興市場通貨の中でここ1年最も大きく売られたフィリピン・ペソは2017年、この市場で世界的な苦境の影響を最も免れることができる通貨となりそうだ。
  ブルームバーグが外国為替アナリスト10人を対象に実施した調査によれば、過去1年で4.6%下げたフィリピン・ペソが今年、対外リスクに最も抵抗力のある通貨と見込まれている。タイ・バーツとインド・ルピーが同率2位。最後尾は中国人民元だ。
  SBI証券市場金融部の相馬勉部長は、フィリピンは中国や米国などとの対外貿易に大きく依存しておらず、外的要因はペソにそれほど影響を及ぼさないだろうと予想。トランプ次期米大統領が対中政策重視を表明していることから、中国に依存している経済が最も打撃を受ける公算が大きいと指摘した。
  調査は今月5−12日に行われ、参加者に次期米大統領が示している保護主義的な政策の影響など7つの外的要因で生じ得る脆弱(ぜいじゃく)性に関し、アジア通貨を評価するよう依頼した。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ih9uHrvp_DyE/v6/1200x-1.png
地政学リスク(影響「大」との回答の割合を赤、「中」を薄オレンジ色、「小」を緑で示した。無回答もあるため合計が一致しない場合もある)
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i8bh.50Yu2Ow/v3/1200x-1.png
中国の景気減速
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iXxvTjdS8npM/v3/1200x-1.png
トランプ氏の外交政策
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i0csPeuSU_Zw/v3/1200x-1.png
トランプ氏の貿易政策
原題:Asia’s Worst EM Currency Seen Most Resilient in 2017 Survey (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-19/OK0MHY6JIJUP01

 


40年前の債券弱気相場の生き証人、今は強気継続を確信−長めをロング
Andrea Wong
2017年1月20日 12:11 JST

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ウォール街に圧力も−ファイアウオール復活、次期財務長官が検討示唆

• ハント氏の相場観の基になるのは貨幣の流通速度低下
• ワサッチ・ホイジントンは同種ファンド9割をしのぐ−過去3年成績

レーシー・ハント氏はある時代の体験者だが、そうした人物は米ウォール街ではもう数少ない。
  同氏は若手の債券運用者として、米国でインフレが高騰し、ニクソン大統領が賃金・物価凍結を含む政策を発表後の1970年代後半に弱気相場がやってくるのを目の当たりにした。顧客に大もうけさせたと同氏が語るこの時代はしかし、債券値下がりが持続する最後の時期だった。現在74歳のハント氏は、そうした時代に債券取引の経験がある数少ない現役の運用者だ。
  インフレ兆候の表面化が始まり、次なる弱気相場がやってくるのではないかと金融業界が騒がしくなる中で、現在はホイジントン・インベストメント・マナジメントでチーフエコノミストを務めるハント氏は肩をすくめ、「状況は大して変わっていない」と語る。貨幣の流通速度と呼ばれる、やや古い指標を活用する同氏はドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利後の債券相場下落について、長期化する上昇相場の一時反落にすぎないと確信している。
  貨幣の流通速度とは、経済活動のために貨幣が一定期間に用いられる回数のことで、名目GDP(国内総生産)を通貨供給量で割って算出する。この速度を米国でM2を基に割り出すと、過去最低の1.44回に下がっている。1997年のピーク時は2回を超えていた。これはハント氏ら債券強気相場の継続を予想する向きには、民間セクターが金融危機後に投資よりも現金抱え込みを選び、数年にわたる量的緩和の後でもインフレが引き続き抑制されることを意味する。

  ハント氏は「債務が高水準でますます逆効果に働く場合、経済史から学ぶ最重要の教訓とは貨幣の流通速度の低下だ」とし、「私は今でも債券を買い持ちにしている。特に期間長めの債券についてそうだ 」と明かした。同氏は36億ドル(約4100億円)相当の資産運用に携わる。「ワサッチ・ホイジントン米国債ファンド」(運用資産3億800万ドル)は過去3−5年の運用成績が同種のファンド9割余りを上回り、今年これまではプラス1.7%。

原題:Bond Guru Who Called Last Bear Market 40 Years Ago Says Go Long(抜粋)
  

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK1ZLS6S972901

http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/159.html

[経世済民118] 12月の英小売売上高、前月比1.9%の大幅減=落ち込み幅5年ぶり ポンドドルが一段安 ポンドにはEU離脱めぐる悪材料も
12月の英小売売上高、前月比1.9%の大幅減=落ち込み幅5年ぶり☆差替【1/20 20:48】
【ロンドン時事】英国民統計局が20日発表した2016年12月の英国の小売売上高は、前月比1.9%の大幅減となった。11月についても0.2%増から0.1%減に下方修正され、急激な物価上昇を背景に、消費が冷え込み始めたことが明らかとなった。

ロイター通信によると、12月の落ち込み幅は12年4月以来4年8カ月ぶりの大きさ。事前の市場予想では0.1%減が見込まれていた。

12月の小売売上高を業種別で見ると、家庭用品店が7.3%の急減。11月の5.2%増からの反動で落ち込んだ。オンライン販売などの非店舗型は5.3%減(11月は4.0%増)。衣料品・靴店も3.7%減(同2.3%減)と落ち込みが加速した。

ポンドドルが一段安、英小売指標の弱さが尾を引く=ロンドン為替

配信日時 2017年1月20日(金)20:37:00 掲載日時 2017年1月20日(金)20:47:00
ポンドドルが一段安、英小売指標の弱さが尾を引く=ロンドン為替

 ロンドン中盤の取引で、ポンドドルが一段安となっている。一時1.2262レベルと本日の高値1.2372レベルから110ポイントの下落となった。

 この日発表された12月の英小売売上高が前月比マイナス1.9%と予想外の大幅減となり、ポンド売り圧力となっている。ポンド円は141.40台、ユーロポンドは0.8670近辺。

GBP/USD 1.2262 GBP/JPY 141.43 EUR/GBP 0.8669

米国株見通し:米大統領就任式を見極めへ[FISCO]

配信日時 2017年1月20日(金)20:25:49 掲載日時 2017年1月20日(金)20:35:49
S&P500先物 2265.50(+4.00) (20:00現在)ナスダック100先物 5065.25(+11.75) (20:00現在)20:00時点のグローベックスの米株先物はS&P500先物、ナスダック100先物は小動きに推移している。また、NYダウは5ドル安程度で推移。欧州は小幅ではあるが全般買い優勢の展開。19日の米株式市場は下落。トランプ次期大統領の就任式を控え、様子見ムードの強い展開となった。ダウ平均は72.32ドル安の19732.40、ナスダックは15.57ポイント安の5540.08。いよいよドナルド・トランプ氏が第45代米大統領に就任する。市場はトランプ政権の政策を見極めたいとする模様眺めムードが強まっていたが、市場が警戒しているのは就任式での発言というよりは、デモ隊等による混乱に対してという面はある。そのため、無事にイベントが通過してくるようだと、アク抜けといった格好に向かわせ、改めてトランプ政権への期待感から物色意欲が強まる可能性はある。足下でNYダウが5日続落となるものの、決算シーズンのなか、これまでの決算は予想を上回る内容が目立つ。また、経済指標についても好感されるべき内容であることから、イベント通過後の動向が注目される。
http://klug-fx.jp/fxnews/


ポンドにはEU離脱めぐる悪材料も取り沙汰される=ロンドン為替

配信日時 2017年1月20日(金)20:50:00 掲載日時 2017年1月20日(金)21:00:00
ポンドにはEU離脱めぐる悪材料も取り沙汰される=ロンドン為替

 ロンドン前半の取引は、ポンド売りが先行した。英小売指標の悪化に加えて、EU離脱関連の悪材料も市場筋に取り沙汰されているようだ。

 ブルームバーグによると、ECBのクーレ理事は、英国でのユーロ決済業務を維持することは困難となろう、と述べている。また、ロイター通信によると、英スコットランドのサモンド前行政府首相は、スコットランドは2年以内に独立を問う住民投票を行う公算が大きい、との見通しを示した。

GBP/USD 1.2271 GBP/JPY 141.42 USD/JPY 115.27


〔ロンドン外為〕円、115円台前半(20日正午)【1/20 21:15】
【ロンドン時事】週末20日午前のロンドン外国為替市場の円相場は、米大統領就任式を控えた持ち高調整の中を1ドル=115円台前半で推移した。正午現在は115円20〜30銭と、前日午後4時(115円25〜35銭)比05銭の円高・ドル安。

円はロンドン時間の朝方、115円近辺で取引された。米金利の上昇や原油高、就任式への期待などを背景にじりじりと値を上げたが、様子見ムードも強く、午前10時半ごろから正午にかけては薄商いの中を同20〜30銭台でこう着状態となった。

ロンドン・キャピタル・グループのアナリスト、イペル・オズカルデスカヤ氏は「米大統領就任式の日が来た。ただ、トランプ氏の攻撃的な景気刺激策は市場に織り込まれており、投資家は腰を据えて公約がどれほど速やかに具体化されるかを見守っている」と指摘した。

ユーロの対ドル相場は正午現在1ユーロ=1.0635〜0645ドル(前日午後4時は1.0605〜0615ドル)。対円では同122円55〜65銭(122円30〜40銭)。

ポンドの対ドル相場は1ポンド=1.2290〜2300ドル(1.2300〜2310ドル)。昨年12月の英小売売上高が前月比1.9減と予想(0.1%減)を大幅に下振れしたことから、一時1.2260ドル付近に下落した。

このほか、スイスフランは1ドル=1.0080〜0090フラン(1.0105〜0115フラン)。
情報提供:株式会社時事通信社株式会社時事通信社
http://fx.dmm.com/market/news/
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/161.html

[経世済民118] 日銀総裁「1.5%程度成長」 米景気拡大でドル上昇も 新「プラザ合意」警戒を「日本は絶対に従わない、と=浜田内閣参与 
日銀総裁「1.5%程度成長」 米景気拡大でドル上昇も
2017/1/20 19:47 (2017/1/20 23:49更新)
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 【ダボス(スイス東部)=小滝麻理子】世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に出席した日銀の黒田東彦総裁は20日、記者団に対し、米経済の見通しについて「成長が見込め、ドルは上昇しうる」と述べた。外国為替相場は様々な要素の影響を受けるとも指摘した。これに先立つパネル討議では2016年度と17年度の日本経済が「潜在成長率を大きく超える1.5%程度で成長するだろう」と述べた。

 日銀は昨年11月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で16年度成長率を1.0%、17年度を1.3%とする見通しを示しており、上方修正を示唆する発言だ。黒田氏は背景として日銀の金融緩和、政府の財政政策と構造改革を挙げた。

 黒田氏は討議後、記者団に対し、1.5%程度の成長見通しは「個人的な見方だ」と強調した。

 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は米国のトランプ新大統領の財政刺激策と保護主義的な貿易政策は「正味では世界経済にとってプラスにならない可能性がある」と警告した。

 英国のハモンド財務相は、欧州連合(EU)からの離脱交渉の本格化に伴い、17年の英経済は減速する可能性があると指摘。ドイツのショイブレ財務相は今後の離脱交渉で合意できなければ「EUと英国双方にとって大惨事となる」と述べた。

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日銀総裁、世界経済「金融危機後の調整脱し新たな局面に」 17年は脱デフレへ大きく前進と説明 (26日 14:30)
日銀総裁「驚くような円安水準でない」 (20日 16:44)
日銀総裁、不動産向け融資「過熱感はないが適切なリスク管理を」 (20日 16:35)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF20H0R_Q7A120C1EE8000/

 

新「プラザ合意」警戒を=浜田内閣参与
浜田内閣参与(写真)は、トランプ氏がドル高是正に向けた多国間での合意を目指す可能性があるとみている

By TAKASHI NAKAMICHI
2017 年 1 月 20 日 20:03 JST

 【東京】内閣官房参与で米エール大名誉教授の浜田宏一氏は、ドナルド・トランプ氏がドル高是正を目指し新たな「プラザ合意」の取りまとめに動く可能性を排除すべきではないとみている。

 浜田氏は20日、トランプ氏の米大統領就任式典を前にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューに応じた。その中で「(米国がそうしないと)言える状況ではない」とし、1985年に締結されたプラザ合意のような多国間でのドル安誘導へ向かう可能性があると述べた。トランプ氏は「何をやるかわからない」との見方だ。

 トランプ氏はWSJが先週行ったインタビューで、ドルが「強すぎる」との考えを示していた。 

 浜田氏は、プラザ合意で「日本は深い不況に陥った。その後は刺激策をふかし過ぎた」とし、バブルの原因を作ったと指摘。1990年代初めにはバブルがはじけ、「あらゆる迷惑な問題が起きた」と語った。

 トランプ氏が同じような行動に出るならば「日本は絶対に従わない、というシグナルを送る必要がある」と述べた。

 浜田氏はトランプ氏が推進する保護主義的な貿易政策や景気刺激策について、むしろドル高を助長する公算が大きいと説明した。

 一方、元財務官で「ミスター円」の異名を持つ榊原英資氏は別のインタビューで、新プラザ合意に向かう可能性に取り合わなかった。仮に実現するなら、米国の貿易赤字に占める割合の大きい中国の参加が不可欠になるものの、中国としてそのような協力に乗り出す姿勢は見せていないとした。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwic3PXA-NDRAhUETbwKHU4yD3UQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582570871682177182&usg=AFQjCNEmhoR-EYWcrMLIN7eFLZztmwCvZA
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/166.html

[経世済民118] 刺激策頼みの中国経済、今年は内外に波乱要因 打ち負かすのは困難、オバマの「株レガシー」S&P 8年前と比べて182%上昇
刺激策頼みの中国経済、今年は内外に波乱要因
中国経済は2017年も波乱含みか

By NATHANIEL TAPLIN
2017 年 1 月 20 日 18:27 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 中国経済は昔ながらの刺激策を大量投入したおかげで、かなり力強い足取りで2017年に突入した。20日発表された16年10-12月期の国内総生産(GDP)成長率は6.8%と、7-9月期の6.7%からやや加速した。16年通年の成長率も6.7%だった。

 ほんの数カ月前は中国に対する悲観的な見方が支配的だった上、今年は国内外に手ごわい政治的試練が待ち受けていることを考えると、成長が上向けば中国政策当局には待望のゆとりが生まれる。新たな債務という膨大なコストを伴っていてもだ。政府は特に12月の小売売上高を歓迎するだろう。12月は前年同月比10.9%増と約1年ぶりの大幅な伸びを見せた。注目の共産党第19回全国代表大会を今秋に控え、労働市場に安定化の兆しが高まった形だ。同大会では次世代の指導者が選出される。

 中国の輸出が保護主義を強める米国からの強力な逆風に直面するとともに、中国経済に大きな役割を果たしている不動産部門が減速するとみられる今年は、力強い消費という緩衝剤が極めて重要であることがはっきりするだろう。

 不動産部門に関しては、20日発表の統計はまちまちな内容だった。12月の不動産投資は前年同月比11%増となり、11月の6%増を大幅に上回る伸びを見せたが、伸び率は16年のピークである13%には届かなかった。一方、不動産に関連する工業統計の大半が悪化した。12月の鉱工業生産は前年同月比6.0%増となり、3カ月ぶりの高い伸びだった11月の6.2%増から減速。鉄鋼、セメント、電力生産も全て減少し、夏場以来の大幅な増加傾向に水を差した。先月は住宅価格がピークをつけ、住宅ローン融資が減速しており、16年の経済を下支えしてきた不動産部門は17年に破綻こそしないにせよ、低迷は避けられそうにない。

 そうなれば、中国にとってドナルド・トランプ次期米大統領との交渉を成功させることが一段と重要になる。不動産部門が著しく減速し始めると同時に、トランプ氏が公約に掲げる関税が労働集約型の輸出部門に打撃を与えれば、消費者がもたらす緩衝剤はすぐに雲散霧消する可能性が高い。

 政府の言葉を信じるなら、今年の中国は刺激策を原動力とする経済から脱却し、金融リスクを重視しようとしている。だが、太平洋をまたぐ緊張がエスカレートするようなら、この話はすぐに変わると思った方がいい。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjI_c-2-dDRAhUHzbwKHXJlD8sQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582570740997822300&usg=AFQjCNHibN9uYQt_HP1xJ48q85h4XgX6bA


 


打ち負かすのは困難、オバマ氏の「株レガシー」
S&P500種株価指数、8年前と比べて182%上昇
ENLARGE
ニューヨーク証券取引所で昨年11月、オバマ氏の記者会見が流れるテレビの前で働くトレーダーたち PHOTO: BRENDAN MCDERMID/REUTERS
By
JAMES MACKINTOSH
2017 年 1 月 20 日 19:26 JST
 バラク・オバマ氏が米大統領に就任して8年が経った今、米国の精力的な資本家なら誰でも誇りに思える記録的な相場が存在する。米国の株価が急伸し、原油価格が下落したほか、借り入れコストは低下し、ドル相場と共に企業利益が増加している。オバマ氏が失敗する方に賭けた人でさえ、かなりの稼ぎを生み出した。金と債券からのリターンが前任者であるジョージ・W・ブッシュ氏の時代の株式リターンを上回ったためだ。
 こうしたことは民主党に大きな影響を与えそうな業績ではなく、米国の労働者を犠牲にして富裕層がさらに豊かになっているという見方がドナルド・トランプ氏の追い風になったことは確かだ。トランプ氏は20日に大統領に就任した後、オバマ氏の主要政策を解体することを約束している。
 オバマ氏の政治的遺産(レガシー)を巡り、今後数年は歴史家と経済学者、政治家がぶつかり合うだろう。しかし、投資家にとって、それは米国に賭ける素晴らしいチャンスだった。オバマ政権下での株式リターンは、ほぼ全ての歴代大統領の時代を大きく上回ったし、米国以外の国・地域の株式リターンよりも実績を上げた。
 リチャード・バーンスタイン・アドバイザーズのリチャード・バーンスタイン最高経営責任者(CEO)は「経済が悪かったという事実にもかかわらず、このサイクルで国内総生産(GDP)に占める企業利益の割合が過去最高になった」と指摘。「これが社会正義かどうかについて議論はできるが、それは私の本職ではない」と話した。
 オバマ氏の退任まで残り1日を残す時点で、S&P500種株価指数は、オバマ氏が就任した2009年1月から182%上昇。配当を含めた年率換算では16.3%のリターンをもたらしたことになる。1928年以降のデータを見ると、リターンがこれを上回ったのはビル・クリントン元大統領の時代だけだ。そして、オバマ政権時代の低いインフレ率を考慮すると、両者の実質的な差は非常に小さくなる。
 JPモルガン・アセット・マネジメントでグローバル・マルチアセット戦略を率いるジョン・ビルトン氏によると、この株式ブームの主因は米連邦準備制度理事会(FRB)によって市場にばらまかれたマネーの噴出だった。
 ビルトン氏は「この時期のパフォーマンスをもたらしたのは、むしろFRBのレガシーだと言いたい。投資家として驚異的な時代だった」と語った。
オバマ氏のマーケット・レガシー

上のチャートはMSCIエマージングマーケット指数(黄)、S&P500種株価指数(緑)、MSCIワールド指数(米国を除く、グレー)の株価推移。左下の表はフーバー以降の歴代大統領の任期中におけるS&P500種株価指数の騰落率(年率換算)、右下の表はオバマ政権時代の各資産の騰落率(年率換算)
https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AU430_STREET_16U_20170119152118.jpg

 一方でオバマ氏の功績を称賛する人もいる。特に減税と2009年の復興法(米国再生・再投資法)による財政出動が挙げられるが、もっと早く財政を引き締めるべきとの圧力に抵抗したこと、FRBに介入しなかったことも評価されている。
 英資産運用会社M&Gインベストメンツのファンドマネジャー、エリック・ロナーガン氏は「最初に彼(オバマ氏)が行った重要な経済介入は正しかった。その後、彼は緩和的な金融・財政政策を邪魔することは何もしなかった。多くのばかげたこともできたが、彼はやらなかった」と述べた。
 オバマ時代に素晴らしい投資リターンが得られた大きな要因はタイミングに恵まれたことだ。同氏が大統領に就任したのは過去数世代で最悪のリセッション(景気後退)のさなかで、当時の株価は安かった。株価は常に一段と下落する可能性がある。ただ、オバマ氏が引き継いだのは高値から底値まで56%の下落で、いったん反転が始まれば、上昇に向けた底堅い基盤が形成された。
 オバマ氏は株式ブームの推進者としてそれほど高い評価を受けていないかもしれないが、同氏に耳を傾けた投資家は特に良い成績を上げていただろう。2009年3月、株価が底を打つちょうど1週間前、オバマ氏は「株を買え」という、考えられる限りで最も逆張り的な投資アドバイスを送った。
 オバマ氏は「株式投資に長期的な視点を持つなら、株の購入が良い取引になるはずのポイントに株価収益率(PER)が到達しつつある」と述べた。同氏は正しかった。オバマ氏のコメントを信じてS&P500を買い持ちした全員が、史上最大級の強気相場の波に乗り、配当を除いた場合でも資産を3倍以上にできた。
 相場は先読みするため、次期大統領の影響が就任前に価格に織り込まれるだろうと考えるのは理にかなっている。昨年11月にトランプ氏が勝利して以来の大きな株価の上昇は、同氏が大規模な減税と財政刺激策を講じるだろうとの投資家の期待に基づいている。
 ただ、トランプ氏が投資家寄りの政策に固執するにしても、純粋に出発点が高いというだけで、オバマ政権時代の相場記録を打ち破る可能性はかなり低くなる。現在の米国株は決して割安ではなく、多くのバリュエーション(投資尺度)から見てすでに非常に割高になっているばかりか、企業利益は歴史的水準で見ても高い。
 経済成長ペースの加速は確かに株価に貢献するだろう。しかし、次期大統領の任期中に年率16%のリターンを上げるのに十分な成長を、利益あるいはバリュエーションがいかにして成し遂げるかを見通すのは困難だ。物価の急上昇や大規模な株式バブルでも起これば別だが、どちらも避ける方が無難だ。
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwidi8_a-NDRAhUEabwKHctQDhIQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582570482525406266&usg=AFQjCNHxMvI73ZxSabIaHb-ksFZD7-QaZw


http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/167.html

[経世済民118] トランプ新大統領がTPP脱退表明、「米国第一主義」推進へ CEOでなく中間管理職 米株上昇 ドル小幅安 就任演説全文英語
トランプ新大統領がTPP脱退表明、「米国第一主義」推進へ

[ワシントン 20日 ロイター] - ドナルド・トランプ氏は20日、米連邦議事堂で開かれた式典で宣誓し、正式に第45代米大統領に就任した。就任演説では、国内外で「米国第一主義」の政策を推進すると表明した。

トランプ大統領は、米国民に対し「今この時はあなたがたのものだ」とし、「ワシントンからあなたがたに権力を取り戻す」と述べた。

その上で「きょうから新たなビジョンがこの地を統治する。これからは米国第一主義だけだ」とし、雇用の国外流出で苦しい立場に追い込まれた中間層の底上げを目指すとした。

米国はこれまで国内企業を犠牲にして外国企業を豊かにし、他国軍に資金援助する一方で米軍を疲弊させ、海外での巨額支出で米国内のインフラ老朽化を招いたと指摘。

スライドショー:ドナルド・トランプ氏が第45代米大統領に就任


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President Trump shakes hands with House Speaker Paul Ryan as he is joined by the Congressional leadership and his family while he formally signs his cabinet nominations into law, in the President's Room of the Senate, at the Capitol, following his swearing-in./J. Scott Applewhite/Pool
REUTERS/POOL NEW 


「中間層の富は奪われ、全世界へと再分配された」とし、こうした状況に終止符を打ち、「通商、税制、移民、外交に関するすべての決定は、米国の労働者と家庭に恩恵を与えるものにする」と言明した。(スナップ活用)米国製品を買い、米国民を雇うという2つのルールが政策の原則となるとした。

トランプ新政権は就任式直後、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を表明。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉へのコミットメントも明らかにし、カナダとメキシコが米労働者への公正な取り決めを拒むようであれば、NAFTAからの離脱も辞さない構えを示した。

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またオバマ政権時代の気候行動計画を含む環境問題をめぐる構想を撤廃する方針を表明。米国の石油・ガス生産増加に向けた取り組みが、「道路や学校、橋などの公共インフラを修復するための」歳入拡大に寄与するとした。

外交政策は、イスラム国(IS)など「イスラム過激派テログループ」打倒を最優先の目標とすると表明した。

ただ、首都ワシントン周辺では、トランプ氏の大統領就任に反対する大規模な抗議活動が行われ、一部ではデモ参加者が暴徒化。深く分断された米国の現実を浮き彫りにした。

*内容を追加して再送します。

スライドショー:トランプ氏の大統領就任に抗議


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Police officers move protestors away from a car that was set on fire during protests near the inauguration./Bryan Woolston
REUTERS/BRYAN WOOLSTON
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http://jp.reuters.com/article/trump-becomes-president-idJPKBN1542GA


 

 


米国株式市場は上昇、トランプ米新大統領が就任
[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米国株式市場は上昇。ダウ平均は6日ぶり反発した。トランプ米新大統領がこの日、正式に就任した。

トランプ氏は就任演説で、国内外を問わず「米国第一主義」の政策を推進すると表明。米国製品の購入と米国民の雇用が政策の柱になると強調した。就任直後の声明では環太平洋連携協定(TPP)から離脱する方針も明らかにした。

一部投資家は、同氏が保護主義的な通商政策に向かうとの懸念があらためて浮き彫りになったと指摘した。相場は就任演説中に伸び悩み、結局高値から押し戻されて取引を終えた。

コモンウエルス・フィナンシャル(マサチューセッツ州)のブラッド・マクミラン最高投資責任者(CIO)は「通商問題が依然トランプ政権の重要な政策案件であることが就任演説ではっきりした。トランプ氏はこの件につき、今後速やかに手を打つだろう」と述べた。

主要株式3指数は週間でいずれも下落した。ロイターの調べによると、S&P500は、フーバー大統領が就任した1929年以降、新大統領の就任後1カ月間に中央値で2.7%下落する傾向がある。

個別銘柄では、医薬品のメルク(MRK.N)が3.6%上昇。ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY.N)は、肺がんの初期治療で同社の免疫療法薬「オプジーボ」と「ヤーボイ」を併用する手法について、当局に優先承認審査を求めることは見合わせると発表した。この動きは、肺がんの併用療法の開発でメルクがリードを確保するうえで追い風となるとみられる。

騰落銘柄比率は、ニューヨーク証券取引所が1.76対1、ナスダックが1.58対1でいずれも上げが優勢。米取引所の合計出来高は約66億株で、過去20営業日平均の61億株を上回った。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 19827.25 +94.85 +0.48 19795.06 19843.94 19759.14 .DJI

前営業日終値 19732.40

ナスダック総合 5555.33 +15.25 +0.28 5556.87 5574.35 5542.23 .IXIC

前営業日終値 5540.08

S&P総合500種 2271.31 +7.62 +0.34 2269.96 2276.96 2265.01 .SPX

前営業日終値 2263.69

ダウ輸送株20種 9224.57 +60.61 +0.66 .DJT

ダウ公共株15種 658.37 +0.48 +0.07 .DJU

フィラデルフィア半導体 930.01 +11.98 +1.30 .SOX

VIX指数 11.54 -1.24 -9.70 .VIX

S&P一般消費財 667.96 +1.61 +0.24 .SPLRCD

S&P素材 321.00 +2.76 +0.87 .SPLRCM

S&P工業 547.00 -0.20 -0.04 .SPLRCI

S&P主要消費財 539.42 +3.66 +0.68 .SPLRCS

S&P金融 384.22 +1.80 +0.47 .SPSY

S&P不動産 191.27 +1.30 +0.68 <.SPLRCREC

>

S&Pエネルギー 547.41 +2.86 +0.53 .SPNY

S&Pヘルスケア 807.33 -2.37 -0.29 .SPXHC

S&P電気通信サービス 174.03 +1.48 +0.86 .SPLRCL

S&P情報技術 835.97 +4.31 +0.52 .SPLRCT

S&P公益事業 246.97 +0.37 +0.15 .SPLRCU

NYSE出来高 9.81億株 .AD.N

シカゴ日経先物3月限 ドル建て 19185 + 25 大阪比 <0#NK:>

シカゴ日経先物3月限 円建て 19135 - 25 大阪比 <0#NIY:>

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http://jp.reuters.com/article/stock-ny-close-idJPKBN1542XS?sp=true
 

 

 
ドル小幅安、トランプ氏の米大統領就任演説受け=NY市場
 1月20日、ニューヨーク市場はドルが小幅安。写真は新米大統領に就任したトランプ氏ら。ワシントンで同日代表撮影(2017年 ロイター)
 1月20日、ニューヨーク市場はドルが小幅安。写真は新米大統領に就任したトランプ氏ら。ワシントンで同日代表撮影(2017年 ロイター)
[ニューヨーク 20日 ロイター] - 20日のニューヨーク外為市場では、不安定な値動きとなるなかドルが小幅安。同日新米大統領に就任したトランプ氏の就任演説には取り立てて新材料は見当たらず、大きな動きにはつながらなかった。

主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.1%低下。トランプ氏が演説で「米国第一主義」の政策を推進すると表明したことを受け、一部で保護主義政策をめぐる懸念を誘った。ただ、経済や通商に関する具体策が示されなかったことを受け、ドルは下げ渋る展開となった。

TJMブロウカレッジのリチャード・スカローネ氏は「相場を大きく動かすような材料は見当たらなかった」としたうえで、ドルの最近の上昇を受けた利益確定の動きが一部でみられたことを指摘。「2015年の米連邦準備理事会(FRB)の利上げを受け、昨年初頭にみられた値固めの動きに似通っている」とした。

ドルは対ユーロEUR=、円JPY=、ポンドGBP=で一時の上昇から下げに転じた。一方、豪ドル、ニュージーランド(NZ)ドル、カナダドルを含む主要資源通貨に対しては上昇した。

メキシコペソは対ドルで1.9%上昇。トランプ氏の演説中には上げ幅を削る場面もあったものの、同氏がメキシコに影響するような具体的な政策を表明しなかったことを受け、上昇勢いを取り戻した。

ドル/円 NY終値 114.60/114.65

始値 115.23

高値 115.31

安値 114.23

ユーロ/ドル NY終値 1.0699/1.0707

始値 1.0638

高値 1.0709

安値 1.0625
http://jp.reuters.com/article/forex-ny-close-idJPKBN1542V8?sp=true

 

 

 
コラム:「中間管理職」的なトランプ大統領

Gina Chon

[ワシントン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国の次期大統領に就任するドナルド・トランプ氏の言動は、企業で言えば最高経営責任者(CEO)というよりも中間管理職のようだ。選挙の勝利から、20日の就任式が目前に迫った今までを見ると、些細な問題に関心を向け過ぎるきらいがある。

不動産王として、トランプ氏は、ビジネス上のどんな小さなことにも注意を怠らない人物と評されてきた。大統領に就任すれば非常に幅広く重大な結果をもたらし得る問題に取り組むことになるが、トランプ氏はこのミクロ経営スタイルに固執している。大統領就任式実行委員会のトム・バラック委員長はニューヨーク・ポスト紙に対して、トランプ氏自らが就任パーティー用のテーブルクロスを選んでいると明かした。バラック氏は「トランプ氏にはずっと、テーブルのセットなどは私に任せて、自由世界をどう運営していくかという仕事に戻ってくれと頼んでいる」という。

トランプ氏がとらわれているのは、こうした取るに足らない雑事ばかりではない。彼は国家情報当局から毎日説明を受けるのを拒んでいるが、ボーイング(BA.N)とロッキード・マーチン(LMT.N)のトップと会談して航空機の費用に不満をぶちまける時間はひねり出した。そんな状況で、大統領経済諮問委員会などいくつかの機関の幹部人事はまだ固まっていない。

ニューヨークのトランプタワーには有名人や自治体幹部、スポーツ選手らがトランプ氏に面会するため続々と詰め掛け、同氏は忙しい中で時間を割いている。その中にはラッパーのカニエ・ウエストさんや有名コメディアンのスティーブ・ハーベイさんといったアフリカ系の人々の姿もある。

そしてトランプ氏はツイッターの更新にも熱心だ。雇用問題でゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)などを批判することで、米国の産業政策をそれとなく決定してしまう。それだけでなく、テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で俳優アレック・ボールドウィンさんが演じるトランプ氏の物まねに文句を言い、ゴールデン・グローブ賞授賞式でトランプ氏の差別的言動に物言いをつけた女優メリル・ストリープさんを「過大評価されている」と決めつけた。

トランプ氏の課題は、米国民への新たな医療保険提供から税制の抜本改革、国際貿易協定の再交渉まで多岐にわたる。大統領就任が目前となった今、同氏の振る舞いが本来の地位にふさわしい形に進化するのを願うしかない。

●背景となるニュース

・トランプ氏は20日、第45代の米大統領に正式に就任する。宣誓後にホワイトハウスまでパレードし、夜には舞踏会が開催される。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
 
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 情報BOX:トランプ新大統領の就任演説全文(英語)

[20日 ロイター] - ドナルド・トランプ氏が20日、第45代米国大統領に就任。「私たちは、ともにアメリカを再び強く、豊かで、誇り高い、安全な国にする。そして、アメリカを再び偉大にする」と締めくくられた新大統領による就任演説の全文は以下の通り。

Chief Justice Roberts, President Carter, President Clinton, President Bush, President Obama, fellow Americans, and people of the world: thank you.

We, the citizens of America, are now joined in a great national effort to rebuild our country and to restore its promise for all of our people.

Together, we will determine the course of America and the world for years to come.

We will face challenges. We will confront hardships. But we will get the job done.

Every four years, we gather on these steps to carry out the orderly and peaceful transfer of power, and we are grateful to President Obama and First Lady Michelle Obama for their gracious aid throughout this transition. They have been magnificent.

Today’s ceremony, however, has very special meaning. Because today we are not merely transferring power from one Administration to another, or from one party to another – but we are transferring power from Washington, D.C. and giving it back to you, the American People.

For too long, a small group in our nation’s Capital has reaped the rewards of government while the people have borne the cost.

Washington flourished – but the people did not share in its wealth.

Politicians prospered – but the jobs left, and the factories closed.

The establishment protected itself, but not the citizens of our country.

Their victories have not been your victories; their triumphs have not been your triumphs; and while they celebrated in our nation’s Capital, there was little to celebrate for struggling families all across our land.

That all changes – starting right here, and right now, because this moment is your moment: it belongs to you.

It belongs to everyone gathered here today and everyone watching all across America.

This is your day. This is your celebration.

And this, the United States of America, is your country.

What truly matters is not which party controls our government, but whether our government is controlled by the people.

January 20th 2017, will be remembered as the day the people became the rulers of this nation again.

The forgotten men and women of our country will be forgotten no longer.

Everyone is listening to you now.

You came by the tens of millions to become part of a historic movement the likes of which the world has never seen before.

At the center of this movement is a crucial conviction: that a nation exists to serve its citizens.

Americans want great schools for their children, safe neighborhoods for their families, and good jobs for themselves.

These are the just and reasonable demands of a righteous public.

But for too many of our citizens, a different reality exists: Mothers and children trapped in poverty in our inner cities; rusted-out factories scattered like tombstones across the landscape of our nation; an education system, flush with cash, but which leaves our young and beautiful students deprived of knowledge; and the crime and gangs and drugs that have stolen too many lives and robbed our country of so much unrealized potential.

This American carnage stops right here and stops right now.

We are one nation – and their pain is our pain. Their dreams are our dreams; and their success will be our success. We share one heart, one home, and one glorious destiny.

The oath of office I take today is an oath of allegiance to all Americans.

For many decades, we’ve enriched foreign industry at the expense of American industry;

Subsidized the armies of other countries while allowing for the very sad depletion of our military;

We've defended other nation’s borders while refusing to defend our own;

And spent trillions of dollars overseas while America's infrastructure has fallen into disrepair and decay.

We’ve made other countries rich while the wealth, strength, and confidence of our country has disappeared over the horizon.

One by one, the factories shuttered and left our shores, with not even a thought about the millions upon millions of American workers left behind.

The wealth of our middle class has been ripped from their homes and then redistributed across the entire world.

But that is the past. And now we are looking only to the future.

We assembled here today are issuing a new decree to be heard in every city, in every foreign capital, and in every hall of power.

From this day forward, a new vision will govern our land.

From this moment on, it’s going to be America First.

Every decision on trade, on taxes, on immigration, on foreign affairs, will be made to benefit American workers and American families.

We must protect our borders from the ravages of other countries making our products, stealing our companies, and destroying our jobs. Protection will lead to great prosperity and strength.

I will fight for you with every breath in my body – and I will never, ever let you down.

America will start winning again, winning like never before.

We will bring back our jobs. We will bring back our borders. We will bring back our wealth. And we will bring back our dreams.

We will build new roads, and highways, and bridges, and airports, and tunnels, and railways all across our wonderful nation.

We will get our people off of welfare and back to work – rebuilding our country with American hands and American labor.

We will follow two simple rules: Buy American and Hire American.

We will seek friendship and goodwill with the nations of the world – but we do so with the understanding that it is the right of all nations to put their own interests first.

We do not seek to impose our way of life on anyone, but rather to let it shine as an example for everyone to follow.

We will reinforce old alliances and form new ones – and unite the civilized world against Radical Islamic Terrorism, which we will eradicate completely from the face of the Earth.

At the bedrock of our politics will be a total allegiance to the United States of America, and through our loyalty to our country, we will rediscover our loyalty to each other.

When you open your heart to patriotism, there is no room for prejudice.

The Bible tells us, “how good and pleasant it is when God’s people live together in unity.”

We must speak our minds openly, debate our disagreements honestly, but always pursue solidarity.

When America is united, America is totally unstoppable.

There should be no fear – we are protected, and we will always be protected.

We will be protected by the great men and women of our military and law enforcement and, most importantly, we are protected by God.

Finally, we must think big and dream even bigger.

In America, we understand that a nation is only living as long as it is striving.

We will no longer accept politicians who are all talk and no action – constantly complaining but never doing anything about it.

The time for empty talk is over.

Now arrives the hour of action.

Do not let anyone tell you it cannot be done. No challenge can match the heart and fight and spirit of America.

We will not fail. Our country will thrive and prosper again.

We stand at the birth of a new millennium, ready to unlock the mysteries of space, to free the Earth from the miseries of disease, and to harness the energies, industries and technologies of tomorrow.

A new national pride will stir our souls, lift our sights, and heal our divisions.

It is time to remember that old wisdom our soldiers will never forget: that whether we are black or brown or white, we all bleed the same red blood of patriots, we all enjoy the same glorious freedoms, and we all salute the same great American Flag.

And whether a child is born in the urban sprawl of Detroit or the windswept plains of Nebraska, they look up at the same night sky, they fill their heart with the same dreams, and they are infused with the breath of life by the same almighty Creator.

So to all Americans, in every city near and far, small and large, from mountain to mountain, and from ocean to ocean, hear these words:

You will never be ignored again.

Your voice, your hopes, and your dreams, will define our American destiny. And your courage and goodness and love will forever guide us along the way.

Together, We Will Make America Strong Again.

We Will Make America Wealthy Again.

We Will Make America Proud Again.

We Will Make America Safe Again.

And, Yes, Together, We Will Make America Great Again. Thank you, God Bless You, And God Bless America.

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http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/177.html

[社会問題9] 「出会い系おじさん」が50代で急増、彼らに迫るリスクとは?改正ストーカー規制法施行そして早速、逮捕者が……。
【第44回】 2017年1月21日 唐仁原俊博[ライター]
「出会い系おじさん」が50代で急増、彼らに迫るリスクとは?改正ストーカー規制法施行そして早速、逮捕者が……。
出会い系アプリを使用する50代男性の数が急増している。彼らのような「出会い系おじさん」を取り巻く環境は、実は想像以上にリスキーだ
 1月3日、改正ストーカー規制法が施行された。罰則の強化だけでなく、親告罪から非親告罪へ変更され、さらにはSNS上でのストーカー行為も新たに規制の対象に加わった。
 そして13日には、改正ストーカー規制法下において、初の逮捕者が出た。元交際相手に対して、LINEでメッセージを送った北海道の50代男性。逮捕容疑は「拒まれているにもかかわらず、LINEで『俺をばかにしすぎている』『絶対に許さない』などと書いたメッセージを5回にわたり送信し、ストーカー行為をした疑い」(どうしんウェブ 1月14日)ということだ。
 ツイッターやフェイスブック、LINEなどSNSのトラブルが頻繁に報道されている。『平成28年度消費者白書』によれば、SNSに関する消費生活相談は、全年代において確実に増加している。2010年度の3142件から、2015年度には9004件と、実に3倍にもなった。そんな現実から見ればまだまだ十分ではないだろうが、ストーカー規制法の改正は、法律が現実に追いついた1つの事例と言えるだろう。

トランプvsオバマ
ツイッターのフォロワー数が多いのは?
 いきなりだが、ちょっと話題がそれる。今月20日、ドナルド・トランプ氏が第45代米国大統領に就任した。就任前から世間を散々騒がせたトランプ氏。講演や集会での過激な発言もさることながら、ツイッターでの話題提供にも余念がなかった。「おれはよう、トヨタのやろうがよう、メキシコでつくった車を米国で売るのがよう、許せねえんだよお!」(筆者意訳)という、居酒屋で管を巻いてる酔っぱらいみたいなつぶやきが、日本で連日ニュースになり、産業界の大物たちが氏やその周辺への弁明に追われるというのは、なかなか異常な事態ではないだろうか。
 トランプ氏が個人で開設したツイッターのアカウントは、フォロワーが2000万を超える。2000万。多いな……。いや、なんとなく多いというのはわかるけど、具体的にこのフォロワー数がどのくらい多いのかを考えるために、米国大統領の公式アカウントと比較してみよう。
 これは前大統領のバラク・オバマ氏の時代に開設されたもので、オバマ氏の任期が終わり、トランプ氏にそのまま引き継がれたものだが、約1366万のフォロワーだ。おお、トランプ個人アカウントのフォロワーは大統領公式アカウントより多い。
 と思っていたら、オバマ氏個人としてのアカウントは、約8068万フォロワーだった。多いな! いや、これは多いでしょ。もしかして、世界で一番フォロワーが多いんじゃないか。しかし、上には上がいるもので、ピコ太郎の『PPAP』の拡散に大いに貢献したとされるジャスティン・ビーバーは9100万フォロワー。1億人近い人間に届くつぶやきって、どんだけ大声なんだ……。(上記のフォロワー数はいずれも1月20日時点のもの)
相次ぐストーカー逮捕報道

「自分も危ない」と感じた人は?
 ちょっとどころか、すごく話題がそれてしまったので本題に戻る。冒頭で紹介した50代男性に引き続き、翌日の14日には秋田県の20代男性が逮捕された。元交際相手の20代女性に「『会ってくれないと限界』『連絡ください』との内容のメッセージや音声データなどを50回以上にわたって」(秋田魁新報電子版 1月14日)LINEで送信したという。
 18日にも兵庫県の20代男性が逮捕された。「11日午前2時ごろから12日午前10時45分ごろまでの間、県内に住む元交際相手の女性(21)にLINEとツイッターで『聞く耳もたないなら俺は強硬手段に出る』などと復縁を迫るメッセージを10回連続して送信した」(産経WEST 1月19日)そうだ。
 正直、「あ、このレベルで逮捕されるんだ」と驚いた。誤解のないように言っておくと、メッセージを送られた被害者が迷惑に感じたり、恐怖を覚えたりしたであろうことを否定するわけではない。ただ、ここで紹介した3件ともが、元交際相手に対してメッセージを送っていたということ。
 そして「ヨリを戻したい!」と思っている元交際相手に、こういうメッセージを送っている人は決して少なくないのではないだろうか。そして、このハイペースでの逮捕されっぷりが、それを裏付けているのではないか。
 恥をしのんで言えば、私だって意中の相手に「どうしても付き合ってはもらえませんかね」みたいなメッセージを送ったことがある。「またその話?」「いや、だってさ……」。そんな会話の応酬を何時間か続けて、相手が「もう寝ます」と言えば、「わかった。おやすみなさい」とおとなしく引き下がることもあれば、そうじゃないときもあったような記憶がある。
 あのとき、改正ストーカー規制法がすでに存在していて、相手が通報していれば、私は逮捕されていたかもしれない。……いや、言い訳がましいけど、法律云々を抜きにして、迷惑をかけたなとは思っていますけどね。

50代男性の出会い系
アプリ利用者は3年で約14倍!
FULLER株式会社調べ。マッチングアプリデータ抽出:「出会」「出合」「出逢」「恋愛」「婚活」「結婚」「お見合い」のキーワード、かつソーシャルジャンルとデーティングジャンルで絞り込み、ほぼ全てのマッチング系Android系アプリを対象にデータ化。

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 改正後、初の逮捕者が50代男性だったということで、あるデータを思い出したので紹介したい。アプリマーケット市場のデータ分析を手がけるFULLER株式会社の調べによると、出会い系アプリを使用する50代以上の男性が急激に伸びているそうだ。月間利用者数(MAU)で見ると、2013年11月には4133だったものが、2016年9月には57096と、13.8倍にもなっているし、30代、40代男性においても、50代男性には及ばないものの、結構な伸びを示している。
 FULLER株式会社によれば、最近の出会い系アプリはSNSを連動させることにより、サービスの信用度向上やサービス充実を図っており、それが利用者増加につながっているとのこと。つまりは、かつての出会い系サイトのように、実在しないサクラを演じることが難しくなっているのだろう。
 アプリで知り合った人のフェイスブックページを見れば、ちゃんと「友達」がいて、写真がアップされていて……。なるほど。かつてサクラにだまさたことがある人ほど、安心しそうである。さらに、スマホの普及や熟年離婚の増加が、50代男性の爆発的な伸びを支えているとFULLER株式会社は分析する。
 ここからはあくまで私の推測だが、信頼性が増した出会い系を利用する50代男性って、その本気度はかなりのものなのではなかろうか。20年連れ添った妻に愛想を尽かされ、1人さみしくビールを飲みながらスマホをいじっていたときに、ウェブ広告を見てアプリを知り、「ここなら出会えるかもしれない」と熱烈なメッセージを送りまくっていたら逮捕、なんてことが、これからニュースを騒がせることになるかもしれない。

http://diamond.jp/mwimgs/3/a/-/img_3a25d321c408b5675799eed693b3e80189744.jpg
消費者庁「平成28年版消費者白書」
拡大画像表示

 SNSと言うと、若者が利用するものというイメージが強い。冒頭に挙げた『平成28年度消費者白書』においても、最も相談件数が多いのは20代(2760件)だ。しかしそれに次いで、40代が1800件、30代が1798件、そして50代も999件と、2014年度と比較して中高年が大きく伸びている。
 SNSで相手との距離感を正確につかむことは非常に難しい。私も、SNS上では知り合いだが、現実世界では会ったことがない人から急に馴れ馴れしくされて、不快に感じたことがある。2017年、一方的に愛を歌い上げて逮捕される50代男性が続出しないか。ちょっと心配になってきた次第である。
(ライター 唐仁原俊博)
http://diamond.jp/articles/-/114981?


http://www.asyura2.com/12/social9/msg/754.html

[経世済民118] ネット住民に悲報!? SNSに依存する人が貧乏になりやすい理由3つ 
ネット住民に悲報!? SNSに依存する人が貧乏になりやすい理由3つ
2017年01月19日 18時00分
提供:パピマミ
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ネット住民に悲報!? SNSに依存する人が貧乏になりやすい理由3つ
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ネット住民に悲報!? SNSに依存する人が貧乏になりやすい理由3つ
こんにちは、ライターの月極姫です。

トランプ米大統領がTwitterで企業や政敵を名指し批判するやり方が話題になっていますが、最近は国内でもSNSの公式アカウントを持ち活用する政治家が増えています。

また、芸能人やアーティストがテレビやラジオより早いタイミングで発信する情報を、心待ちにするファンも少なくありません。

しかし、著名人と普通の人ではSNSとの向き合い方も性質も違って当たり前。

政治家や芸能人のSNSは、一見自然体のようで実際は“仕事”でやっている要素が多く、そもそも本当にすべて本人が更新しているのか確認するすべもありません。

ひねくれた見方かもしれませんが、生の心の声に思えるつぶやきなども、本人とスタッフで戦略的に組み立てた言葉である可能性もあると思います。

かたや、ごく普通の人がSNSに過剰に依存し、日常生活にさまざまな支障をきたすケースが増えています。

リアルで心が挫けたときにSNSが格好の拠り所となることもあると思うので、いたずらにSNS批判はしたくありません。

しかし少なくとも、過度にSNSに依存する人が「貧乏になりやすい」 というちょっと気になる説があるのです。

●SNS依存症が貧乏になる理由

●(1)「貧乏脳」になってしまうから

SNSが貧乏の原因になるとはどういうことでしょうか?

『本郷赤門前クリニック』の院長である吉田たかよし医師は、昨今のSNSブームに警鐘を鳴らしており、SNSにのめり込むことで『精神的に不安定になりやすい』『脳機能の十二分な発揮を阻害し、仕事の成功や金銭的成功から遠ざかる傾向がある』と述べています。

同氏はさまざまな著書で「お金持ち脳」と「貧乏脳」などという言葉を用い、『身近な人々との愛着関係を良好に保てる人や、人間関係を大切にし期待に応えようとする人がお金持ち脳の持ち主である』と述べています。

逆に、SNS上で承認欲求を満たすことに躍起になっている状態は「貧乏脳」であり、現実世界においては成功のためのモチベーションが極めて低い というわけです。

●(2)リアルの人間関係に対して手薄になりやすいから

SNSで特定の相手と密に交流するようになったり、気の合う仲間とつながりを持つようになったりするのは楽しいことですよね。

「スキマ時間に気軽に楽しもう」という程度のノリなら良いのですが、もともと友人の少ない人や現実の世界で何らかの壁にぶち当たっている人は、リアルの世界から逃避してSNSにのめり込んでしまうことがあります。

SNSで交流する相手は遠くに住んでいるかもしれないし、書いてあるプロフィールも本当かどうか確認できない要素も多いはずです。

しかし、頻繁にやりとりをするうちに相手に対して一方的な理想像を抱いたり、自分をよく見せようと虚勢を張ったり、たくさんの労力を現実の世界ではなく、SNS上の世界に対して費やすようになってしまいます。

残念ながら、(1)でも少し触れたように、経済的に豊かになる人はリアルの人間関係を大切に育んでいける人、良好な人間関係を長持ちさせられる人、人から受けた“恩”に結果を出して報いようとする人です。

リアルの人間関係に失望する経験というのは、多かれ少なかれ誰でもあります。

そこでいつまでも仮の世界に逃げ続けるか、現実世界にいる恩人や自分自身のために奮起するかで、その後の豊かさは大きく違ってくるのではないでしょうか。

最優先すべきは現実の人間関係であり、現実の世界に自分の居場所をきちんと作ることが重要 ということでしょう。

●(3)時間を浪費してしまうから

1日2、3回ならまったく問題ないでしょう。それが5回、それくらいならまだ良いですが、10回、20回、30回……とSNSをのぞいたり更新・発信する頻度が上がってきたら要注意です。

1日を振り返り、SNSのためにスマホやPCに向かっている時間を冷静に計算してみると、それが“依存”であることがよくわかると思います。

つまり、それだけ現実世界での勉強、努力、交流、楽しみの機会を失っている わけです。更新しているあなたも、そしてそれにいつも反応してくれるお相手たちも、です。

ちょうど、喫煙者が今まで購入してきたタバコ代の合計金額を出してみて愕然とするのとよく似ていますね。

「もったいない!」と、言い訳抜きで心から思えたら変われるのではないでしょうか?

「えっ、だって市川海老蔵さんやしょこたんも、1日何十回も更新してるよね?」。これはナンセンスです。

冒頭で述べたように、著名人と一般人のSNSは存在意義が違います。もっといえば、著名人は本業においてもSNSにおいても一定時間内に出せる成果が全然違うので、作業効率もまったく違います。

ごく普通の人が24時間のうち1時間、3時間、5時間、それ以上をSNSに費やしてきたということは、実はそれだけ空白の時間を作り出せる能力があるということ。

その時間を使って、金銭的に豊かになるための地道な努力ができるはずです。

資格をとるための勉強、節約術の勉強、投資の勉強、電気代や通信費の節約、副収入を得るための時間にするなど、やれることはいくらでもあります。

●適度な関わりであれば大丈夫。一般人のSNSは「ちょっとした息抜きの場」と心得よ

とはいえ、筆者はSNS肯定派です。育児中の諸事情によりほとんどのSNSをやめてしまったのですが、自由にのびのびと発言でき、時には憧れの方とつかの間の交流ができたり、リアルの世界とはまったく眺めが違ってとても刺激的で楽しいものです。

一方で、「リア充消えろ」「自分の居場所はここだけ」といった、悲しくも開き直りとも受け取れる言葉も頻繁に目にします。

どうせSNSに夢中になるのなら、気の合う同士実際に会って交流する方が楽しいんじゃない? と筆者は思うほうなのですが、危険な面があったり、SNS上でさまざまな嘘をついていたりしてリアルの友達にはなりにくかったり、実は対人交流を恐れていたりして、なかなか本物の人間関係に発展させるのも難しい面があるように思えました。

結論を言えば、「SNSはあくまで仮の関係の世界」と割り切って、リアルとSNSを器用に両立できるなら問題なく楽しめるし、必ずしも「貧乏になる」「お金がたまらない」ということにはならないと思われます。

・SNS上の承認欲求に憑りつかれてストレスを感じたり、気持ちが後ろ向きになったりしていないか? 現実逃避していないか?
・SNS上のつながり<リアルの人間関係、このバランスが崩れていないか?
・発信や更新が過剰に頻繁、長時間になっていないか?

これらのチェックポイントでときどき自分を客観視しながら、適度にSNSを楽しんでみてはいかがでしょうか。

【参考文献】
・『仕事脳ー成功する人の脳の使い方』吉田たかよし・著

【参考リンク】
・うつ予防ナビ | 一般社団法人 日本メンタルヘルス研究センター(http://utu-yobo.com/

●ライター/月極姫(フリーライター)
●モデル/NANAMI(RIRIAちゃん)
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距離を置いてスッキリ! ママ友同士の「SNS疲れ」を解消する方法
赤ちゃん無視でSNS!? ママが知るべき「スマホネグレクト」の恐ろしさ
http://news.ameba.jp/20170119-735/
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/178.html

[国際17] トランプ氏、就任演説で既存政治家を批判 歴代大統領と全く違うアウトサイダーなのか 
トランプ氏、就任演説で既存政治家を批判
歴代大統領と全く違うアウトサイダーなのか
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トランプ新大統領は就任演説で権力をワシントンの支配層から米国民に取り戻すと述べた(英語音声、英語字幕あり) Photo: Getty Images
By GERALD F. SEIB
2017 年 1 月 21 日 10:45 JST

 ドナルド・トランプ氏は米東部時間20日正午(日本時間21日午前2時)、ワシントンの連邦議事堂で宣誓し、集まった首都のエスタブリッシュメント(既存支配層)である共和・民主両党の議員に迎え入れられて、米国の第45代大統領に就任した。

 だがそのわずか2分後、トランプ氏はまさにそのエスタブリッシュメントを攻撃し始めた。

 トランプ氏は、今後は自らが大統領として率いていく政治制度を批判し、近年では類を見ない就任演説を行った。また、ドワイト・アイゼンハワー元大統領以来で最も無党派に近い、これまでとは全く違ったタイプの新しい大統領になる意向をほのめかした。

 トランプ氏は演説を見守る政治家への反感をむき出しにするように、「あまりにも長い間、首都の一部の人間たちが政府の立場から得られる利益を手に入れる一方、国民は負担を強いられた。(中略)エスタブリッシュメントは自らを守ったが国民のことは守らなかった 」と訴え、この瞬間から全てが変わると語った。

 厳しい言葉は野党の民主党だけでなく、自らが所属する共和党にもほぼ同等に向けられていたようだった。この2年間議会を支配してきた共和党の議員を含め、すべての政治家が集団として米国の工場閉鎖や製造業の雇用喪失を引き起こし、「この国の忘れ去られた人々」が世界経済に翻弄(ほんろう)される理由を作り出したと嘆いた。

 総じて、トランプ氏の発言は伝統的な就任演説よりも選挙運動中の演説に近いものがあり、同氏が大統領候補として全米を回っていた時とは違う形で米国を率いていくという見方は崩れた格好となった。選挙運動中の演説が従来からの共和党員よりもむしろ熱狂的な支持者に向けて発信されていたように、就任演説も同氏の大統領選勝利を後押ししたミシガン州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州などの労働者階級に向けて訴えかける内容だった。

 実際、演説の最後にトランプ氏は、集まった観衆に向けて選挙運動で行うように拳を高く上げた。日頃から政治に関わる人は驚きや衝撃を感じたかもしれないが、同氏の熱狂的な支持者にとっては完璧なパフォーマンスだったと言えるだろう。

 これでトランプ氏の大統領としての基本姿勢が打ち出されたが、これから先は未知の領域に飛び込むことになる。アイゼンハワー元大統領も共和党候補として選挙運動を始めるまでは民主・共和両党から出馬を強く打診されていたが、それ以降の歴代大統領でこれほど政党やイデオロギーにしばられない大統領はいなかった。トランプ氏は選挙で共和党の集票力を利用したが、共和党幹部の多くは選挙期間中から同氏に対する反対姿勢を示していた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースがトランプ氏の大統領就任前に行った世論調査では、同氏を「異なるタイプの共和党員」だと考える回答者が81%にも上った。そのうち84%が同氏と同じく共和党の有権者だった。これを良いと考える人も悪いと考える人もいるが、大半の回答者がこれまでとは異なる新しいタイプの大統領になると見ていることが明らかになった。

 トランプ氏に対する支持はとりわけイデオロギーに基づくものでも、特定の政策案に起因するものでもない。例えば同氏は選挙期間中、メキシコからの不法移民を阻止するために壁を築く意向を繰り返し示してきたが、これが絶対的な優先課題だと見る支持者はわずか半分だ。支持者は政策よりも同氏の姿勢に魅力を感じており、現実主義的な政権運営を期待している。時に完全な方針転換をしたとしても、おそらくある程度は一貫性の欠如を容認するだろう。

 実際、大型減税導入や前政権の医療保険政策の撤回、既存の貿易協定の再交渉または破棄を目指すなど、いくつかの基本的原則を除いては、とりたてて具体的な政策は存在しない。トランプ政権の閣僚候補らはここ数日、対ロシア関係やドル相場、気候変動対策の必要性といった重要課題を巡り、新大統領との見解の違いを明らかにした。

 これを受け政府関係者の間では混乱が広がっている。だが一般のトランプ支持者はほとんど気にかけないだろう。支持者は現状維持より変化と行動のみを求めているように見受けられる。これは新大統領に計り知れない裁量を与えるものだ。

 しかし課題は極めて大きい。政党とのつながりが緩いことで得られる自由は、トランプ氏に対し強い忠誠や自らの政治生命の絆を感じる同胞がほとんどいないという危険性によって相殺されるからだ。

 大統領選では、共和党内の激しい批判にはそれに劣らぬ激しさで反論し、反対の声すら揚々と自慢の種にしたこともトランプ氏の勝因となった。だが、選挙運動ではなく統治をなすべき時となり、トランプ氏は以前よりはるかに党内の支持を必要としている。

 しかもトランプ氏が率いる国は、党派の対立やトランプ氏に対する強い個人的感情の違いから深く分断されている。大統領に選出されて以降もトランプ氏に対する有権者の見方がほとんど変化していないという事実は、こうした分断を最も鮮明に表しているのかもしれない。

 トランプ氏は就任演説の中で、この問題に取り組む必要性を認め、自身の任期中に「われわれは互いへの忠誠を再び見いだすだろう」と国民に誓った。だが、今や自らの故郷と呼ぶ首都ワシントンの政治システムに対し、同様の忠誠を誓うことはなかった。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjF64ODp9LRAhUFipQKHf_uBkYQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582572080081342796&usg=AFQjCNEPbVz1IfQCiHSwmS6seX3efkquIw


トランプ新大統領がTPP脱退表明、「米国第一主義」推進へ CEOでなく中間管理職 米株上昇 ドル小幅安 就任演説全文英語

ロバート大統領、カーター大統領、クリントン大統領、ブッシュ大統領、オバマ大統領、アメリカ人同胞、世界の人々:ありがとう。

われわれは、アメリカの市民として、国家を再建し、すべての国民の約束を取り戻すために、大きな国家的努力に加わりました。

一緒に、我々は、今後数年間、アメリカと世界のコースを決定します。

我々は挑戦に直面するだろう。私たちは苦難に直面します。しかし、私たちは仕事を終わらせるでしょう。

4年ごとに、秩序ある平和的な権力移譲を行うためにこれらの措置を講じるとともに、オバマ大統領とミシェル・オバマ大統領に、この移行を通じて恵まれた援助に感謝しています。彼らは素晴らしかったです。

今日の儀式は、しかし、非常に特別な意味を持っています。今日、私たちはある政権から別の政党へ、あるいはある政党から別の政党に権力を移すのではなく、ワシントンD.C.から権力を移譲し、それをあなたに戻しているからです。

あまりにも長い間、私たちの国の首都の小さなグループは、人々がコストを負担している間に政府の報酬を得ました。

ワシントンは繁栄しました - しかし人々は富を分かち合いませんでした。

政治家は繁栄した - しかし仕事は残っていて、工場は閉鎖された。

その施設は自らを保護しましたが、私たちの国民は保護しませんでした。

彼らの勝利はあなたの勝利ではありません。彼らの勝利はあなたの勝利ではありませんでした。彼らが私たちの国の首都で祝っていた間に、私たちの土地に苦しんでいる家族のために祝うことはほとんどありませんでした。

それはすべて、今ここから始まります。今の瞬間はあなたの瞬間なのです。それはあなたのものです。

それは今日ここに集まった皆、そしてアメリカ全土を見ているすべての人に属します。

これはあなたの一日です。これはあなたのお祝いです。

そして、これがあなたの国です。

本当に重要なのは、どの当事者が政府を支配するのではなく、私たちの政府が人々によって支配されているかどうかです。

2017年1月20日、人々が再びこの国の支配者になった日として記憶されます。

私たちの国の忘れられた男女はもう忘れられません。

誰もが今あなたを聞いています。

あなたは数千万にものぼって、以前は見たことのないような歴史的な運動の一部になった。

この運動の中心には、市民に奉仕する国家が存在するという重大な信念があります。

アメリカ人は子供のための素晴らしい学校、家族のための安全な地区、そして自分自身のための良い仕事を求めています。

これらは正義の公衆の正当で合理的な要求です。

しかし、市民の数が多すぎると、異なる現実が存在します。母と子どもたちは、都会の中の貧困に閉じ込められています。私たちの国の景色の向こう側に墓石のように散在した錆びた工場。教育システム、現金で洗い流すが、私たちの若い美しい生徒は知識を奪われてしまう。あまりにも多くの人生を盗んでしまった犯罪や暴力団や薬物は、私たちの国を非常に未熟な可能性から奪ってしまった。

このアメリカの大虐殺はここで終わり、今すぐ停止します。

私たちは一つの国家であり、その痛みは私たちの痛みです。彼らの夢は私たちの夢です。彼らの成功は私たちの成功につながります。私たちは1つの心、1つの家、そして1つの栄光の運命を共有します。

私が今日取る誓約は、すべてのアメリカ人に対する忠誠の誓いです。

何十年もの間、私たちはアメリカの産業を犠牲にして外国産業を豊かにしました。

軍隊の悲しい枯渇を許しながら、他の国の軍を助成した。

私たちは国家の国境を守り、自分たちを守ることを拒否しました。

また、アメリカのインフラが壊滅的かつ腐敗している間に、海外に何千億ドルも費やしました。

我々は、国の富、強さ、そして自信が水平線上で消えている間に、他国を豊かにしました。

ひとりひとりが工場を閉鎖し、私たちの海岸を離れました。何百万人ものアメリカ人労働者が残っているとは考えられませんでした。

私たちの中産階級の富は彼らの家から切り裂かれ、そして世界中に再分配されています。

しかしそれは過去です。そして今、私たちは未来に向かっています。

今日、ここで集まった私たちは、すべての都市、あらゆる外国の資本、そしてあらゆる権力の殿堂で聞かれる新しい法令を発行しています。

今日から、新たなビジョンが私たちの土地を支配するでしょう。

この瞬間から、アメリカファーストになる予定です。

貿易、税制、移民、外交に関するすべての決定は、アメリカの労働者とアメリカの家族に利益をもたらすために行われる。

私たちは、製品を作ったり、企業を盗んだり、雇用を破壊したりする国々の荒廃から国境を守る必要があります。保護は大きな繁栄と強さにつながります。

私は私の体のあらゆる呼吸であなたのために戦います - そして決してあなたを失望させません。

アメリカはもう一度勝ち上がり、かつてないほど勝ちます。

私たちは仕事を取り戻すでしょう。私たちは国境を取り戻すでしょう。私たちは富を取り戻すでしょう。そして私たちは私たちの夢を取り戻すでしょう。
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/177.html

http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/409.html

[経世済民118] 使えない上司・使えない部下 超カルト会社の「困り果てた上司たち」  熱を帯びる中国経済成長率を巡る議論
使えない上司・使えない部下
超カルト会社の「困り果てた上司たち」
2017/01/19
吉田典史 (ジャーナリスト・記者・ライター)
 今回は、労働組合・東京管理職ユニオン委員長の鈴木剛さんを取材した。

 日々、多くの会社員などから労働相談を受ける。その多くは、上司からのパワハラやいじめ、退職強要などである。賃金の不払い、不当な解雇やセクハラなども少なくない。最近は、上司をいじめる部下もいるという。その裏には、あいまいな人事評価システムなどがある。その評価システムを悪用する会社もあり、もはや、カルト化しつつあるようだ。

上司をいじめる、粘着質な部下

(iStock)
 「使えない部下」を通り越し、「困り果てた部下」がいます。最近も、そのような部下について労働相談を受けました。相談に現れたのは、大手の金融機関に勤務する50代半ばの男性。愛社精神旺盛で、仕事もできる方です。ある地域を統括する所長をしていました。

 こんな優秀な方が、部下である40歳前後の男性からいじめを受けているのです。男性はそのエリアに20年近く勤務している、現地採用の社員。役職はないのですが、管理職以上の力をもっているそうです。同僚や後輩、ときには所長にも、激しく言い返したりします。前々から周囲に攻撃的で、ブイブイと言わせてきたタイプのようです。

 歴代の所長は、男性社員に深入りはしなかったのです。摩擦を起こしたくなかったのでしょう。この所長は、正義感も責任感も強い。だから、男性の問題行為を黙認できなかった。注意指導をしていくと、しだいに反撃をし始めたのです。

 企業内労組に「上司である所長からパワハラを受けている」と相談に駆け込み、針小棒大に騒ぐ。所長が身に覚えのないことまで吹聴する。インターネットに所長のことを匿名で書き込む。内容は、同じ職場にいないと書けないようなことなのです。誹謗中傷で、名誉棄損に近い。このように、様々なトラブルを仕掛けては所長を攻撃するのです。

 所長は、「こんな部下がいて、困っている」と上司である支社長に報告をしました。しかし、男性があまりにも騒ぐから、支社長は所長を本社に異動させたのです。男性は依然として、非管理職のまま、隠然たる力を持ち、居座っているようです。

 男性は、本社採用のエリート層に嫉妬心があるのか、上司に逆らい続けます。粘着質で、よこしまな考えで、「困り果てた部下」です。

「そんな言い分は、上司への人格否定だ!」


鈴木剛さん
 上司の人格を否定する「困った部下」もいます。大手メーカーに30年以上勤務する50代後半の男性が労働相談に来ました。順調に昇格し、部長になったものの、心身疲れ果て、1年間休職。

 復職したのですが、降格となり、ヒラに。そのことに怒りを覚え、我々のところへ来たのです。仕事で大きなミスはなく、むしろ、功績は大きい。ところが、団体交渉をすると、男性のかつての部下が会社側の一員として現れ、「この人は何も考えていない」と発言する。人事部などから、そのように言うように命令を受けたのかもしれません。

 わたしはたまらず、言いました。「失礼だろう! そんな言い分は、かつての上司への人格否定だ!」と。団交をやめて、帰ったのです。あんな発言は許せない。しかも、その男性もさほど優秀でもないようです。会社の言いなりになっているだけ。まさに「茶番」ですよ。こういう部下も、「困り果てた部下」です。もはや、小学生レベルのいじめでしかない。

 この2つの事例に共通しているのは、人事の評価を悪用し、狙った人を追い出したり、辞めさせようとしたりすること。人事評価は、成果主義と言いながらも、実際は「コンピテンシー評価」という、評価基準があいまいなものです。勤務態度や仕事への姿勢、コミュニケーション力、積極性とか、協調性などまで評価される。

 一方で、総額人件費を削減するために、ローパフォーマーをあえて強引につくり、辞めるように仕向ける。少なくとも、「使えない社員」とレッテルをはる。

 こういう状況下では、人事評価は突然、変わりうるのです。積極的にやれば、「協調性がない」。職場の空気を感じとり、控えめな行動にすると、「積極性がない」となる。そして、「使えない部下」とレッテルをはる。

 これでは、部下は常に上司の顔色をうかがわざるを得ない。上司は、部下をどうにでも評価できるようになっている。ましてや、最近は、上司の権限が強い。自分の勤務態度も成績も棚上げし、「コンピテンシー評価」を悪用し、部下を低く扱うことができうるのです。

超カルト会社の「困り果てた上司」

 我々が「困り果てる上司」もいます。団体交渉の場で会社側の一員として現れ、語り始めます。組合員となり、目の前で団交をする部下のことを「この人は問題がある。私は、こんなに苦労をした」と切々と語る。通常、団体交渉に上司はあまり出ないものなのですが……。

 これは、超カルト会社で見られる光景です。社会福祉法人や財団、大学の職場、ワンマン経営の会社などで労使紛争が起きると、こういう上司が団交に登場することがあります。

 ワンマン経営の会社では、社長自ら参加し、「何が悪いのか!」と発言することもあるのです。不当な行為をしていようとも、「そんなの当たり前!」とマイルールを持ち出す。「問題が生じた場合、責任は下へ、仕事の成果は上へ……」といったことが浸透しているところすらある。揚げ句に、「その現場を支えるのが、君だろう……」となる。

 まさにカルトですよ。会社員の多くは、その会社の流儀しか知らない。座敷牢的なものがありますから、視野がおのずと狭くなる。得てして、カルト的なものや、ゆがんだルールが浸透しやすくなる。こういう背景があるから、「コンピテンシー評価」も悪用されやすい。

 「使えない部下・使えない上司」という言葉も、この一連の流れや背景から生まれてくるものではないか、と私は思います。

 いじめやパワハラ、セクハラなどを受けたら、我々、東京管理職ユニオンに相談に来てください。カルトではないですから、どうかご安心を……(笑)。ほかの労組でもいいし、公的な機関でも、弁護士に行くこともでもいい。ひとりで抱え込むことだけは避けたほうがいいでしょうね。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8691


 


熱を帯びる中国経済成長率を巡る議論
2017/01/20
大西康雄 (日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所・上席主任調査研究員)
 中国では2017年度以降の成長率をめぐる議論が活発になってきた。本稿が読者の目に触れるころは、例年なら16年の成長率が発表されるタイミングだが、17年さらにはそれ以降の中国経済についてどう見るのかを議論しておくことが重要である。


iStock
 国内エコノミストの多くは、17年は16年より若干減速し、6.5%程度と予測している。減速と見る根拠としては、成長を支える「三頭立て馬車」(消費、投資、輸出)のうち前2者は安定的なものの輸出はマイナスが続くことがあげられている(中国国家情報センターのアナリスト)。この予測の成否はそれとして、より注目すべきは、第13次5カ年計画の最終年次(2020年)までの成長率をめぐる議論だ。

 習政権は、20年の国民一人当たりGDPを10年の2倍にすることを公約としており、この達成には平均年率6.5%以上の成長が必要となる。これを踏まえてどのように経済を運営していくのかが政策当局の腕の見せ所となる。中長期成長予測においては、上記した3要素に代えて「労働力投入、資本投入、全要素生産性向上」が重要となる。各要素がもたらす推計成長率合計6.2%は「潜在的成長率」とされる。「潜在的」とは、インフレや失業率上昇などの景気循環的現象が発生しなければ達成可能な、という意味である。

 議論になるのは、6.5%という要求水準をどうやって達成するかである。このところの経済運営では、投資や消費の刺激により成長率を下支えする手法が多用されてきた。16年に地方政府がインフラ投資に充てた特別建設基金は1兆元(約17兆円)、消費刺激のために自動車購入にかかわる減税措置も延長された。これらの措置により第1〜3四半期のGDPは6.7%を維持したともいえる。しかし、こうした措置は政府の掲げる構造改革と逆行する作用を持つ。

 中国社会科学院副院長の蔡ムは有力誌『財経』の講演会で、上記6.2%を「最低ライン」と呼び、改革措置の推進による「改革メリット」を上乗せすれば6.7%成長が可能で、これが「最高ライン」との議論を展開している。

 最重視するのが全要素生産性の向上で、たとえば都市化を推進し、労働力の農業から他産業への移動や教育水準向上を図れば生産性向上が実現可能と指摘する。この議論のポイントは、成長率向上と相反すると見なされがちな改革措置が成長率向上に資すると強調していることだ。今後の経済運営を考える上で重要な議論として注目したい。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8704
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/179.html

[国際17] ダボス会議の参加者らは楽観的、ポピュリズムは必ずしも悪くない トランプ年4%成長目指す−TPP撤退を表明NAFTA再交渉
ダボス会議の参加者らは楽観的、ポピュリズムは必ずしも悪くない
Jeff Black、ジェームズ・メーガ、Birgit Jennen
2017年1月21日 01:04 JST

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「選挙に勝って楽観的に」−ブラックロックCEO
「世界経済は転換期にあるようだ」黒田日銀総裁

世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に集まった当局者や企業幹部は総じて楽観的だった。英国民に欧州連合(EU)離脱を選択させ、ドナルド・トランプ氏の米大統領就任を実現させたポピュリズム(大衆迎合主義)も、必ずしも悪いことばかりではないかもしれない。
  ダボスでのパネル討論会で、ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者は、トランプ氏やEU離脱に投票した有権者らは「政策を変えさせた。正しいか間違っているかは分からないが彼らは過去の政策が自分たちのためにならないと信じた」とし、選挙が自分たちの希望通りの結果になったことで「彼らは勇気付けられ、もっとお金を使うようになるだろう。将来の支出に対しても楽観的になっている」と語った。
  大衆迎合的政治のおかげなのか、それにもかかわらず、なのかはともかく、討論会の参加者らは経済が勢いを取り戻したことを歓迎した。日本銀行の黒田東彦総裁は世界的な製造業の改善とアジアの回復を指摘。米成長には上振れリスクがあるとの認識を示した。ドイツのショイブレ財務相は、ユーロ圏が「経済と財政の両面で若干改善した」とし、ドイツ経済は堅調だと述べた。
  黒田総裁は「世界経済は転換期にあるようだ。世界の経済成長率、商品相場、インフレ期待、長期金利が昨年上期にそろって底を打ったのは 偶然ではない」と語った。
  スイスのマウラー財務相は「ダボスで私は、トランプ氏が大統領に選ばれたことが、経済という点で完全にプラスと解釈されているという印象を持った」と話した。
原題:Davos Dares to Wonder If Populism Could Even Help Global Growth(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK33B66VDKHV01


トランプ氏、年4%成長目指す−TPP撤退を表明、NAFTA再交渉
Scott Lanman
2017年1月21日 09:35 JST
向こう10年で新たに米国民2500万人分の雇用創出と説明
経済と貿易が優先課題−ホワイトハウスのウェブサイト

トランプ米新大統領の政策は年4%の経済成長の達成を目指すものだと、ホワイトハウスが大統領就任に合わせて更新したウェブサイトの声明で明らかにした。トランプ氏と同氏のチームが掲げていた目標の上限だ。
  ホワイトハウスは「雇用と成長を取り戻す」と題したページで、「経済を再び軌道に乗せるため、トランプ大統領は向こう10年で新たに米国民2500万人分の雇用を創出し、4%の年間成長率に戻るための大胆な計画の概要を示してきた」と説明。戦略として減税や規制緩和などを挙げた。
  他のページには選挙戦中にトランプ氏が表明した貿易政策があらためて掲げられている。「環太平洋連携協定(TPP)から撤退し、いかなる新たな貿易協定も米労働者の利益に確実にかなうようにすることから大統領の戦略を始め」、北米自由貿易協定(NAFTA)の「再交渉にコミットする」としている。
  トランプ氏は昨年9月、4%成長を目標に掲げ、自身の計画で10年間で平均3.5%成長を実現すると述べていた。ただエコノミストは米国が長期間そうした成長ペースを続けられるとの見方に総じて懐疑的。米金融当局は米国の長期的な潜在成長率を約1.8%とみている。
原題:Trump Seeks 4% Annual GDP Growth, High End of Prior Goals (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-21/OK3REI6K50XU01
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/411.html

[国際17] 世界がまもなく直面する史上最大のリスク  情報コミュニティを敵に  第原油市場のニューノーマルは「不足」から「過剰」へ
世界がまもなく直面する史上最大のリスク
情報コミュニティを敵に回し、第2のウォーターゲート事件懸念も
2017.1.20(金) 渡部 悦和
米大統領就任式リハーサル、トランプ氏代役が「宣誓」
米首都ワシントンで、大統領就任式のリハーサル中の米連邦議会議事堂(2017年1月15日撮影)〔AFPBB News〕
ツイッターでの不適切な情報発信

?ジョー・バイデン米国副大統領は、2016年11月8日の大統領選挙の勝利以降もツイッターを使い問題の多い情報発信を繰り返すドナルド・トランプ次期大統領に対して「ドナルド、大人になりなさい」と諌めた。世界中の多くの人たちも同じ思いであろう。

?トランプ氏が米国の内政問題に関して何をツイートしようと「お好きなように」であるが、日本企業のトヨタ自動車に対して「メキシコでの新工場建設は問題だ」と突然ツイートすることは異常である。

?1月20日の大統領就任式の直前になってもツイッターで不適切な情報発信をするトランプ氏は、世界における最大の不安定要因、最大のリスクになっている。

?「トランプ氏はツイッター依存症である」と指摘する人は多く、1月20日の大統領就任後、トランプ氏がツイッターを封印することを望む人は多い。

?トランプ氏が最大のリスクであるという評価は、イアン・ブレマー*1氏の評価でもある。彼が社長を務めるユーラシア・グループ(eurasia group)が、2017年の世界におけるトップリスク「TOP RISKS 2017」*2を1月3日に発表した。

?2017年における最大のリスクはトランプ次期大統領の米国であり、第2のリスクが中国であると喝破している。経済的にも軍事的にも世界第1位と第2位の国がリスクと予想される2017年は大変な年になりそうである。

パクスアメリカーナの終了

?パクスアメリカーナ(大国アメリカによる平和)について、多くの識者が第2次世界大戦直後から続いてきたパクスアメリカーナは終焉を迎えたと述べている。

?例えば、イアン・ブレマー氏は、自らのツイッターで「パクスアメリカーナは1945年から2016年11月8日(注:米国大統領選挙でトランプ氏が勝利した日)までの間で、11月9日以降はG-Zero(ジー・ゼロ)の世界となった」と書いている。

?G-Zeroの世界は、ブレマー氏のベストセラー本*3で紹介された語句で、「世界の諸問題を解決しようとする国も組織もない世界」を意味する。

?アメリカ・ファースト(America First)を主張し、「米国はもはや世界の警察官にはならない」「世界の諸問題には関与しない」という意思を明確にしたトランプ氏の大統領選挙の勝利により、明らかにG-Zeroの世界に入った、というのがブレマー氏の主張である。

?中西輝政氏は、その著書*4においてトランプ氏の米国を「普通の国」と呼び、米国は特別な国や例外的な国(American Exceptionalism)でなくなったと書いている。別な言い方をすれば、米国は大国であることの責任(ノブレス・オブリージュ)を放棄した国になったということであろう。

?G-Zeroの世界は特別な世界ではなく、国際政治で言うところの「アナーキーな世界」(主権国家の行動を制限したり、強制する世界政府がない世界)そのものである。

?アナーキーな世界における国家の最大の責務は生き残ること(サバイバル)だ。アメリカ・ファーストは、露骨な米国中心主義の表明であり、他国もまた「チャイナ・ファースト」や「ロシア・ファースト」と露骨な自己中心主義を主張するのであろう。

?2017年以降は、今まで以上に各国が生き残りをかけた自己中心の戦いの時代になったことを認識しなければいけない。

?アナーキーな世界において日本もまた生き残りを追求しなければいけない。その際に不安定なトランプ氏の言動は、日本にとってプラスの場合もあるし、マイナスの場合もある。トランプ氏に対しては日本の国益を中心として是々非々で対処すべきであろう。

ユーラシア・グループが予測する2017年10大リスク

●10大リスク

?ユーラシア・グループが予想する2017年の10大リスクは影響力の大きさの順番に次の通りである。

(1)独立した米国(Independent America)
(2)中国の過剰反応(China overreacts)
(3)弱いメルケル(A weaker Merkel)
(4)改革なし(No Reform)
(5)技術と中東(Technology and the Middle East)
(6)中央銀行の政治化(Central banks get political)
(7)ホワイトハウス対シリコンバレー(The White House versus Silicon Valley)
(8)トルコ
(9)北朝鮮
(10)南アフリカである。

?以下、最大のリスクである「独立した米国」について説明する。

*1=イアン・ブレマーは、地政学的リスク分析を専門とする世界最大のコンサルティング会社ユーラシア・グループの社長(President)

*2=“TOP RISKS 2017: The Geopolitical Recession”, eurasia group

*3=“EVERY NATION FOR ITSELF Winners and Losers in a G-Zero World”

*4=日本人と知っておきたい「世界激変」の行方、PHP新書

●「独立した米国(Independent America)」について

?トランプ氏の「米国第一(America first)」や「再び米国を偉大にする(make America great again)」は、「独立(independence)」にその根拠を置いている。

?つまり、トランプ政権下の「独立した米国」とは、世界の諸問題における米国が果たすべき不可欠な役割や責任からの独立であり、国連などの組織や同盟国によって米国に課せられる重荷からの独立を意味する。

?ユーラシア・グループの分析によると、トランプ氏の「アメリカ・ファースト」の主張は、孤立主義の表明ではなく、単独主義の表明であるという。

?この単独主義は、孤立主義が示唆する「孤立して引きこもる米国」という弱いイメージではなく、世界で最も力のある米国として、国益を擁護するためにより直接的にそのパワー(軍事力、経済力など)を使用することだという。

?「独立した米国」は、軍事力の使用を厭わない。米国の中核的な国益を擁護するために、他国に与える結果を考慮することなく、米国単独でも軍事力を断固として使用する。

?この点は、軍事力の活用に極めて消極的で弱い大統領と批判されたバラク・オバマ氏との大きな違いである。トランプ氏の外交政策は、オバマ氏の外交政策よりもずっとタカ派である。

?このタカ派の対外政策を成立させるために発表したのが大軍拡計画である「力による平和(Peace through Strength)」であり、陸軍の現役兵員数約49万人から54万人への増加、海軍の主要艦艇276隻を350隻に増加、海兵隊の23個大隊を36個大隊に増強、空軍の戦闘機数1113機を1200機に増強するという提案である。

?増強した軍事力を使い、世界の諸問題の解決ではなく、米国の利益のためにのみ使用するというのが国家通商会議代表に指名されたピーター・ナヴァロ氏などのトランプ氏側近の考えである。

米国第一と中国第一の衝突

?トランプ氏がツイッターなどで発信する中国批判は注目に値する。

?彼は、過去のしがらみにとらわれることなく、台湾の蔡英文総統と直接電話連絡したり、中国が長年主張し歴代米国大統領も認めてきた「1つの中国政策(One China Policy)」にとらわれないと発言した。

?「1つの中国政策」を認めない一連の言動は、中国の面目を丸つぶれにする強烈なものであり、オバマ氏の中国への寛容すぎる政策とは一線を画すものである。

?トランプ氏の対外政策の中で、この厳しい対中姿勢を肯定的に評価したいが、米中軍事衝突の可能性を秘めていることも指摘しなければいけない。

●中国ファースト

?一方、トランプ氏の厳しい対中政策は、秋に予定されている中国の共産党第19回全国大会を控えた習近平主席にとって頭痛の種になる。

?第19回党大会は、今後10年以上にわたり中国の政治および経済の方向性を決定する非常に重要なイベントである。習主席は、党大会に向けて自らの権力基盤の強化に集中している。

?習主席の中国も「中国ファースト」である。中国の国益特に核心的利益に対する国外からの挑戦特にトランプ氏による反中国的な言動には断固として対応せざるを得ない。結果として米中の緊張は高まるであろう。

●中国の対トランプ報復シナリオ

?ロイターは、12月13日の記事で以下のような対米シナリオを予想しているが*5、興味深いシナリオである。

?いずれにしろ、トランプ氏の一連の対中批判に対して習近平政権がおとなしく屈服する可能性は低く、トランプ氏が中国を刺激すればするほど、米中の関係は悪化することになる。

・米国との断交
・台湾近辺での軍事的挑発
・南シナ海における対決姿勢
・台湾向け武器輸出に関与する米国企業への制裁
・保有する米国債の大量売却
・北朝鮮への圧力緩和
・米企業に対する圧力
・農産物調達先の乗り換え
・市場アクセス推進の停止
・サイバー問題に関する合意の見直し(2015年秋のオバマ・習近平合意の見直し)

*5=「焦点:トランプ時代の米中対立、想定される中国の報復シナリオ」、ロイター

ロシアによる2016年米国大統領選挙介入問題

●トランプ氏の常軌を逸したロシア擁護

?トランプ氏は、米国大統領選挙におけるロシアによるサイバー情報活動(ハッキング)について、ロシアを批判するのではなく、米国の情報機関(CIAなど)を批判する発言を繰り返してきた。

?彼は、米国の情報機関がロシアの仕業だと断定しているにもかかわらず、ハッキングに関するロシアの関与について、「馬鹿げている。信じない」、「犯人はほかの誰かかもしれない」と根拠なく一貫してロシアの関与を否定し続けてきた。

?オバマ大統領は、米大統領選挙へのロシアの前代未聞の干渉に対する報復措置として、昨年12月29日、ロシア軍参謀本部情報局(GRU)の要員やロシア外交官35人を追放し、米国内にある2つのロシア情報機関関連施設の閉鎖を命じた。

?この措置は当然の報復措置であるが、この措置にトランプ氏は批判的であった。

●トランプ氏による米国の情報コミュニティ批判

?ジェームズ・クラッパー国家情報長官は、トランプ氏による度重なる情報コミュニティに対する批判に対し、「健全な懐疑心と誹謗中傷は違う」と指摘し、トランプ氏の米国情報機関に対する批判が単なる誹謗中傷であると不快感を示した。

?共和党の議員さえ、「情報機関の重要性を理解してくれることを望む」(ジョン・マケイン上院軍事委員長)、「必要不可欠な場合を除き情報機関を批判すべきでない」(リンゼー・グラハム上院議員)とトランプ氏を批判している。

?トランプ氏と情報コミュニティの間の亀裂は米国および世界の将来にとって悲劇である。指揮官の状況判断にとって良質な情報は不可欠である。正確な情報を無視するとトランプ次期大統領の状況判断は高い確率で間違うことになろう。

●ロシアの米国大統領選挙介入に関する米国情報コミュニティの報告書

?クラッパー国家情報長官が1月6日に発表した「米国大統領選挙におけるロシアの活動と意図」に関する報告書*6は、ロシアの関与を否定し続けてきたトランプ氏の主張を完全に否定するもので、トランプ氏もしぶしぶロシアの介入を認めざるを得なかった。

?米国の情報コミュニティの報告書の主要点は以下の通りであり、トランプ氏の過去の主張がいかに間違っていたかを証明している。

・ロシアの選挙への介入の意図は、米国主導の民主主義的秩序を傷つけることである。
・ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が米大統領選挙に介入し影響を与える作戦を指示したと判断する。

・ロシアによる米大統領選挙への介入は規模や多様な手段(筆者注:ハッキングや虚偽ニュースの拡散など)で前例のないものであった。
・攻撃の狙いについては、米国の民主的プロセスの信用を貶め、ヒラリー・クリントン氏を中傷し、大統領に当選する可能性を小さくすることだった。

・トランプ氏の当選する確率を高めようとした。
・ロシア軍参謀本部情報局(GRU)がハッキングで民主党全国委員会や民主党幹部らの文書等を入手し、ウィキリークスに与えた。
・同盟国(筆者注:特に今年重要な選挙が多い欧州諸国)も同様の危険にさらされる危険性がある

?この報告を受けたトランプ氏は、「大統領選挙期間中のサイバー攻撃は選挙結果に全く何の影響も及ぼさなかった」と事実に反する内容をツイートした。

?しかし、報告書は単に、選挙結果に及ぼした影響に関しての分析を避けただけであり、「サイバー攻撃は、選挙結果に全く何の影響も及ぼさなかった」というのはトランプ氏の捏造である。

●トランプ氏に関する不名誉情報の流出

?ロシアがトランプ氏の不名誉な個人情報や財務情報を入手した疑いが出てきた。この情報の出典は、英国の情報局秘密情報部(MI6)の元情報員が書いたとされる報告書だ。

?この報告書をニュースメディアのバズフィード(BuzzFeed)が公開している。そこには次のような記述がある。

?「ロシアが西側同盟の弱化を狙って、プーチン大統領の承認のもと、5年以上トランプ氏を支援してきた」

?「トランプ氏は、クレムリンから民主党やその他の政治的ライバルたちの情報をもらっていた」

?「ロシア連邦保安庁(FSB)がトランプ氏を脅迫できる情報を持っていた。その情報にはトランプ氏のロシア滞在中における女性とのセックス情報も含まれている」

?このBuzzFeedの報告書についてトランプ氏は、「情報は虚偽ニュースであり、政治的な魔女狩りだ」だと激しく反論し、「米国の情報機関がこの情報を漏えいした」と批判の矛先を米国の情報コミュニティにも向けたが、クラッパー長官は否定している。

?さらにトランプ氏は記者会見において、CNNなどのマスコミにも怒りをぶつけ、マスコミとの関係も悪化させてしまった。

*6= Intelligence Community、“Assessing Russian Activities and Intentions in Recent US Elections”

●第2のウォーターゲート事件になる可能性も

?ブルッキング研究所のシニア・フェローであるダニエル・ベンジャミン氏は、「いかなる大統領であろうと、情報コミュニティとの良好な関係なくして外交政策は成功しない」と指摘し、情報コミュニティを批判し続けるトランプ氏を諌めている*7。

?両者の関係をさらに悪化させると、情報コミュニティの士気を低下させ、最も優秀な者は去り、大統領のために働きたいと思う者がいなくなり、情報を漏洩し不正を告発する者(whistleblower)が出てくるだろう。

?情報コミュニティに対する過剰な批判は、トランプ氏自身を傷つけ、後々まで大きな悪影響を与える可能性がある。

?トランプ氏のロシアとの不適切な関係は、第2のウォーターゲート事件に発展する可能性がある。ウォーターゲート事件は、1972年の民主党本部への盗聴侵入事件に端を発し、情報コミュニティとマスコミの両方を敵に回したリチャード・ニクソン大統領が退任せざるを得なかった事件である。

?トランプ氏のロシアとの密接な関係や情報コミュニティとマスコミとの対立関係は、当時と同じ様な構図であるとも言える。

長官候補の上院公聴会などでの発言

?トランプ氏が問題のツイートを連発している間に、彼が指名した国防長官候補や国務長官候補、CIA長官候補は、議会の公聴会で極めて適切な主張(トランプ氏の主張とは真逆な主張)を展開した。

?国家の最高司令官(Commander in Chief)としての資質のなさを露呈する次期大統領と優秀な参謀の違いが明確になってきている。

?トランプ政権内における意見の不一致が1月20日以降の政権運営にいかなる影響を及ぼすかが注目される。以下は、主要な候補の主張の要約である。

●国防長官候補ジェームス・マティス元中央軍司令官

?国防長官に指名されたジェームス・マティス元大将は、米上院と下院の軍事委員会の公聴会で議員の質問に適切に答えた。

?共和党議員はマティス氏の44年間の軍歴を高く評価し、民主党議員もマティス氏にトランプ次期大統領に対するチェック役を期待するなど評判は良く、上院は81対17の圧倒的多数でマティスを支持した。以下は彼の発言の要点である。

・我々は、プーチン対処の現実を認識することが最も重要である。プーチンは、NATO(北大西洋条約機構)を破壊しようとしている。
・ロシアは米国の戦略的な競争者であることを選び、鍵となる重要な分野で敵である。

・ロシア人とはつき合うが、ロシアと対決しなければいけない分野が増えている。
・NATOにおける米国の役割を擁護し、ロシアに対する抑止力としてバルト3国への永久的な米軍の配置を支持する。

・中国は、アジア諸国との信頼をずたずたにしている。中国は、米国の国益に反する行動をする可能性がある。
・イラン核合意は不完全ではあるが、その放棄を求めない。

●国務長官候補レックス・ティラーソン元エクソンモービルCEO

・日本、韓国、サウジアラビアが核兵器を保有することを望まない。
・南シナ海の人工島に中国がアクセスできないようにする必要がある。

・南シナ海における中国の行動はロシアのクリミアでの行動と似ている。事態に適切に対処してこなかったから、南シナ海で中国が許容範囲外の行動をとる結果になった。

・ウクライナの同意がない限り、ロシアのクリミア併合を認めない。
・TPP、イラン核合意、気候変動に関する合意を支持する。

●CIA長官候補マイク・ポンペオ共和党下院議員(元陸軍将校)

・情報コミュニティの報告書を受け入れ、プーチン大統領が米国大統領選挙に介入したことを認める。
・トランプ氏のロシアとの関係に関する調査において、事実を追求する。
・ロシアは、世界中で攻撃的に自己主張を再開している。澄んだ目でモスクワを見てきたし、今後も同じだ。

結言

?多くの人が主張するようにトランプ氏のツイッターによる情報発信は、米国にとっても世界にとっても大きな不安定要因になっている。彼が次に何をツイートするかは多くの人を不安にさせているが、彼は大統領就任後もツイッターを使い続けるであろう。

?また、彼のプーチン大統領とロシアに対する異常な支持は彼の主要なスタッフや米国の情報コミュニティの認識とは真逆である。トランプ政権が本格的に始動すると、政権内の意見の不一致が表面化するであろう。

?最も影響力のある国家の最高司令官が米国のみならず世界の安定にとっての最大のリスクになっている現実にはため息が出る。

?トランプ氏のカウンターバランスとしての議会、司法、優秀な閣僚、マスコミに期待せざるを得ないが、2017年以降の世界が2016年以上に不安定になることを覚悟せざるを得ないであろう。

*7=Daniel Benjamin、“How Trump’s Attacks on U.S. Intelligence Will Come Bak to Haunt Him”、Brookings FP
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48943


 

原油市場のニューノーマルは「不足」から「過剰」へ
減産効果を打ち消す中国やインドの需要減少
2017.1.20(金) 藤 和彦
主要産油国の減産実施状況が良好だったとしても、原油市場には中国やインドの需要減少という問題が立ちふさがる(写真はイメージ)
?今年に入り米WTI原油価格は1バレル=50ドル台前半で安定的に推移している。

?これについて「サウジアラビアの減産に対する意欲の表れだ」と評価する声がある。

?1月16日、サウジアラビアのファリハ・エネルギー鉱物資源相は「主要産油国による減産合意を厳格に遵守する」と語った。同相は先週のサウジアラビアの原油生産量が日量1000万バレルを下回ったことを明らかにしているが、このことは同国が昨年末の主要産油国による減産合意で受け入れた日量1006万バレル以上の減産を行っていることを意味する。

?だが、サウジアラビアは今後も公約通り減産を実行していくだろうか。

?まず、昨年後半のサウジアラビアの原油生産量は日量1070万バレルを超えオーバーヒート気味だった。その反動で生産量が短期的に減少した可能性がある。また、冬場は国内の冷房需要がなくなるためサウジアラビアの原油生産量は夏場に比べて日量50万バレル前後減少するのが通例である。

?ファハド・エネルギー相は「夏場以降の原油市場は均衡を回復することから、OPECが非加盟国の産油国と結んだ減産合意はおそらく延長の必要はないだろう」と述べ、夏場以降の減産について早くも消極的な態度を示している。その理由は、サウジアラビアが例年通り夏場に原油生産量を増加することを想定しているからだろう。減産を続けていると「痛みを伴う減産」になりかねないというわけだ。

?サウジアラビア政府は、今年の予算を策定する際に、原油収入が前年に比べて46%増加するという野心的な目標を掲げた。だが、これを実現するためにはどうしても増産が必要である。「今年前半は見かけ上の減産で原油価格を引き上げることにより原油収入の減少を最小限に抑え、後半には生産量を増大させて原油収入の大幅アップを狙う」というシナリオを描いているのではないだろうか。

サウジの思惑通りにはいかない

?ただし、サウジアラビアのシナリオにとって障害になりそうなのはイラクである。

?イラクのアイピ石油相は1月10日、「OPECの減産合意に基づき年初から日量16万バレルの減産を実施する。今月末までに同21万バレル減産する見込みである」と述べた。だが、意外なことに昨年末から同国の原油輸出量が大幅に増加している。2016年12月の原油輸出量は日量351万バレルと過去最高となり、今年1月は同353万バレル、2月には同364万バレルになる見込みである(18日付ロイターは「イラクの1月の原油輸出量は当初の予想に反して日量310万バレル程度にとどまる」と報じている)。

?イラク政府はこの状況について、北部地域を実質的に支配している「クルド自治政府が減産に協力しないから」と説明しているが、問題の本質は別にある。ほとんどの中東産油国は国営石油会社が独占的に生産する体制となっているので政府のコントロールが効きやすいが、イラクの場合はフセイン政権崩壊後欧米の大手石油会社(英BP、米エクソンモービル、英蘭シェル等)が原油生産を分担しており、政府が生産をコントロールする力をほとんど有していないからである。各石油会社は外国の需要家との契約を盾に首を縦に振らない状況にあると言われている。

?昨年末の減産合意で例外扱いとなったリビアの12月の原油生産量が日量70.8万バレルと過去3年で最高水準に達したことや、イランがタンカーに大量に備蓄していた原油を取り崩して世界全体に輸出攻勢をかけていることも、懸念材料である。

?米国に目を転じても、1月に入り原油生産は週間ベースで日量17.6万バレル増加するなど本格的な増産の兆しが出始めている。シェール企業大手のヘス・コーポレーションが今年の投資額を前年に比べて18%増加させると発表するなど、主要産油国の減産による価格押し上げに対する障害になりつつある。18日、米エネルギー省が「2月のシェールオイルの生産量は4カ月ぶりに増加に転ずる」との見通しを示したしたから、米WTI原油価格は1バレル=51ドル台に下落した。

?昨年第4四半期の世界の原油市場の供給過剰は日量120〜200万バレルとされているが、サウジアラビアの思惑通り今年半ばまでに原油価格は大幅に上昇するのだろうか。

中国とインドで石油需要が減少

?このような状況の中で筆者が注目したのは、「サウジアラビアが2月の中国と南アジア諸国向けの原油輸出量を削減する見通し」という報道である(1月12日付ブルームバーグ)。

?サウジアラビアは今年前半に国内需要に合わせて原油生産量を減少させる予定だが、原油輸出量を削減するつもりは毛頭ない。さらに中国やインド市場でのシェア確保は現在の世界戦略において至上命題のはずなのに、である。

?原油収入をアップさせるため「価格の高い軽質油の輸出に重点を置いた結果である」との説明がなされているが、本当の主要因は中国とインドの原油需要が減少していることではないだろうか。

?中国の昨年の原油輸入量は、昨年12月の原油輸入量が日量856万バレルと過去最高を更新するなど、前年比13.6%と好調だった(2015年の伸び率は8.8%)。しかし「今年の原油輸入量は前年比5%増程度になる」との予測を中国石油天然気集団(CNPC)が発表したように、今年の輸入の伸びは大幅に減速する可能性が高い。

?その要因は、中国国内の石油需要の減少である。CNPC傘下の中国石油経済技術研究院は12日「昨年の石油製品消費量は前年比1%減の3億1300万トンだった」と発表したが、石油製品の消費量がマイナスに転じたのは改革開放後初めてである。

?ガソリン需要は前年比3.1%増だったが、ディーゼル需要が前年比5.6%減と落ち込んだことが災いした。

?ガソリン需要を牽引してきた自動車販売にも陰りが見え始めている。業界団体は12日「今年の中国の自動車販売台数の伸びは前年比5%増と鈍化する」との見通しを明らかにした。昨年は13.7%増だったが、小型車減税の規模縮小や景気減速が影響するとの見方である。

?昨年12月の中国の生産者物価指数(PPI)が前年比5.5%増となり、元安を背景とする原材料の輸入コストの高騰によるコストプッシュインフレが心配な状況になってきている。消費者物価指数(CPI)については統計上は2.1%となっているが、大都市の生活費は年率20%のペースで上昇しているという(1月12日付ブルームバーグ)。産油国にとってプラスのはずの原油価格の上昇が、中国の原油需要を大幅に減少させるリスクが生じているのだ。

?中国の見かけの原油需要を押し上げてきた要因の1つに石油製品の輸出がある。昨年の石油製品の輸出は前年比33.7%増の4851万と過去最高となった。しかし「石油製品を輸出するために原油を輸入する」という形で中国の原油需要を押し上げてきた「茶壺」の輸出枠が、「脱税行為の横行を取り締まる」との理由で当局が撤廃することが確実な情勢となったことから、見かけの原油需要も大幅に剥落する可能性が高い。

?このように今年中国では、石油製品に限らず原油自体の需要が減少し始めるのではないだろうか。

「第2の中国」と期待されているインドも、高額紙幣の廃止の影響で昨年12月の自動車販売台数が前年比19%減の120万台となり、16年ぶりの大きな落ち込みを記録した。

原油価格の中長期トレンドは需要面で決まる

?仮に主要産油国の減産実施状況が良好だったとしても、中国やインドの原油需要が減少すれば、今年第1四半期の世界の原油市場の需給バランスは台無しになってしまう。

?中長期の原油価格のトレンドを決めるのは、供給面よりもやはり需要面である。筆者はかねてより需要面でのリスクに警鐘を鳴らしてきたが、いよいよその要素を市場関係者が織り込み始めることになるだろう。

?原油価格が再び1バレル=50ドル割れすれば、過去の減産合意の時と同様、主要産油国が「抜け駆け」増産に走ることは必至である。「不足」というキーワードで動いてきた世界の原油市場は、今年はいよいよ「過剰」というニューノーマルに切り替わるのではないだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48959
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/413.html

[国際17] 米政権、メディアと「全力で」戦う姿勢 就任式めぐる報道批判  観客数を少なくメディアが写真を加工 過去の就任式で最多
米政権、メディアと「全力で」戦う姿勢 就任式めぐる報道批判

[ワシントン 22日 ロイター] - 米ホワイトハウスは22日、トランプ大統領の就任式の観客数をめぐるメディア報道について、政権に対する不当な攻撃だと批判し、「全力で」戦う姿勢を示した。

トランプ大統領も21日、米中央情報局(CIA)を訪問し、観客数を少なく報じたとして報道関係者を批判、「私はメディアとの戦いを続けている」と言明した。

スライドショー:ドナルド・トランプ氏が第45代米大統領に就任


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President Trump shakes hands with House Speaker Paul Ryan as he is joined by the Congressional leadership and his family while he formally signs his cabinet nominations into law, in the President's Room of the Senate, at the Capitol, following his swearing-in./J. Scott Applewhite/Pool
REUTERS/POOL NEW 
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大統領は、自身と米情報機関の間の確執をメディアがでっちあげていると非難し、「不誠実」と攻撃した。

就任式の観客数をめぐっては、スパイサー大統領報道官が21日、観客数を少なく見せるためにメディアが写真を加工したと主張、「過去の就任式で最多だった」と断言し、メディアなどが反論している。

プリーバス大統領首席補佐官はフォックス・ニュース・サンデーで報道官の主張を繰り返した上で、「問題は観客の数ではなく、大統領を攻撃し、大統領の正当性を否定しようとする行為であり、われわれは容認しない」と発言、「全力で反撃する」と述べた。

スライドショー:トランプ氏の大統領就任に抗議


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Police officers move protestors away from a car that was set on fire during protests near the inauguration./Bryan Woolston
REUTERS/BRYAN WOOLSTON 
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http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/453.html

[国際17] 「反トランプ」デモ、女性中心に全米で500万人規模 海外にも波及  英首相、トランプ氏の女性蔑視に「反論ためらわず」  
「反トランプ」デモ、女性中心に全米で500万人規模 海外にも波及
[ワシントン 22日 ロイター] - 米国の主要都市で21日、トランプ米大統領の過去の女性蔑視発言などに抗議する女性たちを中心に大規模なデモが行われ、抗議デモは世界各地に広がった。

米国のデモの主催者によると、参加者はのべ500万人近くに上った。首都ワシントンでは20万人以上が集まり、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、デンバー、ボストンでも数十万人規模のデモとなった。

女性の他にも、メキシコ移民やイスラム教徒、障害者、環境保護主義者など多様なグループがトランプ氏の発言や政策に強い不満を抱いている状況が浮き彫りになった。

スライドショー:米ワシントンで女性団体がデモ


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Demonstrators take part in the Women's March to protest Donald Trump's inauguration./Lucas Jackson
REUTERS/LUCAS JACKSON 

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ただ、大半のデモは平和的な雰囲気の中で行われた。

トランプ大統領は22日にツイッターで「昨日の抗議活動は見た。どうして彼らは投票しなかったのか」とデモ参加者に批判的なコメントを残した。

抗議デモは、シドニー、ロンドン、東京など欧州やアジアの都市にも広がった。

スライドショー:女性たちの反トランプデモ、世界に広がる


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Protesters take part in the Women's March in Paris, France./Jacky Naegelen
REUTERS/JACKY NAEGELEN  
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http://jp.reuters.com/article/usa-trump-women-idJPKBN156172


 


世界各地で反トランプデモ 女性蔑視に抗議

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RS871_0121tr_J_20170121150956.jpg

 ドナルド・トランプ氏の大統領就任式が行われた翌日、ワシントンDCからパリ、ロンドン、チェコのプラハに至るまで、世界各地で同氏の女性蔑視発言などに抗議するデモが行われた。女優のスカーレット・ヨハンソンさんやジェーン・フォンダさんら著名人も参加した。
2017 年 1 月 23 日 08:19 JST
http://jp.wsj.com/articles/SB10852398588237353609804582575824105292352


 


英首相、トランプ氏の女性蔑視に「反論ためらわず」 今週会談へ

[ロンドン 22日 ロイター] - 英国のメイ首相は22日、今週行われるトランプ米大統領との会談で、米国との「特別な関係」の維持に務めるとする一方で、トランプ氏による女性に関する「受け入れがたい」発言には反対するとの意向を示した。

世界各地の大都市では21日、トランプ氏の女性蔑視に対する抗議デモが行われ、ロンドンでも女性数千人が参加した。

メイ首相はBBCに対し、27日にワシントンで開く会談では米英の通商関係などについて協議すると指摘。英政府は昨年の欧州連合(EU)離脱決定を受け、米国など欧州以外との関係強化を目指している。

またメイ氏は、女性を巡るトランプ氏のわいせつ発言について尋ねられ、「女性に関するトランプ氏の発言には受け入れられないものがあると述べてきた」とし、そうした発言があれば、ためらわずトランプ氏に指摘すると強調した。

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http://jp.reuters.com/article/usa-trump-may-visit-idJPKBN157001


 

 

トランプ氏、就任式の人数と報道への文句やまず
22日にツイッターへの投稿連発で自身を擁護
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トランプ新大統領の就任式に集まった人数はオバマ前大統領のときよりも少なかったとの報道について、その証拠があるにもかかわらず、ホワイトハウスのスパイサー報道官は反論した(英語音声のみ) Photo: Getty Images
By CAROL E. LEE
2017 年 1 月 23 日 09:36 JST

 【ワシントン】ドナルド・トランプ米大統領とホワイトハウスは新政権が発足した最初の週末を就任式に集まった人数とメディアの報道に関心を集中させた。

 トランプ氏は22日朝にツイッターへの投稿を連発。全米各地で繰り広げられた抗議デモについて、当初は非難していたトランプ氏だったがその後、「われわれの民主主義の特徴」だと投稿。また、就任式のテレビ視聴者について自画自賛するなどした。

 トランプ氏は就任翌日の21日に中央情報局(CIA)本部を訪れた際、殉職者の栄誉をたたえる壁の前で政治色の濃い発言をしたとして批判を受けていたが、この発言についても自ら擁護を試みたようだ。

 ツイッターに「昨日のCIA本部の訪問は素晴らしかった。会場は人で一杯だった。壁に大いなる敬意を払った。スタンディングオベーションが長かった。素晴らしい人たち。勝利!」と投稿した。

 首都ワシントンの抗議デモに参加した数十万人の人に対するトランプ氏の最初のツイートには、デモを見たが「選挙をしたばかりじゃないかという印象を持った。なぜこの人たちは投票しなかったのか?」とし、デモ行進に参加した有名人は抗議者の理念を傷つけたと書かれていた。

CIA本部の訪問を終えたトランプ新大統領 ENLARGE
CIA本部の訪問を終えたトランプ新大統領 PHOTO: CARLOS BARRIA/REUTERS
 その2時間後、トランプ氏はこうツイート。「平和的な抗議はわれわれの民主主義の特徴だ。私はいつも同意するわけではないにしても、自分の意見を表現する権利を私は認めている」

 トランプ氏はニールセンが調査した就任式のテレビ視聴率についても、「ワオ、テレビ視聴数がたった今出てきた。3100万人が就任式を視聴した。視聴率がかなり良かった4年前よりも1100万人多い!」とツイートした。

 ニールセンによれば、トランプ氏の就任式を3060万人が視聴。バラク・オバマ前大統領の2期目の就任式のときは2060万人で、1期目の2009年は3780万人だった。

 トランプ氏がツイッターへの投稿を連発する前日には、就任式に集まった推定人数がオバマ氏のときよりも少ないとされる件について、それを裏付ける証拠があるにもかかわらず、同氏とホワイトハウスはこれに異論を唱えていた。

ホワイトハウスの前で抗議する人々(21日) ENLARGE
ホワイトハウスの前で抗議する人々(21日) PHOTO: JOSHUA ROBERTS/REUTERS
 トランプ氏はCIA本部での演説の機会を利用し、就任式に集まった人数は報道よりもはるかに多かったと述べ、支持者の多さを自慢した。また「私が情報機関と対立したかのように聞こえる」報道をしているとしてメディアを非難した。 

 数週間前にトランプ氏は、ロシアがサイバー攻撃をしかけて大統領選がトランプ氏に有利に運ぶよう干渉を試みたとする情報当局の見解に疑義を呈し、公にこれを批判した。

 トランプ氏は11日の記者会見で、自身に不利な情報が情報機関から漏洩したと非難。「これは侮辱だと思う」とし、「ナチス・ドイツがやるようなこと、また実際やってきたようなことだ」と述べた。

 情報当局者はいかなる情報も漏洩していないと強く否定。トランプ氏はその後、漏洩についてジョン・ブレナン前CIA長官を非難したが、ブレナン氏は断固として否定した。

トランプ新大統領特集

ペンス副大統領、役割はトランプ氏との絆次第
【社説】トランプ大統領の「大衆迎合」宣言
トランプ氏の大統領就任演説
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjG9dCdjNfRAhUKXrwKHS3CAY4QFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11177354273695693774104582575963927675388&usg=AFQjCNEKE_o4hPpyRFkjsNnNlGisHT4ZcQ


 

新大統領はどこまで行っても“トランプ”だった

記者の眼

大統領就任式、路上から見た風景
2017年1月23日(月)
篠原 匡
歴史的不人気の船出


撮影: Bloomberg
 1月20日、トランプ氏が第45代米国大統領に就任した。就任直前の支持率は約40%前後と過去最低。複数の調査で不支持率が50%を超えており、歴史的不人気の中での船出である。それは就任式自体にも表れていた。オバマ大統領が就任した2009年は180万人が訪れたが、今年は70万〜90万人と半分程度と見込まれている。初の黒人大統領を一目見ようと、聴衆が広場を埋め尽くした8年前とは対象的だ。

パレードの沿道、厳戒


 パレードが実施されるペンシルベニアアベニュー。沿道を警察官が埋め尽くしている。建物の屋上にも警備の担当者が。パレード開始の7時間以上前だが、既に、反対派の抗議活動が始まっていた。

白人、テキ屋、多数

 就任式を間近に見るため、国立公園ナショナル・モールに入ろうとする人々の長い列。8年前を知らないので比較できないが、白人とおぼしき人々が多い。トランプグッズを売るテキ屋が多いところも、選挙期間中のラリー(大規模集会)と同様の光景。

「バイ・アメリカン、ハイヤー・アメリカン」


撮影: Alex Wong
 12時過ぎ、トランプ新大統領の就任演説が始まる。米国民の融和を推し進めるような内容が期待されたがそれほどではなく、エスタブリッシュメント(主流派)批判や国境の強化、雇用の回復など、白人労働者層にフォーカスしていた選挙期間中と同様の主張だった。語り口こそ穏やかだが、イスラム過激派の根絶を訴えたように、就任式スピーチということを考えるとはかなり過激。「バイ・アメリカン、ハイヤー・アメリカン」という言葉を改めて聞いて暗澹たる気持ちになる。少なくとも、米国外で広がる不安を打ち消すようなものではない。

演説と同時刻、14st. 騒然

 トランプ氏の演説とほぼ同時刻、14ストリート北側の手荷物検査で抗議活動を続けていた環境保護グループと警官の小競り合いが始まる。ノースダコタ州からイリノイ州までをつなぐ石油パイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン」の建設反対を訴えるグループ。警官が女性を引き足したのを機にヒートアップ、そばで抗議活動をしていた他のグループも加わり騒然となる。騒動のきっかけを作った女性は後ろの方にいた仲間とハイタッチしていた。

"Make Russia Great Again"


 ロシア国歌とともに行進する反トランプ・反プーチンのデモ隊。一瞬、笑いが起きたが、今後のロシアディールを考えると、プラカードにある"Make Russia Great Again"もシャレではすまないかもしれない。

抗議は総じて平和的

 そして、先ほどの環境保護団体が人間の壁を作り、パレード会場への入り口を封鎖し始める。「お前らじゃまだ」というトランプ支持者の怒声。その後、再び警官との小競り合いが発生した。周囲の野次馬は皆動画を撮っているので、こういった暴動はすぐさまSNSでシェアされる。もっとも、窓を割られたスターバックスや高級車の破壊などがメディアではクローズアップされるが、総じて抗議団体の活動は平和的だったように感じる。

トランプは変わっていない


撮影: The Washington Post
 通りを進むパレードの車列。手荷物検査所でブロックされたため中には入れなかったが、支持者と同じくらい反対派がいた模様。少なくとも分かったのは(分かってはいたけれども)、新大統領は選挙期間中のトランプ候補と何も変わっていないということ。米国第一主義というスローガンの下、米国が世界の相互利益よりも自国を優先するということが改めて確認できたこと。そして、米国が内向きになる新しい時代に我々は対応しなければならないということ。それだけでも収穫があった。


このコラムについて

記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/012200394
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/457.html

[政治・選挙・NHK219] 増加する社会保障費軽減に向けた取り組み 社会保障費25年度には148.9兆円、厚生労働省 医療分野の情報化の推進について
増加する社会保障費軽減に向けた取り組み
厚生労働省「社会保障に係る費用の将来推計(改定版)」によると、社会保障関係の給付費は、2012年度の109.5兆円(GDP比22.8%)から2025年度には148.9兆円(GDP比24.4%)に増加すると予測されています。なかでも医療費は2012年度の1.5倍に増加。大きな財政赤字を抱える日本にとって、医療費増加への対応は喫緊の課題です。
また人口動態を見ると、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれています。このため、厚生労働省は、2025年をめどに、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的に、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。
地域包括ケアシステムにおける医療・介護・予防・住まい・生活支援の一体的な提供のためには、関係者の情報連携が必要であり、ICT活用が求められます。そのための、各施設が持つデータの電子化、共有する仕組みの一つが「電子カルテ」による医療機関のデータの電子化です。2014年には400床以上の病院の77.5%、200〜399床の病院でも50.9%に電子カルテが導入されています※。
電子カルテシステムでは患者の病状や治療経過等の多様な診療情報を電子的に保存し更新するとともに、保存された情報の検索・分析、閲覧等が可能となり、さらに介護・予防を担う各施設が情報連携することで、より効率的で質の高いサービス提供が可能となります。一方、生活者を中心に見ると、今後のIoTの普及によって個人のヘルスデータの収集・分析ができるようになれば、より健康的な暮らしをサポートすることができます。将来的には、こうしたヘルスデータと医療行為によって生まれたデータを組み合わせることで、さらなる医療の質の向上と効率化につながります。
年々進行する医療や介護費用の増加に、いま歯止めをかけなければ財政破綻が現実のものになりかねません。それを防ぐためには、医療・介護の資源を効率化し適切に活用すること、そして、それを支援するICTシステムの構築が求められます。
• ※
「医療分野の情報化の推進について」(厚生労働省)

http://jpn.nec.com/profile/vision/report/images/06/zu01.jpg

医療現場の負担軽減に向けたICT活用
社会保障費が拡大する一方で、日本は深刻な医師の偏在とそれによる医師の負担増の問題が生じています。OECD(経済協力開発機構)調査による医師数や病床数、患者1人あたりの受診回数のデータを見ても、国際的に日本の医師にかかる負担の高さがうかがえます。
また、このような状況下では医師にかかる負担も複雑化しています。労働政策研究・研修機構によれば、日本の医師の4割は週60時間以上の労働時間となっており、約半数が年休取得日数3日以下という過酷な状況です。
医師の不足する地域や診療科では、少ない医師数に対して患者や病床数が多いため、1人の医師が診る回数も多くなり、業務負担が増え、多忙を極めている背景があります。このような勤務環境で求められているのは、「医療業務以外の業務量の多さ」「時間外診療の増加」を改善する方策です。
「医療業務以外の業務量の多さ」は、事務作業などをICTで効率化するとともに、医師・看護師・薬剤師・事務職員などの業務分担・連携を十分に検討することで、改善が期待できます。
「時間外診療の増加」では、たとえば医師の9割は急患時の対応を行うオンコールがある働き方となっています。呼び出され、外出先から往復2時間をかけて病院へ行っても、患者を診療する時間は数分というケースもあります。こんなとき、患者のバイタルやカルテを自宅で確認し、電話で指示をするといった運用ができれば、業務負担はかなり軽減できるはずです。ただし、患者の情報は極めて機密性の高いデータであり、特に外部からのアクセス時にはセキュリティーへの十分な配慮が必要です。
厚生労働省は、急性期から回復期、在宅療養に至るまで、地域全体で切れ目なく必要な医療が提供される「地域完結型医療」を推進しており、「高度急性期」、「一般急性期」、「亜急性期」など、入院医療の機能分化を進めるとともに、医療機関相互の連携強化を推進しています。こうした動きへの対応が医療機関および医療従事者に求められているのです。
電子カルテの延長線上には、こうした効率化や連携強化への対応のための医療機関の高効率な情報共有があります。

http://jpn.nec.com/profile/vision/report/images/06/zu02.jpg

ICTが支える医療と介護の情報共有、データ分析・活用
厚生労働省が「社会保障制度改革国民会議 報告書」で挙げた医療改革の方向性が「地域医療・介護連携・地域包括ケアシステム」と「データ収集と分析に基づく政策等」です。
地域医療・介護連携・地域包括ケアシステムでは、高齢化が進むことで医療は「病院完結型」から、地域全体で治し支える「地域完結型」に変わらざるを得ず、また患者が「必要なときに必要な医療にアクセスできる」というフリーアクセスのための“ゲートキーパー”である「かかりつけ医」の普及は必須だと説いています。急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入して早期の家庭復帰・社会復帰を実現し、受け皿となる地域の病床や在宅医療・介護を充実させるため、各提供者間のネットワーク化が必要不可欠です。また医療・介護の在り方を地域ごとに考えていく「ご当地医療」も必要となります。これらが実現すれば、地域ごとに患者ニーズにあった医療機能が提供されます。
次に、データ収集と分析に基づく政策等の実現においては、国民の生活の質を高め社会の支え手を増やすため、医療データを分析して疾病予防の促進や健康の維持増進を進め、予後の改善や費用対効果検証のため、継続的にデータを収集し、常に再評価される仕組みが必要です。ICTを用いたデータ分析・活用の事例として、治療プロセスの品質管理を支援する電子クリニカルパス分析の取り組みも始まっています。日本クリニカルパス学会では、クリニカルパスを「患者状態と診療行為の目標、および評価・記録を含む標準診療計画であり、標準からの偏位を分析することで医療の質を改善する手法」と定義しています。
ICT活用の先に期待されているのは、地域の医療・介護サービスの質の向上であり、またデータの分析・活用による、国民の健康管理、施策の重点化・効率化、医療技術の発展、そして持続可能な社会制度の確保です。

http://jpn.nec.com/profile/vision/report/images/06/zu03.jpg
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いかがだったでしょうか?
次回(1/23公開予定)は、同じくQuality of Life編から「NECの取り組み」をお届けします。
• 「Quality of Life」編トップ
http://jpn.nec.com/profile/vision/report/06-4.html 

日本は世界有数の長寿国となっていますが、裏を返せば超高齢社会という現実に突き当たります。生産年齢人口減少を背景に増加する社会保障費においては医療にかかる費用の増加が大きく、いかに医療の効率を上げるかが課題として横たわっています。また、日本では医師が偏在しており、医師が不足する地域や診療科では医師や医療従事者が多忙を極めている現実があります。この解決に向け、ICTによる医療行為の効率化や連携強化を図り、医療従事者の負担の軽減、医療の質の向上、医療従事者自身や患者のQOL(Quality of Life)を向上させる取り組みが医療現場では始まっています。本レポートでは、医療従事者の負担軽減にまつわる取り組みや、病床機能分化や地域包括ケアシステムへの取り組みについて紹介します。NECはICTにより医療の質の向上と効率化を支えていくことで、個々人が生き生きと輝く社会の実現に貢献します。
社会価値創造レポート「急がれる医療改革。医療従事者の負担はICTでいかに軽減できるか」を3回に分けて掲載させて頂きます。
• [第1回:社会課題編] 社会保障費削減、医療従事者負担削減を担う高度ICT」
• [第2回:NECの取り組み] 院内・外の連携強化が医療従事者の負担を削減
• [第3回:未来に向けて] ASEANで実証。グローバルに向けたNECの診断補助ICT(1/30予定)
http://jpn.nec.com/profile/vision/report/06.html 

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/index.html 
医療分野の情報化の推進について
 住み慣れた地域で安心して質の高い医療サービスを受けながら生活していけるような社会を目指し、地域における医療機関等の間で必要な情報連携を進めていくことは重要です。 ICT を活用したネットワークを構築することで、こうした情報連携を効果的に進め、地域における質の高い医療の提供に寄与する取組を進めています。
具体的には、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインの整備や、情報システム間で情報連携を円滑に行うための医療情報の標準化、広域な医療情報連携を行うための実証事業等を実施しています。
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医療分野の情報化の現状
医療機関等において情報化を進めることにより、これまで紙でやりとりしていた院内業務や医療機関間における情報連携が効率的に行えることが期待されます。

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医療分野の情報化に関するガイドライン、通知、会議報告
医療機関等において医療情報システムを安全に取り扱うためのガイドライン等を策定しています。
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(平成17年3月)
個人情報保護に資する情報システムの運用管理とe-文書法への適切な対応を行うためのガイドラインです。
• 最新版 第4.3版(平成28年3月)[3,770KB]
• 第4.3版に関するQ&A(平成28年8月)[535KB]
• 医療情報システムを安全に管理するために「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」すべての医療機関等の管理者向け読本(平成21年3月)
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診療録等の保存を行う場所について(通知)
診療録等について、外部保存するために必要となる基準等を定めた通知です。
• 診療録の保存を行う場所について(平成14年3月29日)[17KB]
• 一部改正について(平成17年3月31日)[87KB]
• 一部改正について(平成22年2月1日)[243KB]
• 一部改正について(平成25年3月25日)[143KB]
• (参考)民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律等の施行等について(平成17年3月)[239KB]
報告書等
医療分野の情報化等に関する厚生労働省検討会の報告書です。
• 「標準的電子カルテ推進委員会(最終報告)」(平成17年5月)
• 「保健医療情報標準化会議 平成19年度報告」(平成20年3月)
• 「保健医療情報標準化会議 平成20年度報告」(平成21年3月)
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医療情報の標準化
医療機関の内部や異なる医療機関の間において、医療情報を電子的に活用する場合、必要な情報がいつでも利用可能となるよう、医療情報システムを標準的な形式のメッセージや標準とされるコード(以下、標準規格)を用いて設計することが必要となります。
そのため、厚生労働省では、保健医療分野において必要な標準規格を厚生労働標準規格として認め、普及を図っています。
 厚生労働省標準規格は、厚生労働省のみで決定するのではなく、標準化活動を行う学会や民間の規格制定団体が参画する「協議会」において選定された規格を、厚生労働省の「保健医療情報標準化会議」にて議論し採択しており、産官学協力しつつ決定しています。
厚生労働省標準規格
HS001 医薬品HOTコードマスター
HS005 ICD10対応標準病名マスター
HS007 患者診療情報提供書及び電子診療データ提供書(患者への情報提供)
HS008 診療情報提供書(電子紹介状)
HS009 IHE統合プロファイル「可搬型医用画像」およびその運用指針
HS010 保健医療情報-医療波形フォーマット−第92001部:符号化規則
HS011 医療におけるデジタル画像と通信(DICOM)
HS012 JAHIS臨床検査データ交換規約
HS013 標準歯科病名マスター
HS014 臨床検査マスター
HS016 JAHIS 放射線データ交換規約
HS017 HIS, RIS, PACS, モダリティ間予約, 会計, 照射録情報連携 指針(JJ1017指針)
HS022 JAHIS処方データ交換規約
HS024 看護実践用語標準マスター
HS025 地域医療連携における情報連携基盤技術仕様
HS026 SS-MIX2ストレージ仕様書および構築ガイドライン
• 厚生労働省標準規格の具体的な内容<医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)ホームページ>
• 「保健医療情報分野の標準規格として認めるべき規格について」(平成22年3月31日) [101KB]
• 「保健医療情報分野の標準規格として認めるべき規格について」の一部改正について(平成23年12月21日) [179KB]
• 「保健医療情報分野の標準規格として認めるべき規格について」の一部改正について(平成24年3月23日) [129KB]
• 「保健医療情報分野の標準規格として認めるべき規格について」の一部改正について(平成28年3月28日) [106KB]
• SS-MIXとは<SS-MIX普及コンソーシアムホームページ>
高度医療情報普及推進事業
各臨床領域で必要となる標準的なコードマスターについては、厚生労働省委託事業において管理、メンテナンスしています。
• 病名、医薬品等のコードマスター
レセプトコンピューターを活用した医療情報連携
電子カルテを導入していない施設が地域医療連携に参画するため、レセプトコンピューターから地域医療連携用データを出力するインターフェース仕様の規格化及び標準化を図るため、レセプトコンピューターを活用し、医療情報連携ネットワークに参加するための規格を制定しています。
• 医療分野における小規模機関に係るインターフェース規格
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保健医療福祉分野PKI(HPKI)認証局
HPKI とは、保健医療福祉分野の公開鍵基盤( Healthcare Public Key Infrastructure )の略称で、医療現場において、公的資格の確認機能を有する電子署名や電子認証を行う基盤です。厚生労働省において基盤の設置要件等を策定しており、現在は日本医師会、医療情報システム開発センターにおいて、医師の資格確認を行うための HPKI カードを発行しています。
• 日本医師会電子認証センター<日本医師会ホームページ>
• 医療情報システム開発センター(MEDIS)電子認証局<医療情報システム開発センター(MEDIS)ホームページ>
保健医療福祉分野PKI認証局ポリシ
保健医療福祉分野PKI認証局を構築、運用するための規定です。
• 保健医療福祉分野PKI認証局署名用証明書ポリシ(平成27年2月)
• 保健医療福祉分野PKI認証局認証用(人)証明書ポリシ(平成27年2月)
• 保健医療福祉分野PKI認証局認証用(組織)証明書ポリシ(平成22年3月)
• 保健医療福祉分野PKI認証局署名用署名用・認証用(人)証明書ポリシ準拠審査手続規則(平成26年3月)
• 保健医療福祉分野PKI認証局署名用・認証用(人)証明書ポリシ準拠性審査業務実施規則(平成26年3月)
保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI)普及・啓発等事業
保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI)普及・啓発等事業について、当該事業の実施を希望する事業者を募集します。
• 平成28年度保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI)普及・啓発等事業の実施事業者の公募について
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医療情報連携に関する実証事業
厚生労働省、総務省で連携しつつ、異なる地域医療連携システム間の相互運用性検証や、在宅医療介護連携にかかる実証事業を実施しています。
• 【厚生労働省】平成25〜26年度地域医療連携の普及に向けた健康情報活用基盤実証事業
• 【総務省】在宅医療・介護分野における情報連携モデル
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遠隔医療
遠隔医療については、医療の質の向上・患者の利便性の向上・離島やへき地などにおける医療の地域差の是正等、地域医療の充実の観点から重要と位置付け、
   ・ 厚生労働科学研究費補助金による研究に対する助成
   ・ 遠隔病理診断(術中迅速病理診断 )・遠隔画像診断等に対する診療報酬上の評価
   ・ 遠隔医療のための情報通信機器への補助事業
・ 医師等医療従事者に対する、遠隔医療に関する正しい知識や技術の取得を目的とした研修事業
    などの施策に取り組んでいます。
遠隔医療システムの導入状況
     ・ 遠隔画像診断 :  病院(1,157か所)、一般診療所(1,246か所)
     ・ 遠隔病理診断 :  病院(190か所)、一般診療所(229か所)
     ・ 遠隔在宅医療 : 病院(8か所)、一般診療所(552か所)
                      (厚生労働省 平成23年医療施設調査)

通知・事務連絡
患者の居宅等との間の遠隔診療を行うに際して、医師法第20条等との関係から留意すべき事項です。
• 「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」(平成9年12月24日) [84KB]
• 一部改正について(平成15年3月31日) [68KB]
• 一部改正について(平成23年3月31日) [192KB]
• 改正後全文 [153KB]
• 事務連絡(平成27年8月10日)[91KB]
• 事務連絡(平成27年8月10日)及び改正後全文[266KB]
報告書等
遠隔医療に関する検討会及び、総務省における遠隔医療モデルプロジェクトを基に作成された参考書です。
• クラウド時代の医療ICTの在り方に関する懇談会
• 遠隔医療モデル参考書[3,294KB]
• 「遠隔医療の推進方策に関する懇談会」中間とりまとめ(平成20年7月)
遠隔医療従事者研修事業
遠隔医療に携わる医療従事者等を対象に、
 1 制度(医師法、診療報酬等)に関する講義
 2 技術(遠隔医療機器等)に関する講義
 3 実習
 4 ワークショップ
等による研修を実施し、遠隔医療に関する広範な知識と実践的手法を習得させることを目的としています。

• 平成27年度研修内容(遠隔医療学会)
• 平成27年度遠隔医療従事者研修事業の実施事業者の公募について
• 平成28年度遠隔医療従事者研修事業の実施事業者の公募について
医療施設等設備整備費補助金(遠隔医療設備整備事業)
遠隔医療のための情報通信機器の整備に対する補助事業を実施しています。
• 実施要綱[146KB]
• 交付要綱(抜粋)[53KB]
• 事業計画書(Word)[45KB]
• 事業計画書(PDF)[91KB]
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事例集
医療情報連携や遠隔医療に関する各地の事例です。
• 医療情報連携、遠隔医療事例集(総務省ホームページ)

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/index.html


http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/531.html

[国際17] トランプ大統領の「大衆迎合」宣言 移民規制強化 オバマケア廃止 中国の台湾いじめに立ち上がる好機、打つ手乏しい     
【社説】
トランプ大統領の「大衆迎合」宣言

政府の改革を訴えたが、政府を制限することには言及せず
米連邦議会議事堂前で就任演説を行うトランプ新大統領(20日、ワシントン)

2017 年 1 月 21 日 15:25 JST

 ドナルド・J・トランプ氏が20日、米大統領に就任した。大統領になっても1年半の選挙期間中とは何も変わらないと約束しながら。トランプ氏の就任演説は政治の「エスタブリッシュメント」(既成勢力)を声高に批判する大衆迎合宣言だった。支持者は喜ぶだろう。演説をどう統治につなげるかは不明だが、トランプ氏が論争に頭から飛び込みつつあることは間違いない。

 トランプ氏は選挙の常識を意に介さないアウトサイダーとして大統領の座を勝ち取った。しかし表情が厳しいところを見ると、トランプ氏でも米国で最も壮大な民主主義の舞台に立って気持ちが引き締まったようだ。平和的な権力の移行は米国の市民社会にとって非常に重要な儀式の1つである。だからこそ、トランプ氏と元大統領となったオバマ氏といった政治のライバルの間でバトンが受け渡される就任式はなおさら感動的だ。

 オバマ氏は世界で最も影響力のある人間から一市民に戻った。今や、ディナーの席を予約したいなら電話をかけなければならない立場だ。存命中の大統領経験者5人のうち4人が就任式に出席した。彼らもまた権力を勝ち取り、そして明け渡した人々である。ヒラリー・クリントン氏が夫のビル・クリントン元大統領と共に式典のステージに上がったことはとりわけ称賛に価する。苦々しい選挙戦のあとに民主主義に華を添えた。

 しかし、就任式の主役はトランプ氏だ。そしてトランプ氏は露骨なまでにこの場を利用した。「きょう、われわれは単に一つの政権からもう一つの政権に、一つの政党からもう一つに政党に権力を移しているだけではない。権力をワシントンからあなたがた国民に戻そうとしているのだ」と宣言した。

 トランプ氏は、自らの利益のために政府を利用していたとする支配階級と戦う変化の担い手となることを約束した。これで演説は大衆迎合的なものとなった。「議論するだけで行動を伴わない」政治家を攻撃し、経済、そして社会や文化までも含めて米国を生まれ変わらせる包括的なビジョンを提示した。

 注目すべきは、都市の中心部や機能しない学校、現在の景気回復から取り残されている脱工業化の地域に言及したことである。「忘れ去られた男たち、女たち」という選挙のテーマに立ち戻った。選挙結果を見れば、トランプ氏が、忘れ去られたと感じている何百万もの国民の擁護者となったことは明らかだ。

 トランプ氏は演説で「米国の大虐殺」という言葉を使い、米国の現状を実際よりもはるかに悲観的に表現した。こうしたことはこれまでにも起きている。トランプ氏は細かいところに気を遣うタイプではないし、米国には問題があることは確かだ。しかし大虐殺はどちらかと言えば、ロシアに爆撃されたアレッポを表現するのにふさわしい言葉である。トランプ氏は調和や愛国心、団結を訴えて演説を終えたが、多くの米国人は、トランプ氏はどの国の話をしているのだろうと疑問に思うだろう。

 トランプ氏が勝利したのは、現状を打破できる人間だという期待もあったからだ。演説では「われわれはするべきことをする」、「行動のときがやって来た」など行動するという単純な約束を繰り返した。これはじっとしていられないビジネスマンとしてのトランプ氏の信条である。こうした姿勢が改革を後押しするなら大歓迎だ。およそ80%もの国民に信頼されていない政府には変化が必要だ。そして変化を推進するまたとない機会が新大統領にはある。

 しかしこの点に関しては、トランプ氏から政府の限界と大統領の行政権について多少なりとも謙虚な発言があればよかった。トランプ氏が勝利した1つの理由は、政府がこの8年間に違法行為を働いており、企業を懲らしめ、銀行を略奪し、ティーパーティー(茶会)運動に内国歳入庁(IRS)を差し向けたと何百万もの国民が感じるようになったことにある。トランプ氏は最初から、行動を急ぐにしても、憲法は必ず順守すると国民に伝えるべきだ。

 もう1つ気になる点は、トランプ氏の大衆迎合主義的な愛国主義がときに攻撃性を帯びるところだ。トランプ氏が訴える「米国第一主義」は1930年代の歴史的な文脈とは関わりなく、ほとんどの国民がそのままの意味で、当たり前のものとして受け止めている。もちろん、政府は米国の国益に配慮するべきだが、トランプ氏は米国が、価値のない、敵意に満ちた世界の犠牲者であるかのような発言をすることがある。

 トランプ氏は「きょうから、米国第一主義だけでいく」と述べた。この「だけ」という言葉は事前に用意された演説原稿にはなかった。「われわれは米国の製品を作り、米国の企業を盗み、米国の雇用を破壊する他国の破壊行為から国境を守らなければならない」とも述べた。

 米国の企業は盗まれたわけではない。高い税率と懲罰的な規則のせいで米国を去ったのだ。トランプ氏の発言の危ないところは、世界に対する憎悪を生む極端な愛国主義を引き起こす可能性がある点だ。米国は力不足だと言って8年間にわたって内に引きこもったオバマ政権が終わり、世界は米国の指導力をこれまで以上に必要としている。世界が必要としているのは、米国は世界に出ていくにはあまりにも素晴らしい国、と考える保守的な孤立主義ではない。

 就任演説とはそもそも、個々の政策以上に理念や決意を表明するもので、トランプ氏が今後重視すべきは何を達成するかだ。トランプ氏の演説で皮肉な点が1つある。統治に当たってトランプ氏は国民の支援が必要になる。それはその通りだ。しかし就任式のステージで彼の後ろに立っていた人達の支援もまた必要なのだ。第45代大統領にそれに気づくだけの賢明さがあることを期待しよう。

トランプ新大統領特集

トランプ氏、就任演説で既存政治家を批判
トランプ氏の大統領就任、各国指導者らの反応
トランプ氏、第45代米大統領に就任
トランプ氏の大統領就任演説
ミスター円、トランプ政権下の円高を予想
打ち負かすのは困難、オバマ氏の「株レガシー」
トランプ氏がホワイトハウスに持ち込む「意図的なカオス」
【社説】トランプ氏の船出、国民の反発と途方もない機会

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiAo7yakNfRAhUBVrwKHdIND9IQqQIIHTAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11163456931573304514904582572483067150646&usg=AFQjCNHgK2-qwZ0JvSh7Akiw8W50oFsFGQ

 

トランプ大統領の就任演説への評価は真っ二つ

アメリカ現代政治研究所

自らが招いたこの「分断」を克服することはできるのか?
2017年1月23日(月)
高濱 賛

就任演説に臨んだトランプ大統領(写真:Abaca USA/アフロ)
ドナルド・トランプ第45代米大統領が誕生しました。ワシントンはじめ全米各地で抗議デモが繰り広げられたり、下院議員60人が就任式をボイコットしたり、異例づくめの就任式でしたね。注目の16分間の就任演説をどうみますか。

高濱:演説に対する米市民の評価は真っ二つです。演説直後、保守的な人とリベラルな人、2人ずつに電話とインターネットでコメントを求めました。

「まさに白人の本音を代弁してくれた」

 保守的な2人は電話口で声を震わせながら歓びを語りました。

 その一人、テキサス州在住の白人の主婦(53歳)は次のように話してくれました。「トランプ大統領は、予備選段階から言ってきたことをそのまま貫き通しました。私たちのように、黒人大統領から8年にわたって忘れ去られていた白人のホンネをはっきりと言ってくれました」。

 「トランプ大統領は、米企業が低賃金を求めて外国に逃げていった結果、職を失った白人労働者のことを考えてくれる初めての大統領だと信じています。演説を聞いて確信が持てました」

 「今、何が私の身の回りに起こっているか、ですって。私の住んでいる田舎町にまで、肌の浅黒い見知らぬ外国人がどんどん入ってきて、治安が悪くなっているんですよ。トランプさんはこんな状況から私たちをきっと救い出してくれると信じています」

 もう一人はテネシー州に住む、白人の零細企業従業員(62)。「新大統領は、反エスタブリッシュメント(既得権層・支配勢力)、反エリート(主流メディアや言論界)、反ワシントン(連邦政府官僚、共和党保守本流や民主党)、外国を敵に回して戦うぞ、という意気込みを熱っぽく話してくれた。胸がスーとしたよ。オバマが大統領だった閉塞の8年間からやっと解放されたって感じだね」。

 「最初は俺たちみたいな、小さくて貧しく、力のない白人たちだけにしか支持されなかったトランプが、『トランプ主義』の旗を高々と掲げてワシントンに凱旋するなんて、信じられないよ。演説はまさに俺の思っていることを100%代弁してくれていた。嬉しいね」

「パクリ表現並べたてる」

 一方、民主党の大統領候補としてバーニー・サンダース氏を支持した、IT関連企業で働く35歳のエンジニア(国際政治学修士号も取得している)は、正反対な意見を聞かせてくれました。「こんなお粗末な大統領就任演説を聞いたのは初めてだ。内容は中学校の生徒会長に選ばれた生徒の挨拶と同じレベルだ」。

 「分かりやすいと言えば分かりやすいが、予備選や大統領選の時の自分の支持者だけに話しているわけじゃないはず。演説の中に出てくる表現はどこかで聞いたようなパクリばかり。例えば、『Make America Great Again』という表現はロナルド・レーガン(第40代大統領)が最初に使ったのをパクっただけだし、『America First』*は第二次大戦への参戦に反対した若者たちが言い出した言葉」。

 「一人で鉛筆舐め舐め書いたと側近は言っているが、言っている内容は大統領上級顧問になった右翼反動のスティーブ・バノン(保守系メディア「ブライトバート・ニュース」の元会長)がサイトで論じていたことのコピーだ」
*:America Firstは、40年代、英軍を支援すべく米国が欧州戦線に軍隊を送ることに反対した東部名門校の学生たちが行なった政治活動。ジェラルド・フォード(のちに第38代大統領)やポッター・スチュワート(のちの最高裁判事)、大西洋単独無着陸飛行をしたチャールズ・リンドバーグ飛行士らが参加した。彼らは「米国の国益を第一」に考え、ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラー総統との交渉を提案していた。
 「演説前にトランプ氏の側近は『トランプ大統領が自分で起草した。具体的な政策ではなく、大統領自身の哲学を米国民と世界に示す演説になる』と言っていた。その意味では、トランプの哲学がこの程度だったのか、と改めて確認したよ」

 ボストンに住む政治学専門の大学教授(59)のコメントは、さらに手厳しい。「改めて、われわれ米国民はひどい人間に核のボタンを押す権限を与えてしまったもんだと思う。米国がこれまで営々と培ってきた世界のリーダーの地位から降りる兆候をこの演説ははっきりと示した。中国とロシアはあざ笑い、世界の同盟国は頭を抱えているはずだ」。

 「どこの国のリーダーも自国民の利益を最優先に考えている。しかしそれが通らないのが国際政治であり、外交であり、通商だ。そんなことも分からぬ男が大統領になっちゃうこと自体、米国は今異常だよ」

 この4人のコメントを聞くにつけ、本当にこの国は「分裂国家」になってしまったと痛感します。

  就任式の前日、権威ある超党派の世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが、米国がいま置かれた状況について米国民に尋ねました。その結果、回答者のなんと86%が「米国が政治的にこれほど分裂したことはない」と答えています。バラク・オバマ第44代大統領が08年に就任した時に「分裂状態にある」と答えた人は46%でした。

「米国はいま修羅場のど真ん中にいる」

トランプ氏が標的に挙げている米メディアの反応はどうでしょう。

高濱:これも保守とリベラルでは異なります。選挙中、一貫してトランプ氏を支持してきた保守系新聞「ワシントン・エグザミナー」(電子版)は、トランプ氏の演説を次のように絶賛しています。「トランプ大統領はワシントン(既得権を持つ支配勢力)よりも平均的米市民の利益を優先して考えるという公約を就任に際しても堅持した。(海外に流れた)仕事を取り戻し、『米国第一主義』を掲げ、『米国を再び偉大にする』という初心を引っ提げてホワイトハウス入りした」。

 一方、リベラル系メディアの雄、ニューヨーク・タイムズは演説直後、トランプ新大統領に対し、就任演説の以下の下りを引用しつつ「ご自身の演説の中で何が最も注目に値する箇所か、お教え願いたい」とした質問状を電子版に載せた。

 「米国のこの修羅場*(carge)は今ここで終わらせねばならない。今直ぐにだ。我々は一緒に米国を再び強くする、再び豊かにする、再び誇りを持てるようにする、再び安全な国家にする。そうだ、我々は手を携えて米国を再び偉大にするのだ」
*:トランプ大統領が言う「修羅場」は、大都市の低所得層が居住する地域の貧困と犯罪、工場閉鎖、大学の高額授業料、麻薬と犯罪などの状況を指す。
さて就任演説に合わせて「トランプ・ホワイトハウス」のウェブサイトに、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉という方針が掲載されました。選挙中に主張していた西太平洋条約機構(NATO)や日韓など同盟国との防衛分担拡大の話もいよいよ出てくるわけですね。

高濱:就任演説でもこう指摘しています。「米国は長年にわたり、米産業の犠牲のもとに外国の産業を豊かにしてきた。我々の軍隊が消耗しきっているにもかかわらず、外国の軍隊を支援してきた。われわれは自分の国を守ることなく、他の国の国境を守り続けてきた。米国内のインフラが衰退し破損しているにもかかわらず、海外で何兆ドルものカネを使ってきた。米国の富と力と自信が拡散する中で、米国は他の国を豊かにしてきた」。

 この批判の対象に「日米安保条約の片務性」が指摘されている日本も入っていることは間違いありません。ということは早晩、日米外交防衛担当閣僚による2プラス2でこうした問題が取り上げられる可能性が大です。

準閣僚ポストなかなか埋まらず

 トランプ大統領就任演説をめぐる米国内の対立と分裂を見ると、トランプ政権が外交、安全保障問題で他国との交渉に入るにはまだまだ時間がかかる気がします。人事面でも課題があります。新政権発足と同時に約4000人の連邦職員が総入れ替えになります。しかし、準閣僚レベル、つまり次官や次官補といったポストがなかなか埋まらないようです。準閣僚レベルのうち50人近くは、オバマ政権の人間が留任するといった情報も流れています。

 オバマ政権で準閣僚を務めた政府高官の一人は、筆者に話しました。「ここ当分、世界は新大統領のツィッターに一喜一憂する日が続くだろうね。けど、トランプ大統領はツイッターに無責任な『願望』を打ち込んでいるだけで、それが実際に政策として実行に移されるまでには数か月かかるんじゃないか」。

「トランプ解体新書」発売へ

 2017年1月20日、ドナルド・トランプ氏が米大統領に就任する。トランプ新政権のキーパーソンとなる人物たちの徹底解説から、トランプ氏の掲げる多様な政策の詳細分析、さらにはトランプ新大統領が日本や中国やアジア、欧州、ロシアとの関係をどのように変えようとしているのか。2人のピュリツァー賞受賞ジャーナリストによるトランプ氏の半生解明から、彼が愛した3人の女たち、5人の子供たちの素顔、語られなかった不思議な髪形の秘密まで−−。2016年の米大統領選直前、連載「もしもトランプが大統領になったら(通称:もしトラ)」でトランプ新大統領の誕生をいち早く予見した日経ビジネスが、総力を挙げてトランプ新大統領を360度解剖した「トランプ解体新書」が1月16日に発売されます。ぜひ手に取ってご覧ください。

このコラムについて
アメリカ現代政治研究所
米国の力が相対的に低下している。
2013年9月には、化学兵器を使用したシリアに対する軍事介入の方針を転換。
オバマ大統領は「米国は世界の警察官ではない」と自ら語るようになった 。
2013年10月には、APECへの出席を見送らざるを得なくなった 。
こうした事態を招いた背景には、財政赤字の拡大、財政赤字を巡る与野党間の攻防がある。

米国のこうした変化は、日本にとって重要な影響を及ぼす。
尖閣諸島や歴史認識を巡って対中関係が悪化している。
日本にとって、米国の後ろ盾は欠かせない。

現在は、これまでに増して米国政治の動向を注視する必要がある。
米国に拠点を置いて20年のベテラン・ジャーナリスト、高濱賛氏が米国政治の最新の動きを追う。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/261004/012100036/

 

 


トランプ氏、大統領令で移民規制を強化か
米国とメキシコの国境検問所(墨ティフアナ側)
By LAURA MECKLER
2017 年 1 月 23 日 09:17 JST

 ドナルド・トランプ米大統領は近く、大統領令を使って移民政策の大幅転換を図る見通しだ。そうなれば、政治的な論争を呼んだバラク・オバマ前大統領の大統領令多用路線を逆の目的で踏襲することになる。

 トランプ氏は、大統領就任当日の20日、医療保険改革法(オバマケア)の見直しや、各省庁が予定していた新規制の凍結に関する大統領令を出した。近く環境から労働法制に至るさまざまな問題でも、大統領令を発令するとみられている。

 移民政策では、オバマ前大統領は子供の時に不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者について、大統領令で米国内滞在を認めた。だがトランプ氏は、これを逆転させ規制を強化し、強制送還者を増やすと予想されている。

 オバマ氏は、議会が移民規制緩和法案の承認を阻んだことから、強制送還の対象を重犯罪者や最近不法入国した者に絞り、ドリーマーについては一定の条件を満たせば対象から外す大統領令を発した。これに対し保守派は、オバマ氏は権限を逸脱したと批判。同氏が条件をさらに緩和しようとすると、訴訟を起こした。裁判所は保守派の主張を認め、規制緩和の動きは差し止められた。

 トランプ氏はまた、シリアなどイスラム国家からの難民受け入れを拒否するとともに、不法移民を保護しているいわゆる米国内の「聖域都市」に対する連邦補助金を削減する公算が大きい。

 トランプ氏が支持しているその他の制度改革は、法律制定が必要になりそうだ。移民受け入れ反対派が求めている法案としては、求職者が合法移民かどうかチェックできる政府のオンラインプログラム「E-ベリファイ」システムについて、企業に導入を義務付けるものなどがある。

 ただ、上院は共和党の議席が民主党をわずかに上回るだけで、大半の法案の承認には民主党の賛成が必要になりそうだ。そのためトランプ政権はとりあえず、大統領権限の範囲内で行動を開始する見込みだ。

 移民規制強化を唱える「米移民改革連盟(FAIR)」のダン・スタイン会長は、「現行法でもトランプ氏には、移民規制を強化できる幅広い裁量権や権限がある」と指摘し、「議会の助けがなくても大変革は可能だ」と話している。

*この記事は更新されます。

トランプ新大統領特集

【社説】トランプ氏の船出、国民の反発と途方もない機会
「メキシコ人労働者が足りない」 嘆く米事業者
先進国の危険な綱渡り:高齢社会で成長維持
欧米有権者の不満と「成長率4%」の壁
オバマ氏の新たな役割 ワシントンの見張り
トランプ政権のビザ厳格化を懸念−インドIT業界
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi7gou8kNfRAhUHjLwKHY8nAKYQqQIIHTAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10852398588237353609804582575993436861330&usg=AFQjCNEpydtYUzAdDrDNfhDlWo9GKIVsbQ

 
トランプ氏、オバマケアの「迅速な廃止」目指す大統領令に署名
Anna Edney、Justin Sink
2017年1月21日 11:59 JST

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写真家: アンドリュー・ハレル/ブルームバーグ
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Shinzo Abe, Japan's prime minister, delivers his policy speech during a plenary session at the lower house of the parliament in Tokyo, Japan, on Friday, Jan. 20, 2017. Abe said alliance with U.S. is the foundation of the country's diplomatic and security policy. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
長期マネーの誘導探る、アベノミクス手詰まり感で−成長戦略に反映へ


トランプ米大統領は就任初日の20日、州政府や家計、ヘルスケア業界などに経済や規制面での負担を強いる医療保険制度改革法(オバマケア)の必要事項を控えたり遅らせたりするよう連邦機関に命じる大統領令に署名した。
  トランプ氏は同大統領令でオバマケアの「迅速な廃止」を新政権として目指すとし、連邦政府が「州当局に一層の柔軟性を与え、より自由で開かれたヘルスケア市場創設に向けてコントロールする」よう準備を指示した。
原題:Trump Declares in Order He’ll Seek ‘Prompt Repeal’ of Obamacare(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-21/OK3Z176TTDS001


 

【社説】
トランプ氏、中国の台湾「いじめ」に立ち上がる好機
台湾を中国との交渉の切り札にすべきではない
トランプ次期米大統領は「一つの中国」の原則を含め全てが交渉次第だと発言

2017 年 1 月 23 日 10:12 JST

 中国政府はドナルド・トランプ米大統領の台湾の位置づけを巡る発言に不満を持っている。中国外務省の報道官は先週、「中米関係を損なう」可能性があるとして、米国に対して20日に行われた大統領の就任式に「台湾当局が言う代表団」の出席を認めないよう求めた。バラク・オバマ氏を含め歴代大統領も台湾の代表団を就任式に招待してきたが、中国から抵抗を受けることはほとんどなかった。

 中国政府指導部はトランプ氏の先週の発言に動揺したのかもしれない。同氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が13日に行ったインタビューで「『一つの中国』を含め、全てが交渉対象だ」と述べた。同氏は以前にも、米国の台湾に対するスタンスは、北朝鮮や貿易などその他の問題に関する中国との交渉の進展次第であることを示唆している。

 中国当局は、台湾を中国の領土の一部とする「一つの中国」の原則を声高に主張している。彼らは、トランプ氏の無知で不注意な発言は米中関係に亀裂を生じさせ、戦争にさえ発展する可能性があると述べている。

 しかし、米政府はそのような原則に同調したり、中国本土の台湾に対する主権を認めたりしたことは一度もない。台湾のステータスは平和的に台湾の人々の同意を得た上で決めるべきだ、というのが米国の公式の見解だ。米国は何十年も台湾軍に武器を供給しており、その販売額は2011年は58億ドル(約6600億円)、15年は18億ドルに上る。

 トランプ氏は実際、近年の米大統領が台湾に対して取ってきた柔和な姿勢を改めようとしているかに見える。これに対し密かに声援を送っている中国寄りの専門家は多い。われわれはもはや、米国がソ連に対抗するために中国を必要としている世界には生きていない。台湾はもはや、いつか本土を取り戻すと主張する一党独裁国家ではない。米国は「一つの中国」に対する公式見解を変えたり、台湾の独立を認めたりする必要はない。しかし、台湾が繁栄する民主主義国家であり、米国政府が公式的な接触を拡大すべき国であることは認識すべきだ。

 問題は、それがトランプ氏の意図することなのかということだ。同氏は時に台湾を中国との新しい重要な取引の切り札として利用するかのような発言をしている。だとすれば、それは裏切り行為であり、大きな間違いだ。台湾は米国の貿易相手国であり、事実上の同盟国だ。対台湾政策の基本を定めた1979年制定の台湾関係法には、台湾が攻撃を受けた場合、米国が救出に向かうことが定められている。台湾のステータスを交渉の切り札にすることは、同盟諸国に不安を抱かせ、トランプ氏と米国議会との衝突を招くことになるだろう。

 中国もこの駆け引きを演じることはないだろう。共産党政権は1949年以降、国民に対し、台湾は中国の領土の一部であり、独立は決して許されないと語ってきた。台湾は中国が世界の外交政策の中で最も重視する問題でもある。台湾をトランプ氏との交渉の交換条件にするそぶりを見せれば、政権の大きな譲歩と取られ、自国での政権の立場が損なわれる。

 トランプ氏にとっては、中国による台湾「いじめ」に立ち上がるチャンスだ。台湾の世界的立場を向上させ、戦争のリスクを高めることなく21世紀型の「一つの中国」政策を作り上げる機会だ。しかし、それはトランプ氏が、合理的で現実的な政策のために、台湾を交渉戦略から切り離す意思がどれだけあるかにかかっている。

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トランプ氏、対中国で打つ手乏しい−為替操作認定の94年とは様変わり
Enda Curran、Christopher Anstey
2017年1月20日 17:03 JST

トランプ次期米大統領は貿易問題で中国に対抗する選択肢を検討しているが、米国が前回、中国を正式に為替操作国に認定した20年余り前と同様の手段に訴えることは不可能だ。
  クリントン政権は1994年に中国を為替操作国に認定。当時は中国が為替政策で協力することと同国の世界貿易機関(WTO)加盟交渉を結び付けて取引材料にした。当時はまだWTOとは呼ばれておらず前身の関税及び貿易に関する一般協定(GATT)だったが、中国は米国の懸念を和らげる措置を講じて為替操作国認定を解除させ、その後数年を要したものの2001年にWTO加盟を果たした。
  現在は状況が全く異なる。米国はもはや相手を動かすそうした「てこ」を持っていない。また、保護主義的な立場を取るトランプ氏に対して自由貿易やグローバリゼーションを唱えているのは中国の習近平国家主席の方だ。さらに、中国の急速な発展と経済の多角化によって米国との2国間貿易の相対的な重要度は低下している。
  また、中国が為替相場を操作しているとしても現在は1990年代と異なり、人民元相場を押し下げるためではなく支えるためだ。
原題:Trump Lacks Lever From Last Time China Named FX Manipulator (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-20/OK2HSX6TTDSP01

http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/466.html

[国際17] トランプ時代の闇、行方を担うCIA新長官 トランプ確定申告書公表せず選挙公約から遠ざかる 欧州政策は歴史的同盟関係を転換

コラム:
トランプ時代の闇、行方を担うCIA新長官


Tim Weiner

[18日 ロイター] - マイク・ポンペオ氏には若干の同情を禁じえない。笑顔を絶やさないが舌鋒鋭いカンザス州選出の下院議員は、1月11日に上院の承認公聴会を無難に切り抜け、トランプ新政権のCIA長官に就任する。

しかし同時に彼は、ロシアのスパイと大統領選との関係をめぐる上院公聴会でも重要な証人の役目を担うことになるだろう。

トランプ氏は、情報機関の上層部をナチスに例えた。「恥ずかしいことではないか。最終的に虚偽でありデマだと判明した情報が漏れるのを情報機関が放置していたというのは、恥ずかしい。不名誉なことだと思う。ナチスドイツならそういうことをやっただろうし、実際にやっていたのだが」

11日に行われた騒々しい記者会見での激しい言葉遣いからは、ロシアのプーチン大統領が米大統領選で演じた役割に関する情報機関からの報告に対して、トランプ氏がどれほど怒っているかが伝わってきた。この件は、ソ連が原子爆弾に関する機密情報を盗んで以来、最もよくできたスパイ事件である。

トランプ氏のツイートに現れているように、彼の怒りを増しているのは、米政界に出回っている「不都合な」文書は情報機関当局者がリークしたものだと彼が信じているためである。これはまた別の怒りに火を点じかねない。スパイ組織方面にこの情報をもたらしたのは、12月に例の文書をコミーFBI長官に渡したジョン・マケイン上院議員なのだ。

上院情報特別委員会の公聴会は品の良い場所であり、ポンペオ氏に対するぶしつけな質問は手控えられた。

「ポンペオ議員、あなたは次期大統領がCIAをナチス呼ばわりしたことについて、CIAでどのように説明するのか」(できるわけがない)

「プーチン氏がトランプ候補を応援していたという分析に対して、トランプ氏がCIAは嘘つきだと言ったらどうするのか」(本当のことを言わざるをえない)

「トランプ氏がCIAに対して外国の指導者を倒すよう命じたら、どうするのか」(他の大統領はCIAに暗殺を命じ、試みたが失敗に終わった)

秘密工作で失敗をやらかすか、最高司令官たる大統領の思い込みを否定するような冷静な分析を示せば、たいていの大統領はCIAに対して腹を立てた。

それでも、CIAをナチスの突撃隊になぞらえる大統領などいなかった。当選以来トランプ氏が見せているような軽蔑をCIAに示した大統領はいない。CIAが言うことなど聞きたくないとトランプ氏が思っているのでもないかぎり、およそ理解できないほどの軽侮である。

筆者は30年にわたって米国の情報機関について取材してきた。CIA界隈では、このナチス発言はよく思われないだろう。ポンペオ氏の新たな舞台が恵まれたものであることを祈る。

CIA70年の歴史で、これまで21人が長官として連邦議会で承認されてきた。後に第43代ブッシュ大統領やオバマ大統領のもとで国防長官を務めたロバート・ゲーツ氏のように、戦争や危機の時代においても冷静な態度を見せた長官もいる。

しかし、レーガン政権でCIA長官を務めたウィリアム・J・ケイシー氏のように、大失敗に終わる秘密工作に固執する、危険で欺瞞的な人物もいた(イラン・コントラ事件を参照されたい)。

ゲーツ氏やオバマ政権におけるジョン・ブレナン氏のように、CIA長官が成功した例では、大統領が聞く耳を持っていた。大統領はきわめて重大な事案についてCIA長官の意見に耳を傾けた。1発の銃声もなしに冷戦を終わらせる、イランの核開発に関する合意を結ぶ、などである。いずれもホワイトハウスにおいて国家安全保障担当の側近として働き、毎日(そして多くの夜)、最高司令官である大統領と身近に接していた。

クリントン政権の最初のCIA長官であるジェームズ・ウールジー氏のように失敗した例では、大統領に軽蔑されていた。大統領は、このような長官を遠ざけていた。クリントン大統領はウールジー長官に年1回しか会わなかった。24年を経た今、ウールジー氏は「チーム・トランプ」を側面から支援しているが、新政権にはポストを見いだせないままだ。

ポンペオ氏は頭の回転が速い。ウェストポイントの陸軍士官学校でも同期随一の秀才が、理念的な論争において後手を踏むことはめったにない。承認公聴会において、彼は賢明にも、拷問に相当する尋問手段の復活を否定し、イランとの合意条件を支持するつもりだと述べた。

とはいえ、新たに国家安全保障担当の大統領補佐官に就任するマイク・フリン退役陸軍中将を出し抜くためには、ポンペオ氏は賢明であると同時に狡猾になる必要があろう。トランプ氏と充実した時間を過ごすためには、フリン氏という門番の目を盗まなければならない。

フリン氏は2014年、国防情報局長を正当な理由により解任されている。フリン氏は戦争やテロについて「フリン式の事実」(虚偽とも言える)を押しつけていると見られ、側近らの信頼を失っていた。

その後、フリン氏はモスクワでプーチン氏と夕食を共にし、ロシアの宣伝機関であるRTから金品を受けとった。陸軍情報部で33年間の経験を積んだ将校には似合わぬ狂信的な、情熱を込めた話し方をすることもある。陰謀論者で、CIAが彼を敵視していると信じているようである。

トランプ氏が、CIAのスパイたちに対する怒りをかき立てる材料を探すならば、フリン氏こそ、それにふさわしい人材である。

歴代の大統領は、なぜCIAとうまくやっていけなかったのか。多くの大統領は、「情報機関はあらゆる問題を解決できる、あるいは何一つろくなことはやらないという思い込みを抱いて就任し、その後、正反対の見解へと引っ張られていく」と語るのは、リチャード・J・カー元CIA副長官。「それから、いったんは腰を据えるが、また一方の極端から他方へと揺れ動く」

トルーマン大統領は、冷戦の最初期、CIAの秘密主義に恐怖感を抱いた。アイゼンハワー大統領は、ソ連に関する予測能力という点でCIAに落胆した。ケネディ、ジョンソン、ニクソンの各大統領は、ベトナム戦争に勝利する方法を起案できなかったとして、CIAに責任転嫁した。

レーガン大統領は、イラン・コントラ事件のスキャンダルで危うく評判を失墜させるところだった。ジョージ・W・ブッシュ大統領は、イラク戦争の展開についてCIAが「当てずっぽうに推測している」と発言し、CIAに21世紀に入って最悪の評価を与えた。

本当に危険なのは、大統領が、CIAの考えが単に自分の想定とは合致しないからという理由で耳を傾けない場合である。

2010年に「ティーパーティー(茶会)」一派として下院議員に当選したポンペオ氏は、その気になればイデオロギー的な立場も取れる。その典型的な例が、「ベンガジの悲劇」の責任をヒラリー・クリントン氏に押しつけようというポンペオ氏によるキャンペーンだ。政治的な発言に、福音主義キリスト教徒としての信仰が反映されていることがある。

しかし彼は、宗教的な熱狂や十字軍気取りがCIA職員に歓迎されないこと、またラングレーのCIA本部を率いるという自身の職務にもふさわしくないことを承知している。

もちろん、大統領がイデオロギーに動かされることはある。だが、情報機関の活動にとって、イデオロギーは禁物だ。情報機関は、情報を、それも秘密の情報を分析・解析することだ。要するに「事実」、運が良ければ「現地検証を経た事実」である。「ポスト真実」の哲学において、イデオロギーはその根本となる原理である。つまり、「私の考えは決まっている。事実で混乱させるな。この執務室から出ていけ」ということだ。

そのようにして、戦争は始まる。誤った情報活動という刺激でイデオロギーという起爆装置を起動させれば、勝てない戦争を始めることになる。ピッグス湾、ベトナム、そしてイラクといった具合に。

無所属のアンガス・キング上院議員(メーン州選出)は、12日の承認公聴会での長々しいやり取りについて語った。CIAの過去の顕著な失敗についてポンペオ氏に問いただしたのは、キング議員だけだった。

大統領に悪いニュースを告げること、大統領が聞きたがらない内容を進言することを約束するか。「約束する」とポンペオ氏は応じている。プーチン氏とトランプ氏の関係について精査するか。ポンペオ氏は、「それがわれわれをどこに導くかにかかわらず、事実を追及することを約束する」と答えた。

CIAにおけるポンペオ氏の最初の任務の1つは、マケイン氏などの有力上院議員からの問い合わせに応じることだ。彼らは潜在的な破壊力を秘めたこの問題を解決するために、CIAの力を利用したいと考えるだろう。マケイン氏のほか、同じような考え方を持つ数名の共和党議員は、「プーチン氏の支持を受けたロシアの情報作戦が、トランプ氏当選を支えた」というCIAの結論について公聴会を開催すると公約している。

これによって、ホワイトハウス、連邦議会、CIAはどこか非常に暗い闇の世界へと導かれる可能性が高い。ピッグス湾事件、ベトナム戦争、そしてわれわれをイラクでの戦争へと誘った、硬直したイデオロギーと腐った情報活動という大惨事について、苦痛に満ちた長年の分析を経て、ようやく米国民がその存在を知った、闇の世界である。

トランプ大統領の時代に、闇の世界はどこまで暗くなるのか。それを左右するのは、例えばポンペオ氏といった人物次第なのである。

*筆者はピュリツァー賞を受賞した著述家。著書に “Legacy of Ashes: The History of the CIA”(「CIA秘録─その誕生から今日まで」)など。

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http://jp.reuters.com/article/weiner-cia-idJPKBN1540VP?sp=true


 

トランプ大統領は確定申告書公表せず−選挙公約から遠ざかる動き
Billy House
2017年1月23日 08:43 JST
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ドナルド・トランプ氏 Photographer: Olivier Douliery/Bloomberg
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トランプ大統領のアドバイザー、コンウェイ氏がABCの番組で発言
公表求める請願書に20万人を超える署名

トランプ米大統領の確定申告書をめぐり、ホワイトハウスには現時点で公表の方針はない。トランプ大統領のアドバイザー、ケリーアン・コンウェイ氏が明らかにした。監査完了時点で公表するとした選挙公約から遠ざかる動きだ。
  コンウェイ氏は22日にABC放送の番組に登場した際、トランプ氏の確定申告書公開を要求するホワイトハウスへの請願書に関する質問に対し、「トランプ氏は確定申告書を公表しないというのがホワイトハウスの対応だ。人々は気にせず、彼に投票した」と答えた。
  この請願書にはホワイトハウスからの回答を得るのに必要とされる10万人を大幅に大きく上回る署名が集まっているが、コンウェイ氏はその重要性を否定。国民はトランプ氏の確定申告書を気にしておらず、注目しているのは新政権で自分の確定申告書がどうなるかであって、トランプ氏の確定申告書の内容ではないと述べた。
  請願書はホワイトハウスのサイト「ウィー・ザ・ピープル」に掲載された。同サイトによると、22日午後までに集まった署名は21万6169人。
原題:Trump Aide Says He Won’t Release Taxes, Breaking Campaign Pledge(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-22/OK7EPC6TTDS001

 


 

トランプ米大統領の欧州政策は歴史的同盟関係を転換
Nick Wadhams、Margaret Talev
2017年1月21日 11:20 JST

米国と欧州との関係は過去数十年の大半の間、一連の共有する信念を中心に置いてきた。ロシアは共通の敵であり、ドイツの工業力が欧大陸の経済の中心で、欧州の統一はすべての人々の利益になるというものだ。トランプ新大統領にはいずれの認識もない。
  トランプ氏の米大統領選挙での勝利以来、同氏の欧州政策も形成されているようだ。それは英国は欧州連合(EU)を離脱した方が良く、ドイツは欧州のリーダーとしてつまずいており、ロシアが本物のパートナーになり得るという内容だ。
  同氏のツイートやインタビューでのコメントをつなぎ合わせると、フランスからウクライナの当局者に至るまで、恐れたように米新大統領が伝統的な同国の外交政策を軽視していると懸念する。
  ポーランドのピオトル・ビルチェク駐米大使はブルームバーグとのインタビューで、「トランプ氏は一種の政治を離れた極めて独自のアプローチを取る。特に経験豊かな外交官にとっては非常にショックなことだ。われわれはこの政権にどう対応するかずっと考えている」と語った。
  EU最大の加盟国であり、EUに依然コミットするフランスとドイツでは年内に選挙があり、極右勢力が躍進すれば欧州統一に向けた数十年の努力がさらに損なわれるため、この疑問は緊急性を帯びる。
  トランプ氏は20日の就任演説で、外交政策の先行きを明確にし、政権が他国との「友好と親善を求める」が、「自国の利益を第一とすることがすべての国の権利だ」と語った。
原題:Emerging Trump Doctrine for Europe Upends Historic Alliance (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-21/OK3WWK6S972801
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/467.html

[経世済民118] 投資家、トランプ大統領の就任を警戒 強気の賭けを徐々に減らす 相場は曲がり角 長期マネー誘導探るアベノミクス手詰まり感 
投資家、トランプ大統領の就任を警戒 強気の賭けを徐々に減らす
By GUNJAN BANERJI, BEN EISEN AND AKANE OTANI
2017 年 1 月 23 日 08:57 JST

 投資家はドナルド・トランプ氏の米大統領就任とともに、以前より用心深くなっている。トランプ氏が昨年秋の大統領選に勝利した後、経済成長を加速させる政策を同氏がとるとの期待感で株価が急騰した時期の強気姿勢から次第にシフトしている形だ。

 S&P500種平均株価指数は、昨年11月8日の選挙投票日以降、なお6.2%高だし、現在まで69営業日の間、同指数が1%以上下落した日は皆無だ。しかし投資家たちは同時に、より防衛的なポジションも取っている。現金を積み増すか、ボラティリティ(激しい変動)の再燃の可能性に備えてヘッジしているのだ。

 例えば17日に発表されたバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの調査によれば、グローバルなファンドマネジャーたちは今月、キャッシュ保有比率をポートフォリオ全体の5.1%とし、昨年12月の4.8%から増やした。これは過去10年間平均の4.5%を大幅に上回る比率だ。調査では、最大の不安要因として、米国の貿易戦争と中国の通貨下落の2つが挙げられたという。

 もっと用心深い投資家もいる。彼らはトランプ氏の大統領就任に先立つ1週間に株式に対する売りポジションを積み増した。金融分析会社S3パートナーズによれば、ベンチマーク(S&P500種指数)を追跡している最大の上場投資信託(ETF)の「SPDR S&P 500 ETF」に対するショートポジション(売り持ち高)は今月19日に329億ドルに達し、1週間前の308億ドルを上回った。選挙投票日後に2カ月間続いていたトレンドの反転だ。

 金融株は、昨年11月のトランプ氏勝利後に急騰していたが、先週は市場の後退を主導した。これは選挙後の一部取引に対する確信を投資家たちが失いつつあることの証拠だ。KBWナスダック銀行株価指数は今月20日までの5日間で2.8%下落した。ファンド資金の流れを調査しているEPFRグローバルのデータによると、投資家たちは18日までの1週間でグローバル金融部門から7億4900万ドルの資金を引き揚げた。これは過去17週で初めての資金流出だった。

*この記事は更新されます

トランプ新大統領特集

ミスター円、トランプ次期政権下の円高を予想
打ち負かすのは困難、オバマ氏の「株レガシー」
投資のプロによる2017年市場見通し
ドル高に包囲されたトランプ次期大統領
トランプ氏と株主のあいだで板挟みとなる経営幹部
http://jp.wsj.com/articles/SB10852398588237353609804582575970017505152

 

 
ヘッジファンドの総崩れに用心せよ−米債券安見込むポジション急増
Brian Chappatta、Liz Capo McCormick
2017年1月23日 10:53 JST
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https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ibKpNSZSOhaE/v2/-1x-1.png
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弱気な「ファストマネー」と逆の見方取る「リアルマネー」が対決へ
ファストマネーの動きは逆張り指標になる傾向−JPモルガン


米国債市場で大きな対決が迫りつつある。
  5年債先物のデータを見ると、ヘッジファンドや他の投機家で構成される「ファストマネー」は今月、相場に弱気な見方を過去最高に強めている。一方、投資信託や保険会社などの機関投資家で構成される「リアルマネー」は逆の見方を取り、強気なポジションを積み上げている。
  今後の相場展開は、とりわけトランプ政権下では誰にも分からない。だが、JPモルガン・チェースのジェイ・バリー氏によると、投機家は崩壊の種をまいているという。米国債相場は5カ月連続で下落したものの、ファストマネーの集団的な動きは信頼できる逆張り指標になる傾向があるという。バリー氏のデータでは、過去にこうした動きとなったケースの75%余りで、その後1カ月に相場が逆方向に動いた。最近の利回り上昇は既に、長期投資家を再び米国債に引き付け始めている。
  JPモルガンで米債券ストラテジストを務めるバリー氏は「投機家のデータが依然としてショートであることに驚いた」と述べた。

  こうしたポジションの違いは単なる意見の違いではない。重要なのは、米経済の方向性に関するより深い疑問を映し出している点だ。一部の投資家はトランプ米大統領をゲームチェンジャーと受け止めており、同大統領の歳出計画が経済成長の起爆剤となり、借り入れコスト上昇に拍車を掛けると見込む。一方で、人口動態や高い債務水準、所得格差が構造的要因となり経済成長は潜在成長率を下回り続けると見る向きもいる。
  バリー氏は短期や長期の米国債に比べて現時点で投資価値の高い5年債を投資家は買うべきだと指摘している。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iP2KTXd3WyJU/v2/-1x-1.png

原題:Beware the Hedge-Fund Wipeout in Treasuries as Bearish Bets Soar(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK7K7J6K50YG01

 

ドルのトランプ相場は曲がり角接近か、対円相場注目−利回り上昇も鍵
Lananh Nguyen
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ドル・円相場に注目−1ドル=115円付近で強気派と弱気派の攻防
115円を上回る明白な動きなければトランプ氏への熱狂は後退か

トランプ相場に永続性があるかどうかを知りたいなら、ドル・円相場から目を離さないようにすべきだ。
  なぜならドル・円相場が1ドル=115円付近で強気派と弱気派の激しい攻防が繰り広げられているからだとBKアセット・マネジメントの外為戦略担当マネジングディレクター、ボリス・シュロスバーグ氏(ニューヨーク在勤)は指摘する。ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は、ここ1週間の米国債利回りの上昇が再びドルを支え始めているとみている。米国債利回りの目先の方向性は、昨年11月の米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利以降、ドルが対円で8%の上昇した流れが持続するかどうかを決める公算が大きい。

  シュロスバーグ氏はリポートで、「115円を上回る明白な動きとなれば、トランプ相場が再開して市場が再び相当な米国の成長を見込むシグナルになろう」と指摘。「だが、ここでそうならなければ、トランプ氏への初期の熱狂は弱まり始めるサインとなるだろう」と付け加えた。
  米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、20日のトランプ米大統領就任式前の週にヘッジファンドなどのマネーマネジャーによるドルの買い越しは31万475枚に減少し、3週間ぶりの低水準を付けた。
  トランプ大統領就任時のドル相場は、8年前のオバマ前大統領就任式時点よりも14%高い。
  
原題:Dollar’s Trump Trade Approaches Inflection Point as Yields Rise(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-22/OK7ASE6JIJUO01


 


債券下落か、トランプ政策を見極め−スティープ化修正の動きとの声も
三浦和美
2017年1月23日 08:12 JST

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Shinzo Abe, Japan's prime minister, delivers his policy speech during a plenary session at the lower house of the parliament in Tokyo, Japan, on Friday, Jan. 20, 2017. Abe said alliance with U.S. is the foundation of the country's diplomatic and security policy. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
長期マネーの誘導探る、アベノミクス手詰まり感で−成長戦略に反映へ

カーブはベアスティープ化先行したが、一定に修正へ−東海東京証
先物夜間取引は150円07銭で引け、前週末の日中終値比11銭安

債券相場は下落が予想されている。トランプ米新政権の誕生で政策動向の行方を見守る姿勢が強まる中、積極的な買いが手控えられる見通し。
  23日の長期国債先物市場で中心限月3月物は150円台前半での推移が予想されている。夜間取引は150円07銭と、前週末の日中取引終値に比べ11銭安で引けた。

  東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、「トランプ大統領の就任をきっかけに各市場が変化することはなかった」とし、「先行してカーブがベアスティープ化したため、今日はその修正が一定に入る」と予想。一方、「先物は重い」と見込む。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値0.06%前後での推移が見込まれている。佐野氏はこの日の予想レンジを0.055%〜0.065%としている。 
  前週末の取引では超長期債が下落し、利回り曲線はスティープ化した。新発20年債利回りは0.635%、新発30年債利回りは0.80%と、昨年12月半ばの水準まで上昇した。

新政権発足

  トランプ大統領は20日の就任演説の中で、「きょうこの日からアメリカファースト(米国第一)あるのみだ」と述べ、米国の雇用を守るなどナショナリズムを示した。
  20日の米株式相場は反発し、ダウ工業株30種平均は0.5%高の19827.25ドルで引けた。一方、米国債市場では、10年債の利回りがトランプ氏の大統領就任前の1時間で2.51%を記録する場面もあったが、結局、1ベーシスポイント(bp)未満低下の2.47%となった。
40年債入札
  日本銀行はこの日午前の金融調節で今月8回目となる長期国債買い入れオペを実施する可能性がある。
  一方、今週は24日に40年利付国債入札、26日には流動性供給入札がそれぞれ予定されている。前者は利回り競争入札によるダッチ方式で、応札は0.5bp刻み。発行額は5000億円程度。後者は残存5年超−15.5年以下の既発債国債が対象で、発行予定額は5000億円程度となる。
  東海東京証の佐野氏は、「今年度の収益にめどが付き、リスクテイカーが減っている感は否めない」とし、「足元のベアスティープ化はそれを裏付けていよう」と指摘。しかし、「日銀の対応も期待され、40年債入札後は超長期ゾーンの需給は好転しよう」とみる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-22/OK7CN16JIJUO01

 

長期マネーの誘導探る、アベノミクス手詰まり感で−成長戦略に反映へ
高橋舞子、Connor Cislo
2017年1月23日 06:00 JST

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決算開示義務の柔軟化や、企業統治の強化など課題
政府の有識者会議が月内に中間報告−成長戦略への盛り込みも

アベノミクスの手詰まり感が強まる中、政府内で経済政策の新たな展開を模索する動きが出ている。その1つが投資マネーの短期から長期への誘導だ。株価を意識した短期的な成果ではなく、長期戦略に基づいて収益を設備投資や賃上げに回すような企業経営を促すのが狙い。政府の有識者会議で議論を進めており、6月にも策定する成長戦略に反映する方針だ。

  ベンチャー企業への投資やその育成事業を展開している米デフタパートナーズグループ会長で、内閣府参与を務める原丈人氏は昨年12月のインタビューで、「金融緩和により円安、株高がもたらされ、一瞬はアベノミクスが達成されたかのように見られた。しかし実際に起きていたのは株価の乱高下だ」と指摘。政権も「このままではいけない」と、長期投資誘導への移行を検討していると話す。

  政府は昨秋、成長戦略の司令塔となる「未来投資会議」を設置。原氏は、長期投資促進を掲げる分科会のメンバーの1人だ。税制や決算開示義務の柔軟化を通じ、短期投資に傾きがちな市場からの評価に影響を受けている企業に変化を促せるとみている。同会議は月内にも中間報告をまとめる。

  安倍晋三政権の頭痛の種は、アベノミクスによる株高・円安で改善した企業収益が投資や賃上げに十分に回っていないことだ。設備投資が伸び悩む一方で、企業の内部留保は政権発足後も増加の一途をたどり、2015年度は377兆円を超えた。これに対し15年度の民間最終消費支出は約300兆円で、12年度の約291兆円からは微増にとどまる。実質賃金も5年連続で減少している。

公益資本主義

  原氏が提案する具体策は、企業決算の開示義務の頻度を「四半期ごと」から「1年ごと」に減らすことや、一律20%となっている株式譲渡益課税を保有10年以上の場合は0%にするような税制改正、ベンチャー企業の増資に応じた個人の税額控除など。昨年7月にこれらを安倍首相に提言した。

  原氏は、株主一辺倒ではなく、社員や顧客、仕入れ先、地域社会などへの貢献を通じて、貧困層をなくし厚い中間層を作る「公益資本主義」の必要性を訴えている。安倍首相は昨年12月の国会で、同主義について「わが国にふさわしい資本主義の在り方に似ている。株を動かすだけで利益を上げて、そこに利益が集中する社会はゆがんでいる」と賛意を示した。

  アベノミクスの成功に民間投資が必要な中で「長期」は中心的なキーワードになると、藤井聡内閣官房参与も指摘する。藤井氏は昨年11月の取材で、「短期マネーが多いと市場の投機傾向が高まり、安定性を求める長期マネーが投資を敬遠するため、結果として資産が貯蓄に回る」と、短期投資の問題点に言及した。

  野村総研の堀江貞之上席研究員は「短期投資がないと流動性が保てないが、今はあまりにも多過ぎる」と述べ、長期投資の誘導には、責任ある機関投資家のガイドランとなるスチュワードシップコードやコーポレートガバナンス(企業統治)の強化が不可欠だと言う。また非課税期間を5年から20年に延長する「積立NISA」の導入は「長期投資促進につながる」と評価する一方、日本企業の価値を上げないと、投資が国外に流れるだけになってしまうと警鐘を鳴らす。

海外投資家

  短期投資は海外投資家が主導している。日本取引所グループによると、16年の東証1部株式売買の割合で海外投資家は73.8%を占めるが、株式保有比率(16年度末)は29.8%にとどまり、保有期間が短いことがうかがえる。海外投資家は安倍政権が発足した13年から16年までで累計12兆325億円の株式を買い越した。

  JPモルガン証券の内藤三千郎エグゼクティブ・ディレクターは、安倍政権下での株価変動は「外国人投資家が先導した」と見る。海外投資家は日本が買いと判断すれば株価が上昇基調にあっても買う傾向にあり株価をつり上げるが、「逃げ足も速い」という。

  日本でも急速に拡大している高頻度取引(HFT)について原氏は、短期的な株式取引に低率で課税する「トービン税」の導入も主張する。コンピューターを使ってミリ秒単位で金融商品の売買を行うHFTは、東京証券取引所の全取引のうち発注件数で7割程度、約定件数で4、5割程度を占める。

  もっともHFTの取引業者を登録制とする規制強化を検討している金融庁は、流動性を高めるなどのメリットもあり一律の排除は不適当との立場。財務省も取引を阻害するとしてトービン税の導入には慎重だ。

中長期経営

  安定株主作りには企業も積極的に動き出している。大和インベスター・リレーションズ(IR)によると、昨年9月末時点で株主優待制度のある上場企業1307社のうち256社が長期保有者への特典を導入。10年9月末の49社から約5倍増加した。

  仏壇業界最大手のはせがわは16年9月末から、優待品の贈呈対象を1年以上継続して保有する株主に限定することにした。早稲田アカデミーも16年3月末から、3年以上保有する株主には3年未満の保有者の倍額となる2000円のクオカードを贈呈する。同アカデミーの太田正史総務課長は、教育業界でも「中長期的な視野での経営が重要と考えた」と話す。

  長期的視点に立った「年輪経営」を打ち出すトヨタ自動車は15年7月、「AA型種類株式」を発行。5年間は売却できないことなどを条件に元本保証や有利な利回りを約束した。中長期的な環境整備が必要な研究投資などへの資金に充てるのが狙いで、原氏はAA株を支持している。

市場からの反論

  市場からは反論の声も上がる。AA型種類株については、米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)などが「安定株主作りだ」と批判。その後も広がりは見せていない。

  JPモルガン証券の内藤氏は、四半期決算開示義務の柔軟化について「小手先の議論で本質ではない」と批判。「株価は国内総生産(GDP)に比例する。投資家が見たいのは成長力だ」として、少子高齢化が急速に進む人口構成への対応を中心とした構造改革を取り組むべきだと話す。

  大和総研の鈴木裕主任研究員は、「短期売買は価格の更新を頻繁に行うということ。フェアバリューが近い時点で分かるというメリットがある」と指摘。「証券投資と経済成長を結び付ける時、保有期間に持って行くのは違う。株価や業績と報酬を直結させるなど、経営者の意欲をかきたてるような道を探った方がいい」とも話した。

  安倍政権は株価を目に見える実績として強調し、「株価連動内閣」とも呼ばれてきた。野村総研の堀江氏は長期投資の促進は将来的に企業価値を高めることにつながるとしながらも、「一時的に株価が下がる可能性はある」と述べている。安倍政権が長期投資への誘導策に本格的取り組んだ場合、市場がどう評価するかは不透明な要素も残る。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-22/OIF6996TTDS101


 
日本株4日ぶり反落、円高と米保護主義を懸念−輸出、金融広く下げる
長谷川敏郎
2017年1月23日 07:56 JST 更新日時 2017年1月23日 11:59 JST

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ドル・円は18日以来の1ドル=113円台に振れる
トランプ新米大統領は「米国第一主義」を強調

23日午前の東京株式相場は4営業日ぶり反落。トランプ米大統領の就任後に為替市場で円が上昇したほか、米国の保護主義傾斜を懸念する売りが優勢となった。輸送用機器や精密機器など輸出株、米金利の低下を受けた保険など金融株中心に東証1部33業種中、32業種が安い。

  TOPIXの午前終値は前週末比16.46ポイント(1.1%)安の1517.00、日経平均株価は203円34銭(1.1%)安の1万8934円57銭。
  しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、「演説自体は大きな失望がない代わり、あまり期待できるところもなかった。ポジション調整で売られている」と話した。
トランプ米大統領誕生
トランプ米大統領誕生 Photographer: Daniel Acker/Bloomberg
  きょう午前のドル・円相場は、一時1ドル=113円40銭台と18日以来のドル安・円高水準に振れた。20日のトランプ米大統領の就任演説で、減税など財政政策で具体的な内容が明らかにされなかったほか、保護主義的な姿勢が示されたことが材料視された。東京時間23日の時間外取引で、米10年債利回りは2.42%まで低下した。
  トランプ氏は演説で、アメリカファースト(米国第一主義)を掲げ、「権力をワシントンDCから移し、あなたたち国民に戻す」などと表明。また、大統領の政策は年4%の経済成長の達成を目指すものだ、とホワイトハウスが大統領就任に合わせ更新したウェブサイトの声明で明らかにした。ウェブサイトでは、環太平洋連携協定(TPP)からの撤退や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉にコミットすることも明記した。
  東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、「減税やインフラ投資などトランプ氏の政策が実行されれば、自然と円安要因になる」とした半面、「保護貿易に対する懸念がクローズアップされる局面となれば、一時的に円高に振れやすくなる」との懸念も示す。就任演説では、「自国第一で世界の安定については考えていない」印象を受けたと言う。
  午前の日本株は輸出、内需が広く売られる中、TOPIXの押し下げ寄与度トップは輸送用機器。東洋証券の浜田亨征ストラテジストは、「トランプ大統領の演説では政策的に保護主義が打ち出された。対外交渉は冷静に行うとみていたが、内向きな姿勢でNAFTAなどで一方的な表明をした」とみている。日本企業は自動車業界などがメキシコに投資しており、「NAFTAがなくなれば、予想した利益が出ないかもしれない。米国市場は大きく、関税を高くしたり数量制限をすれば、日本企業の業績下振れ要因になる」と警戒していた。
  東証1部33業種はその他金融、保険、不動産、陸運、情報・通信、電気・ガス、海運、輸送用機器など32業種が下落。金属製品1業種のみ上昇。売買代金上位では、トヨタ自動車や大塚ホールディングス、NTT、オリックスが安い。半面、半導体支援でキヤノンや外資系ファンドが名乗り、と20日に共同通信が報じた東芝は高い。有機ELで中国企業と交渉中のブイ・テクノロジーは急騰。東証1部の売買高は8億6460万株、売買代金は9529億円。値上がり銘柄数は397、値下がりは1505。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-22/OK7D5C6JTSE801


 
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/223.html

[国際17] 欧米民主主義は限界、中国の人民日報が指摘−トランプ米大統領就任で 中米関係の新たな出発期待 独日刊紙、中国人は世界一幸福
欧米民主主義は限界、中国の人民日報が指摘−トランプ米大統領就任で
Bloomberg News
2017年1月23日 09:57 JST

中国国営メディアはドナルド・トランプ氏の米大統領就任を民主主義がはらむ危険として警告し、共産主義システムは相対的に安定していると主張した。習近平国家主席は今秋、5年に一度の最高指導部入れ替えが行われる共産党大会を控えている。
  中国の優先事項は結束だと省庁や高官が強調し、党大会に向けて地ならしをする中、国営メディアはトランプ米大統領に必ずしも直接言及しないものの、同大統領就任で示された米国社会の分断を浮かび上がらせる論説をすぐさま掲載した。
  共産党機関紙の人民日報は民主主義が限界に達したとし、資本主義の将来が悪化するのは避けられないと指摘。欧米の民主主義に対する批評を22日に全ページにわたって展開し、資本主義の最終的な敗北で共産主義が勝利を収めることが可能になるだろうと論評した。
原題:China Slams Western Democracy as Flawed as Trump Takes Office(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK7ICG6KLVR401


 


中米関係の新たな出発点に期待

人民網日本語版 2017年01月22日15:25

米国現地時間の1月20日、トランプ新大統領が首都ワシントンで大統領就任を宣言した。就任式におけるその簡潔な演説は米国の国内問題にウェイトを置いた内容で、対外政策については軽く触れるにとどめた。このことから、トランプ新政権が中米関係を含めた世界の大国との外交関係をどのように処理していくのかという点について世界各国で懸念が生じている。(文:華益声・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

トランプ大統領は当選から就任までの期間中に、米国は対中貿易の赤字で損失を被っていると発言し、中国が意図的に人民元為替レートを過小評価していることが対米輸出の拡大につながっていると非難した。さらには「1つの中国」原則を切り札に中国の貿易や為替レートについて見直しを行うというマイナス的な発言をしたことがあった。

上述の発言はトランプ大統領が米国国内における支持率を得ようする焦りを反映している。トランプ大統領はその選挙期間中に幾度となく雇用機会を米国に取り戻すことに触れ、米国の製造業における雇用ポストの増加を打ち出していた。さらに雇用問題は対中貿易における貿易赤字が原因であるとしていることから、経済貿易の面で中国に圧力をかけることは、トランプ大統領がその選挙公約を果たし、米国の発展促進に対する決意を表明する手段の一つとなるのかもしれない。また、米国国内でも対中強硬論が相次いでおり、トランプ大統領の発言もこれらの勢力に迎合し、支持を得るためのものという見方もある。

しかしながらこうした選択は好ましくない結果をもたらすだろう。まず中国の発展がもたらす重要なチャンスを見逃してしまう点が挙げられる。また中米関係に対する正しい認識の欠如は両国関係の政治的基盤を損なうことになりかねない。さらに中米関係は協力すれば互いにメリットがあり、争えばお互いが傷つくことになる点も挙げられる。そして最後に中国と米国という大国が国際事務において担うべき役割とその発揮すべき作用を考慮していないからだ。これらの問題は中米関係を悪化させ、世界平和や発展に悪い影響を及ぼす可能性もある。


こうした潜在的な脅威に対し、中国はすでにトランプ大統領とその新政権に下記のような明確な態度を示している。
1.正しい中米関係の位置づけを求めること。中米関係は国際的にも最も重要な二国関係の一つであると言える。最大の発展途上国と最大の先進国として、また世界の2大エコノミーとして、中国と米国は健全で安定した関係を維持することが両国の国民の共通の利益につながり、また国際社会からも広く期待されている点だ。

2.中米関係の方向性を把握すること。両国は相手国を「圧倒」しようとするのではなく、ウィンウィンまたはさらに多くの勝利を追い求めるべきだろう。そのため、中米両国は衝突や対立を回避し、互いに尊重し、協力してウィンウィンを得ることを原則に、二国間や地域、グローバルの局面における様々な分野において協力を推し進めていくべきだ。中国はトランプ新大統領就任が中米関係発展の新たな出発点となることを望んでいる。

3.中米の相違点を管理コントロールすること。トランプ新政権は中米両国には問題や相違点が存在するのは当然であり、相違点を管理コントロールし、問題を解決するルートを探すことこそが重要である点を認識すべきだろう。両国は建設的な方法で対話とコミュニケーションを行い、互いの意図を深く理解し、誤解や間違った判断を回避すべきだ。中米いずれも両国関係の健全で安定した発展という大局を損なうような行為をするべきではない。

今後の中米関係について、中国は両国の友好的な協力の維持に尽力する一方で、戦略的な力も保持し続けなければならない。中国はさらに改革を推し進め、発展を促し、総合的な国力の向上を図り続ける。そして中国の特色ある大国外交を積極的に推し進め、国際影響力と発言権を向上させていく。中国は国際環境の変化に適応する能力を有しており、その変化に対応できる自信を有している。さらに中国はトランプ新政権が中米関係の重要な原則をしっかりと心に留め、中国と向き合っていくことを希望している。(編集TG)

「人民網日本語版」2017年1月22日


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独メディア「近年生活の質の向上著しい中国人は世界一幸福な人々」
人民網日本語版 2017年01月22日10:17

孫寧さん(音訳)は北京市の四環路を運転しながら「今から10年前、ここには何もなかった」と話す。そして彼のフォルクスワーゲン・ビートルのハンドルをきって、ある小区(団地)へ入っていく。車窓から見えるのは、連なるマンション群。「数年前、ここはただの空き地だった」と話す孫さんの声は興奮の色を帯びていた。独日刊紙「ディ・ヴェルト」の報道を引用して参考消息網が伝えた。

中国の新しい建築物についてドイツ系の外国人が語るとしたら、きっとこんな風になるに違いない。
「数年前、ここは古くからある胡同(路地)だったが、不動産デベロッパーが進出し、全て取り壊した。歴史的建築物など全くお構いなしだ。都市は大きくなる一方だが、不動産価格も上がり続けた。三環路と四環路の間にある住宅は、中産階級にとっては手も出ない高嶺の花」。
この点に関しては2種類の異なる見方が存在する。1つは経済を急速に成長させ、富や多くのチャンスを創造した新興工業国家という内部からの見方。もう1つは過去の過ちから教訓を学びとれると確信している富裕社会という外部からの見方だ。しかし後者はポジティブな視点で未来を見据えるということを忘れてしまっている。
そして孫さんが北京市の北部を車で通過した際にその変化に対して見せた純粋なまでの「喜び」を中国では随所で目にすることができる。
http://j.people.com.cn/n3/2017/0122/c94475-9170114-2.html
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/472.html

[政治・選挙・NHK219] 日米同盟さらに強化、早期に日米首脳会談を行いたい=菅官房長官 日米首脳会談、麻生も参加 トランプ保護主義で雇用減少トヨタ

日米同盟さらに強化、早期に日米首脳会談を行いたい=菅官房長官

[東京 23日 ロイター] - 菅義偉官房長官は23日午前の会見で、米国でトランプ新政権が正式に発足したことについて、「新政権とともに揺るぎない日米同盟をさらに確固たるものにし、日米の絆を一層強化していきたい」としたうえで、「早期に日米首脳会談を行いたい」と語った。

米新政権が環太平洋連携協定(TPP)離脱を表明したことに関しては「TPP協定は高い戦略的・経済的意義を有し、地域に繁栄と安定をもたらす。そういう意味で米国を含む12カ国で合意した」と強調。「こうした事実や米国への具体的意味について理解を促しながら粘り強く働きかけをし、腰をすえた議論を行っていきたい」との考えを示した。

トランプ大統領が保護主義的な姿勢を鮮明にしていることについては「わが国の企業に与える影響についてはしっかり注視していきたい」と述べた。さらに「自由貿易は米国においても極めて重要だ。当然、そうしたことを理解した上での(大統領の)発言だと思っている」との見方を示した。

(石田仁志)

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日米首脳会談、麻生氏も参加へ 2月開催希望=日本政府・与党筋

[東京 23日 ロイター] - 日米両政府は、1月下旬の開催が困難になった安倍晋三首相とトランプ新大統領の首脳会談について、早期に開くことで合意した。日本側は2月中の開催を希望、米側はペンス副大統領と麻生太郎副総理が同席することを提案している。

複数の日本政府・与党関係者が明らかにした。当初は日本側が今月27日ごろを希望していたが、トランプ大統領の日程と合わず再調整をしている。

27日は、トランプ大統領とメイ英首相がワシントンで会談する。メイ首相は英公共放送BBCの番組で、米英の通商関係などについて協議すると述べた。

日本の政府・与党関係者は、財務相を兼務する麻生氏の首脳会談への同席について、ペンス副大統領と同格の副総理の立場になるとしている。

(久保信博 竹本能文 編集:田巻一彦)

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http://jp.reuters.com/article/abe-aso-trump-idJPKBN1570CM?sp=true


 


 

【インサイト】トランプ氏の保護主義で米雇用減少も−トヨタ批判など
増島雄樹
2017年1月23日 12:41 JST

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トランプ米大統領は保護主義が米国の雇用を拡大すると主張、就任直後に環太平洋連携協定(TPP)から「撤退」し、北米自由貿易協定(NAFTA)の「再交渉にコミット」することをホワイトハウスのウェブサイトで公表した。しかし、米国での日本企業の活動を分析すると、自国での生産を増やせば米国での雇用が増えるという単純な話ではないことが分かる。
  他国との貿易不均衡を批判することで、米国の貿易赤字の一部を減らせるかもしれない。しかし、自由な貿易や投資活動を阻害することは、売り上げの最大化を目指すグローバルサプライチェーンを混乱させ、日本企業による米国での売り上げや雇用の減少につながるだろう。

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  米国の主要貿易相手との貿易赤字額をみるとトランプ氏の主張は腑(ふ)に落ちる部分もある。米国の過去12カ月間の貿易赤字額は対中が64%、対日本、ドイツ、メキシコはそれぞれ12%前後を占め、4カ国の合計は総額とほぼ等しい。
  しかし、米国の特定国への貿易赤字額の増加が直ちに雇用の喪失につながるわけではない。トヨタ自動車など、グローバル活動する企業のビジネスに介入することで、むしろ米国内の雇用の減少につながるケースも想定される。

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  実際、外国企業は米国での雇用創出に大きな役割を果たしている。米国経済分析局によると、民間雇用に占める外国企業の割合は2014年に5.2%。日本企業は約85万人を米国で雇用しているとみられ、14年に雇用者数を3万4000人増やし、国別では最大の増加数だ。
  外国企業は米国の輸出の26%、輸入の30.3%に関わっており、関税により貿易収支が改善しても貿易量が減れば、米国内の労働需要の低下につながる。トヨタの工場があるケンタッキー州やミシシッピー州では、トランプ氏が米大統領選で勝利しているが、保護主義の支持により雇用が失われる認識は薄いとみられる。
  米国工場で高品質な生産を行いメキシコや南米に輸出している場合、NAFTAの見直しは明らかに米国での雇用減少につながる。例えば、米国のインスタントヌードル市場で6割、メキシコで9割のシェアを握る「マルちゃん」を米国で生産する東洋水産の株価は、米大統領選後に日経平均株価が大幅に上昇する中で低迷している。
  米国が35%の関税を課した場合、価格上昇による自動車販売の減少の影響で米国の雇用が少なくとも3万1000人減少するとの米自動車調査センターの試算もある。15年のメキシコの対米乗用車輸出のうち40.3%は米国製の部品を用いており、売り上げ減少で営業だけでなく自動車部品工場の雇用が失われると見込んでいるためだ。
原文の英語記事はこちらhttps://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK2I266JTSE901

http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/535.html

[経世済民118] 仏ダノンCEO「人類の食、このままでは破滅」    その働き方で世界に通用する仕事ができますか? 高齢者は海外に仕事を
仏ダノンCEO「人類の食、このままでは破滅」

トランプに勝つ!「サステナブル経営」の極意
“ 社会派トップ”、ファベール氏に聞く
2017年1月23日(月)
蛯谷 敏

 本誌1月23日号の特集「トランプに負けるな!?トヨタ、GE、ダノンの動じない経営」では、トランプ氏の大統領就任が象徴するグローバリゼーションの修正が始まる時代に必要なのは、企業と社会が共に価値を共有し続ける「サステナブル経営」であると位置づけた。Web連載の第2回は、「社会のため」に事業構造をガラリと変えた食品世界大手、仏ダノンのエマニュエル・ファベールCEO(最高経営責任者)のインタビューを掲載する。
 ダノンは、「経済成長と社会貢献の両立」という企業哲学を掲げる。そのトップのファベール氏は、「世界経済フォーラム(通称、ダボス会議)」に対抗して始まった、社会活動家などが集まる「世界社会フォーラム」にも参加したことがあるなど、“社会派”のCEOとして知られる。ファベール氏は、「従来型のグローバリゼーションは限界にきている」と主張。人類の「食」に貢献すると同時に、生態系の保全に注力する。

【インタビューのポイント】

●米国もバングラデシュも格差問題の本質は同じ
●「One size fits all」のビジネスモデルの終焉
●「社会のため」という理念に沿って事業構造を変革

(写真:永川 智子、以下同)
エマニュエル・ファベール(Emmanuel Faber)氏

コンサルティング会社を経て1997年ダノングループ入社。99年にCFO(最高財務責任者)に就任。2000年からダノングループの執行委員会、2002年から取締役会メンバー。2007年に共同COO(最高執行責任者)。2014年、同社初の非創業家出身のCEOに就任。2009年に新興国支援のダノンエコシステムファンドを立ち上げるなど、社会貢献に対する関心が高い。
世界で今、かつてないほど反グローバリズムの機運が高まっています。

エマニュエル・ファベールCEO(以下、ファベール):グローバル化が転機を迎えているのは確かでしょう。

 この50年、グローバル化は急速に進み、それは我々に功罪の両方をもたらしました。「功」で言えば、グローバル化の進展は、貧困にあえぐ国々の経済を底上げし、飢餓に苦しむ人々を減らしました。多くの国で、生活は確実に豊かになっています。

 一方、この10年ほどで、グローバル化の限界も見えてきました。人々に豊かさをもたらした資源の多くが消費し尽くされ、枯渇の危機にさらされています。気候変動も、もはや誰もが他人事に出来ない状況になりました。

 貧困問題も、完全に解消されてはいません。豊かさに格差が生じ、同じ国の中でも、「持つ者」と「持たざる者」が存在するようになりました。状況はより複雑になっています。

そうした複雑な状況の結果が、昨年の英国の欧州連合(EU)離脱やドナルド・トランプ大統領誕生につながったと。

ファベール:格差に対する不満が世界で表面化しているのは間違いないでしょう。今では格差問題は、新興国でも先進国でも起きています。欧州や米国とバングラデシュで起きている格差問題の本質は同じです。グローバリズムに対する疑心暗鬼はかつてないほど高まっていることに違いはありません。

食品業界、カロリー当たりのコスト削減はもう限界

世界をより豊かにしてきたはずのグローバル化が、なぜ、このような状況を招いてしまったのでしょうか。

ファベール:私自身が属している食品業界を例に説明しましょう。

 50年ほど前に遡れば、食品業界は世界のより多くの人を飢えから救うため、できるだけ安いコストで、食料を供給することを目指していました。それは究極的には、人の摂取カロリー当たりにかかるコストを減らすことに等しくなります。

 では、カロリー当たりのコストを大々的に減らすにはどうすればいいのか。最も効率的なのは、規模の経済を働かせることです。大量に生産して、大量に供給し、広く行きわたらせる。規模のメリットを生かせば、単位当たりのコストは劇的に下がります。大量生産、そして大量消費。かくして、量を追う時代が長く続くことになります。

 この発想が生まれた米国では、農業、生産、加工など食産業のあらゆる工程で規模を追うビジネスが進化しました。もともとは、自国民の食料を賄うことが目的でしたが、やがて世界にその手法と食料を輸出していくようになりました。

結果的に、世界の食産業が規模を追う流れが生まれたわけですね。その結果として、グローバル食品企業の誕生につながった。

ファベール:しかし、もちろん、規模をいつまでも追い続けることはできません。カロリー当たりのコストを抑える方策は、限界に近づいています。それが明らかになったのが、この10年だと思います。

 今では、食料を大量生産しようにも、資源が足りません。世界各地で、肥沃な土壌が枯渇しています。食物の栽培や加工に使う水も同様です。地球資源はもはや50年前と様変わりしてしまいました。

 さらにリスクが高いのは、人類が食料を数種類の「種」に依存していることです。例えば、植物では、トマトやトウモロコシなど、15ほどの種が、人類の消費の85?90%を占めています。

 人類の食料を、わずかな種類に依存することはとてもリスクが高いことです。その限られた種、例えばトマトやトウモコロシに問題が起これば、食産業のみならず、人類に大きな影響を与えます。一方で、これらの種をただ単に増やせばいいというものでもありません。生態系の法則で分かっているのは、すべては互いに影響し合うということです。仮に、ある種が急増すると、それは他の生態系にダメージを与え、最悪の場合、破壊してしまうこともあります。

 ですから、これから大切なのは、人類が必要な食料だけを増やすのではなく、自然の生態系を全体で保全していくことなのです。我々はこの活動を、「アリメンテーション(栄養・滋養の意味)・レボリューション」と呼んでいます。国連とも話し合っている壮大な挑戦ですが、この取り組みなくして、世界の資源を維持していくことはできません。

インタビュー全文は、スマートフォンやタブレット端末などでも日経ビジネス本誌が読める「日経ビジネスDIGITAL」の有料会員限定となります。「日経ビジネスオンライン」の無料会員ポイントでもご覧いただけます。
【インタビュー後半のポイント】

●「One size fits all」のビジネスモデルの終焉
●企業理念に合わせて事業構造を大変革
●長期的な視点こそ短期的な利益を生む

「日経ビジネスDIGITAL」でインタビューの全文を読む
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/011700014/011700001/

 


その働き方で世界に通用する仕事ができますか?
高齢者 海外に仕事を求めるべき

若者の邪魔にならず、高齢者がビジネスで活躍する方法

2017年1月23日(月)
松本 徹三
 大企業で活躍しながらも、定年退職後はひっそりとしてしまうビジネスパーソンが多い中で、伊藤忠商事、クアルコム、ソフトバンクで情報通信事業に携わった松本徹三氏は、77歳になった今もなお通信事業に関するコンサルティングなどを手掛け、現役時代と変わらぬ忙しさで世界中を飛び回っている。本コラムの4回目は、高齢者の人材が渇望されている海外ビジネスの現状と、活躍するための条件について、松本氏の豊富な海外駐在体験を交えてお伝えする。

 同世代の商社のOBなどが集まる会合に出てみると、海外、それもあまり英語が通じない東南アジアや中南米の国での仕事に、今なお従事している人達が意外に多いのが分かる。恐らくそういうところでは、需要に比して人材の供給が少なく、その地で昔活躍した人達の力を借りたいという会社が多いのだろう。若い人達をどんどん送り込んで経験を積ませたいと思っても、海外赴任を忌避されることが多く、困っているのかもしれない。

 経営者は、現代の多くの若者が海外に行きたがらない風潮を嘆いて、単純に「積極的でない」とか「引っ込み思案だ」とか言ってこきおろすことが多いが、私はそれ以上にインセンティブがないことが問題だと思っている。勝手を知った日本国内で仕事をしていれば、あまりリスクを負うことなくそこそこの実績を上げて、次のポジションを約束される可能性が高い。それなのに、難しい海外の仕事をさせられれば、失敗の可能性がより大きい一方で、それを補って余りあるようなインセンティブは提示されていないのではないか?


ロシアでのイベントで、中国のテクノロジーベンダーの幹部と歓談する筆者
海外で経験を積める機会は逃してはならない

 もしあなたが将来に不安を感じ、できれば定年後も働きたい(稼ぎたい)と思っているなら、海外で仕事をする機会を積極的に求めるべきだ。理由は簡単で、現在心配されているような「保護主義が蔓延する」動きは「一時的な揺り戻し」に過ぎず、経済のグローバリゼーションは歴史的必然だからだ。そうなれば、知識や経験が自分の国だけに偏っている人では良い仕事はできない。

 本来人間の経済活動というものは、自然体に任すべきだ。つまり「世界中で一番安くできるところから商品が供給され、国境を越えたマーケティングによってそれが流通する」のが最も合理的と考えられており、色々な曲折があっても、この方向が否定されることはあり得ないだろう。それなのに、まずは「国内での生産」「国内での販売」を念頭にものを考え、「余裕ができればそれ(生産も販売も)を海外にも広げていく」という姿勢では、初めから勝ち目はない。

 私は一時期、日本製の携帯電話機を何とかして海外市場に売れないかと、日夜心を砕いたことがあるが、結果ははかばかしくなかった。理由は簡単で、とにかく値段が高いのだ。日本のメーカーには頑固なところがあり「品質を犠牲にするわけにはいかない」の一点張りだった。「市場での返品率が0.5%少なければ、値段は3割ぐらい高くても当たり前だ」と考え、「自分達は進んでおり、買い手が遅れているのだ」とでも言いたいかのようだった。

 韓国や欧州各国の場合は、国内市場が小さいので、初めから世界市場を狙うのが常識だ。しかし日本の場合は、品質には厳しいが値段には甘い「相当規模の国内市場」があるので、そこに安住してしまう誘惑から逃れられないようだった。「まず日本市場を考える」という姿勢から始まる限りは、世界市場で売れる商品の企画ができるわけはなく、世界市場では常に「タイミング」を失してしまうのは明らかなのに、日本企業は一般に「タイミング」ということに鈍感なように思えた。

 そういう経験を経た私の結論は、「海外へ時々売り込みに訪れる」程度では全く駄目で、幹部級の人間が実際に海外に住み、そこで海外向けの「商品の企画・開発」と「販売」の指揮を執ることが必須条件だということだった。しかし、実際にそうした人達は、おおむね相当の傷を負い、社内での競争で脱落していった。つまり、会社が背水の陣を敷いてくれなければ、とても見合わない仕事だったということだ。

たかが英語、されど英語

 私は商社時代には通算9年間アメリカに駐在し、50代の後半から10年近くはアメリカの会社(クアルコム)に勤めた。それ以外でも韓国や中国、東南アジアとの関係が深く、どう考えても「国際派」に属する。逆に言うと、日本国内での「売ったり買ったり」にはあまり経験がない。34歳で初めてアメリカに行ったぐらいだから、英語は実用一辺倒でしかなく、そんなに得手ではないが、日常の仕事は英語で考えをまとめていく方がリズムに乗れる。日本語では言葉数が多くなってしまい、何となくリズムに乗れない。

 実際に海外で仕事をしていれば、コミュニケーションの重要性は痛いほどわかる。端的に言えば、英語で普通にコミュニケーションができなければ、仕事を普通に進めるには極めて大きなハンディキャップになる。「たかが英語、されど英語」なのだ。それなのに、日本人の多くは今なお極端なまでに英語を苦手にしている。英語が苦手だと、「プレゼンテーション」と「ディベート・ネゴシエーション」という「国際的なビジネスを行うための2つの重要なスキル」がともに欠落してしまう。

 日本では、知性派であるという意識の強い人ほど、アメリカ発の「グローバル・スタンダード」に従うことに抵抗感を持つ傾向があるようだ。しかし、これはおかしい。ビジネスを行ううえでの「スタンダード」とは、「共通言語」のような「一種の道具」であり、「何が一番正しいか」ではなく「何が一番広く通用するか」が重要なのだ。

 私は、クアルコム勤務時代に、日本と並んで東南アジア市場の統括を担当したことがあるが、「各国の責任者はできる限りその国の人にする」という原則を作り、実際にそれを徹底した。

 当初は各国の責任者の能力について若干心配したが、結論から言えば、彼らの能力は日本の部課長クラスをしのぐほどだった。問題にアプローチする手順や、比較検討のやり方、結論の出し方が、米国流のグローバル・スタンダードに則っているため、分かりやすいのだ。これに比べて、一般に日本人の中堅幹部のプレゼンテーションは、その人に特有な「思い入れ」が強く出るケースが多く、また、一部が極端に細かい話になって、全体像が把握しにくかった。

どうすれば英語に強くなれるか?

 端的に言えば、私のアドバイスは下記の3点に尽きる。

 第一は、口真似に徹すること。

 その意味では、盛んに宣伝されているスピードラーニングなどの「聞き流し教材」も大いに役に立つかもしれない(私自身は試みたことはないが)。そもそも子供が言葉を覚えるのは、まずは周囲にいる大人がしゃべっていることを口真似して、次第に「ああ、こういう状況ではこういうことを言うのだな」と理解していっているのだ。

 (ちなみに、今の日本の学校での英語の教え方は根本的に変えたほうが良い。文法とか文脈の作り方などについては、先生が解説するやり方でも良いが、講読や発音はすべてネイティブに喋ってもらったビデオやCDを使うべきだ。)

 第二は、体裁と羞恥心を捨てること。

 日本人は、大体において、完璧でないと恥ずかしいと思い、失敗を極度に恐れる傾向がある。だから自信のない外国語は喋りたくないのだ。しかし、これではまったく上達はしない。ブロークンでもいいから、とにかく喋りまくらなければ、覚えられないし、誰も間違いを指摘してくれない。

 しかし、さすがに同じ日本人同士ではこれをやりにくいから、外国人をつかまえて喋りまくるしかない。英語の場合は、米国人や英国人、カナダ人やオーストラリア人をつかまえれば一番良いが、フィリピン人でも全然いい。インド人やシンガポール人は、人によってはなまりが強すぎるが、贅沢は言っていられない。韓国人や中国人を含む、英語を母国語としない人達でも、英語しかコミュニケーションの手段がないなら、相手としてまったく不足はない。

 そして第三に、私は「書くことの重要性」を強調したい。

 メール、 LINE、 Twitter、 Facebook、 ブログ、何でもいいから、思ったことを短文で書き散らすのだ。しかし、できるだけきちんとした英語で書くことが望ましいから、この機会をとらえて、中学・高校時代に勉強した英文法の教科書を引っ張り出して、おさらいをすることを強く勧める。

 これは一見、第一と第二のアドバイスと矛盾するように思えて、意外に感じられるかもしれないが、仕事で英語を使っていこうと思えば、決して外してはならないトレーニングだ。同じ米国人でも、都市部出身の政治家などは実にきちんとした英語を喋っており、そのほうが我々外国人にもはるかに分かりやすい。

 我々自身も、本当に理解してもらおうと思うなら、くだけた英語を話して格好をつけるよりも、極力きちんと文法に従った英語を話すように心がけるべきだ。さらに言うなら、仕事上のコミュニケーションは、電話会議だけでごまかそうとせずに、事前と事後に論点を整理したメールを送るなどして、本当に意が通じているかどうかを確認すべきだ。失礼ながら、私の見るところでは、普通の日本人が電話会議で理解できているレベルは、相手の外国人が思っている半分以下だと思う。

高齢者が海外に仕事を求めるべき理由

 これはこのコラムのテーマでもあるが、高齢者は少しぐらい効率が良くなるという程度の理由では、若者の邪魔をしてはいけないし、その仕事も奪うべきではない。それならば、仕事の場は、より手薄なところに絞るべきだ。そして、現時点では、海外関係の仕事が手薄になっているのは明らかなので、まずは自分の経験が活かせるような国を選び、そこでの仕事を引き受けることを、大いに売り込んではどうだろうか?

 高齢者の場合は、現役世代と異なり、既に子供達は独立しており、かなり身軽になっている。思い立って海外に居を移すことを考えても、比較的障害は少ない。それなら、今すぐにでも「思い立つ」べきだ。

 明治時代の啓蒙家、徳富蘇峰は、「すべてのことを広く浅く知り、一定のことについては誰よりも深く知る」ことを、ジャーナリストや教育者に求めたが、これは現在の一般の会社員に対しても言えることだ。

 高齢者は長い間仕事をしてきたので、知識や経験の範囲は十分広いだろうから、第一の条件である広い知識はクリアできる可能性が高い。しかし、第二の“誰よりも深く知る”という条件は、自分の持ち場で本気で働いてきた人でなければ、なかなかクリアはできない。従って、あなたがもし後もできるだけ長く仕事がしたいのなら、現役時代からこのことを十分意識し、「この辺のことを俺以上に分かっている奴は、まずいないだろうなあ」とうそぶけるようにしておくべきだ。

 それから、もしあなたが上層部の覚えめでたく、思いがけぬ昇進を重ねていったとしても、決してそれに悪乗りしてはいけない。部下の報告を聞いて難癖をつけたり、さらなる調査を命じたり、そのことに関する社内の政治バランスを考えるだけの仕事に慣れてしまうと、自分で新しいものを探したり、新しい発見に興奮したりすることがなくなってしまうからだ。そうなると、あなたのビジネスキャリアはそこで終わってしまう。

 日本人の多くは「仕事は誰かが与えてくれるものだ」と思っているようだから、その辺の意識は極めて希薄だが、外国人は生涯を通じて「毎日が就活」と思っている。「自分のレジメをどれだけ魅力的にするか」を何時も考えている。その源泉は「自分の力で新しい仕事を創り出す」ことだ。今の多くの日本人のレジメでは、とても海外では通用しない。


このコラムについて

若者の邪魔にならず、高齢者がビジネスで活躍する方法
 大企業で活躍しながらも、定年退職後はひっそりとしてしまうビジネスパーソンが多い中で、伊藤忠商事、クアルコム、ソフトバンクで情報通信事業に携わった松本徹三氏は、77歳になった今もなお通信事業に関するコンサルティングなどを手掛け、現役時代と変わらぬ忙しさで世界中を飛び回っている。このコラムでは、この様なユニークな生き方をしている松本氏からのメッセージを、若い頃の同氏の「仕事に対する取り組み方」を示すエピソードも交えながら、5回に分けてお伝えする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/120500090/011900004/

http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/228.html

[経世済民118] どこが危機?好調維持の韓国市場 政局不安関係なし 株式やウォンは順調 米大統領就任でトランプラリーの行方は:識者はこう見
どこが危機?好調維持の韓国市場 政局不安関係なし
数々のスキャンダルを受けても株式やウォンは順調に推移をしている
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韓国大統領の弾劾を受けてソウルに集まったデモ参加者たち(12月9日) PHOTO: SEONGJOON CHO/BLOOMBERG NEWS
By
JONATHAN CHENG IN SEOUL AND ESE ERHERIENE IN HONG KONG
2017 年 1 月 23 日 11:55 JST
 韓国では大統領が弾劾を受け、国内最大財閥の事実上トップが政府からの見返りを目的に贈賄を行ったとして捜査を受けている。しかし低調が続いた韓国市場が突如勢いづく中で、これら事態を受けても投資家たちは強気姿勢を維持したままだ。
 昨年の秋に汚職スキャンダルが浮上して以降、韓国総合株価指数(KOSPI)は18カ月来の高値まで上昇。外国人投資家は韓国の株式市場に10億ドル(約1143億円)を投入したが、これは域内では日本市場に次ぐ額になる。また調査会社のサクソ・マーケッツによれば、韓国の債券市場にも外国資本が12億ドルも流れ込んでいる。2017年に入り、韓国通貨ウォンはロシアのルーブルに次いで世界2位の上昇率を見せている。
 また韓国政府は10年債を先週10億ドル相当発行したが、指標の米財務省証券10年債とのスプレッドは予想よりも低かった。18日には政府系の韓国輸出入銀行もニューヨークで15億ドル相当の債券を発行したが、応募超過のため予測よりもタイトな発行設定となっている。

政治的混乱が続く中でも韓国の株式市場は上昇を見せている
https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AU489_SKMARK_16U_20170120053906.jpg

 数カ月にわたり検察の標的となっているサムスン財閥も、スキャンダルをものともしない状況が続く。スマートフォンを製造するサムスン電子の株価は、昨年1年間で約65%も上昇。サムスン財閥の事実上トップである李在鎔氏への逮捕状請求を裁判所が認めないと発表した19日には、さらに1.5%の上昇を見せた。20日にはKOSPIが0.3%下落する中で、サムスン電子も0.7%下げた。
 メディアには過激な見出しが並ぶ中でも、投資家たちは韓国株が割安だと判断。また同国の基盤も比較的安定していると見ている。国際通貨基金(IMF)は今年の世界経済成長率が去年の3.1%から3.4%に達すると推測するが、韓国市場も回復基調が見られる世界経済に後押しされるとする見方もある。
 韓国の大企業が輸出に依存することもあり、同国は世界の貿易動向の行方を占う立場にあるとされることが多い。しかしドナルド・トランプ米大統領の就任によって保護主義が勢いを増す可能性が懸念される中でも、韓国市場は影響を受けていない。昨年12月に韓国の輸出額は2カ月連続の増加を記録。ここ2年にわたり輸出は低迷をしていたが、今年こそ回復を見せるのではないかと期待が寄せられている。
「政治や企業に関する問題で話題性の高いネタは投資家も好きだが、通貨市場は実際には国際的な要因によって動くことがほとんどだ」とBNPパリバ インベストメント・パートナーズで新興国市場債券の担当をするブライアン・カーター氏は話す。
 長期的に見れば保護主義などの問題が今の状況に影を落とす可能性もある。しかし香港のミレー・アセット・グローバル・インベストメンツで共同最高投資責任者を務める ラフール・チャドハ氏は、今後1年から2年の間に何かインパクトが感じられるような状況にはならないだろうと指摘する。
 それ以上に鍵となっているのは、政変や大規模なデモなどが実施されているにもかかわらず韓国の政治体制が安定を見せていることだ。
 チャドハ氏は「国民は明らかにシステミックリスクではないと考えている」と指摘。今の事態も「あくまでも孤立した問題であって、対処できると考えられている」と続ける。「韓国経済は高度に発達しており、体制もしっかり機能している。うまくいけば次の選挙も半年以内には行われることになる」と楽観的だ。
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http://jp.wsj.com/articles/SB11177354273695693774104582575872651643862

 

ギャラクシーノート7の過熱、バッテリーに原因=サムスン
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サムスンは23日の発表文で、ギャラクシーノート7の過熱はバッテリーが原因であることが判明した、と説明した。 PHOTO: AHN YOUNG-JOON/ASSOCIATED PRESS
By
TIMOTHY W. MARTIN AND EUN-YOUNG JEONG
2017 年 1 月 23 日 13:06 JST
 【ソウル】韓国のサムスン電子はスマートフォン(スマホ)「ギャラクシーノート7」の過熱は供給会社2社の製造過程とバッテリーの設計が原因だったとの見方を示した。同機種の過熱・発火問題は昨年、250万台のリコールにつながった。
 サムスンは23日の発表文で、「バッテリーが原因であることが判明した」と説明した。
 同社の説明によると、独立系調査会社2社の調査で、サムスン系列バッテリーメーカー1社製のバッテリーの右端が圧迫され過熱したことが判明した。また、同機種の交換品に搭載されたバッテリーには「溶けた部分」があったという。
 ウォール・ストリート・ジャーナルは20日、バッテリーが本体の接続部分に正しく適合されていなかったことと、生産急増に関連した製造上の問題が今回の問題の原因だったようだと報じていた。
 会社側の説明によると、今回の調査には約700人のサムスンの研究員やエンジニアが協力し、20万台超のスマホ完成品と3万個超のバッテリーを調査した。独立系調査会社もう1社の調査ではサムスンのサプライチェーンに問題は見つからなかったという。
 同社は今後、「数段階の」安全対策や8段階に及ぶバッテリーの安全点検、バッテリー専門家による社外委員会などを設けると明らかにした。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiD8cvut9fRAhWFGJQKHZp6BKAQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10852398588237353609804582576320978311332&usg=AFQjCNE4rLQYkKaGxNAPOVnGSKNsAcizZw


 


米大統領就任で「トランプラリー」の行方は:識者はこうみる

[東京 23日 ロイター] - ドナルド・トランプ氏が米大統領に就任したことで、東京市場では「トランプラリー」の行方が焦点となっている。20日の米大統領就任式では、保護主義的な政策が前面に打ち出された一方、減税やインフラ投資など市場が期待した政策には踏み込まなかった。市場関係者の見方は以下の通り。

<FXプライムbyGMO常務取締役 上田眞理人氏>

トランプ新大統領の就任演説は、スローガンに終始し、市場が期待していた財政拡張に対するコミットメントは示されなかった。

逆優先順位とも受け取れる「止める事リスト」、すなわち、環太平洋連携協定(TPP)やオバマケアなどは改めて示されたが、インフラ投資や法人税減税については触れられなかった。

米国では各地で「反トランプデモ」が起こり、アメリカが分断されていることが浮き彫りになったため、為替市場はリスクオフ的なムードが広がり、ドル安となっている。ドル/円で112円を下回れば、110円前半が照準に入ってくる。

中長期的には、今後、主要閣僚人事が承認され、具体的な政策が出てくるまで、動きづらいが、トランプラリーで構築された短期筋のドルロングは依然市場に残っている。

テクニカルにも、底流にあるドル高トレンドが終わったとは言えない状況だ。

ただその一方で、トランプ政権では、国内政策のみならず、対外政策でも政治的な不確実性が付きまとう。

特に対中東政策を巡っては、テルアビブにある在イスラエル米大使館をエルサレムへ移転する計画など、今後の政治リスクの高まりを軽視するわけにはいかない。

<ケイ・アセット代表マーケットアナリスト 平野憲一氏>

米国のトランプ新大統領の「米国第一主義」を強調した演説は、市場の予想通りの内容といったところだろう。だが、外為市場でドル/円は円高方向に振れ、米金利の上昇も一服している。グレートローテーションの一時的な逆流は起こるだろう。演説直後に環太平洋連携協定(TPP)からの離脱と、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を宣言した。こういった通商政策の変更について株式市場も注視していかなければならない。特にTPP離脱は日本にとって重要な影響をもたらすが、日米二国間の貿易協定など形を変えた協力関係は残ることになろう。日経平均は短期的には調整局面に入るが、1万8500円もしくは直近の安値である1万8650円あたりが下値となるだろう。当面は1万9000円を確保できるかが焦点だ。25日移動平均線(1万9282円75銭=20日)を回復することができたら調整は一段落し、反騰に入ったと捉えてよい。

<野村証券エクイティ・マーケット・ストラテジスト 伊藤高志氏>

米大統領就任演説は、いい意味でも悪い意味でもサプライズはほとんどなかった。米国市場では週末、VIX指数.VIXが低下した。無事にイベント通過となったが、週明けはドル安/円高が進み、日本株も機械的に反応している。ただブレグジット(英国の欧州連合離脱)や、米大統領選の局面では、もっと派手に為替は動いていた。それと比べると振れは小さく、すう勢が変わったとも言い難い。演説では米国第一主義が高らかに宣言された。今後は他国とのいざこざもあり得るとの受け止めが一部であるのだろう。だがトランプ米新大統領が何を言おうが、米国経済はしっかりしている。米金利の先高観も示されている。日米金利差拡大となれば、円安圧力がかかり日本株の下支え要因となる。保護主義政策も、極端な政策は事実上不可能だ。米国内の「さびついた」地域に雇用を持ってくるということと、保護主義というのは同義ではない。TPP(環太平洋連携協定)離脱表明も、すでにかなり前から市場には織り込まれていた。トランプ政権の政策も常識的なものに落ち着くという見方が、週末からの先進国市場の反応ににじみ出ている。

<三井住友銀行チーフストラテジスト 宇野大介氏>

トランプラリーの推進力は、先進国で低成長が常態化し、新興国経済に息切れが目立つ中、覇権国である米国がインフラ投資や減税を実施すれば、経済に相応の効果をもたらすとの期待だった。しかし、20日の大統領就任演説を経て、金融市場では、政策の中身や具体性が乏しいとの見方が広がり、トランプ政策に対するこれまでの「高すぎる評価」は修正を強いられている。色々な意味合いで成熟したこの世の中で、トランプ大統領の就任をもって、劇的なゲームチェンジは起こるはずもない。米国が財政余力に乏しく「無い袖は振れない」ことが、具体性欠如の背景にもなっている。結局、トランプ政策の着地点は、財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」の拡大で、米国、そして世界にとって百害あって一利なしである。ドル/円の年間見通しについては、トランプラリーが終焉したことを踏まえて、107.50―117.50円へと修正するが、今後ドルのニューショートを誘う材料が出てくれば、下限の調整が必要になるだろう。安倍首相が20日に行った施政方針演説は「日米同盟こそが外交・安全保障政策の基軸である。これは不変の原則だ」とトランプ氏に向けたメッセージで始まった。偶然にも演説と同日になった大統領就任式では、あたかも日本を想定したかのように、米国は荒廃と衰退と引き換えに、何十年も他国の産業と軍事力を豊かにしてきたと、トランプ新大統領は述べた。さらに昨年11月半ばの安倍・トランプ会談後に、安倍首相が米国のTPP離脱の翻意を可能と述べた直後、トランプ氏は離脱を表明している。こうしたすれ違いに見て取れるように、日本は、通商・安全保障面において、戦後のリーダーシップを米国に求め望んでいるものの、当の米国・トランプ新大統領はそれを完全に否定し、保護(プロテクション)こそが偉大な繁栄と強さに繋がると、米国一国主義を最大のスローガンとして掲げている。為替相場への示唆としては、他国である日本に都合の良い円安を提供する気はさらさらないということとなり、安倍首相の望む為替円安においても、米新政権から譲歩を引き出すことは、これまでの経緯を踏まえれば、更に一層の困難を極めるものと推察される。

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏>

ドル/円はじりじり値を下げているが、基本的に昨年末からの「トランプラリー」のスピード調整とみている。トランプ政権の財政政策が実際に稼働する10カ月以上も前に中身も見ないで17円以上もドルが買われたのは、さすがに勇み足。マーケットは、政策の具体的な中身を確認したいというモードに変わってきている。ただ、今の局面でトランプ財政に対する「期待の貯金」がすべて消えたかといえば、そういうことはない。トランプラリーの起点が101円だったとすれば、112─113円まで下がったとしても自律反落の範囲内とみていいだろう。3月末までのドルのレンジは107─118円を想定している。予算教書のように完全なかたちではなくても、トランプ氏のツイッターなどを通じて具体的な減税やインフラ投資の内容が出てくれば市場は安心してドル買いとなるだろう。一方、議会との交渉をまとめていく求心力がなく、いつまでったても具体策が出てこなければ110円割れもあり得る。トランプ氏は保護貿易主義、関税政策など様々なことを言っているが、それらの要因を全部まとめてドル高なのか、ドル安なのか方向をまとめていくことは非常に難しい。ただ、トランプラリーを刺激したのは、完全雇用状態の米国経済に減税と公共投資で強烈な刺激を入れるというインパクトだった。市場はまず、その中身がどうなるのかを見極めにいくことになる。

*内容を追加しました。

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[国際17] 米国の「分断」、トランプ大統領就任で加速も 政権は敵対的な対中関係に トランプ対ロ制裁緩和に待った−シューマーら法案提出
焦点:米国の「分断」、トランプ大統領就任で加速も

[ワシントン 22日 ロイター] - 米ワシントンで22日、トランプ新大統領に抗議する女性らのデモが行われた。終了後、ホワイトハウスを取り巻く数ブロックには「愛は憎しみに勝つ」や「壁ではなく橋を築こう」と書かれたプラカードが散乱していた。

その前日にも行われた大規模デモに参加したメアリー・フォスターさんは、トランプ支持者と反対派について「私たちの溝は一層深まっているような気がする」と指摘。ニューヨーク州から来たというフォスターさんは、皆が一致する物事がかつては多くあったが、今は中立という立場がなくなり、溝が広がっているように感じるという。

これは米国人に広く共有されている考えだ。ピュー・リサーチ・センターが19日公表した調査によると、米国人の86%が昔より米国の政治的な分裂が広がっていると回答。オバマ前大統領の就任を控えた8年前の46%から急増した。

多くの人は、こうした分裂がトランプ氏によってさらに悪化すると予想する。トランプ氏は22日、自身に対するデモについて「昨日の抗議活動を見たが、投票直後のような印象を感じた。この人たちはどうして投票しなかったんだ」と皮肉を込めてツイート。また、「いつも同意するわけではないが、自分の考えを表現する権利は認める」と投稿した。

ロイターが取材したデモ参加者のほとんどが、大統領選でクリントン元国務長官に投票。大規模デモはクリントン氏が勝利したカリフォルニア、ニューヨーク、イリノイ、マサチューセッツの各州とワシントンDCで行われた。

トランプ氏は20日の就任演説で国民結束にはほとんど触れず、さびれた工場が立ち並び、犯罪にあえぐ国を「アメリカの殺りく」だと表現し、自身の支持者らに訴えた。

<議会が状況を悪化>

大統領と連邦議会を共和党が占めたことから、政党間の溝は次回の議会選が行われる2年先まで深まるとみられている。

ブラウン大学で政治学を教えるウェンディ・シラー教授は「安全保障から人権、気候変動まで、重要問題を巡り米国に既にあった分断をトランプ氏が悪化させてきたのは間違いない」とし、「国を分断させることは選挙に勝つ手段だったが、政府を成功させる手段ではない」と語った。

上下両院を支配する共和党にとっては、党派を超えて意見をまとめる必要はなくなる。民主党もまた、中間選挙に向けて妥協を図るより共和党の提案に激しく反対することを選ぶ可能性が高いと、政治評論家はみる。

タフツ大学のジェフリー・ベリー教授は、民主党議員のイデオロギーは左寄りになり、一方の共和党議員は右寄りに移るとの見方を示し、「議会が状況を悪化させる。抑制力にはならない」と述べた。

(Scott Malone記者 翻訳:橋本俊樹 編集:吉瀬邦彦)

*見出しを修正して再送しました。

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トランプ政権は「敵対的な」対中関係に向かっている−シティ
Bloomberg News
2017年1月23日 12:22 JST

米国のトランプ政権は貿易政策をめぐって対立する中国との間で緊張関係に向かっているようだと、シティグループが指摘した。同行はまた、中国製品に対して米新政権が一段と保護主義的な措置を導入する恐れがあると警告した。
  シティは商品相場の展望に関するリポートで、「トランプ政権が中国と敵対関係に向かっている兆候が増えている」と分析。貿易戦争は回避できるとの見方は堅持するものの、両国間の「貿易摩擦は拡大する」と予想した。
  シティは「米国が大幅な対中赤字を抱えているセクターや国有企業のプレゼンスが顕著な部門で、中国を攻撃的に狙い撃つ可能性が高まっている」と指摘。その上で、中国には世界貿易機関(WTO)への提訴のほか、レアアース(希土類)など戦略的に重要な商品の輸出禁止といった対抗措置を講じる選択肢があると記した。
原題:Trump Heads for ‘Antagonistic’ China Relations, Citigroup Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK7PGX6S972H01

 
トランプ氏の対ロ制裁緩和に待った−シューマー氏らが法案提出へ
Anna Edgerton
2017年1月23日 10:48 JST

法案は超党派の支持を確保−民主党のシューマー上院院内総務
いかなる対ロ制裁の変更も議会採決を義務付ける内容

トランプ米大統領がロシアに対する制裁を一方的に緩和する権限に歯止めをかける法案について、議会民主党は超党派の支持を確保した。同党のシューマー上院院内総務が明らかにした。

  同法案はいかなる対ロ制裁の変更も議会採決にかけることを義務付ける内容。シューマー氏は22日の発表資料で、イラン制裁を緩和する大統領の権限を制限するために共和党が2015年に提出した法案に似ていると説明した。この法案は超党派の支持を得て大差で可決された。

  シューマー氏はABCニュースの番組で、制裁の解除は米国の選挙に干渉しても構わないとロシアに伝えることになり、「それは恐ろしいことだ」と語った。

  トランプ氏は今月、欧州2紙とのインタビューで対ロ制裁について、ロシアとの核軍縮交渉の材料として使う可能性を示唆していた。
  シューマー氏によると、法案は今週提出される予定で、共和党のマケイン、グラム両上院議員の支持を既に確保しているという。

原題:Schumer Proposes Bill Limiting Trump on Easing Russian Sanctions(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK7LP66K50XS01

http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/475.html

[経世済民118] トランプ大統領に奇跡は起こせるか=元FRB副議長 「第4次産業革命」と中間層の闘い 賃金格差解決可能 株式警戒、盲信禁物
【寄稿】トランプ大統領に奇跡は起こせるか=元FRB副議長
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トランプ氏が米大統領選に勝利して以来、株式市場は活発な動きを見せている PHOTO:ISTOCK/GETTY IMAGES
By
ALAN S. BLINDER
2017 年 1 月 23 日 16:12 JST
――筆者のアラン・ブラインダー氏はかつて米連邦準備制度理事会(FRB)の副議長を務め、現在は米プリンストン大学教授。
***
 ドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝利して以来、株式市場は活発な動きを見せている。株式トレーダーをこれほど興奮させたのは、経済成長が加速するという見通しだとされている。本当にそうだろうか。
 トランプ氏は実質国内総生産(GDP)成長率を大幅に、恐らくは3.5%や4%、もしくはそれ以上へ引き上げると公約している。ヒラリー・クリントン氏とラスベガスで行った討論会ではこう述べた。「実際には4%以上にできると考えている。5%や6%へ到達できるだろう」。幸運を祈りたい。
 面白い史実がある。ハリー・トルーマン政権以降、経済成長率は大統領が民主党から共和党に代わるたびに低下し、共和党から民主党に代わるたびに上昇している。バラク・オバマ前大統領の2期目はGDPの平均成長率が2.2%程度となる。これを上回っただけでも歴史からは大きく逸脱することになる。
 トランプ政権は、例えば4%の成長をどのように達成できるだろうか。主に財政刺激策を用いてだと市場は考えているようだ。まず需要サイドから考えてみたい。
 読者は、2009年に共和党が財政刺激策では成長など全く上向かないと主張していたことを思い出すかもしれない。だが昔は昔、今は今だ。今回は同じ共和党の多くの議員が、財政刺激策は特に所得税減税であれば非常に強力だと訴えるのだろう。
 経済にスラック(余剰)が多い場合、そして歳出や減税が需要創出に的を絞り込んでいる場合、財政政策の効き目が強いことは分かっている。09年は両方の条件が少なくともある程度はそろっていた。だが、経済がほぼ完全雇用の状態にあり、トランプ氏の減税案が富裕層へ大きく偏っている17年は、いずれの条件もそろいそうにない。
 その上、FRBは決して経済が過熱しないようにするだろう。FRBの当局者らは信じられない気持ちで首を振っているに違いない。彼らは実質的には何年もの間、需要を刺激することで経済を低迷から救い出すよう議会に要請した。だが議会は正反対のことをした。いまでは刺激策の必要がないのに、議会は実施を目指している。結果として金利が上昇することは想像に難くない。
 では、トランプ流の成長の奇跡を供給サイドから起こすことはできないだろうか。うまくいかないことはとっくに分かっている。エコノミストのウィリアム・ゲール氏(民主党支持)とアンドリュー・サムウィック(共和党支持)は昨年、減税の供給サイドへの影響に関する膨大な学術研究を包括的に評価した。その結論は「米国では税制の大幅な変更に成長率の目に見える変化がほぼ伴わないことを過去のデータが示している」というものだった。しかし、富裕層の税率を引き下げれば、持たざる者から持てる者への所得再配分が行われる。株式トレーダーの笑いが止まらないのはこのためと思われる。
 いずれ誰かが、トランプ氏の供給サイドの政策には減税以上の意味があると指摘するだろう。その通りだ。インフラ建設の拡大は名案だが、目先の刺激効果は小さい。その上、アラン・クルーガー氏(プリンストン大学教授)との先月の寄稿で指摘したように、民間資本を活用するというトランプ氏の計画では、われわれが必要とする類のインフラ計画の資金をまかなえないだろう。幸いなことに、ウィルバー・ロス新商務長官は指名承認公聴会で、トランプ氏のインフラ計画は民間資本以外も取り込むと言明した。
 規制撤廃についてもほぼ同じことが言える。一部はそうすべきだが、魔法でも信じない限り経済成長に大きく影響することはなさそうだ。さらに重要なことに、撤廃の効果はどの規制をなくすかで変わってくる。顕著な例を挙げると、トランプ氏は10年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)の撤廃を公約している。確かに同法は気が狂いそうなほど複雑で、成長率をやや押し下げる可能性さえある。だが、08年に世界を襲ったような災難からはしっかり身を守れる。一部の環境規制はGDPの伸びをやや抑えるかもしれないが、飲料水や大気の汚染で病気になるリスクは低下する。
 トランプ氏が何より望んでいる供給サイドの奇跡は、全くの運次第だ。なぜなら、長期の経済成長は主に技術の進展によって促されるためだ。だが技術の進展、もっと厳密に言えばそのGDPへの影響は、ジョージ・W・ブッシュ政権の間に急減速し、オバマ政権下でも復活しなかった。具体的に言うと、いわゆる「多要素生産性の伸び率」(伸びれば同じ投入量でも産出量が大きくなる)は、95年〜05年の年平均が1.6%と高かったが、05年〜15年は0.4%へ急低下した。エコノミストらはこの原因を推測しているが、本当のところは誰にも分からない。
 生産性が伸びなくなった理由が誰にも分からないため、いつ息を吹き返すかも誰にも分からない。大統領になってからのトランプ氏が大統領候補のときと同じくらい幸運であれば、多要素生産性の伸び率は不思議と持ち直し、48年〜05年の平均に当たる1.3%あたりへ達するかもしれない。そうなれば、トランプ政権が指一本動かさずとも、そしてロシアのプーチン大統領の助けがなくとも、2.2%の成長率は3.1%へ加速するだろう。
 分別のある人ならこんな結末は予測しないだろう。だが考えて見れば、分別のある人はトランプ大統領の誕生など予想だにしなかった。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiOsKrh4dfRAhXGopQKHc4hD4EQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10852398588237353609804582576573042465422&usg=AFQjCNEkdgLBd7r6FnY7sx5nZsbAiYawMQ

 


 
「第4次産業革命」と中間層の闘い
テクノロジーによる賃金格差の拡大はテクノロジーで解決可能
世界経済フォーラム(ダボス会議)の討論会に参加したマイクロソフトのサティア・ナデラCEO  
By CHRISTOPHER MIMS
2017 年 1 月 23 日 14:25 JST

――筆者のクリストファー・ミムズはWSJハイテク担当コラムニスト

***

 暗黒郷(ディストピア)を題材にしたSF作品が大ヒットしているが、それには理由がある。そうした世界がますます現実味を帯びているからだ。「ハンガー・ゲーム」から「エリジウム」に至るまで、いずれも富と所得格差の拡大がとことん進む世界を描いている。

 そうした筋書きは避けられないようだ。歴史がそれを示している。自動運転車に職を奪われかねない何百万人ものトラック運転手は、自分たちの職を奪った自動織機を破壊したラッダイト運動の労働者たちをほうふつとさせる。

 われわれは今、自動化、人工知能(AI)、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーなどの急速なイノベーション(技術革新)に象徴される「第4次産業革命」のさなかにいる。

 このことは、先週開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)でも話題に上った。マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)はAIに関する討論会で、それが社会不安や過度の規制を招きかねないと指摘。「うまく対処しなければ、悪循環が生じる」と述べた。

 そうした産業革命は、少なくとも長期的に見た場合、大量の失業者を生むことにはならないとエコノミストは主張している。筆者も以前、自動化によって、より多くの新たな種類の仕事が生まれると書いた。ジャネット・イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長によれば、米国は完全雇用状態に近づいている。工業化から200年以上たった今も、大量の失業者が出ていないのは、より多くの新たな種類の仕事が創出されているからだ。

労働市場の「二極化」

 しかし、仕事は手に入るとはいえ、率直に言って、その中身は以前とは同じではない。生活水準を向上させたとテクノロジーを称賛するエコノミストも、人々は昔ほど賃金や見返りの良くない雇用形態を余儀なくされていると指摘している。

 中間層が製造職や事務職を失い、労働者がサービス業に移行したとき、彼らの賃金や福利厚生、職の安定に対する影響によって、エコノミストの言うところの「二極化」が進んだ。二極化された労働市場では、少数の高技能労働者、すなわちテクノロジーを活用して生産性を高められる人たちが、実質的に他の労働者に取って代わり、相応の支払いを受けるようになった。一方、その他の人たちの運命は暗転した。

 二極化によって最も打撃を受けているのは中間層だが、人間の労働の価値の切り下げは高所得層にもいずれ及ぶ、と賃金格差を専門とするエコノミスト、ブランコ・ミラノビッチ氏は指摘する。

 その一因は、われわれが以前にも増して、高賃金の知的職業を排除できるようになっているからだ。コールセンターから人事部門まで世界大手企業のあらゆる業務の自動化を手掛けるシンフォニー・ベンチャーズの共同創設者イアン・バーキン氏によると、こうした現象は「ノーショアリング」と呼ばれている。つまり、事務作業のデジタル化で業務が国内回帰(リショアリング)しても、雇用は戻ってこないという現象だ。

 やはり多国籍企業の重要なビジネス機能の自動化を支援するブループリズムのアラステア・バスゲートCEOは「英国の電力小売り顧客の一社では、300台のロボットが600人分の仕事をこなしている」と話す。

 さらにバスゲート氏は「それが相当大きなインパクトであることは想像がつくだろう」とし、「以前なら600人のスタッフを常駐させるためにビルが一棟必要だったが、今ではデータセンターの隅にキャビネット一台あれば済む」と述べた。

AIが加速する知的職業の排除

 この傾向をAIが加速させる可能性がある。こう話すのは、アポまで取れるスマートなデジタル・アシスタント・システムを開発した新興企業x.aiのデニス・モーテンセンCEOだ。

 同社でAIアシスタントをトレーニングした際、最初は米国の一流大卒者たちを雇い、ニューヨーク・マンハッタンのオフィスで働いてもらっていたが、トレーニングの大半が済むと、残りの作業は国外にアウトソースできたという。

 モーテンセン氏によると、AIボットの特定の利用ケースについて解決できれば、あとは問題ないことが分かったという。

 AIの生産性とAIの開発・維持に要した人員の数を図表化してみると、AIの影響は一目瞭然だ。モーテンセン氏の経験では、AIが達成できるタスクの数はある時点で急激に増える一方で、必要な人員ははるかに遅いペースで増えるか、変わらないという。

 それがわれわれの経済の自動化可能なタスク全てに起こった場合を想像してみてほしい。マッキンゼーが今月公表した最近の調査によると、既存のテクノロジーを利用するだけで、労働者が仕事に費やす時間の49%は自動化によって置き換えることができるという。

解決策は技能ギャップの是正

 だが、こうした移行を昔よりも意図的に操作できる可能性はある。

 二極化への対応策の一つは、労働者に求められる技能と彼らが実際に持つ技能とが合致しない「技能ギャップ」を是正することだ。例えば、米労働統計局の予測では、2020年までに最大100万のプログラマー職が不足する見通しだ。

 技能ギャップの解決策として教育が頻繁に挙げられるが、それは概して鈍器にしかならない、とシリコンバレーのシンギュラリティ大学でこの問題の解決策を研究したミュリエル・クローソン氏は話す。

 クローソン氏らが考案した解決方法は「udexter」と呼ばれる。AIを利用して各職務を構成するタスクを研究し、どのタスクが自動化可能かを見極め、それによってどの職務が最もリスクにさらされているかを特定しようとするものだ。各個人が持つ技能を評価できれば、政府や企業は解雇される労働者が他のどの職務に適しているかを見極め、恐らく前もって、その技能を彼らに身につけさせることが可能になるはずだ。

 ただし、このような解決策は、企業が労働者確保にそのようなツールを活用する意欲がどれほどあるか、あるいは、解雇された労働者が、政府が支援する再教育プログラムで、ますます適応力が高まる機械に勝る技能を身につけられるかどうかにかかっている。

 ダボス会議で多くのCEOや政府首脳がテクノロジーによる雇用の「破壊」を話題にしたということは、まだ万策尽きたわけではないということだ。

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株式市場の強気姿勢を警戒せよ、盲信は禁物
信頼感は伝染するが、それに基づいて行動するのは危険だ

By JASON ZWEIG
2017 年 1 月 23 日 16:09 JST

――筆者のジェイソン・ツヴァイクはWSJパーソナル・ファイナンス担当コラムニスト

***

 信頼感は伝染する。しかし、それに基づいて行動するのは危険である。

 最近少し値を下げてきたが、S&P500種指数は昨年11月の米大統領選以降で6%近くも上昇しており、各種調査によると投資家は急激に楽観的になっているという。

 いい気分に浸るのは結構だが、警戒もしなければならない。新たな調査では、他人の信頼感が自らの経験以上に自分の判断に影響を与え得るということがわかった。株式も債券も同様に割高な今、投資家は他の人々の感情に押し流されるリスクに対して通常以上に用心する必要がある。

 先週、ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス誌に掲載された記事によると、人間の脳の特定の部位は他の人々がその選択についてどれほど自信がありそうかをモニターしているという。

 調査を率いた英サセックス大学社会的決定研究所の心理学者、ダニエル・キャンベル・メイクルジョン氏は「われわれには、自分の考えに関して、より自信がある人々からより大きな影響を受けてしまうという性質が生物学的に備わっている」と話す。

 同氏らが実施した調査では、被験者たちは容器から次に取り出される玉の色が赤か緑かを予想した。参加者たちは、自分たちがそれまでに取り出した数個の玉の色を参考にすることができた。また、自分以外の最大4人の予想や、そうした予想に各自がどれほど自信を持っているかも参考にした。

 容器から取り出された直前数回分の玉の色の大半が赤である場合、被験者たちは次の玉を赤と予想する傾向が強かった。

 さらに、他の人々が自信を持って赤を予想したと知ると、被験者たちが赤を選ぶ傾向はさらに高まった。自信の度合いは、いかにその色を速く選んだか、選ぶときに笑みを浮かべていたかで判断されていたという。

 脳スキャンでは、被験者の予想が自らの経験に基づいている場合と、他の人々の自信に基づいている場合で、前頭葉前部の反応が異なっていた。

 「人間の脳は社会的な情報源を伴う不確実性に対処するための神経構造と共に進化してきた」とキャンベル・メイクルジョン教授は説明する。他の人々の自信の度合いを示唆するヒントへの感受性は「自らの経験による学習とは独立して機能し得る」という。

 そして今、自信がありそうな投資家は至るところで急増しているようだ。

 2013年に市場の効率性の研究でノーベル経済学賞を受賞したエール大学の経済学者、ロバート・シラー教授は、機関投資家と個人投資家の信頼感を長きにわたって測定してきた(ここでの「信頼感」は株式がプラスのリターンを上げると予想している投資家の割合を指している)。昨年12月、ダウ工業株30種平均が翌年に上昇すると予想した個人投資家の割合は68.5%から75.8%に急上昇した。シラー教授が毎月の数値を報告し始めた2001年以来で最も急激な拡大だった。

 先週、スイスの金融大手UBSグループの富裕層向け資産運用部門、UBSウェルス・マネジメント・アメリカズが公表した2000人以上を対象とした調査では、全体の58%が今年の米国経済に楽観的だった。10月半ば時点の39%からは大幅な拡大だ。大統領選で民主党候補ヒラリー・クリントン氏を支持していた投資家たちでさえ、かなり楽観的になってきた。

 また、株式投資を拡大する可能性が高いと述べた投資家は全体の42%で、大統領選前の9%から大幅に増えている。

 UBSウェルス・マネジメント・アメリカズで顧客戦略担当の責任者を務めるポーラ・ポリト氏は、トランプ氏についてどう感じているかに関係なく、「(大統領選挙後の)上げ相場はすべての株式投資家をより楽観的にした」と指摘する。

 しかし過去を振り返ってみると、投資家の信頼感は市場がどれほど堅調な動きをするかの予想にはあまり適していないことが分かる。シラー教授は2000年に発表した論文で、信頼感が時と共に変化すること、相場が上昇した後に上昇し、相場の下落を受けて低下することも多いということを示している。

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ヤンゴン証取、することがないトレーダー
上場わずか4銘柄で取引少なく、ドルのヤミ取引が人気の国
ヤンゴン証取の上場第1号となったファースト・ミャンマー・インベストメントの創業者サージ・パン氏は、上場初日に証取の鐘の支柱を抱き締めた(16年3月)
AMARASINGHE/ASSOCIATED PRESS
By JAMES HOOKWAY
2017 年 1 月 23 日 16:09 JST

 【ヤンゴン(ミャンマー)】ヤンゴン証券取引所(YSX)では、ケーブルテレビ局のスタッフが毎日やって来て、その日の取引の概要をリポートする。最近の木曜日のリポートは――いつものように――短いものだった。

 MYANPIX指数の終値は、2日連続で前日比変わらずの627.42ポイント。出来高は4万7000ドル(約540万円)弱だった。その時点で上場していた3銘柄の1つであるミャンマー・シチズンズ・バンクは、取引が全くなかった。20日には4社目が上場した。

ヤンゴン証取の鐘
ヤンゴン証取の鐘
 ヤンゴン証取の近くにあるオフィスで、株式ブローカーのマーティン・ジャン氏(34)の電話が鳴った。彼は少し興奮した。顧客からの注文かもしれないと思った。

 だが、その望みはすぐについえた。「客は株式市場から資金を引き揚げ、中古車に投資すべきかを知りたがっていた」という。

 米国株は好調で、ダウ工業株30種平均は2万ドルに迫っている。だがラオス、カンボジア、ミャンマーといった世界最小規模の取引所の中には、取引が干上がっているところもある。ドル上昇を受けて、投機家たちの関心が通貨のヤミ市場に向かっているからだ。

 ニューヨーク証券取引所(NYSE)は最も忙しい日には1000億ドル以上の取引を扱っており、トレーダーたちはエスプレッソを片手にそれを乗り切っている。これに対し、ヤンゴン証取の証券会社のブースはおおむね閑散としていて、数本のペンとクリップが置いてあるだけだ。ここの株式市場は昨年3月の取引開始以降44%値を下げている。

1日の大半が雑談

 ジャン氏は、ミャンマーの標準的な仕事着である白い襟なしシャツと濃い色のサロン(スカート状の腰布)を身に付け、喫茶店でうわさ話をしたり、オフィスに立ち寄った顧客とおしゃべりしたりして1日の大半を過ごしている。そうでないときは、新規顧客獲得のために勧誘の電話をかけたり、株式取引について人々に教えるために自ら開設したフェイスブック・ページの作業に取り組んだりしている。

 「動画をアップロードすることもある。株式取引の仕組みや、投資家が企業のどこに注目すべきかを説明する動画だ。記事を書くこともある」とジャン氏は話す。「人々が投資を始めたいと思うときのための準備を手助けしようとしている」。最近の投稿のテーマは「ミャンマーの水力資源」だった。

ヤンゴン証取に集まった人々(16年6月) ENLARGE
ヤンゴン証取に集まった人々(16年6月) PHOTO: E AUNG THU/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
 ミャンマーの人々は取引が嫌いなわけではない。証取の建物の裏手に回ると、約150人がたむろしており、ドルのヤミ相場を紙に書きとめては携帯電話に向かって何か叫んでいた。

 世界の多くの貧困国と同様に、ミャンマーでは証券取引所の存在がステータスシンボルになると考えられていた。1年余り前の選挙で元政治犯のアウン・サン・スー・チー氏が国の実質的な指導者になった後、同国がビジネスに開放されたことを示す証しになるとも思われた。

 ジャン氏は昨年、KBZスターリング・コールマン証券のブローカーになった。同氏によると、地元の複合企業であるファースト・ミャンマー・インベストメント(FMI)社が最初に上場したときは、投資家がわれ先にと株式を買いあさった。同氏と同僚は午前7時までに出勤し、1日12時間働いて、新株の取引をしたいという人々を登録したという。

株より中古車

 FMIの株価は上場初日、初値の3万1000チャットから4万1000チャット(約30ドル)近くにまで上昇し、取引所のサーキットブレーカーが発動された。FMI創業者のサージ・パン氏は、取引開始と終了を知らせるための真ちゅう製の鐘の支柱を抱き締めて上場を祝った。

 だが高値は長続きしなかった。その後FMIの株価は3万2000チャットに下落した後、半値以下となる1万4000チャットにまで値を下げ、以降その水準にとどまっている。

 ヤンゴン証取は生き残るだろう。ミャンマー政府と日本取引所グループ、それに大和総研の合弁事業だからだ。証取幹部は、外国人による売買を認める法案提出を期待していると述べた。

 だが今のところ、証取周辺でうわさの中心にあるのは、日本からの中古車の輸入を制限する政府の新規制だ。このため中古車の価格が急騰している。

 「人々は常に取引対象になるもうけ話を探している」とジャン氏は言う。「だが今のところ、それは株式ではなく中古車のようだ」

関連記事

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ミャンマー新政権にのしかかる麻薬問題
http://jp.wsj.com/articles/SB11177354273695693774104582576552334834264
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/236.html

[経世済民118] 日本経済見通し:個人消費はなぜ低迷を続けているのか? 日本のサービス業の生産性はそんなに低いか? リスクテイクは愚かか?
日本経済見通し:個人消費はなぜ低迷を続けているのか?
中長期的には構造的な問題の解消に向けた取り組みが必須
2017年1月20日
エコノミック・インテリジェンス・チーム 執行役員 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸
シニアエコノミスト 長内 智
エコノミスト 岡本 佳佑
エコノミスト 小林 俊介
エコノミスト 前田 和馬
田中 誠人
日本経済見通し:個人消費はなぜ低迷を続けているのか? [PDF:440.3KB]
サマリー

◆個人消費を抑制してきた3つの短期的要因:2014年の消費税増税から2年半以上が経過したが、依然として個人消費は低迷を続けている。こうした消費低迷の短期的要因として、@年金特例の解消、A可処分所得の伸び悩み、B過去の景気対策の反動、が挙げられる。2012〜14年度までの期間において、それぞれの要因が個人消費に与える影響を試算すると、「@年金の特例解消」は▲0.4%pt、「A可処分所得の伸び悩み」は▲0.7%pt、「B過去の景気対策の反動」については▲0.2%pt、合計で▲1.3%pt程度、個人消費に対してマイナス寄与となっていたと計算される。(→詳細は、熊谷亮丸他「第191回 日本経済予測(改訂版)<訂正版>」(2016年12月16日)参照)。

◆中長期的には将来不安などの構造的な問題が消費の重石:中長期的な観点では、節約志向の強まりや将来不安の高まり、若年層の雇用、といった構造的な問題が個人消費の重石となるだろう。しかし、これらの要因は、容易に解消させることが難しい構造的な問題であり、将来にわたって個人消費の拡大を妨げる要因となる公算が大きいと考えられる。

◆社会保障制度の再構築や労働市場改革の実施が望まれる:中長期的に個人消費を拡大させていくために、政府は持続可能な社会保障制度を構築するなどの改革を推進し、国民が漠然と抱いている将来への不安感を払拭する必要がある。また、「同一労働・同一賃金の原則」の導入などにより労働市場の二極化を是正することを通じて、若年労働者の雇用環境を改善させることなどが期待される。

http://www.dir.co.jp/research/report/japan/outlook/monthly/20170120_011608.html

予測のポイント

トランプ・ショックで日本経済に何が起きるのか?:2016年7-9月期GDP二次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2016年度が前年度比+1.3%(前回:同+1.1%)、2017年度が同+0.9%(同:同+0.9%)である。先行きの日本経済は、@実質賃金の増加、A原油安と交易条件の改善、B経済対策の実施、などの国内要因が下支え役となり、緩やかに回復する見通しである。ただし、米国大統領選挙におけるトランプ氏の勝利が、主に@円高、A株安、B世界経済の減速、という波及経路を通じて日本経済に負の影響を与えるリスクがある。とりわけ中長期的には、同氏の勝利を受けて、世界経済の先行き不透明感が強まり、グローバルな金融市場において、リスクオフによる世界的な株安や急速なドル安の動きが生じる可能性もあるだろう。
論点@:企業の海外投資行動に見られる特徴と国内への波及効果:日本経済の潜在成長率と期待成長率が低水準にとどまる中、企業は海外展開に成長の活路を見出している。国内法人と海外現地法人の投資行動を分析すると、合理的な戦略の下、国内の設備投資を絞り、アジアや北米に資源を振り向けていることが分かる。また、足下では実質GDPと実質GNIの乖離が大きくなっている。これは、交易条件の改善に加えて、企業の海外投資の進展に伴い海外現地法人からの所得が国内に還流していることによるものである。2015年度の実績値に基づくと、海外利益の国内還流による押し上げ効果は、雇用者報酬が3.2兆円、名目個人消費が2.4兆円程度と試算される。
論点A:個人消費はなぜ低迷を続けているのか?:2014年の消費税増税から2年半が経過したが、依然として個人消費は低迷を続けている。短期的要因として、年金特例の解消や可処分所得の伸び悩み、過去の景気対策の反動などが個人消費の重石になっていたと考えられ、2012〜14年度までの個人消費を合計1.3%pt程度下押しした。一方、今後は節約志向の強まりや将来不安の高まり、若年層の雇用、といった構造的な問題が、中長期的に個人消費の重石となろう。政府には、持続可能な社会保障制度の構築や「同一労働・同一賃金の原則」の導入に向けた取り組みを加速させていくことなどが期待される。
論点B:経済統計の改善に必要なものは何か?:諸外国と比較した場合、日本の統計は「正確性」、「速報性」という二つの要素で見劣りする。潜在成長率が低下している日本では、まずは「正確性」の向上を目指すべきだ。具体的な統計の改善方法を検討するため、家計調査を用いた分析を行った。「財」では振れの大きい項目を適切な統計に入れ替えることで、過小推計を解消することができる。一方、「サービス」では家計調査を補完する数値を用いても供給側の数値よりも弱い状況が続く。GDPの過小推計につながっている可能性もあるため、周辺統計の丁寧な検証が必要だ。今後はこうした詳細な分析を通じて問題点を明らかにし、用途に応じた対応策を考えることが求められる。
日本経済のリスク要因:今後の日本経済のリスク要因としては、@トランプ氏の政策、に加えて、A中国経済の下振れ、B米国の「出口戦略」に伴う新興国市場の動揺、C地政学的リスクおよび政治リスクを背景とする「リスクオフ」、D英国のEU離脱交渉や欧州金融機関のデレバレッジ、の5点に留意が必要だ。
日銀の政策:日銀は、現在の金融政策を当面維持する見通しである。2016年9月に導入した新たな金融政策の枠組みの下、デフレとの長期戦を見据えて、インフレ目標の柔軟化などが課題となろう。
【主な前提条件】
(1)公共投資は16年度+3.1%、17年度▲0.2%と想定。
(2)為替レートは16年度109.6円/j、17年度114.0円/jとした。
(3)米国実質GDP成長率(暦年)は16年+1.6%、17年+2.2%とした。
http://www.dir.co.jp/research/report/japan/outlook/quartery/20161216_011513.html

 


日本のサービス業の生産性はそんなに低いか?
2017年1月20日
調査本部 専務取締役 岡野 進
日本のサービス業については、生産性が米国の半分程度というような推計結果が取り上げられることが多い。そんなに日本のサービス業の生産性は低いのだろうか。こうした計量的な分析それ自体はデータに基づいたもので正当であると思うが、うまく質を考慮したものにはなっていないようだ。筆者が米国に住んでいた経験からすると、米国のサービス業の生産性が日本の倍もあるというのは、実感からかなりかけはなれている。

例えば、米国で家の壁に電気コンセントの取り付けを依頼すると、まっすぐに取り付けてくれることはめったにない。ニューヨークでアパートを4軒移ったが、どのアパートのコンセントもみんな斜めだったし、修理を依頼した時もそうだった。こういうことは日本では考えにくいだろう。米国人にこの話をすると、ほとんどの人がキョトンとして、安全に使えるのなら問題ないと言う。

タクシーに乗ると室内に清掃の跡が感じられない。地下鉄の駅には冷暖房がないし、トイレもキオスクもない。高級レストランは別にして、ふだんの外食での接客にはあまり客への気遣いを感じられない。

多くの対個人サービスでは、文化の違いでサービスの質の標準がまったく変わってくる。求められる効用の質的な違いだ。どちらが良い悪いではないし、質の高低も一概には言えないが、日本における標準的な質のサービスのほうが、提供コストが高くなりがちなのではなかろうか。そのために日本のサービス業の生産性が低いというような数値が推計されてしまうように思われる。そうした事情を度外視して生産性が低いから高めなければいけない、というと改善の方向を見誤ってしまうかもしれない。見た目の数量的な生産性だけを高めようとしてもうまくいかないのではないだろうか。消費者のニーズがどこにあるかに合わせてサービスの在り方を改善することが肝要だろう。

もっとも、ICTの活用に関しては、米国に比べて日本のほうがまだ遅れている部分が多い印象を持たざるを得ない。インターネットを利用した食品の宅配とかレストランなどの予約サービスなどは、米国に比べると日本での導入は10年程度遅れていた。日本独自のアイデアにも期待したいが、他国での活用事例は貪欲に取り入れていくべきだろう。

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執筆者紹介

岡野 進
Susumu OKANO
世界経済の成長構造の変化について、実物経済と金融・財政との関連において深い考察を行うこと、日本経済をめぐる人口問題をはじめとする基本的な環境変化の検討の上に立って、社会保障制度の改革などを通じ国民の生活基盤を安定させていくことができる長期的なあるべき日本経済像を探っていくことをテーマとする。 経済成長についての既存の価値観についても、根本的な再検討を行い、経済社会システムの改革議論に寄与していきたい。

最新コラム

2017年1月23日
一億総商人社会の始まり?
経済調査部 エコノミスト 笠原 滝平
2017年1月20日
日本のサービス業の生産性はそんなに低いか?
調査本部 専務取締役 岡野 進
2017年1月19日
先の読めない時代のリスクテイクは愚かか?
金融調査部長 保志 泰
2017年1月18日
「働き方改革」における管理職の役割
コンサルティングソリューション第一部 主任コンサルタント 宮内 久美
2017年1月17日
気をつけたい預貯金の相続
金融調査部 研究員 小林 章子
http://www.dir.co.jp/library/column/20170120_011605.html


 


先の読めない時代のリスクテイクは愚かか?
2017年1月19日
金融調査部長 保志 泰
年初からトランプ次期大統領の言動に、世界は翻弄されている。その中で、さまざまな企業が米国内での新規投資や新規雇用を表明するなど、就任前から影響力が発揮されている。もっとも、企業にとって、米国事業への注力は必ずしもリスクの高い行動ではない。世界経済を当面牽引すると見込まれる米国市場において、プレゼンスを拡大させたいという企業が増えるのは、むしろ自然だ。

しかし、世界全体でみれば、今後、企業の投資が増えるとは想定しづらいところである。昨年はBrexit(英国のEU離脱)の決定や、米大統領選でのトランプ氏勝利と、立て続けに予想に反した結果が生じており、「先の読めない時代」に入ったとの印象が強まっている。今年も、フランスの大統領選やオランダ、ドイツの議会選挙と、結果の読めないイベントが続く。中国など新興国経済も不透明要因を抱えており、このような中でリスクを取った投資に対して逡巡する企業が増えてもおかしくはない。

しかし、リスクを取らなければ、成長はない。企業が不透明な時代を乗り越えるために必要なこととして、「柔軟性」や「スピーディーな意思決定」などが挙げられるだろう。リスクテイクをするには、変わり身の早さも必要な能力になってくる。

同じようなことは、個人の証券投資においても言える。昨年はBrexitも米大統領選も、株式市場では直後に大幅な乱高下が生じた。結果的には年末に向けて上昇基調となったものの、事前には予想のつかない動きが続いている。このような不透明な中で成果を狙うには、「タイミングを捉えたスピーディーな投資判断」が欠かせないかもしれない。しかし、タイミングを見極めるのは容易ではなく、投資に不慣れな人には難しい。

では、不慣れな人はリスクを取るべきではないのか。このマイナス金利時代、リスク資産投資を避けていたら、将来の老後資金確保はおぼつかない。そこで必要になる知識は「タイミング」の見極め方よりも、適度なリスクを取る方法論ではないのか。

ここもと、いわゆる「積立投資」にフォーカスが当てられている。今年から個人型確定拠出年金(iDeCo)の対象者が拡大したほか、来年からは「積立NISA」の制度が導入されることになっている。いずれも、「時間分散」の効果により投資タイミングを見極める必要性が薄れる制度である。先の読めない時代に入ったからこそ、このような「分散投資」によるリスク低減が活きてくるような気がする。

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執筆者紹介

保志 泰
Yasushi HOSHI
間接金融を主軸に発展してきた日本の金融システムは制度疲労を起こしています。これからの日本経済の成長にはイノベーションが必要ですが、そのために不可欠となるリスクを受容できる資金供給が非常に細っている状況です。サステナブルな日本の成長に資する金融・資本市場はどうあるべきか、様々な視点から検討して、大胆なアイディアを提供することが責務と考えています。

http://www.dir.co.jp/library/column/20170119_011604.html

 

平成 29 年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度

平成 29 年1月 20 日
閣議決 定


1.平成 28 年度の経済動向
平成 28 年度の我が国経済をみると、アベノミクスの取組の下、雇
用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続いている。ただし、年
度前半には海外経済で弱さがみられたほか、国内経済についても、個
人消費及び民間設備投資は、所得、収益の伸びと比べ力強さを欠いた
状況となっている。
政府は、デフレから完全に脱却し、しっかりと成長していく道筋を
つけるため、「未来への投資を実現する経済対策」(以下「経済対策」
という。)1
を取りまとめた。雇用・所得環境の改善が続く中、経済対
策等の効果もあって、景気は緩やかに回復していくことが見込まれ
る。
物価の動向をみると、これまでの原油価格の下落の影響等により
前年比で伸びが低下している。
この結果、平成 28 年度の実質国内総生産(実質GDP)成長率は
1.3%程度、名目国内総生産(名目GDP)成長率は 1.5%程度と見
込まれる。また、消費者物価(総合)は 0.0%程度になると見込まれ
る。

2.平成 29 年度の経済財政運営の基本的態度
今後の経済財政運営に当たっては、引き続き、「経済再生なくして
財政健全化なし」を基本とし、名目GDP600 兆円経済の実現と平成
32 年度(2020 年度)の財政健全化目標の達成の双方の実現を目指す。
経済対策の円滑かつ着実な実施により、内需を下支えするととも
に、民需主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実現に
つなげていく。
一億総活躍社会の実現に向け、アベノミクス「新・三本の矢」に沿
った施策を実施する。「戦後最大の名目GDP600 兆円」に向けては、
地方創生、国土強靱化、女性の活躍も含め、あらゆる政策を総動員す
1 平成 28 年8月2日閣議決定

2
ることにより、デフレ脱却を確実なものとしつつ、経済の好循環をよ
り確かなものとする。また、未来への投資の拡大に向けた成長戦略を
推進するため、「日本再興戦略 2016」2
を着実に実施する。「希望出生
率 1.8」及び「介護離職ゼロ」に向けては、子育て・介護の環境整備
等の取組を進め、国民一人ひとりの希望の実現を支え、将来不安を払
拭し、少子高齢化社会を乗り越えるための潜在成長率を向上させる。
財政健全化については、「経済財政運営と改革の基本方針 2015」3
に盛り込まれた「経済・財政再生計画」及び「経済・財政再生アクシ
ョン・プログラム 2016」4
に則って、これまでの歳出改革の取組を強
化していく。平成 29 年度は、「経済・財政再生計画」の2年目に当た
り、同計画に掲げる歳出改革等を着実に実行する。
日本銀行には、経済・物価情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標
を実現することを期待する。

3.平成 29 年度の経済見通し
平成 29 年度の我が国経済は、経済対策など、「2.平成 29 年度の
経済財政運営の基本的態度」に示された政策の推進等により、雇用・
所得環境が引き続き改善し、経済の好循環が進展する中で、民需を中
心とした景気回復が見込まれる。
物価については、景気回復により、需給が引き締まっていく中で上
昇し、デフレ脱却に向け前進が見込まれる。
この結果、平成 29 年度の実質GDP成長率は 1.5%程度、名目G
DP成長率は 2.5%程度と見込まれる。また、消費者物価(総合)は
1.1%程度の上昇と見込まれる。
なお、先行きのリスクとしては、海外経済の不確実性、金融資本市
場の変動の影響等に留意する必要がある。
@実質国内総生産(実質GDP)
(@)民間最終消費支出
雇用・所得環境の改善により、緩やかに増加する(対前年度比
0.8%程度の増)。
(A)民間住宅投資
雇用・所得環境が改善する中で、緩和的な金融環境に支えられ、
2 平成 28 年6月2日閣議決定 3 平成 27 年6月 30 日閣議決定 4 平成 28 年 12 月 21 日経済財政諮問会議決定

3
おおむね横ばいで推移する(対前年度比 0.1%程度の増)。
(B)民間企業設備投資
生産の増加や企業収益の改善等により、引き続き増加する(対前
年度比 3.4%程度の増)。
(C)政府支出
経済対策の円滑かつ着実な実施と社会保障関係費等の増加によ
り増加する(対前年度比 1.6%程度の増)。
(D)外需
世界経済が緩やかに回復していくことから増加する(実質経済成
長率に対する外需の寄与度 0.1%程度)。
A実質国民総所得(実質GNI)
海外からの所得の増加により、実質国民総所得(実質GNI)は
実質GDP成長率を上回る伸びとなる(対前年度比 1.7%程度の
増)。
B労働・雇用
雇用環境が改善する中で、女性や高齢者等を中心とした労働参加
の拡大もあり、雇用者数は緩やかに増加する(対前年度比 0.8%程
度の増)。完全失業率はやや低下する(2.9%程度)。
C鉱工業生産
輸出や国内需要の増加等から増加する(対前年度比 2.7%程度の
増)。
D物価
消費者物価(総合)上昇率は景気回復による需給の引き締まりに
より、1.1%程度となる。こうした中でGDPデフレーターは引き
続き上昇する(対前年度比 0.9%程度の上昇)。
E国際収支
世界経済の緩やかな回復を背景とした輸出の増加や、海外からの
所得の増加等により、貿易収支、経常収支の黒字は増加する(経常
収支対名目GDP比 4.3%程度)。
http://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2017/0120mitoshi.pdf

http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/239.html

[経世済民118] エレファント・グラフをどう読むか―貧困と格差への対応 グローバル化で産業革命以来はじめて全世界の所得不平等が改善されたが
エレファント・グラフをどう読むか―貧困と格差への対応
田近栄治
成城大学特任教授
経済成長が停滞し、賃金も伸びぬ中で先進諸国での不満が増大している。アメリカの大統領選挙では共和党と民主党の候補者であったトランプ、クリントンともに早々にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に反対を唱えた。移民の取り締まりを強固に訴えたのは、トランプだけではない。ヨーロッパも同様であり、イギリスはそれを理由にEUからの離脱の道を選択した。日本では低成長が続き、デフレからの脱却もままならず、非正規労働が増大している。そうしたなか賃金の引き上げが最重要課題となっている。
こうした貧困や所得格差をどう考えたらよいのだろうか。そのヒントを与えてくれるのは、全世界に目を広げて所得分配の変化を示した「エレファント・グラフ」である。このグラフは世界銀行のエコノミストであったミラノビックが発表したものである。社会主義国が崩壊し、経済のグローバリゼーションが本格的に始まった1988年以降から現在までの世界各国の個人所得がどう変化したかを示したものである。


エレファント・グラフ
https://tax.tkfd.or.jp/wp-content/uploads/2017/01/201701tajika-768x444.jpg

全世界の各所得分位の1988年から2008年の間の所得増加率(%)

出所: Milanovic, Branko(2016)


図の横軸には、世界120か国、600の家計調査をもとに、全世界の個人所得が低いほうから100分位で並べられている。縦軸は1988年から2008年までの各所得分位の所得増加率である。図に示されているのは2008年までの所得増加率であるが、2013年まで伸ばした結果も同様であると論じられている。所得増加率のカーブは55分位くらいまで増大し、その後下がり、85分位あたりから増加している。この姿が象の大きな背中から上に伸びた鼻のようであり、エレファント・グラフと呼ばれている。

ここから3つのポイントを読み取ることができる。まず図中(A)。ちょうど中央に位置するところであるが、その10中の9は中国やインドの新興国の個人で、グローバリゼーションの恩恵をもっとも享受していることが分かる。つぎに(B)。80から85分位のあたりであるが、その10中の7はOECD加盟各国の個人所得の下位半分の個人からなっている。最後に(C)。これはトップ1%であるが、先進諸国の個人からなっている。その半分はアメリカで、アメリカの12%の個人がその中に入ると指摘されている。

エレファント・グラフから二つの重要な点を読み取ることができる。

第1は、グローバリゼーションによって45から65分位に属する中間層、すなわち全世界人口の20%の人々の所得が飛躍的に増加したことである。
ミラノビックが言うように、これによって産業革命以来はじめて全世界の所得不平等が改善されたとすれば、この20年余のグローバリゼーションの効果をポジティブに受け入れるべきである。技術革新、国境を超えて飛び交う資本や活発な企業活動投資が、それらを受け入れてきた諸国に大きな実りを与えたことは、前向きに評価されるべきである。これは戦後の日本、およびその後の東アジアの経済成長が開かれた世界のなかで可能となったことの前進である。

しかし、光ばかりではない。エレファント・グラフから読み取れる第2点は、先進諸国では所得分配が二極化したことである。問題はこの点をグローバリゼーションと技術革新の結果だとして、あたかも世界の中間層であるアジアなどの新興国が先進諸国の労働者の職を奪ったという見方である。現在先進国と呼ばれる国々もその発展の過程でそれ以前の先進国に追いつき、国境を隔てた人々の所得は収れんしてきた。目をすこし遠くに転じれば、アメリカも第1次世界大戦を契機にして債務国から債権国へと変容し、世界の工場となった。したがって、エレファント・グラフが我々に教えてくれるのは、グローバリゼーションを後ろ向きにとらえ、その動きを止めることで、先進諸国の労働者保護の道を選んではいけないということである。

そうした観点から日本を含む先進諸国の貧困や所得格差への対応を考えなければならない。すでに、興味深い政策が発信されている。そのいくつかを見ていくことにしたい。その中で税制も重要な役割を果たすことが求められている。

雇用の面では、IMFのエコノミストであるオプストフェルドの言う「セーフティネットからトランポリン」が重要である。カナダの経済調整諮問会議の1989年の報告書をもとにして、オプストフェルドは職を失った後のセーフティネットに重点をおくのではなく、新しい仕事へとつながるトランポリンが大切なのだと主張している。もちろんこれは、変容する経済において言うは易しである。しかし、これまでの仕事がなくなる時に、もとの仕事を維持することではなく、新しい仕事に移っていける力を労働者に備えさせることがこれから重要となる。技術やマーケットに追いついていけない産業や企業の新陳代謝を促しながら、そこで働く人々の能力を向上させる。そうした対応が今後ますます重要になる。

税と社会保障の面でも新しい政策が求められる。人手や人知に代わる技術進歩のなかでは、個々の労働者の高い生産性と変化に柔軟に対応できる能力が求められる。一方、増大する社会保障費を前にして、先進各国の企業は、社会保険料負担をできるだけ回避するために労働コストのカットに向かわざるを得ない。雇用面での施策との関連で言えば、トランポリンを支える税制が求められている。

それはこれまでの日本の所得税で行ってきた課税最低限や累進性を通じた負担調整では済まない話である。働く意欲を阻害することなく、変化する労働環境で柔軟に生きていけるためには、働くことへの支援として所得控除から税額控除への改革を避けて通ることはできない。また、増加する社会保険料負担を低所得の労働者から軽減するためには、税と社会保障負担を一体的にとらえて調整することが避けられない。大きなエレファントを前にして嘆息をついたり、眼をそむけている時ではない。日本のなかでもやることは山積しているのである。
________________________________________
o 【参考文献】
o Davis, Gavyn, 2016, How should we compensate the losers from globalization? Financial Times, December 12th,
o
o Feldstein, Martin, 2016, Reducing inequality and poverty in America, Project Syndicate, August.
o
o Milanovic, Branko, 2016, The greatest reshuffle of individual incomes since the Industrial Revolution, VOX, CEPR’s Policy Portal.
o
o Obstfeld, Maurice, 2016, Get on track with trade, Finance and Development, December, IMF, pp. 12-16.
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[国際17] 保護主義強めるトランプ大統領、「現実の壁」に直面 政権は史上最大のリアリティー番組 反トランプ女性行進、共通目標なくバラ
コラム:
保護主義強めるトランプ大統領、「現実の壁」に直面

Gina Chon

[ワシントン 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米新大統領は保護主義への傾斜を強めている。就任演説では選挙戦中の言い回しを繰り返し、これまでは米国民が痛めつけられてきた暗黒時代だったと説明した。

そしてこうした状況だから、海外に手を差し伸べるのをやめて米国の経済成長に専念するのだという自らの政策を正当化した。だがこの姿勢はすぐに厳しい国際経済の現実にぶつかる公算が大きい。

そもそもトランプ氏の出馬は、国民の恐怖をあおる作戦に乗って実現したものだ。昨年7月の共和党大会における演説では、外国人が米国人の雇用を奪い、米企業は海外移転が続いているとの批判を展開。犯罪的な不法移民が街をうろついているとも発言していた。

トランプ氏はこうした点を就任演説でことさら強調し、米国は「荒廃と衰退」に見舞われながら、他国が米国の支援で豊かになったと指摘。挙句の果てに1930年代の孤立主義者が呼号してきたため悪名が高くなった「米国第一」を政策スローガンに採用した。「保護(プロテクション)こそが偉大な繁栄と強さにつながる」というのだ。

新政権のスタッフは、ホワイトハウスのウェブサイトをナショナリスト的なトランプ氏の考えを反映させる形に全面的に書き換えた。通商政策の手始めは環太平洋連携協定(TPP)離脱であり、北米自由貿易協定(NAFTA)についても、カナダとメキシコが再交渉に応じて米国に公正な立場を与えるのを拒否すれば、出ていく構えだ。

ところがここに難しい問題がある。トランプ氏が掲げる米国を再び偉大な国にするという目標の主なよりどころは、各経済閣僚候補が上院の指名公聴会で明らかにしたように、輸出の拡大である。国際貿易のおかげで昨年第3・四半期の米経済成長率は3.5%と、2年ぶりの高い伸びになった。成長の押し上げには、中国やその他地域向けの輸出が10%増えたことも寄与している。

トランプ氏がしばしば怒りの矛先を向ける中国は、米国製品にとってカナダとメキシコに次ぐ第3位の輸出市場である。確かに米国の対中貿易赤字は約3000億ドルあるが、米国からの輸出は過去10年で300%強も増加した。さらに多くの輸入品は米国製品でできている。例えば米製造業部品を見ると、メキシコから持ち込まれた財製品の40%を占めている。

政治家は現実的な対応の難しさが分かるにつれて、選挙期間中に打ち上げた数多くのリップサービスを「なかったこと」にする傾向がある。とはいえ、もしもトランプ氏が、米国製品を買う必要がある諸外国をなだめるために保護主義的な立場を放棄すれば、それは大きな政策転換になるだろう。

●背景となるニュース

*トランプ大統領は20日の就任演説で米国第一主義を推進していく意向を示し、これまで何十年も米国は他国の産業や軍事力を豊かにしてきた半面、自らは「荒廃と衰退」に陥ったと述べた。

*トランプ氏は、貿易や税制、移民に関するすべての決定は米国の労働者に恩恵を与えるようにした上で、米国は「米国製品を買い、米国民を雇う」という2つのシンプルなルールに従っていくと主張した。

*また「われわれは米国製品に壊滅的な打撃を与え、米国企業を乗っ取り、雇用を破壊するような動きを国境で防がなければならない。保護こそが偉大な繁栄と強さにつながるだろう」と言い切った。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


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コラム:トランプ新政権は史上最大の「リアリティー番組」

 1月20日、トランプ新政権が、米国史上で最も型破りで奇妙な政権の1つになるとしても不思議ではない。写真は米ワシントンで就任宣誓を行うドナルド・トランプ新大統領(2017年 ロイター/Jim Bourg)
Peter Apps
[20日 ロイター] - トランプ新政権が、米国史上で最も型破りで奇妙な政権の1つになるとしても不思議ではない。ドナルド・トランプ大統領と彼の前任者バラク・オバマ氏のあいだには、気質、世界観、また政治手法において、これ以上考えられないほどの違いがある。
新政権に期待できるのは、せいぜい、待ち望まれていた新鮮な風を吹き込むことくらいか。しかしそれは同時に、深刻な、危険と言ってもいいほどの混乱を生む結果になるかもしれない。
とはいえ、ここ2カ月のあいだに、新政権についてどのようなことが予想できるか、さまざまな手掛りが集まってきた。
トランプ氏の優先課題を恐らく最も正確に伝えているのは、1月11日に行われた同氏の記者会見、そして当選後に行われた何回かのインタビューだろう。しかし、次期大統領が外部の世界とのコミュニケーション手段として使っていたのは、もっぱらソーシャルメディアだった。
残念ながら、彼の発言は、トランプ氏を批判する人々が彼に対して抱いているネガティブな印象全般を裏付けるばかりだった。
今や世界で最も大きな権力を持つ人物は、危険なまでに怒りっぽく、大衆文化における自分の名声と、他の人物との相対的な優劣に異常なほど関心を注いでいるように見える。
1月に入ってトランプ氏は、テレビ番組「アプレンティス」の新シリーズにおけるアーノルド・シュワルツェネッガー氏の人気がかつての自分に及ばないことを揶揄するツイートを2件投稿している。
もっとも、ツイッターを使うトランプ氏の習慣が劇的な効果をもたらす可能性もある。これまででも、大企業に対する批判、特に海外移転が雇用を奪うとトランプ氏が攻撃したメーカーへの批判は、大きな効果を発揮してきた。
フォード、ゼネラル・モータース、トヨタは、いずれもメキシコなどへの工場移転計画に対してトランプ氏の攻撃を浴びる側に回り、計画の一部はすでに公式に撤回された。自動車業界の幹部の1人は「ガーディアン」紙に対し、今やどの企業も、トランプ氏のソーシャルメディアでの投稿の槍玉に挙げられることを恐れていると語っている。
防衛分野においては、トランプ氏は、新型「エアフォース・ワン(大統領専用機)」のコスト超過、そしてF35戦闘機の悪名高いトラブル多発と予算超過について、ボーイングとロッキード・マーチンをやり玉に挙げた。いずれにおいても、トランプ氏は納入価格の引き下げを勝ち取る可能性が高い。
スライドショー:ドナルド・トランプ氏が第45代米大統領に就任

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President Trump shakes hands with House Speaker Paul Ryan as he is joined by the Congressional leadership and his family while he formally signs his cabinet nominations into law, in the President's Room of the Senate, at the Capitol, following his swearing-in./J. Scott Applewhite/Pool
REUTERS/POOL NEW 
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もちろん、政治や国際関係の分野でこうした戦術が功を奏するかどうかは不透明だ。
トランプ氏は同じように無遠慮なアプローチを用いて中国に対する態度の硬化を示そうとしており、特に台湾問題をめぐって、すでに中国政府を立腹させている。
北朝鮮に関しては、核ミサイル実験は「起こらない」と述べて危険な一線を越えたように見える。これがどのような意味を持つかはまったく不明である。シリア情勢をめぐってオバマ政権でも見られたように、曖昧なメッセージを発信すると、思わぬ面倒を招く可能性がある。
ロシアについては、トランプ氏は、恐らく米ロ両国にとって支出削減となる核兵器関連の協定をまとめるといった、何らかの「重要な取引」を実現することを真剣に願っている。だが国内の政治的プレッシャーを考えれば、プーチン大統領を相手にトランプ氏が本当に何か合意に達することができるかどうかはだいぶ怪しくなっている。
広く欧州全体に目を向ければ、複数の国々が防衛支出を増額しており、たとえ実際にはそれが規定の流れであったとしても、トランプ氏としては少なくともある程度の成功を主張することができる。トランプ氏は個人的にブレグジットを熱烈に支持しており、当選後には複数の強硬なブレグジット支持者と会談することを忘れておらず、英国にとっては貴重な援軍になるかもしれない。一方、ドイツのメルケル首相との関係がスムーズなものになるとは考えにくい。
就任後、トランプ氏は政府の実務にどっぷりと漬かることになるだろう。トランプ・タワーに引きこもった2カ月間、彼が本当に心を砕いていたのは、政権運営のためのシステムと構造の構築だったかもしれない。しかしこの面でも、トランプ氏は前任者たちによる実践とは非常に異なる道へと米国を導こうとしているように見える。
すでに明らかになっているが、トランプ氏の政権は、ケネディ政権以来、いや当時でさえ見られなかったほど、大統領自身の親族ネットワークを軸にすることになるだろう。その中心人物となるのは、恐らくトランプ氏の娘婿であるジャレッド・クシュナー氏だ。想像せずにはいられないのは、トランプ一家が、真の政治王朝の構築に向けて娘のイバンカさんの登用を少なくとも漠然とは考えただろうということだ。
またトランプ氏の周囲には、多くは彼自身と同じくらい型破りなイデオロギーの持ち主が集まることになるだろう。彼ら自身でさえその可能性にまったく思い至らなかったような形でトランプ氏が発言の場を与えた人々だ。
右翼ニュースサイト「ブライトバート」の前代表であるスティーブ・バノン氏のような人物が、かつて例のないほど大統領の戦略に影響を与え、大統領に親しく接する機会を手にしている。トランプ氏が彼らに対する厚遇を続ける限り、彼らの忠誠心も確保される可能性が高い。共和党の連邦議員や、そもそもトランプ氏の候補指名を望まなかった人々よりも、はるかにトランプ氏への忠誠心は確実なのである。
トランプ政権の閣僚に指名された人々は非常に裕福であり、一部の試算によれば、その資産総額は、それ以外の米国民全体の3分の1の合計資産に匹敵するとされる。
国務長官に就任するレックス・ティラーソン氏は、エクソンモービルCEOとしてビジネスで培った識見を、今や、国全体の利益になる取引を勝ち取るために使うという任務を与えられている。
「アプレンティス」の名物司会者であったトランプ氏は、閣僚らがその任務に成功しなければ、そのうち何人かに「お前はクビだ」と宣告することを明らかにしている。
「狂犬」の異名を持つ国防長官に就任予定のジェームズ・マティス氏については、恐らくそうなる可能性は低い。人望の厚い海兵隊出身のマティス氏は、上院での承認公聴会において、さまざまな問題、特にロシアに関して、トランプ氏の見解に否定的な姿勢を示した。彼の存在によって、国家安全保障面でのトランプ政権の正統性は大幅に高まっている。もし彼が政権を離れるようなことがあれば、そのダメージは相当なものだろう。
閣僚就任予定者たちの任務は容易ではない。トランプ氏があまり支持を与えない可能性もあるから、なおさらである。ティラーソン氏の承認公聴会において予想外だった瞬間の1つは、同氏が対ロシア政策についてまだトランプ氏と詳細な協議を行っていないと認めたときだった。
著名人たちにボイコットされようとも、就任式典はトランプ氏自身が予言するように「素晴らしいショー」になる。米国、そして世界の多くの人々にとって、トランプ大統領の就任はローマ帝国の衰退と滅亡を思い起こさせるかもしれない。だがそれは同時に、史上最大の、そして地政学的に最も重要な、テレビのリアリティー番組とも言えるだろう。
「米国を再び偉大に」するかどうかはともかく、それを見ずには済まされなくなることは確実である。
*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。
スライドショー:トランプ氏の大統領就任に抗議

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Police officers move protestors away from a car that was set on fire during protests near the inauguration./Bryan Woolston
REUTERS/BRYAN WOOLSTON 
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http://jp.reuters.com/article/column-trump-peterapps-idJPKBN1542Y0?sp=true

 

 


【オピニオン】
反トランプ女性行進、共通の目標なく
参加者が掲げた願いはまちまち

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RS917_2VseZ_M_20170122120709.jpg

ワシントンで行われた反トランプ行進(21日) .

By CORI O’CONNOR
2017 年 1 月 23 日 17:21 JST

――筆者のコリ・オコナーはWSJの特集記事担当アシスタントエディター

***

 「うぬぼれが強いあなたは、これが自分に関する行進だと思うことでしょう」。21日にワシントンで行われた女性たちの行進でこんな文言を見かけた。私は、事実「これは彼に関する行進ではないか」と思った。

 この疑問を、行進のグローバルコーディネーターを務めたベレーネ・バトラー氏(27)にぶつけると、「トランプ氏に関する行進ではない」と否定された。バトラー氏によれば、それは議会や最高裁、「その他の代表機関」を含む「ワシントンに関する行進だ」。伝えたいのは「私たちの声を聞いて。私たちの声は聞いてもらえなかった。あなた方は私たちのことを考慮する必要がある・・・私たちは米国だ」というメッセージだという。

 これは有権者がドナルド・トランプ氏を大統領に選んだ時のメッセージと酷似しているようだ。それらの有権者は無視され、声を聞いてもらえないと感じていた。パティシエをしているニューヨーカーのバトラー氏は、進歩主義者とトランプに投票した有権者がその違いを認識したうえで共通点を見いだすことに期待していると述べた。ただしその後、トランプ氏の当選を「より大きな病の症状」、つまり「自己満足」にたとえた。

「性と生殖」が大きなテーマ

 自己満足は、首都を巡礼した自称「いやな女たち」――それから男性たち――にとって問題ではないようだった。行進参加者は50万人に達したようだ。そしてグローバルコーディネーターというバトラー氏の肩書が「ワシントンでの」行進に対するものとしては大げさに見えたとしたら、それは違った。同氏は国内全州と世界7大陸全てで行われた600を超える行進の運営に関わったのだから。そう、南極大陸での行進も対象だった。

 トランプ氏の地元ニューヨークでは、推定40万人が2番街を行進した。日本ではより高い教育を求める女性が、エチオピアではきれいな水を求める女性が行進した。南極の行進はボートを使って行われた。

世界各地で反トランプデモ 女性蔑視に抗議
 ドナルド・トランプ氏の大統領就任式が行われた翌日、ワシントンDCからパリ、ロンドン、チェコのプラハに至るまで、世界各地で同氏の女性蔑視発言などに抗議するデモが行われた。女優のスカーレット・ヨハンソンさんやジェーン・フォンダさんら著名人も参加した。

 ワシントンでの行進ではおびただしい数のメッセージが掲げられたようだ。1つ大きなテーマだったのは、性と生殖に関する権利だ。避妊薬の処方や人工妊娠中絶などを行う非営利団体プランド・ペアレントフッド(全米家族計画連盟)を擁護して、「私の診療室から政策を引き出せ」と訴える文言。「医療保険制度改革法(オバマケア)を救い、長寿と繁栄を」「私の体のことは私が決める」「性と生殖に関する権利は人権だ」など。多くの女性が女性の人体図を掲げ、ピンク色の猫耳型ニット帽をかぶっていた。これはトランプ氏が口にした下品な言葉をやゆするものだ。

 他にも人気のテーマがいくつかあった。「人種間の平等=LGBTQの問題」との文言も見られた。米国旗をヒジャブにした女性の絵と「われわれ人間は恐怖心より偉大だ」との文言からなる有名なポスターもあった。13歳の時に米国に移民したパブロ・ローザ氏(40)は「メキシコには米国への借りはない」との文言を掲げていた。トランプ氏を「ロシア政府の候補」「プーチンの人質」と呼ぶポスターも見られた。

 21日の行進は、計画時に露見した分断を考えると意外なほど楽しい雰囲気だった。主催者のソーシャルメディアのページでは、行進に先立ちいくつかの投稿が物議を醸していた。ソーシャルメディア管理担当者シシ・ローズ氏はインスタグラムに「白人の仲間は以下を読んで」と題するメッセージを投稿。「日々自身の特権を認識しない仲間は大した成果を得られない」とし、白人女性に対して「自分も怖いという理由だけで参加しないで」と呼びかけた。

 この投稿は炎上を誘った。ある女性は「このせいで行く気がなくなった」と書いた。「これは黒人だけでなく、白人、褐色、イスラム教徒など全ての女性のための」行進だとの書き込みもあった。「歴史を通じて女性は抑圧されていた。これは女性の結束に関するイベントであり、目的は互いを引き裂くことではない」との意見もあった。

女性参政権運動との違い

 トランプ大統領が進歩主義の有権者を駆り立てていることは明らかだ。ニューヨークの地域担当者はトランプ氏の閣僚選びを見て、「各省庁を運営するのに最もふさわしくない人」を指名するゲームのようだと思ったという。

 参加者の多くにとって、21日のデモはトランプ氏への懸念を和らげる機会となった。だがそこから何を得られるか。主催者側は他の女性の行進と比べたがり、リポーターたちは公民権運動にまで結びつけようとした。だが今回の行進と参政権を求めて戦った女性たちには違いがあった。前者に参加する理由は進歩主義なら何でもありだったかもしれないが、後者には自分たちの使命をまとめて1つの目標の下に集結する能力があった。

 バトラー氏は「声を無視されたこれらの人々の権利確保が必要だという意見でわれわれが一致」できれば、「この国の未来に希望を持てる」と述べた。だがスーザン・B・アンソニー(女性参政権の実現に尽力した指導者)が全米女性参政権の確立を見届けていれば抱いたであろう感情を、女性行進の参加者が持てるようになるのは、トランプ政権打倒を除くとどのような成果を挙げたときだろうか。

トランプ新大統領特集

トランプ氏、大統領令で移民規制を強化か
【社説】トランプ大統領の「大衆迎合」宣言
【社説】トランプ氏の船出、国民の反発と途方もない機会

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiOgdL28dfRAhVEObwKHeccDtEQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10852398588237353609804582576480706099756&usg=AFQjCNHE4hEcECmNdh3Fn5sGgL33y7NxwA


A protester wears a blanket with ‘Love U, Trump Hate’ during the Women’s March on London.
Thousands of people march along Seventh Street in Washington, D.C., during the Women's March on Washington on Saturday. Hundreds of thousands of people flooded U.S. cities to protest for women's rights and mark President Donald Trump's first full day in office.
Actress Scarlett Johansson participates in the Women's March on Washington. The march was called in defense of equality and diversity, which organizers see as under threat in the era of the Trump administration.
A crowd fills Independence Avenue in Washington, D.C.
From left, actress Marcia Gay Harden, singer Miley Cyrus and actress Jane Fonda march in Los Angeles.
People walk near the Washington Monument toward the kickoff of the Women’s March on Washington on Saturday.
Actor Jake Gyllenhaal listens to speakers at the Women's March on Washington.
Nadia da Rosa of Providence, R.I., attends the Women's March on Washington.
Alex Melamed, 19 years old, from Raleigh, N.C., leads a chant during the Women's March on Washington.
People hold banners as they attend the 'Love Trumps Hate' rally in Prague, Czech Republic, on Saturday. The event was held in solidarity with the Women's March on Washington.
Elliot Crown, left, and Julianna Miller of New York City dressed in costume for the Women’s March on Washington. ‘People are upset, and this gives them a laugh,’ Ms. Miller said.
People gather on the National Mall ahead of the Women’s March on Washington.
Protestors assemble for the Women’s March on Washington.
Demonstrators gather in solidarity with the Women’s March on Washington at the Place de Trocadero in Paris.
Demonstrators take part in the Women’s March on London. The organizers’ website cited the election of Mr. Trump as a catalyst for a movement to assert positive values.
Demonstrators walk down Piccadilly during the Women's March on London, with many protesting the election of Mr. Trump.
A woman stands near the U.S. Embassy by the Brandenburg Gate in Berlin in solidarity with the Women’s March on Washington on Saturday.
A protester wears a blanket with ‘Love U, Trump Hate’ during the Women’s March on London.
Thousands of people march along Seventh Street in Washington, D.C., during the Women's March on Washington on Saturday. Hundreds of thousands of people flooded U.S. cities to protest for women's rights and mark President Donald Trump's first full day in office.
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A protester wears a blanket with ‘Love U, Trump Hate’ during the Women’s March on London. DAN KITWOOD/GETTY IMAGES Thousands of people march along Seventh Street in Washington ... Actress Scarlett Johansson participates in the Women's March on Washington. The march was called in defense of equality and diversity, which organizers see as under threat in the era of the Trump administration. SHANNON STAPLETON/REUTERS A crowd fills Independence Avenue in Washington, D.C. ALEX BRANDON/ASSOCIATED PRESS From left, actress Marcia Gay Harden, singer Miley Cyrus and actress Jane Fonda march in Los Angeles. JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES People walk near the Washington Monument toward the kickoff of the Women’s March on Washington on Saturday. DAVE COLE/THE WALL STREET JOURNAL Actor Jake Gyllenhaal listens to speakers at the Women's March on Washington. SHANNON STAPLETON/REUTERS Nadia da Rosa of Providence, R.I., attends the Women's March on Washington. SAIT SERKAN GURBUZ/ASSOCIATED PRESS Alex Melamed, 19 years old, from Raleigh, N.C., leads a chant during the Women's March on Washington. DAVID COLE/THE WALL STREET JOURNAL People hold banners as they attend the 'Love Trumps Hate' rally in Prague, Czech Republic, on Saturday. The event was held in solidarity with the Women's March on Washington. MARTIN DIVISEK/EUROPEAN PRESSPHOTO AGENCY Elliot Crown, left, and Julianna Miller of New York City dressed in costume for the Women’s March on Washington. ‘People are upset, and this gives them a laugh,’ Ms. Miller said. DAVE COLE/THE WALL STREET JOURNAL People gather on the National Mall ahead of the Women’s March on Washington. JOHN TAGGART/EUROPEAN PRESSPHOTO AGENCY Protestors assemble for the Women’s March on Washington. SHANNON STAPLETON/REUTERS Demonstrators gather in solidarity with the Women’s March on Washington at the Place de Trocadero in Paris. AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGE Demonstrators take part in the Women’s March on London. The organizers’ website cited the election of Mr. Trump as a catalyst for a movement to assert positive values. DAVID MIRZOEFF/I-IMAGES/ZUMA PRESS Demonstrators walk down Piccadilly during the Women's March on London, with many protesting the election of Mr. Trump. MATT CROSSICK/PRESS ASSOCIATION/ZUMA PRESS A woman stands near the U.S. Embassy by the Brandenburg Gate in Berlin in solidarity with the Women’s March on Washington on Saturday. HANNIBAL HANSCHKE/REUTERS A protester wears a blanket with ‘Love U, Trump Hate’ during the Women’s March on London. DAN KITWOOD/GETTY IMAGES Thousands of people march along Seventh Street in Washington, D.C., during the Women's March on Washington on Saturday. Hundreds of thousands of people flooded U.S. cities to protest for women's rights and mark President Donald Trump's first full day in office. DAVID COLE/THE WALL STREET JOURNAL

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[経世済民118] 中銀、低金利下で高リスク資産に食指  理不尽なトランプ円高に備えよ  円安は幻想、進む「米国の日本化」 ドル113円前半
中銀、低金利下で高リスク資産に食指
スイスなど先進国の中銀の一部が外貨準備を積み上げているのは、自国通貨が高くなりすぎて、輸出業者に打撃を与え、物価を下げないようにするために他ならない

By CHRISTOPHER WHITTALL, JON SINDREU AND BRIAN BLACKSTONE
2017 年 1 月 23 日 17:40 JST

 中央銀行は金利を低水準に維持し、マイナス金利を導入しているところもある。これを受けて、最も保守的な投資家の一部が高いリターンを追求する動きに加わっている。他国の中銀だ。

 スイスや南アフリカなどの中銀は、増加する外貨準備の投資先として、株式や社債、その他の高リスク資産の割合を高めている。

 米国債など極めて安全な国債に主に投資するという中銀の慣行から逸脱することは、より多くのリスクを負うことを意味する。しかし世界経済の成長率や金利、潜在的リターンがいずれも低い中で、多くの中銀は投資リターンの最大化にますます力を入れている。

 フィンランド銀行(中央銀行)の投資責任者、ヤルノ・イルベス氏は「2014年に利回りが低下し始め、ゼロに近づいた時、株式投資を始めることを決めた」と述べ、株式への配分比率を引き上げる計画を明らかにした。

 インベスコは先ごろ、16年に欧州、中東、アフリカの18人の外貨準備運用担当者を対象に実施した中銀の投資状況に関する報告書を発表した。それによると、資産配分についての質問で、株式の比率を引き上げると回答したのは全体の80%、社債の比率を引き上げると回答したのは43%だった。運用先を多様化する理由について、15人の回答者のうち12人が国債利回りの低さを挙げ、3人は回答を拒否した。

 アナリストらは、こうした動きは市場と世界経済に重要な影響を及ぼすと指摘する。多くの中銀は、ポートフォリオ内の非伝統的資産の運用を外部の資産運用会社に任せ、収入が伸び悩んでいる金融業界にチャンスを与えている。

 同時に、外貨準備の運用先の多様化は、中銀の「ゆがみ」とも称される事態の影響を受ける市場が増えることを意味する。なぜなら、価格をあまり気にしない大規模な買い手が価格を押し上げ、他の市場参加者の期待リターンを下げるリスクを冒すからだ。

 投資家、アナリスト、政策担当者は長年、中国や日本、一部の主要石油輸出国の中銀と外貨準備運用担当者による米国債の購入が13兆ドル規模の米国債市場に与える影響について議論してきた。オーストラリアドルやニュージーランドドルなど、中銀が最近、手を広げているとされる小規模の市場での取引による潜在的な影響に注目している人々もいる。

 アリアンツ・グローバル・インベスターズのグロース・マーケッツ担当責任者、マーティン・ケイル氏は、一部の市場は「それほど大規模な投資を受け入れられるほど厚みがない」と述べた。

 世界の外貨準備はこの15年間、増え続けている。市場が不利な方向に動き、痛みを伴う通貨切り下げを余儀なくされた国もあった新興国市場の危機の教訓などが反映されている。外貨準備の増加を受けて、中銀の運用担当者は運用先の多様化を迫られている。

 南アフリカ準備銀行(中央銀行)のダニエル・ミネル副総裁は、外貨準備の増加によって「流動性管理から投資運用に軸足を移した」と述べた。

 国際通貨基金(IMF)によると、16年7-9月期の世界の外貨準備高は計11兆ドルと、1995年末時点の1兆4000億ドルから大幅に増えた。

 外貨の購入と量的緩和を混同してはならない。米連邦準備制度理事会(FRB)などの中銀は量的緩和として数兆ドル相当の資産を購入し、成長とインフレを押し上げようとしている。最近、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行、日本銀行も量的緩和の一環でリスクの高い資産を購入しているが、いずれも自国通貨建てだ。

 先進国の中銀は、こうした投資の収益性について比較的関心が薄い。政治的には重要だが、中銀は常に紙幣を増刷できるからだ。そのためリスクもさほど重視されない、とアナリストらは指摘する。

 一方、巨額の外貨準備を抱える発展途上国の当局者らは、外国資産を購入するために紙幣を増刷する傾向がある。このように、自国通貨の下落という犠牲を払って、万一の場合に備えている。主にスイス国立銀行など先進国の中銀の一部が外貨準備を積み上げているのは、自国通貨が高くなりすぎて、輸出業者に打撃を与え、物価を下げないようにするために他ならない。

 後日、自国通貨が急落した場合、中銀はこれらの外貨準備で自国通貨を買い戻し、輸入業者を助けたり、債務者に流動性を提供したりすることができる。

 しかし中銀は外貨を印刷できず、外貨準備は限られるため、それを一定に保ち、利用しやすい状態にしておくことが極めて重要だ。銀行が選んだ資産の利回りがマイナスに転じたら、そうすることは難しくなる。

 バンクオブアメリカ・メリルリンチによると、昨年末時点で世界の債券資産のうち11兆ドル弱(全体の約4分の1)相当の利回りがマイナスとなった。

 中銀は通常、新規の投資を外部の資産運用会社に委託する。

 欧州最大の資産運用会社アムンディで中銀の資金を運用するジャンジャック・バルベリス氏は「リスクの高い戦略に対する中銀の意欲は高まっている」と指摘した。

 中銀内の資産運用業務も拡大している。スイス国立銀行は13年、シンガポールにアジア太平洋地域の資産を運用する支店を開設した。対象資産は15年時点で新興国の株式や中国の国債だった。

 スイス国立銀行は現在、6450億スイスフラン相当の外貨準備を運用しているため、支店開設は必要だった。外貨準備がこれほど積み上がったのは、同行がデフレと闘い、輸出業者を支援するために、自国通貨の価値を下げようとしたからだ。

 スイス国立銀行の外貨準備の運用先で株式の割合は09年時点で7%だったが、その4年後、株式を購入し始めたことで現在は20%に上昇している。米証券取引委員会(SEC)への7-9月期分の届け出によると、米アップルに17億ドル、米エクソンモービルに10億8000万ドル、米マイクロソフトに12億ドル投資している。

 しかしリターンが大きくなればリスクも大きくなる。

 スイス国立銀行は15年、233億フランの損失を計上した。ユーロに対するフランの上限撤廃が響いた。フランがユーロに対して22%も上昇したため、同行の外国資産の価値が目減りした。昨年は株式投資が240億フランの利益をもたらし、これらの損失を相殺した。

 中銀はこれまでに運用先の多様化でやけどを負ったことがある。

 チェコ国立銀行(中央銀行)は、金融危機の直前の08年6月に株式を購入し始めた。その後の株式市場の暴落で、同年の株式投資額の3分の1(当時の外貨準備の約2.5%)が吹き飛んだが、国債投資で得た多額の利益がその損失を十二分に補った。

 それでも、イスラエル銀行(中央銀行)の市場部門トップ、アンドルー・アビール氏は、外貨準備が増加するにつれて「リターンの重要性が今までよりはるかに高まっている」と述べた。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjS3KW78dfRAhWMzLwKHcouCmsQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10852398588237353609804582576702700727344&usg=AFQjCNHdeAOvXyTqYBoQv4NPkRKkKO8d8w

 

 

コラム:理不尽なトランプ円高に備えよ

唐鎌大輔みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
[東京 23日] - 市場参加者にとって、具体的な政策内容がベールに包まれたトランプ米大統領はまだ得体(えたい)の知れぬ存在である。だが、為替市場参加者にとって最も重要な通貨・通商政策に限って言えば、新大統領の姿勢は明白だ。ここまで強烈な保護主義志向をあらわにしてきた同氏が自国通貨高をいつまでも放置するのは誰が見ても不自然である。

19日に上院で行われた指名承認公聴会でムニューチン次期財務長官候補が長期的にドル高を維持することが重要と述べた一方、短期的な評価について言明を避けたのはドル安志向の強い大統領への配慮だったのだろう。上司が通貨安を好む以上、部下の発言もこれに制約を受けるのは致し方ない。

市場ではいったん消化された格好となっているが、1月半ばに米紙に掲載されたトランプ大統領へのインタビュー記事は、やはり今後の為替相場を占う上で多くの示唆に富むものとして留意しておく必要がある。

トランプ大統領は「もちろん、彼ら(中国)は為替操作国である」との認識を明示し、「我々の企業は通貨が強いがために、彼らの企業と競争できない。(ドル高に)してやられている」とまで述べた。ここまで言い放つ人物が大統領である以上、ドル買いで攻め続けるのは相当勇気が要る。

また、このインタビューの中では通貨・通商政策をめぐるトランプ大統領の直情的な危うさも垣間見えた。トランプ大統領は「彼らは人民元が下がっていると言うが、それは下がっているのではない。彼らが意図的にそうしているのだ」と揶揄している。

だが、これは完全に誤認だ。少なくとも2015年夏以降の中国は意図的に通貨安誘導を行っているわけではなく、むしろその下落スピードの抑制に躍起になっている。過去2年半で約1兆ドルも減少した外貨準備はその証左であり、そうした通貨政策の結果として中国経済が軟着陸できるか否かが真の注目点だ。

つまり、中国はどちらかと言えば通貨高方向の調整に腐心しており、トランプ大統領からすれば評価に値する政策運営とさえ言えそうなものだが、正しい現状理解がされないまま批判が展開されている。

<新大統領が名指しする「悪の枢軸」4通貨>

こうした「通貨・通商政策をめぐる直情的な危うさ」の矛先は中国以外にも向かっている。これまでの言動を見る限り、トランプ大統領の通貨・通商政策の評価軸は「対米貿易黒字の大きさ」だ。今後は米国に対し多くの黒字を稼ぐ国が「悪」のレッテルを貼られそうであり、その枢軸のごとく名指しされているのが黒字額の大きい順に中国、日本、メキシコである。

もちろん、貿易黒字は収益ではないし、貿易赤字も損失ではない。ゆえに赤字だから悪いという話では全くない。だが、そもそも理屈が通じる相手ではないのは周知の通りであり、そうした正論はここでは脇に置く。

なお、対米貿易黒字の大きさが「悪」だと言うのならば、中国の次にはドイツが入るべきだ。トランプ大統領とメルケル独首相の相性の悪さを踏まえれば、近い将来、ドイツの対米貿易黒字の大きさをめぐる対立が注目される局面は来るだろう。

すでにトランプ大統領は「欧州連合(EU)はドイツのための乗り物」などと反EUスタンスを隠しておらず、ドイツと友好的な関係を築く姿は想像し難い。また、ユーロ圏という単位で見れば、対米貿易黒字はドイツの倍近くまで膨れ上がるため、米中貿易摩擦と同じくらい、欧米貿易摩擦はトランプ政権下で有力なテーマとなりそうだ。

ところで、米財務省の為替政策報告書では、1)対米貿易黒字が年200億ドル超、2)経常黒字が名目国内総生産(GDP)比3%超、3)年間の純外貨購入(外貨買い・自国通貨売り介入)が名目GDP比2%超、という3項目の判断基準が設けられ、2項目抵触で監視リスト、3項目抵触で為替操作国という立て付けになっている。

だが、トランプ大統領の関心はもっぱら1番目であるため、この在り方も少し変わってくるのかもしれない。例えば現在、日本と概ね同額の対米貿易黒字を稼ぐメキシコは新たに監視リスト(あるいは、それに類する措置)の対象になってくる可能性がある。

また、中国は昨年10月時点で1番目のみしか抵触しておらず、監視リストから除外される可能性が指摘されていたが、その圧倒的な対米貿易黒字の大きさやこれに対するトランプ大統領の言動を見る限り、やはり監視リストに居残るだろう。

そもそも為替操作国かどうかが争点になっている状況で中国に対する通貨政策の手綱が緩むことは考えにくい。いずれにせよ、今年4月公表の為替政策報告書は例年に増して重要な材料になる。

<円は「優等生」だからこそ安心できない>

普通に考えれば、トランプ政権の通商政策において目の敵にされそうな中国、ドイツ、日本、メキシコの通貨は対ドルで下落しにくい通貨となる。

ちなみに、ドルの名目実効為替相場を見た場合、最も大きなウエイトを占めるのが中国(21.7%)で、これにユーロ圏(16.6%)、カナダ(12.9%)、メキシコ(12.5%)、そして少し離れて日本(8.0%)が続く。つまり、「悪の枢軸」のごとく名指しされた(もしくはされそうな)国がドルの実効相場において強い影響を持つのである。

2014年1月以降の約2年半でドルの名目実効相場は22.2%上昇しているが、これに対する寄与度が最も大きいのがメキシコペソの4.6%ポイントであり、次にユーロの3.8%ポイント、人民元の2.7%ポイントが続く。この3通貨だけで過去2年半のドル高の半分を説明できる。

トランプ大統領の経済政策(トランプノミクス)をかつてのレーガン大統領の経済政策(レーガノミクス)と重ね合わせ、その結末として第2次プラザ合意的な動きを予見する向きは少なくないが、その場合、標的となり得る通貨はユーロや円だけではなく、メキシコペソや人民元を意図的に巻き込んだ枠組みになるだろうし、そうならなければ意味がない。

他方、円は、前述した通り、ドルの名目実効相場に占める割合は比較的小さく、ドル高への寄与という意味でも他の3通貨とは比較にならないほど小さい(上述した例ではわずか0.6%ポイントだ)。正直、これらと比較されるのは腑(ふ)に落ちない。

しかし、繰り返しになるが、トランプ大統領に正論が通用する雰囲気はない。ドル相場における円の影響力が微小なものであるとしても、「対米黒字は許せないから、円高」という単純な論法でドル円相場が押し下げられる展開は十分考えられる。

また、名指しされた国の通貨の中で円はそもそも優等生であり、円高圧力も高まりやすい。苛烈な資本流出に悩む人民元やトランプノミクスによって実体経済の勢いが削がれているメキシコペソはファンダメンタルズに照らせば通貨安になる道理がある。ユーロに関しても、世界最大の経常黒字が支えになりそうとはいえ、2017年は慢性的に政治リスクが重しとならざるを得まい。

これに対し、政治リスクが低く、実体経済は堅調、大きな経常黒字を稼ぎ、世界最大の対外純資産を保持し、低めの物価水準を維持している円の磐石さは際立つ。名指しされる4通貨の中で対米貿易黒字が特に大きいわけでもなく、実効相場におけるウエイトも最小なのだが、そうした諸要因に鑑みれば、トランプノミクスの下で「理不尽な円高」が盛り上がる展開にはやはり警戒が必要と考えられる。

*唐鎌大輔氏は、みずほ銀行国際為替部のチーフマーケット・エコノミスト。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構後、日本経済研究センター、ベルギーの欧州委員会経済金融総局への出向を経て、2008年10月より、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。欧州委員会出向時には、日本人唯一のエコノミストとしてEU経済見通しの作成などに携わった。2012年J-money第22回東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では1位、13年は2位。著書に「欧州リスク:日本化・円化・日銀化」(東洋経済新報社、2014年7月)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

(編集:麻生祐司)
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視点:トランプ円安は幻想、進む「米国の日本化」=青木大樹氏

青木大樹 UBS証券ウェルス・マネジメント本部 日本地域CIO兼チーフエコノミスト

[東京 21日] - トランプ米国新政権の経済政策には潜在成長率の向上を促すような具体策が乏しいため、リーマン・ショック以降進行している米国経済の「日本化」(高貯蓄・低生産性・高齢化)に歯止めがかかることは期待しにくいと、UBS証券ウェルス・マネジメント本部の最高投資責任者(CIO)兼チーフエコノミストの青木大樹氏は指摘する。

そのため金利上昇は抑制され、ドル安方向にむしろ振れる可能性が高いと読む。ドル円レートについては、6月末110円、12月末105円と予想する。

同氏の見解は以下の通り。

<米家計・企業マインドも保守化>

当社では、11月の米大統領選挙におけるドナルド・トランプ氏の勝利後、従来の市場見通しを大幅に見直すべきか否か議論してきたが、最終的には現時点でその必要はないとの結論に達した。その論拠を端的に整理すれば、1)トランプ大統領でも米国経済の日本化を容易には食い止められない、2)ゆえに長期金利の上昇ペースは抑制される、というものだ。

ここで言う日本化とはすなわち、貯蓄率の上昇、生産性の伸び悩み、高齢化の進行を背景に、低成長・低インフレ(そして潜在成長率の低下傾向)が続くことである。あまり知られていないが、米国も高齢化の進行などを受け、2010―15年近辺に生産年齢人口比率(15―64歳人口が総人口に占める割合)がピークを迎え、減少局面に入っている。今後、トランプ大統領が移民コントロールを強化するならば、こうした傾向に拍車がかかる可能性がある。

また、民間部門全体の貯蓄率(対国内総生産)にしてもここ数年で、1%台から3%台へと上昇している。リーマン・ショック直後の11%超の水準に比べれば、過剰貯蓄体質はだいぶ解消されたが、かつて貯蓄率がマイナスのときもあったことを考えれば、米国の家計・企業のマインドはかなり保守化したと言えよう。家計は可処分所得の拡大を貯蓄に回してしまっているし、企業も自社株買いや配当にばかり資金を割り当て、将来に向けた設備投資に積極的になっていないことが読み取れる。

さらに、労働生産性の伸びも、過去の景気回復局面と比べ、かなり低い状態が続いている。インターネットを活用したサービス分野でイノベーションが起こっているのは事実だが、産業全体の生産性向上につながることで低成長脱却の道筋が見えてきたとは言えない状況だ。

<財政政策の限界露呈へ>

こうした経済環境下、大統領に就任したトランプ氏が掲げているのは、周知の通り、「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」であり、保護主義的・機会主義的な政策である。イノベーションによって経済を底上げする政策アイデアが示されているわけではなく、減税やインフラ投資など旧来型の景気刺激策が語られている。

拡張的な財政政策で企業や家計のマインドが一時的に大きく回復することはあっても、潜在成長率が高まらなければ、いずれ効果は剥落する(あるいは、アニマルスピリッツが刺激され、投資や消費の回復が持続し、生産性上昇すらもたらすのだろうか。その可能性はかなり低いように思える)。

また、財政拡大と言っても、均衡予算主義者の多い共和党議会との調整の難しさを考えれば、規模は当初期待より大きく縮小し、予算執行のタイミングもかなり遅くなる可能性がある。現段階で明らかになっている材料では、とても米国経済の日本化が食い止められるとは思えないのが実情だ。

このような前提に立つと、米国経済の回復はこれまで通り、緩やかなものとなり、2017年2.4%、18年2.5%の成長を見込んでいる。よって、米連邦準備理事会(FRB)による今年と来年の政策金利引き上げも年2回ずつにとどまるだろう。

このペースは、昨年12月に連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが示した見通しとも整合的だ。結果的に、長期金利の押し上げ効果は約50ベーシスポイント(bp)にとどまり、米10年債利回りも年内は引き続き2.5%近辺が天井となろう。

ただし、これは米国経済にとって決して悪いシナリオではない。期待先行の危うさは、アベノミクス下の日本が示してきたことだ。米国の場合、緩やかとはいえ、インフレ率(消費者物価)は食品とエネルギーを除いたコアベースで前年比2%を上回るなど回復しており、成長率も国際通貨基金(IMF)の予想では、今年、来年と主要7カ国(G7)内では最も高くなると見込まれている。

経済の日本化は先進国全体に共通する現象だが、米国は欧州諸国に比べて、ましてや日本よりも、はるかにましな状況にある。長期金利の上昇が抑制されれば、ドル高の進展にもブレーキがかかる。企業収益にとってもプラスに作用しよう。

要するに、潜在成長率を引き上げる「決め手」を欠く中で、無理な財政出動によって不均衡(バブル)を作り出し、数年後にその後処理に困るよりも、現在の巡航速度を維持した方が米国にとって持続可能な成長につながる最善のシナリオと言えるだろう。

<トランプ時代の投資戦略>

では、こうした状況を見越して、どのような投資戦略を取るべきなのか。まず先進国に関しては、ドル安で企業収益の拡大が見込める米国株に引き続き期待が持てるだろう。金利が急激に上がらないので、米国の物価連動債やシニアローンも狙い目だ。

また、米金利高・ドル高が進まないとすれば、新興国危機が引き起こされることもない。よって、新興国(中国・インド・ブラジルなど)の株式も、一時的な下落局面では、押し目買いの対象となり得る。むろん、新興国とひとくくりで言っても経済ファンダメンタルズや政治情勢によって千差万別だが、世界の成長センターが先進国から新興国へとシフトしていく流れは、トランプ政権下でも不変だと考える。

最後に、ドル円についてはどうか。前述した通り、米国側の要因は下落(ドル安)方向に働くが、実は日本側の要因でも下落(円高)方向に作用すると考えている。最大の根拠は、日銀が年内に量的緩和のテーパリング(段階的縮小)に乗り出す可能性が高いとみているためだ。

日銀の大量購入の影響で、国内金融機関(預金取扱機関)の国債保有率は年々下がり、金融取引の担保や規制対応のために最低限必要と試算される5%水準に近づきつつある。このままのペースで日銀が国債購入を続けていけば、金融機関の経営を揺さぶることになりかねない。現在「年80兆円増」の購入ペースは恐らく年内に70兆円台、来年は60兆円台へと減額されていくのではないか。

加えて、今後の物価上昇見通しを考えると、早晩、日銀は現在ゼロ%としている長期金利誘導目標を引き上げざるを得なくなる可能性も出てくる。すなわち、日米金融政策のダイバージェンス(かい離)は、さほど広がらない可能性が高い。

このように米金利、日本のマネタリーベースの伸び、加えて経常収支動向などに照らして考えると、現状のドル円レート(20日のニューヨーク市場では114―115円台)が割高であることが分かる。6月末には110円程度、年末には105円近辺へとドル安円高方向に動く可能性が高いとみる。日本株についても、円高による企業収益圧迫を考えれば、下落方向に圧力がかかりやすい。日本株は、選別投資を一段と進めるべき局面だろう。

*本稿は、青木大樹氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。

(聞き手:麻生祐司)

*青木大樹氏は、UBS証券ウェルス・マネジメント本部の日本における最高投資責任者(CIO)兼チーフエコノミスト。2001年より内閣府で政策企画・経済調査に携わった後、2010年にUBS証券入社。2016年、インスティテューショナル・インベスター誌による「オールジャパン・リサーチチーム」調査の日本経済エコノミスト部門にて5位(外資系1位)に選ばれる。


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ロイター企業調査:トランプ政権の円安容認、半数が120円まで

 1月23日、1月のロイター企業調査では、日米両政府ともドル高/円安は1ドル=120円程度まで許容するとの見方が半数近くを占め、それ以上の円安には警戒感が強まるとの見方が多いことがわかった。写真は都内で昨年11月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai )

[東京 23日 ロイター] - 1月のロイター企業調査では、日米両政府ともドル高/円安は1ドル=120円程度まで許容するとの見方が半数近くを占め、それ以上の円安には警戒感が強まるとの見方が多いことがわかった。
トランプ大統領の保護主義的な政策への懸念が広がる中、日本企業は安倍晋三首相に対し、「日米安全保障関係の維持」と「自由貿易維持」を働きかけるよう要望している。
この調査は、資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に1月4日─17日に実施。回答社数は250社程度。
<トランプ氏は120円超は許容せず>
トランプ氏の大統領就任が決まった後の円安進行で、日本企業の景況感は一気に改善しているが、トランプ大統領が必ずしもドル高を志向しているとは見ていない。
トランプ新政権が許容する円安は1ドル120円程度までとの見方が51%を占め、それより円安を予想する声は27%にとどまった。「保護主義政策を推進するために行き過ぎたドル高は阻止していくと思われる」(機械)、「米国産業界、農業界の輸出競争力の低下懸念もあるはず」(卸売)といった見方から、115─120円程度が限界との見方が多い。

日米両政権、どの程度までドル高円安を容認するか
http://static.reuters.com/resources/media/editorial/20170118/survey0123wXY8AM-2.gif

安倍政権については120円までなら許容するとの見方が45%ある一方、それより円安でも許容するとの見方も42%と見方が分かれている。120円程度が限界との見方の背景には「企業は円安を好むが、一般国民は必ずしも歓迎しない。衆議院を解散する頃には安倍政権は円安回避に走るだろう」(運輸)との見方がある。
安倍首相はトランプ氏の大統領就任後、なるべく早い時期の会談に意欲を示しているが、首相からトランプ氏に働きかけてほしいテーマとしては「日米安全保障関係の維持」が全体の31%を占めた。

トランプ米政権に働きかけてほしいテーマ
http://static.reuters.com/resources/media/editorial/20170118/survey0123wXY8AM-1.gif

背景には「中国、ロシア、北朝鮮、韓国といった日本を囲む東アジア情勢の不安定化」(サービス)への懸念があり、「日米安保関係が崩れた途端、経済どころの話ではなくなる」(建設)といった危機感が企業の間で強まっている。
なかでも「中国に関わるリスクは政治・経済ともに大きい。米国との協働は不可欠」(ゴム)といった視点から、「シーレーン防衛強化」(金属)など「中国けん制」を働きかけてほしいとの回答も13%を占めた。
自由貿易に関する制度維持への働きかけを要望する声も多い。
「TPP(環太平洋連携協定)合意」への働きかけを求める回答は21%を占めた。「世界全体が保護主義に傾斜しているのを防ぐため」(紙・パルプ)など、自社のメリットに限定せず、自由貿易制度を維持するためにも必要との見方だ。
メキシコに工場を構える製造業も多いことから「NAFTA(北米自由貿易協定)維持」を上げる企業も10%を占めた。特に輸送用機器は「NAFTAが維持できないと想像を絶する悪影響が及ぶ」といった懸念が強い。
米国における「輸入関税全般の維持」も14%を占め、米国市場の輸入障壁が高まらないよう要望している。
<商品市況上昇、値上げ予定企業が増加>
原油価格など国際商品市況が上昇傾向となる中で、主要製品・サービスの「値上げ」を予定・検討している企業が22%と、昨年2月調査より4ポイント増加した。一方で「値下げ」を予定しているとの回答は昨年の12%から6%に半減した。
値上げを予定している企業の多くは「原材料価格の上昇」(金属)が理由と回答。他方で「商品の高機能化、人件費上昇」(小売)、「他社が模倣できない高付加価値品による値上げ(を予定)。単なる人手不足による値上げでは、敗者の論理になる可能性がある」(運輸)との指摘もある。
価格据え置きや値下げを予定する企業からは「競争力の維持」(多数)のためとする回答が目立った。企業は「安易な値上げは商圏を失うリスクが高い」(紙・パルプ)とみていることがうかがえる。

 
事業利益にどう影響し始めているか
http://static.reuters.com/resources/media/editorial/20170118/survey0123wXY8AM-3.gif

*見出しを修正して再送します。

(中川泉 梶本哲史 編集:石田仁志)





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http://jp.reuters.com/article/japan-survey-jan-idJPKBN15703F?sp=true

 

ドル113円前半に下落、米新大統領の保護主義を警戒

[東京 23日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前週末ニューヨーク市場午後5時時点と比べ、ドル安/円高の113.34/36円だった。20日のトランプ氏の大統領就任演説に具体的な財政政策への言及がなかった一方、保護主義的な側面が強調されたことで、ドル売り/円買いが先行した。

午後のドル/円は113円半ばから後半を軸にしたもみ合いが続き、午後3時前には下押しが強まって113円前半に下落した。

トランプ米大統領の就任演説では、具体的な政策に言及するとの期待は高まっていなかったが、一方で環太平洋連携協定(TPP)から離脱する方針の表明や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉へのコミットメントを明らかにする声明を出したことで、「保護主義傾斜への警戒が強まった」(国内金融機関)との声が聞かれた。

投機筋の円売り越しが積み上がっていたこともあって、「目先の調整は自然な動き」(別の国内金融機関)とみられている。米商品先物取引委員会(CFTC)が20日発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(1月17日までの1週間)によると、円の売り越しは7万7830枚(前の週は7万9839枚)だった。

朝方のドルは114.20─40円台で推移していたが、午前8時過ぎから下押し圧力が強まった。下落の勢いが加速した場面では調整的な売りにストップロスを狙う動きが重なったとの指摘があった。

仲値付近にかけていったん持ち直したが、その後はじり安に回帰し、一時113.43円まで弱含んだ。輸入企業のドル買い/円売りが観測されたものの、「それほどフローは大きくない」(国内金融機関)という。

昨年末以降、トランプ氏の政策期待でドルが買われていたが、今や具体的な中身を確認する局面に変わってきている。減税やインフラ投資の内容が出てくればドル買いとなりそうだが、具体策が出てこなければ将来的に「110円割れもあり得る」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト、植野大作氏)との指摘もある。

ドル/円JPY=  ユーロ/ドルEUR=  ユーロ/円EURJPY=

午後3時現在 113.34/36 1.0746/50 121.80/84

午前9時現在 113.80/82 1.0711/15 121.90/94

NY午後5時 114.62/64 1.0699/07 122.64/68

(為替マーケットチーム)

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[国際17] 内憂外患の米中、「経済戦争」は宿命か 中国観光客渡航先、外交関係が影響 ヘッジF原油買越過去最大 Pt人気、金と価格逆転
コラム:内憂外患の米中、「経済戦争」は宿命か

斉藤洋二ネクスト経済研究所代表
[東京 22日] - ドナルド・トランプ氏が20日、米国の第45代大統領に就任した。就任演説では「米国第一主義」が前面に打ち出され雇用の確保が期待されるものの、他方で大規模な反対デモが起こるなど社会の分断が強く意識される政権の発足となった。

とはいえ、すでに市場では11月の大統領選でのトランプ氏勝利以降、大型減税とインフラ投資を柱とする経済政策への期待を背景に、債券から株式への「グレートローテーション」の動きが強まっており、ニューヨークダウ平均株価は2万ドルに接近し、米10年国債利回りも一時2.6%水準へと跳ね上がった。

また、為替市場でもレーガン大統領時代の「強いドル」が連想され、ドル円相場は114―115円近辺で底堅い動きを続けている。年内に120円台に到達するとの予想も依然根強い。

このようなトランプ相場は、市場が持つ「期待を先取りする」という性格を反映したものであり、今後政権が打ち出す具体的施策を見るにつれて、その期待がしぼんでいく可能性は高い。

特に大規模なインフラ投資による財政規律の緩みや保護貿易主義による他国との摩擦など負の側面に留意しておく必要がある。ともかくトランプ大統領がこれまで選挙戦を通じさらにその後もツイッターなどで経済、外交各方面について奔放に意見を述べてきただけに、その政策実現に不確実性が伴うのは避けられない。

上院の指名承認公聴会では政権内の意見不一致が垣間見えた上に、議会共和党がトランプ大統領と一枚岩ではないこともあり、今後さまざまな局面で議会とホワイトハウスの間で軋轢が生じる可能性も否定できない。とりあえず主要な課題への具体的プランが明らかとなる政権発足直後の100日、つまり4月末までの期間がその試金石となるだろう。

トランプ政権は、外交方針の根幹に親ロシア、反中国を据えているように思える。また、メキシコ、日本とともに中国を「為替操作国」と名指しで批判していることからも、通商分野を中心に米中関係の行方が注目される。

これまでグローバリゼーションが進む中で、「世界の工場」として中国の貢献が一定程度評価されてきたものの、今後大きく批判の対象へと転換する可能性は高い。特に米通商代表部(USTR)代表と新設される国家通商会議(NTC)のトップにそれぞれロバート・ライトハイザー氏とピーター・ナバロ氏という対中強硬派が任命されたことからも、中国に対して厳しい政策が打ち出されるか注目されるところだ。

実際、トランプ大統領は選挙勝利後に台湾の蔡英文総統と電話会談し、「一つの中国」の原則に揺さぶりをかけている。また、国務長官に指名されたレックス・ティラーソン氏も中国の南シナ海の人工島へのアクセスを認めない姿勢を示すべきだと発言している。

しかし、中国は南シナ海や台湾を「核心的利益」としているだけに、これらの問題について一歩たりとも譲歩するとは考えにくい。その点でも米中間において通商分野、特に貿易不均衡問題と為替問題に火が付く可能性が高い。

<中国側の権力闘争が米中対立あおる可能性>

一方、中国側の動きについては、習近平国家主席が17日の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)開幕式で基調講演を行い、反グローバリズムの動きをけん制する発言で話題を集めた。

自由貿易主義のメリットと保護貿易主義のデメリットを説くその姿は、かつて「自由」を標榜する米国が「国内の論理」を押し通す中国を非難するという立場が逆転したかのような印象を与えるものだったが、ともかく習氏はトランプ政権の出方を静観し反撃の機会をうかがっているところだろう。

目下の中国は、共産党が設立された1921年から100周年にあたる2021年を前にして、20年には10年と比較して平均所得を倍増しようと当面6%台後半の経済成長率の達成に余念がない。しかし、16年の成長率は6.7%と26年ぶりの低水準にとどまり、17年の見通しも国際通貨基金(IMF)が6.5%と予測しているように20年の目標達成は微妙である。

このような環境下、2012年以降、習氏以下7人が共産党中央政治局常務委員会(事実上の最高指導部)を構成し政権を担ってきたが、権力闘争の激しさはこれまでと同じだ。

「虎もハエも同時に叩く」とのスローガンの下で繰り広げられた反腐敗闘争において、薄熙来・元重慶市党委書記や石油閥の周永康・元常務委員などの大物が追い落とされたのは記憶に新しいが、その結果、16年10月の第18期中央委員会第6回全体会議(6中全会)で習氏は、毛沢東、ケ小平、江沢民の3氏にしか使われなかった「核心」の指導者と呼ばれることになり、より強い権力を築くことに成功した。

しかし、その過程で、「権威人士」とのペンネームを有する習氏ブレーンと目される人物が、構造改革の徹底とL字型の経済成長を主張し、U字型やV字型の景気回復を優先させる李克強首相への批判を強めたと報じられている。このような経済論争の形をとった権力闘争に対し、李首相が江沢民派の常務委員らと連携して反発を強めているとの報道もあり、今後の権力の行方から目を離せない。

こうした状況で今秋に開催される5年に1度の共産党全国代表大会では、ポスト習体制をめぐって権力闘争が一層激化することは必至だ。「世代交代」が今年の中国の最大のテーマとなろう。

ちなみに、国内外の報道によれば、習氏らの世代(第5世代)を継ぐ第6世代のトップ候補として12年に同時に中央政治局委員になった胡春華・広東省党委書記(李首相と同じ共産主義青年団の出身)と孫政才・重慶市党委書記(江沢民派)が、今秋の共和党全国代表大会で常務委員に選ばれ、22年以降のポスト習体制を担う可能性が高いという。

確かに、現在のメンバーのうち習主席と李首相を除く残り5人の常務委員が党大会において68歳の定年を迎えることから、権力構造の激変は避けられない。ただ、その緩和措置として、反腐敗闘争で習氏を支えてきた王岐山・党中央規律検査委員会書記の定年を延長させる可能性や、習氏の最側近である栗戦書・党中央弁公庁主任を常務委員に抜擢して院政を目指し権力強化を図ることなども予測されており、その成り行きが注目される。

このように共産党指導部の権力闘争が激しく続く一方、現在の中国は国内に共産党・官僚の腐敗、民族問題、格差問題、環境悪化、国有企業のゾンビ化、人口問題を抱え、対外的には米国との軍事、貿易上の軋轢に直面している。権力闘争で勝ち残るためにも、特に対外問題での妥協は難しい局面だろう。

要するに、2017年の金融市場で最大の注目材料は米中対立の行方であり、特に貿易不均衡と為替問題が焦点になりそうだ。メディアなどから流れてくる発言を追うと、為替政策についてトランプ大統領とムニューチン財務長官候補の意見が一致しているようには思えないが、今後ドルの適正水準をめぐって人民元安がやり玉にあげられることは必至だ。

当然、円もその影響を受けることになるだろう。主要6通貨に対するドル指数が約14年ぶりの高水準で推移していることからも、今後のドル円の下げ余地が大きい点には警戒が必要だ。

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。近著に「日本経済の非合理な予測 学者の予想はなぜ外れるのか」(ATパブリケーション刊)。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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アングル:中国旧正月休暇の観光客渡航先、外交関係が影響も
 

[上海/北京 22日 ロイター] - 中国は1月27日から2月2日まで旧正月の長期休暇に入り、連休中に海外を訪れる中国人観光客は600万人に上ると予想されている。台湾の旅行会社を経営するLi Chi-yueh氏にとって、旧正月は非常に重要な時期となる。

同氏の会社は売り上げの3分の1を中国本土の観光客から得ているが、今年は大きな期待は寄せていない。昨年5月に台湾で蔡英文政権が発足して以降、本土からの観光客は36%減少した。

同氏は「中国は観光客を外交面での武器として使っている」とし、「現状が改善しなければこの業界は生き残れないという懸念は強い」と述べた。

こうした懸念は台湾だけでなくアジアの他の地域でも見られ、中国が以前に増して、自国の観光客を周辺国との外交関係に利用しているとの見方が広がっている。

韓国の政府当局者は、中国国家観光局(CNTA)が11月から2月までの韓国へのツアーを少なくとも20%減らすよう、中国の代理店に伝えたという話を中国と韓国の旅行会社から聞いたと述べた。同当局者によると、1─2月のチャーター便追加の申請が認められず、見込まれていた数千人の観光客が韓国に入国しなくなったという。

韓国は、在韓米軍への地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備に合意し、中国から反発を受けている。

当局者は中国からの観光客の減少について「双方にとって不都合な状況だが、どうすることもできない。防衛問題では妥協できる余地はない」と話した。

CNTAからのコメントは得られていない。

昨年8月に韓国を訪問した中国人観光客は前年同月比70.2%増、9月は22.8%増だったが、11月には増加率がわずか1.8%に急減。これは中東呼吸器症候群(MERS)の流行を受けて32%減となった2015年8月以来、最悪の数字となる。

米国は昨年11月、THAADが8─10カ月以内に韓国に配備される予定だと明らかにした。

<フィリピンやマレーシアでは急増>

対照的に、フィリピンとマレーシアについては、渡航勧告の解除やビザ規制の緩和を背景に中国人観光客の伸びが顕著だ。両国はいずれも過去数カ月間で中国との外交関係が緊密化している。

昨年3─12月にマレーシアを訪れた中国人観光客は前年同期比83%増加した。

マレーシアのナジブ首相は昨年11月に訪中し、約340億ドル相当の契約を締結した。

南シナ海の領有権をめぐって中国と対立してきたフィリピンでは、ドゥテルテ大統領が米国と距離を置く一方、中国に近づく姿勢を示している。昨年1─10月の中国からフィリピンへの観光客は前年同期比40%増となった。

中国人観光客は海外での支出額が最も大きく、ユーロモニターのデータによると、今年の支出額は2100億ドルに達する見通し。中国企業による2016年の海外企業合併・買収(M&A)総額の2倍となる。

<観光業は外交の一部>

中国本土の旅行会社はロイターに対し、一部の国への観光客の数が変わってきていることは認めたものの、特定の旅行先への訪問を控えさせるよう政府から指示があったかどうかについてはコメントしなかった。

国営旅行会社大手の中青旅(CYTS)の最高ブランド責任者は、「観光客は、訪れても歓迎されない可能性のある国は避ける」と述べ、「観光業は多くの面で外交の一部であることから政治・外交上の問題も影響する」と指摘。ただその上で、「パッケージ旅行を企画する際に基本となるのは旅行者の需要だ」と述べた。

春秋航空(601021.SS)の親会社である上海春秋国際旅行社はロイターに対し、台湾ツアーの運行頻度は減り規模も縮小したと明らかにした。韓国への団体ツアーは20%減少したという。「よく知られている」理由から、中国人観光客が「より友好的な他の旅行先を選びつつある」との見方を示した。

中国国際航空(エア・チャイナ)(601111.SS) (0753.HK)によると、欧州や東南アジアへの旅行者は増加している。同社のマーケティング責任者は「市場の需要に基づき運航路線を調整している」と説明した。

(Brenda Goh記者、Muyu Xu記者 翻訳:本田ももこ 編集:高木匠)

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日経平均は4日ぶり反落、トランプ米大統領の通商政策警戒し円高進行
http://jp.reuters.com/article/lunar-newyear-china-tourism-idJPKBN1570NQ?sp=true

 


 
ヘッジファンドの原油買越残高が過去最大−WTI価格は上昇
Mark Shenk
2017年1月23日 11:09 JST

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• WTIの買越残高は17日終了週に過去最高水準に増加:CFTC
• サウジなど、既に義務付けを上回る量の減産実施:石油閣僚ら
ヘッジファンドは石油輸出国機構(OPEC)に対する信頼感を示している。
  OPECと他の産油国が原油市場均衡に向け生産を減らす中、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油価格上昇を見込む買越残高は、データが残っている2006年以降で最高水準に達した。減産合意の履行を監視する第1回会合に出席するためウィーンに集結した各国の石油閣僚の発言によれば、サウジアラビアやアルジェリア、クウェートは既に義務付けを上回る量の減産を実施しており、ロシアは予定より速いペースで供給を削減できている。

  米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、ファンドによる買越残高は17日終了週に14%増加した。WTI原油は報告書の対象となっている週に3.3%上昇し1バレル=52.48ドルとなった。20日終値は52.42ドル。
  シティ・フューチャーズ・パースペクティブ(ニューヨーク)のエネルギーアナリスト、ティム・エバンス氏は電話インタビューで「資産運用会社は原油を購入している。OPECとOPEC非加盟国が価格押し上げに十分なほど生産を減らすという確信に基づいて取引している」と指摘した。
原題:Too Much Ain’t Enough as Investors Jump Into Oil Market Rebound(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK7MAR6S972Y01


OPEC2大国、動じず−トランプ大統領が原油輸入依存絶つと表明
Angelina Rascouet、Grant Smith
2017年1月23日 12:26 JST
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• サウジとベネズエラは世界のエネルギー相互依存を強調
• トランプ米大統領:OPECカルテルからのエネルギー自立目指す

石油輸出国機構(OPEC)加盟のニ大産油国は、OPEC産原油への依存を絶つとのトランプ米大統領の表明に動じず、米国は引き続き海外から原油を輸入する必要があると指摘した。
  サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、米国は「世界のエネルギー市場にしっかり統合されている」と発言。ベネズエラのマルティネス石油鉱業相は、同国産原油の対米輸出が安定して推移するとの見通しを示した。
  ファリハ氏はウィーンでの産油国会合で、「世界のエネルギー市場における米国とサウジアラビアの立場は世界経済の安定に極めて重要だ」と述べ、トランプ政権との連携に期待感を示した。
  トランプ米大統領は20日の宣誓就任式後すぐに、「未利用の膨大な国内エネルギー資源」の開拓を通じて「OPECカルテルおよび米国の国益に反する国からのエネルギー自立に取り組む」と表明した。ブルームバーグの集計データによると、米国は昨年、OPECから日量約300万バレルを輸入。そのうちサウジとベネズエラは181万バレルを占めた。

原題:OPEC Shrugs Off Threat of Trump’s America Cutting Oil Imports(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK7O0D6TTDS001

 


 

 

盛り上がるプラチナ人気、金と価格逆転で投資魅力増す−英社や東商取
鈴木偉知郎
2017年1月23日 12:10 JST

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• 英ブリオンボールトはプラチナ地金の売買サービスを開始へ
• 東京商品取引所は3月に決済期限のないプラチナの新規商品を上場

金の価格を下回る割安な状態が続いているために、投資家の注目がプラチナに集まっている。需要の取り込みを狙い、個人向けに金地金のオンライン取引を手掛ける英ブリオンボールトは新たにプラチナ地金の売買サービスを開始するほか、東京商品取引所も3月に決済期限のないプラチナの新たな商品を上場する。
  ブリオンボールトは3月までに、まずは米国や英国など欧州の顧客向けにプラチナ地金の売買サービスを始める。その後、日本でもサービスを提供する予定。日本向けには少額の資金を一定期間にわたって投資していく積立て商品の提供も検討している。
  ブリオンボールトの日本市場責任者、ホワイトハウス佐藤敦子氏は「プラチナと金価格が逆転していることを投資機会と見る日本の個人投資家のプラチナ地金の投資需要は根強い」とし、「市場のポテンシャルは高い」と述べた。

  国内最大の地金商である田中貴金属工業によると2016年の同社のプラチナ地金の販売量は約15トン。過去最高を記録した15年に続き、過去2番目となる高水準を維持した。国内でのマイナス金利の導入や英国の欧州連合(EU)からの離脱決定などを背景に株式や為替相場が大きく変動した中、価格が比較的安定している安全資産として注目を集めた。
  田中貴金属工業・貴金属リテール部の加藤英一郎部長は「昨年のプラチナ地金の販売量は過去最高に迫る売れ行きで、2年続けて供給が間に合うかと心配するほどだった」と振り返る。「金との価格逆転が起きた時から注目度は一気に高まった。為替や株、債券の価格変動を補完する投資商品として関心を集めており、プラチナ価格が高騰しない限り、投資の選択肢の一つとして定着していく」との見方を示す。
  ブリオンボールトは昨年、プラチナの国際調査機関であるワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル(WPIC)と提携した。WPICの調査担当ディレクター、トレバー・レイモンド氏は昨年12月のブルームバーグとのインタビューで、「現在のプラチナ価格が割安だと認識することで欧米でもプラチナ地金への投資の動きは広まるだろう」と語った。
  WPICによるとプラチナが金価格を下回ったのは過去40年でわずか4回。「プラチナ価格がこれほど長い間、金価格を下回っていたことはなかった」とレイモンド氏は指摘する。15年の世界のプラチナ需要の用途は自動車や産業向けが約6割を占め、投資需要は3%にとどまる。一方、英トムソン・ロイターGFMSによると金の投資需要は約3割に上る。

  金とプラチナの国際価格の逆転は15年の1月からで、すでに2年に及ぶ。世界的な低金利や金融緩和などで資金の逃避先として金が注目される一方、自動車の排ガスを抑制する触媒に利用されるなど産業用途の比率が高いプラチナは世界の景気動向にも価格は左右される。
  世界の金鉱山の年間生産量が約3000トンに対してプラチナは200トンに満たない。こうした希少性もあり、過去大部分の期間においてプラチナは金価格を上回って推移してきた。クレジットカードのプラチナカードや、コンサートでのプラチナチケットなど、より価値の高いものを示す代名詞としてもプラチナは使われる。
  そのため「多くの人がプラチナが金よりも安いという事実を聞くとがくぜんとする。こういう事態は歴史的にみて極めて例外的」、と東商取の浜田隆道社長は指摘。プラチナ先物が取引されている同取引所では、3月21日に通常の先物商品とは異なり決済期限のないプラチナの限日取引を開始する。12日の会見で「決済期限がないことは長期投資に向いている。主力商品の一つに育てていきたい」と期待を寄せた。
  ブルームバーグのデータによると、今月予測を出したアナリスト8人による今年のプラチナ価格予想の平均は1オンス当たり995ドル、金は同1164ドルとなっている

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK231Y6TTDS001

http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/485.html

[国際17] トランプ氏とはどういう人物か、10のポイント トランプ氏との付き合い方―中国シンクタンクの助言  中国で冷める映画熱 
トランプ氏とはどういう人物か、10のポイント
トランプ新米大統領 ENLARGE
トランプ新米大統領 PHOTO: GETTY IMAGES
By GREG VALLIERE
2017 年 1 月 23 日 13:45 JST
 米新大統領に就任したドナルド・トランプ氏の言動にはサプライズが当たり前で、同氏に対し固定観念を抱くことはできない。トランプ氏は米国史上最も異端な大統領となるだろう。他のメディアと同様、われわれも同氏を理解しようとしている。取材を通して浮かび上がった同氏の人物像について、重要な10のポイントを以下に挙げる。

1.信じられないほど細部にこだわる

 これはかなり意外だ。トランプ氏はあまり他人に仕事を委任しない。就任演説はほぼ一字一句まで自ら推敲(すいこう)を重ね、法律についても事細かに精査している。下院共和党の法人税改革案に盛り込まれた「国境調整」の条項は信じられないほど複雑で、筋金入りの「通」にしか分からないものだが、トランプ氏はこの条項を理解している。

2.共和党指導部と距離

 トランプ氏がポール・ライアン下院議長(共和、ウィスコンシン州)と友好関係を築くことはないだろう。また、共和党の意表を突く言動に出ることもいとわない。同氏は15日付の米紙ワシントン・ポストのインタビューで、医療保険制度改革法(通称オバマケア)に代わる「全ての国民のための保険」制度の導入を目指すと語ったが、上院共和党議員らはこの発言にもあぜんとした。共和党指導部への事前の相談はなかったのだ。指導部はトランプ氏のこうしたやり方に慣れた方が良い。

3.ドル高を容認せず

 金融市場は17日、ドルは強すぎるというトランプ氏の発言に仰天した。米大統領や財務長官が直接的な表現で為替政策に口先介入したことはこれまで一度もない。トランプ氏が本当にドル安志向なら、一大事だ。

4.関税導入にはとことん本気

 数十年前からトランプ氏は、米国は貿易相手国によって搾取されていると主張してきた。この問題については一歩も譲らないだろう。中国などが米国から金品を巻き上げてきたとして聞く耳を持たない。相手から譲歩を引きだそうと強気な発言に出るだろうが、関税引き上げや貿易協定脱退を実行する覚悟は十分だ。

5.ペンス氏とプリーバス氏の意見は聞く

 希望的観測かもしれないが、われわれが取材した共和党議員らは、トランプ氏が極端な政策に走ろうとしても、マイク・ペンス副大統領やラインス・プリーバス大統領首席補佐官が懐柔に動くと確信している。ペンス氏もプリーバス氏も基本的には現実主義者だ。「トランプ氏は挑発的な発言を好むが、結局のところ、政策を運営するのはペンス氏やプリーバス氏となるだろう」とある内部関係者は言う。

6.衝動で判断する

 これはトランプ氏の側近の間でも大きな心配の種だ。同氏の発言は往々にして自分の支持層に向けられたもので、北大西洋条約機構(NATO)や気候変動、財政出動による債務拡大などの問題について閣僚候補らと意見が食い違っても意に介さない。また、仕返しを信条とする攻撃性も備えており、挑発に乗りやすいとも言える。北朝鮮やイランがこのことに気づいているのは間違いない。

7.ツイートはやめない

 これには慣れるしかない。われわれが取材した人たちは皆、トランプ氏からツイッターを取り上げることはできないと確信している。国のトップとして一般大衆に直接メッセージを発信できるツイッターはトランプ氏の大のお気に入りだ。われわれが朝起きてまずやらなければならないことは、トランプ氏の前夜のツイートをチェックすることだ。同氏のツイートを材料に株式などの市場が動く可能性があるからだ。

8.口では脅しても実際には何もしない

 トランプ氏はある日メディアを攻撃したかと思うと、翌日にはニューヨーク・タイムズ紙をほめていたりする。世間の注目を集めることにかけては天才で、2015年にはメディアを巧みに操った。まず理不尽な交渉を持ちかけ(これは彼がDNAとして持って生まれたものだ)、次に何らかの取引を求めるというのがトランプ流だ。ヒラリー・クリントン氏を私用メール問題で収監する可能性を示唆したことなど、選挙戦中の攻撃的発言について同氏は選挙の後、大半は単なるパフォーマンスだったとほのめかした。

9.ビジョンがある

 第40代大統領のロナルド・レーガン氏は三つの主要目標を掲げていた。ソ連の影響力を弱めること、政府の役割を縮小すること、そして減税だ。レーガン政権の政策はまさにこれに尽きる。トランプ政権も同じだ。トランプ氏は、米国をもっと安全な国にすること、減税と規制緩和、そして鉄鋼業など産業が廃れたラストベルト(さびついた工業地帯)の復興を目指す考えだ。トランプ氏は一つのビジョンを持っているが、対抗するクリントン氏にはそれがなかった。

10.幾つもの弱み

 われわれが取材した人たちが口を揃えて指摘するトランプ氏の弱みは以下の通りだ。財政赤字を気にしない。債務を増やすことに全く何の抵抗もない。人種差別など多くの社会問題について正しい判断ができない。気に入らない企業を威嚇するなど、民間部門への介入を辞さない。

<結論>

 われわれが特に注目したいのは、トランプ氏が市場や経済にとって良い大統領かどうかだ。答えはイエスというわれわれの意見は変わらないが、トランプ氏は全くの新しい世界に飛び込んだ新米で、しかもミスはほとんど許されない。歴史を振り返ると、素晴らしい大統領、そして時には普通の大統領さえも在任中に成長できた。だからトランプ氏もそうあってほしい。

トランプ新大統領特集

トランプ氏との付き合い方―中国シンクタンクの助言
トランプ氏、就任式の人数と報道への文句やまず
トランプ氏、大統領令で移民規制を強化か
【社説】トランプ氏、自己中心のCIA演説
【社説】トランプ大統領の「大衆迎合」宣言

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi7mr7S5NfRAhWLXbwKHZxMBB4QFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10852398588237353609804582576380968713836&usg=AFQjCNGaSQCijId1l-0GEk_hnpOovOSKXQ


 

トランプ氏との付き合い方―中国シンクタンクの助言
1月9日にトランプタワーで会談した後、エレベーターから降りてきたトランプ大統領とアリババの馬雲氏 ENLARGE
1月9日にトランプタワーで会談した後、エレベーターから降りてきたトランプ大統領とアリババの馬雲氏 PHOTO: REUTERS
By TE-PING CHEN
2017 年 1 月 23 日 13:49 JST

 ドナルド・トランプ氏の大統領就任前日、中国のシンクタンクである中国グローバル化研究センター(CCG)は同氏との付き合い方について政府に助言した。それは、「最悪の事態を予想するな」ということだ。

 トランプ氏は中国製品に高額関税を課す考えを示し、台湾問題を巡っても強気の発言をしているが、CCGは19日に発表した報告書で、中国に対する辛辣(しんらつ)な物言いは米国の大統領候補にとって慣習上、やむを得ないと指摘。トランプ氏が実際に大統領に就任すれば、さまざまな要因が米中関係を支え、その安定を後押しするとの見方を示した。

 例えば、中国の対米直接投資は2015年、米国の対中投資を初めて上回ったほか、米国にいる数十万人の中国人留学生は財政難に苦しむ米国の学校にとって重要な収入源となっている。

 CCGの王輝耀・主任は「不確実性はあるが、それが好都合な場合もある」とし、中国製品に45%の関税をかけるといったトランプ氏の過激な公約の一部はこけおどしにすぎないかもしれないと述べた。

 「トランプ氏は実業家だ。十分なメリットがあれば、考えを変える可能性がある。新政権の閣僚には実業家がたくさんいる」。

 CCGはまた、大規模なインフラ計画を遂行してきた中国の経験が、「米国を再び偉大な国にする」ためのトランプ氏の取り組みでひと役買う可能性があるとの考えを示した。一部の中国人投資家はすでにこの取り組みへの参加に関心を示している。

 王氏によると、これまでの米大統領候補は、就任後に現実に直面すると、「タカ派的な」発言を引っ込める傾向があった。例えば、ビル・クリントン大統領は任期初期に人権と中国についてとうとうと弁じ立てていたが、その後、そうした発言はほぼ鳴りを潜めた。

 王氏は、中国の電子商取引最大手、阿里巴巴集団(アリババグループ)の創業者、馬雲(ジャック・マー)氏とトランプ氏が会談したことも明るい話題だと指摘。「これは、トランプ氏が柔軟であることを示している」と語った。

 トランプ氏は先のウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、「大統領就任初日に」中国を為替操作国に認定するという公約を撤回した。

 CCGは中国に対し、米国の各州と直接、外交関係を強化し、文化・研究交流を推し進めるよう助言した。また、関係の円滑化に向けて米国の多国籍企業と協力するよう提言した。(ただ、ある調査によると、米国企業5社のうち4社が中国で以前より歓迎されていないと感じると答えているため、それは手間がかかるかもしれない)

 中国の人々にとって、トランプ氏の大統領就任は、「土豪(中国語で品格が伴わない金持ちのこと)」とも呼ばれる同氏に関する冗談を言うチャンスだ。中国メディアは、トランプ氏の宣誓に至るまでの間、同氏の就任式にかかる費用が米国史上最高になるかどうか推測する記事を配信した。

 中国の交流サイト「微博(ウェイボー)」のあるユーザーは「トランプ氏の大統領就任後、金の価格が上昇したら、その理由の1つはホワイトハウスが全て金で飾り立てられるからだろう」と投稿した。

 別のユーザーは「この気まぐれでずる賢い『土豪』が本当に米国を再び偉大な国にするだろうか。それとも米国を、あれやこれや値段交渉をして回る行商人にするだけだろうか。成り行きを見守るしかない」と投稿した。

 トランプ氏が指名した閣僚の承認公聴会で、閣僚候補者は中国を厳しく批判した。商務長官に指名されたウィルバー・ロス氏は18日、中国は世界の大国の中で「最も保守主義的だ」と非難した。中国外務省は19日、習近平国家主席がスイス・ダボスで開催された世界経済フォーラムでの演説で、グローバル化を強く支持すると述べたことを引用して反論した。

 同省の華春瑩・報道官は「貿易と投資の自由化を本当に推し進めているのは誰だろう。その答えは(ロス氏の発言内容と)正反対であることを誰もがはっきり分かっている」と述べた。

トランプ新大統領特集

トランプ氏とはどういう人物か、10のポイント
米中貿易摩擦、最大のしわ寄せ韓国と台湾に
【社説】トランプ氏、中国の台湾「いじめ」に立ち上がる好機
投資家、トランプ大統領の就任を警戒
トランプ氏、就任式の人数と報道への文句やまず
【オピニオン】ボールペンに見る中国の重商主義
ミスター円、トランプ政権下の円高を予想
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiFienP5NfRAhUMyLwKHaAyBh4QFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10852398588237353609804582576383455715406&usg=AFQjCNElqcD8LtCQv0Yss00hAoXt8bxWWg

 

中国で冷める映画熱
中国で2016年最大のヒット作となった「美人魚」(邦題「人魚姫」)のチャウ・シンチー(周星馳)監督(左)と出演者ら
By WAYNE MA AND ERICH SCHWARTZEL
2016 年 12 月 30 日 22:19 JST

 【北京】活況を呈してきた中国映画業界に、厳しい現実が突きつけられた。2016年は割引券の減少に加え、配給会社によるチケット買い上げを取り締まる動きで、興行収入の伸びに急ブレーキがかかった。

 映画業界調査会社の芸恩咨詢(EntGroup)によると、年初から12月29日までの興行収入は450億元(約7600億円)で、前年に比べて2.2%の増加にとどまった。

 ロサンゼルス在住の映画プロデューサーで、ハリウッドの映画制作会社に対してコンサルティングも行っているロブ・ケイン氏は「起こるはずのことだった」とし、「もしこれまでのペースが続いていたら、中国の映画館が地球上の通貨を全て使い果たしてしまっただろう」と述べた。

 調査会社コムスコアは、米国の今年の興行収入を前年比1.9%増の114億ドル(約1兆3000億円)程度と予想している。中国の興行収入の伸びはこれと大きく変わらない格好だが、2015年の49%増や過去5年間の平均である34%増との差は大きい。

 急ピッチでの映画館増設、パソコンや携帯端末を通じたチケット販売方法の普及など、過去の成長には正当な理由もあった。しかし割引券の存在や、配給会社がヒット作品と見せかけるためにチケットを大量購入する慣行も、一定の役割を果たしてきた。

 一部のアナリストは、今年の需要冷え込みがより根本的な映画ファンの変化を示唆している可能性もあるとみる。

 ソニー傘下の映画制作会社コロンビア・ピクチャーズのサンフォード・パニッチ社長は「市場の成熟に伴い、違いの分かる観客が増える傾向がある」と指摘。ハリウッド映画だからといって単純に支持されるわけではなく、中国映画などの選択肢が増えてきていると説明した。

 16年は中国で必見とまで言える映画が少なかったことを挙げるアナリストもいる。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の調べでは、中国当局がチケット販売を後押しするため今年上映を許可する外国映画の本数を少なくとも39本とし、通常の34本からひそかに引き上げていたことが明らかになっている。

 昨年までの勢いなら、17年には中国の興行収入が米国を抑えて世界首位に躍り出る可能性があるとみられていた。だが今年の伸び悩みでこの期待はしぼんだ。それでも世界の映画業界にとって希望を持てる市場であることに変わりはない。2級・3級都市へも映画館建設が広がり、芸恩咨詢によるとスクリーン数は今年25%近く増えて4万を超えた。

 中国の興行収入は緩やかながらも伸び続けている。そのためアナリストの間では、外国映画の封切りを増やしても中国映画に悪影響を及ぼすことはないと考えられている。米国の映画業界は12年に年間34本の上映許可本数で中国側と合意したものの、17年に予定されている見直しでは本数の引き上げを目指す。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj3r5GT5NfRAhXMT7wKHWleDxAQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12796882447964964591404582528811640504688&usg=AFQjCNE2mQV3gIc5hLUFWRAQQEe1NiLpCw
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/486.html

[経世済民118] ブラック学校温存させる教育界の無責任地獄 休職者比率は高止まりで、その半数がメンタル不全という現実 上司と部下の力学 
"ブラック学校"温存させる教育界の無責任地獄

休職者比率は高止まりで、その半数がメンタル不全という現実


河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
2017年1月24日(火)
河合 薫

 今回は「教師の長時間労働を止めるのは、誰なのか?」ということについて、考えてみる。 
 校長?教育委員会?先生自身?いったい誰?
 何人もの教師たちがうつ病などの精神疾患で休職したり、過労死や過労自殺しているというのに、責任は誰、あるいはどこにあるのか?
 ひと月前の12月22日。文科省から「平成27年度公立学校教職員の人事行政状況調査結果」が公表され、2015年度にうつ病などの精神疾患で休職した公立学校の教員が5009人に上ることがわかった。
 これは在職している全教員の0.54%に当たり、病気休職者7954人中6割強を精神疾患が占める。
 以下のグラフは、在職者に占める「精神疾患による病気休職者の比率」と、「精神疾患による病気休職者数」の推移を示したものだ。精神疾患による休職者の比率は、急激に上昇した後、ここ10年近くはほぼ横ばいで、ほとんど改善されていない。また、休職者数の増加は、その大半が精神疾患による休職が原因なのだ。

出所:「公立学校教職員の人事行政の状況調査」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/012000088/graph.JPG

20代の教職員、この10年で20人が自殺?
 しかも、20代の精神疾患による休職者は564人で、この10年の間に2倍近くに増加。NHKの夕方のニュース(12月23日)によれば、少なくとも20人が自殺していて(NHK調べ)、この事実を文部科学省は把握していないと報じていた。
 で、先日。松野博一文部科学大臣の定例記者会見で、NHKの記者が大臣に質問を投げかけた(映像はこちらからご覧になれます)。
記者:「NHKの調査で、この10年間に新人の先生が、採用から1年で46人が死亡退職され、そのうち半数近くが自殺だったことが明らかになった。それについて大臣の御所感を伺いたい。最悪のケースに至っているという実態を把握しているのか」
大臣:「死亡退職した人数は把握しているが、死亡の原因やその背景についての調査は行ってない。一方、教職員の過労死については『過労死等の防止のための対策に関する大綱』でも指摘をされており、厚生労働省と連携をし、過重労働の実態等について調査研究を行うことを検討している」
記者:「採用からわずか一年の死亡退職のうち自殺が半数近くいる事実については、どのように捉えられているのか?」
大臣:「今まで原因等の調査を行っていないので、まずは、調査からと考えている」
記者:「実態について調査を進めていくと?」
大臣:「厚生労働省と連携をして、その調査を進めるべく検討をしている」
 話が前後するが、この日の会見は「学校現場における業務の適正化に関する大臣メッセージ」として、次の3点が報告されている。
1.業務改善に集中的に取り組む「重点モデル地域」を20か所程度指定する
2.運動部活動に関する実態調査を実施し、適切な練習時間や休養日等を含めた総合的なガイドラインを策定する。それに先立ち本日(6日)、各都道府県教育委員会等に対し、休養日の適切な設定を求める通知を発出する
3.業務改善等に知見のある有識者や、教育委員会関係者等を「業務改善アドバイザー」として、教育委員会の求めに応じて派遣する
 記者の質問に対する回答なども加え、上記を補足しておくと……
・本日付け発出するのは、休養日を設けていない学校に適切に設定を求めるもので、具体的に何日というような規定はない。
・業務アドバイザーは、あくまでも教育委員会の要請があったときにのみ派遣。内容も教育委員会の希望にあわせる。
・業務アドバイザーは学校経営やマネジメントの知識を持っている専門家。または、すでに各教育委員会の指導に入っている人たちから選定する。
 ふむ。要するに大臣は、「国はがんばるけど、あくまでもやるのは教育委員会だよ。これまでだってそうだったでしょ?」と、明言した。ええ、そうです。これまでと一緒だ。
 私の記憶に間違いがなければ、文科省が具体的に教員のメンタルヘルス対策に乗り出したのは2013年。予防的取り組みと復職支援に関わる対応をまとめ、この年の10 月に発表した(教職員のメンタルヘルス対策について(中間まとめ) )。
 ただし、通知しただけで、何をどうするかは各教育委員会に任された。
生かされず、負担にしかならない文科省の調査
 大臣は「教員の業務負担の軽減を図ることは喫緊の課題であると認識をしている」と会見の冒頭で語っていたけど、本当にこれで先生たちの劣悪な職場環境は、改善されるのだろうか?
 「調査、調査、調査」って繰り返していたけど、それでまた現場の先生たちが“雑用”に追われることになるのではあるまいか。
 先生たちの8割以上が、「負担に感じている業務」に「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」を挙げたことを、文科省の役人たちは忘れてしまったのか?
 詳しい内容は連載の過去記事(「先生も生徒も数値で“仕分け”」 超効率主義で朽ちる学校)をご覧いただくとして、2014年に文科省が行ったこの調査(「学校の総合マネジメント力の強化に関する調査研究」)は、初めて全国規模で先生たちの「具体的な負担」が明かされた貴重な資料である。
 その調査で、「国や教育委員会からの調査やアンケートへの対応」が、大きな負担であることが示された。まさにやぶへび。
 当時、文科省はこの笑うに笑えない結果に、
「平成20年以降、見直しに取り組んできているが、引き続き調査の見直しに取り組んでいく」
と回答していたけど、いったい何を、どう、見直したのか教えて欲しかった。
 っていうか、会見に出ている記者さんたちは誰ひとり、疑問を抱かなかったのだろうか。
 だいたい国は、2015年、「学校現場における業務改善のためのガイドライン〜子供と向き合う時間の確保を目指して〜」を策定していたわけで。その効果くらい質問できたはずだ。
 存在すら知らなかった?
 その可能性はある。
 大臣の会見から9日後、「小中教諭の7割、週60時間超勤務 医師や製造業上回る」との見出しが、朝日新聞の朝刊一面に掲載された(15日付朝刊)。
 連合総研が、全国の公立中学校の教師約4500人を対象に実施した調査の結果を紹介した記事だ。調査では、「最も負担に感じている仕事は?」との問いに、
・小学校の84%、中学校の82%が「保護者・地域からの要望や苦情への対応」
・小学校の83%、中学校の80%が「国や教育委員会からのアンケート」
と回答。
 さらに、
・小中学校教員の1日平均労働時間が約13時間
・小学校の73%、中学校の87%が週60時間以上の勤務
・小中ともに、週50時間未満はゼロ
・15%が朝7時前に出勤
・22%が夜9時以降に退勤
(すべて連合総研の調査結果)
と、その結果は2014年の調査と変化なし。文科省のガイドラインは、なにひとつ実っていなかった。
 これでは、うつ病などの精神疾患による教職員の休職が10年間改善しないのも、当たり前である。
文科省の辞書に「検証」という文字は存在しないのか
 大臣は先の会見で、
「教員の働き方を改革し、教員がその担うべき業務に専念できる環境整備を目指します!平成29年度予算案において、各教育委員会における業務改善の取り組みを加速するべく、「学校現場における業務改善加速プロジェクト」を始動するための予算を計上しました!」
と胸を張ったけど、いったい何回プロジェクトを立ち上げれば気が済むのだろう。
 毎度毎度、調査を繰り返し、ガイドラインを策定し、「あとは君たちでやってよ」と教育委員会に投げる。――文科省の辞書に「検証」という文字は存在しないのか。
 そういえば、東京都の公立中に通う長女の部活動がブラックすぎるとして、中学校と闘い改善させた父親に関する記事が話題になったが、「ブラック部活動」についてはずっと以前から社会的にも認識されていた。
 今から20年前の1997年。文部省(現文部科学省)は運動部活動をはじめ中学生・高校生のスポーツ活動の望ましい在り方について有識者会議を設置。全国の中学校100校、高等学校100校の生徒や保護者、教員など計約5万4000人を対象に調査を実施したうえで、「週に2日以上」「長期休業中はまとまった休養日を設置すること」など、中学校の部活動における休養日のガイドラインを提示しているのだ。
 つまり、部活動が先生の負担になっていることは20年前にわかっていたのに、まるで「今明らかになった」かのように取り沙汰されている状況は異常だ。
 しかも、件の父親によれば「スケジュールをつくっているのは外部指導者」で、現場の先生たちはその練習日程に合わせざるをえなかったそうだ。
 部活の指導を先生ではなく外部に任せる方針は、文科省の中央教育審議会が、進めている政策である。一昨年末には、教員以外が部活指導や引率をしやすくするための制度化を答申するなど、外部指導者の積極的な活用をすすめている。
 いったいこのチグハグさは何なのだろう?
 本当に誰が、教師たちの長時間労働を止めるのか?
 そもそも、その責任は誰にあるのだろうか?
 そこでこれまでインタビューに協力してくださった現場の先生たちに取材したところ、次のような回答があった。
・勤務時間は、基本的には市で決められている。
・出勤と退勤の時刻は学校により異なる
・給食、昼休みの時間が昼休憩となっているが、現実にはとれない
・在校時間は、常に規定を大幅にオーバーしている
・職員の勤務時間については、基本的には校長が管理している
・勤務管理は校長の仕事だが、実質的には管理されておらず、長時間労働は当たり前。唯一「管理者」としての機能が果たされるのは年休など、校長の許可が必要な場合のみ
・地域によって、業務負担の差が大きい
・地方自治体(教育委員会)が、国が決めた方針に積極的に取り組むか次第
・校長が力のある人だと、市との連携が上手くいく
・校長に対する保護者からの信頼が厚いと、保護者が部活動や防犯パトロールなどに協力してくれる
・都内のある公立学校では図工も家庭科も専科の先生がいて、うらやましいと思った
・以前の学校では、理科の支援員がいたので助かった。理科は授業の準備に時間がかかる
 う〜む。これらをどう解釈すればいいのだろうか? 
一体全体、責任は誰にあるのか?
 先生たちの労働環境を“変える”権限を持っているのは、教育委員会であることはわかる。でも、変える責任を負っているのは誰なのだろう?
 長時間労働を“責任”をもって止めるのは、教育委員会?校長?どっち?
 ひとつだけ、確かなのは取材に応じてくれた先生たちが、いずれも長時間労働に疲弊していたことだ。
 特に、20代で6年生の担任を任されている先生は、「12月は地獄で。いつ自分が倒れるか恐かった」とし、次のように話してくれた。
「恵まれた地域に赴任できるのは、ごく一部です。ほとんどの先生は、私と同じようにボロボロです。特に同年代の先生は(20代)は、苦しんでいます。中学校に行った友人は、週末に部活動を休みにすると保護者からクレームがくるので『休めない』と言っていました。
 私は6年生の担任なので、12月は地獄でした。
 提出する資料が多い上に、受験する子どももいる。保護者も過敏になっているので対応するのがいつも以上に大変でした。不安定な体調に苦しみながらの日々で、確実に身体のバランスが崩れているのですが、気がついたときにはコントロールが利かなくなっていました。
 食事を食べる時間もなく、気力も出なくて、自分でも恐かった。以前、河合さんに話を聞いてもらってから気分転換も必要だと痛感し、月に最低でも2回は趣味の茶道のお稽古に行くようにしていました。でも、12月は行けなかった……です。
 今はただただホッとしています。大きな問題が起きることもなく、2学期が終って本当に良かったです。
 学校の現場は孤独です。私は職員室には行きません。一日中、担任のクラスで過ごしています。長時間労働や保護者の対応の大変さ、部活動のことなどはニュースになりますけど、先生たちとの人間関係も大きな問題なんです。
 学校の行事の準備や休日の部活、防犯パトロールなど、すべて若手の仕事になります。前の校長のときは、まだ良かった。でも、今は校長は見てみないふりをしています。みんな自分のことを守りたいんです」
 彼女のように、今もギリギリのところで耐えている先生たちがいることを、国や教育委員会の人たちはわかっているのだろか? 校長先生でさえ、目を背けたがるって、どうなっているのだろう。
 企業はブラック企業とレッテルを張られるのを恐れるけど、学校にはそれがない。企業のトップは、電通の社長辞任にワナワナするけど、教育現場でビビるのは誰?
 調査結果やガイドラインを生かし、実効性を持たせるには責任の明確化が不可欠である。その上で検証する。お題目はもういい。今、この時間もギリギリにいる先生に目を向けてくれ。
悩める40代〜50代のためのメルマガ「デキる男は尻がイイ−河合薫の『社会の窓』」(毎週水曜日配信・月額500円初月無料!)を創刊しました!どんな質問でも絶対に回答するQ&A、健康社会学のSOC概念など、知と恥の情報満載です。


このコラムについて
河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/012000088/


http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/249.html

[政治・選挙・NHK219] 安倍首相:トランプ氏と早期に会談し、同盟関係を強化したい トランプ、TPP脱退、大統領令署名へ 翻意促したい=経団連会長
安倍首相:トランプ氏と早期に会談し、同盟関係を強化したい
広川高史
2017年1月23日 16:20 JST

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政治家のSNS活用は不可欠−トランプ氏のツイッターに安倍首相
日本企業の貢献含め説明し、理解を深めたい−米新政権に安倍首相

安倍晋三首相は23日午後の衆院本会議で、トランプ米大統領の就任に「心から祝意」を表明した上で、同氏と「できるだけ早期に会談」し、信頼関係の下に日米同盟の絆をさらに強化したいと語った。民進党の野田佳彦幹事長(前首相)への答弁。
  安倍首相はトランプ氏が大統領選で勝利した直後の昨年11月17日、各国首脳に先駆けてニューヨークで同氏と会談した。日本政府は首脳会談の早期実現に向けて安倍首相の訪米を調整している。複数の関係者によると、米側は麻生太郎副総理兼財務相も会談に同行するよう要請しており、実現すればペンス副大統領と会談する可能性もある。
  トランプ大統領は就任前の今月11日にニューヨークで行った記者会見で中国に加え、日本やメキシコとの間にも貿易不均衡が存在していると日本を名指しした。ツイッターではトヨタ自動車が進めているメキシコ工場建設計画を批判するコメントを投稿。20日の就任後は環太平洋連携協定(TPP)からの撤退、カナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉などの政策転換を早々と表明している。
TPP
  安倍首相はトランプ政権の貿易政策について「閣僚人事の承認が進み、体制が整うに従って具体化される」と指摘。当面は日米の経済関係を「どのように発展、深化させていくか新政権とさまざまなレベルで議論していきたい」との考えを示した。
  TPPについては「自由で公正な貿易の重要性については認識していると考えており、TPP協定が持つ戦略的、経済的意義についても腰を据えて理解を求めていきたい」と述べた。
日本企業
  また、安倍首相は米国での日本企業の活動について「米国経済への貢献等に関する説明を含め、主張すべきは主張し、理解を深めていきたい」と強調。
  トヨタ自動車への批判など重要事項をツイッターに投稿する手法については「現代はネット社会であり、政治家であればSNSを活用することは不可欠という時代にわれわれは生きている。そして多くの首脳も活用していると認識している」と理解を示した。
 
  菅義偉官房長官も23日午前の記者会見で、トランプ政権の政策が日本企業にもたらす影響について「今後しっかり注視していきたい」と話した上で、日本企業は米国経済に貢献しており、「トランプ新政権との間で日米経済関係のさらなる発展、深化を図っていきたい」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK7TJA6JIJUO01


米トランプ政権のTPP脱退、翻意促したい=榊原経団連会長

[東京 23日 ロイター] - 経団連の榊原定征会長は23日の定例会見で、20日の就任と同時にTPP(環太平洋連携協定)離脱を正式表明したトランプ米新政権に対し、「翻意を促すことは可能」と指摘した。TPPに代わり2国間の自由貿易協定(FTA)を軸に多国間に広げる可能性もありうるとしつつ、「TPP実現が最優先。何としても実現必要との思いを安倍総理・菅官房長官と共有している」と強調した。

榊原会長はトランプ氏が就任時打ち出した政策に「特に新しいことはなかった」としたうえで、「保護主義的な動きは経済社会の望む方向ではない。翻意していただきたい」と要請した。NAFTA(北米自由貿易協定)見直しも「メキシコ進出の日本企業への影響が懸念される」とした。

安倍晋三首相が1月内を希望していたトランプ氏との首脳会談が現時点で日程のめどが立っていない点について、「トランプ大統領は英国、メキシコ、カナダ、イスラエル、日本とは優先的に首脳会談すると聞いている」との理解を示した。

経団連はトランプ政権とのパイプ作りのため、今秋にも米国にミッションを派遣する予定。ペンス米副大統領については、インディアナ州知事時代は親日的でTPPについても非常な推進論者だったと振り返った。

(竹本能文)

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トランプ米大統領、TPP脱退について大統領令に署名へ−関係者
Toluse Olorunnipa、Kevin Cirilli、Austin Weinstein
2017年1月23日 23:21 JST
選挙戦中の公約を実践へ
行動は予想された通り

トランプ米大統領は23日に、環太平洋連携協定(TPP)から米国を脱退させる大統領令に署名すると、事情に詳しい当局者が述べた。
  23日に予定されている貿易に関する大統領令発令は、就任後早期に通商政策を見直すとした選挙戦中の公約を実践するものだ。
  日本やメキシコ、シンガポールと米国の貿易を自由化する12カ国の合意であるTPPはオバマ前政権のアジア重視政策の中核的遺産だが、トランプ氏は選挙戦を通じて北米自由貿易協定(NAFTA)など通商協定への反対を表明してきた。
  
原題:Trump Said to Sign Executive Order on Trans-Pacific Pact (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK8KTQ6VDKHT01



 


 

トランプ米大統領、NAFTA再交渉で「良い結果」約束
Anna Edgerton、Toluse Olorunnipa
2017年1月23日 20:42 JST

カナダ首相、メキシコ大統領と近く会談へ
メキシコは「すごい」とトランプ氏−隣国と協力の姿勢示す

トランプ米大統領は就任後早速、北米自由貿易協定(NAFTA)を再交渉すると宣言した。選挙公約の中核に据えた自由貿易への反対から、姿勢を後退させてはいないことを示唆した。
  トランプ大統領はカナダのトルドー首相、メキシコのペニャニエト大統領と会談する計画で、NAFTAについて議論を開始するつもりだと述べた。トランプ氏はこれまで、NAFTAが米国の職を奪っていると批判を繰り返してきた。だが、この日は「メキシコはすごい」と称賛し、米国と国境を接する両国と進んで協力していく意向を示した。  
  トランプ大統領はホワイトハウス上級スタッフの就任式典の冒頭で「NAFTAや移民、国境警備について再交渉を開始する。メキシコや米国、全ての関係者にとって非常に良い結果になると考えている。それがまさに極めて重要だ」と語った。
  ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官によると、トランプ大統領は貿易を重要課題にメイ英首相と週内に会談する。カナダのトルドー首相とは21日に電話会談したが、「数日内に」追加協議を計画している。メキシコのペニャニエト大統領とは31日に会談する予定。
原題:President Trump Promises ‘Good Results’ From Nafta Talks (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK8CGC6KLVR401

http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/563.html

[経世済民118] ポピュリスト大統領で米国の時代は終わる あまりに過大な期待 反動は大 最大のリスクは低支持率 中国は世界のリーダーとなる
ポピュリスト大統領で米国の時代は終わる

岡部直明「主役なき世界」を読む

「米国第一」で「世界の悪役」に
2017年1月24日(火)
岡部 直明
 「すべては今日始まる」とはよく言ったものだ。たしかにそうだろう。就任演説で「米国第一」(アメリカ・ファースト)を繰り返すドナルド・トランプ大統領の登場で、皮肉にも「米国の時代」は終わりを告げた。欧州の極右にも通じるこのポピュリスト(大衆迎合主義)大統領は米国の分裂を決定的にしただけでなく、世界中を不安に陥れた。米欧同盟に亀裂が走り、中東危機を深め、中国、ロシアの台頭を許しかねない。トランプ流保護主義は相互依存で成り立つグローバル経済を危険にさらす。トランプ大統領は「世界の悪役」に映っている。第2次大戦後、覇権国の座を維持してきた米国の信頼は大きく揺らいでいる。


1月20日、米ワシントンの連邦議会議事堂前で就任演説を行った後、聴衆に手を振るトランプ米新大統領。(写真:UPI/アフロ)
欧州極右と見まがう排外主義

 トランプ大統領に、全米で異例ともいえる抗議活動が広がっている。反トランプの抗議活動は欧州連合(EU)離脱を決めた英国を含め欧州全域、そして、排外主義の照準になったメキシコなど世界80カ国に連鎖した。

 世界中の批判がトランプ大統領に集まるなかで、トランプ登場に勢いづいているのは、反EUを掲げる欧州の極右勢力だろう。フランスのマリーヌ・ルペン国民戦線(FN)党首をはじめオランダ、ドイツなどの極右の代表はドイツのコブレンツに集結し気勢を上げた。ルペン党首は「今度は我々が目覚める番だ」と意気込んだ。

 みればみるほど、トランプ大統領の「米国第一主義」は欧州にはびこる極右ポピュリストにそっくりだ。大統領就任演説に歴代大統領が掲げた人権や民主主義の理想はまったくなかった。その代わりに「今日から新しいビジョンがこの国を支配する。今日から米国第一主義を実施する」と宣言した。それは、移民、難民の流入を規制し自国優先の排外主義を掲げる欧州極右と通じる思想である。トランプ氏には女性や少数民族などへの差別意識も強く、単なるポピュリストを超えた極右思想の範疇といえる。

米国の分裂が招く大混乱

 トランプ大統領の登場による米国の分裂は深刻だ。トランプ大統領の支持率は40%と異例なほど低く、就任式には60人もの民主党議員が欠席した。就任式への参加者数をめぐる主要メディアとの対立は異常でさえある。指名した閣僚の議会承認も進まず、実際に政策を動かす各省の幹部クラス(ポリティカル・アポインティ)起用も大幅に遅れている。あまりの不人気に、政権入りをためらう専門家が多いとみられる。

 これでは、政権運営が機能不全に陥る恐れすらある。共和党主流にはなおトランプ氏は共和党の大統領ではなく、共和党はトランプ氏に乗っ取られたという意識が強い。

 就任演説でもトランプ氏は大統領選の暴言路線から君子豹変できなかった。中低所得の白人男性など支持層だけを向いており、米国全体を率いる大統領としてふさわしくないと受け取る向きが多い。米国社会の亀裂は深く、修復は簡単ではないだろう。人種、所得階層、地域間の米国社会のあつれきは米国を大混乱に陥れる恐れがある。

きしむ米欧同盟、深まる中東危機

 超大国・米国による「米国第一主義」は世界を揺さぶる。とくに継続性、安定性が欠かせない外交の分野でも米国第一主義を貫く姿勢を鮮明にしたのは危険である。オバマ政権の国際協調路線から自国本位への大転換である。それは米国に根付くモンロー主義、孤立主義への回帰だけでは片づけられない偏狭なナショナリズム(国家主義)である。

 とりわけ、第2次大戦後の米国外交の基本である米欧同盟を疑問視し、北大西洋条約機構(NATO)を批判しているのは大きな問題である。NATOの亀裂は国際社会を根底から揺さぶることになる。

 トランプ氏がEU解体に言及していることに、EU各国首脳は神経をとがらせている。英国のEU離脱を称賛し、離脱国が続くと予言したことに、オランド仏大統領は「EUのことはEUで決める」と強い不快感を示した。EUでは反EUを掲げる極右の台頭に頭を痛めているだけに、トランプ氏のEU解体論はがまんがならないのだろう。

 第2次大戦後の欧州統合は、独仏和解と米国の支援が相乗効果を発揮して実現した。歴代の米政権はEU統合を全面的に支持してきており、トランプ氏のEU解体論は、EU内の極右ポピュリズムと連携するものと受け止められても仕方がない。

 トランプ氏の中東政策は中東危機に拍車をかける危険がある。オバマ政権下でようやくまとめたイランの核合意を反故にすることになれば、中東の混乱をさらに深めることになりかねない。イスラエルの米大使館をテルアビブからエルサレムに移転するというのも新たな火種になりかねない。アラブ諸国は強く警戒している。トランプ政権がイスラエル寄りに傾斜すれば、中東危機はさらに深刻化しかねない。

中ロの台頭許す

 トランプ政権が国際協調路線を止めて自国本位になれば、中国とロシアの台頭を許すことになるだろう。とくにロシアのプーチン政権はトランプ大統領の誕生を歓迎している。ウクライナ危機で米欧の経済制裁を受けているロシアは、トランプ大統領による政策転換に期待をかけている。トランプ大統領がウクライナ危機と米ロの核軍縮をてんびんにかけようとしているのは誤った選択だ。外交の基本を商売のディール(取引)並みに扱うのは危険である。

 トランプ政権は中国への強硬姿勢を鮮明にしている。中国の核心的利益である「一つの中国」にあえて疑問を呈し、台湾問題を遡上にのぼらせている。それを中国との貿易不均衡是正の交渉材料と考えるなら筋違いである。「一つの中国」問題を提起するトランプ政権に対して、習近平政権は空母遼寧のデモ行動など海洋進出の姿勢を強化している。中国の海洋進出はアジア太平洋の緊張を高めるのは事実だ。法と秩序を守るよう日本など同盟国や東南アジア諸国連合(ASEAN)と連携して、中国に強く警告するのが筋である。習近平国家主席が今秋の共産党大会で再任をめざす政治の季節に、台湾問題をからめるのは危険である。

 中国の台頭を鮮明にしたのは、世界経済フォーラム(ダボス会議)に初めて出席した習近平主席が自由貿易の重要性を説き、「貿易戦争は共倒れになる」と警告したことだ。米国第一の保護主義に傾斜するトランプ政権を意識したもので、自由貿易の盟主は米国から中国に移ったのかと思わせたほどだ。

「米国第一」の不経済学

 トランプ政権ほど保護主義を全面に打ち出した政権は米国にかぎらず戦後の民主世界でみたことがない。就任演説で「(自国産業の)保護こそが素晴らしい繁栄と強さにつながる」と恥ずかしげもなく保護主義を鮮明に主張したのは驚かされた。

 さっそく環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱し、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に乗り出すことをした。貿易不均衡是正のため、事実上の輸出補助金や特定国の輸入への高関税など、世界貿易機関(WTO)のルールに反する措置がまじめに検討されている。

 金融政策運営でトランプ・ラリーの恩恵を受ける日銀の黒田東彦総裁は「保護主義の可能性は低い」と楽観論を取るが、トランプ政権の言動は保護主義そのものである。自動車産業を中心にメキシコの工場を建設しようとする個別企業に計画の撤回まで強要するのは、中国顔負けの「国家資本主義」といえる。こうした強権政治が資本主義と民主主義の最先進国で白昼堂々とまかり通るのは、驚きといわざるをえない。

 トランプ氏の経済観は「輸出は善・輸入は悪」というものだ。グローバル経済の相互依存、網の目のようなサプライチェーンなどといった経済の現実を無視した、時代遅れの経済観だといわざるをえない。まともな政治家なら中国を含めて世界中のどの政治家も採らない誤った経済観である。この誤った経済観に基づいて、保護主義が発動されるのは危険極まりない。それは世界経済を分断し、貿易と成長を抑制する。結局、トランプ氏の支持層である中低所得の白人の雇用増にもつながらず、新たな不満を生むだけだろう。

「世界の悪役」でいいのか

 「米国を再び偉大な国にしよう」とトランプ大統領は呼びかけたが、トランプ大統領の登場そのものが「偉大な国」だった米国の信認を傷つけているのは間違いない。「米国第一」を掲げるトランプ大統領はいまや「世界の悪役」とみられている。当初勝ち目はないとみられていた大統領選では、「悪役」でも目立てばいいと考えたのだろう。その悪役ぶりを面白がり持ち上げた米国メディアの責任は重い。大統領になれば、それらしくなるという見立ては完全に間違っていた。三権分立の米国政治で大統領の独走は許されないという見方もあるが、米国企業に対する強権発動を見る限り、やはり米大統領の権限は大きいといわざるをえない。

 「米国第一」への傾斜を防ぐには、日欧など同盟国の友情ある説得が欠かせない。保護主義の不経済学を粘り強く説くうえで、安倍晋三首相の役割は大きい。


このコラムについて

岡部直明「主役なき世界」を読む
 世界は、米国一極集中から主役なき多極化の時代へと動き出している。複雑化する世界を読み解き、さらには日本の針路について考察する。
 筆者は日本経済新聞社で、ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、取締役論説主幹、専務執行役員主幹などを歴任した。
 現在はジャーナリスト/明治大学 研究・知財戦略機構 国際総合研究所 フェロー。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/012300016/

 

トランプ政権への「あまりにも過大な期待感」
上野泰也のエコノミック・ソナー
その反動は必ず大きくなる
2017年1月24日(火)
上野 泰也

米首都ワシントンの連邦議会議事堂前で、新大統領としての宣誓を行ったドナルド・トランプ氏(写真:Abaca USA/アフロ)
事業者のマインドを高揚させた、と自画自賛
 米国のトランプ大統領は就任前の1月10日、NFIB(全米独立事業者連盟)がこの日発表した中小企業の景況感を示す指数(中小企業景気楽観度指数)が105.8に急上昇して(前月比+7.4ポイント)、2004年12月以来の水準になったことを、ツイッターで複数回取り上げた。選挙戦を通じて盛り上げ続けた自らの経済政策への期待感が中小の事業者のマインドを高揚させていることを、自画自賛した形である<■図1>。
■図1:米NFIB中小企業景気楽観度指数

(出所)米NFIB
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/011900078/ZU01.jpg

 企業マインドの指数では他に、ニューヨークとフィラデルフィアの地区連銀製造業景況指数の昨年12月分で、6か月先見通しの指数が+50前後まで急上昇したことが目を引く<■図2>。トランプ政権の政策運営への強い期待感が、大幅なドル高が売上・収益に及ぼすデメリットを覆い隠したのだろう。
■図2:米地区連銀製造業景況指数 ニューヨーク、フィラデルフィア 6か月先見通し指数


(出所)米ニューヨーク連銀、フィラデルフィア連銀
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/011900078/ZU02.jpg

 また、消費者のマインドを調べている主要な2つの経済指標でも、期待指数の急上昇が足元で観察されている<■図3>。
■図3:米消費者信頼感指数 コンファレンスボード、ミシガン大学 期待指数

(出所)米コンファレンスボード、ミシガン大学
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/011900078/ZU03.jpg

 消費マインドを示す別のややマイナーな経済指標に、ミシガン大学消費者センチメント指数の中旬速報よりもさらにデータが早く出てくるものとして、米インベスターズ・ビジネス・デーリーとテクノメトリカが発表している米IBD/TIPP景気楽観度指数がある<■図4>。
■図4:米IBD/TIPP景気楽観度指数

(出所)米インベスターズ・ビジネス・デーリー、テクノメトリカ
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/011900078/ZU04.jpg

 昨年12月6日に発表された12月分(調査期間:11月28日〜12月4日)は、54.8に上昇した(前月比+3.4ポイント)。
トランプ政権への期待感が反映された
 その構成要素である@向こう6か月の景気見通し、A向こう6か月の家計の資金繰り見通し、B連邦政府の現在の政策運営への信頼度は、いずれも上昇。それらの中で目立つのは、Bが48.3(同+5.2ポイント)に急上昇したことである(2007年8月以来の水準)。オバマ大統領がまだ在任している中で行われた調査であるにもかかわらず、トランプ次期政権への期待感が一定範囲内で反映されたことがうかがえる。
 ちなみに、支持党派別のデータを見ると、当たり前だが共和党支持者のマインドの高揚が際立っており、@向こう6か月の景気見通しは86.6に急上昇した。一方、民主党支持者では28.2に急低下。無党派層は58.5になった。
 さらに、悪天候のため当初の予定よりも1日遅れて1月11日に発表された1月のIBD/TIPP景気楽観度指数(調査期間:1月3日〜9日)は、小幅上昇して55.6になった(前月比+0.8ポイント)。06年11月以来の水準である。内訳では、Bが48.5に水準を切り上げた(同+0.2ポイント)。金融市場で株高を主軸とする「トランプラリー」が続いたことも、高い水準の維持に寄与した可能性が高い。
トランプ大統領への「期待バブル」か
 急角度で上向いたこれらの経済指標を眺めていて、筆者だけでなく、おそらくかなり多くの日本の市場関係者が考えるのは、トランプ政権の政策運営への期待感が、米国内であまりにも過大になっていはしないかという点だろう。
 新たな政治指導者の登板による大胆な政策転換によって、あたかもオセロゲームのように局面が大転換するのではないかという期待感が、現実の分厚いカベに阻まれて失望に変わるというのは、十分に考えられるシナリオである。そして、膨らんだ期待が大きければ大きいほど、その反動もまた大きなものになりやすい。
ドル高放置ならレーガン時代の「双子の赤字」再び?
 市場はトランプ政権の経済政策への過大な期待を原動力にして、株高・ドル高・債券安に大きく動いた。だが、大幅なドル高は、すでに触れたようにグローバル展開している米国の企業の収益悪化に着実に結び付くわけであり、「ユーフォリア(陶酔状態)」的な相場形成は、遅かれ早かれ行き詰まらざるを得ない。また、ドル高を放置すれば、トランプ政権は「双子の赤字」に苦しんだ「レーガノミクス」の轍を踏むことになりかねない。
 就任前の記者会見を含め、トランプ大統領のこのところの発言内容やツイッターでの記述内容を見ていると、この政権は今後の各種政策運営に関し、確固とした「見取り図(マップ)」、ストラテジー、あるいは工程表のようなものを、実は全く有していないのではないかと考えざるを得ない。
数か月以内に、トランプ政権は迷走する
 発足したばかりの政権の支持率は初期段階では高いのが通常で、そのパフォーマンスをマスコミはあまり叩かず「お手並み拝見」を決め込むのが漠とした慣例になっている。そうした「最初の100日」の間は目立たないのかもしれないが、おそらく数か月以内に、「トランプ政権が迷走」「トランプ政権への失望感高まる」といった類の見出しが、マスコミ報道のあちこちに現れるのではないかと、筆者はにらんでいる。
知っておきたい「トランプ用語集」
 最後に、トランプ政権の発足に際して知っておきたい「トランプ用語」の数々をご紹介して、本稿の締めくくりとしたい。
■「トランポノミクス(Trumponomics)」
 1980年代前半に大統領を2期務めた故ロナルド・レーガン氏がそれまでとは異なる発想の経済政策を展開したことを「レーガノミクス」(人物名Reaganとeconomicsのうちnomicsという部分を重ねた造語)と呼んだ事例にならい、トランプ氏の経済政策を英語メディアはこう表現している。ただし、レーガン時代と異なり、今回はブレーンや理論的な支柱がはっきりせず、議会共和党との関係も微妙であるため、実際に何が実行されるのかが明確になっていない。なお、日本では「トランプノミクス(英文ならTrumpnomics)」と表記する場合もあるが、子音が2つ続いてしまうため、語呂が良くない。
■「3G政権(3G Cabinet)」
 米民主党のクレア・マカスキル上院議員がトランプ政権が発足する前にをこのように命名し話題になった。3つのGとは、@「大富豪(Gazillionaire 〜 百万長者millionaireや億万長者billionaireよりもはるかに大金持ちを意味する言葉)」、A「将軍(General)」、B米国の大手投資銀行「ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)」の頭文字。これら出身の閣僚がやたらと多いことが、トランプ政権の大きな特徴である。
■「オルト・ライト(alt-right)」
 インターネット上で排外主義的・反リベラルの主張を展開してトランプ候補当選を後押しした、新しいタイプの右翼。「オルタナ右翼」と訳される場合もある。トランプ政権で首席戦略官・大統領上級顧問としてホワイトハウス入りしたスティーブン・バノン氏(右派ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」会長)が代表格。バノン氏はプリ―バス大統領首席補佐官とは「平等なパートナー」になると、トランプ氏は政権発足前に説明していた。
■「クローニー・キャピタリズム(crony capitalism)」
 親族など縁故関係者や親しい仲間を中心に国家の経済運営が行われる体制を、批判的に形容する用語。「縁故資本主義」と訳されることもある。もともとは開発独裁の末に1990年代後半に通貨危機に見舞われたアジア諸国の関連で用いられたが、トランプ政権の関連で引き合いに出される機会が最近増えている。トランプ氏本人を含め、富豪を多数登用する政権になったため、利益相反の問題が関心を集めやすい。また、トランプ大統領の娘婿で実業家のジャレッド・クシュナー氏が上級顧問としてホワイトハウス入りした。
■「トランプ砲」
 ツイッターによる短文の情報発信(ツイートする際に140字という文字数制限があるため2〜3回に分かれることもある)で、市場がしばしば大きく揺り動かされることを、スクープ報道を昨年連発した日本の週刊誌について言われた「文春砲」になぞらえた言い回し。
■「ポスト・トゥルース(post-truth)」
 英オックスフォード大学辞書部門によって、2016年の言葉(Oxford Dictionaries Word of the Year 2016)に選ばれた。直訳は「真実の後」。「客観的事実が重視されず、感情的な訴えが政治的に影響を与える状況」を意味している。英国民投票ではEU(欧州連合)離脱派が、真実ではない主張も交えながら、理性ではなく感情・情念に訴えて勝利した。米大統領選ではSNS経由で偽の情報も流される中で、トランプ候補が勝利した。そして今年は4〜5月のフランス大統領選挙など、欧州の数々の重要な政治イベントの行方が、世界経済全体やマーケットの行方を大きく左右することになる。


このコラムについて
上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/011900078/

 


 

トランプ政権、最大のリスクは「低支持率」

ニュースを斬る

日本も避けられそうにない「対外強硬路線」の影
2017年1月24日(火)
安藤 毅
 始動直後に経済・外交政策などの転換を打ち出したトランプ米政権。日本政府は出方を冷静に見極める構えだが、今後の波乱要素となりそうなのが米国内でのトランプ大統領の不人気ぶりだ。事態打開へ対外強硬路線を強めれば、日本経済への影響も避けられそうにない。

20日、米ワシントンの連邦議会議事堂前で就任演説をするトランプ新大統領。(写真:AP/アフロ)
 トランプ米政権が発足初日、早々とTPP(環太平洋経済連携協定)の離脱やNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉など経済・外交政策の転換を打ち出した。

吹き飛んだ「希望的観測」

 いざ大統領に就けば、過激な言動や大統領選時に掲げた政策は穏当かつ現実的なものになるはずだ──。

 事前のこうした希望的観測をあざ笑うかのように、内向き志向の「米国第一主義」をあくまで行動原理の柱に据えると高らかに宣言してみせたトランプ大統領。安倍晋三政権やグローバル企業の間には警戒感が広がっている。

 米製造業の復活と雇用増を最重要課題に据えるトランプ氏。政策の柱に掲げる大型減税、インフラ投資の拡大、規制緩和などを通じて米経済の成長が加速するとの期待が日米などでの「トランプ相場」の原動力となっていた。  

 だが、保護主義への傾斜や内向き志向によるアジアの安全保障環境の悪化懸念といった米国第一主義の負の側面が早くも表出したことで、経済界や市場の楽観ムードは急速にしぼんだ格好だ。

 今後、トランプ政権が実際に米にとって最大の貿易赤字相手国である中国との貿易摩擦を強め、NAFTAから離脱する事態となれば、企業のサプライチェーンは大混乱に陥り、日本も含む世界経済は大きな痛手を被るだろう。

 また、TPP発効の見通しが立たなくなったことで日本の経済連携や成長戦略が修正を迫られることは間違いない。

 その一方で、政府・自民党内では「ほぼ想定内の動きで一喜一憂すべきではない」(安倍首相に近い自民党議員)などと冷静に受け止める声も挙がっている。

 外務省幹部は「当面はトランプ政権の出方を見極めるのが大事」と語る。

「実害」は先のこと

 トランプ政権の本格稼働まで一定の時間がかかるうえ、今回トランプ政権が打ち出した保護主義的な政策方針で直ちに日本経済や企業が被害を受けるわけではないことが主な理由だ。

 「NAFTAについてはカナダもメキシコも再交渉に応じる姿勢を示しており、結果が出るまでは現状に変化はない。TPPについても未発効である以上、現時点で直ちに実害が生じるものではない」

 通商政策が専門のみずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員もこうした見方に同調する。

 さらにトランプ氏は就任演説や政策方針で中国を名指しした批判は避け、為替操作国指定も見送っている。

 こうした状況を踏まえると、トランプ政権が発足早々に打ち出した一連の施策については「支持層向けのメッセージと現実的対応のバランスに腐心し、よく練られたものだ」(政府関係者)との見方が説得力を持つと言えそうだ。

 菅原氏はトランプ政権の当面の出方として、特に中国製品を念頭に「アンチダンピング(不当廉売)措置」など世界貿易機関(WTO)協定上認められている貿易救済措置や、紛争処理への申し立ての積極的な活用などで実利を取りにくる可能性があると指摘する。

 もちろん、トランプ政権がこうした「穏当な手段」を採用した場合でも、米中間の貿易摩擦が激化すれば日本経済への直接的・間接的な影響が現実味を帯びる。トランプ政権がいずれその矛先を日本に向けてくる可能性もある。

 トランプ氏は最初の外国首脳との会談にメイ英首相を選んだ。背景には米英のFTA(自由貿易協定)交渉を加速させるなど今後、2国間での貿易自由化交渉を重視する狙いが透ける。

 このため日本政府内では、トランプ政権がTPPに代えて日米2国間のFTA交渉を打診してくることへの警戒感が高まっている。日本が守る立場の農産物についてTPPより厳しい自由化要求を突き付けられることは必至で、かつての日米貿易摩擦の再来を懸念する見方も根強い。

 安倍首相は2月前半で調整しているトランプ氏との首脳会談で日米の同盟関係の重要性を再確認し、TPPについても米の国益にかなうとして引き続き再考を促す方針だ。

 安倍首相は周辺に「TPPの本質は単に経済面だけでなく、アジア太平洋地域での安保強化だ。中国に対抗するうえで重要な意味合いを持つということもしっかり伝えたい」と語っている。

試される安倍首相のかじ取り

 当面、トランプ氏の一挙手一投足に各国も市場も振り回される展開が続くことになるが、先行きの大きなリスク要因となりそうなのがトランプ氏の不人気ぶりだ。

 トランプ氏の就任前支持率は軒並み40%程度にとどまり過去最低水準。全米ばかりか世界各国で反トランプ派のデモが相次ぐなど異例の事態が続いている。

 「安倍首相が積極的な外交を展開し、真珠湾訪問や韓国との慰安婦問題での合意など政治決断が可能になったのも政権基盤が安定しているからこそ。世論の支持を欠いた政権はどうしても政策の推進力を失ってしまうのが常だ」。自民のベテラン議員はこう指摘する。

 時の為政者が国内の不満を和らげ、支持率を回復する手立てとして対外強硬路線を選択しがちなことは枚挙にいとまがない。

 仮に自らが掲げた政策にブレーキが掛かり、米国内の期待が剥げ落ちれば、保護主義に一層傾斜し、2国間交渉で幅広い分野の「取引」に乗り出そうとする──。トランプ氏のそんな近未来像は決して絵空事ではないかもしれない。

 トランプ政権の通商政策、外交・安保政策、為替政策などはしばらく見通しにくい。日本政治も経済も、そして企業活動も不確実性の高まりに翻弄されることは確実だ。

 そうした状況下で大切なのは、自分たちでやるべきことを粛々と進め、あらゆるリスクに即応できる基盤づくりだろう。

 トランプ氏に自由貿易体制や経済連携の重要性を示し、TPPに回帰させるためにも、日米同盟関係の重要性を再確認するとともに、EU(欧州連合)とのEPA(経済連携協定)交渉の大枠合意や日中韓印などが参加するRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の交渉加速を急ぐことが欠かせない。

 海外要因のショックに耐えうる国内経済の持続的な成長に向け、構造改革を着実に進めることも重要だ。

 今後もフランス大統領選など国際情勢の不安定化につながるイベントが相次ぐ。世界有数の安定政権を維持する安倍首相のかじ取りが試される一年となりそうだ。


このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/012300545/


 


 
必要なら、中国は世界のリーダーシップ取る=外務省国際経済局長

[北京 23日 ロイター] - 中国外務省国際経済局の張軍局長は23日、同国としては世界のリーダーとなることを望んでいないが、他国がその地位から退く場合は引き受けざるを得ないこともあるとの見解を示した。

張局長は「中国が世界のリーダーシップを取っていると言う人がいるなら、中国が前面に出ようとしているのではなく、前面に出ていた国々が後退して中国に立場を明け渡しているからだと言いたい」と言明。「リーダーシップを取ることが求められるのなら、中国はその責任を引き受けるだろう」と述べた。

さらに局長は、中国は世界第2位の経済大国であり、他国は経済成長を中国に依存していると主張。「われわれは、米国や他の西側諸国が世界経済の回復に対する寄与を引き続き増やすことができるよう願っている。トランプ新大統領は、米国が4%の経済成長を達成できると宣言したそうだが、われわれは非常に満足している」と語った。

他方で、トランプ大統領が貿易戦争を闘おうとするなら、成長目標は達成できないだろうとも指摘。「貿易戦争や外為戦争は、どの国にも利益をもたらさない」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/china-usa-politics-idJPKBN1571FV



http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/255.html

[自然災害21] 東京震災、都心を囲む「火炎ドーナツ」に備えよ 山根一眞のポスト3・11 日本の力 「糸魚川駅北大火」の現場で得た教訓(3
東京震災、都心を囲む「火炎ドーナツ」に備えよ
山根一眞のポスト3・11 日本の力
「糸魚川駅北大火」の現場で得た教訓(3)
2017年1月24日(火)
山根 一眞
(前回から読む)

2016年12月26日、新幹線ホームから日没後の「糸魚川駅北火災」の現場を望遠レンズで撮影。明るい場所はインフラ復旧工事現場だ。その向こうが日本海。(写真・山根一眞)
 糸魚川大火の焼け跡を前に記憶がまざまざと蘇ったのが、22年前の阪神・淡路大震災、神戸市長田区、菅原通りアーケードの焼け跡だった。
 1995年1月21日、地震発生から5日後に神戸入りした私は、焼け落ちたアーケードを歩き、突き当たりの神戸市立御蔵小学校の避難所で被災した方々と会った。
 その一人が、こう話した。
 「潰された家の下にオバちゃんがいて救助を求めていたので、駆けつけました。でも柱などがとりのぞけないところに火が迫って、助けて!助けて!という声を出しながら炎に包まれてしまい、助けられなかった……」



1995年1月17日、午前5時46分に発生した兵庫県南部地震では神戸市全市で175件、長田区だけでも27件の火災が発生、全市で81万9108平方m(約25万坪)、長田区だけでも52万3546平方m(約16万坪)が焼損。全市で全焼・半焼は7000棟超、長田区で4800棟以上にのぼった。(写真3点とも8ミリビデオ映像からのキャプチャ、撮影・山根一眞)
活断層地震と大火
 私は巨大地震による大火の怖さに衝撃を受け、人生の価値観が変わった。
 災害、防災を大きなテーマとするようになった。
 巨大災害の現場に駆けつけることを続け、専門家による研究成果を伝えるのが使命と自らに課してきたのは、この22年前の経験が原点なのである。
 ちなみに熊本地震では、活断層の専門家である東北大学災害科学総合研究所教授、遠田晋次さんの調査に同行したが、これが契機となって、先日、遠田さんによる『活断層地震はどこまで予測できるか 日本列島で今起きていること』が出版されたのはその一例だ。

『活断層地震はどこまで予測できるか』(講談社・ブルーバックス)は、糸魚川大火の2日前に発売された。(写真・山根一眞)
 遠田さんは、「兵庫県南部地に続き熊本地震と2度も巨大地震後の活断層を見たが、生涯に2度もこういう経験をしたのは活断層学者としては奇跡」と、語っていたが、やはり神戸・淡路島が原点のひとつなのだ。
 その阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)について私は、2015年1月に本コラムで以下の記事を書いた。
【私にとっての阪神・淡路大震災20年】
(1)20年前の震災を忘れない…「ビデオ30分」の悔恨とポン引きの声と
(2)忘れない…震災1年後の神戸の夜、悲しみの先に見た光を
(3)伝えたい…阪神高速28km、震災後20ヶ月「超高速復旧」の真実
 淡路島、そして神戸の地下を引き裂いた活断層による巨大地震では火災が多発したが、長田区の火災発生件数は神戸全市の約15%にすぎなかった。しかし、焼損床面積では64%と圧倒的に被害が大きかった。それは、糸魚川大火と同じように木造住宅の密集地だったからだとされる(長田区の死者は921人、全市の2割)。
祖母が語った東京の空を焦がす炎
 大都市で巨大地震が発生すれば大火が起こり、多数の焼死者が出る。
 木造密集地が危ない。
 そのことは子供時代に、祖母から繰り返し聞かされた。
 関東大震災(大正12年、1923年9月1日)の経験談だ。
 祖母は、その年に産まれた私の母を背負って庭にいたそうだが、そこに激しい揺れが襲った。
 「あそこにある大きな庭石につかまってしゃがんだのよ。東京の下町が焼けていた時、うちからも東の空が真っ赤になっているのがずーっと見えていたわ」
 私の生家は新宿駅からJR中央線で2.5km西の中野区東中野だ。
 多くの焼死者が出た陸軍被服廠跡地(現・墨田区横網)まではおよそ11kmもあるが、翌日まで東京市の43%を焼き尽くした炎が(空への照り返し)ここまで見えていたというのだ。
 被服廠跡だけでも4万4000人もの人が生きたまま焼かれていった火炎が東中野からも見えていたという祖母の話は、まだ幼児だったとはいえ私にはこのうえなく怖かった。
 関東大震災の死者・行方不明者はおよそ14万2800人。
 旧・東京市の死者、約6万7000人。うち96%が火災による犠牲者。

赤い部分が関東大震災で焼失した地域を示す『東京市火災動態地図』(出典:内閣府資料)
 関東大震災のわずか1ヶ月後の1923年10月1日、大日本雄辯會・講談社(現・講談社)が発刊した関東大震災の記録本が手元にある。その書名、『大正大震災大火災』が物語るように、当時、関東大震災は地震災害であるとともに巨大火災災害と受けとめられていた。



出典:3点の写真は『大正大震災大火災』からの引用。陸軍施設の跡地、被服廠跡に押し寄せた被災者、膨大な焼死体、いくつもの大きな砂山のように積み上げられた遺骨などの写真は当時、震災記録絵葉書として多く出回った。
 「地震=火事」と言い伝えられてきたのは、それだけ大きな「火の災害」だったからだが、東日本大震災以降は「地震=津波」が最大の関心事になった感がある。海に面するほとんどの自治体が、津波に対する「ハザードマップ」(災害被害予測図)を作成、公開するようになったのは画期的な防災・減災文化の進化ではあるが、一方で、人々の「地震=火災」の意識は低下しているのではないかと思う。
炎のドーナツで囲まれる東京都心
 といって、直下型地震が迫る東京都が「地震=火災」の対策を怠っているわけではない。たとえば、東京都の「ハザードマップ」(『あなたの町の地域危険度・2013年版・地震に関する地域危険度測定調査・第7回』)には、地震によって発生する火災の危険地図が詳しく掲載され警鐘を鳴らしている。
 糸魚川大火を機にその冊子をあらためて見たが、「大規模火災は下町で起こる」という先入観が覆された。
 「(火災は)足立区南部から荒川区、北区、台東区東部、葛飾区西部、墨田区北部、江東区北部などの地域で危険度が高い」としつつ、「品川区南西部、大田区中央部および江戸川区北部でも危険度が高い地域がやや多くみられる」と記されているのだ。
 各区別の火災危険度地図によれば、品川区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、豊島区など都心部をとり巻いている各区でも、大規模火災の危険度が大きいエリアが少なくないことがわかる。

東京直下型地震で発生する火災の危険度を記した地図。(出典:東京都)
 もちろん、災害による想定被害はさまざまな条件下での数値計算の積み重ねで描かれており、ハザードマップも、赤やオレンジの危険地区すべてで同時に火災が発生することを意味しているのではない。また、火災による被害は、発生時間や風の向き、強さ、湿度などによっても大きく異なる。「こういう被害が出る」というイメージをつかむことは難しく、東京直下地震による被害は代表的な条件下での想定にすぎない。
 その想定のひとつは、マグニチュード7.3の東京湾北部地震が冬の夕方の午後6時、風速8m/秒の風の時に発生、というものだ。
 その場合の建物被害はおよそ30万棟で、うち約62%が火災による。
 同じく死者はおよそ9700人だが、43%が焼死者だ。

 阪神・淡路大震災での火災による被害は、神戸市で全焼・半焼が7000棟超、長田区だけでも4800棟以上にのぼった
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219211/011900006/11.jpg

 糸魚川大火での焼損家屋は147棟だったので(全焼120棟、半焼5棟、部分焼22棟。1月20日発表で3棟追加)、阪神・淡路大震災はその約50倍、想定される東京直下地震は約1300倍の計算だ。
 この想定はホントか?と思わずにいられない。世界最大のメガシティ、東京は地獄同然となり、経済的損失ははかり知れず、日本の機能そのものも著しく凋落するだろう。
 強風下の糸魚川大火では、約30時間を要した「鎮火」までに231両の消防車と1954人の消防士、消防団を投入している(糸魚川市駅北大火対策本部発表)。
 それを単純に想定東京直下地震にあてはめれば、30時間後の「鎮火」までに必要な消防体制は、消防車およそ30万両、人員約250万人、ということになる。東京の焼損家屋数は、風速8m/秒と糸魚川大火より弱い風での想定とはいえ、想像を超える事態となることに変わりはない。
 都心部を取り巻く至近のドーナツ圏エリアで強風下に同時多発で火災が発生すれば、東京の周辺部から都心部への「救援活動」は火の手によって阻まれる。「3.11」の日、都心から周辺部(都心通勤者の居住地)に至るおもな街道は徒歩帰宅者であふれたが、ドーナツ圏で火災が多発、延焼が続けば徒歩帰宅者は燃え尽きるまで何日も「火の壁」によって足止めをくう。

炎のドーナツ図。東京都の資料に一部加筆。(作図・山根一眞)
品川、杉並、中野
 また、たとえばだが、品川区には東海道新幹線や東海道本線、国道1号線、第一京浜、第二京浜など首都にいたる基幹鉄道や道路が貫いているが、それらの路線は「高い火災危険度」のエリアに接し、あるいは重なっている。
 新幹線は沿線の建物火災でさえ長時間運転が止まる。糸魚川が炎上していた時、東海道新幹線が沿線火災によって運転の見合わせが長く続いたのは記憶に新しい。もし品川区内で大規模火災が多発すれば、鉄道は運行不能が長く続くだろう。

品川区の火災危険度。東京都の資料に一部加筆。(作図・山根一眞)
 鉄道や国道が「火の壁」に阻まれれば、帰宅難民ばかりか救援部隊や災害ボランティアはかなりの期間、足止めされ、都心区の被災者は、食料や水、医薬品が尽き、水道、ガス、電気、通信、下水などのインフも断たれたままになる。巨大災害の被害想定では「もしも」は意味がないという意見もあるが、確実に起こる災害では「最悪の想定」をふまえた対策が求められるのだが…。
 阪神・淡路大震災では電気が途絶えた暗闇に加え、夜間の気温0℃という厳しい寒さの中で救援を待たねばならなかったし、東日本大震災でもガソリンや灯油が絶たれ厳しい寒さが被災者を苦しめた。そこで、少なくとも2週間分くらいのエネルギー源、水、食料、欠かせぬ医薬品は個人個人が備えておくことは言うまでもない。
 私は杉並区に住んでいるが、中野区との境界線をまたぐ住宅街の火災危険度が最も高いことも驚きだった。
 中野駅前では大きな再開発プロジェクトが進んでいるが、火災危険度が最も高い北に隣接する地区の「火災・延焼防止策」も忘れないでほしい。中野区、杉並区を通る地下鉄丸の内線の各駅も「火災危険度が最も高い」エリアを通っている。地下に火が入らないまでも、地上の出入り口が火災で利用できなければ、地下鉄の運行も支障が出るのでは。

杉並区と中野区の火災危険度。東京都の資料に一部加筆。(作図・山根一眞)
東京五輪に「防災・減災のおもてなし」を
 災害に備えて必要なものは「防災キット」や水、食料だけではない。巨大火災への備えが欠かせないが、その手段、ノウハウ、施策はあるのだろうか。
 東京都はこの「炎のドーナツ圏」(山手線外周部を中心とした木造住宅密集地<木密地域>)の「不燃化10年プロジェクト」を2012年に立ち上げたが、高齢化などにより思うように進展していない。
 前回の報告で、私は阪神・淡路大震災の教訓をもとに、「飛び火」による延焼を食い止めるため、1999年に新築したマイホームに延焼を防ぐ地下水による「人工降雨装置」を備えたことを書いた。
 だが、そもそもこんな家を作ろうという個人はいないために、工事会社には必要なノウハウも目的を満たす機器もなく、とても苦労をした。また、果たしてこのシステムが本当に延焼防止に役立つかの評価をすることも、ハウスメーカーでなければ不可能だ(消防庁の専門家は「役立つ」と言ってくれはしたが)。

山根エコ&防災ハウスのシステム。当初目指したのはエコハウスだったが、「エコ=防災」であると気づき、地下水の利用・貯蔵、ソーラで常時充電しているバッテリーの12V電源を各部屋に配線、非常時の電源とするなど数多くの試みを行っている。(作図:山根一眞)
 東京直下地震で19万棟近くが焼損するという予想が出ているのだから、延焼防止機能がある防災住宅を開発し、「競争力」としようというハウスメーカーが1社くらいあってもよさそうなものだが、皆無だ。
 東京都の小池知事は、就任早々、東京五輪の施設計画に対してコスト削減への激しい横やりを入れる政治パフォーマンスを開始した。だが、大事なことを忘れてはいないか。2020年のオリンピック、パラリンピック開催中に東京を巨大地震が見舞い、大火災が発生したらどうするのか、という課題だ。
 オリンピック、パラリンピックの開催中、東京は日本全国から、海外から、数多くの「ゲスト」をお迎えする。そこに巨大地震、大火災が発生すれば、ホストである都民は、ゲストが命を失わずにすむよう尽力するのは当然だろう。トランプ米大統領の「アメリカ・ファースト」にマネたらしい「都民ファースト」という甘ったるいエゴイズムを捨て、今から「ゲスト・ファースト」を柱に、コストがかかろうとも、ともに命を失わずにすむ備えを強力に推し進めるべきではないのか。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックの精神、「おもてなし」は口先だけではいけない。「おもてなし」の防火インフラを早急に用意すべきと思う。
 日本では保有ゼロの大型消防飛行艇の配備など、すべきこと、できることはあるのだから。
 関東大震災から94年、阪神・淡路大震災から22年、糸魚川大火から1ヶ月。国も、自治体も、企業も、個人も、大規模火災による「教訓」をあらためて真摯に受けとめるべき時と思う。
糸魚川市駅北大火で被災された方への義援金の受付
糸魚川市駅北大火へのふるさと納税
糸魚川市地域たすけあいボランティアセンター(facebook)


このコラムについて
山根一眞のポスト3・11 日本の力
 東日本大震災という経験したことのない巨大災害に見舞われて、人類の歴史とは幾多のカタストロフィーを経験し、それを克服してきた歴史なのだということを、あらためて実感しました。「頑張ろう!」と励ましあうことは大事ですが、どう頑張ればいいのかの「道しるべ」が今も求められています。巨大災害の復旧・復興と、今後の防災・減災のために、何が必要で、どんな行動を、どんな研究が求められて、取り組まれているのか。現場取材を中心にそれらを伝えながら、私なりの提案も続けます。また、巨大災害を、「豊かな文明」のありようを大きく変える時ととらえ、日本が世界でもっとも力強い国となれることを信じて、そのシナリオを探ります。

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[経世済民118] 米国でも大型投資に踏み切る鴻海を襲う難題「2017年問題」技術者不足 7900億円超の米工場新設を検討−シャープと共同で
米国でも大型投資に踏み切る鴻海を襲う難題

ニュースを斬る

待ち受ける「2017年問題」、米では技術者不足は必至
2017年1月24日(火)
齊藤 美保
 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業とシャープは、米国と中国で相次ぎ液晶パネル工場を建設することを明らかにした。米国には8000億円を、中国には1兆円を投じてそれぞれ新工場を建設する計画だ。関係者によるとインドへの工場建設も検討しているという。液晶パネルの市況が不透明であるにも関わらず、強気の姿勢を緩めない鴻海の郭台銘董事長。その大型投資に勝算はあるのか。

トランプ米大統領の意向に沿う決定


鴻海精密工業の郭台銘董事長(左)。シャープ再建のために社長として送り込んだ戴正呉氏(右)と共に台湾で会見を開いた(写真:ロイター/アフロ、撮影日は2016年6月)
 米国工場の建設については1月22日、鴻海がシャープと共同で開催した台湾での記者会見で発表した。シャープと共同で投資するほか、主要顧客でもある米アップルも出資する見通しだ。

 中国・広州への工場の建設は昨年末に既に表明している。鴻海とシャープが共同で出資する堺ディスプレイプロダクト(SDP)が主体となり、2018年秋に稼働を開始する計画だ。完成すれば世界最大級の液晶工場となる。

 昨年シャープを傘下に収め液晶市場で攻勢をかけたい郭董事長だが、相次ぐ巨額投資の表明は米国と中国の両政府への配慮が透けて見える。パネル部材メーカーの関係者は米国工場について、「地価、人件費、インフラ面などを総合的に考えると中国生産の倍以上はコストがかかる。実現可能性はゼロだと考えていた」と驚きを隠さない。

 そんな非現実な地での生産を後押ししたのは、トランプ大統領の存在だろう。「米国での生産は以前から検討していた」と話す郭氏だが、製造業の米国回帰を訴えるトランプ大統領を意識して米国生産を表明したのは自明だ。投資計画は昨年12月、トランプ氏に直接伝えていたという。

 中国でも地方政府が進出企業に補助金を交付しており、製造業を中心に積極的な誘致を進めている。鴻海が広州市で計画している1兆円規模の工場投資の一部も、地元政府から補助金を受け取る見通しだ。もともと郭氏と中国政府の関係は近く、高付加価値な製造業の活性化を図りたい中国政府の意向に沿った形での実現となった。

 しかし、米国と中国で工場を建設するリスクは高いと言わざるを得ない。

 最大のリスクは過剰供給の問題だ。

 現在液晶パネル市場は「売り手市場」だ。在庫調整のため各社が生産を絞り込んでいることに加え、サムスンディスプレーやLGディスプレーの韓国勢が液晶パネルの生産ラインを有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)の生産ラインに切り替えており、流通量が減っている。一時的な供給不足によってパネル価格の値下がりにも歯止めがかかっている状態だ。

 しかし、この状態は長く続かない。2年ほど前から指摘されてきた「2017年問題」がいよいよ現実のものとなるためだ。2017年以降、京東方科技集団(BOE)や天馬微電子など、中国の大手液晶パネル工場が次々と立ち上がる。液晶業界に過剰供給と価格破壊の波が再び訪れるのは必至な情勢だ。

 テレビの世界市場はここ数年頭打ちであることに加え、ハイエンドのスマートフォン市場でも2020年には有機ELの出荷量が液晶を上回るとみられるなど、液晶パネルの需要は、先行き不透明なままだ。

米国には液晶技術者がいない

 米国工場にフォーカスすれば課題はさらに増える。

 一つは部材調達の問題だ。例えば、液晶の主要部材であるガラス。薄くて、巨大なガラスを割らずに輸送することが難しいため、ガラスメーカーは液晶工場の隣接地で生産する必要がある。そのため、現在はアジアに集中している工場を、鴻海に合わせて米国にも設置しなければならない。

 人件費や地価などの面でも課題は多いため、米国に工場を設置するかどうかの最終判断は難しいものになるはずだ。また、パネルの生産に必要な生産設備などは装置が巨大であるため、分解して運んだものを現地で組み立てる必要があるという。

 もう一つの課題が人材面だ。「米国にディスプレーを生産できる技術者はほとんどいない」。パネルメーカーの関係者はこう明かす。現在の中国パネルメーカーも、日本や台湾の液晶パネル工場で働いていた人材が中心となり、10年以上技術を磨いて規模を拡大させてきた。

 米国工場にはシャープの技術者を派遣するなどして、技術指導に当たるとみられるが、トランプ大統領の意向に沿わせるためには現地での大量雇用が必須。液晶を全く知らない人材がほとんどなので、「中国に比べ立ち上がりに時間がかかる懸念がある」(前出の関係者)。人材面での問題は、現在進出を検討しているとされるインドでも同じ。インフラが整ったとしても、技術者が未熟なままでは安定供給は成立しない。人材育成は待ったなしだ。

 矢継ぎ早の攻勢戦略を見せる郭董事長だが、数多くのリスクは想定内での決定か。それとも、米中両政府への意向に応えることを優先した決定なのか。その成否が分かるのに、そう時間はかからない。


このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/012300546/


 

台湾の鴻海精密、7900億円超の米工場新設を検討−シャープと共同で
Bloomberg News
2017年1月23日 17:24 JST 
台湾の鴻海精密工業は70億ドル(約7900億円)余りを投じ米国にディスプレー生産施設を新設する検討に入っている。米アップル製品の製造を請け負う鴻海精密の大型投資が、トランプ大統領の就任1年目に米国で数万人の雇用を創出する可能性がある。
  ロイター通信によれば、鴻海精密の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は会社イベントの際、同社が昨年買収したシャープとの共同投資として検討しているが、詳細はまだ詰めていないと述べた。フォックスコン・テクノロジー・グループとしても知られている鴻海精密は23日、この報道を確認した。
原題:Apple-Supplier Foxconn Weighs $7 Billion U.S. Display Plant (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK83VJ6TTDS201
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/256.html

[国際17] ユーロ圏、政府債務が対GDP比で2012年以来の小ささに  ECB債券買入によるユーロ押し下げ効果は限定的=独連銀報告
ユーロ圏、政府債務が対GDP比で2012年以来の小ささに
Catherine Bosley、Zoe Schneeweiss
2017年1月23日 19:16 JST

ユーロ圏の景気回復が根付きつつある中で、政府債務が約4年ぶり低水準となった。
  欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)の23日の発表によると、債務は昨年7−9月(第3四半期)に域内総生産(GDP)の90.1%と、前年同期の91.5%や前期の91.2%から縮小し、12年10−12月(第4四半期)以来の小ささとなった。
  ユーロスタットの別のリポートによると、財政赤字は季節調整済みでGDPの1.7%。前年同期は1.8%だった。
原題:Euro-Area Debt Falls to Lowest Since 2012 as Prospects Brighten(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-23/OK89C06JTSE901


 


ECB債券買入によるユーロ押し下げ効果は限定的=独連銀報告

[フランクフルト 23日 ロイター] - ドイツ連邦銀行(中銀)は、欧州中銀(ECB)の債券買い入れによるユーロ押し下げ効果は限定的で、買い入れが始まる前からユーロの下げは始まっていたとの報告をまとめた。

ECBはユーロ安を明確に目標としていないが、ドラギ総裁はインフレへの影響面で為替レートの重要性を認識していると繰り返し表明している。

ドイツ連銀の調査によると、ECBの債券買い入れを要因に2014年10月から16年末までに対ドルでユーロは6.5%下落したが、下落は15年1月後半に買い入れを発表する前からほぼ始まっていたと指摘。「債券買い入れは、伝達効果や関連した期待感以上に為替レートに大きく影響はしていない」との見解を示した。

ユーロは対ドルで、米連邦準備理事会(FRB)の政策などを背景に14年後半以降20%下落した。

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東京外為市場・15時=ドル100円後半でしっかり、米金利上昇支えに
ドル弱含み、FOMC議事要旨で早期利上げ期待後退=NY市場
ドル一時99円台、NY連銀総裁発言で下げ幅縮小=NY市場
http://jp.reuters.com/article/ecb-policy-bundesbank-idJPKBN1571JE
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/493.html

[国際17] 希望と絶望のティファナ〜トランプ就任 国境の町は今 離散する家族 おとなを伴わない子どもたち 米国へ向かう中米移民急増 
ドキュメンタリーWAVE

希望と絶望のティファナ〜トランプ就任 国境の町は今
2017年1月22日(日) 午後10時00分(50分)
2017年1月26日(木) 午後6時00分(50分)  

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番組内容

ドキュメンタリーWAVE「希望と絶望のティファナ〜トランプ就任 国境の町は今」
トランプ大統領誕生を前に、アメリカと国境を接するメキシコ・ティファナに、貧困と治安悪化にあえぐ中米の国々からの移民希望者が押し寄せている。NPO団体ボーダー・エンジェルが衣服や食料を配るなど人道支援を行っているが追いつかない。厳しい移民政策が始まる前にアメリカに行きたいと、移民希望者の多くは危険な不法入国を試みる。ボーダー・エンジェルに密着し、トランプ大統領の誕生に揺れる国境の町の今を伝える。
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/1844/2263185/index.html

 


 

米国へ向かう中米移民急増 トランプ就任目前で駆け込みか
2016年11月25日(金)19時44分
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11月24日、中米各国は、ドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝利して以降、来年の大統領就任前に米国に到着するために、多くの移民が貧しく、暴力の多い地元を離れ、米国に向かっていると述べた。写真はメキシコ市ティファナ国境付近で24日撮影(2016年 ロイター/Jorge Duenes)
 中米各国は24日、ドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝利して以降、来年の大統領就任前に米国に到着するために、多くの移民が貧しく、暴力の多い地元を離れ、米国に向かっていると述べた。

 トランプ氏は、移民に対して強硬な立場。米国に不法滞在している移民数百万人を追放し、メキシコとの国境に壁を築くと警告している。

 米国は2016年度、南西のメキシコとの国境で、前年度比約4分の1増の約41万人を拘束。その大半はグアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスの出身者だった。

 中米の当局者によると、トランプ氏の勝利以降、北へ向かう人が急増し、米国の南部国境沿いに滞留しているという。

 ホンジュラスのマタモロス副外相はロイターに「トランプ氏の就任前に米国に入国しなければいけないと、密入国業者らに促されて国を離れる人が増えている」と懸念を示した。

 グアテマラのモラレス外相も、人々が大挙して同国を去っているととした上で「密入国業者らは借金がある人々を立ち去らせ、旅費代わりに財産を奪い取っている」と、インタビューで述べた。

 米国の税関国境警備局は先週、テキサス州のメキシコ国境近くに、最大500人を収容できる臨時の施設を開設。米国土安全保障省のジョンソン長官は今月、収容施設への移民の収容数が通常より約1万人多いと述べた。


[テグシガルパ/グアテマラ市 24日 ロイター]

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メキシコ
越境により離散する家族
おとなを伴わない子どもたちの保護が急務
【2016年2月17日  メキシコシティ発】

メキシコでは、両親が子どもを残してアメリカへの移住したで取り残された子どもたちや、中米諸国から仕事や安全を求めて国境を越えてきた外国人の子どもたちが急増しています。ユニセフ・メキシコ事務所では、おとなの同伴がなく社会的保護を必要としている子どもや青少年への対応を強化しています。

暴力から逃れるため移民に

暴力から逃れメキシコに移住したオーランドくん(仮名)
c UNICEF Mexico/Daniel Ojeda
暴力から逃れメキシコに移住したオーランドくん(仮名)
オーランドくんは、暴力から逃れ少しでも良い生活を求めて、エルサルバドルからメキシコに渡ってきた10代の移民です。「僕の場合、すべては家の中で始まったのです。僕が6歳の時から、義理の父が兄と僕を虐待しました。些細なことで僕たちを殴ったのです。大きくなるにつれ、兄はこの状況に耐えられなくなり、マラス(エルサルバドルを拠点とするギャング)に加入しました。だけど、兄はマラスのメンバーに暴行され、重傷を負いましたが、幸い病院で一命を取り留めました。それで、僕は家を出ることに決めて、メキシコにやってきました」とオーランドくんは話します。「僕の将来の夢は、メキシコに残って弁護士の仕事に就き、移民の権利を求めて闘うことです」と決意を見せます。

両親と離ればなれで暮らす

アメリカにいる両親と離れて暮らすフェリックスくん(仮名)
cUNICEF Mexico/ACarlomagno
アメリカにいる両親と離れて暮らすフェリックスくん(仮名)
フェリックスくん(7歳)はメキシコ・ゲレロ州の自宅で祖母と妹たちと暮らしています。しかし、両親は家にはいません。「今は北(アメリカ合衆国)にいます」と話します。両親と合流するため、彼は「叔母さん」役の女性に引き渡され、車でティファナ・サンイシドロ間の国境を越えるために連れて行かれました。しかし、越境は失敗しました。

「書類に書いてあった名前は、お母さんやお父さん、ぼくの名前とは違っていました」と、メキシコに強制送還されたフェリックスくんは話します。「お父さん、お母さんと一緒に暮らしたかったです」と、いらだちの表情を浮かべて言います。

ティファナやその他多くの国境の町では、フェリックスくんのようなケースが、毎日何十件も繰り返されているのです。

保護者の同伴のない子どもたち・青少年が急増

おとなの同伴なく移住し、メキシコ移民当局に摘発される外国人の子どもや青少年の数は、2013年の5,596人から2015年の18,650人まで3倍以上に増加しています。そのため、このような子どもたちの権利が尊重されるよう、この問題への徹底した取り組みが必要なのです。

2015年に移住してきた子どもたちの97パーセントは、ホンジュラス(27.4パーセント)、グアテマラ(49.6パーセント)、エルサルバドル(20.5パーセント)の出身です。その大半は、12歳から17歳までの青少年です。

また2015年には、アメリカ合衆国から送還されたメキシコ人の子どもたちや青少年の事例が1,100万件以上ありました。このうち、84パーセントに当たる9,841人は保護者の同伴なく越境していました。

おとなに付き添われず移住する子どもたちは、事故、人身売買、犯罪組織への勧誘、虐待、搾取など重大な危険に直面するため、緊急の保護が求められます。

ユニセフ、移民当局に対し子どもの保護の取り組みを支援

線路伝いに歩き続ける移民の家族
c UNICEF Mexico
線路伝いに歩き続ける移民の家族
合法的に移住できる書類を有していない子どもたちや青少年は、司法、教育、保健、その他基本的な社会サービスへのアクセスに関して多くの困難に直面します。出身国に送還され、二度と家族と会えなくなるのではないかという恐怖を抱えながら生活しているため、当局に対していかなる社会的保護も求めないケースが多いのです。

「メキシコが子どもたちの権利保護に関してより効果的な仕組みを確立できるよう、ユニセフは国全体の取り組みを共に推進します。このことは移住する子どもたちや青少年にとっての利益となるのです」とユニセフ・メキシコ事務所のイサベル・クローリー代表は話します。

「移民であるという以前に、子どもたちは権利を有する人間です。だから、移民当局の担当者が子どもたちの権利の保護について熟知し、心の傷を悪化させないようなコミュニケーションの取り方を学び、子どもたちの利益を最優先にしながら手続きを進められるよう、私たちユニセフは当局と協力しながら対応に当たっています」

最近の取り組みの一例として、駐アメリカ合衆国のメキシコ大使館・領事館員に対するトレーニングを実施しました。保護者の同伴のない子どもたちや青少年へのより適切な接し方について、実践的な知見を学ぶことが狙いです。さらに、ユニセフはメキシコ当局に対して、携帯電話やタブレットを用いて、場所を問わずリアルタイムで子どもたちの登録を行えるような先進技術の導入を支援しました。

「当局に拘束された子どもたちが最初に接するのは領事担当者です。彼らの役割としては、初期の調査を実施し、それを通して保護者の同伴のない子どもたちの特に脆弱な側面や保護に関するニーズを特定することが求められます」(クローリー代表)

ユニセフ・メキシコ事務所は、メキシコと世界中の子どもたち・青少年の生活を向上させるため、世界各国で得られた知見を活用しながら取り組みを継続していきます。

*名前は仮名です

【関連ページ】
メキシコ 過去記事一覧
子どもの保護 過去記事一覧
http://www.unicef.or.jp/news/2016/0068.html


米国亡命を希望、メキシコ国境で行き場失うハイチ難民 ロイター 動画 2016年10月17日 16時03分 (2016年10月17日 17時07分 更新)

 
 米国に亡命を希望するハイチ難民が、米と国境を接するメキシコの町ティファナに数千人規模で押し寄せているが、彼らに行き場所はない。一歩でも米国に足を踏み入れれば、ハイチへの強制送還は確実だ。
 米大統領選挙の結果次第で、メキシコとの国境が閉鎖されるかもしれないという懸念と、死者1000人超を出したハリケーン「マシュー」の襲来がその不安に拍車をかけ、亡命希望のハイチ難民が押し寄せる結果になった。
 2010年のハイチ地震以降、米政府はハイチ難民に特別待遇を与えていたが、急増する難民に対処するために保護政策を変更し、強制送還に踏み切った。人権団体は政策の見直しを要求しているが、その間にもハイチ難民の増加はとどまるところを知らない。

(メキシコ、ティファナ、10月16日、取材・動画:ロイター、日本語翻訳:アフロ)
>>次の記事:無名戦士の墓に献花、トランプ米次期大統領
http://www.excite.co.jp/News/world_g/20161017/ReuterVideo_72178.html


メキシコ 米国との国境で数百人が足止め

最新情報:
2016年10月18日
国名:
メキシコ
対象者:
メキシコの、中南米の難民・国内避難民
期限:
2016年11月21日
配信日:
2016年10月18日
UA No:
231/2016
ハイチ、アフリカ出身の避難民やメキシコ人国内避難民ら数百人が、メキシコの都市ティフアナおよびメヒカリで立ち往生している。多くは国境で隔てられた米国税関・国境取締局での面接を待っている。適切な避難所や安全、精神的な支援が得られないという不安定な状況に置かれている人が多い。また、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスなどの中央アメリカ出身者も、難民申請の審査に改善がなければ、危険な自国に送還される恐れがある。

今年、前例のない数のハイチ人がメキシコにたどり着いた。その多くは2010年に起きたハイチ地震で国を追われ、ブラジルで臨時の仕事に就いていた人、またごく最近では少なくとも900人が死亡し、ハイチ南部のほぼ全域に壊滅的な被害をもたらしたハリケーン「マシュー」による避難民が含まれる。9月22日に米国国土安全保障省は、2010年の地震発生以後、人道的立場からハイチ人に与えていた臨時入国許可の交付を停止し、原則にのっとった退去措置を再開すると発表した。これにより、国外退去の再開前に入国をめざして、国境に殺到するハイチ人の数が急増している。こうした避難民の流入により、すでに強制送還された多くのメキシコ人や暴力から逃れてきた中米出身者で溢れるティフアナとメヒカリの移住者用避難所が避難民ですし詰め状態だ。

最近、メキシコの内務相もコンゴやソマリアなど戦争の被害を受けた国を含むアフリカ出身者の数が急増していると報告している。ティフアナやメヒカリにいるハイチ人は、アフリカ出身者に間違えられることがある。さらに、エルサルバドル、ホンジュラス、グアテマラ出身者で暴力から逃れて難民申請を行う可能性が人々は、国際的保護から見過ごされる恐れがある。移住者の権利擁護活動家に対して、「ミチョアカン州やゲレロ州で起きた暴力から逃れてきた」と話したメキシコの国内避難民たちは、国境近くの仮設避難所にとどまっていて、時折、地元警察から嫌がらせを受けていると伝えている。

メキシコ当局は、国際的な保護の必要性に気づくことを含め、適切な審査を実現していない。ハイチ人の多くは、米国への入国を望んではいるが、メキシコ難民局(COMAR)が現場で立ち会っていないため、何百人もの人びとが適切な審査を受けられていない。その中には、メキシコで庇護を受けるのにふさわしい人びともいる可能性がある。確実に適切な審査を実施するために、メキシコ当局は米国当局と協力する必要がある。

アクションしてください。

英語、スペイン語のいずれかで以下の当局への要請を盛り込んだアピール文を作り、ファックス、Eメール、航空書簡のいずれかで、できるだけ早く送ってください。英文の場合は、後の英文サンプルをご利用ください。

受け入れ態勢を緊急に整備し、移民、庇護希望者になる可能性がある人びとが、避難所、ベッド、食料、心理的なケアや身の安全を得られるように、メキシコ当局に求める。
避難所も与えられていない子どもや青年や女性に対して特に注意を払うように求める。
国際的な保護を受けるかもしれない移住者への適正な審査を確実に実施するために、COMAR担当の職員を速やかに現場に配置するようにメキシコ当局に求め、米当局との緊密な協力と人権尊重ならびに家族再会の原則優先の確保を図る。
宛先
Minister of the Interior(内務大臣)
Miguel Angel Osorio Chong, Minister of the Interior
Secretaria de Gobernacion
Bucareli 99, Col. Juarez, Del. Cuauhtemoc, C.P. 06600
Ciudad de Mexico, Mexico
Email:secretario@segob.gob.mx
Twitter: @osoriochong
書き出し: Dear Minister / Sr. Secretario

Francisco Arturo Vega de Lamadrid, Governor of Baja California State(バハ・カリフォルニヤ州知事)
Edificio del Poder Ejecutivo 3er piso
Calzada Independencia 994, Centro Civico, C.P. 21000
Mexicali, Baja California, Mexico
Email:gobernador@baja.gob.mx
Twitter: @osoriochong
書き出し: Dear Minister / Sr. Secretario

コピー宛先
Mexico Team, Amnesty International (アムネスティメキシコ支部)
Luz Savinon 519
Colonia Del Valle, Delegacion Benito Juarez, C.P. 03100
Ciudad de Mexico, Mexico
Email:mexteam@amnesty.org

駐日メキシコ合衆国大使館
〒100-0014東京都千代田区永田町2丁目15-1
特命全権大使:カルロス・フェルナンド・アルマーダ・ロペス閣下
His Excellency Mr. Carlos Fernando ALMADALOPEZ

アピール例文

Miguel Angel Osorio Chong, Minister of the Interior
Secretaria de Gobernacion
Bucareli 99, Col. Juarez, Del. Cuauhtemoc, C.P. 06600
Ciudad de Mexico, Mexico
↑ここに宛先を記入

Dear Minister,
↑ここに書き出しを記入

I am writing this to express my grave concern for hundreds of displaced Haitians, Africans and internally displaced Mexicans stranded in Tijuana and Mexicali, many awaiting appointments with US Customs and Border Protection across the border. Many are in precarious conditions without adequate shelter, security and psychological support. Some of them, as well as Central Americans from El Salvador, Guatemala and Honduras, could be at risk of being deported to situations of risk if official asylum screening is not improved.

I, therefore, call on you to urgently and significantly enhance reception conditions ensuring migrants and possible asylum seekers have access to shelter beds, food, psychological attention and personal safety.

I also urge special attention be given to children, adolescents and women without shelter.

At the same time, I call on you to immediately deploy COMAR officials to the field in order to ensure proper screening of migrants who may qualify for international protection, ensuring close collaboration with authorities of the United States and ensuring priority to the respect of human rights and principles of family reunification.

Thank you for your prompt attention to the above.

Sincerely yours,

↑ここにあなたの名前とアドレスを記入

手紙のフォーマットをダウンロードする
http://www.amnesty.or.jp/get-involved/ua/ua/2016ua231.html



http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/494.html

[国際17] スパイサー米大統領報道官:就任式の聴衆過去最多との発言修正せず 150万人 絶対うそつかない 地下鉄19万 翌日27万超
スパイサー米大統領報道官:就任式の聴衆過去最多との発言修正せず
Margaret Talev、Jennifer Jacobs
2017年1月24日 13:07 JST

われわれは記者団には絶対にうそをつかないとスパイサー報道官
ネットで中継を見た聴衆は最多だったと説明

スパイサー米大統領報道官は23日、大統領就任式の聴衆が過去最多だったとした21日の記者会見での自らの発言を修正せず、インターネットで多くの人が中継を見たと述べた。報道官はその上で記者団には絶対にうそをつかないと言明した。21日の報道官の発言をめぐっては、聴衆が少なかったと伝えた米メディアとトランプ政権の間で緊張が高まっていた。
  スパイサー報道官は21日以来となる公式記者説明会で、「事実についてわれわれの見解が異なることが時としてあり得ると思う。われわれはあなた方に絶対にうそをつかないつもりだ。お互い一蓮托生(いちれんたくしょう)だ」と語った。
  ABCのジョナサン・カール記者から21日の発言を修正するかと問われると、報道官はそのつもりはないと言明。「最も多くの人が見た就任式だった。オンラインあるいは端末を通じて数千万人がその模様を見守った。それは疑う余地がない」と述べた。
  スパイサー報道官はまた、週末に主流メディアが自分の発言に異議を唱える論陣を張ったのは欲求不満によるものであり、これらメディアは大統領選立候補から当選までの間、トランプ大統領の政治的アピールの力を軽んじる報道を続けてきたと批判した。
原題:Spicer Stands by Inaugural Audience Claim in First Briefing (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-24/OK9KT26S972U01

 

ABCニュースによると、2009年のオバマ大統領就任式には約180万人が、2013年には約100万人が集まった。
ワシントンD.C.の関係者はこれまで、今回の就任式の聴衆を、70〜90万人と推測していた。

ナショナルモール周辺では、車両規制が行われており、就任式会場へのメインのアクセス手段は地下鉄となっている。
ワシントンメトロのツイートによると、この日の午前11時の時点での利用者は19万3000人。
2009年の51万3000人、2013年の31万7000人人と比べても少なかった。
http://oversea2ch.com/archives/supporter-hide.html


 


 
トランプ就任式に集まった聴衆は過去最大?
大統領報道官「今後は嘘をつかない」と約束
ロイター 2017年1月24日

 1月23日、スパイサー米大統領報道官は初の公式記者会見で、「今後はうそをつかない」と約束した。同報道官は21日、トランプ大統領の就任式に集まった聴衆は「過去最大」だったと発言したが、写真(左)に写っている聴衆の規模は2009年のオバマ前大統領の最初の就任式(写真右)を下回っていることが明らだった。(2017年 ロイター/Lucas Jackson (左), Stelios Varias)
[ワシントン 23日 ロイター] - スパイサー米大統領報道官は23日、初の公式記者会見で、「今後はうそをつかない」と記者団に対して約束した。同報道官は21日、トランプ大統領の就任式に集まった聴衆は「過去最大」だったと発言。しかし 写真に写っている聴衆の規模は、2009年のオバマ前大統領の最初の就任式を下回っていることが明らかで、発言は虚偽と判明した。

さらに、コンウェー大統領顧問が22日、ホワイトハウスは偏向したメディアに対抗するため「代替的事実(オルタナティブファクト)を伝えたかった」と発言したことから批判が一段と強まっていた。

スパイサー報道官は23日の会見で、今後は常に真実を語るつもりかと記者に問われ「われわれの意図は、あなた方にけっしてうそをつかないというものだ」と答えた。

その上で21日に述べた「過去最大の聴衆数」について、テレビやオンラインを通じた聴衆も人数に含めた、と釈明
http://toyokeizai.net/articles/-/155171


 

トランプ氏、就任式の聴衆少なく見せたとメディア批判 「150万人いた」

2017年1月22日 11時32分 AFPBB News
米バージニア州ラングレーの中央情報局(CIA)本部を訪問したトランプ大統領(2017年1月21日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News
写真拡大
【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は21日、前日に首都ワシントン(Washington D.C.)で行われた大統領就任式の聴衆の人数を実際より少なく見せたとしてメディアを批判した。聴衆が少なかったことはさまざまな証拠で示されているが、トランプ氏は150万人が集まったと主張した。

 本格的な公務の初日となったこの日、米中央情報局(CIA)本部を訪れたトランプ氏は職員らを前に「演説の最中に見たところ(聴衆は)100万、150万人はいた」と語り、「(メディアは)ほとんど誰もいなかった場所を見せてドナルド・トランプはあまり人を集めなかったなどと伝えた」と付け加えた。

 また、ある報道機関が聴衆は約25万人だったと推計したことについて「そこまで悪くなかった。それ(報道内容)はうそだ」と述べ、演説を行った連邦議会議事堂前の階段から20ブロック先のワシントン記念塔(Washington Monument)まで人で埋め尽くされていたと主張した。

 首都ワシントン当局は聴衆人数について正式な発表をしていないが、ワシントン記念塔に達する規模でなかったことはテレビの映像で明白になっている。空撮画像ではバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領が2013年に行った2期目の就任演説に比べて聴衆が大幅に少なかったことが示されている。
【翻訳編集】AFPBB News
http://news.livedoor.com/article/detail/12573473/


 


ワシントンD.C.がピンクの海に染まった。トランプ大統領就任に反対するために
The Huffington Post | 執筆者: Amanda Terkel
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投稿日: 2017年01月22日 11時39分 JST 更新: 2017年01月22日 14時37分 JST
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women march washington

アメリカのトランプ大統領就任から一夜明けた1月21日、首都ワシントンD.C.をはじめ全米各地で反トランプデモが行われ、数百万人規模に膨れ上がった。

ワシントンD.Cがピンクの海に染まった。トランプ氏が第45代大統領に就任した翌日、反対の声をあげるために多くの人が国中から首都へ流れ込んだ。

デモ参加者の多くはピンク色の「プッシーハット」をかぶり、何十万人もの人々がデモ行進に参加した。トランプ氏が大統領選の期間中、かつてテレビ番組の収録の合間に「俺は金持ちで有名人だから、プッシー (女性器を表す俗語)をさわることなんて簡単にできる」「股ぐらをつかむんだ」などと発言したのが女性蔑視として批判されたことになぞらえている。

デモは女性の権利を訴え、女性蔑視のトランプ大統領に抗議する「ウィメンズ・マーチ」の呼びかけで始まった。デモはニューヨークやボストン、シカゴ、ロサンゼルスなど全米各地で行われたほか、ロンドン、パリなど世界各国でも多くの人が集まり、全世界で数百万人がさんかしたとみられる。

ワシントンD.C.のデモ主催者は、当初の予想から2倍以上となる50万人の参加が見込まれると21日朝に述べた。


JOSHUA TERKEL

「多くの人が『ああ、こんなの意味がないよ。これはただの大きなパーティー、大きなショーじゃないか』と言っているのを聞きました。しかし、このデモは前へ進もうとする勢いを作り出しますし、人々は抵抗し続けると思います。大きなパーティーだとは思いません」と、ワシントンに住むサリー・マドセンさん(65)は語った。彼女の姉妹もミネソタ州からデモ行進に参加していた。「私たちがまだここにいることを示さなければいけません。そして、私たちは黙っていませんし、強行採決されることもありません」


ピンクのプッシーハットは、この抗議運動の象徴となった。MIKE COPPOLA/GETTY IMAGES


抗議をする人たちは、ワシントンD.C.の北西にあるコンスティテューション通りからワシントン記念塔まで行進した。AMANDA TERKEL/HUFFPOST

この抗議デモは選挙の翌日から準備されており、就任式に続いて女性のためのデモ行進が行われるとSNSを通じて広がった。

「このデモ行進を知らないわけないでしょう?」と、友人とデモに参加するためにバルティモアからやってきたロブ・ネフさん(46)は語った。

21日朝からはじまった女性たちのデモ行進は、トランプ大統領の就任式よりも多くの人が集まったとみられる。SNSで拡散されたアカウントには、地下鉄がすし詰めになり、列車に乗れなかったり、デモ行進仲間といっしょに押しつぶされながら運よく乗り込むことができた様子がわかる。

ワシントンメトロによると、午前11時の公共交通機関利用者数は27万5000人を記録した。これは通常の土曜日の利用者数の8倍にのぼり、通常の平日よりも混雑していた。ワシントン交通局によると、就任式の利用者数は、過去数年で最も少なく、通常の金曜日と同じだった。就任式の午前11時までの利用者数は19万3000人だった。

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Philip Lewis ✔ @Phil_Lewis_
Photos of the Shady Grove Metro station currently. Hearing it's an hour wait to get on the train. O____o #WomensMarch
11:09 PM - 21 Jan 2017
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シャディーグローブ地下鉄駅の現在の写真。地下鉄に乗るのに1時間待ちとのこと。 #ウィメンズ・マーチ


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Maya Wiley ✔ @mayawiley
Taking over DC Metro #WomensMarch!
11:16 PM - 21 Jan 2017
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D.C.の地下鉄を占拠する #ウィメンズ・マーチ!


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Emily Atkin ✔ @emorwee
It doesn't even start for another hour. #WomensMarch
11:05 PM - 21 Jan 2017
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1時間たっても出発しない。#ウィメンズ・マーチ

トランプ大統領就任式では、多くのアーティストが参加を拒否したが、ウィメンズ・マーチには、多くのスターが参加した。

実際に就任式でパフォーマンスしたラジオシティ・ロケッツやモルモン・タバナクル合唱団などは、トランプ氏のために出演したことを快く思っていないのではないか、という論争が起こっている。

ウィメンズ・マーチには、フェミニズム運動家グロリア・スタイネム、女優のスカーレット・ヨハンソン、エマ・ワトソン、歌手のジャネール・モネイ、マドンナ、そして映画監督のマイケル・ムーアなどが名を連ねていた。

「これは不幸中の幸いです。今までの長い人生で見たことのないようなエネルギーと真の民主主義が溢れかえっています」と、歓喜する群衆に向かってスタイネムは語った。「様々な年齢の人がいて、ダイバーシティがあふれている。覚えておいてください。憲法は『私、大統領は』でなく、『われら人民は』で始まるのです。私たちを対立させようとしないでください」

トランプ氏によって個人的に傷つけられた女性たちも街にやってきた。

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Dana Liebelson ✔ @dliebelson
Four women who have accused Trump of sexual assault here to march+attorney Gloria Allred
11:49 PM - 21 Jan 2017
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トランプ氏を婦女暴行で訴えた4人の女性と、グロリア・アルレッド弁護士もデモ行進に参加した。

トランプ氏を性的嫌がらせや婦女暴行で訴えた十数人の女性の1人キャシー・ヘラーさんも、彼の就任式に抗議するために、多くの支持者と共にアムトラックでやってきて、デモ行進に参加した。

21日のデモ行進には、トランプ支持者の姿はそれほど見られなかった。しかし、デモに参加した全ての人が新大統領の抗議のために参加したわけではなかった。

ミシガン州のフリント市からやって来たヘレン・ブロックさんは、トランプ大統領にフリントの水が汚染されている問題を訴えるためにバスに乗ってやってきた。

彼女は、汚染された水の影響で髪の毛が抜け始めたため、フリント市から15マイル離れた場所へ引っ越すことを余儀なくされた。

フリント市は水道水が高濃度の鉛汚染に見舞われ、健康被害が出ている。フリント市は、ヒューロン湖を水道水の水源とするデトロイト市から供給を受けていたが、2014年、深刻な財政危機に陥っていたフリント市は、ミシガン州知事から任命された管財人が経費削減の一環として水源をフリント川に変更した。しかし、フリント川の水質は塩素などが多く水道管が腐食し、鉛が水に溶け出す事態となった。2015年には体調の異変を訴える住民が続出したが州当局は無視していた。オバマ大統領はミシガン州に非常事態宣言を発令し、公的資金で水質が汚染された地域を支援した。

彼女はトランプ氏の支持者ではないが、「トランプのことは『疑わしきは罰せず』でいこうと思います。そうするほかないのです」と答えた。


ブロックさんの団体は、ドナルド・トランプ大統領に市の水道水汚染問題について助けを求めるために、ミシガン州のフリント市からやってきた。DANA LIEBELSON/THE HUFFINGTON POST

アメリカ先住民・ナバホ族のネリス・ケネディー=ホワードさんは、彼女の妻と彼女の職場「シエラクラブ」の同僚と共にデモに参加した。

ホワードさんは「3人に1人のネイティブアメリカンがレイプされている」と書かれたプラカードを指さしながら、「私たちはこれ以上レイプカルチャーを広めたくありません。トランプ大統領は、この種の行為のお手本になるようなことをしていません」


ネリス・ケネディー=ホワードさんはレイプ文化を非難するために女性の行進に参加した。DANA LIEBELSON/HUFFPOST

21日にワシントンD.C.の街を歩いている数人のトランプ氏の支持者もいた。ある男性は家族といっしょにオハイオ州から就任式のためにやってきていた。「アメリカを再び偉大な国に」と書かれた帽子をかぶった彼はこう語った。「デモがあるとは知っていました。ただ、ホワイトハウスを見たかったんです」

「彼らには彼らの1日があり、私たちには私たちの1日があります。...それでも私たちは一つのアメリカなんです」と、彼は語った。

トランプグッズを売る2人は、「金曜日は儲かったが、土曜日はそうでもなかったね」と語った。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/21/story_n_14308740.html


http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/503.html

[国際17] 就任式の聴衆、「史上最大」は「代替的な事実」 米大統領側近  トランプ大統領自らがスパイサー氏に指示
就任式の聴衆、「史上最大」は「代替的な事実」 米大統領側近
2017.01.23 Mon posted at 11:07 JST

2013年のオバマ氏の就任式(左)と2017年のトランプ氏の就任式の様子

 


大統領就任式、参加人数に違い?


トランプの米国、どう見られている? 世界から風刺画


写真で振り返るオバマ大統領の8年間
ワシントン(CNN) 米トランプ大統領の就任式に集まった聴衆の規模についてショーン・スパイサー大統領報道官が誤った説明をしたことについて、トランプ氏側近が22日のテレビ番組で「代替的事実」だったと弁護した。

NBCの報道番組の中で司会のチャック・トッド氏はトランプ大統領側近のケリアン・コンウェイ氏に対し、ホワイトハウスが21日の記者会見でスパイサー報道官に「大統領就任式に集まった聴衆は史上最大だった」と言わせた理由を問いただした。
これに対してコンウェイ氏は、「あなたは嘘だと言っているが、彼らがスパイサー報道官に示したのは代替的な事実だった」と反論した。

トッド氏に「代替的事実は事実ではない。虚偽だ」と切り返されたコンウェイ氏は、政策に話を移そうとする。だがトッド氏は後に再びこの話題を持ち出して、ホワイトハウスがスパイサー報道官に聴衆の規模について嘘を言わせた理由を尋ね、「聴衆の規模についてこんな馬鹿げた主張を行った動機は何だったのか」とたたみかけた。

コンウェイ氏に「あなたの仕事は大統領報道官の発言を馬鹿呼ばわりすることではないはずだ」とかわされても、トッド氏は「どうか質問に答えてください。なぜ彼はそうしたのか。まだあなたは答えていません。質問は1つだけです」と食い下がる。

 


コンウェイ氏は「あなたがたった今、視聴者に向けて言ったことを考えてみるといい。我々が進んで物事を晴らし、代替的な事実を公表しなければならないと感じた理由はそこにある」と語った。

CNNの22日の番組でコンウェイ氏が語ったところによると、トランプ大統領自らがスパイサー氏に指示して、ホワイトハウスで行った記者会見で聴衆の規模について前述のような説明を行わせたという。

2009年に行われたオバマ前大統領の就任式に集まった聴衆を撮影した航空写真を、今回のトランプ大統領就任式の聴衆を撮影した航空写真と比べると、聴衆の規模はオバマ前大統領の就任式の方がトランプ大統領の就任式よりもずっと多かった。
首都ワシントンの公共交通機関の乗客数と、ニールセンが発表した視聴率を見ても、オバマ前大統領の就任式の方が多くの注目を集めている。

関係者によると、聴衆の数を比較した写真に対してトランプ大統領は激怒したという。21日に中央情報局(CIA)本部を訪れたトランプ大統領は、聴衆の規模に関するマスコミ報道に不満をぶつけた。その数時間後、スパイサー報道官もホワイトハウスの記者会見場で同じ批判を展開し、質問を受け付けることなく退出した。

http://www.cnn.co.jp/usa/35095380-2.html


http://www.cnn.co.jp/video/15876.html

http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/505.html

[経世済民118] 「エレファントカーブ」がトランプ現象を生んだ「激変する世界」 賃金格差と求人内容の関係性 年齢が上がるほど賃金格差が縮む
「エレファントカーブ」がトランプ現象を生んだ

御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」
3つのグラフが示唆する「激変する世界」
2017年1月16日(月)
御立 尚資
「グローバル化」「デジタル化」「人口変動」の影響とは
 遅ればせながら、どうか本年もご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。
 さて、年の初めなので、これからの時代を短・中・長期と複数の時間軸でとらえていくために重要な視点とは何か、という少し大きなテーマで書いてみたい。もちろん、さまざまな切り口があるのだけれど、私が選んだのは、以下の3枚のグラフ(■図表1、■図表2、■図表3)が提供してくれる視点である。
 結論から申し上げると、3枚それぞれが、グローバル化、デジタル化、人口変動という極めて本質的な潮流3つについて、その屈曲点を示しているのだ。
グローバル化により先進国で中産階級の所得が伸び悩んだ
■図表1 エレファントカーブ

注:1988年〜2008年において、実質所得がどれだけ伸びたか(縦軸)を所得分布階層(横軸)によって整理

出所: 世界銀行リサーチペーパー 2012.12
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213747/010700040/zu01.jpg

 まず、1枚目はエレファントカーブ(■図表1、先進国で特に中産階級の所得が伸び悩んだことを示したことで知られる曲線)。ご存じの向きも多いだろうが、世界銀行のエコノミストの手になる分析で、グローバル化の進展で誰が豊かになったのか、を示したものだ。世界中の人を豊かな順に並べ、1988年から2008年までの20年間に、どの層の実質所得が伸びたかをグラフ化している。
 荒っぽくまとめてしまえば、世界の中での超高収入層、すなわち先進国の富裕層、そして新興国の(新)中間層が所得を伸ばした、というのが結論だ。一方、日本を含む先進国の中間層の収入は伸びておらず、一部の層は20年の間に実質収入が減っている。

一方、新興国では経済発展により中間層が所得を伸ばした
 この期間は、世界的にはグローバル化が進み、世界の貿易量が増えるとともに、新興国の工業化が大きく進展した時期にあたる。先進国の消費者は、新興国で生産される商品を比較的安く手に入れるという恩恵を得た。一方で、製造業を中心に先進国の中間層の雇用が新興国に移転し、彼らの所得が伸び悩むこととなった。
 (なお、この分析は、リーマンショック以前のデータを基にしたものであり、また世界各国の異なる調査データをもとにした推計である。さらには、1988年と2008年の2ポイントで、まったく同じサンプルの人々を調査したものではないこと、など留意すべき点はあるが、こういったあたりを含めて、さまざまなエキスパートが再検証した結果、おおむね妥当な分析だと考えられている。)

「エレファントカーブ」と呼ばれるグラフは、世界の富裕層が所得を伸ばす一方で、先進国の中間層だけが伸び悩んでいることを示している。まさにこの現象が、「反グローバリズム」を掲げ米国民の支持を集めた、トランプ現象を生んだと言える。(写真:ロイター/アフロ)

自由貿易のメリットには異論はないが…
 自由貿易がもたらすメリットについては、経済学者の間でもほぼ異論がないところだが、世界全体としてプラスであったとしても、メリットよりもデメリットを被ることが多い層が先進国の中間層に存在したわけだ。彼らをターゲットとした所得再配分の仕組み、ないしデメリットを上回るメリットを実感できる状態。これがないと、先進国の中での勝ち組、負け組のギャップが拡大し、従来型の政治体制を許容できないところまできてしまう、ということだろう。
 この点から、このグラフは昨今のBREXITやトランプ現象の根本原因である中間層の不満を理解する上で欠かせない分析だとも評されている。

グローバル貿易の限界か?
 一歩引いて考えると、第二次大戦後進んできたグローバル貿易の促進という流れが、ひとつの屈曲点を迎えたと言ってもよいかもしれない。興味深いことに、リーマンショック後、世界の輸出入の総額は低下し、その後もピークレベルには戻っていないという事実も存在する。
 豊かになった新興国、たとえば中国は、グローバル化の恩恵を被って、購買力を大きく伸ばした。この結果、もともとは輸出拠点であった地域が、需要の存在する地域となり、現地生産されたものが現地で消費されるようになってきている。もちろん、より人件費の安い地域への製造業のシフトは続くだろうが、超人口大国である中国がそのポジショニングを変えてきたことは重要だと思う。
 グローバル化の流れがひとつの頂点に達し、一方で先進国の政治を揺らし、他方で世界貿易の拡大傾向が鈍化している。

グラフが示唆する世界の大変動の行方
 こう見ていくと、今後中国でどのような変化が起こるのか、インドはどういうインパクトを世界の政治経済に与えることになるのか。はたまた、先進国の中間層の反乱と言ってもよい動きは、米国一極集中から多極化へとシフトする世界の国際政治と安全保障にどのような影響を与えるのか。
 このグラフが考えさせてくれる論点は、これから数年、ないし数十年を見る上で、避けて通れない本質的なものだと思う。

圧倒的なペースでデジタルデータが増加中
 さて、1つ目のグラフを見ながら、これからの政治経済の変動について思いを致していく際に、きちんと考慮しないと方向性を見誤るポイントがある。それは、次のグラフが示すデジタル化、もっと言うと、第3次産業革命の工業化のパラダイムから、人工知能(AI)やビッグデータ、ロボットの活用など第4次産業革命のデジタル化へのシフトだ。

■図表2 世界の情報貯蔵量
デジタルデータの量が爆発的に増加し、人類が蓄積してきたアナログデータの量を大きく上回るようになった

出所: M Hilbert & P Lopez: The World's Technological Capacity to Store, Communicate, and Compute Information Science Feb 2011、BCG分析

Copyright(c)2017 by The Boton Consulting Group,Inc. All rights reserved.
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213747/010700040/zu02.jpg

 ■図表2にあるように、21世紀の最初の10年の間に、後世の歴史家が「大きな変化だった」と振り返るようなことが起こった。有史以来、人類が蓄積してきたアナログデータの量を、デジタルデータの量が大きく上回ったという事実だ。
 日々、新聞は発行され、書籍も出版されている。アナログデータも増え続けているわけだ。しかし、それを圧倒的に上回るスピードで、デジタルデータが増え続け、あっという間に有史以来の蓄積量を上回ってしまった。しかもその多くはIPアドレスがついていて、ネットを通じて再利用できる形になっている。

データ爆発が来るべきデジタル革命へ導く
 これから本格的に始まるデジタル革命の時代は、データの時代だと言ってもよい。ビッグデータ分析やAIといったソフトウェアの進化も、膨大なデータが使えて初めて、価値を生みだすことができる。その意味で、ムーアの法則で示されるコンピューティングパワーの増大、通信速度と帯域の急激な向上、これらと組み合わされて、このデータ爆発が来るべきデジタル革命を端的に表していると思う。
 さて、これが1つ目の視点である「グローバル化と先進国中間層の不満蓄積」とどう関連するのか。
 最初のグラフを単純に解釈すると、「先進国の製造業雇用を取り戻すために、新興国製品に高額の関税を」とか「新興国に生産拠点を移そうとする企業にペナルティを」といった極論が出てきがちだ。しかし、グローバル化の流れが変化しつつあると同時に、付加価値を生む産業の構造自体が変化する新たな産業革命が進展していることが重要だ。

第4次産業革命の恩恵を中間層に
 デジタル革命の中で先進国が考えるべきなのは、「どうやって第4次産業革命の恩恵を、中間層が享受できるようにするか」ということであって、「第3次産業革命、すなわち付加価値の高い製造業を有する国が豊かになる、という前提で、中間層対策を考える」だけでは不十分だと考える。
 この2つのグラフを組み合わせて考えていくと、以下のような様々な論点が生まれてくる。
── 先進国中間層がサービス・財の受益者となる医療や介護等、生産性の低さと費用の急激な増大が問題となるヘルスケア領域。ここにデジタル化によってイノベーションを起こし、中間層の受け得るヘルスケアサービスの費用対効果を大きく伸ばし、結果的に彼らのQOL(生活の質)をまったく違う次元に高めることはできないか。
── 先進国中間層の子供たちが来るべき時代に恩恵を被る側に入れるように、公的教育におけるデジタル領域(たとえば、AIやデータアナリティクス)を無償で提供できる体制作りを行えないか。
── 既存中間層のうち、デジタル技術を身につける意欲がある人たちに、スキルシフトのための訓練を早く、しかも徹底的に行い、彼らのジョブシフトと国としての競争力向上につなげられないか。
 これらの論点は、単純に分配政策を変えよう、というのとは相当違った流れだと思う。

世界の人口は今世紀末、約110億人前後でピークに
■図表3 国連人口予測(2012年 revision)

Population of the world, 1950-2100, according to different projections and variants

出所: Population Division of the Department of Economic and Social Affairs of the United Nations Secretariat (2013); World population prospects: The 2012 revision. New York: United Nations
 さて、最後の3つめは、以前にも紹介したことのある長期のグローバルな人口変動だ(■図表3)。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213747/010700040/zu03.jpg

 これは、2012年の国連推計だが、要は(甘く見ても)今世紀末には地球上の人口は、約110億人前後でピークを打ち、その後は減少していくということだ。今世紀中のより早い時期に、100億前後でピークに達するという見方もある。
 20世紀は人口爆発の世紀でもあった。これは、1つ目のグラフにあるグローバル工業化が進展する中で、一定以上の一人あたりGDPを超えた先進国と新興国で、衛生・栄養状況が改善し、乳幼児死亡率が劇的に低下したことがその大きな要因だ。
 (もちろん、化学肥料が工業的に膨大な量生産可能となり、人口増を支える食料生産増が行われたこともグローバル工業化の一部に含まれる。)

一人あたりGDPが増えると、社会は「人口減少」「高齢化」へ
 面白いことに、さらに一人あたりGDPが増えていくと、カップル当たりの子供の数、すなわち合計特殊出生率が2を割るようになっていき、高齢社会化、人口減少社会化が進む。移民による人口増政策を取っていない日本は、その先頭を走っているのだが、これが豊かになってきた新興国にも広がっていくと、世界中が今世紀中に、高齢社会化、人口減少社会化が進むことになる。
 よく知られているように、経済成長の要因を因数分解すると、人口(働き手の数)、資本(設備投資など)、TFP(全要素生産性)の3要素の増分が経済成長につながると考えられる。この3要素のうち、人口部分の増(人口ボーナス)に頼った経済成長を果たすことが、世界全体でできなくなってくる。こう考えてもよいだろう。

経済成長をあきらめれば、開発途上国が豊かになる機会を奪う
 遅かれ早かれ、TFP(全要素生産性)を第2のグラフにあるデジタル化でどう高めていくことができるか、が世界全体の経済成長のカギになる。
 もちろん、現在のGDPという指標自体が、第3次産業革命までのパラダイムに適したもので、個々人の人生の豊かさを含め、モノではなくデータの活用で価値が生まれる時代には、別の指標が必要になる。
 ただ、そうだとしても、世界にはGDPの増で、より人生を豊かにできる新興国、開発途上国がまだまだ存在するわけで、従来型の経済成長をあきらめてしまうと、彼らが豊かになる機会を奪うことになりかねない。

成熟先進国とデジタル時代に即した経済指標とは
 こういった視点で、成熟先進国とデジタル時代に即した経済指標、途上国と工業化に即した経済指標をどう併用し、使い分けていくか、ということも、これら3つのグラフから出てくる論点である。
 いささか話があちこちへ拡がってしまったが、ことほどさようにこれら3つのグラフは、本質的な論点を抽出し、考え続けていく上での大事なスタートポイントになり得る。
 今年も、皆さんとご一緒にいくつかのポイントを考えていければと思っていますので、どうかよろしくお願い申し上げます。


このコラムについて
御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」
コンサルタントは様々な「レンズ」を通して経営を見つめています。レンズは使い方次第で、経営の現状や課題を思いもよらない姿で浮かび上がらせてくれます。いつもは仕事の中で、レンズを覗きながら、ぶつぶつとつぶやいているだけですが、ひょっとしたら、こうしたレンズを面白がってくれる人がいるかもしれません。
【「経営レンズ箱」】2006年6月29日〜2009年7月31日まで連載
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213747/01070004

 

賃金格差と求人内容の関係性
2017年1月23日 by ゲストライター
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【編集部注】執筆者のTim Cannonは、HealthITJobs.comのプロダクト管理担当ヴァイスプレジデント。同社は1000件以上のヘルスケアITの求人情報を掲載する求人サイトを運営している。

テック業界で働く女性の数が男性より少ないことや、両者の間に賃金格差があることは既によく知られている。しかしComparablyの調査から、年齢が上がるほど賃金格差が縮まっていくという興味深い事実が浮かび上がってきた。

18歳から25歳の間にテック業界に入ってきた女性は、同じ年齢の男性よりも29%少ない給与を受け取っている一方、彼らの年齢が50歳を超える頃には、その差が5%まで縮まるということがわかったのだ。

ヘルスケアIT業界では経験と共に給与が大幅に増加する、ということが私の勤めるHealthITJobsの調査からも分かっていることから、これには納得がいく。しかしこれはそもそもなぜ賃金格差が存在するのかという問いへの答えにはならない。

問題は入社時からはじまる。つまり求人という採用プロセスのスタート地点から、既にこのようなトレンドの芽が生まれている可能性があるのだ。驚くかもしれないが、求人内容がテック業界における賃金格差を生み出し、固定化させている可能性がある。以下でその流れについて説明したい。

以前の給与に関する質問

ある求人に応募してきた候補者に対して、企業が希望給与やこれまでの給与について質問するという習慣が長く続いてきた。この質問はあまりに一般化しているため、候補者側も特に疑問を持たずに答えている。しかし給与の変遷に関する質問が、実は賃金格差を固定化しているかもしれないのだ。

そのためマサチューセッツ州は、企業が求人票や面接で候補者の給与の変遷を尋ねることを禁じる法案を可決した。これには新しい仕事の給与が以前の仕事の給与に基いて計算されてしまうと、特に女性は最初の仕事の給与が男性よりも低いことが多いため、それまでの賃金格差が引き継がれてしまうという理由がある。

さらに雇用者側は意図せずとも、彼らは候補者の前職での給与からその人の価値を推測したり判断したりする傾向にある。テック業界でいえば、候補者のスキルではなく前職の給与に基いた提示額が、賃金格差の拡大につながっている可能性がある。女性はスタート時に遅れをとり、そこから追いつこうとすることしかできないのだ。

闇に包まれた給与情報

企業は候補者に対して給与に関する情報を尋ねる一方で、自分たちは報酬や給与の決め方について教えないことが多い。そのような情報が与えられないために、採用前に給与交渉をしづらいと感じている女性もいる。

そのような背景もあり、Fractlが100人の市民を対象にした行った調査でも、女性は男性に比べ賃上げ交渉をしづらいと感じている人が多いことがわかっている。平均的に女性は男性よりも賃上げ交渉を行う可能性が低く、アフリカ系アメリカ人の女性が賃上げ交渉を行う可能性が1番低い。

賃上げ交渉は採用時の給与交渉とは少し異なるものの、どちらも似たようなスキルや自信が必要になってくる。さらに新しい業界での仕事を探している女性の頭の中では、最初から給与交渉することで波風を立てたくないという心理が働いている可能性がある。交渉に必要な情報が提示されていないとすればなおさらだ。

応募している職業の一般的な給与や、応募先企業の平均初任給、給与の決め方といった情報がないと、女性はどのくらいの水準の給与を希望すればいいのかわからない。

求人票の男性的なキーワード

ほとんどの人が気づいていないが、求人票の多くは男性向けにつくられている。ZipRecruiterが行った調査ではほとんどの求人で男性的なキーワードが使われているとわかったのだ。同社のウェブサイトに掲載されている求人情報を調べたところ、”assertive(積極的)”、”decisive(決断力のある)”、”dominant(支配力のある)”といった男性的な言葉が70%の求人に含まれていた。そしてテック系の仕事だと、その数は92%まで増加する。

このような言葉は採用と何も関係がないようにも見えるが、中性的な言葉が使われている求人への応募率はそうでないものに比べて42%も高い。つまり求人に男性的な言葉が含まれていると、女性の応募率が下がる可能性があるのだ。そのため、求人に使われている言葉が好ましくないという理由で、女性は高給なテック系の仕事に応募していないのかもしれない。

リクルート会社や雇用主は、給与格差を生み出そうとして意図的にそのような求人票をつくっているわけではないが、これまでに浸透したやり方がそうさせているのだ。しかし求人票の書き方を変えるだけならば大した作業ではない。どのくらいの給与情報を候補者に明かすかや、求人票に適した中性的な言葉を決めるのには少し時間がかかるだろう。ただこのような小さな変化を積み上げることで、テック業界にはびこる賃金格差を解消することができるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)
http://jp.techcrunch.com/2017/01/23/20170121what-you-need-to-know-about-the-tech-pay-gap-and-job-posts/
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/268.html

[不安と不健康18] がんになりたいなら炭水化物 カロリー制限、長寿に効果 サル研究論争に幕? 糖質の害、恐るべし
がんになりたいなら炭水化物

米国で1、2を争う癌専門病院
ニューヨークメモリアルスローンケータリング癌センターの
センター長兼CEO Craig.Thompson 博士の講演
Why We All Don't Get Cancer
http://www.youtube.com/watch?v=WUlE1VHGA40#t=27m0s

どのタイプの食物を過剰に食べると癌のリスクを高めるか?

A fats 脂質
B carbohydrates 糖質
C proteins たんぱく質

「脂質を多く食べても癌のリスクは全く上昇しません 。糖質を多く食べると癌のリスクを著しく高めます 。タンパク質はその中間に位置します」

参考までに。】


こんにちは。
HSGさんから、大変貴重な情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。

ニューヨーク・メモリアル・スローン・ケタリング癌センター
http://www.mskcc.org/

は、HSGさんのご指摘通り、全米屈指の超有名な癌センターです。

日本における国立癌センターのイメージと同格、あるいは、それ以上のレベルの癌センターです。

U.S.News & World Reportベスト・ホスピタル癌部門において、常に上位2位以内に選ばれている実績があります。

そのセンター長兼CEO Craig.Thompson 博士の講演がユーチューブで見れます。

http://www.youtube.com/watch?v=WUlE1VHGA40#t=27m0s

英語の堪能な友人にも見て貰いました。

CEO曰く、

「今どきの人間は食べすぎで、太っている人間の体内では細胞の変異が起き易い」

そうです。

そして、

「私達は、モデル生物において、優れたエビデンスを得ています。」

続いて、

「脂質を過剰摂取させてもガン発生率は全く増えません。

炭水化物を過剰摂取させると、ガン発生率が劇的に増えます。

タンパク質はその中間です」

「なので、炭水化物ベースの食事について大きな議論をすることになるでしょう・・・。」

これって、全米1・2位を誇る癌センターのCEOが、糖質制限食を推奨しているってことですよね。(^-^)v(^-^)v 

何ともはや、想定範囲外の嬉しい驚きです。

糖質制限食にとって、この上ない追い風がまた吹いたということですね。


江部康二
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2927.html

 


 


カロリー制限、長寿に効果 サル研究論争に幕?
2017年01月20日 (金)
【17/01/18 ジェームズ中野

今朝の朝日新聞デジタル版です。炭水化物や糖質がどれだけ摂取されてるのか皆目わかりません。食事内容そのものを明らかにしていただかないとこれでは「あっそ」で終わっちゃいますね。??

『カロリー制限はやはり長寿に効果がある、とする研究結果を米国の二つの研究チームがまとめ、17日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。両チームは1980年代後半からアカゲザルで実験を続け、効果をめぐって相反する結果を発表。両チームが共同で実験データを再解析し、「効果あり」で結論が一致したという。

二つの研究チームは米国のウィスコンシン大学と国立加齢研究所。いずれも、好きなだけ食べさせる集団と、それよりも摂取カロリー量を3割減らした集団で生存年数などを比較する実験をしているが、大学は2009年と14年に「効果あり」、研究所は12年に「効果はなかった」と発表していた。

今回、両チームで15年7月までの互いの実験を比べると、カロリー制限を始めた年齢が大学は大人の7〜15歳なのに対し、研究所は1〜23歳と幅広かった。このため、研究所のデータについて、実験開始時の年齢を若年(1〜14歳)と中高年(16〜23歳)に分けて改めて解析すると、若年でカロリー制限を始めた場合は寿命が延びる効果はみられなかったが、中高年で始めた場合は効果がみられ、特にオスは平均寿命の推計が全体よりも9歳ほど長い約35歳だったという。

また、両チームの解剖データを調べたところ、開始年齢や性別にかかわらず、カロリー制限をしたグループのほうが、がんの発生率が15〜20%ほど低かった。糖尿病や脳卒中など加齢に伴う病気も、より遅く発症していた。

東京都健康長寿医療センター研究所の石神昭人研究部長(老化制御)は「論争に一つの終止符が打たれた。約30年に及ぶカロリー制限の研究データは、人間にも置き換えることができそうだ」と話す。(小川裕介)』】


こんにちは。

ジェームズ中野さん から

朝日新聞デジタル
カロリー制限、長寿に効果 
サル研究論争に幕カロリー制限、長寿に効果 サル研究論争に幕?
http://www.asahi.com/articles/ASK1L2F7FK1LUBQU002.html

という、2017年1月18日の記事について、コメントを頂きました。

ジェームズ中野さん
興味深い情報をありがとうございます。

『カロリー制限(3割減)群のほうが、長寿に効果あり』 という、一定の結論が出たのは分かりました。

一方、ジェームズ中野さんがご指摘のように、対照群と比べて、カロリー制限群(対象群より3割減)は、糖質はどの程度減少していたのかが知りたいですね。原著をみても、糖質量は、よくわかりませんでした。

さて老化に大きく関与しているのが糖化です。

糖質摂取量が多いほど、単純に糖化は進みます。

糖質摂取量が少ないほど、糖化による老化は予防できます。

アカゲザルは兎も角として、仮に

2000kcal 糖質60%(300g) 脂質20%(44.4g) たんぱく質20%(100g)

食べていた人が、3割カロリー制限すると

1400kcal 糖質60%(210g) 脂質20%(31.1g) たんぱく質20%(70g)

となり、糖質摂取量が約90g/日減ります。

これだけ減少すれば、あるていど糖化による老化は防げる可能性があります。

私は67歳になりましたが、
1)歯は全部残り、歯周症なし。
2)目は裸眼で広辞苑が見えて日常生活OK。
3)身長は20歳の頃と不変で縮みなし。
4)聴力低下なし。
5)夜間尿なし。
です。

あくまでも仮説ですが、スーパー糖質制限食を52歳のときから実践していますので、糖化はかなり少ないと考えられます。

従って糖化に伴う老化が、あるていど予防できている可能性があると思われます。

一方、以下の上海コホート研究によれば、「糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い」ことが、報告されています。

糖質の害、恐るべしです。


☆☆☆

『上海コホート研究
Am J Epidemiol 2013年9月5日オンライン版に上海の前向きコホート研究の結果が報告され、

「糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い」

ことが判明。

11万7366人を対象に、調べた研究。

女性が6万4,854人で、平均追跡期間が9.8年。
男性が5万2,512人で、平均追跡期間が5.4年。

この間に120人の女性と189人の男性が心血管疾患を発症。

発症リスクを糖質摂取量多い群と少ない群で、4つのグループに分けて解析。

女性 心血管発症リスク

1、糖質摂取量264g/日未満 −−−−−−−−−− 1.00

2、糖質摂取量264g〜282g/日未満−−−−−−−− 1.19

3、糖質摂取量282g〜299g/日未満−−−−−−−− 1.76

4、糖質摂取量299g/日以上 −−−−−−−−−−− 2.41


男性 心血管発症リスク

1、糖質摂取量296g/日未満 −−−−−−−−−−−− 1.00

2、糖質摂取量296g〜319g/日未満 −−−−−−−−−− 1.50

3、糖質摂取量319g〜339g/日未満 −−−−−−−−−− 2.22

4、糖質摂取量339g/日以上 −−−−−−−−−−−−− 3.20


心血管疾患の発症リスクの上昇は、

男性の

3、糖質摂取量319g〜339g/日未満
4、糖質摂取量339g/日以上

においては統計学的に有意であった。

また,男女を合わせると、 心血管発症リスクは糖質摂取が少ない方から1.00(基準)、1.38、2.03、2.88であり、やはり3分位,4分位においては統計学的に有意な上昇であった。』


結論として、上海前向きコホート研究においては、糖質摂取量が多いほど、心血管発症リスクが多いことがわかりました。


江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
17:06 | 糖質制限食と・・・ | コメント (9)
≪NHKカルチャー神戸教室。糖質制限食講演会のご案内です。 | ホーム | 2017年2月12日(日)糖質制限食医療従事者対象セミナー in 大阪 開催≫
コメント
取り上げていただきありがとうございました。
お猿さんって 基本、バナナやリンゴが大好きですよね。カロリー制限をするということは、つまり糖質制限をしているとイコールなのではないでしょうか?人間の食生活と比較しても摂取する食物そのものはだいぶ違うように思います。つまり今回の研究結果においては確かにカロリー制限はしているわけだけども、本質は糖質制限なのかなと思いました。江部先生ありがとうございました。
2017/01/20(Fri) 18:22 | URL | ジェームズ中野 | 【編集】
こんばんは
ケトジェニックダイエットに取り組んでいる場合の話です。


肉に含まれてる脂、豚肉、牛→飽和脂肪酸。
鶏肉→不飽和脂肪酸

この脂肪酸が長鎖脂肪酸が多めである。


いわゆる活動しない時間、夕食に食べる時の脂質制限は必要でしょうか?(分解されて代謝されるまでに時間がかかる為、不向きになる?)


朝ご飯、昼ご飯でしっかりと長鎖脂肪酸を摂取し、1日の持久力やパワーを得て元気に活動。夜間の食事は鶏胸肉などの脂質が少ない物とココナッツオイルやMCTオイル(中鎖脂肪酸)なのどに限定。

夜や睡眠時間は脂肪燃焼に持っていきたい。朝方が一番の痩せ時は体脂肪を燃焼させたい。

完全に脂質がないのもホルモンの関係上全くないのは逆効果なので、野菜と脂質の少ない肉類や、茹で料理や蒸し料理にして『余分な脂質は極力カット』『タンパク質も摂取し筋肉が分解されるのを防ぐ』、そして脂肪燃焼に効果的なココナッツオイルやMCTの中鎖脂肪酸を使う。


とある方の記事(自己満の為、正しいかは分からないと記載ありました)を読み、気になったのですがこういった食事内容にする方が効率は良いのでしょうか?

先生のご意見を頂けたらと思います。
2017/01/20(Fri) 22:04 | URL | M | 【編集】
雑誌を見たら、炭水化物を取らない事が日本人の糖尿が増えた原因とか書いてありました。脂質が良くないとか。ちょっと賛同できない記事ですね。

 以下引用

…さらに奥田氏は「日本における近年の糖尿病の増加は、カロリーの総摂取量に占める炭水化物の割合が減り、脂肪の摂取が相対的に増えたことと、運動不足にある」と指摘する。

 「もともと日本人を含む東アジア人は(臓器にブドウ糖を取り込むために必要な)インスリンの分泌量が欧米白人の半分から4分の1しかない。

 そのため日本人は炭水化物の摂取が減ると、ブドウ糖を十分確保できません。膵臓はブドウ糖を確保するため、インスリンの分泌を高めようと頑張りますが、次第に疲労し、結果インスリンが作れなくなり、それほど肥満でなくても糖尿病になってしまうのです。

 これは欧米人にはない現象です。日本人が糖尿病を予防するためには、内臓脂肪を減らし、炭水化物をきちんと摂り、膵臓の機能を守ることが重要なのです」

 人種の数だけ病気も健康法も違う。まずは自らの体質を理解することが、自分に合った健康法を見つける第一歩となる。

 「週刊現代」2017年1月14日・1月21日合併号より
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170121-00050722-gendaibiz-bus_all&p=2
2017/01/21(Sat) 01:00 | URL | ひろき | 【編集】
ひろき さん

日本人が炭水化物を摂らなくなったのは、江部先生をはじめとする糖質制限推進派がダイエット法として流行らせたからではないですか?

糖質制限法に関しては悪いとは思っていませんが、ガンにしろ糖尿病にしろ、生活習慣の乱れを棚に上げてその原因を全て炭水化物のせいにするのは、とても常識人とは思えません。
糖質制限法のイメージが悪くなるだけです。
日本人なら日本人の体質に合った糖質制限法があると思います。
糖質も脂質も、それ自体摂取方法によって栄養素にもなれば毒にもなるのは当たり前です。
2017/01/21(Sat) 08:13 | URL | TempestBBC73 | 【編集】
どうしてお猿や鼠の実験で、人も同じだと言わんばかりの結論を導き出せるのでしょうか?
しかも、人に置き換えればビックリする様な餌を与えたりするのでしょう?
素人には、偉い先生方の仰る事やそれを鵜呑みにして報道するマスコミのオツムの中が解りません。
そのくせ、毎日の生活の中でコツコツと糖質制限の実績を積み上げている私達の言う事には耳を貸さないのですからね?。
やはり裏にはそれなりの大人の事情があるのでしょうかと疑ってしまいます。
しかしその大人の事情で、助かる人も助からないとなれば、許し難い思いを抱くのは私だけでしょうか。
2017/01/21(Sat) 12:02 | URL | まちこ | 【編集】
Re: こんばんは
M さん

夕食に脂質を食べても、体内の脂肪は燃えると思います。

「夜間の食事は鶏胸肉などの脂質が少ない物とココナッツオイルやMCTオイル(中鎖脂肪酸)なのどに限定。」

ということは、必要ないと思います。
2017/01/21(Sat) 18:41 | URL | ドクター江部 | 【編集】
Re: タイトルなし
ひろき さん

2016年12月05日 (月)の本ブログ記事
糖尿病、戦後の「国民病」、高脂肪食が一因?・・・門脇孝氏への反論。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4029.html

をご参照頂けば幸いです。

実は、1997年から2008年まで、炭水化物摂取比率は増加し、
2008年から、炭水化物摂取比率は減少に転じています。
1997年から2008年まで、脂肪の摂取比率は減少し
2008年から、増加に転じています。
そして、2012年の統計では、調査始まって以来、初めて糖尿病予備軍が220万人も減少です。

2002年:740万人(50万人増加) → 5年間で7.2%の増加率
2007年:890万人(5年間で150万人増加) → 5年間で20%の増加率・・・急増 
2012年:950万人(5年間で60万人増加)  → 5年間で6.7%の増加率・・・急減

2008年→2010年 97年以来13年ぶりに炭水化物比率が減少 60.4%→59.4%
        97年以来13年ぶりに脂質比率が上昇   24.9%→25.9% 
2007年→2012年 糖尿病の増加が急減
糖尿病予備軍は、約1100万人で、2007年から約220万人減少。
国民健康・栄養調査が始まって以来の快挙。
炭水化物摂取比率:2008(60.4)→2010(59.4)→2012(59.2)→2014(59.0%)
脂質摂取比率: 2008(24.9)→2010(25.9)→2012(26.2)→2014(26.3%)

2017/01/21(Sat) 18:59 | URL | ドクター江部 | 【編集】
Re: タイトルなし
まちこ さん

糖質制限食は科学的事実に基づく真理そのものですので、一時的な流行やブームとは全く異なります。
このまま、どんどん広がっていくと考えられます。


2017/01/21(Sat) 19:03 | URL | ドクター江部 | 【編集】
まちこさんへ!
都内河北 鈴木です。

まちこさん、同感です!!

私は都内肩書きある病院と日本糖尿病学会公認専門医指導で悪化一途21年間より、
江部先生「糖質制限理論」理解把握し実践で3ヶ月で正常化、生還しました!!

2000年以降、欧米先進国医学界解明しているにも関わらず、
何等改善可能性ないカロリ〜制限理論に固執し、
患者自身が「糖質制限理論」自力で改善するや反省学習無いどころか、
診療拒否!
転院圧力!
私患者の要望だと転院紹介状には、虚偽要望を書く始末!
更には、専門医・病院の医療知識無知証明文言!!

これが時代進化医学解明事実対応しない、
改善可能性皆無のカロリ〜制限理論固執の
日本糖尿病学会専門医組織の現状現実です!!
(上記文面の改善医療デ〜タ・肩書きある都内病院協会会長経営病院の医療知識無知証明文面転院紹介状文書は存在しています。)

これが現実!!
くれぐれも日本医療の権威肩書きには
御注意!御注意!です!!

江部先生理論に、私は生還でき、更なる脳梗塞頚動脈プラ〜ク減少改善など、命救われたのは事実です!!
(証明医療デ〜タ書類存在!)

江部先生への圧力は計り知れないです。

「糖質制限理論」改善以上、「生還者」として証明コメントは惜しみません!!
敬具
2017/01/22(Sun) 09:43 | URL | 都内河北 鈴木 | 【編集】

http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4081.html
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/330.html

[社会問題9] きれいごとばかりいっているひとが、うさんくさく見えるのには理由がある [橘玲の日々刻々]
2017年1月23日 橘玲
きれいごとばかりいっているひとが、うさんくさく見えるのには理由がある
[橘玲の日々刻々]
?次の2つの質問に「まったく反対」「やや反対」「やや賛成」「まったく賛成」のいずれかで答えてください。

ほとんどの女性はほんとうに頭がよいとはいえない。
ほとんどの女性は外で仕事をするよりも家で子どもの世話をするほうが向いている。

?どちらも明らかに女性差別的な主張ですから、良識あるひとは躊躇なく「まったく反対」とこたえるでしょう。

?では、次の2つの意見はどうでしょうか。

なかにはほんとうに頭がよいとはいえない女性もいる。
なかには外で仕事をするよりも家で子どもの世話をするほうが向いている女性もいる。

?こんどは良識あるひとでも判断に迷うのではないでしょうか。「まったく反対」としてしまうと、「すべての女性は頭がよく、家で子どもの世話をするには向いていない」ということになってしまうからです。いくらなんでもこれはおかしいので、「やや反対」「やや賛成」などを選ぶことになるでしょう。

?じつはこれは心理学の実験で、アンケートの目的は、被験者を「女性差別に明確に反対する」か、「差別的かもしれない主張に中立的な立場をとる」かに誘導することでした。そのうえで被験者は、建設や金融など男性上位とされる企業の人事担当者になって、男女数名の採用候補者の適性を判断します。

?ひとには意見や主張を一貫させたいという傾向がありますから、研究者は、アンケートで「女性差別に反対」と誘導された被験者は女性の採用候補者に寛大になると予想しました。ところが実際には、女性差別に明確に反対した彼らは、中立的な回答をした被験者よりも男性の求職者を優遇したのです。

?なぜこんなことになってしまうのでしょうか。

?心理学ではこれを、「悪のライセンス」で説明します。善悪の問題について私たちは「道徳の小遣い帳」のようなものを持っていて、差別的な主張に反対すると道徳の「収支」がプラスになって、その後に差別的な(マイナスの)判断をしても許されると思ってしまうのです。逆に「自分はすこし差別的かもしれない」と思ったひとは、道徳の帳尻をゼロに戻すために、差別されているマイノリティ(少数派)に寛大になります。

?この「悪のライセンス」は性差別や人種差別だけでなく、あらゆる場面で観察できます。

?自分が以前に気前よく寄附したことを思い出したひとたちは、そうでないひとに比べて、寄附する金額が6割も低くなります。さらには、被験者にホームレス支援施設で子どもたちに勉強を教えるボランティアをやってみたいかと尋ねただけで、参加申込をしたわけでもないにもかかわらず、被験者は自分へのごほうびとしてなにか買い物したくなりました。

?よいことをしたからではなく、よいことをした「気」になっただけで道徳の小遣い帳は「黒字」になり、「赤字」すなわち不道徳な行為を許容するようになってしまいます。そして困ったことに、道徳的であるはずの自分がじつは差別的であることに本人はまったく気づかないのです。

?いつもきれいごとばかりいっているひとがうさんくさく見える理由は、じつはここから説明できるかもしれません。

参考:Benoit Monin, Dale T. Miller「Moral Credentials and the Expression of Prejudice」
『週刊プレイボーイ』2016年1月16日発売号に掲載

橘 玲(たちばな あきら)

作家。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ヒット。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(ダイヤモンド社)『「言ってはいけない?残酷すぎる真実』(新潮新書)など。中国人の考え方、反日、歴史問題、不動産バブルなど「中国という大問題」に切り込んだ『橘玲の中国私論』が絶賛発売中。最新刊は、『ダブルマリッジ』(文芸春秋社刊)。

●橘玲『世の中の仕組みと人生のデザイン』を毎週木曜日に配信中!(20日間無料体験中)
http://diamond.jp/articles/-/115302
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/756.html

[政治・選挙・NHK219] 日本はブロック化する世界で「超対米従属」に徹するべき TPP離脱、中国の勝利と日本敗北 通貨戦争、アジアの新たな不安材料

上久保誠人のクリティカル・アナリティクス
【第149回】 2017年1月24日 上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

日本はブロック化する世界で「超対米従属」に徹するべき

?ドナルド・トランプ氏が第45代アメリカ合衆国大統領に就任した。トランプ新大統領は、大統領就任式での演説で、「米国製品を買い、米労働者を雇って、米国を再び偉大な国にする」と宣言し、「アメリカ第一主義」を改めて強調した。就任式後には早速、医療保険制度改革(オバマケア)の改廃を支持する大統領令に署名した。「環太平洋経済連携協定(TPP)」からの離脱も宣言した。

?大統領選時から続く、トランプ氏の様々な「放言・暴言」だが、「大統領になれば変わる」という楽観論もあった。だが、「変わらないトランプ」に世界は戸惑うばかりである。

?この連載では、トランプ大統領の発言は素直に捉えるべきだと主張してきた。大統領の「孤立主義」で、世界の「ブロック化」の流れが加速すれば、日本は極東の一小国の座に没落する。楽観論は無意味だ。最悪の状況を想定してどうすべきかを考えるしかないのだ(第145回)。従って今回は、トランプ大統領の一挙手一投足に右往左往する議論から少し距離を置いて、「ブロック化」の核となると考えられる。米国、英国、ロシア、ドイツ、中国の5ヵ国の関係から、中長期的に「新しい世界」がどうなるか、そして日本はどうすべきかを考えてみたい。

日本企業は英国から撤退すべきではない
離脱交渉でEUは「泥船」だと露見する

?トランプ大統領就任直前の1月17日、英国ではテリーザ・メイ首相が、欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)に向けた計画について初めて説明し、域内でのモノとサービスと人の自由な移動を保証するEUの単一市場から離脱する「ハードブレグジット(強硬な離脱)」の方針を表明した。英国の目標は「移民政策や立法に関する主導権を取り戻すことにある」と言明し、「英国との懲罰的な協定を模索すべきではない。それは自らを害する破壊的な行為だ」と、EUを強く牽制した。

?メイ首相の「ハードブレグジット」宣言には、日本企業を含む外資系外国企業・金融機関に動揺が広がっている。だが、百戦錬磨の交渉上手である英国(第103回)が、最初からハードルを下げてEUとの交渉に臨むわけがない。想定の範囲内だ。

?筆者は、日本企業は英国から撤退すべきだと考えない。英国とEUが離脱交渉に入り、1〜2年が経過すれば、次第にEUが「泥船」であることがわかってくるからだ。今、日本企業が英国からの撤退を決めてしまったら、後悔することになる。

?EUは、ドイツだけは好調だが、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリアなど経済的に困難な国々を域内に抱えている。しかも、EUは加盟国に対して財政赤字をGDP比の3%に抑える義務を課している。厳しい緊縮財政を強いられることで、景気悪化に対して、一国の政府の独立した判断で対策を打つことが事実上できない。

?経済対策の独立性・柔軟性を奪われたこれらの国では、失業に追い込まれた若い労働者が職を求めてドイツに移動している。それは、ドイツ経済を成長させる。しかし、ドイツ「独り勝ち」状態には、不平・不満が広がっている。

?また、EU域内では、極右政党への支持が高まり、「懐古主義的なナショナリズム」(第148回)が広がっている。5月に予定されるフランス大統領選では、マリーヌ・ルペン国民戦線党首が決選投票に残るだろう。大統領に当選する可能性もある。秋のドイツ総選挙でも、極右政党台頭の可能性が取りざたされ、投票結果によってはアンゲラ・メルケル首相の退陣があるかもしれない。「政治的な不安定性」は、EUの大きなリスクである。

?一方、「トランプ現象」と同一視されがちな英国の「EU離脱」だが、懸念された国民の「分断」は、実は起きていない。メイ政権は、「残留派」だが移民問題には最強硬派のメイ首相や、「離脱派」なれど規制緩和・外資導入・英連邦のネットワーク重視のボリスジョンソン外相など、「一筋縄ではいかない人物」の混成チームだ。

?一方、ナイジェル・ファラージ英国独立党党首が政界引退するなど、「強硬な離脱派」は表舞台から去った。離脱決定後に「Bregret(英国の後悔)」という言葉が生まれるなど、離脱は「やりすぎた」という空気が広がり、国民の対立は、次第に緩和している。英国の「政治的な安定性」は十分維持されているのだ(第135回・p4)。

?経済についても、離脱決定直後にポンドが暴落するなど不安視されたが、現在では安定している。そもそも、EU離脱を問う国民投票で敗れ、退陣したディビッド・キャメロン首相は、経済財政政策は成功し、高い評価を得ていた(第106回)。EU加盟国の中で、英国の経済状況は、常にトップクラスだ。

「EUの単一市場」から離脱することのデメリットが指摘されているが、「泥船」のEUと付き合うよりも、はるかに将来の成長が見込める経済圏を、英国は潜在的に持っている。「英連邦」54ヵ国のネットワークである。南アフリカ、ナイジェリア、オーストラリア、カナダなど資源大国、人材・ハイテク大国であるインド、現在最も成長している東南アジア、今後「世界の工場」となるアフリカ諸国の多くが参加するネットワークである。

?この連載で英連邦を取り上げた時は、まだその潜在力の高さを指摘するにとどまっていた(第134回)。しかし、メイ首相、ジョンソン外相らは、英連邦諸国への外遊を繰り返し、EU離脱に備えて、「経済圏」の再構築に動き始めている。

?昨年秋には、メイ首相がインドのモディ首相を訪問した。首脳会談でモディ首相は、EU離脱後の英国の移民政策の変化に懸念を表明した。「インドから英国の大学への多数の留学生の地位を、EUからの移民と同じと考えてもらっては困る」とメイ首相に強く訴えた。メイ首相は、「心配はいらない。善処する」と答えるしかなかった。また、メイ首相は今年に入り、英連邦の主要国であるオーストラリア、ニュージーランドなどと新たな通商交渉を開始する表明している。

?さらにスコットランド独立の懸念だが、EUとの離脱交渉が続く間に、その動きは消えるだろう。スコットランドは「連合王国」4国の一角であり、その中で広範な自治権を認められている。北海油田を持つスコットランドは、「盟主」であるイングランドよりも良好な経済状況を誇り、独自の福祉政策を展開している。

?しかし、スコットランドが単独でEUに加盟すれば、「連合王国の一角」という地位を失い、ただの一小国となってしまう。現在認められている自治権は制限され、画一的に緊縮財政を強いられ、福祉政策も制限される。経済状況の悪い国からの移民を引き受けなければならなくなる。スコットランドが単独でのEU加盟に、何のメリットもないと気づくのに、時間はかからないはずだ。

「生存圏」確保のために
ロシアとドイツは接近する

?この連載では、EUが世界の「ブロック化」の流れの中で、脆弱性があることを指摘してきた(第145回)。特に、「生存圏」を築くために重要な、「エネルギーの自給」について問題がある。EUは、ロシアからのガス・パイプラインへの依存度が高い。そのため、原子力や再生エネルギーを利用する「エネルギーの多角化」を進めてきた。

?しかし、フランスなどが推進する原子力は、福島第一原発事故後、展望が不透明になり、ドイツなどが積極的である再生エネルギーは、補助金依存の高コスト体質を変えられないままだ。このままでは、EUは「ブロック化」の流れの中で、没落するしかない。だが、それでもドイツに戦略がないわけではない。

?そもそも地政学的にみれば、EUとは、ドイツの「生存圏」のためにあるという見方が存在する。前述の、EU域内の緊縮財政の強制は、ドイツによる欧州諸国の経済的掌握という意味合いがある。そして、ドイツの移民政策によって、スペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャ、そしてフランスから若い労働者がドイツに移動し、ドイツ経済だけが独り勝ちする構図だ(エマニュエル・トッド、2016)。

?ドイツの「生存圏」確保の戦略は、西欧の中堅国に対してだけではなく、EUの東欧圏への拡大によって、東西冷戦終結後の20年間、一定以上の成功を収めていたといえる。この連載では、そのことを「冷戦終結による東欧、中央アジアの民主化で、ロシアは遥かベルリンまで続いていた旧ソ連時代の『衛星国』をなくしてしまったのだ。いまや東欧は民主主義政権の下で、『EUの工場』と呼ばれる経済発展を遂げているのである。ウクライナ分裂は、ロシアの勢力圏縮小という大きな流れの中で、かろうじて繰り出したカウンターパンチ程度でしかなかったということだ」と指摘してきた(第84回)。この「ロシアの敗北」は、裏返せば、「ドイツの勝利」である。

?もちろん、権威主義的で統制的なドイツのやり方が、行き過ぎだったのか、「移民」「緊縮財政」に対する怒りが沸騰し、ドイツの戦略は大きく揺らいでいるのが現状だ。そして、そんなドイツに接近しようとする大国が現れる。ドイツによって「負け犬」となったロシアである(第142回)。

?ロシアの地政学者であるアレクサンドル・ドゥーギンは、日本語の著書が翻訳されていないため、ほとんど日本では知られていない。しかし、その著書はソ連崩壊後のロシアで、初めて刊行された地政学専門書として、ロシアで大反響となったものである。

?ドゥーギンは、ドイツ地政学のカール・ハウスホーファーの理論を基に、「『ユーラシア帝国』が、大西洋主義の覇権に対抗して連携を呼びかける諸国は、ドイツ、イラン、そして日本である」と主張する。そして、「日独をロシア側に引き寄せるためには、両国に領土問題で譲歩すべき」だとして、「日米安保の破棄」を条件として、北方領土の返還を提案している(黒岩、2002)。

?現在のウラジーミル・プーチン政権の中東への積極的関与、日本への急接近と経済協力の進展、そしてプーチン大統領の「日露の信頼関係を阻害しているのは、日米安全保障条約」という意味の発言を見ると、ロシアの戦略は、ドゥーギン地政学と一致しているのは明らかだ。とすれば、ロシアが次にドイツに接近していくことになる。

?ロシアは、英国と長年にわたり、激しい対立関係にある(前連載第59回)。その英国がEUから離脱すれば、ロシアはドイツに接近するのを妨げる障害がなくなることにある。また、トランプ大統領とメルケル首相が激しい批判合戦を展開するなど、今後米国とドイツの関係も、悪化することが考えられる。プーチン大統領がこの好機を逃すわけがない。

?そしてロシアにとってドイツ、日本、イランと連携する目的は、英米「シーパワー」に奪われた東欧という勢力圏を奪い返すことはもちろんだが、それだけではない。「一帯一路」構想を掲げ、ユーラシア大陸に巨大経済圏を築こうとする中国に対する対抗の意味もある(第120回・p4)。

?一方のドイツだが、現在は「グローバリゼーションの最後の砦」というイメージだが、EU諸国に対する緊縮財政や移民政策を厳格に強いる姿勢からわかるように、元々権威主義的、統制主義的な国柄だ。実はロシアとは親和性があり、歴史的に見ても、近づいたり離れたりを繰り返す複雑な関係だ。米英との対立は、ドイツを一挙にロシアに接近させる可能性がある。ドイツが持ち前のしたたかさを発揮すれば、ロシアと中国を天秤にかけるような駆け引きをするかもしれない。

日本は当面「超対米従属」に徹し
大統領に何ができ何ができないか見極めるべきだ

?このロシアの戦略に対して、日本はどう対応すべきか。もちろん「日米同盟」と「北方領土」の取引などできるわけがない。一方で、軍事的・経済的に急拡大する中国への対抗として、経済関係に絞って、ロシアとの関係を強化するべきだ。そして、それはトランプ大統領の意向を確認しながら、進めるのが重要だ。プーチン大統領と良好な関係とされるトランプ大統領が、日露の経済協力を「やっていい」というなら、進めるというスタンスだ。

?そして、「ブロック化」に向かう国際社会の中で、日本はどう振る舞うべきか。端的にいえば、日米同盟を徹底的に固めることである。「超対米従属」に徹するべきだ。そこには、小難しい理屈は無用である。

?これまでのトランプ大統領の言動から言えることは、彼にとって「敵か味方か」が物事の判断基準であること、批判をされると、その内容にかかわらず「敵」とみなして攻撃的になることだ。就任前のツイッターでの「トヨタ批判」や、就任初日の「TPP撤退」など、日本にとっては戸惑うばかりだ。だが、これに対して「大統領に自由貿易の価値を理解してもらう」などと理屈を弄してはいけない。

?特に気を付けないといけないのは、自分は頭がいいと自覚する官僚が、例えば米国で自由貿易のルールを説明するなど、生真面目に発言してしまうことである。ロシア首脳会談前に、元官僚が「北方領土が返還されれば、米軍が駐留することは理論上あり得る」などと発言し、ロシア側を激怒させてしまったことを忘れてはいけない。理屈が正しくても、言っていいことと悪いことがある。不用意にトランプ大統領に正しいことを説明しようとして、安倍首相が「敵」とみなされたら、終わりである。

?もちろん、ずっと「超対米従属」を続けろと主張するわけではない。米国は、厳格な「三権分立」の国である。トランプ大統領が勝手に何かをやろう思いついても、司法や議会の壁が立ちはだかる。そもそも、大統領には法案提出権がない。「保護貿易」についての考え方は、共和党の多くの議員と真逆である。

?トランプ大統領は放言・暴言と言いたい放題だが、全て思い通りにできるわけではない。何ができて、何ができないのかを見極めてから、戦略を立てればいい。とりあえず「大統領就任最初の100日間」は超従属の姿勢で、様子見に徹したらいいということだ。

?ただし、2月に安倍首相が訪米するならば、トランプ政権に1つだけ強くアピールすべきことがある。それは、中国の南シナ海や尖閣近海での行動の違法性である。世界の「ブロック化」の流れの中で、日本の最大の懸念材料は、中国の軍事的拡大とトランプ大統領の「孤立主義」による日米安保体制の不安定化である。幸いなことに、トランプ政権の閣僚は、中国に対して強硬な姿勢を示している。今のうちに、安全保障における対中強硬策を固めさせることだ。

?中国は、海軍力における米国との実力差をよく理解している。米国が本気で出てきたら、中国は手を出せない。毎日のように中国の船が南シナ海や尖閣近海で展開するニュースが流れるのは、全く穏やかではないし、いつ中国が本格的に尖閣を取り戻そうとしてくるのか、不安で仕方がない。米国の圧倒的軍事力以外に中国を抑え込む方法はない。何度でも繰り返すが、このままでは日本は極東の一小国に孤立没落する危機にある。危機感を持った、なりふり構わない行動が求められる。

<参考文献>
?エマニュエル・トッド(2016)『問題は英国ではない、EUなのだ』(文春新書)
?黒岩幸子(2002)「書評:アレクサンドル・ドゥーギン『地政学の基礎?ロシアの地政学的未来/空間をもって志向する』」『総合政策』第4巻第1号、pp93-101

(立命館大学政策科学部教授?上久保誠人)
http://diamond.jp/articles/-/115285


 

TPP米、永久離脱 独公共放送「中国が喜ぶ」

毎日新聞2017年1月24日 東京夕刊
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 【ベルリン共同】ドイツの新聞やテレビは23日、トランプ米大統領が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)離脱に関する大統領令に署名したことを大々的に報じた。公共放送ARD(電子版)は、アジア経済への影響力を増す中国を利する行為だとして「中国は喜んでいるはずだ」と指摘した。

 フランクフルター・アルゲマイネ紙(電子版)は「トランプ氏が米国のTPP離脱を確定させた」との見出しを掲げた。
http://mainichi.jp/articles/20170124/dde/001/020/059000c

 


 


 
トランプ米大統領のTPP離脱表明、中国への「巨大な贈り物」に
Justin Sink、Toluse Olorunnipa
2017年1月24日 12:44 JST

米国離脱で生じる空白、中国は貿易自由化のけん引役目指す
中国は東アジア地域包括的経済連携を支持

トランプ米大統領が環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を正式表明したことで政治・経済の空白が生じるが、中国はそれを埋めるのに積極的だ。米国のTPP離脱は追い詰められている米製造業地域に恩恵を与える一方で、アジアにおける米国の威信を損なう。
  米国の外交政策の軸足を中東からアジアにシフトさせることを目指したオバマ前米大統領の試みに大打撃を与えるものでもある。
  トランプ政権がTPP離脱によりアジアとの距離を置こうとする中、中国共産党指導部はグローバル化の取り組みを強化し、自由貿易の長所を擁護する姿勢を打ち出している。習近平国家主席は先週、スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会で演説し、保護主義を「暗い部屋に閉じこもる」ことになぞらえ、中国が地域的な貿易協定の交渉を目指す考えを示した。
  中国は16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を支持しているが、米国は現時点で参加していない。習主席ら中国の指導者は米国のリーダーシップ不在の空白を埋め、トランプ大統領の保護主義に乗じ、伝統的に米国の同盟国であるフィリピンやマレーシアなどとの関係強化を図っている。
  米通商代表部(USTR)で中国問題を担当した経歴を持つオルブライト・ストーンブリッジ・グループのバイスプレジデント、エリック・オルトバック氏は米国のTPP離脱の動きについて、「中国への巨大な贈り物だ。中国は今後、貿易自由化のけん引役として自国を売り込むことができるようになるからだ」と指摘した。
原題:Trump Withdrawal From Asia Trade Deal a Boon for China (Correct)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-24/OK9HI06KLVR601

 


【社説】
トランプ氏TPP離脱、中国の勝利と日本の敗北
安倍首相に必要な「プランB」
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トランプ大統領はTPPから正式に離脱するための大統領令に署名。アジア太平洋地域の今後についてWSJ社説欄のエディター、ポール・ジゴーが解説(英語音声、英語字幕あり) Photo: EPA
2017 年 1 月 24 日 14:26 JST

 ドナルド・トランプ米大統領は23日、12カ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)から正式に離脱するための大統領令に署名し、公約の一つを果たした。ここまでは簡単だ。トランプ氏は今後、その行動がもたらす影響に対処しなければならない。米国の経済的な関与と中国の戦略的利益に対する新たな懸念が生じている。

 バラク・オバマ前大統領が交渉にあたり署名したTPPは、大統領候補だったトランプ氏とヒラリー・クリントン氏がともに反対していたため、その存続が危ぶまれていた。オバマ氏は選挙後の「レームダック議会」での承認を望んでいたが、大統領としてあまりに長い間、貿易問題を無視してきたため、議会を説得する力はなかった。

 オバマ氏は中国のソフトパワーに対抗する上でTPPが戦略的に重要だと主張した。それは正しい。だがTPPの経済的利益について一貫性のある主張をすることは決してなかったし、トランプ氏はTPPを政治的な攻撃対象にすることができた。参加各国の事情に合わせた特定の配慮が数多くあるため、TPPには欠陥がある。だが米シンクタンク、ケイトー研究所の貿易専門家は、米国にとっては経済的にプラスになるとみている。

TPPに対抗する中国の構想

 今後はどうなるのか。トランプ氏は多国間の新たな貿易協定には関心を持っていない。だが、中国は違う。中国はTPPに対抗するため、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)構想を売り込んでおり、米国がTPPから手を引く様子を目の当たりにすれば、アジアの多くの国がこの連携に入ることになるだろう。マレーシアやフィリピン、タイはすでに米国から中国の方へ徐々に向きを変えつつある。他の国も西太平洋地域への米国の関与に疑いを持ち始めている。

 米国の貿易に対する姿勢の変化はすでに、まるで水をワインに変えるような奇跡をもたらした。中国の習近平国家主席が先週、国際経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で自由貿易の利点を訴えたのだ。問題は、中国は自国の輸出については自由貿易の利点を訴える半面、国内では別のことを実践する場合が多すぎることだ。

 中国は輸入品に対して数多くの規制上の障壁を課す一方、国内の産業には補助金を出している。このため鉄鋼をはじめとするコモディティー(商品)では過剰生産が生じ、外国の生産者や労働者に打撃を与えている。また、コンピューターの半導体のような産業で「国内チャンピオン」を作るため、政治的施策を利用して外国の競合他社には制限を設けている。端的に言えば、中国は自由貿易と重商主義が入り交じったやり方を続けており、RCEPでも同じパターンを繰り返すつもりであるのは疑いの余地がない。

 TPPはルールに基づいた貿易体制という、より良い欧米諸国モデルを広めていたことだろう。トランプ氏と側近らは米国の貿易政策の再交渉相手として中国を標的にしている。ただし対中国貿易の赤字を減らすということ以外、新政権の戦略や最終的な目標について詳細はほとんど不明だ。

 皮肉なのは、TPPを手放さないほうがトランプ氏の交渉力は強くなっていたことだ。仮に中国が貿易に関する譲歩を拒否し、その結果として貿易戦争が起きれば、米国は部品や消費財の代替供給元としてTPP参加各国に頼ることができた。だが今や中国は、米国の貿易相手国に対してアジアの貿易協定構想をテコとして利用できるようになった。

新国務長官は早く東京訪問を

 トランプ氏はとりわけ日本を安心させるための戦略が必要だ。安倍晋三首相は経済改革による迅速な成長に政権の命運を賭けている。TPPは、日本の反競争的なグループの解体に抵抗する政治勢力を打倒するための武器になるはずだった。安倍氏は今、プランB(次善策)を必要としている。

 トランプ氏はTPPの骨組みを米日の二国間貿易協定の中に組み入れることを検討するのが賢明だろう。レックス・ティラーソン国務長官は就任後初の訪問先の一つに東京を入れなければならない。

***

 TPP失敗がもたらすより大きな衝撃は、それが世界貿易のリーダーシップを取ってきた米国の後退を象徴していることだ。米国は国内産業保護のために関税を大幅に引き上げた「スムート・ホーリー法」の制定以後、過去90年近くにわたって、とりわけ第二次世界大戦後は世界の自由市場と自由貿易を守ってきた。米国民がすべて平等にその恩恵を受けたわけではないのは間違いないが、自由貿易という共通認識は高い成長率を記録した1980〜90年代を通して維持されてきた。成長が失速したオバマ時代にこの認識が瓦解した。

 問題は、米国が独自の重商主義に後退した場合、その貿易の空白を何が埋めることになるのかだ。TPPの失敗は金融市場にはすでに織り込み済みであるため、経済的なショックは大きくない。そして恐らくトランプ政権は貿易に関する最悪の発言の一部から後退するだろう。

 仮に貿易が近隣諸国を窮乏化させる自己中心的なゲームになり、国家の成功が単純な貿易黒字額で測られるようになれば、向こう数カ月のうちに経済的ダメージが顕在化するだろう。そうなれば、われわれはTPPの崩壊を分岐点として振り返り、後悔することになる。

トランプ新大統領特集

トランプ大統領を憲法違反で提訴 米市民団体
トランプ相場がこれ以上続かない理由とは
反トランプ女性行進、共通の目標なく
 

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi6tsbl0NrRAhWDrJQKHRW0ByEQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11177354273695693774104582578213037424118&usg=AFQjCNFtMmQeUAPUxkTXU6-92Fo9-rQFNA

 

トランプ政権の通貨戦争、アジアの新たな不安材料に
トランプ大統領主導の通貨戦争がアジア諸国の新たな不安材料に浮上した

By WILLIAM PESEK
2017 年 1 月 24 日 18:09 JST
 ドナルド・トランプ大統領率いる米国との貿易戦争を警戒しているアジア諸国に、予期せぬ不安材料が浮上した。ドル安政策だ。

 トランプ大統領は就任前に行われたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、「強すぎる」ドルが「われわれを殺している」と語った。ドル高はアジアの2大経済大国である中国と日本が共に頼りにしている政策だ。両国にとって自国通貨安は輸出競争力を高めるというメリットがある。

 米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長が18日に述べたように、FRB幹部は今後の利上げペースを「年に数回」と予想している。トランプ大統領は大規模な減税・財政出動を公約に掲げ、企業が海外でため込んでいる利益を米国に還流するよう求めてきた。これらが実現すれば、それに応じて債券利回りの上昇が加速するのはほぼ間違いない。その結果、各国との金利差が大きくなれば、ドルの価値を下げようという大統領の試みは難しくなる。

 もっとも、現在はドル高抑制に動きやすい環境にある。世界最大の経済大国である米国の需要喚起を狙ったトランプ大統領の戦略が成功すれば世界中にとってプラスとなる上、ドル安をきっかけに、経済発展を妨げる非生産的な「通貨安信仰」をアジア諸国が捨てる可能性もある。しかも、アジアからの投資流出はそれほど大きくないと見込まれる(1997年にアジア諸国で起きた資本流出はドル高が一因だった)。

 1997年のアジア通貨危機から20年を迎える今年は、アジア諸国が通貨安信仰を捨てることができるかが特に注目だ。当時はFRBの積極的な利上げやドル高がアジア諸国に打撃をもたらした。あの頃のインドネシアや韓国、タイは、積み上がった債務と安定性にも透明性にも欠けた金融システムのため非常に脆弱(ぜいじゃく)だった。政策当局がこうした問題の多くを改善したおかげで、08年にリーマンショック、さらに13年に「テーパリングかんしゃく」に見舞われながらも、アジア諸国は20年前のような最悪の事態を回避できた。ただ、脆弱性の改善と同じくらい重要な仕事がまだ残っている。それは自らの首を絞める輸出依存からの脱却だ。

 その典型例が日本だ。日本政府は12年以降、経済構造や金融に関して大規模な改革を進めると豪語しているが、安倍晋三首相は日本銀行の円安誘導に頼っている。中国では、習近平国家主席が壮大な改革計画を打ち出したが、結局は信用拡大政策に戻っただけで、今では元安誘導も再開している。こうした政治的な視野の狭さは、韓国やシンガポール、ベトナムの指導者にも言える。国内の技術革新を促し、サービス産業を育成することで、製造業中心のオールドエコノミー産業から移行していく必要性が彼らには分からないのだ。

 ドルが急落すれば、当初は大混乱に見舞われ、債券や株式、ひいては世界中の経済見通しに影響が及ぶだろう。だが、それに背中を押される形でアジア諸国の政策当局が20年前に宣言した悪循環の打開に取り組み始めれば、起業ブームが訪れ、大企業も中小企業も雇用を創出し富を生み出せるかもしれない。

 とはいえ、トランプ大統領は政策を慎重に進める必要がある。世界のシステムから米国が抜ければ誰の利益にもならない。今後10年間で10兆ドルの新規借り入れを承認したばかりの米議会にとっては特にそうだ。ドルの信認が低下すれば、輸出競争力の向上という恩恵よりも、借り入れコストの上昇という代償の方が大きいだろう。中国製品に45%の関税を課すという公約についても同じことが言えよう。しかも、為替市場は大統領のツイッター発言で乱高下するリスクを常にはらんでいる。

 言うまでもないが、トランプ大統領は過去の大統領が公言しなかった考えを公の場で発言しているだけかもしれない。ジャック・ルー氏はオバマ政権の2人目の財務長官に就任した13年1月、歴代財務長官と同じウソをつき、「強いドル」を支持すると述べた。低成長に苦しみ金利が極端に低い状況では、自国通貨が急上昇するのを喜ぶ人などいない。海外から雇用を取り戻すという公約を果たそうとしている大統領がドル安に価値を見いだすのは理解できる。

 大統領が国連や北大西洋条約機構(NATO)といった国際組織の見直しや環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を表明しているが、だからと言って中国がすぐに世界の舞台で米国に代わる存在になれるわけではない。中国政府は、世界の経済・環境・人権問題の原因ではなく解決策となる必要がある。その第一歩は、経済成長の拡大を通じて、共産党幹部だけでなく近隣諸国を豊かにすることだ。

 ドル安政策には賛否両論がある。だが、中国や日本をはじめとするアジア諸国が成長源の多様化にいつまでも取り組もうとしない状況に終止符を打てるなら、悪いことばかりではなさそうだ。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjQsZrM0NrRAhVLmpQKHT9JDksQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11177354273695693774104582578761112242218&usg=AFQjCNFNX2xJqZFds1wANsv0skaA2BmbQQ
http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/594.html

[国際17] トランプ氏、さっそく戦闘モードに 過去データでは株安ドル高 日経平均は調整入も押目は限定的 ユーロ圏での外債売越、影響は
トランプ氏、さっそく戦闘モードに
敵を作ることに熱心な新大統領、果たして得策か
財界リーダーとの会合に臨むトランプ新大統領(中央、23日) 
By GERALD F. SEIB
2017 年 1 月 24 日 15:52 JST

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJワシントン支局長

***

 古代中国の軍略家だった孫子は慎重に戦いを選ぶようリーダーに助言した。「戦わずして勝つことが最大の勝利だ」と孫子は説いた。

 ドナルド・トランプ米大統領と発足したばかりの政権の姿勢は、この格言に当てはまるようには見えない。トランプ氏はすでにワシントンの全てのエスタブリッシュメント(既成勢力)とメディア、連邦議会の野党・民主党のトップと戦うことを選んだ。しかも大統領就任後の週明けを待たずして。

筆者の過去のコラム

トランプ氏、就任演説で既存政治家を批判
トランプ氏が初会見を乗り切った手法
トランプ次期大統領がツイートを続ける理由

 「トランプ大統領は古い戦いをいまも続けているのに、中断することなく新たな戦いを始めようとしているのかは分からない」。共和党の政治コンサルタントで世論調査を担当するアレックス・カステラノス氏はそう話す。「彼はハネムーンを楽しんではいない。そもそも『結婚』がなかったのだから。選挙期間中にトランプ氏はワシントンのエスタブリッシュメントに対して宣戦布告した。ワシントンがいまも驚いているのは、トランプ大統領が本気でそう言っていたことだ」

 問題はこうしたボクシングのようなやり方が新大統領とそのチームに実際に利益をもたらすのかどうかだ。例えば、トランプ氏は就任式に集まった人数に関する報道に食ってかかったが、この取るに足らない、本旨から外れたような争いをなぜ続けることを選んだのか。この一件のおかげで、就任式に集まった人数がさらに注目されたのは確かだ。就任式の日にワシントンのナショナルモールに集まった人の数がバラク・オバマ前大統領のときを上回っていなかったのは入手可能な証拠が示していたのだから、トランプ氏のこの選択はとりわけ奇妙だ。

 ホワイトハウスのショーン・スパイサー新報道官が冷静かつ秩序立った――強気ではあったが対立的ではなかった――ブリーフィングを記者団に行った23日までには状況は落ち着いていた。とはいえ新政権の序章は、政権が推進する具体的な構想と同じくらい、それが引き起こす戦いによって特徴づけられることを示唆するものとなった。

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トランプ新大統領の就任式に集まった人数はオバマ前大統領の時よりも少なかったとの報道について、その証拠があるにもかかわらず、ホワイトハウスのスパイサー報道官は反論した(英語音声のみ) Photo: Getty Images
 トランプ氏の仲間で側近のニュート・ギングリッチ元下院議長はこの点において、トランプ氏を英国のマーガレット・サッチャー元首相に例える。サッチャー氏は在任中、社会主義と左派の対立勢力と際限のない戦いを繰り広げたことで知られている。

 「サッチャーは体制の代替案としての社会主義を打倒するだけでなく、道徳的に破壊することを自身の目標としていた」。ギングリッチ氏はインタビューでそう語った。サッチャー氏が選んだ敵は、英政府の石炭庁と対立していた炭鉱労働組合で、同労組のリーダーであったアーサー・スカーギル氏を「内なる敵」と呼んだ。

 サッチャー氏は何年もかけて大きな対立に備えており、それは1984年と85年の炭鉱ストライキという形で表れた。そして1年間、大混乱が続いた後でストは終わった。

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トランプ大統領は財界リーダーとの会合の席で、海外へ拠点を移す企業に対して「極めて大型の」課税を実施する意向を明らかにしたと(英語音声、英語字幕あり)Photo: Getty
 トランプ氏にはサッチャー氏のようなイデオロギー上の明確な羅針盤が欠けている。だが敵と思われる相手を特定し、それを捕らえる直感力は共通している。ギングリッチ氏は「彼は保守派ではないが、われわれの時代で最も有能な反左派の政治家かもしれない」とし、「彼は左派が否応なしに戦わざるを得ない対立を選ぶだろう」と述べた。

 だが、トランプ氏が絶え間なく戦いを行うための政治的強さを根底に持っているかどうかは不明だ。大統領選で勝利したとはいえ、得票数では約290万票負けていた。しかも自分の党の一部幹部から中途半端な支持しか得ていない。

 一方、トランプ氏のポピュリスト的な政策案は、部分的に共和党と同じくらいの支持を民主党から得られる可能性がある。だからこそ、民主党のチャック・シューマー上院院内総務を早々と敵に選んだのは謎だ。

 トランプ氏は以前、シューマー氏と良好な関係にあった。同じニューヨーク出身のシューマー氏に数千ドルを寄付し、選挙活動を支援したこともあった。大統領選で勝利した直後には、シューマー氏について好意的な発言もしていた。

 だが民主党が医療保険制度改革法(オバマケア)を守るための取り組みを始めると、トランプ氏はシューマー氏のことを上院の「ピエロの頭」と呼んだ。他にもトランプ氏の政権チームは、シューマー氏と上院民主党が多くの閣僚の承認プロセスを遅らせているとして立腹している。

 同様に、シューマー氏は間もなく示されるトランプ氏の次の大きな政策に関しても、敵になるように見える。大幅な減税策だ。だが、貿易協定の見直しや国内インフラ整備への大型投資といった2つの政策案については、シューマー氏は仲間になれる。実際、共和党の一部よりも頼れる仲間になるだろう。

 シューマー氏の政治顧問は、トランプ氏の批判は「問題ではない」と話す。「トランプ氏は最初にこびへつらっておいて、次に攻撃した。どちらも問題ではない。われわれは中身と価値観によって先導されるのであって、攻撃やこびへつらいによってではない」。とはいえ、シューマー氏の手助けが後に価値を持つことが分かっていて、同氏を今侮辱するのは賢明なのか。

 今のところ目の前の現象が示唆しているものは、自分への軽視は見過ごされるべきではなく、敵は明確に特定されるべきだというトランプ氏の見方はこれからも変わらないということだ。「私の予測では」と前置きし、ギングリッチ氏は次にこう言った。「今後の4年間もしくは8年間は、信じられないほど混乱をきたすものになる」

トランプ新大統領特集

英首相、トランプ氏との会談で取り付けるべき確約とは
トランプ氏との付き合い方―中国シンクタンクの助言
反トランプ女性行進、共通の目標なく

http://jp.wsj.com/articles/SB11177354273695693774104582578021680292012


 


2017年1月24日 ロイター

トランプ政権1ヵ月目、過去データでは株安ドル高へ

1月20日、金融市場にとって、いよいよトランプ米政権下での取引が始まった。過去のデータが今後1ヵ月の動向を探る手掛かりになるとすれば、米国株には逆風が吹き、ドルは上昇するはずだ。2016年11月、フランクフルトの証券取引所で撮影(2017年?ロイター/Kai Pfaffenbach)
[ロンドン?20日?ロイター] - 金融市場にとって、いよいよトランプ米政権下での取引が始まった。過去のデータが今後1ヵ月の動向を探る手掛かりになるとすれば、米国株には逆風が吹き、ドルは上昇するはずだ。

?ロイターの分析に基づくと、1929年のフーバー大統領以降、新政権の始動から1ヵ月間のS&P総合500種は中央値で2.7%下落している。

?この期間にS&P総合500種が上昇したのはフーバー政権(上昇率3.8%)のほかは、1961年のケネディ政権(6%)、1989年のブッシュ(親)政権(5.3%)、1993年のクリントン政権(0.8%)の3回しかない。

?それ以外はすべて最初の1ヵ月は値下がりしており、それぞれ2期の全期間では120%と165%の上昇を記録したレーガン政権とオバマ政権でさえ、当初は4.8%と15%の下落だった。

?一方、ドルは堅調に推移する傾向がある。1970年代初頭まで遡ると、最初の1ヵ月にドルは平均で2.2%上がった。

?トランプ政権ほど投資家が先行き不安を抱く政権はなかなか見当たらないことも事実だ。

?ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)通貨責任者、ジェームズ・ビニー氏は「トランプ氏に対する見方には2通りある。1つは景気刺激策が世界全体の成長を押し上げるとの期待、もう1つは保護主義姿勢が逆に成長の足を引っ張るとの警戒感だが、そこで実際にはどちらにたどり着くのかが大きな問題になる」と述べた。

?市場の反応を見ると、昨年11月にトランプ氏が大統領選に勝利すると株価が高値を更新し、債券は大きく売られ、ドルは対ユーロで14年ぶりの高水準に達した。

?しかし実際の大統領就任が近づくと、それまでの流れが変化してダウ工業株30種とドルが6週間ぶりの安値を付け、米10年債利回りは11月終盤以来の低さになった。

?こうした中で一部の投資家は安全策を取っている。2690億ユーロの資産を運用するロベコ・グループの子会社ロベコで投資ソリューション部門の最高投資責任者(CIO)を務めるルーカス・ダールダー氏は「われわれは中立的な投資姿勢にある。なぜならトランプ氏がどの方向に進むか正確には分からないからだ」と述べた。

?ダールダー氏によると、市場には極端なポジションも構築されており、ショートスクイーズに見舞われるリスクがある。

?こうしたポジションの大半は、米国債とドル絡みとなっている。投機筋の米10年債に対する売り持ちは過去最大規模に積み上がり、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの1月ファンドマネジャー調査で最も過熱感のある取引に挙げられたのはドルだった。
http://diamond.jp/articles/-/115387

 

最下層からの成り上がり投資術!
2017年1月24日 藤井 英敏
日経平均株価は調整入りしたが、押し目は限定的!
日本市場にとってポジティブな要因も多いので、
移動平均線で下値を探りつつ、次のチャンスを待て!
?日経平均株価の1月17日終値が1万8813.53円と、株価指数先物・オプション16年12月物のSQ値1万8867.45円を終値で割り込んだことで、東京株式市場は17日以降、本格的な調整入りしているとみています。


日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
拡大画像表示
?このため、私は、当面の日経平均株価に対する投資スタンスを「中立」、どちらといえば「弱気」に引き下げています。

?なぜなら、足元の日経平均株価は、25日移動平均線(1月23日現在1万9268.37円)を割り込んで推移しているからです。よって、25日移動平均線を上回る、若しくは、今後急落してマイナス乖離が広がり、十分なテクニカルリバウンドが見込めるようになるまで、「強気」にはなれません。

?強気になれない主因は、外国為替市場でドル安・円高が続いていることです。

?例えば、1月23日のNY円相場は、前週末比1円95銭円高・ドル安の1ドル=112円65〜75銭でした。トランプ新政権の保護主義的な政策が世界経済の混乱を招くとの警戒が強まり、米国債が買われ、米10年物国債利回りは前週末比0.07%低下し2.39%でした。この米長期金利低下が、ドル安の背景です。

トランプ大統領の就任により
急激な円高発生のリスクが!

?ところで1月20日、ついに「米国第一主義」を前面に打ち出したトランプ政権が発足しました。

?就任演説によれば、新政権の政策は「アメリカ製品を買うこと、アメリカ人を雇うこと」という2つのシンプルなルールに基づくということです。貿易、税制、移民、そして、外交といった全ての政策決定は、アメリカの労働者と家族に利益をもたらすために行うと同時に、新しい道路、高速道路、橋、空港、トンネル、そして、鉄道を国全体に建設することで、アメリカを再び偉大にするつもりだそうです。

?そして、ホワイトハウスのホームページでは、貿易政策については、環太平洋経済連携協定(TPP)から撤退し、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉をすることを約束しています。

トランプ大統領は、メキシコのペニャニエト大統領と1月31日に貿易、移民、安全保障について会談することで一致し、カナダのトルドー首相とは、近く会談するようです。そして、1月27日のトランプ大統領初の首脳会談の相手はメイ英首相で、米英間の自由貿易協定について合意を目指すということです。このように、トランプ外交は、就任直後から経済・通商面から動き出しました。

?ここまでのところ、新政権の通商政策は過激な保護貿易主義的な色彩が非常に強く、先行きの米国経済に対して不透明感が強まっています。このため、外国為替市場でドルが主要通貨に対して売られ気味です。

?今後、米国要人からの「ドル高・円安牽制発言」が飛び出すようだと、一段のドル安・円高に進む可能性があります。なぜなら、1月17日時点のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)通貨先物市場での投機筋による円の持ち高は、3週連続で売越幅が縮小。前週比2009枚減の7万7830枚でしたが、依然として高水準に積み上がっています。

?つまり、状況次第では、通貨先物市場発の急激な円高発生が危惧される状況なのです。

?このような状況下の1月23日、トランプ大統領は、環太平洋経済連携協定(TPP)離脱に関する大統領令に署名しました。さらに、また、工場を米国外に移す企業に対し「極めて大きい国境税を課す」と話し、自動車貿易について「不公平だ」と名指しで日本を批判したということです。このように、トランプ政権発の円高の火種が燻り続けています。

米国のインフラ期待の高まりが
日本株にとってはポジティブな流れに?

?ただし、米国政治に対する市場の関心は、新政権が2月に議会に提出する予算教書の内容と実現可能性に移っています。このため少なくとも、予算教書の内容が判明するまでは、新政権の要人発言でドル/円相場が多少ボラタイルに動いたとしても、大きなトレンドは発生しないとみています。

?ちなみに、市場が見極めたいとしているポイントは、税制改革や大規模インフラ投資など、トランプ米次期大統領の政策の実現性の有無です。なぜなら、与党共和党の保守派は財政規律に厳しく、財政支出の拡大に慎重であるため、議会との調整が上手くいくかどうか不透明だからです。

?なお、米新政権が保護主義的な通商政策を実行すれば、新興国等に比べて人件費が相対的に割高な米国内の生産が増えるため、米国製の製品価格が上昇するのは必然です。また、輸入課税を高めるなら、輸入物価も当然上昇することでしょう。

?よって、米国内の物価は上昇し、インフレ期待が高まり、米国の長短金利は上昇することになります。これは金利面でドル高・円安要因となり、日本株にはポジティブな流れになるはずです。

?このため、足元の日経平均株価は調整しているとはいえ、円安効果で下値不安は乏しいと考えています。

個人が10週ぶりに買い越しに転換
日銀とともに日本市場の買い支えを期待

?さらに国内では、1月23日の安川電機(6506)を皮切りに、国内主要企業による2016年4〜12月期決算発表が本格化しています。

?昨年11月の米大統領選挙以降、外国為替市場では、「トランプノミクス」への期待を背景に、円安・ドル高が進みました。足元で若干円高に振れているとはいえ、ここまでのドル高・円安を受け、わが国輸出企業を中心とした今17年3月期業績の押し上げが確認できるかが注目しています。

?円安効果が発現し主力の輸出企業の業績が押し上げられるようなら、日経平均株価のバリュエーションは上昇。日経平均株価の上値余地は拡大すると同時に、下値余地も限定されるでしょう。

?需給面では、1月第2週(10日〜13日)の外国人の買い越し額は1105億円で、3週連続で買い越しました。これに関しては特に驚きはありません。一方、個人も10週ぶりに買い越しました。買越額は67億円と非常の小さいものでしたが、個人が買い越しに転じたことは意外でしたし、正直、驚きました。

?なお、1月第1週(1月4日〜6日)まで、個人は9週連続で売り越しました。9週間の売越額は累計3兆1049億円に達しています。

?つまり、個人の待機資金は潤沢です。よって、調整局面では、個人の買いが相場を下支えすることでしょう。当然、年6兆円ETFを買い入れる日銀も控えています。

日本市場は調整入りしたが下落は浅い?
今は無理せず、全力買いのチャンスを待て!

?以上のことから、日経平均株価は調整入りしているとみてはいますが、下値は限定的とみています。押し目限界は24カ月移動平均線(1月23日現在1万8135.89円)です。ただし、その前に13週移動平均線(同1万8563.10円)が第1押し目メドです。

?一方、当面の上値メドは25日移動平均線(同1万9268.37円)です。

?基本的に、日経平均株価が調整局面入りしている間は、無理をせずリスク管理を徹底して、思いっ切り全力買いで勝負できるタイミングを虎視眈々と待ちましょう。
http://diamond.jp/articles/-/115433

 


第243回 トランプ大統領就任式通過で今後のドルの方向性を占う4つのポイント【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

トランプ大統領就任式ではトランプ大統領は「アメリカ第一主義」を唱え、選挙戦中から宣言していたTPP離脱を表明しました。大きなサプライズがなかったことで、マーケットには大きな波乱はありませんでしたが、市場には「トランプ・ユーフォリア」を警戒する声も根強く、じわり広がりつつあるようです。トランプ氏の政策の実効性などがやり玉に挙げられることで、上昇してきた株価や長期金利が反転するリスクも否定できませんが、就任式当日、20日の米国株ダウ平均は94ドル高となり、まだ2万ドル大台を射程圏内に据えた高値持ち合いは継続しています。就任式を波乱なく乗り越えた今、トランプ・ラリーが継続するか否かは、イベントを材料に相場を崩す、もしくは買い上げるといった「イベント・ラリー」をきっかけに結論が出ませんでしたので、ここからは

@トランプ氏の政策の実効性を巡る報道

A米国が年内2〜3回の利上げを可能にする実体経済の強さ

Bそしてテクニカル的な上昇トレンドが維持されているのかどうかを見極めることと

C投資家らのポジションの偏りによる巻き戻しのリスク

などに注目していく必要があるでしょう。

@今後のトランプ氏の政策の実効性については既存メディアによる報道の他に、「指先介入」とも呼ばれるトランプ氏自身のTwitterへの書き込みにも引き続き注意が必要ですが、こればかりは、予測不能。

A米国経済の強さを確認する意味で、引き続き雇用統計などの指標には注目していく必要がありますが、今週の注目は27日に発表される第4四半期GDP速報値です。前回第3四半期のGDPは前期比年率+3.5%と非常にいい数字でした。(第2四半期は+1.4%)経済の約7割を占める個人消費は+2.1%で前期+4.3%のほぼ半分に減少。在庫と貿易を除く国内最終需要は+1.4%と、前期の+2.4%から減速という冴えない数字であったにもかかわらず輸出が+10%もの大きな伸びとなったことが背景でした。この内訳は「大豆の輸出」。昨年はアルゼンチンとブラジルの大豆が不作となり南米産大豆価格が高騰。割安となった米国産大豆の買いが増えたのです。買い手は主に中国。米国から中国への大豆輸出が一時的に膨らんだことを反映した結果でした。ということで、前回分の+3.5%は下駄をはいていた可能性があり、今回GDP成長率予想は+2.1%と控えめとなっています。今回の結果が予想の+2.1%よりも高ければ米景気堅調が印象つけられ、ドル高の芽もありそうですが、+2.1%よりも低い結果となれば、ドル売りとなるリスクもありそうです。

Bテクニカル的な注目は、ダウ平均。トランプ大統領就任後に早速米株が崩れれば世界的なリスクオフムードにつながります。ダウ平均は1月6日に19,999.63ドルと20,000ドルの大台にあと一歩に迫りながら、就任式20日に向けて軟化。19日には19,677ドルまで下落しましたが、19,500〜20,000ドルのわずか500ドル幅の中でのレンジ相場に終始しています。このレンジは12月12日以降すでに1か月にもおよび、エネルギーをため込んでいます。上方ブレイクするのか、下方ブレイクするのか。これによるマーケットのセンチメントの変化もドル/円相場には大きな価格変動要因となってくるでしょう。下方ブレイクならドル/円も下落圧力が強まってしまいます。

C米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、ヘッジファンドなど投機筋の米国債と金利先物の売り越しは先週、過去最高を記録しています。米国債の時代が終わり金利が上昇するという展望によるものですが、トランプ・ラリーによりポジションが偏り過ぎてしまいました。この売りポジションが整理される過程では、米国債上昇、長期国債利回り低下となってしまうことで、ドル安となる可能性が存在しています。同様に原油先物市場での原油の買い越し幅が過去最高レベルにまで積みあがっています。こちらもポジション整理が起きれば原油の急落につながるリスクを孕んでおり、その場合、米株の下落も覚悟しなくてはなりません。

2017年大局では日米の金融政策が真逆であり金利差拡大の方向にあるため、ドル高相場になると思われますが、足元では「トランプ・ラリー」による修正警戒も気がかりです。以上のポイントを抑えてニュースをチェックしておきましょう。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

TwitterAccount@hirokoFR
前の記事:第9回 住宅ローンの借り換え 3つの実例 【あなたはどうする?住宅ローン】 −2017年01月19日
http://lounge.monex.co.jp/pro/special2/2017/01/24.html

 


 

ユーロ圏での外債売り越し、その影響は

By MIKE BIRD
2017 年 1 月 24 日 16:06 JST

 ユーロ圏の投資家による外国債券投資が2012年8月以来、約4年ぶりに売り越しとなった。これはユーロ相場だけでなく米国の債券市場にも影響を及ぼす恐れがある。

 欧州中央銀行(ECB)の最新データによると、ユーロ圏の投資家による外債投資は9〜11月に159億9000万ユーロ(約1兆9400億円)の売り越しとなった。

 ECBの債券購入プログラムとマイナス金利がユーロ圏の利回りを過去最低水準に押し下げており、域内の投資家は域外でリターンを追い求めている。

 しかしこの半年、投資家は世界的なリフレトレードの一環として債券を売却している。

 これを受けて、ユーロ圏各地で利回りが上昇している。そのため、ユーロ債が投げ売りされていても、一部の域内投資家にとっては資金を域内にとどめておく方が有利だ。

 ユーロ圏の投資家が外債を売却し続けた場合、米国債の大口需要家に打撃を与える可能性がある。また、投資家はユーロを売って外貨建て債券を購入しているわけではないため、ユーロ相場を押し上げる可能性もある。

 パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミスト、クラウス・ビステセン氏は「ユーロ圏は世界に流動性を供給していた。昨年後半に流れが変わり、インフレ期待と利上げ期待が高まった。現状については、こうした動きに対する反応もあるのではないかと思う」と述べた。

 10年物ドイツ国債の利回りは昨年7月にマイナス0.19%まで低下したが、先週、0.38%に上昇した。債券市場から手を引く動きがあるにもかかわらず、こうした高めの利回りが一部の投資家を域内にとどめている。

 15年半ばにユーロ債利回りが急上昇した時も、ユーロ圏の投資家による外債購入が減速していた。

 こうした投資家の債券売買規模は株式のそれを大きく上回る。つまり、域内の資金の流出入に関して言えば、債券市場の動きの方が株式市場より重要だ。

 ユーロ圏の投資家による外国株投資は9〜11月に12兆0300億ユーロの買い越しだった。

 だが、こうした状況も変わるかもしれない。米国株のパフォーマンスは長年、欧州株を上回っているが、投資家の間では、世界の投資家が割安なバリュエーションに引き寄せられるにつれて、欧州に矛先が向かうとの見方もある。

 債券売買に伴う資金の流れは、外国為替相場を大きく動かす。欧州の投資家が外債を追加購入する場合、実質的にユーロを売ることになる。

 ビステセン氏は「資金流出が突然止まったら、ユーロ相場は急騰しかねない」と述べた。

 ユーロは昨年末、ドルに対して急落したが、多くの通貨もドルに対して下落した。ただ、ユーロはドル以外の通貨に対しては持ちこたえた。

 欧州人は米国債の大口購入者だった。域内の投資家による外債投資は直近50カ月では3兆7620億ユーロの買い越しだ。

 米国債利回りはここ数年で大幅に低下したが、ユーロ債よりは高かった。10年物米国債利回りは昨年つけた過去最低水準でも1.36%だった。

 米財務省のデータによると、ユーロ圏は日本、中国に次いで世界3位の米国債保有者だ。

 ECBのデータによれば、同行が14年にマイナス金利を導入した後、ユーロ圏の米国債保有額が急増した。ユーロ圏の投資家は同年以降、5780億ユーロ余り相当の米国債を買い増し、保有額は1兆5000億ユーロを超えている。これを受けて、米国では借り入れコストが低下している。

 ニューヨーク連邦準備銀行が昨年、プライマリーディーラー(米政府公認ディーラー)を対象に実施した調査では、米国債利回りが低下した最大の要因として米国外の需要が挙げられた。

 モルガン・スタンレーのストラテジスト、アントン・ヘイズ氏は「米連邦準備制度理事会(FRB)やその他のマクロ要因についての市場の予測を基にすると、10年物米国債利回りは予想を55ベーシスポイント前後下回っている」と述べた。

 確かに、海外でのポートフォリオの流れに関するデータは変動する可能性があり、ユーロ圏の投資家が再び海外で買いに動く可能性もある。

 FRBが今年、3回利上げし、ECBが大幅なマイナス金利を維持した場合、欧州の投資家は引き続き米国債に飛び付く、と一部のアナリストはみている。

 BNPパリバの外国為替ストラテジスト、サム・リントンブラウン氏は「ECBは極めてハト派的な金融政策を継続すると予想している。一方で、FRBは今年、2回かおそらくそれ以上、金利を引き上げるだろう」と語った。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiIkdCd2NrRAhUJmpQKHRHfBRsQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11177354273695693774104582578584204678026&usg=AFQjCNFdXTBrVHPVHl_pOnQ410-JJcc72w
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/511.html

[国際17] ナショナリズムがもたらす経済的な危険性 勝者が敗者をないがしろにしたツケ トランプ政権重鎮が作た反中映画 貿易戦争勃発か
ナショナリズムがもたらす経済的な危険性
グローバル化の勝者が敗者をないがしろにしたツケ
2017.1.24(火) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙2017年1月18日付)

【写真特集】トランプ氏を大統領とは認めない! 米首都などでデモ
米首都ワシントンでドナルド・トランプ氏の米大統領就任に抗議するデモ隊(2017年1月20日撮影)。(c)AFP/Jewel SAMAD〔AFPBB News〕
人類は同族的だ。我々は社会的動物であり、文化的動物である。文化があるおかげで、人類は家族・親族の中だけでなく、想像上の共同体の中でも協力し合うことができる。そのような共同体のうち、家族(ファミリー)に最も近いのが、祖先を共有しているという意味合いのある「国家(ネイション)」だ。

想像上の共同体を作り出す能力は人類の強みであり、最大の弱みの1つでもある。想像上の共同体は、その中の人々が何を共有しているかをはっきりさせる。

だが、何かが人々を結びつけるということは、結びつけられた人々とそれ以外の人々とを分け隔てることでもある。

今日、指導者たちがかつて見られたように専制政治を、下手をすれば戦争をも正当化するために、怒りに基づくナショナリズムを煽り立てている。

人類の歴史の大部分において、戦争は異なる社会の間に自然に見られる関係だと捉えられてきた。戦いでの勝利は、少なくともエリートたちには、略奪と権力、そして威信をもたらした。戦争のために資源を動員することが、国家の中核的な役割の1つだったし、そうした動員を正当化することが、文化の中核的な役割の1つだった。

繁栄を手に入れる方法にはもう1つ、交易というやり方がある。交易と略奪のバランスは複雑だ。どちらも、成果を上げるのに有効な文化に支えられた強力な制度を必要とするが、戦争では忠誠心を土台とする軍隊が必要になる一方、交易では司法を土台とする安全が必要になるからだ。

恐らく、経済学の最大の貢献とは、相手を征服しようとするよりも相手と取引をしようとした方がお互いに得をするという考え方をもたらしたことにあるのだろう。そのうえ、取引の相手が裕福になればなるほど、お互いが豊かになる交易を行う機会も増える。従って、国家間で結ぶべき賢明な関係とは戦争ではなく協力する関係であり、孤立ではなく取引をする関係であることになる。

この素晴らしい考え方はたまたま正しい。だが、直観に反しており理解しにくいだけでなく、不穏ですらある。なぜか。それは、同胞よりも外国人と付き合った方が得をするかもしれないことを意味しているからだ。想像上の部族への帰属意識を衰えさせてしまうのだ。

多くの人々にとって、この帰属意識の衰えは脅威となる。外国人の自由な流入が認められれば、その怖さは倍増する。我々の国にやって来て、我々の国の恵みを我々とともに享受しているこの知らない人たちは、一体どこの誰なのだろうか、と不安を抱くことになる。

異なる社会が互いと関係し合う最良の方法は、双方が富を得られる取引を行うことである――。これは先日スイスのダボスで年次総会を開いた世界経済フォーラム(WEF)の価値を裏付けるものの見方だ。この理念は、紛争よりも交易を重視し、人類を分断するものよりも人類が共有しているものの方を重要視している。

これは良い教義だ。ところが英国保守党のテリーザ・メイ首相は、この教義の信奉者は「世界市民」であり、結局のところどの国の市民でもないとこき下ろした。

メイ氏が喚起している憤りの感情は、ある程度は正当だ。グローバル化と、共産主義国の体制移行を背景に成功を収めた人々は、そうでない人々にあまりにも注意を払わなかった。上げ潮はすべての船を持ち上げてくれると思い込んでいた。

とてつもなく豊かな暮らしを手に入れていたが、大変な努力をしたのだから当然だとすぐに分かるケースは少なかった。そして彼らは金融危機を引き起こし、正直とか有能といった評判を失い、政治の面で悲惨な結果をもたらした。自分たちがほとんど無意味だと見なした所属の絆は、グローバル化に取り残された人々にとってもほとんど無意味だと思い込んでいた。

そのように考えていくと、社会や経済の変化によって変貌した世界が、怒りに基づくナショナリズムや保護主義に屈してしまうことは、特に不思議なことではない。

だが、ナショナリストの怒りの政治は、社会の下層から盛り上がってきたものばかりではない。これは、権力を手に入れようとする者たちが使う戦術でもある。その種の政治指導者たちが語る物語は、細かい点こそ異なるものの、エッセンスは常に同じだ。彼らは、自分を支持してくれる「本物の」国民と支持してくれない「国民の敵」を区別する。彼らにとって、人生は戦争だ。戦争なら、どんなことでも正当化できるのだ。

彼らの物語は、自由民主主義を人民投票的独裁*1に変えることを正当化する。ポーランドのアナリスト、スワボミル・シェラコフスキー氏はある才気あふれるエッセイで、自分の国でこの仕組みがどのように機能しているかを説明している。

これによると、かの国の専制君主志望者は個人の自由はカオス(混沌)であり、自分の行動を制約する制度は違法であり、独立した情報源は腐敗しており、外国人は二枚舌で移民は脅威であると決めつけて非難している。猜疑心を強めることで、すべての措置が正当化される。

また、専制君主志望者は叩くべき敵を必要としている。敵はいつも簡単に見つけられる。そして、そうしている間はずっと、大多数は自分を支持してくれていると(たとえそれが事実でなくとも)声高に訴えかける。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領やロシアのウラジーミル・プーチン大統領のような人民投票的独裁の政治においては、独立した情報源は信頼に足るとの見方を攻撃することが重要な要素になっている。彼らの体制は、真実という概念をどう定義しているのだろうか。その答えは、自分が真実だと言うことこそが真実だ、となろう。つまりこの場合、何が真実であるかは権力が決めることになる。

*1=一般の人々の投票を通じて支持基盤を作り出し、それを背景に独裁を行うこと

ジョージ・オーウェルがかつて教えてくれたように、これはすべての独裁体制、特に共産主義者の独裁に見られる特徴だ。そしてこれは、米国のドナルド・トランプ氏が信じていることでもある。彼にとっては、今日の自分に都合が良いと思ったことは何でも真実なのだ。

米国は圧倒的に重要な事例だ。人民投票的独裁に向かう道のりのどの辺りまで、トランプ氏は米国を連れて行く可能性があるのだろうか。世間は、「それほど遠くには連れて行かない」という見方で一致している。米国には強い制度や機関があるからだ。

しかし、制度や機関が、それを運営する人間以上に強くなることはない。古代ローマ時代のアウグストゥスは最高軍司令官になっても、共和制の制度をすべて残した。米国の司法は言論の自由を擁護するだろうか。議員たちは投票する権利を守るだろうか。それとも、新大統領は、自分と意見の異なる人々をおじけづかせるのに成功するのだろうか。テロリストが非道な行為を引き起こしたら、どんなことが起こり得るのだろうか。

シェラコフスキー氏は、ポーランドのヤロスワフ・カチンスキ氏が福祉国家という考え方を受け入れていると指摘している。トランプ氏も、普通の米国民が頼りにしているプログラムを支持していることを強調し、それに基づいて共和党の支持基盤を得た。だが、共和党の指導部はそうしたプログラムを骨抜きにしたいと思っている。トランプ氏の成功は、公約を守るのか、それとも党に従うのかによって決まるのかもしれない。

イスラエルの思想家、ユヴァル・ノア・ハラリ氏は先日、次のように述べた。「自由民主主義と自由市場に対する幻滅があるとはいえ、何らかの形で世界全体にアピールする代替的なビジョンは、まだ誰も定式化していない」。

これは正しい指摘だが、重要ではない。権威主義的なナショナリズムは、全世界にアピールする要素を内に秘めている可能性がある。そして、このナショナリズムが世界のシステムの中核に入ってしまった。これはすべてを変えてしまうのだ。

By Martin Wolf

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48987


 

トランプ政権の重鎮が作っていた「中国憎し」映画
貿易戦争勃発か 中国に“反撃”の刃を向ける米国
2017.1.24(火) 姫田 小夏
映画『Death By China』のオープニングシーン(映像の一部を抜粋、出所:Youtube「Death By China - Trailer」)
「メイド・イン・チャイナ」と刻まれたナイフが米国本土に刺さり、そこから赤い血が流れ出る――。1時間18分のドキュメンタリー映画はそんなオープニングから始まった。米国の経済学者、ピーター・ナバロ氏(カリフォルニア大学教授)が監督した『Death By China』である。

2012年に公開されたこの映画は、米中貿易によって米国経済がどれほど甚大な被害を受けているかを訴えるものだった。

あらゆる側面から中国を批判

その映像は終始、煽情的だ。

カメラが追うのは、ブラックフライデー(11月の第4金曜日。この時期に米国ではクリスマス商戦が始まる)に買い物を楽しむ市民たちだ。家電量販店「ベストバイ」から出てきた買い物客のカートに乗せられている商品のほとんどはメイド・イン・チャイナである。

また、家具を製造する零細工場の経営者は「小さな企業が米国を作っている。私たちを殺さないで」と訴え、配給の列に加わる少年は涙をこぼしながら「お腹がすいている」と訴える。こうした市井の人々のみならず、米国の大手企業、中小企業の経営者や経済学者、専門家など多くの人物が登場し、ありとあらゆる側面から中国を批判する。

例えば、次のような具合だ。

中国は為替を操作し、貿易ルールにも従わず、子どもを働かせ、環境問題を無視する。地球温暖化をもたらしたのは中国から舞い上がった微粒子だ。

中国製の玩具からは鉛が検出され、犬や猫が中国製ペットフードで亡くなり、子どもたちは中国製粉ミルクで命を落とす。「メイド・イン・チャイナ」は人々の命を危険にさらしている。

中国は外資企業に市場を開放しようとしない。中国では国内企業が保護されるが、開発力のない中国企業は製品のコピーに徹している。製造業が中国にもたらした富は軍事費に転換される。

国内企業への輸出補助金の交付はWTO協定違反だが、中国はそれを無視する。米国は中国の不正な貿易に抗えない──。

この映画は「中国は米国から工場と労働者を奪い取った」「米国の製造業は雇用創出のために米中貿易を見直すべきだ」と繰り返し主張する。最後に流れるのは次のようなメッセージだ。

5万7000の米国の工場が消えた
2500万人以上がまともな仕事を見つけられない
買い物時にはラベルをチェックしよう
そこにメイド・イン・チャイナと書かれていたら、
「仕事」「安全」、そして「中国の急速な軍事化」のことを考えてほしい

「挑発」に身構える中国

この映画の監督、ナバロ氏は対中強硬派として知られる。

トランプ氏は新政権の通商チームを対中強硬路線の人物で固めた。米通商代表部(USTR)の代表には、1980年代の日米貿易摩擦時に日本に対して鉄鋼製品の輸出自粛を迫ったロバート・ライトヘザー氏を起用。そして、通商政策の司令塔となる「国家通商会議」のトップにはナバロ氏を指名した。

中国のネットメディアでは、通商チームを対中強硬派で固めたのは「中国への挑発」だとし、米中貿易戦争を憂慮する声が高まっている。トランプ氏が「一つの中国」の原則を脅かしていることなどと合わせ、中国は“米国が一方的に喧嘩を売ってきている”と身構える。「人民日報」海外版(12月28日)は、「中国は米中の“新たな変局”に現実的に対応する」としている。

一方で、「米国に勝算はない」という強気の声も聞かれる。なぜなら喧嘩を売った米国が中国市場を失うことになりかねないからだ。中国政府はいざとなったらボーイングやフォード、GMなどを中国市場から締め出すことも辞さないはずだ。また、中国の製造拠点を失うことは米国にとってさらに大きな痛手である。

そもそも中国と米国は互いを責められない。映画によると、中国が米国の工場と労働者を奪うようになったきっかけは、中国のWTO加盟である。だが、中国のWTO加盟は、元々は米国のお膳立てによるものだった。

中国を「世界の工場」にしたのは、まぎれもなく外資企業だ。中国の大気汚染も、中国に言わせれば「外資企業の工場移転がもたらしたもの」ということになる。

さらに強くクサビを打ち込むトランプ新政権

だが、米中の経済が依存関係を強めるにつれて、中国の野望があぶり出されてきた。今や中国は経済力を武器に軍備拡張と領海の拡大に突き進んでいる。

少なくともナバロ氏の頭の中では、中国との「経済の相互依存の関係」は過去のものとなりつつある。そのナバロ氏の影響を強く受けるトランプ新政権は、自国の製造業の復活を目指して、米中の貿易関係にさらに強くクサビを打ち込むだろう。

『Death By China』は米中関係の新局面を十分に予感させる映画だ。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48977

http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/512.html

[経世済民118] トランプ政策は本当に非現実的か 帰結はやはりドル高か 米企業ドル高に愚痴 EUR$パリティお預け ドル調達コスト高止り 

 

コラム:トランプ政策は本当に非現実的か

鈴木敏之三菱東京UFJ銀行 シニアマーケットエコノミスト
[東京 23日] - 昨年11月8日、ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利で、多くの経済人は途方に暮れた。同氏の主張はあまりに現実離れしているように思われ、具体的な政策予想を描けなかったからだ。

その後、閣僚人事の発表が始まり、トランプ氏のツイッターでのつぶやきなどを見て、新政権の政策運営をめぐる不透明性が時間の経過とともに薄らぐようになっている。

もちろん、トランプ氏が大統領就任前に応じた米紙のインタビューでドル高への不満を漏らしたことに、困惑した経済人は多かったはずである。財政を拡張し、同時に利上げをする国の通貨が増価するのは当然の帰結であるからだ。ゆえに、その後、上院の指名承認公聴会に臨んだスティーブ・ムニューチン財務長官候補が「長期的なドル高維持は重要」と発言したことで、経済人の間にも安心感が広がったことだろう。

本稿では、20日の大統領就任式直後にホワイトハウスのウェブサイト上で公表された「Issues(政策課題一覧)」をベースに、トランプ政策の行方を分析したい。この政策課題一覧のおかげで、新政権の理想実現の条件について、筆者のようなエコノミストも見極めが可能になった。

ちなみに、政策課題一覧には、不法移民の流入を防ぐための壁建設への言及こそあれ、メキシコは名指ししておらず、また中国を「為替操作国」に認定するとの指示も書かれていない。トランプ新政権が現実離れしていないことが具体的に見えてきている。

<雇用2500万人増は非現実的ではない>

さて、政策課題一覧の中で、筆者が注目した点は、2つの数値目標だ。10年間で2500万人の雇用創出、そして4%経済成長の実現である。

前者については、年平均250万人、月平均20万人強の増加であり、若干意欲的ではあるが、非現実的な数字とは言えない(直近の非農業部門雇用者数から2500万人の増加は、年平均1.6%の伸びになる)。

ただ、後者の4%成長率の実現には2.4%の労働生産性の伸びが必要となり、これは容易ではない。大きな障害は、言わずもがな、保護貿易主義だ。

米国の労働生産性と輸出入総額の対国内総生産(GDP)比には、正の相関関係がある。つまり、労働生産性の伸びを高めたいならば、貿易は制限せず、振興しなければならない。

ところが、政策課題一覧は、複数箇所で貿易協定面の条件改善に言及があるなど、保護貿易主義的な色彩が濃かった。ウィルバー・ロス商務長官候補は上院の指名承認公聴会で「私は反貿易主義者ではない」と述べているが、額面通りに受け止めていいのか見極めにはもう少し時間が必要だろう。

また、政策課題一覧では、製造業雇用について、具体的な数値目標こそ示さなかったものの、回復を目指すとしている。だが、ここに新政権にとって厄介な現実がある。

実は米国の労働生産性の上昇局面では、製造業雇用者数の全雇用者数に対する比率が低下しているのだ。逆に、金融危機後に労働生産性の上昇が鈍った局面では、この比率はおおむね横ばいだった。

加えて、この比率は、景気変動の影響を受けて上下する。景気の谷では、低くなる可能性がある。

そこで求められるのは金融政策面での景気下支えということになるのだろうが、米連邦準備理事会(FRB)高官からは昨今、現在の完全雇用に近い経済状態では、財政政策の行方次第で利上げを加速させる可能性に含みを持たせる発言が相次いでいる。金融政策の任務達成と、新政権の描く理想への到達の間に整合性が確保されるかは、経済人にとって最重要の関心に浮上してこよう。

また、もう1つ認識しておくべきことは、製造業復権と4%成長の政策目標パッケージが示された理由だ。 それを知る上で重要な手掛かりは、新設される国家通商会議(NTC)を率いるピーター・ナバロ・カリフォルニア大学教授が著書「Crouching Tiger(邦訳:米中もし戦わば)」で開陳した持論だろう。

同著には、製造業の復権がなければ、米国の軍事力が維持できないと記されている。過去結んだ貿易協定の結果、米国の工場が閉鎖されていったことは、安全保障上の一大事だというのである。

<エネルギー増産でインフレ抑制>

こうした問題点だけを列挙すると、トランプ新政権の政策には実行性や整合性がなく、破綻や混乱を予想しなければならないようにみえる。しかし、次の点では、話は違ってくる。政策課題一覧のトップ項目に掲げられているエネルギー政策だ(名称は「America First Energy Plan」)。

米国には豊富なエネルギー資源があり、効率的に生産する技術もある。規制がその利用を妨げているが、それは政策で変えられるという。

その真偽については、ここでは深く触れないが、仮にその通り増産が実現すれば別のメリットがありそうだ。エネルギーの増産は、前述した金融政策の任務達成をめぐるジレンマの解決策となるかもしれないのである。

周知の通り、米国の予想インフレ率の変動には、原油価格の影響が強く出ている。つまり、最近の原油価格上昇がこの先、抑制されるとすれば、FRBにはインフレ対応で余裕ができる。

そもそも、昨年11月の石油輸出国機構(OPEC)減産合意を受けて、原油相場は反転上昇傾向にあるが、最大の非OPEC産油国である米国が増産すれば、OPEC減産効果一巡後はインフレ率の上昇は続かなくなる。FRBは、利上げを急がなくてよいことになる。

また、2016年前半に米景気拡大は減速したが、それを引き起こしたのは、エネルギー関連を中心とする設備投資の減速だった。エネルギー関連の規制緩和が生産活動を活発化させるのであれば、投資の風向きが変わる可能性もある。

<イエレンFRB議長続投の条件>

ところで、イエレンFRB議長の任期は、2018年2月3日に切れる。18日の講演で、2019年末までの利上げについて言及したのは、再任・続投への意欲を示したものなのだろうが、ホワイトハウスが製造業復権と4%成長を必要としていることを踏まえて政策運営をしなければ、交代となる可能性は高いだろう。

米国経済は完全雇用に近いところまできている。アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」によれば、第4四半期の実質GDP成長率は2.8%となる見込みだ(19日時点の予想)。第3四半期の3.5%から下がるとはいえ、依然として高い。

インフレ率も、低下サイドの不安は日欧より小さい。その根底を支える賃金の上昇率も高まってきている。株価も堅調だ。米国経済は申し分ない状態なのである。

米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの多くは、失業率の大幅低下と賃金の上昇傾向を受けて、超低金利を続けることに抵抗を示している。こうした中、かたくなに利上げに慎重な姿勢を取り続け、このパーフェクトと言える状態にこぎ着けているのだから、イエレン議長は「名議長」と評価されてよい。

しかし、トランプ大統領が指摘するように、危機後の回復は著しく弱い。最大の問題は、労働生産性の伸びが鈍すぎることだ。それを説明しきれないまま、今日に至っている。

労働生産性の伸び悩みを放置することが、米国にとって安全保障上の懸念につながるとトランプ政権が判断するならば、その原因説明を先送りし続けるFRB議長は、「You are fired(お前はクビだ)」と通告されかねない。

*鈴木敏之氏は、三菱東京UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチのシニアマーケットエコノミスト。1979年、三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。バブル崩壊前夜より市場・経済分析に従事。英米駐在通算13年を経て、2012年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。 

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http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-toshiyuki-suzuki-idJPKBN1570TQ

 

コラム:
トランプ政策の帰結はやはりドル高か

尾河眞樹ソニーフィナンシャルホールディングス 執行役員・金融市場調査部長
[東京 24日] - 20日のトランプ米大統領就任演説は、「米国第一主義」や「米国を再び偉大な国にする」など、選挙中の発言の繰り返しとなり、決して内容の濃いものではなかった。

ただ、個人的にやや予想外だったのは、「ワシントンは栄えたが、国民はその富を共有しなかった」との見解を示し、政治家全般を含む従来の「ワシントン」を痛烈に批判したことだ。

また、「米国第一主義」との関連でトランプ新大統領が語った以下の部分は、投資家も留意しておくべきだろう。

「われわれの製品をつくり、企業を奪い取り、雇用を破壊するという他国の略奪行為から国境を守らなければならない」「保護こそが偉大な繁栄と強さにつながる」「私は全力で皆さんのために戦う。そして決して、決して失望はさせない」

要するに、昨年11月の大統領選直後に行われた勝利演説よりも、かなり厳しい表現で貿易相手国を批判したのである。

本稿では、こうした保護主義の高まりや米新政権の政策がドル円相場に与える影響について考えたい。ちなみに、週明けのリアクションはドル安だった。23日のニューヨーク市場では112円台半ばまで下落し、24日の東京市場では午後4時現在113円台前半で推移している。

<「国境税」はドル高要因>

まず、トランプ大統領はこれまで、減税・インフラ投資・規制緩和など、米国経済のアクセルを踏む方向に政策の軸足を置いているとみられていた。一時118円台後半まで進んだ大統領選後のドル高の背景には、そうした市場の読みがあった。

トランプ氏が昨年11月に発表した、「就任直後100日間に着手する優先事項」にもあるとおり、貿易についてはもともと環太平洋連携協定(TPP)など多国籍間の自由貿易には反対だったが、2国間での協議には必ずしも反対ではなかった。したがって、筆者も数々の保護主義的な発言は、あくまで中国やメキシコをターゲットにしたものだとみていた。

しかし、今回の演説では「保護こそが偉大な繁栄と強さにつながる」と、全てのケースにおいて米国第一主義を貫く方針であることが垣間見えた。加えて23日には、かねてから述べていたとおり、TPPを離脱するための大統領令に早速署名。さらに同日、米国内の製造拠点を海外に移転後、国内への輸入を望む企業に対し、高額の「国境税」を課す方針を改めて示した。

「国境税」とは最近米国で話題となっていた「国境税調整(Border Tax Adjustment)」のことだ。共和党がまとめた案では、米国への輸入品に対して一律20%の税金を課す一方で、米国から輸出して得た利益については課税が免除され、国内から上がった利益にのみ20%の法人税がかかるという制度になっている。

厳密に言えば国境税は関税ではないが、実質的には20%の「関税引き上げ」とも言える。ここまでくると、「もしかしたらトランプ政権は、減税やインフラ投資よりも保護貿易を政策として最も重視しているのではないか」との懸念も浮上しやすい。こうした不透明感が足元の円高・ドル安圧力につながっている。

ただ、国境税調整も、「保護主義」の観点から見れば円高要因と捉えられがちだが、この材料で円買い・ドル売りを続けるのは難しい。これらは、仮に実行されればドル高要因となるためだ。

国境税調整によって輸入物価が上昇すれば、米国は利上げによるドル高を容認することによって極端なインフレを防ぐ必要が出てくる。実質的な関税引き上げを実行し、財政政策で国内景気を刺激しつつも、一方でドルを安くしたいというのは、政策的につじつまが合わないのだ。

加えて輸入物価の上昇により輸入が減れば、米国の経常収支は改善し、これもドル高要因となる。米ニューヨーク連銀のダドリー総裁も17日、「米国が国境税を課せば、ドルが上昇するほか、輸入する財・サービスの価格の押し上げにつながる」との見方を示した。

ちなみに、23日のドル円下落を加速させた要因として、米系メディアが報じた、ムニューチン次期米財務長官候補の発言(「過度に強いドルは短期的にマイナス」)が取り沙汰されているが、同氏は19日に上院で行われた指名承認公聴会の質疑応答では長期的なドル高維持を肯定するような以下の発言を行っていた。

「重要なのは長期間にわたるドルの強さだ」「ドルは極めて長期にわたり最も魅力的な通貨であり続けている。それが重要であり、今かつてないほどそうなっていると思う」「ドルは非常に、非常に強い。世界中の人がドルへの投資を望んでいるのが分かる」

つまり、国境税なども考慮すれば、米国経済が十分に堅調で、投資マネーが米国に流入している環境下でのドル高基調であれば、取り立てて問題視はしないということだろう。

<ドル高トレンド再開までは乱高下か>

とはいえ、投資家にとっては、しばらく身動きを取りにくい状況が続く。

「トランプ政権の財政政策が米国のインフレを加速させる」というストーリーで、為替市場ではすでに円ショート・ドルロングポジションが構築されている。もう一段ドルを買うにも、あるいはこれまでの戦略を変更してドルを売り始めるにも、「トランプ政権の具体的な政策」という新たな材料が必要だが、それが明らかになるまでにもうしばらく時間がかかりそうだ。

1月末から2月中にも米両院合同会議でトランプ大統領の所信表明演説(例年の「一般教書演説」に該当)が行われるだろう。ここではトランプ政権の主要な政策課題が述べられる。その後、おそらく2月中に予算教書が議会に提出され、大統領の議会に対する予算編成の方針が示されるが、ここで初めてトランプ政権の財政政策が具体的に見えてくる。

これらの新たな情報が徐々に明らかになり、米国の景気にとってポジティブと受け取られれば、ドル高トレンドが再開する公算が大きい。それまでは取引量も薄くなりがちで、ドル円相場はトランプ氏のツイッター上でのつぶやきやテクニカル要因などに振り回されるような、振幅の激しい展開になりそうだ。

*尾河眞樹氏は、ソニーフィナンシャルホールディングスの執行役員兼金融市場調査部長。米系金融機関の為替ディーラーを経て、ソニーの財務部にて為替ヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。著書に「本当にわかる為替相場」「為替がわかればビジネスが変わる」「富裕層に学ぶ外貨投資術」などがある。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-maki-ogawa-idJPKBN1580TR


 


 
米企業、ドル高に愚痴止まらず
これまでに決算発表した米主要企業の多くが会見で為替に言及している

By BEN EISEN
2017 年 1 月 24 日 14:38 JST

 企業幹部は一般的に、決算会見で為替レートについて口にするのが好きだ。だがそれを前提にしても、今回の決算発表シーズンでは為替変動がことのほかホットな話題になっている。

 1月18日までに決算発表したS&P500種指数構成企業をクレディ・スイスが分析したところ、2016年9月以降の四半期については72%の企業が為替や通貨に言及している。すでに発表を終えた企業は一部にすぎないが、この傾向が続けば、その割合は少なくともここ5四半期で最高に達する。今のところ、決算発表で話題になったトピックとしては、為替が選挙(5社のうち3社以上が触れた)を上回っている。

 これは大統領選挙後のドル急伸が、企業収益にとってさらなる圧力となる兆候と言える。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数は今月、約14年ぶりの高値に上昇した。これで米国製品は海外市場で割高となり、需要が損なわれる恐れがある。

 ローリ・カルバシナ氏率いるクレディ・スイスのストラテジストらは先週のリポートで、「ドルが引き続き上昇するという当社為替ストラテジストの見解を考慮し、業績見通しを修正する上でドル高の加速が特に圧力となるセクターに注目している」と述べた。

 同社のストラテジストらは、ドル高は特に家庭用品や原材料のメーカーの足を引っ張る可能性が高いと指摘した。銀行や不動産、運輸関連はドル高の影響を受けにくいかもしれない。

 これまでにさまざまな企業が、ドル高が業績にどう影響しているか見解を明らかにしている。主な企業の発言を紹介したい。

油田開発サービス大手ハリバートンのマーク・マッカラム最高財務責任者(CFO)(1月23日)

 10-12月期(第4四半期)はその他費用9100万ドルを計上した。この項目は、主にドル高を背景としたさまざまな国で被った為替差損の影響を受けた。調整後の業績に盛り込まれている単一で最大の要因は、エジプトポンドの切り下げによる5300万ドル(1株当たり0.06ドル)の損失だ。

地方鉄道会社カンザス・シティー・サザンのパトリック・オッテンスマイヤー最高経営責任者(CEO)(1月20日)

 10-12月期(第4四半期)の売上高は5億9900万ドルと前年同期比横ばいだった。メキシコペソの急落による影響がなければ、売上高は前年を約3%上回っていた。(中略)当社の実績は、1700万ドルの売り上げ減につながった大幅なペソ安の影響を受けた。

IBMのマーティン・シュローターCFO(1月19日)

 ドル高に伴い通貨が再び逆風となった。実際、10-12月期(第4四半期)は10月半ば以降の為替変動と四半期末にかけての季節要因が響き、売上高が3億ドル近く押し下げられた。

金融総合サービス大手アメリカン・エキスプレス(アメックス)のジェフリー・キャンベルCFO(1月19日)

 主として米国のプラチナ、ゴールド、デルタカードが引き続き大きく伸びたため、10-12月期(第4四半期)の正味のカード手数料は前年同期比で6%伸びた。ただ、カード手数料の伸びが連続して減速した主因が同期のドル高だったことに注目したい。為替調整後の正味のカード手数料の伸びはおおむね7-9月期と同じだった。

化学メーカー、PPGインダストリーズのフランク・スクラースキーCFO(1月19日)

 対ドルでの為替換算という逆風の影響を受け続けるだろう。結果として、17年通期には為替換算の影響で売上高が前年と比べ3億7500万?4億2500万ドル、税引き前利益は約7000万?9000万ドル減少すると予想している。

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ユーロとドル、パリティはまだ「お預け」
市場はトランプ大統領の政策選択について戸惑い気味だ(写真は1月20日)
By RICHARD BARLEY
2017 年 1 月 24 日 17:46 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 市場が注目しているいくつかの鍋は、少なくとも当面まだ煮えそうにない。米国のダウ工業株30種平均は2万ドルの大台目前で足踏みしており、ユーロは1ドルを上回る水準で推移している。為替市場はまだパリティ(等価、1ユーロ=1ドル)を祝うには至っていない。

 23日の外国為替市場では、ユーロが1.07ドルを超えて6週間ぶりの高値に達した。昨年12月につけた1.04ドル割れの安値を大幅に上回っている。これはユーロの強さというより、ドルの弱さによるところが大きい。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数は年初来で約2%安となっている。

 ユーロの支援材料の一つはリスク回避傾向だ。ドナルド・トランプ米大統領の就任演説は保護主義への懸念をあおり、市場はこれを受けて大統領の政策選択について戸惑っている。リスク回避は、それがユーロ圏特有の要因に関連している場合でない限り、ユーロにとっては支援材料となる傾向がある。域内の大幅な経常黒字が支えとみられるためだ。市場の緊張が高まると米国の債券利回りは低下する傾向があり、これもドル安につながる。

 近年の為替相場の大きな手掛かりとなってきた金融政策は、後ろに隠れているようだ。現在はトランプ氏の政策がもたらすとみられる(米欧間の)経済成長の開きの方がより大きく問題視されている。米国の経済成長が加速すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)はタカ派色を強め、米債券利回りやドル相場の上昇圧力は復活する可能性がある。その上、米国企業によるリパトリエーション(海外利益の回収)もドル高につながる可能性が高い。

 ユーロにとっては3月?6月の期間が正念場になりそうだ。その頃には米国の政策の全体像がもっとはっきりしているはずだ。欧州の政治イベントも多く、3月のオランダ総選挙や4月?5月のフランス大統領選挙ではユーロ懐疑論が脚光を浴びるだろう。ユーロ・ドル相場のパリティに向けた圧力がそれより早く再開するかどうかは、トランプ氏の発言や行動次第になるものと思われる。

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焦点:ドル調達コスト高止まり、不確実なトランプ政策で

[東京 24日 ロイター] - 為替スワップ経由のドル調達コストが、年明け後も高止まっている。金融機関の3月期末越えの資金繰りはめどが付き始めたとみられているが、2008年のリーマン・ショック直後のレベルから下がらない。

米トランプ新政権の下で、米金利やドルの見通しに不確実性が高まる中、ドル供給先である欧米銀が様子見を決め込んでいるとされ、今年も本邦勢はドル調達難の状況が続きそうだ。

<下がらないドル調達コスト>

円投/ドル転でヘッジ付きのドル債投資をする機関投資家は、3カ月物のドル資金を調達するケースが多い。3月が決算期末の金融機関は、昨年末から最も資金需要が高まる季節の1つである期末越えの資金の確保を進めている。

期末のドル資金需要が高まった昨年12月28日に、為替スワップ経由のドル調達コストは184ベーシスポイント(bp)まで急騰した。

年明け後、3週間が経過し、本邦勢の3月期末越えの資金繰りは概ね、めどが付き始めたとみられていた。

しかし、現在の調達コストは165bp程度と、低下幅は限定的で、リーマン・ショック直後(160―200bp程度)とほぼ変わらない高水準で推移している。

調達コストのうち、日米金利差からのかい離を表すベーシスも84.28bpから20bp程度低下しただけだ。

市場では「1月になれば3月期末越えの資金繰りもめどが立ち、ドル調達コストは素直に下がると思っていたが、ベーシスはまだ65bpもある。この規模のベーシスが金融危機でもないのにダラダラ続くのを見たことがない」(金融機関資金担当)との声が漏れる。

<不確実性高まり、様子見決め込む欧米銀>

ドル調達コストの高止まりの要因は、ドルを供給する側の欧米銀にもある。

ドル供給サイドの欧米銀では、リーマンショック後に厳格化した金融規制により、クロスカレンシースワップの予想収益率が大幅に低下。加えて最近では「トランプ要因」とも呼べる金利や為替の不確実性に直面している。

「ドルの短期金利が上がるのか下がるのか分からない中で、流動性を提供する意味がない」(米銀)──。資金供給を行う金融機関は将来の金利予想に基づいて、運用計画を立てるが、金利が上がるか下がるかさえ分からない状況では、様子見を決め込むのが最善と言うわけだ。

これまでは、インフラ投資で米景気は改善、米金利高・ドル高が続くというのが金融市場のメインシナリオだった。しかし、米金融政策はトランプ新政権との絡みで、ここにきて不透明感を強めてきている。

今月17日、トランプ新政権の上級顧問(現在)のアンソニー・スカラムッチ氏は、世界経済フォーラムの年次総会で、ドル高リスクを警告したうえで、新政権は連邦準備理事会(FRB)の金融政策を「ドル高抑制の道具として使うかもしれない」と発言した。

今年3回の米利上げが市場のベースシナリオ。トランプ新政権下におけるインフレ期待の高まりで、長期金利は上がるとの想定が多数になっている。

ただ、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主席研究員、廉了氏は「資本流出に伴う新興国不安や政治の圧力により、FRBは思うように利上げができず、(長期金利は上がるので)結果的にイールドカーブが立つイメージをもっている」と話す。

<日銀テーパリングでもベーシスは高止まり>

日銀の中曽副総裁は20日、為替スワップ市場における非米系銀行のドル調達コストの上昇について、利上げを進める米国と金融緩和を推進している日欧の金融政策の方向性の違いや、国際金融取引を行う銀行に対する規制強化などが影響していると指摘した。

実際、ベーシスはFRBがQE3(量的緩和第3弾)終了を決定し、日銀が年60―70兆円のペースで増やすとしていたマネタリーベースを、約80兆円まで拡大する「バズーカ2」を決定した2014年10月ころから、明確な上昇傾向に入っている。

ただ、日銀の国債買い入れペースは落ちている。2016年は78.6346兆円と、80兆円を下回り、今年は額面ベースで67.8兆円程度に低下する見込みだ。じわりと進む日銀の国債買い入れ減額は「暗黙のテーパリング」(外国証券)との指摘も出ている。

しかし、テーパリングが進んでも、米金利が上昇したり、ドルの流動性が低下すれば、日米金利差は縮小せず「円の相対的過剰」は不変となり、ベーシスは高止まりが続くことになる。

<金利差とコストのいたちごっこ>

ドル調達コストの高止まりは、国内金融機関のドル建て資産運用の障害となりかねない。

邦銀大手行では、ドル建て投融資における「調達のボトルネック」を解消すべく、外貨建て預金の獲得を進めているほか、ドル建ての対中国融資などを引き揚げ、資産サイドの圧縮も進めている。

「金利差から、ドル債への投資意欲があるのは間違いないが、足元では調達のボトルネック要因もあり、外貨ポジションをどんどん増やしていくような状況ではない」(廉氏)という。

財務省の対外証券投資データによると、本邦勢は昨年12月に2兆2652億円相当の外国証券(株、中長期債、短期債)を売り越した。今年に入ってからは、1月半ばまでに約9000億円の買い越したが、累計で約10兆円の買い越しとなった昨年1―3月に比べて、出足は鈍い。

需要サイドの本邦勢がドル債投資を圧縮すれば、ドル/円スワップでは需給が緩み、ドル調達コストは低下するはずだが、金利差狙いのドル債投資が続く限り、金利差と高い調達コストの「いたちごっこ」は続くことになる。

(森佳子 編集:伊賀大記)

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http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/272.html

[国際17] 豪政府、中国企業による投資を抑制へ 中国の出生数、16年は増加も信ぴょう性 英EU離脱、交渉開始に議会の承認必要=最高裁

豪政府、中国企業による投資を抑制へ−審査機関を新設
オーストラリア政府は23日、外国企業による投資への監視を強化する方針を明らかにした(写真はオーストラリアのモリソン財務相)

By ROB TAYLOR
2017 年 1 月 24 日 16:25 JST

 【キャンベラ(オーストラリア)】オーストラリア政府は23日、外国企業による投資への監視を強化する方針を明らかにした。欧米諸国と同様、国家安全保障に関わるインフラ基盤などに対する中国の投資を抑える狙いがうかがえる。

 オーストラリア政府は、電力、水道、港湾などインフラ資産への海外からの投資に伴う安全保障上のリスクを評価するための新しい機関を設立すると発表した。オーストラリアでは2011年以降、資金に窮した州政府が次々に資産を売却し、売却総額は500億ドル(約5兆6400億円)余りに達している。米軍が使用する港湾を中国に売却した案件など、一部の売却案件はオーストラリア内外で物議を醸した。

 スコット・モリソン財務相は昨年、国内最大の送電網を有するオースグリッドの経営権の売却入札で、中国国有の国家電網と、香港の有力実業家、李嘉誠氏が所有する長江実業グループ企業の応札を拒否した。15年には、国内最大の民間土地所有者である牧場運営会社S・キッドマンの中国勢への売却も阻止した。

 それでも、中国企業が昨年に発表したオーストラリア資産の買収計画は過去最高の60件で、総額37億ドル相当に達した。

 モリソン財務相は23日、ジョージ・ブランディス司法長官との共同声明で、「民営化が増え、サプライチェーン(供給網)の外部委託(アウトソース)や海外移転が進み、オーストラリアへ投資する企業の国籍などが変化する中、極めて重要な国内インフラがサボタージュ(妨害工作)やスパイ行為、威嚇などに一段とさらされるようになった」と述べた。

 議員らによると、新設される「クリティカル・インフラストラクチャー・センター」は、個別案件の審査と政府への提言を担う既存の外国投資審査委員会(FIRB)をサポートする。海外の買い手や銀行、資産所有者はFIRBについて、安全保障上の懸念が提示されるまで審査に何カ月もかかるなど、意思決定プロセスが不透明だと指摘してきた。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjZ8ZKH2drRAhVGmJQKHWRMAigQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11177354273695693774104582578603994321904&usg=AFQjCNFXkjI0YjJKQrYJ4ePl_dp7ioXxng


 


中国の出生数、16年は増加も信ぴょう性に疑問
中国の人口管理当局は22日、2016年の出生数は1800万人近くと、2000年以降で最多となったと発表したが、統計の信頼性に疑問がある
By NATHANIEL TAPLIN
2017 年 1 月 24 日 18:21 JST

 20日にドナルド・トランプ氏の華々しい大統領就任式が行われたが、その影に世界経済にとってささやかな朗報が埋もれていた。それは、中国の出生数が増えているかもしれないことだ。中国の人口管理当局は22日、2016年の出生数は1800万人近くと、2000年以降で最多となったと発表した。

 この統計が信頼できるものであれば、中国での製品販売を目指している、あるいは目指す予定の中国企業と外国企業には祝うべき理由がある。だが疑問符がつくため、消費財メーカーはシャンパンで乾杯するのを先送りした方がいい。

 15年に一人っ子政策を廃止した中国にとって、人口の伸び鈍化を食い止めることは、「裕福になる前に高齢化が進み」、退職者を支えるために労働人口に過重な負担をかけることを防ぐのに不可欠だ。中国では、おおむね生産年齢人口とされる15?59歳の人口は10年に全人口の70%を占めたのがピークで、それ以降は徐々に減少し、現在の割合は67%強となっている。

 人口の伸び鈍化の影響はすでに表れている。調査会社ガベカル・ドラゴノミクスのシニアアナリスト、ローズリー・ヤオ氏によると、2000年代の投資ブームのけん引役となった住宅需要は10年代初めにピークに達した。ここ数年、労働人口の減少に伴う人件費の増加などで、経済成長に対する純輸出の寄与度も低下している。

 経済成長の唯一の柱として消費は増加傾向をたどっているが、中国がそれを維持するには人口の堅調な伸びが必要だ。

 だが、他の統計がないため、中国国家衛生・計画生育委員会が発表した16年の統計は懐疑的な目で見るべきだ。多くの人口統計学者は、出生数は過去数年、行政が不都合な事実を隠すため実際より少なく報告してきたと考えている。つまり、昨年の出生数の増加は実情ではなく、単に出生届を提出した夫婦が増えたにすぎない可能性がある。人口政策が緩和され、その後に出生数が微増となった14年についても同じことが言えそうだ(翌15年の出生数は減少した)。

 中国の若者が増えるのは世界経済にとって喜ばしい兆候だ。しかし中国の人口の一時的な増加を当てにしている外国企業がベビーパウダーを準備するのは、統計が事実だと確認できるまで待った方がいいだろう。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiRr7Gw3NrRAhVIkpQKHQzDBXkQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11177354273695693774104582578770531853522&usg=AFQjCNE0_a9TrlX8C0xvt0embuJTmyRXRg

 


英EU離脱、交渉開始に議会の承認必要=最高裁
英最高裁は、EU離脱交渉の開始に議会の承認を必要とする高等法院の判決を支持した(写真は24日、最高裁に向かう原告代表のジーナ・ミラー氏)
By JENNY GROSS
2017 年 1 月 24 日 19:22 JST

 英最高裁判所は24日、テリーザ・メイ首相が議会の承認なしには欧州連合(EU)離脱交渉を始められないとする高等法院の判決を支持した。

 メイ首相はこれまでに、議会からは承認を得られるとの見方を示し、最高裁判決が交渉日程に影響することはないと述べてきた。だが英国とEUの新たな関係について細かい調整を余儀なくされ、手続きが複雑さを増す可能性がある。

 今後2カ月程度でEU基本条約(リスボン条約)第50条を発動して離脱交渉を開始する考えのメイ首相にとって、今回の判決は政治的な痛手となる。


https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwivlZ-r3NrRAhUBu5QKHU-5DM4QqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10852398588237353609804582578862820135288&usg=AFQjCNEcFtwpJgPaSYIMzclC7Fo4I9XwRA



英最高裁、EU離脱手続き開始に議会承認が必要と判断
[ロンドン 24日 ロイター] - 英最高裁判所は24日、欧州連合(EU)離脱手続きの開始には議会の承認が必要との判断を下した。古くから行政府の権限として継承されてきた「国王大権」を用いて首相がリスボン条約第50条を発動することが可能だという政府の主張を退けた形。

ただ、英国を構成する北アイルランド、スコットランドならびにウエールズから第50条発動前に同意を得る必要はないとした。

最高裁のニューバーガー長官は「国民投票は政治的に非常に重要だが、議会法にはその結果を受けてどうすべきかは規定されていない」と指摘。「したがって、国民投票に効力を与えるための法律の変更はいかなるものでも、英国憲法すなわち議会法が承認した方法に則るべきだ」との判断を示した。

メイ首相はこれまで、3月末までに第50条を発動すると主張してきたが、今回の最高裁判断を受けて議会の承認を得ることが必要になる。野党労働党は首相の予定を遅らせることはないとしているものの、首相は発動計画の変更や先延ばしを余儀なくされる可能性がある。

*内容を追加しました。

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http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/513.html

[国際17] 今年大外れしそうなダボス会議「5つの予想」 トランプは現実的で成長重視 中国はグローバル化の新たな旗手 EU機能不全化 
コラム:
今年大外れしそうなダボス会議「5つの予想」

Peter Thal Larsen

[ロンドン 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - スイスのダボスで毎年開催される世界経済フォーラムでは、パネル討論などを通じて各地から集まった政財界首脳が何を考えているかが読み取れる。だが、彼ら彼女らの多数意見である「ダボス・コンセンサス」が往々にして間違っていることもまた証明されている。

1年前を振り返るとほとんどの参加者は、米大統領選では民主党のクリントン候補が勝利し、英国民は欧州連合(EU)残留を選択、イタリアのレンツィ政権は改革に成功する、と予想していた。ところが実際は怒れる欧米の有権者たちが、エリート層に対していかに彼らが大衆から遊離しているかという事実を突きつけた。

2007年1月までさかのぼっても、ほんの数カ月後に起きる世界金融危機に警鐘を鳴らす動きはほとんど見当たらなかった。その1年後には、先進国経済の混乱が新興国に波及することはないというのがダボスでの主な意見だったにもかかわらず、08年のリーマン・ブラザーズ破綻をきっかけに世界経済全体が沈んでしまった。

こうした過去の記録を踏まえた上で、ダボスに集う人々が今年はどんな間違いを犯すのか思案するのはより有益だ。BREAKINGVIEWSは、今年聞かれた意見の中から、最も見当外れになりそうな5つの項目を以下に選んだ。

(1)ドナルド・トランプ氏は現実的で成長重視の指導者に

1年前にダボスに顔を見せた米企業経営者の大半は、トランプ氏が共和党候補指名を確保し、まして大統領に就任する可能性がある、との見方を一笑に付した。そうした面々は今、トランプ政権は経済的な成功をもたらすと納得している。

今年のダボスに新政権のメンバーはほとんど姿を現さなかったが、米国の企業・銀行関係者は減税や海外利益の還流促進、インフラ投資拡大、行政改革などが打ち出される事態になったことを歓迎した。

ヘッジファンド創業者でトランプ政権入りするアンソニー・スカラムッチ氏の助言に耳を傾ける向きも多かった。スカラムッチ氏は、ツイッターにおけるトランプ氏のつぶやきが与える脅威は無視し、企業寄りの経済政策と経営者出身の閣僚の手腕こそ重視すべきだと訴えた。

しかしこうした考え方は、トランプ氏の保護主義的な姿勢や強まる中国敵視、親族が運営する事業の利益相反、そして個人的な性格が問題視されている点にほとんど目を向けていない。実際、トランプ氏が「米国第一」を強調した就任演説からは、先行き楽観ムードが長続きしそうにないことがうかがえる。

(2)中国はグローバル化の新たな旗手に

今年のダボス会議の決定的な見せ場の一つは、間違いなく中国の習近平国家主席による演説だった。中国こそがグローバル化した世界を引っ張っていく責任があるとみなされるべきだとの論調を展開したからだ。数年前には考えられなかったような、例えば温暖化対策の必要性にも言及した習氏に聴衆は惜しみない拍手を送った。

ただし演説で中心的に掲げられた開放的でルールに基づく世界経済という構図と、中国の実情は正反対だ。中国国内の資本が自由に海外に出ていくのはどんどん難しくなっている。外国企業は中国になかなか参入できない。欧米には習氏が演説の趣旨に沿う改革に動くという期待もあるとはいえ、中国が法の支配を受け入れたり自国の利益にそぐわないような国際的な判定に従うと考える人々はすぐに失望するだろう。習氏の狙いはあくまで、米国の保護主義によって国際貿易が停滞し、中国国内の消費が悪影響を受けるのを防ぐことにあったと言える。

(3)EUはさまざまな試練を受け機能不全化

ダボス会議では米国に対する楽観論と対照的に、EUの将来には暗い見通しが示された。オランダ、フランス、ドイツと続く国政選挙ではナショナリストの台頭が懸念され、英国の離脱交渉が「喧嘩別れ」化する心配がある。またたとえ選挙で波乱が起きなくても、依然として経済成長の鈍さや流入が止まらない移民、通貨統合の不完全性といった問題に悩まされている。ロシアの膨張政策が再燃し、米国の軍事力による安全保障態勢が脅かされているという問題もある。

それでもこうした悲観論は、欧州は危機に直面した際に最も前進する傾向があるという事実を見ていない。もしもEU支持派が選挙で勝利すれば、新政権を樹立して国民に人気のない政策を決定できるお墨付きが得られる。さらに英国との交渉で合意に達すれば、2017年は欧州が経済や安全保障に関するいくつかの課題を克服し、再び立ち上がる年になれるかもしれない。

(4)金融規制は撤回

米国の金融関係者はダボス会議で、金融規制改革法(ドッド=フランク法)がトランプ政権下で修正されると予想した。バーゼル銀行監督委員会の銀行に対する新たな資本規制の最終的な取りまとめ作業も、米政府が乗り気にならないことで支障をきたすかもしれない。

しかしトランプ氏を支持したのがウォール街に対して怒りを持つ人々であるだけに、金融規制改革の撤回は優先課題にならないとの予想も同じ程度に成り立つ。実際、金融規制の国際的な枠組み策定で手を抜けば、さらなる有権者の反発を招きかねない。

イングランド銀行(英中央銀行、BOE)の副総裁を務めたポール・タッカー氏は「もう一度(金融危機のような)問題が起きれば、人々はわれわれを決して許さないだろう」と警告した。

当局がこれ以上追加的な規制を導入することはなくても、既に出来上がった規制を廃止すると考えるのは虫が良すぎる。

(5)AI(人工知能)によりすべての人が失業

過去数年でAIがあらゆる産業を変革する可能性が議論されてきた。そして今年は「混乱の制御:AIと先進的ロボット」や「人工脳への道のり」といったテーマでパネル討論が開催され、未来予想の動きが加速している。

もっともダボス会議の存在自体が、人間が実際に会って対話する必要性が根強いことの証明だ。

いつの日かはAIの発達で人々がスイスの山岳地帯まで出向いて何らかの合意や意見交換などをしなくなる可能性はある。ただ、ダボス会議にとってのもっと大きな脅威は、参加者の見通しが共鳴し合ってしばしば実際とは程遠い地点に飛んで行ってしまうことだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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[政治・選挙・NHK219] 防衛省の通信衛星、1機目を打ち上げ 陸海空の統合運用を強化 防衛省独自の通信衛星「きらめき2号」打ち上げ成功  
防衛省の通信衛星、1機目を打ち上げ 陸海空の統合運用を強化

[東京 24日 ロイター] - 防衛省初となる自前の通信衛星を載せたH2Aロケット32号機が24日午後、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。

防衛省は今後さらに2機を打ち上げる計画で、島しょ防衛をにらみ、陸海空の3自衛隊を機動的に運用する通信基盤を整える。

衛星はXバンドと呼ばれる周波数帯に対応し、気象の影響を受けにくく、軍事利用に適しているとされる。これまで防衛省は商用衛星を借りて同周波数帯の通信を利用してきたが、寿命が近づいていることから、自前の衛星を2020年度末までに計3機打ち上げる。

3機すべての運用が始まると、通信容量は現在の4倍に増える。ばらばらだった3自衛隊の通信を一元化し、離島などでも安定した通信を確保できるようになる。海外に派遣した部隊との通信も向上を見込む。

昨年7月に打ち上げ予定だった1号機は、打ち上げ地の南米仏領ギアナへの輸送中に破損。2年程度延期される見通しで、今回の2号機が先に打ち上げられることになった。

(久保信博)

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http://jp.reuters.com/article/defence-forces-satellite-idJPKBN1580UE


 


防衛省独自の通信衛星、打ち上げ成功
2017/1/24 18:00
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通信衛星「きらめき2号」を載せ、打ち上げられるH2Aロケット32号機(24日午後4時44分、鹿児島県の種子島宇宙センター)=共同
http://www.nikkei.com/content/pic/20170124/96958A9E93819595E0E69AE6E18DE0E6E2E3E0E2E3E5E2E2E2E2E2E2-DSXMZO1205673024012017000002-PB1-3.jpg

通信衛星「きらめき2号」を載せ、打ち上げられるH2Aロケット32号機(24日午後4時44分、鹿児島県の種子島宇宙センター)=共同
 三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は24日午後4時44分、種子島宇宙センター(鹿児島県)から、防衛省独自の通信衛星を搭載したH2Aロケットを打ち上げた。衛星は午後5時18分ごろ、予定通りロケットから分離され、打ち上げは成功した。

 昨年予定されていた「きらめき1号」の打ち上げが輸送時に損傷したために延期され、今回が初の打ち上げとなった。

 分離した通信衛星「きらめき2号」は、現在使っている民間衛星に代わる、防衛省の独自衛星。雲などの影響を受けにくい波長帯域を利用し、高速で安定的に通信できる。また陸、海、空の自衛隊の部隊間通信が一元化され、効率よく情報を共有できるため、大災害への対応や海外部隊との連絡が円滑に進むとみられる。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG24H43_U7A120C1000000/

 


防衛省の通信衛星「きらめき2号」打ち上げ成功
2017年01月24日 19時43分

防衛省の通信衛星「きらめき2号」を搭載し、打ち上げられるH2Aロケット32号機(24日午後4時44分、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで)=中嶋基樹撮影
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20170124/20170124-OYT1I50029-L.jpg

 防衛省の通信衛星「きらめき2号」を搭載したH2Aロケット32号機が24日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。

 打ち上げ主体の三菱重工業などによると、衛星は予定通り分離され、打ち上げは成功した。

 防衛省が衛星を打ち上げたのは初めて。民間衛星を使う従来の通信に比べ、大容量のデータを安定して送受信できる。陸海空の各自衛隊間や、外国や洋上に展開する部隊との間で迅速な情報の共有が可能になるという。同省は打ち上げが来年に延期されている1号を含め、2020年度末までにきらめきを全3基打ち上げる計画だ。

2017年01月24日 19時43分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
http://www.yomiuri.co.jp/science/20170124-OYT1T50094.html

http://www.asyura2.com/17/senkyo219/msg/600.html

[経世済民118] 1兆ドルのファンドが円買い−トランプ通商政策の「現実」を見よ ユーロ圏力強い滑り出し−物価圧力も 日銀長期金利上げ慎重
1兆ドルのファンドが円買い−トランプ通商政策の「現実」を見よ
Netty Ismail
2017年1月24日 17:26 JST

1兆1000億米ドル(約125兆円)余りを運用するアムンディは円を買い、カナダ・ドルを売っている。トランプ米政権の保護主義的な政策が財政出動の効果に水を差す恐れがあるとみている。
  ロンドン在勤の通貨管理責任者ジェームズ・クウォック氏はインタビューで、「昨年11月の米大統領選でのトランプ氏勝利以来、市場は財政政策を過度に重視して米ドルを買ってきた」が、「今は通商政策の現実を見据えた修正の時だ」と語った。
トランプ大統領、TPP離脱の大統領令に署名−米通商政策を転換.
  日本のように対外収支が大幅黒字の国の通貨は貿易摩擦が生じたときに強くなる一方、カナダは経常収支が赤字のためカナダ・ドルは下落する見込みだとクウォック氏は説明。同氏のファンドは貿易摩擦悪化で利益の出るポジションを増やしたという。
  円は今年に入り対米ドルで3.6%上昇。カナダ・ドルは1.6%高と、G10通貨の大半を下回る上昇率にとどまっている。
原題:$1 Trillion Fund Buys Yen as Trade Ruckus Vexes Dollar Bulls (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-24/OK9Y4N6TTDSB01


 


ユーロ圏経済:2017年は力強い滑り出し−物価圧力も増す
Jana Randow
2017年1月24日 18:59 JST

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日銀:物価1%でも長期金利上げ慎重に、早過ぎるリスク回避−関係者
1月のユーロ圏総合PMI速報値は54.3−前月は54.4
最も明るい展開は恐らく雇用が上向いたこと−ウィリアムソン氏

ユーロ圏経済は2017年、力強い滑り出しとなった。物価上昇圧力も強まった。24日発表されたIHSマークイットの指数が示した。
  1月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)速報値は54.3と前月の54.4を下回ったものの、製造業とサービス業の双方で拡大を示し、1−3月(第1四半期)の経済成長率0.4%を示唆した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想は54.5だった。
  IHSマークイットのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は、「最も明るい展開は恐らく雇用が上向いたことだろう。今年1年への楽観を背景に1月の雇用は9年ぶりの高い伸びだった」とコメント。また、出荷価格の伸びは弱かったものの「最近の需要の高まりで、供給者側に少なくとも幾分の価格決定力が戻り始める助けになっている」と分析した。
  製造業の指数は55.1と前月の54.9から上昇し、約6年ぶりの高水準。サービス業は53.6と、前月の53.7を下回った。両業界とも新規受注の増加が続き、雇用は勢いを増した。向こう1年についての期待指数は2012年の指数算出開始以降で最も高い水準となった。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iED6nI3i.prs/v2/-1x-1.png

原題:Euro Area Starts 2017 on Strong Note as Price Pressures Build(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-24/OKA23K6K50XS01


 


 
日銀:物価1%でも長期金利上げ慎重に、早過ぎるリスク回避−関係者
日高正裕、藤岡徹
2017年1月24日 15:00 JST

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ゼロ金利や量的緩和の解除とその後の利上げ時期尚早との批判を意識
「物価1%で長期金利0%で良いのか、必ず議論になる」と早川氏

日本銀行は物価上昇率が1%に達しても、長期金利の誘導目標引き上げには慎重なスタンスで臨む構えだ。事情に詳しい関係者への取材で明らかになった。
  複数の関係者によると、2000年のゼロ金利政策の解除や、06年の量的緩和政策の解除とそれに続く2度の利上げは時期尚早だったと批判を浴びた経験から、日銀内では金融引き締めを急ぎ過ぎるリスクが強く意識されている。
  エコノミストの一部では、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比が年末から来年初にかけて1%に達するとの見方が出始めている。しかし、複数の関係者によると日銀は、物価上昇率が高まったとしても、原油価格下落の影響のはく落や円安による一時的な動向かどうかや、物価目標2%に向けたモメンタムを慎重に見極める方針だ。
  物価上昇観測を背景に、金融政策の新たな枠組みでターゲットとしている長期金利を日銀が早期に0%から引き上げるのではないかという見方が浮上している。BNPパリバ証券やバークレイズ証券が今年後半の引き上げを予想しているほか、JPモルガン証券はリスクシナリオとしてその可能性を指摘している。
  日銀は昨年9月に導入した長短金利操作付き量的・質的緩和の下で、操作目標をマネーの量から長期金利(10年物国債金利)と短期金利(日銀当座預金のうち政策金利残高に0.1%のマイナス金利を適用)に変更した。
過去の教訓
  富士通総研の早川英男エグゼクティブ・フェローは13日、都内で開かれた講演会で、「1ドル=110円台が維持され、原油も1バレル=50ドル程度が維持されると、17年度後半の物価上昇率は1%くらいまで上がってくる可能性はある」と指摘。物価上昇率が「1%に乗ってきた時に10年物長期金利のターゲットが本当に0%で良いのか、必ず議論になるはずだ」と述べた。
  一方、20日公表された06年7月から12月の金融政策決定会合の議事録では、物価上昇率が0%近辺だったにもかかわらず、超低金利が長く続くリスクを懸念し、同年3月の量的緩和の解除に続き利上げ路線を進もうとした過程が明らかになった。
  昨年12月会合の「主な意見」では、「大恐慌時のFRBの早過ぎた出口、日本の早過ぎたゼロ金利と量的緩和の解除などの経験を踏まえれば、2%の物価目標を達成するためには、相当の期間、現在の金利水準で長短金利操作付き量的・質的金融緩和を続けるべきである」との意見が紹介された。
  複数の関係者によると、仮に物価上昇率が1%に達しても、日銀は長期金利を0%程度に維持することに自信を示している。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、前日比0.005%低い0.045%で推移。ドル円相場は朝方には一時1ドル=112円53銭と昨年11月30日以来のドル安・円高水準を付けた。
GDP上方修正も
  日銀は30、31両日、金融政策決定会合を開き、四半期に一度の経済・物価情勢の展望(展望リポート)を策定し、金融調節方針を議論する。複数の関係者によると、世界経済の改善や昨年12月の実質国内総生産(GDP)統計の見直しを受けて、実質GDP成長率の見通しの上方修正を検討する可能性がある。
  黒田東彦総裁は20日、スイスのダボスで、17年度は1.5%程度の成長を見込んでいると明らかにした。日銀が昨年11月に公表した前回展望リポートでは、同年度の見通しは1.3%だった。複数の関係者によると、コアCPI前年比は、前回1.5%上昇だった見通しをおおむね据え置くか、上方修正しても小幅にとどまる公算が大きい。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-24/OK9K2E6JIJUP01
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/279.html

[環境・自然・天文板6] 宇宙の謎を一挙に解明?エントロピック重力理論とは ダークマターを否定、第3の重力革命になるかもしれない新理論 
宇宙の謎を一挙に解明?エントロピック重力理論とは
ダークマターを否定、第3の重力革命になるかもしれない新理論
2017.1.25(水) 小谷 太郎
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた銀河団「SDSS J1038+4849」。重力レンズの影響で、2つの目と鼻があり微笑んでいるように見える。この中心にダークマターがあるが、写真には写らないと考えられている。(写真:NASA)
 前回2016年12月の記事「正体に近づいた? 宇宙の長年の謎、ダークマター」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48735)では、宇宙空間を漂うダークマターについて解説しました。国際宇宙ステーションに搭載された粒子検出器がダークマターの形跡らしきデータを捉えたのです。
 けれどもそれと同じころ、「ダークマターは存在しない」と主張する奇抜な研究が注目を集めました。「エントロピック重力理論」と呼ばれるこの物理学理論は、全く新しい原理に基づく重力理論で、ダークマターをはじめとする現代物理学の難問を解決するというのです。
 もしもこの主張が本当ならば、これはニュートンとアインシュタインに次ぐ、第3の重力革命です。現時点では正しいとも正しくないとも結論できませんが、面白いので紹介しましょう。
新しい重力理論よ、目覚めよ
 17世紀、アイザック・ニュートン(1643-1727)は「万有引力の法則」を発見し、月や惑星やリンゴの運動を説明してのけました。人々はびっくりしました。
 20世紀、アルベルト・アインシュタイン(1879-1955)は「相対性理論」を発表し、空間はぐにゃぐにゃ時間はへろへろ伸び縮みするのだと明らかにしました。こういう伸び縮みの効果が重力現象だというのです。人々はびっくりしました。
 21世紀、そろそろ新しい重力理論が現われて、人々をびっくりさせてもいいのでは、と期待が高まっています。なぜなら、古い理論では説明できない事柄が、だんだん溜まってきたからです。
 古い理論で説明できない事柄の筆頭は「ブラックホールの消滅」です。ブラックホールは強い重力を持つために光も脱出できない天体とされます。
 と、述べたハナから矛盾するようなことをいいますが、「量子力学」という理論を少々適用すると、ブラックホールは微弱な光を出しながら徐々に縮んでいくという結論が出ます。そして縮んだ果てに、シャボン玉のようにこわれて消えてしまうといいます。
 一方、ブラックホールがこわれて消えると論理的にいろいろ不都合が生じるので、そうはならないだろうという意見もあります。このあたりは、量子力学と相対性理論を統合した「量子重力理論」の完成によって正しく説明されると期待されています。
 ブラックホールの他にも、宇宙のはじまり「ビッグバン」はどうして起きたか、宇宙空間に存在するダークマターとダークエネルギーの正体は何か等々、重力の分野には未解決の宿題が山積みです。
 だから、こうした宿題を一挙に片付けてくれるであろう量子重力理論の登場が待望されているのです。
「エントロピック重力」とは
 2010年、オランダはアムステルダム大のエーリク・フェアリンデ教授は、重力がエントロピーによって生じるというアイデアを発表しました(http://link.springer.com/article/10.1007%2FJHEP04%282011%29029)。「エントロピック重力理論」です。
 しかし、そもそも重力なるものが抽象的で直観的に理解しがたい存在なのに、それがエントロピーというさらに訳の分からないもので生じるといわれても、なんのことやらというのが普通の反応でしょう。
 ここではエントロピーの正体に深入りせず、それはエネルギーや質量のような、ある物理量であると述べておきます。そこらの物質もエントロピーを持ちますが、特にブラックホールは大量に蓄えていると考えられています。
 そして、ブラックホールが外部の物体を引き寄せると、ブラックホールのエントロピーが少々増えるのですが、じゃあ逆に、ブラックホールのエントロピーが増えるために、ブラックホールが物体を引き付けるのだとは考えられないか、というのがエントロピック重力理論の発想です。
 フェアリンデ教授はこの考えに基づき、ブラックホールでない通常の質量においても、そのエントロピーと重力の間には関係があると主張しました。そしてちょいちょいと計算して、既知の関係式や観測値をいくつか導出してみせました。
エントロピック重力理論が証明された・・・のだろうか?
 2016年12月、オランダ・ライデン大の大学院生マーゴット・ブラウワー氏らの研究チームは、3万3613個の銀河の物質分布を測定し、エントロピック重力理論の予想に合致する結果を得たと発表しました(https://academic.oup.com/mnras/article-abstract/doi/10.1093/mnras/stw3192/2661916/First-test-of-Verlinde-s-theory-of-Emergent)。しかもこの予想は、ダークマターのような余計な仮説を必要としないというのです。
銀河を通過する光線は、銀河の重力によって曲がる。ブラウワー氏のチームはこ の効果を測定して、銀河の質量分布を測定した。 (c) APS/Alan Stonebraker; galaxy images from STScI/AURA, NASA, ESA, and the Hubble Heritage Team.
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 世間(の一部)は、これでエントロピック重力理論の正しさが証明された、ダークマターは存在しない、と沸き立ちました。
 しかしこの研究結果は、もう少し慎重な検討が必要です。
 そもそもダークマターとは、星やガスなどの観測可能な物質以外で、宇宙空間に漂っていると考えられている質量を指します。銀河の持つ重力を測定すると、銀河に含まれる星やガスの他に、観測できない重力源があるようなので、これをダークマターと仮に呼ぶのです。
 けれどもフェアリンデ教授は、銀河に星やガス以外の重力源があるのではなく、銀河のような大きなスケールでは、重力の法則自体が万有引力の法則と違うのだと主張します。
 そして、ダークマターがなくても銀河の重力を説明できるように、重力の法則を変更し、さらに、その変更された重力法則に整合するように、エントロピック重力理論を作っています。
 これはかなり曲芸的な手法です。
 こうして作られたエントロピック重力理論が、銀河の観測と一致しても、ダークマターが存在しないかどうか、万有引力が銀河の規模では成り立たないかどうかは、まだ結論するには少々早いように思われます。
正しい量子重力理論はどこに?
 重力理論の歴史を振り返ると、ニュートンの新しい力学は微積分という新しい数学を必要としました。物理学が難解な学問になったのはこの時からです。
 アインシュタインの相対性理論は微分幾何学という数学を駆使するもので、これまた手ごわい数学です。
 次の重力理論である量子重力理論がどんなものになるのか、いまだ明らかではありませんが、それがきわめて難解な代物になることだけは疑いありません。
 量子重力理論という魅力的なテーマに、研究者はもう何世代も取り組んでいます。これまであまたの秀才が無数の論文を発表し、さまざまなアイデアを提唱しました。エントロピック重力理論はそのひとつです。中には、うまくいかなかったもの、ちょっとうまくいったもの、まだどちらとも判断のつかないものが入り雑じっています。
 そうした新理論のいずれもが、高度な数学を駆使する難解な理論で、理解するには何年にもおよぶ修行が必要です。新理論はいくつもの流派に分かれています。すべての流儀を学んで、全体像を把握するのはさらに困難です。
 こうしてみると、量子重力理論はまるで野心に満ちた秀才が迷い込む荒野のようです。荒野のどこかにあるという、豊かな正しい量子重力を、人は探してさまよいます。荒野のあちこちに立つ墓標は、うまく行かなかったアイデアです。素人には墓碑銘も判読できません。
 正しい道を歩み、正しい新理論に至る人はいるのでしょうか。エントロピック重力理論はそういう正しい理論なのでしょうか。誰も確信を持って答えられません。
 ともあれ、エントロピック重力理論が本当に観測データと合うかどうか、今後の追試に注目しましょう。
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48971

 


First test of Verlinde's theory of emergent gravity using weak gravitational lensing measurements
Margot M. Brouwer Manus R. Visser Andrej Dvornik Henk Hoekstra Konrad Kuijken Edwin A. Valentijn Maciej Bilicki Chris Blake Sarah Brough Hugo Buddelmeijer ... Show more
MNRAS (2016) 466 (3): 2547-2559. DOI: https://doi.org/10.1093/mnras/stw3192
Published: 09 December 2016 Article history
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Abstract
Verlinde proposed that the observed excess gravity in galaxies and clusters is the consequence of emergent gravity (EG). In this theory, the standard gravitational laws are modified on galactic and larger scales due to the displacement of dark energy by baryonic matter. EG gives an estimate of the excess gravity (described as an apparent dark matter density) in terms of the baryonic mass distribution and the Hubble parameter. In this work, we present the first test of EG using weak gravitational lensing, within the regime of validity of the current model. Although there is no direct description of lensing and cosmology in EG yet, we can make a reasonable estimate of the expected lensing signal of low-redshift galaxies by assuming a background Lambda cold dark matter cosmology. We measure the (apparent) average surface mass density profiles of 33 613 isolated central galaxies and compare them to those predicted by EG based on the galaxies’ baryonic masses. To this end, we employ the ∼180 deg2 overlap of the Kilo-Degree Survey with the spectroscopic Galaxy And Mass Assembly survey. We find that the prediction from EG, despite requiring no free parameters, is in good agreement with the observed galaxy–galaxy lensing profiles in four different stellar mass bins. Although this performance is remarkable, this study is only a first step. Further advancements on both the theoretical framework and observational tests of EG are needed before it can be considered a fully developed and solidly tested theory.
gravitation, gravitational lensing: weak, surveys, galaxies: haloes, cosmology: theory, dark matter
Issue Section: Article
INTRODUCTION

In the past decades, astrophysicists have repeatedly found evidence that gravity on galactic and larger scales is in excess of the gravitational potential that can be explained by visible baryonic matter within the framework of General Relativity (GR). The first evidence through the measurements of the dynamics of galaxies in clusters (Zwicky 1937) and the Local Group (Kahn & Woltjer 1959) and through observations of galactic rotation curves (inside the optical discs by Rubin 1983, and far beyond the discs in hydrogen profiles by Bosma 1981) has been confirmed by more recent dynamical observations (Martinsson et al. 2013; Rines et al. 2013). Furthermore, entirely different methods like gravitational lensing (Hoekstra, Yee & Gladders 2004; von der Linden et al. 2014; Hoekstra et al. 2015; Mandelbaum 2015) of galaxies and clusters, baryon acoustic oscillations (BAOs; Eisenstein et al. 2005; Blake et al. 2011) and the cosmic microwave background (CMB; Spergel et al. 2003; Planck Collaboration XIII 2016) have all acknowledged the necessity of an additional mass component to explain the excess gravity. This interpretation gave rise to the idea of an invisible dark matter (DM) component, which now forms an important part of our standard model of cosmology. In our current Lambda cold dark matter (ΛCDM) model, the additional mass density (the density parameter ΩCDM = 0.266 found by Planck Collaboration XIII 2016) consists of cold (non-relativistic) DM particles, while the energy density in the cosmological constant (ΩΛ = 0.685) explains the observed accelerating expansion of the Universe. In this paradigm, the spatial structure of the sub-dominant baryonic component (with Ωb = 0.049) broadly follows that of the DM. When a DM halo forms through the gravitational collapse of a small density perturbation (Peebles & Yu 1970), baryonic matter is pulled into the resulting potential well, where it cools to form a galaxy in the centre (White & Rees 1978). In this framework, the excess mass around galaxies and clusters, which is measured through dynamics and lensing, has hitherto been interpreted as caused by this DM halo.

In this paper, we test the predictions of a different hypothesis concerning the origin of the excess gravitational force: the Verlinde (2016) model of emergent gravity (EG). Generally, EG refers to the idea that space–time and gravity are macroscopic notions that arise from an underlying microscopic description in which these notions have no meaning. Earlier work on the emergence of gravity has indicated that an area law for gravitational entropy is essential to derive Einstein's laws of gravity (Jacobson 1995; Padmanabhan 2010; Verlinde 2011; Faulkner et al. 2014; Jacobson 2016). But due to the presence of positive dark energy in our Universe. Verlinde (2016) argues that in addition to the area law, there exists a volume law contribution to the entropy. This new volume law is thought to lead to modifications of the emergent laws of gravity at scales set by the ‘Hubble acceleration scale’ a0 = cH0, where c is the speed of light and H0 the Hubble constant. In particular, Verlinde (2016) claims that the gravitational force emerging in the EG framework exceeds that of GR on galactic and larger scales, similar to the MOND phenomenology (Modified Newtonian Dynamics; Milgrom 1983) that provides a successful description of galactic rotation curves (e.g. McGaugh, Lelli & Schombert 2016). This excess gravity can be modelled as a mass distribution of apparent DM, which is only determined by the baryonic mass distribution Mb(r) (as a function of the spherical radius r) and the Hubble constant H0. In a realistic cosmology, the Hubble parameter H(z) is expected to evolve with redshift z. But because EG is only developed for present-day de Sitter space, any predictions on cosmological evolution are beyond the scope of the current theory. The approximation used by Verlinde (2016) is that our Universe is entirely dominated by dark energy, which would imply that H(z) indeed resembles a constant. In any case, a viable cosmology should at least reproduce the observed values of H(z) at low redshifts, which is the regime that is studied in this work. Furthermore, at low redshifts, the exact specifics of the cosmological evolution have a negligible effect on our measurements. Therefore, to calculate distances from redshifts throughout this work, we can adopt an effective ΛCDM background cosmology with Ωm = 0.315 and ΩΛ = 0.685 (Planck Collaboration XIII 2016), without significantly affecting our results. To calculate the distribution of apparent DM, we use the value of H0 = 70 km s−1Mpc−1. Throughout the paper, we use the following definition for the reduced Hubble constant: h ≡ h70 = H0/(70 km s−1Mpc−1).

Because, as mentioned above, EG gives an effective description of GR (with apparent DM as an additional component), we assume that a gravitational potential affects the pathway of photons as it does in the GR framework. This means that the distribution of apparent DM can be observed using the regular gravitational lensing formalism. In this work, we test the predictions of EG specifically relating to galaxy–galaxy lensing (GGL): the coherent gravitational distortion of light from a field of background galaxies (sources) by the mass of a foreground galaxy sample (lenses) (see e.g. Fischer et al. 2000; Hoekstra et al. 2004; Mandelbaum et al. 2006; Velander et al. 2014; van Uitert et al. 2016). Because the prediction of the gravitational potential in EG is currently only valid for static, spherically symmetric and isolated baryonic mass distributions, we need to select our lenses to satisfy these criteria. Furthermore, as mentioned above, the lenses should be at relatively low redshifts since cosmological evolution is not yet implemented in the theory. To find a reliable sample of relatively isolated foreground galaxies at low redshift, we select our lenses from the very complete spectroscopic Galaxy And Mass Assembly survey (GAMA; Driver et al. 2011). In addition, GAMA's stellar mass measurements allow us to test the prediction of EG for four galaxy sub-samples with increasing stellar mass. The background galaxies, used to measure the lensing effect, are observed by the photometric Kilo-Degree Survey (KiDS; de Jong et al. 2013), which was specifically designed with accurate shape measurements in mind.

In Section 2 of this paper, we explain how we select and model our lenses. In Section 3, we describe the lensing measurements. In Section 4, we introduce the EG theory and derive its prediction for the lensing signal of our galaxy sample. In Section 5, we present the measured GGL profiles and our comparison with the predictions from EG and ΛCDM. The discussion and conclusions are described in Section 6.

GAMA LENS GALAXIES

The prediction of the gravitational potential in EG that is tested in this work is only valid for static, spherically symmetric and isolated baryonic mass distributions (see Section 4). Ideally, we would like to find a sample of isolated lenses, but since galaxies are clustered, we cannot use GAMA to find galaxies that are truly isolated. Instead, we use the survey to construct a sample of lenses that dominate their surroundings and a galaxy sample that allows us to estimate the small contribution arising from their nearby low-mass galaxies (i.e. satellites). The GAMA survey (Driver et al. 2011) is a spectroscopic survey with the AAOmega spectrograph mounted on the Anglo-Australian Telescope. In this study, we use the GAMA II (Liske et al. 2015) observations over three equatorial regions (G09, G12 and G15) that together span
∼180deg2
∼180deg2

. Over these regions, the redshifts and properties of 180 960 galaxies1 are measured. These data have a redshift completeness of 98.5 per cent down to a Petrosian r-band magnitude of mr = 19.8. This is very useful to accurately determine the positional relation between galaxies, in order to find a suitable lens sample.

Isolated galaxy selection

To select foreground lens galaxies suitable for our study, we consult the 7th GAMA Galaxy Group Catalogue (G3Cv7) which is created by (Robotham et al. 2011) using a Friends-of-Friends group finding algorithm. In this catalogue, galaxies are classified as either the brightest central galaxy (BCG) or a satellite of a group, depending on their luminosity and their mutual projected and line-of-sight distances. In cases where there are no other galaxies observed within the linking lengths, the galaxy remains ‘non-grouped’ (i.e. it is not classified as belonging to any group). Mock galaxy catalogues, which were produced using the Millennium DM simulation (Springel et al. 2005) and populated with galaxies according to the semi-analytical galaxy formation recipe ‘GALFORM’ (Bower et al. 2006), are used to calibrate these linking lengths and test the resulting group properties.

However, since GAMA is a flux-limited survey, it does not include the satellites of the faintest observed GAMA galaxies when these are fainter than the flux limit. Many fainter galaxies are therefore classified as non-grouped, whereas they are in reality BCGs. This selection effect is illustrated in Fig. 1, which shows that the number of non-grouped galaxies rises towards faint magnitudes whereas the number of BCGs peaks well before. The only way to obtain a sample of ‘isolated’ GAMA galaxies without satellites as bright as fL times their parents luminosity, would be to select only non-grouped galaxies brighter than 1/fL times the flux limit (illustrated in Fig. 1 for fL = 0.1). Unfortunately, such a selection leaves too small a sample for a useful lensing measurement. Moreover, we suspect that in some cases, observational limitations may have prevented the detection of satellites in this sample as well. Instead, we use this selection to obtain a reasonable estimate of the satellite distribution around the galaxies in our lens sample. Because the mass of the satellites is approximately spherically distributed around the BCG and is sub-dominant compared to the BCG's mass, we can still model the lensing signal of this component using the EG theory. How we model the satellite distribution and its effect on the lensing signal is described in Sections 2.2.3 and 4.3, respectively.

Figure 1.
The magnitude distribution of non-grouped galaxies (blue) and BCGs (red). The green dashed line indicates the selection that removes galaxies that might have a satellite beyond the visible magnitude limit. These hypothetical satellites have at most a fraction fL = 0.1 of the central galaxy luminosity, corresponding to the magnitude limit: mr < 17.3. We use this ‘nearby’ sample to obtain a reliable estimate of the satellite distribution around our centrals.
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The magnitude distribution of non-grouped galaxies (blue) and BCGs (red). The green dashed line indicates the selection that removes galaxies that might have a satellite beyond the visible magnitude limit. These hypothetical satellites have at most a fraction fL = 0.1 of the central galaxy luminosity, corresponding to the magnitude limit: mr < 17.3. We use this ‘nearby’ sample to obtain a reliable estimate of the satellite distribution around our centrals.
Because centrals are only classified as BCGs if their satellites are detected, whereas non-grouped galaxies are likely centrals with no observed satellites, we adopt the name ‘centrals’ for the combined sample of BCGs and non-grouped galaxies (i.e. all galaxies which are not satellites). As our lens sample, we select galaxies that dominate their surroundings in three ways: (i) they are centrals, i.e. not classified as satellites in the GAMA group catalogue; (ii) they have stellar masses below
1011h−270M⊙
1011h70−2M⊙

, since we find that galaxies with higher stellar mass have significantly more satellites (see Section 2.2.3); and (iii) they are not affected by massive neighbouring groups, i.e. there is no central galaxy within
3h−170Mpc
3h70−1Mpc

(which is the maximum radius of our lensing measurement, see Section 3). This last selection suppresses the contribution of neighbouring centrals (known as the ‘2-halo term’ in the standard DM framework) to our lensing signal, which is visible at scales above
∼1h−170Mpc
∼1h70−1Mpc

.

Furthermore, we only select galaxies with redshift quality nQ ≥ 3, in accordance with the standard recommendation by GAMA. After these four cuts (central, no neighbouring centrals,
M∗<1011h−270M⊙
M∗<1011h70−2M⊙

and nQ ≥ 3), our remaining sample of ‘isolated centrals’ amounts to 33 613 lenses.

Baryonic mass distribution

Because there exists no DM component in the Verlinde (2016) framework of EG, the gravitational potential originates only from the baryonic mass distribution. Therefore, in order to determine the lensing signal of our galaxies as predicted by EG (see Section 4), we need to know their baryonic mass distribution. In this work, we consider two possible models: the point mass approximation and an extended mass profile. We expect the point mass approximation to be valid, given that (i) the bulk mass of a galaxy is enclosed within the minimum radius of our measurement (
30h−170kpc
30h70−1kpc

) and (ii) our selection criteria ensure that our isolated centrals dominate the total mass distribution within the maximum radius of our measurement (
Rmax=3h−170Mpc
Rmax=3h70−1Mpc

). If these two assumptions hold, the entire mass distribution of the isolated centrals can be described by a simple point mass. This allows us to analytically calculate the lensing signal predicted by EG, based on only one observable: the galaxies’ mass Mg that consists of a stellar and a cold gas component. To assess the sensitivity of our interpretation to the mass distribution, we compare the predicted lensing signal of the point mass to that of an extended mass distribution. This more realistic extended mass profile consists of four components: stars, cold gas, hot gas and satellites, which all have an extended density profile. In the following sections, we review each component and make reasonable assumptions regarding their model profiles and corresponding input parameters.

Stars and cold gas

To determine the baryonic masses Mg of the GAMA galaxies, we use their stellar masses M* from version 19 of the stellar mass catalogue, an updated version of the catalogue created by Taylor et al. (2011). These stellar masses are measured from observations of the Sloan Digital Sky Survey (SDSS; Abazajian et al. 2009) and the VISTA Kilo-Degree Infrared Galaxy survey (VIKING; Edge et al. 2013), by fitting Bruzual & Charlot (2003) stellar population synthesis models to the ugrizZYJHK spectral energy distributions (constrained to the rest frame wavelength range 3000–11 000 Å). We correct M* for flux falling outside the automatically selected aperture using the ‘flux-scale’ parameter, following the procedure discussed in Taylor et al. (2011).

In these models, the stellar mass includes the mass locked up in stellar remnants, but not the gas recycled back into the interstellar medium. Because the mass distribution of gas in our galaxies is not measured, we can only obtain realistic estimates from literature. There are two contributions to consider: cold gas consisting of atomic hydrogen (H i), molecular hydrogen (H2) and helium and hot gas consisting of ionized hydrogen and helium. Most surveys find that the mass in cold gas is highly dependent on the galaxies’ stellar mass. For low-redshift galaxies (z < 0.5), the mass in H i (H2) ranges from 20 to 30 per cent (8–10 per cent) of the stellar mass for galaxies with M* = 1010 M⊙, dropping to 5 to 10 per cent (4–5 per cent) for galaxies with M* = 1011 M⊙ (Saintonge et al. 2011; Catinella et al. 2013; Boselli et al. 2014; Morokuma-Matsui & Baba 2015). Therefore, in order to estimate the mass of the cold gas component, we consider a cold gas fraction fcold that depends on the measured M* of our galaxies. We use the best-fitting scaling relation found by Boselli et al. (2014) using the Herschel Reference Survey (Boselli et al. 2010):

(1)
log(fcold)=log(Mcold/M∗)=−0.69log(M∗)+6.63.
log⁡(fcold)=log⁡(Mcold/M∗)=−0.69log⁡(M∗)+6.63.

In this relation, the total cold gas mass Mcold is defined as the combination of the atomic and molecular hydrogen gas, including an additional 30 per cent contribution of helium:
Mcold=1.3(MHI+MH2)
Mcold=1.3(MHI+MH2)

. With a maximum measured radius of ∼1.5 times the effective radius of the stellar component, the extent of the cold gas distribution is very similar to that of the stars (Pohlen et al. 2010; Crocker et al. 2011; Mentuch Cooper et al. 2012; Davis et al. 2013). We therefore consider the stars and cold gas to form a single galactic mass distribution with:
(2)
Mg=(M∗+Mcold)=M∗(1+fcold).
Mg=(M∗+Mcold)=M∗(1+fcold).

For both the point mass and the extended mass profile, we use this galactic mass Mg to predict the lensing signal in the EG framework.
In the point mass approximation, the total density distribution of our galaxies consists of a point source with its mass corresponding to the galactic mass Mg of the lenses. For the extended mass profile, we use Mg as an input parameter for the density profile of the ‘stars and cold gas’ component. Because starlight traces the mass of this component, we use the Sérsic intensity profile (Sérsic 1963; Sérsic 1968) as a reasonable approximation of the density:

(3)
IS(r)∝ρS(r)=ρeexp{−bn[(rre)1/n−1]}.
IS(r)∝ρS(r)=ρeexp⁡{−bn[(rre)1/n−1]}.

Here re is the effective radius, n is the Sérsic index and bn is defined such that Γ(2n) = 2γ(2n, bn). The Sérsic parameters were measured for 167 600 galaxies by Kelvin et al. (2012) on the United Kingdom Infrared Telescope (UKIRT) Infrared Deep Sky Survey Large Area Survey images from GAMA and the ugrizYJHK images of SDSS DR7 (where we use the parameter values as measured in the r-band). Of these galaxies, 69 781 are contained in our GAMA galaxy catalogue. Although not all galaxies used in this work (the 33,613 isolated centrals) have Sérsic parameter measurements, we can obtain a realistic estimate of the mean Sérsic parameter values of our chosen galaxy samples. We use re and n equal to the mean value of the galaxies for which they are measured within each sample, in order to model the density profile ρS(r) of each full galaxy sample. This profile is multiplied by the effective mass density ρe, which is defined such that the mass integrated over the full ρS(r) is equal to the mean galactic mass 〈Mg〉 of the lens sample. The mean measured values of the galactic mass and Sérsic parameters for our galaxy samples can be found in Table 1.
Table 1.
For each stellar mass bin, this table shows the number N and mean redshift 〈zl〉 of the galaxy sample. Next to these, it shows the corresponding measured input parameters of the ESD profiles in EG: the mean stellar mass 〈M*〉, galactic mass 〈Mg〉, effective radius 〈re〉, Sérsic index 〈n〉, satellite fraction 〈fsat〉 and satellite radius 〈rsat〉 of the centrals. All masses are displayed in units of
log10(M/h−270M⊙)
log10⁡(M/h70−2M⊙)

and all lengths in
h−170kpc
h70−1kpc

.
M★-bin N 〈zl〉 〈M*〉 〈Mg〉 〈re〉 〈n〉 〈fsat〉 〈rsat〉
8.5–10.5 14974 0.22 10.18 10.32 3.58 1.66 0.27 140.7
10.5–10.8 10500 0.29 10.67 10.74 4.64 2.25 0.25 143.9
10.8–10.9 4076 0.32 10.85 10.91 5.11 2.61 0.29 147.3
10.9–11 4063 0.33 10.95 11.00 5.56 3.04 0.32 149.0
Hot gas

Hot gas has a more extended density distribution than stars and cold gas and is generally modelled by the β-profile (e.g. Cavaliere & Fusco-Femiano 1976; Mulchaey 2000):

(4)
ρhot(r)=ρcore(1+(r/rcore)2)3β2,
ρhot(r)=ρcore(1+(r/rcore)2)3β2,

which provides a fair description of X-ray observations in clusters and groups of galaxies. In this distribution, rcore is the core radius of the hot gas. The outer slope is characterized by β, which, for a hydrostatic isothermal sphere, corresponds to the ratio of the specific energy in galaxies to that in the hot gas (see e.g. Mulchaey 2000, for a review). Observations of galaxy groups indicate β ∼ 0.6 (Sun et al. 2009). Fedeli et al. (2014) found similar results using the Overwhelmingly Large Simulations (OWLS; Schaye et al. 2010) for the range in stellar masses that we consider here (i.e. with
M∗∼1010−1011h−270M⊙
M∗∼1010−1011h70−2M⊙

). We therefore adopt β = 0.6. Moreover, Fedeli et al. (2014) estimate that the mass in hot gas is at most three times that in stars. As the X-ray properties from the OWLS model of active galactic nuclei match X-ray observations well (McCarthy et al. 2010), we adopt Mhot = 3〈M*〉. Fedeli et al. (2014) find that the simulations suggest a small core radius rcore (i.e. even smaller than the transition radius of the stars). This implies that ρhot(r) is effectively described by a single power law. Observations show a range in core radii, but typical values are tens of kiloparsecs (e.g. Mulchaey et al. 1996) for galaxy groups. We take rc = re, which is relatively small in order to give an upper limit; a larger value would reduce the contribution of hot gas and thus move the extended mass profile closer to the point mass case. We define the amplitude ρcore of the profile such that the mass integrated over the full ρhot(r) distribution is equal to the total hot gas mass Mhot.
Satellites

As described in Section 2.1, we use our nearby (mr < 17.3) sample of centrals (BCGs and non-grouped galaxies) to find that most of the non-grouped galaxies in the GAMA catalogue might not be truly isolated, but are likely to have satellites beyond the visible magnitude limit. Fortunately, satellites are a spherically distributed, sub-dominant component of the lens, which means that its (apparent) mass distribution can be described within EG. In order to assess the contribution of these satellites to our lensing signal, we first need to model their average baryonic mass distribution. We follow van Uitert et al. (2016) by modelling the density profile of satellites around the central as a double power law:2

(5)
ρsat(r)=ρsat(r/rsat)(1+r/rsat)2,
ρsat(r)=ρsat(r/rsat)(1+r/rsat)2,

where ρsat is the density and rsat the scale radius of the satellite distribution. The amplitude ρsat is chosen such that the mass integrated over the full profile is equal to the mean total mass in satellites
⟨Msat∗⟩
⟨M∗sat⟩

measured around our nearby sample of centrals. By binning these centrals according to their stellar mass
Mcen∗
M∗cen

, we find that for centrals within
109<Mcen∗<1011h−270M⊙
109<M∗cen<1011h70−2M⊙

, the total mass in satellites can be approximated by a fraction
fsat=⟨Msat∗⟩/⟨Mcen∗⟩∼0.2−0.3
fsat=⟨M∗sat⟩/⟨M∗cen⟩∼0.2−0.3

. However, for centrals with masses above
1011h−270M⊙
1011h70−2M⊙

, the satellite mass fraction rapidly rises to fsat ∼ 1 and higher. For this reason, we choose to limit our lens sample to galaxies below
1011h−270M⊙
1011h70−2M⊙

. As the value of the scale radius rsat, we pick the half-mass radius (the radius that contains half of the total mass) of the satellites around the nearby centrals. The mean measured mass fraction 〈fsat〉 and half-mass radius 〈rsat〉 of satellites around centrals in our four M*-bins can be found in Table 1.
LENSING MEASUREMENT

According to GR, the gravitational potential of a mass distribution leaves an imprint on the path of travelling photons. As discussed in Section 1, EG gives an effective description of GR (where the excess gravity from apparent DM detailed in Verlinde 2016 is an additional component). We therefore work under the assumption that a gravitational potential (including that of the predicted apparent DM distribution) has the exact same effect on light rays as in GR. Thus, by measuring the coherent distortion of the images of faraway galaxies (sources), we can reconstruct the projected (apparent) mass distribution (lens) between the background sources and the observer. In the case of GGL, a large sample of foreground galaxies acts as the gravitational lens (for a general introduction, see e.g. Bartelmann & Schneider 2001; Schneider, Kochanek & Wambsganss 2006). Because the distortion of the source images is only ∼1 per cent of their intrinsic shape, the tangential shear γt (which is the source ellipticity tangential to the line connecting the source and the centre of the lens) is averaged for many sources within circular annuli around the lens centre. This measurement provides us with the average shear 〈γt〉(R) as a function of projected radial distance R from the lens centres. In GR, this quantity is related to the excess surface density (ESD) profile ΔΣ(R). Using our earlier assumption, we can also use the same methodology to obtain the ESD of the apparent DM in the EG framework. The ESD is defined as the average surface mass density 〈Σ〉(<R) within R, minus the surface density Σ(R) at that radius:

(6)
ΔΣ(R)=⟨Σ⟩(<R)−Σ(R)=⟨γt⟩(R)Σcrit.
ΔΣ(R)=⟨Σ⟩(<R)−Σ(R)=⟨γt⟩(R)Σcrit.

Here Σcrit is the critical surface mass density at the redshift of the lens:
(7)
Σcrit=c24πGD(zs)D(zl)D(zl,zs),
Σcrit=c24πGD(zs)D(zl)D(zl,zs),

a geometrical factor that is inversely proportional to the strength of the lensing effect. In this equation, D(zl) and D(zs) are the angular diameter distances to the lens and source, respectively, and D(zl, zs) is the distance between the lens and the source.
For a more extensive discussion of the GGL method and the role of the KiDS and GAMA surveys therein, we refer the reader to previous KiDS-GAMA lensing papers: (Sifón et al. 2015, van Uitert et al. 2016, Brouwer et al. 2016) and especially section 3 of (Viola et al. 2015).

KiDS source galaxies

The background sources used in our GGL measurements are observed by KiDS (de Jong et al. 2013). The KiDS photometric survey uses the OmegaCAM instrument (Kuijken et al. 2011) on the VLT Survey Telescope (Capaccioli & Schipani 2011) that was designed to provide a round and uniform point spread function (PSF) over a square degree field of view, specifically with weak lensing measurements in mind. Of the currently available
454deg2
454deg2

area from the ‘KiDS-450’ data release (Hildebrandt et al. 2017), we use the
∼180deg2
∼180deg2

area that overlaps with the equatorial GAMA fields (Driver et al. 2011). After masking bright stars and image defects, 79 per cent of our original survey overlap remains (de Jong et al. 2015).

The photometric redshifts of the background sources are determined from ugri photometry as described in Kuijken et al. (2015) and Hildebrandt et al. (2017). Due to the bias inherent in measuring the source redshift probability distribution p(zs) of each individual source (as was done in the previous KiDS-GAMA studies), we instead employ the source redshift number distribution n(zs) of the full population of sources. The individual p(zs) is still measured, but only to find the ‘best’ redshift zB at the p(zs)-peak of each source. Following Hildebrandt et al. (2017), we limit the source sample to: zB < 0.9. We also use zB in order to select sources which lie sufficiently far behind the lens: zB > zl + 0.2. The n(zs) is estimated from a spectroscopic redshift sample, which is re-weighted to resemble the photometric properties of the appropriate KiDS galaxies for different lens redshifts (for details, see section 3 of van Uitert et al. 2016 and Hildebrandt et al. 2017). We use the n(z) distribution behind the lens for the calculation of the critical surface density from equation (7):

(8)
Σ−1crit=4πGc2D(zl)∫zl+0.2∞D(zl,zs)D(zs)n(zl,zs)dzs,
Σcrit−1=4πGc2D(zl)∫zl+0.2∞D(zl,zs)D(zs)n(zl,zs)dzs,

By assuming that the intrinsic ellipticities of the sources are randomly oriented, 〈γt〉 from equation (6) can be approximated by the average tangential ellipticity 〈εt〉 given by:
(9)
ϵt=−ϵ1cos(2ϕ)−ϵ2sin(2ϕ),
ϵt=−ϵ1cos⁡(2ϕ)−ϵ2sin⁡(2ϕ),

where ε1 and ε2 are the measured source ellipticity components and ϕ is the angle of the source relative to the lens centre (both with respect to the equatorial coordinate system). The measurement of the source ellipticities is performed on the r-band data, which is observed under superior observing conditions compared to the other bands (de Jong et al. 2015; Kuijken et al. 2015). The images are reduced by the theli pipeline (Erben et al. 2013 as described in Hildebrandt et al. 2017). The sources are detected from the reduced images using the SExtractor algorithm (Bertin & Arnouts 1996), whereafter the ellipticities of the source galaxies are measured using the improved self-calibrating lensfit code (Miller et al. 2007; Miller et al. 2013; Fenech Conti et al. 2016). Each shape is assigned a weight ws that reflects the reliability of the ellipticity measurement. We incorporate this lensfit weight and the lensing efficiency
Σ−1crit
Σcrit−1

into the total weight:
(10)
Wls=wsΣ−2crit,
Wls=wsΣcrit−2,

which is applied to each lens–source pair. This factor downweights the contribution of sources that have less reliable shape measurements and of lenses with a redshift closer to that of the sources (which makes them less sensitive to the lensing effect).
Inside each radial bin R, the weights and tangential ellipticities of all lens–source pairs are combined according to equation (6) to arrive at the ESD profile:

(11)
ΔΣ(R)=11+K罵sWlsϵtΣcrit,l罵sWls.
ΔΣ(R)=11+K罵sWlsϵtΣcrit,l罵sWls.

In this equation, K is the average correction of the multiplicative bias m on the lensfit shear estimates. The values of m are determined using image simulations (Fenech Conti et al. 2016) for eight tomographic redshift slices within 0.1 ≤ zB < 0.9 (Dvornik et al., in preparation). The average correction is computed for the lens–source pairs in each respective redshift slice as follows:
(12)
K=罵sWlsms罵sWls,
K=罵sWlsms罵sWls,

where the mean value of K over the entire source redshift range is −0.014.
We also correct the ESD for systematic effects that arise from the residual shape correlations due to PSF anisotropy. This results in non-vanishing contributions to the ESD signal on large scales and at the survey edges, because the averaging is not done over all azimuthal angles. This spurious signal can be determined by measuring the lensing signal around random points. We use ∼18 million locations from the GAMA random catalogue and find that the resulting signal is small (below 10 per cent for scales up to
∼1h−170Mpc
∼1h70−1Mpc

). We subtract the lensing signal around random locations from all measured ESD profiles.

Following previous KiDS-GAMA lensing papers, we measure the ESD profile for 10 logarithmically spaced radial bins within
0.02<R<2h−1100Mpc
0.02<R<2h100−1Mpc

, where our estimates of the signal and uncertainty are thoroughly tested.3 However, since we work with the h ≡ h70 definition, we use the approximately equivalent
0.03<R<3h−170Mpc
0.03<R<3h70−1Mpc

as our radial distance range. The errors on the ESD values are given by the diagonal of the analytical covariance matrix. Section 3.4 of Viola et al. (2015) includes the computation of the analytical covariance matrix and shows that up to a projected radius of
R=2h−1100Mpc
R=2h100−1Mpc

, the square root of the diagonal is in agreement with the error estimate from bootstrapping.

LENSING SIGNAL PREDICTION

According to Verlinde (2016), the gravitational potential Φ(r) caused by the enclosed baryonic mass distribution Mb(r) exceeds that of GR on galactic and larger scales. In addition to the normal GR contribution of Mb(r) to Φ(r), there exists an extra gravitational effect. This excess gravity arises due to a volume law contribution to the entropy that is associated with the positive dark energy in our Universe. In a universe without matter, the total entropy of the dark energy would be maximal, as it would be non-locally distributed over all available space. In our Universe, on the other hand, any baryonic mass distribution Mb(r) reduces the entropy content of the Universe. This removal of entropy due to matter produces an elastic response of the underlying microscopic system, which can be observed on galactic and larger scales as an additional gravitational force. Although this excess gravity does not originate from an actual DM contribution, it can be effectively described by an apparent DM distribution MD(r).

The apparent DM formula

Verlinde (2016) determines the amount of apparent DM by estimating the elastic energy associated with the entropy displacement caused by Mb(r). This leads to the following relation:4:

(13)
∫r0ε2D(r′)A(r′)dr′=VMb(r),
∫0rεD2(r′)A(r′)dr′=VMb(r),

where we integrate over a sphere with radius r and area A(r) = 4πr2. The strain εD(r) caused by the entropy displacement is given by
(14)
εD(r)=8πGcH0MD(r)A(r),
εD(r)=8πGcH0MD(r)A(r),

where c is the speed of light, G the gravitational constant and H0 the present-day Hubble constant (which we choose to be H0 = 70 km s−1Mpc−1). Furthermore,
VMb(r)
VMb(r)

is the volume that would contain the amount of entropy that is removed by a mass Mb inside a sphere of radius r, if that volume were filled with the average entropy density of the universe:
(15)
VMb(r)=8πGcH0Mb(r)r3.
VMb(r)=8πGcH0Mb(r)r3.

Now inserting the relations (14) and (15) into (13) yields:
(16)
∫r0GM2D(r′)r′2dr′=Mb(r)rcH06.
∫0rGMD2(r′)r′2dr′=Mb(r)rcH06.

Finally, by taking the derivative with respect to r on both sides of the equation, one arrives at the following relation:
(17)
M2D(r)=cH0r26Gd(Mb(r)r)dr.
MD2(r)=cH0r26Gd(Mb(r)r)dr.

This is the apparent DM formula from Verlinde (2016) that translates a baryonic mass distribution into an apparent DM distribution. This apparent DM only plays a role in the regime where the elastic response of the entropy of dark energy SDE takes place: where
V(r)>VMb(r)
V(r)>VMb(r)

, i.e. SDE ∝ V(r) is large compared to the entropy that is removed by Mb(r) within our radius r. By substituting equation (15) into this condition, we find that this is the case when:
(18)
r>2GcH0Mb(r)−−−−−−−−−√.
r>2GcH0Mb(r).

For a lower limit on this radius for our sample, we can consider a point source with a mass of
M=1010h−270M⊙
M=1010h70−2M⊙

, close to the average mass 〈Mg〉 of galaxies in our lowest stellar mass bin. In this simple case, the regime starts when
r>2h−170kpc
r>2h70−1kpc

. This shows that our observations (which start at
30h−170kpc
30h70−1kpc

) are well within the EG regime.
However, it is important to keep in mind that this equation does not represent a new fundamental law of gravity, but is merely a macroscopic approximation used to describe an underlying microscopic phenomenon. Therefore, this equation is only valid under the specific set of circumstances that have been assumed for its derivation. In this case, the system considered was a static, spherically symmetric and isolated baryonic mass distribution. With these limitations in mind, we have selected our galaxy sample to meet these criteria as closely as possible (see Section 2.1).

Finally, we note that in order to test the EG predictions with gravitational lensing, we need to make some assumptions about the used cosmology (as discussed in Section 1). These concern the geometric factors in the lensing equation (equation 7) and the evolution of the Hubble constant (which enters in equation 17 for the apparent DM). We assume that if EG is to be a viable theory, it should predict an expansion history that agrees with the current supernova data (Riess, Press & Kirshner 1996; Kessler et al. 2009; Betoule et al. 2014), specifically over the redshift range that is relevant for our lensing measurements (0.2 < zs < 0.9). If this is the case, the angular diameter distance–redshift relation is similar to what is used in ΛCDM. We therefore adopt a ΛCDM background cosmology with Ωm = 0.315 and ΩΛ = 0.685, based on the Planck Collaboration XIII (2016) measurements. Regarding H0 in equation (17), we note that a Hubble parameter that changes with redshift is not yet implemented in the EG theory. However, for the lens redshifts considered in this work (〈zl〉 ∼ 0.2), the difference resulting from using H0 or H(zl) to compute the lensing signal prediction is ∼5 per cent. This means that considering the statistical uncertainties in our measurements (≳40 per cent, see e.g. Fig. 2), our choice to use H0 = 70 km s−1Mpc−1 instead of an evolving H(zl) has no significant effect on the results of this work.

Figure 2.
The ESD profile predicted by EG for isolated centrals, both in the case of the point mass approximation (dark red, solid) and the extended galaxy model (dark blue, solid). The former consists of a point source with the mass of the stars and cold gas component (red), with the lensing signal evaluated for both the baryonic mass (dash–dotted) and the apparent DM (dashed). The latter consists of a stars and cold gas component modelled by a Sérsic profile (blue), a hot gas component modelled by a β-profile (magenta) and a satellite distribution modelled by a double power law (orange), all with the lensing signal evaluated for both the baryonic mass (dash–dotted) and the apparent DM (dashed). Note that the total ESD of the extended mass distribution is not equal to the sum of its components, due to the non-linear conversion from baryonic mass to apparent DM. All profiles are shown for our highest mass bin ($10^{10.9} < M_{\ast } < 10^{11} \,h_{70}^{-2}\,{\rm M_{\odot }}$), but the difference between the two models is similar for the other galaxy sub-samples. The difference between the ESD predictions of the two models is comparable to the median 1σ uncertainty on our lensing measurements (illustrated by the grey band).
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The ESD profile predicted by EG for isolated centrals, both in the case of the point mass approximation (dark red, solid) and the extended galaxy model (dark blue, solid). The former consists of a point source with the mass of the stars and cold gas component (red), with the lensing signal evaluated for both the baryonic mass (dash–dotted) and the apparent DM (dashed). The latter consists of a stars and cold gas component modelled by a Sérsic profile (blue), a hot gas component modelled by a β-profile (magenta) and a satellite distribution modelled by a double power law (orange), all with the lensing signal evaluated for both the baryonic mass (dash–dotted) and the apparent DM (dashed). Note that the total ESD of the extended mass distribution is not equal to the sum of its components, due to the non-linear conversion from baryonic mass to apparent DM. All profiles are shown for our highest mass bin (
1010.9<M∗<1011h−270M⊙
1010.9<M∗<1011h70−2M⊙

), but the difference between the two models is similar for the other galaxy sub-samples. The difference between the ESD predictions of the two models is comparable to the median 1σ uncertainty on our lensing measurements (illustrated by the grey band).
From equation (17), we now need to determine the ESD profile of the apparent DM distribution, in order to compare the predictions from EG to our measured GGL profiles. The next steps towards this ΔΣEG(R) depend on our assumptions regarding the baryonic mass distribution of our lenses. We compute the lensing signal in EG for two models (which are discussed in Section 2.2): the point mass approximation and the more realistic extended mass distribution.

Point mass approximation

In this work, we measure the ESD profiles of galaxies at projected radial distances
R>30h−170kpc
R>30h70−1kpc

. If we assume that beyond this distance, the galaxy is almost entirely enclosed within the radius r, we can approximate the enclosed baryonic mass as a constant: Mb(r) = Mb. Re-writing equation (17) accordingly yields:

(19)
MD(r)=cH06G−−−−√rMb−−−√≡CDrMb−−−√,
MD(r)=cH06GrMb≡CDrMb,

where CD is a constant factor determined by c, G and H0. In order to calculate the resulting ΔΣD(R), we first need to determine the spherical density distribution ρD(r). Under the assumption of spherical symmetry, we can use:
(20)
ρD(r)=14πr2dMD(r)dr=CDMb−−−√4πr2.
ρD(r)=14πr2dMD(r)dr=CDMb4πr2.

We calculate the corresponding surface density ΣD(R) as a function of projected distance R in the cylindrical coordinate system (R, ϕ, z), where z is the distance along the line of sight and r2 = R2 + z2, such that:
(21)
ΣD(R)=∫−∞∞ρD(R,z)dz.
ΣD(R)=∫−∞∞ρD(R,z)dz.

Substituting ρD(R, z) provides the surface density of the apparent DM distribution associated with our point mass:
(22)
ΣD(R)=CDMb−−−√4π2∫0∞dzR2+z2=CDMb−−−√4R.
ΣD(R)=CDMb4π2∫0∞dzR2+z2=CDMb4R.

We can now use equation (6) to find the ESD:
(23)
ΔΣ(R)==⟨Σ⟩(<R)−Σ(R)2π∫R0Σ(R′)R′dR′πR2−Σ(R).
ΔΣ(R)=⟨Σ⟩(<R)−Σ(R)=2π∫0RΣ(R′)R′dR′πR2−Σ(R).

In the case of our point mass:
(24)
ΔΣD(R)=CDMb−−−√2R−CDMb−−−√4R=CDMb−−−√4R,
ΔΣD(R)=CDMb2R−CDMb4R=CDMb4R,

which happens to be equal to ΣD(R) from equation (22).5
Apart from the extra contribution from the apparent DM predicted by EG, we also need to add the standard GR contribution from baryonic matter to the ESD. Under the assumption that the galaxy is a point mass we know that Σb(R) = 0 for R > 0, and that the integral over Σb(R) must give the total mass Mb of the galaxy. Substituting this into equation (23) gives us

(25)
ΔΣb(R)=MbπR2.
ΔΣb(R)=MbπR2.

Ultimately, the total ESD predicted by EG in the point mass approximation is
(26)
ΔΣEG(R)=ΔΣb(R)+ΔΣD(R),
ΔΣEG(R)=ΔΣb(R)+ΔΣD(R),

where the contributions are the ESDs of a point source with mass Mg of our galaxies, both in GR and EG.
Extended mass distribution

The above derivation only holds under the assumption that our galaxies can be considered point masses. To test whether this is justified, we wish to compare the point mass prediction to a more realistic lens model. This model includes the extended density profile for stars, cold gas, hot gas and satellites as described in Section 2.2. To determine the ESD profile of the extended galaxy model as predicted by EG, we cannot perform an analytical calculation as we did for the point mass approximation. Instead, we need to calculate the apparent DM distribution
MextD(r)
MDext(r)

and the resulting
ΔΣextD(R)
ΔΣDext(R)

numerically for the sum of all baryonic components. We start out with the total spherical density distribution
ρextb(r)
ρbext(r)

of all components:

(27)
ρextb(r)=ρSb(r)+ρhotb(r)+ρsatb(r),
ρbext(r)=ρbS(r)+ρbhot(r)+ρbsat(r),

where the respective contributions are: the Sérsic model for stars and cold gas, the β-profile for hot gas and the double power law for satellites. We numerically convert this to the enclosed mass distribution:
(28)
Mextb(r)=4π∫0rρextb(r′)r′2dr′.
Mbext(r)=4π∫0rρbext(r′)r′2dr′.

We rewrite equation (17) in order to translate
Mextb(r)
Mbext(r)

to its corresponding distribution of apparent DM in EG:
(29)
MextD(r)=CDrdMextb(r)rdr−−−−−−−−−√,
MDext(r)=CDrdMbext(r)rdr,

which is numerically converted into the apparent DM density distribution
ρextD(r)
ρDext(r)

by substituting
MextD(r)
MDext(r)

into equation (20).
The projected surface density
ΣextD(R)
ΣDext(R)

from equation (21) is calculated by computing the value of
ρextD(R,z)
ρDext(R,z)

in cylindrical coordinates for 103 values of z and integrating over them. The last step towards computing the ESD profile is the subtraction of
ΣextD(R)
ΣDext(R)

from the average surface density within R, as in equation (23), where
⟨ΣextD⟩(<R)
⟨ΣDext⟩(<R)

is calculated by performing the cumulative sum over
2πRΣextD(R)
2πRΣDext(R)

and dividing the result by its cumulative area. In addition to the lensing signal from apparent DM, we need to include the baryonic ESD profile. We numerically compute
ΔΣextb(R)
ΔΣbext(R)

from
ρextb(r)
ρbext(r)

in the same way as we computed
ΔΣextD(R)
ΔΣDext(R)

from
ρextD(r)
ρDext(r)

. This makes the total ESD predicted by EG for the extended mass distribution:

(30)
ΔΣextEG(R)=ΔΣextb(R)+ΔΣextD(R).
ΔΣEGext(R)=ΔΣbext(R)+ΔΣDext(R).

When considering the resulting ESD profiles of the extended density models, we must keep in mind that they only represent reasonable estimates that contain uncertainties for two different reasons.

The extended baryonic density distribution of each component is approximated using reasonable assumptions on the used model profiles and their corresponding input parameters. These assumptions are based on observations of the galaxies in our sample and of other galaxies and also on simulations. Although we try to find suitable input parameters corresponding to the measured stellar mass of our galaxy samples, we cannot be certain that our modelled density distributions are completely correct.
We cannot model the extended density distribution for each individual GAMA galaxy, but have to assume one average profile per lens sample (based on the average stellar mass 〈M*〉 of that sample). Translating the extended baryonic mass model to the lensing profile of its corresponding apparent DM distribution (as explained above) is a highly non-linear operation. Therefore, we cannot be certain that the calculated lensing profile of an average density distribution is exactly the same as the lensing profile of all individual galaxies combined, although these would only differ greatly in the unlikely case that there is a large spread in the input parameters of the extended mass profiles within each stellar mass sub-sample.
For these two reasons, we cannot use the average profile as a reliable model for the apparent DM lensing signal of our galaxy samples. In the point mass approximation, we do have the measured input parameter (the stellar mass) for each individual galaxy and we can compute the apparent DM lensing profile for each individual galaxy. However, this approach can only be used when the contribution from hot gas and satellites is small. We therefore compare our estimate of the apparent DM lensing profile of the extended mass distribution to that of the point masses, to assess the error margins in our EG prediction.

The total ESD profile predicted for the extended density distribution, and that of each component,6 is shown in Fig. 2. We only show the profiles for the galaxies in our highest stellar mass bin:
1010.9<M∗<1011h−270M⊙
1010.9<M∗<1011h70−2M⊙

, but since the relations between the mass in hot gas, satellites and their galaxies are approximately linear, the profiles look similar for the other sub-samples. At larger scales, we find that the point mass approximation predicts a lower ESD than the extended mass profile. However, the difference between the ΔΣ(R) predictions of these two models is comparable to the median 1σ uncertainty on the ESD of our sample (which is illustrated by the grey band in Fig. 2). We conclude that given the current statistical uncertainties in the lensing measurements, the point mass approximation is adequate for isolated centrals within the used radial distance range (
0.03<R<3h−170Mpc
0.03<R<3h70−1Mpc

).

RESULTS

We measure the ESD profiles (following Section 3) of our sample of isolated centrals, divided into four sub-samples of increasing stellar mass. The boundaries of the M*-bins:
log(M∗/h−270M⊙)=[8.5,10.5,10.8,10.9,11.0]
log⁡(M∗/h70−2M⊙)=[8.5,10.5,10.8,10.9,11.0]

, are chosen to maintain an approximately equal signal to noise in each bin. Fig. 3 shows the measured ESD profiles (with 1σ error bars) of galaxies in the four M*-bins. Together with these measurements, we show the ESD profile predicted by EG, under the assumption that our isolated centrals can be considered point masses at scales within
0.03<R<3h−170Mpc
0.03<R<3h70−1Mpc

. The masses Mg of the galaxies in each bin serve as input in equation (26) that provides the ESD profiles predicted by EG for each individual galaxy. The mean baryonic masses of the galaxies in each M*-bin can be found in Table 1. The ESDs of the galaxies in each sample are averaged to obtain the total ΔΣEG(R). It is important to note that the shown EG profiles do not contain any free parameters: both their slope and amplitudes are fixed by the prediction from the EG theory (as stated in equation 17) and the measured masses Mg of the galaxies in each M*-bin. Although this is only a first attempt at testing the EG theory using lensing data, we can perform a very simple comparison of this prediction with both the lensing observations and the prediction from the standard ΛCDM model.

Figure 3.
The measured ESD profiles of isolated centrals with 1σ error bars (black), compared to those predicted by EG in the point source mass approximation (blue) and for the extended mass profile (blue, dashed). Note that none of these predictions are fitted to the data: they follow directly from the EG theory by substitution of the baryonic masses Mg of the galaxies in each sample (and, in the case of the extended mass profile, reasonable assumptions for the other baryonic mass distributions). The mean measured galaxy mass is indicated at the top of each panel. For comparison, we show the ESD profile of a simple NFW profile as predicted by GR (red), with the DM halo mass Mh fitted as a free parameter in each stellar mass bin.
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The measured ESD profiles of isolated centrals with 1σ error bars (black), compared to those predicted by EG in the point source mass approximation (blue) and for the extended mass profile (blue, dashed). Note that none of these predictions are fitted to the data: they follow directly from the EG theory by substitution of the baryonic masses Mg of the galaxies in each sample (and, in the case of the extended mass profile, reasonable assumptions for the other baryonic mass distributions). The mean measured galaxy mass is indicated at the top of each panel. For comparison, we show the ESD profile of a simple NFW profile as predicted by GR (red), with the DM halo mass Mh fitted as a free parameter in each stellar mass bin.
Model comparison

In standard GGL studies performed within the ΛCDM framework, the measured ESD profile is modelled by two components: the baryonic mass of the galaxy and its surrounding DM halo. The baryonic component is often modelled as a point source with the mean baryonic mass of the galaxy sample, whereas the DM halo component usually contains several free parameters, such as the mass and concentration of the halo, which are evaluated by fitting a model to the observed ESD profiles. Motivated by N-body simulations, the DM halo is most frequently modelled by the NFW density profile (Navarro et al. 1995), very similar to the double power law in equation (5). This profile has two free parameters: the halo mass Mh that gives the amplitude and the scale radius rs that determines where the slope changes. Following previous GAMA-KiDS lensing papers (see e.g. Sifón et al. 2015; Viola et al. 2015; Brouwer et al. 2016; van Uitert et al. 2016), we define Mh as M200: the virial mass contained within r200, and we define the scale radius in terms of the concentration: c ≡ r200/rs. In these definitions, r200 is the radius that encloses a density of 200 times ρm(z), the average matter density of the Universe. Using the Duffy et al. (2008) mass–concentration relation, we can define c in terms of Mh. We translate the resulting density profile that depends exclusively on the DM halo mass, into the projected ESD distribution following the analytical description of Wright & Brainerd (2000). We combine this NFW model with a point mass that models the baryonic galaxy component (as in equation 25). Because our lens selection minimizes the contribution from neighbouring centrals (see Section 2.1), we do not need to add a component that fits the 2-halo term. We fit the NFW model to our measured ESD profiles using the emcee sampler (Foreman-Mackey et al. 2013) with 100 walkers performing 1000 steps. The model returns the median posterior values of Mh (including 16th and 84th percentile error margins) displayed in Table 2. The best-fitting ESD profile of the NFW model (including 16th and 84th percentile bands) is shown in Fig. 3.

Table 2.
For each stellar mass bin, this table shows the median values (including 16th and 84th percentile error margins) of the halo mass Mh obtained by the NFW fit and the ‘best’ amplitude AB that minimizes the χ2 if the EG profile were multiplied by it (for the point mass and extended mass profile). The halo masses are displayed in units of
log10(M/h−270M⊙)
log10⁡(M/h70−2M⊙)

.
M★-bin Mh AB
AextB
ABext


8.5–10.5
12.15+0.10−0.11
12.15−0.11+0.10


1.36+0.21−0.21
1.36−0.21+0.21


1.21+0.19−0.19
1.21−0.19+0.19


10.5–10.8
12.45+0.10−0.11
12.45−0.11+0.10


1.32+0.19−0.19
1.32−0.19+0.19


1.20+0.18−0.18
1.20−0.18+0.18


10.8–10.9
12.43+0.17−0.22
12.43−0.22+0.17


1.07+0.27−0.27
1.07−0.27+0.27


0.94+0.25−0.25
0.94−0.25+0.25


10.9–11
12.62+0.13−0.16
12.62−0.16+0.13


1.33+0.25−0.26
1.33−0.26+0.25


1.20+0.23−0.24
1.20−0.24+0.23


For both the ΔΣEG predicted by EG (in the point source approximation) and the simple NFW fit ΔΣNFW, we can compare the ΔΣmod of the model with the observed ΔΣobs by calculating the χ2 value:

(31)
χ2=(ΔΣobs−ΔΣmod)⊺⋅C−1(ΔΣobs−ΔΣmod),
χ2=(ΔΣobs−ΔΣmod)⊺⋅C−1(ΔΣobs−ΔΣmod),

where C−1 is the inverse of the analytical covariance matrix (see Section 3). From this quantity, we can calculate the reduced χ2 statistic:7
χ2red=χ2/NDOF
χred2=χ2/NDOF

. It depends on the number of degrees of freedom (DOF) of the model: NDOF = Ndata − Nparam, where Ndata is the number of data points in the measurement and Nparam is the number of free parameters. Due to our choice of 10 R-bins and 4 M*-bins, we use 4 × 10 = 40 data points. In the case of EG, there are no free parameters, which means
NEGDOF=40
NDOFEG=40

. Our simple NFW model has one free parameter Mh for each M*-bin, resulting in
NNFWDOF=40−4=36
NDOFNFW=40−4=36

. The resulting total
χ2red
χred2

over the four M*-bins is 44.82/40 = 1.121 for EG and 33.58/36 = 0.933 for the NFW fit. In other words, both the NFW and EG prediction agree quite well with the measured ESD profile, where the NFW fit has a slightly better
χ2red
χred2

value. Since the NFW profile is an empirical description of the surface density of virialized systems, the apparent correspondence of both the NFW fit and the EG prediction with the observed ESD essentially reflects that the predicted EG profile roughly follows that of virialized systems.
A more appropriate way to compare the two models, however, is in the Bayesian framework. We use a very simple Bayesian approach by computing the Bayesian Information Criterion (BIC; Schwarz 1978). This criterion, which is based on the maximum likelihood
Lmax
Lmax

of the data given a model, penalizes model complexity more strongly than the
χ2red
χred2

. This model comparison method is closely related to other information criteria such as the Akaike Information Criterion (AIK; Akaike 1973) which have become popular because they only require the likelihood at its maximum value, rather than in the whole parameter space, to perform a model comparison (see e.g. Liddle 2007). This approximation only holds when the posterior distribution is Gaussian and the data points are independent. Calculating the BIC, which is defined as:

(32)
BIC=−2ln(Lmax)+Nparamln(Ndata),
BIC=−2ln⁡(Lmax)+Nparamln⁡(Ndata),

allows us to consider the relative evidence of two competing models, where the one with the lowest BIC is preferred. The difference ΔBIC gives the significance of evidence against the higher BIC, ranging from ‘0 - 2: Not worth more than a bare mention’ to ‘>10: Very strong’ (Kass & Raftery 1995). In the Gaussian case, the likelihood can be rewritten as:
−2ln(Lmax)=χ2
−2ln⁡(Lmax)=χ2

. Using this method, we find that BICEG = 44.82 and BICNFW = 48.33. This shows that, when the number of free parameters is taken into account, the EG model performs at least as well as the NFW fit. However, in order to really distinguish between these two models, we need to reduce the uncertainties in our measurement, in our lens modelling, and in the assumptions related to EG theory and halo model.
In order to further assess the quality of the EG prediction across the M*-range, we determine the ‘best’ amplitude AB and index nB: the factors that minimize the χ2 statistic when we fit:

(33)
ΔΣEG(AB,nB,R)=ABCDMb−−−√4(Rh−170kpc)−nB,
ΔΣEG(AB,nB,R)=ABCDMb4(Rh70−1kpc)−nB,

We find that the slope of the EG prediction is very close to the observed slope of the ESD profiles, with a mean value of
⟨nB⟩=1.01+0.02−0.03
⟨nB⟩=1.01−0.03+0.02

. In order to obtain better constraints on AB, we set nB = 1. The values of AB (with 1σ errors) for the point mass are shown in Table 2. We find the amplitude of the point mass prediction to be consistently lower than the measurement. This is expected since the point mass approximation only takes the mass contribution of the central galaxy into account, and not that of extended components like hot gas and satellites (described in Section 2.2). However, the ESD of the extended profile (which is shown in Fig. 3 for comparison) does not completely solve this problem. When we determine the best amplitude for the extended mass distribution by scaling its predicted ESD, we find that the values of
AextB
ABext

are still larger than 1, but less so than for the point mass (at a level of ∼1σ, see Table 2). Nevertheless, the comparison of the extended ESD with the measured lensing profile yields a slightly higher reduced χ2: 45.50/40 = 1.138. However, accurately predicting the baryonic and apparent DM contribution of the extended density distribution is challenging (see Section 4.3). Therefore, the extended ESD profile can primarily be used as an indication of the uncertainty in the lens model.
CONCLUSION

Using the
∼180deg2
∼180deg2

overlap of the KiDS and GAMA surveys, we present the first test of the theory of EG proposed in Verlinde (2016) using weak gravitational lensing. In this theory, there exists an additional component to the gravitational potential of a baryonic mass, which can be described as an apparent DM distribution. Because the prediction of the apparent DM profile as a function of baryonic mass is currently only valid for static, spherically symmetric and isolated mass distributions, we select 33,613 central galaxies that dominate their surrounding mass distribution, and have no other centrals within the maximum radius of our measurement (
Rmax=3h−170Mpc
Rmax=3h70−1Mpc

). We model the baryonic matter distribution of our galaxies using two different assumptions for their mass distribution: the point mass approximation and the extended mass profile. In the point mass approximation we assume that the bulk of the galaxy's mass resides within the minimum radius of our measurement (
Rmin=30h−170kpc
Rmin=30h70−1kpc

), and model the lens as a point source with the mass of the stars and cold gas of the galaxy. For the extended distribution, we not only model the stars and cold gas component as a Sérsic profile, but also try to make reasonable estimates of the extended hot gas and satellite distributions. We compute the lensing profiles of both models and find that, given the current statistical uncertainties in our lensing measurements, both models give an adequate description of isolated centrals. In this regime (where the mass distribution can be approximated by a point mass) the lensing profile of apparent DM in EG is the same as that of the excess gravity in MOND,8 for the specific value a0 = cH0/6.

When computing the observed and predicted ESD profiles, we need to make several assumptions concerning the EG theory. The first is that, because EG gives an effective description of GR in empty space, the effect of the gravitational potential on light rays remains unchanged. This allows us to use the regular gravitational lensing formalism to measure the ESD profiles of apparent DM in EG. Our second assumption involves the used background cosmology. Because EG is only developed for present-day de Sitter space, we need to assume that the evolution of cosmological distances is approximately equal to that in ΛCDM, with the cosmological parameters as measured by the Planck Collaboration XIII (2016). For the relatively low redshifts used in this work (0.2 < zs < 0.9), this is a reasonable assumption. The third assumption is the value of H0 that we use to calculate the apparent DM profile from the baryonic mass distribution. In an evolving universe, the Hubble parameter H(z) is expected to change as a function of the redshift z. This evolution is not yet implemented in EG. Instead it uses the approximation that we live in a dark energy dominated universe, where H(z) resembles a constant. We follow Verlinde (2016) by assuming a constant value, in our case: H0 = 70 km s−1Mpc−1, which is reasonable at a mean lens redshift of 〈zl〉 ∼ 0.2. However, in order to obtain a more accurate prediction for the cosmology and the lensing signal in the EG framework, all these issues need to be resolved in the future.

Using the mentioned assumptions, we measure the ESD profiles of isolated centrals in four different stellar mass bins, and compare these with the ESD profiles predicted by EG. They exhibit a remarkable agreement, especially considering that the predictions contain no free parameters: both the slope and the amplitudes within the four M*-bins are completely fixed by the EG theory and the measured baryonic masses Mg of the galaxies. In order to perform a very simple comparison with ΛCDM, we fit the ESD profile of a simple NFW distribution (combined with a baryonic point mass) to the measured lensing profiles. This NFW model contains one free parameter, the halo mass Mh, for each stellar mass bin. We compare the reduced χ2 of the NFW fit (which has 4 free parameters in total) with that of the prediction from EG (which has no free parameters). Although the NFW fit has fewer degrees of freedom (which slightly penalizes
χ2red
χred2

) the reduced χ2 of this model is slightly lower than that of EG, where
χ2red,NFW=0.933
χred,NFW2=0.933

and
χ2red,EG=1.121
χred,EG2=1.121

in the point mass approximation. For both theories, the value of the reduced χ2 is well within reasonable limits, especially considering the very simple implementation of both models. The fact that our observed density profiles resemble both NFW profiles and the prediction from EG, suggests that this theory predicts a phenomenology very similar to a virialized DM halo. Using the Bayesian Information Criterion, we find that BICEG = 44.82 and BICNFW = 48.33. These BIC values imply that taking the number of data points and free parameters into account, the EG prediction describes our data at least as well as the NFW fit. However, a thorough and fair comparison between ΛCDM and EG would require a more sophisticated implementation of both theories and a full Bayesian analysis that properly takes the free parameters and priors of the NFW model into account. None the less, given that the model uncertainties are also addressed, future data should be able to distinguish between the two theories.

We propose that this analysis should not only be carried out for this specific case, but on multiple scales and using a variety of different probes. From comparing the predictions of EG to observations of isolated centrals, we need to expand our studies to the scales of larger galaxy groups, clusters and eventually to cosmological scales: the cosmic web, BAOs and the CMB power spectrum. Furthermore, there are various challenges for EG, especially concerning observations of dynamical systems such as the Bullet Cluster (Randall et al. 2008) where the dominant mass component appears to be separate from the dominant baryonic component. There is also ongoing research to assess whether there exists an increasing mass-to-light ratio for galaxies of later type (Martinsson et al. 2013), which might challenge EG if confirmed. We conclude that although this first result is quite remarkable, it is only a first step. There is still a long way to go, for both the theoretical groundwork and observational tests, before EG can be considered a fully developed and solidly tested theory. In this first GGL study, however, EG appears to be a good parameter-free description of our observations.

M. Brouwer and M. Visser would like to thank Erik Verlinde for helpful clarifications and discussions regarding his EG theory. We also thank the anonymous referee for the useful comments that helped to improve this paper.

The work of M. Visser was supported by the European Research Council (ERC) Advanced Grant 268088-EMERGRAV, and is part of the Delta Institute for Theoretical Physics (ITP) consortium, a program of the Netherlands Organisation for Scientific Research (NWO). M. Bilicki, H. Hoekstra and C. Sifon acknowledge support from the ERC under FP7 grant number 279396. K. Kuijken is supported by the Alexander von Humboldt Foundation. M. Bilicki acknowledges support from the NWO through grant number 614.001.103. H. Hildebrandt is supported by an Emmy Noether grant (No. Hi 1495/2-1) of the Deutsche Forschungsgemeinschaft. R. Nakajima acknowledges support from the German Federal Ministry for Economic Affairs and Energy (BMWi) provided via DLR under project no. 50QE1103. Dominik Klaes is supported by the Deutsche Forschungsgemeinschaft in the framework of the TR33 ‘The Dark Universe’.

This research is based on data products from observations made with ESO Telescopes at the La Silla Paranal Observatory under programme IDs 177.A-3016, 177.A-3017 and 177.A-3018, and on data products produced by Target OmegaCEN, INAF-OACN, INAF-OAPD and the KiDS production team, on behalf of the KiDS consortium. OmegaCEN and the KiDS production team acknowledge support by NOVA and NWO-M grants. Members of INAF-OAPD and INAF-OACN also acknowledge the support from the Department of Physics and Astronomy of the University of Padova, and of the Department of Physics of Univ. Federico II (Naples).

GAMA is a joint European-Australasian project based around a spectroscopic campaign using the Anglo-Australian Telescope. The GAMA input catalogue is based on data taken from the Sloan Digital Sky Survey and the UKIRT Infrared Deep Sky Survey. Complementary imaging of the GAMA regions is being obtained by a number of independent survey programs including GALEX MIS, VST KiDS, VISTA VIKING, WISE, Herschel-ATLAS, GMRT and ASKAP providing UV to radio coverage. GAMA is funded by the STFC (UK), the ARC (Australia), the AAO and the participating institutions. The GAMA website is www.gama-survey.org.

This work has made use of python (www.python.org), including the packages numpy (www.numpy.org), scipy (www.scipy.org) and ipython (Pérez & Granger 2007). Plots have been produced with matplotlib (Hunter 2007).

All authors contributed to the development and writing of this paper. The authorship list is given in three groups: the lead authors (M. Brouwer and M. Visser), followed by two alphabetical groups. The first alphabetical group includes those who are key contributors to both the scientific analysis and the data products. The second group covers those who have either made a significant contribution to the data products or to the scientific analysis.

1
These are all galaxies with redshift quality nQ ≥ 2. However, the recommended redshift quality of GAMA (that we use in our analysis) is nQ ≥ 3.
2
Although this double power law is mathematically equivalent to the Navarro–Frenk–White (NFW) profile (Navarro, Frenk & White 1995) that describes virialized DM haloes, it is, in our case, not related to any (apparent) DM distribution. It is merely an empirical fit to the measured distribution of satellite galaxies around their central galaxy.
3
Viola et al. (2015) used the following definition of the reduced Hubble constant: h ≡ h100 = H0/(100 km s−1 Mpc−1).
4
Although Verlinde (2016) derives his relations for an arbitrary number of dimensions d; for the derivation in this paper, we restrict ourselves to four space–time dimensions.
5
Note that the ESD of the apparent DM distribution,
ΔΣD(R)∝H0Mb−−−−−√/R∝h−−√
ΔΣD(R)∝H0Mb/R∝h

, is explicitly dependent on the Hubble constant, which means that an incorrect measured value of H0 would affect our conclusions.
6
Note that due to the non-linear nature of the calculation of the apparent DM distribution, the total ESD profile of the extended mass distribution is not the sum of the components shown in Fig. 2.
7
While the reduced χ2 statistic is shown to be a sub-optimal goodness-of-fit estimator (see e.g. Andrae, Schulze-Hartung & Melchior 2010), it is a widely used criterion and we therefore discuss it here for completeness.
8
After this paper was accepted for publication, it was pointed out to us that (Milgrom 2013) showed that galaxy-galaxy lensing measurements from the Canada-France-Hawaii Telescope Legacy Survey (Brimioulle 2013) are consistent with predictions from relativistic extensions of MOND up to a radius of
140h−172kpc
140h72−1kpc

.
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© 2016 The Authors Published by Oxford University Press on behalf of the Royal Astronomical Society
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JHEP04(2011)029
Published for SISSA by Springer
Received: October 22, 2010
Accepted: March 19, 2011
Published: April 7, 2011
On the origin of gravity and the laws of Newton
Erik Verlinde
Institute for Theoretical Physics, University of Amsterdam,
Valckenierstraat 65, 1018 XE, Amsterdam, The Netherlands
E-mail: e.p.verlinde@uva.nl
Abstract: Starting from first principles and general assumptions we present a heuristic
argument that shows that Newton’s law of gravitation naturally arises in a theory in which
space emerges through a holographic scenario. Gravity is identified with an entropic force
caused by changes in the information associated with the positions of material bodies. A
relativistic generalization of the presented arguments directly leads to the Einstein equations.
When space is emergent even Newton’s law of inertia needs to be explained. The
equivalence principle auggests that it is actually the law of inertia whose origin is entropic.
Keywords: Gauge-gravity correspondence, Models of Quantum Gravity
ArXiv ePrint: 1001.0785
Open Access doi:10.1007/JHEP04(2011)029
JHEP04(2011)029
Contents
1 Introduction 1
2 Entropic force 3
3 Emergence of the laws of Newton 5
3.1 Force and inertia 6
3.2 Newton’s law of gravity 8
3.3 Naturalness and robustness of the derivation 9
3.4 Inertia and the Newton potential 10
4 Emergent gravity for general matter distributions 11
4.1 The Poisson equation for general matter distributions 12
4.2 The gravitational force for arbitrary particle locations 14
5 The equivalence principle and the Einstein equations 15
5.1 The law of inertia and the equivalence principle 15
5.2 Towards a derivation of the Einstein equations 18
5.3 The force on a collection of particles at arbitrary locations 19
6 Conclusion and discussion 20
6.1 The end of gravity as a fundamental force 20
6.2 Implications for string theory and relation with AdS/CFT 21
6.3 Black hole horizons revisited 23
6.4 Final comments 24
1 Introduction
Of all forces of Nature gravity is clearly the most universal. Gravity influences and is influenced
by everything that carries an energy, and is intimately connected with the structure
of space-time. The universal nature of gravity is also demonstrated by the fact that its
basic equations closely resemble the laws of thermodynamics and hydrodynamics.1 So far,
there has not been a clear explanation for this resemblance.
Gravity dominates at large distances, but is very weak at small scales. In fact, its basic
laws have only been tested up to distances of the order of a millimeter. Gravity is also
considerably harder to combine with quantum mechanics than all the other forces. The
quest for unification of gravity with these other forces of Nature, at a microscopic level,
may therefore not be the right approach. It is known to lead to many problems, paradoxes
1An incomplete list of references includes [1–7].
– 1 –
JHEP04(2011)029
and puzzles. String theory has to a certain extent solved some of these, but not all. And
we still have to figure out what the string theoretic solution teaches us.
Many physicists believe that gravity, and space-time geometry are emergent. Also
string theory and its related developments have given several indications in this direction.
Particularly important clues come from the AdS/CFT, or more generally, the open/closed
string correspondence. This correspondence leads to a duality between theories that contain
gravity and those that don’t. It therefore provides evidence for the fact that gravity can
emerge from a microscopic description that doesn’t know about its existence.
The universality of gravity suggests that its emergence should be understood from
general principles that are independent of the specific details of the underlying microscopic
theory. In this paper we will argue that the central notion needed to derive gravity is
information. More precisely, it is the amount of information associated with matter and
its location, in whatever form the microscopic theory likes to have it, measured in terms
of entropy. Changes in this entropy when matter is displaced leads to a reaction force.
Our aim is to show that this force, given certain reasonable assumptions, takes the form
of gravity.
The most important assumption will be that the information associated with a part
of space obeys the holographic principle [8, 9]. The strongest supporting evidence for the
holographic principle comes from black hole physics [1, 3] and the AdS/CFT correspondence
[10]. These theoretical developments indicate that at least part of the microscopic
degrees of freedom can be represented holographically either on the boundary of space-time
or on horizons.
The concept of holography appears to be much more general, however. For instance,
in the AdS/CFT correspondence one can move the boundary inwards by exploiting a
holographic version of the renormalization group. Similarly, in black hole physics there exist
ideas that the information can be stored on stretched horizons. Furthermore, by thinking
about accelerated observers, one can in principle locate holographic screens anywhere in
space. In all these cases the emergence of the holographic direction is accompanied by
redshifts, and related to a coarse graining procedure. If all these combined ideas are
correct there should exist a general framework that describes how space emerges together
with gravity.
Usually holography is studied in relativistic contexts. However, the gravitational force
is also present in the non-relativistic world. The origin of gravity, whatever it is, should
therefore also naturally explain why this force appears the way it does, and obeys Newton
law of gravitation. In fact, when space is emergent, also the other laws of Newton have
to be re-derived, because standard concepts like position, velocity, acceleration, mass and
force are far from obvious. Hence, in such a setting the laws of mechanics have to appear
alongside with space itself. Even a basic concept like inertia is not given, and needs to be
explained again.
In this paper we present a holographic scenario for the emergence of space and address
the origins of gravity and inertia, which are connected by the equivalence principle. Starting
from first principles, using only space independent concepts like energy, entropy and
temperature, it is shown that Newton’s laws appear naturally and practically unavoidably.
– 2 –
JHEP04(2011)029
A crucial ingredient is that only a finite number of degrees of freedom are associated
with a given spatial volume, as dictated by the holographic principle. The energy, that is
equivalent to the matter, is distributed evenly over the degrees of freedom, and thus leads
to a temperature. The product of the temperature and the change in entropy due to the
displacement of matter is shown to be equal to the work done by the gravitational force.
In this way we find that Newton’s law of gravity emerges in a surprisingly simple fashion.
The holographic principle has not been easy to extract from the laws of Newton and
Einstein, and is deeply hidden within them. Conversely, starting from holography, we find
that these well known laws come out. By reversing the logic that lead people from the laws
of gravity to holography, one obtains a simpler picture of what gravity is.
The presented ideas are consistent with our knowledge of string theory, but if correct
they should have important implications for this theory as well. In particular, the description
of gravity as being due to the exchange of closed strings has to be explained from an
emergent scenario.
We start in section 2 with an exposition of the concept of entropic force. Section 3
illustrates the main heuristic argument in a simple non relativistic setting. Its generalization
to arbitrary matter distributions is explained in section 4. In section 5 we extend
these results to the relativistic case, and derive the Einstein equations. The conclusions
are presented in section 6.
2 Entropic force
An entropic force is an effective macroscopic force that originates in a system with many
degrees of freedom by the statistical tendency to increase its entropy. The force equation
is expressed in terms of entropy differences, and is independent of the details of the microscopic
dynamics. In particular, there is no fundamental field associated with an entropic
force. Entropic forces occur typically in macroscopic systems such as in colloid or biophysics.
Big colloid molecules suspended in a thermal environment of smaller particles,
for instance, experience entropic forces due to excluded volume effects. Osmosis is another
phenomenon driven by an entropic force.
Perhaps the best known example is the elasticity of a polymer. A single polymer
molecule can be modeled by joining together many monomers of fixed length, where each
monomer can freely rotate around the points of attachment and direct itself in any spatial
direction. Each of these configurations has the same energy. When the polymer molecule
is immersed into a heat bath, it likes to put itself into a randomly coiled configuration
since these are entropically favored. There are many more such configurations when the
molecule is short compared to when it is stretched into an extended configuration. The
statistical tendency to return to a maximal entropy state translates into a macroscopic
force, in this case the elastic force.
By using tweezers one can pull the endpoints of the polymer apart, and bring it out of
its equilibrium configuration by an external force F, as shown in figure 1. For definiteness,
we keep one end fixed, say at the origin, and move the other endpoint along the x-axis.
– 3 –
JHEP04(2011)029
Figure 1. A free jointed polymer is immersed in a heat bath with temperature T and pulled out
of its equilibrium state by an external force F. The entropic force points the other way.
The entropy equals
S(E, x) = kB log Ω(E, x) (2.1)
where kB is Boltzman’s constant and Ω(E, x) denotes the volume of the configuration space
for the entire system as a function of the total energy E of the heat bath and the position
x of the second endpoint. The x dependence is entirely a configurational effect: there is
no microscopic contribution to the energy E that depends on x.
In the canonical ensemble the force F is introduced in the partition function2
Z(T, F) =Z
dEdx Ω(E, x) e
−(E+F x)/kBT
. (2.2)
as an external variable dual to the length x of the polymer. The force F required to keep
the polymer at a fixed length x for a given temperature E can be deduced from the saddle
point equations
1
T
=
∂S
∂E ,
F
T
=
∂S
∂x . (2.3)
By the balance of forces, the external force F should be equal to the entropic force, that
tries to restore the polymer to its equilibrium position. An entropic force is recognized
by the facts that it points in the direction of increasing entropy, and, secondly, that it is
proportional to the temperature. For the polymer the force can be shown to obey Hooke’s
law
Fpolymer ∼ −const · kBT hxi.
This example makes clear that at a macroscopic level an entropic force can be conservative,
at least when the temperature is kept constant. The corresponding potential has no
microscopic meaning, however, and is emergent.
It is interesting to study the energy and entropy balance when one gradually lets the
polymer return to its equilibrium position, while allowing the force to perform work on an
external system. By energy conservation, this work must be equal to the energy that has
been extracted from the heat bath. The entropy of the heat bath will hence be reduced.
For an infinite heat bath this would be by the same amount as the increase in entropy of
the polymer. Hence, in this situation the total entropy will remain constant.
2We like to thank B. Nienhuis and M. Shigemori for enlightening discussions on the following part.
– 4 –
JHEP04(2011)029
This can be studied in more detail in the micro-canonical ensemble, because it takes the
total energy into account including that of the heat bath. To determine the entropic force,
one again introduces an external force F and examines the balance of forces. Specifically,
one considers the micro-canonical ensemble given by Ω(E + F x, x), and imposes that the
entropy is extremal. This gives
d
dxS(E+F x, x) = 0 (2.4)
One easily verifies that this leads to the same equations (2.3). However, it illustrates that
micro-canonically the temperature is in general position dependent, and the force also
energy dependent. The term F x can be viewed as the energy that was put into the system
by pulling the polymer out of its equilibrium position. This equation tells us therefore that
the total energy is reduced when the polymer slowly returns to its equilibrium position,
but that the entropy stays the same. In this sense the force acts adiabatically.
Note added. In the following our discussion of the polymer is used as a metaphor to
illustrate that changes in the amount of information, measured by entropy, can lead to a
force. Our aim is to argue that gravity is also an entropic force in this sense. Indeed, we will
see that the same kind of reasonings apply to gravity, with some slight modifications. In
particular, the notions of entropy and temperature used in this paper should be interpreted
as a way of characterizing the amount of information associated with the microscopic
degrees of freedom and the energy costs that is associated with changes in this amount of
information. Specifically, one may think about this amount of information as the volume
of the phase space occupied by the microscopic states.
Another example of an emergent adiabatic force is the reaction force of a fast system
when it is influenced by a slowly varying system. In the Born-Oppenheimer approximation
this force can be obtained by requiring that the phase space volume of all states with
energies below the given state remains constant. This leads to exactly a similar expression
as the entropic force in a thermodynamic situation. In this paper we will merge this
concept with that of an entropic force. A more detailed explanation of the connection
between adiabatic reaction forces with entropic forces, and the relevance for gravity, will
be explained in a future publication [16]
3 Emergence of the laws of Newton
Space is in the first place a device introduced to describe the positions and movements
of particles. Space is therefore literally a storage space for information associated with
matter. Given that the maximal allowed information is finite for each part of space, it is
impossible to localize a particle with infinite precision at a point of a continuum space. In
fact, points and continuous coordinates should eventually arise only as derived concepts.
One could assume that information is stored in points of a discretized space (like in a lattice
model). But if all the associated information would be without duplication, one would not
obtain a holographic description, and in fact, one would not recover gravity.
– 5 –
JHEP04(2011)029
Thus we are going to assume that information is stored on surfaces, or screens. Screens
separate points, and in this way are the natural place to store information about particles
that move from one side to the other. Thus we imagine that this information about the
location particles is stored in discrete bits on the screens. The dynamics on each screen
is given by some unknown rules, which can be thought of as a way of processing the
information that is stored on it. Hence, it does not have to be given by a local field theory,
or anything familiar. The microscopic details are irrelevant for us.
Let us also assume that (like in AdS/CFT) there is one special direction corresponding
to scale or a coarse graining variable of the microscopic theory. This is the direction in which
space is emergent. So the screens that store the information are like stretched horizons.
On one side we image that we are using the variables associated with space and time. On
the other side of the screen we describe everything still in terms of the microscopic data
from which space is derived. We will assume that the microscopic theory has a well defined
notion of time, and its dynamics is time translation invariant. This allows one to define
energy, and by employing techniques of statistical physics, temperature. These will be the
basic ingredients together with the entropy associated with the amount of information.
3.1 Force and inertia
Our starting assumption is directly motivated by Bekenstein’s original thought experiment
[1]from which he obtained his famous entropy formula. He considered a particle with
mass m attached to a fictitious “string” that is lowered towards a black hole. Just before
the horizon the particle is dropped in. Due to the infinite redshift the mass increase
of the black hole can be made arbitrarily small, classically. If one would take a thermal
gas of particles, this fact would lead to problems with the second law of thermodynamics.
Bekenstein solved this by arguing that when a particle is one Compton wavelength from
the horizon, it is considered to be part of the black hole. Therefore, it increases the mass
and horizon area by a small amount, which he identified with one bit of information. This
led him to his area law for the black hole entropy.
We want to mimic this reasoning not near a black hole horizon, but in flat nonrelativistic
space. So we consider a small piece of a holographic screen, and a particle
of mass m that approaches it from the side at which space time has already emerged.
Concretely this means that on one side the physics is described in macroscopic variables
such as the positions of particles. The physics of the other side of the screen is still
formulated in term of microscopic degrees of freedom. The holographic principle tells us
that we can imagine that its associated information can be mapped on to the screen that
separates the two region. Eventually the particle merges with these microscopic degrees of
freedom, but before it does so it already influences the amount of its associated information.
The situation is depicted in figure 2.
Motivated by Bekenstein’s argument, let us postulate that the change of entropy associated
with the information on the boundary equals
∆S = 2πkB when ∆x =
~
mc
. (3.1)
– 6 –
JHEP04(2011)029
Figure 2. A particle with mass approaches a part of the holographic screen. The screen bounds
the emerged part of space, which contains the particle, and stores data that describe the part of
space that has not yet emerged, as well as some part of the emerged space.
The reason for putting in the factor of 2π, will become apparent soon. Let us rewrite this
formula in the slightly more general form by assuming that the change in entropy near the
screen is linear in the displacement ∆x.
∆S = 2πkB
mc
~
∆x. (3.2)
To understand why it is also proportional to the mass m, let us imagine splitting the
particle into two or more lighter sub-particles. Each sub-particle then carries its own
associated change in entropy after a shift ∆x. Since entropy and mass are both additive,
it is natural to expect that the entropy change should be proportional to the mass. How
does force arise? The basic idea is to use the analogy with osmosis across a semi-permeable
membrane. When a particle has an entropic reason to be on one side of the membrane and
the membrane carries a temperature, it will experience an effective force equal to
F ∆x = T ∆S. (3.3)
This is the entropic force. Thus, in order to have a non zero force, we need to have a
non vanishing temperature. From Newton’s law we know that a force leads to a non zero
acceleration. Of course, it is well known that acceleration and temperature are closely
related. Namely, as Unruh showed, an observer in an accelerated frame experiences a
temperature
kBT =
1

~a
c
, (3.4)
where a denotes the acceleration. Let us take this as the temperature associated with the
bits on the screen. Now it is clear why the equation (3.2) for ∆S was chosen to be of the
given form, including the factor of 2π. It is picked precisely in such a way that one recovers
the second law of Newton
F = ma. (3.5)
as is easily verified by combining (3.4) together with (3.2) and (3.3).
– 7 –
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Equation (3.4) should be read as a formula for the temperature T that is required
to cause an acceleration equal to a. And not as usual, as the temperature caused by
an acceleration.
3.2 Newton’s law of gravity
Now suppose our boundary is not infinitely extended, but forms a closed surface. More
specifically, let us assume it is a sphere with already emerged space on the outside. For
the following it is best to forget about the Unruh law (3.4), since we don’t need it. It only
served as a further motivation for (3.2). The key statement is simply that we need to have
a temperature in order to have a force. Since we want to understand the origin of gravity,
we need to know where the temperature comes from.
One can think about the boundary as a storage device for information. Assuming
that the holographic principle holds, the maximal storage space, or total number of bits,
is proportional to the area A. In fact, in a theory of emergent space this how area may be
defined: each fundamental bit occupies by definition one unit cell.
Let us denote the number of used bits by N. It is natural to assume that this number
will be proportional to the area. So we write
N =
Ac3
G~
(3.6)
where we introduced a new constant G. Eventually this constant is going to be identified
with Newton’s constant, of course. But since we have not assumed anything yet about the
existence a gravitational force, one can simply regard this equation as the definition of G.
So, the only assumption made here is that the number of bits is proportional to the area.
Nothing more.
Suppose there is a total energy E present in the system. Let us now just make the
simple assumption that the energy is divided evenly over the bits N. The temperature is
then determined by the equipartition rule
E =
1
2
N kBT (3.7)
as the average energy per bit. After this we need only one more equation. It is:
E = M c2
. (3.8)
Here M represents the mass that would emerge in the part of space enclosed by the screen,
see figure 3. Even though the mass is not directly visible in the emerged space, its presence
is noticed though the energy that is distributed of the the screen.
The rest is straightforward: one eliminates E and inserts the expression for the number
of bits to determine T in terms of M and A. Next one uses the postulate (3.2) for the
change of entropy to determine the force. Finally one inserts
A = 4πR2
.
– 8 –
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Figure 3. A particle with mass m near a spherical holographic screen. The energy is evenly
distributed over the occupied bits, and is equivalent to the mass M that would emerge in the part
of space surrounded by the screen.
and one obtains the familiar law:
F = G
Mm
R2
. (3.9)
We have recovered Newton’s law of gravitation, practically from first principles!
These equations do not just come out by accident. It had to work, partly for dimensional
reasons, and also because the laws of Newton have been ingredients in the steps
that lead to black hole thermodynamics and the holographic principle. In a sense we have
reversed these arguments. But the logic is clearly different, and sheds new light on the
origin of gravity: it is an entropic force! That is the main statement, which is new and has
not been made before. If true, this should have profound consequences.
3.3 Naturalness and robustness of the derivation
Our starting point was that space has one emergent holographic direction. The additional
ingredients were that (i) there is a change of entropy in the emergent direction (ii) the
number of degrees of freedom are proportional to the area of the screen, and (iii) the energy
is evenly distributed over these degrees of freedom. After that it is unavoidable that the
resulting force takes the form of Newton’s law. In fact, this reasoning can be generalized
to arbitrary dimensions3 with the same conclusion. But how robust and natural are these
heuristic arguments?
Perhaps the least obvious assumption is equipartition, which in general holds only for
free systems. But how essential is it? Energy usually spreads over the microscopic degrees
of freedom according to some non trivial distribution function. When the lost bits are
randomly chosen among all bits, one expects the energy change associated with ∆S still
to be proportional to the energy per unit area E/A. This fact could therefore be true even
when equipartition is not strictly obeyed.
3
In d dimensions (3.6) includes a factor 1
2
d−2
d−3
to get the right identification with Newton’s constant.
– 9 –
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Why do we need the speed of light c in this non relativistic context? It was necessary
to translate the mass M into an energy, which provides the heat bath required for the
entropic force. In the non-relativistic setting this heat bath is infinite, but in principle one
has to take into account that the heat bath loses or gains energy when the particle changes
its location under the influence of an external force. This will lead to relativistic redshifts,
as we will see.
Since the postulate (3.1) is the basic assumption from which everything else follows,
let us discuss its meaning in more detail. Why does the entropy precisely change like this
when one shifts by one Compton wave length? In fact, one may wonder why we needed to
introduce Planck’s constant in the first place, since the only aim was to derive the classical
laws of Newton. Indeed, ~ eventually drops out of the most important formulas. So, in
principle one could multiply it with any constant and still obtain the same result. Hence, ~
just serves as an auxiliary variable that is needed for dimensional reasons. It can therefore
be chosen at will, and defined so that (3.1) is exactly valid. The main content of this
equation is therefore simply that there is an entropy change perpendicular to the screen
proportional to the mass m and the displacement ∆x. That is all there is to it.
If we would move further away from the screen, the change in entropy will in general
no longer be given by the same rule. Suppose the particle stays at radius R while the screen
is moved to R0 < R. The number of bits on the screen is multiplied by a factor (R0/R)
2
,
while the temperature is divided by the same factor. Effectively, this means that only ~ is
multiplied by that factor, and since it drops out, the resulting force will stay the same. In
this situation the information associated with the particle is no longer concentrated in a
small area, but spreads over the screen. The next section contains a proposal for precisely
how it is distributed, even for general matter configurations.
3.4 Inertia and the Newton potential
To complete the derivation of the laws of Newton we have to understand why the symbol
a, that was basically introduced by hand in (3.4), is equal to the physical acceleration
x¨. In fact, so far our discussion was quasi static, so we have not determined yet how to
connect space at different times. In fact, it may appear somewhat counter-intuitive that the
temperature T is related to the vector quantity a, while in our identifications the entropy
gradient ∆S/∆x is related to the scalar quantity m. In a certain way it seems more natural
to have it the other way around.
So let reconsider what happens to the particle with mass m when it approaches the
screen. Here it should merge with the microscopic degrees of freedom on the screen, and
hence it will be made up out of the same bits as those that live on the screen. Since each
bit carries an energy 1
2
kBT, the number of bits n follows from
mc2 =
1
2
n kBT. (3.10)
When we insert this into equation (3.2), and use (3.4), we can express the entropy change
in terms of the acceleration as ∆S
n
= kB
a ∆x
2c
2
. (3.11)
– 10 –
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By combining the above equations one of course again recovers F = ma as the entropic
force. But, by introducing the number of bits n associated with the particle, we succeeded
in making the identifications more natural in terms of their scalar versus vector character.
In fact, we have eliminated ~ from the equations, which in view of our earlier comment is
a good thing.
Thus we conclude that acceleration is related to an entropy gradient. This will be one
of our main principles: inertia is a consequence of the fact that a particle in rest will stay
in rest because there are no entropy gradients. Given this fact it is natural to introduce
the Newton potential Φ and write the acceleration as a gradient
a = −∇Φ.
This allows us to express the change in entropy in the concise way
∆S
n
= − kB
∆Φ
2c
2
. (3.12)
We thus reach the important conclusion that the Newton potential Φ keeps track of the
depletion of the entropy per bit. It is therefore natural to identify it with a coarse graining
variable, like the (renormalization group) scale in AdS/CFT. Indeed, in the next section
we propose a holographic scenario for the emergence of space in which the Newton potential
precisely plays that role. This allows us to generalize our discussion to other mass
distributions and arbitrary positions in a natural way, and give additional support for the
presented arguments.
4 Emergent gravity for general matter distributions
Space emerges at a macroscopic level only after coarse graining. One forgets or integrates
out a large number of microscopic degrees of freedom. A certain part of the microscopic
phase space is forgotten. Hence, there will be a finite entropy associated with each matter
configuration, which measures the amount of microscopic information that is made invisible
to the macroscopic observer. In general, this amount will depend on the distribution of the
matter. The microscopic dynamics by which this information is processed looks random
from a macroscopic point of view. Fortunately, to determine the force we don’t need the
details of the information, nor the exact dynamics, only the amount of information given
by the entropy, and the energy that is associated with it. If the entropy changes as a
function of the location of the matter distribution, it will lead to an entropic force.
Therefore, space can not just emerge by itself. It has to be endowed by a book keeping
device that keeps track of the amount of information for a given energy distribution. It
turns out, that in a non relativistic situation this device is provided by Newton’s potential
Φ. And the resulting entropic force is called gravity.
We start from microscopic information. It is assumed to be stored on holographic
screens. Note that information has a natural inclusion property: by forgetting certain bits,
by coarse graining, one reduces the amount of information. This coarse graining can be
achieved through averaging, a block spin transformation, integrating out, or some other
– 11 –
JHEP04(2011)029
Figure 4. The holographic screens are located at equipotential surfaces. The information on the
screens is coarse grained in the direction of decreasing values of the Newton potential Φ. The
maximum coarse graining happens at black hole horizons, when 2Φ/c2 = −1.
renormalization group procedure. At each step one obtains a further coarse grained version
of the original microscopic data.
The coarse grained data live on smaller screens obtained by moving the first screen
further into the interior of the space. The information that is removed by coarse graining
is replaced by the emerged part of space between the two screens. In this way one gets a
nested or foliated description of space by having surfaces contained within surfaces. In other
words, just like in AdS/CFT, there is one emerging direction in space that corresponds to
a “coarse graining” variable, something like the cut-off scale of the system on the screens.
A priori there is no preferred holographic direction in flat space. However, this is where
we use our observation about the Newton potential. It is the natural variable that measures
the amount of coarse graining on the screens. Therefore, the holographic direction is given
by the gradient ∇Φ of the Newton potential. In other words, the holographic screens
correspond to equipotential surfaces. This leads to a well defined foliation of space, except
that screens may break up into disconnected parts that each enclose different regions of
space. This is depicted in figure 4.
The amount of coarse graining is measured by the ratio Φ/c2
, as can be seen from (3.12).
Note that −2Φ/c2
is a dimensionless number that is always between zero and one, and
is only equal to one on the horizon of a black hole. We interpret this as the point
where all bits have been maximally coarse grained. Thus the foliation naturally stops
at black hole horizons.
4.1 The Poisson equation for general matter distributions
Consider a microscopic state, which after coarse graining corresponds to a given mass
distribution in space. All microscopic states that lead to the same mass distribution belong
to the same macroscopic state. The entropy for each of these state is defined as the number
of microscopic states that flow to the same macroscopic state.
We want to determine the gravitational force by using virtual displacements, and
calculating the associated change in energy. So, let us freeze time and keep all the matter
– 12 –
JHEP04(2011)029
at fixed locations. Hence, it is described by a static matter density ρ(~r). Our aim is to
obtain the force that the matter distribution exerts on a collection of test particles with
masses mi and positions ~ri
.
We choose a holographic screen S corresponding to an equipotential surface with fixed
Newton potential Φ0. We assume that the entire mass distribution given by ρ(x) is contained
inside the volume enclosed by the screen, and all test particles are outside this
volume. To explain the force on the particles, we again need to determine the work that
is performed by the force and show that it is naturally written as the change in entropy
multiplied by the temperature. The difference with the spherically symmetric case is that
the temperature on the screen is not necessarily constant. Indeed, the situation is in general
not in equilibrium. Nevertheless, one can locally define temperature and entropy per
unit area.
First let us identify the temperature. We do this by taking a test particle and moving
it close to the screen, and measuring the local acceleration. Thus, motivated by our earlier
discussion we define temperature analogous to (3.4), namely by
kBT =
1

~∇Φ
kc . (4.1)
Here the derivative is taken in the direction of the outward pointing normal to the screen.
Note at this point Φ is just introduced as a device to describe the local acceleration, but
we don’t know yet whether it satisfies an equation that relates it to the mass distribution.
The next ingredient is the density of bits on the screen. We again assume that these
bits are uniformly distributed, and so (3.6) is generalized to
dN =
c
3
G~
dA. (4.2)
Now let us impose the analogue of the equipartition relation (3.7). It is takes the form of
an integral expression for the energy
E =
1
2
kB
Z
S
T dN. (4.3)
It is an amusing exercise to work out the consequence of this relation. Of course, the
energy E is again expressed in terms of the total enclosed mass M. After inserting our
identifications for the left hand side one obtains a familiar relation: Gauss’s law!
M =
1
4πG Z
S
∇Φ · dA. (4.4)
This should hold for arbitrary screens given by equipotential surfaces. When a bit of mass
is added to the region enclosed by the screen S, for example, by first putting it close to the
screen and then pushing it across, the mass M should change accordingly. This condition
can only hold in general if the potential Φ satisfies the Poisson equation
∇2Φ(~r) = 4πG ρ(~r). (4.5)
We conclude that by making natural identifications for the temperature and the information
density on the holographic screens, that the laws of gravity come out in a straightforward
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m1
!
F 1
δ
!
r 1
m2
!
F 2
m3
!
F Φ = Φ0 3
Figure 5. A general mass distribution inside the not yet emerged part of space enclosed by the
screen. A collection of test particles with masses mi are located at arbitrary points ~ri
in the already
emerged space outside the screen. The forces F~
i due to gravity are determined by the virtual work
done after infinitesimal displacement δ~ri of the particles.
fashion. Note that to obtain Newtonian gravity one has to assume that the bit density on
the screen is uniform, and that the energy follows from an equipartition. Changing either
of these assumption leads to another form of gravity.
4.2 The gravitational force for arbitrary particle locations
The next issue is to obtain the force acting on matter particles that are located at arbitrary
points outside the screen. For this we need a generalization of the first postulate (3.2) to
this situation. What is the entropy change due to arbitrary infinitesimal displacements δ~ri
of the particles? There is only one natural choice here. We want to find the change δs in
the entropy density locally on the screen S. We noted in (3.12) that the Newton potential
Φ keeps track of the changes of information per unit bit. Hence, the right identification for
the change of entropy density is
δs = kB
δΦ
2c
2
dN (4.6)
where δΦ is the response of the Newton potential due to the shifts δ~ri of the positions
of the particles. To be specific, δΦ is determined by solving the variation of the Poisson
equation
∇2
δΦ(~r) = 4πGX
i
mi δ~ri
·∇i δ(~r − ~ri) (4.7)
One can verify that with this identification one indeed reproduces the entropy shift (3.2)
when one of the particles approaches the screen.
Let us now determine the entropic forces on the particles. The combined work done
by all of the forces on the test particles is determined by the first law of thermodynamics.
However, we need to express in terms of the local temperature and entropy variation.
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Hence,
X
i
F~
i
· δ~ri =
Z
S
T δs (4.8)
To see that this indeed gives the gravitational force in the most general case, one simply
has to use the electrostatic analogy. Namely, one can redistribute the entire mass M as
a mass surface density over the screen S without changing the forces on the particles.
The variation of the Newton potential can be obtained from the Greens function for the
Laplacian. The rest of the proof is a straightforward application of electrostatics, but then
applied to gravity. The basic identity one needs to prove is
X
i
F~
i
· δ~ri =
1
4πG Z
S

δΦ∇Φ − Φ∇δΦ

dA (4.9)
which holds for any location of the screen outside the mass distribution. This is easily
verified by using Stokes theorem and the Laplace equation. The second term vanishes
when the screen is chosen at a equipotential surface. To see this, simply replace Φ by Φ0
and pull it out of the integral. Since δΦ is sourced by only the particles outside the screen,
the remaining integral just gives zero.
The forces we obtained are independent of the choice of the location of the screen. We
could have chosen any equipotential surface, and we would obtain the same values for F~
i
,
the ones described by the laws of Newton. That all of this works is not just a matter of
dimensional analysis. The invariance under the choice of equipotential surface is very much
consistent with idea that a particular location corresponds to an arbitrary choice of the
scale that controls the coarse graining of the microscopic data. The macroscopic physics,
in particular the forces, should be independent of that choice.
5 The equivalence principle and the Einstein equations
Since we made use of the speed of light c in our arguments, it is a logical step to try
and generalize our discussion to a relativistic situation. So let us assume that the microscopic
theory knows about Lorentz symmetry, or even has the Poincar´e group as a global
symmetry. This means we have to combine time and space into one geometry. A scenario
with emergent space-time quite naturally leads to general coordinate invariance and curved
geometries, since a priori there are no preferred choices of coordinates, nor a reason why
curvatures would not be present. Specifically, we would like to see how Einstein’s general
relativity emerges from similar reasonings as in the previous section. We will indeed show
that this is possible. But first we study the origin of inertia and the equivalence principle.
5.1 The law of inertia and the equivalence principle
Consider a static background with a global time like Killing vector ξ
a
. To see the emergence
of inertia and the equivalence principle, one has to relate the choice of this Killing vector
field with the temperature and the entropy gradients. In particular, we like to see that the
usual geodesic motion of particles can be understood as being the result of an entropic force.
– 15 –
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In general relativity4
the natural generalization of Newton’s potential is [11],
φ =
1
2
log(−ξ
a
ξa). (5.1)
Its exponent e
φ
represents the redshift factor that relates the local time coordinate to that
at a reference point with φ = 0, which we will take to be at infinity.
Just like in the non relativistic case, we like to use φ to define a foliation of space,
and put our holographic screens at surfaces of constant redshift. This is a natural choice,
since in this case the entire screen uses the same time coordinate. So the processing of the
microscopic data on the screen can be done using signals that travel without time delay.
We want to show that the redshift perpendicular to the screen can be understood
microscopically as originating from the entropy gradients.5 To make this explicit, let us
consider the force that acts on a particle of mass m. In a general relativistic setting force
is less clearly defined, since it can be transformed away by a general coordinate transformation.
But by using the time-like Killing vector one can given an invariant meaning to
the concept of force [11].
The four velocity u
a of the particle and its acceleration a
b ≡u
a∇au
b
can be expressed
in terms of the Killing vector ξ
b as
u
b = e
−φ
ξ
b
, ab = e
−2φ
ξ
a∇aξ
b
.
We can further rewrite the last equation by making use of the Killing equation
∇aξb + ∇bξa = 0
and the definition of φ. One finds that the acceleration can again be simply expressed the
gradient
a
b = −∇bφ. (5.2)
Note that just like in the non relativistic situation the acceleration is perpendicular to
screen S. So we can turn it into a scalar quantity by contracting it with a unit outward
pointing vector Nb normal to the screen S and to ξ
b
.
The local temperature T on the screen is now in analogy with the non relativistic
situation defined by
T =
~

e
φN
b∇bφ. (5.3)
Here we inserted a redshift factor e
φ
, because the temperature T is measured with respect
to the reference point at infinity.
To find the force on a particle that is located very close to the screen, we first use
again the same postulate as in section two. Namely, we assume that the change of entropy
4
In this subsection and the next we essentially follow Wald’s book on general relativity (pg. 288–290).
We use a notation in which c and kB are put equal to one, but we will keep G and ~ explicit.
5
In this entire section it will be very useful to keep the polymer example of section 2 in mind, since that
will make the logic of our reasoning very clear.
– 16 –
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at the screen is 2π for a displacement by one Compton wavelength normal to the screen.
Hence,
∇aS = −2π
m
~
Na, (5.4)
where the minus sign comes from the fact that the entropy increases when we cross from the
outside to the inside. The comments made on the validity of this postulate in section 3.3
apply here as well. The entropic force now follows from (5.3)
Fa = T ∇aS = −meφ∇aφ (5.5)
This is indeed the correct gravitational force that is required to keep a particle at fixed
position near the screen, as measured from the reference point at infinity. It is the relativistic
analogue of Newton’s law of inertia F = ma. The additional factor e
φ
is due to the
redshift. Note that ~ has again dropped out.
It is instructive to rewrite the force equation (5.5) in a microcanonical form. Let
S(E, xa
) be the total entropy associated with a system with total energy E that contains a
particle with mass m at position x
a
. Here E also includes the energy of the particle. The
entropy will in general also dependent on many other parameters, but we suppress these
in this discussion.
As we explained in the section 2, an entropic force can be determined micro-canonically
by adding by hand an external force term, and impose that the entropy is extremal. For
this situation this condition looks like
d
dxa
S

E+e
φ(x)m, xa

= 0. (5.6)
One easily verifies that this leads to the same equation (5.5). This fixes the equilibrium
point where the external force, parametrized by φ(x) and the entropic force statistically
balance each other. Again we stress the point that there is no microscopic force acting
here! The analogy with equation (2.4) for the polymer, discussed in section 2, should be
obvious now.
Equation (5.6) tells us that the entropy remains constant if we move the particle and
simultaneously reduce its energy by the redshift factor. This is true only when the particle
is very light, and does not disturb the other energy distributions. It simply serves as a
probe of the emergent geometry. This also means that redshift function φ(x) is entirely
fixed by the other matter in the system.
We have arrived at equation (5.6) by making use of the identifications of the temperature
and entropy variations in space time. But actually we should have gone the other way.
We should have started from the microscopics and defined the space dependent concepts
in terms of them. We chose not to follow such a presentation, since it might have appeared
somewhat contrived.
But it is important to realize that the redshift must be seen as a consequence of the
entropy gradient and not the other way around. The equivalence principle tells us that
redshifts can be interpreted in the emergent space time as either due to a gravitational
field or due to the fact that one considers an accelerated frame. Both views are equivalent
in the relativistic setting, but neither view is microscopic. Acceleration and gravity are
both emergent phenomena.
– 17 –
JHEP04(2011)029
5.2 Towards a derivation of the Einstein equations
We would like to extend our derivation of the laws of gravity to the relativistic case, and
obtain the Einstein equations. We will present a sketch of how this can be done in a very
analogous fashion. Let us again consider a holographic screen on closed surface of constant
redshift φ. We assume that it is enclosing a certain static mass configuration with total
mass M. The bit density on the screen is again given by
dN =
dA
G~
(5.7)
as in (4.2). Following the same logic as before, let us assume that the energy associated
with the mass M is distributed over all the bits. Again by equipartition each bit carries a
mass unit equal to 1
2
T. Hence
M =
1
2
Z
S
T dN (5.8)
After inserting the identifications for T and dN we obtain
M =
1
4πG Z
S
e
φ∇φ · dA (5.9)
Note that again ~ drops out, as expected. The equation (5.9) is indeed known to be the
natural generalization of Gauss’s law to General Relativity. Namely, the right hand side is
precisely Komar’s definition of the mass contained inside an arbitrary volume inside any
static curved space time. It can be derived by assuming the Einstein equations. In our
reasoning, however, we are coming from the other side. We made identifications for the
temperature and the number of bits on the screen. But we don’t know yet whether it
satisfies any field equations. The key question at this point is whether the equation (5.9)
is sufficient to derive the full Einstein equations.
An analogous question was addressed by Jacobson for the case of null screens. By
adapting his reasoning to this situation, and combining it with Wald’s exposition of the
Komar mass, it is straightforward to construct an argument that naturally leads to the
Einstein equations. We will present a sketch of this.
First we make use of the fact that the Komar mass (5.9) can alternatively be reexpressed
in terms of the Killing vector ξ
a as
M =
1
8πG Z
S
dxa∧dxb
abcd∇c
ξ
d
(5.10)
Next one uses Stokes theorem and subsequently the relation ∇a∇aξ
b = −Rb

a which is
implied by the Killing equation for ξ
a
. This leads to an expression for the mass in terms
of the Ricci tensor.
M =
1
4πG Z
Σ
Rabn
a
ξ
b
dV (5.11)
From this identity one can get to an integrated form of the Einstein equations, by noting
that the left hand side can be expressed as an integral over the enclosed volume of certain
components of stress energy tensor Tab. The particular combination of the stress energy
– 18 –
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tensor can be fixed by comparing properties on both sides, such as for instance the conservation
laws of the tensors that occur in the integrals. This leads finally to the integral
relation
2
Z
Σ

Tab −
1
2
T gab
n
a
ξ
b
dV =
1
4πG Z
Σ
Rabn
a
ξ
b
dV (5.12)
where Σ is the three dimensional volume bounded by the holographic screen S and n
a
is
its normal.
We arrived at the equation (5.12) directly from (5.9) by performing independent steps
on both the left and the right hand side. It is derived for a general static background with
a time like Killing vector ξ
a
. By requiring that it holds for arbitrary screens implies that
also the integrands on both sides are equal. This gives us only a certain component of
the Einstein equation. In fact, we can choose the surface Σ in many ways, as long as its
boundary is given by S. This means that we can vary the normal n
a
. But that still leaves
a contraction with the Killing vector ξ
a
.
To try and get to the Einstein equations we now use a similar reasoning as Jacobson [7],
except now applied to time-like screens. Let us consider a very small region of space time
and look also at very short time scales. Since locally every geometry looks approximately
like Minkowski space, we can choose approximate time like Killing vectors. Now consider
a small local part of the screen, and impose that when matter crosses it, the value of the
Komar integral will jump precisely by the corresponding mass m. By following the steps
described above then leads to (5.12) for all these Killing vectors, and for arbitrary screens.
This kind of reasoning should be sufficient to obtain the full Einstein equations. It is worth
making this sketchy derivation into a complete proof of the Einstein equations.
5.3 The force on a collection of particles at arbitrary locations
We close this section with explaining the way the entropic force acts on a collection of
particles at arbitrary locations xi away from the screen and the mass distribution. The
Komar definition of the mass will again be useful for this purpose. The definition of the
Komar mass depends on the choice of Killing vector ξa. In particular also in its norm, the
redshift factor e
φ
. If one moves the particles by a virtual displacement δxi
, this will effect
the definition of the Komar mass of the matter configuration inside the screen. In fact, the
temperature on the screen will be directly affected by a change in the redshift factor.
The virtual displacements can be performed quasi-statically, which means that the
Killing vector itself is still present. Its norm, or the redshift factor, may change, however.
In fact, also the spatial metric may be affected by this displacement. We are not going to
try to solve these dependences, since that would be impossible due to the non linearity of
the Einstein equations. But we can simply use the fact that the Komar mass is going to
be a function of the positions xi of the particles.
Next let us assume that in addition to this xi dependence of the Komar mass that the
entropy of the entire system has also explicit xi dependences, simply due to changes in the
amount of information. These are de difference that will lead to the entropic force that we
wish to determine. We will now give a natural prescription for the entropy dependence that
is based on a maximal entropy principle and indeed gives the right forces. Namely, assume
– 19 –
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that the entropy may be written as a function of the Komar mass M and in addition on
the xi
. But since the Komar mass should be regarded as a function M(xi) of the positions
xi
, there will be an explicit and an implicit xi dependence in the entropy. The maximal
entropy principle implies that these two dependences should cancel. So we impose
S

M(xi+δxi), xi+δxi

= S

M(xi), xi

(5.13)
By working out this condition and singling out the equations implied by each variation δxi
one finds
∇iM + T ∇iS = 0 (5.14)
The point is that the first term represents the force that acts on the i-th particle due to
the mass distribution inside the screen. This force is indeed equal to minus the derivative
of the Komar mass, simply because of energy conservation. But again, this is not the
microscopic reason for the force. In analogy with the polymer, the Komar mass represents
the energy of the heat bath. Its dependence on the position of the other particles is caused
by redshifts whose microscopic origin lies in the depletion of the energy in the heat bath
due to entropic effects.
Since the Komar integral is defined on the holographic screen, it is clear that like in the
non relativistic case the force is expressed as an integral over this screen as well. We have
not tried to make this representation more concrete. Finally, we note that this argument
was very general, and did not really use the precise form of the Komar integral, or the
Einstein equations. So it should be straightforward to generalize this reasoning to higher
derivative gravity theories by making use of Wald’s Noether charge formalism [12], which
is perfectly suitable for this purpose.
6 Conclusion and discussion
The ideas and results presented in this paper lead to many questions. In this section we
discuss and attempt to answer some of these. First we present our main conclusion.
6.1 The end of gravity as a fundamental force
Gravity has given many hints of being an emergent phenomenon, yet up to this day it is
still seen as a fundamental force. The similarities with other known emergent phenomena,
such as thermodynamics and hydrodynamics, have been mostly regarded as just suggestive
analogies. It is time we not only notice the analogy, and talk about the similarity, but
finally do away with gravity as a fundamental force.
Of course, Einstein’s geometric description of gravity is beautiful, and in a certain way
compelling. Geometry appeals to the visual part of our minds, and is amazingly powerful
in summarizing many aspects of a physical problem. Presumably this explains why we, as
a community, have been so reluctant to give up the geometric formulation of gravity as
being fundamental. But it is inevitable we do so. If gravity is emergent, so is space time
geometry. Einstein tied these two concepts together, and both have to be given up if we
want to understand one or the other at a more fundamental level.
– 20 –
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Our description was clearly motivated by the AdS/CFT correspondence. The gravitational
side of this duality is usually seen as independently defined. But in our view it is
a macroscopic emergent description, which by chance we happened to know about before
we understood it as being the dual of a microscopic theory without gravity. We can’t
resist making the analogy with a situation in which we would have developed a theory for
elasticity using stress tensors in a continuous medium half a century before knowing about
atoms. We probably would have been equally resistant in accepting the obvious. Gravity
and closed strings are not much different, but we just have not yet got used to the idea.
The results of this paper suggest gravity arises as an entropic force, once space and
time themselves have emerged. If the gravity and space time can indeed be explained as
emergent phenomena, this should have important implications for many areas in which
gravity plays a central role. It would be especially interesting to investigate the consequences
for cosmology. For instance, the way redshifts arise from entropy gradients could
lead to many new insights.
The derivation of the Einstein equations presented in this paper is analogous to previous
works, in particular [7]. Also other authors have proposed that gravity has an entropic
or thermodynamic origin, see for instance [14]. But we have added an important element
that is new. Instead of only focussing on the equations that govern the gravitational field,
we uncovered what is the origin of force and inertia in a context in which space is emerging.
We identified a cause, a mechanism, for gravity. It is driven by differences in entropy, in
whatever way defined, and a consequence of the statistical averaged random dynamics at
the microscopic level. The reason why gravity has to keep track of energies as well as
entropy differences is now clear. It has to, because this is what causes motion!
The presented arguments have admittedly been rather heuristic. One can not expect
otherwise, given the fact that we are entering an unknown territory in which space does
not exist to begin with. The profound nature of these questions in our view justifies the
heuristic level of reasoning. The assumptions we made have been natural: they fit with
existing ideas and are supported by several pieces of evidence. In the following we gather
more supporting evidence from string theory, the AdS/CFT correspondence, and black
hole physics.
6.2 Implications for string theory and relation with AdS/CFT
If gravity is just an entropic force, then what does this say about string theory? Gravity
is seen as an integral part of string theory, that can not be taken out just like that. But
we do know about dualities between closed string theories that contain gravity and decoupled
open string theories that don’t. A particularly important example is the AdS/CFT
correspondence.
The open/closed string and AdS/CFT correspondences are manifestations of the
UV/IR connection that is deeply engrained within string theory. This connection implies
that short and long distance physics can not be seen as totally decoupled. Gravity is a long
distance phenomenon that clearly knows about short distance physics, since it is evident
that Newton’s constant is a measure for the number of microscopic degrees of freedom.
String theory invalidates the ”general wisdom” underlying the Wilsonian effective field
– 21 –
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Figure 6. The microscopic theory in a) is effectively described by a string theory consisting of
open and closed strings as shown in b). Both types of strings are cut off in the UV.
theory, namely that integrating out short distance degrees of freedom only generate local
terms in the effective action, most of which become irrelevant at low energies. If that were
completely true, the macroscopic physics would be insensitive to the short distance physics.
The reason why the Wilsonian argument fails, is that it makes a too conservative
assumption about the asymptotic growth of the number of states at high energies. In
string theory the number of high energy open string states is such that integrating them
out indeed leads to long range effects. Their one loop amplitudes are equivalent to the
tree level contributions due to the exchange of close string states, which among other are
responsible for gravity. This interaction is, however, equivalently represented by the sum
over all quantum contributions of the open string. In this sense the emergent nature of
gravity is also supported by string theory.
The AdS/CFT correspondence has an increasing number of applications to areas of
physics in which gravity is not present at a fundamental level. Gravitational techniques are
used as tools to calculate physical quantities in a regime where the microscopic description
fails. The latest of these developments is the application to condensed matter theory. No
one doubts that in these situations gravity emerges only as an effective description. It arises
not in the same space as the microscopic theory, but in a holographic scenario with one
extra dimension. No clear explanation exists of where this gravitational force comes from.
The entropic mechanism described in this paper should be applicable to these physical
systems, and explain the emergence of gravity.
The holographic scenario discussed in this paper has certainly be inspired by the way
holography works in AdS/CFT and open closed string correspondences. In string language,
the holographic screens can be identified with D-branes, and the microscopic degrees of
freedom on these screens represented as open strings defined with a cut off in the UV.
The emerged part of space is occupied by closed strings, which are also defined with a
UV cut off, as shown in figure 6. The open and closed string cut offs are related by the
UV/IR correspondence: pushing the open string cut off to the UV forces the closed string
cut off towards the IR, and vice versa. The value of the cut offs is determined by the
– 22 –
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location of the screen. Integrating out the open strings produces the closed strings, and
leads to the emergence of space and gravity. Note, however, that from our point of view
the existence of gravity or closed strings is not assumed microscopically: they are emergent
as an effective description.
In this way, the open/closed string correspondence supports the interpretation of gravity
as an entropic force. Yet, many still see the closed string side of these dualities is a well
defined fundamental theory. But in our view gravity and closed strings are emergent and
only present as macroscopic concept. It just happened that we already knew about gravity
before we understood it could be obtained from a microscopic theory without it. We can’t
resist making the analogy with a situation in which we would have developed a theory for
elasticity using stress tensors in a continuous medium half a century before knowing about
atoms. We probably would have been equally resistant in accepting the obvious. Gravity
and closed strings are not much different, but we just have to get used to the idea.
6.3 Black hole horizons revisited
We saved perhaps the clearest argument for the fact that gravity is an entropic force to the
very last. The first cracks in the fundamental nature of gravity appeared when Bekenstein,
Hawking and others discovered the laws of black hole thermodynamics. In fact, the thought
experiment mentioned in section 3 that led Bekenstein to his entropy law is surprisingly
similar to the polymer problem. The black hole serves as the heat bath, while the particle
can be thought of as the end point of the polymer that is gradually allowed to go back to
its equilibrium situation.
Of course, there is no polymer in the gravity system, and there appears to be no direct
contact between the particle and the black hole. But here we are ignoring the fact that
one of the dimensions is emergent. In the holographic description of this same process,
the particle can be thought of as being immersed in the heat bath representing the black
hole. This fact is particularly obvious in the context of AdS/CFT, in which a black hole is
dual to a thermal state on the boundary, while the particle is represented as a delocalized
operator that is gradually being thermalized. By the time that the particle reaches the
horizon it has become part of the thermal state, just like the polymer. This phenomenon
is clearly entropic in nature, and is the consequence of a statistical process that drives the
system to its state of maximal entropy.
Upon closer inspection Bekenstein’s reasoning can be used to show that gravity becomes
an entropic force near the horizon, and that the equations presented in section 3 are
exactly valid. He argued that one has to choose a location slightly away from the black hole
horizon at a distance of about the order of the Compton wave length, where we declare
that the particle and the black hole have become one system. Let us say this location
corresponds to choosing a holographic screen. The precise location of this screen can not
be important, however, since there is not a natural preferred distance that one can choose.
The equations should therefore not depend on small variations of this distance.
By pulling out the particle a bit further, one changes its energy by a small amount
equal to the work done by the gravitational force. If one then drops the particle into the
black hole, the mass M increases by this same additional amount. Consistency of the
– 23 –
JHEP04(2011)029
laws of black hole thermodynamics implies that the additional change in the Bekenstein
Hawking entropy, when multiplied with the Hawking temperature TH, must be precisely
equal to the work done by gravity. Hence,
Fgravity = TH
∂SBH
∂x . (6.1)
The derivative of the entropy is defined as the response of SBH due to a change in the
distance x of the particle to the horizon. This fact is surely known, and probably just
regarded as a consistency check. But let us take it one or two steps further.
Suppose we take the screen even further away from the horizon. The same argument
applies, but we can also choose to ignore the fact that the screen has moved, and lower
the particle to the location of the previous screen, the one closer to the horizon. This
process would happen in the part of space behind the new screen location, and hence it
should have a holographic representation on the screen. In this system there is force in
the perpendicular direction has no microscopic meaning, nor acceleration. The coordinate
x perpendicular to the screen is just some scale variable associated with the holographic
image of the particle. Its interpretation as an coordinate is a derived concept: this is what
it means have an emergent space.
The mass is defined in terms the energy associated with the particle’s holographic
image, which presumably is a near thermal state. It is not exactly thermal, however,
because it is still slightly away from the black hole horizon. We have pulled it out of
equilibrium, just like the polymer. One may then ask: what is the cause of the change
in energy that is holographically dual to the work done when in the emergent space we
gradually lower the particle towards the location of the old screen behind the new one
. Of course, this can be nothing else then an entropic effect, the force is simply due to
the thermalization process. We must conclude that the only microscopic explanation is
that there is an emergent entropic force acting. In fact, the correspondence rules between
the scale variable and energy on the one side, and the emergent coordinate x the mass m
on the other, must be such that F = T ∇S translates into the gravitational force. It is
straightforward to see that this indeed works and that the equations for the temperature
and the entropy change are exactly as given in section 3.
The horizon is only a special location for observers that stay outside the black hole.
The black hole can be arbitrarily large and the gravitational force at its horizon arbitrarily
weak. Therefore, this thought experiment is not just teaching us about black holes. It
teaches us about the nature of space time, and the origin of gravity. Or more precisely, it
tells us about the cause of inertia. We can do the same thought experiment for a Rindler
horizon, and reach exactly the same conclusion. In this case the correspondence rules must
be such that F = T ∇S translates into the inertial force F = ma. Again the formulas work
out as in section 3.
6.4 Final comments
This brings us to a somewhat subtle and not yet fully understood aspect. Namely, the role
of ~. The previous arguments make clear that near the horizon the equations are valid with
~ identified with the actual Planck constant. However, we have no direct confirmation or
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proof that the same is true when we go away from the horizon, or eespecially when there
is no horizon present at all. In fact, there are reasons to believe that the equations work
slightly different there. The first is that one is not exactly at thermal equilibrium. Horizons
have well defined temperatures, and clearly are in thermal equilibrium. If one assumes that
the screen at an equipotential surface with Φ = Φ0 is in equilibrium, the entropy needed
to get the Unruh temperature (3.4) is given by the Bekenstein-Hawking formula, including
the factor 1/4,
S =
c
3
4G~
Z
S
dA. (6.2)
This value for this entropy appears to be very high, and violates the Bekenstein bound [15]
that states that a system contained in region with radius R and total energy E can not
have an entropy larger than ER. The reason for this discrepancy may be that Bekenstein’s
argument does not hold for the holographic degrees of freedom on the screen, or because
of the fact that we are far from equilibrium.
But there may also be other ways to reconcile these statements, for example by making
use of the freedom to rescale the value of ~. This would not effect the final outcome for
the force, nor the fact that it is entropic. In fact, one can even multiply ~ by a function
f(Φ0) of the Newton potential on the screen. This rescaling would affect the values of the
entropy and the temperature in opposite directions: T gets multiplied by a factor, while S
will be divided by the same factor. Since a priori we can not exclude this possibility, there
is something to be understood. In fact, there are even other modifications possible, like
a description that uses weighted average over many screens with different temperatures.
Even then the essence of our conclusions would not change, which is the fact that gravity
and inertia are entropic forces.
Does this view of gravity lead to predictions? The statistical average should give the
usual laws, hence one has to study the fluctuations in the gravitational force. Their size
depends on the effective temperature, which may not be universal and depends on the
effective value of ~. An interesting thought is that fluctuations may turn out to be more
pronounced for weak gravitational fields between small bodies of matter. But clearly, we
need a better understanding of the theory to turn this into a prediction.
It is well known that Newton was criticized by his contemporaries, especially by Hooke,
that his law of gravity acts at a distance and has no direct mechanical cause like the elastic
force. Ironically, this is precisely the reason why Hooke’s elastic force is nowadays not seen
as fundamental, while Newton’s gravitational force has maintained that status for more
than three centuries. What Newton did not know, and certainly Hooke didn’t, is that the
universe is holographic. Holography is also an hypothesis, of course, and may appear just
as absurd as an action at a distance.
One of the main points of this paper is that the holographic hypothesis provides a
natural mechanism for gravity to emerge. It allows direct “contact” interactions between
degrees of freedom associated with one material body and another, since all bodies inside a
volume can be mapped on the same holographic screen. Once this is done, the mechanisms
for Newton’s gravity and Hooke’s elasticity are surprisingly similar. We suspect that neither
of these rivals would have been happy with this conclusion.
– 25 –
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Acknowledgments
This work is partly supported by Stichting FOM. I like to thank J. de Boer, B. Chowdhuri,
R. Dijkgraaf, P. McFadden, G. ’t Hooft, B. Nienhuis, J.-P. van der Schaar, and especially
M. Shigemori, K. Papadodimas, and H. Verlinde for discussions and comments.
Open Access. This article is distributed under the terms of the Creative Commons
Attribution Noncommercial License which permits any noncommercial use, distribution,
and reproduction in any medium, provided the original author(s) and source are credited.
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http://link.springer.com/article/10.1007%2FJHEP04%282011%29029

http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/461.html

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