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[政治・選挙・NHK218] 生活保護のリアル〜私たちの明日は? みわよしこ (第75回) 生活保護受給者ばかりを狙い撃ちするカジノ法議論の本末転倒 
生活保護のリアル〜私たちの明日は? みわよしこ
【第75回】 2017年1月6日 みわよしこ [フリーランス・ライター]

生活保護受給者ばかりを狙い撃ちするカジノ法議論の本末転倒

2016年12月に成立したカジノ法に関し、マイナンバーを利用した入場規制や、生活保護受給者の入場禁止が検討され始めている。しかし、そもそもカジノの採算は何を前提としているのか。日本に有効なギャンブル依存症対策はあるのか。根本からの再考が必要となりそうだ。(フリーランスライター みわよしこ)

カジノ解禁で生活保護受給者を
縛る前に考えるべきこと


昨年末に成立したカジノ法に関し、生活保護受給者の入場禁止が検討され始めている。しかし、そもそも日本でカジノは採算がとれるのか。有効なギャンブル依存症対策はあるのか。規制の前に根本からの再考が必要ではないか
 明けたばかりの本年2017年は、生活保護制度に大きな変化が訪れる年となるかもしれない。ほとんど報道されていないが、2017年には生活保護法の再度の改正、および生活保護基準の見直しが予定されている(2016年3月 厚生労働省 社会・援護局関係主管課長会議資料PDF13ページ)。

 2017年には、2016年12月に成立した「カジノ法」こと統合リゾート(IR)推進法(連載第74回参照)を具体化する実施法が成立する可能性もある。日本維新の会は、カジノ法を受け、生活保護受給者のギャンブル・風俗・totoくじを禁止する法案を国会に提出している(日本維新の会:目指せ法案100本提出)。ギャンブルに関心のない私は「カジノをつくるのをやめれば、そんな人権侵害はしなくて済むのに」と思わずにいられない。そもそもカジノは、なぜ日本に必要なのだろうか。

 カジノ法制化・誘致に関するポータルサイト「カジノIRジャパン」の「みんなのIR・カジノ Q&A」によると、日本の観光業は潜在力が極めて高く、カジノを含む統合リゾートは「国家の戦略的な国際観光政策の有力な手段」であり、「魅力的な観光地の形成」が可能になり、「それに伴って地域経済を活性化」できるということだ。

 また、政府が2030年までに見込んでいる訪日外国人観光客は、2015年から2020年までに2000万人、2020年から2030年までに1000万人、合計3000万人であるという(Q7)。統合リゾートによる効果のうち最大のものは、施設やインフラの建設・整備、直接間接の雇用創出、国内外の観光客増加、カジノ収益による地域活性化であるという(Q8)。

 確かに、大型高級リゾート地にだけカジノがあり、比較的富裕な外国人観光客が客の大半を占め、金離れよく遊び、特にカジノで大きな消費を行ってくれるというのであれば、日本人一般にとって、害より益のほうが大きい話になるかもしれない。

 しかし、ビジネスとしてカジノを成り立たせようとするのなら、比較的近距離の住民が利用者にならなければ、経営を安定されることは困難なのではないだろうか。テーマパークを例として考えてみよう。東京ディズニーランドも大阪のUSJも、全国および近隣諸国の観光客に人気のテーマパークだが、何らかの事情で遠くからの客足が途絶えても、ただちに経営が危機に瀕するわけではない。関東圏あるいは近畿圏の住民による「安・近・短」の日帰り観光需要が見込めるからだ。

 問題は、USJや東京ディズニーランドならば1万円あれば大人1人が1日じっくり楽しめるのに対し、カジノは10万円が一瞬で消える可能性もある場だということだ。生活保護費の用途は、趣味や娯楽に使うことも含めて本人の自由なのだが、法や制度で「縛る」ことの是非はともかく、低所得層の人々にとって、カジノはもはや「娯楽」と呼べるものでさえないだろう。

カジノの見込み客は
外国人ではなく日本人という現状

 では、カジノのメリットを主張する人々は、どう考えているのであろうか。

 カジノ法の成立翌日、2016年12月17日に発表された、小池隆由氏による東洋経済オンラインの記事「日本版カジノは大きな成功が約束されている」2ページ目には、「IRの利益規模は、後背とする商圏の大きさ(日帰り圏内の経済規模)、施設数(施設間競争)でほぼ決定する」とある。施設が適度に集中していて過当競争にならず、一定の経済力を持った一定数の見込み客が近隣地域に存在するのであれば、成功しやすいビジネスではあるだろう。問題は、「日帰り圏」という以上、見込み客として想定されているのは、主に日本の住民であるということだ。

 さらに同記事には、東京オリンピック・パラリンピックが終了している2021年以後の営業利益見通しとして、関東で2000億円、関西で1000億円、地方では仙台空港周辺・鳴門市・佐世保市への設置を想定して、それぞれ100億円以上という推定が述べられている。小さくない経済効果であることは間違いないが、その経済効果の大部分は、海外からの観光客が日本にもたらすわけではない。

 結局のところ、カジノの必要性を主張してきた人々も、いつ、どのような理由で日本に来なくなるかわからない外国人観光客ではなく、片道1〜2時間程度の範囲にいる日本人住民を、主要客層と考えざるを得ないのだ。カジノをビジネスとして成立させ維持する以上は、当然のことであろう。

 しかしそれでは、外国人訪日観光客による消費が地方を活性化するというよりは、「現在の内需の一部がカジノ方面に移る」と見るのが実際に近いのではないだろうか。日本全体ではゼロサムゲームとなる可能性も、空腹のあまり自分の脚を食べてしまうタコのように日本全体の資源が減少する可能性もある。少なくとも、それらの可能性の全否定はできそうにない。

 依存症を研究している社会学者の滝口直子氏(大谷大学教授)は、日本人にとってのカジノの魅力を、「海外のカジノ産業は、日本でカジノが解禁されたら、パチンコの客がカジノに移ってくると考えているようですが、そう、うまくいくでしょうか」と疑問視する。

 滝口氏によれば、連載第74回で紹介したとおり、カジノにはヨーロッパ型の伝統的な「ギャンブルもできる小・中規模な社交場」タイプと、米国・マカオ・シンガポールに多く見られるマシーン中心の大規模カジノの2通りがある。一般の日本人が対象であるとすれば、想定されるのはマシーン中心の大規模カジノの方だろう。しかし日本には、すでにパチンコ・スロットが多数あり、アクセスが容易すぎることから、数多くの問題が生まれている。

「日本には、世界のギャンブルマシーンの60%があるんです。そんな国は、他にありません。それに、カジノに置かれるギャンブルマシーンより、パチンコの方が刺激は強いんです。言い換えれば、パチンコの方がマシーンの洗練度は上なのです」(滝口氏)

 この現状は、『ビッグイシュー』の記事「世界のギャンブルマシーンの60%も集中しているギャンブル大国日本の現状レポート」に詳しい。いずれにしても、数多くの日本の住民が最寄り駅前の長年馴染みのパチンコ屋に行くのを止め、電車で遠くに出かけてカジノで遊ぶことを選ぶかどうかに関しては、不確定要素が大きそうだ。

地方の関係者も気づき始めた、
カジノへの期待は「捕らぬ狸の皮算用」


WINS佐世保(ホームページより)。長崎県佐世保市にある場外馬券売り場「WINS佐世保」は、オランダの美しい町並みを模したテーマパーク・ハウステンボスに隣接しており、ヨーロッパの伝統的なオペラハウスを思わせる外観となっている。美麗なイメージでギャンブルの敷居を下げるのには、抵抗を感じる
 カジノ誘致に対し、自治体の態度は様々だ。

 静岡県熱海市の斉藤栄市長は、「熱海はカジノに頼らない街づくりをすべきだ」と誘致しない考えを示している(2016年12月27日 読売新聞記事)。長崎県佐世保市は対照的に、2007年から官民挙げてカジノ誘致に熱意を示し、2014年までに税金1600万円を投入していたということだ(2014年2月27日 『しんぶん赤旗』記事)。

 佐世保市のカジノ設置候補地は、すでに大規模リゾートとして整備されているハウステンボスの中だが、ある佐世保市出身者は「1992年に開業して以来、ほとんどずっと、業績不振や経営再建が続いているハウステンボスにカジノができても、そんなに大きな効果はないだろうと思います」と冷ややかだ。

 ハウステンボスは、長年にわたり、オランダの美しい町並みという魅力をアピールしてきた総合リゾート地だ。カジノが加わることで、アピールできる魅力が1つ増えることは間違いなさそうな気もする。しかし滝口氏はこう語る。

「そこにしかない魅力を持った何かがないと、そもそも、客は来ません。カジノ産業の人々でさえ、『今の統合リゾートは、カジノ以外の魅力で人を惹きつけないと、客は来ない』と言っています」(滝口氏)

 ダイヤモンド・オンラインで連載中の『China Report 中国は今』第205回「マカオのカジノ産業が『脱賭博』で狙う新顧客層」では、ギャラクシー・マカオ社長のマイケル・メッカ氏が、カジノを中心としない統合ホリデーリゾートへの転換について語っている。同社のリゾート集客の中心は、かつてはカジノであったが、2015年にはカジノ面積はリゾート全体の5%、今後は2%まで縮小する予定があるという。メッカ氏の目標は、「ビジターによい体験をしてもらい、よい思い出を作ってもらえる」体験型リゾートをつくり上げることだ。

「リゾートといえば、カジノ・ホテル・会議場・高級ショッピングセンター・高級レストラン……。一昔前なら、それでよかったのかもしれません。でも今は、そんな地域やそんなリゾートなら、世界のどこにでもあります。人を集めるには、それ以上の魅力、そこにしかない何かが必要なんです」(滝口氏)

 東京・横浜・大阪は、そもそも大都市で人が集まりやすいという背景があるため、カジノの集客に際しての困難は少ないかもしれない。

「でも、他の地域はどうでしょうか。そこにしかない、『アッ!』と言わせるような魅力をつくるのは、なかなかハードルが高いですよ。美術館だって、まず『見たい』と思われる作品のコレクションをつくるために、巨額のお金が必要です。水族館は、水槽が大きければ良いというものではありません。そこにしかない魅力を備えた統合型リゾートをつくるのは……今、日本につくられている観光資源を見る限り、期待できそうにない気がします」(滝口氏)

 まだでき上がってもいないカジノに生活保護の人々が行く可能性を考え、入場を禁止したり規制したりすることを検討する前に、つくられようとしているカジノの顧客がどこの誰なのか、期待される経済効果や雇用創出が実現するのかどうかを、冷静に考える必要がありそうだ。

 しかし、いったんカジノができてしまえば、ギャンブルの間口は間違いなく広くなる。カジノの採算が取れるか否かとは無関係に、ギャンブル依存症の問題は無視できない。

専門治療を受けられない
大多数のギャンブル依存症者たち

 依存症からの回復支援に取り組む、元生活保護ケースワーカーの谷口伊三美氏は、すでに多数のギャンブル依存症者がいる日本で、何の対策もされていない現状を憂慮する。

 2014年8月29日、当時の厚生労働大臣であった田村憲久氏は、閣議後の記者会見において「厚生労働科学研究の結果としてギャンブル依存症が536万人、成人が(筆者注:「成人の」の誤記か)4.8パーセントとの報道がございました」と述べ、同時にカジノ法案との関連を否定した。

 問題は、ギャンブル依存症の治療を行える医療機関や専門施設が、非常に少ないことだ。どのような依存症でも事情はあまり変わらず、推定80万人のアルコール依存症者のうち専門治療を受けているのは約4万人、推定10万人の薬物依存症者のうち専門治療を受けているのは数千人。専門治療を受けているギャンブル依存症者は、さらに少ない。

 依存症の問題は、社会のあらゆる場所に存在する。なのに、なぜ必要な医療や支援は行き渡っていないのだろうか。

「ギャンブル依存症は、身体が悪くなるわけではありませんから、医療行為としては、カウンセリングやグループミーティングなど、診療報酬に結びつきにくいことが中心になります。少なくとも、必要な治療を提供しながら医療機関を維持したり増やしたりして、専門の医師を増やしていけるくらいの報酬の裏付けができないと、難しいのではないでしょうか」(谷口氏)

 運営・維持が難しいのは、医療機関だけではない。

「依存症の一部、たとえば薬物依存症の場合は、障害者福祉制度のもとでグループホームやデイケアを運営することも可能です。でも、一般的な障害とは異なる『依存症』という特殊な疾病のケアは、障害一般に対する福祉制度とは合わないところが多いんです。

 依存症の施設では、多くの場合、実際には24時間のケアが必要です。でも障害者福祉は、依存症者を24時間ケアすることは想定していません。施設から病院に入院することも多いのですが、入院中の報酬はありません。実際には、入院中も医療機関と施設の連携は行われているのですが……。『儲からない』以上、成り立たないんです。障害者作業所には企業が参入していますが、依存症者の支援に参入している企業はありません。経営が成り立たないからです」(谷口さん)

まだ議論の時間は残されている
このままカジノがつくられてよいのか?


本連載の著者・みわよしこさんの書籍「生活保護リアル」(日本評論社)が好評発売中
 この状態で、カジノが実際につくられてしまってよいのだろうか。カジノがつくられることを前提に、低所得層の入場制限や生活保護受給者の入場禁止といったことを、「対策」として議論してよいのだろうか。

 カジノを実際に設置する前提となるIR推進法の成立まで、1年弱だがまだ時間は残されている。「カジノをつくるから」という予定を背景に誰かの自由を制約するのではなく、多くの人々にメリットをもたらす依存症対策の充実などを先に推進し、その後、カジノの設置を慎重に検討してほしいところだ。

 次回は、若者の自立に生活保護が果たしている大きな役割を紹介する予定だ。
http://diamond.jp/articles/-/113385
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/657.html

[経世済民117] 急増するリバースモーゲージを徹底比較 自宅に住みながら老後資金を手に入れよう!  住宅は買うべきなのか?借りるべきなのか
急増するリバースモーゲージを徹底比較
自宅に住みながら老後資金を手に入れよう!
残った住宅ローンの完済にも利用可能
 現在、住んでいる自宅を担保にして、老後の資金を借りる「リバースモーゲージ」の人気が高まっている。自宅にそのまま住み続けることができ、死後に売却して一括返済するという仕組みだ。老後の資金として利用できるほか、定年した後も住宅ローンが残っている人は、借りた資金で残債を一括返済することも可能だ。そこで、各銀行のリバースモーゲージを比較するほか、借りる際の注意点や上手な活用法を検討してみた。

東京スター銀行の契約者数が順調に増加、
2016年11月末で6000人を突破する!
http://diamond.jp/mwimgs/9/5/588/img_95a15831f90479c0f6d27f22d9150d233943.png

 リバースモ―ゲージは、自宅に住みながら、自宅を担保にお金を借りるというもので、融資限度額は自宅の不動産評価額の50〜80%程度だ。契約期間は、契約年数(20年間など)を設定するか、契約者または契約者夫婦2人が死亡してから約3カ月後としているケースが多い。契約が終了すると、銀行が担保にしていた自宅不動産を売却して現金化し、そのお金で融資を回収する。お金が残った場合は、遺族に返還されるという流れだ。

 商品自体は昔からあったが、最近になって需要が伸びている。リバースモーゲージでトップクラスの実績を持つ東京スター銀行の契約者数を見ると、2016年11月末で6000人を突破しており、商品としての認知度も上がってきた。


 リバースモーゲージは従来、各都道府県の社会福祉協議会の「不動産担保型生活資金」や、一部の自治体による貸し付け事業が中心だった。ただし、社会福祉協議会の融資は、「市区町村民税で非課税程度の低所得世帯」向けの商品だ(単身なら年収100万円以下が目安)。資金の受け取り方にも制限があり、年金のように毎月数万円から数十万円ずつ受け取るという「年金型」しか選べない。そのまま自宅に住み続ける必要もある。あくまで、低所得者の老後の生活資金向け商品だ。

 一方で最近、リバースモーゲージを積極化している銀行などは、「年金型」だけではなく、借入可能額まで自由にいつでも借りられる「枠内自由引出型」や、最初に一括してお金を借りてしまう「一括借入型」を揃えているところが多く、借り入れの自由度が高いのが特徴だ。銀行のリバースモーゲージは、低所得者だけでなく、老後の生活をより豊かに過ごすために、借りた資金を積極活用したいという人も利用できる商品設計になっている。

 このリバースモーゲージで借りた資金は、何に使っている人が多いのか。生活資金の足しにしたり、老人ホームの入居一時金の支払いに充てるケースが多いが、最近は住宅ローンの残債の支払いに使う人も増えている。退職金で住宅ローンを一括返済するというのはよくあるケースだが、それでは手元にあまりお金が残らない。リバースモーゲージでお金を借りて、住宅ローンの残債を返済すれば、退職金をまるまる取っておける。老後の資金が少なくて不安だという人には、うってつけの商品だ。

 野村資本市場研究所の推計によれば、60歳から64歳の19.5%、65歳から69歳の12.9%、70歳から74歳の実に9.3%が住宅ローンを抱えている(2009年時点)。 実際、不動産コンサルタントで住宅ローン破綻問題に詳しい「任意売却119番」代表の富永順三氏によれば、「この世代の住宅ローン破綻の相談が顕著に増加している」という。老齢基礎年金の受給が始まる65歳になってなお、住宅ローンを抱えている世帯は多く、リバースモーゲージは住宅ローン返済の有効な手立てとなるだろう。

貸し出しを積極化している銀行は、
契約者が55歳以上など、自由度が高め

 では、銀行はどんなリバースモーゲージを提供しているのだろうか。下表が、リバースモーゲージ(枠内引出し型)を提供している主な銀行を比較したものだ。

主な銀行のリバースモーゲージ(枠内引出型)の一覧表




|

行 「充実人生」
対象者 ・55歳以上(配偶者は50歳以上)
・年収120万円以上
資金使途 生活資金、医療費、老人ホーム入居資金、住宅改築資金など(事業資金、投資資金は除く)
融資額 500万円以上、1億円以内(マンションは500万円以上、5000万円以内)
対象物件・地域 ・一戸建て
・マンション(一部エリア)
・東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪市、京都市、神戸市
東京スター銀行の「充実人生」公式サイトはこちら




行 「みずほプライムエイジ」
対象者 ・満55歳以上
・戸籍謄本により推定相続人が確定できる方
資金使途 生活資金、医療費、老人ホーム入居資金、住宅改築資金など(事業資金、投資資金は除く)
融資額 1000万円以上、2億円以内、かつ物件の担保評価額以内(融資限度額はその50%以内、生活資金に使う場合は4000万円以内)
対象物件・地域 ・一戸建て(担保評価額は2000万円以上)
・マンション(担保評価額は1坪あたり250万円以上、かつ総額5000万円以上)
西




庫 「生きいきライフ」
対象者 ・利息払い型/満55歳以上、80歳未満
・利息元加型/満65歳以上、80歳未満
資金使途 生活資金(事業資金、投資資金は除く)
融資額 ・利息払い型/500万円以上、1億円以内、かつ担保評価額の70%以内
・利息元加型/1000万円以上、1億円以内、かつ担保評価額の70%以内(融資限度額はその50%以内、かつ担保評価額が3000万円以上)
対象物件・地域 ・一戸建て
・賃貸併用住宅
・西武金庫営業地区内




U
F
J

行 「リバース・モーゲージ型住宅関連ローン(一括借入型)」
対象者 満60歳以上、満80歳の誕生日まで
資金使途 自宅の建設またはリフォーム資金、高齢者向け住宅の入居一時金
融資額
・建設・購入資金/100万円以上、5000万円以内
・リフォーム工事費または入居一時金/100万円以上、1500万円以内(10万円単位)
(担保不動産の評価額50%、かつ年収に対する返済負担率が下表の条件を満たす金額)
年収 返済負担率
400万円未満 30%以下
400万円以上 35%以下
対象物件・地域 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県





行 「SMBCリバースモーゲージ」
対象者 ・満60歳以上
・推定相続人全員の同意書が提出できる方
資金使途 自由(事業資金、金融商品を除く)
融資額 1000万円以上、2億円以内、かつ物件の担保評価額以内(融資限度額は、年齢に応じて同行の定める割合を乗じた額)
対象物件・地域 ・一戸建て(担保評価額は6000万円以上)
・東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県





託 銀
行 「リバースモーゲージ(枠内引出自由形)」
対象者 ・65歳以上の末日
・遺言信託を利用できる方
資金使途 自由(事業資金、金融商品を除く)
融資額 ・満60歳以上、満65歳未満の方
年齢に応じて担保評価額の5%ないし10%(カードローン型)
・満65歳以上の方
担保評価額の50%以内(枠内引出自由型)
対象物件・地域 ・土地付一戸建て(担保評価額は8000万円以上)
・東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県







協議会
「リバースモーゲージ(毎月支給の年金型)」
対象者 ・65歳以上
・収入が、市区町村民税非課税程度の低所得世帯
・今の住宅に将来にわたって住み続ける人
資金使途 生活資金のみ
融資額 ・融資月額/30万円以内
・融資限度額/担保となる土地土地評価額の概ね70%。
対象物件・地域 ・土地の評価額が概ね1500万円以上の一戸建て住宅。貸付月額によっては1000万円程度でも可。マンション、借地借家は不可。
・全国
 多くの銀行は、55歳以上、または60歳以上の人を対象に貸し出している。社会福祉協議会や自治体は65歳以上を条件とするので、かなりハードルは低い。また、資金用途は投資でなければ原則自由であり、融資額は1億円程度を上限としていることが多い。

 これだけの資金を得られれば、自宅に住み続けたまま、老後も豊かな生活を送ることができ、残っている住宅ローンがあれば返済することもできるだろう。もし配偶者が老人ホームへの入居が必要になった場合も、高額な入居一時金を支払うことが可能だろう。

将来の不動産価格が下落すれば、
融資限度額が減少する可能性も

 一方で、銀行のリバースモーゲージで注意したいのは、以下の3点だ。

(1)エリアや物件に制限がある
(2)担保評価に対する融資限度額が50%程度と低め
(3)金利上昇や不動産価格下落のリスクがある

 まず、(1)エリアや物件に制限がある、ことに注意したい。担保価値が高い、大都市圏か、銀行・金融機関の営業エリアに限定されている。社会福祉協議会は、低所得者しか利用できないが、各都道府県で融資メニューを用意しているので、どこでも利用できる。また、物件についても、土地付き一戸建てが中心で、全ての銀行でマンションやアパートに対応しているわけではない。

 また、担保評価額の下限を示している銀行があるが、上表の6銀行・金融機関をみると比較的高額で、三井住友信託の場合、「8000万円以上」とハードルを高く設定している銀行もある。

 (2)担保評価に対する融資限度額が50%程度と低め、というのも気になる点だ。融資限度額の比率は、50%程度の銀行が多いため、思ったほど多額の資金を借りられないケースがあるかもしれない。あまりにも評価額が低くしか出ないのであれば、いっそのこと自宅を売却するという選択肢も出てくるかもしれない。

 なお、枠内引出型の場合は、借りた資金の金利については、毎月支払うタイプと、融資枠から差し引くという、2つの方法を選択できる。大半の人は融資限度額をフルに使いたいから、毎月金利を支払うを選択する。ただし、融資限度額まで借りた場合、金利を支払わないと、借入額が限度額を超えてしまい、契約を終了させられる可能性がある。こうした金利支払いが面倒な場合は、預金連動型を導入している、東京スター銀行が有効だ。借りた金額と同じ金額の預金(普通預金)をすれば、借入金に利息はかからない。申込時にかかる手数料と、年間1万2960円の管理料を支払えば、月々の返済はなくなる。

 (3)金利上昇や不動産価格下落のリスクがある、のも大きなリスクになりかねない。将来、金利が上昇すれば、金利の支払いが大きな負担になりかねない。想像以上に長生きしてしまった場合も、早い段階で融資限度額に達してしまい、その後は新たな資金を手にすることはできなくなってしまう。

 また、銀行は数年に一回、担保不動産を評価することになっており、不動産市況が悪化すれば、それに合わせて融資限度額を引き下げる。融資限度額は固定的なものではなく、変動するのだ。さらに、不動産の下落幅が大きく、借入残高を下回るということになれば、全額または差額分を銀行に返済しなければならない。こうした事がないように50%までしか貸していないのだが、用心するならば、融資限度額をすべて借りないほうがいい。

 預金はあまりないけど、自宅だけはあるという高齢者世帯にとって、リバースモーゲージは有力な選択肢の一つだ。ただし、自宅を売却して引っ越すという選択肢もある。相続人である子供達が受け入れてくれるかという問題もある。家族でよく話し合って、決めるのがいいだろう。

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順位 銀行名 <商品名>
実質金利
(費用等含む) 表面金利
(費用等除く) 保証料
(税込) 事務手数料
(税込)
1位 ◆楽天銀行 <変動金利(固定特約付き)変動金利>
0.571% 0.507% 0円 32.4万円
【楽天銀行の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
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2位 ◆アルヒ<MR.住宅ローンREAL 変動金利 頭金20%以上>
0.575% 0.447% 0円 借入額×2.16%
【アルヒ(ARUHI)の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
SBIモーゲージから社名変更した住宅ローン専門の金融機関。「MR.住宅ローンREAL」は住信SBIネット銀行の商品で、アルヒが住信SBIネット銀行の銀行代理業者として販売する。変動金利は低金利で競争力があり、8疾病保障も無料で付帯する。アルヒ直営店で相談できる、対面用の商品
2位 ◆住信SBIネット銀行 <通期引下げプラン 変動金利>
0.575% 0.447% 0円 借入額×2.16%
【住信SBIネット銀行の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
住友信託銀行とSBIホールディングスが設立したネット銀行で、表面金利の低さではトップクラス。通常の団信に加えて、「8疾病保障」を無料で付帯しているもので、魅力的だ。女性には、がんと診断されると30万円が支給される保障も無料で付けている
4位 ◆じぶん銀行 <全期間引下げプラン 変動金利>
0.626% 0.497% 0円 借入額×2.16%
【じぶん銀行の住宅ローンのメリット・おすすめポイント】
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【関連記事】[じぶん銀行の住宅ローンの金利・手数料は?] 変動金利は業界トップクラスの低金利!がんになると住宅ローンが半減する団信が無料
5位 ◆ソニー銀行 <変動セレクト 変動金利>
0.678% 0.549% 0円 借入額×2.16%
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【関連記事】[ソニー銀行の住宅ローンの金利・手数料は?]業界トップクラスの低金利や安い諸経費が人気!来店不要で迅速な対応が売りで、対面相談も可能!
6位 ◆イオン銀行 <金利プラン(定率型) 変動金利>
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【関連記事】[イオン銀行の住宅ローンの金利・手数料は?]契約後5年間はイオングループでの買い物5%OFF!8大疾病に2つのガンを追加できる充実の保障特約も
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お金持ち入門!
2017年1月3日 ザイ別冊編集部
住宅は買うべきなのか? 借りるべきなのか?
将来、マイホームをどうするのかという「出口」を
視野に入れて、「購入」か「賃貸」かを決断しよう!

マイホームを買うか、借りるか──。それは多くの人が昔から悩まされてきた重大テーマだろう。「東京五輪までは上がる!」と言われ、不動産価格は上昇を続けてきたが、現在は下落傾向にある。一方でマイナス金利の影響で住宅ローン金利はかつてないほどの最低水準になっている。つまり、買ったとしてもローン返済額は家賃より安い状態だ。2017年は「買い時」とも考えられるなかで、今マイホームを買うか、借りるか悩んでいる人は、どう判断すれば将来も後悔しないだろうか。

12月31日発売の雑誌『めちゃくちゃ売れてる雑誌ザイが作った 今年こそお金持ち入門』では、マイホームを買うか借りるかをテーマにした「失敗しないマイホーム計画」特集を掲載! 今回はそのなかから、不動産投資などに詳しいオラガ総研株式会社の牧野知弘さんに聞いた「マイホーム購入派・賃貸派のメリットとデメリット」を紹介する。

2017年は買い時って本当? その考えが失敗の元に!

 そろそろマイホームを買うべきか、まだ賃貸で過ごすべきか──。

 その迷いの背景にあるのは「買い時」というキーワードだろう。

 不動産市場はアベノミクスや東京五輪の決定を契機に価格が底打ち状態から上昇し活況を呈している。

 ただ、「東京五輪まで不動産価格は上昇する」という強気の声もある一方で、国や専門会社などの調査によれば2016年下期からは過熱感があった価格に一服感が出てきて、手を出しやすくなってきている。

 価格だけではない。住宅ローンに目を向ければ、マイナス金利導入で金利は史上最低レベル。2019年10月に消費税アップが予定されている点も忘れてはいけない。

「価格に手ごろ感があり、低金利で家賃並みのローン返済額で買えるなら購入したい。値上がりや増税前の早いうちに……」というのが購入派に多い意見だろう。

 しかし、こうした「買い時」ばかりを探る議論に対して、不動産コンサルタントの牧野知弘さんは、「それは、物件価格や住宅ローンといった『入口』だけの視点で、失敗の元です」と警告を発する。

ローンを払い終われば「資産が残る」は幻想?

 牧野さんが「『入口』だけの視点は失敗の元」と指摘するのは、どういうことか。つまり、マイホームの購入を、資産形成や投資という側面で見た場合、「途中」であるローン返済の確実性(=収入の安定性)や、最終的にはそのマイホームをどうするのかという「出口」までを視野に入れることが不可欠だというのだ。

「家賃は払っても何も残らないが、ローンは無理してでも払えば資産が残る」という声も購入を後押しする。

 だが、マイホームを「資産」として考えるなら、なおさら出口を意識してほしい。人口は減少し、空き家も急増する今後、アナタが買えるような物件だと、どれだけの資産価値を維持できるだろうか。

家は「資産価値」ではなく、「利用価値」として見る考え方も

 もちろん、マイホームは損得勘定だけで決めるものではない。長い人生を家族とともに豊かに過ごすための手段でもある。賃貸物件にはないメリットや充足感がマイホームにはたくさんある。これがマイホームを資産価値ではなく「利用価値」として見る考えだ。

 ただ、その場合は他の資産があったり収入不安がなかったりなど、マイホームの資産価値が大幅に下落しても受容できる環境にある必要がある。

購入派・賃貸派のメリット&デメリットを知ろう


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 この記事を読み進めて、「今は家は買えない」と諦める人もいるだろう。その場合、老後の賃貸住まいへの不安も残るだろうが、家賃の下落傾向をはじめとして賃貸派には追い風もある。

 そこで、判断するにあたって、購入、賃貸それぞれのメリットとデメリットを一覧にした。これらをしっかり理解して、失敗のない住まい選びをしてほしい。

【購入派】
<メリット>
○今なら低金利の住宅ローンで家が買える
○ローン完済後は老後生活も安心できる
○資産価値のある物件なら投資になり、子どもに財産として残せる
○自分の理想とする暮らしが楽しめる
○自分の好きなようにリフォームが可能

<デメリット>
×想定外の収入減などでローンの支払いが困難になるリスクも
×外部から見えない重大な欠陥が見つかることもあり、住んでみないと本当に欠陥がないかわからない
×子どもの成長や周辺環境の変化で住みづらくなった時に、簡単に引っ越せない
×定期的に税金や保険料、維持メンテナンス費がかかる
×特に新築マンションは建築原価の高騰などにより、割高な買い物になりやすい
×資産価値の下落により、売りたい時に売却しにくいケースもある

【賃貸派】
<メリット>
○家族構成、環境の変化、または収入が減少した時には、それに見合った家賃の物件に住み替えしやすい
○分譲マンションのような大規模修繕積立金、固定資産税といった余分な出費が少ない
○賃料はほとんど上がらず安定している
○頭金など購入にかかる分の費用を貯蓄や投資に回すことができる

<デメリット>
×老後も家賃を払い続ける必要があり、その分の生活費が心配に
×今のところ高齢者が住める物件の選択肢の幅が狭い
×使いづらくても、自由にリフォームできる物件はほとんどない
×家主の都合によって賃料アップや、建て替え時には立ち退きなどに遭うこともある
×購入した家のような充足感を感じにくいケースも

日本人は「購入を希望する人」が約8割!
しかし実際の「持ち家率」は約6割

 国土交通省の「平成27年度土地問題に関する国民の意識調査」によると、購入派か賃貸派かについての質問に「土地・建物については、両方とも所有したい」と回答した人は79.5%、「借家(賃貸住宅)で構わない」と回答した人は12.7%と、圧倒的に購入派が多数を占めている。

 ところが、総務省の「平成25年住宅・土地統計調査」によると持ち家住宅率は61.7%と、単純に比較できないものの前の調査結果と開きがある。住まいを購入したいと考えながら、実際は賃貸を選んでいる人が一定数いるようだ。購入か賃貸かで迷う理由は、先程に挙げたようにさまざまなメリット&デメリットがあるからだ。

 改めて、購入派の大きなメリットを挙げてみよう。まず低金利の住宅ローンでマイホームが取得でき、それが“家”という形で手に入り、子どもに財産として残すこともできる。そして数年ごとにメンテナンス等が必要とはいえ、老後に最低限住み家を確保できるという安心感もある点だ。

 デメリットとしては、収入にかかわらず一定のローン返済などのリスクがあること。将来も安定した収入が得られるか冷静に判断しないと、破たんしかねないので注意したい。

 賃貸派の大きなメリットとしては、もしもの場合にも対応しやすいという点だ。収入が減っても気軽に住み替えしやすく、購入した場合のような、家を持つというリスクを抑えることができる。

 デメリットとしては、持ち家ではないのでその物件に合わせた暮らしをするしかない点。好みに合わせたリフォームなども難しいだろう。

 そして何といっても心配なのは、老後の生活費に関する点だ。家賃を払い続けるだけの年金などの収入か貯蓄がないと苦しくなることを忘れてはいけない。

(取材・文=sumica(株式会社ノート))


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http://diamond.jp/articles/-/112599
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/514.html

[経世済民117] 物価水準の財政理論〜ケインズ経済学の再来か  21世紀によみがえる「ケインズの亡霊」インフレ税 世界を形作る9の出来事 
物価水準の財政理論〜ケインズ経済学の再来か?
十分に味わう価値のある「新しい皮袋に入った古い酒」
2017.1.6(金) 浜田 宏一

4世紀の日本、仁徳天皇は宮殿の近くの小高い丘から国を視察した。天皇は臣民の台所から立ち上る煙がほとんど見当たらないことに気づいた。大部分が百姓であった臣民が厳しい経済状況にあることを知ったのである。

そこで彼は3年間、臣民からの税の取り立てを免除した。宮殿の石垣が荒廃し、宮殿の屋根の隙間から星が輝いて見える状況にありながらも、国民への税金の取り立てをやめたのである。

3年後、彼はまた丘に登り、民家から煙がもくもくと立ち上がるの見て、彼はその徳政令の政策に大いに満足した。国民も宮殿を修復するためにボランティアに集まったという。彼が仁徳天皇と呼ばれたのも不思議ではない。

それから約2000年後、現在の日本経済は、2014年に行われた大幅な消費税の引き上げと、今後見込まれる追加的な引き上げのために、消費需要が沈滞している。日本の民間部門は、政府の収支を心配するあまり、消費そして投資への意欲を失っている。

ここに仁徳天皇の物語が思いおこされる。人々の支出は自分の富に依存し、政府の富には依存しないからだ。

日本だけでなく、世界中の政策当局者が政府の台所の収支ばかりで頭がいっぱいである。政策は常に収支均衡の予算が守られることを理想としている。米国ではこの教義を信じた共和党のティーパーティーが、米国の地方自治体や州政府の多くの正常な機能を妨げることすらあった。ユーロ圏の基本的な問題点は、単一通貨ユーロの採用により、各加盟国が独立した金融政策を行えないことにあるが、加盟国の赤字/GDP比を制限する厳しい財政ルールによって困難が倍加している。

***

さて、マクロ経済学の新しい波、FTPL(Fiscal Theory of Price Level:物価水準の財政理論)が勢いを増している。昨年の夏、有名なジャクソンホール会議で、FTPLのリーダーでプリンストン大教授のクリストファー・シムズが、他の人には難解なFTPLを一般にも分かるような形で基調講演を行った。

人々の総支出、すなわち消費および投資支出は、現在および将来のバランスシートの下での民間主体の選択によって決定される。民間の資産は、国内の実質資産と海外純資産との和にハイパワード・マネーと公的債務を加えたものである。すなわち、民間支出は、国の純資産と日本銀行と政府の両者の負債の和で決まる。

興味深いことに、シムズは日本経済の問題点をはっきり指摘している。

第1に、量的緩和(QE)、すなわちお金とその代替物であるゼロ金利債券の単なる交換は、総需要への刺激としての効果は次第に小さくなる。

第2に、欧州のようなマイナス金利政策(NIRP)は、イールドカーブを下にシフトさせることによって市場金利をマイナス圏に導く手段としてはうまく機能した。しかし、この政策は実際には金融機関への増税であるため、民間部門のバランスシートに悪影響を与える。

日本においてマイナス金利のマクロ効果が今ひとつなのは、このような理由による。

民間のバランスシートが政府の債務に左右されるというFTPLの論理を念頭に置いて、政府債務については均衡財政論者より柔軟な見方をする必要がある。

インフレ状況下では、大量の公債を発行して政府が資源を浪費する誘惑が生ずる。シニョレッジ権の1つであるこの権限は君主制の時代から濫用され、インフレを起こして資産所有者に一律のインフレ税を課すことになった。一定の実質の政府支出調達するためにより高い税率が必要となるため、多額の公債残高は財政の効率を損なう。

他方、景気後退や停滞の状況下では、公的債務の存在は経済を回復させるのに役立つ。政権が安定している限り、追加の利払いは経済に負担をかけるが、国民の負担を先延ばしして需要不足を救うことができるからである。公債をいわば「見せ金」として国民に持たせることにより、経済を完全雇用水準に保つこと可能となりうるのである。(ネオ・リカード派は、公債の背後には将来の世代の税負担が隠されているため、人々の手にする公債は無価値だと主張するだろうが、リカード自身が認めていたように人々はそこまで賢くない。)

積極的な財政政策の根拠とされていたケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』は1936年に出版された。ほぼ40年後、同書は、反ケインズ革命という形で合理的期待形成論者によって激しく批判された。 そして80年後の今、ケインズの考えは、世代を越えた消費の選択など一般均衡論の洗練された形に扮してFTPLとして戻ってきたといえよう。これは確かに新しい皮袋に入った古い酒であるが、十分に味わう価値のある酒である。

c Project Syndicate, 2017.
www.project-syndicate.org
ismedia
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48839


 

21世紀によみがえる「ケインズの亡霊」「インフレ税」はアベノミクスを救うか
2017.1.6(金) 池田 信夫
日銀がいくらカネをばらまいてもデフレは脱却できなかった
新年の朝日新聞の連載が、ちょっと話題になった。1月4日の1面の「経済成長は永遠なのか」という記事は、「成長は永遠だと思わないほうがいい」と結ばれるが、そんなことは自明の理である。問題は成長をやめてどうするのかということだ。

日本の政府債務(一般会計)は1100兆円を超えた。これを返済するには、将来の消費税率は30%以上に上げなければならない。逆にいうと、われわれの世代は将来の成長による税収をを先食いしているのだ。ここで成長をやめたら借金をどうやって返すのか――朝日新聞のような「脱成長」論者は、その問いには答えてくれない。

「脱成長」は将来世代に重荷を背負わせる

一般会計より深刻なのは、社会保障特別会計だ。厚生労働省が「百年安心」と言う公的年金の予定利率は、ゼロ金利時代になっても4.1%のままである。今の社会保障システムは、今後100年も平均4%以上成長することを前提にして設計されているのだ。

成長率が(純所得ベースで)ゼロになると、鈴木亘氏(学習院大学教授)の計算によれば、2050年には(税・社会保険料を引いた)可処分所得は今の半分になる。急速に人口が減って高齢化する日本で「脱成長」を目指すのは、経済的な自殺行為である。

可処分所得が減っても政府部門の所得は増えるので、経済全体としてはゼロサムだが、現役世代から年金受給者に巨額の所得移転が行われる。これは金融資産の65%をもつ60歳以上に対して、ほとんど貯蓄ゼロの若者の賃金を移転する「逆分配」であり、労働意欲や個人消費に影響を及ぼす。

経団連の榊原定征会長も、新年のインタビューで「3年連続でベースアップを実現したのに個人消費が盛り上がらないのは、将来不安があるからだ」と述べ、政府に社会保険料の抑制などの社会保障改革を求めた。

この点で、さらなる成長で税収を上げようとしたアベノミクスの目的は正しかったが、結果は出なかった。成長率もインフレ率もゼロからマイナスで、デフレに戻ってしまった。何が間違っていたのだろうか?

消費減税で政府債務を減らす「夢の理論」

アベノミクスの元祖といわれる浜田宏一氏(内閣官房参与)は、昨年11月15日の日経新聞で、次のように失敗を認めた。

私がかつてデフレはマネタリー(貨幣的)な現象だと主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない。

分かりにくい表現だが、これは「日銀がいくらカネをばらまいてもデフレは脱却できない」という意味だ。誤りを率直に認めた浜田氏は立派だが、2013年4月に黒田総裁が「2年で2倍」の量的緩和を宣言してから3年半の日銀の政策は何だったのだろうか。

日銀が失敗した原因は、浜田氏が「目からウロコが落ちた」というクリストファー・シムズ(プリンストン大学教授)のジャクソンホール論文が鮮やかに説明している。これは理論的には難しいが、結論は単純である:政府が財政赤字を減らすとデフレになるというのだ。

いくら日銀が通貨を発行しても、財政赤字が減ると投資は増えない。投資家が「政府は国債の発行を減らすので金利は下がるだろう」と予想するからだ。この状況は、日銀がマイナス金利にすると悪化する。

一方、政府が財政赤字の拡大を覚悟のうえ減税して人々の可処分所得を増やしたら、確実にGDP(国内総生産)は増える。たとえば消費税の税収は約17兆円だから、それを一時停止したらGDPは3%ぐらい増えるだろう。

そんなことをしたら財政が破綻する、という心配はない。3%の財政赤字が発生すると市場は超過需要となってインフレになるので、物価で割った実質政府債務は減るからだ。たとえば3%のインフレになったら国債の価値も3%下がるので、政府の借金は軽くなる。

その後も3%のインフレが10年続くと物価は35%上がって、実質債務は3割以上減る。名目GDPは増えて政府の借金も減る――というのがシムズのFTPL(物価水準の財政理論)だが、この夢のような話は本当だろうか?

安倍政権の「意図せざるインフレ税」

この理論は、大学で習うケインズ理論とよく似ている。「ゼロ金利のときは金融政策はきかない」という点も「財政赤字でインフレになる」という点も同じだが、実は中身がまったく違う。

ケインズ政策は景気対策のために財政赤字を増やすものだが、シムズの理論は消費税の代わりにインフレ税をかける(政府がインフレにして借金を踏み倒す)ものだ。

たとえば消費税を中止すると、人々は今までより8%多くの商品を買えるので消費は増えるが、同時に8%インフレになったら、実質的に買える商品は同じだ。しかし所得分配は大きく変わる。物価が8%上がると預金の価値は8%減り、名目金利も上昇するので国債価格は下がる。すべての金融資産の価値が下がるので、金持ちは損するが、カネをもっていない貧乏人や若者は失うものがない。

賃金はインフレにスライドして上がるので、労働者にはあまり影響しないが、年金生活者のもらう年金は目減りする。公的年金は「マクロ経済スライド」で物価に合わせて上げることができるが、これは厚労省の裁量だ。政府支出のほとんどは名目ベースなので、実質債務のデフォルトが合法的にできるのだ。

しかし8%のインフレになると分かったら、投資家は国債を売るだろう。そこで日銀が売られた国債をすべて買うと、国債の暴落は防げるが、日銀が巨額の評価損を抱える。物価が2%上がると50兆円の損といわれるので、8%上がったら日銀は200兆円も損する。これは一般会計で埋めることができない。

そうなると日銀が物価をコントロールする機能が失われ、物価が上がると金利が上がって円が下がり、それによってさらに物価が上がる・・・というスパイラルに入って、ハイパーインフレになるおそれが強い。シムズのシミュレーションでも、2500%以上のインフレになるという結果が出ている。

何が起こるかはやってみないと分からないが、「消費税の増税を無期延期する」という程度のマイルドな政策では何も起こらないだろう。国債をもっている日本の金融機関は、日本人を信用しているからだ。本当にインフレ税をかけるには、消費税を中止するぐらいの大胆な政策が必要だが、安倍首相にはできないだろう。

しかし日本経済の最大の重しになっている社会保障債務を解決する方法は、たぶんインフレ税しかない。財政赤字を先送りしていると、10年以内に金利が上がってハイパーインフレが起こるおそれが強い。その意味で安倍政権は「意図せざるインフレ税」をかけているのである。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48863


 

2017年に世界を形作る9つの出来事
トランプ大統領就任、ブレグジットから中国共産党大会まで
2017.1.5(木) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙2016年12月30日付)

【写真特集】世界各地で新年祝うイベント
フランス・パリの凱旋(がいせん)門にプロジェクションマッピングを使って映し出された世界の国旗(2016年12月31日撮影)。(c)AFP/Lionel BONAVENTURE〔AFPBB News〕
政治的な地震が相次いだ年の後、2017年が平穏な1年になる可能性は低い。ドナルド・トランプ氏の権力掌握から、ゆっくりとしたブレグジット(英国のEU離脱)、中東で自称カリフ制国家「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」が終焉を迎える可能性まで、向こう1年間、世界で注目すべき出来事の手引きを用意した。

1月:ドナルド・トランプ氏の米大統領就任

その振る舞いから判断すると、第45代米国大統領は足跡を残すことを急ぐだろう。トランプ氏は、米国を環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱させ、医療保険制度改革法(オバマケア)を修正・刷新し、前政権のクリーンエネルギー政策を撤廃するなど、幾多の目標に向けて素早く行動すると約束した。

就任演説での新大統領の言葉遣いと就任当初数日間の行動がトランプ政権の基調を定めることになる。たとえトランプ氏自身が予測不能で奔放な振る舞いを続けたとしても、だ。

もう1つ、特に熱心に見守られる公式行事がある。米国の諜報機関が大統領選でのトランプ氏の予期せぬ勝利を後押ししようとしたと見ているロシアのウラジーミル・プーチン大統領とトランプ氏との初の首脳会談だ。

3月:英国のEU条約第50条発動

半世紀に及ぶ英国の外交・経済政策を事実上廃棄した国民投票から9カ月を経て、英国政府は3月末までに正式な2年間の離脱プロセスを始動することになっている。

現時点では、旅路の方向性は完全にははっきりしていない。だが、テリーザ・メイ首相率いる英政府は、EU条約の第50条に基づく離脱手続きを始動する前に一定の計画を示すことを約束している。その青写真が詳細に示されていなかったとしても、英国は包括的な交渉戦略も描かなければならない。

メイ氏は市場にショックを与えることを避けながら、対内投資を促し、保守党のEU離脱派を味方に付けておくことを目指す。3つの目標をすべて成し遂げるのは難しいかもしれない。

年前半:ラッカを巡る戦い

ISISのジハード(聖戦)主義者たちは、シリアとイラクにおける領土拡大で世界の大部分を恐怖に陥れた後、ほぼ2年間、両国で支配地域を失い続けている。ここ数カ月は、ISISが2014年に制圧したイラク第2の都市モスルの支配を巡る戦いに明け暮れた。

この戦いの進展次第で、恐らくは2017年前半に始まる次の攻勢は、ISISの事実上の首都であるシリアのラッカを巡る戦いになる。

トランプ新政権にとって大きな課題は、ISISをその牙城から引きはがし、ジハード主義者の残忍な支配の後に地域を統治することができるシリア人部隊の連合軍(クルド人、アラブ人双方が参加する連合)を組織することだ。

4〜5月:フランスの大統領選挙

ブレグジットとドナルド・トランプ氏の米大統領選出、マッテオ・レンツィ氏の首相在任に終止符を打ったイタリア国民投票での憲法改正案否決の後に、大きな利害がかかった2017年の選挙がやって来る。フランスの政界エスタブリッシュメントは、国民戦線(FN)の大統領候補、マリーヌ・ルペン氏の台頭に抵抗することを目指す。

ルペン氏は第1回投票で勝利を収める可能性がある。だが、一騎打ちの決選投票では、穏健な有権者が反ルペンの旗印の下に結集し、ルペン氏は敗北すると見られている。本命は、保守・共和党の大統領候補、フランソワ・フィヨン氏だ。

だが、主流政党の間には亀裂があり、ルペン氏は労働者階級の有権者の間で支持の鉱脈を掘り起こした。さらに、2016年の選挙のショックは、どんな票も当てにできないことを示している。ルペン氏がどうにかして勝利を収めたら、EUは潜在的に過去最大の危機――ブレグジットをもしのぐ危機――に直面することになるだろう。

5月:イランの大統領選挙

過去4年間、当初の逆の予想にもかかわらず、ハサン・ロウハニ大統領はイランに足跡を残してきた。特に注目されるのは、米国とその他5大国との間で結んだ核合意を通じたものだ。

だが、イランの政策課題を形成するロウハニ氏の力は、旧来秩序の擁護者、具体的にはイラン革命防衛隊と司法界からの絶え間ない攻撃にさらされてきた。

そして今、時折、合意破棄を誓ったトランプ氏の到来で核合意に重圧がかかっている中、ロウハニ氏は大統領再選に挑むことになる。強硬派は大統領選に影響を及ぼそうとするだろう。ロウハニ氏が生き延びるかどうか、そしてイランがより対立的なアプローチを取るかどうかは、中東地域内外に大きな影響を及ぼすことになる。

通年:FRBの利上げ

米国の金利は、原油価格と並び、世界を揺るがす可能性がある経済的事実だ。多くの人、多くの場所にとって、2017年の重大問題は、米国金利がどれほど上昇し得るか、だ。

12月に金融危機以降わずか2度目の利上げに踏み切った米連邦準備理事会(FRB)は、2017年にあと3回金利を引き上げると予想している。市場は、金融引き締めがそこまで進むとは確信していない。だが、金利は実際、一段と上昇する可能性がある。

本人が認めている通り、FRBのジャネット・イエレン議長はまだ、考えられる「トランプ効果」を考慮に入れていない。もし次期大統領が議会で自分が求める莫大な財政刺激策への支持を勝ち取ったら、このトランプ効果は金利をさらに押し上げるかもしれない。

トランプ氏が大統領に選出された後、債券保有者とメキシコペソやトルコリラといった通貨はすでに痛手を受けている。大統領就任後の同氏の政策が全世界で資金コストを上昇させたら、こうした投資家や通貨はさらに試される可能性がある。

年前半:エルドアン大統領の国民投票

レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はほぼ15年にわたり、トルコで自身の権限拡大を図り、その過程で近代トルコの建国の父ムスタファ・ケマル・アタチュルク以来、最も影響力のある指導者になった。

2017年にエルドアン氏はついに最大の野望をかなえる可能性がある。つまり、行政権を持った大統領職に正式に就任し、誰もが認める国家元首および政府のトップとして国を支配することだ。

クーデター未遂と一連のテロ攻撃を含む血みどろの1年を経た後、エルドアン氏により大きな権力を与えることへの国民の支持は増大した。国民投票は4月か5月に実施される可能性がある。大統領は恐らく賛成票を、民意に力を与える行為として描くだろう。反対勢力は、ノーを突きつけることが独裁政治を防ぐ最後のチャンスだと訴えることになる。

秋:中国の共産党大会

中国が国際舞台で今日ほど力を持ったことは過去何世紀もなかった。習近平国家主席ほど強大な権力を持った指導者は、毛沢東以来いない。

習氏は、中国共産党第19回党大会でこの権力を固めることを目指す。同氏はほぼ確実に2022年まで共産党総書記の座を維持するが、本当の問題は、ほかにどんな任命があるか、また、味方を昇格させることによって一連の任命が習氏の影響力を拡大させるかどうか、だ。

もし党大会が既存の年齢制限・任期制限を払いのけたら、それは習氏自身が暫定的な退任期限の2022年以降まで共産党の支配をもくろむシグナルかもしれない。そうなれば、この最も野心的な中国指導者にとって、過去とのさらなる決別になる。

一方、中国は成長が四半世紀ぶりの鈍さとなっている経済やトランプ氏との緊張が高まる可能性など、ほかの大きな課題の舵取りもしなければならない。

9〜10月:ドイツの選挙

アンゲラ・メルケル首相は、欧州で最も重要な指導者、ことによれば自由世界で最も重要な指導者の地位を確立して久しい。だが、首相4期目を目指す2017年には、選挙で大きな難題に直面する。

安定した連立を組む計算は、既成政党の問題によって著しく複雑になる可能性が高い。移民問題に対するメルケル氏のリベラルな路線への国民の不満は、現在の連立パートナーである社会民主党(SPD)の長期的衰退と、古くからの同盟相手である自由民主党(FDP)の不透明な先行きと重なった。

反ユーロ、反移民を掲げる「ドイツのための選択肢(AfD)」は、ここにつけ込もうとするだろう。一方のメルケル氏は、同氏が担う重要な国際的な役割が国内での弱さによって損なわれないこと確実にしようとするだろう。

By Daniel Dombey in London

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48850
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/515.html

[経世済民117] 昨年11月の実質賃金、0.2%減=11カ月ぶりマイナス―厚労省 肩たたきされないためにできること カープ優勝でデフレ脱却
昨年11月の実質賃金、0.2%減=11カ月ぶりマイナス―厚労省
時事通信 1/6(金) 9:03配信

 厚生労働省が6日発表した2016年11月分の毎月勤労統計調査(速報値)によると、賃金の伸びから物価変動の影響を差し引いた実質賃金は前年同月比0.2%減となり、11カ月ぶりのマイナスに転じた。賃金は伸びたが、物価の上昇幅がそれ以上に大きかった。

 厚労省は「物価は野菜の価格高騰で上昇したと考えられ、実質賃金も一時的に下落した可能性がある」(賃金福祉統計室)としており、今後の動向を注視する考えだ。

 基本給に残業代、ボーナスなどを合わせた現金給与総額は、0.2%増の27万4778円と2カ月連続で増加。このうち基本給に当たる所定内給与は0.4%増の24万377円とプラスだったが、残業代など所定外給与は1.3%減の1万9963円、ボーナスなど特別に支払われた給与も3.4%減の1万4438円と落ち込んだ。 


実質賃金、11カ月ぶりマイナス 11月0.2%減
2017/1/6 10:38
 厚生労働省が6日に発表した2016年11月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月と比べて0.2%減った。マイナスとなるのは11カ月ぶり。名目でみた賃金は人手不足などを背景に緩やかに増加しているが、伸びは小幅で勢いを欠く状況が続いている。

 名目にあたる現金給与総額は27万4778円で、前年同月比0.2%増と伸びは限定的だった。増加は2カ月連続。名目の給与総額のうち、基本給にあたる所定内給与は24万377円で、0.4%増えた。増加は5カ月連続。一般労働者は0.3%増、パートタイム労働者は0.2%増えた。

 物価が動いた影響を除いた実質賃金は家計の購買力を測る指標。消費者物価指数が前年同月と比べて0.4%上昇したことが実質で見た賃金の減少につながった。

 安倍政権は経済界に4年連続となる賃上げを求めている。賃上げを起点として個人消費を上向かせ、経済の底上げにつなげる考えだ。しかし今年は原油高や円安などの市場環境の変化に伴い、物価に上げ圧力がかかるとみられている。

 物価上昇分を加味すれば賃金は増えづらい状況が続く可能性があり「実質賃金のマイナスは一時的とみられるが、上昇の勢いは落ちる」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)という指摘がある。

 残業代などにあたる所定外給与は1.3%減った。所定外労働時間の減少が影響した。


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残業代不払い99億円=労基署、1348社指導−15年度
冬ボーナス横ばい=大企業、平均88万円
最終更新:1/6(金) 12:27
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170106-00000031-jij-bus_all

 



 
将来「肩たたき」されないために 今あなたができることは?
NIKKEI STYLE 1/3(火) 7:47配信

将来「肩たたき」されないために 今あなたができることは?
(C)Nancy Rothstein
 世界でもトップクラスの教授陣を誇るビジネススクールの米スタンフォード大学経営大学院。この連載では、その教授たちが今何を考え、どんな教育を実践しているのか、インタビューシリーズでお届けする。今回は異端の名物教授、ジェフリー・フェファー教授の2回目だ。
 年功序列の日本企業では、順調に出世してきた人が50歳代になって、突然、子会社への出向を命じられたり退職を勧奨されたりして、困惑するケースが多いと聞く。「同じように出世してきたのに、なぜ同期のあいつは役員になって自分は子会社なのか」と。このような事態を避けるには、どうしたらよいだろうか。フェファー教授に現実的な方法を指南してもらおう。(聞き手は作家・コンサルタントの佐藤智恵氏)

将来「肩たたき」されないために 今あなたができることは?
スタンフォード大学経営大学院 ジェフリー・フェファー教授
競争から降りる必要はない
佐藤
:著書では「私たちの職場はサソリや毒グモがたくさんいるジャングルのようなもので、それを生き抜く術を身につけなければならない」と説いています。ジャングルの中で生存したい、でも自分は良い人間でありたいからサソリのように毒をまきちらしたくないと願う日本人は多いと思います。この2つは両立しますか?

フェファー
:両立しませんね。どちらかを選ばないと。何とか生きられればいいから良い人間でありたいのか、自ら強くなってサソリや毒グモと戦いたいのか。

佐藤
:日本企業では「汚いことはやりたくない。社内政治なんてまっぴら。それよりも平和な一般社員でいたい」という人が増えてきています。幹部候補生だった女性が、政治を嫌って昇進を辞退したり、自ら降格を申し出たりすることも多いです。このような日本人社員に、どのようなアドバイスをしますか。

フェファー
:自ら競争から降りる必要なんかありません。そんなことしないでください。権力をどう使い、権力者はどうふるまうかを学べばいいだけのことです。
 たとえば、生まれたばかりの赤ちゃんは何もできませんよね。歩き方も、トイレの使い方もわからない。赤ちゃんにとってこの世は不自由なことばかりです。でも、それをひとつひとつ学びながら、克服していくわけです。赤ちゃんは途中で歩くのをあきらめたりしますか。
 リーダーとしての現実的なふるまい方を学ぶのも同じことです。最初は不快に感じるかもしれませんが、トレーニングすれば必ずできるようになります。もっと戦略的に人とのコミュニケーションをとることはできますし、もっと自分の意見を主張して、もっと自分の能力を周りの人に示すこともできるのです。

次ページは:佐藤

佐藤
:それは、自らが毒をまきちらすサソリになるとは違うということですよね?

フェファー
:でも、ジャングルの中で生存しなくてはなりませんから、「サソリと戦える何か」になる必要はありますね。死んでしまえばそれで終わり。自分の権力と地位を守るということは最低条件です。権力がなければ、組織の中では何一つ大きなことを達成できません。

リーダーシップモデル、多くは創業者
将来「肩たたき」されないために 今あなたができることは?
佐藤智恵(さとう・ちえ) 1992年東京大学教養学部卒業。2001年コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。NHK、ボストンコンサルティンググループなどを経て、12年、作家・コンサルタントとして独立。「ハーバードでいちばん人気の国・日本」など著書多数。
佐藤
:フェファー教授の言っていることはよくわかるのですが、悪いヤツを自分のモデルにするのには、どうしても抵抗があります。世界には人々から尊敬されている素晴らしいリーダーがたくさん存在します。たとえば米サウスウエスト航空のハーバート・ケレハー会長などはその最たる例です。こうした素晴らしいリーダーをお手本にするというのは、どうでしょうか。

フェファー
:いわゆる偉大なリーダーの事例から学ぶときには、注意が必要です。全員が全員、参考になるとは限らないからです。彼らがトップの地位まで上りつめるまで、あるいは地位を維持するためにどんな努力をしたかに注目する必要があるのです。
 経営大学院の教材や本で賞賛されている偉大なリーダーの多くは創業者です。サウスウエスト航空のハーバート・ケレハー会長も、英ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長も、創業者であり株主です。彼らは、最初から権力のある地位を手に入れていますから、普通のビジネスパーソンのように、組織の階段を上るために努力する、熾烈な出世競争を勝ち抜くといったことはやらなくてよかったわけです。

佐藤
:なるほど。そこが同じ社長でも、創業者とサラリーマン社長とでは違う、ということですね。

フェファー
:そうです。創業者は「自分はこういう人間でありたい」という情熱をそのまま実現できますが、普通の人はそうはいきません。創業者は自分でルールを決められますが、普通の人は、決められたルールの中で出世競争を勝ち抜いていかなければなりません。権力を手にいれるためには、理想を追い求めるだけではだめなのですが、その現実を創業者リーダーからは学べません。

次ページは:セミナーよりエグゼクティブコーチが有効?

セミナーよりエグゼクティブコーチが有効?
佐藤
:出世競争を勝ち抜くにはどうしたらいいのでしょうか。

フェファー
:とにかく、常識を打ち破り、周りの人が期待していること以上のことをやってみせることです。社内外に人脈を築き、周りの人に尽くして、とにかく一目置かれる存在になってください。エグゼクティブコーチをつけて、エグゼクティブとしてふさわしい振る舞い方をトレーニングしてください。周りの人からどんどんフィードバックをもらってください。そうすれば、社内で注目され、出世への扉が開くことでしょう。

佐藤
:リーダーシップセミナーを受講することは無駄でも、エグゼクティブコーチをつけるのは効果があるということですね。その違いは何でしょうか。

フェファー
:(1)テニススクールでコーチにテニスを教えてもらう(2)テニスの上達法についてのセミナーを受ける――どちらが実際に上達しますか。それと同じです。
 リーダーシップセミナーでは、理想ばかりを教えて実践で役立つことを教えません。これは大きな問題です。しかも、聴講しているだけではリーダーシップスキルはあがりません。だから無駄なのです。

佐藤
:日本企業には年功序列制度がありますから、多くの人は50歳代まで順調に出世していきます。ところが、50歳代になると、突然、子会社への出向を命じられたり、退職を勧奨されたりして、困惑する人も多いと聞きます。「同じように出世してきたのに、なぜ同期のあいつは役員になって自分は子会社なのか」と。このような事態を避けるには、どうしたらよいでしょうか。

フェファー
:そうなる前に、周りの人からの評価に最大限の注意を払ってください。部下、同僚、上司があなたのことをどう評価しているのか。さりげない会話の中で、さぐってみるのです。他人のことをどう思っているのかというのを隠し通すのはとても難しいことですから、良く思っているか、悪く思っているかはすぐにわかります。

佐藤
:具体的にはどのようにわかるのでしょうか。

フェファー
:表情やジェスチャーでわかりますよ。自分が昇進できそうかどうかは、周りの人たちが教えてくれます。あまり評価されていないようだったら、フィードバックをもらって、改善していけばよいのです。それから昇進した人と昇進しなかった人の違いは何か。そこを分析してみてください。たとえ昇進しなかった人が人格者であったとしても、あなたがモデルとすべきなのは、昇進した人のほうです。

佐藤
:出世した人に「どうやって出世しましたか」と聞いても、正直には教えてくれないですが、どうやって分析すればいいでしょうか。

フェファー
:あなた自身が観察して調査することです。出世した人は、どんなプロジェクトでどんな成果をだしたか、どんな出張に行ったか、どんな研修を受けたか、留学させてもらったかなど、とにかく徹底的に分析して参考にすべきです。
◇   ◇   ◇※教授の略歴はシリーズの1回目「激化するグローバル出世競争 日本人は敗者になる?」をご参照ください。
 フェアー教授の最新刊「悪いヤツほど出世する」の序章は出世ナビでもお読みいただけます。「悪いヤツほど出世する」で全7回のタイトルを一覧できます。

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新幹線清掃会社も奇跡の再生 社員主役のストーリーの力 アーカー教授に聞く(2)
最終更新:1/3(火) 7:47
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170103-00000001-nikkeisty-bus_all&p=3


 

カープ優勝でデフレ脱却? バブル景気以来の良い指標が続々
マネーポストWEB 1/6(金) 17:00配信

カープ優勝でデフレ脱却? バブル景気以来の良い指標が続々
広島カープは「デフレ脱却のシンボル」的存在
 2016年のプロ野球は、“神ってる”強さで25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島カープと、“二刀流”の大谷翔平ブームに沸く日本ハムファイターズが日本シリーズで激突。近年にない盛り上がりを見せた。こうした事象と景気との相関について、「ジンクスの達人」として知られるエコノミストの宅森昭吉氏が解説する。

 * * *
 プロ野球では日本ハムが広島を下し日本シリーズを制したが、この対戦カードは景気拡張を示す組み合わせだ。人気球団が日本シリーズで対戦すると景気が良くなる傾向があるのだが、読売新聞の世論調査によると、今や広島はセ・リーグ3位、日ハムはパ・リーグ2位の人気球団だ。日本シリーズに登場してきた2チームの人気順位を合計した数値が5以内の年は1986年以降17回あったが、そのうち16回は景気拡張局面だった。

 また、この両チームのリーグ優勝は、それぞれに重要な意味がある。パ・リーグの日本ハムは11.5ゲーム差からの逆転優勝を決めたが、10ゲーム差以上をひっくり返すドラマチックな逆転劇は1963 年の西鉄以来、過去に4回の記録がある。リーマン・ショックが起きた2008 年の巨人を除けば、すべて景気は拡張局面だった。

 一方、セ・リーグを制した広島は「デフレ脱却のシンボル」的存在だ。過去に広島がリーグ優勝した6回の暦年の名目GDP成長率の平均値は7.4%で、Aクラス入りした年の平均値でも5.8%と高い成長を示している(全期間平均は3.3%)。1997年のAクラス入りを最後に成績が低迷すると、日本経済も長いデフレ局面に突入している。

 そしてデフレ脱却を目指すアベノミクスが本格スタートした2013年にようやくAクラスに復帰、この年の名目GDP成長率は0.8%となった。広島がAクラスにあるときにはマイナス成長は一度もないのだ。

 ちなみに広島の優勝はバブル景気がピークを打った1991年以来、25年ぶりだ。こうしたバブル景気以来の良い数値を示す経済指標はほかにも複数見られる。9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.38倍となったが、これは25年ぶりの高水準だ。文科省が発表する高卒者の就職内定率は2016 年3月末で97.7%で、こちらは24 年ぶりの良い数値となった。

 さらに、2016年上半期の企業倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は4273件で、上半期としては26年ぶりの低水準を記録している。2017年もデフレ脱却のシンボルである広島が連覇すれば、アベノミクスの先行きに明るい兆しが見えてくるかもしれない。

 とはいえ、今も昔もプロ野球で最も人気のあるチームはやはり巨人だ。消費者マインドに最も好影響を与えるのは、広島よりも巨人の優勝なのだが、2017年は巨人の復活を示唆するデータもある。夏の高校野球で関東勢が優勝した年の翌年は、巨人が71%の確率でリーグ優勝しているのだ。2016年は栃木代表の作新学院が制しており、期待が高まる。

【PROFILE】たくもり・あきよし:さくら証券、さくら投信投資顧問のチーフエコノミストを経て、現在は三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト。ESP景気フォーキャスト調査委員会(日本経済研究センター)委員、景気ウォッチャー調査研究会(内閣府)委員。著書に『ジンクスで読む日本経済』など。

※マネーポスト2017年新春号

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猫ブーム到来は景気のもたつき示す 一方で明るい兆しも
米大統領選の翌年は過去5回平均で10.9%の円安傾向
最終更新:1/6(金) 17:00
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170106-00010001-moneypost-bus_all


http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/516.html

[経世済民117] 12月の米雇用者数:15.6万人増、賃金は2009年以来で最大の伸び 強過ぎるドル、市場懸念すべき 米国債下落、雇用統計
12月の米雇用者数:15.6万人増、賃金は2009年以来で最大の伸び
Shobhana Chandra
2017年1月7日 00:59 JST
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米国株(6日):反発、ダウ平均2万ドルに接近−雇用統計を好感
NY外為(6日):ドル3日ぶり上昇、対円で高い−雇用統計受け
米国債(6日):下落、雇用統計で−グロース氏は利回り2.6%に注目
NY原油(6日):続伸、雇用統計は需要にプラス−減産実施の兆候も
労働参加率が上昇、失業率は4.7%に上昇
製造業やヘルスケア関連、飲食業で雇用が増加

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iKDWb3V43isk/v2/-1x-1.png

米労働省が6日発表した12月の米雇用統計によると、雇用者は前月比で堅調な伸びを示した。年間では6年連続で200万人を超える雇用が創出された。12月の賃金は今の景気拡大局面に入って最も伸びた。
  12月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比15万6000人増。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は17万5000人増だった。前月は20万4000人増と、速報値の17万8000人増から上方修正された。家計調査に基づく12月の失業率は4.7%と、前月の4.6%から若干上昇した。労働参加率が上昇した。平均時給は前年同月比で2.9%増加と、2009年6月以来で最大の伸びだった。

  レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャルのチーフエコノミスト、スコット・ブラウン氏は「労働市場は全般的に非常に力強い」と述べ、「労働市場の状況はさらにひっ迫している。賃金上昇圧力は確実に高まっている。今年は一段と圧力が強まるだろう」と続けた。
  12月はヘルスケア・社会扶助関連の雇用が6万3300人増と、2015年10月以来の大幅増だった。製造業や娯楽・ホスピタリティ関連の雇用も増加した。
  年間ベースで雇用は216万人増加。前年は約270万人の雇用増だった。雇用者の増加幅が6年連続で200万人を超えたのはクリントン政権時代の1999年以降で最長だった。
  労働省は2012年までさかのぼって家計調査のデータを改定した。それにより10月の失業率は4.8%とこれまでの4.9%から下方修正され、9月は4.9%(従来5%)に引き下げられた。
  12月は民間雇用者が14万4000人増加。前月の19万8000人増からは伸びが減速した。政府職員は1万2000人の雇用増だった。
  製造業の雇用は1万7000人増と、前月の7000人減からプラスに転じた。小売りは6300人増。娯楽・ホスピタリティは2万4000人増加した。
  週平均労働時間は34.3時間で前月から変わらず。
  フルタイムでの職を望みながらもパートタイム就労を余儀なくされている労働者や職探しをあきらめた人などを含む広義の失業率は9.2%と、前月の9.3%から0.1ポイント低下した。
原題:U.S. Payrolls Rise 156,000 as Wages Increase Most Since 2009(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-06/OJD659SYF01T01


 
エラリアン氏:強過ぎるドル、市場は懸念するべきだ
Lisa Du
2017年1月7日 02:42 JST
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ドルの動向に毎朝注目、景気回復を逸脱させる要因になる可能性
労働市場は「構造的な課題を抱えている」、雇用増加でも
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アリアンツの主任経済顧問を務めるモハメド・エラリアン氏はドル高に絡むリスクを投資家は見過ごすべきではないと指摘した。
  エラリアン氏は6日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「私が毎朝注目する数字はドルの動向だ」と発言。「市場が心配するべきことはドルがあまりに急速かつ大幅に上昇していることだ。それで景気が軌道から外れる恐れもある」と述べた。
  この日発表された12月の米雇用統計で賃金の伸びが2009年以来の大きさだったことが明らかになり、ドルは上昇。ドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝利して以降、財政出動への期待が高まるなかドルは買われており、値上がり幅は5%を超えている。米連邦公開市場委員会(FOMC)の予測では当局者らが2017年に3回の利上げを見込んでいることが示唆された。強い通貨は米国の輸出を圧迫しかねず、トランプ氏が復活させると約束した製造業に打撃となる可能性がある。
  12月の雇用統計では、労働参加率が62.7%にとどまった。このところは約30年ぶりの低水準付近での推移が続いている。非農業部門雇用者数は前月比15万6000人増。前月は20万4000人増に上方修正された。
  ブルームバーグ・ビューのコラムニストでもあるエラリアン氏は「循環的に堅調な労働市場ではあるが、構造的には課題のある労働市場だ」との見方を示し、「循環的には良好に見えるが、構造的には人口に対する雇用の比率、あるいは労働参加率を見ても、なお課題を抱えている」と続けた。
原題:El-Erian Says Market Should Worry About Dollar Being Too Strong(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-06/OJDAGQ6JIJV901


 

米国債(6日):下落、雇用統計で−グロース氏は利回り2.6%に注目
Brian Chappatta
2017年1月7日 06:29 JST 更新日時 2017年1月7日 07:15 JST
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10年債利回りは上昇、賃金の伸びは2009年以来の最大
相場は週間ベースで3週連続上昇

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/inaLR99zFW74/v2/-1x-1.png

6日の米国債相場は下落。昨年12月の米雇用統計では堅調な雇用の増加が示されたほか、賃金は約7年ぶりの大幅な伸びとなったことが背景。
  ニューヨーク時間午後4時59現在、米10年債利回りは前日比8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.42%。
  米労働省が発表した12月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比15万6000人増。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は17万5000人増だった。平均時給は前年同月比で2.9%増加と、2009年以来で最大の伸びとなり、今年の利上げの論拠が強まったと受けとめられた。クリーブランド連銀のメスター総裁は年内3回の利上げについて、妥当な数字だと話した。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も3回の利上げを予測していると述べた。

  ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロース氏は米国債市場が転換点に差し掛かっており、過去30年続いた利回り低下トレンドが近く破られるとの見方を示した。この日の相場は下落したものの、米10年債利回りは昨年12月15日につけた高水準を0.2ポイント超下回っている。1年ぶりの利上げから一夜明けた同日の利回りは2.64%と、2014年以来の高い水準に達していた。
  ジャナス・グローバル・アンコンストレインド・ボンド・ファンドを運用するグロース氏はブルームバーグテレビジョンおよびブルームバーグラジオとのインタビューで、「米10年債が週間ベース、あるいは月間ベースで2.6%を上抜けるのは、テクニカル分析の観点で非常に強力かつ重要なため、そうなれば弱気相場に入ったことになる」と発言。「上方向に抜けない場合は、現在の水準にとどまるだけだ」と述べた。
  米国債は週間ベースではなお3週連続上昇と、昨年7月以降で最長の連続高。米利回りは同月、英国の欧州連合(EU)離脱決定の影響で過去最低を更新した。
  米国債は前日に6月以来の大幅上昇となったが、こうした動きはトレンドに当てはまらないと、モハメド・エラリアン氏は指摘。アリアンツの主任経済顧問でブルームバーグ・ビューのコラムニストでもある同氏は、米金融当局が最新の雇用統計に後押しされ、利上げを計画通り進めるとの見通しを示した。
  ブルームバーグが先月実施したエコノミストとストラテジスト調査の中央値によると、10年債利回りは年末までに2.66%に上昇すると予想されている。
原題:Gross Eyes 2.6% Yield for Bear Market as Treasuries Fall on Jobs(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-06/OJDMOE6TTDSE01
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/550.html

[経世済民117] 「人にやさしい経済」へ4つの誓い、第1歩は脱GDP 成長頼みの財政再建と決別 トランプのトヨタ批判ツイート、神通力に限界
コラム:
「人にやさしい経済」へ4つの誓い、第1歩は脱GDP

 1月3日、英国が40年間に及ぶEUとの絆を断つことを国民投票で決定し、ドナルド・トランプ氏が米次期大統領に選ばれたことは、既存の社会的・経済的エリート層に広がっている不幸を示す最も顕著な例である。写真は、賃上げと社会正義を求めるデモ。カリフォルニア州で昨年11月撮影(2017年 ロイター/Mike Blake)
Edward Hadas

[ロンドン 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 世界各国の主流派(エスタブリッシュメント)が守勢に立たされている。英国が40年間に及ぶ欧州連合(EU)との絆を断つことを国民投票で決定し、ドナルド・トランプ氏が米国の次期大統領に選ばれたことは、既存の社会的・経済的エリート層に広がっている不幸を示す最も顕著な例である。

エリートたちは怒れる人々の要求にもっと対応していくと約束してはいるものの、容易な話ではない。

本稿では、経済をもっと人にやさしいものにしていくための4つの「新年の誓い」を示そう。

まず、国内総生産(GDP)の話から始めよう。いや、実際には、もうGDPの話などやめよう、ということだ。このような恣意的な指標の改善に執着することは、特に先進諸国においては百害あって一利なしだ。実質GDPは成長することが常に当然とされているが、人々が抱く大きな経済的懸念をほぼ何も捉えていない。

GDPが成長していても、米国における雇用の不十分さと不安定さ、引退後の期待外れの低収入、巨額の医療費に対する懸念といったものはまったく測定されていない。最貧困層の苦境や最富裕層の強欲はGDPには計上されない。さらに悪いことに、GDPの上昇が実際には社会的・精神的な幸福とは反対の指標となっている場合さえある。薬物乱用や家庭崩壊への対応に投じられる費用の増大もGDPを成長させるからだ。

さらに根本的には、GDPを増やし続けることへの執着は、すでに開発が進んだ先進国においては不幸につながる要因なのだ。財・サービスによって得られる満足や安心感は、いずれもすでに大半の人に行きわたっている。確かに、所得配分がもっと公平になり、設備投資が増えれば、雰囲気は改善されるかもしれない。だが、より多くのモノをひたすら積み上げることへの最良の解毒剤は、もっと精神的な向上を伴う目標を追求することなのである。

昨今では、そうした刺激が枯渇している。ここから、主流派の課題における2つめの誓い、「疎外感との戦い」が導かれる。西側諸国において宗教的信条が任意の選択の対象になって以来、社会評論家たちは、より高い目的意識と基準が広い範囲で失われていることを懸念してきた。生きるための、そして恐らくは死ぬための大義が何かしら無ければ、人々は結局、落ち着かず、惨めな、場合によっては暴力的な存在になってしまう。

政治家や企業経営者が神の代わりになるとはとうてい期待できない。だが彼らは少なくとも、社会的な深い絶望が、20世紀において2回の世界大戦をもたらすに至った過激なナショナリズムを過熱させる危険性を認識すべきである。

トランプ氏やロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席といった新世代のナショナリストたちは、自国を偉大な存在にするために平和的な手段を選ぶことで、世界に大きな恩恵をもたらすことができる。宇宙空間の開拓、環境破壊との戦い、スポーツにおける優秀さの追求は、軍事力に比べてはるかに好ましい道である。

精神的な向上につながる理念を探し求める一方で、リーダーたちは何かもっと身近な理念に意を注ぐかもしれない。3つめの誓いは、そうした身近な理念の1つ、「コミュニティーの強化」だ。昨今では、コミュニティーという言葉には、「壊れた」「損なわれた」「孤立した」といった形容詞がついて回る。コミュニティーの喪失はリアルな問題だが、その一方でコミュニティーが持つポジティブな可能性も大きい。家族、友人、親戚、隣人関係、信仰は、非常に満足感の高いかたちで人々を結びつける。

大企業もこれに貢献できる。自社の従業員を固い絆で結ばれた一族のように扱っていると主張する企業もあるが、通常は、成長と利益の追求がそうした方針の妨げになる。とりあえずの改革としてふさわしいのは、法外な(そしてコミュニティーを破壊する)幹部報酬を削減することだろう。

エクソン・モービル(XOM.N)のレックス・ティラーソン会長兼最高経営責任者(CEO)の年間報酬は、この10年間、平均2400万ドル(約28億円)だった。彼の後継者の報酬が、20万4000ドルにずっと近いものになれば、石油業界の巨大企業であるエクソン・モービルが一致団結したチームとして機能する可能性はもっと高くなるだろう。

20万4000ドルというのはティラーソン氏が国務長官として承認された場合の報酬だが、これは米国の平均的な家計所得の4倍である。生活を支えるには十分だが、他の従業員が「経営者も自分たちと同じ世界に生きている」と実感するためにはまだ多すぎるくらいだ。

数え切れないほどの省庁を抱える現代国家の政府、そして規則でがんじがらめになった巨大な官僚機構を擁する福祉国家は、伝統的なコミュニティーを損なうような構造になっている。米国では共和党がこうした状況を変えると主張することが多いが、こうした確立された歴史的トレンドを逆転させるには苦労するだろう。

トランプ氏をはじめとする各国のリーダーたちは、まず、4つめの誓いを強調することから着手すればいい。それが「地方による意思決定」である。補完性の原理、つまり政治的問題にはできるだけローカルなレベルで対処すべきであるという考え方は、EUのマーストリヒト条約で確認されている。しかし現実には、ほぼ正反対のように思われ、だからこそ、英国であれほど多くの有権者がEU離脱に賛成したのだろう。

実際、どこの国の政府でも、過去2世紀にわたり、国民との距離は着実に遠ざかってきた。中央集権化は規模の経済という点で大きな効果をもたらす可能性があるが、昨今では、そうした効率性は、これまで犠牲にされてきた人間的な尺度に比べれば価値が低いのではあるまいか。

新年の誓いというものは、立てたとたんに捨て去られることが多い。GDP重視をやめ、平和的な方法で疎外感に対処し、コミュニティーを強化し、補完性の原理を重視する──。これらは現職のリーダーたちにとっては荷が重すぎるかもしれない。

だが、彼らの後継者たちが、より慈悲深い経済の追求という点で、もっと想像力豊かで有能でない限り、2016年の政治的な混乱は、さらに悪い事態への導入部でしかなかったということになりかねないのである。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
 

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視点:
成長頼みの財政再建と決別のとき

土居丈朗慶應義塾大学 経済学部教授
[東京 6日] - 基礎的財政収支(PB)の赤字が前年度より増えることになる2017年度予算政府案は、経済成長による税収増を当て込んで財政健全化を進めることの難しさを改めて浮き彫りにしたと、慶應義塾大学の土居丈朗教授は指摘する。

ただ、一般歳出の約6割を占める最大の歳出項目である社会保障関係費の自然増を政府計画の「目安」内に2年連続で抑えたことは評価でき、今後も経済成長による税収増に依存せず、歳出抑制と税制改革にしっかり取り組むべきだと説く。

同氏の見解は以下の通り。

<小さな抑制策の積み重ねも重要>

12月22日に閣議決定された2017年度予算政府案には、素直に評価できる部分がある。最大の政策的経費である社会保障関係費の伸びを5000億円以内に抑制できたことだ。

安倍政権は「経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太方針2015)」で2018年度まで社会保障関係費の自然増を年間5000億円以内に収めるという「目安」を提示しているが、それが2年連続で守られた。結果として、全体の一般歳出の伸びも、「目安」の5300億円程度に抑えることができた。

実は社会保障関係費の自然増を5000億円にとどめることは秋口には難しいと思われていた。医療機関に支払われる診療報酬や介護サービス事業者に支払われる介護報酬を大幅に引き下げることなく、どこにそのような自然増抑制の手だてがあるのかと疑問視する声は多かった。実際、厚生労働省の予算要求では当初、社会保障関係費について6400億円の自然増が見込まれていた。

しかし、その後の政府の審議会での議論や与党協議などを経て、政府予算案の段階で、約1400億円の自然増抑制が実現した。主な項目では、70歳以上の高所得者の自己負担額上限引き上げ(国費削減額は224億円)、75歳以上の高齢者に対する保険料軽減の特例廃止(同187億円)、高額がん治療薬「オプジーボ」の薬価引き下げ(同196億円)、さらに所得に応じて介護保険料を算定する「総報酬割」導入(同443億円)などがある。

こうした取り組みは、デフレの長期化と少子高齢化の進行で給付と負担のバランスが崩れてしまっている日本の社会保障制度の持続性について根本的な解決をもたらすものではないが、関係諸団体や経済界を説得し、支払い能力に応じた公平・公正な負担、給付の適正化という方向性を改めて強く示せたことは評価できる。

ただでさえ、社会保障関係費は「目安」内に抑え続けたとしても、国費分だけで年間5000億、2年間で1兆円、4年間で2兆円と増えていく(地方費分を加えればその倍)。税収が想定外に落ち込む年度には「目安」以上の削減が必要になることを考えると、小さな抑制策の積み重ねは備えとしても重要だ。

<若者世代の社会保障負担軽減が急務>

また、社会保障分野で高齢者優遇の見直しに踏み込めた今回の政府予算案は、世代間格差是正の観点から見ても、前進だったと言えよう。

振り返れば自民党は、2008年の後期高齢者医療制度導入の翌年に実施された総選挙で民主党に敗北し、野党に一時転落したことから、高齢者の負担増につながる改革にこれまで及び腰だった(実際は高齢者票が流れたことだけが敗因ではないが)。だが、ようやくそのトラウマから解放されつつあるように感じる。

そもそも、全ての高齢者が経済的弱者だとの見方で議論していると、社会保障改革などまったく進まなくなる。若い世代に対して、重い社会保険料負担を強いている事実を忘れてはならない。しかも、収入が課税最低限以下で所得税を免除されている若年勤労者でも、年収の10―15%にあたる社会保険料を納めている。

こうした世代間などの不公平を正す方向に国民を説得するのは政治の役目であり、日本の財政が厳しさを増す中で、今後、その意思が問われる局面が増えるだろう。早速、2018年度予算に向けては、所得水準に加えて、高齢者が保有する金融資産の多寡に応じた社会保障負担の見直し議論も本格化する。

むろん、高齢者だけでなく、勤労世代に対する所得税制の歪み(他の先進国に比べて小さな課税ベース、弱い所得再配分機能)も各種控除の見直しなどによって改めていく必要がある。その意味で、配偶者の年収制限引き上げなど小幅な変更に終わった今回の配偶者控除見直しは残念だったが、これで手じまいにせず、所得税改革を強く推し進めてほしい。いきなり給与所得控除に手を付けるのが難しくとも、公的年金等控除など見直すべきものは多い。

ちなみに、かねてから述べている通り、他の先進国の例に倣って、納税者本人への基礎控除も含めて、所得控除を税額控除に全般的に見直すことが課税ベースの適正化と所得格差の是正に有効だと私は考えている。

<基礎的財政収支の黒字化はなぜ必要か>

話を2017年度予算政府案に戻そう。社会保障分野以外では、どう評価できるのだろうか。まず歳入面の全体像について率直な印象を述べれば、第2次安倍内閣以降は強気な成長見通しに基づく税収増を見込んでいたが、それがもはや期待できない予算案となっている。

税収増が期待できないため、5.3兆円の税外収入をかき集めた。ちなみに、その過半は外国為替資金特別会計(外為特会)の運用益を当て込んだものだが、この運用益は2016年度決算が終わってはじめて確定されるものであり、足元のトランプ相場が崩れれば、当てが外れるリスクもある。

税収にしても、2016年度予算において、年度途中で目算が狂い、第3次補正で減額修正を余儀なくされたことを考えれば、捕らぬ狸(たぬき)の皮算用となる可能性もある。一部には、拡張的な財政金融政策が奏功して経済成長が税収増をもたらすという期待がいまだ根強いようだが、過去4年間のアベノミクスを経てもなお、日本経済の成長率が目標とする「実質2%・名目3%」を大きく下回る状況が続いていることを考えると、説得力に欠ける。

むろん、このように苦しい予算となってしまうのも、巨額の社会保障負担がある中で、介護・保育・未来投資といった政権の看板政策に予算を回すためでもある。そうした政策の重要性は理解できるが、歳出メニューありきで甘い歳入見通しが前提となってしまえば、社会保障改革が進まない上に、「成長のための改革」という美名の下で結果的にバラマキを助長しかねない。あるいは、1つの項目でバラマキとならずとも、各方面の顔を立てようとして、つじつま合わせで、1つ1つの項目が小ぶりで政策効果を欠く恐れもある。

実際、今回も、さまざまな項目で寛容な予算付けをしている印象を受けた。例えば、2017年度予算案に約540億円が計上された保育士の待遇改善策(月給増額など)だ。もちろん、保育士拡充もうまくメリハリをつければ、待機児童問題の解消につながる点に異論はない。ただ、待機児童問題は主に都市部に限られた課題であり、全国で一律的に保育士の給与を上げようとするのは、ナンセンスではないだろうか。むしろ、都市部の保育士により手厚くしたほうが有効となる可能性がある。

残念ながら、日本の財政はもはや大盤振る舞いが許されるような状況にはない。一部には、経済成長せずとも、インフレによって公的債務が実質目減りすれば持続可能だといった極端な意見もあるようだが、インフレが制御不能となれば、戦前ドイツや終戦直後の日本の例を見ても明らかなように、国民が急性かつ激烈な痛みを受ける。デフレが長期化した日本では、高インフレの怖さに対する想像力が欠如しているのではないか。

日本にとっての最善策は、そうした最悪のシナリオを避けることであり、そのためにも2020年度の国・地方の基礎的財政収支(PB)黒字化という目標は達成しなければならない。その意味で最初の関門は、2018年度のPB赤字対GDP比1%程度という「目安」のクリアだ。ちなみに、2017年度予算政府案ではPB赤字は拡大している。目標達成のためには経済成長頼みの財政再建路線と決別すべきだ。

行動は早いほうがいい。2017年度予算についても、夏までに実行できる見込みの立たない予算については、補正であっさりと減額することが必要ではないか。そもそも予算を使い切る必要はない。歳出予算は執行上限額を意味するものだから、無理して消化せず、その分、借金返済など収支改善に回すべきだ。各省庁には、若い世代や将来世代のためにも、歳出削減に向けた小さな努力を自発的に積み重ねてもらいたい。

*本稿は、土居丈朗氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。

(聞き手:麻生祐司)

*土居丈朗氏は、慶應義塾大学経済学部教授。専門は、財政学、公共経済学、政治経済学。2009年より現職。現在、行政改革推進会議議員、税制調査会委員、財政制度等審議会委員、社会保障審議会臨時委員などを務める。東京大学経済学博士。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2017年の視点」に掲載されたものです。

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コラム:トランプ氏のトヨタ批判ツイート、神通力に限界

Antony Currie

[ニューヨーク 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ次期米大統領はツイッターへの投稿でトヨタ自動車(7203.T)に脅しをかけたが、これがトランプ氏ツイートのピークとなるかもしれない。

トランプ氏は5日、トヨタに対して、メキシコで生産したカローラを米国で販売するならば関税をかけると警告した。しかし、トヨタ株の下げ幅は、フォード・モーター(F.N)やゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)より小幅だった。これは、トランプ氏がトヨタに関して事実を誤認していることがすぐに判明したからだ。こうしたケースが繰り返されればトランプ氏のツイートの神通力が落ちることは必至だ。

トランプ氏がこれまでにオンライン上もしくは集会の場で行った企業批判は、一定の効果が上がっているようだ。GM、ロッキード・マーティン(LMT.N)、ボーイング(BA.N)はトランプ氏から受けた要求に早急に対応。フォードは今週、メキシコでの新工場の建設計画を撤回した。

トヨタのケースでは、メキシコ新工場で生産する年20万台のカローラに35%の輸入関税が課せられると、1台当たりの販売価格を2万ドルと仮定した場合、14億ドルのコスト増要因となる。これは、今年の予想利益の10%程度に相当し、トヨタか顧客が負担を迫られる。

ただ、これが現実のものとなる可能性は低い。それはある非常に簡単な理由のためだ。それは、トヨタのメキシコ工場はカナダ工場の代替となるのであり、米工場の代わりになるわけではないということだ。米国向けのカローラ生産は引き続き同社のミシシッピ工場で行われる。それに、トランプ氏はメキシコ工場の建設地をバハとしていたが、実際にはグアナファトだ。

こうした基本的な事実の間違いは、トランプ氏の支持者は気にしないかもしれない。しかし、株主は今後、トランプ氏のパフォーマンスを鵜呑みにはせず、より具体的な事実に目を向けるようになるだろう。

トヨタを米アルコール飲料大手コンステレーション・ブランズ(STZ.N)と比較してみよう。決算が好調な内容だったにも関わらず、コンステレーションの株価は5日、7%超下落した。コンステレーションは、海外コストを巡る減税措置が撤廃された場合、コスト増大に直面する可能性がある。これは、議会共和党とトランプ氏が目指している税制改革の中核だ。通商協定違反となりかねない関税よりも実施しやすい。

ソーシャルメディアを通じたトランプ氏の企業いじめは、終わらないだろうが、攻撃が的を外れ続ければ投資家は無視するようになる。

●背景となるニュース

*トランプ次期米大統領は5日、ツイッターで、トヨタのメキシコ工場建設計画を批判した。同氏は「トヨタはメキシコのバハに米国向けカローラの新工場を建設するそうだが、とんでもない。米国に工場を建設するか、さもなければ多額の国境税を支払ってもらう」と表明した。

*トヨタは実際には、バハではなく、グアナファトに新工場を建設する。これに伴い、カナダ工場から生産を移管する。米工場ではない。

*トヨタは現在、米国市場で販売しているカローラのすべてを、ミシシッピ州の同社の工場において生産している。

*トヨタの広報担当者は「消費者や自動車業界にとって最善の利益となるよう、トランプ次期政権と協力していきたい」とコメントした。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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[経世済民117] 狭まる人民元防衛の選択肢、外貨準備の減少続く  運が良い人と悪い人の差 第76回 セルフイメージと運の良し悪しの因果関係
アングル:
狭まる人民元防衛の選択肢、外貨準備の減少続く

[シンガポール 5日 ロイター] - 中国政府が今週発表する12月末の外貨準備は、ロイター調査によると3兆ドルをかろうじて上回るものの、2011年2月以来の低水準になりそうだ。そこで投資家の間では、果たして中国当局が人民元の防衛を続けられるのかという点だけでなく、さらなる資金流出と通貨安の悪循環が始まる恐れも大きな不安の種になっている。

中国の外貨準備の規模自体はまだ大きい。とはいえ昨年8月に人民元切り下げを実施して以来、元急落局面に再三見舞われ、その都度当局が買い支えに動いて多額の外貨準備が取り崩されてきた。

当局は個人や企業の海外への資金持ち出しに締め付けを強めているが、外貨準備が目減りするスピードに対する懸念はくすぶり続けている。一部のアナリストは、国際通貨基金(IMF)の適切な基準を満たすには、中国は外貨準備を最低でも2兆6000億─2兆8000億ドルに保つ必要があると試算する。

オックスフォード・エコノミクス(香港)のアジア経済責任者ルイス・クイス氏は「市場にはかなりの不安や憶測が渦巻いている。なぜなら中国ではこの問題について『政府は1ドル=7元、ないしは外貨準備3兆ドルの大台を守るつもりなのだろうか』という語り口が多いからだ」と述べた。

中国は今週、1ドル=7元近辺まで元安が進むとオンショアとオフショアの両市場で介入に乗り出し、中国を為替操作国に認定する意向を示唆しているドナルド・トランプ氏が20日に米大統領に就任するのを前に、元安を容認したくないと考えているとの観測が広がった。

しかし急速な外貨準備の減少と海外への資金流出が続けば、中国は再び一気に大きく人民元を切り下げるしか手がなくなるかもしれない、というストラテジストの声も聞かれる。

こうした切り下げは、他の新興国を巻き込んだ通貨安競争へとつながりかねない。

専門家の見立てでは、外貨準備を減らさずに元安のペースを和らげるために中国当局が頼りにするのは規制の厳格化だ。具体的には海外向け投融資や輸出代金の使い道への監視強化、あるいは既存の資本規制の抜け穴封じといったところになる。

ただ中国政府が元は一方的に下がるのだという市場に定着した見方を覆さない限り、ある規制の抜け穴を素早くふさいでもすぐ次の抜け穴が出現するといういたちごっこは続くだろう。

HSBCのアジア外為ストラテジスト、ジョーイ・チュー氏は「実際に外貨準備が十分にあるのかどうかは重要ではない。人々が外貨準備が足りないと考えれば、海外に資金を逃がそうとして、自己実現的なメカニズムが作用する」と指摘した。

チュー氏によると、中国としては本来通貨防衛には2兆ドルあれば事足りるはずだが、こうした市場心理のために当局は外貨準備を取り崩そうとするのは逆効果だと既に認識しており、だからこそ規制に活路を見出しているという。

例えば当局は、金融機関が報告すべき1回当たりの国内外の現金決済額の下限を20万元から5万元まで引き下げた。また個人の外貨購入は年間5万ドルの枠を維持しながらも、個々の取引に一段と目を光らせている。

上海証券のエコノミスト、ジェリー・フー氏は「以前なら資本規制は比較的緩く、外貨準備も潤沢だったので、当局は個人の外貨購入には目をつぶっていた。今は相場観を変えるために監視を強めている」と述べた。

またオックスフォード・エコノミクスのクイス氏は、中国規制当局が海外企業合併・買収(M&A)の審査を厳格化すると表明している以上、この分野でも何らかの措置が講じられる可能性があると予想。HSBCのチュー氏は、輸出業者の外貨収入をもっと元に転換するよう政府が促す事態になってもおかしくないとの見方を示した。

一方でチュー氏は、中国政府が新たな資本規制は導入せずに、既存の規制の実施をより厳しくすることに重点を置くとみている。それでも通貨安対策としては力不足で、元の下落は止まらないだろうという。

ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのアジア太平洋マクロ戦略責任者ドワイフォー・エバンス氏は「中国当局が取り得る選択肢は乏しい。今より急速な元安を容認してしまうと、資金流出圧力を高めるだけになる。一度に大きく元を切り下げれば、過去1年半に2回も起きた市場の混乱を再燃させるリスクがある」と語った。

(Nichola Saminather記者)

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運が良い人と悪い人の差はどうして生まれるのか
第76回 セルフイメージと運の良し悪しの因果関係
2017.1.6(金) 藤田 耕司
神田明神で仕事始めの参拝、願うは商売繁盛
東京都千代田区の神田明神で、今年の商売繁盛を祈願して参拝する会社員ら〔AFPBB News〕
?「今年も良い年になりますように」

?2017年の年が明け、初詣で今年1年の幸運を祈願された方もいらっしゃるだろう。御利益といった形で運に恵まれることは誰もが望むところである。

?ところが世の中には、運が良さそうな人もいれば、運が悪そうな人もいる。あなたの身の回りにも、運が良さそうな人、運が悪そうな人として思い浮かぶ人はいらっしゃるだろう。

?では、「運が良い人」と「運が悪い人」の差はどのようにして生まれるのだろうか。

人間万事塞翁が馬

?中国の書物「淮南子(えなんじ)」に「人間万事塞翁が馬」という話がある。

?中国の北の国境にある城塞の近くに占い上手な老人が住んでいた。ある時、その老人の馬が北の胡の国の方角に逃げて行った。近所の人々は気の毒がって老人をなぐさめたが、老人は残念がる様子もなく言った。

?「このことが不幸であるとは限らない」

?しばらく経ったある日、逃げ出した馬が胡の良馬をたくさん連れて帰ってきた。そこで近所の人たちがお祝いを言うと、老人は首を振って言った。

?「このことが災いにならないとも限らない」

?しばらくすると、老人の息子がその馬から落ちて足の骨を折ってしまった。近所の人たちがかわいそうに思ってなぐさめに行くと、老人は平然と言った。

?「このことが不幸であるとは限らない」

?1年が経ったころ胡の異民族たちが城塞に襲撃してきた。城塞近くの若者は戦いに行き、胡人から城塞を守ることができたものの、多くの若者は戦いで命を落とした。しかし、老人の息子は足を負傷していたため、戦いに行かずに済み、無事だった。

?この故事からも分かるように、生じる出来事自体が「良いこと」「悪いこと」といった絶対的な意味を持っているわけではない。

?「良いこと」が起きた、「悪いこと」が起きたといった判断は、すべてその出来事を経験した人間の意味づけによって決まる。

?そのため、意味づけの傾向がポジティブな人は「良いこと」がたくさん起き、「運が良い」と感じる機会も多くなる。逆に、意味づけの傾向がネガティブな人は「悪いこと」がたくさん起き、「運が悪い」と感じる機会も多くなる。

宝くじで大金、その後は悲惨な人生も

?「運が良い」ということの定義を、「苦労せずに求めた結果を得られること」といった意味で捉えている方も少なくない。例えば、宝くじが当たった、苦労することなくトントン拍子に出世したといったことなど。

?しかし、宝くじの当選により大金を手にしたことがきっかけで悲惨な人生を送ったという話はよく聞く。また、苦労することなくトントン拍子に出世した結果、部下の苦労を理解できず、いつまで経っても人望が得られないということもある。

?そう考えると、宝くじが当たった、苦労することなくトントン拍子に出世したということ自体は良いことでも悪いことでもなく、その後の本人の生き方次第でその意味は変わり、それと共に、運が良かったのか、悪かったのかも変わる。

?そのため、「苦労せずに求めた結果を得られること」が必ずしも運が良いこととは限らない。

?心理学の言葉に「自己成就的予言(self-fulfilling prophecy)」という言葉がある。これは意識的あるいは無意識的に、自らの思い込みにあった結果を生じさせる行動をとり、実際に思い込み通りの結果が出てしまう現象を表す言葉である。

?例えば、何かをやる際に「きっと上手くいく!」と思い込んでいる場合は実際に上手くいく可能性が高くなり、「どうせ失敗する」と思い込んでいる場合は実際に失敗する可能性が高くなる。

?この自己成就的予言によって、「自分は運が良い」と思い込んでいる人は、「運が良い」と思えるような結果を生じさせる行動をとり、実際にそういった結果が生じる可能性が高くなる。

?また、人間の脳は脳幹網様体賦活系(のうかんもうようたいふかつけい)という部位で視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚からインプットされる五感情報の取捨選択を行っている。

?重要だと判断された情報は意識に残るが、重要ではないと判断された情報は五感で感じたとしてもスルーされ、意識に残ることはない。

?例えば、この記事を読みながら足が地面に触れている感覚を意識していたり、かすかに聞こえる空調の音を意識していたりすることはないだろう。この記事の画面に向けられた視覚情報は意識に上がり、それ以外の五感情報は意識に上がることなくスルーされているはずである。

関心の高い情報を優先する私たちの五感

?このように五感からのインプット情報は無意識のうちに取捨選択され、関心を持っている情報が優先的に意識に上がるようになっている。

?例えば、時計や車を買おうと考えている時は、周囲の人が身につけている時計や車の広告が自然と目につくようになる。同様に、「自分は運が良い」と思いこんでいる人は、「運が良い」と思えるような出来事が優先的に意識に上がる。

?そして、「ほら、やっぱり自分は運が良い」と、その思い込みの正しさを裏づけようとする。

?一方で、「自分は運が悪い」と思い込んでいる人は、「運が悪い」と思えるような出来事が優先的に意識に上がり、「ほら、やっぱり自分は運が悪い」と、その思い込みの正しさを裏づけようとする。

?そのため、同じ1日を過ごしたとしても、両者の意識に上がるものは大きく異なり、それぞれに思い込みの正しさを裏づけようとする。

?心理学者のリチャード・ワイズマン氏は10年にわたる運に関する研究の結果、自らを運が良いと思っている人の思考と振る舞いを明らかにし、その思考と振る舞いを真似る練習プログラムを作った。

?そして、任意の参加者に1か月間、その練習プログラムを実施してもらった。その結果、参加者の80%は「幸福感や満足感が増え、運が良くなったと感じるようになった」と回答した。

?こうしたことからも、「運が良い人」、「運が悪い人」の差が生じる原因の1つは、運に対するセルフイメージの違いにあると言える。

?そのため、運を良くするためには「自分は運が良い」というセルフイメージを持つことが効果的であると言える。とはいえ、セルフイメージを変えることは決して簡単なことではない。

?ただ、「運が悪い」と感じる出来事が起きた際に、「本当にそのことが運が悪いことだと言い切れるのか?」と自らに問い、長い人生で考えた時にこの出来事にはどんな意味があるのかを考える。

?起きる出来事のすべてには必ず意味がある。そういった考えを持つことで、運に対するセルフイメージに少なからず変化が生まれるのではないだろうか。

松下幸之助の採用基準

?私の周りにも「自分は運が良い」と言う人はいる。そういう人には共通した特徴がある。まず、明るく前向きな性格であること。そして、肩の力が入っておらず、自然体で、柔軟に物事を捉えられること。それから、人づき合いを大事にし、感謝の気持ちを持っていること。

?得てして、こういった人は人の縁に恵まれ、逆境にも強く、自らのやりたいことを着々と実現していっている。

?「あなたは運がいいですか?」

?経営の神様と呼ばれた松下幸之助氏は採用面接の際にこの質問をしていた。そして、「自分は運が悪い」と答えた人はたとえ高学歴であっても、高いスキルがあっても不採用にした。

?つまり、自分のことを「運が良い」と思っている人を採用していた。その採用方針の背景には、「自分は運が良いと思える人格こそ、組織に成長をもたらす人材に求められる要素である」といった幸之助氏の考えがあったのかもしれない。

?運の良し悪しということは極めて抽象的な話であり、今回述べてきた解釈がすべてではない。もちろん神のみぞ知るところもあるだろう。

?とはいえ、100%神頼みという姿勢ではなく、「人事を尽して天命を待つ」姿勢で臨みたい。そして、人事を尽す際には、「自分は運が良い」というセルフイメージを持つことも忘れずに行っていただければ幸いである。

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http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/554.html

[国際17] サイバー攻撃「プーチン氏指示」反クリントン 国家情報長官にコーツ  トランプの北朝鮮発言、一線を越えた可能性 
サイバー攻撃「プーチン氏指示」
 【ワシントン共同=清水敬善】米大統領選にロシアがサイバー攻撃で干渉したとする疑惑を巡り、米情報機関を統括する国家情報長官室は6日、ロシアのプーチン大統領が選挙に影響を与えるため、干渉を指示したと明記する報告書を公表した。クラッパー国家情報長官らはトランプ次期大統領に報告した。

 ロシアの目的について報告書は、米国の民主主義プロセスに対する国民の信頼を損ね、民主党候補クリントン氏の名誉を傷つけて当選しないようにすることだったと分析した。プーチン氏とロシア政府は共和党のトランプ氏に対して明らかに好意的だったと指摘した。


【共同通信】
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http://jp.reuters.com/article/idJP2017010701000547

 


 

トランプ氏、国家情報長官にコーツ氏指名
2017年1月8日01時36分 
 トランプ次期米大統領は7日、米情報機関を束ねる国家情報長官に共和党のダン・コーツ前上院議員(73)を指名すると発表した。トランプ氏は、上院の情報特別委員会に属していたコーツ氏を「情報機関を統括するのに必要とされる専門知識と堅実な判断力を明快に示してきた」と評価するコメントを出した。

 国家情報長官室はロシアが米大統領選にサイバー攻撃で介入したと断定する報告書を発表したばかりで、新長官の対応が注目される。

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http://www.asahi.com/articles/ASK1802JFK17UHBI01W.html

トランプ氏、国家情報長官にコーツ前上院議員 対ロ強硬派
2017/1/8 0:45
保存 印刷その他
 【ワシントン=川合智之】トランプ次期米大統領は7日、情報機関を統括する国家情報長官にロシア強硬派として知られる共和党保守派のダン・コーツ前上院議員(73)を指名すると発表した。コーツ氏は弁護士出身で、下院、上院議員を計20年以上経験。ブッシュ前政権で駐独大使も務めた。ロシア強硬派として知られ、上院情報特別委員会ではウクライナに侵攻したロシアへの制裁を主導し、ロシアから入国を拒否されたこともある。

 党内からもわき起こる対ロ姿勢への懸念に対し、トランプ氏が歩み寄る姿勢をみせた格好だ。一方で、同氏は7日、「ロシアとの良好な関係を築くのは良いことだ」とツイッターに投稿するなど、人事と発言が一致しない側面もある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H6N_X00C17A1FF8000/

 

サイバー攻撃、ロ大統領が指示=トランプ氏後押し−米情報機関

トランプ次期米大統領(左)とプーチン・ロシア大統領(AFP=時事)
 【ワシントン時事】米国の情報機関を統括する国家情報長官室は6日、大統領選を標的にしたロシアによるサイバー攻撃について、プーチン大統領が指示したと結論付ける報告書を公表した。ロシアによるサイバー攻撃は、民主党のクリントン前国務長官の選挙活動を妨害し、トランプ次期米大統領を後押しする狙いがあったと指摘した。
 報告書は、プーチン大統領がクリントン氏に対し、ロシアで2011、12年に起きた反政府デモを扇動したとして非難するなど反感を持っていたことを挙げ、「クリントン氏の信用を傷つけることを望んだ」と強調した。当初はクリントン氏に対する中傷がサイバー攻撃の目的だったが、選挙戦が進むにつれて「トランプ氏へのひいきを強めた」という。
 また、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)がサイバー攻撃で入手した民主党全国委員会や党幹部らのデータを内部告発サイト「ウィキリークス」に渡したと指摘した。
 米政府は昨年10月、大統領選にロシアが干渉したと断定。オバマ大統領は同年12月29日、GRUなどへの制裁やロシア外交官35人の追放などの報復措置を決めていた。
 一方、トランプ氏は6日、ニューヨークで、情報機関幹部からサイバー攻撃に関し、機密情報を含む報告を受けた。同氏はその後発表した声明で、ロシアが民主党全国委などにサイバー攻撃を行った可能性に言及したが、「大統領選の結果には影響を与えなかった」と主張した。
 トランプ氏はサイバー攻撃へのロシア関与説に繰り返し疑問を呈している。 (2017/01/07-10:06)
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情報機関報告書 「サイバー攻撃、プーチン氏指示」 反クリントン氏背景
 2017年1月8日 

 【ワシントン会川晴之】昨年の米大統領選期間中にロシアが民主党陣営をサイバー攻撃したとする米政府は6日、「プーチン露大統領の命令で攻撃が実施された」とする情報機関の報告書を公表した。プーチン氏の直接的な関与が名指しで指摘されるのは初めて。サイバー攻撃は「(民主党候補の)クリントン氏の当選を阻止する目的があった」と結論づけており、動機について「(クリントン氏の米国務長官時代の発言に)プーチン氏が恨みを抱いていた」と分析した。

 報告書によると、プーチン氏は2011年以降、「クリントン氏が(ロシアでの)反政府デモを主導している」と公の場で批判を繰り返すようになった。同年12月のロシア下院選挙の結果を巡って大規模な抗議集会が起こり、首相だったプーチン氏の辞任を要求する声も上がった。報告書では触れていないが、プーチン氏の批判は、当時米国務長官だったクリントン氏が「(選挙が)公正ではなかった」と発言したことが背景にあったとみられる。

 報告書は「プーチン氏がクリントン氏に名誉を傷つけられたと思い込み、恨みを抱いていた」とした。

 また報告書は、サイバー攻撃がロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の主導で行われたと断定。ロシア側は15年7月に民主党全国委員会のコンピューターへの侵入を開始し、翌年5月には大量のメールや個人情報を含むデータの入手に成功した。ロシア側から提供を受けた内部告発サイト「ウィキリークス」がデータを暴露した。

 オバマ米大統領は、トランプ氏が今月20日に大統領に就任する前に報告書をまとめるよう中央情報局(CIA)などに指示。プーチン氏のサイバー攻撃への関与を明示することで、ロシア寄りの発言を繰り返すトランプ氏をけん制する狙いがあったとみられる。

「親露」トランプ氏に反発も
 トランプ次期米大統領は6日、米大統領選を巡るロシアのサイバー攻撃に関し、クラッパー国家情報長官らから説明を受けた。その後、声明を発表し、ロシアの関与についての評価は避け、「(サイバー攻撃による)選挙結果への影響はなかった」と自身の当選の正統性を強調した。報告書はプーチン露大統領が命令したと結論づけており、米国内で今後、反露感情がさらに広がることが予想される。

 露との関係改善を目指すトランプ氏は、オバマ政権が昨年12月、サイバー攻撃への報復として対露制裁措置を科した後も「他の誰かがやった可能性もある」とコメント。6日の声明では、「ロシアや中国などは一貫して政府機関などのサイバー基盤を破ろうとしている」と一般論として触れつつ、サイバーセキュリティー対策の強化に取り組む考えを示すにとどまった。

 徹底究明を目的とした独立委員会設置を求める法案を4日に提出した上院外交委員会のカーディン筆頭委員(民主党)は6日、ラジオで露に対する制裁強化を目指す考えを示した。トランプ氏は、露の政府系メディアが「プーチン氏の友人」と表現するエクソンモービルの会長だったティラーソン氏を国務長官に起用する方針で、11日には上院外交委員会でティラーソン氏の承認へ向けた公聴会が開かれる。トランプ氏の対応次第では承認が難航する可能性がある。

 報告書をまとめた情報機関の反発も予想される。中央情報局(CIA)のモレル元副長官は6日、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)への寄稿で「CIAを公然と否定することは、国家安全保障体制への前例のない挑戦であり、危険だ」と指摘した。【渋江千春】
http://mainichi.jp/articles/20170108/ddm/002/030/095000c

 


 

 
焦点:トランプ氏の北朝鮮発言、一線を越えた可能性

 1月3日、トランプ次期米大統領(写真)はツイッターで、北朝鮮の大陸間弾道ミサイルの発射実験は起こらないと明言したが、これが今後、トランプ氏にとって悩みの種になる可能性があると指摘する専門家も。ノースカロライナ州で昨年10月撮影(2017年 ロイター/Carlo Allegri)
David Brunnstrom and Arshad Mohammed

[ワシントン 3日 ロイター] - ドナルド・トランプ次期米大統領は今週、ツイッターへのわずか3語の投稿で、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験は起こらないと明言した。

北朝鮮は核武装も可能な状況だが、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は1日、北朝鮮はまもなく、いずれ米国を攻撃する能力も備える可能性のある兵器、ICBMの発射実験を行うと述べた。これに対しトランプ氏は、「そんなことは起こらない(It won’t happen!)」と書いた。

だが、発射実験の阻止は口で言うほど簡単ではない。そしてトランプ氏は、1月20日に大統領に就任した後、どうやって北朝鮮の核兵器開発計画を撤回させるのか、何も示唆していない。これは、民主党・共和党の別を問わず、歴代の米国政府が果たせなかった課題なのだ。

米国の元当局者やその他の専門家によれば、急速に拡大する北朝鮮の核兵器・ミサイル開発計画を抑制しようと試みるならば、米国として採りうるオプションは実質的に2つ、つまり交渉か軍事行動しかないという。

だが、どちらの道も確実な成功はおぼつかない。軍事的なオプションは、特に北朝鮮に近い米国の同盟国、日本と韓国にとって大きな危険を伴う。

共和党のトランプ次期大統領は、別のツイートで、北朝鮮にとって隣国であり、唯一の同盟国でもある中国が、北朝鮮政府の封じ込めに貢献していないと文句を言った。ただし、中国は、北朝鮮政府に対する数次にわたる国連制裁を支持している。

オバマ政権の関係者も含め、トランプ氏に批判的な人々の多くも、中国は北朝鮮に対してもっと厳しい圧力をかけられるという点ではトランプ氏に賛同するが、国務省は、中国が北朝鮮封じ込めに協力的でないというトランプ氏の評価には同意できないとしている。


北朝鮮の最高指導者である金正恩氏(党委員長)は1日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の実施が近いと述べた。北朝鮮がこうした主張を行うのは珍しくないが、一部の軍事専門家からは信ぴょう性があるとの意見も上がっている。
専門家らは、通商問題から台湾問題に至るトランプ氏の対中強硬姿勢は、中国の協力を確保するうえで障害になりかねないと指摘する。

米シンクタンク、カーネギー国際平和財団で原子力政策プログラムの共同ディレクターを務めるジェームズ・アクトン氏によれば、ちょうどオバマ氏が2012年にシリア政府による化学兵器使用を批判したのと同じように、今回の北朝鮮に関するツイートによって、トランプ氏はいずれ自身の評価を左右するようなレッドライン(越えてはならない一線)を引いてしまった、という。

「北朝鮮による核兵器・ミサイル開発計画の抑制が非常に難しいことを考えれば、今回、トランプ氏があのようなツイートを投稿したのは無謀だった。これが今後、トランプ氏にとって悩みの種になる可能性があると私は思う」とアクトン氏は語った。

<3つのオプション>

複数の米当局者が匿名で語ったところによれば、命令を受けた場合、米軍には北朝鮮のミサイル実験に対して3つのオプションがあるという。発射前の先制攻撃、飛行中のミサイル迎撃、そして発射実験を放置しておくことだ。

また、先制攻撃というオプションには、誤った目標を攻撃してしまう可能性や、東アジア地域の同盟国に対する北朝鮮の報復攻撃というリスクが伴うと、ある当局者は語った。

米モントレー国際問題研究所の軍事専門家ジェフリー・ルイス氏は、まぐれ当たりは別として、試射されたミサイルを米国のミサイル防衛システムで撃墜できるのか疑問であるとして、北朝鮮の核兵器・ミサイル開発計画の破壊は、大掛かりでリスクの高い試みとの見方を示した。

そうした取り組みには大規模な軍事作戦が必要で、かなりの期間がかかるだろうとルイス氏は述べた。

同氏の指摘によれば、北朝鮮の主な核兵器・ミサイル実験拠点は同国の東側・西側に分かれており、部品等を供給する工場も国内の複数の地方に分散している。

「核開発拠点の地下にはトンネルが複雑に走っている。発射装置は可動式なので、国内のどこからでもICBMを発射することができる。北朝鮮に侵攻するほうがましだ」とルイス氏は言う。

共和党のコリー・ガードナー上院議員はCNNウェブサイトへの寄稿のなかで、北朝鮮の兵器開発計画を支える、多くは中国国内の企業や団体に対し、トランプ政権が「二次的な制裁」を科すことを期待していると書いている。

<制裁強化はあるか>

トランプ氏は北朝鮮に対する政策アプローチについて詳細を明らかにしていないが、政権移行チーム顧問の1人はロイターに対し、手持ちのオプションについて議論するならば、その大部分は、「ある期間にわたる厳しい制裁」に関するものでなければならないと考えていると語った。

国務省のカービー報道官は3日、米国は追加的制裁の可能性を排除していないとしつつ、「先走りしないようにしよう」とクギを刺した。

共和党のジョージ・W・ブッシュ前大統領の補佐官を務めたビクター・チャ氏は、トランプ氏が、米国本土を脅かすような核弾頭搭載可能なICBMを北朝鮮が保有することを真剣に阻止するつもりだとみている。

「もちろん、阻止する方法は難しい。外交(開発凍結の要求)、制裁(中国によるもの、米財務省によるもの)、拡大抑止・攻撃オプション・統合ミサイル防衛のための東アジアへの米軍増派の組み合わせになるだろう。考えられるのはそういった手段だ」とチャ氏は言う。

米国務省出身で、マンスフィールド財団理事長のフランク・ジャヌージ氏によれば、今回のトランプ氏の声明は、オバマ政権の「北朝鮮の核兵器・ミサイル開発計画を容認しない」という公約同様に、中身のないものに終わる可能性があるという。

「北朝鮮がその実質、つまり中身のない発言であることを察してしまい、いっそう増長する結果になるのではないかと懸念している」とジャヌージ氏は言う。「越えてはならない一線を引いてしまった。だが、それを裏付ける用意ができているようには見えない」

同氏は、北朝鮮が長期にわたって米国や国連による制裁に抵抗して核兵器・ミサイル開発計画を継続しているとして、次のように付け加えた。「ドナルド・トランプ氏が140字で発信するだけでそれが変わるとは考えにくい」

(翻訳:エァクレーレン)

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http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/173.html

[政治・選挙・NHK218] 年金は老後のためだけならず 新成人、未納は避けよう 大学生「未納」3割
年金は老後のためだけならず 新成人、未納は避けよう
 
http://www.nikkei.com/content/pic/20170108/96958A9F889DE3E3E0E6E5E0E6E2E1E3E3E0E0E2E3E4828296E2E2E3-DSXMZO1124725031122016PPD001-PB1-12.jpg

2017/1/8
 1月9日は成人の日。毎年多くの男女が20歳を祝うが、成人に伴い国民年金への加入という新たな義務も生まれる。老後だけではなく、いざというときの生活を支える公的年金の役割を若者だけでなく親たちも一緒に考えて対応しよう。

 「大切なお知らせ」「20歳になったら国民年金」。新成人は誕生月の前月、こう書かれた封筒を受け取る。差出人は日本年金機構。封入された加入案内には「20歳以上60歳未満の日本国内にお住まいの方は、国民年金に加入することが義務付けられています」とあり、手続きの流れや保険料を記してある。「国民年金被保険者資格取得届書(20歳適用)」も同封されている。

■大学生「未納」3割

 この書類を提出すると年金手帳や国民年金保険料納付書が送られてくる。保険料は現在、月1万6260円(2016年度)、年間では20万円近くになる。

 案内をもらった側の対応として考えられるのは「保険料を納める」「猶予や免除の申請をする」「手続きをせず、保険料を払わない」(図A)だろう。大学生が公的年金についての考えや方策を発表する「ユース年金学会」(昨年11月開催)で報告されたアンケート(帝京大学の学生が6大学の1760人に実施)では、20歳以上の大学生は国民年金保険料を「支払っている」が24.5%、「特例制度で猶予」が45.3%、「支払っていない」が30.2%という3つに分かれた。

 最も避けたいのが保険料を払わずに未納にすること。「学生の多くは公的年金の知識が少なく、お年寄りのための制度としか思っていない。きちんと手続きをすれば、一家の大黒柱でなくても遺族年金は出るし、障害年金も受け取れる」と社会保険労務士の望月厚子氏は指摘する。公的年金は老後の暮らしだけでなく、若くても障害を負った人や遺族の生活も支える。だが保険料を払っていないとそれも受け取れない。

 障害年金や遺族年金の支給には要件がある。障害基礎年金は20歳から初診日の前々月までのうち、保険料の納付済み期間(免除・猶予含む)が3分の2以上、または初診日の前々月までの1年間に未納月がゼロといった具合だ。「だれでも受け取れると思って相談に来て、要件を満たせずに驚く人もいる」(望月氏)。保険料を払わなければ老後に受け取る年金額も減るが、20代にとっては遠い将来の受取額より、ケガや病気のリスクの方が身近かもしれない。

 東京都内の大学に通っていたAさん(当時22歳)は精神疾患を患い、休学することになった。状態がひどく、精神の障害でも障害年金をもらえることを知った両親が年金事務所に相談したところ、年78万円台の2級の障害基礎年金を受け取れることになった。きちんと毎月保険料を支払っていたからだ。Aさんは復学はできていないが、年金を受け取りながら作業所で短時間働いているという。

 「本人が自分で稼いで保険料を払うのはなかなか難しい。経済的に余裕があるなら親が払ってあげるのが望ましい」と話すのは、ファイナンシャルプランナー(FP)の山崎俊輔氏。前出のアンケートでも「支払っている」の中には親が出している可能性がある人もいるだろうし、「支払っていない」と答えた人でも実は親が払っている場合があるかもしれない。20歳の年金手続きについて年金事務所などに寄せられる問い合わせも「親御さんからの方が多い」(日本年金機構)という。

■年170万人が利用

 親が代わりに払うだけでなく、就職するなどで独り立ちしたら返してもらうのもよい。どちらもその旨を本人に伝えておこう。「国民年金の保険料を払っておいたが、将来のあなたのためになる」などと話せば、本人の年金に対する意識が高まるだろう。親が未納だと子も未納になるとよくいわれる。最も身近な大人である親が年金に肯定的な姿勢を示せば、子どもに受け継がれるかもしれない。

 自分で払えず、親にも頼めない人は猶予や免除を申請する方法がある。承認されれば、保険料を払わなくても納付期間に算入できる。その代表が「学生納付特例」だ。大学や短大などの学生を対象に2000年度に導入された。利用者は年間170万人を超える。市町村の窓口などで申請をするが、手続きを受け付ける学校(学生納付特例事務法人)も徐々に増えてきた。

 「学生は納付特例、無職の人などは免除を申請すべきだが、特例は全く年金額に反映されず、免除も全額反映されるわけではない」とFPの山崎氏は注意を呼びかける。追納(10年以内)しなければ、将来もらう年金額は減ってしまう。学生納付特例は年度ごとに申し込む必要があり、2年1カ月分までさかのぼって申請できる。

 国民年金の加入は社会の一員になったひとつの区切り。親も交えて、適切な対応を選びたい。(土井誠司)

■前納すれば割引 控除の対象にも
 国民年金の保険料は前納すると割引がある(表B)。まとめて払う期間は6カ月、1年、2年などがあり、期間が長いほど割引額は大きくなる。払い方には現金払いや口座振替などがあるが、申し込みの締め切りに注意が必要だ(1年前納や2年前納の口座振替は毎年2月末日)。2年前納はこれまで口座振替しかなかったが、4月から現金払いとクレジットカード払いが導入される。
 国民年金の保険料は全額が社会保険料控除の対象となる。親が代わりに払った場合は親が控除を受けられる。2年分を前納すると、納めた年に全額控除するか、各年ごとに控除するかのどちらか選ぶことができる。

[日本経済新聞朝刊2017年1月4日付]

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[不安と不健康18] 壊死した女の足から出てきた、見たこともないほど巨大なウジ ― 家族に捨てられた寝たきり女性の悲しい末路

壊死した女の足から出てきた、見たこともないほど巨大なウジ ― 家族に捨てられた寝たきり女性の悲しい末路
2016.12.29
関連キーワード:
ウジ虫
,
創傷蠅蛆症
,
北原大悟
,
壊死

http://tocana.jp/images/1612_necrosispatients_1.jpg
>
画像は、Internet Archive Book Images / Image from page 252 of "The American journal of tropical medicine" (1921) (from Flickr, CC BY 2.0)
 皮膚が壊死する原因として考えられるのは、大きく分けて2つある。血液の流れが滞り、臓器の働きが停滞することで起こる場合と、“レンサ球菌”などによる壊死性の感染症にかかってしまう場合だ。感染症にかかった場合、患部が赤く腫れて高熱が出るという症状が現れる。治療方法としては、壊死した皮膚を手術で切除し、抗生物質を静脈内に投与といった方法しかないようだ。

●一日中動かなかったことによる壊死
 今回ショッキングニュースサイト「Best Gore」に、感染症でなく皮膚が壊死した2人の患者の写真が掲載された。この写真は、フランス・パリにある病院の看護師が撮影したもの。1人目の患者は独り身で、親族もいない女性。彼女は肘掛け椅子に腰かけ、長時間同じ姿勢のまま動かず1日を過ごしていた。すると体重による圧力が仙骨・くるぶし・踵にかかって血液の流れが滞り、その部分の皮膚が壊死してしまった。壊死した部位は、陥没し赤くただれ、骨まで見えてしまっている。

●家族に見捨てられた寝たきり女性の壊死
 2人目の患者は、家族から見捨てられたアジア人の女性だ。長い間寝たきりだった彼女だが、誰も様子を確認することはなく、家を訪ねることもなかった。そのため彼女の体は、褥瘡(じょくそう)を患ってしまうことに。彼女の足は特に症状が酷く、足先の皮膚はまるで焼け焦げたように真っ黒。壊死した部分は嚙み千切られたような状態で、骨も丸見えだ。壊死した足は切断されることが決まり、手術が開始された。だが、さらに恐ろしいことに、手術中の彼女の足からは何匹もの“ウジ虫”が発見されたのだ。ウジ虫はかなりの大きさにまで成長しており、手術医らは、女性が手術中に命を落とすことを覚悟していたが、彼女は一命を取り留めた。

■傷口にハエの幼虫が寄生する病気
 前述のアジア人女性のように、傷口からウジ虫が発見される事例は少なくない。実際に「創傷蠅蛆症」という病気がある。傷口にハエの幼虫が寄生することで発症し、ホームレスなどの経済的に貧しい人が多く発症している。創傷蠅蛆症を引き起こす幼虫は、壊死した組織だけでなく、健康な組織にも寄生することが分かっている。駆除するには、傷口を清潔にして幼虫を取り出し、壊死した部位を切除する必要がある。
 老老介護や孤独死などのニュースが聞かれるようになった昨今の日本。寝たきりになった場合、寝返りを打つこともできず、壊死してしまうケースも今後多く生まれてくるかもしれない。
(文=北原大悟)
※次頁に衝撃的な画像を掲載しています。苦手な方はTOPにお戻りください。
皮膚が壊死した2人の患者

http://tocana.jp/images/1612_necrosispatients_2.jpg
画像は、「Best Gore」より

http://tocana.jp/images/1612_necrosispatients_3.jpg
画像は、「Best Gore」より

画像は、「Best Gore」より

画像は、「Best Gore」より

画像は、「Best Gore」より
http://tocana.jp/images/1612_necrosispatients_4.jpg
http://tocana.jp/images/1612_necrosispatients_5.jpg
http://tocana.jp/images/1612_necrosispatients_6.jpg

参考:「Best Gore」、ほか

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[経世済民117] 12月の米雇用統計、FRBの見通しと一致 年内の段階的な利上げ軌道を維持へ FRB発信源が判明!宇宙人タイプIIIからの
12月の米雇用統計、FRBの見通しと一致 年内の段階的な利上げ軌道を維持へ

昨年12月14日のFOMC後に記者会見を行うFRBのイエレン議長

By HARRIET TORRY
2017 年 1 月 7 日 11:56 JST

 米労働省が6日発表した2016年12月の雇用統計は、労働市場が堅固な基盤のもとで同年を終えたことを連邦準備制度理事会(FRB)に確信させる内容で、FRBは年内の段階的な利上げ軌道を維持することになるだろう。

 12月の雇用の伸びは11月から若干鈍化したものの、ここ数カ月の増加ペースはFRBが安全だと考える範囲内に収まっている。12月の失業率は小幅上昇したが、依然として4.7%と低水準である上、求職者数の増加を反映したものだ。

 さらに、12月は賃金の伸びが加速し、年間の賃金上昇率は2009年以来の高水準を記録した。労働市場が引き締まり、人材獲得競争が過熱する中、雇用主がようやく賃金を引き上げ始めたことが分かる。

 賃金上昇は労働者に利益をもたらすと同時に、インフレ率を目標の2%へと押し上げることに寄与するため、FRBは賃金上昇を促進したい考えだ。

 クリーブランド地区連銀のロレッタ・メスター総裁は6日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、12月の雇用統計が「まずまず」の内容で「予想とほぼ一致した」と述べた。また、統計は「経済が順調で、われわれが前進している」ことを示すと語った。

 FRB当局者は昨年12月にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げ、17年は3回にわたり各25ベーシスポイントの利上げに動くとする経済見通しを発表した際、雇用市場が力強さを増していると評価していた。12月の雇用統計はFRBに経済見通しの変更を迫る根拠を与えない内容だった。ただ投資家は、1月31日・2月1日に予定されている次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利は据え置かれると予想している。

 12月は非農業部門就業者数(季節調整済み)が前月比15万6000人増えたものの、増加数は11月の20万4000人から減少した。10-12月の月平均の増加幅は16万5000人で、これはFRBのジャネット・イエレン議長が労働力人口に新規参入者を吸収するのに必要な水準だと述べた約10万人を大きく上回っている。

 12月は民間部門の平均時給が26ドルと、前月比0.10ドル(0.39%)上昇した。前年同月に比べると2.9%上昇し、約7年ぶりの大幅な伸びを示した。

 FRB当局者は、賃金上昇が継続することで、職探しを諦めた労働者が市場に戻ることを期待している。12月の雇用統計はその点でもやや前進が示され、労働参加率は62.7%と11月の62.6%から上昇した。ただ、それでも40年ぶり低水準付近にとどまっている。

 FRB当局者が12月に公表した経済見通しによると、失業率の長期的な予想中央値は4.8%で、この水準ならばインフレが上下せず安定すると予想している。また、17年末から19年末までの失業率の予想中央値は4.5%で、賃金と物価上昇圧力を緩やかに押し上げると期待している。

 イエレン議長は12月のFOMC後の記者会見で、「労働市場では、非常に急速なインフレ上昇を招く可能性のある深刻な労働力不足を示すような、強力な圧力が存在する証拠を確認していない。しかも現在のインフレ率はわれわれの目標を依然として下回っている」と述べていた。

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ニューヨークの地下鉄構内で働く建設作業員(2016年12月)

By JOSH MITCHELL
2017 年 1 月 7 日 02:41 JST

 米労働省が6日発表した2016年12月の雇用統計では非農業部門就業者数の伸びが鈍化したものの、その他の項目は労働市場の引き締まりを示した。就業者数は前月比15万6000人増えた一方、労働人口の増加を背景に失業率は4.7%とわずかに上昇した。平均時給は過去12カ月間に2.9%上昇し、約7年ぶりの大幅な伸びとなった。市場関係者の反応は次の通り。

−プランテ・モラン・ファイナンシャル・アドバイザーズのジム・ベアード氏 昨年は月間平均約18万人の雇用が創出された。底堅い数字ではあるが、これは2012年以来の小幅な伸びだ。特に経済成長の鈍化が背景にあるが、ますます引き締まる労働市場も反映している。経済は完全雇用に近づき、企業が採用枠を埋めるのが一段と困難になっている。

−アバディーン・アセット・マネジメントのルーク・バーソロミュー氏 経済は好調で、ドナルド・トランプ次期米大統領が実施を検討している刺激策の必要性に迫られているわけではない。連邦準備制度理事会(FRB)とトランプ氏の関係や、その結果として打ち出されるポリシーミックスが投資家にとり今年の決定的テーマになる公算が大きい。

−パンテオン・マクロエコノミクスのイアン・シェパードソン氏 生産性の伸びが1%を下回って推移しているため、FRBは本気でインフレ見通しを2%とするつもりなら、3%を大きく上回る賃金上昇を許容できない。(中略)つまり今回の統計は、一段の利上げを遅らせないようFRBに示唆するものだ。財政刺激策の概要がいくらか明確になることを前提に、早ければ3月にも追加利上げがあるとみている。

−キャピタル・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏 項目別で製造業の雇用が1万7000人増加したのは、製造業指標の改善に一致する。就業者数全体の増加のうち半分近くは教育・ヘルスケア部門が占めた。12月に臨時雇用が1万5500人減となったのは懸念事項だが、11月には2万3800人急増していた。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiy-5Pkn7HRAhUEI5QKHfsaATMQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582543262211937078&usg=AFQjCNG2dCxx8OOBJa0Yiej3QjvF7xIt8w

 

宇宙からの謎の電波「高速電波バースト(FRB)」の発信源が判明! 専門家がトカナに大暴露「宇宙人(タイプIII)からのメッセージの可能性」

http://s.eximg.jp/exnews/feed/Tocana/Tocana_201701_post_11941_3a8b_1.jpg
[拡大写真]

 1000分の5秒以内のまさに一瞬、強力な電波を観測する現象「高速電波バースト(FRB)」が初観測されたのは、今から10年ほど前に遡る。現在まで位置の特定や原因など全くの不明とされ、一部では地球人とコンタクトを取るために地球外生命体が送信したものではないかとも噂された。それが今回、ついに発生源が特定されたというのだ!

【その他の画像はコチラ→http://tocana.jp/2017/01/post_11941.html

■30億年先から届く「高速電波バースト」

 英紙「Daily Mail」(1月4日付)などによると、問題のFRBは地球から30億光年以上離れた矮小銀河(dwarf galaxy)から発射されていたことをアメリカの研究チームが突き止めたという。

 最初にFRBが“聞こえた”のは2007年。あまりにも短く、不規則なシグナルだったため、観測装置の故障ではないと天文学者らが納得するまで数年を要したそうだ。2012年には、「FRB 121102」と呼ばれる電波バーストがアレシボ天文台で観測され、カリフォルニア大学バークレー校とコーネル大学の研究らが共同で発生源の特定に乗り出した。

「FRBが地球から30億光年以上離れた矮小惑星から来たことが分かりました」(コーネル大学、シャミ・チャテルジー氏)

 研究チームは、米ニューメキシコ州にある「カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群」や、プエルトリコのアレシボ天文台が所有する世界最大の電波望遠鏡に最新のソフトウェアを搭載。…

昨年は1カ月の間に9つものFRBの観測に成功、ぎょしゃ座方向の矮小銀河が発生源であることが判明した。

「長年なにも見つかりませんでしたが、ついにFRBにつながる手掛かりを掴むことができました」(カリフォルニア大学バークレー校、ケーシー・ロー氏)

「カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群のデータのおかげで、発生場所をかなり正確に特定することができました」(アメリカ国立電波天文台、サラ・バーク=スポーラー氏)

 FRBが発生する原因は未だ不明であるそうだが、通常の超新星爆発の数十倍の爆発エネルギーを持つ超新星爆発「極超新星」や、それに伴う「ロング・ガンマ線バースト」、超新星爆発によって生まれる超高密度の天体「マグネター」との関連が指摘されている。

「マグネターの回転が遅くなるにつれ、FRBを放出するようになるのだと思います。つまり、FRBは赤ん坊(マグネター)のかんしゃくのようなものなんです」(ロー氏)

 FRBの原因はマグネター以外にも、超巨大ブラックホールの周辺から噴出するジェットが有力候補としてあげられている。今後、研究チームは原因特定に向けて邁進していくとのことだ。

 だが、少し待って欲しい。あれほど期待された「地球外生命体からのメッセージ説」について日本メディアが沈黙していることに違和感を覚えないだろうか? 

■専門家「タイプIII文明からのメッセージの可能性」

 実は、海外では同説に本気で期待をかけているメディアも多いのだ。…

日本のマスメディアでは追求されることのないこの問いこそ、トカナで検証する価値があるだろう。そこで、トカナ編集部では2名の物理学専門家に突撃取材を敢行した。

――地球外生命体が地球人とコンタクトを取るためにFRBを送信した可能性は?

A氏 正直に申し上げて、90%以上の確率でマグネターやブラックホールが原因だと思います。ただ、残りの数%は別の可能性を考慮に入れても良いでしょう。「カルダシェフスケール」をご存知でしょうか? ロシア人天文学者、ニコライ・カルダシェフが提唱した“地球外文明の進歩度”を表す基準です。文明のレベルが低い方からタイプ1〜3まで設定されていますが、タイプ3の「銀河規模のエネルギーを扱うことができる文明」であれば、FRBのような電波バーストを送信することができるかもしれません。今回の研究チームがそこまでしているかは分かりませんが、一部の観測施設では電波信号の暗号解析をしているという噂も聞きます。

 なんと、高度な地球外文明がメッセージを送信した可能性もあるというのだ! しかし、驚くのはまだ早い。A氏に続いてインタビューを行った、世界的な物理学者からも更なる驚愕の真実が次々と明らかになったのだ! 詳細は来週報告する予定だ。
(編集部)

※イメージ画像は、「Thinkstock」より
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宇宙の彼方から届く謎の電波!! ついに「異星人からのメッセージ」を観測か!?
http://www.excite.co.jp/News/odd/Tocana_201701_post_11941.html?_p=3

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/563.html

[経世済民117] 現役40代を“戦場”に放り出す「確定拠出年金」の残酷なメッセージ  年末の調整は何だったのか?1月「暴落」は起こらない

現役40代を“戦場”に放り出す「確定拠出年金」の残酷なメッセージ

=持田太市

2017年1月5日 ニュース

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「iDeco(イデコ)」という愛称をつけられた確定拠出年金(401k)は、2017年1月より原則として現役世代の日本人全員が加入できるようになります。あらゆるメディアで報道されるものだから、やらなきゃまずいんじゃないかという気持ちになって、多くの方が申し込みされていると聞きます。取引先の人に聞いても、申し込みしました、という反応がありましたので、なるほど本当に浸透してきていると実感します。(『週刊「年金ウォッチ」−自分年金作りのためのメルマガ』持田太市)

プロフィール:持田太市 (もちだたいち)
SBIハイネットワース株式会社 代表取締役。2007年にSBIホールディングス入社。住信SBIネット銀行開業を経験後、ウェブマーケティング部署を経て、海外でのオンライン金融事業の進出プロジェクトに従事。2013年よりロシアのモスクワに駐在し、インターネット銀行サービスを導入。2015年に帰国後、ウェブを活用した国際資産運用の情報プラットフォームプロジェクトを立ち上げ、現在オンライン金融サロン「ヘッジオンライン」を運営中。

確定拠出年金から「この国の本音」を読み取り老後破綻を回避せよ

本当は残酷な iDeco(イデコ)の正体

このメールマガジンは、自分年金作りをきちんとやっていきましょう、というコンセプトで今年の8月から開始したわけですが、なぜ立ち上げたかというと、確定拠出年金がまさに日本国民の制度になるからでした。報道されている通り、税制メリットが多い「iDeco」ですが、客観的かつ冷静にみれば結構残酷な制度だということがわかります。

端的にいえば、

(1)国の年金制度維持が困難になるので、自分で積み立てて、自分の老後を守ってください、という国からのメッセージ。

(2)企業年金制度の維持が困難なので、企業が積立金額を出すので、自分で運用して増やしてください、という企業からのメッセージ。

(3)そんな身勝手な…と言わないでください。ちゃんと税金優遇という特典をつけてあげますから。

こういうことです。

現行の年金制度は「100%」破綻すると言える

(1)の国の年金制度維持については、本メルマガでも何度か紹介している通りです。現在の仕組みは、現役世代が退職世代の年金負担をすることになりますので、少子高齢化・人口減少という避けられない自然現象に対して、構造的に破綻せざるを得ません。これは100%破綻すると言えます。

厚生労働省の年金財政レポートで、その状況はある程度把握できるものの、前提条件が楽観的すぎるので盲目的にそれを信じることはできません。たぶん現状の日本からみれば、2030年くらいには年金破綻するでしょう。

現制度が破綻した場合、制度を根本から見直すことになります。今の制度の延長線上となるのであれば、現役世代から集められる年金保険料分だけを退職世代の年金とする方式に切り替わり、これを賦課方式といいます。この場合、現在もらっている年金額の約5−6割くらいになると想定できます。

金額にしてみるとわかりやすいです。現在の年金額は、およそ現役世代の収入の6割くらいです。現役が400万円として、年金受給額は240万円(月20万円)となります。ちなみにこれは厚生年金の話です。国民年金だけだと83万円(月7万円)くらいでしょうか。

想定ケースとして、2030年にはその6割になっているはずです。現役世代の給料水準が変わらないとして、年金受給額は144万円(月12万円)です。相応の貯蓄があれば別でしょうが、年金だけで暮さざる得ない高齢者は、老後破綻ということになる可能性が極めて高まります。

「老後破綻」を回避するために必要なお金とは?

この減額分(96万円)を仮に確定拠出年金で確保できるとしたら、老後破綻が回避できるとみて良いはずです。

年金受給後に25年間生きるとしたら、現状の生活を維持するために2400万円(96万円×25年)が必要です。確定拠出年金で月5万円、年間60万円、それを40年間やれば、2400万円です(もし年金運用がうまくいけば、もっと増えます)。大学を卒業して会社員になってから自分年金を作り始めていれば、老後破綻の回避率は上がるということになります。

Next: いま40代の現役世代こそが、最も厳しい「年金の現実」に直面する理由

いま40代の人たちが、最も厳しい「年金の現実」に直面する

こういう想定をした場合、厳しいと思われるのは現在40代の方々になってくると思います。

これまで老後のための貯蓄・自分年金がなく、これから始めるとしたら、残された期間は20年を切っています。

つまりこれから作っていくとしても、月々の積立額を10万円以上に設定していかなければなりません。まだまだ子供にお金がかかる人もいらっしゃると思いますので、これは容易ではないはずです。

とはいえ「やらない」という選択肢はありません。iDecoであろうと年金保険だろうと、ともかく老後のための年金作りを開始しなければならないというのは、将来の自分や家族を守る意味でも絶対必要です。

国が守ってくれるとか、制度破綻はさすがに無いでしょう、という考えでで何もしないと、後で梯子を外されたときに困ります。

国や企業に頼るということが、結構大きなリスクになってきているというのは、日本の今の財政問題を見つめれば、誰しもが思うところでしょう。

もう一つの抜本的制度の変更があるとすれば、それはまさに今の確定拠出年金への移行になるのではないかと推測されます。つまり、自分の老後のための年金は、自分で貯めた分だけ支給される、というものです。

これだと、将来世代へのつけ云々という問題はなくなり、自己責任という話になります。アリとキリギリスの寓話ではないですが、遊んでいたキリギリスは冬になったら死んでしまいます。自己責任という言葉は、思いのほか重たいのです。

機関銃の打ち方を習わずに、戦場に放り出される

あと、先にお伝えした(2)の企業年金制度の維持が困難という点について補足しておきます。

企業年金は従業員に対して支給する年金額が確定していますので、企業は従業員に対して「債務(支払う義務)」を持っていることになります。

年金額が確定しているため、企業自身でちゃんと積み立てをしないといけないし、しかもそれを運用して増やさなければならない。

しかし運用は簡単ではなく、下手すればマイナスになります。なので運用リスクはもう勘弁してください、ということで、そのリスクを従業員に渡すことにしました、という話です。

年金運用が難しいとわかっている中で、さらに投資もしたことがない多くの日本全国民に対して、運用リスクを課す制度がiDeCoとなります。機関銃の打ち方を習わずに、戦場に放り出されるようなものでしょう。制度メリットに焦点を当てて、やらなきゃ損!というような風潮はとても危険に感じます。

ただでさえ損をするのが嫌、という日本人の性格なので、勧めるとしても最低限リスクの話をセットですべきかと思います。

Next: 確定拠出年金で、極力、運用リスクをとらない方法とは?


確定拠出年金で、極力、運用リスクをとらない方法とは?

もちろん運用リスクをとらない方法も残されています。元本確保型商品として用意されている「定期預金」や「年金保険」を選択することです(最初にこのリスク無し商品を選択しても、後で変更できる柔軟性があるのは素晴らしいですね)。

この時、わざわざ確定拠出年金制度を使って定期預金をする意味が本当にあるのか?という話になりますから、「税制優遇」というニンジンがあるからやる意味があるんですよっていう綺麗なロジックが用意されています。

定期預金や年金保険で自分の老後資金を作るのもいいですけれど、それって途中で解約できたりしますから、よほど貯める意思がないと難しいですよね?だから老後まで完全にホールド(解約出金不可)という制度を用意してあげたので、こっちでやってください。しかも拠出した(積み立てた)金額分、税制メリットを受けられるのでお得でしょ?というロジックです。

こういった背景もあり、iDeCoは猛烈に浸透していくものと思っています。なので当メールマガジンを発行し、一人でも多くの方に正しい理解と年金の作り方をシェアしていきたいと思ったのです。

足元の市場は調整一巡後の上昇トレンドが狙い目に

年末・年始の閑散相場の中、年明けの相場混乱の可能性を意識してリスク回避の動きがあったせいか、円高株安に動いています(編注:本稿執筆の2016年12月30日時点)。これはトランプ後の過熱相場を意識した調整の一環ともいえるでしょう。

前回のメルマガでも、2017年1月20日のトランプ大統領就任演説前に一度調整が入る可能性ありとお伝えするとともに、その前に保有ポジションが多い時は落としておくのも一考ですとコメントさせていただきました。

今のマーケット環境を客観的にみれば、多くの方々が投資タイミングを見計らっていると思いますので、下がったら買うというスタンバイ状態の投資家が相当数いらっしゃると思います。いわゆる「押し目買い」を待っているものです。

なので、この調整段階を待ってましたと言わんばかりに、買いに動くことが年明けに起きるはずです。しかしそのタイミングは難しいですので、まずは様子見をしていきましょう。調整後の上昇トレンドにのれば、当面安定した運用フェーズに入れるはずです。

Next: 「トランプ後の世界」を見据えた確定拠出年金の活用アイデア


「トランプ後の世界」を見据えた確定拠出年金の活用アイデア

前述の通り、来月20日前後までは様子見です。大きく下がればエントリーのチャンスがでてきます。

例えば、国内や海外の株式・債券にバランスよく投資する「バランス型ファンド」で年金運用している方は多いかもしれません。それでほったらかしておけば、長期的にみればそれなりにリターンは期待できるでしょう。これは前回お伝えした「長期・国際・分散投資」ということになるからです。

しかしこのメルマガでは、為替動向に着目することで、より期待リターンを挙げることを目指しているのは、これまで何度もお伝えしてきた通りです。年に数回は何かしらのトレンドが形成されますし、年金という長期投資でいえば、数年単位のメガトレンドも狙って良いはずです。

例えばiDeCoの積み立て金額のうち、50%は元本確保型商品(定期預金など)、30%はメガトレンドが形成されそうな投資信託、20%は年に数回できるトレンドにあわせた投資信託、という分散も発想としてはできるかと思います。

50%の定期預金はあくまで待機資金という位置づけで、何か金融危機が起きた時に、安くなった資産を買い付けにいくための流動性確保、という考えも併せ持ちます。

トランプ後の世界では、大量の債券発行とインフレが想起されます。インフレ時には資産価格の上昇が期待される「株式投資」「不動産投資」というのがセオリーですので、トランプ政権時にはそういうセクターに入っていくメガトレンドがある。

その一方で、金利上昇局面では(借入れ状況に左右される)不動産投資がどうしても冷え込んでしまいがちですので、そこを意識して不動産投資を控えることも念頭に置く。

あとは毎年数回は発生しているビッグイベントに注意していく。○○ショックみたいなときがあれば、下がりきった底値で入ることができるかを見極めて、小さい金額でもエントリーしてみるなど。リーマン級のショックも数年内にあるとも言われていますが、それが起きた時はここぞという時のための待機資金、つまり定期預金からスイッチさせてエントリーする、というイメージもできます。

結論を急ぐ必要はないが

このように、ほったらかして勝手に(自動的に)リスクを取るよりも、時局に応じてリスクを(自分で)果敢にとっていくほうが、きっと勉強にもなりますし、今を生きている、自分で年金を作っている!という感覚になれるのではないでしょうか?

年金運用ですので、運用方針や方法論で結論を急ぐ必要はありません。試行錯誤ができるのが自分年金運用ですから、ぜひご自身に合ったものをみつけてみてください。

しかしながら第一にすべきことは、運用するための資金をしっかり貯めていくこと、それに尽きます。資金が無ければ、運用も何もありません。そして運用する時は少額からでもスタートさせること。最初はマイナスになるかもしれませんし、マイナスになったらドキドキして落ち着かなくなるでしょうが、それを経験しないと次に進めません。

プラスであろうとマイナスであろうと、なぜそうなっているのかをきちっと理解すれば、次のアクションが見えてくるはずです。当初考えていたシナリオと違えば、損を確定させることも必要でしょうが、シナリオにまだ行き着いていないのであれば、そのまま保有し続けてプラスに転じるのを待つこともできます。

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『週刊「年金ウォッチ」−自分年金作りのためのメルマガ』(2016年12月30日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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これまで年金は国や企業が用意してくれました。しかし昨今の日本経済は、それが困難になっているのも事実です。だとしたら、自分で作っていくしかありません。しかし、自分で作りなさいと言われても、どうしていいかわからないし、むずしいことや面倒なことは、したくありません。それが人として、普通です。このメルマガを読めば、自分の年金作りに対する考え方やアクションが理解でき、新たな一歩が踏み出せる。さらに、他の情報源はいいから、このメルマガだけ読んでいれば年金作りはOK、と言っていただけるようにするつもりです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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年末にあった程度の調整は、これからもあるでしょう。どれほど強い上昇相場にも調整はつきものですから、2017年の年初にも、2016年末と同じ程度の調整が来るかもしれません。しかし、2016年の初頭にあったような日経平均が短期間に4,000円近くも下げるような「暴落」が起こる可能性は低いし、2017年の相場はおおむね堅調だろうと予想しています。(『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2016/12/31号より)

プロフィール:長谷川雅一(はせがわまさかず)
1959年、岐阜県生まれ。株式会社プレコオンライン(金融商品取引業)代表取締役社長。2000年より株式投資の研究を始め、日本で初めて「株の自動売買」という言葉を使った著書を出版。株式投資の世界では、「株の自動売買」ブームの火付け役として知られている。2011年3月の東日本大震災をきっかけにハーフリタイア。現在は、ツイキャスやYouTubeのライブ、動画や音楽の制作など、創作に重きを置く生活を送っている。

2017年相場はしばらく(長ければ夏まで)上昇傾向が続く可能性も

年末の調整は何だったのか

例年、年末の相場は上昇しやすく、特に昨年のように強い流れの中で年末を迎えた場合、いわゆる「掉尾の一振」という年末独特の上昇が見られることが多いものです。

ところが昨年末は、28日の夜にNYダウが100ドルあまり下落したあと、29日(木)の東京市場で日経平均が250円ほど下落するという、ちょっとした番狂わせとなりました。

12月中旬以降ずっと海外時間に日経225先物が上昇しても、東京市場では売りが優勢で弱い傾向が見られ「なんだか嫌な感じだな」と思っていたところに、29日の下落です。

29日の調整でも、例によって「国内の個人投資家が売った」のでしょうが、年末で外国人投資家の買いが止んでいたためにやや大きな下落になったのだと思います。

【関連】「トランプ相場」は終わらない。日経平均は夏までに2万2000円へ=長谷川雅一

年初の調整は「ない」か「限定的」

2016年末の調整を目のあたりにして、「2017年の年初には、さらに大きな下落があるのではないか?」と心配している投資家も多いのではないかと思います。

しかし僕は、年初の調整は「ない」か、調整があっても「限定的」だろうと予想しています。昨年末の調整は、年始の調整の先取りだったかもしれず、「これで年末年始の調整が終わった可能性あり」と考えています。

…これは、買って越年した方にとっては安心材料ですが、売っていた方にとっては、ちょっと嫌な見解ですね。

年末の下落は「為替の調整」だった

29日からの下落の「震源地」は「為替(米ドル/円)」でした。120円を手前に伸び悩み、停滞していた米ドル/円がクリスマスや年末にからむ手じまい売りで下落。それが日経平均に波及したのです。ちなみに本誌で言う為替の「下落」とは、「ドル円レートの下落」つまり円高を意味します。

そもそもテクニカル的に見て、米ドル/円は「115円まで下げて当然」という状況にありました。116円に接近する程度の下落は「あって当然」の調整でした。その「米ドル/円が下がりやすい(円高になりやすい)」という状況は、12月31日現在でも変わっていません。いぜんとして、まだ「いつ115円まで下げても、おかしくない」チャートのままです。

Next: やはり調整は終わった。私が「年初暴落説」を否定する理由


 
とりあえず調整は終わった

では、30日夜の今年最後の為替相場はどうだったのか?30日の米ドル/円は、116円付近から反発上昇して、夜にはふたたび117円台に値を戻しました。その後は117円を割りましたが、ズルズル下げる動きにはならず、ほぼ117円付近で引けています。

これは、どういうことか?「やはり調整は終わった」と僕は解釈しています。

もちろん、年初にもう一度、調整が来るかもしれないと警戒する必要はあると思います。ですが今のところ、原油価格の下落でオイルマネーが市場から逃げ出した2016年の初頭のような、激しい調整が起こりそうなファクターは見当たらない。逆に、米国の金利上昇や、景気の好転を示唆する要素の方が目立つ状況です。

もちろん、いま隠れているリスクが急に顕在化する波乱がないとは言えませんが、僕は2017年の年初からしばらくの間(長ければ夏まで)、相場の上昇傾向が続くと予想しています。

もちろん、相場のことですからそれなりの「デコボコ」はあるでしょうし、日経平均はあいかわらずの「もたつき」を見せるかもしれませんが…。

アメリカの「減税」で年初に売りが殺到する?

一方で、「2017年の年初に相場は暴落する」という説があります。

「年初暴落説」の根拠のひとつは、「来年からアメリカで減税が行われる。減税の効果が見込めるようになる年初に、まとまった売りが出る」というものです。

これについては、僕自身、一時的に「確かにそうかもしれない」と納得していました。しかし、やがて「待てよ」と疑い始めました。2017年になった瞬間に、アメリカの新しい税制が決まるわけではありません。新税制が正式に決まらなければ、減税の効果を見極めることはできません。

また、実際にトレードをしている方ならおわかりだと思いますが、トレードの現場で「税金が不利だから、今、ここで利食いするのはやめよう」などと考えることは少ないと思います。ぐずぐずしていたら乗っている利益が飛んでしまうトレードの現場で、税金のことなど考えている余裕はないでしょう。

また、「2017年以降は、トランポノミクスで株が上がりそうだ。税制も有利になる」ということになれば、トレーダー達は売るどころか、こぞって買いに走るのではありませんか?

ですから、「2017年になると税制が有利になるから、アメリカ人投資家たちが一斉に売り、暴落する」という説について、僕は現時点では懐疑的です。

「調整」はあっても「暴落」はない

年末にあった程度の調整は、これからもあるでしょう。どれほど強い上昇相場にも調整はつきものですから、2017年の年初にも、2016年末と同じ程度の調整が来るかもしれません。

前述のように、米ドル/円には115円付近までの下落余地があります。もしも米ドル/円が115円レベルまで下落すれば、日経平均は18,500円付近まで下げる恐れがありますので、その程度の調整は想定し準備しておくべきでしょう。

しかし、2016年の初頭にあったような日経平均が短期間に4,000円近くも下げるような「暴落」が起こる可能性は低いし、前述のように、2017年の相場はおおむね堅調だろうと予想しています。…何事もなければ、という条件付きですが。

僕の2017年の相場見通しについて、詳しくは、僕が寄稿した予想記事がマネーボイスさんのサイトに掲載されています。参考にしてください。

【関連】2017年 日経平均株価の読み方・儲け方。向こう1年の有力シナリオ=伊藤智洋

【関連】荒れる2017年相場のキーワードは「カネ余り」その矛先はどこへ向くか?=矢口新

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『長谷川雅一のハッピーライフマガジン』2016/12/31号より一部抜粋
※記事タイトル・太字はMONEY VOICE編集部による

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http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/568.html

[経世済民117] 画像や映像を自動加工するアドビのAI「Sensei」  オランウータンと「少子化」と「孤独な子育て」  
画像や映像を自動加工するアドビのAI「Sensei」

シリコンバレーNext

CTOが語る狙い
2017年1月7日(土)
瀧口 範子
 米Adobe Systemsが2016年11月に発表したAI(人工知能)の「Adobe Sensei」は、めんどうな繰り返し作業を省略して、クリエイターが本来の仕事に集中できるようサポートしてくれる。

 Senseiはもちろん、日本語の「先生」の意味。同社のクラウドサービスである「Creative Cloud」や「Marketing Cloud」、「Document Cloud」で、このAIが利用できる。同社のエグゼクティブ・バイスプレジデント兼CTO(最高技術責任者)のAbhay Parasnis氏への取材を元に、Adobe Senseiを解説しよう。

 まずAdobe Senseiで何ができるのか、いくつか例を挙げよう。結構驚くようなことが可能だ(写真1)。例えば2016年11月に開催した「Adobe MAX 2016」で披露されたデモでは、Adobe Senseiは声優の発言に同期させて、アニメキャラクターの口元を動かしてみせた


写真1●「Adobe MAX 2016」で披露したAdobe Senseiの機能
撮影:瀧口範子
 実用的な機能もある。「Photoshop」であれば風景写真の中から空にかかった木をカットするような場合。Adobe Senseiは木を取り除くことで生まれた空白を自動的に埋めてくれるのだが、その際に空に浮かぶ雲のパターンが不自然にならないように計算し、空が連続的に見えるようにしてくれる。

 クリエイターが必要とする理想的な夕焼け空の画像が見当たらない場合、クリエイターが手持ちの写真から複数の画像を選んで組み合わせ、求める空の色彩をパッチワークすると、Adobe Senseiが「Adobe Stock」の中から、クリエーターの望みに近い画像を探し出してくれる。

Adobe Senseiはニュアンスも見分ける

 ポートレート写真に関する機能も役に立ちそうだ。顔写真を撮ってみたものの緊張した表情になってしまった場合、Adobe Senseiがそれを自然な笑顔に変えてくれる。AdobeのParasnis氏(写真2)によると、「Adobe Senseiは人種的な顔や表情の違いといったニュアンスも見分け、その人にとって自然な表情になるように仕上げられる」のだそうだ。つまり、アルゴリズムは白人男性とアジア系女性の顔のつくりや表情の違いまで知っていて、それぞれの人種にふさわしい表情にするのである。


写真2●米Adobe Systemsのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼CTO(最高技術責任者)、Abhay Parasnis氏
出典:米Adobe Systems
 Marketing Cloudでは、Adobe Senseiは今年のショッピングの流行や消費者がどのくらいのお金を費やすかといったことが予測できるという。またDocument Cloudでは、Adobe Senseiは同じような内容のドキュメントを自社のレポジトリーから自動的に探し出してくれる。後者の場合は、単にドキュメントのサイズや名前だけではなく、その内容を理解した上で検索する。

 「Adobe Senseiを可能にしているのは、Adobeが持つデータとコンテンツの資産(アセット)だ。Adobe Stockには1億以上の画像があり、Document Cloudは900億のPDFファイルを、またMarketing Cloudは70兆件のトランザクション(Web上でユーザーが行ったクリックなどの動作)を管理している。こうしたデータを匿名処理した上でアルゴリズムの学習に利用している」。Parasnis氏はそう説明する。

 Parasnis氏は、Adobeが管理する大量のデータは米Facebookや米Googleにも匹敵する規模だと強調する。FacebookとGoogleが自社のためだけにデータを活用するのに対して、Adobeは例えばMarketing Cloudであれば、顧客企業にユーザー行動のデータを提供する。そこがAdobeと他社の違いになる。

 AdobeではAIや機械学習とうたってはこなかったものの、こうした仕組みを早くから取り入れていた。Photoshopなどが搭載する「Adobe Magic」がそれで、ユーザーの先回りをしてクリエイティブ作業をサポートするような仕組みだった。「Adobe Senseiは、こうしたクリエイターをサポートするリッチな技術セットを、改めて全面的に押し出したもの」(Parasnis氏)となる

人工知能の実現は、機械学習と人間の共同作業

 データを利用したアルゴリズムへの教示は、「機械学習と人間との共同作業」とParasnis氏は言う。「人工知能が人間を置き換えるという主張があるが、コンピュータサイエンスやデータサイエンス、機械学習の専門家らの深い介入なしに、優れた人工知能の機能は達成できない」。人工知能は、機械と人間の共同作業というのが、同氏の見方だ。

 同社ではAdobe Senseiのローンチに伴って、AI事業部に大規模な研究開発の投資をしている。「AIは現在、競争が激化している領域のため」(Parasnis氏)だ。事業部の規模については語れないが、人材、資金共にかなり積極的に投入しているという。

 Parasnis氏はAdobe Senseiによって今後、「データサイエンスとコンテンツのアートの交差点」を目指すとした。複雑化する一方のクリエイティブツールを、自然言語による操作で使いやすくすることもその一つと明かした。

 AI機能は何であれ驚きをもたらすが、Adobeが関わるクリエイティブ領域においては、AIがもたらす感激がビジュアルでドラマティックになる点が興味深い。今後の発展が楽しみである。


このコラムについて

シリコンバレーNext
「シリコンバレーがやってくる(Silicon Valley is coming.)」――。シリコンバレー企業の活動領域が、ITやメディア、eコマースといった従来の領域から、金融業、製造業、サービス業などへと急速に広がり始めている。冒頭の「シリコンバレーがやってくる」という言葉は、米国の大手金融機関、JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモンCEO(最高経営責任者)が述べたもの。ウォール街もシリコンバレー企業の“領域侵犯”に警戒感を隠さない。全ての産業をテクノロジーによって変革しようと企むシリコンバレーの今を、その中心地であるパロアルトからレポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/061700004/010500175/


 


オランウータンと「少子化」と「孤独な子育て」
研究室に行ってみた
国立科学博物館 オランウータン 久世濃子(1)
2017年1月7日(土)
川端 裕人
東南アジアのボルネオ島とスマトラ島に暮らす“森の人”、オランウータン。群れを作らず、木の上で暮らすため、同じく大型の類人猿であるゴリラやチンパンジーなどと比べると多くの謎に包まれている。そんな野生のオランウータンを研究すべく、自ら調査フィールドを拓き、10年以上にわたり野生での調査を続ける久世濃子さんの研究室に行ってみた!(文=川端裕人、写真=内海裕之)
 オランウータンと呼ばれる動物のことは、小さな子どもでも知っている。
 動物園にもいるし、ネットには動画もたくさん出回っている。絶滅が危惧されている種なので、自然保護関連のニュースで報じられることも多い。

ボルネオ島、ナダムバレイの野生のオランウータン。(写真提供:川端裕人)
 ぱっと見には、「赤茶色の毛におおわれた、大きなお猿さん」だ。
 生息地は東南アジア、ボルネオ島とスマトラ島で、現地の人たちが「森(ウータン)の人(オラン)」と呼んでいたのが語源だとか。
 単にお猿さんというのを超えて、ヒトに近い大型類人猿だから、ぼくらが一番身近に知っているニホンザルよりも、アフリカのゴリラ、チンパンジー、ボノボのほうが近縁である。
 体格といい、なんとなく思慮深げな表情といい、「森の人」という名は的を射ている。そして、とにかく赤ちゃんはかわいい! 抵抗しがたい魅力がある。ほかの大型類人猿についても言えることだけれど。
 そこで、大型類人猿に関心を持った子どもが大きくなり、やがて「オランウータンの研究をしたい!」と志したとする。
 それに対する常識的な助言は、「やめておけ」だ。
それでも、やりたい
 アフリカのチンパンジーやゴリラに比べて、生息地がアジアだから、近くて便利、というふうに思っていると痛い目にあう。なぜか、というのはおいおい語るとして、それでも、やりたい、という猛者はいて、国立科学博物館人類研究部の久世濃子特別研究員は、まさにその一人。
 社会的な立場としては紆余曲折を経ながらも、研究はオランウータンまっしぐら! というキャリアを持つ。ちょうど21世紀になる頃にオランウータン研究を志した久世さんは、飼育下や半野生の研究で、基礎を固めつつ、ボルネオ島で野生のオランウータンの調査地を切り拓き、研究を積み重ねてきた。

ナショナルジオグラフィック2016年12月号でも特集「オランウータン 樹上の危うい未来」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら。フォトギャラリーはこちらです。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/16/112200016/112200003/
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/16/112200016/112200003/?P=2&img=ph1.jpg


 ぼくは、久世さんらが開いたフィールド、ボルネオ島のダナムバレイを2010年に訪ね、一緒にオランウータンを追う貴重な体験をさせていただいた。現場にいる時は、目の前のことに夢中になって、とにかく初めて見る野生のオランウータンのことでいっぱいいっぱいになったけれど、帰国してからはもうちょっと俯瞰してみたくなった。
木の上でお一人様
 その後、ずるずると時間ばかりがたってしまったのだが、このたびやっと機会がめぐってきた。つくば市にある科博の筑波研究施設を訪ねて、たっぷりとお話を伺うことができた。

国立科学博物館人類研究部に所属する久世濃子さん。
 まず、大づかみなところからいこう。
 オランウータンって、どんな動物だろう。
 現生では4種類いる大型類人猿の中で、唯一、アジアに生息するオランウータンは、アフリカの3種類(ゴリラ、チンパンジー、ボノボ)とどんなふうに違っているのだろうか。
「群れをつくらない孤独な類人猿、とよく言います。それから樹上性、であるということも特徴ですね」
 久世さんはまず、2点を強調した。
 群れを作らない、孤独な、大型類人猿。そして、樹上性。

 いわば、木の上でお一人様。
 というのが、オランウータンについて、本質的なところらしい。
「基本、サルは群れで暮らしていて、昼間に活動する霊長類のなかで単独性なのはオランウータンだけなんです。あと、あまり知られていないんですけど、樹上で生活がほぼ完結している動物のなかで、一番体が大きいのがオランウータンです。オスだと体重80キロとか、メスでも45キロとかになるので。そんな大きな樹上性の動物、今はほかにいないんですね。なので、そこが特徴ですね」
 大型類人猿の中での比較というよりも、むしろ、もっと大きく霊長類レベル(単独性)、すべての生き物レベル(樹上性)で突出した存在ということもできるらしい。
 それなのに、やはり、ヒト科に分類され、系統的にもヒトと最近分岐したばかりのきょうだい、いとこのような存在である。遺伝的には近いのに、生活はかけ離れている、という意味で、特別感がある。
ヒトを映す鏡
 もっとも、「近いのに、違う」というのは、程度の差こそあれ、ほかの大型類人猿でもそうだ。そして、そのような存在だからこそ、常にヒトを映す鏡のようにも扱われる。
 例えば、チンパンジー。日本が誇る霊長類学者の1人、松沢哲郎さん(京都大学高等研究院・特別教授、京都大学霊長類研究所・兼任教授)は、チンパンジー研究を通じて人間の「心」の進化を論じてきた。一般書でも、『想像するちから チンパンジーが教えてくれた人間の心』(2011年、岩波書店)などで、「チンパンジーを通した人間論」を読むことができる。大型類人猿の研究は、対象を深く知れば知るほど、ヒト、人間に戻ってくる部分が大きい。自分たちにばかり引きつけて考えるのはどうかとも思うけれど、「合わせ鏡」なのだから、そういう部分は必ず出てくる。
 では、オランウータンについては、どんな部分が「合わせ鏡」になりうるだろうか。「木の上でお一人様」な生き物が、ぼくたちに投げかけてくれるものとは。すごく先走っているのは分かっているが、そのあたりの見通しを知りたい。
 ひょっとして、久世さんを困惑させる質問になりかねないと思っていたのだが、なんの迷いもなく回答があった。
「まず、少子化、ですかね」と。
 少子化、ですか? と問い返した。かなり意外な回答だ。

オランウータンは少子化の先輩? こちらはマレーシア、サバ州にある「セピロク・オランウータン・リハビリテーションセンター」の母子。(写真提供:川端裕人)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/227278/121500070/1-04.jpg

 ぼくたちの社会で、少子化が問題になって久しい。多くの動物は、栄養条件などがよくなれば、たくさん子どもを産む方向に進むけれど、ことヒトは、育ち上がる確率が高いなら少ない出産で済ませようとする。これは、ヒトというか、人間社会特有の事情だろうと思っていたら、実はオランウータンもそうかもしれないという。「少子化の起源」というのは、考えもしなかったテーマだ。
「あと、孤独な子育て」と続く。
 オランウータンは、単独性で、独り立ちした後は、基本的には孤独に生きていく。とすると、雄は自分が乳幼児の頃、母親と一緒にいるのが唯一の「一人じゃない」時期だし、雌にしてみるとそれに加えて、自分が子育てしている時期がそうだ。もっとも、子育て期は、母ひとりで子を見るという意味で孤立しており、まさに「孤独な子育て」だ。
はしごを登って
「人間でも、お母さん一人きりで育てるようなことってありますけど、それって、ものすごくつらい。でも、オランウータンにはそれが当たり前で、全然つらいようには見えないんです。親が違うというより子どもが違うんですよね。オランウータンの子どもって騒がないし、要求しないし」

 少子化と、母子が密室状態になってしまうような「孤独な子育て」の問題は、ちょっと位相がずれつつも、大いに重なり合う社会問題だ。少子化の理由には数々あれど、その中には、「孤独な子育て」「辛い子育て」もかかわっているだろうから。それらを解きほぐすのに、オランウータンは何か光を投げかけてくれるのだろうか。
 やっぱり、こういったテーマにまでたどり着くためには、ひとつひとつはしごを登っていかなければならない。まずは久世さんにボルネオ島ダナムバレイのフィールドを案内してもらうところから始めよう。
つづく
久世濃子(くぜ のうこ)
1976年、東京都生まれ。国立科学博物館 人類研究部 日本学術振興会特別研究員。理学博士。日本オランウータン・リサーチセンター事務局長。1999年3月、東京農工大学農学部地域生態システム学科卒業。同年4月、東京工業大学命理工学研究科に入学してオランウータンの行動や生態を研究し、2005年9月に博士号を取得。京都大学野生動物研究センターの研究員などを経て、2013年4月から国立科学博物館人類研究部に所属。著書に『オランウータンってどんな『ヒト』?』(あさがく選書)、共著に『セックスの人類学』(春風社)、『女も男もフィールドへ(FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ12)』『フィールドノート古今東西(FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ13) 』(共に古今書院)などがある。
川端裕人(かわばた ひろと)
1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社文庫)『天空の約束』、NHKでアニメ化された「銀河へキックオフ」の原作『銀河のワールドカップ』『風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)など。近著は、知っているようで知らない声優たちの世界に光をあてたリアルな青春お仕事小説『声のお仕事』(文藝春秋)と、ロケット発射場のある島で一年を過ごす小学校6年生の少年が、島の豊かな自然を体験しつつ、夏休みのロケット競技会に参加する模様を描いた成長物語『青い海の宇宙港 春夏篇』『青い海の宇宙港 秋冬篇』(早川書房)。
本連載からは、「睡眠学」の回に書き下ろしと修正を加えてまとめたノンフィクション『8時間睡眠のウソ。 ――日本人の眠り、8つの新常識』(日経BP)、「昆虫学」「ロボット」「宇宙開発」などの研究室訪問を加筆修正した『「研究室」に行ってみた。』(ちくまプリマー新書)、宇宙論研究の最前線で活躍する天文学者小松英一郎氏との共著『宇宙の始まり、そして終わり』(日経プレミアシリーズ)がスピンアウトしている。
ブログ「カワバタヒロトのブログ」。ツイッターアカウント@Rsider。有料メルマガ「秘密基地からハッシン!」を配信中。


このコラムについて
研究室に行ってみた
世界の環境、文化、動植物を見守り、「地球のいま」を伝えるナショナル ジオグラフィック。そのウェブ版である「Webナショジオ」の名物連載をビジネスパーソンにもお届けします。ナショナル ジオグラフィック日本版公式サイトはこちらです。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/227278/121500070/?ST=print 

ナショナル ジオグラフィック日本版 2016年12月号
オランウータン 樹上の危うい未来


歯をむき出し、枝を揺らしてライバルを威嚇する雄のスマトラオランウータン。野生の生息数は約1万4000頭で、ボルネオ島のオランウータンとは別種とされる。

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/16/112200016/112200003/?P=2&img=ph1.jpg


保護施設で育てられている幼いオランウータンたち。ペットとして闇市場で高値で取引されるため、密猟者たちは母親を殺して、赤ちゃんを手に入れる。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/16/112200016/112200003/?P=2&img=ph2.jpg


果実を採ろうと、地上30メートルの高みを目指すボルネオオランウータン。雄の体重が90キロ近くにもなるオランウータンは、樹上で暮らす最大の動物だ。

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/16/112200016/112200003/?P=2&img=ph3.jpg


生後11カ月の赤ちゃんが母親と一緒に食事中。オランウータンは10歳くらいまで母親と暮らし、栄養のある食べ物の見つけ方など、生き抜くすべを身につける。
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/16/112200016/112200003/?P=2&img=ph4.jpg


ボルネオ島のグヌン・パルン国立公園近くの雨林を、アブラヤシ農園が侵食する。こうした農園の拡大によって、オランウータンの広大な生息地が失われてきた。
3点の画像を合成

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/16/112200016/112200003/?P=2&img=ph5.jpg


http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/579.html

[経世済民117] 米国「シムズ理論」に学べ デフレ日本に財政赤字は役立つ AV出演強要「騙された私のギャラは1.5万円でした」  
米国「シムズ理論」に学べ デフレ日本に財政赤字は役立つ
2017.1.8
 【日曜経済講座】

一般政府の資金不足額と名目GDP
http://prt.iza.ne.jp/kiji/economy/images/170108/ecn17010811090001-p1.jpg

クリストファー・シムズ教授(ゲッティ=共同)
http://prt.iza.ne.jp/kiji/economy/images/170108/ecn17010811090001-p2.jpg

浜田宏一内閣官房参与(原田史郎撮影)
http://prt.iza.ne.jp/kiji/economy/images/170108/ecn17010811090001-p3.jpg


 20日には米国でトランプ政権がスタートし、共和党主流派が否定してきた拡張型財政政策を導入する。同じ頃、日本では来年度政府予算案を審議する通常国会が召集される。日経新聞などメディアや学界の多数派は財務官僚に同調し、まるで念仏を唱えるかのように緊縮財政に固執するが、米国ではデフレ圧力のもとでは財政赤字が有効という財政論「シムズ理論」(後で詳述)が主流になりつつある。日本の“主流派”もいい加減、目覚めたらどうか。
 財政均衡は緊縮財政ではなく、経済成長によってこそ達成される。何よりもデータがそれを実証する。グラフは中央および地方政府と、公的年金や健康保険などの「社会保障基金」で構成される一般政府の資金収支(マイナスが資金不足)の名目国内総生産(GDP)比と名目GDPの推移である。一般政府の資金収支は国家財政の健全度を表すプライマリーバランス(国債関連費を除く財政の基礎的収支)とほぼ一致しており、その不足のGDP比が上がれば上がるほど財政は健全化するとみなされる。平成20年前半にはマイナス1・5%台まで改善したが、同年9月のリーマン・ショック後はマイナス9・3%台まで悪化した。
 アベノミクスが本格的に始まって以来、改善速度はめざましく、昨年9月にはマイナス2・2%台まで上昇した。グラフで一目瞭然、名目GDPの伸びとの相関度合いは極めて高い。名目GDPという経済のパイが大きくなるにつれて、財政が健全化している様子がわかる。
 理由は簡単だ。経済成長すれば、その分、税収が増える。成長率がさほど高くなくても、異次元金融緩和を受けた円安で法人税収が増えるし、株高に伴う資産効果で公的年金などの資金収支がよくなる。26年度の消費税率引き上げ後は名目成長率がゼロ%台に落ち込んだまま推移している。その結果、28年度の税収は減少に転じ、資金収支の改善に悪影響が出そうだ。
 円安・株高は増税や財政の緊縮によるマイナス効果をかなり小さくするのだが、円高・株安になると負の効果は増幅されるリスクが生じる。
 いまのところ、トランプ効果に伴う円安と株高で日本の財政収支も恩恵を受けそうだが、しょせんは投機相場である。わずか140字以内のツィッターで強烈なメッセージを繰り出すトランプ氏が米産業界の不満を背に受けて「円安はけしからん」とでも言い出せば、マーケットでは逆風が渦巻きかねない。なおさら、内需を着実に高める財政が鍵になる。
 ここで、冒頭で引き合いに出した「シムズ理論」を説明しよう。米プリンストン大のC・シムズ教授は、日本の消費税増税後のデフレ圧力を念頭に、金融緩和を生かすためには財政支出拡大が必要と論じている。日銀はマイナス金利政策を続けているが、マイナス金利は政府の金利負担を減らす代わりに、家計など民間の金利所得を減らす。収益の減少を恐れる銀行は融資を渋るので、デフレ不況になる。それを回避するためには、政府が財政赤字にこだわらず財政支出を拡大すべきで、消費税率引き上げは脱デフレを達成した後に繰り延べるべきだという理論である。
 シムズ教授は伝統的なケインズ理論ではなく、市場原理を重視する「新古典派」と呼ばれる学派に属し、データ分析に基づく実証を重んじている。新古典派が多数を占める米国学界への影響力は大きく、内閣官房参与の浜田宏一米エール大学名誉教授によると多くの経済学者が同調しつつある。浜田参与は2月初め、シムズ教授を日本に招く予定だ。
 来年度政府予算案はどう評価すべきか。日経は一般会計が97兆4547億円で過去最大だとみなし、「薄氷の財政健全化」「アベノミクスに綻(ほころ)び」(昨年12月23日付朝刊)と批判する。だが、拡張型はあくまでも当初予算比であり、2、3次の補正を経た今年度予算に対しては2・7兆円余り減る緊縮型である。
 景気が思わしくない場合、安倍晋三政権は補正を組む腹積もりのようだが、あわてて一過性の補正に走るのは、あまり誇れない日本のお家芸だ。当初予算からきちんと計画して、インフラ、教育、防衛、子育てに政府資金を投入する方が家計も企業も将来に対する確信が生まれ、消費や設備投資・雇用を刺激するはずなのに、景気情勢の後を追う財政出動で、財務官僚のやりくりに依存する。
 財政主導で日米が足並みをそろえる。従来の考え方、枠組みを超える米国の財政新潮流から学ぶべきではないか。
(編集委員・田村秀男)
• AV出演強要「騙された私のギャラは1.5万円でした」
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http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/170108/ecn17010811090001-n1.html


 

AV出演強要「騙された私のギャラは1.5万円でした」
2017.1.4
 女性が被害者になる事件が起きると、必ず被害者を非難するような論調の発言を正論だと叫ぶ勢力がいる。だが、自分は被害者とは違うと非難する彼らもきっと、卑劣で手段を選ばない加害者の手にかかれば、簡単にだまされてしまうだろうとライターの森鷹久氏はいう。主に女性をターゲットとした容赦ない搾り取り方と、さらに新たな手口を備えつつある現状を森氏がリポートする。

* * *

 2016年6月、女性を無理やりアダルトビデオ(AV)に出演させたなどとして、都内の芸能プロダクションの元社長ら3人が逮捕された。この事実が明るみになったことで、人権系のNPO団体をはじめ、現役AV女優や関係者らからも声が上がり、多くのメディアが事件を取り上げたことを覚えている方も少なくないだろう。

 被害者女性に同情的な声が多数を占める一方で、「女性も悪いのでは?」といった意見が散見された。彼女たちの多くは大人なのだから、仕事を放棄することだってできたはずだという、すなわち「無知な」被害女性に非があると考える人たちの言い分だ。だがそれは、あくまで、相手が普通に話が通じるまともな人間の場合にしか通用しないやり方だ。ところが女性に原因を求める人たちには、人を陥れるためなら何でもやる人間がいることを知らない。そして、卑劣な人間と対峙する難しさも知らない。

 本当なら被害者を救済する場所であるべき世間からも、容易には受け入れられない。残酷な現実をつきつけられ、自分が被害に遭ったわけでもないのに筆者は暗い気持ちにさせられた。

 それというのも、出演強要の被害に遭った女性たちは、筆者にとって、実は身近な存在だからだ。ティーン向けファッション誌の編集者だったころ、モデルとして登場してもらった女の子たちのうち何人もの人が被害に遭った。さらに出演強要していた側には、アウトロー系雑誌編集者時代に取材や企画で協力してもらった人間やその周辺者がいるからだ。

 被害者の女性たちに騙された原因をヒアリングすると、風俗関係者やアダルトビデオ関係者側の、極めて卑劣な手法が浮かび上がってくる。

 その手法は実に様々であるが、どのパターンにおいても共通するのは「弱者を狙い撃ちにして、搾取するもの」であることだ。その典型的なパターンとも言える卑劣な手法に引っかかってしまったマリカ(27・仮名)が明かす。

 「十代で結婚し出産、二十代の始めで離婚。元旦那からは養育費は一銭ももらえず、パートや親の援助などでなんとか食いつないできました。唯一の楽しみは、ネットを通じて知り合ったシンママ(シングルマザー)サークルに参加すること」

 元旦那から約束されたはずの養育費がもらえず、苦しく孤独な生活の中に潤いを与えてくれた「シンママ」サークル。当初はどこにでもあるような数名規模のアットホームなサークルであったが、次第に人数が増え、某テレビ局の取材を受けるまでになった。サークルの代表に取材話を持ちかけてきたのは、自称芸能事務所関係者のXだった。

 Xと旧知の仲である人物は、Xの表の顔と裏の顔について次のように説明する。

 「Xは“仕出し屋”といわれる存在。テレビや雑誌に出てくれるエキストラや素人さんを集める仕事をしていますが、これは表の顔。裏では、女衒まがいのことや、女の子を風俗業者に紹介することもやっています。裏で稼いだ大金を、テレビ制作会社や編集者の接待など表の仕事でガンガン使い、業界と太いパイプを築いたのです」

 芸能事務所関係者を名乗るXとも自然に知り合いになっていたマリカの元に、程なくXとXの知人を名乗る人物から「モデルかタレントに興味はあるか?」との連絡が舞い込んできた。マリカには十代の頃にステージモデルの経験があったが、芸能活動といえるほどではなく、一児の母である今、まさか芸能活動を始めようとは微塵も思っていなかった。Xの強引な勧誘が始まったのはそれからだ。

 「シングルで大変だろう、少なくとも今の3倍以上稼げると……今考えれば怪しい話ですが、生活にも疲れ、一人で子供を抱え将来どうすれば良いのかという不安もあり、Xの話に乗ってしまいました。ダメなら元の生活に戻ればいいと」

 数日後、契約書どころか“口約束”さえもないまま、Xに「宣材(宣伝写真)撮影」との名目で連れていかれたのは都内のハウススタジオ。そこにはなぜかムービー(動画)用のカメラが用意され、女性のメイク兼スタイリストの他に、見知らぬ男性が5人ほど待っていた。

 「部屋に入った瞬間に悟りました。Xはすでにいなくなっていて、監督らしき男から、これからAV撮影が始まることを告げられた。拒否すると契約しただろう、口約束でも違約金は発生する、風俗でもなんでもやってカネを返済しろと、ものすごい勢いで怒鳴られて……」

 そもそも契約書を書いた覚えも、契約した覚えもない。その時、数人の男たちに凄まれ成すすべなしというマリカの肩をそっと抱いて、優しい言葉をかけてきたのはメイク兼スタイリストの女性だ。

 「気持ちはわかるが、大人の社会のルール。何百万の違約金を払うために何ヶ月も風俗で働くのがいいか、一回っきり、AVに出てお金をもらって帰るか。今日一日だけ頑張れば、子供に美味しいものを食べさせてあげられる、と言うのです。何人もの男性に囲まれ怒鳴られていたので、その女性の言葉が唯一の救いの手のように勘違いさせられました」

 冷静に考えれば、そのスタイリストの女性も彼らとグルだとわかる。あらかじめ役割分担を決めた徹頭徹尾デタラメな、無茶苦茶すぎる茶番だ。しかし孤立無援の状態で怒鳴られ続けると、それが仕組まれたモノだと判断する力も奪われてしまう。

 結局、数時間に及ぶ恫喝と甘言の波状攻撃に、マリカはついにAV出演を受諾してしまった。3人の男性と計4時間にわたる性交を終え、手渡された封筒の中に入っていたのは、現金1万5千円。呆然としながら自宅に帰ると、子供が笑顔で抱きついてきた。

 「いくら生活のため、子供のためとはいえ、あんな風に騙されてしまった自分が本当に悔しく、涙が止まりませんでした」

 悲劇はこれで終わりではなかった。マリカが出演したAVは海外発信の日本向けアダルトサイトから無修正で有料配信され、4時間の撮影分は2本のタイトルに分けられていた。Xに問いただしても「何も知らない、俺も騙された」の一点張り。マリカに経済力も知識も支援する後ろ盾も無い事を知っているXは「訴えるなら訴えてみろ」と強気の姿勢を崩さないという。

 マリカの例を聞いても、人ごとのように思われるかもしれない。しかし最近になって、このXら一味が代表を務める複数の法人がネット上のSNSに「モデル・タレント募集」の広告を大々的に打っていることが判明した。特定のテレビ番組や雑誌、ファッションショーの出演者オーディションと銘打ち、複数の雑誌の表紙やイベント名が、あたかも“協力関係者”のごとく掲載されている。

 オーディション対象として雑誌名やイベント名を記載されているうちの2社に、出演者を募っているHPの会社との関係を聞いたが、いずれも全く関わりがない「無断転載」であることが確認された。2社とも法的対応を含め、なんらかのアクションを起こすと語った。

 その虚偽の出演者オーディションをうたうHPをみると「ママさんモデルも募集」などといった、マリカの例を思わせる文言も見られる。マリカのような辛い目に会う女性が、新たに生み出されている可能性も非常に高い。

 前出のXの知人は、アダルト業界の動向を知れば、Xが何をしたいのか、手に取るようにわかるという。

 「Xの狙いはまず、オーディション参加者から、登録料だ撮影料だといってカネを巻き上げること。そして、さらに騙せそうな相手を見つけて、レッスン代や育成費、プロモーション代といった、本来は事務所側が支払うべき名目で数十万から数百万の借金を負わせ、その返済のために風俗で働け、AVに出演しろと迫る。風俗もAVも以前に比べて稼げる仕事じゃなくなったのに、Xのようなヤツらが女の子を送り込み続けている。あまりにも過剰な供給が続くから、ビジネスモデルが崩壊していますよ。でもXは“元手はタダの商売”とうそぶいて、女の子を送り込むのをやめない。風俗やAVという仕事に対してのプライドもないのでしょう。もちろん、女の子の稼ぎからありえない率の中抜きをすることは忘れません」

 人をだまし、その業界のビジネスがどうなろうとかまわないと考えている人間が狙っているのは、無知な若者や選択肢がない貧困者、後ろ盾がない弱い者たちだ。彼らが勇気を振り絞って被害に遭ったことを訴えるとき「君たちにも過失があった」と非難するのは、糾弾して罪を認めさせるべき相手を間違えた、あまりに歪んだ態度ではないか。

 2017年はせめて、弱い者をさらに攻撃するような社会から、本当に卑劣な行為に対して糾弾する声がもっとも大きくあがる世の中になってほしい。
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/170104/evt17010416300005-n1.html

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/580.html

[政治・選挙・NHK218] 安倍首相「次は韓国がしっかり誠意を」=韓国ネット「無能な政府のせいで被害者と加害者の立場が入れ替わった」 CHINA  
安倍首相「次は韓国がしっかり誠意を」=韓国ネット「無能な政府のせいで被害者と加害者の立場が入れ替わった」
Record china配信日時:2017年1月8日(日) 18時10分
安倍首相「次は韓国がしっかり誠意を」に韓国人の反応は画像ID 540791
8日、韓国・アジア経済は、安倍晋三首相が、慰安婦日韓合意について「次は韓国がしっかり誠意を示していただかなければならない」と述べたことを伝えた。この報道に、韓国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられている。写真はソウルの日本大使館前の慰安婦像。
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2017年1月8日、韓国・アジア経済は、安倍晋三首相がテレビ番組で、慰安婦日韓合意について「次は韓国がしっかり誠意を示していただかなければならない」と述べたことを伝えた。

安倍首相は釜山の日本総領事館前に新たに慰安婦少女像が設置されたことに関し、「(2015年末の慰安婦問題日韓合意に基づき)日本は10億円の拠出をすでに行った。次は韓国がしっかり誠意を示していただかなければならない」と日韓合意の履行を求め、さらに「政権が代わろうとも(合意内容を)実行することは国の信用問題」と述べた。

安倍首相の発言を受け、アジア経済は、「2015年末の合意に従い、日本が10億円を拠出しているだけに、韓国も少女像撤去に乗り出さねばならないという主張だ」とし、「次期政府を念頭に置いた発言を行った」と伝えた。

昨年末、釜山の日本総領事館前に慰安婦少女像が設置されたことを受け、日本政府は「日韓合意を守るように」と強い対応に乗り出し、抗議の意味で日本大使と釜山総領事を一時帰国させ、通貨スワップ交渉も中断した。東アジアの安保環境確保のため米国も仲裁に乗り出しており、バイデン米副大統領が黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行首相と電話協議を行い、「日韓両国が平和的に外交問題を解決してほしい」と要請した。

この報道に、韓国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられている。

「無能な政府のせいで、被害者と加害者の立場が入れ替わってしまった」
「日本の居直りにあきれた。日本がこんなことを言えるのも政府が無能だからだ」

「国をめちゃくちゃにしておいて、誰も責任をとらない」
「朴槿恵(パク・クネ)は大統領じゃなくて、犯罪者だった」
「大統領の選択を誤ったせいで、『国格』が台無しになった」

「まず日本が元慰安婦に対して誠意を見せろ」
「被害者はどちらで、誠意をみせるべきはどちらであるのかをはっきりさせよう」

「国民が同意していない日韓合意なんて意味がない」
「慰安婦協議の内容を全て明らかにしてくれ」
「これが慰安婦協議の結果だ。愚かな朴槿恵政府」(翻訳・編集/三田)
http://www.recordchina.co.jp/a160402.html


 
慰安婦:少女像報復、世論対策と外交実益狙った安倍首相


慰安婦:少女像報復、世論対策と外交実益狙った安倍首相
 韓日関係が「釜山日本総領事館前の少女像」という新たな暗礁にぶつかってから約十日間、日本は表向きはじっとしていたが、戦略的には機敏に行動していた。韓国側が市民団体・中央政府・自治体・与野党のすべてに不協和音を生じさせて衝突している間に、日本は韓国の状況に注視して水面下で反撃の準備をしていたのだ。

■首相官邸の最初の反応

 先月28日に市民団体「未来世代が建てる平和の少女像推進委員会」の会員約10人が釜山市内の日本総領事館前に慰安婦を象徴する少女像を建ててから5日間、韓国では慌ただしい動きがあった。同市東区庁が設置当日に少女像を撤去したが、抗議が殺到して3日目に市民団体に返還した。市民団体はその翌日、少女像を日本総領事館前に再び設置して除幕式とろうそくデモを行った。だが、日本側の動きはなかった。杉山晋輔外務事務次官が28日に李俊揆(イ・ジュンギュ)駐日韓国大使に電話をかけ、抗議しただけだった。東区庁が30日に方針を変え、中央政府がこれを事実上黙認するや、日本政府はこれを「裏切り」と受け止めた(読売新聞)。報告を受けた日本の首相官邸関係者は共同通信に「信じられない話」「傍観していたら弱腰外交だと(日本国内で)圧力を加えられる」と述べた。外務省幹部の口からも「国家間の約束を一方的に破棄する行為にしか見えない。韓国政府の無責任さを広く知らしめる必要がある」という言葉が出た。

■東京とワシントン

 外務省は直ちに韓国に抗議せず、米政府に日本の見解を説明した。ちょうど韓米日外務次官協議が1月5日、米ワシントンで開催される予定だった。日本は同協議に先立ち、韓国に対する対応措置案を作成してオバマ政権に説明し、同意を求めたと日本のメディアは報道している。

そして、4日から目に見える形での反撃が始まった。菅義偉官房長官が同日、BSフジの番組に出演して韓国側に「国家としてしっかり対応してほしい」と釜山の少女像撤去を要求した。外務省はその翌日、日本のメディアに対して駐韓大使と釜山日本総領の一時帰国措置を示唆した。

 日本が決めた「D-デイ」(作戦決行日)は6日だった。安倍晋三首相は同日午前9時40分、28分間にわたりバイデン米副大統領と電話で会談した。バイデン副大統領はこの時、安倍首相に「韓国の動きを懸念している」と述べた。安倍首相はその言葉を聞いて、日本の対応措置に自信を持ったと共同通信は報道した。

 安倍首相がバイデン副大統領と電話会談した直後の午前11時ごろ、日本の外務省と財務省が動き始めた。外務省は「駐韓大使と釜山日本総領事の一時帰国措置」を、財務省は「韓日通貨交換(スワップ)協定再締結協議中断」と「ハイレベル経済協議延期」を韓国側に相次いで通知した。

 続いて、官邸関係者が日本人記者らに「少女像を建てたのは親北朝鮮勢力」「(韓国政府の対応を)待てるのは1週間が限界」と説明した。つまり、韓日通貨スワップ協定再締結協議中断とハイレベル経済協議延期という状況が長引けば、「スワップ協定白紙化」「ハイレベル経済協議中断」という措置にまで至る可能性があるという意味に解釈できる。

 政権の中心人物や自民党の大物たちも一斉に公に発言し始めた。麻生太郎副総理兼財務相は担当記者らに「通貨スワップ協定は韓国がしよう言ってきたものだ」と語った。フランス訪問中の岸田文雄外相も「(慰安婦)合意の着実な実施を求めていきたい」と圧力を加えた。二階俊博自民党幹事長はインターネット番組に出演して「受け取るもの(現金)を受け取った後に、こういうことではおかしい。これからの長い日韓の歴史においても、お互いにおもしろくない」と韓国を批判した。

■日本国内の世論鎮め外交実益

 安倍首相も放ってはおかなかった。安倍首相は同日午後5時35分、NHKで時事番組を収録した。この番組で安倍首相が「(2015年12月の慰安婦問題に関する韓日合意に基づき)日本は10億円の拠出を既に行った。次は韓国にしっかり誠意を示してもらわねばならない」と強い口調で話す様子は8日朝、日本全国に放送された。

 読売新聞や共同通信など日本の各メディアは、安倍首相の強硬な攻めが日本国内の世論をくみ取りつつ外交的実益も得ようという意図だと分析している。安倍内閣の支持率は現在、60%に達しているが、日本の右翼は韓国と正反対の理由で慰安婦合意に不満を持っている。一般国民の間では環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が失敗に終わり、千島列島(北方領土)四島返還交渉が遅々として進まないことに対する批判もある。こうした批判を抑えながら、もともとの支持層もより結束させ、それと同時に韓国に圧力を加えようという行動だと見られているのだ。
東京=金秀恵(キム・スへ)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/01/09/2017010900817.html


 
【ソウルからヨボセヨ】「少女像」はおかしい あれは政治的な「慰安婦像」だから問題


韓国・釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像(名村隆寛撮影)
 韓国の第2の都市・釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦像はひどい。場所が総領事館に接している至近距離の歩道だからだ。2車線ほどの道路をはさんだ筋向かいの歩道というソウルの日本大使館前の慰安婦像に比べても、これは許し難い。外国公館に対する国際法違反のこんな侮辱・嫌悪施設は世界的にも前代未聞だろう。

 釜山でこの慰安婦像の除幕式(?)が強行された大みそかの夜、ソウルでは都心の「鍾閣」でソウル市主催の恒例の打鐘式があった。毎年、市民代表が選ばれ一緒に鐘をつく。その市民代表にまた元慰安婦の老女がなっていた。過去にも選ばれているが、韓国を代表する大々的な大みそかイベントだから元慰安婦は今や韓国国民を代表する韓国の象徴なのだ。

 国内はもちろん海外にまであちこち慰安婦像を設置したがるのもむべなるかなだ。これは外から見れば、いわば韓国が世界に誇るKポップなど“韓流文化”の一環みたいなイメージになる。それでも韓国人は平気なのが興味深い。

 ところで日本政府(菅義偉官房長官)や多くの日本メディアが慰安婦像のことを韓国風に「少女像」と言っているのはおかしい。あれは政治的な慰安婦像だから問題なのであって、単に少女像ならどこへでも勝手にどうぞ、である。(黒田勝弘)
http://www.sankei.com/column/news/170107/clm1701070006-n1.html

http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/766.html

[経世済民117] 米株式市場の異様な静けさをどう見るか 新興市場下落 堅調な米雇用がFRB試す 次期FRB議長候補3人金融政策さらに引締る
米株式市場の異様な静けさをどう見るか
政治的な嵐は吹いているが、投資家は実際の問題に直面するまで反応しない
「経済政策不確実性指数」を見ると今は危険な時期にあることが分かる。にもかかわらず米株式市場は珍しく冷静であるばかりか、通常以上に安定している

By USTIN LAHART
2017 年 1 月 9 日 15:59 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 最近の世の中は非常に不確実に思えるが、米国の株式市場はそれを意に介していないようだ。

 ニュースの見出しから判断すると、過去1年間には危険な驚きがたくさんあった。冬には債務、新興国市場、ドル、コモディティー価格を巡る不安材料が重なり、景気後退に陥る危険性が指摘された。次に英国が欧州連合(EU)からの離脱を決め、米国では政治的現状をひっくり返すドナルド・トランプ氏の大統領選出もあった。

 実際、「経済政策不確実性指数」を見ると、今は危険な時期にあることが分かる。にもかかわらず米株式市場は珍しく冷静であるばかりか、通常以上に安定している。S&P500種指数の1日の値動きの標準偏差(典型的な値動きの幅)は2015年が1%だったのに対して、2016年は0.8%だった。昨年の第4四半期の米株式市場のパフォーマンスはこの10年間で最も安定していた。

 こうしたボラティリティ(変動率)の低下は、シカゴ・オプション取引所(CBOE)が算出するボラティリティ指数(VIX指数、恐怖指数)の低下と一致してきた。VIX指数はボラティリティコストの大きさを測る指数だが、現在そうしたコストは低く、投資家が今後起こり得ることついて心配していないということを示唆している。

 これは奇妙な状況だ。経済政策不確実性指数は、ニュース記事に含まれる特定の単語の組み合わせや、経済予測を巡る専門家の意見の不一致がどれほどあるかなどに基づいて算出されている。過去を振り返ると、その指数が高かったときには株式市場のボラティリティもVIX指数も高かった。

 ボラティリティは常にちょっとした謎であり続けてきた。株式の値動きはその根底にあるファンダメンタルズが示唆するよりもずっと激しいからだ。しかし、いま仮に市場が金融理論通りに行動し始めたらおかしいだろう。別な可能性としては、株式投資家があまり政治を気にしておらず、最近の一連の不確実性が(2008年の金融危機を取り巻いていた不確実性とは違って)政治絡みなので、株式への打撃がないということも考えられる。

 その説明には問題点があると、経済政策不確実性指数を共同開発したスタンフォード大学のニック・ブルーム教授は指摘する。米大統領選以降の値動きを見れば、市場が政治を気にしているのは明らかだからだ。ボラティリティが低い理由としてより可能性が高いのは、貿易障壁の構築や移民に対する厳しい措置など、新たな政治状況において米国経済が直面し得るハードルがまだしばらくやってこないことだと教授はみている。

 言い換えると、投資家は目先のことしか気にしておらず、自分の鼻が本当の問題にぶつかるまで反応しないということだ。

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新興市場:株価と通貨が下落−米利上げ観測が雇用統計で強まる
Aline Oyamada
2017年1月7日 08:42 JST

MSCI新興市場指数は米雇用統計を受けて週間の上げ幅を縮小
メキシコ・ペソは中銀の介入に伴い主要な新興市場通貨で唯一上昇


6日の新興市場では通貨と株式相場が週間ベースの上げ幅を縮小した。この日発表された米雇用統計が労働市場の一段の力強さを示し、追加利上げの観測を裏付ける数字となったことで、新興国資産の魅力が薄れる可能性があると受け止められた。
通貨
MSCI新興市場通貨指数は0.3%下落。週間ベースの上昇率は0.6%に縮小した。
ブルームバーグがフォローする新興市場24通貨のうち18通貨が下げ、トルコ・リラは過去最安値を更新
メキシコ・ペソは主要な新興市場通貨の中で唯一上昇。メキシコ中銀が自国通貨下支えのために銀行に直接ドルを売る動きに出た。
ブラジル・レアルは続伸が止まり、コロンビア・ペソは昨年9月以降で最も長い上昇局面となっている。
株式
MSCI新興市場指数は0.1%下落。週間ベースの上昇率は2.2%
ブラジル株式市場の指標であるボベスパ指数は0.7%安。鉄鉱石生産のヴァーレは、年金基金FUNCEFが同社の株式売却を検討しているとの報道を嫌気して下げた。
原題:Emerging-Market Stocks, Currencies Decline Amid Fed Hike Bets(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-06/OJDSUD6JIJUQ01


 

12月の米雇用統計、FRBの見通しと一致
年内の段階的な利上げ軌道を維持へ
昨年12月14日のFOMC後に記者会見を行うFRBのイエレン議長

By HARRIET TORRY
2017 年 1 月 7 日 11:56 JST

 米労働省が6日発表した2016年12月の雇用統計は、労働市場が堅固な基盤のもとで同年を終えたことを連邦準備制度理事会(FRB)に確信させる内容で、FRBは年内の段階的な利上げ軌道を維持することになるだろう。

 12月の雇用の伸びは11月から若干鈍化したものの、ここ数カ月の増加ペースはFRBが安全だと考える範囲内に収まっている。12月の失業率は小幅上昇したが、依然として4.7%と低水準である上、求職者数の増加を反映したものだ。

 さらに、12月は賃金の伸びが加速し、年間の賃金上昇率は2009年以来の高水準を記録した。労働市場が引き締まり、人材獲得競争が過熱する中、雇用主がようやく賃金を引き上げ始めたことが分かる。

 賃金上昇は労働者に利益をもたらすと同時に、インフレ率を目標の2%へと押し上げることに寄与するため、FRBは賃金上昇を促進したい考えだ。

 クリーブランド地区連銀のロレッタ・メスター総裁は6日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、12月の雇用統計が「まずまず」の内容で「予想とほぼ一致した」と述べた。また、統計は「経済が順調で、われわれが前進している」ことを示すと語った。

 FRB当局者は昨年12月にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げ、17年は3回にわたり各25ベーシスポイントの利上げに動くとする経済見通しを発表した際、雇用市場が力強さを増していると評価していた。12月の雇用統計はFRBに経済見通しの変更を迫る根拠を与えない内容だった。ただ投資家は、1月31日・2月1日に予定されている次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利は据え置かれると予想している。

 12月は非農業部門就業者数(季節調整済み)が前月比15万6000人増えたものの、増加数は11月の20万4000人から減少した。10-12月の月平均の増加幅は16万5000人で、これはFRBのジャネット・イエレン議長が労働力人口に新規参入者を吸収するのに必要な水準だと述べた約10万人を大きく上回っている。

 12月は民間部門の平均時給が26ドルと、前月比0.10ドル(0.39%)上昇した。前年同月に比べると2.9%上昇し、約7年ぶりの大幅な伸びを示した。

 FRB当局者は、賃金上昇が継続することで、職探しを諦めた労働者が市場に戻ることを期待している。12月の雇用統計はその点でもやや前進が示され、労働参加率は62.7%と11月の62.6%から上昇した。ただ、それでも40年ぶり低水準付近にとどまっている。

 FRB当局者が12月に公表した経済見通しによると、失業率の長期的な予想中央値は4.8%で、この水準ならばインフレが上下せず安定すると予想している。また、17年末から19年末までの失業率の予想中央値は4.5%で、賃金と物価上昇圧力を緩やかに押し上げると期待している。

 イエレン議長は12月のFOMC後の記者会見で、「労働市場では、非常に急速なインフレ上昇を招く可能性のある深刻な労働力不足を示すような、強力な圧力が存在する証拠を確認していない。しかも現在のインフレ率はわれわれの目標を依然として下回っている」と述べていた。

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次期FRB議長の有力候補3人、金融政策をさらに引き締める方針示唆
Rich Miller
2017年1月9日 14:35 JST

米金融当局は利上げでやや後手に回っている−テーラー教授
ハバード、ウォーシュ両氏も利上げ姿勢示す−米国経済学会で

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2018年に米連邦準備制度理事会(FRB)議長になる可能性のある有力候補らは、実際に就任した場合には金融政策をさらに引き締める考えを示した。
  米コロンビア大学のグレン・ハバード経営大学院学長とスタンフォード大学のジョン・テーラー教授、同大学経営大学院講師を務めるケビン・ウォーシュ氏は8日閉幕した米国経済学会(AEA)の年次総会で連邦準備制度について、金融政策では解決できない問題に経済が対処するの支援しようと、やり過ぎていると批判した。

ジョン・テーラー教授
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  FRBウオッチャーの間では、18年2月に現行任期が切れるイエレン議長をトランプ次期米大統領が再任しない場合、ジョージ・W・ブッシュ政権メンバーだった上記3氏が次期議長の有力候補と目されている。トランプ氏は選挙戦中、イエレン議長による低金利政策の維持について民主党に恩恵をもたらす措置だと批判していた。
  ブッシュ政権で財務次官(国際問題担当)を務めたテーラー氏は7日にシカゴで行われたパネル討論会で、米金融当局が利上げでやや後手に回っているとの認識を示した。

グレン・ハバード氏
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  同政権で大統領経済諮問委会(CEA)委員長を務めたハバード氏も同討論会で、米国が近年、景気下支えで金融当局に依存しすぎだとトランプ氏は考えているようで、同氏のスタンスに同調するとコメント。「FRBは危機直後は非常に首尾よく対応していたが、有効期間が過ぎたかもしれない政策を続けた」と述べた。
  FRBは昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、金利正常化プロセスの一環として追加利上げを決めた。フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は現在0.5ー0.75%だが、同月14日公表されたFOMC金利予測中央値によれば、当局者は誘導目標レンジの中間点が17年末までに1.4%に、18年末までに2.1%に引き上げられると見込んでいる。

  ハバード氏は、トランプ氏が大型減税やインフラ投資拡大の計画推進で成功するようなら、金融当局は利上げを加速させる可能性があると予想した。

ケビン・ウォーシュ氏
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  一方、元FRB理事で、ブッシュ政権の経済顧問を務めたウォーシュ氏は別のパネル討論会で、FOMCが景気拡大局面の早い段階で利上げの機会を見過ごしたと指摘。最大限の雇用と物価安定という当局の目標に極めて近づいている状況で、なぜ金利がこれほど低いのか疑問だと語った。
  
  
原題:Potential Fed Chairs Suggest They Would Pursue Tighter Policy(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-09/OJHUNQ6JIJUZ01

 

 
堅調な米労働市場が試すFRBの忍耐
FRBはトランプ政権の政策を見極める前に利上げに踏み切る可能性がある
12月のFOMC議事録によると、イエレンFRB議長が10月に提示した「高圧経済」政策が反対されていた

By JUSTIN LAHART
2017 年 1 月 9 日 08:14 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 米連邦準備制度理事会(FRB)はドナルド・トランプ次期政権の政策が経済にどのような影響を与えるかを見極めてから利上げに踏み切りたいのではないだろうか。しかし労働市場はそれを許してくれないかもしれない。

 6日発表の米雇用統計によると、昨年12月の雇用情勢は引き続き良好だった。就業者数は6年3カ月連続で増加した。失業率は前月の4.6%から4.7%に上昇したが、低水準にとどまっている。しかも失業率が上昇したのは、労働市場への参入が増えたからにすぎない。時間当たりの平均賃金は前年同月比で2.9%増にまで回復し、少なくともこの7年で最大の伸び率となった。

 雇用主は人員の補充に苦労していて、労働者を集めるにはより高い賃金を提示する必要があるとは言われているが、最新の雇用統計でそれが改めて裏付けられた。そうなると、FRBの政策決定者の多くは追加利上げをしたくてうずうずし始めるだろう。実際、4日公表の12月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録からは、ほとんどの参加者が米国経済は完全雇用かそれに近い状態にあると考えていることがみてとれる。

 また議事録によると、ジャネット・イエレンFRB議長が10月に提示した「高圧経済」政策が反対されていた。高圧経済とは、金融危機後の構造的なダメージを修復するため、FRBが経済の若干の過熱状態を容認することである。

 つまり、もし2017年も労働市場の堅調さが維持されれば、FRBは早ければ3月中旬開催の会合で利上げをしなければならないような気になるかもしれないということだ。3月中旬ではトランプ氏が大統領に就任してから2カ月もたっておらず、トランプ氏にとっても議会にとっても、政策を具体化するのに十分な時間とは言えない。ましてや政策が経済に与える影響など分かるはずもない。

 FRBは先が全く読めない時期に金融引き締めを行うことになるかもしれない。これは理想的な状況とは言えない。

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12月の米雇用統計、FRBの見通しと一致
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http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/603.html

[経世済民117] 中国の人民元操作が危うくなっている理由 中国、株価指標先物取引規制緩和 英首相、移民流入抑制で欧州市場断念 独景気力強さ

 

中国の人民元操作が危うくなっている理由
自国市場の開放を試みるなか、世界の市場圧力に対処するのが難しくなっている
中国は、自国市場における世界の金融市場の影響が大きくなり、以前よりも制御するのが難しいと感じている

By ANJANI TRIVEDI
2017 年 1 月 9 日 13:33 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 中国政府は依然として、通貨をほんのわずかに制御できなくなることさえ現実として受け止められないようだ。この1年間、中国は通貨管理プロセスに関して市場の理解を得ようとしてきたが、結局は自らが一番よく知る「締め付け」という手段を取っている。だが、この戦いは今後難しくなる一方だ。

 中国は、自国市場における世界の金融市場の影響が大きくなり、以前よりも制御するのが難しいと感じている。オフショアで自由に取引されていた中国の人民元は先週、不意に急騰し、その借り入れコストは60%以上も上昇した。ちょうど1年前には借り入れコストが同様の水準まで上がり、元は急落した。デジャビュ(既視感)のようだが、値動きは逆になっている。元の秩序ある下落という中国政府の思惑は打ち砕かれた。

 この数カ月間、中国は国内市場で元安を誘導してきたが、それでパニックが起きるということはなかった。投資家は元安の許容限度を試すかのようにオフショア元の価値をどんどん下げていった。元安が許容限度を超えたところで政府は介入した。米連邦準備制度理事会(FRB)が直近の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事録で投資家の不意を突くと、ドルは値を下げ、元は急騰した。つまり、再び危うい領域に入ってしまったのだ。

 見た目を取り繕うための取り組みは無駄に終わるかもしれない。中国人民銀行(中央銀行)が採用している通貨バスケットを例にとろう。これは概ね恣意(しい)的だが貿易加重を行ったように見えるバスケットだ。中国は世界の通貨の値動きの影響を弱めるため、最も影響が大きくボラティリティが高い主要通貨の構成比を引き下げた。問題はこの数日間、中国がそのバスケットを無視してきたように見えることだ。

 中国が自国市場の開放を試みようとするなか、世界の市場圧力に対処するのはこれまでよりずっと難しくなっている。米国の金融引き締めやユーロ安・円安のせいで、元を通貨バスケットに対して安定させるという約束が守りづらくなった。主要貿易相手国の通貨の価値の急落は経済成長の障害となる。十分に立証されているように、ドル高は中国から数十億ドルの資金を流出させ、外貨資産の蓄積を促してきた。このため中国の金融政策は経済成長の維持よりもリスク管理が目的となっており、政府が元の急落を食い止める能力はさらに低下している。

 投資家は元安の反転が続くと誤解すべきではない。これは小休止にすぎない。米国の利上げが中国の債券市場の低迷を悪化させたように、ドル高は中国の通貨を安定させる戦いの痛みを倍化させるだけである。

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人民元が方向急転換、引き締め強化で緊張高まる


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中国、株価指標先物取引の規制緩和へ
中国は株価指数先物取引の規制緩和を検討している(写真は中国証券監督管理委員会の劉士余主席)
By SHEN HONG
2017 年 1 月 9 日 19:59 JST

 【上海】中国政府は、2年前の株価下落を悪化させた要因と考えられている株価指数先物取引の規制緩和を検討している。事情を知る複数の関係者が9日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対して明らかにした。

 匿名の関係者らによると、差し入れを義務付ける証拠金額を半分にすることや、1日に取引できる1契約当たりの売買代金の制限を2倍にすることが検討されている。

 こうした変更は段階的な実施が予定され、象徴的な意味合いが強いという。関係者らは、株式市場の回復に関して満足度が高まっているという政府の見解を投資家へ伝えることが主な目的だと説明した。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi5u9D0nbXRAhXCupQKHdoxBmsQFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582548741526759190&usg=AFQjCNFb0JFyfywpeut-6QwP88eIZkAkjA


ドイツ:11月鉱工業生産が伸びる−景気に力強さ
Carolynn Look
2017年1月9日 18:43 JST

鉱工業生産指数は前月比0.4%上昇、市場予想0.6%上昇
冬季は堅調な伸びを示す見通し―経済省
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ihyJVxb4dz1c/v2/-1x-1.png

ドイツの昨年11月の鉱工業生産が伸び、2016年を力強く締めくくった公算が高まった。
  独経済省が9日発表した11月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は前月比0.4%上昇。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.6%上昇だった。10月は0.5%上昇に改定された。11月は前年同月比では2.2%上昇。
  独連邦統計局が同日発表した11月の貿易収支によれば、輸出は前月比3.9%、輸入は3.5%それぞれ増えた。
  ドイツは秋に総選挙を控えるほか、英国の欧州連合(EU)離脱交渉開始など困難な一年を迎えるものの、先週発表された一連の経済指標も同国経済の基調的な力強さを示していた。購買担当者指数(PMI)は12月のドイツ経済の拡大ペースが1年ぶりハイペースだったことを示唆。失業者数は減少傾向にあり、インフレ率は1.7%に上昇した。
  デカバンクのエコノミスト、アンドレアス・ショイアレ氏は「ドイツはうまく行っている。経済成長は雇用創出に十分な速さである一方、インフレに緊張感をもたらすほどではない」と述べ、「世界の残り地域の景気押し上げに寄与するほどでないにしても、最適な状況にある」と語った。
  11月は建設が前月比1.5%増でけん引、製造業生産は0.4%増えた。一方、エネルギーは0.4%減少した。
  経済省は電子メールで配布した発表文で「弱かった夏の半期を経て、製造業と建設業、生産が著しく上向いた」とし、「製造業と建設業の受注状況やこれら業種の景況感から、冬の半期の堅調な生産の伸びは約束されている」と指摘した。

原題:German Industrial Output Rises in Sign of Economic Strength (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-09/OJI7T96TTDS701

 

メイ英首相、移民流入抑制で欧州単一市場アクセスを断念も
Thomas Penny
2017年1月9日 17:43 JST

英政府のEU離脱計画は「混乱」していない、数週間以内に詳細公表
ポンドは10週間ぶり安値、首相発言は「ハードBrexit」示唆

英国のメイ首相は8日、英スカイニューズとのインタビューで、欧州の単一市場アクセスの断念を意味することになっても、移民流入管理と立法の権限回復が欧州連合(EU)離脱における優先事項だとの見解を示した。ポンドは10週間ぶりの安値に下落した。
  メイ首相は今年初のテレビインタビューで、EU離脱は「正しい関係を得るものであって、メンバーシップを少し残すことではない」と強調。「われわれは離脱する。EU加盟国ではもはやなくなる。英国が離脱した際にEUとどのような適切な関係を持つかが問題だ」と述べた。首相はさらに、「われわれは国境を管理し、法律をコントロールできるようになる。だが引き続き、英企業によるEU域内での事業や欧州企業による英国内での事業にとって最善の取引を望む」と述べた。
  3月末にEUへの離脱通知期限が迫る中、今回の首相発言は、主権拡大と引き換えに英国にとって最大の市場であるEUとの貿易関係で大きな賭けに出ることもいとわない姿勢を示唆した。外国為替市場では首相発言を受けて、離脱で深刻な影響が及ぶ「ハードBrexit」の可能性が高いとの見方から、ポンドは対ドルで0.9%安の1ポンド=1.2178ドルと、昨年10月末以来の安値を付けた。
  同首相はまた、英政府のEU離脱計画が「混乱」してはいないと述べ、数週間以内に戦略の詳細を公表する方針を示した。
原題:May Signals U.K. to Quit Single Market to Curb Immigration (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-09/OJI6QB6JIJUO01
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/604.html

[経世済民117] 「引きこもり国家」日本の悪法はバブル期の外圧で葬られた 残業改革に失敗する人 走れば脳は強く 幸せへの投資
「平成元年」驚きの回顧録
2017年1月9日 和泉虎太郎 [ノンフィクションライター]

「引きこもり国家」日本の悪法はバブル期の外圧で葬られた

バブル崩壊まで、日本は真の国際化が進まないままだった。経済力の大きさで国際社会での存在感を増してなお、日本でしか通用しないおバカなローカルルールで運営されていた。しかしバブル期を境に、こうした閉鎖性が崩壊せざるを得ないような出来事が次々と起きていく。(ノンフィクションライター?和泉虎太郎)

アメリカに目の敵にされた
大規模小売店舗法

?江戸時代の日本は、諸外国との交流を拒絶した「引きこもり国家」だった。他の国の文化や制度を知る機会がないなかで、独自の社会構造、精神性を育んでいき、それはいまに続く日本人らしさの一部となっている。


デパートは18時で閉店、ヤミ米騒動...バブル期までの日本は、驚きの「ローカルルール」で運営されており、この時期を境に外圧によって大きく法制度も変貌を遂げていく?Photo:Fujifotos/AFLO
?しかし、開国と同時にグローバリゼーションの波にさらされたのではなく、バブル崩壊まで、日本は海外からの干渉を受けないままであった。

?敗戦国であるがゆえに、いわばハンデをもらって競争を勝ち抜き、高度成長を成し遂げたのだ。その過程では日本独特のルールができあがっていた。国際社会のリーダーには似つかわしくない平和ぼけ日本のおバカなローカルルールは崩壊の運命にはあったが、そのきっかけとなったのがバブルであった。

?1989年4月28日、アメリカ通商代表部(USTR、大統領直属の通商交渉機関)は、89年度の外国貿易障壁報告書(National Trade Estimate Report on Foreign Trade Barriers、NTEレポートと呼ばれる)を発表した。世界で一番偉いアメリカ様として、世界中の国の参入障壁にいちゃもんを付けるのであるが、なかでも思いっきり敵としてやり玉に上げられているのが日本である。

?背景には、アメリカの「双子の赤字」問題があった。80年代を通して、アメリカは財政赤字と経常収支赤字に直面し、その解決が国家的課題となっていた。要するに貿易でも儲けられない、国内経済は不況で税収は増えないというダブルパンチに苦しんでいた。「誰か悪者がいるんじゃないか――そうだ、赤字の原因を作っている日本がいけない!」という論理だ。

?それまでも鉄鋼、繊維、自動車など、個別に両国間で調整が図られてきたのだが、アメリカは「ひとつひとつ潰してもキリがない。どうやら国の仕組み自体が怪しい。目に見えないところでアメリカ製品を締め出しているんじゃないか」と考えた。

「日本は閉鎖的」
アメリカが名指しした34項目

?そして、報告書で指摘した状況に改善が見られなければ報復措置を取る(根拠となる法律がスーパー301条であり、後の新聞記事にこの名が頻繁に登場する)と、迫ってきたのである。同報告書で「日本市場は閉鎖的だ」と断言。その具体的な34項目がリストアップされている。曰く

「自動販売機を自由に設置さしてくんないからアメリカ製のタバコが売りにくい」
「政府発注の建設や電気通信は役人の腹ひとつ。公平に入札が行われていない」
「コンピュータのOSとして日本製のトロンを支援するって、マジかよ」
「日本の銀行は買収がやりにくくっていけない」
「特許の審査がトロすぎる」
「航空宇宙産業を政府が支援していいのかよ」

?などなど、「どの口で言う」といった部分もあるが、日本にとっても、国際社会との競争を続けるためには、いずれは解決せねばならない問題への指摘も含まれている。

?日本からも世界のアメリカ様へ「恐れながら」と、反論はした。

「企業の役員は報酬を取り過ぎじゃんか」
「いまどきメートル法使わないなんて、面倒くさくってしょうがないぞ」
「あんたの国の労働者は数学とか理科とか知らなさすぎる」

?などだが、間違いなく日本は押されまくっていた。

?特に問題とされたのは「大規模小売店舗法(大店法)の出店規制」「自動車部品の系列取引」「コメの輸入制限」であり、アメリカにも流れ込んでいた投機的な資金の源となっている地価高騰などだ。

?こうした問題を解決するために、二国間協議が89年から92年にかけて十数回開催されている。そのいくつかは、その後の日本を大きく変えるきっかけになっている。それが大規模店舗法だ。

大規模店に理不尽な
規制をかけていた

?百貨店やスーパーなど規模の大きな小売店舗は、中小の商店を守る目的で施行された大店法による各種の規制を受けており、営業時間についても地元商業関係者の了解を得る必要があった(その決定を下す場を商調協、商業活動調整協議会という)。大規模店舗の出店に強力な規制をかけていた同法が2000年に廃止されるまでは、こんなことが起きていた。

?京都商工会議所は7月24日、市内の六百貨店(大丸、高島屋、近鉄<京都・西京都>、阪急、藤井大丸)の営業時間を1時間延長する申請通りの答申を出している。この答申が出たことで、初めて百貨店は他都市並みに全館午後7時まで営業できるようになった。

?ということは、京都ではそれまで、百貨店が6時に閉店していたわけで、仕事を持っていたら平日の買い物はまず不可能。しかも、営業時間を決めていたのは地元の経済団体という他人様だ。それでも流通業として経営が成り立っていた良い時代とも言えるが、感覚的には民間の商業施設というよりは役所に近い。法律でそうせざるを得なかったのである。

?ちなみに、現在はどうかというと、近鉄(2店舗)と阪急は閉店、大丸、高島屋、藤井大丸と、後から出店したJR京都伊勢丹は揃って20時まで。営業時間は規制しなくても落ち着くところに落ち着くものである。

?こんなコトも発覚している。1989年12月3日の日本経済新聞が報じたところによると、ビックカメラとカメラのさくらやが渋谷の出店に際して、地元の時計宝飾品販売店の組合との間で、新製品の販売価格を2割引き以内に納めるという取り決めを口頭でかわしたという。それが大店法が求める地元商店街との合意の条件であった。

?間が抜けたことに、独禁法に抵触しかねない微妙な口約束を組合の広報紙に書いたのみならず、「他の組合も渋谷方式を」と宣伝しているのだから脇が甘い。

?コトの発覚後、店も組合も自主判断であることを強弁したことで、独占禁止法違反には問われなかったようだが、それよりも、一流通業者である大規模店舗の営業時間や出店計画(それを背景にした価格決定)の決定権限を第三者が持っているという部分への違和感である。

?現在の感覚から見ても「どうかしている」という日本の商慣行、アメリカがやり玉に上げたくなる気持ちはよくわかる。というか、明らかに日本の法律は間違っていた。

ヤミ米、食管法…
歪んだ農政の抱える闇

?89年12月にひと騒動が報じられているのが、秋田県大潟村のヤミ米問題である。
?
?12月中旬、食糧庁は大潟村の自由米(ヤミ米とも呼ばれた)販売を始める市民団体から事情聴取、注意を喚起している。実はこの年の秋口から、食糧庁と全国農協中央会はヤミ米追放に躍起となり、食糧管理法に基づく農家への立ち入り調査、刑事告発もちらつかせるだけなく、流通ルートを止めようとヤマト運輸にまで圧力をかけた。

?今となっては分からない単語がぽんぽん出てくる。

「食糧庁」とは主にコメに関する行政事務を扱う農水省の外局で、2003年に廃止された。「食糧管理法」とは、1942年、戦時下において主食であるコメやムギなどの安定供給を目的として創設された食糧管理制度(略して食管制度)の根拠法。この法の定めによって、コメは農協を通じて最終的には政府が公定価格で農家から買い取り、卸売り業者に払い下げられていた。

?この買い取り価格が生産者米価、払い下げ価格が消費者米価と呼ばれ、それぞれ自民党農林族と政府との交渉で決められていた。特に生産者米価は農家の「売上高」に直接影響するだけに、農家と農協の関心は極めて高く、それが故に利益代表者でもある自民党農林族との繋がりも極めて強固だった。いまではTPPでミソを付けたが、かつて地方で自民党が強かったというのは、この米価決定における相互依存から生まれたものだ。

?さらに、払い下げよりも高い買い取り価格を自民党が強硬に求めたというから、農家も自民党も強欲極まりない。国の食管会計は逆ざや状態が長らく続いた。高く買って、安く売る、赤字は税金で補填。戦後の日本はコメに歪められていたのである。

政府に反旗を翻した
秋田県大潟村

?さて、次の言葉は「ヤミ米」である。当時、コメには政府価格米と自主流通米と自由米(ヤミ米)が存在した。自主流通米とは1969年にスタートした制度で、農協が価格を自由に決めて、直接、卸売業者に販売できるというもの。よりよいコメを、より高く売りたいという農業者側の求めで生まれたものだが、農協が介在する流通部分は政府価格米と同じ。政府自民党のコントロールが利く農協がさじ加減できるという意味で、管理された中での自由であり市場原理であった。

?自由米がヤミと呼ばれる理由は、そうした管理から外れて、農家が直接消費者にコメを販売するからである。これはコメ農家と農協と政府と自民党で形成された強固な秩序に対する反乱でもある。

「大潟村」という村名もよく分からないだろう。この村は、かつて秋田県にあった日本で2番目に広い湖・八郎潟を埋め立てて1964年に生まれた新しい村だ。食糧増産が国家的課題だった終戦直後に、大規模農業を本格的に行うモデル農村として計画された。ところが間の悪いことに、完成して間もない1970年、国の農政は減反にカジを切る。

?そんなバカなと、大潟村は敢然として反旗を翻す。大潟村で収穫されたブランド米、あきたこまちを食糧庁・農協の指導に従わずに、市民団体を通じてどんどん出荷し始めたのだ。これが大潟村のヤミ米騒動である。

?当然のことながら、こうしたいびつな制度は国の負担を増し、自由な市場形成を妨げる。そして世界のアメリカ様から、非関税障壁としてやり玉に挙げられることになる。

?そもそも戦時下の食糧安定という制度が、戦後50年が経とうとするところで必要であるはずもなく、1995年に食管制度は廃止となった。
http://diamond.jp/articles/-/113533


 

 
残業ゼロがすべてを解決する
【第20回】 2017年1月9日 小山 昇
残業改革に成功する人、失敗する人

電通過労自殺事件で強制捜査が入ったいま、中小企業も大企業もお役所も「残業ゼロ」に無関心ではいられない。
小池都知事が「夜8時には完全退庁を目指す」、日本電産の永守社長が「2020年までに社員の残業をゼロにする」など、行政も企業も「残業ゼロ」への動きが急加速中!
株式会社武蔵野は、数十年前、「超ブラック企業」だった。それが日本で初めて日本経営品質賞を2度受賞後、残業改革で「超ホワイト企業」に変身した。
たった2年強で平均残業時間「56.9%減」、1.5億円もの人件費を削減しながら「過去最高益」を更新。しかも、2015年度新卒採用の25人は、いまだ誰も辞めていない。
人を大切にしながら、社員の生産性を劇的に上げ、残業を一気に減らし、過去最高益を更新。なぜ、そんな魔法のようなことが可能なのか?
『残業ゼロがすべてを解決する』の著者・小山昇社長に、「残業改革に成功する人、失敗する人」について語ってもらおう。

基本給の金額を上げる(ベースアップ)


小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/

?わが社は、残業削減によって利益が出たので、社員の基本給を「ベースアップ」しました。
「春闘で基本給を一律5000円上げた」といった企業もありますが、これはベースアップではなく「ベア」です。「ベースアップ」と「ベア」は違います。

「ベア」とは、基本給を全員、一律の金額で上げること。
「ベースアップ」とは、基本給の賃金テーブルで基本となる金額を変えることです。

?ベアは、職責が高い人も低い人も同じ金額しか上がりませんが、ベースアップをすれば賃金テーブルが変わるので、職責が高くなるほど、基本給の支給額が上がります。

人件費を減らして
利益を増やす発想はダメ

?多くの社長は、「どうしたら、お金を払わずに働かせることができるか」を考えます。
?でも、私は違います。
?たくさん給料を払ってでも、「生産性の高い仕事をさせる」ことを考えています。

「短時間でたくさん給料を払ってくれる会社」と「給料は少ないのにたくさん働かされる会社」では、間違いなく、前者のほうが従業員の定着率は上がります。
?多くの会社は、「人件費を減らす」ために残業問題に取り組んでいます。
?でも、「人件費を減らして、会社の利益を増やす」ことを目的にしてはいけません。

?わが社は、「労働時間を減らしながら、生産性を上げる」「社員の可処分所得を増やす(減らさない)」「社員教育に投資してスキルアップを図る」「社員の健康を守る」など、職場環境をよくするために残業削減に取り組んでいます。

?その結果、残業が減って売上等がアップしている。

?多くの社長は、「安い給料で、能力が高い人を雇おう」とします。
?一方で多くの社員は、「自分の能力以上に、高い給料をもらおう」とします。

?武蔵野は、「社員の実力どおりの給料」を支払っています。年齢や職責にかかわらず、がんばればがんばるほど収入が増える仕組みは、わが社の給料体系の大きな特徴です。

?成果が出なければ基本給の昇給は少なくなり、成果が出れば、昇給額が倍の金額を受け取ることができます。

?ある年、賞与を一番多くもらった人と、一番少なかった人とでは格差が「72倍」でした。チャンスは平等に与え、そして成績によって差をつける。これが本当の公平です。

?人事評価の詳しい仕組みについては、拙著『儲ける社長の人事評価ルールのつくり方』(KADOKAWA)をご参照ください。

小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/

http://diamond.jp/articles/-/109810


 

要約の達人 from flier
【第27回】 2017年1月9日 flier
「走る」ことでなぜ脳が活性化されるのか『走れば脳は強くなる』

毎日、運動をしているか?
要約者レビュー

?運動習慣をいかに生活に組み込むか――便利になりすぎた現代社会において、運動はもはや国民的課題とすらいえる。実際、健康維持のために運動習慣が必要だと認識している人は多いだろう。


『走れば脳は強くなる』
重森健太
192ページ
クロスメディア・パブリッシング
1280円(税別)
?だが、本書『走れば脳は強くなる』はさらにそこから運動の必要性を掘り下げる。特に、脳への刺激と活性化という観点から、走ることの有用性について突きつめているのが興味深い。本書によれば、走ることによって、記憶力や集中力、発想力など、仕事で成果をあげるために欠かせない能力が鍛えられるという。忙しいからといって、長時間デスクに向かっているよりも、外に出て短時間でも走るほうが、かえって効率的だというのが著者の提言だ。読みすすめていくうちに、「すぐにでも走りたい!」と思ってくるに違いない。そういう意味で、モチベーションを向上させるという意味でも、役に立つ一冊なのは間違いない。

?とはいえ、いきなりランニングやジョギングとなると、大変そうだというイメージもあるかもしれない。しかしご安心あれ。本書は、負荷のかかりかたを適切にコントロールするためのプログラムの組み方をしっかりと紹介している。それにしたがえば、負担がかかりすぎたり、逆に負荷が軽すぎて効果が出なかったりということも避けられるはずだ。

?無理なく効果的に走る方法を知り、体と脳機能を向上させるための第一歩を、本書とともに踏み出してみてはいかがだろうか。 (竹内)

本書の要点

・有酸素運動、とりわけ走ることには、脳に刺激を与え、活性化させるという利点がある。
・走り方に工夫を加えることで、記憶力や集中力、発想力といった、ビジネスにおいても重要な力をさらに鍛えることができる。
・走ることのメリットを充分に享受するには、適切な運動強度、運動する頻度、距離などの設定が大切である。
・走ることを生活習慣としてライフスタイルに組み込み、それを続けていくためには達成感を感じて自信をもつことや、周囲のサポートを得ることがポイントとなる。

要約本文

◆脳を退化させないために
◇現代人の生活には要注意

?現代の私たちの生活スタイルは、脳の活性化という意味ではあまりいいものだとは言えない。乗り物やエレベーター、エスカレーターを使った移動にくわえ、職場でも家でも座り姿勢でパソコンやスマートフォンに向かう毎日。このように体を使わずに過ごしていると、脳に刺激がいかず、少しずつ退化していってしまう。

?脳を活性化させるためには、運動は必要不可欠だ。なかでも、有酸素運動には脳の老化を遅らせるはたらきや、記憶力・集中力を高めるはたらきがあることが近年の研究からわかった。一方、脳の活性化というと、いわゆる「脳トレ」といったゲームやパズルを思い浮かべる人も多いかもしれない。だが、これらに取り組んでも単純にそのゲームの技能が高まるだけで、脳への刺激になるとは言いがたい。

◇走ることはよいことずくめ

?人は体を動かすと、脳が刺激されてそのはたらきも活性化される。特に、走ることで記憶を司る「海馬」と、集中力や思考力、感情といった重要な司令を出す「前頭葉」が活性化する。これらはまさに、仕事のパフォーマンスを上げるために直結する重要な能力である。

?走ることで脳の刺激となる理由は、筋肉を動かすことで血行がよくなり、多くの酸素が脳に運ばれ、脳細胞が増えるからだ。足には多くの筋肉があるため、「走る」ことが脳の活性化に特に有効だという。実際、有酸素運動を続けたことで海馬の容量が大きくなったという研究や、有酸素運動が脳のなかで新しい神経細胞を生み出すという研究もある。

?さらに、走ることはストレスへの抵抗力も生みだす。これは、走ると「セロトニン」というホルモンが分泌されてポジティブな気分になったり、「ガンマアミノ酸(GABA)」が分泌されることで、不安感が解消されたりするためだ。適度な運動を日常的に行うことで、うつ症状が改善されたという研究報告もある。

【必読ポイント!】

◆脳を鍛える走り方
◇最適なスピードを知る

?走ることで脳を活性化させたいと思っても、適当なスピードで走っていたら大きな効果は得られない。ポイントは運動強度、つまり「走っているときに体にどれくらいの負荷がかかっているか」ということにある。

?運動と脳に関する研究結果から考察すると、「運動強度60〜80%のランニングを1日20〜30分×週3回×3か月」行うのが、脳に適度な刺激を与える走りかたの基準であると言える。運動強度や活動力を記録・測定できるツールを活用しながら、自分にとって最適なペースを見出してみてほしい。

◇脳を効率よく鍛える

?走ることで脳のはたらきを活性化させたいのであれば、基本となる運動強度を守ること以外にも、もう一工夫加えていきたい。

たとえば、新しいルートを見つけたり、道の途中にある建物を覚えたりしながら、自分のランニングルートマップを作ると、記憶力の向上に役立つ。また、走りながらすれ違う人の顔の特徴を観察し覚えるというトレーニングも効果的だろう。体を動かすと記憶力が上がるため、勉強は走ったあとにするのがお薦めだ。

?集中力を鍛えたいのであれば、走りながらひとりじゃんけんをするなど、2つのことを同時に行う「デュアルタスク・トレーニング」を行なうといい。そうすれば、前頭葉が活性化される。このトレーニングは、ランニングにかぎらず、ウォーキングや階段昇降と組み合わせやすいので、日常生活にも取り入れやすいだろう。

?一時的に発想力を高める走り方もある。駆け足や階段ダッシュなどの、運動強度90%の走りを3〜5分行ったり、時間があれば軽く散歩やジョギングをして体を動かしたりすると、じっと机に向かって動かずにいるよりも発想力が高まりやすい。

?また、日ごろのランニングの際に、「今日は看板に着目してみよう」などとテーマを決めて走ってみると、普段気にしていなかったものにも目が行くようになり、新たな発見もできるだろう。

?思考力を高めるには、走った後にストレッチなどの整理運動が欠かせない。クールダウンすることで、筋肉内の血液が脳にもめぐり、頭がすっきりするようになる。ほかにも、走っている最中に目に入る景色について、「なぜだろう?」と考えてみるのも、思考力を高めるために役立つはずだ。

?判断力を鍛えるためには、ここまで紹介してきた記憶力、集中力、発想力、思考力を鍛える走り方を実践することが近道となる。特に、情報収集しながら走るという癖は重要だ。状況判断力が磨かれると同時に、引き出しやネタが多くなる。

?また、マラソン大会に出るという目標をもつこともトレーニングとなる。判断力には「計画性」や「自信」が欠かせない。目標を立てて実行し、成功体験を味わうことで、自信が生まれ、判断力の強化につながるというわけだ。

◇走れないときにも工夫を

?数多くのメリットがあるランニングだが、忙しくてなかなかできないこともある。そういう場合は、「インターバル速歩」がおすすめだ。「大股でできるだけ速く歩く」のを3分間、「じゃんけんをしながら大股でゆっくり歩く」のを3分間、交互に行いながら、30分間ほど歩く。すると、前頭葉と海馬が同時に鍛えられる。

?負荷が軽いため、日常生活にも取り入れやすいお得なエクササイズだと言えるだろう。普段あまり運動をしない人や、体力がない人でも簡単に続けられるはずだ。

◆知って得する走り方のコツ
◇いつ走るか

?走ることの効果が大きいのは朝の時間帯だ。だが、昼や夜に走ることにも相応のメリットはある。自分の目的に照らし合わせて、走る時間帯を選択したい。

?朝のランニングには、脳の覚醒効果がある。そのため、1日のパフォーマンスがアップするだけでなく、その日の早いうちに基礎代謝が上がるため、ダイエット効果も期待できる。

?朝走れない場合でも、昼休みの後や午後の仕事の前に、20分ほど走ると脳に酸素が運ばれ頭がすっきりする。夜のランニングであれば、睡眠時間中に成長ホルモンが多く分泌されるため、筋肉アップが期待できるだろう。

?また、食前に走れば脂肪燃焼の効果が期待できるし、食後に走れば血中に栄養が満ちているので運動効率はよくなる。食前に走るか食後に走るかも、目的に合わせて選べばよい。ただし、食事の直後2時間は、走ることを避けた方がよい。

◇どのくらい走るか

?どのくらい運動すればよいのかという疑問に答える研究結果がある。ダイエットとして走るのであれば、1週間に約12.8km走れば充分だという。これを1日換算にすると、約2kmということになる。そうすれば、体重は維持できるというわけだ。今よりもっと減量したいのであれば、さらに走る距離を伸ばすなど、自分の目標に合わせて調整すればよい。

?ウォーキングの場合、1日1万歩が目安になる。座り仕事をしていると、なかなか達成するのが難しいかもしれないが、なるべく歩く機会を増やして1万歩をめざしたいものだ。目標の決め方については、距離だけでなく、運動強度も参考に入れたほうがいい。

?また、「カルボーネン法」と呼ばれる手法を用いれば、どのくらいの心拍数で運動すればよいかの目安がわかるので参考にしたい。これは目標心拍数=(最大心拍数―安静時心拍数)×運動強度+安静時心拍数で数値を割り出す、最もポピュラーな方法だ。

?計算するのが面倒な場合は、「ボルグスケール」を使うのが妥当だろう。これは、体にかかる運動負荷を、「きつさ」という主観で測定するもので、全身持久性の測定・評価や、有酸素運動時における効果的な強度設定の際に有用だと言われている。

◇どう走るか

?走る前後に欠かせないのが、怪我や疲労を防ぎ、運動効果を高めてくれるストレッチだ。ただ、走る前と後でまったく同じストレッチをしてしまうのはもったいない。

?走る前の場合、ストレッチと筋トレが同時にできる「PNF」という手法がお薦めである。ストレッチと筋トレを同時に行なうような動きをするので、通常の伸ばすストレッチをやるよりも、短時間で体をほぐすことができる。特に、寝起きの体をできるだけすぐに走れる状態に持っていくには大変有効なやり方だ。逆に、走った後はゆっくりと通常のストレッチで、筋肉を伸ばし疲れをためないようにしよう。

?また、脳機能を高めるという意味では、ひとりで走ったほうが効率がよいと言える。たしかに誰かと一緒に走れば楽しいかもしれないが、自分のペースを保ちにくくなってしまう。あくまでも、自分の強度やペースに合わせたランニングを心がけよう。

◇どうやって続けるか

?方法論がわかっても実行し、継続することができなければ効果は出ない。効果を期待したけれ、週3回のペースで走ることを継続したいものだ。

?そのためには、まず小さな目標から始めて、「達成できた」という成功体験を積み重ねることが重要である。くわえて、「モデリング」も効果的だ。モデリングとは、自分と似ていると思われる「モデル」となる人が、うまくいっているのを見聞きすることである。モデルを見つけたら、その人にランキングのコツを聞いてみるとよい。そうすることで、「自分にもできそうだ」と自信を持てるようになる。

?さらに、周囲からの応援、いわゆる「ソーシャルサポート」があったほうが運動は続けやすい。ソーシャルサポートは(1)道具的サポート、(2)情報的サポート、(3)情緒的サポート、(4)評価的サポートの4つに分類される。習慣化のコツは、こういったソーシャルサポートをいかに力に変えるかである。周囲からの助けをうまく活用したい。

◆今日から実践するために
◇走ると寿命が伸びる

?走ることは健康や寿命の長さにもよい影響を与える。ある研究では、高齢になった時に歩く速度が遅い人は、歩く速度が速い人に比べ、寿命が短いという結果が出ている。また、適度な有酸素運動をさせることで、高血圧や糖尿病の発症率が低下したという研究や、スポーツをしている人のほうが免疫力は高いという報告もある。他にも、骨が強くなる、熱中症にかかりにくくなるなど、体へのメリットは数え切れない。

◇走ることをライフスタイルに組み込もう

?走ることには、脳にとっても体にとってもよいことが数多くある。それでもなかなか始めづらいという人には、ウォーキングからスタートすることをお薦めする。

?ウォーキングは足首や膝への負担が少ないため、運動に慣れていない人でも始めやすいのがメリットだ。ただし運動量も少ないため、もっと効果を得たいと思ったら、ウォーキングに慣れてから徐々にジョギング(1kmの距離を5分以上かけて走る)に移行しよう。ランニング(1kmの距離を5分以内で走る)までいくと、体への負荷が高くなるため、慣れていないと長続きしない可能性がある。自分のペースで上手にジョギングを続けることで、「走ること」をうまく自分のライフスタイルに取り入れ、より健やかな脳と体を手に入れてもらいたい。

一読のすすめ

?図解やイラストが効果的に用いられていることもあり、まさに走ることの入門書という一冊である。これから運動を始めたいという人にはもちろん、走ることを習慣にしている人にも、ぜひ一読をお薦めしたい。本書を読めば、走ることがどれほど意義深いことなのかを実感できるようになるはずだ。

評点(5点満点)?


※評点基準について
著者情報

重森 健太(しげもり けんた)

?関西福祉科学大学教授、博士(リハビリテーション科学)。1977年生まれ。理学療法士。聖隷クリストファー大学大学院博士課程修了。ヒトの運動機能を多方面から分析する研究、および脳科学の視点から認知症者の評価及びアプローチに関する研究に取り組む。聖隷クリストファー大学助教などを経て、2011年4月から現職。2014年関西福祉大学学長補佐、2015年同大学地域連携センター長を兼任。また、日本早期認知症学会代議員、NPO法人ハタラク支援協会理事長、NPO法人播磨認知症サポート顧問、重森脳トレーニング研究所所長などの役職でも活動している。主な活動として、エクササイズを用いた脳トレーニングの啓発活動や認知症の介護家族を対象とした「つどい場」、脳トレーニングアプリケーションソフトウェアの開発、社会復帰のためのハタラク支援活動などを展開している。前頭葉、海馬、頭頂葉に特化したエクササイズが人気。
http://diamond.jp/articles/-/113531


 
五輪を機に生まれた「幸せへの投資」事業とは?

ロンドン発 世界の鼓動・胎動

ロンドンに見る五輪レガシー〜幸せへの投資編(上)
2017年1月10日(火)
伏見 香名子
 2012年のロンドン大会を通じて五輪の「レガシー」について考えるシリーズ。「ボランティア編」と「地域開発編・巨大滑り台」の動画のバックには、「White Light(ホワイト・ライト)」という曲を使用している。これは、オリンピックにインスパイアされて書かれた曲だ。作曲したのはロンドン在住のアーティスト、ベン・ブリックスリー氏(30歳)。本名はベン・ブラウン氏だ。ブラウン氏は2012年ロンドン大会における文化プロジェクトに自作した「ホワイト・ライト」を提供するなどして貢献。英エリザベス女王やポール・マッカートニー氏から表彰された。こうした活動をきっかけに聖火リレーにも参加している。

 五輪にインスパイアされて生まれたもう一つの曲「Indelible Fire(忘れ得ぬ炎)」を演奏してもらった。(動画)

 ロンドン大会は人生を変え、また辛い時期を支えてくれたものでもあったとブラウン氏は語ってくれた。現在、五輪を契機に生まれた事業「スピリット・オブ・2012」というNPOに、ブラウン氏は勤務している。「幸せに投資」するというこの事業は、一体どんなものなのか。前編は、2012年当時、まだ学生だったブラウン氏に聞く。

まず、「Indelible Fire」という曲について教えてください。

ベン・ブラウン氏(以下ブラウン氏):Indelible という言葉には「足跡を残す」という意味もあります。ロンドン大会の締めくくりを飾るための文化イベント用に依頼された曲でした。いろいろな比喩はあるのですが「五輪の炎が消えても、その火花は人々をインスパイアし続ける。そして、その人たちがまた何かを成し遂げ、それがまた誰かをインスパイアしていく」というものです。Indelible Fire の中には、「世界は太陽の周りをめぐる/人生の光を紡ぐ」という歌詞があります。めぐりめぐる光の糸とでも言うのでしょうか。炎は世界各地で受け継がれ、人々をインスパイアし続けていく。この曲は大会の集大成として、イングランド北西部で演奏しました。

どんなことをイメージして書いた曲なのでしょうか?

ブラウン氏:光に関連する多くのことですね。消えゆく炎と、そこから派生していく火花たち、そこからさらなる光が生まれていく。歌詞には「瞳の中の炎/男の子と女の子の目/それが世界をつないでいく」というものがあります。それは、大会を見てインスパイアされる人たち、参加する人たち、そして、その人たちがもっと多くの人々をつないでいく姿をイメージしました。

 人生は困難なもので、一人ひとりが歩む道のりは楽なものではありません。しかし、私は「自分の中の光が、導きとなるように」と書きました。「炎を灯せ」という言葉も歌詞に入れました。炎は永遠に、あなたの中で燃え続ける、という意味を込めて。火花は自分の外側から受け取るものですが、内なる心に火を灯し、そして他の人たちをインスパイアしていくのです。

 曲の中盤では、大会中に実際に起きたことを基に書いています。「湖に命の火が灯り」というのは、北部イングランドであった花火のことで、湖がライトアップされていました。「夜空に浮かぶ虹」というのは、(北部の街)プレストン上空にかかった虹。「不死鳥が再び舞う」というのは、大会がまた他の国で開催され、消えない炎を起こすこと。五輪がさらに人々をインスパイアし続けることを意味します。

草の根の活動が認められて聖火ランナーに

ブラウンさんは、楽譜が読めないのですよね?

ブラウン氏:耳で作曲しています。リバプールのパフォーミング・アーツ研究所で音楽を学びましたが、楽譜は読めないのです。読めるようになりたいのですが(この曲を譜面にしてくれと言われても)できないのですよ、書けないのです。あれが譜面になっていて、目の前にあっても分からないと思います。

 ブラウン氏は6〜7歳の頃、ピアノを習い始めた。家には常に何かしら楽器があり、両親も音楽を志すことを勧めたと言う。大学生になったブラウンさんは、五輪開催に共鳴を受け「バルーン」という五輪の価値観について書いた曲を作曲し、友人らと共に大学で「バルーン・プロジェクト」を立ち上げた。歌や踊りなど、アートを通じて五輪の理念を、小・中学生や、若い人たちと共に共有しようというものだ。

 当初は2日で終わるはずだったが、次第に多くの人たちがコーラスなどで関わるようになり、3年にもおよぶ大プロジェクトに発展した。これがイングランド北西部の文化オリンピアード担当者の目に留まり、地域の五輪文化フィナーレのイベントの一部となるべく「忘れ得ぬ炎」の作曲を依頼された。

 この功績が認められて数々の賞を受賞するに到り、ブラウンさんは聖火ランナーにも抜擢された。
ブラウン氏:(聖火ランナーには)同僚に推薦されました。コミュニティに変化をもたらしている人を推薦するというキャンペーンがあって、ノミネートされたのです。幸運にも選んでいただき、走者となることができました。すごいことでした。

 当時運営していたプロジェクトが大きかったと思います。若い人たちを、アートを通じてインスパイアするもので、これからどう人生を輝かせるか。五輪の持つ価値観を反映し、モチベーションや献身性を養うといった試みに大勢の人たちが参加し、彼らを巻き込んでいたので、これが功を奏したのかなと思います。

聖火ランナーとしての経験はどんなものだったのでしょうか?

ブラウン氏: 二度とはない、一生に一度の体験ですね。数百人の人たちが応援してくれるという、ものすごい体験で象徴的なできごとでしたが、記憶がぼやけてしまっていてはっきり覚えていません。大勢の人たちが歓声をあげ、大きな誇りを感じたことを覚えています。自分のやっていることをこんな形で認めてもらうことはめったにないですし、英国の大会では、全国から様々なことを達成した人たちをノミネートするという状況だったので、とてもインスパイアされました。

 リレーでは、前の走者が自分のトーチに火を灯してくれます。この時「ものすごい瞬間だ」と感じました。人々の叫び声もすごかった。動悸も、そして走りも早すぎて、一瞬で終わってしまった気がします。とても誇りに感じた瞬間でした。できることならもう一度くらい走って、その感覚を記憶したいですね。

オリンピックが人々に「つながり」を生む

五輪はブラウンさんにとってどんなもので、また、一番印象に残っているのはどんなことでしょうか?

ブラウン氏:他に比べようのない、大きなイベントでした。スポーツの盛大なイベントであったことはもちろん、文化オリンピアードもありました。また、ものすごい数の国々と人々を一つにし、テレビ観戦だけでも、あんなに異なる文化を目のあたりにできるものは、他に考えられません。私自身、スポーツはしていませんでしたが、多くの人同様4年に一度、観戦したり、(ロンドン大会では)聖火リレーに参加もしました。オリンピックは、自分の成長とともにあったものでした。(印象に残っているのは)聖火、そして聖火台です。スピリチュアルで神秘的、そして、純粋な炎だと感じます。

五輪ではどんな「スピリット」が生まれたのだと思いますか?

ブラウン氏:皆がある目的を分かち合っていた、ということかもしれません。人々の間につながりができたことは、大きかったと思います。世間話をする理由とつながりができた、というか。ロンドンはがらりと様変わりしました。街中を、五輪の輪を見かけずに歩くことはできませんでしたし、ロンドンだけでなくマンチェスターやリバプール、国中が五輪で彩られていた。だから、人々には、互いに話をする理由ができたのです。

 例えば地下鉄で誰かが転んだり、酔っ払いが騒ぎを起こしたりすると、人々はそれを「分かち合う体験」として、そこに関わろうとするのです。ロンドンでは従来、他に誰も乗っていない地下鉄の車両で一人座っているところに、突然誰かが隣に座ってきたら「なんでここに座るんだ!」という意識でいたと思うのですが、この壁が壊され、つながりというものが生まれたのだと。こうしたことが、大きな大会ができる、とても特別なことだと思います。

大会開催は、どんな感覚を呼び起こしたのでしょうか?

ブラウン氏:多くの人たちをインスパイアしたのだと思います。スポーツを通じ、選手たちが成し遂げた偉業を見て、彼らにインスパイアされる。人々の心の炎を灯し「自分にも何かができる」と思わせる。スポーツでなくても良いのです。特にパラリンピックを見ていると、選手たちが壁をどんどん壊し、ものすごいことを達成している。そこに自分の人生を重ね合わせてみるのです。「僕にだって何かできるに違いない」と。

 スポーツでも良いのですが、人々が必ずしもアスリートとしてではなくとも、日々の生活においてインスパイアされました。私は特にそうです。英国チームの凱旋を見ているだけで、スポーツ参加者の増加につながります。測定するのは難しいことですが、例えばスポーツを見たり、音楽を奏でたり参加したりすることで、その人の中にある何かを触発し、そこから自分自身のための「何か」につながっていくのだと思います。オリンピックもパラリンピックも、変化を起こすそうした大きな力を持っていると思います。

レガシーとして続く「幸せへの投資」

 五輪に感化されたブラウンさんは、その後「スピリット・オブ・2012」という英国のNPO団体で、ブランド・コミュニケーションおよびプログラム・オフィサーとして働いている。「スピリット」は、2012年ロンドン大会の精神を社会に継続していく、という活動だ。「幸せに投資する」という旗印のもと、宝くじ収益の一部を慈善活動に配分する「Big Lottery Fund」からの資金を財源に、英国各地の慈善団体やプロジェクトを支援している。
ブラウン氏:2012年、聖火ランナーの経験が終わった後、大学を卒業し、2年ほど、子供たちにコーラスを教えるなど、音楽活動をしていました。とても楽しかった。その後、リバプールのイベントなどで演奏もし、そうした活動がとても好きで、フルタイムで音楽活動をしていました。

 現在は英国の「スピリット・オブ・2012」という団体で働いています。スポーツやアートを通じて「つながりを生む」「人々をつなぐ」ということが目的です。五輪の精神、2012年ロンドン大会の精神を受け継いでいこうと、様々なプロジェクトや組織を資金援助しています。(支援するプロジェクトは)スポーツ、アート、ボランティア、社会的活動と多岐にわたりますが、こうした活動を通じて人々の健全性・幸福感を増幅させようというものです。

 最終的には、ロンドン大会がしたように「人々を一つにする」ということが目的です。大勢の人たちが一つになって、スポーツやアートなど同様の目的を持ち、幸福感を増幅する。そして、人々の人生を改善していくのが狙いです。もちろんすべての国民とは言いませんが、オリンピックはイギリスという国を「浮上」させたと思います。

 例えば、通勤などの地下鉄車内で、見知らぬ人たち同士が会話を始めることが多く、こんなことはロンドンではそれまで絶対にありえませんでした。2012年、ロンドンで起きたことは、実態がつかめるものではないのですが、イギリス各地で起きた「あのこと」を、私たちの団体では再現しようと試みています。様々なイベントを通じて、変化のきっかけ作りをするなど、ともかく、人々を一つにする。一緒にやれば、気持ちも高揚する、というねらいがあります。

 また、活動の根幹に「障害に対するマイナスイメージを払拭する」という目的もあります。これは、パラリンピックがきっかけとなりました。このとき「スーパーヒューマン」という概念が生まれ、障害で「できないこと」ではなく、障害があるからこそ達成できることが注目されました。これが、私たちの原点となりました。

 この仕事では、常に自分の見識に挑戦しています。例えば、私の知識が及ばず、精神的な障害を持つ人が、実は舞台演出において素晴らしい振り付けができることをまったく予期していなかったこともあります。実際に目にするまでは、きっと不可能だろうと思ってしまうのですが、こうして、わたし自身の見識も変えてくれるのです。

支援先はどのような団体ですか?

ブラウン氏:わたし自身が受け持っているのは3つの団体で、一つは人々を、音楽を通じて一つにするというもの。異なる年齢層を一緒にして、世代間をつなぐ目的があります。これがプリマスでやっている事業「プリマス・ミュージック・ゾーン」です

 もう一つは「ビーコン・ヒル・アーツ」という映像会社で、学習障害や自閉症の人たちと一緒に活動しています。障害を持つ人々を、もっと映像産業で活用しようというもの。英国の映像産業で、こうした障害への見解を変えるという意味では、非常に大きなものです。

 例えば自閉症であれば、クリエイティブな能力が増幅されます。まわりの見方を変え、障害ではなく、彼らの才能を有効活用するのです。先日、これを「スーパーパワー」と称した人がいました。

 最後は「ザ・チェンジ・ファンデーション」ですが、障害のある人たちとともに、各地の学校などをまわって障害者スポーツを広め、障害に対する見解を変えるというものです。私の手掛けているプロジェクトは、障害関連のものが多いのです。

幸せとは「懸命に努力すること」

なぜこのNPOに参加しようと思ったのですか?

ブラウン氏:2つ理由があったと思います。このNPOは五輪の後に設立されました。「五輪のスピリットを受け継いでいこう」という設立の精神に強く惹かれました。絶対にこれをやりたい、と感じたのです。とても共感し、自分には貢献ができることがあると感じました。単なる「仕事」ではなく、意義があると感じました。

 言葉にするのは難しいのですが、「幸福感」は良い表現だと思います。私はこうしたプロジェクトに様々な形で8年ほど携わってきましたが、今の職場「スピリット・オブ・2012」は「幸福に投資する」ことが目的です。これこそが、一番重要なことだと思います。

 英国で「幸せ」というと、私もそうですが、多くの人たちが黄色い円の中に書かれたスマイルを思い浮かべると思います。「幸せ」とは雲のようにふわふわしていると思われがちですが、私自身は、ふわふわしたものではなく、困難の中をもがいて、その中で、ある決意を持ち、他の人たちからインスピレーションを得て、懸命に努力することだと思います。自分で達成するもの、そして、他者とつながることなのです。

五輪当時、ご自身はとても困難な時期を過ごしていたと聞きました。

ブラウン氏:2012年までの間、まだ大学生でしたが、学校で一生懸命プロジェクトをやっていて、資金を投じすぎてしまい、金銭的にとても大きな困難に直面しました。商業的なプロジェクトではなく、収入がありませんでした。純粋に、自分の信じていたプロジェクトを遂行していたのですが、3年やっていたら、多額のカード負債を抱えてしまいました。とても世間知らずだったのだと思います。

 例えば、イベントのためのコストですが、100人以上のボランティアが関わっていたので、参加者の交通費を自腹で支払ったりしていました。ところどころ資金ももらっていたのですが、ほとんど自分で賄っていました。だんだんに、ゆっくりとではあっても、それが山積していったのです。多額の負債を抱えてしまいました。とても辛かったです。

 おかしなことに、聖火ランナーとして走者となった日が、大学生活最後の日でした。同日、リバプールで大きなパフォーマンスの予定もありました。「ホワイト・ライト」という曲に乗って、ダンサーやシンガーたちが「人々をつなぐ」というテーマの下、みんな様々な色の衣装を着て、だんだん「白い光」を作るというものでした。

 これをプロデュースし、振り付けもしたのですが、地元サウスポートで聖火ランナーをやり、同日リバプールへ飛んで行って、老いも若きもこの「ホワイト・ライト」を演じる姿を見に行きました。その日がすべてのクライマックスで、大学生活も、バルーン・プロジェクトも、終わったのです。

 すごい、と思いつつ、金銭的な安定をまったく考えていなかったことに気づきました。家賃を払うこともできませんでした。でも、おかしなことに、突然このプロジェクトが色々な賞を取り、女王からも賞をいただきました。ポール・マッカートニーさんからも、国内の色々な賞も受賞した。聖火ランナーにもなれた。人々は皆、僕が金銭的な大成功を収めたと思っていたようですが、ある日、もうこれ以上できない、と、絶望してしまいました。とても困難な体験で、本当に、辛かった。そこで、ちょっと立ち止まりました。

五輪が救いに?

ブラウン氏:そうですね。五輪のおかげで今の自分があると思っています。五輪に通じる「決意」や「勇気」など、そうした価値観についての曲も書きました。当時は両親の離婚など、色々なことが起きましたが、様々なことにフォーカスしながら、その周りで創造力を養うことが、困難な中でも癒しにもなりました。今でもこのことが人生のよりどころだと感じています。今はとても良い気分でいますよ。

メディアもマイナス面ばかりに注目していた

社会によりつながりを感じ、より貢献したいと感じたのでしょうか?

ブラウン氏:そうですね。とても「つながり」を感じました。自分が、自分以上の大きなものの一部であることを認識しました。社会の中で孤立し、社会に怒りを感じることは、簡単にできることです。でも、その中で、他者とのつながりを感じることや、参加することは大切です。私は当初、大会に直接関わりのないことから始めました。五輪の価値観にインスピレーションを感じ、そこからアートの創造を始めました。それが五輪公式プログラムの一部となり、そこで「つながり」を感じました。

 聖火リレーでも、つながりを感じました。いまでもそのつながりは感じています。数多くの国籍、いろいろな背景、宗教の人たちに出会いました。多様な人たちと出会うことが、つながりをより強く感じさせるのです。

東京では今、会場の建設問題など、山積する問題にうんざりした多くの人たちが「五輪なんてやらなくても良い」と感じています。あなたは、なぜ五輪に希望を持ち続けることができたのでしょうか?

ブラウン氏:姿勢として、プラスの側面に注目していたからだと思います。私は五輪の価値について考えるプロジェクトを立ち上げていました。ロンドン大会に関しては、例えば多額の資金投入や、交通網への混乱など、マイナスの側面が声高に叫ばれていて、マイナス面ばかりに注目する風潮がメディアにもありました。

 マイナスな気持ちでいても良いのですが、スポーツやアートによって、ものすごい数の人たちが一つになる大会です。プラスの側面も、数多くあるのです。不満を言えばきりがありませんが、良い側面もある。私は、自分が愛する音楽を通じてポジティブに関わっていました。このことで、幻滅に溺れずにいられたのだと思います。

 特にメディアに関していうと、一度ネガティブに焦点を当てたら、さらにネガティブ、ネガティブと続けていましたが、聖火リレーが始まったところから変化が起こり出しました。途端にみんなが支援に回り、マイナス思考だった人たちがプラスに転じたりするなど、とても興味深かったです。

東京大会に「コネクション」のバトンを引き継ぎたい

「幸福に投資する」ということを日本でやろうとすると、つい、懐疑的な意見が多く出てしまうのではと心配になってしまうのですが。

ブラウン氏:でも、幸せには意味があると思うし、究極的にはみんな、他者とつながり、幸福感を感じたいと思っているのではないでしょうか。健全な、満たされた人生を送るということ。このことは、私たちを分断するすべての壁を壊すと思います。誰もが幸せで、幸福感を感じたいと思っているでしょう?そのことこそが、とても重要なことなのです。

 イギリスでは幸せを測るという試みが行われていますが、とても大切なことだと思います。特に今の私の仕事では欠かせない部分です。幸せを測るのは難しいことです。朝の気分と夜の気分、今日と昨日のそれは全く違いますし。ともかく「健全である」ということは非常に大切です。

ロンドン大会から東京に、どんなバトンをつなぎたいと思っていますか?

ブラウン氏:「コネクション」、つながりだと思います。私は、今、人々に、よりつながっていると感じています。そして「自分を信じる」ということ。とても大きなことです。私自身、人生には多くの壁があることを感じました。

 五輪の炎は希望の炎です。希望を持つということはとても大切なことで、これを引き継ぎたい。希望自体、とてもパワフルなものです。希望を増幅すること、変化を起こすこと。五輪の価値観を思い起こしてほしいのです。聖火リレーが世界をめぐるのは、五輪の価値観を共有するためだと思います。炎は、やり抜くという決意や、他者を尊重する心です。そうしたものをぜひ引き継いでもらいたいのです。

 五輪が世界をめぐることにより、大きな力が備わります。それは、どのように受け入れられるかにもよるのです。政府や組織委員会として、また、一般観衆としてでも、聖火ランナーに誰かを推薦することでも良いので、とにかく参加する。

 五輪を何か遠くの、手のとどかないものにしておくことは、簡単だと思います。聖火リレーは、日本は国内だけでやるのか、海外もつなぐのかわかりませんが、私個人にとっては、とにかくポジティブさに光を灯すもの、人々の善意を輝かせるものだと感じました。

 大きな組織が関わり、巨額の資金が投じられる大会には、もちろん問題がつきものです。この負の側面に固執し続けるか、正の部分に目を向けるのか。五輪のバックストーリー、そもそもなぜ五輪が設立されたかの歴史を紐解くと、善意のもと、人々をつなぐために、スポーツだけでなく教育などのムーブメントを視野に作られたことがわかります。

 人々をつなぐ。チームワークを作る。お互いを尊重する。フェアプレイ。そうした価値観がスポーツを通じて見える。五輪のすべてが素晴らしいと言っているわけではありません。でも、これが自分たちの国で起こっていることなのだと、五輪を受け止め、世界への扉を開く(大会を開催する)ことに大きな誇りを感じても良いと思います。

 五輪の開会式はいまやテレビ最大のイベントで、それを超えるものは次の大会にしかできません。世界に披露できる。国を形づくるものは何かを問い、そこに参加する。参加することで、変化を起こすことができると思います。

 ブラウン氏との出会いは、NHKの番組出演者を探していたリサーチ中の、パソコン画面上である。聖火トーチを片手に微笑みながら走る様子のブラウン氏の画像を見て、直感でどうしても会ってみたいと感じた。実際に会ったブラウン氏は画像の表情そのままの、純粋で明るい、感性の豊かな青年だった。今回のインタビュー中も、辛い体験について話しながら、時折瞳いっぱいに涙をため、一つひとつの言葉を丁寧に語ってくれた。

 柔らかく、暖かい雰囲気を醸し出すブラウン氏だが、演奏は動画の通り、堂々としている。番組撮影の際、ブラウン氏宅を訪れた取材班全員が演奏に息をのみ、しばし、現場が静まり返った。「Indelible Fire」など、同氏がオリンピックにインスパイアされて作った曲は、Sound Cloud(サウンドクラウド)で聴くことが可能だ。

 2012年ロンドン大会が掲げた最大の目標は「インスパイア・ア・ジェネレーション(世代を感化する)」というものだった。ブラウン氏は現在30歳だが、次世代を担う若者たちが、オリンピックを契機に自分たちの手で社会を変えていこうと一念発起し、4年後の今も継続して活動している現状に、驚かされた。しかし、個人個人がこのような試みを数年に渡り実現していくには限界もあり、こうしたNPO団体の発足などがあってこそ、活動が広がり続ける土壌になるのだとも感じた。

 後編では、ブラウン氏が所属するNPO「スピリット・オブ・2012」のトップに「幸せへの投資」について、さらに聞く。

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ロンドン発 世界の鼓動・胎動
人種や宗教など、極めて多様性に富む都市、ロンドン。現地のフリーTVディレクター、伏見香名子氏が、ロンドンから世界の「鼓動」を聞き、これから生まれそうな「胎動」をキャッチする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/100500021/010500007/
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/610.html

[経世済民117] 「まさかの時代」への備えを促す企業トップたち「年頭所感」ウォッチ ホンダは“鎖国”をやめて「帰国子女から学ぶ」激動の年 
「まさかの時代」への備えを促す企業トップたち

上野泰也のエコノミック・ソナー

「年頭所感」ウォッチから見えてきたこと
2017年1月10日(火)
上野 泰也
トップの「年頭所感」を収集して時代を読み解いてみる

 企業トップが社員に対し、仕事始めにあたってメッセージを伝える「年頭所感」。主な内容がマスコミにより報道されるので、それを収集しチェックして考察を加えるのが、年初に筆者が必ず行う仕事の1つになっている。1年前にも考察を加えたが(当コラム2016年1月12日配信「戦後初の新春株価5連敗が示す『油断ならない年』」)、今年はどういう内容になっただろうか。


2017年1月4日、東証大発会の様子。新年最初の取引が行われ、4日終値は昨年末比479円高の1万9594円と好スタートを切ったが…(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
 まず、1999年から今年まで19年間の「年頭所感」のキーワード・中心テーマは、次の通りである<図1>。

■図1:企業トップ「年頭所感」におけるキーワードや中心テーマ
1999年 (生き残りのためのリストラ)
2000年 (「IT革命」への対応)
2001年 「変革」「挑戦」
2002年 「改革」「挑戦」「スピード」
2003年 「挑戦」
2004年 (「攻め」の姿勢)
2005年 (「3つのテーマ」に集約 〜 不断のリストラ、成長事業強化、海外事業拡大)
2006年 「価値」
2007年 (好業績に安住しない緊張感)
2008年 (景気の先行きを警戒)
2009年 「原点」「改革」「チャンス」
2010年 「リスクをとらないことがリスク」「新しい発想」
2011年 「グローバル」「10年先」「ゼロベース」
2012年 「グローバル」
2013年 「変化」「変革」
2014年 「飛躍」(ただし、経済の見方ではアベノミクス期待と先行き警戒が混在)
2015年 「グローバル」を強調しつつ、慢心を戒め
2016年 さまざまな「変化」への対応
2017年 「まさかの時代」への対応
(出所)時事通信などの報道から筆者作成

 今年の年頭所感では、想定外のことが起きる「まさかの時代」への対応や前向きな挑戦を、社員に促すものが目立った。具体例を引用したい(個別企業名は伏せて、業種のみをカッコ内に記してある)。

【2017年の各社トップの「年頭所感」】

◆「昨年は英国のEU(欧州連合)離脱決定や米大統領選挙など政治、経済ともに予定不調和な『まさかの時代』が来た。何が起こってもおかしくないと想像力を働かせ、大事に備える必要がある」(食品)

◆「今年も大きな政治イベントが目白押しだ。結果によっては先行きに不透明感が増し、市場に大きな影響を与えることになる。商社にとって変化は大きなチャンスだが、一歩間違えると取り返しのつかないことになるリスクをはらむ」(商社)

◆「想定外の展開をなるべく想定内にできるよう、モノやサービスの未来のシナリオを考え続けてほしい」「周囲からクレイジーに思われるような挑戦が求められる」(繊維)

◆「2017年も想定外の事象が起こるかもしれない。将来を容易には想定できない不確実な状況にわれわれはいる。そうした中にあっても、当社は政治や経済、テクノロジーの大きな流れの変化を見据えながら、着実に前に進んでいきたいと思う」(鉄鋼)

◆「2017年、市場は不確実性をさらに増し、急速な変化が続くと思う。この時代に世の中から存続を望まれる企業であり続けるためには、世界の変化のスピードよりも速く、自らを変革しチャレンジし続けることが欠かせない」(機械)

◆「不確実性が高い年になると予想される。時代の趨勢を見極め、改革を加速していかなければならない」(機械)

◆「世の中が『チェンジ』してきたところに、必ず『チャンス』が生まれるが、これに『チャレンジ』しなければ何も生まれない」(運輸)

◆「昨年の世界動向を顧みると、グローバリゼーションや自由貿易、多様性の尊重といった、これまでわれわれが規範としてきた価値観が揺らぎ、将来に対する不透明さが増している。しかし、こうした状況だからこそ、本質的に重要なことを見極め、腰を据えて取り組んでほしい」(化学)

◆「昨年は英国の国民投票によるEU離脱派の勝利や米大統領選挙の結果など『まさか』が何度も繰り返された年だった。いつの時代でも『まさか』は起こるが、しばらくするとそのことを忘れてしまう」「いつかは起こると認識したうえで、リスクを想定し、準備を怠らないこと。そして『まさか』のときには受け入れる覚悟が大切だ」(機械)
「新しい時代の幕開けだったんだな、と後で思い返すような年」

 麻生太郎財務相は1月4日、証券業界7団体の新年祝賀会に出席し挨拶した中で、「いろんな意味で大きく世の中が変わっていく時代であることは間違いない。ああいう(新しい)時代の幕開けだったんだな、ということを後で思い返すような年になる」と述べた。おそらくそういう年なのだろうと、筆者も直感している。

 「不確実性の時代」「グローバル化の大きな流れの転換点」「草の根の反乱による分水嶺」…。さまざまな言い方がなされているが、要するに従来のやり方の単純な延長線では企業経営がうまくいかない時代に足を踏み入れたということだろう。

 何人ものトップがそうした重大な変化を察知した上で、事が起こる前の準備や覚悟、実際に起こった場合の的確な対応、そしてその後の戦略的な業務展開を、従業員各人に求めている。むろん、筆者のような職種の人間にとっても、決して他人事ではない。うかうかしているとAI(人工知能)に取って代わられてしまう恐れもある。

 この間、政府・日銀からは、新しい年の日本経済全体の行方に関し、やや楽観的すぎないかと思われるメッセージが出てきている。

「ワクワクしていく日本をつくっていくことが今年のテーマ」

 安倍晋三首相は1月1日放送のニッポン放送の番組で、「デフレだとワクワクしない。今年よりも来年が良くなっていく中で、ワクワクしていく日本をつくっていくことが今年の新たなテーマだ」と述べた。デフレからの脱却による世の中のムードの高揚を、首相は今年、あらためて狙うようである。

 だが、金融緩和に手詰まり感があり、厳しい財政事情ゆえに財政出動による景気てこ入れ策は小粒にならざるを得ない状況下、デフレ脱却を目指す上で頼りになる具体的な手段は見当たらない。結局、日銀がイールドカーブ・コントロールを継続して国内長期金利の上昇を抑えることで、円安ドル高(さらには株高)の地合いをサポートするという手段に訴えるほかないだろう(2016年11月29日配信「『アベノミクス』唯一の景気刺激カードとは?」)。

「神風」に持続性は伴うのだろうか

 首相はその後、1月5日の自民党本部仕事始めのあいさつでは、「酉年は割と大きな変化がある。24年前に自民党が野党に転落した。12年前は郵政選挙があった。だからといって今年選挙があるとは限らないが、常在戦場の気持ちで身を引き締めていきたい」と述べた。だが、これは年内の解散総選挙をにらみ、国内政治情勢が大きく変わる可能性に言及したもので、経済情勢を念頭に置いた発言ではあるまい。

 一方、黒田東彦日銀総裁は1月4日、全国銀行協会(全銀協)の新年会合で挨拶した中で、「客観的なデータに率直に耳を傾ければ、これまで以上に強い確信を持って今年はデフレ脱却に向けて大きく歩みを進める年になると考えている」と述べ、今後の金融政策運営に珍しく強い自信を示した。これより前、昨年12月26日に日本経団連審議員会で講演した際には、「この一年は、企業経営者の方々にとっても、日本銀行にとっても厳しい一年でしたが、風向きは『逆風』から『追い風』に変わりつつあります」「企業経営という観点でみれば、『チャンス到来』と言える状況が生じつつあります」と、総裁は発言していた。円高・原油安で苦しんできた日銀にとってみれば「神風」のような市場環境の大幅な好転が、米大統領選でのトランプ候補逆転勝利後に生じている。

 だが、この「神風」に持続性は伴うのだろうか。筆者は強く否定的である。

米国の政策運営をリードするのは誰か

 率直に言うと、トランプ次期大統領は政権公約であまりにも大風呂敷を広げており、実際にどこまで実現可能なのかがきわめて不透明である。人事を見ても、一貫したストラテジーがあって組み立てているようには、筆者には見えない。大統領首席補佐官にプリーバス共和党全国委員長が指名される一方、これと対等とされる首席戦略官・上級顧問には排外主義的主張の持ち主であるバノン氏が指名されており、これら「東西両横綱」のどちらが政策運営をリードするのかが不明確である。

 そして、最終決定権者であるトランプ氏が、ビジネスライクで現実主義的な対応を優先するのか、それとも2年後の中間選挙まで有権者を引きつけておく必要性から過激な選挙公約に沿った政策をあえてとろうとするのかも、今のところさっぱり分からない。

都合のよい部分だけをつまみ食いしている「トランプラリー」

 サマーズ元米財務長官は1月3日のブルームバーグテレビのインタビューで、「世界で中心的な役割を米国が担っていることを考えると、こうした類いの転換は前例をみない重大な不確実性をもたらす問題であるはずだが、市場はこの点を完全には認識していないようだ」とコメント。都合のよい部分だけをつまみ食いしている「トランプラリー」(株高・債券安・ドル高)に、強い警告を発した。筆者も全く同意見である。

 2017年のマーケットでは、@米大統領選後に急進行した「トランプラリー」の反動(米国の次期政権の政策見きわめ)、A欧州の各種政治イベント(仏大統領選、独連邦議会選、英国のEU離脱交渉など)の行方が2大テーマになると、筆者は考えている。「中国リスク」再浮上の可能性、北朝鮮・金正恩政権の動向を含む地政学リスクにもむろん注意が必要で、市場が「リスクオフ」の株安・円高に傾く場面が何度か出てきてもおかしくない。

「トランプラリー」の反動が速やかに展開される可能性も

 ドル高のデメリット(米国の景気・企業収益・物価を下押しする)、リスクマネジメントの観点(利下げ余地が非常に小さい一方で利上げ余地は無限大であることを勘案した安全運転の必要性)から考えて、FRB(連邦準備制度理事会)が安易に追加利上げに動くことはないだろう。2017年中の利上げなしが筆者の基本シナリオで、仮にあっても利上げは1回までとみている。

 また、トランプ次期政権の財政出動(大型減税やインフラ整備)には、国債増発を嫌う「小さな政府」志向の議会共和党がカベになる。人工知能を用いたアルゴリズム取引も関与する中で、「トランプラリー」の反動(株安・債券高・ドル安方向の動き)が予想外にスピーディーに展開される可能性もある。その場合、日銀に漂う楽観ムードは雲散霧消し、「まさかの時代」への備えをしっかり行っていた企業のパフォーマンスが相対的に良くなるだろう。


このコラムについて

上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/010500076


 
ホンダは“鎖国”をやめて「帰国子女から学ぶ」

記者の眼

2017年も自動車業界の激動は進む
2017年1月10日(火)
島津 翔
 2017年も、自動車業界にとって激動の年になりそうだ。

 振り返れば2016年は、年初から混乱を予想させる出来事があった。トヨタ自動車がダイハツ工業を完全子会社化すると発表。小型車の開発を実質的にダイハツに任せる体制を敷いた。都内ホテルで記者会見が終わり、帰り道で副編集長と先輩記者と一緒に、「今年は業界が動きそうだ」と話したことを覚えている。


提携に向けて動き出したトヨタとスズキ(写真:竹井 俊晴)
 結果、その話は現実化した。4月に三菱自動車による燃費不正問題が発覚。国土交通省によるメーカーへの自主調査の要請によって、スズキでも不正が見つかった。その後、6月に日産自動車による三菱への出資が発表された。10月にはトヨタとスズキが提携に向けたスタートラインに立った。

 こうした同業による合従連衡の一方で、異業種を巻き込んだ提携も目まぐるしく進んだ。トヨタは6月、ライドシェア大手の米ウーバー・テクノロジーズと資本・業務提携。ホンダは7月にソフトバンクとAI(人工知能)の共同研究を開始した。

 年の瀬には、グーグルを傘下に持つ米アルファベットとホンダが自動運転で提携に向けた協議を開始するというニュースも飛び込んできた。これまで“鎖国”を続けてきたホンダの動きは、危機感の裏返しに写った。

 「自分なりの勉強方法でせっせと勉強を続けてきたけれど、頭の良い“帰国子女”の方法も参考にしようということだ」。ホンダ関係者は記者にこう語った。

サムスンがハーマンを買収したワケ

 日系メーカーだけでなく、米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲンなどの大手も同様に、異業種というこれまでとは別次元の提携へと歩みを進めた。

 周知の通り、こうした提携合戦の背景にはテクノロジーの急激な進化がある。「全方位で技術開発を続けるためには規模が必要になる。開発費が限られる小規模メーカーは提携なしには生き残れない」。こうした文言を2016年の1年間で何度書いただろうか。

 今年も、「自動運転」と「電動化」を2大キーワードが迫る自動車メーカー各社の動きは止まりそうにない。加えて記者が注目しているのは、日系部品メーカーの動きだ。

 自動車メーカーや外資系部品メーカーに比べ、日系部品メーカーの“進化”は進んでいないように見える。

 例えば韓国サムスン電子は2016年11月、自動車部品大手の米ハーマンインターナショナルを80億ドル(約8600億円)で買収すると発表。サムスン史上最大の買収劇となった。

 サムスンがハーマンを買収したのは、「つながるクルマ」や自動運転などの新技術によって、自動車部品市場の成長が期待されているからだ。

 2016年10月には、スマートフォン向けチップで世界トップシェアを誇る米半導体大手クアルコムが、車載チップ事業を狙って同業のNXPセミコンダクターズを買収することで合意した。クアルコムは今年1月3日、同社のチップセットが独フォルクスワーゲンの次世代車に搭載されると発表したばかり。クルマへの注力は明らかだ。

 異業種各社は自動車メーカーとの提携だけでなく、「スマホの次」の成長市場として車載部品に触手を伸ばしている。

部品再編の機は熟した

 外資系部品メーカーは異業種の“取り込み”に必死だ。仏ヴァレオは2016年11月、AI(人工知能)ベンチャーである米クラウドメイドの株式の50%を取得したと発表。同社の持つビッグデータ解析技術やAIを使って、それぞれの運転者に適した運転支援機能を提供する。

 世界最大手のボッシュや、買収巧者と言われる独コンチネンタルも、積極的なM&Aを続けている。

 一方で、日系部品各社の動きは鈍い。

 欧米に比べて、自動車メーカーと部品メーカーがケイレツ関係にある日系では、そもそも提携の動きが進みにくいのは事実だ。とは言え、機は熟したと言っていいだろう。

 トヨタグループは2014年ごろから始めた事業再編に一定のめどが付いた。シートやブレーキ事業を統合。デンソーが富士通テンを子会社化し、自動運転などの先進技術開発を進める。

 デンソーは2016年10月に東芝とAIの共同開発に着手したほか、12月にはNECともAIで提携すると発表した。脱トヨタが一層進めば、今年はさらなる動きがあってもおかしくない。

 日産自動車は子会社のカルソニックカンセイの株式売却を決定。日産自動車は日経ビジネスの取材に対し「子会社でなくなることが、カルソニックカンセイの拡大の余地を生む」と話した。独立したカルソニックカンセイが独自の戦略で他社との提携を進めることは十分に考えられる。

 技術開発の側面だけでなく、三菱自動車が日産の傘下に入ったことによる部品メーカー同士の競争も激しくなる。

 自動車業界の産業構造そのものに変革を迫る技術革新の波。2017年は、部品メーカーを巻き込んだ再編に発展するかどうかが一つの焦点となる。


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記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/010500383/

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/611.html

[不安と不健康18] 増える緑内障、眼圧検査で異常なしなら大丈夫? 知ってビックリ! 健康診断のウソ・ホント 
増える緑内障、眼圧検査で異常なしなら大丈夫?

知ってビックリ! 健康診断のウソ・ホント

2017年1月10日(火)
田村 知子
会社勤めを続けている限り、避けては通れない職場の健康診断。自覚症状のない病気を見つけてくれるのは有難いが、仕事に追われるなかで再検査を受けるのはできれば避けたいのが人情。異常値を指摘されたとしても、どこまで生活を見直せばよいのか、今ひとつ釈然としない人も多いだろう。このコラムでは、各種検査への臨み方や結果の見方、検査後の対応など、誤解交じりで語られやすい職場健診についてわかりやすく解説する。

Q  40代以上になると緑内障になる人が増えると聞くが、職場の健康診断の眼圧検査では異常なし。これで心配は無用?

A  近年、眼圧が正常でも緑内障になる人が増えている。眼底検査も合わせて、慎重に判断すべき。
 私たちが目でモノを見るときには、眼球の一番手前にある角膜(黒目の部分)から光が入り、黒目を取り巻く虹彩(こうさい)の中心部にある瞳孔で光の調節を行い、水晶体、硝子体(しょうしたい)を通り、網膜に達して像を結ぶ。その情報が、眼球の奥の視神経から脳に伝えられると「見る」ことができる。

眼球の仕組み

眼球の手前にある角膜(黒目の部分)から光が入り、黒目を取り巻く虹彩(こうさい)の中心部にある瞳孔で光の調節を行い、水晶体、硝子体(しょうしたい)を通り、網膜に達して像を結ぶ。この仕組みにより、人は見えるようになる。[「別冊NHKきょうの健康 検査でわかること」(NHK出版)の「目の検査」(監修:戸張幾生)における図を基に編集部で作成]


 緑内障は、眼球の奥にある視神経に障害が起きて、視野が欠けていく病気だ。表参道内科眼科名誉院長の戸張幾生氏は「40歳以上の日本人の20人に1人は緑内障といわれ、その数は年々増加しています」と指摘する。緑内障は放置すれば失明する恐れもあるため、早期に発見し、それ以上進行しないように治療する必要がある。

 職場の健康診断では「視力検査」が行われているが、これは主に視力低下をチェックするもの。緑内障の診断に必要な「眼圧検査」や「眼底検査」は任意扱いなので、実施していない企業もある。「眼底検査は多くの企業で行われていますが、職場健診では、瞳孔を広げる散瞳薬(さんどうやく)を使わずに眼底を撮影する『無散瞳カメラ』での検査が一般的です。この方法では調べられる範囲に限度があり、緑内障の可能性を指摘されることはありますが、診断には眼科での詳しい眼底検査や眼圧検査、視野検査などの精密検査を受ける必要があります」(戸張氏)。

眼圧が正常でも緑内障の可能性が


職場健診の眼圧検査で「異常なし」の判定を受けたとしても、緑内障を発症していることがある。(©Robert Przybysz-123RF)
 職場健診で眼圧検査が行われていて、「異常なしの判定を受けたとしても、緑内障を発症していることもある」と、戸張氏は注意を促す。

 「眼球の内圧を測定する眼圧検査では一般的に、10〜20mmHgが正常眼圧、21mmHg以上あると高眼圧とされ、緑内障の可能性があるとされています。ところが、日本人の場合、正常範囲で平均的な14〜15mmHg程度の眼圧でも、緑内障になる人が多くいます。これは『正常眼圧緑内障』と呼ばれるもので、近年、特に増加が目立っています」(戸張氏)

 眼圧が正常なら、眼球に均等に圧力がかかる。しかし、眼圧が高くなると、視神経乳頭部(視神経が束になって脳につながる部分)という圧力に弱い部分が圧迫されて、視神経が傷つき、障害を起こす。正常眼圧緑内障では、眼圧が正常範囲でも、この視神経乳頭部がへこんだ状態になる「視神経乳頭陥凹(ししんけいにゅうとうかんおう)」が見られることが多い。そのため、視力検査や眼圧検査に異常がなくても、眼底検査でこの初見があれば、眼科で精密検査を受けることが望ましい。

 「正常眼圧緑内障を発症する原因はまだ解明されていません。ただ、なりやすい要因は分かってきているので、当てはまる人は特に、40歳を過ぎたら眼科で定期的に検査を受けることをお勧めします」(戸張氏)

 正常眼圧緑内障になりやすい要素は、次の通り。

・親や兄弟など、家系に緑内障の人がいる
・近視が強い
・痩せていて、冷え症がある

 また、視野が狭くなったり一部が欠けたりする視野欠損のほか、「激しい目の痛みや頭痛、吐き気がある」「電灯など光の周りに虹のようなものが見える」といった症状があるときは、急性の緑内障のこともある。その場合はすぐに眼科を受診してほしい。

 緑内障の初期には自覚症状がほとんどなく、長い時間をかけてゆっくりと進行していくことが多い。戸張氏によれば「視神経に障害が起きてから、視野欠損に気づくまでには、5〜10年程度かかることもあります」という。

 視野の欠損は、片目で見たとき、視野の中心よりもやや上の一部分から始まることが多いものの、両目で見ていると気づきにくい。特に、正常眼圧緑内障では、片目だけに緑内障が起こることもあり、正常なほうの目が視野の欠損をカバーするため、さらに気づきにくくなる。

 「緑内障で傷ついた視神経は、治療をしても元の状態には戻せません。ですから、できるだけ早く治療を始めて、それ以上の進行を抑えることが重要です」(戸張氏)

 職場健診の視力検査だけでは、緑内障を見極めるのは難しい。中高年になれば、老眼など加齢による変化も起きてくる。そうしたチェックや目の病気の有無を調べるためにも、40歳を過ぎたら、定期的に眼科専門医を受診しよう。

戸張幾生(とばり いくお)さん
表参道内科眼科名誉院長、東邦大学医学部名誉教授
戸張幾生(とばり いくお)さん 1935年生まれ。64年東邦大学医学部卒業。東京大学医学部眼科、東京厚生年金病院、東京都老人医療センター眼科医長を経て、83年に東邦大学医学部教授に就任。2003年より同名誉教授、表参道内科眼科院長。現在は同クリニック名誉院長。日本眼科学会認定眼科医。専門は網膜眼底疾患に対するレーザー光凝固治療、白内障手術。主な著書、監修書に『治し方がよくわかる 疲れ目・目の痛み』(幻冬舎)、『名医の図解 よくわかる緑内障・白内障と目の病気』(主婦と生活社)などがある。

このコラムについて

知ってビックリ! 健康診断のウソ・ホント
会社勤めを続けている限り、避けては通れない職場の健康診断。自覚症状のない病気を見つけてくれるのは有難いが、仕事に追われるなかで再検査を受けるのはできれば避けたいのが人情。異常値を指摘されたとしても、どこまで生活を見直せばよいのか、今ひとつ釈然としない人も多いだろう。このコラムでは、各種検査への臨み方や結果の見方、検査後の対応など、誤解交じりで語られやすい職場健診についてわかりやすく解説する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/skillup/16/090200008/010600009
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/290.html

[原発・フッ素47] 米NY州の原発、安価な天然ガスに敗れ閉鎖へ 閉鎖が決まったインディアンポイント原発はニューヨーク市とその郊外への主要電力
米NY州の原発、安価な天然ガスに敗れ閉鎖へ
閉鎖が決まったインディアンポイント原発はニューヨーク市とその郊外への主要電力供給源だった  
By RUSSELL GOLD AND CASSANDRA SWEET
2017 年 1 月 10 日 10:25 JST

 米国では電力会社が原子力発電所の閉鎖を相次いで決定している。天然ガスなど安価な電力源との競争に直面しているほか、原発反対派から政治的な圧力を受けているためだ。

 今回新たに閉鎖が決まったのは、ニューヨーク市マンハッタンの約60キロメートル北方にあるインディアンポイント原発で、ニューヨーク市とその郊外への主要電力供給源だ。原発を所有する電力会社エンタージーは9日、ニューヨーク州との合意の一環として同原発を数年後に閉鎖すると発表した。同州のクオモ知事は長い間、同原発が安全の脅威になると批判していた。

 インディアンポイント原発が閉鎖されることで、今後2025年までに閉鎖される原発は合計4カ所になる。それには、電力大手PG&E社のディアブロキャニオン原発(カリフォルニア州)やエンタージー傘下のパリセーズ原発(ミシガン州)がある。そのほか、過去4年間で、ドミニオン・リソーシズ社のキウァニー原発(ウィスコンシン州)など4カ所の原発が既に閉鎖された。

 こうした原発閉鎖に伴い、米国に残る原発の数は2020年代半ばまでに61カ所(新たな原子炉を建設中の2つの原発施設を含む)になる見通しだ。これまで少数の原発が閉鎖されたのは、安全性の懸念があるか、あるいは原子炉修復に多大なコストがかかるためだった。今回の閉鎖で目新しいのは、操業ライセンスを受けて稼働中だが、市場競争に直面してもはや利益を上げられないため閉鎖される原発が出てきたことだ。

近年、電力料金の低迷により米国の原発の閉鎖が相次ぐ(赤:閉鎖済み、または閉鎖決定、緑:継続稼動が決定)
https://si.wsj.net/public/resources/images/BF-AN335_NUKE_16U_20170108190940.jpg

 どの地域の原発も、経済的な強敵に直面している。それはフラッキング(水圧破砕法)だ。これは膨大な量の天然ガスを採取できる技術(地下のシェール=頁岩=層に超高圧の水を注入して亀裂を生じさせ、天然ガスを大量に採取する)で、採取された天然ガスを燃焼して得られる電力を大幅に割安にし、全米各地で電力料金を押し下げている。

 エンタージーも9日、インディアンポイント原発閉鎖の主因として、天然ガスからの競争激化を挙げ、同原発の残存原子炉の閉鎖に関連して24億ドルの減損費用(税引き前)を計上することを明らかにした。

 エンタージーの電力卸売部門であるエンタージー・ホールセール・コモディティーズ社のビル・モール社長は、「天然ガスの記録的な低価格は、米北東部のマーセラス・シェール層からの供給増が主因だ」とし、「電力価格は過去10年間で約45%、つまりメガワット時当たり約36ドル下がり、過去最低になった」と述べた。この結果、インディアンポイントなどの原発にとって約1億6000万ドルの年間収入減になったという。

 モール社長は、インディアンポイント原発閉鎖の決定にもかかわらず、米国が原発をあまりに多く失えば、天然ガスに過度に依存することになりかねないと述べた。同社長は「天然ガスは、ある時点になれば価格が変動(急上昇)するだろう」と語った。

 連邦エネルギー統計によれば、過去12カ月間に米国の電力供給に占める原発の割合は20%で、首位の天然ガスの35%、2位の石炭の30%に次ぐ主要電力源だ。残りは水力が7%、風力が6%、太陽発電が1%だった。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiVrbLs8rbRAhVCVLwKHaPKB84QqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582549941048799550&usg=AFQjCNHYqHTkrOILfC4kxn8Hg0G0sCCteg
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/275.html

[環境・自然・天文板6] 顔を見分ける能力、脳の部位の大きさが関係か 自閉症などの理解にも役立つ可能性 
顔を見分ける能力、脳の部位の大きさが関係か 自閉症などの理解にも役立つ可能性
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研究では、見覚えのある顔を被験者に選ばせる方法で記憶力を検査し、紡錘状回の活動量や組織量と記憶力との間に相関関係があるかどうかが検証されたPhoto: Jesse Gomez and Kalanit Grill-Spector/Vision and Perception Neuroscience Lab
By DANIELA HERNANDEZ
2017 年 1 月 10 日 13:18 JST

 人は年を重ねるに連れて社会的な交流の幅が広がる。同時に、顔を見分ける能力の重要性は増す。人の顔を見分ける機能をつかさどる脳の部位は子供の成長に伴って大きくなり、それが認知能力の向上につながっている可能性があることが新たな研究で分かった。

 今回の発見により、通常の脳の発達だけでなく、失読症や統合失調症、自閉症、顔が覚えられない相貌失認といった症状の理解にも役立つと神経科学者は指摘する。

 神経科学者によると、人間の脳構造の変化が学習をどう促すのか、あるいは学習により脳構造がどう変化するのかという因果関係はまだよく解明されていない。

 この研究を率いた米スタンフォード大学の神経科学者、カラニト・グリル・スペクター氏は「顔の認識能力を高める何らかのメカニズムがあってしかるべきだ」とし、「幼少期の(脳に)何が起こっているのかという点で、分からないことが本当に多い。私たちは今ゆっくりとその空白を埋めようとしているところだ」と話す。

 研究では5歳から12歳までの子供22人と、20代の25人を対象に、顔の認識に重要な側頭部の紡錘状回と呼ばれる部位の構造と機能が調べられた。研究結果は6日付の米学術誌「サイエンス」に掲載されている。

グリル・スペクター氏の研究チームは脳の画像化技術を使って部位を特定し、その活動を測定した

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RM756_FACES0_M_20170105132608.jpg


 グリル・スペクター氏の研究チームは脳の画像化技術を使って部位を特定し、その活動を測定した。また、特定部位の組織量を推定する量的MRI(磁気共鳴装置)と呼ばれる比較的新しい技術を使い、紡錘状回の「肉付き」状況を測った。

 さらに、見覚えのある顔を被験者に選ばせる方法で記憶力を検査し、紡錘状回の活動量や組織量と記憶力との間に相関関係があるかどうかを検証した。

 その結果、紡錘状回の組織量が多いほど、人の顔を思い出す能力が高いことが分かった。研究によると、大人は子供より約13%、この部位の組織量が多かった。

 この研究には関わっていない南カリフォルニア大学の神経科学者、ポール・トムソン氏は「発達途上にある脳の機能を示す地図が作られ始めているのだろう」とし、「科学者がこれを完成させるまでに多くの年月を要するだろうが、(今回の研究が)良い道しるべになる」と話した。

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http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/450.html

[国際17] 露ハッキング報告書、トランプ氏の世界観に打撃 対中国戦略としての対ロ関係改善は困難に 
露ハッキング報告書、トランプ氏の世界観に打撃 対中国戦略としての対ロ関係改善は困難に
ロシアとは親密な関係を築き、それによって中国に対抗する戦略的立場を強めるというのがトランプ氏(写真)の構想(2016年12月21日、フロリダ州)
By GERALD F. SEIB
2017 年 1 月 10 日 11:14 JST

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJワシントン支局長

***

 昨年の米大統領選にロシアが干渉したとする米情報機関の報告書は、単にロシア政府の非道な行為を描写しているだけではない。ドナルド・トランプ次期大統領がホワイトハウスに持ち込もうとしていた戦略的世界観に打撃を与えることにもなった。

 世界はいま、三極体制の様相を強めていることが次第に明らかになりつつある。依然として最も重要な大国である米国、台頭する中国、そして国際的な地位を取り戻そうと再び自己主張を強めているロシアの三極体制だ。

 不可解なトランプ氏を読み解くことは困難だ。同氏は三極体制の世界で米国の繁栄を目指すため、ロシアと親密な関係を築き、それによって中国に対抗する戦略的立場を強める構想を描いているように見える。

 もしそうだとしたら、この戦略方程式は今回の報告書によって深刻な打撃を受けたことになる。中央情報局(CIA)と連邦捜査局(FBI)、国家安全保障局(NSA)の一致した見解が記されているこの報告書は、ロシアによる米大統領選への組織的な関与があったことだけでなく、米国の民主主義の考えそのものを弱体化させようとする大きな狙いがあったと明示している。

次の標的はトランプ政権

 あまり注目されなかったが、報告書の締めくくりにはロシアのウラジーミル・プーチン大統領の意図についてこう記されていた。「過去の行為や現況から判断すれば、ロシアの情報機関は米国に対抗するための手段をプーチン(大統領)に提供する能力を開発し続けるとわれわれはみている。米大統領選の直後に、ロシアの情報機関は米国の国家公務員を標的に『スピアフィッシング』(サイバー攻撃の一種)を仕掛け始めたとみている」。報告書は、こうした攻撃は、次期政権の目標や計画に関する機密情報収集をもくろむ国に材料を提供することになりかねないと述べている。

 換言すれば、米国の情報当局は次期大統領に対し、次の標的はあなたのチームであるという警告を発したのだ。

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 これに対し、共和党の重鎮であるジョン・マケイン、リンゼー・グラム両上院議員は先週末、新たな対ロシア制裁を発動させるための法案通過を後押しすると表明した。

 こうした状況を踏まえると、米国がロシアと連携すると同時に貿易や安全保障面で中国に挑戦するという世界秩序の構想を、トランプ氏が追い求めるのは政治的にかなり困難である。

 米国の戦略ハンドブックでは、中国とロシアが対立するように仕向けるというのが長年の定石だった。この二大共産主義国は互いに嫌悪し合い、片方が米国に近づきすぎることで勢力バランスが誤った方向に傾くことを懸念していた。ヘンリー・キッシンジャー元国務長官がかつて言ったように、そうした情勢での米国の目標は、ロシアと中国の双方に対して中ロ間の距離よりも近い関係を維持することだった。

 先週発表された情報当局による驚くべき報告の前でさえ、中国に対抗するためにロシアにてこ入れする戦略が現下の情勢で奏功するのかは不透明だった。「かつては三角外交に多くのうまみがあった。ソ連と中国は互いに最悪の敵同士だったからだ」。そう話すのは旧ソ連担当の国務省特使を務めたスティーブン・セスタノビッチ氏だ。「今は状況が全く違う。今はプーチン(大統領)に取り入ることで、ロシアと中国が敵同士になることはない」

 実際、プーチン大統領による昨年6月の中国訪問は友好的で成功したように見えた。大統領と中国の習近平国家主席はエネルギーや通商を含む二国間協力の一連の取り決めに署名した。ここには冷戦下とは異なる両国間の力学が反映されている。

中露を抑える最善の方法

 トランプ氏が大統領に就任すれば、中国の貿易や南シナ海での軍事活動に対してより直接的な挑戦に出る意向であるのは明白だ。しかし、その代わりに対ロシア関係の改善を追求する自由が、ここ数週間で減ってしまった。端的に言えば、トランプ氏が好むと好まざるとにかかわらず、対中と対ロの両方で緊張が生じることになる。

 セスタノビッチ氏によると、この戦略上の現実に対処する最適な方法は、欧州やアジアの同盟諸国との強い結びつきを利用してロシアや中国の不作法を抑えることだ。

 さらに言えば、中国に対して米国が持っている最も有効なてこはロシアではなく、中国自身の自己利益だ。アシュトン・カーター国防長官は先週、「中国の戦略的思考には、ある傾向がある」と指摘した。

 カーター氏によれば、中国は貿易・安全保障両面で米国への挑戦を狙っているが、同時に「中国国民と政治的安定に必要な繁栄の実現のためには、いま戦うことはできないうえ、現在うまくいっているシステムを台無しにすることもできないことを(中国政府は)認識している」。

 中国への懸念はアジア全域に広がっている。この懸念が米国の保護下に入るよう地域の関係各国を駆り立てているとカーター氏は話す。中国への対抗手段として最適な方法は、単純にこれらの同盟諸国を取り込むことかもしれない。

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http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/209.html

[経世済民117] トランプ政権誕生で懸念される通貨戦争 金利視界不良 トランプ時代の投資 FA復権 SP500債券と比べ10年以降最も割高
トランプ政権誕生で懸念される通貨戦争

米中関係は世界経済の主なリスク要因

トランプ次期米大統領は中国を「為替操作国」に指定すると脅しているが、そうした対立は通貨戦争に発展する危険も

By RANDALL W. FORSYTH
2017 年 1 月 10 日 14:31 JST
? いかなる代償を払っても避けるべき通貨戦争

 切りのいい数字には合理的に説明できない重要性がある。数学において円周率3.14159(小数点第6位以下四捨五入)以上に重要な数値はないが、人間は2万のような大きな数字に固執する。ダウ工業株30種平均(NYダウ)は1月6日、その数字にあと1ドルまで迫ったが、2万ドルの大台超えはお預けとなった。

 中国人は特定の数字に特に夢中になると言われており、8を幸運の数字と考えている。北京オリンピックが2008年8月8日に始まったのは偶然ではない。高級住宅の売却希望価格が188万8888ドルになっていることが多いのも、中国人バイヤーの目を引くためかもしれない。

 中国の数霊術における7の重要性に関して、筆者には何の知識もないが、通貨市場における1ドル=7元という為替レートはNYダウの2万ドルと同様に不可避な節目となってきた。とはいえ、為替レートがその水準にいつ到達するのか、もしくは本当に到達し得るのかよりも重要なのは、どのようにして到達するのかである。

 中国の通貨当局は先週、1ドル=7元への下落を見込んだ投機筋による空売りを阻止するため、昔ながらのショートスクイーズ(空売りポジションが損切り注文によって買い戻され、外為相場が上昇すること)を発生させることで人民元の下落に急な歯止めをかけた。これにより、オフショア人民元の香港銀行間取引金利(HIBOR)の翌日物は6日に前日の38.3%から61.3%に上昇したとウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。人民元の価値は2日間で通貨としては大幅となる2%以上の上昇を記録し、6日の為替レートは1ドル=6.8668元となった。

 今回の一件は、正式な発足が間近のトランプ新政権との対峙(たいじ)を控えた米中二大経済大国が、難問に直面していることを浮き彫りにした。メキシコで自動車を生産しているゼネラル・モーターズ(GM)やトヨタ自動車(7203)をトランプ氏がツイッターへの投稿で批判するなど、政権移行チームは既に国政に干渉している。一方でそうした風向きを読んだフォード・モーター(F)は、メキシコに16億ドルの工場を建設する計画を中止した。

 トランプ氏はツイートでフォードの英断を称賛し、「これは始まりにすぎない」と述べた。これを受けてメキシコのペソも下落。メキシコの中央銀行は珍しく通貨市場に直接介入し、過去最安値となっていたペソを支えるためにドル売り・ペソ買いを行った。

 トランプ次期大統領は輸入品に国境税(関税)を課すという主張を展開してきたが、通貨は貿易の中心にあり、貿易の流れに影響を与えるための最も手っ取り早い手段でもある。これに関してトランプ氏は貿易を有利にするために人民元を引き下げてきたという理由で中国を政権発足初日に「為替操作国」に指定すると脅してきた。

 米中両国が貿易上の有利な立場を得ようとしていることを踏まえると、そうした対立が通貨戦争に発展し、最終的に世界の貿易や金融市場を混乱させる危険性がある。他のあらゆる戦争と同様、通貨戦争はいかなる代償を払ってでも回避すべきである。しかし、過去1年間の出来事を思うと、それが絶対に起きないとは言い切れない。

? 現在の大きなリスクは世界的なサプライチェーンの混乱

 実際のところ、人民元は中国当局が採用している通貨バスケットに対して比較的安定してきた。中国政府は年末年始の休日期間中、それまでの13種類に11種類を追加するという通貨バスケットの見直しを発表した。これによりドルの構成比率は4%ポイント下がって22.4%となった。新たに追加された韓国ウォンの比率は10.8%となった。

 投資情報会社ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの創業者でチーフエコノミストのカール・ワインバーグ氏は、通貨バスケット見直しの結果、中国の貿易加重為替レートの安定が維持されるためには、人民元の対ドル価値の低下が加速する必要性が生じたと述べた。中国政府は国際取引における人民元利用の増加と「それによって上海が次の世紀に世界の金融の中心地となる」ことを目指している。基軸通貨の地位をドルが奪われることは「米国にとって明らかに悪いニュース」であり、「トランプ政権による貿易上の冒険主義に反対する」ための新たな動機を提供している。

 バンクオブアメリカ・メリルリンチのグローバルエコノミスト、イーサン・ハリス氏によると、米国とアジア、特に米国と中国の関係は世界の経済成長の主なリスク要因になってきたという。「市場関係者や投資家にとっての差し迫った疑問は、中国が新たに強化された経済力、外交力、軍事力をどのように行使してくるのか、米国はそれにどう応じるのか、である」と同氏は指摘する。

 そうした意味でアジアは世界経済の最大のショック要因として中東に取って代わったとハリス氏は主張する。1973年、1979年、1990年、2008年の原油価格ショックは全て、その後の米国と世界の景気後退の要因となった。現在の大きなリスクは、近年つながってきた世界的なサプライチェーンが混乱に陥ることである。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj2t4u2-LbRAhWKe7wKHVglBWYQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582550251577812724&usg=AFQjCNEacp2-eGYCqlDmcgChL2rvRgDkIQ


 

米金利の視界不良、どこに投資すべきか

米連邦制度準備理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長 PHOTO: GETTY IMAGES
By
AMEY STONE
2017 年 1 月 10 日 14:22 JST
• 米雇用統計が示唆するもの
 12月の米雇用統計では非農業部門就業者数の伸びが鈍化し、失業率は上昇した。これを景気鈍化の兆候と解釈するなら、大きな間違いだ。
 発表されている指標の多くは、景気上昇サイクルが終盤に入ったことを示している。雇用の伸びは健全だが、ペースは鈍ってきている。失業率はわずか4.7%と、少なくとも労働力人口に基づけば、完全雇用に近い状態にある(労働参加率は62.7%で、依然として低水準)。最も重要な点として、賃金は上昇している。12月の平均時給は前年同月比2.9%増で、2009年半ば以来となる高い上昇率を記録した。
 雇用統計が示唆するところによると、インフレ率は連邦準備制度理事会(FRB)が目標とする2%に達する公算が大きく、追加利上げの下地は整った。FRBは昨年12月に利上げを行うと同時に、2017年に3回の追加利上げを実施する可能性をほのめかした。利上げへの積極姿勢を見せたことで、金利は急上昇し、債券価格は下落。ベンチマークの10年物米国債利回りは12月半ばに2.62%まで上がった。
 だが、金利はその後低下し、特にこの1週間で大きく下げた。10年物国債は利回り2.42%で先週の取引を終えている。
 FRBによる追加利上げの可能性が高まる一方で金利が低下しているのはなぜか。最大の理由は、次期政権の政策案は本当に実施されるのか、実施時期はいつか、という点が不明なことにある。
 「われわれはまだ初期段階にある」とステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・アロン氏は指摘する。「景気刺激策は市場予想と比べて恐らく小規模になり、実施までに時間がかかるだろう」。また同氏は、保護主義的な貿易政策や移民受け入れ制限に伴う景気鈍化で、成長政策が妨げられる可能性があるとみている。
 同じく非常に不透明なのは、FRBの人事がどうなるかだ。トランプ次期大統領はオバマ政権下のFRBを、ハト派に傾き過ぎていたとして批判しているが、就任後は刺激策の資金調達が課題となり、タカ派のFRBを熱望するとは考えにくい。「トランプ氏が何を求めているのか不明だ」と、PAAMCOのシニア債券ストラテジストであるプトリ・パスクアリー氏は認める。
• 不透明下の推奨投資先
 FRBの理事ら自身も先行きを読めずにいることが、4日に公開された12月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で明らかになった。この議事要旨では「不透明」または「不透明感」という言葉が15回使われており、各5回だった9月と11月の議事要旨と比べて使用頻度は急増した。
 アロン氏は今年の金利上昇を予想しつつ、ドル高、そして移民や貿易の制限といった「摩擦」により、上昇幅や上昇ペースは成約されるとみている。「2回から3回の利上げが適正と思われる」と同氏は述べる。「FRBもそれ以上はなかなかできないだろう」。アロン氏は、10年物米国債の利回りが3%を超えるとは予想していない。
 スタンディッシュ・メロンのラマン・スリバスタバ最高投資責任者(CIO)補佐は、現時点で追加利上げの回数を2回とみている。同氏は利上げ制約要因としてドル高を挙げ、以下のように説明した。「FRBの利上げに伴う通貨の動きが、めぐりめぐって3回の利上げを難しくする。最終的には財政刺激がどうなるかだ」。
 通常の景気サイクルでは、財政刺激はずっと早い段階で実施されるものであり、景気拡大期に入ってから8年が経過し、FRBが既に利上げに動いている段階で行われるものではない。スリバスタバ氏も「普通ではない」と言う。
 不透明感がキーワードとなっている現状では、債券投資家は短期物に絞るのが望ましい。また、金利上昇時に値崩れしにくいインフレ指数連動国債(TIPS)あるいはバンクローンなどの変動利付債を検討すべきだろう。
 社債は株式と同様に高騰している。一方で、パスクアリー氏は利上げと減税期待によって不当に安くなっている地方債を推奨する。「妙味のある投資先を探すなら地方債がいいかもしれない」と同氏はコメントしている。

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RO403_ONBY71_NS_20170110010427.gif

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjjyemr-LbRAhUCybwKHYqcBekQFggaMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582550203388380514&usg=AFQjCNH8QjYdaBXpF5Uzlw-Ge8GlIHKk6w&bvm=bv.143423383,d.dGc


 

アクティブファンド復権、バロンズが選ぶ7本
2017年はアクティブ運用のミューチュアルファンドを買うべきだ。バロンズは7本のミューチュアルファンドをリストアップした PHOTO: SCOTT POLLACK FOR BARRON’S
By
JACK HOUGH
2017 年 1 月 10 日 10:03 JST
• アクティブ運用復権の理由
 2017年は、金融業界で異端の行動を検討した方がよい。アクティブ運用のミューチュアルファンドを買うべきだ。別の言い方をすれば、アクティブ・シェアが高く、回転率が低いバリュー志向のマネジャーに注目すべきだ。理想的な候補ファンドは、2015年に失望を誘ったが、2016年のパフォーマンスは好調だった。本誌は7本のミューチュアルファンドをリストアップした。
 過去数年間で足並みをほぼそろえて動いてきた各銘柄の株価が、それぞれの道筋をたどり始めている。企業価値のファンダメンタルズ面の指標と株価の関係など、過去10年間は重要でなかったデータが、投資リターンに対する影響力を高めている。割安株と割高株の差は依然として極端に大きく、2016年のバリュー株投資へのシフトが単なる始まりだった可能性がある。
 アクティブ運用に対する反証は多く、説得力がある。大半のアクティブ運用ファンドがベンチマークをアウトパフォームできなかった一方、インデックスファンドには、単純さや低い手数料、税効果の高さなど、推奨すべき多くの理由がある。
 投資家はアクティブ運用ファンドから資金を引き揚げ、パッシブ運用ファンドに過去最高のペースで資金を投入してきた。しかし、戦術的な投資家にとって、逆張りの良いタイミングである可能性がある。インデックスファンドに大量に流入した資金が、インデックスファンドのパフォーマンスを実態以上によく見せかけてきた可能性があり、米国株式市場全体のバリュエーションが高水準となっている。グッドヘイブン・ファンド(GOODX)の共同マネジャーであるラリー・ピトカウスキー氏は、「バリュエーションが高いのに投資家が全開で注ぎ込んでいる。インデックスファンドを使うのは市場が割安な時の方が良い」と語る。
 これから先は、インデックス投資が期待外れになり、バリュー志向のマネジャーの努力が報いられる可能性がある。ところで、単に5年間の実績を見る以外にも有望なファンドを特定する良い手段があると、最近の証拠が示している。
• 長年のアンダーパフォーム
 スタンダード・アンド・プアーズ・インデックス・バーサス・アクティブ(SPIVA)スコアカードが公表されて15年になる。それは、ベンチマークをアウトパフォームできなかったアクティブファンドの割合を示しており、2015年には米国大型株ファンドの66%がS&P500指数に対してアンダーパフォームとなった(2014年の割合は86%)。2016年も期待できないほか、2000年以降で大半の米国大型株ファンドがS&P500指数をアウトパフォームした年は3回にすぎない。

金融危機以降のアクティブファンドとパッシブファンドの資金流出入額
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RO179_ONBY74_NS_20170109201206.jpg

 多くのアクティブ運用ファンドは、1年間の大幅なアンダーパフォームを回避するために、いわゆる隠れインデックスファンドへとシフトしてきており、インデックスファンドとの差がなくなっている。しかし、アクティブ運用ファンドの手数料の方が高いために、この戦略は明らかに間違いだ。ノートルダム大学のマーティン・クレマーズ教授の研究によれば、アクティブ・シェアの高いファンドの方が手数料を差し引いた後でアウトパフォームする傾向にある。
 アクティブ運用ファンドの苦戦は、マネジャーが手数料に見合うほど大胆でないことが原因の可能性がある。しかし、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が7月に公表したレポートによると、手数料を無視したとしても、アクティブ運用ファンドはアンダーパフォームする傾向にある。手数料が問題ではないとすると、リターンを押し下げる隠れた理由があるのか、あるいは銘柄選択が間違っている可能性がある。
 隠れた理由は確かに存在する。保有銘柄の売買手数料は、ファンドが公表する手数料に含まれていない。クレマーズ教授は11月発行のジャーナル・オブ・フィナンシャル・エコノミクスで、アクティブ・シェアおよび銘柄の保有期間と、パフォーマンスの研究を調査し、アクティブ・シェアが高く保有期間が長いファンドの方が手数料考慮後で年間2%ポイントもアウトパフォームする傾向にあると結論付けている。
 銘柄選択自体についていえば、効率的市場仮説の信奉者にとって、銘柄選択に失敗しているファンドは生き残れないはずである。しかし2000年以降のSPIVAの結果をみると、最初の8年間でアクティブ運用ファンドの55%がベンチマークをアンダーパフォームしており、次の8年間では65%がアンダーパフォームしている。銘柄選択の成績が悪化している理由は何だろうか。
• パッシブ運用にも限界が
 T.ロウ・プライス・エクイティ・インカム(PRFDX)のマネジャーであるジョン・リネハン氏は、「インデックスファンドに資金が流入しており、株価指数に含まれていない銘柄の保有はデメリットとなる」と語る。同氏は、パッシブ運用のポートフォリオのバリュエーションがアクティブ運用ファンドと比較して高くなり、資金流入が株価指数を押し上げられなくなれば、パッシブ運用ファンドにとって転換点になるとみている。過去には、ハイテクバブル崩壊や2007年の高値からの下落局面がその例で、平均的なアクティブ運用マネジャーでさえベンチマークをアウトパフォームしている。
 しかし、アクティブ運用マネジャーが運用手数料に見合ったプラス分を稼ぐために、市場が暴落する必要はない。単に、個々の銘柄のリターンのパターンが変化すれば良い。既に生じている可能性のある一つの変化は、待望されていたバリュー株の復権である。本誌は2016年3月にその復権を予想しており、それ以降、iシェアーズ・ラッセル1000バリュー(IWD)の18.1%のリターンを上げた。これに対して、iシェアーズ・ラッセル1000グロース(IWF)のリターンは10.9%だった。ハイテクバブル崩壊以降には、バリュー株が7年間のうち5年間でグロース株をアウトパフォームしている。
 ブランデス・インスティテュートのマネジャーであるボブ・シュミット氏は、世界の銘柄を株価/有形純資産倍率のランキングに従って10のグループに分類している。過去20年間の平均では、最下位グループの同倍率は、最上位グループの約40%だったが、昨年はその割合は15%へ低下しており、過去にその水準に近かったのはハイテクバブルの時期だけだった(25%)。同氏によると、「ハイテクバブルの際には、多くのアクティブ運用マネジャーがデル、ネットワーク機器大手のシスコシステムズ(CSCO)、AOLなどのパフォーマンスに追いつけなかった。最近の場合は、フェイスブック(FB)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、動画配信大手のネットフリックス(NFLX)に追いつけていない」と語る。
 バンクオブアメリカ・メリルリンチの株式ストラテジストであるジル・ホール氏は、アクティブ運用マネジャーにとって有利となりそうな別の理由を挙げる。銘柄間の相関性は低下しており、銘柄ごとの最高と最低のパフォーマンスの差は拡大している。
 野村ホールディングス傘下のインスティネットのストラテジストは先週のレポートで、パッシブ運用のピークに近く、アクティブ運用のルネサンスになると予想している。過去をみると、アクティブ運用はアンダーパフォームが続いた後、平均回帰によってアウトパフォームしている。最後にパフォーマンスが悪かったのは1970年代半ば、1990年前後、そして1990年代末のハイテクバブルの時期である。同ストラテジストによると、「金利上昇は経済成長を前提としており、経済成長が小型株にとって恩恵となり、小型株がアウトパフォームする時には市場の多様性が増す」という。
アクティブ運用ファンド全般がアウトパフォームすると予想すべきではない。ただマネジャーが優秀であれば、過小評価された銘柄の株価が再評価されるにつれて、ファンドがアウトパフォームするだろう。
• 本誌が選ぶ7本のファンド
 本誌はモーニングスターのデータを用いて、バリュー株が持ち直し始めた2016年に好調な成績を収めたファンドを選んだ。隠れインデックスファンドのアクティブ・シェアは、通常20〜60%の範囲にあり、本誌が選んだファンドのアクティブ・シェアはその上限にあるかまたは上回っている。
 アリアンツGI NFJディビデンド・バリュー(PNEAX)は、有配銘柄と割安な銘柄だけを保有している。最近組み込まれた銘柄には、ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSA)や通信大手のAT&T(T)が含まれている。ポートフォリオの配当利回りは約3%だ。
 DFA米国ラージ・キャップ・バリュー(DFLVX)のマネジャーは、株価と企業の資産価値の関係に基づいて、最も割安な銘柄をスクリーニングし、小型で将来性の高い銘柄を好む。このアプローチによって、アクティブ運用ファンドとしては費用と回転率を低く抑えている。過去15年間にわたって、S&P500指数を年間約2%ポイント、アウトパフォームしている。
 ダッジ・アンド・コックス・ストック(DODGX)では、金融、ハイテク、ヘルスケアの保有銘柄が全体の65%を占めている。この割合はS&P500指数よりも20%ポイント高い。保有上位銘柄は、アルファベット(GOOGL)、ヒューレット・パッカード(HPQ)、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)などだ。保有上位5銘柄のうち4銘柄は、金利上昇や次期大統領の下で規制緩和の恩恵を受ける見込みの金融機関だ。
 グッドヘイブン・ファンド(GOODX)は保有銘柄が集中しているためパフォーマンスの変動も激しい。2016年にはS&P500指数を8%ポイントアウトパフォームしたが、2015年は20%ポイント、アンダーパフォームした。最近追加された銘柄は、通信大手のベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)や事務用品小売り大手のステープルズ(SPLS)、さらにはアクティブ運用マネジャーでさえも回避している資産運用会社のフェデレーテッド・インベスターズ(FII)などだ。
 サウンド・ショア・インベスター(SSHFX)は、ウォール街から嫌われてはいるが、収益力を失っていない企業を探す逆張りファンドだ。保有銘柄のバリュエーションが、同ファンドが通常とみなす水準へ回復した段階で売却する。保有上位銘柄は、クレジットカード大手のキャピタル・ワン・ファイナンシャル(COF)やメディア大手のCBS(CBS)などだ。
 T.ロウ・プライス・エクイティ・インカムには、リネハン氏が新たにマネジャーとして加わり、ヘルスケアを追加で組み入れて現金を減らした一方で、良好な成長見通しを持つ有配銘柄を引き続き選好している。同氏は最近の本誌とのインタビューで、メディア・娯楽大手の21世紀フォックス(FOXA)について、ケーブルTV会社による提供チャンネル数の削減によって失うものはほとんどない、と語った。また、エクソンモービル(XOM)と比較して大幅に割安となっているフランスの石油大手トタル(TOT)の名前も挙げた。配当利回りは市場全体を若干上回る程度で、67%のアクティブ・シェアはそれほど高くない。
 バンガード米国バリュー(VUVLX)のアクティブ・シェアは7本の中で最も低い。マネジャーは、インデクスのポートフォリオから始めて、バリュエーション、モメンタムおよびその他の要因によってウエートを調整する。その結果、2015年のパフォーマンスは低迷したが、2016年にはS&P500指数を4%ポイント超アウトパフォームした。
• アクティブ運用ファンドの保有状況を活用
 アクティブ運用ファンドからパッシブ運用ファンドへの資金移動の副産物として、アクティブ運用ファンドがオーバーウエートとしている銘柄が売られ、アンダーウエートとしている銘柄がインデックスファンドによって買われることになる。
 バンクオブアメリカ・メリルリンチはこの動きを捉えて、アクティブ運用の保有銘柄を毎月レポートしている。同社によると、アクティブ運用ファンドの選好銘柄は過去数年間で、回避している銘柄を年率12%ポイント、アンダーパフォームしている。1月3日に公表されたレポートによると、アクティブ運用ファンドの保有上位は、顧客情報管理(CRM)ソフトウエア大手のセールスフォース・ドットコム(CRM)、ストレージ(外部記憶装置)関連製品大手のネットアップ(NTAP)、石油大手のアパッチ(APA)、オンライン旅行代理店大手のプライスライン・グループ(PCLN)、メディア大手のバイアコム(VIAB)である。一方で、不動産投資信託(REIT)のリアルティ・インカム(O)、電力会社のスキャナ電力(SCG)、エネルギー会社のワンオーケー(OKE)、投資銀行ジェフリーズ・グループの親会社であるリューカディア・ナショナル(LUK)、太陽光発電システム大手のファースト・ソーラー(FSLR)がアンダーウエートとなっている。
 クレディ・スイスも同様にアクティブ運用ファンドの保有銘柄をレポートしている。同社は保有株数を重視し、保有銘柄を時価総額などでランキングする。1月4日の最新のレポートによれば、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、アルファベットが選好されている。製薬大手のメルク(MRK)も幅広く保有されている。バイオ製薬大手のギリアド・サイエンシズ(GILD)やドラッグストアチェーン大手CVSヘルス(CVS)は保有株数が減っているがリストには残っている。バイオ医薬品大手のアムジェン(AMGN)が加わった一方で、ウォルト・ディズニー(DIS)がリストから外れている。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjP6426-LbRAhWMwbwKHbQUDXQQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582549712685985388&usg=AFQjCNHR-xqVH4duWpa-gLPJSrMzmx0wYQ

 

トランプ時代の投資、モーニングスターのアナリストに聞く
「債券ファンドの革新は良くない」と語るモーニングスターのアナリスト、ジョン・レケンターラー氏

By LESLIE P. NORTON
2017 年 1 月 10 日 14:15 JST
? 文学部出身でアナリストに

モーニングスターのアナリスト、ジョン・レケンターラー氏は文学部出身だが、先輩が創業間もないモーニングスターで初のファンドアナリストになっていたため、その後を追って1988年に入社した。同氏は、ファンドの格付けやスタイルボックスの開発に携わり、年金アドバイス事業の責任者も務めた。

本誌:レーガン大統領時代にこの世界に入ったわけだが、文学専攻から投資の専門家になった経緯は?

レケンターラー氏:私が入社した頃のモーニングスターは、経営学修士号(MBA)や証券アナリスト資格(CFA)を持っている人を雇っていなかった。給与が低かったのだ。私は1990年代にCFAやMBAを取得した。私のレケンターラー・レポート(Rekenthaler Report)は、モーニングスターで唯一著者の名前を冠したレポートだ。ファンドを追っているうちに、さまざまな考え方が身に付いた。数年前にモーニングスターの一兵卒としての仕事をやり終えたと感じた。今は、書く仕事がしたい。

Q:リサーチが大成功した例は?

A:1990年代の前半に、「責任者は誰だ?」という論評を書いた。その頃のファンドはポートフォリオマネジャーの名前を公開しなくてもよかった。9カ月後に証券取引委員会(SEC)がポートフォリオマネジャーの名前の開示を義務付けた。同じく1990年代に、インデックス投資は特定の分野のみに有効という考えに反論した。実際はコストが安いため、新興国市場などでも有効だった。債券ファンドの革新は良くないことだと思う。革新とはつまり、ファンドに仕掛けをして利回りを良く見せて投資家を呼び込むわけだが、リスクや費用が高くなる。

? ファンドのコストへの意識が高まっている

Q:昔より投資家が賢くなっている点は?

A:コストへの関心が高まっている。1990年代から2000年頃までは、経費率が0〜0.5%のファンドよりも1.5〜2.0%のファンドの方に多くの資金が流入していたが、今は変わった。昔は新しいファンドが好まれ、シナリオに投資していたものだが、最近は根拠となるデータをより重視するようになった。1980年代に、株式ファンドより運用資産の多い、設定後わずか18カ月の債券ファンドが複数あったが、これらのファンドは少々からくりがあり、国債を原資産としてオプションを売り、その代金を利回りが得られたかのようにして分配していた。

Q:逆に賢くなくなった点はあるか?

A:ロードと呼ばれる1回限りの販売手数料を取るクラスA受益証券(Aシェア)が過小評価されていると思う。ロードがなくて1%の顧問料を毎年払うファンドは、10年たてばロードより高くつく。ノーロードファンドは業界の改善だという声を聞くが、ファンドの運用費用には敏感だが、顧問料を考慮していない。

Q:アドバイザーといえば、ロボアドバイザーをどう思うか?

A:定量的で、透明で、コストが安く、若い投資家には明らかに訴求力がある。私の息子の友人は、人間のアドバイザーよりロボアドバイザーの方が好きだそうだ。アドバイザーたちは、手数料を払う余裕がないからだと悪口を言っているが。賢い金融機関は、人間とロボットの両方を組み合わせている。業界は革新ではなく、整理の時期にある。モーニングスターには100以上のファンドのカテゴリーがあるが、幾つかはなくなるだろう。ファンド会社の5%が流入資金の95%を受け入れている。

? ドッド・フランク法や労働省の受託者規制はどうなる

Q:ドッド・フランク法を施行し、ファイナンシャルアドバイザーに関する受託者規制を定めた法律を可決した政権に別れを告げ、これらを撤回しかねない政権が誕生しようとしているが、投資家はどうすべきか?

A:ドッド・フランク法の撤回は恐らくないだろう。労働省の受託者規制に関しては4月施行の予定だが、金融機関側が乗り気だ。従来の販売手数料ではなく、顧問料で関係を続ける方が、先ほど述べた例のように金融機関にとって魅力的だからだ。投資家にとって良いことかどうかは確信がない。

Q:労働省の受託者規制が施行された場合、販売手数料を取る販売はなくなるのか?

A:アドバイザーは、依然として販売手数料を取るファンドを勧めることはできる。ファンド業界の答えは、一律に販売手数料を2.5%、12b-1手数料を年間0.25%取るクラスT受益証券(Tシェア)だ。4年以上なら、毎年1%の顧問料を支払うよりも安い。

? 個人的には株式投資のみで債券は不要

Q:個人的な投資先は?

A:私は個別銘柄について3年に1回程度の入れ替えを行う。相場が下落していた3月に、エネルギー用パイプラインの上場投資信託(ETF)を買った。保有額が最大なのはバンガード・エクステンデッド・マーケット・インデックス(VEXMX)だ。バークシャー・ハサウェイのA株(BRK.A)も保有している。

Q:個人投資家のポートフォリオにアクティブ運用は役立つか?

A:個人の選択の問題だが、アクティブ運用は勉強が必要だ。インデックスに対する相対的リスクを考えるなら、インデックス投資の方に魅かれるだろう。

Q:好きなアクティブ運用マネジャーはいるか?

A:資産運用会社キャピタル・グループのアメリカン・ファンズは、10〜15年の期間でインデックスを上回っており、ボラティリティも低い。節税退職年金に好適だ。

Q:リサーチャーとして進化したか?

A:以前はもっとだまされやすかった。この業界にいると、疑い深くなる。分かったつもりは危険で、新しい視点で見直すようにしないといけない。ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?」を読んだが、常に謙虚に自分の過ちを見つめ直している。スペイン内戦の本を読むと、少なくとも現在はましだと楽観論の根拠になる。トランプ次期大統領もヒラリー・クリントン氏も、フランコ将軍より、はるかに、はるかに素晴らしい。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiVgL6L-LbRAhXDU7wKHQYnBV0QFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582550152550898324&usg=AFQjCNEhCpYzVnTC7BWDZlX0GoUCCU3KxA

S&P500、債券と比べ2010年以降で最も割高な水準に

2017 年 1 月 10 日 11:06 JST

 株式投資家は長年、株式の主な代替投資商品である債券のリターンがあまりにも低いことなどを理由に、割高な株式を保有していることを渋々ながらも正当化してきた。

 その傾向は、公益セクターや生活必需品セクターといった米株式市場の高利回りセクターのバリュエーションが過去最高に迫った昨年上半期に顕著に現れた。

 米大統領選後に株価は大幅に上昇したものの、ここ数カ月、この尺度で株式保有を正当化するのが難しくなっている。米連邦準備制度理事会(FRB)の株価バリュエーション指標(FEDモデル)によると、株価の急上昇と米国債価格の急落によってS&P500種指数は債券と比べ、2010年以降で最も割高な水準となっている。

 この指標は、10年物米国債利回りと株式益回り(PER《株価収益率》の逆数)を比較したもので、さらなるリスクを埋め合わせるには株式益回りが、安全資産とされる国債の利回りをどれくらい上回る必要があるか概算値を示す。

 ジョーンズ・トレーディング・インスティテューショナル・サービシズによると、過去12カ月の利益を基に計算したS&P500種構成銘柄の益回りは先週、4.7%となり、10年物国債利回り(2.42%)との差は約6年ぶりの低水準となった。

 FEDモデルで算出した株価バリュエーションは昨年、3年ぶりの高水準に達した。その数カ月後、10年物国債利回りは過去最低水準に低下し、S&P500は過去最高値を更新した。S&P500の12カ月PERが過去10年の平均値をはるかに上回っているにもかかわらずだ。

 だが、この計算方法ではバリュエーションが水増しされ、買いや売りのシグナルとしては信頼できないと批判する声もある。中央銀行が10年近くにわたり金利を抑えている中では、株式と債券がともに過大評価される恐れがある。

 ジョーンズ・トレーディングのチーフ投資ストラテジスト、マイク・オルーク氏は「株式と債券の両方が極めて割高な水準にあることを考えると、両者を比較することは危険だ」と指摘した。

 ただ、株式リスクプレミアムの低下は、17年に株式益回りが大幅に上昇して、さらなる株式保有リスクを相殺すると投資家が予想していることを示しているだけかもしれない。その読みが外れた場合、一段と厄介なことになりかねない。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiu3J669bbRAhXGpJQKHTEIDskQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582550003874965004&usg=AFQjCNGQlFly5cKDKlYkfyfJVPVWF63sxg

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/638.html

[経世済民117] 新興市場:株価と通貨が下落 新興市場回避ダメ ノーベル賞G、トランプノミクスはダメ 中国最大MMF流動性ショックに備え
新興市場:株価と通貨が下落
トルコと朝鮮半島の政治リスクを嫌気
Aline Oyamada、Sharon Wrobel
2017年1月10日 08:14 JST

トルコ・リラと韓国ウォン、世界の主要通貨の中で最大の下げ
原油安を受け、サウジの株価は下落


9日の新興市場では通貨と株式相場が下落。原油相場が下落する中、トルコと韓国の政治的リスクの高まりを嫌気し、新興市場資産への投資意欲が後退した。
  南北朝鮮の緊張の高まりとトルコでの憲法改正をめぐる動きを受け、MSCI新興市場通貨指数は低下。トルコ・リラは過去最安値を更新した。利上げ観測が高まる中、トレーダーらは同国中銀による通貨防衛の決意を試している。また、原油相場の下落に伴いエネルギー関連株が下げ、MSCI新興市場指数は昨年12月22日以来の大幅下落。
通貨
MSCI新興市場通貨指数は前週末比0.3%低下
トルコ・リラは1.8%安と年初からの下げを拡大
韓国ウォンは2カ月ぶり大幅安
ブラジル・レアルは上昇。ブラジル石油公社(ペトロブラス)は債券発行計画を明らかにした
株式
MSCI新興市場指数は0.3%低下。原油相場は約5週間ぶりの大幅下落となった
サウジアラビアの指標タダウル全株指数は2週間ぶり低水準
米州の主要株価指数の中でメキシコ株の下げが目立った。一方、ブラジルのボベスパ指数は上昇。鉄鉱石生産のヴァーレが高い

関連ニュース
備考:トルコ・リラが下げ拡大−チャート
備考:ペトロブラスが債券発行計画を発表
備考:ペトロブラス債の利回り低下−チャート
備考:ブラジル中銀、レアル高を受けて介入再開の可能性−分析
備考:韓国のソブリンリスク、4カ月ぶり大幅上昇
備考:JPモルガン:モザンビークは来週、ユーロ債でデフォルト(債務不履行)状態に陥る公算大
備考:新興市場上場投資信託(ETF)、2週連続で資金流入−ロシアがけん引
原題:Emerging-Market Currencies, Stocks Slump Amid Political Turmoil(抜粋)


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-09/OJJB1A6TTDSB01

 


 
ブラックロックのアクティブ運用、マイナス続く−クオンツ成果出ず
Sabrina Willmer
2017年1月10日 06:20 JST
アクティブ運用を統合したフィンクCEOには手痛い誤算か
米アクティブ運用事業は昨年に過去最大の資金引き揚げを経験

最近のファンド業界の多くの大物同様、ブラックロックのローレンス・フィンク最高経営責任者(CEO)は低迷する同社のアクティブ運用事業を立て直そうと機械に賭けている。

  問題はそれが状況を悪化させただけかもしれないという点だ。

  ブラックロックが主力とするヘッジファンド戦略は、パターンを見いだすため膨大なデータを分類するコンピューター・モデルを活用する。だが12月終盤に顧客に送付された月次の資料によると、年初から11月のリターンは5本のうち4本が過去最悪で、通年でマイナスとなる状況だった。より多くのクオンツファンドを掲載した別の投資家向けプレゼンテーションでも、ほぼ3分の2のファンドがアンダーパフォームだった。

ローレンス・フィンクCEO Photographer: Justin Chin/Bloomberg *** Local Caption *** Larry Fink

  ブラックロックが手がける運用資産の中で、クオンツファンドはほんの一部にすぎない。それでも収益向上と高い手数料の商品に顧客を引き込むことを狙い、昨年始めにアクティブ運用事業をグループに取り込んだフィンクCEOにとって、同事業のマイナスリターンは手痛い。同社は低コストの上場投資信託(ETF)が需要を集め、世界最大の資産運用会社の地位を維持しているものの、米国のアクティブファンド事業からの資金引き揚げ額は過去最大に上った。これが収入にも響いている。

  エドワード・ジョーンズのアナリスト、カイル・サンダース氏は「ブラックロックのアクティブ運用事業を救う鍵は、クオンツが握る」と指摘。「これがパフォーマンス改善と、他社商品との違いを際立たせる1つの道だが、残念ながらまだ実現できていない」と述べた。
  ブラックロック広報担当のエド・スウィーニー氏は「世界最大級で最も先進的なクオンツ分析プラットフォーム」を同社が有しており、クオンツチームは「アクティブ株式運用部門の将来において、重要な要素になるだろう」と語った。
原題:BlackRock Quants Sustain Record Losses in Setback to Fink Plan(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-09/OJIZRV6S973L01

 

日本株下げ足速める、円高と英リスク、トランプ会見前売り−金融安い
鷺池秀樹
2017年1月10日 08:05 JST 更新日時 2017年1月10日 13:15 JST
10日午後の東京株式相場は、先物主導で下げ足を速めた。英国の欧州連合(EU)離脱問題の動向、為替の円高推移が嫌気されているほか、11日のトランプ次期米大統領の会見を前に持ち高整理の売りが優勢。トランプラリーでの上げが目立った金融セクターを中心に幅広い業種が安い。
  東洋証券の浜田享征ストラテジストは、「午後の日本株安の最大の要因は円高。トランプ氏の会見を前にドルロングを手じまう動きが出たようで、日本株も為替市場の動きに追随している」との見方を示した。
  午前の日本株終了後に為替市場ではドル安・円高が進行、一時1ドル=115円20銭と9日の海外市場で付けた117円50銭台から円が強含んでいる。6日の日本株終値時点は115円93銭。3連休明けの日本株は下落して始まった後、前引けにかけては下げ渋っていたが、為替の動きと連動し、午後は再度下落基調。日経平均の下げ幅は一時190円を超えた。
東証内
東証内 Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  投資家心理が悪化した要因の1つは、英国のEU離脱をめぐる動向だ。メイ英首相は8日、欧州の単一市場へのアクセス断念も辞さない意向を示し、9日の為替市場ではポンドが下落した。同日の欧米株式は銀行株中心に下げ、ストックス欧州600指数は0.5%安、米S&P500種株価指数は0.4%安だった。
  一方、相場全般を下支えしているのが米国や中国など海外経済統計の堅調。米労働省が6日に発表した昨年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比15万6000人増となり、平均時給は前年同月比2.9%増と約7年半ぶりの伸び率となった。10日に発表された昨年12月の中国の生産者物価指数(PPI)は前年同月比5.5%上昇し、ここ5年余りで最も大きな伸びだった。
  午後1時11分現在のTOPIXは前週末比11.65ポイント(0.8%)安の1541.67。日経平均株価は166円98銭(0.9%)安の1万9287円35銭。東証1部33業種は保険や電気・ガス、食料品、その他金融、鉱業、建設、銀行などが下落。医薬品、空運のみ上昇。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-09/OJJB1G6K50YA01

世界株投資で先入観にとらわれるな−好成績狙うなら新興市場回避ダメ
Srinivasan Sivabalan
2017年1月10日 11:53 JST

• ドル換算で2016年トップはブラジル株、2位はカザフスタン
• 過去20年においてほぼ同様の傾向、例外は1998年

株式投資で毎年確実に世界の相場を上回る好成績を残したいと願うなら、新興市場を回避しては駄目だ。
  2016年に世界の投資家に最大級のリターンをもたらした株式指数トップ10は全て、新興ないしフロンティア市場の指数だったことが、ブルームバーグ集計のデータで分かった。これは偶然ではない。過去20年において、ほぼ同様の結果だったことが示されている。例外は1998年で、この年はロシアのデフォルト(債務不履行)やアジア通貨危機の影響で新興市場が荒れた。

サンパウロのショッピング街(ブラジル)

Photographer: Patricia Monteiro/Bloomberg
  ボラティリティ(変動性)や為替の乱高下が伴うため、新興市場はリターンに恵まれてもリスクが高いと考えられがちだが、そのような常識論をデータが覆している。
  以下に示す最初の表によれば、米ドル換算しても新興市場投資がトップを占めた。2番目の表では、ボラティリティのリスク調整ベースで新興・フロンティア市場の株投資リターンが先進国のそれを上回ったことが分かる。


https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iCEkrGohQuxs/v3/1200x-1.png
  「データが示しているのは、われわれの先入観はしばしば間違っているということだ」と語るのは、シャルルマーニュ・キャピタルで共同最高投資責任者を務めるジュリアン・マヨ氏(ロンドン在勤)だ。「新興市場は先進国市場よりもリスクが高く強靱(きょうじん)さに欠けると長らく考えられてきたが、このデータは必ずしもそうではないことを表している」と指摘する。
  新興市場の好調さが今年も続く兆候は強まっている。マヨ氏によれば、同市場は業績改善期待や先進国に対する経済成長率の開き拡大、企業側の統制のとれた設備投資の恩恵を受ける見通し。
原題:History Shows World’s Best Stock Gains Arise in Emerging Markets(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJJKCU6K50Y501 


 


 
トランプノミクスに早くも「ダメ出し」−ノーベル賞学者グループ
Rich Miller
2017年1月10日 13:25 JST
うまくいかないという「広範なコンセンサス」とスティグリッツ氏
コロンビア大フェルプス氏は深刻なリセッションのリスクを指摘

トランプ次期米大統領が掲げる経済政策「トランプノミクス」に対し、シカゴで6−8日に開かれた米経済学会(AEA)年次総会に出席したノーベル経済学賞受賞者らからは早くも「ダメ出し」の声が上がった。うち一人からは深刻なリセッション(景気後退)につながりかねないとの懸念も聞かれた。
  総会初日のパネル討論会では、トランプ氏の姿勢をめぐり同賞受賞の経済学者らがさまざまな心配を表明した。その内容は、アウトソースを計画する米企業へのトランプ氏の説教であったり、同氏の減税案や歳出計画が歯止めなき財政赤字拡大につながる恐れであったりといったものだ。
  「次期大統領が提案しているような政策はうまくいかない種類のものだという点で、広範なコンセンサスがある」。米コロンビア大学のジョゼフ・スティグリッツ教授は、同大の同僚エドモンド・フェルプス教授ら討論会参加者の見解としてこのように総括した。
スティグリッツ教授
スティグリッツ教授 Euro: How a Common Currency Threatens the Future of Europe. Photographer: Christopher Goodney/Bloomberg
  特定の企業を名指しでののしったり、称賛したりするトランプ氏に特に批判的だったのはフェルプス教授で、トランプ氏によるこうした介入の結果、新参者が市場参入を果たしてぜひとも必要とされる革新をもたらすのを思いとどまらせる可能性があると同教授は語った。
  フェルプス教授は、トランプ氏の大型減税案や歳出拡大計画にも懸念を表明。「そのような政策は公的債務の急増につながり、最終的には深刻な信頼喪失と深いリセッションを引き起こしかねない」との考えを示した。
信頼と信用損なう
  シカゴ大学のロジャー・マイヤーソン教授は、トランプ氏が通商協定の再交渉も辞さないとして、「米国第一」政策への転換を打ち出していることに関し、米国の赤字穴埋めに不可欠な米国債の購入を海外勢が続ける意欲を当然視することはできなくなると話した。
  スティグリッツ教授も、米国と他の国々との交流は「信頼と信用に基づくものでなければならない」とした上で、「それが損なわれつつある」と論じた。また、プリンストン大学のアンガス・ディートン教授は、トランプ政権下の米経済よりも特に中国をめぐる国際関係の方が心配だと述べた。
  一方、討論会参加者で唯一、トランプ氏を攻撃しなかったノーベル賞学者はエール大学のロバート・シラー教授だ。シラー教授は「私は生まれながらの楽観主義者で、事態がどこまで悪化するか臆測はしたくない」とコメントした。
原題:Trumponomics Gets The Thumbs Down From Nobel-Winning Economists(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJJPBD6KLVRC01


 

超長期債が下落、30年入札警戒で売り優勢−先物は株安・円高で上昇
三浦和美
2017年1月10日 08:08 JST 更新日時 2017年1月10日 16:10 JST

新発20年債利回り0.60%、新発30年債利回り0.75%まで上昇
フラットニングの持続性はあまりない−三井住友AM

債券市場では超長期債が下落。翌日に控えている30年利付国債入札の需要に対する不透明感から売り優勢の展開となった。
  10日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値と同水準の0.05%で取引を開始した。その後は1ベーシスポイント(bp)高い0.06%まで水準を切り上げた。
  新発20年物の159回債利回りは1bp高い0.60%、新発30年物53回債利回り1.5bp高い0.75%と、ともに2営業日ぶりの高水準を付けた。

  三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッドは、「先週はフラットニングしたため、割高感から明日の30年債入札をこなせるか不透明感がある」と指摘。加えて、「超長期ゾーンの利回りは12月に中途半端なところで止められた感があり、生保の買える水準までは到達していない」と言い、「損切りが必要なポジションの方がまだ多く、フラットニングの持続性としてはあまりない」とみる。
  長期国債先物市場で中心限月3月物は前週末比横ばいの150円16銭で開始。いったん150円11銭まで売られたものの、午後には150円23銭まで上昇した。結局は4銭高の150円20銭で引けた。
  この日の東京株式相場は続落。日経平均株価は0.8%安の1万9301円44銭で終了した。外国為替市場ではドル・円相場が一時1ドル=115円20銭と、2営業日ぶりの水準までドル安・円高が進んだ。
30年債入札
  財務省は11日、30年利付国債の価格競争入札を実施する。発行予定額は前回と同じ8000億円程度となる。53回債のリオープン発行で、表面利率は0.6%に据え置かれる見込み。
  東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、「来週に20年債、再来週には40年債と超長期債入札が続き、同ゾーンの需給を懸念する市場参加者は少なくないだろう」としている。  
日本銀行本店
日本銀行本店 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  日本銀行はこの日の金融調節で、今月3回目となる長期国債買い入れオペを実施した。残存期間「1年超3年以下」が4000億円、「3年超5年以下」が4200億円、「物価連動債」が250億円と、いずれも前回のオペと同額だった。一方、オペ結果の債券相場への影響は限定的となった。
日銀の長期国債買い入れオペの結果はこちらをご覧下さい。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-09/OJJB3G6K50Y301

 

米30年債で利益得たファンドがポジション解消−上昇相場終わると予想
Netty Ismail
2017年1月10日 16:32 JST 
イーストスプリングのフェレス氏、先月購入の米国債で利益確定売り
ビル・グロース氏も先週末に利回り低下トレンドの転換を予想

英プル−デンシャルのアジア資産運用部門は先月、30年物米国債の相場反発から利益を得たが、3週間に及んだ上昇相場は終わるとみて、利益を確定した。
  シンガポールにある同部門イーストスプリング・インベストメンツでマルチアセット投資に携わるニコラス・フェレス氏は、米30年債のポジションを6日と9日に解消。米雇用統計が利上げペース加速の根拠を示したことを受け、最低2.96%の利回り水準で売却した。同氏はこの米国債を連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げした先月に購入したが、当時の利回りは3.10%を上回っていた。
  フェレス氏は9日のインタビューで、「FOMCが後手に回っているか、現在想定されるよりもっと積極的に金融政策を引き締める必要に迫られるリスクがある」と語り、「利回りが上昇する可能性は高い」と予想した。イーストスプリングのウェブサイトによると、昨年6月末時点の運用資産は約1400億ドル(約16兆2000億円)。

  ジャナス・キャピタル・マネジメントのビル・グロース氏も、フェレス氏同様の見方を示している。グロース氏は6日、ブルームバーグテレビジョンおよびラジオに対し、米国債市場が転換点に差し掛かっており、30年続いた利回り低下トレンドは近く破られると述べた。
原題:Fund That Made Money on Treasuries Says Rally Is About to End(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJJYD36TTDTE01


 


13兆円超の中国最大MMF、流動性ショック増加に備える−運用の王氏
Bloomberg News
2017年1月10日 12:56 JST

• 天弘基金管理の「余額宝」を運用する王登峰氏がインタビューで発言
• 必要とされる水準よりずっと多くの現金を確保へ−王氏

中国は今年、より頻繁な流動性ショックに見舞われる。こう予想する本土最大のマネーマーケットファンド(MMF)の運用担当者は、顧客資金の引き出し増加リスクに備え現金を積み増す方針だ。
  天弘基金管理のMMF「余額宝」(運用資産8000億元=約13兆3000億円)の運用を担当する王登峰氏は北京での先週のインタビューで、「金融市場におけるリスクを抑制し、値下がりする人民元を支えようとする当局の取り組みは、すでに伸びきったロープを引っ張り過ぎる」ことになる可能性が高いと指摘した。
  王氏は「われわれにとって今年最大の課題は、流動性リスクを適切に管理することだ。大規模な償還要請が起きる場合に備え、その需要を満たすため潤沢な現金を保有している」と述べ、「高利回り資産に現金を配分するのではなく、必要とされる水準よりずっと多くの現金を確保するつもりだ」と説明した。
  余額宝はアリババ・グループ・ホールディング傘下のオンライン決済プラットフォーム「アリペイ(支付宝)」で販売されており、クレジットカード決済も可能。このため投資家の大半は個人で占められている。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/inmF13ceByPI/v2/-1x-1.png
原題:China’s Biggest Money Fund Bracing for More Liquidity Shocks (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJJO7R6JTSEL01

 

中国:12月の生産者物価、前年比5.5%上昇−約5年ぶり高い伸び
Bloomberg News
2017年1月10日 10:56 JST更新日時 2017年1月10日 12:24 JST

• 伸び率は市場予想の4.6%、11月の3.3%を共に上回る
• 12月の消費者物価指数は2.1%上昇、市場予想は2.2%上昇

昨年12月の中国の生産者物価指数(PPI)はここ5年余りで最も大きな伸びとなった。世界的なディスインフレの一因となっていた中国が、物価押し上げの新たな原動力となる可能性が示された。
  国家統計局が10日発表した12月のPPIは前年同月比5.5%上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値は4.6%上昇。11月は3.3%上昇だった。12月の消費者物価指数(CPI)は2.1%上昇。エコノミストの予想は2.2%上昇だった。 

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iaTvxAi3A66g/v2/-1x-1.png

  PPIがプラスに転じてからわずか4カ月だが、投入原価の上昇に圧迫された製造業者が売却希望価格を引き上げる中、中国はサプライチェーンを通じて世界各国にインフレを輸出する状況にある。そうした反転が持続可能かどうかは、トランプ次期米政権の下で世界経済がどのように動いていくか、また米中間の貿易摩擦が再燃するかどうかにかかっている。
  HSBCホールディングスのエコノミスト、王然氏(香港在勤)は「製造業部門のリフレーションが続いている」と指摘。「安定したCPIはリフレーションが主に工業セクターにとどまり、実体経済に浸透していないことを示唆している。このため中国人民銀行(中央銀行)はインフレが実体経済に波及するまで対応しない可能性がある」と述べた。
  12月の鉱業のPPIは前年同月比21.1%上昇。原材料のPPI上昇率は9.8%だった。食料のCPIは2.4%、非食料のCPIは2%それぞれ上昇した。
原題:China Factory Prices Rising Fastest in 5 Years Adds to Reflation(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJJJM96K50Y501


 
きょうの国内市況(1月10日):株式、債券、為替市場
Bloomberg News
2017年1月10日 16:16 JST 
国内市況の指標はここをクリックしてご覧下さい。過去の国内市況の記事はこちらです。
●日本株続落、英リスクと円高、トランプ氏会見を警戒−金融、資源安い
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京株式相場は続落。英国の欧州連合(EU)離脱問題の動向、為替の円高推移が警戒され、11日のトランプ次期米大統領の会見を前に持ち高整理の売りが広がった。トランプラリーで上げが目立った銀行や保険など金融株が売られ、原油市況の下落を受け、鉱業など資源株も安い。
  TOPIXの終値は前週末比11.01ポイント(0.7%)安の1542.31と続落、日経平均株価は152円89銭(0.8%)安の1万9301円44銭と3日続落した。
  ちばぎんアセットマネジメントの加藤浩史シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、トランプ氏の「保護主義的な強硬発言を警戒し、ポジションを閉じる動きが広がっている」と指摘、相場が期待先行で上げてきた分、はしごを外されるリスクもあり、円高基調の中で「ドル・円が1ドル=110円近くまで逆戻りすると、日本株の下げも大きくなるとの連想が働いた」と言う。
  東証1部33業種は保険や電気・ガス、鉱業、銀行、食料品、その他金融、陸運、石油・石炭製品など29業種が下落。医薬品、パルプ・紙、空運、その他製品の4業種は上昇。医薬品では、日経平均への新規採用が決まった大塚ホールディングスが大幅高となった。東証1部の売買高は18億9467万株、売買代金は2兆5993億円。上昇銘柄数は758、下落は1131。
  売買代金上位では、クオンツアナリストから日経平均の採用候補に挙げられていたが、選出から漏れたセイコーエプソンが急落。ファーストリテイリングや村田製作所、東京海上ホールディングス、第一生命ホールディングスも安い。これに対し、大塚HLDやソニーは買われ、シティグループ証券が投資判断を上げたロームも高い。
●超長期債が下落、30年入札警戒で売り優勢−先物は株安・円高で上昇
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
債券市場では超長期債が下落。翌日に控えている30年利付国債入札の需要に対する不透明感から売り優勢の展開となった。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値と同水準の0.05%で取引を開始した。その後は1ベーシスポイント(bp)高い0.06%まで水準を切り上げた。
  新発20年物の159回債利回りは1bp高い0.60%、新発30年物53回債利回り1.5bp高い0.75%と、ともに2営業日ぶりの高水準を付けた。
  三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッドは、「先週はフラットニングしたため、割高感から明日の30年債入札をこなせるか不透明感がある」と指摘。加えて、「超長期ゾーンの利回りは12月に中途半端なところで止められた感があり、生保の買える水準までは到達していない」と言い、「損切りが必要なポジションの方がまだ多く、フラットニングの持続性としてはあまりない」とみる。
  長期国債先物市場で中心限月3月物は前週末比横ばいの150円16銭で開始。いったん150円11銭まで売られたものの、午後には150円23銭まで上昇した。結局は4銭高の150円20銭で引けた。
  
●ドル・円が下落、トランプ会見警戒感で売り圧力強まる−115円台前半
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京外国為替市場ではドル・円相場が下落。11日にトランプ次期米大統領の記者会見を控えて、保護主義的な発言が警戒される中、ドル売り・円買いが進んだ。
  午後3時17分現在のドル・円は前日比0.5%安の1ドル=115円41銭。早朝に115円66銭まで下げた後、しばらくもみ合っていたが、午前11時すぎに116円21銭まで戻した後は一転してドル売りが優勢となり、一時115円20銭と先週末以来の水準まで値を下げた。
  ユーロ・ドル相場も一時1ユーロ=1.0627ドルと先月30日以来の水準までユーロ買い・ドル売りが進行。同時刻現在は0.4%高の1.0615ドルとなっている。
  大和証券投資戦略部の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、トランプ次期大統領は通商政策などが非常に不透明で、記者会見は「当然ながらリスク要因として意識はされるだろう」と指摘。実際に政権についた後にどこまで現実的な対応に戻るかまだ不透明で「今のところ予断をもってポジションを取るのはちょっと無謀」と話した。
  ブルームバーグのデータによると、ドルは主要16通貨の大半に対して下落しており、特に韓国ウォンに対する下げが目立っている。一方、円は大半の通貨に対して買い優勢となっており、メイ英首相の発言を受けて「ハードBrexit(強硬なEU離脱)」懸念が再燃したポンドに対しては昨年11月末以来の高値を更新している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJJSVH6JTSEC01

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/639.html

[国際17] アップルに対する批判が的を射ている理由   トランプの自動車企業たたきの裏 フューチャリストに学ぶ「予想外」への備え 

アップルに対する批判が的を射ている理由
最も差し迫った問題はAIの後れ

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RN494_airpod_IM_20170108131119.jpg

アップルの報道陣向けイベントで話をするティム・クックCEOとその背後に映し出された「AirPods(エアポッド)」(2016年9月)

By CHRISTOPHER MIMS
2017 年 1 月 10 日 14:31 JST

――筆者のクリストファー・ミムズはWSJハイテク担当コラムニスト

***

 アップルは創業当初からほぼ一貫して、方向性が間違っているという批判を受け続けてきた。

 1997年、そうした批判は的確だった。アップルはあと90日で倒産という事態にまで追い込まれ、スティーブ・ジョブズ氏が会社救済のために復帰した。そして今また、97年当時ほど最悪の事態ではないものの、そうした批判は正しいと言える状況になっている。

 中でも最も切迫した問題は、人工知能(AI)、特に音声を利用したインターフェースに関するビジョンの現実化に苦戦していることだ。AIはアップルにとって単に好奇心をかき立てられる技術というだけではない。アップルを「破壊する」可能性が最も高いテクノロジーでもある。ちょうどアップルがスマートフォン業界を破壊したようにだ。

 モバイル端末での各種操作は、AIを活用した音声アシスタントに取って代わられる可能性がある。スクリーンが完全になくなるというわけではないが、音声を聞いたり、返事をしたり、自律操作が可能な装置が付随しないスクリーンは急速に廃れていくことになるだろう。

  私たちは至る所でコンピューターに話しかけるようになるだろう。そうしたコンピューターが最も効果的に機能するためには、家やオフィス、車内など、あらゆる場所になければならない。アマゾン・ドット・コムの音声アシスタント「Alexa(アレクサ)」とそれを搭載したネット接続スピーカー「Echo(エコー)」は予想外のヒットとなった。アルファベット傘下のグーグルもアマゾンを追い上げている。米ラスベガスで先に開催された世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」では、両社のパートナーがそうしたコンピューター技術を活用した多くの機器を披露した。

アップルはデザインとビジョンの具現化で市場で圧倒的地位を確立してきた。写真はイベントで披露された新型「MacBook Pro(マックブック・プロ)」(10月) ENLARGE
アップルはデザインとビジョンの具現化で市場で圧倒的地位を確立してきた。写真はイベントで披露された新型「MacBook Pro(マックブック・プロ)」(10月) PHOTO: GETTY IMAGES
カギを握るSiri

 アップルも明らかに事態を認識している。報道によると、同社はアレクサのようなスマートホーム機器の開発に取り組んでいる。また、これまでアップルは先駆者になることよりも、優れたデザインとビジョンの具現化で市場を独占してきた。その一例が、携帯型のデジタル音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」だ。

 しかし、今はそのような端末やそれに匹敵する機能がないのは明らかだ。アップルは5年以上前に音声アシスタント「Siri(シリ)」を発表し、最初にスタートラインに立つ企業の1つなった。しかし、今や取り残されつつあるとみなされても仕方がない。

 この記事について、アップルからコメントは今のところ得られていない。

 アップルにとって解決策になりそうなテクノロジーはある。考えてみてほしい。自宅や職場の至る場所にマイクを設置するのと、1つのマイクを耳に装着するのと、どちらがいいだろうか。AI「サマンサ」に恋をする男性を描いた映画「her/世界でひとつの彼女」で具体的に想像してみよう。主役を演じるホアキン・フェニックスが、スマホとイヤホンに「乗り込んだ」サマンサを連れて街を歩き回り人生を共有する代わりに、終始自宅アパートに閉じこもり、AIに「閉じ込められた」サマンサに向かって指示を叫んでいるとしたら、どうだろうか。

 アップルのワイヤレスイヤホン「AirPods(エアポッド)」、軽くタップするだけでSiriにアクセスできる小さなコンピューターだ。だが問題はSiriの搭載の仕方がお粗末で、iPhoneを使った方が簡単なことだ。それでも、これは容易に解決できる可能性がある。

 もっと深刻ではるかに解決が難しい問題は、Siriがいまだにグーグルやマイクロソフト、アマゾンなどの競合のサービスに追いついていないことだ。

「一元型」経営の問題点

 これに対する安易な答えはこうだ。アップルには市場シェアもAIへのスムーズなアクセスを可能にするハードウエアもあるため、必要なのはSiriとSiriへの常時アクセスを可能にするiPhoneやエアポッド、時計型端末「Apple Watch(アップルウオッチ)」にもっと多くのリソースを投じることだけだ。

 しかし、この答えは、アップルは実質的に無尽蔵の資金があるにもかかわらず、自らの品質基準を満たしていないという批判を無視している。アップルに対しては以前から不満の声が挙がっている。パソコン「Mac(マック)」の軽視やさえないクラウドサービス、出荷遅延、製品のバグなどについてだ。アップルは2016年度の売上高と利益目標を達成できず、幹部の報酬をカットしてもいる。

 こうした問題の原因の1つは、「一元型」の経営構造にある。つまり、部門が製品ごとではなく、マーケティングやエンジニアなど業務ごとに分けられている点だ。アップルのソフトウエアエンジニアリング部門のトップは最終的にあらゆる製品のエンジニアリングの責任を負うことになる。これは、アップルが一元的なユーザー体験を作り出すのが得意なゆえんでもあるが、製品の数が多すぎると経営陣が各製品の現状を把握しきれなくなることも意味する。

 アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が繰り返し言っているのが、同氏の中核的信念の1つは人は2、3のことしかうまくできないということだ。AIをはじめあらゆる製品で後れをとっているというアップルの問題を、経営構造を刷新せずに解決するには、ジョブズ氏が復帰した1997年と同じ策を取るしかない。つまり、選択と集中だ。ジョブズ氏が肥大した端末ラインアップをわずか4種のコンピューターに絞り込んだのは有名な話だ。

 アップルの経営陣がすべきは、自らの会社を破壊することに全力を注ぐことだ。これはもっと大きなiPad(アイパッド)を発売するという意味ではない。常時接続可能な音声で起動するAI型のコンピューターインターフェースの中心をアップルの中核製品が占めるようにするには、どうすればいいかを追求することだ。

 全盛期にある巨大企業はどこもそうだが、アップルが次世代技術に偏執的と言えるほどに取り組んでいるかどうかは明確でない。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj1yMqx-LbRAhVKO7wKHbMkC_wQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582550151463474134&usg=AFQjCNFxe1tsVyNHWOrEhN2k_n1E402Niw


 
【オピニオン】
トランプ氏の自動車企業たたき、その裏を読む
両者の衝突は見た目ほど激しくなく、メーカーは燃費規制緩和で報われるだろう
フォードはトランプ氏に白旗を揚げたとき、いずれにせよ小型車の需要は低迷していると指摘した

By HOLMAN W. JENKINS, JR.
2017 年 1 月 10 日 06:56 JST

――筆者のホルマン・ジェンキンス・ジュニアはWSJ論説委員で「ビジネスワールド」欄担当コラムニスト

***

 1980年代が電話をかけてきて、貿易戦争を取り戻したいと言っている。

 ドナルド・トランプ次期大統領は米通商代表(USTR)にロバート・ライトハイザー氏を選んだ。ライトハイザー氏は通商弁護士で、ロナルド・レーガン大統領による自由貿易への攻撃を仕切った人物だ。レーガン氏の自由貿易政策を支持する人は大抵、この事実を覚えていない。

 鉄鋼や繊維、フォークリフトなどの輸入を制限するため外国政府に押し付けた「自主」規制協定(VRA)が考案されたのは、ライトハイザー氏の在任中だった。実際には「自主的」と言えるものではなかったVRAの第1弾は、日本車の輸入を厳しく制限するものだった。価格カルテルとよく似た役割を果たし、米国の自動車購入者は5年間で推定130億ドル(約1兆5000億円)も余分に支払う羽目になった。

 当時の政治も今の政治とよく似ていた。レーガン氏は1980年の大統領選でミシガン州の自動車工場労働者に、日本車の輸入を抑えるとはっきりと約束した。義務感からか、それとも「レーガン・デモクラット」(大統領選で共和党候補の同氏に投票した民主党員のこと)を引き留めたかったからだろうか、同氏は大統領に就任した瞬間からスタッフに日本車の輸入制限の問題に取り掛かるよう命じた。

 トランプ氏の頭の中でも同じような計算が働いているようだ。通商政策の最前線で戦うことになる経済チームの顔ぶれを見てほしい。ライトハイザー氏だけではない。ビジネスマンのウィルバー・ロス氏や、対中強硬派の経済学者ピーター・ナバロ氏もいる。

レーガン時代との違い

 しかしレーガン時代が今と大きく異なるのは、レーガン氏が自動車をめぐる貿易戦争を日本企業に対して仕掛けていた点だ。トランプ氏はこれまでのところ、主にフォードとGMを攻撃している。もっとも5日には、小型車生産を米国からメキシコに移転するという米国のメーカーと同じ罪を犯したとして、ようやくトヨタもやり玉に挙げた。

 これはレーガン時代の貿易戦争とは異なる。そしてそれには当時の貿易戦争も関係している。

 1980年代には、米国の市場から締め出される可能性があることに気付いた外国企業が米国で自動車工場を建て始めた。外国企業は1950年代から60年代にかけて米国企業が先駆的に始めた国外進出を再現した。現在、貿易と見なされているものの多くは国外での販売向けに米国で生産された製品ではない。貿易の多くは社内での取引、つまり同じ会社の子会社間の移転で成り立っている。さらに重要なことに、デニス・エンカーネーション氏が1992年に発表した研究によると、外国に生産子会社を持てば、意外にも、本国からの輸出が増えることが分かった。これは経験則にそぐわない結果である。

 これこそフォードやGMが指摘していることだ。メーカー側はトランプ氏が国境を越えた複雑なサプライチェーンに貿易戦争という政治をさしはさむことの意味を理解していないと抗議している。

 しかしここでもトランプ氏の政策には、米国の別の伝統が見え隠れする。それは、政治的なジェスチャーが必要なときは米国の自動車業界に頼るという伝統である。政治家は環境やガソリン価格、貿易、消費者の安全などについて言いたいことを言っているが、ここまで繰り返し要求された業界は他にない。

常に救済に頼る業界

 自動車業界への規制は、業界が常に救済措置に頼るようになった原因でもあり、結果でもある。ジミー・カーター大統領は融資保証を実施してクライスラーを救済した。レーガン大統領は保護貿易で自動車産業を救済した。2008年には、ジョージ・W・ブッシュ大統領が自動車業界を救うため、初めて小切手を切った。 そしてこの間、米国の政界は業界のその場しのぎの利益を守ろうと、燃費規制に関する例外規定や貿易制限を設けたりして、結局、救済を継続している。

 こうした経緯があるため、われわれはトランプ氏と自動車業界の争いを額面通りに受け止めるようなことはしない。確かにトランプ氏は、フォードがフォーカスの、GMがクルーズの、そしてトヨタがカローラの生産拠点をそれぞれメキシコに移すことを批判した。これらのモデルは部分的あるいは全面的に米国の厄介な燃費基準を満たすべく作られた小型車である。

 しかしフォードとGMは白旗を揚げたとき、いずれにせよ小型車の需要は低迷していると残念でもなさそうな様子で指摘した。米国の工場で採算ラインを維持しながら製造されたスポーツタイプ多目的車(SUV)やピックアップ・トラックの方が消費者に好まれているという。

 われわれはトランプ氏が自らの行動の意味を承知しているとまでは言うつもりはない。しかし、トランプ氏の批判が米国で行われている小型車の組み立てをメキシコの工場に移そうとしている企業に向けられていることは興味深い。少なくともこれまでのところ、トランプ氏は世界市場への輸出を目指して自由貿易協定(FTA)のネットワークを利用しようとメキシコに殺到している米国や外国の自動車メーカーを批判してはいない。米国の労働者はこうした世界と結びついた自動車に材料や部品を供給することで利益を得ている。

 トランプ次期大統領と米国の自動車業界の衝突は、見かけほど激しくないかもしれない。自動車業界は、雇用に関してトランプ氏の政策に従っておけば、燃費基準が緩和されて報われるとの強力なメッセージを受け取っている。

 いずれにせよ、燃費に関する規則は今年見直されることになっている。したがって、トランプ氏と自動車業界が演じている政治的な駆け引きは、業界にとって多くのメリットを含んでいる。あらゆる政治がそうであるように、規制をめぐる政治も全ての人にとって何かしらの利点があることもわれわれは理解している。もしかするとわれわれは、トランプ氏のツイートが今後、従来の政治の交渉プロセスにどのように組み込まれていくのかを学んでいるところなのかもしれない。

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中国のハイテク保護主義、トランプ氏は勝てるか
トランプ氏の脅し、一蹴する中国の技術力
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj_jZb_-rbRAhUKS7wKHbwiBEcQFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582548304266494184&usg=AFQjCNFPpvgOuOJ4oWiXgA4hjBpc5G1RpQ


 

フューチャリストに学ぶ「予想外」への備え
未来のシグナルやトレンドを読み、自らの思い込みを打破するスキル
未来研究の入門書の著者であるエイミー・ウェブ氏

By CHRISTOPHER MIMS
2017 年 1 月 10 日 14:21 JST

――筆者のクリストファー・ミムズはWSJハイテク担当コラムニスト

***

 2004年に米自動車大手フォード・モーターの未来研究部門にいたシェリル・コネリー氏は、もし経済危機が起きてガソリン価格が高騰し、自動車販売が急激に落ち込んだらどうなるかを自らのチームで予想した。2008年に金融危機が発生し、続いて自動車産業が救済される事態となったため、そのシナリオがあたかも実現したかのように思われた。

 しかし、コネリー氏とそのチームは本当に未来を予言したのだろうか?

 「私は常々、同じチームが別の想像にも少しは時間を割いていたことを伝えたい衝動に駆られる。もしも異星人が地上に降り立ち、宗教がそれに対抗したために、モラルの基盤をなくした社会が崩壊に向かったらどうなるのかということだ」と同氏は話す。

 ここから分かるように、フューチャリスト(未来研究者)の仕事は未来の予測ではない。奇妙な言い方だが、だからこそ彼らの仕事は不可欠なのだ。そしてかつてないほど今は、誰もが自分たちと同じ考え方をする必要がある、と多くのフューチャリストは確信する。

 実際にフューチャリストが行うのは、高度に構造化され、時には何カ月もかかるプロセスにチームを組んで取り組むことで、ほぼいかなる事態にも備えられるように可能な限り多くの未来の仮説を考え出すことだ。

未来研究を1日体験

 今では大規模な組織の多くで未来研究が行われているが、すぐに具体的な方針や製品に生かされるわけではない。フォードやIBMのような大企業、それに政府機関(特に米国防総省)はフューチャリストを雇っている。未来学は世界中の多くの大学で指導する学問分野でもある。

 政治や経済の不透明感に加え、テクノロジーが急速に変化する今の時代をただの「乗客としてやり過ごすことができないのは明白だ」と、20年来のフューチャリストであり、教育ツール「How To Future」の考案者でもあるスコット・スミス氏は話す。

 筆者は最近、この分野の入門書「The Signals Are Talking(仮訳:シグナルは雄弁に語る)」の著者であるエイミー・ウェブ氏とともに未来研究を1日体験した。

 筆者が最初に驚いたのは、未来研究の実践ではテクノロジーの変化よりも、変化を後押しする他の要因、すなわち富の分配や教育、人口動態、政治、環境、メディアなどから考え始めることだ。これは理にかなっている。スマートフォンの機能や無線インターネットだけに目を向けていたら、民泊仲介サイト、エアビーアンドビーの急成長を誰も予測できなかったはずだ。

 もう1つの驚きは、自らの思い込みを容赦なく批判することだった。多様な要因が作用して生じるかもしれない変化について、ひとたび大胆な発想が浮かんだら、それまでやっていた作業を一転して酷評するのだ。

 ウェブ氏と筆者は自動運転バスの未来について考えることにした。まず想像したのは、リフトやウーバー・テクノロジーズが現在手がけている配車サービスがあれば、バス停や定期運行ルートはなくなるかもしれないということだ。しかし最初の思い込みを否定してみると、予測可能な通勤・通学の本質は、機動的なバス運行ルートではないことが明確になった。人々が実際にどこでどのように公共交通機関を必要としているかを裏付ける多くのデータがあればよいことがわかった。

スタバで15分でできる思考

 筆者が会ったフューチャリストすべてに共通するのは、未来を予言する人に対する軽蔑の念だ。逆説的であるが、フューチャリストの間ではそれは素人の証しなのだ。

 たった1日とはいえ、未来研究を体験してみて、これほど未来が予想を裏切る理由がわかった気がする。何でも起こり得るという事実に加え、予想外の出来事が次から次へと事態をエスカレートさせる。それが第2、第3の効果を生み、その直前まで妥当性の範囲を完全に逸脱していると思われた事態が起きる。それゆえ金融危機や戦争、テクノロジーの変革を予見することはまず無理だ。

 ただ少なくとも、フューチャリストは、われわれに一種の精神的な柔軟性をもたらし、普通なら見過ごすようなトレンドについて熟慮する力を与えてくれる。例えば、ウェブ氏やコネリー氏と時間をともにしたことで、ドローンが普及すれば建物の高さが制限されるかもしれないことや、米国社会の高齢化と支援ネットワークの疲弊によって将来的には安楽死が認められる可能性があることを筆者は確信した。

 ウェブ氏は、未来を考えるのはもはやフューチャリストだけではないと指摘した。それは長期的な意思決定をする現代人が誰しも獲得すべきスキルであり、獲得できるスキルなのだ。スミス氏もこう語る。「スターバックスに15分間座っている間にやればいい。そうすれば何らかの興味深い気づきに到達するはずだ」

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http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/213.html

[経世済民117] 働き方改革が難航、景気好循環に黄信号 強い米国の強いドルが復活 米景気回復、持続的に進む  英国を通商交渉の「最前列に」
コラム:
働き方改革が難航、景気好循環に黄信号

永井靖敏大和証券 チーフエコノミスト
[東京 10日] - 安倍政権は現在、「同一労働同一賃金」を成長戦略の最重点項目に事実上据えている。2016年6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」で、「働き方改革」を、最大のチャレンジと位置付け、具体的な方針の筆頭に「同一労働同一賃金の実現」を掲げたためだ。

こうしたなか、2016年12月に政府は、「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」(検討会)の中間報告を発表した。働き方改革は、一朝一夕にできるものではない。中間報告は、日本の雇用環境の現状を踏まえ、段階的に「同一労働同一賃金」に至るまでの方向性を示したという点で、現実的な内容と評価することができる。

ただし、成長戦略という視点では、スピード感がなく、賃金発の景気好循環の発生を促す内容とは言い難い。

<英国型から独仏型へ舵を切った理由>

「同一労働同一賃金」を目指すには、さまざまな手法がある。検討会では、現在日本で中心となっている企業別の労働条件設定から、フランスやドイツのような「企業横断的・雇用形態横断的な賃金決定システム、あるいは比較検討可能なシステムへの移行が一つの方向性である」とする考え方を提示している。

同時に、検討会は、英国の制度・判例・実態も詳細に検討している。英国と日本の共通点として、1)主に企業ごとに賃金が決定される点、2)労働者が自らの賃金決定方法を必ずしも容易に知り得る状況になっているとは言えない点、を挙げた。ただし、英国は、労働市場の流動性が高い点で日本と異なる、とまとめている。

安倍首相は、第2期政権発足当初、解雇法制を整備することで、雇用の流動化を促進させようとしたが、法整備は現在棚上げ状態になっている。日本で、英国型の制度を目指し労働市場を流動化させることは、政治的にも企業文化的にも困難と判断し、フランスやドイツで実施されている職種別賃金交渉を促すことで、「同一労働同一賃金」を目指そうとしている模様だ。

ただ、検討会は、当初は同一企業内での正規社員との不合理な待遇格差をなくすことが現実的とし、「同一労働同一賃金」を理想的な形で実現するよりも、日本の最大の課題である非正規社員の待遇改善に焦点を絞り、次の一歩を進めることに力点を置いているようだ。

中間報告の冒頭にも、「正規・非正規間の待遇格差が大きいことが、検討会のメンバーとして共有する問題意識である」と記載している。方向性は意識しつつも、現実的な手法として、同一企業内という方向での取り組みを目指していることからも、「働き方改革」実現の難しさが読み取れる。

不合理な待遇格差をなくす具体策として、検討会は、正規・非正規間の格差に関する合理性・不合理性のガイドライン(案)を示した。現行の労働契約法第20条やパートタイム労働法第8条でも、不合理な格差を設けることを認めていないが、合理性・不合理性の判断基準は明示されていない。

すなわち、現状では、合理性・不合理性の判断基準は司法当局に委ねられる。具体的な判例を積み重ねることにより、判断基準が明確化する仕組みになっているが、日本の労働争議は、解雇の正当性を問う場合でさえ、あっせん・調停・仲裁で調整されるケースが多く、訴訟に持ち込まれるケースは少ない。このため、政府が率先してルールを策定する必要がある。検討会は、ガイドラインを提示することで、「同一労働同一賃金」に向けた一歩を進めた、と評価することができる。

<崩れつつある改革主導の成長シナリオ>

ただし、中間報告は、スピードよりも問題発生回避を重視しているようにみえる。この理由として、1)正規社員と非正規社員の格差是正を非正規社員の待遇改善で行おうとしていること、2)ガイドラインには依然として曖昧な面が多いこと、が挙げられる。

1点目について言えば、短期間に格差を是正するためには、正規社員の待遇を悪化させる必要がある。最近は、労働需給のひっ迫を受け、相対的に非正規社員の待遇が改善しているため、格差は縮小傾向にあるが、依然として2倍程度ある。正規社員の待遇を維持したままでは、「同一労働同一賃金」が実現するまで、かなりの時間がかかると言わざるを得ない。

2点目については、ガイドラインは、あらゆる業務を想定していることから、やむを得ない面があるが、分かりにくい。「同一労働同一賃金」の基本原則として、「職業経験・能力に応じた部分につき、同一の支給をしなければならない」とした上で、格差があっても問題とならない事例や問題となる事例を挙げている。

例えば基本給に関して問題とならない例として、正規社員が、1)特殊なキャリアコースにより職業能力を習得した場合、2)キャリアコースの一貫として定型的な仕事に従事している場合、3)将来転勤・職務内容の変更がある場合、などを挙げ、逆に問題になる事例として、4)現在の業務に関連性を持たない業務経験を有する場合、を挙げている。

もっとも、1点目と4点目を線引きすることは難しく、会社が2点目と3点目を想定しても、結果として正規社員が定型的な仕事を続けるケースや、転勤・職務内容の変更がないケースも想定される。

また、一部の職種を除くと、職業能力の測定自体が困難である、という根本的な問題もある。このため、ガイドラインは、完成形とは程遠い、と言わざるを得ない。

実際、中間報告でも、「ガイドラインの制定・発効にあたっては、適切な検討プロセスを経ることが望ましい」「今後必要な法的見直しに向けた考え方の整理を行う予定」と記載しており、ガイドラインは、単なる「たたき台」にすぎない点を認めている。

現状の「働き方改革」で、日本の潜在成長率が急上昇することは期待できない。改革を進めることは必要だが、改革により高成長を目指す、という安倍政権のシナリオは崩れつつあるようだ。

*永井靖敏氏は、大和証券金融市場調査部のチーフエコノミスト。山一証券経済研究所、日本経済研究センター、大和総研、財務省で経済、市場動向を分析。1986年東京大学教養学部卒。2012年10月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
 

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視点:強い米国の強いドルが復活へ 
武者陵司武者リサーチ代表
[東京 10日] - トランプ次期米政権が、サイバー空間で培われてきた自国産業の圧倒的優位性をフルに生かす「強いドル」政策を追求するならば、経済の独り勝ちと覇権強化に基づく「パックス・アメリカーナ」再現も夢ではないと、武者リサーチの武者陵司代表は指摘する。

また、その場合、最大の負け組は中国で、最大の受益国は日本となり、ドル円は年内に130円超、日経平均株価は2020年にかけて3万円台も期待できると予想する。

同氏の見解は以下の通り。

<米国際収支構造の大転換>

米国の圧倒的隆盛と中国の顕著な衰弱――。2017年は、米中の明暗がはっきりし始める1年となるだろう。トランプ次期米政権が「強い米国の強いドル」という正しい方向性を途中で見失わなければ、経済的・軍事的なプレゼンス再構築に基づく「パックス・アメリカーナ」再現も夢ではないと考える。

米国にとって、「強いドル」が今ほど国益にかなう時代は、変動相場制移行(ニクソン政権下の1973年)以来、なかったのではないか。米国の国際分業上のポジショニングは特にこの10年余りで大きく強化され、もはや「弱いドル」は必要ではなくなっている。

キーワードは、レーガン政権時代の1980年代に発見(商用利用が開始)された第7大陸(影も形も国境もないサイバー空間)だ。世界貿易の停滞を受けて、資本主義が限界を迎えたとの間違った悲観論が最近はびこっているが、この新大陸の発見とその後の目覚ましい成長が歴史上まれな大発展時代をもたらすのはむしろこれからだと思う。

インターネットが今や世界中で必須の生活基盤・経済資源となり、価値創造の最大の源泉となっている点に誰も異論はないだろう。そして、この新大陸におけるイノベーションの担い手(そして「口銭」を稼ぐインフラを牛耳っている主体)は圧倒的に米国企業だ。第7大陸の発展が、米国経済のファンダメンタルズを歴史的水準に押し上げているのは、空前の企業収益や過去最高値更新を続ける株価などを見れば明らかだ。

こうした視点で、米国の国際収支統計を眺めてみると、興味深いことに気付かされる。過去10年間(2005―15年)で米経常収支赤字は8067億ドル(対GDP比5.7%)から4630億ドル(同2.6%)へと大きく改善しているが、そのけん引役は金融・知的所有権料・ビジネスサービスなどのサービス収支(686億ドルから2622億ドルへ3.8倍)と、直接投資・証券投資などの第1次所得収支(676億ドルから1823億ドルへと2.7倍)なのだ。

他方、米貿易収支赤字はこの10年間、年7600―7800億ドル近辺でほぼ横ばい推移している。もし今後もサービス収支と第1次所得収支が過去10年間と同様の年率12.5%のペースで増加し、貿易収支が今の水準で推移すれば、米国はあと6年程度で経常収支黒字国に転換する計算となる(しかも、ドル高が進行すればさらに早まるかもしれない)。

米国から見て、「強いドル」のデメリットはもはや小さい。そもそも、他国と価格競争をしている品目が少ないからだ。この10年余りで、労働集約的な低付加価値品を他国から買い、独占的な高付加価値品やサービスを他国に売る(そしてサイバー空間に張り巡らせたインフラから「口銭」を稼ぐ)という経済に転換したためである。こうした産業構造では、自国通貨高が有利だ。海外利益のドル換算額減少リスクを指摘する声もあろうが、それは基本的には値上げで対処可能だ。

また、トランプ次期米大統領は、保護貿易的な言動からドル安論者と見られがちだが、それは彼の主張するポリシーミックス(財政出動・金融引き締め・軍拡)とは整合的ではない。結局、ドル高を容認せざるを得ないだろう。

ちなみに、トランプ氏とよく似たポリシーミックスだったレーガン政権もドル高コストに耐えられずに2期目の初年(1985年)にプラザ合意でドル安誘導に転じたではないかとの意見をよく聞くが、製造業中心だった当時とは米国の産業構造は決定的に違う。

現在は、前述の通りサイバー空間の高付加価値分野が米国企業のグローバル独占によって不完全競争状態になっており、ドル高でも米国の対外赤字が増加しにくい。ドル円は今や120円台後半どころか、130円台すら年内に試す可能性があると私はみている。

<中国で懸念されるドル高の「負の連鎖」>

ただし、ドル高のデメリットが海外において現われる点には注意が必要だ。米国の経常収支が改善している中でのドル高は、国際的なドル調達難をもたらすだろう。懸念されるのはドル負債を多く抱え、経済ファンダメンタルズの弱い国々だ。

そうした国々は自国通貨を防衛するために金融引き締めを余儀なくされると同時に、それによって生じる国内経済の困難に対処することも迫られる。結局、どの国も拡張的な財政政策に打って出るしかなくなる可能性が高い。

特に大きな困難に直面すると思われるのは中国だ。まずドル高・米金利上昇によって中国からの資本流出圧力が強まるのは必至だ。また、中国は外貨準備高(約3兆ドル)を上回る4兆ドル超もの巨額対外負債を負っている。人民元の下落はその負担増を招くことになる。

ならば人民元の下落を抑制すれば良いという簡単な話ではない。通貨防衛をすれば、金融のタイト化で不動産バブルの崩壊リスクを高め、国内金融危機を引き起こす恐れがある。また、アジアの競合諸国に比して割高になっている中国の人件費を一段と高め、製品の競争力をそぐことになる。

結局、大幅な通貨切り下げも切り上げもできない中で、現状程度の中途半端に緩やかな元安政策(言い換えれば実力以上の通貨高維持政策)を継続せざるを得ないのではないか。

では、それで中国の経済危機は回避されるのだろうか。確かに、同国の財政は比較的健全なので、国内景気テコ入れのために財政出動を繰り返せば、当面は目立った危機が起きない可能性は高い。だが、過剰投資・過剰債務の上に屋上屋を重ねていくような政策の末には、やはり破局が待ち構えているだろう。ハードランディングとならずとも、緩慢な衰退は必至だ。

しかも、中国の困難は今後、対中貿易摩擦という方向からもやってくる。周知の通り、米国では、中国の不公正な貿易通商慣行(知的所有権の侵害、サイバー空間での不正アクセス、国内市場の極端な閉鎖性、政府によるあからさまな自国企業優遇、外資投資規制を維持しながらの海外での積極企業買収など)に対する批判が強まっている。

「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げるトランプ次期米政権下で、米国の対外貿易赤字の5割を占める中国が貿易摩擦の主な標的となるのは火を見るより明らかだ。

むろん、中国の輸入は政府が実力以上の内需を維持しようと図るため減り難いが、輸出は実力以上の通貨高と貿易摩擦により一段と困難になるだろう。貿易黒字の減少、純輸出の減少は中国経済のもう1つの成長制約要因となる可能性が高い。

<トランプノミクスとアベノミクスの相乗効果>

他方、「強い米国の強いドル」誕生で最大の受益国となりそうなのが、日本だ。円ベースでの輸出単価上昇により円安が企業収益の大きな押し上げ要因になることは言うまでもないが、より大きいのは対外資産の増価である。

日本の対外純資産(資産と負債の差額)は約2.8兆ドルと世界最大級であり、ドル高となれば、そっくり円ベースで増価する。10%のドル高で2800億ドルの差益が発生する計算であり、海外直接投資・証券投資の果実は日本経済を大きく支えるだろう。

また、そうした受益が見込める中で、アベノミクスが財政金融総動員のリフレ政策を継続するならば、今後は労働需給による賃上げに加え、原油価格の下落一巡と円安加速により、物価に強い上昇圧力がかかる。実質金利の低下は、国内のリスク資産投資を大きく鼓舞するはずだ。

日経平均株価も、トランプノミクスとアベノミクスが相乗効果を発揮するベストシナリオでは、2020年にかけて3万円台を視野に入れるだろう。

*武者陵司氏は、武者リサーチ代表。1973年横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券に入社。87年まで企業調査アナリストとして、繊維・建設・不動産・自動車・電機エレクトロニクスなどを担当。その後、大和総研アメリカのチーフアナリスト、大和総研の企業調査第二部長などを経て、97年ドイツ証券入社。調査部長兼チーフストラテジスト、副会長兼チーフ・インベストメント・アドバイザーを歴任。2009年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2017年の視点」に掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。 

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[東京 10日 ロイター] - 石原伸晃経済再生相は10日の閣議後会見で前週末の米雇用統計で賃金の伸びが加速したのに着目し「米景気回復が持続的に進むと強く感じた」と述べた。もっともトランプ新政権の政策運営は「通商政策など注意深く見る必要がある」とも指摘した。

トランプ氏のツイッターでの批判直後、トヨタ自動車 (7203.T)が打ち出した米投資拡大について「トヨタはこれまでも米国に投資してきている」と指摘。「トランプ政権はまだ出来ておらず、ツイッターに対してはコメントは差し控えたい」とした。

(竹本能文)

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オバマ大統領は4月、英国のEU離脱が決定した場合、英国は米国との通商交渉で「列の最後尾」に並ぶことになると発言していた。

トランプ氏は選挙期間中、英国のEU離脱を「素晴らしいこと」と評価していた。

BBCによると、訪米したジョンソン外相はトランプ氏側近や米議員らとの面会後、「トランプ次期政権は変革に関する素晴らしい課題を持っている。ただ、変わらないものは米英関係の緊密さだ」と述べた。

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[ベルリン 10日 ロイター] - 反移民政策を掲げる「ドイツのための選択肢」(AfD)のイェルク・モイテン共同党首がロイターのインタビューに応じ、ユーロ圏はドイツなど経済的に強い国々とフランスを含む弱い国々に分割すべきだと主張した。

モイテン氏は、欧州では通貨文化も競争力のレベルも異なると述べ、「ユーロは欧州の不和の種だ」と語った。

同氏はイタリア、スペイン、ポルトガル、フランスを挙げ、「弱い国々が離脱することはあり得る」と発言。また、ギリシャと通貨を共有したい国はないだろうと述べた。

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企業を威嚇するトランプ氏の「国境税」、その真意と実現性
[ワシントン 9日 ロイター] - トランプ次期米大統領は最近のツイッターへの投稿で、米国向け製品を製造する海外工場を拡充すれば多額の国境税を課すといくつかの企業を威嚇したが、政策の詳細は明らかにしていない。

トランプ氏の真意や採り得る課税強化策について探った。

Q:トランプ氏が米企業に対して独自の輸入税(import tax)を課すことは可能か。

A:できない。米国の憲法によれば税法を作成するのは議会であり、連邦政府の歳入の調達権限は主に下院に与えられている。

Q:トランプ氏が独自の輸入関税(tariff)を課すことは可能か。

A:できるだろう。ただし法的な面で困難に直面する公算が大きい。ニューヨーク大学ロースクールのダニエル・シャビロ教授は「特定の企業を標的にすれば、法的にも政策的にも懸念を掻き立てるのは必至」と指摘。企業ごとに選択的に関税を課せば、世界貿易機関(WTO)を通じて異議申し立てを受け、報復措置を受けるだろうと述べた。

ブルックリン・ロースクールのレベッカ・カイサー教授も最近のニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で、トランプ氏は大統領令で5─10%の輸入関税を課す考えを打ち出しているが、歳入調達の権限は議会にあり、こうした措置は憲法に反すると主張した。

Q:トランプ氏は、議会が取り上げている国境税への支持を示唆しているのか。

A:専門家の中には、トランプ氏の投稿は、下院共和党が提案した輸出促進のための国境における課税調整を支持しているとの見方がある。輸出による売り上げへの課税を免除する一方、輸入にまつわるコストの控除を禁止するこうした調整をめぐっては、米国への投資を押し上げると支持する声がある半面、議会の承認が得られるか疑問視する専門家もいる。

Q:トランプ氏の投稿は議会で浮上している国境での課税調整策と歩調がそろっているのか。

A:そうとは限らない。トランプ氏は雇用の海外流出を招いた米企業に懲罰的な課税を課す可能性に言及し、不安を煽った。一方、下院案は製造したのが国内企業か海外企業かに関係なく、すべての輸入品を平等に扱う内容となっている。

Q:トランプ氏の政策の詳細はいつ明らかになるのか。

A:トランプ氏がいつでも説明可能で、11日の記者会見で明らかになるかもしれない。専門家の間では、下院共和党は2月末に税制改革の素案を発表するとの見方がある。共和党がトランプ氏の政権移行チームと改革案について協議し、この日程がずれ込む可能性はある。

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[パリ 10日 ロイター] - フランスの極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首は10日、自動車など同国の工業製品メーカーの生産拠点を国内に回帰させる政策を示唆した。フランス2テレビで述べた。

米国ではトランプ次期大統領が、同国に輸入される米企業の海外生産車には高関税を課すとけん制。これを受けてフォード・モーターなどがメキシコ新工場建設計画を取り止め、ミシガン州工場への投資を発表したことを称賛した。

ルペン党首は、仏ルノー(RENA.PA)やPSAグループ(旧PSAプジョー・シトロエン)(PEUP.PA)についても同じように望むかとの質問に対し、「トランプ氏は、私が長年求めていた施策を実行しようとしている」と回答。この施策を「経済的愛国主義であり、知的保護主義」であると表現した。

さらに党首は「国内で支払うべき税金を逃れることは不可能であり、影響を被ることなくしてオフショア事業を行うことはできないと、国内企業に説明することもいとわない」と話した。

仏大統領選の左派統一候補を選ぶ予備選の候補者では、モントブール元経済相や急進左派・左翼党(PG)のメランション党首も、トランプ氏のフォードに対する態度を称賛している。

ルノーとPSAは、スペインや東欧で自動車や部品生産を積極的に行っている。

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オバマ氏のお株奪うM・ストリープのトランプ批判
オバマ大統領退任スピーチの2日前に、わずか6分の熱弁で

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トランプ氏の扮装(ふんそう)をするメリル・ストリープさん(2016年6月、ニューヨーク)

By WILLIAM MCGURN
2017 年 1 月 10 日 18:02 JST

――筆者のウィリアム・マクガーンはWSJのコラムニスト。ジョージ・W・ブッシュ前大統領の首席スピーチライターを務めたこともある。

***

 ジョージ・W・ブッシュ前米大統領の在任中、ローラ夫人はホワイトハウス主催のあるパーティで、自分が着ている高級ブランドの赤いドレスが、他の女性出席者3人と全く同じであるという不作法な状況に気づいた。夫人はわれわれが期待する通りの対応をした。他の女性に気まずい思いをさせないために、何事もなかったようにそっと階段を上り、ネイビーブルーのドレスに着替えたのだ。

 バラク・オバマ大統領も2006年当時のローラ夫人と同じきまり悪い立場にいる。今回重なりそうなのはファッションではなくスピーチだ。これから力説するつもりの内容で、他人に先を越されたのだから。

 オバマ大統領は10日夜、シカゴで「お別れ演説」を行う予定だ。しかしゴールデングローブ賞の特別功労賞「セシル・B・デミル賞」を受けた米女優メリル・ストリープさんが8日夜、受賞スピーチでトランプ氏への痛烈な批判を展開したあとで、オバマ氏の語るべきことは残されているのだろうか?

 問題は、退任前最後の演説でオバマ氏が批判するとみられるテーマの多くをストリープさんが取り上げ、外国人の出生証明書に至るまで切り込んだことだ。以下にその一節を紹介しよう。ストリープさんの真意を解釈するコメントも付記した。

「ここにいるわれわれ全員が、たった今、米国社会から最も非難されている部類に属する」。(解釈すると)金持ちで権力があって格好良いように見えるかもしれないが、われわれは実際にはびくびくしながら暮らす犠牲者に過ぎない。

「権力者がその立場を利用して弱い者いじめをすれば、われわれは全員負けてしまう」。(解釈すると)念を押しておくが、ドナルド・トランプ次期米大統領は無礼者だ。

「権力の責任を問い、非礼を働くたびに彼を叱責(しっせき)する信念を持ったメディアが必要だ」。(解釈すると)今日の大きな問題は、ジャーナリストがトランプ氏を進んで批判しないことだ。

「いずれフットボールと総合格闘技(MMA)しか見るものがなくなるだろうが、それは芸術(アーツ)ではない」。(解釈すると)これは銃と、米プロフットボールリーグ(NFL)の中継番組「マンデーナイト・フットボール」にしか興味がない、嘆かわしい人々(ヒラリー・クリントン氏が以前トランプ氏の支持者をこう呼んだ)への警告だ。

「ライアン・ゴズリングは、最もすてきな人たちと同様に、カナダ人だ」。(解釈すると)「ラ・ラ・ランド」でゴールデングローブ賞の主演男優賞を受賞したばかりのゴズリングも、トランプ次期政権になれば、米移民帰化局の捜査が自宅に入り、カナダに強制送還されるのではないかとびくびくして暮らすだろう。

 最後の一節はオバマ氏の演説には含まれないかもしれない。しかし他の部分――すなわち得意げな様子や、犠牲者であると訴えるいつもの儀式、労働者階級の嗜好を見くびる姿勢、まともな思考ができる人間なら選挙で異なる意見を持つはずがないという考え方――はいかにもオバマ大統領にありがちで、お別れの挨拶に盛り込まれそうな内容だといえる。

 トランプ氏もおきまりの反応をした。同氏がまずツイートしたのは、オスカーに3度輝いた大女優ストリープさんが「過大評価されている」こと、第2に彼女は「ヒラリーの従僕」であること、第3に彼女が主張するように障害のある記者をからかった事実はないということだ。

 最初の点には議論の余地はあろうが、それは本稿の範囲を超えている。第3の点に関してはトランプ陣営の主張から読者が判断できる。その記者を前にトランプ氏が行った動作はまねではなく、他の記者に対するときと同じだという主張だ。

 しかし、第2の点については「従僕」という呼び名はさておき、反論するのは難しい。昨年7月、ストリープさんは民主党全国大会に出席してクリントン氏を応援する演説を行った。バラエティー誌に後日語ったように「私は外に出ると感情があふれ出し、(2004年に民主党候補争いをした)ハワード・ディーンのように絶叫した」

 ここでも彼女はやってのけた。オバマ大統領はそこまでできないだろう。

 フレッド・アステアとダンスのコンビを組んでいたジンジャー・ロジャーズは、アステアがやることを何でも見事にやってのけたという。アステアから少し遅れ、ハイヒールを履いたままで。オバマ大統領のレガシー(政治的遺産)に賭けた人々にとってトランプ氏の政権継承が何を意味するのかを、ストリープさんも見事に語ってみせた。しかもスピーチライターの助けを借りず、大統領自身が語る2日前に、わずか6分ほどのスピーチで。

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http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/215.html

[経世済民117] ダウ2万ドル目前、強気相場は始まったばかりか 欧州最大の課題は統治 安中国、物価上昇で慎重 米子育て費上昇2700万円に
ダウ2万ドル目前、強気相場は始まったばかりか

企業収益などの指標を見ると、株式は他の資産よりも魅力的だ(写真はニューヨーク証券取引所前)

By COLIN BARR AND AARON KURILOFF
2017 年 1 月 10 日 18:22 JST

 米株の上昇相場は恐らくまだ終わってはおらず、始まったばかりなのかもしれない。

 米株式市場では、金融危機の真っただ中に始まった上昇相場はとどまるところを知らず、ダウ工業株30種平均の6日終値は1万9963.80ドルと、2万ドルの大台に迫った。2万ドルに到達すれば、危機以降14回目の1000ドル単位の節目越えとなり、しかも史上2番目に速いペースで1000ドル上昇したこととなる。

 トレーダーやアナリストは足元の株高について、これまでの上昇相場の中でもとりわけ警戒感が強いと指摘している。IT(情報技術)バブルの崩壊や金融危機を受け、個人投資家は株式を敬遠し、債券や現金を保有するようになった。EPFRグローバルによると、2014年初めから16年10月までに債券上場投資信託(ETF)へ3810億ドル(約44兆2300億円)の資金が流入した。一方、同じ期間に株式ファンドは160億ドルの流出超だった。

 多くの投資家は債券買い・株売りという戦略を取ったがために損失を被った。ダウ平均の投資収益率(価格上昇分と配当を含む)は、09年の安値をつけたときから計算すると274%に達する。これに対し、10年物米国債の収益率は同じ期間で33%だ。目下、米大統領選でドナルド・トランプ氏が予想外の勝利を収めたことを受けて米金融機関の多くが向こう数年間の米経済見通しを引き上げる中、債券から株式への乗り換えを推奨する声が高まりつつある。

 ノーザン・トラストのチーフ投資ストラテジスト、ジェイムズ・D・マクドナルド氏は「今や(株式市場に)参入しても安全だと人々は話している」と語った。

 アナリストの間では、これまで株式に投資する人が少なかったことが株価に追い風となるとの見方があるほか、企業収益や配当利回り、景気見通しなどに基づけば株式は他の投資先よりも見たところ魅力的だとの意見もある。米国の景気拡大期はすでに過去の拡大期の中でも最長の部類に入っているが、近いうちに減速する兆候はほとんどない。投資家が確信を強めれば、株式への資金流入が加速し、主要株価指数はさらに上昇する可能性がある。

 リチャード・バーンスタイン・アドバイザーズのリチャード・バーンスタイン最高経営責任者(CEO)は、今のところ「人々は依然として相場上昇が一時的かつ投機的なものだと感じている」と述べた。

 米個人投資家協会(AAII)の週次調査によると、1月4日時点で投資家の約46%が強気姿勢だった。これは長期平均の38%を上回るが、00年1月につけたピークの75%や07年の58%をはるかに下回る水準だ。

 バーンスタイン氏とマクドナルド氏は足元の株価について、実際のところ過去平均に比べると買われ過ぎの水準だとの見方を示した。ファクトセットによると、S&P500種指数構成企業の株価収益率(PER、過去12カ月の実績ベース)は5日時点で約21倍と、10年間の平均の16倍を上回る。だが両氏は、金利がなおも過去最低近くにあることを考えれば、株価は極端な水準ではないとしている。

債券利回りは16年夏に過去最低をつけてから50ベーシスポイント(bp)余り上昇している。10年物米国債利回りの6日終値は2.417%だった。一方、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、S&P500種指数の配当利回りは6日時点で約2%。このため、投資家の間では、株式は債券と並ぶキャッシュフロー源となるだけでなく、債券よりも大きな価格上昇が見込めるとの声もある。

 他の指標を見ても、株式は他の投資商品より妙味が大きい。長期的な株高につながる主因の一つである企業収益は、14年から16年までのエネルギー価格低迷期に急減したものの、足元で増加に転じている。バーンスタイン氏は、企業収益が堅調な伸びを示せば、株価への懸念は和らぐかもしれないと指摘した。ファクトセットによると、アナリストらはS&P500種指数構成企業の17年1-3月期収益を前年同期比11%増と予想している。

 バーンスタイン氏は、市場に織り込まれたインフレ期待が上昇に転じた16年1-3月期にエネルギー株や資源株、IT株、金融株などの景気敏感株を買い始めたことを明らかにした。トランプ氏が公約に掲げる財政出動への期待から「ほぼかつてないほど(一段の株価上昇)機運が生まれている」という。財政出動は通常、失業率が高めの景気回復初期に実施されることが多い。同氏は「失業率が4.7%のときに財政出動とは驚きだ。私が仕事を始めてからこんなことは初めてだ」と指摘した。

 ノーザン・トラストのマクドナルド氏は、景況指数(PMI)が回復兆候を見せ始めた16年5月から世界経済成長には持ち直しの兆しが表れていたと述べた。

 ノーザン・トラストはトランプ氏の当選を受けて株式保有高を大幅に増やした。議会選で共和党が上下両院を制したことで次期政権は、ホワイトハウスと議会がほぼねじれ状態だったここ数年よりも、経済成長を促す上ではるかに建設的な役割を果たせるだろうというのがマクドナルド氏の見解だ。また、選挙は経済全体の信頼感を押し上げる効果もあったという。

 とはいえ、まだ確信を持てない投資家もいる。金融危機への不安に加え、株式と債券はどちらも依然として割高だとの懸念を抱いているからだ。サーボ・ウェルス・マネジメントのCEO、エリック・D・ネルソン氏は、多くの投資家は現金を保有したままで「相場が下落するのを待っているか、心配のあまり投資できずにいる。価格が高すぎると考えていることが理由だ」と指摘。「正直なところ、手元資金を全て投資に回した投資家に最後にあったのがいつだったか思い出せない」と話した。

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欧州
2017年の欧州最大の課題は選挙にあらず 不安の象徴となっているEUのガバナンスこそ問題

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12月にブリュッセルで行われたEUの会議で言葉を交わす欧州の首脳たち

By SIMON NIXON
2017 年 1 月 10 日 16:53 JST

――筆者のサイモン・ニクソンはWSJ欧州担当チーフコメンテーター

***

 物事を楽観的に見る人たちにとって、欧州の展望はここ数年なかったほど明るいものになっていると言える。世界経済の見通し改善や低金利、ユーロ安や緊縮政策の終わりに伴い、欧州経済は回復ペースを上げつつある。

 各種経済指標によれば、欧州の製造業活動と景況感は2011年以来の高水準となっている。失業率も低下し、ドイツでは東西統一後で最も低い4.1%となっている。スペインでは2008年以来最大の雇用の伸びを示している。イタリアでも2001年以降最も速いペースで家計の可処分所得が増えている。同国では銀行の不良債権問題も対策が進められ、欧州経済にとって最大の懸念のひとつが解決に向けて動き出している。

 もちろん、これら経済に関する明るいニュースに影を落としているのが、政治的なリスクだ。2016年にはドナルド・トランプ氏の米大統領選での勝利や英国の欧州連合離脱(ブレグジット)などがあった。これら予想外の出来事を受け、今後も既存の政治体制や経済的秩序に波乱が起こるであろうとする声は少なくない。オランダ、フランス、そしてドイツでは選挙を控え、イタリアでも選挙実施の可能性がある。これら選挙は西側主要民主主義国家の有権者にとって、グローバリゼーションや欧州連合(EU)に対する不平を示し、反EUを掲げるポピュリスト政党を支持する機会となる。

 しかし2016年のような状態に再び陥るリスクはあるとはいえ、こうした不安は行き過ぎだろう。選挙まで2カ月となったオランダではヘルト・ウィルダース氏率いる極右政党「自由党」が世論調査でリードしているものの、過半の支持を集めるにはほど遠い。同党が連立パートナーとして他の政党から受け入れられる可能性も低いままだ。5月に大統領選が行われるフランスの最新世論調査では、極右政党の国民戦線(FN)を率いるマリーヌ・ルペン氏が保守派フランソワ・フィヨン氏に後れを取っている。世論調査の中には、ルペン氏が無所属中道派のエマニュエル・マクロン氏に敗れる可能性を示すものもある。ドイツではアンゲラ・メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)が他の政党を大幅にリードしている。その中には反移民を掲げるEU懐疑派の政党「ドイツのための選択肢」も含まれる。

 ポピュリストが台頭する可能性が最も高いとされるのは、解散総選挙の可能性があるイタリアだ。今はポピュリズム政党「五つ星運動」が与党・民主党と競り合っている状態が続く。しかしそうであったとしても、EU離脱の是非を問う国民投票が実施されるまではまだハードルはかなり高いと言える。

 2016年の経験から見て取れるように、各国の経済や市場は政治的リスクに対して高いレベルの回復力を身につけている。ブレグジットが英国の経済に与えた影響は限定的であり、ポンドの下落によって家計の実質所得が下押しされたにもかかわらず、個人消費は増えた。トランプ氏の大統領当選も経済成長とインフレ要因の到来と受け止められ、市場の信頼は強まった。消費者も企業も投資家も、選挙は変化を何らもたらさないと結論付け、結局は政府が物事を左右すると理解した形だ。そもそもフィンランドやデンマークで見られるように、欧州はこれまでもポピュリスト政党を主流の連立に取り入れてきた。ヘルト・ウィルダー氏の自由党ですら、2010年から2012年にかけて閣外協力ながらも連立政権入りしていた時期があった。

 おそらく、欧州にとっての本当の政治的なリスクは選挙ではなく、EUに存在し続けるガバナンスの問題であろう。欧州各国が共通問題に関して共通の解決策を導き出すことができなくなってきていることがその証しであり、その結果、欧州はさまざまなショックに対して脆弱(ぜいじゃく)になっている。

 ユーロ圏債務危機の初期段階においては、EUは多大な圧力を受ける中で遅れを露呈しながらも救済基金や銀行同盟といった大胆な解決策をまとめることができた。しかし過去1年、EUはいくつもの難題を前にしながらも政治的な決断を伴う行動を取ることに苦労してきた。それは複雑な意思決定のプロセスが一段と実行不可能になりつつあるからだ。移民を定住させる計画も進展はなく、ギリシャの債務問題も債権国側の政策の違いから頓挫の危機にある。カナダとの貿易協定はベルギー南部ワロン地域議会によって頓挫寸前まで追い詰められ、ウクライナとの協定はオランダの国民投票で否決された。

 悪循環が発生していると言えるだろう。EUが共通課題に対する共通の解決策を導き出せず、有権者はEU自体の信頼性や妥当性に疑問を抱く。その結果、選挙では反体制派の政党が支持を受ける。多くの人にとって、EUは安定ではなく不安の象徴となっているのが現状だ。

 ポピュリスト政党への支持が拡大すると、各国レベルでもガバナンスの危機が深刻化する。金融危機の後処理を進める各国政府は、重い債務負担や破綻した福祉制度、そして生産性の低下に対応することが一層難しくなる。欧州経済は複雑に絡み合い、特に衝撃を緩和するすべを欠く単一通貨ユーロ導入国では一国の問題がすぐに飛び火する。そしてそれが大陸全土を不安定化させ、EU全体の欠陥をあぶり出す可能性もある。

 経済が今後も回復基調を続け、EU各国が難しい政治判断をしなくてもよい状況が続けば、これらは大きな問題にはならない。しかし欧州は2017年にさまざまなハードルを乗り越えていく必要がある。ブレグジットやギリシャに関する協議もあれば、EUの国境警備強化についてもまとまらなければならない。また国境検査なしで国境を越えた往来を認めるシェンゲン協定を維持するため、保護施設などの設置も求められている。銀行同盟をより完全なものにする必要もある。また、欧州中央銀行(ECB)が国債買い入れプログラムを終了させる際の衝撃を緩和する措置も準備し、金融の安定を確保していかなければならない。これらはすべて、2017年に発生するかもしれない未知の出来事が起こる前に実現させなければならない。

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中国、物価上昇で慎重なアプローチ継続か

昨年12月、中国の食品・アルコール飲料価格の上昇率は11月から鈍化した。写真は北京のスーパーマーケット

By MARK MAGNIER
2017 年 1 月 10 日 16:34 JST

 【北京】中国の昨年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.1%上昇となり、上昇率が11月の2.3%から減速した。一方、12月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比で5.5%上昇し、上昇率は市場予想を上回った。中国政府の成長促進政策によって国内経済は安定を維持している。

 CPI上昇率は市場予想と一致した。上昇率の減速は4カ月ぶりで、国家統計局は前年同月の実績が高かったためだと説明した。

 一方、PPI は4年以上にわたり前年同月比でマイナスが続いていたが、昨年9月にプラスに転じ、それ以降、上昇率が加速している。2016年通年のPPIは前年比1.4%低下、CPIは2.0%上昇した。

 CPI上昇率は16年の政府目標の3%を下回っているものの、エコノミストらは、物価上昇を受けて中央銀行は最近とっている慎重なアプローチを継続する可能性が高いとみている。中銀は昨年、景気てこ入れのために金融システムを融資であふれさせた。

 スタンダード・チャータード銀行のエコノミスト、ディン・シュアン氏は「インフレ率が上昇傾向をたどっていることから、中銀が金融政策を緩和する余地が狭まっている」とした上で、中国経済は今後数カ月、安定した状態と保つとの見通しを示した。

 中国指導部は昨年初め、経済成長に不安を募らせ、景気てこ入れ策を強化した。そして先月、債務や、不動産などの潜在的な投機バブルに対処しようとギアを入れ替えることを示唆した。エコノミストらによると、投機取引を一因とする物価上昇は、経済を管理するという政府のタスクを複雑にする。

 マッコーリー・グループは調査報告書で「一般的な懸念事項は16年1月時点ではデフレとハードランディングだったが、今はインフレと金融リスクになっている」と指摘した。

 今年のCPI上昇率の平均値について、スタンチャートは2.2%、UBSグループは2.3%、マッコーリーは2.4%をそれぞれ見込んでいる。

中国の昨年12月のCPIは前月比0.2%上昇した ENLARGE
中国の昨年12月のCPIは前月比0.2%上昇した PHOTO: ISTOCK
 インフレ率は向こう数カ月、上昇するとの臆測をあおっているのは家賃の上昇だ。昨年は主な市場で住宅価格が急上昇したほか、商品(コモディティー)価格も高騰した。原材料価格は昨年12月、前年同月比9.8%上昇し、上昇率は11月の5.8%から加速した。

 春節(旧正月)(今年は1月28日)の連休を控え、CPIは今月も上昇すると予想されている。中国人はこの連休中、食品、旅行、娯楽に惜しみなく支出するからだ。

 昨年12月、食品・アルコール飲料価格の上昇率は11月から鈍化した。一方、食品以外の物価の上昇率は加速した。統制されている中国のエネルギー市場で石油製品価格が上昇したことが一因だった。

 キャピタル・エコノミクスは、インフレ率は中期的に伸び悩むとみている。その理由として、金融政策の中立化や製造業の設備過剰のほか、国有企業が過剰生産能力の解消に向けた人員削減計画を遂行した場合、雇用がさらに喪失する可能性があることを挙げた。

 足元のPPIの上昇やインフラ支出の増加、不動産市場の好況が企業利益と景況感を押し上げている。マーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)が発表した昨年12月の中国企業景況感指数は55.9と、2カ月連続で上昇し、約2年ぶりの高水準となった。また、11月の工業部門企業利益は前年同月比14.5%増加し、伸び率は10月の9.8%から加速した。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiU-uLhwbfRAhUEI5QKHaGCCdUQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582550462372276728&usg=AFQjCNG7kCpvN6jeBuRarM29kZjKkQMYKQ

 


米国の子育て費用上昇、2700万円必要に 2015年の前年比上昇率は3%
米国の子育て費用は2014年から15年に3%上昇
By JANET ADAMY
2017 年 1 月 10 日 18:08 JST

 米国では子育てにかかる費用が上昇している。

 農務省の新たな報告書によると、中間所得の既婚カップルが2015年生まれの子供1人を成人まで育てるのに必要な費用は23万3610ドル(約2700万円)だ。この試算額は、低所得家庭では17万4690ドル、高所得層では37万2210ドルにもなる。

 同報告書によると、子育て費用は2014年から15年に3%上昇した。インフレを上回る比率ではあるが、1960年以降の通常年の上昇率は下回っている。以前と異なっているのは、保育・教育費が占める割合が増える一方で、住宅と食費が占める割合は減っていることだ。

 このほか子育て費には、交通費、医療費、被服費、雑費が含まれるが、最大の費用である大学進学のための貯蓄は含まれない。

 最終的な費用は住む場所によって大きく異なる。報告書によると、最も高いのは北東部、西部、南部のそれぞれ都市部で、最も低いのは農村部と中西部の都市部だ。

 こうした費用の高さは、米国人女性が産む子供の数が減る原因の1つになっている。米疾病対策センター(CDC)が先週公表したデータによると、2015年の出生率(平均的な女性が生涯に産む子供の数)はここ30年ほどで最も低い水準となった。出産年齢女性の大部分を占めるミレニアル世代(1980年代〜2000年初め生まれ)は結婚年齢が上がっており、こうした変化は一戸建て住宅からベビー用品まであらゆるモノの売り上げを落ち込ませている。

 ただ報告書によると、子供が多ければ多いほど、子供一人当たりにかかる費用は減少する(部屋を共有したり、お下がりを活用したりすることが可能なためだ)。子供が2人いる家庭と比較した場合、子供が1人の家庭は子育て費用が27%多い一方、子供が3人以上の家庭は1人にかかる費用が24%少ない。

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社内託児所、社員の士気向上と引き止めに寄与
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米で保育費が急騰、家計を圧迫
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http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/642.html

[国際17] ポンド相場に暗雲、ブレグジット交渉の不確実性拭えず  大衆迎合主義やEU縮小 ギリシャやトルコにも雪 凍える欧州

FXフォーカス
ポンド相場に暗雲、ブレグジット交渉の不確実性拭えず

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RN822_2QOPV_M_20170109081554.jpg?width=1260&height=839
国旗を掲げながらブレグジットを支持するデモ参加者

By MIKE BIRD AND GEORGI KANTCHEV
2017 年 1 月 10 日 17:22 JST

 9日の外国為替市場で英ポンドはドルやユーロに対して大幅に下落した。英国のテリーザ・メイ首相が欧州連合(EU)からの完全離脱の方針を示したことが背景だった。多くの投資家は、EU単一市場から完全に離脱すれば英国の最大の貿易相手であるEUとの取引が打撃を受けると考えている。

 ポンドは一時、対ドルで1%安の1ポンド=1.2162ドルと、昨年10月以来の低水準をつけた。対ユーロでは1.4%安の1ポンド=1.1503ユーロとなった。先週5日には1ポンド=1.24ドルをつけていた。

 為替ストラテジストは、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の条件交渉に伴い、ポンド相場がさらに不安定になると予想している。また多くの投資家は、英経済への影響を懸念している。

 最近発表された英経済指標が予想を上回ったにもかかわらずポンドが下落していることは、為替トレーダーが景気動向をほとんど無視し政治情勢の動向を注視していること意味している。ドル高もポンドを押し下げる圧力になっている。

 コメルツ銀行の為替アナリストは「ブレグジットの手続きに関しては不確実性が極めて高い」とし、「この環境ではポンド急落のリスクは常に高い」と述べた。

 英政府はEUの基本条約(リスボン条約)50条に規定されている、2年間にわたるブレグジット交渉の正式な手続きを3月までに開始するとしているが、不確実性の高まりは3月になっても収まりそうにない。

 グエン氏はさらに「過去2、3年ほどの間に欧州でみられたさまざまな危機から判断すると、交渉は土壇場までずれ込む」とし、「その前にポンドが大幅に下落するリスクが高い」との見方を示した。

 今回のポンド急落の発端は、メイ首相が8日のスカイニューズのインタビューで、英国はEUからの完全離脱を目指すと発言したことだった。これは、ブレグジット交渉でEU単一市場へのアクセスよりも移民の制限を優先させるとの同首相の方針を繰り返したものだった。

 同首相はインタビューで、英国がEUから去ってもEU加盟国の権利を一部維持したいと考えているかのように言う人が多いが「われわれは離脱する」のだと強調した。

 ドイツのメルケル首相はこの日、ブレグジットを巡る英国民投票以来EU各加盟国の首脳が繰り返しているように、英国はEU単一市場への完全なアクセスを可能にするためモノ、サービス、資本、人の自由な移動を確保する必要があると述べた。

 昨年10月にポンドが下落した時も、メイ英首相の同様の発言がきっかけだった。その前の9月後半には1ポンド=1.30ドル前後で取引されていた。

 UBSのマクロストラテジスト、レフテリス・ファルマキス氏は「ブレグジットが何を意味するのかはっきりせず、政治的な発言は毎日のように変わる」とし、「こうした不確実性はさらに不安定な状態が何カ月か続くことを意味する」と指摘した。

 メイ首相は9日、自身の8日の発言には何も新しい内容はなく、英国はEU単一市場との貿易や域内での事業運営について最善の条件を求めていくと述べた。

 6月の国民投票でブレグジットが決まったことを受けて、経済成長が損なわれるというのが大方の見方だったが、このところ英国の経済指標はこうした見方とは裏腹な数字の発表が相次いでいる。

 だが大半のアナリストは、英経済の長期的な行方について懸念されることなどから、ポンドの下落は続くと考えている。

 ポンドはドル高からも打撃を受けている。米連邦準備制度理事会(FRB)が2017年に予想より速いペースで利上げをするとの見方から、ドルはここ数カ月、上昇してきた。

 昨年11月の米大統領選以降、ドルは対ポンドで1.8%高、対ユーロで4.3%高、対円で10%高となった。

 モルガン・スタンレーは、今年は政治的な不確実性が投資に影響を及ぼすとの見方から、ポンドは1-3月期に1ポンド=1.17ドルまで下落すると予想している。UBSのファルマキス氏は、年末までに1.13ドルまで下落するとみている。

 だが、異なる予想もみられる。

 パンテオン・マクロエコノミクスの英国担当チーフエコノミスト、サミュエル・トゥームス氏は調査リポートで、英政府がEUからのソフトな離脱を迫られている兆候がさらに出てくれば、ポンドは年末までに1.30ドル、1.24ユーロ近辺まで戻すことが可能になると述べた。

 メイ首相は交渉プランの詳細をほとんど明らかにしておらず、英政府は明確な着地点を見据えているのかという批判が日増しに強まっている。

 同首相は今年前半にブレグジット計画の詳細をより明確にすると約束しているが、具体的な日程は明らかになっていない。

 英高等法院が昨年11月、首相には議会の承認なしにブレグジット交渉を開始する権限はないとの判断を下し、英政府はこれを不服として上訴した。英最高裁は今月、この件について見解を示す見通しだ。

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2017.1.10視聴時間 02:01
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欧州 大衆 迎合 主義 EU 縮小

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[経世済民117] あと14年で「世界から貧困を無くす」ために 増えない稼ぎ「消費増で経済成長」の意味不明 「経済成長」さま、私はもう疲れて
あと14年で「世界から貧困を無くす」ために
終わりなき戦い
新たな開発目標が示す「グローバルからプラネットへ」の道筋
2017年1月11日(水)
國井 修

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/222363/010600007/fb.jpg
 新たな年を迎えた。

 昨年を振り返ると、イギリスのEU離脱、アメリカの大統領選挙、ニースやブリュッセル、ベルリンなどでのテロ、リオのオリンピック・パラリンピックなど世界では様々な出来事があったが、国際社会にとってひとつ、忘れてはならないことがある。
 それは、「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」の時代に別れを告げ、新たな2030年の国際社会の共通目標「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs)に向かって第一歩を踏んだということである。
 このSDGsは、日本のビジネス界にとって、社会貢献や国際貢献と共に、国内外でビジネスを広げる大きなチャンスでありながら、認知度は低く、知られていてもCSRに留まり企業のコアな部分には入り込んでいない。
 本稿では、MDGsからSDGsに移行した背景、SDGsが目指す目標とその特徴、その達成に必要なこと、そして日本の取り組みと個人的な期待について述べたい。


http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/222363/112800005/

開発途上国が「南北格差」に喘いだ80-90年代

 1980、90年代、いわゆる開発途上国には問題が山積していた。

 1980年代、世界銀行や国際通貨基金(IMF)が推進した構造調整政策の失敗などにより多くの途上国で貧困がむしろ悪化。世界の南北格差は広がっていった。1990年代には東西冷戦が終結し、グローバル化が拡大したが、それに伴い新たな地球規模課題も生まれていった。
 私もこの時代、大学生、そして若手医師としてアジア、アフリカ、中南米を訪れたが、政治腐敗、紛争、内戦が横行し、人々は貧困、栄養失調、病気で喘いでいた。
 インドやバングラデシュの街を歩くと、物乞いに囲まれて身動きができないことがよくあった。その中には、鼻や指趾を失い、また足が象の足のように腫れ上がった、当時、らい病、象皮病と呼ばれ差別されていた患者もいて、その顔や手足を見せながら物乞いをしていた。多くの途上国ではまともな医療が受けられない時代だった。
 カンボジアでは1991年に内戦が終わるも、首都プノンペンでは時折銃声が聞かれ、インフラは破壊され、優秀な人材が大虐殺で失われていた。ゼロから、いやマイナスからの国造りがスタートしたが、農業を再開しようも、荒れ果てた農地には多くの地雷が埋まり、負傷者が後を絶たなかった。
 アフリカの状況は前稿「『アフリカ開発』の転換点、我々に何ができるか」で記した通り。コンゴ、ソマリア、ルワンダ、スーダンなどで次々に紛争が勃発し、多くの死者・負傷者、難民・避難民が発生し、エイズ、結核、マラリア、エボラ熱、ラッサ熱など、様々な感染症が猛威を振るっていた。

2000年「ミレニアム開発目標」が始動

 このような世界の開発課題に立ち向かうため、新たなミレニアム(千年紀)の始まりである2000年に、189の国連加盟国代表がニューヨークに集って議論したのが国連ミレニアム・サミット。ここで21世紀の国際社会の目標として採択されたのが国連ミレニアム宣言であり、これと1990年代に国際会議やサミットで採択された国際的な開発目標を統合して作ったのが「ミレニアム開発目標(MDGs)」である。
 実を言うと、「また国際目標か」というのがMDGsが採択された当時の私の率直な感想だった。
 私の専門である保健医療分野では、1990年代に様々な国際目標が作られてきた。「2000年までにポリオを撲滅しよう」「5歳未満の子どもの死亡率を3分の1に低減しよう」「麻疹(はしか)による死亡を95%低減しよう」「子どもの下痢症を半減しよう」などなど。
 しかし、ニューヨークのようなファンシーな都会とはかけ離れた、砂埃の舞い上がる途上国の現場に身を置き、なかなか届かぬ援助、本気でやる気を見せない現地政府を見ていると、これらの「国際目標」が「美辞麗句」に聞こえていたのだ。
 先進ドナー(資金提供)国は、どれほど本気で途上国の発展を願っているのか。途上国政府は、どれほど真剣に自国民の貧困問題や健康問題を考えているのか。世界は本気で、これらの国際目標を達成しようと本気で思っているのか。・・・現場にいて疑心暗鬼となり、苛立ちを隠せなかった。
 そんな自分が、どういうわけか、このMDGs達成に向けた議論と政策推進に携わることになった。
 2000年、私は貧困と熱帯病が蔓延する東北ブラジルでの公衆衛生プロジェクトを終えて日本に帰国し東京の大学で教員を務めていたが、誘いを受けて、外務省の民間人採用の第一号として、2001年から3年間、外務省で働くことになったのだ。
 2000年に日本が議長国として開催したG8九州沖縄サミットで日本が誓約した感染症対策イニシアティブの監理・運営が主な仕事であったが、外務省で唯一の国際保健医療分野の専門家だったので、日本政府としてのMDGsの推進にも携わることになったのである。
 MDGsには、極度の貧困と飢餓の撲滅、初等教育の完全普及、ジェンダー平等推進と女性の地位向上など8つの目標(Goal)があり、さらに21のターゲット(target)、60の指標(indicator)が設定されていた。
(MDGsに関する情報はこちら)
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/SDGs/MDGsoverview/MDGs.html

 驚くことに、保健医療分野は8つのうち3目標、21のうち6ターゲット、60のうち19指標と、開発課題の約3割を占めており、開発におけるその重要性が示された。
 途上国の劣悪な乳児死亡率や妊産婦死亡割合を、半減ではなく、3分の1や4分の1にまで激減させよう、さらに高額なために特にアフリカでは当時ほとんど入手できなかったHIV治療を「普及的アクセス」(Universal access)させようという野心的な目標であった。
 1990年から2000年までの進捗状況をみると到底達成できない。ではいかにして世界の努力で加速化し、達成させることができるのか。
 ワシントンDC、オタワ、ジュネーブなど様々な場所に呼ばれ、アメリカ、イギリスなどの先進国政府、途上国政府、WHO、UNICEFなどの国連・国際機関、さらに市民社会、財団、民間企業などと一緒に議論を重ねた。
ヒト・カネ・モノ・データを集め、生かす仕組みを
 MDGs達成、またその加速化に向けて必要なのがヒト・カネ・モノ・データ。それをいかに集め、現場の状況を変えるために活用するか。そのために政府、国際機関、市民社会がどのような役割を果たし、いかに連携・協力するか。議論でなく、いかに具体的な行動に移すか。そんなことが議論の中心であり、私としてもMDGs達成のために日本として何ができるのか、何をすべきなのかを模索しながら、意見を戦わせ、日本国内での調整やアクションにつなげた。
 まずは資金がなければ何も始まらない。途上国で基本的な保健医療サービスを提供するのに、当時の試算で一人当たり最低約4000円は必要である。人口1000万人の国であれば単純計算で約400億円の保健医療予算であるが、世界には一人当たり100円の予算も捻出できない後発国もある。保健医療MDGsを達成するには、国際社会がより多くの援助資金を提供し、かつ新たな資金を生み出すメカニズムを作らなければならなかった。
 これに対して、先進国政府は本気で取り組んだ。特に米国政府は、2000年に26億ドルだった開発途上国への保健医療援助を2010年には117億ドルと4倍以上に増やし、さらに英国政府も11億ドルから26億ドルと2倍以上に増加させた。
 一方、日本は1991年から2000年まで世界最大のODA拠出国であったが、日本経済の停滞でODA総額は減少していた。それでも、2000年7月のG8九州沖縄サミットでは、世界の感染症対策に貢献するため、5年間で総額30億ドルを目途とする国際貢献を誓約し、現実には5年間でその額は58億ドルに達した。その結果、保健医療分野での援助としては、年間9.6億ドル(2000年)から16%増の11.2億ドル(2010年)となった。
 現在、開発途上国に対する保健医療援助の約7割は先進国政府からの支援であるが、2000−2010年にかけて財団や民間企業からの支援も増えた。特に、1999年に設立されたビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation: BMGF)は、保健医療援助として、2000年に5.3億ドル、そして2010年には約4倍の19億ドルを提供し、多くの先進国政府の援助額をも上回っていった。
 これらの様々な努力の結果、2010年の開発途上国に対する保健医療分野の援助総額は343億ドルに達し、2000年、1990年と比較して、それぞれ3倍、5倍の増加となった。

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 こうなると、ドナーが資金拠出を増やすだけでなく、それらの資金を迅速、効率的、効果的に活用し、現場でのインパクトをもたらすためのメカニズムが必要となった。
 そこで設置されたのが、グローバルファンドや米国大統領エイズ救済緊急計画(President's Emergency Program for AIDS Relief: PEPFAR)、Gavi(The Vaccine Alliance、ワクチンと予防接種のための世界同盟)などの新たな組織やメカニズムで、総称してグローバル・ヘルス・イニシアティブ(Global Health Initiative: GHI)と呼ばれた。これらを通じて、資金調達のみならず、現場に資金が迅速に流れ、必須サービスが開発途上国で急速に広がっていった。
 さらに市民社会、NGOの役割が高まり、参画が増えていった。政府や国際機関だけではMDGsを達成することは不可能であり、各国でのMDGs達成に向けた計画や実施にいかに市民社会やNGOの力を活用し、さらにその力を強めていくかが議論された。これらあらゆるパートナーの援助、そして各国の自助努力により、世界の保健医療状況は目覚ましく改善した。
幼児死亡率、妊婦死亡、栄養不良の割合が半減
 世界における5歳未満の幼児死亡率は、1990年から2015年の間に生まれた1000人あたり90人から43人へと半分以下に減少し、妊産婦死亡割合は1990年から2015年の間で45%減少し、特に2000年以降で加速的に減少した。

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 HIVへの新たな感染は2000年から2013年の間で約40%低下し、感染者数も約350万人から210万人へ減少した。2000年から2015年の間に、620万人以上の人々がマラリアによる死を免れ、その多くがサハラ以南のアフリカに住む5歳未満の子どもたちであった。2000年から2013年の間に、結核の予防、診断、治療も拡大し、それによって約3700万人の命が救われたといわれる。

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 全体として、世界共通の開発目標として設定したMDGsは、国際社会が真剣に取り組み、多くの国・地域で達成されたといえる。
(MDGsの成果の詳細はこちら)

 しかし、課題は未だ多く残されている。
 MDGsの中でも、達成されていない目標・ターゲットがあり、十分な成果が見られていない国も少なくないのである。
 世界全体としてみると、未だに約8億人が極度の貧困の中で生活し、約2億人の子どもが急性または慢性の栄養不良を示している。
 予防・治療可能な病気により毎日約1万6000人の子どもたちが、5歳の誕生日を迎える前に命を落としている。
 6億人以上が未だ安全な水を飲めず、24億人が衛生的なトイレを使えていない。これらが主な原因として起こる下痢症で死亡する子どもは1日800人にも達する。
 エイズ、結核、マラリアなどの感染症の現状もこれまで拙稿で述べてきたが、有効な治療や予防がありながら、これらによる死者は毎日約9000人、新規患者は毎日60万人以上に及んでいる。
 その意味では、まだMDGsはまだ終わっていない、未解決のアジェンダ(Unmet agenda)ともいえる。

新たな「国内格差」「環境」問題に直面

 さらに、MDGsでは取り上げられなかった新たな課題も多く出てきた。特に、国内格差の問題、環境問題などである。
 これらの課題は現場にいると肌で感じる。
 都市では開発や経済活動が進む中で、日本人も驚くような贅沢な暮らしをする富裕層が増えてきた。その一方で、地方では時間が止まったかのように、昔ながらの貧しい生活をし、援助も十分に届かない場所もある。
 工業化や都市化などにより、低中所得国の大都市では大気汚染や水質汚染が深刻化している。中国の北京・上海などの大気汚染は有名だが、インドのデリー、インドネシアのジャカルタ、ネパールのカトマンズなどを訪れると、朝起きてもどんより曇って暗く、日中でも太陽はおろか、隣のビルも見えないこともある。大気汚染がもたらす健康影響は大きく、その関連死は世界で年間約700万人ともいわれる。

 温暖化を含む地球環境の変化とその影響については、近年多くのエビデンスが出てきており、このまま放置しておけば我々の子孫に大いなる負の遺産を残していくことは明らかである。
 国連平和大使として活躍する俳優レオナルド・ディカプリオも、気候変動と環境保護は「この星で我々が存在するための最大の課題」であり、今を生きる私たち人類が「歴史的な偉業を成し遂げられるか、それとも歴史から非難されるか」判断を迫られていると国連の演説で主張している。

2030年に向けた「持続可能な開発目標」

 このような背景の中で、2年以上の年月をかけてMDGsの次の国際目標が作られた。「持続可能な開発のための2030アジェンダ」、いわゆる「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs)である。2015年9月25日、ニューヨークの国連本部で193カ国の首脳らによって採択された。
 SDGsでは、2030年までに達成すべき目標として17項目が示され、その具体的なターゲットが169、それを測る指標が230設定されている(表2)。

表2:SDGsの17目標
目標 1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
目標 2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
目標 3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標 4 . すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
目標 5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
目標 6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
目標 7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセス を確保する
目標 8 . 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働き がいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
目標 9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及び イノベーションの推進を図る
目標 10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
目標 11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
目標 12. 持続可能な生産消費形態を確保する
目標 13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
目標 14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
目標 15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠 化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
目標 16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法への アクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
目標 17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
(持続可能な開発のための 2030 アジェンダ文書の外務省による仮訳はこちら)

 正直言って、MDGsに比べて目標・ターゲット・指標が多彩で数が多いため、「てんこ盛り」「優先課題や焦点が絞れていない」との印象を受ける人も多いだろう。様々な国、国際機関、市民社会、民間セクター、学術関係者を巻き込んで協議・議論した結果の産物である。これも大切、あれも大切、これが入っていない、あれを含めるべき、との様々な意見が出されれば、絞りきれなくなるのも仕方がない。「あらゆるステークホルダーを巻き込んだ議論」というのは口で言うのは簡単だが、実際のとりまとめはかなり難しい。
 それでも、世界の努力の結晶として作られたSDGsには、MDGsの成果と教訓、さらに現在我々が直面している課題を基に、将来のあるべき姿を希求した重要なメッセージが込められている。
 特に、経済成長、社会開発、環境保全の3本柱を明示し、それらの調和を目指そうとしたこと、途上国のみならず先進国を含むすべての国に適応されるユニバーサルな目標を示すことで、先進国も途上国も自らが抱える問題に取り組みながら、世界のために連携・協働することの重要性を示したこと、誰一人取り残さない(No one left behind)との強いメッセージで脆弱な立場にある人々への特別の配慮も含めたこと、などが特徴として挙げられる。
 さらにSDGsでは、5つのPとして、People(人間)、Planet(地球)、Prosperity(繁栄)、Peace(平和)、Partnership(パートナーシップ)が強調された。これまで各国の利害を国と国の間(inter-national)また世界(global)で協力し合おうとしていた流れが、人間の存続・繁栄のために、地球(planet)の環境保全を考えながら、地球全体の平和と繁栄のためにパートナーシップを駆使していこうとの方向に向かおうとしている。インターナショナル、グローバルの時代から、プラネットの時代へのシフトである。

 SDGsの概念や方向性はいいが、具体的にどうやって目標を達成するのか、本当に達成できるのか。そこが問題である。
 具体的に保健医療分野のSDGsを見てみよう。
 MDGsでは乳幼児死亡率の削減、妊産婦の健康の改善、感染症の蔓延防止が目標となっていたが、SDGsでは目標はひとつ(表2の目標3)
 「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」
 である。

 その下に13のターゲットがある。これには、MDGsの3目標以外に、非感染性疾患(NCD)による早期死亡の低減、薬物乱用の防止・治療の強化、道路交通事故による死傷者の減少、リプロダクティブ・ヘルスの強化・普及、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成、有害化学物質・環境汚染による死亡・ 病気の減少、たばこ規制枠組条約の実施強化、ワクチンおよび医薬品の研究開発支援、安価な必須医薬品・ワクチンへ のアクセス向上、開発途上国の保健財政・保健従事者の能力開発・定着などの拡大、健康リスクの早期警告・リスク緩和・リスク管理のための能力強化などである。

 さらに、これらのターゲットをモニタリングするために26の指標がある。ターゲット3.3「2030年までに感染症流行を終焉させる」についてはHIV、マラリア、結核の罹患率、ターゲット3.4「非感染症疾患による早期死亡の低減」については循環器疾患、癌、糖尿病などの非感染症疾患による早期死亡(70歳以前の死亡)などが指標である。
 目標やターゲット、指標を設定する際に考慮すべき項目として、以前の寄稿「“人類の敵”と戦う『最強の国際機関』の作り方」でも述べたが「SMART」がある。ターゲットや指標がSpecific(明確)か、Measurable(測定可能)か、Achievable(達成可能)か、Realistic(現実的)か、Time-bound(期限付き)か、検討しながら設定するのである。
 私もこれまで様々な世界や国の目標・ターゲット作りに関わり、実際にSMARTを使ってきた。しかしながら、実のところ、SMARTをもってしても理屈通りに目標・ターゲットを設定することはそう簡単ではない。

「野心的」だが「現実的」なターゲットを模索

 まず、目指したいと思うものが必ずしも測定可能ではないのだ。サービスの質的向上、能力の強化、不平等の是正、人権の擁護など、数値で表しにくいものが多々ある。これには知恵を絞って、測定可能な、できるだけインプットやアウトプットでなく、最終的に変革したいインパクトレベルの指標やターゲットを探すしかない。世界の共通目標として国際社会から同意を得て、その進捗状況をモニタリングしていくには、目標は単純で明快な方がよい、というのがMDGsから学んだ教訓でもある。

 次に、測定可能な指標を選んだとしても、国によってデータが不足している、またはその信頼性が低いことがある。たとえば、感染症の指標として、明確で測定可能な「結核の年間新規感染者数」を指標にしても、検査機器や人材が少ないために診断できていない、また国にデータがきちんと報告されていなければ、データの信頼性は低く、ターゲット設定は難しくなる。このような場合には、ベースライン調査などを行ってより信頼性の高いデータを収集する、国のデータ収集・分析・活用を含む情報管理体制を強化するなどの努力が必要となる。

 さらに、明確で測定可能な指標を選び、そのデータの信頼性も高いことがわかっていても、将来のターゲットをどのレベルに設定するかは意見が大きく分かれることが多い。過去のトレンドを見て「達成可能」なレベルに設定するのは簡単だが、それではAmbitious(野心的)とはいえず、目標・ターゲットとは呼べない。逆に、いくら努力しても達成不可能なレベルに設定するのも問題である。過去のデータの分析や将来予測を含めた専門家の意見、市民社会などによるアドボカシー(施策提言や権利擁護)、政治的判断などを鑑みながら、時に白熱した議論や意見の対立を経て、「野心的」だが「現実的」で「達成可能」なターゲットを模索していくのである。
 すべてを盛り込むことはできないので、SDGsとしては大きな枠組みを示し、課題・分野ごとに詳細な国際目標・ターゲット・指標が別に設定され、また国別に設定されるものもある。

 たとえば、感染症対策であれば、SDGsには「2030年までに、エイズ、結核、マラリアおよび顧みられない熱帯病といった感染症流行を終焉させる・・・」とあるだけで、「感染症流行の終焉」が意味する具体的な数値目標、特に新規感染や死亡の低減、診断・治療へのアクセス拡大などについては、疾病ごとにWHOやUNAIDSなどが協議・議論を進めて合意されたものがある。
 SDGsの達成に向けてターゲットを設定したら、それに対して現存する効果的な対策・介入をどのように拡大していかなければならないか、現存する方法で不十分であれば、新たな方法の開発、イノベーションをいかに促進していかなければならないかを考える必要がある。
 これまでの分析・検討によると、現存する対策・介入をフル活用すればSDGsのほとんどの目標を達成することができると考えられている。

人間中心に、そして地球的視野による連携を

 ただし、そのための資源動員とそれらの最適化が重要である。

 SDGs達成に必要な資金はセクターや分野ごとに推計されている場合が多いが、例えば、世界の感染症対策の主要な資金供与機関である私が所属する機関(グローバルファンド)では、SDGsのターゲットである3大感染症の流行終焉を達成するため、WHOやUNAIDS、学術関係者と共に「投資実例(Investment case)」といった分析を行っている。
 これは、感染症対策の様々な介入とその効果に関わるデータ、過去の疫学トレンド、対策に要するコスト、援助資金や国内資金の動向などのデータを基に、将来予測を行い、グローバルファンドとして貢献すべき中期的なターゲットを設定し、その達成に向けて必要な資金とその投資計画を示すものである。

 この分析によると、SDGs実現のために2017年から2019年の3年間で世界で各国の国内資金および援助の合計で970億ドルが必要。そのうち、グローバルファンドとして調達すべき資金目標は130億ドルで、これにより3大感染症に罹患していた800万人の命を救い、3億人の感染予防ができる。さらに、これを通じて2900億ドルの経済効果をもたらすことができる。
 このような推計は感染症以外の分野でもなされているが、それらを合計するとSDGsを達成するために低中所得国で必要な追加資金はおよそ1.4兆ドルと言われる(ちなみに、この額は日本の公的年金の積立金残高140兆円(2015年度)と同レベル)。
 ただし、その大部分はインフラ整備で、保健医療・教育などの公的資金が必要な分野・セクターでの国際支援ニーズは2200億−2600億ドルと考えられている。

 したがって、SDGs達成には引き続き先進国の途上国に対する支援が必要だが、政府開発援助(ODA)として先進国が国民総所得(GNI)の0.7%以上を途上国に支援すれば十分カバーできるレベルであると考えられている。
 しかし、SDGsではODAはあくまで触媒的役割であり、低中所得国の自助努力や民間セクターの役割がより重要視されている。そこで、最貧国であってもSDGs達成に割当てる国内資金をGNIの0.15−0.20%に増加することを推奨し、各国の自律・責任を促している。

 SDGsの実施には、政府・市民社会・民間セクター・国連機関などすべてのアクターが利用可能な資源を最大限に活用し、連携・協働する必要がある。SDGs達成には、MDGs時代以上にこれらの資源を効率的・効果的に利用し、シナジーを生んでいくための戦略的なパートナーシップが求められている。

 人間中心(people-centered)に考えながらも、生態系を考慮し、地球の視野に立った思考と対策、そのための連携・協働が必要である。
 たとえば、SARS、鳥インフルエンザやエボラ熱など、近年、公衆衛生上の危機として注目を浴びている感染症の多くは動物由来で、人獣共通感染症とも呼ばれ、ヒトと動物・自然界との接触、農業・牧畜、森林開発、気候変動など様々な要因と関連している。さらに、昨年の伊勢志摩サミットや国連総会でも議題に上がった「薬剤耐性(Anti-Microbial Resistance: AMR)」は医療のみならず、畜水産、獣医療、食品とも関連している。したがって近年では、健康問題をヒトだけでなく、動物、環境衛生など分野横断的な課題として扱い、様々な関係者が連携・協働して解決に向けて取り組む「ワンヘルス・アプローチ(One Health Approach)」が始まっている。

 SDGsの達成に向けて実際に前進しているかどうか、進捗状況のモニタリングやレビューが重要である。グローバルな定期的レビューについては、国連経済社会理事会の主催の下、ハイレベル政治フォーラム(HLPF)で実施することになっているが、国レベルのSDGsの進捗状況については、原則として、各国が自主的、主体的に行うことになっている。
 しかし、国際的な法的拘束力がない中で、すべての国が透明性のある、包摂的な、適切なフォローアップレビューを行えるのか、それに基づき改善に向けた努力をしていけるのか、という懸念があり、政治的意思、執行・調整・実施能力、透明性や説明責任が不十分な国に国際社会がいかなる介入・支援をしていくかが重要となる。

「Win‒Win‒Win」の構築を目指して
 日本はSDGsに対して国を挙げて真剣に取り組んでいるのだろうか?

 2016年5月、日本政府は、安倍総理を本部長とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置し、12月にはSDGs達成に向けた日本の実施指針を発表した。これには日本として「あらゆるひとびとの活躍の推進」「健康長寿の達成」「省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会」を含む8つの優先課題が示され、SDGs達成に向けた国内および国外向けの具体的施策、ターゲット、指標、関係省庁などが示されている。

 この推進本部の下には、行政、NGO、NPO、有識者、民間セクター、国際機関、各種団体等の関係者が意見交換を行うSDGs推進円卓会議を設置し、SDGs達成に向けた連携も進めている。
 日本の市民社会はMDGs時代からその達成に向けて活発に活動していたが、ポストMDGsについても、そのアジェンダ設定などに関して市民社会のプラットフォームを作ってアドボカシーを続けてきた。

 SDGs時代においては、途上国の貧困削減、社会開発に関わるNGO・市民団体のみならず、国内外の環境保護や気候変動対策などを推進していた市民社会も加わり、活況を増してきた感がある。
 既に市民社会は、政府のSDGs推進円卓会議をはじめ、様々な場でアドボカシーを進めているほか、SDGsに関する一般市民や企業に対する普及・啓発活動、省庁・国際機関・事業者・研究者などへのSDGsに関わる提言・協働強化、SDGsに関わる調査研究、国連総会などへの参画、など多種多様な活動をしている。

 また、SDGsにおいては企業は実施の主要な担い手として認識され、各企業の事業にSDGsがもたらす影響が解説され、持続可能性を企業の戦略の中心に据えるためのツールと知識が提供されたSDG Compass(コンパス)と呼ばれる企業のための行動指針も用意されている。

 既に、SDGsの活用が進んでいる企業もあるようで、新たな経営計画や企業の社会的責任(CSR)計画の策定指針にする、自社の製品やサービスが課題の解決にどのように生かせるか、顧客企業や投資家に伝える「共通言語」として使う、社員の奮起を促し、新しい事業のアイデアを社内から拾い上げる、などの取り組みが行われているという。
 ただし、これらの取り組みは日本国内のメディアでは取り上げられ、私も日本人として日本を注視しながら眺めるとその動きが見えるのだが、プラネットの視点からはまだまだ日本の政府、市民社会、企業などが貢献できる、むしろリードできる余地はあるように思える。

 たとえば、日本政府のODAに関しては、GNI比で0.2%のレベルであり、0.7%目標を達成するにはODAを3倍以上に増額する必要がある。これによってできる途上国、そして地球への貢献は多大である。
 また、SDGs達成に向けた政府のリーダーシップは、省庁間やセクター間、また市民社会や民間企業との連携・協働を本気で促進して、世界に誇れるTransformativeな役割を果たし、成果を示せるのか、またはBusiness as usualで終わってしまうのか。今後の働きに注目したい。

 日本の市民社会については、欧米の市民社会に比べて、特に社会開発分野で、開発途上国に対する現場での実質的な貢献が不十分な感がある。たとえば、グローバルファンドでは世界の様々なNGO、市民社会と世界100カ国以上で感染症対策の支援事業を展開しているが、日本のNGOや市民社会はそこにほとんど参画していない。SDGsにおいても、アドボカシー・提言、普及・啓発活動のみならず、国内外のSDGs達成に向けた担い手、官産学ではできない、またそれを補完する形の実施部分に食い込んでいってほしいと思う。

 また、日本の民間企業に関しては、その資金、優れた技術力・ノウハウ、効率的かつ質の高いサービスで途上国に求められるものは多くあり、ODAでは達成できない開発効果が大いに期待できるが、実際にはまだまだSDGs分野で国際貢献・展開をしている企業は少ない。感染症分野でも、日本の研究開発能力、実際に開発された製品の有用性などは決して欧米に負けてはいないと思うのだが、グローバルな視野で見た場合には、官民産学の連携、マーケティング力、その他で見劣りすることが多々あるのである。

 具体的には、技術力やノウハウがあっても、現場のニーズや状況が理解できていないため品やサービスの開発に至らない、開発に至っても、現場で試行・導入するための資金・人脈・ノウハウがない、試行・導入できても、その後、市場展開するマーケッティング戦略やノウハウがない、など、一企業だけでは解決困難なことも多いのである。日本の民間企業は官民学との連携を通じて、SDGs目標達成の原動力・駆動力に進化していってほしい。

 SDGsは日本にとって大きなチャンスである。日本国内の課題を開発途上国そして地球の課題と連係・連動させることで、日本がもつ資源の効率的・効果的な活用・活性化ができる。具体的には、SDGsの各分野に対する国内施策と国外施策、それに費やす国内予算とODA、それに関わる国内と国外での人材、それに必要な国内と国外向けの知恵・技術・ノウハウなどをうまく連係・連動させることで、国内問題の解決と国際貢献にWin-Win関係を構築し、シナジーを作ることができる。

 SDGsは国内外での大きなビジネスチャンスでもあり、ODAとビジネスと途上国・地球にWin-Win-Win関係をもたらすこともできる。
 今年はSDGsの2年目。2030年までの目標達成、理想具現に向けてあと14年。SDGsを知るだけでなく、是非参画して、地球のためのWin-Win-Win関係を築いてほしい。


このコラムについて
終わりなき戦い
国際援助の最前線ではいったい何が起こっているのか。国際緊急援助で世界を駆け回る日本人内科医が各地をリポートする。NGO(非政府組織)、UNICEF、そしてグローバルファンドの一員として豊富な援助経験を持つ筆者ならではの視野が広く、かつ、今をリアルに切り取る現地報告。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/222363/010600007


 
増えない稼ぎ、「消費増で経済成長」の意味不明

河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

「経済成長」さま、私はもう疲れてしまいました
2017年1月11日(水)
河合 薫

 年明け早々私の頭の中は、かなり混乱している。

 「豊かさって誰の為にあるんだ?私たちのためなんじゃないのか?」と、モヤモヤした感情で脳内が埋め尽くされているのだ。

 元日のコラム(「“東京の夜景”の被害者を二度と出さないために」)に続き暗〜いスタートとなってしまったのだが、今回は「私たちの豊かさ」についてアレコレ考えてみようと思う。

 …っとその前に。モヤついている理由を話さなければならない。

理由その1。
テレビや新聞で年明けから飛び交っている、「消費を増やそう!」「経済を成長させよう!」というフレーズへの心地悪さ。

理由その2。
5日の経団連や同友会などが主催する経営者の方たちの賀詞交換会で、経営者の方たちから「トランプ次第」という言葉が頻発していることへの違和感。

理由その3。
仕事始めに街頭インタビューに答えているエリートっぽいビジネスマンたちからも、まるで呪文のように「トランプ次第」というコメントが多かったことへの空虚感。

 以上です。つまり、

消費、消費、消費、成長、成長、成長、トランプ、トランプ、トランプ、という言葉や文字に食傷し、

「消費を増やそう」だの、「経済を成長させよう」だの、「トランプ次第で日本の株価も変わる」だの、すべてカネ、カネ、カネ、カネのオンパレードに嫌気が差し、

 2017年を語るさまざまな言葉から、人間(国民)の姿が全く見えないことに少々苛立ってしまったのである。

 唯一ホッとしたのが、私がテレビで見た例の賀詞交換会で、みずほ銀行のトップがフリップに書いた「不安からの脱出」(NHKニュースの記憶です…)という抱負だった。

 不安が極限状態に達している時代に、なぜもっと足下のことを考えないのか?

 トランプが気になるのはわかるけど「外は外、内は内」として、なぜ足場を固めようと思えないのか?

 経済成長、経済成長って。ヒトは?人は?いったい“人”はどこにいってしまったんだ? 

 と、国民経済とは「日本で暮らすべての人が幸せになるために存在する」と信じている私の脳内の虎たちが、新年早々「ガオ〜!!」と吠えまくっているのである。

 なんてことを書くと、
「オマエは経済のことに触れるな!」
「経済の専門家じゃないのに、口を挟むんじゃない!」
「カネがあってこそ人は幸せになれる。まだ、そのことがわからないのか!」
とこれまでもそうだったようにコメント欄が荒れそうなのだが(苦笑)……、それにもめげずもう一回脳内クルクルしてみようと思った次第だ。

「モノ」も「人」も価値が下がっている

 確かに「カネ」は私たちが生きていく上で、極めて大切なリソースである。カネが人間の生活を豊かにしたことを、否定する気はコレっぽちもない。

 でも、やっぱりなんかおかしいでしょ?なんで「人の姿」が見えないかさついたコメントばかりを、みんな口にする?

 改めて書くまでもないけど、社会的動物である「人」は、いわゆる"経済活動"をずっとずっと昔からやってきた。「私のコレとあなたのソレを交換しましょう」と物々交換することで、私たちは豊かな暮らしを求めたわけです(記憶に間違いがなければ社会の時間にそう習ったはずだが…)。

 でもって、物々交換のときに「え〜、こっちのほうが価値あるじゃん!」と余計な喧嘩が増えないよう、価値判定の基準として生まれたのが麦や塩などの「秤量貨幣」だ。

 でも麦や塩は腐ったり、品質が低下したりするので貯蔵できない。その対策として誕生したのが、変質しない金貨(=カネ)だ。

 つまり、私たちは経済活動をする中で知恵を絞り、技術力を高め、成長してきた。経済活動において大切なのはカネじゃなくヒト。

 うつ、過労死、過労自殺、子どもの貧困、賃金格差……etc、etc、社会問題が足下に山積し、労働は生活を豊かにするための作業のはずなのに、労働で心身が蝕まれる人たちが量産されている。

 おまけに稼げるカネはちっとも増えていない。いや、むしろ減っているぞ。私はフリーランスなので余計にそれを身をもって感じている。

 例えば、確実に数年前に比べると忙しいのだが、稼げるカネはちっとも増えていない。求められる仕事の質は高まっているのに、価値判定がちっとも上がっていない。

 これには二つの解釈ができる。

 ひとつは過去の対価が高すぎた、という考え方。
 そして、もうひとつが“人”そのものへの価値が下がっている、という考え方だ。

 そういえば朝日新聞が「我々はどこから来てどこへ向かうのか?」という特集を、元日から組んでいるのだが、そこに興味深いことが書いてあった。(以下抜粋)

「この25年間の名目成長率はほぼゼロ。(中略)失われた20年と言われたその間も、私たちの豊さへの歩みが止まっていたわけではない。(中略)若者たちが当たり前に使う1台8万円の最新スマホが、25年前ならいくらの価値があったか想像して欲しい。ずっと性能が劣るパソコンは30万円、テレビ20万円、固定電話7万円、カメラ3万円、世界大百科事典は全巻35巻で20万円超…。控えめに見積もったとしても、軽く80万円は超える」

 記事ではこれを「GDPでは見えない豊かさの象徴」とした。

 なるほど。そういう解釈もできるけど80万円の価値があったものを8万円で買えるまでにしたのは「人」だ。人が知恵を絞り、労力を注ぎ、技術を発達させ効率化した。ならば人の価値判定は高まっていいはずである。労働の時間を減らし、その時間を心を豊かにする時間に充てればいい。

 ところが実際には逆の現象が起きている。この現実をどう理解すればいいのだろうか。考えれば考えるほど私は混乱してしまうのである。

わずかな稼ぎを「使え、消費しろ、物価を上げろ」

 いずれにせよ、世の中にはモノが溢れ、今までとは異なる価値観をもった若者が増えているのに、「消費を増やそう!」だの「経済成長!」だの相変わらず呪文のように連呼し、「経済を成長させることこそが、未来を作る」という考えが、デフォルトになっている。

 経済成長の“成長”部分が目的化され、残業を強いられながら額に汗して働き、わずかなカネを稼ぐ社会を豊かというのだろうか。「経済成長」さま、私はもう疲れてしまいました――。なんてことを心底感じている

 そもそも東日本大震災の後、「人生において大切ものは何か?」「幸せとは何か?」といったことを誰もが自問自答し、自分たちの働き方、生き方に疑問を持ち、物質的な豊かさではないものも求めようとしたのではなかったのか?

 あの頃の気持ちはどこに行ってしまったのだろう。

 カネは確かにある時期までは、物質的にも精神的にも私たちの生活を豊かににしてきたけど、もはやカネだけが精神的な豊かさを担保するものではない。今は、そのカネを最優先する経済が「貧困」を生んでいる。そう思えてならないのである。

 私たちを精神的に豊かにする大切なリソース。それは「健康」である。

 ここでの健康とは、まさしく私の専門である「健康社会学」の健康。すなわち、WHO(世界保健機構)の定義する健康だ(以下が定義)。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and
not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあること。

 おそらく誰もが一度は聞いたり見たりしたことがあるはずだが、健康が定義された理由やこのあとに続く文言は、ほとんど知られていない。

The enjoyment of the highest attainable standard of health is one of the fundamental rights of every human being without distinction of race, religion, political belief, economic or social condition.
人種、宗教、政治信条や経済的・社会的条件によって差別されることなく、最高水準の健康に恵まれることは、 あらゆる人々にとっての基本的人権のひとつである。

「健康」は社会の問題なのに…

 WHOの健康の定義は、なぜ生まれたのか?

 戦争という人間の起こした行為が奪った、人間の幸せ、人生の豊かさ、それを取り戻すために、先人たちが考え議論し、第二次世界大戦後の1946年7月、61か国の代表により署名された(1948年4月7日より効力が発生している)。

「健康は個人の問題じゃなく、社会の問題。人権であり、個人を尊重すること。それを追求する義務がアナタたちにあるんですよ」

 と戦争でたくさんの人たちの命が失われた反省もこめ、世界各国に呼びかけるために理想を掲げたのだ。

 精神的、社会的とは、具体的には次のような意味が込められている。

•孤立や対立がないこと
•居場所があること
•サポートが得られること
•役割があること

 そして、これらに満足している状態が健康であり、人が「人」であるための大切な土台だとしたのである。

 さらに1970年代に入ってからは、上記の定義に「スピリチュアル」な側面を加えるモデルが提唱されるようになった。

 スピリチュアルは日本語では霊的と訳されるが、ここでは「人生に意味や方向付けを与えるもの」を意味する。

 生きていれば大変なこともあるし、自分ではどうしようもない病に襲われることもある。そんなときに「人生に意味を与えてくれるもの」が存在すれば、それだけでホッとする。ちょっとだけ元気が出る。

 つまり、健康と不健康はコインの表と裏ではなく一本のレールでつながっていて、不健康状態に引っ張られる事態に遭遇しても、それを健康に引っぱり返す「元気になる力」を手に入れることこそが「健康」であるというメッセージを強める意味が、「スピリチュアル」には込められているのである。

「人間の顔をした市場経済」はどこへ?

 今から20年前の1995年。全国の20歳〜69歳の約1万人を対象に行われた調査(「1995年SSM調査研究会」東京大学文学部が実施)を分析した社会学者で東京工業大学名誉教授の今田高俊氏は、1980年以降、日本人の意識に二つの大きな変化が起きたことを指摘している。

 そのひとつが、人々の関心がものを「所有すること」から自分の生き方を問う「存在」にシフトしていること。もうひとつが社会的な「序列」から、他者との関係に「地位達成」を求める人が増えたこと。

 つまり、心の豊かさを求める人びとが増え、他者に自分の存在を認めて欲しい、親密な人間関係を持ちたい、時間的余裕が欲しい、といったまさしく「精神的、社会的健康」を人びとは欲するようになったのである。

 ところが今、私たちの社会の人間関係は希薄化し、地域とのつながりは乏しくなり、上司部下関係も関係性をつくること自体が難しくなった。孤独死、引きこもり、自己責任といった20年前にはなかった言葉が生まれ、社会に居場所を得られず、自分の存在意義を見出せない人たちが増えた。

 「非正規雇用」が3人に1人まで増え、賃金格差が生まれ、子どもの相対的貧困率は(17歳以下)は16.3%(2012年国民生活基礎調査)で、6人に1人が貧困とされている。

 真の健康とは「社会の窓」を通じて、そこで暮すひとりひとりを見つめ、社会の仕組みや構造を作っていくこと。「前を向いて歩いて行こう!」と思える心と社会を作る。それは「格差社会の否定」であり、「貧困の撲滅」でもある。

 その健康をもっと真剣に議論し、考え、実行に移すことこそが、成長であり、成熟なんじゃないだろうか?

 2002年に経団連の新会長として就任した奥田碩氏は、これからの日本の経済社会に必要な理念として、「人間の顔をした市場経済」と「多様な選択肢をもった経済社会」を揚げて注目された。

「経営者は人間の顔をした市場経済の実現をめざさなくてはならない。市場の論理、資本の論理を重視しながらも、市場関係者の利益ではなく国民の利益が大切にされるのが人間の顔をした市場経済である。アメリカ流にそのまま合わせる必要はない。この国に最も適した労働市場、雇用慣行の実現に向けて力を尽くし、安易に人員削減にいたるような経営者は、まず自ら退陣すべき」

「これからの我が国に成長と活力をもたらすのは、多様性のダイナミズムだ。国民一人ひとりが、自分なりの価値観を持ち、他人とは違った自分らしい生き方を追求していくことが、こころの世紀にふさわしい精神的な豊かさをもたらす」

(著書『人間を幸福にする経済―豊かさの革命』から抜粋)

 いったい「人間の顔をした市場経済」はどこに行ってしまったんだ?当時拍手喝采を浴びたこの言葉を、今は口にする人もいない。

 あなたは「健康」ですか?今のままでいいのですか?

悩める40代~50代のためのメルマガ「デキる男は尻がイイ−河合薫の『社会の窓』」(毎週水曜日配信・月額500円初月無料!)を創刊しました!どんな質問でも絶対に回答するQ&A、健康社会学のSOC概念など、知と恥の情報満載です。

このコラムについて

河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/010800086/
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/650.html

[国際17] 宋文洲氏「トランプ政権で世界は平和になる」  トランプ台風直撃の台湾海峡、波高し 「一つの中国」という“虚構”を越え
宋文洲氏「トランプ政権で世界は平和になる」

異色企業家だけに聞いた2017年大胆予測

ソフトブレーン創業者が語る2017年における世界と日本の外交
2017年1月11日(水)
宇賀神 宰司
 不透明感が高まる未来をどう見通すか。日経ビジネスの1月9日号の特集は「2017年紅白予測合戦」と題し、各界を代表する32人が「紅白歌合戦」方式で、2017年の日本から100年後の地球に至るまで大胆な予測をぶつけ合った。日経ビジネスオンラインでの連動記事では、そんな第一人者たちの中でも特に印象に残る「異色企業家」に、独自の視点から日本を取り巻く環境の変化や新たな産業の可能性などを読み解いてもらう。第2回はソフトブレーン創業者の宋文洲氏。2017年における世界と日本の外交について聞いた。

そう・ぶんしゅう 1963年中国山東省生まれ。84年に中国東北大学工学部卒業、国費留学生として来日。90年、北海道大学大学院工学研究科博士課程修了。92年にソフトブレーンを創業。成人後に来日した外国人として初めて日本の証券市場(東証マザーズ)に上場を果たす。2006年にソフトブレーン会長を退任。現在は経営コンサルタント、経済評論家として活躍。(撮影:的野 弘路)
宋さんは自身のメールマガジンなどを通じてトランプ氏が米大統領選で勝つことを事前に予想していました。

宋:米大手新聞のニューヨーク・タイムズは、米大統領選挙の約1カ月前、ヒラリー・クリントンが勝つ可能性を93%と予測しました。マスコミと一括りにしてしまうのは、私も含めた中国人を一括りで語ってしまうほど乱暴かもしれないけど、本当に昨年のマスコミの予測はあまりにひどかったよ。もちろん予測が外れることもある。でも、今回の予測はあまりにひどかった。

 トランプは確かにしゃべり過ぎて過激な発言もあったけど、それは10話したうちの1つ。それを取り上げて「トランプはあてにならない」「詐欺師だ」という論調の報道姿勢はどうかと思いましたよ。

 実際の演説を聞けば、かなりまともな話をしていましたよ。それに共感してトランプに票を入れた米国人も実はまともなんです。トランプが当選して「米国人はおかしくなったのではないか」という具合に報道するメディアもありましたけれどね。

 一方、クリントンの主張は万年政治家そのもので、相変わらずの原理主義。仮に大統領になっていたら、経済は放置され、何かのタイミングで株価が暴落して景気が悪化するような事態になったことでしょう。

 事前に2人の演説を聞き、聴衆の反応を見たりして私はトランプが勝つことは60%くらいあり得ると考えていました。

 だからといってそれを自慢しているわけじゃありませんよ。私は予測屋ではありませんから。それでお金を稼ぐわけでもないしね。1人の投資家として確率を突き詰めて考えた結果に過ぎません。投資家は事実関係をしっかり把握して確率を割り出します。自分の好き嫌い、「こうなったらいいな」というような主観を入れてはいけない。思い込みを捨て事実を重視しないと必ず予測は外れてしまいます。

 ですから2017年の見立てについても、あくまで私個人としての分析に基づいた確率を勘案してお話しします。

2017年における世界と日本の外交はやはりトランプ次期大統領に大きく左右されると思います。トランプ外交について宋さんはどのように見ていますか。

宋:トランプが大統領に就任後、外交、特に世界経済はよくなりますよ。なぜか。トランプは米国の経済、利益を第一に考え、余計なことをしなくなるからです。

 トランプはビジネスマンで、米国第一主義を掲げています。利己的と言われますが、経済は本来、利己的なものです。各国が自国の利益を追求することは健全な姿なんだよ。

 これは企業に例えれば分かりやすいでしょう。それぞれの企業は競合関係にありますが、普段から相手をつぶそうと動いているわけではありません。それぞれの企業が自分の商売に集中し、お客さんを見て、地道に取引を広げていくから成長するのです。これは非常にシンプルな原則ですよ。

 もちろん、自分の利益を追求すれば、他人の利益を阻害することも起きます。そのときは交渉して、お互い落とし所を探る。これが、貿易であり外交なんだから。

 結果として経済を中心とした世界の外交は今よりもいい方向に展開していくと思います。

 日本にとってもいい影響が出ると見ています。トランプは強いドルを目指し、リーマンショック以降の米金融機関に対する規制も外すでしょう。金利も上がる。これは日本にとってプラスです。

米中関係についてはどうでしょうか。

 米国の利益を第一に考えるということは、裏を返せば利益につながらないことはしない。余計なことはしない。今までの政権のように、米国の利益につながらないような原理原則を他国に押し付けることもしなくなる。

 その意味で米中関係はよくなる。トランプは中国に対し「仕事を盗んでいる」と発言しているけど、それはビジネスではある意味当然なんだよ。こうしたことは徹底的に議論して戦争ではなく外交的に戦えばいい。

 トランプは孤立主義だとも言われるけど、現在の世界で完全な孤立主義を貫くのは無理。強気の発言をそのまま押し通すだけではなく、引き際も心得ていると思う。

 経済も人間も本質は利己的。ただ、1人で生きているわけではないから相手に損害を与えるようなことがあれば、相手は反発する。そこで交渉する。それだけですよ。

 中国に対してだけではなくトランプ政権は民主主義を他国に押しつけることもなくなるでしょうから、戦争も起きない。各国は自国の経済に集中でき、健全な姿になりますよ。

トランプの当選も英国のEU離脱も東西冷戦の帰結

英国の欧州連合(EU)離脱も予想していました。グローバル化の枠組みが大きく変わりつつありますね。

 トランプの当選も英国のEU離脱も、グローバル化の枠組みが自国を利することがなく、外交、経済の本質ではないことに市民が気が付いたからだと思います。グローバルか反グローバルかという議論が起こっていますが、そういう話ではないんですよ。

 かつて、旧ソ連を中心とした共産主義国家にはコミンテルンという国際組織がありました。これこそが史上、最大とも言うべきグローバル組織でした。ですが、最終的にコミンテルンもソ連は崩壊した。その理由はこの巨大グローバル組織を維持できなくなったからなんです。

 私は弁証法を信じているんですよ。「対立する巨大な2つの力がある場合、どちらかが失われればもう一方も失われる」という考え方です。冷戦によってソ連を中心とするグローバル組織が崩壊しました。だから、米国を中心とするグローバル化もいずれは失われることになる。

 冷戦終了から時間がかかりましたが、ようやくその時が来た。西側のグローバル化はやっと終結したのです。それが、トランプの勝利であり、英国の国民投票でのEU離脱なのです。

トランプ氏は環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を表明しています。日本への影響をどのように見ていますか。

 私は元々、TPPには懐疑的でした。多くの国が集まってああだ、こうだ話しても全くまとまりませんよ。仮に形になっても大変な苦労が伴い、結局、機能しなかったでしょう。その意味で、トランプがもし本当にTPPから離脱してTPP自体が破棄されることになれば、日本にとってはよかったと感謝すべき話ですよ。

 商売の話に戻すけど、取り引きは結局、1対1ですよ。人間もそう。異性を愛するのは最終的には1対1。もし、複数と取り引きしている、複数の異性を愛しているというなら、それは1対1の関係が数多くあるということに過ぎない。

 TPPで市場が大きくなるといっても、それだけで儲かるわけではない。市場が大きくなれば自動的に利益が増えることはないのに、そうした幻想がある。結婚にしたって、独身の女性が増えたからといって独身の男性が結婚しやすくなるわけじゃない。結局、相手に気に入ってもらう努力をしないと。

 複数の企業が業界団体を作ったり、なんとか協会みたいなものを作っても、そんなことでは儲からない。それと同じですよ。結局、他力に頼ってばかりでは企業は倒産する。TPPはいずれにしろ、破綻する運命にあると私は思います。


このコラムについて

異色企業家だけに聞いた2017年大胆予測
日経ビジネス1月9日号の特集「紅白予測合戦〜あの著名人が占う不透明な未来」では、各界を代表する経営者と識者が2017年から100年後までの予測合戦を繰り広げた。本連載では、本誌で紹介しきれなかった「異色企業家」などによる、型破りのユニークな予測を一挙に公開する。
(日経ビジネス1月9日号の特集「紅白予測合戦〜あの著名人が占う不透明な未来」の連動企画)

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/010600013/011000002


 

トランプ台風直撃の台湾海峡、波高し

中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス

「一つの中国」という“虚構”をいかに越えるか
2017年1月11日(水)
福島 香織

「一つの中国」という“国際的フィクション”に、いかに決着をつけるか。米中のせめぎ合いが台湾を揺らし続ける(写真:ロイター/アフロ)
 台湾総統の蔡英文が中米訪問の経由地・米ヒューストンでテキサス州知事のグレッグ・アボットや米上院議員のテッド・クルーズと面談した。クルーズは中国側から蔡英文に面会しないように要請する書簡を受け取ったことを明らかにし、「誰と会おうか決めるのは私たちだ」「この件に中国は関係ない」と不快感をあらわにしたとか。

 とにかく中国が今、トランプ政権に関して最も神経をとがらせているのは、台湾問題であろう。トランプが正式に大統領就任前とはいえ、「一つの中国になぜ縛られなければならないのか」と、米中関係の前提となっている「一つの中国」原則を、対中交渉カードに持ち出したことは、中国にとっては共産党体制の存続にすら影響を与えかねないからだ。

 トランプ政権がどこまで本気で言っているのか測りかねている中国では、とりあえず台湾武力統一論を盛り上げ、台湾と米国に揺さぶりをかけてきている。折しも、台湾では今年が2・28事件という国民党の白色テロ事件から70周年を迎え、台湾の民主と自由を勝ち取るまでの長い道のりを振り返る節目の年でもある。今年の中台関係の行方を少し考えてみたい。

揺らぐ国際的フィクション

 国共内戦の末、勝利した中国共産党が今の広大な中国の土地を支配し中華人民共和国を建国したわけだが、台湾に敗走した中華民国国民党政府も大陸反攻を今に至るまで建前上は放棄したわけではない。中台統一というのは、孫文をともに国父と掲げる国民党・共産党の悲願だ。

 実際には台湾にすでに国民党政府は存在せず、選挙で選ばれた台湾土着の民進党政権が台湾を統治している。そもそも新疆、チベット、モンゴルまで自国の領土だとする中華民国の主張がフィクションであることは、1971年の国連脱退と、その後の台湾の民主化の道程の中で誰の目にも明らかになっていた。

 だが「一つの中国」であったものが分裂したのが、中華民国と中華人民共和国であり、もともと一つだったものが元に戻るのが一番望ましいという考えを国民党、共産党とも持ち続けてきた。そして、国際社会もすでにフィクション、虚構とわかっていながら、その前提を受け入れてきた。

 それが、トランプという率直な男が、一つの中国の原則なんてものはとうの昔に破綻していたという事実を口にしてしまったわけだ。中国としては狼狽せざるをえない。

 というのも、選挙による人民の支持も取り付けずに中国共産党が執政党としての地位に居座り続けている根拠の一つに、侵略者・日本と戦い、中国を守った紅軍から生まれた政党であるという点がある。実際のところは、旧日本軍に中国正規軍として相対したのは国民党軍であり、カイロ宣言に署名したのも中華民国政府の蒋介石である。

 中華人民共和国と中華民国が別の国であったならば、国連の常任理事国に中華人民共和国がなることも、尖閣諸島(釣魚島)を自国の領土と主張することも実は無理がある。中国としては、何が何でも台湾は台湾省であり、釣魚島は台湾省の一部と主張しなければならないのだ。ちなみに中華民国からみれば、大陸は中華民国共産党区という建前だが、国民党員ですら、この主張に無理があることは承知している。

40年続いた戒厳令を越えて

 台湾の歴史を軽く振り返れば、中華民国国民党政府は連合国の委託を受けて、日本の植民地であった台湾の行政権を預かることになった。だが、日本統治下でハイレベルの教育文化水準にあった台湾の人々は、汚職や強奪を当然のように行う国民党の官僚や軍人を嫌悪し、その嫌悪と抵抗感が2・28事件の勃発を招く。それが台湾人の抵抗を武力で鎮圧する白色テロへと発展し、このとき発令された戒厳令は、実に40年、1987年まで続いたのだった。

 中国大陸での国共内戦で敗れた中華民国政府がまるごと台湾に敗走し蒋介石独裁時代が始まるなか、台湾エリートたちへの迫害はさらに苛烈なものになっていく。一方で、米ソ冷戦時代の対立のなかで、中華人民共和国を陣営に取り込もうとした米国の電撃的な米中国交回復によって、蒋介石は国際社会で立場を失う。

 やがて蒋介石の死をきっかけに、李登輝ら日本統治時代に教育を受けたエリート政治家たちが台頭、国民党独裁下での迫害に耐え抜いた民主化運動家、独立運動家たちの長きにわたる奮闘が実を結び、1996年に統治者を直接選挙で台湾人自身が選ぶ総統選の実施をもって台湾の民主を確立した。

 話はそれるが、この2・28事件で台南の若者の命を守るために自らの命をなげうって非暴力で戦った、台南の弁護士・湯徳章(坂井徳章)の生涯をまとめたノンフィクション『汝、ふたつの故国に殉ず』(門田隆将著、角川書店刊)が最近、日台同時に出版された。これを読めば、2・28事件と日本の台湾統治の歴史の関係がよくわかる。台湾の民主確立までの苦闘の歴史に、日本は少なからぬ関わりがある。

 台湾の民主が確立した段階で、台湾人にとっての脅威は国民党ではなく、中台武力統一も辞さぬという中国共産党になった。1996年の台湾海峡ミサイル危機など、中国の露骨な武力恫喝に対し、国民党の白色テロを戦い抜いてきた台湾人はおびえるよりも抵抗姿勢をあらわにし、2000年には初の民進党政権である陳水扁政権が誕生する。

 江沢民政権の台湾に対する恫喝政策が失敗とみた胡錦濤政権は、2005年国家反分裂法を制定し、台湾が憲法や中華民国名を変えるなどの現状変更をすれば武力行使も辞さぬという条項を含みながらも基本的には平和統一を模索する姿勢を前面に打ち出し、ECFA(両岸経済協力枠組み協定)を推進、台湾経済の対中依存度を進めて、経済でからめとる戦略に転換する。中台統一のスローガンも封印し、経済を通じて台湾メディアをコントロールして台湾世論を誘導していく戦略を組んだ。馬英九政権という親中派政権の登場もあって、胡錦濤政権時代まではこれがうまくいき、中国が台湾を飲み込む形で平和統一されるのは時間の問題と、少なくとも中国人たちは見ていたことだろう。

露骨な独裁志向が若者たちを起こす

 この状況が大きく変わったのは習近平政権になってからで、習近平と馬英九が任期中の中台平和協定の実現を乱暴に急ぎすぎたこと、習近平政権の露骨なまでの独裁志向に、台湾の若者が危機感を取り戻したことで、ひまわり学生運動などが起きたわけだ。その学生運動への対応も相当まずかったので、台湾人の国民党政権や中国共産党への拒否感はますます高まり、蔡英文政権の登場につながった。

 蔡英文は慎重な人で、国民党の1992年コンセンサス、つまり中国側と「一つの中国」原則についての条件付き合意については、うまくはぐらかし、否定もしなかった。だが、彼女の政策の方向性が行き過ぎた対中経済依存からの脱却と、台湾アイデンティティの確立であることは比較的はっきりしていて、中国サイドには平和統一の機会は逸しつつあるという認識が広まっている。さらに、米国に登場したトランプ政権が、ひょっとすると「一つの中国」原則を放棄するかもしれないという懸念が出てきて、いま焦りまくっている。

 仮に米国が「一つの中国」に縛られない、として台湾との関係を正常化すれば、日本だっておそらくそれに続くだろう。中国にすれば台湾の統一機会も建前も完全に失われる。釣魚島の領有権主張の根拠も崩れる。胡錦濤政権まで中台統一は時間の問題だと思い込んでいたのに、習近平政権になって統一機会は完全に失われた、となっては習近平のメンツはまるつぶれだ。習近平政権どころか共産党体制の存続も危うい。台湾が中国とは違う国家だというならば、チベット独立派や東トルキスタン独立派も大人しくはしていられまい。それこそ、中国が五つか七つに分裂しかねない危機に見舞われる可能性もあるだろう。

 そう考えれば、習近平政権とて、決死の覚悟で台湾武力統一に動くというのは、単なる脅し以上の可能性がある。

上策は北平モデル、中策は武力統一

 中国台湾研究会の副会長で元国務院台湾事務弁公室副主任の王在希が環球時報のインタビューに答えた台湾統一の手法は、上策として「北平モデル」、つまり戦わずして勝利した1949年1月31日の北平解放のように、開戦の準備をしつつ台湾政権内部の矛盾を突いて解体を画策し、台湾サイドに戦わず降参を選択させる方法だという。

 そして中策が武力統一。最も短時間で両岸統一が実施できる。被害を最小限にとどめるには中国解放軍サイドが圧倒的に台湾軍よりも実力が大きいことが求められるが、この点については、軍部は自信を持っているようだ。ただ、王在希に言わせれば中国人同士が戦うことが後々に禍根を残す、としている。武力統一については2021年までの実行を元解放軍南京軍区副指令の王洪光が提案していた。「武力統一はもはや最悪の選択ではない。ずるずると分裂状態を維持することの方が下策」と王在希も語っている。

 ただこれは、中国サイドの考えであって、今の中国に蔡英文政権の内部矛盾やスキャンダルを暴き人心を離れさせ、武力の威嚇の前に降参を選択させるだけの工作能力が本当にあるのか、本当に短期決戦で台湾を武力統一できるだけの実力があるのか、という部分ははっきり言ってわからない。中国が奇襲作戦を行ったとしても、台湾関係法を結ぶ米国が何もアクションを起こさないということもないだろう。

 人民大学国際関係学院副院長の金燦栄は「トランプは商人だ。台湾は商品にすぎない。商品はいつでも売られる可能性がある。…台湾は気をつけなければならない。彼らの前途は大変まずい。状況はふたつあって、トランプに売られるか、大陸を激怒させるか。大陸はもう昔のお遊びは終わりだと思っている」(環球時報)と語っており、台湾がトランプに期待を寄せすぎると裏切られるのだと決めつけている。実際、共和党内でも「一つの中国」原則をカードに振りかざすことに対しては意見が割れていて、政権がスタートすればトランプの姿勢も変わるかもしれない。

 しかしながら、トランプの周辺には、「一つの中国」原則は旧冷戦時代の遺物であり放棄すべきだ、ニクソン・キッシンジャー時代の米中枠組みは終わらせるべきだと強く主張するアジアアドバイザーもいるようでもある。新設の国家通商会議代表に指名されているエコノミスト、ピーター・ナヴァロもそうだし、共和党系シンクタンクのアメリカンエンタープライズ公共政策研究所のランダル・シュライバーやダン・ブルメンタールといった名前も挙がっている。彼らは台湾が民主主義国家として存在し続けることが中国の太平洋進出を阻み、中国の米国に対する挑戦を封じ込める重要なカギだとしている。

「一つの中国」より「二つの政党」

 トランプが本気で、中国の覇権主義に脅威を感じ、かつての旧ソ連を解体に追い込んだやり方で中国共産党体制を解体に追い込むつもりならば、この「台湾カード」は、南シナカードやロシアカード、経済貿易カード以上に強烈な切り札になる。

 「一つの中国」原則がないがしろにされれば、共産党は執政党としての求心力を維持できず、これを阻止しようと武力恫喝を続けるために軍拡に走れば、レーガン政権時代のSDI(戦略防衛構想)に対抗する軍拡競争で旧ソ連の財政が疲弊したように中国経済にとどめを刺すかもしれない。万が一、台湾有事が発生しても、中国の台湾統一は成功しない確立の方が高いだろう。いずれにしても、中国共産党はひどくメンツを失う結果になるだろう。

 ただ、あの小さい台湾が米中間の荒波にもまれるのはあまりに気の毒なので、中国は早々に台湾統一などという夢想を諦めて、それよりも国民党を中国に迎えて、行き詰まりつつある共産党一党システムに見切りをつけ、国共二大政党制への政治改革を研究したほうが、共産党も国民党も中国人民もハッピーになるのではないかと意見したい。

【新刊】中国が抱えるアキレス腱に迫る
『赤い帝国・中国が滅びる日』

 「赤い帝国・中国」は今、南シナ海の軍事拠点化を着々と進め、人民元を国際通貨入りさせることに成功した。さらに文化面でも習近平政権の庇護を受けた万達集団の映画文化産業買収戦略はハリウッドを乗っ取る勢いだ。だが、一方で赤い帝国にもいくつものアキレス腱、リスクが存在する。党内部の権力闘争、暗殺、クーデターの可能性、経済崩壊、大衆の不満…。こうしたリスクは、日本を含む国際社会にも大いなるリスクである。そして、その現実を知ることは、日本の取るべき道を知ることにつながる。
KKベストセラーズ刊/2016年10月26日発行

このコラムについて

中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス
 新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
 中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
 特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/011000082
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/218.html

[日本の事件31] 講談社編集次長 「子育て巡りトラブル」妻殺害容疑は否認 朴鐘顕=韓国籍 当初、「妻は自殺した」と説明
講談社編集次長

「子育て巡りトラブル」妻殺害容疑は否認
毎日新聞2017年1月11日 02時30分(最終更新 1月11日 02時42分)
社会
事件・事故・裁判
速報

警視庁に移送される朴鐘顕容疑者=東京都千代田区で2017年1月10日午後6時52分、長谷川直亮撮影
逮捕前供述
 妻の首を絞めて殺害したとして10日に逮捕された講談社社員の男が、逮捕前の警視庁捜査1課の任意の調べに「子育てを巡って妻とトラブルになっていた」と話していたことが捜査関係者への取材で分かった。殺害については否認しており、同課は男の自宅などを捜索して裏付けを進めている。【神保圭作、深津誠、春増翔太】

<講談社編集次長>「敏腕」ヒット漫画次々
<事件の一報>妻殺害容疑で講談社編集次長を逮捕
<「あんたは歩いて来なさい」>高速道に夫置き去り 夫婦喧嘩
<「夫の実家に帰省したくない」お盆の妻の憂鬱と本音>
<70歳の夫 同居がつらい>
 逮捕されたのは東京都文京区千駄木1、講談社社員、朴鐘顕(パク・チョンヒョン)容疑者(41)=韓国籍=。人気漫画「進撃の巨人」が掲載されている「別冊少年マガジン」の元編集責任者で、現在は青年コミック誌「モーニング」の編集次長を務めている。

 逮捕容疑は昨年8月9日午前1時から同2時45分ごろ、自宅で妻佳菜子さん(38)の首を絞めて殺害したとしている。朴容疑者は「妻に手をかけるようなことはしていない」と容疑を否認。同課は10日、講談社(文京区)と容疑者宅を捜索した。朴容疑者は逮捕前の任意の調べに「子育てを巡って妻とトラブルになっていた」と話しており、同課は育児を巡るトラブルが動機の可能性もあるとみている。

 同課によると、朴容疑者は事件当日、自ら119番通報し、駆けつけた警察官らが1階の階段下で佳菜子さんが死亡しているのを見つけた。朴容疑者は当初、「妻は自殺した」と説明。その後「帰宅したら妻が刃物を持っていたので押さえつけた。気がついたら死んでいた」と説明を変えていた。

 司法解剖の結果、佳菜子さんの首に絞められたような痕があり、肋骨(ろっこつ)が折れていたことも判明。自宅に別の人物が出入りした形跡はないことから、朴容疑者が殺害した疑いが強まった。

 佳菜子さんの遺体があった所とは別の屋内の場所から尿反応が検出されており、遺体は殺害場所から階段下に移された可能性があるという。

 同社広報室は10日、「このような事態になり大変遺憾。本人は無実を主張しており、捜査の推移を見守りつつ社として慎重に対処していく」とのコメントを出した。
http://mainichi.jp/articles/20170111/k00/00m/040/130000c


 
講談社社員、妻殺害容疑を否認 子育てでトラブルか

2017年1月11日 朝刊


朴鐘顕容疑者
写真
 東京都文京区の自宅で妻を殺害したとして、警視庁に十日、殺人容疑で逮捕された講談社社員で青年コミック誌「モーニング」の編集次長、朴鐘顕(パクチョンヒョン)容疑者(41)が「妻に手をかけるようなことはしていない」と容疑を否認していることが、警視庁への取材で分かった。警視庁は十日、朴容疑者の自宅や文京区の講談社を家宅捜索した。
 捜査一課によると、朴容疑者は昨年八月九日未明、「妻が倒れている」と自分で一一九番。当初は「階段から転落した」と話したが、翌十日に「階段付近で自殺した」「衣服で首をつった」と説明した。説明を変えた理由を「子どものことを考えた」と話している。
 妻佳菜子さん=当時(38)=の遺体には、首の筋肉内部に出血が見つかり、死因は首の圧迫による窒息死と判明した。また、遺書や自殺の動機がなく、現場に首をつった形跡もないことから、一課は他殺と判断した。
 朴容疑者は逮捕前、捜査員に「妻が子育てについて愚痴をこぼし、トラブルになった」という趣旨の話をしていた。
 一課は、子育てを巡りトラブルになった可能性もあるとみている。
 講談社広報室は「このような事態になり大変遺憾です。本人は無実を主張しており、捜査の推移を見守りつつ社として慎重に対処してまいります」と文書でコメントを出した。
◆育児休暇「刺激的な日々」
 朴鐘顕容疑者は優秀な漫画家を発掘し、ヒット作を多く世に出す敏腕編集者として活躍する一方、佳菜子さんとの間に一歳から小学生まで四人の子がいて、家庭では子育てに熱心な父親の顔も見せていた。
 近所の三十代の女性によると、子どもが通っていた水泳教室などの行事に積極的に参加。三番目の子が生まれた時には二カ月の育児休暇を取り、ツイッターなどで「客観的に仕事を眺められた」「刺激的な日々だった」と振り返っていた。
 女性が朴容疑者について「イクメンだね」というと、佳菜子さんは「三番目が生まれてからね」とうれしそうに答えたという。佳菜子さんや子どもたちは朴容疑者が携わった人気漫画「七つの大罪」が好きで、女性は「家族でパパの仕事を誇りに思っているようだった」と話した。
 佳菜子さんは、他人の悪口を言ったことがないほど穏やかな性格。自分が四人目の子を妊娠して大変なのに、出産直後の女性に「私にできることがあったら何でも言って」と気遣ったという。 (谷岡聖史、酒井翔平)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201701/CK2017011102000129.html
http://www.asyura2.com/13/nihon31/msg/888.html

[政治・選挙・NHK218] GPIFは日本株いつ売るのか、許容幅上限「ギリギリも」と理事長 巨額の含み益 50%の目標値に「もう近づいている」
GPIFは日本株いつ売るのか、許容幅上限「ギリギリも」と理事長
野沢茂樹、竹生悠子
2017年1月11日 00:00 JST更新日時 2017年1月11日 10:53 JST

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• アムンディは内外株式の構成比がもう目標値に接近と推計
• 内外株式の割合が乖離許容幅の上限に迫る可能性も−高橋理事長

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が保有する内外株式の構成比が、運用改革後で初めて目標値に接近しているもようだ。超えれば売却に動いてもおかしくないが、トランプ相場の下ではどのタイミングで売ってくるのだろうか。

高橋GPIF理事長

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
 「日本株や外国株がアップサイドのギリギリの方に来ることも当然十分に考えられる」−。高橋則広理事長は6日の記者会見で目標値を上回った場合の対応について、構成比が運用方針に定められた乖離(かいり)許容幅を超えて上昇すれば売却に動くとし、柔軟性を持たせる方針を示唆。「乖離許容幅の中で調整しながらやっていくことに尽きる」と述べた。
  
 世界最大の年金基金、GPIFの運用資産は132.1兆円に上る。年金特別会計の約8.4兆円も含めた積立金全体に占める内外株式の目標値は25%ずつ。昨年9月末時点の保有比率は、国内株が22%、外株が21%だった。アムンディ・ジャパンはドナルド・トランプ次期米大統領の景気刺激策を先取りした世界的な株高と円安を背景に、この保有実勢が先週時点で合計50%の目標値に「もう近づいている」とみている。
  S&P500種株価指数は6日に過去最高値を更新。TOPIXは米大統領選挙の直後から先週末までの2カ月間で約2割、MSCIコクサイ指数は円換算で16%程度上昇した。ドル・円相場では10%を超える円安となった。一方、米バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指標によれば、日本国債の収益率は同期間にマイナス1.57%と低迷した。安倍晋三首相の肝いりで実現した2014年10月の資産構成見直し後、GPIFの国内債券が目標値の35%を下回ったり、内外株式が25%を超えたことはない。

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  アムンディの浜崎優市場経済調査部長は「円安・株高の好環境が当面続く。株価は日本企業の業績が上方修正される可能性をまだ十分に織り込んでいない。GPIFの運用資産は3月末には1年前を抜き、その後は昨年6月末の過去最高を更新していく」と予想。内外株式は「運用委員会の判断にもよるが、オーバーウエートになっても5%ポイント程度なら当面は持ち続ける可能性もある」と読む。
  GPIFは資産構成の見直しとともに、目標値からの乖離許容幅も変更。国内株は上下9%ずつ、外株は8%ずつ、国内債は10%ずつに広げた。投機的でなく確度の高い見通しが立つ限り、許容幅の中で機動的な運用も可能となっている。昨年5月に公表した基本ポートフォリオの検証報告では、当時は巨額の運用損が膨らんでいたものの、変更の必要はないと結論づけた。
  トランプ氏は大統領選で勝利してから初の記者会見を米国時間11日に行う。 市場関係者は同氏が唱える大規模な減税やインフラ投資、米企業が海外に置いている内部留保の国内還流策などに関する発言に注目。世界最大の資産運用会社、米ブラックロックは米国主導で名目成長率や賃金・物価の上昇が強まると予想し、債券より株式を選好している。
財政重視は悪くない流れ
  「トランプ氏がどうこうより、財政政策を少し生かした方が良い局面に来ている」。高橋理事長は、08年秋に発生したリーマンショックからの世界経済と金融資本市場の回復は中国の4兆元に上る景気対策と各国中銀による前例のない金融緩和のおかげとしながらも、金融政策への過度な依存への反省から、トランプ氏の当選前から世界的に財政出動が必要だという雰囲気だったと指摘した。
  「米企業が海外に留保している資金を米国に還流させて公共事業に生かす方が、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融緩和をもう一度するより明らかに良い」ので、米経済政策の行方を「注目しているし、流れとしては悪くない」と分析。株価や為替相場の見通しにはコメントを控えたが「長期的に良い方向に来ている」とみており、分散投資で長期的な収益力を高める努力を続ける考えをあらためて示した。 
  クレディ・アグリコル証券の尾形和彦チーフエコノミストは、GPIFが保有する日本株の構成比について、もはや「ウエートだけの問題ではない。世界と日本の経済情勢や市場の分析、投資家動向など様々な要因を勘案し、最適なリスク・リターンを実現すべく努力するだろう。単に株価が上がったから日本株を売るという図式ではない」と述べた。
  GPIFの運用方針は公務員や大学関係者らが加入する三つの共済年金にも影響する。15年10月から積立金のうち約27.3兆円の運用目標やリスク管理をGPIFと一元化している上、独自の判断で運用する資金の大半に当たる約21.6兆円にも同じ資産構成の目標値を採用したためだ。3共済による資産構成の変更が進めば、合計約48.9兆円がGPIFと似た運用成績になる見通しだ。
  尾形氏は、世界的な株価・金利の上昇とドル高基調というトランプ相場は短期的な調整を挟みつつも、事前の期待や就任後100日間のメディアとの「ハネムーン期間」だけで終わる相場ではないと分析。「米大統領としての政策実現に向けた強い意志と努力があれば、日本経済やGPIFにとって追い風な状況が続く可能性がある」とみている。
  一方、SMBC日興証券の末沢豪謙金融財政アナリストは、今年は「酉(とり)騒ぐ」との格言通り、昨年以上に乱高下しがちな「ジェットコースター相場」になりかねないと指摘。その理由は、次期米政権に対して膨らみ過ぎた期待が春先以降にいったん剥落する上、日本でも秋以降はいつ衆院解散・総選挙があってもおかしくないという見方からだ。ただ、GPIFについては「乖離許容幅の中にいる間は急いで何かしなくてはならない状況ではない」とも言う。
  高橋理事長は、内外株式の構成比が高過ぎるのではないかとの一部批判に対しては「世界の年金、特に成熟した国の年金運用では本当はもっと株式を増やしても良いくらいの感じで分散している」と反論。「分散して長期で運用を続ける方が国内債だけに投資するより、ずっとリターンが高くなる。その収益を国民に還元する方が受託者責任を果たせるというのが私の信念だ」と語った。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJK12S6KLVRR01

http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/849.html

[経世済民117] トランプ効果か−米国で中小企業の楽観指数が1980年以来の大幅改善 子育て費は安くならず18歳までに2700万円米中間層
トランプ効果か−米国で中小企業の楽観指数が1980年以来の大幅改善
Vince Golle
2017年1月11日 09:34 JST

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• NFIBの中小企業楽観指数、12月は105.8−11月の米大統領選後
• 回答者の半数が向こう半年のビジネス環境の改善を期待

米国では昨年12月、中小企業経営者の楽観的見方が1980年以降で最も大きく高まった。大統領選挙の結果を受けて景気の先行き見通しが劇的に改善された。
  全米自営業連盟(NFIB)が10日発表した12月の中小企業楽観指数は、前月から7.4ポイント上昇して105.8と、2004年末以来の高水準に達した。指数を構成する10項目中、7項目で改善が見られたが、指数上昇の73%は米経済や売上高の見通しが一段と上向いたことで説明できるという。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iR3ignpc4M6A/v2/-1x-1.png
  NFIBのデータによると、中小企業経営者の中で今がビジネス拡大に好機だと回答した割合は、現在の景気拡大局面における平均の3倍に達した。投資増大や採用継続を予定すると答えた企業も増え、規制緩和と税制改革、インフラ投資で経済を刺激する方針のトランプ次期大統領の計画への楽観がうかがえる。
  NFIBがまとめる同指数は、昨年12月28日にかけて実施した中小企業経営者619人を対象とする調査に基づく。このうち50%が、向こう半年にビジネス環境が改善されると期待されると回答し、この割合は02年3月以降で最大。また、11月の割合を38ポイント上回った。
原題:U.S. Small-Business Optimism Index Surges by Most Since 1980 (2)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJL9FX6JTSEC01


 


子育て費用は安くならない、18歳までに2700万円必要−米国の中間層
Alan Bjerga
2017年1月11日 07:30 JST

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• 米農務省が15年に子供が誕生した場合の費用発表、前年から3%上昇
• 北東部に住む比較的裕福な家庭では費用が低所得層の2倍余り

米国では子育てに一段と金がかかるようになっている。衣服の値段は上がり、医療費や保育費もアップしていることが、米政府の統計で分かった。ただ、少なくとも食費は比較的安いという。
  米農務省の9日発表によると、中間層が2015年に誕生した子供を18歳まで育てるのにかかる費用は1世帯当たり23万3610ドル(約2700万円)と、前年から3%上昇。最も大きな費用は住宅費で全体の29%を占めた。北東部の都市部などで生活費が比較的高い郊外に住み保育サービスを使うことの多い裕福な家庭では、子育て費用が低所得層の倍以上に達している。

交通費を含む子育て費用が増加
Photographer: Jack Plunkett/Bloomberg News
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iwo92a_uJoXY/v0/1200x-1.jpg

  農務省は1960年以降、ほぼ毎年こうしたリポートをまとめている。子育て費用を住宅や交通、衣料を含む7つのカテゴリーに分けて追跡し、政府機関などが子育て支援コストを試算するのに役立てる。大学への支払いや親以外からの資金援助は政府支援分を含め、統計対象から外している。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iUVLEPL2PJ.c/v1/-1x-1.png

  子育て費用の上昇率はインフレ率を上回ってきた。これは医療費増加とファッショントレンドに左右される衣料費が原因。ただ、今年の上昇率は過去の年平均4.3%を下回っており、親には朗報だ。
  中間層は税引き前収入が5万9200ドルから10万7000ドルの家庭としている。所得がこれより低い家庭の子育て費用は17万4690ドル、所得が10万7499ドルを超える層では37万2210ドルとなるもよう。農務省はまた、北東部の都市に住む裕福な家庭では子育て費用が39万7110ドルに達し、農村部では14万6310ドルと最も低いとの調査結果も示した。

原題:Children Don’t Come Cheap: Cost of Raising One Hits $233,610 (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJJR876TTDS401


http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/664.html

[経世済民117] 30年ぶりに株・債券の相関回帰か-バーンスタインが分散投資に注意喚起 10年債利回りが3%になれば「強気相場おさらば」

30年ぶりに株・債券の相関回帰か
-バーンスタインが分散投資に注意喚起

Cormac Mullen
2017年1月11日 11:38 JST

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• ここ30年余りの乖離は歴史的には例外−株式と債券相場
• 向こう10年はリターン低下とボラティリティ増大を覚悟する必要

それが続いている間はよかった。株式と債券相場が30年にわたって乖離(かいり)してきたことだ。だが、この傾向はそろそろ終わりを迎えると、サンフォード・C・バーンスタインは予想する。投資家は認識をがらりと変える必要がありそうだ。
  イニゴ・フレーザージェンキンス氏ら同社アナリストは最近まとめた顧客向けリポートに、インフレ率の上昇ないし激しい変動が特徴の新時代には、株式と債券が1763年以降見せてきた相関関係への回帰が起きると記している。
  同社によると、近年は株式も債券もリターンがプラスだったが、相場の相関はマイナスで歴史的には異例。この背景にはインフレ水準の低下があったという。「インフレ軌道がここから全体的に上向くということであれば、相関の度合いは増すはずだ」と指摘した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iiF74r7EYlAM/v2/-1x-1.png
  そうなれば、分散投資が難しくなるだけでなく、ボラティリティ上昇と「著しく低い」リターン見通しを受け入れる必要が投資家側に生じる。アナリストらは「60対40で株式と債券にロング(買い持ち)のみでパッシブ投資するというのが過去35年のうまい法則だったが、向こう10年にはこれがリスクの高い分散投資になると深く心配している」と指摘した。
原題:Forget 30 Years of Stock and Bond Divergence, Bernstein Says (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJLEX86JTSEN01 


 
ガンドラック氏:10年債利回りが3%になれば「強気相場におさらば」
Margaret Collins
2017年1月11日 08:48 JST
米投資会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は、10年物の米国債利回りが3%を突破すれば30年続いた強気相場の終わりを意味するとの見方を示した。
  ガンドラックCEOは年次の「ジャスト・マーケッツ」ウェブキャストで語り、「10年債利回りが3%になれば、債券強気相場におさらばだ」と述べた。
  著名な債券運用者でジャナス・キャピタル・マネジメントに所属するビル・グロース氏は、別の水準を節目として考えている。10日早くに発表した投資見通しで同氏は、2.6%がそうした水準だと指摘した。
原題:Gundlach Says Treasuries at 3% Would Be Tombstone on Bull Market(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJL7B86KLVRV01

 

グロース氏:米10年債利回り2.6%、ダウ平均2万ドルよりも重要
John Gittelsohn
2017年1月11日 00:23 JST

GDP成長率3%は起こりそうにない、トランプ次期政権下で
政策は景気の「一時的な加速」を誘発するに過ぎない可能性

投資家らは米10年債が2.6%を超える動きに注目するべきだと、債券運用者のビル・グロース氏は指摘。同水準を上回れば、過去30年続いた債券強気相場の終了を示すことになり、ダウ工業株30種平均が2万ドルを超えるよりも重要なバロメーターになるとしている。
  ジャナス・グローバル・アンコンストレインド・ボンド・ファンドを運用するグロース氏は10日公表した月間投資見通しで、「それは2017年の金利水準、また恐らく今年の株価水準の鍵になる」と記述。この重要なバロメーター「次第で、投資の喜びや落胆が今後12カ月間に待ち受けているのかもしれない」と続けた。
  米大統領選での予期せぬドナルド・トランプ氏勝利を受け、米国内総生産(GDP)成長率が過去10年間の平均値である2%から3%に押し上げられるとの期待で株価は上昇していると、グロース氏は説明。ただ、人口高齢化や技術革新、グローバリゼーションの後退を理由に、緩慢な成長ペースを上回るのは難しいだろうとの見方を示した。
  グロース氏は「トランプ次期大統領がツイートすると、市場は今のところ聞き入れている」と指摘。「トランプ氏の政策は今後数年にわたり一時的な景気加速をもたらす可能性があるものの、2%の長期的な標準値は変わらない可能性が高く、企業利益の伸びを抑制し、リスク資産の伸びを減速させるだろう」と記した。
原題:Gross Says 10-Year at 2.6% Is a Bigger Deal Than Dow at 20,000(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJKJME6KLVRM01
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/665.html

[国際17] 白人拷問を生中継=憎悪犯罪で訴追 サイバー攻撃、ロ大統領が指示=トランプ氏後押し 露、米共和党にも不正侵入
白人拷問を生中継=憎悪犯罪で訴追−米
 【ニューヨーク時事】米シカゴでアフリカ系の若者が精神障害を持つ白人男性(18)を襲う事件があり、地元検察は5日、アフリカ系の18〜24歳の男女4人をヘイトクライム(憎悪犯罪)や誘拐などの罪で訴追した。襲撃の様子はフェイスブックで生中継され、米メディアは「拷問ビデオ」と報じている。
【動画】石抱責やギロチンなどの拷問・処刑具を展示=明大博物館・刑事部門

 米メディアが報じた動画では、縛り上げられた白人男性が殴られたりナイフで脅されたりしている。白人男性が悲鳴を上げる一方、アフリカ系の男女は白人やトランプ次期米大統領を侮蔑する発言をしている。
 シカゴ警察によると、精神障害への侮蔑的な発言もあった。暴行は4〜5時間続いた。白人男性は3日、路上を歩いているところを保護された。(2017/01/06-10:59)
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サイバー攻撃、ロ大統領が指示=トランプ氏後押し−米情報機関

トランプ次期米大統領(左)とプーチン・ロシア大統領(AFP=時事)
 【ワシントン時事】米国の情報機関を統括する国家情報長官室は6日、大統領選を標的にしたロシアによるサイバー攻撃について、プーチン大統領が指示したと結論付ける報告書を公表した。ロシアによるサイバー攻撃は、民主党のクリントン前国務長官の選挙活動を妨害し、トランプ次期米大統領を後押しする狙いがあったと指摘した。
 報告書は、プーチン大統領がクリントン氏に対し、ロシアで2011、12年に起きた反政府デモを扇動したとして非難するなど反感を持っていたことを挙げ、「クリントン氏の信用を傷つけることを望んだ」と強調した。当初はクリントン氏に対する中傷がサイバー攻撃の目的だったが、選挙戦が進むにつれて「トランプ氏へのひいきを強めた」という。
 また、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)がサイバー攻撃で入手した民主党全国委員会や党幹部らのデータを内部告発サイト「ウィキリークス」に渡したと指摘した。
 米政府は昨年10月、大統領選にロシアが干渉したと断定。オバマ大統領は同年12月29日、GRUなどへの制裁やロシア外交官35人の追放などの報復措置を決めていた。
 一方、トランプ氏は6日、ニューヨークで、情報機関幹部からサイバー攻撃に関し、機密情報を含む報告を受けた。同氏はその後発表した声明で、ロシアが民主党全国委などにサイバー攻撃を行った可能性に言及したが、「大統領選の結果には影響を与えなかった」と主張した。
 トランプ氏はサイバー攻撃へのロシア関与説に繰り返し疑問を呈している。 (2017/01/07-10:06)

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ロシア、トランプ氏も標的か=大統領選狙ったサイバー攻撃−CNN

米国のトランプ次期大統領=2015年12月、ラスベガス(AFP=時事)
 【ワシントン時事】米CNNテレビは10日、米大統領選を狙ったロシアのサイバー攻撃に関連し、ロシア工作員がトランプ次期米大統領の評判をおとしめるような個人・金融情報を取得したと主張していると報じた。この情報はトランプ氏本人にも伝えられたという。
ロシアの犯行、報告受け入れ=サイバー攻撃で次期米大統領−側近

 CNNによれば、トランプ氏の個人情報が漏れたという情報は、元英情報機関員がまとめたメモなどに基づいている。この元情報機関員の仕事について、米情報機関当局者は「信用できる」と判断しているが、連邦捜査局(FBI)が確認作業をしている。
 トランプ氏は6日、クラッパー国家情報長官ら情報機関幹部からサイバー攻撃に関して説明を受けた。その際、報告書に添付したメモとして、本人も標的となった可能性が提示された。 
 「次期大統領に関するこうした主張が情報機関や議会、政府で流れていると知ってもらう」のが狙いだったという。トランプ氏はサイバー攻撃へのロシアの関与に懐疑的な見方を示し、ロシアとの関係改善を訴えていた。(2017/01/11-12:19)

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露ハッカー、米共和党にも不正侵入=FBI長官
暴露された情報は民主党側より限定的
上院情報委員会の公聴会に臨むコミーFBI長官(10日)
By DEVLIN BARRETT
2017 年 1 月 11 日 09:04 JST

 米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官は10日の議会証言で、ロシアのハッカーが米共和党の一部のグループや選挙対策組織のシステムに不正侵入していたと明らかにした。ただ、ロシアが暴露した共和党側の情報の量は民主党の電子メールに比べてかなり少なかったと指摘した。

 コミー長官は上院情報委員会の公聴会で、民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン氏の当選を阻むためにロシアが民主党全国委員会(DNC)などのシステムに不正侵入したとされる件について証言した。長官が公の場に姿を現したのは大統領選後で初めて。

 情報委員会のリチャード・バー委員長(共和党、ノースカロライナ州)はコミー長官に対し、共和党もロシアの情報機関の標的になったかと質問した。

 コミー長官は「共和党側では一部のグループや選対組織、特に州レベルでの不正侵入があった。古い(共和党全国委員会=RNC=の)ドメインにもある程度の限られた侵入があった」と話した。ただ、それらのドメインは当時もはや使用されていなかったと付け加えた。長官は「そこから情報は収集されたが、古いものだった」とした上で「トランプ陣営や今のRNCが不正侵入されたという証拠は見つからなかった」と語った。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は以前、かなり前にRNCを離れたスタッフに関連のある電子メールが標的にされたと報じていた。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiYrs-om7nRAhXGybwKHfFrAeoQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582551840615802170&usg=AFQjCNGg3hTjB_wFsrW47OG9b1sTOAge0g

http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/227.html

[国際17] トランプ氏の指名閣僚、上院の承認担当議員に献金 5人で計10万ドル強 親露元エクソン国務長官の交渉術から占う米外交の行方
トランプ氏の指名閣僚、上院の承認担当議員に献金
閣僚候補5人で合計10万ドル強
国家情報長官に指名されたダン・コーツ前上院議員は上院情報特別委員会の議員5人に合計2万5000ドルを献金していた
By REBECCA BALLHAUS
2017 年 1 月 11 日 09:48 JST

 ドナルド・トランプ米次期大統領が指名した閣僚候補5人が、閣僚指名を認可する上院関係委員会のメンバーである上院議員たちに献金していたことが分かった。指名承認といういわば閣僚候補自身の運命を決定できる上院議員たちを金銭的に支援していたわけだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによる過去6年間の連邦選挙委員会(FEC)データの分析結果によれば、トランプ氏が指名した閣僚候補のうち5人は、近く指名承認公聴会を開催する上院関係委員会に在職する議員たちに対して、合計で10万6000ドル(約1200万円)を献金していた。5人は、司法長官に指名されたジェフ・セッションズ上院議員、厚生長官に指名されたトム・プライス下院議員、中央情報局(CIA)長官に指名されたマイク・ポンペオ下院議員、行政管理予算局(OMB)長官に指名されたミック・マルバニー下院議員、そして国家情報長官に指名されたダン・コーツ前上院議員だった。

 こうした献金は議員たちの政治団体「リーダーシップPAC(政治行動委員会)」を通じて行われた。リーダーシップPACは、主として連邦議会の現職議員および元議員によって立ち上げられるPACで、自分たちの注目度を高め、同僚議員らの歓心を買うための政治資金団体だ。

 このような献金は前例がないわけではない。2013年、オバマ大統領が国務長官に指名したジョン・ケリー氏はそれまで同長官指名承認を担当する立場にあった上院関係委員会(外交委員会)の委員長で、同委員会メンバーに献金していた。だが前例があるとはいえ、指名承認の公聴会が始まるとともに、こうした献金の事実によって利益相反などを追求される可能性がある。

 政治へのカネの影響力を減らす運動を推進している「キャンペーン・リーガル・センター(CLC)」のラリー・ノーブル法律顧問は「われわれは、献金で何か買うことに理解を示している人物(トランプ氏)を次期大統領に選んだ」と述べ、「今度は、高位の閣僚ポジションに指名された連中が、指名を承認しなければならない立場にある上院議員に献金を行っていたわけで、当惑させられる」と語った。

司法長官に指名されたセッションズ氏は上院司法委員会の共和党議員8人のうち7人に計4万2500ドルを献金していた ENLARGE
司法長官に指名されたセッションズ氏は上院司法委員会の共和党議員8人のうち7人に計4万2500ドルを献金していた PHOTO: ANDREW HARNIK/ASSOCIATED PRESS
 ノーブル氏は「上院の指名承認公聴会は、こうした連中が閣僚の仕事に適格かどうかを真に判断するものでありたい。献金に報いるものであってはならない」と述べた。

 委員会メンバーに献金していた人物は、トランプ氏が指名した閣僚候補のなかで、議員経験者に限られていない。

 選挙運動資金情報公開記録によれば、例えばトランプ氏が教育長官に指名したベッツィ・デボス氏(米国児童連盟会長)は過去2回の選挙期間中、上院健康・教育・労働・年金委員会の議員5人に22万ドル強を親戚と一緒に献金していた。デボス氏自身の指名承認公聴会を開催する委員会だ。また中小企業庁(SBA)長官に指名されたリンダ・マクマホン氏(プロレス団体WWEの元最高経営責任者)は、同氏の承認公聴会を開催する委員会に所属する上院議員5人に12万6000ドル強を献金していた。

 トランプ氏は、次期大統領として富裕な支持者に対する恩義はないと述べていたが、その後、自身の選挙運動に対する大口献金者数人を次期政権の重要ポストに抜てきしたことを批判されている。

 トランプ氏の指名を受けた人々は、大統領選挙期間中にトランプ氏の選挙運動団体や連携するスーパーPAC(特別政治行動委員会)に合計で1050万ドル強献金していた。

 セッションズ氏は、自らのリーダーシップPACを通じて上院司法委員会の共和党議員8人のうち7人に4万2500ドルを献金していた。同委員会は10日、司法長官に指名されたセッションズ氏の承認公聴会を開催した。同氏は長官指名以前、長年にわたってこの委員会のメンバーでもあった。

 昨年の選挙期間中、セッション氏は同司法委員会のチャールズ・グラスリー委員長(共和、アイオワ州)に7500ドル献金した。グラスリー委員長は10日の公聴会開始にあたり、セッションズ氏との既存の関係を認めた。

 グラスリー委員長は、「われわれはきょう、上院でわれわれと一緒に20年間務めた同僚(セッションズ氏)の性格と適性を検討する」と述べ、「われわれは彼を良く知っている」と語った。

 トランプ氏から国家情報長官に指名されたコーツ氏は、上院議員を今年引退したが、自身のリーダーシップPACを通じて上院情報特別委員会のメンバー5人に2万5000ドル献金している。同情報委員会はコーツ氏の指名承認公聴会を開催する。

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http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/228.html

[国際17] ティラーソン氏の交渉術から占う米外交の行方 エクソンの経験は国務長官にいかされるか 経済予測に頼りすぎる投資家が失敗する
ティラーソン氏の交渉術から占う米外交の行方
エクソンを仕切った経験は国務長官としていかされるか
ENLARGE
国務長官に指名されているレックス・ティラーソン氏 PHOTO: ASSOCIATED PRESS
By
JUSTIN SCHECK, JAMES MARSON AND BRADLEY OLSON
2017 年 1 月 11 日 11:49 JST
 【モスクワ】ロシアによるクリミア併合に対して米政府が制裁措置に踏み切った後の2014年春、石油大手エクソンモービルの最高経営責任者(CEO)だったレックス・ティラーソン氏は大きな決断を下した。ドナルド・トランプ次期政権の国務長官に指名されている同氏は、ロシア政府との長年にわたる協力関係をさらに深化させる選択をしたのだ。
 その際に交渉の席に座った相手は、ロシア国営石油大手ロスネフチのCEO、イーゴリ・セーチン氏だ。同氏はロシア極東サハリンにおけるエクソンとの共同事業に関し、契約書を精査。しかしそこに予期していなかった言葉を見つけると顔をしかめ、ティラーソン氏の目を見て書類を破る行為に出た。
 その時の状況に詳しい人物によれば、ティラーソン氏は椅子にもたれて手を合わせ、静かに笑みを浮かべていたという。すでに数十億ドルに上る投資を行っているロシア側には選択肢が少ない――。その読みの通り、元情報当局者でありウラジーミル・プーチン大統領の最側近でもあるセーチン氏はやがて態度を軟化させ、両者は合意に至った。
 世界有数の石油企業のトップを何年も務めたティラーソン氏の交渉術は、状況の変化に左右されることなく自らの考えを貫き通すことが特徴だ。交渉相手との個人的な関係を築くことも多い。また大げさなほどのそぶりも事前に計算し、その考え通りに時にかんしゃくを起こしたり、交渉中に無言で相手を見つめたりすることもある。
ENLARGE
エクソンがロシアでも獲得した石油利権は他国を圧倒している。一方のロスネフチはエクソンと協力関係を結び成長を続けている
https://si.wsj.net/public/resources/images/P1-BZ776B_EXXRU_16U_20170109135710.jpg

企業の運営と国家の外交
 米上院は11日にティラーソン氏の国務長官指名を公聴会で審議する予定だ。同氏は何十年にもわたってさまざま国でビジネスを展開し、数十億ドル規模もの契約を結んできた。しかしこれら経験がどのように国務長官職に生かされるのかが、公聴会では問われるだろう。企業の運営と国家の外交は別物だからだ。
 またロシアが民主党のサーバーをハッキングしたとされる件もあり、民主・共和両党の多くの議員がティラーソン氏とロシアとの関係をよく思っていないと話す。そのため、エクソンとロスネフチの関係も両党議員から質問されると予測される。
 ロシアでの合意によってエクソンは数億ドルもの利益を手にし、将来の原油生産を支える数十億バレルの潜在埋蔵量を確保した。この合意は対ロシア制裁を決めた国務省の意向には反するものだが、厳密には、エクソンは既存の事業を拡大させたに過ぎず、制裁に違反はしていない。
 一方、北極海での事業は制裁を受けて停止したままだ。エクソンの広報を務めるアラン・ジェファーズ氏は、「この業界の行程は非常に長期にわたる」と話し、「現状では制裁対象地域での活動は禁止されているが、われわれは一時的なものだと見ている」という。
 ティラーソン氏はコメントを差し控えた。セーチン氏とロスネフチにはメールで質問したが、回答を得られていない。
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ティラーソン氏とプーチン大統領の友好関係の秘密は?(英語音声のみ、英語字幕あり) Photo: Getty Images
交渉中に本を投げつける荒技も
 ティラーソン氏は1975年にエクソンに入社し、2006年にCEOに就任。情勢が不安定な地域でも巨額な契約を結ぶなどし、数十億ドルの投資で数十年にわたって大量の石油やガスを生産する事業を立ち上げてきた。その際は交渉チームと何時間もかけて話し合いの場を持ち、交渉の場で生じる可能性のある事態を分析し、折衝戦略を練っていったという。
 1990年代にイエメンで行われた交渉では、ティラーソン氏が協議中に本を投げつけて離席したこともあったと元同僚は話す。しかしそれも事前に打ち合わせしたもので、ティラーソン氏は「怒りは感情ではなく、戦略だ」と同僚たちに説明していた。
 同氏が交渉したプロジェクトの中には、一部国家の国内総生産(GDP)より規模が大きいものもあった。時にティラーソン氏は部族のリーダーとお茶を飲みながら交渉をし、また時には政府高官をエクソンの施設に招待することもあった。しかし交渉になれば妥協することは少なく、自らの強さを全面的に押し出すことが多かったという。
 そのティラーソン氏がソ連崩壊後のロシア入りをしたのは1997年だ。当時は西側諸国のどの石油大手も、手つかずだったロシアの油田を狙っていた。しかしエクソンは他の企業が気付かなかった点に着目し、ロシア政府と手を組む道を選ぶ。ロシア政府との関係を強化すれば国営企業に事業を乗っ取られることもなく、政府による規制を受けることもない。他の西側石油大手が官僚主義的すぎるとして避けたロシア国営企業にも積極的にアプローチをかけたエクソンは、ロスネフチとサハリン島近くの原油・ガス田プロジェクトにも着手する。
 当時のロシア国営企業は「機材もなければ、技術もなかった」とロスネフチの元幹部は話す。しかしエクソンから資金面と技術面で支援を受け、同社は世界有数の石油企業へと成長。またエネルギー収入は国家の財政も潤わせ、プーチン氏の権力強化にも寄与した。 
 ティラーソン氏はロシアの閣僚と面会を重ね、法案などの提案もしたという。2001年から2004年までロシアのエネルギー相を務めたイーゴリ・ユスフォフ氏は、「彼は誰とでも会った」と話す。ユスフォフ氏が2002年にヒューストンを訪れた際は、ティラーソン氏がエクソンの施設のツアーガイド役を買って出たこともあったという。

サハリンで展開されているエクソンのプロジェクト(2006年撮影) PHOTO: REUTERS
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RN372_0106TI_M_20170106181009.jpg

ロシア政府からの友好勲章
 ロスネフチのセーチン氏はアフリカなどで情報員として活動し、プーチン氏の側近も務めた後、2012年に同社CEOに就任した。セーチン氏は午前3時に社員に電話をかけて出張を告げ、プロジェクトの遅延があれば声を荒らげることもあった。しかしティラーソン氏とは友好関係を築いていたと関係者らは話す。
 セーチン氏はティラーソン氏の表裏ない性格や、しっかりと物を言う態度を好ましく感じていたという。事情に詳しい関係者によると、ティラーソン氏は当時、西側諸国の企業幹部のなかでセーチン氏と言い合える数少ない人物の1人だった。
 両者の会談ではセーチン氏の要請でプーチン氏が電話をかけ、会談に足を運ぶこともあった。またプーチン氏はのちにティラーソン氏に友好勲章を授与しているが、これもセーチン氏からの申し出があって決まったものだったという。そしてプーチン氏もティラーソン氏に対して信頼を寄せるようになっていったという。
 エクソンとロスネフチが北極海でのプロジェクトを進めようとする中で、米国などによる対ロ制裁が科されることになった。その際、米国ではエクソンが制裁に反対するロビー活動を展開し、ティラーソン氏も政府高官に対して働きかけを行った。結果的にエクソンは北極海での事業から撤退したが、その後もティラーソン氏はサハリンでのプロジェクトなどについてロシア側とやりとりを続けた。
 ティラーソン氏はロシアとの関係について、エクソンとの合意事項にロシア側も信頼を寄せるようになったとし、「何年もかけて、互いに敬意を持つようになっていった」と2015年に話している。同氏はまた、「約束を守ることはとても意味のある行為だ。ゆえにそれが最も重要だと感じる」ともしている。
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経済予測に頼りすぎる投資家が失敗する理由

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RN841_2J4x7_M_20170109094931.jpg?width=1260&height=838
英国の気象予報士マイケル・フィッシュ氏は1987年、BBCテレビの天気予報番組で数時間後にやって来る大嵐を予報できなかったことで有名。

By JAMES MACKINTOSH
2017 年 1 月 11 日 07:10 JST

 神はどうしてエコノミストを作ったのか。気象予報士の引き立て役にするためだ。

 英イングランド銀行(中央銀行)のチーフエコノミスト――業界では最も重要な役職の1つ――が経済学者と気象予報士の最大の失敗を比較したことで、その古いジョークは息を吹き返した。

 英中銀のアンドルー・ホールデン理事は、(大嵐を予測できなかった)大失態後の気象学のように、より多くのデータと高度なコンピューターが経済予測を2007〜2009年の金融危機の予測失敗から回復させるのに役立つ可能性があると楽観視している。

 だが、それは楽観が過ぎるだろう。問題は気象予報と経済予測が異なっていることではない(後で触れるが、実際に重要な点が異なっている)。その2つが非常に似通っており、両方ともある状態から別な状態に、ごくわずかな変化で傾く可能性がある複雑なシステムを予想しようとしていることが問題なのだ。

 気象予報士たちが来年のあなたの誕生日に雨が降るかどうかを教えられないのには理由がある。それを予測するのは難し過ぎるのだ。信頼できる気象予報士であれば、特定の日や月の詳細な予測ではなく、非常に大まか(雨が多い、乾燥した、例年並みといった具合に)な長期予報に広範な可能性を持たせるだろう。

 あまりにも変数が多過ぎる経済についても同じことが言える。2017年の米国の経済成長率はどれぐらいになるのか。正しい答えは、「状況次第」である。ドナルド・トランプ氏が大統領として権力を行使して中国やメキシコからの輸入品に高い関税を課し、その両国が報復措置を取れば、経済成長率はそれをしなかった場合よりもかなり低くなるだろう。原油価格が1バレル=20ドルの場合と150ドルの場合でも成長率は大きく異なってくる。中東における紛争、中国の信用危機、株式市場の暴落、ユーロ圏での新たな危機などはすべて成長に打撃を与える可能性が高い。そうした明らかなリスクの他にも、予期せぬ銀行の破綻やジョン・メイナード・ケインズ博士が指摘したつかみどころがない「アニマルスピリット」もある。

 それでもエコノミストたちは答えを用意して待っている。経済調査会社コンセンサス・エコノミクスが先月に集計した予測の平均によると、米国経済は2017年に2.25%の成長を示すという。最低1.7%から最高3%までの幅はあるが、エコノミストたちの前年末時点の予想がそれよりも狭い範囲に集中したことは同社がこうしたデータを集計し始めた1989年以来で2度しかなかった。

 過去のデータはこうした数値がほとんど当てにならないということを示唆している。先週、ホールデン理事が指摘したように、経済学は国の経済の大きな転換点――事前の警告が最も必要とされているまさにその瞬間――の予測が非常に苦手なのだ。

 国際通貨基金(IMF)の調査局で開発経済学の責任者を務めるプラカシュ・ルンガニ氏とその共同研究者たちによる研究は、景気後退予測の失敗を示してきた。2008年と2009年には世界中で62もの景気後退が発生したが、コンセンサス・エコノミクスが前年の9月時点で集計した予測の平均では1つも的中していなかった。1度だけ米国経済縮小の予測が当たったことがあるが、そのときにはすでに景気後退が始まっていた。

 「経済予測において点推定があれほどまでに注目されるのはなぜなのか、私は少し当惑している」とルンガニ氏は述べた。

 投資家は経済学をジョークの本の中に追いやり、それを気にせずに生きていきたいという気持ちになるかもしれない。しかし、それは間違いだろう。経済学が役に立ち得るのは、異なるシナリオを評価するために正しく使われたときのみである。国の経済の具体的な予測には確率や明確な前提が欠かせない。しかもそうした前提は経済モデルや付録に隠されているのではなく、その予測のユーザーによって大いに吟味される必要がある。

 昨年6月の英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票の前に英財務省が発表した景気後退予測は、そうした前提の重要性を明白にした。その予測の前提は、金融政策は変更されない、首相は約束通りにEU離脱の手続きをすぐに開始するというものだった。

 どちらの前提も結果的に間違いで、英国経済は今のところ景気後退に陥っていない。問題は経済学ではなく、政治的選択に関する前提である。予測当時にブレグジットに対して警告を発した人やその後に批判した人はこれを概ね無視していた。キャメロン首相は辞任し、英中銀は景気への懸念に利下げで対応し、EU離脱手続きはいまだに始まっていない。

 経済学と気象学の最大の違いはここにある。気象予報が天候を変えるということはないが、経済予測は経済を変え得るのだ。中央銀行が景気後退を予測すると、その結果、中銀が景気後退を防止するかもしれない利下げを実施する公算が大きくなる。EU離脱手続きの開始が景気後退を引き起こすと警告した政治家たちは、少なくとも今のところ、慎重な姿勢を見せている。

 そうした予測のフィードバック効果は、経済学が気象予報のように改善されるというホールデン理事の楽観的観測が実現しそうにない理由の1つとなっている。また別な理由としては、数百万アイテムのオンライン価格を通じてインフレを測定するというマサチューセッツ工科大学(MIT)の取り組みのように、ビッグデータは多くの興味深い結果を生み出しているが、必然的に不完全に終わるということもある。スイスの金融大手UBSのエコノミスト、ポール・ドノバン氏が指摘しているように、実店舗での価格を無視することは「置き去りにされてきたが、より強く主張するようになってきた少数派」を除外することになるのだ。

 投資家にとっておそらく一番なのは、市場がある方向に行き過ぎているのを示すことが多い過剰な信頼感の監視装置として経済予測を利用することである。

 経済政策に関する不確実性が急激に高まっているにもかかわらず、エコノミストたちが成長見通しで概ね一致しているという事実は、彼らがサプライズに備えていないということを示唆している。1年前、そうした見解の一致は市場でポジションが集中している証拠の1つとなった。その後すぐに株価と国債の利回りが急落した。トランプ氏の大統領選出に触発された米国債から米国株への急激な資金の移動の後、今日の市場も悪いニュースに対して同様に敏感になっているようだ。

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http://jp.wsj.com/articles/SB12198237174475043532204582550473650523332



http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/229.html

[経世済民117] 米国で最も愛国的な自動車3社とは 自動車メーカー生き残る道 トランプ経済チーム分断  中国批判は北朝鮮リスク WM削減
米国で最も愛国的な自動車3社とは

 トランプ氏の基準で見ると、テスラ・BMW・フォードが選ばれるはず 
サウスカロライナ州の港に並ぶBMWの車両 PHOTO: LUKE SHARRETT/BLOOMBERG NEWS
By
STEPHEN WILMOT
2017 年 1 月 11 日 11:05 JST
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
***
 米国で最も愛国的な自動車会社はどれか。ドナルド・トランプ次期米大統領の基準で判断すれば、意外にも次の3社が上位に並ぶだろう。米電気自動車メーカーのテスラモーターズ、ドイツの高級車大手BMW、そして米自動車大手フォードだ。
 メキシコに組立工場を建設する自動車会社をトランプ氏がツイッターで批判したことで、デトロイトを拠点とする自動車会社は震え上がっている。トランプ氏は昨年、フォードに集中砲火を浴せ、メキシコ工場の建設を撤回させたことを自らの手柄とした。年が明けてからは攻撃対象を拡大させ、米ゼネラル・モーターズ(GM)やトヨタ自動車も批判している。
 トランプ氏の標的ははっきりしている。自動車工場を米国外に移転し、それによって国内の雇用を削減している企業だ。しかし名指しされた米自動車会社は、国内で販売されている車両のほとんどを実は国内で生産している。
 データ提供会社のワーズオートによれば、フォードは2016年1〜11月に米国で販売した車の95%を国内で生産していた。GMではその割合が83%だ。この割合を基準にトランプ氏が批判すべき企業を決めるとしたら、その筆頭はフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)になる。同社の場合、米国内で生産している車は国内で販売された車のわずか69%にすぎない。
自動車各社の米国内販売台数に対する国内生産の割合
(2016年1〜11月)
Automotive Patriots U.S.-made cars as a share of U.S.-sold cars, Jan-Nov 2016

NB: readings over 100% denote net exporters *Includes AM General, which makes the Mercedes R Class
THE WALL STREET JOURNAL Source: WardsAuto, Automotive News
 
 国内販売台数に対する国内生産台数の割合が最も高いのはテスラだ。生産台数は大手と比較すれば微々たるものだが、全ての車両を米国で生産し、その半分近くを輸出している。仮にトランプ政権が環境に関する規制を後退させ電気自動車業界を支える助成金を減らせば、テスラは打撃を受けるだろう。
 ドイツの高級車大手各社も、米国内で生産する企業として上位に入る。サウスカロライナ州に巨大な工場を持つBMWは米国内から輸出する車両の方が多い。傘下にメルセデスを持つダイムラーは、米国内販売台数の86%を米国で生産している。外国企業とはいえ、この2社はテスラと同様に高額な価格設定で利益率が高いため、コスト削減を目的に他国に工場を移転させる必要性が低い。
 フォードは例外だ。同社は一般大衆向けの車両を販売しながら主に国内で生産している。メキシコに新工場を建設したがっていたのも無理はない。
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi45ZeYm7nRAhVGU7wKHbpIDjUQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582551712061864008&usg=AFQjCNEIT-zSQIY2n45Z9GKcCk-r2BgSHQ

 


「自動運転」時代、自動車メーカーの生き残る道は
ウェイモとフィアット・クライスラー・オートモービルズが共同開発した自動運転車
By STEPHEN WILMOT
2017 年 1 月 11 日 11:11 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 自動車業界は今、二つの大きな変革に直面している。一つは電気自動車で、既存の業界秩序を揺るがす技術的・経済的な挑戦である。もう一つは自動運転車で、そうした秩序を破壊する可能性を秘めている。

 昨年10月のパリ国際自動車ショーが電気自動車の祭典だったとすれば、今デトロイトで開催されている北米国際自動車ショーは自動運転車(そして、カーシェアリング)の祭典となりそうだ。グーグルを傘下に持つ米アルファベットの自動運転開発子会社ウェイモは8日、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と共同開発した自動運転車のミニバンを公開した。この車にはウェイモが特許を持つセンサーやソフトウエアが多数搭載されている。

 電気自動車が実用化にこぎ着ける一方、自動運転車は公道での走行実験が始まったばかりで、規制上のハードルも数多く残る。そのため、自動運転の実用化に向けて大きな進展が見られるのは、しばらく先になりそうだ。

 それでも、従来の自動車メーカーや、自動車業界に挑んでいる異業種企業に投資する上では、今後どのような展開が待ち受けているかを理解しておくことが重要になる。こうした異業種企業の一角を占めるのが、アルファベット傘下のウェイモや、配車サービスの米ウーバー・テクノロジーズのようなIT(情報技術)企業だ。ウーバーはペンシルベニア州ピッツバーグの公道で自動運転車の走行実験を開始している。

 自動運転が実現すれば、タクシー事業のコストは激減し、マイカーの減少という代償は伴うものの「サービスとしてのモビリティー」への需要は高まる。従来よりも自動車の利用者が増える一方で台数自体が減れば、運転手と車の関係は一変するだろう。

 自動車業界、特にディーラーにとってのリスクは、自動運転の実用化により、顧客がさらに一部に偏り、その影響力も強まることだ。そうなれば、自動車業界を数十年にわたり支えてきたディーラー制度という安定したシステムも損なわれる恐れがある。 よく議論されているもう一つの問題として、「カーシェアリング向けにどの程度の台数が売れるのか」というものがある。ニューヨークに拠点を置く資産運用会社ARKの推計によれば、低コストの自動運転タクシーの販売台数はいずれ、欧州および北米の年間自動車販売台数の半分を占めるとみられる。他の推計はもっと慎重な水準を示している。例えばUBSは、この割合を新車販売の最大3?5%と予想している。公道上の車両数は減るものの、1台当たりの走行距離ははるかに伸びるとみられるため、買い替えサイクルは今よりも短くなりそうだ。

 IT業界の見通しに強気のARKなどは、自動運転技術が2019年に実用化するとみている。自動車業界関係者の間ではもっと慎重な見方が多い。だが現実は、実用化の時期よりもはるかに複雑なものとなる可能性が高い。なぜなら、自動運転技術は、まず一部の都市で導入され、その後に高速道路へ拡大され、その何年も後になってようやく地方へ広がるとみられるからだ。それでもこの10年間は、自動車販売への影響は微々たるものにとどまるだろう。

 自動車メーカー各社は、具体的な時期はともかく、モビリティー事業参入に前向きな姿勢を明確にしている。新興企業の株式を取得したり、新会社を立ち上げたりしている自動車メーカーは多い。例えば、米ゼネラル・モーターズ(GM)、トヨタ自動車、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の3社は、配車サービスを手掛けるリフト、ウーバー、ゲットにそれぞれ出資している。フォルクスワーゲンはこれとは別に、ライドシェアリング・サービスを手掛ける新会社を発足させるという意外な行動に出ている。これによる問題は、ウーバーと競合するものの成功に必要な規模を持たない小規模企業の増加を促しているという点だ。ドイツの自動車大手ダイムラーと高級車大手BMWがカーシェアリング事業の統合について協議中という朗報もあるが、この統合案は合弁事業パートナー関連の問題に既に直面している。

 こうした出資や統合の目的の一つは、自動車業界で最も貴重な資源となりつつある「データ」へのアクセスを確保することにある。自動運転車は、実際の走行状況から集めた大量のデータを学習することで自ら運転方法を学ぶとされる。ただ、データ収集でトップを走っているのは、モビリティーサービス事業者ではなく、アルファベット傘下のウェイモかもしれない。電気自動車大手の米テスラも顧客に販売した車両の実走行データを大量に集めている。

 自動車メーカーの中で、IT企業からの製造委託に唯一強い関心を示しているのがFCAだ。業界再編の必要性をよく訴えているFCAのセルジオ・マルキオンネ最高経営責任者(CEO)は、ちっぽけな企業に対して影響力を持つよりも、黒子としてIT大手と協業する方が好ましいとの見方を示している。

 自動車業界にはいま多額の利益が流れ込んでいる。販売台数が過去最大に迫っているほか、ガソリン価格の下落に伴い利益率の高い多目的スポーツ車(SUV)の魅力が高まっているためだ。それでも自動車株は投資家から敬遠され、株価は低迷している。

 電気自動車の台頭やその後の自動運転車の登場によって、自動車業界には資金力のある新たな競争相手が参入するだろう。また、景気に波がある資本集約的な製造業から、より安定したサービス業(広告事業面で高い潜在性がある)へと業界を転換させることにもなる。皮肉なことに、こうした変革が起きた後、投資家は現在の業界大手に対する評価以上に、この競争の勝者をはるかに高く評価する可能性がある。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjP2f6Vm7nRAhWDe7wKHSjRAjMQqQIIHTAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582552022071631912&usg=AFQjCNErWbX68Ny4QciYjLR77bIGHZ6vSg

 

トランプ政権の経済チームに潜む分断
次期政権が予想のつかない方向に導かれる可能性
トランプタワーを訪れた次期国家経済会議(NEC)委員長に指名されたゲーリー・コーン氏(2日、ニューヨーク) ENLARGE
トランプタワーを訪れた次期国家経済会議(NEC)委員長に指名されたゲーリー・コーン氏(2日、ニューヨーク) PHOTO: KENA BETANCUR/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By NICK TIMIRAOS
2017 年 1 月 11 日 07:12 JST

 米国のドナルド・トランプ次期大統領が編成しつつある経済チームにはお互い競合し、また矛盾する考えを持ったメンバーらがいるため、成長加速を目指す次期政権を予想のつかない方向に導く可能性がある。

 これまでのいくつかの任命はトランプ陣営に広まっていた分断を一段と深めている。チームの一方にはワシントンやウォール街出身で市場志向の顧問らが、そしてもう一方には自由貿易主義を敵視する面々がいる。

 トランプ氏は新設する国家通商会議のトップに対中強硬派の経済学者ピーター・ナバロ氏を起用すると決めた。ナバロ氏は選挙期間中に著名投資家ウィルバー・ロス氏と頻繁に連携し合っていた。トランプ氏から次期商務長官に指名されたロス氏は、貿易相手国に対してより攻撃的な姿勢を採るよう訴えてきた人物だ。

 この対極にあるのが、次期国家経済会議(NEC)委員長に指名されたゲーリー・コーン氏だ。コーン氏はゴールドマン・サックス・グループで長らく社長を務め、民主党に登録しているが特段の思想はないとみられている。NECは、財務省、労働省、住宅都市開発省、保健福祉省(HHS)および規制機関の政策決定を調整する。

 フラットな組織構造であると、これらの機関やその他の当局者がトランプ氏からの支持を競い合うかもしれない。また、トランプ氏には公職経験がなく、一部の政策課題について考えを変えたり、その他の課題についてはほとんど発言していないため、同氏の政策を巡る不確実性は高まっている。

 ブッシュ前政権で経済問題に取り組んだ経歴を持つトニー・フラット氏によれば、「過去の政権では、投票日には顔ぶれとその考えがおおむね分かっていた」。それに比べると、トランプ氏は予想しづらい。フラット氏は「確かに、誰もゲーリー・コーン氏の政権入りを予想していなかった」と述べた。

 トランプ氏は政策として、成長加速、税制改革、貿易相手国に対する姿勢の強化、バラク・オバマ大統領肝いりの医療保険改革法(オバマケア)の撤廃、インフラ支出、財政再建を目指すと訴えてきた。

 トランプ氏は選挙公約を実際の政策にしなくてはならない段階に来ており、問題が既に表面化している。トランプ氏と共和党議員は、オバマケアの撤廃が財政赤字を拡大させると同時に大量の無保険者を生み出しかねないとして、急いで推進することに懸念を示している。また次期政権は国境警備費として数十億ドルを要求する可能性もある。トランプ氏がメキシコ国境の壁の建設費用を最終的に同国に負担させると繰り返し言明していたためだ。

 トランプ陣営の幹部によると、選挙中に編成された経済チームは垣根なく協力し、このチームが示す多様な見方を一助に、トランプ氏は独自の経済ナショナリズムの詳細を詰めたという。

 ロス氏は次期商務長官指名が発表された際にFoxビジネスのインタビューで、「私たちは選挙中、正真正銘のチームだった。かなり前から互いをよく知っているため、これは新しいことではない」と述べ、「共に働くことはこの政権の特徴の1つになる」との考えを示した。

 トランプ氏の経済チームの中心は、コーン氏とスティーブン・ムニューチン氏の2人の銀行出身者が担う。次期財務長官に指名されたムニューチン氏は、コーン氏と同じく1994年にゴールドマンのパートナーに昇格した。過去10年の党派間の政策争いに加わってこなかった両氏はいわば「白紙」であることから、減税や規制緩和といった共和党の伝統的な政策にトランプ氏が求める中国の為替操作国認定やインフラ支出増加を融合させた政策を策定できる、と顧問らは話している。

 ゴールドマン・サックスからコーン氏とムニューチン氏が選ばれたことは、トランプ氏が昨秋の選挙戦で同社を痛烈に批判していたのと対照的だ。政権移行チームは両氏に加え、同社の幹部ジム・ドノバン氏を国内金融担当の次期財務次官の候補として検討している。

 トランプ氏の選択の中で政策スタンスの特異性が最も際立っているのは、次期行政管理予算局(OMB)局長に指名された財政タカ派のミック・マルバニー下院議員(共和、サウスカロライナ州)だ。マルバニー氏はこれまで、支出拡大を目指してきた共和党勢を痛烈に批判し、投票日からわずか数週間後にはトランプ氏がうたうインフラ支出に懐疑的な発言をしていた。

 そこで注目されるのがマルバニー氏がトランプ氏を説き伏せて大型の支出を抑え込むのか、それともトランプ氏の指示の下、自身と同じく懐疑的な下院保守派に短期の支出拡大を認めさせるのか、という点だ。

 また、経済チームのメンバーに指名された大半はワシントンの新参者だ。政権を立ち往生させかねない縄張り争いを避けながら、物事を進めるのに必要な議会との関係をいかに構築するかは大きな疑問だ。

 大統領執務室の顧問らも経済政策に関与してくるはずだ。彼らは選挙戦で政策責任者を務め、政権でも同様の役割を担うスティーブン・ミラー氏や、トランプ氏の下で長らく法務責任者を務め、外交交渉の特別代表に指名されたジェーソン・グリーンブラット氏だ。

 ブッシュ前政権で財務省の幹部だったジェブ・メイソン氏は、こうした組織体系によって、「誰が最終的な支配権を握っているかについて誰も分からないかもしれない」と述べた。

トランプ次期政権

株高呼んだトランプ氏の流儀、経済成長を保証せず
ゴールドマン出身の米経済会議トップ、政策論は未知数
FRB議長とトランプ氏、ひとまず意気投合
米大統領が経済の重力に逆らうとき

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjOnuy5m7nRAhVJyrwKHTvXD80QFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582550393432102480&usg=AFQjCNEMr-TQeaQhwYVknBggFsfGuAWE-Q


 


中国は「知的健全性」ある批判を尊重=米財務長官インタビュー
米国のルー財務長官は、中国が北朝鮮に対する制裁強化への支持を取り下げる原因になるような措置を講じることに警鐘を鳴らした

By NICK TIMIRAOS
2017 年 1 月 11 日 08:25 JST 更新

 【ワシントン】米国のジェイコブ・ルー財務長官は、経済の自由化に向けた中国政府の最近の措置を認めないようだと、特に北朝鮮の核開発など地政学的問題における中国の協力姿勢を脅かす恐れがあると警告した。

 ドナルド・トランプ次期米大統領は、財務省が次回4月に発行する半期に一度の為替報告書で中国を為替操作国に認定すると言明しており、次期政権が一連の関税で中国に圧力をかける措置の第一歩となる可能性がある。

 ルー財務長官はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、過去1年半にわたり中国が講じてきた人民元相場の防衛策は、為替相場を利用した不当な貿易優位性の追求から同国政府が離れていることを示していると指摘した。財務省が昨年10月に公表した直近の為替報告書は、中国をはじめとするアジアの輸出大国への批判を如実に和らげた。

 ルー長官は、中国が通貨防衛のため現在行っている為替介入策と、不当な貿易優位性を得るための元安を狙った介入を等しいとみなすのは「分析してみれば危険」と分かると指摘した。トランプ氏や同氏の顧問らは2016年の大統領選期間中、中国の為替政策を繰り返し非難していた。

 長官はさらに、中国が北朝鮮に対する制裁強化への支持を取り下げる原因になるような措置を講じることに警鐘を鳴らした。「北朝鮮に経済的圧力をかけたいなら、中国の協力はその重要な一部となる。経済的圧力の代替策は相当恐ろしいものになりかねない」と語った。

 また、中国政府は経済政策に対する正当な批判にはしばしば影響されてきたと指摘。15年8月に人民元の2%近い急落につながった為替政策変更の伝達方法について自身が厳しく批判した際もそうだったと述べた。

 「(中国は)公平かつ知的健全性のある批判を尊重する。機嫌を損ねるのは、風刺されている、あるいは事実が無視されていると感じる時だと思う」と語った。ルー氏は1月20日で財務長官としての4年間の任務を終える。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwic_ZO3m7nRAhXMwLwKHV0YBVMQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582551773014675772&usg=AFQjCNHHnetwQynj20dQ1raZga96yPw3tw

 

ウォルマート、月内に追加人員削減へ=関係者

追加の人員削減は人事部門が主な対象

By SARAH NASSAUER
2017 年 1 月 11 日 05:18 JST

 小売り世界最大手の米ウォルマート・ストアーズは月内に本社で追加の人員削減を実施する準備を進めている。事情を知る複数の関係者が明らかにした。

 関係者によると、年度末の1月31日までに本社および店舗を支援する支部で数百人を削減する計画だ。人事部門で多く削減する。この部門は規模が大きく、幹部らは効率化を進めるか、外部コンサルタントへの業務委託が可能とみている。その他の部門も削減対象になる可能性がある。

 ウォルマート広報のグレッグ・ヒット氏は「一層効率的かつ効果的に事業運営する方法を常に模索している」とし、「絶えず企業構造も見直していくが、まだ発表には至っていない」と述べた。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiHz5KEnbnRAhVOO7wKHVAlBXQQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582551530973368486&usg=AFQjCNE0JDcPJS_dufBFSwLfTPzMADxL8A



http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/669.html

[国際17] トランプ氏側近と露の共謀、米情報当局が調査 ロシアは脅迫できる 金融業界「カリスマ」米大統領顧問に エクソン対ロシア誤解
トランプ氏側近と露の共謀、米情報当局が調査
トランプ氏を脅迫できる材料をロシアが握っているとの情報、本人にも報告
トランプ次期大統領(写真)に不利な材料をロシアが握っているとの話がここにきて表明化した 
By SHANE HARRIS, DEVLIN BARRETT AND ALAN CULLISON
2017 年 1 月 11 日 15:21 JST 更新

 米大統領選の選挙期間中にロシア政府の工作員がドナルド・トランプ次期大統領の陣営アドバイザーや同氏の企業の従業員と一緒に広く陰謀に関与したとされる問題で、米情報当局と連邦捜査局(FBI)が数カ月間、欧米のある元情報機関員が収集した情報に基づくその主張の裏付けを試みていることが複数の関係者の話で分かった。

 トランプ氏は6日に、ロシアによる米大統領選への干渉に関する報告書について当局者から説明を受けたが、その際の機密文書には2ページにわたる添付文書があった。そこにはその真偽は確認されていないものの、トランプ氏を脅迫するのに利用可能な材料をロシアが持っているとの主張が記されていた。情報当局の幹部が添付文書にまとめるに十分な重要性があると判断したためだと関係者は話す。

Donald J. Trump ✔ @realDonaldTrump
FAKE NEWS - A TOTAL POLITICAL WITCH HUNT!
10:19 AM - 11 Jan 2017
23,661 23,661 Retweets 66,865 66,865 likes
 この話が表面化した10日夜、トランプ氏はツイッターに、「偽のニュースだ――完全に政治的な魔女狩りだ!」と大文字だけを使った文で投稿した。

 米当局者はこの機密文書の要約がトランプ氏に渡っていることを認めた。真偽が不明な情報を共有するのは、トランプ氏に関する不利な言い分が公になり得ることについて自身が認識しておくべきとの警告的な意味合いから判断されたものだと説明。この決定には情報収集活動の専門家も同意する。政府関係者によると、バラク・オバマ大統領も同じ情報を得ている。事情に詳しい関係者によると、情報当局は調査を続行中だ。

 当局がトランプ氏にこの情報を伝えたことについて、マイケル・ヘイデン元中央情報局(CIA)局長は「この決定がどれだけ難しかったか私には分かる」とし、次のように述べた。「われわれがこのデータを持っているのであれば、同じデータを持っている人は他にもいるかもしれない。その真偽にかかわらず、次期大統領は知っておくべきだと当局が考えたのは理解できる」

 添付文書の内容は元情報当局者が書いた機密メモに含まれていた。その中には、トランプ氏の弁護士であるマイケル・コーエン氏がロシア政府関係者と連絡をとり、ヒラリー・クリントン前国務長官に不利な選挙展開になるようロシア政府の指示で動いているハッカーに、どうやって現金を支払うかについて話し合ったとの記述もあった。コーエン氏は昨年8月にチェコでロシア政府関係者と会ったとされているが、関係者によると、FBIは同氏がチェコに渡航した証拠をつかんでいない。

 コーエン氏は10日夜のインタビューで、ロシア政府関係者との面会を否定。この件に関してFBIをはじめ、どの政府機関からも連絡を受けていないと述べた。トランプ氏からも連絡はないという。コーエン氏は以前、ジャーナリストからの取材を受けていたため、この件について知っていたと述べた。

 関係者によると、トランプ氏に関する情報を収集した元情報機関員は民間調査会社に勤めており、同氏について調査するため民主党にも共和党にも雇われていた。元情報機関員のメモは捜査当局や情報当局、一部の連邦議員、さらにウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を含む報道機関の間で数カ月間にわたって出回っていた。米情報当局は同メモについて、その真偽を確認することはできていないが、元情報機関員は長きにわたる実績があり、情報当局者の間で尊敬されてきた。WSJはこの情報の真偽を確認できていない。

 元情報機関員のメモは当局による裏付けが困難ではあるものの、大きな関心の的となってきた。メモには、トランプ氏と売春婦との性的関係についてロシアが証拠を握っており、トランプ氏を脅迫する材料として将来に備えているとも記されている。

 メモの全文は10日夜、ネット上に掲載された。折しもトランプ氏と米情報当局は、ロシアによる米大統領選への干渉があったかどうか、またその理由を巡って1カ月にわたって対立を繰り広げている最中だ。

 トランプ氏は6日に情報当局から説明を受けた後に発言のトーンを弱め、ハッキング行為へのロシアの関与を認めたように見えた。その後、ロシアと良好な関係を維持することが米国にとって重要だと付け加えた。

 ロシア政府関係者は、米大統領選に関するハッキング行為への関与や選挙への干渉を試みたという点について、繰り返し否定している。

 今週はトランプ氏が指名した閣僚の承認公聴会が上院で開かれるほか、11日には7月以来となる本人の記者会見が予定されている。真偽が不明な情報が表面化したことで、波乱含みの週になりそうだ。

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物議醸す金融業界の「カリスマ」、米大統領顧問に
スカイブリッジ・キャピタル創業者のスカラムッチ氏は大統領顧問として政権入りする見通しだ

By DAVE MICHAELS AND LISA BEILFUSS
2017 年 1 月 11 日 13:39 JST

 米ヘッジファンドのスカイブリッジ・キャピタル創業者、アンソニー・スカラムッチ氏(53)がドナルド・トランプ次期米大統領の顧問に就任する見通しとなった。テレビやツイッターなどで次期大統領の意向を忠実に代弁してきたゴールドマン・サックス出身のスカラムッチ氏が政権入りすれば、トランプ政権の要職に就く金融業界出身者がまた一人増えることになり、とりわけゴールドマン色が一段と濃くなる。

 自己アピール力や好機を捉えた取引、失敗からのし上がる才覚などを通してキャリアを積み上げてきたスカラムッチ氏について、1996年に同氏と共同で資産運用会社を立ち上げたアンドリュー・ボスハルト氏は「権力の中枢で活躍することはアンソニーが常に切望してきたことだ。多くの点で(彼にはウォール街よりも)ワシントンの方がしっくりすると思う」と語った。

 スカラムッチ氏は2008年の大統領選でバラク・オバマ氏を支持したが、その後、オバマ大統領の金融危機への対応を批判するようになり、公開討論会で金融規制強化を巡って大統領に直接抗議することもあった。

 16年の大統領選でもオバマ政権の投資顧問規制について、連邦最高裁判所が1857年に下した奴隷所有を認める悪名高い判決になぞらえるなどして再び物議を醸した。また、共和党予備選でトランプ氏の対立候補2人の資金集めに携わるなど、トランプ氏の側近に加わるまでには紆余曲折があった。トランプ氏を「お金のためなら何でもやる政治家」、「生まれながらの金の亡者」と攻撃したこともある。

 だがトランプ氏と個別会談して以降、態度を変え、16年5月にはトランプ陣営の資金集め担当に就任。同氏の当選後は政権移行チームの執行委員会メンバーに加わった。

 スカラムッチ氏のキャリアを培ってきたのはそのカリスマ性だ。ゴールドマン在籍中、91年に不動産関連の投資銀行部門から追い出され株式営業部門に移ったときも、株の営業マンとして卓越した実績を上げた。

 ゴールドマンを辞めた後、資産運用会社を創設し、やがてこれをニューバーガー・バーマン・グループに売却。そして次に立ち上げたのがスカイブリッジ・キャピタルだ。スカイブリッジは幾つもの新しいヘッジファンド運用会社に出資したが、08年の金融危機で投資に失敗し、創業当時からの出資者の資金を失った。だが、シティグループのヘッジファンド運用部門を買収し、経営を立て直した。

 91年当時、上司としてスカラムッチ氏に営業部門への異動を勧めたマイケル・ファシテリ氏は同氏について、「アナリストやアソシエイトとしてはトップクラスではなかった」が、「誰かと取引する能力や自分の直感を信じてそれを売り込む能力など、彼の持つ力量がより発揮できる場面では、実に素晴らしい仕事ぶりだった」と語った。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiIn6julrrRAhVETbwKHWjgC8AQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582552231743994176&usg=AFQjCNFnrM4dsFQNnbeYmRLQUPqo7L6m3A


 

【オピニオン】
エクソン対ロシアに関する誤解
石油大手ロスネフチとの合弁事業は、オバマ政権による対ロ関係「リセット」の産物
次期国務長官に指名されているレックス・ティラーソン氏

By HOLMAN W. JENKINS, JR.
2017 年 1 月 11 日 18:14 JST

――筆者のホルマン・ジェンキンス・ジュニアはWSJ論説委員で「ビジネスワールド」欄担当コラムニスト

***

 次期米国務長官に指名されているエクソンモービルのレックス・ティラーソン元最高経営責任者(CEO)の公聴会が、11日に上院で開かれる。審議を行う議員たちの時間を無駄にしないためにも、ここでいくつかの誤解に関して事前に取り上げておきたい。

ロシアの原油が必要なエクソンはウラジーミル・プーチン大統領の人質だ

 エクソンとロシア国営石油大手ロスネフチとの間で結ばれた2011年の合意に関し、ロシア側は桁違いとも言える収入が得られる可能性があるとしていた。この時の数字は今も一部の左派グループがよく取り上げる。独立系メディアのデモクラシー・ナウは「5000億ドル(約58兆円)規模」とされるこの協力事業があるため、ロシアはトランプ氏を当選させようとしたと最近も報道している。

 しかし、この規模は大手石油会社からすれば小さい。エクソンはロシアに対する制裁によって10億ドルの損失が生じたとしているが、もともと両社は32億ドルを支出する予定だった。エクソンの年間売上高2400億ドルや時価総額3600億ドルに比べても、ごく小さな額だと言えるだろう。

エクソンは米国の国益を無視してロシアとの関係を築いた

 合弁事業の合意は、実際はバラク・オバマ大統領が主導した対ロ関係の「リセット」が生みだしたものだ。2009年にモスクワでプーチン氏と首脳会談を行ったオバマ氏は、その際にエクソンの幹部を同行させて財界人会議にも出席。その20カ月後、モスクワ大学での講演の中でジョー・バイデン副大統領もこの時の会議の成果に触れている。オイル・デーリー紙はこれを受け、「エクソンとロスネフチの提携、ホワイトハウスも祝福」と題した記事を掲載したほどだ。

ロシアによるクリミア併合に対する制裁にエクソンは反対した

 これは実際に反対したが、あくまでも不可抗力だとエクソンは理解している。プーチン氏はクリミアを手にしたが、一方で制裁によってシェールガスや北極海開発に関するエクソンのノウハウが断たれたことが最大の痛手だった。このことにも注目するべきだろう。

ABCニュースのブライアン・ロス氏いわく、ティラーソン氏はプーチン大統領の友人というだけでなく同氏を「臆面もなく尊敬している」

 プーチン氏にとって「友達」とは、いざとなればオオカミの群れに投げ込めるような相手を指し、プーチン氏の「友達」も実際はすきあらば同氏を痛めつけたいと考えている人たちだ。

 ティラーソン氏はどちらかといえば尊敬される側の人物であり、プーチン氏もそう感じている可能性がある。ロシアのガスプロムがサハリンにおけるエクソンの権益を横取りしようとした際、ティラーソン氏はCEOとしてそれに立ち向かった。

 一方のプーチン氏は自己保身を計算した上で、このような企業間の衝突に干渉しないこともある。ロスネフチが同業のバシネフチを買収しようとした際も、プーチン氏は次々と態度を変え、当初は反対しておきながら最終的には賛成に回っている。

 しかしロシアのエリート層が利権を獲得したいがために英石油大手BPやロイヤル・ダッチ・シェルを脅したことなどは、政権維持にとって脅威であるだけでなく、貴重な石油収益の障害となる可能性があるとも同氏は理解している。

ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスのマシャ・ゲッセン氏は、エクソンが「石油大手の中でも断固として再生可能エネルギーに投資しておらず」、「直近の収益を最大化し、未来の世代が地球で生活を続けることを脅かす戦略を取っている」としている

 ティラーソン氏の指名に関する公聴会では、ロシアに関する質問以外は環境問題が主なテーマとなるだろう。しかし上記のような指摘には、よく見られるいくつかの間違いがある。まず石油地質学を専門とする企業が風力発電や太陽光発電に投資することはあまり意味がない。これらはまったく別のスキルを必要とするジャンルだ。石油企業がそのような活動をするとしたら、それは企業広報の一環であり、年次報告書に風車やソーラーパネルの写真を掲載するためのものだ。

 そもそも「直近の収益を最大化」させる最も簡単な方法は、投資などしないことだ。しかしエクソンはこれまでも多くの投資をし、桁外れの利益の半分ほどを過去10年にわたり自社株買いや配当で株主に還元している。

 エクソンは炭素税の導入を積極的に推進していないため、左派からも右派からも偽善者呼ばわりされる。しかしエクソンは議論をする以上はしっかり論点を整理する面も見せ、炭素税が排出量取引よりも優れている点なども挙げている。

 エクソンは気候変動が「リスク」であるとしているが、それと同時にその「リスク」は一般的に考えられているほど科学によって証明されているものではないとの認識も持っている。この態度にはいずれの立場の人も困惑するかもしれない。

 しかし11日の公聴会ではやはりロシアに関する話題が主なテーマになるだろう。米政府はアンナ・ポリトコフスカヤ氏やボリス・ネムツォフ氏の殺害、そして1999年に発生したロシアのアパート連続爆破事件などにおけるプーチン氏の役割を追求していない。公聴会ではティラーソン氏がこれら問題に関してプーチン氏を批判するようなシナリオが発生する可能性もあり、注目だ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルに10日に掲載されたデービッド・サッター記者の記事は、公聴会を通してプーチン政権の本質が暴かれることに期待を寄せている。しかしそれは難しい注文だろう。チェスの世界チャンピオンであるガルリ・キャスパロフ氏が2年前の著書で紹介した通り、「もし彼らが事実を認めてしまったら、それに伴う行動を取らなければいけなくなる。しかし連中の中に行動をとりたがる人はいない」からだ。

 ロシア政治はタフで危険も伴うが、誰かが対応しなけらなければならない。米国はプーチン氏についてそのような考え方を持っていた。複雑な世界情勢において何を持って成功とするか定義をするのは難しく、ティラーソン氏が次期国務長官として成功するかどうかは現時点では不明だ。ただ米国は少なくとも、難しい任務を成功させてきた経歴を持つ人物が国務長官の座に就くことになる。

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http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/233.html

[国際17] トランプ氏とロシアの蜜月、米議会圧力で終焉か トランプ「ロシア巡る報道はうそ」 トランプ政権、現状より好ましい=ドイツ銀
焦点:
トランプ氏とロシアの蜜月、米議会圧力で終焉か

 1月9日、ドナルド・トランプ次期大統領は対ロ関係を改善したいという希望がある一方、ロシアによる米大統領選介入問題を受け、同国に対してさらに厳しい対応を求める党内の圧力にさらされているいる。写真は2016年11月、モンテネグロに掲げられたトランプ氏とロシアのプーチン大統領の看板(2017年 ロイター/Stevo Vasiljevic)
Phil Stewart

[ワシントン 9日 ロイター] - ドナルド・トランプ次期大統領は板挟みの状況に置かれている。対ロ関係を改善したいという希望がある一方で、ロシア政府による米大統領選への介入を米情報当局が指摘したことで、同国に対してより厳しい対応を求める共和党内からの圧力に直面しているためだ。

トランプ次期政権で首席補佐官に就任するラインス・プリーバス氏が8日、民主党組織に対するハッキング行為の裏にロシアの存在があることを暗に認めたことが示すように、トランプ氏にとっては駆け引きの余地が少なくなっている可能性がある。

ロシアが大統領選期間中のハッキングに関与している(ロシア側は否認)、あるいは11月の本選挙におけるトランプ氏の勝利を支援しようとしていたという情報当局の結論に対し、トランプ氏はこれまでずっと否定的であり、システムへの侵入は中国か「ベッドに座った400ポンド(約180キロ)のハッカー」の仕業だろうと発言してきた。

だが先週、米国の情報機関がこの件でロシアのプーチン大統領を批判したことを受けて、1月20日の大統領就任後、トランプ氏は軍事、外交、経済、そして恐らく諜報の分野で、ロシアに対する厳しい対応を求める声に直面するだろうとロシア問題の専門家は指摘する。

トランプ氏の政権移行チームにも影響力を持つ保守系シンクタンクのヘリテッジ財団のナイル・ガーディナー氏は、「米新政権はかなり厳しい方針を採る必要があるだろう」と語る。

トランプ氏が進めるロシアとの関係改善の動きを憂慮する共和党議員らが、プーチン大統領が何よりも望んでいる成果を与えないよう、新大統領に圧力をかける可能性がある、と専門家は指摘する。それは2014年のクリミア地方併合とウクライナ東部の分離独立主義者に対する支援をめぐりロシアに科した経済制裁を早期軽減することだ。

米情報機関によれば、大統領選以降、ロシアのスパイによるハッキングの標的は、民主党以外の個人や著名シンクタンクを含む組織に移っており、アナリストは、これは今後の米国政策を把握しようという試みであると考えている。

著名ロシア問題専門家ストローブ・タルボット氏が率いるブルッキングス研究所には、「大統領選の翌日、大量のサイバー攻撃が仕掛けられた」ものの、システムに問題が生じたという兆候はない、と同研究所の広報担当バイスプレジデント、デビッド・ナッサー氏は語った。

<議会との対立はあるか>

共和党のリンジー・グラハム上院議員は、同党のジョン・マケイン上院議員(上院軍事委員会委員長)とともに、現行よりも厳しい制裁を科すための法律を導入すると述べた。

「彼ら(ロシア)の最大の弱点である金融部門・エネルギー部門に打撃を与えるような制裁を導入するつもりだ」とグラハム上院議員は、NBCの「ミート・ザ・プレス」で語った。

新政権の国防長官に指名されたジェームズ・マティス氏(元中央軍司令官)は12日に上院の指名承認公聴会に臨む予定だが、トランプ氏が選挙期間中に語ったものよりも厳しい対ロシア政策を主張すると予想されている。

その場合、マティス氏は、トランプ政権の国家安全保障担当補佐官となるマイケル・フリン氏(退役陸軍中将)や国務長官に指名されているレックス・ティラーソン氏と意見が対立することになる。フリン氏はプーチン政権と比較的良好な関係にあるし、ティラーソン氏も米石油大手エクソンモービル(XOM.N)のCEOとして、ロシアとの関係が深かったからだ。

マティス氏がロシアに対する強硬なアプローチを推進すれば、欧州における米軍のプレゼンス強化を訴える人々を勢いづける可能性がある。その方策としては、バルト3国やポーランドにおける米軍の強化が考えられる、とアナリストは分析する。

北大西洋条約機構(NATO)はすでに、年内に旧ソ連の共和国だったバルト3国とポーランドに4万人の兵員と航空機、戦車、火砲を追加配備することを計画している。

「欧州のNATO加盟国は、トランプ新政権に神経を尖らせている」と欧州のある外交官は語る。「ロシアに大きく譲歩すれば、NATOの針路は根本的に変わってしまい、欧州は分裂の危機にさらされるだろうという」

「しかし、われわれの予想は違う。NATOはバルト地域の同盟国を安心させようと努めているし、米国は抑止の重要な一翼を担っている」と同外交官は付け加えた。

ロシアによるハッキングに対する強硬な対応を主張する人々の一部には、サイバー領域での反撃を含めるべきとの意見もある。プーチンの側近や盟友にとって不都合な資金情報のリークなどが考えられる。

これまでのところオバマ政権は、少なくとも公式にはそうした行動を自制してきた。サイバー戦争がエスカレートして、金融取引やエネルギー伝送といったきわめて重要なインフラに脅威が及ぶことを懸念しているからだ。

<新政権の対ロ政策は依然不透明>

米国がロシアによるハッキングを公表したことを受けて、トランプ氏は、米国は「もっと大きな、より良いことに取り組んでいく必要がある」と主張しているが、共和党や民主党議員らがこの問題を早々に取り下げる可能性は低い。

マケイン上院議員は、共和党優位の上院における指導者層をその気にさせることができれば、ロシアによるハッキングを調査する特別委員会を設置したいとNBCに語っている。

その一方で、同議員は軍事委員会や情報委員会など上院の主要委員会でも調査が行われるだろうと述べている。

ロシアの活動に関する精査は、トランプ新政権が、かつての冷戦時代の仇敵であるロシアに関する包括的な戦略の策定を始めるタイミングで行われるだろう、と専門家は予想する。トランプ政権による対ロシア戦略の明確な方向性が見えてくるまでには、あと数週間、あるいはそれ以上かかりそうだ。

「チームが発足し組織がもう少し整うまでは、はっきりした答えは見えてこないだろうと考えている」と現在は戦略国際問題研究所に所属するヒザー・コンリー元国務次官補(欧州担当)は語った。

(翻訳:エァクレーレン)

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[10日 ロイター] - トランプ次期米大統領は10日、ツイッターへの投稿で「うそのニュースだ。完全に政治的な魔女狩りだ」と述べた。ロシアの諜報員がトランプ氏に不利な情報を取得したとする報道を受けたコメントとみられる。

CNNによると、トランプ氏に対してクラッパー米国家情報長官ら情報機関幹部が先週に説明を行った機密文書に、ロシアの諜報員がトランプ氏に関する不利な情報を取得したと主張しているとの指摘が含まれていた。
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トランプ米次期政権、現状より好ましい=ドイツ銀エコノミスト

[フランクフルト 10日 ロイター] - ドイツ銀行(DBKGn.DE) のチーフエコノミスト、デービッド・フォルカーツランダウ氏は、トランプ次期米大統領によって「平凡な現状」の改善と経済成長の加速が期待できるとの見方を示した。

同氏は9日に開かれたジャーナリストとの夕食会で、米政権交代によって「独断から実用主義への変化」が起きるとの見解を示すとともに、米経済の成長率が2016年に見込まれる1.5%から18年には2倍以上に加速すると予想した。

「トランプ氏によって不確実性は高まるが、平凡な現状が続くという確実性よりも好ましい」と指摘した。

トランプ氏が指名した閣僚についてフォルカーツランダウ氏は、「企業家政権」と表現したうえで、「より柔軟なやり方で意思決定がなされるだろう」と述べた。

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オバマ大統領が最後の演説、米国の価値の低下防止を訴える

[シカゴ 10日 ロイター] - オバマ米大統領は10日、シカゴで任期最後の演説を行った。2期8年を振り返り、大統領としての役割を担えたことは自身の人生において光栄だったと言明。国民に対し、米国の価値を守り、差別を受け入れないよう訴えた。

トランプ次期大統領の政策については一部を否定する姿勢をうかがわせた。

オバマ大統領は1万8000人の群衆を前に「米市民としてわれわれは引き続き外部からの攻撃に警戒の目を向けなければならない。われわれの価値が低下するのを防がなければならない」と呼びかけた。

オバマ氏は米大統領選で民主党のクリントン候補の応援演説を行った際、イスラム教徒の入国停止やメキシコとの国境に壁を築くといったトランプ氏の政策への反対姿勢を鮮明にしていたが、この日も自身の立場に変わりがないことを示した。

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オバマ氏が黒人として初めて米国の大統領に選ばれたことで、米国が抱える人種差別問題の解決への期待が高まったが、これについては実現が困難だったと認めた。

その上で、若い世代に望みを託し、変革をもたらす力を信じるよう、「私たちにはできる(Yes We Can)」と呼びかけた。最後にオバマ大統領は、「私たちはやり遂げた(Yes We Did)」と振り返り、改めて「私たちにはできる」と繰り返して、演説を締めくくった。

*一部表記を修正しました。

スライドショー:オバマ大統領最後のスピーチ


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President Barack Obama wipes away tears as he delivers his farewell address in Chicago, Illinois./Jonathan Ernst
REUTERS/JONATHAN ERNST
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[経世済民117] 中国の不動産市場に不安再燃 中国脅威小さい 31歳CEO1兆円資産運用 ジャンク投資慎重に トラ相場小休止 スタバGX
HEARD ON THE STREET
中国の不動産市場に不安再燃

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RO312_2aJY9_M_20170109233138.jpg

中国・深セン市の不動産価格は2年間で2倍に(写真は同市でビルの模型を製作する工房)PHOTO: FRED DUFOUR/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By
JACKY WONG
2017 年 1 月 11 日 16:12 JST
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
***
 高揚感が1年以上続いた中国の住宅市場だが、先行きは危うくなってきた。
 中国の不動産価格は2015年の回復が持続し、16年1〜11月に18%急騰した。不動産価格の上昇は都市ランクでトップのいわゆる1級都市に分類される大都市から始まったが、その後、より小さな都市にも波及した。例えば、南部の主要都市、深センでは不動産価格が昨年は29%上昇し、2年間で2倍に達した。上海では不動産価格は昨年、24%上昇した。3級都市に分類される都市では9%上昇と、3年ぶりに上昇に転じた。
 しかし、こうした活況は昨年の話だ。不動産価格は突然失速し始め、今がピークという見方もある。地方政府はここ数カ月、住宅購入制限を導入し不動産価格の暴走を抑制し始めている。中央政府が翌年の経済政策を決める中央経済工作会議は昨年12月、不動産バブルの抑制を最優先課題の一つに掲げた。政府が大きな役割を果たす市場では、政策の転換が明確に先行きを指し示す。
 不動産は中国経済のほぼ全てに関わっていることから、方向転換は容易ではないだろう。土地の売却が主な収入源の一つになっている地方政府にとっては、不動産価格の崩壊は打撃となる。また、国営の銀行システムは、住宅ローンおよび不動産プロジェクトへの資金提供という直接的な形でも、企業向け融資の担保という間接的な形でも、不動産市場にべったり依存している。国営企業は昨年、土地を積極的に購入した。それも近隣のアパートより価格が高いような土地を買いまくったのだ。
中国の住宅価格の推移
(緑:1級都市、黄:全国、薄緑:2級都市)
High Rise Housing price performance in China

THE WALL STREET JOURNAL. Source: Wind Info

 こうした中で不動産投資を減速させようとするのは綱渡りだ。不動産関連融資は16年1〜9月期に25%増加し、銀行システムの債務額は4兆3200億元(約72兆円)拡大した。住宅ローンはこれを上回る33%の増加となった。市場全体で見ると、住宅ローン資産価値比率(LTV)は55%で落ち着いた水準のように見えるかもしれないが、新規の住宅購入者のレバレッジ比率はもっとずっと高い。UBSの試算によると、新規住宅購入者のLTVは70%近くと、現金での購入が一般的だった中国の基準からすると高い。住宅価格が下落すれば、深センなどの急成長都市を中心にLTVは危険な水準に達しかねない。
 最大手の不動産開発業者の一部も債務を抱え込んでいる。資産額で国内最大手の開発業者、中国恒大集団の純債務額は14年末と比べ倍増している。碧桂園や融創中国控股(サナック・チャイナ)など他の不動産開発業者の借入額も不動産ブームで膨れ上がった。
 積み上がったリスクと広範な経済への影響を考慮すれば、同国の不動産市場は投資家が注目すべき世界で最も重要な分野かもしれない。今年、高揚感が再び懸念に変わりそうだ。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiGm5LcmLrRAhWFm5QKHawqBNwQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582552432438081786&usg=AFQjCNHYH5imG-t6pvI24Bwg0RLVnIGArw

 
モルガンSが提携の新興企業、富裕層資産分析テクノロジーで急成長
Hugh Son
2017年1月11日 13:01 JST

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• アディパーの従来の顧客は独立系投資顧問やファミリーオフィス
• 大手金融機関とも協議中、プラットフォーム資産が昨年に倍増

米大手金融機関のモルガン・スタンレーは、超富裕層の資産を独立系投資顧問やファミリーオフィスが運用するのを助けてきたシリコンバレーの新興企業と提携した。ウォール街では従来の金融機関では簡単にまねできないサービスを提供するテクノロジー企業と組む傾向が見られ、その最新例となる。
  モルガン・スタンレーが組んだのはアディパー(本社カリフォルニア州マウンテンビュー)。同社のデータ集約ソフトウエアをモルガン・スタンレーの複数のプライベートウェルス・チームが活用していると、アディパーのエリック・ポイリエ最高経営責任者(CEO)が述べた。顧客の複雑な保有資産を運用担当者が把握するのを手助けするテクノロジーを武器に同社は急成長し、プラットフォーム上の資産は昨年ほぼ倍増して5600億ドル(約65兆円)に達した。

エリック・ポイリエ氏

Source: Addepar Inc.
  アディパーと組む米大手金融機関はモルガン・スタンレーが初めて。ここまでの成長は主に、富裕層の資産運用をめぐって銀行と競争する規模の比較的小さい、独立系の投資顧問会社が支えてきた。
  ポイリエCEO(34)は「銀行と競争する顧客によって、われわれの力が証明された」とインタビューで述べ、「今や銀行は自らが不利な状況にあると感じてわれわれの技術を採用している」と付け加えた。
  アディパーにはベンチャーキャピタリストのピーター・ティール氏が出資。同社のソフトウエアはポートフォリオを横断して投資エクスポージャーを追跡・分析するため、運用担当者がそれに費やす時間を顧客対応に充てることができる。
  ポイリエCEOはこの調子でいけば、プラットフォーム資産は年末までに1兆ドルに達すると試算した。現在は大手金融機関と協議中とした上で、今後は年金や寄付基金、ソブリンファンドとも組みたい意向を示した。最終的には「金融の基本ソフト(OS)」を構築し、フェイスブックやグーグルがマーケティングや広告の世界を一変させたように金融業界の非効率性を解消したいとも話した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iQTG40FY8X8I/v1/-1x-1.png
原題:Morgan Stanley Signs With Asset-Gobbling Startup Backed by Thiel(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJLIEB6S972F01


 


中国の脅威、むしろ小さい
スタンダードチャータードの為替相場予想
Lilian Karunungan
2017年1月11日 16:28 JST
• 米10年国債利回り、7−9月(第3四半期)に3%に上昇する可能性
• 人民元切り下げは今、正当化されない−ミニキン氏

英銀スタンダードチャータードは、米国の利上げとトランプ次期政権の貿易政策をめぐる不確実性が為替市場の主要テーマとなっており、今年のアジア通貨に対する中国からの脅威はむしろ小さいとの認識を示した。
  ブルームバーグのアジア通貨予測ランキングでトップの同行は、米10年国債利回りが7−9月(第3四半期)に3%に上昇する可能性があり、アジア通貨は今年、厳しい状況を迎えると分析している。
  アジア通貨戦略責任者ロバート・ミニキン氏(ロンドン在勤)は、2017年10ー12月(第4四半期)に利回りが落ち着き、世界的な景気改善に伴いそれぞれの通貨が値上がりすることもあり得ると予想。
  同氏は中国人民元について、「突然の大きな値下がりはないと強く認識している。中国当局は人民元を安定させる好位置にある。だが安定というのは通貨バスケットに対するもので、米ドルに対するものではない」と述べた。
  ミ二キン氏はまた「人民元切り下げは今、正当化されない。トランプ政権が始まろうとしている現時点での通貨安は極めて悪いタイミングだ」と話し、中国の対米貿易黒字は世界的な金融危機前より大きくなっていると指摘した。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iw090wAWnDUw/v2/-1x-1.png
原題:Best Asian FX Forecaster Fears Trump Risk More Than China: Q&A(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJLT2G6TTDS801

 

【寄稿】
ジャンク債投資、今は慎重になるべき
深く掘り下げてリスクを理解すべし
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現下の局面でジャンク債から期待されるリターンはリスクと照らし合わせるとそれほど高くないようだ ILLUSTRATION: WESLEY BEDROSIAN FOR THE WALL STREET JOURNAL
By
JOHN COUMARIANOS
2017 年 1 月 11 日 15:47 JST
――筆者のジョン・クマリアノス氏はカリフォルニア州ラグナニゲル在住のライターで、モーニングスターの元アナリスト
***
 あまりにも低い金利水準を背景に、現役を退いた米国の高齢者の多くは収入を得るためにジャンク債に目を向けてきた。だが彼らは自分が何をしているのかを理解したほうがいい。
 ジャンク債とは格付けがBB(ダブルB)以下の企業などが発行する高利回り債のことを指す。格付けが低い発行体のキャッシュフローは頼りにならないため、景気が少しでも悪化すれば利払いや元本の償還が滞りかねない。
 ジャンク債が良い投資先になる場合もあるが、今は慎重になるべき理由がある。そこでジャンク債が投資に値する時期かどうかを判断する際のポイントをここに挙げる。
スプレッド以外に目を向ける
 ジャンク債を購入すべきかどうかを見極める際に、投資家は安全な投資先である10年物の米国債とジャンク債との間の利回りの差である「スプレッド」に目をやることが多い。歴史的に見ると、両債券のスプレッドは21ポイントから2.4ポイントまでと幅広いが、平均では5.8ポイントだ。
米国債とジャンク債のスプレッド(JTS)
赤線:損失率を加味した際の平均スプレッド

https://si.wsj.net/public/resources/images/IF-AC891_JUNKch_16U_20170106155707.jpg

 ジャンク債のデフォルト(債務不履行)率は何年にもわたってかなり低い水準で推移したかと思うと、2001年と09年に起こったように急に10%以上に跳ね上がるなど、著しい変化を繰り返してきたように見える。デフォルトがあると投資家は恐怖に駆られて保有債を放出するため、ジャンク債の価格は暴落し、利回りスプレッドは拡大する。2016年前半に起こったように、パニック売りでスプレッドが平均より拡大すれば普通は買い時だ(当時は8ポイント超に広がった)。投資家は高い利回りと将来の価格上昇の両面から利益が得られる可能性があるからだ。
 セントルイス地区連銀によれば、ジャンク債と10年債のスプレッドは現在3.3ポイント前後だ。これはあまり魅力的な水準ではないが、それでもスプレッドが十分に広がっていると考える投資家もいる。
 だが投資家がジャンク債への投資を考える際には、単純なスプレッド以上のことを検討する必要がある。
 米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)によると、ジャンク債のデフォルト率は歴史的に年平均で4.2%だ。これは現在のスプレッドの水準を上回っている。つまり、ジャンク債で稼ぐつもりだったスプレッド分の利益が簡単に蒸発しかねないということだ。投資家はこのことを忘れる傾向にある。デフォルト率が低い時期であればなおさらだ。
 デフォルトは必ず投資分を帳消しにするわけではない――通常であれば、投資家は額面の40%程度を回収する。それでもデフォルト率と回収率からはじき出すジャンク債の損失率は年平均で約2.5%だ。
今は油断の時期か
 この損失率を考慮に入れると、ジャンク債の価値を判断する際に異なる状況が見えてくる。
 歴史的なデフォルト率と回収率が変化しないと仮定すれば、投資家はジャンク債のポートフォリオから3.7%前後のリターンを得るはずだ。これは米国債の10年物から得られる2.5%前後の利回りを上回る。しかしその差は1.2ポイントであり、損失率を考慮したスプレッドで考えると、ジャンク債へ投資する際に投資家がいとわずに受け入れてきた水準を下回る。
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投資家はジャンク債を保有する際、通常よりもはるかに低いクッションをいとわないことがあるPHOTO: ISTOCKPHOTO/GETTY IMAGES
 われわれは過去のスプレッドを損失率に合わせて調整することで歴史的な傾向を検証してみた。その結果、損失率を加味すれば、投資家は米国債を平均2.8ポイント上回るリターンが期待できるジャンク債を購入してきたことが分かった。これは現在の損失率調整後のスプレッドの2倍以上だ。
 投資家が油断している時期には、中長期的な金利収入で価格の下落をカバーする「クッション」効果がはるかに低い水準でも、これをいとわずにジャンク債を保有しようとする傾向がある(その反対がパニックにあるときだ)。
 われわれは今、油断の段階にある可能性が高い。現下の局面の損失率が平均を上回っていれば、期待できるリターンはあまりに小さいため、米国債よりジャンク債のほうがうまくいかないだろう。デフォルト率と回収率は予想が難しいが、ジャンク債の発行は金融危機以降、頻繁に行われてきた。
 こうしたことを考慮してみると、現在、ジャンク債から得られると期待できる見返りは、リスクと比べて多くはないように見える。
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiVuPremLrRAhUBzpQKHdWiCdwQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582551742204258760&usg=AFQjCNF-nNVtjMekf-km4TH-AsqLSMZkSA

 


トランプ相場も一旦は小休止?田嶋智太郎の外国為替攻略法
2017年01月11日
前回更新分で述べたように、2017年の幕開けは昨年11月以降にスタートしたトランプ相場の勢いを引き継ぐ明るいムードのなか、ドル/円が一旦は118.61円まで上値を伸ばして昨年12月高値=118.67円に顔合わせする場面もありました。しかし、その後は少々勢いを欠く展開となっており、目下は116円を挟んでもみ合う展開となっています。
ここで一つ注目しておきたいのは、下図に見るとおり、ドル/円の一目均衡表(日足)における「遅行線」が今まさに日々線と交錯し、一旦は日々線を下抜けかねない状態であるということです。これは、トランプ相場がスタート以来、初めてのことであり、足下では文字通り、トランプ相場が一旦"壁"にぶつかる可能性を高めていると言えそうです。
実のところ、これと似たような場面は過去にも幾度かありました。例えば、それは2014年10月末に日銀が追加緩和策の実施を決めたことによって後にドル/円が急騰し、同年12月に121.85円の高値をつけてから一旦大きく調整した場面です(図中・赤楕円)。当時も、日銀の追加緩和決定で大きく水準を切り上げた「遅行線」が調整入り後に日々線と交錯し、一旦は日々線を下抜けて、その後しばらく調整が続きました。もちろん、当時も大きな流れはドル高・円安方向であり、実際にドル/円は後に125.85円まで上値を伸ばすこととなりました。

http://www2.monex.co.jp/html_mail/mkt/monexmail/20170111/20170111_tajima_graph01.pdf
周知のとおり、日足の「遅行線」は現在位置している水準を「当日を含む26日前(過去)」の位置に記入して、現在と26日前を比較するもので、この遅行線が位置するところというのは、言うなれば「大よそ1カ月前の売買コスト」を示すということになります。現時点で言えば、当然のことながら、大よそ1カ月前にドル/円を買った投資家は含み損を抱えており、逆に売った投資家は含み益を抱えているということになります。
この「遅行線」が日々線を下回る展開となった場合、これを『逆転』と称し、セオリーでは一旦「売り」と判断されることになります。結果的に、相場は暫く調整含みの展開を続けることが多く、実際に2014年12月初旬以降も大よそ3カ月ほどは調整含みの展開が続きました。同じように、今回もテクニカルにドル/円が一時的な調整局面を迎える可能性は否定できないものと思われます。
一方で、いよいよ今月下旬からトランプ新政権が始動します。よく言われるようにトランプ氏がこれまで掲げてきた経済改革の内容には、いわゆる「トリレンマ」が内包されており、当初は「このトリレンマと新政権がどう向き合うか」を市場が様子見したいというムードを強め、結果的に一旦はトランプ相場が小休止する可能性もあるものと思われます。
ここで言うトリレンマとは、一つに大型減税や大規模なインフラ整備を進めるとする一方で、米金利の低位安定をも志向しており、そこには二律背反の関係性があるということです。財政を大胆に出動させれば、それだけでも金利は強含みとなりますし、結果的に米景気が上向くこととなれば、更に一段と金利は強含みとなります。米金利が上昇すれば、必然的にドルは強含みとなるでしょうし、保護主義的な志向を貫こうとすれば輸入物価を低位安定させるためのドル高も必要になるでしょう。
最終的にトリレンマを解消するためには、少なくとも何か一つを捨てざるを得ません。そこで捨てざるを得ないのは「ドル安志向」である可能性が最も高いと思われます。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役
前の記事:2017年の幕開けは全体に明るいムード −2017年01月04日
http://lounge.monex.co.jp/pro/gaikokukawase/2017/01/11.html 

 

スターバックス株ゴールデンクロス、年間で8年ぶり下落後−チャート
Richard Richtmyer
2017年1月10日 15:08 JST
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i3QtE1NPVxqU/v2/-1x-1.png

  米スターバックスの株価チャートは新年に入り、2013年以降2回しか表れていないゴールデンクロスと呼ばれる形状を見せている。過去2回はいずれも55%以上の持続的上昇が続いた。同社株は2016年に7.5%下落し、年間変化率は8年ぶりにマイナスとなったが、今年に入り50日移動平均線が200日移動平均線を上抜けし、ゴールデンクロスを形成した。野村ホールディングスやパイパー・ジャフレー、クリーブランド・リサーチのアナリストらは最近、スターバックス株に前向きな見方を示しており、グローバルブランドとしての価値や飲料業界の成長見通しを17年の上昇のきっかけとして取り上げている。
原題: Starbucks Turns Golden After First Yearly Drop Since ‘08: Chart(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJJUWG6KLVR401


 


スマートベータ型ETFという新しい選択肢
東京証券取引所
制作 :東洋経済企画広告制作チーム
2016年4月1日
2016年3月22日、三菱UFJ国際投信が運用するETF「MAXIS JAPAN クオリティ150上場投信」が東京証券取引所に上場した。マーケットの規模が16兆円程度まで拡大している中、スマートベータ型という新しいコンセプトのETFが上場した意義は少なくない。世界を見ても、スマートベータ型ETFは存在感を高めているようだ。

拡大を続ける
ETFのマーケット
ETFは、特定の指数に連動する運用を目指す上場投資信託のことだ。指数としてよく知られているのは、日経平均株価やTOPIXだろう。東京証券取引所1部上場企業約1900社の株価を指数化したTOPIXとの連動を目指したETFは、TOPIXとほぼ同じ値動きをする。ここにETFの一つの特徴がある。値動きがわかりやすいというポイントだ。
もう一つ、ETFは証券取引所に上場しているため、上場株式と同様に証券取引所で自由に売買できるという特徴もある。つまり、証券取引所が開いている時間帯ならいつでも売ったり買ったりできるのだ。また、注文方法についても上場株式同様、指値注文や成行注文なども可能である。
そして、信託報酬の低さも見逃せない。信託報酬は、投資信託を保有している間、毎年支払わなければならないコスト。したがって信託報酬が安ければ、長期保有するほどコストメリットが大きくなっていくが、非上場の公募投資信託と比較して、通常、ETFの方が信託報酬が低く設定される。
そればかりではない。ETFの多くが1口10万円以下から買うことが可能だ。少ない資金でさまざまな資産に手軽に分散投資することができ、資金効率も非常に良い。

東京証券取引所
上場推進部
調査役
高木 亮
実際、ETFのマーケットは拡大している。内国ETFの純資産残高は16兆円規模まで拡大し、売買代金も日を追うごとに増加している(下表参照)。「今回の上場でETFの銘柄数は196になりました。連動対象となる指数も、TOPIXをはじめとする日本株から、外国株、外国債券、REIT、金などの商品までラインナップも拡充されています」と語るのは東京証券取引所・上場推進部調査役の高木亮氏。「ETFの存在感が高まる中で、スマートベータ型という新たなコンセプトのETFに注目が集まってきています」と続ける。


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スマートベータという
新たなインデックス

東京証券取引所
上場推進部
調査役
椎屋 幸祐
スマートベータとはいったい、何か。東京証券取引所・上場推進部調査役・椎屋幸祐氏が後を受ける。
「企業の配当や売上高、ROE(自己資本利益率)、株価変動率などに着目して銘柄を組み入れる指数がスマートベータなのです。いわば、市場全体の値動きの平均との連動を目指すパッシブ運用と、アナリストやファンドマネジャーらによって個別の銘柄を選択するアクティブ運用の中間にある指数と言ったらわかりやすいでしょうか。東証にもさまざまなタイプのスマートベータ型ETFが上場しています(下表参照)」

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すでに、米国のマーケットを見るとETF資産残高の約2割をスマートベータ型ETFが占めており、欧州にいたってはここ5年でその市場規模は約4倍に拡大しているというデータまである。が、日本では14年、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株式運用において初めてスマートベータ型アクティブ運用を採用したことをきっかけに認知度が大きく上がったという。
「現在、大きな注目を浴びているスマートベータ型ETFをはじめ、ETFのラインナップがさらに充実することによって、日本でもETF市場はもっと拡大していくと想定しています」と高木氏は期待している。

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新指数JAPAN
クオリティ誕生

三菱UFJ国際投信
ETF推進室
マネジャー
佐々木 康平
「最近注目されているインデックスの一つに、JPX日経インデックス400があります。この指数は、企業の稼ぐ力とも言えるROEや、営業利益などの要素にフォーカスし、東京証券取引所に上場している3000社以上の企業の中から資本の効率的な活用などグローバルな投資基準に求められる条件を満たした400社を選んでその株価を指数化したものです。当社でもこの指数に連動を目指すETF『MAXIS JPX日経インデックス400上場投信』を上場したところ、機関投資家から個人投資家まで幅広い方に活用されています。高い収益性を誇るクオリティの高い企業に投資をしたいという投資家のニーズが根強いからこそ支持を得られたのだと考えています」と語るのは三菱UFJ国際投信・ETF推進室マネジャーの佐々木康平氏。「ならば、“企業の稼ぐ力”により強くエッジをかけても良いのではと着想したのです」と続ける。
そこで、今回のETFが連動を目指す指数は、STOXX社と三菱UFJ信託銀行によって新たに構築された指数「iSTOXX MUTB JAPANクオリティ150」だ。

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「ROE、財務健全性、キャッシュフロー創出力、利益安定性という四つの指標をスコア化し、高いROEを継続できる企業150銘柄に投資することをコンセプトに掲げた指数です。いわば、アクティブのファンドマネジャーが銘柄を選ぶように指数が作られています」と佐々木氏は説明する。スマートベータの認知度が高まる中、「MAXIS JAPAN クオリティ150上場投信」は、多くの機関投資家や個人投資家からETFの新たな選択肢として注目されるのではないだろうか。

三菱UFJ国際投信
経営企画部
チーフマネジャー
四方 利祐
「米国や欧州では、ETFが資産運用の中心として位置づけられつつあります。世界のETF市場は拡大を続けており、グローバルベースのETF残高は350兆円を超える規模まで拡大しています」と三菱UFJ国際投信・経営企画部チーフマネジャー・四方利祐氏は指摘する。
「当社もETF市場を大きな成長市場と位置づけています。特にスマートベータ型は、低コストでアクティブ的なパフォーマンスが期待できるので、潜在的なニーズは高いと期待しています」(四方氏)
「ETFをNISAの本命に」
しかもETFは、投資額120万円の範囲内なら値上がり益や配当金に税金がかからないNISA(少額投資非課税制度)の対象でもある。ETFは先述のとおり、投資初心者にとってもわかりやすく、投資しやすい商品となっていることから、長期投資を視野に入れたNISAとの相性が良いと言い換えることもできるだろう。「NISAは今年から非課税枠が拡大されましたし、ジュニアNISAも始まります。今はまだNISAにおけるETFのシェアは小さな数字にとどまっていますが、それは、個人投資家の皆様に、ETFがNISAの対象であるということや中長期の投資運用に適した商品であるということがあまり知られていないことも一因ではないでしょうか。NISAとETFに関する知識が個人投資層に幅広く浸透していけば、ETFが、NISAの本命となることもそう遠くないでしょう」と高木氏は力強い。
将来への不確実性が増し、不透明な先行きもぬぐいきれないような環境が続く。将来に備え自ら資産を形成していくうえでも、これまでの貯蓄偏重から投資へシフトするという意識改革が求められているのかも知れない。「貯蓄から投資」は大きなスローガンではなく、自分事として考えるタイミングにあるとも言えるだろう。多くの人が、自らの資産形成に立ち上がった時、投資対象の選択肢の一つとして、ETFにも注目が高まるはずだ。
当広告は、東京証券取引所によるETF/ETNの売買等の勧誘を目的としているものではございません。なお、ETF/ETNの売買においては、各商品または組み入れた有価証券等の価格の変動等により損失が生じるおそれがあります。ETF/ETNの売買を行われるに際しては、あらかじめ、お取引先の金融商品取引業者より交付される契約締結前交付書面等の内容を十分にお読みいただき、商品の性質、取引の仕組み、リスクの存在、販売手数料、信託報酬などの手数料等を十分に御理解いただいたうえで、ご自身の判断と責任で行なっていただきますよう、お願い申し上げます。また、当取引所は、当広告および当広告から得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損失等の一切について責任を負いません。東京証券取引所

http://toyokeizai.net/articles/print/110565 

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/683.html

[経世済民117] 成長の時代はなぜ終わったのか 今後10年の世界、不平等拡大と二極化WEF  物価上昇か?疑う企業 来年も政高経低、内向化
コラム:
成長の時代はなぜ終わったのか

河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 11日] - 世界的にポピュリズムの嵐が吹き荒れるのは、グローバリゼーションの反動だけでなく、長期停滞の帰結である、というのが筆者の仮説だ。成長率が鈍化し、その果実の政治的分配が難しくなったことに加えて、高い成長の時代に構築した社会保障制度の費用を賄うこともままならなくなっている。

責任ある政治家なら、増税や歳出削減、あるいは社会保険料の引き上げや給付削減を主張するが、それでは支持率は悪化する。そこを突いたのがポピュリスト政治家だ。痛みを伴う政策はそもそも不要で、高い成長によって、多くの問題は解決できると主張し、有権者から高い支持を獲得する。現代のポピュリストは、バラマキ財政で景気と株価をかさ上げし、人々の目をくらませる。

これが筆者の基本シナリオだが、年末年始の休暇で改めて考えたのは、19世紀初頭に始まった200年近くに及ぶ「成長の時代」はなぜ終わってしまったのか、元に戻すことはできないのか、ということである。

ドナルド・トランプ氏がポピュリストであることは間違いないが、ワシントン政治に染まっていない型破りな新大統領の誕生がダイナミズムを生み出す可能性はないのだろうか。あるいは、民間部門への個別介入を進め、事態をさらに悪化させるのだろうか。

<19世紀末の反グローバリゼーション>

長期停滞を考える上で、今回、筆者が参考にしたのは、マクロ経済学の泰斗で2006年にノーベル経済学賞を受賞したコロンビア大学のエドマンド・フェルプス教授の論考だ。同氏は著書「なぜ近代は繁栄したのか」で、 19世紀以降の高い生産性の上昇と近年の衰退の理由を包括的に分析している。

フェルプスは多くの主流派経済学者と同様、農業部門での資本蓄積を背景としたウォルト・ロストウらの古典的なテイクオフ理論に加え、所有権、特許権、著作権の確立などダグラス・ノースらが強調した制度的要因も重視する。

しかし、それ以上に自由主義や個人主義の確立といった文化的要素を、生産性向上をもたらしたイノベーションの要因として強調する。

つまり、19世紀初頭に伝統的社会から近代社会への移行が始まり、挑戦や自己表現、人間的成長といった個人主義に裏付けられた価値観の誕生が草の根のイノベーションにつながり、生産性上昇、経済成長をもたらした。実際、当時の産業革命を担った人々は、高い教育を受けたエスタブリッシュメントではなく、街の技術者、街の発明家だ。

現場にこそ付加価値を生むために必要な知識があり、人々が自由な社会で創意工夫を発揮し、成長の源泉となる。これはフリードリヒ・ハイエクの知識経済論と重なる。

ちなみに、ハイエクを新自由主義の元祖と見なす人が多いが、それは誤解だ。ハイエクは著書「隷属への道」でレッセフェール(自由放任主義)を強く批判するとともに、自由な市場の維持には、政府が役割を担う必要があると強調している。法の支配によって予測可能なルールを確立することが重要であり、ご都合主義や機会主義、縁故主義は不確実性を高め、人々の創意工夫を阻害する。

フェルプスとハイエクの主張をまとめると、19世紀初頭に自由主義や個人主義が確立され、創意工夫が発揮されるようになり、草の根のイノベーションが広がったことで、英国をはじめ各国で生産性の高い成長が始まったということである。しかし、繁栄が続く一方、近代資本主義の負の側面も注目されるようになり、欧州では20世紀に入る頃から社会主義や政労使が協調するコーポラティズム(協同主義)が勢力を強めるようになってくる。

集産主義的な考え方が広がったのはまず19世紀末のドイツだが、興味深いのは、それがグローバリゼーションや自由主義への強い反発として現れたことである。激しい競争や所得格差が問題視され、時代背景はまさにトランプ旋風や英国の欧州連合(EU)離脱選択に揺れる現在と一致する。競争やグローバリゼーションに反対したのが、伝統的社会や既存の産業でメリットを受けていた資本家や労働者である点も、今と同じである。

<米国でも広がるコーポラティズム>

第二次世界大戦後、西欧で社会主義が広がることはなかったが、コーポラティズムは根を張り、経済のダイナミズムをむしばんだ。既存の企業やそこに勤める労働者など既得権者が潤い、割高な商品の購入を迫られる消費者の利益が損なわれたのである。同時に、新規参入が阻害され、草の根のイノベーションも困難になる。欧州では早い段階から、成長を抑制する要因の種がまかれていたのである。

コーポラティズムが広がっても、戦後の欧州ではしばらく生産性の高い上昇や高成長が続いたが、これは、戦争で破壊された資本の再蓄積が行われただけでなく、米国で生まれた様々なイノベーションが模倣されたためだ。しかし、1970年代になると、米国も大企業病や訴訟社会の弊害、短期的業績を重んじる金融文化の蔓延で足踏みするようになり、結局、欧州と共倒れした。

米国では、確かにシリコンバレー・システムによって、革新的な起業が時折生じている。しかし、経済全体を見ると、日本ほどではないとはいえ、開業率、廃業率の低下が続き、雇用の創出・喪失も一貫して低下している。ヒト、モノ、カネなどの経済資源の移動が止まれば、経済は成長できない。

短期業績主義の金融文化も大きな問題である。長期的視点でリスクを取って投資を行わなければイノベーションはおぼつかない。資産市場からのプレッシャーで、大企業経営者は目先の利益を取り繕うことばかりに注力するようになった。

金融業の本来の役割は、成長分野を発掘し、リスクを取って成長資金を供給することである。しかし、近年、増えたのは、国債や為替などの売買ばかりだ。公的債務の膨らむ国の成長率が低いのは、政府支出拡大で資源配分が歪むことの影響が大きいが、それは金融面にも当てはまる。金融業がリスクを取らないでも、国債ファイナンスの仲介で莫大な利益を得ることが可能になり、民間の成長分野の発掘を怠る。

中銀の積極的な金融緩和もそれを助長していた。国債で金融業が十分な利益を得ることを難しくしたマイナス金利政策は、その点に限って言えば、皮肉にも評価すべきなのだろうか。

大企業病や短期的業績を重んじる金融文化だけでなく、さらに問題なのは、近年、米国でもコーポラティズム的な動きが広がっていることだ。公正な競争の確保や格差是正として、米国でも欧州のように官民あるいは政労使の接近が観察される。

プロ(親)ビジネス政策と言えば聞こえは良いが、結局は既存の企業やそこで働く労働者がメリットを得ているにすぎない。犠牲になるのは、割高な商品の購入を余儀なくされる消費者であり、既存企業が守られる結果、新たなアイデアを持った新規の参入者も割を食う。これではイノベーションが阻害されるのも当然である。

<トランプ氏が掲げる米国第一主義の代償>

では、トランプ新大統領の下で一体、どうなるのか。トランプ氏は、自らが企業経営者であるだけでなく、歴代政権に比べ、企業経営者を権力の中枢に多数取り込もうとしている。同時にビジネスを阻害する規制を大胆に撤廃するとも強調している。こうした主張だけを取り出せば、ダイナミズムの復活に期待する人もいるかもしれない。

しかし、一方で米国第一主義を掲げ製造業に国内回帰を迫り、公的な見返りを前提に、海外の生産拠点を国内にシフトさせる大企業も現れている。これは、結局、コーポラティズム的な政策を強めるということではないのか。個々の案件にまで政権が介入するということは、縁故主義的政策の色彩が強まることを懸念すべきではないか。

平均的な米国人の生活が世界で最も豊かである理由の1つは、安価な商品を低関税で輸入しているからだ。コーポラティズム的な政策や縁故主義的な政策の結果、仮に生産拠点が米国に回帰するとしても、割高な財やサービスの供給が増えるだけで、割安な海外からの製品・サービスを購入できなくなる消費者は大きなデメリットを被る。メリットを得るのは、見返りを受け国内で生産を増やす一部の既存企業とそこに勤める労働者だけである。

公的な見返りも政権との交渉次第となれば、本業でのイノベーションより、レント・シーキング(超過利潤の追求)に精力を注ぎ込む経営者も増えるだろう。そうした中で、デメリットを受けるのは、消費者だけではない。前述した通り、既存企業が守られ、新規参入が阻害されるから、経済全体のイノベーションもますます困難になる。人々の創意工夫を発揮させるには、予測可能なルールをもたらす法の支配が重要であり、ご都合主義や機会主義、縁故主義は不確実性を高め、イノベーションを阻害するだけだ。その帰結は、一国全体の生産性上昇率の一段の低下である。

ここで問題となるのは、すでに米国経済が成熟局面に入った状況で大規模財政を開始しようとしていることである。完全雇用下での大規模財政がもたらす金利上昇とドル高によって、いずれ循環的な景気後退が始まるのは避けられない。

もちろん、イノベーションで生産性上昇率が高まるのなら、自然利子率や均衡実質為替レートも上昇するため、金利上昇やドル高が続いても経済は好調でいられるが、実行されるのはイノベーションを阻害し自然利子率や均衡実質為替レートをむしろ低下させる政策だ。

それとも経済の息切れが見えてくれば、追加財政を繰り返し、同時に米連邦準備理事会(FRB)には政権の意向に沿って追加財政をファイナンスする人物を総裁として送り込むのだろうか。今のところトランプ・ユーフォリア(陶酔感)の賞味期限は1年半、長くても2年程度という見方を変えていない。

<ポピュリズムの帰結はインフレ税か>

翻って日本では政権支持率が高く、政治は安定している。経済的な背景としては、1)潜在成長率が低く、わずかでも成長すれば、労働力人口の減少もあって需給ギャップが改善するため、労働需給の改善が続いていること、2)日銀が長期金利をゼロ近傍に誘導する金融政策を続ける中で、拡張的な財政政策が取られていること、3)政労使が協調するコーポラティズム的な政策が取られていることなどがある。

これまで見た通り、コーポラティズム的な政策は、既存企業やその労働者に恩恵を与え、高い支持率の要因になり得る。しかし、新規参入が阻害されるため、イノベーションは起こらず、成長率を高めることはできない。

吉川洋・東京大学名誉教授は、近著「人口と日本経済」で、労働力人口が減少しているからと言って、ゼロ成長が必然ではないと喝破した。筆者の分析でも、近年の日本の潜在成長率低下は、労働力の減少よりも、イノベーションの枯渇による。

人口悲観論が強く、吉川教授の著作を楽観的と捉える人も少なくないが、冷静に考えてみれば、イノベーションの枯渇によって潜在成長率が低下しているという同氏の指摘の方がはるかに深刻である。

景気回復が止まってしまえば人々のいら立ちが強まるが、政府は拡張財政を続けることで、それを回避している。しかし、結局、それは将来世代の所得を先食いすることで、問題を先送りしていることに他ならない。

近年、1億総活躍プランとして、これまで包摂(ほうせつ)されていなかった人々にも光が当てられている。コーポラティズムの範囲をさらに広げるということだが、歳出削減や増税で財源が捻出されているわけではないから、これも結局、将来世代の所得を先食いするということである。1億総活躍プランは懸念した通り、1億総バラマキ・プランの様相を強めている。

公的債務の膨張が続いても、日銀のアグレッシブな金融政策で、金利上昇は避けられている。しかし、供給制約に直面する以上、いずれかの段階で、インフレ率の加速が生じる。増税や歳出削減などの財政調整を避けるとすれば、公的債務を圧縮する代替策はインフレタックスのみとなる。意図しようとしまいと、いずれ公的債務の調整は始まる。

仮にインフレが上がりづらいグローバル環境が続くとしても、その場合は、急激な通貨安で高率のインフレは避けられない。そして、もしトランプノミクスがアベノミクスを追いかけるのだとすれば、各国で財政インフレ的な状況となり、そのとき、グローバルなデフレ環境は崩れる。

*参考文献:エドマンド・フェルプス著、小坂恵理訳「なぜ近代は繁栄したのか」(みすず書房)/フリードリヒ・ハイエク著、村井章子訳「隷従への道」(日経BP社)/吉川洋著「人口と日本経済」(中央公論新社)

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2017年の視点」と「外国為替フォーラム」に掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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http://jp.reuters.com/article/column-ryutaro-kono-growth-idJPKBN14U18U


 



今後10年の世界、不平等拡大と二極化が主要リスクに−WEF報 告書
Alex Morales
2017年1月11日 18:58 JST

金融危機後の弱い経済成長が貧富の格差を拡大と指摘
量的緩和策は金融資産保有者に有利、所得格差を悪化させた

英国の欧州連合(EU)離脱や米大統領選挙でのドナルド・トランプ氏勝利をもたらした不平等拡大や社会の二極化が、今後10年の世界的な動きを形成しようとしている。世界経済フォーラム(WEF)が11日、こうした年次リスク報告書を発表した。
  WEFがブルームバーグ・エル・ピーの欧州本部(ロンドン)でのイベントで公表したグローバルリスク評価報告書は、気候変動も大きな世界的トレンドとして取り上げた。「今後10年のさらなる困難と不安定」を回避するため世界のリーダーは協力する必要があると呼び掛けた。
  WEFを設立したクラウス・シュワブ氏は報告書の序文で、「継続的な低成長に加え、高水準の債務と人口動態の変化が金融危機や不平等拡大を促す環境をつくり出している」と指摘。金融危機後の弱い経済成長が貧富の格差を拡大させ、ポピュリズム(大衆主義)に訴える政党の台頭につながった「経済的な停滞」感を強めたと報告書は分析している。
  欧米の民主主義社会において最も顕著な反体制的な動きが英国のEU離脱選択とトランプ氏当選で見られたが、そうした流れは一段と広がり、ドイツやイタリア、フランス、オランダなどで極右政党への支持が拡大している。
  報告書の調査には、デフレや資産バブル、異常気象、テロ攻撃、食料危機、サイバー攻撃といった30の世界的リスクを分析する専門家750人が関わった。
  報告書はスイスのダボスで17日に始まるWEF年次総会、いわゆるダボス会議で議論される予定で、世界の出来事を決めていく最も重要な基調的トレンドは所得格差の拡大だと指摘。世界の主要中央銀行が実施した量的緩和策については、金融資産保有者へのリターンを増加させ、所得格差を悪化させたと結論付けた。
原題:From Brexit to Trump, Polarization Poses Global Risk, WEF Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJLXO06K50Y801


 


 


マーケット
物価は本当に上昇するのか−ためらう米企業

クリスマスの買い物客で溢れる米玩具小売り大手トイザラスの店内 PHOTO: HYOSUB SHIN/TNS/ZUMA PRESS
By
JUSTIN LAHART
2017 年 1 月 11 日 17:30 JST
 インフレ率が本当に上昇しつつあるのなら、企業は金融危機以来ずっと渋ってきたことをやりたいと思うだろう。それは支出を増やすことだ。
 米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利して以降、インフレ期待は上向いてきた。市場が予想する向こう10年間の平均インフレ率を示唆する、10年物ブレークイーブン・レート(名目国債と物価連動国債=TIPSの利回り差)は選挙投開票日の1.7%から足元では2%まで上昇している。ニューヨーク連銀が2015年12月に行った消費者調査では、今後3年間の予想インフレ率が平均2.8%となり、10月調査での2.6%を上回った。人々はインフレを過大評価することが多いため、この予想水準は依然として低いと考えられるが、消費者の態度が変化しつつあることはうかがえる。
 インフレ期待の上昇が企業にどこまで波及しているのかを示す指標が11日に発表される。アトランタ地区連銀が管轄地区内の企業を対象に毎月実施しているインフレ期待調査の最新データが公表されるのだ。11日公表のデータには、企業が予想する向こう5〜10年間の平均インフレ率も含まれる。これは四半期ごとに調査に盛り込まれる質問で、前回10月調査での回答は2.7%だった。
 エコノミストらはインフレ期待の重要性を指摘する。人々が予想する将来の物価が高ければ高いほど、実際の物価もそれだけ上昇する傾向があるからだ。だが、金利が依然として低い中でインフレ期待が上昇すれば、投資が加速する可能性もある。
 インフレ率が上昇すれば債務を返済しやすくなることがその一因だ。企業が借りた資金を事業に投じれば、投資した分だけ売上高は増加し、それに伴う物価上昇が追い風となって企業の利払いは楽になるだろう。一方、金融危機以降に企業が投資に消極的だったのは価格決定力がなかったせいでもあった。

10年物ブレークイーブン・レート PHOTO: THE WALL STREET JOURNAL
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RO551_TIPTap_M_20170110120835.jpg

 企業がインフレ率の上昇を見越し先んじて投資を行えば、将来の資金を節約することにもなり得る。これは、さまざまな設備の価格は他の品目と共に上昇する可能性が高いからでもある。さらに重要なのは、インフレ加速に伴い労働コストが上昇することだ。労働者は賃上げを要求し、雇用主は賃上げ分を商品やサービスの値上げという形で消費者に転嫁する。労働コストのかからない設備に投資した方が、企業は高いリターンを得ることができる。
 だが、インフレ加速を見越した投資には大きなリスクも伴う。インフレが上向かなければ、企業は返済が難しい多額のコストを抱えることになりかねないからだ。このため、トランプ氏が公約に掲げる減税、インフラ支出、規制緩和への期待と相まって、労働市場の引き締まりがインフレの残り火をかきたてるように見えるとはいえ、企業は慎重を期したいと考えるだろう。
 インフレはじきに再燃するとの予想が何年も外れてきた中で、企業は期待でなく証拠が浮上しない限り動かない構えなのかもしれない。


https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj7jLLZmLrRAhUFoJQKHZqyAs4QFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582552552875091334&usg=AFQjCNGfTl6Q7htXpq-jyCGZpHa2RQgjIA


 


視点:
2017年も「政高経低」、内向き化の深層

武田洋子三菱総合研究所 チーフエコノミスト
[東京 11日] - トランプ米新政権の発足、欧州主要国で相次ぐ選挙、5年に1度の中国共産党全国代表大会など、2017年も大きな政治イベントが目白押しであり、引き続き政治が経済を翻弄する「政高経低」の1年になりそうだと三菱総合研究所・チーフエコノミストの武田洋子氏は指摘する。

その過程で懸念されるのは、米国が保護主義姿勢を強め、それが欧州の政治情勢に波及すれば、ブロック経済化が進み、世界の貿易停滞と経済低迷を招きかねないことだという。

同氏の見解は以下の通り。

<短期では「意外な成功」もあり得る米国経済>

2016年は政治の年だったが、2017年も引き続き政治が経済を翻弄する年となるだろう。米国、欧州、中国のそれぞれに注目点がある。

まず、「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げて船出するトランプ次期米政権による経済運営が世界経済にとって最大の注目点となることに異論はないだろう。

次期米政権は公約通り、インフラ投資や税制改革(減税など)を柱とする財政拡張策をとる可能性が高い。だが、問題は、いつ、どの程度、「現実路線」に舵が切られるかだ。それにより、2017年以降の米国経済、ひいては世界経済のシナリオは大きく違ってくるだろう。

楽観シナリオでは、まず、減税やインフラ投資で景気の押し上げ効果が期待できるが、インフラ投資は極力、基金などを通じた民間マネー活用を柱とする。また、減税は富裕層に対する控除見直しなどにより格差の是正を図りつつ、大盤振る舞いを避ける。

この場合、長期金利は緩やかな上昇にとどまるだろう。投資減税や規制緩和が企業の投資を促し、生産性上昇に資する可能性もある。むろん、外交・貿易・移民政策で保護主義的な言動が実行に移されないことが大前提となる。

他方、悲観シナリオに転じる要素も十分ある。第1に、財政の大盤振る舞いが引き金となり、長期金利が予想外に急騰するケースだ。この場合、金利高とドル高の進行が米国経済を直撃するとともに、新興国のドル建て債務負担の増加や資金流出の加速を招き、新興国経済低迷を介して米国経済が冷え込む恐れがある。

第2に、トランプ政権が保護主義的な言動を全て実行するケースだ。環太平洋連携協定(TPP)離脱はもとより、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉や関税引き上げに踏み切り、個別企業へ次々と圧力をかけることになれば、米国企業も含めたグローバル企業のマインドや、期待先行で動いてきた市場のセンチメントは悪化しよう。米国の動きに他国が反応し、世界的に保護主義化が進めば、世界の貿易停滞と経済低迷を招く恐れがある。また、移民制限は、中長期的な米国の成長力を低下させかねない。

むろん、これらは両極端なシナリオであり、実際には、中間のシナリオが実現するだろう。上ぶれ・下ぶれどちらの可能性が大きいか、就任前の現時点での見極めは困難だが、あえて言えば、短期的には「意外な成功」もあり得るのではないか。

その根拠は、トランプ次期大統領が、良く言えば臨機応変なビジネスマンであることによる。理念や主義に固執せず、経済面で旗色が悪いと見れば、素早く政策を転換し、立て直しを図る可能性は否定できない。

また、政策の実務を担うスタッフに共和党系の官僚・専門家がどの程度入ってくるのか、共和党が過半を占める議会が財政面での大盤振る舞いや保護主義政策を抑える役割を果たすのか否か、その行方も注目される。

<中国成長率目標は「6.5%前後」に修正か>

中国でも、政治動向の見極めが重要となる。先述した通り、2017年秋、5年に一度の共産党全国代表大会が予定されている。政治的に重要な局面を迎え、構造改革路線の本気度が問われることになろう。

足元、中国は投資プロジェクトなどの景気刺激策で経済を下支えしている。だが、地方政府や国有企業に巨額の負債が積み上がり、銀行の不良債権比率も上昇傾向にある状況を考えれば、現在の6%台後半の成長率はとても持続可能とは思えない。

その意味で、まず注目されるのは3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、現在「6.5―7%」としている成長率目標を、現実を踏まえてどこまで落としてくるかだ。我々は、「6.5%前後」に修正するのではないかと見ている。その上で、党の人事が決まる秋の共産党全国代表大会以降に構造改革路線をさらに加速させるのが望ましいシナリオだろう。

構造改革では、過剰投資体質からの脱却に加えて、人民元改革の総仕上げも問われていくことになろう。足元では資金流出(元安)圧力が強まっている。当局は、緩やかな元安にとどめようと元買い介入を継続していると思われるが、外貨準備はすでに3兆ドルまで減少している。どこかのタイミングで、再び人民元の大幅な切り下げに追い込まれないとも限らない。

人民元は昨年10月に、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨に採用されたばかりだ。「人民元の国際化」の流れを逆行させることは難しいだろう。市場によって追い込まれる前に、いかにして人民元の市場化改革への道筋を内外に示すのかという点も構造改革の大きなテーマである。

<失われる「普通の仕事」、グローバル化犯人説の誤解>

ところで、2016年は内向き志向の強まりが明確になった1年だった。その背景は2つ指摘できる。

第1に、金融危機後の先進国経済の回復力が鈍いことがある。先進国経済は、期待成長率の低下などから投資の回復力が鈍く、いまだリーマン・ショック前の水準に戻していない。

期待成長率低下の背景には、やや専門的になるが、金融危機による総需要の大幅な落ち込みが潜在国内総生産(GDP)の低下を招くという「履歴効果」の悪影響が指摘されており、学界でも研究が進んでいる。

第2に、「普通の仕事(雇用)」が急速に失われていることがある。例えば、米国の雇用構造の変化を見るために、横軸に賃金、縦軸に雇用者数をとり、2007年と2014年の分布図を比べると、中から低中程度の賃金を稼いでいる層が減っていることが分かる。

「普通の仕事」が喪失した主因として、グローバル化によって「仕事が奪われた」との見方が強まっているが、真相は違う。経済協力開発機構(OECD)の研究によれば、IT化やロボット化など機械化進展の影響の方が定量的には大きい。

2017年はこうした状況について正しい理解が広がり、労働者のスキル転換を促す教育や転職支援など、本来必要な解決策に関する議論が活発になれば良いが、安易なグローバル化批判がさらに強まれば、世界の内向き志向に拍車がかかりかねない。

その意味で、米次期政権の動向もさることながら、春にフランス大統領選挙、秋にドイツ総選挙を控える欧州の政治情勢には一段の警戒が必要だ。近年、欧州連合(EU)による規制強化や権限拡大が進められる中、難民問題も加わって、自らの主権に対する国民の不安は増しているとみられる。保護主義的な動きが欧州にも波及すれば、ブロック経済が生じる恐れもある。

最後に日本経済に言及すれば、先進国の中では政治的な安定が大きな強みだ。労働市場では、有効求人倍率が統計開始以降初めて全都道府県で1倍以上となったことは注目に値する。地方を含め、IT化・ロボット化など生産性向上を進めることができるチャンスである。企業は労働生産性を高めるために設備投資を行うか、人材確保のために賃上げを行うか、待ったなしの二者択一に直面するだろう。

だが、これまでのところ日本企業の多くが、海外情勢の不透明さや内需の弱さを理由に、設備投資や新規事業開拓に消極的だ。日本の「縮み志向」を「前向きな志向」へと転換するためには、企業はマインドセットの変革に本腰を入れて取り組まなければならない。2017年の世界情勢の不透明感に一喜一憂せず、ぶれずにイノベーションによる社会課題解決に向けて進むことが肝要だ。

*武田洋子氏は、三菱総合研究所のチーフエコノミスト。1994年日本銀行入行。海外経済調査、外国為替平衡操作、内外金融市場分析などを担当。2009年三菱総合研究所入社。米ジョージタウン大学公共政策大学院修士課程修了。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2017年の視点」に掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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英鉱工業生産:11月は前月比2.1%増、予想上回る−主要油田の再開で
Brian Swint
2017年1月11日 19:22 JST

英国では昨年11月に鉱工業生産が予想を上回る伸びとなった。北海の主要油田の操業再開で石油とガスの生産が増えたことが寄与した。
  英政府統計局(ONS)が11日発表した11月の鉱工業生産指数は前月比2.1%上昇と、8カ月ぶりの大きな伸びを記録。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査では1%上昇が見込まれていた。製造業生産指数は前月比1.3%上昇と、これも予想を上回った。
  鉱工業生産指数は10月に前月比1.1%低下しており、2四半期連続の落ち込みを避けるためには12月に0.3%上昇する必要がある。7−9月(第3四半期)は0.4%低下し、経済全体にとって成長の重しとなった。
原題:U.K. Industrial Output Rises More Than Forecast on Oil, Gas(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJM17B6KLVRM01


 

黒田日銀総裁:欧米など世界経済について説明−安倍首相と会談
日高正裕、延広絵美
2017年1月11日 15:37 JST 更新日時 2017年1月11日 16:56 JST

トランプ次期米大統領について具体的話は出ていない−黒田氏
会談は定例的なもの−首相から特定の要望もなかった−黒田氏

安倍晋三首相と黒田東彦総裁は11日午後、官邸で会談し、世界経済の動向について意見交換した。黒田総裁が会談後、記者団に話した。
  黒田総裁は「トランプ次期大統領について具体的な話は出ていない」と述べた上で、米国は「世界最大の経済だし、現在、非常に順調に経済成長が加速している。金利が上がったりいろんなことも起こっている」と指摘。同国ほか欧州やアジアその他の新興国経済も含めて幅広く首相に説明したことを明らかにした。
黒田総裁(12月の経団連会合)
黒田総裁(12月の経団連会合) Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  黒田総裁は今回の会談は「定例的なもの」だとし、首相から特定の要望も「なかった」という。
  菅義偉官房長官は同日午後の定例会見で、会談について「内外の経済金融情勢について意見交換をされたんだろう」と指摘した上で、「政府日銀は一体となって市場の動向を注視し、デフレ脱却を目指し、しっかり経済成長させる。そうしたすり合わせは行っている」と述べた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJLRCP6KLVR401



黒田日銀総裁が安倍首相と会談、世界経済の動向を説明

[東京 11日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は11日午後2時半から、安倍晋三首相と首相官邸で30分程度、会談を行った。会談後に会見した黒田総裁によると、首相に「世界経済の動向について説明した」という。

黒田総裁は、同日記者会見が予定されているトランプ次期米大統領についての具体的なやりとりはなかったとする一方、「米国経済は景気が堅調」であり、「米国や欧州、アジア経済について説明した」と語った。首相から総裁に対して、政策面での「具体的な要望や指示は特になかった」という。

黒田総裁が官邸で首相と会談するのは、昨年9月以来4カ月ぶり。

*写真を差し替えました。

(竹本能文)

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コラム:トランプ氏の景気刺激策、景気後退を先延ばしするだけ
http://jp.reuters.com/article/abe-kuroda-idJPKBN14V0KL


 
ロコス氏のヘッジファンド、2016年にプラス20%のリターン−関係者
Nishant Kumar、Hema Parmar
2017年1月11日 20:47 JST

運用開始後最初の暦年、マクロ系ファンドでは世界最高水準
好パフォーマンスが2月の追加募集を後押しか

クリス・ロコスのヘッジファンドは、2016年の運用成績がプラス約20%に達したと、事情に詳しい関係者が明らかにした。運用開始から暦年としては最初の1年にして、経済トレンドを読み投資するマクロ系ファンドとしては世界最高水準の数字をたたき出した。
  情報が非公開であることから匿名を条件に語った関係者の1人によれば、このプラス分のほぼ半分は米大統領選でドナルド・トランプ氏が予想外の勝利を収め、債券や為替市場が急変動した10-12月期に稼いだ。
  ロンドンを拠点とするロコス・キャピタル・マネジメントの広報担当者はコメントを控えた。
  ロコス氏は英ヘッジファンド運用会社ブレバン・ハワード・アセット・マネジメントの共同創業者で、2015年下期に自らのヘッジファンド会社を立ち上げた。現在の運用資産は40億ドル(約4650億円)余りだが、今年2月に新規資金の受け入れを再開し、20億ドルの追加募集を計画している。最近は投資家のヘッジファンド離れが進んでいるが、好パフォーマンスがロコス氏の資金調達を後押しする可能性がある。
原題:Rokos Hedge Fund Said to Gain 20% in First Full Year of Trading(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJM5496JIJUT01

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/684.html

[経世済民117] インド、2020年までにクレジットカード不要に? グロース「2.6%」債券強気相場は終焉か 申年騒ぐ 深く考える力
インド、2020年までにクレジットカード不要に?
9日にバンガロールで開催された在外インド人の年次会合でスピーチするモディ首相

2017 年 1 月 11 日 14:18 JST

 インド政府が昨年11月、流通貨幣の86%を廃止したことを受け、政府の政策立案機関「NITIアーヨグ」が2020年までにクレジットカードを不要にする計画を立てている。

 NITIのアミタブ・カント最高経営責任者(CEO)は8日、インドは金融技術とイノベーションの「巨大な溝」のただ中にあるため、クレジットカードからモバイル決済への移行が可能になると見方を示した。

 カント氏はナレンドラ・モディ首相がバンガロールで開催した在外インド人の年次会合で、「インドは20年までに全てのデビットカード、クレジットカード、ATM(現金自動預け払い機)、POS(販売時点情報管理)端末を不要にする」とし、「今後は30秒きっかりで、親指で決済できるようになる」と述べた。

 また、500ルピー札と1000ルピー札を銀行で使用可能な紙幣に交換するための50日間の期限が過ぎたことを受け、モディ首相が先週導入した新しいモバイルアプリに言及した。

 新しい小額紙幣と交換できるように国内にある21万5000台のATMのほぼ全てを改修する作業が終わったにもかかわらず、50日間の期限が過ぎた後もATMの周りには現金を引き出そうとする人々の列ができていた。

 新たに導入されたスマートフォン用決済アプリ「Bhim」を使えば、グーグルの基本ソフト「アンドロイド」の利用者は別の銀行口座に直接送金することができる。インド政府は、国民に固有識別番号を付与する制度「アドハー」にこのアプリをリンクさせる計画だ。実現すれば、消費者は親指の指紋で決済を認証できるようになる。

 モディ首相は昨年12月30日にBhimを発表した時、「Bhimによって向こう2年間で、スマホや従来型携帯電話、あるいはインターネットさえも必要なくなるだろう。親指があれば十分だ」と語った。

 首相は今月9日にツイッターで、Bhimのダウンロード数が1000万以上に達したことを明らかにした。

 また、このアプリが製造業誘致政策の「メーク・イン・インディア」のいい例であるだけでなく、汚職・ブラックマネー根絶に向けた技術利用の好例であることを国民に伝えた。

 モディ首相は9日、3000万人の在外インド人が国内に約690億ドルを送金したことに謝意を示したうえで、高額紙幣廃止に対する批判に反論し、「一部のブラックマネー崇拝者が政府の措置を反国民的と言うのは残念だ」と述べた。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwicsY3imLrRAhVGNJQKHZrnDvkQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582552284099159406&usg=AFQjCNHN_IQXz2axT6OhzWxevS69peJGXQ


 

グロース氏が見つめる「2.6%」 債券の強気相場は終焉か
2017 年 1 月 11 日 17:48 JST

 元祖債券王のビル・グロース氏は、自分が闇に包まれているように感じている。

 米資産運用会社のジャナス・キャピタル・グループで資産運用しているグロース氏は、月刊投資レターに数多くのたわいない逸話を記してきた。だが今月のレターからは、同氏が顔をゆがめている様子がうかがえる。今回、グロース氏は「私たちはちりにまみれた死を迎えた後、跡形もなく消えるのだろうか」と問うている。

 グロース氏はまずアフリカ旅行の思い出話をし、次に「アフリカの日々」などを書いたデンマークの作家イサク・ディネセンの話をつづった。

 そして、「私たちは周囲の世界のことを知っているのだろうか、周囲の世界は私たちのことを知っているのだろうか。私たちは跡形もなく消滅するのだろうか」と問いかけた。

 グロース氏に死後の世界を思い至らせたのは、同氏の古くからの「友人」である債券市場の強気相場が「死」を迎えるとの見方が強まっているからかもしれない。債券利回りは30年にわたり低下し、価格は上昇してきた。グロース氏は、その波に乗れたのは幸運だったと認めている。同氏は債券投資で大もうけし有名になったが、今は終焉(しゅうえん)を迎える準備をしているようだ。

 グロース氏の見方では、10年物米国債利回りが2.60%を上回る状態が続けば、30年に及ぶ利回り低下トレンドが幕を閉じ、強気相場の真の終わりとなる。同氏によると、このことは今まで数え切れないほど話題にのぼってきたが、今回は連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを緩めるかどうかとともに、米政府がどのような財政刺激策を打ち出すかや、どのくらい消費を促すかによって、現実になる可能性がある。

 債券利回りは昨年12月に一時2.61%に達したが、その後は徐々に低下し、最近は2.55?2.60%がレンジの上限となっている。

 だが債券の強気相場はまだ完全に終わったわけではない。経済成長が力強さを取り戻すとの思惑から動揺するかもしれないが、グロース氏はそのようなことは起きないと考えている。国内総生産(GDP)成長率を3%以上に引き上げるという約束は、高齢化や、金利上昇に伴う債務残高対GDP比率の上昇、作業の自動化という現実と相いれないと指摘。グローバル化の減速や後退が生産性とGDP成長率に脅威を及ぼしているとの見方を示した。

 米政府がどのような政策を打ち出しても、こうしたすう勢がそれらを凌駕(りょうが)するかもしれない。そうなれば、市場が過熱する恐れがある。市場にとって本当の問題はこれだ。グロース氏は「10年物国債利回りが2.6%を上回るかどうかは、ダウ工業株30種平均が2万ドルに達することや、原油価格が1バレル=60ドルに達すること、ドルとユーロがパリティ(等価)になることよりはるかに重要だ。それは今年、金利水準のほか、おそらく株価水準も左右する」と指摘した。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjg5KnWmLrRAhWHpJQKHXSBDMoQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582552581422200916&usg=AFQjCNHo4ghUobrV9c2VCe5Ioxfjr-_EdA

 
2017年1月11日 週刊ダイヤモンド編集部
大発会は21年ぶり株高。「申年騒ぐ」17年の市場見通しは?
 株式市場には、乱高下を意味する「申酉(さるとり)騒ぐ」という“格言”がある。今年の1月4日の大発会では、日経平均株価が2016年末比479円高の1万9594円となった。大発会としては1996年に付けた749円高に次ぐ上げ幅だ。


株式市場は日経平均の大幅上昇からスタートした Photo:REUTERS/アフロ
 背景にあるのは円安と、世界経済の緩やかな回復。財政出動と減税によるトランプノミクスから、米国景気の一層の拡大が期待される。米国が世界経済をけん引する。原油価格は下げ止まって緩やかに回復し、半導体の市況も昨年秋以降、回復している。

 16年12月に利上げしたFRB(米連邦準備制度理事会)は17年についても利上げを継続する見込みで、回数については「ドットチャート(FRB幹部による政策金利見通しを分布図にしたもの)では3回だが、年央と年末の2回が現実的だ」(加藤出・東短リサーチ社長)とみられている。

 世界景気拡大見通しから、市場はリスクオン(株式などのリスクを選好する投資行動)に振れ、日本株にも世界のマネーが流れ込んでいる。

 日米金利差はさらに拡大するとみられ、為替はドル高円安基調。円安は輸出企業の収益改善につながる。「17年度の経常増益率は12%」(野村證券)などの予想もある。市場では、日経平均2万円超えを期待する声も出てきた。

トランプリスクに注意

 もっとも、楽観的な材料ばかりではない。

 最大のリスク要因はやはりトランプ新米大統領。1月20日に発足するトランプ新政権がドル高をどこまで容認できるか、関税引き上げなどの保護主義的政策をどの程度打ち出してくるかなどの不透明感がある。新政権の政策次第では、一転円高となり、日本株が急落する公算は十分にある。

 欧州では、英国が3月末までにEU(欧州連合)離脱通告をすることになっている。ポンドの大幅下落を引き金に、市場が混乱する可能性もある。ドイツの総選挙、フランス大統領選挙などの政治イベントも、大方の予想に反するような結果にならないとはいい切れない。

 にもかかわらず、日本は景気が反転したときの有効な手だてに乏しい。安倍政権は財政拡大の方針だが、厳しい財政状況を鑑みると、景気が悪化したときにさらなる上積みができるのか不安が残る。

 金融政策もすでに手詰まりだ。国債の大量買い入れといった量的緩和の限界に直面しつつあった日本銀行は、長期金利(10年金利)操作目標を設定し、その水準を0%としている。金融機関の経営への影響を考えれば、景気が悪化したとしてもマイナスへの引き下げは容易ではない。

 日経平均の大幅上昇からスタートした酉年17年の市場。16年に続き、「申酉騒ぐ」の格言は当てはまるのか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)


http://diamond.jp/articles/-/113589


 

 
「働き方」という経営問題―The Future of Work―
【第29回】 2017年1月11日 河合起季
デジタル時代の最強の武器は
「自分で深く考える力」
いまやITを活用したコミュニケーション・ツールは、業務の効率化、生産性向上には不可欠な存在となっている。しかし一方では、簡潔でスピーディなコミュニケーションばかりではイノベーションは生まれない、という指摘もある。ビジネスSNSなどを活用した働き方改革を進める中で、斬新なアイデアが生まれる組織をつくるには、どのような取り組みが求められるのか。産業能率大学経営学部で「組織と集団の心理学」や「ビジネスコミュニケーションスキル」などを教える齊藤弘通准教授に、ITツールが進化した今だからこそ問われる課題について聞いた。

「結果」だけを求めていると
コミュニケーションが浅くなる


齊藤弘通 産業能率大学 経営学部 准教授 慶應義塾大学文学部人間関係学科教育学専攻卒業、法政大学大学院政策創造研究科博士後期課程修了。博士(政策学)。1998年に本学に入職、社会人教育部門にて、研修プログラムの開発や企業の人材開発に関する実態調査、サービス組織に対するコンサルティングなどの仕事に携わった後、現職。Photo by Kuniko Hirano
 企業の業務にITツールが浸透し始めてから、もうどれだけの時が流れただろう。この便利な道具は“スピーディで正確なコミュニケーション”という大きな宝物と同時に、ある課題を私たちにもたらした。たしかにITツールは客観的な情報(事実)の共有には大いに役立つが、より深い理解が必要なコミュニケーションとなると、まだ力不足。やはり、そのためには「対話」が必要となる。

 例えば、企業のグローバル化が進み、組織が大切にする理念や価値観、行動規範といった抽象的な考えを世界レベルで共有・浸透させる必要に迫られているが、ITツールだけにその役割を任せてもうまくいかないことが多い。

 その点、「対話」には情報共有はもちろん、その事実についての各人の捉え方を知ることができ、その違いを受け入れ合いながらテーマに対する理解が深められていくという効果がある。時には当初想定していなかった考え方に気づかされることもあるだろう。それこそ、対話は一方通行ではない“創造的なコミュニケーション”と言われる所以なのだ。

 しかし、残念なことに、対話には時間と手間がかかる。調査研究の際、現場の関係者への聞き取りや現場の観察など、フィールドワークを中心に行っている齊藤准教授が、ある社会人大学院のMBAプログラムの学生に、“フィールドワークをビジネスに応用する際の方法や考え方”に関する講義をしたところ、受講生から次のような質問が寄せられたという。

「ある受講生が『もっと手っ取り早い方法はないんですか』とおっしゃるんですね。私は、『フィールドワークは時間もかかるし、無駄も多い調査方法ですよ』とお答えしたのですが、私はこの発言に少し“危うさ”を感じました。ビジネスマンの方々は、ゴールを見据え、そこに最短距離で突き進むように教育されてきたのですからこうした反応は当然のことかもしれませんが、ムダを一切排除し、合理的に考えるビジネスマンばかりになると、イノベーションは起きにくくなります。こうしたビジネスマンは、回り道をしながらより深い問題を発見し、それを自分の言葉で語るようなことは、あまり得意ではないかもしれません」(齊藤准教授、以下同じ)

 大学の修士課程に学び直しに来るビジネスマンを見ても、ビジネスの最前線でパワーポイントの企画書をたくさん作り続けてきたにもかかわらず、論文が書けない人が少なくないらしい。

「ITツールの弊害は何かというと、きちんと構成された長いストーリーやロジックが作れなくなっていることではないでしょうか。パワーポイントなど言いたいことを簡潔に伝えられるツールは増えていますが、より深い問題意識をエピソードを交えながら相手に詳しく伝えるとか、その問題に対する解決策を適切なデータを基に論理的に説明するといったリテラシーが極端に落ちてきているように感じます」

深く考え、答えのないテーマを
議論する場の必要性

 もちろん、齊藤准教授もITツールを使うなと言っているわけではないし、その威力や効果の絶大さは認めている。最近の学生はメールを積極的に活用しようとしない傾向があり、ゼミではLINEのグループで情報を伝達・共有しているという。若者にかなり浸透しているLINEのようなコミュニケーションツールを使わないわけにはいかないし、この前提条件はもう変えられない。

「ITと対面の使い分けは、素早くコンテンツを伝えるのか、時間をかけてコンテキストを共有するのかというところがポイントだと思います。情報の伝達速度はITツールでより速くなっていますが、コンテキストはなかなか伝わらないし、共有には時間がかかります。ですから、標準的な業務や日々の報告、単純な情報など、コンテンツの伝達には積極的にITツールを使い、そこで捻出した時間を使って、『コンテキストの共有』が必要な『答えのないテーマ』について、じっくり対話をする場を設ける必要がある。そろそろコンテキストをどう共有していくのかというところに軸足を移していくべきでしょう。効率性を重んじるマネージャーや経営者に、ともすると欠けているのがこの視点だと思います」

 とくに時間のムダ遣いとして問題視されている最たるものが「会議」だ。部下への伝達や部下からの近況報告だけなら、ITツールで十分。すぐにでも置き換え、できた時間をもっと有意義に使うべきだろう。

「1つの仕事に専念」ではなく
パラレルキャリアを志向

 こうした時間改革は、社員のモチベーション維持や採用という点でも大きな課題になっているという。

「最近は、働き方も1つの仕事だけに専念するのではなく、本業とそれ以外を両立させるパラレルキャリアを志向する人たちが増えてきているように感じます。こうした志向を持つ人たちには、『あれかこれか』ではなく『あれもこれも』という感覚があって、制約がある生き方はあまり好きじゃない。仕事の時間と自分の時間を常に意識している印象があります」

 その傾向を加速させているのがSNSだ。「今日は○○で農園やってます」とか「地元の人たちと○○つくってます」といった楽しそうな情報がどんどんシェアされていき、それに刺激されて「私もやってみたい!」という人たちが増えている。今、社会人を対象にしたワークショップが多くなっているのも、SNSの影響が大きい。ワークショップは、従来の働き方にとらわれない人たちが集う場所ともなっている。

 とくにITの分野では、パラレルキャリアを実践するビジネスマンの事例が紹介されることが多い。

「コンピュータシステムを開発するSEの仕事でより付加価値を出していくためには、自分でクライアントの課題を発見してそのソリューションを提供するといった仕事経験を積み重ねることが必要となりますが、会社がそうした仕事経験を豊富に用意できるとも限りません。ですが、例えば自分が住んでいる地域の身近な課題を、自分の持っている能力や専門知識で解決するような体験ができれば、地域貢献にもなりますし、自分のスキルを高めることもできるわけです。自分の能力や専門知識を本業以外でも活用する機会を持つことは、結果的に社員の育成にもつながっているんですね」

 1つのスキルだけでは、専門領域として陳腐化するリスクが高い。それにたとえ1つ1つのスキルはさほど高くなくても、それを掛け算したら付加価値が上がる可能性もあるだろう。そういう意味でも外部からの刺激は重要なのである。

社員に業務だけを押しつけず
能力を引き伸ばす工夫を

 そうしたパラレルキャリアを目指すときに最大のネックとなるのは「時間」だ。若い人ほど自己啓発時間が少ないのは統計でも明らかだし、日本の企業には「若いうちは業務経験することが大事」という風潮があって、「勉強している暇があったら仕事をしろ」という感覚がまだまだ根強い。このため、外に出て学びたい、外に出て違う世界に触れたいということを、自動的に制約してしまう傾向が伝統的にある。

 しかし、社員のキャリアづくりへのニーズに対応できなければ、いずれ優秀な人材は採用できなくなるだろう。大手企業を中心に、その人にとって望ましいキャリア開発を支援する「キャリアカウンセリングルーム」などを導入しているのも、その対策の一環だ。労働市場の流動化が進む中、自主的にキャリアづくりができる職場にすることで、優秀な人材を採用したり、優秀な社員をつなぎとめられる可能性が高まる。

 自分らしい選択や生き方、働き方ができるよう、社員一人ひとりのカウンセリングを実施する伊藤忠商事の「キャリアカウンセリング室」などはその一例だ。

手っ取り早く結論を出さず
自分で考えて解決する

 一方で、学生にも課題はある。自ら考えて課題を発見し、解決するような主体的な学び方が十分できていないという。

「LINEのように、短い情報のやり取りでコミュニケーションが成立するようになったからか、じっくり文章を読む忍耐力や、仲間と長い時間議論をしたり、論理的に長文を組み立てていく力が弱くなっているように感じます。また、Youtubeのようなわずかな時間で完結する動画に慣れてしまっているせいか、グループワークなどで議論をしていてもすぐに結論を求めてしまい、議論が長くなると飽きてしまう傾向も見られます」

 こうした問題をなんとかするために、政府は「働き方改革」と同時並行で、主体的な学習者を育てる「教育改革」にも力を注いでいると考えられるだろう。

「技術の発達で、単純かつ一方的に教えるだけなら人工知能でも可能になるでしょう。そうではなく、人と人との対面でなければできない授業が求められています。これって、企業の会議の問題と同じだと思いませんか。対面でしかできないことは何か、ということに対して、より自覚的にならなければならない時代といえるでしょう。

 主体的な学習者を育てる教育改革の最大のポイントは、知識を一方的に押しつけて学習させるのではなく、学生自らが課題を発見し、解決することに重点を置いた教育です。私の大学ではそうした教育に力を入れていますし、私のゼミでも、フィールドワークをやりながら自分たちで課題を見つける力を養うことに力を入れています。学生には『フィールドワークで集めてきた事実を様々な角度から解釈し、自分なりの言葉で意味づけることが大事。答えはない』と説明していますが、答えがないことに不安を感じる学生も多い。ネットに書かれている情報に答えを探しに行くのではなく、現場にこそリアルがある、ということに早く気づかせることが大切だと考えています」

 ビジネスの現場では、取引先の課題を発見し、そのソリューションを提案するといった付加価値の高い仕事が要求される。いずれそうした中に飛び込んでいくなら、学生は主体的に学ぶ力を養っていくしかない。一方、企業にはITツールを生産性の向上に生かすとともに、社員の能力を引き出すキャリアカウンセリングや、イノベーションを生み出す創造的な「対話」の場を設けることが求められる。その両方が満たされなければ、日本の将来を支える強いビジネス社会を作ることは難しいはずだ。

(取材・文/河合起季 撮影/平野晋子)
http://diamond.jp/articles/-/111914
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/687.html

[不安と不健康18] 医師が教える!男性のための「心と体のアンチエイジング」 (第3回) 突然死を防ぐ!血管年齢を老けさせない8つのポイント 
医師が教える!男性のための「心と体のアンチエイジング」
【第3回】 2017年1月11日 阿保義久 [北青山Dクリニック院長]
突然死を防ぐ!血管年齢を老けさせない8つのポイント


血管の病気として、足の深部の静脈に血栓ができると発症する「ロングフライト症候群」がありますが、夜行バスなどではほとんど事例は聞かれません。バスでは細かい振動が常にあるので、血管が刺激されて血栓ができないのではないかと考えられます
「人は血管とともに老いる」。これは今日の医学教育の基礎を築いた内科医ウイリアム・オスラー博士の有名な言葉で、アンチエイジングを語るときしばしば引用されます。人の老化(エイジング)は血管から始まる、とも表現され、体全体のアンチエイジングにおいて「血管のアンチエイジング」が極めて重要であることを意味します。

 生命活動を維持するには、体を構成する約60兆個の細胞に酸素や栄養が行き届き、かつ代謝されたもの(代謝物)や老廃物が回収され続けなければいけません。それら、酸素、栄養物、代謝物、老廃物が絶え間なく行き交う運搬路となるのが血管です。

 血管は心臓をスタート地点に大動脈として始まったあと、中小動脈に枝分かれして径(直径)が小さくなっていき、しまいには径0.01mm未満の毛細血管となります。必要な酸素と栄養物はその毛細血管から滲み出るように各細胞に届けられます。酸素や栄養を受け取った細胞が生命活動において放出する代謝物と老廃物は、静脈を介して回収され、腎臓や肝臓で処理されるなどして再び心臓に戻ります。

 このように体を構成する細胞と血管(動脈と静脈)の仕組みは、人々が住む家と水の供給や汚水処理のパイプラインとなる上下水道のそれに似ています。上下水道がなければ私たちの日常生活が維持できないのと同じように、血管は体中の細胞が問題なく生命活動を続けるために、なくてはならない存在です。

 アンチエイジングの視点でも血管のケアは重要です。全身を網羅して全ての細胞の生命活動を支える血管の機能がエイジングにより低下すると、体中の細胞の活動も低下して全身のエイジングが誘発されるのです。

自覚なしに進む血管のエイジング

 同じ血管でも、動脈と静脈はその構造に違いがあります。いずれも、内側から内膜・中膜・外膜の三層構造ですが、動脈は中膜を構成する平滑筋が発達し弾力に富んで血管の収縮運動が活発です。静脈は、中膜の平滑筋が薄いため柔らかく伸びやすいのが特徴です。静脈の内側には逆流を防ぐ弁があります。この弁は動脈にはありません。

 構造上の違いに加えて、動脈と静脈はエイジングの仕方も異なります。

 動脈が老化すると、心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる代表的な疾患が引き起こされることが知られています。

●動脈硬化のメカニズム

 動脈の老化にはいくつかのステップがあります。まず、本来はツルツルの内膜の細胞が劣化してガサガサな状態になり、平滑筋の弾性力も衰えて硬くなります。硬くなった動脈はしなやかさが失われて血液がスムーズに流れなくなり、血液中の様々な物質が不規則に血管の内膜にぶつかって傷がつきます。そして、傷がついた内膜に血液中のコレステロールや炎症物質などが付着してプラークと呼ばれる粥状の堆積物がつくられます。

 すなわち、動脈の老化は、動脈壁の硬化から始まり、内膜の損傷および内膜へのプラーク形成へと進みます。プラークにより内腔が狭くなると血液が十分に流れなくなり、体の組織が酸素不足や栄養不足に陥ってしまいます。プラークが破れて血栓が発生することもあり、そうなると血管が塞がって血行が完全に遮断されてしまうことがあります。

 一方、静脈の老化は動脈と異なります。静脈の老化によってロングフライト症候群(エコノミークラス症候群)が引き起こされやすくなります。

●静脈老化のメカニズム

 まず、内側にある逆流防止弁が壊れて逆流した血液が血管の中に溜まり、血管が伸びると共に血管の壁を構成する平滑筋が壊れてさらに拡張が進んでいきます。血管が硬くなって内腔が狭くなっていく動脈とは違って、静脈の老化では血管が柔らかく伸びて拡張していきます。脚に血管がボコボコと浮き上る下肢静脈瘤は、このように静脈弁が壊れて静脈の逆流と拡張を来した代表的な疾患です。そして、逆流した血液が拡張した静脈の中によどみ溜まる状態が続くと血液が固まって血栓が作られます。足の深部静脈にできた血栓が肺に飛んで肺梗塞が生じるとロングフライト症候群になります。

 このように、硬く狭くなる動脈と、拡張していく静脈では、エイジングによる形態上の変化は異なります。ところが、最終的に血栓が発症して血流が妨げられ、命に関わる重篤な疾患の発症につながる点では共通しています。

 動脈においても静脈においても、エイジングは静かに進んでいきます。動脈、静脈のエイジングが進んでも自覚症状は全くありません。そして、血栓は予兆なく突然発生し、一度発生した血栓は短時間で成長して血管を完全に閉塞させます。これが、心筋梗塞、脳卒中や肺梗塞が不意に発症する理由で、発症すると死亡や重篤な後遺症にいたるわけです。

 つまり、これら血管のエイジングが原因となる病気にかからないためには、予防が極めて大切です。血管のアンチエイジングは、若々しさを保つだけでなく、突然死や重篤な後遺症に繋がる疾患への対策として最も重視されるのです。

血管年齢は病院で約30分で測れる!

 血管、特に動脈は他の臓器と違って、エイジングの程度を客観的に評価することができます。

 皆さんは肌年齢、骨年齢、免疫年齢など、○○年齢という言葉を聞いたことがありますか?この中で、客観的な評価と年代ごとの基準データが確立されているのは、実は血管(動脈)年齢だけといっても良いでしょう。他の臓器年齢の測定法はまだ確立されたものではありません。

 血管年齢と言われるのは、動脈硬化の度合いを測定して動脈のエイジングが何歳くらいに相当するかを算出したものです。各年代別の平均的な基準値があるため血管年齢は客観的な数値で表現されるので、実年齢と乖離していないか確認できます。

 血管年齢の測定は、血液脈波検査や血管エコー検査など体に負担のかからない簡単な検査で実施できます。所要時間も30分程度なので、40歳を過ぎたら、自分の血管年齢を測定しておくのが良いでしょう。もし、血管年齢が実年齢より進んでしまっていたら、血管のエイジングを防ぐための具体的なアクションを積極的に実践すべきです。それにより血管のエイジングが抑えられれば、理論上は心筋梗塞や脳卒中を完全に予防することができます。

血管年齢が老ける原因と8つの予防法

 ここからは、血管年齢をできる限り若く保つためにできることを紹介します。血管のエイジングは動脈と静脈で異なることをメカニズムと共に前述しましたが、まずはエイジングを促進する、つまり血管年齢を増悪させる原因をお知らせします。

 おさらいになりますが、動脈のエイジングは血管壁の硬化、内膜の損傷およびプラークの形成として現れます。動脈の硬化と内膜損傷は高血圧、プラーク形成は糖尿病と脂質異常症(高コレステロール血症、高中性脂肪血症)または活性酸素ストレスが主因です。

 静脈のエイジングは逆流を防止する弁の破壊、血管の拡張として現れます。これらは血液が粘調でドロドロになったり、炎症が背景にあったりすると引き起こされます。

 上記の高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症、高中性脂肪血症)、活性酸素ストレス、脱水、血管内炎症などの状況は病院の血液検査で測ることができます。

 血管年齢が実年齢より高い方はもちろん、そうでない人も血管のエイジングを進めるリスクをもっていないかどうか、年に1回は血液検査で調べておくべきでしょう。

 さて、血管のエイジングを進めるリスクをご理解いただいたら、改善のためには生活習慣の見直しも必要です。

●動脈のアンチエイジング

 動脈のアンチエイジングでは、高血圧、脂質異常や糖尿病などの生活習慣の管理が必要不可欠になります。

 高血圧の予防には、塩分を控える、睡眠時間を確保する、禁煙する、ストレスを溜めない、適度な運動の維持が大切です。

 脂質異常症や糖尿病の予防には、肥満を避ける、食べ過ぎない、運動不足にならないことが大切です。

 本態性高血圧の人、遺伝的に高血糖や脂質異常をきたしやすい人は、生活管理だけでは改善が難しいので投薬治療を受けることも必要になります。

●静脈のアンチエイジング

 静脈は動脈と違い、高血圧、脂質異常症や糖尿病はエイジングと特に関連性はありません。その代わり、静脈のアンチエイジングには、弁が壊れないようにすること、血管が極端に拡張しないようにすること、そして血液が血管内に溜まらないようにすることが大切です。

 まず、水分を十分に摂取して脱水にならないことが必要です。血液が粘調でドロドロになって静脈内の逆流防止弁に負荷がかからないようにするためです。

 また、ウオーキングや深呼吸を心掛けましょう。静脈内の圧力が大きくなると血管が拡張しやすくなります。圧力を抑えて血液がスムーズに流れるようにするには特に足の筋肉のポンプ力が必要で、同時に深呼吸が心臓に血液がもどってくるのを助けてくれます。

 長時間の立ちっぱなしやロングフライトで座りっぱなしの時などは、適度な圧のかかる靴下やストッキングを利用するのも良いでしょう。また、喫煙習慣に加えて、歯周病が血管炎や血栓症を誘発することも昨今わかってきたので、歯の手入れも怠らないようにすべきです。

 以上、血管のアンチエイジングは、8つのポイントにまとめられます。

(1)塩分摂取を控える
(2)睡眠時間を確保する
(3)禁煙する
(4)ストレスを溜めない
(5)食べ過ぎて肥満にならない
(6)水分を十分に摂取する
(7)ウォーキングや深呼吸などの適度な運動を維持する
(8)歯周病のケアを心がける

 ということです。

 その中でも、運動は血管のエイジング予防に加えて急増する高齢者の認知症やフレイル(虚弱)の予防にも極めて有効であることがわかっています。毎日20分程度早めの歩行をするなど、ある程度の負荷がかかる運動を40代から習慣づけると、血管をずっと若々しく保つことができるのです。

 特に40〜65歳の間は、しっかりとリスク管理をして、高齢になって薬漬けにならずに済むだけでなく健康寿命を伸ばせるよう心掛けていきましょう。

(北青山Dクリニック院長 阿保義久)
http://diamond.jp/articles/-/113739
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/292.html

[経世済民117] 日本株反落、トランプ氏会見失望し17年相場で最大の下げ−円高嫌気 金、3日ぶり反落=白金も JPモルガンの予言者うんざり
日本株反落、トランプ氏会見失望し17年相場で最大の下げ−円高嫌気
鷺池秀樹
2017年1月12日 08:03 JST 更新日時 2017年1月12日 15:44 JST

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米バイオ株安響き医薬品の下げ目立つ、米次期大統領が入札制示唆
約1カ月ぶりの1ドル=114円台、SQにらみ午後に先物売りも

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12日の東京株式相場は反落。トランプ次期米大統領の会見で景気刺激策の詳細について言及がなく、失望売りが広がった。為替の円高進行もマイナス材料。入札制度導入への警戒で米国のバイオテクノロジー株が下げた流れから医薬品株が安く、小売や銀行、精密機器、鉄鋼、建設株など幅広い業種が下げた。
  TOPIXの終値は前日比14.99ポイント(1%)安の1535.41、日経平均株価は229円97銭(1.2%)安の1万9134円70銭。両指数の下げ幅と下落率はことしに入り最大。日経平均は米大統領選後の上昇相場が始まった昨年11月以降、初めて投資家の短中期売買コストを示す25日移動平均線(1万9192円70銭)を下回った。
  三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、トランプ氏の会見について「注目されていた割に財政や為替、通商に関し具体的な言及がなく、失望された」と指摘、トランプ次期政権への期待感だけで買う局面は終わり、「政策の中身を見たいというモードに変わってきた」と話した。
トランプ次期米大統領
トランプ次期米大統領 Photographer: John Taggart/Bloomberg
  ニューヨークのトランプタワーで11日に行われたトランプ氏の会見は、ロシアとの関係を問う質疑応答が多くを占めた。「政策のヒントが得られると期待していた向きにとっては肩透かし」と、岡三証券投資戦略部の山本信一シニアストラテジストは言う。
  11日の米国市場では米国債売り・ドル買いの「トランプ・トレード」の見直しが広がり、ドル・円は一時1ドル=114円20銭台と昨年12月9日以来の水準までドル安・円高が進行。前日の日本株終値時点は115円96銭だった。
  トランプ氏会見の内容や為替動向が嫌気され、きょうの日本株は朝方から売りが優勢。午前は115円前後でもみ合っていたドル・円が午後に入り114円台前半まで円が強含むと、日経平均は先物主導で下げ幅を拡大。一時295円安の1万9069円と昨年末の大納会終値(1万9114円37銭)を下回る水準まで売られた。岩井コスモ証券・投資調査部の林卓郎氏は、「日本銀行がETFを購入したとみられる割に戻りが鈍く、あらためて売り直す動きが出た」とし、あすのオプション1月限の特別清算値(SQ)算出をにらみ、1万9000円を意識する売り仕掛けがあったとみていた。
  武田薬品工業やアステラス製薬を中心に、業種別下落率のトップは医薬品。トランプ氏が医薬品の入札方式を開始する意向を示し、米バイオ・医薬品株が下げた流れを受けた。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の若尾正示シニアアナリストは、入札制度が導入された場合、「米国で製薬企業がとってきた薬価を引き上げることによる薬剤の売り上げ拡大が難しくなるため、ネガティブ」との認識を示した。
  トランプ氏は米大統領選の期間中、就任初日に中国を為替操作国に認定する意向を示していたほか、米国の雇用を取り戻すために北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に臨む計画を表明してきた。三井住友アセットの市川氏は、「20日の就任式を受け、市場は最初の政策評価局面に入る」と話している。
  
  東証1部33業種は医薬品、パルプ・紙、精密、小売、ゴム製品、繊維、鉄鋼、建設、銀行など31業種が下落。石油・石炭製品、水産・農林の2業種は上昇。東証1部の売買高は20億700万株、売買代金は2兆3762億円。代金は前日から9%増えた。上昇銘柄数は327、下落は1600。大阪取引所の日経平均先物3月限の出来高は9万枚超、前日は5万1677枚だった。
 
  売買代金上位では、みずほ証券が投資判断を下げたユニー・ファミリーマートホールディングス、ジェフリーズ証券が先行きの業況に対し慎重な見方を示したコナミホールディングスが大幅安。半面、新社長就任で業績拡大加速が期待されたキユーピーは急伸。大和証券が投資判断を強気に上げたJXホールディングスも高い。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJN0AS6TTDSQ01

 

〔香港外為〕ドル、午後3時現在114円24〜29銭(12日)【1/12 16:36】
【香港時事】12日の香港外国為替市場のドルの対円直物相場は、午前9時(香港時間)に1ドル=115円11銭を付け、午後3時には前日同時刻比1円65銭ドル安・円高の114円24〜29銭で推移している。取引レンジは114円19銭〜115円42銭。

他の通貨の相場(午後3時現在)はユーロが1ユーロ=1.0636〜0639ドル、スイス・フランが1ドル=1.0094〜0105フラン、ポンドが1ポンド=1.2244〜2250ドル。香港ドルは1HKドル=14円71銭9厘1毛〜75銭3厘6毛、1米ドル=7.7537〜7542HKドル。

街角景気、横ばい=基調判断据え置き―昨年12月【1/12 15:53】
内閣府が12日発表した2016年12月の景気ウオッチャー調査によると、3カ月前と比べた街角の景況感を示す現状判断指数(季節調整値)は前月比横ばいの51.4だった。好不況の判断の分かれ目となる50を2カ月連続で上回っており、基調判断は「着実に持ち直している」に据え置いた。

景況感は家計部門が悪化した一方、企業と雇用では改善した。家計関連は、忘年会需要などで飲食が好調だったが、商店街を中心に小売りがさえなかった。企業関連では「自動車メーカーの生産が堅調で、取引先の部品メーカーの受注も安定してきている」(東海の金融業)など、受注拡大を指摘する声が多かった。


 

金、円高受け3日ぶり反落=白金も安い(12日)【1/12 15:50】
金は3営業日ぶりに反落。終値は、中心限月12月先ぎりが前日比15円安の4392円、ほかは13〜17円安。先ぎりは、夜間取引で一時4422円と、継続足で2016年8月4日以来約5カ月ぶりの高値を付けたが、日中立ち会いは、対ドルでの円の上昇から売りが先行して始まった。その後、為替が取引開始時点に比べて円高・ドル安方向に進んだ一方、取引中のニューヨーク金先物相場が水準を切り上げたため、もみ合いとなった。

東京ゴールドスポット100は、17円安の4407円。

銀は、60〜90銭安。

白金は反落。NY安や円の上伸を受けて安寄りした後、取引中のNY相場の上昇と円高・ドル安の綱引きからもみ合った。12月先ぎりの終値は、26円安の3608円、ほかは27〜34円安。パラジウムは、36〜66円安で取引を終えた。(了)

[時事通信社]
http://fx.dmm.com/market/news/


 


ウォール街の著名クオンツファンド、JPモルガンの予言者にうんざり
Dani Burger
2017年1月12日 06:48 JST

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リスクパリティやトレンド追随戦略はスケープゴートに−AQR
自動取引ファンドの影響は過大評価されている−AQR

JPモルガン・チェースのストラテジスト、マルコ・コラノビッチ氏らは、クオンツ運用のファンドがしばしば、株式投資家の痛みを増幅すると指摘する。しかし、これに耳を傾けてはならない。プログラムに基づいて機械的に売買するこうしたファンドは小粒になりつつあり、24兆ドル(約2791兆円)規模の米株市場を動かす力はない。
  これはAQRキャピタル・マネジメントの見解で、客観的なものではない。同社は相場乱高下の元凶に挙げられるようになった戦略の多くを他社に先駆けて取り入れてきた企業であるためだ。AQRのクオンツ運用者らは、2015年8月の中国発の相場下落から英国の欧州連合(EU)離脱選択後の急落まで、あらゆることをマネージドフューチャーズやリスクパリティ戦略のせいにする論調にうんざりしてしている。

ウォール街
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iSGvQrcMyUtU/v1/-1x-1.png

  AQRのプリンシパルでマネージドフューチャーズ・リスクパリティ戦略のポートフォリオマネジャー、ブライアン・ハースト氏は「分析は不正確だ」とし、「単純化し過ぎたモデルと不適切なデータに基づいている」と指摘した。
  自己弁護的ではあるものの、AQRの主張を数学好きの屁理屈だと片付けるわけにはいかない。AQRが言及したような分析、つまり自動取引ファンドの資金規模およびボラティリティなどに対するその反応についての理論によって自動取引の影響を予測しようという試みが、この1年で大いに増えているからだ。
  AQRの見解では、コンピュータープログラムで運用するファンドは市場の厄介な動きを説明しようとする不毛な努力によりスケープゴートに祭り上げられただけだ。コラノビッチ氏はこうした論調の旗手だ。同氏は15年夏の株式相場急落を言い当て、自動取引ファンドが売りに追い込まれることが原因だと説明。以来、多くの人から予言者ともてはやされるようになった。JPモルガンの広報担当アマンダ・スミス氏によると、コラノビッチ氏はコメントを控えた。
  コラノビッチ氏は英国のEU離脱選択直後にも影響予測を発表。自動取引ファンドのレバレッジ解消が商品取引アドバイザー(CTA)から最大400億ドル、リスクパリティ戦略ファンドから300億ドルの売りをそれぞれ促すだろうと分析した。
  一方AQRは、この概算はこうしたファンドの影響力を著しく過大評価していると論じる。CTAの資金の多くを運用するマネージドフューチャーズの資産は、イーベストメントのデータによると約1350億ドルで、08年の2100億ドルから減少している。3000億−4000億ドルというS&P500種株価指数先物の1日の取引高に比較して、これは市場を動かすほど大きな額ではないとの見方だ。

原題:Wall Street’s Most Famous Quants Fed Up With JPMorgan Soothsayer(抜粋)


http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/700.html

[経世済民117] トランプ次期政権を襲う過酷な「景気・バブル循環」 中国の衝撃、人民元の変動相場移行 円全面高 貿易黒字拡大続く 日本買 
米国ウオッチ
トランプ次期政権を襲う過酷な「景気・バブル循環」
山広 恒夫
2017年1月11日 06:48 JST

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「オバマ大統領は完全雇用に近い経済をトランプ次期大統領に手渡す」(ニューヨーク・タイムズ)。同紙はオバマ大統領の功績をたたえ、次期大統領の幸先良いスタートに期待している。
  米国で最も注目される経済データの一つである失業率は、確かにトランプ氏が勝利した2016年11月に4.6%まで下がった。歴代大統領の当選時点と比べると、カーター第39代大統領以降ではジョージ・W・ブッシュ第43代大統領の3.9%に次いで2番目に低い。ところが、最も好調な米国経済を引き継いだはずのブッシュ大統領が就任して2カ月後に、米経済は景気後退期に突入した。

  景気循環という点で幸運だったのはオバマ第44代大統領で、2009年1月の就任から5カ月後にグレートリセッションが谷を形成、緩やかながらもなお景気拡大期が続く中で、任期を終了する。同大統領の就任時の失業率は7.8%。その9カ月後に付けた10%をピークに、低下トレンドに転換、16年11月に4.6%まで改善した。
  オバマ大統領と似た軌跡をたどったのは、ビル・クリントン第42代大統領である。就任時の1993年1月に記録した失業率は7.3%と、オバマ大統領と同じ7%台だった。当時の米経済は景気後退の後遺症で「雇用なき景気回復」と呼ばれていた。このように景気後退の影響下にあり、高い失業率の下で就任した大統領の方が幸運に恵まれた。
  これは至極当然だ。景気後退に陥っても谷を形成すれば、山を登ること(景気拡大期)になるのだから。ブッシュ大統領は2001年1月、景気の山に登り詰める寸前のところで就任し、2カ月後に山頂に達し、景気後退に陥っていたのである。
  トランプ次期大統領下での米経済は、ブッシュ大統領の就任当時と同様、景気の山頂に向かっているように見える。あるいは既に山頂にあるのかもしれない。景気一致指標として優れたデータであるフルタイム就業者数は昨年8月に1億2425万6000人を記録し、今回の景気拡大局面でピークを付けている。

  12月のフルタイム就業者数は昨年8月を8000人下回っている。つまり、昨年末にかけてフルタイム就業者数はわずかながらマイナスに沈み、その間の就業者の増加分はすべてパートタイムということになる。これは極めて不健全な状況と言わざるを得ない。いずれの項目とも雇用統計の家計調査に基づいている。
  市場はじめ政策当局者もヘッドラインとなる雇用統計(事業所調査)に基づく非農業部門の雇用者数に注目し、なお強気の姿勢を維持している。しかし実相を見れば、極めて不安定になってきたことは否めない。
  トランプ大統領が引き継ぐ「完全雇用」の中身が、不完全であることは疑いない。だからこそ、「既存概念の否定」を唱えたトランプ氏が選挙戦で現政権党候補のヒラリー・クリントン氏を下したわけだ。
  トランプ大統領が引き継ぐ実体経済の不透明感もさることながら、ビル・クリントン大統領以降、景気循環とバブルの膨張と崩壊がほぼ同時に起こってきたことも見逃せない。

  特にオバマ政権下では、米国史上初のゼロ金利政策と量的緩和が実行されており、実体経済が減速している中で、異様な金融バブルが膨らんでいるように見える。S&P500種株価指数はオバマ大統領の一期目就任直後のボトムから16年の大統領選挙までに約220%上昇。さらにトランプ氏の当選後に約6%値上がりしている。これはブッシュ政権下のボトムからピークまで約100%上昇の倍を上回り、クリントン政権下のITバブル(約250%上昇)に接近中だ。
  一方、オバマ政権下で実体経済は弱くなってきた。実質国内総生産(GDP)の前年同期比の8年平均で比べると、オバマ政権下で実質GDPは前年比1.3%成長にとどまる。これは統計でさかのぼれる歴代12大統領のうち最も低い。「米国経済は停滞している」と批判し、既成システムの打破を旗印に勝利したトランプ氏の主張が正しいことを示している。
  実体経済の裏付けのない株価高騰は危うい。下記チャートの通り、今回の景気拡大局面では、成長力が弱まるなかで株価が著しく上昇している。これは今月のトランプ大統領就任の後いずれ訪れる景気後退とバブル崩壊の衝撃が、歴代大統領より過酷なものになることを示唆しているようだ。

(【米国ウオッチ】の内容は記者個人の見解です)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-10/OJIT2NSYF01W01

 

株式ロング・ショート型ヘッジファンド、ショート見限りロングに集中
Dani Burger
2017年1月12日 12:47 JST

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• 株式ヘッジファンド運用者は値下がりを見込む賭けを過去最低に縮小
• 16年の運用成績は11年以来の低迷

ロング・ショートの運用戦略から「ショート」を外すとどうなるのか。一部のヘッジファンドがその答えを確かめようとしている。
  クレディ・スイス・グループの集計データによると、ヘッジファンドの運用手法として代表的な株式ロング・ショート戦略をとるファンドは、値下がりを見込む賭けを過去最低に減らしている。これは2016年の非常に悪かった運用成績を反映した動きだ。同年にS&P500種株価指数は9.5%上昇したが、クレディ・スイスが追跡したロング・ショート型運用者のリターンはマイナス4.3%と、11年以来の低水準だった。

  相場が上昇を続ける中、多くのヘッジファンドは相場活況の中でやけどしないよう、ショート部分を手放しロング部分を堅持している。クレディ・スイスのリスク助言グローバル責任者、マーク・コナーズ氏は「上振れのリスクがある。そこに運用者は関与したがっている」と指摘した。
  ロング・ショート戦略とは、値上がりが見込まれる株式を買うロング・ポジションと値下がりが見込まれる株式を売るショート・ポジションの2つの取引を組み合わせ、相場変動の影響を最小化したり、ポジションのレバレッジを高める手法。株式ロング・ショート型ヘッジファンドの16年11月時点の運用資産は6867億ドル(約78兆8000億円)と、調査会社イーベストメントが追跡したヘッジファンドのカテゴリー別資産規模で最大だった。
  昨年の米大統領選以降、米国株式市場の時価総額は1兆7000億ドル増加し、新年に入って投資家の間では相場上昇が行き過ぎた可能性があるとの見方が浮上している。S&P500種は昨年12月に5営業日連続で、相対力指数(RSI)でみて買われ過ぎの水準で推移した。
  株式のロングポジションに運用担当者らが一段と集中することで、相場上昇が持続する可能性はある。クレディ・スイスによれば、株式ロング・ショート型ヘッジファンドはロングポジションが過去5年の平均を下回っており、運用に利用できる資金を十二分に持つという。

原題:Long-Short Hedge Funds Are Ditching the Shorts to Focus on Longs(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNARA6K50XX01

 


 
中国が与える次の衝撃、人民元の変動相場制移行−PIMCOなど予想
Justina Lee
2017年1月12日 12:39 JST

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政府系研究員や人民銀元委員らの間にも変動相場制を支持する意見
中国にとって移行に伴うコストより長期的恩恵の方が大きいとの指摘

中国人民元が再び世界の注目を集めていることから、中国当局が今の局面で人民元に対する管理を緩めるのは不適当だと思えるかもしれない。
  しかしアナリストや投資家の間では、人民元の変動相場制への移行がまずあり得ない話とはもはや言えなくなったとの見方が増えている。政府系研究員や中国人民銀行(中央銀行)の元貨幣政策委員らの間からもそうした意見が上がっており、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は移行の可能性が高まりつつあるとみている。
  人民元への規制を外すことのリスクは無視し難い。実際にそうした措置を講じた場合は、ほぼ間違いなく元が反射的に下落し、資本流出が加速して世界の市場に衝撃を与えるだろう。
  だが変動相場制の提唱者らは、中国にとっては移行に伴うコストより長期的な恩恵の方が大きいと主張する。為替レートを市場が決定するシステムに早急に移行することで外貨準備の減少が避けられ、国内の金融政策の支配力を再び行使できるほか、中国共産党が人民元を操作しているとのトランプ次期米大統領からの批判にも対抗することが可能になる。
  PIMCOのアジア新興国・地域担当ポートフォリオマネジメント責任者、ルーク・スパジック氏は「受け入れなければならないのは、現在の人民元の価値が適切でないという事実。変化が必要だ」と述べた。同氏は元が向こう1年で1桁台の半ばから後半の大きさで下落すると予想している。
  人民銀にコメントを求めるファクスを送ったが返答はない。
  中国の国家発展改革委員会(発改委)傘下の国家情報センターでチーフエコノミストを務める祝宝良氏(北京在勤)は「人民元の下落圧力を解放しなければ中国の金融政策は厳しい状況に陥るだろう。元の下落を容認することで国内のリスクを減らし、世界的なリスクへの波及を食い止めることができる」と指摘した。
  一方、みずほセキュリティーズアジアの沈建光エコノミストは、中国の現行システムは不完全であるものの、今は為替相場を自由化する時ではないと話す。米金融当局が年内にさらなる利上げに踏み切ると予想される中で、中国が変動相場制に移行すれば元が対ドルで急落し、「多額の」資本流出を招くとする沈氏は、トランプ次期政権が中国による市場に基づく為替相場の採用を称賛するどころか、米国の利益を害すると受け止めかねないと語った。
原題:Pimco Says China’s Next Market Shock May Be Yuan Free Float (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJN8LE6JTSEA01

 

ドル・円が下落、トランプ会見失望で114円台−円はほぼ全面高
小宮弘子
2017年1月12日 10:03 JST 更新日時 2017年1月12日 15:37 JST 
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一時114円35銭と約1カ月ぶり安値付近までドル売り・円買いが進行
次の焦点は20日就任式や人事がすんなり決まるか−三菱UFJ信託

12日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が下落。前日行われたトランプ次期大統領の会見で景気刺激策の詳細が示されなかったことへの失望や保護主義的な姿勢への警戒感が重しとなり、一時1ドル=114円台前半まで値を下げた。
  午後3時28分現在のドル・円は前日比0.7%安の114円59銭。115円台半ばから一時114円35銭まで値を下げ、前日の海外市場で付けた昨年12月9日以来の安値(114円25銭)に迫った。
  三菱UFJ信託銀行資金為替部・戦略トレーディング課の池島俊太郎課長は、今回の会見で具体的なものがなかったため、「次の焦点は20日の就任式やその後の人事がすんなり決まるかどうかというところに移りそう」だと指摘。それを確認するまでは「ドル・円が戻るのは難しいのではないか」とした上で、「保護主義的な言説中でトヨタや中国、日本と触れられると、やはりドル買いを手控える感じになるか、ドルロングのポジションを調整する感じにはなりやすい」と話した。

  トランプ氏は11日、大統領選後初の会見で、生産設備や雇用をメキシコなどの国外に移転する米企業に対し、 「大規模な国境税」を課す方針をあらためて示した。同氏はまた、米自動車最大手のゼネラル・モーターズ(GM)に対し、フォード・モーターやフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)に倣って米国内の自動車工場に投資し、雇用を増やすよう促した。
  菅義偉官房長官は12日の記者会見で、トランプ氏の会見について「しっかり分析している」とし、日本との貿易赤字を問題視する姿勢を示したことについては、日米経済関係のさらなる発展・深化に取り組むことは「どなたがなっても同じ」と述べた。
  みずほ証券金融市場調査部の山本雅文チーフ為替ストラテジストはリポートで、「トランプ氏が対日も含めた貿易不均衡是正を政権の重要課題に掲げ、保護主義強化姿勢をあらためて示したことから、上値の重さを確認すると再びドル安・円高圧力が強まるリスクが大きくなっている」と指摘。ドル高への直接的な言及はなかったが、「当面は新政権がどのように米国の貿易赤字を削減するのかが注目される」と記述した。  
  この日発表された日本の11月の経常収支は1兆4155億円の黒字となった。黒字は29カ月連続で、貿易収支の黒字(3134億円)が全体を押し上げた。
  12日の東京株式相場は反落し、日経平均株価の下げ幅は一時300円に迫った。
  ブルームバーグのデータによると、円は主要16通貨に対してほぼ全面高。一方、ドルは大半の通貨に対して下落している。
  三菱東京UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役は、昨日の会見で「大統領選勝利後の理性的な感じではないトランプ氏だったことが示されて、あらためて不安感が出てきている感じ」だとし、この先、政治的リスクが焦点となった場合には「米株に資金が向かなくなるリスクもあるだろう」と指摘。「クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)が崩れると、ドル・円も重くなり、下方向への圧力は続きそう」と語った。
  ユーロ・円相場は1ユーロ=122円台前半から一時121円37銭と、前日の海外市場で付けた昨年12月9日以来の安値(121円25銭)付近までユーロ売り・円買いが進行。一方、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.05ドル台後半から一時1.0615ドルまでユーロ買い・ドル売りが進んだ。
  メキシコ・ペソは1ドル=21ペソ台後半と過去最安値圏で推移。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、「メキシコへの強硬姿勢は変わらず象徴的」だとし、「トランプ政権が現実路線に戻れば、メキシコ・ペソにも買い戻しが入ると思うが、短期的には為替相場に壁はない」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJN6A86K512101


 

11月の経常収支は1兆4155億円の黒字−貿易黒字で前年比拡大続く
下土井京子
2017年1月12日 09:14 JST 更新日時 2017年1月12日 11:30 JST


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輸出が回復基調に−円安で経常黒字は高め安定で推移するとの見方
第一次所得収支は大口案件の配当がはく落する特殊要因で大幅減少


モノやサービスを含む海外との総合的な取引を示す経常収支は、昨年11月速報で29カ月連続の黒字となった。貿易収支の黒字が全体を押し上げた。市場予想はやや下回った。
キーポイント
経常収支は前年同月比28.0%増の1兆4155億円の黒字(ブルーバーグ調査の予想中央値は1兆4600億円)−前月は1兆7199億円
海外配当金や債券利子などの第一次所得収支は21.6%減の1兆2032億円 
輸出は0.8%減の5兆8904億円、輸入は10.7%減の5兆5770億円
輸出と輸入を差し引いた貿易収支は3134億円の黒字に転換(前年同月は3041億円の赤字)−黒字は10カ月連続
背景
  中国など新興国向けの輸出が回復基調にあることなどから貿易収支が黒字を維持し、経常収支の黒字を支えた。11月は前年同月比で円高水準だったことや、原油価格が円ベースで下落したことから輸入額が落ち込んだことも要因の1つ。
  第一次所得収支の黒字幅は縮小したものの1兆円を超える水準を維持。財務省は11月に大幅に減少した理由について大口案件の配当がはく落する特殊要因があったと説明した。市場関係者の間では昨年11月の米大統領選後に進んだ円安を背景に同収支が再び増加に転じ、経常黒字は高め安定で推移するとの見方が強まっている。
エコノミストの見方
農林中金総合研究所の南武志主席研究員は統計発表後、11月は円高圧力が強かったが、「12月くらいに流れが変わってきているので、円安効果で第一次所得収支で受取額が広がってくる可能性はある」と指摘。経常収支全体でも少し膨らむ可能性があるとの見方を示した。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは5日付のリポートで、経常収支が前月比で縮小する可能性を示唆した上で、「例年11月は国慶節終了で中国からの訪日客が減少、すなわち旅行受け取りが減少しやすい季節性が存在する」との見方を示していた。
第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは6日付のリポートで、「第一次所得収支が高水準での推移を続けていることに加え、輸出の回復を背景に貿易収支も改善基調にある」とし、経常収支は当面、高水準で推移する可能性が高いと予想していた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJLWST6S972J01


 
トランプ政権誕生が意味するのは「日本買い」−15億ドル規模ファンド
Jonas Cho Walsgard
2017年1月12日 03:22 JST

米大統領選挙でのドナルド・トランプ氏勝利後の中心的な戦略は「日本買い」だと、15億ドル(約1750億円)規模のアジアファンド運用者が述べた。
  香港を本拠とするガーブカルのパートナーで最高経営責任者のルイビンセント・ガーブ氏は11日、オスロでのスカーゲン・ファンドの会議でインタビューに応じ「日本資産の保有を相当増やした」と語った。「ここ数年で、円が安くなる時とイールドカーブがスティープ化する時、銀行株がアウトパフォームする時はいつも、相場が好調だった。今はその3つが全てそろっている」と説明した。
  昨年11月8日の米大統領選挙以降に円はドルに対して10%余り下落。日経平均株価は13%上昇した。一方で新興市場株はドル高で苦戦している。
  ガーブカルは日本の銀行株と建設会社株を買い、東南アジアとインド株は減らした。
  ガーブ氏はまた、中国とアジアにとっての最大の不確実要素はトランプ政権の通商政策だとの見方も示した。
原題:Trump’s Rise Means Buy Japan for $1.5 Billion Hong Kong Fund(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJMIV7SYF01X01
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/702.html

[国際17] ティラーソン氏、対ロ政策でトランプ氏との食い違い浮上 中国による南シナ海人工島へのアクセス阻止する必要

ティラーソン氏、対ロ政策でトランプ氏との食い違い浮上
Nick Wadhams、Joe Carroll、Margaret Talev
2017年1月12日 10:30 JST
次期国務長官に起用されたティラーソンが上院の公聴会に臨んだ
「NATOの同盟国がロシアに懸念を抱くのはもっともだ」と発言

次期米国務長官に起用された前エクソンモービル会長兼最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーソン氏は11日、上院外交委員会の指名承認公聴会に臨んだ。公聴会ではロシアとの関係に議員の質問が集中し、ティラーソン氏の発言は主要な外交政策でトランプ次期大統領と完全に足並みをそろえているわけではないことをうかがわせた。
  ティラーソン氏は、米国が世界でより強力な指導力を発揮するべきだとの考えを示し、「米国第一」主義を唱えて海外関与を減らすことになるトランプ氏のビジョンとの対比が浮き彫りとなった。ティラーソン氏はまた、ロシアが米国にとって「危険」であると述べるとともに、2016年の米大統領選の際にロシアが仕掛けたとされるサイバー攻撃への制裁措置を当面は維持すべきだと語った。トランプ氏は同措置を批判している。
  ティラーソン氏は「北大西洋条約機構(NATO)のわれわれの同盟国が、勢力を盛り返したロシアに警戒感を抱いているのはもっともなことだ」と指摘。それと同時に、米国が指導力を欠いていることが、クリミア半島やシリアなどでのロシアの攻撃的な態度を助長することになったと述べた。
  米大統領選中のサイバー攻撃はロシアのプーチン政権によるものだとする米情報当局の間のコンセンサスや、ロシアがシリアのアサド政権を支持している事実にもかかわらず、トランプ氏は対ロ関係の改善に意欲を示している。しかし、8時間余りに及んだ同公聴会で議員がティラーソン氏に突き付けた鋭い質問からは、トランプ氏のこうした姿勢への根強い懸念が鮮明となった。
原題:Tillerson Veers From Trump Line as Russia Looms Over Hearing (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJN5BY6KLVRG01


ティラーソン氏:中国による南シナ海人工島へのアクセス阻止する必要
Isabel Reynolds
2017年1月12日 14:26 JST

ワシントンで証言するレックス・ティラーソン氏(1月11日) Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
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尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲との立場を維持する姿勢を示唆
上院外交委員会の指名承認公聴会で発言

トランプ次期米政権の国務長官に指名されたエクソンモービル前会長兼最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーソン氏は11日、中国が南シナ海に造成した人工島に同国がアクセスできないようにする必要があるとの見解を示した。
  ティラーソン氏は上院外交委員会の指名承認公聴会で、中国の活動への対応を怠ったことが、南シナ海で領域を広げようとする同国の動きを許したと指摘した。
  同氏は南シナ海問題についてより強い姿勢の対応を支持するかとの問いに対し、「われわれは中国に対し、まずは人工島の造成を中止しなければならないと伝え、次に中国によるこれら島々へのアクセスは認められないとの明確なシグナルを送る必要がある」と語った。人工島造成やアクセスをどのように阻止できるかについては具体的に言及しなかった。
  ティラーソン氏はさらに、日米安全保障条約や米韓の防衛条約を守る考えを示した。同盟国が米軍駐留費の負担増に応じなければ撤退を検討するとトランプ氏が昨年3月のインタビューで発言して以来、従来の安保体制に対する不安が高まっていた。日韓の核兵器保有は米国にとって悪いことではないとしたトランプ氏の考えに賛成かとの問いに対しては、「同意しない」と答えた。
  ティラーソン氏はまた、尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲だとする米政府の立場を堅持する姿勢を示唆した。「この地域では日本、韓国と長年の同盟コミットメントがあり、これらの取り決めに従ってわれわれが対応すると考えている。安全保障という意味において日本へのコミットメントがあることは確かだ」と発言した。
原題:Tillerson Says China Can’t Have Access to South China Sea Isles(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNIDC6K50Y901
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/254.html

[エネルギ3] エネルギー自給100%目指すトランプの狙い エコロジーフロント 環境・エネルギー分野の2017年を読む 
エネルギー自給100%目指すトランプの狙い
エコロジーフロント
環境・エネルギー分野の2017年を読む
2017年1月12日(木)
日経エコロジー取材班
 米国新政権の誕生が迫り、フランス大統領選挙やドイツ連邦議会選挙なども控え、「転換の年」といわれる2017年。環境・エネルギー分野も例外ではない。
 国内では、4月に敢行されるガス小売り事業の全面自由化が大きな節目となりそうだ。東日本大震災以降のエネルギーシステム改革でも重要な道程の1つに位置付けられる。最近、注目を集めているESG(環境・社会・ガバナンス)投資でも大きな動きが見込まれる。巨鯨とも称される世界最大の機関投資家GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、ESG投資に本格的に乗り出す。
 世界では、1月20日に誕生する米国のドナルド・トランプ政権の動きに注視したい。自国の経済成長を優先するトランプ氏の政策が、「パリ協定」の発効で勢いづく温暖化対策に冷や水をかけかねない。
 2017年に見込まれる環境・エネルギー分野の動きから、ビジネスへの影響を探った。
ガス小売りもついに全面自由化
 まず注目したいのが、4月1日に始まるガス小売りの全面自由化だ。新たにガス小売りの対象となる一般家庭や小規模事業者は約2500万件。市場規模は約2兆4000億円とみられる。
 大手電力会社は、発電燃料のLNG(液化天然ガス)基地を所有し、ガス小売りへの参入障壁が低い。東京電力や関西電力、中部電力、九州電力などが参入を表明。同様にLNG基地を抱えるJXエネルギーなど石油元売り会社の参入も見込まれる。早ければこの1月にもガス・電力のセット販売価格の発表が相次ぎそうだ。電力会社や石油会社が加わったガス市場の顧客獲得競争は激化が予想される。
 東京電力は、2016年に先行開始した電力小売りの全面自由化で離れた顧客を奪還すべく全力を挙げる。同社の小売り部門、東京電力エナジーパートナーは4月の販売解禁に先立ちガス販売情報サイトを公開した。同社の2015年度におけるLNG調達量は、ガス会社を差し置き国内最大の約2500万tに上り、既に自由化している大規模事業所に134万tを販売している。この実績をアピールする。
 電力、ガス、石油などエネルギー事業者による連携や、合従連衡も活発化しそうだ。「総合エネルギー事業者」の生き残り競争が本格化する。

7月からの都市ガス販売開始を発表した東京電力エナジーパートナー・小早川智明社長(右)と、液化石油ガス(LPG)大手の日本瓦斯・和田眞治社長。東電は日ガスと提携し、家庭に都市ガスを供給する
 2012年7月に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)は、5年目の今年、転機を迎える。FITを定めている改正再エネ特措法が4月1日に施行されるからだ。改正の狙いは、需要家が電気料金に上乗せして支払う再エネ賦課金を抑えることだ。2015年度に1兆8400億円だった賦課金の総額は、2016年度に2兆3000億円となり、2030年度に4兆円に膨れ上がる見込みである。
 事業者向け太陽光発電の1kWh当たりの買い取り価格は、FIT開始当初の税抜き40円からほぼ半額の同21円になる。2017年10月からは、入札で調達価格を決める制度を開始する。上限価格を同21円として、安く応札した事業者から認定を与える。
 風力発電は、初めて買い取り価格を引き下げる。これまで同22円だった買い取り価格を2017年度は同21円にし、2019年度に同19円まで毎年1円ずつ引き下げる。バイオマスも大規模発電所を対象に買い取り価格を3円引き下げ同21円にする。
 加えて4月にはネガワット取引市場が始まる他、2017年度内にFIT電源を対象にする非化石価値取引市場の運用も予定されている。電力・ガス小売りの自由化などによるエネルギー改革や、エネルギー需給調整の効率化を進展させるため、国による制度のテコ入れが続く。
加速するESG投資と情報開示
 2017年はESG(環境・社会・ガバナンス)投資が本格化する。企業には投資家との対話や情報開示が迫られる。約130兆円を運用する世界最大の機関投資家GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、日本企業を構成銘柄とする新しいESGインデックス(株価指数)に連動した「パッシブ運用」に乗り出す。早ければ3月にも始める。GPIFにとって初の本格的なESG投資で、いずれ数兆円規模に拡大するとみられる。
 夏には「日本版スチュワードシップコード」が改訂され、投資家が企業に実施した議決権行使の内容を公表することが盛り込まれる予定だ。投資家によるESG投資が、いわば査定されることになる。
 「グリーンボンド」拡大の兆しもある。グリーンボンドは、環境配慮事業の資金を調達するために企業や組織が発行する債券のことだ。環境省は3月までにグリーンボンドの日本版ガイドラインを策定、東京都は2017年度中のグリーンボンド発行を表明している。債券の購入を通じて、都民による環境事業への関与を狙う。
 企業に対する、気候変動に伴う財務リスクの開示要請も強まる。主要20カ国会合(G20)の要請により主要国政府・金融機関による「金融安定理事会(FSB)」の組織、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が気候リスクに関する情報開示ルールを検討している。新ルールは7月のG20でお披露目の予定だ。
■2017年環境、CSR、エネルギー関連の動き(1)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/230270/011000038/z1.png
2020年東京五輪を控え、持続性の配慮が進む
 3月には東京五輪の環境や持続可能性への配慮に関する規定が新たにまとまる。持続可能な調達コードと農畜水産物の調達基準である。4月からは紙やパーム油の調達基準も議論される。持続可能な調達の手順を定めた国際標準化規格「ISO20400」が3月に発行する予定で、2020年東京大会はこれにのっとった初の五輪になりそうだ。
 5月には合法伐採木材利用促進法が施行される。企業が木材の合法性確認方法について国の審査を受け、お墨付きを得る「登録制度」が始まる。違法材を国内市場から締め出せるか、実効性に注目が集まる。
 名古屋議定書への締結も期待される。通常国会で締結の承認や国内措置を審議する可能性がある。同議定書は、企業が微生物などの遺伝資源を利用して製品化した際、得られる利益を資源国に配分することを定めた国際条約。議定書の非締結国には遺伝資源を提供しない途上国も現れ、締結しないデメリットも顕在化しつつある。締結は大詰めを迎えている。
 一方、企業活動が水や大気、土地などの自然資本に与えるリスクを評価する動きも続く。企業イニシアティブ「自然資本連合」による「自然資本プロトコル」の日本語版が2月に発表される。自然資本への負荷を測定・評価する手順で、企業の活用が拡大するだろう。いずれは情報開示を促す方向に進みそうだ。
トランプ政権の温暖化対策は停滞の見通し
 2017年の温暖化対策に関わる注目点は3つある。1つは「米国新政権の影響」、2つ目は日本の「長期戦略」、残る3つ目は「途上国への貢献」である。
 かつてツイッターで、地球温暖化を「でっち上げ(hoax)」と斬り捨てたトランプ次期米大統領。既に締結済みのパリ協定に対しては、離脱の意向を示している。ただ、トランプ氏の任期に当たる4年の間は、パリ協定から離脱できない。パリ協定はひとたび発効すると、3年の間、締結国は脱退を国連に通告できず、通告後も1年脱退できない規定だからだ。パリ協定に組み込まれた、誰が次期米大統領になろうともすぐには脱退できない仕組みがうまく機能しそうだ。
 ただし、パリ協定の親条約である「気候変動枠組み条約」もろとも離脱する策も残る。とはいえ、同条約からの離脱に時間を割くことが、トランプ氏にとってそれほどの重要イシューかどうかは未知数だ。トランプ氏は気候変動そのものを否定している訳ではないとみられる。むしろ、国内産業の競争力を強める上で足かせとなる米国内の規制や制度にどこまでメスを入れるかに注視する必要があるだろう。
 例えばトランプ氏はエネルギー自給率100%を目指し、低コストの国産化石燃料の増産に注力する方針である。オバマ政権が進めた、石炭火力を狙い撃ちする既存火力発電所のCO2排出規制「クリーンパワープラン」とは真っ向から対立する。そうなれば、CO2の削減も危うくなり、オバマ政権が国際公約した2025年に温室効果ガス排出量を2005年比で26〜28%削減する目標は棚上げになるだろう。
■2017年環境、CSR、エネルギー関連の動き(2)

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/230270/011000038/z2.png

 日本国内に視点を戻し、注目点の2つ目である日本の長期戦略に触れたい。2016年、環境省と経済産業省は別個に2050年の長期戦略の検討に着手した。パリ協定が、2020年までに長期戦略の提出を求めているからだ。年初にも政府案が完成するとみられたが、一転して国の動きは鈍りそうである。米国の温暖化対策が停滞する可能性があるからだ。次の大統領選の2020年まで、米国は2015年末に発表した長期戦略を棚上げするかもしれない。そんな中、競争関係にある日本が早々と戦略を固める理屈がないとの指摘がある。
 原子力発電所の再稼働が進まず、日本の将来のCO2排出量に影響を及ぼす電源構成の見通しが立たないことも長期戦略の策定に影響を及ぼしている。2017年は「エネルギー基本計画」を見直す年だが、「年内に着手するか、資源エネルギー庁が方針を明らかにしない」(政府関係者)。今年、長期戦略が固まるかは不透明だ。
途上国の温暖化対策への貢献、幅広く定量化
 議論が進みそうなのが、3つ目の注目点である「途上国への貢献」である。日本は2国間クレジット制度(JCM)などの下で途上国における温室効果ガスの削減に協力してきた。ただ、JCMで見込める削減量は2030年までに累積5000万〜1億t。世界の排出増を抑えるにはさらなる削減の積み上げが必要だ。加えてパリ協定によって削減が求められるようになった途上国は、排出枠を日本と分け合うJCMを使わずに省エネ技術を導入する意欲を強めている。そこで経産省はJCMや排出枠の獲得にこだわらず、途上国向け技術の売り込みを強化し、削減量の拡大も見込む。
 排出枠を獲得しない分、日本の技術が途上国でどれだけの排出量を削減したかを数値で示せるようにする。パリ協定の規定により、先進国間で途上国支援の成果を比較し合うことも想定される。
 「適応」にも、スポットライトが当たる。適応は、気候変動の影響を受けやすい国土や産業、生活インフラを守り、強くすること。途上国における堤防建設や農業支援が適応の代表例である。国は企業による適応ビジネスの展開を支援する。
 環境省や経産省は適応の事例集をまとめ、新たな取り組みを促す。例えば経産省は、パナソニックが世界の無電化地域で行うソーラーランタン寄贈事業も適応事例の1つに挙げる。同社は2018年までに世界の無電化地域にソーラーランタンを合計10万台寄贈する計画だ。国は適応の効果も定量化する仕組みを作る。
 パリ協定への対応を進める仕組み作りが国内外で加速しそうだ。


このコラムについて
エコロジーフロント
企業の環境対応や持続的な成長のための方策、エネルギーの利用や活用についての専門誌「日経エコロジー」の編集部が最新情報を発信する。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/230270/011000038/

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[戦争b19] 中国もロシアも、フィリピンに武器供与提案で急接近 米国は自動小銃供与を中止、間隙を突く中露 オバマ時代とは結局何だったか
中国もロシアも、フィリピンに武器供与提案で急接近 米国は自動小銃供与を中止、間隙を突く中露
2017.1.12(木) 北村 淳
ドゥテルテ氏、「英雄」プーチン氏と対面 米への不満ぶちまける
ペルーの首都リマでアジア太平洋経済協力会議の合間に、ロシアのプーチン大統領との会談が行われるホテルに到着したフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領(中央、2016年11月19日撮影)。(c)AFP/LUKA GONZALES〔AFPBB News〕
?1月3日、ロシア海軍の対潜駆逐艦アドミラル・トリブツと給油艦ボリス・ブトマがフィリピンの首都マニラのサウスハーバーに入港した。各種歓迎式典に引き続いてフィリピンのドゥテルテ大統領はロシア駆逐艦を訪問した。

?人工島基地群建設をはじめとする中国の南シナ海侵攻戦略の進展や、ドゥテルテ大統領の言動などの影響で、中国やアメリカのみならずロシアまでもがフィリピンに対する軍事的な働きかけを強化し始めたのだ。

ロシアがフィリピンへの武器供与を提案

?ロシア海軍艦艇のフィリピン訪問は今回で3度目だが、ドゥテルテ政権になってからは今回の訪問が初めてである。

?駆逐艦アドミラル・トリブツに乗り込んでフィリピンを親善訪問したロシア太平洋艦隊副司令官ミハイロフ海軍少将は、近々ロシア海軍とフィリピン海軍が海賊対処や対テロ作戦分野での合同訓練を実施する意向を明らかにした。南シナ海で実施される合同訓練は、ロシアとフィリピンに限らず中国やマレーシアなどを加えた多国籍軍事訓練という形もあり得るとも語った。

?この種の海軍艦艇親善訪問に際して合同訓練の促進といった話題が語られることは何ら珍しいことではない。だが、ドゥテルテ政権はアメリカ軍との共同訓練を縮小する方針を掲げており、今回の親善訪問は、ロシア海軍がその方針に付け込んで伝統的な米比軍事同盟関係に楔を打ち込もうとしているとの見方もある。

?実際に、記者会見でミハイロフ海軍少将と同席したロシア駐フィリピン大使は、「ロシアはフィリピンに対して、小火器や小型兵器のみならず航空機やヘリコプター、潜水艦をはじめ各種兵器を、それもアメリカが供与している中古品と違って最新兵器を供与する準備がある」と語った。これは、ロシアによるフィリピンへの軍事的関心の高さを表している発言と言えよう。

サウスハーバーに停泊中のロシア海軍の駆逐艦アドミラル・トリブツ
武器をプレゼントする中国

?今回の軍艦訪問のひと月ほど前の昨年12月中頃、ドゥテルテ大統領は国防大臣と外務大臣をモスクワに送り込み、兵器調達に関する折衝を開始していた。ドゥテルテ政権がこのような動きを見せたのは、オバマ政権が、ドゥテルテ大統領による強硬な麻薬撲滅政策を忌み嫌い、フィリピン軍に対する26000丁の自動小銃供与を中止する意向を表明したからに他ならない。

?実はアメリカの自動小銃供与中断は、中国に対してもフィリピンへの武器供与の動きの引き金となってしまっていた。

「フィリピンに対する武器供与」という土俵にロシアが乗り込んでくる以前に、すでに中国は手を打っている。アメリカ側が自動小銃供与を中断する方針を明らかにするや、駐フィリピン中国大使がおよそ15億円相当の武器を、無償でフィリピンに供与する方針であることを明らかにしたのだ。

?中国がフィリピンにプレゼントする武器の詳細は明らかにされていないが、アメリカが供与することになっていた2万6000丁のM4ライフルの代替として中国製ノリンコ突撃銃も含まれているという。そして15億円の無償供与に加えて、500億円以上にのぼる武器借款プログラムも提示した。

?今のところドゥテルテ大統領はじめフィリピン側は、中国側の提案がフィリピンの国防にとってどれほど有用かどうかを見極めた上で判断するとの慎重な姿勢をみせている。

日本にとっても必要な武器供与プログラム

?中国そしてロシアによるフィリピンに対する武器供与という動きはまだ始まったばかりで、具体的に進展があったわけではない。ただし、南シナ海問題にとって地政学的に重要な位置に存在しているフィリピンに対する中国やロシアからの軍事的なアプローチはますます強化されるであろう。

?とりわけ、兵器の供与を通しての軍事的結びつきを強化することは、「防衛協力関係の促進」「共通の価値を守る」といった類いの理念的な結びつきを推進するより、はるかに実質的な成果を上げることは確実である。それだからこそ、中国やロシアは、綻びが生じ始めた米比軍事同盟関係に楔を打ち込むために、武器供与パッケージをドゥテルテ政権に提示し始めたのだ。

?その動きを日本はただ傍観しているだけでよいのだろうか。安全保障の観点からは、日本にとっても南シナ海は国の存立を左右しかねない重要な海域だ。その南シナ海を軍事的にコントロールするための中国人工島基地群に隣接するフィリピンとの軍事的な結びつきを強化することは、日本の国防にとって喫緊の課題である。

?そのために欠かせないのは、理念的あるいは形式的な防衛協力の強化の約定を交わすことではなく、中国やロシアに対抗して兵器、“防衛装備”を供与する具体的プログラムを提示して、実体的な軍事的支援を実施する姿勢を示すことである。

?もちろん、フィリピン軍が伝統的な同盟国であるアメリカからの兵器調達から中国やロシアからの兵器調達へ全面的に乗り換えることは、ドゥテルテ大統領の反米(反オバマ)発言にもかかわらず実現可能性は低い。しかし、アメリカからの調達ができない兵器(たとえば通常動力潜水艦、地対艦ミサイルシステム)や、アメリカからの調達では高額すぎる兵器(たとえば地対空ミサイルシステム、小型水上戦闘艦)などについては、中国やロシアが割り込んでしまう可能性も否定できない。したがって、そのような分野で日本がアメリカのギャップを埋め、中国やロシアがフィリピンに対して軍事的影響力を増大させるのを阻止すること十二分に可能だ。

?また、日本はフィリピンに対して沿岸警備隊巡視船の供与を開始している。引き続いて潜水艦や小型水上戦闘艦、それに地対艦ミサイルシステムなどの供与を提案しても、何ら不自然ではない。

?武器輸出三原則から防衛装備品移転三原則へと歩を進めた現在、日本政府は、政府間や軍隊間の交流を頻繁に行うよりも、重要な兵器の供与によって生み出された軍事的結びつきの方がはるかに実効的であることを認識すべきである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48879

 

「オバマ時代」とは結局何だったのか
間違いなくアメリカの政治史に残るが、評価は真っ二つ
2017.1.12(木) 前嶋 和弘
オバマ大統領「3選出馬できれば勝てた」 トランプ氏は反論
米ハワイのカイルアにある海兵隊基地でミシェル夫人と共にスピーチするバラク・オバマ大統領(2016年12月25日撮影)。(c)AFP/NICHOLAS KAMM〔AFPBB News〕
 アメリカのバラク・オバマ大統領が2期8年の任期を終え、1月20日に退任する。「オバマ時代」とは何だったのか? 本稿では3つの観点から振り返ってみたい。

(1)“歴史的な大統領”

「バラク・オバマ」という名前は間違いなく、アメリカの政治史に残る。

 まず、そもそもオバマは「ガラスの天井」(「みえない壁」)を破り去った人物である。能力や資質、経験が十分な人物が、当然、処遇されるべき地位を与えられない場合に使うこの言葉は、ヒラリー・クリントンが女性初の大統領の可能性があった2016年大統領選挙で日本でもよく知られるようになった。しかし、そもそも女性よりもアフリカ系発、非白人初の大統領職の“壁”の方が当然厚かった。2008年の大統領当選そのものがアメリカの政治の新しい時代を切り開いた。その“壁”を破っただけでなく、4年後には再選も果たし、2期もの長い間、大統領として政策運営を行った。それだけでもオバマは「歴史的な大統領」である。

 また、オバマ大統領は「リーマンショックからアメリカを救った」という意味でも歴史に残る。

 この8年間は景気回復の8年でもあった。2008年大統領選挙直前に起こったリーマンショック以後の経済危機で、失業率は政権発足最初の2年半は9%台まで上がっていった。しかし、その後徐々に下がり、最後の2016年の1年間はほぼ4%台まで落ち着いていった。2016年11月には4.6%と9年前ぶりの低い水準となっている。非農業分野の就業者数も2010年10月から75カ月連続で増加しており、史上最長となっている。

 雇用が増えると同時に、落ち込んだ世帯収入の中央値も急上昇し、現在はリーマンショック以前の段階にまで戻っている。所得格差を示すジニ係数はオバマ政権の8年間で徐々に高くなり、格差は広がっていったものの、そもそもアメリカのジニ係数は1960年代からほぼ右肩上がりで上がり続けている。オバマ政権はその勢いを止めることまではできなかったものの、新しい移民が流入する移民国家では格差の広がりはどうしても避けられないところもある。

(2)分かれる評価

 そんな“歴史的な大統領”については、大きく評価が分かれている。ギャラップによるとオバマ大統領の支持率は当初こそ70%近かったが、政権発足後1年もたたないうちに5割を割ることも多くなっていった。その後7年間は上下し、2016年終盤から上向きだしているものの、ほぼ50%前後で推移してきた。

 ただ、問題はその7年間の数字の構成である。民主党支持者はこの期間でほぼ8割強が支持し、一方、共和党支持者からの支持は1割台を割る月も多かった。このように、オバマ政権の8年は政治的分極化が進み、世論は過去にないほど保守とリベラルの両極に分かれていった。

 リベラル派にとって、オバマは「最高」の大統領だったが、保守派には「最低」の大統領だった。

 上述の景気回復については、共和党支持者からは「なぜもっと早くできなかったのか」「財政出動で赤字を増やす以外に景気回復策はなかったのか」ということになる。オバマが2008年の選挙戦でずっと雄弁に訴えていた「一つの米国」ではなく、当選後は国民をさらに分裂させてしまったのは皮肉である。

 オバマ政権の8年はこの政治的分極化のため、大統領と議会との関係も複雑だった。議会において、共和党と民主党が真っ二つに分かれ、政策運営に大きな制約があった。民主党が上下両院で多数派だったオバマ政権最初の2年間だけは数にものを言わせて、大型景気刺激策、ウォール街規制強化(ドット・フランク法)、医療保険改革(オバマケア)という、アメリカの政治史に残るような3つの画期的な政策をまとめた。しかし、国内的なレガシーはこの3つぐらいであり、共和党が下院多数派の多数派を奪還した2011年以降の6年間は実質的には「レームダック」だった。

 このような分極化の中で、もし、オバマ大統領に本人以上の政治的な才能があったとしてもなかなかうまくいかなかったと想像される。その点、個人的には同情する部分も多い。議会の共和党側が反対し、全く動かない中、移民法改革などを「大統領令」という小手先で行うにはやはり限界があった。最後まで叶わなかった最初の公約の1つであるグアンタナモ収容所の閉鎖も、収容者をどこに移すかで国内問題化したのが響いた。

 外交ではオサマ・ビン・ラディンの殺害、イラン核合意、キューバ国交正常化の3つがレガシーとして残るが、2013年夏のシリア・アサド政権への介入を見送って以降の中東の大混乱は大きな負の遺産として残ってしまった。ただ、議会の反対や介入長期化の問題を考えると正解答案はなかったかもしれない。TPPも結局まとまらなかった。「核なき世界」など、力強いメッセージを内外に向けて発したが、これは最初から現実的ではなかった。

(3)オバマの「コインの裏側」であるトランプ

 トランプ次期大統領はオバマ大統領のコインの裏側である。多様な民族や文化を受け入れながら成熟してきたアメリカの象徴がオバマなら、これまで中核を担ったものの、存在感が低下している白人を代弁するトランプ。

 洗練された知識人・エリートのイメージのオバマ大統領と荒っぽい言動で知られる庶民派のトランプ(ただ、実際はインテリではある)。

 リベラル層、とくに知識人から支持されるオバマ大統領と、保守層、特にブルーカラー層から支持されるトランプ。いろいろな点で対照的である。

 2008年の大統領選挙の際に、「オバマはアメリカ生まれではないため、大統領にはなれない」という「バーサー運動」に火をつけたのがトランプだった。この運動は荒唐無稽な話だが、「オバマの対極」としてのトランプの知名度も高まった部分も少なからずある。分極化を背景にして、オバマ大統領がなければトランプの当選もなかったかもしれない。その意味で将来の歴史家はこの2人をペアで論じるかもしれない。

 トランプ次期政権でも、リベラル派と保守の分極化はさらに進むと考えられる。ただ、議会の共和党内にもトランプ次期大統領についていけない部分も少なくない。メキシコ国境の壁建設に代表されるような財政出動は「小さな政府」を志向する層は反発するであろうし、ムスリム入国拒否や人道的にも問題である。そうなると、共和党と民主党が協力・妥協してトランプ大統領と対抗するような、20年ほど前には当たり前だった「議会対大統領」の構図が戻ってくるかもしれない。

 民主党と共和党の歩み寄りも頻繁にみられるかもしれない。その結果、時間はかかるがその中で世論の分極化も次第に目立たなくなっていく可能性もある。“壊し屋”であるトランプが、オバマの時代が大きくしてしまった国民の分極化を解消するということになれば、何と皮肉なことだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48877
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/499.html

[政治・選挙・NHK218] ここまで進んだ日露ビジネス、首脳会談意外な効果 ロシアンステーキハウスが日本にも誕生か 
ここまで進んだ日露ビジネス、首脳会談意外な効果
ロシアンステーキハウスが日本にも誕生か
2017.1.12(木) 菅原 信夫
安倍首相とプーチン露大統領、都内で会談

http://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/6/7/600w/img_67bf76bca52a45375d3aa3e4ef7a3a5e147424.jpg

都内の首相官邸で開かれた昼食会で、言葉を交わす安倍晋三首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(2016年12月16日撮影)〔AFPBB News〕
 昨年は日露を巡る諸問題が我が国の政治報道においてかなり沸騰するという、珍しい年であった。

 その沸騰状態は12月15日の首脳会談が終わると、これまたあっという間に冷水に戻ってしまった感があるが、この首脳会談が意味のないお祭り騒ぎだったかと言えば、そうとも言えないと筆者は考えている。

 本来ならもっと詳細が報道されてよいテーマだと思う。実際、水面下において日露はいくつかの経済協定を、首脳会談の日程に合わせるべく急ぎ締結している。

 1つ例に挙げたいのは畜産分野での日露合意である。

畜産分野は着実な進展

 牛肉、豚肉のロシアにおける最大手の製造者であるミラトルグ社が自身のホームページに掲載したニュースリリースはこうだ。 

 「カリーニングラード発12月14日:ロシア最大の牛肉、豚肉生産業者であるミラトルグ社は、日本への肉加工品の輸出許可を日本検疫当局から取得した」

 筆者が少しつけ加えるなら、ミラトルグ社のブリャンスクとベルゴロドにある農場で生産された精肉をカリーニングラードのミラトルグ・ウェスト社で、ハンバーグやナゲットなどの冷凍製品に加工したものを、日本へ輸出することに我が国農林水産省の認可が下りた、ということである。

 もっとも、正式認可はいまだ降りておらず、2月中旬の認可予定ということなのだが、ロシア側はすでに舞い上がっている。

 本件については我々日本人から見ても、主管官庁である農林水産省の動きは速かった。

 日本側検疫検査官が10月に現地を訪問し、その2か月後には認可下付の方針が出たということは、12月の首脳会談を見越した異例の対応だったと思わざるを得ない。

 この後、実際にロシア産加工肉が日本に輸出されるまでには、細かいルールの制定が必要で、それにはまだ2か月ほど時間がかかるとみられているが、それでも今年春にはロシア産加工肉が日本の市場に登場するのは、まず確実と思われる。

 これが首脳会談の副産物でなくて、何であろうか。

 ところで、ミラトルグ社と言えば、過日の拙稿でも触れたことがあるが、日本航空のモスクワ〜成田線ビジネスクラスにアンガスビーフのステーキ肉を提供している企業である。

 日本航空では乗客からの好評を受け、本年3月からの春メニューにもこのステーキの採用を決めた。

日本でステーキレストランも

 ミラトルグ社としては、自社牧場で肥育したブラックアンガスビーフ肉をチルドの状態で日本に輸出することを最終目標としている。

 それまでの間は各種方法で、日本の消費者にロシア産牛肉や豚肉、鶏肉の味をしっかり焼きつけたいと考えており、日本航空の機内食採用は彼らを大変勇気づけた。

 さらには日本でステーキレストランをオープンすることも計画しており、「すでに海外でレストランを経営しているノビコフグループ社と共同経営の検討を進めている」とミラトルグ社海外担当役員のニキーチン副社長は述べている。

 ミラトルグ社の怖いところは、この企業の後ろにロシア政府の影が見え隠れしていて、許認可問題から価格問題まで、この会社のからむ問題はあっという間に政治が解決してしまうところにある。

 筆者のモスクワのアパートの近くにミラトルグ社が経営するスーパーマーケットがある。ある時、「同社のブラックアンガス肉は庶民の購入限度を超えた高額商品だという批判がロシア農業監督署に対して持ち込まれた」という新聞報道があった。

 なんとその翌日には、スーパー店頭では肉類50%引きというチラシがまかれ、我々は喜びながらも複雑な思いに駆り立てられたものだった。

 次は昨年5月6日のソチにおける日露首脳会談で安倍晋三首相より開示された対露経済分野8項目協力プラン提案について。

 日露貿易の関係者はこの8項目プランの実現について大いに関心を持っている。特に中小企業による経済案件の推進については、それをどのように進めるのか、疑問を抱きながらも政府の動きを見てきた。

 それが11月になって突然、経済産業省とジェトロ(日本貿易振興機構)から「ロシア展開支援事業」という形で具体的プランの募集とその実現に参加する専門家の募集があった。

 専門家10人を年末までに決定し、2017年1月から実際にプラン提案者との打ち合わせに入る予定だ。

急速に増え始める人的交流

 ここで対象となる案件は、日露の中小企業によって組み立てられ実行される比較的小型の貿易案件であって、必ずしも日露間の経済協力案件の中に数えられるようなものではない。

 しかし、日露間における人的交流の機会を増やすことで、お互いの経済の構造についてより詳しく知るようになるメリットは無視できない。

 また、ロシア側中小企業者の経済知識を洗練されたものにするためには、日本側金融機関による各種セミナーのロシア現地開催なども同時に期待されている。

 本件も12月の首脳会談を目指して、経済産業省側が具体化を急いだのは間違いなく、これも首脳会談の副産物ということができるだろう。

 また、報道されること自体が少ないが、東京で首脳会談があった12月16日に外務省から発表された訪日ロシア人の観光ビザのマルチ化。

 これまで、観光というカテゴリーでは来日ごとに1次ビザを申請取得しなければならなかったが、これが本年1月1日より、観光ビザでも3年間のマルチビザが取得できることになった。

 観光でも業務でも、ロシア人の訪日者というのはかなり固定していて、リピーターが多い。今回の措置はそのような人々には大変歓迎されることだろう。

 この外務省の措置も、外務省自身がホームページに書いているように、「今般のプーチンロシア大統領の訪日を機会に」決定されたものであって、首脳会談の影響は、やはり計り知れぬ影響を持つと言える。

 ところで、観光で訪日するロシア人の若い世代の人たちには、民泊サイト「Airbnb」が大流行している。ホテルは利用せず、ロシア出発前にインターネットで予約した民泊施設に泊まるのだ。

日本の遅れが目立つ「民泊」

 11月中旬、当社ではモスクワスタッフとの年1回の合同会議を東京で行ったが、その際に彼らはAirbnbを利用、非常に便利だったという。

 「でもね、利用した東京も大阪も、集金に現れた民泊施設の家主は中国人だったの」とのことで、「日本人がもっと頑張らなきゃねえ」と言う。

 日本政府がいくらマルチの観光ビザを出すようになっても、民泊を利用する観光客が増える限り、日本側宿泊施設にロシア人観光客の金は落ちない、と言うのだ。

 年頭の挨拶で、安倍首相は2017年も引き続きウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談を目指して訪露する決意を述べている。

 首脳会談では必ず経済案件は動く。

 この事実を忘れることなく、我々日露経済関係者も政府の動きをしっかりと見つめ、自分の仕事を固めていきたいと思う。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48889
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/902.html

[不安と不健康18] エクササイズ史概観:運動にすがる人間たち マシンだけでは無意味、モチベーションが全て 
エクササイズ史概観:運動にすがる人間たち
マシンだけでは無意味、モチベーションが全て
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エクササイズの歴史を振り返ってみよう ILLUSTRATION: DAN PAGE
By
KEITH BLANCHARD
2017 年 1 月 12 日 13:12 JST
 今年も「後悔の1月」がやって来た。12月の堕落から立ち直り、無意味に体を鍛えようとする毎年恒例の儀式を再び受け止める時期だ。調査会社ニールセンによると、これは最も多くの米国人が抱く新年の決意であるが、毎年真っ先に断念する決意でもある(お察しの通り、毎年のように1月にはジムの会員数が急増するが2月までには落ち込む)。市場規模800億ドル(約9兆2600億円)の世界のフィットネス業界は、新年の決意が過去の経験に打ち勝つかどうかにかかっている。
 座り仕事が中心のジャーナリストが運動を継続できるよう、筆者は新たな解決策を模索している。ピーナツバターに飛びつきたい欲望を克服できるモチベーションはないだろうか。あきらめる前に結果が出るものはないだろうか。
 フィットネス業界も努力している。毎年、各ジムにはゴム製のハンドルとバネが装着された奇怪な新型マシンが導入される。これらのマシンは、利用者がシェイプアップという苦行を、より効率的かつ簡単に進められるよう設計されている。では、なぜ私たちはシェイプアップできず、だらしないままでいるのか。エクササイズの歴史を手早く振り返れば、何らかの答えが見えてくるかもしれない。
紀元前3000年から中世まで:古代人の必要条件
 エクササイズは現代人にとっては道楽だ。古代人にとっては、死にたくなければ健康であることが必須条件だった。古代人はやり、こん棒、石などの道具を使い、刺したり打ったりという反復動作を行っていた。有酸素運動も重要で、食事にありつくため、もしくは自分が食べられてしまわないように全力疾走していた。
 文明が発達すると、常に戦争に備えるという形で定期的なトレーニングが行われるようになった。古代ギリシャの「オリンピア祭典競技」は、名目上は競技とされているが、軍事に焦点が当てられていたことは明らかだ。そこでは二輪戦車レース、レスリング、ボクシング、やり投げ、円盤投げ、盾とよろいを身につけた状態での競走などが行われていた。兵士以外の人々の仕事は、時代が進むにつれて肉体的な負担が低下してきた。技術的進歩のおかげで、一般市民の労働は農業や鍛冶仕事などから離れ、私たち人間の体は丸々するようになってきた。
1750年〜1950年:筋骨隆々の躍進
 この新たな「レジャーの時代」は、それを楽しむ余裕のある世界の一部の幸運な地域で、一般人の健康に重くのしかかり始めた。堕落という病気と戦うため、医者は活発な運動の価値を強調するようになった。レスリングや素手のボクシングが群衆の注目を集め、サーカスの力持ちは若い女性が大勢乗った鉄道車両を歯(あるいは、それ以外の何か。詳細は不明)で引っ張り、アスリートが大学生の人気の的となった。
 出版業界は20世紀までに、大衆に「トレーニング」のメリットを盛んに宣伝するようになった。1920年代にはチャールズ・アトラスが、漫画の裏表紙に載せた広告を通じて「97ポンド(約44キログラム)の虚弱な」少年をターゲットにした帝国を築き上げた。米国で最も筋骨たくましいジムコーチとしてアトラスの後を継いだのはジャック・ララン氏だ。ララン氏は米国初だったかもしれないフィットネスクラブを(もちろんカリフォルニアに)立ち上げ、1953年から80年代まで「ジャック・ララン・ショー」と呼ばれる通販番組の制作に携わった。80年代にララン氏の後を継いだのは若いアーノルド・シュワルツェネッガー氏だった。
1960年代〜1980年代:ジムの台頭
 とはいえ、筋肉よりも重要だとされたのが「健康」だ。オクラホマ州の医師、ケネス・クーパー氏は1968年に「エアロビクス(有酸素運動)」の有効性を説く研究報告書を発表した。ほぼ同じころ、「ジョギング」という爆発的な人気を博した書籍がニュージーランドの現象を米国人に紹介した。
 しかし、どうやって有酸素運動を室内に持ち込めばいいのか。起業家たちは「トレッドミル(ランニングマシン)」のような初期の発明品を採用。1796年ごろには箱のような形のエクササイズバイクも登場した。こうしたマシンは小型に改良され、痛々しいほど退屈な作業が、当時は目新しかったテレビなどの気晴らしと組み合わされるようになった。
 また、ジムには人々を威嚇するような全く新しい設備が導入された。代表的なのが、プロフットボールやテニス選手のお墨付きを得ている「ノーチラスマシン」だ。ノーチラスには一対のオウムガイに似た形の滑車が取り付けられており、これが単調な動きに可変抵抗を加えるようになっている。
1990年代以降:ダンスレボリューション
 最初に爆発的人気を博したエクササイズビデオは1982年の「ジェーン・フォンダの若返りエクササイズ」だったが、それが最後ではなかった。80年代、90年代、2000年代を通じ、ビリー・ブランクスさんの「タエ・ボー」や歌手オリビア・ニュートン・ジョンさんの「フィットネス」のみならず、米フィットネス界の重鎮リチャード・シモンズさん、米国のトレーナー、トニー・ホールトンさん、米女優のスザンヌ・サマーズさんなどが登場してきた。
 現在、家庭用エクササイズマシンは途方もない製品群に取り巻かれるほど急増し続けている(挿絵「しゃれたジム機材」を参照)。専門的なボートこぎ、またはスキーマシンで競争ができるし、エクササイズバイクは「スピンクラス」というフィットネスプログラムに進化した。
 ソファから立ち上がろうとする人間の努力。その変化に富んだ歴史を振り返ると、一つのことが明確になる。それは、マシンだけでは無意味で、モチベーションが全てだということだ。自分をジムに引きずり出そうが、自宅にジムを作ろうが、近所の人への危険を顧みず外で自転車に乗ろうが、お気に入りの料理番組を見逃さないために自宅でバイクエクササイズをしようが、やるべきことは自分にしっくりくる習慣を見つけ出すしかない。
 ただ、急いだ方がいい。2月にはバレンタインデーがやって来る。
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http://jp.wsj.com/articles/SB10558161838683014507104582552152254044404

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/295.html
[国際17] トランプ氏が招く環境論争、米国立公園の掘削解禁で トランプ流出ロシア流脅し 米上院オバマケア廃止 国務長官にティラーソン
アングル:
トランプ氏が招く環境論争、米国立公園の掘削解禁で

[11日 ロイター] - トランプ次期米大統領は国立公園など連邦政府所有地でのエネルギー開発を解禁する意向を示しており、正式に大統領に就任すれば開発権のリースが急増するとみられる。ただ、環境保護団体などの抵抗は根強く、米国に残された手付かずの自然の扱いを巡って激しい議論が巻き起こりそうだ。

連邦政府が所有する土地は国立公園、野生動物保護区、先住民居留地などを含めて約5億エーカーに上り、北極圏からメキシコ湾まで広い範囲に及ぶ。ここには数十億バレルの原油のほか、天然ガス、石炭、ウラニウムなどの資源が大量に眠っている。

トランプ氏は大統領選で、連邦政府所有地の利用制限を解禁して開発を拡大することを公約に掲げた。環境保護寄りの政策を採ったオバマ大統領に対しては「リースの制限や石炭の新規掘削の禁止により、われわれの足元に埋っているエネルギー資源の利用を否定した」と批判した。

トランプ氏は先月、連邦政府所有地での石炭掘削を支持しているライアン・ジンキ下院議員(モンタナ州)を内務長官に指名。オバマ大統領が地球温暖化対策の一環として2016年に導入した石炭の開発停止措置についても、就任から100日以内に解除すると言明している。

またトランプ氏が指名した先住民政策検討チームは先住民居留地でのエネルギー開発規制の緩和を検討しており、議論の的となっている居留地の私有化も視野に入れている。

エネルギーの関連会社やロビイストは、トランプ氏の大統領就任で連邦政府所有地では開発権のリースが一気に増加し、開発が沈滞したオバマ政権下での状況が様変わりすると見込んでいる。

連邦政府のデータによると、国内の原油生産に占める連邦政府所有地の生産の比率は2015年には約5分の1と、2010年の3分の1強から低下した。

ロビー団体であるアメリカン・ペトロリアム・インスティテュートのプレジデントであるジャック・ジェラルド氏は連邦政府所有地での開発増加の見通しについて「めったにないチャンスだ。一生に一度かもしれない」と話した。

しかし訴訟や環境保護団体などによるロビー活動により、連邦政府所有地の利用は順調には進まないかもしれない。

オバマ大統領は退任間際にユタ州とネバダ州の約160万エーカーの地域を国定記念物に指定しており、これをひっくり返すのは難しいと法律専門家はみている。

またオバマ大統領は1950年代の法律を活用して連邦政府所有地での水源の新たな掘削も禁止しており、環境保護団体はこの措置の撤回には裁判が必要だと主張している。

(Annie Knox、Kim Palmer記者)

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トランプ氏巡る報告書流出、ロシア流の脅しか
外交官・政治家・官僚は軒並みターゲットに
ロシア当局がトランプ氏に不利な証拠を握り、脅迫する可能性があるなど真偽の定かでない内容の報告書が明るみに(写真は11日の会議に出席するプーチン大統領) ENLARGE
ロシア当局がトランプ氏に不利な証拠を握り、脅迫する可能性があるなど真偽の定かでない内容の報告書が明るみに(写真は11日の会議に出席するプーチン大統領) PHOTO: DRUZHININ ALEXEI/ZUMA PRESS
By NATHAN HODGE AND THOMAS GROVE
2017 年 1 月 12 日 14:46 JST

 【モスクワ】ドナルド・トランプ次期米大統領に関する疑惑をまとめた報告書が明るみに出たことで、重要人物にとって不都合な情報を集め、巧みにリークするロシア独特の脅しの手法があらためて浮き彫りとなった。

 10日リークされた報告書は、ロシア当局がトランプ氏の女性関係の証拠を握り、それを脅しに使う可能性があるという主張を含め、真偽の定かでない疑惑を満載したものだ。

 トランプ氏はこれを一蹴。翌11日に「情報機関がこんな偽ニュースを『流出』させるべきではなかった」とツイートした。「私への最後の一撃だ」

 ロシア大統領府は一切の関与を否定し、現地メディアによるとドミトリー・ペスコフ大統領報道官は「安っぽい小説」だと断じた。

 ロシア語で不都合な情報を指す「コンプロマット」は、旧ソ連時代から政治目的で盛んに利用されてきた。外交官や政治家、官僚らは軒並み、動画などの情報をリークされる憂き目に遭っている。

 脅迫は何もロシアに限ったことではないが、名誉を汚すような情報リークは敵意むき出しのロシア国内政治では日常的な光景だ。

 昨年初め、ロシア政府に近いテレビ局NTVが、野党・国民自由党のミハイル・カシヤノフ党首を隠し撮りしたビデオを放送した。同じ党の不倫相手と密会し、さらに他の野党政治家についてうわさ話をしている様子が映っているように見えた。

 カシヤノフ氏はコメントを控えたが、9月の議会選挙に先立って放送されたビデオは、ロシアの野党勢力が分断された、取るに足らない存在だという印象を与えた。同氏の党は議席を確保するのに十分な票を獲得できなかった。

不倫現場と見られる映像をテレビ放送された国民自由党党首のカシヤノフ氏(2016年12月) ENLARGE
不倫現場と見られる映像をテレビ放送された国民自由党党首のカシヤノフ氏(2016年12月) PHOTO: SHCHERBAK ALEXANDER/ZUMA PRESS
 モスクワ国際関係大学のバレリー・ソロビヨフ氏は、ロシア政府には反体制派や政敵になりそうな人物を徹底的に調べ上げる長い歴史があると指摘。「古くは旧ソ連のKGBにさかのぼる。今は特殊機関やジャーナリストが(不都合な)情報を集めている」と語った。

 ただ、同氏によると、明るみに出るのはこうした情報のほんの一部だという。「質の高い信頼できる情報であれば、極秘の脅迫状として使うのがベストだ」

 B級スパイ小説や映画に登場しそうなやり口だが、外交紛争を有利に導く手段に利用されることもある。そのためロシアに配属される欧米の外交官は、特に異性関係のわなに陥らないように訓練を受ける。

 また、政治的抑圧の手段として国民を監視してきたロシアでは、治安機関は恐れ敬われる存在だ。多くのロシア人は監視への不安が染みついており、隠しカメラについてブラックユーモアで語り、「これは電話でできる話ではない」とよく口にする。

 トランプ氏の疑惑を巡る経緯は、ロシアの政治ドラマにそっくりだとの声もある。元検察総長のユーリ・スクラトフ氏は「これは政治的な動きにすぎない」と述べた。「大げさな宣伝だ。トランプ氏が突然ロシアと良好な関係を築き始めた理由を米国人に説明しようとしているのだ」

 スクラトフ氏自身もこの脅しの犠牲となった。ボリス・エリツィン大統領(当時)に対する汚職捜査に着手した直後の1999年、スクラトフ氏に似た男性が2人の女性とベッドにいる映像が流出したのだ。翌年、同氏は検事総長を解任された。スクラトフ氏は、映っている男性は自分ではないと主張している。

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米議会、オバマケア廃止に向け一歩 上院が17年度予算案可決
A米共和党はオバマケアの廃止に向けた最初の大きなハードルを乗り越えた
By KRISTINA PETERSON AND NATALIE ANDREWS
2017 年 1 月 12 日 17:06 JST

 【ワシントン】米上院は12日未明、2017年度予算決議案を僅差で可決した。医療保険制度改革法(通称オバマケア)の廃止に向けた最初の大きなハードルを乗り越えたことになる。

 2017年度予算は、共和党が過半数を占める上院で51対48の僅差で可決された。今後、上下両院それぞれ2つの委員会がオバマケアの代替案の策定に入る。

 下院は予算決議案の採決を13日に行うとみられ、可決される可能性が高い。しかし一部の共和党議員は、採決の前にオバマケア廃止に向けた党の計画について詳細な情報を求めている。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiA7cXoorzRAhVMG5QKHeCwBgMQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582554531372862686&usg=AFQjCNGSxLUs68ziDUlMzfNsatHUNOGMKw

米上院、オバマケア廃止法案の作成指示を可決

[ワシントン 12日 ロイター] - 米上院で12日、医療保険制度改革(オバマケア)プログラムを無効にする法律案の策定を主要な委員会に指示する案が、51対48の賛成多数で可決された。今週中に下院へ回される。

トランプ次期米大統領と議会両院の共和党議員にとり、同改革の廃止は最優先課題となっている。

共和党議員らはオバマケアの廃止には数カ月かかり、代替案の策定にはさらに時間を要するとみているが、トランプ氏は早急な対応を求めるものとみられている。

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【社説】国務長官にティラーソン氏を
トランプ次期政権はロシアに対し、より現実的なアプローチを見せている
2017 年 1 月 12 日 16:52 JST

 11日の上院外交委員会で長時間に及んだ公聴会において、レックス・ティラーソン氏は米国の外交的利益やロシアに関しておおむね明瞭なビジョンを披露した。ウラジーミル・プーチン大統領が「戦争犯罪者」であるかどうかについてはマルコ・ルビオ上院議員と緊迫した議論を行い、ティム・ケーン上院議員とは気候変動について激しくやり合う場面も見られた。ロシアへの制裁に対してエクソンモービルが「直接的なロビー活動」をして反対をしたことはないと同氏が主張したことに反応する議員たちもいた。しかし全体的に見れば同氏は冷静で、見識を感じさせるパフォーマンスを披露したと言えるだろう。

 公聴会でのこの落ち着いた雰囲気は、真偽がまったく確認されていない報告書を報道して騒ぎ立てるメディアとは正反対のものだった。報告書にはロシア政府がトランプ氏を脅迫するのに利用可能な情報を握っていると記載されており、またロシア政府がトランプ陣営の関係者と手を組んで2016年の大統領選を操作しようとしたとも書かれている。

 報告書はトランプ氏が売春婦を雇い、オバマ大統領夫妻が宿泊したこともあるモスクワのリッツ・カールトンの部屋でみだらな行為をさせたとしている。またトランプ氏の弁護士を務めるマイケル・コーエン氏が、昨年8月に「クレムリンの代表者」とプラハで「秘密裏に会談」を行ったとも指摘。この二つの疑惑を含む35ページの報告書は、イギリスのスパイ機関であるMI6の元諜報員がまとめたものだ。元諜報員はロシアに駐在した経歴があり、当初は反トランプ派の米共和党議員らから報酬を受けていたものの、その後は民主党から見返りを受けていたとしている。

 報告書自体は少し前から報道機関や政治関係者の間で出回っていたものだ。しかし声を上げてトランプ氏に反対していた多くの報道機関でさえ、掲載されている情報の真偽を確認できないとして報じることを拒んできた。

 事態が変わったのは、10日のことだった。まずはロシアによるハッキングを捜査している米情報機関の報告書に、問題の報告書の内容をまとめたメモが添付されたと米CNNが報じた。しかしCNNは裏を取れていない情報についてはその内容を含まなかった。だがネットニュースメディアのバズフィードがその後、全35ページの報告書を公開。なおバズフィードの編集長自身もその内容について「疑うに十分な理由がある」と認めている。

 その後の展開は予想通りのものだろう。トランプ氏はツイッター上ですべての疑惑を否定し、現代の米国が「ナチス政権下のドイツ」のようだと、いつもの調子で書き込んだ。一方のコーエン氏は一度もプラハを訪れたことがないと主張した。なお11日の記者会見ではこの騒動に主役を奪われるかたちとなったが、トランプ氏は昨年の米民主党のハッキング事件にロシアが関わっていたと初めて認める場面もあった。

 トランプ氏は今回の報告書の疑惑を強く否定しているが、仮に今後、ロシアが同氏にとって打撃となるような情報を手にしていることが明らかになれば、大統領職にとどまることは難しくなるだろう。一連の出来事で再確認させられるまでもないが、トランプ政権はわれわれがこれまでに見てきた政府とは全く違うものになりそうだ。

 しかし報告書のみだらな内容が大きく取り上げられていた傍らで、ティラーソン氏が自らが知的な人物であることを証明したことは、米国の対ロシア政策にとっては明るい材料となった。同氏は米国が直面する課題をしっかりと認識していることを示し、今はオバマ政権がリーダーシップを手放したことへの代償を払わされているとの考えを述べた。

 その中でも注目すべきは、ティラーソン氏が、ロシアが「脅威となる」可能性があるとし、同国がクリミアに侵攻した際は「示威行動を行うべきだった」と話した点だ。また同氏はウクライナの自衛のために米国が武器を提供するべきだとし、領土問題が続く南シナ海で軍拡を進める中国に対して米国は「態度を示すべきだ」とした。

 今回のメディアの騒動にトランプ氏が大統領らしい態度で対処していればと思う。だが、それも上院がティラーソン氏の指名を承認し、大統領にアドバイスできる立場にするべき理由だろう。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwimzrn8orzRAhVBqpQKHakwBTEQFggaMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582554070031634732&usg=AFQjCNHdgugOSvnr4revTLVw0860Zva2Cw&bvm=bv.143423383,d.dGo
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/256.html

[国際17] エスカレーターの片側空けは間違い?中国で物議 公共の安全に脅威と専門家が指摘  
エスカレーターの片側空けは間違い?中国で物議
公共の安全に脅威と専門家が指摘
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一昨年の旧正月、北京の地下鉄ではエスカレーターと階段に利用客があふれかえった(2015年2月25日) PHOTO: KIM KYUNG-HOON/REUTERS
By
JOSH CHIN
2017 年 1 月 12 日 12:54 JST
 中国の大都市の一部で地下鉄を利用する人たちは、「立つ人は片側に寄り、もう一方は急いでいる人のために空けておく」という、エスカレーターを利用する際の基本的なエチケットを受け入れ始めたばかりだった。しかし今になって当局は「気にする必要はない」という、別のメッセージを打ち出している。

 最近の一連の新聞記事や論評、ソーシャルメディア(SNS)への投稿で、専門家らはこの慣行が公共の安全にとって脅威になると警告している。右側に非常に多くの人が立つことでエスカレーターの不均衡な摩耗が発生し、故障を引き起こす可能性が高まるからだ。それに、そもそもエスカレーターは歩くことを想定していないと専門家たちは指摘する。
 この議論は、すでに浸透してきたこれまでの勧告と相反する。それは中国にある多くの公共エスカレーターに太字で注意書きされているほどだ。また、この議論は混乱と怒りも招いている。
 中国共産党系の北京青年報は先週の論説で、「もし、この『文明化された振る舞い』に計り知れないほどの危険性が本当に潜んでいるのなら、ここ数年間、いんちきな文明まがいの習慣を人々に植え付けるのに費やされてきた努力と資源の全てに関し、誰に責任を負わせるべきなのか」と指摘した。
‘ここ数年間、いんちきな文明まがいの習慣を人々に植え付けるのに費やされてきた努力と資源の全てに関し、誰に責任を負わせるべきなのか’
—北京青年報
 政府系の北京日報によると、28日から始まる今年の春節(旧正月)には鉄道の駅や空港に数億の人々がなだれ込む見通し。ここには北京西駅内に設置された14のエスカレーターを利用する1日当たり25万人以上が含まれる。
 北京や上海など都市部の地下鉄運営当局は長年、急いでいる人に左側を通過させるため、立ち止まる人は右側に寄るよう、エスカレーター利用者を納得させるのに苦戦してきた。北京五輪(2008年)と上海万博(2010年)の両イベントの前に実施された「文明的な振る舞い」を促すキャンペーンで中心となったのは、「右側に立ち、左側を通行する」というマナーだった。
 エスカレーター利用に対する懸念が明るみに出たのは、先月に南京市の地下鉄運営業者がSNSに統計を引用したコメントを投稿してからだ。この投稿によると、エスカレーターの95%で右側に重大な摩耗と亀裂があったという。
 投稿には「もう『右側に立ち、左側を歩く』は提唱しない」とあり、「それよりも立ち止まって手すりにつかまるべきだ」と書かれている。
 これまでのところ、北京の通勤客は総じてこの議論の影響を受けていないようで、大部分が右側に寄っている。北京の巨大ショッピングモール「東方新天地」の販売員、ジャン・リーさんは近くにある地下鉄の東単駅を通過しながら、「(右側に立つのは)良い習慣で、ようやく人々も従うようになった。それを今になって取りやめたいと言われても、どうすればいいのか」と話した。「ラッシュ時には、どうやったら急いで歩けるというのか」
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北京にある地下鉄駅のエスカレーターには「手すりにつかまり、右側に立とう」との注意書きが貼られている PHOTO: OLIVIA GENG/THE WALL STREET JOURNAL
 中国エレベーター協会(CEA)の張楽祥・副秘書長によると、不均衡な摩耗は確かに懸案だという。張氏は、欧米では地下鉄の出入口に上りにも下りにも利用できるエスカレーターが複数設置されている場合が多いが、中国の地下鉄には上りのエスカレーター1台しかないことが多いと話した。
 張氏によると、こうした問題に耐えられるようエスカレーターを設計することは可能だ。もっと大きな問題は、エスカレーターは通常、階段よりも勾配が急で段差が大きく、歩くために設計されていないことだという。
 日本でも鉄道各社が「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーンを実施してきたが、東京では多くの利用客がこれを無視し続けている。
 張氏は、他国と比較すると中国の危険性の方が大きいと指摘。中国の地下鉄では出入口にあまりスペースを設けないことでコストを削減しようとするケースが多いからだ。つまり、このせいでエスカレーターの傾斜が急になり、幅が狭くなることで危険性が増す。張氏によると、中国の地下鉄に設置されたエスカレーターの傾斜角度は、欧米で標準的とされる30度を上回っている場合が多い。
 ここ数年、ショッピングモールでのエスカレーターに絡むいくつかの悲惨な事故がメディアの注目を集めてきた。中国政府の品質管理・検査当局によると、中国全土で2016年上半期にエレベーター、エスカレーター、動く歩道に絡む事故の発生件数は22件、死者数は16人だった。15年は通年の事故件数が58件、死者数は46人だった。
 混雑する地下鉄の北京西駅では、利用客が左右を問わず歩いたり、駆け上ったりしていると係員は話す。一方、投資会社に勤めるある男性は、いずれにせよ階段を利用する方がいいと話した。
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http://jp.wsj.com/articles/SB10558161838683014507104582552581529728966


http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/257.html

[経世済民117] 米中貿易摩擦、日米と同じ運命か 中国為替介入中止すべき 12月ファイナンス予想上回る 17年自動車販売5%に鈍化 伯利下
コラム:
米中貿易摩擦、日米と同じ運命か

熊野英生第一生命経済研究所 首席エコノミスト
[東京 12日] - トランプ次期米大統領は、中国に対しては手厳しい外交を展開しそうだ。背景の1つには、米国が抱えている対中貿易赤字問題がある。

米国にとって中国は、最大の輸入相手国だ。それなのに、輸出額は少ない。中国は米国製品をほとんど輸入せず、輸出ばかりしている。中国の対米輸入額が、対米輸出額の約4分の1でしかないのは、アンフェアにみえる。そういった理由が、報復的な関税率を課してやろうという動機になっている。

これは、昔どこかで聞き覚えのある話だ。そう、20年以上前の日米貿易摩擦のときとほとんど同じなのだ。ならば、私たちはその貿易摩擦の記憶をたどることで、今後の教訓にすることができるだろう。

<摩擦は中国の経済的没落まで続くか>

日本が貿易黒字に転じたのは1981年だ。その後、83年頃から対米黒字が急拡大していく。これは米国の赤字拡大と対称を成した。

80年代半ば以降のバブル期の初めから貿易摩擦がクローズアップされて、内需型経済への転換を提言した86年の「前川リポート」(中曽根康弘当時首相の私的諮問機関がまとめた報告書)、89年以降の日米構造協議を経て、90年代後半には下火になった。日本の貿易黒字が93年から減少に転じ、96年にはピーク時の半分まで減ったことが理由だろう(ドルベースの減少は95年から)。

ルービン米財務長官(在任期間95―99年)の登場がドル高政策へとパラダイムを変えて、貿易赤字は悪というパターナリズム(父権的な権威主義)が消えたことが大きいとみている。

また、日本もバブル崩壊からデフレ経済に移行する。アジア通貨危機が起こって、日本問題が霞(かす)んだことも、日米摩擦が消えた背景と考えられる。つまり、今後の中国の努力によって米中貿易摩擦が解決されるのではなく、米国の政治勢力の交代か、あるいは中国の経済的没落をもってしか許されないと予想される。

<日本は終始、誤解だと思っていた>

興味深いのは、80年代後半から経済学者の小宮隆太郎氏が、米国の経常赤字は貯蓄投資バランスの結果であり、原因は日本側でなく米国の経済体質にあると喝破していたことである。平易に言えば、米国の過剰消費が続く限り、輸入額は膨らんで巨大な経常赤字は変わらないということだ。

当時、日本の流通市場などの閉鎖性が米国製品を輸入しない原因であり、日本の構造改革が求められると多くのオピニオンリーダーが主張していたのを小宮氏は一刀両断に切り捨てた。86年の前川リポートが唱えていたのは、本当は内需拡大ではなく輸入拡大だった。

95年の経済白書には、こうある。「アメリカの対日貿易赤字の拡大がクローズアップされることが多い。あたかも対日貿易収支だけが特別な動きをしているような捉え方がなされるが、こうした見方は適切でない」。

<なぜ二国間のFTAではダメなのか>

そもそも貿易とは、隣町の安いスーパーに買い物に行くのに似ている。わが町の消費者は安く買うメリットを享受できる。わが町における買い物の量は、隣町に出かける消費者が増えると、反対に減ってしまう。だから、わが町の町長は、隣町との間に関所を設けて関税を課そうとする。

こう言えば、わが町の消費者は、関税によって害されることが分かるだろう。貿易のメリットは、わが町のスーパーが隣町の同業者に負けないように競争して利便性を向上させることにある。また、わが町で作っていない商品は外から安く買えば、自給自足よりもはるかに豊かになれる。

米国が中国から安い製品を大量に購入していることは、米国民を潤している。米国企業の国際分業は、関税率が低くなるほど米国の消費者のメリットを高める。

過去、世界貿易機関(WTO)加盟国で関税率を広範囲に下げようとしたが、各国の利害でうまくいかなかった。そのため、マルチ交渉(多国間)からバイ(一対一)の交渉、すなわち自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)の方向へと流れが変わった。

北米自由貿易協定(NAFTA)や環太平洋連携協定(TPP)のように複数国が同盟を組むかたちになるのは、WTOのマルチ交渉とFTAの中間を狙って、関税率を一挙に引き下げたいからである。

トランプ氏の主張するバイのFTAに戻ってしまうと、各国FTAを連携させたマルチの関税率引き下げを将来しにくくなる。はっきり言えば、バイのFTAを米国と組んだ場合、むき出しになったトランプ政権の利害に直面して貿易連携が事実上後退すると考えられる。もともと、報復関税を持ち出すことは、貿易自由化によって国民が安く買い物ができる利益と相反している。

<問題は米国の「双子の赤字」再浮上>

日米貿易摩擦が改善した過程を調べると、日本企業の現地化の効果もあった。90年代前半から、自動車、電機などの加工組立産業は米国へ進出して、米国内で部品調達や雇用拡大を始めた。電機などは、アジアへ展開してそこから対米輸出を行い始めた。

ちょうど、日本の対米貿易黒字は90年代中盤から頭打ちになっていった。一言で表現すれば、日本企業のグローバル化によって、「米国の貿易赤字=日本の貿易黒字」の関係が成り立ちにくくなって、摩擦が薄らいだのだ。

なお、日本の対米黒字は、中国の対米黒字にシフトした。結局、日米貿易摩擦の正体は、自動車を筆頭にした生産拠点問題だった。

翻って、中国はどうなるのか。中国の人件費が高騰し、かつ経済成長が鈍化すると中国企業はグローバル展開していくだろう。また、米国企業の国際分業体制(EMS)が中国からベトナム・インドなどへと生産拠点を変えていくと、中国の黒字も減っていく。トランプ氏が仮に報復関税のようなものを課せば、中国の黒字は他国の対米貿易黒字へと分散することになろう。これは中国の成長率を下押しさせるシナリオでもある。

問題は、米国の「双子の赤字」が再び浮上することだろう。財政刺激によって米国の総需要が増えると、同時に貿易赤字も膨らむ。そのときは、中国バッシングが他国にシフトするのだろうか。マクロの米国インバランスが続くと、昔、議論されたドルの持続性問題が再登場するのだろうか。これはドル高の継続可能性と言い換えてもいい。

米金融規制の緩和とドル金利上昇によって当面はドル高の条件は維持できそうにもみえるが、個別の製造業大手がトランプ政権に狙い撃ちされて、国際分業のメリットを失う場面が増えていくと、競争力の面からドル高の条件は切り崩される。

中国は、人件費上昇が続くほど、各国企業からみて生産拠点としてのメリットを失うことになる。90年代に日本が凋落したのと同じ軌跡を2020年にかけて、中国もたどることになるのだろうか。

そう言えば、90年代前半の日本を襲ったのは円高リスクだった。人民元は切り下がったようにみえて、他通貨に対して、ドル高で相殺されている部分がある。トランプ政権になると、米中貿易摩擦は90年代の日米摩擦と重なっていくだろう。

*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

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中国、為替介入中止し外貨準備維持すべき=人民銀元委員

[北京 12日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)の元金融政策委員の余永定氏は、人民銀行が人民元の下落幅の下限を25%に設定し、これを超えない限りは外貨準備を維持するために為替介入をやめるべきだとの見解を示した。金融メディアの財新が12日報じた。

政府系シンクタンク、中国社会科学院(CASS)でエコノミストを務める余氏は「介入の継続により『適切で均衡のとれた水準』に元を緩やかに下落させるのは非常に良くない政策だ」と指摘した。

オンショアとオフショアの両市場での介入は元の安定化につながっているものの、余氏は「外為市場で介入をやめることは、外貨準備の不必要な減少を回避できるだけでなく、資本流出の阻止に向けた資本規制の必要性を大幅に低下させる」と指摘。介入は元売りを促すだけだとした。

余氏は、人民元が一段と下落するとの市場の見通しは変わっていないとの見方を示した。人民銀行は為替介入の中止を発表する「良い機会」を模索すべきだとし、元の下落率が25%を超えた場合にのみ介入を再開すべきだと指摘した。

中国の外貨準備高は12月末時点で3兆0110億ドルで、約6年ぶりの低水準となった。2016年年間では3200億ドル減少。12月の減少幅は410億ドルだった。

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中国経済、今年は約6.6%成長へ 政策支援必要=社会科学院
http://jp.reuters.com/article/china-economy-yuan-intervention-idJPKBN14W0VQ

 
中国:昨年12月のファイナンス活動、予想上回る−借り入れ需要堅調
Bloomberg News
2017年1月12日 19:15 JST

経済全体のファイナンス規模は1兆6300億元−予想1兆3000億元
新規融資は1兆400億元−予想6768億元

中国経済全体のファイナンス活動は昨年12月、市場予想を超える規模となった。生産者物価の持ち直しが借り入れを促した。
  中国人民銀行(中央銀行)が12日発表した統計によれば、先月の経済全体のファイナンス規模は1兆6300億元(約27兆円)。ブルームバーグの調査では1兆3000億元(中央値)と予想されていた。11月は1兆7400億元だった。
  生産者物価上昇に加え、製造業活動が安定し、企業利益も回復したことで、中国経済は力強く2016年を終えた。北京高華証券の中国担当チーフエコノミスト、宋宇氏は最近のリポートで、「低めの実質金利と工業利益の伸び改善が引き続き借り入れ意欲を刺激している」と指摘した。
  12月の新規人民元融資は1兆400億元。予想中央値は6768億元だった。マネーサプライ(通貨供給領)のM2は前年同月比11.3%増。11月は11.4%増だった。
原題:China Credit Expansion Exceeds Estimates as Loan Demand Rises(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNVN46JIJUX01


中国:17年の自動車販売、5%増に鈍化見通し−減税縮小や景気減速で
Bloomberg News
2017年1月12日 17:09 JST

中国の2017年の自動車販売台数は業界全体で前年比5%増に伸びが鈍化するとの見通しを、中国自動車工業協会(CAAM)が示した。16年は同13.7%増だった。小型車減税の規模縮小や景気減速が影響するとの見方だ。
  CAAMは12日の記者会見で、乗用車と商用車を合わせた販売台数が今年2940万台になるとの予想を明らかにした。排気量1600cc以下の小型車の自動車取得税の税率は今月から7.5%に引き上げられた。昨年末までは5%だった。
  CAAMによると、16年の小型車販売は減税効果で21%伸び、09年以来の大幅増となった。昨年の新エネルギー車販売は53%増の50万7000台。
原題:China Vehicle Sales Growth Seen Slowing to 5% on Taxes, GDP (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNPPF6S972801


バークレイズの元バンカー、配管工職欲しさに情報漏らして禁錮5月
Bob Van Voris
2017年1月12日 15:12 JST

スティーブン・マクラッチー被告はM&A情報を配管業の友人に流す
友人のピュージー被告は情報使い870万円の利益得る

英バークレイズの元ディレクターは、ウォール街で32年間働いてもう十分だと思い、ロングアイランドで友人が働く配管会社でストレスの少ない仕事を得て落ち着きたいと考えていた。企業の合併・買収(M&A)案件に関するインサイダー情報を友人に漏らし始めたのはこんな理由からだった。
  しかし、スティーブン・マクラッチー被告はそんな比較的楽な仕事に就く代わりに、刑務所で5カ月を過ごすことになった。検察側の禁錮10月ー1年4月の求刑に対して自宅拘禁を求めたマクラッチー被告の要望を判事は退けた。
  マクラッチー被告は11日、マンハッタンの米連邦地裁での量刑言い渡しでキャスリン・ポーク・フェイラ判事に「私は重大な判断ミスを犯した善良な人間だ」と述べた。
  同被告は昨年7月、配管工の友人ゲーリー・ピュージー被告にインサイダー情報を渡したことを認める有罪答弁を行った。検察当局によると、ピュージー被告はこの情報を使って米クエストコア・ファーマシューティカルズやペットスマート、エミュレックス、オムニケアを含む企業の株式を対象に10件の違法取引を行い、約7万6000ドル(約870万円)を得た。ピュージー被告も罪を認め、マクラッチー被告に対する検察側の捜査に協力することに同意していた。
  検察によると、ピュージー被告はマクラッチー被告に見返りとして現金を渡したほか、同被告の自宅を無料でリフォームしたという。
原題:Ex-Barclays Banker Leaked Tips for Job With Plumber; Gets Jail(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNF4Q6JIJUX01


 
ブラジル中銀:予想以上の大幅利下げ−政策金利0.75ポイント下げ
Mario Sergio Lima
2017年1月12日 05:37 JST 更新日時 2017年1月12日 06:56 JST

アナリスト48人中4人が今回の利下げ幅を予想
43人は0.5ポイントの引き下げを見込んでいた

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i4mYV9CNmyEw/v2/-1x-1.png

ブラジル中央銀行は11日、政策金利を0.75ポイント引き下げ、13%とすることを決めた。政策当局者は停滞する経済の活性化を目指し、予想を上回る大幅利下げに踏み切った。
  ブルームバーグの調査では、アナリスト48人のうち0.75ポイントの利下げを予想していたのは4人。43人は0.5ポイントの引き下げを見込んでいた。
  今回の決定は2017年の年頭に当たって同中銀がインフレ懸念の後退を受け、ブラジル経済の再生を最優先する熱意を強調する強いメッセージとなる。11日の利下げ幅は昨年10月に始まった今の金融緩和サイクルでは最大。インフレはここ2年半で最低の水準に鈍化したものの、高い債務水準に加え、企業・消費者の信頼感がいずれも弱いことが依然として成長の妨げとなっている。
  同中銀は利下げ決定に伴って発表した声明で、抑制されたインフレ期待やディスインフレの広がり、経済活動の予想以上の弱さを踏まえると「金融緩和サイクルを進めることが適切になっており、新たな緩和のリズムを設定することが可能だ」と説明した。
  予想より大幅な利下げ決定を受けてブラジルの上場投資信託(ETF)の「iシェアーズMSCIブラジル・キャップトETF」は一時2.6%上昇した。

  バンコ・フィブラのチーフエコノミスト、クリスチアーノ・オリベイラ氏は金利決定前のインタビューで、「利下げの余地は大きい。ブラジルには借り入れコストの低下が必要だ」と述べ、「このようなマイナスの需給ギャップの中で、これほど高い指標金利は正当化できない」と指摘した。
原題:Brazil Slashes Key Rate in Bid to Revive Flatlining Economy (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJMUMV6TTDS401


 
ブラジル中銀:予想以上の大幅利下げ−政策金利0.75ポイント下げ
Mario Sergio Lima
2017年1月12日 05:37 JST 更新日時 2017年1月12日 06:56 JST

アナリスト48人中4人が今回の利下げ幅を予想
43人は0.5ポイントの引き下げを見込んでいた

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i4mYV9CNmyEw/v2/-1x-1.png

ブラジル中央銀行は11日、政策金利を0.75ポイント引き下げ、13%とすることを決めた。政策当局者は停滞する経済の活性化を目指し、予想を上回る大幅利下げに踏み切った。
  ブルームバーグの調査では、アナリスト48人のうち0.75ポイントの利下げを予想していたのは4人。43人は0.5ポイントの引き下げを見込んでいた。
  今回の決定は2017年の年頭に当たって同中銀がインフレ懸念の後退を受け、ブラジル経済の再生を最優先する熱意を強調する強いメッセージとなる。11日の利下げ幅は昨年10月に始まった今の金融緩和サイクルでは最大。インフレはここ2年半で最低の水準に鈍化したものの、高い債務水準に加え、企業・消費者の信頼感がいずれも弱いことが依然として成長の妨げとなっている。
  同中銀は利下げ決定に伴って発表した声明で、抑制されたインフレ期待やディスインフレの広がり、経済活動の予想以上の弱さを踏まえると「金融緩和サイクルを進めることが適切になっており、新たな緩和のリズムを設定することが可能だ」と説明した。
  予想より大幅な利下げ決定を受けてブラジルの上場投資信託(ETF)の「iシェアーズMSCIブラジル・キャップトETF」は一時2.6%上昇した。

  バンコ・フィブラのチーフエコノミスト、クリスチアーノ・オリベイラ氏は金利決定前のインタビューで、「利下げの余地は大きい。ブラジルには借り入れコストの低下が必要だ」と述べ、「このようなマイナスの需給ギャップの中で、これほど高い指標金利は正当化できない」と指摘した。
原題:Brazil Slashes Key Rate in Bid to Revive Flatlining Economy (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-11/OJMUMV6TTDS401
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/709.html

[経世済民117] 2017年の円安論、その根拠とは 今年経済、前半好調、後半大荒 トランプ成長戦略で利上遅れ 新興市場通貨最安値 ダウ2万
2017年の円安論、その根拠とは
2017年の円相場は、日銀が量的緩和を縮小しなければ、15年半ばに付けた水準かそれ以下まで下落する可能性が高い

By WILLIAM PESEK
2017 年 1 月 12 日 17:14 JST
 日本の企業や消費者のマインドが改善し、日経平均株価が堅調に推移する中、日本銀行が量的緩和を縮小するのではないかとの観測が浮上している。債券・株式市場に加え、世論までも誘導しようという日銀の黒田東彦総裁の歴史的な試みはその役目を終えた、との理屈からだ。黒田総裁が米連邦準備制度理事会(FRB)にならって量的緩和を終了し、資産買い入れ規模の縮小、さらには利上げ再開に踏み切る日も遠くないだろう。それもそのはずで、中央銀行がさまざまな投資先で大きな存在感を示していた時期はもう終わったのだ。こうしたことから導き出される結論は「2017年の円相場は上昇間違いなし」となる。

 そこで、日本の最新の経済指標を調べてみると、この国が希望的観測にどれだけ支えられているかがよく分かる。良いニュースは、内閣府が10日発表した16年12月の消費者態度指数が約3年ぶりの高水準となったことだ。逆に、消費支出総額の減少傾向に歯止めが掛からないことは、悪いニュースと言える。いったい何が起きているのだろうか。日銀は二つの問題に直面している。一つは、日銀の政策は事業環境を安定させたものの、心理面での改善効果は不十分で、支出や賃金が思うように伸びていないことだ。もう一つは、日銀が政策を講じても、国内の人口減少の影響がそれに勝り始めていることだ。

 ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は「心理が全てではない。それで何か買えるわけではないからだ」とし、「人口動態は非常に大きな問題だ。現に日本では人口動態が最大の問題となっている」と述べた。

 将来、2016年は日本にとって人口減少の「変曲点」として記憶されるかもしれない。例えば、英国は消費の伸びが実質賃金・所得の伸びを上回る。ドイツやフランスでは、消費者心理が横ばいでも消費は伸びている。米国の場合は、一般世帯がみじめな暮らしをしているとドナルド・トランプ次期大統領は言うが、それでも経済成長率は加速しつつある。これら欧州大国と米国が日本と大きく異なるのは、移民の流入によって若年層が一定の割合を保っていることだ。

 黒田総裁が量的緩和という壮大な実験を徐々に縮小していくと予想するのはまだ早い。世界第3位の日本経済は実質的に金融政策のみが支えている。金融政策という支えを失えば、国内総生産(GDP)が縮小、円相場は急伸し、デフレ圧力が高まる。国債利回りも上昇し、日経平均は強気相場が終わるだろう。要するに、日銀の量的緩和縮小に向けた動きはアナリスト予想ほど進まず、円安はさらに続く、と予想すべきなのだ。オックスフォード・エコノミクスやロイヤルバンク・オブ・スコットランドなどが目標とする1ドル=125円という水準は、常軌を逸した円安ということはなく、ほぼ確実に達成すると言えよう。

 明るい動きが少しも見られないというわけではない。武田薬品工業が9日、がん治療薬を手掛ける米アリアド・ファーマシューティカルズを47億ドルで買収すると発表し、「日本株式会社」が成長機会を海外に見いだそうとしていることが改めて示された。武田薬品の場合、売上高全体に占める海外の割合は既に6割超に達する。ソフトバンク、アサヒグループ、テルモ、日本生命など日本企業の経営者は、国内市場の縮小分を補うため海外市場に積極的に打って出ようとしている。これは賢明なことだ。安倍晋三首相も株主価値を高めるため「日本株式会社」を後押ししている。具体的には、透明性の向上や社外取締役の増員、投資家と企業の対話促進などに努めてきた。だが、「努めてきた」という表現にとどめたことを強調しておきたい。不正会計が次から次へと明るみに出た東芝を巡る危機が全てを物語る。東芝株は11日に上昇した。ただその理由は、「日本株式会社」を代表する企業ではあるが、身売り、あるいは破綻させた方がましかもしれない東芝に対し、主力取引銀行3行が融資継続を決めたことが材料視されただけの話だ。日本が「創造的破壊」を苦手とするのは誰もが知っている。それでも東芝の件では、アベノミクスが改革を約束する「古くからの慣習」がどれだけ根深いものか痛感させられた。

 同じことは、日本政府がやめられない「円安依存癖」にも言える。安倍首相は、雇用や産業、税制、技術革新、さらに女性の活躍推進などで大規模な構造改革を実施すると公約してきたが、就任4年目を迎えたいまでも全て未達に終わっている。アベノミクスの実態はクロダノミクスにすぎず、日銀もそれを承知している。プライドの高い日銀は、急激な円高によって日経平均が暴落した場合にその責任を負わされたくないと黒田総裁が考えるのと同様、デフレを悪化させたとの責めを負うことは避けたいだろう。それを踏まえると、日銀は今年、超緩和的な金融政策をやめるどころか、それを堅持すると予想するのが妥当ということになる。

 トランプ次期政権は安倍首相のこの取り組みを後押しする可能性がある。トランプ氏は中国の習近平国家主席の鼻をへし折ることを外交政策の最優先事項に掲げている。トランプ氏は、仮に元相場の上昇を求めたとしても、(バラク・オバマ現政権のように)円安には目をつぶるかもしれない。そうなれば、安倍首相は昨年11月にわざわざトランプ・タワーまで出向き、大統領選に勝利したトランプ氏を祝福した甲斐(かい)があったというものだろう。安倍首相はさらに、円安が容認されている状況を利用して、トランプ氏の経済勢力圏で日本が有利な立場にあることを中国に思い知らせようとするかもしれない。

 今後、筆者が円安論の修正に追い込まれるような出来事がいくつも起こるかもしれない。トランプ氏の就任から間もなくして市場の混乱や想定外のショックが生じれば、円は再び安全通貨としての需要を集めるだろう。中国経済が大きく減速した場合はもちろん、フランスとドイツの選挙も投資家の緊張を高める可能性がある。「ミスター円」の異名を持つ元財務官僚の榊原英資氏は、米大統領選でトランプ氏が勝利した数日後、円高が1ドル=90円まで進むこともあり得ると述べた。ただ、日銀が量的緩和という「パンチボウル」を片付けなければ、円相場は15年半ばに付けた水準かそれ以下の水準まで下落する可能性の方が高そうだ。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwis0faWprzRAhWFU7wKHa2ECHwQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582554541231858470&usg=AFQjCNHvNptnrab1d9yEJCG94kWQ_zCOPA

 


 

2017年経済予測、前半は好調、後半は大荒れか小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字
2017年1月12日(木)
小宮 一慶
 あけましておめでとうございます。経営コンサルタントの小宮一慶です。本コラムでは、経済ニュースでよく取り上げられるGDPや消費者物価指数、鉱工業指数といった「景気指標」をベースに、日本経済と世界経済を分析していきます。
 私は職業柄、日本経済新聞が月曜日に掲載する景気指標欄を何十年もチェックし続けています。数字の羅列にしか見えないかもしれませんが、景気指標の定義を知り継続的に観察することで、日本や世界の経済が具体的にどのように動いているのか、手に取るように見えてくるのです。
 今回は、重要な景気指標を見つつ、2017年の日本経済と世界経済を展望します。

「トランプ相場」はいつまで続くのか(写真:ロイター/アフロ)
 結論から申しますと、2017年の日本経済は、前半は好調に推移すると考えています。後半は波乱含みの可能性があります。その大きな原因はドナルド・トランプ次期米大統領の政策にあります。皆さんもご存じのように、1月20日に同氏が米大統領に就任します。
 2016年に行われた米大統領選挙は、米国を分断する選挙だったと言えるでしょう。トランプ氏とクリントン氏が本選で獲得した州を地図上で見ると、中央はほぼすべてトランプ支持を示す赤色、西海岸と東海岸周辺はクリントン支持を示す青色に染まりました。つまり、繁栄を享受する人と、それから取り残され、大きな不満を持っている人に分かれたと言えます。
 トランプ氏を支持する層は、「プアホワイト」と呼ばれる白人の低所得者層が多くを占めているのが特徴的です。このため、鉄鋼や自動車などの産業が衰退したかつての工業地帯「ラストベルト(さびついた工業地帯)」が、赤色に染まったわけです。また、大学を出ていない白人の75%がトランプ氏を支持したとも言われています。学歴差が所得差を生み、それがさらに貧困の連鎖へとつながるのが現在の米国です。

経済成長こそ分断を解消する
 では、この分断を融和する最も効果的な方法は何でしょうか。それは、経済を成長させることです。トランプ氏も同じように考えているようで、大幅な減税とインフラへの投資を表明しています。これらが実現すれば、米国景気は高い確率で浮揚するでしょう。
 ただ、減税とインフラ投資は米国の財政赤字を増大させる可能性があります。結局のところ税収が減って支出が増えるわけですから。米経済はこれからインフレ傾向を強めながら、金利が上昇する局面に向かうと考えられます。
 財政赤字の拡大は、議会の反発を招く可能性もあります。けれども、これまでの通例では、大統領就任当初の100日間は新大統領との「ハネムーン期間」となり、その間は、共和党主導の議会も大きな反発はしないと考えられます。景気が順調に拡大することは、議会にとっても望ましいことであるわけです。
 これは、利上げを目指す米連邦準備理事会(FRB)にとっても都合のいい話です。FRBは2017年の利上げを「年3回」と想定しています。2015年9月時点の「年2回」よりペースが速まりました。

出所:米国政府
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000037/011100002/p1.jpg

 その理由は、米国の指標に表れています。米国のGDP成長率を見ると、2016年7〜9月期は実質年率3.5%となかなかいい数字になっています。
 米国のGDPの約7割を支える個人消費の伸び率も、4%台まで回復していますね。これが安定的に5%を超えるようになると、米国経済はほぼ巡航スピードに至ったと考えていいでしょう。
 次に雇用統計を見てください。11月の失業率は4.6%、非農業部門雇用者数も17.8万人増と、まずまずの数字が出ています。12月の数字は15.6万人台でしたが、賃金の上昇は前月比で0.3%増としっかりしたものです。イエレンFRB議長が目指す雇用の質の改善もある程度順調に進んでいると考えらえます。また、消費者物価上昇率も11月は前年比1.7%となっており、米国政府が目標としている2.0%に近づいています。
 以上の点から、現状の景気は、12月に政策金利の誘導目標を0.25%引き上げたFRBが今後さらに金利を上げることに躊躇する理由はありません。また、トランプ政権の今後の経済政策によって経済がインフレ気味に動くならば、景気にブレーキをかけないレベルでの緩やかな金利上昇をトランプ氏も容認するのではないでしょうか。同氏もデフレを望んでいるわけではないでしょう。さらに、FRBによる利上げは「景気好調の証」にもなりますからね。FRBが景気は好調だというお墨付きを与えるようなものです。
 このように、2017年前半の米国は、トランプ政権が経済政策によって国内の融和を図っていくと考えられるので、インフレ気味になり、比較的堅調なのではないかと考えられます。

トランプ政策の恩恵を受ける日本
 日本経済の話をしましょう。私は、米国の経済政策の恩恵を大きく受けるのは恐らく日本であると考えています。
 FRBが政策金利を上げ、米国の金利全般が上昇すると、円安・ドル高が進みやすくなります。すぐ後で触れますが、私は日本でも今年夏前には物価上昇率がプラスになると考えています。そうなれば、実質金利(名目金利から物価上昇率を差し引いたもの)は低いままなので、円安に振れやすいでしょう。円安に振れれば、当然のことながら日本のグローバル企業の業績が改善します。日経平均株価も上向くでしょう。2017年前半は、こういう流れで日本経済が比較的堅調なのではないかと考えています。

出所:総務省、日銀 ※は速報値
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000037/011100002/p2.jpg

 もう一つの注目点は、日本国内の消費者物価指数です。上の表を見ていただくとお分かりのように、昨年の春先からずっと、前年比マイナス0.4%前後で推移していますね。いわばデフレ傾向が続いているわけです。日銀が目標とする「物価2%」には遠く及びません。
 しかし、早ければ今年の夏前には、この数字がプラスに転じるのではないかと私は見ています。
 消費者物価指数がマイナスになっている原因として、表の右に出ている輸入物価が大幅に落ち込んでいることが挙げられます。なぜ輸入物価が落ち込んでいるのか。理由は二つあります。一つは、2016年の年初から続いた円高です。15年末には1ドル=120円台だった相場が、年が明けてから一気に円高に進み、8月には1ドル=100円台前半まで高騰しました。
 秋頃までこの水準が続きましたが、11月に転機が訪れました。米大統領選挙でトランプ氏が勝利し「まさかの円安」に転じたのです。
 先にも述べましたが、米国の経済政策によって今後もしばらくは現状通り、もしくはそれより少し円安の状況が続くと思われます。このため輸入物価および消費者物価も上昇しやすいのです。少なくとも前年比でみた場合には上昇すると考えられます。

コストアップインフレでもデフレよりまし
 二つ目の要因は、原油価格の下落です。原油価格は2014年夏に急落し、1バレル=100ドル前後から2016年2月には33ドル台まで落ち込みました。
 そして、こちらにも転機が訪れました。2016年12月、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国がウィーンで会合を開き、原油の減産に合意しました 。これを契機に、中東産ドバイ原油の価格は1バレル=50ドルを少し上回る水準で安定し始めました(ただし、これらの産油国は米国におけるシェールオイルの産出動向をにらんでいます。シェールオイルの増産は原油価格の上値を抑えますから、1バレル=60ドルを大きく超えることは考えにくいでしょう)。
 円高と原油価格の下落という輸入物価を落ち込ませる二つの大きな理由が解消する方向にあることから、輸入物価は昨年の水準より上がる可能性が高いのです。早ければ年初から、前年比のマイナス幅が縮小して、プラスに転じるかもしれません。
 そうなれば、国内の消費者物価も上昇することになるでしょう。先にも触れたように、夏前には前年比プラスに転じる可能性があります。
 ただし、この傾向は「良いインフレ」とは言えません。需要が拡大し景気を引っ張るディマンドプル型のインフレではなく、輸入物価の上昇によるコストプッシュ型のインフレだからです。価格上昇分は海外に出ていくということです。ただし、現状のデフレ傾向が続き、デフレスパイラルに陥るよりははるかにましだと考えます(ちなみに、今後の一つの焦点は、伸びが鈍い「現金給与総額」が上昇に転じるかどうかです)。
 特に、日銀にとって輸入物価の上昇は「神風」です 。2013年4月以降の「異次元緩和」で、日銀が国債の3分の1を保有するほどの量的緩和を続けてきました。その効果が薄まると、マイナス金利政策まで導入。それでも物価は下落し、銀行から企業への貸し出しも増えず、結局、景気浮揚効果は現れませんでした。それどころか、マイナス金利のせいで民間金融機関の収益が大きく悪化する副作用の方が大きくなってきてしまったのです。
 そこで日銀は、民間金融機関に配慮して、マイナスだった長期金利を0%程度に引き上げる誘導目標を立てました。しかし実現は難しく、もはや手詰まりといった状況に陥っています 。そんな時に、トランプ氏の勝利とOPECの減産という二つの要素によって円安・原油高に振れ、日本の金利が上がり始めた。さらには今後、物価も上昇する可能性が高い。これはまさに日銀にとって願ったり叶ったりの状況なのではないでしょうか。
 また日本のグローバル企業も、中期的には問題が生じる可能性をはらんでいるものの、短期的には円安メリットを享受しています。現状のドル−円レートの水準は、今期の想定レート(105〜110円程度)を上回る水準にありますから。中期的な問題とは、NAFTA(北米自由貿易協定)見直しの可能性などを指します。トヨタのメキシコ工場についてのトランプ次期大統領のツイッター発言が注目されていますね。
 以上の点から、2017年前半の日本景気は比較的明るいと私は考えています。

波乱含みの年後半
 問題は2017年後半です。米国の大統領と議会の「ハネムーン期間」が終わっても米景気が順調に拡大していれば問題は小さくてすむでしょう。しかし、皆が期待しているほどに景気が拡大しなければ、繁栄から取り残された人たちが思ったほどの恩恵を感じないことになりかねません。減税は大企業や富裕層に偏ってメリットが出やすいものです。
 また、インフラ投資にも課題があります。民間主導のPFI方式で行い、それを行う企業に減税するという方法が考えられています。この場合には、どれだけの企業が実際に参加するかは不明です。
 いずれにしても、景気拡大がうまくいかない場合、トランプ大統領は保護主義的傾向を強めざるを得なくなるでしょう。NAFTAを見直すことで、メキシコからの輸入に対する関税を強化したり、貿易赤字が大きい中国に対して厳しい経済政策を課す可能性があります。
 ただし、対中政策を保護主義的にすると、中国での米企業の活動を大きく阻害するとの見方もあります。トランプ新政権の動きが注目されるところです。中国経済の動向は、もちろん日本経済にも大きな影響を与える可能性があります。このことは、後にもう少し詳しく説明します。
 さらに、欧州において不確定要素がいくつも存在します。最悪の場合、EUが瓦解する方向に動き、大波乱が起こる可能性があります。
 最初の注目点はイタリアです。2016年12月、改憲の是非を問う国民投票が行われ、反対派が過半数を占める結果となりました。これによって、改憲を推し進めていたマッテオ・レンツィ首相が引責辞任に追い込まれました。
 イタリアの総選挙がいつ実施されるか分かりません。しかし、イタリア国内では早期の総選挙を求める声が強まっており、早ければ今年前半にも実施される可能性もあると報じられています 。
 もしこの総選挙で、EU離脱を目指す ポピュリズム政党「五つ星運動」が躍進し、EU離脱の可能性が高まった場合、私はイタリア国内で金融危機が起こるのではないかと危惧しています。国民投票が実施された当時の世論調査を見ると、政党別支持率で与党・民主党が首位となっているものの、「五つ星運動」が僅差で2位に着けていました 。
 今、イタリア3位の銀行、モンテ・ディ・パスキ・ディ・シエナの不良債権問題が取り沙汰されています。レンツィ首相が国民投票に敗れたため、同行は周辺国を中心とした金融機関などから増資を受けることが難しくなりました。イタリア政府が公的資金を入れることで、何とか現状は小康状態を保っている状態です。イタリア政府は、モンテ・ディ・パスキをはじめとする銀行の不良債権を処理するために200億ユーロを用意すると表明しています。しかし、それで足りるかどうかは分かりません。
 イタリアの銀行全体では、GDPの20%(約3600億ユーロ)に上る不良債権を抱えていると報じられています。GDPの20%といえば、日本で90年代にバブルが崩壊し、処理を強いられた不良債権の比率とほぼ同じ規模です。その際には、1997年、2003年と二度の金融危機に見舞われ、中小銀行のみならず大手行までいくつも破たんしました。あの時と同じ規模の衝撃を、イタリアが受ける恐れがあるわけです。
 総選挙が実施され、五つ星運動が躍進したとしても、そう簡単には、イタリアがEUから離脱するとは考えらえません。あのギリシャでさえ離脱しなかったのですから。そう考えるわけですが、EU離脱やトランプ大統領誕生を考えれば、何が起きても不思議ではありません。もし、イタリアがEUを離脱するようなことになれば、イタリアの金融界およびイタリア経済は大混乱に陥ることが避けられません。イタリア経済は英国と違い足腰が弱いですから。イタリアのみならず周辺国にも間違いなく多大なダメージが及ぶことになります。

NAFTA廃止は、日本の自動車にも大ダメージ
 2017年には、フランスで大統領選、ドイツで総選挙が行われます。春に予定されるフランスの大統領選挙では、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ル・ペン党首が有力候補となっており、決選投票にまで進むだろうと予想されています。決選投票では、敗れるとの予想が大勢です。ですが、それでも勢いで勝たないとも限りません。予想が当たらないのが当たり前の昨今です。
 9月のドイツ連邦議会選挙では、メルケル首相の率いる「キリスト教民主同盟(CDU)」が苦戦し、難民支援の削減を訴える「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進する可能性があると報じられています。メルケル首相はEU統合の中心的存在です。彼女が首相の座を維持できなければ、EUからの離脱を進める加盟国が増加する恐れが生じます。ドイツの総選挙は、EUにとって一つの大きな転換点となる可能性があります。
 注意すべきは欧州だけではありません。先ほどから何度も触れているように、米国も2017年後半には日本経済を揺るがす存在になる可能性があります。
 私が最も恐れているのは、トランプ氏が北米自由貿易協定(NAFTA)を見直すことです。彼は元々、NAFTAに否定的で「最悪の協定だ」とまで発言してきました。
 メキシコは、自動車生産の中核的な場所となっています。米国の自動車産業のみならず、日本の自動車産業もメキシコに工場をたくさん置いています。もしもNAFTAが廃止になれば、日本の自動車業界にとって大きな打撃になりかねません。
 問題はほかにもあります。ドル高傾向がこのところ強まっています。トランプ氏はドル高に対して以前から懸念を示しています。欧州情勢が不安定になると、ユーロに対してもドル高がさらに進む可能性が高くなります。
 一番の槍玉に上げられるのは中国ですが、日本にも同様の可能性があります。米国の年間の貿易赤字額は、ここ数年は7千数百億ドルで、その最大は中国です。ただし、対日本でも貿易赤字額の1割弱に相当する700億ドル程度の赤字を計上しています。したがって、中国のみならず日本にも「通貨安を何とかしろ」とプレッシャーをかけてくる可能性があります。
 中国に対しては輸入制限や関税率を一時的に高めるなどの措置を発動する可能性も否定できません。議会の承認を得なくても、大統領令などで対応が可能なことが多いからです。通商代表部の代表(USTR)に、対中強硬派で知られるロバート・ライトハイザー氏を指名したことも対中政策が厳しくなる可能性を示唆しています。
 中国は、一時期4兆ドルあった外貨準備が3兆ドルぎりぎりのところまで減少しており、人民元の防衛に必死です。それでも元の下落トレンドはなかなか打ち消せません。人民元がさらに下落することがあれば、トランプ政権が厳しいプレッシャーをかける可能性もあります。
 米国経済が好調であればそんな圧力はかけてこないでしょう。しかし、米国経済が予定通りに拡大しない、さらには、欧州で波乱があり世界各国が内向きになれば、米国も保護主義的な強硬手段に出てくることがあるかもしれません。トランプ氏は、自身の支持基盤であるプアホワイトの雇用をとにかく守りたいわけですから。支持率をにらみながら、対策を講じていくと思われます。
 まとめますと、2017年前半の日本経済は、米国経済の拡大に支えられ比較的好調に推移すると思います。一方、年後半は国際情勢とトランプ氏の政策によって大きく動く可能性があるわけです。大きな波乱含みであることはこれまでと変わりありません。


このコラムについて
小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字
 2020年東京五輪に向けて日本経済は回復するのか? 日銀の金融緩和はなぜ効果を出せないのか? トランプ米大統領が就任した後、世界経済はどこに向かうのか? 英国の離脱は欧州経済は何をもたらすのか? 中国経済の減速が日本に与える影響は?
 不確定要素が多く先行きが読みにくい今、確かな手がかりとなるのは「数字」です。経済指標を継続的に見ると、日本・世界経済の動きをつかむヒントが得られる。
 企業の動きも同様。決算書の数字から、安全性、収益性、将来性を推し量ることができる。
本コラムでは、経営コンサルタントの小宮一慶氏が、「経済の数字」と「会社の数字」の読み解き方をやさしく解説する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000037/011100002

 


 

ダウ平均2万ドルが試す投資家の忍耐力
大台突破に意味はあるのか? 目先は心理的にプラス
2017.1.12(木) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙?2017年1月11日付)

米ダウ平均、終値で初の1万6000ドル超え
米ニューヨーク証券取引所(New York Stock Exchange)で働くトレーダー(2013年11月18日撮影、資料写真)。(c)AFP/Getty Images/Andrew Burton〔AFPBB News〕
?米国株式市場の強気派は、名作戯曲「ゴドーを待ちながら」に登場するウラジミールとエストラゴンのように感じたとしても許されるだろう。減税し、企業の規制を緩和するというドナルド・トランプ氏の約束は、同氏の米大統領選出以来、ダウ工業株平均を9%近く上昇させた。

?この高騰によって、ダウはクリスマス前から2万ドルの節目と戯れており、今では大台にいつ到達してもおかしくない状況にある。

?一部の人は選挙後初となる11日のトランプ氏の記者会見がダウの節目突破のきっかけになると見ている。一方で、米国企業の第4四半期の決算発表シーズンが突破口になると考えている人もいる。ダウが2万ドル近辺をうろうろしている中、これが投資家にとって何を意味するか、以下にまとめた。

投資家にとってダウ2万ドルは何を意味するのか。

?この節目の重要性について、投資家の意見は割れている。往々にして切りのいい数が心理的な意味を持つことについては大半の人が同意しているが、上昇相場を維持できるかどうかについては見方が割れる。

?アトランティック・トラストの最高投資責任者、デビッド・ドナベディアン氏は、「市場の進展の節目として、誰もが切りのいい数を好む。だが、アナリストとして、そしてストラテジストとしては、短期的に市場を動かしているプラスの投資家心理に追加の刺激を与える可能性があることを除けば、(2万ドルという数字に)ほとんど意味はない」と指摘する。

?もう1つ、極めて重要な側面は、120年前に創設されたダウ平均は、市場のプロに概ね見限られ、S&P500種指数に切り替えられたということだ。例えば、S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズによると、S&P500に基づくパッシブ運用のインデックス商品に2兆1000億ドルの資金が投資されているのに対し、ダウに基づくパッシブ運用インデックス商品に投資されているのはわずか395億ドルだ。

「S&Pは機関投資家向けで、ダウはその他すべての人向けの指数だ」と証券会社コンバージェックスのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ニコラス・コラス氏は言う。

ダウとS&P500の違いは何か。

?この2つの米国株指数の間には、重要な違いがいくつかある。決定的に重要なのは、S&Pの構成銘柄が500社なのに対し、ダウ工業株平均に含まれるのはわずか30社で、このためダウが米国経済の指標としてあまり包括的ではないことだ。

?2つのベンチマークは構成も異なる。S&P500の水準は、指数を構成する企業の株式時価総額を反映しているのに対し、ダウ平均は最も値が高い30銘柄の株価に最大の比重を置く株価加重平均だ。

?これは、株価が242ドル前後のゴールドマン・サックスなど、最も値の高いダウ構成銘柄が、株価は相対的に低いが時価総額が高い可能性のある構成銘柄よりもずっと大きな影響を指数に及ぼすことを意味している。

「売上高が最も大きく、株式時価総額が最も高い企業よりも値がさ株に大きな比重が与えられるため、我々はこれを歪みと見なす」とドナベディアン氏は言う。

ダウはなぜS&P500をアウトパフォームしているのか。

?米国の大統領選以降、ダウ平均は8.7%上昇し、S&P500の上昇率6.4%を上回っている。上げ幅が大きい理由の1つは、選挙以降に進んでいるセクターローテーションだ。このローテーションでは、S&P500での比重が大きいハイテク株よりも金融株が好まれた。

?ハイテク企業はダウの17%を占める一方で、S&P500ではその割合が20%を超え、最大セクターとなっている。対照的に金融株はダウ平均の約18%を占め、S&P500では15%どまりだ。

?ダウ平均はS&P500を上回っているとはいえ、米国の小型株は両指数に圧勝している。そうした小型株で構成されているラッセル2000は選挙後に約15%上昇している。

「小型株は最も純粋なトランプ・プレーだ」とコラス氏は言う。「ドルについて心配する必要がない。小型株は国内に経営が集中している傾向があり、そのため、ドル高に利益の足を引っ張られることなく、新たな政策の恩恵を受けられる」

?米国経済の成長加速と金利上昇の見込みがドルを14年ぶりの高値に押し上げ、多国籍企業が海外で稼ぎ、国内へ持ち帰る売上高を目減りさせている。

By Nicole Bullock in New York
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48893

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/710.html

[経世済民117] 新入社員の文化適性を見極める方法 人手不足本番はこれから リスク満載でも倒れぬユーロ圏 トランプラリー持続は根拠なき楽観
新入社員の文化適性を見極める方法
メールの言語スタイルが同僚と似ていれば職場で活躍する可能性が
ザッポス・ドット・コムではベテラン社員に対し、採用候補者が組織に合わない可能性があると判断した場合、拒否できる権利を与えている。写真は同社の社員研修の様子

By JOANN S. LUBLIN
2017 年 1 月 12 日 11:59 JST

 企業は新たな人材を採用する際、自社の文化に適合するかどうかの評価に力を入れているが、それでも新規採用者が必ずしも会社にフィットするとは限らない。

 そこで役立ちそうなのが、新規採用者の電子メールの分析だ。

 カリフォルニアの研究者チームは、人材採用で文化的な適性(カルチャーフィット)を重視している中規模のテクノロジー企業を対象に、この奇抜な方法を用いて新規採用者が会社に順応できるか、やめるかを予測した。1020万通に及ぶ社内のメッセージを調べた結果、会社にとどまり、活躍した人たちは同僚と似た言語スタイルを使用していたことが明らかになった。

 同調査によると、文化適性が高い新入社員は管理職に昇進する確率が高かった。退職した人たちは、在職期間の中ほどから終わりにかけて文化適性が低下していた。また、文化適性が低い人たちは3年目以降に解雇される確率が4倍高かった。

 調査では、ののしりの言葉や前向きな感情表現、具体的な比喩の使用など言語スタイルに関する64のカテゴリーを分析した。

 例えば、営業担当者は頻繁にののしりの言葉を口にしていた。調査を率いたカリフォルニア大学バークレー校経営大学院のサマー・スリバスタバ助教は、適合したいという意欲が強い新入社員は「メールで同僚と同じくらい悪態をつく必要があった」と指摘する。

 それとは対照的に、解雇された人たちは「組織に入った瞬間から言語的に同僚に合わせることができていなかった」という。

 企業によると、職場で活躍できるかどうかは文化適性によって決まる場合が多い。例えば、ネット通販サイト、ザッポス・ドット・コムではベテラン社員に対し、採用候補者が組織に合わない可能性があると判断した場合、拒否できる権利を与えている。たとえその人が職務に適した能力を持っているとしてもだ。

 スリバスタバ氏は、企業は「採用基準を適合性から適応性に変える」べきだと指摘。適応性の高い社員の方がいずれ優れた業績を上げるからだと説明した。

 調査はスリバスタバ氏とスタンフォード大学経営大学院のアミール・ゴールドバーグ准教授(組織行動学)が主導し、対象企業の正社員601人が2009〜14年にやり取りしたメールを分析した。調査論文は近くマネジメント・サイエンス誌に掲載される予定。

 スリバスタバ氏によると、電子メールの内容を基に文化適性を測定した例はほとんどない。これまでは通常、主観的なリポートを頼りにしていた。

 論文によると、文化適性の測定にメールを使用したのは、言語は「組織的統合の根底にある複雑なプロセスの行動パターン」を表しているためだ。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiHnqPEo7zRAhVBoZQKHaDjDEgQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582552450243293054&usg=AFQjCNFUIcAhsQbsX2dskcyYcIc6EZrMnQ

 


 

人手不足の本番はこれからだ やりがいを感じられる職場作りが急務

記者の眼


2017年1月12日(木)
水野 孝彦
 大手ファミリーレストランが24時間営業を見直して営業時間を短縮するなど、人手不足の影響が広がっている。

 アルバイト求人情報サービス「an」を運営するインテリジェンスによると2016年11月のアルバイト時給(173職種)の全国平均は1007円。前年同月比で21カ月連続の時給上昇で1000円越えは3カ月連続。同調査での外食(フード系)の平均時給は968円と全業種の平均に比べて賃金は低いものの人手不足はより深刻だ。2016年11月の外食(飲食物調理の職業)の有効求人倍率(実数)は3.13倍。全職業平均の1.31倍と比べてもかなり高い。

 an編集長の上土達哉氏によると外食業界では昨年の秋以降、「既存店の人手不足が深刻で、新規出店ができない企業も出てきている。これまでは週3日の出勤が採用の条件だったが、それを週1日でも容認するといった勤務条件の緩和も増えている」という。

 人手不足が深刻になる中で、外国人労働力の重要性も高まっている。サービス産業向けに動画を活用した人材教育システムを提供しているジェネックスソリューションズ(東京都港区、高橋勇人社長)は2016年12月より、5つの言語(英語、中国語、ベトナム語、ミャンマー語、日本語)で外国人従業員が接客マナーや作業ノウハウを学べる動画提供サービスを開始した。既に吉野家と養老乃瀧が導入している。飲食店やサービス業の店で働く外国人留学生に日本と母国との文化や接客マナーの違いなどを動画で教えることで、現場での教育の負担を減らすことが狙いだ。


ジェネックスソリューションズが提供する動画の例。左は外国人が疑問に思っていることを説明する動画の1シーン。右は日本人は「検討」という言葉に様々なニュアンスを込めていることを説明する動画の1シーン。
 記者の感覚からすると、現在の外食産業の深刻な求人難は2006年頃から2008年のリーマン・ショック直前までの状態とよく似ていると感じる。当時の外食産業ではパート・アルバイトを正社員にすることなどで、人材を囲い込む動きが広がりつつあった。しかし、その後のリーマン・ショックで消費は冷え込んでしまって、そうした動きは立ち消えになっていった。しかし、今回は違った展開になるだろう。現在の人手不足はまだ序盤戦で、これからが本番だと考えるからだ。

失業率はまだまだ下がる

 その根拠は、日本銀行がデフレ脱却に向けた金融緩和を推進中であること。日銀は「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」という方針を明示している。目標とされている消費者物価指数(除く生鮮食品)は2016年11月で-0.4%。2%を超えた状態で安定するまでの道のりはまだ遠い。

 物価が安定して上昇するには経済が活性化して失業率が改善し、賃金が力強く上昇する必要がある。2016年11月の完全失業率(季節調整値)は3.1%で、これは歴史的な低水準とされている。だからこそ人手不足も深刻だと感じるわけだが、消費者物価指数(除く生鮮食品)が目標の2%からはほど遠い以上、さらに完全失業率を引き下げる余地がある。政府や日銀はそれを望むはずで、外食を含む様々な業種でさらに人手不足が進むということでもある。

人手不足の時代は客単価アップの好機でもある

 もっともそうした状態は、悪いことではなくてむしろ企業にとっても望ましい状態だ。以前より、多くの人が職に就き、時給が上昇して前よりも収入が増えているということは、それだけ消費にも積極的になるためだ。実際、an編集長の上土氏によると高単価商品を投入し、客単価アップを図る動きが活発化しているという。狙い通りに客単価アップを果たせば、人件費の増加も吸収できる。

 従来より高価な商品を売るには、お客から信頼される優秀な人材が欠かせない。外食専門のコンサルタント、アップ・トレンド・クリエイツの代表の白岩大樹氏は「スタッフとのコミュニケーションが、今まで以上に重要になる」と話す。

 人手不足による採用条件の緩和で、店側から要請してもシフトに週1、2回しか入ってくれないスタッフが増えている。そうした条件で集めた以上は致し方ないことだが、だからこそスタッフが足りないときにシフトに入ってくれるモチベーションの高いスタッフを見出すことが今まで以上に大切になる。同時に、そうしたスタッフは仕事への取り組みも熱心なので必然的に接客スキルも高くなり、高単価商品を売っていくうえでも欠かせない戦力になるはずだ。

努力をほめることが大切

 問題は、店側に協力して積極的にシフトに入ってくれるスタッフをどうやって見出すかだが、それは店長や社員がスタッフの働きぶりを日頃からよく見て、「何か新しい仕事を覚えたり、良いサービスでお客に喜ばれていたら、それをほめることが大切」と白岩氏は指摘する。外食で働く人は基本的に人とコミュニケーションを取るのが好きか、あるいはそうしたスキルを高めたいと思っている。その努力をほめることで、初めて店への帰属意識や参加意識が芽生える。店で働くことに満足しているスタッフは友人・知人を新たなパート・アルバイトとして紹介してくれる可能性も高い。それは、求人費用の節約にもなる。

 今後、さらに人手不足が進むことで外食企業はお客からだけではなく、従業員からも「選別」されていることを一層意識せざる得なくなる。そうした傾向は外食にとどまらず、他産業にも広がっていくはずで、やりがいを感じられる職場作りがあらゆる職場で今まで以上に求められるだろう。


このコラムについて

記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/011100386/?


 

 


 

リスク満載、それでも倒れないユーロ圏
ユーロ圏は今年、政治リスクが満載だが引き続き危機を克服しそうだ
By SIMON NIXON
2017 年 1 月 12 日 17:26 JST

 最近、欧州経済に関する良いニュースには誰もあまり興味がなさそうだ。

 投資家や政策当局者の間では、政治リスクとそれがユーロ圏債務危機を再び引き起こす可能性についての話で持ちきりだ。英国の政界では、国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まってからユーロ圏の政治リスクを巡る議論が熱を帯びている。EU離脱派の間では、ユーロ圏諸国は域内の情勢が悪化すればするほど、英国とのEU離脱交渉で妥協に傾くとの見方が大勢だ。

 この論理には同意しかねる。確かに欧州が直面している政治リスクは現実のもので、これまでに何度も取り上げられてきた。オランダやフランス、ドイツ(おそらくイタリアも)など今年選挙が予定されている国のいずれかで反EUを掲げるポピュリスト政党が勝った場合、欧州の政治は間違いなく混乱に陥るだろう。

 昨年は政治面で衝撃的な出来事が相次いだが、現時点でそれらがテールリスクになる確率は低そうだ。実際、5月のフランス大統領選で極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン氏が当選するという、市場にとって最大の政治リスクが現実とする可能性は低下しつつあるようだ。最新の世論調査によると、無所属中道派のエマニュエル・マクロン氏が勢いを増しており、ルペン氏は決選投票に進むために三つどもえの戦いを強いられている。マクロン氏はサプライサイド(供給側)の改革という市場寄りの政治綱領を掲げている。

 さらに、2016年の状況から、欧州経済には政治的ショックに対する耐性があることが証明された。ユーロ圏経済は3年にわたり緩やかながらも着実に回復しているが、最近の経済指標は、公共・民間投資の増加や世界経済見通しの改善、超低金利、ユーロ安を追い風に、景気回復に弾みがつく可能性を示唆している。

 16年12月のユーロ圏製造業景況指数(PMI)は11年5月以来の高水準となったほか、欧州委員会が発表した12月の消費者信頼感指数は11年3月以来の高水準に達した。

 また、ユーロ圏全体で失業率が低下している。ドイツは4.1%と、再統一以降で最も低い水準となっている。スペインでは13年以降、雇用が160万件増えた。フランスの昨年10-12月期の鉱工業生産は予想をはるかに上回った。イタリアでは、可処分所得の増加率が01年以来の高水準に達した。当然のことながら、多くのエコノミストがユーロ圏の17年の経済成長率とインフレ率の見通しを引き上げる準備を進めている。景気が回復すれば、財政状況が改善し、負債比率も低下して政府に対する政治的圧力が緩和されるだろう。

 もちろん、歴史的な水準から見れば、足元の景気回復は弱い。多くのエコノミストは、今年のユーロ圏の経済成長率は1.5%前後になると予想している。もっと心配なのは、ユーロ圏の長期的な潜在成長率予想の大半がこの数字さえも下回っていることだ。

 その背景には人口動態の悪化と生産性の伸びの低さがある。教育・司法制度と労働・製品市場のサプライサイド改革によって生産性を高める断固たる措置が取られなければ、一部の南欧諸国の負債比率の低下ペースが鈍るだろう。つまり、ユーロ圏はショックに対して脆弱(ぜいじゃく)なままとなる。

 差し迫る潜在的なショックは枚挙にいとまがない。イタリアの銀行システムの問題やギリシャ救済の行き詰まり、ポルトガルの金融安定に対する懸念の高まり、英国のEU離脱などで、行く手は険しそうだ。

 景気回復が資産バブルを生み出したり、インフレ率を押し上げたりすることも経済面のリスクだ。今のところ、こうした状況が起こる兆しはほとんどない。アムステルダムや、ドイツの一部、ダブリンなどユーロ圏の一部では住宅価格が急上昇しているが、中央銀行が警戒するほどではない。

 また、昨年12月のユーロ圏の総合インフレ率は市場予想の1.5%を大きく上回ったが、これはエネルギー価格の上昇が主因で、食品やエネルギーを除いたコアインフレ率は0.1ポイント上昇の1.0%にとどまった。とはいえ、インフレ率が2%弱という欧州中央銀行(ECB)の目標に再び到達する兆しが現れれば、欧州北部でECBの債券購入プログラムに対する政治的反発が強まるのは必至だ。

 ECBは昨年12月、今年は債券の買い入れ額を月額600億ユーロに減らすと決めたばかりだが、市場ではさらに買い入れ規模を縮小する可能性がうわさされている。ECBが量的緩和策を縮小する準備を進めている兆しを見せれば、ECBの施策によって借り入れコストを抑えている一部の南欧諸国にとって問題が生じる恐れがある。これらの国々は、借り入れコストの低下で財政政策の緩和が可能になっているからだ。

 そのため、ECBが今年、政策変更を求める圧力に屈する公算は小さい。同行が量的緩和策の期限を、選挙日程の先の17年末に延長し、政治リスクを和らげることを決めた理由の1つはこれらの懸念だった。

 ユーロ圏はこれまで、7年に及ぶ危機を何とか乗り切ってきたが、今年もそうした展開が続く可能性が高い。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwixyN2do7zRAhUFKpQKHd2QA0oQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10558161838683014507104582554560926068518&usg=AFQjCNG6oVB7rkEuIgDsayENgIAwFaRF4w


 

閣僚人事で占うトランプ・ラリーの持続性 根拠なき楽観は捨てよ

政治と市場の“正しい”見方


2017年1月12日(木)
門司 総一郎

労働長官に指名されたアンドルー・パズダー氏(右)は、果たして最低賃金を引き上げるか(写真:AP/アフロ)
 米国の大統領選におけるドナルド・トランプ氏の勝利をきっかけに日米の株式市場は上昇。為替市場では円安(ドル高)が進みました。いわゆる「トランプ・ラリー」です。

 このトランプ・ラリーには賛否両論があります。1つは「大規模な減税やインフラ投資で米国をはじめとする世界の経済成長が加速。株価も上昇する」といった楽観的な見方です。

 もう1つは、「トランプ氏は公約通りに保護貿易策や移民に対する規制強化を実施する。そうなれば内向き志向が世界的に強まり、経済も株式市場も停滞する」との慎重な見方です。

 トランプ政権の閣僚・閣僚級高官(以下、単に閣僚)人事がほぼ出そろいました。今回はこの閣僚人事を手掛かりにトランプ・ラリーの持続性について考えてみます。

曲者ぞろいのトランプ政権

 トランプ氏の閣僚人事の特色は、一癖も二癖もありそうな人物が多いことです。バランス感覚や協調性に富んだ人物よりも、強い信念を持ち、それに向かって突き進むタイプが多いように見えます。

 例えば、司法長官に指名されたジェフ・セッションズ上院議員。共和党内でも屈指の保守強硬派といわれ、白人優越主義者の秘密結社クー・クラックス・クラン(KKK)を肯定的に語ったこともある人物です(後で否定しました)。不法移民に対する厳しい態度でも知られています。このセッションズ氏が司法長官として移民問題に携わる可能性が高い。そうなれば、トランプ政権の移民対策は当然かなり厳しいものになると予想されます。

 労働長官に指名されたアンドルー・パズダー氏は大手ファストフード・チェーン、CKEレストランツの最高経営責任者(CEO)です。バラク・オバマ大統領が進めた最低賃金の引き上げや労働規制への反対派として知られています。

 大統領選において、トランプ氏は当初、最低賃金の引き上げに慎重でした。それが、ライバルのヒラリー・クリントン氏が引き上げを主張したことから、途中で引き上げ支持に転じたのです。しかし、この人事を見ると最低賃金引き上げは口先だけで、本気で実行する気はないように思えます。

 厚生長官に指名されたトム・プライス下院予算委員長は整形外科医でもあります。オバマ氏の医療制度改革(オバマケア)に強く反対してきた人物で、トランプ氏はプライス氏の起用について、オバマケアを廃止する(または新たな制度との置き換え)ためのものであると明言しています。

 エネルギー長官に指名されたリック・ペリー前テキサス州知事は地球温暖化に懐疑的で、オバマ政権のシェールガス・オイル採掘規制に反対しています。

 また環境保護局(EPA)長官に指名されたスコット・プルイット・オクラホマ州司法長官は地球温暖化に関する規制に反対で、オバマ政権が導入した火力発電所の排出規制の無効を求めて訴訟を起こした人物です。この訴訟は最終的に全米の半数以上の州が加わる集団訴訟になり、オバマ氏在任中の規制導入を阻むこととなりました。そのため、プルイット氏は規制反対派から功労者として評価されています。

 トランプ氏は大統領選でパリ条約からの離脱や石油採掘規制の撤廃などを公約として掲げました。ペリー氏とプルイット氏の起用はこの公約を実行する強い意志を示すものと思われます。オバマ政権は地球温暖化防止や環境保護に重点を置いた環境政策、エネルギー政策を進めてきましたが、トランプ政権による方向転換は必至でしょう。

タカ派色が強い軍出身者

 軍幹部出身者が3人と多いのもトランプ政権の特徴です。こちらも個性的な人物が並びます。国家安全保障担当補佐官に指名されたマイケル・フリン氏は元陸軍中将で、オバマ政権で国防情報局長を務めた人物です。しかし、中東政策で意見が折り合わなかったため解任。その後はオバマ批判に転じ、大統領選ではトランプ氏の外交政策アドバイザーを務めました。

 イスラム教徒に対する厳しい発言で知られており、対テロではロシアとの協調を唱えています。このフリン氏の見方が、トランプ氏のロシア観に影響しているとの指摘があります。

 国防長官に指名されたジェームズ・マティス元中央軍司令官は「敵を撃つのは楽しくて仕方ない」(日本経済新聞、2016年12月3日)などの発言で物議を醸した人物で、「狂犬」の異名があります。また対イラン強硬派としても知られています。

 マティス氏は上院での承認が不安視されている閣僚候補の1人でもあります。米国では、大統領が指名した人物が閣僚に就任するためには上院の承認を得る必要があります。過激な発言が物議を呼んでいるのが理由の一つ。また軍人は退役後7年を経過しないと国防長官に就任できないとの規則があり、2013年に退役したばかりのマティス氏が就任するには特別な手続きが必要であることも理由に挙げられています。

 この2人に比べて比較的癖がない印象があるのが、国土安全保障長官に指名されたジョン・ケリー氏です。南方軍司令官としてメキシコなど中南米を担当した経歴の持ち主で「メキシコとの国境の不十分な警備が(麻薬やテロリストの流入を通じた)国家安全保障上の脅威だ」(ロイター、2016年12月7日)と発言したことがあります。

 トランプ氏はケリー氏を指名するに当たって「急務である不法移民の流入阻止や、国境警備の陣頭指揮にふさわしい人物だ」(時事通信、2016年12月12日)とコメントしており、壁の建設を含むメキシコとの国境管理やテロ対策などを担当すると見られています。

通商政策担当は対中強硬論者

 通商政策を担当するのは新設の国家通商会議(NTC)。そのトップを務めるのが担当の大統領補佐官に指名されたカリフォルニア大アーバイン校のピーター・ナバロ教授です。

 ナバロ氏は筋金入りの対中強硬派として知られています。『米中もし戦わば』との著作があるほか、中国からの輸出の増加が米国の製造業に与えた打撃を取り上げた映画「Death of China」を監督したりしています。大統領選でも対中政策についてトランプ氏にアドバイス。トランプ氏が主張した為替操作国としての指定や中国製品に対する45%の関税などは「いずれもナバロが知恵をつけた」(日経、2016年12月23日)と報じられています。

 NTCの下で通商交渉の実働部隊としての役割を担うのが米通商代表部(USTR)です。そのトップ(米通商代表部代表)に指名されたのが、やはり対中強硬派として名を馳せるロバート・ライトハイザー氏です。

 ライトハイザー氏はレーガン政権下でUSTRの次席代表を務め、日米鉄鋼交渉で日本に鉄鋼の輸出自主規制をのませた実績があります。またその後もUSスチールの顧問弁護士として中国鉄鋼メーカーの輸出をダンピングと非難、米政府にアンチ・ダンピング関税の適用を再三求めてきました。まさにタフ・ネゴシエーターといった印象のある人物です。

 この人選を見るとトランプ政権の通商政策における当面のテーマは対中貿易赤字の是正となりそうです。その後は他の国と交渉を行うことになるでしょう。ナバロ氏、ライトハイザー氏のいずれも多国間の自由貿易よりも二国間の交渉を重視する立場であるため、環太平洋経済連携協定(TPP)が発足する見通しは立ちにくく、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しも否定できない状況が続くと思われます。

閣僚人事から見える3つのこと

 以上、トランプ政権の閣僚候補を紹介してきました。この顔ぶれから見えてくることは3つあります。以下に紹介します。

1.トランプ氏はやる時はやる
 冒頭に述べたように、トランプ・ラリーの持続性を楽観視する人々は、慎重派が懸念する保護貿易や移民への規制強化について「トランプも大統領になれば、無茶はしない」と高を括っているようです。しかし、この人事を見る限りトランプ氏に手加減するつもりはなさそうです。移民に対する規制強化にしても通商政策にしても、選挙戦中のトランプ氏の公約を実行するにふさわしい面々が担当者に指名されています。

 市場参加者は安易な楽観論に与するのでなく、トランプ氏は自分たちに都合の悪いことでも実行する時はするというリスクを肝に銘じておくべきでしょう。

2.トランプ氏はやらない時はやらない
 既に述べたように、最低賃金引き上げは元々トランプ氏の公約に入っていませんでした。クリントン氏への対抗上、トランプ氏も賃上げ支持に転じたわけです。パズダー氏の起用を見ると、本気でやる気はないようです。この最低賃金引き上げと似ているのが、インフラ投資です。

 10年間で1兆ドルのインフラ投資は大規模減税と並ぶ楽観派の拠り所です。ですが、トランプ氏の公約に元々あったのは「インフラ投資」のみで、金額は入っていませんでした。日経テレコンで検索すると、「1兆ドル」と金額が載った記事が出てくるのは11月に入ってからです。

 クリントン氏はインフラ投資を景気対策の柱に据えていました。その額は5年で2750億ドルです。定かではありませんが、トランプ氏はクリントン氏に対抗して、「5年で5500億ドル、10年で1兆ドル」ということで1兆ドルになったとの報道を見た記憶があります。

 最低賃金の引き上げが選挙向けのリップ・サービスに終わるのであれば、インフラ投資がそうなってもおかしくありません。ゼロ回答はないにしても、話半分以下に聞いておく方が無難と思われます。

3.最優先課題はオバマ政権の否定
 ここまでの閣僚人事を見ると、トランプ氏にとっての優先課題はオバマ政権の実績を否定することにあるように見えます――オバマケアの廃止、移民の規制強化、中東政策の見直しなど。一方、経済政策についてはあまり見えてきません。

 景気が悪ければ、経済対策に力を入れるでしょうが、足元の米国経済は好調です。またオバマケアの廃止や移民政策の見直しなども公約として掲げたものであり、経済政策よりこちらを優先しても公約違反ではありません。

 市場参加者は往々にして「経済最優先」の発想に陥りがちです。トランプ・ラリーに楽観的な市場参加者も、トランプ政権が経済を優先すると考えていると思います。ですが、トランプ政権は例外と考えるべきでしょう。

 市場でもトランプ氏のツイッター口撃がトヨタ自動車に及んだのを見て、楽観論が萎み始めたようです。閣僚人事の観点からもトランプ・ラリーは根拠なき楽観に支えられたものであり、今後はその反動を警戒する必要があると考えています。


このコラムについて

政治と市場の“正しい”見方
 今、日本は新政権の誕生で「政治」と「金融市場」の関係がこれまで以上に強まり、複雑化しています。さらに欧州の債務危機や米国の財政の崖、中国の新執行部選出など、政治と市場を巡る動きは、海外でも大きな焦点となっています。
 しかし、市場関係者がこの両者の関係を論じる場合、「アベノミクスで日本は変わる」など物事を極めて単純化した主張になりがちで、十分な分析がなされているとは言えません。そこで、このコラムでは政治と市場の関係について深く考察し、読者の皆様に分かりやすく解説していきます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/243048/011100013/
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/711.html

[政治・選挙・NHK218] たぶん、もう、どうにもとまらない「共謀罪」  「家族葬」は誰のもの? 思いについて思うこと
たぶん、もう、どうにもとまらない

小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 〜世間に転がる意味不明

2017年1月13日(金)
小田嶋 隆

 「共謀罪」の成立が現実味を帯びてきている。
 時事ドットコムニュース(こちら)によれば、

《共謀罪「一般人は対象外」=菅官房長官
 菅義偉官房長官は1月6日の記者会見で、いわゆる「共謀罪」を創設するための組織犯罪処罰法改正案を20日召集の通常国会に提出することについて「政府が検討しているのはテロ等準備罪であり、従前の共謀罪とは別物だ。犯罪の主体を限定するなど(要件を絞っているため)一般の方々が対象になることはあり得ない」と述べ、理解を求めている。 》

 とのことだ。

 共謀罪を盛り込んだ法案については、野党などの反対で、これまでに3回廃案となっている。昨年9月の臨時国会でも、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の関連審議を優先させるなどとして、法案提出が見送られた。

 今回の共謀罪成立への4度目のチャレンジは、2020年のオリンピック・パラリンピック開催をにらんで、政府が、不退転の決意で臨んでいるところのものだと言って良い。

 会見の中で菅官房長官が伝えようとしていたのは、

「今回政府が提出するいわゆる『共謀罪』は、戦前に猛威をふるった『治安維持法』とは違って、思想犯や社会運動家を大雑把に網にかけるようなものではない。対象はテロ犯罪に限定しているし、逮捕に至る要件も厳しく制限している。だから、テロ犯罪の準備にかかわることのない一般人がこの法律によって逮捕されたり、普通の人間の言論や行動の自由が制限されるリスクを言い立てる一部の人間たちの言説は、ためにする議論に過ぎない」

 といったほどのお話なのだろう。
 言いたいことの主旨はよくわかる。

 政府が組織犯罪処罰法を改正しようとしている主たる目的が、あくまでも五輪開催に向けたテロ犯罪を防止するところにあることも、基本的には理解できる。安倍政権が、政府に批判的な市民を片っ端から逮捕する一大ファシズム国家の実現を夢見ているってな調子の近未来予測を並べ立てるつもりもない。

 が、それでもなお、私は、この法律に感じている不気味さを、どうしてもぬぐい去ることができずにいる。

 ここまでのところを読んで、「考えすぎだ」ということを私に伝えようとする人が、一定数あらわれるはずだ。

 実際、菅官房長官の「一般の方々が対象になることはあり得ない」という発言を受けて、私がツイッター上に、

《「一般人は対象外」という理屈の背後には、「共謀に与するような人間は一般人ではない」というトートロジーが隠れている。この言い方を応用すると、たとえば道路交通法も「一般人は対象外」として運用されているてな話になる。なぜなら「信号を無視するような市民は一般人ではない」わけだから。》

《「犯罪者以外は罰せられないのだから一般人には関係ありません」という説明で簡単に安心してはいけない。犯罪者以外が罰せられないのは、どの法律でも同じことで、この言明そのものにさしたる意味は無い。大切なポイントは「その法律が想定している『犯罪者』がどういう人間なのか」ということだぞ。》

《これってつまり「誰が一般人でどんな人間が犯罪予備軍であるのかはオレらが決めるんでよろしく」ということだよね? 共謀罪「一般人は対象外」=菅官房長官 【時事ドットコムニュース】》

 という一連のツイートを書き込んだところ、私のツイッターの@欄には、

「『テロ等準備』の文字が読めないの? なんですぐに妄想で語っちゃうの?」
「特定テロ組織と共謀してテロを起こす一般人は確かにいますね。ISのテロなんかそうですね。 しかし、テロを起こした時点で一般人に分類するのは、かなり無理ですなw」
「不安を煽るのがライターさんの重要なお仕事なのでは?」

 といった感じの、嘲笑を含んだ複数の反論や疑問が、間髪を置かずに寄せられている。
 こういうことが起こるのは、「テロ等組織犯罪準備罪」の必要性を感じている人がたくさんいることの現れでもあるのだろう。

 が、それ以上に、私が強く感じるのは、「共謀罪」に懸念を表明する人間に反発を感じる人々が増えているということだ。

 私は、いま、まわりくどい書き方をしている。
 こういう書き方は、本来好ましくない。
 が、実際に事態は、まわりくどい段階に到達しているのだから仕方がない。

 つまり、いま起こっていることは、目に見えているカタチとしては「政権の意向に何がなんでも賛成する人々が増えている」ように見えるわけなのだが、実際に起こっているのは「何がなんでも権力に反発してみせる人間に対して何がなんでも反発する人々が増えている」事態だということだ。

 どうしてこういうことが起こっているかについての分析は、とりあえずここではしない。別の機会に書くことがあるかもしれない。とりあえず、今回は、共謀法の話を進める。

 共謀法に関して私が感じている不気味さは、2年前に特定秘密保護法が制定されようとしている時に抱いていた懸念とほとんど同質のものだ。

 私は、この組織犯罪防止法の改正案が、特定秘密保護法案などが成立した時とまったく同じような経緯で、たいした議論も経ぬままにずるずると成立することを、半ば以上のあきらめとともに、強く予感している。同時に、私は、自分たちが、あの自民党の憲法改正草案の実現に向かって進む一本道の途中段階に立っていることにあらためて思い至っている。

 憤っているとか反発しているというのとは少し違う。

 事態がある段階に立ち至ると、恋愛であれ、ギャンブルであれ、事業であれ、一度動き傾きはじめた流れは、結局のところ誰にも止めることのできないものなのだなあと、静かに落胆している、といったあたりが正確なところだ。

 テロ犯罪をたくらむテロ組織なりテロリストたちが、自らテロ集団なりテロリストなりの看板を掲げて堂々とテロの準備を敢行しにかかるのかというと、コトは必ずしもそういうわかりやすい手順では進まない。現実には、悪質なテロ組織であればあるほど、自分たちの正体を隠蔽ないしは偽装する。そして、その悪賢くも周到な彼らは、およそ考え得る限りのあらゆる迷彩を施して、自分たちが善良な一般人であるかのような外面を整えにかかる。

 対抗上、捜査機関の人間は、当然のことながら、市民団体を装っていたり、無害な私企業のふりをしていたり、NGOの看板をかかげて市民を欺罔する国家転覆計画者や無差別殺戮テロ準備組織の正体を暴こうとする。つまり、テロ組織の犯罪に対峙する捜査員が犯罪捜査に従事する時には、まず、一般市民としてふるまうテロリストを疑ってかかるところからとりかからないと、仕事にならないのである。

 であるからして、捜査の現場では

「私は一般市民です」

 という供述は、まず間違いなく一蹴される。

「テロリストはみんなそう言うんだよw」

 と、たぶん、逮捕にやって来た人間は、「一般市民」の言葉をテンから信じないだろう。

 「共謀罪」の不気味さは、「為したこと」(事実として行われた行為)ではなく、「考えたこと」(アタマの中で考えている計画や謀議)を裁くその前提の特殊さにある。

 普通の刑法は、原則として、犯罪行為の「結果」を裁くことになっている。
 ところが、「共謀罪」は、犯罪企図や犯行の準備や共同謀議をその対象にしている。

 ということは、この法律に関しては、「共謀」の主体なり対象なりをどれほど厳しく限定したところで、さしたる歯止めにはならない。
 なぜなら、いざ法を運用する場面では、法を執行する側の解釈次第で、「共謀」の解釈をどうにでも拡大できてしまうからだ。

 というよりも、捜査する側が、自分たちの見込みに従って、ある程度恣意的に「共謀」の範囲を勘案できるのでなければ、この法律は有効に機能しないのだ。

 たとえば、1990年代のオウム真理教事件の捜査では、

《カッターナイフを所持していたために銃刀法違反、職務質問から逃げようとして公務執行妨害、マンションや東京ドームでのビラ配布で建造物侵入、ホテルの宿泊者名簿に偽名を記入したことによる旅館業法違反容疑、自動車の移転登録をしなかったために道路運送車両法違反容疑で逮捕など通常では考えにくい微罪逮捕が行われ、信者四百数十名が別件逮捕・微罪逮捕で拘束された》←ウィキペディアより

 といった野放図な操作手法が、堂々と繰り広げられたとされる。

 ほかにも、いわゆる過激派と呼ばれた左翼運動家の捜査では、「転び公妨」(捜査員が捜査対象に意図的にぶつかって転ぶことで、公務執行妨害を成立させる手口)と呼ばれる捜査手法が頻繁に使われている。

 凶器準備集合罪も、その制定過程では、暴力団の抗争が、具体的な殺傷事件に発展する前に取り締まることを目的として準備されたものだと言われている。ところが、実際に法律が制定されてみると、1960年代以降、凶器準備集合罪は、主として学生のデモを規制する手段として用いられることになった。

 これらの例からわかるのは、法律が、運用次第で、かなり恐ろしいツールになり得るということだ。

 共謀罪のような「人間がアタマの中で考えている犯罪」を裁く法律の場合、その運用の幅は、原理的に、どこまでも拡大することができてしまう。

 旅館業法や道路運送車両法は、「一般人」を捕縛する目的で制定された法律ではない。公務執行妨害にしても、普通は歩いているだけの人間にいきなり警察官がぶつかって来て転ぶようなやりかたで適用される法律ではない。

 というよりも、言葉のアヤみたいな話になるが、どんな法律であれ、それは本来「法を犯す者」を裁くために書かれたものであるはずで、その意味では、法律は、法の枠内で暮らす善良な一般市民とは無縁なものだ。

 もう一度繰り返すが、旅館業法や道路運送車両法は、一般市民を捕縛するために制定された法律ではない。

 にもかかわらず、現実の犯罪捜査の現場では、旅館業法違反や道路運送車両法違反を拡大解釈して市民を捕縛するようなことが起こっている。また、われら「一般市民」の多くも、オウム事件が世間を騒がせていた当時には、道路交通法や有印私文書偽造などの不可思議な罪名でオウム真理教の信者を大量に検挙する警察官の態度を、大いに支持していた。

 つまり、現場で法執行に当たる人間は、敵(捜査員から見た「犯罪者」のことだが)を捕らえる目的のためには、どんな手段でも使おうとするものなのであって、だからこそ、法律の条文は、なるべくなら野放図な拡大解釈を許さないものであることが期待されている。

 もっとも、仮に、警察官が多少強引なやり方で市民の身柄をおさえて拘束するようなことが起こったのだとしても、法の番人である裁判所が正しく基本的人権を守る立場で審理を行い、判決を出すことが間違いなく保障されているのであれば、そんなに大きな心配をすることはない。

 万が一、末端の捜査官の勇み足の結果、罪を犯していない人間が逮捕されるようなことがあったのだとしても、裁判が正しく行われ、裁判官が正しい判断を下すのであれば、正しい行いをしている市民が不当な罪を着せられることはあり得ないからだ。

 とはいえ、わが国の司法制度とそれを支える裁判官の全員を完全に信用できるのかどうかというと、実のところ、私は確信を持てない。

 裁判所は、時に冤罪をつくっている。
 このことは、誰もが知っていることだ。

 名張毒ぶどう酒事件の裁判をめぐる一連の出来事や、袴田事件、免田事件に関する詳細を知れば知るほど、自分が無実である限り、できれば裁判の被告として裁かれるような事態は、全力で忌避したいものだと考えざるを得ない。

 思うに、裁判官の中には、一般人の中で広く共有されている常識よりは、身内のメンツや法曹人としての体面の方を重視するタイプの人々が、一定の割合で含まれている。

 とすれば、われわれの中にある何らかの要素(思想、信条、好みの下着などなど)が、彼らの好みに合わない時は、どんなひどい目に遭わされるのかわかったものではないわけで、だとしたら、私は彼らの手に「共謀罪」のような解釈の余地の大きい条文を与える決断には賛成できないのである。

 東京新聞が11日の紙面で伝えたところでは、


安倍晋三首相は、十日、共同通信社との単独インタビューに応じ、政府が通常国会に提出する方針を固めた「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案に関し、成立させなければテロ対策で各国と連携する国際組織犯罪防止条約が締結されず「2020年東京五輪・パラリンピックが開催できない」と指摘。懸念がある「共謀罪」には、「一般の方々が対象となることはない」と理解を求めた。−−略−−
 ということになっている。
 五輪の開催にかこつけて、共謀罪の必要性を訴えているカタチだ。
 別の確度から見れば、五輪という錦の御旗が、共謀罪創設のための道具として利用されている局面と見なすこともできる。

 「もう止めることができない」などと言いつつも、この件に関して個人的な見解を述べるなら、たった2週間で終わるイベントを無事に開催するために、わが国の法典の中に永遠に残る厄介な法律を書き込まなければならないのだとしたら、その取引はあまりにもベネフィットに対して、コストが高すぎると思う。

 逆に言えば、もし仮に、五輪というイベントが、本当に共謀罪を創設したり、基本的人権を制限しないと開催できないような空恐ろしいイベントであるのだとしたら、そんな剣呑なイベントの開催は、いまからでもぜひ辞退するのが賢明だということだ。

 五輪の開催と引き換えに共謀罪をあきらめるというのなら、まだ交渉の余地はある。
 共謀罪を成立させる代わりに五輪の開催を断念するという選択肢も、まるで理解できないわけではない。

 でも、安倍さんが言っているのは、五輪を開催するためには共謀罪の成立が前提条件になるということで、これは、私にとっては大嫌いなものが二つ並んでふところに飛び込んでくるタイプの交渉になる。

 到底話を聞ける条件ではない。
 なめくじを食べるのならミミズも食べないとスジが通らないみたいな、両睨みの地獄じみた話に聞こえる。
 私はどっちもゴメンだ。

 というわけで、安倍さんには、
「つまり、五輪の開催を辞退すれば、共謀罪の成立も回避できるわけですね?」  と答えておくことにする。

 ちなみにこれは私の側からのファイナルアンサーなので、返事は要りません。あしからず。

「普通である」と他人に認証してもらう、
そんな社会は相当息苦しそうです。

 全国のオダジマファンの皆様、お待たせいたしました。『超・反知性主義入門』以来約1年ぶりに、小田嶋さんの新刊『ザ、コラム』が晶文社より発売になりました。以下、晶文社の担当編集の方からのご説明です。(Y)

 安倍政権の暴走ぶりについて大新聞の論壇面で取材を受けたりと、まっとうでリベラルな識者として引っ張り出されることが目立つ近年の小田嶋さんですが、良識派の人々が眉をひそめる不埒で危ないコラムにこそ小田嶋さん本来の持ち味がある、ということは長年のオダジマファンのみなさんならご存知のはず。

 そんなヤバいコラムをもっと読みたい!という声にお応えして、小田嶋さんがこの約十年で書かれたコラムの中から「これは!」と思うものを発掘してもらい、1冊にまとめたのが本書です。リミッターをはずした小田嶋さんのダークサイドの魅力がたっぷり詰まったコラムの金字塔。なんの役にも立ちませんが、おもしろいことだけは請け合い。よろしくお願いいたします。(晶文社編集部 A藤)

このコラムについて

小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 〜世間に転がる意味不明

「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たやすいこと」「取るに足らない出来事」「チョロい仕事」ぐらいを意味している(らしい)。当欄は、世間に転がっている言葉を拾い上げて、かぶりつく試みだ。ケーキを食べるみたいに無思慮に、だ。で、咀嚼嚥下消化排泄のうえ栄養になれば上出来、食中毒で倒れるのも、まあ人生の勉強、と、基本的には前のめりの姿勢で臨む所存です。よろしくお願いします。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/011200077


 


「家族葬」は誰のもの?

遙なるコンシェルジュ「男の悩み 女の嘆き」

思いについて思うこと
2017年1月13日(金)
遙 洋子

ご相談

年末年始、実家に帰り、両親とあれこれ話をしていた折、「私たちは家族葬でいいからね」と言われました。突然のことに驚きながら、両親も年を取り、そんなことを考えているのだと思うと、何だか胸が締め付けられるような気持ちになりました。改めて両親を大事にしようと思いながら、自分もそうしたことも考えておかなければいけないのだなと気づかされました。「おくり方」も多様化する中、遙さんが考える「いい葬儀」について教えてください。(40代女性)

遙から

 新年早々こういうテーマはいかがなものかとも思いつつ、最近の潮流としての"家族葬"などについて考えてみたい。

 折しも、私の身内に不幸があり、家族葬を経験することになった。年末のことだ。

 大阪市内では焼き場がなく、葬儀は大阪で、火葬は隣接した他の市にバスで移動となった。どうやら年末はもっと不幸が多かったようで、年末ぎりぎりに身内をおくった知人は火葬場待ちで4日間もご遺体をそのままの状態で保存せねばならなかったという。

 いずれ、団塊の世代が終焉を迎える頃には葬儀場が足らなくなるとは聞いてはいたが、すでにそれが始まっていると実感した。

自宅から斎場へ

 過去、いろいろなおくり方を経験してきた。

 最初は、自宅での葬儀。町内会の婦人会の方たちがこぞって朝5時から起きて準備してくれ、そういった地元ならではの人のつながりにも感謝できる経験だった。家での葬儀には、故人が在りし日々を過ごした場所で偲べる情緒がある。が、慌ただしい中で慣れぬ準備にあれこれ追われ、来客を迎えるための食事の準備や接客など大変さも半端ではない。

 その経験をもとに、次の葬儀は大きな斎場に委ねることにした。場所も分かりやすく弔いの宴席もすべてセット。どういう葬儀にするかを業者と打ち合わせ、当日はその通りに、恙なく葬儀が運ばれることとなった。

 大きな斎場はさすがに慣れていて、例えば喪服の着付けについても「帯締めは通常のように二重で結ばず、不幸が続かぬように一重で結ぶんです。そして、ヒモの端の処理は端を上に挟むのではなく、悲しみ事なので端が下に来るように仕上げるのです」などと係の人が教えてくれる。

 日本古来の着物の着方にも、ハレの場、悲しみの場、それぞれに着つけが異なる。分からないことが次々に出てきて不安になりがちな葬儀に関して、そういったプロがいてくれるのは何かと心強い。

 そして今回は家族葬。どんどん葬儀が簡略化、効率化、プライベート化されていく中で登場したスタイルを初体験することになった。

 家族葬のいいところは、葬儀が終わって以降の弔花の返礼などの手間が省け、あっという間に終えられるところだ。つまり、“楽ちん”なところだ。

謳い文句は謳い文句

 だが、「?」が浮かぶことも、いろいろ見えてきた。

 家族葬と低価格というのはセットだ。業者も低価格を謳い文句に営業する。だが、後に喪主に聞くと、「どんどん追加料金が派生し、当初の謳い文句どおりの料金で収まらなかった」という。

 例えば、セット料金にある棺には遺体が微妙に納まりきらない。両手足を伸ばした状態で納棺するには大きいサイズの棺に変更する必要があり、「膝を折って棺に入れますか? ヒザを伸ばして棺に入れますか?」と喪主は選択を迫られる。おくる側の心として後者を選ぶと「追加料金」となる。その理由は「通常、棺はすでに身体が委縮した高齢者向けの小さめのサイズにしており、普通の体格の人のサイズの棺は別料金」という理屈だそうだ。

 故人は特別デカい体格ではないが、普通の身長であることですでに「小さくないから特別料金」ということだった。

 そして、そこからが次々と追加料金が発生することとなる。

 「大きい棺なので車も大きめのものになります」。だから追加料金。

 「棺だけではなく家族も同行するならそれ用の車に変更しますので」。さらに追加料金。

 といった風に。

 高齢社会をすでに背負う読者の皆様に、ごく個人的な経験ながらお伝えしておきたい。良心的な家族葬を営む業者も当然あるだろうが、低価格を謳う業者の中にはこうやって、やむなくどんどん追加料金が重なるケースもある。“謳い文句通りにいかない家族葬”があることにご注意いただきたい。

 参加する側の「?」も発見した。"家族"つまり"来るのは身内だけ"という意識から、これまでの葬儀とは異なるシーンが展開された。

 まず服装。パリッとした喪服ではなく、黒ならとりあえず何でもいいだろう的な、アイロンなどかかっていない普段着の黒のよれよれパンツで来る。その場が"式"だと思えば、それが他人の眼もある斎場なら、最低限のマナーとして喪服を着ていた人が、身内だけ意識から正装という概念を崩す。

 また、子連れの多さ。いわゆる通常の葬儀では、厳粛な式の間、静かにしているのが難しい幼い子供たちは連れていかないケースが多いのだろう。斎場で大勢の子供たちが所狭しと走り回るような光景をあまり見た記憶がない。

 だが、家族葬だ。気を使う必要はないのだから、子供をみんな連れて行こう、となる。そうして各家族の子供たちが出会うと斎場の親族待合室は保育園化する。家族葬専門の業者が仕切る待合室がいくつも並ぶロビーでは、子供たちが走り回り、はしゃぐ声が響く。

これは骨です

 焼き場ではちょっとした議論が噴出した。あまりの子供たちの明るい騒ぎ様に、ある親族が提言した。

 「火葬場のお骨拾いの時は、子供の参加はマナーとして避けるべきではないか」

 諸々意見が出た末の結論は

 「それぞれの親に判断を委ねる」

 
 結果、それぞれの親が出した答えは、同じだった。

 「子供の教育にもなるからお骨拾いの場にも参加させる」

 そして、ひとりの人間が人生を終焉させる式のクライマックスともいえるお骨拾いの場で、何やら違和感のある光景を目撃することになる。

 幼児が母に聞く。

 「これなに?」
 「これはね。骨よ。ホネ」
 「ホネ?」
 「そう。ホネ。熱いから触っちゃダメよ」
 「ホネ、あっちー?」
 「そう。あっちっちだからね」

 …葬儀の場を教育の場にしたっていいじゃないか。だって、家族葬だものね…。

お隣のご遺体

 ちょうど、お隣りのご遺体も焼き上がった。

 隣りの方の骨の周りには、悲しみを隠さない喪服姿のご高齢のご身内方が神妙に厳粛に、ひとつひとつご遺骨を骨壺に収めていった。

 私は素直にうらやましかった。せめてその日一日くらいは、悲しみと厳粛さをしっかり感じていたいと思い、そんな自分の気持ちにしっくりくる光景だったからだ。

 現実に戻れば、帰りのバスの中もキャッキャと賑やかだ。子供好きの青年たちが幼児をあやす。まるでピクニックに行くような雰囲気だ。喪主が膝に乗せた骨壺がピクニックのお弁当かと思えるくらいに。

 最近、地域レベルでの家族葬専門の業者が増えている。まさしく駅前葬儀と言おうか。私の経験では"身内だけ"ということが厳粛さを溶解させ、緊張からも他者の眼からも解放され、安く、気軽に、手軽に、自由な、葬儀だった。

 盛大な葬式を手放しで肯定するつもりはない。高い金を払えばいいというわけではないし、カジュアルな葬儀も、明るい葬儀だってありだと思う。

 例えば、故人が明るい葬儀を望み、おくる側も「いかにも彼・彼女らしい」と故人を存分に偲びながら、泣き笑いしながらドンチャン賑やかにやるなんてオシャレじゃないか。

料金でもなく参列者数でもなく

 しかし、故人の扱いが軽くなるのは、違うと思う。

 家族葬にしても、「真にその人を想う人だけで」の家族葬。「いいじゃん。家族だし」が優先される家族葬。金銭的な制約からやむなく選んだ家族葬。様々な家族葬があるだろう。

 私は近い将来、「いいじゃん。地味なジャージで」の家族葬の時代が来ることを確信する。その先、「いいじゃん。焼くだけで」との境界線は、もう紙一重に感じる。

 故人を偲ぶ列が絶えない盛大な葬儀も、ジャージ家族葬も、私は否定しない。

 私の小さな望みは、故人に思いを致し、厳粛に過ごすしばしの時間を大事にしたいということだけだ。


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このコラムについて

遙なるコンシェルジュ「男の悩み 女の嘆き」
 働く女性の台頭で悩む男性管理職は少なくない。どう対応すればいいか――。働く男女の読者の皆様を対象に、職場での悩みやトラブルに答えていきたいと思う。
 上司であれ客であれ、そこにいるのが人間である以上、なんらかの普遍性のある解決法があるはずだ。それを共に探ることで、新たな“仕事がスムーズにいくルール”を発展させていきたい。たくさんの皆さんの悩みをこちらでお待ちしています。
 前シリーズは「男の勘違い、女のすれ違い」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213874/011200040/
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/927.html

[経世済民117] 小売業の「正月三が日休業」に9割近い支持 大変動の予感ドル円 リラ上昇国債も 16年経済振返る 

小売業の「正月三が日休業」に9割近い支持

働き方の未来

「共働き世帯」増え、働き手の視点に重点
2017年1月13日(金)
磯山 友幸
三越伊勢丹HDが2018年から正月三が日の休業を検討

 2017年は年始早々、三越伊勢丹ホールディングスが2018年から正月三が日は休業することを検討し始めたというニュースが流れた。従業員の正月休みを増やし、働く環境に配慮しようというのが狙いだ、という。

 多くの百貨店は1月2日から営業、中には元旦から店を開けるところもある。そんな中で三越伊勢丹は2016年から伊勢丹 新宿本店などを1月2日を休みにして大きな話題になった。それをさらに一歩進めて4日からの営業にする検討を始めるというのである。

 顧客の利便性よりも働く従業員の生活を重視する──。果たして消費者はこれに理解を示すのか。


三越伊勢丹ホールディングスは2018年から、主要店舗で正月三が日は休業し、4日からの営業とすることを検討する。写真は日本橋三越本店。(写真:PIXTA)
テレビ視聴者アンケートの結果、「賛成」が圧倒的

 筆者がコメンテーターとして出演した1月4日朝の東京MXテレビ『モーニングCROSS』で、番組時間中に視聴者アンケートを行った。質問は「小売業界が三が日休むこと」に対して賛成か反対かを聞いたものだった。

 結果は、賛成が2133ポイントだったのに対して、反対は333ポイント。圧倒的に賛成意見が多かった。実に86.5%が三越伊勢丹の検討を支持したのである。

 番組の最後にこの集計結果が画面に出ると、司会の堀潤さんほか、一斉に驚きの声を挙げた。私も賛成意見が多くなるだろうとは思ったが、ここまで大差になるとは考えなかった。

消費者が「多少の不便」を我慢すれば、働き方は変えられる

 同じくコメンテーターだった音楽家の秦万里子さんは、「我慢をすることも大事よ」と仰っていた。確かに、何から何まで便利になり、いつでも物が買えるのが当たり前というのは、せいぜいここ20〜30年の話。昔は市場が閉まり、物が店頭から消えたから、保存がきくお節料理やお餅を食べつないだ。

 確かに往時は「不便」だったが、だからこそ、みんなが一斉に休むことができた。一方、今は便利さを実現するために、大晦日まで歳末大売り出しの店頭に立ち、テレビから流れる除夜の鐘を聴きながら、模様替えを行って元旦からの初売りに備える。そんな仕事の仕方を迫られる人たちが俄然増えたのである。

 消費者が多少の不便を我慢すれば、そんな働き方から解放される──。伊勢丹の検討に対する秦さんのコメントはそれを端的に示していた。

「消費者」よりも「働き手」として判断した人が多かった

 私は86.5%という圧倒的な数字を見て、別の事を感じた。「消費者」よりも「働き手」として、このニュースを見る人が多かったのだろう、というものだ。1月4日の朝8時に、この時間帯の番組としては比較的「硬派」のモーニングCROSSを見ている人自体が、これから出社して働こうとしている人たちが多いのではないか、という推論も成り立つ。

 だが、私は根本的に家族の構造が変わったことが、人々の意見を変化させたのではないか、と考えた。

 総務省の「労働力調査」の中に「専業主婦世帯」と「共働き世帯」の数の推移を示すデータがある。(■図1)

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/021900010/011200032/zu01.jpg

■図1 専業主婦世帯と共働き世帯

(出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
 それによると2015年の共働き世帯は1114万世帯であるのに対して、専業主婦世帯は687万世帯。この差は年々開いているが、とくにこの5年の変化は急激だ。共働き世帯が1000万世帯前後から一気に100万世帯以上増え、専業主婦世帯は800万世帯弱から100万世帯以上減ったのだ。

お母さんやお父さんが年末年始に働いている家が増えた

 1990年頃までは、専業主婦世帯の数が共働き世帯を上回っていた。1990年から2000年頃までは両者の拮抗が続いたが、2000年を境にどんどん共働き世帯が増えた。

 つまり、年末年始はお母さんが家にいるのが当たり前、という生活スタイルが激変し、お母さんもお父さんも年末年始は忙しく働いているという家庭が増えたのだ。これが、年末年始の小売業が休みを減らす原動力にもなったわけだが、皮肉なことにそれがさらに年末年始に働かなければいけない人たちを増やす結果になった。

 「もうそろそろ年末年始ぐらいゆっくり休みたい」──多くの人たちがそう感じるようになったのではないか。つまり、消費者としての視点よりも働き手としての視点の方に、より重心がかかるようになった、ということなのかもしれない。

三越伊勢丹HDの「覚悟」

 三越伊勢丹の経営者はその時代の変化を現場のムードから感じ取ったのだろう。1月2日を休みにしても世間の批判は浴びなかったことから、3日の休みも「検討」するとしたわけだ。休みを決めて発表するのではなく、検討段階だと断ってメディアに発信したのは、間違いなく世間の反応をみたいという経営者の思惑があってのことだろう。

 百貨店の経営者にとって営業日を減らす決断は「怖い」。普通ならば営業日が1日減れば、その分売り上げは減少する。しかも1月3日となれば仕事が休みの人たちがまだまだ多い。毎月の売上統計でも、日曜日の日数が減ると、てき面に成績が落ちる。それでも従業員の事を考えて休みにしますというのは、かなりの「覚悟」がいる。

 経営者がそんな「覚悟」を持たなければならなくなったのには理由がある。人手の確保が難しくなっているのだ。昨年11月の東京都の有効求人倍率は2.03倍。職を探している人ひとりに対して2つ以上の求人があることを示している。しかも求人数は79カ月連続で増え続けている。少子化の影響もあり圧倒的に人手不足なのである。

外食産業では人手不足で営業を休まざるを得ないところも

 中には人手が足らないために、営業に支障をきたす業界も出始めている。深夜に営業する外食産業などの中には、人手が確保できずに営業を休まざるを得ないところも出始めている。

 もちろん、アルバイトやパートの時給を引き上げるなど待遇改善で人を集めようと努力している企業も多いが、そもそも深夜の仕事や土日の仕事が選ばれにくくなっているのだ。特に若い人ほどそうした傾向が強い。

 かつて大手の小売業が地方の高校などでリクルートを行い、大都市圏の社員寮に住まわせて店舗で働かせる人材確保の仕組みを作っていた。大都市には仕事があるが、地方都市は不景気で仕事がない、というのが前提に成り立っていたわけだが、これが崩れ始めている。全国の都道府県で有効求人倍率が1倍を超えるなど、人手不足は地方都市にも及んでいるからだ。

今後ますます都会の小売業は人材採用に苦労する

 大都市圏に出て来れば、社員寮は格安にしても、生活費は地方の比ではない。わざわざ大都市に出なくても、自宅から通える地方都市に仕事があればそこに就職する。そんな若者が増えているのだ。

 今後ますます大都会の小売業は人材採用に苦労することになるだろう。大きな戦力だった主婦層も、前述のデータが示すように共働きへと変わっている。定年退職した後の人材を使うにしても限界がある。人手不足はこれから一段と深刻になってくるのは間違いない。

 そんな中で、長時間労働は当たり前、土日に働くのも当たり前だった小売業は、真っ先に「働き方」の改革を求められることになる。働き方、つまり勤務環境を変えなければ人材確保ができなくなるのは目に見えているからだ。

他店とは異なる店づくりが必要になる

 そうなると小売業の営業のスタイルも大きく変えざるをえなくなってくる。どこの店に行っても似たような品揃えならば、その時に空いている店に買いに行く。ところが特定の店に行かなければ買えないものがあるとなれば、休業日の翌日に店を開くのを待ってでもその店で買うことになる。

 繰り返し言われていることだが、他の競合相手との差別化を進めるしかないわけだ。さらに従業員の待遇を改善するためには、商品を販売した際の利益率を高めなければならない。独自の商品を高く売る、逆に言えば高くても選んでもらうことができる店づくりが焦点になる。まさに経営力が問われる時代になるわけだ。


このコラムについて

働き方の未来
人口減少社会の中で、新しい働き方の模索が続いている。政官民の識者やジャーナリストが、2035年を見据えた「働き方改革」を提言する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/021900010/011200032/?


 

 


今年も大変動の予感、ドル・円の1年物予想変動率が約3年ぶり高水準
小宮弘子、Chikako Mogi
2017年1月12日 14:03 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i5MaLCxRbo2g/v2/-1x-1.png
2016年と同様、17年も円相場にとって変動の大きい年となるか−。オプション市場ではドル・円の1年物の予想変動率が13年以来の高水準となっている。みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「去年1年間を考えてもドル・円が20円落ちて20円上げるような形になった中で、トランプ氏の政策の実効性を含めて、上と下を見る人の見方が極端になってきているのではないか」と指摘。米国以外でも今年は欧州の選挙や中国共産党大会があり、「政治の年という意味では、昨年の大きな振れや『予想外』が思い起こされる」と話す。円は今週に入り、対ドルで2%上昇。このままいけば週間で昨年7月最終週以来の大幅高となる。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNGM66JIJVI01

 

焦点:
分岐点のドル高/円安相場、トランプ発信で振れ幅拡大も

[東京 12日 ロイター] - トランプ米次期大統領の会見が肩透かしとなったことで、ドル/円JPY=EBSは約2円の急落となった。米経済指標は改善しているが、米金利を押し上げてきた米財政政策の中味が不透明なままで、ドル高を中核にしたトランプ相場は大きな分岐点にさしかかった。

ただ、ドル高とドル安の予想はきっ抗。当面はツイッターを含めたトランプ氏の発言から、政策の中味を探る振れ幅の大きな展開が予想される。

<減税や投資政策への言及なし>

11日のトランプ氏の会見は、市場の期待値を下回る内容だった。減税やインフラ投資などの政策に関する具体的発言がなく、ドル/円は失望売りが先行し116円後半から114円前半へと2円超下落。10年米国債入札が堅調な結果となって10年米国債利回りUS10YT=RRが2.33%付近に急低下したことも、ドル/円の下押し材料となった。

会見でトランプ氏は、貿易不均衡是正を政権の重要課題に掲げ、中国、メキシコとともに日本を名指しした。その直後にドル売り/円買いの勢いが加速した。

みずほ証券・チーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏は、トランプ氏が保護主義を強める姿勢をあらためて示したことを踏まえ「再びドル安/円高圧力が強まるリスクが大きくなった」と指摘する。

ドル/円は東京時間も上値の重さが意識され、欧州市場の取引時間帯に入り、一時113円後半まで水準を切り下げた。

下値めどとして、トランプ相場での半値押しとなる110円付近や、アベノミクス相場での高値125.86円とその後に英国民投票後につけた安値99.00円からの半値戻し112.50円付近が意識されそうだという。

<米経済持ち直しが支えに>

一方、米供給管理協会(ISM)が発表した12月の製造業景気指数は54.7で、2014年12月以来2年ぶりの高水準だった。「ドル高にもかかわらず高い水準となったことから、米国内のムードの良さがうかがえる」(国内金融機関)という。12月雇用統計における時間当たり平均賃金も、2009年6月以来の伸びだ。

「米国景気は絶好調と言えるほどに強含んでおり、利上げ期待が1回まで低下してドル安が110円まで進むような可能性は低い」と、野村証券・チーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は指摘。「ここはドル/円の押し目買いゾーン」と話す。

あおぞら銀行・市場商品部部長の諸我晃氏は「トランプ期待は、ある程度剥落しても、経済に裏打ちされた利上げ期待が支えになる。株価も崩れておらず、ドル買いポジションが一気に巻き戻される様子はない」とみる。

<ドル買い遅れの実需筋>

さらにトランプ相場に乗り遅れた国内輸入企業が多いとみられている。「下がれば押し目買いが入ってくる」(別の国内金融機関)という。

一方、トランプ相場の序盤に逆張りのドル売りで臨んだ個人投資家も、足元ではドル買い/円売りが優勢となっており「基本スタンスは押し目買い」と、外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏は指摘する。

目先のイベントとして意識されるのは、20日の米大統領就任式だ。ここで減税やインフラ投資に関する方針を打ち出すのか──。

さらに今回の会見で触れなかった為替に関する発言が飛び出すのかどうか、市場は再び、固唾(かたず)を飲んで見守ることになりそうだ。

(平田紀之 編集:伊賀大記)

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http://jp.reuters.com/article/analysis-forex-idJPKBN14W14C

 

トルコ・リラが上昇、国債も高い−中銀の流動性引き締めで利上げ観測
Constantine Courcoulas
2017年1月12日 19:49 JST

12日のトルコ金融市場では、通貨リラと国債が上昇。同国の中央銀行が流動性を引き締めたことを受け、次回の政策決定会合で利上げする可能性があるとの観測が強まった。
  中銀のデータによれば、この日は1週間物レポ入札による資金供給はなかった。さらに、事情に詳しい関係者が情報が非公開であることを理由に匿名で発言したところによれば、当局はより金利の高いを手段を通じた借り入れを市中銀行に迫る計画。為替市場での介入も選択肢だという。
  トルコ経済銀行(TEB)によれば、レポ入札見送りによって銀行の借り入れコストの平均は8.5%と、現在の8.3%前後から上昇する。同行のイスタンブール在勤ストラテジスト、エルキン・イシク氏は電子メールで、入札見送りは「リラ流動性状況の大幅な引き締め」を意味するとし、これは24日開催の「次回の金融政策決定会合で利上げするシグナルだ」と語った。
  イスタンブール時間午後0時44分現在、リラは対ドルで前日比0.9%高の3.8292リラ。前日までの5営業日で計8.2%下げ、過去最安値となる3.9415リラを記録していた。10年物国債利回りは29ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の11.65%。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iOEyYMD0GkIY/v2/-1x-1.png
原題:Turkish Lira, Bonds Rally as Central Bank Tightens Liquidity(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNX7L6K50XV01


2016年を経済史の視点で振り返る

The Economist

2017年1月13日(金)

1980年代、レーガン大統領(当時)の下で減税と規制緩和が進んだ(写真:Fujifotos/アフロ)
 2016年――。この年は「政治的な岐路」であったとみなされている。英国がEU(欧州連合)からの離脱を決めたり、米国の大統領選挙でドナルド・トランプ氏が選ばれたりと、画期的な出来事があったからだ。そして同時に「経済的な岐路」だとも言えるかもしれない。第二次世界大戦以降、3つめの大きな方向転換だ。


http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/224217/011000115/graph.png

 戦後1945年から1973年までは、通貨の固定相場制と資本規制を基本とするブレトンウッズ体制が続いた。この時期、富裕国は高度経済成長期を迎え、各国が自らの立て直しを図った。自動車やテレビなど20世紀前半に生まれた技術革新の産物が広く普及した。

 高い税率が設定されたことで、貧富の格差が縮小。景気循環の管理には財政政策が採用された。

 この時代は、1970年代初めに固定相場制が破綻するとガラガラと音を立てて崩れ去った。そしてアラブの産油国が原油の輸出を禁止したことがきっかけとなりスタグフレーション(高い失業率とインフレが同時に生じる状態)が発生した。

 1980年初めまでには新たな体制が出現した。通貨は変動相場制となり、資本規制は廃止された。金融セクターの自由化と産業の民営化が進み、高所得者層に対する税率が引き下げられた。こうした仕組みの下で格差は再び広がった(格差拡大の原因として、テクノロジーの変化とグローバル化がそれぞれどれだけの責任を負うのかがエコノミストの間で今も議論となっている。グローバル化については、中国や他の新興国が国際貿易に全面的に参加したことが挙げられる)。

 経済成長のペースはブレトンウッズ時代よりも落ちたが、インフレは抑制された。財政措置に代わり、金融政策が主要な政治的ツールとなった。この時代は2007〜2008年に大きな危機を経験し、終焉した。

金融政策の限界

 上記のいずれの時代においても、最後の数年間には金融政策面で実験的な措置が実行された。1970年代末には多くの政策立案者がマネタリズムに基づく政策に舵を切った。マネタリズムとは、マネーサプライの成長目標を設定することで政府がインフレを管理できるという考えである(かつ、インフレ抑制を主要な政策目標にすべきだという考え方)。

 だが、マネタリズムの政策を実行することは支持者の想像を超えて困難であることが判明した。設定した政策目標が意表をつく動きをしたからだ。1980年代の半ばまでにマネタリズムは静かに退場していった。

 2008年の金融危機以降、各国の中央銀行がゼロ金利政策をとる中、金融政策の見直しが再び必要となった。そして最初に導入されたのが量的緩和、つまり長期的な借入コストを抑えるために中央銀行が金融資産を買い上げる措置だった。中央銀行の中には、支払準備金にマイナス金利を課しているところもある。

将来を先んじて表わす金融市場

 金融市場の動向は、この2つの時代状況にとって不利に展開した。株式はブレトンウッズ体制下では20年間、極めて良好な成績を残したが、1960年代半ばには低迷し始めた。同体制が崩壊するずっと前のことだ。おそらく投資家はインフレの兆しを感じて、既に怯えていたのだろう。債券利回りは第二次世界大戦の終結以降、上昇する傾向にあった。

 グローバル化時代においては1982年から株式相場の上昇が続いたが、2000〜2002年にITバブルが崩壊すると勢いを失った。これは2007〜2008年に起きることになるもっと重大な危機の前兆だった。

 ITバブル崩壊と金融危機はいずれも、以下の2つのことを示した。一つは、いかに投資家が「根拠なき活況」の犠牲となるか。もう一つは、投資家が資産価格を不条理なほどの水準まで押しやることが可能であることだ。1990年代と2000年代に債券利回りが低下したのは、私たちが今日苦しんでいるデフレと成長低迷を予兆するものだった。ちょうど1960年代の債券利回りの上昇が、1970年代に生じたインフレとの格闘の前触れとなったようにだ。

 現在の金融市場は、政治的な混乱が経済体制に新たな変化をもたらすことを期待しているかのようだ。米国の大統領選挙以降、米MSCI世界株指数は回復し、米ダウ工業株30種平均は記録的な高値をつけている。企業価値評価も、株式市場の好転を反映している。

 80年代初頭、株価収益率(PER)は1桁だった。それに対して現在、S&P500種はPER25という歴史的な環境で取引されている。ほかにも対照的なのは、80年代には短期金利が2桁の水準にあり、金利が下がっても株価が上昇した点である。今では起こり得ないことだ。

 では投資家はどのような経済体制を期待しているのだろうか。彼らは過去に経験した2つの体制の「良いとこ取り」を夢見ているように見える。1980年代のような減税と規制緩和が行われる。と同時に、(ブレトンウッズ体制下のように)金融政策ではなく財政政策によって景気循環の浮き沈みが管理される−−。そんな状態だ。

 だが、現在高まりを見せているポピュリズムの動向は、これまで多くの資本家に富をもたらしてきた「資金と労働力の自由移動」に対する抵抗を示している。これが今以上に暗い未来をもたらす可能性がある。ナショナリズムの高まりが戦争を招く展開だ。富裕国で労働者層が高齢化し、過去数十年に謳歌したような成長率を取り戻せない事態も考えられる。

 変化は近づきつつある。しかし新たな体制は、1980年代ではなく1930年代に近いものになるかもしれない。

© 2017 The Economist Newspaper Limited.
Jan 7th-13th 2017
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。


このコラムについて

The Economist
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このコラムではEconomistから厳選した記事を選び日本語でお届けします。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/224217/011000115/
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/721.html

[経世済民117] 保護主義的トランプ発言に身構える日本、対応求める声も 独GDP加速 不適切なリスク管理が中国債券市場を損ねる 
焦点:
保護主義的トランプ発言に身構える日本、対応求める声も

[東京 12日 ロイター] - トランプ米次期大統領が「国境税」(ボーダータックス)の導入意思をあらためて示し、第2次世界大戦以降の自由貿易体制に陰りが出てきた。対米貿易黒字の日本へ圧力がかかり続ければ、グローバルに展開する日本企業の打撃になるだけでなく、保護主義への懸念から円高になるリスクもある。

政府内では事態が深刻化した場合に備え、企業支援を柱とする政策対応を求める声も浮上している。

<政府が密かに作成した資料、対米投資の巨額さ強調>

黙っていたら通商摩擦に発展しかねない――。中国や日本を名指しし、貿易の不均衡是正を主張するトランプ氏の発言を受けて、日本政府関係者のひとりは危機感を示す。

「経済成長と貿易赤字の拡大は、コインの裏表。にもかかわらず『不当な貿易』と国名を挙げて名指しするとは」と、別の政府関係者も、トランプ氏の会見での発言に驚きを隠さない。

昨年11月のトランプ次期米大統領と安倍晋三首相の会談を踏まえ、安倍首相がトランプ氏との友好関係の構築を強調したが、11日の会見を受けて政府内の警戒感は強い。

在米日本大使館は、米商務省などのデータをもとに日本の対米直接投資が311億ドルと、ドイツの255億ドル、カナダの250億ドルを抑え「20カ国・地域(G20)の主要国の中で最大」と明記した資料を作成した。

資料では、14年までの累計で「日本の多国籍企業」が83万9000人分の雇用を米国内で生み出したことも例示し、「日米関係がウィン・ウィンであることを働きかける」(先の関係者)とみられる。

<国境税現実なら、日本企業にも打撃>

しかし、過去の実績だけで収拾をはかれるかは不透明だ。実際、政府内には「オバマ政権下での実績を示してもトランプ氏の心には響かない」「これまでとは異なるアプローチも必要」との声がある。

マクロ動向に詳しいある政府関係者は「安いところでモノを作って、高く売れるところで販売するというモデルが崩れることを覚悟する必要が出てきた」と危機感を募らす。

米国内で生産する自動車や電機などの日本企業が増え、日本から直接、米国向けに輸出する量は、1980年代と比べて大幅に減少している。

しかし、中国を含めた新興国から完成品だけでなく、部品も含めて輸出しているケースが多く、ボーダータックスが設定された場合、かなりの打撃が日本企業に加わるリスクが存在する。

その政府関係者は「今後のトランプ氏の政策展開を見極める必要があるが、日本企業にとって、一時的な打撃もあり得る。深刻になりそうなら、経済対策の立案も視野に入れるべきだ」と話す。

<保護主義懸念の円高リスク>

もう1つのリスクは、トランプ政策の保護貿易的側面に光が当たり過ぎ、これまでのドル高/円安、株高のシナリオが一転、ドル安/円高、株安へと急変する展開だ。

先の政府関係者は、円高が急速に進んだ場合に「通貨当局のけん制発言(口先介入)や、場合によっては、日銀による追加緩和が必要になるかもしれない」と述べている。

日銀内では、米株の乱高下や円高を材料にした日本株の下落に対し、楽観的な見方が多い。トランプ相場の期待先行の面が浮き彫りになっているものの、トランプ氏が主張してきた減税やインフラ投資の実施は大きなブレがなく、成長重視の政策が展開されるとの見方が多い。

そのうえで、日銀が長期金利をゼロ%程度に固定する現行政策を堅持することによって、円安・物価上昇が進むと多くの幹部は想定している。

12日の会見で菅義偉官房長官は「日本企業は、米国のよき企業市民として認知されている」と強調した。

だが、20日の正式就任以降、どのような「トランプ砲」が発射されるのか、その「方向」次第では、日本政府内に再び、緊張感が張り詰める局面もありそうだ。

(梅川崇、中川泉 取材協力:竹本能文、伊藤純夫 編集:山口貴也、田巻一彦)

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http://jp.reuters.com/article/focus-trump-japan-idJPKBN14W13R


 


独GDP、2016年速報値は+1.9% 5年ぶり大きな伸び

[ベルリン 12日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が12日発表した2016年の国内総生産(GDP)速報値は前年比1.9%増と、予想の1.8%を上回り5年ぶりの大きな伸びとなった。

主要な貿易相手国や新興国からの外需が減る一方、同国の経済成長は、個人消費の拡大や、移民や難民への支援増加による恩恵を受けている。

また、2016年第4・四半期の国内総生産(GDP)は前期比約0.5%増となった。市場では、輸出不振が響いた第3・四半期の0.2%増から改善すると予想されていた。

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http://jp.reuters.com/article/germany-top-idJPKBN14W15Z



ドイツ:16年成長率は1.9%に加速、予想上回る−国内消費が後押し
Piotr Skolimowski
2017年1月12日 19:06 JST

ドイツ経済は2016年に成長ペースが加速した。市場予想を上回る伸びで、5年ぶりの高成長となった。失業者減少と記録的な低金利が国内消費を押し上げた。
  独連邦統計局が12日ベルリンでの記者会見で明らかにしたところによると、16年の国内総生産(GDP)は前年比1.9%増と、前年の1.7%増を上回った。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の中央値では1.8%増が見込まれていた。財政収支は対GDP比で0.6%の黒字だった。
  主要先進国の中で16年GDPを公表したのはドイツが初めて。選挙や英国の欧州連合(EU)離脱に関連したリスクがあるものの、最近の経済指標は昨年10ー12月(第4四半期)に勢いが急速に増したことを示唆したほか、記録的な雇用と企業景況感の改善、欧州中央銀行(ECB)による刺激策が17年の見通しを高めた。
  ING−DiBa(フランクフルト)のチーフエコノミスト、カルステン・ブジェスキ氏は統計発表前、「16年の成長は個人消費と政府支出が主な原動力で、建設がさらにこれを強めた」とし、「実際のところ内需が要因だ」と語った。
  個人消費は2%、政府支出は4.2%それぞれ増えた。設備投資は1.7%増、建設は3.1%増。輸出が2.5%、輸入は3.4%それぞれ昨年を上回った。
  昨年10−12月のGDP速報値は2月14日に公表される。エコノミスト調査では前期比0.4%増が見込まれている。
原題:German Economic Growth Accelerated in 2016 on Domestic Spending(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNUGH6TTDS201

 
不適切なリスク管理が中国債券市場を損ねる恐れ−S&P
Bloomberg News
2017年1月12日 17:53 JST

S&Pグローバル・レーティングは12日、中国当局が債券市場参加者に関する監督を強化しなければ、不適切なリスク管理で同市場が打撃を被る恐れがあるとするリポートを公表した。
  中国の広発銀行は先月26日、同行が社債支払いを保証するとした書簡に関する文書と押印は偽造されたものだと発表。その2週間足らず前には国海証券が債券取引をするため元社員が押印を偽造していたことが判明したと明らかにしていた。
  S&Pは、景気減速と市場のボラティリティー(変動性)拡大という現在のシナリオの下では、取引と決済をめぐる問題がエスカレートし、市場の信頼性を損ねる可能性があると分析。S&Pアナリストのハリー・フ氏は、金融機関に適切な管理をさせるにはルールと罰則が必要だと指摘した。
原題:S&P Says Ineffective Risk Governance May Hurt China Bond Market(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNRBB6JIJUO01


 

 
中国新規人民元建て融資、2016年は12.65兆元で過去最高

[12日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が12日発表した2016年の新規人民元建て融資は、12兆6500億元(1兆8200億ドル)で過去最高を更新した。成長目標達成に向け、中国政府が融資に基づく景気刺激策をさらに後押ししたことを受けた。

中国の最高指導部は先月、17年に資産バブルの抑制と金融リスクの防止をさらに重要視すると表明。

しかし、この日発表された12月の新規人民元建て融資は1兆0400億元(1507億8000万ドル)と、アナリスト予想(7000億元)や前月の7946億元を大幅に上回った。

人民銀のデータを基にロイターが算出したところ、昨年の新規人民元建て融資は09年の世界経済危機時の水準を上回った。総額では過去最高の15年を約8%上回った。

住宅ローンが融資の伸びをけん引した。

16年の新規融資のうち50%を家計向けが占め、企業向けは48%だった。

一方、12月のマネーサプライM2伸び率は前年比11.3%と、予想の11.5%に届かなかった。

12月末時点の人民元建て融資残高は前年比13.5%増。予想は13.1%増だった。

12月の社会融資総量は11月から小幅減少し、1兆6300億元(2363億7000万ドル)。16年全体では17兆8000億元で過去最高となった。

*内容を追加します。

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http://jp.reuters.com/article/china-yuan-loan-idJPKBN14W15L

 


米週間新規失業保険申請件数:前週比で増加も市場予想は下回る
Shobhana Chandra
2017年1月12日 23:46 JST

先週の米週間新規失業保険申請件数は前週比 で増加したものの、市場予想は下回った。
米労働省の発表によると、7日終了週の失業保険申請件数は前週比 1万件増の24万7000件。前週は1973年以来の低水準だった。ブルームバ ーグがまとめたエコノミスト予想中央値は25万5000件だった。
より変動の少ない4週移動平均は25万6500件と、前週の25万8250件 から減少した。失業保険の継続受給者数は12月31日までの1週間に2 万9000人減少して209万人だった。
統計の詳細は表をご覧下さい。
原題:Applications for U.S. Jobless Benefits Rise Less Than Forecast(抜粋)
--取材協力:Chris Middleton.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJO7X26VDKHU01


http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/722.html

[経世済民117] ソロス氏、米大統領選トランプ氏勝利後に10億ドル近く損失 次期財務長官、税回避抜穴活用 ドル株続落 3%超え終りの始まり

ソロス氏、米大統領選トランプ氏勝利後に10億ドル近く損失−WSJ
Alan Mirabella
2017年1月13日 03:06 JST

かつての副官、ドラッケンミラー氏は大規模な利益
S&P500種はトランプ氏勝利以降に5.6%上昇

著名投資家のジョージ・ソロス氏は米大統領選挙でのドナルド・トランプ氏勝利を受けた株式相場上昇で10億ドル(約1140億円)近くの損失を被ったと、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
  一方、かつてソロス氏のチーフストラテジストを務めたスタンレー・ドラッケンミラー氏は選挙後の相場上昇を予想し、相当の利益を上げたと、12日付のWSJ紙は伝えた。同紙は情報源の名前を示していない。
  ソロス氏はトランプ氏勝利の直後に弱気の度合いを深めたが、トランプ氏の政策が企業利益や景気の追い風になるとの見方から相場は上昇。S&P500種株価指数はトランプ氏勝利から今年1月11日までに5.6%上昇した。
  WSJ紙によると、この結果ソロス氏は一部のポジションで10億ドル近い損失が生じた。ただ、ソロス氏は年末に弱気ポジションの多くを解消して一段の損失は回避した。ソロス氏の会社の全体的なポートフォリオは昨年約5%のプラスリターンをあげたという。
  ドラッケンミラー氏はソロス氏と異なる戦略をとった。昨年11月29日の投資家会議で、選挙後の米経済について強気のポジションを明らかにしていた。
  ソロス氏のスポークスマンのコメントは得られていない。
原題:Soros Lost Nearly $1 Billion After Trump Election, WSJ Reports(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJOE3O6VDKHU01

 


 
ムニューチン氏、税回避の抜け穴活用か−トランプ氏が財務長官に起用
Zachary R. Mider
2017年1月13日 04:02 JST
 
ドナルド・トランプ次期米大統領が財務長官に指名したスティーブン・ムニューチン氏は、相続税を逃れるための抜け穴を活用している可能性がある。
  ムニューチン氏は少なくも3290万ドル(約38億円)を「スティーブン・ムニューチン・ダイナスティトラスト1」に置いている。連邦倫理当局による11日の開示と、同氏がかつて働いていた企業による証券関連の届け出で明らかになった。同トラストに置かれている資産には株式のほかに、ウィレム・デ・クーニングの絵画の権益、ジェット機が含まれる
  ダイナスティトラストが回避しようとする相続税は現在、個人の死亡時にその資産の40%を徴収することになっている。しかし資産のうち550万ドルを超える分のみが課税対象となるほか、課税を逃れるための手段は多数あるため、2013年に相続税を少しでも支払った人は、555人中1人(260万人が死亡したのに対し、相続税を支払ったのは4700人)にとどまっている。
  税務の専門家によれば、ダイナスティトラストは適切な構造であれば違法ではなく、米国の富裕層では広く活用されている。ムニューチン氏の報道担当者、タラ・ブラッドショー氏はコメントを控えた。
原題:Trump’s Treasury Pick May Have Used Tax Loophole Obama Attacked(抜粋)

 

日本株は続落へ、米政策不透明感や円安一服−日経平均1万9000円攻防
鷺池秀樹
2017年1月13日 08:04 JST

13日の東京株式市場は続落する見通し。11日のトランプ次期米大統領の会見を受け、政策の実現性を見極めたいとの雰囲気が広がるなか、円安が進みにくくなっており、輸出関連企業の業績拡大期待が後退していることが響く。自動車や電機など輸出関連株に売りが先行する見込み。
  SBI証券の藤本誠之シニアマーケットアナリストは、「トランプ氏会見を受け米国が保護主義に傾斜するとの懸念が出ているうえ、これまでドルの下値抵抗線とみられてきた1ドル=115円を割り込み、大きな円安トレンドが一巡してしまったように見える点がマイナス材料、きょうも調整する可能性が高い」と指摘、日経平均株価は1万9000円付近まで下落することもありうるとみている。
  トランプ氏会見への失望感などでドル売り・円買いの動きが活発化、12日は一時1ドル=113円70銭台と昨年12月8日以来の円高水準まであった。前日の日本株終値時点は114円41銭だった。けさは114円60銭台で推移しているが、SBI証の藤本氏は「もう一度、113円台に近づくようだと輸出関連株の売り圧力が増す」と言う。
東証外観
東証外観 Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg
  12日の米金融市場では、トランプ氏の経済政策が実際に米国の成長を押し上げるのか見極めたいとの雰囲気が強まり、10年債利回りが一時2.31%と昨年11月30日以来の低水準を付けたほか、株式市場でも、金融株や半導体関連株が下げ、S&P500種株価指数は前日比0.2%安の2270.44、ダウ工業株30種平均は同0.3%安の19891ドルとそれぞれ反落した。
  ただ、バイオテクノロジー関連は朝方の下げから転じて上昇するなど米国株指数が午後下げ渋ったことや米雇用指数が堅調なことは日本株の下値を支える公算だ。7日終了週の米週間新規失業保険申請件数は前週比1万件増の24万7000件となり、市場予想25万5000件より若干良かった。
  このほか小売セクターの好業績銘柄も株価指数を下支えする見込み。衣料専門店大手のファーストリテイリングが12日に発表した2016年9−11月期決算によると、営業利益は前年同期比17%増の886億円となり、市場予想870億円を上回った。流通大手のセブン&アイ・ホールディングスの3−11月期営業利益は前年同期比5%増の2740億円、コンビニやスーパーストア、金融関連事業が増益となった。ゴールドマン・サックスでは7&iHDについて、「想定以上の第3四半期決算、新経営陣の下、順調なスタート」と評価した。
  米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物(円建て)の12日清算値は1万9170円と、大阪取引所の通常取引終値(1万9110円)に比べ60円高だった。きょうの取引開始時は、株価指数オプション1月限の特別清算値(SQ)が算出される。  


 
シカゴ連銀総裁:財政刺激策が米成長見通しを押し上げる可能性
Christopher Condon、Steve Matthews、Jeanna Smialek
2017年1月13日 05:58 JST

今後2年間に成長率を0.2−0.3ポイント押し上げも−エバンス総裁
経済見通しが改善すれば金融緩和の必要性は減るだろう


米シカゴ連銀のエバンス総裁は12日、政府の刺激策が成長を後押しし、金融緩和の必要性を減少させる可能性があると発言し、トランプ次期米大統領の政策が利上げにつながるとの一部投資家の期待を裏付ける見方を示した。
  エバンス総裁はフロリダ州ネープルズのイベントで講演後に記者団に対し、政府の刺激策は「向こう2年間に成長率を0.2−0.3ポイント押し上げる可能性がある」と述べた上で、「実際に推し進められ、実施される可能性が高い提案を見れば、さらに詳細な数字を導けるだろう」と国内総生産(GDP)見通しについて説明。実施される政策次第で、予想成長率は一段と押し上げられ得るとも語った。
  同総裁は、米経済見通しが改善すれば「金融緩和の必要性は減るだろうし、別の言い方をすれば、現在の低いフェデラルファンド(FF)金利の設定は即時にはるかに強い緩和スタンスになる」と述べた。
  エバンス総裁は年内2回の利上げを見込んできたが、今月6日、年内3回の利上げも「あり得なくはない」と発言した。同総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票メンバー。
原題:Fed’s Evans Says Fiscal Boost Could Lift Growth Forecasts (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJOPKF6S972H01

 

アマゾン:米国内で10万人の新規雇用創出へ−向こう1年半で
Spencer Soper、Jing Cao
2017年1月13日 06:43 JST 
「このタイミングでの発表はトランプ氏に花持たせる」−アナリスト
アマゾンのベゾスCEOは大統領選中にトランプ氏と衝突していた
 
米アマゾン・ドット・コムは12日、米国で向こう1年半に10万人強を採用する計画を発表した。トランプ次期米大統領が企業に米国内での雇用拡大を求める中、同社は注目を集めた。
  食料品からハードウエア、ビデオ、ファッション、クラウドサービスと多角的な事業を展開する同社にとって、人員増強はさほど意外なことではないが、アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は大統領選挙期間中にトランプ氏と衝突しており、今回の動きは同氏の態度を軟化させる可能性がある。

アマゾンの配送施設で働く従業員

  ティグレス・ファイナンシャル・パートナーズのアナリスト、アイバン・ファインセス氏は「極めて強力なニュースだ。このタイミングでの発表は間違いなくトランプ氏に花を持たせる」と指摘。「新規雇用はトランプ政権発足後最初の1年半で行われる。タイミングが全てだ」と付け加えた。
  ベゾス氏とトランプ氏は大統領選挙期間中、お互いに敵意をむき出しにしていた。ベゾス氏が自身のロケットを使いトランプ氏を宇宙に送ろうと冗談を飛ばしたのに対し、トランプ氏はアマゾンが「極めて重大な」反トラスト法(独占禁止法)上の問題を抱えていると述べ、ベゾス氏がワシントン・ポスト紙を使い、課税問題でアマゾンに力添えするよう政治家に影響力を及ぼそうとしていると批判していた。
 
  アマゾンによると、新規雇用は「全米のあらゆる種類の経験、教育、技能の水準を持つ人々を対象にエンジニアやソフトウエア開発者から新卒レベルや実習生などのポジションに及ぶ」という。
原題:Amazon to Create 100,000 New Jobs in U.S. in Next 18 Months (3)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJOQOT6KLVR801

 

1月12日の海外株式・債券・為替・商品市場
西前 明子、楽山 麻理子
2017年1月13日 06:40 JST 更新日時 2017年1月13日 07:42 JST

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は 次の通り。

◎NY外為:ドルが続落、選挙後の動きは行き過ぎだったとの見方で

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/imNsyWfjDKG0/v1/-1x-1.png

12日のニューヨーク外国為替市場ではドルが続落。大統領選後の動きは行き過ぎだったとの見方からドル売りが続いた。アジア市場の取引時間帯に大きく下げた後、ドル買い持ち解消の動きは弱まった。ただ、新規のドル買いが入る状況でもまだないようだ。
  ここ数日は騒がしい取引となっているが、ドル強気の基本的なマインドは変わっていない、あるいは少なくとも今のところ大きくは変わっていないとトレーダーやアナリストは繰り返しており、そのトーンにほとんど変化がないことは注目に値する。同時に、押し目でドル買いを入れる適切な時期でもないとみられている。1月はその動きが1年を決定づけるわけではないが、信頼感が揺らぎかねない値動きの荒い月として知られている。
  ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは円に対して前日比0.6%下落して1ドル=114円72銭。ユーロに対しては0.3%安の1ユーロ=1.0613ドル。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.5%低下した。
  季節的なトレンドはドル強気の見方に一理あることを示唆している。以下のチャートは年初にドルが軟調になる傾向があることを示している。

  トレーダーによると、景気刺激策が講じられれば金融引き締めのペースが速まるとの見方から、利上げの時期はなお不透明ながらドルの全般的な見通しは変わっていない。ただ、ドル強気派は実際にはまだドル買いをほとんど始めていないという。
  モルガン・スタンレーのハンス・レデカー氏率いるストラテジストはドルの対円での下落について、リフレ取引が行き詰まったことを意味しないとリポートで指摘。「印象とは裏腹に、リフレ取引は順調」で、ドルの対円での下げは辛抱できない投資家による「ポジション調整の範囲にすぎない」と論じた。TDのストラテジストは対ドルでのユーロについて、この日売り持ちが手じまわざるを得なかったが、再び売り立てる水準を探っていると説明した。
  ドルは対円でアジア時間に113円76銭まで下落した。ロンドンのトレーダーによると、マクロ系の投資家がドル買い持ちを積み増そうとしているため、113円ちょうどに下げる前に買いが入るとみられている。

原題:Dollar Drop Doesn’t Deter Patient Bulls; Seasonals Support Case(抜粋)
U.S. Stocks Pare Drop, Dollar Weakens as Oil Gains: Markets Wrap(抜粋)

◎米国株:下落、トランプ氏会見内容を見極め−半導体、金融安い

  12日の米国株は下落。前日のトランプ次期米大統領の発言内容を見極めようとする動きが広がった。バイオテクノロジー関連は朝方の下げから転じて上昇。半導体や金融は下落した。マイクロン・テクノロジーやアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)はいずれも下落した。
  トランプ氏は選挙後初めて開いた前日の記者会見で、バイオテクノロジー業界は「より競争力の高い入札」が必要との見解を示した。
  S&P500種株価指数は前日比0.2%下げて2270.44。ダウ工業株30種平均は63.28ドル(0.3%)下げて19891.00ドル。ナスダック総合指数は0.3%安。前日までは7営業日連続高で最高値を更新した。
  S&P500種産業別11指数のうち7指数が下落。特に金融やテクノロジー銘柄が売られた。アナリストがアップルの利益予想を引き下げたほか、ゴールドマン・サックス・グループが半導体業界に慎重な見方を示したことが売りを招いた。
  ヘルスケア関連銘柄はほぼ変わらず。ナスダック・バイオテック指数は0.4%上昇。一時は1.1%下落した。
  シカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティ指数(VIX)はこの日2.5%上昇した。
  トランプ氏は生産拠点を米国外に移す米企業に多額の税を課すとの公約を強調した。アリアンツ・グローバル・インベスターズのグローバルストラテジスト、ニール・ドウェイン氏は国境税が課され、それに伴いドルが10%上昇した場合、より多くの企業が米国へと戻ってくるだろうと述べた。
原題:U.S. Stocks Decline With Banks After Europe Markets Close Lower(抜粋)

◎米国債:イールドカーブがスティープ化−30年債入札は需要低調

  12日の米国債市場ではイールドカーブがスティープ化。30年債入札(発行額120億ドル)では需要が低調だった。
  プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)以外の直接入札者の落札全体に占める比率は4.5%と、2009年以降で最低。入札への参加が義務づけられているプライマリーディーラーの占める比率は28.8%と、前回の26.8%から上昇した。
  ニューヨーク時間午後4時半時点で、5年債と30年債の利回り格差(イールドカーブ)は2.8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大し、109.71bp。
  10年債利回りは4時59分現在、前日比1bp低下の2.36%。一時6.7bp下げて昨年11月30日以来の低水準を付ける場面もあった。このままいけば週間ベースでは7月以降で初の4週続伸となる。トランプ次期米大統領が最優先とする政策に、経済成長押し上げを狙った財政面での刺激策が含まれるとの見方が後退した。
  ホイジントン・インベストメント・マネジメントのバン・R・ホイジントン氏とレーシー・ハント氏は四半期ごとの投資家向けリポートで、トランプ氏の大統領選勝利後には財政政策への期待から米金融市場では「激しい反応」が見られたが、そうした反応は「意図しない形での悪影響および完全な失敗」に終わるリスクを過小評価していると指摘した。
  ダラス連銀のカプラン総裁は、恐らく2017年には、バランスシートの縮小をどのような形で開始するかについて議論すべきだと述べた。同総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。
原題:Treasuries Yield Curve Steepens After Mixed Long-Bond Auction(抜粋)
原題:Poor U.S. Growth Outlook Points to 2% UST 30Y Yield: Hoisington(抜粋)
原題:USTs Bull Steepen; Gains Pared After 30Y Auction Tails(抜粋)  

◎NY金:続伸、一時1200ドル超え−トランプ氏の政策見えずドルが下落

  12日のニューヨーク金先物相場は続伸し、7週間ぶり高値。金連動型ファンドに投資資金が戻ってきた。前日に開かれたトランプ次期米大統領の記者会見で経済刺激策に関する詳細がほとんど示されなかったことに失望し、ドルが下落したことも背景にある。
  エレメンタル(ダラス)のトレーディング責任者、ブラッド・イエーツ氏は電話取材で、「ドル・ロングの取引はかなり積み上がっており、トランプ氏の会見でマクロ市場はちょっとした大騒ぎになった。投資家は市場や金に何を意味するのか見極めようとしている」と発言。「金上昇につながる良好なシナリオだ」と述べた。
  ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は前日比0.3%高の1オンス=1199.80ドルで終了。一時は1207.20ドルと、中心限月としては昨年11月23日以来の高値をつけた。
  銀先物3月限はほぼ変わらずの16.825ドル。プラチナ先物4月限は0.9%上げて984.70ドル。パラジウム先物3月限は1.5%上昇の765.25ドル。
原題:Gold Surges Above $1,200 as Details-Shy Trump Weighing on Dollar(抜粋)

◎NY原油:続伸、サウジがOPEC合意上回る減産を表明

  12日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が続伸。2日間での上げは過去6週間近くで最大となった。サウジアラビアは石油輸出国機構(OPEC)で合意した以上の減産を実施したと表明した。
  ユーラシア・グループの世界エネルギー・天然資源担当ディレクター、ブルーノ・スタンジアル氏は電話取材に対し、「減産合意を完全履行するかどうかにかかわらず、OPECが政治や財政の問題を乗り越えて団結し、底値を形成できたことを市場は評価している」と指摘。「すべては米国のシェール業者の手中にある。どの程度生産を回復させるかで市場の上値が決まる」と述べた
  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物2月限は前日比76セント(1.45%)高い1バレル=53.01ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は91セント上昇の56.01ドル。
原題:Oil Posts Biggest Two-Day Gain in 6 Weeks as Saudis Make Cuts(抜粋)

◎欧州株:2週ぶり安値、製薬株が安い−FCAなど自動車株も下げる

  12日の欧州株式相場は下落。指標のストックス欧州600指数は昨年末以来の安値で引けた。自動車株が7月以来の大幅安となったほか、トランプ次期米大統領の下で薬価引き下げ圧力が高まるとの懸念から、製薬株が売られた。
  ストックス欧州600指数は前日比0.7%安の362.51で終了。自動車株指数は2.8%下落。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が約10万4000台のディーゼル車にソフトウエアを搭載し、排ガス規制法に違反した疑いがあると米環境保護局(EPA)が指摘。製薬株は11月以来の大幅下落。トランプ氏が11日の記者会見で、医薬品に入札方式を導入する方針を示したことが売り材料となった。
  英FTSE100指数は13営業日続伸。上げ幅は0.1%未満だったものの、終値ベースでの過去最高値を11日連続で更新した。
  製薬株では、北米での売上比率の大きいデンマークのノボ・ノルディスクとアイルランドのシャイアーの下げが目立った。FCAは16%安で引けた。CNBCによれば、同社は違法ソフトの利用を否定した。
原題:Europe Stocks Fall to 2-Week Low as Drugmakers, Carmakers Plunge(抜粋)
◎欧州債:ドイツ国債が上昇、10年物利回り0.32%−英国債も上げる
  12日の欧州債市場ではドイツ国債が上 昇。英国債も買われる展開となった。
  ドイツ10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)低下の0.32%。英10年債利回りは5bp下げて1.30%となっ た。
原題:EUROPEAN WRAP-Stoxx 600 Declines as Autos, Drugmakers Tumble(抜粋)
U.S. Stocks Drop as Bond Rally Sinks Bank Shares: Markets Wrap(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJOAM86VDKHU01


 

新興市場:通貨上昇、トルコ・リラが最安値から反発−ブラジル株高い
Aline Oyamada、Alex Nicholson
2017年1月13日 08:16 JST

株価は上昇−トランプ氏は記者会見で財政出動に触れず
トルコ・リラ上昇−中銀が通貨下落阻止に動くとの観測広がる

12日の新興市場では通貨が10カ月ぶりの大幅高。トルコ・リラが最安値から反発し、上げの中心となった。同国中銀が通貨下落阻止に向けた策を講じるとの観測が広がった。
  MSCI新興市場通貨指数は昨年3月以来の大幅上昇。MSCI新興市場指数は昨年11月の米大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利後の下げを取り戻す展開となっている。トランプ氏の11日の記者会見では、財政出動によって同国経済が後押しされ利上げペースの加速につながるとの観測が裏付けられることはなかった。これを受けて、米国の低めの金利水準で恩恵を受ける高利回り国の資産が買われた。
  トルコ・リラは6営業日ぶりに上昇。事情に詳しい関係者1人が明らかにしたところによれば、トルコ金融当局は高めの金利での借り入れを市中銀行に迫っている。ブラジルの株式と通貨は上昇。同国中銀は市場予想を上回る規模の利下げを実施した。ロシアの株式・通貨も上昇。トランプ氏は記者会見で、ロシア政府が同氏に不利な情報を握っているとの指摘は虚偽のニュースだと反論した。
通貨
MSCI新興市場通貨指数はニューヨーク時間午後4時(日本時間午前6時)現在、1%上昇
トルコ・リラは2.7%高。主要通貨の中で最も上げた
ブラジル・レアルは0.3%高で、昨年11月8日以来の高水準
ロシア・ルーブルは0.6%高。前日も0.7%上げていた
メキシコ・ペソも最安値から反発、0.3%高
株式
MSCI新興市場指数は1.1%高と3日続伸
ブラジルのボベスパ指数は2.4%高
ロシアのドル建てRTS指数は1.7%高
関連ニュース
備考:ブラジル株と通貨が上昇−予想上回る規模の利下げ受け
備考:トルコ中銀、ついに通貨リラ押し上げ−流動性引き締め
備考:メキシコCDS上昇、トランプ氏の大統領就任近づく中−チャート
備考:韓国ウォン安、海外投資家を引き付ける−株式・債券に資金流入
備考:南アフリカ共和国の通貨ランド、対ドルで2008年以来の好スタートへ−チャート
備考:中国が与える次の衝撃、人民元の変動相場制移行−PIMCOなど予想
原題:Emerging-Market Currencies Climb as Lira Rebounds From Lows(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJOUQ06JTSEM01

 

米10年債利回り3%超えは「終わりの始まり」−グッゲンハイムCIO
John Gittelsohn
2017年1月13日 08:54 JST

3%突破なら長期的トレンドが逆転する可能性−マイナードCIO
米金融政策は米経済に対して「後手に回る」リスク、3月利上げ必要

グッゲンハイム・パートナーズの最高投資責任者(CIO)として2500億ドル(約29兆円)の運用を統括するスコット・マイナード氏は、米10年債利回りが3%を突破すれば長期的トレンドは逆転する可能性があると述べた。
  マイナード氏は12日にブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「基本的には終わりの始まりだ」と指摘。「現在のような長期的トレンドがすぐに反転することはない」とも述べ、利回りは数年がかりで新たなベースを固めた上で本格的に上昇する可能性があると付け加えた。
  ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロース氏やダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏ら著名運用者らは、債券の長期にわたる強気相場が今年終了する可能性を警告している。グロース氏は今週、米10年債利回りが2.6%を超える動きに注目すべきだと発言。ガンドラック氏は3%超えがより重要な水準だと述べていた。米10年債利回りは現在、約2.36%。
  マイナード氏はまた、米連邦準備制度理事会(FRB)が米経済に対して「後手に回る」リスクがあり、3月に利上げする必要があると指摘した。市場では3月の利上げは確実というにはほど遠いと受け止められており、ブルームバーグの集計データによれば、金利先物取引に織り込まれた3月利上げの確率は約30%にとどまる。  
原題:Guggenheim’s Minerd Calls Topping 3% ‘Beginning of the End’ (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJOUPH6JTSEA01


 

ロシアの2017年新車販売、5年ぶりに上向く見通し−景気回復の兆候で
Ilya Khrennikov
2017年1月13日 01:38 JST
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ロシアの新車販売台数は今年、増加する見通しだ。景気回復の兆候が強まる中、4年連続で落ち込んだ需要が上向くとみられている。
  欧州ビジネス協会(AEB)自動車メーカー委員会のヨルク・シュライバー委員長は12日、記者団に対し、17年の小型商用車を含む新車販売台数が約4%増え148万台になると予想。16年の販売台数は11%減少だった。
  同委員長は実質所得の落ち込みで多くの人が大きな買い物を先送りしたことに伴う「繰り延べ需要だ」と指摘し、「ルーブルが安定し、原油が値上がりした。これら全てが2年連続で沈んでいた消費者信頼感を高めている」と語った。
  ロシア最大の輸出品である原油の価格が持ち直し、ルーブルが対ドルで安定したことを背景に、同国経済はここ20年で最悪のリセッション(景気後退)から脱却しつつある。ロシア経済省によれば、17年に小売売上高と所得が増える見込み。
  AEBによると、昨年の販売台数は143万で、2012年以降の累積の減少率は50%を超えた。単月ベースでは12月は1%減少したものの、11月は0.6%増加し、14年12月以降初めて上向いた。
原題:Russian 2017 Car Sales Seen Rising After Four Years of Declines(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJOC3E6JIJV801
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/731.html

[経世済民117] 米経済は好調、目先深刻な障害はない=FRB 財政ブーム市場織込過ぎ  ECB年内金融緩和解除を━独 M3増、流動性シフト
米経済は好調、目先深刻な障害はない=FRB

[ワシントン 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は12日、米経済は好調で、目先に深刻な障害はないとの見解を示した。教育関係者向けのタウンホールで語った。

議長は「短期で見て、深刻な障害があるとは考えていない。米経済は極めて好調だ」と発言。所得格差の拡大や労働生産性の低い伸びなど、より長期の問題を懸念していると述べた。

コラム:米中貿易摩擦、日米と同じ運命か=熊野英生氏
アマゾン、米国内で10万人超の雇用創出へ 今後1年半で
イエレン米FRB議長の会見要旨
世界中でソーシャルメディアが炎上 トランプ氏の初の記者会見で
焦点:保護主義的トランプ発言に身構える日本、政策対応求める声も
http://jp.reuters.com/article/yellen-speech-idJPKBN14X04A

イエレンFRB議長:米経済に深刻な短期的障害は見当たらず
Christopher Condon
2017年1月13日 11:39 JST
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インフレ率は米金融当局が目標とする2%に「かなり近い」
金融規制改革の後戻りを見たくない
米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は12日、米経済に深刻な短期的障害は見当たらないが、低い生産性や格差の拡大といった重要な長期的課題に取り組む必要があるとの認識を示した。
  イエレン議長はワシントンのFRB本部での教職員とのタウンホールミーティングで、「失業率は低水準となっており、労働市場は全般的に堅調で賃金の伸びは上向き始めている」と指摘。「インフレ率は極めて低い水準から上昇しており、われわれの目標である2%をやや下回っているが、かなり近づいている」と語った。
  同議長は、長期的に生活水準の「主要な決定要因」となる生産性について、歴史的に見て引き続き低水準にあり、その理由をエコノミストは解明できていないと指摘。所得の伸びのより大きい部分を高学歴の人が占めるようになっており、米国で格差拡大を引き起こしていると分析した。

  イエレン議長はさらに、金融セクターの安全性向上と回復力強化のために金融危機後に打ち出した規制改革について、「これらは極めて重要な変化だ。押し戻されるのを見たくない」と述べた。
  トランプ次期政権に参加するメンバーの一部は、ドッド・フランク法(米金融規制改革法)の廃止を目指す考えを示している。
原題:Yellen Sees No Serious Short-Term Obstacles for U.S. Economy(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-13/OJP5HN6JTSEF01



FRB議長、教師向けの講演で米経済・金融政策の見通しに言及せず

[ワシントン 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は、教師向けの講演で、教育の改善は生活水準の向上を助ける可能性があると述べた一方、米経済や金融政策の見通しには言及しなかった。

講演の準備原稿によると、議長は米経済の成長加速や国民の生活向上につながりうる政策について「教育の改善が私のリストの最上位にある」とした。
http://jp.reuters.com/article/usa-fed-yellen-idJPKBN14X00P

イエレン氏、11年に失業率低下まで低金利維持を主張=議事録

[サンフランシスコ/ワシントン 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は景気が急激に悪化した2011年、少なくとも2013年半ばまで低金利政策を続けると表明する異例の対応に踏み切ったが、当時FRB副議長だったイエレン現議長は連邦公開市場委員会(FOMC)で失業率が一定水準に下がるまで低金利を継続する、よりハト派色の強い表現を声明に盛り込むよう提案していたことが分かった。

12日公表された2011年分のFOMC議事録によると、イエレン氏は同年8月9日のFOMCで低金利政策を継続する期間について、単に13年半ばまでとせず、当時9%程度で推移していた失業率が7.5%に下がるまでと表現するよう求めた。

イエレン氏の主張は、セントルイス地区連銀のブラード総裁がイエレン氏の提案を「極めて危険」と指摘するなど複数のメンバーからの反対を受け、結局採用されなかった。

イエレン氏は2014年からFRB議長を務め、国内総生産(GDP)やインフレなどの経済指標によって政策金利の目標を定めるべきだとする議会共和党の要求に抵抗している。しかし2011年当時はイエレン氏自身がこうした政策に近い考えを持っていたことになる。

FOMCの議事録は開催から5年後に公開されている。

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http://jp.reuters.com/article/yellen-fomc-idJPKBN14X02S


 

トランプ政権の財政ブーム、債券市場は織り込み過ぎも−DNB
Sveinung Sleire
2017年1月13日 03:13 JST

米10年債利回りが3%を大きく超えることはないと予想
財政刺激の早期実現に期待し過ぎの恐れ、実施されない可能性も

トランプ次期米大統領の財政政策の効果を債券市場は過大に織り込んでいる可能性があると、ノルウェー最大の銀行DNBの資産運用部門責任者が指摘した。
  DNBアセット・マネジメント(運用資産約610億ユーロ=約7兆4100億円)のトーキルド・バラン最高経営責任者(CEO)は、最近の債券利回り上昇は米大統領選挙前の堅調な景気動向に加え財政出動への期待に基づいていると分析した。
  しかし、債券売りの取引は「トランプ次期米大統領のさまざまな政策が何をもたらすかを十分に考慮していない可能性がある」と、同氏が10日オスロでのインタビューで述べた。「財政による景気刺激措置が事実上可能なスピードより速く実施されると皆が考えているのではないか、あるいは実際に刺激策が実現することはないのではないかと幾分懸念している」と語った。
  トランプ氏は選挙後初の記者会見で景気刺激策について具体的に言及せず、11日遅くの取引で10年物米国債の利回りは昨年11月以来の低水準を付けた。同年12月には一時、大統領選前の2%未満から2.6%まで上昇していた。
  バラン氏は米10年債利回りが3%を大きく超えることはないとみている。「超高ペースの成長や米金融当局が大きく引き締めなければならないような状況は想定していない」という。
原題:$64 Billion Norway Manager Bets Trump Fiscal Boom May Never Come(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNWZT6K50Y501


 


ECBは年内に金融緩和の解除始めるべき━独財務相=新聞

[ベルリン 12日 ロイター] - ドイツのショイブレ財務相は、欧州中央銀行(ECB)は年内に超緩和的金融政策の解除という困難な課題に着手すべきとの考えを示した。南ドイツ新聞とのインタビューで語った。

13日発行予定の同紙によると、財務相は「ECBは超緩和的金融政策から脱却するという困難な課題に直面する」とし、「年内の脱却をあえて目指すなら、おそらく正しい道だろう」と語った。

9月のドイツ総選挙後に誕生する新政権にとっては減税が「可能かつ不可欠だ」と指摘した。

また、ドイツ国内の今年のインフレ率が3%に達する可能性があるとの予想が現在の低金利への懸念をさらに強めると語った。
http://jp.reuters.com/article/germany-economy-schaeuble-ecb-idJPKBN14X009

 


マネーストックM3、12月は3.4%増 流動性へのシフト継続 

[東京 13日 ロイター] - 日銀が13日に発表した12月のマネーストック統計によると、指標となるM3の月中平均残高は1282兆2000億円となり、前年比で3.4%増加した。伸び率は11月から横ばいだった。長めの金利の低下を背景に、定期性預金から普通預金など流動性の高い預金へのシフトが継続している。

M3の内訳を見ると、預金通貨が同10.0%増となり、11カ月連続で伸びが拡大。2003年3月の同16.6%増以来の高い水準となった。

一方、定期性預金など準通貨は同1.4%減と9カ月連続で減少。2006年12月の同1.4%減以来となる大きなマイナス幅となっている。

日銀のマイナス金利導入以降、定期性預金から流動性の高い預金へのシフトが続いている。

幅広い金融資産を含めた広義流動性は同2.1%増となり、11月の1.9%増から伸びが拡大。金銭の信託の減少幅が縮小したほか、投資信託の伸びが拡大、円安に伴う外債の時価評価額の上昇などが寄与した。

M3からゆうちょ銀行などを除いたM2は同4.0%増となり、11月の同3.9%増から伸びが小幅拡大した。

(伊藤純夫 編集:吉瀬邦彦)

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[経世済民117] 米企業買収、トランプ砲から身を守る「切り札条項」 QE緊迫化ECB 株上昇 分岐点のドル高 オバマ規制無効化 BC落し穴
米企業買収、トランプ砲から身を守る「切り札条項」

Reynolds Holding

[ニューヨーク 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ次期米大統領によるツイッターでの放言や気まぐれな政策に翻弄され、米企業は今後、買収計画を撤回したくなる場面が増えるかもしれない。そこで切り札となる可能性があるのが「MAC条項」だ。

これは買収計画に「不利益をもたらす重大な変更(material adverse change)」が生じた場合、調印から買収完了までの間に契約から手を引く余地を与えるもの。これまで執行された事例は乏しいが、今後は状況が変わるかもしれない。

買収計画に予想外の事態はつきものだ。米医薬品大手アボット・ラボラトリーズ(ABT.N)は米診断薬・医療機器会社アリーア(ALR.N)を58億ドルで買収することで合意したが、その後、同社の財務諸表の報告が遅れたほか、販売慣行や収賄を巡り当局の調査を受けていることが発覚した。

通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ.N)が米インターネット検索大手ヤフー(YHOO.O)の中核事業を取得する計画は、ヤフーの大規模なユーザー情報流出事件で遂行が危ぶまれている。

現在、買収を取り巻く環境は通常にも増して困難だ。

金融規制、最高裁、貿易、移民、税制、外交政策の行方が不透明で、買収企業の業績に与える影響は測り難い。トランプ氏がツイッターでプーチン・ロシア大統領に親愛の情を示したり、米国外に工場を維持する企業を罵倒するといった言動が、企業の不安に輪を掛けている。

どうやらMAC条項を活躍させる機は熟したようだ。

これまでのところ、特定の規制変更などはMACの定義から除外される場合が多かったが、企業はトランプ政権下の突発事項から身を守るため、声高に異を唱え始めるかもしれない。同条項の執行をより強く働きかける可能性もある。判事側の姿勢も以前より好意的になった。

デラウエア州衡平法裁判所のレオ・ストライン判事は2001年、下級審の判事として、米食品大手タイソン・フーズ(TSN.N)によるIBP社の買収計画について、業績が2四半期連続で悪く、子会社の経営が不振だというだけで撤回することはできないとの判決を下した。この際判事が示した有名な法的見解では、MACが「対象企業の潜在的利益全体を著しく脅かし、その脅威が持続的に大きい未知の出来事」と定義されている。これはあまりにも高い基準であるため、満たされたことがない。

しかし、しばしば忘れられがちなのは、ストライン判事が「何が正しい判決なのか、心が千々に乱れた」と打ち明けてもいることだ。判事がタイソンの訴えを却下したのは、IBPの業績サイクル等を知りながら買収に合意したからというのが主な理由で、言い換えればMACを理由に買収を撤回するのは見た目の印象ほど難しくないのかもしれない。

法廷がMAC条項の幅広い解釈に前向きになっている様子を示す事例もある。2013年にインドのアポロ・タイヤ(APLO.NS)が米クーパー・タイヤ&ラバーの買収を破棄できるはずだと訴えた裁判では、デラウエア州衡平法裁判所の判事がクーパーの中国部門での労働紛争がMACの事由に含まれるとしてアポロの訴えを認めた。

目下のところ、一番の注目案件はアボットによるアリーアの買収計画だ。アボットは先月、買収破棄を裁判所に申し立てた。アリーアの抱える問題は深刻なため、アボットの訴えは説得力を持っている。トランプ次期政権の出方に神経を尖らせている企業幹部にとっては幸先の良いことだ。トランプ氏は、何はともあれMACを再び偉大な存在にした功績で、後世に名を残すことになるかもしれない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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ホットストック:医薬品株が軟調、トランプ氏会見で薬価改革を表明 2017年 01月 12日http://jp.reuters.com/article/breakingviews-trump-merger-mac-idJPKBN14W0EA


 
ECB:QE軌道に異論続出、今後の論争緊迫化を示唆−議事要旨
Carolynn Look
2017年1月13日 01:39 JST

ECBは昨年12月7、8両日の会合の議事要旨を公表
一部メンバーはプラート理事提示の2案いずれも支持せず

欧州中央銀行(ECB)の当局者らは昨年12月の会合で、量的緩和(QE)プログラムの軌道をめぐり活発に意見を戦わせたもようだ。ユーロ圏のインフレ率上昇に伴い、今後さらに緊迫した論争が予想される。

  12日に公表された昨年12月7、8両日の政策委員会の議事要旨によると、政策委は総じて「インフレ率が緩やかな上昇トレンドを描くというシナリオは依然かなりの程度、緩和的な金融政策の下支えに依存している」との見解で一致した。一方、この金融緩和を維持する方法については意見が分かれた。チーフエコノミストのプラート理事は債券購入を月額800億ユーロで維持しつつ今年3月としていた期限から6カ月延長する案と、月600億ユーロにペースを落として9カ月延長する案の二つを提示した。

  議事要旨によれば、「何人かは前者の案への支持を表明したが、後者への支持が総意であれば加わる用意があると言明」し、「何人かはいずれの案も支持しなかった」という。
  また、一部の当局者は後者の案よりもさらに長くプログラムを延長することを主張し、「市場でのユーロシステムの持続的なプレゼンスを強化することにより、ユーロ圏の回復をより長く、生じ得る悪影響から守ることができる」と論じた。政策委員会は必要があれば購入プログラムを再び拡大することが可能だとの考えで同意した。

  一方で、購入ペースの月600億ユーロへの修正と短い期間延長を組み合わせる案も提示されたという。最終決定は「自信を示すことと不確実な環境で安定を維持する必要との間で、適切なバランスを取ったものだと見なされた」と議事要旨は説明。「逆境に対応するための柔軟性と、実行していける可能性の確保」の点で明らかに利点があるとの評価だ。クーレ理事も後者の案が望ましいとの考えを示した。

  コアインフレ率は依然として低いものの、総合インフレ率の上昇が賃金上昇につながる可能性も当局者らは認識している。「賃上げ交渉のプロセスはこれまで極めて低調だったが、実質賃金が増えていない、あるいは減っていることに労働者が気付けばこれが変わる可能性がある」と分析し、「労働市場ではこれまで良い意味で驚かされる展開が繰り返し起きている。このため予想以上に力強い動きが続く公算もある」と指摘した。
  ECBは来週、政策決定会合を開く。
原題:ECB Stimulus Disagreements Signal Vigorous Debates Ahead (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJOB416VDKHY01


 
日本株は上昇、好決算の小売や輸出関連が高い−円高一服で安心感
鷺池秀樹
2017年1月13日 08:04 JST 更新日時 2017年1月13日 10:39 JST 
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Fリテイリや7&iHDが小売株の上昇をけん引
トランプトレードの巻き戻しは一巡した印象−大和証・石黒氏

13日午前の東京株式市場は上昇している。為替市場で急激な円高が一服し買い安心感が広がった。好決算が相次いだ小売株が買われ、精密機器やゴム製品など輸出関連、食料品や情報・通信などの内需ディフェンシブも高い。
  日経平均株価は前日比0.6%高の1万9248円まで上昇。12日に発表した四半期決算が評価されたファーストリテイリングとセブン&アイ・ホールディングスが上げをけん引している。TOPIXも一時0.4%高。 
東証外観
東証外観 Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg
  午前の東京外国為替市場でドル・円は1ドル=115円付近と、前日の日本株終値時点の114円41銭からは円安・ドル高となっている。12日は一時113円70銭台と昨年12月8日以来の円高水準を付けていた。
  大和証券投資戦略部の石黒英之シニアストラテジストは、「米国債売り・ドル買いの『トランプトレード』のアンワインドは12日でいったん一巡した印象。売りが止まり、これまでの上昇ピッチの速さから買えなかった投資家の買いが入っている」と話していた。
  相場の上昇をけん引しているのが小売りセクターだ。Fリテイリの2016年9−11月期の営業利益は前年同期比17%増の886億円と、市場予想870億円を上回った。7&iHDも3−11月期で5%増益となり、ゴールドマン・サックス証券では「想定以上の決算。新経営陣の下、順調なスタート」と評価した。

  12日の米S&P500種株価指数は前日比0.2%下げて2270.44だったが、入札制度導入への警戒で11日に急落したバイオテクノロジー関連が午後に上昇転換したこともあり、徐々に下げ幅を縮小する展開だった。米雇用指数の堅調も日本株の上昇を後押し。7日終了週の米週間新規失業保険申請件数は前週比1万件増の24万7000件と、市場予想25万5000件より若干良かった。
  午前10時16分現在、TOPIXは前日比5.10ポイント(0.3%)高の1540.51、日経平均株価は97円44銭(0.5%)高の1万9232円14銭。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJOV8C6K50XY01


 

前場の日経平均は反発、大幅安の反動 買い一巡後は伸び悩む 
[東京 13日 ロイター] - 前場の東京株式市場で、日経平均株価は前営業日比99円19銭高の1万9233円89銭となり、反発した。前日の大幅安の反動に加え、ドル/円が115円台まで円安方向に振れたことが支援材料となった。好決算を発表したセブン&アイ・ホールディングス(3382.T)や、ファーストリテイリング(9983.T)など値がさ株の上昇も寄与。ただ指数は買い一巡後は伸び悩んだ。

TOPIXは前日比0.33%高で午前の取引を終了した。業種別では小売、電気・ガスが上昇率で上位。一方、下落率上位は鉄鋼、非鉄金属となっている。セブン&アイが前日比で8%を超す上昇。ファーストリテイリング(9983.T)、ファナック(6954.T)が1%超高で前引けとなり、3銘柄で日経平均を約44円押し上げた。

一方、メガバンクは高安まちまち。トヨタ(7203.T)は小幅な上昇にとどまり、ホンダ(7267.T)や日立(6501.T)など自動車・電機の一角がマイナス圏で推移した。「今週は円売りポジションを積み上げた投機筋の巻き戻しとみられる動きもあった。来週以降、ドル/円が落ち着きを取り戻せるか警戒感も残っている」(岡三証券シニアストラテジストの小川佳紀氏)との声が聞かれた。

東証1部騰落数は、値上がり996銘柄に対し、値下がりが823銘柄、変わらずが185銘柄だった。

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http://jp.reuters.com/article/nikkei-mid-idJPKBN14X08U


 

焦点:分岐点のドル高/円安相場、トランプ発信で振れ幅拡大も

[東京 12日 ロイター] - トランプ米次期大統領の会見が肩透かしとなったことで、ドル/円JPY=EBSは約2円の急落となった。米経済指標は改善しているが、米金利を押し上げてきた米財政政策の中味が不透明なままで、ドル高を中核にしたトランプ相場は大きな分岐点にさしかかった。

ただ、ドル高とドル安の予想はきっ抗。当面はツイッターを含めたトランプ氏の発言から、政策の中味を探る振れ幅の大きな展開が予想される。

<減税や投資政策への言及なし>

11日のトランプ氏の会見は、市場の期待値を下回る内容だった。減税やインフラ投資などの政策に関する具体的発言がなく、ドル/円は失望売りが先行し116円後半から114円前半へと2円超下落。10年米国債入札が堅調な結果となって10年米国債利回りUS10YT=RRが2.33%付近に急低下したことも、ドル/円の下押し材料となった。

会見でトランプ氏は、貿易不均衡是正を政権の重要課題に掲げ、中国、メキシコとともに日本を名指しした。その直後にドル売り/円買いの勢いが加速した。

みずほ証券・チーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏は、トランプ氏が保護主義を強める姿勢をあらためて示したことを踏まえ「再びドル安/円高圧力が強まるリスクが大きくなった」と指摘する。

ドル/円は東京時間も上値の重さが意識され、欧州市場の取引時間帯に入り、一時113円後半まで水準を切り下げた。

下値めどとして、トランプ相場での半値押しとなる110円付近や、アベノミクス相場での高値125.86円とその後に英国民投票後につけた安値99.00円からの半値戻し112.50円付近が意識されそうだという。

<米経済持ち直しが支えに>

一方、米供給管理協会(ISM)が発表した12月の製造業景気指数は54.7で、2014年12月以来2年ぶりの高水準だった。「ドル高にもかかわらず高い水準となったことから、米国内のムードの良さがうかがえる」(国内金融機関)という。12月雇用統計における時間当たり平均賃金も、2009年6月以来の伸びだ。

「米国景気は絶好調と言えるほどに強含んでおり、利上げ期待が1回まで低下してドル安が110円まで進むような可能性は低い」と、野村証券・チーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は指摘。「ここはドル/円の押し目買いゾーン」と話す。

あおぞら銀行・市場商品部部長の諸我晃氏は「トランプ期待は、ある程度剥落しても、経済に裏打ちされた利上げ期待が支えになる。株価も崩れておらず、ドル買いポジションが一気に巻き戻される様子はない」とみる。

<ドル買い遅れの実需筋>

さらにトランプ相場に乗り遅れた国内輸入企業が多いとみられている。「下がれば押し目買いが入ってくる」(別の国内金融機関)という。

一方、トランプ相場の序盤に逆張りのドル売りで臨んだ個人投資家も、足元ではドル買い/円売りが優勢となっており「基本スタンスは押し目買い」と、外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏は指摘する。

目先のイベントとして意識されるのは、20日の米大統領就任式だ。ここで減税やインフラ投資に関する方針を打ち出すのか──。

さらに今回の会見で触れなかった為替に関する発言が飛び出すのかどうか、市場は再び、固唾(かたず)を飲んで見守ることになりそうだ。

(平田紀之 編集:伊賀大記)

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http://jp.reuters.com/article/analysis-forex-idJPKBN14W14C?sp=true


 


米議会、オバマ政権下の規制に無効化手続き開始へ=共和党幹部 http://jp.reuters.com/article/voiding-newregulations-idJPKBN14X05O
[ワシントン 12日 ロイター] - 米共和党のマッカーシー下院院内総務は12日、議会共和党が今月末から環境や労働などの分野でオバマ政権が導入した一連の規制を無効化する方針であることを明らかにした。

同氏によると、議会で過半数を占める共和党は規制改革を医療保険制度改革(オバマケア)の廃止と税制改革に並ぶ最優先課題と位置づけている。

議会は「議会評価法」の下で連邦政府が公布した規制を一定の期間に評価する権限を有しており、共和党はこの仕組みを利用してオバマ政権が5月末以降に導入したエネルギー、環境、輸送、銀行、金融、教育、メディア所有権に関する新規則を無効化する。

マッカーシー氏は、議会が1月30日から2週間かけて新規則の不承認手続きを行うと明らかにした。下院関係者によると、同氏が不承認手続きを主導する。不承認決議案は過半数の賛成で可決できるため、上院の民主党議員がフィリバスター(議事妨害)で抵抗することはできない。

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コラム:ビットコイン投資の落とし穴=村田雅志氏
村田雅志
村田雅志ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジスト
[東京 13日] - 昨年12月以降、仮想通貨ビットコインの値動きが派手なものとなっている。昨年1月から5月まで400ドルちょうど近辺で取引されていたビットコインは12月下旬には800ドルを突破し、今年初めには1000ドル台に到達。1月5日には1160ドル台と過去最高値を更新した。

しかし、過去最高値を付けた同じ5日に、ビットコインは一時900ドル割れまで急落。翌6日には1000ドル台を回復する場面もあったが、12日には700ドル台半ばと昨年12月中旬以来の安値を記録し、本稿執筆時点の13日は800ドル台で上値の重い動きとなっている。ビットコインは年初の高値から30%以上も下落したことになる。

ビットコインとはインターネット上で流通する暗号化された電子通貨の名称だ。ビットコインは、ドルや円のように法的に定められたものでもなく、中央銀行や政府機関によって発行されるわけでもない。取引の正当性の確認は、マイニング(採掘)と呼ばれる計算作業を通じて行われ、同作業に協力した者(マイナー=採掘者)には一定量のビットコインが交付される。

ただ、最大発行量はプログラムにて2100万と決められており、既存の貨幣のように発行量が無制限ではない。発行主体がなく、発行量が有限という点で、金やプラチナといった貴金属に近いとの見方をする者もいる。

ビットコインの特徴の1つに、秘匿性の高さがある。ビットコインは、暗号化されたデジタル情報でしかなく、既存の貨幣のようにコインや紙幣といった物質(モノ)ではないため、物理的に発見されにくい。

また、ビットコインの保管や送受信に使われるソフトウェア(ウォレット)を利用する際には、本名などのプライバシー情報を開示する必要はなく、メールアドレスを登録するだけである。このため行政当局は個々人のビットコインの取引状況を把握することができず、取引を強制的に停止したり、課税することも難しいとされている。

<元建て資産の逃避先に>

ビットコインの値動きが大きくなった理由の1つとして、人民元の先安観を背景とした中国の外貨需要の高まりがある。

中国当局は昨年、約3200億ドルの外貨準備を使い元買い介入を続けたものの、年末の人民元は1ドル=6.9450元と、2008年6月以来の元安を記録。下落率は6.5%と、アジア通貨の中で最も大きかった。中国景気の減速、資本流出の継続、外貨準備の減少などを理由に人民元は今後も下落が続くとの見方が大勢で、1ドル=7元を突破するのは時間の問題とみられている。

中国人投資家の立場で考えれば、元安が今後も続くと見込まれるのであれば、元建ての保有資産を外貨建てに換えることが合理的となる。元建て資産を外貨建てにすれば、元安による資産価値の目減りを防ぐことができるだけでなく、元安進展による差益を得ることも可能となるからだ。

しかし中国当局は、さらなる資本流出を抑えるべく外貨買いの動きに対し規制を厳しくしている。例えば昨年11月から、500万ドル以上の海外送金、両替、海外企業買収については当局による事前審査が義務付けられた。

また、中国人観光客が海外での買い物で広く利用している銀聯カードは、昨年12月下旬より新規発行が停止された。今年からは、中国国民が人民元を外貨に両替する際に提出する申告書に、両替した外貨を外国での不動産購入、証券投資、生命保険・投資性還元保険類に使用してはならない旨が明記された。

こうした状況では、ビットコインは元建て資産の逃避先として非常に魅力的となる。上述したようにビットコインは秘匿性が高い。人民元でビットコインを購入すれば、中国当局によるさまざまな資本規制をくぐり抜ける形で元建て資産を外貨(ビットコイン)建てに換えることが可能となる。

<中国当局の規制リスク>

ビットコインは過去にも資本規制をくぐり抜ける手段として注目され、価格が高騰したことがあった。タックスヘイブン(租税回避地)として世界各国から資本を呼び込んでいたキプロスは、2012年後半から大規模な資本流出に直面。同国政府は、2013年3月に銀行預金の引き出し制限などの規制を実施するとともに、銀行預金への課税を実施した。

当時、ビットコインは一部のマニアの間でしか知られていないものだったが、当局の資本規制をくぐり抜ける有力な手段であるとの見方から世界的に知名度が上昇。キプロス当局による資本規制・銀行課税が決まる前に13ドルにすぎなかったビットコインは急騰し、同年4月には200ドルを超えた。

仮に人民元の下落や中国の資本規制の強化が今後も続くとすれば、ビットコインの価格上昇が続くとの見方も、一見正しいように思えるかもしれない。しかし政府樹立以来、社会主義国として国民に対し、さまざまな規制や干渉を行ってきた中国当局が、ビットコインに対して手をこまぬき続けるとは考えにくい。

現に中国人民銀行(中央銀行)は11日、中国でビットコイン取引所を運営する主要3社に対し調査を始めたと発表。中国当局がビットコイン取引の取り締まりを強化するとの思惑が、ここ数日のビットコイン価格の急落につながったと考えられる。

キプロスの資本規制・銀行課税をきっかけに世界的に知られるようになったビットコインは、2013年末に1100ドル台まで上昇したが、2014年からは売りが先行し、同年末には300ドル台まで下落した。また、上述したように昨年初めは、400ドルちょうど近辺にすぎなかったが、今年初めには(一時的とはいえ)1160ドル台と過去最高値を更新するなど、ビットコインの値動きは非常に大きい。

そもそもビットコインの価格は、供給がマイニングを通じて緩やかにしか増加しないため、需要の変動に大きく左右される性質を持つ。資本規制などのイベントで需要が急激に増えれば、価格は高騰しやすくなるが、今回の中国人民銀行の動きのように先行き不透明感を強めるイベントが発生し、需要が後退すれば、価格が急落しても不思議ではない。

また、ビットコインはインターネット上での取引がほとんどであるため、需給動向の変化スピードは他の実物資産に比べて早い。このため短期間で価格が大きく変動しやすい。

投資の世界では、資産価格の評価をする際に、得られるリターンと同時に価格の変動率(リスク)も検討することが一般的となっている。ビットコインは、短期間に大きな値動きを示す可能性があるが、これはリスクが非常に高いことも意味しており、リスクで調整したリターンは、他金融資産と比べて大きくないだろう。

競馬やパチンコといったギャンブルとして考えるのならともかく、ビットコインを投資の1つとして考えるのはあまり合理的ではないように思える。

*村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。近著に「人民元切り下げ:次のバブルが迫る」(東洋経済新報社)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
 


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http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-masashi-murata-idJPKBN14X06M?sp=true

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[経世済民117] モーレツ返上なるか、電通社員の死が変えるサラリーマンの働き方 ヘッドハンターが狙うのはバーガー焼ける人−ウォール街と無縁
モーレツ返上なるか、電通社員の死が変えるサラリーマンの働き方
堀江政嗣、小田翔子
2017年1月13日 04:00 JST

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Photographer: Akio Kon/Bloomberg
週休3日に向けた検討や残業ゼロを目指す企業も
政府の生産性向上への取り組みが加速へ

企業の過重労働への批判が強まる中、総合電機メーカーの三菱電機が従業員に違法な時間外労働をさせたことが発覚した。電通の女性新入社員の自殺をきっかけに長時間労働が美徳とされてきた日本企業の価値観が変わりつつある中でまたも同様の事例が発生したことで、政府や企業では生産性向上を目指して時短への取り組みが加速しそうだ。
  厚生労働省神奈川労働局は10日、三菱電が情報技術総合研究所職員に労働基準法に基づく上限時間を超える違法な時間外労働を行わせたとして、同法違反の疑いで同社を横浜地検に書類送検した。昨年12月には国内最大の広告代理店、電通の女性新入社員の自殺をめぐって東京労働局が電通の強制捜査に乗り出し、同社と同社社員を労働基準法違反の疑いで書類送検していた。
  三菱電は声明で同研究所では労働時間を客観的に把握するシステムを導入していなかったとした上で、現在では全ての事業所でシステム導入が完了し、「適切な労働時間管理を徹底」するとした。電通の発表文では、高橋さんは業務量が増大して長時間労働の状態にあり、責任感や人間関係などが心理的ストレスになりそれが自殺の原因となった可能性は否定できないとの報告があったとし、石井直社長は1月に引責辞任を表明した。
  厚労省の過労死等防止対策白書によると、仕事疲れなど勤務問題を原因・動機の一つとする自殺者は、2011年をピークに減ってはいるものの、15年には2159人に上った。一方、日本生産性本部によると、15年の労働生産性比較では日本は経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国のうち22位にとどまっていた。
  国内の労働力人口は今後減少が見込まれており、安倍晋三政権は働き方改革を最重要課題の一つに掲げている。菅義偉官房長官は11日、三菱電の問題について問われ、「今まさに働き方改革を政府内で有識者の皆さんを交えて検討中。年度内に取りまとめて出来るだけ早く国会に提出をして、最大の鍵である働き方改革を実現したい」とコメントした。
週休3日制導入検討も
  法政大学経営大学院の藤村博之教授は、長時間労働問題の背景について、株主からの要求が多くなり、企業が人材を減らし過ぎて一人あたりの負担が増したことがあり、「電通や三菱電機以上に働かされている企業はある」と指摘。若い世代は長時間労働によいイメージを持っていないとし、「無理な仕事は無理、と言えなくてはならない。実際に企業もその方向に進んでいる」と述べた。
  インターネット検索大手のヤフーでは従業員の生産性向上へ向けて週休3日制の導入の検討を始めた。ヤフー広報担当の八木田愛実氏によると、同社は昨年の本社移転にあわせて在宅勤務の日数を従来の月3回から5回に拡大するなど、改革を進めてきた。
  同社は今後、有休取得率の向上など、段階的に週休3日制を導入するかどうかを2020年をめどに決めたいとしている。八木田氏は週休3日は働き方の選択肢の1つであり、ゴールではないとした上で、「『働く自由』を提供することで、従業員自身が最もパフォーマンスを発揮できるような選択をしてもらい、生産性を上げる」ことが狙いだと話した。
海外企業見て宗旨変え
   京都市に本社がある電子部品メーカー、日本電産も20年までに残業ゼロを目指して従業員の働き方改革に着手した。創業者の永守重信社長は1日16時間働き、元日の午前中しか休まない猛烈な働きぶりで知られ、永守氏によれば、かつては「死ぬまで働けとか朝までやれと言っていた会社」という。
   2000年代以降買収を進めた海外企業がゆとりのある労働環境でも好業績を上げているのを見て、日本企業の働き方に疑問を感じるようになり考え方を変えたという。仕事の能率向上のためのシステムなどに約100億円を投資するほか、自らを含めて必要な仕事と不必要な仕事の見極めを進めてきた。「日本の会社は長い間残業が当たり前だった。もういっぺん見直したらそんなことまったく必要ない」ことがわかったと永守社長は6日の記者会見で述べた。
  永守社長は、改革の目的はあくまで生産性の向上であり、労働時間の短縮にばかり関心が向くことはよくないとし、政府には生産性の向上を最優先に「日本を先進国並みの生産性の国にする」ぐらいの気概を求めたいと話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNSW56JIJUS01

 

ヘッドハンターが狙うのはバーガー焼ける人−ウォール街とは無縁
Leslie Patton
2017年1月13日 08:02 JST更新日時 2017年1月13日 08:52 JST

• 労働市場逼迫の米国で熾烈な人材獲得合戦が外食産業で進行中
• 時給アップや有休に加え、社員は人材紹介でボーナス獲得も

リサ・アラゴンさんが断っても断っても、ヘッドハンターは引き下がらなかった。高めの給料や4週間分の有給休暇を含む好条件での転職の誘いを1カ月に5回も拒否した。
  アラゴンさんが働いているのはシリコンバレーでもウォール街でもない。全く畑違いの米ハンバーガーチェーンだ。アラゴンさんは現在、ウェンディーズのニューメキシコ州アルバカーキにある店舗でマネジャーをしている。20年の職業人生で、ここまで積極的にヘッドハンティングされたことはない。彼女を引き抜こうとしたのは長距離ドライバー向けにレストランや休憩施設を展開するパイロット・フライング・Jのリクルーターだった。

ウェンディーズの店舗

Photographer: Matthew Staver/Bloomberg News
  「リクルーターには『今の職場に満足している』と説明したわ」と話すアラゴンさん(41)は、今の職場での四半期ボーナスやトレーナーとしての追加報酬を楽しみにしている。「今は職を変わる必要がないから」と述べた。
  米国の昨年12月の失業率は4.7%と、9年ぶり低水準に近かった。労働市場が逼迫(ひっぱく)し、レストラン同士が労働者を奪い合っている。一般社員が人材紹介のボーナスや無料の食事、有休を獲得している。議会が動かなくても、従業員の候補者不足で最低賃金は引き上げられるかもしれない。
  こうした傾向は、景気が回復しても置いてきぼりにされたと感じる多数の低技能労働者には朗報だが、企業や顧客にとってはそうではないかもしれない。レストラン側は値上げか利益率低下を迫られるし、サービスが低下した例もあるからだ。新規労働者確保に必死の米ファストフード業界は、労働者不足の実態を示す先行指標になっているほどだ。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i4lxfafzgKTE/v2/-1x-1.png
  アラゴンさんの上司はあらゆる策を講じて従業員を引き留めようとしている。フロリダとニューメキシコ、テキサスの3州でウェンディーズ177店舗を展開するエディー・ロドリゲス氏は過去1年に平均時給を1ドル近く引き上げて9.05ドルとしたほか、人材を見つけた社員に最大250ドルのボーナス支給を明らかにした。就業時間をもっと柔軟にし、自らヘッドハンターを使ってフロリダ州ポンパノビーチにあるコーポレートオフィスのスタッフを確保。社員一人一人に気を配ることも大事だと強調した。
  フリン・レストラン・グループのゲレッグ・フリン最高経営責任者(CEO) も「逸材を引き付けて引き留めるのは、これまでにないほど大変になっている」と語った。
  マクドナルド3店舗を抱えるテリー・スミス氏は、無料の食事や有休といったご褒美の積み重ねで150ー160人のスタッフを維持できていると語る。店舗には毎日通い、社員の名前をきちんと覚えるようにするとも指摘。「社員を適切に扱い既得権を与えれば、彼らは残ってくれる」と付け加えた。
原題:Headhunters Throwing Cash at Workers Who Can Flip Burgers (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-12/OJNI4X6JTSFJ01

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/742.html

[戦争b19] 南シナ海の人工島封鎖案に強い警戒感 中国、米国務長官候補の発言で 中国輸出、12月は前年比-6.1%、予想以上の落ち込み
南シナ海の人工島封鎖案に強い警戒感
中国、米国務長官候補の発言で
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RP482_cblock_IM_20170112065503.jpg


ティラーソン氏が公聴会で南シナ海の中国の人工島を海上封鎖することもあり得ると示唆したことが波紋を呼んでいる。写真は南シナ海で演習を行う中国の空母「遼寧」

By JEREMY PAGE
2017 年 1 月 13 日 11:19 JST 更新

 【北京】ドナルド・トランプ次期米大統領が国務長官に指名したレックス・ティラーソン前エクソンモービル会長が、南シナ海で中国の人工島を海上封鎖することもあり得ると示唆したことについて、安全保障問題専門家の間では危険な軍事衝突を引き起こす恐れがあり、また長期的には封鎖の維持コストが高くなりすぎると懸念する声が出ている。

 この海上封鎖案は、ティラーソン氏が11日に上院外交委員会で開かれた自身の指名承認に関する公聴会で言及したもの。トランプ氏の発言や米軍タカ派の意見よりもはるかに強硬なもので、中国の指導部は強い警戒感を抱いたとみられている。

 中国の反応はこれまでのところ抑制的で、同国外務省の陸慷報道局長は12日の記者会見でティラーソン氏の発言に対するコメントを拒否し、人工島建設は中国の領土内での活動だと主張した。同報道局長はまた、ティラーソン氏が米中間に意見の相違があるからといって協力を排除すべきではないと訴えたことを取り上げ、「私も同意見だ」と語った。

 中国や欧米の専門家には、同氏の提案は具体的なものというよりも、上院の対中タカ派と中国に対し、トランプ次期政権は南シナ海問題でオバマ政権以上に強硬な姿勢をとるとのシグナルを送ったものだとの見方もある。しかしそうだとしても、ティラーソン氏の発言はここ数週間、米中関係を覆っている不透明感をさらに強めた形だ。トランプ氏は人工島を「巨大な要塞」と形容するなど、貿易や領土問題で中国と対決する姿勢を打ち出している。

 南シナ海問題の専門家である南京大学の朱鋒氏は、ティラーソン氏の発言について「大変な驚きだ」とし、「彼は最悪のシナリオを示したかったのだと思うが、問題は両大国を悪循環に引き込む恐れがあることだ」と警告する。オバマ政権は中国の行動を繰り返し批判し、艦艇や偵察機を人工島周辺に送り込んでいるが、中国と周辺国との領土紛争で旗幟を鮮明にすることは控えてきた。

 ティラーソン氏は上院の公聴会で、中国の人工島の建設・軍事化は「2014年のロシアのクリミア併合と似ている」と指摘し、米国の反応が鈍かったため「中国にごり押しさせてしまった」と、オバマ政権の対応を批判した。同氏はさらに、米国が対応を強めることを支持するかとの質問に対し、「我々はまず人工島建設を停止するよう求め、さらに中国の人工島へのアクセスを認めない措置をとるとの明確なシグナルを送らざるを得なくなろう」と述べた。

 何人かの安全保障アナリストによれば、海上封鎖を実行するには、米国は公海での航行の自由の原則を破り、中国の船舶や航空機が人工島に上陸・着陸するのを阻止するために軍事力を行使する必要が生じるとみられる。シンガポールにある南洋理工大学の安全保障専門家のリチャード・ビッツィンガー氏は、「そうなれば、戦争行為と同じだ。中国は可能なあらゆる手段を使って対抗するだろう」とし、「米政府にはさまざまなオプションがあるが、キューバのミサイル危機の時のような海上封鎖はオプションには含まれていない」と断言する。

 安全保障問題専門家らによると、米国が海上封鎖に乗り出すようなことがあれば、中国が抵抗するのは間違いなく、軍事衝突が発生し、あっという間にエスカレートする可能性がある。米国の軍事力は全体として中国を凌駕しているが、中国近海で海上封鎖を継続するには多大なコストが掛かると分析されている。

 ティラーソン氏は、米国がどのような形で海上封鎖を実行するのかには言及しなかった。衛星写真によると、人工島にはジェット戦闘機を運用可能な3本の滑走路があり、対空兵器が備えられている。

 中国の専門家らは、中国側は同氏の発言の政治的な背景については認識しているとみている。北京大学の贾庆国教授(国際問題)は「ティラーソン氏は中国に対する強硬な姿勢を示さざるを得なかった。それが、指名承認をスムーズに進めるただ1つの方法だからだ」と話す。

 それでも安全保障専門家らは、トランプ次期政権は早い段階で何らかの行動を起こす公算が大きいとみており、その場合人工島周辺での「航行の自由」作戦をエスカレートさせる可能性が最も大きいと予想している。オーストラリア国防大学のカーライル・セアー名誉教授は、「米国のオプションの1つは、南沙(スプラトリー)諸島に定期的に機動部隊を派遣することだ」との見方を示す。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj_2O6-nL7RAhXFrJQKHfGsAkAQqQIIHTAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582555851175054984&usg=AFQjCNEU_hzDsdcLhp7nr4aQGrRiPNI2sQ


 

中国輸出、12月は前年比-6.1%、予想以上の落ち込み

[北京 13日 ロイター] - 中国税関総署が公表したデータによると、12月の中国輸出は前年同月比6.1%減で、予想(3.5%減)よりも大幅に落ち込んだ。

輸入は3.1%増加。鉄鉱石や石炭などの需要が底堅く、予想(2.7%増)を上回った。

貿易収支は408億2000万ドルの黒字。予想は465億ドルの黒字だった。

2016年の輸出は7.7%減、輸入は5.5%減、貿易収支は5099億6000万ドルの黒字だった。
http://diamond.jp/articles/-/114228
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/503.html

[国際17] 中欧に猛烈な寒波、少なくとも25人死亡 大気汚染で減産も  1月9日、ポーランドやチェコなど中欧各地で週末、気温が氷
中欧に猛烈な寒波、少なくとも25人死亡 大気汚染で減産も

http://s3.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170110&t=2&i=1168182749&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED09096

 1月9日、ポーランドやチェコなど中欧各地で週末、気温が氷点下30度以下を記録するなど厳しい寒波や吹雪に見舞われ、少なくとも25人が死亡した。写真はブルガリアの首都ソフィアで9日撮影(2017年 ロイター/Stoyan Nenov)

http://s4.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170111&t=2&i=1168345713&w=&fh=&fw=&ll=644&pl=429&sq=&r=2017-01-11T115011Z_25458_RC19095EFB80_RTRMADP_0_EUROPE-MIGRANTS-SERBIA-HUNGARY

[プラハ 9日 ロイター] - ポーランドやチェコなど中欧各地で週末、気温が氷点下30度以下を記録するなど厳しい寒波や吹雪に見舞われ、少なくとも25人が死亡した。
ブダペストではドナウ川が徐々に凍結していく、近年では珍しい光景がみられた。
空気によって運ばれるほこりなどによる大気汚染により、チェコやポーランドの工業地域では減産が余儀なくされた。ポーランドの首都ワルシャワやクラクフでは、大気汚染対策として公共交通機関が無料となった。
当局によると、ポーランドでは週末の寒波で17人が死亡し、11月からの死者数が65人となった。
チェコのメディアによると、首都プラハで4人が死亡するなどホームレスを中心に計6人が死亡した。南西部シュマワ山脈で氷点下34.6度が記録されるなど、山間部各地で氷点下30度以下となった。
ハンガリー通信(MTI)は8日、同国と首都ブダペストでそれぞれ過去最低となる氷点下28.1度と氷点下18.6度が記録されたと報じた。
スロバキアではホームレスの男性2人が凍死し、北部では列車の遅延や道路の閉鎖があった。ブルガリアでは、降雪と強風で道路が閉鎖され、北東部の7万5000以上の世帯が停電に見舞われた。
スライドショー:厳寒の中、ハンガリー国境で入国許可を待つ難民ら

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Migrants wait in line to receive free food during a snowfall outside a derelict customs warehouse in Belgrade, Serbia./Marko Djurica
REUTERS/MARKO DJURICA
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http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/270.html

[経世済民117] 日銀の国債購入に全くリスクはないのか?高橋洋一教授に問う ダウなぜ足踏か FRB利上いつ? ヘッジF創業者トランプ政権入
2017年1月13日 田中秀明 [明治大学公共政策大学院教授]

日銀の国債購入に全くリスクはないのか?

高橋洋一教授に問う

日銀の国債購入に全くリスクはないのか?嘉悦大学の高橋洋一教授と日銀の当座預金の債務性などについて議論を交わしてきた田中秀明・明大教授が、いま一度疑問を呈する

筆者は昨年11月より、ダイヤモンド・オンラインの記事を通じて、嘉悦大学の高橋洋一教授と日本銀行の当座預金の債務性などについての議論を行っている。初めてこの記事を読む読者のために経緯を説明しておくと、発端は筆者が寄稿した記事「『日本は借金が巨額でも資産があるから大丈夫』という虚構」だった。

それを受けて高橋教授から、「日銀当座預金を民間銀行の『預金』と勘違いする人々へ」という反論をいただいた。

その後、そこで述べられた内容に疑問を感じた筆者は改めて「埋蔵金と日銀の国債購入で日本の借金は消えるのか?高橋洋一教授に反論!」という記事を寄稿。高橋教授からはさらに「日銀当座預金に債務性はあるはずがない。田中秀明教授に再反論」という意見をいただいた次第だ。

日本が抱える債務問題などを明らかにするためにこうした議論は歓迎するが、残念なことは、高橋教授が前述の再反論記事において、「財政事情ガー」などという揶揄をしつつ、筆者が投げかけた質問に対する回答や指摘に対する反論がほとんどなかったことである。筆者が再三指摘しているのは、「埋蔵金を活用すれば、また政府と日銀のバランスシートを統合すれば、問題は解決する、財政再建の必要などない」という、高橋教授の主張である。

同教授の指摘には傾聴に値するものもあるが、専門家や研究者が、そのような楽観論を一般国民に振り撒くのは無責任だと筆者は考えおり、だから筆者は繰り返し反論している。同教授も、以前は歳出改革の重要性を訴えていたと記憶するが、そのような見識はどこにいったのか、残念でならない。

高橋教授に改めて
問いかけたい「9つの疑問」

これまでの拙稿から、筆者が高橋教授に投げかけた質問や指摘を、改めて整理しよう。高橋教授には、まずは次の問いにに対して回答をいただきたい。

1.高橋教授は、財政状況は資産負債差額で評価すべきと言っているが、埋蔵金(特別会計の積立金等の資産)を取り崩しても(フローの歳出を賄う)、財政状況は悪化しないのか。

2.高橋教授は、当初、埋蔵金で債務を削減するべきと主張していた。最近は、埋蔵金を減税や給付金などの景気対策に使うべきと主張しているが、考え方が変わったのか。もしそうであれば、その理由は何か。

3.埋蔵金があるので財政は何ら心配ないとも言っているが、たとえば、毎年の一般会計の赤字(新規国債発行額)を継続的に(例えば10年間)埋めるほどの埋蔵金がどこにあるのか。

4.高橋教授は日銀の当座預金のうち超過準備に対する付利(0.1%)を問題だと主張している。この付利は、バーナンキ氏がアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)議長(2006〜2014年在任)の時代にアメリカでも導入されているが、それは間違った政策だったのか。

5.バーナンキ前FRB議長は、「国債をすべて購入してインフレーションが起きないなら、毎年発行される国債を購入して、さらには減税して国債を発行し、それを購入することも可能で、無税国家になれる。そんなことはあり得ない。これは矛盾だから、必ずその前にインフレになる」と述べているが、これは間違いか。高橋教授の指摘が正しいのであれば、税金をゼロにすることも可能であるが、そのように主張しないのか。

6.中央銀行が国債を買えば問題ないといううまい話であれば、世界中ですでに行われているはずであるが、先進国で行っている国はない。それはなぜか。

7.高橋教授は、現在の財政再建の対象外になっている財投債を増発して景気対策をすればよいと主張している。同教授自身、これは会計上の「抜け穴」であると言っているが、政府は抜け穴を利用すべきなのか。また、それはなぜ許されるのか。

8.高橋教授は政府には徴税権があるから、それを含めれば債務超過ではなく、心配いらないと言っているが、それを主張するためには将来の歳出面も考慮する必要がある。歳出を考慮して徴税権をどのような時間軸で行使するのか、およそのイメージを示していただきたい。あるいは、増税しなくても、ネット歳入はプラスになるか。

9.バランスシートは、財務状況を分析し、リスクをコントロールするために有益なツールと考えるが、日本財政についてもリスクを分析し、国民に説明するべきではないか。

日銀の当座預金に
債務性が全くないわけはない

さて、高橋教授からいただいた再度の反論のポイントは、(1)日銀の当座預金は、政府紙幣(これは日銀券と同じ)に置き換わるだけなので債務性はない、(2)日銀に保有国債で損失が出たとしても、それは通貨発行益の範囲にあるので、統合政府で見れば取るに足りない、(3)過度なインフレにならないようにインフレ目標を導入すればよい(インフレ目標2%を超えてまで日銀が国債を買い入れる必要はない)、である。

(1)については、繰り返しになるが、「債務性」がないとは言えない。たとえば、民間銀行が、政府が発行した国債を引き受ける場合など、当座預金は減少する(なお、当座預金は、政府が民間企業に購入代金を支払う、日銀が保有国債を購入する・売却する、保有国債が満期になるなどの場合に増減する)。

つまり、日銀には当座預金の引き出しに応じる義務がある。また、超過準備(政策金利残高を除く)には付利(0.1%)があるため、日銀にとってただではなく、金利上昇局面では、それを引き上げる可能性がある(11月25日の拙稿)。高橋教授は、当座預金に付利がないのが本来の姿と言っているが、現実には付利されており、仮定の議論をしても意味がない。

顕在化し始めた
金融緩和のコスト

(2)については、通貨発行益を過大評価している。通貨発行益(シニョリッジ)の定義にはいろいろあるが、わかりやすく言えば、中央銀行による銀行券発行の対価として買い入れた手形や国債などから得られる利息であり、それは、中央銀行が利益の一部、または全部を国庫に納付する制度により、国民に還元されている。

この日銀納付金(決算ベース)は、たとえば、2015年度3905億円、14年度7568億円、13年度5767億円であった(2010年度は443億円だった)。もし、日銀が無利子負債(銀行券)で有利子資産(国債)を購入していれば、通貨発行益が生じるが、日銀の負債サイドにある当座預金の超過準備(民間銀行から国債を買うことにより負債が増えたもの)には付利されておりタダ(無利子負債)ではなく、また、資産サイドにある国債にはマイナス金利のものがあり、特に金利上昇局面では、巨額の損失が生じる可能性がある(一定のクーポン収入はある)。

正確には、当該損失は、国債の購入額と額面の差を満期までの期間で割った金額(「利息調整額」と呼ばれる)として毎年度計上されている。報道(「日本経済新聞」2016年12月6日)によれば、日銀の国債利息収入については、今年度上期、マイナス利回りの国債を大量購入した影響で先ほどの利息調整額(マイナス)が5割(5936億円)ほど増えたため、全体の収入が4年ぶりに減少し、1.6%減の6284億円にとどまったという。

同報道は、これまで顕在化しなかった金融緩和のコストだと指摘している。そもそも、通貨発行益はそれほど大きくないというのが共通理解だ(詳しくは、國枝繁樹「『政府紙幣発行で財政再建可能』のウソ」(『日経ビジネスオンライン』2011年8月1日)などを参照)。

(3)については、インフレ目標を宣言するだけでインフレ率をコントロールできるとは考えにくい。もしそれを主張するのであれば、その根拠は何か、宣言すれば自動的にインフレ率は2%付近で止まるのか。もし、そうであれば、二桁のインフレなど世界中で消滅していたはずだ。インフレを止めるためには、超過準備への付利の引上げなど、何らかの手段が必要であり、タダではない。

異次元緩和は否定しないが
政策の遂行には国民への説明が不可欠

筆者が高橋教授に異議を唱えているのは、「政府と日銀を併せた統合政府ベースで考えれば債務超過ではない」「日銀が国債を買い続ければ財政再建など不要である」(「借金1000兆円のまやかし」/『月刊Hanada』/2016年10月号など)などと主張しているからである。現在の異次元金融緩和には、コストもリスクもないと言っているのだが、そのようなうまい話を信じられるだろうか。

高橋教授の主張は、今の状況が永遠に続くのであれば、正しいと言えるかもしれないが、日銀はデフレ脱却を目指しており、それは自己矛盾である。仮に、物価上昇率が2%になれば、通常、期待インフレ率が高まり、長期金利が上昇する。仮に2%でも、日銀の保有国債の損失は巨額なものになる。高橋教授は、物価上昇率が2%になっても、金利は上昇しない、あるいは上昇しないように抑えることができると言うのだろうか。

誤解のないように言うが、筆者は日銀の異次元金融緩和という政策を全く否定しているわけではない。政策とは、その時々の状況を踏まえた(政治的な)政策判断の問題であり、日本経済が低迷している状況で、チャレンジすることは否定しない。しかしながら、2年程度で2%の物価上昇率を目指すと言っていた当初の目標を達成できなかった事実は冷静に受けとめなければならない。

これについては、去る9月、日銀は「総括的検証」を行ったが、十分な分析だったとは言えない。「期待」に訴えるだけでは、物価は上昇しないことを認識し、問題の本質を分析する必要がある。病気の原因(デフレ)に対する処方箋(異次元金融緩和)が本当に正しかったのだろうか。日本経済の低迷は、ほぼゼロ近辺にある潜在成長率、硬直的な労働市場、将来に対する国民の不安などにある。金融緩和で、そうした問題は解決できないことが証明されたのではないか。

あらゆる政策にはメリットとデメリットがある。政府は、政策について、国民に対してわかりやすく説明するとともに、副作用やリスクについても明らかにしなければならない。「タダのランチ」などないからだ。たとえて言えば、医療における「インフォームドコンセント」だ。

日本銀行についても、異次元金融緩和のリスクや出口戦略について、しっかりと国民にわかりやすく説明することが重要である(この点については、河村小百合氏が、『中央銀行は持ちこたえられるか−忍び寄る「経済敗戦」の足音』(2016年、集英社新書)において、日銀は、FRBや欧州中央銀行などと比べて、説明不足であるとして厳しく批判している)。

埋蔵金と日銀の国債購入で
財政再建は本当に完結するのか?

埋蔵金と日銀の国債購入で財政再建は完結し、リスクもコストもないと主張することは、現実の政治状況を考えると、財政規律をさらに低下させる。今回の異次元金融緩和は、もともと2年程度の短期的な政策として導入されたものであり、それならば許容されても、長期戦になるなら話は別である。しかも、問題に対する処方箋が間違っているとすれば、なおさらである。「マイナス金利なのだから、国債をもっと発行するべきだ」という声さえ聞こえるからだ。

たとえば、リニア中央新幹線や整備新幹線への公的資金の投入、市場を圧迫する官民ファンドの乱立、消費増税を再延期する一方での各種給付金の維持などである。異次元金融緩和で金利が低下し、政府にとっては、国債の利払い費を節減できるが、そうした節減は、現実には先使いしているのだ(その一部は無駄な支出にも向かっている)。

政府部門は、家計や企業と異なり、歳入と歳出を一致させるメカニズムが働きにくい。公共サービスの便益を受ける者は、そのコストを全て負担するわけではないからだ。財政赤字は、次の選挙で勝つために自己の利益を追求する政治家の合理的な行動の結果とも言える。研究者や専門家は、そのような行動をとる政治に迎合するのではなく、現実の政治を理解した上で、政策の問題を指摘するべきではないか。

高橋教授は、「日銀は法的に政府の子会社統合政府で考えるべき」と述べ、「統合政府」を強調する。そうした「べき論」は否定しないが、それはいわば頭の体操である(意味がないと言っているのではない)。現実は、政府と日銀は別の主体である。今すぐに、日銀が債務超過になるとは考えにくいが、もしそうなったときに、統合政府ゆえ、政府は資本注入などで日銀を救済するのだろうか。日銀の国債購入のリスクなどについて知らされなかった国民が、それに簡単に納得するだろうか。

麻生副総理兼財務大臣は、国会で、「出口のことにつきまして、このことにつきましては私どもの所管するところではなく、日本銀行の責任でやられているということを申し上げたと存じます」(参議院財政金融委員会/2016年3月10日)と述べている。つまり、出口における金利上昇への対応について、政府には責任がないのであり(政府の見解として)、統合政府論は現実には成り立つとは言えない。新日銀法では、損失補てん規程は削除され、日銀は自力で債務を何とかしなければならない。

冒頭で述べたとおり、高橋教授は筆者への再反論において、「財政事情ガー」という表現は嫌いだと述べている。誤解のないように言うと、筆者は今すぐに財政危機が起こるから財政再建を急ぐべきなどとは言っていない。結局のところ、日本財政のリスクは、政府部門の巨額の赤字を国内の貯蓄で永遠に賄えるのか、言い換えると、経常収支が赤字(国内の資金不足を海外から賄う)にならないのか、という問題に関係する。

この点については、複数の調査研究で、東京オリンピックが終わった2020年から30年代の間には、経常収支が赤字になると指摘されている(たとえば、大和総研「超高齢日本の30年展望:持続可能な社会保障システムを目指し挑戦する日本‐未来への責任」/2013年5月)。

ギリシャやポルトガルなど、リーマンショック以後に危機に陥った国は、いずれも財政赤字と経常収支赤字に陥っている。もちろん、経常収支が赤字になっても、直ちに危機が生じるわけではない。アメリカは、双子の赤字を抱えていても、危機にはなっていない。ただし、アメリカはドルの基軸国であり、日本とは前提が異なる。

経常収支の赤字・黒字が、直ちに問題になるわけではなく、問題は経済や財政の構造である。たとえば、日本が人口増で高い潜在成長力を持ち、将来の経済成長のために海外から借金するのでれば、それは問題とは言えない。それでは、日本が経常収支赤字になったときに、日本の成長力や債務の返済能力が信頼され、低い金利で資金を調達できるだろうか。高い金利などを求められないと言い切れるだろうか。

また、日本は、国民の貯蓄を巨額の政府債務で食いつぶしている状況である。政府が財政赤字を出しても、将来の成長に向けて最適な投資を行っているのであれば、それも許容できるかもしれないが、先ほど述べたように、筆者は政府が神様のように効率的・効果的に資源を配分できるとは信じていない。

楽観論や幻想論を振り撒くことなく
痛みを伴う施策を地道に進めるべき

経済成長の源泉は民間の経済活動にあると考えるが、政府が国民の貯蓄をほぼ吸い上げ、非効率な支出を行っているとすれば、たとえ日本がすぐに危機に陥るとことはないとしても、それは健全だとは考えられない。外国人からしばしば「日本財政はなぜ破綻しないのか」と聞かれるが、筆者は「日本財政は糖尿病などのように症状がすぐには出ない病気だ」と答えている。金融緩和で全て解決できる、高い経済成長率で財政再建は達成できるといった、楽観論や幻想論を振りまくのではなく、痛みは伴うが、社会保障制度の改革、労働市場の改革、生産性を高めるための施策などを地道に進めていくことが必要である。

高橋教授も、年金制度については、世代間の公平性の観点から改革を提言されているわけであり(年金の世代間格差、そろそろ「本当の話」をしよう【現役世代必読】)、同様の観点から医療や介護、育児などについても具体的な改革案を提言してほしいと思う。

(明治大学公共政策大学院教授田中秀明)


日銀当座預金に債務性はあるはずがない。田中秀明教授に再反論

埋蔵金と日銀の国債購入で日本の借金は消えるのか?高橋洋一教授に反論!

日銀当座預金を民間銀行の「預金」と勘違いする人々へ

「日本は借金が巨額でも資産があるから大丈夫」という虚構

http://diamond.jp/articles/-/114027

ダウはなぜ2万ドル目前で足踏みしているのか

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RP534_2Sp1S_M_20170112102948.jpg

ニューヨーク証券取引所のトレーダー
By JUSTIN LAHART
2017 年 1 月 13 日 11:05 JST

 ダウ工業株30種平均は2万ドルの1歩手前で長いこと足踏みしている。2万ドルを試してから1カ月の間は横ばいの推移だ。この失速の一因に、ドナルド・トランプ氏の米大統領当選が企業の増益にすぐ直結するわけでも、バリュエーションの上昇を裏付けるわけでもないとの認識がある。企業に対するトランプ氏のしつこい脅しが市場心理に悪影響している可能性もある。

 もっと手短に説明するとすれば、要するに相場が割高なのだ。ファクトセットによれば、S&P500種指数の予想PER(株価収益率)は17.2倍と、過去10年強の最高水準近辺にある。大統領選投票日のPERは16.5倍だった。

 PERが高い一方で、金利上昇はそれに反する動きを見せている。金利上昇が株価の足を引っ張る理由は明らかだ。企業の借り入れコストは上昇し、債券の魅力は高まるためだ。それ以外にも、投資家が長く緩慢な景気回復の間に忘れたかもしれない要因がある。金利引き上げには景気過熱を抑える意図があるのだ。先月の連邦公開市場委員会(FOMC)後、連邦準備制度理事会(FRB)が一段とタカ派的な姿勢を示唆したまさにその頃に株が勢いを失ったのは偶然ではない。

 また、企業の業績にも向かい風はある。アナリストは2017年に前年比11.5%の増益を見込んでいるが、これは11年以来の力強い伸びだ。実際の決算がこうしたバラ色の予想を満たすには、多くのことが順調に進む必要がある。

 まず、米経済がアナリストの予想に沿わなくてはならない。それは、投資家が次期政権に期待する減税、インフラ支出、規制緩和の結合によるところが非常に大きい。例えば、減税は来年まで実施されない可能性があり、インフラプロジェクトは実行までに時間がかかりそうだ。そしてもちろん、トランプ氏が反貿易と反移民の公約を貫いた場合、米企業の逆風になりかねない。

 企業利益は外国の動向にも左右される。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、S&P500企業の15年の海外売上高比率は約44%だ。だが現時点では、米国外での景気回復は見込みが低い。日本と中南米は改善しているようだが、ユーロ圏は低迷が続いている。英国は欧州連合(EU)離脱に向けて調整しており、中国では減速が続く見通しだ。

 金利上昇と、輸入税導入の見通しを背景にしたドルの上昇は、米国企業の利益を圧迫するだろう。他通貨に対するドル相場の水準は既に、昨年の平均を5%上回っている。

 もちろん、以上いずれの要因もダウの2万ドル突破を妨げるわけではない。だが今年の株式市場で簡単に稼げると思っている投資家は、考え直した方がいい。

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FRB利上げ時期、エコノミストの予想分かれる=WSJ調査
By DAVID HARRISON
2017 年 1 月 13 日 01:50 JST

 エコノミストらは米連邦準備制度理事会(FRB)が今年3回利上げを実施するとみているが、そのタイミングについては見解が割れている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が今月実施した調査によると、回答者の約33%はFRBが3月に次回利上げを決めると予想したが、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)まで先送りすると見る向きも48%に上った。

 FRB関係者は年内に25ベーシスポイント(bp)の利上げが3回あるとの見通しを示したが、利上げ時期の予想は明らかにしていない。

 エコノミストの見方が分かれたのは、2017年全般の経済動向やドナルド・トランプ次期米政権による財政政策の効果を巡る意見の相違を反映している。

 3月の利上げを予想した回答者の一部は、雇用市場の継続的回復やインフレ加速、健全なペースでの経済成長を見込んでいる。つまり、失業率が9年ぶり低水準をつけダウ工業株30種平均が2万ドル目前で推移するまでになったここ3カ月の景気持ち直しが続くとみているのだ。

 ジョージア州立大学のエコノミスト、ラジーブ・ダワン氏は「好調な国内総生産(GDP)の伸びや株式相場の上昇維持を踏まえれば、FRBは3月にフェデラルファンド(FF)金利を引き上げる好機を再び得る」との見方を示した。

 6月の利上げを予想した向きは、こうした筋書きに懐疑的だ。

 バンク・オブ・ザ・ウエストのチーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「米国の経済成長と物価上昇はFRBに早期利上げを迫るほどにはならないだろう」と述べた。

 さらに数人は、FRBに利上げを思いとどまらせる要因として、トランプ次期政権の経済政策を巡る不確実性を挙げた。

 オックスフォード・エコノミクスの米主任エコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「FRBは慎重なので、財政見通しがより明確になるまで待つことを望むだろう」と指摘した。

 エコノミスト間の見解の不一致はFRB内部の議論を映す鏡だ。昨年12月のFOMC会合後の記者会見でイエレン議長は、トランプ次期大統領の選出後に一部のFOMC参加者が経済見通しを変更したと明らかにした。

 「全ての参加者ではないが一部は、財政政策の変更予想をいくらか見通しに織り込んだ」と述べた。

米FRB特集

FRB、トランプ次期政権による経済への影響を議論=FOMC議事録
米経済予想、上振れリスク高い=WSJ調査
米利上げ、世界市場にとって両刃の剣

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiR9rmTnL7RAhXHH5QKHV5nBZsQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582555263727998658&usg=AFQjCNGbwgsngtyoYUpr-1OdJmZqYOQXEg

 


トランプ政権移行チーム、ヘッジファンド創業者の政権入りを確認
トランプ次期米大統領の政権移行チームは、ヘッジファンド創業者アンソニー・スカラムッチ氏の次期政権入りを確認した
By LISA BEILFUSS AND MICHAEL C. BENDER
2017 年 1 月 13 日 11:40 JST

 ドナルド・トランプ次期米大統領の政権移行チームは12日、ヘッジファンドのスカイブリッジ・キャピタル創業者、アンソニー・スカラムッチ氏が次期政権に参加することを確認した。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は10日、トランプ氏がスカラムッチ氏を大統領顧問として起用し、トランプ氏の政策を一般に広める役割や実業界との調整役を担わせる見通しだと報じていた。

トランプ次期政権

【社説】国務長官にティラーソン氏を
トランプ氏が初会見を乗り切った手法
【寄稿】威厳ある米大統領就任式を取り戻そう
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi6k82vnL7RAhWKm5QKHe88Ba0QFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582556091486611080&usg=AFQjCNGrkp6OhX-uwiqSIYtpQd_FSwhGkw

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/748.html

[戦争b19] 米次期国防長官候補、ロシア巡り警戒姿勢示す ロシア政策で言葉濁す仏大統領候補たち フランスのオランド大統領とロシアのプー
米次期国防長官候補、ロシア巡り警戒姿勢示す

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米上院軍事委員会は12日、トランプ次期米大統領が国防長官に指名したジェームズ・マティス元中央軍司令官の承認公聴会を開いた。 PHOTO: MANDEL NGAN/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By GORDON LUBOLD AND PAUL SONNE
2017 年 1 月 13 日 05:44 JST

 【ワシントン】米上院軍事委員会は12日、ドナルド・トランプ次期米大統領が国防長官に指名したジェームズ・マティス元中央軍司令官の承認公聴会を開いた。マティス氏はロシアに対するタカ派的な姿勢を表明し、プーチン大統領を称賛してロシア政府との協調を明言したトランプ氏と異なる見解を示した。

 マティス氏は、米政府が第二次世界大戦後、ロシア政府と協働すべく長年にわたり努めたきたが、その成果は数少なかったと述べた。また、米国はプーチン大統領が「北大西洋条約機構(NATO)を破壊しようとしている」ことを認識しなければならず、ロシアは米国にとって主要な脅威の1つだと指摘した。

 マティス氏は「ロシアとの協働を全面的に支持するが、われわれは現実を把握し、ロシアが何をしようとしているのか認識する必要がある」とし、「米露が協調できる分野は減っている一方、ロシアとの対立を迫られる分野は増えている」と語った。

 マティス氏はまた、NATOを強力に支持する姿勢を明らかにした。昨年の大統領選挙中、NATOはトランプ氏の批判の標的となっていた。

 マティス氏は、トランプ氏がNATOを巡り同氏の見解を受け入れると表明し、次期政権の国家安全保障担当チームと協力して「こうした見解を推し進めていく」と約束したと語った。

 「同盟国を持つ国は繁栄し、そうでない国は繁栄しないと考える」とマティス氏は述べた。

トランプ次期政権

トランプ氏、サイバー攻撃「ロシアだと思う」
トランプ氏巡る報告書流出、ロシア流の脅しか
トランプ氏とロシアの関係を巡る報告書、元英諜報員が執筆
「ロシア文書」で注目浴びるトランプ氏の調停役
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【オピニオン】ロシア政策で言葉濁す仏大統領候補たち
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フランスのオランド大統領とロシアのプーチン大統領(2015年、モスクワ)

By JOHN VINOCUR
2017 年 1 月 13 日 10:22 JST

 6週間ほど前、フランスのル・モンド紙に「仏独政府、2017年選挙中のロシアのサイバー攻撃を懸念」との記事が掲載された。国防当局者や治安当局者には言及していないが、これは当局を示唆する時の常とう手段だ。記事はロシアのリスクに対する姿勢がフランスとドイツで同じだと指摘していたが、ドイツがあからさまにロシアの活動を認識しているのに対し、「必要な慎重さ」を備えたフランス当局はロシアの名指しを拒否していると説明していた。

 何という警戒ぶりか。米大統領選に絡んだサイバー攻撃について米情報筋はロシアのウラジーミル・プーチン大統領が主導したと断定したが、フランスのジャンイブ・ルドリアン国防相は8日の発言で言葉を濁し、「国家が主導したのであれば」「耐えられない干渉だ」と述べるにとどめている。

 ロシアによるハッキングについて、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は同国の政治ではもはや日常だと非難した。一方、フランスのフランソワ・オランド大統領はジェラール・ダベ、ファブリス・ロム両氏の近著で描かれた姿勢を崩していない。それは、「ロシアは攻撃的な力ではなく」、「現状維持を目指す」国であり、「われわれの安全保障に対する脅威ではない」との発言に表れている。

 これを黙らせる者がフランスにいるだろうか。プーチン氏を非難する声はまったく聞こえてこない。5月には大統領選挙が行われるが、ロシアの政治家のやりたい放題に抗議しようとする政党は不在だ。

 誰が大統領選を制するかは別として(親プーチン氏を公言している2人の候補、保守派のフランソワ・フィヨン氏と極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン氏が有力なようだ)、足もとでは「はぐらかし」が優勢だ。大統領選への出馬を表明している社会党のマニュエル・バルス前首相は5日のテレビ番組で、重要なことはフランスの「独立」維持だと述べることでロシアのハッキングに関する質問をかわした。

 バルス氏(世論調査からすると、左派の統一候補を選ぶ予備選が29日の決選投票にもつれ込めば接戦を強いられる)はかつてロシアに強く反対すると考えられていたが、フランスを各国から等距離に置きたいかのような発言をしている。「独立したフランスは全員に話しかける。ロシアに対しても米国に対しても、だ。親ロシア政策を求める声もあれば、米国に追随することへの不満も聞かれる。こうした別時代の二分は私に合わない」

 だがバルス氏は、少なくとも欧州連合(EU)の対ロシア制裁継続は支持している。エマニュエル・マクロン氏は違う。マクロン氏は自称「進歩主義」の候補であり、オランド大統領の社会党政府で経済相を務めた。左派の予備選には参加しないが、世論調査では中道左派の政治家の中で大統領当選の確率が最も高い。

 マクロン氏も、特別の魅力があるらしい「独立」という言葉を乱発している。ウクライナに関連した対ロ制裁については、「私たちは一貫して拡大を支持している。悪いことだ」として「縮小」を求めている。

 欧米は何と硬直的で軽率なのか。だが昨年、欧州のリーダーとして初めてEUの対ロ制裁解除を呼びかけたのは、余りに人気がないため再選を目指さないことを決めたオランド大統領だった。

 フランスは、いかにしてここに至ったのだろう。

 ダベ、ロム両氏の661ページに及ぶ著書には、大統領就任時から61回にわたってオランド氏に会った時のことが書かれている。それによると、2015年にオランド氏の中でロシアの位置づけが、「害悪から、目的を持った同盟国」へと変わった。オランド氏はフランスに対するテロ攻撃後、過激派組織「イスラム国(IS)」との戦いにプーチン氏を引き込めるかもしれないと考えた。

 オランド氏は、当然ながら、バラク・オバマ米大統領からの有効な支援をあきらめたと書かれており、著者はこれを、その後のオランド氏とロシアの「関係改善」に関連づけている。これでフィヨン、ルペン両氏に並ぶのではないかとの問いに対して、オランド氏は「違う。両氏は完全にロシア政府と同調している」と答えている。

 では、目下フランスでロシアについて大勢に逆らおうとするとどうなるか。昨年12月19日、緑の党の大統領候補ヤニック・ジャド氏が試した。

 ジャド氏は公共放送で、18年にロシアで予定されているサッカー・ワールドカップ(W杯)の開催地を変更する必要があると述べた。2分の間、画面中のジャド氏が黒いシルエットだったのと対照的に、プーチン氏の写真はカラーで明るかった。

 先週、筆者が同テレビ局に電話して説明を求めると、「技術的な誤作動」との答えが返ってきた。

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http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/504.html

[経世済民117] クライスラーに排ガス規制違反=米EPA  VWと同じ運命なら負担4000億円、株価さらに下落 米経済予想、上振れリスク

クライスラーに排ガス規制違反=米EPA

米環境当局はFCAに排ガス規制違反を通告した(写真は14年モデルの「ラム1500」) PHOTO: REBECCA COOK/REUTERS
By CHESTER DAWSON AND MIKE SPECTOR
2017 年 1 月 13 日 10:49 JST 更新

 米環境保護局(EPA)は12日、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)がディーゼル車に違法なソフトウエアを使用し、排ガス規制に違反した疑いがあると発表した。

 それによると、スポーツタイプ多目的車(SUV)「ジープ・グランドチェロキー」とピックアップトラック「ラム」の2014〜16年モデル、合わせて約10万4000台が法定上限を超える有害物質を排出していたと指摘している。

 これを受けてFCA株は売られ、12日終値はニューヨーク証券取引所(NYSE)で前日比10.28%安の9.95ドル、ミラノ市場では16.14%安の8.78ユーロとなった。

 FCAのセルジオ・マルキオンネ最高経営責任者(CEO)は、電話での記者会見で「当社としては、違法なことは何もしていないと考えている」とした上で、同社の自動車の排ガス制御装置の測定についてEPAとの間で見解の相違があると指摘した。

 同氏はEPAの調査に関わる問題が解決するまで、一部の17年モデルのディーゼル車の生産を中止すると述べた。

 前日にはドイツのフォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車約60万台の排ガス不正問題に関連し、米国で同社の現・元幹部6人が起訴されたばかり。


 VWはこれとは別に、違法ソフトを搭載して排ガス試験の結果を操作したことの罪を認め、刑事上の罰金など総額43億ドル(約4900億円)を支払うことで合意した。これ以前には民事で最大175億ドルでの和解に合意している。

 EPAのシンシア・ジャイルズ氏はFCAについて「明確で深刻な大気浄化法(CAA)違反だ」とした上で、FCAは試験の時に自動車に搭載した8種のいわゆる排ガス制御補助装置(AECD)について公表しておらず、これは違法だと指摘した。

 当局者はFCAのソフトを、排ガス試験の時だけ有害物質を減らすデフィートデバイスだとは言わず、調査を続けると述べた。だが同社は違法行為をしたと批判し、違反した車1台当たり4万4539ドル、総額46億3000万ドルの罰金が科される可能性があるとした。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjt9-Lnnr7RAhUDUZQKHV9nDdwQqQIIHTAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12198237174475043532204582555360517206378&usg=AFQjCNF2RUY3Pj-TJsIsovni3Ze7Le8o9Q


 

クライスラー排ガス不正、VWと同じ運命なら?
負担額は4000億円、株価はさらに下落の可能性

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RA656_2H8uv_M_20161201142031.jpg?width=1260&height=839

米当局はフィアット・クライスラー・オートモービルズが「ダッジ・ラム」(写真)などへの不正なソフトウエアの搭載を隠していたと非難した PHOTO: LUKE SHARRETT/BLOOMBERG NEWS
By STEPHEN WILMOT
2017 年 1 月 13 日 09:07 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)がもし独フォルクスワーゲン(VW)と同じ経過をたどれば、FCAの株価はもっと下がるだろう。

 米環境保護庁(EPA)とカリフォルニア州大気資源局(CARB)は12日、FCAのディーゼル車10万4000台が法律に定められた基準を上回る排ガスを排出しており、対象車両に搭載されていたソフトウエアのことをFCAが隠していたと述べた。対象車種は2014年〜16年型の多目的スポーツ車(SUV)「ジープ グランドチェロキー」とピックアップトラック「ダッジ・ラム」。

 仮にFCAの今回の問題がVWと同じ経過をたどるとすれば、EPAによる衝撃的な発表への市場の反応はまだ十分とは言えない。12日の正午時点で、ニューヨーク証券取引所のFCAの株価は12.5%安となり、時価総額で18億ドル(約2100億円)相当が消滅した(訳注:12日終値は10.28%安)。

 VWは排ガス不正問題で総額204億ドルを支払うことになる見通しだ。内訳は今週発表された当局への和解金43億ドルのほか、排ガス試験のときだけ有害な排出物質を減らす「デフィートデバイス」が搭載された、米国で販売済みの約60万台の買い取りなどに必要な費用約133億ドルなどだ。仮にFCAが対象車両1台あたりVWと同水準の負担を負うことになれば、その額は約35億ドル――直近の税率27%で調整すれば26億ドル――に達するだろう。こうした負担分を考慮に入れれば、FCAの株価は11日の終値から18%安となってもおかしくない。

 FCAのケースがどこまでVWと同じ経過をたどるかはまだ分からない。CARBのメアリー・D・ニコルス局長は両社のケースを結びつけ、「再び大手自動車メーカーがルールを回避しようとして見つかった」と話した。EAPはソフトウエアが違法なデフィートデバイスに当たるかどうか調査中であると述べ、疑念をほのめかした。

 FCAの株価は米大統領選の後に上昇した。ガソリンを大量消費するSUVは環境問題をあまり重視しないトランプ次期政権から恩恵を受けるだろうと、投資家は踏んだのだ。だが市場がこの見方を維持するのは難しいかもしれない――FCAが直面することになるかもしれない費用負担にかかわらずだ。

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米経済予想、上振れリスク高い=WSJ調査
エコノミストの過半数が米国の経済予想に上振れリスクがあるとみている(写真はサウスカロライナ州にある米航空機大手ボーイングの工場)

By JOSH ZUMBRUN
2017 年 1 月 13 日 01:57 JST

 ドナルド・トランプ氏が米大統領選を制したことで、経済予想を専門にしている人々が久々に「上振れリスク」と真剣に向き合っている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は毎月、学術界、金融機関、その他企業のエコノミストを対象に、国内総生産(GDP)、インフレ、失業率など米国の主要経済指標の見通しや、上振れと下振れいずれのリスクが大きいとみているかを調査している。

 最新の調査では、上振れリスクがあるとの回答が64%に達し、約2年ぶりの高水準となった。世界的な経済成長の減速による悪影響が懸念されてきた近年からは状況が一変した。

 アムハースト・ピアポント証券のチーフエコノミスト、スティーブン・スタンレー氏は「政策の変更が適切に行われれば、成長の持続可能性を押し上げる」と述べた。

 経済成長を促進する新政策としては、企業寄りの規制変更、法人税と個人所得税の税率引き下げ、大規模なインフラ投資などが挙げられる。

 重要な注意書きは「適切に行われれば」の部分だ。

 エコノミック・アウトルック・グループのチーフエコノミスト、バーナード・バウモール氏は「トランプ氏の財政出動プログラムを議会が大幅に骨抜きにしたり、遅らせたりして金融業界や小売り業界を失望させる可能性も十分ある」と指摘した。

 国内総生産(GDP)成長率の平均予想は今年が2.4%、来年が2.5%となり、従来に比べてそれぞれ0.2ポイント、0.5ポイント上方修正された。

 向こう2年間のインフレと金利の見通しも小幅に上昇し、2018年末に見込まれる失業率はやや低下した。リセッション(景気後退)の予想確率は6カ月連続で低下して16%となった。

 KPMGのチーフエコノミスト、コンスタンス・ハンター氏は「規制のわずらわしさが薄らぐ環境がGDPの追い風になるかもしれないものの、貿易摩擦の可能性や地政学的な要因でほぼ同等の下振れリスクが存在する」と述べた。

 今回のWSJ調査は1月6日から10日までエコノミスト67人を対象に実施した。全員が全ての質問項目へ回答したわけではない。

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