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[不安と不健康18] 健康も進化も微生物がもたらした!「隠された自然の半分」がつくる驚異の世界『土と内臓』 
健康も進化も微生物がもたらした!「隠された自然の半分」がつくる驚異の世界『土と内臓』
2016/12/23
東嶋和子 (科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師)
 行きつけのスーパーで、乳製品の陳列棚が倍以上に広がった。さまざまな効用の菌を売り物にする飲料やヨーグルトが所狭しと並べられ、選ぶのもひと苦労である。腸内細菌が心身の健康に与える影響が次々と明らかになり、消費者の関心が高まっているせいだろう。

 もとより腸内細菌の重要性はいわれてきたが、近ごろは一歩進んで、細菌の多様性やバランスが注目されるようになった。「腸内フローラ」とか「マイクロバイオーム」(宿主に定住する微生物の遺伝子の総体)という言葉に象徴される考えかただ。

 また、「脳腸相関」という言葉はすでに1880年代から提唱されていたそうであるが、近年、腸内細菌が内分泌系や脳神経系、さらには私たちの感情や行動にまで影響をおよぼすことが報告されはじめ、改めて腸内細菌の役割がクローズアップされている、というわけだ。

 私たちの腸、とりわけ大腸の内部には多種多様な微生物が複雑な生態系を構成し、人体と共生している。ごく大雑把にいえば、「食物を分解し人間に必要な栄養素や化学物質を作り、病原体から守っている」のである。

 これと同じことが、土壌環境でも起きている。土壌に生息する微生物は、「植物の根と共生して、病原体を撃退したり栄養分を吸収できる形に変えたりしている」という。

庭づくりとがん治療の経験から


『土と内臓 微生物がつくる世界』(デイビッド・モントゴメリー, アン・ビクレー 著、片岡夏実 翻訳)
 本書の著者であるデイビッド・R・モントゴメリーとアン・ビクレー夫妻は、それぞれ地質学者、環境計画を専門とする生物学者で、いわば土と環境の専門家。モントゴメリーには『土の文明史』(2008年、築地書館)という邦訳書がある。

 二人とも微生物学者でも医者でもないが、新居の庭を土壌改良する過程で微生物の働きに関心をもつようになった。

 おりしも、アンが子宮頸がん(ある種のヒトパピローマウイルスがリスクを高めるとされる)と診断されたことから、自身の健康と微生物、食べものとの関係に切実に向き合うことになる。

 庭づくりとがん治療という、一見つながりのない個人的な体験から、「隠された自然の半分(本書の原題)」の存在に目を見開かされた二人は、各々の専門分野を踏み出し、医学、薬学、栄養学、農学などの分野に分け入って縦横に渉猟した。こうして「微生物がつくる世界」をひとつの物語にまとめあげたのが、本書である。

「撲滅すべき病気の原因」と
とらえられてきた微生物

 コッホやパスツールらによる病原体の発見以来、微生物は「撲滅すべき病気の原因」ととらえられてきた。「病原体としての微生物」という考え(細菌論)にもとづいてさまざまなワクチンや抗生物質がつくられ、そのおかげで多くの人の命が救われた。感染症はもはや、先進国では主な死因ではなくなった。

 しかし、一方で、「悪玉菌を一掃すれば事足りる」という意識は、抗生物質の安易な使用や抗菌剤だらけの生活を後押しした。

 その結果、薬剤耐性菌がはびこり、私たちの体内の微生物相は改変され、免疫系の乱れや新たな慢性疾患をもたらすはめになったのは、皮肉な事実である。

 本書のユニークさは、人体で起きた微生物相の改変と、土壌環境で起きたそれを、表裏一体のものとして結びつけた点にある。腸では内側が環境だが、植物の根では裏返って外部が環境になる、というわけだ。

 そもそも人類は、有機物と土壌の肥沃度との関係に経験的に気づいてから、農地に堆肥や作物残渣などの有機物を与えてきた。ところが、有機物に含まれる栄養分は植物の成長に寄与していないことが科学的に分析されると、代わって化学肥料を与えるようになった。

 化学肥料は当初、収穫量の爆発的な増大をもたらしたが、やがて低下した。それどころか、病気や害虫に悩まされるようにもなった。

 実は、土壌中の有機物は植物の栄養になるのではなく、土壌に棲む生物や微生物の栄養になり、こうした土壌生物が植物の栄養の取り込みを助けたり、病虫害を予防したりしていたのだ。

 植物に含まれる微量栄養素(銅、マグネシウム、鉄、亜鉛など)は、植物の健康と、植物を食べるものすべての健康の中心であるフィトケミカル、酵素、タンパク質を作るために欠かせない元素だが、ゆゆしきことに、その含有量が近年減ってきていると、著者らは眉をひそめる。

これまで見ていなかった「自然の半分」

 生命の系譜をさかのぼると、ある時、ほかの微生物に捕食された微生物細胞が、捕食者と共生関係を築くことで生きのびた。この共生を出発点に、複雑な多細胞生物への合体と組み立てが繰り返されてきたことがわかってきた。

 <微生物が手を組んで多細胞生物を生み出して以来、全面的な対立と同じくらいに協力と順応が、微生物と植物と動物の関係を形成した。くり返し、生命の樹が大きくなるにつれて、逆境の中で関係が生まれ、必要に応じて加えられた。顕微鏡下の世界がこれほどまでに協力的な場所だとは――また、証拠のいくらかはまさにわれわれの体内に隠されていようとは――ダーウィンは想像もしなかっただろう。私たちは、遺伝子の三分の一以上を細菌、古細菌、ウイルスから受け継いだのだ。>

 <微生物の共生がありふれたものであり、不可欠なものでもあることを認識することは、自分と自然の隠れた半分との関係の見方を作り直すことだ。>

 そう著者らが語るように、私たちは自身の健康のため腸内細菌に向けた視線を、植物へ、土へ、そして生命の樹全体へと大きく広げ、これまで見ていなかった「自然の半分」を、しかと目を開けて注視し、理解しなくてはならない。

 本書は、そのきっかけとなるに違いない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8514
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/262.html

[経世済民117] 前向きに読み解く経済の裏側 金融庁の「銀行は担保より借り手の事業性を見ろ」は危険 
前向きに読み解く経済の裏側
金融庁の「銀行は担保より借り手の事業性を見ろ」は危険
2016/12/26
塚崎公義 (久留米大学商学部教授)
 金融庁は10月に発表した金融行政方針の中で、銀行に対し、担保や保証がなくても事業に将来性がある先、信用力は高くないが地域に無くてはならない先、などに積極的に融資するように促しました。これに対しては、銀行業界に戸惑いの声も大きいようです。

 「信用力は高くないが地域になくてはならない先」に対しては、地方自治体が保証をするのが筋であって、保証なしに銀行が貸し出すのは営利企業のすることではありません。従って、本稿では今ひとつの事業性について考えて見ましょう。


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事業性の判断が出来る銀行員は極めて少数

 駅前商店街の魚屋に融資する際、魚屋の地元での評判が良かったとしても、安心できません。主人が病気になって廃業する、周辺人口が減少する、近所に大型スーパーが建つ、といったリスクがあるからです。

 技術力のある大企業の下請けでも安心はできません。大企業自体が傾く可能性もありますし、海外に工場を移転して下請けを切る場合もあり得るからです。

 シャープが外資に身売りし、パナソニックプラズマディスプレイ(パナソニックの子会社)が特別清算する時代です。銀行員にいくら目利きの能力があったとしても、担保を採らずに中小企業に融資をすることは、余程の天才でなければ困難だと言えるでしょう。

 目利き能力のない銀行員に無理やり目利きをさせれば、判断を誤って大量の不良債権を発生させかねません。理想を追い求めすぎると怪我をするのです。それだけではありません。本当に怖いのは、後述のように、「危険な借り手しか借りに来ない」という状況に陥りかねない事なのです。

 銀行は担保と保証に頼ったビジネスをしていれば良いのです。担保はないけれども事業性はあるベンチャー企業は、ベンチャーキャピタル等の投資家に任せれば良いのです。ベンチャーキャピタルを支援する事こそ、金融庁に求められていることなのです。

本当に怖いのは、危ない借り手しか借りに来ないこと

 仮に、「担保や保証は不要で、借り手の事業の将来性を見て融資します」という銀行が設立されたとします。しかし実際には行員の目利き能力は低いため、事業性の判断はできないとしましょう。仕方がないので新銀行は、「すべての借り手に融資すれば、借り手の倒産確率は5%程度だろう」と考えて金利を5%に設定するとします。

 世の中には、「確実に7%儲かる堅実な会社で、しかも担保がある会社」が多数ありますが、そうした会社は旧来型の銀行に担保を提供して5%より安い金利で借りてしまいますから、新銀行には見向きもしません。そこで、そうした会社の話は忘れることにしましょう。本当は、一番借りて欲しい会社なのですが……。

 世の中には、「確実に7%儲かる堅実な会社、ただし担保なし」と、「100借りれば、確率5割で150か80になる」ようなハイリスク・ハイリターンな会社が同じ数だけ存在しているとしましょう。しかし、そのことは銀行は知りません。

 金利が5%ですから、両方のタイプの会社が銀行から融資を受けます。堅実な会社は、金利を支払います。ハイリスク・ハイリターンの会社も、半分は金利を支払います。つまり、全体の4分の3の会社は、銀行に5%の金利を支払うわけです。しかし、残りの半分(つまり全体の4分の1)の会社は、金利も払わず、80しか返済しませんから、銀行に20の損失を与えます。結局、銀行は赤字になってしまいます。

 そこで銀行は、金利を10%に引き上げます。すると、堅実な会社は借りに来なくなり、ハイリスク・ハイリターンの会社だけが借りに来ます。借り手の半分は10%の金利を払いますが、残りの半分は銀行に20の損失を与えますから、銀行の赤字はむしろ膨らんでしまいます。

 もしかすると、最悪の場合には、銀行が事業の将来性を評価できないことを知った詐欺集団が、事業性のありそうなプレゼンテーション資料を用いて銀行から融資を引き出し、計画倒産する可能性さえも否定出来ないことになります。

 何が問題かと言えば、最も借りて欲しい会社(堅実で担保もある借り手)は最初から借りに来ず、次に借りてほしい会社(堅実だが担保のない借り手)も途中から借りに来なくなり、ハイリスク・ハイリターンな借り手(及び詐欺師)だけが最後まで借りに来る、という「逆選択」が起きることです。来て欲しい客は来ず、来てほしくない客だけ来る、というわけですね。

借り手をハイリスク・ハイリターンに誘導してしまう可能性も

 さらに悪いことが起きる可能性もあります。今まで堅実な商売をしていた企業が、ハイリスク・ハイリターンな企業に変身してしまいかねないのです。ハイリスク・ハイリターンな企業にとって銀行借入は、「勝てば自分の儲け、負ければ銀行の損(自分の損は資本金だけ)」というギャンブルになり得るからです。

 多くの銀行が金融庁の指導に従った結果として、多くの企業がハイリスク・ハイリターンなビジネスを始め、失敗した場合の損失を銀行に押し付けるとすれば、銀行業界の将来は真っ暗かもしれません。

 目利き能力のない人に、目利きの得意な人と同じ仕事を要求するのは、怪我のもとです。銀行員は、目利き以外の分野では、総じて優秀ですが、目利きの能力は決して高くありません。それは、そうした訓練をほとんど受けていないからです。

 「高度成長期には、創業間もないソニーやホンダの事業性を見極めて融資をした立派な銀行員がいたのに、今はいないのか」と嘆く人がいるかもしれませんが、それは違います。当時も今も、目利きの得意な少数の銀行員と、目利きの苦手な多数の銀行員がいます。

 当時は、目利きの得意な銀行員がソニーなどに融資し、それ以外の銀行員は担保と保障に頼った融資をしていました。今もそうです。それを、「目利きが得意でない銀行員も、担保に頼らず目利きをしろ」と言うのは、「高度成長期の銀行を見習え」ということとは全く異なるのです。

 世の中には、様々な仕事があるのですから、適材適所を目指しましょう。銀行員に適した仕事は、他にいくらもあるのですから。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8531
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/212.html

[政治・選挙・NHK218] 安倍首相、企業に賃上げ要請 長時間労働是正へ法案提出
Business | 2016年 12月 26日 17:52 JST 関連トピックス: ビジネス, トップニュース
安倍首相、企業に賃上げ要請 長時間労働是正へ法案提出

[東京 26日 ロイター] - 安倍晋三首相は26日、経団連の審議員会であいさつし、企業経営者に対して来年の賃上げに向けた「積極的な対応」を要請した。日本経済には明るい兆しが見えると述べ、来年はデフレ脱却を確かなものとする、と語った。

首相は世界・日本経済について「今年後半から上向きつつある」とし、これを受けて「日本経済にも明るい兆しがみえる」と語った。もっとも、「アベノミクスはまだ道半ば」との認識をあらためて示し、来年も世界経済を注視しつつ、「デフレ脱却を確かなものとし、経済をしっかりと成長させる」と語った。

こうした経済の好循環を「力強く回していくカギは来年の賃上げだ」と指摘。特に4年連続のベースアップ(ベア)の実現が重要とし、「産業界には来年の賃上げに向けて積極的な対応をお願いし、デフレからの脱却を果たしていきたい」と強調した。

また、働き方改革について「同一労働同一賃金」の実現とともに、長時間労働の是正の重要性を訴え、「時間外労働の上限規制を具体化する法案を早期に国会に提出する」ことを表明。人工知能やIoT(モノのインターネット)など技術革新の障害となっている制度についても「ちゅうちょなく、スピード感を持って改革する」と述べた。

同日の米ハワイ・真珠湾の訪問を控え、真珠湾では「二度と戦争の惨禍を繰り返してならない。この未来に向けたメッセージを真珠湾の地から世界に向けて発信したい」と意欲を示した。そのうえで、日米首脳の真珠湾訪問によって「和解の大きな力を世界に示す歴史的な訪問になればいいと思っている」と語った。

*内容を追加しました。

(伊藤純夫 編集:吉瀬邦彦)

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http://jp.reuters.com/article/abe-jfeo-idJPKBN14F09O
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/251.html

[国際16] 伊政府のモンテパスキ支援策、実体は「ベイルアウト」 前途多難
コラム:
伊政府のモンテパスキ支援策、実体は「ベイルアウト」

Neil Unmack

[ロンドン 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - イタリア大手銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)(BMPS.MI)への公的支援は債権者が損失を負担する「ベイルイン」を装っているが、実体は納税者が負担を負う「ベイルアウト」だ。

欧州連合(EU)の規則は、加盟国政府が銀行を救済する場合には債権者に損失負担を強いるよう定めている。イタリア政府はモンテパスキ救済でこの規則に従ったが、金融工学のにおいのする筋の通らない手段を講じることで、今回の支援を2008年以降に行われたベイルアウトと同じものにしてしまった。

23日に発表されたモンテパスキ支援は一見するとEU規則に完全に沿った申請にみえる。モンテパスキはストレステスト(健全性審査)で露呈した自己資本不足を穴埋めするための50億ユーロが調達できなかった。故にEU銀行再建・破綻処理指令32条に基づき、政府が支援に動くことは可能だ。救済規則の下でモンテパスキの40億ユーロ強の劣後債は株式への転換が義務付けられている。

しかしイタリア政府は別の手も打っている。モンテパスキは小口投資家が劣後債との交換で手にした株式を債務不履行のリスクがほとんどないシニア債と交換する。その後政府はこの株式を銀行から買い上げる予定だ。経済学的にみれば、政府が単に小口債権者から株式を直接買うのと変わらないようにみえる。

詳細にはまだはっきりしていない部分がある。株式と交換されるシニア債の発行条件や政府が株式を買い上げる際の価格は、いずれも額面となる公算が大きいとはいえ、不明。どの程度の数の株式に今回の手法が適用されるのかも曖昧だ。これまでの発表では、小口投資家が保有するすべての債券に適用されるようだ。

イタリアは小口投資家が経営状態の悪い銀行の債券を保有するという難しい問題を抱えており、こうした複雑な対処法になるのだろう。政府はぜい弱で、新興政党の五つ星運動は支持率を伸ばしており、来年に総選挙が行われる公算が大きい状況下で債権者に実際に損失を負わせるのは政治的に好ましくないと判断したとみられる。

しかしこの手法がすべての小口投資家に対して額面で適用されれば、納税者負担によるベイルアウトと変わらない。欧州政策研究センターによると、個人向けに発行された債券はイタリアの家計の上位10%の富裕層が保有している。

今回の茶番劇でイタリアの体力のない銀行の間で事業再編が加速すると予想されるのは朗報といえる。一方、EU規則は政治目的のために簡単に曲げられることが明らかになったのは困ったことだ。

●背景となるニュース

・イタリア政府は23日、大手銀モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテパスキ)を救済し、預金者を保護する方針を決めた。救済に関する指令によると、モンテパスキの全劣後債は額面と同等価格の株式に転換される。

・小口投資家は劣後債から転換された株式をモンテパスキに返却してシニア債と交換することが可能。その後イタリア政府がモンテパスキからこの株式を買い取る。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/column-italy-bank-bailout-idJPKBN14F0EC


 
コラム:伊モンテ・パスキ救済策の前途多難=井上哲也氏
井上哲也
井上哲也野村総合研究所 金融ITイノベーション研究部長
[東京 26日] - イタリア政府は23日、同国の銀行問題に対応するための政府基金(200億ユーロ)に関する政令を承認した。この基金の主目的がモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)(BMPS.MI)の救済にあることは言うまでもない。

資産規模3位の主要行であるモンテ・パスキは、今年夏の欧州銀行監督機構(EBA)と欧州中央銀行(ECB)によるストレステストに「落第」した結果、年末までの自己資本増強を求められていたが、民間ベースの増資計画(50億ユーロを目標)が頓挫し、その動向が注目を集めていた。

モンテ・パスキは政府資金に依存せざるを得なくなったが、欧州連合(EU)の域内国では、「銀行再建・破綻処理指令(BRRD)」と関連の声明によって、破綻先でない銀行への政府資金の使用は極めて限定されることに加え、使用する場合は債権者も一定のルールに従って損失を分担すること(ベイルイン)が原則とされている。

もっとも、同国の中央銀行であるイタリア銀行によればイタリアの家計はベイルインの対象債券を総資産の5%も保有し、ロイターの報道によればモンテ・パスキの劣後債を保有する個人投資家も4万人に上るだけに、上記のルールを適用した場合の影響が懸念されていた。

本稿の執筆時点(25日)でスキームの詳細は明らかでないが、同じくロイターの報道によれば、モンテ・パスキに対して上記の金額以上の増資に応ずる一方、債権者にも一定の負担を求めるようだ。

ただし、主として機関投資家が保有する種類の債券は額面の75%相当の株式に転換する一方、主として個人投資家が保有する種類の債券は額面の100%相当の株式に転換するだけでなく、モンテ・パスキが別な債券への交換の機会を提供するなど、個人投資家の負担を抑制する措置が取られるものとみられる。

<拭えぬ不良債権増加リスク>

こうした決着は、今年初めから本格導入された上記のルールに最初から例外を認めることに難色を示してきた欧州委員会と、金融システム不安の拡大を防止したいイタリア政府との妥協の産物である。もちろん、モンテ・パスキ問題が年末を越えて放置されるよりは大いに望ましい対応であるし、イタリア政府が上記の基金を他の銀行の健全性強化ないし破綻処理に活用すれば大きな意味を持つ。

ただし、残された課題も明らかである。つまり、モンテ・パスキが抱える不良債権をどう処理していくかは依然として明らかではない。

もちろん、健全性が向上するもとでさまざまに前向きのビジネスを展開することで収益性が改善し、これによって不良債権の処理を進めるロジックは成り立つ。しかし、モンテ・パスキのように不稼動債権の比率が30%を超える状況にある銀行にとって、こうした方法では不良債権額を圧縮するには長期間を要するだけでなく、その間はさまざまな外的なショックに対して脆弱な状況が続くことになる。

日本を含む金融危機の経験を踏まえると、こうしたケースでは、不良債権を銀行のバランスシートから切り離すことが最も重要かつ優先すべき対応である。そうした対応が講じられなければ、銀行は、今後の金融経済動向によって不良債権が増加するリスクにさらされ続ける。

ECBも最新の金融安定報告でイタリアにおける貸し渋りと企業活動の低迷との悪循環の兆候を指摘しているように、イタリア経済が当面低迷する可能性は決して小さくない。そうなれば、せっかく改善した健全性も、不良債権処理の負担を勘案した実質的な自己資本で見れば、再び悪化していくリスクが高くなる。

不良債権を銀行から切り離す際に生ずる損失を銀行が負担できないのであれば、これを支えることが政府資金の役割である。あるいは、政府主導の「バッドバンク」を設立しても良い。こうしたメカニズムによって不良債権が適正な価格まで下がれば、プライベート・エクイティのようなファンドが参入しやすくなり、不良債権の銀行からの切り離しが円滑になる。加えて、新たな債権者のもとで、借り手の事業再生が促進される効果も期待される。

自己資本の増強を求めるストレステストも、銀行の損失補填目的での政府資金の使用を禁ずるBRRDの規定も、基本的には健全な銀行を前提とした考え方である。また、それらは世界的な金融危機や欧州債務危機を経て、政府資金による銀行救済に厳しい批判が示されたことへの対応として合理性を有している。しかし、少なくとも欧州にはモンテ・パスキのように、そうでない前提で対処すべき銀行がまだ残っている。

*井上哲也氏は、野村総合研究所の金融ITイノベーション研究部長。1985年東京大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。米イエール大学大学院留学(経済学修士)、福井俊彦副総裁(当時)秘書、植田和男審議委員(当時)スタッフなどを経て、2004年に金融市場局外国為替平衡操作担当総括、2006年に金融市場局参事役(国際金融為替市場)に就任。2008年に日銀を退職し、野村総合研究所に入社。主な著書に「異次元緩和―黒田日銀の戦略を読み解く」(日本経済新聞出版社、2013年)など。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)
http://jp.reuters.com/article/column-tetsuya-inoue-idJPKBN14F000

http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/834.html

[国際16] コラム: ロシアのデマ作戦に米国敗北、大統領選でリスク現実に トランプ氏「影の内閣」につきまとう利益相反懸念 
焦点:ロシアのデマ作戦に米国敗北、大統領選でリスク現実に

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 12月20日、米ホワイトハウスでサイバーセキュリティーを担当する現・元顧問によれば、大統領選挙期間中、インターネットを介してロシアが仕掛けてきたデマ作戦に対しては何ら確固たる戦略を持っていなかったという。写真は1日、モスクワで演説するロシアのプーチン大統領(2016年 ロイター/Maxim Shemetov)
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Joseph Menn

[20日 ロイター] - 米国政府は10年以上にわたって外国勢力による悪意あるハッキングへの対応を準備してきたが、ホワイトハウスでサイバーセキュリティーを担当する現・元顧問によれば、大統領選挙期間中、インターネットを介してロシアが仕掛けてきたデマ作戦に対しては何ら確固たる戦略を持っていなかったという。

はるかに大きな労力が投じられてきたのは、こちらから仕掛けるハッキング攻撃の計画、可能性は低いものの甚大な損害につながる電力網や金融システムに対する電子的な攻撃、あるいは直接的に投票システムを不正操作しようという試みへの備えだった。

連邦政府の顧問と情報機関の専門家らによれば、ここ数年、米国の情報機関は、ウクライナなどの地域におけるロシアの組織的なハッキングとデマ拡散を追跡してきたという。だが、そうしたプロパガンダが米国を標的にするリスクについて、政権内での持続的かつハイレベルな協議はほとんど行われなかった。

セキュリティー関係者によれば、大統領選挙の期間中、そのリスクは現実のものとなり、選挙結果を変えてしまった可能性もあるという。だが米国の当局者は、言論の自由が憲法で保障されているため、ロシアの支援を受けたプロパガンダの企てを捜査することに限界を感じていた。

元ホワイトハウス当局者は、米国政府が外国に支援されたデマの流入に対する抑止を試みても、政治的、法的、倫理的に大きな障害に直面すると警告する。

「大規模な監視を行い、自由を制限しなければならないだろう。しかしわれわれにとっては、そうしたコストは受け入れがたかった」と元当局者は匿名を条件として語った。「彼ら(ロシア)は、われわれがやらないような方法で情報の流通をコントロールできる」

元米連邦捜査局(FBI)捜査員で現在はセキュリティー分野のコンサルタントとして働くクリントン・ワッツ氏によれば、冷戦期には対抗言論を提供する米情報局のような組織があったが、今の米国政府にそれはないという。

ワッツ氏によれば、ロシアが米国・欧州で行う主要なデマ作戦の大半は、ロシア政府の出資する報道機関、たとえば放送局のRTやスプートニク・ニュースなどを発信源とし、その後ツイッター上で他の人々が増幅していく。

ワッツ氏は、米国政府としては、ネット上で何が起きているかを把握し、虚偽の記事に反駁(はんばく)する能力を構築することが急務であると指摘する。

今月可決された国防権限法案(NDAA)では、そのような任務の一部を担うべく、国務省による「グローバル・エンゲージメント・センター」の設立を求めている。だが、ロシアに比べれば洗練性に欠ける、過激派組織「イスラム国」によるデマに対抗する類似の努力も不十分なものに終わっている。

<米国の「足踏み」>

米国務省などでの勤務経験のある戦略国際問題研究所のサイバーセキュリティー専門家、ジェームズ・ルイス氏によれば、米国政府がロシア政府に追いつきたいと思うなら、影響力投射という時代遅れの考え方を超えた行動が必要だという。

「ロシアはRTテレビなどの手段を持っているが、われわれが知っているのは空母戦闘群を派遣するというやり方だけだ」とルイス氏は言う。「この状況に対処する方法を見つけるまでは、足踏みが続くだろう」

ワッツ氏は2014年以来、親ロシア的なツイッター利用者を数万アカウント分もフォローしてきたというが、最も効果的な記事の多くは、戦争その他の惨事に対する懸念をかき立て、西側諸国の腐敗した政治家、メディア、その他エリート層に対するうわさをあおるようなものだと考えている。

ワッツ氏らによれば、ロシア側の力の入れ方が現れているのが、スプートニク・ニュースだという。

ロシア公式の通信社・ラジオネットワークの後継として2年前に発足したスプートニク・ニュースは、専門家によれば、単にロシア政府の政治的主張を繰り返すだけの存在ではない。独自に外部からソーシャルメディアに強い人材を集めており、そのなかには、左派・右派問わず自国の政策に批判的な米国民も含まれている。

スプートニク・ニュースにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

スプートニク・ニュースのなかでも最も著名な専属記者・解説者の1人であるカサンドラ・フェアバンクス氏は、情熱的な反警察抗議活動家であり、社会主義者バーニー・サンダース上院議員を支持していたが、大統領選の期間中に宗旨を替え、共和党のドナルド・トランプ候補を盛んに応援するようになった。

フェアバンクス氏はロイターの取材に応え、今や次期大統領となったドナルド・トランプ氏を支持するようスプートニク・ニュースから言われたわけではない、と話した。海外への軍事介入や国際貿易協定に反対するトランプ氏の主張に惹かれたのだという。

「彼を応援するためにベストを尽くしたが、それは私の自由意志によるものだ」とフェアバンクス氏は言う。

30代の女性であり、ツイッター上で8万人以上にフォローされているフェアバンクス氏は、スプートニクに加わる前は国際的なハッカー集団「アノニマス」に参加する活動家だった。

投票日の前日、フェアバンクス氏はユーチューブのチャンネル上で、民主党のヒラリー・クリントン候補の選対責任者ジョン・ポデスタ氏のアカウントからハッキングされたメールの発信者たちが、ピザについて会話するなかで小児性愛に関する隠語を使っていた可能性が「非常に高い」と発言した。

この主張は、クリントン氏の支持者がワシントンのピザレストランを拠点に小児性愛のサークルを開いているという風説につながった。このチャンネルは、9.11同時多発攻撃は内部関係者の犯行と主張するラジオ司会者アレックス・ジョーンズ氏が運営するもので、180万人が登録している。

2015年に短期間スプートニク・ニュースで働き、抗議デモ「ウォール街を占拠せよ」の古参活動家でもあるジョー・フィオンダ氏によれば、スプートニクの記事やソーシャルメディアへの取り組みは、全般的に、シリアなどロシアのプーチン大統領の同盟相手を称賛し、警察の不祥事など米国におけるネガティブなニュースを詳細に報じることを目的としているという。

フィオンダ氏は、スプートニクで優先されていたのはハッキングされたメールを拡散することだったと話す。彼の仕事の1つは、「ミューティナス・メディア(反抗的なメディアの意)」と称するフェイスブック上のページ(スプートニクとの関係は明示されていない)に、広まりやすいうわさのネタを流すことだったという。

ロシアに支援されたハッカーの侵入を受けた団体の1つである民主党全国委員会の元職員らは、米国政府は主要政党をテクノロジー面で守るための予算計上を検討すべきだとし、ハッキングされたメールがネット上に広がり始めたら、党職員の対応は後手後手に回ってしまうと語る。

彼らはさらに、民主党出身のオバマ大統領の政権スタッフは自党候補者を弁護していると思われないよう気を遣いすぎていたと話す。

国家情報長官室のロバート・リット法務顧問によれば、オバマ大統領は情報機関に対し、プロパガンダ作戦に関する議論も含め、ロシアによる選挙介入についての分析を提出するよう求めていたという。

リット氏は、米国政府が油断につけ込まれたと考えているかという問いに対し、次のように答えている。「私自身はこの問題にまったく関わっていない。とても重要な問題であり、情報当局が非常に注意深く関心を注いでおり、適切な時期に報告書を発表するだろう」

(翻訳:エァクレーレン)

*2段落目の誤字を修正して再送しました。

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コラム:トランプ氏「影の内閣」につきまとう利益相反懸念
 12月22日、米著名投資家のカール・アイカーン氏(写真)が規制改革に関する大統領特別顧問に就任することになり、トランプ次期政権の「影の内閣」は利益相反を抱える顔ぶれが出そろった。2004年、ニューヨークで撮影(2016年 ロイター/Brendan McDermid)
 12月22日、米著名投資家のカール・アイカーン氏(写真)が規制改革に関する大統領特別顧問に就任することになり、トランプ次期政権の「影の内閣」は利益相反を抱える顔ぶれが出そろった。2004年、ニューヨークで撮影(2016年 ロイター/Brendan McDermid)
Antony Currie

[ニューヨーク 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ次期米大統領の政権移行チームは21日、米著名投資家のカール・アイカーン氏が規制改革に関する大統領特別顧問に就任すると発表し、「影の内閣」は利益相反を抱える顔ぶれが出そろった。

押しの強い「物言う投資家」のアイカーン氏は個人の立場で助言を行う。だがトランプ氏が設置を表明した「大統領戦略・政策フォーラム」のメンバーと同様に、政策提言の内容が個人の金銭的利害にぴったり一致したとしても公表する義務はない。

米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、アイカーン氏は既に米証券取引委員会(SEC)の次期委員長選びで重要な役割を担っている。これは気がかりな動きだ。というのもアイカーン氏など、かつて「乗っ取り屋」と呼ばれた物言う投資家は、SECと衝突している企業に投資するケースが多いからだ。また物言う投資家はSECの規則を窮屈だと感じていることがままある。

アイカーン氏の投資先には保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N)や石油精製のCVRエナジー(CVI.N)など、利益相反を引き起こしかねない銘柄がいくつかある。金融や環境などに関わる規制が大幅に手直しされれば、この2社にとっては直接利益になる。実際にアイカーン氏は最近の会合で米環境保護局(EPA)、とりわけ大気・放射線部のジャネット・マッケイブ部長が、エタノール混合規則によりCVRなど精製会社の経営をいかに圧迫しているかへの不満をぶちまけた。

アイカーン氏の主張は正論なのだろう。時の政権がビジネス界の声に耳を傾けるのは筋が通っている。詰まる所、オバマ大統領もゼネラル・エレクトリック(GE)(GE.N)のジェフ・イメルト最高経営責任者(CEO)を雇用に関する経済諮問会議の議長に指名した。トランプ氏の大統領戦略・政策フォーラムには米電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズ(TSLA.O)のイーロン・マスクCEOや飲料大手ペプシコ(PEP.N)のインドラ・ヌーイCEOなど、先の大統領選でヒラリー・クリントン候補への支持を表明していた経営トップが含まれており、人選の幅はかなり広い。

しかしトランプ氏の政権移行チームは既に次期政権の閣僚に企業のCEOや富豪を何人も指名している。こうした閣僚候補は少なくとも議会上院で厳しい質問を受ける。また利益相反を禁じた連邦法に従わざるを得ない。

一方、アイカーン氏など大統領特別顧問はこうした規制に従う必要はなく、政策決定過程における役割が曖昧だ。トランプ氏の政権移行チームは特別顧問の役割について適切な監視と透明性の確保を約束している。それでもトランプ氏は利益相反規則は自分自身には適用されないと説明している上、事業の大統領職務からの切り離しも遅れており、信頼を寄せるのは難しい。

●背景となるニュース

・トランプ次期米大統領は21日、規制改革に関する大統領特別顧問に「物言う投資家」のカール・アイカーン氏を指名した。アイカーン氏は個人的な立場で活動し、連邦政府の職員にはならず、政府と特別な雇用関係も結ばない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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[経世済民117] 2016年のドル円を動かした人物トップ10 復活株価、トランプ相場ではなく、債券バブル崩壊 この一言で振り返る2016年
コラム:
2016年のドル円を動かした人物トップ10

植野大作三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト

[東京 26日] - 2016年のドル円相場は「申酉(さるとり)騒ぐ」の格言通り、大きく荒れた。序盤から終盤にかけて激しく変わるドル円相場の局面変化を、全て完璧に読み切れた関係者は恐らく皆無だろう。

毎年この時期には世間で「今年の10大ニュース」の発表が相次ぐ。2017年のドル円相場を展望するに際し、「温故知新」はポイント整理に役立つ。以下、「2016年のドル円相場に影響を与えた人物トップ10」を筆者の主観で選んでみたい。

●第1位=トランプ次期米大統領

米大統領選挙期間中は、過激な言動で市場を不安に陥れたが、11月の本選で勝った直後に立派な勝利演説を行い、米金利上昇・株高・ドル高の「トランプ相場」を加速させた。11月9日の安値101.20円から12月15日の高値118.66円まで約5週間でドルは17.46円も急騰した。

米国でトランプ政権が発足するのは2017年1月20日であり、選挙中の公約だった大型減税・公共投資の具体像が明らかでない段階での「トランプラリー」は期待先行の感が否めない。だが、「年収1ドルで働く」と宣言した「ビジネスマン大統領」の強い旗振りの下、米国経済の足腰が強化されるとの期待も強く、4年間の任期中の政策運営が注目されている。

●第2位=キャメロン前英国首相

「首相の火遊び」と揶揄(やゆ)された国民投票を6月23日に実施、「欧州連合(EU)離脱」という驚愕の民意を引き出した。翌24日の東京市場でドル円相場は早朝に記録した106.84円の高値から約5時間半で7.32%も暴落して一時99.02円と今年最安値を記録した。1日のドル円の下落率としては、1998年秋の「LTCMショック」で計測された9.36%に次ぐ大記録だ。

英国民投票の結果を受けてポンド安が加速する中、市場のリスク探知機の針が振り切れたことで、ポンドドル市場経由のドル高圧力よりも、ポンド円市場経由の円高圧力が強くドル円市場に伝染した。

●第3位=肖鋼・中国証券監督管理委員会前委員長と周小川・中国人民銀行総裁

肖鋼・前委員長は、年明け早々の中国株暴落に対して逆効果になった「株売買の停止」「サーキットブレーカーの導入」「大株主の売却制限」などの対策を次々実施して市場を混乱させた後、2月下旬に辞任した。

ほぼ同時に加速した元安が、中国からの資本逃避懸念を増幅したため、当時は人民銀がドル元レートの基準値を元安方向に設定するたびに市場のリスク許容度が萎縮、「リスク回避の円高圧力」が強まった。

2016年前半に加速した強烈な株安・円高局面では、いわゆる「チャイナリスク」への懸念が猛威を振るい、その後の英国民投票でドル円が2年7カ月ぶりの99円台に突入する素地が作られた。

●第5位=イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長

2016年最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)までの間は利上げを我慢したが、12月に満を持して1年ぶりの利上げに踏み切った。

0.25%の利上げは、市場の予想通りだったが、同時に提出された政策金利見通し(ドットチャート)で2017年中の利上げ回数が「2回」から「3回」に上方修正されていたほか、これまで下方修正の連続だった「長期の政策金利」見通しが引き上げられたことが「トランプラリー」を助長した。

FOMC後の会見でイエレン議長は「財政刺激は完全雇用の達成には必要でない」などと発言しており、2017年春頃に始まる米予算協議をにらみながらの金融政策の操舵が注目されている。

●第6位=黒田東彦日銀総裁

1月に導入したマイナス金利の評判が悪く、円安効果はわずか3日で切れた。その後、7月の会合で次回までに「総括的な検証」を行うと宣言、十人十色の詮索トークを刺激した。

9月に導入された「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」に追加緩和策は含まれておらず、当初は「金融緩和の限界論」を助長したが、金融政策の主役を「金利」に戻したことの効果が後に現れ、米大統領選後に加速した米長期金利の急騰局面での「円の弱さ」を際立たせた。

なお、市場では賛否両論が渦巻いているが、7月に導入した年6兆円の上場投資信託(ETF)の爆買い政策は、その後の日本株を下支え、市場のリスク許容度改善効果を通じて円安に寄与したと指摘する声もある。

●第7位=ムハンマド・サウジアラビア副皇太子とプーチン・ロシア大統領

2016年前半の円高局面では、「原油価格の下落」も市場のリスク許容度を萎縮させた。2月に原油が26ドル台で底打ちする頃までは、ムハンマド副皇太子がイランを含まぬ減産に難色を示し、原油価格は軟調地合いが続いた。

だが、原油が30ドルを割り込むとサウジとロシアの痩せ我慢が限界に達して水面下の協議が活発化、10月にプーチン・ロシア大統領が「石油輸出国機構(OPEC)に協力する用意がある」と述べたことで価格の安定感が増した。

その後、11月のOPEC総会で8年ぶりの減産合意が成立、12月には15年ぶりにロシアなどの非加盟国も含んだ合意が成立、原油底割れ懸念の後退がドル円やクロス円を巻き込んだ円の全面安に寄与した。

●第9位=安倍晋三首相

7月の参院選で勝利した直後に経済対策を指示、官邸で「ヘリコプター・ベン」ことバーナンキ前FRB議長と会ったことで、一部海外勢にヘリコプターマネー政策の準備を想起させた。

参院選前の100.0円から21日の107.49円まで、わずか9営業日で7.49円もの円安が加速したが、その後は政治的配慮による経済対策額の水増しが判明、半月後の8月中旬には一時99.54円と、逆に7.95円もの円高が進んで市場関係者の夏バテが増幅した。

他方、外交面では歴史的な活躍が目立ち、米大統領選で勝利したトランプ氏の自宅を10日後に訪問したほか、5月に広島を訪れたオバマ米大統領への返礼も兼ねて12月に真珠湾を訪問する。一連の対米外交が成果をあげ、今後の日米両国関係の安定に寄与することが期待されている。

●第10位=コミー米連邦捜査局(FBI)長官

米大統領選の11日前にクリントン民主党候補の国務長官時代のメール問題に関する捜査再開を突然発表、同氏の楽勝ムードを一気に消したが、投開票の2日前になって今度は「訴追を求めず」との判断を示して選挙戦を混乱させた。

コミー長官の行動が選挙結果にどれほど影響したかは不明だが、敗戦から5日後にクリントン氏は同長官の書簡が「選挙戦に大きな打撃を与えた」との見方を示している。米大統領選挙後の強烈な「トランプラリー」を見るにつけ、「もしもコミー長官の判断迷走がなかったら、今頃どうなっていたのだろうか」との感慨を禁じ得ない。「トランプ相場」の影の立役者として、末尾に挙げておきたい。

以上、筆者が選んだ「2016年のドル円相場に影響を与えた人物トップ10」だ。諸々異論はあるだろうが、恐らく1位については衆目が一致しているのではなかろうか。

冒頭で触れた通り、2017年は「さるとり騒ぐ」2年間の後半戦に突入する。最大の注目テーマはやはり「トランプノミクス」の成否になりそうだが、2016年1年を振り返っても、為替相場はどこに地雷が埋まっているか分からない。

2017年3月までに行うとメイ英首相が宣言している対EU離脱通告後の条件協議の行方、トランプ米新政権発足後の米中関係と中国発の世界景気悪化懸念の当否、主要産油国による減産合意の遵守状況などにも引き続き細心の注意が必要だろう。

相場を騒然とさせる「とり年」の霊力が、円高・円安どちらに宿るのか、予断を許さぬ1年になりそうだ。

*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。


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http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-daisaku-ueno-idJPKBN14F0HV?sp=true


 


http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/122100074/

 

この復活株価は歪んでいないか

記者の眼

2016年12月27日(火)
田村 賢司
 「申酉(さるとり)騒ぐ」の相場格言通り派手な動きとなった2016年・申年の株式市場。1月4日、日経平均・1万8451円で始まった市場は6月24日には1万4952円まで下落したが、11月8日の米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選すると、トレンドは上昇に傾き、12月22日には1万9428円に戻した。2万円も目の前で、トランプ相場が始まった当初、「2017年半ばにも2万円」(大手証券会社のストラテジスト)としていた予想を遙かに早く達成しそうな雰囲気になってきた。

 だが、この株価上昇は本当に慶賀すべきものなのか。背景を眺めてみると、そこに懸念も浮かぶ。


(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
トランプ相場ではなく、債券バブルの崩壊

 足元に限ってみれば、株価上昇のきっかけがトランプ当選であることは言うまでもない。トランプ氏が選挙中に掲げた@10年間で1兆ドル(約117兆円)規模のインフラ投資、A法人税の最高税率を35%から15%に引き下げ、所得税も同39.6%から33%に減税する――といった大規模な財政政策が景気を押し上げると期待されたためだ。

 米経済は今、唯一の世界景気の機関車であり、その加熱は世界の株高を演出する。米景気上昇期待はドル高にもつながり、日本には円安ももたらして日経平均をさらに押し上げたという格好だ。

 しかし、さらに底流へ目を凝らしてみると、別の動きが浮かぶ。「長く続いた債券バブルの崩壊」(日本株ヘッジファンド、ベイビュー・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、佐久間康郎・執行役員)である。2008年秋のリーマンショックで景気が急落すると、日米欧中は財政出動や利下げなどの金融緩和に打って出た。日本の本格的金融緩和は遅れたが、2013年春の黒田バズーカを号砲に、これまでにない量的質的緩和に踏み込んだ。

 金利低下は債券価格の上昇であり、投資マネーはそのトレンドを目指して蕩々と流れ込んだ。ところが、その金利低下もここ2、3年、徐々に限界に近づいてきた。株価の変動幅が小さい銘柄に投資する最小分散型投資などが、市場の流行となったのはその1つの現れである。「金利低下が進みすぎ、儲けられなくなった債券投資資金の一部が、債券代替(債券に似た安定性のある)投資を目指して『最小分散型』に向かった」(佐久間氏)のである。

 金融緩和→債券市場へ一段と資金流入→金利低下進行→債券代替投資という流れだ。トランプ当選以後の株価上昇は、世界で既に限界まで来ていた金利低下に耐えられなくなった債券マネーが、いよいよ本格的的に株式市場に流れ込み始めたというわけだ。

 俯瞰して捉えれば、中央銀行の緩和政策の咎めとも言えそうだが、日本についてみれば、日銀の金融緩和がもたらす株価の歪みはさらに広がっているように思える。

ETFのTOPIX型買い入れ増が新たな歪みもたらす

 例えば、日銀が質的緩和の一環で実施しているETF(上場投資信託)の買い入れ。2013年4月の量的質的緩和開始から1兆円(年間)の購入を始めた。これを2014年10月に3兆円に増やし、さらに2016年7月から6兆円に積み増した。

 日経平均やTOPIX、JPX400という株価指数に連動するETFを購入するわけだが、結果として個別銘柄の株式を買うことになり、その株価を押し上げる効果を生んだ。

 これを2016年9月末までは、日経平均連動型ETFを全体の約5割、TOPIX型を約4割といった比率で買っていたため、日経平均の組み入れ銘柄で、構成比率の高い企業ほど株価が上がりやすくなるという歪みが生じた。

 このため10月からは、時価総額比で東京証券取引所1部銘柄を買い入れるTOPIX型を全体の約7割に増やし、日経平均型は約3割弱に落とした。買い入れ額が増えている上に、それが全銘柄に行き渡るようになったわけだ。

 これが再び歪みをもたらすこととなった。特に普段、売買の少ない中小型株に、その影響が出た。下のランキングは、ETFの買い入れルールを変更する直前の2016年9月20日から1カ月間の株価上昇率を見たものだ。

株価上昇の原因に日銀の買いがあるのか…
ETF買い入れ方式変更以降の株価上昇率上位銘柄
順位 銘柄名 株価騰落率
1 ホクシン 73.4
2 ゲンキー 68.2
3 三栄建築設計 68.1
4 ソフトバンク・テクノロジー 61.1
5 古野電気 51.8
6 さが美 51.3
7 TDCソフトウェアエンジニアリ 50.6
8 本多通信工業 47.4
9 アデランス 45.8
10 ユアテック 43.8
11 蛇の目ミシン工業 40.1
12 巴川製紙所 40.0
13 東京機械製作所 37.5
14 日本鋳鉄管 36.6
15 薬王堂 33.7
注:9/20終値から10/28終値までの騰落率をみた。対象は時価総額500億円以下、東証1部上場企業
出所:ニッセイ基礎研究所の資料を基に本誌作成
 新ルールに移行した9月末か10月初めに株価が急騰しているものが多い。例えば、1位のホクシンも10月初めから株価が急騰している。

9月下旬から一気に上昇したホクシンの株価推移
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/122600381/02.png

 ただし、株価上昇に理由があればいい。しかし、業績も停滞し、当面復活の見通しもないままの企業でも株価が上昇しているとなると、首をかしげざるを得ない。例えば、9月20日から1カ月間で株価が約29%上昇したティアック。同社は2016年3月期まで4期連続の最終赤字。今期は205億円の売上高に対してわずか5000万円の最終黒字を見込んでいるが、中核の音響機器事業の復活感はなく、コスト削減でようやく浮上した格好だ。

最後は投資家にも影響していく

 業績回復を伴わない株価上昇は、企業のガバナンスに影響を及ぼす。「経営に対する評価である株価が、改善もないままに上昇することになる」(ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井手真吾氏)からだ。

 当然これは投資家にも影響する。例えば、9月20日からの1カ月間で株価が9.7%上昇したミツミ電機。同社も2016年3月期までの5年の内、3期が最終赤字で、今2017年3月期も95億円の同赤字見込みとなっている。それでいて株価は2016年10月以降も上昇を続け、12月下旬には年初来高値を記録した。

業績不振の中、株価は上がるミツミ電機の株価推移
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/122600381/03.png

 同社はミネベアと2017年1月末、株式交換で経営統合することで合意しているが、思わぬ株価上昇はそこに影響する。当然ながら、買収側のミネベア株主は交換比率で不利になる。

 日銀の黒田東彦総裁は、12月の金融政策決定会合後の記者会見で「ETFの買い入れ額を減らすつもりはない」と言明した。株式市場の株価をどう評価すればいいのか。さらに難しくなっていく。


このコラムについて

記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/122600381/?ST=print
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/213.html

[経世済民117] 今年の漢字「金」をめぐるバカの壁 一言で振返る2016 東電と東ガス、ガス対決 年齢と変わる時間価値  一流の2つのコツ
今年の漢字「金」をめぐるバカの壁

河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

「カネ」と「仕事の価値」は二者択一なのか???
2016年12月27日(火)
河合 薫

 またもや一年が終わる。

 2016年はどんな年だったのか?世の中はどんな空気だったか?

 今回が今年最後のコラムとなるのでアレコレ脳内検索をかけるのだが、どうにも上手くいかない。訪れた企業、フィールドインタビューに協力してくれた人たち……、さまざまなリアルが脳内HDDに詰まりまくっているはずなのだが、玉石混交すぎて整理がつかない。

 ……いや、違う。年々一年が早くなるのと並行して、物忘れのスピードも早くなっていて思い出せないのだな、きっと。

 ふむ。困ったことだ。

 そこで今年一年(正確には先週までのデータですが)、「もっとも読まれたコラム」と「もっともコメントの多かったコラム」をダダ〜ッと調べ(といっても作業は担当編集のY田氏に頼みました)、2016年をアレコレ考えてみようと思います。

 では、早速各々のトップ3から。

【アクセス上位3本】

1位 残念…「たった940万」と年収さらした京大教授(4月12日掲載)

2位 悪法「契約3年ルール」で増える“会社の自殺”(1月12日掲載)

3位 自称「非・負け組」50代を襲う下流老人の恐怖(7月26日掲載)

【コメント数上位3本】

1位 残念…「たった940万」と年収さらした京大教授(4月12日掲載)

2位 「外国人歓迎」と言いつつ鎖国続ける嘘つき日本(12月13日掲載)

3位 「女性活用はもういい」始まったオジサンの逆襲(11月1日掲載)

 さて、この結果、いかがでしょう?あなたが読んだコラム、コメントしたコラムはランクインしていましたか?

 いきなりみなさんに振ってどうする?って感じではありますが、今年もたくさん読んでいただき心から感謝いたします。種々雑多、罵詈雑言、のコメントの数々、ありがとうございました(苦笑)。

 先にコメントに関して、私の“言い分”を述べておきます。

 ご存知のとおり本コラムには毎回コメントが山ほどつく。それを私は読んでいるのかって?

 はい、ちゃんと読んでおります。

 「内容によっては凹んじゃいますから、必ずしも隅から隅まで読む必要ないですよ〜」と、周りから何度も言われてきたけど、……私はぜ〜んぶ隅々まで読んでおります!

「社会学を生業にするモノ、“M”じゃなきゃ」

 といっても、そんなに出来た人間ではないので、“脳内ライオン”が「チッ、ちゃんと読めっつーの!」と大暴れしたり、「うううう〜〜」と落ち込んだり、毎度毎度激しく反応しています!

 しかしながら、基本的には賛同、共感、否定、罵倒、上から目線、感謝コメントetc etc……すべて大歓迎。ウソでも、やせ我慢でも、ございません。本心です。

 いただいたコメントをコラム執筆の手がかりにすることもあるし、
「こういうコメントを書く人は、どういう方なんだろう?」
と妄想することで、それまで気にならなかった問題に注意を払うこともできる。

 それに……、応援コメントには何度も何度も救われてきました。おそらく送ってくださった方が想像する以上に、私は救われています。

 「書いてよかった」と勇気が出ることもあれば、「また、がんばろう」と涙することもある。いかなるネガティブな感情も、応援コメントのおかげですべてが前に進むエネルギーに変換されます。

 なので、この場を借りてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 そもそも健康社会学とは、その名のとおり「社会学」。
 社会学を生業にするモノ、“M”じゃなきゃ、と思うわけです。

 すべての社会問題はその人の社会における立ち位置、その人を取り囲む環境、付き合う人や人生経験によって大きく見え方が変わります。

 人の数だけ“社会の窓 ”はある。だから「私の窓からはこんな風に見えまっせ」的なコメントが寄せられて当たり前なのです。

 社会学は「さまざまな線を結び付けながら輪郭を捉える」学問であるべきだし、その作業を怠った途端、“人”を置き去りにされた文章しか綴れなくなる。

 因果な商売だが研究者の端くれとして、

「研究者に求められるのは、研究への真摯な姿勢であり、絶対に役に立つという覚悟であり、世間の厳しいまなざしに耐える忍耐力だ」(アクセス数1位だったコラム「残念…「たった940万」と年収さらした京大教授」からの引用です!)

と自分にいつも言い聞かせているので、来年も忌憚ないコメントを期待しております。

 では、本題に戻ろう。

 上記のランキングから2016年のキーワードを、ある程度読み解くことができる。
「非正規」「正社員」「勝ち組」「負け組」「男性」「女性」……、そして「カネ」といったところだろうか。

 とりわけ「カネ」は、今年を代表するキーワードだった。同一労働同一賃金、最低賃金、サービス残業、年金、社会保障費といったワードは度々メディアで取り上げられ、いっこうに上がらない賃金、縮まらない格差にため息をついた人も多かった。

 なので「残念…「たった940万」と年収さらした京大教授」という、覗き趣味的かつ、「京大教授」という自他ともに認める“エリート”が登場するネタが、アクセス、コメントともにトップだったのは然るべき結果といえるのではないだろうか。

 で、今一度これらのコラムとコメントを読み返し、私はえらく混乱した。

 仕事ってナンなのだろう?
 お金ってナニ?と。

 その都度自分の中では答えを考え、文章を綴っていたはずなのに。読み返せば読み返すほど、わけがわからなくなってしまったのだ。

「彼の言葉を聞き、救われた気分になった」

 そこで思い出したのが、現役の介護福祉士の方が映し出された一本の動画(こちらでご覧ください)だ。

 これはTBSの「論客芸能人と一般ゲストが、社会問題をホンネでバトルすることでリアルなニッポンの“今”を映し出す情報バラエティ(番組HPより)」で、8月にオンエアされた放送の中の1シーンである。このときのテーマは「介護」だった。

吉田敬さん(ブラックマヨネーズ):「(介護福祉士の男性に)どういうモチベーションで仕事してるんですか?」

男性:「介護の仕事って、どういうイメージだと思いますか?」

吉田:「お風呂に入れたり、パンツを替えたりとか……」

男性「そこが介護の一般的なイメージですが、あくまでそれは生活の一部です」

 介護福祉士の男性はこう答えると、次のようにコメントした。

「介護の仕事は、(高齢者の方が)自分の人生を最後まで自分らしく生きる為に何をするべきか、どうやって死んでいきたいか、どういう姿で最後を迎えたいか、ご本人の思いとご家族の思いを実現するために、お風呂のお手伝いやリハビリのお手伝いをするものです。

 たとえば『お孫さんとディスニーランドに行きたい』と願っていたら、自分たちがケアスタッフとして何ができるか?を考えるんです。

 ディズニーランドまで車で一時間くらいかかるから、車に座っていられるようにリハビリがんばりましょうね、と。

 介護や福祉の仕事をしている方々は、そうやって一人ひとりの思いが実現できるように考え、行動するというモチベーションを持って働いています」

 このコメントを聞いたMCの坂上忍さんは、さらにこう質問した。
「介護っていう問題の最優先事項って、何なんですか?」と。
 すると、

「介護はお風呂に入れたりっていうの(がイメージになっているので)……、イメージチェンジをはっきりしないといけないと思います。

 例えば、給料上げて人が入ってくるかというと、そんなに入ってこない。介護の仕事にはこういう価値があるんだよ、と現場で働いて人が感じていることを、世の中に出していかないと。そういうのが必要だと思うんです」

 こう答えたのである。

 男性の“予想外”のコメントで、スタジオの空気は一変した。そして、おそらく見ている人も同じだった。

 この場面は瞬く間に拡散され、私もたくさんの人たちがシェアしたことで知った。私は何度も何度も彼のコメント聞き返し、エラくホッとしたことを記憶している。

 一昨年父を看取り1人になった母の数年後を案じる“娘”として、
「本人の思いとご家族の思いを実現するために、お手伝いをする」
という言葉に、安堵したのだ。

 で、今回。改めて彼の言葉を聞き、救われた気分になった。

 今まで私が考えてきたことは間違ってなかった、と。先のコラムを読み返し頭の中にかかったモヤが、いっきに晴れたのである。

 「労働」はちゃんとやって、初めて「善」となる

 男性の発言には彼の人柄が感じられたし、賃金を超える誇りある仕事をしようとする意志がある。

 仕事の価値を決めるのは、「カネ」じゃない。カネをたくさん稼いでる人が価値あるわけじゃない。

 もちろん介護士や保育士さんの賃金の低さは許容範囲を超えているので、是正すべき問題である。そのことはこれまでにも散々取り上げてきた。非正規と正社員の格差も突きつめていけば、根っこには同様の問題が潜む。

 件の介護士の男性だって「人手が足りない→だったら賃金を上げよう!」という考え方に異を唱えているだけであって、「今の低賃金のままでいい」とは一言も言っていない。

 彼だって「介護士の給料は低すぎる」って思っているだろうし、「もっと給料を上げて欲しい」と願っているに違いない。

 それでも33歳の介護士の男性は、お風呂に入れたり、パンツを替えたりする日常の“作業”に、“自分にしかできない仕事”を見つけた。

 日々工夫し、高齢者と“人”として向き合い、その関わりの中で編まれていく関係性のストリーが彼に喜びをもたらした。だからこそ、先のコメントを堂々と言えたのだ。

「労働はそれだけで善であり、男も女も働くという行為のおかげで、よりすぐれた人物になる」――。

 これは米国の第37代大統領リチャード・M・ニクソンが「労働記念日(Labors Day)」に残したメッセージだが、私の考えはちょっとだけ異なる。

 「労働」はちゃんとやって、初めて「善」となる。「立派な仕事をしようとする心」があって初めて「よりすぐれた人物」になる。まさしく件の男性のように、だ。

 一方、その作業を怠った人が「自分の所属する集団の評価=自分の評価」と勘違いし、「市場経済の価値(カネ)=人間の価値」と判断する。

 そして、「私、こんなに“エリート”なのに、これだけしか貰えないなんて信じられます?」なんてことをしゃあしゃあと言ってのけるのである。

「伝わらない人には、どうやっても伝わらないということか」

 しかもやっかいなことに、そういう人ほど、介護士の彼の言っていることや私がこうやって取り上げることを否定する。

「仕事の価値はカネじゃないと言うのなら、介護士は低賃金でいいということか?」だの、
「だったらアナタがやってみればいい」だの、
「そんな建前や理想論でできるほど介護の仕事は甘くない」だの、
アレコレ言う。

 “バカの壁”(by 養老孟司先生)。うん、バカの壁だ。
「市場経済の価値(カネ)=人間の価値」と妄信している人には、
「賃金を超える誇りある仕事をしようとする意志」がわからない。

 「カネ」と「仕事の価値」は二者択一なのか???
 伝わらない人には、どうやっても伝わらないのである。
 伝わらない人からすれば、私は“バカ”なのだろう。

 話を戻そう。現代社会では、誇りある仕事をしようとする“意志”を持つのが難しいのも、また事実。“人”がないがしろにされた環境がはびこっていて、心のしなやかさが奪われがちなのだ。

 「有意味感(sense of meaningfulness)」―――。

 これはコラムでも何度も書いてきた「SOC(sense of coherence)」を構成する要素の1つで、「あなたは大切だ」という価値あるメッセージを繰り返し受け取り、実感することで養われる。

 1人の人間として尊重される質のいい職場では、何らかの形で価値あるメッセージを受け取ることが可能で、それがきっかけとなり仕事に意味を見出すことができる。

 その仕事が好きとか嫌いとか、自分に合っているとか合っていないとかは関係ない。有意味感が高いと一見、面白みのない仕事でも、厳しい仕事であっても、その中に魅力を発見し価値を高められる。

 それが働く喜びとなり「困難は自分への挑戦で、立ち向かっていくことに意味がある」と考え、前向きに対処できる。そうなのだ。ストレスの雨に対峙する傘を引き出すためのモチベーション要因となるのが、有意味感という感覚なのだ。

 おそらく件の介護士の男性の職場は、「人を大切にする」職場。おそらくきっと。うん間違いない。だからこそ、彼は「人らしく」振る舞えているのだと思う。

 今の日本に、そういう会社がいかほどあるだろうか?あなたの職場では、男性のような社員を生み出す“装置”を大切にしているだろうか? 

 2017年は、そういう会社が増えるだろうか?増えて欲しい。いや、増やさなきゃ。そのためのコラムをまた、書き綴っていきます。2017年もまた、よろしくお願いいたします!

悩める40代~50代のためのメルマガ「デキる男は尻がイイ−河合薫の『社会の窓』」(毎週水曜日配信・月額500円初月無料!)を創刊しました!どんな質問でも絶対に回答するQ&A、健康社会学のSOC概念など、知と恥の情報満載です。

このコラムについて

河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/122500084/


 

「この一言」で振り返る激動の2016年

上野泰也のエコノミック・ソナー

反グローバル化、マイナス金利…
2016年12月27日(火)
上野 泰也
 日銀のマイナス金利導入、「反グローバル化のうねり」が噴出した英国の国民投票(EU離脱派勝利)、米国の大統領選におけるトランプ候補勝利など──。

 さまざまなイベントで揺さぶられ続けた、2016年という年を、内外の要人発言をもとに回顧したい。

2016年の金融資本市場では大きなイベントが相次いだが、中でも1月29日、日銀が「マイナス金利」の導入を決めたことは驚きをもって受け止められた。(写真:Bloomberg/Getty Images)
2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため

【1月】
黒田東彦 日銀総裁
「本日の決定会合では、2%の『物価安定の目標』をできるだけ早期に実現するため、『マイナス金利付き量的・質的金融緩和』を導入することを賛成多数で決定しました。これまでの『量』と『質』に『マイナス金利』という金利面での緩和オプションを追加し、いわば3つの次元のすべてにおいて、追加緩和が可能なスキームとなります」
(1月29日 金融政策決定会合終了後の記者会見)

(上野コメント)
〜 日銀は1月の金融政策決定会合で、スイスやユーロ圏などに先行事例があるマイナス金利を導入。2月16日から日銀当座預金残高のうち「政策金利残高」に▲0.1%を適用した。だが、この政策は、銀行や生命保険会社など民間金融機関の収益を突然強く圧迫するなどの弊害・副作用を伴った。そうした問題意識が徐々に高まり、金融庁からも日銀に対して懸念表明がなされたと一部で報じられる中、日銀は金融政策の枠組みを9月に修正し、超長期ゾーンを中心とする過度の金利低下を是正する方針に転じた。

答えられない、私たちにも分からないからだ

【2月】
スタンレー・フィッシャー 米連邦準備理事会(FRB)副議長
「(追加利上げペースは)答えられない。私たちにも分からないからだ」
(2月1日 ニューヨークで開催された会合で)

(上野コメント)
〜 タカ派とみられているフィッシャー副議長の発言がトーンダウンした。連邦公開市場委員会(FOMC)が予測する今年4回の利上げは「決まっているわけではない」、国際情勢の米国経済への影響は「現時点で判断するのは困難だ」とした上で、「一段の原油安とドル高によって、想定以上に低インフレが長引く可能性がある」と予想。それまでの想定よりも追加利上げのペースが遅くなるという見方をにじませた。2015年12月に最初の利上げが行われた後、市場では3月や6月といった早いタイミングで追加利上げがあるのではという見方が出ていたが、実際には12月までずれ込むことになった。しかも、「トランプラリー」という予想外の追い風ゆえの、インターバルが1年と長くなった追加利上げである。

不安心理を増幅させた

【3月】
三村明夫 日本商工会議所会頭
「(日銀のマイナス金利は)消費、設備投資など実体経済にこれまでのところ限定的な効果しか与えておらず、銀行の収益悪化を含めた金融システムへの副作用が大きいとの不安心理を増幅させた」
(3月28日 共同通信きさらぎ会で講演)

(上野コメント)
〜 日銀が導入したマイナス金利の景気・物価刺激効果について、産業界には懐疑的なムードが漂った。主要財界団体の1つのトップはマイナス金利に対して、厳しい評価を下した。

大きな過ちを犯すことがないよう

【4月】
ジャネット・イエレン 米連邦準備理事会(FRB)議長
「大きな過ちを犯すことがないよう、リスク管理的なアプローチ(a risk-management approach)を採用することが合理的であり、私が慎重なアプローチ(a cautious approach)を好む理由の1つだ」
(4月13日に公表された米誌「タイム」インタビュー)

(上野コメント)
〜 金融政策の非対称性(利上げ余地が無限大である一方、利下げ余地が乏しいこと)や、海外経済環境の不透明さゆえに、イエレン議長を中心とするFRB指導部はリスク管理(リスクマネジメント)の手法にのっとり、追加利上げには慎重な姿勢を、11月までとり続けた。


学者出身のイエレン氏は慎重で生真面目な性格で知られる。イエレン氏が1期4年の任期を終えるのは2018年2月だが、次期米大統領のトランプ氏は大統領選の過程で、イエレン氏の再任を認めない考えを示してきた。(写真:Alex Wong/Getty Images)
両方で言い合ってもあまり意味がない

【5月】
麻生太郎 財務相
「(日米が為替相場について)両方で言い合ってもあまり意味がない。両国間の不協和音を演出されるのは迷惑な話だ」
(5月24日 参院財政金融委員会)

(上野コメント)
〜 米国のルー財務長官は、為替相場の急激な変動を落ち着かせる狙いの介入(スムージングオペ)についてもハードルがかなり高いことを断続的ににおわせて、日本の通貨当局が円売りドル買い介入を行わないよう、けん制を続けた。仙台で5月20〜21日に開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議の場でも、為替介入の前提条件を巡る日米間の溝は埋まらなかった。麻生財務相は「各国から見ると違う意見が出てくるのは当然」「結果としてさらにあおったり、増幅したりしていくことは避けたい」とも述べて、事を荒立てたくない姿勢を示した。

残留に投票しよう

【6月】
デービッド・キャメロン 英首相(当時)
「より大きく、より良い英国のため、残留に投票しよう」
(6月22日 EU残留・離脱を問う国民投票を翌日に控える中で、有権者に訴え)

(上野コメント)
〜 「反グローバル化のうねり」が一気に表面化した政治イベントが、英国の国民投票におけるEU離脱派の勝利(「ブレグジット」)である。キャメロン氏に代わり首相に就任したメイ氏が、EU離脱に向けた具体的な手続き・交渉を2017年から進めることになる。

国民から力強い信任を頂いた

【7月@】
安倍晋三 首相
「アベノミクスを一層加速せよと、国民から力強い信任を頂いた」
(7月11日 参院選終了をうけて自民党本部で記者会見)

(上野コメント)
〜 首相は翌7月12日、景気下支えのための総合的な経済対策を策定するよう関係閣僚に指示した。参院選で争点になった10%への消費税率引き上げ再延期では、安倍首相がその理由を6月1日に説明する際に「リーマンショック級や大震災級の事態は起きていない。再延期の判断はこれまでの約束とは異なる新しい判断だ」と述べた中の「新しい判断」という言い回しが、人々の間で話題になった。

アメリカ・ファーストだ

【7月A】
ドナルド・トランプ 共和党大統領候補(当時)
「われわれがやろうとしているのはアメリカ・ファースト(米国第一)だ。グローバリズムでなく、アメリカニズム(米国主義)が信条になる」
(7月21日 共和党全国大会で大統領候補指名受諾演説)

(上野コメント)
〜 トランプ候補は過去40年で最長となる75分間の受諾演説で、「米国第一」主義をとるつもりだと何度も強調した。11月の選挙で勝利したトランプ氏が、2017年1月20日に大統領に就任した後、選挙戦で公約した保護主義的な政策をどこまで推し進めるか、要注目である。

大統領としての資質に欠けることを自ら証明している

【8月】
バラク・オバマ 米大統領
「(共和党のトランプ候補は)発言するたびに大統領としての資質に欠けることを自ら証明している」
(8月15日 マサチューセッツ州マーサズ・ビニヤード島でイベントに参加)

(上野コメント)
〜 米大統領選に関する世論調査では、クリントン候補がトランプ候補に対して優位に立っている時間帯がほとんどだった。共和党を支持する傾向があるはずの米紙ウォールストリートジャーナルは8月15日、トランプ氏は暴言などの問題が絶えない選挙活動の軌道を数週間以内に修正するか、撤退すべきだとする、厳しい論説を掲載した。だが、グローバル化への不満を蓄積した人々は、世論調査に正直に答えなかったり、既存のメディアによる報道を信用しなかったりという行動をとった。2017年に欧州で予定されている仏大統領選などの政治イベントを見ていく際、1つの教訓になる。

適切なイールドカーブを実現していく

【9月】
黒田東彦 日銀総裁
「現時点においては、現時点のイールドカーブは概ね妥当ではないかと考えています。80兆円という国債買入れをめどとして維持しています。しかし、将来こういったイールドカーブを実現するために必要な国債の額は、その時々の経済、物価あるいは金融情勢によって上下すると思いますので、あくまでも『イールドカーブ・コントロール』、『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』というフレームワークに則して、イールドカーブが最も適切な形になるように、国債の買入れを続けていきます。その場合には、柔軟にしかし幅広く国債を買って、適切なイールドカーブを実現していくということだと思います」
(9月21日 金融政策決定会合終了後の記者会見)

(上野コメント)
〜物価目標2%実現に向けた「短期決戦」に失敗した日銀は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を9月に導入して、「長期戦・持久戦対応」にスタンスを切り替えた。追加緩和は、よほどのことがない限り行われないということである。日本経済の実力や国民の物価観から考えて、物価目標2%は高すぎるが、為替への配慮に加え、「アベノミクス」にこの数字が組み込まれていることから、実現できない目標がこのまま掲げられ続ける見通しで、異次元緩和は事実上「エンドレス」になっている。そこからの「出口」としては、政治的な出口(安倍首相の次の首相による日銀のレジーム再チェンジ)くらいしか、現時点では想定することができない。

解散決定は否定されるものではない

【10月】
安倍晋三 首相
「こうした状況下でも、現行の公職選挙法等の規定の下での解散決定は否定されるものではない」(10月4日 衆院予算委員会)

(上野コメント)
〜 「私自身は全く(解散を)考えていない」としつつも、衆院小選挙区の区割り見直し前の解散は可能と、首相は明言した。衆院議員選挙区画定審議会は2017年5月27日までに小選挙区を「0増6減」する新たな区割り案を安倍首相に勧告する。この勧告に基づく公職選挙法改正案が通常国会で可決成立した後、新たな区割りが施行されるまでには1か月程度の周知期間が必要とされる。また、来年夏(おそらく6月)に、連立与党の公明党が重視する東京都議会選が行われる。公明党幹部は「来年3月には臨戦態勢に入る。2月までの衆院選なら許容できる」と述べたと、共同通信が報じている。さらに、2017年12月13日には現在の衆議院議員の任期満了まで1年となる。周知の通り、任期満了まで1年を切ると、首相の解散権が制約されて政治的求心力が落ちやすくなるので、通常はそれより前に解散総選挙が行われる。以上を踏まえて考えると、来年1年間のうち衆院の解散総選挙が実施される可能性があるのは、1〜2月、および秋以降(9〜12月)ということになる。いったんは自民党内で「1月27日解散・2月7日公示・19日投開票」「2月3日解散・14日公示・26日投開票」の日程案が浮上したと報じられた。だが、安倍首相が12月16日に「『解散』という言葉は私の頭の中で片隅にもない」と発言したことで、そうしたシナリオは消えたとみられている。衆院選は2017年秋以降にずれ込むようである。

全ての国民のための大統領になる

【11月】
ドナルド・トランプ 次期米大統領
「全ての国民のための大統領になる」「世界最強の国をつくる」
(11月9日未明 ニューヨーク市内で記者会見)

(上野コメント)
〜 トランプ氏はこのように述べつつ、大統領選の勝利宣言を行った。米国の次期政権の政策運営がどうなるかについては、経済・通商・為替政策など各方面で不透明感がきわめて強く、国際秩序の再構築からも目が離せない。日本の浅川財務官は次期政権の為替政策について、「(トランプ氏の)発言を聞くとドル高の良い面とそうでない面の両方の見方を持っているようで政権発足後の為替政策は読めない」と、11月24日に日経新聞朝刊に掲載されたインタビューで述べた。

引き続きイタリアの政治動向を注視する

【12月】
菅義偉 官房長官
「引き続きイタリアの政治動向を注視するとともに、(イタリアと)緊密に連携を作りながら協力していきたい」
(12月5日午前 記者会見)

(上野コメント)
〜 12月4日にイタリアで実施された国民投票では上院の権限を制約する憲法改正案が否決され、同国のレンツィ首相が辞意を表明した。2017年にG7議長国となるイタリアで首相が辞任し政治情勢が不安定化することの影響について、菅官房長官は、「G7中心にしっかりと連携を図りながら対応していきたい」と語った。だが、国民投票でのEU離脱決定をうけて辞任した英国のキャメロン首相(当時)に続き、「反グローバル化のうねり」に直面して身を引いたG7の首脳は、これで2人目である。2017年はドイツで総選挙、フランスで大統領選挙があるほか、イタリアの総選挙も前倒し実施される可能性がある。


このコラムについて

上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/122100074/


 


東電と東ガス、ガス小売りでも真っ向対決

ニュースを斬る

参入障壁の高い壁を越えれば業界再編にもつながる
2016年12月27日(火)
飯山 辰之介
 
 東京電力エナジーパートナーは12月26日、ガス小売り事業に参入すると発表した。日本瓦斯と組み、異業種が参入しやすい仕組みを作る考えだ。参入障壁の高さから躊躇していた異業種が参戦すれば、競争が活発化するかもしれない。  
 2017年4月に控えるガス小売りの自由化を前に、12月26日午後、東京電力グループで電力小売りを手がける東京電力エナジーパートナー(EP)と東京ガスがそれぞれ相次ぎ会見を開いた。

 東電EPは2017年7月にも家庭向けガス小売り事業に参入すると発表。自社で初年度に4万軒の顧客獲得を目指すと同時に、業務提携している日本瓦斯(ニチガス)とともに、ガス小売り事業のノウハウや設備を持たない異業種が小売りに参入しやすくなる仕組み(プラットフォーム)を提供する考えも明らかにした。これにより、ガス小売り市場の競争が活発になる可能性がある。


ガス小売り事業参入を発表する東京電力エナジーパートナーの小早川智明社長(右)と業務提携している日本瓦斯の和田眞治社長
 迎え撃つ東ガスの広瀬道明社長は同日、「東電、ニチガス連合は最大、最強の敵。だが、ガスは電気と異なり、料金だけでなく設備やサービス面の質も問われる。長年の蓄積のある我々を選んでくれるはず」と見せた。


東電・ニチガス連合を迎え撃つ東京ガスの広瀬道明社長
 設備やサービスが重要だと広瀬社長が指摘したように、ガス小売りへの参入障壁は電力以上に高い。そのため、このままでは電力、ガス会社以外のプレーヤーが市場に参入するのは難しいとされていた。実際、新電力をはじめとしてガス小売り事業への参入を検討する企業は少なくないが、その多くが障壁の高さに躊躇している。

 東電とニチガスがプラットフォーム運営に乗り出す理由がここにある。自社の設備や原料、事業運営ノウハウを公開して広く使えるようにすれにすれば、異業種から多くの企業を集められると見込む。これが実現すれば、両社はプラットフォーム利用料という安定的な収益基盤を確保できるわけだ。

高いガス小売りの参入障壁

 ガス事業への異業種参入を阻む障壁は複数あるが、なかでも解決が難しい課題が、都市ガス原料であるLNG(液化天然ガス)の調達と保管だ。東電と東ガスは自社のガス事業やガス火力発電向けにLNGを大規模調達しており、東京湾にLNG基地も数多く抱える。

 一方で、これからガス事業に参入しようとする異業種が、ゼロから天然ガス産出国や欧米のメジャー企業とLNG調達について取引し、大型のLNG基地を建設、運営するのはノウハウや設備投資の観点から現実的ではない。

 2016年4月に自由化した電力小売りでは、発電所を持たない異業種も参入できるよう、卸市場を通して新電力が必要とする電力を確保する仕組みが用意された。加えて経済産業省では新電力のシェア拡大を促すため、市場制度の拡充策も議論されている。

 ガス小売りでは、こうした卸市場が整備される見通しは当面はない。東ガスや東電が抱えるLNG基地を異業種が不利にならない条件で使えるようにすべきとの議論もあるが、具体的なルール作りは進んでいないため、実質的に他社が利用するのは難しい状況だ。

 課題はまだある。小売り事業者は顧客宅にある湯沸かし器やコンロなどガス機器の安全を確保しなければならず、保安業務が課せられることになる。これまで事業を独占してきた東ガスなど既存ガス会社以外のプレーヤーがこの保安業務を手がけるのは容易ではない。

自由化が号砲、進む業界再編

 東電EPとニチガスは早ければ2017年度中にも共同出資会社を設立し、都市ガスの供給から託送手続き、保安業務、機器のメンテナンス、そして業務システムまで、ガス小売り事業に必要な機能とノウハウを異業種に提供していく考えだ。「両社の機能を融合して、安定的に新規参入者にガス供給していきたい。あらゆる業種の参入を想定している」(東電EPの小早川智明社長)。ある新電力の関係者は「まだ詳細が分からないのでなんとも言えないが(導入について)前向きに検討したい」と話す。

 対する東ガスはLNGを卸供給している近隣の都市ガス業者者や他エリアの電力会社などとの連携を深める考えだ。「卸先事業者を中心にガスネット21という勉強会を開いていた。今後は勉強会にとどまらない協業を模索したい。束になってかからないと厳しい」と東ガスの広瀬社長は語る。さらに東電と中部電力が共同設立した世界最大のLNG調達会社JERAの事例に触れ、「今後は統合再編が進んでいくだろう。特に原料調達については規模の経済が働くはず、(JERAに対抗する)もう一つの柱になりたい」と話した。

 東電は福島第一原子力発電所の事故費用を賄うためにも、他社と積極的に連携しながら収益を確保することを国から求められている。電力小売りの東電EPとしては、ニチガスとの合弁会社設立や、プラットフォームを通した異業種との連携がこれに対する一つの答えになるだろう。一方、電力、ガスの垣根がなくなることで東ガスが他エリアの事業者を巻き込んだ再編の目になる可能性もある。来年のガス自由化を前に、各社の思惑が複雑に絡み合った合従連衡が活発化しそうだ。


このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/122600522/


 

年齢とともに変わる時間の価値

中鉢良治の「人在りて、想い有り」

2016年12月27日(火)
中鉢 良治

「ニュートンのリンゴ」の苗木を譲り受けた産総研のリンゴの木
 日本は世界一時間に正確な国だと言われている。飛行機や新幹線の出発が少しでも遅れようものなら、客室乗務員が丁寧にお詫びのアナウンスをする。日本人は時間が好きな国民なのかも知れないが、西洋にも「Time is money.(時は金なり)」ということわざがある。時間は二度と取り戻すことのできない貴重なものであるという認識は洋の東西を問わず共通である。ヨーロッパ赴任の長かった上司の口ぐせが「タイム・イズ・もうねェ」だったことを思い出す。

 日常当たり前のように使っている「時間」だが、その概念は人により、また使われ方により様々である。物理的な時間を考えると、日時計や水時計、砂時計の時代から、振子時計となった近代まで、時は一定の間隔で刻まれているものと考えられてきた。人類が秒のレベルで時間を意識した当時、その基準は地球の自転、すなわち「1日=8万6400秒」を基にしていた。地球を、その一回転が決して狂うことの無いコマに見立てたのである。ところがこのコマ、案外気まぐれで季節変動があることが分かり、1956年には地球の公転に基づく定義に変更されている(1年=31556925.9747秒)。その後さらに高い精度を出せる原子時計の研究が進み、1967年にはセシウム原子の固有振動の周期に基づく秒の定義になって今日に到っている。

 つまり時間の決定は、望遠鏡を覗く天文学者から、原子の振動という振り子を得た物理学者の手に委ねられたという訳である。同時に我々は自然の揺らぎに身を任せるので無く、機械が刻む時刻で身を律することを選んだということになる。ニュートンは何にも影響されない天体運動の調和から時間を読み解いたのだが、その一方で物理学者は出来る限り精密に「等間隔」な時間を計測しようと努力を重ねており、その努力は今日も続いている。セシウム原子時計の精度は発明当時(1955年)100年に対して1秒相当だったが、今日では数千万年に対して1秒というレベルにまで至っている。それでも時間に関わる物理学者たちは歩みを止めることはない。

 世界の物理学者がしのぎを削る舞台で今、300億年に対して最大でも1秒しか狂わないという究極の原子時計が日本から生まれようとしている。これは香取秀俊教授(東京大学)の提唱する光格子時計というもので、いわば原子を光で作ったゆりかご(格子)で支えることで、振り子としての原子のゆらぎを劇的に少なくする、という技術である。その実現には多くの日本の研究所が関わっている。産業技術総合研究所もその一つである。宇宙の創成から現在まで138億年と言われているので、この間連続して時計を動かしたとしても1秒も狂わないというものである。

 少し堅い話が続いて恐縮だが、これほどの精度になると、アインシュタインの相対性理論が唱える時空のゆがみの影響を、日常世界で観測できるようになる。一般相対性理論によれば、重力が強いほど時間はゆっくりと進むと言われている。地上の重力の大きさは、標高や周囲の地形、地下の構造などの影響を受ける。超精密時計があれば、地上で僅か1センチメートルの高さに相当する重力ポテンシャルの変化でも、時間の差として測れることになる。例えば建物の1階(重力が強く時間がゆっくりと進む)と2階(重力が弱く時間が速く進む)では、時計の進み方が違うことを、比較的容易に観測できてしまうというのである。

 また、ある地点の重力の大きさが分かれば、逆にその地点の地球の内部構造を推測することもできる。産総研の研究者はこのような究極の時計を安定して稼働させ、世界共通の標準時である「協定世界時」に反映させるべく技術開発に取り組んでいる。その暁には、セシウム原子の固有振動の周期に基づく現在の秒の定義も、見直されると予想されている。


協定世界時の決定に貢献する産総研の原子時計システム
人によって異なる時間の感じ方

 こうした精密な時間の測定に挑んでいる研究者がいる一方で、ほとんどの人たちは、私のようにむしろ大ざっぱで感覚的な時間を楽しんでいる。子どものころ、正月はとても待ち遠しいイベントだった。「もういくつ寝ると…」と指折り数え、「早く来い、来い」と待ちわびたものだ。

 私が生まれた田舎では、正月といっても、これといった娯楽もなく、せいぜい凧揚げやコマ回し、カルタ取り、学習雑誌の付録などで遊ぶ程度だったのだが、振り返ってみると、普段は遊んではくれない大人たちが、この時期だけは自分たちにかまってくれるという「非日常」感こそが、子どもにとって何よりの楽しみだったのかも知れない。大みそかには、今のように派手なカウントダウンもないから、「その瞬間」は、家族が寝静まっている間に何事もなく過ぎていった。朝起きて、大人たちがあまりに普段通りに元日を迎えていると、それまでの高揚感がそがれ、子ども心ながら寂しい気持ちがしたものだ。

 子どもの時、いかにも長く感じられたお正月までの期間は、年齢を重ねたせいか、最近はあっという間に過ぎてしまう。12月になるとテレビなどで「今年は残すところあと何日です」とせき立てられるせいもある。年末年始の休暇への楽しみは、子どもの頃と同様、大人になっても変わらない。あれをやろう、これをやろうと、この時期のための細かな“To Do List”を作って楽しい休暇をと臨むのだが、それでも年賀状は書かねばならないし、大掃除もしなければならない、おせちの用意もしなければならずと、まことに慌ただしく過ぎていく。

 時間の感じ方が年齢によって違うという考え方がある。ある人は、時間の長さの感覚は年齢の逆数に比例すると考えた。この説によれば、100歳の老人の1年と、10歳の子どもの1年とでは、100分の1対10分の1となり、100歳の老人は10歳の子どもより、1年を10倍も短く感じることになる。

 ちなみに、数学者だった森毅さんは、人生を11段に区分し、1段目は1歳(1×1=1)から、2段目は4歳(2×2=4)から、3段目は9歳(3×3=9)からというふうに、段数の自乗と実年齢が近似するのではないかという仮説を立てた。そして各段の期間と感覚的な時間とは等しいと考えたのである。私は今69歳なので8段目の途中ということになるが、8段目(64歳〜81歳)の17年間は、青春時代を過ごした4段目(16歳〜25歳)の9年間と等しく感じるということになる。森さんはこの説を、11段で構成される歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』になぞられて『人生忠臣蔵説』を唱えていた。確かに「忠臣蔵」では、初段の大序は長く感じられるが、11段目の討入りが近づくに従って短くなっていく。

 時間の感じ方は年齢だけでなく、その時の心の有り様でも変わってくる。楽しい時はすぐに過ぎてしまうが、辛く苦しい時は永遠に続くように思ってしまう。正月は「もういくつ寝ると…」とまだかまだかと待つが、学校の試験では「明日は試験だ、どうしよう」と焦ってしまう。2020年に行われる東京オリンピックも、私たち一般人は、「まだ」3年以上あると感じるが、オリンピックへの出場を目指す選手や、施設整備・イベント準備に携わる関係者は、「もう」4年を切ってしまったと感じているに違いない。

過ぎた時間を残す手帳

 時間は特定のモノと結びついて、残ることもある。写真は過ぎた時間を固定化する代表的なモノである。記念碑などもそうである。それらのモノには、それぞれの人が過ごした「時間」が固定されている。

 私の場合は手帳だ。前職の会社で配布していた「白い手帳」は、社員の間のみならず、社外の人からも人気があった。表紙は、白地に会社のロゴと年号が銀色にプリントされているだけのシンプルなデザインなのだが、手帳には珍しいA6サイズが、白い表紙とよくマッチしていた。開くと多数年のカレンダーがあるのと、見開き2ページで1カ月分の予定書き込み欄が1年分あるだけで、残りは単なるフリーノートである。人気の秘密は大きさが手頃で書き込みのできるページが多いことと、紙質がよかったことだ。社員の中には年代別にきちんと保存している人もいた。手帳がずらり並んでいる先輩の机は入社後の社歴そのものであり、後輩達の尊敬の対象でもあった。そこには、彼らの過ごした1年が1冊の手帳となって「等間隔」に並べられていたのである。

 仕事が変わった今でも、白い手帳は、かつての秘書さんが毎年年末に送ってくれるので「等間隔」な1年はいまだに続いている。手帳を受け取るとパリッとめくって、先ずは予め決まっているイベントのスケジュールを書き入れる。こうして新しい手帳との1年間のつき合いが始まり、せわしい師走まであっという間に過ぎていく。そして新年を迎える。現金なもので、新年になった途端に、それまで分身のごとくに感じていた古い手帳がたちまち色あせて見えてしまう。元日は新しい手帳の空白の365日を眺めながら、これから始まる1年を思案するのである。

 1年が365日、1日が24時間であることは、誰にとっても同じである。しかしそれをどのような感覚で過ごすかは、一人ひとりの時間の使い方にもかかってくる。学生時代など若い頃は、時間はいくらでもあるような気がした。今考えると、もったいない時間の使い方をしたと思うことがたくさんある。その頃、「タイム・イズ・もうねェ」と意識していたら、ノーベル賞級の研究も出来たのでは? と考えることもある。「Time is money.」は人生のどのステージにおいても妥当性のある格言だ。時間のように平等に与えられているものほど、使い方によって差が生じる。

 前述したように、私の人生は森先生の「人生忠臣蔵説」に従えば既に8段目である。2段目や3段目付近では、時間を無駄使いしたこともあった。病気で、自分の思うように時間を使えないこともあった。残りの時間を「まだ」と思えるか、「もう」と考えるべきかは結構重要なポイントであり、人生をどう考えるかに関わることである。

 今年はうるう秒の年である。今回のうるう秒は、世界共通の標準時である「協定世界時」で12月31日の最後に付け足される。時差9時間の日本時間では、来年元日の午前8時59分59秒の後に1秒が挿入されることになっている。こんな話題も「一秒の定義」が正確になったおかげである。

皆様よいお年をお迎えください。


このコラムについて

中鉢良治の「人在りて、想い有り」
ソニーに技術者として入社し、その後、経営者として同社を率いた中鉢良治氏。大学院では博士号も取得し、研究者を志した時もあった。現在は、産業技術総合研究所理事長として、研究者と日々を共にし、国立研究機関の指揮を執る。その中鉢氏が、多様な経験を通して培ってきた日本の産業や社会に対する見方、一人の職業人としての人生への想いなどを様々な切り口で描き、日経ビジネスオンラインの読者にお届けする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/041300009/122000018/


 
「一流になる2つのコツ」をお教えしましょう

てんや社長の「めしばな奮闘記」

天ぷらが一番売れる日は、実は大晦日
2016年12月27日(火)
用松 靖弘

 今年もそろそろお仕舞いですね、お勧めの限定天丼! といういつものパターンとちょっと変えて、年越しのお話からいきましょう。

 創業からしばらくは、てんやは大晦日はランチでおしまいにして、店内を清掃して「それでは、よいお年を!」だったのですが、「大晦日におそば屋さんは大繁盛していて、そのおそばにはたいてい天ぷらが載っているじゃないか?」と気づいた社員がいたんです。じゃあ、我々もやってみるかとおそるおそる、「年越し天ぷら」を売り出したら、これが大当たりになりました。「おそばだけだと寂しいね、華やかさも欲しいよね」と、天ぷらを注文する方がいっぱいいるのに、大晦日に売れるのは「年越しそば」と思い込んで、チャンスを見逃していたんですね。

 今では、大晦日はてんやで天ぷらが1年で一番売れる日になっています。10万パック(2〜4人前)以上出ますから、おそらく30万から40万人くらいの方が、てんやの天ぷらを召し上がって年越しを迎えられるのでしょう。

 今年の「年越し天ぷら」のパック(夢・寿)の海老天は、特別に天然大海老を使っています。年明けはこの天然大海老を使った新春天丼も出ます。天丼一杯500円のてんやで、1本500円という、当店きっての高級品、味ももちろん最高です。今年の〆に、来年の年明けに、ぜひご賞味ください。

 さて、今年最後の回、何で〆ようかいろいろ考えましたけれど、ものすごく「当たり前」の話をさせていただこうと思います。「一流になる2つのコツ」について、です。

 「一流になる2つのコツ」は、私の得意ネタでして、月一の店長会議なんかで使っております。眠そうな人も、これを言うと「ん?」と目を覚ましてくれる、引きは抜群のお話です。で、答えはといいますと、アホみたいで恐縮なんですが…分かります?

さて、答えは…

 なんと、これ、答えは、「コツコツとやる」。
 え、もうひとつは? いえ、これが全てです。ほら、「コツコツ」で2つのコツ。

 ダジャレみたい、といいますか、本当に言葉としては語呂合わせなんですが、でも、改めて考えてみると、「事を成した人」は、たいてい、「自分は天才でも何でもない。ずっと積み重ねてきたら、かくかくのことが出来たのだ」、と言いますよね。

 世の中になかったビジネス、世界の誰もやってのけたことがない実績や作品、そういったことを成した人が、積み重ねで到達したのだとしたら、我々の仕事でもそれが通用しないわけはない。全ての人が一流になれるチャンスはある。そのポイントはコツコツとやることなんだよ。というわけです。

 「そんなことは分かっているよ」と、おっしゃる方も多いと思います。実際、成功した人が語る「積み重ね」の話を一度や二度は読んだり聞いたこともあるはずです。そういう意味では「当たり前」です。だったら、事を成すほぼ唯一の道と知りながら、なぜそれを自分でやるのが「しんどい」と思えてしまうんでしょうか。

 「今回、説教臭いなあ」という声が聞こえてきましたのでもう一発(笑)。桓武天皇の時代に、日本史でお馴染みの最澄というお坊さんがいました。ざっくり1200年前(818年)、彼が国家事業として、比叡山に仏教を教え広める人材育成を行うための“設備投資”を桓武天皇に求めまして、その目的と理由を、天皇に提出した僧侶の修行規則『山家学生式』の中に記しているんです。

 「国宝とは何物ぞ。宝とは道心なり。道心ある人を名づけて国宝と為す。故に古人の言く、径寸十枚、是れ国宝に非ず。一隅を照らす、此れ即ち国宝なり、と」

 国の宝とはたくさんのでっかい宝石(径寸十枚)などじゃない。自分の役割、与えられた使命を一生懸命に果たそうとしている人こそが国家にとっての宝で、そういう人々を自分はこれから育成していくのだ、と、今風に言うとコミットメントしているんですね。

 この連載をお読みの方の中には、組織のリーダーを務めたご経験がある方も多いと思います。皆さん、おそらく大きく頷かれるんじゃないでしょうか。

 国宝、というのも大変な評価ですが、最澄さんがそこまで言うからには、自分の仕事に真面目に取り組む人間は、大変に貴重だということですし、そこに至る道は「コツコツ」で十分、ということでもあります。「平凡も継続すれば非凡」というやつです。

 どこのビジネスでも、局面が大きく変わることも確かにありますけれど、まず、それよりは日々の決まった仕事を「ちゃんとやる」ことが、なによりも大事です。1人ひとりが、与えられた仕事をきちんと、一生懸命やっていくこと。それができない組織が、局面の変化に対応できるかというと、怪しいと思います。

優しくなければ、店長として生きて行く資格がない

 そう言われて、やっぱり説教臭いなあ、と感じられている方は、おそらく、「1人ひとりが与えられた仕事をきちんとやる」という言葉の意味を、狭く捉えているからじゃないでしょうか。「とにかく上の都合に従って、言われたとおりやればいいんだ。お前ら真面目にやれ」という言葉だと思ってません?

 とんでもありません。これは、人間が一流になるための唯一の階梯であり、そして、組織のリーダーに課せられた重く厳しい課題です。「目の前の仕事に一生懸命、真面目に取り組もう」という気持ちに、組織の人々がどうすればなってくれるのか、それを考えない人間にはリーダーの資格がない、というくらいに言い換えてもいい。だからこそ、最澄さんも「国家事業としてそういう人材を育てる組織を作りたい」と願ったのでしょうし、そのくらいの気持ちで取り組むのでなければ、日本に大乗仏教を広めることは難しいとお考えになった…のではないかと思います。

 実際、前もお話ししたとおり、自分が上司から部下に転じてみると、上が考えていることが、いかに伝わってこないかを痛感させられます。考えていることは、言わなければ、絵にしなければ、そして行動してみせなければ、まず組織の中では伝わっていきません。あ、それと、何度も何度も同じことを、言って、見せて、やってみせなければダメです。「だから、貴方に、目の前の仕事を頑張ってほしいのです」というところがしっかり伝わらなければ、リーダーの仕事を果たしたとは言えないし、それでその人が「なるほど、やってみよう」と動いてくれて、ようやくミッション完了なんです。

 そして、真正面から日々の仕事に取り組んでもらうには、言葉だけではダメです。

 自分のやっている目の前の仕事が、どういう意味があって、どう自分の、会社の、世の中の役に立つのかが、腑に落ちねばなりませんし、それを果たすために、会社として、上司として、可能な限りの合理性がある指示や、支援がなければ「なんだ、結局、俺たちにガンバレと言うだけか」と思われるでしょう。

 前回出てきた、てんやの保冷ボウルなどの調理器具や、照明などの工夫、出店数増加や海外展開は、従業員やアルバイト、パートさんが「自分の仕事に納得して現場で一生懸命やれる」ための一助であり施策なんですね。

 よくあるたとえですけれど、現場で働いている人に「貴方の仕事はなんですか?」と聞かれて「石を積むことです」「石垣を作ることです」「城を造っています」の、どれが答えになるかによって、それぞれの人の納得度は違うでしょうし、できあがる城もかなり違ったものになるでしょう。

 私はずっと外食の世界で働いてきた人間なので、他の業界のことは存じませんが、少なくともフードサービスの経営は、人と商品が基軸です。店で働く人を、最澄さんを何度も例に出して恐れ多いのですけど、一隅を照らす人に育っていただけるようにすることが、とても大事なんです。シビアな話ですが、お客様を大事にしないと業績は上がらない。それには、現場で働く人を育てないと、パフォーマンスが上がらない。きれい事ではなく、企業経営の原則がそれを求めるのです。

 だからといって、これを高圧的、ないしは強制的にやっても意味はありません。僕が店長たちによく言うのは、「強くなければ、店舗を守れず生きていけない。優しくなければ、店長として生きていく資格がない」…はい、今度はフィリップ・マーロウのもじりです。

 そのために、テンの社員、特に店長、リーダーには「テン型人間になろう」と何度も言っています。あ、これは「T型人間」のもじりです。我ながらダジャレ好きですみません。豊かな人間性と専門性の両立ということで、うちはテン型という言い方をしているのだ、とご理解ください。

精進料理のおいしさに目覚める!

 縦軸は天丼、天ぷら屋としての専門性を磨きましょう、ということになります。横軸は、人間性です。そういうと大げさに聞こえますが、まずは、時間を守る、挨拶を自分からする、笑顔を忘れず、とか、当たり前のことからなんですけど、先は長く深いんです。

 いろいろなバックグラウンドの方、たとえば主婦、学生、フリーター、外国人、男女、老いも若きも、様々な理由でてんやで働いてくれています。その方たちをちゃんと育てて、一隅を照らす気持ちを持った人間にしていくのが、店長の仕事です。

 業務上の専門知識や技術は必須ですが、そんないろいろな人が、まずはきちんと時間を守り、挨拶をする、笑顔を絶やさない気持ちになってくれるように導き、さらに、迷ったとき、困ったときに、頼ってくれるリーダーになってほしい。それには人間性がとても大事です。

 今度は、「じゃ、どうすればそんな人間力が身につくんでしょう」となりますね。これも、私の答えは案外簡単、というか、当たり前でして、新しい体験をどんどんしていくこと、だと思います。そのために、研修でもいろいろな体験をしてもらっています。

 去年初めてやってみて良かったのは「座禅」。今年は写経も入れて、ちょうど今日が最終班の体験日かな。場所は宗教法人曹洞宗が経営している東京のホテルで、大きな畳敷きの道場があるんです。お坊さんたちが、座禅の組み方から、警策(きょうさく)の受け方、お説教まで、丁寧に指導してくれます。

 あっ、また「よりによって座禅か」とか思っているでしょう(笑)。では実際に、おやりになったことはありますか? テレビなどのイメージで「ああ、あれね」と分かったことにしていませんでしょうか。体験すると心が洗われて「こういうものだったのか」と思いますよ、きっと。

 実は僕がこの研修で一番好きなのは、なんといっても料理ですね。お昼にいただける精進料理。これがもう、とてつもなくおいしい!

 本格的な精進料理で、肉や魚は一切ないのですが、生麩やかぼちゃなどの野菜一つ一つに深い味がちゃんと染みこんでいる。「うまい!」と声を上げたいところですが、口に出しては言えない。黙って食べなければいけないのです。食事も大事な修行だからです。見た目もうつくしいので、写真を撮りたいけれど携帯電話も持ち込めない。時間を掛けて、1個1個、作ってくれた人に感謝しながら、食事だけに集中していただく。最後に参加者に求められる感想で「お昼が一番おいしかった」と、今年も言ってしまいました…。

 まあ、私の感想は余分ですけど、座禅、そして写経にしても食事にしても「目の前のことに集中する」という体験を行える機会なのです。これは「一隅を照らす」ことにもつながっていますし、最近の流行り言葉で言えば、瞑想をベースに生まれたプログラム「マインドフルネス」にも非常に近いんじゃないでしょうか。Googleさんなども取り入れているそうですが、そもそもこれ、仏教が源流の考え方だそうですね。

 座禅に限らず、なにか今までやったことのない体験をしたり、知らない分野の話を聞いたり、本を読んだりするのは、人間性に、ということはビジネスにとっても、大変重要な肥やしだと思います(意外なおいしいものに出会うかもしれませんし)。

 人間性にはいろいろな側面がありますが、「こういう考え方、感じ方もあるのだな」という理解や、「こういうのが楽しい、嬉しい、面白い!」と、その反対に「こういうことをされると傷つく、悲しい」ということを、どれだけ感じ取れるか、大事なのはそこじゃないかと。で、それを感じる“感性”は、自分の外にしかない。

「感性」は外から得るものだと思います

 えっ、と思われますか。私だけの理解かもしれませんけど、自分の内側にあるのは「感受性」です。「感性」は自ら体験しないと身につかないと思うんです。いい映画を見る、おいしいものを食べる、劇を見て笑う泣く、などなど、自分が体験することで新しく身につく。東京ディズニーランドに行って、音楽を聴きながらボートに乗ったり、パレードを見ていると、心が穏やかになったりなんだかほっこりして「平和って大事だよね」とか、思います。それだって、体験するから感じる事が出来る。感受性という受信機に、それぞれの周波数にあった感性というアンテナをつないでいくようなイメージでしょうか。

 言い換えると、同じ仕事だけをしていては、様々な感性が身につかないことになる。視野を広げることで、自分の日々の仕事がどう目の前の人を喜ばせ、ひいては社会とつながっているのかが、自分の中で腑に落ちていく。さらには、困っている、悩んでいる人の感性も理解できるようになる。そうすれば、その人を“育てる”こともできるかもしれませんよね。

 と、このように大変ビジネス的にも重要な感性を広げるために、ディズニーランドはけっこう行くんですよ(笑)。映画も見に行くし。「シン・ゴジラ」もある人に強く勧められて見に行きまして、大変面白かったです! 温泉もいいですよね。先日は厚木の七沢温泉の美肌の湯で一日ごろんと。高尾山も紅葉の時など年に2、3回登っています。20軒近くあるお蕎麦屋さんもほぼ完食しています(笑)ミシュランガイドで三ツ星の観光地と紹介されて以来、大変混んでますが。

 若いときは1年中お店にいたこともあります。でも、けっこう昔から、休日にはどこかに行くようにしていましたね。特に、社長になってからは、「一番お客様の近くにいないと」と考え、今のお客様の感性を掴もうと、あちこちに出かけます。それを通して、けっこう新鮮な体験ができるんです。流行の場所にはやっぱり行っておきたいし、あと、歴史やお城や史跡が好きなので、フランチャイズさんのオープンがあると、それに引っかけて近くの城跡を見に行きますね。そしてもちろん、そこで地域の美味しいものを食べる。

 この間は福山で「小いか(ちぃいか)」、ホタルイカサイズの小さいイカを天ぷらで食べました。小さいのでまるごと全部食べちゃうのでちょっと苦みもあり、とても滋味深いです。そうそう、尾道から青パパイヤを「天ぷらにしてはいかが」とご提案が来て、これがまたうまい。日本中、「ご当地」には、まだまだ知らないものが多い。行くといろいろなものや味、人の感性がある。それに驚いたり喜んだりして「これはなにか仕事に活かせるかも」と考える。

 新しい体験や考え方を、何から何まで肯定しよう、ということじゃありませんが、「こういうことをしている人がいるのだな」と知るだけでも、自分の感性は増えて、広がっています。なるべく自分の外にある要素に触れることって、リーダーとして、店を発展させていく、働いている人を一人前にしていくために、けっこう効くんですよ。少なくとも「それはてんやのマニュアルにない」と切り捨てず、まず「ああ、そういう悩みもあるのか」と受け止めることができるようになるのです。

 自分自身、外食産業の中では、これまでお話ししたとおり、いろいろな組織や立場に身を置き、ある時は降格もありましたけれど、「新しいところで新しい体験が出来る」と考えて、乗り切ってきたように感じます。いろいろな体験が自分でも意外なひらめきを呼んでくれました。「てんやの日」も、「従来は来店していただけなかったお客様にコンタクトする」目的で始めましたが、その大元は、冒頭にお話しした年末の「年越し天ぷら」です。

 そう、自分の仕事の中にも、けっこう未体験の、見えてないことってあるものです。店長や本部のスタッフに、“天ぷらの王様”、海老の養殖場を見てもらう海外研修も始めたんですけど、毎日見慣れている海老がこんな育てられ方をしているのか、目から鱗だ、と、大好評なんですよ。

 え、養殖なんだからよくある生け簀だろうって? ところがこれが面白い。

 てんやの海老は「粗放養殖」と言って、ベトナムのメコン川から南シナ海に流れ込む汽水域にあるマングローブの自然の地形をそのまま利用しているんです。1つの養殖場の面積が約10ヘクタールで、1ヘクタールは1万平方メートルですから約10万平方メートル。甲子園球場の総面積が3万8500平方メートル(こちら)なので、ざっと2.5倍になります。そして、ひとつだけじゃないんです。この養殖場が100個以上あります。

 海老たちはこんな広大な自然の中で、人工飼料は一切与えず、プランクトンなどを食べて育つ。自然のなかそのまんまにいる海老を、ゆるく囲っているだけなんですね。こういう、ある意味豪快な養殖方法は店長たちも見たことも考えたこともないので、とても驚き、「それで活きがいいのか!」と納得し、自分の仕事にも誇りを持つきっかけにもなっています。

コツコツ、そしてひらめきを

 目の前の仕事を、コツコツやっていくだけでもたいしたものです。

 でも、せっかくならコツコツに加えて、感性も磨いて、一流の人間のさらに上も目指しませんか。そうすれば、仕事仲間やお客様の気持ちもよく分かるようになるし、仕事の上での「ひらめき」も生まれやすくなります。そうなったらもう、あなたは超一流…かもしれません。

 と、そんなテン型人間を作っていこうと、社長に就任してから5年、研修や店長会議などを通して、一貫してやっています。

 1つの成果、かもしれないのは、当社は約220人の社員がおりますが、離職者が年間1人か2人にとどまります。ご存じの通り、フードサービスは離職率が高いのですが、この数字は1%かそれ以下で、業界では圧倒的に少ないものになります。

 今年、てんや(テンコーポレーション)には、大卒・院卒の新入社員が6人入りました。色々なメンバーがいるのですが、ずっとてんやでアルバイトしていて、有名大学の大学院を出て、てんやに来た。その彼が「一杯の天丼で世界を平和にしたい」と大真面目な顔で、意気込みを言ってのけました。

 もちろん、てんやが目指す海外展開などへの可能性を感じて来てくれたのだと思いますが、天丼で世界平和とはすばらしい(私は真面目にそう思います)。石ではなく、石垣でも城も越えて、世界につながっている姿が見えたのでしょうし、そういう目線で現場の仕事が見えるような育て方を、バイト先の店長が行ったのでしょうね。目の前ですぱっといわれて、実はけっこう、じーんときました。

 それでは皆様、どうぞよいお年をお迎えください!

このコラムについて

てんや社長の「めしばな奮闘記」
「今日のお昼はなんにしようか――」ビジネスパーソンの小さな楽しみのランチタイム。食べることは仕事のためにも、生きるためにも、とっても重要だ。ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」で成長し、今、天丼チェーン「てんや」のテンコーポレーション社長を勤める用松靖弘氏が、「食べること」のヨロコビと、マネジメントを、自らの「めしばな」を通して語ります。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/051300011/122200009/

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/216.html

[政治・選挙・NHK218] 17年度予算案、「景気配慮と財政再建」の細い道 ニュースを斬る さらに鮮明になる「社会保障の見直しから逃げられない」
17年度予算案、「景気配慮と財政再建」の細い道

ニュースを斬る

さらに鮮明になる「社会保障の見直しから逃げられない」現実
2016年12月27日(火)
安藤 毅
 政府が2017年度予算案を決定した。一般会計の歳出総額は5年連続で過去最高を更新した。景気に配慮する一方、新規国債発行を2016年度より抑えるなどやり繰りの末に「経済再生と財政再建の両立」への体裁を整えた格好だ。小手先の調整では膨れあがる社会保障費に対応しきれない現実が一段と鮮明になってきたと言える。
 一般会計の歳出総額は2016年度当初予算より0.8%増の97兆4547億円となった。歳出総額が膨れあがったのは、全体の3割超を占める社会保障費が32兆4735億円と2016年度に比べて4997億円増えたことが最大の要因だ。

 高齢化の進行に伴い、医療が11兆5010億円、年金も11兆4831億円と、それぞれ2.0%、1.5%も伸びる。


麻生太郎財務相は12月22日に閣議決定した2017年度予算案について、消費税増税の再延期にともなう厳しい予算編成だったことを述べた上で、「全体のバランスとしてそこそこできている」と語り、経済の再生と財政健全化の両立を図れたとの認識を示した。(写真:Bloomberg/Getty/Images)
「高齢者の負担増」へ一歩

 政府は財政再建に向け、2016〜18年度の3年間の社会保障費の伸びを自然増の範囲の1.5兆円程度に抑える目標を掲げている。

 高齢者の急増が確実視される中、社会保障費の膨張を放置すれば社会保障制度そのものが立ちゆかなくなる恐れがある。また、ほかの政策に充てる予算の捻出に一層苦慮しかねないからだ。

 最低限の基準であるこの目標をクリアするには、今夏の概算要求段階で6400億円だった自然増分を1400億円圧縮する必要があった。政府・与党の調整の末、医療で950億円、介護で450億円抑えることで折り合った。

 見直しに当たり、政府・与党は「年齢に関わらず経済力に応じた負担」を方針に据えた。

 焦点となった医療費の自己負担に上限を設ける「高額療養費制度」の見直しでは、住民税を払う一定以上の所得がある人を引き上げの対象にする。

 具体的には、年収370万円以上で現役並みの所得がある70歳以上の高齢者について、外来医療費の上限を現行の月4万4400円から2017年8月に5万7600円に引き上げる。

 年収370万円未満で住民税が課される高齢者の上限についても、1万2000円から1万4000円にする。2018年8月からは上げ幅を拡大する。

 75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」にも手を付けた。74歳まで夫や子どもらに扶養されていた高齢者は現在、所得に関係なく保険料を9割軽減している。これを2017年4月から段階的に縮小することにした。

 このほか、超高額の抗がん剤オプジーボの公定価格(薬価)の50%引き下げも行った。

 社会保障費の伸びを年5000億円程度に抑えるという目標の達成に向け、「世論の反発が比較的小さそうな、削減しやすい項目を積み上げた」と政府関係者は語る。

 長年の課題となっていた、一定の所得がある高齢者の負担増に一歩踏み込んだこと自体は評価できる。

 ただ、政府・与党内では来年夏の東京都議選や早期の衆院解散・総選挙が実施される場合への影響を懸念する声が広がり、改革の深掘りは先送りされた。年金支給開始年齢の引き上げなどの「大玉」はまだ議論すら始まっていない状況だ。

強まる予算の硬直化

 今後は高齢化の進展に伴い、社会保障費の増大が予算全体を圧迫する構図がさらに強まるのは必至だ。その一方で、社会保障の財源に充てるはずの消費税率10%への引き上げは2019年10月に再延期されている。

 安倍晋三政権は金融緩和や大型の財政支出で企業業績を底上げし、税収増につなげることで財政再建も図るという「経済再生と財政再建の両立」を経済・財政運営の基軸に据えてきた。

 こうした「アベノミクス」による経済成長重視路線が一定の効果をもたらしてきたことは間違いない。

 だが、景気の足踏みや円高による企業業績の悪化を背景に、政府は2017年度の税収は1000億円程度の増加にとどまると見込んでいる。

 トランプ次期米大統領が米国内のインフラ投資に注力する考えを示すなど、世界的に財政支出で低成長の打破や格差是正につなげようという流れが強まっている。「政策の総動員」を掲げる安倍首相も財政出動を重視しており、財務省幹部は「予算案の総額を2016年度当初予算より削ることはそもそも想定していなかった」と話す。

 「トランプ相場」による円安・株高傾向も日本経済にとって、明るい材料と言える。

 ただ、トランプ新政権の経済政策の出方や、ドル高による新興国からの資金流出懸念など先行きには不透明感が漂う。景気を急速に冷やす緊縮策は論外だが、大幅な税収増を前提にした財政政策の持続性に陰りが見えたのは確かだ。成長重視の旗を掲げつつ、その脆弱さに向き合うことも欠かせない。

 既に政策に使う経費の5割超は社会保障費が占めている。ほかの政策分野への配分が硬直的なものになっているのが実情だ。

 働き方改革や子育て支援、研究開発や効果的なインフラ投資など成長を後押しする分野に重点配分する機動的な予算編成の余地を広げるためにも、社会保障分野の抜本改革が避けて通れないことは明らかだ。

海外投資家の安倍政権への不満

 「安定した政権基盤の安倍政権に対する海外投資家の期待は大きい」
 「ただし、財政規律や社会保障の持続性、人口減への対応といった構造問題への取り組みが足りないとの不満を良く耳にする」
 海外の市場関係者などとの関係が深い竹中平蔵・東洋大学教授はこう指摘する。

 人口減を踏まえ、生産性向上など経済成長に向けた取り組みを加速させるとともに、経済社会構造の現状に対応する形に社会保障と税制のあり方を一体的に見直す。成長と財政再建の両立には、そうした着実な対応を積み重ねていくことこそが王道なのだろう。

 「衆参両院で安定した議席を有する強い政権の間に、日本の構造的な問題の解決に取り組んでほしい」。企業トップらと話していると、こんな声を聴く事が多い。

 これに対し、次期衆院選をにらみつつ、こだわりのテーマである憲法改正論議やロシアとの北方領土交渉を本格化していきたい安倍首相にしてみれば、内閣支持率の下落につながりかねない「痛みを伴う改革」はできるだけゆったりとしたペースで進めていきたいというのが本音だ。

 一層の長期政権を見据える安倍首相がどのような時間軸で肝いりのテーマや、こうした構造問題の解決に取り組んでいくのか。2017年の大きな注目点となりそうだ。


このコラムについて

ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/122600521/

http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/255.html

[経世済民117] 「撤退戦だが、負けない」新たなプランが必要だ 人口減少時代のウソ/ホント 日本が沈み切る前に、打つべき手を考える賢人
「撤退戦だが、負けない」新たなプランが必要だ

人口減少時代のウソ/ホント

日本が沈み切る前に、打つべき手を考える賢人会議(後編)
2016年12月27日(火)
森田 朗、崎谷 実穂
 論客5人による「賢人会議」、その後編をお届けする。「少子化」「超高齢化」時代における「社会保障」「地域再生」はいかにあるべきか。日本労働組合総連合会会長の神津里季生氏、東京大学 政策ビジョン研究センター特任研究員の藤田正美氏、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事の木下斉氏、個人投資家で作家の山本一郎氏が、森田朗所長率いる国立社会保障・人口問題研究所に集い、現実を直視しながら、「次の一手」を探る。

(写真=鈴木愛子、以下同)
(前回から読む)

崖っぷちまで追い詰められないと、組織は変わらない?

山本:木下さんは1982年生まれで、今回集まったメンバーのなかでは一番若いですよね。その点で、社会に対する認識が我々とは違うのではと思ったのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

木下:私が小学校に入学したのが、1989年。1991年から経済の安定成長が終わり、失われた10年が20年に延びて、まあ物心ついてから失われ続けているわけです(笑)。自分たちの世代が社会のマジョリティではない、ということも自覚しています。頼りにしていた会社がつぶれ、システムが崩壊して、親が大変な目にあった友人もたくさんいる。企業とか社会に対する信頼感は希薄ですね。同時に危機感を強く抱いていて、自分でどうにかしないといけないと考えています。


木下 斉(きのした・ひとし)一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事
山本:そういう感覚は、世代で共有しているものですか?

木下:そうですね。社会を変えようと思っている同世代は民間企業にも役所にもたくさんいて、集まって飲んだときにそういう話になります。でも自分たちも34歳、つまり30半ばになって、課長職につく人も出てきた。管理される側からする側に回った時に、現行のシステムに組み込まれないためにどうするかというのが、今の関心事です。論理的には正しいことがわかっていても、それが短期的に自分の評価につながらないことはよくありますからね。


山本一郎(やまもと・いちろう)個人投資家・作家
山本:上の世代と同じことをしないために、どうすればいいか、と。確かに学校も家庭も職場も、自分に成功したり安定のための知恵を授けてくれないとしたら、誰を頼ったらよいのか分かりませんしね。

木下:そのなかでも、「今いる組織を変えていこう」という人と、「いったんすべてゼロにしてしまえ」という人で意見が分かれます。過激派じゃないですけど、日本はいったんつぶれないと変わらない、と考えている人も一定数いますね。それ、私もわからなくはないんです。本当に行き詰まった時にやっと状況が変わる、というのは、地方でも実感しています。

山本:なるほど、やはりそういう感じですか。例えばどんな例がありますか?

すべての橋は残せない

木下:林業で、外国産の木材が入ってきてダメになるといわれていたときは、まだ助成金が出ていたし、特に変化が起きなかったんです。でも予算が底をついて、森林組合も超高齢化して、世代交代も難しいとなったときに、やっと関係者は重い腰を上げた。国の予算でつくったものの、使っていなかった工場も、民間で使ってくれる企業があったらそこに貸そうとか、外国産木材とは違うDIYでできる床材市場に打って出ようとか、そういう発想になっていくんです。従来のシステムが本当に崩れた時に、ようやく新陳代謝が生まれる。決定的破綻までいく手前で変革が起きる、というのはけっこうよく見る光景です。

藤田:地銀革命やりましょうよ。地銀が変わったら、けっこう全体的に地方は大きく変わると思います。


藤田正美(ふじた・まさよし)東京大学 政策ビジョン研究センター 特任研究員
木下:そこは大きいですね。あと、アメリカの「地域再投資法<注>」のような制度を取り入れるかどうかという議論はずっとされていて、いよいよそのときかなと思っています。地元で集めた預金をしっかり地元に投融資することが、地方の発展に必要です。例えば、都市圏の公共施設整備をするときも、民間施設と公共施設をセットにして、民間施設の収益と固定資産税の収入で公共施設をまわしていくようにすれば、持続可能ですよね。都市機能を集約するときに、セットで支援制度をガラッと変えられると、地方で余っている預貸できていない資金が地域のなかでまわり始めるはずです。

<注> 低所得者層などが住む地域への、金融機関の融資差別をなくすためにつくられた法律。銀行などの預金を扱う金融機関に対し、低所得者や中小企業を含め、営業地域の金融ニーズの充足に貢献する責任があることを明らかにし、その評価基準を満たしているかどうかで銀行の合併や支店の開設などの可否が判断される。

森田:公共施設はかなり老朽化してきていて、更新の時期がきていますよね。人口が減ってきている地域では、すべてを更新する予算がない。するとどうするか。例えば村に3つの橋があったら、1つはしっかり建て直して、2つは落とすという決断をしなければいけないわけです。3つとも残そうとすると……。

木下:少ない予算を3分の1ずつ配分して、結果全部の橋が落ちることになりますね。前回お話しした北九州市は、まさにそういう状況です。10年前に比べて施設整備、維持予算がほぼ半減以下。そうすると、老朽化したものをそのままにしていて天井が落ちるなど、実際にいろんな問題が出てきています。

森田:毛沢東が「何事かをなすためには、金がないこと、無名であること、若いことが必要」という名言を残しているそうです。まあ、これは当時そういう人がたくさんいたから、できるだけ多くの人をエンカレッジするにはいい台詞だったのでしょう(笑)。でも真理だと思いますね。このなかでも「若い」というのは、ある限られた時期しかない。今の選挙制度だと都市部のお年寄りの票が一番大きい力を持ちますが、若者の力をもっと生かさないと革命は起こらないですよね。若者を支援する政策をもっと推進していく必要があると思います。


森田 朗(もりた・あきら)国立社会保障・人口問題研究所 所長
何をもとに投票すればいいか、教えてもらえない日本

藤田:「連合」にも、若い人が希望を持てる社会をつくるために、政策を提案する側としてリアリティのある議論をしてもらいたいですね。

神津:そうですね。しているつもりなのですが、PR不足で理解されていないところがまだあると感じています。例えば、2012年に三党合意で取り決められた「社会保障と税の一体改革」は、僕らの考えとまったく一緒です。持続可能な社会保障を実現するには、これしかないと考えています。消費増税も、反対と言っていた時期もあったけれど、27年前に連合を結成してからほとんどの時代は「消費税にも手を付けないといけない」と発信しています。具体的には試算ベースで、15%は必要だと認識しているんです。


神津 里季生(こうづ・りきお)日本労働組合総連合会 会長
山本:そうした政策の主眼となるところを、具体的な政策論とリンクして出していくだけで、ずいぶん連合の見え方は変わっていくと思います。

藤田:以前、安全保障問題で、社会党系の活動家を取材したことがあります。そのとき、その人がおもしろいことを言っていました。「我々は平和を求めてきたけれど、平和をどう勝ち取るかは考えてこなかった」と。連合も、「働くことを軸とする安心社会」というスローガンをかかげていますが、それをどういう政策で実現するかというところまで考えて、発信していかなければいけないですよね。

神津:そうですね。安心社会は、待っていたら空から降ってくるようなものではありませんから。連合の組合員は、普通の市民なんです。その組合員にも、もっと当事者意識を持ってもらいたい。自分たちの労働組合、自分たちの政治、というところまでもっていきたいですね。どうしても今はおまかせ民主主義的なところがあるんじゃないでしょうか。

山本:投票率も低いですしね。政治でないと解決できないことばかりなのに、政治に対する期待度や信頼が地に落ちているのを実感します。


神津:今年の参院選から選挙権年齢が18歳に引き下げられたことで、にわかに主権者教育がクローズアップされました。これはつまり、日本では主権者教育をろくにやってこなかったということ。選挙権をいかに行使するかというのは18歳だけの問題じゃなくて、選挙権を持つ前、そして持ったあとも継続的に啓発していくべきことだと思います。

森田:スウェーデンでは、学校で政治教育をやるんですよね。例えば、社会民主党の政策はこう、保守党の政策はこうですと教えて、Aさんは社会民主党、Bさんはで保守党の立場と振り分けて、議論させる。そうすることで、どの政党の主張がどれだけ現実的、あるいは根拠が弱いかが見えてくるんです。そうした経験を経て生徒たちは、政策をもとに政党を選んで投票するのが有権者の責任だと実感していく。でも日本の高校で、自民党の政策がこうで、という話をしたら……。

山本:問題になるでしょうね。教育の現場が政治に介入するのか、と。

森田:それ自体が大変な騒ぎですよね。だから、とにかく投票所に行けということしか言えません。本来は、どうやって平和を実現するか、よりよい社会をつくっていくか、そういう道筋を議論する環境から整えないといけない。それは、学者がやるような小難しい議論ではなく、わかりやすいストーリーを軸にみんなで考えていくということなんです。

生産性を上げたいなら、賃金を上げるべき

山本:働く価値を実現していくには、どういう政策が求められているのか。最大公約数で言うと、最低賃金の引き上げや労働環境の充実ですよね。

森田:同一労働・同一賃金もですね。

山本:ではそれを実現するためにどうするか、と話が広がるはずだけど具体的な分析はされてないように見えます。

森田:日本の労働生産性が低いと言われていますが、なぜ低いのか、どういう労働がされているのか、という分析はあまりされていないですね。

山本:労働生産性については、日本の製造業は国際比較でもかなり健闘していますが、第三次産業、つまりサービス業で全体の足を引っ張っています。そのサービス業が全産業に占める割合が67%と高率なので、日本は生産性が低いということになるんですよね。また、労働生産性というのは「付加価値額/労働投入量」として表せます。そして、サービス業の付加価値は単純に労働者に支払われた賃金で規定される。だから賃金が上がらなかったら、労働生産性は上がらないんです。労働環境が変わらないのに、「生産性の高い産業につくりかえろ」というのは無理な話ですよ。

森田:時間ベースで働いている以上、賃金が低いと生産性は下がりますよね。上げるためには賃金を上げるか、労働時間を短縮するかのどちらかしかない。それを実際いまの仕事でどうやるのか、という詰めた議論はなされていません。またスウェーデンの話になりますが、あの国の医師の数は、人口比でいうと日本より多いんです。なのに、数が足りないと言われている。そして生産性は日本より高い。このカラクリは、休暇取得日数にあります。彼らは、年間70日も休暇をとる。だから10人の医局なら、いつも2、3人休んでるんです。そして残った人に労働負荷がかかって、生産性が高くなっている。一方、日本の医師が忙しいのは、医師にしかできないこと以外の事務的なことをやらされているからですよね。このように、労働の中身や休暇取得日数も含め、細かく見ないと、生産性を上げる具体的な方法にはたどり着かないでしょう。

対立を煽るのではなく、わかりやすく

神津:生産性の問題は、労使関係と非常に関わりが深いんですよね。日本の労働組合の組織率はすごくいびつで、圧倒的に大手が中心です。1000人以上の企業では組織率44.3%、でも100人未満だと0.9%。これは、戦前の産報(産業報国会)体制が淵源にあるからです。その骨格があったから、戦後GHQが労働組合作るのは当たり前だと言った時に、わっと雨後の竹の子のように組合ができた。生産性の話は、民間の労働組合ではかなり前向きに受け入れたんですよ。でも、中小零細企業には組合がない。だから、生産性を上げようというバネ力が労使関係のなかで働かない。大手の労使関係のなかではいろいろ工夫されてきたけど、中小ではなかなかそういうことがない。すると、付加価値も向上しない。大手と中小の間で、生産性においても格差が生じてしまったんです。

森田:日本は企業別組合でずっときています。それが、高度成長期に労使関係を良くしたところもあるけど、企業の分野によって差が出たときにまとまりがつかなくなってしまいました。ヨーロッパみたいな産業別の組合だと、コーポラティズム的な決着の仕方もあるのかもしれないのですが。

山本:医師会のような産業、職能別の団体もこれからどんどんできていくのではないでしょうか。

神津:労働組合は基本的にボトムアップの組織なんです。企業別の運動でカバーできないところを担当する。その一つとして、地方連合会、地域協議会をずっと整備してきて、地域の運動がやっと定着してきたところです。ただ、その運動が本当に自分たちのものかという識を組合員一人ひとりが持てているかは、疑問ですね。今後も民主主義の土台として機能していくことに努力していかないといけません。

森田:イデオロギーというのは、帰属意識に基づくものなんですよね。昔はその帰属意識が単一の軸で分けられたけれど、いまはそうはいかない。世代、つまり年寄りと若者、都市と地方、持てるものと持たざるもの……いくつかの軸が複雑に重なっている。地方の若者で持たざる人は、低所得のグループに入るのでしょうか。それとも地方のグループ? 若者のグループ? 政党が出すマニフェストは、それらの軸を臨機応変に、都合よく使っているので、自分がどこの軸で政治的な運動にコミットすればいいかがわからないんです。

藤田:対立を煽るのではなく、わかりやすく、自分がどういう社会をつくっていきたいかで政策を選べるようにする。その軸を整理するのは、メディアの役割かもしれませんね。

撤退戦の際をいかに支えるか

山本:もう、ここからの日本は人口減少が止まらず、衰退していくことは明らかです。そのときに大事なのは、セーフティネット。それを張っておかないと、底が抜けてしまいます。

神津:雇用のセーフティネットが、日本は脆弱です。非正規雇用はこの20年で、2割から4割に増えました。個別の企業としては背に腹は変えられず、事実が先行してしまったんです。雇用がどれだけの付加価値を生んで、社会保障をどれだけ支えていくかという図式が大きく崩れた。政府もさすがにこのままではいけないということで、「働き方改革実現会議」を設置し、雇用についての議論をしようという機運は高まっています。


山本:正規雇用を非正規化していく流れが、加速するのはこわいですよね。高い方に合わせて世の中を良くしていこうという話ではなく、低い方、不安定な方に高い方を引き下げようということだと、結局、立場の弱い人たちがみんな不安定になってしまいます。

神津:それは十分に注意しないといけません。非正規化が進めば、ますます雇用も生産性も下の方に引っ張られていく。

森田:これからの政治の仕事は、パイを削るところをどこにするかという判断をしなければいけない。これはみんなやりたくないでしょうけれど、仕方ないですね。地方もどこを残し、どこを切るか決める。そしてどこの世代に負担を負わせるかという部分を、はっきりさせる。そのグランドデザインを描いて、国民に納得してもらうのが本来望ましい政治の姿です。

山本:そうなると、パイが配られなくなって苦しむ人、生活が成り立たなくなる人が必ず出てきます。そういう人たちに、どう政策的なカバレッジをかけるか。どうやって労働政策に結びつけ、人々の暮らしを安定させていくのか。撤退戦の際(きわ)になるのが、地方で働いている人でしょう。地方の産業は今、どんどんなくなってきていますよね。

教育こそ最大のセーフティーネット

木下:撤退戦で数年かけて集落を少しずつ小さくしていく際には、ハードランディングにならないよう注意を払わないといけません。そして、撤退戦するべきところで地方創生を無理やりやると、正直ほとんど無駄金になります。そのお金は適切な社会保障や、移住のサポートにあてる。そういう配分が必要です。それなのに、社会資本整備を大幅にやったりしてしまうんですよね……。社会資本を作っても、もう使う人がいないんですよ。


藤田:長期スパンで見た社会の一番大きなセーフティネットは、やはり教育じゃないでしょうか。

神津:そうですね。僕らは「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けた政策パッケージで、「働くこと」につなげる5つの橋と言うものを考えています。そのひとつ目が「教育と働くことをつなぐ」なんです。すべての子どもたちに学ぶ機会を保証する、学ぶ場から働く場への円滑な移行を支援する、などがその具体的な内容です。

藤田:連合には教育を社会の成長原動力として位置づけ、そこに力を注いでほしいですね。働けない人、賃金の低い人の子どもたちが、十分な教育が受けられないという状況はまずい。格差を拡大、固定化することにつながりますから。子どもは常に社会が教育していくという、北欧的な考えかたを取り入れるべきだと思うんです。民主党が政権を取っていた3年間でやった、ほとんど唯一といっていい良い政策は、高校の授業料無償化ですね。


奨学金の返済額は収入で差をつけてもいい?

森田:大学の奨学金返済問題も、北欧諸国に学ぶところが大きいでしょう。基本的に一律給付でなく、きめ細かく所得に応じたかたちでコントロールしているはずです。日本もそれを本当にやるなら、ようやく動き始めたマイナンバーが活用できるでしょう。消費税をある程度上げて、その代わり所得に基づいて給付をするというかたちでセーフティネットを張る。そのときに一番有効な社会制度、政策はどうあるべきかという議論が積極的にされるべき。軽減税率をどこまでやれるか、なんていうのは、ヨーロッパなどではとっくに終わった議論なんですよね。


木下:教育は一番大きな問題ですよね。地方では、義務教育も厳しい状況です。なぜなら義務教育は、従来の非常に高コストな仕組みを前提としているから。青森のある町を車で移動していたとき、地元の人が、道路沿いに見えた3つの小学校はすべて今年度で廃校だ、と教えてくれました。大きな校舎、プール、一定数の教員などの条件が、そもそも子どもがたくさんいることを前提としています。子どもの数が減った瞬間に学校自体を閉めてしまうというのは、非常に乱暴。もっと段階別で、細やかに対応してもいいのではと思うんです。

山本:それぞれの学校に先生を配属できないなら、インターネットを活用し、遠隔でいくつかの学校でまとめて授業をおこなってもいいわけですよね。

木下:そうなんですよね。また奨学金に関しては、稼いだ金額に応じて返済するという仕組みを導入したらいいのではないかと考えています。莫大な成功を収めた人も、毎日の生活にも困っている人も、同じ額を借りたから同じ額だけ返済するというのはどうなのかと。森田先生もおっしゃったようにマイナンバーで管理して、全体の所得に対して1%払うとか、そういうルールをつくったらどうでしょうか。そうすれば、貧しくても教育を受ける保証がされる。さらに大学を出て伸びた人のお金は、次の世代に使っていける。もうちょっとリレー方式でお金がまわれば、可能性が広がると思います。


山本:今はリレー感がなくて、もらったらもらったでそのままですからね。さて、セーフティネットを張ったものの、セーフティネットごと吹っ飛びかねないという状況に陥った時どうすればいいか。おそろしいことですが、ここも考えなければいけないと思います。どこから優先して復旧していくかというロードマップを用意しておかないと、破綻した後で大変なことになってしまう。支給が急にストップすると、医療サービスが受けられなくて慢性疾患の方が亡くなるなど、人死が出る可能性もあります。

森田:今は高額療法費制度というのがあって、所得に応じて月額5万7600円〜25万2600円の負担でいいことになっていて、それを超えた場合は公費でまかなうということになっています。でも、最低額の負担もできない人がかなり多くなってきている。そしてその人達が受診を抑制するから、生活習慣病の悪化が起こっているといわれています。そういう人たちをきめ細かく拾っていくには、データが足りないんですよね。セーフティネットが吹っ飛ぶ前から、見殺しにされている人がいるのが現状です。

「プランB」を用意できない日本

神津:福島第一原発に津波が来る可能性について一度、有識者の会議で議論がされたことがあるんです。でも、最終的には「そうはいっても津波はこないだろう」と、結論付けられてしまった。もし津波が来ることが想定の範囲内に入っていれば、復旧電源を下に置くなんてことはしなかったでしょう。こういうことは、他の場面でもたくさんあるんじゃないかと思います。

藤田:ありますね。日本の政府官僚はシナリオをつくるのがすごく下手だと感じます。災害や事故に対処するときは、起こるか起こらないかという確率を考えるのではなく、シナリオを状況に合わせていくつか用意しておき、最悪の時はこう、まだそうでもないときはこう……と準備しておかないといけないんです。

森田:いわゆる「プランB」というやつですね。本来の計画や作戦がうまく行かなかった場合のバックアップを用意しておく。たしかに日本は、藤田さんがおっしゃるとおり最悪の事態が起こった時に、被害をいかに最小化するかを考えるのが、非常に下手です。例の国民保護法で、北朝鮮が攻めてきた時にどうやって民間人を避難させるかという話が出たときも、それは都道府県の責任でやると。人口が少ないある県でも、全員を避難させるには、バスを何十台もフル回転して3〜4日かかるというのが、シミュレーションの結果だそうです。その間に攻めてきたらどうするのかという想定は、なぜかしない(笑)。

山本:社会保障問題は、もう負けが見えている戦争です。負けるにしてもどう被害を少なくして負けるかを考えなくてはいけません。

藤田:日本では「トリアージ」の考え方ができないんですよね。

森田:そうですね。トリアージは、フランス軍が考案した、患者の重症度に基づいて治療の優先度を決定し、選別する方法です。

藤田:助かる人から優先的に助ける。重傷な人は後回しにする。僕らの常識からすると反対だけど、危機的状況ではそれが一番被害を小さくできる可能性があるんですよね。

森田:そうです。負傷した兵隊が野戦病院に運ばれてきた時に、ほっといても死なない人、助けようとしてもダメな人、この両方は排除する。そして、治療すれば助かるけど、ほっとけば助からない人に全医療資源を集中的に投入する。こういう発想です。誰がどの状況にあるかひと目で分かるように、それぞれ症状が軽い順に、青、黄、赤の札を貼る。しかし日本ではなぜか、赤の一番重症な人に医療資源を投入する。そして、助からない人用には「黒」というもうひとつの札が用意されているという……。

山本:笑えない現実がここに。本来とは違うかたちで輸入されているんですね。

医療制度の危機、あと2年が勝負

森田:韓国では、2016年9月の慶州地震ではパニックになったそうですけど、北から攻められた時にどうするかということについては、プランも心構えもできているんですよ。日本も、プランはあるようですが、このあたりはもう少し緊張感を持っていいんじゃないでしょうか。そして、北朝鮮からの侵攻よりも差し迫った危機は、医療保険制度の破綻でしょう。それに対してのプランは早急につくっておかないとまずいです。

藤田:医療費は確実に上がっていきます。僕ら団塊の世代は10年もしないうちに、75歳の後期高齢者になります。後期高齢者の罹病率は高い。医療費は今から15兆円〜20兆円増えることも考えられるんです。いったいこれを誰が払うのか。そういう状況では、僕ら団塊の世代がもうお役御免だと切り捨てられるかもしれない。その、助ける、助けないの線を引く役を誰かが担わないといけない。それは、はじめの方で森田先生がおっしゃったように、政治家の役目です。その覚悟がある人しか、これからは政治家になろうとしてはいけないと思います。

山本:セーフティネットが破綻した時のプランBを、野党側から出していくべきですよね。それがあるからこそ、何かあった時に与党の責任を追求し、代替案として提示できる。

神津:そこは連合も支援していくところだと考えています。

森田:もしかしたら、医療制度よりも、国家財政が破綻するほうが少し早いかもしれませんね。

山本:2019年には破綻するという話があるとかないとか……。

森田:旧ソ連が崩壊したときのように、突然デフォルトでがくっとくることはないでしょう。急カーブをきって、下げていかざるをえない。それでも、相当国民の間にショックが走るでしょう。2年間のあいだに、セーフティネットを用意できるか。それが日本の崩壊を防げるかどうかの鍵になりますね。

(了)

(構成=崎谷実穂)

このコラムについて

人口減少時代のウソ/ホント
私たちが生きるのは人口減少時代だ。かつての人口増加時代と同じようにはいかない。それは分かっている…はずだが、しかし、具体的にどうなるのか、何が起きるのか、明確な絵図を把握しないまま、私たちは進んでいる。このあたりで、しっかり「現実」をつかんでおこう。リアルなデータを基に、「待ったなしの明日」を知ること。それが「何をすべきか」を知るための道だ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/275866/121300013/
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/218.html

[政治・選挙・NHK218] 「社会保障」「地方再生」失敗の轍を抜けるには 人口減少時代のウソ/ホント 日本が沈み切る前に、打つべき手を考える賢人
「社会保障」「地方再生」失敗の轍を抜けるには

人口減少時代のウソ/ホント

日本が沈み切る前に、打つべき手を考える賢人会議(前編)
2016年12月26日(月)
森田 朗、崎谷 実穂
 識者5人による「賢人会議」をお届けする。「少子化」「超高齢化」時代における「社会保障」「地域再生」はいかにあるべきか。日本労働組合総連合会会長の神津里季生氏、東京大学 政策ビジョン研究センター特任研究員の藤田正美氏、一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事の木下斉氏、個人投資家で作家の山本一郎氏が、森田朗所長率いる国立社会保障・人口問題研究所に集い、現実を直視しながら、「次の一手」を探る。その前編。

(写真=鈴木愛子、以下同)
森田:皆さん、お忙しい中、社人研(国立社会保障・人口問題研究所)にお集まりいただき、ありがとうございます。今回は識者の皆さんと一緒に、人口減少時代の社会保障と地方再生のあり方について考えていきたいと思います。では山本さん、進行をお願いします。

勝った政党が改革を進めるべき

山本:恐縮です。ではまず「民意」を確認するという意味で、少々遡りますが、7月の参議院選挙の振り返りからいきたいと思います。獲得議席は自民党・公明党あわせて70、野党は全体で51、民進党単独では32議席でした。民進党を支持する立場であった労働組合の中央団体「連合」として、神津会長は選挙結果をどう見られましたか?

神津:安倍(晋三)総理を支持しているというよりも、他の選択肢がないから自民党に投票した国民が多かったのだろう、と感じました。このことは、世論調査でも明らかになっています。投票率も54.7%と、依然として史上4番目の低さにとどまりました。


神津 里季生(こうづ・りきお)日本労働組合総連合会 会長
山本:野党側は共闘体制で挑みましたが、国民の支持を大きく広げるには至りませんでしたね。

神津:メディア的に言えば共闘だったかもしれませんが、実情としてはそうではありません。民進党を軸に統一名簿をつくる構想も、途中で断念せざるを得なかった。積極的に政策でまとまって、国民の目から見て投票してみようと思ってもらえる選択肢にはなれませんでした。

山本:この選挙で特徴的だったのは、各種メディアでの「投票先を決める時に重視する政策は?」というアンケートの結果において、概ね「年金・医療などの社会保障」が「景気・雇用対策」を抜いてトップになったことです。これは注目すべき変化だと思うのですが、森田先生、いかがでしょうか。

森田:社会保障は現在、国民の大きな心配事となっています。でも選挙の場では、これまであまり表立って扱ってこなかった。2011年、2013年の選挙では与野党ともあえて争点から外しましたよね。当時の野田(佳彦)首相も、安倍首相も、社会保障の財源問題を解決するためには消費税を上げざるを得ないと知っていたけれど、先送りしてそれ以外の争点で戦いました。


森田 朗(もりた・あきら)国立社会保障・人口問題研究所 所長
山本:2012年に制定された社会保障制度改革推進法は、どうなっているのでしょうか。社会保障と税の一体改革を進めますよ、という方針はもう決まっているんですよね?

森田:そう、本来は勝った政党がこの改革を進めるべきです。でも虎の尾を踏みたくないから、逃げ腰になっているのかなという感じですね。社人研では、昨年の国勢調査に基づいた人口推計をやっています。そしてそれに基づいて、年金の再計算をする。それを踏まえて、政策もまた変わってくるのかどうなのか、注視しています。

地方消滅で一番打撃を受けるのは


山本一郎(やまもと・いちろう)個人投資家・作家
山本:ここ数年、自民党の勢力が強くなっていますよね。また、比較的若年層が自民党を支持しています。いまの安倍政権や自民党の政策がいいかどうかは別として、野党側の経済政策がうまく浸透せず比較対象になれないのが問題なのではないかと。

神津:民主党政権時に掲げたものも含めて、民進党もやはり分配に力を入れています。それは大事なことだと思います。この20年間、経済格差は開くばかりです。下を上に引き上げていくことが急務だということに間違いありません。同時に、従来構造だけで物事を考えてはいけないとも考えています。以前、安倍総理がアベノミクスの効果として、倒産件数が減っていると話していました。たしかに、東京商工リサーチの調べによると、2015年の企業倒産は25年ぶりに9000件を下回りました。しかし、その裏には2万5000件以上の休廃業・解散があるんです。後継者がいなかったり、業績がジリ貧になったりして、事業継続を断念している中小企業がたくさんある。ただ事業の延命をはかるのではなく、もっと生産性の高いところに集約を図るなど、将来を予測して時代に対応していかないといけません。

山本:後継者が不足して事業継承が困難、といった話は地方経済の維持・発展において大問題なのではないでしょうか。地域政策系の業務に携わり、地方創生の現場を日々目の当たりにしている木下さんから見て、地方の政治はどうなっていると思いますか?


木下 斉(きのした・ひとし)一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事
木下:いわゆる「地方消滅」で一番打撃を受けるのは、実は政治家と行政マンなんですよね。これはある種の“不都合な真実”です。一般住民からすると、より広域行政化することでサービスを維持したり、移住する先にサポートをまわしてもらったりするほうが合理的だと感じている。そういう声もよく聞きます。でも地域を再編すると、政治家・行政マンの仕事がなくなる。だから、今の行政区をいかに守るか、議会などの行政組織をいかに維持するか、という方向に政策が展開されてしまう。既存のシステムを維持するために予算が割かれてしまうわけです。

山本:本末転倒と言うかなんというか……。

木下:若い人ほど移動が容易だから、過疎地域を見捨ててどんどん都市圏に若者が集まっています。そして人が少なくなればなるほど、残された人の仕事のほとんどが行政関連、そして所得のほとんどが年金という状況に。市場や産業はなくなります。若い人にとっては、ある種の利権的なヒエラルキーに入らないと、地方の過疎地域にはブラックな仕事しかない。その状況も、さらに移住を加速していくというスパイラルになっていると思います。

人口急減時代の新ルールとは

山本:地方の自治体を再々編するという話も出てきていますよね。

木下:うーん、市町村再編、都道府県再編に関しての話は、道州制に味噌がついてしまったこともあり、若干タブー視されているように感じますね。行政機構を再編して、社会保障や地域の維持にかかるコストを見直そうという話は、本筋として今、熱心に議論されていません。

山本:現状に汲々としていて、あまり長い目では現実を直視しないようにしている、ということでしょうか。とはいえ、人口減少で地方が消滅しかねないというのは、実際に起こっていることです。それについて、政策シンクネットのエディターであり、長年政治や社会の問題にジャーナリストとして向き合ってきた藤田さんはどう思われますか?

藤田:先日、森田先生ともお話ししたのですが、もう日本の人口はこれから、フリーフォールのように落ちていくんですよね。日本の人口の推移を歴史的に見てみると、平安初期には約550万人だった人口が、江戸時代直前には1200万人を超え、1872年(明治5年)から急激に増加の角度が上がり、2010年には1億2806万人に達します。そこがピークだった。社人研によると、2060年には8474万人、2100年には4959万人にまで減ると推計されています。私たちはもう、分水嶺を過ぎてしまったんです。でも、そこに危機感を覚えている政治家はどれくらいいるでしょうか。


藤田正美(ふじた・まさよし)東京大学 政策ビジョン研究センター 特任研究員
山本:数字として知っていても、これが身近なことだと深刻に捉えている人はあまりいなさそうです。

藤田:人口が減るというのは、社会のルールが変わるということなんです。人口が増えている時代は、毎年大きくなるパイを仲良く分け合えばよかった。今年はうちがもらったから、来年はあなたのところね、と調整することができたんです。ところが人口、国力、何もかもが減っていく時代は、ぶんどったもん勝ち。今年もらえなかったら、もうこの先ずっともらえないかもしれない。オールオアナッシングなんです。このルールが変わったということは、認識されていません。それには、メディアにも責任があります。メディアが強く発信し、周知していかなければいけない事実だと思います。

山本:新しいルール、制度を政策面から考えていく必要がありますね。でも、今の自民党のやり方のままだと、解決される気がしません。

生産した上でしか、分配はできない

森田:政治家の認識が甘いという点もあると思いますが、次の選挙で勝ちたいと考えると、わかっていても改革案を進められないのではないでしょうか。ヨーロッパでは、政策の内容から投票先を決めるということが当たり前におこなわれています。それは、比例代表が中心になっているから。党として長期的にこういう政策を進めます、それがいいと思ったら投票してください、と言える。でも日本のように、選挙で当選するかは個人の責任、となるとなかなか具体的な政策を打ち出すのは難しいですよね。

山本:そうすると、国民の機嫌をうかがうような主張ばかりになってしまいます。例えば年金生活者の生活を直撃する消費税増税なんかは、こわくて言い出せませんよね。

森田:どうして日本の選挙はそうなったのか。ひとつはソ連が崩壊していった1990年あたりでイデオロギーがなくなり、拠りどころになるような思想や哲学が政治の世界から消えてしまったからです。昔はわりとわかりやすくて、社会主義、労働者重視の政策を社民党が代表していて、自由主義で自由市場を広げていきたい人、つまり自営業や起業家の政策は自民党が代表していた。どちらにするか、という選択の余地があった。今は、どの党の候補も同じことを言いますよね。特に政治思想がないから、みんな「豊かで明るくて美しい国をつくりたい」みたいなことを言う(笑)。

山本:衰退していく日本をうまく回していくための新しい政治思想が、今はまだ出てきていません。右肩上がりを前提にしたような制度改革から次の時代にマッチした枠組みができないまま停滞しているような感じです。

藤田:民進党の蓮舫代表が、参院本会議で「批判から提案へ」のスローガンに従って、22回も「提案」と言ったと。でも、何を提案するかが見えてこないんですよね。


木下:政治家は、決断が仕事なんですよね。国民は、政治や行政は何かを生み出す存在ではないと理解しないといけません。打ち出の小槌のように、求めれば何でも出してくれる存在ではない。自分たちが払ったお金や、生産したものの上でしか、物事は分配できないんです。それは、私達も意識すべきことだと思っています。でも、なんとなく生きていれば幸せになれた時代があったから、意識がなかなか変わらない。

山本:高度成長期の弊害ですね。

「地方から海外へ」の視点を

木下:商店街のおじいちゃんが言うのは、朝ちゃんと起きて店を開いて、博打もせず、女遊びもせず、まじめにやっていればつぶれる店なんて昔は一軒もなかった、ということ。物がない時代は、物を仕入れれば売れた。いかに卸の人と仲良くなって、物を仕入れるかが商売だとされていた。マーケティングなんかいらなかったんです。でも今は、朝から真面目に店を開いていても、つぶれる店はつぶれます。物がありすぎて売れない時代に変わってしまった。自分たちが生きる環境が変化していることを認識しないと。

山本:稼げないから若い人の賃金も上がらない、結婚できない、子どもも育てられない。そして、最終的には少子化に結びついていく。これはどうしたらいいのでしょうか。

木下:地方で言えば、都市中心部に集約して、効率性を上げれば都市的生活が営めるという方向に持っていくことでしょうね。それをやりながら、同時に農林水産業では小泉進次郎さんなども推進するような、農林改革を進めていく。ここで一番カギになるのは、地方がやってきた空港などのインフラ投資を、輸出産業の基幹として使うこと。


山本:例えばどういうことでしょう。

木下:北海道の紋別のカニは、底引き網などで大量に獲って、福井などより格安の値段でかに料理店などの店舗に売ってきたんです。でも、今後は国内での薄利多売ではやっていけません。そこで、国外市場に打って出る。地方で活用されてない空港を利用し、空輸して他の国で新鮮なまま売れば、もっと単価を引き上げられ、少ない漁獲量でも収益が上がるかもしれないんです。今までそういう発想がなかった。空港経営の見直しは、農林水産業の改革と一体で説明すると、事業の可能性がすごくあります。

山本:地方の特産品を商品化して価値を高め、高額で買ってくれるところへ捌いて稼ぐという方向に、ようやく目が向き始めたんですね。

プロジェクトファイナンスができない地方銀行

山本:ここ数年、地銀の再編が増えていますよね。木下さんの目から見た、地方の金融政策、経済政策はいかがですか。

木下:自民党の地方向けの政策メッセージについては、地方でも正当な競争をうながすなど、納得するものが多いと感じています。でも出て来る政策パッケージが昔のままだから、執行部分は疑問符がつきますね。実情として、地方には過剰なほどいろいろな資産があるんです。交通でいえば、空港や新幹線の駅など、国、地方が持っているだけでも570兆くらいの資産が地方都市にある。お城などの観光資産も財務省が持っていたりする。それを民間に開放して活用できるかどうか。

山本:交通インフラは、先程のお話のように、農林水産業の改革と一緒に活用が進めばいいですよね。

木下:はい。そして、金融も地方特有の問題がやっぱりあるんです。それは、地方で新しいプロジェクトを立ち上げるときに、融資の要となるプロジェクトファイナンスをちゃんとやれる、いわゆる「担保」をとらずに事業の収入を元に審査して融資できる銀行が各県に、ないこと。

山本:それはきついですね……。


木下:エクイティをどれくらい積んでほしいといったことは、本来銀行側から提案してほしいところです。でも、そういう試算や決断ができる銀行職員がなかなかいない。土地などを担保にしない限り貸せません、の一点張りなんです。東北のプロジェクトでどうにも融資してくれる銀行が見つからず、プロジェクトファイナンスができる部隊がある中国地方の銀行に相談してようやく融資が決定されたケースさえあります。このミスマッチが地域の差をさらに加速しています。

収益があがっているからこそ、売る

森田:昔は土地などの担保の価値で、お金を動かすのが当たり前でした。その考えが抜けず、担保の価値がなくなったときに、どうやってお金を使っていくか見立てをする力が銀行についていないんですね。これは都市部の住宅問題にも通じる話かもしれません。


山本:といいますと?

森田:昔のマンション購入のパターンは、老朽化したら階数を増やして増床し、その部分を売ることで建て替え費用をだすというモデルだった。でも物件自体の価値が下がり、建て替えができなくなっているマンションがたくさん出てきています。これから首都圏で起こる住宅問題は、賃貸よりも分譲マンションで悲惨なことになるのではないでしょうか。

山本:なるほど、そうかもしれません。実際、人口が流入する首都圏の中央区、港区、千代田区以外では、土地を寄せて地上げしてもデベロッパーが仕入れず駐車場のままになっているところがゴロゴロあります。

森田:日本は100年以上続いている株式会社が約2万6000社あり、創業200年を迎えている企業が約1200社あると。世界全体でみると、創業200年を超える会社の40%以上が日本に存在しているんだそうです。一方、アメリカは企業の新陳代謝が激しい。これは、資産に対する考えかたの違いが如実に表れています。IBMがレノボにThinkPad事業を売った時に、日本人は「収益が上がっているのになぜ売るのか」と言う人が多かった。

山本:でも、IBMとしては、「収益が上がっている今だからこそ、売るべきだ」と考えているわけですよね。

森田:その通り。でもこの発想は、日本になかなかないですよね。むしろ日本では、マイナスになるまで持ちこたえようとする傾向がある。どちらがいいという問題ではありませんが、不良資産は早めに処分するという方向に考えを切り替えていかないと、これから先は厳しいのではないでしょうか。

人口拡大期の仕組みが縮小期に齟齬

山本:「マイナスになるまで持ちこたえようとする」は、あらゆる場面で起きている現象ですね。地方の助成事業も、今は不採算になっているものが多いのでは?

木下:残念ながら、ほとんど不採算ですね…。日本の問題は、もともと人口の拡大期に制定された法律が、国の縮小期になってもそのまま残ってしまっていることで起きている不具合が多発しています。地方でいうと、拡大期は助けになっていた国の支援が、今は重荷を作ることになっている。100億円支援した結果、それから20年かけて地元に500億円の負担が生じる、なんてことも。助成金をもらうと、短期的には収入が上がっているようにみえるけれど、それで施設を建てた場合、維持費で毎年どんどんお金が出ていき、長期修繕が必要になったときには資金は底をついている。かつての右肩上がりなら良かったものの、既に我々が迎えている縮小期に合わせた制度になっていないのが、本来的な問題だと考えています。

藤田:それは個人事業主、起業家にも起こりうることですね。特に今問題だと考えているのは、銀行の融資のあり方です。実際に、大手企業を辞めて本屋を立ち上げた人から相談を受けたことがあります。その人は、もう自分もそろそろいい年になってきたので、本屋を誰かに引き継ぎたいと考えた。でも、見つからないんです。なぜなら、その社長は銀行から融資を受けるときに個人保証をしているから。後継者となると、その人にも銀行は個人保証を要求する。そこでみんな躊躇してしまうんです。


山本:日本の場合は、次の世代に生産性のある事業を引き継げるシステムになっていないんですね。地方の企業において、事業継承が上手くいかないケースは多くあるでしょう。

森田:いま、地方で大きな雇用を生んでいるのは、医療介護関係ですよね。たしかに医療介護を充実していけば、雇用も増えるし、住んでいる高齢者も助かる。でもそうした、社会保障医療のもとのお金は、稼いだお金じゃないんです。これを忘れてはいけません。右から左にまわってくるお金をベースにして、雇用が増えているという状況。そうするとだんだん原資となっている年金が減っていけば、医療保険が破綻し、結局、医療介護サービスももたなくなる。本来なら、稼いだお金をまわすべきなんですよね。そこにはある程度の人口や産業の集積、集約がないと難しい。

昔栄えた地方の工業都市ほど惨状が待っている

木下:今の地方で大変なのは、昔はある程度人口や産業が集積していた都市なんです。企業が建てた工場の固定資産税や、栄えていた事業に関連する従業者から税金を集めていた自治体ほど一気に厳しくなっている。北九州市は、まさにその先進例です。

山本:過疎地が高齢化で困っているという話はメディアでもよくピックアップされますが、じつは地方でリアルに大変なのはかつて栄えた工業都市なんですね。

木下:はい。北九州市では、1979年の約107万人をピークに、2005年には100万人を割って、2007年以降は毎年平均4000人ほどの減少が続いて、2014年には約96万人になりました。そうするとさまざまなインフラが余り、維持も困難になる。たくさんの工場によって支えられていた労働環境や社会保障も細くなり、会社も面倒を見きれずスタッフを非正規雇用化していく。北九州市の小倉地区では、実情に合わせた「縮小社会型」の再生計画を実行して少しずつ、雇用が増えているのですが、全体としては今後も減っていくと考えられます。

藤田:規模はもっと小さいですが、2006年に破綻した北海道の夕張市も、もとは炭鉱の町として栄えていましたよね。

木下:夕張については、自治体破産法をもっと真剣に検討すべき契機だったと思います。このケースで一番こわいのは、破綻当時の353億円の赤字を、今後ずっと夕張に住む人が返済し続けないといけないことです。要は自治体はリセットが許されない仕組みなんですよね。つぶれないというのは表向きはいいことのように聞こえるけれど、個人で言えば、おじいちゃんがつくった借金を孫も返し続けているようなもの。どこかでリセットできる仕組みをつくらないと、この問題はなかなか解決しないでしょう。

山本:それはもう、人口減少が宿命づけられている日本社会の中で、活力を維持しながらどううまく撤退するかということですよね。日本はもう、勝つために闘うのではなく、撤退戦で被害を少なくする方法を考える段階にきています。そのグランドデザインはどこから手を付ければいいのでしょうか。

森田:残すところと残さないところをはっきり線引し、撤退プランと育成プランに分けて対応することですね。でもそれが、なかなか政治的にできない。北九州市もその他の都市も、これ以上、人口が増える可能性はない。だったらある程度の規模の都市を活かし、まわりを縮小していくしかありません。そういうかたちで対応せざるをえないと理解してもらうのは、なかなか難しいことです。私自身も以前、市町村合併に関わったことがあります。そのときに、ABCDEという5つの自治体を合併したら、一番大きなAだけ栄えてほかが衰退する、だから嫌だという意見があった。でも合併しなかったら、BCDEも、そしてAも、すべてが衰退するんです。感情的に抵抗があるのはわかりますが、理屈を説明して理解してもらうしかないのかなと。

規制強化ではなく、何かが起こった時に対処すればいい

神津:やはり何か一つ成功モデルをつくって、徐々に普及させるしかないと思います。日本人は「みんな一緒なら大丈夫」と思いすぎるところがあるのではないでしょうか。東日本大震災ではあんなに大きな被害があったのに、みんなで肩寄せあって生きていこうと、その場を乗り切った。それはすばらしいことです。でも、みんなで普通に生活できるんだから大丈夫と安心して、社会を変える変化にはあまり向かわなかった。社会保障問題もそうです。社会保障に関心が集まっていることは確かですが、本当に危機感があるかというとそうではない。政党選びの争点にはなってないし、投票率も低い。このままでなんとかなるんじゃないか、と思っているんですよね。


山本:現状維持を好む傾向はありますよね。稼ぎが減ってしまっても、新しい稼ぎ方を見つけるというよりは、それでなんとか生活していこうとする。その結果、苦労は分かち合われてもみんなジリ貧になってしまう。

藤田:「爆買い」で中国人が日本に押し寄せた時に、政府もマーケットもみんな喜びましたよね。それは、稼ぐ方法が降って湧いたから。それは一時期の幻想だったということがわかるのですが、今の時代、何をするにも日本のマーケットだけだとどうにもなりません。この先事業を拡大するならば、海外に目を向けることは必須です。そのとき政府の規制は基本的に邪魔になります。

山本:そうですね。

藤田:今まで日本では、問題が起こる前に早手回しに抑えようとしていました。それが規制の強化につながっていた。これからは、考え方をガラッと変えることが必要です。事前に防ぐのではなく、問題が起こってから対処すればいいというふうに切り替えていかないと。それと同時に、変えなければいけないものがあります。それは、何か問題が起こった時に「政府は何をしていたのか」と責める考えかた。政府は基本的に静観していて、問題が起こったら対処するというものだと認識を変える。ここはメディアも気をつけるべきですね。

神津:雇用においても、考え方、風土を変えなければいけないところはたくさんあります。今年の春闘では、中小の要求が大手を上回れないという固定概念は終わりにしよう、と呼びかけました。大手追随、大手準拠からの脱却を特に強く言ったんです。

山本:それは大事な観点ですね。中小企業でも成長力のある活気づいたところはたくさんあります。

神津:大手企業をトップとするヒエラルキーは、中小企業の経営者の頭の中にも根強くあります。長いものには巻かれたほうがいいと考えて、価格や条件をちゃんと交渉できない。大手の発注者の言いなりになってしまうんです。そして、これは中央と地方にも当てはまる図式ですよね。中央政府の言うことを聞いておけば、最後は助けてくれるだろうと思ってしまう。そうではなく、地方にも同じだけ主張する権利がある、自主性を持って動いていかなければいけない、ということを発信していかなければと思います。

(次回へ続く)

(構成=崎谷実穂)

このコラムについて

人口減少時代のウソ/ホント
私たちが生きるのは人口減少時代だ。かつての人口増加時代と同じようにはいかない。それは分かっている…はずだが、しかし、具体的にどうなるのか、何が起きるのか、明確な絵図を把握しないまま、私たちは進んでいる。このあたりで、しっかり「現実」をつかんでおこう。リアルなデータを基に、「待ったなしの明日」を知ること。それが「何をすべきか」を知るための道だ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/275866/121200011/



「撤退戦だが、負けない」新たなプランが必要だ

人口減少時代のウソ/ホント

日本が沈み切る前に、打つべき手を考える賢人会議(後編)
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/218.html
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/256.html

[原発・フッ素47] 東芝、原発事業で陥った新たな泥沼 減損額は数千億円か、始まった債務超過へのカウントダウン 小笠原 啓
東芝、原発事業で陥った新たな泥沼

減損額は数千億円か、始まった債務超過へのカウントダウン

小笠原 啓

2016年12月28日(水)

 「減損回避のために買収した企業が、1年後、新たな減損の火種になるとは思わなかった。まるでブーメランのようだ」。ある東芝関係者は12月27日、本誌の取材に対してこう漏らした。

 東芝は同日、米国の原子力事業で数千億円規模の減損損失が発生する可能性があると発表した。米原発子会社ウエスチングハウス(WH)が2015年末に買収した企業の資産価値が、想定より下回ったのが原因だ。

 会見した綱川智社長は「(損失の可能性を)12月中旬に認識した」と述べ、「経営責任を痛感している」と強調した。一方で具体的な損失額については「精査中で答えられない」として言及を避けた。年明けにも減損テストを実施し、2月中旬までに計上すべき損失額を算定する。


東芝の綱川智社長は12月27日に記者会見に臨み、原子力事業で数千億円の減損損失が発生する可能性があることを明らかにした(写真=都築 雅人)
 問題となったのは、WHが子会社化した米CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)。原発建設におけるパートナーだった米エンジニアリング会社のシカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン(CB&I)から、2015年12月31日に「0ドル」で買収した。

 買収後にWHがS&Wの経営状況を見直したところ、原発の建設プロジェクトなどでコスト超過が判明。資材や人件費などが想定よりも大幅に増えたという。その結果、S&Wの資産価値が当初の想定から大きく下がり、多額の損失計上が必要だと判断した。今後、数千億円規模の「のれん」を計上し、減損テストを経てその一部または全部を取り崩すことを検討する。

 東芝は2017年3月期の連結最終損益を1450億円の黒字(前期は4600億円の赤字)と見込んでいる。数千億円の減損損失を計上すれば、最終赤字に陥る可能性が高い。

 今年9月末の自己資本は3632億円。損失の規模によっては債務超過に陥る可能性すら出てきた。この点を問われた平田政善CFO(最高財務責任者)は「お答えできる状況ではない」と述べるにとどめた。


債務超過に陥る可能性はあるのかという問いに対して、平田政善CFO(最高財務責任者)は明確に否定できなかった(写真=都築 雅人)
次ページ「電力会社との関係を修復する条件だったS&Wの買収」

 傘下に収めてわずか1年で、巨額減損の火種となったS&W。なぜ東芝とWHはこの企業を買収したのか。その理由を知るには、時計の針を1年ほど巻き戻す必要がある。

 東芝の不正会計が発覚したのは2015年4月。7月に第三者委員会が2000億円以上の利益水増しを認定し、田中久雄氏ら歴代3社長が責任を取って辞任した。9月には東京証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定され、半導体や家電など複数の事業で厳しいリストラが始まっていた。

 この間、一貫して焦点になっていたのがWHの減損問題だった。

電力会社との関係を修復する条件だったS&Wの買収

 東芝は2006年に約6000億円を投じてWHを買収。買収価格とWHの純資産との差額、約3500億円の「のれん」を計上していた。買収後、リーマンショックや原発事故などで経営環境は激変したが、東芝は一貫して原子力事業は「好調」と説明し、巨額ののれん計上を正当化してきた。仮に不調を認めると減損処理を迫られ、経営危機に直面する可能性があったからだ。

 一方で、原発建設の現場では「コストオーバーラン」が深刻な問題になっていた。WHは米国内で4基の原発を建設していたが、規制強化による安全対策や工事の遅延などでコストが増大し、事前の見積り額を超過するようになったのだ。

 発注元の米電力会社はWHに超過分のコスト負担を求め、一部は訴訟に発展。工事を担当するCB&IとWHとの間でも、負担割合などをめぐって争いになっていた。こうした係争が深刻化して損失計上を迫られれば、WHの収益計画を見直さざるを得なくなる。すると、のれんの減損処理が現実味を帯びる。こうした事態を回避するために、東芝はS&Wを買収することで関係を整理することにした。

 東芝は2015年10月28日、WHがS&Wを完全子会社化すると発表。プレスリリースには次のように記載されている。「米国のプロジェクトに関し現在訴訟となっているものも含め、全ての未解決のクレームと係争について和解する」。「価格とスケジュールを見直すことにも合意した」。

 つまりS&Wを買収することが、電力会社との関係を修復する条件だったのだ。前述の東芝関係者は「S&Wを買収しなければ、WHは2015年中に減損処理に追い込まれていたかもしれない。資産査定などの時間は限られていたが決断せざるを得なかった」と振り返る。冒頭の「減損回避のための買収」とはこういう意味だ。

次ページ「会見に志賀会長とWHのロデリック前社長は出席せず」


会見には原子力事業担当の畠沢守執行役常務(左)も同席した(写真=都築 雅人)
 東芝は結局、2016年4月に原子力事業で約2500億円の減損損失を計上した。それが可能になったのは直前の3月に、東芝メディカルシステムズをキヤノンに約6655億円で売却できたからだ。

 だが改めて数千億円の減損処理を迫られた場合、同じ手を使うのは難しい。過去1年でリストラを進めた結果、売れる事業が社内にほとんど残っていないからだ。資本増強の手段としてNAND型フラッシュメモリーの需要が旺盛な半導体事業の売却や、分社化して株式上場する案も考えられるが、それは東芝の「解体」と同義だ。

会見に志賀会長とWHのロデリック前社長は出席せず

 東証から特設注意市場銘柄に指定されている東芝は、公募増資などの資本増強策が事実上取れない。12月19日には東証が指定期間を延長することを発表しており、2017年3月15日以降に東芝が提出する内部管理体制確認書で改善が認められなかった場合、上場廃止になる。平田CFOは会見で「銀行に状況を説明して協力を得たい」と述べ、金融支援の可能性に言及した。

 日経ビジネスが繰り返し述べてきたように、WHの買収こそが東芝が粉飾決算を始めた「原点」だ。原子力での巨額買収の失敗を覆い隠すために、パソコンや社会インフラなど複数の事業部門が利益の水増しに手を染めた。S&Wの買収は、原発建設でのコスト超過に直面したWHが、それをカバーするために選んだ苦肉の策なのかもしれない。最初の失敗から負の連鎖が始まり、今なお新たな損失リスクを生みだしている。

 なお、12月27日の記者会見には原子力事業を率いてきた志賀重範会長と、S&Wの買収時にWHの社長を務めていたダニエル・ロデリック氏(現エネルギーシステムソリューション社の社長)は姿を見せなかった。平田CFOによると両氏は「現地(米国)に飛んで、数字の精査をしている」という。

 7年間で2000億円以上の利益を水増ししていた東芝。巨額の不正が長期にわたって露見しなかったのはなぜなのか。何が歴代トップを隠蔽に駆り立てたのか――。

 日経ビジネスが報道してきた東芝関連記事に新たな事実を追加した書籍、『東芝 粉飾の原点』。勇気ある社員の証言や膨大な内部資料を基に、東芝が抱える“闇”に切り込んだ一冊です。


≪書籍の主な内容≫
【序章】 こじ開けたパンドラの箱
【第1章】 不正の根源、パワハラ地獄
【第2章】 まやかしの第三者委員会
【第3章】 引き継がれた旧体制
【第4章】 社員が明かす不正の手口
【第5章】 原点はウエスチングハウス
【第6章】 減損を回避したトリック
【第7章】 歴代3社長提訴の欺瞞
【第8章】 「著しく不当」だった監査法人
【第9章】 迫る債務超過、激化するリストラ
【第10章】 視界不良の「新生」東芝


情報をお寄せください。東芝関係者以外からも広く求めています。
 東芝、三菱自動車、東洋ゴム…
 企業の不正事件が後を絶ちません。ひとたび不祥事が発覚すれば、社長が謝罪し、お飾りの再発防止策が発表され、事件は幕を閉じようとします。ただ、それで問題は解決したのでしょうか。
 原因を究明しない限り、組織の再生はありません。「日経ビジネス」では、読者の皆様からの情報をお待ちしています。

 アクセス先 http://nkbp.jp/nbpost

 取材源の秘匿は報道の鉄則です。そのため所属機関のパソコンおよび支給された携帯電話などからアクセスするのはおやめください。

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〒108-8646 東京都港区白金1-17-3
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「東芝、原発事業で陥った新たな泥沼」の著者

小笠原 啓
小笠原 啓(おがさわら・さとし)

日経ビジネス記者

早稲田大学政治経済学部卒業後、1998年に日経BP社入社。「日経ネットナビ」「日経ビジネス」「日経コンピュータ」の各編集部を経て、2014年9月から現職。製造業を軸に取材活動中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のもので

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/122700524
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/203.html

[戦争b19] 寝不足でいつも「酩酊」状態の自衛隊員たち 対策を進める米陸軍、自衛隊は組織文化から改革を 寝不足では中国に勝てない
寝不足でいつも「酩酊」状態の自衛隊員たち
対策を進める米陸軍、自衛隊は組織文化から改革を
2016.12.28(水) 部谷 直亮
自衛隊の寝不足問題は深刻だ。護衛艦「やまぎり」艦長の大谷三穂二佐も寝不足だという(資料写真、出所:Wikipedia)
 国を問わず、そもそも軍事組織は寝不足になる傾向があるが、中でも日本の防衛省・自衛隊の睡眠不足問題は特にひどいものがある。

 自衛隊の事実上の準機関紙「朝雲」も筆者の指摘に対して「睡眠不足は仕方がない」という根性論を述べており、睡眠不足の現状を認めている。

 他方、米陸軍では睡眠不足問題に関する報告書の作成、各種施策、議論が始まっている。11月20日、米陸軍向け軍事誌「Army Times」は「陸軍には睡眠の問題がある。これを解決するための方法」と題する現役の陸軍少佐ジェフ・イェーガー氏らによる論説を掲載した。

 これは自衛隊にとっても非常に参考になる内容なので、その内容を要約して紹介しよう。

(参考・関連記事)「自衛隊幹部はもっと寝よう 寝不足では中国に勝てない」

飲酒運転は許されず睡眠不足は許されるのか?

 アルコールの摂取が心的能力を損ない、ひいては意思決定を損なうことはつとに知られている。軍事組織は、そうした常識的に理由に基づき、任務中の飲酒を禁止している。

 しかし、飲酒と類似した損傷を与え、同様の影響をもたらす寝不足については褒め称え、それこそが強さだと偽る。我々は酩酊状態の兵士を危険な場所に送り込むことは許容しないのに、なぜ、睡眠不足の兵士を投入することを許すのか? 調査によると、睡眠を1日に5〜6時間しかとらないことの影響は、血中アルコール濃度0.08%に匹敵するという(筆者注:ウィスキー3杯もしくはビール瓶2本に匹敵)。

 米陸軍における睡眠不足の文化は、入隊時の訓練から始まっている。最初の部隊研修から、そのほかの任務にあたる時を除いて休みなく動くことが続けられる。残念なことに、米陸軍は、十分な睡眠が、任務成果、意思決定、公衆衛生、体力、その他全てにおいて重要だということを理解していない。

 米陸軍が2015年10月に発行した初の「軍健康報告( Health of the Force report)」によると、米国人の睡眠時間の平均以上を満たしているのは現役兵のわずか15%にすぎない。兵士の10%は睡眠障害と診断されている。米兵の約3分の1は、1晩につき5時間以下の睡眠であり、半数が医学的に重大な睡眠問題を持っている。

 米陸軍はこうした問題を認識し、「3本の能力プログラム」という取り組みにで睡眠不足問題に対処しようとしている。睡眠を、身体活動と栄養に並ぶ重点領域と見なして啓発・普及する取り組みである。

 だが、組織文化の壁が立ちふさがる可能性がある。6〜7月、現役および予備役221人にアンケートした結果、41%はこのプログラムに共感していたが、42%近くが「聞いたことがない」と答え、18%が反対していると述べた。

 米陸軍は、飲酒運転を職業的殺人者と見なし、飲酒運転を防止する強力なプログラムや文化を持っている。他方で、少ない睡眠を自慢するたくさんの兵士がいる。これは明らかに間違っている。生死に関わる決定を下す組織である米陸軍において、寝不足が自慢するようなものではないのは自明だ。

 これを解決するには、第1に、睡眠の大切さをもっと啓発するべきである。第2に、兵士に「睡眠トラッカー」の使用を義務付け、睡眠状況をチェックするべきだ。一部の兵士たちはこうした提案を笑い飛ばすだろうが、彼らは酔いどれ兵士が軍法の下でどのような扱いを受けるか思い起こすべきだ。第3は、睡眠科学を任務策定に組み込むと同時に、昇進時などの兵士の評価項目に睡眠時間を組み込むことである――。

米陸軍よりひどい自衛隊の睡眠不足

 以上が米陸軍ジェフ・イェーガー少佐らによる主張の概要である。

 こうした論考から、「米軍も寝不足であり、自衛隊同様に対策はまだ進んでいない」と捉えるのは大きな間違いだ。米陸軍は既に大々的な睡眠レベルの調査を行い、そのための施策「3本の能力プログラム」を実行に移している。そして、現役の少佐が事実上の準機関紙でこのような問題提起をしていることからして我が国のはるか先を行っていると言えよう。

 対して自衛隊では、こうした調査もプログラムも一切なく、現職の自衛官が改善を求める声を挙げたり、議論することもない。あまつさえ、自衛隊における事実上の準機関紙「朝雲」は、「有事はもちろん、平時の訓練でも『時間が来たので寝ます』というわけにはいかないのは確かで、改善は至難だ」などと述べている。こうした無益で時代錯誤の思考がまかり通っているのが現在の自衛隊とその周辺である。

 それを象徴するエピソードはいくらでもある。例えば、海上自衛隊初の女性艦長、大谷三穂二佐は日経新聞のインタビューに対して「昼夜なく報告を受け、ずっと寝不足・・・」であると答えている。大谷艦長は防大に入学した女性の一期生であり、周囲からの評価も極めて高く、女性艦長第一号であることから組織的に期待されている逸材であることは明らかである。その彼女をして、こうであることは、どのような組織であるかは分かる。

 実際、海上自衛隊の艦艇部隊の幹部の睡眠時間が平均2時間であることは珍しくない。日米共同演習では、交代制と暖衣飽食の米海軍に海上自衛隊が徹夜と握り飯で対抗し、初戦で圧倒するものの、最終的にはヘトヘトになって敗北することがままあるという。また地方の基地では、キングカズでもない40代の佐官が夕方まで競技会に向けてサッカーの練習を行い、5時に仕事を再開し、部下に先に帰るのを許さないといった話も聞かれる。

 日米共同演習等で交代制をとらず、やはり途中から壊滅していた陸上自衛隊は、近年、三交代制を導入した。しかし、平時や実働では導入されていないので、皮肉なことに演習時がもっとも寝られるということになってしまっている。

自衛隊が採るべき3つの対策

 では、どうすれば良いのだろうか。ここでは筆者が考える3つの対策を提案したい。

 第1に、ジェフ・イェーガー少佐の論説にあるような「睡眠トラッカー」の導入である。

 この種の装置は5000円程度で良い性能が手に入るので、事務官を含めて25万人弱の防衛省・自衛隊に配布しても13億円以下で済む。来年度予算における10式戦車(8億円)の調達を2台減らすなり、ほとんど役に立たない予備自衛官制度の予算80億円から一部を転用するなりすれば、すぐできるはずである。

 第2は、仕事を無限に増やすような非効率な組織文化の改革である。

 自衛隊は仕事が無意味に丁寧すぎる部分がある。例えば、中央観閲式では、戦車・装甲車・高機動車をいちいち隊員が手で再塗装している。しかも、ムラができれば、塗装を剥がしてやり直す作業を繰り返し、最後には「つや消し」を施すというガンプラのようなことをやっている。観閲式のベンチやトイレなどの会場設営と撤収にも、約2カ月もかかっている。

 こうした無意味な慣習は排すべきだし、自衛隊の広報イベントの実施や準備はできる限り民間に委託するなり縮小が筋だ。実戦に向けた取捨選択による業務改革が必要である。地元のお祭りの手伝いや面子のための演習のような優先順位の低い任務の縮小・廃止による負担軽減も実施すべきだろう。

 第3は人事制度の改革である。自衛隊では長い幕僚(指揮官を支える幹部)時代を経てから指揮官になるため、指揮官になっても幕僚気質が抜けない人物がよく見受けられる。要するに、いつまで経っても「優秀な部下」のままだということである。こうした上司はしばしば自分にも部下にも厳しく、部隊の寝不足を加速する。指揮官を歴任するようなキャリアプランを設け、指揮官気質の指揮官を増やしていくべきだろう。

 以上はあくまでも試論だが、これを機に、自衛隊員や防衛省職員が、誰かのメンツや自己満足のための無意味な仕事に追われることなく、良質な睡眠によって高いポテンシャルを発揮できるようにするための議論が高まることを祈念してやまない。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48768


 
自衛隊幹部はもっと寝よう 寝不足では中国に勝てない
元米海軍提督が提言「軍隊は睡眠こそが重要な戦力」
2016.6.15(水) 部谷 直亮


 
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自衛隊幹部の不眠不休の働きで日本は窮地に?(写真はイメージ)
 ジェームス・スタヴリディス元米海軍大将は、NATO軍司令官を2009年から4年間務めた優秀かつ高名な軍人である。その彼が、「睡眠は兵器」という論説を米国のネットメディア「ハフィントンポスト」に掲載した。

 スタヴリディスは同論説で、軍人の睡眠こそがミサイルや戦闘機よりも重要な戦力であり、国益を守るために必須の要素だと主張し、不眠不休を尊ぶ米軍の組織文化を批判する。

 実はこの不眠不休を尊ぶ文化は、自衛隊の方がよりひどい。しかも、今後の自衛隊の改革によって、さらに悪化する蓋然性が高いのである。その意味で、スタヴリディスの指摘は、日本の離島防衛を考える意味で非常に重要な意味を持つ。

 まずはスタヴリディスの主張を簡単に紹介しよう。

睡眠不足で200人の民間人を虐殺した米軍

 私は40年間を海軍士官として過ごしてきた。私は軍艦乗りだったので月のほとんどを海上で過ごしたが、その際は1日に18〜20時間働いて過ごしていた。士官の通常の責務以外にも活動中の部下たちに対してリーダーシップを発揮し、マネジメントを行い、皆をまとめあげねばならかったからである。

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顔面蒼白!中国人旅行者が旅館でピンチ (2016.6.13 宮田 将士)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47074
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/410.html

[政治・選挙・NHK218] 「二度と過ちは繰り返しません」 の奇妙なフレーズは どう生まれたのか?三流の維新 一流の江戸
三流の維新 一流の江戸
【第10回】 2016年12月28日 原田 伊織
「二度と過ちは繰り返しません」
の奇妙なフレーズは
どう生まれたのか?
徳川家康没後400年の年も終わりに近づいている。
江戸という時代は、明治近代政権によって「全否定」された。
私たちは学校の教科書で、「明治の文明開化により日本の近代化が始まった」と教えられてきたが、はたして本当なのか?
ベストセラー『明治維新という過ち』が話題の原田伊織氏は、これまで「明治維新とは民族としての過ちではなかったか」と問いかけてきた。
そして、今回さらに踏み込み、「2020年東京オリンピック以降のグランドデザインは江戸にある」と断言する。
『三流の維新 一流の江戸――「官賊」薩長も知らなかった驚きの「江戸システム」』が話題の著者に、「二度と過ちは繰り返しません」の本当の意味を聞いた。


正義の基準は意外と脆い

原田伊織(Iori Harada)
作家。クリエイティブ・プロデューサー。JADMA(日本通信販売協会)設立に参加したマーケティングの専門家でもある。株式会社Jプロジェクト代表取締役。1946(昭和21)年、京都生まれ。近江・浅井領内佐和山城下で幼少期を過ごし、彦根藩藩校弘道館の流れをくむ高校を経て大阪外国語大学卒。主な著書に『明治維新という過ち〈改訂増補版〉』『官賊と幕臣たち』『原田伊織の晴耕雨読な日々』『夏が逝く瞬間〈新装版〉』(以上、毎日ワンズ)、『大西郷という虚像』(悟空出版)など
 私たちは、明治維新という出来事以降の時代、即ち、明治時代以降を「近代」と呼ぶように教育されてきた。
 平成という現代は、まさにその近代の最中にある。
 単なる時代区分の呼称としてだけのことなら、これは殊更問題にすべきことではない。

 しかし、私たちが受けてきた教育、今も学校教育として施されている教育――これを「官軍教育」と呼ぶことについては、今やかなりの規模と広がりのコンセンサスが成立している――では、近代=先進的という意味を色濃く含ませて教え込まれるのである。

 いい換えれば、近代より前の時代=前近代は「後進的」な時代として否定すべきものという教育が、今もなお為されているのだ。

 このことは、日本列島の津々浦々、辺境の分校に於ける教育にまで、見事に徹底されている。
 洋の東西を問わず、古来、戦(いくさ)の勝者が「歴史を書く」ことは、ごくごく普通のことであった。

 多くの場合、勝者はその戦と戦に至ったプロセスの正当性を説くのだ。このことは、中国史に於いても西洋史に於いても何ら変わりはない。
 このことについて、それは誤りだ、間違いだなどということにほとんど意味はないのだ。
 一つには、正義というものにも普遍性がないからである。

 このようにいうと、正義はいつの時代でも正義であろうと、意外に思い、異議を唱える読者も多いことだろう。

 しかし、平成という今、私たちが正義としている価値や思想、行為は、ほとんどが西欧価値観によって正義とされているに過ぎないのだ。
 正義の基準とは、意外に脆(もろ)いもので、時にそれは揺れ動くということを知っておかなければならない。

 問題は、勝者の書いた歴史は一定期間を経て一度は検証されるべきものであるという宿命ともいうべき性格をもっているということだ。

 人類の歴史を紐解けば、どの民族でも五十年、百年という時間を経てそれを行っている。
 ゲルマン民族がヒトラー台頭の歴史を自ら厳しくみつめ直したことも、身近な一例といえるだろう。

「二度と過ちは繰り返しません」
という奇妙なフレーズ

 ところが、一人近代日本人のみが、これを行っていないのである。
 いや、例えば、広島、長崎への原爆投下という悲劇について、
「二度と過ちは繰り返しません」
 と誓っているではないかという反論があるかも知れない。

 しかし、これは実に奇妙なフレーズである。

 私どもの世代は、幼い時からこの言葉を嫌というほど聞かされて育ち、今も八月になるとこの言葉はメディアを通じて露出頻度が高まる。
 少年時代の私は、これを唱える日教組の教師に激しい反撥(はんぱつ)を覚えたものである。

 このフレーズにいう「過ち」とは、何のことか。
 原爆投下のことか。
 いや、だとすれば、私たち日本人が「繰り返しません」と誓うのはおかしいではないか。
 それを誓う必要があるとすれば、それはアメリカ合衆国国民であろう。
 あの二発の非人道的といわれる殺人兵器を日本人に対して使用したのは、アメリカ人である。

 このことは、明々白々な事実であり、つい昨日のことであって「アメリカ人が原爆を投下した」という事実については、何人(なんぴと)もこれを否定することはできないのだ。
 いや、この場合の過ちとは、原爆投下を招いた戦争のことをいっているのだとする見解がある。

 恐らく、このフレーズの解釈としてはこれが主流であろう。
 二度と他国を侵す戦争は止めようというだけなら、私も全く同意である。
 そもそも特定の偏った思想をもつ者を除いて、侵略戦争賛成などと考える者がいるはずがないではないか。

 ところが、先のフレーズが「原爆投下を招いた戦争」のことをいっており、日本人として二度とそういう過ちを繰り返さないでおこうと誓っているのだとすれば、私たち日本人は原爆投下は私たち日本人にそもそもの原因があると宣言していることになる。
 自分たちがあの戦争を仕掛けなければ、原爆投下はなかったのだと。つまり、悪いのは私たちであったと悔いているのだ。

ルーズベルトとトルーマンの正体

 もし、あのフレーズの意味するところがそうだとすれば、冗談ではない。
 繰り返すが、原爆を投下したのはアメリカ人である。
 私は、原爆投下だけではなく、東京大空襲も、大阪、名古屋、徳島、青森、富山等々、日本列島各都市への空襲も、武器も何ももたない非戦闘員を無差別に殺戮することを明白に意図して行っている点で、重大な戦時国際法違反であり、「人道に反する重大な戦争犯罪」であると認識している。

 つまり、ルーズベルトやトルーマンは、ヒトラーと全く同列の戦争犯罪人であるということだ。

 因(ちな)みに、市民への無差別空爆によって死傷者を一人も出さなかった都道府県は数えるほどしかなく、それは、文字通りの絨毯爆撃であった。

 こういうことをいうと、直ぐ私が大東亜戦争を賛美していると非難するのが戦後日本人の一般傾向であるが、それは非論理の極みと心得るべきであろう。

 現実に、私はこのことで火炎瓶、硫酸瓶、塩酸瓶の標的にされてきたが、私が指摘しているのは、米軍による非戦闘員の無差別大量殺戮のことであり、そもそも大東亜戦争に走ったのは何故かという問題とは全く別に扱うべきアメリカの国家犯罪であるということなのだ。

 即ち、大東亜戦争に走った原因、歴史的背景を具(つぶさ)に検証して世界の後世に資するかたちで整理、引き継いでいくのは私たちの民族としての仕事であり、それに対して原爆投下に代表される戦争犯罪は、独立してアメリカ人が戦争犯罪人として裁かれるべき問題であるということなのだ。

 ここに、戦の勝者が歴史を書くということについて二つのことが混在している。
 そして、それは今もなお全く検証して整理されていないのである。
 昭和二十(1945)年以降、日本の教育、特に歴史教育を支配してきたのはGHQ(連合国軍最高司令部総司令部)である。

 この問題は、それこそ今日の読者諸兄の生活、子どもたちの学校生活のあり方に直結する問題であり、本書の全編をこれに費やしてもまだ事足りないことだが、次回、簡潔に述べよう。

原田伊織(Iori Harada)
作家。クリエイティブ・プロデューサー。JADMA(日本通信販売協会)設立に参加したマーケティングの専門家でもある。株式会社Jプロジェクト代表取締役。1946(昭和21)年、京都生まれ。近江・浅井領内佐和山城下で幼少期を過ごし、彦根藩藩校弘道館の流れをくむ高校を経て大阪外国語大学卒。主な著書に『明治維新という過ち〈改訂増補版〉』『官賊と幕臣たち』『原田伊織の晴耕雨読な日々』『夏が逝く瞬間〈新装版〉』(以上、毎日ワンズ)、『大西郷という虚像』(悟空出版)など
http://diamond.jp/articles/-/111455
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/316.html

[経世済民117] 本気で「非正規」をなくし、同一労働同一賃金を実現する方法 正社員の待遇を下げなければ廃業と失業の増加 
山崎元のマルチスコープ
2016年12月28日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
本気で「非正規」をなくし、同一労働同一賃金を実現する方法

読みにくく、分かりにくい
同一労働同一賃金ガイドライン

 政府は「同一労働同一賃金ガイドライン(案)」(12月20日付)を発表した。働き方改革の大きな柱として、特に非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の総合的な待遇改善を目指したものと受け取ることができる。

 同じような能力・経験・成果を上げた労働者は、給与・賞与はもちろん、各種の手当等についても平等に処遇されなければならないという基本的な考え方の下に、「問題とならない事例」、「問題となる事例」を例示している。

 意欲的な試みといえるが、その目指すところが達成されるかどうか、さらに、どのような影響が出るのかについては、予断を許さない。

 企業の側で抜け道を作る方法がいくらでもありそうなので形骸化するかもしれないし、あるいは、「不利益を被った」という訴訟が多発して「平等化」が急速に進んだ場合には企業の負担が予想外に大きなものになる可能性がある。そして、企業は負担を感じた場合、当然これに対して適合的な経済行動を取るので、その結果が、政府の意図通りのものになるとは限らない。

 ところで、このガイドラインは文書として読みにくいし、分かりにくい。

 たとえば、前文には、「このような正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取り組みを通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにし、我が国から『非正規』という言葉を一掃することを目指すものである。」という一項目があるが、この文章は、そもそも「非正規」という働き方をなくそうとしているのか、現在よりもましな条件で温存しようとしているのかが分かりにくい。

 冷静に見直すと、「非正規」の雇用形態で働いても納得できる処遇を得ることで、「多様な働き方」の一つとして各種の非正規雇用労働が残るので、非正規雇用労働者はむしろ増えるのかもしれない。「『非正規』という言葉を一掃することを目指す」という言葉の勢いとは異なる結果がもたらされそうだ。

経営者が経済合理的に判断すれば
正社員の処遇を下げるしかない

 ガイドラインの考え方が今後法令化された場合の影響を考えるには、「問題となる例」として取り上げられている項目が重要だろう。

 例えば、「基本給について労働者の職業経験・能力に応じて支給しているE社において、無期雇用フルタイム労働者であるXが有期雇用労働者であるYに比べて多くの職業経験を有することを理由として、Xに対して、Yよりも多額の支給をしているが、Xのこれまでの職業経験はXの現在の業務に関連性を持たない。」という事例が挙げられている。

 「これまでの職業経験」と「現在の業務」の関連性に関する解釈は微妙だが、例えば出版社の雑誌編集部のような職場で、記者の仕事をしている正社員のXさんはそれまで単行本の編集や営業などの仕事をしており、有期契約で編集部にいてやはり記者の仕事をするライターYさんよりも、記者としての能力・経験が劣りつつも、Xさんの年収はYさんよりも遙かに多い、といった事例は、世の中にたくさんありそうだ。

 こうした場合に、Yさんが「正社員Xさんとの処遇差は不当であるし、むしろ自分の方こそが高く処遇されるべきだ」と主張して訴え出て、労働基準監督署あるいは裁判所がこれを認めるという事例が一般的になった時に何が起こるだろうか。

 成果と報酬の点に出版社が経済合理的に反応するなら、正社員Xさんの処遇を下げることだろう。政府がいくら、正社員の待遇を下げることで辻褄合わせをしてはならないと言っても、経営努力としてはXさんの処遇を下げる方法を探すのが普通だろう。

 出版社が、政府の意に沿って、契約ライターの処遇を正社員並みにするとした場合、多くの雑誌がほどなく廃刊されるかもしれない。この場合、まずはYさんが職を失うことになる。

 次の対応として考えられるのは、ライターに対して個人事業主として、あるいはライターの会社と出版社が業務を発注し・請け負う契約を結ぶことだが、社会保険や健康管理の面などで、ライターの労働条件が悪化してしまいかねない。有期契約であっても、社員として雇用される方が労働条件は有利かつ安全で好ましい。

正規・非正規の処遇差をなくすには
正社員を雇う負担を軽減すること

 正社員と非正規労働者との差を解消しようとするなら、現在の非正規労働者の多くを無期契約の正社員として雇い入れることができるようにするべきだろう。

 企業にとっては、正社員をいったん雇うと、解雇が困難で、長期にわたって雇い続けて人件費を払わなければならいことの負担が問題だ。将来、自社の製品・サービスに対する需要が縮小した場合でも、正社員の人件費は簡単には削ることができないので、正社員の雇用に対して消極的になる。

「非正規」を減らすためには、正社員を増やす必要があり、そのためには企業が正社員を雇う負担を軽減する必要があり、さらにそのためには正社員の「流動性」を高める必要がある。

 第一に必要なのは、ルール化された金銭補償で正社員を解雇することを可能にする「解雇の金銭解決ルール」制定だろう。

 企業の側では予測可能なコストで解雇できるので、需要の変動にも、また採用の失敗の可能性に対しても、これまでよりも積極的にリスクを取って、正社員を雇うことができるようになる。

 また、特に中小企業では、事実上社長の一言でクビになって、泣き寝入りせざるを得なかったようなケースが少なくないが、解雇の際の補償が明確にルール化されると、社員が個々に交渉することなく、補償を手にすることができるようになる。

 また、第二に、職探しも人材採用も容易になるように、転職市場の成長・拡大を促すべきだろう。人材情報へのアクセスを容易にしたり、転職への支援を拡大したり、といった人材マッチングの支援の他に、企業年金や退職金などで転職者や短期勤務者が不利益を被ることがなくなるように、制度的な歪みや不備をなくしていくことが重要だ。

 市場で転職が行われやすくなると、不利な条件で働くよりも転職して待遇を改善しようとする行動が起こりやすくなるので、「同一労働同一賃金」の実現を後押しする経済的なインセンティブにもなり得る。

個人の処遇は労使の個別交渉で
ルールで縛ると柔軟性を欠く

 ところで、個人の処遇は、企業と社員が、個別の交渉で決めていいのではないだろうか。業績・成果・経験・能力・人材の将来的な可能性・人材の確保など、企業側が社員の報酬を決める際に考慮したい要素は多数ある。ガイドラインにあるように、同じ業績・成果に対しては同じ処遇でなければならないことをルールで縛ると、柔軟な契約がしにくくなって、企業も社員も不利益を受ける可能性がある。

 企業と社員が個別に報酬を決定する際に、企業は社員に対して納得的な基準を提示する必要が生じるが、この場合に、一番分かりやすいのが「同一労働同一賃金」的な考え方をベースとすることだ。

 正社員(ガイドラインでは「無期雇用フルタイム労働者」)と非正規労働者の処遇を近づけることよりも、理想を言うなら、全労働者を一定の補償の下に解雇ができる現在よりも流動的な「正社員」として一律に扱うようにできれば、雇用形態の違いによる差を気にする必要がなくなる。

 また、全ての正社員の雇用と報酬が柔軟に調整できるようになると、企業にとっても、社員にとっても、よりフェアで効率的な仕事の進め方が可能になるだろう。例えば、高齢でも仕事ができる人が、能力と意思に応じて働くことができるようになれば、政府が目指す高齢者の労働参加が容易になるし、「年齢による差別」である「定年」という制度も自然に廃止できるようになるだろう。
http://diamond.jp/articles/-/112833
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/262.html

[政治・選挙・NHK218] 「日米関係の”癒しの頂点”だ」 安倍首相の真珠湾訪問、海外メディアが好意的に伝える 真珠湾を「和解の象徴に」不戦の方針貫
「日米関係の"癒しの頂点"だ」 安倍首相の真珠湾訪問、海外メディアが好意的に伝える
The Huffington Post | 執筆者: 生田綾
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投稿日: 2016年12月28日 12時43分 JST 更新: 3時間前 ABE OBAMA
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安倍晋三首相が12月27日午前(日本時間28日朝)、アメリカのオバマ大統領と共に日米開戦の発端地となったハワイの真珠湾を訪問し、真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊した。ニューヨークタイムズなどの海外メディアは、「歴史的訪問」として好意的に報じた。

アメリカのニューヨークタイムズは同日、「日本の首相が真珠湾を訪問し哀悼の言葉を捧げる」との見出しで、安倍首相の真珠湾訪問を報じた。

同紙は、安倍首相がアリゾナ記念館で発表した所感について、犠牲者に哀悼の意を示したが「謝罪の言葉はなかった」と伝えた。また、オバマ大統領が2016年5月27日に広島を訪問した際に発表したスピーチで、原爆投下について謝罪しなかったことについても言及している。

そうした背景を紹介した上で、同紙は「とりわけオバマ政権下の外交政策において、安倍首相はアメリカとの協力関係を築き上げた」と伝えた。

また、同紙はドナルド・トランプ次期大統領についても言及。2016年3月のインタビューで、トランプ氏は「日本が核兵器を保有することが、アメリカにとって悪い影響をもたらすとは断言できない」とコメントしている。同紙は、トランプ氏の発言が「日本の平和主義的な憲法と対照的である」とし、「日本はトランプ氏に対して深く狼狽(unnerved)している状態だ」と伝えた。

newyorktimesabe

アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは、安倍首相の所感はオバマ大統領が広島訪問の際に発表したスピーチとテーマが類似していたと述べた上で、謝罪について言及することはなかったと報じている。

ワシントンポストも過去の行為について謝罪をしなかったと伝えるも、安倍首相は犠牲者の魂に哀悼の意を捧げ、「日本が平和の道を歩み続けることを誓った」と好意的に伝えた。

アメリカのCNNは、安倍首相の真珠湾訪問を「歴史的訪問」だと報じた。

また、同メディアは、75年前の真珠湾攻撃を近くで目撃していたというロバート・リー氏(95)のインタビューも掲載。「安倍首相の真珠湾訪問は、日米関係の『癒しの最高潮』だ」と語るリー氏の声を伝えている。

cnnabe

同メディアによるインタビュー内でリー氏は、安倍首相の訪問を「世界にとって大変意義があることだと思う」と歓迎した。リー氏は75年前の真珠湾攻撃を経験した際、日本に対して『巨大な怒り』を感じたが、その怒りはとうの昔に消え去ったという。日本人の血を引く友人らと共に育ってきたというリー氏は、「憎しみを心に抱き続けることは、自分自身をいずれ破壊してしまう」と語った。

アメリカ国外のメディアでも真珠湾訪問は広く報道された。

イギリスのBBCは、安倍首相の真珠湾訪問は「画期的な出来事」と伝えた。同メディアは、安倍首相が発表した所感の一部を紹介した上で、「予想通りだが、真珠湾攻撃に対して謝罪の言葉はなかった」と伝えている。

中国国営通信の新華社は、真珠湾訪問は「トランプ次期大統領の政権下でも日米同盟を強固していくための手段と捉えられる」と報道している。

abe pearl harbor
真珠湾のアリゾナ記念館で慰霊する安倍首相とオバマ大統領

obama abe
所感を発表する安倍首相


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真珠湾75年式典1
式典に参加した真珠湾攻撃を生き抜いた生存兵
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安倍首相が真珠湾訪問 オバマ大統領と慰霊「日本国民を代表して花を投じた」


安倍首相へオリバー・ストーン監督ら公開質問状「日本が攻撃したのは真珠湾だけではない」【全文】


もっと見る: 国際 政治 安倍晋三 真珠湾 ハワイ ホノルル オバマ 日米 首脳会談 安倍 オバマ 安倍首相 真珠湾訪問 日米開戦 真珠湾攻撃 安倍首相 アリゾナ アリゾナ記念館 安倍首相 慰霊 真珠湾訪問
http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/28/pm-abe-visits-pearl-harbor_n_13867712.html


 


安倍首相:真珠湾を「和解の象徴に」−不戦の方針貫くと決意
延広絵美
2016年12月28日 08:52 JST 更新日時 2016年12月28日 13:10 JST

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平和の果実は戦争による略奪を勝る−オバマ大統領演説
慰霊であり謝罪のためではない、同盟強化で一致−菅官房長官

米ハワイを訪問している安倍晋三首相は27日(日本時間28日朝)、太平洋戦争の開戦地である真珠湾をオバマ米大統領とともに訪れ演説し、「戦後、不戦の誓いを堅持してきた」として、「この不動の方針をこれからも貫く」と述べた。
  安倍首相は「戦争の惨禍は二度と繰り返してはならない」「ひたすら不戦の誓いを堅持してきた」と語った。また真珠湾を含めた太平洋戦争の犠牲者に永遠の哀悼の誠をささげ、日本が戦後再び国際社会へ復帰する道を開いてくれた米国の寛容に感謝するとも話した。
  さらに日米は「寛容の大切さと和解の力を世界に向かって訴え続けていく任務を帯びている」と述べ、「パールハーバーを和解の象徴として記憶し続けてくれることを私は願う」として演説を終えた。NHKが中継した。
安倍氏とオバマ氏、アリゾナ記念館で献花
安倍氏とオバマ氏、アリゾナ記念館で献花 Photographer: Carolyn Kaster/AP Images
  続いて演説したオバマ大統領は、「平和の果実は戦争による略奪に常に勝る」と述べ、「憎しみの炎が最も激しいときでさえ、また集団間の争いが最も根強いときでさえ、内向きへの力に抵抗しなければならないことをわれわれは忘れない。異なる人々を悪の根源のように扱おうとする力に抵抗しなければならない」と語った。
アリゾナ記念館で献花
   安倍首相は米太平洋軍基地でオバマ氏と最後の首脳会談をした後に真珠湾攻撃で沈没した戦艦アリゾナの上に建設されたアリゾナ記念館を訪問、共に献花した。今年5月にはオバマ氏が現職大統領として初めて被爆地・広島を訪れ慰霊碑に献花。被爆者らを前に「核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない」と演説している。
  安倍首相は演説で旧日本軍の1941年の攻撃について謝罪はせず、オバマ氏も戦時中の原爆使用について広島で謝罪するまでには至らなかった。
  
   菅義偉官房長官は28日午前の会見で、両首脳は会談で「日米同盟を未来に向けてさらに強化していく」との認識で一致し、「トランプ政権が発足してもこの日米同盟は変わらない」と述べた。また今回の訪問は「戦没者の慰霊のためであり、謝罪のためではない」とも指摘した。
同盟強化
  米シンクタンク、センター・フォー・ナショナル・インタレストで防衛問題を研究するハリー・カジアニス氏はステートメントで、安倍首相の真珠湾訪問について「米国と日本の同盟強化に向けたより大局的な取り組みにおいて意味のある行動だ」と指摘。「本来なら一層深化したパートナーシップであるはずの両国関係に絶えず影を落としてきた過去の傷を癒やす価値のある努力として、明確に理解されるだろう」と述べた。
 
  現職首相の真珠湾訪問に関しては、菅官房長官が1956年に鳩山一郎元首相、翌57年には岸信介元首相が、真珠湾に面した当時の米国太平洋軍司令部を訪問したとの記録が残っていることを26日明らかにした。このほか51年には吉田茂元首相の訪問も確認されているという。菅長官によると、首相が米国大統領と共に真珠湾で慰霊を行うのは初めて。安倍首相は今回の真珠湾訪問を「私とオバマ大統領のこれまでの取り組みの集大成」と述べていた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-27/OITJ206K50XS01

http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/322.html

[経世済民117] 「ハッピー・ニュー・イヤー」とはいかない中国−拭えぬ流動性懸念 ロシア「当然の選択」トルコ敬遠−欧州・中東新興国投資  
「ハッピー・ニュー・イヤー」とはいかない中国−拭えぬ流動性懸念
Justina Lee
2016年12月28日 15:41 JST 

関連ニュース
東芝株がストップ安、数千億円の損失計上へ−投機的に格下げ
TOPIXは小反発、原油高や米消費心理が改善−売買代金ことし最低

President Barack Obama and Japanese Prime Minister Shinzo Abe participate in a wreath laying ceremony at the USS Arizona Memorial, part of the World War II Valor in the Pacific National Monument, in Joint Base Pearl Harbor-Hickam, Hawaii, adjacent to Honolulu, Hawaii, Tuesday, Dec. 27, 2016, as part of a ceremony to honor those killed in the Japanese attack on the naval harbor. (AP Photo/Carolyn Kaster)

安倍首相:真珠湾を「和解の象徴に」−不戦の方針貫くと決意
モンテ・パスキ資本必要額1兆円とECB−政府と債券保有者が負担か
外貨両替規制が1月1日にリセットされる−資本流出加速の懸念
1月末からの春節連休を控え、資金需給が一段と逼迫する見通し

中国の見通しに強気な人たちは、厳しい年の瀬を迎えているかもしれない。

  2017年の元日は中国国民に課されている人民元の外貨への両替制限(年間5万ドル=約590万円)がリセットされる日。元売りが殺到するとの懸念が高まっている。当局の監督への市中銀行の対応や納税なども相まって、短期金融市場の流動性は年末を控えて引き締まっている。しかし年が明けたら一息つけるといった状況にはならないかもしれない。わずか1カ月ほどで春節(旧正月)の連休になるため、各行がそれを前により強い資金需要に備えるからだ。
  来年の春節連休は1月27日−2月2日。人々はお年玉を贈り、企業が従業員に賞与を支払う時期でもある。
中国国旗を持った少年(北京市内)
中国国旗を持った少年(北京市内) Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
  中国の10年国債利回りは今月、21ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇。このままいけば13年8月以来の大幅な月間上昇率で今月を終える。年間でも同年以来のプラスとなる見込みだ。人民元は今年これまでのところ6.6%下落し、1994年以来の大幅安の方向となっている。上海総合指数はこのままなら、年間ベースで5年ぶりの大幅な下げで年内の取引を終える。
  パインブリッジ・インベストメンツで日本を除くアジアの債券責任者を務めるアーサー・ラウ氏(香港在勤)は、債券と短期金融市場は春節連休後に安定する可能性があるが、元安と金融政策引き締めがもたらした最近の相場下落前の水準に戻る公算は小さいとの見方を示している。
  上海銀行間取引金利(SHIBOR)3カ月物は28日、1年半ぶりの高水準に上昇。上昇は50営業日連続で、2010年以来の長期上昇局面となった。
原題:No Happy New Year in China as Currency, Liquidity Fears Loom (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIVRNT6TTDS201

 


ロシアは「当然の選択」、トルコ敬遠を−来年の欧州・中東新興国投資
Ahmed A. Namatalla、Selcuk Gokoluk
2016年12月28日 14:46 JST

投資家は政治的に安定している国で割安な資産を求める
ルーブルのキャリー取引はリターンが26%になる可能性あるとUBS

欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域の新興国に対する投資家の見方をまとめると、ロシアを選好する姿勢ではほぼ一致するが、トルコはできるだけ避けたいと考えているようだ。
  資産運用会社が選ぶ来年の最も有望な投資先は、政治情勢が改善されつつあり、米国の金利上昇やトランプ次期米大統領の政策発表に伴う外的ショックの影響を受けにくい市場に集中している。
  政治的に安定している市場の中でバリュエーションが割安で、商品価格上昇に連動する資産を投資家は求めている。
通貨
  UBSグループは、ロシア・ルーブルが今後1年でEMEA地域における最大のキャリートレードのチャンスを提供し、リターンがプラス26%になる可能性もあると予測。比較的高い金利や原油価格の回復が通貨の上昇を後押しするとの予想を示した。一方、大多数の投資家がトルコの資産を購入しないよう勧めており、モルガン・スタンレーの市場ストラテジスト、ジェームズ・ロード氏は、リラが割安に見えるにもかかわらず、弱気見通しを維持している。
株式
  NNインベストメント・パートナーズは、ロシア株式市場について「投資対象として当然の選択」だと指摘。同社で資産運用に携わるネイサン・グリフィス氏は、原油価格上昇やルーブル高、インフレ緩和がロシア中央銀行に金融緩和を促すと予想した。
原題:Top 2017 Emerging EMEA Picks Are All Things Russia; Avoid Turkey(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIVNPI6TTDS001
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/263.html

[経世済民117] 商品関連のデフォルト、来年への警告か−シンガポールは先行指標 シラー教授:トランプ氏当選、米住宅ブームに火を付ける可能性
商品関連のデフォルト、来年への警告か−シンガポールは先行指標
Denise Wee
2016年12月28日 14:42 JST 
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Photographer: Chris McGrath/Getty Images
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安倍首相:真珠湾を「和解の象徴に」−不戦の方針貫くと決意
モンテ・パスキ資本必要額1兆円とECB−政府と債券保有者が負担か

アジア太平洋地域で支払い遅延に陥る商品・海運会社が増える見込み
銀行を除く企業のドル建て債が764億ドルの返済期限を迎える

シンガポールで起きている商品セクター関連のデフォルト(債務不履行)は警告かもしれない。
  資源価格は緩やかに上昇しているが、事業再編などを扱うKPMGやホーガン・ロヴェルズ・ リー・アンド・リーなどはアジア太平洋地域で支払い遅延に陥る商品・海運会社が増えるとみている。
  法律事務所DLAパイパーは、金利上昇やトランプ次期米大統領による中国との貿易見直しで波乱含みとなる可能性を想定。 ブルームバーグのデータによれば、銀行を除く域内企業のドル建て債は2017年に764億米ドル(約8兆9900億円)が返済期限を迎える。今年を24%上回る水準だ。

  原油相場はトランプ氏の大統領選出以降に17%上昇したものの、14年の半値程度にすぎない。ブルームバーグ商品指数によると、資源価格全般は08年の世界的な金融危機前に付けたピークを64%下回っている。まず試練にさらされたのが、海運や石油サービス会社に頼るシンガポール経済だ。企業の規模が小さく、政府支援が受けにくいためだ。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i5w9p4yIQxO0/v1/-1x-1.png

  ホーガン・ロヴェルズのパートナー、アンディ・フェリス氏(シンガポール在勤)は「シンガポールは東南アジア諸国連合(ASEAN)およびアジアの先行指標だ。商品セクターの多くの企業は債務水準が高く売り上げが落ち込んでいる」と指摘した。
  シンガポールでは石油サービスのスワイバー・ホールディングスを含む5社が16年に計10億シンガポール・ドル(約810億円)近い債券デフォルト状態に陥った。
  シンガポールのKPMGで再編責任者を務めるグラハム・マーティン氏はマレーシアやタイのほか、鉱山会社が石炭安の影響を受けているインドネシアなどアジア全域で石油サービスや海運会社のデフォルトが増えると予想している。
原題:Singapore Defaults Seen as Bellwether for 2017 Asia Distress (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIVP4C6S972A01


 

シラー教授:トランプ氏当選、米住宅ブームに火を付ける可能性
Alister Bull
2016年12月28日 09:53 JST

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安倍首相:真珠湾を「和解の象徴に」−不戦の方針貫くと決意
モンテ・パスキ資本必要額1兆円とECB−政府と債券保有者が負担か
先行きの住宅ローン金利の上昇を見込んだ駆け込み需要も想定される
トランプ次期大統領の実際の政策とその実行の成り行きを見守りたい

ドナルド・トランプ氏の米大統領選での予想外の勝利は、米住宅市場にとって重要な瞬間だったことが後で分かるかもしれない。ノーベル経済学賞受賞者で、米エール大学教授のロバート・シラー氏がこのような見方を示した。
  シラー教授は27日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、同日発表されたS&P・コアロジック/ケース・シラー米住宅価格指数について、「われわれは転換期にあると考えられる。今日発表の数字はトランプ氏当選前の10月のものであり、今や全てが様変わりした。トランプ・ブームが到来するかもしれない」と発言した。
  米主要20都市の住宅価格指数は10月に前年同月比5.1%上昇し、堅調な上昇ペースを維持。全米ベースの価格指数は2014年半ば以来で最大の伸びとなった。
  シラー教授は、こうした傾向が続く可能性があり、加速するかもしれないとコメント。「ブームを予想しているわけではない。非常に重要な政権交代が起きたことで先行きが分からないため、現時点での予測は極めて難しい。トランプ氏の実際の政策と、それをどの程度うまく実行できるかを見守りたい」と述べた。
  シラー教授は、今年これまでの住宅ローン金利の上昇は「まだ大したことはない」とした上で、短期的に住宅価格のさらなる上昇につながるかもしれないと分析。「人々が住宅ローン金利の上昇にどのように反応するか分からない」としながらも、「今のうちに金利を確定しておきたいと人々が望むことも考えられる。それが最近の住宅販売好調の理由であり、住宅ローン金利が上昇する中でそれが続く可能性がある。これがブームをあおるかもしれないが、そうなるとは言えない」と語った。
原題:Trump Win Could Usher in Boom for U.S. Housing, Says Shiller(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIV9836JIJUP01

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/264.html

[経世済民117] 超長期国債の買い入れ減額、日銀の不意打ちにも市場は冷静に分析 世界富豪資産27.9兆円増 ベトナムGDP加速16予想以下


 


超長期国債の買い入れ減額、日銀の不意打ちにも市場は冷静に分析
船曳三郎、崎浜秀磨
2016年12月28日 14:48 JST
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安倍首相:真珠湾を「和解の象徴に」−不戦の方針貫くと決意
モンテ・パスキ資本必要額1兆円とECB−政府と債券保有者が負担か

「超長期ゾーンの利回りにもレンジ観が形成された」−バークレイズ
根底には買い入れを増やしたくない思いがあるのでは−岡三証

日本銀行が28日午前の金融調節で超長期ゾーンの国債買い入れを減額した。2週間前に急激な利回り上昇に対して買い入れを増額したばかりだっただけに不意打ちとなった格好だが、市場関係者は超長期債を中心に売られて利回り曲線がやや傾斜化しても、至って冷静に分析している。
  日銀が買い入れた国債の対象期間は「10年超25年以下」と「25年超」。買い入れ額は1900億円と1100億円で、それぞれ100億円の減額となり、市場の需給を緩ませる背景となっている。この日は、財務省による前日の2年物国債入札の実施を受けて、中期ゾーンの買い入れオペを予想する声もあった。
  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、超長期国債の買い入れ減額は予想外としながらも、「増額したのは金利上昇ピッチが速かったからで、落ち着いたら元に戻し、再び上昇して混乱すれば増やすという姿勢」と分析。「市場も落ち着いた反応で、日銀の思うがままに操られている感じだ」と言う。
  新発20年物の159回債利回りは日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値から横ばいの0.57%で取引を開始したものの、日銀に国債買い入れオペ通知後は0.585%まで上昇。新発30年物53回債利回りは0.71%、新発40年物9回債利回りは0.83%と、それぞれの水準を3ベーシスポイント(bp)切り上げている。
  超長期ゾーンの利回りが急上昇した今月中旬。日銀は、20年国債入札を翌日に控えた14日に「10年超25年以下」と「25年超」のオペをそれぞれ100億円増額し、16日の同ゾーンのオペ実施を予告するなど異例の対応を示した。
  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、日銀のオペ方針について「今の水準である程度安心感があり、増額したまま金利低下を促すというほどではないのだろう」とし、「来月もこのまま基本的には通常運転で買い入れ額は据え置きというのがメーンシナリオになる」と予想。「超長期ゾーンの利回りにもレンジ観が形成された」と付け加えた。 

日本国債の利回り曲線
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i673DxPjUZM0/v3/-1x-1.png

 年内に国債買い入れオペが行われる可能性はあと1回。最終営業日となる30日午後5時には1月分の買い入れ方針が発表される。岡三証券の鈴木氏は、「来月の買い入れオペ方針で減額が発表されるよりはタイミング的に良かった」とした上で、「根底には買い入れを増やしたくない、長いゾーンは指し値オペをしたくないという思いがあるのではないか」として、経済環境に照らし合わせてイールドカーブが傾斜化することには違和感ないと言う。
  
  三菱UFJ国際投信の加藤章夫トレーディング部長は、国債買い入れオペについて「例えば10年債利回りで0.05%や0.06%という水準では日銀も市場も神経質になることもない。一時0.1%が付いたことを考えると、0.08%から0.1%という水準ではオペの動向に神経質になるだろう」とみている。   

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIVPX96K50XW01

 

世界の富豪の資産評価額:今年は27.9兆円増加−チャート
Tom Metcalf
2016年12月28日 14:49 JST 
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iZ6djLT0Gsqg/v2/-1x-1.png

  世界の富豪らの資産評価額の合計は今年、大きく変動した。年初に中国の経済統計が低調だったことや年央の英国民投票での欧州連合(EU)離脱選択、年終盤の米大統領選挙での共和党ドナルド・トランプ候補の勝利をきっかけに資産評価額のボラティリティ(変動性)が高まったものの、富豪の資産の拡大が阻まれることはなかった。ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、富豪の資産評価額の合計は今年に入って12月27日の株式取引終了時点までに5.7%、2370億ドル(約27兆9000億円)増加した。
原題:World’s Wealthiest Close Out 2016 With $237 Billion Gain: Chart(抜粋)


 
ベトナム:10−12月GDP、6.68%増に加速−16年成長率は予想下回る
Nguyen Dieu Tu Uyen
2016年12月28日 12:27 JST
 
ベトナムの経済成長は10−12月(第4四半期)に加速した。同国は世界で最も速いペースで成長している国の一つ。
  統計局が28日発表した10−12月期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.68%増。7ー9月(第3四半期)は6.56%増だった。
  2016年の成長率は6.21%と、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値(6.3%)を下回った。16年の輸出は8.6%増、輸入は4.6%増加した。
原題:Vietnam’s GDP Growth Quickens to 6.68% in 4th Quarter(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIVJUL6JTSED01


 


 
きょうの国内市況(12月28日):株式、債券、為替市場
Bloomberg News
2016年12月28日 15:51 JST 
関連ニュース
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●TOPIXは小反発、原油高や米消費心理が改善−売買代金ことし最低
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京株式相場は、TOPIXが5営業日ぶりに小反発。原油価格の上昇や米国消費者心理の改善を好感し、非鉄金属や鉄鋼など素材株、機械や海運株など景気敏感セクターが高い。半面、12月決算銘柄で配当権利落ちが響いたゴム製品や食料品株は安く、相場全体の上値を抑えた。
  TOPIXの終値は前日比0.58ポイント(0.04%)高の1536.80。日経平均株価は1円34銭(0.01%)安の1万9401円72銭と小幅に反落した。
  ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄ファンドマネージャーは、「米大統領選後の急上昇ペースのまま株価が上がり続けることはなく、今はスピード調整が必要」と指摘。一方で、「1月下旬からの第3四半期決算で企業業績の反転を確認、円安と原油高で物価が底打ちし、業績がさらに良くなるとの期待感を先取りした動きがある」とも話した。
  ブルームバーグのデータによると、12月決算銘柄の配当権利落ちはTOPIXで1.95ポイント、日経平均で28円20銭の押し下げ要因になった。12月決算銘柄が多いゴム製品株、ビールを含む食料品株が業種別下落率の1、3位。売買代金上位では、12月決算のキヤノンが下げた。
  東証1部売買高は13億1143万株、売買代金は1兆5591億円。値上がり銘柄数は1411、値下がりは474。東証1部33業種は非鉄、鉄鋼、機械、海運、金属製品、建設、サービスなど21業種が上昇。ゴムや繊維、食料品、医薬品、保険、小売、銀行など12業種は下落。売買代金上位では、米原子力事業で数千億円規模の減損の可能性がある東芝がストップ安。米投資ファンドによる買収を28日付の日本経済新聞が報じた日立工機は急騰した。

●超長期債が安い、日銀オペで買い入れ減額−利回り曲線は傾斜化
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  債券市場では超長期債が安い。日本銀行がこの日の金融調節で超長期債の買い入れ額を前回から減らしたことを受けて売りが優勢となり、利回り曲線は傾斜化した。
  現物債市場で新発20年物の159回債利回りは日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値に比べ2.5ベーシスポイント(bp)高い0.595%と19日以来の水準に上昇。新発30年物53回債利回りは3.5bp高い0.715%、新発40年物の9回債利回りは4bp高い0.84%と、ともに前回10年超のオペが入った16日以来の水準まで売られた。一方、長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは横ばいの0.06%を付けた後、0.055%まで戻している。
  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「14日に超長期ゾーンのオペを増額したのは金利上昇ピッチが速かったからで、落ち着いたから戻したが、再び上昇して混乱すればまた増やすということではないか」と指摘。「10年金利が0%から極端に上昇した場合は話が別だが、経済環境に照らし合わせてイールドカーブがスティープ化することには違和感がないのだろう」と話す。
  長期国債先物市場で中心限月3月物は前日比4銭高の149円86銭で取引を開始。いったん149円84銭まで上げ幅を縮める場面もあったが、午後には149円97銭まで上昇した。結局は12銭高の149円94銭で引けた。
  日銀がこの日実施した長期国債買い入れオペでは、残存期間「10年超25年以下」の買い入れ額が1900億円、「25年超」が1100億円と、それぞれ前回から100億円減額された。変動利付国債は1000億円で前回と同額。結果は10年超25年以下の応札倍率が2.98倍と前回の1.62倍を上回った一方、25年超では3.09倍と前回3.53倍から低下した。

●ドル・円が上昇、米長期金利の上昇支えに一時117円台後半

(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京外国為替市場では、ドル・円相場が上昇。良好な米経済指標を受けた米長期金利の上昇を支えに、一時1ドル=117円台後半まで値を切り上げた。
  午後3時10分現在のドル・円相場は前日比0.1%高の117円57銭。前日の海外市場では一時117円62銭までドル高・円安が進行。この日の東京市場では117円37銭まで弱含んだ後、ドル買い・円売りが優勢となり、一時117円74銭と22日以来の高値を付けた。
  ソニーフィナンシャルホールディングス金融市場調査部の為替アナリスト、石川久美子氏は、「年末ということで、実需の部分が終わってしまうと東京時間はどうしても動きづらくなってしまう。期待をかけるとすれば欧米時間だ」と指摘。トランプ次期政権への期待で「株高・ドル高というムード自体は消えていない」とし、クリスマス休暇から欧州勢が戻ってくる今日も米金利上昇でドルが上昇という流れが続けば、「ドル・円の118円はターゲット内だ」と話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIVN936KLVR601
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/265.html

[経世済民117] トランプ占いに揺れる世界経済のリスク 2017年の市場を動かすビッグ3 積立不足に悩む米公的年金、金利上昇は焼け石に水か
コラム:
トランプ占いに揺れる世界経済のリスク

岩下真理SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト
[東京 27日] - 筆者はクリスマス休暇前にトランプ相場の勢いはいったん止まると見ていたが、NYダウは2万ドル手前で足踏みし、ドル円は15日の118円台後半、米10年債利回りは16日の2.62%手前が差し当たっての上値になったようだ。

トランプ氏の米大統領就任が2017年1月20日であり、その後の一般教書演説、予算教書発表の準備が整うまでは、具体的な政策待ちの時間帯となる。

有識者の話から判断すると、トランプ氏は損得勘定で動くビジネスマンであり、通商政策や移民問題、税制改革への思い入れは強そうだ。それ以外のマクロ政策では、共和党主流派との妥協点を見いだすと思われるが、読み切れない。共和党は財政規律を重視する向きが多く、議会の協力を得るため、新政権は現実路線に徐々にシフトしていくと、筆者は見ている。

例えば、法人税は35%から15%へ一気に引き下げることは難しくても、段階的な引き下げなら議会を通りやすいだろう。また、インフラ投資では、10年で1兆ドルという規模が多少下ぶれしても変革への期待は大きく後退せず、トランプ相場が意外に長期化する可能性はある。ただし、閣僚候補メンバーに軍人とビジネスマンが多いことから、外交手腕は未知数と言わざるを得ない。

<日本に脱デフレのチャンス巡ってくるか>

さて、今後を考える上で、足元の相場状況を整理しておこう。10月以降の相場動向で過去2年との相違点は、1)原油高、2)世界経済に対する弱気風が吹いていないこと、3)人民元安でもドル円下落(円高)とはならず、ドル円上昇(円安)となっていることだ。

一方で、過去3年との共通点は、1)米連邦準備理事会(FRB)が12月に重要な政策決定をしたこと、2)年終盤は日本株が上昇していることが挙げられる。足元はトランプノミクスへの期待先行の動きであること、過去3年の1月がリスクオフ相場となった痛い思い出も強いことなどから、心理的にも1月の荒れる相場が警戒されやすい。

まず相違点である原油から見ていくと、11月30日の石油輸出国機構(OPEC)総会で8年ぶりの減産で合意、難航していた国別減産額でサウジアラビアとイランが土壇場で歩み寄った。サウジは原油相場の回復とOPECの結束力を示すことを優先、自らは約50万バレル減産するのに対して、イランには減産ではなく増産凍結、政情不安のナイジェリアとリビアには適用免除を認めた。

サウジの戦略変化は、原油安でそれだけ厳しい財政状況に追い込まれたこと、および2017年の国営石油会社サウジアラムコ上場に向けたものと推察される。22日にサウジが決定した17年予算では、原油価格底入れで財政赤字は6.2兆円(16年見込みの3分の2に縮小)を見込む形となり、安堵感が出ていた。よって筆者は当面、原油価格は底堅く40―60ドル(WTI)での推移を予想する。

原油価格の安定は、米利上げによる新興国(特に資源国)不安とエネルギー産業への下押し圧力を和らげ、当面は物価押し上げに寄与することから中央銀行にとっても朗報だ。日本にとっても、17年はデフレ脱却のチャンスが巡ってこよう。

ただし、時間の経過に伴い、日本では交易条件の悪化やコストプッシュインフレが懸念される点には注意が必要だ。

<米中貿易戦争は杞憂か>

世界経済については、最新10月分の経済協力開発機構(OECD)景気先行指数で、中国は4月、日米欧は7月に直近の底をつけ、緩やかな回復が示されている。日米中はまだ100割れの水準だが、今後の財政出動があれば、押し上げが期待できる。

16年の場合、年初発表の中国12月指標が弱く、中国発の新興国不安が広がった。17年初に関しては、民間統計の12月分は足取りが堅調であり、16年の再来となるリスクは低いように思われる。

足元で気になる変化は、世界経済の体温計であるメタル価格動向だ。原油価格の安定に隠れてまだ目立っていないが、GSCI国際商品価格指数の工業用メタルは11月28日にいったんピークをつけて、じりじりと下がっている。この弱まりがリスクオフ相場につながらないか見極める必要がある。

他方、トランプ氏は21日に通商政策の司令塔になる「国家通商会議」の創設を発表。そのトップに対中強硬策の知恵袋と言われたナバロ氏(カリフォルニア大教授)を起用すると発表したが、これでは米中貿易戦争になりかねない。筆者の懸念は米中関係の緊張に伴う、為替への影響(円高リスク)である。

ただ、17年は秋に、中国にとって5年に1度の共産党大会を控える重要な年だ。筆者が注目するのは、1月下旬発表予定の国際通貨基金(IMF)世界経済見通しでの17―18年の中国の姿だ。

23日の一部報道によれば、習国家主席は政府目標の6.5%を下回る成長率を容認する構えらしい。中国にとって17年の6%台前半への減速は最良の軟着陸シナリオと考えているだろう。その実現のためには、全ての「輸入製品に45%の関税」は受け入れ難い。また中国企業に生産委託する米国企業にも影響が及んでしまう。そう考えを巡らせると、限定された品目での貿易戦争が繰り広げられる可能性がイメージされる。

<FRB議長も悩む「トランプ占い」>

米金融政策については、1年ぶりの利上げ決定は市場予想通りだったが、サプライズは17年の政策金利見通し(中央値)が9月時点の年2回から年3回ペースの利上げへ加速したことだ。しかし、ドットチャートで注意すべきは、中央値の変化と投票メンバーの行動変化が必ずしも一致しないことだ。

今回、タカ派色を強めたメンバーが必ずしも17年の投票権を持っているとは限らない。毎年、地区連銀総裁は投票権を持つメンバーが4人入れ替わる。16年はタカ派が多かったのに比べると、17年はハト派が増えるようにも見える。

ただ、トランプ次期政権は、空席のFRB理事2人を決める意向を示しており、共和党寄りのタカ派の候補者が選ばれる可能性がある。また、大統領選挙中にクリントン氏支持を明確にしていた、ハト派のブレイナード理事、タルーロ理事についても、新政権発足後の去就が注目される。

陣容の変更により、当然ながら採決の行方も変わり得るだろう。すなわち、現時点での米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバー17人の政策金利見通しは、17年3月時点で変化する可能性を秘めており、今の段階で利上げ加速を前提に動くことは、ややリスクを伴うことを念頭に置きたい。

それでも一般的な考え方として、トランプノミクスを見極めた上で、年3回の利上げペースなら、6月、9月、12月を想定するのが自然だろう。しかし、年4回ペースを考えている向きもおり、まずは3月に利上げできる状況であるかを、見極めていくことになる。

ポイントは引き続き賃金上昇と緩やかな成長が持続可能であるかだ。1―3月期は天候要因やドル高の影響がじわりと出てくる可能性がある。ましてや16年7―9月期、10―12月期の成長率が米国の潜在成長率2%程度を2四半期連続で上回る強さとなれば、鈍化するのが自然だ。これが1月20日のトランプ次期政権のスタート、そして政策が具体化していくタイミングと重なるかもしれない。

筆者は現時点で、次回は17年6月の利上げを予想する。FRBが慎重姿勢であれば、米10年債利回りも一気に3.0%を抜けてはいかないだろう。

*岩下真理氏は、SMBCフレンド証券のチーフマーケットエコノミスト。三井住友銀行の市場部門で15年間、日本経済、円金利担当のエコノミストを経験。2006年1月から証券会社に出向。大和証券SMBC、SMBC日興証券を経て、13年10月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-mari-iwashita-idJPKBN14G0KI?sp=true
 

 

コラム:
2017年の市場を動かすビッグスリーは誰か

尾河眞樹ソニーフィナンシャルホールディングス 執行役員・金融市場調査部長
[東京 28日] - 2017年に最も注目される人物は誰か。この問いに、金融市場参加者はどのように答えるだろうか。

筆者の勝手な憶測で上位3人を挙げれば、1位は文句なくドナルド・トランプ次期米大統領だろう。米国で政権が交代する、しかも初のビジネス業界からの大統領就任に、世界の注目が集まっている。トランプ氏の一挙手一投足に反応して相場が変動する可能性は高い。

2位はジャネット・イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長ではないか。FRBは12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりの利上げを決定。同時に発表されたFOMCメンバーによる政策金利見通しで、2017年に3回の利上げが予想されていたことが話題となった。

果たして予想通りになるか、あるいは利上げに躊躇(ちゅうちょ)するような展開となるのか。米金融政策の動向をめぐり、2017年もイエレン氏が注目の的となることは間違いないだろう。

3番目に注目される人物は、2017年に欧州で選挙が相次ぐことを考慮すれば、秋に連邦議会選挙を控えるドイツのアンゲラ・メルケル首相が有力だ。

メルケル氏は12月6日、与党キリスト教民主同盟(CDU)の党大会で党首に再選された。ただ、その後12月19日に起きたベルリンのトラック突入事件により、容疑者とみられる人物が難民として入国していたことから、メルケル氏の「難民受け入れ」に対する批判も強まっている。同氏は欧州連合(EU)の要として統合を進めてきただけに、選挙動向には世界の注目が集まるだろう。

<次期米財務長官の気になる発言>

一方、為替相場という観点で考えるなら、筆者個人としては次の3人を挙げたい。1番目はスティーブン・ムニューチン次期米財務長官だ。トランプ氏による指名後、これまでのムニューチン氏の発言で2点、注目したいポイントがある。

1つは通貨政策に関する発言だ。ムニューチン氏が米経済番組CNBCにゲスト出演した際、キャスターに「米国は今後、通貨安にして輸出を伸ばすのか、あるいは通貨高にして投資を促すのか」とコメントを求められると、同氏は「米国が素晴らしい国で、投資マネーが流入しているからこそドル高が起きていると見ている。したがって米国の経済成長と雇用の拡大こそが、我々のトッププライオリティーだ」と述べた。

つまり、選挙中のトランプ氏の発言に垣間見られた「通貨安思考」は特に強くなく、米国の景気が良いうちは、ドル高はある程度許容できるというスタンスだろう。ただし、ドル高が米国経済の足かせになり始める、あるいは製造業などトランプ氏の支持層からドル高に対してブーイングが出るなどした場合には、ムニューチン氏のドル高容認姿勢も変化する可能性がある。

このインタビューでも、「もし本当に中国を為替操作国に認定する必要があると判断すれば、そうするだろう」と述べている。ビル・クリントン政権下のロバート・ルービン財務長官(在任期間1995―99年)が、「強いドルは米国の国益にかなう」との発言を繰り返し、実際にドル高が進んだように、米財務長官の通貨政策に関する発言は為替相場に大きなインパクトを与える。ムニューチン氏は足元のドル高を問題視していないようだが、これが変化することはあるのか、あるとすればどういったタイミングかに注目が集まろう。

もう1点は、「インフラ投資銀行を検討し、道路・港湾改修の資金調達方法を探る」との発言だ。トランプ氏が掲げる大型減税とインフラ投資については、市場関係者の間で「本当にできるのか」との懸念の声は多い。減税ならまだしも、1兆ドル規模のインフラ投資は共和党の伝統的な政策である「小さな政府」と相反するもので、議会を通らない可能性が高いとの見立てだ。

しかし、民間企業が主体となって資金調達を行い、足りない分は米国版インフラ投資銀行から「融資を受ける」という形を取れば、財政赤字が莫大に膨らむようにはならないし、プロジェクト自体も民間企業が運営すれば効率的だろう。問題は、民間企業が「儲かる」仕組みをいかに作るかだ。

道路・港湾の「改修」だけでは魅力に乏しく請け負う企業も限られる可能性があるうえ、大量の資金が集まるとも考えにくい。いかに魅力あるプロジェクトにして巨額の資金を調達できるか、ムニューチン氏の手腕が問われるところだ。

その点、ムニューチン氏は大統領選挙中、トランプ陣営の資金調達を担当。市場ではゴールドマン・サックス・グループのパートナーだったことが注目を浴びているが、退職後に自身が設立したヘッジファンドで、大ヒット映画「アバター」の資金調達を手掛けた経験も持つ。加えて破綻した住宅金融機関インディマックの再生にも一部関与していたという。

経歴から見ても、ひょっとするとムニューチン氏の指名はトランプ政権の運営においてきわめて理にかなっている可能性があり、経営者目線でのトランプ氏の人選が的中するかもしれない。インフラ投資銀行の構想が具体的になれば、ドル相場にとっては支援材料となろう。

<難しいかじ取り迫られる日米の中銀トップ>

2番目はやはりイエレンFRB議長だ。理由は前述した通りだが、退任を2018年に控えて、どのような金融政策のかじ取りをするのか注目したい。

景気が堅調な中で財政政策を実施した場合、放置すればイエレン氏の言う「高圧経済(high-pressure economy)」となる可能性もある。引き締めを早めれば、株価急落など金融市場のボラティリティー(変動率)を高めるリスクもある。2017年のかじ取りは、2016年にもまして難しくなりそうだ。

3番目には、黒田東彦日銀総裁を挙げたい。足元、株高・円安が進み、日銀の金融政策に対する注目度は低下しているが、2017年は注目を集める場面があるかもしれない。日銀は現在実施している「イールドカーブ・コントロール」によって、10年債利回りをゼロ%付近に維持しているため、米国で期待インフレ率が上昇し米10年債利回りが上昇すれば、日米の金利差が拡大してドル高・円安が進行する。

これが2016年11月以降のドル円相場であり、今のところうまくワークしているが、仮に欧州の選挙など、何かのきっかけで金融市場が混乱し急速な円高が進んだ場合、通貨安政策に対して批判的なトランプ政権を意識すれば、追加緩和は決定しづらいのが実情だ。「日本は金融緩和を通じて為替操作をしている」などと言われかねない。

それでも追加緩和をする場合、何ができるのだろうか。日銀は今後のあり得る追加緩和として、1)短期金利の引き下げ、2)長期金利操作目標の引き下げ、3)資産買い入れの拡大、4)(「状況に応じて」という条件付きで)マネタリーベース拡大、の4点を示している。

前者の2つは、再び金融株の下落につながりやすく、できれば実施したくないだろう。後者の2つは、せっかく「量」から「イールドカーブ」へと市場参加者の注目をシフトさせたのに、再び後戻りすることになり避けたい。現実問題としては、追加緩和の手段は極めて限られていることに変わりなく、それが何かのきっかけで試される可能性はあるかもしれない。

このように最も注目したい人物を挙げるにつけても、2017年はボラティリティーの高い相場展開が予想される。基調はドル高・円安トレンドと見ているが、ムードが良いときほど、投資家は、きっちりとシートベルトを締めておく必要がありそうだ。

*尾河眞樹氏は、ソニーフィナンシャルホールディングスの執行役員兼金融市場調査部長。米系金融機関の為替ディーラーを経て、ソニーの財務部にて為替ヘッジと市場調査に従事。その後シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)で個人金融部門の投資調査企画部長として、金融市場の調査・分析、および個人投資家向け情報提供を担当。著書に「本当にわかる為替相場」「為替がわかればビジネスが変わる」「富裕層に学ぶ外貨投資術」などがある。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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コラム:積立不足に悩む米公的年金、金利上昇は焼け石に水か
 12月27日、積み立て不足に見舞われている米国の公的年金基金にとって、来年は金利上昇が助け舟になるだろう。しかし米経済が失速するようなら、安心は長続きしないかもしれない。写真は米ドル紙幣。都内で2011年撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)
 12月27日、積み立て不足に見舞われている米国の公的年金基金にとって、来年は金利上昇が助け舟になるだろう。しかし米経済が失速するようなら、安心は長続きしないかもしれない。写真は米ドル紙幣。都内で2011年撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)
Kevin Allison

[シカゴ 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 積み立て不足に見舞われている米国の公的年金基金にとって、来年は金利上昇が助け舟になるだろう。しかし米経済が失速するようなら、安心は長続きしないかもしれない。特にイリノイ州やテキサス州ダラス市の事態は、先行きを暗示している。

公的年金の資産評価額は、保険数理士の計算による支払い必要額を1兆ドル弱下回っている。別の見方をすれば、加入者に対する負債総額3兆7000億ドルに対して保有資産がおよそ25%足りない。2008年以降続いた低金利が債券投資のリターンを押し下げ、既に難しくなっていた年金運用を一段と苦しくしてしまった。

年金債務の割引率の計算に政府債利回りが使われるため、金利上昇は積み立て不足を減らす上で役立つ。とはいえ、それはあくまで形式上の話でしかないだろう。積み立て不足が1兆ドルというのは、年金システムで想定された長期的な投資リターン(予定利率)を前提としているが、これ自体が現実離れしているからだ。

ウィルシャー・コンサルティングによると、公的年金基金の今年6月までの年度の平均リターンは1%にすぎない。またクリフウォーターのコンサルタントの推計では、昨年6月までの10年間に米公的年金基金が得た年間リターンの中央値は6.8%だった。ところが大半の基金は今もなお、予定利率を7─8%にしたままだ。

国債利回りがさらに上昇するとしても、予定利率は5%に設定するのがより現実的かもしれない。BREAKINGVIEWSの計算に基づくと、予定利率を7.5%から5%に下げると、積み立て不足額は2倍強に膨れ上がる。この不足分を解消するには金利急騰が必要だが、それは経済全般に打撃を与えかねない。あるいは積み立て不足を埋めるために、基金は幸運をあてにしながら比較的リスクの高い資産に投資せざるを得なくなる。どちらのシナリオでも、結果は凶と出る公算が大きくなる。

テキサス州では既に最悪の展開になっている。ダラス市の警察官・消防士の年金基金は、不動産投資失敗をきっかけに加入者からの解約が相次いだ。イリノイ州では8月、当局者が州最大の年金基金の予定利率を0.25%ポイント下げるだけで、多額の増税か公共サービスの削減が避けられないと警告した。

年金基金の首脳にとっては、金利が上がったところで大した慰めにはならないという希望の持てない結論が下されている。

●背景となるニュース

・ピュー・チャリタブル・トラスツは8月24日公表した調査報告書で、米国の公的年金は、予定給付額に対して実際の支払い可能額が9340億ドル少ない状態にあると指摘した。入手可能な直近の全米データである2014年度の年金資産・負債を分析した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/usa-pensions-breakingviews-idJPKBN14H07Z

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/267.html

[不安と不健康18] 医師が教える!男性のための「心と体のアンチエイジング」 (第2回)男の更年期障害を克服する3つの生活習慣
医師が教える!男性のための「心と体のアンチエイジング」
【第2回】 2016年12月28日 阿保義久 [北青山Dクリニック院長]
男の更年期障害を克服する3つの生活習慣

加齢に伴い、心の不調を感じませんか?身体だけでなく心の健康にも影響があるのは男性の更年期障害の特徴です
多くは40代で発症

 睡眠リズムの乱れから夜中に目が覚めて眠れない、朝の勃起が見られなくなった、日常生活でやる気が出ない、集中力・判断力・記憶力が低下している、怒りっぽくなってきた、皮膚がたるむ、シワが出てきた…。加齢によってこうした変化を感じている方も多いと思います。これらの症状の原因は一言に「加齢」で片づけられることが多いのですが、実は加齢によって引き起こされる「更年期障害」の症状かもしれません。

 これまであまり指摘されませんでしたが、最近になり、女性だけでなく男性にも更年期障害があることが注目されるようになりました。女性の更年期障害は閉経時期の特有の障害であるのに対して、男性の場合はもう少し複雑です。

 男性の場合は、女性の閉経のようなはっきりした体の変化が現れず、個人差があり、更年期症状もはっきりしません。さらに身体だけでなく心にも大きなトラブルが発生するという特徴があります。発症時期も、おおむね40歳以降ですが、60歳、70歳代で初めて発症する場合もあります。

 そして女性の更年期障害は一般的には数年で終わるのに対して、男性は長期間にわたって続く可能性があります。体や心の様々な障害も長引くことがあり、働き盛りの世代にとってはその対策が重要な課題と言えます。

 更年期障害が発症する原因は、急激なホルモンの枯渇です。中でも「性ホルモン」の分泌量の低下が主な原因で、男性ホルモン(アンドロゲンと呼ばれます)の分泌は20歳代をピークにしてそれ以降は右肩下がりとなり、50歳代を過ぎるとさらに激しく減少します。

 男性ホルモンはさらに複数のホルモンに分類され、その中で大部分を占める「テストステロン」の分泌量が低下すると男性の更年期障害が引き起こされます。

 そもそもホルモンとは、脳下垂体、甲状腺、副腎、膵臓、精巣、卵巣など様々な器官で産生・分泌されて血液などの体液を通じて全身をめぐる生理活性物質のことですが、身体がうまく快適に機能するために必要不可欠な物質です。私たちの意志に関係なく多彩な役割を果たしている一方で、複雑なメカニズムで制御されています。ですので、ホルモンを産生・分泌するシステムが壊れたり、分泌量がわずかに変化しただけで、複数の悩ましい症状が発症してしまいます。更年期障害では、性ホルモンのほか、成長ホルモンやDHEAなど他のホルモンの分泌の低下も関連するため、症状がはっきりせず、対策が難しくなります。

男性には2種類の更年期障害がある

 男性ホルモンの低下による更年期障害は、働き盛りの40〜50歳代で始まる初期の更年期障害と60歳代以降の熟年期障害に大別されます。

 40〜50歳代では、仕事での強いストレスからに更年期障害を自覚する機会があります。やる気が出ない、不安で寂しいといった軽いうつ症状など、初めは精神神経症状が現れることが多くあります。

 それに対して60歳代以上では、体調不良が主となって熟年期障害が現れます。運動不足や過食などの不摂生な生活習慣を続けていたところに、男性ホルモンの低下が重なると、糖代謝や脂質代謝が崩れて高血圧、糖尿病、脂質異常、動脈硬化を誘発するメタボリックシンドロームが引き起こされるなど、体調に異変をきたします。認知症やフレイルとよばれる高齢期特有の運動機能の極端な低下も、男性ホルモンの低下に大きく影響を受けると考えられています。

うつ、記憶力低下、勃起障害が発症することも

 男性の2種類の更年期障害を紹介しましたが、男性ホルモンの代表格であるテストステロンは、体に対して様々な影響を与えます。テストステロンの量は10歳頃から増え始め20歳前後でピークを迎え、その後加齢とともに緩やかに減少していきます。

 テストステロンの主な働きとして、

 ・骨や筋肉の発達を促し、脂肪がつくのを抑え、がっしりとした男らしい体型を作ること
 ・精子を作って性欲を高める
 ・動脈硬化を防ぐ
 ・内臓の働きを助ける
 ・皮膚の潤いを保つ皮脂分泌や皮膚の弾力成分であるコラーゲンを維持する

 といったことが挙げられます。心や体調だけでなく、見た目の老化にもテストステロンが大きく影響しているのです。

 テストステロンが減少すると、免疫力が低下して「がん」の発症を招いたり、骨量が低下して骨粗しょう症につながるなど、体調の異変や健康が侵されてしまいます。他にも代表的な症状がありますので詳しくお伝えします。

●脳神経への影響

 眠りの質が低下し、記憶力や判断力が衰えます。積極性が低下し、元気がなくなるため、前述のようにうつ症状を呈することにもつながります。また、性格を変えてしまうことがあります。従来は温厚だった人が、50歳を過ぎた頃から急に短気で怒りっぽくなったり、神経質になったり、自己中心的になったりすることがあります。

●記憶力への影響

 記憶力に強く関係する脳の領域は海馬としてよく知られていますが、テストステロンが減少すると海馬の機能が低下することがわかっています。若いころに比べて記憶力が低下してしまうのもテストステロンの低下が主因かもしれません。東京大学大学院医学系研究科加齢医学部門の老人ホームでの調査で、同年齢で寝たきりになっている人はテストステロン値が低く、活動的な人は高いということが報告されています。テストステロンを補充することにより記憶力低下が改善する可能性があります。

●勃起障害

 男性に現れる最たる症状として勃起障害(ED)が挙げられます。これは性欲低下や積極性の喪失など心理的な影響も受けていますが、主たる原因は、血管のしなやかさが失われて海綿体に血液が行き届かなくなることです。そして、テストステロンが減少すると、海綿体周囲の血行だけではなく全身の血流や血管のコンディションにも影響します。すなわち、EDを放っておいたら、知らぬ間に動脈硬化が進んで脳梗塞や心筋梗塞が発症することにもなりかねません。実際に、EDの人はそうでない人に比べて脳血管障害の発症率が大きいという研究報告もあります。動脈硬化の主原因は糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病ですが、テストステロンの低下も血管の老化に繋がる可能性があります。

3つの生活習慣で男性ホルモンは増やせる

 テストステロンの分泌量は、生まれつき決められているわけではありません。生活習慣や環境により大きく変わることがわかっています。日常生活の工夫により、テストステロンの分泌低下を防ぎ、むしろその分泌を増やすこともできるのです。

 テストステロンの分泌量を増やすために重要なことは3つあります。

 一つは、十分な睡眠を確保することです。睡眠をとることでストレス解消や疲労回復につながり、テストステロンの分泌を促します。

 二つ目は適切な食事を摂ることです。ニンニク、玉ねぎ、牡蠣はテストステロンの産生を増やすと言われています。肉類、卵、乳製品などのタンパク質も効果的です。脂質の摂り過ぎは避けるべきですが、テストステロンを合成する際の原料となる脂質を過度に制限するのも良くありません。

 三つ目に大切なのは、運動です。運動により脳も筋肉も刺激を受け、それがテストステロンの合成を促すだけでなく、血流増加や身体への刺激が生じることで分泌量が増えます。

 以上の3点を心掛けてテストステロンの低下を防ぎ、むしろその分泌量を高めていきましょう。そうすることで、記憶力や判断力が向上するだけでなく、筋肉が増えて内臓脂肪が減少し、心も体も若返ることができます。積極性や競争力も高まり、仕事でも第一線で活躍するチャンスが広がります。テストステロンの分泌を促すことで全身のアンチエイジングを目指しましょう。

(北青山Dクリニック院長 阿保義久)

http://diamond.jp/articles/-/112617
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/266.html

[政治・選挙・NHK218] 安倍首相が真珠湾で示した日本の価値 米国の安全保障上、最重要   安倍氏の真珠湾訪問に見る抜け目なさ 中国抑制に米国必要


【寄稿】安倍氏の真珠湾訪問に見る抜け目なさ
安倍首相が熟知する中国抑制のための米国の必要性
東京で会見する安倍晋三首相(20日) ENLARGE
東京で会見する安倍晋三首相(20日) PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By MICHAEL AUSLIN
2016 年 12 月 28 日 16:50 JST

――筆者のマイケル・オースリン氏は「The End of the Asian Century: War, Stagnation, and the Risks to the World’s Most Dynamic Region(仮題 アジアの世紀の終焉:戦争、停滞、そして世界で最もダイナミックな地域が直面するリスク)」(1月出版予定)の著者

――この寄稿は安倍首相が真珠湾で27日(現地時間)に演説を行う前に書かれたものです

***

 1941年12月7日以降に真珠湾を訪問した日本の首相は安倍晋三氏が最初ではない。ただ、バラク・オバマ米大統領とともに同地を訪れる安倍首相は日本の過去の侵略を公の場で認めるという、歴代首相が誰一人として考慮してこなかったことを実行に移すだろう。

 これは危険性が増したアジアにおいて、日本の将来の安全保障を確実にする大きな戦略の一環だ。今回の訪問の狙いはオバマ氏との関係を締めくくると同時に、ドナルド・トランプ次期大統領にも向けられている。

 誰も安倍首相の真珠湾訪問の象徴的意義を過小評価すべきではない。1951年には吉田茂首相(当時)がサンフランシスコ平和条約に調印した帰途、私的に真珠湾に立ち寄った。そして今度は、世界が注目する中で、安倍氏が公式に犠牲者を慰霊することになる。

 今回の訪問には、75年前の出来事への償いと同様に迫り来る課題への対処という意味が込められている。2012年12月に政権に返り咲いて以降、安倍氏は安保政策の変更を着実に進め、戦後の占領期にダグラス・マッカーサー元帥に押しつけられた制約のいくつかをそぎ落としてきた。集団的自衛権の行使を可能にするなど、こうした動きは物議を醸してきた。また、控えめながらも着実に進められた防衛費の増加、アジアなどでの新たな安保協力の締結も同時に進められてきた。

 同様に劇的なのは、安倍首相の計画遂行を確実にするため、自民党が長く続いたルールを変更し、総裁任期を3期9年に延長するのを認めたことだ。これは、予期せぬ事態が発生しない限り、安倍氏が2021年まで首相の座にとどまることを意味する。安倍氏はトランプ氏が1期目に対応する唯一の日本の首相となる可能性がある。

 在任期間が1年ほどの首相が3人続いた後、オバマ大統領は現在まで4年にわたり安倍氏と仕事をしてきた。政治イデオロギーは異なるものの、両首脳は中国との関係悪化や北朝鮮の核の脅威によって重要性が増してきた同盟関係を深化させた。

 両首脳の関係により、オバマ氏は5月に現職の米大統領として初めて広島訪問を実現させた。謝罪はしなかったが、オバマ氏は日米関係の重要性と、過去の失敗を繰り返さない必要性を強調した。安倍氏の真珠湾訪問はオバマ氏の広島訪問を受けており、これで太平洋戦争の序章から最終章までの一連の出来事が正式に完結することになる。それは日米関係の一里塚であり、安倍氏がメディアに精通していることの証でもある。安倍氏はオバマ氏が大統領として最後に会う外国首脳になるかもしれないからだ。

 さらに重要なのは、安倍氏がトランプ次期政権に橋を架けようとしていることだ。安倍氏は米大統領選のわずか1週間後にニューヨークに飛び、次期大統領に選ばれたトランプ氏に初めて会った外国首脳となった。安倍氏がトランプ氏に期待しているのは、太平洋への関与継続を約束し、一段と密接な協力関係を築き上げることが共通の課題に対処する唯一の方法だと認めることだ。環太平洋経済連携協定(TPP)に代わる二国間貿易協定といった経済問題は、いずれ取り上げられることだろう。

 太平洋における日本の役割は大きくなる可能性がある。トランプ氏は米国の伝統的なアジア同盟国が以前より信用できなくなっていると見ているからだ。韓国では極左勢力からの新大統領が誕生する可能性があるし、オーストラリアは南シナ海での「航行の自由」作戦から離脱した。一方、中国に接近しているフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は予測できないワイルドカードのままだ。トランプ氏が信用できるパートナーは日本だと安倍氏は強調している。

 トランプ氏が中国との対峙(たいじ)にどこまで踏み込むかを決定する際に、こうした信用が必要になってくる。トランプ氏は台湾総統と電話で会談し、貿易面では強硬姿勢を取り、経済と安保問題とを結びつけている。これは今後の米中関係が揺れ動くことを示す兆候だ。トランプ氏はアジアでの海上活動強化など、さらなる支援を日本に求めてくるかもしれない。

 安倍氏はこれを知っている。真珠湾で1941年の日曜日の朝に命を落とした犠牲者に哀悼の意をささげながらも、同氏は将来に向けた次期米大統領との関係強化に触れるだろう。

オースリン氏の過去の寄稿

トランプ氏と日中韓
日本が世界秩序の維持に負う責任
安倍談話、アジアの未来に警鐘 平和を脅かす中国を示唆
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiQw7TR6ZbRAhWMVLwKHTsOAQgQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10878553558812384085704582524054207355384&usg=AFQjCNFZoUymirZnJNqmDxK6T1PPsNUy-A

【社説】安倍首相が真珠湾で示した日本の価値
安倍首相が率いる日本は米国の安全保障上の最重要パートナー
ハワイで27日に行われた日米首脳会談にて握手を交わす安倍首相(左)とオバマ大統領(右) ENLARGE
ハワイで27日に行われた日米首脳会談にて握手を交わす安倍首相(左)とオバマ大統領(右) PHOTO: ASSOCIATED PRESS
2016 年 12 月 28 日 15:04 JST

 安倍晋三首相による27日の真珠湾訪問は和解の象徴だ。日米関係の重要性が増している現下の情勢が、今回の訪問をとりわけ劇的にしている。真珠湾攻撃から75年が経過し、北朝鮮の核兵器と中国の修正主義的な野望が太平洋地域に脅威を与えるなか、日本は米国にとって安全保障上の最重要パートナーだ。

 アジア太平洋地域で米国が同盟を結ぶ5カ国のうち、日本は経済規模が突出して大きく、最も優れた軍事力を持ち、最も戦略的思考を持つ政治的リーダーシップも有している。安倍首相は今回の真珠湾訪問でバラク・オバマ大統領による広島訪問に応えただけでなく、ドナルド・トランプ次期米大統領に対して日本の価値を示すことができた。トランプ氏は選挙期間中、日本が米国の安全保障にただ乗りしているかのように聞こえる主張をしていた。しかし、それに十分反論できる成果をあげていることを、安倍氏は自ら理解している。

 安倍氏は2012年に政権に返り咲いて以降、自国の防衛力を継続的に強化し、米国が両国共通の利益を追求しやすくなる環境を作った。抗議デモが道を埋め、国会では乱闘騒ぎが起こるなか、昨年には「集団的自衛権」を行使できるようにする安全保障関連法を成立させた。これは日本が攻撃の標的となっていなくても、自衛隊が武力を使って米軍や他の友好国を守れることを意味する。

 トランプ氏は選挙期間中、日本は米国が攻撃されても「自宅で座ってソニー製のテレビを見ているだけ」と批判したが、それはもう事実ではない。今や自衛隊は、米国を狙って発射された北朝鮮のミサイルを撃ち落とすことも可能だ。英国海軍よりも規模が大きい海上自衛隊は、アジアの海で中国から手を出されそうな米国の船を護衛することもできる。

 日本はここ数十年にわたって防衛費を対国内総生産(GDP)比で1%程度に抑えている。その額は依然として少なすぎるが、安倍政権は防衛費を5年連続で増額させている。先週発表された2017年度予算案の防衛費は過去最大の5兆1000億円となり、2016年度当初予算比で1.4%増となった。この予算は米国と開発した新たなミサイル防衛システムや、潜水艦の数を現在の17隻から2021年までに22隻に増やす財源となる。海上保安庁の予算も16年度当初比12%増の20億ドル近く(約2350億円)に増額されている。

 日本はこれ以外にも、在日米軍5万4000人に年間17億ドルを支出している。これは駐留コストの約半分だが、仮にこの5万4000人を米国に戻せば費用はさらにかかる。また太平洋における米軍最大の建設プロジェクトの一部に対しても、日本は約180億ドルの支出を約束している。こうしたプロジェクトには尖閣諸島や台湾にも近い日本南部での新たな施設のほか、グアムの施設も含まれる。

 これらの意義をさらに高めているのが、安倍氏の精力的な地域外交だ。ナレンドラ・モディ印首相との友好関係は、アジアの強力な民主国家同士の戦略的関係を強化させた。また韓国との慰安婦問題をめぐる合意は、ミサイル防衛システムなど日米韓3カ国による前例のない協力関係に道筋を開いた。東南アジアへの働きかけは、中国からの脅威に弱い国々の経済面・軍事面での近代化を支援した。安倍氏は過激な発言で知られるフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領とも良好な関係を保っている。

 他にもまだある。安倍氏は台湾に好意を寄せている。また、長期にわたって保護されてきた国内産業への外資参入にも前向きだ。米国がどのようなアジア戦略を描くとしても、日本はそれに積極的に協力し、手を差し伸べられる状態にある。

 昨年の米議会での演説や今回の真珠湾への訪問を持って、安倍氏はこの事実を高らかに見せつけた。このことは称賛に値するだろう。11月のトランプ氏との会談も友好的なものに見えた。アジアの平和と発展にとって明るい兆しだ。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiG64ne6ZbRAhWBe7wKHQNpDv8QqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10878553558812384085704582523700441773214&usg=AFQjCNEttg7kYfu0tYvRhxBtZ3TFrfiFbg
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/331.html

[国際16] 習氏の権力闘争、歴史的転換の前兆 中国最高指導者は「プーチン式」指導体制を目指すか 中央委は習を「核心」の指導者と承認し
習氏の権力闘争、歴史的転換の前兆(前編)
中国最高指導者は「プーチン式」指導体制を目指すか
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習近平中国国家主席は2期目の任期が切れる22年以降も続投するのか。写真は北京の人民大会堂で国賓を迎える習氏 PHOTO: ED JONES/AFP/GETTY IMAGES
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JEREMY PAGE AND LINGLING WEI
2016 年 12 月 28 日 11:07 JST
 【北京】2012年に習近平氏を最高指導者に選んだ中国共産党のエリートは、力強い手綱を切望していた。それまでの10年間、胡錦濤国家主席が権力を共有する手法を採ったことで政策は漂流し、派閥争いや汚職を生んでいたからだ。
 そうした共産党の陰の権力者たちは望み通りの、そしてそれ以上のものを手に入れた。
 その後、習氏は4年にわたり自ら経済や軍の指揮を執り、他の権力も掌握。1976年の毛沢東死去を受けて独裁防止のために導入された集団統治体制を覆した。
 古いタブーを打ち破り、習氏は党の長老やその親族を反汚職運動の標的にし、8900万人の党員全てに忠誠を求め、「習大大(習おじさん)」の愛称に象徴される父親的なイメージに磨きをかけた。
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習氏は中国で数十年続いた党の集団統治体制をより硬直的な独裁体制に移行するのか(英語音声、英語字幕あり) Photo: Xinhua News Agency
 現在、1期目の5年の任期が終わりに近づくなか、習氏が来年の後継者候補の昇格を阻止しようとしているとの声が党内には多い。これは、習氏が69歳となる22年に2期目の任期が切れた後も続投したがっていることを示唆する。
 首脳陣と日常的に接触している党幹部によれば、国家主席であり、党総書記であり、中央軍事委員会主席である習氏は、22年以降も「続投し」、「まさにプーチン式の」指導体制を探ろうとしている。
 時代を特徴付ける経済ブームが陰り始めるなか、権力拡大を目指す習氏の動きは短期的には政治の安定をもたらすかもしれない。ただ、毛沢東の死去以降に育まれ、政府の柔軟性と定期的かつ秩序だった権力移行を保証してきた慣習を覆す恐れがある。
 中国は複雑な経済の運営に適さない硬直的な独裁体制に向かいつつあるとの懸念が、同国エリート層の間で高まっている。同国は債務に依存した刺激策からの脱却、国営独占企業の解体、環境汚染対策など、さまざまな課題を抱えている。
 シンガポール国立大学の中国政治専門家、ファン・ジン氏は「彼(習氏)のジレンマは、権力がなければ物事を進められないことだ」と話す。同氏は「(習氏が)権力集中の必要性を感じているが、そうすれば非常に強力なリーダーによる独裁化を防ぐ機関を骨抜きにするリスクを負う」という。
 支持者によると、習氏は依然として党内で抵抗を受けており、経済減速と敵対的な欧米に対峙(たいじ)するために指導体制を近代化する必要がある。
 党幹部348人が出席した10月の会議で「核心」の指導者という肩書を得た習氏は、規律の乱れを批判するとともに、「権力を渇望し、従順を装い、派閥やグループを形成した」高官らについて警告した。
 その後、多くの党員が「絶対的な忠誠」を誓う文書に署名した。河南省の党委員会を率いる謝伏瞻氏は10月の演説で、習氏を「偉大な指導者」とたたえた。この言葉は通常、毛沢東にのみ用いられる。
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来年秋の共産党全国代表大会では次期指導部の人選が明らかになる。最高指導部の政治局常務委員は習氏と李克強首相を残し、あとの5人が退任する見通し。政治局は25人中10〜11人が退任予定、376人で構成される中央委員会は退任予定が約208人、汚職で追放された者が約20人
次期指導部 の人選プロセス開始
 米国の大統領選でドナルド・トランプ氏が勝つ数時間前に、中国は複雑な次期指導部の人選プロセスを正式に開始した。結果は来年秋に開催される5年に1度の共産党全国代表大会で明らかになる見通しだ。最高指導部である政治局常務委員については、7人のうち5人が退任することになっている。
 02年に設けられた規則では、68歳以上の委員は引退する決まりだ。党がこれに従うとすれば、残るのは習氏と李克強首相だけだ。
 後任は通常、辞任する委員や引退した委員が選ぶ。07年以降は、党総書記が2期目を満了した時に後継者になれる若い人物を2人選ぶのが慣例だ。
 ある共産党の幹部は全国党大会に向けた正式な準備が始まる少し前の記者会見で、最高指導層に年齢制限を設けるとのアイデアが「俗説」であり「信頼に値しない」と述べ、そうした慣例に疑問を投げかけた。
 党内には、習氏が次期常務委員を味方で固め、自分以外の者がお気に入りを昇進させないようにしているとの見方がある。汚職撲滅運動を指揮する王岐山氏は既に68歳だが、留任し、さらには首相に就任することを習氏が望んでいるともささやかれている。
 常務委員を縮小や格下げ、あるいは撤廃し、ロシアの大統領制に近い体制を導入するとのうわさまである。現在3期目を務める同国のウラジーミル・プーチン大統領は広範な執行権限を持ち、24年まで在任できる。
 最高指導部と日常的に会っている党幹部は最近の内部の議論から、来年は常務委員の「後継者が指名されない」とみている。習氏は「長老たちの過剰な介入を是が非でも防ごうとしている」という。
 こうした観測を背景に、党全国代表大会に先立つ交渉で習氏が影響力を強めるかもしれない。
 ライバルが習氏の目標を妨害したり、習氏が2期目に方向転換したりする可能性があるとの考えもある。だがあからさまな抵抗の兆しがないことから、指導部と会ったり彼らの動向を注視したりしている多くの人は、強力な独裁体制の新時代が始まったかもしれないと感じている。
 ある元高官は「中国最強の指導者たちが結果を出すのに少なくとも20年必要だった。習近平も同じだろう」と述べ、「毛(沢東)は国を造った。ケ小平はそれを豊かにした。現在は習の時代だ。国を強力にするだろう」と説明した。
 習氏の目標は、同氏個人に忠実な規律ある組織に党を改造し、党に社会と経済で支配的な力を取り戻すことのようだ。党関係者は、習氏が少数の顧問団によるトップダウン型の意思決定がいいと考えていると話す。顧問らは現在、習氏が率いる10余りの委員会を通じて指示を出している。
 党内で習氏は、回ってくる多くの書類について頻繁にメモする細かい上司だとされている。同氏が率いる委員会の1つ、「中央全面深化改革指導小組」が今年これまでに交付した政令は96件と、昨年の65件、一昨年の37件を上回っている。
http://jp.wsj.com/articles/SB10878553558812384085704582523713150620898


 


習氏の権力闘争、歴史的転換の前兆(後編)
中央委員会は10月に習氏を「核心」の指導者として承認した
 
全国人民代表大会の開幕に到着した中国の習近平国家主席(左)と李克強首相(3月5日、北京) PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGE
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JEREMY PAGE AND LINGLING WEI
2016 年 12 月 28 日 16:06 JST
 習氏は汚職撲滅運動を展開し、領有権の主張や国益に絡んで軍を動員したことで国民の支持を勝ち取る一方、アジアと欧州を結ぶインフラを構築する「一帯一路」構想によって世界での地位を高めてきた。
 また、ビッグデータを使った新たな統制手段の確立を目指している。例えば、国民の金融取引その他の活動を監視・評価する「社会信用」システムを2020年までに構築する計画だ。
 他の分野では権力集中の動きはプラスになっていない。中国政府は市場が「決定的な」役割を担う環境を醸成すると13年に言明したが、昨年には株価暴落への対応を誤り、通貨切り下げを実施した。さらに習氏は今年、経済における国の役割を強めることを主張し始めた。李首相からのシグナルとは正反対だ。
 多くのエコノミストから見ると、2020年の国内総生産(GDP)を10年の2倍にするという習氏の目標は、財政支出と多額の債務を抑制する試みに勝っているようだ。
 不動産価格が上昇し資本流出が膨らむなか、11月に改革派の楼継偉財政相が更迭されたことでより大胆な改革の見通しが後退した。
 政府関係者らによると、習氏が服従と緊縮を強調したために多くの当局者が政府を去り、残った者はただ命令を伝えるだけで、主導権を取ることを避けている。
 役人は習氏のさまざまな運動に関連した勉強会や、公式書類を読むことに追われている。最近では習氏の演説の本を読み、プレゼンテーションを行い、記述式のテストをする指示が出た。
 ある大都市の判事は、パスポートを提出し、家族生活について報告し、政治集会に出席するよう求められたことから今年辞任したと話している。
 国営部門の撤廃を訴えるリベラル派の経済学者である茅于軾氏は最近、自身が1993年に共同設立した独立系シンクタンク、北京天則経済研究所を辞めるよう党幹部から警告されたと話す。同研究所に寄付をしている中国人は政府の報復を恐れており、また、外国のスポンサーは外資を規制する新たな法律に直面している。
 茅氏は、中国に対する楽観は変わっていないものの、それは「習近平後」についてだけだと述べた。
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習氏は中国で数十年続いた党の集団統治体制をより硬直的な独裁体制に移行するのか(英語音声、英語字幕あり) Photo: Xinhua News Agency
 中国は1世紀の間、独裁と集団統治の間を行ったり来たりしてきた。1949年に共産党が政権を握り、当初はかの毛沢東も他の革命指導者と権力を分け合っていたが、その後に独裁体制を敷き、数千万人の命を奪った20年間の大混乱をもたらした。毛の後継者で開放政策を進めたケ小平は、権力を共有・割譲する規則を設定した。
 ケは80年の演説で、「誰にでも知識、経験、エネルギーの限界がある」と述べたが、この言葉は少なくとも12の肩書を持つ習氏への批判でよく引用される。ケは権限を省庁や地方当局に委譲し、党による日々の統治をやめさせた。
 02年にトップに立った胡錦濤氏は中国の指導者では初めて、10年間の任期後に全ての地位(党総書記、国家主席、中央軍事委員会主席)を退いた。
 12年には、党は危機に陥っていた。汚職と党の内紛が薄熙来氏の失脚によって露呈していたのだ。薄氏は政治局員だったが、最後には職権乱用の罪で収監された。
 輸出とインフラ投資主導の経済成長モデルは低迷している。一方で労働コスト、社会不安、地方政府の債務、環境問題は増幅。共産党が自らの正統性の主な根拠としてきた政治的安定と経済成長は損なわれつつある。
 党内には、権力の拡散が行きすぎたとの見方も浮上した。
習氏のバックグラウンド
 習氏の父は毛と共に革命戦争を戦った後に追放され、後に名誉回復した。そのため習氏にはまとまった権力基盤がない。習氏の指名は、主に元国家主席の江沢民氏が画策した。胡氏は後継者に李克強氏を推していた。
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習氏が本当に信用できる仲間の人数は限られているPHOTO: DAN KITWOOD/AFP/GETTY IMAGES
 それでも習氏には、数十年来の友人である王(岐山)氏(現在は反汚職運動を指揮)という強い味方がいた。両氏は薄氏の騒動を利用して反汚職運動の開始を正当化した。この運動は、習氏の権限と党の本当の問題に対する潜在的脅威をターゲットにしていた。
 胡氏の下で公安部門トップなどを務めた周永康氏や、胡氏と関係する多くの当局者が、汚職で有罪判決を受けた。これにより、習氏の前任2人を取り巻くネットワークの影響が抑えられた。
 習氏はその過程で多くの人を敵に回した。北京の政治コメンテーター、章立凡氏は「余りに多くのグループが(反汚職運動の)ターゲットにされているため、彼が(22年に)引退するのは危険かもしれない」とし、「そのことは、王岐山氏の留任を望んでいる理由でもある」と述べた。
 党関係者によると、汚職捜査への恐れからあからさまな反抗はないものの、受動的な抵抗は党内に広まっており、習氏の権力増大につれて失敗に対する責任も増している。習氏が本当に信用できる仲間の人数は限られている。習氏が権力を持っていることには議論の余地がないものの、その基盤は脆弱(ぜいじゃく)だという。
 反汚職運動は綱紀を粛正する運動に変容してきたが、その綱紀の意味は習氏の決定を実行することに近くなっている。
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習氏の下で反汚職運動を指揮する王岐山氏 PHOTO: JASON LEE/REUTERS
 10月の会議で、中央委員会は習氏を「核心」の指導者として承認したが、これは胡氏には与えられなかった肩書だ。その後の会合に出席した党員は、来年の人事刷新を含む全てのことについて習氏が最終決定権を握っているとの印象を持った。
 党中央弁公庁主任の栗戦書氏は11月に新聞で、「最も誉れ高く、最も影響力があり、最も経験に富んだ」党の指導者である習氏の下に集結するよう当局者らを促した。
 一部の党員は、習氏に最も近い盟友の1人である栗氏が来年の常務委員会で反汚職運動の仕事を引き受け、王氏は引退するのではなく首相になるとみている。そうなれば、習氏は22年まで権力の手綱を引き締めると同時に、それ以降の続投の布石にできるだろう。
 中国の憲法では国家主席は2期までと定められている。党の規則でも、指導的な立場にある当局者が同じポストにとどまるのは10年以下、党の同レベルのポストにとどまれるのは15年以下としている。
 党内では、後者の規則は常務委員には適用されないとの見解や、習氏が規則を変更するか、プーチン氏が08年にしたようにポストを移る可能性があるとの観測がある。
*前編はこちら>>
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjn-pmfgpfRAhUFULwKHagjB80QFgghMAE&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10878553558812384085704582523811194990808&usg=AFQjCNGpuXYIfIYWg7kmas3z55dX3xTBMA



http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/858.html

[経世済民117] 米住宅価格、経済の二極化を反映 トランプと次期閣僚、食い違う見解 オバマ司法省、最後の銀行叩き 露スーパージェット半数異
米住宅価格、経済の二極化を反映
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ペンシルベニア州スクラントンの住民の中には、転居先で住宅が買えず地元に戻ってくる人もいる PHOTO: JOHN GREIM/GETTY IMAGES
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LAURA KUSISTO
2016 年 12 月 28 日 16:36 JST
 この15年間、浮き沈みを繰り返してきた米住宅市場では、高価格帯が中心の都市部や沿岸部と価格が手ごろな内陸部との二極化が進み、主に地域の違いで勝ち組と負け組が大きく二分されつつある。
 米国の主要都市をカバーするS&Pコアロジック・ケース・シラー全米住宅価格指数によると、10月の平均住宅価格は前年同月比5.6%上昇した。
 この指数によると、都市部の住宅価格は、住宅バブル期の2006年にピークを付け、それ以降はバブル崩壊後の12年に底入れするまで27%下げたが、今年9月に過去最高を記録した。インフレ調整後の実質価格は06年のピークをまだ15%ほど下回っている。
 値上がりを享受できているのは高額物件が中心だ。住宅データ会社ウェイス・アナリティクスの分析によると、中央価格が50万〜100万ドル(約5850万〜1億1700万円)の地域の住宅価格は現在、16年前(2000年代の住宅バブル発生前)の水準から103%上昇している。この地域の住宅価格は不況後の上昇率が39%に達する。
 ただ、全米の多くの地域は、同じ期間の住宅価格がほぼ横ばいで、足元の住宅ブームに乗れていない。中央価格が10万〜15万ドル(約1170万〜1755万円)の地域の住宅価格は、2000年からの上昇率が24%で、不況後の上昇率も16%にとどまる。
https://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CM958_HOUSIN_16U_20161227174512.jpg

 こうした格差は、地方在住者を中心とする中間層が不満を募らせる一因となっている。先の米大統領選ではこうした層がドナルド・トランプ氏の勝利を支えた。不動産情報サイトのジローの分析によると、トランプ氏を支持した郡ではこの15年間、住宅価格がほぼ横ばいとなっている。
 ヒラリー・クリントン氏を支持した地域(主にカリフォルニア州沿岸都のような都市圏)の住宅価格は、2006年〜12年の水準から急落したが、それ以降は急回復している。
 ジローの分析によると、住宅市場でバブルの発生・崩壊というサイクルが始まる直前の2000年1月、16年の大統領選でクリントン氏を支持した郡の住宅価格は、トランプ氏を支持した郡の価格を3万6000ドル(約421万円)上回っていた。この差が現在は9万7000ドル程度まで拡大している。
 16年の大統領選で支持候補を変えた郡の価格差はもっと大きい。クリントン支持に転じた郡の住宅価格は、トランプ支持に転じた郡の価格を約14万7000ドル上回る。
 都市部では近年、高収入の仕事を求めて大量に流入している若者が住宅価格を支える要因となっている。また、土地利用規制の影響で供給が減り、価格を押し上げているという面もある。高額物件はこの10年、値上がりと値下がりを繰り返してきたが、今ではバブル崩壊時の下落分の大半ないし全部を帳消しにした。

2000年を1.0としたウェイス・アナリティクス住宅価格指数の推移【赤】50万〜100万ドルの物件、【黄】10万〜15万ドルの物件
https://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CM958_HOUSIN_16U_20161227174512.jpg

 主要都市以外の地域では、住宅需要は現状維持が続く。新築物件はごくわずかで、都市部や沿岸部に転居する人が増えているためだ。
 一般的な価格の物件も、差し押さえの多発を受けて融資基準が引き締められたことにより需要が鈍っている。そのため、信用履歴に問題がある買い手や所得が低めの買い手は、これまでよりもローン審査を通りにくくなった。
 10月分のケース・シラー全米住宅価格指数には、大統領選以降に住宅ローン金利が急上昇したことは反映されていない。金利が上昇すると毎月のローン返済費用も増えるため、住宅価格の伸びが抑えられることが多い。住宅価格が所得を上回るペースで伸びる中で金利上昇が追い打ちを掛ければ、来年の住宅市場は苦境に陥るかもしれない。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwir5tWEuZbRAhWEyrwKHXiiA84QFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12551518554479554206404582524304275424614&usg=AFQjCNHwrMOZFHblxVhid4l34PK4HM4LMA


 

 
トランプ氏と次期閣僚たち、食い違う見解
財政・貿易・気候変動・外交……政策の具体化で難題
トランプ氏が次期国防長官に指名した海兵隊の退役大将、ジェームズ・マティス氏

By DAMIAN PALETTA
2016 年 12 月 28 日 12:52 JST 更新

 ドナルド・トランプ次期米大統領は、財政や貿易、気候変動、ロシアとの関係などについて自身と異なる見解を持つ閣僚や高官を起用した。このため、選挙中に掲げた幅広い公約を具体的な政策に落とし込むなかで難題に直面しそうだ。

 行政管理予算局(OMB)局長に指名されたミック・マルバニー下院議員(共和、サウスカロライナ州)は、債務上限の引き上げに反対してきた。だが、トランプ氏が唱える大型減税や国防・インフラの大幅な支出増では財政赤字が拡大する、と多くのエコノミストはみている。

 トランプ氏の指名した閣僚の幾人かは、オバマ大統領がアジア諸国との交渉で合意した環太平洋経済連携協定(TPP)を支持した。だがトランプ氏は反対しており、破棄することを言明している。

 次期国務長官に指名されたレックス・ティラーソン氏は、人間の行動が気候変動の一因であることが科学によって証明されているとの見方を示している。トランプ氏は、そうした主張は「捏造(ねつぞう)」だと述べたことがある。

次期国務長官に指名されたレックス・ティラーソン氏 ENLARGE
次期国務長官に指名されたレックス・ティラーソン氏 PHOTO: BEN STANSALL/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
 元ホワイトハウス関係者らによると、新しい政権は往々にして相反する意見に対応しなければならない。オバマ氏は2008年の大統領選予備選で民主党の指名獲得を争ったライバルを閣僚に起用した。選挙戦で自身と意見が食い違っていたヒラリー・クリントン国務長官とトム・ビルサック農務長官を起用したのだ。もう1人のライバルだったジョー・バイデン氏は副大統領候補に選んでいた。

 トランプ氏は政権発足時から、異なる意見を持つ多くの人々に囲まれることになる。同氏の長年の友人で、大統領就任式実行委員会の委員長を務めるトーマス・バラック氏は、トランプ氏が「門戸開放政策」で新政権を運営するとみる。つまり、側近たちが提案のメリットについて議論し、トランプ氏が情報を「キュレートして(まとめて)」最終判断を下すというやり方だ。

 だが、連邦政府が下す決断は大統領のレベルまで到達しない場合も多い。各省庁が巨大で独立した権限を握っている。省庁が勝手なことをしないように監視することは、どんな新政権にとっても難しい。トランプ氏はいくつかの省庁を見張っておく必要があるかもしれない。閣僚自身の好みではなく、トランプ氏の公約に沿った政策を確実に押し進めさせるためだ。

 トランプ氏がいかに指揮系統を構築できるかが鍵となるだろう。これまで指名した高官の人事が水平構造になっているのだから、なおさらだ。

 「大統領という最高司令官のコピーは一人もいない」。ジョージ・W・ブッシュ政権でホワイトハウス報道官を務めたアリ・フライシャー氏はこう語る。「鍵になるのは、大統領の力と統率力だ。大統領が何をすべきかについて強い考えを持っていなければ、アドバイザーたちがはるかに大きな役割を担うことになる。例えば(不法移民阻止の)壁を構築する、エネルギー自立や減税を通じて米国の雇用を創出することなどについて、大統領が確固たる考えを持っている時には、アドバイザーがそれに敬意を表し、大統領の命令の実行がずっと簡単になるだろう」

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【社説】オバマ氏の司法省、最後の銀行たたき
かつての悪党を犠牲者に仕立て上げ、金融機関からカネを絞り取る政府
バークレイズは2008年の住宅ローン担保証券(MBS)危機を巡る米司法省との交渉で和解を拒否した

2016 年 12 月 28 日 12:33 JST

 「オバマ氏の司法省」は、最後にもう一度カネを引きだそうと現金自動預払機(ATM)に近づいている。2008年に起きた住宅ローン担保証券(MBS)の危機を巡り、司法省は米金融機関に責任を負わせ、彼らから1000億ドル(約11兆7400億円)以上の和解金を絞り取った。その上、今度は外国の銀行に深い傷を負わせようとしている。そのような同情を買いにくい相手を標的にした訴訟は、確かに進歩派を満足させるだろう。しかし、司法省がこうした案件の主張を裁判で立証できるとは期待しない方がいい。

 先週、クレディ・スイスとドイツ銀行はそれぞれ53億ドルと72億ドルの和解金を支払うことで合意した。一方、バークレイズは和解を拒否し、22日に司法省に提訴された。バークレイズよ、よくやった。

 ぜひバークレイズがこの件を審理に持ち込めることを期待しよう。なぜなら、司法省の198ページに及ぶ訴状は、あまりにも論理が飛躍しているからだ。政府は今回、バークレイズが金融危機に至るまでの数年、MBSを購入した投資家を欺いていたとして提訴した。MBSの裏付けとなるローンが焦げ付く可能性が高いことをきちんと開示していなかったというのがその主張だ。しかし政府は訴状で、バークレイズ自身も問題の証券の大半に投資し、しばしば最もリスクの高い商品の一部を購入していたと認めた。ということは、バークレイズは自らも欺いていたと言うのだろうか。

 訴訟はここから一挙に飛躍する。証券法に基づく典型的な案件として提訴するには出訴期限が間に合わない。しかし、1989年制定の「金融機関改革救済執行法(FIRREA)」に基づいてバークレイズを訴えることはできる。

 この法律は検察当局のお気に入りだ。こちらの方が立証負担が少なく、巨額の制裁金を科すことができる可能性があるためだ。ただし、難点がある。FIRREAはもともと貯蓄貸付組合(S&L)幹部を罰するために作られた法律なので、連邦政府が保証を提供している金融機関に損害を与えたとされる相手にしか使えないことだ。そのため検察当局は、損害を受けた一般投資家ではなく他の銀行を犠牲者として示し、被告人のせいでいかに彼らが被害をこうむったかを説明する必要がある。

 そこで政府がバークレイズからカネを引きだそうと犠牲者に仕立て上げたのが、何を隠そうシティバンクだ。

かつての加害者が被害者に

 何と皮肉なことか。これではまるで政府による詐欺だ。2年前を思い出してほしい。司法省はFIRREAを利用し、やはり金融危機に至るまでの数年にMBSを巡り投資家を欺いたとして、シティバンクの親会社であるシティグループを訴え、70億ドルの和解金を絞り出しているのだ。

 和解について発表した際、エリック・ホルダー司法長官はシティの行為を「言語道断」と断じた。ホルダー氏は、シティが「わが国の経済を壊滅させた金融危機に多大な役割を果たした」と述べ、この悪徳企業によって人生を台無しにされたとされる人たちについて触れた。それが2014年の状況だった。

 そして司法省は今度は、この投資家を欺いた国際的な策謀の首謀者が、一方ではライバルのならず者組織が編み出したほぼ同じ手口にだまされていたと、われわれに信じろと言っているのだ。あきれたものだ。シティは犠牲者という新たな立場を受け、70億ドルの一部を取り戻すのだろうか。

 これだけではない。政府はバークレイズの被害者となった金融機関は他にもたくさんあり、連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)もそれに含まれると述べている。2009年に立ち上げた超党派組織の金融危機調査委員会でさえ、両公社による無謀な借り入れが壊滅的な結果を招いたと認めざるを得なかったのにだ。しかし政府は最近では、他の企業を訴える際に彼らを犠牲者に仕立て上げた方が有用だとみているようだ。

 さらに、バークレイズを相手取った今回の民事訴訟で犠牲者とされているもう1つの企業が、住宅金融大手インディマック・バンコープだ。2008年に破綻したインディマックは、それまで同行が組成していた「非伝統的な」住宅ローンを巡る詐欺容疑でFBIの捜査を受けた。しかし司法省によると、今回の訴訟ではインディマックが犠牲者だ。同行がバークレイズからMBSを購入していたからではない。MBSにリスクの高いローンを組み合わせて大量にバークレイズに「販売していた」ためだ。バークレイズは商品の「需要を生み出した」ことでインディマックに損害を与えたというのが司法省の主張だ。インディマックの幹部は、ずさんな住宅ローンを提供する以外に何もできなかったとでも言うのだろうか。

 これでは司法省は、粗悪な商品を生み出した責任がそれを発注した消費者にあると言っているようなものだ。この点について政府側の弁護士が裁判でどう議論するのか見ものだ。これではオバマ氏が愛する消費者金融保護局(CFPB)が、金融取引の悪い側を保護してきたということになる。

 こうしたオバマ氏の司法省による銀行たたきこそが、最も悪質な金融制度の悪用だ。司法省を立て直してその評判を回復するには、まず証拠もなしに不人気な被告人を相手にカネを絞り取るのをやめることだ。

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メキシコ航空会社、露スーパージェットの半数に「潜在的異常」

[メキシコ市 27日 ロイター] - メキシコの航空会社インタージェットは27日、機体点検を実施していたロシア製の「スホイ・スーパージェット100」に関し、保有する22機の半数に当たる11機で「潜在的な異常」が見つかったと発表した。ロシア航空当局の指示に沿って検査し、その後は飛行を見送っている。

同社のガルザ最高経営責任者(CEO)は「11機が運行できずに地上にとどまっており、ロシア航空当局やメーカーから解決策が示されるのを待っているところだ」と述べた。ほかの11機には問題は見られなかったとした。

ロシア国営ユナイテッド・エアクラフト(UNAC.MM)傘下のスホイは先週、航空当局がスーパージェット100の尾部に欠陥を見つけたと発表している。

多くの人が旅行する時期にスーパージェット100を飛ばせないことは、インタージェットにとって痛手といえそうだ。

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http://jp.reuters.com/article/sukhoisuperjet-mexicanair-idJPKBN14H09H

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/276.html

[政治・選挙・NHK218] 世界で高まる財政拡張気運で、日本の財政中間目標は未達か 国債のマイナス利回り−来年へと受け継がれる「遺産」
2016年12月28日 週刊ダイヤモンド編集部

世界で高まる財政拡張気運で、日本の財政中間目標は未達か

大規模な財政出動を訴えるトランプ・米次期大統領の登場もあり、世界で財政拡張への声が高まっている。日本も例外ではないが、その一方でプライマリーバランスを20年度に黒字化するという財政目標について、18年度に迫る「中間目標」が未達となる可能性が高まっている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)


12月21日、経済財政諮問会議で経済・財政一体改革について議論する安倍晋三首相 Photo:首相官邸HP
「世界的にポリシーミックス(政策の組み合わせ)の大きな潮流が金融政策から財政政策に転換しつつある」――。みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストはこう述べ、2017年の世界経済の論点の一つに、財政政策を挙げる。

 詳しくは後述するが、財政状況の厳しい日本で今や見過ごされがちなのは、18年度に迎える財政の「中間目標」の未達の可能性が高まっているということだ。

 過去数年、米国はじめ各先進国が取ってきた金融政策とは、言ってみれば、それぞれの中央銀行が世の中をお金でじゃぶじゃぶにすることで景気浮揚を狙う手法だ。

 この「量的金融緩和」と呼ばれる政策では、中銀が国債などを買い入れることで、市場に大量のお金を流し込み、貸し出しなどの際につく利子(金利)を下げて企業や消費者がお金を借りやすい状態をつくる。その結果、企業が設備投資や雇用を増やしたり、消費者が住宅ローンを活用して不動産を買いやすくしたりして、さらには賃上げや消費拡大といった循環につなげることを狙っていた。

 しかし、この金融政策を重視しすぎた結果、世界的に金利がゼロ%近辺まで下がる超低金利状態が長引き、経済底上げの効果に限界が出てきた。欧州や日本ではさらなる打開を図ろうと、銀行が「銀行の銀行」である中銀に預けるお金に付く利子をマイナスに下げる「マイナス金利政策」にまで踏み切ったが、それでも思ったほどの効果をもたらしてはいないとの声が大勢だ。

 そんな流れを受け、最近では金融だけでなく各国の財政も積極的に活用していこう、との機運が高まってきている。財政政策とは、政府が経済対策の一環で予算を増やし、公共工事や消費活性化などに用いて、景気を持ち上げようとすることだ。米国では、大規模な財政出動を訴えるトランプ氏が米大統領選挙に勝利した。

 世界で財政拡張への声が高まることに対して、日本も無関係ではない。こうした経済政策の潮流を踏まえると、政府が掲げる財政の「中間目標」が未達となる公算が大きくなっているのだ。

18年度のPBの赤字幅を
1%程度に縮める中間目標

 政府は以前から、プライマリーバランス(=PB、基礎的財政収支)を20年度に黒字化する財政目標を掲げている。このPBとは、国債発行を除いた政府の税金などの歳入と、国債の元本償還金と利払い費を除いた歳出の収支のこと。収支が均衡していれば財政が安定していることを示す。

 日本ではPBの赤字が常態化しており、15年度は対GDP(国内総生産)比で約3%だった。これに関して、安倍政権が財政健全化計画を決めた15年6月、18年度時点のPBの赤字幅を同1%程度に縮める中間目標を新たに定めていたのだ。

 財政政策を重視する考え方が世界で広がり出したきっかけの一つは、16年8月の米経済シンポジウム(ジャクソンホール)でのクリストファー・シムズ・米プリンストン大学教授の発言。低金利の下では、財政拡張こそ物価水準に影響を与えやすくなるといった考えを展開し、注目を集めていた。

 翌9月の中国・杭州でのG20(20ヵ国・地域首脳会議)では機動的な財政政策を実施する方針を確認。国際通貨基金(IMF)も財政出動に加え、構造改革に取り組むよう各国に促すなど、ここ数年の政策対応の方向性に変化のメスを入れ始めた。

 11月には内閣官房参与を務める浜田宏一・イェール大学名誉教授がシムズ氏の論文を引き合いに「今後は減税も含めた財政の拡大が必要」と語るなど、当局側からも財政の積極活用論が聞かれる。

 もっとも、周知の通り日本の財政状況は世界的にも極めて厳しい。公的債務残高は今やGDPの2倍以上に膨らむ。

 18年度の中間目標は当初、17年4月の消費税率10%への引き上げが前提となっていた。今年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)後、安倍首相が消費増税をさらに19年10月まで延期すると表明したため、中間目標の見直しを求める声も出ていたが、16年秋の自民党の財政再建に関する特命委員会(委員長・茂木敏充政調会長)では、増税先送り決定後も中間目標を堅持する考えが確認された。

財政拡大に歯止めかからず
PBの赤字幅縮小は困難

 財政の中間目標が今も国内外に認知されている限り、自ずと政府が「約束を守れるかどうか」に関心が向く。22日に閣議決定された17年度予算は一般会計ベースで総額97兆円規模となったが、ここから逆算していくと、市場では18年度の財政中間目標が「未達成となる可能性が高い」(第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミスト)との見方が出てきている。

 なぜか。そもそも増税延期の影響が避けられない上、政府が7月に示した「中長期の経済財政に関する試算」によれば、政府が目指す実質2%、名目3%の「経済再生ケース」を実現した場合でも、18年度にGDP比で1.9%のPB赤字が残る。星野氏は、この試算には今年10月に成立した16年度第二次補正予算の影響が織り込まれていないと指摘する。

 歳出面では、世界的な財政拡張気運の高まりを考慮に入れれば、17年度以降も景気浮揚などを目的に財政活用の流れは続きそうだ。仮に経済対策を盛り込んだ16年度の第二次補正予算(4兆円超)と同規模の補正を来年以降も編成すると、2〜3兆円規模の国債発行が必要になるとみられている。

 歳入面はどうか。税収は当初予算の編成時の見込みより下振れしており、10月までの累計税収は7年ぶりに前年割れしている。

 税収は為替動向の影響が大きい。星野氏の試算によれば、為替市場で1%円安・ドル高が進むと、税収は1200〜1300億円規模で上振れする。足元の円安が続けば、税収減は一時的にとどまる可能性もあるが、それを考慮しても「18年度にはGDP比2〜3%のPB赤字が残る」(星野氏)との見立てにたどり着く。つまり、政府試算と比べてGDPで1%程度(5兆円程度)、赤字幅が拡大する可能性もあるということだ。

 この通りなら中間目標の達成には5〜10兆円程度の大幅な予算の減額が必要になる。だが世界的な財政拡張の流れに逆行し、景気への悪影響も出てしまう点を考慮に入れれば、自ずと政府が中間目標の達成の方を“犠牲”にするとの見通しに傾かざるを得なくなる。

 理屈だけで考えれば、PBは単年度収支であるため、18年度だけ支出を抑えて帳尻を合わせれば中間目標の達成に近づけないわけではない。ただ19年10月の消費増税に向け景気浮揚も必要とされる18年度に、財政出動の機運が急にしぼむとは現時点で考えにくい。

景気対策で出動が常態化した
補正予算のあり方に問題も

 補正予算は本来、当初予算時点で予見し難い事態が生じ、予備費でも対応できない際にやむを得ず編成するはずだが、実態は「景気対策」として毎年の出動が半ば“恒例化”している。こうした補正予算の在り方も問題となっている。

 ある財務省関係者は「補正予算にチェック機能が働きにくいのは事実」と打ち明ける。日本の場合、翌年度の本予算は前年の夏場から政府内の動きが始まり、財務省の財政制度等審議会での議論、各省庁と財務省との折衝など、数ヵ月単位の時間をかけて決まっていく。

 一方、補正予算は国会の承認こそ得るものの、財政審での議論を経ることもなく、数兆円単位の予算が内閣の判断などであまり時間をかけずに編成される傾向にある。

 政府は当初予算に関し、一般歳出の伸びを18年度までの3年間で1.6兆円に抑える方針を掲げている。このため財政の「機動的な出動」は今後も補正予算を使ったものになるのは確実だろう。最終的な年度決算で見れば、補正分も国の支出に計上され、PB対象経費が膨らむことになる。

 そうして中間目標の未達の足音が近づいてくると、気になるのはさらに先の財政の行方だ。

 19年10月への二度目の先送りが決まった消費税10%への引き上げについて「二度あることは三度ある。安倍首相による増税の“再々々延期”も十分にあり得るのでは」(財務省関係者)との予測が既に聞かれ始めている。

 以前から日本に一段の消費増税を訴えてきた経済開発協力機構(OECD)は、16年の経済見通し発表時、先進国に財政出動と構造改革による難局打開を提言する一方で、日本は「注目すべき例外」と指摘。「財政拡大の余地はない」として、財政改善を求めている。

 政権が目先の景気浮揚を優先し、消費増税をさらに先送れば、これまで国内外に長年コミット(約束)してきた20年度のPB黒字化目標は達成が絶望的となる。そうなれば、財政状態の一層の悪化を懸念して、国債が売られ金利に強い上昇圧力がかかる恐れがないとはいえない。

 海外投資家の日本国債の保有率が上昇傾向にある中、“財政健全化の道のりを放棄した”との受け止めが市場に広がれば――。金利急騰で日本経済が大混乱に陥る、恐れていたシナリオも現実味を帯びかねない。
http://diamond.jp/articles/-/112741


 


国債のマイナス利回り−来年へと受け継がれる「遺産」
日本とドイツでは10年物国債利回りが今年マイナスになった

By RICHARD BARLEY
2016 年 12 月 28 日 14:48 JST

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 2016年末の債券市場を一言で表現するとすれば、世界的な利回りの急騰だろう。だが、今年最も注目すべき出来事は、長期債に至るまで幅広くマイナス利回りが出現したことだ。当時の影響はいまだに残っており、この「遺産」ともいえる痕跡はしばらく消えそうにない。

 バンクオブアメリカ・メリルリンチのデータによると、利回りがマイナスの債券の総額は世界全体で、9月末につけた13兆3000億ドル(約1560兆円)のピークから減少している。16年初めにはこの半分に満たない5兆6000億ドルだった。とはいえ、マイナス利回りの債券は12月初め時点で世界の市場にまだ10兆ドル余り存在していた。ドイツ国債は依然、2024年満期の銘柄まで利回りがマイナス圏だ。

 実際、一部の利回りは今年に入ってから低下の一途をたどってきた。ドイツ国債の2年物利回りは年初にマイナス0.35%だったが、12月にはマイナス0.8%まで下がった。欧州中央銀行(ECB)が債券買い入れ策を延長したことや、年末を控えて質や流動性の高い債券に対し担保としての需要が膨らんだことが背景にある。

 とは言うものの、16年に起きた現象の中で本当に奇妙だったのは、長期債利回りがマイナス圏に沈み、債券市場の動きについての前提が覆ったことだ。ドイツ国債と日本国債の10年物利回りがマイナスになったときには特に大きく注目された。だが、最も極端な例であるスイス国債には到底及ばない。スイス国債の場合、英国が6月の国民投票で欧州連合(EU)離脱を決定すると、一時は2064年満期の国債まで利回りがマイナスになった。

 こうしたことから浮き彫りとなるのは、16年に債券市場がどれほど未知の領域に入ったかだ。資産としての債券(fixed income)の魅力は受け取るキャッシュフローが分かっていること、すなわちその名の通り「固定(fixed)」していることにある。長期債利回りをマイナス圏に押し下げた16年前半の相場上昇は、将来のキャッシュフローがすでに購入価格に織り込まれている中で、債券を全くの投機手段に変えてしまった。2064年満期のスイス国債の価格はピーク時に額面の2倍を超えた。この国債を買った投資家は、将来受け取る年2%のクーポン(表面利率)と元本の合計を上回る額を購入時に支払わなければならなかった。

 10-12月期に債券売りが優勢となったため、極端なマイナス利回りはいくらか是正された。また、17年にインフレ率が上昇すれば、長期債利回りが再び今年の低水準まで下がることはないはずだ。だが、米連邦準備制度理事会(FRB)がさらなる利上げを示唆し、米国債利回りが押し上げられる一方で、他の中央銀行は低金利政策を決め込んでいる。ECBは預金金利をマイナス0.4%に据え置いており、その影響でドイツの短期債利回りは低く抑えられるだろう。日本銀行は10年物国債利回りをゼロ近辺に維持しようとしている。

 これは一部の債券の利回りが17年もマイナス圏にとどまることを意味する。利回りのさらなる低下を見越した投機的な債券買いの衝動は、最近の相場下落を受けて抑えられたはずだ。だが、中銀の政策がもたらす市場のゆがみが消えない限り、投資家は途方もない難題を抱え続けることとなる。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwizkOXA6ZbRAhVFvrwKHb79CycQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12551518554479554206404582524163704287398&usg=AFQjCNHXTbwtz6xsJ27cTIaVqLExbupB9g
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/333.html

[経世済民117] 中国人民銀の苦悩、健全化努力が招く市場混乱のリスク 不振際立つフロンティア市場、景気低迷や資金流出 中国報復と対米貿易戦
中国人民銀の苦悩、健全化努力が招く市場混乱のリスク
中国人民銀行は金融システムの健全化に向けた努力を進めている
By CHAO DENG
2016 年 12 月 28 日 18:09 JST

 中国では金融システムの健全化に向けた努力が別の危機に拍車をかけている。

 一例を挙げると、中国人民銀行(中央銀行)は10月、銀行に対し簿外に抱える数兆元の投資商品残高をバランスシートに記載するよう求めた。その目的の1つは、金融システムのグレーゾーンなどにおける信用拡大を抑えることだ。

 だが、その結果、高利回りのいわゆる「理財商品」への規制が強化されるとの臆測から、中国の債券市場に対する圧力が強まったとアナリストらは指摘する。

 国際金融協会(IIF)によると、中国の銀行が簿外に保有する投資商品残高は、預金残高の約6分の1に相当する。銀行がこうした商品を隠すことでうまく規制をかいくぐっていることが、金融システムをリスクにさらしている。つまり、銀行が投資損失に備えて確保している資金が足りなくなる恐れがある。銀行がどんな商品に投資しているかもはっきりしない。証券会社や保険会社なども同様の商品を組成している。

 公式統計によれば、銀行の理財商品の残高は6月末時点で26兆2800億元に達したが、そのほぼ全てを、通常はバランスシートに記載されない無保証の商品が占める。

 人民銀行が新たな規制を打ち出してから数カ月がたち、専門家はその波及効果を指摘している。例えば、指標となる国債利回りが数カ月ぶりの高水準に達し、債券先物はストップ安を演じた。さらに、中国の小規模の証券会社がデフォルト(債務不履行)に陥ることへの懸念が広がっている。

 考えられる理由の1つは、理財商品の資産の約40%を債券が占めていることだとムーディーズは指摘する。証券会社は銀行などと協力し、債券市場や短期金融市場で借り入れた資金を使ってこうした商品のリターンを押し上げていた。

 債券市場の混乱は、不動産から商品(コモディティ−)に至るあらゆる資産に流入する過度の信用に歯止めをかける上で、人民銀行がさまざまな困難に直面していることを改めて示すものだ。

 投資の急増を受けて、債券市場の規模はこの3年で63兆9700億元に倍増した。証券会社は短期債を借り入れて長期債に投資したほか、積極的なポジションを隠すために債券資産を一定期間保有する契約を他の市場参加者と非公式に結ぶこともあった。

 アナリストやトレーダーは、債券市場の混乱は続くとみている。米国の金利上昇が中国の債券利回りを押し上げると予想されている。中国指導部は、来年は資産バブルと金融リスクを阻止すると約束しており、銀行による不透明な取引の抑制はその一環だ。人民銀行は新たに作った銀行の「マクロプルーデンス(金融市場全体の安定性を維持する)」の枠組みに理財商品を含めるとみられる。

 リュウ氏は、「レバレッジの解消は大規模な債券売りを引き起こす恐れがあるため」、中国当局は銀行の「浄化」を極めて慎重に進める可能性が高いと述べた。

 人民銀行はここ数日、抑え込もうとしている銀行業界に流動性を供給し、信用不安の緩和に努めている。

 中国の証券当局も火消しを迫られており、相場の下落で明るみに出た国海証券の債券スキャンダルの解決に乗り出している。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiN2bGPgpfRAhVGVbwKHX6DDiYQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10878553558812384085704582524442084365940&usg=AFQjCNGPmhwGRWEWqRWMcYpESEPnQ5EHgQ


 

不振際立つフロンティア市場、景気低迷や資金流出に直面
今年はフロンティア市場のパフォーマンス低迷が目立った(写真はナイジェリア・ラゴスのバログン市場) PHOTO: SUNDAY ALAMBA/ASSOCIATED PRESS
By CAROLYN CUI
2016 年 12 月 28 日 14:51 JST

 世界で最もリスクが高いが急成長を遂げる可能性も高いいわゆるフロンティア市場は、今年の世界的な株価上昇の流れに乗ることはできなかった。

 パキスタンやナイジェリアなど、新興国に比べ発展途上にある22のフロンティア市場の株価を指数化したMSCIフロンティア・マーケット指数は今年、12月22日時点のリターン(配当を含む)が1.1%となった。ダウ工業株30種平均の今年のトータルリターンが17.4%、新興国市場を対象としたMSCIエマージング・マーケット指数のリターンが8.4%だったのに比べると、はるかに後れを取っている。

 フロンティア市場は価格変動が激しいとされているにもかかわらず、フロンティア・マーケット指数は6月28日以降、1日の変動幅が上下1%に届かない状態が続いている。こうした現象がこれだけ続くのは2012年下半期以来のことだ。

 世界の貿易が減速し、経済成長が停滞し、政策が次第に国家主義的になり、資本移動が制限される可能性がある中、低調なパフォーマンスやトレーディングは、フロンティア市場が厳しい環境に直面していることを浮き彫りにしている。

 ダウ平均とMSCIエマージング・マーケット指数が今年前半の急落後に上昇に転じたことは、投資家のリスク志向が回復したことを示している。だがフロンティア市場のパフォーマンスが振るわないことは、リスクに対する寛容度が低いことを示しており、発展途上国それぞれの経済的な課題や、発展途上国特有のリスクが反映されている。

 ドル高が進み商品市況が活気づいている時期は、フロンティア市場は銀行など金融銘柄の比重が高いことが重しとなる。フロンティア・マーケット指数の組み入れ比率上位5カ国のうち、アルゼンチンとナイジェリアの経済は今年、マイナス成長が予想されている。パキスタン、クウェート、モロッコの成長率は過去10年の平均を下回る見通しだ。

 調査会社EPFRグローバルによると、期待外れのパフォーマンスを理由に、フロンティア市場に連動するファンドからは今年、12月21日までに8億4000万ドル(約988億円)が流出した。

 今年はナイジェリアとエジプトの通貨が激しく変動したことも、外国人投資家を及び腰にさせた。グローバルX MSCIナイジェリアETF(上場投資信託)は今年これまでに39%値下がりした。ナイジェリア当局が通貨ナイラを40%近く切り下げ、ドル輸出を制限したことで、投資家は多額の損失を被った。

 一部の資産運用会社は、フロンティア・マーケット指数のパフォーマンス低迷は多くの銘柄にとって買い場となったと指摘している。フロンティア市場株は新興市場株に比べて割安だ。MSCIによれば、バリュエーションでみると過去1年、フロンティア市場株は新興市場株を約20%下回る水準で取引され、ディスカウント幅は2009年以来の大きさだった。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjlnOeP6pbRAhUMV7wKHR1FCSMQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10878553558812384085704582524171148543152&usg=AFQjCNGPZyPVcTTY_53SkgBBBj8ZlMlP2w


 


【第223回】 2016年12月28日 姫田小夏 [ジャーナリスト]

中国の報復と対米貿易戦争で、在中外資企業が巻き添えに

トランプ・米次期大統領の就任で、米中間は貿易戦争の様相を呈すだろう。その一環で行われる“中国による報復”の影響を、日本をはじめ韓国や台湾の在中企業が被る可能性が高い
 2017年、中国経済を展望する上で「米中貿易」が大きなカギとなる。ドナルド・トランプ氏が新大統領に就任すれば、間違いなく米中間の貿易戦争の可能性は高まるからだ。
 米中間だけではない。韓国と中国、台湾と中国、そして日本と中国、その貿易戦争の火種はあちこちでくすぶりを見せている。“中国による報復”が、これまで順調だった経済の流れに大きな影響を及ぼそうとしている。
「トランプ氏は、自分がわかってないということをまるでわかっていない」――
 中国のエコノミストはあきれ顔でこう語る。12月2日、正式な外交関係のない台湾の蔡英文総統がトランプ次期大統領と行った電話会談は、「トランプ分析の分水嶺になった」といい、1979年以来の前例を破るトランプ氏を「想像以上の無知だった」と語る。
 当選当初は「彼は商人だから気脈が通じる」など、交渉のしやすさが評価されて米中関係を楽観する声も少なくなかった。転じて今は評価の見直しが進む。
 今まで常識とされたタブー行為すら、トランプ氏はまったく意に介さない。誰もが敏感になった「中国のメンツを潰す行為」は、トランプ氏にはまるで関係ないかのようだ。この「無知」ぶりこそが中国にとっての脅威になってきた。
 そのトランプ氏が大統領に就任すれば、いくつかの公約が実行に移されるだろう。例えば、「中国から輸入する全品目に45%の関税を課す」というのは、同氏が指名争いで掲げた政策のひとつだ。もちろん、これだけにとどまらない。
 2016年、中国による対米直接投資は300億ドルにも上ったことが米コンサルティング会社Rhodium Groupの調査で明らかになった。すでに在米の中国企業は1500社を超えると言われているが、トランプ氏は「この中には“規則を守らない中国企業”もある」と言及し、安全保障上の懸念を強めている。何らかの策が講じられる可能性も高い。
 もしそれらが行動に移されたなら、中国は当然その報復に出るだろう。その犠牲になるのは、中国に拠点を置く米国企業だ。先ごろ、日本経済新聞は「上海市政府は米自動車大手のゼネラル・モーターズの中国合弁会社に対し、34億円の罰金を科す」と報道したが、「北京ではすでに報復リストが作られている」とも言われ、“米中の貿易戦争”が本格化するのも時間の問題と囁かれている。
在中の韓国、台湾企業も
報復の対象に
 中国の報復は高関税ごときでは済まされない。中国側の徹底したやり方で、米国企業の中国市場開拓の行く手を阻むだろう。すでに中国では韓国企業も痛い目に遭っている。
「中国大陸に進出する韓国企業も中国政府のいじめられている」と明かすのは上海のビジネスコンサルタントだ。
 2016年7月、韓国政府は米最新鋭ミサイル防衛システム「THAAD」を韓国の米軍に配備することを正式に決定したが、これに反対する中国政府は、在中韓国企業のあらゆる活動を凍結させているというのだ。
 中国で韓国企業といえばロッテがその代表格。現在、中国で百貨店やショッピングモール、食品スーパーなどの流通拠点を大々的に展開しているが、そのロッテ集団の営業活動に「待った」がかけられたという。韓国メディアは、中国の税務や消防、衛生面などの関係当局があの手この手で韓国企業に嫌がらせをしている実態を報じている。
 また、現代自動車は今秋、河北省に新工場を竣工させたが、「韓国大使の祝辞が中国当局によってキャンセルさせられた」(中国の電子メディア)など一波乱が起きた。これ以外にも、通関拒否や検疫強化など“報復事例”は増加、韓流スターの往来など民間交流にも影響を及ぼしているという。
 中国による報復は台湾にも及んでいる。
「これまで、中国からの団体旅行客でにぎわっていた台北だったが、今ではすっかり影を潜めている」と語るのは、台北と東京を往復する台湾人の企業経営者だ。しかし、これは先の「トランプ・蔡電話会談」によってもたらされた報復ではない。
「台湾では2016年1月に蔡英文氏が総統に当選したが、これ以降、北京は団体旅行者が台湾に行くのを阻止するようになった」と、この経営者は語る。
 中国に拠点を持つ台湾企業もざわついている。蔡英文氏の当選で中国は必ず報復に出る――、こう確信する在中の台湾企業には中国での事業を縮小させるところもあるという。
2012年の反日デモの再来か
日本もまた標的に
 中国による報復活動は、在中の日系企業にとって決して目新しいことではない。過去における日中政府間の摩擦は、関係当局の不要な介入、通関拒否や検疫検査の強化、果ては民間交流の凍結などをもたらした。在中の日本企業もまた韓国企業と同様の経験を強いられた。
 最近では2012年の反日デモが記憶に新しいが、デモが収束しても“中国の報復”は続き、多くの企業がその嫌がらせに頭を痛めてきた。難局打開のために現地の日系企業ができることといえば、関係当局に日参を繰り返すことぐらいであり、手土産持参で拝み倒すしか策はなかった。
 そして、またしても在中の日系企業に日中二国間の摩擦の火の粉が降りかかろうとしている。
 財務省は先ごろ、「特恵関税制度」の対象国から中国など5ヵ国を除外する方針を示したのだ。その結果、1000〜2000品目の中国製品の関税が上がると言われている。
 これに対して中国では、「日本の動きは、トランプ氏による環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱や関税引き上げなどに呼応したもの」とし、保護主義への傾斜を懸念する声が高まっている。
 アメリカや日本が保護主義の風潮を強めれば、中国が次なる手を講じてくることは目に見えている。そして“中国の報復”の直接的な犠牲を被るのは、在中の外資企業にほかならない。
 他方、中国は豊富なカードを手中に収めているかのようだが、こうしたやり方で中国が外資企業をやり込められると思うのは早計だ。
 日本、台湾、韓国、米国といえば、対中直接投資国のトップ5(香港を除く)、中国にとっては無視できないパートナーであり、中国の消費者のニーズを満たす重要な存在でもある。しかし、中国が報復措置として在中の外資企業への圧力を強めれば、投資を減らし、中国から拠点をシフトさせるだろう。実に日本がその好例だ。

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 中国政府は「外資企業の中国市場開拓を阻めば“効果覿面”」と算段するが、逆にそれは中国の内需を低迷させることにもなる。
 結論は誰もがわかっている。この泥仕合で得する者など誰もいないのだ。
(ジャーナリスト 姫田小夏)

http://diamond.jp/articles/-/112846

 

2016年12月27日 藤井 英敏
2017年の株式市場は「トランプノミクス」が失望に変わらない限り、このまま右肩上がりに上昇か!
2016年に勝てなかった投資家は、来年に期待しよう!
 2016年の日経平均株価は、どうやら「終わりよければ全て良し」ということになりそうです。
 大納会の終値が、今年の大発会の始値1万8818.58円を上回れば、年足は陽線となります。それが実現すれば、2012年から年足が5本連続陽線になります。これは、東証が取引を再開した1949年以降、78年から89年の12本連続に次ぐ記録です。
2016年12月19日時点の日経平均株価チャート/年足 ※画像をクリックすると最新データへ飛びます
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 また、前回指摘したように、5年移動平均線(26日現在1万6513.52円)が25年移動平均線(同1万4628.22円)を上抜き、ゴールデン・クロス状態です。年足ベースでは、非常に強い終わり方が見込まれます。
日経平均株価は順調に「バンドウォーク」を継続
 さらに、足元の日経平均株価も、引き続き強い動きを続けています。具体的には、26週移動平均ベースのボリンジャーバンド・プラス2σ(26日現在1万9337.52円)〜同プラス3σ(同2万0388.80円)の間を行き来する「バンド・ウォーク」を継続しています。
日経平均株価チャート/日足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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 ちなみに、同プラス2σを上回っているならば、それは「強烈な上昇トレンド」です。ただし、同プラス2σを、下回ったら、レンジは同プラス1σ(同1万8286.24円)と同プラス2σとの間での「バンド・ウォーク」に移行する見通しです。
 なお、12月26日時点では、同プラス2σの攻防となりつつあります。それでも、足元の日経平均株価は強い動きを続けていると評価するべきでしょう。
東証マザーズ指数は、好調な日経平均株価とくらべて、
思うように伸びない期待はずれの1年
 一方、期待外れだったのが、東証マザーズ指数の値動きでした。12月26日の終値は、前週末比15.23ポイント高の920.54ポイントでした。年初来高値圏で非常に強い動きを続ける日経平均株価とは対称的に、年初来高値の1230.82ポイントを大きく下回る水準で、今年の取引を終えることになりそうです。
東証マザーズ指数チャート/日足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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 チャート的には、5日移動平均線(26日現在918.52ポイント)、25日移動平均線(同917.59ポイント)を僅かに上回っているものの、75日移動平均線(同924.74ポイント)を下回っています。本当に冴えない状況です。
 また、東証マザーズ指数の売買代金は、1日当たり概ね500億円程度で推移しています。超閑散状況といっても過言ではありません。正直、多くの個人投資家は東証マザーズを無視しています。弄っている投資家は、ほぼ皆無です。
 これでは、日経平均株価が強くても、多くのアクティブ個人の相場の体感温度は低い状況が継続していることでしょう。
市場は「トランプノミクス」で盛り上がるが、
一方では好調な市場に乗れなかった投資家も多い
 市場関係者へのヒアリングでは、米大統領選挙以降、儲かっている個人は、やはり主力の大型株中心に売買している方がメインだそうです。新興市場中心に、小型材料株を中心に商いしている個人の多くは、「トランプノミクス」に上手く乗れていない方が多いそうです。
 ある対面営業の証券マンの話では、「日経平均株価は強いけど、強いのは株価指数だけ。自分の顧客の活性度は非常に低く、12月中旬以降の手数料は節税売りによるものだけ……」と愚痴っていました。
 また、5月のゴールデン・ウィーク明けから6月下旬にかけての東証マザーズを中心とした小型株のナイアガラで、投資元本を著しく毀損した信用個人が多く、その後も、それほど元本は回復していないようです。
 例えば、「4月末に5000万円あった資金が、6月末に2000万円まで減少。その後、5割回復して現在は3000万円。しかし、4月末の5000万円からは、まだ2000万円ヤラレている」。そんな感じのようです。とりわけ、マザーズやジャスダックのバイオやゲーム関連で致命傷を負った信用個人が多いようです。
市場環境は好調なれど
万一の暴落リスクは常に警戒が必要
 ところで、来年は2017年ですが、市場では、末尾に「7」が付く年は、10年周期で金融危機が起こるというアノマリーが囁かれています。具体的には、1987年の「ブラックマンデー」、1997年の「アジア通貨危機・山一證券自主廃業」、2007年の「パリバショック(サブプライム問題顕在化)」です。もちろん、現時点では、2017年に、そのような金融危機が発生する兆候は確認できません。
 しかしながら、今後、様々な政治、経済、金融のイベントをきっかけに、いきなりマーケットを取り巻く環境が激変するリスクがあることは、常に、頭の片隅においておく必要があるでしょう。そして、環境が悪化したとあなたが確信したら、すぐに戦略を「命大事に!」に変更し、ジョージ・ソロス氏の、「まず生き残れ。儲けるのはその後だ。」という名言に沿った投資行動を取りましょう。
 ただし、環境が悪化していない現状のような投資環境下では、もちろん、「強気」維持でよいでしょう。
現時点において、年明け後の東京市場で
弱気になる要素は見当たらない!
 2017年の東京株式市場に関しては、「トランプノミクス」への期待が失望に変わらない限り、今年の11月以降の良好な投資環境が継続するとみています。
 米国では、良好な雇用環境を背景にした着実な利上げの実施に加え、大型インフラ投資と大型減税による財政出動による景気刺激で、長期金利が上昇傾向を辿り続け、これがドル高要因として機能し続けるとみています。
 また、産油国の減産効果で原油価格が高止まりする結果、資源価格が上昇し、世界的にインフレ期待が高まりそうです。これは世界の株式市場にポジティブに作用するでしょう。なぜなら、株式はインフレヘッジの主たる手段ですから。
 さらに、期待通りドル高/円安になるようなら、わが国輸出企業の採算が一段と改善し、日経平均株価のバリュエーションも一段と上昇する見通しです。
 つまり、現時点において、2017年の東京株式市場について、弱気になる要因は見当たりません。以上のことから、現時点では多くの投資家は明るい気分で年を越せそうです。
 最後に、今回が年内最後のコラムになります。今年一年お世話になり、本当にありがとうございました。皆様、良い年末年始をお過ごしください。そしてまた、来年もどうぞよろしくお願いします。

http://diamond.jp/articles/-/112914



http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/282.html

[不安と不健康18] ビールを飲んでも飲んでも腹が凹む法  (第2回)    「ダイエットができない人」の3つの特徴
ビールを飲んでも飲んでも腹が凹む法
【第2回】 2016年12月28日 小林一行
「ダイエットができない人」の3つの特徴

今年こそはダイエットを始めよう!と元日誓いを立てては毎年挫折…などという経験に身に覚えのある人も多いのでは。じつは、ダイエットが続かない人には共通する特徴があるのです。今回も、『ビールを飲んでも飲んでも腹が凹む法』(三笠書房)著者のダイエットコンサルタント・小林一行氏にレクチャーしていただきます。

男の肥満と40代後半以降の女性の肥満は
「死」に直結する!?

 太り方にも、2つのタイプがあるのはご存じですか?

 1つは「内臓脂肪」と呼ばれる脂肪がつくタイプで、男性や更年期を過ぎた女性に多い傾向があります。「内臓脂肪」がたまると、文字通り胃腸など内臓まわりに脂肪がついてお腹がポッコリ張りだすため、「リンゴ型体型」になります。

 もう1つは「皮下脂肪」と呼ばれる脂肪がつくタイプで、更年期前の40歳前半以前の女性に多い傾向があります。「皮下脂肪」は下半身に多くつくため、「洋ナシ型体型」になります。

 内臓脂肪と皮下脂肪のどちらが多くつくか? それによって、体型に違いが出るだけでなく、「生活習慣病のリスク」にも大きな違いが出ます。

「皮下脂肪」は皮膚の下に蓄積され、普段は使われることのない脂肪です。主に女性が出産という大仕事をするのに備えて蓄えられる脂肪で、一度蓄積されると落としにくい代わりに、健康への大きな害はありません。

 もう一方の「内臓脂肪」は、ジェル状の脂肪であり、常に血液中に溶けだしています。すでに溶けでているだけあって、運動などで燃焼させやすく、落としやすいのですが、早急に燃焼されなければ、だんだん血管に付着していってしまいます。それはやがて動脈硬化や、高脂血症、高血圧、糖尿病など、死に直結する深刻な病気を引き起こす恐れがあります。

 つまり、命を落とすリスクのある脂肪なのです。

 だから本当は、「やせたい」ということ以上に、命にかかわるリスクを減らすためにもダイエットは必要なのです。そこをよく心得てください。

ダイエットが続かない人には
共通する特徴がある

「ダイエットがうまくいかない人」、つまりダイエットに挫折しやすい人には、大きく分けて3つの特徴があります。

 まず1つ目は、「熱しやすく冷めやすいタイプ」です。

 このタイプの人は、テレビや雑誌のダイエット特集を見たり、太った自分の写真にショックを受けたりしたとき、瞬間的に「よし、ダイエットするぞ!」と決意します。


小林一行 著 三笠書房刊 580円+税
 そして「糖質制限もやろう、ランニングもやろう、ジムにも行こう、ストレッチもやろう」と、あれもこれもと、たくさんのダイエット法に手を出します。結局、途中で飽きたり、多過ぎて時間が足りず1つでもできなくなると、あとは雪崩を打つようにいっせいに全部の習慣をやめてしまうわけです。「興味を持つと一直線だが、いったん興味を失うと知らんぷり」というタイプといえるでしょう。

 2つ目のタイプは、「完璧主義」です。

 これは日本人に非常に多いタイプで、ダイエットの指導をしてきた立場からいえば、「私は、そんなことはない!」と主張する人の多くが、実際はこのタイプに当てはまっていました。彼らは、例えば「スクワットをしましょう」というと、「膝は何度の角度に曲げますか?」「最低何回やらないといけないのですか?」などと細かい説明を聞きたがります。

 そして「膝は90度くらいに曲げます」といえば、三角定規で測らんばかりで、「30回」といえば、毎回きっちり30回やり、「ウォーキングは1日30分程度」というと、ストップウォッチで正確に30分を計るのです。

 これが実行できている間はいいのですが、たった1日でもできない日があると、「ごめんなさい! 今日はできませんでした! 私はやっぱりダイエットできないダメな人間です!」と、自分を全否定してしまいます。

 決めたことをきっちりやろうとする姿勢は素晴らしいのですが、できないときに自分を否定し、モチベーションが下がってしまって挫折することが多いのです。

 3つ目のタイプは「青い鳥症候群」です。

 このタイプの人は、さまざまなダイエット情報に詳しく、知識も豊富なのですが、「もっと自分に合った、いいダイエット法があるに違いない!」といって、なかなか実行に移しません。テレビやネットでは、「今までのダイエットはもう古い。この方法なら、ラクに1ヵ月で5sやせられます」などと新しい方法が日々、次々と紹介されています。「青い鳥症候群」タイプの人は、こうした宣伝文句に振り回されてしまい、結局どれをやればいいかわからなくなってしまうのです。

 3つのタイプに共通するのは、みな「思い込み」に支配されているという点です。「全部やらなければいけない」「完璧にやらなければいけない」「自分に一番合ったものでなければいけない」……、はっきりいって、どれもダイエットを継続するには邪魔なものばかりです。

「できなくても自分を責めない」

「回数を減らしてもいいから続ける」

「やる気がないときは適度にゆるくやる」

 こんなふうに、自分に対してもっともっと寛容になりましょう。

 完璧さを手放し、できなかったことに意識を向けるのをやめましょう。

 そして、継続することに意識を集中させることが、ダイエットの成功には大切なのです。

 明日は最終回。「家飲み」なら太らない、「深夜メシ」は必ず太る、というダイエットにおける思い込みを正します。乞うご期待!
http://diamond.jp/articles/-/112731
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/267.html

[経世済民117] 自社のチラシをコンビニのごみ箱に!トンデモ社員のリスク考  性犯罪者が被害者に抱く「身勝手な妄想」の正体  最新の東京 
就職できない若者の「トンデモ言動」
【第71回】 2016年12月28日 櫻井樹吏 [キャリアコンサルタント]
自社のチラシをコンビニのごみ箱に!トンデモ社員のリスク考

電話応対時に、お客様から怒りや抗議の電話を受けたことがありますか?
「お宅は配れなかったチラシをコンビニのゴミ箱に捨ててこいと指導しているのか!?」

 ある朝のことです。A社の営業所の電話が鳴りました。受話器をとると、電話口からコンビニエンスストアの店長が怒鳴っているのが聞こえてきました。

 電話応対したA社の担当者に詳細を伺いました。簡単にまとめると以下のようになります。

 コンビニのアルバイト店員がゴミ箱のものを集めてゴミ捨て場に持っていこうとしたところ、「いつもよりも重い」と感じて、中を確認しました。すると、A社のチラシが束ごと大量に捨ててあるのがわかり、アルバイト店員が店長に報告したというわけです。冒頭の店長が怒るのも無理はありません。

 コンビニのゴミ箱に捨てられていたのは、各家庭のポストに投函するチラシ(ポスティング)でした。A社はチラシの種類とエリアから、担当者をすぐに割り出しました。残念なことに、チラシをコンビニのゴミ箱に捨てたのは、新入社員であることが判明したのです。

 A社はチラシを投函する反響営業で商品を売っている企業です。当然、作成したチラシもタダではありません。制作するにあたって文字の配列やデザインをしたレイアウトや配布枚数分の印刷代がかかっています。配布するときの人件費も含まれています。これらにかかる費用も踏まえ、予想を下回る数値となれば赤字になります。

 それだけではありません。堂々と会社名を明記しているチラシだからこそ、道端に落ちていたり、配布せずにまとめてゴミ箱に捨てていたりすれば、逆に会社のイメージや信用を貶めることになります。それも会社が認識していない間に起こる(通報や連絡があってから判明する)から大変です。

 今回は、こうした会社の信用を落とす行為の危険性について考えていきたいと思います。

配布しなかったチラシの
ゴミ捨て行為は職務放棄である

 A社ではこれまで、ポスティング業務はアルバイトを雇っていました。時には、新入社員への研修の一環としてポスティング作業をやらせていました。もちろん、ポスティング作業は研修の一部として実施しているので、その作業がずっと続くわけではありません。

 ところが、新入社員は「どうせ見ずにゴミ箱に捨てられるんだろう」と思い、研修の重要性を認識しないまま、ポスティング作業が煩わしくなったのでしょう。「コンビニのゴミ箱にまとめて処分してしまえばわからないだろう」と思って行動したのです。このチラシを配布しなければ会社としての利益が減るのはもちろん、研修も業務の一つとして配布を怠ったということは、職務を放棄したのも同然です。

 私自身も学生時代、ポスティングのアルバイトをしたことがあり、似たようなケースに遭遇しました。私の場合、主に集合住宅を見つけてポストに投函していく作業でした。古い団地をまわると、1棟に1室は必ず空室のポストがありました。大抵はポストの投函口をガムテープなどで止めてありますが、ガムテープを剥がしてポストの中にチラシが束ごと入れられている光景を目にしたことが何度もあったのです。

 ポスティング作業の場合、配布した枚数により歩合でアルバイト料が変わる事業所もあります。歩合目当てなのか、それとも単調な作業が面倒であったのかわかりませんが、実際に束ごと投函する光景は決して珍しいものではありませんでした。

 しかし、これも実際に調べていくと、犯人が特定できてしまいます。なぜならポスティングの場合、いつ、どのエリアに何のチラシを配布しているかが会社のほうで管理されており、団地の管理人から苦情の連絡があれば、すぐにわかってしまうからです。

 たとえ、つまらない仕事であったにせよ、「このくらいならバレないだろう」と思って、あなたは仕事で手を抜きますか?手を抜くという人、今は見つからないと思っていても、今後、しっぺ返しがきますよ。

非常識な言動で世間に迷惑を
かけていることを自覚していない人たち

 3年前の2013年、ネット流行語大賞の4位に「バカッター」(バカとTwitter[ツイッター]の合成語)が選ばれました。

「バカッター」は、主にTwitterやFB(フェイスブック)などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で反社会的な行動を投稿するものを総称していいます。特定の人名を挙げた脅迫投稿や、店舗での悪ふざけ写真の投稿などの行為が炎上しました。

 当時、騒がれた衝撃的な事件の1つに、7月中旬、コンビニ店員がアイスケースの中で寝そべる写真の投稿があったことを覚えているでしょうか。FBに投稿した写真が客に不快、不安を与えた件ではコンビニへの問合せも相次ぎ、最終的にはフランチャイズ契約の解除にまで発展したのです。

 また、翌8月、ハンバーガーチェーン店で従業員が大量のバンズの上で寝そべる姿なども大きく扱われました。

 このような悪質な行為をした当人から「仲間内でびっくりさせたかった」「世間から注目を浴びたかった」「アクセス数を稼ぎたかった」などの言い訳をよく耳にします。こういう人たちから見えてくるのは、「このくらいなら大丈夫だろう」という認識の甘さと、その先にどんなことが起こるのかがわからないという想像力の欠落により、安易な行動に出ていることです。

 もちろん、悪ふざけは昔からありました。私自身も先輩方から「酔っ払って公共の池に裸で飛び込んでいた」というような話はよく耳にします。しかし、当時は、SNSのようなツールを使ってリアルタイムに流れる環境が普及していなかったために、世間に拡散することはありませんでした。

 いずれにせよ、こういった投稿による最終的な被害は、本人よりも関係者(特に企業)に及ぶ場合が多くなります。なぜでしょうか。

騒ぎを起こした本人は
関係者に迷惑をかけていることを自覚せよ

 先ほどのアイスケースやバンズの件のように、大騒ぎになれば、犯人探し及び、その周辺まで調べられてしまうこともあります。中には本人を特定する情報がなかったとしても周囲の風景から活動エリアがわかります(Googleの画像検索ソフトなどを使用して調べる方法もあります)。

 仮に、SNS自体を特定公開で使用していたとしても、それを見た誰かがキャプチャーして公開してしまったら、通常の公開と何ら変わりありません。

 常識外れの悪質な行為がSNSで拡散されると、リアルタイムで情報が流れるため、気になった人が騒ぎだしてネット上で怒りに火がつきます。なかには企業に直接連絡が入ることもあります。

 特に企業の場合は、近年、少しでも対応が遅れると、騒ぎが大きくなる傾向があり、ネットのニュースでも取り上げられることが少なくありません。ケースによっては一時的に業務停止になったり、損失が大きくなれば店舗閉鎖に追い込まれたりといったこともあります。それだけに、店舗や企業の対応力も世間から厳しく監視されているといえます。

 つい最近、ある市がインターネットのサイトからダウンロードしたイラストを無許可で使用し、イラストの著作権管理会社から使用料を請求されるといったニュースがありました。著作権侵害や意匠権の侵害などを知らずに犯して迷惑をかける場合もあります。

 モラルを呼びかけるよりも、そういった投稿に対するリスクについて細心の注意を払うことが重要になっているのではないでしょうか。

企業のモンスター社員対策は
まさに喫緊の課題である


当連載を大幅に加筆・修正した電子書籍『ゆとり世代のトンデモ行動学』(300円;税別)が好評発売中!
 冒頭にあげたチラシのごみ捨てをした社員をはじめ、コンビニのアイスケースやハンバーガーチェーン店のバンズに寝そべった従業員はモンスター社員といえるでしょう。

 では、モンスター社員はどういう人をいうのでしょうか。明確な定義はありませんが、「あなたの隣のモンスター社員」(文藝春秋)によれば、

「社会人としてのモラルが低く、ルールも無視。注意を受けると逆切れする」
「対人関係や精神状態が不安定で、常に周りとトラブルを起こす」
「平気で嘘をつき、良心や倫理観が欠如している」
「自己愛が異常に強く、虚言や自慢話で周囲を振り回す」

 このような社員を「モンスター社員」と呼ぶ(同書、p3より引用)

 とあります。

 確かに、一理ありますが、今回、取り上げた3人(A社の新入社員、コンビニとハンバーガーチェーンの従業員)に関してモンスター社員にあてはめるなら、同書のモンスター社員の一般的な特徴の中にある「非常識な行動で周囲に迷惑をかける社員」(同書、p127参照)、いえ、それ以上の「非常識な行動で世間にまで迷惑をかけた社員」といえます。

 今、企業ではいろんなタイプのモンスター社員がおり、対処を間違っただけでトラブルに発展し、社会保険労務士や弁護士などへの相談が増えているようです。

 自分自身がモンスター社員にならないように、企業はモンスター社員を生み出さないように、細心の注意を払う必要があります。特にSNSなどの情報発信できるツールについては、業務としっかりとした切り離しをしていく仕組みも含め、企業はモンスター社員対策をどう講じていくかがまさに喫緊の課題といえるのではないかと思います。

(櫻井樹吏)

参考文献:石川弘子著「あなたの隣のモンスター社員」(文藝春秋)
http://diamond.jp/articles/-/112734


 


JAPAN Another Face
2016年12月28日 三浦ゆえ [フリー編集&ライター]
性犯罪者が被害者に抱く「身勝手な妄想」の正体(上)

2016年は、性犯罪ニュースが多い1年だった。法務省「犯罪白書 平成27年版」によるとここ5年ほど強姦の認知/検挙件数は微増、微減をくり返しており、強制わいせつの認知/検挙件数は微増傾向にある。今年に入って飛躍的に増える理由も特に考えられないため、実際の件数はさほど大きな増減がないのだろう。が、「記憶に残る」ニュースが多かった。

来年には強姦罪の厳罰化などを含む刑法改正が見込まれていることもあり、あらためて2016年の性犯罪を識者の対談によって総括したい。東京・榎本クリニックに所属する精神保健福祉士、社会福祉士として、10年前から日本で初めてとなる“社会のなかでの性犯罪加害者更生プログラム”に取り組む斉藤章佳氏と、数々の裁判を傍聴し、最近では「新潮45 2016年11月号」にルポルタージュ「東大生集団わいせつ事件 『頭の悪い女子大生は性的対象』という人間の屑たち」を寄稿したライターの高橋ユキさん。ふたりの目には、今年の性犯罪事件はどう映ったのか?(構成/フリー編集&ライター?三浦ゆえ)

大学生による集団暴行続発
「頭が悪い女は性的対象」発言の裏側

高橋?なんといっても大学生による集団暴行事件が多かったですね。斉藤さんのクリニックで行われているプログラムは、こうした集団暴行の加害者も受講していますか?

斉藤?集団性暴力事件で逮捕された人はいませんが、逮捕歴がある性犯罪者のなかで過去に同様の経験を持つ人は少なからずいます。今回は有名大学の学生なので、ことさら騒がれていますが、私自身の学生時代にも似たようなことが頻繁に耳に入っていましたから、どこの大学でも以前からあったと推測できます。高橋さんは公判で、「彼女らは『自分たちより頭が悪い』と考えるようになり、性的対象としてしか見られなくなった」といった主旨の、東大生の発言を直接聞かれたのですね。

高橋?はい。裁判では、少しでも刑を軽くしたいという気持ちから建前で語ったり過剰な謝罪を述べたりして、反省をアピールする被告人が少なからずいるものと私は思っているので、そんなこと言っちゃう!?と驚きましたね。つい本音が出たのか、それとも彼らの行動の根本にある考えだから言及せずにはいられなかったのか……。


さいとう・あきよし
精神保健福祉士/社会福祉士。大森榎本クリニック精神保健福祉部長。大学卒業後、同院にてアルコール、薬物、ギャンブル、性犯罪などさまざまな依存症問題に携わる。専門分野は、性犯罪者における地域トリートメント。約10年前から、常習性の高い性犯罪者に対して、拘留中の面会、裁判員裁判への出廷や刑務所出所前に面会に行き、出所後の継続した社会内処遇につなげる“司法サポートプログラム”を日本で初めて実施しマスコミなど各所からの注目を集めている。Photo:DOL
斉藤?被害者だけではなく第三者が聞いたらどう思うか。その配慮がまるで感じられませんよね。でも彼らのなかではそれこそが、見えている現実なんです。性的逸脱行動を継続するための、本人にとって都合のいい認知の枠組み……私たちはこれを「認知の歪み」といいますが、それが明らかに表れた発言です。

高橋?性犯罪とはその場の性欲の問題ではなく、彼らの持つ価値観が大きく影響していると感じました。頭がよければ、勉強ができれば何をしてもいいんだという価値観を彼らが持つに至った経緯が気になります。

斉藤?これが初犯なのか常習化していたのかはわかりませんが、彼らは有名大学の学生で親類縁者にも有力者がいるといいますから、これまでにもトラブルが起きたとき周りの大人が尻拭いをしてきた事実があったかもしれません。それが性犯罪とは限りませんが。「周囲がなんとかしてくれる」という甘い考えが彼らの問題行動を強化した可能性は十分にあります。

高橋?私はこれまで男同士の集団……勝手に「チーム男子」と呼んでいるんですけど、単独ではなく複数人の男性で犯した殺人や傷害致死を多く傍聴してきたのですが、そのなかで空気を読んで行動するパターンがとても多いんですね。リーダー格は「命令はしていない」とは言うけど、ほかの男性は彼の意に沿う行動をする。大学生の集団暴行にも同じ構造がありそうです。

斉藤?複数になると匿名性が高まり行為前の抵抗感やその後の罪悪感が薄れるという現実もありますが、歴史的に見ても性暴力と権力の関係は切っても切り離せないものです。まず、男性と女性のあいだには根深い男尊女卑という権力関係が存在します。


たかはし・ゆき
1974年生まれ福岡県出身。2005年、女性の裁判傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成。翌年、同名のブログをまとめた書籍を発表。以降、傍聴ライターとして活動。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆している。著書に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)など。Photo:DOL
高橋?DVもそうですけど、対等な関係の女性に対して男性は暴力を振るいませんよね。

斉藤?そのとおりです。加えて、男性集団のなかにも階層のヒエラルキーがあって、それにより加速度的に暴走した……しかも大学生のどの事件も、飲酒した状態で発生していますよね。

高橋?若者のお酒離れなどといわれますが、いまでも大学生の無茶飲みの文化は根強く残っているんですね。

斉藤?アルコールが引き金となって、性犯罪を犯す人は多いです。逆にいうと、「飲まなければ、やらない」というケースも多い。アルコールハラスメントの啓発を行う大学も増えてきましたが、同時に「お酒の場では性暴力の被害や加害のリスクが高まる」というアナウンスもしたほうがいいと考えています。

高橋?女子学生に「お酒を飲んだときは気をつけて!」というのではなく、男子学生にもアナウンスしてほしいですね。ただ、一連の大学生の事件を単純に性的暴行と見ていいのだろうか、という思いもあります。東大生が女性にカップラーメンやドライヤーを使ってしたことは、性暴力というよりは人の尊厳そのものを傷つける行為です。

「薄着の女性は男を誘っている」
性暴力加害者に共通の“認知の歪み”

斉藤?性暴力の本質はそこにあります。彼らは性欲を抑えきれずに女性を襲うのではなく、弱い人をいじめ、支配することでストレスを発散し心の安定を得るのです。でも、社会は性暴力、性犯罪の原因を男性の性欲と直結させたがりますね。

高橋?今年8月に発生した元俳優の強姦致傷容疑の一件でも、彼の性欲が取りざたされました。

斉藤?はい、推定無罪の原則も含め、性犯罪そのものやその周辺にある誤解やセカンドレイプの問題などが顕在化しましたね。特に発生直後は、彼のことを性欲をコントロールできないモンスターとして見せるメディアが多かったです。

高橋?そもそも彼が起訴されてもいないうちからメディアを中心に彼を犯人扱いしたことにも、私は大きな違和感を感じました。結局は示談となり、真実は当事者ふたりだけが知るところとなったにもかかわらず、過熱報道は止まらなかった。当事者を無視して騒ぎすぎだと感じましたね。

斉藤?不起訴になった後も、女性の美人局だとか合意はあったとかいろんな報道が飛び交いました。そんな真偽がわからないことより、これを機にフォーカスしてほしい性犯罪事件にまつわる問題が、あの一件にはたくさんありました。

?まず、なぜ性犯罪は不起訴となることが多いのか。強姦致傷の場合は、裁判員裁判になります。被害者にとっては一般国民から選ばれた裁判員に公にしなければならないプライバシーが増えるので、非常に大きな負担となります。それを恐れて、示談にするケースが多いといわれています。加えてこの事件の一連の報道は「認知の歪み」について考えるきっかけになりえたと思います。

高橋?大学生集団暴行事件についても認知の歪みのお話が出てきましたが、これはすべての性暴力加害者に共通していると思っていいんですか?

斉藤?はい、共通している認知のパターンです。彼らには「頭の悪い女性には何をしてもいい」という歪んだ認知が背景にありましたし、それぞれの性倒錯には特徴的な歪んだ認知が存在し、それが基盤となり問題行動を繰り返します。たとえば痴漢に典型的な認知の歪みは、「薄着の女性は男を誘っている、だから触っていい」というものです。

高橋?女性は誘っているつもりはないと思いますけど、すごい勘違いですね……。

斉藤?「今日は一日仕事をがんばったから痴漢してもいい」と、自己報酬として自分に許可を出す加害者もいるんですよ。その発想や歪みはきわめて病的ですが、ではこの元俳優の男性はどうだったのか。仮に彼が実際に犯行に及んでいた場合、「女性から部屋に入ってきたんだから、何をしても許される」「俺は有名人だから、多少の性的接触は逆に喜ばれる」と現実を捉えていたのではないか……。

?彼が公に事件の話をする機会はなくなったので、真実は闇の中です。メディアもそこに注目しない。議論が深まらず、ただ大騒ぎしただけでこの一件が風化してしまうのは非常に残念です。

?(下)では引き続き認知の歪み、しかも小児性犯罪者における認知の歪みと、再犯防止の可能性について語ってもらう。
http://diamond.jp/articles/-/112736


性犯罪者が被害者に抱く「身勝手な妄想」の正体(下)
>>(上)から読む

性犯罪を含む数々の犯罪を、その裁判を傍聴することで観察しつづけてきたライターの高橋ユキさんと、性犯罪加害者更生プログラムの専門家である精神保健福祉士、社会福祉士の斉藤章佳さん。両氏が2016年の性犯罪をふり返る対談、後編は今春発覚した朝霞少女誘拐監禁事件から始まった。(構成/フリー編集&ライター?三浦ゆえ)

「自分が教えてあげる」
小児性犯罪者の深刻な認識異常

斉藤?私が所属する榎本クリニックで10年前から続けている性犯罪者再犯防止プログラムは、一度罪を犯した加害者にもう二度と性犯罪を繰り返させない、つまり再犯防止が主な目的ですが、受講者のなかには小児性犯罪者も少なくありません。

高橋?小児性犯罪というと、その対象の定義は?

斉藤?基本的には被害者が13歳以下。彼らは小児性愛障害にあたるとされていて、アメリカ精神医学界が発行しているDSM-Vによると、少なくとも6ヵ月にわたり、思春期前の子ども、または複数の子どもとの性行為に関する強烈な性的に興奮する空想、性的衝動にとらわれている、または行動が反復すると定義されています。朝霞少女誘拐監禁事件の被害者は事件発生事、13歳でした。逮捕された寺内樺風も今年で23歳と若いですが、小児への性的関心は早くから自覚されるケースが多いです。10代のときからというのも珍しくありません。

高橋?彼は監禁したのはごく初期だけで、その後の約2年間は少女を自由にさせていたと主張しています。むしろ恋愛関係にあるつもりだったとも……。

斉藤?性犯罪者の多くに顕著な「認知の歪み」が認められますが、小児性犯罪者は特にその深刻度が大きい。自身の行動は児童に対する純粋な愛情ゆえ、と思っている加害者も多いです。もしくは、教育的指導と称して児童に接していると主張する者もいます。

高橋?それは、自分がその子を育てるという意味ですか?

斉藤?はい、性行為はいずれ経験することだから自分が教えてあげる、と。

高橋?別に教えてもらわなくて結構ですけどね……。私は今年、物袋勇治に注目していました。2014年3月に発覚した「富士見市ベビーシッター事件」で殺人や強制わいせつ、児童ポルノ禁止法違反など多くの罪に問われ、初公判が今年6月に開かれたのですが、彼の対象年齢はもっと下で、0〜5歳の子が被害に遭っていました。

?子どもを預けたい人と預かる人とのマッチングサービスにシッターとして登録し、お子さんを預かってはその子の裸の写真を撮ったり性器を紐で縛ったり……。今回起訴された事件での被害児童の数は20人以上ですが、言語能力が発達していない乳幼児であることを考えると、ほかにも被害に遭われたお子さんがいるのではないかと心配になりました。

斉藤?対象が小児でしかも同性であるケースは、症例としては少ないですが私もこれまで遭遇しています。彼らはほかの性犯罪より、治療が難しいといわれています。異性愛ではなく同性愛で、本人が性同一性障害を合併しているケースもあり、精神構造がより複雑化していると考えられるからです。

高橋?小児性犯罪者に共通する特徴はありますか?

斉藤?成人女性との性交経験がない人が多いですね。背景を探ると、学生時代に女子生徒からいじめられていた経験があったり、家族内で年上の女きょうだいからいじめられていたりなどのエピソードが目立ちます。ゆえに同世代の女性が怖い、というのが典型例です。その経験はたしかに過酷ですが、かといって小児に性暴力をふるっていい理由にはなりません。

高橋?日本ではメディア、特に漫画やアニメのジャンルで小児性愛を思わせるものが多くありますよね。けれどそれが抑止力になると主張する人もいますし、実際に多くの人はリアルな子どもに危害を加えることはありません。これについて斉藤さんはどう思われますか?

斉藤?そうしたコンテンツでも特に過激なものはインターネットを通して触れることが多いと思うのですが、性犯罪加害者の再犯におけるリスクマネジメントを考えるうえで、インターネットとマスターベーションの管理はとても重要です。小児を対象としたポルノを繰り返し見ると、小児=性的対象だと刷り込まれて、行動化へのハードルがぐっと低くなる……。なんらかの規制が必要だと強く思いますね。治療のなかで本人たちから、犯罪を犯す直前に自分の性嗜好に合わせた動画や画像を見ながらマスターベーションをする頻度が増えるという話をよく聞きます。

高橋?それは小児性犯罪以外の性犯罪についてもいえますか?

斉藤?痴漢、盗撮、のぞき、下着窃盗、露出、強姦……犯罪につながる性倒錯はいろいろありますが、加害者となった人たちは自分の性倒錯に合ったコンテンツを必ずといっていいほど見ていますよ。

再犯率が高い性犯罪
防止プログラムの実施に課題

高橋?小児性犯罪でもうひとつ印象に残ったのは、福岡小5女児殺害事件。殺人、死体遺棄などの罪で起訴された内間利幸に、9月、無期懲役の判決が下されました。彼は1990年代に地元沖縄で女児や成人女性に対する連続婦女暴行事件を起こした前科があり、刑務所内で半年間、再犯防止プログラムを受けていました。なのに、また犯罪を犯してしまった……。

斉藤?性犯罪は常習化した場合、再犯率が比較的高いといわれているので、刑務所内でも性犯罪者処遇プログラム、通称R3というプログラムが行われています。が、これに対しては多くの問題点が指摘されています。判決が出た後に、さまざまな要素からリスクの度合いを測定して高密度、中密度、低密度に分けてプログラムを受講するのですが、実施している刑務所が限られているので、移動する必要なども出てきます。

高橋?わざわざ?

斉藤?あるケースでは北海道の刑務所から広島県の実施施設まで飛行機で移動することもあるようです。

高橋?そんなに長距離を!?当然、コストがかかりますね。

斉藤?はい、彼らの刑務所内での更生処遇には多くの社会的コスト、つまり税金が費やされています。だとすると効果が気になりますよね。平成27年の犯罪白書で同プログラムは有効だと報告されていますが、私たち専門家は首をひねる部分もあります。まずプログラム実施時期の問題があります。刑期のうちいつ受講するかは施設側の意向で決められるため、10年の刑期中、途中の5年目などで受講する場合があります。

高橋?出所するころには忘れちゃいそうですよね……。

斉藤?しかも誰もが受けられるわけではないんです。知的や精神の障害、身体疾患がある、あるいは言語能力が低いなどの人は分類で外されます。基本的には治療反応性が高い人が中心に選ばれるのですから、効果が上がるはずです。

高橋?性犯罪加害者、しかも再犯で逮捕された男性の裁判を傍聴したとき、被告人が「刑務所で性犯罪更生プログラムを申し込んだけど、受講できなかった」と話していたのを聞いたことがあります。

斉藤?常習性が認められていても、分類で外されたのでしょう。私もときどき、受刑者からそのような手紙を受け取ります。

高橋?でも、そういう人ほどハイリスクなのでは??現に彼も、再犯して逮捕されていました。被害者にとって悲劇であることはいうまでもないですが、更生したいと願っていたのに、適切なプログラムを受けられなかった彼の境遇にも理不尽なものを感じます。

斉藤?おっしゃるとおりです。何らかの障害があったり、出所しても家族がいなかったり、生活基盤がなかったり……。社会とつながれずに感じた孤独が、再犯の大きな引き金となります。特に、満期出所の人が危ないですね。身元引受人がいないし、刑期が長いほど浦島太郎状態になるので、出所後に社会から孤立します。

?過去の事例として、出所直後に刑務所からいちばん近いコンビニで強姦事件を犯した人がいると聞いています。彼は受刑中から「シャバに出たら仕事も家族もいないし再犯するしかないか」と考えていたそうです。孤立しているから、犯罪を犯してもいいわけはありません。でも彼が社会に接続し更生の手段を知っていたら、防げた事件かもしれないんです。だから私たちは社会のなかでの受け皿として再犯防止プログラムを行っているわけですが、法的強制力がないので継続するのはごく一部の人だけです。

高橋?刑務所内のプログラムを見直そうという動きはないんですか?

斉藤?それが今のところないんです。性犯罪の再犯防止プログラムが導入されたのは、2004年に発生した奈良小1女児殺害事件がきっかけでした。犯人の小林薫は2013年に死刑が執行されましたが、この事件以前にも子どもに対する性犯罪をくり返していました。

?その意味では、内間利幸被告の再犯による逮捕は現行のプログラムを見直すきっかけとなりえるものだったと思います。が、遺族側が騒ぎにならないことを願ったためマスコミの取り上げ方も及び腰で、大きな議論にはなりませんでした。幼い子を無惨に殺された遺族の心中を想うと複雑で、無理からぬことだとも思うのですが。


高橋?来年の刑法改正案では、性犯罪の非親告罪化、強姦罪の法定刑引き上げなどが盛り込まれそうですが、厳罰化することで再犯防止につながると思われますか?

斉藤?厳罰化だけしても、出所すると再犯する可能性が決して低くないことはこれまでの歴史が証明しています。が、逮捕は重要なきっかけです。私たちのプログラム受講者の多くは、「逮捕されなければ、ずっと続けていた」といいます。では、その後も再発防止を継続するために、いま何をすべきか。厳罰化と再犯防止プログラムは必ずセットで検討されるべきもの、というのが私の考えです。

?性犯罪者の初犯を防ぐのは現実的に難しい。一度逮捕された人を確実に更生につなげて再犯防止することが、現段階で唯一可能な、性犯罪の発生件数を減らす手段である。両氏の対談に出てきた加害者にとって、逮捕は終わりではなく、再犯防止への始まりともいえる。2017年、この事実を踏まえて議論が深まり「魂の殺人」といわれる性犯罪が一件でも減ることを願いたい。
http://diamond.jp/articles/-/112737


 

six-entertainment
2016年12月28日 Six Writers
一流建築家が注目する最新の東京はこんなところ

グランドハイアット東京をはじめ世界各地の最先端ホテルの内装を手がける建築家、谷山直義氏は「東京には気づきがたくさんある」と語る。いま最も注目に値するスポットをあげてもらうと意外なところが出てきた。

語るひと=谷山直義  写真=山下亮一

超リッチな外国人も
感激してくれたのが三軒茶屋です

 東京はおもしろいですよ。

 海外でもかなりおもしろがられています。先日インドで5番目という超がつくリッチなひとが、私のゲストとしてプライベートジェットで東京までやってきました。そのひとの希望は「東京でおもしろい場所に連れていってください」というものでした。

 私が選んだのは三軒茶屋。

 国道246号線と世田谷通りと茶沢通りとの交差点にある昔からの商店街に連れていきました。


東京・世田谷の三軒茶屋に商店街が生まれたのは明治30年代。近くの軍事施設の関係者目当てだったとか。朝鮮戦争時に拡大するが道路整備なしに商店やアパートが急増し、いまの町並みに
 なんでも1948年に原型が出来た商店街とのことで、いまは屋上屋を重ねるというか、最初訪れたひとには迷路に思える複雑な構造になっています。そこに飲食店がぎっしり。とくに夜になると深夜をまわっても路上にひとが溢れて飲食を楽しんでいます。

 ホテルを中心に空間の設計に従事していた私にとって、こんなふうに通りと店とが溶け合って、ひとのコミュニケーションが濃密なありかたこそ、なつかしくて実は新しいと思っています。

 三軒茶屋の路上で立ち呑みにしていると、通りかかるひとが「ここはおいしいですか?」と訊ねてくることが多々あります。

 うなぎ屋さんが客に頼まれて、「ほんとうはいけないのよ」と注意しながら、路上に七輪を出して酒のさかなを焼かせているのもなんともほほえましい光景です。

 インド人のゲストはとても喜んでくれました。私の意図をすぐにわかってくれたようです。


三軒茶屋の飲食街の中でも谷山さんが注目しているのは「エコー仲見世」「ゆうらく街」「なかみち街」からなる三角地帯。細い路地が入り組んでその先に意外な店が営業している
 世界のなかには、おなじような光景を見られる町があります。

 たとえば香港。ビルとビルのあいだのすきまのような道を抜けるとそこに飲食店があって露天でみんなが飲食していたり。私がとくにいいなと思っているのは、九龍島のワールドセンターの裏手です。細部が全体を作りあげているというか、小さな飲食店とそこに群がる私のような客とが独特の雰囲気をかもしだしています。ベネツィアの路地にも似たような感覚をもてるところがあります。

 東京では三軒茶屋のほかに、地下鉄銀座線の浅草駅の改札を出たところの浅草地下商店街は通路と店舗との区別がかぎりなく曖昧です。老朽化で移転の声もあるようですが、東京で一、二を争うおいしさのベトナム料理店があったり、個人的にも気に入っています。

 最近の東京はおもしろいですか?と尋ねられて、私がすぐこういう商店街を思い浮かべたのは、これからの施設づくり、ひいては街づくりの参考になるからです。

 私がみるところ、これからの人の嗜好は(おそらく世界的に)昔ながらのコミュニケーションへと戻っていこうとしているのではないでしょうか。三軒茶屋の飲食店街ではすれ違う他人どうしが時間や情報をシェアすることを楽しんでいる。自分の仕事の視点からいえば、箱的な建物を作って整然と区画を整理するのではだめだということかもしれません。まとめすぎてはいけないのです。

 新しい施設はぜんぶだめかというと、私が感心させられるところがちゃんとあります。

 たとえば銀座・数寄屋橋交差点のソニービル地下の「ザ・パーキング銀座」。駐車場のなかに商店街が出現したような設計になっています。わざと床面には駐車スペースの区画割りをペイントしたりしていて、いまにも駐車するための車両がどこからか現れそう。


藤原ヒロシ氏がディレクション担当のコンセプトストア「ザ・パーキング銀座(THE PARK・ING GINZA)」は銀座・数寄屋橋交差点ソニービル地下3階、4階に2016年3月24日オープン
 地下4階が物販で地下3階はかつて原宿にあった「カフェ・ド・ロペ」のイメージを再現しています。オリジナルはストリートカフェとして70年代にはファッションデザイナーやミュージシャンが集まり、道ゆくひとは横目でその姿を“観察”していたものです。

 プロデュースは藤原ヒロシさんということですが、さすがストリートカルチャーの仕掛け人だけあって、なにが求められているか分かっていると感心します。

 中国に仕事で行く機会が多いのですが、おおいに参考になるのは都市のルールについての彼らの考えかたです。秩序は全体の流れのなかで決めればいいと思っている。

 私たちはついきちっとしたものを設計しがちなので、そういう考えかたに接すると、頭のなかを洗濯されたような気になります。

 東京にもこのように新しいものが詰まっている。それは誰か個人が“ここが新しい”と決めたのでなくみなが決めている。だからここは生きている都市なのです。

谷山直義 Naoyoshi Taniyama
1973年名古屋生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業後スーパーポテトに入社。グランドハイアット東京、ハイアットリージェンシー京都等を手がけ、2011年にNAO Taniyama & Associatesを設立。虎ノ門ヒルズ、ヒルトン東京、Restaurant Dominique Bouchet Tokyo, Ruby Jack’s Steakhouse & Barなどを手がける。現在、日本を含め、アジアや中東の複数のホテルプロジェクトが進行中。
http://diamond.jp/articles/-/112825

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/286.html

[社会問題9] 哲学ブームは『嫌われる勇気』から始まっていた? なぜ今“哲学”が求められるのか ?  ─自己啓発の源流「アドラー」の教え
嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え

【第37回】 2016年12月27日 岸見一郎 [哲学者],岡本裕一朗

哲学ブームは『嫌われる勇気』から始まっていた?
なぜ今“哲学”が求められるのか ?前編?

フジテレビ系(2017年1月12日(木)22時スタート)で連続ドラマ化が決定し、シリーズ累計が190万部に達した大ベストセラー『嫌われる勇気』とその続編『幸せになる勇気』。「心理学」や「自己啓発」に分類されてきたこの本のルーツは、実は著者の岸見一郎氏が専門とする哲学にありました。
一方、発売3ヵ月で4万部を達成した『いま世界の哲学者が考えていること』。著者の岡本裕一朗氏が、ポストモダン以後における21世紀の哲学の最新の動向を見事に分析した同書の人気は、いま多くの人が哲学に関心を抱いていることを象徴していると言えます。
そこで両書の著者お二人に、なぜ今これほどまでに“哲学”が求められているのかを語り合っていただき、現代社会とその向かう先を紐解いていただきます。前編では二人がなぜ哲学者を志したのか――その異なる歩みから、哲学を学ぶことで得られる「効用」を見つめ直します。

哲学を志すきっかけは「身近な人の死」だった

岡本裕一朗(以下、岡本)?岸見先生の『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』を私も読ませていただいたのですが、論理が非常に明快で、人間理解というか、人間洞察が鋭くて、なるほどこれは多くの人に読まれるはずだ、ということを強く感じました。そもそも先生は、どのようなきっかけで哲学を志すようになったのでしょうか?

岸見一郎(以下、岸見)?私は小学生のときに、祖母と祖父、そして弟を次々と亡くしました。そのときに「人生には限りがある」「人間はいつまでも生きていられるわけではない」ということに初めて気づいたのです。今、こうして考えていることや感じていることがすべてわからなくなって、自分が生きたことすらわからなくなる。そういうことが自分にも起こる。そんな現実を目の当たりにしたときに、心に響き、死に関心を持ち始めたのです。

岡本?それは小学校の何年生のころですか?


岸見一郎(きしみ・いちろう)
哲学者。1956年京都生まれ、京都在住。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問。世界各国でベストセラーとなり、アドラー心理学の新しい古典となった前作『嫌われる勇気』執筆後は、アドラーが生前そうであったように、世界をより善いところとするため、国内外で多くの“青年”に対して精力的に講演・カウンセリング活動を行う。訳書にアドラーの『人生の意味の心理学』『個人心理学講義』、著書に『アドラー心理学入門』など。『幸せになる勇気』では原案を担当
岸見?3年生くらいだったと思います。そんなことをきっかけにして「死について学びたい」という欲求が芽生え始めました。ただそのときは哲学なんて知りませんから、漠然と「医者になれば死について学べるかな」くらいに思っていました。その後、高校生になって哲学という学問があることを知ったのです。

岡本?それは何か出会いのようなものがあったんですか?

岸見?高校のとき、倫理社会ってありましたよね?

岡本?ありました、ありました。

岸見?倫理社会の先生が京都帝国大学の出身で、あまりご自身のことは語らない方だったのですが、西田幾多郎とか、田辺元に直接習った人でした。その先生が授業のなかで哲学の話をたくさんされて、そのとき私は「自分が求めていたのはこれだ!」と思いました。

岡本?まさに哲学に出会ったという感じですね。私が哲学を志したのも、先生と同じく高校の頃なんですが、どちらかと言うと社会的背景や時代の空気みたいなものが大きく影響しています。学生運動など社会的な活動も盛んでしたし、当時は雑誌でも哲学的な特集がけっこうされていました。

岸見?岡本先生は、誰あたりから哲学の道に入ったんですか?

岡本?私はサルトルです。サルトルの社会参加のスタイルに衝撃を受けました。そういうものに憧憬に似た興味を持って、わかっても、わからなくても『存在と無』なんかを読むのが高校の頃はかっこいいと思っていました。かなりミーハーなきっかけです(笑)
?それと、哲学をやることでさまざまなジャンルの問題を語れるというか、幅広く論じることができると思ったのも理由の一つです。社会問題はもちろん、芸術、宗教、科学などあらゆる問題に関わっていけるのが哲学だと。ですが、哲学に傾倒していく学生なんて、当時でもかなり少数というか、異端でしたけどね。

岸見?たしかに、私も異端でした(笑)。私は仏教系の高校で、宗教の授業があったのですが、たいていの学生は授業なんて聞いてないで、受験科目の勉強をしていました。クラスの中で熱心に聞いていたのは、私ともう一人だけでした。

岡本?やはり先生もかなり異端だったんですね。学生時代の話で言うと、私はサルトルから興味を持ち始めたのですが、「もっといろいろ語れるようになりたい」という思いから、ヘーゲルを勉強するようになったんです。ヘーゲル哲学を学べば、何でも理論化できるかなと思って勉強を始めて、いつの間にかヘーゲルが一つの専門みたいになってしまいました。岸見先生はどのようなところから研究を始められたんですか?

岸見?私の場合はギリシア哲学です。高校の頃からいろいろ勉強していたのですが、紆余曲折があって、ある先生から「哲学を学ぶのであればギリシアからやらないといけない。そうでないと、いつまで経っても当てずっぽうでしか考えられない」と言われまして、大学三年生のときに一からやり直しました。大学院の試験ではギリシア語がありますから、苦労したのですが、ギリシア語を含め、ギリシア哲学から始めました。本当は別の興味もあったのですが、「それは、ギリシア哲学をやってからやればいい」と言われ、そのまま抜けられずにいるという状況です。

岡本?興味のある分野に手をつけるには一生では足りませんね(笑)

岸見?本当にそうです(笑)

今、多くの人が『答え』を求めている

岡本?昨今は哲学が一種のブームのように世間的には言われていて、その一因が『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』という本の存在だと思うのですが、岸見先生は世間の反響の大きさをどのように感じていらっしゃいますか。

岸見?もともと哲学というのは敷居が高いのだと思います。初めから「難しいもの」というイメージを持っている人が多いですよね。でも『嫌われる勇気』が出てからは、哲学の本を読んだことがない人にも手に取ってもらえて、それだけ裾野が広がっているとは感じます。私はツイッターをやっていますが、「何ページの、○○についてなんですが……」と詳細な質問を投げかけられることもあります。今はそういう時代なのですね。


岡本裕一朗(おかもと ゆういちろう)
1954年、福岡に生まれる。九州大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。現在は玉川大学文学部教授。西洋の近現代思想を専門とするが、興味関心は幅広く、領域横断的な研究をしている。 著書に『フランス現代思想史―構造主義からデリダ以後へ』(中公新書)、『思考実験―世界と哲学をつなぐ75問』(ちくま新書)、『ネオ・プラグマティズムとは何か―ポスト分析哲学の新展開』『ヘーゲルと現代思想の臨界―ポストモダンのフクロウたち』『ポストモダンの思想的根拠―9・11と管理社会』などがある
岡本?私の感じでは、哲学が求められる背景には「時代が根本的に変わり始めている」ということがあるように思われます。今までの発想というか、従来の見方では捉えきれない問題がたくさん出てきて、思考とか、捉え方に関する“揺らぎ”のような感覚を持っている人が多いように思います。私の本でも人工知能、バイオテクノロジー、宗教などを取り上げていますが、さまざまなジャンルにおいて、従来型の理解では処理しきれない事柄がたくさん出てきて、一つの叩き台として、もっと別の考え方であったり、ものの見方を求めているように感じます。

岸見?哲学が求められている社会の状況という点では、私は岡本先生とは違う捉え方をしていて、昔から人はそんなに変わっていないと思うのです。私がやっているのは古代ギリシア哲学ですから、紀元前5世紀の話をしているのですが、時代を超えても、地域を越えても、受け入れられる。それは人間がそれほど変わらないというか、ずっと解かれない問題があるのだと思います。さきほど話した「人間は死すべき存在だ」ということもそうですし、そういった本質的なところで、疑問を感じている若者は多いのだと思います。
『嫌われる勇気』は韓国でも出版されていて、韓国の若者の前でも何度も講演しているのですが、彼らも悩んでいる。例えば、「自分の人生を生きなければいけない」と思っている一方で、親も無視できない。そんななかで「どうしたら親孝行ができますか?」なんて質問が出てくるのです。そんなふうに板挟みになって、迷っている若い人たちがたくさんいる。それは韓国でも、日本でも同じでしょうね。
?そして、彼らは答えを求めている。でもこれは難しい問題で、哲学に答えを求めていいのかということもあります。哲学というのは「愛知」すなわち「知を愛すること」であって、「知」ではないので、本来的に答えは出ない。残念ながら、自動販売機にコインを入れて、ジュースが出てくるみたいに答えは出ない。
?だから哲学に対して興味を持っても、離れていく人はいると思います。その一方で、「問いを探究する楽しみ」「そこに意味がある」ということに気づいた人は、これまで自分が接してきた学問とは違う哲学というものを受け入れられると思います。

岡本?たしかに、多くの人が答えを求めている、ということに関しては私もすごく共感できます。よく「日本人は答えを求めすぎる」と言われますが、それは日本に限った話ではなく、万国に共通するものだと思います。
?岸見先生の本を読んでいて感じるのは「ただ、わからない」「答えがない」というだけではなく、その場、その場においては力強い“答えのようなもの”をきちんと提示されている。そこに多くの読者が、一つの示唆を得ているのだと思います。でもそこで「わかったつもり」になっても、再び問いの中に入っていく。こんな哲学的な繰り返しが本のなかでも体現されていると感じます。
?岸見先生は、歴史的に変わらない問題、人間の本質の部分を取り上げられていて、私はどちらかと言うと、歴史的に変わっていく事柄を取り上げながら、哲学という思考のメガネを通して考えていく。それはどちらも哲学のあり方だと思いますし、そんな二つの側面が多くの人に受け入れられて欲しいと、私は願っています。

(後編に続く)※12/28公開予定です


http://diamond.jp/articles/-/112439



【第38回】 2016年12月28日 岸見一郎 [哲学者],岡本裕一朗

哲学ブームは『嫌われる勇気』から始まっていた?
なぜ今“哲学”が求められるのか ?後編?

フジテレビ系(2017年1月12日(木)22時スタート)で連続ドラマ化が決定し、シリーズ累計が190万部に達した大ベストセラー『嫌われる勇気』とその続編『幸せになる勇気』。「心理学」や「自己啓発」に分類されてきたこの本のルーツは、実は著者の岸見一郎氏が専門とする哲学にありました。
一方、発売3カ月で4万部を達成した『いま世界の哲学者が考えていること』。著者の岡本裕一朗氏が、ポストモダン以後における21世紀の哲学の最新の動向を見事に分析した同書の人気は、いま多くの人が哲学に関心を抱いていることを象徴していると言えます。
そこで両書の著者お二人に、なぜ今これほどまでに“哲学”が求められているのかを語り合っていただき、現代社会とその向かう先を紐解いていただきます。後編では日本における哲学研究者と「哲学者」の違いから、学問としての「哲学」のあり方まで議論は多岐に渡ります。

“哲学者”と“哲学研究者”は何が違うのか?

岡本裕一朗(以下、岡本)?哲学の学び方、あるいは哲学における教育のあり方についても語ってみたいのですが、そもそも哲学を学ぶ際には、過去の哲学者の学説を研究するということが伝統的に行われてきました。哲学の理論には何千年という蓄積があって、自分でオリジナルの考えを唱えたところで「それはプラトンが言っていた」「誰それの説の域を出ない」なんて話になるわけです。そんな自分勝手な論文を書く前に、巨人の肩に乗っているんだから、まずはそれを学びなさい、という教育システムは存在していると思うんです。

岸見一郎(以下、岸見)?そういう部分がたしかにありますね。昔、梅原猛先生が田中美知太郎先生の演習に参加されていました。田中先生はギリシア哲学の第一人者で、原典を読むことを何より大事にされていて、ギリシア語を一字一句おろそかにしないで読むことを学生に求めていました。でも、それには飽き足らなかった梅原猛先生は、誰の学説もまったく引用しない論文を書いて、心境小説だと酷評されてしまった。そこで、梅原先生はギリシア哲学の研究室から飛び出ていったという話があります。
?哲学の理論を一から学ぶというのは学者、研究者として最初に踏まなければならない大事なステップではありますが、やはり若い人は悩みますね。「こんなことをしていていいのだろうか」「もっと大事なことがあるのではないか」という思いは、たしかに私も持っていました。


岡本裕一朗(おかもと ゆういちろう)
1954年、福岡に生まれる。九州大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。現在は玉川大学文学部教授。西洋の近現代思想を専門とするが、興味関心は幅広く、領域横断的な研究をしている。 著書に『フランス現代思想史―構造主義からデリダ以後へ』(中公新書)、『思考実験―世界と哲学をつなぐ75問』(ちくま新書)、『ネオ・プラグマティズムとは何か―ポスト分析哲学の新展開』『ヘーゲルと現代思想の臨界―ポストモダンのフクロウたち』『ポストモダンの思想的根拠―9・11と管理社会』などがある
岡本?ある意味、これは「哲学者か、哲学研究者か」という話にも通じる部分があるのではないでしょうか?

岸見?そういう意味では、私は自分のことを哲学者だと思っています。1999年に『アドラー心理学入門』という本を書いたのですが、そのとき表紙に肩書きを入れて欲しいと出版社の人に言われました。当時は奈良女子大学の非常勤講師でしたが、別の肩書きが欲しいと言われて、「哲学者はどうですか?」と聞いたら、「それがいい」ってことになったのです。
?もっとも、その経緯を知った息子は「梅原猛だったらいいけど、君が哲学者を名乗ったら、ただのプータローだと証明しているようなものだ」と言ってましたけど(笑)

岡本?親子で、すごい会話をされるんですね(笑)

岸見?はい。息子は政治哲学が専門で、家に帰ってくるとあいさつ抜きで議論になります。妻も過去に哲学を学んでいたので、三人揃ったらえらいことになります(笑)

岡本?そうでしょうね(笑)

岸見?私としては「哲・学者」という学者ではなく、「知を愛する者」(愛知者)という意味で哲学者を名乗っています。もちろん、私は哲学の研究者でもあるわけですが、やはり愛知者としての哲学者、フィロソファーです。「愛知者」と対比されるのは「知者」ということになりますが、これは昔の言葉で言うソフィスト。知識を授ける人であり、職業教師という言い方もできます。現代に置き換えれば、人に何かを教え、それを習得させて、修了証なんかを出すような人がソフィストだと思うのですが、私自身のイメージとはやはりかけ離れています。私がイメージしているのは、さまざまな問題について一緒に考えるけれど、すぐに答えは出ない。そこではプラトンの対話篇のような方法、考え方が実践されていて、話を聞いて、一緒に考えを深めていく人。それが私がイメージする哲学者です。
?だから、大学に籍があるとか、研究をしているとか、そういうことは関係ありません。『嫌われる勇気』を読んで、人生を真剣に悩む人はすべて哲学者なのだと私は捉えています。

岡本?哲学者か、哲学研究者かという議論で言えば、「自分では定義しない」というのが私の基本スタンスですね。周りの人が私のことを哲学者だと言えば、そうだろうし、研究者だと言えば、それを受け入れる。もちろん、どちらが良いとか、悪いということもありません。
?当然のことながら、研究者というのはとても大事な存在です。ある学説を厳密に解釈してくれることで、私たちがハッとするような気づきを与えられることも多々あります。
?ただ同時に、その人が「目の前にある課題」「現実の問題」について、きちんと分析し、自分なりの理論を構築して論じることができるかと言えば、必ずしもそうではありません。研究者ではなく、哲学者たるには、やはりそれに即した訓練が必要なのだろうと思います。

「役に立たない学問」を安易に切り捨てていいのか?

岸見?岡本先生がおっしゃるように、哲学の研究者も大事な存在だと思います。そういう意味では、大学では研究者を育てるための、きちんとした授業がもっとあっていいのでは、とは感じますね。最近は、文系学部はどんどん削られてしまう傾向にありますから。

岡本?本当にそうですね。英文学科も、いまや英語学科に取って代わられる時代ですから。


岸見一郎(きしみ・いちろう)
哲学者。1956年京都生まれ、京都在住。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問。世界各国でベストセラーとなり、アドラー心理学の新しい古典となった前作『嫌われる勇気』執筆後は、アドラーが生前そうであったように、世界をより善いところとするため、国内外で多くの“青年”に対して精力的に講演・カウンセリング活動を行う。訳書にアドラーの『人生の意味の心理学』『個人心理学講義』、著書に『アドラー心理学入門』など。『幸せになる勇気』では原案を担当
岸見?過去に悔しい思いをしたことがあって、大学でギリシア語を教えていたときのことですが、ある年、突然「来年からは来なくていい」と言われました。古代ギリシア語を学ぶ学生が少ないという事情はわかります。多いときで5人、少ないときは2人でしたから。でも、それを理由にやめてしまって本当にいいのか、という思いはありますね。
?英文学科でも同じで、シェークスピアを読んだからと言って、社会に出て役に立つのかと言えば、おそらく役には立たない。でも、社会に出て役に立つ、立たないという安易な考えだけで判断していいのか。それはむしろ、大学が自分の首を絞めることになるのではないかと思うのです。

岡本?この傾向は日本だけのものではなく、世界的にそうですよね。ヨーロッパでも、ヘーゲル、ハイデガー、フッサールなどドイツの伝統的な哲学を扱うポストはどんどん削られていって、ロジカル・シンキングやクリティカル・シンキングといった、何か「役にたちそう」というものばかりが残る傾向があります。

岸見?私の母は49歳のとき脳梗塞で亡くなったのですが、当時私は大学院生で、看病できるのは私しかいなかったのです。その頃、私は大学の講義とは別に、先生が自宅でやっているギリシア語の読書会にも参加していたんです。でも事情が事情ですから、「母の看病をしなければならないのでしばらく参加できません」と電話で連絡をしたら、「こんなときに役に立つのが哲学だ」と先生はおっしゃったのです。その言葉は私にとってすごく新鮮で、衝撃的でしたし、実際役にも立ちました。

岡本?それはとても象徴的な話ですね。現代でも、脳死や臓器移植の問題であったり、出産前に新生児に障害がないかを確認する検査など、さまざまな場面において、哲学的に考えるべきテーマがありますからね。

「生きる価値」を生産性に求めてはいけない

岸見?以前、私は生命倫理の講義を長く担当していたことがあって、そのときによく学生たちに聞いていました。もし、60歳の私と30歳の息子が同じ病気になり、移植できる臓器が一つしかないとしたら、どちらに移植するべきだろうか、と。すると、学生は何のためらいもなく「息子さん」と答えるのです(笑)

岡本?学生はそう答えますよね(笑)

岸見?でも私は、人間の価値を決める基準など存在せず、人はみな対等だと考えています。たとえば、(2016年7月の)相模原の障害者施設で起こった殺人事件でも、重度の障害者に対する「生きる価値」に関する犯人の告白がありました。重度の障害を持った人は生きる価値がないのか。あるいは、年老いて、自分では何もできなくなっている人は、生きる価値が下がってしまうのか。それは違うと私は思うのです。
?人間の価値というのは「何かができるから」というところにあるのではない。そういった生産性に「生きる価値」の基準を求めてはいけない、生きているということ自体に価値を求めなければいけない。そう私は思います。
?でも、するとまた「人は死んだら価値がないのか」という問いも新たに生まれる。亡くなった人も生者に間違いなく貢献していますから、死ねば人間に価値がなくなるわけではありません。

岡本?やはり、そう簡単に答えが出るような問題ではありませんね。そしてもちろん、それらの問題は哲学者だけが向き合うものではありません。というより、むしろ岸見先生がおっしゃったように、社会の問題や自分の人生について真剣に悩む人はすべて哲学者なんでしょうね。

岸見?そう思います。

岡本?私の本では哲学というテーマのなかで、科学者や社会科学者も登場するので、ときに「彼らは哲学者じゃないだろう」と言われることもあるんです。でも、そんな紋切り型の哲学者枠など取っ払って、ごく一般の人たちの中に哲学があって、哲学者がいるということの方が、はるかにすばらしいと思います。


(終わり)
http://diamond.jp/articles/-/112442
http://www.asyura2.com/12/social9/msg/748.html

[経世済民117] 08年以来最良の四半期終えるドル、失速に警戒する向きも 上昇基調なお 米中古住宅、予想外低下、金利上昇 欧州周辺国債上昇
08年以来最良の四半期終えるドル、失速に警戒する向きも
Netty Ismail
2016年12月28日 15:24 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i6GKDqTR7Rnc/v2/-1x-1.png

  ドルが2008年以来で最良の四半期を終えようとしている。ブルームバーグのドル指数は10−12月期に大きく上昇したが、その上げの大半は11月8日の米大統領選挙後だ。トランプ次期米大統領が就任後に経済成長とインフレを押し上げるとの見方が広がった。だが警戒する向きもある。AMPキャピタル・インベスターズのダイナミック投資ファンド責任者を務めるネーダー・ナエイミ氏(シドニー在勤)は、ドル高の勢いが失速しつつあるようだとみている。
原題:Election Day Lifts U.S. Dollar to Best Quarter Since 2008: Chart (抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIVTAG6JTSEI01


 

田嶋智太郎の外国為替攻略法
2016年12月28日
過去のドル/円の価格推移を振り返る・・・

2016年の年の瀬にあたり、ここで過去のドル/円の価格推移を振り返って、現在の「水準感」といったものを再確認しておきたいと思います。これは多分にテクニカル分析の手法を用いることとなるわけですが、外国為替相場の行方を予想するうえでは、ファンダメンタルズを注視するのはもちろんのこと、テクニカルな視点から相場の「リズム」を掴んだり、大きな流れを認識しておいたりすることも非常に重要であると思われます。
下図に見るように、2016年の前半というのは「2011年10月安値から2015年6月高値までに見られたドル/円の大幅な上昇(図中A)に対する少々まとまった調整(図中B)が生じた時間帯」ということになりました。過去に本欄でも述べたように、2015年6月高値というのは「過去のドル/円の価格推移において確認される8年高値サイクル」に基づいて考えると、2007年6月高値からちょうど8年後につけられた『8年サイクル高値』であったと考えることができるものと思われます。
2011年10月から3年余り続いた上昇相場に対する調整だけに、その調整期間に1〜1年半程度を要するのは当然であると考えられていましたが、実際に2015年6月から2016年6月までちょうど1年という時間が経過し、その後も9月あたりまで調整含みの展開は続きました。また、2015年6月高値が8年ぶりの目立った高値であっただけに、その調整幅もある程度まとまったものとなり、結果的に上昇A波に対して調整B波は約50%の下押しとなりました。ちなみに、テクニカル分析のセオリーでは50%押し、あるいは61.8%押しあたりが適当であるとされています。
なお、2016年6月までの調整に伴う下げが62カ月移動平均線(62カ月線)によってサポートされたことと、その後の7月から11月までの安値がいずれも62カ月線によって下支えされたことも見逃せません。また、2016年4月の月足が31カ月移動平均線(31カ月線)を明確に下抜け、それ以降はセオリー通り、数か月に及ぶ調整が続いたという点も再確認しておきたいところです。
振り返れば、2012年11月の月足が31カ月線を明確に上抜けたところから本格的な上昇相場が始まったわけです。それだけ31カ月線(同様に62カ月線)との位置関係は重要であると言えるとともに、ここにきて再び31カ月線を上抜ける動きとなってきたことも大いに注目されるところであると言えるでしょう。今年11月の月足は31カ月線を終値で上抜けましたし、どうやら12月の終値も31カ月線より上方に位置することとなりそうです。
もう一つ見逃せないのは、月足に見る一目均衡表の「雲」と「遅行線」です。これらは過去においても重要な節目となってきましたし、今年6月以降に大底圏を形成し、10月以降に大底圏から脱出する展開となった場面でも非常に重要な役割を果たしたと言うことができます。ことに「遅行線」が26カ月前の月足が位置するところを見事なまでになぞるような格好となっている点は、セオリー通りであるとは言え、少々驚きです。
相場というものは、常にA−B−Cの3波で構成される「基本N波動」で構成されるものです。場合により、この「N」が2連続する5波動、3連続する7波動となることもあります。そうした意味で、今年6月安値からの戻り試す現在の基調は「C波」と考えることができるものと思われ、今後、幾度かの中期的な調整を交えることがあるのは当然であるとしても、大きな流れとしての上昇基調はなおも続くものと見られます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役
前の記事:米国経済成長の素地は一段と整ってきている・・・ −2016年12月21日
http://lounge.monex.co.jp/pro/gaikokukawase/2016/12/28.html 


 

米中古住宅販売成約指数:11月は予想外に低下−住宅ローン金利上昇で
Michelle Jamrisko
2016年12月29日 01:24 JST

11月の米中古住宅販売成約指数は前月比で予想外に低下した。突然の住宅ローン金利上昇や在庫不足が背景にある。全米不動産協会(NAR)が28日に発表した。
  中古住宅販売成約指数(季節調整後)は前月比2.5%低下。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.5%上昇だった。前月は0.1%上昇。前年比では季節調整前ベースで1.4%上昇。
  NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は発表文で「購買見込み客の多くは予算面で、大統領選直後の急速な金利上昇の影響を受けた」と指摘。「既に住宅価格は上昇し、手頃な価格帯の物件も限られていることから、契約できる人の数は全米の大半の地域で減っている」と続けた。
  地域別では4地域のうち3地域で指数が低下した。西部は6.7%低下と、2013年7月以降で最大の下げ。中西部は2.5%低下した。最大市場の南部は1.2%下げた。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Pending U.S. Existing-Home Sales Fall on Higher Mortgage Rates(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIWJK5SYF01S01

 


欧州債:スペインやイタリアなど周辺国債、ドイツ債を上回る伸び
Kelly Gilblom、Jeremy Herron
2016年12月29日 02:15 JST

28日の欧州債市場ではスペインやイタリアなどの周辺国がドイツ国債を上回る上昇を遂げた。
  欧州債の指標とされるドイツ10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、bp=0.01%)低下の0.19%。これに対し、同年限のスペイン国債利回りは4bp下げた。
  連休明けの英金融市場では英国債が上昇。10年物利回りは4bp低下し1.301%と、先月10日以来の低水準を付けた。
原題:U.S. Stocks Slip as Dollar Rises, Oil Pares Gain: Markets Wrap(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIWLVV6JIJV301
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/293.html

[国際16] トランプ氏、「政権移行の邪魔」とオバマ大統領を批判 米国務長官:イスラエル首相の入植拡大方針、中東和平を危うくする 
トランプ氏、「政権移行の邪魔」とオバマ大統領を批判

Ben Brody
2016年12月29日 00:35 JST

ドナルド・トランプ次期米大統領は28日、「挑発的な」発言と「邪魔立て」で共和党政権への移行を妨害しているとして、オバマ米大統領を批判した。大統領就任まで1カ月を切った現在、現職大統領との緊張を公にした。
  トランプ氏は「プレジデント・O(オバマ大統領)からの多くの挑発的な発言と邪魔立てを気にしないよう懸命に努めている」とツイッターに投稿。「スムーズな政権移行になると思っていたが、大違いだった」と続けた。
  国連安全保障理事会がヨルダン川西岸などでのイスラエル入植停止を求める決議案を採決するに際し、オバマ大統領は先週、拒否権を行使せずに棄権するよう米国連大使に指示した。これによって決議案は採択された。オバマ大統領はまた、CNNが26日に公表したインタビューで、自分が出馬していたらトランプ氏に勝利していたはずだと発言。27日に真珠湾で行ったスピーチでは、「部族間の抗争」や「自分たちと異なる人々を悪者扱いする欲求」に抵抗するよう促した。
  トランプ氏は「イスラエルがこのような圧倒的な軽蔑と不敬をもって扱われるのをこのまま許すわけにはいかない」とツイッターに連投した。
原題:Trump Shatters Peace With Obama With Tweet on ‘Roadblocks’(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIWI4QSYF01T01


 


米国務長官:イスラエル首相の入植拡大方針、中東和平を危うくする
Michael S. Arnold、Chris Strohm
2016年12月29日 05:11 JST
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ネタニヤフ政権は「イスラエル史上最も右翼的」と、ケリー長官
トランプ次期大統領はネタニヤフ政権を強く支持
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ケリー米国務長官は中東和平の可能性はますます危うくなっていると指摘した。ネタニヤフ首相率いるイスラエル政府がヨルダン川西岸への入植拡大を支持し、紛争解決に向け「二国家共存策」を生み出すとする同国とパレスチナが表明した目標に反していることが背景だ。
  ケリー長官は28日、ワシントンで講演し、東エルサレムからかなり離れた地域を含む入植の拡大は外交的解決の見通しが「低下」しつつあることを意味すると発言。ネタニヤフ政権について「イスラエル史上、最も右翼的だ」と非難した。
  米国は先週、ヨルダン川西岸でのイスラエル政策を批判する国連決議案に拒否権を行使しなかった。オバマ政権の任期が残りわずか約3週間となる中、ケリー長官は共和党のトランプ次期政権との間で火種となった問題について、現政権の立場を明確にした。
  トランプ次期大統領は同国連決議案をめぐりオバマ氏を批判しており、1月20日の就任後はイスラエルとの関係を強化すると表明している。トランプ氏が駐イスラエル大使に指名した弁護士のデービッド・フリードマン氏は入植を強く支持している。
  ケリー長官の講演に先立ち、トランプ次期大統領は「われわれはイスラエルが完全に蔑視、軽蔑されている状況を続けることはできない」とし、「イスラエルよ、強いままであれ。1月20日は刻一刻と近づいている!」とのコメントをツイッターに投稿した。
  ネタニヤフ首相は、ケリー長官の講演の数分前、トランプ氏による支持を称賛し、「トランプ次期大統領、あなたの温かい友情と明確なイスラエル支持に感謝する」とツイッターでこたえた。
原題:Kerry Says Netanyahu’s Settlement Stance Risks Middle East Peace(抜粋)

http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/863.html

[政治・選挙・NHK218] 中国が「強い不満」を表明、日本の対台湾窓口機関名称変更で 香港と台湾の独立派、成功せず=中国当局 柔軟姿勢バチカンに要求
中国が「強い不満」を表明、日本の対台湾窓口機関名称変更で
Bloomberg News
2016年12月29日 00:39 JST

名称は来年から「日本台湾交流協会」に
中国外務省、誤ったシグナルを送らないよう日本に促す

中国は台北にある事実上の日本大使館である「交流協会」の名称に「台湾」を加えるとする日本の決定を批判した。台湾をめぐっては中国と米国の間で最近論争が起きたばかりであり、日本を加えて新たな緊張が高まる可能性がある。
  日本は28日、「交流協会」の名称は来年から「日本台湾交流協会」に変更されるとウェブサイトで発表。同協会は「引き続き日本と台湾の架け橋としての役割を果たし、関係をさらに進展させる決意だ」としている。
  中国外務省の華春瑩報道官は定例記者会見で、「台湾問題に関する日本のネガティブな行動に対する強い不満」を表明。中国外務省はウェブサイトで日本に対し、「『一つの中国』の原則を堅持するとともに、台湾に関連した問題に適切に対処し、台湾の政権や国際社会に誤ったシグナルを送ったり日中関係に新たな混乱を来すことを慎むよう促したい」との声明を掲載した。
原題:China Tells Japan It’s Unhappy With Name Change of Taipei Office(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIWIH36TTDS101


香港と台湾の独立支持派、連携しても成功せず=中国当局
 12月28日、中国の台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室は、香港と台湾の独立支持派による連携の取り組みは成功しないと述べた。写真は北京で昨年10月撮影(2016年 ロイター/Jason Lee)
 12月28日、中国の台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室は、香港と台湾の独立支持派による連携の取り組みは成功しないと述べた。写真は北京で昨年10月撮影(2016年 ロイター/Jason Lee)
[北京 28日 ロイター] - 中国の台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室は28日、香港と台湾の独立支持派による連携の取り組みは成功しないと述べた。

台湾事務弁公室の報道官は定例会見で、「台湾の独立派は香港の(独立を支持する)勢力と連携しようと無駄な努力をしているが、成功しない」と述べた。

報道官は毛沢東の1963年の詩を引用し、「あの詩にあるように『この小さい地球で、数匹のハエが壁に向かって突進する』」と発言。この一節は、通常は中国は敵を恐れないという意味とされている。その上で「最後には傷つき血を流すだろう」と述べた。

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中国、関係改善に向けより柔軟な姿勢をバチカンに要求

[北京 28日 ロイター] - 中国の国家宗教事務局の王作安局長は27日、中国との関係改善に向け、ローマ法王庁(バチカン)はより柔軟で実際的な姿勢を示し、現実的な対策を取るべきだと語った。新華社が同日、伝えた。

ローマ法王フランシスコは、中国との数十年に及ぶ対立解消に前向きで、バチカンは1週間前、中国政府からの「肯定的なシグナル」を期待すると語っていた。

中国のカトリック教会は、ローマ法王に忠誠を誓う一派と政府公認の教会派に分裂。司教任命権を巡る対立が、関係改善に向けた障害の1つとなっている。

中国は、司教は政府公認のカトリック団体によって任命されるべきだと主張し、法王による司教任命を内政干渉だとして拒否している。

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http://jp.reuters.com/article/china-vatican-idJPKBN14H0D5
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/343.html

[政治・選挙・NHK218] 国と特に密接な関係がある公益財団法人への該当性について(公表) 中国「強烈な不満」 日台交流協会の名称変更

「国と特に密接な関係がある公益財団法人への該当性について(公表)」
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交流協会概要

交流協会設立の経緯及び性格

(1)1972年(昭和47年)9月、我が国は中華人民共和国との間で国交正常化に関する共同声明に調印したが、その際当時の大平外相が談話を発表し、「日中関係正常化の結果として、日華平和条約は存続意義を失い、同条約は終了したと認められるというのが、日本政府の見解である。」と述べた。中華民国政府は即日外交部声明を出し、対日断交を宣言した。
 当時、台湾には在留邦人約4,000名が滞在するとともに、年間約18万人の邦人旅行者があった。また、断交前に直接台湾との間で取引関係を持つ企業は約400社あるとされており、貿易関係においても中華民国は我が国にとってそれまで長い間3位を下らない輸出仕向国であり、我が国は中華民国にとって輸入では第1位、輸出では第2位という不動の地位を維持している国であった。
(2)同年12月1日、堀越禎三氏ほか12名の発起人が、財団法人交流協会発起人総会を開催し、同月5日に外務、通産(現在の経済産業省)両大臣に対し、設立許可申請書を提出した。8日、当協会が設立した。
 12月26日、交流協会は、台湾側のカウンターパートである亜東関係協会との間に「在外事務所の相互設置に関する取決め」を調印し、我が方は、台北及び高雄に在外事務所を設置した。同取決めについて、東京では二階堂内閣官房長官(当時)が、また台北では沈外交部長が本調印を歓迎して、協会の活動に対しては国内法令の許す範囲で出来る限りの支持と協力を与える方針である旨を言明した。
 なお、交流協会設立趣旨書(72.12.1)には、協会の目的につき、次のとおり記されている。「財団法人交流協会は、台湾在留邦人旅行者の入域、滞在、子女教育等につき、各種の便宜をはかること、並びに我が国と台湾との間に民間の貿易及び経済、技術交流はじめその他の諸関係が支障なく維持、遂行されるよう必要な調査を行うとともに適切な措置を講ずることを目的として、その目的達成に必要な各種便宜を与え、かつ、所要の事業を行ない、もって民間レベルでの各分野における交流の維持、促進に資するものであります。」
(3)上述の経緯で設立をみた交流協会の性格は、法人格としては財団法人ではあるが、日台間実務関係を維持するために設立された特殊な性格を有する団体である。交流協会は外交関係のない日 台間にあって準公的なパイプ役を果しているだけでなく、その業務には、後述するとおり政府の在外公館(大使館、総領事館等)と変らない種々の公的な事務が含まれている。また、公益法人関連三法の成立に伴い、総理大臣の認定を受け、2012年4月1日に公益財団法人に移行した。
(4)なお、交流協会のカウンターパートである台湾側の亜東関係協会は、台北に本部があるほか、日本には東京、横浜、那覇、札幌、大阪及び福岡にそれぞれ駐日台北経済文化代表事務所、同横浜支所、同那覇支所、同札幌支所、台北経済文化大阪事務所、及び同福岡支所が設けられている。本部会長は、李嘉進氏である。駐日台北経済文化代表事務所は、沈斯淳代表の下に、総務、査証、経済商務、科学技術、文化、新聞、華僑事務等の部に分かれて事務を行っている。
https://www.koryu.or.jp/ez3_contents.nsf/23/19C8404BAEB2BAD949257737001DCA69?OpenDocument


 

中国「強烈な不満」 日台交流協会の名称変更
2016/12/28 21:22
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 【北京=永井央紀】中国外務省の華春瑩副報道局長は28日の記者会見で、日本の対台湾窓口機関が「日本台湾交流協会」に名称変更することに「強烈な不満」を表明した。華氏は「『二つの中国』のたくらみに断固反対する。台湾と国際社会に誤ったメッセージを送り、中日関係に新たな障害をつくってはいけない」と強調した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H8O_Y6A221C1PP8000/


http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/344.html

[国際16] トランプ氏の「一つの中国」見直し論がもたらす衝撃 米中関係の根幹揺るがす 立命館大の「親中派」中国人学者が上海で謎の失踪
トランプ氏の「一つの中国」見直し論がもたらす衝撃
なぜ米中関係の根幹を揺るがすことになるのか
2016.12.29(木) 阿部 純一
台湾、アフリカのサントメ・プリンシペと断交=蔡政権で初、中国が圧力か
台湾・台北でスピーチをする蔡英文総統(2016年10月10日撮影)。(c)AFP/SAM YEH〔AFPBB News〕
 米国の次期大統領となるドナルド・トランプ氏による「米国が“一つの中国”に縛られるのはおかしい」という発言が注目されている。

 米「フォックス・ニュース」の12月11日のインタビューに応えた発言であり、「中国の貿易・外交政策次第では」という条件付きのものであった。しかし、たとえ条件付きの発言であるにしても、「一つの中国」に疑義が示された衝撃は大きい。言うなれば米中関係の根幹を揺るがすことにもなるからだ。

 1979年1月の国交樹立以降、歴代の米政権が遵守してきた「一つの中国」政策にはそれなりの重みがある。しかも、それは台湾の現状を維持するために米中がギリギリの妥協を重ねて生み出したものだった。

現状の米中関係に不満を抱いているトランプ氏

 少し詳しく論じてみよう。

 米国はカーター政権時に、同盟関係にあった台湾(中華民国)と国交ならびに相互防衛条約を断ち、中華人民共和国を唯一正当な政府として認め、その代わりに中国は台湾に対する「武力解放(武力統一)」を「平和統一」に改めた。米国と中国はそうやって台湾の扱いについて折り合いをつけ、以来、歴代の米政権は「一つの中国」政策を採り続けてきた。

 米国はまた、中台の交渉による平和的統一への期待を表しつつ、台湾への防衛用兵器の供与などを盛り込んだ「台湾関係法」を米国内で成立させ、台湾の安全保障に引き続き関与する姿勢をとった。もちろん、台湾関係法は台湾の「独立」を助長するものではなく、あくまで台湾海峡両岸の現状維持を目指すものであった。

 では、トランプ氏は米中関係をどうしたいのだろうか。

 トランプ氏や彼の周辺にいる政策アドバイザーには、台湾が置かれている状況への不安と同時に、現状の米中関係への不満がある。つまり、米国が不必要な譲歩を重ねてきた結果が中国の現状変更を伴う拡張主義的行動を許し、民主主義体制下にある台湾が中国の経済的・軍事的圧力にさらされている事態を生んだと見ているのである。

 たしかに、間もなく退場するオバマ大統領が、台湾が望む兵器、例えばF-16戦闘機C/D型の新規供与などを却下してきた事実も含め、中国に毅然とした態度を取ってきたとは言い難い。

 同様に、台湾内部でも、もはや「一つの中国、台湾は中国の一部」という考え方を支持するのはごく少数派で、大多数の人は台湾が「事実上独立した政治主体」であるという現状を支持している。米国がそうした状況にある台湾に同調すれば、中国の言う「一つの中国」はすでに虚構化しているのであって、実態は「一つの中国、一つの台湾」となっている以上、米国が中国の主張に追随するのはおかしいと考えても不自然ではない。

中国人にとって台湾とは?

 しかし、中国人のメンタリティーはおそらく違うのだろう。台湾は日清戦争で中国(清)が敗れた結果、日本に割譲されたが、もともとは中国に帰属していた。だから第2次世界大戦で日本が敗れた結果、蒋介石の中華民国が台湾を取り返したのは当然のことであった。その中華民国を、毛沢東が中国革命で台湾に追いやったが、米国が蒋介石を庇護した結果、今日まで台湾に中華民国が命脈を保っている。「中国革命を成就させること、つまりは台湾を中国に統一するという中国(中華人民共和国)の悲願を成就させることは、中国に課せられた神聖な使命だ」ということなのだろう。中国にとって、台湾はあくまでも「不可分の領土」なのである。

 中国のこの「一つの中国」の論理をよく理解している米国人なら、トランプ氏の発言がいかに危険なものであるかが分かっているだろう。

 もし米国が、台湾の「独立」を助長するような動きに出れば、米国との戦争の危険を冒してでも中国は阻止する行動を取るだろう。逆に、もし中国の指導部が拱手傍観するようであれば、愛国ナショナリズムに駆り立てられた中国人民が指導部を厳しく突き上げることは想像に難くない。つまり、中国はいずれにしても暴れ出すことになる。

中台が歩み寄れる余地はどんどん消滅

 とはいっても、こうした中国側の事情を現在の台湾の人たちは懸念こそするだろうが、だからといってそのまま受け入れ、おとなしく我慢し続けるとは思えない。

 中国の台湾との「平和統一政策」は、香港で先行適用された「一国二制度」である。だが、香港の現状が示すようにうまく機能していない。台湾はこの政策を当初から拒否し続けてきた。しかも人口の大多数が台湾で生まれ、台湾で育った人々であるから、中国は彼らにとってたまたま言葉が通じる「外国」にすぎない。要するに、中国と台湾とでは、お互いの認識が果てしなく乖離してしまっていると言っていいだろう。

 お互いに歩み寄れる余地が時間の経過とともに消滅していく中で、経済的にも軍事的にもパワーでまさる中国が、台湾を経済的に従属させ、軍事的に戦意を喪失させることで、軍門に下ることを強要しようとしていると、台湾の人々は受け止めている。米国に頼り、防衛面ではあまり期待できない日本にも頼るのは、台湾にとって日米同盟以外に、他に寄る辺がないからである。

 その台湾では、2016年5月に発足した民進党の蔡英文政権が、「一つの中国」で中台が合意したとされる「92年コンセンサス」を認めない姿勢を堅持している。そのため、中国側は台湾への観光客を制限したり、台湾を国際機関の会議から締め出そうとしたり、様々な形で圧力を強めている。トランプ発言は、そうした状況下で発せられた。

米国内で高まっていた台湾へのシンパシー

 こうした背景を理解した上で、あらためて今年の米大統領選挙を振り返ってみると、米国内での台湾へのシンパシーの高揚が見えてくる。

 今年の米大統領選挙では、民主党のヒラリー・クリントン候補も、共和党のトランプ候補も、共に中国には厳しい姿勢を取っていた。それは、米国全体に中国に厳しい目を向ける雰囲気があったからである。

 それに加えて、米政界には今年に入って「台湾寄り」の姿勢が目立っていた。南シナ海における中国の人工島建設など、米中関係にマイナスになることを承知の上で、中国は勢力拡張政策を取ってきた。米国内の動きはそれに対する反動と見ることができる。

 2011年、台湾総統選挙を翌年に控え、民進党の総統候補として蔡英文が訪米した時、米国側はけんもほろろの対応をした。米中の協調を図る上で、海峡両岸の接近に積極的な国民党の馬英九総統の続投が望ましいとの判断があったのだろう。ところが、翌年の総統選挙をにらんだ2015年に蔡英文が訪米した際は、米国側は手のひらを返すように歓待した。米国がいかに中国との関係に苛立っていたかが分かる。

 その動きは今年になっても止まらず、米上下両院では6月から7月にかけて、台湾関係法と台湾に対する「6つの保証」を再確認する決議案が全会一致で採択された(決議案の正式名称は「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する両院一致決議案」)。

(「6つの保証」とは、レーガン政権時代の1982年に議会に対して説明された6項目からなる台湾政策。(1) 台湾への武器供与の終了期日を定めない、(2) 台湾への武器売却に関し、中国と事前協議を行なわない、(3) 中国と台湾の仲介を行わない、(4) 台湾関係法の改正に同意しない、(5) 台湾の主権に関する立場を変えない、(6) 中国との対話を行うよう台湾に圧力をかけない、を指す。)

 こうした動きがトランプ次期大統領の対中政策を形作っていると言っても過言ではない。

 この議会決議を受け、米共和党は政策綱領にこの「6つの保証」を書き込んだ。これに関与したとされるのが、共和党系シンクタンクであるヘリテージ財団のフェローを務めるスティーブン・イェーツ氏である。彼はトランプ氏の政権移行チームのメンバーとなっている。

 また、同じく政権移行チームでトランプ氏の外交・経済アドバイザーを務め、このほどトランプ次期政権がホワイトハウス内に新設する「国家通商会議」の委員長に指名されたカリフォルニア大学アーバイン校教授のピーター・ナバロ氏も台湾寄りの姿勢が明確だ。彼は、今年7月「ナショナル・インタレスト」のウェブサイトで「米国は台湾を見捨てることはできない」を掲載し、台湾の置かれた立場に対する深い同情の念と米国にとっての高い戦略的価値を論じている。ナバロ教授は米中の通商政策の専門家だが、今後は米中外交へも影響力を行使しうる立場になる。

抜本的見直しが求められている対中政策

 では、トランプ政権下の米中関係はどうなるのか。台湾への高まるシンパシーが「一つの中国」政策を揺るがすことになるのか。

 はっきり言えることは、これまでの米国による
経済大国化、軍事強国化の手助けをしてきたことだ。その中国が一方的な「現状変更」勢力となっている現在、米国に対中政策の抜本的見直しが求められているということだ。

 米国の穏健派は「一つの中国」を見直す危険を指摘するが、その立場が往々にして中国の立場を代弁することになっている点に気づかずにきた。そうした状況に一石を投じたトランプ氏の発言は議論を広げ、深める機会となった。問題は、いかに政策にまで高めるかだ。米国外交の知恵に期待したい。

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48772


 

立命館大の「親中派」中国人学者が上海で謎の失踪
後ろ盾になっていた人物が失脚か?
2016.12.29(木) 新潮社フォーサイト
新潮社の会員制国際情報サイト「新潮社フォーサイト」から選りすぐりの記事をお届けします。

習近平体制になってから「失踪」「拘束」の事例が相次いでいる(2016年11月11日撮影)。(c)AFP/WANG ZHAO〔AFPBB News〕
(文:野嶋 剛)
 立命館大学教授の中国人学者、周瑋生さん(56)が上海に学会のため出張した10月下旬以降、2カ月にわたって日本の自宅に戻らず連絡が取れない状況になっている。中国当局に何らかの理由で拘束されている可能性がある。
 周さんは日本でも指折りの自他共に認める「親中派」だった。その周さんがトラブルに巻き込まれたとすれば、それは一体なぜなのだろうか。
 周さんが何かの事件や捜査に巻き込まれて拘束されたことを立証する情報は今のところなく、断定はできないが、大学側や家族が2カ月以上連絡を取れないということは、過去の類似のケースからすれば、拘束の可能性は否定できない。
 すでに大学で何度か教授会なども欠席しているとみられ、学生たちに成績をつける試験や年度末も近づいており、大学側も公表に踏み切ったのだろう。このことは、病気や家庭の事情などではなく、何らかの異常事態であるという関係者の共通認識を示している。立命館大学関係者によると、すでに学内でも周さんの「失踪」情報は学部長レベルで今週共有されているという。
駐日大使館からの信頼も厚い
 周さんと筆者は10年以上の付き合いがあり、頻繁に連絡を取り合うほどではなかったが、周さんの専門である中国の環境問題について時々コメントを電話やメールで求めていた。半年ほど前、メールで1度やりとりし、「近いうちにお会いしましょう」という話もしていた。失踪したとの情報に接したとき、最初に思ったのは無事であることを祈りつつ、「あの周さんですら、『地雷』を踏んでしまったのかもしれない」という感慨だった。
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政策科学部の教授である周さん。安否が気遣われるが・・・(立命館大学HPより)
 周さんは浙江省出身で、若い頃から日本に留学し、研究者としては珍しく対外的な活動に自ら熱心に参加するタイプだった。日本在住の中国人系研究者らでつくる日本華人教授会議や、日中国交正常化以降に来日して長期在住する「新華僑」と呼ばれるグループなど、いくつもの中国人団体で指導的な立場にあった。
 また、中国政府の肝いりで日本の各大学で開設された中国語を学ぶ機関「孔子学院」についても積極的に関わり、立命館孔子学院の初代院長を務め、現在も名誉学院長の肩書きを持っている。2007年の温家宝首相(当時)の来日のときに、立命館大学に温家宝を招聘することに大きな役割を果たしたという話は有名である。
 中国の駐日大使館からの信頼も厚く、本国の政府にも複数の高級幹部にパイプがあるとされた。「親中派」であることを周さん自身も隠そうとしているわけでもなく、ことあるごとに「日中友好」の重要さをいつも訴えていた。ただ、学内で中国政府の方針と合わない立場にいる反体制人士を講演などに呼ぶことがあると、「中国政府がどう反応するか保証できませんよ」といった考えを伝えてかなり強硬に反対論を唱えることがあり、そうした中国政府べったりとも見える姿勢に疑問を感じる同僚も少なくなかったことは事実だ。
 ただ、周さんが日本において、中国政府と密接な関係を持ち、中国政府に近い立場を取っていたとしても、日本の法律の範囲内であるならば、別に問題であるわけではない。在日中国人にはそれぞれの主張や立場があり、日中関係が良好とは言えない状況でも、周さんのような存在が自由に活動できていること自体、日本社会の寛容な価値観を示すものである。
共通している「親中」の立場
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 最大の疑問は、周さんのように、日本において、中国政府の影響力を維持するにあたって強い味方となってきた人物が、どうしてこのようなトラブルに巻き込まれるのか、ということである。また、もし周さんが拘束されたとすれば、まったく逆説的に、中国政府と緊密な関係を持っていたからこそ、起きてしまった問題ではないかとも考えられる。
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 日本にいる中国出身の研究者をめぐっては、2013年に東洋学園大の朱建栄教授が中国当局に拘束され、約半年後に解放された。また、2014年には神戸大学の王柯教授も数週間にわたって拘束されている。今年3月には趙宏偉・法政大教授が中国で一時失踪状態になるなど、事例が相次いでいる。
 もちろん、それぞれ連絡が取れなくなったり、拘束されたりした理由は違うだろう。朱教授の場合は、日中関係に絡んだ部分で国家安全省から取り調べを受けたと筆者は聞いている。王教授は専門が中国の少数民族問題であり、中国政府と緊張関係にあるウイグル族の関係者との関わりもあったため、取り調べ対象になったとみられる。
 それぞれ内容は異なっていても、どの人物も日本においていわゆる反中的な主張を展開しているような人物ではないというところでは共通している。むしろ今回の周さんや朱教授のように、中国政府の立場や中国人の考え方を日本人に対して代弁する立場にいたという点に注目すべきだろう。
失脚した「令計画」の関係か?
 興味深いのは、これらの事件がいずれも2012年の習近平政権の登場以降に起きていることだ。この間、最大の出来事は、中国政治で激しい権力闘争が展開され、中国政治の構造的な変化が起きたことだ。それまでの「江沢民派」「共産党青年団派」という2つの流れに、「習派」が腐敗対策などを理由に敢然と切り込み、多くの逮捕者を出しながら、現在、習氏の指導的な立場が固まりつつある。
 周さんの場合、もし拘束だとすれば、国家安全に関する問題を扱う国家安全省や公安部門か、腐敗問題などを扱う中央検査紀律委員会の2つのルートが考えられる。
 環境問題が専門である周さんを、国家安全省が取り調べるというのはあまり考えられない。この場合は、周さんと繋がりがあった人物が腐敗摘発に絡んだ紀律委員会の調査対象となり、周さんも巻き込まれた、という風に推測することがもっとも蓋然性が高そうである。
 周さんと関係が深いのは、温家宝首相の招聘に関わったことでわかるように、胡錦濤前政権に近いグループだったとみられる。そのなかで当然思いつくのは、現在、胡錦濤氏の番頭役だった令計画・前党中央弁公庁主任が紀律委員会の捜査対象となり、失脚していることだ。
 もちろん周さんの知人が汚職に関わっていたというつもりはないが、その人脈に連なるトップの人物が捜査対象になるだけで、家族・知人・友人・同僚まですべての関係者が芋づる式に取り調べを受けることは、中国では当たり前のように起きている。
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 中国ではいったんスパイ容疑などで捜査対象となれば、数カ月の拘留などは当然のように行われる。しかも日本国籍を持っていなければ、完全に中国国民として調査を受けるわけで、北京にある日本の大使館も外交ルートで身元の安全を確認することすら困難なことになってしまう。外交部傘下である在日本の中国大使館もこうしたケースでは、本国の国家安全や公安にかかわる部門にコンタクトを取ることはかなり難しい。国籍を除いてほぼ日本人と同じように生活していた彼らは、日本と中国の間に落ち込んでしまう形になる。
誰も安全圏にいない時代
 在日中国人ではないが、先日北京で拘束された日本人の日中青年交流団体の幹部も、業界ではかなり有名な「日中友好人士」だった。
 国交正常化以降の日中関係には、過去から現在まで「友好的」であるか否かによって、関わる人間をスクリーニングする傾向があった。「友好的」と認定されれば、中国政府の人脈にアクセスできて、訪中の機会も増えて「熱烈歓迎」され、ますます中国ファンになるという無形の慣習が作られていた。
 それは日本人、中国人を問わず、常に「政治との距離」を近づけることが、仕事上のメリットを得る近道であり、そこには、人脈が何よりモノを言う、トップダウンで「人治」の中国社会の特色があるからだった。
 しかし、いまこうして「親中」あるいは「友好」人士の相次ぐ拘束を目の当たりにすると、なおさら我々は中国政治との距離感について考え直さなければならないと実感させられる。中国における最高指導者レベルで展開される熾烈な権力闘争や有無を言わさぬ意思決定の影響のもとでは、日々の地道な「日中友好」での貢献など役に立たず、まったく別の論理で一網打尽にされてしまう。それは文化大革命などの過去の苛烈な政治運動でも同様に見られた現象でもあった。
「後ろ盾」になっていた人が失脚すると、その人物との関わりは「地雷」になってしまうのである。中国を批判するかしないか、好んで付き合うかどうかはそれぞれの選択だが、中国政治との距離や人間関係には大きなリスクが伴っており、誰一人として安全圏にいないような時代に入ったことを、周さんの問題から改めて感じさせられる。

野嶋 剛
1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
◎新潮社フォーサイトの関連記事
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・遂に「令完成」が米国へ「機密情報」提供開始か
・トランプに「好感」を抱く中国人の心象風景を読む
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48795 

http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/864.html

[戦争b19] いよいよ太平洋に進出してきた中国空母艦隊  宮古海峡をやすやすと通航させないために日本がするべきこと  
いよいよ太平洋に進出してきた中国空母艦隊
宮古海峡をやすやすと通航させないために日本がするべきこと
2016.12.29(木) 北村 淳


空母「遼寧」西太平洋へ=遠洋訓練、実戦能力を誇示−中国

http://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/3/6/600w/img_36c600ef844f398357eaac048bbee1a6149068.jpg
中国海軍の空母「遼寧」(資料写真)。(c)AFP〔AFPBB News〕

 オバマ米大統領が大統領として最後のクリスマス休暇を過ごしている間に、中国人民解放軍海軍の空母艦隊が南西諸島ライン(中国が言うところの「第一列島線」の一部)を越えて西太平洋に進出した。

 1996年に勃発したしたいわゆる第3次台湾海峡危機の際は、中国海軍はアメリカが台湾周辺海域に派遣した2つの空母艦隊(第7空母戦闘群、第5空母戦闘群)に威圧され、全く手も足も出なかった。その姿を思い起こすと、(依然として中国空母艦隊は米海軍空母打撃群に比べると戦力的に大きく後塵を拝しているとはいえ)過去20年間における中国海洋戦力の強化ぶりには目を見張らざるを得ない。

20年前に着手した中国海軍の近代化

 1980年代半ばにケ小平が推進した経済発展政策と連動して、中国共産党はケ小平の片腕であった海軍司令員劉華清提督が立案した海軍戦略に基づき、人民解放軍海軍の近代化をスタートさせた。

 しかしながら、陸上戦力強化と違って海軍建設には25年はかかると言われる。そのためアメリカ空母艦隊による恫喝の前に為す術がなかった1996年当時は、中国海軍はまだ旧式艦艇・航空機を取りそろえただけの弱体海軍であった。当時と現在の戦力を比較してみよう。

【戦略原潜】

 1996年当時、中国海軍は一応核弾道ミサイルを搭載した092型戦略原潜を保有していた。しかし、原潜もミサイルも、アメリカにほんのわずかな脅威も与えられない代物であった。

 現在、すでに092型戦略原潜は退役し、094型戦略原潜4〜5隻が就役しており、さらに新鋭096型戦略原潜が開発中である。

【攻撃原潜】

 中国海軍は、戦略原潜と同じく“一応”攻撃原潜も保有していた。しかし、当時5隻運用されていた091型攻撃原潜は「騒音をまきちらして」潜航することで勇名を馳せる代物であった。そのため、原潜を保有していない海上自衛隊にとってもさしたる脅威ではなく、まして米海軍にとっては玩具のような存在だった。

 現在、091型攻撃原潜は全て退役し、093型攻撃原潜4〜6隻が就役あるいは試験運用中である。さらに新型の095型攻撃原潜も就役し追加建造中といわれている。

【水上戦闘艦】

 第3次台湾海峡危機勃発時期に中国海軍が保有していた駆逐艦17隻のうち16隻の051型駆逐艦は、当時の水準でも旧式艦であった。そして、そこそこ近代的な軍艦である052型駆逐艦1隻が、ようやく就役した。駆逐艦より小型のフリゲートも、当時中国海軍が保有していた36隻のうち30隻が旧式の053型フリゲートで、やや改良型の053H型フリゲートがようやく誕生したといった状況であった。

 現在、中国海軍から老朽駆逐艦は姿を消し、1996年当時新型艦として誕生した駆逐艦は最も旧式の駆逐艦となっている。国際水準に照らしても新型艦と見なせるものを含めて駆逐艦28〜30隻、フリゲート45隻が就役している。

【航空母艦など】

 潜水艦や主力水上戦闘艦だけでなく、小型水上戦闘艦や水陸両用戦用艦艇、それに補給艦などの補助艦艇に関しても、20年前は「多数の旧式あるいは老朽艦」という表現が当てはまる状況であった。

 それらが現在は一新されている。そして、空母運用訓練用とはいえ、航空母艦「遼寧」を運用し、2隻の新型航空母艦を建造しているのに加えて、強襲揚陸艦や揚陸輸送艦の建造も急ピッチで進められている。

【海軍航空機】

 各種艦艇と同じく、20年間での中国海軍航空戦力も大幅に近代化されている。第3次台湾海峡危機当時、中国海軍航空隊が保有していた戦闘機・戦闘攻撃機の数はおよそ700機であった。だが、全て当時の水準においても旧式あるいは老朽機であり、アメリカ空母が艦載していた100機ほどの戦闘機に全て撃墜されてしまう程度の戦力に過ぎなかった。

 また、中国海軍は爆撃機も155機ほど保有していたが、そのうちの130機は骨董品のような代物であり、残りの25機も旧式航空機だった。とてもアメリカ海軍や海上自衛隊に脅威を与えるような能力は持ち合わせていなかった。

 現在、それら全ての旧式機・老朽機は姿を消した。そして中国海軍航空隊は、航空自衛隊の戦闘機に勝るとも劣らない新鋭機を含めて、322機の戦闘機・戦闘攻撃機と50機の爆撃機を保有している。

 なお、中国空軍は海軍航空隊よりも最新鋭の戦闘機を保有しており、700機以上の新型戦闘機、300機ほどの戦闘攻撃機に加えて80機の爆撃機を運用している。

臥薪嘗胆の成果

 アメリカ海軍空母艦隊による威圧の前に惨めに屈せざるを得なかった中国海軍は、上記のごとくまさに臥薪嘗胆し、強力な海軍の建設に邁進している。

「アメリカ海軍の接近を中国沿岸域からできるだけ遠方で阻止し、中国の近海域でアメリカやその同盟国の海軍には自由な行動をさせない」という、劉華清が打ち立てた中国海軍戦略の目標を達成できるだけの戦力にはまだ到達していると言えない。だが、20年前の惨めな「闘わずして完敗した」状況に比べると、かつてはアメリカ海軍が完全に取り仕切っていた西太平洋に自前の空母艦隊を繰り出すだけの実力を手にしたことは事実である。

 過去20年間における日本の海洋戦力の推移と比較すると、(実際に戦闘を交えなければ真の実力は分からないとは言うものの)中国海洋戦力を侮るような態度は、明らかに捨て去らねばならない。

中国空母艦隊が持つ強力な攻撃力

 今回、いわゆる宮古海峡を通過して西太平洋に繰り出した中国海軍空母艦隊(空母1隻、駆逐艦3隻、フリゲート2隻、コルベット1隻、補給艦1隻)の戦闘力は以下の通りである。

・空母に艦載されるJ-15戦闘機24機(敵航空機や、敵艦を攻撃する)
・空母や水上戦闘艦に搭載される各種ヘリコプター16機(敵潜水艦を攻撃する)
・対空ミサイル244基(敵のミサイルや航空機から味方艦艇を防御する)
・対艦ミサイル52基(敵水上艦艇を攻撃する)
・対潜ミサイル16基(敵潜水艦を攻撃する)
・対地ミサイル16基(敵地上目標を攻撃する)
・魚雷32基(敵水上艦艇や潜水艦を攻撃する)
・機関砲6門

 また、海上自衛隊に視認され公表された8隻の水上艦艇以外にも、1〜2隻の攻撃原潜(魚雷、対艦ミサイルを装備)が同行していると考えられる。

 これらの装備の搭載数は、あくまで搭載可能最大数であり、フル装備で行動することは戦時でない作戦行動ではほとんど考えられない。とはいうものの、これだけ強力な攻撃力を有する艦隊が、南西諸島ラインを横切って日本周辺海域で行動するようになることは、日本にとっては大いなる軍事的脅威となることは言を待たない。

中国艦隊を心理的に圧迫する策とは

 日本としては、アメリカに縋ってアメリカ海軍が息を吹き返すのを気長に待ち、場合によってはアメリカ海軍も中国海軍に歯が立たなくなってしまうという他力本願の危険を冒すのではなく、自らの力で中国海軍空母艦隊の行動をある程度は牽制する態勢を固めなければならない。

(もっとも、日本が核武装をしない限り、中国に核恫喝されないためには核を保有する同盟国の抑止力を期待するしかない。よって自主防衛態勢の効果はあくまで限定的とならざるを得ないことは念頭に置いておくべきである。)

 どんなに強力な攻撃力を備えた中国艦隊といえども、宮古海峡を通過しなければ東シナ海と西太平洋を行き来することはできない。そして、宮古海峡の両端は日本の領域である。したがって日本側が宮古海峡両端に、中国艦隊に大いなる脅威を与える戦力を配備すれば、中国海軍艦隊が宮古海峡を通航する際には心理的な圧迫を受けざるを得なくなる。

 ただし、海上自衛隊の水上戦闘艦や潜水艦や哨戒機、それに航空自衛隊の戦闘機や警戒機などを多数急造して宮古海峡周辺の海域や空域を埋め尽くすことは、予算的にも、人員的にも、時間的にも不可能に近い。2017年からでもすぐさま実行できる現実的な防衛策は、宮古海峡の両端に強力な地対艦ミサイル部隊と防空ミサイル部隊を配備し始めることである。

宮古海峡を通航する中国艦艇を心理的に圧迫するミサイルバリア
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/8/1/-/img_81129aa19156bc81c1f2e4cfde135d4479838.jpg

 宮古島などにはこの種のミサイル部隊を配備することになっているが、数年後から実戦配備する、といった悠長なテンポでは話にならない。すでに中国空母艦隊が通過しているのだ。また、現在予定されている程度の小規模なミサイル部隊では中国艦隊に心理的脅威を与えることはできない。上記のように、今回通過した空母艦隊だけでも少なくとも244基以上の防空ミサイルを携行することができる。ということは、陸上自衛隊地対艦ミサイル部隊も、200基あるいはそれ以上多数の地対艦ミサイルを装備する必要があろう。万一の場合は中国艦艇に向かって連射し、中国艦隊の対空ミサイルを撃ち尽くさせた後に、さらに攻撃を加えて中国艦艇を撃破させられるだけの能力を見せつけなければならない。

 幸いなことに、陸上自衛隊には地対艦ミサイル運用に特化した世界でも稀な「地対艦ミサイル連隊」が存在する。また、日本独自で高性能地対艦ミサイルを開発製造しているため、装備の輸入といった頭の痛い問題も生じない。そしてなによりも、軍艦や航空機に比べると地対艦ミサイルシステムや地対艦ミサイルそのものの価格は極めてリーズナブルである。

 宮古海峡で中国海軍に心理的プレッシャーをかけ、日本周辺海域を我が物顔に動き回らせないためのミサイルバリア構築に必要なのは、安倍政権と国防当局の覚悟だけである。来年こそ、日本防衛の切り札としてミサイルバリア構築元年にしなければならない。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48792
http://www.asyura2.com/16/warb19/msg/418.html

[経世済民117] 日本株下落、米大統領選後で最大の下げ−米住宅統計の低調と円高推移 中国経済17年のリスク震源地−専門家が警告する4つの点
日本株下落、米大統領選後で最大の下げ−米住宅統計の低調と円高推移
長谷川敏郎
2016年12月29日 07:57 JST 更新日時 2016年12月29日 12:05 JST
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東証1部33業種は輸出や素材、銀行中心に32業種が安い
日柄・スピード調整から値幅調整局面に変化と市場関係者
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29日午前の東京株式相場は下落。米国の中古住宅販売の減少や為替の円高傾向が嫌気され、電機など輸出株や鉄鋼など素材株、海運株と景気敏感業種が下げた。米国の金利低下や金融株下落の影響で銀行、証券など金融株も売られ、東証1部33業種中、32業種が安い。
  TOPIXの午前終値は前日比15.57ポイント(1%)安の1521.23と反落、日経平均株価は190円79銭(1%)安の1万9210円93銭と続落した。両指数の日中安値の下落率(1.2%)、下げ幅(TOPIX18.51、日経平均233円)の大きさは米大統領選直後の11月9日以来。
  いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「トランプ次期米大統領への期待先行相場が終わり、現実を直視する場面に入った」と指摘。年3回の利上げを見込むほどの米景況感の良さが前提になっており、「つまずくような指標が出れば、金利が下がり、円高になる懸念がある」と話した。
東証プレート
東証プレート Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  全米不動産協会が28日に発表した11月の中古住宅販売成約指数は、前月比2.5%低下した。住宅ローン金利の上昇や在庫不足が要因。エコノミスト予想は0.5%上昇だった。「米金利は一気に上がり過ぎている。景況感以上に金利が上昇すると、経済にマイナス」と、いちよしアセットの秋野氏はみている。
  28日の米10年債利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げ2.51%。きょう午前のドル・円相場は、一時1ドル=116円60銭台と前日の日本株終値時点117円54銭からドル安・円高方向に振れた。
  アイザワ証券投資顧問室の三井郁男ファンドマネジャーは、「米中古住宅販売はピークアウト感が出て、久しぶりに悪い指標だった」と分析。先週発表された17日終了週の新規失業保険申請件数の増加から判断し、雇用環境もピークに近い動きで、「12月の雇用統計がピークに張り付いてから弱含むことも場合によってはあり得る」と先行きに懸念を示した。来年1月にかけ、「市場が織り込んでいる良好な米景気の見方と実際の経済との乖離(かいり)がテストされる場面がありそう」と言う。
  直近の日本株は米景気や企業業績の先行き期待から大きな株価調整に至らなかったが、あすの大納会を前にきょう午前は値幅を広げて下げた。アイザワ証の三井氏は、日柄中心だった調整で値幅も出るなら、「日経平均は25日移動平均線近辺の1万8800円程度をいったん試す可能性がある」と指摘した。28日時点の25日線は1万8879円。
  東証1部売買高は12億3473万株、売買代金は9549億円。値上がり銘柄数は293、値下がりは1624。東証1部33業種は鉄鋼、海運、銀行、証券・商品先物取引、電機、石油・石炭製品、非鉄金属、機械など32業種が下落。食料品1業種のみ小幅上昇。売買代金上位では、国内外の格付け会社による格下げが相次いだ東芝がきょうも下げ止まらず、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が投資判断を「中立」に引き下げたりそなホールディングスも安い。
日経平均と25日線の推移
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iZFrQvIY3KjE/v2/1200x-1.png
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-28/OIX3366JTSEC01


 

中国経済、2017年のリスク震源地はどこか−専門家が警告する4つの点
Bloomberg News
2016年12月29日 11:44 JST

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アジアアナリティカは資本流出が1−3月に一段と加速すると予想
UBSウェルスマネジメントの余氏は過度な金融引き締めの恐れ指摘


中国経済の均衡を図るのが一段と難しくなりつつある。

  中国当局は急成長を維持しながら、過剰な借り入れや高騰する不動産価格の抑制に取り組んでいる。また、米国の金利が上昇する中で人民元下落と資本流出の圧力に対応しているほか、貿易や台湾問題でトランプ次期米大統領と対立するリスクも浮上している。
  事情に詳しい関係者が先週語ったところによれば、共産党中央財経領導小組の会合で、習近平国家主席(総書記)が過度なリスクを伴うのであれば国内経済を2020年まで年6.5%成長させるとの目標を下回ることを容認する考えを示した。中国指導部は17年にリスクを低減させる方針を示している。
深圳の建設現場 
深圳の建設現場  Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
  専門家は中国の来年の成長率見通しを引き上げており、大きな混乱はないとみているが、経済成長を大きく落ち込ませ、金融のシステミックリスクを引き起こす恐れがあるとして、4つの点を警告している。

資本流出の加速

  一つ目は資本流出の加速だ。調査会社アジアアナリティカのマネジングディレクター、ポーリン・ルーン氏(香港在勤)は今年10−12月(第4四半期)の資本流出が2000億ドル(約23兆4000億円)を超え、来年1−3月(第1四半期)には一段と増加すると予想する。

  同氏は米金利上昇やドル高といった理由以上に、より根本的な要因が資本流出を招いていると指摘。元安予想の広がりや突然の政策転換で中国本土内の資金が引き出せなくなる可能性、コストが上昇し成長が鈍化する中で採算性の良い投資機会が不足していることなどをそうした要因として挙げた。

貿易戦争

  2番目は貿易戦争だ。トランプ氏は中国の貿易慣行を頻繁に批判してきたカリフォルニア大学アーバイン校教授のピーター・ナバロ氏を新設の「国家通商会議」トップに起用した。
政策の誤り
  次が政策の誤り。UBSウェルスマネジメントの英投資部門責任者、余修遠氏(ロンドン在勤)はこれを来年の主なリスクとみている。同氏は金融の状況は既に「かなり積極的」に引き締められているとし、引き締め過ぎが最も大きなリスクの一つだと指摘。「こうしたリスクを軽減するには大規模な財政支出が必要になる」と述べた。

不動産価格下落

  最後は不動産価格の下落だ。UBSグループの中国経済調査責任者、汪涛氏(香港在勤)は、不動産市場の低迷で建設や関連投資のペースがさらに減速して経済成長が鈍化すると予想。魅力的な投資プロジェクトが乏しいことから生じるインフラ投資不足が、こうした状況を深刻化させる可能性があると指摘した。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iOMN0RvROpFI/v2/-1x-1.png

原題:China Fault Lines: Where Economic Turbulence Could Erupt in 2017(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-29/OIXC4F6KLVR801

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/301.html

[政治・選挙・NHK218] 情報戦の裏側 (第7回) 受動喫煙対策、中露も屈した「五輪前国際圧力」に日本も無力
情報戦の裏側
【第7回】 2016年12月29日 窪田順生 [ノンフィクションライター]

受動喫煙対策、中露も屈した「五輪前国際圧力」に日本も無力


10月に厚生労働省が出した「受動喫煙防止の強化案」が大論争を巻き起こしている。情報戦を丹念に読み解くと、これは、受動喫煙対策という「原則論」からではなく、IOCとWHOという2つの国際機関に日本政府が屈したから、という構図が見て取れる。(ノンフィクションライター 窪田順生)

厚労省案に猛反発する
飲食業界とパチンコ業界

 2017年は日本中で「たばこ」をめぐる情報戦が激化していきそうだ。

 既に論争になっているように、厚生労働省の受動喫煙防止対策強化検討チーム・ワーキンググループが10月、ホテルや飲食店などのサービス業などについて建物内は原則禁煙とし、壁などで完全に仕切られた「喫煙室」を設置した場合に限って喫煙を認めるという「受動喫煙防止の強化案(たたき台)」を示した。


長年、日本医師会が訴えてきても微動だにしなかった受動喫煙対策強化が、ここにきて大きく動き始めた。背景には、国際社会においてゴーイングマイウェイを貫く、あの中国とロシアも屈したIOCとWHOによる“国際圧力”がある
 これに真っ向から反対しているのが飲食店・パチンコ業界の方たちだ。

 小規模な事業者はスペースや資金面から「喫煙室」などつくれない。さりとて、「タバコは外でお願いします」なんてことを言ったら、客足が遠のいてしまうというのだ。

 また、パチンコの場合、施設利用者の喫煙率が43%と圧倒的に高いことに加え、業態的に風営法に基づき、所轄警察から厳密に管理をされるため、喫煙室設置の改装をするとなると、許認可の手続きで営業を停止しなくてはいけない。商売あがったりだというのだ。

 もちろん、ただ反対しているだけではない。厚労省案へのカウンターとして、「反対」姿勢を鮮明にしている産経新聞の記事内で「民業圧迫」の世論ムードの形成に余念がない。

「店を潰す気か!」(産経ニュース12月1日)
「完全禁煙にすることで小規模店はつぶれて家族が路頭に迷う」(SankeiBiz12月17日)

 しかし、喫煙者が「大事なお客様」という業界には気の毒だが、この厚労省案に多少の譲歩はあっても、方針が大きく覆ることはないと個人的には見ている。

「たばこ」と「オリンピック」が
大いに関係している理由

 受動喫煙が子どもや妊婦に深刻な健康被害をもたらすという医学的な見地や、吸わない人にとっては不愉快極まりないというマナー的な見地からではない。ごくシンプルに政治情勢から見て、圧倒的に分が悪いからだ。

 受動喫煙防止条例が施行された神奈川県を調査した、産業医科大学の大和浩教授によると、条例施行後に飲食店は売上が落ちたというデータはなく、むしろファミリー層が増えて売上が上がった店もあるという。海外でも禁煙した飲食店は売上が上がったというデータがあるが、逆を示すエビデンスはない。

 先進国でほとんど建物内禁煙が主流のなかで、「たばこ対策を進めると飲食店は死屍累々で景気が悪化」という主張は、感情的には理解できるが、それを裏付ける客観的なデータがないのだ。大和教授が「根拠のない通説だ」とバッサリやっているように、厚労省からもスルーされる可能性が高い。

 それに加えて、なによりも筆者が「分が悪い」と感じるのは、東京オリンピックにおけるボート・カヌー、水泳、バレーボールの開催場所を巡っては、あれだけ大騒ぎをしたわりに、まるで予定していたかのように「元サヤ」に落ち着いた事実があるからだ。

「は?たばこ規制の話に、オリンピック会場なんて関係ないだろ」というツッコミが多く寄せられそうだが、実は大いに関係あるのだ。

 それは、今回の厚労省案を出した10月14日、塩崎恭久厚労大臣が述べた言葉にすべて集約されている。

「WHO(世界保健機関)の報告では、日本の受動喫煙防止対策は世界でも最低レベルと言われているわけであります。また、罰則を伴う受動喫煙防止対策をオリンピック開催国はみんなやっているわけです。そういう諸外国の常識を考えて、スモークフリー社会に向けて歴史的な第一歩を日本も踏み出さないといけないという認識で、厚生労働省案を取りまとめたということであります」

 角のとれた言い方ではあるが、「WHO」と「オリンピック」という、2つの「外圧」が厚労省案誕生に大きく寄与している、と受け取れなくもないのだ。

中国とロシアも屈した
IOCとWHOの“豪腕”

 ここで世界の禁煙事情に詳しい方はピンとくるだろう。実はこの2つの「外圧」は、我々の想像以上に密に連携している。IOC(国際オリンピック委員会)とWHOは、タバコのないオリンピックを約束する覚書を締結している。そう聞くと、「はいはい、スポーツの祭典だから健康に気を遣いましょうってことでしょ」と思うかもしれないが、そういうスローガン的な話ではなく、実務レベルで「オリンピック開催」と「受動喫煙防止対策」をワンセットで進めてきたのである。

 しかも、その剛腕ぶりはハンパではない。

 タバコ消費量世界一、かつ喫煙率も急速に上がっている中国でも、北京五輪開催と引き換えに、飲食店を含む公共の空間はすべて全面禁煙を義務付け、違反者には罰金も課す受動喫煙防止条例が制定された。同じく消費量、喫煙率ともに高いロシアでも、ソチ五輪開催で同様の規制がされた。

 国際社会においても頑なにゴーイングマイウェイを貫くこの2国が、IOCとWHOのタッグにいともあっさりと屈しているという事実がありながら、日本だけが「あ、ウチは禁煙席と喫煙席で分けてんで大丈夫っスよ」なんて突っぱねられるとは到底思えないのだ。

 いや、JTのCMでやっているみたいに、日本は世界一進んだ分煙技術があるし、なんてたって「おもてなし」に象徴されるみたいに民度が高いから問題ないよ、と反論したくなる方もいると思うが、IOCとWHOはそのような開催国特有の事情などまったく考慮はしてくれない。

 その根拠が先ほど申し上げた、ボート・カヌー、水泳、バレーボールの開催場騒動だ。

 情報番組なんかでは生中継までして大騒ぎをしたので、いまさら細かい説明はしないが、小池百合子東京都知事が「長沼ボート場でやれば、コストも低く抑えられるし復興オリンピックにもなる」という提案に、国内世論は大いに盛り上がった。

「メリット、デメリットは?」「被災地の反応は?」なんて感じでマスコミも大騒ぎしたが、蓋を開けてみればあっさりと「元サヤ」に落ち着いた。もちろん、経費削減という大きな成果は生まれたが、これは開催費用を抑えて、招致辞退が相次ぐ「不人気」さに歯止めをかけたいIOCと利害が一致したからだ。

 IOCは、開催場所という当初の方針は1ミリたりとも譲歩していないのだ。

日本医師会も首をかしげる
政府の唐突な方向転換

 これについて、日本のメディアはどうしてもエンターテインメント化したがるので、「森喜朗組織委員会会長が悪い」みたいな論調になりがちだが、裏で糸を引いているのは、競技団体の意を汲んだIOCであるのは明らかだ。

「東京五輪で日本経済が復活」などという論調がいまだにあるように、日本人からすれば、「東京オリンピックなんだから当然、日本のメリットになるような大会にしよう」と思うが、実はそもそもオリンピックはそういうイベントではない。開催国は、IOCに承諾してもらった仕様書どおりに事を進めるということで、イニシアティブは完全にIOCにある。

 そういう厳しい「現実」を踏まえると、厚労省案に反対する方たちが公開ヒアリングなどで訴えていた「東京五輪では日本の素晴らしい分煙技術を世界にアピール」「世界に誇る日本の喫煙マナーなら規制など必要はない」なんて主張も心情的には理解できるものの、戦時中の「いくぞ1億火の球だ」みたいな無謀さを感じてしまう。

「無謀」という厳しい表現を使ったのは、これまでの状況からすると、既に日本政府が、IOCとWHOの方針に屈している可能性が高いからだ。

 今回の厚労省案を受けて、長年受動喫煙防止対策に尽力をされてきた羽鳥裕・日本医師会常任理事にインタビューをした時、興味深いことをおっしゃっていた。

「これまで日本医師会としても幾度となく建物内禁煙の重要性を訴えてきました。厚労省の担当者はお招きすると禁煙イベントなどは必ず参加してくれましたが、正直、そこまで積極的はありませんでした。それが2015年あたりからガラッと変わった。正林(督章)さんが健康課長となったことも大きいが、なぜ厚労省が急にやる気になったのかは、私たちも首をかしげています」

もはや受動喫煙対策は
官邸主導の「国策」に

 つまり、今回厚労省が「建物内原則禁煙」という、かなりハレーションを生むたたき台を出したのは、健康被害を長年訴える医療界の声に押されて、ついに重い腰を上げたというわけではなく、「大きな力」が動いたのだ。

 お分かりだろう、官邸だ。

 ちなみに、正林健康局健康課長は、今回の厚労省案のキーマンとされる人物で、反対派から目の敵とされている。「禁煙学会」の総会で医師たちに「協力」を呼びかけたことが、「はなから公正を欠いている」(夕刊フジ11月11日)と批判されたほか、「週刊新潮」では、業界団体ヒアリングで喫煙車両が残る近鉄の担当者に「理由」を尋ねたことが「いじめ」だと叩かれた。

 ただ、冷静に考えてみると、喫煙者だけではなく、さまざまな業界に激震が走るような厳しい規制を、課長1人の裁量で進められるほど厚労省は自由な組織ではない。先ほど紹介した、塩崎大臣の力強いメッセージからしても、これはもはや厚労省がどうのこうのというレベルの話ではなく、安倍政権が主導して推し進めている「国策」なのは明らかだ。

 原発再稼働、沖縄の基地問題を見ても、「国策」というのは国家権力の最高峰によってビタッと敷き詰められたレールだ。それを転換させるのは、一部の猛烈な抗議や反対程度ではどうにもならないという現実がある。

 喫煙者や飲食業界の方たちには気の毒だが、状況からすると「受動喫煙防止対策」はもはや完全にそのレールに乗っている、と言わざるをえない。

 根拠は、今年の1月に出た「観測気球記事」だ。

 政治家や官僚というのは、なにか大きな話を進めようとする時、どこかの1社だけにネタとして提供をして大きく書かせて、政治的な駆け引きに利用したり、世論の反応を見たりする。マスコミ業界では、「観測気球記事」と呼ばれる。

 たとえば、最近世間で注目されたIR推進法。法案通過の経緯からもIRというのが「国策」であることに説明の必要はないだろう。この繊細なテーマを進めるためにも、政府は「観測気球記事」を多用した。わかりやすいのが、15年2月に読売新聞1面に出たスクープだ。

カジノ候補地 横浜・大阪 2020年開業目指す 政府方針(読売新聞2015年2月19日)

すでに1月には
観測気球記事が出ていた

 まだ推進法すら通っていないのに「候補地」など決まっているわけがない。にもかかわらず、こういう記事を読売新聞が自信をもって報じるということは、「政府のそれなりの立場」の人間がしっかりとネタ元にいるということだ。

 では、なぜ「政府のそれなりの立場」が読売だけにそういう情報を流すのか。とっても大事なお友達、なんてワケはない。当時はIR推進法を巡って慎重な姿勢をとっていた公明党と「調整」をしていた時期だ。なにかしらの「政治意図」があるリークだというのは、容易に想像できよう。

 今回の受動喫煙防止対策強化でも、似たような「観測気球記事」が確認できる。

 実は1月に、たばこ業界、医療業界、そして筆者のようにたばこを取材している人間が衝撃を受けるような「情報」が飛び出していたのである。

「公共施設 全面禁煙 政府 受動喫煙防止へ新法」(読売新聞2016年1月5日)

 他紙にはそんな話は一切出ておらず、読売だけの特ダネである。当時、自民党の議連や超党派議連が連携して、受動喫煙防止を推進する法案を提出しようと調整をしていた。慌てて、議連の関係者に問い合わせをしたところ、「寝耳に水」という。

 自民党議連も把握していない動きで、このような報道を仕掛けられる者は、永田町では「官邸」をおいて他にはない。1月にこういうネタを読売に“食わせている”ということは、裏を返せば、IR推進法同様に「国策」として推し進めていくという揺るぎない方針があるということだ。

 もちろん、飲食業界やタバコ業界、そして愛煙家の方たちも、このまま黙ってやられるわけにはいかないだろう。

 かつての「禁煙ファシズム」論争を持ち出したり、「日本は世界のルールなどにとらわれない特殊な国だ」という国民的な世論喚起をしたりして、第2次世界大戦前の日本のように、「国際連盟」から脱退すべきと主張する戦い方も、なくはない。

 また、紙巻きタバコは諦める代わりに、煙の出ないiQOSなど「加熱式タバコ」のお目こぼしを狙うという「降参交渉」の道もあるだろう。

 2017年は、「たばこ」をめぐる熾烈な情報戦が繰り広げられることだろう。
http://diamond.jp/articles/-/112749
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/359.html

[不安と不健康18] 長期休暇中に起きる「睡眠の病気」に要注意!休日に「寝だめ」をしてはいけない 朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」
朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」
【第11回】 2016年12月29日 坪田 聡

長期休暇中に起きる「睡眠の病気」に要注意!

「7時間睡眠がいちばん良い」「短眠は寿命を縮める」……。こうした常識、はたして本当なのだろうか?20年以上睡眠専門医として活躍中の坪田聡氏は、「睡眠のよしあしは『時間』だけでは測れない」「睡眠は『時間』と『質』のかけ算で決まり、質を高めれば5時間でも健康的な毎日を過ごせる」と言う。
しかし、短時間の睡眠では、日中にだるさが残る我々にとっては信じられない話だ。どう「質」を上げればよいというのだろうか。
そこで、最新刊『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』が話題沸騰の坪田氏に、その具体策を教えてもらう。今回は、長期休暇中に気を付けたい“ある病気”について教えてもらった。


長期休暇中の寝すぎや夜更かしで起こる「セルフ時差ボケ」とは??Photo:vchalup-Fotolia.com
生活習慣が作り出す「セルフ時差ボケ」に要注意?


坪田聡(つぼた・さとる)
日本睡眠学会所属医師、医学博士。雨晴クリニック(富山県)副院長。睡眠専門医として、20年以上現場に立ち続ける。日本睡眠学会の他、日本スポーツ精神医学会、日本医師会、日本コーチ協会にも所属。ヘルスケア・コーチング研究会代表世話人も務める。1963年生まれ。石川県在住。日本を睡眠先進国にし、睡眠の質を向上させるための指導・普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチの資格を取得し、「睡眠コーチング」を創始。2007年から生活総合情報サイト「All About」の睡眠ガイドとして、インターネット上で睡眠に関する情報を発信中。『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』(すばる舎)、『快眠★目覚めスッキリの習慣』(KADOKAWA)、『能力が5倍アップする 睡眠法』(宝島社)、『専門医が教える毎日ぐっすり眠れる5つの習慣』(三笠書房)など著書多数。
「年末年始はゆっくり寝るぞ!」そう思っている人も多いだろう。そんな人は、長期休暇中の「寝すぎ」や「夜更かし」が原因で起きる睡眠の“ある病気”に注意してほしい。

?長期休暇明けに多く現れるのが「睡眠相後退症候群(すいみんそうこうたいしょうこうぐん)」という病気だ。
?これは、睡眠時間が日常生活を送るのに適した時間帯よりも、遅い時間帯で固定されてしまっている状態のこと。夜更かしを続けていたために、体内時計の「睡眠」のプログラムが遅い時刻に設定されてしまったのだ。
?いわば「セルフ時差ボケ」のような状態である。

?自覚症状としては、休み明けに学校や会社へ行くために早い時刻に起きると「頭痛や頭
の重さを感じる」「食欲がなくなる」「なんとなく体がだるい」「集中できない」「眠気がとれない」などだ。

?休みだからと言って寝すぎずに、以前の記事でお伝えした「ホリデーナップ」を使いながら、上手に今年の疲れを取ってほしい。

「睡眠相後退症候群」の対処法

?万が一、不規則な生活をしてしまい、セルフ時差ボケ状態をつくりだしてしまった場合は、早め対処をしよう。放っておくと、症状が数ヵ月〜数年も続いてしまうことがある。体調不良が慢性的に続くことで、自信がなくなったり気持ちが落ち込んだりして、抑うつ症状につながってしまうこともあるので、注意したい。

?対応策としては、起床時刻をしっかり定め、夜は思い切って「眠くなるまで、何時になろうとふとんには入らない」という時間療法が有効だ。
「朝6時に起きる」ということだけ定め、深夜2時になっても3時になっても、眠くならないうちはふとんには入らない。

?すると、たとえその日の睡眠時間が1時間半ほどしかとれなくても、睡眠時間が足りないために、翌日の夜にはしっかり眠くなる。眠くなったら早めに寝て、また朝6時に起きる。起床時刻を定めたまま1週間ほどたったころには、体内時計は元のリズムに戻っているはずだ。

?ただし、これはあくまで最悪の事態の対処法である。休日、平日を問わず、普段から睡眠の質を高めることをしっかり意識しよう。そうすれば、短い睡眠時間でも充実した毎日を送れるようになる。平日、休日ともにこれまで以上に素晴らしい日々が待っているはずだ。そのために、拙著『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』もぜひ参考にしていただけると嬉しい。
http://diamond.jp/articles/-/111301

【第9回】 2016年12月23日 坪田 聡
休日に「寝だめ」をしてはいけない理由
「7時間睡眠がいちばん良い」「短眠は寿命を縮める」……。こうした常識、はたして本当なのだろうか?20年以上睡眠専門医として活躍中の坪田聡氏は、「睡眠のよしあしは『時間』だけでは測れない」「睡眠は『時間』と『質』のかけ算で決まり、質を高めれば5時間でも健康的な毎日を過ごせる」と言う。
しかし、短時間の睡眠では、日中にだるさが残る我々にとっては信じられない話だ。どう「質」を上げればよいというのだろうか。
そこで、最新刊『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』が話題沸騰の坪田氏に、その具体策を教えてもらう。今回は、休日にしてしまいがちな「寝だめ」のデメリットと、休日の睡眠のとり方について教えてもらった。


とっても幸せな休日の「寝だめ」。しかし、体にとってはよくなかった!?
Photo:naka-Fotolia.com
休日の「寝だめ」は、むしろマイナスである


坪田聡(つぼた・さとる)
日本睡眠学会所属医師、医学博士。雨晴クリニック(富山県)副院長。睡眠専門医として、20年以上現場に立ち続ける。日本睡眠学会の他、日本スポーツ精神医学会、日本医師会、日本コーチ協会にも所属。ヘルスケア・コーチング研究会代表世話人も務める。1963年生まれ。石川県在住。日本を睡眠先進国にし、睡眠の質を向上させるための指導・普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチの資格を取得し、「睡眠コーチング」を創始。2007年から生活総合情報サイト「All About」の睡眠ガイドとして、インターネット上で睡眠に関する情報を発信中。『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』(すばる舎)、『快眠★目覚めスッキリの習慣』(KADOKAWA)、『能力が5倍アップする 睡眠法』(宝島社)、『専門医が教える毎日ぐっすり眠れる5つの習慣』(三笠書房)など著書多数
?朝、目が覚めたけど、まだ眠い……。でも、今日は休日。いつものように、無理に起きる必要はない。今日は予定もないから、しっかりと「寝だめ」しておこう――。

?休日に、そのような睡眠のとり方をしてしまう人も多いだろう。しかし、睡眠をいたずらにたくさんとっても、平日の疲れを回復させることはできない。
?
?溜まった睡眠不足を、専門的には睡眠負債と呼ぶ。睡眠負債は、一度たくさん眠っただけでは返済することができないのだ。

?それどころか、休日の起床時刻を平日から2時間以上遅らせてしまうと、体内時計の調節が狂い、休み明けに起きるのがいっそうつらくなってしまう。

平日の睡眠負債を返済する「ホリデー・ナップ」

?休日は、長く何時間も眠るより、いっそいつもと同じ時間に起きてしまって日中に仮眠
をとるほうがよい。

?休日に適した仮眠にホリデー・ナップがある。ホリデー・ナップでとる睡眠時間は90分。ノンレム睡眠とレム睡眠の周期1回分だ。

?ホリデー・ナップは、夜の睡眠を妨げないために15時までにとるようにしたい。予定のない休日は早めにランチを食べ、13〜15時の間でホリデー・ナップをとると理想的な休息がとれる。

?通常の仮眠は、横に寝てしまうと深い眠りに入りすぎるので、座ったままがよいが、ホリデー・ナップは、横になってもよい。ただ、90分以上寝てしまわないように、アラームをしっかりとセットしておこう。

?また、睡眠時間の合計が90分以内であれば、ホリデー・ナップは何度とってもよい。朝、一度起きてから、15時までの間に、10〜15分ずつこまめにとるのも決して間違いではない。

?朝からダラダラ寝続けるより、覚悟を決めて一度起きてしまい、足りない睡眠はホリデー・ナップで補おう。そのほうが、体も回復するし、充実した休日を過ごすことができるはずだ。

?また、平日も仮眠を取ることをオススメする。「仮眠をとる時間なんてないよ」「人目が気になってできない」という人も多いと思うが、実は仮眠にもいくつか種類があり、数秒、数分で実践でき、抜群の効果が期待できるものもある。
?拙著『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』では、5つの仮眠を紹介している。平日の日中に、眠気がきたり、集中力がなくなる人は、ぜひ参考にしてほしい。

<20年以上「睡眠専門医」で活躍中の坪田聡からのメッセージ>

「一人でも多くの人の睡眠に関する悩みを解決し、幸せな人生を送る手助けをする」これが私のミッションである。この思いで日々、患者さんに向き合い、日本全国で講演をし、執筆活動にも力を入れている。

?日本人は勤勉だ。よく働く。遊びや休息を後回しにしても働く。冗談めかして「1日が24時間ではとても足りないよ」と言う人は私の周りでも多いが、それは半分以上「冗談」ではないように感じる。その証拠に、日本人の睡眠時間は年々、短くなってきている。
?仕事に猛進するあまり、眠る時間になっても神経が高ぶったままで鎮まらず、「疲れているはずなのになかなか眠れない」という患者さんも増えている。

?そんなとき、ふつうの医師の立場ならば、「仕事を減らして、睡眠時間を増やしましょう」と提案するのだろう。
?しかし私は、「一人でも多くの人の睡眠に関する悩みを解決し、幸せな人生を送る手助けをする」ことをミッションとする医師である。
「仕事を減らして、睡眠時間を増やす」ことが、必ずしもその人の幸せな人生につながらないのであれば、その提案は意味をなさない。

?そこで拙著『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」』では、新しい提案をさせていただいた。

「最低限の睡眠時間で、最大限に疲れをとり、余裕のある日々を過ごす」

?これが、本書で伝えた「5時間快眠法」だ。精神論ではなく、睡眠専門医の立場から具体的なノウハウを紹介している。

?時代の変化とともに、人々が睡眠に求めるものも変わってきている。それに応えるのが医師としての矜持である。本書はこのような思いで執筆してきた。

「5時間快眠」が定着し、「朝5時起き」が習慣になれば、あなたの人生に自由な時間が増え、その中身も濃くなる。本書によって、あなたが幸せな人生を送ることができたら、これ以上の喜びはない。
http://diamond.jp/articles/-/111286

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/268.html

[経世済民117] 管理職の半分、社員の半分を異動させたら、こうなった!残業ゼロが全てを解決 なぜ大阪人は関東人より厚切りの食パンを好むのか

残業ゼロがすべてを解決する
【第15回】 2016年12月29日 小山 昇

管理職の半分、社員の半分を異動させたら、こうなった!

小池都知事が「夜8時には完全退庁を目指す」、日本電産の永守社長が「2020年までに社員の残業をゼロにする」など、行政も企業も「残業ゼロ」への動きが急加速中!
株式会社武蔵野は、数十年前、「超ブラック企業」だった。それが日本で初めて日本経営品質賞を2度受賞後、残業改革で「超ホワイト企業」に変身した。

たった2年強で平均残業時間「56.9%減」、1.5億円もの人件費を削減しながら「過去最高益」を更新。しかも、2015年度新卒採用の25人は、いまだ誰も辞めていない。
人を大切にしながら、社員の生産性を劇的に上げ、残業を一気に減らし、過去最高益を更新。なぜ、そんな魔法のようなことが可能なのか?

『残業ゼロがすべてを解決する』の著者・小山昇社長に、「ある日突然、毎年135%成長の会社に起きたこと」について語ってもらおう。

変化とは「人を変える」こと


小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/


武蔵野に、いわゆる「生え抜き」の社員は少ないです。
勤続28年の猿谷欣也本部長は、同じ部署で同じ仕事を長く続けていません。

2015年12月、武蔵野の業績は「過去最高売上(最高益)」だったため、賞与を20%増(前年比)にしました。

会社の業績がいいときは、どうしても、社員の気持ちは緩みます。
私は、社員の危機感を煽るため、2015年12月1日付で、「管理職の半分」を異動させた。部署や上司が変わったりで、「殿、いよいよご乱心か!」と社内は大騒ぎです(笑)。

それだけではありません。
2016年4月1日付で、社員の半分を異動させた。
通常、自社の経営が順調だと社長は変革を怠ります。「うまくいっているのだから、変える必要はない」と考えます。けれど、私の考え方は逆です。

順調なときこそ積極的に人事異動をし、組織を変革しています。

目先の利益を追求するのであれば、実績を挙げている社員を動かす必要はない。しかし、
人の流れが滞ると、社内の空気が淀み、活気がなくなります。

変化とは、人を変えることです。
大規模な人事異動を行うと、一時的に現場は混乱します。
でも、組織を活性化させるためには、人事異動で会社を変化させる必要があります。

他業界の常識をマネると「業界の非常識」になる

たとえば、あなたが飲食店の社長だとします。
雨の日、飲食店はどうしても売上が落ちます。客足が落ちて従業員が暇を持て余しているとき、社長のあなたは、どのような指示を出しますか?

次の「3つ」から選んでください。

1.「客足は減っているけど、全員、閉店時間まで気を緩めないように」
2.「客足が減ってきたので、アルバイトはもう帰っていいよ。閉店時間までいなくていいから」
3.「客足が減ってきたので、アルバイトはもう帰っていいよ。早く帰っても、閉店時間までいたことにしてその分のバイト代は払うから、安心していいよ」

私なら、「3」を選びます。
仮に、「7時間で7000円」(時給1000円)もらっていたアルバイトが、1時間早く上がったにもかかわらず「6時間で7000円」もらえたら、どう思いますか?

「うれしい」と思うでしょう。そして、アルバイトの定着率もよくなる。
私は、1000円余分に払ってでも、「従業員が楽しく働いてくれるほうがいい」と思います。

「仕事もせず、早上がりをしているのに、アルバイト代を余分に払うのはおかしい」と思われるかもしれませんが、そう思うのは常識にとらわれているからです。

会社に変化を起こすには、今までの考え方や常識を捨てて、非常識を積み上げていくことです。

「今と同じ考え方」「今と同じやり方」「今と同じ人」を捨てて、「新しいこと」を取り入れなければ、会社を変えることはできません。

そう言うと、多くの人が「今まで、誰もやっていないこと」をやろうとしますが、それは間違いです。

「新しいこと」は、「今まで、誰もやっていないこと」の意味ではなくて、

「他の人は成果を出しているけれど、自分はまだやっていないこと」
「他業界の常識で、自分の業界ではまだ常識になっていないこと」
「すでにあるものの組合せを変えること」

です。
新しいことをするなら、「業界の非常識」をたくさん積み上げましょう。

では、「業界の非常識」とは何か?
非常識と言っても、常識を欠いたことをするのではありません。

「他業界の常識や、他業界でうまくいっていることを、自分の業界で最初に実行すること」です。
サービス業なら、製造業で常識となっていることを自社に転用する。
製造業なら、エンターテイメント業界で成果の出ている取り組みを取り入れる。
ライバル企業と同じことをしていては、差は縮まりません。
同業種の場合、どうしても既成の枠組から抜け出すことができない。
だとすれば、「他の業界」の成功事例を取り入れるのが正解です。

賀川正宣会長は、携帯電話販売、飲食、自動車販売、人材教育などさまざまな事業を束ねる株式会社NSKKホールディングス(兵庫県)の代表です。

賀川会長は、「エマジェネティックス(EG)」と呼ばれるプロファイルを導入して、組織力と接客サービスの向上に取り組んでいます。エマジェネティックスとは、脳科学の理論と50万人以上の統計をもとにして、人間の個性を分析するプログラムです。

「自分自身の強みと可能性の理解」「生産性の高いチームビルディング」「個人の資質の向上」などに役立つため、結果的に残業削減が期待できます。

「社内に全員のプロファイルを貼り出して、お互いのプロファイルを意識しながらコミュニケーションを取れるようにしています。人事にも積極的に活用していて、新卒の採用や新規事業の立ち上げのときにもプロファイルを駆使しています」(賀川会長)

ラーメン店や携帯電話販売の仕事に、脳科学や統計学を駆使したプログラムを導入した賀川会長も、業界の非常識を取り入れて成功した経営者のひとりです。

小山昇(Noboru Koyama)
株式会社武蔵野代表取締役社長。1948年山梨県生まれ。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修(=1日36万円の「かばん持ち」)が年々話題となり、現在、70人・1年待ちの人気プログラムとなっている。『1日36万円のかばん持ち』 『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』 『強い会社の教科書』 (以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。
【ホームページ】http://www.m-keiei.jp/
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http://diamond.jp/articles/-/109805


 

知ったら住みたくなるケンミン性
【第8回】 2016年12月29日 ダイヤモンド・オンライン編集部
なぜ大阪人は関東人より厚切りの食パンを好むのか

通天閣がある新世界は、大阪名物の串揚げ屋、幸福の神様のビリケンさん像、昔ながらの喫茶店などがありディープな一帯だ
「アクの強さ」は日本一といっても、異論はないだろう。ヒョウ柄のおばちゃん、“アメちゃん”、六甲おろし、お好み焼き定食、探偵ナイトスクープが好き、笑いが最優先、図々しい、緑が少ない、ゴテゴテしている、浪花節、やしきたかじん(故人ではあるがファン多数)の地位が高い。聞けば、出てくる出てくる、大阪にまつわるイメージ(もしくは偏見)。

 よしもと芸人をテレビで見ない日はないし、関西弁をテレビで耳にしない日もない。知ったつもりになっている「大阪」だが、

「大阪って、なんとなく怖い。楽しみ方もわからないので、出張で大阪に用があるときは、京都に泊まります」

 という女性もいた。

「はい、お釣り百万円!」
大阪が濃い3つの理由

「なんとなく怖い」大阪のイメージを生み出しているものは何なのか。出身者たちに話を聞くと、とにかく「濃ゆい」県民性、いや、府民性が見えてきた。


飴ちゃんをくれる、ヒョウ柄や派手な服を好むなど大阪人の中でも「大阪のおばちゃん」と言われて浮かぶイメージはとても濃い
 まずは一つめ、人が濃い。6年前に東京に引っ越した大阪市出身の30代の男性は、全国チェーンのカフェで店長をしていた頃の経験をこう話す。

「レジでの会話ひとつとっても、お客さんがとにかくグイグイ入ってくる。誕生日いつなん?何が好きなん?って聞かれて、誕生日にチーズをもらったことがあります(笑)。旅行に行ったときに店舗に対してお土産を買ってきてくれるお客さんもいました」

 別の大阪市出身の男性も言う。

「飲み屋のカウンターで飲んでいても、知らないうちに知らないおばちゃんが話に入ってきますよ(笑)」

 そんな大阪人の類稀なる対人スキルに関連して紹介したいデータがある。

 物騒な話だが、それは自殺率の低さだ。人口10万人あたりの自殺者数(警察庁発表、2015年)は14.7。ワーストの秋田県が26.8で、大阪は全国でもっとも低い数字だった。市町村レベルでの対策の強化が奏功している面もあるが、おせっかいで一見「濃ゆい」大阪の人間関係が、抑止力になっていることも否定できないのではないだろうか。

 とはいえ、関西出身でない人は、大阪特有のコミュニケーションに面食らってしまうことも。筆者も「はい、お釣り百万円」と言われて、何かツッコミを入れなくてはいけないのか、悩みながら「あぁ…あはは……」と苦笑するだけで終わってしまった経験がある。大阪出身者いわく、

「あ、それはスルーして大丈夫です。お約束として、自己満足で言ってるだけですから(笑)」

 とのことなので、ご参考まで。


たこ焼き器を持っている家庭が珍しくないほど、大阪人のソウルフードと言えるたこ焼き
 そして二つめ。食文化が濃い。たこ焼き、お好み焼きなど「粉もん」は言うに及ばず、大阪で外せないのが実は「カレー」だ。「USJぐらいしか観光するところはないけど、大阪行ったらカレーは食べたほうがいい」との声が複数あがった。

 なぜ大阪でカレー文化が発展したのか。明治時代にカレーが日本に上陸したとき、最初に飛びついたのが新しもの好きな大阪人だったという。ご飯とルウを一気にかき込めるので、せっかちな大阪人の気質に合っていたとも言われる。バーモントカレーで固形タイプのルウを全国に広めたハウス食品は、大阪で創業した企業だ。


大阪はカレー先端都市で、名店も多い
 大阪カレーの定番とも言えるカレーショップ「自由軒」や「インデアンカレー」は、卵を乗せるのが特徴。さらに、大阪からブームが始まり、今年全国に波及したスリランカカレーも忘れてはいけない。お皿に数種類の副菜が盛られていて、それらをルーとライスとごちゃ混ぜにして食べるのが特徴だ。

 大阪といえば関西代表といって差し支えないが、関西と関東で長く続く論争に「食パンの厚さ問題」がある。機会があったら、周りの人に、何枚切りが好きか聞いてみてほしい。6枚切りに平均値があるのは間違いないが、関西人は5枚切り、4枚切りといった厚切りを好む傾向があり、関東以北では8枚切りを好む人が増えるという傾向があるようだ。その証拠に、大阪に本社を置く神戸屋の食パン「もちふわ匠の逸品」は、4枚切りは関西地域のみ、8枚切りは関東地域のみで販売している。


厚切りはもちもち、ふわふわの食感
「子どもの頃は長い1斤の食パンを自由に切って食べていた。4枚切りはその厚さに近い。6枚切りなんて食べた気ぃせぇへん!東京生まれの夫も今や4枚切り派」

 と関西出身の40代女性は語気を強めた。

 食卓から離れて、街の様子にも目を向けたい。そこで見えてくるのが三つめ、自転車文化の濃さだ。


夜の道頓堀にも自転車が沢山止められている
「大阪はとにかく自転車が多いです。日本の中国と言ってもいいぐらい。坂が少なく平坦だからかもしれません」

 と話すのは大阪市出身の男性。大阪では通勤や通学も駅まで自転車で行ってから電車に乗る人が多い。東京にきて自転車の少なさに驚いたという。

 自転車の絶対数が多いだけならいいのだが、問題はマナーの悪さと自転車事故の多さだ。全交通事故に占める自転車関連事故の割合(大阪府警察、2015年)は、全国平均が18.4%なのに対して、大阪は30.1%。自転車関連事故での死者数は50人で、全国最多という結果だった。原因は信号無視などの法令違反が多く、大阪府警は対策に乗り出している。

通勤ストレスや残業から解放
つっこみどころがない大阪都市部での暮らし

 ここまで、日々の生活に根ざした大阪人の特徴を見てきたが、実は大阪がいま力を入れているのが、「都市部から都市部へ」という移住モデルのプロモーションだ。

「ボケない大阪移住プロジェクト」もそのひとつ。主催は大阪府で、移住を考えている東京圏在住者に対し、仕事や暮らしに関する情報とプログラムを提供し、Uターン/Iターン/Jターン(*)を促進するのが目的だ。地方創生で多くの自治体が取り組む「都市部から自然豊かな地方への移住」ではなく、「都市部から都市部への都市間移住」のモデル構築を目指している。いつもはボケている大阪だけど、いっさいボケずに、つっこみどころがないほどの素敵な仕事と暮らしを提案します、というのがプロジェクト名の由来とのこと。

 担当者はこう説明する。

「大学卒業後に東京圏に就職するケースが多く、年間1万人程度の人材流出があります。優秀な若い人材が、東京に流出している状況に歯止めをかけようと始まったプロジェクトです」

 キャリアの選択肢を増やしたい20〜40代からの問い合わせが多く、この秋には学生から社会人まで30名ほどが「おためし移住プログラム」として、仕事体験や、スタートアップでの起業体験に取り組んだ。

*故郷から都会に移住した後で、故郷に近い中規模都市に移住すること

 受け入れ企業のひとつ、木村石鹸工業株式会社に勤める峰松加奈さん(26)も、東京から大阪への都市間移住を実現したひとりだ。

 実際に大阪に住んで、どんなことを感じたのか。峰松さんに話を聞いた。峰松さんは2015年の夏に転職をきっかけに移住するまで、大阪は出張や観光で行ったことがある程度だったという。生まれも育ちもずっと東京だ。

「田舎だったら(移住に)抵抗があったかもしれません。でも大阪はなんでもある。買い物もできるし、交通の便もいい。かといって、田舎にありそうな面倒なご近所づきあいもない。とっても満足しています」

 いちばんの変化は、「自分で暮らしをコントロールできている」という実感ができたことだ。

 東京では24時間全部を会社のために使っているという感覚だった。満員電車での通勤のストレス、残業の多さ。以前は3食コンビニという日もあった。


東京から大阪に転勤した知人曰く、「梅田、新大阪周辺はマンションが多く単身者や転勤族が暮らしている」。写真は梅田茶屋町
「いまは朝晩自炊しています。ご飯作って、洗濯して掃除してお風呂に入って寝る、っていうのが、平日にできる。東京では考えられなかったことです。もちろん会社によるとは思いますが、大阪の知り合いは、東京ほど残業していない気がします」

 自由に使えるようになった時間で、プログラミングスクールに通ったり、と充実した時間を過ごしている。友人たちと飲みに行くことも多い。

「大阪は街がコンパクト。ざっくり言うと、梅田か難波しかない。東京でいえば、新宿か原宿しかない、という感じ。友達もだいたい近くに住んでいるから、タクシーも一緒に乗ることができて便利です」

 東京が嫌いで大阪に出たわけではない、という峰松さん。それでも、実際に住んでみたら、大阪での暮らしが「ちょうどいい」と感じている。

 勤める木村石鹸は、大正13年創業の老舗でありながら、ITベンチャー出身の4代目社長が舵を取るユニークな会社。自社ブランド製品の開発に力を入れており、峰松さんは入社1年目でありながら、新規事業室の立ち上げなどを任せられてきた。

 中小の優良企業が多い大阪。代替わりをして、新しいことにチャレンジしようとしているタイミングでもある。県外から積極的に採用している企業も多いという。ワークライフバランス重視で転職を考えている人は、「都市としての大阪」への移住を視野に入れてみるのも、おもしろいかもしれない。

(ライター 高橋有紀)
http://diamond.jp/articles/-/112583
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/302.html

[政治・選挙・NHK218] 2016年のアベノミクスは70点、GDPが今一歩だ

【第160回】 2016年12月29日 高橋洋一 [嘉悦大学教授]
2016年のアベノミクスは70点、GDPが今一歩だ

人によって定義が異なる「景気」
筆者が重視する指標とは
photo:首相官邸HPより
 筆者は、しばしば一般の人と経済の話をするが、これがなかなか面白い。
 先日も、ある人から「景気」が悪いので、なんとかしてほしいという話を聞いた。
 実のところ、景気という言葉は一癖あると思っている。「景気」という言葉は、鴨長明の『方丈記』に出てくるが、「空気の景色」を意味するとされている。いってみれば、雰囲気という感じだ。だから、誰もが「景気」と言っているが、その意味はその人のイメージによってまちまちだ。
 英語では日本語の「景気」に相当するしっくりくる言葉がない。「business」や「economy」などが適宜使われている。
 冒頭の人の「景気」は、businessの意味だったようだが、子細にその人のビジネス(商売)の状況を聞くと、それほど悪くない。そこで改めて尋ねると、どうも業界を取り巻く「雰囲気」だった。よく、景気は気からといわれるが、まさにこの「雰囲気」としての「景気」が悪いといっていたようだ。
 筆者の本職は「経済」ではなく。「数量分析」である。たまたま対象として「経済」は多いが、対象は「政治・選挙」から「国際政治・戦争」まで広範囲になっている。
「景気」についても、「雰囲気」という漠然としたイメージではなく、主として二つの経済指標で考えている。そうでないと、何を話しているのかわからなくなってしまうからだ。
 筆者はもともと数学出身なので、言葉を定義しないと気が済まない。言葉・概念の「定義」が真っ先にあり、その後に、主要主張である「定理」、その後に「証明」というのが数学のスタイルだ。文系の人は、言葉を定義せずに自分のイメージで語る人が多くて難渋している。文系の人のある本を読んだら、言葉の定義がまったくなく、最後に、本の結論として言葉の定義が出てくるのはびっくりしたことがある。一体何を書きたかったのか(笑)。
 二つの経済指標とは、「雇用」と「GDP」だ。最も重要視するのが雇用で、その次がGDPである。筆者は、かつて首相官邸で勤務したこともあるが、各省から膨大な経済指標が上がってくる。それを総理に説明するわけだが、時間の関係もあり、どうしても厳選せざるをえない。そのとき、雇用が最優先、その次にGDPだった。その他のものは、時間の余裕があるときには説明するが、何か問題が起こらなければ放っておいた。

「雇用」と「GDP」
二つの経済指標を見る理由
 なぜ、これら二つの経済指標を重視するのか。
 第一に、景気の良し悪しのイメージを抱くときに、最悪の場合として今から80年程前の「大恐慌」がある。この悲惨さをイメージすると、多くの人が失業したことが浮かんでくる。
 人々に職があるかどうかが、最も重要だ。はっきり言えば政府の責務として、「雇用の確保」は最低限求められる。だから、雇用の経済指標が重要である。その例として、失業率や就業者数で見ると便利である。
 雇用の量さえ確保できればいいので、これが最優先だ。量が優先されるので、質はその次だ。経済理論では、雇用の量の確保を優先して、失業率をその社会の最低ラインにまで下げることができれば、雇用の質は自ずと上がってくる。つまり、実際の失業率が社会の下限である「構造失業率」まで下がれば、正規雇用が増え、賃金も上昇して、雇用の質は改善することがわかっている。
 だから、世界の先進国では、「構造失業率」がどの程度なのかを計測して、そこに至るまで金融緩和するというスタンダードができている。筆者も数量分析の端くれなので、日本の構造失業率は2.7%程度であると推計している。
 これは、2016年5月19日付けの本コラム(日銀の「失業率の下限」に対する見方は正しいか)で書いている。
 こうした数量的な論調は、日本の論壇ではほとんど見られず、感覚的に金融緩和すべき、すべきでないという論調ばかりなのは残念である。特に、日本の一流大学の学者が酷い。
 労働市場全体を見ると、大企業の正規職員はコアのところで、経済変動があって雇用が変化することは少ない。ところが、アルバイトなどの非正規になると、雇用の変化がしばしばでてくる。大学の就職市場になると、限界的なところで、就職率の変動は経済変動に応じて大きい。

一流大学では労働市場はよくわからない
身をもって実感した「景気」の改善
 これは、一流大学より、それ以外の学校などの方が観測しやすい。筆者の属している大学は、お世辞にも世間でいわれるような"いい大学"とはいえない。その点、限界的な労働市場の状況はよく見える。
 例えば、4〜5年前の民主党政権時代、学生の就職率は良くなかった。ところが、今や就職率は100%に近い状況だ。この間、学生の学業が向上したわけではなく、政権交代で金融政策が変更になったという要因だけで、就職率の向上を説明できる。
 大学の就職率は、前年の失業率に逆相関でかなり連動している(下図)。

http://diamond.jp/mwimgs/d/8/600/img_d86c6eee451f2b2ebbd41b8ac33fd57864132.jpg

 アベノミクスによる金融緩和の恩恵をもっとも受けているのが、大学生の新卒者である。かつて、就職状況が厳しいときには、私の所属する大学でいわゆる「ブラック企業」でも就職をいとわないという風潮があったが、今では就職状況が改善したため、学生たちの間では「あの企業はブラックだから気をつけて」という会話が出ていると、就職担当教授は言っていた。まったく喜ぶべきことである。
 筆者は、こうした状況を見て、ああ「景気」が良くなったのだと実感している。一流大学ではいつでも就職率は高いはずで、おそらくこうした「景気」の体感ができないのだろう。ある一流大の教授が、民主党政権下でも、完全雇用だと豪語していたのが忘れられない。アベノミクスの金融緩和に批判的な論者は、例外なく雇用を見ないで「景気」を語っている。

しばしば見られる
論評に値しないアベノミクス批判
 アベノミクスへの批判でよく聞くのが、「いくら金融緩和しても、経済は上向かない。インフレ目標も達成していない」という批判だ。しかし、この批判は失業率の低下を無視しており、論評に値しない。失業率が下がっているのに、物価が上がっていないのは、たいした問題でない。
 インフレ目標があるのは事実であるが、失業率を下げようとするとき、インフレ率が上がる傾向があるので、その際、注意しなさいという歯止めである。この点を忘れている人が多すぎるのではないか。
 第二に、雇用が確保できれば、所得が増えるに越したことはない。それはGDPで確認できる。GDPには、「三面等価の原則」があり、一国の経済活動を支出面、生産面、分配面で見ると同じ値になり、それがGDPとなる。
 GDPの支出面と生産面は、まさに「国の経済活動全体」を表すものとして適している。それが分配面という「国民の所得」の総計になるのだから、国民の懐具合の代表例にもなる。この意味で、GDPは一国経済を見るときに好都合である。

一般の人もマスコミも
「景気」は「半径1メートル」の世界
 もっとも、一般の人が「景気」という場合には、身の回りの「半径1メートル」の世界である。それ以外のところは体感できるはずがないので、マスコミ報道などの「雰囲気」が出てくる。マスコミ報道も所詮は書く人の「半径1メートル」の世界である。このため、GDP統計の意味が出てくるわけだ。
 GDPの推移を見ると、2014年4月以降さえない。その要因は明らかで消費増税である。しかし、マスコミなどでは、「消費増税の悪影響はもうないはずだ」という都市伝説のような話が出回っている。かつて財務省関係者から、消費増税の影響は長くて3〜6ヵ月というデマ情報が流され、それに踊らされているのだ。マスコミは新しいことを追い、過去を忘れがちである。理論的なことを言えば、消費増税は恒久的に影響があり、データからでも2〜3年は悪影響がはっきりと見られる。
 いずれにしても、雇用とGDPの二つで「景気」を見れば、2016年の経済状態がしっかり把握できる。雇用はいいので、経済政策を評価すれば落第ではない。しかし、GDPは今一歩であるので、100点満点で70点程度だろう。
http://diamond.jp/articles/-/112748


http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/361.html

[経世済民117] 日本の賃金が上昇しないカラクリ 17年、利上は最大2回 企業CEO、確実に不確実な年に トランプが沈黙させた「ダウの犬」
日本の賃金が上昇しないカラクリ
3年におよぶ非伝統的な刺激策も効果なし
東京で開かれた就職フェアに参加する学生たち(2015年) ENLARGE
東京で開かれた就職フェアに参加する学生たち(2015年) PHOTO: CHRIS MCGRATH/GETTY IMAGES
By ANJANI TRIVEDI
2016 年 12 月 29 日 13:17 JST 更新

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 経済成長の押し上げを狙った一連の金融・財政政策にもかかわらず、日本の政策立案者は「労働市場は引き締まっているが賃金は伸びていない」という矛盾に陥ったままだ。

 成長を再び持続的なものにしようと努力する日本だが、その成果は最終的に労働者の賃金が増え、支出が増えるかどうかで測られる。ただ、3年におよぶ非伝統的な景気刺激策にもかかわらず、日本の賃金は伸び悩んだままだ。

 日本経済の複雑さが、引き続き政策立案者を困惑させている。賃金上昇の機は熟している。労働市場は過去数年で最も引き締まっているが、これは労働者1人につき有効な求人件数が2件ほどあり、それに伴って労働者側の交渉力が高まっていることを意味する。失業率は20年ぶりの低水準となっており、ドナルド・トランプ氏が引き起こした円安が企業収益とボーナスを押し上げるだろう。

 それでも、賃金はほとんど上昇していない。高齢化と労働力の縮小について多くの議論が交わされてきたが、日本は辛うじてより多くの労働者を労働市場に投入できた。これは長く日本が抱える問題の解決策だと見られていたが、一方で政策努力を困難なものにしている可能性がある。

 調査会社オックスフォード・エコノミクスによると、安倍晋三首相の政策のおかげで女性の労働参加率は67%に上昇し、非正規またはパートタイム労働者の割合が拡大。高齢者はゆっくりと労働市場に戻ってきている。しかし、こうした労働者は全て、平均を下回る賃金しか受け取っていない。そして、日本のフルタイム労働者とパートタイム労働者の賃金格差は世界で最も大きい部類に入る。つまり、こうした労働者が賃金上昇の重しになってきたのだ。

 野村のアナリストらが指摘するように、日本経済は実質的に「基本給」に打撃を与えてきた。経済成長が低迷する中、企業は賃上げを継続できるか確信を持てないでいるし、労働組合は会社の利益に打撃を与えるよりも低賃金と安定雇用を継続させた方がましだと思っている。厳しく規制された日本の雇用市場で、労働者はベア交渉に及び腰だ。その一因は変動の大きい円相場に依存した収益構造にある。

 一方、政策上のインセンティブは混乱したままだ。働く女性の数は増えているものの、「配偶者特別控除」という存在が女性の労働時間を短縮に向かわせる圧倒的なインセンティブを与え続けている。社会保障政策は厚生年金の適用基準を週20時間以上の労働としており、これ以上働くのを思いとどまらせて賃金を押し下げてきた。他方で日本の労働基準法は、法定労働時間の制限を回避する労使間協定の締結を認めてもいる。

 日本銀行は最新の景気判断で経済が「緩やかに拡大」するとの見通しを示したが、消費者物価の判断は「小幅のマイナスないしゼロ」になる可能性があると述べた。日本の政策立案者が労働市場の矛盾を解きほぐさない限り、日本人が日常的に消費を増やすことはないだろう。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj8gYOZ0JjRAhWBu5QKHXszBeMQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10878553558812384085704582525801993410154&usg=AFQjCNGlmLOrS-VJHoiFtSO6hEswe5BNqA


 
金融市場異論百出
2016年12月29日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
17年の米利上げ予想を読み解く“表向き”の3回ではなく2回

市場が2017年の米利上げ回数を3回だと織り込まないように、懸命に説明を繰り返したジャネット・イエレン米FRB議長?Photo:Abaca/アフロ
「潜在成長率をかなり上回る成長が続いていく」。12月20日、黒田東彦・日本銀行総裁は金融政策決定会合後の会見で、2017年の経済・物価動向に楽観的な見方を示した。

?会見では、円安の行き過ぎを抑えるために10年物国債金利の誘導目標を引き上げる可能性はあるか、といった質問が出ていたが、黒田総裁はまったくつれないスタンスを示した。景気見通しを上方修正したとはいえ、直近16年10月時点のインフレ率(コアCPI〈消費者物価指数〉)はいまだにマイナス0.4%と、マイナス圏にある。

?日銀は16年9月の「総括的な検証」で、コアCPIが「安定的に2%を上回るまで」金融緩和を続けていく必要があるとの「オーバーシュート(行き過ぎ)型コミットメント」を発表したばかりだ。黒田総裁は「海外金利が上昇するのに応じて、当方の目標を引き上げたり、長期金利が上昇したりしていいとはまったく考えていない」と述べ、インフレのオーバーシュートを目指す姿勢をあらためて強調した。

?一方、ジャネット・イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長はその前週(12月14日)の会見で、米経済を過熱気味の状態にする「高圧経済」の必要性を後退させた。彼女はインフレをオーバーシュートさせる意図はないことを説明しており、黒田総裁とは対照的だ。黒田総裁は、本音ではもう一段の円安を望んでいるのだろう。

?なお、15年6月10日の黒田総裁の国会発言から類推して、彼が許容する円安は120円台半ばまでとの「黒田プット」が当時は市場で大きな話題になった。しかし、当時の黒田総裁の発言に、円安けん制の意図はまったくなかったものと思われる。

?とはいえ、日銀の想定としては、17年に市場がイメージしているほど日米金利差がどんどん拡大するとは考えていない可能性がある。もう少し慎重だろう。というのも、16年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でイエレン議長が、17年の利上げ回数を3回だと市場が織り込まないように、懸命に説明を繰り返していたからだ。

?イエレン議長が火消しに回った背景には、FOMC参加メンバーである17人のFRB幹部による政策金利見通しの分布図、ドット・チャートがある。公表された17年の0.25%利上げ予想回数の中央値(17人の真ん中の値)が、前回は2回だったが、今回は3回になったのだ。

?これについてイエレン議長は、「たった、数人の、数人の参加者による変更である」「今回の変化は、本当に非常にちっぽけな(really very tiny)ものであることを強調したい」と説明した。「tiny」はもともと「very small」という意味だ。そこにさらに「really very」を重ねて強調している。彼女を含むFOMC中心メンバーの利上げ予想は、17年は2回のままで変わっていないのだろう。

?彼女は、17年に3回という利上げ予想がドル高を加速させ、それが米企業の業績悪化や、新興国経済の混乱を招くことを警戒しているようだ。米著名フェドウォッチャー(FRBの動向分析の専門家)であるルー・クランドル氏は、「今回のドット・チャートのシフトによって、17年の利上げが3回となる確率はかえって低下した」と指摘している。

?米新政権の財政政策が動きだすのは17年すぐではないこともあり、17年の利上げ回数は最大2回ではないかと予想している。
http://diamond.jp/articles/-/112770


 


 
企業CEOの2017、不確実な年になるのは確実
トランプ氏の大統領就任など先が見通せない状況にどう対応するか
アミカス・セラピューティクスのジョン・クローリーCEOは規制政策の変更を懸念していると話す

By JOANN S. LUBLIN AND JOHN SIMONS
2016 年 12 月 29 日 11:44 JST

 2017年は「最高経営責任者(CEO)の仕事がこれまで同様に大変になる」と予想されている。

 前回の金融危機以降、不確実性は企業幹部の日常になっている。だがドナルド・トランプ氏が政治エリートに対する前例のない世界的反乱を味方に米大統領に就任するなか、「2017年はこれまでより変動性や複雑さが高まる」と、スイスのビジネススクールである国際経営開発研究所(IMD)のマイケル・ワトキンス氏は予想している。

 かつてない混乱が、米国内外での深い政治的分裂、ドル高を巡る不確実性、技術的変化の加速、浮上する世界的問題(大量移民、テロ、気候変動など)にうかがえる。

 そうした状況でCEOは予想をどこまで信じるか判断を迫られることが多い。ヘルスケア関連の人材派遣を手がけるAMNヘルスケア・サービシズのスーザン・サルカCEOはこのところ、ワシントン発の公共政策に関する予想に注意を払っていない。トランプ次期政権が医療保険制度改革法の撤廃に動くかどうかにかかわらず、ヘルスケアに対する需要は拡大し続けるだろうと話している。

 サルカ氏の会社では主な戦略的決定を下すスピードを以前より速めているという。例えば、過去1年半に企業幹部の紹介事業に参入し、人材紹介会社3社を買収した。顧客企業から、上級職の空席が長いこと埋まらないままだと聞いたことがきっかけだ。

 「この事業はたちまち当社にとって重要なサービスになった。私たちの意思決定は速まり、全てが完璧にはいかない可能性があるという事実に慣れつつある」とサルカ氏は述べた。

 希少疾患の治療薬を専門とするアミカス・セラピューティクスのジョン・クローリーCEOも不確実性を受け入れようとしている。クローリー氏はこれを、「することほぼ全てがうまくいかず、何度も失敗する」医薬品の発見になぞらえた。

ポ ピュリズムの台頭を懸念

 アミカスは5月、欧州の当局から初めて自社医薬品(ファブリー病治療薬)の承認を得た。これに先立ち1年5カ月かけて、フランス、オランダ、イタリア、ドイツ、スペインに事務所を立ち上げていた。英国に欧州本部を設置した後に同国が欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を決め、幹部は驚かされた。

 クローリー氏はコンサルタントと話した結果、欧州全域でファブリー病治療薬を販売する計画を変えないと決めた。だが、米大統領選での薬価に関する議論に同社が関連していることもあり、規制政策の変更について懸念している。他のCEOと同様、「1本のツイートで時価総額が数億ドル吹き飛びかねない」環境を危惧しているという。

 石油・ガス探査などの業界で使われる工作機械のメーカー、ケナメタルのロナルド・デフェオCEOは、ブレグジットにみられたような地域的なポピュリズムが世界で台頭していることが気がかりだ。

 2月に採用されたデフェオ氏は経営構造を改革している。これには、それぞれの市場でより適切な供給ができる「強力な地域的リーダー」を配置する狙いもある。

 デフェオ氏は、各市場のニーズを満たす能力の重要性が高まっているとし、「私たちはフランスではよりフランスらしく、ドイツではドイツらしく、中国では中国らしく、米国では米国らしくなくてはならない」と述べた。

 1997年からタッパーウェアブランズのCEOを務めるリック・ゴーイングス氏は、同社が激動の中に機会を見いだそうとしていると話した。例えば、石油や、ドルと結びついた他の素材を使わない製品に一段と焦点を絞っている。ドルで配当を支払う同社はドル上昇で打撃を受けているためだ。

 CEOによっては、大型プロジェクトを「休止」している。発電システムメーカーのブルーム・エナジーでCEOを務めるK・R・スリダール氏によれば、同社は2017年にプロジェクトでの建設と製造など「少なくとも1000件の雇用」創出を見込んでいた。

 だがトランプ氏の大統領当選を巡る不確実性を受けて、スリダール氏は業務計画を中断し、次期政権による現行エネルギー規制の扱いや新たな政策の形成を見守ることにした。

「5カ年計画は役に立たない」

 ボストンコンサルティンググループ(BCG)のシニアパートナーでマネジングディレクターのマーティン・リーブス氏によれば、計画の延期はあいまいな環境に反応する典型的な方法だ。来年は「約束が延期されるケースが多く見られそうだ」が、警戒しすぎればまひ状態に陥りかねないとリーブス氏は顧客に注意を促している。

 逆にスピードアップしているCEOもいる。意思決定の時間を短縮し、以前ほど遠い将来について考えないようにしているのだ。

 ニュージャージーとニューヨーク市の21カ所に拠点を持つ地方銀行コネクトワン・バンコープは、12月半ばに4000万ドルの資本を調達した。フランク・ソレンティーノCEOは、公募増資が通常よりずっと速いペースで進んだと述べ、来年に関する力強い経済予想が要因になったと付け加えた。公募について「考えたり話したりし始めたのは30〜45日前だった」という。

 フランスの食品大手ダノンのエマニュエル・フェーバーCEOは最近、年次支出計画を柔軟な四半期予算に置き換える取り組みを始めた。5四半期の予想を基にする新たな制度により、常に市場環境の変化に合わせた調整ができる。

 経営専門家や経営者は、これまでのような事業の5カ年計画は不確実性の時代には役立たないと話す。ソレンティーノ氏は、数年越しの計画を策定し、それを守り通すぜいたくは許されないとジョークを飛ばし、「世界は、すばらしい5カ年計画がありながら失敗した企業であふれている」と述べた。

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トランプ大統領で高まる不確実性、米経済に最大の試練
トランプ次期米政権、ブレグジットの新たな不確定要素
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjTmbmQ0ZjRAhWDGJQKHeluAgAQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10878553558812384085704582525723566971862&usg=AFQjCNHOFGEoeOyjz4qauI50nkSTpHeSQw


 


トランプ氏が沈黙させた「ダウの犬」
キャタピラー株は年初来上昇率が30%を超え、「ダウの犬」戦略のリターンを押し上げている

By TEVEN RUSSOLILLO
2016 年 12 月 29 日 12:12 JST

 今年も残りわずかとなる中、米株式市場では配当利回りの高い銘柄に投資する「ダウの犬」戦略が急に通用しなくなってきた。

 確かに、この古典的な投資戦略の年間リターンは、このまま行けばダウ工業株30種平均のリターンを4年連続で上回ることになる。だが、米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利して以来、投資家が高配当株から成長株に資金を移しているため、この戦略は優位性を失いつつある。トランプ次期政権が期待通り減税や規制緩和、財政出動拡大を法制化すれば、この戦略は2017年に苦境に陥りかねない。

 「ダウの犬」戦略とは、ダウ平均採用銘柄のうち配当利回りの高い上位10銘柄を年初に買い、1年間保有し続けるというもので、投資家は配当収入に加え、割安株購入による恩恵も受けられるというメリットがある。配当が一定なら株価が下落しても配当利回りは上昇するというのが、この戦略の肝だ。ビスポーク・インベストメント・グループによると、ダウ平均よりも「ダウの犬」戦略の方が高いリターンを上げた年は過去15年で10回あり、今年も後者に軍配が上がりそうな勢いだ。

「ダウの犬」銘柄(青)とダウ平均(黄)の年間リターン

Old Dog, New Tricks
Dow Jones Industrial Average and "Dogs of the Dow"
THE WALL STREET JOURNAL
Source: Bespoke Investment Group
Performance is total return; 2016 is as of Dec. 23
%
0
Dogs
Dow
2003
2004
’06
’08
’10
’12
’14
’16
-60
-40
-20
0
20
40
 「ダウの犬」戦略の今年これまでのリターンは17%で、ダウ平均のリターンを約3ポイント上回るものの、11月8日の米大統領選前後の成績には大きな違いが出ている。年初から大統領選までのリターンは11%で、ダウ平均の2倍超の水準に達していた。ところが、大統領選以降のリターンは5%程度にとどまり、逆にダウ平均を4ポイント下回る。今年の値上がり率上位4銘柄のうち、ユナイテッドヘルス・グループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースの3銘柄は「ダウの犬」銘柄ではない。

 「ダウの犬」戦略は、上半期に高い人気を集めた「利回り追求」取引とよく似ている。公益、通信、生活必需品など今年前半の値上がり率上位を占めた業種の多くは、配当利回りが特に高かった。こうした銘柄への買いは7-9月期に一巡し、大統領選後に下げが加速した。

米大統領選後のリターンは「ダウの犬」銘柄(青)がダウ平均(黄)を下回る

Barking
Performance this year through the election and afterward
THE WALL STREET JOURNAL
Source: FactSet
%
Dogs of the Dow
Dow Jones IndustrialAverage
Pre-Election
Post-Election
0
2
4
6
8
10
12
 それでも、今年は「ダウの犬」10銘柄が全て上昇している。けん引役は上昇率が30%を超えるキャタピラーとシェブロン。10銘柄の中で値上がり率最下位はファイザーで、年初来でかろうじてプラスを確保している。メルク、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、シスコ・システムズの3銘柄は、大統領選後に下げている。

 このままなら、今年の「ダウの犬」10銘柄のうち8銘柄が来年も残留する見通しだ。メルクとウォルマート・ストアーズが外れ、利回りが上昇しているコカ・コーラとボーイングが新たに加わるとみられる。ダウ平均採用銘柄の中で年初来騰落率がマイナスとなっているのはコカ・コーラとナイキのみだ。ナイキの配当利回りは1.4%で、「ダウの犬」10銘柄の平均である3.4%を大きく下回る。

ダウ平均採用銘柄のうち配当利回りが上位の10銘柄

Top Dogs
Dow Jones Industrial Average stocks with highest dividend yields
THE WALL STREET JOURNAL
Source: FactSet
Note: Yields are as of Dec. 23
Verizon
Pfizer
Chevron
Boeing
Cisco Sytems
Coca-Cola
IBM
Exxon Mobil
Caterpillar
P&G
0%
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
 犬が飼い主の指示に従わないこともあるように、「ダウの犬」戦略が常に期待通りのリターンを上げるわけではない。事実、2007年〜09年と12年にはダウ平均のリターンを下回った。成長株が選好される状況が続けば、「ダウの犬」銘柄は来年も吠えることなく1年を過ごすことになりそうだ。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi23cSw0JjRAhWBl5QKHfTeAscQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12551518554479554206404582525960959246138&usg=AFQjCNEOsseGKuwuuQz6xlAoGdTYMTsI0A

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/305.html

[国際16] トランプ氏、退役軍人省の民営化を検討 中国ハイテク保護主義、トランプ勝てるか 人民元大幅安、金融システムへの圧力和らげず
トランプ氏、退役軍人省の民営化を検討
一部の退役軍人団体からは反対の声
ワシントンにある退役軍人省
By BEN KESLING
2016 年 12 月 29 日 13:49 JST

 ドナルド・トランプ次期米大統領が退役軍人省(VA)の民営化に向けた検討をしていることが明らかになった。政権移行チームの関係者が28日に明らかにした。主な退役軍人団体はすでに反対する意向を示している。

 関係者によれば、トランプ氏は一部の退役軍人がVAの医療制度を介さずに民間の病院で直接診察を受けられるようにすることを検討しているという。これにより退役軍人はさまざまな選択肢を手にすることになる。しかし中にはVA民営化への第一歩だと警戒する声や、受けられる医療保障の質が長期的には低下すると指摘する退役軍人団体もある。

 政権移行チームの関係者は今回の変更について「選択肢のひとつだ」と話す。またトランプ氏はこれまでもVAに詳しい関係者と話し合いの場を設けており、今回の変更を実現させるための諮問機関を立ち上げることも考慮しているという。

 しかし医療プログラムを民営化すれば、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療など退役軍人が必要とする特殊なケアに支障が生じるという意見もある。同省の役割について問われたVAのロバート・マクドナルド長官は、退役軍人は戦地で活動する中で「特殊な病気やけが」を抱えることが多いと指摘している。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjt3LD10ZjRAhWIn5QKHW0CBlIQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12551518554479554206404582525974126161082&usg=AFQjCNE_3IgVRb2gfXqM8F-aXfUlATaW0A


 


 
中国のハイテク保護主義、トランプ氏は勝てるか
安易な関税障壁で中国に対抗するのは逆効果
北京にある電気自動車の組み立てライン ENLARGE
北京にある電気自動車の組み立てライン PHOTO: REUTERS/KIM KYUNG-HOON/FILE PHOTO
By ANDREW BROWNE
2016 年 12 月 29 日 07:44 JST

――筆者のアンドリュー・ブラウンはWSJ中国担当コラムニスト

***

 【上海】 ドナルド・トランプ米次期大統領の対中国政策が徐々に姿を見せつつあるが、その危うさを知るには「Death By China(中国による死)」という本を読むだけでいい。著者は、トランプ氏が米国の製造業復活を目指すために起用したピーター・ナバロ氏だ。

 ハーバード大学出身の経済学者で、ホワイトハウスに新設される国家通商会議(NTC)のトップに指名されたナバロ氏は、この本を「地球上で最も有能な暗殺者」に対抗して生き残るための「サバイバルガイド」と呼んでいる。

 同書は中国の脅威を列挙する。「有毒な子供用のオーバーオール」「燃えやすいパジャマ」「ヒ素に汚染されたビタミン剤」「発火する大型ポータブルラジオ」といった欠陥商品だ。さらに、中国は「奴隷」労働を使って汚染たれ流しの搾取工場で大量生産している製品によって、何百万もの米国の雇用を破壊している、と書く。

 ナバロ氏は戦闘準備も発令している。いわく、中国の襲撃に対抗するため、米政府は中国を人民元操作の罪で罰しなければならない(それは中国の主たる「雇用破壊兵器」であり、膨大な米貿易赤字の原因でもある)。消費者は、中国を商業的にも軍事的にも弱体化させるため中国製品を避けなければならない。中国からの輸入品に消費者が使う「ウォルマート・ドル」は、すべて「われわれ自身の失業に対する頭金支払いであると同時に、中国が軍事力増強を急ぐための追加的な資金になっている」――。

 大半の風刺作品と同様に、この本には真実の要素が含まれている。中国の重商主義が輸出の急増に拍車をかけたのは確かだし、それが米国のラストベルト(さびついた工業地帯)の荒廃の一因になったのも確かだ。一方で同書は誇張が多く、時代後れであり、中国に関するある種の考え方を反映している。その考え方に基づけば、トランプ氏が主張しているように、中国からの輸入品に45%の関税を課すなどの後ろ向きで行き過ぎた措置が実施されかねない。

「中国製造2025」の狙い

 しかも、こうした保護貿易主義的な措置では新たな「中国ショック」にほとんど対応できない。中国は、今世紀の米国の繁栄をけん引し雇用を生み出すような先端技術を確保しようとしている。保護主義的な措置は、むしろ問題を悪化させる可能性が高い。

 中国は将来を見据えている。中国は米国から奪った斜陽産業を既に削減しつつあり、もっとクリーンでスマートな製造業を推進しつつある。3Dプリンターや航空機・電気自動車といったハイテクの製造業だ。「中国製造2025」と呼ばれる計画の下、中国はこうした分野で外国製品に取って代わる中国製品を作り、それを世界に輸出することを目指している。

 中国の戦略はおなじみだ。まず、製造業のエコシステムを構築する外国企業を歓迎する。そして技術をはき出させてから締め出す。「中国製造2025」は25年の現地化目標を明示していないが、ドイツのメルカトル中国研究所(MERICS)の最近の調査で、別の準公文書の中に目標比率が見つかった。再生エネルギー機器で80%、産業ロボットで70%、携帯電話用チップで40%となっている。

 政府は潤沢な資金でこの計画を支援している。資金の大半は欧米のテクノロジー企業の買収に振り向けられている。

 もちろん、国家主導の産業政策には失敗の長い歴史がある。イノベーション(革新)はトップダウンではなくボトムアップによって生まれるものだ。しかしメルカトルの調査の結論は、中国は国際競争力のある企業の育成に成功するとともに、「中国製造2025」を通じて現在の経済大国や国際企業の経済的優位性を揺るがすことになるというものだ。

 トランプ次期政権は中国製輸出品の波を押し戻そうとするのではなく、テクノ・ナショナリズムという最新の流れを反転させるように動いたほうが賢明だろう。テクノ・ナショナリズムは既に欧米の情報技術(IT)企業を中国から締め出しつつある。トランプ氏らは過ぎ去った時代の雇用を回復させる手段として貿易赤字の縮小に執着しているが、それはドンキホーテのように非現実的だ。トランプ氏の景気刺激策はドルを押し上げ、米国の輸出品をさらに割高にし、貿易赤字をむしろ拡大させる結果に終わる可能性があると考えるエコノミストもいる。

 関税障壁を設ければ、トランプ氏の支持基盤であるブルーカラーの労働者には受けがいいかもしれない。彼らは安易な勝利を求めているからだ。

テクノ・ナショナリズムにどう対応

 これとは対照的に、テクノ・ナショナリズムに対抗するのははるかに複雑だ。戦略国際問題研究センター(CSIS)の中国産業政策専門家スコット・ケネディ氏によると、テクノ・ナショナリズムでは多くの物事が秘密裏に行われる。その特徴は隠された「バイ・チャイナ(中国製品購入)」調達であり、実行部隊は国営企業や、外国ハイテク企業を買収するプライベートエクィティを装う政府系ファンドだという。

 ケネディ氏は、欧米各国は中国に関して投資の審査手続きを強化し、その取り組みで協調すべきだと語る。

 米調査会社チャイナ・ベージュ・ブック(CBB)インターナショナルの主席エコノミスト、デレク・シサーズ氏は、中国の行動を変化させるため、もっと的を絞った措置を提唱する。例えば米国の知的財産を盗んだ中国企業をブラックリストに掲載することだ。同氏は、中国国営企業による米企業買収を禁止してもあまり効果がないとみている(買収禁止案はナバロ氏が支持している)。中国政府が米国の技術を取得した民間企業に対して、それを譲り渡すよう命じれば済むからだ。

 「鍵となる選択は、どの企業を禁止するのかではなく、どの技術を封じるかだ」とシサーズ氏は指摘する。

 難しいジレンマだ。貿易戦争を開始すれば、そのジレンマが一層複雑化するだろう。報復を招き、米国投資への障壁を助長する公算が極めて大きい。

 中国は「Death by China」で描写されているような、貧しい社会を描いたディケンズ風の搾取工場ではない。むしろ世界経済の主たる成長エンジンだ。中流層や企業は、西側先進諸国が得意とするハイテク製品や高度なサービスをますます求めるようになっている。

 長期的な解決策は中国市場をもっと開放するよう主張することであり、米国市場を閉鎖することではない。

この筆者のコラム一覧>>

中国との貿易戦争、負けるのは米労働者
中国が破棄した南シナ海のルールブック
中国は慢心で失敗、今度はトランプ氏の番か
トランプ氏のラブコール、台湾市民は戦々恐々

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjrovCp0pjRAhXBkpQKHafcD7QQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10878553558812384085704582524341266493700&usg=AFQjCNEXXsnklqTmhxqg-1O4_S3d44Hzmw


 

 

人民元の大幅安、金融システムへの圧力和らげず
人民元はドルに対し年初来7%下落した
By ALEX FRANGOS
2016 年 12 月 29 日 05:54 JST

 今年の人民元相場で特筆に値するのは、ここ10年近くでは対ドルで最も値下がりした年となったことではない。一段の下落に歯止めをかけようとして費やされたコストの大きさだ。

 人民元はドルに対し年初来7%安となっている。これは昨年の下落率のほぼ2倍で、為替レートは金融危機以前の水準に逆戻りしている。だが大局的に見ると、元安は中国の金融システムにかかる圧力を和らげるのにほとんど役立たなかった。

 ロシアやブラジルのように変動相場制をとっている他の新興国と異なり、中国は相場の底を探ることができずにいる。このため中国の投資家は、まるでさらなる通貨安が迫っているかのように行動し、国外に送金する。

 こうした資金流出は経済を圧迫し続けている。中国政府は資金流出を阻止すべく全力を上げて取り組んでいる。人民元の一段安を防ぐために為替市場に介入した結果、中国当局は今年の7-9月期を通して外貨準備高から前年同期を上回る3000億ドル(国際収支ベース)を取り崩した。

 中国の外貨準備はまだ3兆ドル強あり、(輸入代金の補てんなどの)従来の基準からすれば潤沢な資金だ。国内の借り手は今年、対外債務の返済を進めた。対外債務危機が起こる公算は既に小さいが、これでさらに可能性が後退した。

 だが、中国経済の健全性を測るもう一つの目安はさらに悪化し、介入の代償を浮き彫りにしている。外貨準備高に対する広義のマネーサプライ(M2)の比率は2015年末の6.3から7.4に上昇した。外貨準備は中銀のバランスシートで資産として計上され、経済へのマネー創出を支える。M2比率の急速な上昇は、新興国においては危機の前兆となり得る。たとえそうでなかったとしても、中国の金融錬金術の限界を示すものだ。

 中国は長らく、マネーサプライの拡大を資本流入に頼ってきた。ここ数年のように資本が逆流すれば、国内の銀行システムが圧迫される。その一つの兆候として、銀行はより安定した預金ではなくインターバンク市場を通じた短期の資金繰りへの依存を強めている。こうした短期金融市場の資金を潤沢に保つのは至難の業だ。中国人民銀行(中央銀行)は為替市場に介入する際、金融システムから流動性を吸い上げる。その分の資金は低利で銀行に融資して埋め合わせようとするのだ。ただその結果として、圧力が高まると金融システムが概して打撃を受けやすい状態にもなる。12月のドル急騰で中国の債券市場が混乱に見舞われたことからもそれがわかる。

 こうした中でワイルドカードとなるのは地政学的要因だ。ドナルド・トランプ氏は次期米大統領に選出された後、ほどなく中国への対抗姿勢を示した。緊張が高まれば中国の為替を巡る計算を狂わせる恐れがある。

 政治情勢を別にすれば、市場は今年の元安に順応してきた。そうはいっても、中国の金融システムに関して元相場が発する警鐘が消え去ったわけではない。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjAu9C40pjRAhVBKpQKHXQtBWwQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12551518554479554206404582525430369384346&usg=AFQjCNGPpC9I0G-o0TIR9tuCAeIi1PT1Tw
http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/870.html

[経世済民117] ブラジルの貿易黒字、背景には輸入激減 「現金は王様」は過去の格言 世界最大のヘッジファンド、社員の脳でアルゴリズム構築 

ブラジルの貿易黒字、背景には輸入激減

ブラジルの貿易黒字の背景には景気後退による輸入激減がある
By ROGERIO JELMAYER AND JEFFREY T. LEWIS
2016 年 12 月 29 日 10:44 JST

 【サンパウロ】ブラジルは今年、貿易黒字が過去最高に達する見込みだ。ただアナリストらはその理由について、国内の長引くリセッション(景気後退)を背景に輸入が激減したためで、過去のように資源輸出の拡大に基づくものではないとしている。

 ブラジル開発商工省貿易局は来年1月2日に2016年通年の貿易統計を発表する。ブラジル中央銀行の週間調査では、16年の黒字が471億ドルに達し、06年に記録した過去最高の465億ドルを上回るとみられている。06年当時は輸出品に対する旺盛な需要がけん引力だった。

 それから10年余りを経て、記録更新の背景となるのは国内の需要減退だ。ブラジルの国内総生産(GDP)は15年に3.8%減少した。中銀調査では今年も3.5%の減少が予想されている。こうした景気情勢で失業率も大きく上昇し、入手可能な直近のデータによると10月までの3カ月の失業率は11.8%に達した。

 ブラジル輸出協会のホセ・アウグスト・ド・カストロ会長は、過去最高を更新するとみられる今年の貿易黒字は、国内のひっ迫した状況を覆い隠しているとし、こうした窮状は輸出入額を単純合計する貿易総額の減少によりよく現れていると指摘する。今年の貿易総額は恐らく約3200億ドルと09年以来の低水準に落ち込み、過去最低となった11年の4820億ドルも大きく下回る見込みだ。

 ド・カストロ氏は「輸出入が極めて低水準にある」とし、「雇用を創出するのは単なる大きな貿易黒字ではなく、貿易総量の増加だ」と述べた。

 輸入の減り方は輸出に比べ深刻だ。ブラジル貿易局によると、年初から11月までの輸出は前年同期比で2.9%減少した一方、輸入は21.7%の大幅減となった。

 ド・カストロ氏はこの問題の大きな要因として、「企業が設備投資を手控えている」ことを挙げた。

 設備投資は昨年と今年これまでのGDP統計で最も振るわない項目だ。9月末まで10カ月連続減となり、16年1-3月期には17%余り減少した。

 サルアメリカ・インベスティメントのエコノミスト、ニュートン・ローザ氏は、来年何が起こるか予測するのは困難だと言う。景気低迷に伴い輸入も引き続き弱くなるであろうが、資源価格の上昇が続けば輸出は上向く可能性があるとの見方を示した。

 ローザ氏は、このシナリオにとってリスクになるのはドナルド・トランプ次期米大統領だと指摘する。

 米国で「保護主義が強まるかもしれない」とし、そうなればブラジルの貿易黒字が予想を下回るだろうと語った。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwioqMX90ZjRAhWFkZQKHSYnANoQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10878553558812384085704582525831706093516&usg=AFQjCNFnn8ZHXoqtP_WXy-dScdL8B0-QCg


 


「現金は王様」は過去の格言か
インドは高額紙幣を廃止した。写真は10ルピー札(12月8日、インド北部ウッタルプラデシュ州)
By AARON BACK
2016 年 12 月 29 日 07:33 JST

 市場が活況を呈する局面では、現金は「ゴミ」だと言われることが多い。だが前回ブル市場となった1980年代から90年代にかけては、少なくとも様々な支払いに現金が広く使われていた。今は状況が異なる。

 市場調査会社ユーロモニターによると、2016年は中国でクレジットカードの利用が広まったことが背景となり、世界的に非現金決済が現金決済を初めて上回った。世界の消費者決済に占めるクレジットカードの割合は44.1%となり、現金の43%を超えて最大の支払い方法となった。

 今後、この流れが反転する見込みは低い。中国と同じく人口が10億人を超えるインドは強制的に高額紙幣の流通を差し止めている。紙幣が存在しなければ、消費者は現金で支払うことができない。他の発展途上国も時代遅れの銀行システムを避けてモバイル決済を利用し始めている。この移行を牽引する最大の要因はインターネット通販かもしれない。現金はゴミではないが、これから先ますます目にすることが減るだろう。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiwtdSw0pjRAhUDW5QKHUdkB3AQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12551518554479554206404582525564084077998&usg=AFQjCNFURupeFCih1xIKagMwAC7ksULXSg


 


 


世界最大のヘッジファンド、社員の脳でアルゴリズム構築(前編)
経営を自動化するための「未来の書」とは?
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世界最大のヘッジファンド会社ブリッジウォーター・アソシエーツを率いるレイ・ダリオ氏 PHOTO: MATT FURMAN
By
ROB COPELAND AND BRADLEY HOPE
2016 年 12 月 29 日 08:43 JST
 世界最大のヘッジファンド会社、ブリッジウォーター・アソシエーツの内部では、ソフトウエアエンジニアが極秘プロジェクトを進めている。同社の創業者レイ・ダリオ氏はこのプロジェクトを「ザ・ブック・オブ・ザ・フューチャー(未来の書)」と呼ぶこともある。
 プロジェクトが目指すのは経営のほとんどを自動化する技術だ。この技術は同社を徹底した公開性が確保される場とし、そしてダリオ氏が去っても存続しうる企業に育てるという同氏のライフワークの集大成となるはずだ。
 ブリッジウォーターでは、ほとんどの会議が録音され、社員は常に互いの問題を指摘することが求められる。社員の欠点は頻繁に調査され、個人の業績は多くの資料に基づいて評価される。ダリオ氏はその全てを見守っている。
創業者の頭脳をコンピューターに移植
 新たな技術が実現すれば、ダリオ氏の型破りな経営手法は1つのソフトウエアシステムに収められる。社員がある特定の電話を掛けるべきかどうかに至るまで、このソフトは社員のあらゆる行動について、GPS(衛星利用測位システム)並みに詳細な指示を与えることになるかもしれない。
 ソフトは現在開発中で、その運用の詳細については今も社内で議論されている。このプロジェクトに詳しいある社員は、「レイの頭脳をコンピューターにしようとするようなものだ」と語った。

ブリッジウォーターの運用資産額の推移(2015年12月末時点まで)
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RJ845_P1BW76_NS_20161228035421.jpg

 ブリッジウォーターはヘッジファンドとしては最大の1600億ドル(約18兆円)の資産を運用している。顧客の資金をヘッジファンドに投資するLCHインベストメンツによると、ブリッジウォーターは同業他社の2倍もの総利益を顧客にもたらしている。調査会社インスティチューショナル・インベスターズ・アルファによると、ダリオ氏の昨年の個人としての報酬は14億ドルだった。
 ところが今年は同社の旗艦ファンドの運用成績が一時、前年同期比で約12%減となり、社内に危機感が募った。このファンドはその後持ち直し、今月中旬には3.9%増となったが、これより手数料の安いファンドは8.1%増だった。
「戦いを選ぶな。全ての戦いに挑め」
 ブリッジウォーターの社員が従うべき規則は「プリンシプルズ(原則)」という名称で知られる123ページの公開マニフェストの中に収められている。社員は全員、この原則を身につけ、実行するよう求められている。原則には、「長期的に見れば、人間は概して自分にふさわしいものを手にすることになる」などという格言と共に、「戦いを選ぶな。全ての戦いに挑め」といったダリオ氏からのアドバイスがずらりと並んでいる。
 ブリッジウォーターによると、新入社員のおよそ5分の1が1年目を終えることなく退社するという。現役社員と元社員の5人に話を聞いたところ、プレッシャーが非常に大きいため、会社に残った社員がトイレで泣いていることもあるそうだ。本稿はこの5人に加え、10人を超える現役社員と元社員、さらに、同社に近い人達の話に基づいて執筆した。
 ダリオ氏は6年前にメンター(助言者)役に退いたが、今年になって経営の指揮を執るべく復帰した。それから数週間もたたないうちに、ダリオ氏はマネージャーを招集し、会社の肥大化と効率の低下を指摘した。これを解決するには「リノベーション」、つまり能力が劣る社員の解雇が必要だと述べた。
人員削減と「徹底した透明性」の見直し
 その直後から人員削減が始まった。ダリオ氏の復帰以降、社員数は約150人、割合で言えば10%減少した。今後さらに数百人が削減される可能性があるが、最終的には一部のポジションについては新規採用で穴埋めされるとみられる。同社はかつて、年末のパーティーのためにクリスマスツリーを天井から逆さづりにするなど凝った飾りつけをしたこともあったが、今年は予算を20%削減した。
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グレッグ・ジェンセン共同最高投資責任者は約1年前、ダリオ氏の陰口を言った疑いがもたれ、ダリオ氏と衝突した(写真は2015年1月のダボス会議に出席したジェンセン氏) PHOTO: SIMON DAWSON/BLOOMBERG NEWS
 今年、社内の混乱が外に漏れたことで傷ついたダリオ氏は、上層部が行った議論や決定の全てを全社員に知らせるという何十年も前からの制度を改め、約10%の社員だけに「徹底した透明性」(ダリオ氏)を確保することにした。
 ダリオ氏は新たな原則を書き留めた。「徹底した透明性は責任をもって応じる人間に授けなければならない。それができない人間に与えてはならない」というものだ。この原則はまだ公表されていない。
 この新たな原則が情報漏えいに見合ったものかどうかについての公開会議の場で、ある社員がダリオ氏に反論すると、ダリオ氏は同社の経営システムを作った人間として適切な対応と判断したと回答した。
2006年の段階で金融危機を予見
 ダリオ氏は1975年にマンハッタンの寝室2つのアパートに調査会社ブリッジウォーターを設立、マクロ経済動向予測で注目を集めた。
 ダリオ氏がよく言うのは、市場は経済という誤解された機械の働きを映し出しているという考え方が自分の成功を支えているということだ。その機械の仕組みを読み解くには、考え抜いた末に意見を戦わせながら、つらくても徹底的に真実に迫ろうとする姿勢が欠かせないと語る。だからこそ社員は繰り返し、率直に互いに意見を戦わせることが求められている。
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2015年1月のダボス会議に出席するダリオ氏 PHOTO: JASON ALDEN/BLOOMBERG NEWS
 ダリオ氏は、経済とは「無数の単純なことが同時に動いているだけ」と書いたことがある。コンピューター主導の取引が流行する何十年も前に、ブリッジウォーターは国際金利や小売売上高などさまざまなデータの関係性を追い、投資アルゴリズムを構築し始めた。今では参照するデータは1億種類に上る。
 こうしたアルゴリズムを具体化した旗艦ヘッジファンド「ピュア・アルファ」は株式や債券、通貨などの資産の売買にデータを活用している。ブリッジウォーターの投資家への説明によると、同ファンドは2006年の段階で金融危機を予見するなど以前から世界中の好況、不況を予測してきた。
 ダリオ氏は人間も機械のように動くと考えている。機械という言葉は「原則」の中に84回も登場する。ダリオ氏によると、問題は人間が感情に邪魔されて最高の成果を挙げることができないという。この問題は組織だった訓練によって克服できるとダリオ氏は考えている。
経営を自動化するための「未来の書」
 ダリオ氏は経営についても同じように考えている。成功を収めているマネージャーは「自分が望むものを手に入れるために正しいことをする正しい人々で構成する『機械』を設計する」。ダリオ氏は原則にそう記している。
 経営を自動化するためのソフト「未来の書」――ダリオ氏は「ジ・ワン・シング」と呼ぶこともある――にはのちに「プリンシプルズ・オペレーティング・システム」(PriOS)というより改まった名称が与えられた。このシステムは同社の投資プロセスと同様に経営も組織的に行うことを目指している。
 システムにはダリオ氏が社員に要求するいくつもの性格検査のデータが組み込まれている。ある検査では、マネージャーが筆記試験を受け、それぞれの「階層」が判定される。階層とは、カナダ生まれの精神分析学者、故エリオット・ジャック氏が開発した概念に関する技能の得点を指す。
 マネージャーはこの検査で、「ブリッジウォーターが今、直面している最大の問題は何か」などの設問に答える。長期的な傾向を見極める先天的な能力があることが分かったマネージャーには高い得点が与えられる。
 ダリオ氏は社内で最も高い階層の得点を保持している。同社は社員に対し、ダリオ氏の得点が世界最高レベルであることを明らかにしている。
 同じように、ブリッジウォーターのソフトはダリオ氏を、投資やリーダーシップといった点において社内で最も「信用できる」社員だと判断している。つまり、ダリオ氏の意見はより大きな影響力があるということになる。
*この記事は後編に続きます(有料)>>
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http://jp.wsj.com/articles/SB10878553558812384085704582524343329563420 


 

世界最大のヘッジファンド、社員の脳でアルゴリズム構築(後編)
日常的な経営判断をソフトにゆだねる
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ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏 PHOTO: JASON ALDEN/BLOOMBERG NEWS
By
ROB COPELAND AND BRADLEY HOPE
2016 年 12 月 29 日 11:42 JST
 約18兆円の資産を運用する世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツ。同社では今、極秘プロジェクトが進められている。プロジェクトが目指すのは経営のほとんどを自動化する技術だ。
• 世界最大ヘッジファンド、社員の脳でアルゴリズム構築(前編)
 同社の創業者レイ・ダリオ氏は、社員を評価するための新たなデータを常に探し求めている。元社員によると、社員の脳波を測定するためにヘッドバンドを使うというアイデアを提案したこともあるそうだ。このアイデアは採用されなかった。
 経営の自動化を進めるには、さらに大きな課題に取り組む必要がある。それは現在67歳のダリオ氏が居なくなった後、どうすれば企業文化を維持できるかという問題だ。
 ダリオ氏は一時的に日常の経営業務から退いたとき、数週間の休みを取ってスキューバダイビングなどの趣味を楽しんだ。一時期は弓矢を使ったハンティングをしたこともある。外洋観測を行うために潜水艦を装備した船舶(MVアルシア)も購入した。
陰口をたたくことは2番目に重い罪
 ダリオ氏は会社から離れた状態でブリッジウォーターを経営するため、外部から著名人を招いた。
 ほどなくして、ダリオ氏は幹部職の数人に対して不満をあらわにした。その1人がジェームズ・コミー氏だ。ダリオ氏は2010年にコミー氏を法務顧問として採用した際、同社の公平性を改善するために「ゴッドファーザー」のような役目を果たすと述べていた。
 2人の元社員によると、3年もたたないうちにダリオ氏はコミー氏を、鳥のさえずりのように陳腐なアイデアを繰り返すという意味で「チャーパー(chirper)」と呼ぶようになった。ブリッジウォーターで先を見通す力のあるリーダーの理想像を「シェイパー(shaper)」と呼ぶことにかけたものだ。
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2010年にブリッジウォーターに法務顧問として参画したジェームズ・コミー氏 PHOTO:ANDREW HARRER/BLOOMBERG NEWS
 コミー氏は2013年に同社を去った。同僚には、自分には向かなかったと語ったという。現在、米連邦捜査局(FBI)長官のコミー氏はコメントを差し控えた。
 長年、ダリオ氏の後継者と目されてきた幹部のグレッグ・ジェンセン氏は約1年前、ダリオ氏の陰口を言った疑いがもたれ、ダリオ氏と衝突した。ブリッジウォーターでは、陰口をたたくことは不誠実であることに次ぐ2番目に重い罪とされている。同社が開催した裁定委員会で、ジェンセン氏は社の規則を破っていたとされた。ジェンセン氏は共同最高経営責任者(CEO)の肩書は失ったが、今も共同最高投資責任者(CIO)を務めている。ジェンセン氏はコメントを差し控えた。
 ブリッジウォーターは本稿に対して書面で、「こうしたやりとりは米国のどの職場でも起きている」とコメント。「当社が異なるのは、問題が存在しないふりをする代わりに、隠し立てせずに取り組み、正直に対処している点である。当社はこうした問題を社員全てに示しており、必要があれば対立を投票によって決着させることもある」とした。
 ダリオ氏は自身の哲学を実行に移すための新しい方法を頻繁に思いつく。最近では、「監督者」という職種をつくった。この職種に就いた十数人が会社中に配置され、首脳陣の目となり耳となって活動している。
IBMワトソンの開発チームから引き抜き
 経営を自動化するためのソフト「PriOS」のプロジェクトは、システマイズド・インテリジェンス・ラボという独立したグループが中心になって進めている。リーダーは2013年に入社したデービッド・フェルッチ氏。IMBで人工知能(AI)システム「ワトソン」の開発チームのリーダーを務めていた人物だ。
 才能を生かして金融市場の隠れたシグナルを探る手伝いをするのだろうという外部の予想に反し、フェルッチ氏は社員に関する大量のデータ分析を行っている。データの中には、就業時間全体を対象にした社員の相互評価も含まれる。ブリッジウォーターではこの相互評価を「ドット」と呼ぶ。
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IMBで人工知能システム「ワトソン」開発チームのリーダーを務めていたデービッド・フェルッチ氏 PHOTO: BLOOMBERG
 システマイズド・インテリジェンス・ラボは社員が日常的に活用するいくつかのiPad用アプリに関わっている。その中の1つが「ドット・コレクター」で、これを使えば、社員は数十の特性について他の社員を評価できるほか、例えば、今の会話が時間の無駄かどうかといった単刀直入なものも含めて、会議中にアンケートを取ったりすることができる。
 こうしたデータに他のデータを加えてできるのが「ベースボールカード」だ。これはさまざまな分野における社員の長所と短所を示すものだ。その1つが「人が言われたくないことを指摘する」で、同社においては極めて重要な特質である。
 システマイズド・インテリジェンス・ラボの求人広告には、こう書かれている。「革新的アプリが生み出す大量のテキストベースのデータから意味や理解を掘り起こす仕事」だと。数人の現役社員は、ブリッジウォーターで働くこと自体が投資活動と同じように、人間の意思決定に関する実験的研究のように感じると語った。
会議が終了する前にソフトが結果予測
 ここ数カ月の間に開発された新たなアプリを見れば、ダリオ氏が技術に対してどのような展望を抱いているかが分かる。「コントラクト」というソフトは社員のiPadに搭載されていて、長期的に達成すべきゴールをまとめるよう社員に指示を出した上で、その進ちょく状況を追跡するものだ。
 「コーチ」というアプリは社員が質問を入力すると、123ページの公開マニフェスト「プリンシプルズ(原則)」の中でその質問に関連する一節を参照するよう指示が返ってくる。最終的には、コーチを意思決定を支援するAIシステムに進化させることを目指している。
 PriOS は今のところ、こうした形で活用されている。将来的には、社内の空きポジションを調査して、各ポジションにふさわしい特別な能力や長所を持った人材を社員の中から見つけることができるようになるだろう。
 社員同士が決定をめぐって対立しても、声に出して議論する必要はなくなるだろう。自分の意見をPriOSに入力すれば、ソフトがそれぞれの視点をランク付けし、「原則」に照らし合わせた上で、進むべき最善の道を示すだろう。
 最終的に目指しているのは、会議が終了する前にPriOSがその結果を予測して、社員がその日のうちに特定の行動を取るよう導くことである。ダリオ氏は5年以内に、経営に関する決定のうちおよそ4分の3をPriOSが決定する状態を目指している。
 人間の役割は個別の選択をすることではなく、問題が起きたときに介入して、システムによる決定のための基準を設計することになるだろう。
 ダリオ氏が記述した「原則」は意思決定の自動化という目標を示唆している。そこには、原則が広く採用されるようになれば、「『レイの原則』から『われわれの原則』に進化して、次第にレイとの関係はなくなっていくだろう」と書かれている。
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http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/306.html

[経世済民117] 2016年ベスト&ワースト通貨と株価指数、商品、債券 安倍や習らアジア首脳の手腕を検証 倫敦住宅価格伸び8年ぶり全国以下
2016年ベスト&ワースト 通貨と株価指数、商品、債券
Julie Verhage
2016年12月29日 13:01 JST

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• 「ポンド」受難の年に−英ポンドに加え、エジプト・ポンドも急落
• 大統領罷免にもかかわらずブラジル株が最も大きく値上がり

英国の欧州連合(EU)離脱選択や米大統領選挙でのドナルド・トランプ氏勝利、それに米S&P500種株価指数が1月に急落したことなど、2016年は投資家にはとても静かとは言えない1年となった。ただ、こうした混乱が痛みと共に好機ももたらした。今年の最良、最悪のリターンとなった投資対象を資産クラス別に振り返ってみたい。

通貨
  「ポンド」と名の付く通貨にとっては、受難の年となった。今年最悪のパフォーマンスとなったのはエジプト・ポンドだ。エジプトはドル不足や社会不安懸念に苦しむ経済を安定化させようと、通貨を自由に取引できるようにするための劇的な措置を講じた。英ポンドはEU離脱選択後に急落し、その後も回復していない。
  一方、今年最高のパフォーマンスとなったのが仮想通貨ビットコインだ。中国などでの資本規制や英米での孤立主義台頭で代替通貨への関心が高まり、今年100%を超える値上がりを記録。政府もしくは中央銀行が発行する通貨としては、ロシア・ルーブルが最も大きく上げた。原油相場の回復が寄与した。
株価指数
  最近の混乱にもかかわらず、ブラジル株の指標、ボベスパ指数が今年のベストパフォーマーだ。弾劾裁判で有罪となり罷免されたルセフ前大統領を引き継いだテメル大統領が、ここ1世紀で最悪のリッセッション(景気後退)を終わらせ、政治の安定を実現させるとの期待が背景だ。
  今年最大の値下がりはナイジェリアの株価指数。資本規制が海外からの投資の妨げになるなどし、ナイジェリアはここ20年余りで初のマイナス成長となりそうだ。
商品
  15年は商品強気派にとってかなり荒れた年だったが、今年は値下がりした商品を見いだすのが難しいほどだ。天然ガスの値上がりが顕著で、ここ1年で60%余り価格が上昇した。
  不安定な相場となったが、原油価格も持ち直した。ニューヨーク市場のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は1バレル=30ドルを下回った後、50ドルを突破。今年は50%以上の値上がりとなった。値下がりしたのは農作物。小麦が13%安、トウモロコシは1.6%下げた。
債券
  今年トップクラスの値上がりはベネズエラの国債だ。資金不足に悩むこの国の社会不安を踏まえれば、少しばかり驚きだ。財政的猶予を得るために政府が債務返済を先送りする取り決めを検討している可能性があるとのうわさから国債が買われた。最悪のパフォーマンスとなったのは、債務危機とインフレ加速に苦しむモザンビークの国債だ。

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  米国の高利回り社債について言えば、多くのエネルギー企業債がトップクラスの成績を収めた。原油相場の安定を見込んだ投資家に利益をもたらした。最悪は掘削サービスのサイドワインダー・ドリリングが発行した社債。同社については、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが格下げし、デフォルト(債務不履行)の可能性があると警告した。

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  新興市場の社債では、中国の安東油田服務(アントン・オイルフィールド・サービシズ)が最大の値上がり。上海の銀行からの資金調達を増やし、昨年の格下げから持ち直した。

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原題:Here Are the Best and Worst Performing Assets of 2016(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-29/OIXBT66TTDS101

 

 
世界が揺れた2016年−安倍首相や習主席らアジア首脳の手腕を検証
David Tweed
2016年12月29日 14:41 JST

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英国の欧州連合(EU)離脱決定や米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利の話題で持ちきりだった今年、アジアは世界で比較的安定した地域に感じられた。ただ、注意深く見ると、アジアも今年、域内の激動に耐えていた。フィリピン大統領が中国重視姿勢を取り、ソウルでは大規模デモが続き、インドでは高額紙幣の廃止が発表された。
  アジアの首脳が今年残した実績を、各国の経済規模順で振り返ってみた。
中国の習近平国家主席

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iRfMLn0Z8mWw/v2/-1x-1.png

  習主席(63)は2016年、さらに権力を固めた。共産党の中央委員会第6回総会閉幕後のコミュニケでは党の「核心」と位置付けられ、17年後半の党大会で行われる最高指導部交代を前に権力基盤を強化した。習主席は初めて20カ国・地域(G20)首脳会議の議長を務め、中国は自由貿易と気候変動対策の主要な提唱者だと主張した。
  17年の最大の課題は、通商や台湾関連で強硬姿勢を取るトランプ次期米大統領への対応と、指導部交代を控える中でも中国経済の回復基調を確実にすることだ。
日本の安倍晋三首相

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i.TMwCApI8II/v2/-1x-1.png

  安倍首相(62)の支持率は、17年の解散総選挙に説得力のありそうな水準で年末を迎えた。総選挙を実施すれば、首相在任期間で戦後最長を記録するチャンスも出てくる。トランプ氏の勝利は安倍首相が推進する環太平洋連携協定(TPP)に打撃を与えたが、安倍首相はロシアとの領土問題で前進を模索し、太平洋戦争開戦の地である米ハワイの真珠湾を訪問して1年を締めくくった。国内ではいずれの動きも評判は良かった。
  17年の最大の課題は対中関係のかじ取りを行いつつ、トランプ氏に日米同盟の重要性を納得させることだ。
インドのモディ首相
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  モディ首相(66)はインド政治で数十年見られなかった手法で権勢を振るっている。11月8日には流通する紙幣の86%を廃止すると発表した。これは汚職を撲滅し、国内取引の障壁を減らし、対立が続くパキスタンに対して一段と強硬路線を取るという自らの国家ビジョンを実現するためには多数の国民に苦難を強いることもいとわない姿勢を示した。
  17年の最大の課題は、突然の高額紙幣廃止で成長見通しが落ち込んだインド経済を再生しながら、国内最大の州での選挙を戦い、物品・サービス税(GST)を全国に導入することだ。
韓国の朴槿恵大統領
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  アジアの首脳の中で最悪の1年に直面したのは韓国の朴大統領(64)だ。友人の国政介入を許した問題をめぐって退陣を求める大規模デモが数週間続いた後、12月9日に朴大統領の弾劾訴追案が国会で可決された。憲法裁判所が弾劾の合憲性を認めた場合、朴大統領は免責特権を失い、60日以内に大統領選が行われる。首相が大統領の職務を代行している。
  17年の最大の課題は収監を逃れることだ。
フィリピンのドゥテルテ大統領
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i8ZA00P.gOoA/v2/-1x-1.png

  ドゥテルテ大統領(71)は6月に就任して以来、麻薬撲滅対策で最高5000人が射殺されたとして国際的な批判を浴びているものの、フィリピン国内では依然として高い人気を保っている。大統領は米国との同盟関係について暴言も交えて繰り返し疑念を呈した一方、中国に接近しており、地政学的変化がアジアを揺さぶっている。
  17年の最大の課題は、経済の好調を維持し政権運営への財界・軍幹部からの干渉を避けながら対米、対中関係のバランスを取ることだ。
原題:Who’s Had the Worst Year? How Asian Leaders Fared in 2016(抜粋)
—With assistance from Iain Marlow, Karlis Salna, Sam Kim, Isabel Reynolds, Ting Shi, Anisah Shukry, Norman P Aquino, Hannah Dormido and Adrian Leung.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-29/OIXHR36S972901

 

今年のロンドン住宅価格の伸び、8年ぶり全国下回る-ネーションワイド
Lucy Meakin
2016年12月29日 18:14 JST 
首都では3.7%上昇、全国は4.5%値上がり
すでに高過ぎて手が出ない水準、来年の伸びも全国で2%前後か

英国では首都ロンドンの住宅価格の伸びが、全国を8年ぶりに下回った。すでに高くなり過ぎ、購入希望者の手の届かない水準に達しつつあることを示した格好だ。英住宅金融のネーションワイド・ビルディング・ソサエティーが29日データを公表した。
  2016年のロンドンの住宅価格は前年比3.7%上昇と、昨年の12.2%を大きく下回る伸びとなった。英国全体では4.5%値上がり。12月単月では前月比0.8%上昇した。
  ネーションワイドのチーフエコノミスト、ロバート・ガードナー氏は「ロンドンの住宅価格が大幅に上昇する局面は終わりに近づきつつあるのかもしれない」とし、「低金利で住宅ローンの月当たり支払額が減ったものの、ロンドンとイングランド南部では価格が高過ぎて手が出ない、または所得に対して多くの金額を借り入れなければならない人が増加した」と説明した。
  ネーションワイドは記録的な低金利と物件不足が住宅価格を押し上げるとみて、来年の全国住宅価格の上昇率を2%前後と予想。ただ、ガードナー氏はこうした見通しは「全般的な経済動向に大きく左右される。通常よりも不透明感の度合いが強いためだ」とし、「イングランド銀行などが示した大半の予想同様、われわれも英経済が来年はやや鈍化すると見込んでいる。雇用市場の堅調さが陰り、住宅価格の伸びも若干減速する公算が大きい」と付け加えた。
原題:London House-Price Growth Lags Behind U.K. First Time Since 2008(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-29/OIXUI16KLVR601

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/312.html

[経世済民117] ドル・円が2週間ぶり安値、米金利低下や株安 日銀金利、相当期間継続 債券上昇  米シェール投資抑制 人民元大幅下落先安感
ドル・円が2週間ぶり安値、米金利低下や株安で−116円台前半
池田祐美
2016年12月29日 11:09 JST 更新日時 2016年12月29日 16:12 JST 

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朝方付けた117円26銭から午後に116円31銭までドル安・円高進行
ドル・円は米金利低下を受けて調整色が強まっている−三菱UFJ信

29日の東京外国為替市場ではドル・円相場が1ドル=116円台前半まで下落し、約2週間ぶりのドル安・円高水準を付けた。前日の米国市場で長期金利低下や株安を背景にドル売り・円買いが進んだ流れが継続した。
  ドル・円は午後4時10分現在、前日比0.7%安の116円41銭。朝方に付けた117円26銭から、午後の取引終盤に一時116円31銭まで下落し、14日以来の安値を付けた。
  米10年国債利回りはこの日の時間外取引で一時2.48%まで低下し、14日以来の低水準を付けた。東京株式市場でTOPIXは反落。前日比1.2%安の1518.39で取引を終えた。
  三菱UFJ信託銀行資金為替部・戦略トレーディング課の池島俊太郎課長は、「ドル・円は米金利低下を受けて調整色が強まっている。昨日の米債利回りの低下は強い入札の結果や月末を控えた株高・債券安のリバランスが要因とみられるが、参加者が少ない中で値幅が出た形となっている」と説明。「ドル・円は目先的に12月12日高値116円12銭程度までの下値リスクはありそう。ただ、ニューヨーク時間に入り、昨日と同様に株高・債券安に対するリバランスの動きがあるか、米7年債入札の結果がどうかといったところが注目されそう」と語った。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iWkwemSdVNBU/v2/-1x-1.png

  前日の米国市場で10年国債利回りは前日比5ベーシスポイント(bp)低下の2.51%程度で終了。一方、S&P500種株価指数は0.8%安の2249.92。全米不動産協会(NAR)が発表した11月中古住宅販売成約指数は前月比で2.5%低下だった。
  みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「これまで1カ月強の期間に17円超もドル高・円安が進み異常なペースだった。いったん115円近辺への調整が年末年始にあるかなと思う」と指摘した。もっとも、「緩やかな米景気回復、トランプ政権への期待、金融政策の格差を背景に、急激なドル安・円高が進むとは思えない。あくまで急激なドル上昇に対する時間的な調整にすぎない印象」と述べた。
  29日の米国市場では、週間新規失業保険申請件数や11月の卸売在庫などが発表される予定。ブルームバーグ予測調査によると、失業保険申請件数が26万5000件(前週は27万5000件)、卸売在庫は前月比0.2%増(10月0.4%減)が見込まれている。
  JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉為替調査部長は、29日付のリポートで、「日銀のイールドカーブコントロールの下で、日米金利差の動きが以前に比べて大きくなっていることは、金利差拡大時だけでなく縮小時にも同様に当てはまる」と分析した。
  ユーロ・ドルは同時刻現在、0.4%高の1ユーロ=1.0457ドル。朝方に付けた1.0409ドルからじりじりと水準を上げ、一時1.0465ドルまでユーロ高・ドル安が進んだ。
  欧州では、11月のユーロ圏マネーサプライM3が発表される予定。ブルームバーグ調査では前年比4.4%増が見込まれている。10月は4.4%増だった。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-29/OIXAWA6S972901

 


ドル売り優勢、ユーロドルは一時1.0480近辺に上昇=ロンドン為替

配信日時 2016年12月29日(木)19:17:00 掲載日時 2016年12月29日(木)19:27:00
ドル売り優勢、ユーロドルは一時1.0480近辺に上昇=ロンドン為替

 米債利回りの低下が続いており、為替市場でのドル安圧力となっている。ユーロドルは1.0480レベルまで本日の高値を伸ばしている。ドル円は116.60近辺まで下げ渋ったあと、再び116.35近辺へと下げており、上値が重い。

EUR/USD 1.0473 USD/JPY 116.35 EUR/JPY 121.85

 

米株価指数先物 時間外取引 小幅安、ダウ先物は11ドル安

配信日時 2016年12月29日(木)19:29:00 掲載日時 2016年12月29日(木)19:39:00
東京時間19:29現在
ダウ平均先物3月限 19764.00(-11.00 -0.06%)
S&P500先物3月限 2245.25(0.00 0.00%)
NASDAQ100先物3月限 4921.00(-2.75 -0.06%)


 


テクニカルポイント ポンドドル、緩やかな下降トレンドが継続

配信日時 2016年12月29日(木)19:50:00 掲載日時 2016年12月29日(木)20:00:00
テクニカルポイント ポンドドル、緩やかな下降トレンドが継続

1.3329 200日移動平均
1.2819 ボリンジャーバンド 2σ上限(21日間)
1.2674 100日移動平均
1.2560 一目均衡表・雲(上限)
1.2488 一目均衡表・基準線
1.2479 21日移動平均
1.2445 エンベロープ1%上限(10日間)
1.2419 一目均衡表・雲(下限)
1.2353 一目均衡表・転換線
1.2322 10日移動平均
1.2263 現値
1.2199 エンベロープ1%下限(10日間)
1.2138 ボリンジャーバンド 2σ下限(21日間)

 ポンドドルは比較的緩やかな下降トレンドが継続している。10+21日移動平均線が12月20日にはデッドクロスを示現しており、RSI(14日)は12月中旬には50割れとなった。10日移動平均線がレジスタンス水準として機能している。10/1と10/25に下押しされた1.20台後半が当面の下値目標となりそうだ。
http://klug-fx.jp/fxnews/ 

 

 

日銀:現在の金利水準「相当期間」継続求める声も−12月会合主な意見
日高正裕
2016年12月29日 10:16 JST 
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別の委員も「息長く現在の金融政策を継続するべきである」
長期金利目標の「アローアンス」は上方向に広めにとの意見も

日本銀行が公表した12月19、20日の金融政策決定会合の「主な意見」によると、過去の経験を踏まえ、現在の金利水準で長短金利操作付き量的・質的金融緩和を「相当の期間」続けるべきだとの声が出た。
  ある委員は「大恐慌時の米連邦準備制度理事会(FRB)の早過ぎた出口、日本の早過ぎたゼロ金利と量的緩和の解除などの経験を踏まえれば、2%の物価目標を達成するためには、相当の期間、現在の金利水準で長短金利操作付き量的・質的金融緩和を続けるべきである」と述べた。
黒田日銀総裁の記者会見(20日)
黒田日銀総裁の記者会見(20日) Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  別の委員は「経済の好循環が続いている現況下において、息長く腰を据えた脱デフレ完遂の取組みに資するべく、現在の金融政策を継続するべきである」と語った。
  日銀は9月会合で、操作目標をマネーの量から長短の金利に変更。短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)のマイナス0.1%を維持する一方で、長期金利(10年物国債金利)は0%程度とすることを決定した。長期国債の年間買い入れ増加ペースは80兆円をめどとし、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の物価目標を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続することも表明した。この方針は11月に続き12月の会合でも据え置いた。
長短金利に否定意見も
  「主な意見」では、長短金利操作に否定的な見方も複数あった。ある委員は「指し値オペの実施を早期に余儀なく されたことは、長短金利操作の難しさを裏付けた。国債買い入れを伴わない指し値オペは、実効性が低い」と指摘。さらに「超長期国債の買い入れ増額措置は、長短金利操作の下では国債買い入れのペースが高まるリスクが相応に高いという当初からの自身の懸念を裏付けるものである」と述べた。
  トランプ氏の米大統領選の勝利以降、大規模な財政出動への期待から米長期金利が急上昇しており、国内の長期金利にも上昇圧力が加わっている。急激な金利上昇を抑えるため、日銀は11月17日に新枠組み導入後初めて、中期ゾーンで指定した利回りで国債を無制限に買い入れる指し値オペを通知。12月14日には超長期ゾーンの国債買い入れ額を増額した。
  もう1人の委員は「10年金利の目標をゼロ%程度とすることに反対であり、望ましい経済・物価情勢の実現に最適なイールドカーブの形状はもう少しスティープであってもよい」と指摘。さらに、「市場では長期金利の0%程度の範囲を±0.1%とみているようだが、レンジはより柔軟であってよい。長期金利はもともと微細な調節に馴染まないため、アローアンスは特に上方向は広めにみておいてよい」と語った。
目を引いた少数派意見
  野村証券の松沢中チーフ金利ストラテジストは公表後のリポートで、「ポジティブなショックが起こった時に金融緩和効果が自動増幅していく現在の政策枠組みが想定通りの機能を発揮していることを指摘する意見が多く、枠組み変更を求める意見は少数だった」と指摘。
  少数意見として目を引いたのは、長期金利の「アローアンスは特に上方向は広めにみておいてよい」との見解で、「この考え方が今後執行部・主流派にも共有されるようだと、相場への影響は大きい」としている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-29/OIX85Z6S972F01

 


米シェールオイル企業、原油価格回復でも来年は過剰投資を抑制か
Alex Nussbaum
2016年12月29日 12:52 JST

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• 来年はシェール企業が原油上昇にどう反応するか試される見込み
• リグ稼働数が増加し、アナリストはシェール企業の利益改善を予想

米シェールオイル企業は、原油の需給をめぐり再び我慢比べを行う用意がある。
  今年は年初に原油価格が12年ぶりの安値を付けた後、終盤には石油輸出国機構(OPEC)が価格押し上げに向けた予想外の減産で合意した。こうした状況で、コンチネンタル・リソーシズやパイオニア・ナチュラル・リソーシーズなどの米シェール企業は過剰反応あるいは過剰投資しない方針を固めている。
  ただ、誘惑は強まりそうだ。原油価格回復に伴い、米国では既に掘削活動が活発化し、石油リグ(掘削装置)稼働数は1月以来の高水準に達している。価格が1バレル=70ドルを超えれば米国の原油生産は日量百万バレル規模で増え始め、OPECの減産効果の大部分が打ち消されるかもしれないとシティグループは分析する。トランプ次期米大統領がエネルギー業界の規制緩和を公約に掲げ、2017年の利益改善をアナリストが予想する中で、シェール掘削業者は成長に備えている。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ipjWHf.xjsus/v2/-1x-1.png

  コンチネンタルのハロルド・ハム最高経営責任者(CEO)はニューヨークでのインタビューで「開発に夢中になれば再び価格調整に入るのではないかという現実の懸念が業界には存在する。今後は自制的に動くことになろう」と述べた。
  
  米国の原油生産量は現在日量約880万バレルで、その約半分をシェールオイルが占めている。
原題:Shale Drillers Promise No 2017 Binges as Oil’s Hangover Eases(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-29/OIXCAC6JTSE801 


 


きょうの国内市況(12月29日):株式、債券、為替市場
Bloomberg News
2016年12月29日 16:39 JST

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国内市況の指標はここをクリックしてご覧下さい。過去の国内市況の記事はこちらです。

●日本株下落、米大統領選後で最大の下げ−米中古住宅の低調と円高推移
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  東京株式相場は下落。米国の中古住宅販売の減少や為替の円高推移が嫌気され、電機や自動車など輸出株、鉄鋼や海運株など景気敏感セクターが売られた。米国の金利低下や金融株下落の影響で銀行など金融株も下げ、東証1部33業種中、32業種が安い。
  TOPIXの終値は前日比18.41ポイント(1.2%)安の1518.39と反落、日経平均株価は256円58銭(1.3%)安の1万9145円14銭と続落した。両指数の下落率、下げ幅の大きさは米大統領選直後の11月9日以来。
  三井住友アセットマネジメント・株式運用グループの生永正則シニアファンドマネージャーは、「米金利は急速に上昇してきた。きのうの入札が示したように、この水準になると魅力的な利回りとして買いたい向きも多い」と指摘。相場の大きなトレンドは変わらないが、「年初はボラティリティが高まることが多い。米債売り、ドル買い、日本株買いというこれまでの動きの行き過ぎた部分について、年末を挟み投資家の微調整が出ている」とみていた。
  東証1部売買高は22億4914万株、売買代金は2兆796億円、代金の2兆円乗せは4営業日ぶり。上昇銘柄数は342、下落は1571。東証1部33業種は海運、鉄鋼、銀行、証券・商品先物取引、電機、輸送用機器など32業種が下落。食料品1業種のみ小幅上昇。売買代金上位では、国内外の格付け会社による格下げが相次いだ東芝がきょうも下げ止まらず、東芝向け貸出金のエクスポージャーが相対的に高いと一部アナリストが指摘した三井住友トラスト・ホールディングスも安い。


 


債券上昇、株安・円高受け買い優勢−長期国債先物は高値引け
三浦和美
2016年12月29日 07:56 JST 更新日時 2016年12月29日 16:36 JST

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長期金利は8日以来の低水準

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/irS2laXVf2vY/v2/-1x-1.png


債券相場は上昇。米国債の一段高に加え、日本株安と円高が進行したことを受けた買いが相場を押し上げた。
  29日の長期国債先物市場では朝方から買いが先行。中心限月3月物は前日比9銭高の150円03銭で取引を開始した後も買いが優勢な展開を続け、結局は31銭高の150円25銭と9日以来の高値で引けた。

  現物市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは0.04%と、8日以来の低水準。日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値との比較では、1.5ベーシスポイント(bp)低い水準で推移している。  
  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、日本株の大幅安や円高など「リスクオフ的になっている」とし、「先物主導でショートカバー的に買われている」と指摘。「人民元安が進むなど、中国をめぐる不安材料をリスクファクターとして頭に入れておく必要が出てきた可能性がある」と付け加えた。
中国経済のリスクに関する記事はこちらをご覧ください
  米国の10年債利回りはこの日の時間外取引で2.5%を割り込み、14日以来の水準まで低下している。東京株式相場は下落し、日経平均株価は前日比1.3%安の1万9145円14銭で取引を終えた。外国為替市場ではドル・円相場が一時1ドル=116円台前半と、2週間ぶりの水準までドル安・円高が進んでいる。
  
  日本銀行はこの日、今月10回目となる国債買い入れオペを実施した。対象は残存期間「1年超3年以下」が4000億円、「3年超5年以下」が4200億円、「5年超10年以下」が4100億円だった。28日のオペでは、「10年超25年以下」の買い入れ額を1900億円、「25年超」を1100億円とそれぞれ前回から100億円減額した。
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「米債が上がっていたところに、日銀が2日連続でオペを実施したことで外部環境と需給が両方フォローになっている」と指摘。前日の日銀による超長期ゾーンの買い入れ減額は、「決して金利を上げたいということはないはず」とし、「普通にやっているだけでも金利は下がるので、減らせる時に減らそうという発想だった」と話した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-29/OIXMO46JIJVD01


 


巨艦・野村HDが「喫水線プロジェクト」始動−さらなるコスト削減へ
日向貴彦
2016年12月29日 19:00 JST
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野村ホールディングスがさらなるコスト削減に着手する。4月に欧米などの海外拠点で数百人規模のリストラを行ったが、今回は日本を含む全ての地域で、従業員の日々の業務やオペレーションを点検・精査し、経費節減につなげる計画だ。
  野村HDの永井浩二最高経営責任者(CEO)はブルームバーグ・ニュースの取材に応じ、世界の全役職員を対象にした「喫水線プロジェクト」を開始、2020年までに具体的なコスト削減の数値目標を策定する考えを明らかにした。人員削減や配置転換に結び付く可能性もある。喫水線とは船が水面に接する分界線のことを指す。
野村HD
野村HD Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg
  日本の証券業界で巨艦と言われる野村は今春、海外で7億ドルの経費を削減するためビジネスの選択と集中を断行。トップに就任して4年、コストコントロールは永井CEOによる経営の特色となりつつある。世界では米ゴールドマン・サックスも、金融産業の収益性が低下するなか支出抑制の道を模索中だ。
  永井CEO(57)は21日のインタビューで、「軍艦は毎年1センチメートルずつ沈んでいく。乗組員はこれくらいならいいだろうと私物を持ち込むからだ」と語った。そして自らを大海原を航海する大型艦船に例え、「喫水線が10センチ上がったら軍艦として使いものにならない。いつの間にか沈んでいく」と危機感を示した。
依然、高コスト体質
  野村は永井CEOの号令のもと、役員を皮切りに全ての社員の日々の仕事について、今後詳細にわたって点検する。無駄なメールや電話の有無のほか、委員会、定例会議、定例報告などでも無駄が生じていないかを検証、生産性を向上させる方針。必要のないオペレーションは廃止するという。
  永井CEOは、野村は依然高コスト体質であると指摘し、「無駄がある。私に言わせれば、まだまだこの会社のコストコントロールは正直できると思う」と述べた。一方、社員による抵抗などが想定されるものの、厳しいコスト管理を断行していく考えを示した。
コードネームは「プロジェクト・スプリング」
  野村は赤字が続いていた海外拠点を黒字化するため、欧州と米州で900人規模の人員削減に踏み切ったことが、複数の関係者への取材でこれまでに明らかになっている。コードネームは「プロジェクト・スプリング」。永井CEOは来年3月ごろまで人員削減は続く見通しを示し、一部対象者へのコミュニケーション(通知)はまだ終了していないことを明らかにした。
  野村は欧米地域で欧州株式などの一部ビジネスから撤退したが、最大のフィープール(市場規模)がある米国での投資銀行業務の強化に意欲を示した。一部の産業セクターでアドバイザリー業務や引き受け業務を拡大するため、バンカーなどの人材やチームを獲得したい考えだ。
  ブルームバーグの集計によれば、2016年日本企業関連の合併・買収(M&A)助言業務で野村は6位、過去10年で最低順位となった。同社は12年に首位から陥落している。世界のアドバイザリーランキングでは、35位と15年の24位から後退している。
視界は良好
  M&Aアドバイザリー業務は不調だが、野村を取り巻くビジネス環境は好転しており、海外事業も2017年3月期決算に7年ぶりの黒字を計上する見通しだ。既に4ー9月の6カ月間で400億円の税引き前利益を確保している。第2四半期(7−9月)はフィクストインカム関連の収益が好調で最終利益は31%増加した。
  こうした中、野村の株価は大きく上昇している。米国でトランプ氏が米次期大統領に選出され、規制緩和やインフラ投資への期待が高まる中、米欧でもビジネス展開する野村に対してもウォール・ストリートの競合他社と同様、投資家の期待感が高まっている。6ー7月に300円台で推移していた野村HD株は2倍ほどに上昇した。
  永井CEOは、トランプ次期大統領について「ビジネスフレンドリー」な環境を創り出していいくだろうと見通している。同社の株価上昇率はメガバンクグループや大和証券グループ本社など国内競合他社より大きい。野村が日本の金融機関の中で「一番、恩恵を受けそうだと思われているようだ」と語った。
  乗組員2万9000人の巨艦ノムラ。始まりは1925年、クルーは90人足らずだった。100年目の航海に向け、キャプテンは舵を切った。
英語記事:Nomura’s Nagai to Deepen Cost Cuts in Project Dubbed ‘Waterline’
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-29/OIVZXK6K50XZ01


 

オフショア人民元:対ドルで下落、7元台に接近−先安感根強い
Bloomberg News
2016年12月29日 17:09 JST 

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人民銀は目先1ドル=7元台突破を容認しない−ANZのチュン氏

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i_Dx5WHhgmxs/v2/-1x-1.png

29日の香港オフショア人民元は対ドルで下げ、1ドル=7元に接近した。中国本土で取引されている元よりも安く、本土市場との乖離(かいり)は約2週間ぶりの大きさになった。年明けは元安圧力が強まるとの観測が広がっている。
  オフショア人民元は一時0.23%安の1ドル=6.9873元を付けた。元に対する市場の弱気な見方を測る指標とされる本土市場との乖離は一時0.45%と、日中ベースで13日以来の大きさ。香港時間午後2時23分(日本時間同3時23分)現在、0.06%安の1ドル=6.9752元。
  上海市場の人民元は0.01%高の6.9552元。オンショア人民元はこのままいけば年間ベースで約20年ぶりの大幅な下げとなる。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の為替ストラテジスト、アイリーン・チュン氏(シンガポール在勤)は、「1ドル=7元を付けるのは単に時間の問題だろうが、そうなれば信認を損ない、元安圧力に拍車が掛かる可能性もあるため、目先は中国人民銀行(中央銀行)がそれを容認しないだろう」と分析。「人民銀はわれわれのモデルが示すよりも一貫して高い中心レートの設定で相場を誘導しており、市場を落ち着かせるために今後もそうした手段を講じる公算が大きい」とコメントした。
原題:Offshore Yuan Near 7 a Dollar on Quota Reset Concern, Trump Bets(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-29/OIXRTH6JIJUS01
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/315.html

[経世済民117] 2017年の経済展望――世界経済を見る上での4つのポイント 片岡剛士 / エコノミスト 2
2016.12.26 Mon
2017年の経済展望――世界経済を見る上での4つのポイント片岡剛士 / エコノミスト

2016年も残すところ1週間を切った。11月28日に公表されたOECD(経済協力開発機構)経済見通しによると、2016年の世界実質GDP成長率は2015年の3.1%から伸びが鈍化して2.9%である。低成長には、米国の予想外の失速、日本、欧州各国の低成長の持続といった日米欧の動きと、原材料価格の急落の影響を大きく受けた資源輸出国の低迷、そして中国に代表される新興国の成長率の鈍化といった要素が作用している。

OECDの経済見通しによれば、2017年および18年の世界経済成長率は3.3%、3.6%と、2016年からやや加速することが見込まれている。本稿では4つのポイントに分けて2017年の世界経済を展望してみたい。


「長期停滞」の可能性を示唆する2016年の先進国経済

日本は「課題先進国」と言われて久しい。バブル崩壊後、総需要の停滞が持続する中でデフレが続き、名目成長率はゼロ近傍に留まり、度重なる小出しの財政・金融政策は総需要の停滞を打破するには至らず、デフレの持続も相まって政府債務を未曾有の水準にまで拡大させた。

こうした総需要の停滞は、非正規雇用の拡大や労働参加率の低下といった労働の「質」の低下や、維持更新主体の設備投資の常態化といった投資の「質」の低下につながることで、生産性の低迷をもたらしている。

つまり総需要の停滞の固定化が総供給の悪化をもたらすという「履歴効果」を伴いながら長期停滞が持続したのが、1990年代以降の日本経済の姿であった。換言すれば、2016年は、1990年代以降の日本経済の動きを米国や欧州といった先進国がトレースしつつあるのではないかとの懸念が深まった年であり、こうした懸念が転換するか否かが、2017年の先進国経済先行きの第一のポイントだ。

状況を整理しておこう。金融危機に見舞われた後の先進国経済の動きをみていくと、米国は大胆な金融緩和策からの転換を図ることが可能な程度には回復したものの、金融危機前の成長経路への復帰を果たせてはいない。

欧州経済も英国のEU離脱、問題が棚上げされたままのギリシャ債務問題、不良債権問題が顕在化しつつあるイタリア経済、といった様々なリスクを抱えつつ、低成長と低インフレが続いた。日本経済も安倍首相による大胆な経済政策が実行されているものの、消費税増税に踏み込んだ2014年以降の国内需要は低迷し、デフレ脱却も道半ばの状況にある。

こうした日米欧の経済状況は、ローレンス・サマーズ元米財務長官(米ハーバード大学教授)が指摘する「長期停滞論(secular stagnation)」に沿った姿であると解釈することも可能である。

図表1から図表3は日米欧を含む先進国経済の特徴を整理している。図表1はOECD平均、日本、米国、ユーロ圏に分けてGDPギャップの動きをみているが、リーマン・ショックが生じた2008年以降に総需要が大きく減少することでデフレギャップが拡大し、その後解消が進んでいない事が読み取れる。


図表1 解消が進まない先進国の需要不足



ただし以上の総需要の急減と持続に対して先進国は何もしなかったのではない。図表2は先進国の政府債務残高GDP比の推移をみているが、2009年から13年にかけて先進国の政府債務残高GDP比は急増した。これは各国が協調して財政支出を増加させたことを意味する。だが財政支出の拡大は先進諸国の総需要の下支えにはつながったものの、総需要の力強い拡大の呼び水にはならずに、低成長と政府債務残高が固定化することで、2015年には110%に及んだ。


図表2 先進国政府債務残高の拡大



こうした政府債務残高の拡大に対してしばしば懸念されたのは、財政悪化懸念を背景とした長期名目金利の急騰である。だが図表3にある通り、先進国の長期名目金利は急騰ではなく低下を続けている。

長期名目金利は予想インフレ率、潜在成長率、リスクプレミアムが上昇すれば上昇し、逆にこれらが下落すれば低下する。財政悪化懸念はリスクプレミアムの上昇を通じて長期名目金利の上昇圧力として作用すると考えられるものの、実際のデータからは、こうした長期名目金利の上昇圧力よりも、予想インフレ率や潜在成長率の停滞を通じた長期名目金利の低下圧力の方が大きいことが示唆される。


図表3 先進国(OECD諸国)の長期名目金利の推移



つまり2016年の先進国経済は、日欧を中心に大規模な金融緩和策は継続しているものの総需要不足に基づく低成長が続き、政府債務残高GDP比が縮小しないために大胆な財政出動に踏み切ることができず、その結果低成長や低インフレ率が持続して、長期金利の低下が進んだとまとめることができるだろう。

政府の財政状況は、政府債務残高の大小ではなく、一国が毎年生み出す名目付加価値(名目GDP)で見た政府債務残高GDP比が、中長期的に横ばいないし低下していくと見込まれるか否かで判断する必要がある。

政府債務残高を横ばいないし低下させるためには、政府財政赤字から過去の債務に伴う利払い負担を除いたプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化させること、名目GDP成長率を長期国債金利よりも高い状況で維持することが求められる。

わが国のプライマリーバランスは赤字ではあるものの縮小が続いており、名目GDP成長率は長期国債金利よりも高い状況が続いている。つまり、政府債務残高GDP比は悪化ではなく着実に改善に向かっているということだ。

2017年の先進国経済の先行きは「誇張された財政深刻化仮説」というべき通念を乗り越えて大胆な財政支出を行い、総需要不足を解消して成長につなげる試みが広がるかどうかが鍵となるはずだ。

図表4は、政府債務残高GDP比が発散しないという条件下で、2016年から17年にかけて新たに支出可能な財政余地を試算したOECDの結果を示しているが、イタリアを除く主要先進国では新たな財政支出の余地がある。この財政支出の余地をうまく使うことが先進国には求められるだろう。【次ページにつづく】


図表4 中期(2016年〜17年)における各国財政余地

(出所)OECD(2016), OECD Economic Outlook, Volume 2016,Chapeter2.
トランプ新大統領は先進国経済停滞の起爆剤となるか?

先進国経済は総需要不足、深刻な政府債務、長期金利の低下にさらされる中で「誇張された財政悪化」に縛られて、大胆な財政政策を行うことができず低成長が続いた。こうした先進国経済の現状を良い意味で打破する可能性を期待させるのが、筆者を含む多くの人々にとって予想外であったトランプ候補の大統領選勝利と、来年本格始動するトランプ氏の経済政策である。

トランプ氏の大統領選勝利が確定した11月9日以降の米10年物国債利回りは2%を突破し、米ドル高と株高が進んだ。米長期金利上昇の理由は、トランプ氏が選挙戦で主張した大規模な財政政策の実行への期待が米景気の改善を予想させ、そのことが予想インフレ率を高めたためである。トランプ新大統領の経済政策が期待を裏切らない形で本格稼働するか否かが、2017年の先進国経済先行きの第二のポイントである。

トランプ新大統領の経済政策の先行きを考えるには、トランプ氏が主張する経済政策がどのような影響を米国経済にもたらすのか、またトランプ氏が主張する経済政策は政治的な観点から見て実行可能であるのかを検討する必要があるだろう。

まずトランプ氏が主張する経済政策の中身について検討しよう。図表5はトランプ氏が主張している財政政策の年あたり規模とGDPへの影響をまとめている。


図表5 トランプ新大統領の財政政策の規模と効果

(出所)Gavyn Davies, “Trump and the markets: good,bad or (very) ugly”, Financial Times.
https://www.ft.com/content/fc0ddf1b-571f-33bc-bd2d-26b0cb520305


財政支出の規模をみると気づかされるのが、トランプ新大統領が行う予定の財政支出(年6500億ドル)のうちの大半が所得税減税・法人税減税であるということだ。

所得税減税を行うことで賃金所得への負担は平均2.3%軽減されるが、所得階層別にみると、所得下位20%未満の層への負担は0.6%削減、所得中位層への負担は1.7%削減、所得上位20%の層への負担は3.2%削減、所得上位0.1%の層への負担は7.3%削減と、減税の恩恵は高所得層に偏っていることが特徴である。

法人税減税(35%から15%への引き下げ)は米国企業の競争力を高めることにつながるだろうが、経済に与える影響は減税の規模と比較して大きくはない。こう見ていくと、減税策により米景気は確かに刺激されるが、懸念されている米国の格差はさらに深刻化することが予想される。

インフラ投資の規模は年1,000億ドルと大きくは無いが、GDPへの影響は1,200億ドルと所得税減税に次いで大きい。道路の改善、橋梁の修理、学校改修・航空交通管制システムの近代化といった、短期的な利益は低いが米経済の生産性を長期的に押し上げると期待される事業が行われれば、さらに経済効果は大きくなるだろう。だが、民間部門への税額控除を通じた形で事業の大半が行われることになれば、こうしたインフラ投資ではなく、短期的な利益を目的とした事業が行われる公算が高まる。

図表4からは、米国の財政余地は名目GDP比0.2%程度の規模であるとの結果が得られている。年6,500億ドルの財政支出(名目GDP比3.6%程度)を赤字財政で賄おうとすれば、米国の財政赤字を深刻化させ、長期債務残高GDP比を発散させることにつながるだろうし、米長期金利の上昇が行き過ぎると、大規模な財政政策は長期金利の上昇やドル高によって打ち消されることにもつながるだろう。

トランプ氏が大統領選に勝利する前の10月14日に、イエレン米FRB議長は緩やかな回復が続くものの金融危機前の成長経路に復帰できていない米国経済の動向を踏まえ、こうした金融危機に伴う損失からの修復を図るためには「高圧経済(high-pressure economy)」政策が唯一の方策となりうるとの考えを示した。

これは中央銀行の利上げペースを遅らせることで、経済への刺激と雇用の改善を持続させ、景気のさらなる改善を図ることで、金融危機前の成長経路から外れた米経済の回復を後押ししようという意図を含んでいる。

米FRBの金融政策は、トランプ氏の経済政策の効果とインフレ率の動向を見ながら引き続き慎重に運営されることになるだろう。2%を上回るやや高めのインフレ率を許容しつつ、長期金利の急上昇を抑制するに足る最低限の利上げを行うことで、トランプ氏の経済政策が最大限効果を発揮する形で進められる公算が高いのではないか。

トランプ氏の経済政策はこれまでにふれた財政政策に加え、通商政策、金融規制、医療、エネルギー・環境、移民といった分野に渡る。上下院ともに共和党が多数派を形成した現状を踏まえると、トランプ氏の経済政策の「現実味」は共和党の経済政策との相違をどう乗り越えるかにかかっている。


図表6 トランプ氏の経済政策、共和党の経済政策、トランプ氏の経済政策の実行可能性



図表6は、トランプ氏が主張している経済政策、共和党の経済政策、そしてトランプ氏の経済政策の実行可能性をまとめている。

共和党の財政スタンスは赤字財政の拡大による債務拡大を許容しない可能性が高いと考えられるため、トランプ氏の減税策・インフラ投資は社会保障等の歳出削減を財源の一部とした形で行われる公算が大と思われる。これは図表5で示した経済効果を低めることにつながるが、少なくとも経済成長率を押し上げる形に留められると予想される。

通商政策については、トランプ氏がすでに公言しているTPP交渉からの撤退は間違いなく実施されるだろう。

ただしTPPからの撤退は交渉参加国の国益にはつながらない。米国際貿易委員会(ITC)による試算に基づけば、TPP締結は米国実質GDPを427億ドル、雇用者数を12万8千人増加させるとの結果が得られている。

産業別にみると、農業・食品分野の生産はTPPを締結しない場合と比較して0.5%増、サービス業は0.1%増となる。一方で製造業・資源・エネルギー産業は0.1%減となっている。雇用への影響は米国全体ではプラスであり、トランプ氏の懸念は当てはまらない。以上からはTPPによる米国へのインパクトは小さいため、これらの試算結果を元にすれば、トランプ氏の懸念は妥当ではない。

そして状況の推移をみながらWTOへの貿易救済提訴、中国を為替操作国に認定、不正行為をする国に対して関税を引き上げ、貿易違反に対してあらゆる法的手段を商務省に指示、中国に対して知的財産侵害や違法な輸出補助金を無くさせる、といった政策が実行されるだろう。

こうした政策はWTO加盟以降の中国との貿易取引が米国の雇用者数を大幅に減少させたといった指摘(注)や、元に対してみたドル高といった現象が米国製造業の輸出競争力を下げ、雇用を減らしたという懸念に基づいている。リスクを懸念する事業者は米国への企業立地を進める可能性もあるだろう。

(注)MITのAutor教授らの論文(The China Shock:Learning from Labor Market Adjustment to Large Changes in Trade)では、WTO加盟以降の中国からの輸入増加で、米国内の雇用が最大で200〜240万人失われた可能性があるとしている。

金融規制については、ドッド・フランク法(ボルカー・ルール)の廃止についてはトランプ氏・共和党ともに主張している。ドッド・フランク法については上院の議事妨害(フィリバスター)の可能性が高く、廃止は難しいと思われるが、監督当局への人事権行使により事実上の骨抜きとなると思われる。

医療については、オバマケアは廃止ではなく一部を維持しながら改変されるだろう。エネルギー・環境については、パリ協定の撤退や石油・石炭・天然ガスの国内生産拡大といった政策がすすめられるだろう。環境保護よりもやや経済効率性の重視へとスタンスが変わると思われるし、石油・石炭・天然ガスの米国内の生産拡大は、減産が合意された原油価格への先行きにも少なからず影響を与えるはずだ。

つまり、減産に伴う油価上昇は逆にシェールオイルやシェールガスの生産を拡大させることを意味するため、エネルギー供給は減産によって見込まれる程には減らず、結果として原油価格の上昇は思ったほど進まず、産油国間の価格競争が激化するということだ。移民については不法入国者や不法移民への取り締まりが強化されるだろう。メキシコ経済は大きなダメージを受ける可能性が高い。

以上のように、トランプ新大統領の経済政策はこれまでふれた様々な問題点・留意点を内包するものの、経済政策が実行される最初の年である来年は、問題点よりも米国景気の拡大といった好影響が前面に出る公算が高い。そしてトランプ新大統領の経済政策は、減税を柱とした大規模な財政政策、規制緩和・保護貿易の実行といった点においてレーガン政権の経済政策と類似している。

多国籍企業の自由な海外展開を圧力で妨害したり、ドル高の是正のために他国に通貨高を強要したり、財政支出により高まった米国の貿易赤字是正のために、輸入相手国の数量規制を要望するやり方は、決して成功しないことは過去の歴史が証明している。財政支出とそれを支える金融政策の両輪を駆使することで低成長を終わらせ、他国からの輸出を取り込み、世界経済を先導していくことが、トランプ新大統領の意図とは異なる道かもしれないが「強いアメリカ」への最短経路だ。

大統領就任、一般教書演説、予算教書といった形でトランプ氏の経済政策の輪郭が明瞭になるにつれて、米国の長期金利の上昇、ドル高、予想インフレ率の上昇、株高が進む形となれば、日本経済にとっては円安・株高といった形で好影響をもたらすだろう。

こうした好影響は欧州経済にも作用する。昨年6月の英EU離脱決定当初は経済悪化が懸念されたものの、英国はポンド安に伴う観光需要拡大によりむしろ好影響が持続している。そして緩やかながらも失業率の改善が続いているのは、ECB(欧州中央銀行)の金融緩和策が継続しているためだ。

ドル高は欧州にとってはユーロ安につながり、ユーロ安は輸出の追い風になる。順調に景気拡大を続けるドイツや、不良債権処理が進み経済成長率が高まっているスペインに対して、4月に大統領選挙を控えるフランス、成長率の低迷が続き不良債権処理が進まず昨年12月の憲法改正をめぐる国民投票でレンツィ首相が辞任したイタリアは、欧州経済の不安要素である。オランダ、フランス、イタリア、ドイツにおいては今年選挙が予定されており、展開次第ではEU離脱の懸念が再燃することになるだろう。【次ページにつづく】
中国経済の何をどう懸念すべきか

新興国経済に視点を移そう。昨年1月半ばに国家統計局から公表された中国の2015年実質GDP成長率は6.9%となり、暦年換算では2000年以降初めての7%割れとなった。1980年から2008年までの平均実質GDP成長率は10%であったが、今後もGDP成長率の鈍化が続くだろう。

中国経済の鈍化は中国向け輸出比率が高まっているロシア、南アフリカ、ブラジル、マレーシア、タイといった国々にとって、そして、中国へ原材料を輸出する一方で、中国で生産された電気機械や自動車・鉄鋼を輸入するといった形で2000年以降大きく成長したアフリカ経済の先行きにとっても懸念材料である。

さて、わが国が1960年代から70年代にかけて経験したのと同様に、10%程度の高度成長期から5%から6%の安定成長期に差し掛かっているのが中国経済である。経済成長を支えるのは、労働、資本、生産性の伸びである。これらが中国経済にどのように影響しているのかを検討すると、労働投入については少子高齢化を反映してさらなる低下が見込まれ、資本投入についても設備投資の調整を反映して同じく低下が見込まれる状況である。さらに生産性についても、リーマン・ショック以降、過去と比較して伸びが鈍化している。

つまり、足元の経済動向と潜在成長率の動きからは、7%弱の経済成長率は今年も引き続き修正を迫られる公算が高い。問題は成長率の低下がどの程度で、かつどのような時間軸で生じるのか、こうした成長率の低下が世界経済にどの程度のインパクトをもたらすのか、中国経済の何を懸念すべきかということだろう。これが2017年の先進国経済先行きの第三のポイントだ。

中国経済の今後を正確に予測することは困難だが、2016年以降に2010年代の平均GDP成長率が5.6%まで落ち込むとし、段階的に成長率が低下していくと仮定した場合の中国の実質GDP成長率は図7のとおりとなる。仮に2010年代の中国の平均実質GDP成長率が5.6%まで落ち込む場合には、2020年の中国の実質GDP成長率は1.0%まで低下する必要があるということだ。


図表7 中国経済の実質GDP成長率の推移と想定

(注)2016年以降の成長率は、2011年〜2020年の平均実質GDP成長率が5.6%を満たすように段階的に成長率が低下すると想定して計算した結果。
(出所)中国国家統計局データより筆者作成。


こうした中国の実質GDP成長率の急落は、筆者を含むエコノミストの大多数が予想していないと思うが、中国の実質GDP成長率が2020年にかけて6.9%を維持した場合と、図7にあるような成長率の低下を見込んだ場合とを比較して、失われた最終需要が世界経済に与える影響を試算してみよう。

なお試算にあたっては、OECD諸国を中心とする40カ国、35産業を網羅する国際産業連関表(世界各国間の投入・産出関係を整理したデータ)であるWorld Input−Output Database(WIOD)の最新版(2011年版)(http://www.wiod.org/new_site/home.htm)を用いた。

中国経済が2016年以降6.9%の成長率を維持した場合と、2016年以降に図表7に示した成長率で推移した場合とを比較して、WIODの最新版と同じ2011年の中国実質GDPに対する比率として換算すると、2016年から2020年までの5年間の累積で、2011年の中国実質GDPの実に28.9%に相当する中国の最終需要が失われることになる。

この中国の最終需要の減少が、各国間の輸出入を通じて各国の国内生産に与える影響はどの程度だろうか。WIODにおける中国経済の最終需要が2011年の中国実質GDPの28.9%分減少した場合に、各国間の輸出入を通じて各国の国内生産額にどの程度のインパクトが及ぶのかを試算してみたのが図表8である。


図表8 中国経済減速にともなう各国生産への影響

(注)中国経済が2016年〜20年に6.9%の成長率を維持した場合と、図表7のような成長率で推移した場合とを比較して、両者のGDPの差を換算し、WIODに最終需要の減少分として与えて生産誘発額を計測した結果。
(出所)World Input-Output Databaseから筆者作成。


結果をみると、世界経済全体の生産は2011年の世界生産額で換算して4.0%減少する。各国への影響をみると、中国との交易関係が密である韓国や台湾への影響が大きく、日本への影響はドイツと同様に0.9%の国内生産の落ち込みとなる。

この影響は5年間の累積効果であるため、1年あたりの平均に直せば、単純平均で世界経済全体への影響は0.8%の落ち込み(=4.0%÷5)、日本経済への影響は0.18%の落ち込み(=0.9%÷5)となる。つまり中国経済の減速が輸出入を通じて各国経済に与える影響はわずかであるということだ。中国経済の成長率鈍化が図表7よりもマイルドであれば、さらに世界経済への影響は低下することになる。

だが、中国経済の動向について不安な点が無いのかと言われればそんなことはない。図表9は中国の外貨準備高の推移をみている。2014年春から2016年にかけて外貨準備高は大きく減少したが、これは人民元レートの安定的推移を担保することが目的であった。

2016年に入り外貨準備高は横ばいで推移したが、11月には前月比2.2%と1月以来の大幅な下落率となった。資本流出による人民元安の進行を食い止めるために中国人民銀行が外貨準備を使って人民元を買い支えているためである。他方で資本統制も行っている。こうした動きが進めば、欧州の銀行の経営にも悪影響を及ぼすことにつながるだろう。外貨準備高、為替レート、株価の急変といったマネーを通じた混乱に注意が必要だ。


図表9 中国外貨準備高の推移



アベノミクスを貫徹させることが日本経済再生の最短距離

最後に2017年の先進国経済先行きの第四のポイントとして、日本経済について簡単に検討しよう。冒頭で紹介したOECD経済見通しによれば、日本の実質GDP成長率は2017年1.0%、2018年0.8%、名目GDP成長率は2017年1.1%、2018年1.6%である。

昨年12月に2008SNAへの対応がなされ、2011年基準改定値として公表された2015年名目GDPの水準は531兆円となったが、安倍政権が目標として掲げる2020年名目GDP600兆円を達成するために必要な年あたり成長率は2.5%である。そしてOECDが予想する成長率に沿う形で日本経済が推移すれば、2020年名目GDP600兆円の達成は困難になるだろう。

2015年の531兆円から2020年に600兆円へと名目GDPを拡大させるにはどうしたら良いのだろうか。図表10は不足額69兆円(=600兆円−531兆円)を、2015年名目GDPを構成する各支出項目のシェアで按分した結果である。

図表から明らかなとおり、名目GDP600兆円を達成するには名目GDPの6割弱を占める民間消費の拡大が不可欠である。そして民間消費を39.3兆円増加させるには2016年以降平均2.5%増のペースで毎年増加する必要がある。これは日本経済がデフレに陥った1995年以降で一度も達成していないペースである。つまりデフレから完全に脱却して民間消費の持続的拡大を伴わなければ不可能であるということだ。


図表10 2020年名目GDP600兆円達成のために必要な各支出項目の増分

(注)有効桁数の関係で上記数字は厳密に69兆円とはならない。各項目の括弧内の値は2015年の名目値を示す。
(出所)内閣府「平成27年度国民経済計算年次推計(平成23年基準改定値)」


アベノミクスは大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の実行を通じてデフレからの脱却と富の拡大を目指した政策である。大胆な金融政策が継続する中で財政支出を拡大させる余地はあるのだろうか。

図表4の結果からは、2016年から17年にかけての2年間で名目GDP比2.2%(10兆円程度)の財政支出を新たに行う余地がある。内閣府の推計によれば、わが国のデフレギャップは4兆円程度と見込まれる。10兆円程度の財政支出の余地を活かして総需要を拡大させデフレからの完全脱却を果たすことで、短期的な景気刺激と長期的な財政健全化の両立を実現することが求められる。

今年9月に日銀が新たに採用した「長短金利操作」と「オーバーシュート型コミットメント」の2つの枠組みは、財政支出に伴う長期金利上昇圧力を抑制し、財政支出の効果を増幅することで、2%の物価安定目標の実現をさらに強固なものとする力となるだろう。アベノミクスを貫徹させることが、日本経済再生の最短距離であることは来年も変わらない。

知のネットワーク – S Y N O D O S –

片岡剛士(かたおか・ごうし)
応用計量経済学 / マクロ経済学 / 経済政策論
1972年愛知県生まれ。1996年三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。2001年慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程(計量経済学専攻)修了。現在三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済政策部上席主任研究員。早稲田大学経済学研究科非常勤講師(2012年度〜)。専門は応用計量経済学、マクロ経済学、経済政策論。著作に、『日本の「失われた20年」−デフレを超える経済政策に向けて』(藤原書店、2010年2月、第4回河上肇賞本賞受賞、第2回政策分析ネットワークシンクタンク賞受賞、単著)、「日本経済はなぜ浮上しないのか アベノミクス第2ステージへの論点」(幻冬舎)などがある。


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参院選、経済政策の観点から見た争点とは?——アベノミクスを中心に検討する
片岡剛士 / 計量経済学

6月22日公示、7月10日投開票の第24回参議院議員選挙。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから最初の投票となります。シノドスでは「18歳からの選挙入門」と題して、今回初めて投票権を持つ高校生を対象に、経済、社会保障、教育、国際、労働など、さまざまな分野の専門家にポイントを解説していただく連載を・・・

政治 経済

2016.04.13 Wed
本当に“リベラル”な経済政策とは?――消費増税の議論から考える
片岡剛士×松尾匡×荻上チキ

日本のリベラルはねじれている?本当にリベラルな経済政策とは――。景気の先行きに懸念が高まる中、野党はどのような政策を打ち出していくべきなのか。三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員・片岡剛士氏と立命館大学教授・松尾匡氏が解説する。2016年03月24日放送TBSラジオ荻上チキ・Session・・・

政治 経済

2016.03.22 Tue
日銀の金融政策の真の課題とは何か
片岡剛士 / 計量経済学

3月14日、15日の日銀金融政策決定会合で日銀は現状維持を決定した。筆者が注目したのは、決定会合後の記者会見で、黒田総裁が予想インフレ率について「このところ弱含んでいる」と指摘したことだ。 日銀が行っている「マイナス金利付き量的・質的金融緩和策」は、2%のインフレ目標を早期に達成す・・・

経済

2014.12.08 Mon
「いいとこ取り野党」がなぜ現れないのか
『日本経済はなぜ浮上しないのか』著者・片岡剛士氏インタビュー

本当は自民党も分かっていない「アベノミクス」 ―― 再増税反対を唱える野党も、財源のプランを明確にできれば勝負はできると思うのですが。 そうですね。消費税への傾斜を今回の選挙でひっくり返すのは難しいのかも知れませんが、野党はそこに力を入れてほしいですね・・・

政治 新刊インタビュー 経済

2014.12.07 Sun
リベラルで経済も重視したい有権者は一体どうしたらいい?
『日本経済はなぜ浮上しないのか』著者・片岡剛士氏インタビュー

日本型リベラルの憂鬱 ―― 将来見通しから、目前の解散総選挙に視点を移したときに、リベラルでかつ経済のことも真摯に考えたい人は、まさにジレンマそのものの状況だと思います。端的に、安倍首相という人が嫌いとだいう方は少なくないと思います。 安倍政権に嫌悪感・・・

新刊インタビュー 経済

2014.12.06 Sat
消費税増税を延期しなければ、この国は瓦解していた
『日本経済はなぜ浮上しないのか』著者・片岡剛士氏インタビュー

急転直下の解散劇――7〜9月期の実質GDP速報値の発表をきっかけに、突然吹き始めた「解散風」に慌てるニュースや新聞各紙。おそらく誰にとっても、消費税再増税の延期と解散総選挙は想定外のことだったに違いない。また、大方のエコノミストにとって「2期連続マイナス成長」という事態も、明らかに想定外だっただ・・・

新刊インタビュー 経済

2014.11.06 Thu
消費税再増税を考えるための4つのポイント
片岡剛士 / 計量経済学

安倍首相は2014年7-9月期のGDP統計を勘案しながら、2015年10月から消費税率を10%に引き上げるか否かを判断するとのことだ。 消費税増税は、社会保障制度を維持・充実させ、財政健全化に結びつけることが目的と言われる。再増税を考える際のポイントと合わせて、以下論じることに・・・

経済

2014.05.14 Wed
「日銀展望レポート」をどうみるか――低下した成長率と変わらぬ物価上昇率の組み合わせがもたらすもの
片岡剛士 / 計量経済学

日本銀行は5月1日に「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を公表した。展望レポートは、先行きの経済・物価見通しや上振れ・下振れ要因を点検し、そのもとでの金融政策運営の考え方を整理したものである。展望レポートは半年に1回公表され、合わせて中間評価が行われる。中間評価と展望レポートを合わせると、都・・・

経済

2014.04.01 Tue
検証! 財務省のメディア戦略と消費税増税ロジック
片岡剛士×荻上チキ

2014年4月1日、消費税が5%から8%に引き上げられた。アベノミクスの金融政策によって徐々に景気が上向きになってきた矢先の増税は、本当にこのタイミングで適切なのだろうか。そもそもなぜ消費税を増税するのか。2013年11月に財務省から「消費税についてお話したい」とコンタクトがあり「ご説明」を受け・・・

政治 経済

2013.12.30 Mon
第二次安倍政権の経済政策を振り返る
片岡剛士 / 計量経済学

昨年の12月26日に第二次安倍政権が成立して1年が経過した。以下では安倍政権の経済政策を振り返りつつ、今後を展望したい。 アベノミクスの進捗動向 アベノミクスは「大胆な」金融政策、「機動的な」財政政策、「民間投資を喚起する」成長戦略の3・・・

政治 経済

http://synodos.jp/economy/18787


http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/325.html

[経世済民117] 一石二鳥狙う「プレミアムフライデー」−個人消費拡大と働き方改革 債券は上昇か、米債一段高で買先行−米株安・円高リスク回避
一石二鳥狙う「プレミアムフライデー」−個人消費拡大と働き方改革
氏兼敬子
2016年12月30日 06:00 JST

• 1日当たりの効果約1240億円との試算も−全社参加難しく効果限定的
• 個人消費停滞の背景に鈍い賃金の伸び−有休の積極取得で押し上げも
政府が経済界とタッグを組み、来年2月24日から「プレミアムフライデー」を実施する。毎月末の金曜日に仕事を早めに切り上げ、買い物や食事、小旅行を楽しんでもらうことで、停滞する個人消費の拡大とともに、長時間労働を是正し、働き方改革につなげることが狙いだ。

渋谷交差点での歩行者

Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg
  経団連は今月、有給休暇やフレックス制度などを活用し、プレミアムフライデーの日に従業員が早く仕事を終えるよう1300社以上の会員企業に文書で呼び掛けた。日本の労働慣行を変えることは容易ではなく、実際に何社が参加するかは未定だ。同キャンペーンを推進する経済産業省も省内で早く退庁できるかどうか検討している。

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  経団連の榊原定征会長は26日の会合で、定時より早めに仕事を終え、日常より少し豊かな時間を過ごす新たなライフスタイルを提案すると述べるとともに、「国民の消費マインドの向上につなげていただきたい」と語った。同席した世耕弘成経産相は2月の制度開始時に「秘書官に午後3時以降の予定は絶対入れないよう厳格に指示をしている。私もショッピングを是非、楽しみたい」とアピールした。
  
  安倍普三政権は国内総生産(GDP)を現行の約540兆円から2020年に600兆円に拡大する目標を掲げている。そのほぼ6割を占めるのが個人消費だ。
  第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「余暇時間が増えると、消費が増えるという明確な関係がある」と指摘。中小企業を含む国内企業の従業員が一斉に午後3時に仕事を終えた場合の余暇消費の押し上げ効果が1日当たり約1240億円に上ると試算する。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i7hL8oXuMEHY/v2/750x-1.png
  
  しかし、永浜氏は中小企業も含めてすべての会社で同キャンペーンを取り入れることは難しいとみる。早めに仕事を切り上げても、他の日で残業を余儀なくされる可能性もあり、「効果は限定的だ」と言う。
  明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは停滞する個人消費の最大の原因として伸びが鈍い賃金を挙げる。「日本の成長期待が出てこない中、賃上げができにくい環境は続く」と述べ、消費の伸びにも限度があると慎重だ。  

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i6gsqSB938us/v2/750x-1.png

  日本の年次有給休暇の取得率はほぼ半分。もともと日本の祝日は16日間あり、米国やフランスなどよりも多い。未取得の休暇を積極的に消化するだけでも消費の押し上げ効果はあるとの指摘もある。
https://calendar.yahoo.co.jp/month?date=20161230


債券は上昇か、米債一段高で買い先行−米株安・円高でリスク回避も
三浦和美
2016年12月30日 08:09 JST

• 先物夜間取引は150円43銭で引け、前日の日中終値比18銭高
• グローバルにリスクオフのムードが強まってきた−東海東京証

債券相場は上昇が見込まれている。前日の米国債相場が一段高の展開となったほか、株安・円高が進行するなどリスク回避の動きが強まっていることから、買いが先行するとみられている。
  30日の長期国債先物市場で中心限月3月物は150円台前半での推移が予想されている。夜間取引は150円43銭と、前日の日中終値比18銭高で引けた。

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  東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、米国の株安や長期金利低下、ドル安・円高と、「他市場は引き続きフォロー」と指摘。「グローバルにリスクオフのムードが強まってきた」とし、「それが年末年始に加速する可能性を踏まえ、今日の相場は堅調」と見込む。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値0.04%を下回る水準での推移が予想されている。前日には一時0.035%と、8日以来の水準まで低下した。佐野氏は予想レンジを0.025%〜0.04%としている。
  29日の米国債相場は、7年債入札の好調などを背景に続伸。10年債の利回りは一時5ベーシスポイント(bp) 低下し、米連邦公開市場委員会(FOMC)が声明を発表した14日以来の低水準となる2.459%をつけた。一方、米株式相場では、ダウ工業株30種平均が13.90ドル(0.1%未満)安い19819.78ドルで引けた。
  ドル・円相場は一時1ドル=116円23銭と、14日以来の水準までドル安・円高が進み、116円台半ばでこの日の日本時間早朝の取引を迎えている。
  日本銀行はこの日の午後5時に「当面の長期国債等の買い入れの運営」について方針を発表する。28日のオペでは、残存期間「10年超25年以下」の買い入れ額が1900億円、「25年超」が1100億円と、14日の増額分が元に戻される格好となった。
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、日銀のオペ運営方針について、1月初回の超長期債買い入れが減額後の水準で据え置かれると予想。「円債市場では日銀の巨額の国債買い入れを背景にした好需給環境が継続している」とし、「今日は好需給と外部環境がそろってサポートになる構図で、続伸する相場展開」を見込んでいる。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-29/OIXSKH6S972801


http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/326.html

[経世済民117] 日経平均、薄氷の5連騰達成 「騒ぐ相場」は続く 為替介入ゼロ61カ月連続 「ポスト黒田」は黒田? インフレリスクに注意
日経平均、薄氷の5連騰達成 「騒ぐ相場」は続く
証券部 南雲ジェーダ
2016/12/30 16:10日本経済新聞 電子版
保存その他
 薄氷の5連騰達成――。その瞬間、市場関係者の口からは安堵のため息が漏れた。30日の日経平均株価終値は前日比30円77銭(0.16%)安の1万9114円37銭。最後まで昨年末の1万9033円71銭が意識される際どい展開にもつれ込んだが、何はともあれバブル崩壊後最長となる5年連続上昇を記録。年末としては20年ぶりの高水準で来年を迎えることとなった。

 この日は、前日の米株安や円相場が1ドル=116円に…
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO11238160Q6A231C1000000/?n_cid=NMAIL002


 

12月の為替介入実績はゼロ 61カ月連続 28日まで
2016/12/30 19:05 
 財務省が30日発表した12月分(11月29日〜12月28日)の外国為替平衡操作の実施状況によると、外国為替市場への介入額はゼロだった。介入がなかったのは61カ月連続。〔日経QUICKニュース(NQN)〕 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL27HJV_X21C16A2000000/


 


「ポスト黒田」は黒田氏? 次期日銀総裁の条件
2016/12/30 1:31日本経済新聞 電子版
保存その他
 「政治家でないテクノクラート(専門知識を持つ官僚)として一定の理論に立って政策を運営する」。日銀の黒田東彦総裁は中央銀行総裁像についてこう語った。任期は残り1年余り。ポスト黒田の調整も動き出す。

 総裁が思い描くのは、政治の動きに左右されることなく、物価目標に向かって最善の策を繰り出す政策運営だ。目標達成のために手段を選ばないように映るのもこのためで、長期国債購入などで中銀としての矩(のり)を守ろ…
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF28H0E_Y6A221C1NN1000/

 

人民元、対ドルで続伸し6.9495元、年間で約7%の元安・ドル高 [有料会員限定]
【NQN香港=大谷篤】30日の上海外国為替市場で人民元の対米ドル相場は続伸し、16時30分時点は1ドル=6.9495元と前日の同時点と比べ0.0052元の元高・ドル安だった。中国人民銀行(中央銀行)は…続き (18:24)

欧州外為早朝 ユーロ続伸、1.05ドル台前半 円は反落 (17:24)[有料会員限定]
外為17時 円、反落し117円前後 ユーロは対円、対ドルで反発 (17:23)
外為14時 円、116円台後半で軟調 日経平均の上昇に歩調合わせ (14:14)
為替概況一覧
4月取引開始ジュニアNISA。相続税対策にも/資産形成応援プロジェクト
米大統領選で株価大変動。慌てない理由とは/投資信託セレクションNISA特別版
債券・短期概況
欧州国債早朝 独10年債利回りは上昇 0.18%台前半 (17:42) [有料会員限定]
短期15時30分 レポ翌日物金利が上昇 円金先は横ばい (15:58) [有料会員限定]
債券15時 長期・超長期金利が上昇 円安など背景に売り優勢 (15:30) [有料会員限定]
債券12時50分 超長期金利が上昇 株下げ渋りリスク回避一服 (13:07) [有料会員限定]
債券・短期概況一覧
自転車事故でトラブル!ADR(裁判外紛争解決手続き)とは【自動車保険特集】
スマホの普及がもたらす株主との対話機会の充実/IRフォーラム
主要金融ニュース
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日銀総裁「経済は良い方向とハッキリ言える」 (29日 16:00) [映像あり][有料会員限定]
日銀総裁「世界経済、新局面に」 経団連で講演 (27日 0:05)
日銀総裁、世界経済「新たなフェーズに」 経団連で講演 (26日 14:44)
日銀総裁、世界経済「金融危機後の調整脱し新たな局面に」 17年は脱デフレへ大きく前進と説明 (26日 14:30)
http://www.nikkei.com/news/category/


 

2016年12月30日
第31回 来年以降のインフレリスクに注意【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

年末の株価動向にやや軟調が見られます。これまではドル高・長期金利上昇においても株価が堅調に推移してきましたが、さすがに金利上昇が効き始めてきたように感じます。住宅指標のその兆候が見られ始めており、これが景気指標の悪化につながる可能性があります。このような動きもあり、来年のテーマとして、「インフレ」をあげておきたいと思います。すぐに強いインフレ状況になるということではありませんが、今後のインフレ率の上昇の動きには注意が必要と考えています。

世界的にデフレ懸念が強まっていたときには、日欧中銀の金融政策によるデフレ脱却が試されました。しかし、どれだけ量的緩和を行ってもインフレにはなりませんでした。まして、マイナス金利を導入したところで、デフレ脱却にはつながりませんでした。結果的に、インフレ目標であった2%に達することはありませんでした。実質的なギブアップ宣言が出されるなど、インフレ率の引き上げに金融政策は効果がなかったことが証明されました。しかし、そうこうしているうちに、実際にはインフレリスクが高まっています。このことに気づいていない市場関係者が多いように感じます。債券利回りの動きをみると、世界的に7月には底打ちをしており、債券価格は完全にピークアウトしたといってよい状況にあります。つまり、債券価格はこれから下落に転じることになり、利回りは上昇傾向に入るわけです。そうなると、投資資金は安全資産である債券から株式・コモディティに向かうことになります。実際には、コモディティ価格が底打ちしたからこそ、金利も上昇し始めているといえます。その結果、債券価格とコモディティ価格が対象的な動き、つまり債券が売り安くなっているともいえます。前述のように、債券はすでにピークアウトしており、コモディティもボトムアウトしています。この対象的な動きは今後ますます鮮明になっていくでしょう。そうなると、金利上昇とコモディティ価格の上昇が顕著になり、その結果、インフレ懸念はようやく高まっていくかもしれません。

http://lounge.monex.co.jp/pro/special1/20161230_emori_graph01.JPG
http://www2.monex.co.jp/html_mail/mkt/monexmail/20161230/20161230_emori_graph01.pdf

原油価格は底打ちから上昇に転じています。先のOPEC加盟・非加盟国による協調減産合意もあり、需給バランスの改善が価格をさらに押し上げるでしょう。そうなると、米国の消費者物価指数(CPI)はその動きに対して直接的に反応しますので、インフレが進行します。来年1月に入ると、CPIは容易に2%台に乗せるでしょう。2月から3月に掛けては、さらに上昇する可能性があります。その結果、長期金利は上昇するでしょうし、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策にも大きな影響が出ます。来年は0.25%ずつの利上げが3回見込まれていますが、その程度の利上げでは「ビハインド・ザ・カーブ」となり、利上げペースの遅さが懸念されるかもしれません。そのうえ、原油価格の上昇がさらに強まれば、債券にさらに売りが出て、株式市場でも現金化を急ぐ動きから手仕舞い売りに拍車がかかるかもしれません。原油価格は需給バランスの改善から、今後も強基調で推移すると考えられますので、「債券からコモディティへのシフト」はますます顕著になるでしょう。この数年で世界的に進んだ債券利回り確保の動きから、今後はインフレを懸念した実物資産への投資が進むことになるわけです。来年以降はこのような動きを念頭に入れおくことが重要になると考えています。

本年もお世話になりました。来年も何卒よろしくお願いいたします。


江守 哲

エモリキャピタルマネジメント株式会社・代表取締役

大手商社、外資系企業、投資顧問会社等を経て独立。コモディティ市場経験は25年超。現在は運用業務に加え、為替・株式・コモディティ市場に関する情報提供・講演などを行っている。
著書に「1ドル65円、日経平均9000円時代の到来」(ビジネス社)
「LME(ロンドン金属取引所)入門」(総合法令出版)など
共著に「コモディティ市場と投資戦略」(勁草書房)

前の記事:第111回 「2016年資金流入が多かったETFトップ10」 ETF解体新書 −2016年12月28日
http://lounge.monex.co.jp/pro/special1/2016/12/30.html
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/339.html

[経世済民117] 2016年は日経平均とTOPIXで明暗、銀行株下落が影響 ユーロ圏に待望のインフレの兆しか、ドラギ総裁には苦悩の種にも
2016年は日経平均とTOPIXで明暗、銀行株下落が影響
 12月30日、2016年の日本株はTOPIXが年間で1.85%安となり、いわゆる「アベノミクス相場」が始まった12年以降、暦年で初の下落となった。銀行株が年前半に大きく下落したほか、医薬品やインバウンド関連もさえなかった。写真は大納会での「くまモン」(中央)とリオ五輪女子レスリング金メダリストの伊調馨さん(右)、30日撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
 12月30日、2016年の日本株はTOPIXが年間で1.85%安となり、いわゆる「アベノミクス相場」が始まった12年以降、暦年で初の下落となった。銀行株が年前半に大きく下落したほか、医薬品やインバウンド関連もさえなかった。写真は大納会での「くまモン」(中央)とリオ五輪女子レスリング金メダリストの伊調馨さん(右)、30日撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 30日 ロイター] - 2016年の日本株はTOPIXが年間で1.85%安となり、いわゆる「アベノミクス相場」が始まった12年以降、暦年で初の下落となった。銀行株が年前半に大きく下落したほか、医薬品やインバウンド関連もさえなかった。

一方、好調だったのは任天堂(7974.T)が主導したその他製品。業績拡大の期待で半導体関連も堅調だった。日経平均.N225は5年連続の上昇となり明暗を分けた。

<時価総額、アベノミクス相場で初の減少>

TOPIXは昨年末比28.69ポイント安の1518.61ポイントで今年の取引を終了、年間で5年ぶりの下落となった。一方、日経平均.N225は同80円66銭(0.42%)高の1万9114円37銭と5年連続での上昇。1978年─89年の12年連続に次ぎ、戦後2番目の連続上昇記録となった。

TOPIXと日経平均が明暗を分けたのは、銀行株の影響が大きい。日銀がマイナス金利を導入を決めた1月末以降、時価総額の大きいメガバンクが大きく下落。米大統領選後は持ち直しの動きをみせたものの、業種別指数の銀行業.IBNKS.Tは年間で8.34%安となり、時価総額ベースのTOPIXが下落した主因となった。

東証1部の時価総額は560兆2470億円となり、前年末から約11兆6000億円減少。時価総額の減少もアベノミクス相場では初となる。

<海外勢は年間売り越しの公算>

全体的な日本株の動きとしては、年初から夏にかけて、1ドル99円台まで進行した円高と連鎖した下落基調に入り、6月24日には1万4864円の年初来安値を記録した。だが、秋以降は回復基調に入り、米大統領選をきっかけに上昇を加速。足元は昨年末とほぼ変わらない水準に戻している。

この乱高下は、海外投資家の売買が大きな影響を与えている。現物と先物合計で今年1月から9月までに約7.3兆円売り越したが、10月以降は4.8兆円の買い越しに転じた。12月第3週までのトータルでは約2兆4360億円(15年は年間で約3兆2820億円の売り越し)となっており、2年連続で海外勢は売り越しとなる公算が大きい。

三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの市川雅浩氏は「2012年以降はアベノミクスへの期待で株高と円安が進んだが、海外投資家を中心に、この期待が剥落したのが15年の夏場以降。今年もその調整の過程にあった」と指摘。今年11月以降の日本株の上昇も「『トランプラリー』など外的要因によるところが大きい。国内の経済政策に対する信頼感が完全に回復したわけではなく、こうした点が今年のTOPIXの下落にも表れた」と話す。

<ポケモン相場で任天堂が急伸>

年間のセクター別のパフォーマンスは、その他製品が17.76%高と、33業種中トップとなった。スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」の大ヒットを受け、従来の据え置き型ゲーム中心のビジネスから転換するとの期待が膨らんだ任天堂株が、この1年で46.5%高となったことが大きい。

このほか、石油・石炭(8.35%高)、機械(7.74%高)が大きく上昇。原油相場の持ち直しや、トランプ米新政権の大規模な財政出動への期待が支援材料となった。

半面、下落率トップは空運で16.55%安。「原油価格の回復が逆風。英国のEU離脱決定後の人の動きの変化へ懸念もあった」(高木証券・企業調査部長の藤井知明氏)という。前年に上昇率で上位にあった医薬品は年間で10.58%安。小野薬品工業(4528.T)のがん治療薬「オプジーボ」など、薬価引き下げによる業績への悪影響が懸念されたようだ。

<インバウンド関連失速>

TOPIX500.TOPX500構成銘柄では、アドバンテスト(6857.T)が94.5%高と最も大きく上昇した。円高環境下にもかかわらず、同社は17年3月期の連結純利益予想を2度上方修正。半導体試験装置の堅調な需要が追い風となったほか、連結配当性向の方針を半期30%以上に変更したことも、株主還元に前向きな姿勢と受け止められた。

上昇率上位にはSUMCO(3436.T)やSCREENホールディングス(7735.T)など半導体関連が相次いでランクイン。「3次元NANDフラッシュメモリーなど新しいタイプの半導体が普及期を迎えたため、それに伴う設備投資需要が増えた。有機ELパネルなどの需要増を背景に来年も製造装置の受注が伸びる」(大和証券・シニアストラテジストの石黒英之氏)との声が聞かれた。

一方、下落率トップは主力ゲームの落ち込みで17年9月期に大幅減益となる見通しとなったコロプラ(3668.T)。カシオ計算機(6952.T)も主力製品の一つである時計の売り上げが不振なほか、円高を背景に、インバウンド需要も落ち込み、大きく下落した。燃費不正が発覚した三菱自動車工業(7211.T)も急落している。

●セクター別騰落率ランキング

年間上昇率上位10業種 (%)

その他製品 17.76

石油・石炭製品 8.35

機械 7.74

卸売業 6.93

水産・農林業 5.83

化学工業 5.75

情報・通信業 3.86

金属製品 3.84

電気機器 2.83

建設業 2.06

年間下落率上位10業種 (%)

空運業 -16.55

電気・ガス業 -12.33

医薬品 -10.58

海運業 -10.20

輸送用機器 -8.38

銀行業 -8.34

陸運業 -7.97

不動産業 -7.70

繊維業 -6.58

小売業 -5.00

●TOPIX500ベースの年間騰落率ランキング

上昇率上位10銘柄 (%)

アドバンテスト (6857.T) 94.5

トクヤマ (4043.T) 68.8

ライオン (4912.T) 67.8

コナミ HD (9766.T) 63.4

SUMCO (3436.T) 63.4

スクリン (7735.T) 61.5

三菱ガス化学 (4182.T) 60.4

出光興産 (5019.T) 60.2

ペプチドリーム (4587.T) 56.9

スタートトゥデイ (3092.T) 54.1

下落率上位10銘柄 (%)

コロプラ (3668.T) -58.6

日医工 (4541.T) -42.5

カシオ計算機 (6952.T) -41.9

小野薬品工業 (4528.T) -41.1

東洋ゴム工業 (5105.T) -39.5

Jパワー (9513.T) -37.8

四国電力 (9507.T) -37.7

セブン銀行 (8410.T) -37.1

三菱自動車工業 (7211.T) -35.3

リゾートトラスト (4681.T) -32.7

(長田善行 辻茉莉花 編集:伊賀大記)

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http://jp.reuters.com/article/kabuto-watcher-nikkei-idJPKBN14J0M9

 


 


ユーロ圏に待望のインフレの兆しか、ドラギ総裁には苦悩の種にも
Carolynn Look、Alessandro Speciale
2016年12月30日 23:14 JST
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追加的な金融刺激策の決定はいっそう難しくなる可能性
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欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は念願のインフレを味わうことになりそうだが、口当たりは良くないかもしれない。
  ドラギ総裁がほぼ1カ月前に公表したばかりのインフレ見通しは来年、原油高とユーロ安の影響で上方修正される可能性がある。4年近くにわたりインフレ目標を達成できていないECBの政策担当者にとって朗報と言えるが、ユーロ圏経済の弱さを覆い隠すものでもある。
  石油輸出国機構(OPEC)が8年ぶりに減産で合意したこともあり、ブレント原油価格は11月中旬以降に25%を超えるペースで上昇。この原油高は17年の消費者物価上昇率を1.3%としたECBの予測に考慮されていない。

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iSw1bZ02J4Bg/v2/-1x-1.png

  ブルームバーグのエコノミスト調査によると、1月4日に発表される12月のユーロ圏インフレ率は1%となり、11月の0.6%から大幅に上昇する見込みだ。
  インフレ率がECBの目標とする2%弱に回復する兆しが少しでも見えれば、政策委員会のタカ派メンバーが量的緩和の終了を求め始める可能性がある。ドイツ連邦銀行(中央銀行)のバイトマン総裁は同国紙ビルトが26日掲載したインタビューで、政策引き締めを19年まで待てば「手遅れになる」と警告した。
  エネルギーの純輸入地域であるユーロ圏は、原油高が実際に経済成長を冷え込ませるというリスクも抱える。
原題:Draghi Set for Inflation Boost That May Not Be All He Needs (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-30/OIZWCX6KLVRA01
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/354.html

[自然災害21] 新年はしっかり防寒対策を、世界的に寒気が南下 
新年はしっかり防寒対策を、世界的に寒気が南下
Brian K. Sullivan
2016年12月31日 05:28 JST
 
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北極地方で気温が上昇、極地の寒い空気が押し出される
北米では気温がセ氏約10度低下の予報も

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/itOHWI5KGKLQ/v2/-999x-999.gif

新年は強烈な寒波がアジアや北米、欧州を襲うことになりそうだ。北極付近の気温が記録的に高いことが背景にある。
  「シーソーのようなものだと考えればいい」と米メリーランド州ベセスダを拠点とするコモディティ・ウェザー・グループのマット・ロジャース社長は指摘する。冬の気温がアラスカ北部で上昇すると、冷たい空気が「南に向かって流れ出す、真逆の力が働く。本質的に寒気はどこか別の場所に向かわざるを得ない」と続けた。
6−10日先の気温予測
6−10日先の気温予測 Source: National Oceanic Atmospheric Administration
  気象学者らはこの現象の仕組みを以下のように説明する。北極地方が暖かくなると、通常は寒気を北極付近に閉じ込めている極渦が弱まる条件を作り出す。結果として、極めて低い気温が北半球に広がることになる。
  この現象は劇的な気温の変化をもたらし得る。MDAウェザー・サービシズの予報によると、例えばシカゴの予想気温は1月2日の日中がセ氏約6度、最低気温が0.6度だが、6日までに最高マイナス7.8度、最低マイナス15度まで落ち込む。
  ペンシルバニア州ステートカレッジに拠点を置くアキュウェザーのボブ・スマーベック氏は、米国とカナダに厳しい寒波が訪れるほか、この寒気の影響は東半球ではロシアで最も強く現れると注意を呼びかけた。東欧でも寒さが厳しくなり、東アジアにも寒気が南下してくるという。
原題:Grab Your Ear Muffs, the New Year’s Arriving With a Frigid Bang(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-12-30/OJ0ELB6JTSEB01
http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/732.html

[環境・自然・天文板6] 量子コンピューター実現に不可欠な技術開発 東大 古澤教授
量子コンピューター実現に不可欠な技術開発 東大
1月3日 18時37分
量子コンピューター実現に不可欠な技術開発 東大
現代のスーパーコンピューターでは何千年もかかると言われる極めて複雑な計算を、わずか数時間で解くという、夢の超高速コンピューター「量子コンピューター」の実現に向けて、東京大学のグループが世界的に注目されている「量子テレポーテーション」と呼ばれる現象をめぐり、重要な成果を得たことがわかりました。超高速コンピューターの実現に欠かせない、情報の瞬間移動を無制限に繰り返せるようにする新たな技術の開発の成功で、グループではことしから大規模な計算を精度高く行うための研究を本格化させることにしています。
量子コンピューターの実現に向けて重要な技術の開発に成功したのは、東京大学の古澤明教授のグループです。

量子とは、物質のもとになる原子や光子などのことで、古澤教授はカリフォルニア工科大学の客員研究員だった1998年に、離れている二つの量子の間で情報を瞬時に伝える量子テレポーテーションと呼ばれる現象を起こすことに世界で初めて成功し、注目を集めました。

この量子テレポーテーションについて、古澤教授のグループが実験装置の一部に特殊な工夫を加えることで、情報を瞬時に伝え合う関係にある量子を、無制限に作り出す技術の開発に新たに成功したことがわかりました。

これまで量子テレポーテーションをめぐっては、情報を瞬時に伝え合う関係にある量子を連続して作り出せる数に限度があることが課題になっていましたが、今回の重要な成果によって、量子コンピューターの実現に向けた大きな壁の一つが取り払われたことになります。

例えば、100億とおりの組み合わせがある問題を解く場合、現代のコンピューターは少なくとも100億回の計算を繰り返す必要がありますが、量子テレポーテーションの技術を使えば、同時並行で100億とおりの計算を行える可能性があるということです。

グループでは実験に成功した新たな技術を使って、ことしから大規模な計算を精度高く行うための研究を本格化させることにしています。

古澤教授は「将来の量子コンピューターの基盤となる技術に、めどをつけることができたと言えるくらいの大きなブレークスルーだと手応えを感じている。まだまだ乗り越える壁は多いが、20年後には実用化できるよう、さらに研究を推し進めていきたい」と話しています。
量子テレポーテーション応用の道開ける量子テレポーテーション応用の道開ける
離れた量子と量子の間で情報を瞬時に伝える量子テレポーテーションは、量子どうしが、兄弟のような関係にある場合に人工的に起こせる現象です。

一つの量子を特殊な装置で複数に分けた場合、量子どうしが離れていても、お互いに影響し合う兄弟のような不思議な関係が生まれます。

古澤教授が1998年に世界で初めて、この現象を起こしたときには、二つの量子の間で情報を伝えただけでした。その後、兄弟のような関係にある量子を少しずつ、増やすことに成功しましたが、その数は最大でも、およそ1万6000個にとどまり、増やせる量子の数に限度があることが、量子コンピューターへの応用に向けて大きな壁となっていました。

それが今回の研究成果によって、兄弟のような関係にある量子を無制限に作り出すことができるようになり、量子コンピューターへの応用の道が大きく開けることになりました。
量子コンピューター 何に使う?
量子コンピューターは、膨大な組み合わせがある計算を同時並行で素早く解くことができることから、新たな医薬品の開発や、高度な画像診断による病気の早期発見、家庭の電化製品などから集まるビッグデータの活用などに応用できると期待されています。

例えば、新しいがん治療薬を開発する場合、現在は考えられる物質の組み合わせについて、1000兆回の10倍である1京回の、さらに100万倍くらいという天文学的な回数の計算を長い時間をかけて行っていますが、量子コンピューターが実現すれば、こうした計算が短時間でできる可能性があります。

また、体の建康状態を画像診断で調べる場合も、人工知能に量子コンピューターが導入されれば、画像の認識の精度が飛躍的に高まり、病気などの兆候をより早く見つけられるようになる可能性があります。

さらに今後、家庭にある冷蔵庫やエアコン、テレビなどさまざまな電化製品がインターネットにつながる時代になると、膨大に集まるビッグデータを使って、市場予測や一人一人の健康管理などに活用できる可能性があります。

一方で、現在のコンピューターによる暗号が量子コンピューターでは簡単に解けてしまう可能性があり、より複雑な暗号技術の開発も必要になると考えられています。
企業も実用化へ期待企業も実用化へ期待
量子コンピューターの実現に向けては、離れている量子と量子の間で情報を瞬時に伝える量子テレポーテーションと呼ばれる現象を、小型の装置の中で実現することが必要で、古澤教授の研究にはNTTが参加し、小型の装置の開発を進めています。

古澤教授による量子テレポーテーションの実験は幅4.2メートル、奥行き1.5メートルの台の上に、鏡やレンズ500枚余り設置した大がかりな装置を使って行われています。

量子コンピューターの実現に向けては、量子テレポーテーションを小型の装置の中で実現することが必要で、古澤教授の研究にNTTが参加し、装置の開発を進めています。

これまでに、NTTでは微細な加工技術によって、実験装置の一部を大きさ2.6センチほどの小さなチップ上に再現し、量子テレポーテーションを単発で発生させることに成功しています。

NTTでは今後、量子テレポーテーションを繰り返すことができる小型の装置の開発に取り組み、量子コンピューターの実現につなげたいとしています。

NTT先端集積デバイス研究所の橋本俊和主幹研究員は「これまで量子テレポーテーションは、その現象を起こせる回数に限度があり、量子コンピューターへの応用に向けて大きな足かせになっていましたが、今回の古澤教授の研究によってその限度がなくなり、量子コンピューターの実現に向けた土台ができたと思っています。私たちが長年培ってきた超小型の半導体を開発する技術の強みを生かし、量子コンピューターの実現に貢献したい」と話しています。
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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170103/k10010828021000.html


 

●東京大学工学部 ●工学部物理工学科


ImPACT未来開発研究会2016にて、博士課程2年の小川尚史君がベストポスター賞を受賞しました!!<2016.11>
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百万量子波束の量子もつれ生成に成功!!<2016.9>
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100万モード量子もつれ生成に成功しました!!<2016.9>
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"光子の自在な同期に成功−量子計算機など実用化へ前進−"に関する記事が掲載されました!!<2016.5.30>


●日刊工業新聞 ●日経テクノロジーonline ●OPTRONICS ●Laser Focus World of Japan

平成25年度卒業の武田俊太郎博士(分子研特任助教)が第32回井上研究奨励賞を受賞しました!!<2015.12>
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古澤教授が毎日新聞「未踏の世界へ」にて紹介されました!!<2015.12>
詳細

古澤教授がENS-UT workshopに参加しました。<2015.11>
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平成25年度卒業の武田俊太郎博士(分子研特任助教)が第10回(2016年)日本物理学会若手奨励賞を受賞しました!!
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Nature Photonics掲載の"Advances in Quantum Teleportation"に関するレビューがOpliにて紹介されました。<2015.10>
詳細

古澤教授が平成27年度留学生ガイダンスにてスピーチ致しました。<2015.4>
詳細

古澤明教授が、平成26年度東レ科学技術賞を受賞しました!!<2015.3>
詳細

"量子テレポーテーションの心臓部を光チップ化"に関する記事が掲載されました!! <2015.3>

●日経産業新聞 ●日刊工業新聞(オンライン版) ●日刊工業新聞
●日本経済新聞(オンライン版) ●日本経済新聞
●EE Times JAPAN ●化学工業日報(オンライン版) ●化学工業日報
●Opli ●University of Brisotl ●Electronics Weekly.com ●Demanjo
●UTokyo Research ●Asian Scientist

"光子の非局所性を厳密に実証"に関する記事が掲載されました!! <2015.3>

●読売新聞 ●日刊工業新聞(オンライン版) ●日刊工業新聞 ●日刊工業新聞A 
●日本経済新聞(オンライン版) ●日本経済新聞 ●日経産業新聞 ●化学工業日報
●OPTRONICS ONLINE ●マイナビニュース ●EE Times Japan ●Science Daily
●FACTOR ●Science News for Writers ●Spektrum.de ●Engadget
●FOX News ●Bilimfili ●UTokyo Research ●東京大学新聞

遠山健君が平成26年度物理工学科優秀卒業論文賞を受賞しました!!<2015.2>


中村亮介君が平成26年度物理工学科優秀卒業論文賞を受賞しました!!<2015.2>


小川尚史君が平成26年度田中昭二賞(優秀修士論文賞)を受賞しました!!<2015.02>


2015年1月2日(金)21:00〜23:00 BSジャパン「ニッポン百年物語」に、古澤教授が出演致しました!
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修士課程2年の小川尚史君が Emil Wolf Outstanding Student Paper Competition において、Winnerに選出されました!!<2014.10>
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古澤明教授の講演を“ITmedia Virtual EXPO 2014秋” にて視聴いただけます!!(※現在は終了。内容は下記詳細参照。)
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東京大学新聞に古澤教授のインタビュー記事「量子コンピューター 原理・可能性に迫る」が掲載されました!!<2014.09>
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東京大学のイメージビデオが公開されました!!<2014.08>
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修士課程2年の小川尚史君がFiOのEmil Wolf Student Paper Competition のFinalistに選ばれました!!<2014.08>
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古澤教授がIsaac Newton Instutite for Mathematical Sciencesにて開催された
The Principles and Applications of Control in Quantum Systems 2014 (PRACQSYS 2014)において、招待講演を行いました!!<2014.08>
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古澤教授がIsaac Newton Instutite for Mathematical Sciencesにて開催された
Quantum Control Engineering: Mathematical Principles and Applicationsにおいて、招待講演を行いました!!<2014.08>
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"光子のスクイーズ"に関する記事がPhys.orgに掲載されました!!<2014.07>
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Y. Miwa et al., "Exploring a new regime for processing optical qubits: Squeezing and unsqueezing single photons" がPhysical Review LettersのEditor's Suggestionに選ばれました!!<2014.07>
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古澤教授が出演した BSフジ“「ノーベル賞と最強の日本人」世界に挑む科学者たち”(2013年12月27日(金)放送)の動画をご覧いただけます!!
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JSTサイエンスニュースにて、「量子コンピュータ実現へ大きな一歩!光量子テレポーテーションに成功」の動画が公開されました!!<2014.04>
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米澤英宏・元特任講師が「スクイーズド光を用いた量子情報実験の研究」において、平成26年度 文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞致しました!!<2014.04>
本賞は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を対象としたものです。
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Asia Pacific Physics NewsletterのHighlights from the Asia Pacific Regionに寄稿記事が掲載されました!!<2014.03>
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武田俊太郎君が優秀な博士論文により、工学系研究科長賞(研究特別賞)を受賞しました!!<2014.03>


不破麻里亜さんが平成25年度田中昭二賞(優秀修士論文賞)を受賞しました!!<2014.03>


芹川昂寛君が優秀な卒業論文により平成25年度工学部長賞を受賞しました!!<2014.3>


芹川昂寛君が平成25年度物理工学科優秀卒業論文賞を受賞しました!! <2014.3>


AAPPS Bulletinに"Optical Hybrid Quantum Teleportation"の記事が掲載されました!!<2014.2>
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古澤教授がNIKKEI ASIAN REVIEWにて特集されました!!<2014.1>
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古澤教授が日本経済新聞“2020年私が主役”にて特集されました!!<2014.1>
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古澤教授が12月27日(金)21:00〜放映 BSフジ“「ノーベル賞と最強の日本人」世界に挑む科学者たち”に出演しました!!<2013.12>
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東大工学部ガイドに、古澤明教授のインタビューが掲載されています!!<2013.12>
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"量子テレポーテーションに成功”に関する記事が、日経産業新聞に掲載されました!!<2013.12>
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奈良県・西大和学園中学校・高等学校にて、古澤教授が「最も簡単な量子コンピューター=量子テレポーテーション」について講演しました

講演の様子はこちら

古澤明教授×滝川クリステルさんの対談が、雑誌"ゲーテ(1月号)”に掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事がマイナビニュースに掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事がThe Registerに掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事が各紙に掲載されました!!<2013.11>

 ●徳島新聞 ●中日新聞 ●北海道新聞 ●新潟日報 ●静岡新聞 
●千葉日報 ●京都新聞 ●長崎新聞 ●山陽新聞 ●山陰中央新報 
●東京新聞 ●茨城新聞 ●河北新報社 ●西日本新聞 ●高知新聞
●信濃毎日新聞 ●佐賀新聞 ●愛媛新聞 ●山形新聞 ●福井新聞
●四国新聞社 ●神戸新聞NEXT ●大阪日日新聞 ●福島民報 ●下野新聞
●山梨日日新聞 ●琉球新報 ●化学工業日報 ●東奥日報

"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事がcanberra timesに掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事がFrench Tribune.comに掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事がZD Netに掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事がTHE CONVERSATIONに掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事がCIOに掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事がシドニー大学のサイトに掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事が日本経済新聞に掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事がEE Timesに掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事が共同ニュースに掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事が日刊工業新聞に掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現”に関する記事が日経産業新聞に掲載されました!!<2013.11>
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"1000倍以上の超大規模量子もつれを実現"について、オーストラリア国立大学のサイトに掲載されました!!<2013.11>
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1000倍以上の超大規模量子もつれを実現し、Nature Photonicsに論文が掲載されました!!<2013.11>
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不破麻里亜さんが第2回(2013年秋季大会)学生プレゼンテーション賞を受賞致しました!!<2013.11>
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2 Physicsにて、S. Takeda et al., Nature 500, 315-318についての解説が掲載されています!!<2013.9>
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動画サイトDIGINFO TVにて、“世界初:完全な量子テレポーテーションに成功”が紹介されています!!<2013.9>
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日経動画ニュースにて、“量子テレポーテーションに成功” が配信されました!!<2013.9>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事が日経産業新聞に掲載されました!!<2013.9>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事が東京大学新聞に掲載されました!!<2013.9>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事がEE Timesに掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事がLaser Focus World Japanに掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事が北海道新聞に掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事が信濃毎日新聞に掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事が静岡新聞に掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事が愛媛新聞に掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事が化学工業日報に掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事がOpliに掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事がScienceωに掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事がマインツ大学のプレスリリースに掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事がgigaomに掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事が朝日新聞に掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事が読売新聞に掲載されました!!<2013.8>
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"完全な光量子ビットの量子テレポーテーションを初めて実証"に関する記事が東京新聞に掲載されました!!<2013.8>
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超高精度な光位相追跡に成功し、論文がScienceに掲載されました!!<2012.9>
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超大規模量子エンタングルド状態の生成法について
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チェコ・Palacky大学にて行われたPhoton Beyond Qubits- Workshop on Quantum Information Processingにて吉川純一 助教が招待講演を行いました。<2013.4>
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古澤教授が熊本日日新聞“科学する人”(4回連載)にて紹介されました!!<2013.3>
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橋本洋輔君が物理工学科を代表して卒業式にて答辞を読みました!!<2013.3>

加治俊之君が優秀な卒業論文により平成24年度工学部長賞を受賞しました!!<2013.3>


加治俊之君が平成24年度物理工学科優秀卒業論文賞を受賞しました!! <2013.3>


鵜飼竜志君が優秀な博士論文により平成24年度工学系研究科長賞を受賞しました!!<2013.3>


読売新聞 科学面 「探究」欄にて古澤教授が紹介されました!!<2012.10>
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修士課程2年の牧野兼三君がFiOのEmil Wolf Student Paper Competition のFinalistに選ばれました!!<2012.9>
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【google×未来サーチ】特設サイトにて古澤研の実験装置が紹介されています!!
9月3日、ドラえもんの生誕100年前を記念して、ドラえもんのひみつ道具がどこまで実現されているかと言うのを紹介。
その中で“通り抜けフープ”の現在版として“量子テレポーテーション”がリンクするようになっています。<2012.9>
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OplusEにて古澤教授が紹介されました!!<2012.8>
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博士課程1年の武田俊太郎君の論文がNature Photonicsで紹介されました!!<2012.7>
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マイナビ2014 スペシャルインタビュー 〜若き研究・開発者への伝言〜のページにて、古澤教授が紹介されています!!<2012.7>
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9月10日(月)〜13日(木)、東京大学 本郷キャンパス 小柴ホールにて、古澤教授主催の量子制御のワークショップ PRACQSYS 2012を開催致しました。<2012.9>
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武田俊太郎君が平成23年度工学系研究科長賞を賞しました!!<2012.3>


不破麻里亜さんが平成23年度工学部長賞を受賞しました!!<2012.3>


武田俊太郎君が平成23年度田中昭二賞(優秀修士論文賞)を受賞しました!!<2012.02>


不破麻里亜さんが平成23年度物理工学科優秀卒業論文賞を受賞しました!! <2012.2>


古澤教授が、量子光学・量子情報科学の分野での共同研究を通じて大学の発展に貢献したことから、チェコのPalacky大学から表彰状とメダルを授与されました。<2011.08>


シュレディンガーの猫状態の量子テレポーテーション成功に関して、アメリカテレビFOX NEWSで紹介されました!!<2011.05>
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シュレディンガーの猫状態の量子テレポーテーション成功に関する記事が、日経産業新聞に掲載されました!!<2011.05>
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シュレディンガーの猫状態の量子テレポーテーション成功に関して、ロシア国営テレビで紹介されました!!<2011.05>
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シュレディンガーの猫状態の量子テレポーテーション成功に関して、オーストラリアテレビABCで紹介されました!!<2011.05>
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Hugo Benichi君が、Maiman Student Paper Competitionにおいて、First Prizeを獲得しました!!<2011.05>

古澤教授・P. van Loock博士共著の書籍、"Quantum Teleportation and Entanglement"がWiley社より出版されました!!<2011.05>
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シュレディンガーの猫状態の量子テレポーテーション成功に関する記事が、ScienceのPerspectiveで紹介されました!!<2011.04>
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シュレディンガーの猫状態の量子テレポーテーション成功に関する記事が、科学新聞に掲載されました!!<2011.04>
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シュレディンガーの猫状態の量子テレポーテーション成功に関する記事が、日本経済新聞に掲載されました!!<2011.04>
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シュレディンガーの猫状態の量子テレポーテーション成功に関する記事が、日刊工業新聞に掲載されました!!<2011.04>
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シュレディンガーの猫状態の量子テレポーテーション成功に関する記事が、Live Scienceに掲載されました!!<2011.04>
詳細

シュレディンガーの猫状態の量子テレポーテーションに成功し、論文がScienceに掲載されました!!
Full Text (PDF)はこちらのページからどうぞ <2011.04>

岩田訓明君が平成22年度田中昭二賞(優秀修士論文賞)を受賞しました!!
<2011.02>

古澤明教授のインタビューが『ようこそ、私の研究室へ 世界に誇る日本のサイエンスラボ21』(黒田達明[著]、DISCOVERサイエンス)に掲載されました<2010.11>
詳細

NHK教育テレビ「テストの花道」に古澤研が登場しました!!
10月25日放送の「キャンパスツアー これが東大だ!パート2」の回で、古澤研究室が紹介されました。
詳細
 

武田俊太郎君が、東京大学総長賞(平成21年度第2回)を受賞しました!!
武田君は、優秀卒業論文賞および工学部長賞も受賞しております。<2010.03>
詳細


鵜飼竜志君が平成21年度田中昭二賞(優秀修士論文賞)を受賞しました!!<2010.3>

"Adaptive optical phase estimation using time-symmetric quantum smoothing"に関する記事がAmerican Physical Societyのホームページに掲載されました。<2010.03>詳細

"Adaptive optical phase estimation using time-symmetric quantum smoothing"に関する記事がPhysOrg.comに取り上げられました。<2010.03>詳細

古澤明教授が、東京大学新聞“東大最前線”で紹介されました。<2009.10>詳細

量子誤り訂正実験に関する記事が、日本経済新聞、日刊工業新聞、科学新聞、新潟日報、静岡新聞、東京大学新聞に掲載されました。<2009.07>
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米澤英宏 講師が第33回レーザー学会奨励賞受賞!!
奨励賞はレーザーに関する研究で、きわめて示唆的かつ独創的で、将来性のあるものに対して贈呈されます。<2009.05>
詳細

"Demonstration of a quantum nondemolition sum gate"に関する記事が、PhysOrg.comに掲載されました。<2009.05>
詳細

李憲之君がMaiman Student Paper Competitionのfinalistに選ばれました!!
世界初のレーザーを発明したTheodore Maimanを称え設立されたもので、レーザー技術や電気光学の分野で優秀な業績をあげている学生へ贈られます。<2009.03>
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古澤明教授がInternational Quantum Communication Award受賞!!
量子情報科学の発展に貢献した最高の研究者を讃え、その貢献に感謝するために、
玉川大学によって1996年に創設された大変権威ある賞です。
過去の受賞者には、素因数分解アルゴリズムの発明で有名なP. Shorや、量子暗号・量子テレポーテーションの発明で有名なC. H. Bennettなど、量子情報科学に於ける重鎮ばかりで、古澤教授は日本人初の受賞者となりました。<2008.6>
詳細


青木隆朗・前助手が、文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞!!
平成20年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞とは、
高度な研究開発能力を有する40歳未満の若手研究者を対象とした賞です。
「量子光学分野における量子情報処理技術の研究」を行った青木氏へ賞が贈られました。<2008.4>
詳細

ニッポン放送「中川翔子のG(ギザ)サイエンス!」に古澤研の学生が出演しました!!
最先端科学を研究する学生を紹介していく番組です。<2007.11>
詳細

鵜飼竜志君が平成19年度工学部長賞を受賞しました!!<2008.3>詳細


鵜飼竜志君が平成19年度物理工学科優秀卒業論文賞を受賞しました!! <2008.2>詳細

日本経済新聞の“ものづくりにかける 若手技術者の夢”に古澤明教授の寄稿文が掲載されました!!
<2007.12.28>詳細

2007年4月〜8月まで古澤研で研究を行っていた、Hugo Benichi君がEcole Polytechniqueよりdistinguished student prizeを受賞しました!!<2007.11>

古澤明助教授が平成18年度日本学士院学術奨励賞を受賞!!

日本学士院学術奨励賞とは・・・日本学術振興会賞受賞者のうち、特に優れた研究成果をあげた
若手研究者5名に贈られる賞です。 <2007.2.14>詳細

古澤明助教授が平成18年度日本学術振興会賞を受賞!! 〈2006.12〉詳細

日本学術振興会賞とは・・・人文・社会科学及び自然科学の全分野において、
45歳未満で博士又は博士と同等以上の学術研究能力を有する者のうち、
論文等の研究業績により学術上特に優れた成果をあげている研究者に贈られる賞です。-学振HPより-

“3者間量子もつれ制御成功”の記事が科学新聞に掲載されました!! 〈2006.11〉詳細

The Japan Journalに量子テレクローニングに関する記事が掲載されました!! 〈2006.8〉詳細
Natureにて、古澤研究室が紹介されました!! <2006.7>詳細
スクイーズド光生成に関する記事が、日経産業新聞および電波タイムズに掲載されました!! <2006.6>
詳細

スーパーサイエンスセミナー(於:広島国泰寺高校)における古澤明助教授の講演の様子が
中国新聞に掲載されました!! <2006.5>詳細

テレクローニングの論文に関する記事が朝日新聞に掲載されました!! <2006.3>詳細

NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に古澤研究室が出演しました!! <2006.2>
番組の詳細はこちら詳細

"Demonstration of quantum telecloning of optical coherent states"に関する記事が
Physics Webに掲載されました!! <2006.2>詳細

森山大器君・李憲之君が平成17年度物理工学科優秀卒業論文賞を受賞!! <2006.2>

"Demonstration of quantum telecloning of optical coherent states"に関する記事が
New Scientistに掲載されました!! <2006.2>詳細

"Demonstration of quantum telecloning of optical coherent states"に関する記事が
Physics News Updateに掲載されました!! <2006.2>詳細

古澤明助教授 久保亮五賞受賞に関する記事が科学新聞に掲載されました!! <2005.9>詳細

4者間での量子転送に成功!東京大学新聞に関連記事が掲載されました!! <2005.7>詳細

古澤 明助教授が平成17年度久保亮五記念賞を受賞!! 

久保亮五賞とは・・・(財)井上科学振興財団主催。日本の統計物理学・物性科学において優れた業績を
あげた45歳未満の若手研究者1名に贈られる大変名誉ある賞です。 <2005.9>詳細

量子もつれのテレポーテーションに成功! 関連記事が朝日新聞に掲載!! <2005.6> 詳細

古澤明助教授 東京テクノ・フォーラム21 ゴールド・メダル賞受賞に関する記事が
読売新聞に紹介されました!! <2005.4>詳細

東京テクノ・フォーラム21 ゴールド・メダル賞受賞者として古澤明助教授が
読売新聞に紹介されました!! <2005.4>詳細

古澤 明助教授が平成17年度「東京テクノ・フォーラム21」ゴールド・メダル賞を受賞!! <2005.4>詳細

小池 郷君が平成16年度田中昭二賞(優秀修士論文賞)を受賞!! <2005.3>

日本経済新聞“アインシュタイン 光と影の100年”に量子テレポーテーションに関する記事が
掲載されました!! <2005.1>詳細

量子テレポーテーションに関する記事が日本経済新聞に掲載されました! <2004.12>詳細

「量子テレポーテーションネットワーク実験」に関する論文がNatureに掲載されました!!
H. Yonezawa, T. Aoki, and A. Furusawa, Nature 431, 430 (2004) <2004.9>

量子テレポーテーションに関する記事が読売新聞に掲載されました!! <2004.9>詳細

三者間量子テレポーテーションに成功!関連記事が朝日新聞に掲載されました!! <2004.9>詳細

三者間量子テレポーテーションに成功!関連記事が読売新聞に掲載されました!! <2004.9>詳細

毎日新聞 “挑む-研究者たちの素顔-”に古澤明助教授が紹介されました!! <2004.9>詳細

量子テレポーテーションに関する記事が産経新聞に掲載されました!! <2004.5>詳細

森 祐介君が平成15年度物理工学科優秀卒業論文賞を受賞!! <2004.2>

量子テレポーテーションに関して、古澤明助教授と作家 瀬名秀明氏との対談が
日経サイエンスに掲載されました!!<2004.1>

量子テレポーテーションに関する記事が日経産業新聞に掲載されました!! <2003.8>詳細

“論文引用回数の多い日本人研究者”の一人として古澤明助教授が日経産業新聞で紹介されました!!
<2003.2>詳細

量子コンピュータに関する記事が東京大学新聞に掲載されました!! <2002.8>詳細

量子テレポーテーションに関する記事が読売新聞に掲載されました!! <2002.5>詳細

東京大学新聞 “2002 院生ホープ”に4年生の平岡卓爾君が紹介されました!! <2002.2>詳細

東京大学新聞 “研究室散歩”に古澤明助教授が紹介されました!!詳細


http://www.alice.t.u-tokyo.ac.jp/6TOPICS.html
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/446.html

[経世済民117] ひきこもり新聞 創刊  「親が亡くなれば私もどうしようもなく死ぬでしょう」「働くことは“不可能なこと”としてある」
ひきこもり新聞 創刊
12月31日 11時00分
「親が亡くなれば私もどうしようもなく死ぬでしょう」
「働くことは“不可能なこと”としてある」
ひきこもりの人や、ひきこもり経験のある人たちが、11月、新聞を創刊しました。長らく社会との関わりを断ってきた人たちが、なぜ外に向けて発信を始めたのか?
今、ひきこもりの人たちをめぐる課題に向き合おうとする当事者たちの姿を取材しました。(ネット報道部・蔵重龍)
ひきこもり新聞 なぜ発刊

「年末年始は、エネミー(敵)がやってくる」
「甥っ子、姪っ子にお年玉を上げるのを、うまく逃れる方法はないか」

先月創刊した、ひきこもり新聞の編集会議での話し合いの様子です。
なんだか軽い話をしているようですが、編集に関わる人たち全員が、ひきこもりの当事者か経験者です。
編集長の自宅を兼ねたアパートの一室が新聞の編集部。この日開かれた会議には16人が集まっていました。年齢は20代から50代まで、女性も数人いました。関東一円から、さらには仙台から来た人もいました。

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編集長の木村直弘さん(32)もひきこもりの経験があります。
大学受験に失敗して自宅で浪人していたころ、最初のひきこもりが始まりました。大学では、ゼミの同級生などと普通につきあえる状態でしたが、卒業後、弁護士を目指し司法試験の勉強するうちに、再びひきこもりがちになったといます。思うように勉強の成果が出ず、もんもんとする日々の中、両親からは、毎日のように「お前には弁護士なんて無理だ。早く就職しろ」と言われ続けました。
その後も、ひきこもりの状態が続いていましたが、両親との関係はどんどん険悪になり、両親のほうが自宅を出て別居することになりました。
そして去年5月、突然、両親が警察官を連れて木村さんのもとにやってきて、無理やり自宅から引き出されそうになったと言います。
そのとき木村さんは「怒りと恥ずかしさ」、そして「犯罪者扱いされたことに対する悔しさ」を感じたと言います。
その後、精神科の専門医の診療を受け、今はおおむねひきこもりの状態から回復しています。

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そんな木村さんが、新聞の発行を思い立ったのはことしの夏です。
ひきこもり支援の名の下に、強制的にひきこもりから脱せさせようとする一部の支援施設のことを知り、当事者の声を聞かず、生き方を否定するような対応を、自分が両親や社会から受けてきた対応と重ね合わせたと言います。
そして、社会が抱いているひきこもりのイメージを覆したいと、当事者の自助グループで知り合った人たちと「全国ひきこもり当事者連合会」を結成し、新聞の発行を決めました。
「マスメディアでは、ひきこもりは、無能で無気力で、努力をしない人間として取り上げられることが多く、実像を伝えていない。当事者の生の声を聞いて、思いを受け取ってほしい。本当のひきこもりは自分のことを語れないとも言われていますが、そうした人の声こそ、なんらかの方法で届けていきたい」(木村さん)
創刊号 悲痛な叫びが紙面に

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当事者たちの生の声を伝えようと創刊された「ひきこもり新聞」。
先月発行された創刊号に寄せられた当事者の男性の手記には、次のような言葉がありました。

「今も自らをコントロールできる自信がありません」
「働くことや集団にコミットすることは“不可能なこと”としてある」
「親が亡くなれば私もどうしようもなく死ぬでしょう」

10年以上ひきこもりを続けている埼玉県の男性が、メールで編集部に寄せたものです。
創刊号には、このほか▽長年ひきこもりの研究を続けている精神科医のインタビュー記事▽ひきこもりの恋愛についての話題▽家族や当事者どうしがつながりあうイベントなどの情報も掲載されています。

創刊号は、2000部が印刷され、一部500円で販売しています(ひきこもりの当事者は100円)。これまでに、全国に50団体以上あるひきこもりの子どもを持つ親の会のメンバーや関係者を中心に、600部ほどが売れたといいます。今後は、隔月で発行する予定です。

ひきこもりの高齢化 熱い議論

取材をした、この日の編集会議では、来年3月に発行する3月号の特集について、取材方針や編集内容の議論が行われました。

特集のテーマは「ひきこもりの高齢化」です。
ひきこもりの当事者が50代に、親が80代になっているケースもあり「80・50問題」などとも呼ばれています。

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この日の編集会議の参加者の中にも、その当事者がいました。

「このまま一人で死んで、誰にも気付かれず部屋で死体が腐っていくことを毎日のように考えてしまう」
こう話す54歳の男性は、足かけ30年ほどひきこもりの状態で、今でも当事者どうしの集まりに出る以外は、ほとんど部屋に閉じこもっていると言います。

また、若いころには中学校で教べんをとった経験もあり、常に社会復帰を望んできたと言う50歳の男性は「私は諦めていない。いつでも働きたいという意欲はある。だから苦しい。たとえ中高年でも、やる気のある人は新人として受け入れられる社会になってほしい」と訴えました。

40歳の女性は「ひきこもりの人はみな、お金に苦しんでいて、バイトの面接で出した履歴書を返して欲しいと言う人も多くいる。公的な就職支援の対象年齢は、39歳までのところが多く、40歳になって強い焦りを感じている」と話し、ひきこもりの人が置かれている社会的な構造から解きほぐした記事を書くべきだと訴えました。

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当事者たちが話し合うだけに議論は白熱し、それぞれが知り合いをたどって、少しでも多く生の声を伝えていく方針を確認しました。

自分が死んだあとは 高齢の親が直面するお金の悩み

編集長の木村さんは、実際に取材にも足を運びます。
この日は、「ひきこもりの高齢化」をめぐって、NPOが主催した都内でのイベントを取材しました。

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ファイナンシャルプランナーらが、中高年のひきこもりの子どもを抱える高齢の親たちの生活設計について、相談を受け付ける座談会です。

42歳の次男がひきこもっている埼玉の女性は「就労は何度もチェレンジしているが、40歳をすぎると非常にむつかしい。自分が死んだあとに、子どもに何を残せるのか、切実なことです」と話していました。

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また、まもなく40歳になる息子を持つ千葉の60代の男性は「これまで具体的に考えることを逃げてきたかもしれないと気付かされた。親としての覚悟がいるのだと思った」と話していました。
取材を終えた木村さんは「親の声を直接聞けたのは大変よかった。お金の話がとても大切なのだと改めて感じた。記事作りにもいかしていきたい」と話していました。
ひきこもりが発信 その意味は

新聞の編集部には、さまざまな経歴を持った人が集まっています。
大学時代に社会人サークルの文芸雑誌の編集に携わった経験があり、IT技術にも詳しい30代の副編集長。アニメ制作の専門学校で学んだ経験があり、絵が得意な20代の女性。そのほか、漫画や音楽が得意な人など、それぞれの経験や得意分野を生かして、新聞作りを目指しています。

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取材した編集会議の話し合いは、懇親会も含めて9時間にもおよびました。
参加者たちの熱意と真剣さに圧倒されました。
ちょうど、「まとめ記事サイト」の問題が、メディアで話題になっていたため、自分たちの新聞が、事実を正確に伝えられるのか?ゆがんだ主張にならないか?どういった視点から取材すべきか?どうすればアピールできるか?などについて、取材をしていた私が、何度もたずねられました。

ひきこもり新聞では、『当事者としてのエピソード、メッセージ性を盛り込む』『私たちでなく、私は、で語る』など、編集のガイドラインについても、みんなで議論して決めています。

新聞を発行するということは、当事者どうしが互いに支えあうだけでなく、社会的な責任を連帯して負うことで、ひきこもりから脱却し、積極的に社会に関わっていくためのトライアル、積極的なリハビリのような役割も果たしていると感じました。

内閣府がことし発表した去年12月の時点での推計では、ひきこもりの人の数は全国でおよそ54万人。前回6年前の調査より長期化・高齢化の傾向がありました。ただ調査の対象は若者の支援が目的だったため、これは15歳から39歳までの人数です。40歳以上のひきこもりの実態はよくわかっておらず、一説では、中高年も含めると100万人はいるのではないかとも言われ、日本の将来を考えるうえで向き合うべき大きな社会問題となっています。
ひきこもりの当事者や経験をした人たちの生の声に耳を傾けることは、今こそ、日本社会に求められていることだと思います。
「ここにいる当事者や経験者たちは、ほかのひきこもりの人たちの体験を聞いてみな救われています。今はそれぞれが胸のうちに納めているひきこもりの体験・経験には、必ず意味があると思います。痛みや苦しみの経験は誰かを癒やすかもしれません。当事者が沈黙する時代を終わらせたい」(木村さん)

ネット報道部
蔵重龍 記者
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2016_1231.html
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/428.html

[経世済民117] インドの廃止された高額紙幣、期限までに97%を回収 想定外でモディ首相に打撃 びっくり10大予想:米株上昇、ドル130円
インドの廃止された高額紙幣、期限までに97%を回収 
Siddhartha Singh
2017年1月4日 22:34 JST

約15兆ルピー相当の回収額は暫定値で、修正され得る
4−5兆ルピー相当が回収されないと政府は当初見積もり

インドでは廃止された高額紙幣が昨年末の期限までにほぼ全て回収された。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、不正資金をあぶり出し汚職を撲滅しようとしたモディ首相には打撃となりそうだ。
  メディアに発言する権利がないことを理由に匿名で語った同関係者によれば、期限である12月30日までに14兆9700億ルピー(約25兆8800億円)相当の紙幣が銀行に持ち込まれた。政府は当初、11月9日に突然打ち出したこの措置で、流通する15兆4000億ルピーのうち約5兆ルピーが回収されないと見込んでいた。
  高い回収率が確認されれば、地方選挙を前に汚職対策で実績を挙げ、支持率を押し上げようとしたモディ首相の思惑は外れたことになる。措置自体は支持を得ていたものの、これが経済成長を損ね、銀行に長蛇の列が生じる混乱を引き起こしたためだ。
  関係者によれば、国内銀は約8兆ルピー相当の新紙幣を既に流通。ただ、回収額は暫定的で、変わり得ると指摘。財務省のマリク報道官は電話に応答せず、携帯電話へのテキストに対する返答も得られていない。
  モディ首相への信頼性は低下したものの、長期の政治・経済的な影響に成果の判断は委ねられる。これまで首相の支持率は高水準を維持しており、新紙幣への交換のため長蛇の列に並ぶ人々の間からも、政策の狙いに理解を示す声が依然聞かれている。
原題:India Said to Get 97% Banned Notes in Setback to Graft Crackdown(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-04/OJ98DP6TTDSD01


 

 

ウィーン氏のびっくり10大予想:米国株上昇へ、1ドル=130円に
Lu Wang
2017年1月4日 06:42 JST 更新日時 2017年1月4日 11:56 JST
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S&P500種は2500に上昇へ、1株利益は130ドルに増加
米10年債利回りは4%に近づくとブラックストーンのウィーン氏

米ブラックストーン・グループのバイロン・ウィーン氏が公表した毎年恒例の「びっくり10大予想」によれば、経済成長が勢いづいてリスク資産需要が高まる中で米国株は今年12%上昇する一方、米国債相場は下落する見通しだ。
  ウィーン氏はS&P500種株価指数が2500に上昇し、同指数構成銘柄の1株利益は130ドルに増加すると予想した。同指数は昨年9.5%上昇し、ウィーン氏の予測は外れた。
  2017年について同氏は、米国内総生産(GDP)伸び率が3%に加速し、米10年債利回りは4%に近づくと予測。ドイツのメルケル首相が再選を逃すとの見方も示した。ウィーン氏によるS&P500種の予想水準はブルームバーグが集計したアナリスト予想平均を5.7%上回る。
  同氏は発表文で、「投資家は米経済が長期的な成長軌道に戻ると確信するようになった」と指摘した。
  同氏のこうした楽観的見通しとは対照的に3日は世界の先行きに関する警告が相次いだ。サマーズ元米財務長官は同日、ドナルド・トランプ次期米大統領の政策のリスクを投資家が見落としていると指摘。ユーラシア・グループのアナリストは、トランプ氏の政策が一因となって世界の不安定さのレベルが第2次大戦以降見られなかった水準に達する恐れがあると分析している。
  モルガン・スタンレーの元ストラテジストのウィーン氏(83)は1986年以降、「びっくり10大予想」を公表している。昨年の予想の大部分は実現しなかった。米連邦公開市場委員会(FOMC)が1回利上げするとの予想は的中したが、大統領選でヒラリー・クリントン前国務長官が勝利するとの見込みは外れ、1バレル=50ドルを超す原油価格の上昇は予測していなかった。
  2017年のウィーン氏のその他予想は以下の通り。
◎14年以来初の生産性向上が見込まれる。
◎円は1ドル=130円に。英国の欧州連合(EU)離脱が近づき英ポンドは1ポンド=1.10ドルに下落へ。ユーロは対ドルで等価を割り込む。
◎インフレ率は3%に向かい、資金需要が再び強まり金利は全体的に上昇へ。
◎ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は17年の大部分の間、1バレル=60ドル割れの水準で推移へ。生産増加が需要の伸びを相殺する。
◎トランプ氏は事実上全ての問題に関する極端な立場から離れ、一部支持者を失望させる。
◎トランプ氏は中国について誤解していたと気づく。中国人民元は1ドル=8元に下落へ。トランプ氏は貿易戦争回避のため報復関税を避け、中国とより協力的な関係を構築する。
◎欧州にポピュリズム(大衆迎合主義)が広がり、フランスとドイツの選挙に影響へ。EUの有用性に疑念が強まり、年末までにはEU廃止やユーロを捨てて各国通貨に戻るためのプランが活発に議論される。
◎日本の実質成長率は数十年ぶりに2%を超え、日本は年間の株価上昇で他の先進国をリードへ。
原題:Byron Wien Sees Stock Rally After Last Year’s Calls Fizzled (1)(抜粋)
(サマーズ氏の発言を追加して更新します。更新前の記事は第一段落の誤字を訂正済みです.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-03/OJ81716S972H01
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/456.html

[経世済民117] ETF投資家やヘッジファンド、金市場から資金引き揚げ ユーロ圏インフレ率1.1%、予想以上 経済活動11年以降最も強い伸
ETF投資家やヘッジファンド、金市場から資金引き揚げ
Luzi Ann Javier
2017年1月4日 05:48 JST 更新日時 2017年1月4日 10:21 JST

SPDRゴールドからの昨年12月の資金流出額は2013年以降で最大
資産運用会社による金の買越残高、昨年2月以来の低水準

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iPa9oaTd0.C8/v2/-1x-1.png

投資家は引き続き金投資を控えている。
  世界最大の金連動型上場投資信託(ETF)「SPDRゴールド・シェアーズ」からは昨年12月に月間ベースで22億7000万ドル(約2700億円)が引き揚げられた。資金流出は3カ月連続で、流出額は2013年以降で最大。米政府が同月30日発表したデータによれば、資産運用会社による金の買越残高は7週連続で減少し、2月以来の低水準となった。

  RJOフューチャーズ(シカゴ)のシニア・マーケット・ストラテジスト、ボブ・ヘイバーコーン氏は電話インタビューで「現時点では金にとって有利なトレンドではないというのが現実だ」と指摘。「この価格水準で金を購入しようとするなら、トレンドに逆らっていることになる。金相場を押し上げるためには、地政学的な出来事が起こるか米金融当局の利上げに関するトーンが変化する必要があるだろう」と述べた。
  米商品先物取引委員会(CFTC)が12月30日に発表した統計によれば、ヘッジファンドなど大口投機家による金の先物とオプションの買越残高は27日終了週に23%減少し4万1247枚。ブルームバーグが集計したデータによると、これは2月2日以来の低水準。
原題:Investors in ETFs to Hedge Funds Bail on Gold as Equities Rally(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-03/OJ818R6JIJV601


 


 
ユーロ圏:12月インフレ率は1.1%、予想上回る−石油価格の上昇で
Carolynn Look
2017年1月4日 20:06 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i7AgXuH3n2l8/v1/-1x-1.png

ユーロ圏では昨年12月のインフレ率が2013年以来の高水準に達した。欧州中央銀行(ECB)が進める刺激策の規模が適切かどうかをめぐる議論が勢いを増しそうな様子だ。
  欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が4日発表した昨年12月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比1.1%上昇。伸び率は11月の0.6%から加速し、ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値である1%を上回った。燃料や食料など変動幅の大きな項目を除いたコアインフレ率は0.9%に上昇した。
  これに先立ちドイツやスペインでも、原油価格の急騰を主因にインフレ率が予想以上に上昇していた。ECBは今後数カ月に政策判断を下す際に、弱いとしていた基調的な物価上昇圧力への注目を増す可能性がある。
  キャピタル・エコノミクスの欧州担当チーフエコノミスト、ジェニファー・マキューン氏(ロンドン在勤)は「ECB政策委員会内のタカ派数人はこうした数値を根拠にECBは政策支援を続けるべきではなく、これほど大規模な資産購入を今年末まで継続すべきではないと主張するだろう」と述べた上で、「だが個人的な見解では、物価上昇の監視を続けることがコンセンサスになるだろうと考える。この物価上昇にはエネルギーが大きく関係している」と語った。

原題:Euro-Area Inflation Outpaces Expectations as Oil Prices Surge(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-04/OJ940K6K50Y301


 
ユーロ圏:12月経済活動、11年以降最も強い伸び−マークイット
Carolynn Look
2017年1月4日 18:56 JST

ユーロ圏の製造業とサービス業を合わせた経 済活動は5年半余りで最も力強く拡大し、2016年を締めくくった。ユー ロ圏は政治的に不透明な1年に突入するが、景気には勢いが付いてい る。
IHSマークイットが4日発表した12月のユーロ圏総合購買担当者 指数(PMI)改定値は54.4。12月15日公表の速報値から上方修正さ れ、11月の53.9を上回り5年7カ月ぶりの高水準に達した。PMIは50 を上回れば活動拡大を、下回れば縮小を示す。
マークイットはユーロ安を一因に製造業とサービス業がいずれも堅 調だったことを理由に挙げた。スペインを筆頭にドイツも高水準に達す るなど、域内4大経済国はすべて拡大を記録した。
マークイットのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏 は、「PMI改定値は速報値よりも2016年を力強く終えたことを示唆し ているものの、これが17年のユーロ圏経済の回復に必要とされている弾 みを与えるかどうかはまだ非常に不透明だ」とし、「今後1年の政治イ ベントに大きく左右される」と語った。
原題:Euro-Area Economy Ended Year With Strongest Growth Since 2011(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-04/OJ90NB6TTDS701



http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/457.html

[政治・選挙・NHK218] 安倍首相 年頭会見「経済最優先に取り組む」 「解散は全く考えてない」 過度な為替動向は注視、一方的なら対応=菅官房長官 
安倍首相 年頭会見「経済最優先に取り組む」
1月4日 15時04分

安倍総理大臣は三重県伊勢市で年頭にあたって記者会見し、デフレ脱却に向けて引き続き経済最優先で政権運営に取り組む考えを強調しました。また、安倍総理大臣は、衆議院の解散・総選挙について全く考えていないとしたうえで、通常国会を今月20日に召集し、新年度・平成29年度予算案の早期成立を目指す考えを示しました。
この中で、安倍総理大臣は、「本年はとり年だ。12年前、あの劇的な郵政解散があった。そのさらに12年前は自民党が戦後初めて野党になり、55年体制が崩壊した歴史的な年だった。佐藤総理大臣が沖縄返還でアメリカと合意し、解散・総選挙に打って出た昭和44年もとり年であり、とり年は、しばしば政治の大きな転換点となってきた」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は「本年は世界でもさまざまな国のリーダーが交代し、変化の1年となることが予想される。先の見えない時代になって大切なことはぶれないこと、これまでの軸をしっかり貫いていくことだ。本年も経済最優先、デフレ脱却に向けて、金融政策、財政政策、そして成長戦略の三本の矢をうち続けていく」と述べ、引き続き経済最優先で政権運営に取り組む考えを強調しました。

そして、安倍総理大臣は「私たちの子や孫、その先の未来を見据えながら、本年、安倍内閣は国民とともに新しい国づくりを本格的に始動していく。今月20日から始まる通常国会はいわば『未来を開く国会』だ」と述べ、通常国会を今月20日に召集する考えを示しました。

一方、安倍総理大臣は、衆議院の解散・総選挙について「平成29年も4日目になったが解散の2文字を考えたことは無い。衆議院の解散は全く考えていない」と述べたうえで、「アベノミクスをふかし、経済をしっかりと成長させることがわれわれの使命であり、最大の経済対策は新年度予算案の早期成立だ」と述べ、通常国会では新年度・平成29年度予算案の早期成立を目指す考えを示しました。

また、安倍総理大臣は「これまで、延べ100を超える国や地域に足を運んできたが、『トリ』の目のように世界地図全体をふかんしながら積極的な外交を展開していく」と述べました。さらに、安倍総理大臣は、天皇陛下の退位などについて、「天皇制は国の基本であり、長い歴史とこれからの未来にかけての極めて重い課題で、決して政争の具にしてはならない」と述べ、与野党の合意形成を目指す考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170104/k10010828831000.html

 
2017年01月04日 (水) 
「2017年 安倍首相の決断は?」(ここに注目!)
太田 真嗣 解説委員
政権復帰後、5回目の正月を迎えた安倍政権。政治は、今年、どんな1年になるのか?
太田解説委員です。

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Q,ことし最初のここに注目。干支にかけて、鶏のイラストですね。

A,鶏同士を戦わせる『闘鶏』がモチーフです。「国政最大の戦い」と言えば、『衆議院の解散・総選挙』。衆議院議員の任期は4年ですが、年が明け、いまの議員の任期は残り2年を切っています。衆議院選挙から解散までの期間は、平均すると2年半程度と言われていますから、永田町的には、「機は熟しつつある」。安倍総理としては、いつ解散・総選挙に踏み切るか慎重にタイミングをさぐることになります。

Q,対する野党側は、まだ『ひな鳥』のようですね?

A,ちょっとデフォルメし過ぎですが、体制作りが遅れているのは事実です。民進党や共産党などは、野党共闘に向けた話し合いを続けていますが、民進党内には、共産党との連携に慎重な意見もあり、なかなか進んでいません。「早期の解散もあり得る」としている野党側としては、一日も早く十分戦える体制を作ることが急務ですし、逆に、与党内からは、「野党の態勢が整う前に戦った方が有利」という声も出ています。

Q,すると、解散・総選挙は近いですか?

A,そうとも言えません。不安定要素の一つがアメリカのトランプ新政権の存在です。トランプさん、今月20日に大統領に就任しますが、その経済政策、外交戦略がどの様なものになるのか先が見えません。仮に、その牙が日本に向いて、日米同盟や日本経済などにダメージを与えるようなことになれば、それこそ国益に関わる。国内で選挙をやっている場合じゃないということになりかねません。

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Q,なるほど。

A,このため、安倍政権の、いま、一番の課題は、まず、トランプ新政権としっかりとした信頼関係を築き、そうした不安を取り除くことです。その上で、今年は、天皇陛下の退位をめぐる問題。そして、解散戦略に影響を与える要素として、春から夏にかけて、衆議院の小選挙区の区割りの見直しと東京都議会議員選挙が控えています。ですから、今後、こうした政治課題、あるいは、スケジュールを睨みながら、安倍総理が衆議院の解散・総選挙を、年内に「ケッコー(決行)」するかどうか。それが、ことしの政治の最大の注目点です。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/260152.html? 

 

安倍総理「解散は全く考えてない」20日に国会召集へ(2017/01/04 17:14)

 
 安倍総理大臣は、通常国会を20日に召集する考えを明らかにしました。

 安倍総理大臣:「新しい国づくりを本格的に始動して参ります。今月20日から始まる通常国会は、未来を開く国会であります」
 安倍総理は「今年も経済最優先」と述べて、2017年度予算の成立を急ぐ考えを示しました。衆議院の解散・総選挙については「全く考えていない」と述べました。通常国会では、同一労働同一賃金を目指す「働き方改革」など1億総活躍社会の実現や地方創生のほか、震災からの復旧・復興に取り組む方針です。また、天皇陛下の退位に関する法整備にも着手する考えです。
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http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000091417.html

 


過度な為替動向は注視、一方的な流れには対応=菅官房長官
 
[東京 4日 ロイター] - 菅義偉官房長官は4日夜のBSフジ番組で、過度な為替の動向には「監視、注視していくのが大事」との認識を示した。その上で、投機筋による「一方的な流れ」に対しては政府として対応する姿勢を示した。

政府は昨年、英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票の結果を受けて急速に円高が進んだ際などに、財務省、金融庁、日銀による「三者会合」を開いて市場の動きをけん制。菅長官はこうした会合によって、市場に政府の姿勢が「伝わり始めている」と語った。

一方、足元の株高・円安に関しては「官房長官の立場で言及することは控えることにしている」としつつ、「株価は低いより高い方がいい」と述べた。

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http://jp.reuters.com/article/suga-forex-stock-idJPKBN14O1B9
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/593.html

[経世済民117] 失業なき労働移動こそ働き方改革の本丸 トランプ景気刺激策、景気後退先延ばしだけ スピード違反の円安、正念場は秋か    
視点:
失業なき労働移動こそ働き方改革の本丸

大田弘子政策研究大学院大学教授/元経済財政担当相
[東京 4日] - 長時間労働問題や正規・非正規社員の待遇格差問題の背景には、日本の「就社」的な労働慣行があり、その部分が変わらなければ根本的な問題解決は難しいと、大田弘子・政策研究大学院大学教授(元経済財政担当相)は指摘する。

有効な解決策は、「同一労働同一賃金」の原則の下で、職務などを限定するジョブ型正社員のルール整備を政策面から促すとともに、セーフティーネット(安全網)の拡充によって、「失業なき労働移動」環境づくりを目指すことだと説く。

また、そうした改革が、成長分野や高生産性部門への円滑な労働移動を可能にし、ひいては日本経済の潜在成長力の引き上げにつながると主張する。

同氏の見解は以下の通り。

<「ジョブ」型は重要な選択肢>

働き方改革をめぐる議論では現在、長時間労働是正と、非正規社員の待遇改善策としての「同一労働同一賃金」導入が最大のイシュー(論点)になっている。これはこれで重要だが、根本から解決していくためには、正規と非正規の二分化から脱して、正社員のメニューの1つとしてジョブ型正社員のルールを整備し、併せてセーフティーネット(安全網)の拡充によって「失業なき労働移動」環境づくりを目指すことが不可欠だと考えている。

長時間労働問題にしても、正規・非正規社員の待遇格差問題にしても、背景にあるのは、「就社」的な日本の労働慣行だ。正社員は基本的に雇用継続の保障と引き換えに、職務・勤務地・勤務時間などで会社から命令があれば原則断れないという、いわば「無限定」の働き方を受け入れている。

このような状況では、長時間労働が発生しやすいほか、「無限定社員のメンバーシップ型雇用」の外にいる非正規社員に対する賃金・待遇格差が固定化されやすい。新卒一括採用も、就社的な意識を高めるとともに、労働市場の二極化を強める方向に作用している。結果的に、日本の雇用は硬直化しているのが実情だ。多様で柔軟な働き方の選択肢に乏しい上、成長分野や高生産性部門への労働移動が円滑に進まないという問題を抱えている。

他方、欧米ではジョブ型社員が主流だ。仕事の内容を細かく規定した「ジョブディスクリプション(職務記述書)」を作成し、特定のジョブでの雇用契約を結ぶ。同じジョブならばどの企業に勤めても、待遇はほぼ同じであり、同一労働同一賃金が徹底されている。一部の幹部候補社員を除けば、無限定社員ではないため(また労働時間規制が厳しいこともあり)、長時間労働は発生しにくい。欧米型が良いというつもりはないが、選択肢の1つとしてジョブ型正社員があっていいのではないか。

ここで「ジョブ型」と言っているのは、職務・地域・労働時間のいずれかを限定する正社員のことだ。日本でも近年、ジョブ型雇用を導入し始めている企業は増えているが、就業規則や労働契約で明確化されていない場合が多いし、事業所閉鎖やジョブが終了した場合の人事上の取り扱いは不明確だ。また、ジョブ型と無限定正社員との相互転換も用意されていない。

多様で柔軟な働き方を保障することは、少子高齢化で人手不足に直面している日本経済にとっても非常に有益なはずだ。子育てや介護のため時間に縛られない働き方をしたい人、配置転換を望まない人など、正社員を希望するが無限定型の働き方は希望しないという人も少なくない。同一労働同一賃金の下、無限定型ではないジョブ型正社員の整備が進めば、労働参加率の向上も見込めるだろう。

日本に限らず、先進国では産業のサービス化が進んでおり、多様な働き方の下で処遇の公平性を確保することは急務と言える。相対的に一律的な働き方が多い製造現場に対して、サービス産業は繁閑の差が大きいので、パートなどの非正規の比重が高くなり、また小規模事業者が多いため雇用が不安定になりやすい。業種によって高所得と低所得の格差も大きい。働き方によって著しく不利になることなく、多様な就労形態を選べるようにすることが重要だ。

無限定正社員と非正規という二分化ではなく、ジョブ型正社員の整備を政策的に支援していくことは、経済のサービス化にも合致した動きだと考える。

<フレキシキュリティの重要性>

むろん、失業なき労働市場を実現するためには、働く場の受け皿づくりも欠かせない。就業者の7割が働くサービス分野には小規模事業者が多く、経営のイノベーションが進みにくい中、企業の新陳代謝は滞っている。政府としては、働き方改革に合わせて、事業者が成長分野に移っていけるように転廃業支援策を強化することも重要となろう。

なお、労働の流動化を促進していくならば、セーフティーネットの拡充が大前提となる。北欧諸国は、労働市場のフレキシビリティと労働者のセキュリティを合わせた「フレキシキュリティ」と呼ばれる積極的労働政策を確立した。競争力を失った企業は守らないが、失職者には多種多様なタイプの職業訓練などを用意し、迅速に次の職に移れるよう手厚く支援する。

安倍政権も2013年6月にまとめた日本再興戦略で、「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換(失業なき労働移動の実現)」を掲げていた。サービス化や技術革新によって企業の栄枯盛衰がますます激しくなる中では、柔軟な労働市場こそが雇用の安全につながる。労働市場改革だけでなく、働き方に関わる税制や社会保障制度の見直し、さらには岩盤規制を取り除く成長戦略など、さまざまな施策の合わせ技で、日本版のフレキシキュリティを実現すべきだ。

*本稿は大田弘子氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。

(聞き手:麻生祐司)

*大田弘子氏は、政策研究大学院大学教授。内閣府規制改革会議議長代理、税制調査会委員などを務める。2006―08年、安倍・福田両内閣で内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)。2014年6月から、みずほフィナンシャルグループ取締役会議長。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2017年の視点」に掲載されたものです。


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http://jp.reuters.com/article/view-hiroko-ota-idJPKBN14O0CL?sp=true


 

コラム:
トランプ氏の景気刺激策、景気後退を先延ばしするだけ

Gina Chon

[ワシントン 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ次期米大統領は景気がかなり良い状態で政権を受け継ぐ。減税やインフラ投資は短期的に景気をさらに押し上げるはずで、来るべき景気後退(リセッション)を遅らせるかもしれない。しかし無くしてしまうことは無理だ。

オバマ大統領は経済面で比較的しっかりした実績を残した。昨年11月の失業率は4.6%と9年ぶりの低さ。第3・四半期の成長率は年率3.2%と、2014年以来で最高だった。

トランプ氏はすべての所得層を対象とする減税や、法人税の35%から15%への引き下げを唱えている。1兆ドルのインフラ投資も掲げた。

しかし米国は既に完全雇用に近く、トランプ氏の景気刺激策の効力は削がれるかもしれない。2016年の雇用者数の伸びは月平均18万人で、前年の22万1000人から増加ペースが鈍った。長期失業者の復職がさらに増えたり、移民流入が加速しない限り、積極財政は賃金を押し上げ、物価上昇を招く可能性がある。

トランプ氏が米国の潜在成長率押し上げに向けた解決策を持っている様子は一切見られない。企業の設備投資の低迷を一因として、16年の成長率は1.5%にとどまる見通しだ。米連邦準備理事会(FRB)は9月、長期的な成長見通しを従来の年率2%から1.8%に引き下げた。

その上、過去の景気循環から察するに、米国は間もなく景気後退に陥る。2009年6月から途切れていない景気拡大は17年に入っても続きそうで、成長率の記録が始まった1854年以来で3番目に長い拡大期となりそうだ。

15年以来エコノミストらは間もなく景気が息切れすると予想してきた。トランプ氏はその時期を遅らせることができるが、そうすれば次の景気後退が都合の悪い時期にやって来るリスクが高まる。彼が再選を目指すであろう2020年の大統領選の直前だ。
http://jp.reuters.com/article/column-trump-stimulus-idJPKBN14O061?rpc=223


 
コラム:スピード違反の円安、正念場は秋か

植野大作三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト
[東京 4日] - 2017年のドル円相場が開幕した。1月2日に一時116円台に小緩む場面もあったが、その後は117―118円台に買い戻されて推移している。年末年始にありがちな攪(かく)乱需給による相場環境の急変が起きなかったことにホッとしている市場関係者は多い。

昨年のドル円相場は1年間で何度も風景が激変する大荒れの展開だった。想定外の価格変動にもみくちゃにされた市場関係者の売買疲れは著しく、「休むも相場」の年末年始を過ごしたドル円ファンが多かったのかもしれない。まずは無難な新春相場の船出だった。

ただ、つかの間の休息で英気を養った市場関係者の本格復帰が始まる今週から、マーケットは徐々に「戦闘モード」に転じるだろう。今年はどんな相場展開が待ち受けているのだろうか。以下、現時点における筆者の見解をまとめておきたい。

<年前半にスピード調整の公算大>

まず年前半に関しては、昨年終盤に加速した「トランプラリー」がいったんよどむ「スピード調整」の局面を迎えると見ている。昨年11月9日安値の101.20円から12月15日高値の118.66円まで、ドル円相場はわずか約5週間で17.46円も急騰したが、これを単純に延長すると今年3月末のドル円相場は160円前後に達する計算になる。

いくら何でも「スピード違反」の疑いが濃厚であり、どこかで自律反落が起きないと見る方が不自然な速度で吹き上がっている。通常、どんなに強い上昇ないし下降トレンドが発生している相場でも、一次関数のような動きには絶対にならない。自律反落や反転による短期的な「ジグザグ」は必ずあるものだ。

今月20日に発足するトランプ政権の政策に対する市場の期待が非常に強いのは事実だが、冷静な目で今後の米財政審議の日程を眺めると、2月頃に提出される大統領予算教書を皮切りに議会との協議が始まり、円滑な合意形成に至った場合でも現在の「オバマ予算」から「トランプ予算」に切り替わるのは、新しい会計年度が始まる10月以降になる。昨年終盤に猛威を振るった「トランプラリー」は、まだ実像が明らかでない「トランプノミクス」の良さそうな面ばかりを先行して織り込み過ぎている。

古今東西、新政権が発足する前後の時期には政治的な高揚感が盛り上がってメディアもマーケットも「いいとこ取り」の心理状態に陥りがちだ。しかし、先行して盛り上がる「景気の良い話」に対して「総論賛成」の空気が漂ったとしても、「一体誰が金を出すのか」という議論が始まると、必ずもめるのが人間社会の常だ。

実際、昨年の米議会選挙で上下両院の過半数を維持した共和党議員の中には、数年前に米国の市場を混乱させた「財政の崖」騒動の時に活躍した財政均衡論者も多い。トランプ次期大統領が主張する大規模な減税や公共投資に必要な財源問題は、今後の財政協議で議論されるだろう。例えば「社会保障の削減」や「輸入関税の一部引き上げ」などが財源論議の対象になるだけでも、市場が現実を見つめ直す機会を提供しそうだ。

<52週線が示す「アノマリー破り」>

もちろん、あれだけ強く米国経済の再生を主張する人物が次の大統領になる以上、最終的には景気浮揚効果のある経済政策が採用される可能性が高い。だが、市場が織り込む順番としてプラス面への期待が先行している場合、マイナス方向への削り込みを行う段階になると、「トランプラリー」によって上昇した分の何割かは自律反落の対象になるだろう。

具体的な調整幅をピッタリ当てるのは困難だが、仮に「5週間で17円超」という上昇幅の38.2%押しを見るなら1ドル=112円前後、半値押しまで意識するなら同110円前後が攻防のめどになる。米財政審議が始まった後、どこかのタイミングで115円割れはあるのではなかろうか。

だが一方で、米大統領選の前後で相場の景色が一変した現実は認めざるを得ない。テクニカル的に見ると、米大統領選後に急激に進んだドル高の結果、足元のドル円相場は筆者が「トレンド判定の師」として仰ぐ52週移動平均線を下から上へ大幅に突き破る水準へ巡航高度を上げている。

1990年代以降、下降に転じた52週線との「ファーストタッチ」がこれほど明確な「ファーストブレイク」に発展した前例はない。過去のドル円相場は長期トレンドがいったん下向きに転じると少なくとも1年以上はその傾向が続くケースがほとんどだった。

昨年の米大統領選後に観測された「トランプラリー」は、古参の市場関係者が培ってきた「日柄の感覚」を暴力的に破壊した。これほど見事な「アノマリー(経験則)破り」で相場観察の目線が一気に引き上げられた結果、平均的な市場参加者が頭の中に思い描くドル円売買の想定レンジは大幅な上方修正を強いられている。

この先、ドル円相場が自律反落に転じたとしても、それほど深く差し込まず、「浅い押し目」しか作らなかった場合、筆者が想定しているドル高・円安の「スピード調整」は、「水準」ではなく「時間」で進む可能性がある。その場合、今年中頃には52週線が上向きに転じて、ドル高・円安の大局観を持つ市場関係者が一段と増えるかもしれない。

<2桁円台に逆戻りか、120円台再トライか>

今年の大みそかになってドル円相場を振り返ったときに、昨年終盤に加速した「トランプラリー」が「だましのドル高サインだった」と評価されているのか、「前例破りのドル高シグナルだった」と言われているのか、今年前半のドル円相場はチャートフェイス作りの正念場になる。「市場の審判」は一体どちらに下されるのだろうか。

鍵を握るのは、今秋までの米国景気になりそうだ。足元で期待先行気味に加速したドル高による景気下押し圧力に潰されて米国経済がトランプ財政の稼動前に失速した場合、先行して盛り上がった期待の反動で「倍返し」のようなドル安・円高局面が到来する可能性がある。その場合、ドル円相場は昨年半ばに岩盤の堅さを誇った99円台のフロアーを突き抜け、今年の大みそかは「2桁円台」で越年するだろう。

他方、今後の米国経済が緩やかな拡大基調を維持したままトランプ財政による景気刺激が入るなら、「ほぼ完全雇用の経済にカンフル剤が打たれる」との期待がいよいよ実現することになる。その場合、昨年末に1年ぶりの利上げに踏み切った米国と、昨秋に導入した「長短金利操作付き異次元緩和」によって超低金利策の持久力を高めた日本との金融政策の印象格差が、ドル高・円安圧力を育む温床になりそうだ。

こちらのシナリオが実現するなら、「トランプラリー」による急激なドル高は、当初こそ期待先行の「勇み足」だったが、後から見れば「先見の明」があったと市場で評価され、年後半のドル円相場はドル高方向に切り返してくるだろう。具体的な水準を特定するのは至難だが、今年の大みそかには120円絡みの攻防もあるのではなかろうか。

どちらのシナリオが実現するかについては、イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長がいつも言っているように、「データ次第(Data-dependent)」で判断するしかない。

足元の経済指標を見ると、米国景気は堅調に推移しており、年後半にはドル高基調が復活する可能性が高そうだが、「トランプノミクス」に対する市場評価は今後始まる米予算協議を見るまで固まらない。政策的な不透明感が非常に強い時期であるがゆえ、丁寧な事実確認の積み重ねが大切だ。今後の米財政審議に目配せしつつ、地道な米経済指標観察に軸足を置いた相場予測を心掛けたい。

*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-daisaku-ueno-idJPKBN14O07S?sp=true
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/458.html

[経世済民117] 2017年の投資戦略、高圧経済株に照準 人民元切下げあるか 停滞する民主主義、見限るのは早計 イタリアのユーロ離脱リスク
コラム:
2017年の投資戦略、高圧経済株に照準

木野内栄治大和証券 チーフテクニカルアナリスト兼シニアストラテジスト
[東京 3日] - この1月は物色戦略を再構築すべき場面だろう。例年、年終盤は節税目的の損出し売りの季節で、逆に益出しが1月に集中する傾向がある。よって、前年末まで上昇した銘柄は年初から利食われ、前年末まで損出し売りに押されていた銘柄が年初から浮上しやすい。

実際、個人投資家の影響が大きい日経ジャスダック平均やリート指数の相対パフォーマンスは、例年、年末年始に底入れ反転しやすい傾向がある。

米国NYダウも史上最高値にあった2014年初や15年初は1月末前後まで軟化した。今年は米国では所得減税が期待されているので、昨年終盤の段階で先送りされてきた利食い圧力が足元で懸念される。14年初や15年初は米金利も低下した。連動しやすい銀行株がこの1月は騰勢が弱まってもおかしくない。

このように、1月は、じっくり物色戦略を考える必要がありそうだ。

<高圧経済ではイノベーションが期待できる>

さて、その物色戦略を再構築するにあたって、持つべき認識は、「2017年の新しいテーマは高圧経済である」という点だ。高圧経済政策とは、現在の供給能力を上回る需要維持を推進する政策で、景気が良くても財政刺激策や金融緩和を継続する政策を指す。

トランプ次期米政権は景気が良くても景気刺激策を実施する構えだし、1930年代後半から50年代の米国の経験からも、「デフレから長期停滞論へ、そして金利の釘付け政策が導入され、高圧経済となり、脱デフレ」という一連の流れが長期的なパターンである可能性が高い。すでに日銀はイールドカーブ・コントロール政策を導入したので、あとは米国の財政支出を待つだけだ。

上記の歴史のパターンをよりどころに、筆者は1年前に早期の金利釘付け政策実現を予想し、相場予測もおそらく業界で最も強気だった。しかし、実際にはマイナス金利政策が導入され、株価は大きく下落してしまった。日銀がイールドカーブ・コントロール政策を導入したのは9月になってしまった。まったく不明を恥じるしかない。

そこで、今年はまず高圧経済政策に至らなくとも、すでに高圧経済状態となっており設備投資や技術開発が出始めた産業で投資戦略を構築したい。加えて、マクロ的に高圧経済に入る前から入った後1年程度まで堅調が見込める「値がさ株」で投資戦略を構築したい。以下で紹介するセクターは生産性向上で株価が一段高となりやすいだろう。

なお、高圧経済政策を理解する上で重要な点は、正規雇用や設備投資を抑制する履歴効果が覆されることとイノベーションが促されることだ。実際、昨年10月14日のイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長講演でも研究開発・イノベーションの増加を指摘している。マクロ的には財政政策と金融緩和がなぜ成長戦略となるのか分かりにくいだろうが、株式アナリストの立場から個々のセクターを概観することで、結果的にそれも説明したい。

<建設業の生産性が大幅に改善し始めた訳>

高圧経済状態のセクターでは人手不足となる。建設業では人手不足が極まった。そこで、土木工事ではドローンで写真を撮り、解析技術で測量データを作り、公的提出書類や工程管理作成を自動化、ブルドーザーもデータでガイドされる技術が確立した。

また、コンクリート工事は現場で型枠を組むオーダーメイドで、天候に左右されコンクリートが固まるまでの時間が必要になるなど、手間がかかっていた。そこで、最近では工場でコンクリートブロック状のパーツを作成して、現場では組み立てるだけの方式が増えてきた。

すると、長年低迷していた建設業の生産性が、大幅に改善し始めた。その分、企業利益が増加しよう。建設株や先進的な建設機械株が物色されよう。

システム業界も恒常的な人手不足だ。日本においてコンピュータシステムはオーダーメイドが主流だったが、現在パッケージソフトの利用に移行しつつある。大手のクラウドインテグレーターが高い生産性をあげると考えられる。また、フィンテックも盛り上がりを見せており、金融業の生産性向上に大きな影響があるかもしれない。

このように、高圧経済・人手不足状態の産業では技術革新が勃興し始めている。

<高圧経済はビジネスイノベーションも促進>

観光業界も高圧経済・人手不足状態だ。そのためITの活用が進んでおり、現在、ネットショッピングによる家計消費の最大の支出先は観光だ。ネット関連の観光銘柄が有望だろう。

この他にも多くの外国人観光客を受け入れるために、宿泊施設が不要なクルーズ船の誘致や、観光ルートの分散化も政策的に推進されている。2017年は札幌オリンピック正式立候補や九州での世界遺産登録などが話題となるだろう。北海道・九州の観光銘柄に注目だ。また、消費単価の引き上げが期待されるカジノを含む総合型リゾート(IR)設置の動きも生産性改善の方策といえる。

物流業はトラック運転手不足の中で、物流総合効率化法の改正によって業界内外の協働が期待できる。共同配達やモーダルシフト、駅構内の宅配ボックスなどがその例だ。また、連結トラック、ドローン宅配の可能性など技術開発にも広がりを見せている。具体的には宅配業や倉庫株が期待できる。

飲食店などの人手不足も深刻で、そうした業界での生産性を引き上げる企業にもメリットが期待できる。食券販売機や製氷機などの店舗の省力化関連銘柄だ。IoT(モノのインターネット)活用も個々の企業に拡大してきた。

こうして見ると、高圧経済はビジネスイノベーションを促すことが理解できる。

このような実際の事例をアネクドータル(伝聞的)な参考例であると軽視してはならない。イノベーションは個々の企業・産業の現場で勃興するもので、マクロ的に全要素生産性が向上する嚆矢(こうし)となり得る。こうした事例は少なくとも高圧経済がイノベーションと設備投資を促しやすいことを証明している。

<テクノロジー主導の値がさ株相場にも期待>

筆者は、高圧経済状態の産業の株価が堅調になると見ている。こうした産業は大きく業績が改善し株価も上昇したが、多くは人手不足によって業績が伸び悩み株価もいったん軟化したセクターなので、再騰が期待できる。2017年の物色の考え方は長期的な順張り戦略だ。

この物色傾向は値がさ優良株相場に通じる。これまでも上昇してきた優良株が、さらに大きく上昇する相場だ。過去の値がさ株相場は日経平均のバブル的な天井の6年後頃から11年後にかけて示現している。現代は、2007年頃に作られた過剰な生産設備があふれており、資金は高圧経済状態のセクターやニューエコノミー分野・値がさ優良株に集中しやすい。

こうして見ると、2017年は、日本やアジアのバブルの天井だった1989年の10年後である1999年に類似している。

値がさ株のパフォーマンスは当初は米金利低下と連動しているが、最後の1年程度は米金利上昇と連動して吹き上げ的な佳境場面を迎えていることが多い。ストック調整が進む過程と回復する場面の両局面で値がさ株は選好されてきた。高圧経済政策に入らなくても入っても、どちらでも値がさ株相場が期待できるはずだ。ここ数年と同様に引き続き電池と半導体関連にも注目できるだろう。

最後に、株式市場が値がさ株などのテクノロジー主導の相場展開となると、高圧経済セクターで生じたイノベーション関連株も物色されやすい。そうした物色傾向は、財政刺激策が技術開発や生産性向上を促す成長戦略となり得ることを示唆する。この点に関する理解が進むことは、財政政策を積極的に活用しようとの政策論を促すと期待している。

*木野内栄治氏は、大和証券投資戦略部のチーフテクニカルアナリスト兼シニアストラテジスト。1988年に大和証券に入社。大和総研などを経て現職。各種アナリストランキングにおいて、2004年から11年連続となる直近まで、市場分析部門などで第1位を獲得。平成24年度高橋亀吉記念賞優秀賞受賞。現在、景気循環学会の理事も務める。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-eiji-kinouchi-idJPKBN14M0KH?sp=true


 

  


 

2017年の中国リスク、人民元切り下げあるか:識者はこうみる

[東京 4日 ロイター] - 順調なスタートを切った2017年の金融市場だが、多くの参加者がリスク要因として挙げるのは中国。人民元安が進み外貨準備が急減する一方、巨額な民間債務や不動産市場のバブル崩壊などが心配されている。ドル先高観の根強い市場では緩やかな人民元安を予想する声が多いが、トランプ次期米政権の出方によっては、中国政府が再び人民元切り下げに動きかねないとの見方も出ている。

識者の主な見方は以下の通り。

●人民元は下落方向、3側面で苦しい舵取り

<みずほ銀行 マーケット・エコノミスト 佐々木貴彦氏>

3月の全国人民代表大会(全人代)では、成長率目標を現実的な6.5%程度に引き下げるだろう。中国経済は、消費・投資・輸出の3側面でかじ取りが苦しくなってくる。経済下支えのためにどういう施策が示されるかが焦点だ。

自動車取得税を10%からいったん5%に引き下げたが、今年は7.5%に引き上げる。前年比で増税のため消費の落ち込みは避けられそうにない。不動産価格の急騰や民間の過剰債務の増加を踏まえれば、民間投資も刺激しにくい。米新政権移行チームが輸入関税を検討し始めたとも伝わっており、米国への輸出が抑制されるおそれもある。

中国が目標達成に向けて薄氷を踏む中、米国が関税を導入すれば、人民元を切り下げてでもダメージを和らげるしかないとの思惑も出かねない。

購買力平価の観点から人民元は、中長期的には、7.7元程度まで下落余地がある。今年の下落めどは7.17元程度だが、7.3元程度へのオーバーシュートはあるかもしれない。

米次期政権が明確にドル高回避スタンスを打ち出し、米連邦準備理事会(FRB)もハト派政策で追随するなら元高もあり得るが、実効レートベースで元はドル並みに割高となっており、ドルが弱くなると元も同程度弱まるため、上昇の余地は大きくないだろう。

●トランプ発言で人民元安にブレーキも、資金流出の過剰懸念は不要

<伊藤忠経済研究所 主席研究員 武田淳氏>

2016年の景気は、自動車減税やインフラ投資拡大、住宅ローン規制緩和といった政策要因に支えられた。ただ、自動車減税幅は縮小する。住宅価格がバブル気味になったことで政府は足元であらためて規制強化に動いている。今後はインフラ投資がしっかり拡大していくかが、焦点のひとつになる。

輸出の動向も重要だ。人民元安でも、輸出は下げ止まりつつある程度。回復というほどの勢いはない。ただ、重しとなっているのはスマートフォン関連の一巡や鉄鋼など。かつての輸出ドライブの反動減で、特殊要因の側面が大きい。今後、人民元安で素直に輸出が持ち直すとのシナリオもあり得る。

一方で、人民元安が進めば、インフレ圧力が高まりかねない。ただ、人民元の下落を抑制するような材料が米中から出てくるとみられ、元の急落は考えにくい。

中国政府は米債を売ってドル売り介入をしている。米債が売られれば、米長期金利が上がってドル高になりかねず、米国としても歓迎しないだろう。人為的な相場引き下げを問題視しているトランプ次期米大統領が、持論を強調するだけでも元安にブレーキが掛かる。

2000年台からの人民元切り上げ局面では、年3─5%の上昇なら経済に大きな影響を与えない範囲とみられていた。これを踏まえれば、今年は7.1─7.2元程度への下落も許容範囲と見られるだろう。

外貨準備は一時期に比べてかなり減少してきているが、そもそも多過ぎたともいえる。人民元高の下で外貨で資金を借り入れる企業が相次ぎ、外貨準備が膨らんでいたためだ。足元では、これが巻き戻されているが、企業による国内での借り換えは進んでおり、過度な警戒は不要だろう。

●米国が関税引き上げなら中国は為替引き下げの思惑も

<SMBC日興証券 新興国担当シニアエコノミスト 平山広太氏>

人民元は、対ドルではさらに元安方向に動く可能性があるが、名目実効ベースでは大きく動かさないというのが、今の政策スタンスだろう。

中国の為替政策はドル次第といえる。米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの見通し中央値では、2017年に3回の利上げが示唆された。ただ、ドル高がディスインフレ圧力となるなら、利上げは2回程度に終わる可能性がある。

ドルが軟化すれば、その裏側で人民元は強くなっていく。元に対するドルの増価は2─3%程度にとどまり、人民元は6.8─7.0元がコアレンジになるのではないか。

もっとも、トランプ次期米政権がきつい関税をかけるなら、中国サイドは通貨を引き下げて関税の価格上昇効果を相殺しようとするとの思惑も出かねない。市場が売りに傾くなら、中国政府は相場に任せて7.0元より安い方向に動くことも想定される。

成長率目標は6.5%は維持するとみている。インフラ投資を中心に景気刺激策を打つ一方、過剰生産能力や在庫の削減、中小企業向け支援といった供給側の改革をさらに深める方向だろう。

不動産市場健全化の方針を示しているため、バブル崩壊への警戒は怠れない。結果として不良債権処理を加速する動きもあり得る。銀行が貸し渋り・貸しはがしに動けば、インフラで経済を支えようとしても地方政府が支え切れなくなる。中央が手がけるには時間がかかるため、一時的に景気のモメンタムが鈍化する可能性はある。

●人民元の急落の可能性低い、党大会控え景気下支え期待

<JPモルガン・チェース銀行 為替調査部長 棚瀬順哉氏>

中国の民間の過剰債務の問題は深刻化しつつあり、長い目で見ればハードランディングのリスクが高まっているといえる。ただ、そのタイミングは、今年ではないだろう。

今年は5年に一度の中国共産党全国代表大会が秋口に予定されている。当局の意向としては、経済の混乱は避けたいだろうから、景気下支えへのインセンティブは強い。

人民元は、中国からの資本流出や、過大評価の修正の観点から、対ドルで7.0元を超える水準への一段安はあり得るが、コントロール不能な急落にはならないとみている。実際に党大会の年には、国内総生産(GDP)の成長率は高く、人民元はさほど動かない傾向が見られる。

現状では、財政・金融政策の両面で下支えで手を打つ余地はある。

去年から自動車減税や不動産融資への規制緩和、インフラ投資で下支えしてきた。こうした流れは2017年も続くだろう。経済政策の運営の面からバブル回避に向けて、減税の縮小や規制の引き締めなどの動きはある。ただ、経済の混乱も避けたいところだ。

中国製造業購買担当者景気指数 (PMI)は、政策による下支えもあって去年は50を回復した。これが50を割り込むなど景気減速が強まるようなら、あらためて減税や規制緩和を強めることもあり得る。

トランプ次期米政権の経済閣僚の顔ぶれは、かなり保護主義の色彩が強い。ただ、今の中国は製造業よりサービスの比率が高まってきている。アドバルーン的な関税引き上げや為替操作国の認定で米国への輸出がいくらか減っても、それによってハードランディングの引き金が引かれるとは考えにくい。

(平田紀之 編集:伊賀大記)
http://jp.reuters.com/article/china-yuan-idJPKBN14O0LU


 


コラム:停滞する民主主義、見限るのはまだ早い
 
 12月27日、戦後のどの時期にも増して、2016年は民主主義の限界と欠陥がはっきりと露呈した1年となった。写真は10月、英国の欧州連合(EU)残留を訴え、顔にそれぞれの旗の模様をペイントしてキスをするデモ参加者(2016年 ロイター/Hannibal Hanschke)

John Lloyd

[27日 ロイター] - 代議制による政治こそが最善だと確認された第2次世界大戦以降のどの時期にも増して、2016年は民主主義の限界と欠陥がはっきりと露呈した1年となった。

第2次大戦における大規模で凄惨な戦いを経て、民主主義諸国は専制的国家だったドイツ、イタリア、日本を打倒した。皮肉なことに、その勝利を決定づけたのは、史上最大の専制国家、ソ連によって払われた比類のない人的犠牲だった。

戦後世界を形成したのは、豊かで自信に満ちた米国を筆頭とする戦勝国である。連合国が創設した国際連合、国際通貨基金(IMF)や世界銀行などの機関は、大戦中に連合国のあいだで行われた議論に由来するものだ。それらの機関は、安定をもたらし、戦争に代わり協議を行い、貧困国のための開発援助を確保することを目指していた。

1948年、戦争で荒廃した欧州の復興に向けて、米国は約120─130億ドルを拠出。マーシャル・プランと名付けられたこの援助は現在の貨幣価値に換算すると約1200億ドル(約14.1兆円)に上る。この援助は、民主的な政府を支え、当時は強大だった共産主義勢力を遠ざけることを意図していた。

その当時、戦勝国は自国の政治システムに自信を持っており、市民が選挙や政党、公開討論に積極的に参加することによって、その力をさらに発揮できると捉えていた。だが今や、民主主義の前進は止まってしまった。いや、一部には後退している例さえ見受けられる。

西側諸国では、政党単位で選択された代議員を議会に送るための選挙を、自由社会に自然と付随するものだと見なしていた。しかしその自由とは非常に規制されたものであり、必然的に政治的エリートを生み出した。人々の声は多くのフィルターを媒介して伝えられ、ほとんどの人にとってそのフィルターは不透明だ。

スイスのように日常的に国民投票を活用している国はほとんどない。同国では、経済的なメリットがあるとされているにもかかわらず移民受入の制限が国民投票で承認された。

今年、欧州で経験の乏しい2つの大国が国民投票を実施し、それぞれの政府が推奨していた政治的選択が却下された。英国民は欧州連合(EU)からの離脱を選択し、イタリアでは憲法改正が否決された。その結果、イタリアのレンツィ首相、英国のキャメロン首相が辞任した。イタリアでは第2次大戦後以降、英国では何世紀にもわたり、国会が最高立法機関として位置づけられている。

国民投票は今や、ポピュリスト政党のお気に入りの手段となっている。こうした政党は、民衆の反発を利用し、これを誘導することができると信じているからだ。これこそが民衆の声、そうではないのか、と。

代議制の方が継続性や経験、英知を提供できるという有力な弁護の声もあるが、主流派が政治的な人気を失っている時期において、このような主張をしても盛大な嘲笑を浴びるのが関の山だ。

主流派の政党は、たいていは抗議や議論の結果を受けて、市民の政治参加を拡大しようという試みを繰り返してきた。だがほとんどの場合、多数の市民を集められるのは数回の会合にすぎない。

米政治学者フランシス・フクヤマ氏が書いているように、「大半の市民には、公共政策に関わる複雑な問題を理解するための時間も、経験も、その意欲もない。政治参加の拡大は、単に、よく組織された活動家団体がさらに大きな力を得る道を開くだけになる」からだ。

新たな民主的構造を生み出すための最大の実験が、1950年代以降、着実に発展してきたEUだ。だがその歩みも、この10年間で停滞している。

有権者だけでなくEU懐疑派の政党に突き上げられた加盟国政府が、意志決定権の回復を求めてきたからだ。それも、各国議会に取り戻すというより、「国民」の手に取り戻すという要求だ。フランスで勢力を増しつつある極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が主張するように、「国民国家の復活」なのだ。

EUは民主的な統治の「新たな一歩」として、創設国やその政治家の多くによって提唱されてきた。国民国家を自発的に統合することで、中国、ロシアや米国に対抗し、グローバル企業や銀行への影響力を増すとの考えだ。

だが、EUは政治的プロジェクトを推し進め過ぎた。特に、政治的目標のためにユーロの金融メカニズムを利用しようとした点だ。

かつてギリシャやイタリアなどの国では、競争優位を維持するために通貨切り下げを行うことが珍しくなかった。だが今では、ユーロから離脱するしか手がない。その場合、ユーロ建ての膨大な債務を抱える一方で、自国通貨は大幅に切り下げられてしまう。ユーロ圏に留まっても離脱しても、いずれにせようまく行かないのだ。

一方、独裁主義は復権を果たしつつある。

ロシアのプーチン大統領が米タイム誌の「今年の人」候補に選ばれたのは、ウクライナ、シリア、そしてロシアにおいて(いかに暴力的なものであれ)成功を収めていることへの評価であり、世論調査によれば依然、圧倒的な国民の支持を得ている。プーチン氏同様、高い支持を集める独裁的リーダーとしては、中国の習近平主席、トルコのエルドアン大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領などが挙げられる。

政治的な主流派としての勢力維持を願う人々にとって、こうした民主主義のジレンマから脱する選択肢は3つある。

まず第1に、最も魅力に欠けるものの、可能性が高い選択肢は、さまざまなポピュリスト運動が失敗するのを待つことだ。

ドナルド・トランプ次期米大統領には、首尾一貫した統治は無理だろう。ブレグジットは英国経済に長期に及ぶダメージを与えるだろう。イタリアには、必要とされている痛みを伴う改革を実行できるような政権は誕生しないだろう。少なくとも、手っ取り早い解決策に魅了された人々の一部は目を覚ますだろう。

第2に、ポピュリスト勢力が主流派に近づくのを待つ。移民制限を掲げるフィンランドの保守政党「真のフィンランド人」がそうであったように、責任ある態度を身につけていく一方で、その先鋭さと人気を失っていく。

最後に、政治的主流派が改めて勢いを取り戻すことだ。理性に基づいた政治の必要性を説明し、かつ成果を上げることが出来る、新たなリーダーの登場だ。

最後の道が最も困難であり、忍耐力、失敗への寛容さ、そして説明と教育への意欲が必要となる。いくつもの国民投票では、大衆が「彼ら(既存の政治勢力)」に対して抱く拒絶感の強さが表れている。

成功を収めるためには、上記の3つのシナリオのすべてを活用することにより、過激な変革を今すぐ求めるような政治から脱却することだ。だが、これは容易な道ではない。私たちは、すでにその途上にあり、一気にそこから逃れることは不可能なのだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
http://jp.reuters.com/article/lloyd-democracy-idJPKBN14H0L7


 


独IFO研究所、イタリアのユーロ離脱リスクを指摘=新聞

[ベルリン 1日 ロイター] - 独IFO経済研究所のクレメンス・フュースト所長は、イタリア国民は生活水準が改善しない場合、ユーロ離脱を望むようになるとの見方を示した。

所長は独紙ターゲスシュピーゲルに対し「イタリアの生活水準は、2000年と同じレベルにある。これが変わらなければ、国民はいずれかの段階で『ユーロ圏はもはや要らない』と考えるだろう」と述べた。

さらに、欧州によるイタリア救済プログラムを独政府が承認した場合、「推測も制御も不可能な規模の」リスクを納税者に課すことになると指摘。議会に対し、これに合意しないよう提言した。
http://jp.reuters.com/article/eurozone-italy-germany-idJPKBN14O03Z
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/459.html

[経世済民117] 英ヘッジファンド、トランプ氏勝利で大損 米高配当銘柄、人気低下 アクティブF復活、好成績、過去10年で最高のアウトパフォ
英ヘッジファンド、トランプ氏勝利で大損
ホースマンの旗艦ヘッジファンドは米大統領選後の急激な株高で損失を被った(写真は16年12月にアイオワ州デモインを訪れたトランプ次期米大統領) ENLARGE
ホースマンの旗艦ヘッジファンドは米大統領選後の急激な株高で損失を被った(写真は16年12月にアイオワ州デモインを訪れたトランプ次期米大統領) PHOTO: STEVE POPE/GETTY IMAGES
By LAURENCE FLETCHER
2017 年 1 月 4 日 23:47 JST

 英ホースマン・キャピタル・マネジメントの旗艦ヘッジファンドは2016年の運用成績が世界の最低レベルだった。ドナルド・トランプ氏が米大統領選を制した後に多額の損失を被った。

 ホースマンの運用資産額は約20億ドル(2360億円)。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した投資家あての電子メールによると、17億ドル規模の主力ファンド「グローバル・ストラテジー」は年初から12月28日までのリターンがマイナス24%だった。

 損失の大半は最後の2カ月に生じた。11月のリターンはマイナス12.8%、12月はマイナス7.8%。WSJの計算では、この2カ月で合わせて3億3000万ドル以上が失われた格好だ。

 投資家向けの書簡によると、運用担当者のラッセル・クラーク氏は株式相場の下落に大きく賭けていたが、実際にはトランプ氏の勝利で株価が大幅に上昇した。

 米株安を期待したポジションが最も大きかったが、ユーロ圏や日本の株価下落を見込んだポジションもあったという。

 WSJが確認したデータに基づくと、昨年のグローバル・ストラテジーのリターンはヘッジファンドの中で最も低い部類に入る。調査会社HFRがまとめた16年初めから12月29日までのヘッジファンドの平均リターンはプラス2.5%。グローバル・ストラテジーは15年や世界的な金融危機時には上位の運用成績を記録していた。

 ホースマンはコメント要請に応じていない。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjg9NCA-KjRAhXJkZQKHR8RCjYQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582539000393227844&usg=AFQjCNF7-0reO-lX93DtV9PvOHa6SohYLw


 

トランプ氏勝利で大儲けしたヘッジファンド運用者たち | グローバルマクロ ...
www.globalmacroresearch.org/jp/archives/4727
2016/11/15 - しかしそのような相場でもトランプ氏の勝利に賭け、その結果大きな利益を得た投資家たちが居る。Fortune誌(原文英語)が伝えている。 アイカーン・エンタープライズ. 先ず一人目は「物言う投資家」カール・アイカーン氏である。ヘッジファンド ...
ヘッジファンド、トランプ氏勝利から吹く追い風に期待−チャート - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-27/OH7FQI6JTSEG01
2016/11/27 - ヘッジファンドには楽しいクリスマスになりそうだ。プレキンのファンドマネジャー調査では約53%が、米大統領選挙でのドナルド・トランプ氏勝利は2016年の残りの期間の成績にプラスになるだろうと回答した。選挙結果が何らかのマイナスに ...

 
米高配当銘柄の人気、16年下期に低下
利回りの上昇した国債と競合
By LAWRENCE C. STRAUSS
2017 年 1 月 4 日 18:32 JST
•金利上昇で高配当株式の人気が失速

 投資家は2016年上半期に高配当株式に夢中になったが、下半期にその熱は冷めた。S&P500種指数構成銘柄のうち、25年以上連続で増配している50銘柄で構成される「S&P配当貴族指数」は、この傾向を如実に示している。

 米金融データ会社ファクトセットによると、2016年上半期には上場投資信託(ETF)のプロシェアーズS&P500配当貴族ETF(NOBL)のリターンが11.25%と、S&P500指数の3.84%を上回ったが、12月30日までの下半期のリターンは0.23%と、S&P500指数の8.32%を下回った。通年のリターンも11.3%と、S&P500指数を1.2%ポイント下回った。

 高配当株式の最近の不振の大きな要因として、2016年下半期に金利が急上昇したことがある。10年物米国債の利回りは7月に1.366%で底を打ち、先週後半には2.455%と、多くの株式の配当利回りに近い水準に達した。

 11月8日の米大統領選以降、インフレ上昇期待を受けて国債が大幅に売られている。12月半ばには米連邦準備制度理事会(FRB)が過去12カ月で2度目となる利上げに踏み切り、短期金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げた。投資家はさらなる金利上昇を予想している。

 理論上、金利の上昇によって高配当株式との競合が発生する。先週後半のS&P500指数の配当利回りは2.08%だったが、ダウ工業株30種平均(NYダウ)は2.4%と、国債の利回りと同じ水準だった。

•配当貴族指数の構成企業は50社とも増配

 今年も配当貴族指数を構成する全社が増配した。苦戦したエネルギーセクターでさえ、エクソンモービル(XOM)が3%、シェブロン(CVX)が1%の増配を実施している。

 S&P500指数に含まれる公益銘柄に連動するユーティリティーズ・セレクト・セクターSPDR(XLU)のリターンは、上半期には23.2%だったが、下半期にはマイナス5%に落ち込んだ。

 S&P500指数構成企業による配当支払い額は2016年も過去最高を更新した。現金配当は4000億ドルに迫り、1株当たり配当は2015年の43.39ドルから45.70ドルに増加した。しかし、エネルギー企業や素材メーカーの配当の伸びが鈍化したことで、前年比の増加率は5.3%となり、5年続いた2桁成長に終止符が打たれた。

 金融危機に続く5年間は高い配当成長が見られたが、向こう数年間は減速していく可能性が高い。

S&P配当貴族指数に含まれる企業のうち、連続して最も長く年間配当を増やしてきた上位10社。コカコーラやエマーソン・エレクトリックなど8社は53年連続で増配を実施してきた ENLARGE
S&P配当貴族指数に含まれる企業のうち、連続して最も長く年間配当を増やしてきた上位10社。コカコーラやエマーソン・エレクトリックなど8社は53年連続で増配を実施してきた
•NYダウ構成企業は大半が増配

 NYダウ構成企業も大半が増配した。しかし、数少ない例外の一つが重機大手のキャタピラー(CAT)で、四半期配当を1株当たり77セントに据え置いた。株式が2016年に約43%のリターンを上げたことから投資家も文句を言えないが、同社の業績は世界的な景気停滞の圧力を受けている。

 大幅に配当を増やした例として、医療保険大手のユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が挙げられる。同社は四半期配当を25%増やして1株当たり62.5セントとした。株式の2016年のリターンは40%近くとなり、先週後半の配当利回りは1.6%だった。

 12月には航空機大手のボーイング(BA)も大幅増配を発表した。同社の四半期配当は1株当たり1.42ドルと、2015年の1.09ドルから30%増加する。2016年のリターンは約11%、直近の配当利回りは3.65%だった。

 通信機器大手のシスコシステムズ(CSCO)は24%の増配で、1株当たり配当を26セントとしている。同社の2016年のリターンは16%、直近の配当利回りは3.4%だった。

 第3四半期末の配当性向の平均は40.2%だった。ファクトセットによると、これは前年同期の水準を8.4%上回るが、さらなる上昇余地は十分にある。ファクトセットは配当性向がここから微減すると予想しており、「今後12カ月は利益成長が1株当たり配当の伸びを上回ると予想されることから、アナリストらは(S&P500指数の)配当性向が36.9%に低下すると予想している」とリポートで指摘している。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjpgpKj-KjRAhUCkJQKHT4-DyMQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10150392616080993801604582538472622052592&usg=AFQjCNEHiPTkRQf9cObdOSVNQIWivujVYg


 
アクティブファンドが復活、16年後半に好成績
バリューファンドを中心に、過去10年で最高のアウトパフォーム
By BEVERLY GOODMAN
2017 年 1 月 4 日 18:22 JST
•好成績のアクティブ型ファンドが増加

 今年はミューチュアルファンドの投資家にとって、一息つける年だった。投資家にとって困難が続いたここ数年と比較して、2016年のミューチュアルファンド業界に劇的な事件は起こらなかった。サード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンドの清算と、多数の偉大なバリュー志向ファンドの低迷は過去のものとなった。また2015年を通じて新聞などの見出しをにぎわせ続け、2016年に入ってもニュースを提供していたビル・グロース氏とピムコの法廷闘争も下火になった。

 2016年は業界の変動よりも、政界のニュースに驚かされることが多かった。しかし、市場に大きな影響を及ぼしたのはドナルド・トランプ氏の米大統領選での勝利だけだった。運用総額33億ドルの独立系投資顧問会社を経営するダン・ウィーナー氏は先週、「(バラク)オバマ大統領はロシアに制裁措置を取ったが、株式市場は動かなかった」と述べた。

 投資家にとって最大のニュースには、本誌以外ほとんど誰も気づかなかった。第3四半期にアクティブファンドが、過去10年ほどで最高のアウトパフォームを記録したのだ。このアウトパフォームは現在も継続している。2016年通年(12月28日まで)では、S&P500指数をアウトパフォームした大型株のアクティブファンドは33%にすぎない。しかし、7月1日以降の期間で比較すると44%となる。バリューファンドの成績は特に良好で、下半期には52%が市場全体をアウトパフォームしている。

•資金流入するファンドも

 2015年と比較すると大きな変化である。同年にはワイツ・パートナーズ・バリュー(WPVLX)やロングリーフ・パートナーズ・インターナショナル(LLINX)などの老舗のバリューファンドが特に痛手を受けた。両ファンドともにモーニングスターから格下げされ、本コラムで取り上げられた。

 この両ファンドは、ともにプラスのリターンを上げて2016年を終えた。ワイツは大型株のカテゴリーで依然として他のファンドを下回っているが、ロングリーフは外国株のカテゴリーで他の99%のファンドの成績を上回っている。

 本誌はまた、アグレッシブ戦略を取る別のバリューファンドの復活を予測することに成功した。そのファンドとは、2011年にキース・トラウナーとラリー・ピカウスキー両氏が創設したグッドヘイブン(GOODX)である。同ファンドは2年間素晴らしい成績を上げた後、大きく落ち込んだが、復活した。今年は20%のリターンを上げ、S&P500指数の12%を大きく上回った。

 本コラムで指摘したもう一つの驚きは、全てのアクティブファンドで資金流出が起こったわけではないということだ。アクティブかパッシブかという論争は、高コストか低コストかという議論に変更した方がいい。モーニングスターのデータによると、確かに昨年初めから11月末までにアクティブファンドから2850億ドルの資金が流出した。ただ、最も手数料の低いシェアクラス(販売経路による種類の違いのこと。同じファンドでもシェアクラスが違うと手数料体系が異なる)の上位20%には、260億ドルが流入している。このクラスの主な顧客は機関投資家や退職者基金だ。

 ミューチュアルファンド運用会社は2016年、ほとんどのポートフォリオにアクティブ戦略とパッシブ戦略の両方を適用する余地があると考えるに至った。モーニングスターのグローバル上場投資信託(ETF)リサーチ責任者、ベン・ジョンソン氏は「アクティブ運用について、フィデリティはあらゆる手法を実践している」と述べる。フィデリティは2〜3年前に債券ETFにアクティブ運用を導入し、2016年には自社バージョンのノン・トランスパレント・アクティブ型ETF(保有銘柄の開示頻度が通常のミューチュアルファンドと同程度のETF)の承認を証券取引委員会(SEC)に申請した。また、同社は自社初となる(アクティブ運用戦略に基づいて算出した指数を利用する)ストラテジック・ベータ型ファンドを立ち上げた。おそらく1年後の本コラムでは、2017年はミューチュアルファンドかETFかという論争が終わった年だったと回顧しているだろう。

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RL989_ONBY52_NS_20170103213718.png

(上段左から中段右まで)米株式ファンド、米地方債ファンド、米マネーマーケットファンド、米課税債ファンドにおける資金流出入の推移(単位:100万ドル)、(下段左から)月間の株式キャッシュフロー(単位:10億ドル)、米株式ファンドにおけるキャッシュポジションの割合(単位:%)
(上段左から中段右まで)米株式ファンド、米地方債ファンド、米マネーマーケットファンド、米課税債ファンドにおける資金流出入の推移(単位:100万ドル)、(下段左から)月間の株式キャッシュフロー(単位:10億ドル)、米株式ファンドにおけるキャッシュポジションの割合(単位:%)

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiAlc_g-KjRAhVHNpQKHU1YB-gQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10150392616080993801604582538431185663296&usg=AFQjCNHkd_j7PN6c0SDiODJiKiqxhiNjaw
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/460.html

[国際17] 米上院初日、オバマケア廃止へ第一歩 強気の日程表を提示、代替案は不透明 
米上院初日、オバマケア廃止へ第一歩
強気の日程表を提示、代替案は不透明
3日に招集された米国の第115連邦議会で下院議長に選出され、米国旗の前で宣誓式を行うポール・ライアン氏  
By SIOBHAN HUGHES AND KRISTINA PETERSON
2017 年 1 月 4 日 17:44 JST

 【ワシントン】3日招集された米連邦議会で上院は、2010年制定の医療保険改革法(オバマケア)の大半を無効化する強気の計画日程表を提示し、バラク・オバマ政権の看板政策である同法の廃止へ向けた一歩を踏み出した。

 共和党はかねて、大統領選で勝利した暁には議会の招集初日にオバマケア廃止を目指す取り組みを始めると宣言していた。保険料が一部で高騰しているほか、同法によって創出された保険市場に参加する保険会社の多くが新規契約を中止しており、同法は崩壊しているというのが共和党の主張だ。

 共和党は昨年の大統領選と上下両院選挙で勝利し、10年ぶりにホワイトハウスと議会の双方を掌握した。

 共和党上院トップのミッチ・マコネル院内総務(ケンタッキー州)は4日、予算決議案を巡る議論の口火を切ることで、オバマケアの廃止へ向けた最初の花火を打ち上げる予定だ。期待通りにこの決議案が可決されれば、単純過半数による法案可決でオバマケアの大半を無効にできる立法プロセスが動き出すことになる。共和党が異論の多いこの手法を使うのは、全100議席の上院で52議席を確保しているものの、フィリバスター(議事妨害)を阻止できる絶対安定多数の60議席には足りていないためだ。

 一方、オバマ大統領は同日、オバマケアの死守を目指し、上下院の民主党議員と戦略を話し合う予定だ。マイク・ペンス次期副大統領は共和党独自の計画を練るため、まずは下院の、続いて上院の党議員と別々に協議することになっている。

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ポール・ライアン下院議長は3日、対立候補を239対189票で破り、議長再選を果たした。共和党議員でライアン氏に投票しなかったのは1人のみで、ここにきて同党は結束力を示した格好だ(英語音声、英語字幕あり) Photo: AP
 オバマケア廃止へ向けた取り組みは保険市場に混乱を招き、数百万人の米国人の医療保険の失効につながる可能性がある。2018年の中間選挙でその反動が出る可能性もある。

 ただ、共和党議員がオバマケアに代わる法案を用意しないまま、同法廃止へ突き進むかどうかは定かではない。オバマケアはそれまで医療保険に入っていなかった1900万人の保険加入につながった。その大半は低所得者向けの保険制度「メディケイド」の拡充を通してだが、これにより米国民の保険未加入率は急激に低下した。オバマケアが廃止された場合、何がそれに取って代わるのかは不透明なままだ。

 上院の予算決議案は上下院の4つの関連委員会(各院2委員会ずつ)に対し、1月27日までの予算案起草を指示している。この予算案にオバマケアの大半を無効化する条項が盛り込まれることになっている。

 下院ではすでに89回にわたってオバマケアを廃止する法案が可決されてきた。だが、上院でことごとく阻止されてきた経緯がある。

 2015年には上院がオバマケアの大半を無効にする法案を可決し、翌16年までに下院も可決したものの、オバマ大統領が拒否権を発動した。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi30d3Q-ajRAhVCG5QKHQ31DScQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582538372638661552&usg=AFQjCNGajHGr6K9y8BfOf2lajrpOvnOklw
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/135.html

[経世済民117] 2017年1-3月期金融政策:FRB、3月にも追加利上げか 日銀、ECB、英中銀、人民銀、現状維持 中国、資産バブル防止
2017年1-3月期金融政策:FRB、3月にも追加利上げか
過去8年にわたって緩和のペダルを踏み続けてきた米連邦準備制度理事会(FRB)は、今年はブレーキへ足を伸ばすことが可能になるだろう
By DAVID HARRISON
2017 年 1 月 4 日 14:47 JST

 過去8年にわたって緩和のペダルを踏み続けてきた米連邦準備制度理事会(FRB)は、今年はブレーキへ足を伸ばすことが可能になるだろう。

17年の主要中銀、次期米大統領の影響見極めへ
 リセッション(景気後退)の収束以降、経済成長やインフレの低迷を背景に、FRBは景気活性化に向けて短期金利を超低水準に維持してきた。今年はむしろ景気の抑制を強いられる可能性がある。

 FRBは昨年12月、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、2017年の利上げ回数を従来の想定より1回多い3回と予想した際、米経済に対する楽観の強まりを明らかにした。経済指標が良好であれば、今年最初の利上げは3月にも行われる可能性がある。

 ドナルド・トランプ次期米政権が減税や歳出拡大に成功した場合、経済成長やインフレは加速する可能性が高い。加速の度が過ぎた場合、ジャネット・イエレンFRB議長は物価上昇圧力を抑えるため、予想されている利上げのペースを速めることもあり得る。

 トランプ氏の影響は別の形で表れる場合があり得る。FRB理事会には空席が2つ残っているが、これは共和党が多数を占める上院がオバマ大統領の指名候補の検討を拒否したためだ。トランプ氏の指名候補が承認されれば、FRBの政策協議を左右する可能性がある。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjSo-j3-ajRAhWDFZQKHV6vD88QFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582538243364930620&usg=AFQjCNEUD12hSZ1dGA3j7MWd5Zd_Nsb5MQ

2017年1-3月期金融政策:日銀、円相場にらみ現状維持へ
By DAVID HARRISON
2017 年 1 月 4 日 14:56 JST

 日本銀行は、ドナルド・トランプ次期米大統領が過度な円高や円安を招かないようであれば、1-3月期には金融政策を据え置く公算が大きい。

17年の主要中銀、次期米大統領の影響見極めへ
 日本のインフレ率はゼロを下回っているが、エコノミストの多くは日銀が1-3月期に2つの金利目標、すなわち当座預金金利のマイナス0.1%と、10年国債利回りのゼロ程度への誘導という政策を変更しないと予想している。

 エコノミストらは日銀内部の見解の変化に注目している。昨年12月の金融政策決定会合では、輸出と生産が持ち直しているとし、景気判断を小幅に上方修正した。次期米政権の政策に対する期待で円がドルに対し10%余り下落したことも、当局者らの見通し改善につながっている。

 エコノミストらは総じて、トランプ氏が投資家を大きく失望させ、円相場の急騰を招いた場合に限り、追加緩和策が打ち出されると予想している。1-3月期の金融政策決定会合は1月30日・31日と3月15日・16日に開催され、1月の会合後には「経済・物価情勢の展望」が公表される。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjujv7k-ajRAhUHkZQKHWQICPMQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582538261531811058&usg=AFQjCNE4MisT8as1Dl8y9ow0GUs5qhChkw


 

2017年1-3月期金融政策:ECB、現状維持の公算
By DAVID HARRISON
2017 年 1 月 4 日 14:50 JST

 昨年12月に債券買い入れの期限を延長した欧州中央銀行(ECB)は、時間というぜいたく品を手に入れた。

 ECBの政策当局は、量的緩和としても知られる資産買い入れプログラムの期限を2017年末まで9カ月間延長する一方、4月以降の月次買い入れ額を800億ユーロから600億ユーロ(約7兆3600億円)に減額すると決定した。

17年の主要中銀、次期米大統領の影響見極めへ
 2017年はユーロ圏加盟国で大きな選挙が続くが、当局者らはこの規模の刺激策によって十分に景気を支援できるとみている。

 ECBはその一方、債券買い入れの加速を含め、見通しが悪化した場合の追加刺激策にも慎重に含みを残している。ただ、経済が引き続き成長してインフレが上向けば、そうした動きに出ることはなさそうだ。ECBの刺激策が域内経済に副作用をもたらす可能性にも懸念が高まっている。

 欧州の銀行部門で一部に弱さも見られることを踏まえると、追加利下げの可能性はさらに低そうだ。銀行部門はECBのマイナス金利が収益を圧迫していると不満を漏らしている。超低金利に対する懸念はドイツで根強い。

 こうした背景から、ECBは1-3月期には行動を起こさないものと思われる。原油価格の上昇に伴い、インフレはECBが目標とする2%弱へ近づく公算が大きい。最初の試練となるのは3月半ばに行われるオランダの総選挙だろう。ポピュリスト政党の影響力が強まる可能性もある。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj704Xz-ajRAhVBl5QKHaEJBygQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582538251740175294&usg=AFQjCNH_-4lxopkbx-3bmilT7feo_TYoqw

 


2017年1-3月期金融政策:英中銀、引き続きブレグジットの影響見極めへ
By DAVID HARRISON
2017 年 1 月 4 日 14:53 JST

 英中銀イングランド銀行は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定の影響が続く中、2017年1-3月期は政策金利を据え置くとみられる。

17年の主要中銀、次期米大統領の影響見極めへ
 予想外のブレグジット決定を受け、マーク・カーニー総裁率いる英中銀は景気支援策の一環として、政策金利を過去最低の0.25%へ引き下げた。

 ただ、予想された景気減速は実際には起こらず、政策当局は11月までの時点で、追加利下げが選択肢にあるというガイダンスを捨てることを決定していた。16年末には、政策スタンスは中立的であるとし、次の動きが利上げとなる可能性は利下げの可能性とほぼ同じとの見方を示唆した。

 英中銀はこれからの1年、加速するインフレと、ブレグジットが経済にもたらす混乱とのバランス取りを強いられるだろう。英ポンドの急落により、インフレ率は英中銀が年間目標とする2%を年半ばまでに上回るとみられているが、今後数カ月は個人消費と企業投資の低迷が経済を圧迫する見込みだ。

 カーニー総裁は今のところ、政策引き締めで失業率を押し上げてしまうより、インフレが一時的かつ限定的に目標をオーバーシュートする方がいいとの見解を示唆している。だが、政策当局に容認できるオーバーシュートの幅や期間には限度があるとも警告している。

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2017年1-3月期金融政策:中国人民銀、当面は利上げ見送りか
By DAVID HARRISON
2017 年 1 月 4 日 14:59 JST

 中国人民銀行(中央銀行)は意のままに振る舞えるのであれば、1-3月期に利上げを選択するだろう。そうすれば悪化する同国の資産バブルは抑えられ、人民元相場は安定する可能性が高い。

 だが、選択権を握るのは人民銀行ではなく、中国指導部だ。

 従って、人民銀は指導部が掲げる経済成長目標の達成を支援するという、最も重要な責務に専念するだろう。エコノミストの多くは、2017年の成長目標を6.5%以上と予想している。

17年の主要中銀、次期米大統領の影響見極めへ
 中国経済はこのところ安定の兆しがみられるものの、依然精彩を欠いている。民間を中心とした企業の多くは、不確実な景気見通しや資金調達の難しさを理由に投資に消極的だ。金利が上昇すればそうした消極姿勢が強まる上、各社の債務削減も困難になる。企業債務の削減は指導部が2015年末に設定し、最近更新した目標だ。

 つまり、人民銀行は行動に出る兆候を示しながらも、1-3月期は金利を据え置く可能性が極めて高い。膨れ上がる不動産バブルに追い打ちをかけるように、ここ数カ月は消費者物価と生産者物価の上昇や資本流出、人民元の下落が加速している。

 それでも、人民銀は利上げに極めて近いことを行っている。ここ数週間は借り入れによる投機的な債券投資を締め出すため、短期金融市場の金利を高めに誘導している。10年物の国債利回りは10月の2.7%弱から3.2%超へ上昇している。

 人民銀行のアドバイザーを務める盛松成氏は、中国が「しかるべき時期に」政策金利の引き上げを検討することはあり得るが、「今ではない」との見解を示した。
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金融政策ウオッチ
17年の主要中銀、次期米大統領の影響見極めへ FRB、3月にも追加利上げか
2017年に各国中央銀行はトランプ次期米大統領という新たな不確実性要因に直面する

By DAVID HARRISON
2017 年 1 月 4 日 13:20 JST 更新

 すでに経済リスクでいっぱいの世界だが、2017年に各国中央銀行は新たな不確実性要因に直面する。ドナルド・トランプ次期米大統領だ。

 トランプ氏は選挙戦中にいくつもの経済政策を打ち出したが、具体化には何カ月もかかる可能性が高く、米経済や世界市場へ影響が及ぶにはさらに時間がかかるだろう。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の最新調査によると、世界各国の中銀の多くは米国などで事態がどう展開するかを見極めつつ、17年1-3月期は政策を現状のまま維持するとみられている。

 調査した23の中銀のうち、5行を除く全ての中銀は3月まで政策を据え置く公算が大きい。米連邦準備制度理事会(FRB)、メキシコ銀行、南アフリカ準備銀行の3行は1-3月期に利上げする可能性がある。トルコ中銀も利上げする公算が大きい。ブラジル中銀のみ、インフレが引き続き減速した場合に限って利下げするとみられている。

 トランプ氏が公約した減税と歳出拡大は、米国の経済成長やインフレを加速させ、他通貨に対するドルの価値を押し上げるとともに、FRBに現在の想定より速いペースでの利上げを促す可能性がある。同氏は輸入を制限することも明言しているため、メキシコやカナダなど米国と密接な貿易関係がある国の成長見通しは損なわれるだろう。トランプ氏は移民の制限や不法移民の強制送還も望んでおり、米経済の成長抑制につながる可能性もある。

 昨年11月8日の米大統領選以降、ドルは躍進している。これは米国以外で輸出やインフレを促す可能性があり、多くの先進国では歓迎される展開だ。だが、新興国の中銀は経済成長を促すための緩和政策と、物価上昇圧力や資本流出を食い止めるための引き締めを求める圧力との間で板挟みになる恐れがある。中銀の多くは事態が落ち着くまで傍観する構えのようだ。以下は各中銀の見通し。

FRB、3月にも追加利上げか

 過去8年にわたって緩和のペダルを踏み続けてきた米連邦準備制度理事会(FRB)は、今年はブレーキへ足を伸ばすことが可能になるだろう。

 リセッション(景気後退)の収束以降、経済成長やインフレの低迷を背景に、FRBは景気活性化に向けて短期金利を超低水準に維持してきた。今年はむしろ景気の抑制を強いられる可能性がある。

 FRBは昨年12月、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、2017年の利上げ回数を従来の想定より1回多い3回と予想した際、米経済に対する楽観の強まりを明らかにした。経済指標が良好であれば、今年最初の利上げは3月にも行われる可能性がある。

 ドナルド・トランプ次期米政権が減税や歳出拡大に成功した場合、経済成長やインフレは加速する可能性が高い。加速の度が過ぎた場合、ジャネット・イエレンFRB議長は物価上昇圧力を抑えるため、予想されている利上げのペースを速めることもあり得る。

 トランプ氏の影響は別の形で表れる場合があり得る。FRB理事会には空席が2つ残っているが、これは共和党が多数を占める上院がオバマ大統領の指名候補の検討を拒否したためだ。トランプ氏の指名候補が承認されれば、FRBの政策協議を左右する可能性がある。

ECB、1-3月期は現状維持の公算

 昨年12月に債券買い入れの期限を延長した欧州中央銀行(ECB)は、時間というぜいたく品を手に入れた。

 ECBの政策当局は、量的緩和としても知られる資産買い入れプログラムの期限を2017年末まで9カ月間延長する一方、4月以降の月次買い入れ額を800億ユーロから600億ユーロ(約7兆3600億円)に減額すると決定した。

 2017年はユーロ圏加盟国で大きな選挙が続くが、当局者らはこの規模の刺激策によって十分に景気を支援できるとみている。

 ECBはその一方、債券買い入れの加速を含め、見通しが悪化した場合の追加刺激策にも慎重に含みを残している。ただ、経済が引き続き成長してインフレが上向けば、そうした動きに出ることはなさそうだ。ECBの刺激策が域内経済に副作用をもたらす可能性にも懸念が高まっている。

 欧州の銀行部門で一部に弱さも見られることを踏まえると、追加利下げの可能性はさらに低そうだ。銀行部門はECBのマイナス金利が収益を圧迫していると不満を漏らしている。超低金利に対する懸念はドイツで根強い。

 こうした背景から、ECBは1-3月期には行動を起こさないものと思われる。原油価格の上昇に伴い、インフレはECBが目標とする2%弱へ近づく公算が大きい。最初の試練となるのは3月半ばに行われるオランダの総選挙だろう。ポピュリスト政党の影響力が強まる可能性もある。

英中銀、引き続きブレグジットの影響見極めへ

 英中銀イングランド銀行は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定の影響が続く中、2017年1-3月期は政策金利を据え置くとみられる。

 予想外のブレグジット決定を受け、マーク・カーニー総裁率いる英中銀は景気支援策の一環として、政策金利を過去最低の0.25%へ引き下げた。

 ただ、予想された景気減速は実際には起こらず、政策当局は11月までの時点で、追加利下げが選択肢にあるというガイダンスを捨てることを決定していた。16年末には、政策スタンスは中立的であるとし、次の動きが利上げとなる可能性は利下げの可能性とほぼ同じとの見方を示唆した。

 英中銀はこれからの1年、加速するインフレと、ブレグジットが経済にもたらす混乱とのバランス取りを強いられるだろう。英ポンドの急落により、インフレ率は英中銀が年間目標とする2%を年半ばまでに上回るとみられているが、今後数カ月は個人消費と企業投資の低迷が経済を圧迫する見込みだ。

 カーニー総裁は今のところ、政策引き締めで失業率を押し上げてしまうより、インフレが一時的かつ限定的に目標をオーバーシュートする方がいいとの見解を示唆している。だが、政策当局に容認できるオーバーシュートの幅や期間には限度があるとも警告している。

日銀、円相場にらみ現状維持へ

 日本銀行は、ドナルド・トランプ次期米大統領が過度な円高や円安を招かないようであれば、1-3月期には金融政策を据え置く公算が大きい。

 日本のインフレ率はゼロを下回っているが、エコノミストの多くは日銀が1-3月期に2つの金利目標、すなわち当座預金金利のマイナス0.1%と、10年国債利回りのゼロ程度への誘導という政策を変更しないと予想している。

 エコノミストらは日銀内部の見解の変化に注目している。昨年12月の金融政策決定会合では、輸出と生産が持ち直しているとし、景気判断を小幅に上方修正した。次期米政権の政策に対する期待で円がドルに対し10%余り下落したことも、当局者らの見通し改善につながっている。

 エコノミストらは総じて、トランプ氏が投資家を大きく失望させ、円相場の急騰を招いた場合に限り、追加緩和策が打ち出されると予想している。1-3月期の金融政策決定会合は1月30日・31日と3月15日・16日に開催され、1月の会合後には「経済・物価情勢の展望」が公表される。

中国人民銀、当面は利上げ見送りか

 中国人民銀行(中央銀行)は意のままに振る舞えるのであれば、1-3月期に利上げを選択するだろう。そうすれば悪化する同国の資産バブルは抑えられ、人民元相場は安定する可能性が高い。

 だが、選択権を握るのは人民銀行ではなく、中国指導部だ。

 従って、人民銀は指導部が掲げる経済成長目標の達成を支援するという、最も重要な責務に専念するだろう。エコノミストの多くは、2017年の成長目標を6.5%以上と予想している。

 中国経済はこのところ安定の兆しがみられるものの、依然精彩を欠いている。民間を中心とした企業の多くは、不確実な景気見通しや資金調達の難しさを理由に投資に消極的だ。金利が上昇すればそうした消極姿勢が強まる上、各社の債務削減も困難になる。企業債務の削減は指導部が2015年末に設定し、最近更新した目標だ。

 つまり、人民銀行は行動に出る兆候を示しながらも、1-3月期は金利を据え置く可能性が極めて高い。膨れ上がる不動産バブルに追い打ちをかけるように、ここ数カ月は消費者物価と生産者物価の上昇や資本流出、人民元の下落が加速している。

 それでも、人民銀は利上げに極めて近いことを行っている。ここ数週間は借り入れによる投機的な債券投資を締め出すため、短期金融市場の金利を高めに誘導している。10年物の国債利回りは10月の2.7%弱から3.2%超へ上昇している。

 人民銀行のアドバイザーを務める盛松成氏は、中国が「しかるべき時期に」政策金利の引き上げを検討することはあり得るが、「今ではない」との見解を示した。

インド中銀、不透明感強まり追加緩和見送りへ

 インド準備銀行(中央銀行)は予想外の荒波の中を進んでいる。政府が招いた現金不足で経済問題への対応力が一段と制約されたためだ。

 準備銀行は昨年12月、国内の不安定性や米国の利上げに伴う自国通貨安に直面し、積極的な金融緩和サイクルを中断した。これに続く2017年1-3月期も、新総裁のウルジット・パテル氏が金利を据え置く可能性が高まっているようだ。

 米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げは十分に織り込まれていたが、高額紙幣を廃止するというインド政府の突然の決定はそうではなかった。ナレンドラ・モディ首相は、汚職や脱税の根絶が目的だと説明したが、予想外の決定でインド経済は不安定化し、見通しは不透明になった。

 これが経済にどの程度混乱を招いたかはまだ不明だが、準備銀行はすでに4月までの1年間の経済成長見通しを従来の7.6%から7.1%へ引き下げている。

 エネルギーや商品(コモディティー)価格は世界的に上昇している。これはインフレ圧力につながり、追加利下げの余地は縮小する可能性が高い。一方、投資家はFRBが予想より速いペースで利上げし、通貨ルピーにさらなる下押し圧力を加えると予想している。

 インドは他のアジア諸国の中銀と同様、通貨安や投資家の安全逃避を助長する追加緩和は見送るとの見方が多い。準備銀行は最近、世界の不安定性を高めかねない要因として、ドルの急騰と原油・コモディティー価格の上昇に言及した。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiFrMqO-qjRAhUDn5QKHQx4BrgQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582538073139459802&usg=AFQjCNHPpBYqQ8PXERuKOotRLM-V--Bdbw


 

中国、資産バブル防止へ求められる微妙なバランス
中国人民銀行は短期融資を段階的に抑制している
By RACHEL ROSENTHAL
2017 年 1 月 4 日 14:38 JST

 中国当局の2017年の最優先課題は、無秩序に広がった金融システムにおける低金利の借り入れと信用拡大に歯止めをかけることだ。長年にわたる低利融資は経済成長を後押ししているが、同時に資産価格やその他の金融リスクの急上昇を招いている。

 新たなターゲットは9兆ドル規模の債券市場だ。中国人民銀行(中央銀行)は、多くの金融機関がリスクの高い投資を行うのに利用している借り入れを阻止するために短期融資を段階的に抑制している。この措置は、海外への資金流出を食い止めるために人民元相場を安定させるという中国の別の頭痛の種への対処にも役立っている。

 フランスの投資銀行ナティクシスの試算によると、16年1〜11月の中国からの資金流出額は8330億ドルに上ったもようだ。これは15年通年の7420億ドルを上回る。人民元の対米ドルレートは昨年1年間で6.5%下落し、08年以来の低水準で推移している。

当局が債券市場の沈静化に乗り出す中、中国の短期金利(7日物レポ金利)の変動幅は拡大している
https://si.wsj.net/public/resources/images/BF-AN105_YACHIN_16U_20161230163007.jpg

 問題なのは、銀行や保険会社、ブローカー、投機家が低利の借入金で、不動産や危ないインフラプロジェクト、社債、大豆ミール先物などに投資していることだ。何らかの引き締めが行われれば、負債を抱えた企業部門を脅かし、思いがけないところで混乱を引き起こす恐れがある。

 つまり、中国当局は今後数カ月、国内経済を健全な状態に保ちつつ、金融引き締めやリスクを伴う投資慣行の抑制、過度な元安の阻止に向けて慎重に物事を進める必要がある。

 調査会社クレジットサイツのクレジットアナリスト、マシュー・ファン氏は「難しい綱渡りだ」とし、「彼らは株式市場や債券市場、不動産市場と同様に資産バブルを防ぎたいと考えているが、過度な引き締めは禁物だ。流動性を供給し続けながら、自分たちが望まない場所にこの流動性が向かわないようにしなければならない」と指摘した。

 この課題は昨年12月半ばに浮き彫りになった。当時、規制当局が一部の保険会社の借入金による株式投資を取り締まったことを受けて、中国株は2.5%下落。1日の下落率としては半年ぶりの大きさとなった。

 その週、短期金利の抑制策が他の要因と相まって債券相場の急落を招き、ブローカーと資産運用会社が何社かデフォルト(債務不履行)に陥った。中国の10年物国債利回りは一時、3.4%に上昇し、15カ月ぶりの高水準を記録。中国当局は直ちに市場介入し、数千億元を投入した。

 アナリストらによると、中国にはこのペースで流動性を供給する余裕があるほか、人民元を守るために使える外貨準備が3兆0500億ドルある。

 ファン氏によれば、人民銀行の課題はバランスシートに現れており、昨年、流動性供給(これは元の価値を下げることが多い)に伴う資産価格の上昇が外貨準備の減少をほぼ補った。

 金融システムのレバレッジが高まり始めたのは15年だった。この年、人民銀行は経済成長を支えるために、短期借入金利を極めて低い水準にとどめた。多くの投資家は低利の借入金を使って債券などの金融商品を購入。その後、これらの証券を担保として、さらに規制の緩い分野に投資した。このサイクルが幾重にも繰り返されリスクの大きさが分かりにくくなった。

 BNPパリバのデータによると、16年夏までに銀行間借り入れの約90%を翌日物が占め、翌日物の1日の取引量は4兆元近くに達した。当局がレバレッジ解消の方法として借り手に返済期間を長めに設定するよう迫ると短期借入金利が急上昇し、12月下旬に翌日物の取引量は2兆7500億元に減少した。

 中国の通貨供給量は07年以降、4倍以上に膨らんでいる。昨年、世界各国の中央銀行の緩和的な金融政策によって世界中で利回りが過去最低を記録し、乏しくなった魅力的な投資先に資金が殺到した。

 例えば、14年1月に4.709%だった中国の10年物国債利回りは昨年10月、2.66%に低下し、14年ぶりの低水準となった。調査会社の上海万得信息技術(Wind資訊)が収集した07年以降のデータによると、格付けが「トリプルA」の中国の社債と、同じ年限の国債のスプレッド(利回り差)は昨年10月、過去最低となった。それ以降、スプレッドは拡大している。

 最近の債券市場の「けいれん」は、実体経済にも波及している。Wind資訊によれば、昨年12月に入ってから、89の発行体が起債を延期または中止した。こうしたケースは11月は32件だった。

 BNPパリバの中国市場戦略部門トップ、クン・シャン氏は「クレジット市場は凍り付きそうになっている。市場が機能しなければ経済成長が危うくなり、今年は成長目標を達成できないかもしれない」と述べた。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiS2dT--ajRAhXBFpQKHdalAOcQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582538230405270536&usg=AFQjCNFDeqhXPlYGIBtd5ASbEwQ-esWioQ


http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/464.html

[経世済民117] 2016年の銘柄選択、成功あるも金融で失敗  16年の株価予想総括:ガッツでは勝てなかった 調査と業績の裏付けの重要性を
2016年の銘柄選択、成功あるも金融で失敗
By BEN LEVISOHN
2017 年 1 月 4 日 13:21 JST 更新
? ブレグジットと米大統領選は大きな誤算

 2016年は全般的に予想の当たらない年だっただけに、筆者の銘柄選択の多くが成功したことは驚きだ。

 2016年は大きな予想がことごとく外れた。まず、米連邦準備制度理事会(FRB)が2015年末に示した2016年に4回の利上げという予想が外れた。FRBの2016年の4回の利上げ見通しは、9年ぶりに再開された実際の利上げ以上に、年初の株価を急落させるに十分な要因となった。米国の景気後退と石油企業の大量倒産という不吉な予言も広まった。これらの予想は危うく現実のものになるところだったが、FRBが利上げに対する意欲を後退させたことで、S&P500指数は2月に付けた底値の1829.08から5月31日には2096.96へ15%上昇した。

 しかし、その後にさらに大きな誤算が起こった。一つ目が英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票だ。世論調査ではEU残留派の勝利が明白とみられていたため、離脱の結果が出ると市場は大きな打撃を受けたが、S&P500指数は2日間下落した後、急速に上昇した。さらに、その後の米大統領選挙ではドナルド・トランプ氏が勝利した。大勢はヒラリー・クリントン氏の大勝を予想していたが、連邦捜査局(FBI)がクリントン氏の電子メール問題の調査を再開すると発表したことで風向きが変わった。トランプ氏勝利の場合は株価が下落すると予想されていたものの、実際には株価は上昇し、FRBの利上げの妨げにもならなかった。これらのニュースにもかかわらず、次期政権の減税や規制緩和に対する期待を追い風に2016年のS&P500指数は9.5%上昇の2238.83で年を終えた。

? 筆者の予想は多くが成功

 筆者の銘柄選択は多くが成功した。2月に中国企業による買収候補として取り上げた掘削装置メーカーのジョイ・グローバル(JOY)、エネルギー、化学、建設業界向け製品を製造するトリニティ・インダストリーズ(TRN)の株価は米国経済の回復期待から上昇した。本誌1月4日号で推奨したエネルギーセクターの買いも、前年に大きく下げていたという単純な理由だったが結果的には成功した。11月の石油輸出国機構(OPEC)の減産に関する最終合意は予想できるはずもなかったが、これによってエネルギーセクターの2016年の上昇率は24%となり、S&P500指数で最も上昇したセクターとなった。

 大きく失敗したのは、2016年の市場の最安値付近の2月29日号で行った銀行セクターに対する回避推奨だ。低金利や厳格な規制で銀行の利益が縮小し続けることは懸念していたものの、原油価格の下落で貸付金に巨額の損失が発生することや、欧州の銀行不安が米国まで波及するとは懸念していなかった。結果的には、筆者の銀行セクターに対する回避スタンスはエネルギーセクターに対する強気の予想と考え合わせると厄介な問題だった。エネルギーセクターの反発の要因である好調な経済と原油価格の安定、低いバリュエーションは金融セクターにとってもプラス材料だからだ。

 5月9日号で推奨した、通信機器のハリス(HRS)、プラント建設のジェイコブス・エンジニアリング・グループ(JEC)、複合企業のテキストロン(TXT)などのインフラ関連株は、既に2015年予算から恩恵を受けていたが、大統領選でトランプ氏とクリントン氏の両候補がインフラ投資を公約に掲げたことで引き続き恩恵を受けると予想した。公益株が2016年の高値を付けた2週間後となる7月25日号では、公益株の売りを推奨した。その後、S&P500指数が3.9%上昇する一方で、上場投資信託(ETF)であるユーティリティーズ・セレクト・セクターSPDR ETF(XLU)は6.3%下落した。

 また、経営陣の交代で株価が上昇していた資産運用会社のワデル・アンド・リード・ファイナンシャル(WDR)、英国の資産運用会社ヘンダーソン・グループ(HGG.英国)と合併するジャナス・キャピタル・グループ(JNS)、割高感の強いウォルマート・ストアーズ(WMT)は、筆者の回避推奨が成功した。一方、バイオ医薬品会社のリジェネロン・ファーマシューティカルズ(REGN)とギリアド・サイエンシズ(GILD)はS&P500指数をそれぞれ10%ポイントと14%ポイント、アンダーパフォームした。筆者が推奨した9銘柄は全体でS&P500指数を約3%ポイント、アウトパフォームした。予想を行う上では優れていることより幸運であることの方が重要な場合もあるという証拠だ。

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjNruaG-qjRAhWGlZQKHZETDIAQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582538032331132196&usg=AFQjCNFJsaJG3qBir3_7QLdPbrfSm5iHCw


 

16年の株価予想総括:ガッツでは勝てなかった
調査と業績の裏付けの重要性を再確認
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直感的な投資は素晴らしいが、トレンドに関する広範なリサーチと企業による業績の裏付けの方がはるかに価値は大きい PHOTO: PIXABAY
By
TIERNAN RAY
2017 年 1 月 4 日 17:26 JST
•クラウド・インフラ関連銘柄が大きく上昇
 半導体大手のエヌビディア(NVDA)とアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)に関して一段と慎重に報告していれば、本コラムが提示した2016年の銘柄予想はもっとうまくいっていたはずだ。両社の株価は2016年に、それぞれ226%と293%上昇している。2015年11月の記事「クラウドが変える半導体」で、両社は共にクラウドコンピューティング、中でも人工知能(AI)の新たなトレンドから恩恵を受ける位置にあると指摘したが、その後、本コラムで両社の強みを強調することはなかった。
 また、2016年に関する展望記事では、いわゆるFANG銘柄――フェイスブック(FB)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、ネットフリックス(NFLX)、アルファベット(GOOGL)――の好調が同年も続くと予想した。さらに6月にはグーグルとアマゾンを、かつてのパソコン(PC)市場の二大巨頭であるマイクロソフト(MSFT)とインテル(INTC)になぞらえて推奨し、7月にはアルファベット、アマゾン、フェイスブックが現代の「ニフティー3」であるとの見方を示した。しかし、実際には2016年のFANG銘柄の平均上昇率はわずか7.75%と、ナスダック総合指数の7.5%をわずかに上回る水準にとどまった。
 本コラムは2015年11月の記事で、2016年はクラウド企業自体ではなく、クラウド・インフラ関連企業の年になるとの見方を示した。この点から本コラムが推奨した銘柄を見ると、2016年はネットワーク機器大手のアリスタ・ネットワークス(ANET)が24%上昇したほか、光ファイバー製品メーカーのビアビ・ソリューションズ(VIAV)、ルメンタム・ホールディングス(LITE)、フィニサー(FNSR)が、それぞれ34%、76%、108%と大きく上昇した。
 本コラムが2015年11月の記事で推奨した後に弱気に転じたもので、予想が外れた銘柄には半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)がある。本コラムはDRAM市場の悪化を受けて同社株への確信を失い、株価が10ドル超で推移していた4月に、株価急落で一部の投資家を引き寄せる可能性があると指摘するにとどまったが、同社株は昨年12月30日の21.92ドルまで、2016年に55%上昇している。
 本コラムで弱気見通しを示した銘柄の結果はまちまちだった。2015年12月には、シスコシステムズ(CSCO)やヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)などの伝統的なハイテク企業にとって2016年が厳しい年になると指摘したが、こうした見方は過度に懐疑的だったようだ。両社では事業の悪化傾向が続いているが、投資家が事業リスクを度外視して有配大型株を求めたことで、2016年には、それぞれ11%、52%上昇した。
 一方、弱気予想が的中した銘柄もある。本コラムは1月、セールスフォース・ドットコム(CRM)やワークデイ(WDAY)などのクラウドソフトウエア企業では成長鈍化と割高なバリュエーションにより投資家離れが進むと予想したが、実際に両銘柄は2016年に、それぞれ12.7%と17%の大幅下落となった。
 ツイッター(TWTR)に関して、本コラムは3月、創業者であり最高経営責任者(CEO)であるジャック・ドーシー氏の下、同社が過去の栄光を取り戻すとの希望は失われたと指摘した。トランプ氏は選挙戦を通じて毎日のようにツイートを発信し続けたが、同社のユーザー数の伸びは回復しておらず、スナップチャットなどに広告収入を奪われているようだ。同社の株価は2016年に約30%下落した。
•アップル株に関する見通し
 最大のハイテク株であるアップル(AAPL)に関しても、本コラムの予想が紆余(うよ)曲折を経た点は認めざるを得ない。本コラムは6月、アップル株について「2016年のアナリスト業績予想の下限に基づく株価収益率(PER)は8.3倍と、過度に割安だ」と指摘した。しかしその後、同社株がiPhone(アイフォーン)の動向に捉われてしまっていることが明らかになったのを受けて、向こう数年にわたり同社株が上昇し続けるには、「さらに大掛かりで優れた何らかのビジョンが必要になる」と指摘した。最終的に同社の株価は市場全体並みの10%高で2016年を終えており、本コラム同様、投資家も同社に曖昧な姿勢を取っていることがうかがわれる。
 2016年の大きなトレンドであった「バーチャル・リアリティ(仮想現実、VR)」に関して、本コラムは当初からはっきりと懐疑的な見方をとっており、2月には「VRはいずれ成功を収めるかもしれないが、大きな期待は大きな失望に変わろうとしている」と述べた。VRは適切な開発が行われる前の段階で製品化されており、2016年の実績も本誌が4月に示した予想通りさえないものだったようだ。リサーチ会社カナリスのリポートによれば、フェイスブック、台湾の宏達国際電子(2498.台湾)、ソニー(6758)の大手3社によるVRヘッドセットの販売台数は200万台にとどまる見通しだ。販売台数が最も多いと見られるソニーの株価は2016年に14%近くの上昇と、まずまずのパフォーマンスを上げているが、VRが爆発的な成功を収めた場合に期待されるリターンには到底及ばない。
 結論を述べると、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイスの例が示すように、優れたリポートに取って代わるものはない。直感的な投資は素晴らしいものではあるが、ハイテク業界のトレンドに関する広範なリサーチと企業による業績の裏付けの方がはるかに価値は大きい。

先週のナスダック総合株価指数の推移
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RL994_ONBY52_NS_20170103214638.png

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjDo6Ha-ajRAhXMF5QKHfI5B_0QFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10150392616080993801604582538340666507400&usg=AFQjCNHNAwSIzeV7F2aqU48PfeJKJEj62g


http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/466.html

[経世済民117] ドル・円が大幅下落、米雇用統計前にドル高調整−116円割れ ビットコイン急騰、過去最高値を更新 オフS人民元が記録的上昇
ドル・円が大幅下落、米雇用統計前にドル高調整−116円割れ
小宮弘子
2017年1月5日 10:11 JST 更新日時 2017年1月5日 16:19 JST

ドルは主要通貨に対して全面安
注目は米新政権の政策運営も不透明−三菱モルガン

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ionaEPjwpF1w/v2/-1x-1.png

5日の東京外国為替市場ではドル・円相場が大幅下落し、3週間ぶりに1ドル=116円台を割った。米大統領選以降の米金利上昇・ドル高の流れに一巡感が広がる中、米雇用統計の発表を翌日に控えドルの買い持ちを解消する動きが加速した。
  午後3時57分現在のドル・円は前日比1.2%安の1ドル=115円83銭。朝方に117円台を割り込むと公表仲値が設定される午前10時前には116円台半ばまでドル安・円高が進行。その後116円台後半まで値を戻す場面も見られたが、米長期金利の低下を背景に午後には一段安となり、一時115円58銭と米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げに踏み切った昨年12月14日以来の安値を付けた。
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「米大統領選の後、他通貨も含めてドル高一直線といったムードになっていたので、さすがに年が改まりスピード調整が入っている感じ」と説明。「みんなが注目しているのは、米新政権の経済政策運営とその前後の経済状況だが、非常に不透明」だとし、取りあえずは6日の米雇用統計、11日のトランプ氏の記者会見、20日の大統領就任辺りで「今月の月足が決まる感じではないか」と語った。

  ブルームバーグ・データによると、ドルは主要16通貨に対して全面安となっており、ユーロ・ドルは1ユーロ=1.04ドル台後半から一時1.0575ドルと昨年12月30日以来の水準までユーロ高・ドル安が進行。豪ドルは対ドルで同12月16日以来となる1豪ドル=0.73ドル台前半まで上昇した。
  主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグのドルスポット指数は0.7%低下と昨年9月6日以来の大幅安。米10年債利回りはアジア時間5日の時間外取引で約1カ月ぶりの水準となる2.40%前後まで低下した。
  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)マーケッツ本部外国為替・コモディティー営業部長の吉利重毅氏は、前日発表されたFOMC議事録で「ドル高への懸念もあったほか、思ったよりタカ派的ではなかったことから、米雇用統計を前にしたドルロングの調整が出ているのではないか」とドルの下落を説明。みずほ銀行アジア・エマージングチームの深谷公勝調査役は、旧正月を控えた資金需要と人民元安に対する当局の姿勢への警戒から、ドル安・オフショア人民元高が進んでいることを受け、アジア通貨や円、ユーロに対しても「ドル安を促しているもよう」と話した。
イエレンFRB議長
イエレンFRB議長 Photographer: Pete Marovich/Bloomberg
  米連邦準備制度理事会(FRB)が4日公表したFOMC(12月13−14日開催)議事録によると、金融政策当局者らは同会合で今後見込まれる財政刺激策が与える影響を中心に議論。インフレ高進を防ぐためにいずれは利上げペースを速めざるを得なくなる可能性があると、多くの当局者が懸念し始めていることが示された。一方で、ドル高に伴う下振れリスクが財政刺激策による成長上振れリスクを相殺する可能性について、一部のメンバーが懸念を表明した。
  ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、6日発表の12月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は前月から18万人増加し、失業率は4.7%と前月から0.1ポイント上昇すると予想されている。5日発表の12月の米ADP民間部門雇用者数は前月比17万5000人増(11月は21万6000人増)の見通し。米供給管理協会(ISM)非製造業景況指数は56.8と11月の57.2を下回ると見込まれている。
  三菱東京UFJ銀行金融市場部為替グループの野本尚宏調査役は、ドル・円について、「115円前半までするすると下落してしまうリスクもある」と指摘。その上で、基本的には米雇用統計が無難な結果となれば、今月20日のトランプ大統領就任に向けて「ドル買いが再開していく」と予想した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJA7L46TTDTI01


 
中国の資本流出対策が奏功、オフショア人民元が記録的な上昇
Bloomberg News
2017年1月5日 13:37 JST 更新日時 2017年1月5日 17:40 JST

香港市場での人民元、2日間としては記録的な上昇の勢い
香港で翌日物預金金利が80%に急上昇

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iituIlGYQxuE/v2/-1x-1.png

中国本土からの資本流出に歯止めをかけようとする当局の取り組みが奏功しつつある。本土外で不足しつつある人民元をトレーダーらが買い進めたことから、オフショア市場で人民元が記録的な大幅上昇となった。
  
  5日の香港市場で、人民元は現地時間午後2時53分(日本時間同3時53分)現在、前日比1%高。この2日間の上昇率は2.3%に達し、2010年からのデータでは2営業日として最大の上げを記録した。
  香港の翌日物預金金利は過去最高の80%に上昇。ブルームバーグ・ニュースは先に、中国当局が国有企業に外貨売りを促していると報じていた。

  ソシエテ・ジェネラルは、この報道が人民元を支える中国の決意を裏付けたことから、投資家がドルに対する強気なポジションを減らしていると指摘した。
  オフショア人民元は香港時間午後1時5分前後に突然、前日からの下げを消した。上海市場の人民元は0.8%高。オフショア人民元のオンショア相場に対するプレミアムは1.2%に拡大した。
原題:Bears Scramble for Yuan as China Chokes Flows, Aids Currency (3)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJAH586S972N01


 

仮想通貨ビットコイン、最高値更新−資本・通貨規制で魅力増す
Olga Kharif
2017年1月5日 10:01 JST

ビットコイン価格は1140.64ドルに到達、13年の高値上回る
中国やインド、ベネズエラの通貨・資本規制が後押し 

仮想通貨ビットコインが4日、過去最高値を更新した。ブルームバーグのデータが示した。厳しい通貨規制を講じている中国などの国でビットコインの利用が広がっていることが背景だ。
  登場して8年のビットコインは、2013年11月に付けた1137ドルを上回り、1140.64ドルに達した。時価総額は昨年12月に記録を更新、現在は161億ドル(約1兆8800億円)超。

  最近の値上がり要因は、国民が貯蓄を守るためにビットコインを購入している中国やインド、ベネズエラといった国の資本・通貨規制と、投資家による利用拡大だ。ビットコインは昨年、他通貨や株価指数、商品よりも高い投資リターンだった。
  ウェドブッシュのアナリスト、ギル・ルリア氏は「13年にビットコインの価格急騰を招いた利用急増とは異なり、現在の値上がりは資本や通貨を規制する中国などの国を中心にここ3年で利用が徐々に進んでいるためだ」と電子メールでコメントした。
  中国政府は国民が自国通貨を海外に持ち出して使うことを一段と難しくしているため、同国では政府や中央銀行の規制対象でないビットコインの魅力が増している。インドやベネズエラは賄賂や密輸品購入を抑制するため、流通する高額紙幣を廃止したり回収したりしている。
原題:Bitcoin Hits All-Time High as Currency Controls Drive Fear (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJA5R66K50YA01

 


ビットコイン---急騰、過去最高値を更新し15万円の大台を一時突破[FISCO]

配信日時 2017年1月5日(木)14:55:10 掲載日時 2017年1月5日(木)15:05:10
新年早々、ビットコイン相場が急騰している。フィスコ傘下のフィスコ仮想通貨取引所でのBTC/JPY相場は、昨年末2016年12月31日につけた終値114,765円から、2017年1月5日14時49分現在、昨年末比31%高(35,235円高)となる150,000円を突破した。同取引所がオープンした2016年8月29日の安値(58,100円)と比較すると約2.6倍の水準で、2013年11月につけた127,800円(出所:Bitcoin日本語情報サイト)を突破してからは連日で過去最高値を更新している状況。ビットコイン高騰の原因はいくつか伝わっているが、多いものは中国やインド、ベネズエラなど新興国での資本・通貨規制のほか、投機需要の拡大などが挙げられている。2016年11月の米大統領選でトランプ氏が次期大統領に決定してから以降も、外部環境の不透明感が増すなかでじりじりと値を上げつつけてきた。国内ではビットコインを始めとする仮想通貨の法整備が進んでいくなか、投資家人口の拡大が期待されることも、今後の下支え材料となるだろう。

<FA>


NEW! ポンド買い、12月の英非製造業PMIが上振れる=ロンドン為替(18:44)
NEW! 英国経済指標【CIPS非製造業PMI】(18:40)
ドル円116円台後半に戻す、米債利回りの低下一服で=ロンドン為替(18:36)
まもなく12月の英非製造業PMIの発表(18:23)
日銀 本日は従来型のETFを購入せず(18:22)
日本銀行 4日の外為市場出来高 (18:20)
ドル買い方向への動き、特にポンドドル下落が目立つ=ロンドン為替(18:16)
5日の香港市場概況:ハンセン1.5%高と反発、資源セクター急伸[FISCO](18:10)
通貨オプション ボラティリティー 円関連の水準が上昇(17:51)
ドル相場が反発、ドル円116.20台=ロンドン為替(17:42)
スイスCPIは前年比横ばいに、マイナスが途切れる=ロンドン為替(17:37)
欧米為替見通し:ドル・円は下げ渋りか、ドル押し目買い意欲根強い[FISCO](17:35)
豪ドル円は1豪ドル84円66銭前後で推移=ロンドン為替(17:30)
英ポンド円は1ポンド142円65銭前後で推移=ロンドン為替(17:29)
ユーロ円は1ユーロ122円32銭前後で推移=ロンドン為替(17:27)
ユーロドルは1ユーロ1.0555ドル前後で推移=ロンドン為替(17:26)
ドル円は1ドル115円92銭前後で推移=ロンドン為替(17:25)
スイス経済指標【消費者物価指数】(17:25)
香港株 ハンセン指数は1.46%高の22456.69で取引終了(17:20)
5日の中国本土市場概況:上海総合0.2%高と4日続伸、資源・素材セクターに買い[FISCO](17:17)
欧州株 英FT指数は0.1%安、独DAX指数は0.4%安で取引開始(17:13)
米株価指数先物 時間外取引 小反落、ダウは21ドル安(17:01)
新興市場銘柄に資金シフトの動き強まる[FISCO](16:58)
ロンドン早朝、ドル円は115円台後半で推移=ロンドン為替(16:53)
マザーズ指数は3日続伸、SOSEIがけん引、テーマ株でストップ高相次ぐ[FISCO](16:51)
東証業種別ランキング:情報通信が上昇率トップ、ソフトバンクGなど終日堅調[FISCO](16:51)
アジア・コモディティ騰落率ランキング=01/05営業日時点=(16:50)
日立製、トヨタ、ゼンリンなど[FISCO](16:28)
NY金 時間外取引 1179ドル近辺に上昇、ドル安で(16:27)
NY原油 時間外取引 53ドル台、前日終値付近に高止まり(16:26)
東京為替:ドル・円は115円台、欧州勢は売り先行[FISCO](16:23)
中国株 上海総合指数は0.21%高の3165.41で取引終了(16:13)
1ドル120円遠のき、一先ず利益を確定させてくる動き【クロージング】[FISCO](16:10)
東京株式(大引け)=73円安、円高受け利益確定売り優勢も下げ幅限定的(16:05)
米10年債利回りは一時2.40%を下回る=ロンドン為替(15:56)
【これからの見通し】トランプ相場の再開はおあずけ、あすの米雇用統計控えて(15:55)
ドル売り優勢、ドル円は一時116円割れを試す=東京為替概況(15:55)
ドル安進行、ドル円は116円割り込む=ロンドン為替(15:51)
日経平均は反落、円高進行で利益確定売り優勢[FISCO](15:44)
テクニカルポイント ポンド円、142円近辺のサポートに注目(15:40)
東京為替:ドル・円はいったん値を戻す、日本株が下げ止まり[FISCO](15:35)
これからの予定【発言・イベント】(15:28)
これからの予定【経済指標】(15:25)
Eワラント:売れ筋・値上がりランキング(大引け)[FISCO](15:18)
ETF売買動向=5日大引け、全銘柄の合計売買代金2283億円(15:15)
日経平均大引け:前日比73.47円安の19520.69円[FISCO](15:12)
日経平均5日大引け=反落、73円安の1万9520円(15:11)
ビットコイン---急騰、過去最高値を更新し15万円の大台を一時突破[FISCO](15:05)
東京為替:ユーロ・ドルは堅調、買戻し継続[FISCO](15:01)
14時5分時点の日経平均は前日比90.08円安、Fリテイ、トヨタ自が弱い[FISCO](14:20)
【海外市場の注目ポイント】12月の米ADP雇用統計など(14:20)
東京為替:豪ドル・円は下げ渋り、中国経済指標は上振れ[FISCO](14:14)
14時の日経平均は99円安の1万9495円、ファストリが25.32円押し下げ(14:11)
<速報>日経平均下げ幅一時100円超[FISCO](14:07)
http://klug-fx.jp/fxnews/


 


きょうの国内市況(1月5日):株式、債券、為替市場
Bloomberg News
2017年1月5日 16:29 JST

国内市況の指標はここをクリックしてご覧下さい。過去の国内市況の記事はこちらです。
●TOPIXが小幅に3日続伸、内外景気の改善期待−出遅れ内需に買い
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
5日の東京株式相場は、TOPIXが小幅に3営業日続伸。国内外景気の先行き期待が強い中、前日大発会の急伸相場で出遅れた情報・通信や医薬品、サービスなど内需株が高い。半面、為替の円高推移などが重しとなり、鉄鋼など素材株や鉱業株が安く、機械など輸出株も軟調。
  TOPIXの終値は前日比1.20ポイント(0.1%)高の1555.68。一方、日経平均株価は73円47銭(0.4%)安の1万9520円69銭と反落した。
  しんきんアセットマネジメント投信の鈴木和仁シニアストラテジストは、「米雇用統計やトランプ次期米大統領の会見など重要イベント前に、強気の買い方もいったん様子見」と指摘。為替が直近の円安水準から2円以上円高方向に振れた割には底堅く、トランプ氏がインフラ投資や減税をめぐり市場の期待を下回る発言をするとも考えにくいため、「日本株の先高観測を弱めることはない」との見方も示した。
  東証1部33業種は情報・通信や空運、サービス、医薬品、保険、海運、小売、銀行など13業種が上昇。サービスや医薬品は、全業種が上げた4日の大発会で上昇率下位だった。鉱業や金属製品、鉄鋼、非鉄金属、ガラス・土石製品、ゴム製品、機械など20業種は下落。東証1部の売買高は20億4638万株、売買代金は2兆4360億円。上昇銘柄数は979、下落は863。
  売買代金上位ではソフトバンクグループや東芝、三菱自動車、富士通、ディー・エヌ・エーが高く、モルガン・スタンレーMUFG証券が投資判断を上げた第一生命ホールディングスも堅調。半面、任天堂やソニー、信越化学工業、SUMCO、マツダ、日東電工は安い。
  
●債券上昇、10年入札順調受け買い安心−超長期売り継続でスティープ化
(記事全文はこちらをクリックしてご覧下さい)
  債券相場は上昇。今年最初の10年利付国債入札では、投資家需要を背景に順調な結果となったことから買い安心感が広がった。一方、超長期ゾーンは来週の30年債入札に向けた売りなどで軟調となり、利回り曲線はスティープ(傾斜)化した。
  長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比3銭安の150円01銭で開始し、150円00銭まで下落。直後から水準を切り上げ、150円20銭まで上昇。結局は12銭高の150円16銭で引けた。
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、10年債入札について「新味は久しぶりにプラス圏に戻った前回ほどではなかったが、円債の需給と米金利動向という環境面では買いやすかった」と述べた。「今月は日銀のオペが入札と決定会合がある日以外は毎日ある見通しで、需給面の不安は後退。日銀が普通に買っていけば金利は下がる方向だ」と話した。
  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高い0.065%で開始し、その後は0.055%に下げている。
  超長期債は軟調。新発20年物の159回債利回りは1.5bp高い0.61%、新発30年物の53回債利回りは一時2bp高い0.76%と、ともに昨年12月半ばの水準まで売られた。
  財務省が実施した10年債入札結果によると、最低落札価格は100円40銭と、予想を1銭上回った。小さければ好調を示すテール(最低と平均落札価格の差)は3銭と前回8銭から縮小。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.59倍と前回3.78倍から低下した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJAJVW6S972G01

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/482.html

[経世済民117] 日本が直視すべき「3つの優先課題」 日銀MB437.4兆過去最高 FOMC予想より急ピッチの利上か 中国偽造債券問題懸念
視点:
日本が直視すべき「3つの優先課題」

モハメド・エラリアンアリアンツ 首席経済アドバイザー
[東京 5日] - 日本には、成長志向の構造改革遂行、中国との緊密な協力関係構築、技術革新促進という直視すべき3つの優先課題があると、独アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏は指摘する。

同氏の見解は以下の通り。

<成長志向の構造改革>

日本は、第3の矢である成長志向の構造改革で、他の2本の矢(大胆な金融政策と機動的な財政政策)と同じように前進すべきだ。それは、日本が断固たる姿勢で成長率の低位均衡の罠(わな)から脱するために、またデフレリスクにまつわるエピソードが断続的に取り沙汰される可能性を最小限にとどめるためにも必要なことだ。

<日中協力関係の緊密化>

第2に、中国とのより緊密な協力関係を構築していくために、日本はアジアにおける新たな経済・金融の地域化(Regionalization)にあたって、主導的な立ち位置を見つけなければならない。そこには、アジアインフラ投資銀行(AIIB)などとの関係も含まれる。

<有益な破壊をもたらす技術革新促進>

第3に、日本は、起業家的な敏しょう性(Agility)を高めると同時に、国内において技術革新と有益な破壊を促進するようなアプローチをもっと大胆に取るべきだ。

*モハメド・エラリアン氏は、独保険大手アリアンツの首席経済アドバイザー。米資産運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)の元最高経営責任者(CEO)兼共同最高投資責任者(CIO)。2014年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2017年の視点」に掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)
http://jp.reuters.com/article/view-mohamed-el-erian-idJPKBN14I1QA


 

12月末マネタリーベースは437.4兆円、過去最高を更新=日銀

[東京 5日 ロイター] - 日銀が5日発表した市中の現金と金融機関の手元資金を示す日銀当座預金残高の合計であるマネタリーベース(資金供給量)12月末の残高は437兆4314億円となり、13カ月連続で過去最高を更新した。

12月中のマネタリーベースの平均残高は前年比23.1%増の426兆3922億円。マネタリーベースの構成要因ごとの月中平均残高は、金融機関の手元資金を示す当座預金が前年比30.8%増の321兆8408億円、紙幣は同4.5%増の99兆8207億円、貨幣は同1.1%増の4兆7307億円だった。

日銀は、昨年9月の金融政策決定会合で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和(QQE)」を導入し、政策の軸足をそれまでの「量」から「金利」に転換した。

一方、インフレ期待を強めることを狙いに「物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する」との新たなコミットメントを打ち出している。
http://jp.reuters.com/article/monetary-base-idJPKBN14P015


 


FOMC議事録:現在の予想より急ピッチの利上げ迫られる可能性
Craig Torres、Christopher Condon
2017年1月5日 13:01 JST

物価を安定的に保つ失業率を「大幅に割り込む」労働市場改善あれば
トランプ氏の政策、内容不明でも急成長シナリオに影響

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iDHS6hLSfOz8/v2/-1x-1.png

米連邦準備制度の当局者は何年間も話題にしてこなかった課題に直面するかもしれない。それは米景気の拡大ペースが予想を上回り、一段と急ピッチでの利上げを強いられる可能性だ。
  4日に公表された昨年12月13、14両日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、物価を中長期的に安定的に保つ失業率水準を「大幅に割り込む」ような労働市場の改善に、当局者が備えようとしている実態が示された。実際にそうなれば、インフレ抑制のため「現在予想しているよりも速いペースでフェデラルファンド(FF)金利を引き上げる」よう、当局者は迫られるかもしれないという。
  議事録で名指しされることはなかったものの、FOMC参加者が想定する急成長シナリオに大きな影響を及ぼしているのはトランプ次期米大統領自身であり、それに加えて同氏が掲げる税制改革案および財政面の景気刺激策だ。議事録によれば、「今後数年間に一段と拡張的な財政政策が講じられると見込まれる結果、各自の経済成長予測への上振れリスクが高まった」との考えを参加者のほぼ全員が示唆した。

  それでも、次の利上げ時期がいつになるかについて、直接的な手掛かりはほとんど示されていない。12月のFOMCでは1年ぶりの利上げを決めるとともに、2017年中に予想する利上げ回数を3回と従来の2回から引き上げて、インフレ抑制のためにこれまでよりも速いペースの利上げに転換する可能性を示唆した。
詳細不明
  MFSインベストメント・マネジメントのチーフエコノミスト、エリック・ワイズマン氏(ボストン在勤)は「トランプ次期政権が講じるであろう財政面の刺激策が、成長とインフレに割合早期にプラスの影響を及ぼすとの確信が若干強まった」と指摘。「現時点では詳細が全く分からないため、これは意外だ」と語った。
  労働市場に残されたスラック(たるみ)の解消が進むの伴い、当局者はインフレ動向を評価する必要がある。 当局者は、労働市場の需給均衡を中長期的に保つ完全雇用状態の失業率を4.8%と推計。FOMC参加者が12月に示した最新経済予測の中央値によると、17年には実質国内総生産(GDP)の伸び率が2.1%と見込まれる中で、失業率は10−12月(第4四半期)に4.5%に改善するとされる。11月の失業率は4.6%だった。
  ソシエテ・ジェネラルの米国担当シニアエコノミスト、オメイア・シャリフ氏(ニューヨーク在勤)は「労働市場の需給逼迫(ひっぱく)が平均時給の上昇につながるなら、米金融当局が金利の道筋をどう見るかに一層大きな影響を及ぼすことになる」とコメント。「17年にはこちらの方が、財政政策策がどうなって成長とインフレに最終的にどのように影響するかよりも、最優先に考慮される対象となるだろう」との考えを示した。
オーバーシュート歓迎
  インフレの多少のオーバーシュートは当局にとって歓迎すべきものだろう。FOMCがインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は11月が前年同月比1.4%上昇にとどまり、上昇率は4年7カ月連続で当局目標の2%を下回った。
  議事録はこの点に関し、「インフレ率がFOMCの目標とする2%を引き続き割り込んでいる中でインフレの下振れリスクは残っており、中長期的に正常とされる失業率をやや下回るようになればインフレ率を2%に回帰させるのに役立つかもしれない」と記している。
  BNPパリバの米国担当シニアエコノミスト、ローラ・ロスナー氏(ニューヨーク在勤)は「当局者は賃金とインフレの動向を見守ることになるだろう」と話した。
  議事録が発したもう一つの主要なメッセージは、当局者が極めて不確実な世界に直面している事実だ。トランプ次期政権が掲げる財政政策が法律として成立する時期や、経済がそれにどう反応するか、刺激策の規模などはいずれも当局者には分からない。またドル高が進行すればインフレを抑制するとともに、輸出の伸び悩みによって成長にブレーキをかける恐れがある。
  議事録は「こうした政策をめぐる不確実性の高まりによって、FF金利の想定される道筋について一般の人々に伝えるのが一層難しくなると、FOMC参加者の多くが強調した」としている。
  BNPのロスナー氏は3月の追加利上げの公算は小さいとみる。トランプ次期大統領がどのような政策を推進し、議会が何を支持するかほとんど分からず、当局が漸進的な政策運営のアプローチを放棄する理由がないためだ。同氏は「ここで急ぐことはない」とし、「当局者は不確実性が一部解消されるのを待たねばならないだろう」と論じた。
原題:Fed Officials Grapple With a Welcome New Problem: Faster Growth(抜粋)


 

 
コラム:中国の偽造債券問題、レバレッジ懸念が再浮上

 1月4日、中国の偽造債券問題は、債券相場の上昇を支えてきたレバレッジに対する市場の懸念を呼び起こしている。写真は人民元紙幣。北京で2011年3月撮影(2017年 ロイター/David Gray)

Rachel Morarjee

[北京 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の債券投資家を3つの問題が悩ませている。米連邦準備理事会(FRB)の利上げと、短期融資の減少による債券市場の流動性低下、そして証券会社での偽造債券取引問題だ。中でも、偽造債券問題は、債券相場の上昇を支えてきたレバレッジに対する市場の懸念を呼び起こしている。

中国では、信用取引が2015年の株式市場の上昇を後押しし、そのレバレッジの解消が、株価急落を加速させた。7兆ドル規模に上る中国の債券市場はいま、シャドーバンキング(影の銀行)が焚き付けた同じ問題に直面しており、おそらく、問題としてはこちらのほうが大きいだろう。

問題の一端が浮かび上がったのは、中堅の国海証券(000750.SZ)が、昨年12月、契約は元従業員により偽造されたものであり、その契約に基づいて20社を超えるカウンターバーティから債券を買い戻すつもりはない、と表明した際だ。この一言は市場を混乱に陥れ、債券市場の売りを加速させる結果を招いてしまった。

この偽造された契約とはどういったものだったのか。一言で言えば、いわゆる「レポ取引」のようなものだ。直接契約を結ぶ店頭(OTC)取引が可能で、担保はないことが多く、場合によっては口頭での契約の場合もある。そして、どれだけ同様の契約が存在し、全体でどれだけのレバレッジがかかっているのかは、誰にも分からない。上昇局面では、トレーダーの利益拡大に利用できるためうまみがあり、短期的に債券を現金で置き換えることで、バランスシートの粉飾にも使われる。しかし、債券価格が下落すれば損失は急拡大する。中国ではそうした状況が始まったところだ。

中国証券業協会(SAC)からの圧力を受け、国海証券は投資家の保護を打ち出した。ただ、契約が偽造かどうかに関わりなく、今回の事件は、あまたある証券会社や信託会社、アセットマネジャーなどの間で、新たな問題が発生しようとしていることをうかがわせる。そして、中央銀行によれば、そうしたノンバンク金融機関が抱えるローンは昨年11月時点で3兆7000億ドルにも達している。

ノンバンク金融セクターの監督はいくつもの機関にわたっており、そのことが規制を難しくしている。債券市場に流動性を供給し、経済活動を後押ししているのはノンバンクセクターだが、金融環境が引き締まる中で、銀行はこうしたセクターへの貸し付けには慎重姿勢を強めている。偽造かどうかは関係なく、債券価格が下がれば、不履行となるレポ契約は増えることになる。債券市場の混乱はまだまだ続きそうだ。

●背景となるニュース

*中堅証券会社の国海証券がカウンターパーティ(取引相手)19社と、偽造債券取引問題の解決に向け個別に合意を締結したと12月29日、ロイターが報道。

*国海証券は12月22日、債券の偽装取引に絡み損失が発生した場合、カウンターパーティと共同で負担するとの「統一見解」に達したと発表。これらの偽造債券は166億元(24億ドル)に上る。取引には、一定の期間後に買い戻す約束で売却する形態の契約が含まれていた。こうした手法は、債券投資のレバレッジを高めるために広く活用されている。

*国海証券の偽造証券問題が中国メディアで報じられると、債券市場の流動性は低下し、ボラティリティが上昇、投資家の信頼感は失われた。

*国海証券は12月21日の声明で、買い戻しなどの合意事項は偽造されものではあるものの、尊重すると表明。それまでは、カウンターパーティとは何の合意した契約もなく、国海証券の以前の従業員2人が企業印を偽造してやったことだとしていた。

*中国証券業協会(SAC)は31日、証券各社に自社の評判に関わるリスク(レピュテーション・リスク)への対応を含めたリスク管理強化を要請。レピュテーション・リスクが流動性リスクへとつながらないよう注意を呼びかけた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

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「共謀罪」通常国会に提出へ 2017年 01月 05日
コラム:最強通貨は円か、2016年相場の重い事実=佐々木融氏 2016年 12月 30日
コラム:日本のガバナンス改革、「黒帯」獲得はまだ遠い先 2016年 12月 05日
http://jp.reuters.com/article/column-china-shadow-banking-bonds-idJPKBN14P0DX

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/483.html

[政治・選挙・NHK218] 共謀罪法案、通常国会に提出=名称「テロ等準備罪」、処罰要件を追加−政府

共謀罪法案、通常国会に提出=名称「テロ等準備罪」、処罰要件を追加−政府

記者会見する菅義偉官房長官=5日午前、首相官邸
 政府は5日、犯罪の計画段階で処罰可能とする、いわゆる「共謀罪」を創設するための組織犯罪処罰法改正案を20日召集予定の通常国会に提出する方針を固めた。2020年の東京五輪・パラリンピック開催に向け、テロ対策としての性格を前面に出すため、名称を「テロ等準備罪」とし、資金調達などの具体的準備行為を処罰要件に加える。これまで慎重姿勢を取ってきた公明党の了承を得られるかが焦点となる。
 共謀罪に関する国内法整備は、政府が2000年に署名した国際組織犯罪防止条約を締結するための条件。187の国・地域が締結済みで、日本も国際機関から早期対応を迫られている。
 安倍晋三首相は5日の自民党役員会で「テロ準備罪という形の法案を出す」と明言。菅義偉官房長官も記者会見で「国際社会と協調して組織犯罪と戦うため条約締結が不可欠だ。法整備はしっかり進める必要がある」と強調した。(2017/01/05-18:39)
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田中元防衛相が民進離党
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017010500417&g=pol


 

Domestic | 2017年 01月 5日 13:52 JST
「共謀罪」通常国会に提出へ 
 安倍晋三首相は5日昼に官邸で開いた政府与党連絡会議で、テロ対策強化策として「共謀罪」の新設を柱とする組織犯罪処罰法改正案を、今月20日召集の通常国会に提出する方針を与党幹部に伝えた。出席者が明らかにした。菅義偉官房長官も記者会見で「テロ対策のための法律を政府として考えている」と表明した。2020年の東京五輪・パラリンピックに備えるため、成立を急ぐ必要があると判断した。

 首相は改正案の今国会成立をにらみ、対応に万全を期すよう与党側に要請した。

 菅氏は会見で、東京五輪に関し「テロを含む組織犯罪を未然に防ぐため、万全の体制を整えることが必要だ」と強調した。


【共同通信】
http://jp.reuters.com/article/idJP2017010501000772?rpc=223


 


http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/613.html

[経世済民117] 2017年のカギを握る米国長期金利と米中関係 ユーフォリアの転換リスク トランプ政権、3シナリオ、景気は維持、日本に中吉
2017年のカギを握る米国長期金利と米中関係

倉都康行の世界金融時評

ユーフォリアの転換リスク
2017年1月5日(木)
倉都 康行

トランプ氏の対中戦略は2017年の重要なリスク指標の一つだ(写真:AP/アフロ)
 2017年の日本経済や金融市場はどんな展開になるだろうか、と考える時、殆どの人がトランプ次期米大統領の政策の影響を真っ先に思い浮かべるだろう。確かに国内にも安倍政権の安定性や日銀の長期金利コントロール力、賃金上昇の継続性、個人消費の回復力といった気になる要素は多々あるが、アベノミクスという政策支柱を失ったいま、海外情勢が日本を揺さぶる傾向は反転しそうにない。

さらに不確実性の高い「多変量市場」に

 「トランポノミクス」の次には、重要な選挙が相次ぐ欧州の政治リスクが挙げられる。3月にはオランダ総選挙、4〜5月にはフランス大統領選挙、9月にはドイツ総選挙が予定されており、イタリアも総選挙前倒しとなる可能性が高い。英国のEU離脱という面倒な話がどう展開するのかも、正直言って読めない。

 新興国に目を向ければ、トランプ氏と「共鳴」しあうプーチン大統領は原油価格安定化という順風を受けてその覇権主義に磨きを掛け、欧州や中東の地政学構造を揺さぶり続けるだろう。反対に米国との対立色を強める中国では資本逃避が止まず、ブラジルやトルコそして南アフリカなどもドル高・金利高の下で資本流出を懸念する日々が続きそうだ。

 中東では、サウジアラビアの域内指導力や王室権威の低下が囁かれており、ロシアとイランの結束にトルコが一枚絡むような展開になれば、中東の秩序変化といった新たな地政学リスクが浮上することも想定される。かくして2017年は、2016年よりもさらに不確実性の高い「多変量市場」になるかもしれない。

 だが11月以降の「トランプ効果」を通じて米国の主要株価指数が連日の最高値更新となったことで、市場ではこうした材料への警戒感が低下傾向にある。減税やインフラ投資そして規制緩和といったトランプ氏の政策に対する期待感は、驚くほど強い。

 米国株にはPER(株価収益率)やCAPE(景気循環調整後のPER)など割高感を示す警戒シグナルが鳴りっ放しだが、この強気ムードは新年に入っても当分継続し、日本株もそのお零れに与る日々が続きそうだ。ウォール街では5〜10%程度の株価上昇率が今年のメインシナリオとなっているようだ。

 1年ぶりの利上げを決定したFOMCの声明文に、来年の利上げペース加速を読んだ債券市場では利回り水準調整が起きているが、現時点で株価に与える影響は軽微である。新興国市場からの資金流出も、エコノミストらが懸念するほど深刻な状況ではない。

 さすがにトランプ大統領就任前後には多少の株価下落場面が訪れてもおかしくないが、下値は堅いとの見方が大勢だ。ドル円も同様に、110円程度への下値はあっても100円を割り込むような円高トレンドに転換する可能性は低いだろう。

 トランプ大統領の登場が、金融市場だけでなく実体経済のセンチメントも修正して民間投資の拡大を誘うようなことになれば、財務長官に指名されたムニューチン氏が掲げるような4%成長とまではいかなくても、3%前後の成長軌道を描く可能性が全くないとは言えなくなる。エール大学のケネス・ロゴフ教授のように「トランプ次期大統領の政策は米国経済再生の夢を実現させてくれるかもしれない」と期待を寄せ始めたエコノミストもいる。

 但し、上下院の過半数を共和党が握っているとはいえ、同党は財政支出拡大にはさほど熱心ではなく、トランプ氏のインフラ投資計画が思い通りに進まないことは有り得る。10年間で1兆ドル投資とは言いながら連邦政府の支出は限定的で、民間投資に対する税額控除が主体となる可能性が高い。市場の期待は明らかに過剰であろう。

 また減税に関しても、共和党重鎮のマコーネル上院院内総務が「財源無き減税には反対」との姿勢を示しており、歳入増の計画性が乏しいトランプ案は議会で厳しい洗礼を受けるかもしれない。企業収益に対するドル高の影響を懸念する声もある。かくして2017年の「多変量市場」は、トランプ氏の経済政策に対する失望感の台頭でいつか不安定化することは想定しておくべきだろう。

長期金利の上昇と米中関係悪化がリスク

 そうしたシナリオにおいて、筆者が最も重要なリスク指標になると考えているのは「米国の長期金利水準」と「米中関係の行く先」の2つの変数である。やや乱暴に言えば「トランポノミクス」への失望感による株価やドルの下落は一時的かつ限定的で、欧州や中東の激震もそれなりの下押し圧力となろうが、相場の反発力は残るだろう。だが米長期金利が3%以上に上昇したり、米中関係の緊張や悪化が鮮明になったりすれば、市場の楽観ムードが一足飛びに悲観へと転じる可能性があると考えている。

 まず長期金利の点から整理しよう。米国市場では既に「債券から株へ」の動きが生じており、それが多少加速してもさほどの影響はない、との見方も有り得る。だが1〜2%台の長期金利推移に慣れた金融市場と実体経済は、恐らく3%水準の世界には相当の違和感を抱くことになるだろう。

 ダブルライン・キャピタルの最高経営責任者で「新債券王」の異名を取るガンドラック氏は「長期金利が3%に上昇すれば社債やジャンク債の市場流動性に影響が生じる」と指摘している。だがその影響は、自動車ローンや住宅ローンそしてカードローンなどの金利上昇を通じ、負債額が増加中の家計負担に反映されて、実体経済にも及ばざるを得まい。それは、いま市場の視野から消えつつある「景気拡大局面の終了」のシナリオを思い起こさせることになる。

 因みに現時点で米国経済の拡大は90カ月目(戦後平均は58カ月)に入っており、景気サイクルが成熟期或いは最終局面に近付いていることは否めない。トランプ氏のインフラ投資計画が実現化するのもまだ1年程度先の話である。長期金利が先走って上昇すれば、景気は腰折れしかねない。その長期金利上昇を誘い始めているのが、先般利上げを決めたFRBである。

 約1年ぶりの利上げは既に織り込み済みであったが、市場は3カ月に一度公表される「ドット・プロット」と言われるFOMCメンバーに拠る政策金利見通しにやや過剰に反応した。FRBはタカ派に転じたと見た債券市場では長期金利が2.6%にまで上昇、7月に付けた1.3%台から「倍増」したことになる。トランプ氏が大統領選挙に勝利して以来、市場にはその財政政策がインフレ率を押し上げるとの観測が強まっており、このFOMC声明文が金利上昇見通しをさらに強めることになった。市場には「FRBは2017年に3回利上げ」との見方が広がっている。

 だが正確には、何人かの委員がトランプ氏の財政支出拡張をインフレ要因と見做して利上げ予想回数を2回から3回に引き上げた、ということに過ぎない。その人々が2017年に投票権を持つ委員なのかどうかも不明である。FRBの景気・雇用・物価見通しは殆ど変わっておらず、慎重な金利水準調整という方針も不変で、数名の委員がトランプ効果を過大に評価して見通しを変更した、との印象は拭えない。

 2012年から導入された「ドット・プロット」が金融政策予想に殆ど役に立たないことは、過去4年間で実証済みである。FRB内部からも「飽くまで参考意見」と指摘されており、一部には「この政策金利予想は廃止すべき」と主張する向きさえある。

 今年の政策金利見通しとして「年3回の利上げ」と決め打ちするのは早計だ。現時点ではせいぜい6月の利上げくらいしか見通しが利かない。FOMCの動向を予想するにあたっては、「ドット・プロット」よりイエレン議長の言葉の方がより重要になるだろう。

 同議長は「インフレ率は依然として目標値を下回っている」と説明し「金融政策は後手に回っていない」と主張している。そして財政政策に関しては「中身を知るには時期尚早」と述べ、その効果は金融政策に影響し得る一つの要因でしかないと指摘、市場の先走り感に釘を刺している。

 因みにJPモルガンは、トランプ効果を2017年半ばからの2年間で年率0.25%程度の底上げに留まると分析し、2017年と2018年の成長見通しをそれぞれ1.8%と1.9%という低水準に置いている。モルガン・スタンレーも同様に今後2年間の成長率は2%に止まるとの見通しを示している。筆者もそうした見方に同感だ。

 だが金利上昇への不安感を抱く債券市場が、深読みし過ぎて長期金利の急速な上昇を招くことがないとは言えない。インフレ期待感の高まりから長期金利が3%に接近するようになれば、景気後退懸念とともに株価が反落して2016年の上昇分を吐き出してしまう可能性すらある。

米中「G2時代」の到来

 そして、既に嫌なムードが強まりつつある米中関係が、第二の重要変数である。国際政治の場ではイアン・ブレマー氏が説く「Gゼロ時代」が人気を博しているが、国際経済や国際金融の世界ではやはり「米中のG2時代の到来」が現実的な認識だ。その米中経済関係の不安定化は、文字通り市場の大敵である。

 中国リスクといえば「またか」という顔をする人も多く、「聞き飽きた」という感想もあろう。だがリスクが存在する以上、そしてそのリスクが上昇中である以上、中国問題は避けて通れない。

 中国は過去15年間、WTO加盟と人民元の切り下げ方針で急速に競争力を高め、世界最大の輸出大国にのし上がった。その過程で多くのダンピング認定や為替レート論争を巻き起こしたのは事実だが、貿易戦争といった陰険な状況に陥ることはなく、妥協的な判断を踏まえつつ世界経済の成長にも貢献してきた。その穏健な交易の風向きは、中国と米国双方の国内事情で急速に変化し始めている。

 昨年末には、欧米が中国を市場経済国に認定することを拒絶したとしてWTOに提訴し、その報復措置のように中国が穀物類輸入への不当な高関税を掛けているとして米国が同国をWTOに提訴する「貿易紛争」が起きている。別に目新しい対立ではないが、選挙中に中国を槍玉に挙げてきたトランプ氏が大統領に就任する前から両国間で火花が散っていることは憂慮すべき事態だ。

 中国が先進国の支配する貿易ルールに不満を抱き続けていることは否定できない。習主席は経済改革派を排除しつつ、保守派に傾斜する政治体制の下で、特に対米通商問題に関して報復措置を含む強気な態度で臨むことだろう。

 一部には、トランプ氏が就任初日にTPP離脱を表明すると明言していることで、アジア・太平洋地域の通商交渉の主導権を中国が握り優位に立つ、といった観測も上がっているが、自己中心的なルールを策定しようとする中国への不信感は根強く、そう簡単ではあるまい。

 米中の経済関係は、お互いに激しい衝突を避けてきた過去15年間と違って、刺々しい場面が頻出することも想定される。その最大の理由は、両国の首脳がともに貿易を「ゼロ・サム・ゲーム」だと勘違いしていることだ、とFT紙は喝破している。

 米商務長官に指名されたロス氏は自由貿易に理解があるとはいえ、トランプ氏は政府内に「国家通商会議」を立ち上げる構想を抱いており、その委員長には対中強硬派で知られるナヴァッロ氏が起用される見通しだ。また、実際の通商交渉を取り仕切るUSTR代表に指名されたライトハイザー氏は、レーガン時代の対日貿易戦争の際にUSTRの次席代表を務めた経験のあるバリバリの保護主義者である。財務長官に指名されたムニューチン氏を通じ、新政権が為替操作国認定という圧力を掛け続けることも容易に想像できる。

 WTOなど国際機関の存在感低下が顕著な中にあって、「G2時代」にその両国関係を仲裁する機能が不在であることは実に不気味である。ウィン・ウィンであったはずの貿易関係が、保護主義とその報復措置の応酬で双方にとってマイナスになるリスクに、昨年まで市場は殆ど無警戒であったが、今年は注目せざるを得なくなるだろう。

 過剰生産や不良債権増に悩む中国はいま、資本流出による人民元下落とその対応としての介入による外貨準備の急減といった状況にも直面している。FRBの利上げ姿勢が人民元下落を加速すれば、成長鈍化の中での利上げを余儀なくされる可能性すらある。

トランプ相場は意外と長期化する可能性も

 1970年代は米中接近に拠ってロシアが封じ込められたが、トランプ政権は米露接近を通じて中国を孤立させようとしているようにも見える。足許の国内経済の行き詰まりを打破するために中国が対外的に強硬策を取れば、コラテラル・ダメージを恐れる市場も平穏ではいられなくなるだろう。アジアは新たな地政学リスクの場になる可能性がある。

 大統領選勝利後にトランプ氏が示唆した「一つの中国路線」の否定は、米中関係の悪化スピードを加速したかもしれない。米国は駐中国大使に習主席と親交のあるアイオワ州知事を指名すると報じられているが、中和剤としての機能は限定的だ。

 政治・経済分野での米中の協調関係は崩れつつあり、金融面では資本の流れが中国政治体制を揺さぶりかねない状況になってきた。昨年末から顕著になっている中国債券市場における利回り急上昇の傾向も、気になるシグナルの一つである。

 とはいえ金融市場は、いましばらくトランプ相場に酔うことだろう。このユーフォリアは意外に長期化する可能性がある、と筆者は考えている。相場の宿命として、早晩二日酔いに襲われる時期は来るだろうが、米国長期金利と米中関係の行方が深刻化しなければ、その頭痛も軽微に終わるのではないか。

 ただ、こうして頭で考えるシナリオに限界があることは、昨年貴重な教訓として学んだとおりである。昨年の悲観論は楽観論へとポジティブに変貌したが、今年それが逆回転したとても、もう誰も「想定外」という言い訳は出来ないだろう。

「トランプ解体新書」発売へ

「新政権で米国はこう変わる! トランプ解体新書」
 2017年1月20日、ドナルド・トランプ氏が米大統領に就任する。トランプ新政権のキーパーソンとなる人物たちの徹底解説から、トランプ氏の掲げる多様な政策の詳細分析、さらにはトランプ新大統領が日本や中国やアジア、欧州、ロシアとの関係をどのように変えようとしているのか。2人のピュリツァー賞受賞ジャーナリストによるトランプ氏の半生解明から、彼が愛した3人の女たち、5人の子供たちの素顔、語られなかった不思議な髪形の秘密まで−−。2016年の米大統領選直前、連載「もしもトランプが大統領になったら(通称:もしトラ)」でトランプ新大統領の誕生をいち早く予見した日経ビジネスが、総力を挙げてトランプ新大統領を360度解剖した「トランプ解体新書」が1月16日に発売されます。ぜひ手に取ってご覧ください。

このコラムについて

倉都康行の世界金融時評
日本、そして世界の金融を読み解くコラム。筆者はいわゆる金融商品の先駆けであるデリバティブズの日本導入と、世界での市場作りにいどんだ最初の世代の日本人。2008年7月に出版した『投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム』で、サブプライムローン問題を予言した。理屈だけでない、現場を見た筆者ならではの金融時評。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/230160/122600021


 


 

トランプ新政権、市場は3つのシナリオに備えよ

政治と市場の“正しい”見方

2017年も景気は維持、日本には「中吉」
2017年1月1日(日)
門司 総一郎
お正月限定企画として、日経ビジネスの人気連載陣に、専門分野について2017年の吉凶を占ってもらいました。
今年はどんな年になるでしょう。
(お正月企画の記事一覧はこちらから)


 2017年は日本の株式市場にとって「中吉」の年になると見ています。理由はこの後、順に述べていきます。

 米国のニュース雑誌「TIME」は2016年の顔(最も影響を与えた人物)に米国のドナルド・トランプ次期大統領を選びました。このように2016年はトランプ氏の年でしたが、いよいよ大統領として始動する2017年は2016年以上にトランプ氏の年となります。

 市場関係者は2016年、トランプ氏の動向に一喜一憂しながらも、トランプ氏の実像が分からないため、結局は自分に都合のよいように解釈しました。それが、トランプ氏が勝利したにもかかわらず日米の株価が上昇した背景の1つです。

 しかし、2017年になってトランプ政権が始動すれば、市場関係者は否応なく、トランプ氏の実像と向き合わねばなりません。この「トランプ大統領とどう付き合うか」が2017年の最大の課題でしょう。ここから“トランプ大統領”との付き合い方について考えていきます。まず初めに政策を見ます。

インフラ投資や減税は景気にプラス

 表はトランプ氏が選挙戦で掲げた主な政策をまとめたものです。景気や株式市場にプラスと思われるもの、マイナスと思われるもの、それぞれあります。プラスと思われるのはインフラ投資や所得税・法人税減税、(表にはありませんが)規制緩和。逆にマイナスと思われるのは、保護主義的な通商政策や移民に対する規制などです。

(図表3)ドナルド・トランプ新米大統領の政策
  トランプ氏
経済 成長率を3.5%に引上げ、10年で2500万人の雇用創出
インフラに5500億ドル(クリントン氏の2倍)を投資
イエレンFRB議長の再任に反対
財政/税制 連邦法人税率を35%から15%に引下げ。一方企業の海外所得に課税する。
所得税を簡素化し、最高税率を39.6%から33%に引下げ
内政 銃規制強化に反対
オバマケアは撤廃(一部継続?)
最低賃金を時給10ドルに引上げ
外交/安全保障 米国は世界の警察官ではありえない
日韓などに対し、米軍駐留の費用負担を要求
イランとの核開発合意は破棄
移民/難民/テロ メキシコ国境に壁を建設(一部フェンス?)、不法移民は強制送還、難民審査を厳格化
通商政策 「自由」貿易でなく「公平」な貿易協定を
米労働者を害する貿易協定には反対
TPPから撤退、NAFTAは再交渉
環境対策 温暖化対策「パリ協定」から離脱、石油採掘規制撤廃。火力発電所のCO2排出規制を撤廃
対日/対中政策 日米安保条約は「不公平」と発言、日本の核武装を容認
中国は「為替操作国」と批判
出所:日本経済新聞、読売新聞など各種資料より大和住銀投信投資顧問作成

 道路や橋など米国のインフラが老朽化しているのは誰もが認めるところです。バラク・オバマ大統領も大規模なインフラ整備計画を打ち出していました。規模はともかく、トランプ政権でインフラ投資が実現する可能性は高いでしょう。

 減税も実現する可能性が高い施策だと思われます。レーガノミクス減税、ブッシュ(子)減税と歴代の共和党政権が大規模な減税策を実行したように、減税は共和党のDNAと言えます。その共和党が上下院ともに多数を占めたこともあり、実現する可能性が高いと見ています。

 ただしインフラ投資も減税もトランプ氏が主張する規模で実行した場合、財政赤字が膨らんで金利が上昇、却って景気の足を引っ張る恐れがあります。おそらく議会がブレーキをかけることになるので、どの程度の規模(金額)で実現するかがポイントです。

 規制緩和が見込まれるのはリーマン・ショック以降規制が強化されてきた金融と、環境保護の観点から資源開発が制限されているエネルギーの分野においてです。共にある程度の規制緩和が期待できると見ています。根拠とし、前者についてはゴールドマン・サックス出身のスティーブン・ムニューチン氏が財務長官に指名されたことが挙げられます。後者は、エネルギー業界が元々共和党支持であることが挙げられるでしょう。

通商政策と移民規制はマイナスに

 次に、マイナスとなる政策を見ましょう。米国民の間で自由貿易協定に対する抵抗が強いことを考えると、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱はほぼ確実と思われます。それよりもさらに影響が大きいのは北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉(または離脱)です。

 TPPはまだ発効していないため、仮に流れたとしても、将来得られる利益がなくなるだけで新たな損失が生じるわけではありません。しかしNAFTAは違います。既に稼働しているNAFTAが本格的に見直されることになれば、多大な悪影響が発生すると予想されます。

 中でも甚大な影響が見込まれるのが自動車メーカーです。米国を含む世界の自動車メーカーの多くは北米で販売するクルマを人件費の安いメキシコで生産し、NAFTAを活用して米国やカナダに輸出しています。このサプライチェーンが寸断されることになりかねません。

 NAFTAの再交渉については、1)影響が大きすぎること、2)共和党が自由貿易を旨としており再交渉に反対する、と思われることから、実現の可能性は低いと見ています。

 ただしメキシコへの工場移転についてトランプ氏は最近、口先介入によって移転を牽制しています。この問題については後ほど触れます。

 自由貿易協定以外でトランプ氏が問題にしているのが中国です。大統領就任後に中国を為替操作国に指定すると表明。また、中国で製造した商品を米国に輸出しているとして、アップルなどの企業を非難しています。今後、中国からの輸入に対して反ダンピング関税などを適用するケースが増えると思われます。

 なお、日本については態度が変ってきています。選挙戦の初期には「米国の雇用を奪っている」と非難する場面がありましたが、途中からそうしたことはなくなりました。貿易に関して日本が直ちに問題になることはなさそうです。

 もう1つ、経済や株式市場にマイナスと思われる政策が移民の規制です。2016年11月の米国の失業率は4.6%、9年ぶりの低水準です。こうした中、トランプ氏は移民関連の規制を強化し、犯罪歴のある不法移民300万人を国外に追放すると表明しています。これが実現すれば、人手不足が深刻化して、成長を阻害する要因になる。あるいはインフレを招くなどの問題が生じる可能性があります。

トランプ氏の政権運営は大丈夫か?

 政策以外に考えておかねばならないのが、トランプ氏の政権運営に関するリスクです。トランプ氏は政治や行政の経験がなく、こうした方面の知り合いも少ないでしょう。加えて大統領選で共和党と対立したため、党のバックアップをどの程度受けられるかも不透明です。

 こうした点を考えると、日本の民主党政権のように政権発足後にいきなり迷走し、政治が機能不全に陥るリスクがないとは言い切れません。市場参加者の多くはトランプ氏がこれまでの大統領と同じように政権を運営できると考えているようですが、政権運営がうまくいかないリスクも考慮しておくべきでしょう。

企業の政治リスクを高める口先介入

 もう1つ問題になりそうなのが、先ほど少し触れた企業に対する口先介入です。トランプ氏は米国の雇用維持を公約に掲げており、海外への工場移転を計画する企業などを選挙期間中から非難し続けてきました。

 例えば、メキシコへの工場移転を予定していた空調メーカー、キヤリア(ユナイテッド・テクノロジー(UTX)傘下の企業)に対して「自分が大統領に就任した場合、キヤリアがメキシコで生産する製品に高率の関税を課す」(ブルームバーグ、11月30日)などと圧力をかけ、移転を阻止しました。

 さらに12月4日には、特定の企業でなく「製造拠点を(メキシコや中国など)米国外に移転する米企業の輸入品に対して新たに重税を課す」(ブルームバーグ、12月5日)考えを明らかにしました。

 最近は工場の海外移転以外にも口先介入が拡大しています。ボーイングに対しては、発注している大統領専用機の金額が高すぎるとして、キャンセルを示唆。またタイム誌とのインタビューでは、「医薬品価格を引き下げる。医薬品価格をめぐって起きている状況(注:新薬の価格高騰のこと)を私は好ましく思わない」(ブルームバーグ、12月8日)と言明しました。

 このような口先介入は、予期せぬ政治リスクに企業を晒すことになるため、望ましいものではありません。米国でビジネスを行う上での不透明感が著しく高まります。特にメーカーにとっては、製造拠点の海外移転によってコストを削減する策は封じられたも同然です。

 個別企業に懲罰的な関税を課すことは実際には法律上難しく、トランプ氏自身もブラフのつもりで発言しているのだと思います。しかし、そうはいっても名指しされた方は放っておくわけにいきません。この手法を続ければ、米企業はトランプ氏の発言に翻弄され、疲弊していくことになりかねません。

 今は株価が上昇しているため、手放しで喜んでいる市場関係者が多いようですが、トランプ氏の政策や政策以外の手法についてもう少し慎重に考えるべきでしょう。

トランプ政権を待つ3つのシナリオ

 最後にトランプ次期大統領の政権運営や政策の実行度合いに基づく3つのシナリオを紹介しておきます。

シナリオ1:議会がブレーキをかけ、適度に縮小されて政策が実行される。
・減税やインフラ投資は財政赤字が過度に拡大しない規模で実施。また保護貿易的な措置も緩やかなものにとどまる。
・経済成長は加速、株価は世界的に上昇。

シナリオ2:トランプ氏の公約に沿った規模で政策が実行される。
・巨額の減税やインフラ投資が実現。また米国はNAFTAから離脱。規制強化により米国から大量の移民が流出する。
・景気は一時活況を呈するも、財政赤字を懸念した金利上昇などから失速。株価は世界的に下落。

シナリオ3:トランプ政権が迷走、米政治は機能不全に陥るが、景気は底堅い。
・経験不足や議会との対立から政策は何も進まず、米政治は機能不全に陥る。
・ただし民間部門主導で景気はしっかり回復し、株価も底堅く推移する。

 シナリオ1が標準シナリオで生起確率45%。2が悲観シナリオで20%、3がその他シナリオで35%といったイメージです。

 このように、トランプ氏が選挙戦で掲げた極端な政策を大統領就任後にそのまま実施する可能性は低く、米国及び世界の景気や株式市場は緩やかながらも、現在の右肩上がりを維持できると予想しています。これが、冒頭申し上げた通り、2017年は日本にとって「中吉」と考える理由です。

 3については、「景気や株価がしっかり」という点に違和感を覚える方もいると思います。例えばオバマ政権の後半4年間は、上下院とも共和党に抑えられて何もできませんでした。ですが、それでも景気は拡大を続け、株価は上昇しました。

 これは、政府に対して米国民や企業が抱く物理的、心理的な依存度が低いためと考えています。そのため、政府が間違ったことさえしなければ、何もしなくとも米国経済はソコソコ上手くいくというシナリオです。ここで言う「間違ったこと」には、先ほど取り上げた口先介入も含まれます。

 以上述べたように、2017年はトランプ氏が米国の大統領としてどのようにふるまうかを見極める年です。ここでは、単に政策だけでなく、政権運営の能力やその手法も含めて評価することが必要です。


このコラムについて

政治と市場の“正しい”見方
 今、日本は新政権の誕生で「政治」と「金融市場」の関係がこれまで以上に強まり、複雑化しています。さらに欧州の債務危機や米国の財政の崖、中国の新執行部選出など、政治と市場を巡る動きは、海外でも大きな焦点となっています。
 しかし、市場関係者がこの両者の関係を論じる場合、「アベノミクスで日本は変わる」など物事を極めて単純化した主張になりがちで、十分な分析がなされているとは言えません。そこで、このコラムでは政治と市場の関係について深く考察し、読者の皆様に分かりやすく解説していきます。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/243048/121300012/
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/487.html

[政治・選挙・NHK218] “東京の夜景”の被害者を二度と出さないために 長時間労働は解消に向かうのか…このままでは「ノー」だ  「韓国の見捨て方」
河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

“東京の夜景”の被害者を二度と出さないために


長時間労働は解消に向かうのか…このままでは「ノー」だ

2017年1月1日(日)
河合 薫
お正月限定企画として、日経ビジネスの人気連載陣に、専門分野について2017年の吉凶を占ってもらいました。
今年はどんな年になるのでしょう。

(お正月企画の記事一覧はこちらから)


 「深夜の仕事が、東京の夜景をつくる」―――。
 広告大手「電通」の社員で、2015年12月25日に過労自殺した高橋まつりさんは、生前母親にそう話していたそうだ。
 安倍首相が「最大のチャレンジ」と位置づける働き方改革。政府は2017年度予算案に前年度比3割増の2100億円規模を投じることとなった。安倍首相の本気度がかなり伝わる数字だ。
 だが、これで本当に長時間労働の解消は進むのだろうか? 
 結論から述べる。
 答えは「ノー」。残念だがノーだ。
 経営者が変わらない限り難しい、というか……無理。
 だって、日本は「現場一流、経営者三流」だから。
 どんなに「勤務間インターバル規制」(勤務終了時からその後の始業時までに、一定時間のインターバルの確保を義務付ける)を導入する中小企業に助成金制度を創設し(予算4億円)、どんなに労働基準監督官を増員しようとも、どんなに「22時以降は消灯」と宣言して会社の電源を落とそうとも、
「形のうえで制度を作っても、人間の“心”が変わらなければ改革は実行できません」(まつりさんの母親が命日に公開した手記より)。
 日本の経営者の“心”が三流である限り、長時間労働はなくならない。
 新年早々、少々辛辣な物言いに口を尖らせている方もいるに違いない。「心が三流」とは挑発的すぎやしないか?と。 
 ええ、そうなんです。挑発的です。でも、長時間労働がもたらす悲劇を考えれば、至極当然のこと。いったい何人の犠牲者を出せば、経営者は変わるのか。
 それに経営者の“心”とは「考え方、意識、理解」を意味し(私の解釈です)、それが三流といっているだけで、経営能力を根こそぎ否定しているわけではない。
 奇しくもまつりさんの母親が手記を公表した3日前の昨年12月22日。エイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人社長が、長時間労働と残業代未払いなどに対する「(労基署からの)是正勧告を真摯に受け止め対応している」としながら、以下のようにブログで反論した。
「僕らの仕事は自己実現や社会貢献みたいな目標を持って好きで働いている人が多い。だから本人は意識してなくても世の中から見ると忙しく働いている人がいるのは事実。だからこそ会社の中にすぐ利用できる病院を作ったり、定期的にメンタルチェックをしたり、時間に限らない社員の労働環境をそれなりに考えてきたつもりだ。でも法律に違反していると言われればそれまで。僕らのやってきた事おかまいなしに一気にブラック企業扱いだ」(ブログより一部抜粋)
 氏の言いたいことが、わからないわけではない。だが、これもやはり経営者の「心」の問題と言わざるを得ない。電通の「鬼十則」も全く同じだ。
 そもそも「なぜ、長時間労働になるのか?」という根本的な理由を、どれだけの経営者が理解し、抜本的な対策を講じているのだろうか?
「人手不足」を作っているのは経営者である
 長時間労働の原因が「業務量の多さ」であることを否定する労働者はいないはずだ。
 ところが、これがひとたび「人手不足」という言葉に置き換わった途端、少子高齢化などの「人口構造」の問題のようなイメージになる。
 でも、違うと思いますよ。この「人手不足」を作っているのは明らかに経営者。そう。経営者の問題である。
 順を追って説明しよう。
 まずはこちらのグラフをご覧いただきたい。これは所定外労働の経験がある労働者に「残業が発生する理由」を聞いた結果だ。(「労働時間管理と効率的な働き方に関する調査」結果および「労働時間や働き方のニーズに関する調査」結果)
所定労働時間を超えて働く理由

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/122700085/g1.JPG

 ご覧の通りトップは「業務の繁閑が激しいから、突発的な業務が生じやすい」で58.5%。次いで、「人手不足だから(一人当たり業務量が多いから)」が続いている(38.2%)。
 で、この回答を「労働時間の長さ」との関連で分析すると、残業の多い人ほど「人手不足」や「仕事の性格や顧客の都合上、所定外でないとできない仕事があるから」と回答する比率が高まり、週実労働時間が60時間以上の労働者では、57.4%が「人手不足」を、55.2%が「業務の繁閑」 を、さらには35.4%が「仕事の性格」を挙げた。
 本来「人手不足」とは「業務量」との比較で語られる言葉だ。しかも、「業務量」や「仕事の性格」は、経営者自身の責任でコントロールすべきもの。にも関わらず、「人手不足で長時間労働が解消できない」とはいかがなものか?
 このコラムで何度も書いていることだが、長時間労働が「悪」である理由は、過労死の直接的な原因になり得るうえ、過労自殺のトリガーとなるからに他ならない。
 何度でも繰り返すが、長時間労働はそれだけで「凶器」なのだ。
 先と同じ調査で、「強い疲労感やストレスを感じたことがありますか?」と質問したところ、「ほとんど毎日・しばしばあった」人の割合が3割を超え、週実労働時間が60時間以上の人を対象に分析すると、その割合は半数を超えた。
 さらに「(自分の)現在の働き方で健康に不安を感じる(健康不安)」とした人は実に7割に達し、 4人に1人が自らの「能力を充分、発揮できていない」としたのである。なんとなくサラリと読めてしまう結果だが、ここにこそ長時間労働の真の問題が潜んでいる。
「人手不足」なのに人員確保に取り組んでいない不思議
 「健康不安」は一般的にはなじみのない概念かもしれない。だが、健康社会学では数値としての「長時間労働」以上に危険とされている。
 健康不安は“overwork”。すなわち「自分の能力的、精神的許容量を超えた業務がある自覚」と言い換えられる(「若者を過労自殺に追い込む「平成の悪しき産物」」参照)。
 過労自殺には、
「長時間労働」⇒「overwork」⇒「精神障害」⇒「過労自殺」
という流れが存在し、“凶器”を凶器たらしめる危険かつ重大な役目を、健康不安(overwork)は担っている。
 健康不安の重大さを知らずとも、これだけ長時間労働が社会問題になっているので、企業だって指をくわえて見ているわけではない。先の調査では、92.6%の企業が「残業削減に向けで取り組んでいる」と回答。結構な割合である。
 ところが、である。
 取り組みの結果、所定外労働時間の長さが実際に「短縮された」割合は、その半数。たったの52.8%だ。
 「半数も効果あったんならいいじゃん」と反論する人もいるだろうけど、これは「半数しか」と捉えるべき。
 なぜなら、取り組みの結果が出ていないのは有給休暇も同じだから。労働者にとって唯一の「休む権利」といえる年次有給休暇の取得促進に向けて取り組んでいる企業は72.0%もあるのに対し、実際の取得日数が「増えた」割合は、わずか35.1%しかないのある。
 先のデータで「所定外労働の原因」に「業務の繁閑」「仕事の性格や顧客の都合上、所定外でないとできない仕事があるから」とした人にとっては、有給休暇は心身の回復を促す大きな「権利」だ。なのに、その権利さえ十分に行使できないなんて、やはり「半数“しか”」でしかない(ややこしくてすいません)。
 さらに呆れるのが、所定外労働の削減に取り組みながらも「効果が実感できない理由」だ。
 半数以上(50.9%)の企業が、長時間労働が発生している原因に「人手不足」を挙げながら、実際に「適正な人員確保」に取り組んでいる割合はわずか19.9%(全企業ベース)。人員不足を理由に挙げた企業に限ってみても、たった39.0%しか取り組んでいない。
 これって……「ウケる〜〜」。女子高生のこの言葉がいちばんしっくりくるくらい、「ええ〜〜〜っ!!???????」って事実が存在しているのだ。
 つまり、上記をまとめると次のようになる。
【労働者視点】
人手不足→長時間労働→パフォーマンスの低下→メンタル低下→離職(あるいは休職)→さらなる人手不足
【企業視点】
人手不足→長時間労働→パフォーマンスの低下→プレゼンティズムによる損失→生産性の低下→コスト増につながる雇用の抑制→さらなる人手不足
といった「魔の長時間労働スパイラル」に、今の日本ははまっているのである。
 ちなみに「プレゼンティズム(Presenteeism)」とは、出勤しているものの心身の不調などによりパフォーマンスが低下する状態を指す。
 プレゼンティズムは、欠席や休職を指す「アブセンティズム(Absenteeism)」より深刻な状況で、企業側の損失も大きい。
 大企業が負担する従業員の健康関連コストのうち、7割超がプレゼンティズムによるもので、15%が医療費、残りがアブセンティズムと労災と分析するデータもある。また、同僚などへのマイナスの影響も、アブセンティズムより高いと考えられている。
長時間労働した人ほど、出世が早い
 以上のことからわかるとおり、人手不足を解消する以外、長時間労働はなくならない。
 では、人手不足がなぜ生じているのか?不必要な会議など無駄な業務の存在、生産性の向上ではなく業務量の増大で売り上げをカバーしようとする経営方針……。
 長時間労働の原因や、そのデメリット、恐ろしさに対する「考え方、意識、理解」。絶対に解消するという「心」を経営者が持てるか、どうか。これですべてが決まる。
 ところが、実はここでも気になる数字が明らかになっている。
 なんと長時間労働した人ほど、出世が早い。限りなく黒に近いグレーが「はい、黒でしたよ〜」という結果が先の調査で示された。
 課長代理クラス以上の昇進のスピードと「残業」との関連を調べてみたところ、
・同時期入社等と比較して昇進が「早い」人は、「普通」ないし「遅い」人より1週間の実際の労働時間がやや長い。
・「1ケ月の所定外労働時間」が 45 時間を超えた人で分析すると、昇進が「早い」人は 51.4% と、「普通」(42.2%)あるいは「遅い」(39.2%)人を上回る
といったことが明らかになったのである。
 オーマイゴッド!これでは「何?長時間労働?そんなの当たり前でしょ。さすがに月100時間超えたときは、心臓がバクバクしてビビったけど、人手不足なんだから仕方ないよ」なんてことを、彼らがトップになったときに言いかねない。
 まさしく三流の心。人の「心」に大きな影響を及ぼす「経験」がこれでは、悲観的にならざるをえない。
 恐い。マジで恐い。実に恐ろしいことだ。
 働き方改革は一億総活躍社会実現に向けた「最大のチャレンジ」だと言うのなら、「取り組んだら助成金」だなんて生ぬるい飴で釣るのではなく、「違反したら罰金」と厳しいルールを設けなきゃダメ。
 長時間労働をさせられないように、インターバル規制と有休取得率向上を罰則付きで徹底して、「働けない」状況を作るしかない。
 そして、違反した企業は徹底的に公表すべし。そのときはメディアも是非とも「働く人」側に立って報じて欲しい。
 だって、長時間労働は「健康」とセットで考えなきゃならない問題なのだよ。過労死や過労自殺という“東京の夜景”の被害者を二度と出さないためにも。
「現場一流、経営者三流」と私が言う理由
 最後に、「現場一流、経営者三流」の理由を述べておきたい。
 これは経済協力開発機構(OECD)の「国際成人力調査(Programme for the International Assessment of Adult Competencies : PIAAC)」の結果で、ご覧のとおり日本の「労働者の質」は世界トップレベルであることがわかる。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/122700085/g2.JPG

 PIAACは「経済のグローバル化や知識基盤社会への移行」に伴い、雇用を確保し経済成長を促すために、国民のスキルを高める必要があるとの認識から行われている。読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力の3分野のスキルの調査と、年齢や性別、学歴、職業などに関する背景調査を併せて実施したものだ。
 この数値は「労働者の質の高さ」と、個人的には理解している。
 さらに、「技術者の質」を日米で比較すると
・米国では自動車製造業に従事している働く人たちのうち技術者が占める割合は10.1%。一方、日本では約半分の5.4%(=日本の現場労働者の技能の高さを示している)
・技術者の質(技術者1000人当たりの生産性)を、特許数を指標に日米で比較すると、1990年代中盤以降も日本の特許数は着実に上昇を続け、米国の水準を遥かに凌駕する高さを誇っている
・技術力の高さが経済価値の創出につながっているかを、GDP10億ドル当たりの延出願数(世界各地の国で出願・審査が完了し、登録された数)で見ると、日本の特許は米国の5分の1〜6分の1の経済価値しか生み出していない低さ
といった事実が明らかになっている(「日本の技術者──技術者を取り巻く環境にどの様な変化が起こり、その中で彼らはどの様に変わったのか」より)。
 つまり、日本の経営者は現場の「力」を生かし切れていない。
 「生産性を上げて人材不足を解消する」という仕事をしない経営者が、世界に誇る質を持つ労働者を「高齢化だし〜、女性たちもやめちゃうし〜、人材不足だから仕方がないよね〜」と、長時間労働させているのだ。
 念のため繰り返すが、これは「経営者の心」の問題である。
 だからこそ、希望がまったくないわけではない。
 旧態依然とした「考え方」を変え、「長時間労働がなぜ、悪なのか?」を常に意識し、「長時間労働が生まれるロジック」をきちんと理解すれば、変わると信じている。
 2017年は、そんな変化が始まる1年になってほしい。そして、冒頭で書いた私の予想が外れる1年になってほしい。
 心の底から、そう願っている。


このコラムについて
河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/122700085/


 


2017年、日本が問われる「韓国の見捨て方」
早読み 深読み 朝鮮半島
反米・反日の加速は「凶」だが、「中吉」への努力惜しむな
2017年1月1日(日)
鈴置 高史
お正月限定企画として、日経ビジネスの人気連載陣に、専門分野について2017年の吉凶を占ってもらいました。
今年はどんな年になるでしょう。
(お正月企画の記事一覧はこちらから)


トランプ次期大統領とフリン次期国家安全保障問題担当補佐官。彼らが示す「対韓政策」はどうなるのか。中国はどう出るのか。米中の動向を先読みするところから、日本が韓国に対して打つべき手が見えてくる(写真:ロイター/アフロ)
(前回から読む)
 2017年の日韓関係を占えば「凶」だ。韓国で反米・反日政権が誕生する可能性が高いからだ。ただ、「韓国の見捨て方」次第では「中吉」に持って行けるかもしれない。
左派政権登場へ
 韓国の憲法裁判所は朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の弾劾訴追を審理中だ。2016年12月9日に国会が同案を可決したことを受けた(「韓国国会、朴槿恵弾劾案を可決」参照)。
 憲法裁判所は2017年6月上旬までに、弾劾を認めるか否かの結論を出す。もし弾劾を認めれば朴大統領は罷免され、60日以内に選挙が実施される。
 弾劾が棄却されれば論理的には朴政権は続く。ただ、下野を求める声が高まって、罷免されなくとも辞任に追い込まれるかもしれない。仮に大統領の座に「居座って」も、2017年12月には5年間の任期満了に伴う大統領選挙が実施される。
 いずれにせよ2017年中に行われる選挙では、左派の候補が当選する可能性が高い。弾劾の原因となった「国政壟断事件」により、保守への不信感が高まっているからだ。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/122000084/kouho2.PNG

 事件の余波で保守の「セヌリ党」は分裂した。大統領選挙をまともに戦えるか疑問視されている。そもそも、同党は当選できそうな自前の候補者を持たない。
 国連事務総長を2016年末に引退したばかりの潘基文(バン・キムン)氏を担ぎたいところだが、潘氏が乗るかは不明だ。
 強硬保守には、弾劾可決に伴い大統領権限を代行している黄教安(ファン・ギョアン)首相を推す向きもある。検察の出身で、潘氏同様に選挙の洗礼を受けたことはない。
 朴大統領が首相に指名した人でもあり、出馬すれば強い反発が起きるのは間違いない。そんな黄首相に期待せざるをえないほど、保守は人材不足なのだ。
極め付きの「反米・反日」
 今年中に誕生するであろう左派政権は極め付きの「反米・反日」政権となりそうだ。「国政壟断事件」を契機に「韓国の国のかたちを正すべきだ」との声が高まっているからだ。
 保守政党、検察、財閥から保守系紙に至るまで「既得権集団」は朴大統領に連座する形で「世直し」の対象である(「『ロシア革命』に変容する『名誉革命』」参照)。
 「既存路線を否定する」動きは、外交政策にも及ぶ。ほとんどの大統領レース参加者は、THAAD(地上配備型ミサイル防衛システム)配備容認と、日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)締結・慰安婦合意――の3点セットを、朴政権の悪行中の悪行と非難する(「『キューバ革命』に突き進む韓国」参照)。
 2016年12月28日、野党第1党「共に民主党」の禹相虎(ウ・サンホ)院内代表は党の幹部会議で「政権交代後、必ず合意を無効化するよう努力する」と述べた。世論調査では同党の文在寅(ムン・ジェイン)前代表が次期大統領として1番人気になることが多い。
 釜山市東区がいったんは排除した日本総領事館前の慰安婦像の設置を12月30日に認めた。朝鮮日報の社説「東海と西海の向こうの不吉な兆し」(12月31日、韓国語版)は「文・前代表が東区役所を『親日』と非難したうえ『釜山市民らの像設置こそはまさしく独立宣言』と述べたからだ」と書いた。
 こうした動きを見て小躍りしたのが中国だ。左派政治家たちの反米・反日政策を後押しし始めた。THAADの配備中断が当面の狙いだが、在韓米軍撤収や米韓同盟の廃棄も射程に収める(「中国が操る韓国大統領レース」参照)。
韓国を「損切り」
 2017年1月20日には米国にトランプ(Donald Trump)政権が誕生する。発足前から中国に対する強腰の姿勢を見せる同政権は、朝鮮半島でも「白黒をはっきりさせる政策」を打ち出すと見られる。
 朴政権は「米中二股外交」を採用した。中国が台頭し米国からアジアの覇権を奪う時に備えた。オバマ(Barack Obama)政権は韓国の露骨な動きに苦笑しながらも、忍耐強く自分の側に引き戻そうとした。
 しかし辣腕の実業家、トランプ氏はそんな穏健な手は使わないだろう。韓国が米中を天秤にかけた瞬間に「どうぞ、中国側にお行き下さい」と言いかねない。
 トランプ政権で国家安全保障問題担当補佐官に就任する予定のフリン(Michael Flynn)元陸軍中将は2016年12月、訪米した韓国の外交部と国防部の高官に「米軍とTHAADの(韓国への)配備は、韓米同盟次元の正しい決定であり、韓米同盟の堅固さを象徴するものだ」と語った(「中国が操る韓国大統領レース」参照)。
 「韓国がTHAADなど拒否するなら、いつでも同盟を打ち切るぞ」との威嚇である。「朝鮮戦争を共に戦った血盟関係にある米国はわがままを聞いてくれる」という甘えは、もう通用しない。
 太平洋戦争が終わった時、米国にとって韓国は防衛線の外側の国だった。朝鮮戦争でたまたま面倒を見ることになった地域に過ぎない。というのに韓国は甘え続けてきた。優れたビジネスマンが「損切り」に出ても決して不思議ではない。
奇襲か妥協か
 トランプ政権は北朝鮮の核問題の解決に早急に動く気配だ。5回目の核実験(2016年9月9日)以降、米国の安保専門家は大声で「北の核・ミサイル施設への奇襲攻撃」を語り始めた(「米国が北朝鮮を先制攻撃する日、韓国と日本は?」参照)。
●北朝鮮の核実験
回数 実施日 規模
1回目 2006年10月9日 M4.2
2回目 2009年5月25日 M4.7
3回目 2013年2月12日 M5.1
4回目 2016年1月6日 M5.1
5回目 2016年9月9日 M5.3
(注)数字は実験によって起きた地震の規模。米地質研究所の発表による。
 奇襲攻撃により北朝鮮の核が除去された場合、韓国の左派政権は米韓同盟の破棄に動く可能性がある。主敵の脅威が減じた以上、中国との関係を悪化させる米韓同盟は邪魔になるからだ。
 一方、米国が電撃的に北朝鮮と妥協すると予測する向きもある。北が核・ミサイル開発を凍結すれば、見返りに平和条約を結ぶ、との構想だ。在韓米軍の撤収――さらには米韓同盟廃棄の呼び水となる。韓国に左派政権が誕生すれば、その可能性がぐんと増す。
 米韓同盟が消滅すれば日本は盾を失い、直接、大陸と向き合うことになる。日本にとって「凶」だ。
「離米」すれば中国側に
 日本はどう動くか。「トランプの米国」が韓国を見捨てるのを食い止めるのは難しい。結局、「韓国の見捨て方」の中で「日本にとって最も有利な形」へと誘導することになろう。まず、国際関係の激変を利用して、北朝鮮から拉致被害者を取り返す必要がある。
 もし日本に戦略家がいるなら、朝鮮半島全体の法的な中立化を目指すに違いない。放っておけば、米国から離れた韓国が中国に引き寄せられるのは確実だ。経済的な依存と軍事上の位置、そして長らく中国大陸の王朝に冊封していた歴史からである。
 米国から離れた韓国の港湾は中国海軍の根拠地となり、日本の安全を脅かすことになる。北朝鮮の港を含め朝鮮半島にはどこの国の軍艦も出入りできないようにするなど、歯止めが必要だ。
 もちろん「法的な中立化」が長続きするかは分からない。朝鮮半島の内部は常に不安定だ。そこに住む人々は周辺大国の力を借りて身内の敵に勝とうとしてきた。「法的な中立化」は一時しのぎの「中吉」に終わるかもしれない。ただ、半島全体が完全に中国化する「凶」よりはまだましなのだ。
※近未来小説『朝鮮半島201Z年』(2010年刊)は韓国の「離米従中」と朝鮮半島の中立化を予想した。
大好評シリーズ最新刊 好評発売中!
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『孤立する韓国、「核武装」に走る』

■「朝鮮半島の2つの核」に備えよ
北朝鮮の強引な核開発に危機感を募らせる韓国。
米国が求め続けた「THAAD配備」をようやく受け入れたが、中国の強硬な反対が続く中、実現に至るか予断を許さない。
もはや「二股外交」の失敗が明らかとなった韓国は米中の狭間で孤立感を深める。
「北の核」が現実化する中、目論むのは「自前の核」だ。
目前の朝鮮半島に「2つの核」が生じようとする今、日本にはその覚悟と具体的な対応が求められている。
◆本書オリジナル「朝鮮半島を巡る各国の動き」年表を収録
『中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』『「中国の尻馬」にしがみつく韓国』『米中抗争の「捨て駒」にされる韓国』 に続く待望のシリーズ第9弾。10月25日発行。


このコラムについて
早読み 深読み 朝鮮半島
朝鮮半島情勢を軸に、アジアのこれからを読み解いていくコラム。著者は日本経済新聞の編集委員。朝鮮半島の将来を予測したシナリオ的小説『朝鮮半島201Z年』を刊行している。その中で登場人物に「しかし今、韓国研究は面白いでしょう。中国が軸となってモノゴトが動くようになったので、皆、中国をカバーしたがる。だけど、日本の風上にある韓国を観察することで“中国台風”の進路や強さ、被害をいち早く予想できる」と語らせている。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/122000084


http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/622.html

[不安と不健康18] 休日の「寝だめ」に効果はあるのか?「寝だめ」習慣が長く続けば続くほど、眠さを自覚しにくくなるという By ANN LU
休日の「寝だめ」に効果はあるのか?「寝だめ」習慣が長く続けば続くほど、眠さを自覚しにくくなるという

By ANN LUKITS
2017 年 1 月 2 日 12:56 JST

 休日に「寝だめ」をしたところで、平日の睡眠不足を補うことはできない。ただ、その習慣を断ち切るのは、ことのほか難しい場合がある。

 学術誌「Brain, Behavior, and Immunity(脳、行動と免疫)」に最近掲載された調査論文によると、「寝だめ」習慣が長く続けば続くほど、眠さを自覚しにくくなり、日常作業にいつも以上の努力が必要になっていることにも気付きにくくなる。結果的に、不健康な習慣を改めようという動機も失われがちになるのだという。

 この調査は、米ボストンにあるベス・イスラエル・ディーコネス・メディカルセンターで行われた。被験者となったのは、普段は1日8時間の睡眠を取っている18歳から35歳の男女14人。同メディカルセンターに25日間寝泊まりする調査を数カ月の間隔を空けて2回行った。

 1回目の25日間では、被験者は平日に午前3時から7時までの4時間、週末に8時間の睡眠を取った。2回目は毎晩8時間眠れるようにした。

 その結果、以下のことが明らかになった。ストレスホルモンと言われる「コルチゾール」の体内分泌レベルを調べたところ、平日に4時間睡眠を続けた1回目の25日間では数値は上昇し続け、8時間睡眠の週末2日を挟んでも数値は戻らなかった。血液検査で計測した炎症活動を示す2つの指標も同様のパターンになった。

 一方で、眠さについての主観的な点数は、4時間睡眠の平日の間は大幅に上がったが、週末には通常のレベルにほぼ戻った。そして、この眠さ点数は週を追うごとに漸進的に下がっていったという。

 つまり、生理的ストレスのレベルは週末2日を挟んでも戻らなかったにもかかわらず、被験者が眠さを感じることに慣れていったことを示唆している。

 同調査はあくまでも少人数を対象に、病院内の管理された環境で行われた点を研究者らは注記している。

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http://jp.wsj.com/articles/SB10360066863882994293204582527670569140552
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/283.html

[国際17] トランプ氏、米情報機関の再編と規模縮小を計画=関係筋 国家情報長官室の改革を計画しているトランプ氏 
トランプ氏、米情報機関の再編と規模縮小を計画=関係筋

https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-RM308_TRUMPI_M_20170104132354.jpg
国家情報長官室の改革を計画しているトランプ氏

By DAMIAN PALETTA AND JULIAN E. BARNES
2017 年 1 月 5 日 11:02 JST 更新

 【ワシントン】 米情報機関に対し批判的なドナルド・トランプ次期大統領は、情報機関を統括する国家情報長官室(ODNI)の再編と規模縮小などに関する計画について政策顧問らと協議している。事情に詳しい関係者が明らかにした。ODNIについては肥大化し政治化しているとの見方が背景にあるとみられる。

 米情報機関は先にロシアが米大統領選でトランプ氏に勝利させるため、民主党の組織や個人のメールをハッキングしてウィキリークスなどに流していたと分析。トランプ氏はこの分析について、数か月前からさらにここ数日にかけソーシャルメディアなどで「ばかげている」と述べ、米情報機関に対し批判を強めていた。

 また、トランプ氏の計画に詳しい関係者の一人によると、政策顧問らは中央情報局(CIA)の再編にも動いており、バージニア州にあるCIA本部職員の削減や世界各地の現場にさらに多くの人員を押し出す見込みだという。CIAはこの計画についてコメントを控えた。

 トランプ氏の政権移行運営に深く関わっているこの関係者は、「情報当局の世界は完全に政治に染まり始めているというのが、トランプ・チームの見解だ。それらは全てスリム化される必要がある。焦点となるのは機関の再編と相互作用のあり方だ」と話した。

 短文投稿サイトのツイッターに4日投稿されたコメントで、トランプ氏はウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ氏がFOXニュースと行ったインタビューに言及。そこでアサンジ氏は、複数の民主党員とヒラリー・クリントン前国務長官の政策顧問から盗まれた数千通の電子メールについて、ロシアから流出したものではないと語っている。アサンジ氏が公開した流出メールの中には大統領選でクリントン陣営の責任者を務めたジョン・ポデスタ氏のものも含まれている。

 トランプ氏は「ジュリアン・アサンジ氏は『14歳の人物がポデスタ氏をハッキングした可能性がある』と述べた。なぜ民主党全国委員会(DNC)はここまで不注意になれたのだろう。また、ロシア人(ハッカー)も彼(アサンジ氏)に情報を渡していないと話している」とツイートした。

ハッシュタグ外交
大統領選以降、トランプ氏がツイートした回数と内容。赤い丸はロシアについての内容を示す

https://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CN085_TRUMPI_9U_20170104182414.jpg

 昨年11月の大統領選以降、トランプ氏は250件近くのコメントをツイッターに投稿してきた。このうち11件がロシア、あるいは大統領選に絡むサイバー攻撃に焦点を当てたものだ。

 これらは北朝鮮や中国など他の懸案や国についての投稿と好対照を成している。これらの地域に対してトランプ氏が持つ国家安全保障リスクの見解は、米情報機関の見解により近い。

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http://jp.wsj.com/articles/SB10175227258939934692904582539753709377214
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/142.html

[アジア21] (社説)サムスンと韓国政界の根深い闇 雪だるま式のスキャンダルに揺れる巨大財閥が進むべき道 ソウル南部にあるサムスン本社
【社説】サムスンと韓国政界の根深い闇
雪だるま式のスキャンダルに揺れる巨大財閥が進むべき道
ソウル南部にあるサムスン本社 ENLARGE
ソウル南部にあるサムスン本社 PHOTO: EUROPEAN PRESSPHOTO AGENCY
2017 年 1 月 5 日 11:23 JST

 韓国最大の財閥サムスングループは2015年、少数株主の意向を無視し、80億ドル(約9380億円)を費やしてグループ内2社(サムスン物産と第一毛織)の合併を行った。その際、ウォール・ストリート・ジャーナルは社説で、同社の韓国流縁故主義を批判し、企業統治体制の甘さを取り上げ、合併が海外投資家に対するバイアスに満ちた判断であると指摘した。しかし実際の問題はさらに深く根を張っていた。

 韓国の検察当局はサムスンの合併案に賛成するよう違法な指示を出したとして、国民年金公団のトップである文亨杓(ムン・ヒョンピョ)氏を逮捕した。サムスン物産の最大株主だった国民年金公団は、本来ならば議決権行使助言会社の助言に従って合併を阻止できる立場にいた。しかし、独立諮問委員会の招集を拒否して合併に賛成票を投じ、結果的に株主や年金受給者に数十億ドルの損害を与え、李健煕(イ・ゴンヒ)氏が率いる一族の経営支配強化の手助けをした。

 国民年金公団は少数株主や合併に果敢に反対した米ヘッジファンドのエリオット・マネジメントなど海外投資家の利益よりも、国内最大のコングロマリットの肩を持つ道を選んだのだ。しかし文氏のニュースで最も驚かされるのは、この逮捕が他の案件とも複雑に絡まっていることだ。文氏の逮捕は韓国政治を機能不全に追いやり、朴槿恵大統領の弾劾心理にもつながった国政介入スキャンダルとも関連している。

 政界を揺るがすこのスキャンダルの中心にいるのは、長年にわたり朴氏の腹心として活動してきた崔順実(チェ・スンシル)被告。同被告は大企業に資金拠出を強要し、自身が政府の支援を受けて設立した文化財団に総額7000万ドルを寄付させ、資金の一部を私的に流用したとされている。検察は昨年11月、朴大統領も崔被告と共謀関係にあったと判断。現在は文氏が崔氏の意向を受けてサムスンに協力したのかどうかを捜査している。

 国民年金公団が合併に賛成票を投じた数週間後、サムスンは崔被告が運営する財団に1700万ドルを寄付し、崔被告がドイツで運営するスポーツマネジメント企業とも1800万ドルの契約を結んだ。ドイツで馬術選手としてトレーニングを受けていた崔被告の娘が、83万ドルで購入されたサラブレッドに乗っていたことも国民の感情をさかなでした。支持率が5%を切っている朴大統領の弾劾訴追は現在憲法裁判所が審理を行っている。

 サムスンはこれらの寄付について、いかなる見返りも期待したものではなかったとしている。しかし国民の間では以前から、韓国の大手財閥は政府からさまざまな見返りを受けるために資金提供を行っているとの不満が募っている。朴大統領を含む政治家らは「経済民主化」を掲げているが、財閥は今も資本調達や税制の面などで優遇され、司法の追求も甘く、大統領によって恩赦されることも少なくない。

 その結果として企業間の競争は弱まり、消費者は値上げに直面し、イノベーションや起業家精神の欠如にもつながる。また国内外投資家は財閥が独占する韓国経済の企業統治や不透明さに不信や懸念を持つため、年金基金が保有する株式は大幅な「韓国ディスカウント」で取引されることにもなる。

 雪だるま式に広がる今回のスキャンダルが、結果的に健全な改革につながれば韓国にとってプラスになるだろう。合併阻止には失敗したものの、エリオット・マネジメントはサムスン電子に投資し、取締役会に3人の外部メンバーを加えてガバナンス(企業統治)を改善するよう要求したことを明らかにした。またエリオットは米国株式市場への上場や特別配当の支払いなども促しているが、これらは第1段階としては正しい方向だろう。

 しかし今回の韓国におけるスキャンダルが政治の急進化につながり、李在明氏のように「革命的な変化」を約束する人物が大統領の座に就くことは危険だ。同氏は米国のバーニー・サンダース上院議員やフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領と比較されることが多く、韓国経済にとってはやっかいな存在になる。そのようなダメージを防ぐためにも、まずはサムスンと政界の不適切な関係の一掃が不可欠だろう。

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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjkmJLsm6vRAhXFn5QKHRZTD2AQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10150392616080993801604582539601238138774&usg=AFQjCNFhOBevbwIb8ysF8PvD5IAMq717GQ
http://www.asyura2.com/16/asia21/msg/860.html

[経世済民117] 緩みつつある中銀の呪縛 ユーロ圏のインフレ加速、乱高下の呼水 中国、金融引締―当局の対立 トランプ流、経済成長保証せず 

緩みつつある中銀の呪縛−市場の注目は景気動向へ

左から米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、英中銀イングランド銀行 PHOTO: STEPHEN VOSS FOR THE WALL STREET JOURNAL; KAI PFAFFENBACH/REUTERS; ANTHONY DEVLIN/PA WIRE/ZUMA PRESS

By
JON SINDREU
2017 年 1 月 5 日 15:38 JST
 中央銀行の政策が市場を左右する時代は終わりに向かい始めたのかもしれない。
 2017年には、金融政策の引き締めや経済ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)の改善が進み、市場は中銀の呪縛から解放される可能性がある。債券や株式などの資産市場ではここ数年間、中銀の動きに翻弄される相場展開が続いてきた。
 こうした変化は投資家の置かれた環境が大きく変わる前兆であり、投資家はすでにそれを見越してポジション調整を進めている。長期間にわたる超低金利政策や中銀の資産買い入れが債券や安全な株式の価格を押し上げてきた。投資家は現在、相場の鍵を握る要因として景気動向が中銀と肩を並べる時代が到来すると予想している。特に、これ以上金融緩和が拡大することはないとの見方が背景になっている。
 つまり、経済成長によって大きな恩恵を受ける高リスク資産の相場上昇が17年に入っても続くとみられる一方、債券やディフェンシブ株の売りは止まらないだろうということだ。
 アナリストらはまた、投資家はこれまでのように時間をかけて中銀関係者の発言の一語一句を分析することはしなくなり、今後は企業の利益や信用リスクへの注目を強めると予想している。
 UBSウェルス・マネジメントのエコノミスト、ディーン・ターナー氏は「われわれはファンダメンタルズの重要性が今までよりも少し高い世界に戻り始めている」と語った。

【上】株式のリターンは債券を上回った(基準値=07年)、【中】ディフェンシブ株との比較で見ると、景気敏感株は08年以来の高値にある、【下】株価収益率(緑:予想EPS、薄い緑:実績EPS)
https://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AT544A_CB201_16U_20170102083622.jpg

 金融危機以降、中銀は大規模な資産買い入れ政策を導入し、経済成長やインフレの押し上げに向けて金利を過去最低ないし場合によってはマイナス水準に維持してきた。欧州中央銀行(ECB)は目下、国債や社債を毎月800億ユーロ(約9兆7000億円)購入しており、英中銀イングランド銀行も社債と国債の買い入れを行っている。日本銀行は株式さえも買い入れの対象にしている。
 企業収益は金利が低いときの方が実際より魅力的に見える傾向がある。低金利が株価を押し上げることが多いためだ。ファクトセットによると、S&P500種指数構成企業の予想株価収益率(PER)は現在17倍で、ここ10年間の平均の14.4倍を上回る。足元のPERが高いのは低金利が一因だ。
 スイスのプライベートバンク、ユニオン・バンケール・プリベのファンドマネジャー、スコット・ミーヒ氏は「株式市場を動かす第一の要因は長らく企業収益ではなく債券相場だった」と述べた。
 だが、多くの投資家は今や中銀の刺激策は限界に達したとみている。ECBは2016年12月、買い入れ対象の債券が枯渇しつつあるとの懸念が広がる中、買い入れ策を延長する一方で17年4月以降の毎月の購入額を減額することを決定した。その翌週、米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、今後見込まれる利上げの回数が従来見通しよりも増えることを示唆した。
 投資家の間には、政府が不足分を補い、経済成長やインフレの押し上げに今よりも大きな役割を果たすようになるとの声もある。米国ではドナルド・トランプ次期大統領がインフラ支出拡大や金融規制緩和を公約に掲げている。コモディティー(国際商品)価格の上昇もインフレ期待を高める要因となってきた。
 インベスコの新興国経済調査部門責任者、アーナブ・ダス氏は「財政出動や規制緩和がすでに回復基調にある経済のてこ入れに寄与すれば、中銀、特にFRBは恐らく今までのようにハト派姿勢を続けることはできなくなるだろう」と述べた。
 昨年11月以降、MSCIワールド指数の構成銘柄のうち、景気敏感株が10%上昇したのに対し、景気動向の影響を受けにくいディフェンシブ株は4.6%しか上昇していない(金融危機以降の上昇率はディフェンシブ株の方が高い)。ディフェンシブ株との比較で見ると、景気敏感株の株価は現在、08年以来の高値にある。
 ユーロ圏の銀行株には、こうしたリスク志向の高まりが色濃く反映されている。16年の大半において売り込まれていた銀行株だが、ここ2カ月で大幅に上昇し、下落分の一部を取り戻した。
 一方、世界の債券はこの2カ月で5%下落している。10年物米国債利回りの4日終値は2.452%だった。
 だが問題は、17年に上昇が期待できるとして投資家が買いを膨らませている高リスク銘柄が、この動きを正当化するほど十分な利益を上げられるかどうかだ。S&P500種指数の17年利益見通しに基づく予想株価収益率(PER)は現在、過去最高水準にあり、15年末に下がっていたStoxx欧州600指数の予想PERも持ち直している。
 ブラックロックのファンドマネジャー、ナイジェル・ボルトン氏は「(企業)収益は世界中で改善傾向にある」とした上で、「いまが株式を買う絶好のタイミングだ」との見方を示した。
 米国の16年7-9月期国内総生産(GDP)は前期比年率換算で3.2%増加し、2年ぶりの高い伸びとなった。何年にもわたり成長低迷に悩まされてきたユーロ圏や日本に対する投資家の景気見通しはやや上向いている。中国についても16年のGDP成長率が7-9月期まで3四半期連続で6.7%と安定し、痛みを伴う経済破綻に至るのではないかとの懸念は和らいだ。
 JPモルガンの欧州金利チーフストラテジストのファビオ・バッシ氏は「中銀が手綱を緩めたのは事実だが、正当な理由があってのことだ」と述べた。
 とはいえ、リスクはまだ残っている。ここ数年、企業収益は予想を下回ることが多かった。そして、中銀の圧倒的な存在感はすぐには消えそうにない。過去に市場が中銀の一挙手一投足に注目する時代は終わった、との見方が覆されたこともあった。
 その上、大規模な財政出動は実現しないかもしれない。財政政策は、政府債務への懸念など政治的制約を受けることがよくあるからだ。
 アムンディ・アセット・マネジメントのアナリスト、ディディア・ボロウスキ氏は「リセッション(景気後退)入りの恐れがない中で、債務を財源とした大規模な景気てこ入れ策を期待すべきではない」と語った。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj-tMH7mKvRAhWClZQKHcVpAjQQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582540321428984932&usg=AFQjCNHXk2DWvoRecWfTePs7u8H6Tqxl0A


 

ユーロ圏のインフレ加速、乱高下の呼び水となるか
昨年12月のユーロ圏CPI上昇率は、石油が主なけん引役となり約3年ぶりの高水準となった(写真はドイツ・シーバスドルフの風力発電所)

By MIKE BIRD AND PAUL HANNON
2017 年 1 月 5 日 15:15 JST

 2016年12月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.1%上昇した。石油が主なけん引役となり、上昇率は約3年ぶり高水準となった。欧州中央銀行(ECB)にとっては勇気づけられる内容だが、長年、同行の刺激策で形成されてきた市場にとって大きな変化の予兆となる可能性がある。

 12月のCPI上昇率は依然、2%弱というECBのインフレ目標を下回るが11月の0.6%を大きく超えた。また、市場の一部指標は将来の物価上昇を示唆している。

 インフレ率はわずかな上昇でも市場に幅広い影響を及ぼし得るが、特にユーロ圏では顕著だろう。物価上昇はECBに前例のない金融刺激策の縮小を迫る可能性があるからだ。刺激策の影響はこの3年、欧州市場にあまねく広がっている。

 とりわけECBの債券購入プログラムは債券利回りを過去最低水準に押し下げる一方、欧州株を押し上げた。

 JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、マイク・ベル氏は「インフレ率がECB目標にますます近づき、上昇ペースが予想を上回りそうになれば、市場ではECBが相応のテーパリング(量的緩和の段階的縮小)を開始するとの臆測が強まるだろう。そうなれば債券利回り上昇の可能性があるのは明らかだ」と述べた。

 ユーロ圏のCPIは昨年5月に低下したが、それ以降は上昇が加速しており、ユーロ圏が長期デフレに陥る不安は和らいでいる。ECBは、今年4月から国債を中心とする債券買い入れ規模を月額800億ユーロから600億ユーロに引き下げると決めたのはインフレ率が回復しているためだと説明した。

 だが、ECBは同時に、同プログラムの期限を今年3月から12月末に延長した。

 ECBが慎重姿勢を取る主な理由は、総合インフレ率は持ち直しているものの、変動の大きいエネルギーや食品を除いたコアCPIが昨年12月に0.9%上昇と低水準にとどまっているためだ。

 ただ、インフレ期待を示す市場の指標は上向きつつある。

 ユーロ・インフレスワップの5年先スタート5年物フォワードレート(市場が予想する5年後から5年間の平均インフレ率)は昨年半ばに1.25%まで低下したが、今月4日、1.77%に達した。

 インフレ率の上昇は投資家のリターンをむしばむため、債券市場にとりわけ大きな打撃を与える。

 インフレ加速はすでに債券市場に織り込まれている。10年物ドイツ国債利回りは昨年、マイナス0.189%まで低下したが、今月4日、0.288%に上昇した。同期間に同期限の米国債利回りは1.356%から2.46%に上昇した。

 物価上昇へのECBの対応はユーロ圏で大きな鍵を握りそうだ。1月と3月の政策理事会での政策変更を予想するエコノミストはほぼいないが、その後のことは分からない。

 臆測が市場を乱高下させ、今後発表されるインフレ率が重要な指標となる可能性が高い。

 ECBが先月、債券購入プログラムの購入規模縮小と期限延長を発表した際の市場は、いつ乱高下してもおかしくない様子を見せた。投資家がこの措置をテーパリングと解釈し、ユーロと債券利回りが一時上昇したのだ。

 最近、ドイツのインフレ率が大幅に上昇していることで、状況は複雑になっている。ドイツの昨年12月のCPI上昇率は1.7%と、ECBの目標に近づいている。同国の政治家と中央銀行当局者は、ECBの債券購入プログラムに最も批判的だ。インフレ加速により、ドイツ当局者はECBに対し金融緩和策を縮小するよう圧力を強めるかもしれない。

 テーパリングは債券には逆風だが、銀行株など一部には追い風となる。銀行は短期資金を借り入れ長期融資を行っているため、長期金利上昇は通常、貸出事業の利益増加につながる。こうした思惑を背景にユーロ・ストックス銀行株指数はこの半年で50%近く上昇した。

 アナリストらは、インフレ率上昇は企業利益を押し上げるとみている。一部では、数年にわたる欧州の企業利益低迷は、世界的な低インフレが原因との見方もある。低インフレ下では企業が値上げしにくくなるからだ。

 バークレイズは先進国のインフレ率予想を2%としており、同社アナリストらは物価上昇が特に工業セクターや、自動車などの一般消費財メーカー、メディア企業の利益に多大な影響を与えると考えている。調査報告書では「われわれが正しければ、5年に及ぶ欧州の企業利益の低迷は過去のものとなるかもしれない」とした。

 インフレ率上昇はユーロにも影響を及ぼすだろう。

 利上げや投資家の利上げ観測はユーロ相場を後押しする。米国とユーロ圏の金利見通しの差が拡大したことで、ユーロの対米ドルレートは先ごろ、大幅に下落した。

 一方、物価の上昇ペースが予想を上回り、ECBが政策を変更しなかった場合、ユーロは下落する可能性がある。金利の上昇によって物価上昇分を補えなければ、リターンがむしばまれるからだ。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiz8sGDmavRAhVLpZQKHVBeD2EQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582540292546999830&usg=AFQjCNH5O5e7T8oJ1EY4fxCOHQ5BEyPg1g


 


ユーロ圏のインフレ加速、乱高下の呼び水となるか
昨年12月のユーロ圏CPI上昇率は、石油が主なけん引役となり約3年ぶりの高水準となった(写真はドイツ・シーバスドルフの風力発電所)

By MIKE BIRD AND PAUL HANNON
2017 年 1 月 5 日 15:15 JST

 2016年12月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.1%上昇した。石油が主なけん引役となり、上昇率は約3年ぶり高水準となった。欧州中央銀行(ECB)にとっては勇気づけられる内容だが、長年、同行の刺激策で形成されてきた市場にとって大きな変化の予兆となる可能性がある。

 12月のCPI上昇率は依然、2%弱というECBのインフレ目標を下回るが11月の0.6%を大きく超えた。また、市場の一部指標は将来の物価上昇を示唆している。

 インフレ率はわずかな上昇でも市場に幅広い影響を及ぼし得るが、特にユーロ圏では顕著だろう。物価上昇はECBに前例のない金融刺激策の縮小を迫る可能性があるからだ。刺激策の影響はこの3年、欧州市場にあまねく広がっている。

 とりわけECBの債券購入プログラムは債券利回りを過去最低水準に押し下げる一方、欧州株を押し上げた。

 JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、マイク・ベル氏は「インフレ率がECB目標にますます近づき、上昇ペースが予想を上回りそうになれば、市場ではECBが相応のテーパリング(量的緩和の段階的縮小)を開始するとの臆測が強まるだろう。そうなれば債券利回り上昇の可能性があるのは明らかだ」と述べた。

 ユーロ圏のCPIは昨年5月に低下したが、それ以降は上昇が加速しており、ユーロ圏が長期デフレに陥る不安は和らいでいる。ECBは、今年4月から国債を中心とする債券買い入れ規模を月額800億ユーロから600億ユーロに引き下げると決めたのはインフレ率が回復しているためだと説明した。

 だが、ECBは同時に、同プログラムの期限を今年3月から12月末に延長した。

 ECBが慎重姿勢を取る主な理由は、総合インフレ率は持ち直しているものの、変動の大きいエネルギーや食品を除いたコアCPIが昨年12月に0.9%上昇と低水準にとどまっているためだ。

 ただ、インフレ期待を示す市場の指標は上向きつつある。

 ユーロ・インフレスワップの5年先スタート5年物フォワードレート(市場が予想する5年後から5年間の平均インフレ率)は昨年半ばに1.25%まで低下したが、今月4日、1.77%に達した。

 インフレ率の上昇は投資家のリターンをむしばむため、債券市場にとりわけ大きな打撃を与える。

 インフレ加速はすでに債券市場に織り込まれている。10年物ドイツ国債利回りは昨年、マイナス0.189%まで低下したが、今月4日、0.288%に上昇した。同期間に同期限の米国債利回りは1.356%から2.46%に上昇した。

 物価上昇へのECBの対応はユーロ圏で大きな鍵を握りそうだ。1月と3月の政策理事会での政策変更を予想するエコノミストはほぼいないが、その後のことは分からない。

 臆測が市場を乱高下させ、今後発表されるインフレ率が重要な指標となる可能性が高い。

 ECBが先月、債券購入プログラムの購入規模縮小と期限延長を発表した際の市場は、いつ乱高下してもおかしくない様子を見せた。投資家がこの措置をテーパリングと解釈し、ユーロと債券利回りが一時上昇したのだ。

 最近、ドイツのインフレ率が大幅に上昇していることで、状況は複雑になっている。ドイツの昨年12月のCPI上昇率は1.7%と、ECBの目標に近づいている。同国の政治家と中央銀行当局者は、ECBの債券購入プログラムに最も批判的だ。インフレ加速により、ドイツ当局者はECBに対し金融緩和策を縮小するよう圧力を強めるかもしれない。

 テーパリングは債券には逆風だが、銀行株など一部には追い風となる。銀行は短期資金を借り入れ長期融資を行っているため、長期金利上昇は通常、貸出事業の利益増加につながる。こうした思惑を背景にユーロ・ストックス銀行株指数はこの半年で50%近く上昇した。

 アナリストらは、インフレ率上昇は企業利益を押し上げるとみている。一部では、数年にわたる欧州の企業利益低迷は、世界的な低インフレが原因との見方もある。低インフレ下では企業が値上げしにくくなるからだ。

 バークレイズは先進国のインフレ率予想を2%としており、同社アナリストらは物価上昇が特に工業セクターや、自動車などの一般消費財メーカー、メディア企業の利益に多大な影響を与えると考えている。調査報告書では「われわれが正しければ、5年に及ぶ欧州の企業利益の低迷は過去のものとなるかもしれない」とした。

 インフレ率上昇はユーロにも影響を及ぼすだろう。

 利上げや投資家の利上げ観測はユーロ相場を後押しする。米国とユーロ圏の金利見通しの差が拡大したことで、ユーロの対米ドルレートは先ごろ、大幅に下落した。

 一方、物価の上昇ペースが予想を上回り、ECBが政策を変更しなかった場合、ユーロは下落する可能性がある。金利の上昇によって物価上昇分を補えなければ、リターンがむしばまれるからだ。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiz8sGDmavRAhVLpZQKHVBeD2EQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582540292546999830&usg=AFQjCNH5O5e7T8oJ1EY4fxCOHQ5BEyPg1g


 

中国、金融政策スタンス引き締めの裏側―当局の対立
Bei中国人民銀行と中国銀行業監督管理委員会(CBRC)との意見相違が、ある銀行監督当局者の発言で浮き彫りとなった。写真はCBRCの建物

By CHAO DENG
2017 年 1 月 5 日 14:24 JST

 中国の最高指導部は、金融政策スタンスを2017年にやや引き締める考えを示唆している。だが、こうした見せ掛けの統一目標の裏では、さまざまな金融規制当局の間で長年にわたり緊張がくすぶり続けている。どんな政策が適切かについて、それぞれの当局に独自の考えがあるようだ。

 ある銀行監督当局者が最近行った発言は、中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行業監督管理委員会(CBRC)との間に見解の相違があることを物語っている。

 国営上海証券報の先週の報道によると、CBRCに所属する于学軍氏は、銀行の預金準備率を引き下げるべきだとし、引き下げ後は他の金融手段を用いて流動性を調整できるとの見解を示した。預金準備率の引き下げは銀行の融資拡大につながる。

 于氏は、中央銀行が一定の金利で銀行に期間物資金を貸し出すことに応じる中期貸出制度(MLF)などの手段について、準備率引き下げの前に使いすぎるべきではないと語った。

 だが、最近の中央経済工作会議では、党幹部らが今年の「穏健で中立的」な金融政策を呼び掛けた。アナリストらによると、前回声明の「緩和的」から変化したこの文言は、中銀が預金準備率の引き下げ、ましてや政策金利の引き下げは見送ることをほのめかしている。

 こうした言い回しに見られる食い違いは、規制当局ごとに優先課題が異なることに原因がある。銀行監督当局は、不良債権の急増と経済成長の減速に苦しめられている銀行に目配りしている。中央銀行は金融システム全般に気を配り、どこであれリスクが浮上すれば対応する。国内債券市場におけるデレバレッジ(負債圧縮)の促進から人民元安の阻止、資本逃避の防止に至るまでさまざまな対応だ。また、動きの鈍い国内規制団体の調整役を担うようにもなりつつある。

 銀行の預金準備率を引き下げれば、中国からの資本流出が加速する恐れがある。これはまさに指導部が避けたい事態だ。中銀が最後に預金準備率を引き下げたのは16年3月で、大手銀に適用される準備率を50ベーシスポイント(bp)下げて17%とした。それ以降は金融システムの資金供給を調整する上で、より柔軟な金融手段を続けている。そうした手段が銀行にとって高くつくにもかかわらずだ。

 UOBケイヒアンのエコノミスト、朱超平氏は、今年は預金準備率の引き下げではなく、「より細かい調整を行う手段を想定している」と述べた。当局は15年に利用開始した中期および短期の貸出制度を、借り入れコストを調整する正式な手段にしようとしているという。

 国営金融機関を監督するCBRCにおいて于氏の役割が比較的狭いことを考えると、同氏の見解にさほど影響力はないかもしれない。

 だが于氏の発言は、中国の規制当局間でさらなる協調が必要であることを物語っている。同じような政策の対立は、中央銀行と国家発展改革委員会(NDRC)の間でも表面化している。

 アナリストらによれば、昨年持ち上がった規制の一元化は残念ながら立ち消えとなっている。目下の中国が認めざるを得ないメッセージは、どんな犠牲を払ってでも安定を手に入れる、というものだろう。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiwqpm1mavRAhWDn5QKHRkgCr8QFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582540221267885372&usg=AFQjCNFVLr7ed5qfyCV23ejEFWQA65h9PQ

 


株高呼んだトランプ氏の流儀、経済成長を保証せず
トランプ相場で上昇した企業の信頼感はいずれ、結果によって実証されなければならない
ニューヨーク証券取引所のトレーダー

By GREG IP
2017 年 1 月 5 日 13:03 JST

――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

***

 ドナルド・トランプ氏の米大統領当選以降に株式が急騰したのを受けて、企業と投資家の信頼感が上昇し、過去8年間続いている低成長軌道から近く脱するとの見通しが強まっている。

 約1600億ドル(約19兆円)の資産を運用する巨大ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツのレイ・ダリオ会長は昨年12月、介入主義的なバラク・オバマ大統領から親ビジネス姿勢のトランプ氏への政権シフトは、どんな税政策あるいは財政支出政策よりも成長に寄与するかもしれないとの見方を示した。

 ダリオ会長は「次期政権は、軟弱で非生産的な社会主義的人間や政策を嫌っており、強くて意欲的な利益創出者を称えている」と記した。来たるべき政権シフトは「多分、1979−82年に英国、米国、そしてドイツで生じた社会主義者から資本家への政権シフト、つまりマーガレット・サッチャー、ロナルド・レーガン、そしてヘルムート・コールの登場よりもはるかに著しい影響をもたらすだろう」という。

 ダリオ氏は正しいのだろうか? 米企業の設備投資計画は実際にはまだ回復していないが、増加しそうな気配はある。製造活動の一つの指標(ISM製造業景気指数)は昨年12月に2年ぶりの高水準を記録した。

アベノミクスの蹉跌

 信頼感というのは強力な追い風になり得る。とりわけ市場にとってはそうだ。経済学者ジョン・メイナード・ケインズは1936年、将来の定量的評価よりもむしろ「アニマルスピリット、つまり行動への自発的な衝動」に基づいて個人は行動すると説いた。2年後にケインズは時のフランクリン・ルーズベルト米大統領のビジネス蔑視姿勢をやんわりと警告した。「もし彼らを、無愛想で頑なで怯えた気分に追いやるならば(飼い慣らされたアニマルも手荒な扱いを受ければそんな気分になり得るのだ)、・・・最終的には世論が自ら進む方向を転換するだろう」

 ただ最終的には、そうした信頼感は結果によって実証されなければならない。日本では2012年、安倍晋三氏が総選挙の地滑り的勝利で首相に返り咲き、それに伴って株価は急騰した。だが実体経済は追随しなかった。ヘッジファンドマネジャーのスティーブン・ジェン氏は先月、「強い政策措置を講じるという安倍氏の『意欲』だけで十分、持続的で大幅な株価急騰の原動力となった」と書いた。その上で「安倍氏の成功への『能力』をめぐる疑問は、2年後になってようやく妥当な問い掛けになった」と付け加えた。

 オバマ大統領はルーズベルトとは違い、ビジネスへの憎しみを決して良しとしなかった。だが、オバマ氏の行動がレッセフェール(自由放任主義)的な資本主義への不信を表していたのは確かだ。例えば、金融、医療、エネルギーへの規制を大幅に強化したし、企業の不正行為に過去最高の罰金を科した。

ビジネス界での経験年数

 ダリオ氏は、ジョン・F・ケネディ以来の歴代大統領(トランプ次期大統領を含む)について、それぞれの政権の高官トップ8人(大統領ないし次期大統領自身を含む)のビジネス界での累積経験年数を集計した。その結果、オバマ政権はビジネス経験が最も乏しかった一方、トランプ次期政権は最も多くなることが分かった。政府と軍隊の経験を加算すると、トランプ期政権の経験年数はジョージ・W・ブッシュ前政権に後れをとっているだけだ。

 しかし、このことは経済がどこに向かうかは一切語っていない。国民1人当たりの経済成長率はケネディ政権時代が最大だった。歴代の民主党政権はビジネス経験が乏しかったが、第2位はクリントン政権が共和党のレーガン政権と同率で並んだ。成長率が最も低かったのはブッシュ父子2代の政権だが、両政権は最もビジネス経験が長かった高官を擁していた。このことは、その他の事情、例えば人口動態上の特性、生産性、そして連邦準備制度理事会(FRB)の政策が、政権高官のビジネス上の資質以上に重要なことを物語っている。

 また、ビジネスリーダーが自らの経験を政治でどう応用するのかも重要だ。個々の企業にとって良いことが国全体にとっては良くないこともあるからだ。トランプ氏が商務長官に指名したウィルバー・ロス氏が2002年に買収した複数の破産鉄鋼会社は関税引き上げの恩恵を受けたが、鉄鋼を原料として消費していた何千もの企業は敗れ去った。石油大手エクソンモービル最高経営責任者(CEO)のレックス・ティラーソン氏は、クリミアを併合したロシアに対する西側制裁措置に反対し、株主たちに貢献した。だが、制裁反対が米国に寄与したかどうかはいささか疑問が残る。トランプ氏は自らのビジネスで、貸し手やサプライヤーに負った債務よりも借金返済額のほうが少ないのが常だった。

 それは恐らく、連邦政府にとって良いモデルではないだろう。

フーバー大統領の教訓

 指導者のビジョンと判断にとって重要なのは、それがどこで獲得されたかではない。マーガレット・サッチャーとロナルド・レーガンは、自らの世界観を経済学者のフリードリヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンに負っており、それはどんなビジネス上の経験よりも大きかった。2人は、ビジネス界の多くが厳しい金融政策を終わらせるよう懇願したにもかかわらず自らの政策に固執してインフレ高進を封じ、それによって強力なブル・マーケット(強気市場)の土台を築いた。

 有能なビジネス経験者たちが政権に役立つであろうことは確かだ。ジョージ・シュルツは大手エンジニアリング会社ベクテルを経営していたし、ロバート・ルービンは投資銀行大手ゴールドマン・サックス・グループのCEOだった。彼らはそれぞれレーガン政権の国務長官、クリントン政権の財務長官として極めて高い能力を発揮した。それは2人がビジネスと政権の双方に持ち込んだ判断力のたまものだった。

 他方で、ハーバート・フーバー以上に良いビジネス経験を持って政権を担った大統領はほとんどいない。フーバーは鉱業で財をなした後、戦争救済(第1次世界大戦中と戦後の欧州救済)の中心人物として、そして1920年代には商務長官として評判を築いた。1928年に大統領に当選すると、株式市場が急騰した。それはトランプ相場に匹敵するものだった。

 それでもフーバーは大恐慌を阻止できなかった。その一因は、政府の介入が必要だった諸問題に対し、純粋に民間部門の解決法を追求したことだった。

 トランプ相場がフーバー時代の株価急騰よりハッピーエンドで終わるようにするには、トランプ氏はビジネス経験者以外からも経済上の助言を求めるようにすべきだ。

筆者の過去のコラム

FRB議長とトランプ氏、ひとまず意気投合
米国経済の真の問題:イノベーション停滞
米大統領が経済の重力に逆らうとき
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiymur-mqvRAhWDlZQKHdXKD3AQFggdMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10150392616080993801604582540093845673760&usg=AFQjCNFvkrtgCHldSJaMq8KoJf3BGEyWhw


 

http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/492.html

[経世済民117] 韓国、通貨危機以来の低成長予測 「世界中の留学生の4人に1人」中国人「国内で大学院」 「希少性」にこだわる合理的な奴ら
韓国、通貨危機以来の低成長予測

日本と韓国の交差点

朴スキャンダルとトランプ政権が不確実性高める
2017年1月6日(金)
趙 章恩

特別検事の捜査に連行されるチェ・スンシル氏(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
 2017年、韓国は「人口オーナス」元年を迎えた。人口オーナスとは、15〜64歳までの生産年齢人口が減少する一方、扶養すべき高年齢人口が増加して経済的負担が大きくなることをいう。韓国は2017年からついに生産人口が減少する。

 複数の韓国メディアが、人口オーナスの先輩と言える日本の事例を新年特集として紹介。シャッター街と化した地方都市や、高齢化にビジネスチャンスを見出したコンビニの食材配達サービスなどを取り上げた。韓国はどうすればいいのか日本から学ぼうという動きが出ている。

 韓国では、生産人口が減少すれば消費が落ち込み、長期不況に陥るとみられている。韓国の企画財政部(韓国の「部」は日本の「省」に当たる)は、2017年韓国の実質経済成長率を2.6%と展望した。同部が経済成長率を2%台と展望したのは、1999年に外貨危機が起きて以来のこと。従来は経済成長を楽観視し3%台の数字を出す傾向があったが、2017年度については「不確実性」を理由に低い数値を打ち出した。ちなみにOECDは2.6%、韓国の民間研究所は2.3%前後と予想している。

米国の保護主義と利上げを不安視

 企画財政部は、米国の動きが波乱要因になるとみている。トランプ政権が保護貿易主義を強めて韓米FTAに影響を与え、関税を厳しくする事態などが発生すれば、輸出に大きく依存する韓国経済は大きな打撃を受けるしかない、というわけだ。

 企画財政部は米国の利上げが及ぼす影響も懸念している。米国が金利を上げれば韓国銀行(中央銀行)も追随する。金利が上がれば韓国の自営業者は大きな打撃を受ける。韓国の自営業者は平均して、年間所得の3.5倍に達する借金を抱えている(韓国銀行調べ、2016年9月時点)。OECDの統計によると韓国の自営業者は全勤労者の27.4%を占める。この値は世界4位(2013年調べ)で、OECD平均の15.8%よりかなり高い。

 不確実性に備える措置として通貨スワップがある。地上波放送KBSニュースは1月2日、韓日通貨スワップ協定を再締結する交渉が中断することなく続いていると報道した。ユ・イルホ経済副総理は、「通貨スワップとは不確実性を減らすために締結するもの。韓国政府として色々な国と締結したい」と発言した。

経営の壁は「政治・社会の不安」との回答が最多

 しかし何よりも大きな不確実性は国内の政治だろう。朴槿恵大統領の友人チェ・スンシル氏の国政介入と朴大統領の収賄疑惑について、特別検事による捜査が続いている。憲法裁判所が弾劾を認めれば、2017年に大統領選挙が実施される。大統領が変われば、すべての政策が切り替わる。

 韓国経営者総会が259社の代表取締役を対象にアンケート調査を実施したところ、経営の壁になるのは「政治・社会の不安」との回答が24.6%と最も多かった。これに以下の回答が続いた――「民間の消費不振」21.1%、「企業の投資心理萎縮」14.6%、「世界の保護貿易強化」12.9%、「中国の経済成長鈍化」12.3%、「米国の金利引き上げ」4.7%、「過度な規制」3.5%、「労使関係の不安」2.3%。経済成長率は、企画財政部より厳しく2.3%と展望している。

 また、回答者の49.5%が「(2017年は)緊縮経営をする」とし、「人員リストラ(人員減縮、賃金調整)」32.7%、「原価節減」22.1%、「事業部門リストラ」17.3%を実施する可能性を指摘した。

大企業も特別検事の捜査対象に

 韓国の大手企業も、朴大統領スキャンダルと無縁ではない。韓国版経団連の全国経済人連合会が、政治と経済の癒着窓口になっていたという疑惑をめぐって、特別検事が進める捜査の対象になっている。

 全国経済人連合会は、サムスングループの創設者であるイ・ビョンチョル前会長をはじめとする企業家13人が1961年に集まり、企業を代弁する団体として発足した。2016年時点の会員数は約600社。

 特別検事は、同連合会のイ・スンチョル副会長をチェ・スンシル氏を巡る裁判の証人として立たせることを決めた。チェ・スンシル氏が関与するミル財団およびKスポーツ財団と、財閥大手企業をつなぐ窓口役を果たしたとの疑いだ。

 全国経済人連合会の会員である大手企業は、チェ氏に強要されて仕方なく資金を提供した被害者とみられていたが、実は、朴大統領への橋渡しなど便宜を図ってもらうべく、全国経済人連合会を通じてチェ氏に資金を提供していた疑惑がある。

 こうした中、昨年の12月27日、LGグループが全国経済人連合会から脱会すると発表した。続いて、最大手通信キャリアのKTも脱会。SKグループもチェ・テウォン会長が脱会を宣言した。サムスングループも脱会する見込みである。現代自動車は、脱会はしないものの会費は払わないと発表した。銀行や会計事務所の脱会も続いている。全国経済人連合会から脱会することで、「クリーンな企業」とのイメージを挽回する狙いなのだろうか。

 全国経済人連合会の会長を務めるホ・チャンスGSグループ会長は2016年末、会員企業に向けて謝罪の手紙を送付した。「目まぐるしく変わる時代のニーズと国民の期待を満たすことができず、会員の皆様にご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます」。

 同連合会の年間会費収入は約492億ウォンで、そのうち7割を4大財閥――サムスン、LG、SK、現代自動車――が占める。4大財閥からの会費がなくなれば、団体の存続が難しくなる。信頼を失った以上、韓国経済のご意見番といった役割も果たすことはできない。

 50年以上続いた全国経済人連合会の衰退もまた、韓国の経済に影響を与えるだろう。財閥大手企業の利益を守るべく活動する団体の力が弱まり、財閥中心の経済構造が変われば、ベンチャーやスタートアップがよりビジネスしやすくなると考えられる。野党は「権力者を代弁する団体、政権の集金窓口に堕した全国経済人連合会を解体せよ」と主張している。

サムスンのために国民年金を犠牲にした疑い

 特別検事は、サムスングループがチェ氏経由で朴大統領に接触し、サムスン電子の大手株主である国民年金がサムスングループ会社の合併に賛成するよう要請したとも疑っている。同グループは、イ・ジェヨン サムスン電子副会長が経営権を承継するために、グループ会社の合併を必要としていた。全国経済人連合会からの募金とは別に、サムスングループとしてさらなる資金をチェ氏に提供したとみられている。国民年金は合併に賛成することで、5865億ウォン(財閥ドットコムの試算による)の損害を被った。

 朴大統領には、国民が国民年金に貯めたお金(国民年金)をサムスンのために犠牲にしたという疑いが持たれている。同大統領は2017年1月1日午後、記者団を集めた新年会で、「サムスンを支援するよう国民年金に指示したことはない。特別検事の言いがかりにすぎない」と否定した。

 特別検事の捜査に続き、朴大統領をめぐる弾劾裁判と、チェ氏の国政関与と朴大統領の収賄に関する裁判が1月5日から本格的に始まる。


このコラムについて

日本と韓国の交差点
 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/215834/010400055/


 


 

「世界中の留学生の4人に1人」を占める中国人

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

8割が帰国も国内評価は低下、「再出国」希望が68%に
2017年1月6日(金)
北村 豊
 飲食店やコンビニなど、日本の至る所でアルバイトに励む中国人留学生を目にする機会はすこぶる多い。独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が2016年3月に発表した『平成27年度外国人留学生在籍状況調査結果』によれば、2015年(平成27年)に日本に滞在した外国人留学生の総数が20万8379人であるのに対して、中国人留学生は9万4111人で、実に全体の45.2%を占め、国別で第1位となっている。第2位のベトナム人留学生が3万8882人で18.2%であるから、中国人留学生の多さは突出している。

中国人留学生126万人、私費が9割

 12月12日に“中国社会科学院文献出版社”から出版された『中国留学発展報告(2016)』によれば、2015年に中国は海外留学生が最も多い国になったという。同書は“中国与全球化智庫(中国グローバル化研究センター、略称:CCG)”が、2015年における中国の海外留学の動向を研究した結果を取りまとめた報告書である。報告書の要点は以下の通り。

【1】2015年における中国の海外留学生は126万人で、全世界の海外留学生総数の25%を占めた。これは、世界中の海外留学生の4人に1人が中国からの留学生であることを意味する。一方、2015年における中国で留学中の海外留学生は39.76万人で、全世界の海外留学生総数の8%を占めた。また、2015年に米国に留学中の海外留学生は120万人で、全世界の海外留学生総数の24%を占めた。2014年から2015年の修学期間中に米国から海外へ留学した学生は32万人前後で世界の海外留学生総数の6%を占めた。

【2】2015年までのところ、中国は米国、カナダ、オーストラリアなど英語圏の諸国にとって留学生の最大供給源であると同時に、日本、韓国、シンガポールなどの中国語文化圏の諸国にとっても留学生の最大供給源である。統計によれば、中国の留学生が米国とカナダ両国の留学生総数に占める比率は30%を超えている。

【3】日本、韓国、シンガポールを代表とする中国語の影響を受けている諸国においても、中国の留学生は留学生総数の最多を占めている。韓国を例に挙げると、2015年において韓国に留学している中国の留学生は留学生総数の62%を占めている。

【4】留学費用を誰が負担しているかという観点から見ると、2015年における中国の国家および機関・団体から派遣された公費留学生が4.19万人であるのに対して、私費留学生は48.18万人に上り、私費留学の比率は92%に達している。私費留学の比率は、2001年から常に89%以上を維持しており、最近5年間ではずっと92%を保っている。これは中国において留学がますます一般的なものとなり、庶民でも留学が可能になったことを意味している。

 2016年3月16日付で中国政府“教育部”が発表した「2015年中国の海外留学生状況」には以下の内容が記されている。

留学生は年々増加、約8割が帰国

(1)2015年に中国から出国した留学生の総数は52.37万人であり、その内訳は、国家による公費留学生:2.59万人、機関・団体による公費留学生:1.60万人、私費留学生:48.18万人であった。一方、2015年に各種の海外留学から帰国した人の総数は40.91万人であり、その内訳は、国家による公費留学生:2.11万人、機関・団体による公費留学生:1.42万人、私費留学生:37.38万人であった。

(2)2015年と2014年の統計データを比較すると、中国から出国した留学生と海外留学から帰国した人の数は共に増加している。出国した留学生の人数は6.39万人増加し、13.9%増大した。海外留学から帰国した人は4.43万人増加し、12.1%増大した。出国した留学生数と海外留学から帰国した人の数は年を追うごとに増大を続けており、両者の差は徐々に縮小している。年間の出国留学生:帰国者の比率は、2006年の3.15:1から2015年の1.28:1へと大幅に縮小している。

(3)1978年から2015年末まで期間における各種の出国留学生数の累計は404.21万人であった。その内、126.43万人は現在も海外で学習や研究を行っている。残りの277.78万人はすでに学業を終了しており、その内の221.86万人が帰国を選択したが、彼らの比率は79.87%に達している。

 上述した2つの資料から分かるのは、2015年時点で126万人の中国人の学生が世界各国に留学しており、毎年出国して海外留学する学生は増大を続けていること、さらに海外留学を終えて帰国する人数も同様に増大していることである。海外留学を終えた約280万人の内で帰国を選択した人が約222万人で、その比率は約80%に達している事実である。本来ならば留学先の国に残りたかった人々も、昨今の経済状況悪化により世界各国で就労ビザの取得が厳しくなっていることから、留学先の国に残留したくともかなわず、帰国を余儀なくされたことも帰国者の増大を促しているものと思われる。

 2016年3月に教育部が発表した『“中国留学回国就業藍皮書(中国留学帰国就業白書)”』には、海外留学した人の79.87%が帰国して就業することを選択したとして、彼ら“海帰”あるいは“海亀”<注1>と略称で呼ばれる“海外留学帰来人員(海外留学から帰った人)”の就業状況に関する調査結果がまとめられている。その要点は下記の通り。なお、海外留学帰国者を以下「海亀」と呼ぶ。

<注1>中国語の“帰”と“亀”は共に発音がguiであることから、海外留学帰国者を“海亀”と呼ぶようになった。海外留学帰国者のグループを“海亀族”と呼ぶこともある。

都市部での雇用厳しく、故郷に戻る人が増加

〔1〕4大都市である北京市、上海市、広東省の“広州市”および“深圳市”で雇用の吸引力が低下したことから、実家のある故郷へ戻って働きたいと考える海亀が徐々に増加している。

〔2〕博士号を持つ海亀の月給は主として5000元(約8万4000円)から1万元(約16万8000円)に集中しており、5割近い修士号を持つ海亀の月給は5000元に達していない。2013年に比べて、博士を除いて、海外の学士や修士を持ちながら月給が低い人の数は著しく増大しており、労働市場における海亀に対する評価は低下しつつある。

〔3〕2014年における海亀就業者の男女比率は女性が男性よりも高く、59.16%を占めた。また、学歴別では、修士および修士課程:80.70%、博士:9.49%、大学および専門学校:9.81%であった。

〔4〕専門別に見ると、博士号を持つグループの専門は、主として化学、“材料(建築・土木)”、経済学、電子および電気工学、機械工学、計算機である。これに対して、修士号および修士課程の学歴を持つグループの専門は、主として金融、会計、“工商管理(経営学)”、“国際商務(国際貿易)”、管理学である。大学および専門学校の学歴を持つグループの専門は、修士号および修士課程の学歴を持つグループに近く、主として“工商管理”、経済学、会計などである。

 教育部“留学服務中心回国処(留学サービスセンター帰国部)”の“副処長(副部長)”である“斉黙”によれば、海外留学生の帰国比率は上昇を続けているが、その主たる要因は中国国内の発展が吸引力を高めていることにあるという。女性の海亀が比較的多いのは、主として女性には海外での求職、戸籍、個人的な問題などの解決が相対的に困難であることに起因している。

 ところで、上記〔2〕に述べたように海外留学から帰国して中国国内で就職した海亀たちの月給の平均は、1万元に到達していないばかりか、5割近い修士が5000元に達していないという。かつて海外留学から帰国した海亀たちは貴重な人材として国内企業から引く手あまたの状態で、就職の条件として通常の給料の倍額が約束されたものだった。ところが、数年前から海外留学生が続々と帰国するようになったことから、海亀たちが職を求めて中国国内の人材市場に大挙して集まるようになった。2016年11月16日付で経済ウェブサイトの“財経網(ネット)”が報じたところによれば、上海市の某金融会社の“人力資源経理(人事課長)”である“張卓婭”は、「3〜4年前は求職の履歴書を100部受け取ると、そのうち5〜6部が海亀の履歴書だったが、今では100部中の20部が海亀の履歴書である」と述べている。

 2016年8月3日に上述の「中国グローバル化研究センター」と「北京海威時代教育コンサルティング」が共同で発表した『“2016中国海帰就業調査報告”』によれば、海亀820人(70%が女性、26〜35歳が主体)を対象とした調査では、60%超が目下は“基層員工(平社員)”であり、“高層管理人員(上級管理職)は4.7%、“基層管理人員(下級管理職)”は22.4%、“中層管理人員(中級管理職)”は11.2%であった。また、同報告によれば、調査対象者の収入は、5000元(約8万4000円)から1万元(約16万8000円)が46.9%を占め、1万5000元(約25万2000円)以上が11.3%、1万元から1万5000元が16.6%であり、残りの25.2%は5000元以下であった。

68%が“再帰海”を希望

 海亀たちが海外へ留学したのは、外国語の水準を高め、海外の大学や大学院で学ぶことにより博士号や修士号、学士号を取得して箔を付けると同時に、中国国内では習得できない専門性を身に付けるためであった。また、たとえ公費留学生であっても、あわよくば中国国内よりも高給が取れる海外で就職することを心密かに念願していたはずである。しかし、その願いがかなわぬまま帰国した後の現実は、国内の大学卒業生や博士、修士と比べて就職の待遇に大差がなかった。公費留学生は別として、私費留学生は一体何のために高額な費用を負担して海外へ留学したのかという失望感にさいなまれているのが実情である。

 文頭の述べた『中国留学発展報告(2016)』によれば、調査対象となった918人の海亀中の68%は“再帰海(再び海外へ戻る)”の願望を抱いているというが、その主たる理由は以下の通り。

 ・国内の環境汚染が深刻だから(37.8%)
 ・国内の給料が低すぎる(28.5%)
 ・満足行く仕事が見つからない(26%)
 ・食品安全の問題があるから(24.5%)
 ・子女に国内で教育を受けさせたくないから(24.5%)
 ・住宅価格が高くて買えないから(22.9%)
 ・人間関係に適応できないから(19.7%)
 ・国内が海亀を受け入れようとしないから(16.2%)

 同報告は“再帰海”を希望する海亀たちには共通の特性があると述べているが、それは次の通りである。すなわち、彼らの大部分は地方の中小都市出身で、外国語能力が高く、海外に対し一定の適応力を持ち、帰国前に海外で働いた経験を持っている。彼らは帰国した後に国内より海外の方が発展の可能性が高いことを発見すると同時に、種々の客観的要因から自分が満足行く発展を考えるなら、再度出国して海外で暮らすことを選択している。

 ところで、2016年には770万人以上の大学卒業生が就職市場に流入した。これに海外留学から帰国した海亀が約50万人、さらに2015年以前に大学を卒業した就職浪人が加わり、一説には総計1300万人が就職戦線で熾烈な就職活動を展開したと言われる。当然ながら、国内の就職戦線の状況を熟知していない海亀たちは求職活動で苦戦を強いられた。『中国留学発展報告(2016)』によれば、85.9%の海亀が求職活動を始めてから半年以内に就職を果たしたというが、これは2013年の86.4%に比べて若干低下している。その内、1か月以内に就職できた人は3分の1以上、3か月以内は31.6%であったが、これらの合計約65%は2013年の65.3%よりも低下していた。

 海亀たちが就職を果たすまでの時間が2013年よりも長引いた原因は、雇用する企業側がコスト削減のため求人条件を引き下げたことで、それが海亀たちには不利に働いた。また、海亀たちの仕事に対する要求が高すぎたこと、さらに海亀たちの大部分は家庭環境が良いために就職を焦る必要がなかったことも大きな要因となったと考えられる。

「国内で大学院」にシフトか

 2016年12月24日、中国では“2017年全国碩士研究生招生考試(2017年全国修士課程大学院入学試験)”(以下「大学院入試」)が行われ、201万人が受験した。2004年にわずか94.5万人であった大学院入試の受験生は、2005年(117.2万人)に100万人を突破してから年々増加の一途をたどり、2013年には176万人に達した。その後2年間は減少に転じたが、2016年は177万人と過去最高を記録した。今回は2016年より24万人増大して最高記録を塗り替えた。2016年大学院入試では51.7万人が合格しているので、2017年の合格者も50万人程度と考えられる。

 201万人もの受験生が大学院入試に殺到した理由は何なのか。中国では今や大学を卒業した学士の肩書では良い就職を望むことは困難である。それなら箔をつけるために海外へ留学することも一つの方法だが、今や海亀は中国国内に溢れる状況になっており、大金を費やして海外へ留学しても帰国後に就職で有利な待遇を受けられる訳ではない。それなら、中国国内で大学院へ進み、修士号や博士号を取得して就職で優位に立つ方が良いという論理になるのかもしれない。

 平成28年(2016年)3月31日に文部省が発表した2013年統計による日本人の海外留学者数は5万5350人であった。それにしても、中国の海外留学者数126万人との差は大きい。中国の人口を日本の10倍と仮定して、5万5350人を10倍しても55万3500人にしかならず、中国の海外留学者数の半分にも及ばない。日本の青年たちには、快適安全な日本国内に安住せず、意を決して海外へ留学し、語学を学び、世界を知って大いに飛躍して欲しいものである。


このコラムについて

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/101059/010400079/


 


今回の経済学キーワード:希少性

「日経ビジネスベーシック」から

飯田泰之の「キーワードから学ぶエコノミクス」・01
2017年1月6日(金)
飯田 康之
この記事は、「日経ビジネス」Digital版に掲載している「日経ビジネスベーシック」からの転載です。連載コラムは「飯田泰之の『キーワードから学ぶエコノミクス』」。詳しい説明はこちら 。
すぐ読めてすぐ分かる「エコノミクス」講座
体系的に理解しよう! とすると、なかなか手強いのが経済学(エコノミクス)。とりあえず、耳にしたことがある経済学用語の定義だけでも、「なるほど」と腑に落ちる形で学んでみませんか。テレビでもお馴染みの、明治大学政治経済学部准教授の飯田泰之さんが、ちょっと他所では読めない角度から、経済学のキーワードを読み解きます。

「希少性」にこだわる合理的な奴ら

 「キーワードから学ぶエコノミクス」をはじめるにあたって、第一に明らかにしておかなければならないのが本連載の対象である「エコノミクス(経済学)」とはいったい全体なんなのか、でしょう。お金儲け? 金利の算出法? 景気が分かるようになる?

 経済学を辞書で引いてみると「“経済”現象を検証する“学”問」みたいな定義が書いてはあるのですが、これではますます何のことだからわからない。『AKBの経済学』やら『夜の経済学』といった本もあるくらいで、「お金が絡むならなんでも経済学だ」というきらいさえあります(ここで上げた両著はともにちゃんと「経済学的」な本です……念のため)。


飯田泰之(いいだ・やすゆき) 明治大学政治経済学部准教授
1975年東京生まれ。マクロ経済学を専門とするエコノミスト。シノドスマネージング・ ディレクター、規制改革推進会議委員、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。著書は『経済は損得で理解しろ!』(エンターブレイン)、『ゼミナール 経済政策入門』(共著、日本経済新聞社)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)、『ダメな議論』(ちくま新書)、『ゼロから学ぶ経済政策』(角川Oneテーマ21)、『脱貧困の経済学』(共著、ちくま文庫)など多数。
 本連載のタイトルを「キーワードで学ぶ経済学」ではなく「エコノミクス」にしたのも、この経済学の濫用(?)が理由です。経済がからんでいても、経済学の名前が冠してあってもちっとも「経済学的」ではないという議論は少なくありません。

 では改めて、経済学とは何でしょうか。

 本連載における「経済学」は、現在大学などで「主流派経済学」と呼ばれている学問分野を指します。一定以上の年齢の方にとっては「近代経済学」と言われた方がなじみがあるかもしれません。ミクロ経済学とマクロ経済学、近年ではゲーム理論などを理論的基礎として、統計学・計量経済学による検証などを通じて様々な問題を読み解いていく一連の活動。それが本連載の射程です。

 以上の意味でのエコノミクス(以下本連載では単に経済学と記します)は、その対象を限定しています。それが「希少性を取り扱う」という前提です。

みんなが欲しがるとなくなるもの、を扱う

 ここでの希少性とは、「無料で、だれもが好きなように使ってよい、という状態では不足してしまう」という程度の意味で考えておいてください。例えば、空気は私たちが自由に呼吸をしてもなくなりません(今のところは)。したがって、空気は経済学の対象ではないというわけです。

 では、対象となるものはなんでしょうか。もちろん、世の中の商品やサービスは誰でも無料となったらすぐに足りなくなってしまいます。さらに、日常生活で足りなくなってしまいがちな、つまりは希少なものの代表と言えば「時間」でしょう。希少な対象を取り扱うのが経済学ですから、こちらは当然経済学の主要な対象になります。

 さらには「静かな住宅環境」や「すばらしい景観」も、みんなが好きなところに(タダで)住んでいい、行っていい、となれば、あっというまに失われてしまう希少な存在です。

 お分かりいただけたでしょうか。直接的には金銭に関係がなくても、希少性が重要な要素であるときには、経済学はその分析に大いに役立ってくれるのです。

 では、経済学は何を分析するのでしょう。希少なもの・ことだからこそ、誰がそれを使うのか、誰がそれを使うことが望ましいのか、という問題を真面目に考える必要がある。それを考える学問分野が経済学と呼ばれている、というわけです。

 希少性を前提にすることで、経済学はいかにも経済学っぽいテーマをその中心に据えることになります。それが「交換」です。

欲しいものは誰かが持っている…

 無料では足りなくなってしまうものは、現時点では誰かの支配下にあります。それを手に入れるためには、所有者・支配者から譲ってもらう必要がある。なんらかの対価を差し出して、その見返りとして何かを得るという活動――これこそが交換・取引ですよね。希少性あるもの・ことがあり、それが生きていくために不可欠である以上、私たちの行動の多くは「何かと何かの交換」として表すことができます。言い換えると、私たちの社会の活動の多くが「誰かと誰かの取引の束」として、把握可能になるのです。

 希少性に加えて、経済学において重視されるのが個人の合理性です。

 経済学では個人、そしてその個人の束である組織は「合理的に行動すると仮定」されます。合理性、とか、合理的、という単語は少々誤解されやすく、これが経済学への偏見を生んでいる側面もあるようです。「合理的な人」というと、遠い将来のことまで見通す周到で冷静な人という意味だと感じられたり、感情に流されない、人の気持ちを考えない人といったニュアンスを含んでいたりもしますね。

 しかし、経済学の基礎に置かれている合理性は、そこまで限定的なものではありません。

 その人自身が何をすると自分がいまよりも満足できるかを知っていて、その満足度を向上させようとして行動している……くらいの意味です。もちろん、個別の経済理論のなかにはより限定的な合理性の定義を用いることがありますが、限定的な前提を用いた理論はその適用範囲も限定的となります。超基礎的で適用範囲の広い――ということは現実のビジネスや生活にも有用な経済学の知識は、限定の度合いの低い合理性の前提から導くことが出来ます。

 希少な対象を巡って、このような弱い意味で合理的な人たちがどのように反応するか。交換に応じるのはどんな条件がある時か。その人々の反応があつまって出来る社会は、どのような特徴を持つことになるのか。経済学の言葉はそれらを描写しているのです。

 キーワードを解説しながら、経済学から見た世界を旅しましょう。

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このコラムについて

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このコラムでは、「日経ビジネスBasic」に掲載した記事の一部をご紹介します。日経ビジネスBasicは、経済ニュースを十分に読み解くための用語解説や、背景やいきさつの説明、関連する話題、若手ビジネスパーソンの仕事や生活に役立つ情報などを掲載しています。すべての記事は、日経ビジネスの電子版である「日経ビジネスDigital」を定期購読すれば無料でお読みいただけます。詳しくはこちらをごらんください。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/041300033/122700013/
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/495.html

[政治・選挙・NHK218] 株高に救われるも、安倍内閣のアキレス腱は年金 2016年10-12月の年金の運用益は6兆円超の黒字か

磯山友幸の「政策ウラ読み」

株高に救われるも、安倍内閣のアキレス腱は年金

2016年10-12月の年金の運用益は6兆円超の黒字か

2017年1月6日(金)
磯山 友幸
株高で年金の運用に明るさ

 株高が続いている。2016年末の日経平均株価は1万9114円37銭と、2015年の終値1万9033円71銭を上回り、かろうじて5年連続の上昇となった。1年の動きを示す株価グラフをローソク足で描くと、いわゆる「陽線」(年末の大納会の終値が年初の大発会終値以上)となったわけだ。2012年末に安倍晋三内閣が誕生して以降、「陽線」が続いたことになり、ムードは一気に明るくなった。年明け大発会の1月4日も479円高と大幅に上昇して始まり、1万9594円16銭と昨年来高値を更新した。

 この株高に救われたのは安倍内閣である。年金の運用益が大きくプラスになることが確実になったからだ。130兆円を超す国民の資産を預かる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2015年度に5兆3098億円の運用損を出し、世間から大きな批判を浴びた。2016年度に入ってからも、第1四半期(4-6月)は5兆2342億円の損失を出していた。

 かろうじて第2四半期(7-9月)は2兆3746億円の黒字となったが、第3四半期(10-12月)は、年末の株価が大きく上昇したことで、大幅な運用益が出た模様だ。


一時的に年金の運用に明るさは見えているものの…(写真:PIXTA)
運用益が出て救われた安倍内閣

 年末の1万9114円という日経平均株価は、6月末の1万5575円に比べて22%高い水準に当たる。GPIFが6月末に保有していた27兆3151億円の「国内株式」に単純に22%を掛けると、6兆円も評価額が増えたことになる。この他に外国株式などでの運用もあり、運用益はさらに膨らみそうだ。今年度を通算すれば、5兆円近い運用益を稼いだことになるだろう。

 GPIFの第3四半期の運用成績が発表されるのは2月末。ちょうど国会論戦の最中である。このタイミングで巨額の損失数字が明らかになれば、野党の集中砲火を浴びるのは明らかだった。特に昨年12月には野党が「年金カット法案」と呼び攻撃した改正国民年金法が“強行採決”によって可決成立している。衆議院の委員会採決で、委員長席を「年金カット反対!」と書いた紙を持った野党議員が取り囲んだシーンを覚えておられる読者も多いだろう。

かつて「消えた年金」への怒りが第1次安倍内閣を倒した

 10月に衆議院東京10区の補欠選挙が行われた際には、民進党の大串博志・政調会長や、「ミスター年金」こと長妻昭議員らが東京・巣鴨の「とげぬき地蔵」で知られる地蔵通り商店街で演説し、「年金カット法案」への反対を呼びかけた。その際には、法案に賛成かどうかをお年寄りらに聞いてボードに赤丸印を貼ってもらう演出を行っていた。年金が減額されると聞けば、賛成に丸を付けるお年寄りはひとりもいない。「反対」欄が赤丸で埋め尽くされることとなった。

 民進党が「年金」を選挙の争点にしようとしたのは正しいだろう。かつて「消えた年金」への国民の怒りが第1次安倍内閣を倒し、その後の民主党政権の誕生へとつながった。依然として年金に対する国民の関心は高い。

 このままでは将来、年金がもらえないのではないか。掛けた保険料はドブに捨てることにならないか。年金で本当に生活ができるのか──。高齢化が進む一方で、年金制度への安心感は大きく揺らいでいる。

増加し続ける社会保険料の負担

 一方で、保険料を支払う現役世代の負担感も大きく増している。多くの国民は忘れているが2004年の法律改正で、厚生年金の保険料率は2005年から毎年9月に引き上げられている。2004年9月に13.58%(半分は会社負担)だった保険料率は以後毎年0.354%引き上げられ、2017年9月には18.3%になり、それで固定されることが決まっている。2004年と比べると、13年で4.72%も上昇するのだ。仮に基準となる給与が年400万円だとすると、会社負担分と合わせて19万円近く上昇することになる。

 財務省は毎年、国民所得に占める税金と社会保険料の割合を示した「国民負担率」を公表している。2015年度は税と社会保障を合わせて44.4%と過去最高を記録した。この統計から逆算すると、社会保険料の負担は2004年度の52兆1800億円から2015年度の66兆9800億円へと、14兆8000億円も増えている。

 消費税率1%の引き上げで2兆数千億円の税収増に当たるとされるので、消費税6〜7%分の負担が知らず知らずの間に増えていたことになる。

現役世代への負担増はもう望めない

 長引く消費低迷の主因も、実は保険料負担の増加による可処分所得の減少にあったとみていい。もはや現役世代への負担増は望むべくもないのだ。

 年末に成立した改正国民年金法では、現役世代の保険料引き上げによる収入増が頭打ちになることを前提に、高齢者への年金支給を抑制することを狙っている。従来の年金支給は物価に連動して増減されるようになっていたが、現役世代の賃金が下落した時も、年金支給額を引き下げられるようにした。現役の賃金が下がれば、保険料率が変わらない以上、保険料収入は減少する。それに合わせて年金支給額も減らすというわけだ。

 逆に言えば、物価や賃金が安定的に上昇していれば、年金が減ることはない。民進党などが強調したのは、物価が上昇しても、現役世代の賃金が大幅に下落した場合、年金が減ることになるという点だ。ここに焦点を当てて「年金カット法案」と喧伝したのである。もちろん、年金が減るのは年金を受け取っている高齢者にとっては切実な問題に違いない。だが、現役世代の賃金が下がっても年金額を維持すれば、年金財政は悪化し、将来の年金制度が危機にさらされることになる。

年金制度の永続性を無視して批判したのは間違い

 民進党が年金を政治テーマに掲げたのは正しい。だが、「年金カット法案」とレッテルを貼り、あたかも法案が通れば、自動的に年金がカットされるようなイメージを振りまいたのは戦術的に失敗だった。年金制度をどうやったら守れるかという点に目をつぶる格好になったからだ。年金制度は国民の人生に大きな影響を与える。だからこそ、全体像を俯瞰した批判が不可欠だったのだが、法案の一部をデフォルメした批判だったために、国民に響かずに終わったとみていい。

 年金運用のあり方についても民進党の追及は場当たり的だ。GPIFの2015年度の運用実績が5兆円を超える赤字になったのを受けて、同党は「年金損失5兆円追及チーム」を立ち上げた。5兆円の赤字という短期的な結果にだけ焦点を当てたために、その後の株価の回復と共にトーンダウンせざるを得なくなった。2016年10-12月期の運用結果が出る2月以降の国会では、もはや「運用失敗」をネタに年金問題を追及することはできないだろう。

安定的にみえる安倍内閣の最大の弱点

 では、株価の上昇と共に、年金の問題はすべて片付いたのかというとそうではない。このまま少子高齢化が進めば、年金掛け金を払う現役層は減り、年金を受け取る高齢者は増え続ける。今の制度のままでは、年金制度自体は破たんしないとしても、受け取る年金では生活ができなくなる可能性がある。

 年金制度のあり方や、年金資産を運用するGPIFの組織のあり方、運用体制などを根本から見直す必要があるのは間違いない。安定的にみえる安倍内閣にとって、最大のアキレス腱はかつてと同様、年金問題だと言ってよいだろう。


このコラムについて

磯山友幸の「政策ウラ読み」
重要な政策を担う政治家や政策人に登場いただき、政策の焦点やポイントに切り込みます。政局にばかり目が行きがちな政治ニュース、日々の動きに振り回されがちな経済ニュースの真ん中で抜け落ちている「政治経済」の本質に迫ります。(隔週掲載)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/238117/010500038/

 

日経平均先物 CME(円建て)
19,475.00
-150.00
▼0.76%
-46
http://nikkei225jp.com/cme/


米ドル/円 115.891
 
米国経済指標【ISM非製造業景況指数】

配信日時 2017年1月6日(金)00:00:00 掲載日時 2017年1月6日(金)00:10:00
ISM非製造業景況指数(12月)6日0:00
結果 57.2
予想 56.8   前回 57.2

ダウ平均は小反落で始まる 百貨店株の下げ目立つ=米国株序盤(01月05日 23:49)
豪ドル円は1豪ドル84円78銭前後で推移=NY為替(01月05日 23:30)
英ポンド円は1ポンド142円79銭前後で推移=NY為替(01月05日 23:29)
ユーロ円は1ユーロ122円18銭前後で推移=NY為替(01月05日 23:27)
ドル安で買い優勢で始まる=NY金オープン(01月05日 23:27)
ユーロドルは1ユーロ1.0536ドル前後で推移=NY為替(01月05日 23:26)
原油は上昇して始まる=NY原油オープン(01月05日 23:26)
ドル円は1ドル115円99銭前後で推移=NY為替(01月05日 23:25)
米国債利回りは下げて始まる=NY債券オープン(01月05日 23:15)
NYカットでのドル円の期日到来のオプションが116.00に観測=NY為替(01月05日 23:13)
ドル円は116円付近に再び軟化、米ADP雇用統計が予想下振れ=NY為替(01月05日 22:52)
カナダ経済指標【原材料価格指数、鉱工業製品価格】 (01月05日 22:40)
米国経済指標【新規失業保険申請件数】(01月05日 22:40)
http://klug-fx.jp/fxnews/
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/627.html

[政治・選挙・NHK218] 75歳で高齢者、65歳は「准高齢者」 学会提言 超90歳
75歳で高齢者、65歳は「准高齢者」 学会提言
2017/1/5 19:17
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 日本老年学会などは5日、現在は65歳以上と定義されている「高齢者」を75歳以上に見直すよう求める提言を発表した。医療の進展や生活環境の改善により、10年前に比べ身体の働きや知的能力が5〜10歳は若返っていると判断した。

10年前に比べ身体の働きや知的能力が若返っているとみられる
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10年前に比べ身体の働きや知的能力が若返っているとみられる
 前期高齢者とされている65〜74歳は、活発な社会活動が可能な人が大多数だとして「准高齢者」に区分するよう提案。社会の支え手と捉え直すことが、明るく活力ある高齢化社会につながるとしている。

 65歳以上を「支えられる側」として設計されている社会保障や雇用制度の在り方に関する議論にも大きな影響を与えそうだ。

 平均寿命を超える90歳以上は「超高齢者」とした。提言をまとめた大内尉義・虎の門病院院長は「高齢者に対する意識を変え、社会参加を促すきっかけになってほしい」と述べた。

 学会は、お年寄りの心身の健康に関するさまざまなデータを解析。身体の働きや知能の検査結果、残った歯の数などは同一年齢で比べると年々高まる傾向にあり、死亡率や要介護認定率は減少していた。

 内閣府の意識調査でも、65歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が大半で、男性は70歳以上、女性は75歳以上を高齢者とする回答が最多だったことも考慮した。

 准高齢者は、仕事やボランティアなど社会に参加しながら、病気の予防に取り組み、高齢期に備える時期だとした。〔共同〕
http://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040011_V00C17A1000000/


 


高齢者「75歳から」学会提言 65歳以上「准高齢者」
編集委員・田村建二、川村剛志2017年1月5日21時00分
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(上のグラフ)脳卒中などで治療を受ける人の割合(下のグラフ)「高齢者とは何歳以上か?」に対する主な回答
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 一般的に65歳以上とされている高齢者の定義について、日本老年学会と日本老年医学会は5日、75歳以上とすべきだとする提言を発表した。65〜74歳は「心身とも元気な人が多く、高齢者とするのは時代に合わない」として、新たに「准高齢者」と位置づけた。

 医師や心理学者、社会学者らでつくる両学会のワーキンググループが日本人の心身の健康に関する複数の調査結果をもとに2013年から検討してきた。

 65歳以上では脳卒中などで治療を受ける割合が以前より低下する一方、身体能力をみる指標の歩行速度などが上がる傾向にあり、生物学的にみた年齢は10〜20年前に比べて5〜10歳は若返っていると判断した。知的機能の面でも、70代の検査の平均得点は、10年前の60代に相当するという報告があり、根拠の一つとされた。

 また、60歳以上を対象に「高齢者とは何歳以上か」を聞いた内閣府の意識調査(14年)では、「75歳以上」との答えが28%で、15年前より13ポイント上がったのに対して、「65歳以上」は6%で、12ポイント下がった。

 こうしたことから、提言では高…
http://www.asahi.com/articles/ASK155R2NK15UBQU006.html
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/628.html

[経世済民117] オフショア人民元、弱気派に強烈な踏み上げ再来−元相場と金利が急騰  オデイHF資産半減−過去最悪 英個人消費失速へ 金↑
オフショア人民元、弱気派に強烈な踏み上げ再来−元相場と金利が急騰
Bloomberg News
2017年1月6日 00:01 JST

人民元が1Qに1ドル=7元を付ける確率、オプション市場で急低下
オフショア人民元の翌日物預金金利は一時100%で過去最高

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iVzGUB77UNDs/v2/-1x-1.png

人民元弱気派にとっては思い出したくない悪夢がよみがえった。
  オフショア人民元は4−5日に2日間として過去最大の上げ幅を記録、銀行間金利は急上昇した。ショートポジションを維持するコストは耐えがたいほど高くなり、弱気トレーダーに昨年1月の途方もない踏み上げを思い起こさせた。

  マッコーリー銀行の外為・金利ストラテジスト、ガレス・ベリー氏(シンガポール在勤)は「中国ではまた、尋常ではない1日になった」と語る。「新年早々、市場のコンセンサスに基づいたトレードが粉々になった典型的な例と言えそうだ」と指摘した。
  デリバティブ市場のデータは、一部の短期筋が完全に虚を突かれた様子を示す。オプション価格が示唆するオンショア人民元が1−3月に1ドル=7元を付ける確率は、ほんの2日前に65%だったが、今や36%へと急落した。
  上海時間午後6時31分でオンショア人民元は前日比0.6%高の6.8870元。一方、香港で取引されるオフショア人民元の上げ幅は2日間で2%に達し、オフショアとオンショアのレートの開きは2010年以来の大きさとなった。香港のオフショア人民元翌日物預金金利は一時100%と、過去最高に上った。
原題:China’s Epic Short Squeeze Is Back as Yuan Rally Crushes Bears(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJB7JD6TTDS101



英個人消費、今年は失速へ=中銀チーフエコノミスト
英中銀のホールデン理事は、今年は個人消費が振るわない可能性が高いと見込む
By JASON DOUGLAS
2017 年 1 月 5 日 23:52 JST

 【ロンドン】英イングランド銀行(中央銀行)チーフエコノミストのアンドルー・ホールデン理事は5日、このところの国内経済の力強さは続かない可能性があると指摘した。インフレ加速の影響で個人消費にブレーキがかかりそうだとみている。

 ホールデン理事はシンクタンクのインスティテュート・フォー・ガバメントで講演し、英ポンド相場の下落で物価高が進み、小売売上高が好調だった2016年から一転して家計の消費支出が「抑制される」との見方を示した。

 「消費者にとって今年は昨年との差が大きくなるかもしれないと考えるべき合理的な根拠がある」としている。

 英国の欧州連合(EU)離脱交渉の行方については「予見できない」と述べた。こうした先行き不透明感で企業が設備投資を遅らせれば、経済の重しになり始めるとの考えだ。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwic0MD996vRAhUEi5QKHSACAgUQqOcBCBwwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10150392616080993801604582541014065201508&usg=AFQjCNE57SlBbhVfFmxmAbiA-5YTn54U8A




欧州債:ドイツ国債が上昇−ポルトガルとイタリアの国債は下げる
Namitha Jagadeesh
2017年1月6日 02:51 JST
5日の欧州債市場ではドイツ国債が上げた一 方、ポルトガルとイタリアの国債が売られる展開となった。
ドイツ10年債利回りは前日比3ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)低下の0.24%。
これに対し、ポルトガル10年債利回りは14bp上昇の4.03%、同年 限のイタリア国債は6bp上げ1.93%となった。
原題:EUROPEAN WRAP-Stoxx 600 Closes Little Changed Amid Euro Rebound(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJBHVY6KLVR801


オデイ氏のヘッジファンド、16年はマイナス49.5%−過去最悪の成績
Nishant Kumar
2017年1月6日 00:31 JST
株高が進み、弱気の投資手法が完全に裏目
英国株は8割下落する可能性があると昨年10月に予想

クリスピン・オデイ氏の主力ヘッジファンドは2016年のパフォーマンスがマイナス49.5%となり、1992年の運用開始以来、年間で最悪の成績に沈んだ。投資家向けの書簡で明らかになった。
Crispin Odey.
Crispin Odey. Source: Odey Asset Management
  昨年12月に「頭を使わない」パッシブ投資がアクティブ投資のファンドマネジャーを駆逐していると不満を述べていたオデイ氏だが、株高の中で自らの弱気な投資手法が裏目に出た。旗艦ファンド「オデイ・ヨーロピアン」は12月も3.4%のマイナスだった。
  オデイ氏は昨年10月、英国経済について欧州連合(EU)離脱決定によるリセッションと高インフレに苦しみ、同国株は80%下落する可能性があると警告していた。
原題:Odey’s Hedge Fund Slumps 49.5% in Worst Ever Annual Loss (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJBBLA6K50Y001


米ISM非製造業総合景況指数:12月は57.2、予想上回る−受注が好調
Patricia Laya
2017年1月6日 01:39 JST

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iJo8Y7kIDMak/v2/-1x-1.png

米供給管理協会(ISM)が5日発表した12月の非製造業総合景況指数は市場予想を上回る拡大を示した。特に新規受注が好調だった。
  12月のISM非製造業総合景況指数は57.2と、前月と同じ2015年10月以来の高水準を維持した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は56.8だった。同指数では50が活動の拡大と縮小の境目を示す。

  ISMの非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニーブス委員長は統計発表後の記者団との電話会見で、「2016年は極めて良好に終えた」と述べ、年末商戦が終了し「活動は若干弱まる傾向にあるが新規受注指数が引き続き堅調であることから、軟化するとしてもどの程度なのかを予測するのは難しい」と続けた。
  項目別では新規受注が61.6と前月の57から上昇、景況指数は61.4と前月の61.7からほぼ変わらず。雇用指数は53.8と前月の58.2から低下した。
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Service Industries in U.S. Expand at Faster Pace Than Forecast(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJBEG06VDKHS01



米ADP民間雇用者数:昨年12月は15.3万人増、伸びは市場予想下回る
Shobhana Chandra
2017年1月5日 23:34 JST

昨年12月の米民間雇用者数は市場予想を下回る伸びにとどまった。
  給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュートが5日発表した給与名簿に基づく集計調査によると、12月の米民間部門の雇用者数は15万3000人増加。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は17万5000人増だった。前月は21万5000人増に修正された。
  製造業や建設業を含む財生産部門の雇用は1万6000人減少。このうち建設業は2000人減、製造業は9000人の減少となった。一方、サービス業は16万9000人増加した。
  ADPと共同で集計調査を行うムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は発表資料で、「雇用の伸びは引き続き強いが、減速しつつある」と指摘。「規模が小さめの企業では雇用の維持に苦労しているが、大企業では健全なペースで拡大している」と述べた。
  従業員が500人以上の大企業の雇用者数は6万3000人増。50−499人の中堅企業では7万1000人増えた。49人以下の小企業では1万8000人の増加だった。
原題:ADP Says Companies in U.S. Added 153,000 Employees in December(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJB7Q26JTSE901




米週間新規失業保険申請件数:8週ぶり低水準−季節的な変動を反映
Michelle Jamrisko
2017年1月5日 23:51 JST
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iCt2a6kUCKL0/v2/-1x-1.png
先週の米新規失業保険申請件数は前週比で減少し、8週ぶり低水準となった。毎年この時期は、ホリデーシーズンの影響で統計の変動が大きくなる。
  米労働省の5日発表によると、昨年12月31日終了週の新規失業保険申請件数は前週比2万8000件減の23万5000件となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は26万件だった。

  今回はバージニアやウィスコンシンなど6州、およびプエルトリコは推計値で算出された。
  より変動の少ない4週移動平均は25万6750件と、前週の26万2500件から減少した。失業保険の継続受給者数は12月24日までの1週間に1万6000人増えて211万人だった。 
  統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Jobless Claims in U.S. Fall to Eight-Week Low Amid Holidays(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJB91BSYF01V01



NY金:上昇、4週間ぶり高値−ドルの下落や逃避需要で買い
Eddie van der Walt、Ranjeetha Pakiam
2017年1月6日 05:51 JST

5日のニューヨーク金相場は上昇し、4週間ぶりの高値となった。ドルの下落が背景。トランプ次期大統領の政策が及ぼす影響をめぐる不透明感も、逃避需要の買いを促した。
  シンクマーケッツUKのチーフ市場アナリスト、ナイーム・アスラム氏は前日公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録を受けて、「ドル強気派が慎重になった」と電子メールで指摘。「多くの要素が同じ方向に動いており、グローバリゼーションや融合の動きを大きく脅かしている」とし、「こうした状況では金がかなり魅力的になる。金は1200ドルの抵抗線を上抜ける可能性が高いと当社では考える」と述べた。
  ブルームバーグのデータによると、ニューヨーク時間午後2時22分現在、金スポット相場は前日比1.5%高の1オンス=1180.62ドル。一時は1.8%上昇する場面もあった。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は1.4%高の1181.30ドルで終了。
  銀とプラチナのスポット相場も値上がり。パラジウムは5営業日ぶりに下落、前日までの4日間で11%上昇していた。
原題:Gold Climbs to Four-Week High on Dollar’s Drop and Haven Demand(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJBQ7N6KLVRH01
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/501.html

[政治・選挙・NHK218] 日韓通貨スワップ協議中断、麻生財務相「信頼関係ないと安定しない」
再送-UPDATE 1

日韓通貨スワップ協議中断、麻生財務相「信頼関係ないと安定しない」
(4段落目の表現を修正しました)

[東京 6日 ロイター] - 麻生太郎財務相は6日の閣議後会見で、日本政府が協議の中断を表明した日韓通貨スワップに関し、「信頼関係を作った上でやらないとなかなか安定しない」との見方を示した。

これに先立って記者会見した菅義偉官房長官は、韓国の市民団体が釜山市にある日本の総領事館に面した歩道に従軍慰安婦を象徴する少女像を設置したことを受け、日韓通貨スワップ協議の中断などを韓国側に伝えたと明らかにした。

麻生財務相はこれまでの協議の経緯を踏まえ、まずは両国の信頼関係構築が必要と強調。「当面の措置として官房長官からの談話の発表があった。中断することにしたというのは間違いない」と語った。

一方、米国のトランプ次期大統領がトヨタ自動車のメキシコ工場建設を巡って、自身のツイッターで批判したことについては、「北米自由貿易協定(NAFTA)の合意の中での話」とし「それをどういわれても、こちらとしてはどうしようもない」と明言を避けた。

その上で、トヨタが米国内でも工場を展開していることにも触れ「(トヨタは米国でも)大きな雇用を抱えてやっている」と述べた。

麻生財務相はまた、20日から始まる通常国会では「予算の成立に全力を挙げたい。早期成立が一番の景気対策になると確信している」と強調。

アベノミクスで円安・株高が進んだことなどを念頭に「これまでやってきた経済政策は間違っていなかった」と指摘した。

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http://jp.reuters.com/article/idJPL4N1EW1IN
http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/644.html

[経世済民117] トランプ次期米大統領、トヨタにも批判の矛先−保護主義懸念も 日産ゴーン:トランプは米国第一と発言−国境閉ざすのではない
トランプ次期米大統領、トヨタにも批判の矛先−保護主義懸念も
堀江政嗣、Mike Dorning、John Lippert
2017年1月6日 06:32 JST 更新日時 2017年1月6日 12:30 JST

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「米国に工場を建設しろ、さもなければ高い関税払え」とツイート
トヨタ株は下落、昨年11月以来の日中下落率

米国内の雇用確保を掲げて当選したトランプ次期大統領の批判の矛先が日本の自動車業界にも向かってきた。メキシコ工場建設を計画するトヨタ自動車に高関税をかけることも辞さない考えを示した。
  トランプ氏は5日、ツイッターへの投稿で「トヨタ自動車は米国向けのカローラを生産する工場をメキシコのバハに新設すると言っている。とんでもない!米国に工場を建設しろ、さもなければ高い関税を支払え」とコメントした。
トランプ次期米大統領(12月14日)
トランプ次期米大統領(12月14日) Photographer: Albin Lohr-Jones/Pool via Bloomberg
  トランプ氏のツイートの数時間前、トヨタの豊田章男社長は東京都内で開かれた賀詞交歓会でフォードのメキシコ工場計画撤回に関して質問を受けた際、自社のメキシコでの操業計画についてはトランプ氏の判断を考慮する意向を示し、米国での自動車生産増加は政治情勢と関係なくいつでも考えていると述べていた。
「トランプ政権と協力」
  トヨタによると、メキシコに新工場を開設しても、米国での生産や雇用が減ることはないという。同社広報担当のスコット・バジン氏はトランプ氏の批判を受け、「トヨタは消費者と自動車業界の最善の利益のためトランプ次期政権と協力することを待ち望んでいる」との立場を電子メールで表明した。
  トヨタの株価は6日の取引で続落。一時、昨年11月9日以来の日中下落率となる前日比3.1%安となった。他にメキシコに生産拠点を持つ日産自動車は同2.8%安、ホンダが同3.3%安、マツダが同4.2%まで下げた。メキシコに生産拠点を持たない富士重工業は一時、同1.9%安、スズキは同1.6%安となった。
トヨタ車
トヨタ車 Photographer: Dado Galdieri/Bloomberg
  トヨタは既に米ミシシッピ州の工場でカローラを組み立てており、2015年初め時点で累計50万台余りを生産した。同社はメキシコでカローラ工場を建設する計画だが、新工場の建設予定地はグアナフアト州アパセオエルグランデ。同社は米国との国境沿いにあるメキシコのバハカリフォルニア州ティファナに工場を持っており、ピックアップトラック「タコマ」を生産している。
GM、フォード
  トランプ氏の自動車業界批判は、人件費の低い国に長年にわたり生産拠点を移してきた米製造業を再生させる公約に沿った動き。同氏は今週、ゼネラル・モーターズ(GM)がメキシコで「クルーズ」の一部車種を生産していることをやり玉に挙げていた。フォード・モーターは同氏から数カ月にわたって批判されていた16億ドル(約1850億円)規模のメキシコ工場新設計画を撤回した。
  ミシガン・マニュファクチャリング・テクノロジー・センターのアナリスト、ダン・ルリア氏は「トランプ氏のツイートは、自動車メーカーにメキシコでの生産増強を慎重に考えさせる上で役立っている」と述べた。SBI証券の遠藤功治アナリストは、トヨタがメキシコにカローラ工場を建設しても、世界の自動車大手の中では最もメキシコ依存度が低いと指摘。実質的な収益影響はほとんどないが、プロパガンダとしてトヨタの名前が使われたのだろうと電話取材で述べた。
「変えるつもりない」
  トランプ氏の発言を受けて、ホンダ広報担当の建部輝彦氏は「メキシコの工場は既に立っているもののみで建設中のものはない。関税が極端に高くなるようなことがあれば変わる可能性はあるが、今のところ大きな方向として変えるつもりはない」。マツダ広報担当の平英樹氏は「工場を建設する際は長期的な視点で考えないといけない。メキシコ工場の重要性は変わらない」とコメントした。
  日産自のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)は5日、米ラスベガスでトランプ氏の「米国第一」のスタンスについて問題ないとコメント。「われわれは米国で極めて大きな市場を持っていると聞いている。貿易と雇用の両面での恩恵を相応に得たい」と述べ、「私は『国境を閉ざす』とは聞いていない」と語った。日産自はメキシコでの自動車生産首位。
保護主義への懸念
  富士重の吉永泰之社長は5日の都内での賀詞交歓会で、メキシコに生産拠点を持つ計画は今後もなく、トランプ氏の政策から受ける影響は「それほどない」と述べた。トランプ氏が大統領に選ばれた「根っこにある保護主義的な考え方やうねりの方が人類として心配。世界が良くない方向に行くし、日本も影響を受ける」と話した。
  6日付の共同通信によると、ソニーの平井一夫社長もトランプ氏のトヨタ批判に関連し、人、モノ、金や情報が自由な形で流れていくことを担保するよう各国のリーダーにメッセ―ジとして出していきたいと企業活動の自由を訴えた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJBQCL6S972901

 


日産ゴーン氏:トランプ氏は米国第一と発言−国境閉ざすのではない
John Lippert
2017年1月6日 07:37 JST

日産自動車のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)のメキシコたたきを続けるトランプ次期米大統領への言葉は、メッセージを受け取ったということだ。
  同CEOは5日、ラスベガスで開かれている国際家電見本市「CES」でのインタビューで、「私は『国境を閉ざす』とは聞いていない」と述べた。
  同CEOは「次期米大統領が言っていることは米国第一ということだ。われわれにとってそれは問題ない」と述べた。
原題:Nissan CEO Hears Trump Say ‘America First,’ Not Close the Border(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJBW6J6JIJUU01
http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/507.html

[経世済民117] トランプ相場でドル125円へ 株下落、米金利と円高とトランプ  ビットC急落、元急上昇 欧州と新興国にリスク、英格下げも
コラム:
トランプ相場でドル125円へ

田中泰輔ドイツ証券 グローバル・マクロ・リサーチ・オフィサー
[東京 6日] - ドル円は、トランプ政権下の米景気加速に沿って、2017年末までに125円へ上伸すると見る。長期停滞論まで出ていた米経済の根本問題が新大統領の誕生でどれほど変わるのか訝(いぶか)る向きもあろう。しかし、近年のアベノミクス、1980年代前半のレーガノミクスが示す通り、しかるべきマクロ政策の発動は相応に市場の様相を変える。

米成長予想は2017年3.0%、18年3.3%へ押し上げられ、12年以来のドル円の上昇サイクルは俄然、息を吹き返す公算だ。

ドル円の主なけん引役は当面、5―10年債利回りに敏感な海外投機筋だろう。米国債10年利回りは6―9月に3.6%まで上伸した後、今年末3.1%へ低下すると予想する。

一方、米連邦準備理事会(FRB)は今年2回以上、来年4回利上げすると見込む。この利上げ予想が正しければ、米政策金利はオーストラリアを上回る可能性すらある。たとえ長期金利が来年中に天井を打っても、中期的には米日短期金利差拡大を背景にした円キャリー取引がドル円相場の上昇ドライバーになろう。

<ドル円の短期調整リスク>

ただし、ドル円の上昇トレンドが一本調子とは見ていない。トランプ相場は初期には、ドル円ブル(上げ相場)派の投機的買いと既存ショートの巻き戻しが相まって急進行した。しかし、日本のリアルマネー投資家や実需筋は、割高領域へと一気に上伸したドル円ラリーにあまり追随していない。

このため、相場は下値が脆く不安定化する恐れがある。いったん調整モードに転じると、投機ポジション巻き戻しで110―115円ゾーンへ深押しする可能性が排除されない。

こうした反落は単にテクニカルな自律調整として起こるかもしれない。具体的なきっかけ要因としては、第1に米財政政策の具体的中身が注視される。トランプ政策には多大な不確実性があり、それ次第で市場予想の多くが見直しを迫られる可能性がある。

また、トランプ政権が貿易重視姿勢の一環で円安をけん制するかもしれない。ただし、口先介入でドルを反落させても、ドル高促進的な財政政策を投入する限り、ドル高基調は変わらないだろう。

<円から見る非ドル通貨>

ドルは、対円のみならず、欧州・新興国・資源国の通貨全般に対して強いだろう。ユーロドルの今年末予想は0.95ドルだ。ユーロは、米欧の景気・金利格差、仏独選挙に伴う政治的懸念に圧迫され、米政策次第でさらに下ぶれる可能性も排除されない。

ユーロと円は異なる下方ドライバーにけん引される可能性があり、両通貨間の優劣を評価するのは難しい。120円の上下5円程度のコアレンジ観を基本に相場に臨みたい。

新興国・資源国通貨は、ドル自体の強さに圧迫される一方、ファンダメンタルズや需給の改善で底固さを見せるものが散見されよう。円が対ドルで125円へと急落する場合、日本の投資家にはいくつかの高金利で底固い新興国・資源国通貨は魅力的に見えるかもしれない。

しかし、ドルベース投資家にとってこれら通貨はあくまでベア(下げ相場)。円から見るかドルから見るかで世界の景色は明るさが異なろう。2―3年後にはサイクルとして円高リスクが大きいこと踏まえ、投資妙味の程を冷静に計算したい。

<短期の安堵と中長期の教訓>

2016年中のドル円の下落と反発は、長期・中期・短期でどう行動すべきかの良い教訓になったはずだ。一般的に、長期的視座からのドル円の中心水準は、購買力平価など適正価値の尺度に基づいて90―105円付近とされることが多い。

長期投資家としての年金基金は、外貨資産をこうした適正価値かそれ以下の円高時に購入し、円安進行で増価したときに売却するポートフォリオが望ましい。日本企業の海外M&Aも、円安局面の株高と収益増を背景としたリスク志向の高揚で実行すると、その後の円高場面で連結決算に悪影響を被ろう。

中短期的観点からは、トランプ相場で円安・株高に戻ったことに、多くの投資家や企業は安堵しているに違いない。ただし、日本の長期的ポジションを再構築する上では、100円付近かそれ以下のドル円水準がもう少し長く続いた方が好ましかったと言える。

割高なドル買いへの参入になること、2―3年後にピークアウトしているリスクが高いことを踏まえ、長期・中期・短期でとるべき行動を整理する必要がある。

<ドル円変動の基本ロジック>

ドル円の変動には美しいロジックがある。しかし、必ずしも広く正しく認知されてはいない。

円相場は、日本の好景気、株高、日本人の外国証券買い、外国人の日本証券買いといった円高の基本指標が現れるときに円安に向かう性向がある。この「あまのじゃく」な振る舞いが相場変動の基本ロジックの理解を惑わしやすい。しかし、この「あまのじゃく」さ自体が基本ロジックに貫かれている。これを正しく理解しなければ、相場の潮目を捉えられない。

誤解を恐れずに割り切って言えば、ドル円相場の基調を決める「主エンジン」は米景気の堅調さである。2012―15年のドル円急騰の過程では、日銀政策が市場の注目の的だった。しかし、ドル円相場にとって日銀政策は「副エンジン」にすぎない。主エンジンが不調なら、日銀が何をしても持続的な円安にはならない。16年1月末に日銀はマイナス金利導入という円安政策を決めたが、折悪く米景気は急減速中。案の定、ドル円は急反落した。

円高・ドル安に転じると、それを正当化する理屈が出回るのが相場の常だ。日本の経常黒字拡大とか、安倍相場で割高になったドル円の購買力平価(PPP)など適正価値への修正といった類(たぐ)いだ。

経常黒字やPPPでの円高論は完全に間違いとは言わないが、相場実践上は役立たない。トランプ相場でドル円が急反発した背後で、日本は経常赤字化したのか、ドル円の適正水準観に重大な変化があったのか。

ドル円急騰のポイントは米景気観の変化である。経常黒字やPPPの円高論を信じる向きは円安転換の潮目を捉えられまい。筆者は米選挙後に躊躇(ちゅうちょ)なく2017年のドル円予想を90円台から115円へ切り返し、その1カ月後に125円へさらに上方修正した。円高から円安への予想の急展開を節操がないと思われるかもしれない。しかし上述の通り、固守すべき節操とは、相場を見極める上で有効な分析ロジックである。

このことから、トランプ相場にとってのリスクも明白だろう。トランプ政権の政策が具体化する中で、中身が事前の想定を下回り、米経済へのインパクトが下方修正される事態である。しかし、無用なロジックに振り回されることなく、米景気に焦点を絞っていれば、このリスクへの対応もひどく後手に回ることはないはずだ。

*田中泰輔氏は、ドイツ証券のグローバル・マクロ・リサーチ・オフィサーでチーフ為替ストラテジスト。日本長期信用銀行、クレディ・スイス、野村証券などを経て、2011年11月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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日本株下落、米金利低下と円高嫌気−トランプ氏発言リスクも
佐野七緒
2017年1月6日 08:06 JST 更新日時 2017年1月6日 12:30 JST

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ドル・円は早朝に1ドル=115円7銭まで円強含む、その後一服

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6日午前の東京株式相場は下落。米国の長期金利低下と為替のドル安・円高進行で、国内企業業績に対する楽観的な見方が後退した。輸送用機器など輸出株や鉄鋼など素材株、銀行など金融株が下げ、輸出ではトランプ次期米大統領からメキシコ新工場建設が批判されたトヨタ自動車が安い。

  TOPIXの午前終値は前日比6.08ポイント(0.4%)安の1549.60、日経平均株価は78円51銭(0.4%)安の1万9442円18銭。
  岡三アセットマネジメントの前野達志シニアストラテジストは、「これまでトランプ氏への期待だけで上昇してきたが、20日の大統領就任後、選挙中に公約した政策が実現できなかった場合には株価が下落する可能性もある」と指摘。トヨタへの批判については、「短期的な反応にすぎないかもしれないが、政治が民間企業の経営判断に口を挟むことはマイナス。長期的に続くなら、企業の収益率を落とすことになる」と懸念を示した。

  米国で5日に発表された給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュートによる統計では、昨年12月の民間部門雇用者数は15万3000人増と市場予想の17万5000人増を下回った。
  同日の米S&P500種株価指数は0.1%安と小幅ながら3日ぶりに反落。米国債は買われ、10年債利回りは10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.35%となった。6日に発表される米雇用統計が低調になるリスクが懸念された格好だ。きょう午前の為替市場では、一時1ドル=115円7銭と昨年12月14日以来のドル安・円高に振れた。5日の日本株終値時点は116円48銭。
  米金利や為替動向に加え、きょうの日本株売りの一因になったのはトランプ氏のつぶやきだ。同氏は5日、ツイッターで「トヨタ自動車は米国向けのカローラを生産する工場をメキシコのバハに新設すると言っている。とんでもない、米国に工場を建設しろ、さもなければ高い関税を支払え」と投稿した。きょうのトヨタ株は一時3.1%下落、メキシコに生産拠点を持つ日産自動車やホンダ、マツダも下げた。東海東京調査センターの中井裕幸専務は、「メキシコに進出している自動車メーカーは多く、政策の悪影響が意識され始めた」と言う。
  ただ、日経平均は一時166円安まで売られたものの、その後は徐々に下げ渋り。為替が116円台まで円が反転する動きを見せた上、米雇用統計待ちの姿勢から売り圧力は限られた。中井氏は、「トランプ氏による経済政策で低成長から脱出するという期待は強く、投資家のセンチメントは悪くない。トランプラリーに乗れていない個人投資家は多く、1万9000円台前半では押し目買いが入りやすい」と話していた。
  東証1部33業種は鉄鋼、保険、鉱業、輸送用機器、非鉄金属、証券・商品先物取引、銀行など21業種が下落。サービスや食料品、陸運、情報・通信、建設など12業種は上昇。東証1部の売買高は8億8799万株、売買代金は1兆811億円。上昇銘柄数は767、下落は1108。 
  売買代金上位では、昨年12月の国内ユニクロ売上高が2カ月ぶりに減ったファーストリテイリング、9−11月期営業利益が予想を下回ったことをみずほ証券がネガティブ視した良品計画が安い。JPモルガン証券が投資判断を下げたJFEホールディングスも売られた。半面、ソフトバンクグループやディー・エヌ・エー、楽天、電通は高い。

(7段落の為替数値を訂正.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-05/OJBWH16KLVRI01


 

 

ビットコインが一時20%急落、人民元の急上昇と好対照

[ロンドン 5日 ロイター] - 仮想通貨ビットコインが5日、一時20%急落し885.41ドルの安値をつけた。一方、中国人民元は反対に急上昇しており、両通貨の逆相関関係があらためて浮き彫りとなった格好だ。

ビットコインは過去2週間で40%強値上がり。2日には1000ドルの大台を突破、前日は3年ぶり高値となる1139.89ドルをつけるなど、過去最高値の1163ドルに迫っていた。

仮想通貨を推進する企業の創業者は「これまで元安が進むなかで、最も上昇していた通貨はビットコインだったため、元の急反発にあわせてビットコインが大幅に値下がりしたのは意外ではない」と話した。

*写真を付け、カテゴリーを追加して再送します。

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中国、人民元の中心レートを引き上げ−上げ幅は2005年以降で最大
Robin Ganguly
2017年1月6日 11:00 JST

中国人民銀行(中央銀行)は6日、人民元の中心レートを、ドルとのペッグ(連動)制を廃止した2005年7月以降で最も大きく引き上げた。
  人民銀は前日の中心レートに比べて0.92%引き上げ、1ドル=6.8668元に設定。ドル指数はオーバーナイトで1%下げていた。この日の中心レート設定後、オフショア人民元は0.5%安。
原題:China Strengthens Yuan Fixing by Most Since 2005 as Dollar Sinks(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-06/OJC5BO6S978101

中国、外貨準備を3兆ドル程度で維持か−信認低下や一段の元安回避
Bloomberg News
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12月の外貨準備が7日発表、19人のうち16人が3兆ドル上回ると予想
3兆ドル割れは心理に悪影響、元への下押し圧力が強まる−趙揚氏

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iBYcUxUpyj0A/v2/-1x-1.png

中国は投資家の信認低下や人民元のさらなる下落を防ぐため、外貨準備高が節目の3兆ドル(約347兆円)を大きく下回ることがないよう対策を講じる可能性がある。主要銀行の各エコノミストはこう指摘している。
  中国国際金融(CICC)によると、中国の金融当局はスワップ市場でドルを借り入れ、外貨準備高を一時的に3兆ドル台に維持する公算が大きい。スタンダードチャータードの中国担当チーフエコノミスト、丁爽氏(香港在勤)は、疑わしい海外資産買収への取り締まりなどを通じて国内企業が海外に移すことができる資金を制限するとの見方を示す。先月の外貨準備高は2兆9900億ドルに減少したかもしれないと説明した。
  中国は7日に昨年12月の外貨準備高を発表する。ブルームバーグが調査したエコノミスト19人のうち、16人が3兆ドルを若干上回ると見込んでいる。最も弱気な予想では2兆9800億ドルに減少したとされる。
  野村ホールディングスで中国担当チーフエコノミストを務め、ブルームバーグの中国外貨準備高予想でトップに立つ趙揚氏(香港在勤)は、「3兆ドル割れは市場心理に悪影響を及ぼし、人民元への下押し圧力が強まる」と指摘。「中国企業の海外事業の拡大や家計の国外資産へのポートフォリオ分散により、人民元は下がり資本が流出するため、外貨準備の縮小は今後も続くだろう」と話した。

原題:China Seen Keeping Reserves Around $3 Trillion to Avoid Alarm(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-06/OJC7AZ6JTSEN01


ドル下落、人民元の急上昇が契機=NY市場

[ニューヨーク 5日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが他の主要通貨に対して下落した。ドルは人民元の急上昇をきっかけに海外市場で下げ基調となり、堅調な米経済指標が発表されても流れは変わらなかった。

人民元は香港市場での人民元調達コストの上昇を受けて買われ、対ドルで約2カ月ぶりの高値をつけた。

元高/ドル安が利益確定のドル売りを誘発し、ドルは下げ幅を拡大。ドル指数.DXYは3週間ぶりの水準に下落した。終盤は1.3%安の101.300で、1日としては昨年9月6日以来の大幅下落となった。

ドイツ銀行のFX戦略グローバルヘッド、アラン・ラスキン氏は、市場のモメンタムが変化し、投資家がドル買いの動きを縮小もしくは反転させたと指摘。「何かきっかけを探すなら中国だ」と述べた。

ドルは対円JPY=で12月14日以来の安値をつけた。終盤は1.4%安。ドルはユーロEUR=とスイスフランEURCHF=に対してもそれぞれ1%程度下げた。

米経済指標は、12月ISM非製造業指数で新規受注指数が2015年8月以来、価格指数が14年8月以来の高水準を記録するなど全般に堅調だったが、市場の反応は鈍かった。

雇用関連統計は、週間新規失業保険申請件数が43年ぶりの低水準に迫る一方、12月のADP民間部門雇用者数は市場予想を下回り、強弱まちまちだった。

チャプデーレン・フォーリン・エクスチェンジのマネジングディレクター、ダグラス・ボースウィック氏は、年末年始の休暇が終わって市場関係者が職場に復帰するにつれて、投資家の間ではドルはピークを打ったとのムードが強まっていると述べた。

ドル/円 NY終値 115.34/115.37

始値 116.65

高値 116.76

安値 115.24

ユーロ/ドル NY終値 1.0603/1.0611

始値 1.0492

高値 1.0615

安値 1.0493

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アングル:狭まる人民元防衛の選択肢、外貨準備の減少続く

 1月5日、中国政府が今週発表する12月末の外貨準備は、2011年2月以来の低水準になると予想される。そこで投資家の間では、果たして中国当局が人民元の防衛を続けられるのかという点だけでなく、さらなる資金流出と通貨安の悪循環が始まる恐れも大きな不安の種になっている。写真は人民元とドル紙幣。北京で昨年1月撮影(2017年 ロイター/Jason Lee)

[シンガポール 5日 ロイター] - 中国政府が今週発表する12月末の外貨準備は、ロイター調査によると3兆ドルをかろうじて上回るものの、2011年2月以来の低水準になりそうだ。そこで投資家の間では、果たして中国当局が人民元の防衛を続けられるのかという点だけでなく、さらなる資金流出と通貨安の悪循環が始まる恐れも大きな不安の種になっている。

中国の外貨準備の規模自体はまだ大きい。とはいえ昨年8月に人民元切り下げを実施して以来、元急落局面に再三見舞われ、その都度当局が買い支えに動いて多額の外貨準備が取り崩されてきた。

当局は個人や企業の海外への資金持ち出しに締め付けを強めているが、外貨準備が目減りするスピードに対する懸念はくすぶり続けている。一部のアナリストは、国際通貨基金(IMF)の適切な基準を満たすには、中国は外貨準備を最低でも2兆6000億─2兆8000億ドルに保つ必要があると試算する。

オックスフォード・エコノミクス(香港)のアジア経済責任者ルイス・クイス氏は「市場にはかなりの不安や憶測が渦巻いている。なぜなら中国ではこの問題について『政府は1ドル=7元、ないしは外貨準備3兆ドルの大台を守るつもりなのだろうか』という語り口が多いからだ」と述べた。

中国は今週、1ドル=7元近辺まで元安が進むとオンショアとオフショアの両市場で介入に乗り出し、中国を為替操作国に認定する意向を示唆しているドナルド・トランプ氏が20日に米大統領に就任するのを前に、元安を容認したくないと考えているとの観測が広がった。

しかし急速な外貨準備の減少と海外への資金流出が続けば、中国は再び一気に大きく人民元を切り下げるしか手がなくなるかもしれない、というストラテジストの声も聞かれる。

こうした切り下げは、他の新興国を巻き込んだ通貨安競争へとつながりかねない。

専門家の見立てでは、外貨準備を減らさずに元安のペースを和らげるために中国当局が頼りにするのは規制の厳格化だ。具体的には海外向け投融資や輸出代金の使い道への監視強化、あるいは既存の資本規制の抜け穴封じといったところになる。

ただ中国政府が元は一方的に下がるのだという市場に定着した見方を覆さない限り、ある規制の抜け穴を素早くふさいでもすぐ次の抜け穴が出現するといういたちごっこは続くだろう。

HSBCのアジア外為ストラテジスト、ジョーイ・チュー氏は「実際に外貨準備が十分にあるのかどうかは重要ではない。人々が外貨準備が足りないと考えれば、海外に資金を逃がそうとして、自己実現的なメカニズムが作用する」と指摘した。

チュー氏によると、中国としては本来通貨防衛には2兆ドルあれば事足りるはずだが、こうした市場心理のために当局は外貨準備を取り崩そうとするのは逆効果だと既に認識しており、だからこそ規制に活路を見出しているという。

例えば当局は、金融機関が報告すべき1回当たりの国内外の現金決済額の下限を20万元から5万元まで引き下げた。また個人の外貨購入は年間5万ドルの枠を維持しながらも、個々の取引に一段と目を光らせている。

上海証券のエコノミスト、ジェリー・フー氏は「以前なら資本規制は比較的緩く、外貨準備も潤沢だったので、当局は個人の外貨購入には目をつぶっていた。今は相場観を変えるために監視を強めている」と述べた。

またオックスフォード・エコノミクスのクイス氏は、中国規制当局が海外企業合併・買収(M&A)の審査を厳格化すると表明している以上、この分野でも何らかの措置が講じられる可能性があると予想。HSBCのチュー氏は、輸出業者の外貨収入をもっと元に転換するよう政府が促す事態になってもおかしくないとの見方を示した。

一方でチュー氏は、中国政府が新たな資本規制は導入せずに、既存の規制の実施をより厳しくすることに重点を置くとみている。それでも通貨安対策としては力不足で、元の下落は止まらないだろうという。

ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのアジア太平洋マクロ戦略責任者ドワイフォー・エバンス氏は「中国当局が取り得る選択肢は乏しい。今より急速な元安を容認してしまうと、資金流出圧力を高めるだけになる。一度に大きく元を切り下げれば、過去1年半に2回も起きた市場の混乱を再燃させるリスクがある」と語った。

(Nichola Saminather記者)

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インタビュー:欧州と新興国に政治・経済リスク、英の年内格下げも=ムーディーズ

[ロンドン 5日 ロイター] - 格付け会社ムーディーズのソブリンリスク担当幹部、アラステア・ウィルソン氏はロイターとのインタビューで、中国などの新興国や英国について、年内に格下げを含む主要な格付け判断を行うとの見通しを示した。

米国でのトランプ新政権の発足に加え、英国の欧州連合(EU)離脱や欧州各国で今年行われる選挙をめぐる先行き不透明感、経済の立て直しが急がれる中国や南アフリカ、ブラジルなどについて、ムーディーズは難しい判断を迫られている。

ウィルソン氏は、政治リスクと債務水準の高まりに伴い、「格付け対象国の4分の1の格付け見通しが『ネガティブ』であり、これは(ユーロ危機が最も深刻だった)2012年以来の多さだ」と指摘。格下げ対象の地理的分布が当時よりもはるかに広範囲に及んでいる点が気がかりだと語った。

格付け見直し対象の「ウォッチリスト」に挙げられている国は、英国(ムーディーズの格付け:Aa1)、イタリア(Baa2)、中国(Aa3)、南ア(Baa2)、メキシコ(A3)、ブラジル(Ba2)など。

ムーディーズは英国の格付け見直しを6月2日、9月22日に予定している。ウィルソン氏は、それまでに英国は正式なEU離脱手続きを開始しているはずで、離脱交渉の「雰囲気」から英国を格下げするかどうかを判断するのに十分な材料が得られると説明。

「EU離脱は英国にとって『クレジットネガティブ』であり、問題はどれほどネガティブかだ。われわれは交渉が本格的に動き出す今後数カ月あるいは1年で、ようやくそれを理解し始めることになる」と語った。

イタリアでは、政府による銀行救済の行方に加え、選挙法をめぐる憲法裁判所の判断や総選挙など政治の先行き不透明感が主要なリスクとされる。

ウィルソン氏は「(選挙に勝利した)政党が改革を断行できる、あるいは少なくとも改革から後戻りしないとわれわれが結論づけられる場合、それはクレジットポジティブとなり、そうでければクレジットネガティブとなる」と語った。

また、欧州でユーロ圏の崩壊リスクが再び高まっていることが確認されれば、それも格付けにとって大きなマイナス材料となる。

フランスの極右政党・国民戦線のルペン党首は4日、フランスはユーロ圏から離脱すべきとあらためて主張。イタリアで台頭するポピュリスト政党「五つ星運動」もユーロ離脱を唱えている。

ウィルソン氏は、昨年3月から格付け見通しを「ネガティブ」としている中国について、「今年1年をかけてこの見通しを検討することになる」と語った。

同氏は、中国政府は経済成長と金融・政治の安定を維持しようとする中で、経済構造の改革も図るという「トリレンマ」に直面していると指摘。中国の格付け見通しは、同国経済に改革が必要であるにもかかわらず、指導部の政策が改革よりも成長や安定維持に軸足を置いている可能性があるとの懸念を反映していると述べた。

ブラジルについては、原油価格がたとえ1バレル=70ドルまで上昇しても、改革を実行すべきとの見解は変わらないと発言。

南アについては「ここ数カ月、政情不安が騒がれていることは確かだが、格付けの観点からは必ずしも重大な材料ではない」と指摘した。

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http://www.asyura2.com/16/hasan117/msg/508.html

[国際17] 米国家情報長官、情報機関の再編を支持 米失業率どこまで?9年ぶり低水準 トランプ共和党はオバマケアの代替案を打ち出せるか


 
米国家情報長官、情報機関の再編を支持
ジェームズ・クラッパー米国家情報長官 
By DAMIAN PALETTA AND PAUL SONNE
2017 年 1 月 6 日 08:11 JST

 【ワシントン】米国のジェームズ・クラッパー国家情報長官は5日、同氏が統括する国家情報長官室(DNI)の再編を支持する姿勢を示し、米議員に対して数多くの情報機関を創設した「法的根拠」の根本的な見直しを検討するよう求めた。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はこの日、DNIや中央情報局(CIA)が肥大化しており、規模を縮小する必要があるとの見方があることを受け、ドナルド・トランプ次期大統領の政権移行チームが情報機関の再編計画について協議していると報じた。

 クラッパー長官は米上院軍事委員会が開いた公聴会で、情報機関が果たしている役割を擁護する一方、「改善の余地は常にある」と述べた。

 その上で、「DNIの改革や再編、またはCIAの再編を行うのであれば、もともとDNIを設立した法的根拠にいくらか留意するのが重要になると思う」とし、「議会の意見が考慮されるべきだろう」と指摘した。クラッパー長官はトランプ氏の大統領就任に伴い退任を予定している。

 長官はまた、トランプ氏の政権移行チームからDNIの再編について相談は受けていないと明らかにした。

 トランプ氏の広報を担当するショーン・スパイサー氏は、米情報機関の体制を変更するかについては何も決まっていないと述べた。

 DNIは情報機関を統括し、情報共有を確実にする目的で2004年に創設された。過度に官僚的になり得るとの批判が出ている一方、情報機関の連携体制を強化するのに役立っていると支持する向きもある。過去には民主・共和両党から再編を求める声が上がっていた。

 公聴会では、ジーン・シャヒーン上院議員(民主、ニューハンプシャー州)がDNIをはじめとする情報機関の再編に関するいかなる議論にも議会が関与すべきだと訴え、アンガス・キング上院議員(無所属、メーン州)もこれに同調した。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjDmKHv0azRAhUCX5QKHXGiC3kQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582541712328624828&usg=AFQjCNFfP3Ntb3tOPYCGvGfpF5ham69M4g

 

米失業率、どこまで下がる? 11月は9年ぶりの低水準
昨年11月の米失業率は9年ぶりの低水準だったがさらに低下する可能性がある(写真はニューヨークの就職フェア、昨年11月)

By STEVEN RUSSOLILLO
2017 年 1 月 6 日 11:55 JST

 今年の米労働市場で重要な問題の一つは、失業率が実際どこまで下がるのかということだ。

 米労働省は、無職で積極的に仕事を探している人のことを、失業状態にあると定義している。失業率は事実上、労働市場を一つの数字に要約しているもので、欠陥がないわけではない。11月の失業率は4.6%で9年ぶりの低水準だった。12月の雇用統計は6日に発表される。

 失業率が低下すればするほど、未知の領域に入っていくことになる。労働省が1948年に取り始めた月次の統計によると、失業率が4.6%以下だったのは、同年以降これまでの期間の4分の1でしかない。この大半は1940年代から60年代にかけてだった。

 現在の労働市場の傾向が続けば、失業率は低下する可能性が高い。2016年には非農業部門就業者数が月平均18万人増加した。前年は22万9000人だった。アトランタ連銀のモデルによると、今年はこれが約20万人となり労働参加率が比較的一定であると仮定すれば、失業率は年末までに3.9%に低下することになる。

 これには前例がある。1997年11月の失業率が4.6%に低下した。これは当時の時点で73年以来の低水準だった。低下傾向はその後も続き、2000年4月には3.8%となった。

 もちろん、失業率だけですべてを表現しているわけではない。1990年代後半と現在の経済状況は大きく異なる。賃金の伸びは最近改善し始めたばかりだ。労働参加率は概して、過去と比べて低水準にある。フルタイムの仕事は以前より少ない。2人のエコノミスト、ハーバード大学のローレンス・カッツ氏とプリンストン大学のアラン・クルーガー氏によると、新たな調査では2005〜15年に創出された雇用のほぼすべてが臨時または契約ベースの「非正規雇用」と見なされることが分かった。

 このことは、フルタイムの仕事を探しているパートタイム労働者などを含める広義の失業率「U6失業率」が引き続き上昇傾向にある理由を説明している。この数字は昨年11月に9.3%に低下したものの、金融危機前の7.9%を大幅に上回っている。この間の景気拡大局面で米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げしたのは2回だけだった。FRBのジャネット・イエレン議長は、超低金利維持が正当である根拠として頻繁にU6失業率を引き合いに出す。

 昨年は失業率が低下したにもかかわらず有権者の怒りは収まることはなかった。失業率がさらに低下しても、創出された雇用の質や支払われる賃金がより重要になる可能性がある。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwiJoYbE0azRAhXDHpQKHRDJCvQQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10150392616080993801604582542030710479386&usg=AFQjCNEoy2tZTi3kokEm9T4rSuu922A-vQ


 

【社説】「トランプケア」の政治的攻防
共和党はオバマケアの代替案を打ち出せるか
米共和党はついにオバマケアを撤廃する力を持つに至ったが、問題は代替案に置き換えられるかどうかだ(写真はペンス次期副大統領=手前=とライアン下院議長、4日)

2017 年 1 月 6 日 10:47 JST

 バラク・オバマ大統領とマイク・ペンス次期副大統領が4日、ともに連邦議会を訪問した。オバマ政権の看板政策である医療保険制度改革法(オバマケア)の将来をかけた攻防の火ぶたが切って落とされた。

 上下院で多数派となっていた共和党がホワイトハウスも奪取したことで、同党はついにオバマケア撤廃の力を持つに至った。問題はオバマケアを代替案に置き換える気概があるかどうかだ。

 ペンス氏はオバマケアの撤廃と代替案の導入がトランプ新政権の「最優先事業」になると共和党議員に訴えた。一方のオバマ氏は「トランプケアへの置き換え」法案の通過を手助けすることで共和党を「救う」ことのないよう民主党員にハッパをかけた。トランプ氏のこれまでのビジネス経験からすれば、新たな医療保険制度案であれ何であれ、自身の名前を冠することはいとわないだろう。だが、共和党議員は間もなくオバマケアが自分たちのものになるという現実を理解する必要がある。首尾一貫した市場重視の代替案が議会を通過するまでは、好むと好まざるとに関わらず、政治的にはオバマケアはトランプケアになるのだ。

***

 これは政治的に有利とはいえない。保険料の傾向、加入状況、医師や病院の限られたネットワーク、保険会社の参加率など、ほぼ全ての側面でオバマケアが現在進行中の大いなる失敗となっているからだ。現状が続けば来年に向けて、加入のしやすさや選択肢、競争に混乱を来すことになろう。

 トランプ氏は政治的な危険性を理解しているようで、4日にはツイッターにこう投稿した。「保険がカバーする内容の乏しさや高騰する保険料など、失敗したオバマケアの災禍は民主党のものだという考えに、共和党は慎重にならなければならない」。 

オバマ氏のせいにできなくなる

 トランプ氏はもはや傍観しているだけの大統領候補ではない。ペンス氏の議会訪問が共和党議員にオバマケアの早期撤廃を目指した計画を進めるよう促すものでなかったのだとすれば、訪問の目的は何だったのか。次期大統領には法案戦略で何か良いアイデアがあるのだろうか。それとも単にファミリー企業のトランプ・オーガニゼーション会長として、トランプタワーから物を言っているだけなのだろうか。

 共和党の中には、オバマケアを撤廃し、その後遺症の責めをオバマ大統領に負わせることができると考えている議員もいる。だが、それは考えが甘い。共和党議員はオバマケアを撤廃し「かつ」代替案に置き換えると訴えて当選したのだ。オバマ大統領を責めていられる期間は間もなく終わる。有権者は、問題解決能力があるのに問題を解決しない政治家を罰する傾向がある。その問題の原因を作った当事者でなくてもだ。

 共和党は連邦議会が招集された3日、予算決議案を提示することでオバマケア撤廃への第一歩を踏み出した。予算案の審議に限って適応可能な「調停」という例外手続きを使い、フィリバスター(議事妨害)を封じて単純過半数による可決を可能にする手法だ。これを利用すれば、オバマケアの保険助成金や増税、低所得層向けの医療保険制度「メディケイド」の拡充、個人強制保険といった措置の撤廃が可能になる。ただし「調停」という手続きでは、医療制度への連邦規則による管理・強制力の巨大化という最もダメージの大きい核心的な特徴の一つを取り除くことはできない。

 このため2月中旬頃までにはオバマケアの大部分を法的に撤廃できたとしても、実際の撤廃は2〜3年後になるだろう。しかも共和党は代替案について考えが一致していない。トランプ氏はオバマケアの撤廃と、「何か素晴らしいもの」への置き換えを訴えて選挙戦を戦ったが、代替案となるトランプケアについては今後の交渉と、「素晴らしいもの」の解釈に委ねられた。下院共和党はオバマケアの改革で結束したが、法案の起草は遊説用の原稿を書くことよりも難しい。

代替案の導入が遅れることのリスク

 この戦略の政策面でのリスクは、オバマケアの撤廃後に代替案の導入が遅れれば、オバマケアで創出された保険市場の崩壊が加速しかねないことだ。保険市場は安定性と予測可能性に依存しており、保険会社はすでに2018年用の保険内容を計画中だ。新たな制度を徐々に導入することも可能だが、撤廃から置き換えまでに要する期間が不確定なほか、代替案が実現しない可能性もあるため、数百万人の保険が中断しかねない。

 政治的なリスクは、共和党が先延ばしの道を選ぶか、分裂とスタンドプレーのいつものパターンへ逆戻りすることだ。保守派の純粋主義者はいかなる代替案もオバマケアの簡易版だとして阻止を試みるかもしれない。ランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)は4日、共和党のオバマケア撤廃案は財政赤字を増大させる可能性があるとして、反対を表明した。自称リバタリアン(自由至上主義者)が給付制度の撤廃に反対すると同時に財政上の美徳を主張できる場所はワシントンだけだ。

 民主党について言えば、妥協するなというオバマ大統領の助言にすでに従っているように見える。民主党トップのチャック・シューマー上院院内総務は4日の記者会見で、共和党は「数百万人の米国民から医療保険制度をはぎ取り、経済全体に混乱を作り出したいのだ」と話した。さらに同党は「目標には到達したものの、次に何をしていいのか分からない」集団だと表現した。共和党が数年ではなく数カ月以内に代替案の公約を果たせなければ、シューマー氏の発言が正しいことになる。

 共和党は、中道右派の改革が福祉国家のトップダウン式の命令を改良できることを示す、1世代に1度あるかないかの機会を手にしている。ここでしくじれば、ワシントンを追われる羽目になっても仕方がない。

トランプ次期政権

オバマケア撤廃めぐる攻防、トランプ氏も参戦
トランプ氏、米情報機関の再編と規模縮小を計画
「敵失」で幸運呼び込むトランプ氏
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwicg7jT0azRAhVKnZQKHVzmBc4QFgghMAE&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10175227258939934692904582540410940512418&usg=AFQjCNGMoBASbr1ktEATYeCifUdtZzoBSw
http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/150.html

[政治・選挙・NHK218] 改正国民年金法が成立、年金は確保できるのか?前途多難 驚きの節税効果、個人型DCのメリットとデメリット「じぶん年金」必要
改正国民年金法が成立、年金は確保できるのか?
変わる国民年金、「じぶん年金」の必要性高まる(後編)
2017.1.6(金) 岡田 正樹
改正国民年金法が成立した。改正の中身とは?(写真はイメージ)

 2016年は、国民年金に関わる法律の改正が相次ぎました。まず、5月に「確定拠出年金(DC)」の改正法が成立し、個人型DCに誰でも加入できるようになりました。そして12月14日には、年金の給付を抑える「改正国民年金法」が成立しました。
 国民年金の仕組みが変わり、「じぶん年金」の必要性が高まっています。前回「驚きの節税効果、個人型DCのメリットとデメリット」は「確定拠出年金(DC)」の改正法について解説しました。今回は、「改正国民年金法」のポイントを解説しましょう。
年金支給額は15年間で年20万円減少
 今回の「国民年金法」改正は、年金の支給額を抑制する新しいルールをつくり、将来世代の年金を確保しようという試みです。概要は以下の通りです。
・支給額改定に新ルールを適用。賃金の下落率に合わせて年金額を改定する
・マクロ経済スライドを強化。物価上昇時に複数年分まとめて給付を引き下げる
・厚生年金の加入対象を拡大。従業員数500人以下の中小企業の短時間労働者も加入対象に
・出産前後の保険料を免除
・GRIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のガバナンス改革
・日本年金機構の不要財産返納
 政府はこの改正によって「100年安心プラン」を目指していますが、野党は「年金カット法案」と批判して、反対していました。
 日本の年金制度は会社員(第2号被保険者)や自営業(第1号被保険者)、専業主婦(第3号被保険者)などによって種類が異なり、支給される年金額も変わってきます。そのうえ、将来いくら支給されるのかもよく分かりません。
 年金支給額はこのところ減り続けています。夫婦の基礎年金に夫の厚生年金を加えた「標準的な年金額」は、2000年の月額23万8125円から、2015年には同22万1507円となりました。支給額が15年間で年額20万円近く減少しているのです。標準的な年金受給世帯の年金額(夫婦の基礎年金+夫の厚生年金)の推移は以下の通りです(表1)。
表1 年金額の推移(出所:厚生労働白書)
*特例水準の計算式によって算出された給付水準
夫が平均的収入(平均標準報酬月額36.0万円。賞与を除く)で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯が受け取り始める場合の額
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/8/a/300/img_8a422ee583e03239976acaf0e909c76316298.jpg

高齢者の年金を減らす新しいルール
 最初のポイントは、現役世代の賃金下落に合わせて高齢者が受け取る年金額を減らす新しいルールです。
 現在は、物価が上昇していれば、賃金が下がっても高齢者の生活水準に配慮して給付額を据え置いています。物価が下落して賃金がさらに下落した場合も、物価に合わせて給付額を引き下げています。しかし、改正後は賃金に合わせて引き下げることになります。実施は2021年4月からです。
 マクロ経済スライドは2004年に導入されました。物価や賃金が伸びている間は毎年およそ1%ずつ支給額を抑えて年金制度の持続性を高める仕組みです。しかし、物価が下落しているデフレ下では適用しないため、消費税が5%から8%に上がった翌年の2015年度に1回しか発動されていません。
 今回の改正では、物価の下落局面では支給額の抑制を凍結する代わりに、物価が上昇に転じたときは2018年度から複数分まとめて抑制できるようにしました。
支給年齢の引き上げや高所得者への支給制限も
 国民年金法の改正で将来世代の年金は確保できるのでしょうか?
 国民年金の給付総額は年間50兆6157億円です。これに対して収入は、保険料が32兆5640億円、国庫負担などが11兆8143億円、運用益が5兆1041億円などとなっています(表2)。
表2 公的年金の財政状況(2014年度)
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/d/e/380/img_de7ea518a63f2eeb05047c0ff76df01515184.jpg

 50兆円という支給総額は、政府の予算案(2017年度97兆4547億円)の半分を占める規模です。高齢者の受け取る年金を減らすことで、年金財政のバランスを調整するのが、マクロ経済スライドという仕組みです。政府としては、いつまで削減を続ければ年金財政のバランスがとれるか、5年ごとに検証しています。
 2009年の財政検証では、2038年度まで削減を続ければ、2105年までの年金財政のバランスがとれるという結果でした。2014年の財政検証ではこうした計算結果がなく、給付水準の調整機関の終了時期が経済再生ケースで2043〜2044年度の見通しとなっています。「100年安心プラン」を実現するためには、2040年前後まで年金が減り続けることになります。
 これまで物価や賃金の伸びが小さかったため、マクロ経済スライドが1回しか発動されていないことから、年金額の調整期間が先延ばしにされてきました。
 今後は、年金支給開始年齢の引き上げや、高所得者への支給制限の実施など、給付総額を抑制するための改革も検討されています。将来世代の年金確保は前途多難と言えそうです。
[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48835

 

驚きの節税効果、個人型DCのメリットとデメリット
変わる国民年金、「じぶん年金」の必要性高まる(前編)
2017.1.4(水) 岡田 正樹
個人型DCに誰でも加入できるようになった。メリットとデメリットは?(写真はイメージ)

 2016年は、国民年金に関わる法律の改正が相次ぎました。まず、5月に「確定拠出年金(DC)」の改正法が成立し、個人型DCに誰でも加入できるようになりました。そして12月14日には、年金の給付を抑える「改正国民年金法」が成立しました。
 国民年金の仕組みが変わり、「じぶん年金」の必要性が高まっています。以下では、それぞれの法改正の内容を2回にわたって解説しましょう。まず今回は「確定拠出年金(DC)」の改正法についてです。
個人型DCは「運営管理機関」に申し込む
 確定拠出年金(DC)の改正によって、すでに企業年金に入っている会社員や公務員(第2号被保険者)、専業主婦(第3号被保険者)など、誰でも個人型DCに加入できるようになりました。
 個人型DCは「iDeCo(イデコ)」という愛称が付けられており、2017年1月から基本的にすべての人が加入できます。企業年金に入っている従業員がiDeCoに加入するには、事業主が個人型DCを実施する国民年金基金連合会に事業所登録する必要があります。
 個人型DCの加入は「運営管理機関」と呼ばれる金融機関に申し込みます。運用管理機関は銀行53、信用金庫68、労働金庫13、証券会社5、信託銀行1、投信会社2、保険会社8、専業会社3が行っています。受付業務のみを行う金融機関も137あります(2016年12月24日現在)。
 国民年金基金連合会のホームページには運営管理機関が金融機関ごとに掲載されています。コールセンターや担当部署の電話番号、ホームページが載っているので、問い合わせてみるといいでしょう。
 金融機関の支店はいくつかの大手銀行を除いて、個人型DCを扱っていないため、相談しにくいのが難点です。支店窓口では営業職員が制度の説明はできますが、運用関連の業務はしていません。2001年に出された制度の法令解釈で「営業職員にかかる運用関連業務の兼業の禁止」が通知されているからです。
中途解約できないデメリットも
 iDeCoのメリットとして挙げられるのは、3つの税制優遇措置があることです(表1)。
表1 iDeCoの3つの税制優遇措置
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/3/4/450/img_347a0c97d460264994c1598141418cbe35515.jpg

 なかでも掛け金が全額所得控除できる点は大きいと言えるでしょう。
 例えば所得税率20%の人(課税所得330万円〜695万円)が月額2万円を掛け金として拠出すると、住民税と合わせて30%、年間7万2000円の節税効果を生み出します。30%という運用利回りを得られる金融商品は見当たりません(「課税所得」は給与所得から基礎控除や配偶者控除、社会保険料や生命保険料などの控除額を差し引いたもの)。
 ただし、金融機関はiDeCoのメリットばかりを強調して、中途解約ができないといったデメリットをきちんと伝えない傾向があります。
 専業主婦は配偶者控除を受けるためには給与収入が103万円以下でなければならないという“103万円の壁”があります。所得がないので、掛け金を拠出しても所得控除は受けられません。一般に専業主婦は投資に関するリテラシー(理解力)が低いことから、元本確保型商品で運用する傾向が高くなります。運用益が非課税というメリットも受けられない人も出てきそうです。
 こうしたデメリットに加えて、いったん加入すると中途で解約できない点も、個人型DCを扱う金融機関ではきちんと説明していないと思われます。
 中途での引き出しに制限があり、原則として60歳まで引き出すことができません。運用指図者になれば、掛け金の拠出は止められますが、各種の手数料で引かれるものもあり、資産は目減りしていきます(表2)。
表2 iDeCo加入時に留意すべき点
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/2/8/450/img_284ff7fee0029bea664d6676290efee133554.jpg

 なお、iDeCoの拠出限度額は以下の通りです(表3)。
表3 iDeCoの拠出限度額
*1 企業型DCにのみ加入している
*2 それ以外(公務員・私学共済加入者を含む)
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/8/d/450/img_8d10134c0ba521610c9170cb9f0a209327142.jpg

「マッチング拠出」との同時利用はできない
 企業型DCをすでに実施している会社がiDeCoを導入するケースは、規約変更が必要になります。事業主の掛け金に加入者が上乗せ拠出できる「マッチング拠出」を行っている場合は、iDeCoを同時に利用することはできません。会社として、どちらかを選択することになります。
 専業主婦だけでなく、会社を退職した場合など、一時的に第3号被保険者になった人も引き続き、iDeCoに加入できるようになります。第3号被保険者は拠出時の所得控除は原則としてありません。夫婦でiDeCoに加入した場合であっても、給与の源泉控除は従業員のみが対象となります。
 個人型DCの加入者が掛け金を拠出するためには、国民年金の保険料を納付することが必要条件になっています。国民年金基金連合会では毎年3月に前年1〜12月の保険料納付状況をチェックして、保険料未納付の月に掛け金を納付していた場合、未納月の掛け金相当額が還付されます。還付の手数料として1029円徴収されます。
[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48834

http://www.asyura2.com/16/senkyo218/msg/647.html

[国際17] インド・ベンガルールで大晦日、女性たちに集団暴行 治安の良いIT都市が恐怖に包まれる なぜインドではレイプ事件が後を絶た
インド・ベンガルールで大晦日、女性たちに集団暴行 治安の良いIT都市が恐怖に包まれる
Huffpost India | 執筆者: HuffPost India Staff

投稿日: 2017年01月05日 18時32分 JST 更新: 2017年01月05日 19時41分 JST
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©2017 MapQuest, © OpenStreetMap, ©2017 Mapbox | Terms



インド南部の都市ベンガルールで2016年の大晦日、新年を祝うために市内中心部に集まっていた女性たちが集団で性的暴行を受けたと訴えた。
こうした集団の性的暴行は、2013年8月にムンバイで取材中の女性カメラマンが集団レイプされた事件があるが、インド南部ではめずらしい。ベンガルールは、インドで犯罪の中心地として知られるデリーに比べ、女性にとって安全な街だという評価を誇っていた。

ベンガルールの新年イベントで、群衆に囲まれた女性を救出する男性たち
ベンガルールはカルナータカ州の州都で、インド有数のIT都市として知られる。2014年11月に旧名のバンガロールから改名した。
地元紙「ベンガルール・ミラー」は、新年の夜に実際に何が起こったのかを撮影した生々しい写真を掲載した。目撃者の証言や、その他の情報源から得た情報によると、数百人の男たちが、バイクや徒歩で、ブリゲードロードやMGロードなどの市の繁華街に出向き、酔っぱらい、お祭り騒ぎは手に負えない状態になった。警察は飲酒運転で500人近くを逮捕したが、現場で起こっていることは、さらに凄惨だったようだ。特に女性にとっては、終わりのない恐怖の夜となった。
市内のいたる所で、1人で外出していた女性や、友達や家族と一緒にいた女性が、声をかけられたり、からかわれたり、性的暴行を受けたり、嫌がらせを受けたりしたと訴えた。写真では、男の集団に追いかけられて女性が逃げ回る様子や、乱暴な集団が酩酊状態で通りに押し寄せ、女性を触ろうとしたり、下品な言葉を浴びせながらバイクを乗り回したりする様子、その中で女性が警察職員の助けを求めている様子が映し出されている。
警察は混乱の広がりを軽く見せようと、報告された被害の件数を挙げて過去の他の年と比較した。しかし被害の深刻さは明らかで、かつてはムンバイやデリーと比べて格段に安全だとされていたベンガルールの評判は汚されてしまった。
警察庁のプラビーン・スド副長官は、1月1日にベンガルールの警察署長に就任し、女性、子供、高齢者市民の安全を主に優先すると語った。「女性や子供たちが安心できない場所を文明社会と呼べるだろうか?」と、ベンガルール・ミラー紙のインタビューで語った。
ベンガルールでは2016年、女性に対する犯罪件数が増加していた。12月には、弁護士のジョティ・クマリ(27)さんがストーカーのB・マドゥ容疑者に殺害されたと報じられた。この容疑者は4年間にわたってストーカー行為をしていた。クマリさんはマドゥ容疑者から暴行を受けたことがあり、自転車も盗まれていた。しかし彼は“厳しい警告”をを受けただけで、調書をとられることもなく、警察から釈放されていた。
インドでは、女性に対する犯罪の訴えには、なかなか耳を傾けてもらえない。警察は今回の事件の数日前にも、「警察が街の隅々までパトロールするのは不可能で、自身の安全を守る責任は女性側にもある」と言っていた。また、カルナータカ州のジー・パラメシュワラ内相は、「女性が西洋人のマネをしているから騒動が起きるし、女性の一部は襲われる。よく起こるものだ」と発言している。
ハフィントンポスト・インド版より翻訳・加筆しました。
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インドのレイプに抗議する人々
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Rupak De Chowdhuri / Reuters














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INDIA-PROTEST/
An activist of the Socialist Unity Centre of India (SUCI) holds a poster during a protest against the recent gang-rape of a woman in a moving car, according to local media, in Kolkata, India May 31, 2016. REUTERS/Rupak De Chowdhuri
(スライドショーが見られない方はこちらへ)
関連記事
なぜインドではレイプ事件が後を絶たないのか? ハフポスト・インド版副編集長に聞く

http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/05/bengaluru_n_13967566.html


 

なぜインドではレイプ事件が後を絶たないのか? ハフポスト・インド版副編集長に聞く
The Huffington Post | 執筆者: Kosuke Takahashi
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投稿日: 2015年01月12日 18時37分 JST 更新: 2015年01月12日 23時11分 JST INDIA RAPE
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2015年1月に入り、インドで日本人女性(22)が1か月近くにわたって監禁され、集団性的暴行を受けた事件が明るみになった。容疑者の男6人は、被害女性から約14万円相当の現金を奪った上で、数週間にわたり監禁し、暴行を加えていたとされる。

インドでは、首都ニューデリーで2012年12月にバスに乗った女子学生が集団レイプの末、殺害される事件が発生。これをきっかけに、同国での女性に対する暴力の問題が世界的に注目を集めている。女性への性的暴力に対する国民的な抗議行動が起き、当局にも有効な防止策を求める声が内外で高まっているが、レイプ事件は後を絶たない。

india rape
コルカタのバンクシャル裁判所に出廷する日本人女性レイプ事件の被告たち

やまぬ女性への暴力。いったい背景には何があるのか。ハフポスト・インド版副編集長のリツパルナ・チャタジー氏に聞いた。

――インドでレイプ事件が頻繁に起こり続けるのは、なぜでしょうか?

ハフポストインド版のリツパルナ・チャタジー副編集長
インドでは、レイプは犯罪であると同時に大きな社会的問題でもあります。それは、未だに伝統的な家父長制度によって支配されている国での恥と汚名に包まれた問題であります。つまり、性的暴行を受けた女性は過激な反発と社会的村八分を恐れて、警察に報告することを依然としてちゅうちょしています。

インドのレイプ事件が突然激増したようにみえるかもしれませんが、それは必ずしも実際のレイプ事件の件数が大幅に増えたことを意味するものではありません――それは、より多くの事件が報告され、強調されるようになったからなのです。

何百万もの女性たちにとってダイレクトソース(直接の情報源)になる24時間365日メディアの登場やインターネットへのより良いアクセスで、個人の安全、ヘルプライン、啓発キャンペーンへの意識が高まり、より多くの女性が今やレイプを報告することについての権利が与えられたと感じるようになったからです。

2012年にニューデリーのバス内で若い女性が残忍な手段で集団レイプされて殺害された後、未成年者に対するレイプや殺害も含めて、メディアは性的暴力事件を強調し始めました。ソーシャルプラットフォームがこれらの物語を強調することに大きな役割を果たしてきたことで(政府に対する)圧力を加えることになり、当局が行動をとらざるを得なくなってきたのです(政府省庁がそうであるように、多くの警察官や派出所はアクティブなツイッターハンドルを有しています)。

――犯罪が多く発生している地域は、インドのどの地方ですか? 大都市か農村地域か、など地域的特徴はありますか?

インド国家犯罪記録局(NCRB)の2013年(政府により利用可能なデータの最新年)のデータによると、女性に対する犯罪率が最も高かったのはデリーだと報告されました。特に過去5年間で発生した犯罪総数と比較して、女性に対する犯罪率は2009年の9.2%から2013年には11.2%へと上昇しています。

レイプ事件数が最多だったのはインド中央部にあるマディヤ・プラデーシュ州であり、若い女性の人身売買が最多だったのは東部の西ベンガル州であると報告されました。誘拐や拉致事件、そして、持参金不払い殺人数が最多だったのは、インドで最も人口が多い「北の州」であるウッタル・プラデーシュ州であると報告されました。


マディヤ・プラデーシュ州


ウッタル・プラデーシュ州

女性に対する犯罪の70%は53大都市から報告されたもので、デリーがそのうちの21.4%を占め、最多だったことをNCRBの2013年のデータは示しています。金融センターであるムンバイ(5.5%)とインドのシリコンバレーと考えられているバンガロール(4.9%)が、それに続いています。

農村の数字は、一般的に過小報告されています。住民登録が不十分な移民人口が多い都市 -- 例えば、ニューデリー -- は、女性に対する犯罪がさらに発生しやすくなる傾向があるからです。

――インド政府は、強姦犯に対する懲役刑を20年に倍増しましたが、レイプ事件は今も起きています。さらなる厳罰は、実際には有効なのでしょうか?

ニューデリーでの集団レイプ事件後、インドは植民地法を精査し、性犯罪に関する法律の見直し作業を委託された元最高裁裁判長J.S.バーマ率いる特別委員会の勧告をすべて採用して、レイプの定義を変更、拡大することを余儀なくされました。さらに量刑を厳しくすれば一定期間、街から犯罪者を遠ざけておく効果は現れるでしょう。しかし、それは、安全性の全面見直しにはほとんど影響を与えないでしょう。また、感受性の促進、教育や啓発プログラムを通じて社会構造を変化させていくことにもほとんど影響を与えないでしょう。

検察の訴追の遅れや、被害者が脅迫や威嚇に無防備にさらされたままでの長引く裁判、警察の無関心、さらには屈辱と時代遅れの医療処置を通じた生存者へのさらなる迫害……こうしたことが犯罪者をつけあがらせ、犯罪を繰り返させているだけなのです。

2012年12月の事件後、強姦犯に対する死刑を求める声が高まっています。それは、逆に、厳罰化によって、犯罪者が身元確認を逃れるために被害者を殺害することにつながると主張する人々によって反論され、1つの論争となっています。

しかし、ストーカー行為やのぞき見の有罪化や、人に酸をかける攻撃を最高で10年の禁固刑や終身刑までの「凶悪犯罪」とするような厳しい手段は歓迎されるステップなのです。

――インド政府は、レイプ犯罪防止のための啓発活動を強化していますか?犯罪犠牲者の支援も行っていますか?

農村部では家庭内にトイレを設置することが不足しているので、女性が妙な時間帯に野原に出て行かざるを得ず、性犯罪を受けやすくしているのです。ヒンドゥー愛国主義のインド人民党に所属するナレンドラ・モディ首相は、「寺院の前にトイレ」を自身の選挙スローガンとして使用して、2019年までに20万室のトイレを作ることを約束しました。

デリー警察と内務省は最近、夜間一人で動いている女性が警察の通信指令室に救助信号を送信するスマートフォンへアクセスできるモバイルアプリ「Himmat(勇気)」を立ち上げました。ニューデリーでの集団レイプ事件後、迅速な裁判を進める裁判所が、このような事件をスピーディーに処理するために設立されました。

2013年度予算で、チダンバラム前財務大臣は、100億ルピー(190億円)のニルバヤー(Nirbhaya)特別基金を発表しました。(これは、集団レイプ事件の被害者にちなんで命名されました。レイプ被害者の名前を明かすことはインドの法律では許可されていないため、主要メディアは被害者のことをニルバヤーと呼びました。)この基金は、公共車両にCCTVsとGPSを設置することを含め、女性の安全を守るためのプロジェクトを支援するものです。

2014年初め、インドはレイプ生存者を医学的に検査するための侵襲的な「2本指テスト」や処女テストを禁止しました。映画館やラジオスポットで映画に先行して流される啓発ビデオは、女性に対する暴力犯罪に取り組むために政府により採用された多くの措置の中の1つとなっています。

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インド・デリー レイプ事件
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CHANDAN KHANNA via Getty Images
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Yuko Endo · トロント
レイプを少なくする一番効果的な方法は、男性を教育することであるが、男尊女卑の社会では、それは難しい。インドでレイプが後を絶たないのは、宗教に紐づいたカースト制があることが大きいと思う。低い身分の人間と高い身分の人間がいる。人間を同じように扱わないことが宗教の教えであり、モラルである。男尊女卑の階級社会では、当然、身分の低い女性はレイプしてもよいと思う考えが浮かんでくると思う。
いいね! · 返信 · 1 · 2015年1月12日 22:50

Chiyoko Kunieda
女を見下す行為はいい加減にしてもらいたい。もううんざりだ。
いいね! · 返信 · 4 · 2015年5月9日 8:45

Shuji Yoshioka · 北海道工業大学
今のフィリピンの大統領の様に成敗したら?極端ですが。
いいね! · 返信 · 2 · 2016年11月27日 4:21

Masahiro Maeda
極刑しかないのでは?
男根を切り落とせ、したくても出来なくなるさ!
いいね! · 返信 · 2 · 2016年11月27日 13:08
http://www.huffingtonpost.jp/2015/01/12/india-rape_n_6453902.html

http://www.asyura2.com/17/kokusai17/msg/151.html

[不安と不健康18] 幹線道路沿いに居住で認知症リスク高まる=調査 Living near major roads and dementia 
幹線道路沿いに居住で認知症リスク高まる=調査
2017/01/05
BBC News

ジェイムズ・ギャラガー科学ヘルス担当記者

カナダで実施された大規模調査で、幹線道路の近くに住むと認知症のリスクが高まるとの結果が出た。研究結果は英医学誌「ランセット」に掲載された。

主要な道路から50メートル以内に住む人が認知症を発症したケースで、その約1割は、交通量の多さが原因になっていると、研究は示唆している。

英国の認知症の専門家は、さらに研究を進める必要があると指摘したが、研究結果は「あり得る」と評価した。

世界の認知症の患者数は5000万人近くに上る。認知症の原因は特定されていない。

人口増加

研究は、カナダのオンタリオ州で2001年から12年にかけ、200万人近くのデータを使用した。

期間中に認知症の診断を受けた24万3611人のデータを調べたところ、幹線道路から300メートル以上離れた場所に住んでいる人に比べて、101〜200メートルでは発症リスクが2%高まり、50〜100メートルは4%上昇した。50メートル以内では、リスクは7%高かった。

分析の結果、幹線道路から50メートル以内に住む人の認知症の7〜11%が、交通量の多さに関係しているとみられるという。

研究論文の執筆者の1人、オンタリオ州の公衆衛生に関する助言機関「パブリック・ヘルス・オンタリオ」のホン・チェン博士は、「人口増加の加速と都市化によって、多くの人々が交通量の多い場所に住むようになっている。交通の影響にさらされる人が増加し、認知症の発症率が上昇するなか、道路の近くに住むことの影響は、例え軽微だったとしても、保健行政にとって大きな負担となる可能性がある」と語った。

チェン氏は、「関連を理解するにはさらに研究が必要で、特に大気汚染物質や騒音といった交通のさまざまな側面による影響を調べる必要がある」と述べた。

研究者たちは、騒音や微小粒子状物質、窒素酸化物やタイヤの摩耗から出る粒子が関係している可能性を指摘している。

しかし研究では、認知症と診断された人がどこに住んでいるのかのみに焦点を当てており、交通量の多さと認知症との因果関係は証明されていない。

刺激的

英国立衛生研究所(NIHR)で認知症研究を率いるマーティン・ロッソ―教授は、「これは重要な論文だ」と話す。「(幹線道路からの距離による)影響は小さいが、人口当たりの発症率が高い疾病なだけに、公衆衛生にとって大きな意味を持つかもしれない」。

英ノッティンガム大学の認知症センター長、トム・デニング氏は研究結果について、「興味深く、刺激的」だと述べ、「排気ガスが脳疾患に影響を及ぼし、時間の経過と共に認知症リスクを高めるというのは確かに納得がいく。今回の論証はまた、交通量の多い場所に住む人々の不安を高めることになるだろう」と語った。

「深刻な大気汚染の中で生活するのは紛れもなく非常に不快なことで、誰にとっても良いこととは思えない」

認知症リスクを抑制するための一番良いアドバイスは、体に良いとされることを実践することだろう。喫煙をやめ、運動し、健康な食生活を心がけることだ。

(英語記事 Dementia rates 'higher near busy roads')

提供元:http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-38515371


 

Living near major roads and the incidence of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis: a population-based cohort study

Hong Chen, PhDcorrespondencePress enter key for correspondence informationemailPress enter key to Email the author, Jeffrey C Kwong, MD, Ray Copes, MD, Karen Tu, MD, Paul J Villeneuve, PhD, Aaron van Donkelaar, PhD, Perry Hystad, PhD, Prof Randall V Martin, PhD, Brian J Murray, MD, Barry Jessiman, MSc, Andrew S Wilton, MSc, Alexander Kopp, BA, Richard T Burnett, PhD
Published: 04 January 2017
Article has an altmetric score of 1153
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(16)32399-6 |
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Background
Emerging evidence suggests that living near major roads might adversely affect cognition. However, little is known about its relationship with the incidence of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis. We aimed to investigate the association between residential proximity to major roadways and the incidence of these three neurological diseases in Ontario, Canada.

Methods
In this population-based cohort study, we assembled two population-based cohorts including all adults aged 20–50 years (about 4·4 million; multiple sclerosis cohort) and all adults aged 55–85 years (about 2·2 million; dementia or Parkinson's disease cohort) who resided in Ontario, Canada on April 1, 2001. Eligible patients were free of these neurological diseases, Ontario residents for 5 years or longer, and Canadian-born. We ascertained the individual's proximity to major roadways based on their residential postal-code address in 1996, 5 years before cohort inception. Incident diagnoses of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis were ascertained from provincial health administrative databases with validated algorithms. We assessed the associations between traffic proximity and incident dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis using Cox proportional hazards models, adjusting for individual and contextual factors such as diabetes, brain injury, and neighbourhood income. We did various sensitivity analyses, such as adjusting for access to neurologists and exposure to selected air pollutants, and restricting to never movers and urban dwellers.

Findings
Between 2001, and 2012, we identified 243 611 incident cases of dementia, 31 577 cases of Parkinson's disease, and 9247 cases of multiple sclerosis. The adjusted hazard ratio (HR) of incident dementia was 1·07 for people living less than 50 m from a major traffic road (95% CI 1·06–1·08), 1·04 (1·02–1·05) for 50–100 m, 1·02 (1·01–1·03) for 101–200 m, and 1·00 (0·99–1·01) for 201–300 m versus further than 300 m (p for trend=0·0349). The associations were robust to sensitivity analyses and seemed stronger among urban residents, especially those who lived in major cities (HR 1·12, 95% CI 1·10–1·14 for people living <50 m from a major traffic road), and who never moved (1·12, 1·10–1·14 for people living <50 m from a major traffic road). No association was found with Parkinson's disease or multiple sclerosis.

Interpretation
In this large population-based cohort, living close to heavy traffic was associated with a higher incidence of dementia, but not with Parkinson's disease or multiple sclerosis.

Funding
Health Canada (MOA-4500314182).

Introduction
Go
Dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis are among the most common neurodegenerative diseases, with devastating effects on individuals, families, and society. Globally, about 55 million people have these disorders, with rising numbers expected given increasing longevity.1, 2 Without cures, identification of modifiable risk factors is important.

Despite the mounting global effect of these neurodegenerative diseases, their cause remains largely unknown.3, 4, 5 Concern is growing that exposures associated with traffic such as air pollution and noise might con-tribute to neurodegenerative pathology.6, 7 Results of studies showed that air pollutants and diesel exhaust induce oxidative stress and neuroinflammation,8 activate microglia,9 and stimulate neural antibodies.10 Exposure to more noise also impairs cognitive abilities in rats.11 Similarly, a few epidemiologic studies12, 13, 14 linked traffic-related noise and air pollution to cognitive decline and increased incidence of Parkinson's disease15 and Alzheimer's disease.16 Traffic exposure might affect various neurodegenerative processes.

Studies also showed that living near roads was associated with reduced white matter hyperintensity volume17 and cognition,18, 19 but its effect on the incidence of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis is unknown. Living near traffic is a multifaceted exposure representing heightened exposure to nitrogen oxides, ultrafine particles, fine particulate matter (≤2·5 μm in diameter or PM2·5), heavy metals, polycyclic aromatic hydrocarbons, volatile organic compounds, noise, and other factors. Because hundreds of millions of people worldwide live close to major roads, we sought to investigate the association between exposure to traffic, measured by residential proximity to major roadways, and the incidence of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis in a large population-based cohort in Ontario, Canada.

Research in context


Evidence before this study
We searched the MEDLINE and Embase databases for epidemiological studies of the associations between exposure to roadway traffic and the risk in adults (older than 18 years of age) of developing dementia, Parkinson's disease, or multiple sclerosis. Studies published in the peer-review literature up to Feb 1, 2016, were included, regardless of the language of publication. We perused the bibliographies of these articles and of previously published reviews. We searched the bibliographic databases using the keywords traffic exposure, mobile source, roadway, proximity or near, air pollution, and with the following health outcomes: dementia; Alzheimer's disease; cognition; Parkinson's disease; multiple sclerosis. A few studies found an association between living close to major roadways and cognitive decline and changes in the brain structure. There is also some evidence linking traffic-related noise and air pollution to cognitive decline and the incidence of dementia, and to a lesser degree, Parkinson's disease. No study has so far investigated the onset of all three major neurodegenerative diseases (dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis) in association with near-road exposure. Moreover, the few existing studies involved relatively small study populations and nearly half were cross-sectional.
Added value of this study
We report that living close to heavy traffic is associated with increased incidence of dementia. Using the same populations and methods, however, we did not find an association between residential proximity to traffic and Parkinson's disease or multiple sclerosis.
The cause of these major neurodegenerative diseases remains largely unclear. This study sheds important insights into a possible role of near-road exposure on the development of dementia. Our study overcomes several limitations of previous studies, since it has large cohorts comprising almost the entire adult population in Ontario, the most populous province in Canada, and lagged exposure up to 10 years to reduce concerns about reverse causality. With demographic characteristics similar to the USA and many European countries, findings from this study will be highly generalisable to populations in many other regions.
Implications of all the available evidence
Increasing population growth and continuing urbanisation globally has placed many people close to heavy traffic. With the widespread exposure to traffic and growing population with dementia, even a modest effect from near-road exposure can pose an enormous public health burden. This study suggests that improvements in environmental health policies and land use planning aimed at reducing traffic exposure can have considerable potential for prevention of dementia, which would lead to a broad public health implication. This study adds weight to previous observations suggesting that roadway traffic is an important source of environmental stressors that could give rise to neurological disorders and that future investigation targeting the effects of different aspects of traffic such as traffic-related air pollutants and noise on neurological health is merited.
Methods
Go
Study design
We did a population-based cohort study of all Ontario adults to determine the incidence of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis. Eligible participants were, as of April 1, 2001, Ontario residents for 5 years or longer, aged 20–85 years, and Canadian-born. We created the study population using Ontario's Registered Persons Database, a registry of all residents who have ever had health insurance. This database covers virtually all Ontario residents.20
Because dementia and Parkinson's disease onset occurs predominantly in people aged 55 years or older, whereas multiple sclerosis onset is most common in adults younger than 50 years, we separated the study population into two analytical cohorts: individuals aged 20–50 years (multiple sclerosis cohort); and individuals aged 55–85 years (dementia or Parkinson's disease cohort). We further excluded individuals with any of these three disorders at baseline, yielding a total of 4 372 720 and 2 165 268 participants in each cohort.

The Research Ethics Board of Sunnybrook Health Sciences Centre, Toronto, approved the study.

We ascertained incident diagnoses of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis using validated databases (see appendix). Details of these databases are available elsewhere.20 These databases have been validated previously using chart review, with sensitivity of 78–84% and specificity of 99–100%.21, 22, 23 They were created using hospital discharge abstracts from the Canadian Institute for Health Information, physician service claims from the Ontario Health Insurance Plan database, and prescription medication claims from the Ontario Drug Benefits programme database. Hospital, laboratory, and physician services in Ontario are funded by the provincial government through a single-payer universal medicare system that covers virtually all residents.20 Drug coverage is provided to those aged 65 years or older, and social assistance recipients. We linked the cohorts to these databases using encrypted unique identifiers to ascertain incident cases.

Residential proximity to roads
We calculated residential proximity to major roadways or highways based on 6-character postal-code addresses in 1996, 5 years before cohort inception. Postal codes in urban areas represent the centroid of the blocks or single large buildings in which cohort members lived. Distance (m) was measured using ArcGIS. Major traffic roads include primary urban roads and arterial roads (ie, a major thoroughfare with medium to large traffic capacity with a combination of controlled access and intersections at grade level) whereas highways include expressways and primary and secondary highways, according to Ontario Government Road Network Data Standards. Consistent with previous studies,17, 24 we created five distance categories: less than 50 m from major traffic road, 50–100 m, 101–200 m, 201–300 m, and more than 300 m. We also considered a continuous measure of distance.

Covariates
We selected accepted or suspected risk factors for neurodegenerative pathology, including age, sex, pre-existing comorbidities, and socioeconomic status.3, 4, 5 The comorbidities included traumatic brain injury, diabetes, hypertension, stroke, coronary heart disease, congestive heart failure, and arrhythmia. We ascertained the presence of comorbidities at baseline using hospital discharge abstracts, physician service claims, and validated chronic disease databases (appendix).

Several individual-level socioeconomic status and behavioural factors, such as education, smoking, and physical activity are also implicated in neurological health,3, 4, 5 but were unavailable. Since neighbourhood-level socioeconomic status is strongly associated with these factors,25, 26 we derived four neighbourhood-level variables: income quintile, a measure of relative household income accounting for household size and community; percentage of population aged 15 years or older with less than high school education; unemployment rate; and percentage of recent immigrants, using 2001 Canadian Census dissemination area data. A dissemination area (with 400–700 people) is the smallest census geographic area for which census data are disseminated. We further derived neighbourhood-level deprivation based on the Ontario Marginalization Index that quantifies the degree of marginalisation in health and social wellbeing (appendix).

To control for regional differences in the incidence of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis, we created a variable for urban residence (yes/no), density of neurologists using the ICES Physician Database to represent accessibility to neurological care, and the latitude of residence given the reported latitude gradient with multiple sclerosis.3 Additionally, we created a dichotomous variable classifying Ontario into the Greater Toronto Area, a densely-populated urban mega-region, and all other areas. Toronto tends to differ from other areas with respect to sociodemographic characteristics, health care access, and population health status.

To explore whether exposure to air pollutants, especially nitrogen dioxide (NO2) and PM2·5 might explain the roadway proximity-outcome association, we obtained long-term measures of PM2·5 and NO2 for all participants (appendix). Briefly, estimates of ground-level concentrations of PM2·5 were derived from satellite observations of aerosol optical depth in combination with outputs from a global atmospheric chemistry transport model (GEOS-Chem CTM).27 The PM2·5 estimates were further adjusted using information on urban land cover, elevation, and aerosol composition using a geographically weighted regression. We used estimates between 1998 (the earliest year with available data) and 2001 (the year of cohort inception), thus producing four-year mean concentration of PM2·5 at a spatial resolution of 1 × 1 km and covering all North America below 70°N, which includes all of Ontario. These satellite-based estimates of PM2·5 closely agree with ground measurements at fixed-site monitoring stations across North America (R2 0·82, n=1440).27 Similarly, we derived long-term exposure to NO2 from a national land-use regression (LUR) model developed from Environment Canada's National Air Pollution Surveillance Network monitoring data, 2005–11 satellite NO2 estimates, area of industrial land use, road length, and mean summer rain fall.28 The estimates were further calibrated by incorporating local-scale variations of NO2 from vehicle emissions by applying spatially-varying multipliers that represented distance-decay gradient in NO2. The final LUR model explained 73% of the variation in annual 2006 measurements of NO2, with a root mean square error of 2·9 parts per billion (ppb).28 The resulting LUR NO2 estimates were available for each year between 1998 and 2001, after applying temporal adjustment.

Statistical analysis
We used Cox proportional hazards models with age as the time-scale to assess the relationship between residential proximity to major roadways and the incidence of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis. For each outcome, follow up time (in days) was measured from April 1, 2001 until diagnosis date, ineligibility for provincial health insurance, death, or March 31, 2012.

Separate models were developed for each disease. All models were stratified by region (living in Toronto or not), and adjusted for sex, comorbidities, urban residency, and neighbourhood-level income, education, unemployment, and immigration status. To adjust for regional variations in the neighbourhood-level variables across Ontario, we included them as the average for each census division (equivalent to county), and as the difference between the values for each census dissemination area and the census division mean. We further adjusted for latitude for multiple sclerosis cohort. The analyses were repeated using distance as categorical and continuous variables.

We routinely tested for deviation from the pro-portional hazards assumption by adding the cross-product of each variable with the natural logarithm of the time variable, but we did not find any violation of this assumption (p>0·05). We calculated adjusted hazard ratios (HRs) and 95% CIs for each category of roadway proximity compared with the furthest category (>300 m). Linear trend was assessed by assigning the median distance (in natural log) to each category and fitting the term as a continuous variable in a regression model. In analyses with distance as a continuous variable, we considered the natural log of distance because this exposure has been linearly related to mortality and morbidity outcomes in Ontario and elsewhere.17, 24

Sensitivity analyses
We controlled for access to neurologists, deprivation index, and a North/South indicator (appendix). We also adjusted for a linear term for time to account for potential changes in the risk of the three disorders over time.

We assessed whether HR might be influenced by any spatial dependence among participants. We fitted models with a frailty term for census division (ie, county) to account for the possibility that participants in the same community could share similar risk factors than those living in different locations. We assumed a gamma distribution for the frailties, with an exchangeable correlation structure within county.

We assessed the potential influence of unmeasured individual-level socioeconomic status and behavioural variables, especially education, smoking, obesity, and physical activity on our results. To do this, we used a method to mathematically adjust HR for these variables while simultaneously controlling for all variables available in the model (ie, age, sex, comorbidities, and socioeconomic status; appendix). Details of this method are presented elsewhere.29 Briefly, this method requires spatial associations between the unmeasured and observed variables from an auxiliary dataset. Following previous Canadian studies,30 we obtained the relationships using data from the 1996–97 cycle of the National Population Health Survey and the 2000–01 and 2003 cycles of the Canadian Community Health Survey, which constituted a representative sample of the study cohorts (appendix). This information along with estimated associations between these unmeasured variables and incident dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis from the literature, were used to estimate their effect on HR. Based on systematic reviews of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis, we considered all four variables in our analysis with dementia, smoking and physical activity with Parkinson's disease, and smoking with multiple sclerosis (appendix).

Furthermore, we additionally adjusted for PM2·5 and NO2, excluded events occurring in the first 2 and 5 years during follow-up to lag exposure up to 10 years, excluded people residing in long-term care facilities (often located near major roadways) at baseline, and restricted the dementia/Parkinson's disease cohort to those aged 65 years or older because drug information was unavailable for younger adults. Lastly, we further adjusted for rurality index and neighbourhood-level percentage of visible minority, and restricted the analysis to people who never moved since 1996, to urban residents, and to residents of six major urban centres in Ontario (Toronto, Hamilton, Ottawa, London, Windsor, and Sarnia) (appendix).

Role of the funding source
The funder had no role in study design, data collection, data analysis, data interpretation, or writing of the report. The corresponding author had full access to all the data in the study and had final responsibility for the decision to submit for publication.

Results
Go
The multiple sclerosis cohort comprised 46·7 million person-years of observations and the dementia/Parkinson's disease cohort contributed 20·1 million person-years. At baseline, the mean age was 35·9 years (SD 8·7 years) for the multiple sclerosis cohort and 66·8 years (8·2 years) for the dementia/Parkinson's disease cohort (table 1). Of the multiple sclerosis cohort, 50% were male, 17% were rural residents, 2% had diabetes, and 7% had hypertension, whereas 47% of the dementia/Parkinson's disease cohort were male, 19% were rural residents, 15% had diabetes, and 48% had hypertension. Average unemployment among census dissemination areas was 6% and the mean percentage of population with less than high school education was about 26% in both cohorts.

Table 1
Baseline characteristics of the study population

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Data are n or %, unless otherwise specified.

*Multiple sclerosis cohort comprised all adults aged 20–50 years and dementia/Parkinson's disease cohort comprised all adults aged 55–85 years in Ontario, Canada, in 2001.
†In the 10 years before cohort onset.
‡From Canadian Census 2001, at the census dissemination area level.
Nearly half of the cohorts lived within 200 m from a major road and 95% were within 1000 m (appendix). Of the cohorts, the average concentration of PM2·5 according to participants' residences in 1996, 5 years before cohort inception, was 9·7 μg/m3 (range 1·3–19·8 μg/m3), while the average concentration of NO2 was 15·4 ppb (2·2–62·0 ppb). Between 2001–12, we identified 243 611 incident cases of dementia, 31 577 incident cases of Parkinson's disease, and 9247 incident cases of multiple sclerosis.

In both categorical and continuous analyses, living closer to a major road was associated with increased incidence of dementia, with fully adjusted HR of 1·07 (95% CI 1·06–1·08) for people living less than 50 m, 1·04 (1·02–1·05) for people living 50–100 m, 1·02 (1·01–1·03) for people living 101–200 m, and 1·00 (0·99–1·01) for people living 201–300 m away from a major roadway versus more than 300 m from a major roadway (Ptrend=0·0349; table 2). An interquartile-range increase in residential proximity to a major road was associated with a 9% (95% CI 8–11%) lower incidence of dementia. In contrast, there was no evidence linking traffic proximity to Parkinson's disease or multiple sclerosis (HR 1·00 for both; table 2).

Table 2
Hazard ratios and 95% CIs for the associations between residential proximity to major roadways in 1996 and the risks of incident dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis in Ontario, during the follow-up period 2001–12

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Cox proportional hazards model with age as the time-scale, stratified by an indicator for living in the Greater Toronto Area or not, adjusted for sex, history of diabetes, hypertension, coronary heart disease, stroke, congestive heart failure, arrhythmia, and traumatic brain injury, income quintile, urban/rural indicator, census division-level unemployment rate, education, recent immigrants, as well as the subtraction of these variables at the census dissemination level from their census division. For multiple sclerosis, the model was also adjusted for latitude.

†Major traffic roads include primary urban roads and arterial roads whereas highways include expressways and primary and secondary highways, as defined by Ontario Government Road Network Data Standards.
‡Incidence of dementia and Parkinson's disease was analysed among all adults aged 55–85 years (dementia/Parkinson's disease cohort) whereas incidence of multiple sclerosis was analysed among all adults aged 20–50 years (multiple sclerosis cohort).
§Distance was fitted as a continuous variable, using natural logarithm of distance. Hazard ratios (HRs) expressed per IQR increase in distance (dementia/Parkinson's disease cohort: 310 m and multiple sclerosis cohort: 320 m).
The association between traffic exposure and dementia was insensitive to additional controls for smoking, obesity, physical activity, and education (HR 1·06 for living <50 m away from a major road, 1·04 for 51–100 m, and 1·02 for 101–200 m; table 3). Similarly, the associations between traffic exposure and Parkinson's disease and multiple sclerosis remained unchanged after adjusting for smoking and physical activity (table 4).

Table 3
Hazard ratios and 95% CI for associations between residential proximity to major roadways in 1996 and the risk of incident dementia in Ontario during the follow-up period 2001–12

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Indirect adjustment for smoking, body-mass index (BMI), physical activity, and attained education. Data of smoking, BMI, physical activity, and educational attainment were obtained from Ontario respondents to the 1996 cycle of National Population Health Survey and the 2000–01, 2003 cycles of Canadian Community Health Survey, and who were 50 to 85 years old at the time of the surveys (n=16 441).

†Major traffic roads include primary urban roads and arterial roads whereas highways include expressways and primary and secondary highways, as defined by Ontario Government Road Network Data Standards.
‡Cox proportional hazards model with age as time axis, stratified by an indicator for living in the Greater Toronto Area or not, adjusted for sex, history of diabetes, hypertension, coronary heart disease, stroke, congestive heart failure, arrhythmia, and traumatic brain injury, income quintile, urban/rural indicator, census division-level unemployment, education, and recent immigrants, as well as the subtraction of these variables at the census dissemination level from their census division.
§Distance was fitted as a continuous variable, using natural logarithm of distance. The hazard ratios were expressed per interquartile-range increase in distance (310 m).
Table 4
Hazard ratios and 95% CI for associations between residential proximity to major roadways in 1996 and risk of incident Parkinson's disease and multiple sclerosis in Ontario, during the follow-up period 2001–12

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Indirect adjustment for smoking and physical activity for Parkinson's disease, and for smoking for multiple sclerosis. Data of smoking and physical activity were obtained from Ontario respondents to the 1996 cycle of National Population Health Survey and the 2000–01 and 2003 cycles of Canadian Community Health Survey. For Parkinson's disease, respondents aged 50–85 years at the time of the surveys were included (n=16 441) and for multiple sclerosis, those who were 20–55 years old were included (n=31 635).

†Major traffic roads include primary urban roads and arterial roads whereas highways include expressways and primary and secondary highways, as defined by Ontario Government Road Network Data Standards.
‡Cox proportional hazards model with age as time axis, stratified by an indicator for living in the Greater Toronto Area or not, adjusted for sex, history of diabetes, hypertension, coronary heart disease, stroke, congestive heart failure, arrhythmia, and traumatic brain injury, income quintile, urban/rural indicator, census division-level unemployment, education, and recent immigrants, as well as the subtraction of these variables at the census dissemination level from their census division. For multiple sclerosis, the model was also adjusted for latitude.
§Distance was fitted as a continuous variable, using natural logarithm of distance. HRs expressed per interquartile-range increase in distance (dementia/Parkinson's disease cohort: 310 m and multiple sclerosis cohort: 320 m).
‖For Parkinson's disease, ptrend=0·38 and for multiple sclerosis, ptrend=0·53.
Further adjustment for access to neurologists, deprivation, time trend, and a North/South indicator did not alter the associations, nor did adding a frailty term in the survival model to account for potential spatial clustering (figure 1). Adjustment for NO2 and PM2·5 modestly attenuated the association between traffic proximity and dementia (HR 1·05 for living <50 m away from a major road and HR 1·02 for 51–100 m away from a major road vs 1·07 and 1·04 without adjustment). Importantly, NO2 was significantly associated with dementia, whereas PM2·5 was associated with both dementia and Parkinson's disease (appendix).

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Figure 1
Estimated associations between residential proximity to major roadways in 1996 and the risk of incident dementia, Parkinson's disease, multiple sclerosis in Ontario, 2001–12

Measured by six sensitivity analyses to further control for potential confounding factors. Model further adjusted for exposure to NO2 and PM2.5 access to neurologists, time trend, deprivation, an indicator for North/South Ontario, and a frailty term to account for potential spatial clustering.

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In sensitivity analyses, the magnitude of associations were similar after further excluding the first 2 and 5 years of follow-up, restricting to people aged 65 years or older, excluding those living in long-term care facilities, or considering other sensitivity analyses (figure 2 and appendix). However, the association between living less than 50 m from a major roadway and dementia appeared stronger among participants who lived in urban areas, who lived in one of the six major cities, or who never moved (HR 1·09–1·12, depending on the analysis).

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Figure 2
Association between residential proximity to major roadways in 1996 and the risk of incident dementia, Parkinson's disease, multiple sclerosis in Ontario, 2001–12

Hazard ratios and 95% CIs from six additional sensitivity analyses (excluding first 2 years of follow-up, excluding first 5 years of follow-up, excluding people living in long-term care facilities, restricting to urban residents, restricting to six major cities in Ontario, and restricting to those who did not move after 1996).

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Discussion
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In this large population-based cohort, living near major roadways was associated with increased dementia incidence. The associations seemed stronger among urban residents, especially those living in major urban centres and those who never moved. Although the increase in risk might appear moderate (eg, HRs varied from 1·07–1·12 for living <50 m away from a major road, depending on the region), this translates to 7–11% of dementia cases in patients who live near major roads attributable to traffic exposure (appendix). The associations were robust to various sensitivity analyses, except for additional adjustment for PM2·5 and NO2 which led to a modest attenuation. It is noteworthy that both NO2 and PM2·5 were positively associated with dementia. Lastly, we found no association between roadway proximity and incidence of Parkinson's disease or multiple sclerosis.

To our knowledge, this is the first study to investigate the onset of three major neurodegenerative diseases in association with near-roadway exposure. Previous studies have linked living near roadways to cognitive decline in cohorts of older adults in Boston MA, USA18 and in the Ruhr area, Germany,19 and to smaller white matter hyperintensity volume in the Framingham Offspring cohort.17 Living near major roads substantially increases an individual's exposure to traffic-related air pollution (eg, ultrafine particles, nitrogen oxides, and particles from wear of tyres and friction materials), and noise.17 Although the mechanisms through which traffic exposure might affect brain health are unknown, systemic inflammation arising from traffic-related air pollution is probably important. In studies of both experimental animals and in autopsy samples of sudden accidental deaths in human beings, particulates and diesel exhaust provoke oxidative stress and systemic inflammatory responses, disrupt the blood-brain barrier, precipitate Aβ peptides, and activate microglia.8, 9 Ultrafine particles have also been found in the olfactory bulb and the frontal cortical areas in the brain of highly exposed dogs and human beings.8 Furthermore, emerging epidemiologic evidence relates nitrogen oxides and black carbon, markers for traffic-related pollution, to dementia incidence12 and cognitive impairment.14 We observed that exposures to NO2 and PM2·5 were related to dementia and that adjusting for these two pollutants attenuated its association with roadway proximity, suggesting that the effect of traffic exposure might, at least in part, operate through this mechanism. Given the potentially significant implications of exposure to traffic-related pollutants on dementia risk, understanding their effects merit further investigation.

The fact that PM2·5 and NO2 did not fully explain the near-road effect on dementia suggests that additional pollutants or other factors such as noise might play a role. Although we were unable to directly examine these factors, traffic-related noise has been linked to cognitive impairment in a cohort in Germany.13 In rat models, noise exposure directly impaired cognition.11 Additionally, sleep loss from noise contributes to sleep fragmentation, which is associated with reduced cognition.5 Living near busy roads might also reduce physical activity, which could subsequently affect neurological health. However, we found little change in our results after indirect adjustment for this variable.

Compared with dementia, less is known about the effect of traffic exposure on Parkinson's disease and multiple sclerosis. Only three studies have examined the relationship between traffic exposure and Parkinson's disease: a positive association between NO2 and incident Parkinson's disease was reported in a case-control study in Denmark,15 whereas in another case-control study in the USA, no association with NO2 was found.31 Additionally, in a cross-sectional study in Ontario, Parkinson's disease prevalence was not associated with roadway proximity nor NO2.32 For multiple sclerosis, one time-series study found a relationship between daily hospital admissions and particulate pollution,33 but no studies have assessed the effect of living close to traffic. In this study, we observed an association only between traffic proximity and dementia, which might be attributable to relatively few cases of Parkinson's disease and multiple sclerosis. Another possibility is that traffic exposure could augment neurodegeneration through pathways that are related to dementia but not Parkinson's disease or multiple sclerosis.3, 4, 5

Our study has some limitations. First, we could not identify undiagnosed cases of dementia, Parkinson's disease, and multiple sclerosis. However, the estimates were unchanged when we adjusted for access to neurologists, a North/South indicator, deprivation, and time trends. With universal health care in Ontario, incomplete diagnosis might lead to underestimation of the true effect because this measurement error was probably independent of the exposure.

Second, we did not have information on medications that might potentially influence dementia risk (eg, anti-inflammatory medication and NSAIDs), although it is unclear whether these factors would be associated with traffic exposure. Furthermore, we lacked information on individual socioeconomic status and behavioural variables. To control for these unmeasured variables, we adjusted for neighbourhood socioeconomic status and comorbidities. Since neighbourhood socioeconomic status is strongly associated with individual socioeconomic status and behavioural variables,25, 26 and comorbidities and neurodegenerative diseases share some common behavioural factors, adjusting for these variables should reduce the influence of these unmeasured variables on HR (appendix). We further controlled indirectly for these variables, and found similar results. Although we cannot rule out residual confounding, the null findings for Parkinson's disease and multiple sclerosis do not support this possibility.

Third, our exposure assessment was based on postal-code addresses, which do not completely reflect personal exposure. PM2·5 is a complex mixture with a secondary aerosol component that might not originate from vehicle emissions. Finally, roadway proximity does not account for traffic density and meteorological conditions that might influence exposure to air pollution and noise. Given the inherent imprecision of this exposure, our assessment of near-road exposure was probably subject to non-differential misclassification that probably attenuated our results.

The strengths of this study include the large cohorts made up of almost the entire adult population in Ontario. The many cases ascertained from validated registries enabled us to investigate fine-scale changes in traffic exposure and to examine the effect from exposures lagged up to 10 years. Our study also benefited from quantifying and comparing the effects on three major neurodegenerative diseases from traffic exposures using the same methods. Furthermore, the availability of detailed information on medical and residential history allowed us to control for important risk factors (eg, head trauma) and assess the influence of residential mobility.

Conclusions
Go
In this large cohort, living near major roadways was associated with higher incidence of dementia, but not Parkinson's disease or multiple sclerosis. Given the potentially significant implications of traffic exposure on dementia risk, understanding the effect of different aspects of traffic merits further investigation.

Contributors

HC, RTB, JCK, PJV, KT, BJM, RC, and BJ contributed to the study design. HC, ASW, and AK prepared and cleaned the data. HC, AvD, PH, and RVM contributed to the exposure assessment. RTB provided substantial scientific input in statistical methods and interpretation of the results. HC, RTB, JCK, PJV, KT, BJM, ASW, and AK contributed to the data analyses. HC took the lead in drafting the manuscript. All authors contributed to interpretation of data, provided critical revisions to the manuscript, and approved the final draft.

Declaration of interests

We declare no competing interests.

Acknowledgements

This study was supported by Public Health Ontario (PHO) and the Institute for Clinical Evaluative Sciences (ICES), which is funded by an annual grant from the Ontario Ministry of Health and Long-Term Care (MOHLTC). Parts of this material are based on data and information compiled and provided by Canadian Information Health Institute (CIHI). The opinions, results, and conclusions reported in this article do not necessarily represent the views of ICES, PHO, MOHLTC, or CIHI.

Supplementary Material
Go
Title Description Type Size
pdf iconSupplementary appendix pdf .34 MB
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