価格変動で消費者より「企業が得しそう」が76.4%
藤村 広平日経ビジネス記者
2019年3月18日5 80%全1203文字
販売価格をもっと頻繁に、より細かく、自動的に変動させることで収益力の向上を図る「ダイナミック・プライシング」。日経ビジネス2019年3月18日号特集では、すでに導入済みの航空料金やホテルだけでなく、インターネット通販やスーパーなど実店舗でも、活用を模索する動きが相次いでいることを紹介した。
しかし、このダイナミック・プライシング、新たに導入するにあたっては細心の注意が欠かせない。日経ビジネスが実施した消費者アンケートでは、この施策を警戒する声が目立ったからだ。
消費者550人に対して、インターネット経由で実施した今回のアンケート。「ダイナミック・プライシングについて、どのような印象を持ちますか」という設問で、値上げ・値下げのどちらが増えそうかと聞いたところ、値上げを予測する声が86.2%を占めた。「企業にとってお得なシステム」との印象を持つ人も76.4%と、「消費者にとってお得なシステム」の23.6%を圧倒した。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00024/031300001/survey.jpg
【調査の概要】調査会社マクロミルに委託し、2019年2月20〜22日にインターネットを通じて実施した。性別・年齢別にサンプルを集め、合計550人から回答を得た。
実際には、稼働率を上げたり在庫を効率よく消化したりするために、企業が値下げすることも十分あり得る。また価格が上がったとしても、その商品やサービスを受けたいと強く希望している人が入手しやすくなるメリットもある。導入企業は、こうした利点を分かりやすく説明する必要がありそうだ。
調査では「どんな種類の商品・サービスなら、価格が『もっと頻繁に』『もっと細かく』『自動的に』変動することを受け入れられますか」とも聞いた(詳細はこちら)。不思議だったのは航空料金の変動が増えることを「受け入れられる」としたのが70.9%に上ったのに対して、鉄道料金の「受け入れられる」は48.2%にとどまったことだ。
「目的地まで移動する」という便益は両者とも同じはずだが、これまでも変動していた航空料金は受容度が高く、これまで変動の少なかった鉄道料金は抵抗感が強く残っている。より細かくデータを検証すると、航空料金が「受け入れられる」と回答した390人のうち、3分の1にあたる136人が鉄道料金の変動を「受け入れられない」としていた。
個別の意見としては「通勤で利用する路線の値段が細かく変動すると困る」(愛知県の30歳男性)といった声のほか、「今まで通りの価格のほうが計算しやすい」(千葉県の55歳女性)という回答もあった。首都圏で長らく問題になっている「痛勤電車」。解消に向けてはピーク時の値段を上げて需要を分散するような手法も選択肢の一つとなるが、実現へのハードルは高そうだ。
商いの根幹である値決めに、革命が起きようとしている。ネット通販サイトはより頻繁に、細かく、自動で価格を動かし、「一物一価の原則」が通用しない時代が目前に迫っている。日経ビジネス3月18日号特集「ダイナミック・プライシング」では、アマゾン・ドット・コムなどを舞台に急変動する価格の裏側に迫り、消費者の生の声も掲載している。
百代過客通行人
声高に透徹するバナナの叩き売り、御託演説の長丁場の蝦蟇の油、大道商人は古来目の前のたかり客の顔色を伺いつつダイナミックプライシングを実施して来たではありませんか。客の側でも今さら驚くべき事、動揺すべき事ではありませんね。その辺のスーパーマー
2019/03/18 06:07:423返信いいね!
すてぃぐりっつ
消費者側のメリットとされていることを検討してみれば、在庫消化は例外であり全体に影響を与えるほどの比率はないことや、強く希望する人ではなく富裕層に利益をもたらすだけということから、小手先の詭弁であることが分かる。正しくないことを分かりやすく説
2019/03/18 10:42:312返信いいね!
naoto
ある会社の経営企画
食品ロスの問題で、スーパーなどは惣菜の在庫リスクを抱えていますから、夕方からの特売セールは致し方ないと思います。問題は公共交通機関ですが、五輪を控えている以上、通勤時間の柔軟な対応を企業に求めることで、もう少し「働き方改革」の促進に繋がって
2019/03/18 13:07:041返信いいね!
47
新幹線でも繁忙期と閑散期価格があるように、稼働率に応じて料金を変える合理性はあると思う。時代が進んで、より細かく、より頻繁に価格を変える技術が出来上がりつつあるとしても、ダイナミック・プライシングにより自動で価格を変動させるのには問題がある
2019/03/18 20:59:302返信いいね!
mino
情報や取引の支配力など寡占企業が価格決定力的に有利なのは自明だ。消費者の感覚はそれを感じているからだろう。企業側に情報優位を渡さないだけの不特定多数の一般人に情報を提供し処理し判断を支援するインフラが整わなければ,あるいは仮想市場機能が充実
2019/03/19 10:58:15
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00024/031300001/
外国人が支える地価上昇、「第2のニセコ候補」は?
奥平 力 日経ビジネス記者
2019年3月20日
3 86%
全722文字
国土交通省が19日に発表した公示地価(2019年1月1日時点)で、前年からの上昇率が全国トップだったのはまたあの場所だった。北海道倶知安町。スキーリゾートが集積するニセコ観光圏の一角で、住宅地で50.0%アップ、商業地で58.8%アップと驚異的な伸び率だ。
パウダースノーを求めるオーストラリア人のスキー客によって確立されたニセコブランド。現在は東南アジアからの観光客や投資家が地価上昇のけん引役になったが、外国人向けの別荘用地、外国人向けの商業施設の土地の価格が上がり、日本人従業員向けの住宅地なども上がるという好循環は続いている。ただ、現地で別荘仲介業を手掛ける東急リゾートのグローバル営業部長の渡辺将一氏は冷静に「一服感が見えつつある」と話す。開発が進んだ結果、条件の良い別荘用地の確保が難しくなってきたほか、地価上昇に伴い割高感も漂い始めていると語る。
白馬村は1998年の長野五輪でスキージャンプ競技の舞台にもなった(写真:アフロ)
そうなると、「第2のニセコ」の登場に関心が移り始めても不思議ではない。
渡辺氏が注目するのは「長野県白馬村」だ。今回の公示地価でも、これまでは横ばいだった同村の別荘地にある地点が10.5%の伸びを見せた。冬季五輪の開催場所であるネームバリューも外国人を引き寄せる魅力になりやすい。渡辺氏はまた第3候補ととして、長野県飯山市と新潟県妙高市にまたがる斑尾高原に注目する。ニセコに飽和感や天井感も漂い始めるなか、各地でのリゾート開発競争にまた拍車がかかりそうだ。
タグ「1分解説」をフォローしませんか
旬の話題やニュースを分かりやすく手短に解説。フォロー機能を設定すると、「1分解説」タグが付いた記事が配信されると画面上で通知されます。「#1分解説」でフォロー機能を設定できます。
ふじおか
今冬から富良野に滞在していますが、スキー場に、街に、ニセコから流れてきたオーストラリア人が増えていました。彼等曰く、同郷人が多すぎて日本に居る気がしない、混雑しすぎてあっという間にパウダースノーが荒らされてしまって楽しめない、滞在費が高くなりすぎた、とのこと。
すでに飽和しているのに更に新たな開発が進んでいるようですが、オーバーキャパシティを解消せずに今後もこの人気が続くのか、一時のブームで終わってしまうのか。
2019/03/20 18:44:19返信いいね!
Dxffm
白馬の方が東京からの利便性が高いのは事実ですが、北海道のパウダースノーとは全然違います。スキーをしに態々日本へ来る程のスキーヤーがその違いに気づかない訳ありません。東南アジアからの初心者は長野、豪州からの上級者は北海道に分かれるのでしょうか。
2019/03/20 20:12:53返信いいね!
Darth Vador
Jedai Master
温暖化が進むことはあっても解消することはない、これからの地球環境。いつまで来てくれるんですかねぇ、Aussieの連中。富良野だが先日行った際の気温は温暖化をもろに感じさせる暖かさでした。今から新規にスキー場目当ての投資をしようというやつの気が知れない。
2019/03/21 00:01:51返信いいね!
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/032000180/
日銀政策会合:やはり「2%達成」は無理筋。低金利は続き、還元利回りが超魅力的
金融テーマ解説
大槻 奈那 2019/03/15
日銀、政策決定会合で現政策を維持
• 弊社の直近アンケート:消費・投資に慎重スタンス継続
• 投資戦略:長期金利はマイナス圏から浮上できず、配当利回りの優位性が過去最高に
・3月14〜15日、日銀が政策決定会合を開催、マイナス金利、長期金利の変動幅等全ての金融政策を維持した。発表は11:30過ぎと通常に比べて極めて早く、無風の会議だったことが伺われる。
・弊社の直近の調査では、個人の投資・消費意欲が引き続き低い。個人のマインドを反転させる金融施策は考えにくく、長期金利は、しばらくプラス圏に安定的に浮上するのは困難。
・東証上場銘柄の配当利回りと、国債利回りとの格差は過去最高。低成長かつ、市場の企業統治の要求の高まりで、企業は配当や自社株買いを強化せざるをないだろう。特に銀行は配当利回りの高止まりが続きそうだ。株価の変動もやや落ち着いており、ゼロ金利預金から銀行株への一部シフトを推奨。
日銀、政策決定会合で現政策を維持
3月14〜15日にかけ、日銀が金融政策決定会合を実施し、マイナス金利、長期金利の変動幅、ETF購入、低い長短金利へのコミットメント(フォワードガイダンス)等、全ての金融政策の維持を発表した(現在の政策を図表1に記載)。発表は11:30過ぎと通常に比べて極めて早く、無風の会議だったことが伺われる。
弊社の直近アンケート:消費・投資に慎重スタンス継続
マネックス証券が行っている投資家アンケートでは、引き続き消費に対して抑制的な姿勢が表れている(直近は3月1〜4日に実施。回答総数は609人)。
「1年前と比較して家計を引き締めているか?」という問いに対しては、「引き締めている」とする割合が「緩めている」という割合を大幅に上回った。前回1月調査よりは落ち着いたが、トレンドは変わっていない(図表2-1)。
また、「今は貯金を維持または増やすべきか、投資・消費をすべきか?」という問いに対しては、株価の持ち直しとともに「投資・消費すべき」という回答が増えたものの、まだ預金に傾いている(図表2-2)。
貯金するべきと考える背景について聞いたところ、前回調査同様、年金不安、消費増税、国の財政内容への不安などが上位にとなった(図表3)。それ以外にも「良い投資先がない」という理由が新たに上位に浮上しており、市場の持ち直しにもかかわらず、株価への期待が低下している印象だ。
これらの調査結果をみると、個人の慎重なマインドは金融政策では変えにくいと思われる。日銀もこうした状況を十分認識しているとみられるため、消費者へのアピールを狙った金融緩和を行う可能性は低いだろう。
投資戦略:長期金利はマイナス圏から浮上できず、配当利回りの優位性が過去最高に
現在10年国債利回りは、-0.045%と、過去2年の最低レベルで推移している。上記の通り、日銀は正常化も緩和も進めづらい状況が続く。となると、日本の金利はますます米国の金利次第となり、しばらくはプラス圏に安定的に浮上することは想定しにくい (図表4)。
世界的に景気が鈍化しつつある中、企業は株価を押し上げるため、配当や自社株買いなどの株主還元強化策を打ち出す可能性が高いとみられる。コーポレート・ガバナンス強化の流れもこれを後押ししそうだ。
特に、銀行株の配当利回りと、国債利回りとの格差は、過去最高水準となっている (図表5-1)。株価の変動幅も2013年以降は小さくなっている(図表5-2)。利益が不安定になっている銀行については、配当の先行きをやや慎重にみる必要があるものの、高配当の銀行株には総じて妙味がある。リスクは全く異なるものの、ゼロ%金利から抜けられない預金に資金を寝かせておくよりは、その一部を銀行株にシフトすることを推奨したい。
https://media.monex.co.jp/articles/-/11174
ネガティブ本能を抑制せよ
ストラテジーレポート
広木 隆 2019/03/15
猫の日(2月22日)に書いたレポート、「『悪い』は現在の状況 『良くなっている』は変化の方向」で、<総合的に考えれば中国景気は「底打ちつつある」と見るべきだろう>と述べた。ところが昨日発表された中国の景気指標を取り上げた日経の記事の見出しは、「中国減速 見えぬ底打ち」とあった。工業生産の伸びがリーマン・ショック直後以来、10年ぶりの低水準となったことに焦点を当てている。<春節による統計の振れは毎年の恒例行事だが、伸び率がここまで低いのはリーマン・ショック直後の09年1〜2月(3.8%)以来、10年ぶりのこと。製造業の購買担当者景気指数(PMI)をみても、2月は生産が好不調の節目である50を下回った。これも10年ぶりで、生産活動が極めて低調なのはまちがいない。>
僕の論点は以下の通り。
@ 春節の影響は、どうやっても季節調整できない。1-2月の統計を合算しても影響が出る。従って、この時期の指標だけ取り上げて語るとミスリードしやすい。実際に前述のレポートで掲示したように、12月の工業生産前年同月比は11月から上向いていた。日経の記事にもあったが統計局の毛盛勇報道官毛氏は「春節要因を除くと6.1%増」と述べている。だとすれば改善基調にある。
A 12日の日経新聞は「減速する中国経済」と題してOpinion面で3人の識者の見方を紹介していた。神戸大学の梶谷教授は<米中対立がソフトランディングし、財政と金融が一体化した景気刺激策をとれば物価上昇が起こり、年内に景気を回復軌道に乗せるのは難しくないだろう>と述べている。モルガンスタンレーのチーフ中国エコノミストのRobin Xing氏も<緩和的な財政・金融政策は効果をあげ始めている>と梶谷氏に同調する。そのうえでこう述べている。<企業や個人の金融環境を映す融資総量の伸びが戻ってきたほか、製造業購買担当者景気指数(PMI)の新規受注の項目も反転してきた。1〜3月期の成長率は6.1〜6.2%となり、4〜6月期から伸びが加速すると予想している。当社は発電量や自動車販売、政府支出など6項目からなる独自の指数を算出している。国内総生産(GDP)統計より振れが大きく企業収益と連動性が高いのが特徴だ。この指数も4〜6月期からの拡大を示唆している。>
B 11日、OECDは最新の景気先行指数を公表した。OECDは大半の先進国で成長モメンタムの弱さが継続しているが、フランスでは、消費者信頼感の改善、自動車の登録台数、インフレの鈍化によって成長モメンタムが安定化しており、中国でも同様のサインが見られるとして、中国の評価を、これまでの「Signs of easing growth momentum(成長モメンタムが弱まる兆し)」から「Signs of stabilising growth momentum(成長モメンタムが安定化する兆し)」に上方改定した。Aで引用した中国経済の専門家やOECDの見方は、中国経済の底打ちを示唆している。「中国減速 見えぬ底打ち」には違和感がある。
C Aで挙げたOpinion面のアンカー、木原雄志氏は、<中国の2018年の実質国内総生産(GDP)成長率は6.6%と28年ぶりの低水準だった。経済が成熟してサービス産業の割合が高まれば成長率が低下するのは自然な現象だ>と総評で述べている。これは僕も従前からずっと言ってきていることだ。工業生産が10年ぶりの低水準になったとしても、驚くようなニュースではない。木原氏の総評の結語が秀逸である。<中国のGDPは10年に日本を上回り、いまや2.5倍の規模を持つ。世界経済への影響力も格段に大きくなった。極端な楽観でも悲観でもなく、その実力を冷静に見つめるべきだろう。>
おっしゃる通りだ。「極端な楽観でも悲観でもなく、その実力を冷静に見つめるべき」なのに、どうして多くのメディアはネガティブなところばかり、取り立てるのだろうか。それはメディアだけでなく市場も同じだ。
昨日の日本株相場は、米国株高を受けて高く始まったが結局、下げてしまった。市場で言われたのは、中国の工業生産高の伸びの鈍さが意識されたなどとの解説だ。しかし、昨日発表された中国の指標では小売売上高は市場予想に一致、固定資産投資や不動産開発投資は伸びが加速した。それなのに「工業生産10年ぶり低い伸び」という、悪いところしか見ていない。
「『悪い』は現在の状況 『良くなっている』は変化の方向」は、「FACTFULNESS (ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」という本から引用した言葉である。同書には、なぜ世間には悲観的な見方ばかりがあふれているのか、ということの答えがある。なぜかというと、それは人間の本能のせいだというのである。人間には「ネガティブ本能」というものが備わっている。だから物事のポジティブなほうよりネガティブなほうに目が行きがちで、悪いように悪いようにと捉えてしまうのだ。
では、どうすればその「ネガティブ本能」にとらわれずに正しく公平な見方ができるようになるか。すぐに思いつくのは「悪いニュースを相殺するべく、良いニュースを積極的に見る」というものだが、それでは逆のバイアスがかかり、やはり物事を見間違う。著者が推奨するのは、頭の中に「悪い」と「良くなっている」というふたつの考え方を同時に持つということだ。「悪い」と「良くなっている」は両立する。「悪い」は現在の状況であり、「良くなっている」は変化の方向である。これが前述のレポートで述べたことであった。
特に今のような相場環境ではこのような考え方を持つことが重要である。聞こえてくるニュースはどれも世界景気減速を懸念させるようなものばかり。ただ、それは「悪い」という今の状況を報じているだけで、「良くなっている」ほうはニュースになりにくい。
例えば米国株。S&P500構成企業の業績に急ブレーキがかかっている。リフィニティブの調べによれば、1-3月は11四半期ぶりに減益になる見通しだ。そこだけを見れば「悪い」が、その先は「良くなっていく」。減税効果剥落や人件費、原材料費の高騰もあって利益の伸びは低いが、最悪期は脱するとも考えられる。これが「悪い」と「良くなる」は両立するということだろう。S&P500は年初来高値にV字回復だが、まさに足元の業績の悪さに目を向けるのではなくその先の回復を織り込んでいるのだろう。
S&P500と構成企業の当期純利益合計の前年同期比変化率
出所:Refinitiveデータをもとにマネックス証券作成
僕が相場と向き合ってきたのはたかだか30年余りだが、その経験を通じて言えるのは、相場の構成要素が100あったとしたら、その100すべてが悪い、というような本当の「陰の極」は稀である。悪い中にも100のうち1つか2つは良いもの、あるいは良くなっている兆しがあるのが普通である。逆に言えば、真っ暗に思える状況の中にも必ず好転の兆しが隠れており、それを探すのが投資で成功する秘訣だと言える。稀代のファンドマネージャー、ジョン・テンプルトンの名言、「本当の強気相場は悲観の中に生まれる」などはまさにそのことを言い表している。
2月22日付レポートで触れた日本企業の四半期業績のアップデートもしておく。その時点では、<第4四半期(1-3期)の業績は盛り返す予想になっている。株のリターンが業績の変化に連動しているなら、現在はすでに業績回復を織り込みにいっているステージにあると考えられる>と述べたが、その後発表された川崎汽船の赤字幅拡大とみずほFGの大幅な下方修正で、第4四半期も減益の見通しとなっている。2019年度の第1四半期(4-6月)も、前年同期が過去最高益の高い水準だったこともあり、そことの比較ではまだ減益となるだろう。世界景気の悪化も4-6月でボトムを打ちそうなサイクルで動いている。相場の完全な底入れは4-6月のどこかに来るだろう。昨年クリスマスにつけた安値を下回ることは想定しないが、二番底という感じの押しがあるのではないか。現在の戻りはまだ本格反騰とは言えない。但し、ピンポイントで大底を拾うこともできないし、狙うべきでもない。いずれにせよ、大局観では底値の局面であり、押したところをこまめに拾うスタンスでいいと思う。
日経平均と構成企業の当期純利益合計の前年同期比変化率
出所:Quickデータをもとにマネックス証券作成 3月12月決算銘柄
https://media.monex.co.jp/articles/-/11168