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[経世済民130] 日本経済の「輸出けん引」失速へ、問われるリスク対応力 2大リスクに身構えるドル円、決裂なら104円も 日銀モメンタム維持
ビジネス2019年1月23日 / 18:43 / 5時間前更新
焦点:
日本経済の「輸出けん引」失速へ、問われるリスク対応力
Reuters Staff
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[東京 23日 ロイター] - 2018年の貿易収支が23日に発表され、日本の「輸出けん引力」に明確な陰りが見えてきた。一方で2019年は、米中経済摩擦が早期に解決しない場合、中国経済の減速が鮮明となり、世界貿易全体に波及するリスクが強く意識され出している。世界的な貿易量の一段の減速や円高リスクシナリオが台頭した際に、内需への波及を食い止めるために日本政府・日銀に十分な対応力があるのかどうか。予想外の試練が待ち受けている可能性もある。

<輸出数量の減少が意味する未来>

「日本が貿易黒字で稼ぐ局面は、今年フェードアウトしていく」──。日本総研・調査部長の牧田健氏は、2019年は輸出けん引力が弱まり、設備投資も世界経済の不透明感の強まりから弱めに転じる可能性があると指摘。戦後最長の景気拡大が見込まれている日本経済は、従来はゼロ%とみていた景気後退の確率が、10−20%に上がったと予想する。  

顕著な現象は、輸出数量の失速だ。12月貿易統計によると、輸出数量指数の前年比が昨年11月からマイナスに転じ、12月は6%近い落ち込みとなった。

特に中国向けは同14%減少となった。具体的には半導体や半導体製造装置が急減し、通信機、自動車も振るわなかった。

アジア向け輸出も同じ傾向となり、半導体関連の落ち込みが大きい。

一方、対米輸出は今のところ増勢を維持している。ただ、主力の自動車輸出は、減少傾向となっている。

グローバルな貿易にも、不透明感が漂っている。21日に公表された国際通貨基金(IMF)世界経済見通しでは、2019年の成長率見通しが前回の3.7%から3.5%に下方修正された。中国経済のさらなる減速と英国の欧州連合(EU)離脱をリスク要因として指摘し、一段の混乱が起きる可能性にも言及している。

こうした情勢を踏まえ、農林中金総合研究所の主席研究員・南武志氏は、日本の輸出動向について「米中摩擦などの影響はまだ大きくはないが、今後の展開次第では一段と下押しすると思われる。足元では中国経済の減速を受けたアジア(含む中国)向けの輸出減が目立つが、早晩、欧米向けが減少に転じる可能性もある」と見ている。

<枠組みを左右する世界経済リスク>

政府の経済財政諮問会議は18日の会議で、民間議員が提示した検討課題に海外リスクへの対応が明記された。

19年前半の検討課題の冒頭には「今年は、国際経済状況が不安定化するリスクがある」として、「国際経済のリスクが顕在化した場合には、柔軟で機動的な経済運営を実行する等の対処をすべきである」と書き込まれた。

日銀が発表した昨年10月末の「展望リポート」では、海外リスクに関して、保護主義への言及はほとんどなかったが、23日公表分では、海外リスクが「強まっている」と記述。「企業や家計のマインドへの影響を注視していく必要」との表現も加えた。

市場関係者の間では「日銀は警戒感をあらわにしている」(SMBC日興証券のリポート)との声も出ている。

すでに設備投資マインドには、影響が出ている。11月機械受注はプラス予想に反して落ち込み、10ー12月期は6四半期ぶりの前期比マイナスになる可能性が高まっている。1月ロイター短観でも、製造業のマインドが2年ぶりの低水準に落ち込んだ。

世界経済の先行きを警戒した企業心理の悪化を一段と加速させかねい要因が、もう1つ存在する。米連邦準備理事会(FRB)が、中国の予想を超える減速などに直面した場合、現在の引き締め政策から緩和政策に転換し、その影響が外為市場で円高となって波及してくる経路だ。

デロイト・トーマツの・リスク管理センター長、大山剛氏は、FRBが金融政策を現在の引き締めから中立、もしくは緩和方向にかじを切って、自国景気を支えることになるのではないかと予想。「結果的に金融政策の緩和余地が乏しい日本は、再び円高に苦しみ、輸出産業にとっては厳しい環境となりそうだ」と見ている。

世界の政策当局者は、緩やかな景気拡大というメーンシナリオを維持しているが、米中経済摩擦の長期化など、リスク要因が台頭した場合、にわかに情勢が急変する可能性もある。

すでに輸出競争力が衰え、貿易赤字が基調として定着する兆しが見え始めた日本にとって、リスクシナリオの顕在化に備える「余力」があるのかどうか、政府・日銀の力量が問われそうだ。

中川泉 編集:田巻一彦  
https://jp.reuters.com/article/japan-export-risk-idJPKCN1PH0V7


 

ビジネス2019年1月23日 / 12:18 / 4時間前更新
日銀、物価見通し引き下げも「モメンタム維持」 政策は据え置き
Reuters Staff
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[東京 23日 ロイター] - 日銀は23日、1月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で物価見通しを引き下げた。ただ、物価見通し引き下げの主因は原油価格。黒田東彦総裁は会見で、2019年度を中心に物価が下振れていることについて「一時的」と述べ、物価安定目標2%に向けたモメンタムは維持されているとの見方を示した。

日銀は、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする現行の金融政策を据え置いた。

1月展望リポートでは、政策委員の物価見通し(消費増税・教育無償化を除くケース)中央値は、昨年10月に続き20年度までの3カ年、いずれも下方修正された。特に19年度は原油価格下落を背景に1.4%から0.9%に大幅修正した。19年度の物価見通し引き下げは4回目。一方、20年度は1.5%から1.4%への小幅な修正にとどまった。

黒田総裁は会見で「昨秋以降の原油価格の下落によるところが大きく、直接的な影響は一時的なものにとどまる」と述べた。また「20年度はそれほど変わってない」とも指摘し、「物価見通し自体が20年度に向けて大きく変わったわけではない」との見解を示した。

今回の物価見通しには、携帯電話料金の引き下げは織り込まれていない。日銀では、携帯料金の引き下げについては、短期的に物価押し下げ要因になるが、消費者の実質所得が増えることで中長期的には消費にプラスに働く可能性があるとみている。

展望リポートでもう一つ特徴的だったのは、海外経済について「下振れリスクはこのところ強まっているとみられ、企業や家計のマインドに与える影響も注視していく必要がある」との1文を加えた点。

黒田総裁は「米中の経済摩擦や欧州の要因などが海外の下方リスクをやや高めているのは事実」と指摘した。ただ「現時点で、米国や中国のメインシナリオを変えるようなリスクが顕在化しているとか、顕在化しつつあるという状況ではない」とみているという。

米中貿易摩擦については「長引けば世界経済に大きな影響が出てくる」との懸念を示しながらも、「個人的意見だが、収束に向かうと思っている」と述べた。

22―23日の金融政策決定会合では、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和政策の現状維持を決めた。

長短金利目標と上場投資信託(ETF)など資産買い入れの目標額も据え置いた。決定会合前、株式市場の一部では日銀がETFの買い入れ比率を変更するのではないかとの思惑が浮上していたが、変更は行われなかった。

また、貸出増加支援と成長基盤強化支援のための貸出支援制度のほか、被災地金融機関を支援するための資金供給制度について、受付期間の1年延長を全員一致で決めた。

今後の政策対応余地について、総裁は「現時点で主要な中銀も短期政策金利が大きく引き下げられるほどには上がってない。ショックや不況時に、短期金利引き下げという伝統的なやり方で対応する余地は狭まっているが、それは非伝統的な金融政策余地が狭まっているということではない」とし、「政策の余地が全体として狭まっているとは思わない」と述べた。

*情報を追加し再構成しました。

清水律子 伊藤純夫
https://jp.reuters.com/article/boj-policy-meeting-idJPKCN1PH07C


 
為替フォーラム2019年1月23日 / 17:03 / 6時間前更新

2大リスクに身構えるドル円相場、決裂なら104円も=鈴木健吾氏
鈴木健吾 みずほ証券 チーフFXストラテジスト
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[東京 23日 ロイター] - 年末年始の金融市場はリスクオフが加速し、異様な雰囲気となった。中でも、米アップルの売り上げ見通し下方修正を受け、日本が休場の1月3日朝方、ドル円は108円台から約1分強で104円台前半に急落し、その30分後には107円台に戻すという、いわゆる「フラッシュ・クラッシュ」を演じた。

米連邦準備理事会(FRB)による2019年の利下げ実施を織り込む動きが加速していたこともあり、今年は米国のリセッション入りとともに、さらにリスクオフが加速するとの悲観的な見方が市場に広がった。

一方、筆者は「さすがにやりすぎ」との立場だった。その理由として、1)米企業業績の伸びは2018年よりは鈍化するものの、それでも予想EPS(1株当たり利益)はプラス成長が予想されていること、2)PMI(購買担当者景気指数)など先行指標には悪化がみられるものの、遅行指標は近い将来のリセッション入りを示唆していないこと、3)ドル円の急落は日本の休場といった特殊な季節的要因が大きいとみられること──などが挙げられる。

市場に参加者が戻るとともに、ドル円は年初の急落分を埋め戻し、S&P500指数も12月半ばの水準へ上昇、米政策金利先物も2019年に1回利上げの確率が1回利下げの確率を上回る状況に戻ったことなどから、やはり年末年始の動揺は行きすぎだったとみてもよいのではないか。

だが、状況は決して楽観視できない。特に1─3月期にはその後の世界経済の方向性を決定付けるインパクトの大きい政治的リスクがいくつか控えているからだ。その代表格が米中貿易摩擦と英国のEU(欧州連合)離脱(ブレグジット)だろう。

<中国が一定の譲歩か>

米中は昨年12月1日の首脳会談で、2019年から25%としていた米国の対中関税引き上げを3月1日まで猶予し、緊張緩和に向けた話し合いを行うことで合意した。1月初めに北京で行われた次官級協議に、対米通商交渉責任者である劉鶴副首相の出席が伝えられるなど、問題解決に向けた中国側の積極的な姿勢がみられ、トランプ米大統領も「中国との交渉は非常にうまくいっている」とツイートした。

その後も、ムニューシン米財務長官が対中関税の一部または全部の撤回を提案したと報じられたり(財務省は否定)、現実的にはかなり困難だろうが、中国が今後6年間かけて対米貿易黒字をゼロにする計画を提案したと伝えられたりするなど、緊張緩和に向けた努力は継続しているもようだ。しかし、21日にトランプ大統領が「中国は遊ぶのをやめ、本当の取引をすべきだ」とツイートした通り、交渉は難航しているとみられる。

1月30日―31日には劉鶴副首相が渡米し、ライトハイザー米通商代表部代表(USTR)やムニューシン財務長官などと閣僚級の貿易協議を行う予定。期限とされる3月1日まで40日を切る中、緊張感が高まっている。

米中間には知的所有権や安全保障を巡る摩擦もあり、貿易問題で決裂して関税合戦が再開されれば、不安定さを増す両国の株価や、陰りがみえる経済に大きなダメージとなり、世界経済に急ブレーキをかける恐れがある。それだけに、中国が一定の譲歩を提示し、トランプ政権がこれを受け入れる可能性が高いのではないだろうか。筆者は、3月までに一定の合意に至ると予想している。

<ブレグジット混迷でも市場は冷静>

ブレグジット問題は、英下院が15日、反対432票、賛成202票の歴史的大差でEU離脱協定案を否決した。これを受けてメイ首相は21日、最大の争点である北アイルランドとの国境問題に関する部分を修正するなどの代替方針を議会に提示した。

しかし、一度合意したEUが変更を認めるとは思えない。また、原案をほぼ踏襲しているこの代替方針で英議会を説得するのは力不足だろう。29日とされる採決でも否決される可能性が高い。そうなれば、離脱期限の3月29日に何の合意もない無秩序な離脱に突き進み、欧州経済が混乱に陥る可能性が高まる。

にもかかわらず、市場は冷静だ。下院が離脱協定案を否決した週のポンドは、主要先進国の通貨に対して上昇した。

これは、英国が無秩序な離脱を回避するために3月29日の期限を先送りし、あわよくばその間に2回目の国民投票を行って、EU残留を選択する可能性を市場が期待しているものとみられる。

実際、下院議員の大半は無秩序な離脱を望んでいないとされ、超党派の議員が(2月26日までに英国が離脱協定を批准できない場合には)離脱期限を先送りするための法案を提出するとの報道もある。

イングランド銀行(英中央銀行)は、無秩序な離脱となった場合、英国経済は金融危機時の6.25%を超える年率8%のマイナス成長に陥り、商業不動産価格は48%程度下落すると試算。直近2%台前半の物価上昇率は6.5%に跳ね上がるなど、大混乱に陥ると予想している。

筆者は離脱期限が2019年末ごろまで先送りされ、その間に国民投票が再び実施される可能性が高いのではないかとみている。期限の先送りが決まるだけでも、リスクオンの材料となりそうだ。

3月にかけて米中協議が決裂し、英国が無秩序離脱を選択すれば、それ以降は非常に暗い年となり、ドル円はリスク回避の円買いで104円を目指す可能性が高まるだろう。しかし、米中の合意とブレグジットの期限延期を予想する筆者は、どちらかと言えば楽観的だ。4月以降、夏場にかけてドル円も115円方向を試す展開を想定している。

それまでは現状の109円台を中心に、107円─112円程度のレンジでもみ合いつつ、2大リスクの行方を見極める動きとなるのではないだろうか。

鈴木健吾氏(写真は筆者提供)
*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。

*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
https://jp.reuters.com/article/column-kengo-suzuki-20190123-idJPKCN1PH0LN

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/698.html

[国際25] ファーウェイCFOの身柄要求、次に何が起きるか ロシアと中国、「戦略的環境」の変化に乗じている−米情報機関が警戒  
トップニュース2019年1月23日 / 12:28 / 3時間前更新
アングル:

ファーウェイCFOの身柄要求、次に何が起きるか
Anna Mehler Paperny
2 分で読む

[トロント 22日 ロイター] - カナダ当局が昨年12月に逮捕した中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟(メン・ワンツォウ)副会長兼最高財務責任者(CFO)について、米司法省は22日、カナダ側に身柄の引き渡しを求める方針を明らかにした。

米司法省の報道官は声明で「孟氏の身柄引き渡しを引き続き求めるとともに、米・カナダ犯罪人引き渡し条約が定める全期日を順守していく」として、法執行に向けカナダ側の協力を要請した。

ファーウェイ創業者、任正非(レン・ツェンフェイ)最高経営責任者(CEO)の娘でもある。孟CFOは、米国の対イラン制裁回避に関連する不正行為に関わった疑いで、米捜査当局の要請によりバンクーバーで逮捕された。

46歳の孟氏は、今後の公判日程を決めるため、2月6日にバンクーバーの裁判所に出廷する予定だ。

カナダ当局が身柄引き渡しの手続きを進めれば、中国との関係が一段と悪化するのは確実とみられる。中国は同CFOの逮捕後、カナダ人2人を拘束。麻薬の密輸で有罪判決を受けていたカナダ人には死刑を宣告した。

中国外務省報道官は22日、定例会見で、同CFOの即時釈放を改めて要求。公正な判断をする人であれば、誰もがカナダが「深刻な過ち」を犯したと考えるだろうと述べた。身柄が引き渡されれば、米国に報復するのかとの質問には「中国は当然、米国の措置に対応する」と発言。詳細には踏み込まなかった。

同CFOを巡り、今後予想される動きについてまとめた。

●身柄引き渡しに必要な手続きとは何か

カナダが容疑者の身柄引き渡し協定を結んでいる国からの仮令状の提出によって、手続きが始まる。請求国は最初の逮捕から60日以内に正式な請求を行う。

法相は請求の受け取りから30日以内に手続き開始の是非を判断する。法相は手続きの開始を認める見通しで、その後はブリティッシュコロンビア州最高裁判所が孟氏の身柄の引き渡しを審理する。

●次に何が起きるか

州最高裁の審理には数週間から数カ月かかる。裁判官は、証拠が有罪とするのに十分であるかなど、一応の基準を満たしているかを判断することになる。

裁判官が米国の証拠は十分だと判断すれば、法相に身柄の引き渡しを勧告。法相が引き渡しを命令する。

孟氏は、裁判所の引き渡し勧告や法相の引き渡し命令に不服を申し立てることができるが、裁判が何年にも及ぶ可能性があると弁護士はロイターに語った。

●法相は手続き期限を延長できるか

バンクーバーの法律専門家、ブロック・マートランド氏によると、法相には手続きの期間延長を求める権限はない。孟氏の案件は注目度が高く、法相は既定通りに手続きを進めることを望みそうだという。

●どんな点が考慮されるのか

マートランド氏によると、法相は判断に当たり、法的な要因はもちろん、米国の拘置所での扱いなど人道面の要因や政治情勢も考慮に入れるとみられる。

Slideshow (2 Images)
引き渡す相手国に対する強い義務感に支配される傾向があると同氏は指摘。また、「手続きは正しく行われているか、手続きの公正さはあるべき姿かについて、法相が懸念を抱くかもしれないケースもあると思う」と同氏は語った。

トランプ米大統領は昨年12月、安全保障と米中通商協議進展に資するなら、同案件に介入するとの考えを示した。

「時の経過とともに新たな事実が明るみとなり、検察の手続きに不備があることが明らかとなった場合、法相は引き渡し命令を撤回する可能性がある」とマートランド氏は言う。

●米国側はどう調整するのか

米国の連邦および州の検察当局は、外国の捜査当局に対して容疑者の逮捕や身柄の引き渡しを求めることができない。こうした要請は司法省の刑事局国際室(OIA)を通じて行われ、そこで次のステップに向けて海外の当局と連携を続ける。

OIAは外国当局との窓口となり、逮捕や引き渡しに向けた次の手続きを担当する。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/us-china-huawei-tech-canada-explainer-idJPKCN1PH059


 


ロシアと中国、「戦略的環境」の変化に乗じている−米情報機関が警戒
Chris Strohm
2019年1月23日 9:50 JST
中国の経済・領土的支配の継続的追求は引き続き懸念材料
宇宙巡る国際競争とテクノロジーの急速な進歩が米国の課題
ロシアと中国が自国の影響力を高めるとともに米国の目標を妨げるため、ほぼ1世紀にわたり世界で主流となっていた「戦略的環境」の変化に乗じていると複数の米情報機関がまとめた文書が指摘した。


コーツ長官写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
  22日に公表された文書は、国際機関の弱体化や欧米民主主義への攻撃、各国政府に広がる孤立主義的傾向といった世界的なトレンドが大きな課題として浮上していると説明。

  コーツ国家情報長官が公表した文書には「影響力と権限を高めようとするロシアの取り組みは続く公算が大きく、複数の地域で米国の目標や優先課題と対立する可能性がある」との分析が盛り込まれた。

  さらに、米国と中国政府は北朝鮮の核兵器といった「相互に懸念する問題で協力する機会があるものの、中国による軍近代化と太平洋地域内外における経済・領土支配の継続的追求は引き続き懸念材料だ」と論じた。

  米国の情報収集・分析の指針となるこの文書は4年ごとに発行される。36ページにわたる今回の文書は、宇宙空間の支配を目指す国際競争とサイバー兵器を含むテクノロジーの急速な進歩も米国に新たな課題を突き付けているとしている。

  「もはや米国だけの領域でなくなった宇宙の民主化は米国にとって課題だ」とし、「ロシアと中国は米国の軍事的有効性と全体的な安全保障を低下させる手段として、衛星攻撃兵器の全面装備を追い求め続ける」と記した。

原題:U.S. Intelligence Warns Russia, China Seizing on Global Turmoil(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-23/PLRC666TTDSF01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/292.html

[国際25] 米政府閉鎖が経済指標に生む空白、雇用統計への影響は トランプ氏、壁建設で「しっぺ返し」食らう訳 
トップニュース2019年1月23日 / 14:53 / 3時間前更新
焦点:
米政府閉鎖が経済指標に生む空白、雇用統計への影響は
Lucia Mutikani
3 分で読む

[ワシントン 22日 ロイター] - 2カ月目に突入する米政府機関の一部閉鎖によって、重要な経済指標の公表が遅れており、投資家や企業は、本能やひらめきに頼って大事な判断を下さざるを得ない状況に追い込まれている。

トランプ米大統領がメキシコ国境の壁建設予算57憶ドル(約6200憶円)の計上を要求して議会が対立したことを受け、政府機関の4分の1程度が12月22日から閉鎖されており、いまや米国史上最長の閉鎖日数を更新し続けている。

閉鎖の影響は商務省にも及んでおり、同省の経済分析局(BEA)や国勢調査局がまとめている経済指標の公表が停止された。労働省は閉鎖対象ではなく、同省労働統計局(BLS)は市場が注目する雇用統計を含む指標発表を続けている。

連邦準備理事会(FRB)やコンファレンス・ボード(CB)のような非政府組織から出される指標も、公表されている。

●公表が停止された指標は

最初に犠牲となったのは、12月最終週に発表が予定されていた11月の新築住宅販売や貿易収支(速報値)、卸売・小売り在庫といった指標だった。これらの指標の12月分も、公表が遅れる可能性が高い。

また、官民セクターによる新改築の支出状況を示す11月の建設支出の公表も延期された。11月の貿易収支の発表も延期された。

11月の企業在庫や製造業受注も延期されている。12月の小売りや住宅着工件数、建設許可件数も公表されていない。12月の耐久財受注や個人所得、消費者支出も公表されない可能性が高い。

これらの指標は、経済活動の中心指標である国内総生産(GDP)の計算に使われるものだ。30日に公表が予定されている第4・四半期GDP(速報値)は、仮に閉鎖中の政府機関が今週再開したとしても、公表が遅れる可能性が高い。

●それは何を意味するか

製造業や農家、小売業者や建設業者などの企業は、設備投資や生産、在庫管理などの決定に、これらの指標を頼みにしている。

政府や民間のエコノミストは、米経済全体の状況をつかむために、これらの指標に依存している。また、金融市場の参加者も、資産配分を決めるためにこれらを必要としている。

クリントン政権下で商務次官(経済担当)を務めたロバート・シャピロ氏によると、今回の政府機関閉鎖により、すべての調査が保留になった。データ公表を監督する立場にあった同氏によると、遅れを回復するのには時間がかかるという。

「GDPは、経済全体が向かう方向やペースを測る唯一の基準であり、主要な構成データは、長期的なビジネス・金融計画や短期的投資アルゴリズムの設計に役立つ」。現在ではジョージタウン大マクドノー・スクール・オブ・ビジネスでシニアフェローをしているシャピロ氏はそう語る。

複数のFRB当局者は、中銀が重視するインフレ率などの重要情報抜きで金融政策を決定しなければならないことに懸念を表明している。

「有効なデータを手にすることで、政策決定をしている」とニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は18日語った。FRBが政策決定する次回の連邦公開市場委員会(FOMC)は29─30日に開催される。

政府機関の一部閉鎖により、約80万人の連邦政府職員に給与が支払われていないほか、民間契約職員も無給で働いている。閉鎖の長期化で不確実性や不安が高まっており、消費者やビジネスのマインドが減退している。

1月の消費者マインドは、ここ2年超で最低の水準に落ちこみ、ニューヨーク連銀の景気指数も今月大きく低下した。

●1月雇用統計への影響は

BLSが出す雇用統計には、国勢調査局が出している世帯調査の結果も反映される。だが今回、国勢調査局の予算執行が停止されたことは、1月の雇用統計には影響しない。

世帯調査のデータ収集コストは、ほとんどBLSが負担しており、BLSは「現段階では、予算停止による影響はない」と語る。

ただ、労働市場や労働力、賃金の伸びの全体状況を測るために国勢調査局が提供している粗データの一部は、今回提供されないという。

消費者物価指数(CPI)も、予定通り公表される。BLSによると、2月6日に公表予定の第4・四半期の労働生産性指数は、GDPの内容をベースに作成されているため、GDPが予定通り公表されない場合は、完全な形では公表できない可能性があるとしている。

●政府閉鎖が終わったらどうなるか

2013年10月に政府機関が一部閉鎖された時の状況を参考にすると、BEAと国勢調査局は、延期された指標の発表スケジュールを新たに設定するだろう。またそうした指標の一部は、最新指標と同時に発表される可能性がある。例えば、12月の住宅着工件数は、1月の数字と同時に出てくるかもしれない。

11月分の新築住宅販売や建設支出、製造業受注、貿易収支(速報値)、そして卸売・小売り在庫などの指標は、閉鎖解除後、数日以内に公表される可能性があるが、12月分の指標が出てくるまでには時間がかかるかもしれない。

「11月分の指標については、閉鎖前にデータ収集されていたものがあるかもしれないが、それがどの程度かは分からない」とシャピロ氏は語る。「12月分は、これからデータ収集を始めなければならないだろう。時間はかかるかもしれないが、いずれ公表されるだろう」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/usa-shutdown-data-idJPKCN1PH0BY


 


コラム2019年1月23日 / 13:38 / 3時間前更新

トランプ氏、壁建設で「しっぺ返し」食らう訳
Lincoln Mitchell
3 分で読む

[22日 ロイター] - メキシコ国境の壁建設費を巡るトランプ米大統領と議会民主党の対立は、大統領に政治的なダメージを与えている。大半の米国人は、史上最長となった一部政府機関閉鎖の責任は大統領にあると考えている。

その上、トランプ氏は窮地に追い込まれている。選挙公約の目玉だった壁の建設を断念したと見られるのを避けつつ、政府機関閉鎖の解決策を見出す必要があるからだ。

トランプ氏は閉鎖を解除するため、幼少期に親と不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者などの在留資格を延長するという交換条件を提案したが、民主党は拒否した。

トランプ氏にとって厄介なのは、壁建設に固執すれば支持層には受けるかもしれないが、実際に建設すると自身が政治的に悲惨な目に遭いそうなことだ。移民流入に反対する同氏の支持層は、メキシコ国境は穴だらけで、不法移民の大量流入を許していると考えている。

しかし実際に壁の建設が始まれば、2020年の大統領選でトランプ氏が再選を果たすのに必要な無党派層の票を取り逃す程度ではすまない問題が生じるだろう。

第1に、大半の移民専門家は、壁を建設してもトランプ氏が指摘する問題は何1つ解決できないとの見解で一致している。不法移民労働者の数は近年減少している。米国に流入するドラッグの大半は、既存の検問所もしくは通関手続き地から持ち込まれている。

2001年9月11日の米同時多発攻撃以来、国外から違法に入国したテロリストはほとんどいない。そしてトランプ氏の主張とは裏腹に、不法入国する人々のほとんどが犯罪者というわけではない。暑く人けのない地域に壁を建設しても、反移民運動家らが解決を求めている問題のどれにも対処できないだろう。

第2に、壁の建設費は極端に高くつく。トランプ氏は着工のために約50億ドルの予算を求めているが、完工するにははるかに大きな支出が必要となる。癇癪(かんしゃく)持ちの象徴として後世に残るであろう壁を建てるより、50億ドル、100億ドル、いや200億ドルの予算を気候変動やオピオイド中毒問題、医療といった本当に大切な問題の対策に充てるほうが、政治的な見地でさえ、ずっと賢い資金の使い道となるだろう。

第3に、壁はおそらく完成しない。次の大統領選でトランプ氏が再選されなければ、民主党の大統領は就任後真っ先に壁の建設を中止するだろう。再選を果たした場合でも、壁建設に対する世論の支持は強くないため、議会民主党は予算を削ることが可能だろう。つまり国境の一部に、建設途中の錆びついた数マイルの壁がいつまでも残り、トランプ政権の記念碑となる可能性が現実としてあるのだ。

第4の問題は、だれが壁を建てるのかということだ。

このプロジェクトを落札した企業は、一部は熟練労働者を雇う必要があるが、コストを抑えるため、残りの部分については賃金の安い労働者を探さなければならない。過去数十年の米国の施設建設について研究した人ならだれでも、建設業界が主にメキシコからの不法移民労働者に大きく頼っているのを知っている。壁を建設する国境付近では、こうした労働者を雇いたい誘惑は非常に強いだろう。実際にそうした事態になれば、トランプ氏の支持率上昇につながりそうもない。

民主党は壁建設費の承認に応じる姿勢をほとんど見せていないが、妥協と引き換えにトランプ氏から大きな政治的譲歩を引き出せれば、貴重な戦略的成果を得られるかもしれない。民主党は、国境警備について交渉するのはトランプ氏が政府機関を再開してからだと突っぱねている。

完成しそうもなく、最終的にトランプ氏の恥となりそうな壁と引き換えに、例えばドリーマーの在留資格延長にとどまらず恒久的な市民権獲得を引き出せるなら、民主党のペロシ下院議長にとって悪い結末ではないだろう。皮肉なことに、議会民主党が一歩も譲らなければ、トランプ氏は屈辱を免れるかもしれない。

*筆者はニューヨークとサンフランシスコを拠点とする文筆家で学者。コロンビア大政治科学部で教えており、「Baseball Goes West: the Dodgers, the Giants and the Shaping of the Major Leagues,Kent State University Press,2018」(原題)などの著作がある。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/us-mitchell-wall-commentary-idJPKCN1PH09C
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/293.html

[国際25] ベネズエラで反乱未遂か=兵士ら武器強奪で拘束 米副大統領、ベネズエラ国民に野党支持呼び掛け ベネズエラ、米国との断交示唆
ベネズエラで反乱未遂か=兵士ら武器強奪で拘束


2019年01月22日 00時07分 時事通信

 【サンパウロ時事】ベネズエラ国防省は21日、少数の兵士らが武器を盗んだ上に4人の将兵を拉致したとして拘束されたと発表した。一部メディアは、将兵らが反乱を試みたと報じている。

 国防省によると、21日未明に「小さなグループ」が首都カラカス北東に位置するスクレの治安施設から武器を強奪。カラカス市北部のコティサの軍施設で拘束された。地元メディアによると、将兵らは住民に蜂起を呼び掛け。応じた住民らが通りでごみを燃やすなどして支持を表明したため、治安部隊が催涙弾などで鎮圧に当たった。

 インターネット交流サイト(SNS)上では、反乱を起こしたとみられる兵士が「これはベネズエラのためだ。私たちはあなたたちのためにここにいる」と国民に決起を迫る映像が流布している。反体制派で占められる国会のグアイド議長はツイッターで「憲法回復に果敢に貢献する軍人に、国会はすべての必要な保証を与える」と連帯を示した。 【時事通信社】


https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-170801/


 

ペンス米副大統領、ベネズエラ国民に野党支持を呼び掛け−動画で
Margaret Talev、Andrew Rosati、Patricia Laya
2019年1月23日 15:37 JST
「独裁者」マドゥロ大統領への不支持表明を−ペンス氏
大規模な反政府デモを前に動画公開、トランプ氏は出演せず
トランプ米政権はベネズエラ国民に対し、マドゥロ大統領に反旗を翻し、野党指導者のフアン・グアイド氏を支持するよう動画メッセージで訴えた。動画はマドゥロ政権の打倒を目指す大規模な反政府デモの前日に公開された。

  ペンス米副大統領はこの動画でマドゥロ大統領を「権力を握る正当な資格のない独裁者」だと呼び、不支持を表明するようベネズエラ国民に呼び掛けた。ペンス氏の動画は22日朝にソーシャルメディアに掲載された。

  ペンス氏はベネズエラ議会の議長に就任したグアイド氏について、「勇敢」と称賛し、議会は同国の「民主主義の最後の名残」だと指摘した。メッセージは大半が英語で、スペイン語の字幕が付いている。トランプ米大統領は動画に出演していない。

  グアイド氏はマドゥロ政権の抑圧的な戦術や荒廃した経済で士気が低下した反政府勢力に対し、全国的な抗議活動を呼び掛けた。21日には首都カラカスで、反乱を起こした兵士のグループが武器を盗んだとして拘束され、市内の労働者居住地区で兵士を支持する自発的な抗議デモが起きていた。

原題:Trump Administration Urges Venezuelans to Back Opposition Leader(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-23/PLRRKD6K50XW01?srnd=cojp-v2


 


米国との断交示唆=ペンス発言に猛反発−ベネズエラ大統領


2019年01月23日 23時15分 時事通信

ベネズエラが米との断交示唆
2019年01月23日 10時31分 時事通信

米国との断交示唆=ペンス発言に猛反発−ベネズエラ大統領
ペンス米副大統領=9日、ワシントン(AFP時事)

 【サンパウロ、ワシントン時事】ペンス米副大統領は22日、南米ベネズエラの国民に向けたビデオメッセージを公表し、マドゥロ大統領を「正統性のない独裁者」と批判した。その上で、グアイド国会議長が主張する移行政権樹立への全面的支持を表明した。この発言に猛反発した反米左派のマドゥロ氏は22日、首都カラカスで行った演説で、米国との国交断絶を示唆した。

 マドゥロ氏は「米国は副大統領を通じファシスト(反体制派)のクーデターを命じた。両国間でかつてないことであり、私は外相に米政権との関係を全面的に見直すよう命じた」と強調。「主権と憲法、民主主義を守るため、数時間以内に政治的、外交的決断を下す。もう(米国の)攻撃や陰謀に我慢できない」と述べた。 【時事通信社】
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-171775/
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/294.html

[経世済民130] 日銀総裁、海外リスク警戒 追加緩和は余地乏しく 日銀総裁、市場の乱高下「先行き不確実性にやや過敏反応」米中貿易摩擦「収束
日銀総裁、海外リスク警戒 追加緩和は余地乏しく
経済
2019/1/23 23:13
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日銀が海外発の景気下振れリスクへの警戒を強めている。23日開いた金融政策決定会合でまとめた「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、「米中貿易摩擦など様々な動きには注意を要する」と指摘した。黒田東彦総裁は同日の記者会見で「リスクが高まってきている」と述べた。しかし追加緩和の余地は乏しく、景気の先行きに神経をとがらせている段階だ。

同日の会合では短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策(長短金利操作)の現状維持を賛成多数で決めた。物価の見通しは2019年度、20年度ともに昨年10月より下方修正した。実質成長率の見通しは、政府が消費増税対策を実施することを反映して19、20年度ともに小幅に上方修正した。

世界経済は減速懸念が強まっている。国際通貨基金(IMF)は21日、欧州経済の減速などを踏まえて、19年の世界経済見通しを18年10月に続いて引き下げた。米中間の貿易戦争や中国経済の減速が欧州や産油国などに波及している。日本でも財務省が23日発表した18年12月の貿易統計速報で、中国向けの輸出額が前年同月比7%減った。

黒田総裁は会見で、「米中の経済摩擦が長引けば、世界経済に深刻な影響が出てくる」と警戒した。日本では「(生産設備などの)資本財を中心に中国からの受注が減っている」と指摘した。

一方で黒田総裁は「現時点で(経済が着実な成長を続ける)メインシナリオを変えるリスクは顕在化していない」と話した。米中の貿易摩擦は交渉が断続的に進んでいることなどをあげ、「収束に向かうのではないか」と楽観的な見方を示した。工作機械などは中国経済の減速を映して受注が減っているが、受注残があることを指摘して「今のフル生産を相当程度続けられる」と語った。

こうした見方に関して市場からは「実体の数字に影響が出ていないと黒田総裁は言い切っているが、世界的な景気減速でアジア向け輸出は落ちている」(大和証券の岩下真理氏)との声が出る。米中の貿易摩擦が企業業績の下振れにつながれば、金融市場の混乱などを通じて日本の実体経済に悪影響を及ぼす恐れもある。

金融市場では世界的に投資家心理が悪化し、「昨年秋以降、やや不安定になった」(黒田総裁)。外国為替市場では米アップルの業績下方修正などを受けたリスク回避の動きから、3日に円相場が一時1ドル=104円台と約9カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。4日には米欧株安を受け、日経平均株価が大発会として過去3番目の下げ幅を記録した。

黒田総裁は「先行きの不確実性にやや過敏に反応した」とみる。08年のリーマン・ショックのような金融危機が来る可能性については国際的に金融機関への規制強化が進んでいるとして「リーマン・ショックのようなことが起きることはないと思う」と述べた。

ただ、世界経済の減速が本格化したときに欧米の中銀が緩和方向に動けば、日本には円高・株安圧力が強まりかねない。

円高圧力を弱める効果がある追加緩和について黒田総裁は「政策余地が狭まっているということではない」と強調した。SMBC日興証券の丸山義正氏は「日銀は今後、円高の急な進行を止めるための政策修正を迫られる可能性がある」と話す。

しかし市場では「日銀の弾薬庫は空の状態で、追加緩和は難しい」(みずほ証券の上野泰也氏)との見方も多い。大規模な金融緩和による超低金利が長引き、金融機関収益の悪化など副作用への警戒が強まるなか、日銀の次の一手に対する市場の関心が少しずつ高まっている。

 
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金融政策決定会合後、記者会見する日銀の黒田総裁(31日、日銀本店)
黒田日銀総裁「米中摩擦、一番のリスク」[映像あり]
2018/10/31 18:32
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40385220T20C19A1EE8000/?n_cid=SPTMG002

 
日銀、世界経済下振れ警戒 黒田総裁「リスク高まる」
経済
2019/1/23 15:10 (2019/1/23 17:20更新)
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日銀は海外発の景気下振れリスクへの警戒を強めている。日銀の黒田東彦総裁は23日午後、金融政策決定会合後の記者会見で「リスクが高まってきている。十分注意する必要がある」と危機感を示した。米中の貿易戦争が企業業績の下振れや金融市場の混乱などを招き、日本の実体経済に悪影響を及ぼす恐れもある。ただ日銀には追加緩和余地が乏しく、状況は厳しい。

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同日の決定会合で日銀は3カ月に1度改定する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表し、2019年度と20年度の物価見通しを引き下げた。19年は1.4%から0.9%と下落幅が大きい。黒田総裁は「原油価格の下落によるところが大きい」とし、「直接的な影響は一時的だ」と強調。「2%の物価安定目標に向けたモメンタム(勢い)は維持されている」とこれまでと同じ見解を示した。

展望リポートでは実質成長率の見通しについては、政府の消費増税対策を反映し、19年度、20年度ともに小幅に上方修正した。

しかし海外経済に関しては「米中貿易摩擦など最近の様々な動きには注意を要する」と米中の貿易摩擦や欧州の政治問題、中国経済の減速などをリスクとしてあげ「下方リスクが少し高まってきた」と繰り返した。

世界的に投資家心理が悪化し、金融市場は昨年末から今年の年始にかけて揺れたのは記憶に新しい。1月3日に円相場が一時1ドル=104円台と約9カ月ぶりの円高・ドル安水準を付け、4日には日経平均株価が大発会として過去3番目の下げ幅を記録。黒田総裁は「やや過敏だったように見受けられる」とした。

足元では米中摩擦が緩和するとの思惑から市場は落ち着いているが、世界経済減速への警戒はくすぶる。国際通貨基金(IMF)は21日、19年の世界経済見通しを18年10月に続いて引き下げた。

市場では「景気後退の可能性や、追加緩和手段への黒田総裁の言及が注目されていた」(野村証券の中島武信氏)。しかし黒田総裁は「経済・物価、金融情勢を見て、必要があれば追加的な措置もとる」と述べるにとどめた。

大規模な金融緩和による超低金利環境が長引き、金融機関収益の悪化など副作用への警戒が強まる。日銀は追加緩和には動きにくいとの見方が多い。世界経済が本格的に減速し始めて欧米の中銀が緩和方向に動けば、日本には円高・株安圧力が強まりかねず、企業業績などに大きな打撃になる。日銀の次の一手に対する市場の関心が徐々に高まっている。
  


 


日銀、物価見通し下げ 決定会合 金融緩和は維持
経済・政治
2019/1/23 12:18 (2019/1/23 13:16更新)
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日銀は23日に開いた金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策(長短金利操作)の現状維持を賛成多数で決めた。原油価格の下落などで2019年度以降の物価見通しを引き下げ、景気の見通しには「米中貿易摩擦など最近の様々な動きには注意を要する」という表現を新しく加えた。

金融緩和の現状維持は9人の政策委員のうち7人の賛成多数で決めた。黒田東彦総裁が23日午後に記者会見を開き、決定内容を説明する。

3カ月に1度改定する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)の上昇率予測は19年度を0.5ポイント引き下げ0.9%に、20年度を0.1ポイント引き下げ1.4%とした。19年度予測の引き下げは3回連続。今回から消費税率引き上げと教育無償化の影響を除いた例を示した。

成長率予測は19年度を0.9%、20年度を1.0%とし、前回から0.1〜0.2ポイントそれぞれ小幅に引き上げた。政府による消費税率引き上げの対策を織り込んだ影響とみられるが、先行きの海外景気に慎重な表現を盛り込んでいる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40349570T20C19A1MM0000/?n_cid=SPTMG053


日銀総裁、市場の乱高下「先行き不確実性にやや過敏反応」
経済・政治
2019/1/23 15:49
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日銀の黒田東彦総裁は23日、金融政策決定会合後の記者会見で、年末年始のマーケットの動揺について、「先行きの不確実性に対してやや過敏であったようにも見受けられる。金融市場の動向が経済物価に与える影響について注意深くみていく。適切な政策運営に努める」と述べた。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕
https://www.nikkei.com/article/DGXLNS0040004_T20C19A1000000/?n_cid=SPTMG053

日銀、展望リポートで触れない「リスク」
編集委員 清水功哉
経済
2019/1/23 12:36 
「これほど不確実性の大きさを感じる年初は珍しい」。1月に入り、日銀内で複数の人たちから聞いた言葉だ。日銀が23日に公表した2019年最初の経済・物価情勢の展望(展望リポート)も「経済・物価ともに下振れリスクが大きい」と強調。海外を中心とする様々なリスク要因を挙げた。

だが、実は展望リポートが触れていないポイントがある。日銀自身の追加的な政策対応の余地が乏しい点だ。各種リスクが顕在化し市場が混乱したとき、日銀は火消しできるか。その点こそ19年の最大のリスクのひとつといえる。

展望リポートがあげた海外発のリスク要因は広範囲にわたる。米国のマクロ政策運営が国際金融市場に及ぼす影響、保護主義的な動きの影響、新興国・資源国経済の動向、英国の欧州連合(EU)離脱交渉の影響、地政学的リスクなどだ。「海外経済を巡る下振れリスクは、このところ強まっている」と指摘。企業や家計のマインド面への影響を注視する必要があるとした。

やっかいなのは、いずれのリスク要因も顕在化すれば円高を招きかねないことだ。例えば米国の金融政策。米経済の減速を背景に利上げができなくなったり、利下げの可能性が意識されるようになったりすれば、金利面からドル売り圧力が強まる。米中貿易戦争など保護主義の拡大も、世界経済の減速を通じて市場参加者のリスク回避姿勢を強めそうだ。「安全通貨」と目されている円にマネーが集まる展開が予想される。

円高は日本の株安を招き、マーケットの混乱は経済・物価情勢に負のインパクトを及ぼす。23日公表の展望リポートで見通しを下方修正した消費者物価上昇率が、さらに下振れるだろう。

問題は市場や経済の混乱に対応するための十分な「武器」を、日銀が持っていないようにみえることだ。

黒田東彦総裁は表向きこう語ってきた。「緩和の手段として、短期政策金利の引き下げ、長期金利操作目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、通貨供給量(マネタリーベース)の拡大ペースの加速など、様々な対応が考えられる」。だがマイナス金利の「深掘り」などこれ以上の金利引き下げは、円高を止めるどころか、かえってマーケットの混乱をあおってしまう恐れもある。低金利による金融機関収益への打撃が一段と強まるとの見方から、銀行株が大きく売られるかもしれないからだ。

上場投資信託(ETF)購入の増額はどうか。株安を防ぐ効果を持つかもしれないが、円高が止まらないなら、実体経済への悪影響を十分に弱められるか不安がある。

いずれにせよ、有効な追加緩和策はあまりないのが実情だろう。日銀が十分な「武器」を持たないことを見抜いている投機筋が、その点を突いて円買いや株売りを仕掛けてくれば、マーケットの混乱に拍車がかかりそうだ。

「追加対応の余地が大きくないのは事実だが、まったくないわけではない。急速な円高が進むなどして物価上昇のメカニズムが崩れそうになれば動くだろう」。日銀の中枢部門で聞く声だ。23日の午後3時半から開く黒田総裁の記者会見でも、有効な追加緩和手段を持っていると強調するかもしれない。

しかし、その言葉に市場参加者はどの程度説得力を感じるのか。疑問が消えない。 


 

日銀総裁、米中貿易摩擦「収束に向かうのではないか」
経済・政治
2019/1/23 16:05
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日銀の黒田東彦総裁は23日、金融政策決定会合後の記者会見で、米中間の貿易摩擦について「米国や中国からいろいろなニュースが出ているが、そういうのを見ても貿易問題については交渉が進み、解決に向かっている」という見方を示した。その上で「貿易摩擦、二国間の貿易収支などといった貿易経済問題は収束に向かうのではないか」と期待を込めた。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕
https://www.nikkei.com/article/DGXLNS0040007_T20C19A1000000/?n_cid=SPTMG053

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/699.html

[経世済民130] 日銀が輸出版ヒートマップ、減少の可能性を可視化 警戒示す指標も 大手機関投資家が長期債に傾斜 TOPIXは反発、割安感
経済指標・コメント2019年1月24日 / 17:23 / 24分前更新
日銀が輸出版ヒートマップ、減少の可能性を可視化 警戒示す指標も
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 24日 ロイター] - 日銀はこのほど、日本の輸出が先行き大幅に減少する可能性を可視化した輸出版のヒートマップを作成し、1月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の全文に掲載した。それによると、現状は過去のITバブル崩壊やリーマンショックほどの強いシグナルは観察されないものの、海外経済を巡る不確実性が高まる中で、落ち込みを示唆する指標も増えている。

日銀作成のヒートマップは、金融活動の過熱と停滞を判断するために金融システムリポートで公表している「金融活動指標」が有名だが、今回はその輸出版といえる。

日本の実質輸出の落ち込みに対して予測可能性が高いとみられる18指標で構成されており、それぞれの指標の変動が一定範囲よりも下振れた場合を「青色」、範囲内にあるがトレンドとかい離している場合を「水色」、ほぼトレンドに沿っている場合を「緑色」で表記した。

18指標は地域間や企業・家計のバランスなども配慮し、約250種類の中から抽出。グローバル製造業PMIや世界自動車販売台数、日本製造業PMI、米国のISM製造業景況感指数、中国の金属加工機械生産台数などのほか、金融関連指標ではMSCI株価指数、VIX指数が含まれる。

過去の推移をみると、リーマンショックが発生した2008年には、大半の指標が先行きの大幅減少を示唆する「青色」となり、ITバブルが崩壊した2001年、欧州債務問題が深刻化した2012年も「青色」の割合が高まった。

足元では、米中貿易摩擦の激化などを背景に、世界経済の先行き不透明感が強まっているものの、2018年末時点では「青色」が世界自動車販売台数、中国金属加工機械生産台数、VIX指数の3指標となっており、日銀では「低い水準にとどまっている」と判断している。

もっとも、全指標が「緑色」だった2017年に対し、シグナル発生の手前となる「水色」を付けた指標も複数あり、警戒感は着実に高まりつつある。

日銀は同リポートで、海外経済について「下振れリスクは、このところ強まっているとみられ、わが国の企業や家計のマインドに与える影響も注視していく必要がある」と警戒感を一段と強めている。 (伊藤純夫)
https://jp.reuters.com/article/boj-export-idJPKCN1PI0V6

 

大手機関投資家が長期債に傾斜−「不適切な」利上げ欲求の沈静化予想
John Ainger、Cecile Gutscher
2019年1月24日 14:14 JST
• アクサとJPモルガンAM、ポートフォリオのデュレーション延ばす
• 利上げをしたいという金融当局の欲求は「不適切」だった−ダリオ氏
ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者のレイ・ダリオ氏は22日ダボスで、利上げをしたいという米連邦準備制度の欲求は「不適切」だったと発言した。アクサ・インベストメント・マネジャーズやJPモルガン・アセット・マネジメント(AM)などの機関投資家は、こうした欲求が沈静化するとみている。
  両社は長期債を買い増している。成長減速の中で当局者の今年の金融引き締めの決意が揺らぐと確信しているためだ。
  アクサの最高投資責任者(CIO)、アレッサンドロ・テントリ氏は「成長とインフレ見通しの下方修正の環境では常に、デュレーションを長くするのが良策だ」とし、「投資家は昨年、金融政策正常化、特に量的緩和(QE)の縮小を恐れていたが、このリスクは今では希薄化した」と話した。
  JPモルガンAMのEMEA市場チーフストラテジストのカレン・ウォード氏は「貿易協議がうまくいかなければ、デュレーションを延ばすのが確実にポートフォリオにプラスだ」と述べた。同社は米国債を通じてデュレーションを延ばしているという。

レイ・ダリオ氏
ソース:ブルームバーグ)

原題:Fed Pot Shots at Davos Met With Big Bets on Interest-Rate Limbo(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLTK8N6JIJUQ01?srnd=cojp-v2

 

超長期債が上昇、プラス利回りに資金シフトの流れ−20年債入札は順調
三浦和美
2019年1月24日 8:03 JST 更新日時 2019年1月24日 16:01 JST
債券市場では超長期債が上昇。長期金利がゼロ%付近で推移する中、比較的利回り水準の高い超長期債に資金がシフトする動きとなった。この日に実施された20年債入札が順調な結果となったことも超長期債相場の支えとなった。

20年物166回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より0.5bp低い0.445%、30年物61回債利回りは1bp低い0.66%と、いずれも4日以来の低水準
40年物11回債利回りは1.5bp低い0.75%、新発債として2016年12月以来の水準に低下
一方、長期国債先物3月物の終値は前日比2銭安の152円53銭。長期金利は小幅上昇
市場関係者の見方
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト

10年債利回りがゼロ%に近い水準にあり、プラス利回りの超長期債を買いにいっている
日本銀行の物価見通し引き下げを受けて、しばらく出口の議論はないという見方が働いている
ただ、10年超の日銀オペが月内にあと1回しか実施されない上、40年債入札も控えて需給面で不安残る
金利の絶対水準もだいぶ低下しており、いったん小休止になってもおかしくない
20年利付国債(167回債)入札
最低落札価格100円55銭と市場予想の100円50銭を上回る
投資家需要の強さを反映する応札倍率は4.57倍に上昇
小さいと入札の好調さを示すテールは4銭に縮小
SBI証の道家氏
投資家の先回り買いが入り、ショートカバーが促される格好になった
過去の20年入札の結果
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.165% -0.155% 0.005% 0.445% 0.660% 0.750%
前日比 +0.5bp +0.5bp +0.5bp -0.5bp -1.0bp -1.5bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-23/PLRVTO6TTDS701?srnd=cojp-v2

 


 


TOPIXは反発、割安感から金融や電機、素材に買い−内需一角重し
長谷川敏郎
2019年1月24日 7:45 JST 更新日時 2019年1月24日 15:22 JST
前日の米国株は悪材料を吸収して反発、VIXも節目の20を下回る
日本株はPER面で出遅れとの見方、売買代金は依然低調
24日の東京株式市場ではTOPIXが3日ぶりに反発。企業収益からみた株価は売られ過ぎとして割安感を手掛かりに銀行や証券など金融株が買われ、過度な業績懸念が後退した半導体関連中心に電機や化学株も上昇。陸運や食料品など内需関連の一角は下落した。

TOPIXの終値は前日比5.57ポイント(0.4%)高の1552.60
日経平均株価は同19円09銭(0.1%)安の2万0574円63銭、3日続落
  アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「前日の米国株は悪材料が出てもVIXが低下するなど底堅くなってきた。投資家のリスク許容度を超えるボラティリティーが収れんしてきている」と指摘。同氏はまた、景気や企業業績の悪化をマーケットが織り込み過ぎたとし、「日本株は米国株などに比べた割安感からなお戻り余地がある。金融や景気敏感など売られ過ぎたセクターが見直されている」と述べた。

  米大統領経済諮問委員会(CEA)のハセット委員長は23日、米政府機関の一部閉鎖が3月末まで続いた場合、1−3月の経済成長がゼロになる可能性があるとCNNとのインタビューで述べた。23日の米国株は荒い値動きながらもディフェンシブ関連や好決算銘柄がけん引して反発で終了。米国株のボラティリティーの指標であるVIXは19.5と、20を下回った。

  野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは「年初からの戻りのモメンタムに一服感が出ており、来週の決算発表の本格化待ち」とした上で、決算については「リビジョンインデックスがマイナスでも、マイナス幅が縮小する際に株価が上昇する傾向がある。市場が想定している修正幅でなければ、底固めからポジティブな展開になりそうだ」とみていた。


  もっとも、これまで相対的に底堅かった内需関連の一角は下げ、日経平均株価は小幅に続落した。アイザワ証の三井氏は足元の底堅さを評価する一方で、中期的な相場の先行きが「明るいかどうかは決算内容を見ないと分からない」と話していた。オプション市場からみた投資家の警戒感も根強く、売買は盛り上がらなかった。

日経オプション市場からみた投資家の警戒姿勢はこちらをご覧ください

東証33業種は証券・商品先物取引や銀行、化学、電機、情報・通信、鉄鋼が上昇
陸運、食料品、電気・ガス、サービス、不動産、小売は下落
東証1部売買代金は1兆8898億円−4日連続の2兆円割れ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-23/PLT2BA6K50Y401

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/704.html

[経世済民130] EU、2.5兆円の対米報復関税準備と高官−自動車関税発動なら ECB、リスクバランスと長期リファイナンスオペに注目 
EU、2.5兆円の対米報復関税準備と高官−自動車関税発動なら
Jonathan Stearns
2019年1月24日 10:59 JST 更新日時 2019年1月24日 12:39 JST
欧州委のドマルティ貿易総局長が欧州議会の委員会で明らかにした
「対抗措置を課す輸入品リスト草案を既に用意した」とドマルティ氏
欧州連合(EU)加盟国から米国が輸入する自動車・同部品を対象にトランプ政権が追加関税を発動した場合、EUは200億ユーロ(約2兆5000億円)相当の米国製品に報復関税を課す用意がある。EUの行政執行機関である欧州委員会のドマルティ貿易総局長が23日、欧州議会の委員会で明らかにした。

  ドマルティ貿易総局長は「友好国やパートナーにも通商措置の脅しをちらつかせ、目標追求のために現状を破壊しても総じて平気な米政権と、われわれは引き続き対峙(たいじ)しなければならない」と発言。「米政権がわれわれに発動すると想定されるいかなる新たな貿易制限にも適切かつ効果的に対応できるよう準備する必要がある。対抗措置を課す200億ユーロ相当の米国からの輸入品リストの草案をわれわれは既に用意した」と述べた。

  同貿易総局長は「欧州の自動車・同部品への輸入関税・制限を提案する報告が今後数週間のうちに米政権から出た場合、われわれが管理貿易の解決策に関心がなく、発動すれば反応するという点を明確にすべきだ」と主張した。  

原題:EU Eyes Tariffs on $23 Billion of U.S. Goods If Trump Taxes Cars(抜粋)

(欧州委の貿易総局長の発言を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLTC6N6TTDS101?srnd=cojp-v2

 

ECB、リスクバランスと長期リファイナンスオペに注目−24日決定
Carolynn Look
2019年1月24日 13:09 JST
• 景気が鈍化しつつあっても刺激策は拡大せず、いずれ引き締める方向
• 市中銀行による融資を支えるTLTRO強化も
欧州中央銀行(ECB)は24日の政策決定後、景気が鈍化しつつあっても金融政策による刺激はピークに達したことを確認するだろう。
  ユーロ圏経済の見通しは悪化しているが、刺激策拡大がこれ以上なくても、過去最低の政策金利水準と量的緩和(QE)プログラムの下で購入した2兆6000億ユーロ(約324兆円)の債券保有が今後も成長を支え緩和的な金融環境を維持すると主張する見込みだ。
  ただ、域内の市中銀行が規制要件を満たしつつ融資を続けることを支援する条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)の再開は発表する可能性がある。また、景気見通しへのリスクについて「おおむね均衡している」との認識を下方修正するとの見方もある。
  デービッド・パウエル氏らブルームバーグ・エコノミクスのエコノミストらは、ECBが「見通しへのリスクを下向きとすることで景気減速を公式に認める可能性とTLTRO延長の利点を協議する可能性がある」とみている。
  ブルームバーグ調査では、回答者の4分の1がリスクバランス認識の下方修正を予想。そのような文言変更があれば、引き締めに向けたペースをECBが落とす状況を示唆し得るが、利上げ時期は早ければこの秋であることを示唆するフォワードガイダンスを変更する公算は小さい。ただし、QE終了が時期尚早だったとの懸念を和らげるため、TLTROに言及する可能性がある。エコノミストの多くは3月の正式発表と6月の実施を予想している。

Risk Balance
Economists predict ECB President Draghi will reiterate his previous assessment

Source: Bloomberg survey of economists conducted Jan. 14-16
Long-Term Loans
Majority of economists predicts ECB will offer fresh funds by March for June allotment

Source: Bloomberg survey of economists conducted Jan. 14-16
原題:ECB to Play for Time as Growth Outlook Sours: Decision Day Guide(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLTED46JIJUV01?srnd=cojp-v2



http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/705.html

[経世済民130] ゴーン被告が仏ルノーの会長・CEOを辞任−仏財務相 日産:臨時株主総会の4月中旬開催検討、ゴーン取締役解任などで
ゴーン被告が仏ルノーの会長・CEOを辞任−仏財務相
Ania Nussbaum、Tara Patel、Francine Lacqua
2019年1月24日 16:05 JST 更新日時 2019年1月24日 16:20 JST
ルメール仏財務相がブルームバーグテレビジョンに語った
後任にスナール氏とティエリー・ボロレ氏が指名される見込み
カルロス・ゴーン被告が23日遅く、フランスの自動車メーカー、ルノーの会長と最高経営責任者(CEO)を辞任した。ルメール仏財務相が24日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで明らかにした。

  後任はタイヤ大手ミシュランのジャンドミニク・スナールCEOが会長、ティエリー・ボロレ暫定CEOが正式CEOにそれぞれ指名される見込み。

  ルメール財務相はインタビューで、新経営陣がまず取り組むべき仕事は「ルノーと日産自動車のアライアンス強化だ」と述べた。「アライアンス継続を信じている」とし、仏日両政府ともコミットしていると語った。


カルロス・ゴーン被告写真家:Simon Dawson / Bloomberg

ジャンドミニク・スナール氏写真家:Gianluca Colla / Bloomberg
ゴーン前会長、ケリー前代表取締役逮捕からの経緯
<2018年>
11月19日 11年3月期から5年間の役員報酬を有価証券報告書に過少
記載したとして金融商品取引法違反の疑いで東京地検がゴーン、ケリー両容疑者を逮捕
22日 日産が臨時取締役会を開きゴーン容疑者の代表権と会長職、ケリー容疑者の代表権を解くことを決定
30日 両容疑者の勾留期間の12月10日までの延長を東京地裁が認める
12月10日 東京地検が両容疑者を金商法違反の罪で起訴、18年3月期までの3年間についても同法違反の疑いで再逮捕
20日 東京地検による両被告の再逮捕による勾留期間の延長請求を東
京地裁が却下
21日 東京地検がゴーン被告を会社法違反(特別背任)の疑いで3度
目の逮捕
25日 東京地裁がケリー被告の保釈を許可、東京拘置所から出る
31日 東京地検によるゴーン被告の3度目の逮捕に関する勾留延長請
求を東京地裁が認める
<2019年>
1月4日 ゴーン被告が勾留理由の開示を東京地裁に請求
8日 ゴーン被告が勾留理由開示請求で出廷し無実を主張
11日 東京地検がゴーン被告を特別背任罪で追起訴、ゴーン、ケリー両被告と法人としての日産を金商法違反の罪でも追起訴
11日 ゴーン被告側が東京地裁に保釈を請求
15日 東京地裁が保釈請求を却下
18日 ゴーン被告側が2回目の保釈請求
22日 東京地裁が保釈請求を却下
原題:Ghosn Resigns From Top Job at Renault, Capping Fall From Grace(抜粋)
France’s Le Maire: Renault CEO Carlos Ghosn Resigned Last Night

(日産自動車のケリー前代表取締役含め、逮捕以降の経緯を加えます.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLTPTH6JIJUU01


日産:臨時株主総会の4月中旬開催検討、ゴーン取締役解任などで
堀江政嗣
2019年1月24日 17:07 JST 更新日時 2019年1月24日 17:25 JST
ケリー取締役の解任とルノーが指名する新取締役1人の選任も
西川社長が会見で詳細説明へ−ゴーン被告はルノーのCEOも辞任
日産自動車は24日、臨時株主総会を4月中旬に開催する方向で検討を始めたと発表した。前会長で特別背任の罪などで起訴されたカルロス・ゴーン被告ら取締役2人の解任と仏ルノーが新たに指名する取締役1人の選任に目的を限定するとしている。

  同日予定されているルノーの取締役会終了を受けて日産の西川広人社長兼CEOが同日午後9時半から横浜市の本社で会見する。

  日産とルノーは昨年11月のゴーン前会長の逮捕以来、臨時株主総会の開催に関して意見を戦わせてきた。日産の関係者はルノー側から開催を要求する書簡が複数回届いていたことを明らかにしていたが、日産側では3月末までにガバナンス改善特別委員会が取りまとめる提言を受けてからの総会開催を主張していた。4月の臨時株主総会ではゴーン被告と同時に逮捕されたグレッグ・ケリー前代表取締役の取締役解任も議題とする。

  ゴーン被告は逮捕後、日産の会長と代表取締役の役職を解かれていた。起訴後もルノーの会長兼CEOの職を保持していたが、フランスのルメール仏財務相は24日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで両方の職を辞任したことを明らかにしていた。

(詳細情報を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLTT7W6JIJVJ01
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/706.html

[経世済民130] ダボス会議に米中対立の影、「欠席組」が話題独占 中国の王副主席:19年の成長は継続的で持続可能に−不透明感強まるも 
トップニュース2019年1月24日 / 14:37 / 3時間前更新
アングル:
ダボス会議に米中対立の影、「欠席組」が話題独占
Simon Robinson
3 分で読む

[ダボス(スイス) 23日] - 今年のダボスには、世界で最も強力な指導者2人が来ていないが、それでも彼らは話題の中心から逃れることはできないようだ。

中国の習近平・国家主席は、2年前の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で行った演説で、中国が自由貿易の最大の擁護者だと訴えた。資本やテクノロジー、モノや産業、そして人々による経済間の移動を阻止するどんな試みも「単純に不可能だ」と語った。

翌年のダボス会議では、トランプ米大統領が次のように訴えた。「私のメッセージはシンプルだ。米国で雇用や建設、投資を行って成長するのに、これ以上適した時期はなかった。米国はビジネスにオープンだ」

米政府は自由貿易にコミットしているとトランプ大統領は約束したものの、「他国の犠牲の上にシステムを悪用する国があるなら、自由で開かれた貿易はできない」とも警告していた。

両首脳とも演説で、競合国については言及しなかったが、それぞれが理想とする世界貿易の輪郭を打ち出す中で、互いの国を念頭に話していることは明らかだった。

昨年の展開を見る限り、どちらも相手の演説を聞き入れた形跡はない。そして、このすれ違いが生んだ「副産物」こそが、今年ダボスで習氏とトランプ氏が頻繁に話題に上る理由となっている。

香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、同会議のセッションで、特定の国名は挙げずに、一部の国が、過去数十年かけて築かれたルールに基づく多国間システムから離脱しつつあると指摘。「それがもはや主流でないならば、われわれは苦境に陥るだろう」と付け加えた。

コンサルタント会社マッキンゼーでグローバル・マネージング・パートナーを務めるケビン・スニーダー氏は、貿易摩擦は「米中のより広範な緊張関係の一部分でしかない」と指摘する。

世界の2大経済大国が繰り広げる貿易戦争は、すでに世界の成長を鈍化させ、サプライチェーンや企業の事業計画を変更に追い込み、カナダからシンガポールに至る広範な国々に影響を及ぼしている。

国際通貨基金(IMF)はダボス会議の開幕前日の21日、世界経済見通しを引き下げた。別の調査では、世界の企業経営者の間で悲観的な見方が強まっていることが明らかになっている。

ビジネスの現場では、何カ月も前から影響が出ている。

例えば、中国で米アップル(AAPL.O)の「iPhone(アイフォーン)」端末を製造する台湾フォックスコン(2354.TW)は、貿易戦争の影響を抑えるため、ベトナムやインドでの工場新設を検討している。

自動車メーカー各社も、関税引き上げ措置を受け、一部車種の組み立て工場を移設しようとしている。

またオーストラリアでは、通貨からワイン醸造業者、住宅所有者に至るすべてが、経済戦争の影響を感じている。

「経済がどの程度減速しており、通商面での関税影響がどの程度で、通商交渉には実際どんな効果があるのか」を、人々が知りたがっていると、米シティグループのコーバット最高経営責任者(CEO)はロイターに語った。

<ワシントンと北京から見える風景>

米政府の代表団は、政府機関の一部閉鎖を受けて今回の会議を欠席した。だが、ポンペオ国務長官はビデオ会議を使って演説した。

中国について、隣国に敵対的な態度を取り、国内では「全体主義を敷いている」とまず批判。演説の後半では、中国が開かれた公平な貿易と、知的財産の保護を受け入れれば、米中問題は解決すると訴えた。

ダボス会議の開幕前、トランプ大統領が昨年の演説に込めたメッセージはまだ有効だ、と米政府当局者はワシントンで語った。北米自由貿易協定(NAFTA)に代わるカナダとメキシコとの新協定を例に挙げ、多くの前進が見られたという。

米国が関税措置に踏み切ったことで、中国政府が対話に応じるようになり、昨年のダボス会議からみれば大きく前進したと、この当局者は主張した。

中国では、見方が割れている。

北京にある対外経済貿易大学の貿易専門家Tu Xinquan氏は、貿易戦争の結果、簡単ではないだろうが、中国が最終的により開放される可能性があると述べた。

ダボスで演説した2年前、習主席の「より大きな関心は政治にあった」とTu氏は分析。貿易戦争の結果、中国が経済に重点を置く可能性があると指摘する。

一方で、中国大手国有企業のシニアアナリストは、習主席が米国からの改革要求に譲歩することはあり得ない、とロイターに語った。そのような譲歩は、景気後退のかじ取りをするよりも大きな政治的な危険性を招くことになるという。

「もし中国政府が米国の大統領に膝を屈すれば、国民の間から強烈な不満が沸き起こり、政府内での大きな政治的失点となるだろう」

(翻訳:山口香子、 編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/davos-meeting-trump-xi-idJPKCN1PI0EO
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/707.html

[経世済民130] 中国少子化の「危険信号」、労働人口2億人減も MSの検索サービス、中国で利用できず 若者たちを債務奴隷にするシステム
コラム2019年1月24日 / 10:46 / 2時間前更新
中国少子化の「危険信号」、労働人口2億人減も
Christopher Beddor
2 分で読む

[香港 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の少子化は、新しい話ではない。2018年の出生率は、1000人あたり11人を下回り、1949年の中華人民共和国建国以来最低の水準となった。年金制度改革が急務であることが、改めて浮き彫りとなった。

中国国家統計局が21日発表した出生率データは、少子化問題の深刻さを裏付けている。16─59歳の労働人口は、64%超に急減した。対照的に、65歳以上の人口は約12%に増加した。

中国政府系シンクタンクの中国社会科学院は今月、中国の人口は2029年に14億4000万人でピークに達し、50年までに13億6000万人に減るとの予測を発表。これは、労働人口が2億人程度減少する可能性を意味している。

このような急激な変化は、どのような年金制度にとっても重荷となるが、中国のそれは特に危うい。米コンサルティング大手のKPMGによると、中国の年金原資は2015年の国内総生産(GDP)の14%程度にとどまる。一方、米国のそれは同121%となっている。

そしてこの原資は、ほとんど増えない傾向にある。中国の年金原資の中でも最大の基金は2012─16年、年平均2.5%しか稼いでいないと、同社は2017年に指摘している。

問題点の1つは、ほとんどの国が国レベルで統一された年金制度を運営しているのに対し、中国では省や国の行政が複雑に関与していることだ。これは、特に貧しい北東部の工業地帯で年金基金間の資金力に大きな差が生じたり、基金管理に面倒な政治が絡んだりすることを意味している。閉鎖的な金融システムのせいで、投資の選択肢も制限されている。

確かに、中国政府は改善に取り組んでいる。例えば昨年、社会保障費の収集により権限の強い税務当局を充て、未払いを取り締まる方針を示した。

また、中央政府の年金基金で、改革派の楼継偉・元財政相の指揮下にある2兆元(約32兆円)規模の全国社会保障基金に対しても、事実上より多くの資産が配分されるようになった。これには、国有企業の株式移転も含まれるなど、意欲的な改革となっている。

これらはまだ入り口にすぎない。最新の出生率を見れば、中国の高齢者人口を支えるには、より大きな改革に取り組まなければならないことは明らかだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/china-population-breakingviews-idJPKCN1PI05Y


 


MSの検索サービス、中国で利用できず
ネット・IT 中国・台湾
2019/1/24 17:40 
【上海=松田直樹、シリコンバレー=中西豊紀】米マイクロソフト(MS)の検索サービス「Bing(ビング)」が中国で一部利用できなくなっていることが24日、分かった。中国メディアなどによると、ビングの中国国内向けのサイトが23日から利用できなくなっている。MSは「中国でビングにアクセスできないことを確認している。次のステップを講じるべきか調べている」との声明を出した。

中国で一部の検索サイトが利用できなくなっている=ロイター
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中国で一部の検索サイトが利用できなくなっている=ロイター

利用ができなくなっているのはビングの中国国内向けの検索サイトで、外国人が主に使う国際版はアクセスが可能だ。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は通信障害ではなく、中国政府がとったネットの遮断措置によるものと報じている。

仮に当局が遮断措置をとったのであれば、中国籍以外の大手企業が締め出されるのは、10年に同国からの撤退を余儀なくされたグーグル以来だ。グーグルは06年から中国で自主検閲を施した検索サービスを提供してきたが、人権活動家のメールを狙うなどした中国発のサイバー攻撃を理由に撤退した。

ただ、MSの一部検索サイトが今回利用できなくなったのはシステムの不具合によるものだという報道もある。一部の中国メディアは、中国のネット検索最大手の百度(バイドゥ)が展開する検索サイトの一部機能に不満を持つユーザーがビングに乗り換える例が急増し、サーバーがダウンしたと報じた。
 
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2018/9/7 5:50
中国での検索ビジネスにはグーグル社内で慎重論が強い(3日、中国・上海のイベント会場)=ロイター
グーグルCEO、検索での中国再参入は「まだ先」
2018/8/18 5:12
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4042296024012019FF2000/


 

中国経済の実態!若者たちを債務奴隷にするシステムがなくならない
1,558 回視聴
 

妙佛中国語講座 DEEP MAX
2019/01/23 に公開
中国の内需は非常に脆弱だと言われている。その理由のひとつが借金経済だ。今回はその一例として学生の借金漬けの実態を紹介しよう。
https://www.youtube.com/watch?v=hr2-GkWvSgA


 


中国経済が失速しても世界経済に大きな影響ない=経済学者


2019年01月23日 21時40分 大紀元時報

中国経済が失速しても世界経済に大きな影響ない=経済学者
中国当局は21日、2018年国内総生産(GDP)成長率が6.6%と発表した。28年ぶりの低水準。写真は中国国内の道路に放置された自転車シェアリング用の自転車(Getty Images)

中国国家統計局は21日、2018年の国内総生産(GDP)成長率は6.6%と発表した。28年ぶりの低水準となった。また、2018年第4四半期(10〜12月期)のGDP成長率は6.4%に落ち込んだと示し、2009年以来の悪い結果となった。

一部の市場関係者や専門家は、中国国内の景気悪化、企業倒産の件数や失業者数の増加を背景に、2019年上半期中国経済の失速が続くと推測する。

ロイター通信が行った事前調査では、一部の専門家は2018年第4四半期のGDP成長率が6.4%と予測したうえ、実際の数値がこの予測数値を下回る場合、世界株安を引き起こす恐れがあると警告した。

米サウスカロライナ大学エイキン校の謝田教授は、中国の経済衰退は世界経済の減速にはつながらないと強調した。

謝教授は「中国の景気冷え込みの原因の一つは、製造業が生産拠点を他の国に移転したことにある。これに伴い、他の国には投資の増加、雇用環境改善、新たな経済産出をもたらすことになり、他の国の経済活動にとってはプラスのことだ。中国経済は世界経済のけん引力ではないため、中国経済が失速しても、世界経済が減速することはない」

教授によると、現在中国経済が直面している最大の課題は失業問題だ。景気が一段と悪化すれば、中国の債務急増問題による大規模な債務不履行(デフォルト)、不動産バブルの崩壊などが起こりうる。

「中国共産党政権はこれを最も不安視している。さらにデフォルトや不動産バブルの崩壊で、資産価格が暴落し、中国社会が大きく混乱する」

中国紙、証券時報など複数のメディアは昨年11月、中国不動産時価総額は65兆ドル(約7131兆円)に達し、米国と日本と欧州連合(EU)の不動産時価総額の合計を上回ったと報道した。

いっぽう、時事評論員の田園氏は、中国は他の国と経済成長モデルに大きな違いがあると指摘した。

「他の国は、経済の構造改革を行い、市場経済体制を採用し、経済成長を実現してきた。しかし、中国当局は流動的供給で経済成長、景気刺激を図ってきた」

田園氏は、与信拡大の結果、大半の資金が金融サービス業、不動産市場に流れたと批判した。「これによって過去2、30年間、中国不動産バブルが深刻化した。しかし、中国の製造業、農業、サービス業などの実体経済は、この与信拡大の恩恵を全く受けていない。結果的に、中国製造業の空洞化を招いた」

「中国経済界の良心」と呼ばれる経済学者の呉敬l氏はこのほど、中国の「国家資本主義」について警告した。呉氏は、中国当局の市場干渉で、中国経済に対する国民や投資家の意識が冷え込むとした。また、中国の国家資本主義は旧ソ連の計画経済と同様に、失敗に終わるだろうと呉氏は指摘した。

(翻訳編集・張哲)

大紀元時報
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https://news.nifty.com/article/world/china/12241-172341/
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/708.html

[国際25] トランプ米大統領:政府機関閉鎖の終了まで一般教書演説を延期へ マナフォート被告、司法取引合意破ったとのモラーの主張に反論
トランプ米大統領:政府機関閉鎖の終了まで一般教書演説を延期へ
John Harney
2019年1月24日 14:31 JST
一般教書演説のために「代わりの場所」を探さず−大統領
ペロシ下院議長、政府機関再開しない限り一般教書演説許可せず
トランプ米大統領は23日、一般教書演説を政府機関の一部閉鎖が終了した際に行う考えを表明した。ペロシ下院議長から政府閉鎖中の下院での演説を阻止されたことを受け、大統領が方針を明示した。

  トランプ大統領はツイッターへの投稿で、「政府閉鎖が続く中、ペロシ下院議長は私に一般教書演説を行うよう依頼してきた。議長はその後、考えを変えて政府閉鎖を理由に後日行うよう提案した。これは彼女の特権だ。演説は閉鎖が終了した際に行う」と述べた。大統領はさらに、来週に予定されていた一般教書演説のために「代わりの場所」を探すことはしないと付け加えた。


トランプ米大統領写真家:Al Drago / Bloomberg
  ペロシ下院議長は同日の大統領宛て書簡で、一般教書演説を行うようトランプ氏に求めた時点では、予定する日まで「政府閉鎖が続くことになるとは考えていなかった」と説明。「政府機関の再開後、互いに都合が良い日に一般教書演説で下院にお迎えするのを楽しみにしている」と述べた。

原題:Trump Says He’ll Put Off State of the Union Until After Shutdown(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLTLA06JIJUQ01?srnd=cojp-v2


ワールド2019年1月24日 / 14:37 / 21分前更新
一般教書演説、政府機関閉鎖解除後に下院で実施へ=米大統領
Reuters Staff
2 分で読む

[23日 ロイター] - トランプ米大統領は23日夜、一般教書演説を政府機関閉鎖が解除された後に下院で行う考えをツイッターで明らかにした。

大統領は「私は政府機関の閉鎖が解除された後に一般教書演説を行う。演説の代替地は探していない。下院に匹敵する歴史、伝統、重要性を持つ場所は他にないからだ」と投稿。「近い将来に『素晴らしい』一般教書演説を行うことを楽しみにしている!」と記した。

大統領はまた、民主党のペロシ下院議長が大統領に一般教書演説の実施を招請した後にこれを撤回したことを批判した。

ペロシ氏は政府機関の閉鎖解除まで下院でのトランプ大統領の演説を認めない構えを示していた。

政府機関の一部閉鎖が続くなか、一般教書演説は大統領と民主党の間でメキシコ国境の壁建設予算を巡る交渉で駆け引きの材料に使われている。

ペロシ下院議長は当初、29日に一般教書演説を実施するようトランプ大統領を招請。ただ、前週になって、長引く政府機関一部閉鎖の影響により大統領の警護に支障を来すとして、一般教書演説を延期、もしくは書面で発表するよう要請した。

トランプ大統領は、国土安全保障省とシークレットサービスが警備に問題はないとしていると主張し、警備を巡る懸念を一蹴していた。

下院民主党指導部はこの日、トランプ大統領が要求する57億ドルの費用の全額もしくはそれに近い金額を壁建設以外の国境対策に使う目的で容認する案を示した。

下院民主党ナンバー3のクライバーン議員は、トランプ氏が求めている57億ドルの国境警備費を、壁の建設ではなく、ドローンや感知器といった警備システムや警備要員の増強などに使う目的で認める可能性があると述べた。

一方、共和党のマコネル上院院内総務は政府機関一部閉鎖の解除に向けた法案2件の採決を24日に実施する方針。

 1月23日、トランプ米大統領は、一般教書演説を政府機関閉鎖が解除された後に下院で行う考えをツイッターで明らかにした。写真はホワイトハウスで撮影(2019年 ロイター/Kevin Lamarque)
1つ目は民主党案で、政府機関の資金を3週間手当てするつなぎ予算案となっている。トランプ大統領が求める壁建設費は含まれていない。トランプ氏は下院の同様の法案に反対してきた。

2つ目はメキシコ国境の壁建設費用を予算に盛り込むと同時に、幼少期に親と共に不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者などの在留資格を延長する内容。民主党はこの案に反対している。

バークレイズは23日、米政府機関の一部閉鎖が長引いていることを理由に、第1・四半期の米経済成長率見通しを年率2.5%とし、従来の3.0%から下方修正した。
https://jp.reuters.com/article/stateoftheunion-trump-idJPKCN1PI0F4


 

マナフォート被告、司法取引合意破ったとのモラー氏の主張に反論
David Voreacos、Andrew Harris
2019年1月24日 11:59 JST
マナフォート被告の弁護団が裁判所への提出文書で反論
モラー氏はマナフォート被告が虚偽の供述をしたと主張

トランプ米大統領の元選対本部長、ポール・マナフォート被告の弁護士らは、同被告が司法取引を行い捜査への協力を誓ったにもかかわらず検察官に虚偽の供述をしたというモラー特別検察官の主張に対し、ワシントンの連邦地裁への提出文書で反論した。

  文書は23日に提出された。マナフォート被告の弁護団は、同被告が検察官による12回にわたる聴取で5つの問題について虚偽の証言を行ったとのモラー特別検察官の主張によるダメージを最小限に抑えようとしている。エイミー・バーマン・ジャクソン連邦地裁判事は25日に審理を行う予定で、マナフォート被告は免除を求めたが、同判事は出廷を命じた。

原題:Manafort Fires Back at Mueller Claims He Broke Deal by Lying (2)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLTD246JIJUU01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/298.html

[国際25] ベネズエラ、マドゥロ政権の危機は「身から出たさび」 ベネズエラ、米国と断交 国会議長の「暫定大統領」承認受け
コラム2019年1月24日 / 11:21 / 34分前更新

ベネズエラ、マドゥロ政権の危機は「身から出たさび」
Martin Langfield
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[ニューヨーク 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ベネズエラのマドゥロ大統領は統治能力の欠如というほぼ自業自得により、民衆と野党の双方から攻撃され、もはや身動きが取れない。国民は退陣要求デモを行い、野党指導者のフアン・グアイド国会議長は、自ら暫定大統領に就任すると宣言した。

ただマドゥロ氏に引導を渡すのは、やはり身から出たさびである原油生産の大幅な落ち込みだろう。

マドゥロ氏は昨年の選挙で勝利し、今月から2期目(任期6年)の施政を開始した。もっともこの選挙は野党がボイコットし、米国や欧州連合(EU)、多くの近隣諸国は甚だしい不正があったと批判している。

2013年に故ヒューゴ・チャベス前大統領からマドゥロ氏が政権を引き継いで以降、国内総生産(GDP)は半減し、栄養不良者が急増、数百万人が国外に逃れた。国際通貨基金(IMF)の予想では、今年の物価上昇率は1000万%に達する可能性がある。このように経済が壊滅的になった責任の大半は、国家統制主義的で政治運営能力がないマドゥロ政権に帰せられる。

悲惨な事態をもたらした重要な要素の1つが、国営石油会社PDVSAだ。社会福祉政策の道具として何年も使われた同社は、設備を維持するための基本的な投資不足に陥り、経営は石油の専門家ではなく、ただ大統領に忠誠を尽くすだけの人々の手に委ねられた。結果として実質的にベネズエラの外貨をほぼ一手に稼ぐべき同社は、深刻なトラブルに見舞われている。

ロイターが実施した石油輸出国機構(OPEC)諸国の原油生産に関する調査では、ベネズエラの昨年12月の生産量は日量120万バレルで、1年前の180万バレルを大きく下回った。

ベネズエラへのドルの流入が細るとともに、マドゥロ氏は主要な支持層、特に軍部と治安部門に回す資金の確保が難しくなる。21日には少数の兵士が反乱を起こした。マドゥロ氏は、軍部などの支持がなくなれば、あっという間に権力の座から滑り落ちてもおかしくない。グアイド氏はこうした事態が起きれば自由選挙を行うと表明している。

その後はこう着状態が訪れるかもしれない。しかし資金面での圧力は増す一方となるだろう。

マドゥロ氏が退陣すれば、後継者は経済再生を嫌でも考慮しなければならない。ベネズエラのエコノミストの試算によると、再生の費用は最大200億ドルに達する。そう聞く限りとても厳しい状況ではあるが、マドゥロ氏とともに彼がやってきた滅茶苦茶なエネルギー政策も消えてなくなるなら、少しは対応しやすくなる。

●背景となるニュース

 1月23日、ベネズエラのマドゥロ大統領は統治能力の欠如というほぼ自業自得により、民衆と野党の双方から攻撃され、もはや身動きが取れない。写真は、マドゥロ政権に反対するデモ参加者。カラカスで撮影(2019年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)
・ベネズエラの野党指導者フアン・グアイド国会議長は23日、暫定大統領の就任を宣言した。国内では多数の人々がマドゥロ大統領の左派政権退陣を求めて抗議デモを行っている。

・トランプ米大統領はグアイド氏を暫定大統領して承認した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-ve-maduro-idJPKCN1PI06X


 

ワールド2019年1月24日 / 05:24 / 36分前更新
ベネズエラ、米国と断交 国会議長の「暫定大統領」承認受け
Reuters Staff
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[ワシントン 23日 ロイター] - トランプ米政権は23日、ベネズエラの野党指導者であるフアン・グアイド国会議長を暫定大統領として承認すると同時に、主要産業である原油部門に新たな制裁措置を導入する可能性があることを示し、同国のマドゥロ政権に対する圧力を強めた。

ベネズエラではマドゥロ政権に反対するデモが全国的に拡大。こうした中、トランプ米大統領はマドゥロ政権は「非正統」であるとし、野党が多数派を占める国会のグアイド議長の暫定大統領承認を発表。声明で「米国の経済、外交力を最大限に利用し、ベネズエラの民主主義の保全に向け圧力を掛ける」とし、他の国に対してもグアイド氏を暫定大統領として承認するよう呼び掛けた。

これを受けてマドゥロ大統領は米国との外交関係を断つと表明。米大使館職員に72時間以内に国外退去するよう要求した。

米政府高官は、マドゥロ氏やその支持者らが「国会議員やその他の正当なベネズエラ政府当局者に危害を加えることがあれば」、米政府は石油や金などへの制裁措置を強化し、他の行動も取る用意があると警告した。

トランプ大統領は記者から軍事介入を検討しているか問われ、「何も検討はしていないが、いかなる選択肢も排除していない」と述べた。

マドゥロ氏は今月10日に2期目を開始したが、昨年の大統領選は不公正だったとして多くの外国政府が反発している。

グアイド議長を正式に大統領として承認することになれば複雑な問題が絡む可能性がある。米国に駐在するベネズエラ外交官の扱いやベネズエラ国営石油会社PDVSA[PDVSA.UL]の米精製子会社シトゴなど米国内のベネズエラ関連資産や銀行口座の管理の所在が不明確になるからだ。

前出の高官は記者団に、米国はベネズエラとの取引においてグアイド氏と国会を「正当な意思決定者」として認識していると述べた。

米国の動きに中南米の大半の主要国は追随し、カナダの当局者も同様の措置を取る意向を示した。ただ、メキシコはマドゥロ氏を引き続き大統領とみなしていると表明した。

こうした中、米政府は週内にも同国の石油産業に対する新たな制裁措置を導入する可能性があることが複数の関係筋の話で判明。

2人の関係者によると、ベネズエラ産原油の米国への輸入制限あるいは禁輸措置などが検討されているが、最終決定は下されていない。別の2人の関係筋は、トランプ政権が国内エネルギー企業に検討内容について伝えたと明かした。

現行の対ベネズエラ制裁では同国の原油輸出は対象に含まれていない。

複数の関係筋によると、制裁を発動するかどうかの決定は、マドゥロ氏がどのように抗議鎮圧を図るかやグアイド議長の大統領宣誓に対応するかに左右される可能性があるという。

Slideshow (2 Images)
新たな制裁の可能性についてトランプ政権はここ数週間で、バレロ・エナジー(VLO.N)やシェブロン(CVX.N)、PBFエナジー(PBF.N)といった国内の製油各社と協議している。

*見出しを修正しました。
https://jp.reuters.com/article/venezuela-politics-trump-idJPKCN1PH2MV
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/299.html

[国際25] 英議会、合意なきEU離脱阻止に向けた動きが活発化 有力案浮上 ドイツも容認か、英離脱延期動きに勢い−合意なき離脱不安後退
ワールド2019年1月24日 / 10:36 / 7時間前更新
英議会、合意なきEU離脱阻止に向けた動きが活発化 有力案浮上
Reuters Staff
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[ロンドン 23日 ロイター] - 英国が条件などで合意しないまま欧州連合(EU)を離脱する事態を避けるために野党労働党の議員が提出した修正合意案について、同党の有力議員は23日、党として支持する構えを示した。与党保守党の一部議員は既に支持を表明しており、可決を目指す動きが活発化した。

修正案は労働党のクーパー議員が提出したもので、従来のルールを覆し、本来は政府に優先処理権限があるブレグジット(EU離脱)問題を議会の管轄にするという内容。

メイ内閣が2月26日までに議会で離脱案の承認を得られない場合、議会にはEUに離脱延長を要請するかどうかを決める権限が与えられるとしている。

労働党のナンバー2であるジョン・マクドネル議員は英BBCに対し、同修正案は妥当で、労働党が支持する「可能性が高い」と発言。保守党からは少なくとも9人が公式に支持を表明しており、可決される可能性がある。

ポンドGBP=D3は対ドルで10週間ぶりの高値である1.3079ドルに上昇。議会が離脱プロセスにおける権限を拡大できれば、「合意なき」離脱は回避されるとの見方を反映した。

一方、EU側の交渉を担うバルニエ首席交渉官は23日、合意なき離脱が既定路線となっているとの認識を示した。

バルニエ氏は「合意なき離脱が回避されることを今も望んでいるが、現在は合意なき離脱に備えることがこれまでになく重要になっている」と述べた。

英国にとってもう1つの選択肢は、メイ首相がEUからさらなる譲歩を引き出し、保守党内の抵抗勢力や閣外協力する北アイルランドの地域政党を翻意させることだ。

英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの国境の厳しい管理を阻止するためのバックストップ(安全策)についてEUから譲歩を引き出せれば、これが可能になるとの指摘が一部にある。

保守党のジェイコブ・リースモグ議員は「受け入れ可能な修正合意案を期待できるのは良いニュースだが、まだそのような案がないため、それが出てくるまでは私のような議員は反対票を投じる」と述べた。

議会は29日にメイ首相の代替案と他の議員が提出した修正案を採決する見通しで、事態の打開に道を開く可能性がある。
https://jp.reuters.com/article/britain-brexit-idJPKCN1PI05F

 

ドイツも容認か、英離脱延期目指す動きに勢い−合意なき離脱不安後退
Alex Morales
2019年1月24日 10:03 JST
英議会では離脱延期を目指す超党派の議員らの動きも
独仏の主要閣僚も離脱期限の延長を受け入れる用意を示唆
英国の欧州連合(EU)からの離脱延期を求める声に対し、ロンドンの政界だけでなく、ドイツとフランスの閣僚からも支持が表明された。「合意なき離脱」のリスクが後退したと受け止められ、23日の外国為替市場ではポンド相場が上昇した。


メイ英首相写真家:Luke MacGregor / Bloomberg
  英議会で離脱延期を目指す動きが勢いを増す中で、独仏の主要閣僚も離脱期限の延長を受け入れる用意があることを示唆した。

  メイ首相自身は離脱を遅らせることに今も納得していないが、EU離脱手続きを定めるリスボン条約50条に基づく期限の延長可能性を否定するには至っていない。

  首相は23日に下院で、「リスボン条約50条の適用延長では何も問題は解決しないと思う」と述べ、議会は離脱合意案か、合意なき離脱か、離脱なしのどれを望むか決める必要があると訴えた。

  そうした中で、ドイツのアルトマイヤー経済相は、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)の公開討論会の場で、「英国が立場をはっきりさせるためにもっと時間が必要なら、私は構わない」と発言し、離脱期限の延長をドイツが問題視しないことを公に認めた。

  一方、フランスのロワゾー欧州問題担当相も3月29日の離脱予定日の延期について、「容易ではないが、実現可能だ」と語った。

フォックス英国際貿易相

(出典:「ブルームバーグ監視」ブルームバーグ)
原題:No-Deal Brexit Risk Recedes as Calls Grow to Delay the Split (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLT60G6TTDS301?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/300.html

[経世済民130] 中国の経済成長率の大幅な下振れは回避できるだろう=大和総研の成長率予測6.2% なぜ旭日旗は今も使われる朝鮮戦争のコスト
中国の経済成長率の大幅な下振れは回避できるだろう=大和総研の成長率予測6.2%
2019-01-24 13:14


 中国の2018年の経済成長率は6.6%と28年ぶりの低成長になった。米中貿易摩擦などの影響で中国の経済成長率が想定を超えて大きく減速し、世界経済に悪影響を与えるのではないかと懸念されている。大和総研経済調査部の主席研究員の齋藤尚登氏は1月23日、「中国:当たり前の成長率低下」と題したレポート(全11ページ)を発表し、「財政・金融政策には、打てる手が残されており、景気の大きな下振れは避けられよう」と見通し、2019年の実質GDP成長率を6.2%程度と予測した。レポートの要旨は以下のとおり。
 
◆国家統計局によると、2018年の中国の実質GDP成長率は前年比6.6%(以下、変化率は前年比)となった。2017年の6.8%から低下したものの、政府が目標に掲げていた6.5%前後を達成した。経済のサービス化が進む中、中国経済は長期的なダウントレンドのさなかにあるとの認識に立てば、28年ぶりの低成長という事実にあまり大きな意味はない。
 
◆とはいえ、大きな景気減速は避ける必要がある。3月5日に開幕する全国人民代表大会では2019年の政府成長率目標は6.0%〜6.5%と、2018年の6.5%前後から引き下げられる可能性が高い。財政・金融政策には、打てる手が残されており、景気の大きな下振れは避けられよう。大和総研は2019年の実質GDP成長率を6.2%程度と想定している。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)
・大和総研リサーチレポート ‐ 一覧
・中国:当たり前の成長率低下 ‐ レポートの詳細・図版付

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・大和総研が中国の経済成長率見通しを下方修正、2019年は6.2%成長へ(2018/12/19)
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http://biz.searchina.net/id/1674966?page=1


 

ナチス旗「ハーケンクロイツ」は禁止なのに、なぜ旭日旗は今も使われるのか=中国メディア
2019-01-10 10:12


 日本の近隣国家では、旧日本帝国軍を思い出させるという理由から、いまも旭日旗に嫌悪を抱く人が多く、なぜ日本では今でも旭日旗を使用しているのか疑問に感じるようだ。中国メディアの快資訊は7日、ナチスの旗である「ハーケンクロイツ」と比較して、「どうして日本の旭日旗は今でも使われているのか」と題する記事を掲載した。

 記事によると、中国人は日本とドイツは同じファシストの国だと思っており、ハーケンクロイツは使用が禁止されているのに日本の旭日旗が残っていることで、「中国人を激怒させている」のだという。

 その理由として記事は、米国が日本に対して、戦後「罪の清算をしなかった」ことに原因があると主張。ドイツは戦後ヨーロッパ諸国から制裁を受け、ナチス主義と軍国主義は排除され、若者は新たな思想の教育を受けさせられたという。それに対して日本は、米国から平和憲法を受け入れさせられ軍の代わりに自衛隊のみが認められたものの、政治体制は残ってしまったために、すべき時に清算がされなかったと批判した。右翼の存在も中国人の感情を逆なでしており、右翼の集まりでは旭日旗を使用して宣伝していると苦々しげに伝えた。

 しかし、最大の理由は「朝鮮戦争」にあると記事は指摘。第2次世界大戦後、ほどなくして勃発した朝鮮戦争と、その後の冷戦もあって、米国は日本の軍需企業を排除しなかったのだという。つまり、朝鮮戦争のコストを抑えるため日本を利用したが、結果的に罪の清算どころか日本の復興を助ける結果になったと論じた。

 記事は、旭日旗をハーケンクロイツと同列に置いているが、旭日旗は戦前から使われていた日本そのものを表す旗であり、ハーケンクロイツは一時ドイツの国旗となったが、もともと一政党の旗に過ぎないという大きな違いがある。実際、旭日旗の使用について欧米諸国から抗議の声が出ることはまずないが、旭日旗をめぐる近隣諸国との争いは今後も続くことだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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http://news.searchina.net/id/1674467?page=1
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/711.html

[経世済民130] 日銀、物価見通し再引き下げ:金利と成長期待の低下で、企業は株主還元強化へ 
日銀、物価見通し再引き下げ:金利と成長期待の低下で、企業は株主還元強化へ
金融テーマ解説
大槻 奈那 2019/01/23
• 国内株式

• マネックス
• 日銀、政策決定会合で現政策を維持
• 弊社の直近アンケート:消費・投資に一層慎重に。消費増税に向け傾向は高まる可能性
• 当面の金利:長期金利は米国にますます連動しやすく、低空飛行へ
・1月23日、日銀が政策決定会合を実施。来年度を中心にインフレ見通しを引き下げ、全ての金融政策を維持した。原油安、教育無償化影響等を織り込み、経済下振れリスクを意識した内容。
・弊社の直近の調査でも、個人の投資・消費意欲が過去最低を記録。消費増税に向け更に悪化も。日本の金融政策には変更余地がなく、長期金利はますます米金利次第に。当面、ゼロ〜マイナス圏と予想。
・銀行の住宅ローン金利は早くも引き下げられつつあり、この傾向は拡大しそう。地銀には若干マイナスだが、消費増税の影響が懸念される不動産業界には朗報。
・成長鈍化シナリオの下、企業は、ROEを高めるための株主還元強化を打ち出す可能性大。預金金利はほぼゼロから抜けられる見通しが立たないことから、預金から高配当狙いの投資へのシフトを推奨。
日銀、政策決定会合で現政策を維持
1/23、日銀が金融政策決定会合を実施し、全ての金融政策の維持を発表した。政策委員による消費者物価指数の見通しは、前回に続き引き下げられた(図表1)。原油安、教育無償化影響を反映し、特に来年度の引き下げ幅が大きかった。経済見通しについても、下振れリスクを意識した内容となっている。


弊社の直近アンケート:消費・投資に一層慎重に。消費増税に向け傾向は高まる可能性
我々の投資家アンケートでみても、消費に対して抑制的な姿勢が明確になっている(直近は1月18〜21日に実施。回答総数は585人)。
「1年前と比較して家計を引き締めているか?」という問いに対しては、「引き締めている」とする割合が「緩めている」という割合を大幅に上回っており、かつ、引き締めている割合が増加傾向にある(図表2-1)。
同様に、「今は貯金を維持または増やすべきか、投資・消費をすべきか?」という問いに対しては、「貯金を維持・増やすべき」という回答の割合が急激に増えている(図表2-2)。


貯金するべきと考える背景について聞いたところ、消費増税と国の財政不安が二大要因という、矛盾する結果となった(図表3)。それ以外にも年金不安、医療費負担増加懸念などが挙げられている。今回のアンケートは株価が持ち直していた時期に行われており、足元の市場要因というよりも、中長期的な不安感が拡大している印象である。


これらの調査結果をみると、日銀がこれ以上の金融緩和を行っても、個人の慎重な心理を大きく反転させことは難しそうだ。日銀もこうした点を十分認識していると思われ、個人の消費マインド引き上げを狙って金融緩和を進める可能性は当面低いと考えられる。
当面の金利:長期金利は米国にますます連動しやすく、低空飛行へ
日銀は正常化も緩和も進めずらい状況が続く。となると、日本の金利はますます米国の金利次第となり、10年物でほぼゼロ付近か、やや低下に向かう可能性が高いとみられる(図表4)。


長期金利の低下が最も直接的に影響を与えるのが銀行の固定型住宅ローン金利である。昨年半ば以降は、上昇傾向にあったが、足元では、再び低下に向かいつつある(図表5)。


既に12月には大手行が一斉に固定住宅ローン金利の引き下げを発表したが、この傾向はさらに拡大する可能性が高い。これは、貸出に占める住宅ローンの比率が3割弱と高い地銀には若干マイナスとなるものの、さほど大きな影響にはならないだろう。一方、消費増税前に冷え込みが懸念される不動産業界は、金融面からの下支えが期待できるだろう。
世界的な成長鈍化シナリオの一方、企業はROEを高めるための株主還元強化の方向性を打ち出す可能性が高い。コーポレートガバナンス強化の流れもこれを後押ししそうだ。半面、銀行の預金金利が今の0.001%程度という水準から抜けられる見通しは全く立たない。引き続き、銀行預金から高配当銘柄投資へのシフトを推奨したい。


大槻 奈那
マネックス証券株式会社 チーフ・アナリスト 兼 マネックス・ユニバーシティ長 マネックスクリプトバンク株式会社 マネックス仮想通貨研究所所長
東京大学文学部卒、ロンドン・ビジネス・スクールでMBA取得。スタンダード&プアーズ、UBS、メリルリンチ等の金融機関でリサーチ業務に従事、各種メディアのアナリスト・ランキングで高い評価を得てきた。2016年1月より、マネックス証券のチーフ・アナリストとして国内外の金融市場や海外の株式市場等を分析する。現在、名古屋商科大学 経済学部教授を兼務。東京都公金管理運用アドバイザリーボード委員、貯金保険機構運営委員、財政制度審議会分科会委員。ロンドン証券取引所アドバイザリーグループのメンバー。 テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」等、メディアへの出演も多数。 著書: 『本当にわかる債券と金利』(日本実業出版社)、 『1000円からできるお金のふやし方』 (ワニブックス)
大槻 奈那 の別の記事を読むバックナンバー
• 2019/01/07史上最安値圏の邦銀株:「PBR 0.4倍」は買いか
• 2018/12/252019年展望:資金の流れが変わり、日本は消去法で選ばれる
• 2018/12/14仮想通貨市場に復活はあるのか?
https://media.monex.co.jp/articles/-/10854


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/712.html

[政治・選挙・NHK256] 「自殺者減少」はアベノミクスで失業率が低下した成果だ アベノミクスで自殺者数一万人減はトンデモの詭弁
2019年1月24日 高橋洋一 :嘉悦大学教授
「自殺者減少」はアベノミクスで失業率が低下した成果だ

 警察庁が18日発表した自殺統計によれば、2018年の全国の自殺者数は2017年より723人少ない2万598人(3.4%減)で、9年連続減少した。2.1万人を下回ったのは37年ぶり。人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は0.5人減って16.3人。1978年統計開始以来、最少になった。
 筆者は自殺者の減少は金融緩和政策の「成果」だと考えている。
 自殺と金融政策がなかなか結びつかないというのが、一般の人の感覚だろう。
 だが米国などでは金融政策は雇用政策だと認識されているし、日本でも失業率が低くなると、自殺率が下がる傾向があるのだ。

景気と失業率、自殺率は相関
好況では自殺率下がる
 自殺の原因・動機が複雑なことは確かだが、景気動向と密接にからむものもある。
 警察庁では、自殺の原因・動機を、家庭問題、健康問題、経済生活問題、勤務問題、男女問題、学校問題、その他に分けている。
 そして、遺書などの自殺を裏付ける資料により明らかに推定できる原因・動機を、自殺者1人につき3つまで計上可能とし統計をとっている。
 そのため、自殺の原因や動機が特定された人の数と、その原因・動機とされた要因の合計数は一致しないが、6つの要因のうちの家庭問題、健康問題、経済生活問題、勤務問題、男女問題、学校問題については、全体に占める割合は年によって大きく変動はしない。
 だが、原因や動機の中で、健康問題と失業などの経済生活問題が占める割合は、年によって大きく変動し、その度合いは景気の動向に密接に関係がある。
 具体的には、景気が悪く失業率が高くなると自殺率は上がり、逆に、好況で失業率が低くなると自殺率が下がる傾向がある(図1)。

https://diamond.jp/mwimgs/e/e/-/img_ee1e9f0cc69e22e580d27d4451280f0d70382.jpg

 筆者の推計では、1998年−2018年の両者の相関係数は0.86になっている。
 失業率を1%低下させることができると、自殺者を3000人程度、減らすことができる計算だ。
 なお、こうした時系列については、トレンドの影響を受けるために、見かけ上の相関係数が高くなるという意見もあるが、トレンドを除去しても、失業率と自殺率の間には高い相関が見られる。

金融政策は雇用政策
社会を安定させる効用もある
 本コラムでは、金融政策が雇用に結びついていることをたびたび書いてきた。例えば、2018年7月12日付『「記録的な雇用改善」はマクロ経済政策の正しさを示している 』である。
https://diamond.jp/articles/-/174604

 金融政策と雇用の関係を図式で表せば、次のようになる。
 金融政策→実質金利変化→GDPギャップ変化→雇用→物価変化
 ここで、GDPギャップ変化→雇用は、実質国内総生産の成長率と失業率の変化に負の相関がみられるという経験則、オークン法則そのものだ。実質GDP成長率が上昇すると失業率は低下する。
 雇用→物価変化は、賃金上昇率と失業率に負の相関があり、さらに失業率と物価上昇率は密接な関連があるとするフィリップス曲線を示す。
 この図式の中で、金融政策→実質金利変化は、財政政策→有効需要変化と置き換えてもいい。
 そしてさらに、金融緩和の結果、雇用が増加すると、社会安定につながる。
 失業率が低下すれば自殺率が低下するのと同様に、失業率の低下は犯罪率の低下とも相関があるからだ。
 つまり、職が得られれば、経済生活問題による自殺は減り、犯罪も減る。こうしたことは、過去のデータからも確認できる。つまり、金融緩和すれば、自殺率や犯罪率は減少する。
 こうして金融政策は、雇用創出という経済効果のほか、その副産物として社会を安定させるという効用がある。このことはもっと知られてもいいことだ。

「世界の常識」と違う日本
インフレ目標にも誤解
 だが、そもそも日本では金融政策が雇用政策であるということすら認識されていない。
 昨年10月に出された白川方明・前日本銀行総裁の著書『中央銀行』にも、金融政策と雇用との関係の記述は一切ない。
 このことは2018年11月1日付本コラム『白川前日銀総裁は「デフレ大好き人間」と、著作を読んで納得した』でも書いた。
 また金融政策と社会安定の関係についての日銀の認識も、はっきり言えば心もとない。
https://diamond.jp/articles/-/183968

 2013年4月、黒田東彦・日銀総裁は総裁就任の記者会見で、デフレが長く続く中で、自殺者数が高止まりしていることと金融政策の責任を問われたが、その発言がそのことを示している。
「自殺云々の話は、昔から有名な──確か大学の時に習いましたが──、デュルケムという有名な社会学者の研究など色々ありますが、私が日本銀行総裁として、わが国における自殺の原因について特別の知見があるわけでもありません」と、答えただけだった。
https://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2013/kk1303e.pdf

 筆者は、米国プリンストン大に留学した時に、後にFRB議長になったバーナンキ教授やノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授、FRB元副議長ブラインダー教授、スウェーデン中央銀行副総裁になったスベンソン教授らの講義を聴いたり話をしたりする機会があった。
 彼らの間では、中央銀行が雇用に責任を持つことは、常識中の常識だった。
 また雇用(失業率)と自殺率の間に相関があるのは、上記の図や社会学的にみても明らかだ。
 したがって、金融政策が自殺の多寡に大きく関係するのは当然だろう。
 金融政策と雇用でいえば、日本の経済学者で、上記のマクロ経済の関係を数量的に理解している学者は一流でも少ないように思われる。数学や統計の基礎訓練が海外と比較してできていないからだろう。
 インフレ目標と雇用の関係についても、やや誤解がある。
 インフレ目標は、雇用の増加に伴い一般的にはインフレ率が上がる傾向があるために、過度な雇用を作ろうとしてインフレ率が上がりすぎるのを防ぐ役割がある。
 金融緩和によって失業率が低下する中、インフレ率が上がらないのは、デフレでない限り金融政策としてはそれほど失敗ということではない。
 ただいずれにしても、アベノミクスの金融緩和によって雇用が創出され失業率が低下した。その結果、自殺率が下がるのは予想通りだ。
 それが、冒頭の警察庁データでも確認できたわけだ。

地方での自殺率低下は
自治体の取り組み次第
 金融政策と雇用、失業率と自殺率の相関について、ここまでは全国レベルのマクロの話を書いたが、地方レベルでも同様の傾向になることが多い。
 ただし、全国レベルの自殺率は、基本的に景気や失業率、もっと言えば金融政策と相関があるといっていいが、地方の自治体レベルでは、自治体独自の取り組みによって、自殺率が全国を下回ったりする(逆に工夫努力がされないと上回る)ことがある。
 一例として大阪府を取り上げよう。
 図2を見れば大阪府の自殺率(10万人当たり自殺者数)も、2008年頃から、全国と同様に低下している。

https://diamond.jp/mwimgs/d/b/-/img_db58a92dad18a8bf1ae3f11eb46f0a9456594.jpg

 そこで、全国の数字をベンチマークとして、大阪の自殺率−全国の自殺率を見てみると、次のようになる。
 2000年−2007年の平均は▲1.4人、2008年−2017年平均は▲2.7人だ。
 大都市は所得水準が高いことから、自殺率は全国平均より低い。大阪府の場合も、2008年に橋下府政になる以前も全国平均より低かったが、橋下府政以降、差は広がっている。
 これは、橋下府政以降、行政が雇用創出や自殺防止などに取り組んだからだと、考えている。
(嘉悦大学教授 高橋洋一)

https://diamond.jp/articles/-/191739

 

アベノミクスで自殺者数一万人減はトンデモの詭弁
2018/06/07
 菊池氏は、科学者でもあるし、放射能のトンデモさんとも戦っていらっしゃるのだから、きっと統計データを見ることも、ぼくよりずっと慣れていらっしゃるだろう。正直、経済学も統計もぼくは決して得意ではない。しかし、興味を抱いてじっくり見れば、ある程度のことは分かる、つもりだ。
 菊池氏の物言いは、恫喝そのものだ。ややパラフレーズを許してもらいたいが、言っていることは「アベノミクスによって自殺者は一万人も減った」「民主党の政策は弱者に冷酷(つまりは民主党のままなら年間一万人余計に死んでた)」「国民の命を大切にするなら金融緩和を続けるしかない」ということだ。正確にそうは言ってないにしても、そのような「印象操作」であることは間違いない。これは、安倍政権を英雄と褒め称えるにとどまらず、民主党政権を殺人者呼ばわりする、極めて強烈な批判でもある。そんなことを言うからには相当の根拠、確信が必要だと思うのはぼくだけだろうか。
 上記のような言説がそれなりに確からしいと思われるにはどれだけの条件が必要だろうか。
 1)第二次安倍政権の金融緩和によって、経済弱者の雇用状況、生活状況が確かに改善しているというデータ。
 2)自殺者数が本当に一万人前後減っていて、それは雇用の改善や生活改善によると思われること。

 最低でもこの二点が揃わなければ、「アベノミクスで一万人減」「民主党時代に戻れば大変なことに」「経済政策の失敗は戦争よりも交通事故よりもたくさんの命を奪うからです」などという脅しは根拠のない「デマ」と言っていい。デマは菊池氏の一番嫌いなもののはずだ。菊池氏がもし、細かいデータを調べもせずに発言していたのなら無責任極まりないし、もしよく知った上であえて言い続けているのなら悪質だ。

 とりあえずまず、新しめのデータを見てみよう。
https://mainichi.jp/articles/20180119/k00/00e/040/205000c
自殺者2万1140人、8年連続減 未成年者は増 毎日新聞

「年間自殺者数はバブル崩壊後の98年に急増して以降、3万人超が続いたが、10年から減少傾向に転じた。」
「厚労省は減少について、景気回復や、自殺対策基本法制定(06年)以来、対策が進んできたためとしている。」

 減少は「10年から」、自殺対策基本法制定(06年)といった辺りにご注意。

 細かいデータはこちらの方が見やすいだろう。
http://www.t-pec.co.jp/statistics/suicide.html
 最大のピークは平成15年(98年。小泉政権時)にあり、そこからほぼ緩やかに、そして平成23年(2011年。民主党時)あたりからやや急激に下がり続けていることが分かる。
 2008年のリーマンショックや2011年の震災、原発事故は社会に多大な影響を与えたはずだが、自殺者数からはあまり見えてこない。

 これだけ見ても、アベノミクスが効果があったにしろ、「一万人救っている」などという数字は過大にも過ぎるということは十分に分かる。「アベノミクスの効果が発生してから」と考えると、平成25年からとして五千人減っているということは言えるかもしれない(もちろん、減った数を累積すればそれなりの数になるが、それは自殺者数も同様)。

 それまでの減少傾向を無視すれば、「アベノミクス以降、五千人の自殺者減」はとりあえず統計上は言える。では、その自殺者減の理由は? 景気拡大のおかげ?

 そもそも、最初に「アベノミクスで一万人減」的な報道を見た瞬間に、直感的に「そんなはずないやろ」と思ったものだ。普通、思わないだろうか? 自分自身の周りはもちろん、どの街角アンケートでも「景気回復の実感はない」が多数を占めている。国全体の雰囲気が、民主党時と比べて劇的に何か変わった気もしないのに、三万人が二万人? 盛りすぎちゃう? と思ったものだ。一万人が実は五千人でしたと聞いたところでその違和感は変わらない。
 ちょうどさっきのページの下の方の円グラフに興味深いデータがある。原因・動機別自殺者数だ。一番多いのは「健康問題」で50%。そしてその次が「経済・生活問題」でがくんと減って16%。
 少々大雑把な言い方だが、「景気がよくなっていれば自殺しなくて済んだ人間」は自殺者数の16%に過ぎないということだ。しかも経済困窮者は「失業者」だけじゃない。就労不能者、高齢者は景気がよくなったってどうしようもないし(物価が上がればその方が困る)、そもそも自殺を思い詰めるほど職に就けないでいる人間は、少々景気がよくなったところで、就職できるのは最後の最後ではないだろうか。五千人減の一体何パーセントが景気拡大のおかげだと言えるのか、ぼくには分からない。

 そして、そもそもこれらの警察発表の統計はどこまで信のおけるものなのかという疑問を投げかける人もいる。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/lifex/198569/1
自殺者7年連続減に“トリック” 元刑事・飛松五男氏が解説 日刊ゲンダイ

 これは昨年の記事だが、
「警察庁の「死体取扱数等の推移」を見ると、「変死体」の数は10年前には1万2747体だったが、一昨年は2万211体と約8000体増えている。比例するように自殺者数はこの10年間で8000人減っているのだ。」

 自殺対策基本法の内実は分からないが、自殺者を減らそう、という強い号令がかかっていることは間違いない。その圧力が、これまで自殺者としてカウントしていたようなケースを「変死体」にしてしまっている可能性は十分考えられる。そして、もしそうでなかったとしても、「変死者」が増えていることは間違いないわけだ。たとえ変死者が増えても、自殺者が減っているんだから社会はよくなっている――そんなふうに思える人がいるだろうか?
http://blog.textt.net/abiko/20


 

アベノミクスの闇】日本の自殺死亡率はワースト6位と判明!先進国では最悪レベルに達する
 
ゴリ押しチャンネル
2017/05/18 に公開
厚生労働省は世界各国の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)を比較し、日本はワースト6位だとする分析結果をまとめた。

先進国の最悪レベルで、特に女性は同3位と高い。今月下旬に閣議決定される「自殺対策白書」で公表される。

<引用元>
https://news.nifty.com/article/domest...

<画像引用元>
http://www.ecamp10.com/?p=38
gendai.ismedia.jp
https://www.youtube.com/watch?v=jNT3yhwnxI8
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/643.html

[政治・選挙・NHK256] 平成29年の自殺者数は微減|自殺理由1位は経済的な問題。変死を自殺にしているってどういうこと? 自殺者数は10万人超?
平成29年の自殺者数は微減|自殺理由1位は経済的な問題。変死を自殺にしているってどういうこと?
2018/2/1 2019/1/18 ニュース


平成15年をピークに減少傾向

昨年(平成29年)1年間の自殺者は21,321人で過去最低水準にまで減少してきました。(警察庁発表)

平成29年の死亡者数は総数で約134万人と推計されていますので、およそ1.5%の方が自らの命を絶つという結果になっています。
これは1時間に約2.5人、たった1日で60人近い人が自殺しているという割合です。

平成30年の自殺者数(速報値)が発表されました>


今年の出生数と死亡者数(2017年)|40万人を超える自然減社会
2017年は403,000人の自然減 厚生労働省が12月22日に発表した人口動態統計によると、2017年に生まれた人は941,000人でし...
sankotsu.online2017-12-23 23:00


年代別に見ると50代の自殺者が最多

https://sankotsu.online/wp-content/uploads/2018/02/7ed64ab983b7f9f18f6c4b39124b1eb0.png

年代別の割合でみると、50歳から59歳の割合がもっとも高く、22.8%。
ついで80歳以上、70歳から79歳と続き、60歳代と働き盛りの40歳代の割合が拮抗しているのが分かります。

自殺を選んだ理由でもっとも多いのが健康上の問題。
そして経済的な問題です。

自殺者の中でも多いのが無職の方々(全体の約60%)なので、高齢で体調が悪く年金収入も見込めない高齢者や、派遣切りなどで再雇用が見込めない非正規雇用の中高年の自殺者が多いということが推測できます。

健康上の問題・経済的な問題に次いで多い自殺の理由が家庭問題と勤務会社の問題です。
家庭問題は外部からは分かりづらい部分ですが、無職者(全体の60%)の次に自殺者の割合が多いのは会社員(全体の約31%)という結果が出ていますので、テレビなどで取り上げられる過労死自殺がいかに氷山の一角か分かります。

わたしが以前働いていた会社でも自殺者が出たことがありましたが、会社の体制がその後もほとんど変わらなかったのには恐怖した覚えがあります。
もちろんテレビなどのマスメディアでは取り上げられることはありませんでした。

なぜ自殺した理由が分かるのか
なんらかの理由により自殺者が発見されます。
親族の通報であったり、近隣住民からの通報であったりです。

通報を受けて警察が調査(捜査)に行くわけですが、そこに遺書が残されていることが自殺理由がわかる理由です。
統計の中の自殺理由のうち4分の1は理由不明ですが、これは過去と比較すると激減しています。

例えば平成15年の自殺者数(現在のカウント方法とは異なる)は、総数で約34,000人でした。
そのうち遺書がある人(自殺理由が分かる人)は1万人で、反対に自殺理由不明の遺書がない人は2万4千人と全体の7割を超える大多数です。

なぜ極端に数が変わっているのでしょうか。

自殺と変死
日本の自殺者数は10万人超!
遺書がなく、かつ24時間以内に発見されない場合は自殺ではなく変死とカウントし、政府は意図的に自殺者を少なく見せている、政府の陰謀だ!

ネット上にはこのような極端な話題まで出ています(完全に間違いとはわたしも言い切れません)が、自殺者数は着々と減少し、変死体が増加していることは事実です。

なぜ陰謀論まで出てくるのかというと、WHO(世界保健機構)の統計方法と日本の統計方法が大きく異なり、WHOでは変死者の一部も自殺者として加算しているが日本では変死者を自殺者に含めていないというものです。

平成24年時点で日本の警察が扱う死体の総数はおよそ17万体で、そのうち変死体の数は約2万2千体。
犯罪死体・変死体以外の死体は約15万体です。

この15万体のうちの約半数が実は遺書がない自殺者だと言うのです。

遺書がない自殺者数が極端に減り、自殺者も急激に減ってきているのは自殺者数を他の死因に振り分け、日本の自殺者数を減らしたい政府の恐ろしい陰謀なのです。

陰謀はウソです!
まったくの嘘、デマです。
まず変死体は、病院以外で亡くなり死因が分からない場合を指します。
犯罪死体・変死体以外の死体とは、他殺なのか自殺なのか自然死なのか判別・判断出来ない場合を指し、病理解剖・司法解剖等を行います。

以前の記事で少し触れましたが、独居老人が孤独死してしまった場合の種別が変死です。


増える独居老人と孤独死|孤独死した場合の自分の遺骨はどうなる?
1人暮らしの方が亡くなってしまってから2日以上経過後に発見される数は、総務省の推計で全国に年間約26,000人いると見られています。
sankotsu.online2017-12-02 23:00
遺書がない自殺者が激減しているのはなぜでしょうか。
それは統計を取っている省庁が異なり、統計方法も異なるためです。

統計の中の自殺理由のうち4分の1は理由不明ですが、これは過去と比較すると激減しています。
例えば平成15年の自殺者数(現在のカウント方法とは異なる)は、総数で約34,000人でした。
そのうち遺書がある人(自殺理由が分かる人)は1万人で、反対に自殺理由不明の遺書がない人は2万4千人と全体の7割を超える大多数です。

自殺理由の4分の1は不明
これは警察庁の統計です。
この統計の基礎となる自殺理由の判別は、警察が現場に到着して捜査を行った時点で行われます。
そのため、捜査時点で自殺と断定したものに限られます。
具体的には、遺書はあるが理由が何も書かれていない場合などです。

また、この統計は複数回答方式が採用されているため、「生活苦」かつ「人間関係」といった複数の理由を1人分の理由としてカウントしがちなことも分かりにくくさせている原因です。

遺書がない人が7割
これは厚生労働省の統計です。
警察の統計と異なる部分は、現場では判断がつかなかった変死体を検死した結果、自殺と断定されていることです。

現場主義と検死を経た結果主義の違いというのが本当のところです。
ですから2010年から8年連続で自殺者が減少しているのは事実であり、まだまだ2万人を超える人が自ら命を断っているとはいえ、自殺予防を懸命にしている方々の成果が表れていると言えます。

しかし、全体として減少傾向にある自殺者にも関わらず、減っていないのが子供たちです。

若年層の自殺
冒頭のグラフを見ると、19歳以下の自殺者は2.4%〜2.6%で安定?推移しています。
しかし少子化が進む中で全体としての割合が変わらないということは、増加の傾向が見られるということです。

平成25年の警察庁のまとめによると、小中高生の自殺者の総数は320人となっていて、その内訳は以下の通りとなっています。
小学生:8人
中学生:98人
高校生:214人
※前述の通り変死は含まれません。

直接的な理由のうち、上位を占めるのは学校の問題(40.8%)、健康問題(19.5%)、家庭問題(18.6%)となっています。(文科省調べ)
学校の問題では「いじめ」が理由ではなく「進路や成績」が半数近く、家庭の問題では「親子関係・しつけ」が8割近くを占めています。

家庭の問題は他人がとやかく言うことではないのかもしれませんが、進路・成績も家庭の問題の延長と考えた場合、子供の自殺は親の行動や言動で大きく減らすことが出来るのではないかと思います。

15歳〜19歳に限っていえば、死因の1位はケガでも事故でも病気でも、もちろん寿命でもなく自殺です。

2万人は仲間ではない
自ら命を絶つことを選択するときの精神状態や思考回路は分かりませんが、まず言えることは逃げ道はあるということです。

命にかかわることなので、軽々に助言や励ましはできませんが、ぜひ思いとどまってほしいと願っています。
もし悩んでいたら、誰も分かってくれないかどうか、念のため相談窓口にアクセスしてみてください。
2万人も自死を選ぶ人がいるなら安心ですか?
いいえ、その5000倍、1億人以上の人がこの国で生きています。

仲間はその1億人の中にいるはずです。

相談窓口
24時間こどもSOSダイヤル
0120-0-78310

こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト)http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm

いのち支える窓口一覧(自殺総合対策推進センターサイト)
http://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php
https://sankotsu.online/post-3776/
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/644.html

[国際25] 勢力図が変わる?! 米軍はシリア撤退、アサド勝利か 激動の中東、2019年の展望 
勢力図が変わる?! 米軍はシリア撤退、アサド勝利か
激動の中東、2019年の展望


保坂 修司
日本エネルギー経済研究所 中東研究センター 研究理事
2019年1月24日
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全3352文字
 2019年の中東の行方を展望する。

 域内諸国の対立が激化したりして、情勢が安定を欠くようになれば、石油の安定供給を妨げることになりかねない。イラク・イランを含む湾岸産油国に石油輸入を依存する日本にとって、この地域の情勢エネルギー安全保障上、死活的な重要性をもつ。米国の対イラン制裁再開、サウジアラビア・UAE(アラブ首長国連邦)とカタールの対立などけっして他人事ではないのである。

 直近で注目すべきは、米軍のシリア撤退だ。


シリアのアサド大統領(右)と同政権を支援するロシアのプーチン大統領(写真:ロイター/アフロ)
アサド政権の存続を見越した動きが加速
 シリアでは、過激派組織「イスラム国(IS)」が2017年にシリア国内の拠点を失って以降も混乱が続いている。さらに、米国のドナルド・トランプ大統領が米軍撤退を宣言したため、情勢が大きく変化する可能性が出てきた。

 これが良い方向に進むのか、悪い方向に進むのかは微妙である。中途半端なかたちで米軍がシリアから引けば、イラクの二の舞になりかねないという見立てがある。米軍は同国から2011年に撤退。それが結果的にイラクでのテロ活動を復活させ、さらにISを生んでしまったというわけだ。

 また、米軍の撤退により、シリア北部を押さえるクルド勢力が、トルコからの軍事圧力に直に晒されることになる。米軍は、シリアでIS打倒の中核を担ったクルド人部隊を支援してきた。そのクルドを、トルコはテロリストとして敵視している。

 実際、トルコは南下の下心を隠そうとしていない。クルド側は、トランプ大統領が撤退宣言をする以前からトルコの動きを見越したのか、敵対していたアサド政権と手を結ぶ戦略に出ていた。これが続けば、アサド政権を支援するイランやロシアは労せずして、シリアの大半の地域に影響力を拡大できることになる。

 米国政府は、いくら何でもこれはまずいと見たのか、軌道修正に躍起になっているようだ。しかし、アサド政権の勝利は近いという見方がますます有力になっている。反アサド勢力を支援してきた湾岸諸国でも、アサド政権存続を見越した動きが加速しつつあるからだ。UAEは、在ダマスカス大使館を再開すると発表した。クウェートなども後に続くと思われる。サウジも大使館を再開させるとの噂が出た(サウジはこれを公式に否定している)。

次ページサウジは、カショギ事件への非難を払拭できるか

サウジは、カショギ事件への非難を払拭できるか
 サウジアラビアの情勢に目を転じよう。

 カショギ事件から4か月、サウジは、ムハンマド皇太子の事件への関与を一切認めておらず、同皇太子を非難する声は依然として国外を中心にやんでいない。

 昨年10月、サウジの現体制に批判的なジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がトルコにあるサウジ総領事館内で殺害される事件が発生。サウジの事実上の最高権力者といわれるムハンマド皇太子が関与したのではとの疑惑が強まり、サウジに対する世界の見方は一変してしまった。

 同国は6月、同皇太子はそれまで禁じていた女性の自動車運転を解禁。このことを国際社会は一応、好意的に受け入れたのだが。

 カショギ事件に端を発した非難を同皇太子が払しょくすることができるかどうか、今年最大の注目点だ。

 イエメン戦争の道筋もはかばかしくない。サウジとUAEを主体とする「有志連合」は2015年、イエメン正統政府を回復させるため、フーシー派に対する攻撃を開始した。正統政府は、シーア派のザイド派を中核とするフーシー派によって首都から駆逐されていた。

 この戦いが泥沼化している。サウジ側にとっては国連決議にもとづく正義の戦いであったはずだが、国際社会はこれが人道危機を引き起こしたとしてサウジやUAEの責任を問うようになっている。

先行きが危ぶまれるアラムコのIPO
 湾岸諸国の経済が石油価格の上昇頼みであることには変わりない。だが、この依存から脱却すべく、さまざまな政策を打ち出している。

 サウジのムハンマド皇太子が推進する「サウジ・ビジョン2030」が大きな注目を集めている。だが、この野心的なイニシアティブの未来は順調とは言い難い。カショギ事件など、サウジが強圧的な政策を取るのをみて、西側諸国は対サウジ投資を躊躇するようになっている。

 サウジはこの「ビジョン」の中核として、世界最大の石油会社サウジ・アラムコのIPO(新規株式公開)を位置づけている。この先行きが危ぶまれる。たしかにトランプ大統領とムハンマド皇太子の関係はカショギ事件で破綻することはなかったが、これはあくまで属人的な関係だ。米国の新議会や経済界のサウジに対する見方はかなり否定的になっている。

 カショギ事件などで傷ついた国際的信用を回復することが、「ビジョン」を実現に導く重要なカギであることは言うまでもない。だが、同皇太子を守ることを前提とすると、取りうる政策には限度がある。

 しかも、サウジにおける女性の人権状況を懸念する声がここにきて急速に拡大している。サウジはこれらを一気に解決するため、「後見人制度」の撤廃という荒療治に出る可能性がある。サウジの後見人制度は、就学や就労、移動などさまざまな局面で、女性に、男性親族の後見人による許可を課している。同国の女性問題の本丸だ。

 また、サウジはイエメン戦争の終結に本腰を入れることも期待されている。ただ、どちらの問題も一筋縄では解決できず、ムハンマド皇太子の鶴の一声で何とかなるわけではない。いずれにせよ、日本もムハンマド皇太子主導のサウジ・ビジョン2030に積極的に協力する立場をとっている。カショギ事件への関心も日本ではすっかり下火になってしまったが、イエメン戦争の行く末などとともにきちんとフォローしていく必要がある。

次ページ米国はパレスチナ調停案を出すことができる

いまだ音を上げないカタール
 カタールはどうか。サウジとUAE(それにバーレーンとエジプト)が中心になって2017年、テロ支援や内政干渉などを理由に同盟国であるはずのカタールと断交した。経済封鎖も科し、同国をぎりぎりと締め上げている(カタール危機)。しかし、カタールが音を上げる様子はいまだみられない。

 カタールはイランやトルコとの関係を強化するなどしてこの苦境を凌いできた。それどころか、昨年は勝利宣言まで出している。カショギ事件やイエメン戦争での人道危機といったサウジやUAE側の敵失もあり、西側諸国はカタールに同情的な動きを示すようになっている。

 カタールは危機を通じて、国内の経済基盤を強化、周辺国に依存しないシステムを構築し、耐性を強めている。OPEC(石油輸出国機構)脱退は自信を深めた表れだろう。石油より天然ガスに傾注する政策は、経済的合理性もあろうが、OPECで中心的な役割を果たすサウジの言いなりになる気はないという政治的な意図があるとの見方も根強い。

 むろん、サウジやUAEがカタールの勝利を認めるはずはなく、事態は事実上膠着状態だ。2022年に予定されるサッカーのカタール・ワールドカップまで現状が続くとの観測が強い。カタールにとってワールドカップは国家的な行事であり、周辺国の協力も必要であろう。これをきっかけに仲直りというのは大会を盛り上げる意味でも悪くない。

米国はパレスチナ調停案を出すことができるか
 米国の新しい中東和平提案も2019年の注目点だ。同国は中東に位置するわけではないが、中東情勢を大きく左右する。米国はこの提案を「出す出す」と言いながら、依然として出していない。

 ただ、湾岸諸国を中心にイスラエルとの関係を構築する動きが活発になっている。両地域の外交関係樹立や、そこまでいかずとも通商関係樹立といったことが具体化すれば、中東に大きな地殻変動が起きる可能性がある。ただし、昨年、米国が大使館をエルサレムに移転したことを受け、各地で大きな反対運動が発生した。これから分かるとおり、この問題はきわめてセンシティブであり、そう簡単に達成できることではない。

 昨年末にはオーストラリアもエルサレムをイスラエルの首都と正式に認めた。同国ではこれまでもジハード主義系テロが発生しており、エルサレム問題が加われば、さらなる攪乱要因となる。

 最後に、数少ない明るい話題を。今年は日本・イラク国交樹立80周年に当たる。ただ、残念なことに、今のところ日本国内ではまったく盛り上がっていない。

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#グローバル
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オーストラリアがエルサレムを首都として認めたことは知りませんでした。一部の人に不都合な事実はマスコミで取り上げられないようです。

2019/01/24 09:35:09返信いいね!


ダサイタマジジィ

平長

中東情勢の紹介記事として良く書けています。
あの地域は2000年以上もめている地域で宗教的な対立が根本にあります。
ですから解決するのは最低でもあと2000年くらいは掛かります。
民主主義は51点勝利主義の結果ですが、彼の地域は100点主義...続きを読む

2019/01/24 16:15:59返信いいね!

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/012200003/?P=3&mds
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/304.html

[政治・選挙・NHK256] 医師なら年2000時間残業すべき? 第40回 働き過ぎで“ほろ酔い”状態の現実 平成30年版過労死等防止対策白書 
医師なら年2000時間残業すべき?
第40回 働き過ぎで“ほろ酔い”状態の現実


中山 祐次郎
外科医
2019年1月24日
6 99%

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全5158文字
 こんにちは、総合南東北病院外科の中山祐次郎です。

 年が明け、2019年となりました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。この連載「一介の外科医 日々是絶筆」は日経ビジネス電子版の「オンラインゼミナール」上へお引っ越しをし、続けさせていただきます。少し珍しい「医師・作家」という立場からの、医療時事問題や現代医療についての論説を載せていく予定です。

 さて、まずは少し近況から。私はいま外科医を1年限定で一旦お休みし、京都大学の公衆衛生大学院で勉強しております。初めて住む関西、それも古都・京都を楽しもうと、年越しは神奈川の実家には帰らず京都で過ごすことといたしました。ところ変われば正月も変わるもので、まず私が驚いたのはお餅の形。関西は丸い餅があるのですね。私は直方体の切り餅しか見たことがありませんでした。

 年越しはのんびりと紅白でも……と思ったのですが、そういえば私の借りている築78年の家は地上波アンテナがなく、「NHK紅白歌合戦」が見られないという悲しさ。「ゆく年くる年」も見ないのは調子狂うなあ、などと思いつつ、静かな年越しをしました。

 そして年始は初詣のために祇園の八坂神社へ。想像通りのとんでもない人出で、多くの外国人観光客の方々が来ていました。たくさんの出店も出ていまして、今思うと600円のイカ焼きなど高価なものをたくさん食べてしまいました。なぜなのでしょうね、出店で食べると美味しいのは。

 なんにせよ、去年は緊急手術ばかりの年越しでしたので、今年はのんびりできました。また来年から盆も暮れもなく忙しいのだな、と思うと恐ろしいのですが、勤務医ですから仕方ありません。

医師は生かさず殺さず?
 というところで、今回は「医師の過労」という問題を取り上げます。NHKのニュースや新聞各紙の一面でも「残業2000時間」と報じられましたので、ご存知の方も多いかと思います。この問題は、読者の皆様には直接すぐのメリットはないかもしれません。が、いずれ「病院を受診するのにも3日待ち」や「がんの手術を半年待ち」のような影響が出るほどのインパクトがあります。医療崩壊という言葉が見え隠れしていますので、ぜひ一緒に考えていただけければ幸いです。いかに異常な議論をしているかを解説し、この問題の本質を考えます。

 この「残業2000時間」報道は、正確には「特定の医療機関に勤める医師では1年の残業時間の上限を2000時間とする」です。この案が先日、厚生労働省で開かれた「第16回 医師の働き方改革に関する検討会」で出され、大きく報道されたのです。この検討会は2017年8月に始まったもので、医者の働き方についての議論がされています。医師や看護師、法律の専門家や厚生労働省の人などから構成されていて、メンバーには私の知っている人も3人います。

 医師の労働時間はその他の職種と違い、あまり厳しく規制するわけにはいきません。なぜなら、もともと少ないマンパワーで維持している地方医療が崩壊してしまうからです。かといって、野放しもいけません。医者の過労死は続いています。では、地方医療を崩壊させず医師を過労死もさせず、生かさず殺さず一番いい落とし所はどこだろう。そんなニュアンスでこの検討会の議論は進んでいきました。


(写真=PIXTA)
次ページ過労死ラインを優に超える実態

過労死ラインを優に超える実態
 読者の皆様は、「医者ってなんとなく忙しそう」とイメージされる方が多いでしょうか。まずは、「医者は本当に忙しいのか?」に答える必要がありそうです。まずはデータから。

 厚生労働省の調査「平成30年版過労死等防止対策白書」によると、時間外労働が月80時間を超える医師のいる病院は全体の20.4%に達していました。

 月80時間は過労死ラインですので、いかに多いかが分かります。
また、前述の検討会で使用された資料によると、「(時間外労働が)年間1920時間を超える医師が約1割、年間2880時間を超える医師も約2%存在している」のだそうです。

 ちょっと時間の長さがピンときませんが、労働基準法第36条に基づく協定では、

平日の時間外労働について、月45時間・年360時間が限度であり
臨時的な必要がある場合には、年に6カ月に限って、@を超えることができるが、その場合においても、休日労働込みで月100時間未満、かつ、平日の時間外労働の時間数が、年720時間となるまで、とされている。
また、協定時間の如何にかかわらず、休日労働込みの時間外労働は、月100時間未満、かつ、複数月平均80時間以内である必要がある。
(検討会の同じ資料より)

 ですので、いかに医師の労働時間が長いかがお分かりいただけるかと思います。今回提案された「時間外労働は年の上限2000時間」は、この36協定のおよそ倍と考えていただけければいいでしょう。

忙しさは科や病院によって違う?
 そして次は現場の視点です。わたくしも勤務医の一人ですので。医者は確かに忙しいのですが、これには2種類の忙しさがあります。勤務時間中に息をつく暇がないほど忙しいことと、そもそも勤務時間が異常に長いということですね。

 前者は、科や病院によるかと思います。コーヒーを飲みながらゆったりと診療している科や、医局で居眠りばかりしている科がある一方で、トイレに行く暇もなく戦場のように働き続ける科が存在します。詳述することは立場上、非常に難しいのですが、一般に「命に関わる病気」を扱う内科・外科はより多忙な傾向にあります。

 外科医である私の話をいたしましょう。これは病院勤務医の、まあまあ忙しい日の一例です。朝7時に病院に到着し、電子カルテで情報を集め、7時半から入院患者さんを回診し、8時半から会議か検査、9時から手術で12時に終了。昼ご飯を20分間でかっこみ、12時30分から2件目の手術をし16時に終了。そのまま病棟で患者さんとご家族にお話45分を2組、17時から委員会、18時から外科内科合同会議。19時に終了し、それから研究会議で20時終了なんて具合です。これに緊急手術が入ってくるため、まあ結構バタバタしています。

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現役医師は「2000時間」に違和感を抱かない
 さらに、病院勤務医には当直という業務があります。これは、一晩中救急外来で救急の患者さんを診察するというもの。私の勤める病院は病院側の配慮があってシステムが良いため、月1回だけで済んでいますが、そんな病院はほとんどなく、多くの医師は週1回以上の当直をやっています。当直の日は、朝から上述の仕事をし、17時から当直に突入して救急外来で働き、翌朝になると帰宅はせずシャワーだけ浴びてまた同じ上述の1日を過ごします。私は体力があまりないので、2日目の帰りのドライブが非常に恐ろしく、ちょっとの信号待ちだと寝てしまいます。意識が飛び飛びで、なんだかコマ数のエラく少ない昔の映画を見ているようです。事故防止のため、冬でも窓を全開にしてびゅうびゅう風を受けて運転をするのです。

 私はこういった勤務をしているので、年2000時間はそれほど違和感を覚えませんでした。そんなもんだろうな、と。この数字は月にすると167時間、週にすると38時間で、仮に土日を完全オフとすると月曜〜金曜は朝7時〜夜22時36分の勤務になります。ま、土日は必ず患者さんを診に病院に行きますので、その分を減らして夜20時くらいまで、とするとそれくらいは働いているな、と思いました。

うれしいニュース、インターバル制度
 ここまで現状をお伝えしてきました。読むだけで疲れてしまった方もいるかもしれませんが、医者に限らずどこの業界でもバリバリやっている方はこれくらい働いているだろうと思います。

 しかし、この検討会ではうれしいニュースもありました。それは、「勤務と勤務の間のインターバル導入」です。説明しますと、@普段の勤務では次の勤務まで9時間のインターバルを入れること、A当直の次の日(我々医者は当直明けと呼びます)はお昼までの勤務にして、その日は帰らせること、が提案されたのです。これは非常に大きなことです。

 @では、例えば22時まで働いたら翌朝は7時まで勤務を開始してはいけない、となります。9時間もあれば家に帰り、ご飯も食べてしっかり眠ることができますね。

 Aでは、なんと連続勤務が24時間プラス午前中くらいで済むということになります。午前だけ勤務して、午後は帰宅し翌朝までグースカ。これまた夢のようですね。当直明けはナチュラルハイですから、思わず昼から飲みに行って気分転換をする外科医が続出しそうです。医者の死亡リスクが減りそうで、いいニュースでした。

 このようなうれしいニュースがあり、数mmは医師の労働状態が改善しそうな気配であります。

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当直続きの医師は“ほろ酔い”状態
 さて、こういった「医者の超長時間勤務」を書くと、「ワシのころは当然だった」という御仁がいます。美容外科医で高須クリニックの高須院長は、こうツイートをしていました。


 「50年前僕が医者になったころは大学病院の無給の医者は白衣来て靴はいたまま病院に寝泊まりして当直して急患を診るバイトを普通にやってました。これが立派な医者になる修行だと思ってました」

 そう、昔の医師は今より遥かに過酷な労働条件で働いていたのです。そして、それを「立派な医者」として誇りに思っていたのです。大変な時代だったと思いますし、当時の医師には心から敬意を表したいと思います。どちらかというと実は私も「医者たるもの、24時間病院に張り付くべし」派です。

 しかしこのような環境で、果たして高い質の仕事が保てているのか、という疑問を置き去りにしてはいけません。それを間接的にとはいえ示した研究があります。「忙しい当直後と飲酒後の神経行動学的パフォーマンスの比較(Neurobehavioral Performance of Residents After Heavy Night Call vs After Alcohol Ingestion)」というもので、忙しい当直が続いた研修医は、ほろ酔い(0.04〜0.05g%の血中アルコール濃度レベル)と同じくらい判断能力が落ちたと結論づけています。

 この結論は、考えてみれば当たり前ですよね。昔は高度な機器もなく、人手も足りなかったため、医師がベッドサイドに張り付く時間が長ければ長いほど質は上がったでしょう。が、今は交代医師がいるのなら交代したほうが質が高いのです。ノーブレス・オブリージュは大切ですが、本当に患者さんのことを考えるならば質を高める方法を考えたい。私はいま、そのような考えに至っています。

「他の医師に触られたくない」
 しかし、医師には「長時間労働をしたい」こんな理由もあります。外科医をやっていると、こういう感覚にとらわれるのです。自分がメスを入れた患者さんを、他の医師に触られたくない、と。そして入院から退院まで、全て自分の責任で、全て自分の持つ最高の技術で治療をしたい、と。

 このコンプリート欲のような、不思議な感覚を持っている外科医は少なくないでしょう。まるでその覚悟だけがメスを持つものの資格である、と言わんばかりに、です。もちろん外科以外でも、患者さんを自分だけで診たい「囲い込み」をしたくなることはあるようです。しかし、この欲を手放すこともまた、客観性を保ち元気な医師による医療の提供ができますから、実は診療の質を上げることなのだと私は思っています。

 さらにはこういう視点もあります。へき地や離島などの医師の少ない地域では、医師の労働問題などを議論する以前に、とにかく体を張って医療を維持しなきゃならない、という視点です。そうしてギリギリの生活をしながら、寝る時間以外ずっと白衣を着ている医師が日本中にいることもまた事実です。患者を奪い合うような医師の多い地域と、ギリギリの医師数で維持する少ない地域の格差もだいぶ大きくなってきました。ある程度の強制力をもった医師配置が、これからは必要なのかもしれません。

 前々回の記事では、「無給医」という、給与を貰わずに働く医師についてまとめました。今回は超長時間労働です。まるで200年ほど昔の話をしているような錯覚に陥りますね。これらの問題を解消するには病院統廃合と医師数増加がカギだろうと私は考えています。しかし、私立と公立が入り乱れ、医師数増加に反対する日本医師会があり、医療費はこれ以上増やせない財政状況で、一度に根本的解決をすることは難しいと私は見ています。皆さまのご意見もぜひ、お聞かせください。

 それではまた次回、お会いしましょう。


コメント6件

taz

>9時間もあれば家に帰り、ご飯も食べてしっかり眠ることができますね。

ピーク近い時期はともかく、日常的にこの状態だとほぼ仕事漬けに見えます…通勤があると、もっと減りますね
(趣味はもとより、勉強するゆとりも少なそう)


2019/01/24 10:17:471返信いいね!


すてぃぐりっつ

医療費はこれ以上増やせないというのは間違いです。(増やせても簡単には解決困難ですが)
日本人の多くが、国家を家計や企業に置き換えて考えるといった間違いをおかし、お金に対する正しい理解もなく、使うとなくなるものと勘違いしています。この間違いはまさにそれによるものです。
医療の問題を考える時、それは必ず経済の問題に行きつきます。折角京都大学にいらっしゃるのですから、藤井聡教授から学ぶのがよろしいと思います。
2019/01/24 11:17:391返信いいね!


mino

「医者」という「種族」のメンタリティは赤裸々に語られていて,親近感と素直な尊敬を覚えます。「ありがたい。」という感想です。ただ,そういう「ありがたい人」は限りがあるでしょうから,組織のサポートをもっと抜本的に強化することと,人員の増員,分業の推進,連携の強化とスマート化…などをなるべく広いベースで検討し,「善意だけに基づかない医療」を深化させて,国際競争力のある医療へと進化させることができたらいいなと感じました。
2019/01/24 11:44:061返信いいね!


たけさん

Eng

医者も労働者として36協定を守らせた場合に起こるであろう問題を挙げ、一つ一つ対策を打っていくしかないのではないでしょうか。医療費を増やせないというのは国の負担という意味でしょうか?かかるものはかかるとして患者からしっかり徴収しなくちゃ成り立たないでしょう。
2019/01/24 12:28:472返信いいね!


太公望

医療費をこれ以上増やせない財政事情という考え方は「収入がこれ以上増えない」という前提に立っています。なぜ、収入がこれ以上増えないのか、それは政治が「増やす」という決断をしないからです。消費税を2%引き上げるだけで10年もかかりました。引き上げを約束した後でも理屈をつけては延期しています。
では、それは政治家の怠慢なのでしょうか。そうではありません。増税を主張する政治家は選挙で落とされるのです。つまりは、国の収入が増えないのは、景気のせいでも、企業のせいでも、政治家の怠慢でもなく、ましてや財務省の陰謀などではなく、国民が負担を嫌うからです。負担を増やすという政治家を選挙で落とすなら、政治家は負担増となる政策を取りません。
では、日本国民はそれほどまでに重い負担に喘いでいるのでしょうか。いえいえ、日本の国民負担は世界的に見ればとても軽いのです。OECD35カ国のなかで日本の租税社会保障負担率(対国民所得)は下から七番目という低さです。高齢化率がダントツで高く、社会保障に対する需要が巨大である日本がたったこれだけの負担で済むはずがありません。我々が負担を嫌い続けた結果、国の借金(公債発行残高)が膨大になりました。これは誰が負担するのか。それは今の子供達と将来生まれてくる子供達の世代です。我々は優れた医療や一定の水準の年金を享受しながら、その負担のツケは次世代に回しているのです。
質の高い医療を始めとする社会保障を維持し更に充実させて将来に引き継ぐためには、今を生きる我々が負担増を引き受けなければいけません。それしか道はありません。
今こそ、負担増に真正面から取り組む政治家を選挙で勝たせなければいけないのです。
2019/01/24 20:49:181
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00135/00001/?P=4&mds

 

平成30年版過労死等防止対策白書(本文)

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/karoushi/18/dl/18-1.pdf
全体版 [16,777KB]
※一括してダウンロードできます。

分割版
目次 [428KB]
第1章 労働時間やメンタルヘルス対策等の状況
1 労働時間等の状況 [1,289KB]
2 職場におけるメンタルヘルス対策の状況 [768KB]
3 就業者の脳血管疾患、心疾患等の発生状況 [745KB]
4 自殺の状況 [820KB]
第1章 図表のバックデータ(Zip形式) [879KB]
第2章 過労死等の現状
1 過労死等の労災補償の状況 [1,948KB]
2 国家公務員の公務災害の補償状況 [1,012KB]
3 地方公務員の公務災害の補償状況 [1,009KB]
第2章 図表のバックデータ(Zip形式) [682KB]
第3章 過労死等をめぐる調査・分析結果
1 過労死等の防止のための対策に関する大綱の変更 [5,665KB]
2 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律 [1,635KB]
第4章 過労死等をめぐる調査・分析結果
1 重点業種・職種の調査・分析結果 [1,888KB]
2 公務災害として認定されなかった事案の分析結果 [894KB]
第4章 図表のバックデータ(Zip形式) [1,299KB]
第5章 過労死等をめぐる調査・分析結果
第1節 労働行政機関等における対策 [1,470KB]
第2節 調査研究等 [2,132KB]
第3節 啓発 [7,000KB]
第4節 相談体制の整備等 [1,014KB]
第5節 民間団体の活動に対する支援 [19,049KB]
第5章 図表のバックデータ(Zip形式) [50KB]
資料編
1 関係法令等 [579KB]
2 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律関係 [1,472KB]
3 関係指針・通達等 [912KB]
3 過労死等防止対策関係予算の状況 [444KB]
索引 [491KB]
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/karoushi/18/index.html
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/648.html

[政治・選挙・NHK256] プーチンの言う通り? 軍事的主権を持たない日本 米国への忖度で海兵隊の辺野古移転急ぐ安倍政権 
プーチンの言う通り? 軍事的主権を持たない日本 米国への忖度で海兵隊の辺野古移転急ぐ安倍政権

2019.1.24(木) 北村 淳
米軍の普天間航空基地
 プーチン大統領は、日露平和条約締結後に歯舞群島と色丹島が日本に返還された場合に、それらの島々に米軍基地が設置されるおそれはないのか? という議論に関して、「沖縄の辺野古米軍新基地の建設状況から判断すると、日本での米軍基地設置に関して日本政府がどの程度の主権を持っているのか疑わしい」と公の場で発言した。

プーチン大統領の誤解
 ロシア側の解釈によると、「安倍政権が辺野古滑走路建設を強行しているのは、日本に防衛分野での主権がなく、アメリカの意のままに、日本国防当局、そして日本政府が使われているからである」ということになる。そのため、いくら安倍首相自らが「歯舞群島と色丹島が日本に返還された後に、それらの島々に米軍基地が建設されることはありえない」と明言しても、日本の防衛分野における主権者であるアメリカの確証ではない以上、ロシア側としては安心できないというわけだ。
 だからと言って、日本がアメリカ側に確証を求めることはできない。もしも日本側が、トランプ大統領をはじめとするアメリカ側高官に「歯舞群島と色丹島に米軍基地を設置することは断じてない」と公約でもさせようものなら、それこそ安倍政権は防衛分野における主権を名実ともにアメリカに委ねてしまっていることを国際社会に宣言してしまうことになってしまう(防衛分野における主権は、国家主権のうちでも根幹をなす主権に他ならない)。
 もちろん現実には、アメリカが日本から国防に関する主権を取り上げているわけではない。かつて日本は満州帝国から国防に関する主権を取り上げたが、その状況とは異なる。
 安倍政権が辺野古移設を推し進めているのは、アメリカに強制されているからではない。たとえ沖縄県知事が断固として反対しようとも、沖縄の民意がどのようなものなのであろうとも、自らの決断と確固たる意志によって米海兵隊新施設を辺野古に建設しようとしているのである。したがって、プーチン大統領が危惧の念を表明したように、安倍政権は国防に関する主権を喪失しているわけではなく、国防に関する主権の行使として辺野古沖の埋め立てを強行しているのだ。

アメリカにとっての辺野古移設の価値
 ただし、その主権の行使が軍事的に正しい判断に基づいているのか? と問うならば、答えは否である。
 安倍政権は、国防に関する主権をアメリカに明け渡しているのではなく、軍事的に誤った前提に基づいて国防に関する主権を行使している。この点が、プーチン大統領の認識で修正すべき点といえよう。
 安倍政権の軍事的に誤った判断とは、「アメリカ海兵隊ならびにアメリカ軍当局、そしてアメリカ政府が、普天間航空基地を辺野古新施設に移設することを、アメリカ軍事戦略の観点から極めて重要視している」と考えている点である。
「アメリカ軍事戦略にとって辺野古新施設の誕生は絶対不可欠である。そうである以上、すでに20年近くも滞っている辺野古滑走路を一刻も早く完成させなければ、米海兵隊が怒り、アメリカ軍当局が怒り、トランプ大統領が怒り、日米同盟が危うい状況に追い込まれる」──安倍政権は、そうした懸念があると考えるがゆえに、国内的には万難を排して、辺野古沖の埋め立てを強行しているわけである。
 しかし、その懸念は杞憂である。普天間航空基地を辺野古新施設に移設することが、日米同盟を揺がすほどにアメリカ軍事戦略にとって重大な意味を持っているのならば、アメリカ軍当局、そしてアメリカ政府は20年近くも放ってはおかない。とうの昔にあの手この手の強力な圧力を日本政府にかけているか、日米同盟を終結させるかしているはずだ。
 アメリカ軍事戦略にとっては、海兵隊の航空基地が普天間から辺野古に移ることなど、さしたる問題ではないということだ。

在沖縄海兵隊の戦力は低下する
 現に、海兵隊関係者の中にすら、辺野古に誕生しつつある新施設は「普天間基地の代替物がなにもないよりはマシ、といった程度のものである」と公言している者がいる。
 実際に、日本政府が埋め立てを強行して造り出そうとしている辺野古沖滑走路の長さを考えるだけでも、「ないよりはマシな程度」と考えられている理由は明らかである。
 現在、海兵隊が使用している普天間航空基地の滑走路は2740メートルであるが、辺野古沖合に誕生するであろうV字型滑走路はそれぞれ1200メートル(オーバーランエリアを加えると1800メートル)しかない。
 普天間の3000メートル級滑走路の場合、海兵隊が使用しているすべての航空機の発着が可能である。具体的には、F/A-18戦闘機、AV-8B垂直離着陸(VTOL)戦闘機、F-35B短距離離陸垂直着陸(STOVL)戦闘機、EA-6B電子戦機、KC-130空中給油/輸送機、MV-22ティルトローター中型輸送機(オスプレイ)、AH-1Z攻撃ヘリコプター、CH-53E重輸送ヘリコプター、UH-1Y汎用ヘリコプターなどである。
F/A-18戦闘機(写真:海兵隊)
AV-8B垂直離着陸(VTOL)戦闘機(写真:海兵隊)
EA-6B電子戦機(写真:海兵隊)
KC-130J空中給油/輸送機とF-35B短距離離陸垂直着陸(STOVL)戦闘機(写真:海兵隊)
AH-1Z攻撃ヘリコプター(写真:筆者)
CH-53E重輸送ヘリコプター(写真:筆者)
 しかし、辺野古に予定されている1200メートル滑走路の場合、理論的には離着陸可能な固定翼機がないわけではないが、安全性確保という観点からは、実際には戦闘機や輸送機などの固定翼機の運用はできない。そのため辺野古航空基地は、現実にはヘリコプターとMV-22オスプレイだけを運用するための大型ヘリポートという位置付けに過ぎなくなる。
海兵隊のMV-22オスプレイ(写真:筆者)
 したがって、海兵隊航空基地が普天間から辺野古に移ることは運用可能な航空機が減少することを意味し、常に地上戦闘部隊と航空戦闘部隊が両輪となって作戦行動を行うアメリカ海兵隊にとっては、大幅に作戦能力を削がれることになるのだ(MAGTF、本コラム「海兵隊の沖縄駐留に米軍関係者の間でも賛否両論」2018年10月11日、拙著『海兵隊とオスプレイ』参照)。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54337

日本はやはり「アメリカの属国」なのか?
 もっとも一般常識的に考えても、保有する航空戦力が低下することによって、沖縄の海兵隊の戦力が低下するということは容易に想像がつくところである。
 それにもかかわらず、安倍政権は口をひらけば「普天間基地を辺野古へ移設することにより抑止力が維持される」と説明している。日本政府は“抑止力を維持するために”海兵隊の戦力を削ぐことが確実な、そしてアメリカ国防戦略においてもさしたる重要性を持たない、辺野古沖滑走路の建設を強行しようとするのであろうか?
 おそらく日本政府は、いくら超高額兵器をアメリカから気前よく購入しているからといっても普天間移設問題を解決しないとアメリカ側の逆鱗に触れてしまい、日本政府が頼りきっている日米同盟が破綻してしまうのではないかと考えているにちがいない。これでは、国防に関する主権を制限されていなくとも、プーチン大統領が指摘するように、日本はアメリカの属国状態であることに変わりはない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55278

http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/651.html

[政治・選挙・NHK256] 「勤労統計問題」で露呈した霞が関「お手盛り」体質 都合が良いような統計の改ざんは、「犯罪行為」である 
「勤労統計問題」で露呈した霞が関「お手盛り」体質
都合が良いような統計の改ざんは、「犯罪行為」である
2019.1.24(木) 新潮社フォーサイト
新潮社の会員制国際情報サイト「新潮社フォーサイト」から選りすぐりの記事をお届けします。

(文:磯山友幸)

 厚生労働省が公表している「毎月勤労統計調査」で、全数調査が必要な対象事業所の一部を調査せずに集計していることを認識しながら長年にわたって放置し、あたかも正しい手法で実施したかのように偽装していたことが明らかになった。

 厚労省では昨年、安倍晋三首相の国会答弁用にまとめた裁量労働を巡る調査結果が不適切だった問題が発覚したばかり。今回の毎月勤労統計調査は、賃金や労働時間の動向を把握する調査だが、これで算出した平均給与額を基に雇用保険や労災保険が支払われているため、保険の過少給付が発生していることから、大きな問題に発展している。

 根本匠・厚生労働大臣は1月11日の閣議後会見で、過少給付の対象が、延べ1973万人、30万事業所にのぼり、過少給付の総額は567億5000万円に達することを明らかにした。問題の調査は2004年から行われていたといい、不足分の支払いも2004年に遡って行うとしている。

「忖度」を否定するつもりがやぶへびに
 今回、問題発覚のきっかけになったのは、毎月勤労統計調査の結果数字がおかしいという「疑念」が昨年の夏ごろからエコノミストや経済記者の間で囁かれていたこと。昨年11月5日付の拙稿でも「統計数字も『忖度』好調過ぎる『現金給与』のからくり」と題して取り上げたから、お読みいただいた方もいるだろう。

 毎月勤労統計調査の現金給与総額の対前年同月比伸び率が2018年5月に2.1%増、6月には3.3%増と急激に上昇していた。これは調査対象企業の入れ替えによる影響が大きく、共通サンプルだけで比較した場合、5月は0.3%増、6月は1.3%増に過ぎなかったことがその後判明している。

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 6月分の速報を厚労省が発表したのは8月7日で、ちょうど自民党総裁選に向けた候補者の動向などが注目されていた時期だ。速報では3.6%増とさらに高い伸びが発表されていたため、新聞各紙は「名目賃金6月3.6%増、伸び率は21年ぶり高水準」(日本経済新聞)と、そろって報じていた。

 毎月勤労統計調査を巡っては、第2次安倍内閣以降の数字がサンプル入れ替えによって低く出ているとして、麻生太郎・副総理兼財務大臣が是正を求めていたことも明らかになっていた。つまり、本来は実態を正確に把握するための統計数字が、政治的な思惑で左右されていたのではないか、という疑念が生じていたわけだ。

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 そんな中で、今回、厚労省が明らかにしたところによると、毎月勤労統計調査では、本来500人以上の規模の事業所については全数調査を行うことになっていたものを、2004年から東京都だけ、全数ではなく3分の1程度の抽出調査を行っていたことがそもそも「不適切」だったとした。大企業を除外するのだから、その分、現金給与は本来の統計数字よりも小さくなる。結果的に、失業保険などの支給額が本来よりも少なくなったというわけだ。

 政治への「忖度」を否定しようと調べたら、そもそもルール通りの調査が行われていなかったことが表沙汰になり、しかも、それに連動する保険の過少給付まで問題になってしまった、ということなのだろうか。

法案を通すためには多少のインチキも構わない?
 そもそも厚労省は、何のために調査対象を除外するようなことを始めたのか。

 サンプルの見直しなどを恣意的にやれば、数字が意のままに作れてしまうことは統計のプロならば十分に理解していたはずだ。にもかかわらず、統計の信頼性を揺るがすようなことをなぜやったのか。その動機などは未だはっきりしていない。

 前述の通り、厚労省は2018年の通常国会冒頭で、データを巡る大失態を演じている。

 安倍首相が1月29日の衆議院予算員会で、「平均的な方で比べれば、一般労働者よりも(裁量労働制で働く人の労働時間が)短いというデータもある」と発言したが、その前提になったデータは、調査方法が違う2つの結果で、本来は単純に比較できないものだったことがその後、明らかになった。安倍首相は答弁の撤回に追い込まれ、裁量労働制拡大を「働き方改革関連法案」から削除する事態にまで発展した。

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 統計数字は、様々な政策決定の「前提」として使われている。ところが、霞が関の現場では、自分たちがやりたい政策に都合の良いデータを示し、都合の悪いものは伏せるといったことがしばしば行われている。安倍首相の答弁用に厚労省が出した裁量労働のデータは、この典型例だろう。野党が発言に疑問を持ち、首相を追及したからデータのインチキさが暴かれたが、これが国会答弁でなかったら、そのまま気が付かれずにデータとして一人歩きしていたかもしれない。

 裁量労働のデータでなぜそんなインチキをやったのか、結局、うやむやのまま終わっている。役所が自分たちの出した法案を通すためには多少のインチキも構わないと思っていたのか。「働き方改革」を最重要法案としていた安倍首相や官邸幹部に対する「忖度」だったのか、藪の中である。

 ちなみに、こうしたデータの改ざんは厚労省だけの専売特許ではない。2016年末には、経済産業省の繊維流通統計調査が長年にわたって改ざんされていたことが明らかになった。外部から指摘を受けても放置し続けていた。繊維統計では対象企業が減少していたにもかかわらず、回答数があるように見せるために、過去の回答をそのまま使っていたという。前回の数字をそのまま隣の欄に写すためか、それを「横置き」と言うのだそうだが、そんな命名までされているところを見ると、改ざんがあったのは本当にこの統計だけだったと断言できるのか、怪しくなってくる。

 実際、繊維統計は2001年以降の歴代担当者27人が、問題を把握しながら代々引き継いでいたことが分かっている。担当者個人の問題ではなく、霞が関の「体質」の問題なのだ。

企業で言えば「粉飾決算」であり「背任」
 菅義偉官房長官は、1月11日に首相官邸で開いた事務次官連絡会議で、政府の基幹統計全体を点検するよう指示した、という。

 まずは、なぜ、毎月勤労統計が本来の統計手法と違う「不適切」なやり方になったのか、そのきっかけは何か、指示をした、あるいは承認をしたのは誰か、徹底的に調べる必要がある。そこに政治的な意図や忖度が働いた可能性はなかったのかを洗い直すことが重要だ。さもなければ、日本の統計は役所や大臣の胸三寸でどうにでもなる、ということになりかねない。

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 今回は、保険の過少給付という「被害」が国民に生じているため、問題をあやふやに済ますことはできないはずだし、してはなるまい。

 だが、問題の本質は、過少給付ではない。問われているのは、統計に対する霞が関官僚たちの姿勢である。

 統計は、「国」の実態を正確に把握するための健康診断数値のようなものだ。それを自分たちに都合が良いように「改ざん」することは、実態を見えなくする「犯罪行為」である。企業で言えば「粉飾決算」であり、「背任」だ。

 粉飾決算は会社の実態を良く見せるために数字を改ざんする行為だが、それを続ければ、いずれは会社が存続できなくなる。

 国家の粉飾も同じだ。実態を良く見せるために統計データをいじれば、その数字を信じて打つ政策を大きく間違えることになりかねない。健康診断で本当は重病が疑われるのに軽度だと信じて放置すれば、命に関わる事態に直面する。

 毎月勤労統計調査は、日本の経済状況を把握する上で、世界の投資家も注目している。その数字が全く当てにならないということになれば、日本への信頼は失墜することになる。

 言うまでもなく、日本の株式市場での売買代金の過半は、海外投資家によって占められている。海外投資家が「日本は信用できない」と見限れば、日本の株価がどうなるかは、火を見るより明らかだ。

 日本の官僚は隣国の経済統計をあてにできないとしばしば批判するが、まさしく天に唾する行為ではないか。

 何よりも、日本の統計に官邸や役所の恣意性が入り込まないよう、統計の手法を再度徹底的に見直すべきである。また、各省庁が行う統計を総務省統計局に再度集約することなども早急に検討すべきだ。

 日本政府の統計はあてにできない、と言われないうちに手を打つことが必要だ。


磯山友幸
1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。

◎新潮社フォーサイトの関連記事
・「JIC」vs.「経産省」で露呈した「霞が関の本音」
・「高額に」「徹底開示」ゴーン教訓で日本企業「報酬ガバナンス」見直すべし!
・トランプ大統領はロシアの「エージェント」か:ヤマ場迎える「ロシア疑惑」捜査
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55268
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/652.html

[国際25] 台湾をめぐって何かが起きるかもしれない ほとんど恫喝、習近平の危うい台湾政策 
台湾をめぐって何かが起きるかもしれない
ほとんど恫喝、習近平の危うい台湾政策
2019.1.24(木) 福島 香織
武力行使になれば台湾独立支持派は「戦犯」、中国軍幹部が警告
台湾旗(資料写真)。(c)MARVIN RECINOS / AFP〔AFPBB News〕

(福島 香織:ジャーナリスト)

 習近平が2019年初頭の「台湾同胞に告げる書」40周年記念行事で発表した台湾政策がかなり激しい。恫喝を交えながら一国二制度による「平和統一」を台湾政府に迫る内容だった。

 もちろん、江沢民の台湾政策(江八点)の方が、武力統一を強調していたという意見はあろう。だが、江沢民は「できるだけ早く」といった抽象的な期限しかいっていない。一方、習近平の演説には、あきらかに自分の代で台湾との統一を実現するという強い意思が感じられ、しかもそれをやりかねない中国内外の情勢も見てとれるので、怖いのだ。

 この脅迫めいた呼びかけに蔡英文はきっぱりと反論。はっきり「92年コンセンサス」(中台が「一つの中国」原則を確認するという合意)を認めない立場を強調した。昨年(2018年)の統一地方選の惨敗で、党内外から批判を受けていた蔡英文は、その対応により支持率が盛り返した。やはり恫喝は台湾人の反感しか呼び起こさない。

 だが、蔡英文政権の支持が上がると、中国との対立姿勢がなおさら先鋭化してくるだろう。しかも米国も台湾に急接近。今年、台湾をめぐって何かが起きるかもしれない、という予感に満ちている。

習氏、中台統一で軍事力行使を排除せず 「一国二制度」も迫る
中国・北京の人民大会堂で開催された、中国が台湾に平和統一を呼び掛けた「台湾同胞に告げる書」の発表40年を記念する行事で、演説する習近平国家主席(2019年1月2日撮影)。(c)Mark Schiefelbein / POOL / AFP〔AFPBB News〕

歴代指導者が発表してきた台湾政策
 習近平の台湾政策とはどういったものか。その前に、習近平が大晦日に行った恒例の「新年のあいさつ」で、必ず冒頭に入れていた香港、マカオ、台湾同胞および海外華僑同胞への祝賀が入ってなかったので、おやっ? と思った人も多かっただろう。一部では、香港、マカオはもはや取りたてて挨拶するほど特別な存在ではない中国の一地方都市に成り下がったからだ、と囁かれた。では、台湾も無視していいほど中国化が進んでいると思っているのか。昨年の台湾統一地方選では与党民進党が惨敗で、蔡英文は党首を引責辞任、行政院長の頼清徳も辞任しており、蔡英文政権など相手にせずともいい、と思ったのか、などと話題になった。

 だが年明け1月2日、習近平は「台湾同胞に告げる書」40周年記念行事で台湾に対する強烈なメッセージを発する。

「台湾同胞に告げる書」は1979年1月にケ小平が発表した国共内戦後初めて中華民国に対し軍事的対峙を終結させ平和統一を呼びかけた文書である。その後、歴代指導者は必ず任期中に自分なりの台湾政策を発表してきた。1981年全人代常務委員長だった葉剣英が発表した「台湾平和統一に関する九条方針政策」(葉九条)や、83年にケ小平の6つの主張(ケ六条)、1995年江沢民が発表した「祖国統一大事業促進を完成し奮闘を継続する」ための8項目(江八点)、2008年暮れに胡錦濤が発表した「手を取り合って両岸の平和的発展を推進し、中華民族の偉大なる復興を一緒に実現する」ための6項目(胡六点)だ。

 江沢民の江八点は武力行使を放棄しないことを強調。だが当時の台湾総統・李登輝が両岸の政治分離の現実や民主促進など6つの主張を含む反論(李六点)を発表し、これに怒った江沢民が武力威嚇姿勢を打ち出して台湾海峡危機を引き起こした。

 一方、胡錦濤は胡六点で両岸の平和的発展に重点を置き、台湾の現実を考慮した対話や融和政策を呼びかけた。もちろん胡錦濤政権は台湾が独立を宣言した場合に非平和的手段を取ることを合法化する「反国家分裂法」(2005年)を制定し、それをもって対台湾強硬派とみなす人もいるだろうが、これは当時の陳水扁政権に独立宣言をさせないことを目的としており、本当の狙いは現状維持であったと見られている。だが、結果的に親中派の馬英九政権を誕生させ、胡錦濤政権時代が一番台湾人民の心を中国に引き寄せ、中台統一に一番現実味が出た時期でもあった。

「習五条」から伝わる習近平の野望
 さて習近平は台湾政策として5項目(習五条)を挙げた。簡単に内容をまとめると、以下のようになる。

(1)平和統一の実現が目標。台湾同胞はみな正々堂々とした中国人であり、ともに「中国の夢」を共有できる。台湾問題は民族の弱さが生んだもので「民族復興」によって終結する。

(2)一国二制度の台湾版を模索。92コンセンサスと台湾独立反対という共同の政治基礎の上で、各政党各界の代表者と話し合いたい。

(3)一つの中国原則を堅持。中国人は中国人を攻撃しない。だが武力行使放棄は約束しない。外部勢力の干渉と少数の台湾独立派に対しては一切の必要な選択肢を留保する。

(4)経済融合を加速させる。両岸共同の市場、インフラ融合を進める。特に馬祖・金門島のインフラ一体化を推進する。

(5)台湾同胞との心の絆を強化。台湾青年が祖国で夢を追い実現することを熱烈歓迎。

 武力行使放棄を約束しないという恫喝表現はじめ、江八点でも使われている表現が多いが、江八点よりも激しく感じられるのは、全体の文脈ににじみ出る、自分が権力の座にいるうちに何としても台湾を併合してみせるという意欲だろう。

 たとえば前言で両岸関係を振り返るにあたって「70年来」つまり建国以来という表現を5回以上繰り返し、過去の指導者の台湾政策の流れにほとんど触れず、自分の意志を強調し、いかにも自分こそが建国以来の中国人民の願いであった台湾統一を実現する当事者たらんという文脈で「祖国統一は必須で必然」と強く訴えている。しかも、習近平が2049年までに実現すると掲げている「中華民族の偉大なる復興」プロセスで台湾同胞は欠くことができない、としている。「中華民族の偉大なる復興」は習近平個人独裁確立とセットでタイムテーブルが設定されていることを考えれば、そこに自分の任期中に台湾統一を実現させたいという野望が見て取れるだろう。

 また「一国二制度」を台湾に適用する考えはケ小平から続いているものだが、ケ小平時代の「一国二制度」と今の「一国二制度」が指す状況は全く違うだろう。「一国二制度」は今の香港の現状をみれば、決して2つの違う政治・経済システムが1つの国家の中で運用されているという意味にはなっていない。香港はほとんど完全に中国化され、司法の独立も経済の自由も「共産党の指導の下」という枠組みの制限がついている。共産党が許す範囲の司法の独立であり、経済の自由であり、自治である。もはや特別行政区の「一国二制度」は中国国内の自治区の自治と同じで、完全に意味のないものになっている。なので、習近平がいくら「統一後の台湾同胞の私有財産や宗教信仰、合法権益は十分に保障する」と言っても、それが嘘であることは香港を見ればわかるのである。

 また江沢民も使った「中国人は中国人を攻撃しない」という表現も、台湾人自身の過半数から8割前後が「自分は台湾人であって中国人ではない」というアイデンティティを持っている現状では、台湾にとって何の安全の担保にはならない。むしろ中国人は中国人を攻撃しないが、台湾人ならば攻撃する、というニュアンスすら感じる。習近平が打ち出した台湾政策は、表現こそ江八点と共通点が多いが、全体の文脈としては、台湾に対する恫喝度合いはずっと強い印象を受けるわけだ。

 さらに言えば、江八点が発表されたときの台湾は、稀代の老獪な政治家と呼ばれた李登輝が国民党現役総統の時代であった。李登輝 VS 江沢民であれば、政治家の力量とすれば間違いなく李登輝が上だろう。台湾海峡危機が起きたとき、堂々と張りあえた李登輝政権の台湾と比較すれば、政権としての力量は各段に劣る今の民進党・蔡英文政権が、江沢民時代よりずっと軍事的にも経済規模としても強大になった中国からの恫喝を交えた圧力に対抗し続けられるか、という部分もあろう。

蔡英文政権は毅然と反論
 もちろん、この習五条に対して即日、蔡英文政権は毅然と反論し、明確に「一国二制度は絶対に受け入れられないことは台湾の共通認識」と拒否し、92年コンセンサスについて「終始認めたことはない」との立場を久々に言明した。

 さらに台湾の人材、資本を大陸に吸収するような中国利益のための経済統合に反対し、台湾ファーストの経済路線を主張。国際企業に「台湾」名称を使うなと圧力をかけたり、台湾の友好国に札束で断交をせまるやり方を批判し、どの口で台湾同胞と心の絆とかいうのかと言わんばかりの拒絶を示した。

 また「民主的価値は台湾人民が非常に大切にしている価値と生活様式」「大陸も民主の一歩を勇気をもって踏み出したらどうか」と呼びかけ、中国が民主化しない限り統一はありえない、という姿勢をはっきりさせた。

 蔡英文は今までは現状維持を心掛けるあまり、中国に対する姿勢は慎重になりすぎた傾向があり、そのせいもあって昨年の台湾統一地方選挙で与党惨敗の結果を招いたとして党首職を引責辞任した。今回は習近平の恫喝的な台湾政策にきっちり反論できたおかげで、多少は失地を挽回できたわけだが、それでも2020年に総統再選の目はほとんどなく、民進党内の団結も揺らいでいる。

「9」がつく年には乱が起きる?
 習近平は習五条を発表した2日後の中央軍事工作会議では「軍事闘争準備」を呼び掛けており、あたかも台湾武力侵攻への準備を固めているような印象も与えている。蔡英文の反論を受けて中国世論には台湾武力統一論が再び盛り上がってきた。

 実際に、中国が台湾に対して武力統一を行使する能力があるかどうか、といえば、米国が台湾の民主主義と独立性守ることが自国の利益であると考えている以上、台湾に手を出せば米中戦争に発展しかねず、中国に今、米国と本気で戦える意思や能力があるかといえば「ない」とほとんどの人が思うだろう。可能性としては非常に低い。

 だが、ペンタゴンが発表した「2019年中国軍事パワー」リポートでは、「中国の巡行ミサイルなど打撃兵器はすでに米国など西側先進国と同水準」「中国の兵器システムの一部の領域は世界最先端水準」「解放軍は自軍の戦闘能力に自信を深めており、最終的には中国指導部に部分戦争を発動するリスクを侵させうる」といった分析を出している。この場合の「部分戦争」として一番想定されるのが台湾と一般にはみられている。

 このリポートに関してペンタゴン関係者がAFPなどに寄せたコメントの中には「最大の心配は、中国が技術的成熟や軍制改革の実施を行い、解放軍の実力を理解してきたとき、中国が1つの臨界点に達すれば、軍事力の使用で地域の衝突問題を解決しようとすることがありうること」「北京の解放軍実力に対する自信の度合いによっては、軍事力による台湾統一という選択肢を取らせる可能性がある」というものがあった。米国防関係者の中には中国による台湾有事を現実感をもって予想している人はいるのだ。だからこそ、米国は台湾に急接近しているということだろう。

 中華文化圏には「逢八必災、逢九必乱」というジンクスがある。8がつく年には厄災があり、9がつく年には乱が起きるという都市伝説だ。1969年珍宝島事件、1979年中越戦争、1989年天安門事件・・・。杞憂であればと心から願っているが、必乱の2019年に台湾問題は最も警戒すべきリスクの1つかもしれない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55292


  
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/305.html

[国際25] アップル、中国依存を減らせるか iPhoneの大半を製造するホンハイがインド工場を検討中 
アップル、中国依存を減らせるか
iPhoneの大半を製造するホンハイがインド工場を検討中
2019.1.24(木) 小久保 重信
アップル、「iPhone X」など新3機種発表 「最大の飛躍」うたう
米カリフォルニア州クパチーノで行われたアップルの発表会で、「iPhone X」を紹介するフィル・シラー上級副社長(2017年9月12日撮影)。(c)AFP/Josh Edelson〔AFPBB News〕

 台湾の電子機器受託製造大手ホンハイ(鴻海精密工業)は現在、米アップルが世界で販売する「iPhone」の大半を中国の工場で組み立てている。

 その同社が、iPhoneをインドで生産することを検討していると、米ウォールストリート・ジャーナルが伝えている。

インドは有望市場
 これが計画どおりに進めば、現在、生産も販売も中国に大きく頼っているアップルは、同国への依存度を減らし、同国に取って代わる新市場への道が開けるかもしれないと同紙は伝えている。

 13億人の人口を抱えるインドは、スマートフォンの普及率が24%と低い反面、成長率が最も高く、今後、中国に次ぐ、巨大市場に発展する可能性があると期待されている。

「高すぎて買えない」
 しかし、iPhoneの同国における市場シェアはわずか1%程度で、メーカー別販売台数ランキングでアップルは11位にとどまっている。

 その大きな理由は、高額すぎるiPhoneの価格と言われている。インドで販売されるスマートフォンの95%は500ドル以下で、約75%は250ドル以下という状況。しかし、昨年、市場投入した最新モデルの「iPhone XS」は1400ドルと高額。これでは、富裕層以外は買うことができないと指摘されている。

現地生産で高い関税を回避
 iPhoneがインドで、高額となる理由の1つは、中国で生産されたiPhoneをインドに輸入する際に課される20%の関税だ。

 インド向けiPhoneについては、これまで台湾の電子機器製造受託業者ウィストロン(緯創資通)が、廉価モデルの「SE」をインド工場で組み立てたという経緯がある。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、ホンハイはこれと同様に、インドでOLED(有機EL)ディスプレーを備える高価格帯のiPhoneを生産することを検討していると、事情に詳しい関係者は話している。

 (参考・関連記事)「アップルのインド戦略、長年の努力が花開く?」

インド戦略の失敗で計画見直し
 アップルのインド事業については、昨年、ベテラン幹部指揮の下、販売・ブランド戦略を見直していると伝えられた。同社は、いまだインドに1店舗もない直営店「Apple Store」を開設したい考えで、将来は、ニューデリー、ベンガルール(旧バンガロール)、ムンバイといった主要都市で店舗を構えたいと考えている。

 (参考・関連記事)「アップル、頼みの綱のインドで今も苦戦」

 スマートフォンの販売が世界的に頭打ちになる中、これまでアップルの成長を支えてきた中国では業績が振るわないという状況。そうした中、同社はインド事業のテコ入れを図り、活路を見いだそうとしているようだ。

 (参考・関連記事)「アップル業績下方修正の要因は製品戦略の判断ミス?」

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55297

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/306.html

[国際25] 裏切者は誰だ! トランプの“森蘭丸”作成リスト 政権内で唯一の忠臣が暴露した「チーム毒蛇」とは 
裏切者は誰だ! トランプの“森蘭丸”作成リスト
政権内で唯一の忠臣が暴露した「チーム毒蛇」とは
2019.1.24(木) 高濱 賛
米政府閉鎖が4週目、影響は全米に 炊き出しや就職説明会も
米政府閉鎖が4週目、影響は全米に 炊き出しや就職説明会も。写真は米首都ワシントンで、食料の無料提供を行っている店の前に並ぶ連邦職員たち(2019年1月16日撮影)。(c)Jim WATSON / AFP 〔AFPBB News〕

トランプ大統領が「国境の壁」にこだわる理由
 ドナルド・トランプ米大統領が政権発足3年目に入った。波乱含みでスタートした政権はこの2年間、まさにカオスの真っただ中を突っ走ってきた。

 普通の大統領であれば、野党や世論の激しい批判を受ければ、政権運営安定化のために反対意見に歩み寄ったり、妥協を図ったりするものだ。

 ところがトランプ大統領にはそうした意図も意思も全くなかった。

 「自分こそは唯一正しい」「自分に票を投じてくれた有権者との公約は守る」

 その好例が2016年の大統領選に公約に掲げたメキシコとの国境沿いに不法移民の侵入を防ぐための壁を建設する計画だ。

 実はトランプ大統領は一時、この「国境の壁」を諦めかけたことがある。

 ところがこれを聞いた超保守派でトランプ支持の政治評論家たち*1が猛反発。大統領は従来の方針堅持を決めた経緯がある。

*1=テレビ・ラジオを通じてトランプ支持層に圧倒的な影響力を持っているのは、保守派政治評論家のショーン・ハニティ、アン・コールター、ラッシュ・リンボー、ビル・オレイリー各氏。トランプ大統領はこれら評論家たちの助言を一番重視しているとされる。

 同計画をめぐっては、議会民主党と激しく対立。

 この建設費を盛り込んだ予算案に民主党が猛反対して議会を通らないのだ。そのために連邦政府機能がマヒ状態に入ってから30日を超えた。

 大統領は最後には議会の承認を必要としない非常事態宣言を発動することをちらつかせている。しかし、民主党は今回の場合、非常事態宣言発動は憲法違反になると強気の構えだ。

 混乱する事態について、大統領が悪いのか、それとも民主党に責任があるのか。国論は2分している。

33歳の近習が描く「トランプ大統領との異常な500日」
 ドナルド・トランプという人物についてはすでにジャーナリストや学者、精神科医有志、ポルノ女優など各分野の人たちが分析してきた。トランプ政権で働いてきた閣僚やホワイトハウス高官たちも「回顧録」で触れている。

 現職の大統領について在任中にこれだけの本が出たケースは初めて。これらの本を読んで浮かび上がってくるトランプ像はこうだ。

 「唯我独尊。人の言うことは一切聞かない頑強親父。間違いを認めず、したがって謝ったり、訂正しない、因業ジジイ」

 さらに言えば、自らの金銭欲、色欲、社会一般のモラル違反について(自分の恥部について微に入り細に入り暴露されようとも)、平気の平左でいられる頑強な精神の持ち主だということだ。

Team of Vipers: My 500 Extraordinary Days in the Trump White House by Cliff Sims Thomas Dunne Books, 2019
 政権3年目に入ったこの時期に、大統領の下で500日を過ごした33歳の近習(きんじゅ)、クリフ・シムズ氏が「回顧録」を著した。

 タイトルは「Team of Viper」(チーム・毒ヘビ)

 「Wiktionary」によれば、「Team」の本来の意味は「共通の目的、達成すべき目標、やり方を共有し、連帯責任を果たせる補完的なスキルを備えた少人数の集合体」。

 著者によれば、このタイトルは、ハーバード大学のドリス・カーンズ・グッドウィン教授が2006年に著した名著、「Team of Rivals」*2にあやかってつけたという。

 もっともトランプ政権に参加したのは「Rivals」ではなく、一見忠誠を誓ったふりをして政権内でとぐろを巻く「Vipers」(毒ヘビ)だった、

*2="Team of Rival: The Political Genius of Abraham Lincoln"(邦訳「リンカーン」上中下巻、中公文庫)。南北戦争、奴隷解放をめぐって血みどろな内戦を繰り広げる時期にリンカーン第16代大統領がウィリアム・スワード(国務長官)やサーモン・チェイス(財務長官)ら政敵4人を「挙国一致内閣」の主要閣僚に入れて政権運営する。

 もともと米政界では年齢はあまり重要ではない。それでも30歳そこそこの若者がなぜ大統領の超側近として登用されたのだろう。

著者は25歳でニュースサイトを設立した逸材
 シムズ氏は南部アラバマ州生まれ。アラバマ大学政治学部を卒業後、25歳で同州バーミンガムに地元の政治経済ニュースを発信するウエブサイト「イエローハンマー・メディア」を設立、その後ラジオ局も開設してニュース番組の司会を始めた。

 2016年の米大統領選ではトランプ陣営に参加し、精力的な選挙活動を行った。

 トランプ政権発足と同時にホワイトハウスのコミュニケーション担当の特別補佐官に抜擢された。

 コミュニケーション能力に長けているだけでなく、いわゆる「爺キラー」。たまち大統領に気に入られて、2018年5月まで身の回りの世話から雑務まで受け持つようになったという。

 いわば「トランプ信長」にとっては「森蘭丸」(森成利)的存在だったのだろう。

 大統領は、レックス・ティラーソン国務長官の後任に起用したマイク・ポンペイオ米中央情報局(CIA)長官を補佐する国務省の重要ポストにシムズ氏を起用しようとしたともいわれる。

裏切者の大半は「共和党保守本流の牙城・党全国委員会出身」
 大統領の寵愛を一身に集めたシムズ氏がホワイトハウスを去ったのは2018年5月。

 辞めた理由についてシムズ氏は、ホワイトハウス内で上司はじめスタッフたちの妬みに嫌気がさしたことを挙げている。

(現在、コンサルティング会社を経営、大企業のCEO=最高経営責任者やメディア関係者に助言を与えているという)

 「嫉妬の海を泳ぐのはもう嫌になった」と、親しい友人には漏らしているという。

 所属したコミュニケーション担当部門でシムズ氏は共和党全国委員会からホワイトハウス入りしたスタッフたちとはことごとく衝突したという。

 全国委員会出身者には、ラインス・プリーバス首席補佐官、ショーン・スパイサー報道官らがいたが、みな早々に辞任している。

 そのシムズ氏が大統領から受けていた「特命」があった。

 ホワイトハウスで働くスタッフを対象にした「Enemy List」(裏切者の名前リスト)を作成するから情報収集せよ、との大統領直々の命令だった。

 政権発足直後からトランプ大統領の政策決定やその経緯について極秘情報が米主要メディアに漏れていた。

 大統領としては漏洩している張本人たちを炙り出したい狙いがあったからだった。大統領はシムズ氏にこう命じた。

 「周辺を徹底的に調べ上げ、情報を漏洩する裏切者の名前を見つけ出せ。私を裏切っている奴らの名前だ。俺はそいつらを処分する。奴らのようなヘビは追っ払う。日和見も例外ではない」

 シムズ氏は本書の中でこう記述している。

 「私は大変な経験をしていることに気づいた。私はアメリカ合衆国大統領のために裏切者を探し出し、リストを作るのを手伝え、と命じられていたのだ」

 「何とホワイトハウスの中に、しかもウエストウィング(大統領府中枢)に裏切者がいるとは」

 「私と大統領はウエストウイングで働くホワイトハウス職員をしらみ潰しにチェックしていった。大統領首席補佐官も各顧問も例外ではなかった」

 「大統領は一人ひとりの大統領に対する忠誠心について質した」

大統領は常に「裏切者リスト」を胸ポケットに
 大統領はシムズ氏の「査定」を聞きながら、大統領の紋章が印刷されているカードにスタッフの名前を殴り書きした。

 リストは2種類、1つは裏切者リスト、もう1つはそうでないスタッフのリストだった。

 「2つのリストに殴り書きされた名前は15人。そのうち10人は裏切者の名前。5人は裏切者ではないスタッフの名前だった」

 「5人はすべて大統領選でキャンペーン活動に参加した人たちだった。裏切者のうち、直ちに解雇されたものもいたし、その後残ってはいたがやがて解雇されたものもいた」

 「大統領はこの裏切者リストを常に胸のポケットに入れていた。裏切者は常に毒ヘビのようにホワイトハウスの中に潜んでいることを思い出すためだった」

 シムズ氏は大統領の勤務中にはいつも側にいた。閣僚や政府高官との協議はむろんのこと、閣議、外国首脳との会談には同席していた。執務外でも大統領がウエストウイングにいるときには側で侍っていた。

 「大統領は執務室の隣にあるプライベート・ダイニング・ルームでテレビを見ていた。まるで映画評論家のロジャー・イーバートがテレビを見るようにテレビをじっくり見ていた」

 「トランプ大統領はテレビに映るセッティング、グラフィック、衣装、ライトニングに至るまでコメントした」

 「もちろん政治評論家たちが大統領について良いことを発言したり、ホワイトハウス当局者たちが大統領を弁護するのを視聴するのが好きだった」

 「大統領はむろん、フォックス・ニュースがお気に入りだったが、『フォックス・ニュースのグラフィックは何とかならんかな。(リベラル系の)MSNBCのグラフィックが一番いい』と私に言っていた」

ブッシュ元大統領の懐刀・ロブ氏は「まぬけ」
 「フォックス・ニュースはしばしば政治評論家のカール・ローブ氏*3を解説者に起用した。同氏は盛んにヒラリー・クリントン元国務長官やトランプ氏をこき下ろした」

 「それを聞いて大統領は『ローブは間抜け野郎だ。奴が言うとことはいつも違っているのにフォックス・ニュースはなぜ奴を使うんだ。ローブは選挙参謀として何億ドルも使っているくせに選挙という選挙に勝ったためしがない(2000年の大統領選ではジョージ・W・ブッシュ氏を勝たせている)。ところがそのことを誰も口にしない。奴はみな忘れてしまったと思っているが、俺は忘れちゃいない』」

*3=カール・ローブ氏はジョージ・W・ブッシュ大統領の次席補佐官を務めた。2000年大統領選ではブッシュ候補の選挙参謀として勝利に導いた。退官後は保守派コメンティターとして活躍。トランプ大統領には批判的立場をとっている。

ホワイトハウスにうごめく「エゴとアジェンダと復讐心」
 シムズ氏は最初から本を書くつもりでトランプ政権で働いて500日間、毎日詳細なメモを書き留めてきたという。

 その日あった出来事、大統領と交わした会話などを克明に記録してきたという。その意図は何か。

 「リンカーン大統領は、意見の異なる、ある時は対立し合ってきたライバルを閣僚に入れ、『チーム・ライバル』を意図的に作った。これに対してトランプ大統領は『チーム・毒ヘビ』を作ってしまったのだ」

 「われわれは働いた。われわれは戦った。われわれは自分たちのエゴをむき出しにした。われわれは自分たちの個人的なアジェンダと復讐心を持ち込んだ。われわれは冷酷だった。中にはグッド・ピープル(善人)もいたと思う」

 「私はそれをこの目で見てきた。ホワイトハウスの情報を外部に漏洩した多くの連中と私とが違うのは、私は実名でその見てきたことを書き記したことだ」

トランプ政権全体が「チーム・毒ヘビ」ではないのか
 トランプ氏がホワイトハウスに入った時、はせ参じた(あるいは三顧の礼を尽くして招かれた)人たちみなに大統領に対する忠誠心があったわけではない。

 彼らは「自分たちのエゴとアジェンダと復讐心を抱いて集まった毒ヘビ」だったのだ。

『日本人が知っているようで知らないアメリカ』(高濱賛著・海竜社)
 奇異に感じるのは、シムズ氏は閣僚たちについては一切言及していない。政権発足当時任命された国務、国防、財務各長官らは2年以内に皆いなくなっている。

 もしトランプ大統領がシムズ氏にティラーソン前国務長官らの大統領に対する忠誠心チェックをさせたらおそらく、その答えはネガティブだったに違いない。

 その意味で、ホワイトハウスが「チーム・毒ヘビ」だったとすれば、トランプ内閣はそれに輪をかけた「チーム・毒ヘビ」ということになる。

 「国境の壁」という引くに引けなくなった難題。背後に忍び寄るロシアゲート捜査・・・。

 それよりも何よりも一網打尽にしたはずのウエストウィングの「毒ヘビ」は、実はフォギーボトム(国務省)やペンタゴン(国防総省)でむしろ増殖しているのではないのか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55285
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/307.html

[経世済民130] 65歳以上も大歓迎!高齢者でも借りられる常識破りの不動産会社
2019年1月24日 吉田由紀子
65歳以上も大歓迎!高齢者でも借りられる常識破りの不動産会社

部屋で孤独死されたり、家賃の支払いが滞るなどの不安があるため、大家さんから敬遠されがちな高齢者。しかし、デメリットばかりではなく、高齢者ならではのメリットもあるという。高齢者のための不動産サービス会社に話を聞いた。

65歳以上のシニア専門の
不動産会社が誕生
シニアでも安心して賃貸住宅を借りられる仕組みを用意しています。
見守りの仕組みや何か起きたときの保証さえしっかりできれば、シニアはむしろ大家にとってありがたいお客です(写真はイメージです)
 超高齢社会を迎えて、65歳以上のシニア層が急増している。65歳以上の人口は3515万2000人、割合は27.7%で過去最高である(2017年総務省統計局調査)。

 高齢者を取り巻く問題はいろいろあるが、大きな課題となっているのが「住まい」。持ち家があればいいが、賃貸に住んでいる場合は、物件の老朽化や再開発などで退去を迫られるケースが少なくない。

 新しく住まいを借りようとしても、高齢者は敬遠されてしまうのが現状である。家賃をきちんと払ってもらえるのか、病気を抱えていないか、といった不安をどうしても貸主は持ってしまう。

 そんな中、あえて高齢者向けの住まいを紹介する不動産会社が誕生して、話題を集めている。

 R65不動産は、文字通り65歳以上の人を対象にした不動産会社だ。高齢者のために、希望する条件に沿った住まいを提供しようとがんばっている。

 例えば、ペットOK、保証人不要、駅から500メートル以内、病院が近い、家賃が安い、2人以上での入居が可能――など、多様な条件から選ぶことができるとあって、入居希望者が急増中。現在、月に約40件の入居相談を受けている。

 このR65不動産を始めたのは、山本遼さんという28歳の若き起業家。株式会社R65代表取締役として、8人のスタッフとともに忙しい毎日を送っている。なぜ「高齢者専用」に取り組むようになったのか?

 大学卒業後、一般の不動産会社に入社した山本さんは、そこで出会った1人の高齢者が起業のきっかけになったという。

「入社3年目に80代の女性の方を担当したのですが、ご相談を受けた時点で、すでに5社から断られていた状態でした。他の不動産会社や大家さんに何度も交渉して、ようやく見つけることができたのですが…。この体験を通して、高齢者だからという理由だけで住まいが見つからない、生活の場を持てない、という現実を目の当たりにしました。将来、自分が高齢者になったとき、こういう状態では困ると考え、起業を決意したのです」(山本さん、以下同)

入居者を見守る仕組みや
入居者死亡の場合の保険も

R65不動産を立ち上げた山本遼さん。年を取っても自立して健康な人生を送ってほしいと願い、事業を始めた
「大家さんが高齢者の入居を敬遠するのは、孤独死を心配してのことです。万一、孤独死をされてしまうと、次に貸すのが難しくなるだけではなく、原状回復への金銭的な負担も強いられます。それを嫌がっているのです」

 実際に東京都では、1人暮らしの高齢者が自宅で死亡するケースが、ここ15年の間に2倍に増えている(内閣府の調査)。そのため、大家が高齢者を敬遠してしまうのだ。

 こういった課題を解決しようと、R65不動産は、大家に向けてさまざまな工夫をしている。まずは、入居者を見守る「R65あんしんパック」。これは高齢者の暮らしを見守る機器と、賃貸住宅管理利用保険をセットにしたプランである。見守りサービスは、AIが電気の使用量を感知することにより入居者の状態を把握できるサービスになっている。電気を切り替えるだけで、面倒な工事は必要ない。

 賃貸住宅管理利用保険は、万が一、入居者が死亡した場合、家賃と原状回復の費用を保証する保険である(限度額あり)。2つのサービスをセットにして料金は月額600円から。個別での加入も可能である。

 また、大家を対象とした勉強会も定期的に開催している。

「高齢者が入居して困ったケースやその対策法、逆に良かった事例を紹介しあうことで、大家さんも現状を知ることができます。大家さん同士が交流することで、もっと高齢者が入居しやすい物件が増えてほしいと考えています」

デメリットだけじゃない!
高齢者入居のメリットもある
 その一方、人口減少にともなって、賃貸物件自体の入居希望者が減っている現状もある。全国各地に空き物件も多くなっている。そこに高齢者が入居するメリットは多々あると山本さんは話す。

「例えば、立地の悪い物件は一般には人気が低いのですが、高齢の方は職場へ通勤することが少ないので、駅から遠くても大丈夫なんです。バス停が近くにあれば喜ばれます。また、日当たりが悪いといった理由で、1階の部屋が埋まらない物件も見られますが、高齢者は階段の上り下りが負担になるので、むしろ1階を希望する人が多い。築年数が古い物件も同様で、高齢の方は昔ながらの落ち着いた部屋を好む人が多いと感じています」

 その他、若い世代に比べてマナーが良く、入居者同士のトラブルになりにくい、長く住んでくれるなどのメリットもあるという。

 R65不動産は現在、首都圏のみの展開だが、今後は全国に広がっていってほしいと願っている。

「他の不動産会社さんと連携して、ぜひ一緒にやりたいと考えています」

 早く高齢者向けの不動産が全国に広まることを期待したいが、首都圏以外にお住まいの方には、こんな制度も利用できる。2017年施行された「住宅セーフティネット制度」は高齢者だけでなく低所得者、障がい者、子育て世帯などの住まい探しを支援する制度である。自治体ごとに、入居可能な物件をデータベースで紹介しており、条件を入力すれば適した物件が紹介される仕組みだ。また、各市町村のホームページにも検索ページを設けている場合が多い。住まい探しでお困りの方は、一度利用してみてはいかがだろうか。

(吉田由紀子/5時から作家塾R)
https://diamond.jp/articles/-/191735
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/714.html

[経世済民130] マイナス金利政策、深掘りなら金融機関は「究極の選択」を迫られる
2019年1月24日 加藤 出 :東短リサーチ代表取締役社長
マイナス金利政策、深掘りなら金融機関は「究極の選択」を迫られる

2016年1月末、日本銀行はマイナス金利政策の導入を決定。政策開始前の同年2月9日には史上初めて長期金利(10年物国債金利)がマイナスとなった Photo:kyodonews
 日本銀行のマイナス金利政策は、間もなく4年目に突入する。

 黒田東彦総裁が主導する量的質的金融緩和策(いわゆる異次元緩和策)が2013年4月に始まったとき、日銀はインフレ率を2年程度で目標の2%に押し上げると宣言した。ところが、2年以上たっても目標達成は見通せず、かつ国債買い入れの増額といった主力の追加緩和策は技術的な限界に直面した。

 追い詰められた日銀はろうばいし、それまでやらないといっていたマイナス金利政策を16年1月の金融政策決定会合で突如決定。2月に導入した。だが、熟慮の上に提案された政策ではなかったため、同会合では9人中4人もの政策委員が反対票を投じた。現時点で振り返れば、この4人の見識は正しかったといえる。

 物価への効果は極めて怪しい。生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価指数の前年比は、16年1月は0.9%だったが、18年11月は0.3%へ低下した。日銀は粘り強く続ければ目標は達成できるというが、展望は開けない。

 また、世界経済に不透明感が表れてしまったため、日銀はマイナス金利政策をやめるにやめられなくなった。だが、この政策による市中金利低下の長期化によって、金融機関の収益悪化はこの先、より深刻になっていく恐れがある。

 以前にも本欄で触れたが、日本は世界で最もマイナス金利政策の効果が表れにくい国といえる。高齢化と生産年齢人口の減少により、金利が低下しても借金をして消費を増やす世代が少なくなっている。しかも、日本の超低金利は長期化している。金融緩和の最大の効果は「将来の需要の前借り」だ。

 緩和状態が長く続くと、需要を前借りしようとしてもそれはすでに使われていたことになり、刺激効果は弱まってくる。人口減少社会では需要が先細るのでなおさらだ。また、預金金利の低下は高齢者を不安にさせ、かえって財布のひもを固くさせてしまう。

 ところが、スウェーデンやデンマークなどの福祉国家におけるマイナス金利政策は、日本と様子が異なる。大半の国民は社会保障制度が手厚いため、将来不安を抱いていない。高齢者は預金金利の低下を心配しない。その環境下で金利が低下すると、消費ブームが発生する。人口が近年急増したスウェーデンでは住宅価格が暴騰した。

 なお、欧州の銀行はマイナス金利政策下で企業等の預金金利をマイナスにし、その政策の負担を顧客に転嫁している。例えば昨年11月、デンマークの銀行における平均預金金利は、一般企業向けがマイナス0.29%、政府向けはマイナス0.34%、保険会社・年金基金向けはマイナス0.5%だ。

 もし北欧の銀行に「日本の銀行は預金金利をマイナスにするのは避けている」と教えたら、「どうやって生き残っているのか?」と目を丸くするだろう。

 この先、日銀が万が一マイナス金利を深掘りしたら、日本の金融機関は“究極の選択”に悩まされる。欧州のように企業等の預金金利をマイナスにしたら、日本では猛反発を受けそうだ。保険会社や年金基金の資金運用がそれで打撃を受ければ、それを聞いた家計は将来不安を募らせる恐れがある。

 かといって、コストを顧客に転嫁しなければ破綻のふちに近づく金融機関が増える。今後の黒田日銀に求められるのは、金融政策の限界を正面から受け止め、インフレ目標を無理に追求しない姿勢に、より傾いていくことだろう。

(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
https://diamond.jp/articles/-/191758


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/715.html

[経世済民130] 米中貿易摩擦、世界経済の主要リスク=IMF専務理事 米中摩擦の着地点、「囚人のジレンマ」回避できるか
ワールド2019年1月24日 / 19:48 / 6時間前更新
米中貿易摩擦、世界経済の主要リスク=IMF専務理事
Reuters Staff
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[ダボス(スイス) 24日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は24日、米中の貿易摩擦が世界経済の主要なリスクになっているとの認識を改めて示した。 世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で述べた。

貿易摩擦により、中国経済の鈍化ペースが加速する可能性があるとの見方も示した。

専務理事は「中国の減速は問題ない。理にかなっている」とした上で「ただ減速ペースが早ければ、本当の問題になる」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/davos-meeting-imf-idJPKCN1PI19I


 


為替フォーラム2019年1月24日 / 17:03 / 9時間前更新

米中摩擦の着地点、「囚人のジレンマ」回避できるか

熊野英生 第一生命経済研究所 首席エコノミスト
4 分で読む

[東京 24日] - 3月1日を期限とする米中貿易協議は、1月上旬に行われた次官レベルの調整を経て、やや楽観視する向きが広がっている。それでも結末はいまだ不透明感が強く、予断を許さない。

そこで今回のコラムでは、米中双方が妥協できる着地点は合理的に考えてどこにあるのかを考えてみたい。確かに、2020年大統領選挙で再選を狙うトランプ氏が、理屈よりも政治的なかけ引きを重視すると見ることはできる。また、背後にあるのは経済の覇権争いであることから、「出口のない戦い」との見方も根強いだろう。

しかし、両国の交渉が非合理的なルールに基づいて行われていると見ること自体が、悲観的な心理を作り出しているのではないだろうか。むしろ合理的な発想に基づき、米中がある程度納得できる妥協点が存在するとの見方に立つことが、前向きな展望を描くためには必要だ。

<2024年に対米黒字ゼロは可能か>

米中協議の目的は、米国が抱える巨額の貿易赤字を是正することにある。言うまでもなく、中国の対米貿易黒字はその大部分を占める。一部報道によると、中国は輸入拡大を通じ、2024年までに対米黒字をゼロにすることを提案したという。本当にそれは可能なのだろうか。

現在のような報復関税の応酬では、不均衡の是正は実現できない。米国が中国からの輸入に高関税をかけると、報復措置として米国からの輸出にも高関税がかかるからだ。米国にとっては輸入も減るが、輸出も減ってしまい、貿易赤字は変化しづらくなる。

これは、「囚人のジレンマ」と言われるゲーム理論の典型的なパターンである。自分の利益だけを考えて攻撃を仕掛けると、必ず反撃され、結局は共倒れに陥る。だから囚人のジレンマに陥ったところから、両者は互いに歩み寄ろうとする。現在の米中は、このまま報復合戦を続けていても双方にとってマイナスになると見込まれるため、ゲームの流れを変えようと行動しつつあるのだろう。

<投資貯蓄バランスで考える>

米中対立の図式は、1980年代の日米貿易摩擦に似たところがある。もちろん相違点もあるが、類似点に注目することは有益だ。

米国の貿易赤字は、中国の不公正に原因があるのではなく、自らの経済体質の結果として拡大している。米国の内需が膨張して国内の供給能力を上回った部分が、海外からの供給、すなわち輸入超となる。つまり、自国の過剰な消費体質が貿易赤字を生み出しているのだ。トランプ大統領が打ち出した減税は、自ら貿易赤字を膨ませる政策だった。貿易赤字を減らすには、減税をやめて財政赤字を削減することが必要だ。

1980年代、こうした考え方は投資貯蓄(IS)バランスとして知られた。日米間の消費体質の違いが、日本の貯蓄超過と米国の投資超過をもたらすとされた。当時の日本は問題解決に向け、公共事業を10年間で430兆円も増やす約束をした。内需拡大によって貯蓄超過が解消されると考えたのである。

おそらく今の中国も、財政支出を増やして米国からの輸入を促進することになるだろう。米中が同時に関税率を引き下げることも必要になってくる。

より難しいのは、米国の過剰消費体質の解消だ。1980─90年代の米国は、日本の内需拡大策にもかかわらず、貿易不均衡を是正できなかった。緊縮財政による景気減速を米政府が許容しなかったからだ。景気と貿易不均衡のどちらを優先するかと問われ、結局は景気拡大を犠牲にできなかった。

今回も中国が財政刺激策を約束しても、米国が財政緊縮に踏み込むことはないだろう。かつての日本と同じく、貿易不均衡の片側にいる中国だけが輸入拡大を目指すことになる。

<人民元切り上げの可能性>

では、中国の内需拡大だけで米国からの輸入を増やせるだろうか。中国の対米輸入額は輸出額の3分の1である。たとえ長い期間をかけて中国が内需を増やしても、貿易収支を均衡させるのは難しそうだ。

そうなると、為替レートの調整が必要になってくる。中国が人民元を大幅に切り上げ、輸出価格を引き上げると同時に輸入価格を引き下げる。相対価格を変化させることで、貿易収支を動かす発想である。

しかし、これは1985年のプラザ合意で日本が経験したショック療法と同じである。中国は避けようとするだろう。代わりに人民元の切り下げを行わず、ゆっくりとコントロールをしながら切り上げていく方法を取る可能性はある。2015年に人民元を切り下げた際に資金が流出した苦い経験から、中国は人民元の緩やかな上昇を歓迎するかもしれない。

<中国からの生産シフト>

米国からの輸入増で黒字を相殺することが難しく、人民元の急激な切り上げも受け入れ難いとなると、中国は対米輸出の生産拠点を他国にシフトさせることを検討するかもしれない。1980年代の日本は自動車を中心に、現地生産を進めた。カナダやメキシコへ工場を移し、そこから米国へ輸出する方法も探った。

米国メーカーから生産委託をされている中国企業の場合、日本と同じ対応にはならないかもしれない。しかし、何かしら生産体制を見直す可能性はありそうだ。

米国偏重だった輸出先を、欧州や日本、アジア各国に分散することも選択肢になるだろう。こうした国々との貿易を促進する、新たな連携を模索するかもしれない。中国は現在、米国から技術移転の強要を問題視されている。こうした問題は、連携を進めると多かれ少なかれ修正を迫られるものだ。いずれにしても中国は、他国と歩調を合わせるために公正なルールに従う必要が出てくる。

当面の米中協議は、中国による輸入拡大の約束を落とし所とするだろう。為替レートの調整や生産拠点の移管、輸出先の分散といった課題は、より長いスパンで中国側が見直しを求められていく。日本は中国のそうした体質変化を見据え、米中の仲を取り持ち、自由貿易を後押ししていく役割を担っていくのではないだろうか。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

(編集:久保信博)

熊野英生氏(写真は筆者提供)
*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-uschina-hideo-kumano-idJPKCN1PI0P3
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/716.html

[経世済民130] ECB成長リスクを下方修正 政策正常化遅延の公算 ECB総裁、景気見通しを警告 ユーロ相場、域内失速でも堅調の訳 
ビジネス2019年1月25日 / 01:04 / 44分前更新
ECB成長リスクを下方修正 政策正常化遅延の公算
Reuters Staff
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[フランクフルト 24日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は24日に開いた理事会で、主要政策金利を据え置いたほか、金利を少なくとも夏にかけて現在の記録的な低水準にとどめるとのガイダンスを維持した。ただドラギ総裁はユーロ圏の経済成長に対するリスクは下向きにシフトしたとの認識を表明。ECBの金融引き締めが遅延するだけでなく、再び利下げを実施するのではないかとの観測が台頭する可能性がある。

ドラギ総裁は理事会後の記者会見で「地政学的要因、保護主義の脅威、新興国市場の脆弱性、金融市場のボラティリティーに関連する根強い先行き不透明感により、ユーロ圏の成長見通しを巡るリスクは下向きに移行した」とし、「短期的な成長の勢いはこれまでの予想よりも弱くなる公算が大きい」と述べた。

ドラギ総裁の発言を受け、外国為替市場ではユーロが対ドルで一時1.1308ドルまで下落し、昨年12月17日以来の安値を更新した。

ドラギ総裁はリスク増大について言及したものの、現時点で政策を変更しない理由として、ユーロ圏では労働市場が力強さを増し、賃金も上昇していることから基調的なインフレが中期的に押し上げられるとの見方が出ていることなどを挙げた。

その上で「検証すべき主要なファクターは根強い先行き不透明感となる」とし、英国の欧州連合(EU)離脱、中国経済の減速、保護貿易主義の台頭など多岐にわたる先行き不透明感は対処されていると確信していると指摘。「理事会はこうしたすべてのリスク要因が信頼感に影響を及ぼしたかどうか、より多くの時間をかけて検証する。新たな成長見通しを発表する3月にさらに検証を進める」と述べた。

ドラギ総裁によると、今回の理事会では成長減速の認識と減速の要因について見解が一致。このほか、新たな貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)について数人が言及したものの、今回の理事会では何も決定されなかったことも明らかにした。

これまで一部政策担当者は、リスク評価の変更はECBが何らかの政策措置を取るという観測につながる可能性があることから、変更を控えるべきとの考えを表明。ECBは昨年12月の理事会で2兆6000億ユーロ規模の量的緩和(QE)の終了という大きな決定を行ったばかりで、次の動きに踏み出す準備はまだできていないとの見方も出ていた。

政策措置を伴わないガイダンスの調整は、政策措置が政策担当者の経済の評価と一致していないとの見方につながる可能性がある。

ECBが今回の理事会で金利据え置きを決定したことで、リファイナンス金利は0.00%、中銀預金金利はマイナス0.40%にどまった。市場ではECBの最初の利上げは2020年半ばになるとの見方が出ている。
https://jp.reuters.com/article/ecb-policy-meeting-idJPKCN1PI2BP


 
ドラギECB総裁、景気見通しを警告ーリスクは下方向に転じた
Carolynn Look
2019年1月25日 0:06 JST
地政学的要因に関連する不透明感の持続がセンチメントの重し−総裁
新たな条件付き長期リファイナンスオペについて議論、決定はせず
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は24日、ユーロ圏経済が直面する困難に対する警告を強めた。ECBは金融危機の時期に導入した景気刺激策の解除について、さらに慎重になるとみられる。

  ドラギ総裁は昨年12月には経済見通しへのリスク判断を明確に引き下げることを避けたが、今回の政策決定後の記者会見では、成長へのリスクは「下方向に転じた」と言明した。12月に債券購入終了を発表した際はリスクが「おおむね均衡している」と述べていた。

記者会見でのドラギ総裁の主な発言
特に地政学的要因に関連する不透明感の持続と保護主義の脅威がセンチメントの重しとなっている
リスクバランスの表現の変更は全回一致だったが、それが政策に対して意味するところについては議論しなかった。今回の会合は本質的に、現状やその原因、減速が続く期間などを判断するものだった
ユーロ圏経済がリセッション(景気後退)に陥る可能性は低いとの見解でも当局者らは一致したが、域内の一部が深刻な景気下降に陥れば、域内他国に広がる可能性はあると認めた
新たな条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)が議題に上ったが、決定はされなかった
  
  ECBはこの日、政策金利は夏の終わりまで現行水準にとどまると重ねて表明。保有債券の満期償還金の再投資は利上げ開始の「後も長期にわたり」継続することも確認した。

関連記事:ECB:金融政策を据え置き、ユーロ圏経済減速の中
ドラギECB総裁:フォワードガイダンスは緩和の度合いを高めた

原題:Draghi Sounds Economic Alarm With Risks Now Tilted to Downside(抜粋)
Draghi Sounds Economic Alarm as Risks Tilt to the Downside (1)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLU9C66S972H01?srnd=cojp-v2


 

ビジネス2019年1月25日 / 01:04 / 1時間前更新
ECB理事会後のドラギ総裁発言要旨
Reuters Staff
3 分で読む

[フランクフルト 24日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は24日、主要政策金利を予想通り据え置いた。ユーロ圏経済が急減速しているにもかかわらず、金利は少なくとも夏にかけて現在の記録的な低水準を維持する方針を維持した。

ドラギ総裁の理事会後の記者会見での発言は以下の通り。

<ユーロ圏外の需要軟調>

外需が軟調となっていることで、入手されつつあるデータは予想より軟調となっている。

<保護主義の脅威>

地政学要因と保護主義の脅威に関連する根強い先行き不透明感が、経済的な心理の重しとなっている。

<大規模な刺激不可欠>

域内物価圧力のさらなる醸成や中期的な総合インフレ動向を後押しするため、大規模な金融刺激が依然不可欠だ。これは主要政策金利を巡る政策運営方針によって供与されるとともに、大量の取得資産の償還資金再投資によって強化される。

<あらゆる手段を調整の用意>

インフレ率が引き続き持続的な形で理事会の目指す水準に確実に向かうよう、理事会としてあらゆる政策手段を適宜調整する用意がある。

<銀行は力強さを増した>

全般的に、銀行セクターは危機開始前よりかなり力強さを増した。

<リセッションの公算は小さい>

理事会ではリセッション(景気後退)に陥る公算は小さいとの見方で一致した。

<新たな貸出条件付き長期資金供給オペ>

新たな貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)について数人から言及があったが、何も決定されなかった。これは今回の理事会では政策について討議はせず、評価(アセスメント)のみに焦点を当てたことが理由だ。

<アセスメントは政策に影響する>

明らかに、アセスメントは政策に影響を及ぼす。ただ今回は討議しなかった。

<アセスメントであり、政策協議ではない>

今回の理事会では(リスクの均衡の変更を巡る)政策への影響については討議しなかった。今回は主にアセスメントに焦点を当てた。われわれが今どこにいるのか、減速はどの程度継続するのか、減速は悪化するのか、それとも若干の減速が長く続くのか。そういったことが討議された。

<基調的インフレは抑制>

総合インフレは今後数カ月でさらに低下する公算が大きい。基調インフレ指標は依然おおむね抑制されているが、高水準の生産能力活用や労働市場の引き締まりを背景に、労働コスト圧力は引き続き強まり、拡大している。

<中期的インフレ>

ECBの金融政策措置や進行中の景気拡大、賃金の上昇を追い風に、基調インフレは中期的に高まる見通し。

<短期的成長>

短期的な成長の勢いは従来予想よりも弱い公算が大きい。

<世界景気拡大の減速>

世界の経済活動の拡大が依然として幾分減速しているものの、ユーロ圏の景気拡大は好ましい資金調達状況や一段の雇用増加、賃金上昇、エネルギー価格下落に引き続き支えられていく見通しだ。

<リセッションの公算小>

景気後退の公算が小さいとの見方で一致している。 数字に言及したくないが、一部指標は非常に低く、他は直近50、60年来平均水準にある。いかなる場合でも(景気後退の公算は)非常に低い。

<不確実性が鍵>

一般的な不確実性の持続が、評価の主要ポイントという点で意見が一致した。これが持続すれば、勢いの弱い状態が短期を越えて長引くとみている。

<全会一致>

勢いが弱まり、成長リスク均衡が変化しているとの認識で一致した。一般的な不確実性が増大したことなど、減速要因の評価でも一致している。

<多国間ルールを巡る疑問>

保護主義の脅威を背景とした一般的な不透明感が高まっている状況だ。第2次世界大戦以降の成長を下支えした多国間ルールを巡り、実際に懐疑的な見方が広がっている。

<保有証券の償還資金再投資>

保有証券の償還資金再投資については、いずれにせよ利上げ後も必要なだけ長期にわたり完全な形で継続していく意向だ。

<賃金の伸びが景気後押し>

融資環境による支えや良好な労働市場、賃金の伸びが引き続き域内の景気拡大や緩やかなインフレ圧力の高まりを後押ししている。

<インフレは目標水準に収れんへ>

こうした事柄が、中期的にインフレ率が2%をやや下回る水準へ持続的に収れんしていくと信ずる根拠になっている。

<下振れリスク>

地政学的要因や保護主義の脅威、新興国市場の脆弱性、金融市場のボラティリティーに絡む不透明性が根強いことから、域内の成長見通しを巡るリスクは下向きに移行した。

<市場の金利予測>

市場はECBのフォワードガイダンスの付帯条件を踏まえ、2020年に利上げが開始されるとの予想を織り込んでおり、市場がECBの政策反応機能を理解していることを示している。

<ブレグジットを巡る不透明性が経済リスクを増大>

英国の欧州連合離脱(ブレグジット)がユーロ圏全体にもたらす潜在的な混乱の影響はさほど大規模のようには見られない。だが、一部の国はブレグジットの影響へのエクスポージャーが大きく、われわれはバリューチェーン(価値連鎖)といった影響を考慮する必要がある。

<3月の討議>

ECB理事会はさらに時間をかけ、すべてのリスク要因が景況感に影響しているかどうかを見極める意向で、新たな経済予測を発表する3月に再び討議する。

<ドラギ総裁の後任>

(後任選定ペースの加速について問われ)答えるのは難しく、私自身の見方がやや偏っているが、(どうなるかは)分からない。おそらく私のような人物なのか。理事会の認識については知らない。

<ECBは緊急事態検討へ>

次の段階は、現在の成長鈍化が持続的と最終評価を下した後、さまざまな緊急事態や要素を検討するかにかかっている。

どんな緊急事態に特定の措置が求められるのかについて憶測を交えたくないが、現有する複数の手段を検討すれば、選択肢が枯渇したとの指摘は事実に反すると結論付けられる。

あらゆる手段が引き続き利用可能だ。

<追加(T)LTRO>

金融政策余地の多様化に対応するため、TLTROや長期流動性供給オペ(LTRO)という手段を保持したいと考えている。

政策金利を引き下げたが、融資金利の低下につながらなかった2012─13、14年の状況再発を望まない。
https://jp.reuters.com/article/draghi-comments-idJPKCN1PI2C5


 


為替フォーラム2019年1月24日 / 10:21 / 12時間前更新

ユーロ相場、域内失速でも堅調の訳=唐鎌大輔氏
唐鎌大輔 みずほ銀行 チーフ・マーケットエコノミスト
4 分で読む

[東京 24日] - 世界的に景気の停滞感が強まる中、ユーロ圏の減速は特筆すべきものがある。国際通貨基金(IMF)は21日、昨年10月に公表した世界経済見通しを改定し、2019年の成長率見通しを3.7%から3.5%へ引き下げた。このうちユーロ圏は1.9%から1.6%へ下方修正した。

とりわけ失速著しいのが、18年7─9月期の成長率が14・四半期ぶりのマイナスに落ち込んだドイツであり、19年の見通しは1.9%から1.3%へ0.6ポイントも引き下げられた。

18年9月に施行された新たな排ガス基準への対応が遅れ、自動車生産が一時的に落ち込んだだけという見立てが多いが、そもそも世界経済が減速基調にあることを思えば、ドイツ経済の要である輸出の先行きは悲観的にならざるを得ない。この先、ドイツの成長が加速する公算は大きくなさそうだ。

他のユーロ加盟国に目をやると、民衆の抗議デモにあえぐフランスの成長率が1.6%から1.5%へ、政局混乱から新年度の予算編成がもたついたイタリアが1.0%から0.6%へ下方修正され、ユーロ圏3大国の成長率がさえない結果となった。

これまでは、好調なドイツ経済がユーロの一部加盟国のもろさを糊塗(こと)してきたわけだが、現状はそれとは真逆の様相である。なお、米国の見通しについては据え置かれ、日本については上方修正された。日米欧3極の中で、ユーロ圏の劣後感が一段と際立つ格好となった。

<ユーロ相場を支える資本フロー>

ところが、誰が見ても不調と言わざるを得ないユーロ圏の政治・経済情勢とは裏腹に、ユーロ相場には底堅さが漂う。

昨年11月以降、ユーロ/ドルは1.14ドルを挟んでほとんど方向感が乏しかったが、19年の年明け直後には1.16ドルに迫る場面すら見られた。これは昨年の秋からドル相場が急落しているという「敵失」による部分が大きく、決して域内情勢を前向きに評価したものではない。

ただ、ユーロ堅調の理由はそれだけとも言い切れない。域内の政治・経済が勢いを欠いているために、投資家のセンチメントの改善が進まず、対外的にリスクを取る動きが盛り上がらないという側面もあるのではないだろうか。その結果、為替市場におけるユーロ売り・外貨買いも抑制されている可能性がある。

域内情勢が影響し、域外から入ってくる資本フローは当然多くない。その一方、域外経済を目指して出て行く資本フローも統計上は多くない。こうした事実は、ユーロ圏の国際収支統計における対内・対外証券投資の動向から確認できる。

まずは対内証券投資に目をやると、直近3年間でユーロ圏への積極的な買い越し(流入)が見られたのは、17年前半と18年前半(厳密には1─4月ごろ)ぐらいである。それ以外はユーロ建て資産を物色しようという雰囲気はあまり見て取れない。

17年前半の前者の時期は、マクロン仏大統領誕生に端を発する欧州連合(EU)の政治安定化への期待が強まり、メルケル独首相と合わせた「ダブルM」や「メルクロン」といった造語も飛び交っていた。英国ではEU離脱(ブレグジット)に向け、米国ではトランプ大統領の誕生を受けて情勢が混沌としていただけに、独仏の政治的な安定に寄せる期待が膨らむのも無理はなかった。

18年前半の流入は、欧州中央銀行(ECB)の金融政策正常化プロセスを見込み、ユーロ建て資産への投資が活気づいていたタイミングと重なる。

しかし、18年後半に入ると、ユーロ域内への証券投資はほぼ途絶している。ブレグジット交渉の混迷に加え、域内の基礎的な経済指標が軒並み悪化し続けている状況を受けて、ユーロ圏を敬遠する投資家が増えたのではないかと推測する。

一方、域内から域外への対外証券投資は買い越し(流出)基調だが、こちらもその勢いはにわかに衰えており、18年9月以降は売り越し(流入)が膨らんだ。域内企業が域外に留保していた資金を還流(レパトリエーション)させた結果、ネット資本フローが大幅流入に転じている。

<細る「欧州から米国」のフロー>

ユーロ/ドル相場と資本フローの関係性を見る上では、ユーロ圏と米国間の証券取引動向にも目を配りたい。米財務省が公表する「対米証券投資統計(TICデータ)」が参考になる。

この統計にはユーロ圏というくくりが存在しないため、「英国を除く、その他欧州」の数字を使うが、基本的に両地域間を流れる資本の方向感は、「欧州から米国」ではなく「米国から欧州」である。なお、欧州からの投資は英国を経由している部分が小さくないと推測されるため、実際は相当額の「欧州から米国」のフローが存在するとみられる。しかし、18年に限って言えば英国から米国への資本流入も細っている。

統計の中身を具体的に見ると、欧州から米国への証券投資は17年通年で約650億ドルの売り越しだった。それが18年1─10月には、売り越し額が約1138億ドルとおおむね倍のペースで膨らんでいる(TICデータは本来11月分まで出ているはずだが、米政府機関閉鎖の影響で10月までしか確認できていない)。

一方、英国から米国への証券投資は17年通年で約2839億ドルの大幅な買い越しだった。それが18年1─10月には約820億ドルの買い越しへと急ブレーキがかかっている。

こうしたデータを見る限り、政治・経済の混沌とした状況などを背景に域内のリスク許容度が低下し、欧州から米国への資本フロー(対外証券投資)が抑制されている傾向がうかがえる。数字上のこうした事実は、ユーロ(やポンド)の対ドル相場を考える上では「追い風」だろう。また、世界最大の経常黒字を抱えるユーロ圏が域外への投資を控えれば、実需もユーロ買いが優勢となりやすいはずである。

ユーロ相場が堅調に推移している背景には、「ドル安による敵失」というシンプルな理由以外に、資本フローが域内に偏在しがちであるという事実も考慮したいところである。域内・国内の政治・経済情勢が芳しくなくても、当該通貨が値を下げないどころか騰勢を強めることもある。それは、災害時などにレパトリが起きやすい日本でおなじみのメカニズムだ。

ユーロとドルは基本的に「弱い者比べ」の様相が続くと思われるが、金融政策とそれに付随する金利が巻き戻す余地が大きい分、年内のユーロはむしろ対ドルで強含みやすい局面が続くのではないだろうか。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

(編集:久保信博)

唐鎌大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト(写真は筆者提供)
*唐鎌大輔氏は、みずほ銀行国際為替部のチーフマーケット・エコノミスト。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構後、日本経済研究センター、ベルギーの欧州委員会経済金融総局への出向を経て、2008年10月より、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。欧州委員会出向時には、日本人唯一のエコノミストとしてEU経済見通しの作成などに携わった。著書に「欧州リスク:日本化・円化・日銀化」(東洋経済新報社、2014年7月) 、「ECB 欧州中央銀行:組織、戦略から銀行監督まで」(東洋経済新報社、2017年11月)。新聞・TVなどメディア出演多数。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-euro-daisuke-karakama-idJPKCN1PI03T

 

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/717.html

[国際25] iPhone低迷、アジア供給網に「ひび割れ」波及も
コラム2019年1月24日 / 15:08 / 8時間前更新
iPhone低迷、アジア供給網に「ひび割れ」波及も
Robyn Mak
2 分で読む

[香港 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米アップル(AAPL.O)主力携帯端末「iPhone(アイフォーン)」のひび割れが、アジアのサプライチェーンにも現れ始めている。

同社のスマートフォン「アイフォーン」の液晶画面を製造するジャパンディスプレイ(JDI)(6740.T)が、中国国有ファンドなどから出資を受け入れる「詰めの協議」に入っていると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が22日報じた。

背景にはスマートフォン全体の販売不振がある。JDIがこうした支援を受け入れれば、アップル低迷の波及効果の甚大さが裏付けられ、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業(フォックスコン)のような他のサプライヤーの苦境を予兆するものとなる。

WSJが関係筋の話として伝えたところによると、苦境に陥っているJDIの株式の約30%と引き換えに、中国政府系ファンド「シルクロード基金」が台湾のタッチパネルメーカーのTPKホールディング(3673.TW)と組み、約600億円投資することが協議されている。

2社はJDI取締役会の過半数を獲得することになり、将来的には出資比率が引き上げられる可能性もあるという。

JDIの時価総額にほぼ相当する資本注入は同社が待ち望んでいた支援だろう。日本の官民ファンドが筆頭株主である同社は7年前、不振にあえぐ日立(6501.T)、ソニー(6758.T)、東芝(6502.T)の各ディスプレイ事業が統合されて設立された。しかし中国勢とのし烈な競争もあり、同社は2015年以降、赤字が続いている。

価格が約1000ドル(約11万円)のアイフォーンXのような高級機種向けの次世代スクリーン開発においても、韓国サムスン電子(005930.KS)などに後れを取っている。

今年のスマートフォン販売の見通しが暗いことも頭痛の種となっている。売り上げの6割をモバイル端末に頼るJDIは昨年11月、通期の売上高見通しを従来の最大20%増から5─15%増に下方修正した。

結局、JDIはアップルと「一蓮托生」なのだ。アップルは年初に第1・四半期(昨年12月29日まで)の売上高見通しを下方修正したと異例の発表を行い、市場に動揺が走った。

中国経済の減速に起因するアップルの問題は、アジアのサプライヤーにも間違いなく当てはまる。時価総額320億ドルのアイフォーン受託生産最大手フォックスコンの株価は、この半年ですでに30%下落している。サプライヤーはアップルがもたらす悪影響を最小限にとどめようと全力を挙げている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-apple-iphone-asia-idJPKCN1PI0GC
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/310.html

[政治・選挙・NHK256] 日米韓同盟頓挫し、韓国に「やられまくり」のアベノミクス日本…)トランプが戦争無き世界作りをリードする? 
日米韓同盟頓挫し、韓国に「やられまくり」のアベノミクス日本…】トランプが戦争無き世界作りをリードする?D
2019-01-25 00:01:06 | 日本
(前回からの続き)
 米ドナルド・トランプ大統領の先日のツィート「Stop the ENDLESS WARS!」(終わりなき戦争を止めよう!)が示唆するとおり、アメリカは今後、自国が関与する戦争等を次々に終わらせ、軍隊とマネー(≒財政資金)を国内に引き戻し、これをメキシコ国境の壁建設(・・・は口実で、じつは巨大な治安維持軍の創設!?)に充てるものと思われます(?)。このアメリカの動きはアジア、つまり日本周辺でも今後、加速することは必至でしょう(?)。では、このアメリカ去りし後の世界で、わが国はどうするべきか・・・
 いちばんのカギは・・・やはり中国でしょう。すなわち、こちらの記事に書いたとおり、日本としては、近隣国で最大の政治経済的な影響力を有する中国との関係強化を図るのが現実的な策ということです。考えてみれば、中国を含め、ロシアや韓国そして北朝鮮と、周りはどこも(失礼ながら)「やっかい」な国々に思えますが、それは、これまでは日本の背後にはアメリカがいるから、という面があるわけです。逆にいえば、だからこそ日本は安保をアメリカに依存し、アメリカは日本から様々な利益を得てきました。その、頼りとしてきたアメリカがいま、自分の方から去ろうとしています。ならば、この同盟国と友好関係を維持し(かつ、その上記苦境を思いやり)つつも、わたしたちはもっと自立的な外交を展開しなければならない・・・
 東アジアの現状をみたとき、朝鮮半島を筆頭に主要な問題の中核にいるのは、中国です。したがって、近未来のポスト・パクスアメリカーナ(?)の時代に、この国と対立関係にあることは国益の観点から危険きわまりないこと。それは、韓ロも北も中国との密接な連携を図るしかないなか、本地域での日本の孤立を意味するからです。すなわち、このとき「中ロ韓北 vs. 日」(米は関知せず?)の構図が成立し、彼らは一体となって、領土問題等に対して、アメリカの後ろ盾の弱まった日本にプレッシャーをかけてくるおそれがあります。よってこの孤立化、絶対に避けるべきで、そのためにも対中関係のもう一段の進展が求められるわけです。
 ちなみに最近、日米韓で同盟強化を!つまり、これで中朝両国とロシア(?)に対抗しよう!みたいな主張を見聞しますが、この図式が成り立たないのは明白です。アメリカは上記のとおり、中朝と事を構える気概もおカネもないでしょうし、だからといって米抜きで日韓同盟?って、絶対にあり得ない・・・ばかりか「日本はアンチ中国の同盟を欲するから、われわれに厳しく当たることはできまい。それどころか、すり寄ってくるだろう。であれば・・・」というわけで韓国は、アベノミクス日本のそんなトンデモ戦略?を完璧に見透かしたうえで、わが国に対して「やりたい放題」(?)なわけです。いっぽうの本邦政権、脳内の南シナ海海戦「日米韓 vs. 中の艦隊決戦編」(!?)に夢中なせいか、事実上、韓国に何もできずじまい・・・。こうして日本は、かの国の国際法違反まがいの行為に振り回され続け、固有領土である竹島とその周辺の広大な経済専管水域をいつまで経っても取り戻せずにいるわけで・・・
 といったあたりを含め、日本はそろそろ「異次元緩和」・・・も、そうだけれど、こうした「異次元外交」を改め、「終わりなき戦争が終わる」現実を踏まえた国際戦略を立て、これに沿って動くべきだと考えます。さもないと、近い将来、米韓が相次いで北朝鮮と国交を結ぶなか、周辺国の妨害(?)で日本だけが北との国交正常化を果たせない、みたいなことになって・・・拉致問題の解決が遅れるばかりですよ!
(続く)
https://blog.goo.ne.jp/subaru-leaves05

【米大統領「終わりなき戦争が終わる!」とツィート】トランプが戦争無き世界作りをリードする?@
2019-01-17 00:00:32 | アメリカ
 こちらの記事に書いたように、やはり「アメリカはもう戦争ができない」し、現・米大統領はそれを十二分に認識しているということなのでしょうね・・・
 米ドナルド・トランプ大統領は今月8日、自身のツイッターで「終わりなき戦争はついに栄えある終結に至るだろう!」(Endless wars will eventually come to a glorious end!)と呟きました。で、ここの戦争(「wars」と複数形になっている)が何を指すのか、といえば、直訳すると「何年も前の政策判断ミスによって遂行されているもの」と、「アメリカのおかげで大きな利益を得ている豊かな国々から財政的・軍事的な援助がほとんど得られていないような場所で行われているもの」の2つです。
 このツィート、文字通りに捉えればシンプルに素晴らしいことだし、様々な観点からじつに興味深いと思います。いちばんのインパクトは、SNSとはいえ、現役の米大統領が、戦争が終わる、と世界に向けて発信したこと。これ、本意としては、アメリカが主体的にやってきた国外での戦争行為を止める、と解釈するべきでしょう。あらためてスゴイことだと感じます。そもそもこれまでアメリカがヤルから世界中で戦争が起きていた面があるわけで、それが終わるということは、つまり同国はもう戦争をしないと宣言するに等しいですからね。
 では、具体的にどの戦争を終えるのか、ですが・・・上記前者については、2001年の同時多発テロ以降、おもにアラブ地域において延々と行われてきた「テロとの戦い」のことでしょう。
 実際アメリカは、イスラム国(IS)の掃討がほぼ完了したことを受け、シリアから米軍を撤収させようとしています。ただし、このままだと、トルコからの分離独立をめざし、アメリカがISとの戦いにおいて支援してきたクルド人勢力が、彼らをテロリストとみなすトルコと軍事衝突するおそれが高まります。そこでトランプ大統領は14日のツイッターで、もしトルコがクルド人を攻撃したら経済的に荒廃させる、とトルコに警告したうえで、クルド人勢力にもトルコを刺激してほしくないと訴え、「トルコ、ロシア、イラン、シリアはシリア内のISを打倒するという長期的な米政策のもっとも大きな受益者だった、アメリカも恩恵を受けているが、米軍を帰還させる時が来た。終わりなき戦争を止めよう(Stop the ENDLESS WARS)!」と、最後を大文字にして強調しながら、熱く呼び掛けています。
 個人的にはこのツィートに100%同感です。トランプ氏の思いのとおり、この地域から戦争がなくなり、米軍が無事、母国に帰還できる環境が整うよう、願っています。

【米大統領、NATOから米軍を撤収させたい、との心情を吐露】トランプが戦争無き世界作りをリードする?A
2019-01-19 00:02:49 | アメリカ
(前回からの続き)
 アメリカのドナルド・トランプ大統領が、ついに終わる!とツィートした2つの「終わりなき戦争」(ENDLESS WARS)ですが、1つ目は前述、おもにアラブ地域で行われてきた「テロとの戦い」だと思われます。そしてもう1つ―――「アメリカのおかげで大きな利益を得ている豊かな国々から財政的・軍事的な援助がほとんど得られていないような場所で行われているもの」(those where we are getting little financial or military help from the rich countries that so greatly benefit from what we are doing)は・・・やはり欧州地域の軍事同盟すなわち「北大西洋条約機構」(NATO)のことを指しているとみて間違いないでしょう。
 このあたりに関してアメリカの有力紙「N.Y. Times」が14日、トランプ大統領が昨年、複数回にわたって、NATOから米軍を撤収させたいとの意向を周囲に語っていたと伝えました。以前から他のNATO加盟国の資金分担が低いことに不満を募らせている同大統領ですが、同年7月のNATOの会議では、アメリカのNATOに対するコミットメントはたいへん強く、同盟関係はたいへん重要と述べていました・・・が、本心はどうやらこちら―――NATO離脱のほうだった、ということでしょう。でなければ、いまのこのタイミングで「rich countries」がアメリカをほとんど助けてくれていない地域での戦争なんて終わりだ、みたいなことを全世界!に向けて呟くはずはありませんからね・・・
 で、そのNATOの仮想敵は・・・いうまでもなくロシア。ここで、もし米大統領が、同国を自身の真の脅威とみなしているのならば、NATO脱退はもちろん、前述したシリアからの撤収などもけっして考えないでしょう。でも実際にそうしようとしているのは、ビジネスライクな思考の現大統領が、少なくともロシアと敵対するより、米軍を母国に引き上げるほうが国益上のメリットが大きいと判断したからにほかなりません(?)。ということは・・・おそらくロシア・・・のプーチン大統領らとは、中東および欧州エリアの緊張緩和に関して何らかの話がついている(あるいは、これから話をつける)、とみるべきではないでしょうか・・・
 そして、現実はさらに進んでいて、欧州とロシアは政治経済的なつながりを強めているといえます。旧東欧圏のチェコやブルガリアの大統領はロシア寄りですし、イタリアやオーストリアの連立政権もロシアに宥和的な姿勢を示しています。そしてEUの盟主ドイツは昨年夏、ロシアと、両国間をバルト海経由で直接結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」計画の推進で合意しています。であれば―――欧州各国がそれほどロシアと仲良くするのなら―――オレたちが巨大コストを払ってまで欧州をロシアの脅威から守る必要なんてないから、もう国に帰るよ、とトランプ氏が思ったとしても不思議ではないでしょう。
 他方で最近のアメリカは・・・イラン核合意からの離脱等で中東情勢の雲行きを怪しくさせるなど、欧州にとっては影が薄い・・・というより、むしろ余計なトラブルを引き起こす始末(?)。だからこそ欧州はロシアと接近せざるを得なくなっている面もありそうですが・・・

【朝鮮半島「戦争は無し」が米朝および中韓露のコンセンサス】トランプが戦争無き世界作りをリードする?B
2019-01-21 00:04:04 | アメリカ
(前回からの続き)
 本稿でご紹介している米ドナルド・トランプ大統領のツィート「Stop the ENDLESS WARS!」に関して、前回、同氏が本心で欧州から米軍を引き上げたいと思っている様子と、すでにアメリカ去りし後の欧州情勢を見越して、ドイツなどの欧州各国がロシアとの結びつきを強めている現状について綴りました。
 これ、トランプ氏は、こうして欧州では緊張緩和を進めるけれど、その他の地域では戦争状態を継続・・・なんてことではけっしてなく、「WARS」(複数形)が示すとおり、欧州と同様・・・アジアにおいても、終わりなき戦争を止めよう!と真剣に考えている、とみるべきでしょう。さもないと、アメリカの対外軍事費等の負担は減りようがなく、同国は後述する本質的リスクに対処することができなくなりますからね・・・
 そのアジアですが・・・ご存知のとおり、アメリカには大きく2つの懸念があるわけです。1つ目は北朝鮮、そして2つ目は中国。まず前者ですが・・・アメリカは北朝鮮に対して、経済制裁等は行使しつつも、戦争オプションは選択せず(というか、選択し得ず?)、あくまでも交渉によって平和的に、かの国の核廃棄達成を図るつもりでしょう。実際、北朝鮮高官がアメリカを来月訪問することが決まりましたし、先日は中朝首脳が中国で会談したりしているので、朝鮮半島周辺では「戦争無し」が(アベノミクス日本を除く!?)米・中・朝・韓・露のコンセンサスになっているものと思われます。
 で、米朝が晴れて何らかの合意に至れば、次は・・・これまで続けられてきた(現在は休戦中の)朝鮮戦争の終結宣言等となるでしょう。これによってこの地域では文字通りの「ENDLESS WAR」が終わるわけです。同時に・・・米朝両国が国交を樹立、そしてもしかしたら、韓国と北朝鮮も国交を結ぶようになるかもしれません(?)。このあたり、民族の分断状態を固定化する!みたいな反対論が出ることも想定されますが、将来のしかるべき時に南北統一に向けた交渉を開始するといった条件等を付せば、不可能ではないように思えます。
 そして中国ですが・・・トランプ大統領の同国に対する最大の「いらだち」は、米中間の貿易不均衡問題、つまり戦争とは無縁の話です。たしかに両国間には「南シナ海」とか少数民族の人権抑圧などといった、軍事面が微妙に関係するテーマが無いわけではありません。しかし、これらは、いまの米政権そして一般国民にとっては、アメリカから見て地球の反対側の出来事だから、関心の高い問題にはなり得ないはず。そんなことより、自分たちの生活やビジネス等に直結する上記、米中の経済対立の行方こそが重大事。要するに中国もアメリカもお互いから経済的な利益を得たいわけで、これらをすべてブチ壊す戦争なんて考えられません。そもそもアメリカにとって中国は、こちらの記事等で書いた理由から、世界でいちばん戦争相手にしたくない国ですし、もちろん中国にとってのアメリカも同じでしょう。
 こうみてくると、いまのアメリカにとってはアジアもまた、欧州と同様、終わりなき戦争や対立をなくすべきエリアであることが分かるわけです。
(続く)

【米軍の海外からの撤収は国境の壁建設のためなのか】トランプが戦争無き世界作りをリードする?C
2019-01-23 00:03:50 | アメリカ
(前回からの続き)
 米ドナルド・トランプ大統領が自身のツイッターで「終わりなき戦争を止めよう!」(Stop the ENDLESS WARS!)と呼びかけ、先述のとおり、実際にアメリカはこれに基づく様々なアクションを世界各地で実行しているところです。
 では米政権は、これによって浮いた財政資金、そして国内に引き戻した米軍で、いったい何をしようというのか、ですが・・・トランプ氏が日常から訴えていることから推測すれば、米本土南部のメキシコとの国境の防衛等に充てる、ということなのでしょう。つまり、ご存知のとおり、不法移民がこれ以上メキシコからアメリカに入れなくなるよう、57億ドルをかけて国境の壁を建設し、合わせて国境に沿って軍隊を配置等する、というもの。常識的に考えると、ベルリンの壁(165キロ)などとはけた違いの約3千キロ!に及ぶ米墨国境に物理的な壁を作ったりすることの実現性とか実効性が疑われるところですし、このあたりの予算措置が米連邦議会で承認されるかどうか予断を許しませんが、超強気な姿勢から見る限り米大統領は、本心からこれを進めようとしていると考えられます。
 たしかにトランプ氏がいうように、当該国境地帯では人身売買や薬物流入など、不法移民に関係していると思われる問題が多発しているようです。それにこのエリアにおけるフードスタンプ受給者の相当数が不法移民であり、その意味では米財政が「不法」なアメリカ入国&在住によって圧迫されていることになります。そういったことで、トランプ氏のこのあたりの危機感は少なからぬ米国民にも伝わり、だからこそ同氏は大統領に選ばれて、この何とも現実感の希薄な(?)プロジェクトが本当に動き出そうとしているわけで・・・
 ・・・って、個人的には、ゆえにトランプ大統領は欧州やアジアなどから米軍を母国に帰還させようとしているのだ・・・とは素直に思えないところがあります。まあちょっとは壁建設のために、がその理由になるのでしょうが、もっと本質的には・・・近い将来のアメリカにおいて不可避のクライシスすなわち治安悪化!?に対処するための財政資金と武装要員をいまから国内に準備しておこうというのが、本当に本当の米政権のねらいなのではないか、と勘繰っています。このへんはこちらの記事等に書いたとおりです。つまりこの先、アメリカでは巨大資産バブルが壊滅して経済恐慌が発生するとともに、年金支給額や公的サービスの大幅カット等が余儀なくされ(あるいは、すさまじいインフレになって)、その結果、大量の失業者やら退役軍人やらが街にあふれ出し、政府非難を大合唱しながら、食べ物や着る物を得ようと・・・みたいなことが起こりそうだ、ということ。ここで真にオソロシ〜のは、彼ら彼女らの大半(?)が、自己防衛の範疇をはるかに超えるスゴ〜イ殺傷力の・・・「銃」を持っていることです・・・
 これ、「まさか・・・」でしょうか? わたしはそこまで楽観的(?)にはなれません。それどころかアメリカ国家と社会は、いまのままでは、こうして分裂と混沌に向かう以外、ないのではないか、とさえ悲観しています。この悲劇を食い止めるには、当座は強力な治安維持軍とそのためのおカネを欠かすわけにはいかない・・・というわけで米政権は、壁建設を大義名分に、海外の軍事コストの削減と軍隊の引き戻しを急いでいる・・・のかもしれない、と考えています。
(続く)
https://blog.goo.ne.jp/subaru-leaves05
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/657.html

[政治・選挙・NHK256] 「慰安婦」など表記変更、ジャパンタイムズで何が起きたか 慰安婦」など表記変更しリベラルと訣別? 
2019年1月25日 ロイター
「慰安婦」など表記変更、ジャパンタイムズで何が起きたか
1月25日、日本の代表的な英字新聞、ジャパンタイムズの新オフィスで、昨年12月3日、同社幹部と十数名の記者らが激しい論争を繰り広げた。2012年8月、東京で撮影(2019年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 25日 ロイター] - 日本の代表的な英字新聞、ジャパンタイムズの新オフィスで、昨年12月3日、同社幹部と十数名の記者らが激しい論争を繰り広げた。対立に火をつけたのは、日韓摩擦の火種となっている「慰安婦」と「徴用工」について、11月30日付の紙面に掲載された「editor’s note」(編集長の説明)だった。

ソウルの慰安婦像
写真は2017年、ソウルの慰安婦像(2019年 ロイター/Kim Hong-Ji)
 今後、ジャパンタイムズは徴用工を「forced laborers (強制された労働者)」ではなく「戦時中の労働者(wartime laborers)」と表現する。慰安婦については「日本の軍隊に性行為の提供を強制された女性たち(women who were forced to provide sex for Japanese troops)」としてきた説明を変え、「意思に反してそうした者も含め、戦時中の娼館で日本兵に性行為を提供するために働いた女性たち(women who worked in wartime brothels, including those who did so against their will, to provide sex to Japanese soldiers)」との表現にする。

 こうした編集上層部の決定に、それまでの同紙のリベラルな論調を是としてきた記者たちは猛反発した。

「反日メディアであることのレッテルをはがしたい。経営陣として『アンチジャパン(反日)タイムズ』ではとても存続できない」と説明する水野博泰・取締役編集主幹に、記者側からは「ジャーナリズムの自殺行為だ」、「ファクト(事実)が問題であって、リアクション(読者らの反応)が問題なのではない」などの批判が噴出した。

 安倍晋三政権に批判的だったコラムニストの記事の定期掲載をやめてから、安倍首相との単独会見が実現し、「政府系の広告はドカッと増えている」と編集企画スタッフが発言すると、「それはジャーナリズム的には致命的だ」との声も。翌日に開かれた同社のオーナーである末松弥奈子会長とのミーティングでは、発言の途中で感情的になって泣き出す記者もいるほどだった。

 変更の表明から1週間ほどたった12月7日、水野氏は紙面に編集主幹の名で異例の全面社告を掲載した。その中で、同氏は変更によって読者の信頼を損なったことを謝罪したものの、変更自体を撤回する考えは示さなかった。

部数と広告が低迷、厳しい経営続く
 日韓が対立を繰り返す慰安婦、徴用工という論争的な問題について、ジャパンタイムズはなぜ長年続けてきた表現を変更したのか。ロイターは同社幹部、社員、関係者、学識経験者ら数十人に取材し、その実情を探った。

 同紙は日本初の英字新聞として1897年に発刊された。他の多くの日本のメディアと同様、第2次世界大戦中は政府の戦争遂行に協力する紙面を続けたが、終戦後は日本の責任を反省する社説を掲載、民主的な編集方針にかじを切った。「All the News Without Fear or Favor(恐れず、偏らない報道)」とのスローガンを掲げた同紙の報道姿勢にはリベラルとの評価があり、1998年には同紙の慰安婦記事について、保守系雑誌「諸君!」が「国を売るのかジャパンタイムズ」と題する記事を掲載したこともある。

 一方、同紙の経営は厳しい状態が続いている。高度成長期には本紙以外の週刊の媒体を発行するなど拡大策を取ったが、バブル崩壊とともに収益が悪化、生き残りのため大規模なリストラを余儀なくされた。ピーク時に50億円規模だった売上高は、25億円程度に減少している。発行部数は4万5000部、従業員は約130人。販売の低迷だけでなく、リーマン・ショック後に激減した広告収入の改善も大きな経営課題だ。

 1980年代から長らくジャパンタイムズのオーナーだった自動車部品メーカー、ニフコ<7988.T>の小笠原敏晶元会長は2016年11月に死去。ニフコは2017年6月、同社の全株を末松氏が持つニューズ・ツー・ユーホールディングス(千代田区)に売却した。末松氏はジャパンタイムズの会長に就任するとともに、ジャーナリスト経験のある水野氏を取締役編集主幹として招き入れた。

「報道部の雰囲気が変わった」
 編集部門の新しいトップとなった水野氏は次々と新たな指示やメッセージを出し、その一方で記者の間には動揺も広がった。

 同氏の就任後間もない2017年8月、東京新聞は、小池百合子東京都知事が慣例を破って関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典に追悼文を送らないと決めたことについて、「排外主義助長の恐れ」などとする批判記事を掲載した。水野氏はこの記事について、記者宛てのメールで「こういうイデオロギー情報戦に安易に乗っからないようにしたい」と注意を促すとともに、「これを世界に伝えたところで、日本にとっても世界にとっても何1つ生産的、建設的、未来志向の結果をもたらさない」、「この件、報じる価値はまったく無い」などとの見解を示した。

 水野氏からのメールを読んでショックを受けたと、現役記者の1人はロイターに話した。同記者によれば、同編集主幹の下では「こうした話題は慎重に扱わなければならないんだと、報道部の雰囲気が変わった」という。


ソウルの慰安婦増前で2015年撮影(2019年 ロイター/Kim Hong-Ji)
 昨年2月に、同紙は安倍首相との単独会見を行い、新聞紙面とオンライン版に記事を掲載したが、オンライン版の慰安婦に関する部分にはアスタリスク(*)が付き、それをクリックすると政府見解を示す外務省のホームページが開くようになっている。複数の同紙関係者によると、慰安婦の記述にある「forced」の部分が外務省の見解と異なると首相官邸関係者から電話で指摘を受け、水野氏が注記をつけるよう指示したためだったという。

 それから数ヵ月後、水野氏は編集局幹部に対し、過去のジャパンタイムズに掲載された記事に自分の意見をメモとして付記した100ページを超える資料を配布し、慰安婦に関する説明文の「改定案」を提示した。

 それまで使われていた「forced(強制された)」という単語を抜き、「日本の軍隊向けの娼館に従事した女性たち(women who engaged in brothels for the Japanese military)」という表現に変えたいという内容だった。また資料として、過去の同紙、共同通信、AP、ロイターなどの慰安婦関連記事やコラムの1つ1つについて、メモで「ほとんどが韓国側の視点」、「日本をこき下ろしたいだけ」などと批判した。

 これらの表現の変更を巡る記者・編集者と水野氏の議論は、数ヵ月にわたって続いたという。

 昨年10月、韓国の最高裁で、戦時中に日本の製鉄所で働いた韓国人の元徴用工が損害賠償を求めた訴訟で新日鉄住金<5401.T>に賠償金の支払いを命じた判決が確定した。ジャパンタイムズでもこれに関連する記事が増え、あらためて徴用工の英語表記のあり方が社内で議論されるようになった。

外部の圧力は「断固として否定」
 徴用工と慰安婦の表記変更について、水野氏はどう考えているのか。

「1年以上にわたって議論を重ねた末、編集主幹たる私と編集局幹部の判断において最終決定した」。同氏はロイターの質問に書面でこう回答した。修正点に関しては「より客観的な視点を反映した」判断であり、「編集方針の変更を意図したものではない」と明言。同時に、「あたかも政治的圧力を受けたかのように誤解される余地を残した。しかし、ジャパンタイムズは外部圧力に屈したといういかなる見方に対しても、断固として否定する」と答えている。

菅義偉官房長官
写真は2015年、菅義偉官房長官。都内で撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)
 同紙に圧力をかけたかどうかに関して、菅義偉官房長官は1月24日の会見で、「官邸ではまったくない。プレッシャーが具体的に何を指すのか承知していないが、官邸ではあり得ない」と否定した。

 一方、水野氏はロイターへの回答の中で、定期掲載を取りやめたコラムニストには、「常設コラムは休止したが、代わりにOp−Ed欄(オピニオン面)への寄稿について提案した」と説明している。

 同氏は、日経ビジネスの編集委員、ニューヨーク支局長を経て2011年8月から経営者向け教育などを事業とする「グロービス」に参画、広報室長を務めた。グロービス経営大学院の堀義人学長は、提唱する「100の行動から始まる『静かな革命』」の中で、「外国人が日本について知る玄関口となるのは、当然ながら英字メディアである」とし、「英字メディアが海外に誤解と偏見を拡散するのではなく、日本に関する正しい情報と正当な評価を構築する役割を果たす必要がある」と、英文メディアの編集方針に注文を付けている。

 堀氏はジャーナリストの櫻井よしこ氏が理事長を務める「国家基本問題研究所」の元理事でもある。同研究所は昨年11月14日に、「『徴用工の』正しい用語は『朝鮮人戦時労働者』(wartime Korean workers)だ」とする提言をホームページに掲載した。この提言では、「朝日新聞、共同通信などの英語版やジャパンタイムズ記事で、徴用を『forced labor』と訳している場合が多い。これは歴史を歪める誤訳」だと指摘している。

保守派は歓迎、一方で信頼性失ったとの声も
 同紙の表現変更について、同研究所は12月上旬、オンライン上に「ジャパンタイムズの英断を支持する」と題するコラムを掲載。その中で「歴史を歪める表現の是正を求め、提言や意見広告を発表してきた国家基本問題研究所は、同紙の英断を全面的に支持する」とした。また、朝日新聞に慰安婦に関する英文記事の表現の変更を求めてきた弁護士のケント・ギルバート氏は、ツイッターなどで「ジャパンタイムズの決断を応援するメッセージを送ってください」と呼びかけた。


写真は2018年11月、ソウルの最高裁前で撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-Ji)
 一方、ジャパンタイムズの紙面を検証するため、学者らで構成する同紙アドバイザリーボードのメンバーだった佐藤治子大阪大学特任教授(国際政治)は、徴用工と慰安婦に関する記述の変更に関連し、この1年でどのように方針が変わったのかは分からないとしながらも、「クレディビリティー(信頼)を失った。変えなくてもよかった話、それを変えたというのはなぜだろう」と疑問を呈する。そして「政府より右寄りになってしまったということでレピュテーションが変わり、読者も離れる」のではないかと危惧した。

 法政大学社会学部メディア社会学科の別府三奈子教授は今回のジャパンタイムズの表現変更に関連し、一部のメディアが政権寄りの報道姿勢に変遷していると指摘。「政権が(メディアを)コントロールしているというより、社内で上の顔を見て、世論の方を見ている、今は言わないでおこう、というトーンダウンが起こっている。ここ数年急に変わった」と話す。また同教授は、こうした流れは国家の論理と経営者の論理が強くなっている「世界的な潮流かもしれない」と話した。

 ジャパンタイムズは収益立て直し策の1つとして2013年にニューヨーク・タイムズ(NYT)と提携、自社紙面とNYT国際版の2部構成でのセット販売を開始した。ロイターの取材に対し、NYTの広報担当者はジャパンタイムズが慰安婦や徴用工についての表現を変えたことについて、「両社の編集オペレーションは完全に分離されている。ニューヨーク・タイムズはこの問題について正確な表現を使用しており、今後もその方針は変わらない」としている。

(宮崎亜巳、斎藤真理 編集:北松克朗)
https://diamond.jp/articles/-/192069
https://jp.reuters.com/article/japan-times-korea-insight-editorial-idJPKCN1PJ050


 


 
慰安婦」など表記変更しリベラルと訣別? ジャパンタイムズで何が起きているのか
2019年1月25日(金)13時35分
 

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/01/post-11594.php

http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/688.html

[政治・選挙・NHK256] 在日米軍属、大幅増の1万1千人
国内政治ニュース(共同通信)2019年1月25日 / 22:06 / 2時間前更新
在日米軍属、大幅増の1万1千人
共同通信
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 外務省は25日、2018年10月末時点の在日米軍属が1万1857人だったと発表した。在日米軍が報告した人数で、17年10月末時点は7048人だった。前年から大幅に増えたのは、米側が軍属として数える必要がある基地内の食堂や売店の勤務員を17年の報告では漏らしていたため。外務省によると、在日米軍は「今回はより正確な人数」と説明している。

 米軍属は米軍基地で働く民間の米国人で、米軍が直接雇用する食堂などの勤務員のほか、船舶・航空機の乗組員や米軍が契約する請負業者ら。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2019012501002567?il=0
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/689.html

[国際25] 中道派の弱体化、世界の政治をまひ状態に 極右・極左が勢いづき、分断が進む ダボス会議
2019年1月25日 The Wall Street Journal
中道派の弱体化、世界の政治をまひ状態に 極右・極左が勢いづき、分断が進む
ダボス会議
Photo:Reuters
――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

***

 この2年間、世界はまず右派のポピュリストの台頭に、そして次に活力を取り戻した左派に揺さぶられ続けた。いずれも物事を不安定化する根深いトレンド、すなわち中道派支持層が減少していることの産物だ。

 欧州連合(EU)離脱をめぐる英国の混乱や、米国の政府機関閉鎖が示す通り、中道派を支持する層の縮小は各国政府の実行能力を奪っている。さらに移民や貿易、気候変動といった世界共通の課題に立ち向かうのに必要な国際協力もむしばんでいる。

 とりわけ今週、ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)に集まる世界のビジネスリーダーにとっては脅威となる。彼らは中道派政党が主導する市場寄りの政策や世界的な市場開放による最大の受益者だからだ。彼らは次第に左右両極の反政府勢力に対処する必要に迫られている。だがこの両勢力はグローバル化や大手銀行、大手IT(情報技術)企業に対する不信感を除き、ほとんど主張に共通点がない。

 中道派の崩壊は何年もかけて進行中だが、その形態は国によって異なる。西欧では、既成政党から分派した新興政党が勢いを増したことがきっかけとなった。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のサイモン・ヒックス教授(政治学)によると、2007年〜2016年に西欧諸国の社会民主主義(中道左派)政党の得票率は31%から23%に、中道右派政党の得票率は36%から29%に低下した。

受益者は極右・極左
 その主な受益者は極右だが、最近では極左もそこに割り込んできた。ドイツで連立政権を組む中道左派・社会民主党(SDP)と中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)は昨年、どちらも州議会選挙で得票率が大幅に落ち込んだ。一方、反移民・反EUを掲げる新興極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」と移民を支持する環境政党「緑の党」が大きく躍進した。イタリアでは現在、極右政党とポピュリスト左派政党が連立政権を率いている。

 米国と英国では中道派支持者の衰退が主要政党を両極化させ、党内の亀裂も生んでいる。米共和党と英保守党の内部ではエスタブリッシュメント(既成勢力)とナショナリストの対立が深まるばかりだ。

 一方で、英労働党のジェレミー・コービン党首は同党を左傾化し、米民主党では進歩主義者と自称民主社会主義者が同じことをしようとしている。彼らはトニー・ブレア元英首相やバラク・オバマ元米大統領なら決して受け入れなかっただろう政府の介入を提言している。コービン党首は企業の株式の最大10%を従業員の基金に割り当てることを提案し、2020年の米大統領選に向けた民主党の最有力候補であるエリザベス・ウォーレン上院議員は、大企業の取締役の40%以上を従業員の選挙で選ぶべきだと主張する。

 同様の動きは一部の新興国でもみられる。昨年、ブラジルとメキシコでは一度も政権を握ったことのない新興政党の大統領が選出された。ブラジルは極右政党、メキシコは極左政党出身の大統領だ。

逆方向の反動
 政治はどのように分断されたのか。10年前まで右派および左派の大半の既成政党は、権力掌握と票獲得のために徐々に中道寄りとなり、その過程でお互いの立場の多くを認め合った。中道左派はグローバル化と規制緩和を受け入れ、中道右派は社会保障制度を受け入れた。両者ともに移民を支持していた。

 だがこれが結果的に、自分の選択に満足できない有権者を増大させることになった。LSEの政治学者サラ・ホボルト教授は、欧州ではここ数十年間に政党への愛着が薄れてきたと指摘。例えばブルカラーの労働組合員は中道左派に投票すると決まっていた一世代前に比べ、有権者ははるかに頻繁に支持政党を変えるようになった。

 またインターネットの存在が、従来型メディアの寡占状態を打ち破ったのと同様に、従来の政党の牙城を切り崩した。「何の規制も受けずにメッセージを支持基盤や支持基盤の中のオピニオンリーダーに届けられることが、こうした新興政党の大きな力になった」と、アムステルダム自由大学の政治学者カトリン・デフリース教授は指摘する。

 政治的忠誠心の後退とより強力な通信技術という組み合わせが、新興の非主流派政治運動の追い風となった。彼らはただ、中道政党は失敗したと主張するだけでよかった。さらに停滞する賃金や金融危機、歯止めのきかない移民流入などが彼らに道を開いた。

 政治的中道派支持層の消滅は、連立政権の樹立やそのために必要な妥協交渉をはるかに困難にした。オランダの議会では現在、13政党が議席を持っており、マルク・ルッテ首相が所属する中道右派の最大政党でも全議席の22%を占めるにすぎない。これに続く13%の第2党は右翼のナショナリスト政党だ。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、自ら新興中道政党の党首を務め、議会で多数派を占めるが、一方で極右と極左も国民の幅広い支持を集めている。これが同国でリーダーなき反政府デモ「黄色いベスト(ジレ・ジョーヌ)運動」が盛り上がる下地を生んだ。この運動は国内の都市をまひ状態に陥らせ、マクロン氏はいくつかの政策を撤回せざるを得なくなった。

 英国ではテリーザ・メイ首相のEU離脱案が大差で否決され、主な選択肢のどれも過半数の支持を得られない可能性が露呈した。すなわちEU残留か、合意なしのEU離脱(いわゆる「ハード・ブレグジット」)か、その中間案のいずれもだ。

 米国では移民問題ほど、分断の実態を如実に示すものはない。2006年には共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)が、数百万人の不法移民の合法化を求めた一方で、当時上院議員だったオバマ氏を含め、大勢の民主党議員がメキシコ国境沿いのフェンス建設に賛成票を投じた。2016年の大統領選で当選したドナルド・トランプ氏は国境の壁を建設すると支持者に約束し、昨年の中間選挙では多くの民主党候補者がそれを阻止すると約束した。これが対立を深刻化させ、1カ月におよぶ大半の政府機関の閉鎖を招いている。

 ダボス会議はその影響を肌で感じている。国内の政治的混乱に対応するため、マクロン氏、メイ氏、トランプ氏は今年、そろって出席を見送った。

「新たな均衡」へ
 政治的中道派層の縮小が国家のガバナンス(統治)をより困難にしているなら、国際社会の統治はほぼ不可能ということになる。たとえある国がもう1カ国と協定締結にこぎ着けたとしても、「自国でそれを確実に履行できる保証が得られなくなっている」とデフリース氏は話す。

 イタリアの現政権を構成する左翼と右翼のポピュリストは、EUとカナダが締結した自由貿易協定(FTA)を批准しないと警告している。ベルギーの首相は反移民政党が連立政権を離脱したのを受け、先月辞任した。議会の過半数を維持できなくなったためだ。辞任の引き金は、国連が採択した移民協定をめぐる対立だった。

 今後何年かはなお状況が緊迫するだろう。世界の経済システムを下支えする機関が圧力にさらされるためだ。世界貿易機関(WTO)は機能不全に陥るかもしれない。トランプ氏がその正当性に異議を唱えているからだ。トランプ氏が再交渉した北米自由貿易協定(NAFTA)は、民主党の反対により議会でつぶされる可能性がある。EUは既に目前に迫った英国の離脱問題に頭を悩ませているが、EU内でもイタリアやハンガリー、ポーランドから異論が出る可能性がある。こうした国々の政府はEUの統合拡大という前提を疑問視している。

 いつかの時点で中道派と反主流派が同様に自らの立場に適応し、より多くの票を獲得することや共存することを目指せば、政治的安定が戻ってくるだろう。ただ、デフリース氏の指摘するように、イデオロギーの多様性を生み出すこうした勢力が姿を消すことはなさそうだ。「分断化が続くことが新たな均衡だ」

(The Wall Street Journal/Greg Ip)
https://diamond.jp/articles/-/191954

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/315.html

[経世済民130] ダボス会議、中国経済の悲観論が「的外れ」な訳

コラム2019年1月25日 / 18:01 / 6時間前更新
ダボス会議、中国経済の悲観論が「的外れ」な訳
Clara Ferreira-Marques
2 分で読む

[ダボス 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 今年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、昨年の手放しの楽観ムードとは打って変わって、経済の先行きを悲観する発言が相次いでいる。

特に、予想以上に深刻な中国の景気減速を懸念する参加者は多いが、これは少々的外れだ。現在のところ、中国経済の減速ペースは妥当なものであり、当局には政策の発動余地も残されている。

昨年のダボス会議は、近年でもまれに見る陽気なムードに包まれていた。超金融緩和政策を背景に世界経済が同時に成長し、マーケットも好調、資金も潤沢だった。

今年は一転してムードが悪化。自説を主張できたはずの多くの首脳が参加を見送り、出席者の間では、主に中国経済への懸念が広がっている。

ムードを決定づけたのは、国際通貨基金(IMF)だ。IMFは世界経済の成長予測を下方修正。財政出動、大型インフラ投資、流動性供給といった中国の景気対策が不十分なのではないかと警鐘を鳴らした。

貿易戦争も、ダボス会議に暗い影を落としている。著名投資家のジョーシ・ソロス氏は、中国経済が「幅広い分野で下降」していると指摘。冷戦が「熱い」戦争になる恐れがあるとの見方を示した。

確かに不安には根拠がある。中国の昨年第4・四半期の経済成長率は、通年の水準を下回る6.4%に鈍化した。貿易摩擦の弊害も出始めており、消費も低迷傾向にある。

ただ、心強い材料も少なくない。中国で建設がストップすれば真っ先に影響を受ける銅は、生産者からおう盛な需要が報告されている。現物の在庫も記録的な低水準にあり、高品位の鉄鋼原料も引き合いが強い。

中国の電子商取引大手、京東商城(JDドットコム)(JD.O)と提携するユニリーバ(UNc.AS)(ULVR.L)は、中国が最も頼りになる成長源の1つだと指摘。企業経営者や政治家の大半は、貿易戦争がいずれは解決するとの見方で一致している。

ダボス会議に出席した中国の王岐山国家副主席は、2020年までには「まずまずの繁栄」を実現できると表明した。少なくとも、いくらか心強い発言ではある。中国はすでに減税を実施し、銀行の預金準備率も引き下げている。また、デレバレッジ(負債圧縮)に向けた対策もまだ続けており、景気刺激のための政策を出し尽したわけでもない。

できることはまだ残されている。
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-banks-idJPKCN1PJ0T5
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/724.html

[経世済民130] 米国の景気が悪化しても日本経済が大丈夫な理由 株価19年はリバウンド 米国債からリスク投資へ ポンド売巻戻し、リスク後退
2019年1月25日 塚崎公義 :久留米大学商学部教授
米国の景気が悪化しても日本経済が大丈夫な理由

過去は米国の景気が
日本にとって非常に重要だった

「米中貿易戦争」が激化しつつあり、米国の景気にも悪影響が出そうな様相を呈してきた。米国としては、覇権を懸けた“冷戦”で「肉を切らせて骨を断つ」という覚悟ができている模様だから、景気の悪化は避けられないという見方もある。加えて、FRBの相次ぐ利上げによって、米国の景気が悪化するとの見方もある。

 筆者は、メインシナリオとして、「米国の景気は拡大を続ける」と考えている。市場参加者の中には悲観的な人も多いようだが、FRBの強気の判断を尊重したい。

 もっとも、いつの場合でもリスクシナリオを考えておくことは重要だ。そこで、仮に米国の景気が後退を始めたとしたら、日本経済はどのような影響を受けるのかは、あらかじめ考えておきたい。

 戦後の復興期から高度成長期にかけて、「米国が風邪を患うと日本が肺炎になる」といわれていた時代があった。当時は、需要は無限だったが外貨が不足していたため、「米国が不況になって対米輸出が減ると、ドルが不足して必要な資源が輸入できなくなる」というわけだった。

 その後、日本経済のドル不足は解消したが、高度成長が終わると今度は需要不足に見舞われるようになった。内需が不足しているので、対米輸出が減ると景気が悪化し、それを財政による景気刺激策で回復させるというパターンが定着した。

 このパターンが、一時的に消滅したのがバブル期だ。国内の需要が供給を上回っていたため、「海外の景気が失速して輸出が減ったら、その分は国内で売ればいい」といった状況だった。当時、筆者は日本経済の予測を担当していたが、米国の景気について気にしていた同僚は少なかった。米国の動向といえば、日米貿易摩擦が主な関心事項だったのだ。

 バブルが崩壊してからは、一転して米国の景気が重要となった。国内の需要が弱く、輸出が減ると景気を直撃するようになったのが主因だが、為替レートの決まり方が変化したのも大きかった。

 バブル当時は、米国の景気が悪いと輸入が減って米国の貿易収支が改善し、ドル高円安となった。市場は“美人投票”だから、市場参加者が米国の貿易収支に着目していたのだ。

 ところが最近は、米国の景気が悪いと米国が金融を緩和するので日米の金利差が縮小し、ドル安円高になってしまう。市場参加者が、金利差に着目するようになっているためだ。そこで、米国の景気悪化は輸出数量減とドル安円高の両面から日本経済を苦しめることになっているのだ。

 米国のITバブル崩壊やリーマンショックが、日本経済に甚大な打撃を与えたのは記憶に新しいが、これは日本経済の内需の弱さに加えて、ダブルのショックに見舞われたためだったのだ。

 そこで筆者は、「日本の景気に影響を与えるのは米国の景気だ。中国や欧州の景気よりも、米国の景気がはるかに重要だ」と説いてきた。ところが最近、それを微修正しようかと考え始めている。その理由は以下の通りだ。

為替レートが日本の景気に
影響しにくくなってきた
 拙稿「『円安が景気にいい』という定説が実は正しくない理由」で書いたように、最近の動向を見る限り、「円安だと輸出数量が増えて輸入数量が減る」という効果が、以前よりはるかに小さくなっている。

 その理由が解明されないと、今後についてもそう考えていいのか否かは断言できないが、今後も輸出入数量はそれほど為替レートの影響を受けない可能性は高そうだ。円安になって5年以上経過しても、輸出入数量がさほど変化していないことを考えると、何らかの構造変化が生じている可能性が高いからだ。

 そうだとすれば、円高になっても輸出入数量指数にはさして影響しないかもしれない。そうなると、円高が消費財価格を押し下げて個人消費にプラスに作用することなどと考え合わせたとき、本当に円高が景気にマイナスであるのか否か疑わしいともいえよう。

 このように、「米国の景気が悪化すると円高で日本の景気が打撃を受ける」という経路がそれほど懸念されないことに加え、もう1つの「海外の景気が悪化すると日本の輸出数量が減り、国内生産が減り、国内の雇用が減り、失業が増える」という経路についても、以下のように考えると、これまでほどは懸念されないのかもしれない。

米国景気が悪化しても
日本の失業は増えない
 筆者が注目しているのは、昨今の労働力不足である。仮に米国の不況で輸出数量が減り、製造業の生産が減り、製造業の雇用が減ったとしても、比較的容易に失業者は他の仕事を見つけられるから、失業問題が深刻化する可能性は高くない。

 製造業の生産が減ると、期間工が「雇い止め」にあうなど、製造業労働者が失業するほか、部品や製品を運搬する運送業や、工場内を清掃する清掃業などの雇用も減る。通常であれば、彼らは全員が失業者として路頭に迷いかねないが、昨今はそうした業種が労働力不足なので、「製造業からの受注が減ったので、労働力不足が少し緩和してホッとした」といったことになりそうだ。

 工場の期間工などは路頭に迷う可能性があるが、仕事を選ばなければ、すぐに次の仕事が見つかるだろう。今は期間工の奪い合いで賃金も高くなっているが、それが時給の安い仕事になってしまうとしても失業するわけではないから、事態の深刻さは不況期とは全く異なるはずだ。

 期間工がコンビニなどでバイトしようと決意するまでは、多少の時間がかかるかもしれず、一時的には失業率が高まるかもしれないが、それは不況期の失業とは全く異なるものだ。

 一般論としては、不況期に失業が増加すると、財政政策で景気を浮揚させようとするが、財政支出を増やすまでには予算審議が必要であり、予算が通ってからも設計図を描いて建設労働者を募集するまで時間が必要であることなどを考えると、結構な時間がかかると考えるべきだ。

 金融政策も動員されるが、金利が下がってから企業が設備投資を計画して工場建設資材を発注して、それが実際の雇用に結びつくには結構な時間が必要だ。そもそもゼロ金利下での金融緩和の効果については諸説あり、筆者は金融緩和の効果にはあまり期待していない。

 それと比べれば、すでに大量に存在している求人と、新たに失業した製造業の期間工の求職が結びつくのに要する時間は、はるかに短いはずだ。

日本車に関税を
課しても打撃は軽微
 米国の景気悪化とは異なるリスクとして、米国が日本車にも関税をかけようとしていることが挙げられる。もしそうなれば、日本車メーカーには大打撃だ。しかし、日本経済全体としては、過度な懸念は不要だと思われる。

 まず、本当に関税が課されるか否かという問題がある。トランプ大統領は商売人だから、本気で関税を課す気はなく、「米国から武器を買わないと自動車に関税を課すぞ」と脅しているだけなのかもしれない。

 また、日本車は長期間にわたって日米貿易摩擦の中心にあったため、さまざまな対策が取られている。その最大のものは、米国での現地生産である。それにより、米国人を数多く雇用しており、米国の議員もそれは知っているため、米国議会の日本車に対する姿勢は昔よりはるかに温和だ。

 となると、仮に課税されて自動車の輸出台数が減ったとしても、上記したように、それが日本経済全体の失業を増やすことには直結しないだろう。短期的な混乱はあったとしても、全体としての影響は比較的軽微なものだと思われる。

 以上、楽観論を述べてきたが、米国については金融収縮が世界的な金融収縮をもたらすリスクがあり、そちらには目配りしておきたい。米国の金融収縮が世界経済に悪影響を及ぼすというリスクシナリオについては拙稿「今年の日本経済、海外にリスク要因あるが過度な心配は不要な理由」をご参照いただければ幸いだ。

 本稿は以上だが、日米の景気が拡大を続けると考える理由については拙稿「2019年の日本経済、戦後最長の景気拡大がまだ続くと考える理由」をご参照いただければ幸いだ。
https://diamond.jp/articles/-/191894


 

2019年1月25日 居林 通 :UBS証券ウェルス・マネジメント本部ジャパンエクイティリサーチヘッド

純資産額に接近した株価 19年はリバウンドに期待

 2018年のTOPIX(東証株価指数)は年間で18%程度下落した。海外投資家が約12兆円(現物+先物)という巨額の日本株の売り手になったことが背景だ。それはなぜだろうか。
 中央銀行の量的緩和というセーフティーネットを失い、米中貿易摩擦の行く末に懸念を募らせ、19年以降の景気後退局面をも織り込んだため、海外投資家が日本株を手放したと理解している。
 1年前の本欄(18年1月22日更新)では株式市場にすでに楽観論が行き渡っていたことから、「アベノミクス相場には、世界各国の中央銀行の量的緩和の終了という新たな試練が待ち受けている。18年は17年と違う展開の一年になるのではないか」と述べた。
 とはいえ、筆者にとっても米国の貿易政策が劇的に変化し、海外投資家の投資マインドに影響を与えたのは驚きであった。
 19年の株式市場では、二つの点が重要である。海外投資家の懸念の中心である米中貿易摩擦の帰趨とその企業収益への影響だ。
 本欄では日本企業の業績の伸び悩みを予想していた(18年2月19日更新)が、それは現在も変わらない。しかし、われわれの保守的な業績予想を使っても現在の株価は業績トレンドから下方に乖離した水準(下図・上参照)にあり、投資家の不安心理とは逆に日本株の投資魅力度は高まっている。
https://diamond.jp/articles/print/191937

 もちろん米トランプ政権の対中、対日貿易交渉は引き続きリスクとして残るものの、トランプ政権も最終的には自国の恩恵となる判断を下すと考えており、貿易摩擦がエスカレートする一方であることは考えにくい。
 一方で株価の下値は限られているとみる。というのも現在のTOPIXのPBR(株価純資産倍率)は1倍に近い。この純資産額近くまで株価が売り込まれることは、過去には業績が大きく落ち込む時期に起きた現象だ。
 純利益は景気後退局面では大きく落ち込む可能性もあるので、企業業績と株価を比較するPER(株価収益率)が低くても投資家としては安心できない。しかし、振れが少ない純資産と株価を比較するPBRは業績悪化時でも下値のめどとして機能すると考える。
 過去8年間、日本企業は純資産を順調に積み上げてきた(上図・下参照)。その多くが現金や有形固定資産であり、資産の裏付けがあるものである。
 よって、現在の日本株の下値不安は小さい。今後、改元に伴う堅調な消費、設備投資の更新需要が期待できる。加えて、来年のオリンピック・パラリンピックが視野に入り、日本株に再度海外投資家が資金を振り向ければ、19年はリバウンドを期待できる年であると考えている。
(UBS証券ウェルス・マネジメント本部ジャパンエクイティリサーチヘッド 居林 通)
https://diamond.jp/articles/-/191937


 

2019年1月25日 ロイター
ドル調達の「上乗せ金利」ほぼ消失、米国債からリスク投資へ


1月25日、日本の投資家が為替ヘッジ付きで外債投資をする際、長年頭痛の種となっていたドル調達の「上乗せ金利」がほぼ消滅した。写真は都内で2010年9月撮影(2019年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 25日 ロイター] - 日本の投資家が為替ヘッジ付きで外債投資をする際、長年頭痛の種となっていたドル調達の「上乗せ金利」がほぼ消滅した。米連邦準備理事会(FRB)の段階的利上げを背景に出現した「逆イールド」環境で、為替ヘッジコストが米長期国債利回りより高くなり、米国債投資が冷え込んでいるためだ。

 一部の投資家は為替ヘッジなしの「オープン外債」投資や、クレジット投資へと重心を移しているとみられる。

隔世の感
 為替スワップ取引では、リーマンショック以降、「ベーシス」と呼ばれるドル調達にまつわる上乗せ金利が常態化し、日本勢のドル調達コストを押し上げてきた。

 ベーシスの根本要因は需給バランスの偏りにある。

 2013年4月から続く非伝統的金融緩和の下、日本勢がハント・フォー・イールド(利回り狙い)で外債投資を活発化させるなか、欧米金融機関によるドル資金の供給が、日本勢の強いドル需要に追いつかず、ベーシスが常態化していた。

 ドル/円スワップでは、3ヵ月物のドルを調達する際のベーシスが、2016年半ばと2017年末に100ベーシスポイント(bp)に迫る勢いをみせた。

 しかし、昨年11月半ばからベーシスはほぼ一貫して下がり続け、今年に入ってゼロを割り込むケースも観察された。今月の平均値は4.58bpと、昨年同時期の26.43bp、一昨年の64.37bpに比べても、隔世の感がある。

海外勢による日本国債の買い越しが過去最高
 なぜベーシスは縮小したのか。一時的要因とより長期的な要因がありそうだ。

 12月中のベーシス低下の一因としては、海外勢による日本国債(JGB)投資の拡大とそれに伴う円資金需要の増加があったとみられる。

「海外勢のJGB(日本国債)投資は12月に急増したが、この投資は為替スワップでドルを供給し、円を受け取る海外勢が増えたことを示唆し、需給の偏りをならして、ベーシスの低下に寄与したと考えられる」と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主席研究員・廉了氏は言う。

 日本証券業協会が21日に発表した12月公社債店頭売買高(国債)によると、外国人は全体で4兆4242億円を買い越した。買い越し額は2004年4月の統計調査開始以来、過去最高を記録した。

逆イールドで米債投資意欲が減退
 今年に入り、海外勢によるJGB投資は不安定になったが、ベーシスはそれでも下がり続けた。そこにはより長期的な要因も影響している。

 ベーシスがほぼ消失したとはいえ、米国による段階的利上げを受けて米短期金利が上昇した結果、ドル調達コストは決して安いものではなくなっている。

 実際、ドル/円スワップの原資産となる3ヵ月物のドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は、昨年12月半ばに米10年国債利回りを上回り、11年ぶりに逆イールドが出現。今もその状態が続いている。

 高止まりするLIBORを使用したドル調達コストは、ベーシス込みで足元2.85─2.90%と、低迷する米10年国債利回り(現在2.72%)より高いため、ヘッジ付で米国債投資をすれば直ちに損失を蒙ることになる。

「今年に入ってベーシスがゼロ%近傍で低迷しているのは、為替スワップを利用してヘッジ付きで米国債を買う投資家がいなくなったからだろう」とSMBC日興証券のチーフ為替・外債ストラテジスト、野地慎氏はみている。

 逆イールドのため、これまでヘッジ付で米国債投資してきた投資家も、それらをロールオーバーせず、米国債ポートフォリオを縮小させる方向に動いている、と同氏は言う。

オープン外債、またはクレジット投資へ
 為替リスクをヘッジして米国債を買う投資家がいなくなったとはいえ、財務省の対外証券投資・投資家部門別によると、12月に信託銀行(信託勘定)が7498億円、金融商品取引業者(証券会社)が8081億円の外貨建て証券を買い越している。

 上記の投資家の大半は為替ヘッジを付けない「オープン外債」投資をしているか、よりリスクの高い投資商品に手を伸ばしている公算が大きいと、市場参加者はみている。

「年金を中心とする機関投資家は、レバレッジドローンを組み入れた高利回りのCLO(ローン担保証券)等、クレジット投資を拡大している可能性がある」と廉氏は見ている。

 レバレッジド・ローンは負債比率の高い、信用力が相対的に低い企業に対する高金利融資。証券化され、投資ファンドやCLOへの組み入れで、2兆ドル規模まで残高を伸ばしている。

 懸念されるのは、そうしたローンやCLOが、景気悪化時に回収も転売も不可能となり、企業や貸し手の対応に制約を与えることだ。

(森佳子 編集:石田仁志)
https://diamond.jp/articles/-/192111

 

2019年1月25日 ロイター
ポンド売りに巻き戻し、「合意なき離脱」リスク後退で

1月23日、外為市場で2年以上にわたり続くポンド売りは峠を越えたかもしれない。2017年撮影(2019年 ロイター/Thomas White)
[ロンドン 23日 ロイター] - 外為市場で2年以上にわたり続くポンド売りは峠を越えたかもしれない。英国の欧州連合(EU)離脱交渉が最終段階に入って合意なき離脱(ハードブレグジット)という最悪のシナリオが遠のき、ポンド売りの巻き戻しが起きているとみられるためだ。

 米国の一部政府機関閉鎖の影響で、主要通貨のポジションの確認に使われる米商品先物取引委員会(CFTC)の週間統計は昨年12月下旬から発表が止まり、投資家は手探り状態で取引している。

 CFTCの直近の統計となる12月21日発表分はポンドの対ドルの売り越しが48億4000万ドルと、昨年9月の65億ドルから売り越しが縮小した。

 ロイターがさまざまなデータを点検したところ、ポンドは引き続き売り越しとなっているものの、その規模は昨年12月12日分統計からさらに縮小したとみられる。

 大手金融機関のデータからもCFTCの統計発表停止以降、ポンドのポジションが大きく動いたことが読み取れる。


ロンドンで15日撮影(2019年 ロイター/Eddie Keogh)
 BNPパリバの外為ポジション統計によると、1月21日に終わった週のポンドはマイナス18の売り持ちで、前週のマイナス23から売り持ちの度合いが低下した。昨年末はマイナス30だった。

 RBCキャピタルマーケッツやミレニアム・グローバル・インベストメンツのデータもポンドの対ドルでの売り持ちが減少傾向にあることを示している。

 ミレニアムのグローバル経済戦略ヘッド、クレア・ディソー氏は「問題は、英国の国民投票のやり直しや総選挙、穏健な離脱などに基づくポンドのポジション回復のペースだ。全部とは言わないが、ほとんどの投資家は合意なき離脱の可能性は低下したとみており、その影響でポンドのセンチメントが上向いた」と述べた。

 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)の推計によると、既にヘッジファンドはポンドの買い持ちに転じている。

 BAMLのG10外為戦略部門のディレクター、カマル・シャルマ氏は「市場はハードブレグジットの可能性を引き下げており、そのためこの数日ポンドが上昇している。ポンドは1.2850ドルを下回る水準で強い引き合いがみられる」と述べた。

 ポンド売り持ちの巻き戻しはオプション市場の動きにも表れている。ポンドは売買の傾きを示すリスクリバーサルの1ヵ月物でコールオーバーが7ヵ月ぶりの水準に上昇した。

 一方、ポンド売り持ちの巻き戻しは、ブレグジット関連でさらに明るい材料が出ない限りポンド高が今後勢いを失うことを示唆している可能性もある。

 メイ英首相は議会の膠着がなかなか打破できず、ハードブレグジットの不安が完全に消えたわけではない。

 そのため、ポンドは今月初めに付けた21ヵ月ぶり安値の1.24ドルから4%以上上昇したとはいえ、昨年の高値である1.43ドルを10%以上下回る水準にとどまっている。

 英国の政策遂行能力を過信すべきではないと顧客にアドバイスする市場関係者もいる。

 フィデリティ・インターナショナルのジェームズ・ベートマン最高投資責任者は、今のところポジションは中立が好ましいとの立場。「ポジションを中立にして、すぐに対応できるようにしている。どちらにも動ける利点を生かせる」と述べた。

(Saikat Chatterjee記者、Sujata Rao記者)
https://diamond.jp/articles/-/192074


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/725.html

[国際25] トランプ貿易戦争、「ピュロスの勝利」に陥る恐れ 米大学で進む「ファーウェイ排除」、トランプ政権が圧力
コラム2019年1月25日 / 13:00 / 5時間前更新

トランプ貿易戦争、「ピュロスの勝利」に陥る恐れ
Gina Chon
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[ワシントン 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領は、中国との貿易戦争において「ピュロスの勝利」(犠牲が大き過ぎて割に合わない勝利)に陥る危険性がある。

市場の動揺により、トランプ氏は相手方の表面的な譲歩でも受け入れざるを得ない可能性もある。一方で関税の応酬がもたらしたダメージは、ずっと続いてもおかしくない。

トランプ氏はここ数週間、対中通商協議について楽観的な姿勢を打ち出し続け、19日には中国との合意は可能だと語った。こうした発言は、同氏の政策が原因で不安にさいなまれている投資家を落ち着かせる効果があった。それでもS&P総合500種とダウ工業株30種平均は、過去1年間で7%下がった状態だ。

ホワイトハウスの対中強硬派は神経をとがらせている。その1人であるライトハイザー通商代表部(USTR)代表は月末に中国の劉鶴副首相と会談し、大幅な構造改革を要求し続ける構えだ。ところが肝心のトランプ氏は、中国が向こう6年で1兆ドル強相当の米国製品を買うと約束していることで満足し、「勝利宣言」する事態もあり得る。そうななると中国の不当な補助金や技術の強制移転という問題は片付かないままとなる。

半面、これまでの関税導入で生じた波紋は広がり続けそうだ。中国は昨年12月、習近平国家主席がトランプ氏と当面の追加関税凍結で合意した後、ある程度米国の農産物購入を再開した。

ただし中国は今や、輸入する大豆の大部分をブラジルとアルゼンチンから調達している。かつてメーン州のロブスター養殖業者は中国を2番目に大きな輸出先としていたが、取引の大半はカナダの同業者に奪われた。イーストコースト・シーフード・グループは中国向け出荷の急激な落ち込みを受け、先週にコネティカット州の加工施設を閉鎖した。

中国側も痛みを受けるだろう。貿易戦争に対応する形で各企業が行った生産やサプライチェーンのさまざまな変更は、今後そのまま定着する公算が大きい。スティーブ・マデン(SHOO.O)はハンドバッグの85%を中国で製造しているが、今後一部をカンボジアなどに移転し、中国での製造比率を60%まで下げる。

部品調達先が中国だけだったインディアナ州に拠点を置く芝刈り機メーカー、アメリカン・ローン・モウアーのマイク・カーシー社長はBREAKINGVIEWSに対して、関税によって仕入れの分散化を検討するようになったと話した。同社長をはじめとする多くのビジネスマンにとって、米中貿易戦争が終結したとしても、その影響は長く残っていく。

●背景となるニュース

・米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は22日、米中通商予備協議が中止されたとした英紙フィナンシャル・タイムズの報道を否定した。カドロー氏は、週内に予定された会合はないと指摘した。中国の劉鶴副首相は30日、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とワシントンで会談する。

・中国は2024年末までに総額1兆ドル相当の米国製品を購入すると提案したと、ブルームバーグが18日伝えた。これは2017年の中国の購入額と比較すると約28%の増加となる。

・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は昨年12月、通商協議期間中の追加的な関税導入を凍結することで合意した。協議がまとまらなければ、3月1日に米国は約2500億ドルの中国製品に対する関税率を10%から25%に引き上げる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/trade-war-trump-braekingviews-idJPKCN1PJ07Z

 

トップニュース2019年1月25日 / 15:01 / 6時間前更新
焦点:米大学で進む「ファーウェイ排除」、トランプ政権が圧力
Reuters Staff
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[サンフランシスコ 24日 ロイター] - トランプ政権が導入した国防権限法(NDAA)に対応し、米国の有名大学の間で、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]など中国企業の通信機器の利用を止める動きが広がっている。法に抵触し、連邦政府から資金拠出を断たれるのを避けるためだ。

米政府は、中国通信機器企業が海外のユーザーを通じて諜報活動を行っているとの懸念から、昨年8月に同法を成立させた。法律では、連邦政府の資金提供を受けている主体に、ファーウエイや中興通訊(ZTE)(000063.SZ)の通信機器、録画サービス、ネットワーク部品の利用を禁じている。2020年8月までに規則を順守しなければ、政府からの資金提供を中止する。

カリフォルニア大バークレー校の当局者によると、同大はファーウェイのビデオ会議システムを撤去し、アーバイン校でも中国製の音声動画設備の撤去を進めている。他のスクールでも納入業者を点検中だ。

同大サンディエゴ校はさらに踏み込んだ対策を取っている。内部メモによると、昨年8月から最低6カ月、ファーウェイ、ZTE、その他の中国メーカーからの資金協力などに応じないことを決めた。期間終了の今年2月12日に今後の対応を検討する。

ウィスコンシン大、カリフォルニア大ロサンゼルス校、同大デービス校、テキサス大などもロイターに対し、通信機器の見直しを検討中か、既に見直しを実施してNDAAを順守したことを明らかにした。

中国企業は長年にわたり、こうした大学にハイテク機器を納入してきたほか、学術調査のスポンサーを務めてきた。

しかし過去10年間に何度も政府の資金提供を削られているカリフォルニア大などの公的機関にとって、法律に抵触して資金提供を失えば打撃となる。

米国の大学は既に、トランプ政権の対中政策によって痛手を被っている。国務省は、中国人大学院生の一部についてビザの期間を短縮。このほかにも中国人学生の入国を制限する新たな規制を検討中だ。

米国に留学している外国人学生で最も多いのは中国人で、大学にとって大きな収入源となっている。

ファーウェイ製品などの使用中止要請は、こうした影響に拍車をかけている。

ファーウェイはコメント要請に答えなかった。

NDAAには、大学が中国と研究協力などの合意を結ぶことを制限するため、今後規制を導入する必要性も盛り込まれている。また国防長官に対し、大学と協力して知的財産の窃盗を阻止する方法を見出すとともに、大学が外国の食い物にされるのを防ぐ新規則を策定するよう求めている。こうしたルールに違反した大学は、国防総省からの資金提供を失う恐れがある。

カリフォルニア大サンディエゴ校は昨年9月、校内のニューズレターでNDAAのこの部分を大きく取り上げた。

ホワイトハウスは昨年6月の報告書で、バークレー校とファーウェイによる人工知能(AI)についての研究提携について、中国が諜報に利用して軍事などに活用しかねないとの懸念を示した。

バークレー校の広報は、同校は通商上の秘密に関わるような研究には参加しておらず、結果が公開される研究についてしかファーウェイと提携していないと説明。こうした研究は連邦政府の規制対象ではなく、ファーウェイとの研究提携を変更する計画はないとしている。

しかし事情に詳しい筋は、カリフォルニア大のファーウェイとの関係は「冷めた」と述べた。一部の研究者は、政府当局などからの調査を避けるため、同社との共同研究を中止する道を選んでいるという。

影響は海外にも広がっている。英オックスフォード大は今月、ファーウェイとの関係を断ち、研究費や寄付の受け入れを止めたと発表した。

(Heather Somerville記者 Jane Lanhee Lee記者)
https://jp.reuters.com/article/us-university-huawei-idJPKCN1PJ0B5
 


http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/316.html

[国際25] 英下院、離脱後の金融規制の調査開始 GS「強硬離脱なら投資縮小」ユーロ圏銀行の不良債権300億ユーロ減少=ECB
ワールド2019年1月25日 / 18:21 / 5時間前更新
英下院、離脱後の金融規制の調査開始 GS「強硬離脱なら投資縮小」
Reuters Staff
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[ロンドン 25日 ロイター] - 英下院の財務特別委員会は25日、欧州連合(EU)離脱後の金融規制のあり方に関する調査を開始した。

EU離脱後も引き続きEUのルールを踏襲するのか、競争力を強化するため規制を減らすのかを議論し、政府・規制当局に勧告書を提出する。

同委員会のニッキー・モーガン委員長は「ロンドンは世界トップの金融センターであり、多くの人はその座を守りたいと考えている」と表明した。

EU離脱の支持者は、離脱を機に規制を簡素化し、国際金融センターとしてのロンドンの競争力を高めるべきだと主張。

英国の規制当局は、規制を減らせば金融危機につながりかねないとして、大幅な規制緩和は見送り、EUの規則を踏襲する方針を示している。

業界団体ザシティUKのマイルス・セリック最高経営責任者(CEO)は、現在のルールの全面的な廃止を求める声は、業界内にはないと指摘。「英国は質の高い規制と高い基準で定評があり、これが大きな競争力になっている」と述べた。

ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモンCEOはダボスでBBCに対し、英国のEU離脱が強硬離脱となれば、英国への投資を減らすと発言。「困難な離脱、強硬離脱となれば、投資先や人材の投入先に影響が出る」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-banks-idJPKCN1PJ0T5


 

外国為替2019年1月25日 / 20:16 / 4時間前更新
ユーロ圏銀行の不良債権、18年第3四半期に300億ユーロ減少=ECB
Reuters Staff
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[フランクフルト 25日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のデータによると、ユーロ圏の銀行が抱える不良債権は2018年第3・四半期に約300億ユーロ(339億7000万ドル)減少した。

ECBは、域内銀行に、先のリセッションから引き継いだ不良債権を処理してバランスシートを健全化するよう求めていた。

ユーロ圏の107銀行の不良債権は18年第3・四半期末時点で6277億ユーロで、第2・四半期末の6571億5000万ユーロから減少。不良債権比率は4.40%から4.17%に低下した。

キプロス、イタリア、ギリシャ、ポルトガル、スペイン、ドイツで大幅に減少した。
https://jp.reuters.com/article/ecb-banks-loans-idJPL3N1ZP3KJ?il=0
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/317.html

[国際25] 観光大国NZの水質汚染、「100%ピュア」は看板倒れか
トップニュース2019年1月25日 / 11:35 / 6時間前更新
焦点:
観光大国NZの水質汚染、「100%ピュア」は看板倒れか
Praveen Menon
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[ウェリントン 18日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)が誇る「美しくゆたかな自然環境」というイメージが打撃を受けている。田園地帯を訪れた観光客が、ごみや農業排水、人間の排泄物で汚染され、立ち入り禁止となった湖沼や河川の写真を投稿しているためだ。

好況に沸く酪農産業と、手付かずの自然の魅力を求めて押し寄せる観光客が、「100%ピュア」と銘打って盛んに宣伝されてきた同国の自然環境に長い影を落としている。

特に影響を受けているのが、かつては文明による汚染を免れていた河川や湖沼で構成される広大な水系だ。いまや経済協力開発機構(OECD)加盟国のなかでも、最も汚染度が高い部類に入る、と一部の専門家は指摘する。NZ環境省の2014年報告では、水系の約6割は遊泳に適さないという。水質はその後さらに悪化したと専門家は言う。

市場調査会社コルマー・ブラントンが先月実施した調査によれば、82%が湖沼や河川の汚染について非常に、または大変に懸念していると回答しており、生活コストや子どもの貧困、気候変動などの問題に対する懸念を上回った。

「(国民は)河川や湖沼で泳いだり、魚釣りをしたり、食糧を得たりすることができなくなりつつあることを非常に心配している」と語るのは、この調査を委託したNGOのフィッシュ&ゲーム・ニュージーランドで最高経営責任者(CEO)を務めるマーティン・テイラー氏だ。

「人々はこうした活動を生まれながらの権利だと考えているが、過去20年、畜産業の発展によって水の汚染レベルが上がったために、そうした権利は失われつつある」

総選挙を来年に控えるアーダーン首相にとって、水質汚染が重要なテーマとなる可能性がある、と専門家は指摘する。首相は2017年、環境保護のための社会改革や立法措置を公約に掲げて連立政権のトップとなった。だが同政権下で企業の景況感は低迷している。

<「牛が多すぎる」>

グリーンピースが先週、人工窒素肥料の禁止を求めてツイッター上で展開したキャンペーン「#toomanycows(牛が多すぎる)」は、1万3000人以上の署名を集めた。

「NZでは、すでに牛があまりにも多すぎる。酪農の強化拡大にとって大きな鍵となるのは人工窒素肥料であり、それが河川と気候変動に対して危険なダブルパンチを浴びせている」とグリーンピースのニック・ヤング氏は語る。

この国では、約470万人の総人口を上回る500万頭近い牛が飼育されている。

北島西部にある有名なタラナキ山近郊にある人気の遊泳場は今月、排泄物による汚染の指標となる大腸菌増加により閉鎖された。汚染源を特定するための検査が行われているが、過去には、この水系を汚染した原因として、近隣の酪農場からの排水が指摘されていた。

国内の酪農家はやるべきことをやっている、とデイリーNZのティム・マックルCEOは語る。酪農場に接する水路の97%は牛から隔離されており、水辺や湿地との緩衝地域を確保するため、かなりの努力を払っているという。

「実際、あらゆる種類の土地利用が水質に影響を与えている。そして野菜、果実、酪農、牛や羊、あるいは鹿の畜養を含め、あらゆる農場が確実に水路を保護するために協力しなければならない」と同CEOは声明で述べた。「最も汚染された河川は、実は都市中心部を流れるものであり、これについては人々ができることがある」

NZの河川のうち、酪農場内を流れるものは全体の約15%にすぎない、と彼は付け加えた。

<「オウンゴール」>

主力産業である酪農と観光が直接、NZの国内総生産(GDP)2000億ドル(約22兆円)に貢献している割合は、それぞれ約3.5%と6.1%だ。

人気映画シリーズの「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」で理想的な背景となった、滝の連なる河川や汚れない森林、青々とした牧場といった同国の美しく自然豊かなイメージに、どちらの産業も依存している。

人口密度の低いNZの国土は、英国や米カリフォルニア州程度の広さの山岳地域だ。その4分の1以上が自然保護地域や国立公園に指定されている。

Slideshow (3 Images)
中国が旅行シーズンのピークとなる旧正月(春節)を迎える2月には、NZに大量の観光客が押し寄せると見込まれており、自然環境に対してさらに負担をかけると住民は危惧している。

2018年のデータによれば、NZを訪れる観光客のうち、中国人は隣国のオーストラリア人に次ぐ第2位だった。

住民が恐れているのは水質汚染だけでなく、ベネチアやボラカイ島、バリ島などで見られたように、大量の観光客やキャンパーが、同国の代表的な名所を台無しにしてしまうことだ。

ベネチアでは過度な混雑のため。地元当局が観光客の入域を制限せざるを得なくなり、フィリピンで高い人気を誇るボラカイ島も、大量の観光客が押し寄せて「汚水溜め」になってしまったとして、昨年閉鎖された。

NZでもキャンパーの増加により一部の地域で問題が生じており、ゴミ処理もその1つだと、同国のビジネス・イノベーション・雇用省で観光政策担当マネジャーを務めるリチャード・デイビス氏は指摘する。

「環境そしてNZという国を守るために集団的な義務を負っており、国内や他国からのキャンパーを対象とした責任あるキャンプ手法に関する多くの啓発活動や、地元団体による問題対応を支援するためのインフラ投資を行っている」とデイビス氏は言う。

政府によるガバナンス放置と酪農・観光産業の増大によって、環境が犠牲になりつつある、とビクトリア大学ウェリントンのガバナンス政策研究所のマイク・ジョイ上級研究員は警鐘を鳴らす。

「これはオウンゴールだ。自業自得ということだ。この国にとって最大の付加価値は、美しく自然豊かなイメージであるにもかかわらず、そうしたイメージをまさに台無しにしつつある」とジョイ氏は言う。

政府は水質改善に注力していると主張する。2017年には、NZの主要河川や湖沼を2040年までに遊泳可能にするとの目標を設定しており、2030年までに8割達成という中間目標を掲げている。

政府の作業グループのメンバーでもあるジョイ氏は、強力な酪農、観光業界に政府が手をつけない限り、変化は起きないだろうと悲観する。「今のところ、偏った解釈や宣伝に投じられる資金がかなり増えている一方で、変革はほとんど進んでいない」

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/newzealand-pollution-idJPKCN1PI11J
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/318.html

[不安と不健康18] 男性の「更年期障害」きっかけの多くは仕事から
2019年1月25日 有井太郎 :フリーライター
男性の「更年期障害」きっかけの多くは仕事から

昨年の「M-1グランプリ」にまつわる騒動で、キーワードとなった「更年期障害」。女性の症状としてよく知られているが、実は男性にも更年期障害は起こりうる。特に気をつけるべきは40代以降。きっかけは「仕事」だという。男性の更年期障害について、その実態を専門家に聞いた。(取材・文/フリーライター 有井太郎)

女性だけの病気ではない
「環境次第」で男性をも襲う

 年末恒例の漫才イベント「M-1グランプリ」。2018年大会も盛り上がりを見せたが、終幕後にケチがついた。一部の芸人が、審査員を務めた上沼恵美子さんに暴言を吐く動画を載せて炎上したのだ。

 キーワードとなったのが「更年期障害」。中年女性に対する誹謗(ひぼう)中傷のニュアンスに聞こえたが、実は男性にも更年期障害は訪れる。

「男性が更年期障害になると、何かをするのが億劫(おっくう)になり、社会で活動する意欲が低下する傾向にあります。場合によっては、うつ症状が出ることも。疲れもたまりやすくなるでしょう。大切なのは、この症状が仕事と密接に関係しており、今後AIなどで仕事の自動化が進むと、更年期障害に悩む男性が増えるかもしれない点です」

 こうコメントするのは、順天堂大学の堀江重郎教授(同大 大学院医学研究科 泌尿器外科学教授)。「更年期」とは、性ホルモンが低下する時期を意味するが、それが原因で心身にトラブルを抱えるケースは、女性に限った話ではないという。

「ただし、男性と女性では決定的な差があります。女性は閉経により全員に更年期が訪れます。その期間は閉経前後5年といわれており、女性にとって女性ホルモンが急激に減少するのは、体として正常な動き。一方、男性は環境因子が大きく、男性ホルモンが急激に減少するか、また何歳ごろから何年続くかは、人により異なります」

 逆にいえば、男性の場合は「環境次第で変わりやすい」と言えるだろう。もちろん、性ホルモンが減った(=更年期)からといって、誰もが心身トラブルを起こす「更年期障害」に発展するわけではない。それでも、そもそも男性ホルモンの急激な減少自体を回避する方が、ずっと賢明だろう。何より、男性の更年期は、女性と違って“終わりがない”厄介なものなのだ。

 ということで、堀江氏に男性の更年期障害について詳しく聞いた。

お腹が出てきたら
実は更年期のサインかも

 女性なら女性ホルモンが、男性なら男性ホルモンが急激に減少することで発症する更年期障害。男性ホルモンの場合は、その9割以上を占める「テストステロン」が重要なカギとなる。

「テストステロンは、筋力と知力・判断力をつかさどるホルモンであり、起業家やスポーツ選手はテストステロンが高い傾向が見られます。その根源には、外で獲物を捕ってくるというオスの行動が紐(ひも)づいているのでしょう。言い換えれば、社会に対して自分を主張するホルモンでもあります」

 テストステロンは20代をピークに減少し始めるが、その落差が急になると更年期障害に発展する場合がある。

「症状として、以前より仕事に燃えなくなったり、パフォーマンスが大きく下がってしまったりというケースが起きてきます。また、筋肉量も落ちるので疲労しやすくなる傾向もありますね。さらに、知力・判断力とつながるだけに、認知症との関連性も考えられます」

 意欲の減退、そして筋力と知力・判断力の低下。こういったことが男性の更年期障害で起こってくるという。以前に比べて、本を買う量やイベントに出る機会が減少したなどの傾向が見られたら、「更年期障害の1つのサインかもしれません」と堀江氏は言う。

「そのほか、意外なサインとして、お腹が出てくることもあります。多くの人は食べ過ぎや運動不足、加齢によるものと捉えがちですが、テストステロンの減少により腹筋が落ちている場合もあるんですね。最近、ベルトの穴がずれた方は、気を配ってみると良いかもしれません」

 一方、テストステロンが十分にある男性は「他人から見てハツラツとした印象になる」と堀江氏。今の段階で「仕事を楽しいと感じていたり、やりがいを持ったりしている人は大丈夫です」と話す。

大切なのは、自分の仕事に対して
きちんと“リワード”があるか

 では、どんな環境でテストステロンは急激に減少するのだろうか。「仕事から受ける影響が非常に大きいです」と堀江氏は分析する。

「テストステロンを維持するポイントとしては、仕事で手応えややりがいを感じること、そして、その成果に対しての報酬や評価、あるいは誰かから褒められるという『リワード』があること。これが大切であり、そこに逆行する環境やシーンが多いと、減少につながります」

 具体的な例として、堀江氏は以下のような環境を挙げる。

・仕事量が多い(=自分の働きに対するリワードが少ない)
・自分の主張が通らない(=自分が認められない)
・現場にいた人間がマネジメント側に移り、上司との板挟みになる(=やりがいを感じられなくなる)
・退職により、アクティビティーが減る(=社会に主張する機会が少なくなる)

 また、特に注意すべきは「クリエイティブな仕事や、日々の業務がルーティン化されていない仕事をしている人」だという。

「これらの仕事は、毎回新たに思考する必要が大きくなります。思考は意欲と結びついており、1つの仕事をした後にはそれに見合う評価を受けたり、きちんと休息をとったりしないと、テストステロンの減少につながる可能性が高い。これが起きると、仕事のアウトプットの質が上がらなくなるという悪循環に陥るかもしれません」

 思考をした分だけ、それ相応の成果や評価、もしくは休息といったリワードを人間は求める。これが不十分だと意欲が低下し、テストステロンの減少につながるということだ。

AIによって悩む男性は増える?
カギは行動のルーティン化

 逆にいえば、日々の仕事がルーティン化されている、思考の余地が少ない人の方が、テストステロンの減少は起きにくいといえる。だからこそ、自分の行動に対するちょっとした心がけが更年期障害の予防につながるようだ。

「この時間はこれをやる、この次はこれをやると、日々のパターンを決めることで思考する量が減ります。朝起きたら何をするか、何曜日は何を食べるかなど、仕事も私生活も“考える”ことを減らしてルーティン化する工夫をしてみてください」

 なお、ルーティンという観点で見たとき、「今後、ビジネスマンの更年期障害は増えてくるかもしれない」と堀江氏は考える。

「AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:ロボットによる業務自動化)が発達すると、ルーティンワークは機械が担うようになります。業務負担が減る点でメリットは多いのですが、一方で、人の仕事の多くはクリエイティブな思考に基づくものへと移るでしょう。つまり、テストステロンの減少が起きやすい仕事が増えるともいえます」

 となると、予防としてもう1つ大切になるのが、きちんとしたリワードを作ることだ。まず個人においては、「仕事以外の友人やコミュニティを持つことが大切です」と堀江氏。仕事でリワードが得られればそれに越したことはないが、その実現が難しければ仕事以外のつながりを持つ。そして、そこでのコミュニケーションや楽しさをリワードにしていくべきだという。

「ある方は、更年期障害のあと社交ダンスのサークルに入ってリカバリーしました。サークル自体の楽しさはもちろん、うまくなった分だけ周りの人が褒めてくれたといいます。それらがリワードになったのでしょう。もちろん、筋力の維持という意味でも良いですね」

 リワードは、友人や家族に褒めてもらうことでもいい。逆に、“健康のために”といって1人黙々と運動するのは、「更年期障害の観点では、あまり望ましくありません」という。

「そこに楽しさや他の人とのコミュニケーションがないので、リワードが生まれにくいといえます。もちろん運動するのは良いことですが、なるべく他の人も巻き込んだアクティビティーにできるといいでしょう」

 一方で、会社のマネジメント側にも心遣いが求められる。つまり、なるべく一人ひとりの仕事をルーティン化したり、きちんとリワードを与えたりする。それが「組織トータルでの生産性を上げるために必要になります」と話す。

生活を見つめ直さないと
男性の更年期は長引く
 もしも男性の更年期障害だとわかった場合、治療法としてホルモン注射を行うこともある。しかし、これはあくまで「応急処置」であり、もっとも大切なのは生活を見直し、改善することだと堀江氏は言う。

「女性の更年期障害との最大の違いは、男性は“終わりがない”ことです。女性は閉経から5年ほどでホルモンの減少は収まり安定し始めますが、男性は違います。時間がたてば収まる…とはなりにくいんですね。だからこそ、根本の環境や生活、仕事との向き合い方を見つめ直すべきです」

 見つめ直す点はいろいろなところにある。一例として挙げられたのが「通勤」だ。通勤時間が長い人は、若い頃は問題なかったが、加齢で体力が落ちるとその状況がストレスになってくる。通勤時間も仕事のうちなので、自分の労力とそれに対するリワードが見合わなくなるのかもしれない。

 そこで、週1回は会社近くのカプセルホテルに泊まるなどの変化を起こしてみる。こういった形で生活を改善していくことが大切なようだ。

 繰り返しになるが、男性の場合は終わりがない。だからこそ、積極的に自分で生活を改善していかないと、つらい期間を引き延ばすことにもなりかねないといえる。

 男女ともに厄介な更年期障害。年齢を重ねてもハツラツとした生活を送れるよう、早めに気を配っておくことが必要かもしれない。
https://diamond.jp/articles/-/191887
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/691.html

[経世済民130] 資産運用会社、業績悪化で人員削減にかじ 再編加速か 人口構成変化は成長率押下げ、中銀に試練 国外の財産、総額3兆6千億円
トップニュース2019年1月25日 / 16:11 / 8時間前更新
焦点:
資産運用会社、業績悪化で人員削減にかじ 再編加速か
Reuters Staff
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[ロンドン/ニューヨーク 21日 ロイター] - 資産運用会社は金融市場の動揺で業績が悪化し、大手が相次いで人員削減計画を打ち出した。規制強化や技術向け投資でのコスト増も経営を圧迫しており、業界再編が一段と進みそうだ。

株価指数の多くは昨年、世界金融危機後で最悪の下げを記録し、他の金融資産も大半がマイナス圏に沈んだ。市場のこうした動きを受けて資産運用世界最大手のブラックロック(BLK.N)と3位のステート・ストリート(STT.N)は今月、人員削減を発表。ヘッジファンドのAQRやバリアズニー・キャピタルも人員を減らす方針だ。

エドワード・ジョーンズのアナリストのカイル・サンダース氏は「資産運用業界は人減らしが普通の流れになる。市場が下げたときに資産運用会社がコスト削減で最初に目を向けるのが人員だ」と話す。

金融市場は昨年までは各国中銀による低コスト資金の供給を支えに上昇し、資産運用会社は手数料が落ち込む中でも20─40%の利益率を維持していた。

しかしリッパーのまとめによると、昨年は金融引き締め観測や成長鈍化への懸念により、ミューチュアルファンドから1681億ドルが流出した。

今年に入って株式市場にはいくらか資金が戻ったが、この流れが持続すると言い切るのは早計だ。当面市場はさえない動きとなり、資産運用会社の収入が打撃を受けそうだ。

ブラックロックは昨年第4・四半期の利益が予想に届かなかった。アナリストによると、S&P総合500種運用会社と資産管理銀行の第4・四半期決算は平均で0.8%の減益となる見込み。リフィニティブのデータによると、昨年10月時点は10.3%の増益予想だった。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスのバイスプレジデント、ニール・エプスタイン氏は「収入の伸び率予想が下方修正されており、AQRやブラックロックのような企業が優先順位の見直しを進めるのは当然だ」と述べた。

市場の動揺を受けて資金を引き揚げる投資家が増えれば、既に低価格の指数連動商品などとの競争激化に悩まされている資産運用会社に掛かる圧力は一段と強まる。規制強化や技術・データへの投資もコストを押し上げている。

ブラックロックなど大手との価格競争で武器を持たない中小の資産運用会社に対するコスト削減圧力は特に厳しい。

中小は利益の押し上げに向けて踏み込んだ対策を取らざるを得ない。人員削減に加えてライバルとの提携を模索する可能性があり、数年前から始まった合従連衡の流れが加速しそうだ。

UBSのアナリストのマイク・ウェルナー氏によると、運用資産が10%値下がりすると利益率が700─1000ベーシスポイント(bp)悪化し、経営統合に向けた決定的な力になるという。

資産運用業界の昨年のM&Aは915件、500億ドル相当で、金額は2017年から67%近く増えた。

特に株価の値下がりがきつく、銀行や保険会社が資産運用部門を手放す可能性がある欧州では、M&Aが速いペースで進む見通しだ。

(Simon Jessop、Trevor Hunnicutt、Saikat Chatterjee記者)
https://jp.reuters.com/article/asset-managers-idJPKCN1PG0NJ

 

東京外為市場ニュース2019年1月25日 / 20:51 / 3時間前更新
人口構成変化は長期成長率押し下げへ、中銀に試練=日銀総裁
Reuters Staff
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[ダボス(スイス) 25日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は25日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のセミナーで、高齢化といった人口構成の変化は長期成長率を押し下げ、日銀の取り組みを困難にする可能性があるとの認識を示した。

黒田総裁は、人口構成の変化とともに長期成長率が低下すれば、自然利子率が低下するリスクが高まると指摘。

高齢化社会は借り入れ需要の減退につながる可能性があり、金融機関は高利回りを求めてリスク志向を強め、金融システムが不安定化する恐れがあると述べた。
https://jp.reuters.com/article/davos-meeting-boj-idJPL3N1ZP3M6?il=0


 


国内社会ニュース(共同通信)2019年1月25日 / 20:36 / 3時間前更新
国外の財産、総額3兆6千億円 11・0%増
共同通信
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 国税庁は25日、2017年分の「国外財産調書」について、提出した人は9551人(前年比4・9%増)で、総額が3兆6662億円(同11・0%増)だったと発表した。調書は外国に5千万円を超す資産がある人に義務付けられている。

 種類別で主なものは、有価証券が1兆9252億円、預貯金が6204億円、建物が4038億円。国税局別は、東京国税局が6154人(2兆7485億円)、大阪局が1331人(4274億円)、名古屋局が699人(1906億円)。

 国外財産に絡む申告漏れに適用する特例措置で、調書を提出していないため加算税が重くなった人は194人だった。

【共同通信】
https://jp.reuters.com/article/idJP2019012501002467?il=0
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/726.html

[経世済民130] 日立、風力発電機生産から撤退へ エネルギー戦略再構築の狙い   LIXILがMBO検討、日本脱出も 大転換に渦巻く懸念 
スクープ 

日立、風力発電機生産から撤退へ

庄司 容子
日経ビジネス記者
2019年1月25日
8 98%

全907文字
 日立製作所が風力発電機の生産から撤退することが、日経ビジネスの取材で25日、明らかになった。すでに新規の受注活動を停止しており、契約済みの製品の生産が終わり次第、埠頭工場(茨城県日立市)での風力発電機の生産を止める見通しだ。日立は子会社が提携する独メーカーの風力発電機の販売と、保守や運転支援などのサービス事業に軸足を移す考えだ。


再生可能エネルギーとして期待の高い風力だが……(写真は日立が手掛けた三重県の新青山高原風力発電所)
 国内の風力発電機メーカーは、三菱重工業と日本製鋼所が事実上生産から手を引いている。日立の撤退で、風力発電機を生産する国内企業はなくなる。日立は英原発計画も凍結しており、エネルギー事業の再構築を急ぐ。

 日立は2012年に富士重工業(現SUBARU)から風力発電機事業を買収、主に陸上に設置する出力2000kWと、洋上向けの5000kWの2種類の風力発電機を開発・生産している。地面から吹き上がる風を効率よく受けて回る「ダウンウインド型」と呼ぶ独自技術に強みを持つ。山の多い日本の地形に向いているため、新規設置の国内シェア(台数ベース)は2016年度に約4割を占めるなど、業界内でも一定の評価を得ていた。

 ただ、日本市場は、世界に比べて圧倒的に小さい。2017年に世界で稼働を始めた風力発電所の出力は計5250万kW だったのに対し、日本はたったの16万2000kW。18年も19万2000kWにとどまる。日立の製品は「価格が高い」(業界関係者)といわれてきたが、主力の国内市場がなかなか育たない中では、規模の拡大によるコスト削減効果も引き出しにくい。


日立の風力発電機は価格が高いとされていた(茨城県日立市の埠頭工場内)
 日立はアジア市場に進出し、規模を拡大する戦略を練っていたが、独シーメンスや米ゼネラル・エレクトリック(GE)などとの競争は激しい。このまま国内で自社製品を製造し続けても対抗するのは難しいと判断したようだ。

 日立は子会社の日立パワーソリューションズ(日立PS、茨城県日立市)を通じて独風力発電機メーカーのエネルコンと提携関係にある。今後はエネルコンとの協業を強化。日立本体でもエネルコン製品を販売する。保守や運転支援などのサービス事業は日立PSと統合し、収益力を高める考えだ。

関連記事:スクープ解説 日立、エネルギー戦略再構築の狙い
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00006/012400011/



スクープ解説 

日立、エネルギー戦略再構築の狙い

庄司 容子
日経ビジネス記者
2019年1月25日
1 91%

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全898文字
 日立製作所が風力発電機の生産から撤退することで、成長事業に位置付けていた再生可能エネルギー事業の戦略見直しは必至だ。

 日立は昨年6月に発表した事業戦略で、再生可能エネルギー関連事業の売上高を2021年度に18年度見込みの5倍にあたる4000億円に引き上げる計画を掲げた。主力に据えたのが、風力事業だ。同事業だけで2500億円の売り上げ増を狙ったが、今回の戦略転換を受けてこれらの目標数値は引き下げる方向で見直している。


日立はエネルギー事業の再構築を進める(昨年12月、ABBの送配電システム事業の買収を発表した日立の東原敏昭社長=写真:共同通信)
 英国での原子力発電所計画を凍結したばかりの日立にとって、風力事業は今後もエネルギー事業の主軸に置かざるを得ない。国内原発の新設は困難な状況が続いているからだ。

 国内の風力発電機市場は今後の成長が期待できる分野ではある。昨年11月には洋上風力発電の普及を後押しする新法が成立し、今年4月に施行される。海域の利用に明確なルールを定めることで、今後、導入機運が高まるとの期待がある。

 日立も洋上風力の市場拡大を見据え、大型の5000kW型を開発。福島県沖などで実証試験に取り組んできた。18年には台湾で大型の洋上風力発電所向けの発電機を初めて受注。同計画では21基を納入する契約だ。

 一定の成果を挙げたものの、低収益であれば、見切りをつける。今回の日立のその決断で浮かび上がるのは、発電機そのものは外部から調達し、自らはサービスで稼ぐ戦略だ。

 日立は今後、独エネルコンの風力発電機の国内販売を手掛ける子会社の日立パワーソリューションズ(日立PS、茨城県日立市)を活用しながら、引き続き風力事業の拡大を目指す方針。同社は風力発電機の設置候補地の風の状況の調査から、設置、運転管理まで一貫して請け負うソリューションビジネスにも定評がある。これまでは日立本体も自社製風力発電機を納入した顧客に対し、同様のサービスを手掛けていたが、今後は日立PSと機能を統合することでコスト削減を進める考えだ。

 日立は昨年末にスイス重電大手のABBから送配電システム事業を約7000億円で買収することも決めている。単品売りからシステムやサービスで稼ぐ事業モデルへ。日立のエネルギー事業の再構築が加速する。


K.Gotou

情報処理従事者

事業が大きくなるほど、政治との距離が近くなります。やがて、儲け度外視した事業推進となりやすい。しかし、優れた経営者は利益を損なう事業には厳しい姿勢で臨みます。それが、今回の出来事と解釈しています。
インフラストラクチャーと政治と民間。そこにあるのは、末端の消費者の利便性。その消費者の幸福感は政治を動かします。大きな事業はどれくらいの幸福を生むかに関わっているのです。
供給側の利益が無ければやがて末端の幸福感を損ねます。早い段階で政治と共に「幸福のリストラクチャリング」をしなければならないと思いました。
2019/01/26 07:53:02
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00006/012400012/


 

スクープ

LIXILがMBO検討、日本脱出も

奥 貴史
日経ビジネス記者
2019年1月21日
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全1573文字
 LIXILグループに激震が走っている。プロ経営者の瀬戸欣哉社長からCEO(最高経営責任者)の座を取り戻した創業一族の潮田洋一郎会長が、MBO(経営陣が参加する買収)で日本の株式市場から退出し、さらにシンガポールに本社も移そうとしていることが明らかになった。年間売上高が2兆円に迫る巨大企業の日本脱出計画は、本当にこのまま進むのだろうか。


潮田氏は自らCEOに就き、新たなシナリオを実現しようとしている(写真=稲垣 純也)
 極めて異例のシナリオだが、潮田氏はどうやら本気だ。業界トップの大企業が東京証券取引所での上場を廃止し、本社をシンガポールに移転するという過去に例がない大転換を進めようとしている。潮田氏はシンガポール取引所(SGX)への新規上場も目論んでいる。

 関係者によると、LIXILグループは昨年、MBO・本社移転・シンガポール上場という一連の計画を検討することを取締役会で決議している。つまり、この計画は潮田氏が独断で進めている話とはもはや言えない。一連の計画に反対していた瀬戸氏をCEOから降ろしたことからも、潮田氏の本気度がうかがえよう。瀬戸氏を退任させるのは、この驚きの計画を前に進める布石だった。

 なぜ日本の株式市場から退出したいのだろうか。根底には市場から評価されていないという不満があるだろう。株価は冴えない。トステムやINAXなど多くの企業の統合で日本最大の住宅資材・住設機器メーカーとなったLIXILだが、潮田氏は「株価はコングロマリットディスカウントに陥っている」と不満を示していた。潮田氏の見立てでは、どの機関投資家も業種を絞った専門的視点に立つようになったため、その分野以外の事業を適切に判断してもらえなくなったという。

 こうした不満を解消するため、潮田氏は当初、会社分割による2社上場を考えたようだ。今のLIXILグループを事業ごとに2つに分割し、1つを国内で、1つを海外で上場させようと検討していたとされる。事実上のLIXIL解体だ。だがバックオフィス部門など、LIXILグループとしてすでに1つに統合されていた部分をもう一度切り分ける事務作業は非常に煩雑で、予想以上に手間取ることがわかった。そこで検討されるようになったセカンドプランが、今の案だ。

 この案をもう少し整理してみよう。東証1部に上場しているLIXILをMBOにより上場廃止にする。その後、本社をシンガポールに移し、SGXに新規上場する、というのが大きな筋書きだ。LIXILの時価総額は足元で約4500億円。潮田氏がMBOをするにはプレミアム(上乗せ幅)を考慮すると最低でも5000億円以上が必要になりそうだ。


MBOにより上場廃止にする案も浮上している
 だが、このハードルは高くないのかもしれない。MBOに必要な資金をつなぎ融資でいったん調達し、その後すぐにSGXで株式を売り出して回収したお金でつなぎ融資を返す、という芸当も可能だからだ。

 ただSGXに上場する新会社がどんな評価を受けるのかは読みにくい。シンガポールならコングロマリットディスカウントが起きないという保証もない。本来の企業価値は変わらないはずだが、持ち株会社なのか、事業会社なのか、どのような形で上場させるかによっても評価が変わる可能性はある。

 シンガポールに本社を移転すれば、日本よりも法人税率が低いため、節税効果が得られることが想定される。潮田氏自身が現在、居を構えて生活の拠点にしているのもシンガポールだ。

 地域別売上高(2018年3月期実績)をみると、圧倒的に多い日本の次がアジア、そして北米、欧州と続く。LIXILは現時点ではアジア企業であり、欧米市場への上場は考えにくいのだろう。そうなると主要な市場は香港かシンガポールかという選択肢しかない。香港市場の規制の問題などを考えると、やはりシンガポールというのは自然な選択だと考えられる。

関連記事:スクープ解説 LIXIL、大転換に渦巻く懸念

コメント3件
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石田修治

定年退職

真の狙いは、株価ではなく「利益」ではないか?シンガポールなら日本より法人税が安いから税引き後利益は大幅に増える。株価は上場がどこでも国際資本によって動いているのだから関係ない。

2019/01/21 06:35:4011返信いいね!


丸刈太

本社機能を海外に持っていっても、製造や販売やサービスのための日本法人に対する法人税は変わりません。

なのでたくさん節税するには、子会社から本社にたくさん送金したりして本社に利益を集める必要がありますが、これをやるとたちまち税制上の注目を受...続きを読む

2019/01/21 14:59:115返信いいね!


ダサイタマジジィ

平長

コングロマリットディスカウントと言うが実際にそういう企業なのだからしょうがない。
サッシュ(窓枠)と衛生陶器と建具は別々のものだし統合するメリットは感じられない。
それを言うなら昔の松下グループは凄かった。
建材関係で無かったのは鉄筋と生コ...続きを読む

2019/01/24 12:37:171
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00006/011800009/


 
スクープ解説 LIXIL、大転換に渦巻く懸念

奥 貴史
日経ビジネス記者
2019年1月21日
90%

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全959文字
 LIXILグループがMBO(経営陣が参加する買収)で日本の株式市場から退出し、さらにシンガポールに本社を移して現地で上場するという構想が明らかになった(関連記事:スクープ LIXILがMBO検討、日本脱出も)。このシナリオが本当に進んだ場合、どんな影響が出るだろうか。


潮田氏は社員や株主、取引先に対する説明を求められそうだ。(写真=稲垣 純也)
 慌てそうなのが東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)だ。「個別企業の上場方針に口をさしはさむ立場にはない」(東証幹部)と言いつつ、有力企業の上場廃止は市場としての力をそぐ。しかも新規上場するというシンガポール取引所(SGX)はアジア域内でJPXがつばぜり合いを繰り広げる強力なライバルだ。

 LIXILの株主はどう思うのだろうか。ひとまずMBOの時点である程度のプレミアムがついて株を買ってもらえるのであれば、それでよしとする株主も多いのかもしれない。SGXでの取引が難しい個人投資家はなおさらだろう。

 ただ、MBO価格の設定が難しそうだ。高く買ってほしい株主に対し、潮田洋一郎会長兼最高経営責任者(CEO)の側はできるだけ安い費用でMBOを成立させたい。MBO価格の設定を巡っては、過去にもカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)などで訴訟が起きている。LIXILの足元の株価は過去5年で最安値圏にある。足元の株価にプレミアムを多少のせても、取得価格より低いとして不満を言う株主が出てきてもおかしくない。火種は残りそうだ。

 従業員も不安感でいっぱいだ。「いきなりシンガポールの企業になりました、と言われてもなかなか咀嚼できない」(中堅社員)。事業会社は工場があるため、シンガポールにすぐにする移転というわけにはいかないだろう。本社に付随するバックオフィス部門などはシンガポールに移転する可能性があり、社内はざわついている。

 顧客に動揺が走る可能性もある。国内の信頼できる最大手と取引していたはずなのに、突然その取引先が外資系になるようなものだ。公共工事関連などでは、日本に本社がないことで不利な面が出てくる可能性も考えなくてはいけないかもしれない。

 こうした渦巻く懸念を振り払ってまで、前代未聞の壮大な計画を進める必要があるのか。潮田氏は社員や株主といったあらゆるステークホルダー(利害関係者)に説明をする必要が出てきそうだ。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00006/011800010/
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/729.html

[不安と不健康18] 第2回 食道がんのリスクを189倍にした要因が明らかに 
第2回 食道がんのリスクを189倍にした要因が明らかに
東京大学 精密医療 松田浩一(2)


川端 裕人
文筆家
2019年1月26日
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全4095文字
ゲノム研究によって病気のリスクや効果的な治療法を解き明かし、一人ひとりに適した医療を提供する「精密医療」。その実現を世界的にも早くから目指してきたプロジェクト「バイオバンク・ジャパン」の運営に携わる、松田浩一さんの研究室に行ってみた!

(文=川端裕人、写真=内海裕之)

 東京大学大学院の松田浩一教授(新領域創成科学研究科メディカルサイエンス群・クリニカルシークエンス分野)は、精密医療(オーダーメイド医療)を実現するために27万人分ものDNAを保管するバイオバンクを運営しつつ、みずからそのバンクのユーザー(研究者)でもある。

 そのバイオバンクを使ってどんなことがこれまでに分かってきたのか、ご自身の研究に寄り添いつつ聞いていこう。


精密医療の実現を目指すバイオバンク・ジャパンの運営に携わり、自らも研究を行う東京大学大学院教授の松田浩一さん。
 「バイオバンク・ジャパンが始まったのは2003年ですが、その後、5年ほどは、エントリーの時期で、参加の意思がある方から血を採らせてもらって、DNA、血清、臨床情報を収集するのに費やしました。そうするうちに、だんだんいろいろな病気の方のDNAが集まってきて、例えば、食道がんについて、まず200人の患者さんと健常な人1000人くらいを比較してどんな遺伝子を持っている人がリスクが高いのか、いわゆるケース・コントロール・スタディ(症例対照研究)ができました」

 DNA試料のバンクの構築は一人ひとりに説明して試料を集めるものだから、とても手間がかかる。しかしひとたび充分な症例が集まると、まずは症例対照研究を行って、食道がんの人に多い因子、この場合は遺伝子の型を探すことができるようになった。単純に言うと、食道がんの人(症例)と健康な人(対照)のゲノムを比較して、違っているところを見つけたということだ。


 ただ、ふと疑問に思う。ヒトのDNAには30億もの塩基対があると聞く。それら全てをひとつひとつ見ていったとしたら大変なことになると容易に想像できる。

 「たしかに、30億の塩基対すべてを比較しているわけではありません。見ているのは、SNP(Single Nucleotide Polymorphism、スニップ)、一塩基多型と呼ばれるものです。これは、ヒトのゲノムの塩基配列の中で、300カ所に1カ所ぐらい、つまり、30億のうちの1000万カ所くらいにある、個々人によって情報が違っている部分です。1つの塩基が違うだけで、体内で作られる酵素などのタンパク質の活性が変わったり、そもそもその遺伝子が働かなくなったりします。肌や目や髪の色が違うのもSNPで説明できますし、実は血液型の違いもSNPの組み合わせで決まります。我々の食道がんの研究では、SNPのうち55万カ所を比較しました」

 ぼくたちはヒトだから、だいたいの遺伝情報は同じだ(だから同じ種だ)。でも、ところどころ違うところがあって、それが個性の源でもある。そういった違いをもたらすものとして代表的なのが、一塩基多型、つまり、SNPだ。もうひとつ代表的なものに、遺伝子の数の違いが問題になる「コピー数多型」というものがあるが、一塩基の違いを見ればよいSNPの方が研究対象として扱いやすく、まず先に研究が進んだそうだ。そして、その端緒をひらいたのが松田さんのグループによる食道がんの研究だった。30億塩基をすべて調べるかわりに、「万」で語ることができる数のSNP。ずいぶん数は減ったが膨大であることには変わりない。こういう総当たり的なやり方というのは、やはり大量のデータを扱うことができる情報技術時代の申し子といえる。

 「これは、仮説を置かない研究なんです。我々は55万カ所とりあえず全部調べてみて、その中であり得ないぐらいの低い確率のものが見つかったら、おそらく偶然ではなくて必然だろうと考えます。この場合、食道がんの人と健康な人のSNPの塩基の頻度を比較して、差が大きかった上位の1万2000のSNPについて、さらに別の集団でも確かめて、結局、食道がんの発症と非常に強く関連する遺伝子領域を同定できました。ALDH2とADH1Bと呼ばれる2領域です。これらは、アルコールの分解に関わる酵素の遺伝子だとすでに分かっていました。そして、それぞれのSNPの型の間で比べると、高リスクのタイプと低リスクのタイプでは4倍くらい食道がんの頻度に差があることが分かったんです」


 ALDH2とADH1Bは、ともにアルコール感受性遺伝子と呼ばれるものだ。それぞれ、アルコール脱水素酵素と、アセトアルデヒド脱水素酵素という酵素の「設計図」に相当する。ぼくたちは体内に入ってきたアルコールをアセトアルデヒドにし、さらにそれを酢酸にすることで無毒化しており、その過程で働くのがこれらの酵素だ。「仮説を置かない研究」の結果、”飲酒と食道がん”という疫学研究ですでに示されているリスクと関連しそうな遺伝子が特定されてきたというのは非常に示唆に富む。

 その内容を具体的にいえば、アセトアルデヒド脱水素酵素の活性が高くもなく低くもない中間型の人のリスクが高く、アルコール脱水素酵素については活性が低い人のリスクが高いのだそうだ。ともに活性が高いほうがリスクが低いのではないかと素人考えで思ったのだが、そうではなかった。

 これについては、こんなふうに説明できるという。

「アセトアルデヒドが血中にあると、顔が火照ったり頭が痛くなったり、不快な症状が出ます。日本人では約半数の人たちはアセトアルデヒド脱水素酵素の活性が強くてこういった不快な症状が出にくいんですけど、約4割は中間型ですぐに顔が赤くなったりします。残りはそもそもアセトアルデヒドを分解できない、お酒を全く飲めない人たちです。この場合、中間型の人がアセトアルデヒドに晒されるリスクが高くなります。アセトアルデヒドは発がんをうながすことが分かっているので、それで食道がんになりやすいのではないかと考えられます。一方、アルコール脱水素酵素は、飲酒の嗜好性を決めている因子です。この酵素の活性が弱い人は、飲酒してからアセトアルデヒドが蓄積するまで時間がかかるので、不快な症状を感じる前にお酒を飲みすぎる傾向があります。実際、アルコールに依存性がある方は、その酵素活性が弱いタイプが非常に多いと分かっています」

 つまり、「お酒にそれほど強くないのに飲めないわけでもない人(アセトアルデヒド脱水素酵素活性の中間型)」と、「お酒を飲みすぎる傾向がある遺伝子型を持つ人(アルコール脱水素酵素の活性が低い型)」では、発がん性のあるアセトアルデヒドにさらされる結果、がんになりやすくなっている、というふうに理解できる。松田さんの研究によると、これらのハイリスクの人たちでは、そうでない人たちに対して3〜4倍も食道がんになる頻度が高かった。さらには、両方の遺伝子型をあわせもった人のリスクは、なんと16倍にものぼった。

 松田さんは、環境因子との関係にも切り込む。食道がんは、喫煙やアルコールの摂取と密接に関係していることが分かっているので、こういった生活習慣とはどう関係するのだろう。食道がんの人のグループにも、その対照群となったグループにも、喫煙者や日常的に飲酒する人が混じっていたわけだが、バイオバンク・ジャパンでは、喫煙量、飲酒量についての情報も調べられている。また、健康な人の対照群でも、それはきちんと聞いている。そこで、これらを切り分けて検討すると、衝撃的な結果が導かれた。

 「2つのハイリスクな遺伝子型に加えて、飲酒、喫煙をしている人は、まったくそれらの要素がない人よりも、189倍もリスクが高かったんです。これは驚くべき数字です。逆にこういった遺伝情報があらかじめ分かれば、禁煙、禁酒をすることで10分の1以下にリスクが減るとも言えるわけです。そして、きちんと定期検診を受けて早期発見することにも繋がります」

 がんにせよほかの病気にせよ、何かの因子について、それが複合的なものであったとしても、100倍を超えるようなリスクの比は、そう簡単にはお目にかかれない。本当に驚くべき内容であり、また、現実世界での対策に役に立てるべき知見だと思う。

https://cdn-business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00112/00003/ph_thumb.jpg 

アルコールと喫煙と2つのSNPを含めた解析を行った結果、全ての危険因子を持たない人に比べ、4つとも危険因子を持つ人では、189倍もリスクが高かったことが明らかになった。(画像提供:松田浩一)
つづく

(このコラムは、ナショナル ジオグラフィック日本版サイトに掲載した記事を再掲載したものです)

松田浩一(まつだ こういち)
1969年、大阪生まれ。東京大学 大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 クリニカルシークエンス分野 教授。M.D., Ph.D. 1994年、東京大学医学部医学科卒業後、整形外科医の勤務経験を積んだのち、基礎研究を志して1999年、東京大学大学院医学系研究科外科学専攻に入学。2003年に米国ベイラー医科大学研究員になり、博士号も取得。2004年、東京大学医科学研究所、ヒトゲノム解析センター助手に就任。2009年に准教授になり、2015年より現職。
川端裕人(かわばた ひろと)
1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、『天空の約束』(集英社文庫)、NHKでアニメ化された「銀河へキックオフ」の原作『銀河のワールドカップ』(集英社文庫)とその“サイドB”としてブラインドサッカーの世界を描いた『太陽ときみの声』(朝日学生新聞社)など。
本連載からのスピンアウトである、ホモ・サピエンス以前のアジアの人類史に関する最新の知見をまとめた近著『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』(講談社ブルーバックス)で、第34回講談社科学出版賞と科学ジャーナリスト賞2018を受賞。ほかに「睡眠学」の回に書き下ろしと修正を加えてまとめた『8時間睡眠のウソ。 日本人の眠り、8つの新常識』(集英社文庫)、宇宙論研究の最前線で活躍する天文学者小松英一郎氏との共著『宇宙の始まり、そして終わり』(日経プレミアシリーズ)もある。
ブログ「カワバタヒロトのブログ」。ツイッターアカウント@Rsider。有料メルマガ「秘密基地からハッシン!」を配信中。
 
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00112/00003/
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/692.html

[経世済民130] 社長の報酬いくらが適正?社員も納得「給料の決め方4つのステップ」 「順番」さえ守れば、 社長は給料を好きなだけもらえば
【第106回】 2019年1月26日 小宮一慶
社長の報酬いくらが適正?社員も納得「給料の決め方4つのステップ」

「順番」さえ守れば、
社長は給料を好きなだけもらえばいい
小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶

 会社の取締役や監査役といった役員が受け取る役員報酬に対する関心が高まり、上場会社では決定プロセスの透明化を求める動きが強まっています。社外役員を中心とした報酬委員会などを設置する会社も増えています。

 一方、中小企業のオーナー社長の場合、もちろん業績による制約はありますが、自分で自由に決めることができます。彼らは経営に失敗すると、担保として差し出している家屋敷も財産もすべて失うという大きなリスクを背負っているので、順番を守りさえすれば、社長の報酬は「好きなだけもらえばいい」と、私は考えています。

 順番とは、

(1)高収益体質の会社を作る
(2)社員には同じ地域の同業他社より1割高い給料を支払う
(3)幹部社員には最低でも1000万円の報酬を支払う
(4)社長の役員報酬を決める

 ということです。

 高収益企業の条件は「付加価値の2割の営業利益」を出していること。付加価値とは売り上げから仕入れなどを引いた自社で作り出した価値のことで、差別化された商品・サービスを提供し、従業員に行動の徹底などができていなければ、高収益企業にはなれません。

 そして、社員には、同じ地域の同業他社の給料を上回る十分な金額を支給するべきです。ただし、それは適度であるべきで、経営コンサルタントの大先輩・一倉定先生は、十分な金額の目安を、「同じ地域の同業他社よりも1割高いこと」としています。私もその通りだと思います。

 ときどき「もうかったら、いくらでもあげる」という気前のいい社長がいますが、それは会社にとっても社員にとっても良いこととは限りません。まだ正しい生き方の勉強を十分にしていない社員に分不相応な給料を払うと、遊ぶことに熱心になって仕事がおろそかになってしまいます。同じ地域の同業他社より1割多いくらいが適正です。

 こんな実話もあります。ある有能な経営者が率いる地方の会社が上場し、従業員持ち株会に入っていた社員の中には億万長者になった者も少なからず出たのですが、社員のままでは持ち株を売ることができないため、退職する社員が続出しました。経営者は社員の士気を高める目的もあって苦労して上場にこぎつけたのに、正反対の結果を招いてしまいました。だからといって給料が安いままでは、社員は仕事に誇りが持てず、生活が苦しく、仕事に集中できません。

 こんな実話もあります。ある社長が居酒屋で酒を飲んでいたとき、偶然、カウンターの近くに座っていた人たちの会話が聞こえてきたそうです。「あの会社の給料はすごく安いらしい」。面識もない人たちの酒の肴になるほど安い給料で社員を働かせていたのかと、社長はとても恥ずかしくなり、すぐに給与を引き上げたそうです。

 社員に同じ地域の同じ業種で働く人より1割高い給料を支払えることができたら、次は幹部社員の年収を最低でも1000万円以上に引き上げる。オーナー社長に一生をささげて仕えてくれているのですから、十分に報いなければなりません。私の中堅・中小企業のお客さまの会社の中には、幹部の年収が数千万円という例も少なからずあります。

会社のお金で高級車に乗る経営者は
社員の働く意欲を失わせる
 高収益体質に転換し、従業員と幹部社員の給料の見直しが終わったら、あとは社長が「好きなだけもらえばいい」のです。逆説的ですが、まだメガバンクが誕生する前の当時の大手銀行で、中小企業が多い地域の支店長の給料は、中小企業の社長と同水準といわれていました。今に換算すると2000万円から2500万円くらいでしょうか。

 私は冒頭でも書いたように、リスクを背負っているのだからオーナー社長はもっと取ってもいいと考えていますが、あまり取り過ぎると、「付加価値の2割の営業利益」は出ないので、自然に取り分は決まってくるでしょう。また十分な利益が出ていても、取り分を抑えれば、それが利益剰余金として残り、内部留保が積み上がっていくので、オーナー社長であれば、結局は自身が受け取っているのと同じことになります。

 それなのに税金を払うのが嫌なのか、役員報酬をそこそこに抑えて、会社のお金で高級車を乗り回し、私的な旅行やゴルフに行き、夜遊びをする経営者もいます。会社のお金を私的に流用することはカルロス・ゴーン氏の騒動の例を見るまでもなく、特別背任罪という犯罪に該当しますが、仮に摘発されなかったとしても、社員の働く意欲を失わせるし、場合によっては、まねをして会社の金を使いこむ者も出てくるかもしれません。ぜいたくは、高収益の良い会社を作って、たくさんの給与を取り、自分のお金でするべきです。

 経営者向けのセミナーでもこの話をするのですが、多くの社長の耳には「好きなだけもらえばいい」という部分だけしか残らないようです。そこで最後にもう一度、念押ししておきます。「付加価値の2割の営業利益」を出した上で、従業員→幹部→社長の順で待遇を改善する。この順番を厳守することです。

(小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)
https://diamond.jp/articles/-/192064
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/730.html

[国際25] トランプ米大統領が3週間の政府閉鎖解除で合意、民主党に屈する 米議会、政府閉鎖解除を決議−国境警備巡る審議開始へ 
トランプ米大統領が3週間の政府閉鎖解除で合意、民主党に屈する
Anna Edgerton、Billy House、Erik Wasson、Jennifer Jacobs
2019年1月26日 4:46 JST 更新日時 2019年1月26日 9:52 JST
上下両院が政府閉鎖解除を決議、国境巡る審議開始へ
壁の要求継続、新たな政府機関閉鎖か非常事態の宣言で−トランプ氏
トランプ米大統領は25日、政府機関の運営を3週間再開することで合意したと発表した。35日間続いた政府機関の一部閉鎖が解除される。大統領が要求していた国境の壁建設費用は合意に含まれておらず、大統領がペロシ下院議長に屈した格好だ。

  上下両院は来月15日までの期限付きで連邦政府機関を再開する法案を同日可決した。トランプ大統領は連邦職員に未払いの給与が速やかに支払われるようにするとし、速やかな署名を約束している。

  今回の合意はトランプ大統領にとって劇的な方針転換だ。大統領は国境の壁建設費用が確保されない限り、政府閉鎖の再開は認めないと過去5週間にわたって主張していた。自身の支持率が急低下したほか、空の交通に混乱が生じ、税還付の円滑なプロセスが脅かされたことが方針転換の背景にある。

  トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し、新たな政府機関の閉鎖あるいは国家非常事態の宣言によって壁建設費用の要求は続けると表明した。

  「強力な壁ないしは鉄柵を建設する以外に選択肢はない」と発言。「議会と公平な取引ができない場合、政府は2月15日に再び閉鎖するか、あるいはこの緊急事態に対応するため、私は法律と米国憲法で与えられた権力を行使する」と述べた。

  ペロシ下院議長は記者団に対し、両院の合同委員会が「わが国の国境警備で何が最善の措置かについて、各人の見解を聞き出す」とコメント。シューマー上院院内総務は「双方に納得がいく」合意に向け取り組むと語った。

原題:Trump Bows to Democrats, Temporarily Ends Shutdown Without Wall(抜粋)

(ペロシ、シューマー両氏の発言と上下両院の法案可決を追加し、更新します.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-25/PLWJR46VDKHS01?srnd=cojp-v2


 


米議会、政府閉鎖解除を決議−国境警備巡る審議開始へ
Laura Litvan
2019年1月26日 9:18 JST
トランプ米大統領、3週間の政府閉鎖解除で合意−壁費用含まれず
上下両院とも暫定予算案を可決、大統領は速やかな署名を約束
米国の上下両院は25日、来月15日までの期限付きで連邦政府機関を再開する法案を可決した。政府機関の一部閉鎖が35日目でようやく解除に向かった。トランプ大統領は先に、国境の壁建設費用を含まない暫定予算案に合意した。

  トランプ大統領は、連邦政府職員が職場に戻り、先月22日までさかのぼる未払いの給与を受け取れるようにするため、速やかに署名すると約束した。

  今回の政府機関閉鎖では、約80万人の連邦政府職員が自宅待機や無給労働を強いられ、その多くにとって25日は給与が支給されない2度目の給料日だった。この日は米連邦航空局(FAA)が航空交通管制官の不足を理由にニューヨークのラガーディア空港行きのフライトを一時的に停止する一件があり、大統領と議会には政府閉鎖解除の圧力が一層強まっていた。

  この合意は、国境の壁建設費用を含んでおらず、代わりに上下両院の合同委員会があと3週間、国境警備計画について交渉できるようにしている。

  マコネル上院院内総務(共和、ケンタッキー)は、「物理的な障壁を含め、急を要する国境警備措置への多額の費用拠出を盛り込んだ」通年予算案の交渉に民主党が応じることを希望していると述べた。

原題:Senate Votes to End Shutdown, Start Talks on Border Security(抜粋)HOUSE CLEARS BILL TO TEMPORARILY END SHUTDOWN, SENDING TO TRUMP
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-26/PLWV6LSYF01S01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/322.html

[国際25] FBIが追いかける中国人ハッカーの素性 
FBIが追いかける中国人ハッカーの素性

吉野 次郎
日経ビジネス記者
2019年1月25日
3 59%

全864文字
 米国政府が先端技術の中国流出を防ぐべく、対策の強化に乗り出している。

 「WANTED(お尋ね者)」──。米連邦捜査局(FBI)は昨年末に、西部開拓時代から変わらぬキャッチコピーで新たな指名手配ポスターを公開した。お尋ね者は中国人ハッカー2人だ。


中国人ハッカー2人に関する情報提供を呼びかけたFBIのポスター(FBIのウェブサイトから)
 記者会見に臨んだクリストファー・レイFBI長官は、「中国当局は自国のハッカーに情報の窃取を依頼している」と危機感をあらわにした。

 今回指名手配されたズ・ホワ氏とザン・シロン氏とは何者か。2人は2006年ごろから中国の諜報機関、国家安全省からの依頼に基づき、航空宇宙や製造、石油・ガス、通信など、国力の向上につながる情報を盗み出していた疑いがもたれている。中国天津市のIT(情報技術)企業に勤めながら、米国政府が「ATP10」と呼ぶ中国のハッカー集団に属していたとされる。

 米国政府は14年に人民解放軍に所属する5人をサイバー攻撃の疑いで起訴して以来、中国人ハッカーへの警戒を強めている。米司法省は昨年10月にも中国・国家安全省の依頼を受けた複数の中国人ハッカーを起訴するなど、摘発の頻度も高まる。背景にあるのは激化する米中技術覇権争いだ。

 米国政府は3月1日を合意の期限とする米中貿易協議でも、中国によるサイバー攻撃や技術移転の強要、知財侵害などを議論の俎上に載せる。合意に達しなければ、対中関税を大幅に引き上げる構えをみせる。


18年12月1日の米中首脳会談でトランプ米大統領(左)は中国の習近平国家主席(右)に対して、貿易などの協議で合意しなければ対中関税を引き上げると詰め寄った(写真:新華社/アフロ)
 中国の産業スパイの摘発も相次ぐ。18年7月には自動運転技術を盗んだ疑いで、中国行きの飛行機に乗ろうとしていた米アップル元社員を空港で逮捕した。18年10月にはゼネラル・エレクトリック(GE)の航空事業部門から航空宇宙関連の機密情報を盗もうとしていた国家安全省の高官を訴追した。

 米国政府は中国を念頭に、AI(人工知能)や量子コンピューターなど14分野で輸出・投資規制の強化する方針だ。

 「技術覇権」の座は絶対に中国に渡さないとばかりに締め付けを強める米国と、ハッカーやスパイを動員して海外の先端技術の吸収を狙う中国。2大大国の争いに終わりは見えない。

昼 行燈

無印老人

例え米国政府に対して、中国側が米中貿易協議においてサイバー攻撃や技術移転の強要、知財侵害などをやめると合意しても、すぐには信用するべきではないでしょう。実際に、そのような行動が確実になされているのか、約束から何年経とうが、常に気を緩めずに検証しながら、少しでも疑わしい動きを察知すれば、直ちに関税引き上げを実行に移すことを、予め中国側に忠告しておくべきです。
中国人は、国際法すら遵守するつもりはないのに、自分たちの手足を縛ることになるアメリカとの合意なんて、守るはずがないでしょう。自分たちに都合が悪い取り決めは直ぐに忘れるのに、自分たちに有利な約束は、軍事力を背景にして、必ず実現するのです。
トランプ大統領は取り引きには長けているようだから、簡単に中国の口車に乗せられることはないと思いますがね。
2019/01/25 16:36:03返信いいね!


BADBOY

終わりは見えない、って、なんかマスコミはお気楽ですね。

2019/01/25 17:39:22返信いいね!
1件の返信を表示


K.Gotou

情報処理従事者

「新発想は、自由から」。自由だから新発想が湧いて出てくると思います。その自由を愛するアメリカ合衆国。一方、「全体の幸せは個の幸せ」と信じる中国共産党。全体の幸せのために個の自由を制限します。よって、新発想が生まれにくい環境となっています。
新発想が生まれにくければ全体の利益がなかなか積み増せないので、新発想を採り(摘み)に自由の地へ入り込みます。自由の地は自由だから柵を設けていないので、もぎ取り放題。本当は、幾ばくかのお金や収穫相当のモノ・コトを置いていく暗黙のルールがありますが、それが無かったり少なかったりしているのです。だから、自由の地の人達は怒り狂うわけです。
「じゃ、柵を設けようぜ!」と策をねり柵で取り囲みます。ですが、策を作ったおかげて、お金やモノ・コトが外から入りにくくなり、また、そのお陰で自由に陰りがでてきたのです。自分たちだけの自由を模索するようになりました。
「世界はお互い様」。極東の島国から声が聞こえてきます。鎖国を得て明治維新から昭和初期で大戦争で大敗戦後、自己反省して経済大国となった国です。その国の歴史から生まれた教訓でした。
その教訓がアメリカ合衆国と中国共産党に響くように、海原を超える大きな声を出さなければなりません。どうか、声が届くように、大きな声で。
2019/01/26 07:43:44
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/012500035/


 
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/323.html

[国際25] 起訴状で言及の「陣営の幹部」はバノン氏−ストーン被告逮捕で関係 トランプ大統領のストーン元顧問を起訴、偽証や証人買収
起訴状で言及の「陣営の幹部」はバノン氏−ストーン被告逮捕で関係者
Laura Curtis、Shannon Pettypiece
2019年1月26日 3:08 JST
ロシア疑惑の捜査を進めるモラー特別検察官が25日に公表した24ページに及ぶ起訴状には、2016年10月の電子メールでのやり取りに関する記述があるが、そこに言及されている「陣営の幹部」とはホワイトハウスの首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏だと、事情に詳しい関係者が明らかにした。

  共和党のロビイストを長く務め、トランプ大統領の顧問だったロジャー・ストーン被告に対する起訴状は、内部告発サイト「ウィキリークス」の事業概要が一致する組織が公表した、クリントン陣営に関する流出メールに言及している。

Candidate For U.S. Senate Roy Moore Holds Campaign Rally With Steve Bannon
選挙集会で演説するスティーブ・バノン氏(アラバマ州で)Photographer: Nicole Craine/Bloomberg
  ホワイトハウスのサンダース報道官は25日、「ストーン氏に対する起訴内容は、大統領とは無関係だ」と記者団に述べた。

  ストーン被告は25日、フロリダ州で逮捕された。

原題:Bannon Said to Be High-Ranking Campaign Official in Stone Charge(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-25/PLWD066TTDSA01?srnd=cojp-v2


トランプ大統領のストーン元顧問を起訴、偽証や証人買収などで
David Kocieniewski
2019年1月25日 22:37 JST 更新日時 2019年1月26日 2:42 JST
ストーン被告、フロリダ州フォートローダーデールで身柄拘束
司法妨害や偽証、証人買収など7件の罪で起訴
トランプ米大統領の元顧問でロビイストのロジャー・ストーン氏が25日、司法妨害などの罪で起訴された。モラー米特別検察官が主導する2016年米大統領選へのロシア関与疑惑捜査を妨害したほか、内部告発サイト「ウィキリークス」と自身のやり取りについて偽証した罪に問われている。

  起訴状によると、ストーン被告は大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏に恥をかかせるため、国家ぐるみのロシア人ハッカーによって盗まれた米民主党全国委員会(DNC)の電子メール公開とトランプ陣営を結びつける役割を果たした。起訴状はまた、証人買収や隠蔽(いんぺい)疑惑のさらなる事例も示している。

Politcal Consultant Roger Stone Interview
ロジャー・ストーン被告Photographer: Christopher Goodney/Bloomberg
  ストーン被告が2015年にトランプ陣営を退いた後も、ウィキリークスと見られる組織についてトランプ陣営の匿名のシニア幹部と定期的なやり取りを続けていたと起訴状は説明。「トランプ陣営のシニア幹部1人が同被告に連絡するよう指示された」とも記している。起訴状はモラー氏がこうした幹部を特定しており、同幹部らが果たした役割について調べていることを示唆している。

  モラー検察官のオフィスによると、25日にフロリダ州フォートローダーデールの連邦地裁に同被告が出廷する。米司法省によると、ストーン被告(66)は司法妨害や偽証、証人買収など7件の罪で起訴された。

原題:Trump Ally Stone Charged as Probe Links Campaign, DNC Emails (4) (抜粋)

(新たな情報を追加し、更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-25/PLW12R6JTSE801?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/324.html

[経世済民130] 株が上昇、決算と政府閉鎖解除合意が追い風 ブラックロック:米地方債ETFから記録的な資金流出、原因は1社 

【米国株・国債・商品】
株が上昇、決算と政府閉鎖解除合意が追い風
Sarah Ponczek、Reade Pickert
2019年1月26日 7:34 JST
米国債は反落、イールドカーブがフラット化
原油と金は上昇、米中協議への期待感で新興国市場も高い
25日の米株式相場は上昇。企業決算が米経済への信頼感を高めたほか、トランプ大統領と議会指導者が3週間の政府閉鎖解除で合意したことで買いが入った。米国債は反落。

米国株は上昇、政府閉鎖解除の合意や企業決算を好感
米国債は反落、10年債利回り2.76%に上昇
NY原油は続伸、3週間の米政府閉鎖解除で懸念が後退
NY金は反発、ドル下落で−米中交渉の進展ない中
  ダウ工業株30種平均とナスダック総合指数は週間ベースでも上昇。S&P500種株価指数は週間ではマイナスとなった。中国政府の代表が週明けにワシントンを訪れ、米中通商協議に向けた準備作業を行うとの観測を受けて、この日は新興国市場の上昇に弾みがついた。また、米金融当局がバランスシート縮小プログラムを当初予定より早く終える可能性を検討しているとの報道も、市場の楽観を強めた。

  S&P500種は前日比0.9%高の2664.76。ダウ工業株30種平均は183.96ドル(0.8%)上げて24737.20ドル、ナスダック総合指数は1.3%高。米10年債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.76%。

  アビバ・インベスターズのポートフォリオ・マネジャー、ティム・アルト氏は、「リスクテークの動きが活発化する可能性があるとの印象だ」と述べた。

  トランプ米大統領はこの日、政府機関の運営を3週間再開することで合意したと発表。アムンディ・パイオニア・アセット・マネジメントのマネジングディレクター、ジョン・キャリー氏は、「まだ不透明性はあるが、少なくとも危機は先送りされたか、回避された」とコメント。「短期的な圧迫要因が和らいだということだ」と語った。

  ニューヨーク原油先物は続伸。米政府機関の運営を3週間再開することで合意が成立し、投資家の懸念が和らいだ。主要産油国ベネズエラの政情不安が続いたことも背景。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物3月限は56セント(1.1%)高の1バレル=53.69ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は55セント高の61.64ドルで終えた。

  ニューヨーク金先物は反発。ドルの下落に加え、米中貿易摩擦がしばらく解決をみないとの観測が背景となった。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は1.4%高の1オンス=1304.20ドルで終了。1300ドルの大台を突破するのは3週間ぶり。週間ベースでも上昇した。

  米国債相場は下落し、週間ベースの上げ幅を縮めた。10年債利回りは遅い時間に日中最高を付けた。5年債と30年債の利回り差は縮小、イールドカーブがフラット化した。

原題:Stocks Rise on Earnings, Shutdown Deal Optimism: Markets Wrap(抜粋)
USTs Fall, Curve Flattens as Deal Reached to Reopen Government
Oil Rises as U.S. Shutdown Ends While Venezuela Tensions Mount
PRECIOUS: Gold Futures Rise as Dollar Slips Ahead of Trade Talks
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-25/PLWOEN6VDKHU01


 


ブラックロック:米地方債ETFから記録的な資金流出、原因は1社
Amanda Albright
2019年1月25日 3:28 JST
iシェアーズ国内地方債ETF、23日時間外取引で1.6億ドルの売り
米地方債市場全体では資金流入、月間でプラスのリターンへ
米ブラックロックは同社最大の地方債ETF(上場投資信託)が記録的な資金流出に見舞われたことについて、投資会社1社が原因だと指摘した。

  資産規模が115億ドル(約1兆2600億円)に上るブラックロックのiシェアーズ国内地方債ETF(MUB)から、23日に1億6360万ドルが流出した。この流出額は2007年に同ETFがローンチされて以降で最大だった。

  その背景にいたのは、単一の投資家だ。この投資家は23日の通常取引後の時間外取引でこのETFを150万口、約1億6300万ドル相当を売却した。流出額のほぼすべてを占める額だ。

Not Off to a Good Start
BlackRock's MUB has seen more outflows than any other muni ETF in 2019


Source: Bloomberg

  この投資家の身元は開示されていない。ブルームバーグが当局提出文書をまとめたところによると、昨年9月末時点でiシェアーズ国内地方債ETFを150万口以上保有していたのは少なくとも11社あった。

  米地方債は月間でプラスのリターンへと向かっているだけに、この資金引き揚げは興味深い動きだ。ETFに対する判断というより、定期的なポートフォリオ組み換えという性格が強いかもしれない。米国投資信託協会(ICI)によると、3兆8000億ドルの規模を持つ米地方債市場から大口投資家が資金を引き揚げる気配はなく、今月16日までの1週間では1年ぶりの大規模な資金流入を記録した。

原題:BlackRock Can Blame One Investor for Record Muni ETF Outflow (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLUK916VDKHT01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/731.html

[経世済民130] ビットコイン採掘、世界の大半でもはや採算とれず ビットコインETFの上場撤回 仮想通貨は金融の基本テストに不合格−英中銀
ビットコイン採掘、世界の大半でもはや採算とれず

JPモルガン
Eric Lam
2019年1月25日 23:52 JST
低コストの中国マイナーは依然として利益が出せる可能性
昨年4Qのビットコイン採掘コストは4060ドル、現在の相場上回る
1ビットコインを生み出すためにかかった全世界の加重平均コストは昨年10−12月(第4四半期)に4060ドル(約44万6000円)前後だったと、JPモルガン・チェースのアナリストらが試算した。

  ビットコイン価格は現在、3600ドルを下回る水準で取引されており、元が取れるようには見えない。だが、世界各地でコストには大きな開きがあり、ビットコイン採掘で依然として利益が得られる地域と損失にしかならない地域とが明確に存在する。

  ナターシャ・カネバ氏をはじめとするJPモルガンのアナリストは24日公表した仮想通貨に関する広範なリポートで、中国のマイナー(採掘者)はコストを大幅に抑えることができると指摘。アルミ製錬業者など余剰電力を売りたい企業と直接の電力売買契約を結び、安い電力を利用することができるためで、1ビットコイン当たりの費用を2400ドル前後と見積もった。ビットコイン採掘のデータ処理のため大量に電力を消費するコンピューターを動かすマイナーにとって、電気代が最大のコストになる傾向がある。

  JPモルガンのアナリストは「ビットコインが昨年10月の6500ドル近辺から4000ドルを割り込んだ現水準までの下落で、マイナーの損益はますます厳しくなり中国を拠点とする低コストのマイナーを除きほぼすべての地域で赤字に陥る業者が増えている」と分析した。ただ、今回のリポートでは収集できたデータにばらつきがあり、マイナーの効率を保守的に想定したため、コストを高めに見積もっている可能性があると付け加えた。リポートに記載されたコストには機器の費用は含まれていない。

Another Leg Down
原題:Bitcoin Is Worth Less Than the Cost to Mine It, JPMorgan Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-25/PLW4TK6VDKHV01?srnd=cojp-v2


 
CBOE、ビットコインETFの上場申請撤回−米政府機関閉鎖で
Ben Bain
2019年1月24日 12:06 JST
SECへの提出資料で発表−申請撤回受けてビットコインは値下がり
審査期限が近づいていたため申請取り下げ−後日、再申請の方針
CBOEグローバル・マーケッツは仮想通貨ビットコイン上場投資信託(ETF)の上場申請について、米政府機関の一部閉鎖を理由に取り下げた。

  米証券取引委員会(SEC)に23日提出した資料で明らかにした。公表を受けて、ビットコインは値下がりした。

  政府機関の一部閉鎖で多くのSEC職員が自宅待機となっており、SECの審査期限が急速に近づいていたCBOEには支障が生じた。

  CBOEは電子メールで配布した発表資料で「後日、申請資料を再提出する方針だ」と説明した。再申請の場合、審査期限は再設定される。今回の申請が通れば、バンエック・アソシエーツとソリッドX・パートナーズのETFがCBOEのBZXエクスチェンジに上場されるはずだった。

Cryptocurrency sinks after application pulled
原題:Government Shutdown Blamed for Bitcoin ETF Plan’s Withdrawal(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLTDXA6TTDS201?srnd=cojp-v2


 

仮想通貨は金融の基本テストに不合格−英中銀ファンステーニス氏
Tom Keene、Francine Lacqua、David Goodman
2019年1月22日 10:16 JST
昨年中銀入りした同氏は未来の金融に関する検証を統括
「交換に優れた単位でもなく、価値もない」−仮想通貨について
仮想通貨は金融サービスの基本的なテストに不合格だと、イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁の上級顧問であるヒュー・ファンステーニス氏が指摘した。

  シュローダーとモルガン・スタンレーに勤務した経験があり、昨年に英中銀入りしたファンステーニス氏は現在、未来の金融に関する検証を統括している。ダボスから21日参加したブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ビットコインなどの仮想通貨は自身の関心事項リストの上位にはないと説明した。

  同氏は「仮想通貨について、私はさほど心配していない」とし、その理由として、仮想通貨は「金融サービスの基本的なテストに不合格だ。交換に優れた単位でもなく、価値もない」と述べた。

カーニー総裁の上級顧問を務めるヒュー・ファンステーニス氏

ブルームバーグ
原題:Cryptocurrencies Fail Fundamental Tests, BOE’s van Steenis Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-22/PLPHJQ6K50XY01?srnd=cojp-v2


 

仮想通貨が急落、ビットコインは4000ドル大きく割り込む
Eric Lam
2019年1月10日 21:13 JST
ブルームバーグ・ギャラクシー・クリプト指数は一時8%安
急落直前に大量のイーサが交換業者に移されていた−タム氏
10日の取引で仮想通貨が下落。ビットコインは新年明けに保っていた4000ドル近辺の水準を大幅に割り込んだ。

  欧州時間午前にビットコインは前日比で一時6.2%安、3750ドル台に下落した。ブルームバーグ・ギャラクシー・クリプト指数は一時8%安。ビットコインに次ぐ規模の仮想通貨であるイーサ、ライトコイン、XRPもそれぞれ売られている。

Largest crypto takes a sudden leg down in European morning
  仮想通貨データ分析会社コインフィの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のティモシー・タム氏は、急落の直接的な理由はないとしつつ、下げが始まる1時間前に約4万単位のイーサが交換業者に移されたと指摘した。交換業者への移管は通常、売りの意向を示唆するという。

原題:Bitcoin Declines as Cryptocurrencies Take a Sudden Lurch Lower(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-10/PL45L76S972C01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/732.html

[経世済民130] ウザい「残業武勇伝」はいらない!長時間労働を本当に是正する方法『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』
2019年1月25日 吉村博光 :HONZ
ウザい「残業武勇伝」はいらない!長時間労働を本当に是正する方法『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』

残業の問題は「私の残業論」という「個人の経験談」だけで解決しない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「残業武勇伝」とは残業に達成感と報酬と
成長がついてまわっていた時代の昔語り
『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』 中原 淳著 光文社刊 920円+税

 本を開いたとき、「ウザすぎる!残業武勇伝」という見出しが目に入った。残業武勇伝とは、「終電まで残業した」「連続で何日も出勤した」などと自慢するアレである。残業に達成感と報酬と成長がついてまわっていた時代の、昔語りである。本書『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』では、冒頭のコラムで当時(昭和)の残業と平成の残業の違いを考察していて、いきなり面白い。
 大量生産大量消費の時代には、頑張れば頑張るほど「報酬」はあがった。終身雇用の社内では、ドメスティックな知識や経験の蓄積が「成長」とみなされた。しかし今は、「成長」の定義そのものが変わってきている。変化に対応する力をつけることが「成長」なのだ。そのため驚いたことに、残業はむしろ成長阻害要因になっているという。

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 このデータからは「残業を捨て街に出たい」という思いが伝わってくる。働き方改革に様々な提言をしているAPU学長・出口治明氏は、良いアイデアは「人、本、旅から生まれる」と語っているそうだ。つまり、余暇を使って外部から学んだものから良い成果が生まれる、というのである。残業武勇伝を語る人々は、この変化に気づいているだろうか。

平成の不良債権(=長時間労働)の是正は
個人の問題ではない
 このように本書は、2万2000人規模の調査による圧倒的なデータから、これまで見えなかった「残業の現実」を浮き彫りしている。その志あふれる仕事には心から敬意と感謝を表したい。平成の不良債権(=長時間労働)の是正に本腰を据えて取り組みたい方には、まさに最良の一冊だ。本書の「はじめに」で著者はこう書いている。
“長時間労働の是正という「とてつもない難問」を、「私の残業論」という「個人の経験談」だけで解決しようとする書籍があとを絶ちません。本書を通読すればおわかりいただけると思いますが、長時間労働は構造的に生まれているものであり、こうした付け焼刃的な方法では、決して問題を解決することはできません。これに対して本書は、前述の通り大規模調査に基づいたデータやエビデンスによって構成されています。”
 そうなのだ。一口に長時間労働の是正といっても「とてつもない難問」なのである。私もそれに取り組む一人として、その複雑さ・困難さに茫然としてしまう。社員一人一人の理解度が違うなか、なぜ今、取り組む必要があるのか共通理解を作ることから始めなければならない。同居する実母を介護している私には、少しは、その意義が理解できる。

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 人口構造を考えると、従来の「長時間労働が可能な人だけが働ける職場・社会」=「事情を抱えた人を切り捨てる職場」から、「様々な立場の人を働き手として受け入れる社会」に変える必要がある。働き手が不足するからだ。家族の看護に追われて休みがちな同僚に、冷ややかな言葉しかかけられない人は、速やかに職場から退場してもらっていい。
 でもこのような意識高い系のアプローチには限界がある。本書が優れているのは、長時間労働がもたらす個人のリスク、企業のリスクを具体的に挙げている点だ。これを読めば、その是正は、社会的な意義や上の指示でやるものではなく、自分のためにやるものであることがわかる。そして、時限消灯など、外科的な施策への「やらされ意識」が吹っ飛ぶ。

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 本書の序盤では残業の歴史や実態にふれ、中盤で「麻痺」「集中」「感染」「遺伝」「残業代依存」など残業発生の要因を構造的に考察。終盤では上記のように残業抑制施策の負の側面を示し、いま何が必要か、具体的な解決策を提示する。その流れは、立て板に水。読んだら直ぐに、一歩を踏み出したくなる。この本はそんなパワーを持っている。
 働き方改革にモヤモヤを抱える人々の胸に希望を灯し、人事担当者には自社の実態にあった新しいアイデアをもたらすだろう。多岐に及ぶ残業発生要因を分析した中盤は、その豊富なデータも含めて、とくに刮目に値する内容である。例えば、職種ごとの残業発生要因を示した次の表をみてほしい。

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 表の理解のため誤解を恐れずに一言ずつ補足すれば、「麻痺」は残業に幸福を感じる状態、「集中」は一部のできる人への仕事の集中、「感染」は職場内のヨコの伝染、「遺伝」は世代間などのタテの伝染、「残業代依存」は生活費に組み込みである。示唆に富んでいるので、詳しくは本書で確認してほしい。「感染」については、こんな衝撃的なデータもある。

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 読後、私の本は付箋だらけになった。皆様にご紹介したい箇所ばかりだったからだ。本書と同時並行で、私はこの正月に『キングダム』という漫画を読んだ。秦の始皇帝が中国統一を果たす過程を描いた物語である。そのなかで古い世代の生き残りである廉頗将軍が、若い世代と対峙するシーンが深く印象に残った。
 廉頗将軍は説く『自分たちはもはや穢れることのない伝説となったが、それを若い世代が超えるには「中華統一」という新たな伝説が必要だ』と。その場にいる登場人物たちは、驚愕の表情を浮かべる。主人公はハッとして、これまでとは全く違うレイアーにある、そのゴールに向かうようになるのである。目指すのは、従来型の武勇伝ではない。

変えられるものを見極める賢さと
それを変える勇気が必要
 残業、ひいては働き方、人生。主人公同様、私もこれまでと違う景色を見たいと思った。働き方ならPL脳に変わる「ファイナンス思考」、人生なら損得ではなく「アート」だろうか、なんて考えた。ただ感覚的に働き方改革に抵抗する人にだけはなりたくないと思った。今こそ、変えられるものを見極める賢さと、それを変える勇気が必要なのだ。
 一昔前、サラリーマンのバイブルは『徳川家康』だった。これからの時代、私はこの『キングダム』をお薦めしたい。同時にこの『残業学』を併読すれば、さらに良い。なぜならば本書は、従来の「成果」や「成長」「会社」などの定義をアンインストールして、アップデートすることを推奨する本だからだ。本書を読んで、武勇伝の時代を塗り替えたいものである。(※図表提供:光文社)

(HONZ 吉村博光)

https://diamond.jp/articles/-/191733

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/733.html

[国際25] 米IRS、職員数千人が欠勤 復帰命令に応じず トランプ米は落第、救いようない=ブルームバーグ 米上院3週間つなぎ予算可決

ワールド2019年1月26日 / 03:41 / 7時間前更新
米IRS、職員数千人が欠勤 復帰命令に応じず

Reuters Staff
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[ワシントン 25日 ロイター] - 米政府機関一部閉鎖が35日目に突入する中、内国歳入庁(IRS)の職員の欠勤が続いている。

トランプ政権はこれまでに、確定申告シーズンを控え、納税申告手続きやコールセンター業務などに携わるIRSの職員2万6000人に職場に復帰するよう命じたものの、数千人が欠勤していると、米紙ワシントン・ポストが25日、下院側近の情報として報じた。

IRSの高官が議員に明らかにしたところによると、約9000人の職員と連絡がつかない状態となっているほか、22日時点で約5000人の職員がハードシップ免責を申請しているという。

ロイターはこの報道の真偽を確認できていない。
https://jp.reuters.com/article/usa-shutdown-tax-idJPKCN1PJ29Z


 
ワールド2019年1月26日 / 01:36 / 9時間前更新
トランプ米大統領は落第、救いようない=ブルームバーグ氏
Reuters Staff
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[タイソンズ(米バージニア州) 25日 ロイター] - 米民主党の2020年大統領選候補とも目される前ニューヨーク市長、マイケル・ブルームバーグ氏が25日、トランプ大統領に「落第」の評価を下した。

民主党関係の企業首脳らを前に「現職大統領は現時点で救いようがなく、執務室でスタッフが補助輪を取り付けようとしてもうまくいかないことは明らか」と指摘。「大統領は試験のたびに落第するだけだ」と話した。

ただ、自身の出馬について問われると、まだ決めていないと答え、「米大統領職に就くことは素晴らしいが、民間部門でできることや選出される可能性、自分の家庭や私生活、会社について考える必要がある」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/usa-election-bloomberg-idJPKCN1PJ207

 


 
ワールド2019年1月26日 / 07:26 / 3時間前更新
米上院、3週間のつなぎ予算を可決 政府閉鎖解除へ
Reuters Staff
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[ワシントン 25日 ロイター] - 米上院は25日、トランプ大統領と合意した2月15日まで3週間の資金を手当てするつなぎ予算案を可決した。下院でも同日中に採決が行われる見通しで、35日に及んだ政府機関一部閉鎖の解除に近づいた。

トランプ大統領はこの日、議会とつなぎ予算で合意。大統領が要求し、争点となっていた57億ドルのメキシコ国境の壁建設費用は含まれていない。

今後3週間、米・メキシコ国境の警備を巡り激しい攻防が再び繰り広げられる見通しだが、トランプ大統領は国境警備を巡る協議で満足いく結果を得られなければ、政府機関を再度閉鎖することも辞さないとの構えを鮮明にしている。

トランプ大統領はこの日ホワイトハウスで「連邦政府機関の閉鎖解除、再開に向け合意を得たと発表できることを誇りに思う」と語った。

その上で、自身の看板政策である壁建設の重要性を再度訴え、「議会が納得のいく案を提示できなければ、政府機関は2月15日に再び閉鎖となる。もしくは大統領権限を行使し、国家非常事態を宣言する」と言明した。

同つなぎ予算案は今後上下両院の承認を経て、トランプ大統領の署名によって成立する。

民主党のシューマー上院院内総務は、同日午後にも同案が上下両院で可決される見通しとした。さらに、トランプ大統領が今回の経験から「教訓を得た」ことを望むとし、共和党に対しては「政策の相違による政府機関の閉鎖は自滅的な行為だ」と述べた。

シューマー氏と共に共同記者会見に臨んだペロシ下院議長は、新たなつなぎ予算が失効する3週間後に政府機関再閉鎖に陥る可能性はあると警鐘を鳴らした。

さらに、トランプ大統領による一般教書演説は現時点で予定されておらず、日程について大統領と協議する方針を示した。

ホワイトハウス高官によると、トランプ大統領がつなぎ予算で譲歩に踏み切るきっかけとなったのは、政府機関閉鎖の影響で警察当局がフル稼働できない状況にあるとの情報だったという。

また、壁建設費については、トランプ大統領の要求する57億ドルを下回ったとしても、最終的に建設に向けた費用が盛り込まれれば、ホワイトハウスは政府機関閉鎖の回避に向け、妥協案に応じる考えがあることを明らかにした。
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/325.html

[国際25] 米著名投資家、ロンドン高級物件購入に踏み切った訳 ハモンド英財務相、合意なきEU離脱なら辞任する考えあると示唆
コラム2019年1月26日 / 09:17 / 1時間前更新

米著名投資家、ロンドン高級物件購入に踏み切った訳
Aimee Donnellan
2 分で読む

[ロンドン 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米大手ヘッジファンド運用会社シタデルの創業者、ケン・グリフィン氏が、欧州連合(EU)離脱を控えて苦境にあえぐロンドン不動産市場に少し明るい話題をもたらした。

英フィナンシャル・タイムズ紙によると、同氏はバッキンガム宮殿近くのビルを9500万ポンド相当で購入。これはロンドンに対する一種の信任投票とも言えるが、大幅に値引きして買ったことを考えれば、もろ手を挙げて喜ぶわけにはいかない。

ヘッジファンドはタイミングがすべてだ。英国が数週間後、合意もないままEUから離脱する恐れがあるこの時機に購入に踏み切ったことは、この意味でさらに意外感が大きい。

その上、ロンドンの高級不動産はここ数年、ほとんど買い手を失っていた。プライベートバンクのクーツによると、2番目の住宅購入に対する税率引き上げや、マネーロンダリング(資金洗浄)への監視強化、強硬な形でのEU離脱(ハードブレグジット)の可能性といった悪材料が重なり、居住用高級不動産の価格は2014年から15%近く下がっている。また、ロンドンの住宅は売り手の希望価格を平均約11%下回る価格で販売されている。値引き率はパリの3倍以上だ。

こうした観点で見れば、グリフィン氏の投資は少し納得がいく。9500万ポンドという買い値は、開発業者など売り手の希望価格を34%も下回っている。最悪の場合でも、投資資金はある程度守られそうだ。

イングランド銀行(英中央銀行)の推計によると、合意なきブレグジットになれば、住宅価格は30%下がる可能性がある。しかし英国がEUと何らかの合意に漕ぎつけた場合には価格が上がるはずなので、賢い買い物だったということになる。売り手が得た教訓は、ブレグジットを巡る不透明感が晴れない限り、買い手の方が有利に商談を進められるということだ。

●背景となるニュース

・フィナンシャル・タイムズ紙によると、シタデル創業者で大富豪のケン・グリフィン氏は、バッキンガム宮殿近くの高級住宅を約9500万ポンドで購入。この物件は1億4500万ポンドで売りに出されていた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-griffin-london-idJPKCN1PG0M0

 


ハモンド英財務相、合意なきEU離脱なら辞任する考えあると示唆
Tim Ross、Francine Lacqua、Jessica Shankleman
2019年1月25日 19:41 JST
このまま行けば合意なき離脱となる可能性ーハモンド氏
辞任の可能性たずねる質問に「今後の展開に大きく左右される」
ハモンド英財務相は、政府が欧州連合(EU)から合意なしに離脱する事態に陥れば、辞任する考えがあることを示唆した。

  ハモンド氏は、合意なしの離脱を回避できるよう政権内で尽力していると発言。だが、混乱に満ちた合意なき離脱に至る場合は辞任するのかとの問いに、その可能性を否定しなかった。

合意なきEU離脱の「極めて現実的な」リスクがあると話すハモンド英財務相

(出典:ブルームバーグ)
  ハモンド氏は辞任の可能性について回答を促すBBCラジオ4に対し、「臆測することはしない。今後の展開に大きく左右される」とし、 「合意なき離脱を選ぶことが責任ある行為だとは、現時点で明らかにそうは思えないが、このまま行けば結局は合意なき離脱となる可能性があると認識している」と語った。

原題:Philip Hammond Hints He Could Quit Cabinet Over No-Deal Brexit(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-25/PLVTT66VDKHU01

 
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/326.html

[国際25] ゴールドマンやシティがP2PのIPO案件から撤退−中国の規制受け iPhoneの次はヴィトン 男性タレント耳にぼかし理由
ゴールドマンやシティがP2PのIPO案件から撤退−中国の規制受け
Cathy Chan、Crystal Tse
2019年1月24日 11:48 JST
両行は360ファイナンスや嘉銀金科の米国IPO案件から手を引く
IPOの時期やP2P企業の先行き不透明感を大手銀は懸念
ゴールドマン・サックス・グループやシティグループなどウォール街の金融機関はここ数カ月の間に、貸し手と借り手をインターネット上で結び付けるピア・ ツー・ピア(P2P)融資を手掛ける中国企業の米国での新規株式公開(IPO)計画から手を引いた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

  大手銀が懸念したのは主にIPOのタイミングとP2P企業の先行き不透明感、市場低迷によるバリュエーションの低下だった。どの案件も新規公開企業は新たな引受業者を見つけてIPOを進めた。

  大手銀のこうした懸念は、既に金融機関や投資家、規制当局の信頼を失った同セクターの苦境を鮮明にした。引受業者は案件から手を引くこともあるが、同じ業種でこうした短期間に撤退が集中するのは異例。中国でかつて最も人気セクターの1つだった同業界にとっては劇的な方向転換だ。

  ボストン大学で金融学を教えるマーク・ウィリアムズ氏は「フィンテックのハブとしての中国の役割は、規制改革の実施や欧米諸国との政治的関係の冷え込み、景気減速を受けて劇的に変化した」と指摘。「フィンテック企業のIPOのチャンスに2017年に飛び付こうとしていた投資家はここにきて二の足を踏んでいる。成功の確率は低下し不確実性が増したからだ」と分析した。

  中国では12年に事実上ゼロからスタートしたP2P融資が2000億ドル(約22兆円)規模に成長したが、政府は金融システムのリスク抑制に乗り出し、投資家は与信引き締めや景気減速を背景に資金引き揚げを急いでいる。当局は中小規模のP2P融資プラットフォームを全国的に閉鎖に向かわせる方針だと事情に詳しい複数の関係者は昨年11月に話していた。

  関係者の1人によると、ゴールドマンは昨年11月、360ファイナンスの案件について、中国が規制を明確にし投資家の需要が回復するまでIPO延期を会社側に促したが不首尾に終わったことから、撤退した。シティグループは嘉銀金科の案件で同社の積極的な上場日程に同意できず、手を引いたという。関係者らは非公開情報であることを理由に匿名を条件に明らかにした。

  ゴールドマンとシティの担当者はコメントを控えた。

原題:Goldman, Citi Drop Peer-to-Peer Lenders After China Cracks Down(抜粋)

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ハモンド英財務相、合意なきEU離脱なら辞任する考えあると示唆
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLTBHE6TTDSE01


 


iPhoneの次はヴィトンか 中国の需要減退 高級品業界に警鐘 (1/2ページ)
2019.1.26 09:02 メッセンジャー登録

投資家は、中国人消費者による高級品への需要が押し下げられることを懸念している(中国新聞社)

投資家は、中国人消費者による高級品への需要が押し下げられることを懸念している(中国新聞社)【拡大】

 米アップルによる異例の業績見通し下方修正を受けて、投資家はその関連性を素早く捉えた。もし中国人消費者が同社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を買わなくっているのなら、ルイ・ヴィトンの高級バッグがそれに続くかもしれないということだ。

 アップルの業績下方修正は世界市場に動揺を与え、同社のサプライヤーや競合相手だけでなく、アップルの最新機種に大枚をはたくような顧客層に同じく依存している高級ブランド各社も打撃を被った。香港市場に上場する伊プラダ、グッチの親会社の仏ケリング、カルティエなどを展開するスイスのリシュモン、仏LVMHモエヘネシー・ルイ・ヴィトン、英バーバリー・グループの株価は軒並み下落した。

 「規制強化が進む中国市場で良い業績を上げることは、今後ますます難しくなっていくだろう」と、英広告代理店WPPのデービッド・ロス氏は語る。「これは、中国をもっと良く理解し、備える必要があるという危険信号だ」

高級品業界に警鐘

 アップルが2018年10〜12月期の業績予想を930億ドル(約10兆1900億円)から840億ドルへ引き下げ、中国の需要減退を要因の一つに挙げたことは高級品業界全体に警鐘を鳴らした。ユーロモニターによれば、世界全体で1兆ドルに上る高級品支出額のうち、中国の消費者が占める割合は約30%に上る。

 LVMHからティファニーに至る高級ブランド各社は長年、パリやドバイなどの海外旅行先で高価なハンドバッグや宝飾品を大量に購入する中国富裕層に狙いを定めてきた。投資家は、進む人民元安や米国との貿易戦争による中国経済の減速、海外での「爆買い」封じ政策が需要を押し下げることを懸念している。

 株価下落に見舞われたリシュモンは既にプレッシャーを感じている。同社は昨年11月、中国での販売の伸びが鈍化していることを示唆していた。

 その他の企業は強気姿勢を維持している。LVMHとケリングは同10月の中国市場での売上高が堅調だったと発表し、中国内で製品を購入する中国人消費者の増加を歓迎すると述べた。
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190126/mcb1901260902002-n2.htm

 
中国のテレビ、男性タレントの耳にぼかし入れる 理由は?
2019.01.19 Sat posted at 11:49 JST

中国の番組「小姐姐的花店」で耳たぶ部分にぼかしが入った出演者/Screengrab/Weibo 

(CNN) 中国のテレビ番組の男性出演者の耳には、当局が見せたくないものがあるようだ。

人気リアリティー番組「I, Actor」の最新話では、タレント井柏然(ジンボーラン)の耳の部分にデジタル編集がかけられ、耳飾りが見えない形で放映された。

井氏の耳はデジタル編集が施されたと見られている/Screengrab/Weibo
井氏の耳はデジタル編集が施されたと見られている/Screengrab/Weibo
井氏は「モンスター・ハント」や「タイム・レイダーズ」といった中国映画のヒット作で主演を務めた。中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」で出回っている画像では、他の若い男性スターの耳にも丸いぼかしが入っている。

第69回カンヌ映画祭でピアスをしている井柏然さん=2016年5月14日/Pascal Le Segretain/Getty Images Europe/Getty Images
第69回カンヌ映画祭でピアスをしている井柏然さん=2016年5月14日/Pascal Le Segretain/Getty Images Europe/Getty Images
中国規制当局が男性によるピアスやイヤリングの装着の放映を禁じたのか、またはテレビ局側が文化的に適切と考えられる基準の変化に対応して動いたのかは不明。CNNは当局にコメントを求めたが回答は得られていない。

中国では昨年、メディア規制当局がテレビ局にタトゥーを入れた俳優の起用を禁止した。中国国営メディアによると、「ヒップホップ文化やサブカルチャー、非道徳的な文化」を扱うことも禁じられた。

香港中文大学のジャーナリズムやコミュニケーションの専門校の研究者は、耳飾りにぼかしをかけるという決定について、ポップカルチャーへの欧米の影響を最小限に抑えたい政府の意向が作用した可能性があると指摘。「これは欧米の影響を排除してポップカルチャーを純化し、中国的な男らしさの特徴を強化するという一貫した施策だ」と述べた。

「小姐姐的花店」で耳たぶ部分にぼかしが入った別の出演者/Screengrab/Weibo
https://www.cnn.co.jp/storage/2019/01/19/d590e88df4d0ee2c5587ffe24ca4e909/china-earring-blur-2-super-169.jpg

ウェイボーでは中国人ファンが即座に反応。当局が男女に対して時代遅れの異なる美の基準を適用していると批判した。あるユーザーは「ジェンダーに関する固定観念を当てはめて多様性を無視している」と指摘した。

別のブロガーは「規制が強まっている」「もし女優の髪が短かったら、頭をすべてぼかすのか」とコメントした。

中国の検閲は世界で最も厳しい部類で、技術的にも最も進んでいる。テレビ業界では以前、規制当局が、「欧米のライフスタイルへのあからさまな憧れ」を示すコンテンツなどを放送禁止にしていた。


中国
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https://www.cnn.co.jp/showbiz/35131489.html

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/327.html

[国際25] 混乱招く場当たり一帯一路 中国の壮大ビジョン、掛け声倒れも 
混乱招く場当たり一帯一路 中国の壮大ビジョン、掛け声倒れも
2019.1.26 08:53

 壮大なインフラ整備のビジョンか、それとも不正資金の温床か。中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」の実像は何なのだろうか。

 マレーシア政界を巻き込む汚職事件の舞台となった政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB)をめぐり、中国高官が救済に手を貸すとマレーシア側に2016年に申し出ていたとこのほど米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。

 マレーシア側は見返りとして一帯一路に絡んで中国に鉄道・パイプライン事業の権益をオファーしたという。しかも1MDBに関する取材を行っていたWSJ記者に誰が情報をリークしているか突き止めるため、香港で複数の記者の自宅とオフィスを盗聴することを中国側が提案したとも同紙は伝えた。

スキャンダル明確に

 これが本当なら、一帯一路と1MDBスキャンダルとのつながりをこれまでで最も明確に示すことになる。習近平国家主席肝煎りの外交政策である一帯一路は、欧米の投資家が二の足を踏む新興アジアおよびアフリカでのインフラ事業に巨額の資金を投じるという野心的な計画だというのが一般的な認識だ。

 見方を変えれば、マキャベリズム的な世界戦略とも考えられる。スリランカのハンバントタ港湾事業のケースに見られるように新興国の政府を「債務のわな」に陥れ、対中債務を抱えた国を網羅し、海外で軍事的野心を推し進めるとの見方も可能だ。

 だが世界での中国の影響力を高めるための首尾一貫したマスタープラン(基本計画)というより、幾分混乱したブランド戦略あるいはフランチャイズづくりだとの見立てがより正確なようだ。数限りない地方当局者や国有企業がどんなプロジェクトであろうと国家主席からのお墨付きがあると名乗る上で格好の手段になるというわけだ。

 米戦略国際問題研究所(CSIS)のジョナサン・ヒルマン上級研究員は昨年の分析報告で「中国政府のグランドデザインに沿ったものとは程遠く、一帯一路のこれまでの活動はばらばらで場当たり的だ」と指摘している。

 マレーシアについて言えば、18年の総選挙で政権交代が実現し、首相に返り咲いたマハティール氏が前政権が決めた中国とのプロジェクトを撤回もしくは再交渉しようとしており、中国の投融資を「新たな植民地主義」だと批判している。

 中国雲南省とミャンマーの港湾を結ぶ石油・ガスパイプラインは稼働後5年してもほとんど使われず、インドネシアではジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道建設のスケジュールが少なくとも2年遅れており、やっと着工したばかりだ。本来は想定されていなかったナイジェリアやアルゼンチンなどが一帯一路の対象とされる一方で、マレーシアやスリランカに加え、モルディブでも中国に疑念を抱く政権が誕生した。

無計画な政策決定

 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が支援するプロジェクト同様、一帯一路というブランドの下での事業は、やる価値はあるが総じて小粒な投資案件にはまり込むケースがときどき見られる。

 バングラデシュでのダッカとチッタゴンを結ぶ高速鉄道計画のように大風呂敷を広げても、全く掛け声倒れになりそうなプロジェクトの代名詞が一帯一路だということにもなりかねない。

 非論理的かつ汚職まみれのプロジェクトという汚名で終わるかもしれない一帯一路の地政学的野心に、外国のオブザーバーはそうした理由からそれほど懸念していない。むしろ心配しているのは習政権が始まってからの無計画かつ非経済的な政策決定だ。実際、トランプ米大統領がしばしば招くワシントンの秩序破壊に似ている。一帯一路における懸念は中国の深謀遠慮ではなく、壮大な混乱だ。(ブルームバーグ David Fickling)

 (デービッド・フィックリング氏は商品および工業・消費者向け製品企業を担当するブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
https://www.sankeibiz.jp/macro/print/190126/mcb1901260853001-c.htm
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/190126/mcb1901260853001-n1.htm
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/328.html

[経世済民130] 日産株1カ月ぶり高値、ルノー新経営体制の決定で関係改善に期待 西川廣人は明智光秀なのか 西川社長が退任示唆
日産株1カ月ぶり高値、ルノー新経営体制の決定で関係改善に期待
鈴木偉知郎
2019年1月25日 11:37 JST
ルノーと新しいページを開く一歩、前向きな議論を期待と日産社長
自主性重視うかがえ、アライアンス現状維持の見通し−アナリスト
日産自動車の株価が25日、前日比2.8%高の930.7円まで上昇し、昨年12月18日以来となる日中高値を付けた。大株主である仏ルノーの新経営体制が決まったことで、両社間の関係改善への期待が高まった。 

  24日夜に記者会見した日産の西川広人社長は、昨年11月のゴーン被告の逮捕以降、「ルノーの取締役会とややコミュニケーションが難しい状態が続いていた」と述べたうえで、ルノーの新体制を歓迎するとし、「ルノーとの新しいページを開いていく一歩だと考えている。前向きな議論ができることを期待している」と述べた。

  モルガン・スタンレーMUFG証券の峯嶋廣太アナリストは同日付のリポートで西川社長の会見について「両社のコミュニケーションを改善したいという意思を感じた一方で、各社の自主性を重視している姿勢がうかがえた」と分析。両社の関係悪化はアライアンスの機能低下を招くリスクがあり、現状の資本関係やアライアンスを維持することが基本シナリオとみているとした。

  ルノーは24日、特別背任の罪などで起訴されたカルロス・ゴーン被告の会長および最高経営責任者(CEO)職の辞任を受け、ジャンドミニク・スナール氏を会長、ティエリー・ボロレ氏をCEOに指名したと発表。日産はこれを受けてゴーン被告らを取締役から解任し、かわりにスナール氏を日産の取締役に迎え入れる目的で4月中旬に臨時株主総会を開催する方向で検討を始めると発表していた。

  また、西川社長は会見で、ゴーン被告を巡る一連の問題の責任を取る形でガバナンス体制の構築にめどをつけた上で経営トップから退く意向も示唆していた。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-25/PLV6Q56KLVR401?srnd=cojp-v2


 


3min2018.11.29
ゴーン後、その権勢は「三日天下」?
仏紙が分析「日産社長・西川廣人は明智光秀なのか」
Photo: Kiyoshi Ota / Bloomberg via Getty Images
Photo: Kiyoshi Ota / Bloomberg via Getty Images

ル・モンド(フランス)
ル・モンド(フランス)

Text by Philippe Mesmer

ゴーンに重用された西川だが…

日産の社長の西川廣人には明智光秀のようなところがあるのだろうか。

明智光秀(1528〜82年)とは日本史に登場する武将である。日本史上最も有名な裏切り者の一人という評がすっかり定着しており、この武将に憧れる人は少ない。

1582年6月21日、いわゆる「本能寺の変」で織田信長(1534〜82年)を自刃に追い込んだ。織田信長は列島の統一を果たした、抜け目ない大名であり、当時、その権勢は絶頂にあった。謀反の動機には諸説ある。

明智光秀は織田信長の重臣だったにもかかわらず裏切りを敢行し、配下の兵を信長が宿泊する京都の本能寺に向かわせたのである。

もちろんその頃といまとでは時代が違う。今回、西川は武力で自分のメンターだったカルロス・ゴーンを失墜させたわけではない。

「残念という言葉ではなくて、はるかに超えて、強い憤りということ、そしてやはり私としては落胆ということを強く覚えております」

西川はゴーンが金融商品取引法違反の疑いで逮捕された11月19日の晩の記者会見で語っている。

刈り上げられた髪、チャコールグレーのスーツ、縁なしのめがね。西川の身なりは慎ましく整えられていた。だが、その言葉は控えめではかった。一人に全権力が集中するシステムを批判したが、その際、ゴーンの功績を述べるのは最小限にとどめた。

「事実としてみると、やはり、なかなかほかの人間ができなかったこと、とくに初期については非常に大きな改革を実施したという実績、これは紛れもない事実だと思います。その後については、やはり功罪両方あるかなということが、私としての本当の実感でございます」

この発言に驚く人もいるかもしれない。2017年にカルロス・ゴーンが自分の後継者に据えたのが西川だからである。それは日産一筋の西川にとって職業人生の頂点だったともいえる。西川は1953年生まれ。名門の東京大学の学位を取得すると1977年に日産に入社した。

1999年、ルノーと日産が資本提携をし、カルロス・ゴーンが日産のトップになってからも西川は要職を歴任した。ゴーンに重用され、北米や欧州の市場の担当となったほか、ゴーンが戦略上重視していた購買部門の責任者も務めた。日産のトップとして日本自動車工業会の会長だった時期もある。

カルロス・ゴーンに仕えるイエスマン集団の筆頭格という評判もあったが、日産への愛着には並々ならぬものがあった。それは2015年、西川がフランス政府との緊迫した交渉に臨んだときに証明済みである。西川は2006年からルノーの取締役でもある。

フランス国家がルノーへの出資比率を高めようとしたときには反対に回った。その際、日産がルノー株を買い増すと脅したこともあった。フランス政府から、日産の経営に口出ししないという約束も取り付けた。

日本経済新聞によると、数ヵ月前に始まったルノーと日産の統合計画をめぐってゴーンと西川の関係が緊張するようになっていた可能性があるという。西川は経営統合に反対だったようだ。西川が今後、グループ内でどのような地位を占めていくのかは不明である。だが、仮に裏切りがあったとするならば、それは復讐を呼びかねない。

1582年、織田信長の死から始まった明智光秀の権勢は長続きしなかった。明智光秀が殺されたのは裏切りの11日後である。世に言う「三日天下」だった。


Photo: Andrew Harrer / Bloomberg via Getty Images


関連記事:仏ルノー工場で聞いてみた「ゴーンのこと、どう思う?」

https://courrier.jp/news/archives/144895/

 

日産の西川社長が退任示唆、ゴーン前会長巡る一連の問題で責任
鈴木偉知郎
2019年1月25日 0:00 JST
西川氏「会社を軌道に乗せてバトンタッチすべき」−本社で会見
ルノーの新経営体制を日産は歓迎、4月に臨時株主総会検討も
日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者は24日夜に開いた記者会見で、同社前会長で特別背任の罪などで起訴されたカルロス・ゴーン被告をめぐる一連の問題の責任を取る形で、ガバナンス体制の構築にめどをつけた上で経営トップから退く意向を明らかにした。

Nissan Motor CEO Hiroto Saikawa News Conference After Carlos Ghosn Resigns From Top Renault Job
西川広人社長(24日、横浜市)Photographer: Akio Kon/Bloomberg
  西川社長はこの日、ルノー取締役会終了後の午後10時ごろから横浜市の日産本社で開いた会見で一連の問題について「私も含めて過去の経営陣の責任は重い」と発言。その上で「そのあとの体制を作らないといけない。会社を軌道に乗せてバトンタッチすべきであると思っている」と話した。定時株主総会のある「6月うんぬんではなく、できるだけ早く私の果たすべき責任を果たして次に引き継げる状態にしたい」と考えているとも述べた。

  ルノーは同日開いた取締役会で、ゴーン被告の会長とCEO辞任を承認。後任会長にはタイヤメーカー、ミシュランのジャンドミニク・スナール氏、CEOにはルノーの暫定CEOを務めていたティエリー・ボロレ氏を指名した

  日産はこの決定を歓迎し、全面的に支持するとの声明を発表。日産としてもゴーン被告と、同時に逮捕されたグレッグ・ケリー前代表取締役の取締役解任と、ルノーが新たに指名する取締役1人の選任を目的とする臨時株主総会を4月中旬に開催する方向で検討を始めたとしていた。

  西川氏は会見で11月のゴーン被告の最初の逮捕以来、ルノー取締役会とは「難しい状態が続いていた」と明かした上で、スナール氏について臨時株主総会で選任する新取締役として想定しており、「非常にすぐれたビジネスマンで経営も豊富。パートナーとして尊敬もできる」と評価していると述べた。臨時総会の開催はルノー側も以前から希望しており、4月の第2週になる可能性が高いとした。

  過去20年にわたって成功してきたアライアンスでの協力を今後も加速させる必要があると確信しているとし、今後はより積極的にそのシナジーを取りに行きたいとの意欲も示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-24/PLUAJN6K50YE01

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/739.html

[自然災害22] ブラジルでヴァーレの鉱山ダムが決壊−約200人の行方分からず 
ブラジルでヴァーレの鉱山ダムが決壊−約200人の行方分からず
R.T. Watson、Sabrina Valle
2019年1月26日 9:27 JST
• ミナスジェライス州では2015年にも同じような事故
• ボルソナロ大統領は26日に現地を訪れる意向
ブラジルのヴァーレがミナスジェライス州に保有する鉱山ダムが25日に決壊し、約200人が行方不明になっている。同州の報道官がブルームバーグに語った。現場付近では携帯電話が通じにくく、詳しい状況はつかめていないという。

 
出典:社団法人ボンベイロス
  声明によれば、ミナスジェライス州当局は危機管理チームを結成し、最初の救助隊を派遣した。同州では2015年11月にも同じようなダム決壊で犠牲者が出ている。ブラジルのボルソナロ大統領は26日に現地を訪れる意向だとスポークスマンが発表した。
  
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i8sfldH7onKI/v0/600x-1.jpg
 
出典:社団法人ボンベイロス
  ヴァーレによれば、ダム決壊時に現場では同社の作業員約300人が働いていた。ヴァーレの米国預託証券(ADR)は急落。2022年償還の社債は17年以来の安値となった。


 
写真家:Leo Drumond / Agencia Nitro経由AP写真

 
出典:社団法人ボンベイロス
原題:200 Missing as Vale Dam Breaks, Echoing 2015 Brazil Tragedy (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-26/PLWU0B6K50XS01?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/17/jisin22/msg/650.html

[国際25] 仏反政権デモ、参加者は減少 11週末連続  パリで初の夜間実施
仏反政権デモ、参加者は減少 11週末連続
2019/1/27 5:39日本経済新聞 電子版
 【パリ=白石透冴】フランス各地で26日、11週末連続となる反政権デモが開かれた。今回初めて夜間のデモがパリで実施された。内務省によると、参加人数は直近2回の8万4千人を下回り、6万9千人となった。マクロン大統領が3月までの予定で実施している国民との対話集会が効果を上げている可能性がある。

レピュブリック広場に夜集まった「黄色いベスト」の参加者(26日、パリ)=ロイター
https://www.nikkei.com/content/pic/20190127/96958A9F889DE6E2E7E1E7E5E3E2E0E5E2E3E0E2E3EBE2E2E2E2E2E2-DSXMZO4053572027012019000001-PB1-3.jpg

 蛍光の黄色いベストを着て集まる反政権運動「黄色いベスト」のデモは26日午前(日本時間同日夕)から始まった。

 パリではバスチーユ広場など数カ所でデモが起きた。このうち観光名所のレピュブリック広場では「黄色い夜」と称して夕方からデモ参加者が集まった。低下気味のメディアの関心を再びひこうとしているようだ。

 仏メディアが24日に報じた世論調査によると、マクロン氏の支持率は2カ月連続で上がって31%になった。最低賃金の引き上げなどを発表したことや、国民との対話を実施していることが理由になっているもようだ。

 デモ参加者の主張はバラバラだ。マクロン氏の姿勢に納得し、このまま参加人数の減少傾向が続くかは不透明だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40535710X20C19A1000000/


 

 
仏反政権デモ、11週末連続 パリで初の夜間実施へ
2019/1/26 20:19日本経済新聞 電子版
 【パリ=白石透冴】フランス各地で26日、11週末連続となる反政権デモが開かれた。パリでは初めて夜間の実施が計画されている。参加人数が直近2回の8万4千人を上回るかが注目される。マクロン大統領は沈静化を狙い、3月までの予定で国民との対話集会を実施している。

 蛍光の黄色いベストを着て集まる反政権運動「黄色いベスト」のデモは26日午前(日本時間同日夕)から始まった。

 パリでは少なくとも5カ所で計画されている。このうち観光名所のレピュブリック広場では「黄色い夜」と称して夕方から深夜にかけて実施するという。低下気味のメディアの関心を再びひこうとしているようだ。

 仏メディアが24日に報じた世論調査によると、マクロン氏の支持率は2カ月連続で上がって31%になった。最低賃金の引き上げなどを発表したことや、国民との対話を実施していることが理由になっているもようだ。

 デモ参加者の主張はバラバラだ。マクロン氏の姿勢に納得して運動をやめるかは不透明だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40530490W9A120C1FF8000/
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/334.html

[経世済民130] 大活躍の「物言う投資家」、今年はより複雑な局面に 
コラム2019年1月27日 / 15:22 / 3時間前更新

大活躍の「物言う投資家」、今年はより複雑な局面に
Peter Thal Larsen
3 分で読む

[ダボス(スイス) 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - アクティビスト(物言う投資家)は規模が拡大し、活動も活発化しているが、2019年はより複雑な波を乗り切る必要があるかもしれない──。今月にニューヨーク、パリ、ロンドンで開催された「Breakingviews Predictions」イベントでは、こうした見通しが示された。

アクティビストは仏蒸留酒メーカー、ペルノ・リカール(PERP.PA)、英バークレイズ銀行(BARC.L)、米ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX.N)など、さらに大きな標的に挑むようになった。しかし大株主の要求はさらに広範に及ぶようになっている上、買収を手掛けるプライベートエクイティ(PE)企業が対抗勢力として切り込んでくる可能性もある。

ラザードの調査によると、アクティビストが標的とした企業は昨年226社と過去最多を記録し、動員した資金は650億ドルに及んだ。カール・アイカーン氏やサード・ポイントのダニエル・ローブ氏など、大半は依然として米国の投資家だ。しかし活動の約4分の1は欧州企業を対象に展開されている。

アクティビストが投資の主流に躍り出たのは、かつては不可侵と見られた多国籍企業にも挑みたいという投資家の意欲の表れだ。今年最もアクティビストの標的になりそうな上場企業を尋ねたところ、ニューヨークのイベントでは過半数の出席者が米アップル(AAPL.O)、パリでは仏ルノー(RENA.PA)、ロンドンではドイツ銀行(DBKGn.DE)を挙げた。

多国籍企業を標的にできるようになったのは、大手機関投資家が積極的に動くようになったことが一因だ。その多くは水面下で行動を起こす。欧州最大のホテルチェーンを展開する仏アコーホテルズ(ACCP.PA)のセバスチャン・バザン最高経営責任者(CEO)は「彼らは臆病ではないが、表立って声を挙げるのは望まない。自らの代理としてアクティビストに意見や委任状を託す」と語った。

幅広い投資環境の変化も一役買っている。表層的には、インデックス型ファンドへの資金流入の増加により、株主は以前より受け身になったように見えるかもしれない。しかしブラックロック(BLK.N)やステート・ストリート(STT.N)といった巨大資産運用会社は大きな議決権を握っている。イベントの出席者からは、この結果、アクティビストは一握りの巨大機関だけを説得すれば変化を起こせるようになったとの指摘が出た。

一方、伝統的なファンド運用会社は手数料を正当化しようと、積極的に行動するようになっている。ラザードによると、昨年アクティビストの運動に関与したファンド131本の約3分の1が、いわゆる新規参入組だった。

ただ、株主価値の向上がますます重視される中、他の金融機関もアクティビストの運動に興味を持つようになっている。一部の買収企業は、口うるさいアクティビストとは違う友好的な選択肢として自らを企業に売り込んでいる。ニューヨークのイベントに出席したTPG(TPG.L)のジョン・ウィンクルリード共同CEOは「アクティビストの襲来を恐れ、PEとの交渉に関心を示す企業」があると話した。

しかし企業とその株主は最近、業績の向上以外にも目を向けるよう迫られている。従業員と顧客の扱い、環境基準の順守、幅広い社会的責任など、あらゆる面を精査されているのだ。こうした目標は投資業界の短期的な関心と相反することがある。アクティビストが企業のコスト削減や不振事業の売却を迫る場合には、なおさらだ。

とはいえ、こうした要因によってアクティビストの力が完全に削がれるわけではない。一部のファンドは長期間株式を保有しており、短期的に株価を上げて売り払うという、一般に流布しているイメージとは異なる。しかもアクティビストは、企業統治の向上を求めることは、流行のESG(環境・社会・企業統治)投資と整合的だと指摘している。

もっとも、他の資産運用会社と同じく、アクティビストも究極的には投資家にリターンをもたらす必要がある。この点では、景色はまだら模様だ。ヘッジ・ファンド・リサーチがまとめたアクティビスト指数は過去1年間で7.4%下落し、米S&P総合500種株価指数をアンダーパフォームした。アクティビストが巨大化、活発化するなら、標的とする企業に要求するのと同水準の結果を出す必要があるだろう。

●背景となるニュース

・ロイターがロンドン、パリ、ニューヨークで開いた「Breakingviews Predictions」イベントでは、欧米におけるアクティビスト投資家の興隆について討論した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-activists-idJPKCN1PH0HB



http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/744.html

[経世済民130] ロボットがおもてなし、中国アリババの近未来ホテル 「ペットが子ども」、子育てに金がかかる韓国で急増


トップニュース2019年1月27日 / 09:10 / 9時間前更新
アングル:
ロボットがおもてなし、中国アリババの近未来ホテル
Cate Cadell
3 分で読む

[杭州(中国) 23日 ロイター] - 中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)が経営する近未来型ホテル「菲住布渇(フライズーホテル)」では、身長1メートルほどのロボットが動き回り、客室に食事や新しいタオルを届けている。

アリババによれば、こうしたロボットを含む一連のハイテクツールによって、ホテルの人件費は大幅に削減され、宿泊客も人間とのやり取りの必要がなくなっている。

先月正式オープンとなった全290室の「フライズー」は、アリババが将来的にホテル産業に売り込みたいと考えているテクノロジーを育てる場であり、人工知能(AI)分野における同グループの高い能力を示す機会を与えている。

同時に、このホテルでは、無人ビジネスに対して中国の消費者がどの程度許容するかという実験の場にもなっている。中国ではプライバシーに踏み込むデータ共有テクノロジーが受け入れられやすく、大いに歓迎される場合も多い。

同ホテルプロジェクトの監督部門であるアリババ・フューチャー・ホテル・マネジメントのアンディ・ワン最高経営責任者(CEO)は、「ロボットは人間的な気分に左右されないため、サービスの効率と一貫性が得られる。人間ならば『やる気が出ない』ということはあるが、このシステムとロボットは、常にやる気に満ちている」と語る。

ホテルに入ると、鈍く光る白いパネルに覆われた壁が、ハリウッド映画に出てくる宇宙船の内装を連想させる。チェックインするには、専用の端末で顔を認識させるか、パスポートやその他の身分証明をスキャンするかすればいい。中国の国民登録証があるなら、事前にスマートフォンで自分の顔を撮影しておけば顔認識によるチェックインが可能になる。

エレベーターでも顔認識機能が働き、どのフロアに通していい宿泊客かを判定する。客室のドアの鍵も、やはり宿泊客の顔をスキャンすることで解除される。

宿泊したトレイシー・リーさんは、「とても迅速で安心だ。まだ慣れているわけではないが、1分もあれば自分の部屋に入れる」と語る。リーさんはさらに、彼女が優先するのは安全性であり、自分の顔が認識されなければ部屋に入ることができないのがうれしいと言う。

室内では、アリババの音声コマンド技術を利用して、室温の変更やカーテンの開閉、照明の調整やルームサービスの注文ができるようになっている。

ホテル内のレストランでは、客が「フライズー」のアプリを使って注文した料理が、背の高いカプセル型のロボットによって届けられる。独立して設けられたバーでは、大きなロボットアームによって20種類以上ものカクテルがシェイクされている。顔認識カメラによって、代金は宿泊料金に自動的に追加される。

チェックアウトするには、アプリのボタンを押すだけだ。すると部屋はロックされ、アリババのオンラインウォレットを通じて自動的に料金が請求される。この手続きが済めば、宿泊客の顔認識データはただちにアリババのシステムから消去される、とワン氏は言う。

<「空っぽ」の魅力>

「ここに泊まるのは必須」という意味の中国語に引っ掛けた駄じゃれをもとに命名された「フライズー」は、上海から南西170キロの杭州市にあり、アリババ本社からも歩いて行ける距離だ。料金は1泊1390元(約2万2400円)からとなっている。

アリババは具体的な人数を明らかにしていないが、同ホテルでは人間の従業員も雇用されている。シェフや清掃員、顔認識を嫌い電子式のカードキーを使いたいと望む宿泊客のために従来通りのチェックイン手続きを行う受付スタッフなどだ。

だが中国では、顔認識を含めた個人情報を扱う先端テクノロジーがますます日常的になりつつある。個人情報については最低限の規制しかなく、政府は生体データを用いた公衆監視プロジェクトを展開している。

「中国の消費者にとって、近未来的なテクノロジーに触れることはまさに喜びであり、データ共有への許容度も非常に高いように思われる」と、北京に本拠を置くテクノロジー専門コンサルタント企業マーブリッジ・コンサルティングでマネジングディレクターを務めるマーク・ナトキン氏は語る。

アリババはこの他に、書店や食料品店についても高度に自動化されたプロジェクトを立ち上げている。

大半のプロジェクトは、必ずしもその業界への本格参入に向けた足掛かりとなることを意図してはいない。だが「Hema(盒馬)」と名づけられたアリババ系の食料品店に対する評価は高く、現在では全国に約100店舗に展開している。

こうしたプロジェクトには2つの狙いがある。1つはアリババの電子商取引サービスを前進させるAIなどのハイテク能力を開発すること。もう1つは、米中貿易戦争を一因として電子商取引の売上高成長率が減速している中で新たな事業分野を開拓することだ。

アリババは他にも複数のホテルを建設する予定だが、主に北京や上海の事業本部に出張する同社スタッフに利用されることになる。

またワンCEOは、「フライズー」にはまだ改善を要する問題がたくさん残っていることを認めている。例えば、サービスの一部は、中国の国民登録証を持っている宿泊客にしか機能しないことなどだ。

だが、宿泊客からの反応には勇気づけられていると同CEOは言う。

Slideshow (4 Images)
「音声認識ロボットを経験しても『すごい!』、ロビーに足を踏み入れても、『すごい!』と言ってもらえる」とワンCEOは話す。「それだけ、従来とは違うロビーだからだ。ロビーは空っぽだ。だが恐らくそれは、未来を感じさせるような『空っぽ』なのだ」

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/alibaba-hotel-robots-idJPKCN1PI13M

 

トップニュース2019年1月27日 / 09:10 / 8時間前更新
アングル:
「ペットが子ども」、子育てに金がかかる韓国で急増
Hayoung Choi and Minwoo Park
3 分で読む

[ソウル 24日 ロイター] - カン・ソンイルさん(39)は、出張のたびに飼っているポメラニアンのサンチョにおもちゃを買って帰る。今度の旧正月の休みには、50ドル(約5500円)の新しいスーツを着せて、「おばあちゃん」(カンさんの母親)に会いに行く。

カンさんと妻は、子どもを育てるにはお金がかかり過ぎ、プレッシャーも大き過ぎると話す。2人は代わりに、サンチョに愛情と贈り物を注ぐことにしている。

2人のような人は珍しくない。教育費と住居費の高騰や長時間労働など、韓国の合計特殊出生率を世界最低の1.05人に低迷させている要因と同じ理由から、韓国のペット産業はブームになっている。

「韓国では、私立学校や家庭教師、アート関連の教室まで、親が何十年も子どもに資金をつぎ込まなければならないという社会的圧力がある」と、ペット葬儀会社のマネジャーをしているカンさんは言う。

そして、どうやったらそれだけの資金を捻出できるか想像もできないと言いつつも、サンチョに毎月10万ウォン(約9800円)程度を遣うのは全く苦にならないと話す。

教育費に加え、韓国では中程度の住宅を買うのに年収の約12.8倍分の資金が必要だが、これは2014年の同8.8倍から急増していることが韓国の国民銀行のデータから分かる。さらに韓国の労働時間は、メキシコとコスタリカに次いで、経済協力開発機構(OECD)加盟国中3位の長さだ。

「子どもを持たない、または結婚すらしない選択をする人が増えるにしたがって、ペットの数が増えている」と、サムジョンKPMG経済研究所のマネジャー、キム・スギョン氏は言う。

政府のデータによると、ペットを飼っている韓国の世帯は、2012年の18%から、18年には28%に増えている。

これにより、オーダーメイドの食事を届けるサービスや高価な写真サービスなど、ペットケア産業が大きく拡大している。ベンチャーキャピタリストの間では、ペット関連の起業もブームになっている。

昨年2.7兆ウォンだった韓国のペット産業は、2027年までに倍以上に成長する可能性があると、韓国農村経済研究院は予測している。

<もうかるペット産業>

ペットブームの波に乗ろうとしている企業の1つが、1万匹以上のペットにそれぞれに合わせた食事を提供しているペットピックだ。同社は、GSホールディングス(078930.KS)傘下の通販大手GSホームショッピングから出資を受けているスタートアップペット企業4社の1つだ。

「サケやクランベリーなど高品質な原材料だけを使っているので、普通のドライフードよりも倍以上高くなる」と、ペットピックの共同創業者パク・ウンビョル氏は、ソウルにある同社工場で話した。

「顧客の多くは、ペットを子どものようにかわいがっているミレニアル世代で、支出をいとわない」と、同氏は言う。

韓国の大手ベンチャーキャピタル・ファンドのコリア・インベストメント・パートナーズは、2018年にペット関連のスタートアップ企業2社に投資した。1つは、クリスマスやハロウィーンなどのイベントに合わせた玩具を製造するベーコンで、もう1つが1時間以内にペット用品を配達するとうたうペットフレンズだ。今年後半には、手作りペットフード販売のピクニックにも投資を予定している。

既存企業も手をこまねいてはいない。メリッツ火災海上保険(000060.KS)は、昨年10月にペット保険を刷新したところ、3カ月で6000人超が加入した。刷新前の年間加入者は100人程度だった。

メディア大手CJグループ傘下のCJENM(000060.KS)では、テレビやオンライン通販部門のペット関連用品の売り上げは、単価100ドルを超えるサボテンの形をした猫用浄水器のヒットなどで、昨年3倍に跳ね上がった。

「値段は普通の浄水器の倍だが、毎日数十個売れている」と、同社サイトでペット用品を担当するイ・ダウン氏は言う。

Slideshow (2 Images)
ペット葬儀の需要も急増しており、サンチョの飼い主のカンさんが働いている葬儀社では現在、1日10件以上のサービスを提供しているという。創業した2年前は、同3─5件程度だった。

ソウル郊外の南楊州に住むイ・ジェファンさん(51)は、飼い犬のコッタゲの遺灰を入れたつぼを持って散歩に出るのが日課になっている。

「コッタゲのことはいつも、最愛の1人息子だと人に紹介していた」。コッタゲの写真が飾られ、食べ物や線香を供えた自宅の祭壇を前に、イさんは涙ながらに話した。

「彼は海を見たことがなかった。一緒に行ければよかった」

(翻訳:山口香子 編集:伊藤典子)
https://jp.reuters.com/article/southkorea-economy-pets-idJPKCN1PJ0HK




http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/745.html

[経世済民130] 避けられない「世界同時不況」は2019年に起こる?引き金を引くのは中国か米国か欧州か 
避けられない「世界同時不況」は2019年に起こる?引き金を引くのは中国か米国か欧州か=高島康司
2019年1月27日 ニュース

日本の主要メディアでは、2019年は日本でもアメリカでも経済のファンダメンタルズがよいので、多少の減速はあるもののゆるやかな成長は堅持されるとの見通しが多い。果たしてそうだろうか?深刻な世界不況が年内にもやってくる可能性について解説したい。(『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』高島康司)

※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2019年1月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

2019年5月前に不況に突入?世界経済を悲観する声が高まっている
深刻な世界不況が年内にもやってくる…
日本の主要メディアでは、2019年は日本でもアメリカでも経済のファンダメンタルズがよいので、多少の減速はあるもののゆるやかな成長は堅持されるとの見通しが多い。

たしかに、日米の雇用統計や個人消費、そして住宅着工件数などの基本的な指標を見ると、伸びがスローダウンしている数値はあるものの、悪化はしていない。そうした数値を見ると、「ファンダメンタルズはよいので不況はない」とする見通しにも、それなりの根拠があるように見える。

しかしながら、トランプ政権の保護主義政策、米中の出口の見えない貿易戦争、イギリスの合意なきEU離脱の可能性、ヨーロッパを席巻するナショナリストのポピュリズム運動など、世界経済の拡大を支えていた自由なグローバル経済の基本的な枠組みが目の前で崩壊しつつある。

そうした状況で、世界経済がこれから深刻な不況に突入し、日本を含め各国にも大きな影響が出てくるのではないかという懸念がある。

ファンダメンタルズがよいので経済は大丈夫だとは言っていられない状況なのではないだろうか?そんな疑問があってもおかしくない。本当はどうなのだろうか?

実際の状況はどうなっているのか、知りたいという気持ちが強くなっている。

IMF、世界経済見通しを下方修正
そのようなとき、IMF(国際通貨基金)は2019年の世界経済見通しを発表した。これは、半年前に発表された見通しの下方修正となった。

世界経済全体の成長率は2019年では3.5パーセント、2020年は3.6パーセントの見通しとなった。これは前回の発表よりもそれぞれ、0.2パーセント、0.1パーセントに下方修正された。

また、アメリカの成長率は従来と同じ2.5パーセントに据え置き、2020年に1.8パーセントに減速すると予測した。共和党主導の減税措置の効果が薄れ、景気が金利上昇に反応すると指摘した。

さらに日本の成長率については、政府が10月の消費増税を見据えた経済対策を発表したのを受け、2019年を1.1パーセント、2020年を0.5パーセントとそれぞれ0.2ポイントずつ予想を上方修正した。

そして中国の今年と来年の成長率予想は6.2%に据え置いた。

インドの今年の成長率は従来予想より0.1ポイント引き上げ7.5パーセントとし、2020年は7.7パーセントとの見通しを示した。

これを見る限り、2019年や2020年に世界経済の減速は限定的で、不況に突入するとは考えられないとの印象を持つ。

Next: 2020年までは不況は来ない?各国の政府データでは安心できるが…

中国政府の公式発表
またほぼ同じタイミングで、中国政府は2018年度のGDP成長率を発表した。

2018年の第4四半期(10月から12月)のGDP成長率は前年同時期と比べてプラス6.4パーセントにとどまり、2018年の第3四半期の6.5パーセントからは0.1パーセント減速した。昨年1年間のGDPは6.6パーセントで、これは天安門事件翌年の1990年以来、28年ぶりの低水準である。

中国経済の減速は大きく報道されているものの、これは中国政府が2018年の目標成長率が6.5パーセントなので、たいした減速ではないのではないかとの印象が強い。

貿易戦争による厳しい高関税の適用にもかかわらず、中国経済はそれなりに健闘しているように見える。

IMFの発表したドイツ経済の減速
いま主要メディアで報道されているこのような内容を見ると、将来いずれかの時点で不況がやってくるとしても、少なくともそれは2019年や2020年ではないと考えられる。この見通しは多くのエコノミストの予想とも一致している。

しかし、IMFが発表した経済見通しの数値や、さまざまな機関が発表した中国経済の数値を見ると、こんな悠長なことをいっている状況ではないことがはっきりする。

IMFの見通しで焦点となるのは、ヨーロッパの数値だ。特にドイツ経済の減速が深刻だ。2019年におけるドイツの成長率の見通しは1.3%と昨年の10月の見通しから30パーセント(0.6ポイント)も下方修正した。2017年のドイツの成長率は2.4パーセントだったので、それと比べるとこの数値は、ドイツが不況に突入したといってもよいくらいの減速だ。

また、国債の利回り上昇が成長の障害となっているイタリアは0.4ポイントの下方修正で、2019年と2020年はそれぞれ0.6パーセントと0.9パーセントの成長になった。

さらに「黄色いベスト」の抗議運動が続くフランスは、2019年が1.5パーセント、2020年が1.6パーセントで、2019年は0.1ポイントの減速となった。

2019年におけるユーロ圏全体の成長率は、従来よりも0.3パーセント低い1.6パーセントであった。2017年が2.5パーセントの成長率だったので、これは大きな減速だ。

2019年は、イギリスの合意なきEU離脱や、EU解体を主張する極右政党の躍進が予想されているEU議会選挙など、結果が予測できない出来事が多い年になる。これらの出来事の思わぬ結果からEU全体が不安定になり、ユーロ圏全体がさらに減速して、不況に突入する懸念も出てきている。

Next: 中国の実質成長率は1.67パーセント?日本もしかり、経済の実態は表に出ない…

中国の製造業が急減速
しかし、これ以上に深刻な状況は中国だ。さまざまな機関が中国経済の数値を発表しているが、どれも予想を越えた悪さだ。

2018年12月の輸入は5パーセントの増加を予想していたものの、対前年比で7.6パーセントの減少だった。また輸出も、3パーセントの増加を期待していたものの4.4パーセント減少していた。

そのうち、スマホの輸出は前年度比、15.5パーセントの下落、自動車の販売台数は5.8パーセントの減少であった。

また失業率も悪化している。2018年は4.9パーセントであった。これは、世界経済が実質的に収縮した2008年から2009年の金融危機のときの失業率、4.2パーセントと4.3パーセントよりも高い。このときは、この層の失業率の悪化による社会不安の増加が懸念された。

10年前ほどではないものの、中国の製造業は、依然として内陸部の農村から都市部に移動してきた農民工の労働に依存している。もしこの層の失業率が10年前の金融危機時の水準を越えて上昇すると、社会不安の背景にもなるとも懸念されている。

このような中国経済の状況を見ると、成長率は政府発表の6.4パーセントなのかどうか疑念が出てきてもおかしくない。政府が発表する統計値には以前から疑念があったが、それが再燃している。

中国の実質成長率は1.67パーセント?
そのようなとき、北京にある有名大学のひとつである「中国人民大学」金融学部教授、向松祚(シャン・ソンゾウ)は、参加した経済セミナーで驚くべき発表を行った。シャン・ソンゾウ教授はある政府機関には中国の実質的な成長率の試算した内部報告書があり、それには2つの成長率が記載されていたという。そのうちのひとつは成長率を1.67パーセントとしていた。そしてもうひとつの試算はマイナス成長であったというのだ。

もちろん日本の主要メディアでは報道されていないが、このシャン・ソンゾウ教授のこの発表は世界を駆け巡った。いくらなんでも1.67パーセントとは低すぎるのではないかと異論も多いが、それでも公式成長率の6.4パーセントよりははるかに低いはずだとの見方が一般的になっている。

しかし万が一、シャン・ソンゾウ教授のいうように中国の成長率は1.67パーセントであったとするなら、これは改革開放政策の実施で中国の資本主義的な発展の端緒が切られた1978年以前の、1974年前後と同レベルの成長率だ。

もしこれが事実なら、中国は不況どころではない。これまで40年間、中国の成長モデルであった国家資本主義の妥当性が問われる事態にもなりかねない。

もちろんこれは、これから世界経済に甚大な影響を与えるはずだ。

OECDの景気先行指数
また、最近発表されたOECD(経済開発機構)の景気先行指数もこれから深刻な不況に入ることを示唆している。

これは、OECDが各国の経済指標から今後6カ月の景気動向を予測した数値だ。この数値が99.3を下回ると、今後数カ月以内に不況に突入する可能性が高くなるとしている。

過去に99.3を下回った1970年、74年、80年、81年、2001年、2008年と予測は的中し、すべて不況に突入している。景気先行指数は昨年の11月に発表されたものが最新だが、ちょうど不況突入の分かれ目となる数値の99.3であった。

ということは、昨年の11月から半年以内、つまり5月くらいまでに世界が本格的な不況に突入してもおかしくないことを示している。

アメリカの危ない数値
また、IMFの経済見通しでは2.5パーセントに据え置かれた2019年度のアメリカの経済成長率だが、そのような楽観的な見通しを否定する数値が多い。

住宅販売件数は、景況判断の重要な指標である。昨年12月の販売権数は11パーセントと大きく下落した。これは2016年以来最大の下落だ。

また新築住宅の販売件数に限ると、2018年12月はピークだった2017年12月と比べて18パーセントも下落した。ローン金利の上昇を受けて、2008年のリーマンショック以降比較的に順調に上昇していた住宅価格は、下落に転じる可能性が大きくなっている。

さらに、新卒者の求人件数も下落に転じた。昨年末には、過去8年間で初めて求人数は1.3パーセント下落した。ある調査機関によると、無作為に350名の新卒者を抽出して調査したところ、75パーセントが就職できていなかったという。

広がるアメリカ経済の悲観的な見通し
こうした状況を受けて、大手コンサルの「PwCコンサルティング」が1300社の大手企業のCEOに調査したところ、30%が2019年は不況になると回答した。2018年には5%だったので、これは大きな増加だ。普通、企業の経営者は悲観的な見通しの公表を好まないものだが、今回は例外的だ。経済の落ち込む可能性を深刻にとらえている現れだろう。

また、大手投資銀行、「モーガン・スタンレー」の債権担当ストラテジストは、これから少しでも悪い数値が出てくると、ダウは昨年のクリスマスイヴの下げ幅を越えて下落し、それに伴い不況は確実にやってくるとした。そして、「不況を怖がってはならない。受け入れるしかない」とアドバイスしている。

さらに、メリーランド州議会の「予算税収委員会」に参考人として呼ばれた大手格付け機関、「ムーディーズ」のアナリストは、すべての指標がこれから不況に突入することを示しているとし、遅くとも2020年の半ばまでには深刻な不況になるはずだと予測した。

ということでは、2019年にも不況に突入してもおかしくない状況だ。

Next: いまの状況は、大恐慌を引き起こした1929年に似ている?

Next: 2019年5月前に不況に突入?世界経済を悲観する声が高まっている…

1929年に少し似ているかも?
これがいまの状況だ。海外のメディアを読むと、楽観的な情勢判断はなりを潜め、経済の先行きを懸念する悲観的な見通しを伝える記事や番組が日毎に増えているのが分かる。

これは大恐慌の引き金になった1929年10月の「暗黒の木曜日」とそれに続く数年間に似た状況のような気もする。

1929年には設備投資、住宅販売、雇用率、個人消費などのファンダメンタルズが若干悪化していた。しかしその下げ幅は景気循環の下降局面に典型的な水準だったので、翌年には自律的に回復できるレベルだった。

しかし、バブルで膨れ上がった当時の株式市場はこのファンダメンタルズの悪化に過剰反応してパニック売りとなり、株は大暴落した。そして、この大暴落が引き金となって発生した金融危機により、実体経済はどん底まで突き落とされた。その本格的な回復は、1940年代の戦時体制までかかった。

つまり、ファンダメンタルズの悪化によって不況が徐々に進行したのではなく、市場の暴落による金融危機が実体経済を深刻な不況へと引き込んだのである。

もしかしたら、いま世界はこの方向に向かっているのかもしれない。アメリカや中国で予想を越えた悪い数値がひとつだけ発表されただけで、市場は暴落しかねない。崩壊しつつあるグローバル経済の枠組みと、その後にやってくる不確定な未来を目の前にして、市場関係者は大きな不安に駆られている。

いつクラッシュが起こるかは予想できないが、当メルマガでは全力で情報収集し、それが起こるタイミングと、対処方法を提示したい。
https://www.mag2.com/p/money/627542
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/749.html

[経世済民130] ゴーン氏の法外な退職手当認めず 仏経済相=解任なら37億円節約 ゴーン氏、ルノー会長退任 解任でなく辞表認める 
 
ゴーン氏の法外な退職手当認めず 仏経済相
共同通信社 2019/01/28 00:08
車同士が正面衝突 母娘2人死亡 長野車同士が正面衝突、母娘2人が死亡
決壊したダムの土砂が橋を押し流した被災現場=26日午後6時18分、ブラジル・ブルマジーニョ、岡田玄撮影ダム会社の資産差し押さえ、ブラジル
フランスのルメール経済・財務相(ロイター=共同)© KYODONEWS フランスのルメール経済・財務相(ロイター=共同)
 【パリ共同】フランスのルメール経済・財務相は27日、日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告が自動車大手ルノーの会長兼最高経営責任者(CEO)を辞任したことに伴う手当や報酬について「法外な額となるのは誰も理解できない。(筆頭株主である政府は)細心の注意を払う」と述べた。公共ラジオのインタビューに答えた。

 フランスのメディアでは、ゴーン被告がルノーでは解任とならずに辞任したことで、退職に伴って受け取る手当やこれまでの報酬が計2500万〜3千万ユーロ(約31億〜37億円)相当に上る可能性があるとも報じられている。
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%B3%E6%B0%8F%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%A4%96%E3%81%AA%E9%80%80%E8%81%B7%E6%89%8B%E5%BD%93%E8%AA%8D%E3%82%81%E3%81%9A-%E4%BB%8F%E7%B5%8C%E6%B8%88%E7%9B%B8/ar-BBSNmKR


 

ゴーン氏、ルノー会長退任 解任でなく辞表認める

疋田多揚=パリ、木村聡史 2019年1月24日22時50分


 仏ルノーは24日、取締役会を開き、会社法違反(特別背任)などの罪で起訴されたカルロス・ゴーン被告(64)の会長兼CEO(最高経営責任者)からの退任を決めた。後任の会長に仏タイヤ大手ミシュランのジャンドミニク・スナールCEO、後任のCEOにルノーのティエリー・ボロレCEO暫定代行が就く人事も決めた。

カルロス・ゴーン もたらした光と影
 ルノーと3社連合を組む日産自動車、三菱自動車は昨年11月の逮捕直後に会長職を解いている。3社連合を率いてきたゴーン被告が3社の経営トップの座からすべて退いたことで、日産とルノーの主導権争いは新たな局面を迎える。

 一方、日産は24日、4月中旬に臨時株主総会を開く方向で検討を始めたと発表した。ゴーン被告と前代表取締役グレッグ・ケリー被告(62)の2人を取締役からも解任し、ルノーから取締役1人を受け入れる目的に限って開催する考えだ。ルノーはスナール氏を日産の取締役に送り込み、3社連合の提携見直しの協議の窓口にする方針。日産はこれまでルノーが要求してきた臨時株主総会の開催を拒否しており、西川(さいかわ)広人社長兼CEOは同日夜の記者会見で「ルノーの新しいリーダーにも加わってもらい、新たなガバナンス(企業統治)を進めるなかで一緒に議論したい」と述べた。

 ルノーはゴーン被告の逮捕後に会長兼CEO職の解任を取締役会で3度見送った。ルノーの筆頭株主の仏政府も「推定無罪の原則が働く」(ルメール経済・財務相)としてルノーの判断を支持してきたが、ゴーン被告の勾留が長期化し、経営トップの不在が長引く見通しになったため、辞任を促す姿勢に転じていた。

 ただ、ルノーはゴーン被告を解任した日産、三菱自と異なり、ゴーン被告からの辞表を認める形で退任を決めた。ゴーン被告への配慮がにじむ。(疋田多揚=パリ、木村聡史)

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ゴーン前会長逮捕「3部作の1部にすぎない」 真山仁氏
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ゴーン容疑者の現状、世界も注目 トイレは? 健康は?
危うい「関係者によると」 池上彰さんが読むゴーン報道
https://www.asahi.com/articles/ASM1S5G4DM1SULFA029.html

 


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/751.html

[国際25] 英中銀、ベネズエラ資産約1300億円の引き出しを拒否 ベネズエラ情勢で国連安保理会合、米が暫定大統領支持呼び掛け
英中銀、ベネズエラ資産約1300億円の引き出しを拒否

Patricia Laya、Ethan Bronner
2019年1月26日 10:57 JST
• ベネズエラは大統領が2人並び立つ異例の事態
• 中銀が保有する外貨準備80億ドルのうち金12億ドル相当は大きな割合

ベネズエラがイングランド銀行(英中央銀行)に預けている資産の引き出しを英中銀が拒んでいる。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。政局の混迷が続くベネズエラは、大統領が2人並び立つ異例の事態となっている。
  マドゥロ政権側は金(ゴールド)12億ドル(約1300億円)相当の引き出しを英中銀に求めているが、ポンぺオ国務長官やボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)ら米国側による英国への働き掛けを踏まえ英中銀がこの要請に応じていないと関係者の1人が語った。

ニコラス・マドゥロ氏の記者会見(25日にテレビ放送された)
写真家:Carlos Becerra / Bloomberg
  米国はベネズエラの野党指導者グアイド国会議長を暫定大統領として23日に承認。英国も米国に追随した。英中銀はベネズエラ資産の扱いについてコメントを控えた上で、金管理を含めた銀行業務を「非常に多くの顧客」に提供しており、顧客との関係にはコメントしないと説明した。
  米当局はベネズエラの国外資産をグアイド氏側が管理できるように試みており、ベネズエラ中銀が保有する外貨準備80億ドルのうち金12億ドル相当は大きな割合を占める。
Waning Support
Global leaders back Venezuela’s Guaido as Maduro clings to usual allies

Source: Bloomberg research
原題:Maduro Rebuffed in Bid to Pull $1.2 Billion of Gold From U.K.(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-26/PLWZNS6JIJUP01?srnd=cojp-v2

 

ワールド2019年1月28日 / 07:28 / 3時間前更新
ベネズエラ情勢で国連安保理会合、米が暫定大統領支持呼び掛け
Reuters Staff
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[国連/カラカス 26日 ロイター] - 国連安全保障理事会は26日、政権を巡る混乱が広がっているベネズエラについて緊急会合を開いた。米国はベネズエラの野党指導者であるフアン・グアイド国会議長を暫定大統領として承認した米国への支持を各国に呼び掛け、マドゥロ政権の資金源を断絶するよう要請した。

欧州諸国は米国に追随し、グアイド氏を暫定大統領として承認する姿勢を示唆した。

一方、ベネズエラとロシアなどは、米国がクーデターを企てていると非難。8日以内の再選挙を求めた欧州にも反発した。

緊急会合は米国の要請で開催された。

ポンペオ米国務長官は、マドゥロ氏による「社会主義の実験」は経済の破綻をもたらしたと指摘。「自由の力を支持するのか、マドゥロ氏と彼の暴力を支持するのか、どちらの側につくのか決める時がきた」と述べ、ベネズエラの民主主義への移行とグアイド氏の暫定大統領としての役割を支持するよう、すべての安保理メンバー国に呼び掛けた。

さらに各国にマドゥロ政権の資金源を断絶するよう要請した。

しかし、外交筋によると、この問題に対する安保理の行動は、ロシアと中国の拒否権によって阻止されるとみられる。

英国、ドイツ、フランス、スペインは、8日以内に再選挙実施を決めなければ、グアイド氏を暫定大統領として承認する方針を示した。

これに対し、ベネズエラのアレアサ外相は「主権国の人々に期限を設定したり、最後通告を行ったりする権限が欧州にあるとの考えはどこから来るのか」と批判した。
https://jp.reuters.com/article/venezuela-politics-idJPKCN1PL0SH?il=0
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/337.html

[国際25] 米財務省:露ルサールなど3社に対する制裁を解除 米タリバン和平協議、アフガン駐留米軍撤退で暫定合意18カ月以内
米財務省:露ルサールなど3社に対する制裁を解除
Saleha Mohsin
2019年1月28日 7:37 JST 更新日時 2019年1月28日 9:23 JST
EN+とユーロシブエネルゴの制裁も解除、デリパスカ氏は制裁継続
議会民主党は制裁解除の阻止を目指していた−ロシア疑惑捜査続く中
米財務省は27日、ロシア人富豪オレグ・デリパスカ氏と関係があるルサールなど3社に対する制裁を解除した。今回の動きは世界のアルミニウム市場に安心感をもたらすことになる。

  ロシアのプーチン大統領と親しいデリパスカ氏は引き続き米国の制裁対象だが、ルサールとEN+グループ、ユーロシブエネルゴ・JSCに対する制裁を解除する。これら3社に対する直接および間接的な株式保有比率をそれぞれ50%未満に引き下げることなどでデリパスカ氏は財務省と合意している。

  米財務省外国資産管理局(OFAC)は発表資料で「これらの企業は米財務省に対し、幅広く継続的な監査や認証、報告の義務を果たし、業務について前例ない透明性を与えることに同意した。デリパスカ氏に対する制裁は全て継続される」と説明した。

  議会民主党は2016年大統領選へのロシアの干渉疑惑を巡るモラー特別検察官による捜査が続く中でのトランプ政権の真意を懸念し、制裁解除の阻止を目指していた。

  アルミ生産世界2位ルサールへの制裁解除はアルミ市場の不透明感を後退させそうだ。米財務省が昨年4月に金融制裁を発表した際にアルミ価格は急上昇したが、ここ数カ月は制裁解除観測の浮上で下落基調だった。

原題:Trump Lifts Rusal Sanctions as Putin Ally Deripaska Cuts Stake(抜粋)

(3社の名称や米財務省の発表内容を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-27/PM0HI26JIJUO01


 


ワールド2019年1月28日 / 07:48 / 2時間前更新
米タリバン和平協議、アフガン駐留米軍撤退で暫定合意 2月再開へ
Reuters Staff
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[ドーハ 27日 ロイター] - アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンと米国は、中東カタールで26日まで6日間にわたって行った和平協議を終え、次回2月25日に協議を再開することで暫定合意した。カタール外務省当局者が27日、明らかにした。

同当局者は、ロイターに対し「双方が2月25日の再協議で暫定合意した」と語った。

6日間の協議では、合意文書への署名から18カ月以内に駐留米軍が撤退することで暫定合意した。

タリバンの関係筋によると、同勢力は、国際武装組織アルカイダや過激派組織「イスラム国」(IS)が米国やその同盟国の攻撃としてアフガンを標的にすることを認めないようにすると確約したという。
https://jp.reuters.com/article/usa-afghanistan-draft-date-idJPKCN1PL0T5
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/338.html

[国際25] 今週のワシントンでの米中通商協議はこうなる−3つのシナリオ 米政府機関、再度閉鎖の可能性否定せず−大統領首席補佐官代行 
今週のワシントンでの米中通商協議はこうなる−3つのシナリオ
Andrew Mayeda、Ye Xie、Jenny Leonard
2019年1月28日 7:28 JST
30、31日両日にライトハイザー通商代表と劉副首相が協議
ベースシナリオのほか打開、決裂の可能性も
米中両国は貿易戦争終結に向け、30、31両日にワシントンで極めて重要な通商協議を行う。しかし両国が実際に協議を進展させたかを読み取るのは容易ではない。

  米中首脳は交渉担当者らに対し、3月1日までに中国経済モデルの「構造改革」に関して合意をまとめ上げるよう指示している。これが達成できない場合は、トランプ米大統領は中国からの輸入品2000億ドル(約21兆9000億円)相当への関税率を現行の10%から25%に引き上げると明言している。交渉が決裂すれば、永続的な「休戦」に至り世界経済への暗雲が振り払われるとの希望はついえることになる。

U.S. Trade Representative Robert Lighthizer Testifies On President Trump's Trade Policy Agenda
ライトハイザー米通商代表写真家:Joshua Roberts / Bloomberg
  中国の劉鶴副首相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は30、31両日に通商協議に臨み、米国産大豆の対中輸出量や中国国営企業への補助金問題などが議論される見通し。

  クリントン政権時代に商務省に勤務し、現在は米戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザー、ウィリアム・ラインシュ氏は、最終合意の週内発表は見込めないものの、交渉担当者らが一連の提案を持ち帰る可能性は高いと指摘した。

  米中協議で予想される3つのシナリオは以下の通り。

ベースシナリオ
  ライトハイザー代表と劉副首相が今週合意に達した場合でも、それぞれの首脳に報告するには時間がかかり、それから両国首脳が満足できる合意内容かどうかを判断することになる。ライトハイザー、劉両氏とも記者団には通常多く語らないことから、協議終了後の両氏のコメントにはあまり期待できない。

  従って、どの程度進展したかは交渉後に発表される漠然とした公式声明から判断せざるを得ない。今月初めの北京での次官級協議にならい、双方が別個に声明を発表する見込み。北京の協議終了後、米国側は米国製品の購入などの問題で前進したとした上で、いかなる合意にも「継続的な検証と効果的な実施」が含まれる必要があると表明。中国側は協議では「広範囲にわたり深く、詳細」に議論されたと説明した。

  現時点でもワシントンでの協議が大筋でどのようにまとまるかは予想がつく。中国側は恐らく、米国からの輸入拡大に同意し、知的財産権の窃取を止めると公約する可能性がある。そして両国とも合意に効力ある実施手段を持たせるため、実行可能な施行システムを構築する可能性がある。

  当局者らがさらなる協議を行う計画だと示唆すれば、双方が3月1日までに合意の取りまとめが可能だと考えている表れとみられ、休戦期間の延長もあり得る。

打開のシナリオ
  最善のシナリオは、中国が予想以上に積極的な経済改革案を提示することだ。この場合は対中タカ派のライトハイザー代表も、中国が国家主導モデルの開放に真剣であると認めるだろう。またトランプ大統領とホワイトハウスも原則、合意を評価するだろう。市場は反発し、数カ月続いてきた世界的貿易戦争への不安は解消される。

決裂のシナリオ
  協議終了後に声明が出されない場合は決裂の可能性がある。注意が必要だ。その場合は、トランプ大統領がさほど間を置かずに怒りのツイートを発するだろう。実際、昨年5月には共同声明で中国が米農産物やエネルギーの輸入拡大に合意し、知財権の重要性を認めたにもかかわらず、数日後にトランプ大統領はこの枠組みを拒否していた。

Day Two Of The World Economic Forum (WEF) 2018
中国の劉鶴副首相写真家:Jason Alden / Bloomberg
原題:Here Are Three Scenarios for U.S.-China Trade Talks This Week(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-27/PM0D7D6S972801?srnd=cojp-v2


 


米政府機関、再度閉鎖の可能性否定せず−大統領首席補佐官代行
Daniel Flatley、Bill Allison
2019年1月28日 1:41 JST
米国・メキシコ国境の壁建設資金を含む予算案でトランプ大統領と議会指導部が2月半ばまでに合意できない場合は、政府機関が再び閉鎖される可能性を否定できない。マルバニー米大統領首席補佐官代行がこうした見解を示した。

  マルバニー氏は「FOXニュース・サンデー」でのインタビューで、「誰も政府閉鎖を望んでいない。それは望ましい結果ではない」と発言。その上で、「歳出法案として提示されたものにトランプ大統領が拒否権を行使した場合は、政府機関の閉鎖という結果を生むことがある」と述べた。

  同氏はまた、トランプ大統領は「最も必要とする場所、最も早急に求められる場所での壁」建設を主張する意向であり、それは米大陸の東西に及ぶ2000マイル(約3218キロメートル)もの壁ではないと語った。

No Deal In Sight As Lawmakers Near Government Shutdown Deadline
マルバニー大統領首席補佐官代行写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
原題:Mulvaney Doesn’t Rule Out Another Shutdown If Talks Break Down(抜粋)

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米政府機関、再度閉鎖の可能性否定せず−大統領首席補佐官代行
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/339.html

[国際25] トランプ政権の対中関税、WTOが調査開始の公算−米中さらに緊張へ カナダ首相ファーウェイ失言駐中国大使解任 株敬遠債券へ

トランプ政権の対中関税、WTOが調査開始の公算−米中さらに緊張へ
Bryce Baschuk
2019年1月28日 1:24 JST
トランプ米政権が中国製品2500億ドル(約27兆3900億円)相当を対象に課す関税について、世界貿易機関(WTO)はその正当性を判断する調査に入る構えだ。米中の緊張状態がさらに複雑になりかねない。

  WTO加盟国は関税において相互対等でなくてはならないとしたWTOルールに、米国の関税は反すると中国は主張。WTOはこれに基づいて、28日にも調査を開始する見通しとなっている。

  米中は1月30日に新たな貿易交渉に入る。3月1日までに妥結できない場合、トランプ政権は2000億ドル相当の中国製品を対象とした関税率を、現在の10%から25%に引き上げる意向を明らかにしている。

  かつてWTO上級委員会の会長を務めたジェームズ・バッカス元米下院議員は、「中国との貿易戦争における米国のやり方について、国際的な法律上の中心的な問題を扱っているため、今回のケースはとりわけ意義深い」と電子メールで解説。「米国の関税はWTOに基づいた責務と整合しないと私は判断するが、それを決めるのは現在のWTO上級委員会だ」と述べた。

原題:Trump’s China Tariffs Likely to Be Investigated by the WTO(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-27/PLZV3U6JTSE801

 


 

ワールド2019年1月28日 / 07:18 / 3時間前更新
カナダ首相、ファーウェイ巡り失言の駐中国大使を解任
Reuters Staff
1 分で読む

[オタワ 26日 ロイター] - カナダのトルドー首相は26日、同国のジョン・マッカラム駐中国大使を解任したことを明らかにした。同大使は、カナダで昨年12月に逮捕された中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)について、同氏には米国への身柄引き渡しに反対する「強い論拠」があると発言し、批判を浴びていた。

トルドー首相は、声明で「マッカラム氏に駐中国大使を辞任するよう要請し、同氏の辞任を承諾した」と語った。辞任の理由は明らかにしなかった。

外交筋や専門家によると、カナダ大使が正式に解任されるのは初めて。

マッカラム氏は24日、自身の発言は失言だったと謝罪し、トルドー首相は同日、同氏を解任する計画はないとしていた。

しかし、25日付のカナダ紙トロント・スターによると、マッカラム氏は米国が身柄引き渡し要請を取り下げれば、カナダにとって非常に良いと述べ、失言を繰り返した。

カナダの元外交官で、ブロック大学教授のチャールズ・バートン氏は、首相はマッカラム氏を擁護できなくなったとし、この問題への対応に向け早期に特使を任命すべきだとの見解を示した。

トルドー首相とフリーランド外相の報道官はマッカラム氏解任についてコメントを控えた。
https://jp.reuters.com/article/canada-china-diplomacy-idJPKCN1PL0SB?il=0


 


 

ビジネス2019年1月26日 / 16:17 / 1時間前更新
アングル:
中国減速で債券への資金流入鮮明に、株式を敬遠
Reuters Staff
2 分で読む


[香港/上海 22日 ロイター] - 中国経済は減速の兆しが増えるばかりだが、ファンドマネジャーのDu Zhenye氏は今年幸先の良い滑り出しを見せた。

Du氏が手掛けるミクスド・ファンド(異なる資産を組み合わせて投資するファンド)は中国株を敬遠して中国の債券に資金を移したことにより、過去2週間で資産が増えた。2018年の成績を見ても、リターンは14%強に達し、海通証券が行った3000本近いミクスド・ファンドのランキングで首位に立っている。

「中国株が底を打ったと言い切れない」というのがDu氏の見方だ。

もちろん中国株より中国の債券を志向する投資家はほかにもいる。何しろ上海総合指数は18年全体で25%も下落した上に、景気減速が企業収益の落ち込みを示唆しているからだ。

中国当局がより緩和的な政策で景気減速に対処しようとしていることもあり、一部の投資家にとって債券は引き続き魅力がある。今年は国際的な指数に中国の債券が段階的に組み込まれる点も、資金流入を誘うとみられる。

Du氏は「今年は債券にとって新たな強気局面になると考えている」と話した。

Zベン・アドバイザーズによると、中国の株式ミューチュアル・ファンドの預かり資産は昨年第4・四半期に前年同期比で12%減少して1940億元(286億2000万ドル)となった半面、債券ファンドは20%増の3兆元に膨らんだ。

それも1つの理由となって、指標の10年国債利回りは第4・四半期に40ベーシスポイント(bp)近く低下。今後さらなる緩和政策が実施されれば、利回り低下が一層進み、債券投資家の利益は増大する。

<資金供給>

中国当局は「資金を潤沢にする刺激策」で成長をテコ入れしないと表明しているものの、実際には融資促進を狙って銀行システムにキャッシュを供給している。今月には銀行の預金準備率が引き下げられ、もっと下がる見通しだ。

上海同盛通彙資産管理公司のジョシュ・シェン最高投資責任者は、新規資金供給は国債と社債双方の一段の値上がりを後押しするはずだ、と指摘する。

中国の債券に対して関心を強めているのは国内勢だけではない。T・ロウ・プライス(香港)のポートフォリオマネジャー、レニー・クワン氏は、5年と10年の国債に強気の姿勢だし、アバディーン・スタンダード・インベストメンツのアジア債券マネジャー、エドマンド・ゴー氏はあまり中国市場になじみのない投資家が避けてきた社債を熱心に物色している。

4月になればブルームバーグ・バークレイズ・グローバル総合指数が中国国債と中国の政策銀行債を組み入れ始めるので、海外からの投資意欲は強まる公算が大きい。

スタンダード・チャータードは、20カ月かけて段階的に行われるこの組み入れで、今年の中国債券市場にはパッシブ運用の資金500億ドルが流入する可能性があると試算した。年末までに海外勢が保有する中国の国内債は最大2兆8000億元に達し、前年末比で1兆元増えてもおかしくないという。

<慎重論>

ただ中国国内では債券投資に慎重な声も聞かれる。利頓資本(上海)のパートナー、Yun Xiong氏は、足元の資金供給は従来の不足分を穴埋めしているだけで、人民銀行(中央銀行)は過剰流動性が生じて人民元に下げ圧力がかからないように気を配っているとの見方を示した。

またロイターのデータに基づくと、18年のデフォルト(債務不履行)件数は過去最悪で、Xiong氏は今年を通じて「クレジット爆弾が破裂し続ける」と警戒する。

18年に発効した保険業界向けの新規則により、伝統的に大口の債券投資家である保険会社のリターンが下がり、コストが増大したというマイナス材料もある。

(Noah Sin、Andrew Galbraith記者)
https://jp.reuters.com/article/china-economy-idJPKCN1PH0OB
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/340.html

[国際25] 英首相、閣僚に対し非公式に「合意なきEU離脱」除外 英首相、バックストップで法的拘束力持つ変更要求へ 与野党チキンレース
ワールド2019年1月28日 / 08:48 / 1時間前更新
英首相、閣僚に対し非公式に「合意なきEU離脱」除外

Reuters Staff
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[27日 ロイター] - 英国のメイ首相は閣僚らに対して非公式に、合意のないままで欧州連合(EU)を離脱することはないとの考えを示したもようだ。大衆紙サンが27日、閣僚筋の話として報じた。

記事によると首相は、合意なき離脱を公式に除外する準備はできていないと示唆。公式に除外することで、EUとの交渉における重要な切り札を失うことになると述べたという。
https://jp.reuters.com/article/column-activists-idJPKCN1PH0HB?il=0


ワールド2019年1月28日 / 09:39 / 17分前更新
英首相、バックストップで法的拘束力持つ変更要求へ=前外相が寄稿
Reuters Staff
1 分で読む

[27日 ロイター] - メイ英首相は欧州連合(EU)離脱を巡る行き詰まりを打開するため、アイルランドとの国境問題のバックストップ(安全策)について、EUに法的拘束力を持つ変更を求める意向だ。ジョンソン前外相が政府筋の話として、27日付の英紙テレグラフへの寄稿で明らかにした。

寄稿によると、メイ首相は離脱合意案の文言を変更し、自動失効を可能にする「サンセット条項」あるいは合意からの離脱を可能にする仕組みを挿入する方向で検討しているという。

バックストップはアイルランドと英領北アイルランドとの間で厳格な国境管理の復活を阻止する狙いがあり、英国とEUが通商協定をまとめられない場合、英国にEUルールの一部が引き続き適用されることになる。

ただ、アイルランド政府はこの日、バックストップに関する合意のいかなる変更も容認しない考えを示している。
https://jp.reuters.com/article/brexit-johnson-ireland-idJPKCN1PM00T?il=0


 

合意なき離脱はあるか−29日採決前に英与野党「チキンレース」の様相
Brian Swint
2019年1月28日 8:33 JST
離脱延期を推進する議員らの動きにメイ政権は反対の立場を崩さず
労働党のクーパー議員らは離脱の延期を目指す修正案を提出した
メイ英首相が欧州連合(EU)と自ら取り決め、議会に大差で否決された離脱合意案の代案と、与野党から提出された複数の修正案の下院での審議・採決が29日に行われる。

  無秩序な「合意なき離脱」回避のために3月29日の離脱予定日の延期を推進する一般議員らの動きに対し、メイ政権は反対の立場を崩していない。しかし、最大野党・労働党のイベット・クーパー議員は、それが唯一の取るべき道だと主張し、超党派の議員らと共に離脱の延期を目指す修正案を提出した。

  クーパー議員は27日のBBCの番組で、どちらが先に降りるか度胸比べする「チキンレースのようなことは続けられない。誰かが何らかの責任を取らなければならない。首相が時間切れになるなら、もう少し時間が必要かもしれない。それは英EU離脱を阻止しようということではなく、責任を持つという問題だ」と語った。

  労働党のコービン党首はクーパー議員らの案をまだ正式に支持しておらず、EUとの関税同盟への残留、あるいは離脱を問う2回目の国民投票実施に関し、議会採決を求める別の修正案を提出している。同党のアンジェラ・レイナー議員(影の教育相)は27日にスカイニューズに対し、合意なき離脱シナリオを阻止するため、労働党はどんなことでも行うべきだと発言した。

  一方、ハンコック保健・社会福祉相はBBCの番組で、合意なき離脱を避けたいと考えるなら、「審議に上がっている離脱案に賛成票を投じることがあなた方の義務だ」と述べ、クーパー議員らが提案したような離脱延期では行き詰まりを打開できないと訴えた。

U.K. PM Theresa May Asks CBI Conference To Back Her Brexit Deal
英労働党のコービン党首写真家:Jason Alden / Bloomberg
Labour Calls For Vote That Could Spark Second Brexit Referendum
ハンコック英保健・社会福祉相写真家:Luke MacGregor / Bloomberg
Irish Foreign Affairs & Trade Minister Simon Coveney Interview
アイルランドのコーブニー副首相兼外相写真家:Christopher Goodney / Bloomberg
原題:Brexit ‘Game of Chicken’ Played Before Crucial Week for Votes(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-27/PM0I3P6JIJUO01
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/341.html

[政治・選挙・NHK256] 公務員の定年延長が民間にもたらす喜べない事態 人事制度の大幅変更で、ライフプランの見直しは必至 
公務員の定年延長が民間にもたらす喜べない事態 人事制度の大幅変更で、ライフプランの見直しは必至
2019.1.28(月) 加谷 珪一

(加谷 珪一:経済評論家)
 政府内部で、国家公務員の定年を60歳から65歳に延長する法案について具体的な検討が始まった。政府は事実上、定年をなくし、生涯労働を可能にする方向で制度改正を進めようとしているが、最大の懸念材料となっているのが高齢者の処遇だ。公務員の給与は法律で定められるので、法案が成立すれば、民間における1つの目安となる可能性が高い。

再任用をやめ、定年延長に舵を切る
 現在、国家公務員の定年は60歳だが、年金の支給開始は65歳となっている。このため60歳を超えた公務員については、無収入期間が発生しないよう「再任用制度」というものが用意されていた。
 現在、検討されている法改正は、再任用制度をなくし、定年を65歳まで延長するという内容。これまでも再任用で60歳以降も働くことができたという現実を考えると実質的な違いはないよう見えるが、制度全体としては大きな変化となる。
 再任用はあくまで定年後の一時的な処遇ということになるが、定年そのものを延長する場合、総人件費をどうするのかという問題に正面から向き合う必要が出てくる。定年が延長されると、制度上、総人件費が増加するので、これを抑制するためには60歳以上の公務員の給与を引き下げるだけでなく、60歳未満の給与についても見直しが必要となってくる。
 さらにいえば、賃金の上昇カーブについても再検討が必要となる。60歳を境に急に年収が減少するというのは、人生設計上あまり望ましいものではない。もし総人件費を増やさないことを前提にするのであれば、60歳未満の公務員についても、段階的に賃金を引き下げる必要が出てくるだろう。
 現在、政府では、60歳以降については、60歳未満の給料の7割程度まで減額することを想定しており、60未満についても賃金の上昇カーブを抑制する措置を検討しているという。60歳以上を7割にするというのは経過措置と位置付け、最終的には50代から給与水準がなだらかに下がる形を考えているようだ。
 あくまで検討中なので、最終的にどうなるのかは分からないが、1つの方向性は示されたといってよいだろう。この法案が成立した場合、当然だが、民間企業の定年延長や賃金体系の改革にも大きな影響を与える可能性が高い。

最終的には70歳まで雇用は延長される
 民間の場合、公務員のように税金が給料の原資ではないので、総人件費の抑制圧力はもっと高い。60歳以上の賃金を60歳未満の7割に抑えるという数字は、人事院が民間の事例をもとに算出したとのことだが、調査対象となっているのは大企業が中心と考えられる。大企業は公務員と似たような賃金体系を提示する可能性が高いが、中小企業はそうはいかないだろう。
 賃金体系の変更に加えて、60歳以上の職員については短時間勤務にすることや、60歳を超えた場合には、原則として管理職から外す措置などについても検討を進めている。民間企業においても、一定年齢に達した段階で、有力なポストについていない社員を管理職から外すという、いわゆる役職定年の導入が進んでいることを考えると、一部の幹部職員以外は管理職から外れるという流れが定着してくるだろう。
 年収はともかく、年金支給開始年齢までは雇用が保障されるという流れだが、話がこれで終わるわけではない。政府内部ではすでに、定年をさらに70歳まで延長し、事実上の生涯雇用とするための施策について検討が進められている。
 現在、高齢者の雇用については、高年齢者雇用安定法によって、定年を65歳にするか、65歳まで継続雇用するか、もしくは定年を廃止するかのいずれかを選択することが定められている。政府が検討しているのは、この法律を再度改正し、継続雇用を70歳までに引き上げる施策である。
 もしこの制度が具体的に動き出した場合、企業は難しい選択を迫られるかもしれない。
 現時点における高齢者雇用安定法への対策としては、定年の延長や定年制の廃止ではなく、再雇用を選択している企業が圧倒的に多い。企業は人材のピラミッドを維持したいので、なかなか定年の廃止には踏み込めないというのが実状だ。
 だが再度の法改正によって70歳までの雇用が義務付けられた場合、60歳以上の社員について、再雇用という中途半端な位置付けで処遇するのは難しくなってくる。一方で定年を延長した場合には、全社員の昇給やポストの配分など、人事制度全般の変更が必要となるため負担が重い。

40歳以降の昇給を抑制しないと実現は困難
 企業はホンネとしては70歳までの継続雇用に反対だろうが、この動きを回避することは難しそうである。最大の理由は年金財政である。政府ははっきりとは口にしていないが、年金財政を維持するため、年金の支給開始年齢を最終的には70歳まで引き上げたい意向である。
 そうなってくると必然的に70歳までの雇用を義務付けなければ、無収入者が続出してしまう。企業側は、60歳未満の社員の処遇をさらに抑制することで、この制度を受け入れるという形になる可能性が高い。
 では、この制度が導入された場合、最終的に社員の処遇はどの程度になるのだろうか。
 これまでの日本社会は、一定以上の規模の会社に入れば終身雇用が保障され、年齢に応じて給料が上がるのが当たり前だった。このため、歳をとるほど支出が多くなり、家計がメタボになるのもごく普通のこととされた。しかしながら、年金の減額がほぼ必至となり、事実上の生涯労働システムに移行しつつある今、年功序列の給与体系は維持できなくなる可能性が高い。
 日本の給与所得者の平均年収から擬似的に算出した生涯年収(大学卒業後60歳まで勤務と仮定)は約1億8000万円である(これは男女合わせた数字なので、男性に限ると約2億3000万円になる)。
 仮に従業員を70歳まで雇用する場合、企業は人件費総額の増大を強く警戒するので、生涯年収を増やさないよう、現役時代の給与を引き下げることになるだろう。
 仮に、55歳から役職定年がスタートし、60歳以降は、従来の現役世代の6割に年収が下がると仮定した場合、35歳以降は基本的に昇給しない給与体系にしないと企業は総人件費の増加を抑制できない。あくまで仮定であり、厳しめに見た数字ではあるが、大まかに言ってしまうと、40歳以降は昇給が難しくなるという話だ。
 日本の生産性が今後、大幅に上昇し、企業が総人件費の増大に対応できる可能性もあるが、現時点でそのシナリオは描きにくい。昇給が続くことを前提とした現在のライフプランの見直しはほぼ必至ということになる。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55302

http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/768.html

[政治・選挙・NHK256] 中国の日本侵略への備えを明確にせよ! 防衛計画の大綱:ドクトリンの柱なき日本の防衛 
中国の日本侵略への備えを明確にせよ!
防衛計画の大綱:ドクトリンの柱なき日本の防衛
2019.1.28(月) 用田 和仁
自衛隊、米比海兵隊の合同訓練に参加 水陸両用車で上陸
比首都マニラの北方に位置するサンバレス州サンアントニオで行われた合同訓練で、南シナ海に面した海岸を走行する自衛隊の水陸両用車(2018年10月6日撮影)。(c)TED ALJIBE / AFP〔AFPBB News〕

 昨年末、新防衛計画の大綱および中期防衛力整備計画が策定され、新しい計画に従い防衛力の整備がスタートした。

 宇宙・サイバー・電磁領域で優越を獲得することが死活的に重要だとし、新しい領域へ世界の流れに遅れることなく切り込んでいったことは大いに評価できる。

 一方、従来の領域の考え方には進歩がなく、また、米中のドクトリンの変化にも追随せず、旧態依然たる第2次世界大戦の姿そのものである。

 そのため、せっかく米国から高額装備を購入し、最新鋭の装備を取得していく計画なのに、その装備品が帰属するあてもなく大綱の中で漂っているように見えるのは残念だ。

 その原因は、中国に対する曖昧な態度、防衛の基本たる作戦教義(ドクトリン)の不在、そして柱のない防衛力整備などにある。

 また、新たな「防衛計画の大綱」に向けた有識者会議が、急速に厳しさを増す安全保障環境に対応するため「従来とは異なる速さで防衛力を強化する必要がある」と指摘していたにもかかわらず、我が国の防衛に必要十分な予算を投入せず、依然として財務省主導の防衛力整備になっていることに由来している。

1 脅威の認識とドクトリン
●中国に対する融和政策、敗北主義政策の撤回

 米国は国家安全保障戦略(2017)、国家防衛戦略(国防戦略)(2018)で中国やロシアとの大国間競争に打ち勝つことが必要であり、中国、ロシアとは長期間の戦略的競争関係になることを明言している。

 特に中国は地球規模で米国の主導的地位に取って代わろうとしていると警告している(中国は再三、米国はアジアから出て行けと主張)。

 その指摘の通り、中国は、すでに第2列島線内で米軍に対抗する能力があり、2025年までにインド太平洋全域で米軍に対抗できる能力を構築すると明言している。

 すなわち、日本は中国の軍事的影響下に孤立する恐れがあると言う警告でもあり、これに対し新「防衛計画の大綱」では、「安全保障上の強い懸念」を表明している。

 しかし、昨年10月の訪中時、安倍晋三首相が、これからの日中関係の道しるべとして「競争から協調へ」を日中関係3原則の一つとして確認したことに、日本国内のみならず、米国からも懸念が示された。

 今後、新防衛大綱との矛盾あるいは曖昧さを指摘されかねない恐れがある。

 従って、日本は、米中間の覇権的対立が激化しつつある現実を踏まえ、傍観者ではなく、また、安全保障上の認識を曖昧にせずに、中国とは「戦略的競争関係」にあることを明確にしなければならない。

 すなわち、中国に対して政治的配慮をしても、逆に日本や米国に対する軍事的覇権拡大のための時間を与えるだけであり、尖閣の領有、東・南シナ海の聖域化、台湾の支配を止めることはできないことを認識すべきだ。

 また、日本と中国の戦略的競争関係は容易に「日本に対する軍事的脅威」に変わり、日本に対する軍事的脅威の本丸は明確に中国であることを強く認識すべきであろう。

●曖昧な作戦教義(ドクトリン)の明確化

 国家安全保障戦略を受けて策定された防衛大綱が、米国の国防戦略に相当すると考えた場合、本来、防衛大綱の目的は、米国の国防戦略と同じように、戦争を抑止し、国家の安全を守るために必要かつ信頼に足る戦力を提供することである。

 その戦力は目的を達成するための作戦教義(ドクトリン)に基づかなければならない。

 そして、それを根拠として、中期防衛力整備計画のような「買い物計画」が策定されるべきであるが、新防衛大綱は、国防戦略というよりも、買い物計画の背景説明になっている側面がある。

 わが国に直接脅威が及ぶことを防止し、脅威が及ぶ場合にはこれに「勝つためのドクトリンは何なのか」が明らかにされていない。

 もちろんすべてを公開する必要はないが、安全保障・防衛諸計画に関わるNSC(国家安全保障局)や防衛・財務当局などの中枢は、前記の考え方を共有しなければならない。

 米国でもCSBAが主体として策定したオフセット戦略、改良型エアシーバトルが作戦・戦略の基本となり公表されているが、国防戦略にはそのものズバリを記述しておらず、より一般化、抽象化されたものが記述されている。

 一方、日本ではどこにもドクトリンに言及していないため、何のために国家資源を投入しているのかの理由が明確ではない。

 この弊害は、例えば米国との貿易交渉への影響を考え、米国からの装備品購入を優先させることと(もちろん必要性もあるが)、海上・航空優勢の獲得を重視するということが混同され、その結果どうなるのかの説明がなされていないことにも表れている。

●脅威認識とドクトリンを踏まえた防衛計画の大綱の基本認識

 中国は、根本的に基本理念(自由、民主主義とは異なる統一・安定のための抑圧、中国共産党、なかんずく習国家主席に対する絶対の忠誠、中華民族のための発展)を異にした日米同盟に対する挑戦者であり、日米共通の戦略的競争者である。

 また、北朝鮮は喫緊の脅威であるとともに、北朝鮮を含む朝鮮半島情勢は流動的であり、朝鮮半島は中・長期的に日本の安全保障の重大な懸念である。

 一方、ロシアは戦略的友好国として関係を発展させることが日本の国益と合致する。

 従って、日本は、朝鮮半島、特に北朝鮮および中国の直接的な軍事的脅威が急速に顕在化しつつある戦略環境にあると認定し、日米の作戦・戦略を精緻に一体化させることが必須である。

 それとともに、具体的に北朝鮮(朝鮮半島)や中国の、現実の脅威に対抗できる必要な戦力の質と量を備えた防衛力の構築が必須である。

 しかしながら、実情は従来の財政主導の防衛力整備が改まっているようには見られず、必要最小限の戦力をショーウインドウに並べただけの防衛予算にしかなっていない。

 厳しい戦略環境の中で国民を守り切るために必要な装備・部品、人員、弾薬などが欠乏状態にあることを国民に知らせていない。

 従って我が国は「脅威対抗の防衛力構想」すなわち「中朝の脅威に対して我が国をいかに守るかのドクトリンを確立して戦略(ドクトリン)主導の防衛力整備へ明確に転換」しなければならない。

 まさに現在の日米ガイドラインに「日本の防衛は日本が主体的に実施し、米国はこれを補完する」とあるように日米共通のドクトリンに基づき独自の防衛力を従来にない戦力の質、量で増強しなければ日米同盟の責任を果たしているとはいえない。

 ここがトランプ大統領の不満の原因だ。

 この際、中国の際限のない軍備拡張に対抗するため、遅れてスタートする日本が財政破綻することを避けるためにも、

@日米一体となったドクトリンを明確化し

A対称戦力(飛行機には飛行機で、空母には空母で対処)のみならず非対称戦力(空母にはミサイルで、ミサイルにはさらに長射程のミサイルで、ミサイルには電磁波・電波妨害で)に勝ち目を見出すことが肝要である。

2 日本の防衛の考え方(ドクトリンを中心としたあるべき防衛計画の大綱)
(1)憲法改正および防衛政策の修正はその前提

 脅威が顕在化した今、喫緊の課題は憲法9条を改正し、自衛隊を他国と同等な国軍(Armed Forces)にする。

 同時に、防衛法令のネガリスト化、軍法会議の制定、叙勲などの適正化

○他国の軍隊同様、自衛権を行使することを明確にし、個別的自衛権、集団的自衛権の概念は消滅したことを明確化。

 あわせて国内法(グレーゾーンにおける自衛権の行使、領空・領海へ侵入する航空機・艦船への武力行使など)を至急整備。

○必要最小限の防衛力の行使の概念も消滅。あわせて「交戦規定」を明確化

○防衛政策の変更

・専守防衛の廃止
・非核3原則廃止の検討を開始。この内、「核を持ち込ませず」は直ちに廃止

○大規模災害や有事対処を定めた国家非常事態法を制定

○「真に戦い、勝つ」ことを重視し、財政主導の防衛力整備の考え方を改め、ドクトリン主導の防衛力整備へ転換。

 この際、「防衛国債」などを発行して防衛費を少なくとも10年間は倍増することを基本。

(2)グレーゾーン対処

○領域警備法を制定し、国家主権に対する侵害を排除するため、海上保安庁、警察に武器使用を認めた領域警備の任務を付与。

 この際、海上保安庁の艦艇に海自艦を移籍させるとともに、領域警備に任ずる警察の装備を自衛隊の即応機動連隊並みに向上させる。

 さらに、自衛隊に対する任務と権限を付与(司法警察権の付与も含む)

○尖閣諸島などの重要な離島には、漁船避難所を整備し、通信所、灯台などを整備し、必要な要員を常駐させる。

○グレーゾーンから有事にかけて、海自と海上保安庁が連携できるよう法整備を充実させる。

○グレーゾーンにおける我が国へのサイバー攻撃があった場合、あるいは、大規模なサイバー攻撃の兆候があった場合は自衛権を行使しこれに反撃する。

○我が国の重要施設などに対するテロ・ゲリラ攻撃に際しては、直ちに国家非常事態を宣告し、国家総力で対応する。

 また、中国の国防動員法が発動された場合、直ちに有事認定を行い国家総力で対応する。

○諸外国による非合法活動に対する法整備(スパイ防止法)

○国民保護法における国民の協力義務の明確化

(3)中国の軍事的冒険を断念させる日米の作戦教義(ドクトリン)の一体化(拒否的抑止力)

◆宇宙・サイバー・電磁波領域の新たな領域と従来の領域の組み合わせ・領域横断(クロスドメイン)の戦い方の深化(新大綱の考え方の拡充)

 この際、日本は「国土防衛」を第1義とし、その上で「米国作戦への最大限の貢献」と一体化させることが重要

@電磁領域における戦いの勝利(米国の盲目化作戦との一体化)

○宇宙・サイバー領域における優越の獲得

・宇宙・サイバー専任部隊の創設(新大綱を拡充)
・攻撃的サイバー戦の深化

○電磁波領域における電波妨害(空自の電子戦機、陸自の高出力電子戦装備)および電磁波兵器(HPMW、マイクロウエーブ兵器)は5年以内に装備化し全国展開。さらに電磁波兵器は従来のやり方に固執せず開発途上にあっても高出力化を図る。

 対地、対艦、対空、ミサイルディフェンス(MD)などあらゆる領域における防衛兵器の主役として発展させる。

○米軍の盲目化作戦との一体運用の追求

○レーザ兵器は、新たな領域における次世代の兵器として、当面は無人機・ドローン対処として、5年から10年以内に本格的な装備として実戦配備する。

 この際、宇宙空間での実戦配備について米国と緊密に連携する。レールガンについては米国主導にならざるを得ないが、用途を限定して導入を図る。

A日米一体化したクロスドメイン作戦で船(中枢艦艇、潜水艦)を沈めよ(日本の南西諸島防衛の統合対艦攻撃と米国の「Distributed Lethality(広く分散した態勢から長射程のあらゆる対艦ミサイルで中国の艦艇を沈めることで、前米太平洋軍司令官ハリス大将はこれを実現するため、陸自と米陸軍との対艦攻撃訓練を実現させた)」構想との一体化。

 さらに南西諸島を対艦・対空ミサイルと地上部隊で防護することにより、水中の作戦を日米で有利にすることを一体化。

*これにより、中国本土を攻撃して、核戦争へとエスカレートすることを抑制しながら、中国の軍事的覇権の拡大の中核たる海洋戦力を打破する能力・体制を保持・整備することにより中国の侵略の意思を断念へと追い込むことができる。

○対艦攻撃機能の強化

・中国よりも長射程の対艦ミサイルを、陸海空自ともに多数装備化。空自はLRASMを導入し国産の対艦ミサイルと併せ、「F15」および「F-2」の後継対艦攻撃機に多数を装備。

 陸自は空自のLRASMと同じ1000キロの射程の対艦ミサイルを至急開発・装備化(新たな島嶼防衛用対艦誘導弾、島嶼防衛用高速滑空弾、極超音速誘導弾)。

 海自はLRSAMを導入するとともに、対艦ミサイルなどを長射程化。

・米陸軍も含め日米で決定的な対艦攻撃ができる体制を追求(南・東シナ海における中国艦隊の撃滅体制の確立)

・米軍が長期戦に入り、その参入が遅れる場合は、日本単独で中国艦隊を撃破する能力を保持する

○水中の支配の強化

・潜水艦の増勢、原子力潜水艦の開発または導入
・潜水艦発射型ミサイルの開発または導入

・無人水中航走体(UUV)の開発・装備化
・新型機雷の開発・装備化
・日米での一体運用を追求

○南西諸島の拠点の早期構築、さらに五島列島・対馬・隠岐の島・佐渡島、津軽海峡沿岸などへ拠点を拡大

・奇襲上陸する海上民兵に先導された侵攻部隊(階級章も付けないが、精強な部隊が一挙に多数(一度に5000〜7000人)が上陸して島嶼を占領する中国のハイブリッド戦から島嶼を防衛するために、各拠点は即応機動連隊規模以上の部隊規模に増強

・沖縄の15旅団を師団に格上げし、水陸機動団を沖縄に移駐(辺野古の日米共同使用、将来的には米海兵隊は緊急展開の基盤を保持)

・海上機動力の向上(陸自が高速海上機動能力を保持)

・馬毛島の陸海空統合・日米共同使用のための基地化

○指揮・統制能力、情報収集能力の向上

・統合運用司令部(統幕運用部の2キャップ化)の新設、統合運用司令官の新設
・防空を含む日米の指揮・統制・情報組織の一体化

・小型即応型衛星の運用および中型無人機による通信中継、偵察能力の獲得
・政府が離島振興のために整備中の光ファイバー高速通信網の自衛隊の優先使用

B生き残り、戦い続ける体制の構築

 中国に対抗する米国の戦略の特色の1つに「長期戦」で中国を打倒するということが挙げられるが、これが日本の防衛では考慮されていない。

 米軍は、中国のミサイルや潜水艦などによる奇襲的な攻撃を避けるために、合理的に間合いを取る、すなわち米海空軍は第2列島線以遠に配置転換し、「長距離打撃」と「盲目化作戦」、「水中の作戦」などで反撃に転じることはもはや疑う余地はない。

 また、中国がA2/AD(接近阻止/領域拒否)戦略で米軍のアジアへの接近を拒否しながら第1列島線に仕かける「Short Sharp War(短期高烈度決戦)」は約1か月から2か月は続くと見積もられている。

(中国本土への直接攻撃は核戦争を誘発させるとして当面は控えることから、長期戦に拍車がかかる)

 この間、日本は生き残り戦い続け、中国の艦船を撃破する好機を作っていかなければならない。

 現大綱で航空・海上優勢の獲得が謳われているが、現実、サイバー戦、ハイブリッド戦、ドローンや無人機、古い飛行機や艦船などを多数使用する中国の近代化された人海戦術の前に航空・海上決戦が生起する時期は不明である。

 それまでどれだけ生き残り、国土防衛に貢献できるかが問題である。

◆米国、インド、オーストラリア、英国などが構築する「経済封鎖」(マラッカ海峡、スンダ海峡、ロンボック海峡〜オーストラリア近海の封鎖ライン)への参加、このため、STOVL(F-35B)搭載の多機能ヘリコプター搭載護衛艦(いずも型)を保有

○統合ミサイル防空能力を向上させた新たな我が国のミサイル防衛

・当面、イージスアショア、空自のミサイル、陸自の中・短距離ミサイルなどの物理的打撃(精密ミサイルなどによる打撃)を主体にミサイル防衛を構築

・ゲームチェンジャーへの切り替え

 これを5年から10年程度で電波妨害、電磁波装備(HPMW)、サイバー戦などを主とした電磁バリアーによるミサイル防衛に方向転換する。

 これにレーザ兵器、レールガンなどを組み合わせて強化するとともに、既存のミサイルは最後の手段としてこれを保持する。

○陸海空自共に粘り強く生き残り、国土防衛を全うする

 この際、空自は生き残り戦い続けるためにすべての民間空港に弾薬・燃料などを備蓄し、平時から日米で訓練を実施する。

 また、海自艦艇や航空機が生き残り戦い続けるために、機雷やミサイル攻撃に対抗できるよう港湾・空港防護を強化する。さらに、広く分散できる態勢を確立する。

〇西日本地域に、統合兵站・輸送基地を構築する

 この際、官民一体の統合輸送コマンドの創設が喫緊の課題であり、これを中核として統合輸送力の向上に努めるとともに、民間輸送力(予備自衛官等の積極的な採用を含む)との一体化を図ることは、防衛のみならず、防災の観点からも急がれる。

 また、装備、弾薬、後方資器材などの整備、備蓄に努めることが必要である。

○産業動員法の制定

○船舶乗組員(特にフェリー)、港湾業務、飛行場(管制を含む)、道路公団などへの自衛隊OBの積極採用、また、船舶乗組員、パイロット、輸送トラックドライバーなどの即応予備自衛官化

○国防動員法で動員された一部のゲリラ・テロなどに対しては有事と認定し警察や自衛隊総力を持って対処する。

○民間防衛組織を構築するとともに、地下避難施設を構築する(平時は商業施設などとして活用)

○自衛隊の法定定員の完全充足化、自衛隊の組織・規模の拡充と増員

(4)敵基地攻撃能力(懲罰的抑止)については、長距離無人機による電磁波攻撃、電波妨害について検討する。また、小型核兵器の保有について検討を開始する

(5)国際的防衛協力体制の推進、特にインド・アジア太平洋地域の安全保障体制の強化、共同訓練の推進

3 まだチャンスはある!
 従来の考え方にある陸自の戦略展開は極めて重要だがそれは準備行動だ。

 クロスドメイン(領域横断)の戦いが重要と言いながら、海空優先と言って海空だけで戦うのか?

 海空優先と叫ぶだけでは新しい戦闘様相の中で中国に勝てないだろう。むしろ中国から「生き残っているのかい」と言われるだろう。現実に目を閉じてはいけない。

 ここに示したドクトリンの3本柱は、中国や米国に渡り戦略対話をし、議論を重ねてきた結果である。

 議論をしてきたから1つの考えに集約しているとは限らないが、少なくともドクトリンを提示し、十分に議論する土俵は明示していると考える。

 新防衛大綱では、装備という作戦・戦略を実現する道具は揃いつつあるという事は認められるので、もう一度防衛省や国家安全保障局などでドクトリンについて議論することを期待する。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55316
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/769.html

[国際25] 世界中で台頭するポピュリスト権威主義者 個人独裁、似非民主制を隠れ蓑にして跋扈 
世界中で台頭するポピュリスト権威主義者
個人独裁、似非民主制を隠れ蓑にして跋扈――マーティン・ウルフ
2019.1.28(月) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年1月23日付)

米政府閉鎖、一時解除 トランプ氏が民主党に譲歩
米首都ワシントンのホワイトハウスで政府閉鎖について発表するドナルド・トランプ大統領(2019年1月25日撮影)。(c)SMIALOWSKI / AFP〔AFPBB News〕

 権威主義が勢いを増している。それも比較的貧しい国々のみならず、豊かな国々でも台頭している。

 とりわけ重要なのは、リベラルな民主主義を20世紀の間ずっと守り、推進してきた米国もそこに含まれていることだ。

 ドナルド・トランプ大統領は、権威主義者に育つ可能性を秘めたポピュリストの典型例だ。同氏は自由に権力を振るうことができる地位を目指している。

 その望みは、米国の制度機構によって阻止されるかもしれないが、それでもその脅威は明白であるように思える。

 この権威主義の復活は、どう解釈するべきなのか。足元ではどのような形を取っているのか。権威主義の台頭について、エリート層にはどんな責任があるのだろうか――。

 これらは、西側諸国が向き合わなければならない問いの中でもトップクラスの重要性を帯びている。

 我々がこれにどう答えるかによって、世界のあり方が変わる。

 もし西側諸国が、おびただしい量の血を流して守ってきたその大義を捨ててしまったら、他の国々がその大義に信を置くことなど望むべくもない。

 西側はこの世界を、中国の習近平国家主席やロシアのウラジーミル・プーチン大統領、そしてこの2人と同様な世界観を持つ人々の手に渡してしまうことになる。

 米ミシガン州立大学のエリカ・フランツ氏は、『Authoritarianism: What Everyone Needs to Know(権威主義:すべての人が知っておくべきこと)』と題した小著で、現代の権威主義者の振る舞い方を克明に解き明かしている。

 これによれば、ポイントは2つある。

 第1のポイントは、現代において権威主義的な政治体制が生まれる最も一般的なパターンは、民主主義を内側から食い破ることだ。

 ジガバチの幼虫が、宿主のクモを食べて大きくなるようなイメージだ。現代では、民主主義体制が倒れるケースの40%近くがこのパターンだという。

 第2のポイントは、そのようにして新たに生まれる権威主義体制の多くは、フランツ氏が「独裁の最も危険な形態」と呼ぶもの、つまり個人支配(または崇拝される個人による支配)の形を取るということだ。

 2000年から2010年の間に独裁体制に変わった民主主義体制のうち、75%がこれに当てはまるという。

 プーチン氏のロシア、ウゴ・チャベスが君臨したベネズエラ、レジェップ・タイイップ・エルドアン氏の率いるトルコなどがその好例だ。

 ここで重要なのは、「権威主義的」とは何を意味するのかという問いだ。

 その答えはズバリ、民主制の不在だ。そして、民主制とは、誰が権力を握るかを自由かつ公正な選挙を通じて決める仕組みのことだ。

 従って国家は、意見の自由な表明、自由なメディア、選挙法の公正な施行、成人全員の参政権、政治的な競争相手が必要な資源を手に入れる権利などを認めなければならない。

 今日では、選挙が政権に正統性を付与している。そのため権威主義体制の多くは「似非(えせ)民主制」を行っているが、それは真の民主制とは違う。

 そのような国々の選挙は一種の芝居でしかない。政治指導者が自らの敗北を容認しないことを誰もが知っているからだ。

 そのような体制は、民主制とは「少し異なる」では済まない。全く別種の生き物だ。

 歴史をひもとくと、権威主義体制の数は1980年にピークに達してから急減し、2000年代の半ばに底を打った。だが、それ以降は、民主制が少しずつ後退している。

 またフランツ教授が指摘しているように、権威主義体制はもはや発展途上国特有の現象ではなく、「現在、独裁制に転じる瀬戸際にあるように見える民主主義国の多くは、欧州に存在する」。

 権威主義体制の形態にも際だった変化が見られる。中国の一党独裁国家はまれだ。軍事独裁体制の数は急減した。

 だが、似非民主制の個人独裁は逆に増えている。

 こうした個人独裁にはいくつか特徴がある。

 独裁者が信頼している少数の側近がグループを形成していること、権力のあるポストには自分に忠実な人物を充てること、一族の登用、新しい政治運動の立ち上げ、自分の決断を正当化するための国民投票の利用、政治指導者に忠実な国家保安機関の新設、などがその主なところだ。

 こうしたストロングマン(強権的指導者)の特徴の一つは、ポピュリストとしてスタートを切ることだ。

 ポピュリストは、ひとたび特別な権限を手に入れると、この国の問題を解決できるのは自分だけだと主張する。従来型のエリートは腐敗しており能力もないと決めつける。

 そして、専門家や裁判官、メディアを信用してはならない、有権者が信用すべきは、国民の意思を体現している生身の政治指導者の直観だと言い張る。

 こうした議論は「国民の敵」の抑圧を正当化することにもなり、純粋な民主制の実施を不可能にしてしまう。

 フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、ポピュリズムから独裁制に至る道を歩んでいる。

 ハンガリーのオルバン・ビクトル首相も同様だ。オルバン氏の言う「非リベラルな民主主義」は、権威主義の遠回しな表現でしかない。

 もしブラジルのジャイル・ボルソナロ大統領がこの道をたどらなければ、筆者は驚くだろう。

 米国のトランプ氏は確かに右派のポピュリストであり、権威主義的な面もある。だが、同氏は米国の制度機構に包囲されている。

 とはいえ、制度というものは、それを運営する人々の質と同程度の質しか持ち得ないのが常であり、運営者の多くは権威主義を可能にしている。

 今日見受けられる権威主義と、イタリアやドイツで20世紀の初めや半ばに見られたファシスト政党のそれとの間には、重要な違いが存在する。

 今日の権威主義は、熱心に参加することよりも黙って従うことを要求してくる。また、即座に野蛮な振る舞いに出るのではなく、巧みにごまかそうとする。

 マーティン・ガリー氏が著書『The Revolt of the Public and the Crisis of Authority in the New Millennium(新世紀における大衆の反乱と権威の危機)』で示唆しているように、この変化は古いマスメディアの凋落と一部関係している。

 新しいメディアは、プロパガンダのメッセージを流布させる能力では旧いメディアよりもはるかに劣るが、疑いの気持ちを拡散させることには長けている。

 新しいメディアは専門家、エリート、そして「オールドメディア」の権威を破壊することによって、恨みの気持ちを利用したり真実という概念を蝕んだりすることが巧みな、政治におけるアントレプレナー(起業家の意)の台頭に道を開いているのだ。

 幸いなことに、これまでのところ、巧みな言葉で他人を自分に従わせようとするハーメルンの笛吹きのような人物が、所得水準が高く民主主義も根付いていた国を権威主義体制に変えてしまう事態には至っていない。

 米国の中間選挙で示されたように、民主制という仕組みは生き残っている。

 それでも、権威主義的な傾向を備えたポピュリストが権力を握りそうになっている国は少なくない。

 これについては、既存の政財界のエリートたちの不手際――大多数の人々の運命に無関心なことや、欲は人一倍あるが能力は乏しいことなど、欧米での予想外の金融危機で露呈された欠点――にかなり大きな責任がある。

 上に立つ人々の振る舞いについて冷笑的な態度を取るようになってしまった人々の間では、息をするのと同じくらい簡単に嘘をつける冷笑的な政治家がのしていく。

 そうした政治家を支持する人は、その新しい指導者が難問に対する答えを持っていると思っているかもしれないし、思っていないかもしれない。

 だが、旧来の指導者が答えを持っていないことは確信している。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領が厳しい状況に陥っていることは、この強い力学がなお健在であることを示している。

 しかし、新たな権威主義者たちは解決策をもたらしてくれない。

 プーチン政権下のロシアは経済的衰退が続いている。トランプ氏が掲げた「米国を再び偉大にする」との公約は詐欺だ。

 これらの指導者は独立した制度や機関を蝕むことによって最終的には国をより貧しくするだろうし、国民の自由も縮小させてしまうだろう。

 法の支配が行われている民主主義国に幸運にも住んでいる人は、民主主義がよりよく機能するように尽力しなければならない。

 今日においては難しい課題だが、民主制という政治システムを無傷で――理想的には、もっと良いものにして――後世に伝えていくためには、そうするしかない。

 ダボス会議に出るような人々には、これが自分の明確な責務だということを、ぜひ心してもらいたい。

By Martin Wolf

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[議論31] 定年後のあなたに本当に「コミュニティ」は必要か 人生100年時代、今こそ問い直されるコミュニティの本当の意味 
定年後のあなたに本当に「コミュニティ」は必要か
人生100年時代、今こそ問い直されるコミュニティの本当の意味
2019.1.28(月) 秋山 美紀
定年退職すると、会社という「コミュニティ」を失うことになる。その後はどうすればいいのか?(写真はイメージ)
(秋山 美紀:慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
 人生100年時代を迎えた今、退職後の約30年以上を、どこでどのように過ごすのか、どこに自分の拠りどころを見つけるのか、といった話題が、巷をにぎわしている。そうした中に、「人が生きていくためにはコミュニティが重要だ」とか「仕事以外に何らかのコミュニティに参加すべき」という主張が散見される。しかし、こうした主張に対して、押し付けられ感やプレッシャー、違和感を持っている人も少なくないようだ。
 筆者は「コミュニティ」と「健康」の関連を研究しているが、行政関係者も含めてコミュニティについては様々な混乱や誤解があるように感じている。そこで本稿では、改めて「コミュニティ」とは何なのか、今なぜその必要性が叫ばれているのか、我々はコミュニティをどう捉え、どう向き合ったらいいのかを考えたい。
コミュニティが見直されたきっかけ
 実は、コミュニティは、決して美しい存在ではない。共同体としてのコミュニティは、かつての農村社会のように、長きにわたり、個人を束縛し、異質なものを排除する、煩わしく窮屈なものだった。自治会や町内会は、第2次大戦中は「隣組」と呼ばれる相互監視の装置として働き、戦後1947年にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は自治会の廃止命令を出したほどだ。
 自由と個人化を望む人々から距離を置かれてきたコミュニティの価値が「良きもの」として再発見される契機となったのは、1995年の阪神淡路大震災だった。未曾有の震災直後、公的サービス不在のもとで、近隣住民が自発的に救助を行ったり、避難所や仮設住宅で自生的な自治が形成されたりと、協働し助け合う機能を持ったコミュニティの存在に多くの被災者が救われた。
 忘れてならないのは、これがインターネットの普及という情報環境の変化と呼応していることだ。よそ者が参戦できる情報基盤があってこそ、自発的なコミュニティが生まれ、それが力を発揮したとも言える。
 それから16年後の2011年3月、東日本大震災で日本全体が大きな喪失感を共有する中、「絆」や「つながり」の重要性が再認識された。被災者を支援しようというよそ者と被災した当事者がとつながり、1日も早い復興を願って活動するコミュニティが生まれた。この時は、LINEやFacebookなどのソーシャルメディアが地理的空間を超えたコミュニティづくりに一役買った。その中には自然発生的に生まれ、当面のミッションを終えて自然消滅していったコミュニティも数多くあった。
 このように、伝統的な地域コミュニティが風前の灯火として消えかけていた一方で、昨今はヴァーチャルな世界も含め、多様なコミュニティが生まれている。
そもそも「コミュニティ」とは何か?
 改めてコミュニティを定義すると、「人間がそれに対して何らかの帰属意識を持ち、かつそのメンバーに一定の支えあいの意識が働いているような人の集まり」となる。
 アメリカの社会学者マッキーヴァーは、コミュニティにとって不可欠なのは、メンバーが以下の3つの感覚を共有していることだと述べている(下の図)。

 つまり、メンバーがそういう感覚を持っているならその集団はコミュニティだし、そういう感覚がなければコミュニティではないということになる。これが、コミュニティは「想像の産物」とか「幻想」と言われる所以だ。
 筆者は、実態としてのコミュニティよりも、この“感覚や認識としてのコミュニティ”こそが、老年期に向かう人間が安心して幸せに生きていくために重要だと感じている。
 仲間がいて、何らかの役割や、支えあってるという感覚を持てる場がコミュニティだとすると、それはライフコースの場面によって変化していく。子供時代は学校や地域の中のコミュニティに帰属し、成長するにつれて大学や企業といった、それまでの地域コミュニティと切り離されたいくつかの組織内に居場所を見つける。企業は目的を持った「組織」であり、必ずしもコミュニティではない。しかし、日本における「カイシャ」は、従業員にとって「理念」「ミッション」「仲間意識」「協働意識」を共有していると認識できるコミュニティとして存在していたとも言える。
なぜ今、コミュニティが叫ばれるのか?
 コミュニティの賛否は、近代以降、社会学、行政学、経営学、福祉や公衆衛生など様々な分野で活発に論じられてきた。ではなぜ今、改めてコミュニティが必要だと声高に叫ばれているのか。
 昨今の日本におけるコミュニティ必要論の隆盛には、大きく以下の3つの視座があると考えている。
【1】 生きがいを得られる居場所としてのコミュニティ
 第1の視座は、個々人の人生における生きがいを得られる居場所としてのコミュニティである。既に始まっている団塊の世代の大量リタイアによって、そのニーズがより顕在化してきた。
 戦後生まれの団塊の世代は、安定した終身雇用制度のもと学校卒業後40年もの長きにわたり1つの企業組織に帰属してきた者が多い。仕事で頑張った成果は、ポストや報酬という形で他者から評価され、それによって社会的承認欲求が満たされていた。そんな企業人たちは、「定年退職」という一大ライフイベントによって、それまでの拠り所、地位、アイデンティティを一度に奪われることになる。
 平均寿命がようやく70歳を超え始めた高度成長期の頃は、定年後の人生もせいぜい5〜10年しかなく、趣味や旅行などで余生を楽しく過ごせばよかった。しかし今は、健康寿命の延伸により、少なくともあと20年は元気な状態で生きられるようになった。あまりお金がかかる楽しみばかりできないが、かといってゴロゴロしていては家族から疎ましがられる。まだまだ自分は人の役に立てるはず、人に認められたい、生きがいを持ちたい、そんな思いを持つ熟年者の参加の場として「コミュニティ」が注目されている。定年退職後の男性の社会参加を円滑にできるような準備講座も昨今は花盛りだ。
【2】個人も社会も健やかになる「資本」としてのコミュニティ
 コミュニティが重要視される2つ目の視座は、人のつながりや信頼の共有が、個人も社会も健やかにしていくといった実証研究に基づくものである。
 たとえば友人が多くいる人、趣味のサークルや地域活動に参加している人は、そうでない人に比べて、身体機能や認知機能の衰え方がゆるやかで高い健康度が維持されることが、集団を長期にわたって追跡する数多くの研究によって示されている。また、様々な住民活動が盛んな地域は、そうでない地域と比べて、地域全体としての治安レベル、教育レベル、健康レベルが高くなることも、数々の研究が示している。
 こうした良い効果を生み出すような人のつながり、規範や信頼の共有は、「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」と呼ばれ、社会疫学分野で盛んに研究されてきた。良いコミュニティは、そこに所属する一人ひとりを健やかにするのみならず、地域まるごとを健やかにしていく「資本」になるという示唆である。そうした数々の実証研究の後押しで、日本では2012年度から地域保健活動の中心的な政策目標の1つが、「地域のソーシャルキャピタルを活用した自助や共助の支援」となっている。
【3】不足する地域ケア資源の補完としてのコミュニティ
 3点目は、不足する地域資源を補う互助の仕組みとして、住民のつながりを再形成しようとする視座だ。
 日本では2025年には、670万人を超える団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となり、多死社会が加速する。一人暮らし高齢者は増え続け、また高齢者の5人に1人が認知症になるという試算もあり、明らかに介護や福祉サービスへのニーズが高まる。たとえば介護の現場で働く者は、現在の約180万人から、2025年には約253万人が必要になると試算されているが、少子化による労働人口の減少で、支える人材は既に不足が始まっている。「住み慣れた場所で最期まで暮らし続ける」という政府の方針は、本人の希望を叶えるのみでなく、国民医療費や介護費を抑える効果も期待されて推進されている。
 しかし、地域に暮らす高齢者たちを見守る機能を強化せずに実現することは難しい。そこで国の旗振りのもと、各市町村は全力を挙げて「地域包括ケア」を推進しようとしている。地域包括ケアの英訳は“Community-based Integrated Care”、つまり中学校区のような地理的空間を「コミュニティ」として捉え、様々なニーズを持った人々への地域サービスを統合するような仕組みを構築していこうというものである。そこでは、幅広い地域住民が生活面を支え合うという視点で何らかの役割や自覚を持つことが理念とされている。まだまだ知力、気力、体力、そして時間もある前期高齢者には、「支える側」として力を発揮してもらいたいという地域からの期待は大きい。
会話がなくてもコミュニティは成立する
 以上のような複数の文脈から、コミュニティの重要性が声高らかに言われているわけだが、では高齢者あるいはその入り口にいる本人は、コミュニティをどう捉え、どう向き合ったらいいのか?
 筆者自身は、特段意識せずとも、自分が心地よいと思えること、好きなこと、心が満たされることを入り口に一歩を踏み出せれば、それが一番良いと考えている。趣味、同窓会、生涯学習、地域貢献、アルバイトなど、人の輪に参加するのもいいし、一人で好きなことをするのも良い。
 むしろ自分自身と向き合う一人の時間を心地よいものにすることは、先々の人生を生きるために重要になってくる。一人であることは「孤独」と違う。一人の時間を過ごしていても、どこかに「仲間がいる感覚」「自分に何らかの役割がある感覚」「誰かに支えられている感覚」を持てるならば、その人には認識としての「コミュニティ」が存在することになる。
 実は、「自分が社会の一部として存在しているという認識」や「つながっていると感じる気持ち」は、老年期の幸福感とも関連があり、やがて誰しもに訪れる「死」が近づいてきた時にも、それを平穏で満たされた気持ちで受け入れていけることにつながる。この種の感覚は「老年的超越」と呼ばれ、近年、研究によって少しずつ明らかになっているのだが、これについてはまたの機会にお伝えすることとしたい。
 まとめると、帰属やつながりを感じられ、かといって窮屈ではない「認識としてのコミュニティ」が、人が安心感や満足感を持って生きていくために重要ということになるだろう。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55256

http://www.asyura2.com/13/dispute31/msg/647.html

[政治・選挙・NHK256] 元厚労相も愕然、「毎月勤労統計」不適切調査の大罪 処理誤れば「消えた年金問題」の再来に 
元厚労相も愕然、「毎月勤労統計」不適切調査の大罪 処理誤れば「消えた年金問題」の再来に
2019.1.26(土) 舛添 要一

(舛添要一・国際政治学者)

 2019年の年明け早々、厚労省の「毎月勤労統計(毎勤)」の不適切な調査が明るみになった。私は、2007〜2009年に厚生労働大臣として、年金記録問題の解決に心血を注いだが、その「悪夢」の日々を思い出す。

 調査を進めれば進めるほど、社会保険庁がいかに無責任なデータ処理をしていたかが分かり、怒り心頭に発したものである。社会保険庁は解体し、日本年金機構という新組織にして、年金定期便を国民に送るなどの改革を断行した。その結果、5000万件あった「消えた年金」も少しずつ解消していったのである。

元大臣として忸怩たる思い
 今回の「毎勤」の法令違反調査は、従業員500人以上の事業所には全数調査が義務づけられているのに、東京都については約3分の1の抽出調査で済ませたものである。東京には大規模事業所が多くあり、賃金水準も高いため、約1500件のうち500件しか調査しなければ、賃金の平均値が下がってしまう。

「毎勤」は、56ある国の基幹統計の一つであり、これを基にして国の政策のベースとなる基準数字を確定していくのである。今回の不適切調査によって、雇用保険や労災保険の給付が少なくなったケースが2000万件あるという。その補正をすると、約600億円の追加給付、またそのための経費が約200億円かかるという。役人による不適切な処理が招いた大損失と言える。

 このような不適切な処理が2004年から続いていた。2004年作業要領に「500人以上の事業所が東京都に集中し、全数調査しなくても精度が確保できる」とある。特別監察委員会の報告書によると、その後、課長級を含む職員が、不適切だと知りながら「是正の方策を検討することもなく、漫然と以前からのやり方を踏襲」し、「統計法違反を含む不適切な取扱いが長年にわたり継続」していたと指摘している。職員のその場しのぎの手抜きが山積すると大問題となり、結局は後で行う問題処理が大変になるのである。

 2015年以降、厚労省内部で不適切な手法で調査されている実態を把握している者が表れてきてからの対応は隠蔽そのもので、年金記録問題の教訓が全く活かされていないのではないかと思わざるをえない。さらに、データ補正のために必要な基礎資料の2004〜11年分が紛失していたり、廃棄されていたりしている。総務省統計委員会の西村清彦・委員長(政策研究大学院大学特別教授)は、「これでは統計として成立しない」と批判しているが、政府の基幹統計が整わないことになってしまう。

 2004年からということになると、私の大臣時代も含まれており、内心忸怩たる思いである。この件については、役人からの報告は一切なく、このような問題があることなど想定すらしなかった。今回の報道に接し、大臣当時の私の部下にも確認してみたが、秘書官にもこの件は上がっていなかった。それも当然で、毎月調査する統計などの報告は、せいぜい担当課長止まりであり、大臣に報告する案件ではないのだ。

 この問題を受けて、厚労省は特別監察委員会を設置し、22日には先ほど触れた調査結果を公表した。しかし、この調査は、早期の幕引きを図るため急いで行われたようで、不十分なものだった。亥年は選挙の年であり、自民党には不利だというジンクスがある。12年前は「宙に浮いた年金」問題が2月以降に出てきて、5月頃には世論が沸騰し、夏に行われた参院選で自民党は大敗した。その二の舞は避けたい安倍政権は、原因の究明よりも、早めの幕引きを狙ったのだろう。厚労相の役人に対する聞き取り調査の一部は、外部の人間ではなく、内部の職員があたっていたことが判明。これが野党から猛反発を受ける。結局、根本匠厚労相は、特別監察委員会による再調査を発表せざるを得なくなった。与野党の駆け引きがにわかに激しくなってきた。

統計法改正の趣旨は徹底されていたのか
 さて、前回の年金記録は原因が複雑だったが、今回は、全調査すべきところを抽出調査で済ませたという「単純な手抜き」なのである。人員不足がそうさせたのか、その点については、国のみならず都道府県の統計職員数の詳細なデータが必要である。しかし、特別監察委員会の調査報告書にはこのデータがない。

 実際に調査をするのは、都道府県の職員であり、とくに東京都、神奈川県、愛知県、大阪府など、大企業の集中する都道府県の負担が重くなる。また、調査を受ける事業所のほうも事務負担が増えるので、苦情の一つも言いたくなる。しかも、調査に応じない場合の罰則規定もあるのである。

 特別監察委員会の報告でも、そのような事業者からの苦情や都道府県職員からの要望を受けて、2003年に厚労省側が抽出調査を容認し、2004年から実行に移したという。もちろん、それは法令違反を認めたことになるので、厚労省側の責任は極めて重い。

 どういう経緯で事業所や都道府県の言い分を容れたのか、その経緯の解明はなされていない。抽出調査に転換した決定を行ったのは係長だというが、その決定を組織として認めたのか否かも明らかではない。

 今回の事件の背景に何があったのかを考察してみると、いくつかの問題点が浮かび上がってきた。第一は、この中央政府と地方政府との連携である。これが上手く行っていた(あるいは行き過ぎたのか)のか、それとも何らかの問題があったのかについても検討してみる必要がある。東京都は国の命令通りにやったと小池都知事は説明しているが、その一言で済まされる問題ではあるまい。

 第二の問題は、統計法の改正の趣旨が周知徹底されていたかどうかである。1947年に制定された統計法は何度かの改正を経て、2007年に大幅な改正を行い、一部は同年10月から、主要部分は2009年4月から施行された。この改正で、統計についての技術的側面のみならず、第1条「目的」に、「公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報」という位置づけがなされたのである。つまり、「公的統計が国民生活にとって有用なものである」ということが強調されている。

 この2007〜2009年というのは、私が厚労相だった時代であるが、統計法改正の意義が広く霞が関の官僚たちに認識されたとは言いがたい。「毎勤」の不適切調査が始まったのは、改正前の2003〜2004年であり、公的統計の重要性への認識がそもそも欠如していたのではあるまいか。

 第三の問題点は、厚労省官僚、とくにキャリア(総合職)の問題点である。彼らは、大所高所、そしてその名の通り「総合」的に判断して、ノンキャリア(一般職)を指導する立場にある。ノンキャリは専門的分野をコツコツとこなしていく職人であり、自分の専門分野に閉じこもるため、どうしても視野が狭くなる。そのマイナスを是正するために、キャリアが各部署のトップとして君臨するのである。

 キャリアには、自分が所管する部署の職務内容について一定の専門知識が必要である。それがないと、部下を統率できないからである。そして部下のノンキャリとの関係を深め、彼らに職務を適切に遂行させなければならない。

 統計に関わる仕事は地味であり、脚光を浴びる部署ではないので、キャリアが「一日も早く光の当たる場所に移りたい」と思うのも分からないではないが、その結果、十分な専門知識を身につけず、部下との連携も円滑でない状態が生じたのではあるまいか。厚労省のみならず、霞が関のキャリア官僚の能力低下を嘆きたくなる。

統計委員会を「統計検査院」に
 第四の問題点は国民の側にある。それは公文書や統計に対する認識である。政治家や役人のみならず国民全体に、統計の重要性に関する認識が欠けているようである。不適切な調査方法について、菅官房長官は「統計法の規定に則していなかった」と述べたが、違法性以前に、正確な統計が近代国家の基礎であることを国民が認識していないことが問題なのである。統計の重要性にふさわしい予算や人員が必要なのではないか。

 それは、公文書についても全く同様で、森友・加計問題の事例で痛感したものである。政府の統計を監督する統計委員会は、総務省に置かれているが、これを会計検査院と同様に、政府から独立した統計検査院に格上げしたほうがよい。

 第五の問題点は特別会計である。不適切調査の結果、雇用保険などの追加支給が必要で、来年度予算案の変更を閣議決した。総経費は追加支給分600億円に処理経費200億円の合計800億円である。しかし、一般会計からの支出は6億5千万円のみで、これは国債発行で賄う。残りのほとんどは労働保険特別会計内で処理する。その分雇用保険などの積立金が無駄になることになる。特別会計が役人の隠し金庫に、そして甘えの温床になっている状態を是正すべきである。

 厚労省の不適切調査の背後には、以上のような日本の行政についての多くの問題があることを忘れてはならない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55317
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/772.html

[経世済民130] 未経験者を即戦力にする米IT業界の「秘策」 
トップニュース2019年1月26日 / 08:12 / 2時間前更新
アングル:
未経験者を即戦力にする米IT業界の「秘策」
Beth Pinsker
3 分で読む

[ニューヨーク 15日 ロイター] - シアトルで育った少年時代、エンリケ・リコさんの母親は、マイクロソフトの社員が住む豪華な邸宅を掃除する仕事をしていた。病気で学校を休んだ日には仕事場へついて行き、IT企業で働く人の生活を手に入れたいと夢見るようになった。

26歳になったリコさんは、大卒資格もなければ「STEM(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マスマティクスの頭文字)」教育も受けていないが、インターネットを介した法律相談サービスを提供する会社「アボ」に開発者として勤務している。

専門知識がない人向けに、テクノロジー業界に必要な教育や訓練を提供する「アプレンティ」というプログラムを卒業したのだ。

「自分にできるなんてほとんど考えたこともなかった。でも一度はまってしまうと、全力で取り組むようになった」と、リコさんは話す。

<追いつかない採用>

アプレンティは、ワシントン州のテクノロジー業協会が米労働省と提携して実施している。全米50社で提供されており、対象にはマイクロソフト(MSFT.O)やネット通販最大手アマゾン(AMZN.O)、JPモルガン・チェース(JPM.N)などの大企業が含まれる。

プログラムが開始された2017年には、76人の採用候補が訓練を受けた。デザイナーが作った図案をウェブ上に再現する、フロントエンド業務に関する400─780時間分の授業を12週間に圧縮した内容だ。2018年は、1年間の職場トレーニングを終えた330人の卒業生がフルタイムの職を手にした。2019年は700人以上が卒業する見込みだ。

アマゾンのシニア・プログラムマネジャー、タミー・シーマン氏は、こうした候補生の受け入れを現在の150人から数年で1000人に拡大させたいと話す。

アプレンティのジェニファー・カールソン事務局長によると、米テクノロジー業界の昨年の求人数は280万件。その半数が必ずしも大卒資格を必要としない中級レベルの仕事だった。それでも適切な訓練を受けた人材が見つからず、採用ペースは遅れているという。

「この業界ではもともと、最初から技術的スキルを持っていることが求められていた。伝統的な人材育成のやり方にパラダイムシフトが起きている」と、カールソン氏は話す。

<アマゾンと提携>

アプレンティは退役軍人や女性、マイノリティの受け入れに力を入れており、2019年は約2000人の応募者から700人の候補生を選んだ。

ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が2016年、退役軍人とその配偶者2万5000人を2021年までに雇用すると約束したことを受け、アマゾンはアプレンティと提携。プログラムはすぐに拡大し、特定の技能を要するさまざまな求人に適した人材を見つけるために利用されるようになっている。

「今では大学に入学した新入生が、卒業するころにはすっかり(技術的に)遅れてしまうなんてことも起こりうる」と、アマゾンのシーマン氏。「この仕組みを使えば、凝縮した形で教育を受け、スキルは職場で実践的に学ぶことができる」と語る。

退役軍人の多くは貴重なスキルを持っているが、一般的な経歴や職場経験を欠いていることが多々ある。退役軍人が現在直面する最大の問題は、除隊後に能力を十分に発揮できない職にしかつけないことだと、退役軍人向け求人サイト、リクルートミリタリーのクリス・ニューサム氏は言う。

「職は見つけられても、キャリアにつながらない場合が多い」と、同氏は指摘する。

エンリケ・リコさん。シアトルで2018年3月撮影。本人提供(2019年 ロイター)
プログラミング言語や基本ソフトなどは早いサイクルで移り変わるため、新卒の多くは仕事を始める前にアプレンティのようなトレーニングプログラムを受ける必要がある。

クラウド管理のような特定の技能を要する職種の場合、四年制大学だけでなく、コミュニティ・カレッジの特殊クラスでのトレーニングですら不十分な場合が多いと、アプレンティのカールソン氏は言う。

また、コーディング技術を集中的に教えるような講座に通っても、必ずしも職につけるわけではない。前出のリコさんも最初、時給16.50ドル(約1800円)のアップルストアの店員を辞めて学校に通った。しかし、大卒ではない彼が、応募者を自動的にふるいにかける大手テック企業の採用選考を通る見込みはほとんどなかった。

<トレーニング期間も有給>

リコさんが働くアボのような規模の小さな会社にとって、アプレンティは社会的使命のような側面もある。

「当社幹部は、(アプレンティ)プログラムの価値は才能あるエンジニアを獲得できるだけでなく、社会貢献にもつながることだと理解している」と、アボで技術の責任者を務めるハンター・デービス氏は言う。

同社には25─30人の開発者がいるが、その約15%がアプレンティ出身だ。「彼らは根性も学習意欲もあり、素晴らしい」と、デービス氏は言う。

アプレンティの受講者は、入学と同時に「一歩先」へ進むことができる。リコさんを含め、受講者の多くはもともと最低賃金で働き、年収の中央値は2万8000ドル、福利厚生はなしという場合が多かった。それがアプレンティに入ると、トレーニング期間中は年4万5000ドルの初任給がもらえる。

プログラム開始から6カ月後に職場トレーニングが始まると、給与は5万1000ドルに上がる。卒業後にフルタイムの仕事を得られれば(実際にほぼフルタイムの仕事を得ているが)、ほとんどの卒業生は最低でも年7万5000ドルを稼ぐ。大半の受講者にとって、人生を一変させる金額だ。

「今はアパートに住んでイヌとネコを飼っている」とリコさん。「結婚して子供が欲しいし、持ち家もほしい。人に使われるのではなく、自分で起業したい」と、夢を膨らませている。

(翻訳:山口香子、編集:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/world-work-apprenti-idJPKCN1PG0BI?il=0
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/752.html

[経世済民130] 19年度実質成長率は1.3%へ加速=政府経済見通し閣議決定 統計「信用できず」 世界経済の健全性診断へFOMCや雇用統計
東京外為市場ニュース2019年1月28日 / 09:48 / 8分前更新
19年度実質成長率は1.3%へ加速=政府経済見通し閣議決定
Reuters Staff
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[東京 28日 ロイター] - 政府は28日の臨時閣議で昨年12月に閣議了解した2019年度政府経済見通しを閣議決定した。世界経済は減速懸念が広がりつつあるが、19年度の実質経済成長率は1.3%と18年度の0.9%から加速することを想定している。消費税率引き上げが予定される中、軽減税率や教育無償化、ポイント還元、自動車・住宅減税、国土強靭化といった一連の施策を講じることで内需を中心に景気回復を見込む。

18年度実績見込み、19年度見通し(%程度) 実質GDP   0.9 1.3 民間消費    0.7 1.2 民間企業設備 3.6 2.7 内需寄与度 (0.9) (1.4) 民需寄与度 (0.9) (1.1) 公需寄与度 (0.0) (0.2) 外需寄与度 (0.0) (-0.0) 名目GDP 0.9 2.4 GDPデフレータ 0.0 1.1 消費者物価(総合) 1.0 1.1 (竹本能文
https://jp.reuters.com/article/19%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E5%AE%9F%E8%B3%AA%E6%88%90%E9%95%B7%E7%8E%87%E3%81%AF1.3%EF%BC%85%E3%81%B8%E5%8A%A0%E9%80%9F%EF%BC%9D%E6%94%BF%E5%BA%9C%E7%B5%8C%E6%B8%88%E8%A6%8B%E9%80%9A%E3%81%97%E9%96%A3%E8%AD%B0%E6%B1%BA%E5%AE%9A-idJPL3N1ZP3BS?il=0

 
統計「信用できず」79% 本社世論調査 内閣支持53%、6ポイント上昇
2019/1/28付日本経済新聞 朝刊
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日本経済新聞社とテレビ東京による25〜27日の世論調査で、安倍内閣の支持率は53%と昨年12月の前回調査から6ポイント上昇した。不支持率は7ポイント低下し37%だった。厚生労働省による毎月勤労統計の不適切調査問題を受け、政府統計の信頼性を聞いたところ「信用できない」が79%で「信用できる」は14%だった。(関連記事総合・政治面に)

政府統計を「信用できない」と答えたのは男女別、各世代でみても8割…
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40537280X20C19A1MM8000/


 
世界経済の健全性診断へ−FOMCや雇用統計、重要イベント目白押し
Brendan Murray
2019年1月28日 2:53 JST
米中が貿易交渉を再開、FOMCは今年初の会合
ユーロ圏GDP速報値、中国製造業PMI、日本の鉱工業生産
世界経済を率いる米・欧・アジアに疲れが見え、先行き不透明感が増す中、こうした経済の拡大ペースが持ちこたえられるかどうか、今週は多数のヒントが与えられる。

米国
Chinese Premier Li Keqiang And Vice Premiers Holds News Conference Following the Closing of the National People's Congress
劉鶴副首相撮影: Qilai Shen/Bloomberg
  水曜日、1月30日は重要イベントが3つ重なる。まずは米財務省が発表する四半期定例入札の詳細発表。拡大する財政赤字を背景に、米国債の入札計画は重要性を増している。同日には中国の劉鶴副首相がライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と2日間の日程で貿易交渉に臨む。今回の交渉で両国の貿易問題が決着することはないにせよ、妥結期限を3月1日に控えて投資家は強気なサイン、あるいは弱気なサインを見逃さないよう目を光らせることになる。

Fed Chair Jerome Powell Speaks At Economic Club Of Washington Event
パウエルFRB議長撮影: Al Drago/Bloomberg
  同日の午後には今年最初の米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定が発表される。金利を動かす確率はほぼゼロに等しいとみられているものの、追加利上げまでどこまで「辛抱」できるのか、あるいは4兆ドル(約438兆円)規模のバランスシート縮小計画を修正するのか、今年から政策発表後は毎回定例となるパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見に注目が集まる。

  2月1日に明らかになる1月の米雇用統計は、米経済の健全性を見極める上で最も明白な指標の一つとなるだろう。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値では、非農業部門雇用者数は前月比16万人増。失業率は3.9%で変わらずと予想されている。

ユーロ圏
ECB President Mario Draghi Announces Rates Decision
ドラギECB総裁撮影: Jasper Juinen/Bloomberg
  欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は先週、成長へのリスクは「下方向に転じた」と発言。最近続いた予想より弱い経済統計が反映された。今週はフランスやイタリア、スペインから昨年第4四半期の国内総生産(GDP)統計が発表されるほか、ユーロ圏GDPの速報値も明らかになる。中でもイタリアはリセッション(景気後退)に陥った可能性があるとして、注目される。

アジア
  最大のイベントは31日に発表される1月の中国製造業購買担当者指数(PMI)だ。エコノミストらは同指数が活動拡大と縮小の境目である50をさらに割り込むと予想している。このほか、31日には日本の12月鉱工業生産、日銀金融政策決定会合(1月22、23日開催分)における「主な意見」の発表がある。

原題:The World Economy Faces Some Pivotal Health Checkups This Week(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-27/PLZZNR6KLVRE01
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/754.html

[経世済民130] 中国、景気刺激策を強化へ 政策余地は限定的 中国の工業利益、12月は2カ月連続の前年割れ−通年では10.3%増 

トップニュース2019年1月28日 / 10:29 / 2時間前更新
焦点:
中国、景気刺激策を強化へ 政策余地は限定的
Reuters Staff
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[北京 25日 ロイター] - 中国政府は米国との貿易摩擦が続く中でさらなる景気刺激策を導入する方針。ただ中国はすでに多額の債務を抱えているほか、不動産市場では融資拡大により相場が高騰するリスクがあり、積極的な政策の余地はあまりない。複数の政策当局関係者が話した。

中国の景気減速が加速する中、市場でも大規模な財政出動に動くとの見方が高まっている。米国と繰り広げる関税の応酬が激化すれば、中国の雇用や社会保障に影響するとの見方だ。

中国政府のトップはたびたび、大きな代償を伴う大規模な財政出動を否定してきた。過去に政府が同様の動きに出た際、成長率が急速に加速したと同時に国の債務は膨れ上がった。

関係筋の一人は「大規模な刺激策の余地は余りない。そして非常に大きなリスクを伴うことになる。流動性とレバレッジの拡大に頼ることとなるからだ」と匿名で話した。

2008─09年の世界金融危機時、中国では数カ月で2000万人の雇用が喪失した。政府は4兆元(5910億ドル)の財政出動を実施。成長が急速に持ち直したと同時に、信用が膨張した。

中国政府は経済安定に向けて12年と15年に政策を緩和した。株価が暴落したほか、人民元が値下がりし資本が大量に流出したことを受けた。結果として債務水準が一段と上がり、住宅価格が高騰した。

現在見られる景気減速は、政府が16年初めに着手したレバレッジ解消の動きが背景にある。最初は国営や地方政府が対象だったが、17年から金融部門にも拡大した。また、「シャドーバンキング(影の銀行)」への規制強化によって借り入れコストが上がり、小企業の資金調達が難しくなった。

政府トップは今も、中国の長期的な成長をむしばむ可能性があるシステミックリスクを不安視しているものの、貿易摩擦を受け中国経済への逆風は強まっており、債務リスクの対応から成長支援へ政策を移行している。

中銀は、雇用拡大に極めて重要な中小企業や民間企業への信用供与に苦戦しており、政府は今年、これまでよりも景気刺激策に頼る可能性がある。

景気刺激策の詳細は3月に開かれる全人代会議で公表される見込みだ。

企業の付加価値税(VAT)引き下げを含む新たな減税政策は、苦境に陥っている中小企業や民間企業にとって効果的な刺激策となるかもしれない。歳出の引き締めにもつながる。財務省は「政府の一般歳出」を5%削減すると公約している。
https://jp.reuters.com/article/china-economy-analysis-idJPKCN1PM029


 

中国の工業利益、12月は2カ月連続の前年割れ−通年では10.3%増
Bloomberg News
2019年1月28日 11:18 JST
昨年12月の工業利益は前年同月比1.9%減
2018年通年の伸びは前年に比べてほぼ半減
中国の工業利益が昨年12月も減少した。生産者物価上昇率と経済成長率も鈍化している。

  国家統計局が28日発表した12月の工業利益は前年同月比1.9%減。2018年通年では前年比10.3%増の6兆6000億元(約107兆円)となった。伸び率は17年に比べてほぼ半減した。

原題:China’s Industrial Profits Continued to Shrink in December(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-28/PM0R1O6K50XW01?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/756.html

[国際25] 「白人至上主義」を排斥したた米議会の良識  不法移民たちが増え始めるにつれて、アメリカ国民はまるでホロコースト
Washington Files

「白人至上主義」を排斥したた米議会の良識

2019/01/28

斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)


(iStock.com/flySnow/Purestock)
 国境の「壁」建設計画はじめ様々な問題めぐり与野党の激しい対立が続く米議会で最近、“異変”が起こった。黒人やヒスパニックなどに対する人種差別的発言を繰り返してきた共和党ベテラン議員に対し、同党議員の全員が民主党に同調、重要ないくつかの委員会からの締め出しを決定した。トランプ大統領が寛容な態度を示す「白人至上主義」に対し、少なくとも連邦議会は超党派で決別宣言したことを意味している。

 騒ぎの発端は、共和党重鎮の一人、スティーブ・キング下院議員(アイオワ州、69)が今月初め、ニューヨーク・タイムズ紙と行ったインタビューだった。この中で同議員は、不法移民問題などに関連して「白人国家主義者(white nationalist)、白人至上主義者(white supremacist)、西洋文明などといった言葉を使ったからと言ってなぜ非難されなければならないのか」などと、自らのこれまでの人種的偏見を当然視するかのような発言をした。


1月26日、地元アイオワのタウンミーティングに出席したキング議員(AP/AFLO)
 さらに同議員は、先の下院選で民主党が圧勝したことについての感想を求められ「ずらりとマイノリティの新人議員が登場したが、その民主党を見る限り、この国はもはや白人男性の国とは言えなくなっている」などとコメントした。

 キング議員については、これまでにも以下のような放言がマスコミでも話題になってきた。

 「非白人たちは白人ほど、アメリカ文明に貢献してこなかった」

 「不法移民たちが増え始めるにつれて、アメリカ国民はまるでホロコーストをスローモーションで再現させるような状況に置かれている」

 「国民が産児制限のために避妊するのは、わが国の文化と文明にとって建設的とは言えない」

 「メキシコとの国境に高さ12フィートの壁を作り、そのてっぺんには、牧場で家畜逃亡防止柵に施しているのと同様に、電気ショック・ワイヤーを張り巡らすべきだ」

 このような問題発言を繰り返してきたキング議員だが、議会共和党指導部は最近まで、南部および中西部のキリスト教右派を中心とする同党の伝統的支持基盤への配慮から、同議員の破天荒な言動に対し、とくに自制を呼びかけることもせず、言わば放任状態だった。

 ところが、今年1月から野党民主党が下院で過半数を押さえるに至り、議会全体の雰囲気も一変、共和党としてもさすがにこれ以上、同議員をかばい続けるわけにもいかなくなったという事情がある。

 下院共和党のリーダーであるケビン・マカーシー院内総務は直ちに緊急声明を発表「キング議員の行動を見守って来たが、わが共和党ではこの種の言語を許容するわけにはいかない。相応の措置を取る」と厳しく非難した。そして間髪を入れず、同党下院運営委員会の「満場一致の決定」により、司法委員会、農業委員会、中小企業委員会の3委員会メンバーから同議員を除斥処分にしたことが発表された。

 さらに下院だけでなく上院でも、ミッチ・マコーネル共和党院内総務が「同議員があのような見解を表明したことは、アメリカの理想と自由の精神に背を向けるものであり、わが党として、いかなる人種的至上主義(racial supremacy)にも目をつむるわけにはいかない」と断じ、さらに同じ共和党で一時は2016大統領選に名乗りを挙げたこともある実力者のミット・ロムニー上院議員も「発言は彼個人のものとはいえ、許すわけにはいかない。本人は議員を辞職すべきだ」と厳しく糾弾した。

 これに対し、同議員は騒ぎの発端となったニューヨーク・タイムズの記事に関しても「私の真意が正確に伝えられていない」と反論するなど、これまでのところ引き下がる姿勢はまったく見せていない。

 ただ、保守体質を強めつつある共和党議会首脳部が、連続9期当選のボス的存在である同議員を3つの委員会から同時除斥したこと自体、最近では異例の事態と受け止められており、同党としても次の大統領選挙と議会選挙を1年後に控え、世論動向を無視できなくなったことを意味している。
 
 このような「白人至上主義」に対し、米国民がとくに敏感に反応するようになったのは、一昨年夏、バージニア州シャーロッツビルで起こった事件がきっかけだった。ネオ・ナチを唱導する白人極右グループが銃砲やトーチをかざしながら集会で気勢を上げ始めたのに対し、不穏な動きを警戒して集まって来た一般市民や学生たちとの間で激しい衝突となり、さらに白人過激派の男が抗議集会の中に車で突入、女性1人が死亡、十数人が重軽傷を負うという騒ぎに発展したからだった。

 さらに昨年10月には、ペンシルバニア州ピッツバーグでユダヤ人教会を白人至上主義の男が襲撃、礼拝中の会衆のうち11人をつぎつぎに凶弾で死亡させる惨事が起こりるに至って、その危険な思想が全米マスコミでたびたび報じられてきた。

 このほか、新聞やテレビでこそ大きな話題にはならないものの、黒人、ヒスパニック、イスラム教徒、そしてユダヤ人を対象としたツイッターなどによる非難・中傷、脅迫電話といった人種差別的事例が最近、各地で増えており、社会問題化しつつある。

 それだけに、今回の「白人至上主義」を容認するかのようなキング発言に対しては、共和党としてけじめをつける意味でも断固たる姿勢を取らざるを得なかったというのが真相だろう。

 ところが、こうした連邦議会の動きと好対照をなすのが、トランプ大統領の態度だ。

沈黙を守り続けている大統領
 ホワイトハウスでコメントを求められた大統領は「一体、何の騒ぎなのか、いちいちフォローしていない」とだけ答えただけで、その後もこの件については沈黙を守り続けている。

 実はそれには、深いわけがあった。

 大統領はかねてから、キング議員とは昵懇の間柄で、昨年11月中間選挙でキング氏が9選をめざし立候補した際にも、同候補の支援に回った。

 キング氏の選挙地盤である第5選挙区は、これまで伝統的に共和党が独占、民主党は毎回の選挙で敗退してきたが、前回選挙では彗星のように現れた民主党若手候補を相手に大接戦となった。この間、大統領個人による2度にわたる現地でのテコ入れが功を奏し、最後は数パーセントの差でかろうじて当選を果たす結果となった。

 さらに投票後、大統領が早速ツイッターで「私は中間選挙では他のどの共和党候補に対してよりもキング議員を応援してきた」と書き込み、その支援なしには敗退していた可能性を示唆したところ、同議員は「トランプ氏はそれ以上に私に借りがある」と強気で応じたことも大きな話題となった。

 この点に関しては、アイオワ州の現地紙報道によると、キング議員はかなり以前から、トランプ氏に対し、2016年大統領選への出馬を強力に後押ししてきただけでなく、立候補表明後も同候補のために「白人至上主義政治」を唱導する“プレイブック”(脚本)書きまで引き受けてきた。そしてその中には、中南米からの不法移民を締め出すためのメキシコ国境の壁建設まで含まれていたという。

 実際にトランプ氏は、選挙戦を通じ全米各地の遊説先で繰り返し“Build the Wall!”のスローガンを支持者たちにアピールしてきたが、この「壁建設」を自らの最優先の「選挙公約」に掲げたことが最後に勝因の一つになった面も否定できない。

 そしてもし、伝えられる通り、こうした筋書きをキング議員が書き、それを大統領が今日にいたるまで踏襲してきたことが事実だったとすれば、二人の関係は一片の「白人至上主義」発言で揺らぐほど軟弱ではないということになる。

 この間、「壁建設」をめぐる大統領と議会民主党との対立で1カ月以上も一部閉鎖状態だった政府各省庁は25日、ようやく再開の運びとなった。「2月15日まで」の期限付き暫定合意によるもので、それまでに双方が歩み寄り関連予算案が成立しなければ、再び政府閉鎖に追い込まれる可能性も残されている。

 他方、今回、議会共和党が、壁の必要性を早くから訴えてきたキング議員に対し「委員会除斥」という厳しい措置をとったことで、静観を続けるトランプ大統領との間に生じた溝を今後どう埋めていくのかも注目されよう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15197

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/343.html

[国際25] 米大統領補佐官、ベネズエラ政府に警告「重大な対応とる」 さらに大量脱出 社会混乱 裏に米国主導のクーデター 南米で革命を
米大統領補佐官、ベネズエラ政府に警告「重大な対応とる」
2019/1/28 7:42日本経済新聞 電子版
 【サンパウロ=外山尚之】米国のボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は27日、政情不安が続くベネズエラのマドゥロ政権に対し、野党指導者や米外交官に危害を加えた場合、「重大な対応をとる」と警告した。米トランプ政権はベネズエラ政府に対し、原油の禁輸を含む追加経済制裁を準備しているとされる。苦境が続くマドゥロ大統領が強硬手段に出ないようにクギを刺した格好だ。

ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)=AP

 ボルトン氏はツイッターへの投稿で、米国の外交官や野党指導者のグアイド国会議長、国会議員などに対する暴力や脅迫があった場合、「法律を脅かすものとみなし、重大な対応をとる」と予告した。

 米トランプ政権はマドゥロ政権の正当性を認めておらず、野党のグアイド国会議長を暫定大統領として扱う。マドゥロ氏が米国との国交断絶を宣言し在ベネズエラ米国大使館の外交官に対し国外退去を求める一方、米国政府はこれを拒否しており、外交官の身の安全が懸念されていた。

 またマドゥロ政権はこれまでも状況が苦しくなると野党指導者を弾圧しており、グアイド氏も13日に治安当局に一時身柄を拘束されたばかりだった。

 米国がマドゥロ政権に対して圧力を強める中、米国に追随する動きも相次ぐ。イスラエルのネタニヤフ首相は27日、グアイド氏を正当な大統領として承認すると発表した。すでにブラジルやコロンビアなど中南米の周辺国に加え、フランスや英国など欧州諸国も現状のままではマドゥロ政権を認めないとする方針を打ち出している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO4054704028012019EAF000/


 


 
2019.1.28視聴時間 01:37
ヴェネズエラ国民、さらに大量脱出 社会混乱悪化で
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ヴェネズエラ 国民 大量 脱出 社会 混乱 悪化


経済危機と政情不安の続く南米ヴェネズエラで野党リーダーが暫定大統領に就任すると宣言し、ニコラス・マドゥロ大統領率いる左派政権との対立が深まっている。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55324

 


ベネズエラの政変、裏に米国主導の「クーデター」とマドゥロ氏
2019.01.28 Mon posted at 13:20 JST

ベネズエラの政変について、マドゥロ氏が米国による「クーデター」との見方を強調した/LUIS ROBAYO/AFP/AFP/Getty Images

(CNN) 南米ベネズエラのマドゥロ大統領は27日、CNNトルコのインタビューに答え、政治的な混乱が続く国内状況について、米国がクーデターを画策して自身を政権から排除しようとしているとの見方を示した。

先ごろ暫定大統領就任を宣言したフアン・グアイド国会議長に対しては「憲法をはじめとするあらゆる法律に違反している」と非難。国の司法機関がしかるべき措置を講じることになると述べた。

グアイド氏は27日、米紙ワシントン・ポストの取材に答え、ベネズエラの野党が軍並びに文民の当局者と協議し、マドゥロ氏を退陣に追い込もうとしていることを明らかにした。軍との協議は「水面下で」行われているという。

26日には英国、スペイン、ドイツ、フランスの当局がマドゥロ氏に対し、8日以内に選挙を実施しなければグアイド氏を大統領として承認するとの最後通告を行った。マドゥロ氏は昨年5月の大統領選をはじめ数多くの選挙が行われていると主張。「欧州はすべてドナルド・トランプの言いなりだ。それだけの話にすぎない。とりわけベネズエラの問題ではそうなる」と述べた。

米国と複数の中南米諸国は、上記の大統領選の結果を正当なものとは認めていない。

マドゥロ氏はまた、トランプ大統領に数多くのメッセージを送っているにもかかわらず返事をもらったことがないと説明。その理由について「国内問題でそれどころではないのだろう。加えて彼はわれわれを見下していると思う。すべての米州およびカリブ海諸国を見下している。世界中を見下しているのだろう」と語った。

そのうえで「クーデターを起こそうとする理由はこの点にある。彼らはわれわれの状況が上向くのを望まない。われわれの邪魔をし、経済システムを破壊しようとする」と強調した。

ベネズエラ情勢をめぐっては中国、キューバ、ロシア、シリア、トルコなどの国々がマドゥロ氏を支持する立場をとっている。


ベネズエラ

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https://www.cnn.co.jp/world/35131884.html


 

記事
ヒロ2019年01月28日 11:59
南米で革命を。ベネズエラを救え


南米にベネズエラという国があるのをご存知でしょうか?私も昔、プライベートジェットでブラジルに向かう際、給油で降り立ったことがありますが、その当時は南米屈指の富裕国、今じゃ、世界最悪級の経済破綻国となってしまいました。

南米大陸の北端にあるこの国は石油資源が豊富で埋蔵量は世界一とも言われます。しかし、石油産業にかかわる国民、0.5%しかその恩恵を受けていないとされ、一般国民の高い不満とともに生まれたのがウゴ チャベス政権でした。1999年のことです。ところが独裁政権を貫き、反米を掲げ、隣国のコロンビアとも絶縁関係をするなど社会主義政権とは思えない無謀ぶりを断行します。

2013年にそのチャベス氏ががんで死去した後を継いだのがニコラス マドゥロ大統領であります。この大統領はチャベス政権よりさらに悪政でこのブログでもその当時から何度か話題にしたことがあります。

2018年5月の大統領選では不正投票や野党排除などの妨害があったとされ、そのマドゥロ氏の再選結果は日本を含む第三国からは厳しく非難されます。そんな中、1月に弱冠35歳の国民議会議長ファン グアイド氏が自分が大統領である、と表明、アメリカ、英国、カナダや南米諸国から「彼こそ大統領」というお墨付きをもらっています。

つまり国内ではマドゥロ氏が「自分が大統領だ!」と譲らず、海外諸国は「グアイド氏こそ、大統領だ!」と押しているわけです。そのマドゥロ氏ですが全ての諸外国を敵に回しているわけではありません。中国やロシアは現政権を支持しており、昔からある世界の対立軸がここでも再現されているといってよいでしょう。

そんなベネズエラですが、経済は完全に破綻しています。IMF発表の同国の2018年インフレ率は170万%、2019年は1000万%と予想されています。(目がくらみそうです!)つまり、自国通貨は完全に機能せず、闇ドルが流通しているのでしょう。(南米でドル信奉が特に強いのは過去のハイパーインフレ等を知っている世代の自国通貨への不信感から来ています。)

一方イングランド銀行は同行に預けられていた同国の金資産1300億円相当分を引き出そうとしたマドゥロ政権に対しNOを突き付けました。多分、今後、急速に世界の同国資産凍結が強まりマドゥロ政権が早晩崩壊する可能性は高いとみています。

現在、マドゥロ氏には軍幹部が味方しているとされ、グアイド氏は一般軍人とその家族を味方につける工作をしているようであり、個人的には革命的政権交代があり得るとみています。

同国の歴史は内乱ばかりで今回、仮に政権交代があったとしても国民を安心させることができるかどうか予断は許しません。また、中国が同国に貸し込んでいる資金、一説には5兆円規模の行方も不明瞭になります。将来の中国の債権をいったんチャラにするためにも形式上、ソ連のように一旦、国家破綻をさせて再構築し、アメリカなどからの資金の取り込みをしやすくした方がよいと思います。

また、同国の安定は中期的には石油供給の安定につながり、石油価格への不安材料も減ることになると思います。ただし、同国の石油採掘関連の機器はおんぼろで使い物にならないような代物ばかりだったはずで即座の安定供給にはつながりませんが、アメリカは再建を全面支援すると思われます。

南米の小国の話ですが、世界の外交や地図はこんなところでも熾烈な争いを繰り広げています。日本の外交が強力ではないと感じるのはこういうところに積極的に戦略をもって関与していく姿勢でしょう。日本からみて地球の反対側のことだから、といってしまえばそれまで。中国は月の裏側の開発を着々と進め、NASAが焦っているという話もあります。もっとグローバルな視点でモノを見ていく必要はあるでしょう。

記事
ヒロ2019年01月28日 11:59南米で革命を。ベネズエラを救え


南米にベネズエラという国があるのをご存知でしょうか?私も昔、プライベートジェットでブラジルに向かう際、給油で降り立ったことがありますが、その当時は南米屈指の富裕国、今じゃ、世界最悪級の経済破綻国となってしまいました。

南米大陸の北端にあるこの国は石油資源が豊富で埋蔵量は世界一とも言われます。しかし、石油産業にかかわる国民、0.5%しかその恩恵を受けていないとされ、一般国民の高い不満とともに生まれたのがウゴ チャベス政権でした。1999年のことです。ところが独裁政権を貫き、反米を掲げ、隣国のコロンビアとも絶縁関係をするなど社会主義政権とは思えない無謀ぶりを断行します。

2013年にそのチャベス氏ががんで死去した後を継いだのがニコラス マドゥロ大統領であります。この大統領はチャベス政権よりさらに悪政でこのブログでもその当時から何度か話題にしたことがあります。

2018年5月の大統領選では不正投票や野党排除などの妨害があったとされ、そのマドゥロ氏の再選結果は日本を含む第三国からは厳しく非難されます。そんな中、1月に弱冠35歳の国民議会議長ファン グアイド氏が自分が大統領である、と表明、アメリカ、英国、カナダや南米諸国から「彼こそ大統領」というお墨付きをもらっています。

つまり国内ではマドゥロ氏が「自分が大統領だ!」と譲らず、海外諸国は「グアイド氏こそ、大統領だ!」と押しているわけです。そのマドゥロ氏ですが全ての諸外国を敵に回しているわけではありません。中国やロシアは現政権を支持しており、昔からある世界の対立軸がここでも再現されているといってよいでしょう。

そんなベネズエラですが、経済は完全に破綻しています。IMF発表の同国の2018年インフレ率は170万%、2019年は1000万%と予想されています。(目がくらみそうです!)つまり、自国通貨は完全に機能せず、闇ドルが流通しているのでしょう。(南米でドル信奉が特に強いのは過去のハイパーインフレ等を知っている世代の自国通貨への不信感から来ています。)

一方イングランド銀行は同行に預けられていた同国の金資産1300億円相当分を引き出そうとしたマドゥロ政権に対しNOを突き付けました。多分、今後、急速に世界の同国資産凍結が強まりマドゥロ政権が早晩崩壊する可能性は高いとみています。

現在、マドゥロ氏には軍幹部が味方しているとされ、グアイド氏は一般軍人とその家族を味方につける工作をしているようであり、個人的には革命的政権交代があり得るとみています。

同国の歴史は内乱ばかりで今回、仮に政権交代があったとしても国民を安心させることができるかどうか予断は許しません。また、中国が同国に貸し込んでいる資金、一説には5兆円規模の行方も不明瞭になります。将来の中国の債権をいったんチャラにするためにも形式上、ソ連のように一旦、国家破綻をさせて再構築し、アメリカなどからの資金の取り込みをしやすくした方がよいと思います。

また、同国の安定は中期的には石油供給の安定につながり、石油価格への不安材料も減ることになると思います。ただし、同国の石油採掘関連の機器はおんぼろで使い物にならないような代物ばかりだったはずで即座の安定供給にはつながりませんが、アメリカは再建を全面支援すると思われます。

南米の小国の話ですが、世界の外交や地図はこんなところでも熾烈な争いを繰り広げています。日本の外交が強力ではないと感じるのはこういうところに積極的に戦略をもって関与していく姿勢でしょう。日本からみて地球の反対側のことだから、といってしまえばそれまで。中国は月の裏側の開発を着々と進め、NASAが焦っているという話もあります。もっとグローバルな視点でモノを見ていく必要はあるでしょう。

では今日はこのぐらいで。
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社会主義ベネズエラ独裁政治
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新潮社フォーサイト2019年01月16日 18:48「2期目」強行突入ベネズエラ「マドゥロ大統領」に立ちはだかる「国際包囲網」- 遅野井茂雄


最高裁での就任式に臨んだマドゥロ大統領(C)EPA=時事

 1月10日、世界が注視する中で、ベネズエラのニコラス・マドゥロ政権が新たに2期目(任期2025年まで)に突入した。昨年5月、野党の統一候補者を排除して、前倒しで大統領選を強行し、再選。その結果を認めない国際社会に反発が広がる中、政権の国際孤立を際立たせる形での続投となった。

集まった顔ぶれ
 就任式に国家の元首が出席したのは、中南米ではボリビア(エボ・モラレス大統領)、ニカラグア(ダニエル・オルテガ大統領)、キューバ(ミゲル・ディアスカネル議長)、エルサルバドル(サルバドール・サンチェス大統領)の4カ国で、カリブではセントビンセントおよびグレナディーンとセントクリストファー・ネビスの2カ国。

 かつてのファラブンド・マルティ民族解放戦線の元司令官を大統領に担ぐエルサルバドル以外は、ベネズエラとキューバが主導してきた反米左派の「ボリバル同盟(ALBA)」の加盟国だ。

 域外からの代表は、ロシア(連邦議会副議長)、中国(農務大臣)、トルコ(副大統領)、イラン(国防大臣)、パレスチナ(外相)と、これまで反米左派の独裁化を強めるベネズエラとの関係を維持してきた国々に限られた。

深まる孤立
 反対に、2期目のマドゥロ政権に対する国際包囲網は着実に広がっている。

 前回の選挙結果の正当性を認めず、民主回復と人道支援の受け入れをベネズエラ政府に迫ってきた「リマグループ」の14カ国(ペルーはじめカナダやブラジル、メキシコなど)は、就任式に先立つ4日、ペルーの首都リマで外相会議を開催し、予想された通りマドゥロ大統領の2期目を承認しないとの声明を発表し、就任式には代表を送らないと決定した。

 ただ、グループの主要メンバーであったメキシコは、アンドレス・マヌエル・ロペスオブラドル左派政権の誕生で方針転換をし、声明には署名せず、14カ国で歩調を合わせてきた同グループから距離を置くことになった。就任式には、内政不干渉の立場からグループに参加していない左派政権のウルグアイと同様、現地の臨時代理大使を出席させる最小限の対応をとっている。

 またアメリカ、カナダを含む米州の地域協力体制の要「米州機構(OAS)」は、就任日の10日にワシントンの本部で臨時の常設理事会を開催し、1月10日以降のマドゥロ政権の正当性を認めないとの決議を採択した。決議案はアルゼンチン、チリ、コロンビア、コスタリカ、ペルー、パラグアイのリマグループ6カ国とアメリカ政府によって提出され、賛成19、反対6、棄権8で採択された。

 マドゥロ政権に対しては、対話を通じ、国際監視の下で公正かつ自由が確保された新たな大統領選挙の実施、政治犯の釈放、人道支援の受け入れなどを求め、また加盟34カ国(冷戦下での除名が解除された後も復帰していないキューバを除く)に対しては、決議に基づき外交などの必要な措置をとり、早急にベネズエラの民主的秩序の回復につなげるよう要請している。なお、ここでもメキシコは棄権に回っている。

 すでにリマグループ諸国は前回の選挙を受けて、大使召還などベネズエラとの外交関係を縮小してきたが、決議に賛成した各国は新たな外交措置を講ずる検討に入っており、パラグアイのマリオ・アブド・ベニテス政権は即日、大使館の閉鎖を宣言するに至った。 

 今後、外交関係の断絶を含め、ベネズエラの孤立がどこまで深まり、政権に具体的な圧力となって効いていくかが焦点である。

野党議長が「暫定大統領」宣言をしたが
 こうした政権に対する国際的圧力の高まりを受け、ベネズエラ国内でも反発が広がっている。

 2015年の選挙以降、野党が多数を占める国会は、マドゥロ大統領の正当性を認めず、新たに議長に就任したフアン・グアイド氏が11日、政権移行に向けて一時的に暫定大統領に就任する用意があると宣言した。グアイド議長は、同時にマドゥロ大統領を「権力の簒奪者」と非難し、その正当性を認めない国際社会に謝意を述べるとともに、軍に対しては、憲法を順守し、政権に対して決起を呼びかける演説を行った。

 マドゥロ政権は、国会の決議をことごとく無視して三権分立を崩し、新たに翼賛的な制憲議会の設置によって国会の権限を無力化してきたが、国会も昨年の大統領選挙の結果を認めておらず、大統領就任式の宣誓も憲法で定められた国会ではなく、最高裁で行われた経緯がある。

 野党としては、政権の違憲性と、国会の持つ権力の正当性を国際社会に訴え、内外の支持を得ることで、マドゥロ政権後の民主化移行へのイニシアティブを示そうとしたのである。

 1月5日、OASのルイス・アルマグロ事務総長はグアイド氏が国会議長に選出されるにあたり、民主的立憲秩序と基本的人権の回復にあたってグアイド議長と国会の担う役割を支持する声明を発している。またアメリカ国務省も12日の声明で、議長のイニシアティブを支持する姿勢を示した。

 だが、OASの決議では、国会に正当な権威を認めつつも、権力の移譲を求めるところまでは踏みこんではおらず、あくまでも国民対話を通じた和解に基づき、平和裏のうちに公平で自由な大統領選挙を新たに行うことを求めているにすぎない。いまだ加盟国に、国会議長を暫定大統領として認める政権はない。

軍事的な関与も辞さないアメリカ
 また、軍は政権にグリップされており、当面、軍部が政権に対し決起することは考えられない。弱体化した野党にとっては、国際社会の圧力と支援が最大の支えである。

 一方、政権側は国内での有利な立場を活かし、再度、対話の姿勢を見せつつ、中国、ロシアなどの支援をテコに政権の延命を図ることになろう。

 OAS決議は、話し合いによる自由公正な選挙のやり直しによって事態の解決を図ることを求め、軍事的な関与も辞さないとするアメリカ政府に楔を打つ形となっている。

 米国のジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、昨年11月のマイアミでの演説で、ベネズエラ、キューバ、ニカラグアを「専制のトロイカ」と呼び、「民主制度を毀損しており、市民に対する容赦ない暴力を許さない」とマドゥロ政権を厳しく非難。市民への抑圧には、キューバにもその責任があると断言した。

 ベネズエラと国境を接し、100万人に達する難民を1国で抱えるコロンビアの右派・親米のイヴバン・ドゥケ政権と、「ブラジルのトランプ」こと極右のジャイール・ボルソナロ新政権は、トランプ政権とともに軍事的な関与を含め、連携して圧力を加えていくことになるだろう。

 こうした軍事的関与の選択肢を抑えながら、あくまでも圧力と交渉による危機の解決に力点を置くリマグループの他の国々の外交努力が試されている。逆に独裁政権がOAS決議に応えず、暴力的に政権にしがみつくだけであれば、破綻国家の行く末は知れたものであり、他の選択肢の可能性を自ら招くことになるであろう。(遅野井 茂雄)

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http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/347.html

[経世済民130] 日銀決定会合議事録 リーマン破綻、利下げ後手に 景気回復「戦後最長の可能性」1月 景気刺激策バブル 下降局面の余力乏しく
日銀決定会合議事録 リーマン破綻、利下げ後手に
08年7〜12月
経済
2019/1/29 14:18日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
日銀は29日、2008年7〜12月の金融政策決定会合の議事録を公開した。米証券大手リーマン・ブラザーズが9月15日に経営破綻したのをきっかけに、世界経済は「100年に1度」の危機に陥る。世界の中央銀行が協調体制を打ちだし、日銀も10月、12月と利下げに動く。だが後手に回ってしまい、緩和策が小出しだと批判を浴びる。10年すぎてもなお日本経済に深い傷痕を残すことになるショックに日銀はどう対峙したのか…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40575690Y9A120C1M10600/

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/record_2008/girk081219a.pdf


 

景気回復「戦後最長の可能性」 1月の月例経済報告
2019/1/29 9:35 (2019/1/29 10:15更新)
日本経済新聞 電子版
 政府は29日公表した1月の月例経済報告で、景気の総括判断を「緩やかに回復している」と据え置いた。2012年12月から始まった景気回復の期間について「戦後最長となった可能性がある」と指摘した。一方で中国経済の減速が重荷となり、世界の景気判断を35カ月ぶりに下方修正した。足元では拡大が続く国内景気だが、先行きにはリスクが増えている。

 判断を据え置いたのは13カ月連続。日本の景気回復は1月まで続くと、74カ月になる。茂木敏充経済財政・再生相は29日の閣議後の記者会見で、景気回復期間が「戦後最長になったとみられる」と表明した。これまで02年2月から08年2月の73カ月が最長だった。茂木氏は中国経済の景気下振れなど「海外経済のリスクには十分注意する必要がある」とも述べた。
 景気回復をけん引しているのは、収益が過去最高水準にある企業業績だ。空前の人手不足を背景に企業は省力化・自動化の投資を増やす一方、採用活動を強化している。内閣府によると、人口減少下でも就業者数はバブル期に近い375万人増えている。女性や高齢者の労働参加が進み、個人消費を支えている。

 ただ過去と比べると、今回の景気回復期は成長率が低い。年平均の実質国内総生産(GDP)成長率は1.2%。08年まで続いた景気回復期は1.6%で、65〜70年のいざなぎ景気は11.5%だった。「実感なき景気回復」との声もある。
 先行きは決して明るくない。今回の月例経済報告は輸出の判断を「このところ弱含んでいる」と3カ月ぶりに下方修正した。世界の景気の判断を「緩やかに回復している」から「一部に弱さがみられるものの、全体としては緩やかに回復している」へと約3年ぶりに下げ、海外景気の変調をリスク要因に挙げた。
 大きな要因は中国など新興国経済の減速だ。18年の中国の実質成長率は6.6%と28年ぶりの低水準を記録した。中国でスマートフォンなどの生産が大きく減っているのを受けて、日本のアジア向けの輸出が減少。半導体製造装置や集積回路の落ち込みが目立つという。月例報告は中国経済の判断を「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「緩やかに減速している」に変更した。韓国の判断も引き下げた。
 月例経済報告ではこのほか、国内の輸入の判断を原油価格下落を受けて5カ月ぶりに下げた。消費者物価は耐久消費財や食料品価格が低下したことから「上昇テンポが鈍化」から「横ばい」に変更。国内企業物価も「緩やかに下落」に変えた。
 月例経済報告は個人消費や雇用情勢の分析に不適切調査のあった毎月勤労統計を使っている。今回は厚生労働省が公表した再集計値を利用した。内閣府の担当者は「様々な指標を使って総合的に判断しており、景気認識に影響はない」とした。
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40597660Z20C19A1MM0000/


 


戦後最長、景気刺激策バブル 下降局面の余力乏しく
編集委員 藤井彰夫
2019/1/29 11:33日本経済新聞 電子版
 2012年末からの景気拡大局面が1月で戦後最長を更新したもようだ。高度成長期に比べ成長率も低く実感もわきにくい最長景気だが、最大のリスクはいずれは来る景気下降局面で政策余力が乏しいことだ。

月例経済報告関係閣僚会議に臨む安倍首相(29日午前、首相官邸)

 今回の景気回復局面は6年超となるが実質国内総生産(GDP)の平均成長率は1.2%で、1960年代後半の高度成長期のいざなぎ景気の11.5%、80年代後半バブル景気の5.3%にも及ばない。

 人口減少など制約要因を抱えながら、海外経済の成長に支えられ、過熱感なき低成長が続いているのが特徴だ。これは平均1.6%成長にとどまった前回の02〜08年の景気拡大局面とも共通するが、今回際立つのは金融・財政政策の余力の乏しさだ。

 景気拡大局面の終盤には財政・金融政策ともに引き締め気味になっているのが、通常の姿だ。いざなぎ景気末期の1970年の政策金利(当時は公定歩合)、バブル景気末期の90年も、いずれも6%台だった。

 同じく低成長だった前回の景気拡大局面末期の08年2月でも政策金利(無担保コール翌日物)は0.5%あった。ところが今はマイナス0.1%・・
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月例経済報告関係閣僚会議に臨む安倍首相(29日午前、首相官邸)
[社説]手放しでは喜べぬ戦後最長景気[有料会員限定]
2019/1/29 19:05
初売りで福袋を買い求める人たち(2日、大阪市北区の阪神梅田本店)
「戦後最長景気」を診る(創論)[有料会員限定]
2019/1/8 2:00
米財務省は1日に国債の増発を発表した=ロイター
積み上がるバラマキ政策の矛盾[有料会員限定]
2018/8/7 7:57
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40600080Z20C19A1000000/?


 


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/777.html

[経世済民130] 円高にブレーキをかける日本経済の構造変化 中国減速で米企業決算に暗雲、下方修正相次ぐ可能性
為替フォーラム2019年1月28日 / 15:44 / 1日前

円高にブレーキをかける日本経済の構造変化

佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
4 分で読む

[東京 28日] - 日本が巨額の貿易黒字国だった時代は過去のものになりつつある。1980年代後半から90年代にかけて日本は年平均11兆円の黒字を計上。2000年代に入るとやや減少したが、それでも2007年までの平均黒字額は9兆6000億円だった。

しかし、2008年以降は一度も10兆円を超える貿易黒字を計上していない。2011年には31年ぶりの赤字に転じ、2014年に赤字幅は12兆8000億円まで拡大した。その後いったんは黒字を回復したものの、その規模は5兆円にも届かず、財務省が23日発表した2018年の貿易収支は1兆2033億円の赤字と、再びマイナスに転落した。

貿易収支の構造変化は円相場に影響する。当時と今とで何が変わったのかを検証するため、日本が10兆円規模の黒字を維持していた最後の4年間(2004─2007年)と、直近4年間(2015─2018年)の年間平均額を比較してみると、前者は9兆8000億円の黒字、後者は7000億円の黒字だった。

この期間に貿易収支が年平均9兆1000億円も悪化した背景には、輸入の増加がある。輸出額は年平均71兆5000億円から同76兆4000億円へと6.8%の伸びにとどまっているが、輸入額は同61兆7000億円から同75兆6000億円へ22.7%も増えている。

<スマートフォンと医薬品の輸入増加>

輸入は幅広い品目で増加している。伸びが最も大きかったのは「電気機器」で3兆7000億円。増加率は46.5%(寄与度はプラス6.1%ポイント)だった。6割強に当たる2兆4000億円を「通信機」が占めており、スマートフォンなど携帯電話の輸入が大きく伸びたものと考えられる。

次いで「化学製品」が3兆1000億円と、67.2%増加(寄与度はプラス5.0%ポイント)した。この中で目立つのは医薬品で、増加分の1兆9000億円を占めた。

貿易収支悪化の原因とみられがちなエネルギーは、確かに「液化天然ガス」の輸入額が2兆円増えた。増加率は84.9%で、寄与度はプラス3.2%だった。一方で、「原油・粗油」の輸入額が2兆2000億円、率にして23%も減少した。輸入数量も同程度の減少率であるため、原油価格の影響というより、単純に輸入量が減ったためと考えられる。

<貿易赤字は常態化か>

貿易相手国別の収支も、対中東を除いて全体的に悪化している。アジア全体に対する貿易黒字は、輸入増加を主因として年平均7兆3000億円から同4兆3000億兆円に減少。うち1兆8000億円分が対中国の赤字額増加、1兆1000億円分が対台湾の黒字額減少となっている。

特に注目されるのは、対欧州連合(EU)の貿易収支が同3兆8000億円の黒字から同3000億円の赤字へ、4兆1000億円も悪化したことだ。今回検証した全体の貿易収支悪化額の45%を占める。内訳は2兆1000億円が対EU貿易における輸出減少、2兆円が輸入増加だった。

EU向け輸出は「一般機械」、「電気機器」、「輸送用機器」の主要品目すべてで減少した。特に「電気機器」の落ち込みが9000億円と大きく、このうち5000億円は「音響・映像機器」のマイナスが影響した。一方、輸入は「医薬品」の伸びが顕著で、全体の増加分の半分に当たる1兆円も増えた。このほか目立ったのは「食品」と「自動車」で、それぞれ3000億円増加した。

つまり日本の貿易収支悪化は、アジアからスマートフォンなど「通信機」の輸入が、EUから「医薬品」の輸入が増えたことが主因と言えそうだ。エネルギーの輸入がそれほど影響していない点も興味深い。

こうした構造的な変化をみると、日本が近い将来、再び10兆円台の貿易黒字を計上することはなさそうだ。日本企業の多くが生産拠点を海外に移し、対外直接投資に積極的な現状を考えると、むしろ赤字が常態化していく可能性のほうが高い。

<過去最高水準の経常黒字>

一方、貿易収支を含む経常収支は過去最高に近い黒字水準を維持している。これは貿易黒字に代わり、過去に行った投資のリターンである所得収支の黒字が増加しているためである。

1980年代後半から1990年代までは、貿易黒字が経常黒字を上回る状態が続いていた。日本の経常黒字はすべて貿易黒字で構成されていたということだ。それが2000年代に入ると貿易黒字が頭打ちになる一方、所得収支の黒字が増え始め、2008年以降は経常黒字の中で圧倒的な存在感を示すようになった。

経常収支の変化は、円相場の動きを見る上で重要だ。単純化して言えば、貿易黒字は日本のメーカーが国内で作った製品を海外に輸出して得た代金である。コストの大部分は円建てと考えられ、貿易黒字の大部分は速やかに円資金に換える必要があると推測できる。一方、所得収支は過去の投資に対する対価であるため、すぐに円に換えずに再投資をする部分も多いと考えられる。

つまり、経常黒字が20兆円近い水準であっても、その大部分を所得収支の黒字が占める現状は、実需による経常的な円買いフローが多いとは言えない状況にある。

投資家のセンチメントが悪化し、短期的に円が上昇した時でも、加速度的に円高が進まなくなった背景には、こうした構造的な変化があると考えられる。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

(編集:久保信博)

佐々木融氏(写真は筆者提供)
*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-trade-tohru-sasaki-idJPKCN1PM0FT

 


トップニュース2019年1月29日 / 15:33 / 8時間前更新
アングル:
中国減速で米企業決算に暗雲、下方修正相次ぐ可能性
Reuters Staff
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[28日 ロイター] - 米重機大手キャタピラー(CAT.N)と米画像処理半導体大手エヌビディア(NVDA.O)が28日の四半期決算発表で、中国市場の需要減退による業績への悪影響に警告を発した。

決算発表シーズンは始まったばかりで、中国事業に依存する米企業が予想を下回る業績を発表する事例は、今後も増えそうだ。

キャタピラーとエヌビディアの株価は発表直後に急落した。

昨年末から年明けにかけてはアップル(AAPL.O)や宅配便大手フェデックス(FDX.N)、その他多くの半導体メーカーも中国経済の減速などを理由に業績見通しを引き下げていた。

アナリストからは、今後発表される決算にも暗雲が漂うとの声が出ている。リフィニティブIBESによると、S&P総合500種株価指数を構成する企業の昨年第4・四半期の増益率は現在14.2%と予想されているが、年初から予想の下方修正が続いている。

TDアメリトレードの首席マーケット・ストラテジスト、JJ・キナハン氏は、中国要因による利益リスクを「覚悟する必要がある」と指摘。第4・四半期の業績は予想に届くとしても、今後の見通しについて下方修正が相次ぐかどうかが焦点だという。

今決算シーズンは、米中貿易摩擦による関税の影響を指摘する企業が引き続き多い。家電大手ワールプール(WHR.N)は29日の取引終了後の発表で、関税が北米事業を圧迫したと指摘した。株価は時間外取引で下落した。

キャタピラーは、アジア太平洋地域だけで売上高が減少したと発表。エヌビディアは第4・四半期の売上高見通しを大幅に引き下げた。

USバンク・ウェルス・マネジメントのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、エリック・ウィーガンド氏は「キャタピラーとエヌビディアによる悲観的な見通しによって、貿易、世界経済、そしてドル高による潜在的な影響への懸念が鮮明になった」と話す。

今後数日、数週間で、こうした痛みはさらに顕在化するかもしれない。リフィニティブのデータによると、29日に決算を発表する半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)(AMD.O)は、売上高の約3分の1を中国で得ている。アップルの決算発表も29日だ。

30日に決算発表するカジノ運営のウィン・リゾーツ(WYNN.O)は売上高に占める中国の割合が70%を超える。同日には航空機大手ボーイングやファストフードのマクドナルド(MCD.N)も決算発表を予定。ボーイングは売上高に占める中国の比率が約13%、マクドナルドは18%だ。

S&P500種企業の2019年通年の増益率見通しは、年初の7.3%から5.6%に切り下がっている。

チェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長は「重機から半導体に至るまで、幅広い分野で中国事業が減速している」と述べた。

(Sweta Singh記者 Caroline Valetkevitch記者)
https://jp.reuters.com/article/us-usa-stocks-idJPKCN1PN0GJ?il=0
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/778.html

[経世済民130] 金融大手、ベネズエラPDVSAの債券取引を停止 米制裁受け ロシア、米のベネズエラ経済制裁を「違法」と批判
外国為替2019年1月30日 / 00:34 / 1時間前更新
金融大手、ベネズエラPDVSAの債券取引を停止 米制裁受け
Reuters Staff
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[ロンドン 29日 ロイター] - 米政権によるベネズエラ国営石油会社PDVSAに対する制裁措置を受け、金融大手が総じて債券取引を停止したと、ファンドマネージャーが明らかにした。

トランプ政権は28日、ベネズエラのマドゥロ大統領への退陣圧力を強めることを狙い、PDVSAを制裁対象に指定した。

パラ・アセット・マネジメントのトレーダーによると、債券取引システムにPDVSAの債券の価格はほぼまったく表示されていないという。

バークレイズの広報もPDVSA債の取引を停止したことを明らかにした。
https://jp.reuters.com/article/venezuela-bonds-sanctions-trading-idJPL3N1ZT53R?il=0

 

ワールド2019年1月29日 / 19:28 / 6時間前更新
ロシア、米のベネズエラ経済制裁を「違法」と批判
Reuters Staff
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[モスクワ 29日 ロイター] - ロシアのラブロフ外相は29日、米国がベネズエラの国営石油会社PDVSAを経済制裁の対象としたことは違法だとし、ロシアはマドゥロ政権の支援に向けあらゆる措置を講じていくと述べた。ロシアの通信各社が伝えた。

ラブロフ外相は、米国の経済制裁は、ベネズエラの国家資産を差し押さえようとする行為であると指摘した。

また、ロシア大統領府は、制裁はベネズエラの国内問題に公然と介入するもので違法との見解を示した。

ペスコフ大統領報道官は、ロシア政府が制裁のロシアへの影響の評価分析をしており、可能なあらゆる法的メカニズムを活用してベネズエラ関連の利権の保護に努めると述べた。
https://jp.reuters.com/article/venezuela-politics-russia-lavrov-idJPKCN1PN141
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/779.html

[国際25] 国際協調訴えるメルケル独首相、足元に火がつく可能性 イタリア連立政権の亀裂鮮明に、伊仏鉄道トンネル巡り
トップニュース2019年1月29日 / 12:28 / 8時間前更新
焦点:
国際協調訴えるメルケル独首相、足元に火がつく可能性
Reuters Staff
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[ベルリン 24日 ロイター] - メルケル独首相は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)における演説で、多国間主義の妥当性を強く訴えかけた。ただそうした国際協調主義外交を実際に推進しようとしても、遠からず自らの政治基盤が崩れてせっかくの取り組みが台無しになってしまうリスクがある。

ドイツの繁栄は多国間で共存する国際秩序に依拠し、トランプ米大統領が提唱する「米国第一」主義がこの秩序を脅かしつつある。そのためにメルケル氏はダボス会議で、今年は「ウィンウィン」の外交政策を展開し、多国間主義を擁護する姿勢を打ち出している。

具体的には今後2年間、ドイツが国連安全保障理事会の非常任理事国になる機会をナショナリズムの台頭に対抗する手段として利用するほか、2月初めには今年の20カ国・地域(G20)首脳会合議長国を務める日本に飛び、「同志」として協力を呼び掛けるつもりだ。

メルケル氏の与党、キリスト教民主同盟(CDU)のある議員は同氏から党の外交部会(非公開)で説明を受けた後、「メルケル氏が昨年12月に党首を辞任して以降、主な関心は外交政策になっていることが分かる」と話した。

CDUの党首を辞めた一方、2021年の任期終了まで首相の座にとどまると決めたメルケル氏について、多くの国民はレームダック(死に体)になったと受け止めている。

ただ新党首に最側近のアンネグレート・クランプ・カレンバウアー氏が選出されたことで、メルケル氏は自ら外交政策に専念しながら、党の国内戦略の筋書きを練る立場を維持できる形になった。

CDUの党勢が順調である限り、この方式は問題がないように見える。

ところがCDUと連立相手の社会民主党(SPD)が5月から始まる欧州議会選挙や一連の地方選で地歩を後退させれば、政治情勢は一気に不安定化し、基盤がもろい連立政権自体が終わりを迎える事態さえ起こり得る。

連立政権は2018年、何度か崩壊寸前まで追い込まれており、再び結束力が試される局面になってもおかしくない。

というのも旧東独地域では9月と10月に地方選が実施されるが、これらの地域では極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が大きな存在感を見せており、CDUを抜いて第一党に躍り出る勢いだからだ。

AfDは2017年、メルケル氏の積極的な移民受け入れ策に対する国民の幅広い不満を背景に、連邦議会に議席を初めて獲得。秋に議会選挙が予定される3州のうち、ザクセン州とチューリンゲン州の支持率はCDUに肉薄し、ブランデンブルク州ではCDUと並んで首位のSPDを僅差で追っている。

AfDの勢いが非常に強いため、あるCDUの地方指導者は、AfDを政権の座につかせないために極左政党と手を組む可能性さえ排除していない。

もしCDUが旧東独地域でCDUから政権を奪取すれば、メルケル氏が2021年を待たずに退陣するとの観測が再燃する公算が大きい。

もう1つのリスクは欧州議会選だ。連立与党の一角を占めるキリスト教社会同盟(CSU)は、同党に属するマンフレート・ウェーバー氏の欧州委員長就任を切望しているものの、欧州議会選でウェーバー氏を擁立する会派が不振となれば、CSUが批判の矛先をメルケル氏に向け、連立内で再び厄介な存在になりかねない。

そしてメルケル氏にとって最後の落とし穴は、SPDにある。SPDは5月のブレーメン州議会選で州首相の地位を失う恐れが出てきている。

一方でCDUとSPDの大連立の支持率は直近の調査で15%にまで低下しており、SPDは秋の連立協定中間点検時に連立離脱のオプションを行使するかもしれない。

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いずれにしても5月以降、メルケル氏の注意が欧州議会選と地方選に集まってしまう事態は避けられそうにない。

ユーラシア・グループのマネジングディレクター、Mujtaba Rahman氏は、これらの選挙日程や連立政権の脆弱性などを理由に「メルケル氏が今年、世界を主導していく立場を築ける確率は極めて乏しい」と述べ、外国で羽を伸ばす前に、まず対処が必要な国内の難しい課題があるとの見方を示した。

(Andreas Rinke、Paul Carrel記者)
https://jp.reuters.com/article/merkel-germany-analysis-idJPKCN1PN04Q?il=0


 
トップニュース2019年1月29日 / 10:48 / 8時間前更新
焦点:
イタリア連立政権の亀裂鮮明に、伊仏鉄道トンネル巡り
Reuters Staff
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[サンマルタン・ドゥ・ラ・ポルト(フランス) 25日 ロイター] - イタリア連立政権を構成する新興政党「5つ星運動」と極右政党「同盟」が、同国とフランスを結ぶトンネル建設続行の是非を巡って対立している。昨年の総選挙後、主義主張を超えて手を組んだ両党だが、5月の選挙を控え、この問題で袂を分かつ可能性も出てきた。

トンネルはアルプスを貫き、伊トリノと仏リヨンを全長58キロメートルにわたって結ぶもので、フランス側では既に巨大ボーリングマシンによる掘削が進んでいる。

ビジネス寄りの同盟は建設を望んでおり、先週の世論調査によるとイタリア国民の3分の2も建設を支持。一方、左寄りで環境重視派の多い五つ星運動支持者は、半分以上が建設に反対している。

五つ星運動は、トンネル建設は公的資金の大きな無駄遣いであり、老朽化した国内のインフラ強化に財政を充てるべきだと主張。また、建設の過程でアスベストが舞い、近隣住民の健康に被害が出る恐れがあるとしている。

対立は両党の根本的相違に根差すとともに、欧州連合(EU)の将来像についての考え方の違いを浮き彫りにした。

5月に地方選と欧州議会選挙を控えていることが、対立に火をつけている。世論調査によると同盟が五つ星運動をリードしており、選挙により両党のパワーバランスが変わる可能性がある。

五つ星運動は既にここ数カ月、他の主要な議題を巡って同盟に譲歩してきたが、トンネルの件では譲らない姿勢だ。同運動のトニネッリ・インフラ運輸相はロイターに対し、選挙前に決断を下す可能性があると述べた。

トンネルの総工費は86億ユーロ(100億ドル)で、イタリアは12月、専門家による費用便益分析が終わるまでトンネル関連の新たな契約を凍結することで合意している。トニネッリ氏によると、分析結果は1月末までに公表される見通し。

五つ星運動党首のディマイオ副首相は21日、「分析の結果、資金の無駄遣いであることが分かっても建設を進めるとすれば、正気の沙汰ではない」と息巻いた。

しかし、建設を中止させるのはそれほど簡単ではないかもしれない。

<中止のコスト>

トンネル建設にあたる伊仏合弁企業TELTは既に、25キロメートルにわたって掘削を進め、直接、間接に800人を雇用している。建設支持者らによると、既に堀った部分を閉鎖するには、工事を完工するのと同じ程度のコストがかかる可能性がある。

トンネルは、スペインからウクライナ・ハンガリー国境までを結ぶ「地中海の廊下」の一部をなすため、EUがコストの40%を負担しており、この割合は50%に増える可能性もある。

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フランスのボルヌ運輸相は、このプロジェクトの「戦略地政学的」重要性を強調し、EUからの資金提供を失ってはならないと訴えた。

同盟の党首であるイタリアのサルビーニ副首相は25日、「建設するより中止する方が高くつく」と述べ、建設への全面的な支持を表明した。

五つ星運動は無名時代からトンネル建設に反対してきた。コンサルタント会社プレリアスコは、トンネル問題は他の政治議題よりも「5つ星運動にとって象徴としての価値がより高い」と話した。

(Steve Scherer and Cristiano Corvino記者)
https://jp.reuters.com/article/italy-politics-tunnel-analysis-idJPKCN1PN04M?il=0
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/353.html

[国際25] ファーウェイ起訴で試される米中通商協議の「本気度」 「北朝鮮が核放棄する公算小さい」米国家情報長官 ストーン被告無罪主張
コラム2019年1月29日 / 14:48 / 8時間前更新

ファーウェイ起訴で試される米中通商協議の「本気度」
Gina Chon
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[ワシントン 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米司法省は28日、中国の華為技術(ファーウェイ)HWT.ULが米国の対イラン制裁に違反し、米通信大手Tモバイルからロボット技術を盗んだとして、ファーウェイと同社の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)などを起訴した。米国と中国は30日から関税の掛け合いに歯止めを掛けるため通商協議を行う予定で、孟副会長起訴への対応は両国の通商紛争解決に向けた意欲を見極める試金石となる。

米司法省は計23の罪状でファーウェイ、孟副会長およびファーウェイの子会社2社を起訴し、孟副会長の身柄の引き渡しを求めた。米司法省によると、ファーウェイは香港の通信機器販売会社スカイコム・テクについて銀行などに虚偽の説明を行い、イラン制裁に違反する取引を行った。また、米通信大手Tモバイルから携帯電話試験用ロボットの情報を盗んだという。

起訴を受け、首都ワシントンで30日から始まる米中の閣僚級通商協議は難航しそうだ。中国の劉鶴副首相は米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表ら米高官と会談する。米国側は中国に対して技術移転強要の中止や知的財産権の保護を求めている。一方、中国側はトランプ米政権に対して輸入関税の撤廃を求めている。

米中通商協議を巡る不透明感は市場を揺さぶっており、トランプ大統領も市場の動きを危惧している。トランプ氏は既に、通商交渉をまとめるのに役立つのなら孟副会長の逮捕に介入すると発言している。28日のニューヨーク株式市場は、キャタピラー(CAT.N)とエヌビディア(NVDA.O)が中国の需要減退による業績への影響に懸念を示したことから、ダウ工業株30種平均が200ドル以上下落した。

中国の景気減速は世界的な成長鈍化の不安もあおっている。中国の昨年の国内総生産(GDP)成長率は6.6%と、1990年以降で最も鈍かった。中国が逆風に立たされたのはトランプ政権発足前のことだが、トランプ氏が導入した対中関税も中国の景気悪化に一役買った。

中国の習近平国家主席も副会長逮捕問題で報復措置を求める圧力にさらされている。既に中国では副会長逮捕を受けてアップル製品の不買運動が起きている。

米国と中国の当局者は孟副会長の起訴を通商協議と切り離す意向を示している。しかし米司法省が断固とした態度に出た以上、この問題を素通りするのは難しいだろう。トランプ氏と習氏の対応から両氏の通商紛争回避への意気込みが読み取れそうだ。

●背景となるニュース

・米司法省は28日、ファーウェイが米国の対イラン制裁に違反し、米通信大手Tモバイルからロボット技術を盗んだなどとして、ファーウェイと同社の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)、子会社2社を起訴した。

・孟副会長は昨年12月1日に米国の要請によりカナダで身柄を拘束され、12月11日に保釈された。孟副会長はファーウェイの梁華会長の娘。カナダ当局は副会長の身柄を米国に引き渡すかどうかまだ決めていない。

 1月28日、米司法省は、中国の華為技術(ファーウェイ)が米国の対イラン制裁に違反し、米通信大手Tモバイルからロボット技術を盗んだとして、ファーウェイと同社の孟晩舟・副会長兼CFOなどを起訴した。写真は同社のロゴ。北京で昨年12月撮影(2019年 ロイター/Thomas Peter)
・中国の劉鶴副首相は30日からワシントンで2日間にわたり米国と通商問題について協議する。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-huawei-charges-us-idJPKCN1PN0EE?il=0


 


東京外為市場ニュース2019年1月30日 / 01:24 / 29分前更新

「北朝鮮が核放棄する公算小さい」、米国家情報長官が議会証言
Reuters Staff
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(情報を追加しました)

[ワシントン 29日 ロイター] - コーツ米国家情報長官は29日、北朝鮮は核放棄に向けオープンであるとの姿勢を示しているものの、同国が実際に核兵器能力を放棄する公算は小さいとの認識を示した。

長官は上院情報委員会で行った証言で、北朝鮮は大量破壊兵器(WMD)に関連してこれまでの挑発的な行動を改め、核ミサイル実験は1年以上実施しておらず、一部の核関連施設も廃棄したと指摘。さらに、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は朝鮮半島の非核化に対しオープンな姿勢を示し続けていると述べた。

ただ「こうしたことを踏まえても、われわれは北朝鮮が大量破壊兵器能力の保持を目指していると見なしている」とし、「北朝鮮の指導部は体制維持に核兵器が不可欠と考えているため、同国が核兵器を完全に放棄する公算は小さい」と指摘。「こうした見方は、われわれが捉えた完全な非核化とは矛盾する一部の活動に裏付けられている」と述べた。

トランプ大統領は昨年6月の金委員長との会談以降、北朝鮮の非核化に対するコミットメントに前向きな姿勢を示しているが、コーツ長官のこの日の証言は大統領の見方とは相容れないものとなった。
https://jp.reuters.com/article/usa-northkorea-nuclear-idJPL3N1ZT55F?il=0


 
最新経済ニュース2019年1月30日 / 01:39 / 14分前更新
米大統領の元側近ストーン被告が無罪主張、ロシア疑惑巡り
Reuters Staff
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[ワシントン 29日 ロイター] - 2016年米大統領選のロシア関与疑惑捜査に関連し、偽証罪などで起訴されている元トランプ陣営顧問のロジャー・ストーン被告は29日、無罪を主張した。

ストーン被告は25日逮捕され、捜査妨害や証人買収、偽証罪など7件の罪状で訴追された。
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-russia-stone-idJPL3N1ZT57O?il=0
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/354.html

[国際25] 困窮するヴェネズエラ国民、髪を売る女性も メキシコは天国から余りにも遠くアメリカに余りにも近い 暴力に支配される少年たち
困窮するヴェネズエラ国民、髪を売る女性も

2019/01/30

BBC News


経済危機と政情不安で揺れる南米ヴェネズエラでは、ハイパーインフレと生活必需品の不足で人道危機が続いている。

こうした中、金銭も持たずに国外へ脱出する人の中には、髪を売って資金を作る女性もいる。

コロンビアに逃亡したヴェネズエラ人のルイス・フェルナンドさんは、女性の髪を約18万ペソ(約6500円)で買い取っている。

動画:アンヘリカ・M・カサス

提供元:https://www.bbc.com/japanese/video-47038281


 

メキシコは天国から余りにも遠く、アメリカに余りにも近い

国境を越えるということ、私的一考察
2019/01/29

足立倫行 (ノンフィクションライター)


メキシコ・ティファナ側からの国境。家族が壁越しに面会している(shakzu/Gettyimages)
 メキシコ人の好きな自虐ネタにこんなのがある。

 「メキシコは天国から余りにも遠く、アメリカに余りにも近い」

 自国の貧しさを世界一の富裕国に隣接する悲・喜劇性と絡め、嗤っているのだ。

 私がそのことを思い知ったのは、カリフォルニアから徒歩で国境検問所を越えてメキシコに入った当日。ほぼ半世紀前のことだ。

 国境の町ティファナは、すぐに物乞いの群れに付きまとわれて煩わしく、加えて異様に猥雑なので、私はメキシコ中部の太平洋岸まで一気に下ろうと、鉄道の始発駅メヒカリに向かうバスに跳び乗った。

 ティファナからメヒカリまでは2時間ほどだが、1時間近く走った頃、バスは奇妙な場所で停車した。人家もバス停もなく、左手はアメリカへと続く砂漠地帯である。

 7〜8人の男たちがゾロゾロ降りた。彼らは荷物を持ち、砂漠へと歩き始めた。

 私は片言のスペイン語で隣の男に尋ねた。

 「ア・ドンデ(どこへ?)」

 男は答えてくれたが、「ア・ロス・エスタドス・ウニドス(合衆国へ)」と「ノチェ(夜)」しか理解できなかった。

 けれど、彼らが密出国の集団であり、案内の業者と共に夜中にアメリカ・メキシコ国境を越える予定、ということはわかった。

 運転手は平然とスタートし、乗客からの不審がる言動もない。ということは、こうした「途中下車」は日常茶飯事なのだ。

 私はその数日前まで、集団一行が目的地とするカリフォルニアの隣のアリゾナにいた。

 砂漠の中の土地開発会社の臨時雇いだったが、時折南から徒歩でやってくる密入国者のニュースを聞いた。国境警備隊が何人逮捕したとか、どこそこで遺体が発見されたとか。

 正直、サボテンに囲まれたプールの傍らでそんな話を聞いてもピンとこなかったが、メキシコで日常化した密出国者送り出しを見ると納得が行く。アメリカ西海岸の農業が不法移民の労働力を不可欠としている以上、圧倒的経済格差に誘引された彼らの危険な国境越えには、「合理的」蛮行の側面がある、と。

 現在、世界の耳目を集めているメキシコ国内の「移民キャラバン」は、以上とは多少性格が異なる。中核となっているのが、国内での治安悪化を逃れて北上してきた中米諸国(特にホンジュラス)からの避難民だからだ。

 最近の報道によると、昨年11月以降ティファナには1万人近くが到着した。だがトランプ政権は彼らに厳しく対処しており、違法入国を試みた約2600人がアメリカ側に拘束され、難民申請した約2500人も却下。キャラバン参加者の約3割は止むなく帰国したと推察される。ただし、メキシコ南方には新たな「移民キャラバン」が次々集結、一部はすでに入国した(1月20日付朝日新聞)。

 ホンジュラスで何が起きているのか?

 その内情をレポートしたのが工藤律子さんの『マラス 暴力に支配される少年たち』(集英社、2016年)だった。

 メキシコで長年ストリートチルドレンの支援活動をしてきた工藤さんは、近年ホンジュラスから凶暴なマラス(ギャング団)に追われ逃げてくる若者の増加に気付いていた。

 「親や兄弟を殺されたり、自分も殺人を強要されたりした末の命がけの逃亡です」

 私の著者インタビューでそう語った。

 著作は、殺人発生率世界一のホンジュラスに乗り込み、ギャング団の元リーダーや抜け出した若者たちから体験談を聞き、彼らの更生に取り組む現地のNGOや教会関係者の活動をも記録した稀少な実地調査だ。

 ギャング団は昔もいたが、麻薬や縄張りを巡って抗争が激化し殺人が急増したのは、中米(メキシコも)ではこの10数年のこと。なぜか?

 「私は契機は1994年のNAFTA(北米自由貿易協定)じゃないかと思います。アメリカ流の経済最優先の新自由主義的な考えが流れ込み、それまでラテン・アメリカの社会にあった“貧しくても助けあって幸せに”という仲間意識が急速に失われたのでは」

 工藤さんの取材では、ホンジュラスの凶暴なギャング団は、一度アメリカに不法入国しその後戻ってきた不良やその子弟が、故郷でパワーアップして再結成したもの、らしい。

 半世紀以上前から、アメリカへの密入国者にはメキシコ人以外にグァテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル人が一定数いた。「アメリカがクシャミすると風邪を引く」歪(いびつ)な力関係は、中米でも歴史的なものなのだ。

 私はホンジュラスは知らないが、グァテマラにはビザの更新で行ったことがある。

 グァテマラ・シティで2泊し、メキシコ大使館で6ヵ月滞在再延長の手続きをして、メキシコ側に帰ってくるとドッと疲れた。それほどメキシコとグァテマラの空気は違った。

 まず国境の出入国事務所である。窓口に立ったとたん、有無を言わさず2人の係官にトイレに連れ込まれ、髪を鋏(はさみ)でバサバサと切られた。「やや長め」にすぎなかったが、彼らは「ヒッピー・ヘア厳禁!」と言い張る。

 バスに乗ると、両脇のジャングルに何台もの車が仰向けになって転がっていた。

 そして首都。夜中にあちこちで銃声が響く。翌日ホテルのフロントで聞くと、「まだ反政府ゲリラが活動しているから」……。

 日本で暮らしていると、政治・経済・歴史・文化の違う国が地続きであることや、国境を越えると習慣・人情が一変することは、なかなか理解しにくい。しかし世界的には、海に囲まれ国境が見えない方が特殊なのだ。

 前述の新聞報道によると、新たな「移民キャラバン」のうち、私が半世紀前に渡ったグァテマラ・メキシコ国境のスチアテ川の橋をすでに越えたのは約2000人だという。

メキシコで受け止めきれるのか?
 昨年末誕生した左派のメキシコ大統領ロペスオブラドールが、人道的見地から避難民受け入れに前向きなのは朗報だが、それを上回りそうな懸念もある。

 1つは、メキシコではなくあくまでアメリカを目指すキャラバンの多数派に対して、トランプ政権が拒否姿勢を崩さず、警備強化と国境の壁建設に固執していること。

 もう1つは、南米ベネズエラの反米独裁左派のマドゥロ政権が崩壊寸前であり、もしも崩壊すれば、今年中にも人口の2割近い530万人が移民や難民として国外流出する見通しがあることだ(国連予測)。

 ベネズエラ難民の5%がアメリカを目指したとしても約26万5000人。シリアやイラク難民がイギリスやEUに深刻な亀裂を与えたように、ホンジュラスやベネズエラの難民も、世界一の富裕国の分断をさらに深めるのだろうか?
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15196


 
マラス 暴力に支配される少年たち 単行本 – 2016/11/25
工藤 律子 (著)
殺人事件発生率世界一の中米ホンジュラスには、凶悪な若者ギャング団「マラス」がはびこる。
マラスの一員になる条件は、誰か人を殺すこと。そして、組織から抜けるときは、死を覚悟しなければならない。
なぜ少年たちは、死と隣り合わせの「悪」の道に進むのか。
元マラスや現役マラス、軍警察、そして若者ギャングの人生を変えようと奮闘する人々を取材し、暴力と貧困のなかに生きる少年たちの驚くべき現実が明らかになる。
殺人命令から逃れるためにメキシコへの決死の逃避行を果たした少年。マラスから抜けてギャング以外の道を若者に訴えるラッパー。そして、刑務所で囚人たちに救いの道を語りかける元ギャング・リーダーの牧師補佐。
今まで語られることのなかったマラスの姿を追った、衝撃のルポルタージュ!

第14回開高健ノンフィクション賞受賞作。

【目次】
○プロローグ
○第一章 マラスの輪郭
マラスというレッテル/国内最大の刑務所
○第二章 カリスマ
ギャング・リーダーの誕生/武装する少年たち/死への恐怖/塀の中のドン/奇跡の変身/神に導かれた男
○第三章 マラスという敵
マラスを追い詰める/マラスを抜けた青年
○第四章 冒険少年
世界一危険な町から来た少年/決死の逃避行/一筋の光/新天地
○第五章 マラスの悲しみ
ギャングと歩むシングルマザー/リベラ・エルナンデスの牧師/穏やかになったギャング/異なる選択肢
○第六章 変革
神のラッパー/刑務所の伝道師/強まる使命感/変革への連携プレー
○エピローグ

【著者プロフィール】
工藤律子(くどう りつこ)
1963年大阪生まれ。ジャーナリスト。東京外国語大学大学院地域研究研究科修士課程在籍中より、メキシコの貧困層の生活改善運動を研究し、フリーのジャーナリストとして取材活動を始める。主なフィールドはスペイン語圏、フィリピン。NGO「ストリートチルドレンを考える会」共同代表。著書に『仲間と誇りと夢と』(JULA出版局)、『ストリートチルドレン』(岩波ジュニア新書)、『ルポ 雇用なしで生きる』(岩波書店)などがある。

内容(「BOOK」データベースより)
殺人事件発生率世界一の中米ホンジュラスにはびこる凶悪な若者ギャング団、「マラス」を取材した衝撃のルポルタージュ!2016年第14回開高健ノンフィクション賞受賞。


ち5.0中米ホンジュラスの生の姿を伝える貴重な一冊
2017年2月26日
形式: 単行本Amazonで購入
中米ホンジュラスで暗躍する青少年凶悪犯罪集団「マラス」を取材したルポルタージュです。私自身2003年以来14年間に渡り毎年ホンジュラスに赴き現地で支援活動に携わっていますが、現在日本語で読める資料の中で、これほどホンジュラスの生の姿を虚飾なしに描き出しているものは他に存在しないと言って過言ではありません。
ホンジュラスにおける「マラス」の存在は、この国の深刻な貧困と向き合う際に不可避の要素であるにもかかわらず、そのあまりの暴力性と反社会性故にこれまで如何なる支援関係者も近づくことの出来なかった言わば「禁域」です。しかしラテンアメリカに精通したジャーナリストである筆者は恐らく日本人として初めてこの「禁域」に立ち入り、更にその深奥にまで迫ることで、覆い隠されていた彼らの姿に光を当てています。そこに照らし出されたものは、この国の貧しい青少年たちに容赦なく突きつけられる非情な現実と著しい不正義、そしてそれらがもたらす社会への深い失望と人間性の喪失です。それはホンジュラスを世界最悪の殺人帝国に貶めている悪名高き「マラス」の、その凶悪な出で立ちの後ろに隠された赤裸々な真実に他なりません。
さらに筆者は組織を抜けて更生を目指す元マラス構成員と、彼らを支える有志のホンジュラス人たちの姿を通して、これらの不条理と対峙して行くために必要なものが何であるかも描き出しています。
この本はホンジュラスに関係するすべての者にとって必読の書であるばかりでなく、広く青少年支援活動に携わる人々に対してもその在り方の根本を問う、極めて貴重なドキュメンタリーです。
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umuumu
5つ星のうち5.0死が隣り合わせの凶悪な若者ギャング達。その根底にある関係性の欠如・社会構造への理解、解決への模索には学び、感じ入るものがあります。
2017年3月20日
形式: 単行本
300頁ほどだが、かなり読み応えがある。

当然過剰な演出を狙って書かれたわけではないが、死が日常である激しい暴力や殺人シーンが多く出てきて、想像するとやるせないような胸の痛みと疲労感が募り挫折しそうになる。

救いは、この著者、工藤さんがただ状況を問題視し、書き立てるのではなく、ギャングに入らなくてはならなかった側、弱きものに絶対的に肩入れしており、問題を自分事として捉え、ひととして教育の視点から解決を希求しているだと思う。

さて、残虐行為を平然とやってのける「マラス」という集団に惹かれる普通の少年達。どうしてそこにいることを選んだのか?著者は様々なインタビューから、その背景を貧しさとラテンのマッチョ文化の掛け算だと説く。
誰にでも、親に愛され、人に敬われたい欲求がある。充たされることのないその欲求の向かう先。それはその土地に用意されたポケットに収まっていく。(p147「日本でも子どもや若者を巡り、いじめや不登校、自殺などに加えて、JKビジネスや麻薬売買といった問題まで出てきている中、マラスの問題も「外見」こそ大きく異なるが、同じグローバル化のもとで、日本の子どもや若者の問題ともつながっているのではないか。(中略)おとなが経済状況にばかり気を取られ、子どもの心に寄り添えないまま、子どもは成長していき、結局は余裕のないおとなたちと同じような考えでしか生きられなくなる。」)(p240 「子どもや若者はいま、様々な場所と機会を奪われています。家庭崩壊が進んでいるため、ギャング団がよりどころになっている。ギャング団が、人のぬくもりや庇護、衣食住、そしてひとつの合い遺伝ティティを、彼らに与えているのです。現代社会が、金持ちにだけ存在価値を与えて、貧乏人からはすべてを奪った結果です。」(若者ギャングの更正に尽くすエミリアーニ司教の言葉))

途中更正者の話を追う回想シーンの中で、何か既視感らしきが出てきた。そう、昔見た映画「闇の列車 光の旅」だ。主人公が逃亡する際、鉄道の屋根上に隠れている。そこにギャングが来て、周囲の乗客が殺される。(一部「そして一粒の光」とごっちゃになっているかもしれない。。。)極端に残酷で不条理な環境で生まれ育つということ。(p174「野獣」などという恐ろしげなニックネームが付けられているのは、その旅が想像以上に過酷であることを示している。(中略)それでもなお、人々はささやかな希望を胸に、野獣の背に乗る。それは貧困から抜け出せない日常を変えるための賭けであり、冒険への憧れであり、暴力からの逃亡であり、動機はそれぞれだ。共通しているのは、それに乗る時、誰もが旅の本当の結末を知らないということだろう。」

このルポタージュの中では、更正した青年たちに共通するのは神(キリスト教)に立ち帰ったところだ。「赦し」があったから、人と殺し合うのではなく「肯定的に在る」生き方を選ぶことができた。力の方向性を変え、生き直すことができた。日本人である私の周囲には信仰者は全くいなかったとはいえないが、人生の節々に絶対的な存在として「共に在る」神を想像することは難しい。

大学生に入る前に過食症を患った際に出逢った友人が「私には神が在るから」と首に提げた十字架のネックレスを私に見せはにかんだ時。私は嫉妬に近い何かを憶えたのを憶えている。

バックパッカーでヨーロッパを回っている際に出逢ったグアテマラ人のジャーナリストフロレンシオは私に神を信じている?と聞いて「ううん、でも八百万のような神は漠と信じている」と答えた際に、「神なしで生きる?すごいな」という驚愕の眼差しで私を見たことを想い出した。

そういった宗教的な土壌は日本とは異なるかも知れない。

この本を読むことを薦めれば、なぜ今ホンジュラス?なぜ今マラス?と思う人も居るだろう。しかし、どこにでも埋まっている「不条理」の土壌を読み解き、根底に在る飢えや社会構造を理解しようとする試み、解決への視座は全世界に共通し有用だろう。
私自身、国家的な歴史や、ギャング抗争の変遷は複雑で十分に把握できたとは言えないが、ホンジュラスという自らにとって全く縁のなかった国をほんのほんの少し近く感じられた。生まれてくる子ども達は希望で在る、社会で守ろう、育てたいという意志は世界共通のそれでありたいと願う。

著者(とパートナーの方)のジャーナリスト魂、そして温かい人間性を強く感じる良著だと感じた。
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大寺萌音
5つ星のうち4.0悲惨な状況なのは確かだが、決して光が見えていないわけではない
2017年1月22日
形式: 単行本
例えば2014年、中米の国ホンジュラスにおける殺人発生率は10万人あたり74.55に対し、日本では0.31。ストリートチルドレンの問題に長年携わってきた著者による、そのホンジュラスにはびこる凶悪な若者ギャング団「マラス」に関わる人々のルポルタージュ。

元マラスでギャングリーダーだったものの、現在では聖職者となり、囚人となった者たちに神の道を説き続けるアンジェロ、ギャングたちの更生を支援するシングルマザーのジェニファーなどの言葉を読むと、若者の多くが、10歳前後からギャングに取り込まれてしまう理由が理解できる。中東やアフリカなどで少年の兵士が多いことと同じとも言えよう。極端な貧困ゆえに、愛情を注がれることがない子どもたちの、感情の向かう先に“ギャング”という組織があるのだ。想像以上の危険がわが身に降りかかったため、故郷や家族を捨てて決死の逃避行に挑んだ少年の証言にも心が動かされる。
環境によっては、「自己責任」だとか「努力不足」といった言葉がいかに愚かしいものか理解できよう。

エピローグを読むと著者が書くように、「マラス」に取り込まれていった少年たちと、日本の子どもたちの間に、本質的な部分で大きな差を感じることはできない。ということは、日本でも相対的貧困率の上昇が続いたりすれば、同じようなことが起きてもおかしくないということだろう。
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三田静香
5つ星のうち4.0貴方が信じるものは
2017年3月19日
形式: 単行本
 神はいない、と考え始めたのはいつ頃からだろう。幼い頃は、朝起きて神に祈り、聖句を読む。昼は奉仕に出かけ、夜は教会へいく。生まれてから何百回、何千回と繰り返してきた。しかし、自我と共にこの習慣への不満と大人への懐疑が募り、いつしか神の言葉とされる聖句が私を縛り始めた。しかし、その言葉が日本の裏側、ホンジュラスのギャングたちを救っているという。
 スペイン人による征服以来、キリスト教が根付くラテンアメリカでは、日常のなかで聖書の言葉に触れることは多い。だが、間近のギャングに怯えて暮らす人々が多く、その彼らにならい、暴力を行使する若者が後を絶たない。著者が取材した、教会牧師補佐をするアンジェロも強盗・殺人未遂を繰り返してきた一人だ。ギャング人生を楽しんでいたアンジェロも、頻繁にさらされる死への恐怖に怯え、その不安を武装することで消し去っていた。しかし自動車強盗の際に発せられた聖書の一説に衝撃を受け、回心した彼は今では囚人たちに聖書を説く伝道師なった。アンジェロは自信に満ちこう説く。「罪を犯した者でも、生まれ変わることは可能だ」と。その彼を慕い、聖書の教えに救われたギャングの若者が何人いるだろう。
 神を信じないのか。その質問は、私には愚問だ。ただ私にわかるのは、その存在を信じ救われる者がいること。そして信じるものを持つ者は強いということだ。筆者もアンジェロ牧師の刑務所での説教を通し、「暴力ではなく、信仰を深めることで、罪を犯してしまう弱さを乗り越え、真に強くなろうとする者たち」がいることを実感している。
この日本では特定の信仰を持つ者は少ない。信じるものがいない人間の精神は不安定で、脆い。若者に限らず、大人も人間関係や仕事で鬱になり、死を選ぶ者が後を絶たない。その中で心の拠り所となる存在は特定の信仰ではなく、両親や配偶者であったり、恋人や師であったりするのではないか。それは二十年以上もメキシコの研究をしてきた筆者にもいえよう。どんな取材先にも寄り添っているフォトジャーナリストの篠田。なにか一つでも信じるものが見つけることができたら、それはどんな逆境にも打ち勝つ力へと変わる。そして、それは「生」への執着にもなろう。その存在を神という名や自分の思う名で呼べばいい。
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yukkie_cerveza
殿堂入りNO1レビュアーベスト100レビュアー
5つ星のうち4.0私にとっては思い入れのあるホンジュラスに関する書籍と聞いて迷わず購入した
2017年1月30日
形式: 単行本
 著者は1963年生まれのジャーナリスト。東京外国語大学大学院在学中からメキシコの貧困層の生活改善運動を研究していた人物で、スペイン語圏とフィリピンをフィールドに取材活動を続けてきました。
 これは中米および北米でラテン系ギャング団を形成している若者たちの実態をホンジュラスに取材したルポルタージュです。『世界』(岩波書店)や『週刊金曜日』(金曜日)に執筆した記事などをもとに加筆修正した書で、2016年に開高健賞を受賞しています。

 私自身の個人的な経験から記すと、私は2002年に2度、そして2005年に1度、ホンジュラスを旅したことがあります。首都テグシガルパと第2の都市サン・ペドロ・スーラも訪れました。当時、現地に住む日本人、あるいはかつてホンジュラスに暮らしたことがある東京の知人は皆、「町なかを一人で歩くなんて危険ではないか」、「バスに乗るなんて危なくないか」と訊いてきたものです。私自身は、日本以外の国はどこも<同じように危険>だという認識しかありませんでした。むしろホンジュラス人は中南米で最も穏やかな性格を持った国民であると聞かされていましたし、事実私が巡り会った現地の人々はとても親切で温和な人が多いというのが偽らざる印象だったのです。ですがやがて、現地では若者たちのギャングが日々抗争を続けていて、死者が出続けているという現地メディアの報道をネットで目にするようになります。この書『マラス』によれば、2010年以来5年連続で人口10万人当たりの殺人事件発生率が世界一という国になってしまっていました。

 この書によってホンジュラスに若者ギャング団の暴力が渦巻くことになった経緯が理解できました。
 90年代の前半にカリフォルニアの州知事が犯罪歴のある中南米出身者を母国へ送還する政策を導入。ホンジュラスにも3000人ほどのギャングたちが戻ってきます。彼らが帰国後に地元の若者たちを組織してギャング団が林立することになります。当初はギャング同士に諍いはなかったのですが、カリフォルニアに残った上部組織の幹部が組織を強化する命令を下した結果、抗争が激化していったというのです。
 さらにホンジュラスのリカルド・マドゥーロ政権(2002〜2006年)がギャング犯罪の厳罰化を進めます。この政策に対抗するためにギャング側も暴力を敵対勢力以外の一般市民にも向けはじめたのです。政府が若者たちに「対応」するのではなく「壊滅」を目指したために、青少年の支援問題であるべきものが治安問題へと変質してしまったと著者は指摘します。私が旅したころのホンジュラスはまさにこの転換期にあったというわけで、ギャング団の暴力が私のような一般人にも広がりつつある頃だったのです。

 著者が日本人であることが現地の取材には有利に働いたようです。政府機関やNGOが日本の援助を受けいれているホンジュラスでは日本人は親切に扱われるからです。
 著者は元ギャング団リーダーだった牧師や現地NGO職員などの話を聞きながら、ホンジュラスの若者ギャングたちの現状をつぶさに記していきます。

 この本を読んで強く印象に残ったのは、若者たちをギャングへと駆り立てるのはどうしようもない貧困だということと、その一方で若者たちをギャングから引き離すのは強権的な法執行機関ではなく、キリスト教の信仰だということです。
 絶望的な生活を送る若者たちにとっては暴力と信仰のどちらもが<セイフティ・ネット>の役割を果たしているということです。所属する場所を彼らに与えて心の安寧をもたらすという意味では、どちらも社会的機能が同じといえるかもしれません。それは行政が機能していない/機能するつもりのない取り組みを、暴力と信仰が肩代わりしている/させられている、と言い換えることもできるでしょう。

 新自由主義的経済政策の中で零れ落ちてしまう若者をいかに掬い上げるか、という観点でいえば、マラスの問題は日本人にとっても、遠い中南米の問題では終わりません。全世界で若者たちを同様の閉塞感が覆っているのですから。著者もその点を強調しています。

 3度も旅したいと私に思わせたホンジュラスの次の世代の若者たちが希望をもって明日を歩む時代を迎えるには何ができるのか。そのことに思いが至りました。

----------------------- 
 以下の書籍と映画を紹介しておきます。

◆Sonia Nazario『Enrique's Journey: The Story of a Boy's Dangerous Odyssey to Reunite with His Mother』(2007年)
:LAタイムズの記者が03年に発表してピュリッツァー賞を獲得した連載記事に加筆してまとめた書です。中米ホンジュラスの貧しいシングルマザーのルルデスはアメリカで働くために、幼いエンリケとベルキーを残して国を後にします。数年後、寂しい生活に耐えられなくなったエンリケは母を追って一人密入国の旅に出ます。その道のりをたどったルポルタージュです。貨物列車の屋根に乗ってメキシコ国内を渡るエンリケたちを腐敗警官やギャング団による激しい暴力が待ち受けています。

◆映画『闇の列車、光の旅』(2009年)
:中米ホンジュラスの首都テグシガルパに暮らす少女サイラは、父と叔父との3人で米国に渡る決心をします。メキシコに入ってからは列車の屋根によじ登っての危険な無銭移動を続けます。メキシコのギャング団メンバーのカスペルは頭目のリルマゴとともに、サイラたち不法移民から金銭を巻き上げていましたが、犯罪行為に嫌気がさしたカスペルはリルマゴを殺してサイラたちとアメリカへ逃亡する道を選んでしまう…という物語です。サンダンス映画祭監督賞受賞作品です。
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凱晴
5つ星のうち4.0開高健ノンフィクション賞
2016年12月16日
形式: 単行本
殺人事件発生率世界一の中米ホンジュラスの若者ギャング団のルポルタージュ。
貧困や家庭崩壊といった暴力、薬といった負のスパイラルは想定はしていたが、いくつか驚いたことがある。

まず、負のスパイラルの程度。どこの国でも程度の差こそあれ起こりうる話じゃないかと思っていたが、貧困の程度、職のなさの程度も暴力の程度も常軌を逸している。学校が敵のギャングの縄張りにあるから通えないなんて、考えられない。

そして、信仰の深さ。意外にも信仰によってギャングを脱退する少年も少なくなく、宗教関連の仕事に就くとギャングに追われることなく脱退できるらしい。ただ、裏を返せば、宗教意外に頼るものが多くないのかもしれないし、就学、就職のチャンスがもっと多くなければ救われない。
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Amazon Customer
5つ星のうち1.0マラスの現状というよりは牧師の話中心
2018年7月26日
形式: 単行本
マラスというタイトルだが、元ギャングの牧師の話中心で期待外れでした。
著者のコミュニティからして期待しすぎたのがいけないのですが、
何も得るものがないノンフィクションです。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%82%B9-%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E3%81%AB%E6%94%AF%E9%85%8D%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%81%9F%E3%81%A1-%E5%B7%A5%E8%97%A4-%E5%BE%8B%E5%AD%90/dp/4087816214/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1548538375&sr=8-1&keywords=%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%80%80%E6%9A%B4%E5%8A%9B%E3%81%AB%E6%94%AF%E9%85%8D%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%81%9F%E3%81%A1
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/358.html

[国際25] 説得力に乏しいポンペオの中東政策演説 
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

説得力に乏しいポンペオの中東政策演説

2019/01/29

岡崎研究所

 ポンペオ米国務長官は1月10日、エジプトのカイロ大学で米国の対中東政策に関する演説を行った。長大な演説であったが、要点はオバマ批判とイラン攻撃である。まず、この2つの点についての概要を紹介する。


(werbeantrieb/flavijus/3DMAVR/iStock)
オバマ批判
 中東にとり重要な時期に米国は余りにも不在であった。それは、我々の指導者が歴史を酷く読み違えたからだ。2009年にこのカイロの地で発表された根本的な誤解は、中東全体の何億もの人々の生活に悪影響をもたらした。もう一人のアメリカ人(注:オバマ大統領(当時))は、この地で次のように言った。

・過激派イスラム主義のテロリズムはイデオロギーから発生するものではない。

・9.11は、米国に理想、とりわけ中東における理想を放棄させた。

・米国とイスラム世界は「新たな始まり」を必要としている。

 こうした誤判断の結果は悲惨なものとなった。米国こそ中東を苦しめる勢力であるとの誤った見方により、我々が必要とされている時に自らの主張を通すことに臆病になっていた。

 我々は、イスラム過激主義の凶暴さを過小評価し、ISISの台頭、カリフ国の樹立、大量の犠牲者を許した。「緑の革命」でイランの人々が体制に対して蜂起した際は、米国は影響力の行使をためらい、体制側は自由を愛するイラン人を殺害、投獄するなどした。イランの体制は勇気づけられ、イエメン、イラク、シリア、レバノンに影響力を拡大した。アサドが化学兵器を自国民に使用した際には、米国は非難しただけで力の行使を躊躇した。そして、いかなる犠牲も辞さずに平和を熱望し、我々の共通の敵であるイランと核合意を結んだ。

 我々は、これら全てのことから、米国が撤退するとしばしば混沌に見舞われるということを学んだ。我々が友邦を無視すると、怒りを掻き立てる。我々が敵と提携すると、敵は増長する。

 良いニュースがある。米国が自ら課した恥の時代は終わった。2年弱の間で、トランプ政権下の米国は、自らが中東のためになる勢力であると再認識した。

イラン攻撃
 トランプ大統領は、失敗した核合意から離脱した。米国は、解除されるべきではなかった制裁を再開した。我々は、イランの体制がテロと破壊を世界に広めるために用いる収入源を絶つべく、新たな圧力キャンペーンを開始した。

 我々は、イランの体制の革命的アジェンダに対抗する必要性につき、同盟国との間で共通理解を強化している。各国はアヤトラを甘やかすのではなく対抗しなければならないとの理解を深めている。世界中の国々が、イランの体制に対抗すべく、今までになく我々の側に集まっている。

 中東と世界に対するイランの邪悪な影響力と行動を止めさせるキャンペーンを緩めることはない。2月11日で、抑圧的体制がイランで権力の座について40年になる。米国の経済制裁は歴史上最強であり、イランが普通の国のように振る舞うまで、さらに強化される。イランの脅威が続いているため、5月に発表した12の要求(2018年6月12日付け本欄『米国からイランへ「12の要求」』http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13020 参照)は依然として有効だ。

参考:‘A Force for Good: America Reinvigorated in the Middle East’(米国務省HP、Jan 10, 2010)

 ポンペオは演説で、オバマについては、中東でISが台頭し、イランの勢力が拡大したのは、米国が過早に撤退したためであり、オバマは中東情勢の判断を誤ったと言っている。オバマの中東からの撤退は、それまでの米国のアフガン、イラクへの過剰介入への反省の面が強く、その意味では歴史的必然であったと言えるが、イラクからの過早な撤退がISの台頭を許したことは事実であり、批判されるのは無理もない。しかし、ポンペオは、2009年のカイロでのオバマの演説の内容に言及し、名指しこそしないが異例の個人攻撃をしている。これはトランプのオバマ批判の執念をそのまま反映したものと言える。

 ポンペオは、米国はオバマの中東政策の失敗から、米国が撤退すれば混乱が生じる、友邦をおろそかにすれば怒りを生じる、米国はテロとの戦いが終わるまで撤退しない、ということを学んだ、と述べている。しかし、トランプのシリアからの撤退の決定は、オバマの教訓を学ばなかったことを示している。

 この演説は、中東政策演説ということになっているが、その中心はイランの封じ込めである。上記要旨では割愛したが、イランと対決しているサウジなど一部の湾岸諸国やイスラエルとの関係を重視する、としている。イランとの対決政策の手段としては制裁と外交努力を挙げているが、それ以上いかにイランを封じ込めるかの具体策は示していない。

 中東政策はイランの封じ込めだけではない。中東での存在感を増しているロシアにどう対処するか、一筋縄ではいかないトルコとどう向き合うかも、米国にとって重要な中東政策であるが、ポンペオは触れていない。

 ポンぺオは、米国は中東のためになる勢力であると見得を切ったが、サウジ、イスラエルなどごく一部の国以外にとっては、説得力に欠けるだろう。ポンぺオ自身は、2009年のオバマ演説に匹敵する重要演説と自負しているようだが、中身が薄く、説得力に乏しい演説である。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15141
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/359.html

[国際25] スペースX、従業員の1割解雇の波紋
スペースX、従業員の1割解雇の波紋

2019/01/30

土方細秩子 (ジャーナリスト)


(Tom Cross/Gettyimages)
 スペースXが突然全従業員6000人のおよそ1割に相当する577人の解雇を発表した。解雇者の中にはプロダクション・マネージャー、宇宙航空技術者、機械工、在庫管理者など様々な分野の従業員が含まれている。

 昨年には21ものロケット打ち上げに成功し、飛ぶ鳥を落とす勢い、と周囲から思われていたスペースXが、なぜ今大量のリストラを行うのか。CEOであるイーロン・マスク氏はこの件についてコメントしていないが、同社社長であるグイン・ショットウエル氏は「火星に宇宙飛行士を送る、というような大望を実現するために、会社をスリム化する必要がある」と語る。

 スペースXは1月11日に10個の通信衛星を打ち上げるためのファルコン9の打ち上げに成功したばかり。売上額は明らかにされていないが、NASAや米軍との契約により数十億ドル規模の収入があるとみられている。特に国際宇宙ステーションへの貨物や人を輸送するカプセル計画は26億ドルに達する支払いが行われる、と見られている。

 それがなぜ今大量のリストラを行うのか。ひとつ考えられるのは、昨年の21基というロケット打ち上げのペースが今年も維持できる保証がない、という点だ。一昨年の18基の打ち上げから増加した分、人手も必要だったが今年の先行きが不透明であり、月周遊旅行用のロケット開発にも巨額の資金がかかることから、まずは余分なコストをカットする、という見方だ。

 しかし一方でスペースXの経営は本当に大丈夫なのか、という懸念の声もある。スペースXに付帯する形で作られたトンネル会社、ボーリングは昨年12月に初のトンネルとそこへ昇降するための車用エレベーターをロサンゼルスで公開したが、当初のロサンゼルス西側、UCLA付近と空港を結ぶトンネル計画は通過地帯の住民の反対により頓挫。他の計画も順調に進んでいるとは言い難い。

 マスク氏はボーリング社のロゴがついた火炎放射器やTシャツ、キャップなどを売り出し、「資金の足しにしている」とジョークとも取れる発言を繰り返しているが、実際にそうしたグッズ販売に頼りたくなるほど台所事情は厳しいのではないか、と疑う声は以前からあった。スペースX本体の経営は企業や政府との契約のため一応安泰ではあるが、本来の業務を超えて月旅行や火星移住ロケットなどに資金を使っているため、全体として経営が苦しい、という見方だ。

 従業員にとっては寝耳に水のような解雇通告だったようで、ツイッターなどでは「ハードワークをこなしてきた人々にとって、あまりにも不公正なやり方だ」などの内部批判も見られる。会社側は最低でも8週間分の賃金保証、またロサンゼルス周辺での他の宇宙航空産業への再就職斡旋などを行う、としているが、納得できない従業員からは「自分のスキルセットがもう不必要になったから簡単に切り捨てられた」という恨み節も聞こえてくる。

パフォーマンス?
 レイオフは政治的なもの、あるいはマスク氏のパフォーマンス、という批判もある。実際レイオフによるコスト削減は年間で最高でも1億ドルだ。大型ロケットであるBFRや全世界に衛星インターネット網を提供するためのスターリンク開発費用から見るとあまりにも些少な額とも言える。

 しかも、マスク氏が突然「BFRロケットの開発、組み立て施設をテキサスに移す」と発言した、と報じられ、ロサンゼルス市長が不快感を表すコメントを出す騒動も起きた。というのもロサンゼルス市はロサンゼルス港の一等地をスペースXに対し優遇リースで提供する、という発表が昨年行われたばかりだ。BFRは全長300メートルを超す大型ロケットで、「陸上での輸送が困難」であるため直接海上輸送に出せるロサンゼルス港での工場建設を市に対し申請していた。

 この報道について、マスク氏は1月16日に「報道は正しくない。テキサスに作る予定なのはプロトタイプの開発施設で、ロサンゼルス港の工場建設予定は変わらない」と返答した。しかし大量リストラに続き土地価格が安く、企業誘致に熱心なテキサスが法人税の優遇などでスペースXにアプローチしているのも事実で、ロサンゼルスにとってはトヨタが米国の本社機能などをテキサスに移した、という悪夢が蘇るのも頷ける。現在ロサンゼルス市の南にあるホーソン市にあるスペースX本社までテキサスに移るのはなんとしても避けたい、というのが市の本音だが、テキサスに移ることでスペースXが経費を削減できる側面もある。

 一方でこのようなコスト削減への努力は投資家へのアピールにもつながる。少数精鋭で最新技術開発に挑む、という姿勢が評価されるのだ。しかしそのようなポーズあるいはパフォーマンスのために首を切られる側としては納得できない、という声が上がるのも無理はない。

 スペースXは米国でも有数の人気企業であり、就職は非常に困難と言われる。無償のインターンシップでさえ募集をかければすぐに枠が埋まるほどだ。会社とすれば人を減らしてもまた募集をかければ必要な人材はすぐに集まる、という考えかもしれないが、マスク氏の壮大な夢を共有したいと願い、努力を払ってきた人々への道義的責任が今後問われることになるかもしれない。今年もマスク氏をめぐる話題は尽きそうにない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15217
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/362.html

[経世済民130] 歳出増を止められるのか。年金需給対策(大前研一)日本電産業績減益見込  中国出生数と男女比がもたらすシリアスな問題

歳出増を止められるのか。年金需給対策 (大前研一)

年金需給増加により歳出増

 日経新聞が報じたところによりますと、厚生労働省が公的年金の受給開始年齢を、75歳まで繰り下げる検討に入ったことがわかりました。現在は70歳が開始の上限ですが、さらに上の選択肢を作るもので、働く高齢者を増やし、社会保障を支える側に回ってもらいたい考えです。
 これを75歳で選択するとしたら、65歳の受給額に84%上乗せするとしています。何とかなると思って選択した人たちが、割と早めに死んでくれるという期待があるのでしょう。

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 一般会計歳出の主要経費の推移を見ると、社会保障関係費が1990年、2000年そして現在と、爆発的に伸びていて、どうしようもない状況になっています。


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 その内訳を見ると、医療給付の次が年金給付ということで、年金を十分に積み立てていれば良いのですが、足りない分はこうした形で国家予算の方から出てくるということなのです。社会保障に関しては、かなり大変な状況になっているのです。
 75歳までの引き上げ、その狙いは受給の期間が短いということです。84%も上乗せとなれば、良いと思う人もいるかもしれません。かく言う私も来月76歳になり、それに適応する歳になっています。

日本電産業績減益見込み

 日本電産は17日、今期の連結純利益が、前の期に比べ14%減少の1120億円になる見通しを発表しました。最高益更新を見込んでいた従来予想の12%増から一転して、減益となるものです。中国の景気減速により、主力のモーター販売等が落ち込んだことが要因としています。

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 あの、経営に非常に鋭い感を持った日本電産の永守会長が、これは経験がない、尋常ではないと話しているのです。46年間経営をしてきて、初めてのことだと言うのです。実は永守会長の勘が当たっているのです。今、半導体関連や半導体製造装置は、キャンセルに次ぐキャンセルの状況になっています。去年の11月、12月、年が明けても変わらず、急減速しているのです。
 一つには米中貿易戦争もありますが、中国そのものもともと非常に減速に入っていたことも影響しています。台湾系の会社なども中国で展開しているので、これが今トランプ大統領のターゲットになっています。したがって台湾系の企業も共連れになり、UMCやTSMCといったファウンドリーなども含めて、中国ががくんと落ちてきているのです。
 永守会長は部品をやっているので非常によくわかると思います。これは景気の先行指標ではありませんが、同行指標、同時進行の指標であり、状況は永守会長の言う通りなのです。
 日本電産の業績推移は赤丸急上昇かと思いきや、売上高が伸び悩み、営業利益、純利益ともに減益予想となりました。最高を達成すると言っていたわけなので、彼にとってはショックなことだったと思います。
 しかし、この永守会長の感覚をまだわかっていない経営者もたくさんいるのです。こうした鈍い経営者が多くいるのです。彼らは結果が出るまで見えないのかと思いますが、永守会長のセンサーとしての役割、感覚は非常に重要で、あのプライドのある人が、俺も初めてだ、尋常ではないと言ってくれたのは、非常に大切な警鐘だと思います

中国出生数と男女比がもたらすシリアスな問題

 中国国家統計局が21日に発表した、2018年の出生数は、前の年に比べて200万人減少の1523万人でした。すべての夫婦に二人目の出産を認めた2016年は高水準となりましたが、翌年にはその効果が薄れ、18年は反動で大きく減少したとみられます。
 一人っ子政策があるから一人だと思っていましたが、中国の場合には長く続いた一人っ子政策の様々な影響が出ているのです。
 一つには、その最先端の人が30代になってきているということです。彼らは6つのポケット、リトルエンペラーと言われているように、双方の祖父母と両親が、一人に集中してきました。それによってひ弱い子が育ってしまっているのです。怒られたら弱いという面があるなど、我々がよく知っている昔の中国人とは全く違う、競争に弱い人たちが出てきているのです。
 また、学校などは、プライベートの授業料等が非常に高くなっていて、結果的に二人産むとやっていけないという状況になっているところもあるのです。どうぞ自由に産んでくださいと言って、本当に欲しかった人はすぐに産みましたが、それ以外の人はむしろ一人以上は無理だということになってしまったわけです。
 3年目にはその影響が非常にはっきりと出てきてしまい、結果的に中国は、やはり非常に低欲望で、産んでよいと言われても一人で充分といった状態になってしまったのです。時あたかも、中国も、日本同様に低欲望社会になっているということで、私の、「低欲望社会」という本の中国版もよく売れています。中国には元気を出してもっとたくさん産んでくれないと、中国らしさが失われてしまうのです。
 私の本が売れるのはありがたいですが、しかしいくつか不安な理由もあります。中国の年齢階層別女性人口比を見てみると、男を100とした女性の割合がどんどん減っているのです。こうした世代が20代後半から30代になってくると、結婚の相手に困ってしまうのです。圧倒的に女性が強い社会になるのです。

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 世界で男女比がここまでずれているところは他になく、全く未踏の世界だと言えます。戦争があって男性が多く殺されたところは、日本やドイツ等にありましたが、それ以外ではこうした現象は見たことがないのです。統計的に見ると、女性が多く住んでいるというところとしては、フィンランドのタンペレという第二の街があり、そこには女性人口が圧倒的に多く住んでいます。しかしそこは繊維の街で、昔、女工さんがたくさんいたので、そういう構成になっているのです。それ以外にこうした大きな差は見たことがありません。
 これは社会的には非常に難しい問題です。今フィリピンやなどから集団見合いのような形で対策をしていますが、これは何億という人たちに影響していることなのです。低欲望以上に、ここから先は女性支配の社会になっていくということです。しかも女が男を非常に厳しく選ぶのです。弱い男が多ければ、今度は逆にそういう人とは結婚などしないということになってきます。これを社会現象としてから対策して行くのか、中国にとっては非常にシリアスな問題だと捉えています。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
1月27日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼講座受講をご検討頂いている皆さまへ


▼その他の記事を読む:
【前回の記事】エネルギー地政学一変と新興国の新興企業とは(大前研一)

https://asset.ohmae.ac.jp/mailmagazine/backnumber/20190130_1/

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/784.html

[経世済民130] 迫りくるハイテクバブルの崩壊 一角獣かチェシャ猫か、2000年との大きな違いは資本市場の変化 
迫りくるハイテクバブルの崩壊
一角獣かチェシャ猫か、2000年との大きな違いは資本市場の変化
2019.1.30(水) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2019年1月28日付)

各国の早急なデジタル・テクノロジー普及を提言 ダボス会議でアリババ研究機関
スイスで開催された世界経済フォーラム会場(2019年1月22日撮影)。(c)CNS/彭大偉 〔AFPBB News〕

 先週の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)と現実世界の間には、多くの食い違いがあった。

 最も目を引く食い違いの一つが、多くの会議参加者が示したハイテク楽観主義で、市場自体が今年ハイテク業界について見込んでいることと著しいコントラストを成していた。

 特に、今後相次ぐ新規株式公開(IPO)は危なっかしく見える。

 配車アプリ大手ウーバーテクノロジーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)はダボスを駆け回り、間近に迫った同社のIPOについて盛んに宣伝していた。

 だが、その話には、どこか切迫感が漂っていた。

 ウーバーは同業のリフトのほか、スラック、エアビーアンドビーなどの未上場ハイテク大手とともに、早めに株式を上場しようとするだろう。

 それも迫りくる景気後退や振れの激しい市場のためだけではない。

 非公開市場での資金調達であまりに図体が膨れ上がったために、市場が会社のバリュエーションを支えられるかどうか不透明だからだ(例えばウーバーの企業価値は1000億ドルと評価されている)。

 こうした企業にしてみれば、得られる金額が大きいうちに、お金を手に入れたい。

 この状況は、世紀の変わり目に起きたドットコム・バブルとその崩壊と似ているところもあれば、似ていないところもある。

 当時、筆者はロンドンのベンチャーキャピタル(VC)に勤めていた。

 仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの出資を受けたオンライン小売企業ブー・ドットコム――その後破綻したブーは欧州版のペッツ・ドットコムのような企業――といった企業は豪華な広告に莫大な資金をつぎ込み、自称起業家はネットワーキングイベント「ファースト・チューズデー」で楽に手に入る資金を漁り回った。

 誰もが襟につけなければならなかった、投資家は赤、起業家は緑のシールを皆さんは覚えておいでだろうか。

 あの当時は、今と同じように信用サイクルが終盤に入っており、過剰なお金が足りない価値を追い回していた。

 そして当時も今と同じように、投資家は、相次ぐ人気IPOが明らかに過大評価された市場にもう少し油を注いでくれることを当てにしていた。

 大西洋の両岸で、あれがどんな終わりを迎えたかは、誰もが知っている。

 といっても、当時、何の価値も生み出されなかったということではない。今も価値は生み出されている。

 ドットコム・バブルの崩壊で廃業に追い込まれた高級Tシャツ業者や失敗に終わったドッグフード小売企業が1社あるごとに、何キロものブロードバンドケーブルが敷設され、グーグルのような企業が今活用しているインフラを作り出した。

 現在のシェアリングエコノミー(共有経済)には、かつて全く存在しなかった市場と利便性がある。

 この2つの時代の本当の違いは、資本市場そのものにある。

 VCの資金は2000年を境に激減した後持ち直し、金融危機後に再び減少し、2014年以降、記録的な水準まで持ち直した。

 新規スタートアップ企業の数は劇的に増えた。だが、IPOの件数は減っている。これは、あるパラドックスのせいだ。

 技術のおかげで会社を立ち上げるコストが安くなったが、成功するには以前よりお金がかかるようになっているのだ。

 なぜか。株式時価総額が10億ドルを超える次の「ユニコーン(一角獣)」新興企業を築き上げようとする軍拡競争が起きているためだ。

 カリフォルニア大学の学者、マーティン・ケネディ、ジョン・ジスマン両氏がまもなく発表するスタートアップ企業の資金調達の変化に関する論文「ユニコーン、チェシャ猫、そして起業ファイナンスの新たなジレンマ」で指摘しているように、「それぞれのスタートアップ企業が、首の骨が折れそうな、ほぼ必ず赤字の成長を特徴とし、多くの場合、それと分かる黒字転換への道筋がない急拡大を通じて勝者総取りの力学に火をつけようとしている」。

 過去5年ほどで、VCの支援を受けたユニコーンの数が劇的に増加した。

 ウーバー、リフト、スポティファイ、ドロップボックスといった企業は、赤字を好きなだけ垂れ流しながら、なおバリュエーションを伸ばし続けることができる。

 実際、これが新しいビジネス力学の一部になっている。

 低い参入障壁の結果、競合企業がひしめき合い、市場シェアを獲得するために使えるだけのお金をつぎ込む競争が繰り広げられるようになった。

 この非生産的なサイクルから出現する非上場企業の図体が膨れ上がるだけでなく、VC自体も肥大化する。

 かつては聞いたこともなかった10億ドル規模のベンチャーファンドが、今では当たり前のように存在する。

 昨年、有力VCのセコイア・キャピタルは80億ドルのシードファンドを調達し、ソフトバンクは何と1000億ドルのファンドを立ち上げている。

 規模は、もちろん、規模を呼ぶ。

 いよいよ多くの重量級VCがスタートアップ企業の価値を競り上げると、ほかのVCも追随を余儀なくされる。これは競るか、降りるかのどちらかだ。

 その結果生じたのは、IPO市場の新たなバブルだけではない。利益について心配しなければならない多くの上場企業の弱体化にもつながった。

 典型的な例が、ウーバーがひっくり返したタクシー業界や、エアビーがひっくり返したホテル業界だろう。

 帳簿上で膨れ上がったユニコーンの価値を利用し、さらに資金を調達し、さらに運用報酬を稼ぐことができる一部のVCにとっては、これは良いことかもしれない。

 だが、どうすればこれが全体的な経済的価値にとって好ましいのか、筆者には分からない。

 独占企業を築き上げるために、赤字企業を莫大なデットファイナンス(銀行借り入れや社債、私募債発行による資金調達)で支えることは、一部の起業家と投資家にとって利益になるかもしれないが、資本市場と労働市場を歪めるし、反競争的でもある。

 投資家が成長を評価尺度として受け入れる意思がある限り、音楽が鳴り続ける。

 だが、カリフォルニア大学の学者たちが指摘しているように、「ユニコーンは伝説上の生き物」だ。

 今年、こうした企業の財務の現実や現在の資金調達モデルの持続可能性が真価を問われる待望の局面が訪れるだろう。

 誇大喧伝されている新たな顔ぶれの企業集団の一部はいずれ、「不思議の国のアリス」に登場する例のチェシャ猫と化して姿を消し、バブル崩壊前に手を引いた人たちのニヤニヤ笑いだけが後に残ることになるのかもしれない。

By Rana Foroohar

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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55344
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/785.html

[国際25] 「世界はどんどん悪くなっている」は本当か!? 世界の見方が変わる新刊『ファクトフルネス』がもたらす“驚き”  

「世界はどんどん悪くなっている」は本当か!?
世界の見方が変わる新刊『ファクトフルネス』がもたらす“驚き”
2019.1.30(水) 中川 ヒロミ

※本記事最後にWeb上で参加できるクイズがあります。
 小学生の息子が「最近は、外国人の犯罪が増えているみたいだねえ」と話しかけてきた。テレビで、外国人の犯罪を扱ったニュースや番組を見たからだという。試しに周囲の人(大人)に「最近、外国人の犯罪が増えていると思う? 減っていると思う?」と聞いたところ、「増えている」と答えた人が多かった。

 では、実際はどうなのか? ネット上で検索すると、「平成29年版 犯罪白書」の統計データがすぐに見つかった(図1)。
外国人による刑法犯の検挙件数は,平成17年に4万3,622件を記録した後,18年から減少に転じ,28年は1万5,276件(前年比4.6%減)であった。また,外国人による刑法犯の検挙人員は,11年から増加し,17年に1万4,786人を記録した後,18年から減少し続けたが,25年から増減を繰り返し,28年は1万750人(同2.7%減)であった。同年における刑法犯検挙人員総数(22万6,376人)に占める外国人の比率は4.7%であった。

出典:法務省 平成29年版 犯罪白書 第4編/第9章/第2節/1
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/64/nfm/n64_2_4_9_2_1.html
図1 外国人による刑法犯 検挙件数・検挙人数の推移(平成元年〜28年)
出典:法務省 平成29年版 犯罪白書 第4編/第9章/第2節/1
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/64/nfm/n64_2_4_9_2_1.html
 なんと「来日外国人検挙件数」は10年前からだいぶ減っているじゃないか。「その他の外国人検挙件数」(つまり留学、技能実習、観光など)や「検挙人員」などはそもそも大きな変化がない。
 ただし、検挙の“数”が増えていないことはわかったが、犯罪“率”が増えているかもしれない。そのためには母数が必要だ。日本に観光で来る人が最近急増しているのはだれでも知っているだろう。観光以外の人はどうかというと、法務省の「在留外国人数」という統計データが見つかった(図2)。つまり永住、留学、技能実習などの人たちだが、これも増えている。母数が増えているにもかかわらず検挙数は増えていないことがわかる。
図2 在留外国人数の推移(平成19年〜29年)
出典:法務省 平成29年末現在における在留外国人数について(確定値)http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00073.html
 これだけではすべての外国人数が把握できていないだろうし、そもそも検挙率が下がっていれば、検挙数は変わらなくても犯罪数は増えている可能性がある。細部を追求すればきりがないが、少なくともここまでの統計資料からは、「外国人の犯罪が増えている」という明らかな材料は見つからなかった。
 このような「間違った思い込み」はどんな人でも持っている、という例として挙げてみたが、あなたはどうだろうか?
間違った思い込みを生む原因は何か?
 私自身は、外国人の犯罪が減っていることを知っていたわけではないし、そもそも犯罪白書を読んだのも初めてだ。それでも「外国人の犯罪が増えているのでは」という息子の考えを疑ってみたのは、『FACTFULNESS』(ファクトフルネス)という本を最近編集したからだ。本書は1月の発売直後から大きな反響をいただき、発売1週間で10万部と非常に好調な売れ行きを示している。
「ファクトフルネス」とは、スウェーデン人の医師で統計の専門家でもあった著者・ハンス・ロスリング氏の造語だ。ファクト(事実)を基に考える習慣といった意味で、この習慣を身につけると世界がよくなっていることがわかり、癒されると書いている。
『FACTFULNESS』ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著、上杉周作、関美和訳、日経BP社
 ロスリング氏は、長年にわたって「みんなが世界を正しく見られないのはなぜだろう」と考え、調査し、理由を分析し、対策を考えてきた。その経験をもとに、ダボス会議や世界的な企業の研修などで「データを基に世界を正しくみる方法」を紹介してきた。TED Conference(さまざまな分野の人物がプレゼンテーションを行う講演会)での講演は累計3500万回も見られるほどの人気を集めている。
 そのロスリング氏は世界30カ国で、「世界はどのように変化していると思いますか?」と質問を投げかけた。選択肢は、「どんどん良くなっている」「どんどん悪くなっている」「良くなっても、悪くなってもいない」の3つ。その結果、日本を含むすべての国で、半数以上が「どんどん悪くなっている」を選んだそうだ。
 ところが、統計データを見ると世界は多くの面で良くなってきていることがわかる。例えば、世界で極度の貧困にある人は、ここ20年で20%から9%と半減した。災害による1年あたりの死者数は1930年代には平均で97万1000人もいたが、2010年代には平均7万2000人と劇的に減っている。平均寿命も伸びているし、学校に行けるようになった子供も増えている。電気を使える人も増えている。
 それなのになぜ、多くの人が「世界はどんどん悪くなっている」と考えてしまうのだろうか。
悪いニュースの方が報道されるのは「恐怖本能」のため
 ロスリング氏によると、「世界はどんどん悪くなっている」と人々が考えるのは、彼らが持つ本能による思い込みがあるからだという。
『FACTFULNESS』著者の一人、アンナ・ロスリング・ロンランドさんと本稿著者(持っているのは原著)
『FACTFULNESS』ではその本能を10に分類して紹介している。その一つが「恐怖本能」だ。人間は生き延びるために「恐怖」に敏感になった。そのため、恐怖に駆られる情報には誰もが興味を持つ。多くの人が興味を持つニュースはよく「読まれ」よく「見られる」から、マスコミはより恐怖にまつわる情報を配信する。
 するとどうなるか。「良いニュース」よりも「悪いニュース」のほうが報道される。「ここ10年で外国人の犯罪は4分の1に減りました」というニュースよりも、「昨日、外国人による犯罪がありました」というニュースのほうが詳しく何度も報道されるのは当然だろう。すると、そのニュースを見たり読んだりしている人たちは、「外国人の犯罪がどんどん増えている」と思い込んでしまうのだ。
 この思い込みを防ぐためには、「悪いニュースのほうが広まりやすいと覚えておこう」とロスリング氏は書いている。こうした「ファクトフルネス」の習慣を身につければ、「それは本当かな?」と調べるきっかけになる。統計データの多くはネット上で公開されているから、時間も労力もそれほどかからない。それによって本当のことがわかれば、誤った情報に踊らされずにすむようになるし、安心できる。
 ロスリング氏は上記のような世界情勢に関する質問を、さまざまな属性の人々に質問した。学歴が高く国際情勢に詳しいなどいわゆる“賢い人”でも、多数が間違った思い込みをしているし、一般人の平均スコアを下回る人が何人もいたという。

 あなたもロスリング氏が投げかける「世界の事実に関する13問のクイズ」(本書9ページから)に挑戦してほしい。本書を買っていただけるとうれしいが、Web上でもクイズの回答と採点ができる(https://factquiz.chibicode.com)。プログラマーでもある訳者の上杉周作さんが作ったものだ。3択なのでチンパンジー(ランダムに回答する)ならだいたい4問正解する。あなたははたしてチンパンジーに勝てるだろうか?
 あなただけでなくどんな人でも同じような思い込みや勘違いをしている。それは「だれかのせい」というものではなく、もともと持っている本能のためだ。その本能を克服し、ファクトフルネスの習慣を身につけていけば、世界はもっと良くなるのではないだろうか。
  

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55284
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/363.html

[国際25] IFR:米ADP民間雇用者数、1月は+21.3万人 予想上回る  トランプ、北朝鮮やイラン巡る情報機関トップの見解を一蹴
ビジネス2019年1月31日 / 00:35 / 23分前更新
IFR:米ADP民間雇用者数、1月は+21.3万人 予想上回る
Reuters Staff
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[ボストン 30日 ロイター/IFR] - 企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが公表した1月の全米雇用報告は、民間部門雇用者数が21万3000人増と、市場予想の17万8000人増を上回った。

2018年12月の数字は当初発表の27万1000人増から26万3000人増へ下方改定された。11月の数字は15万7000人増から14万8000人増へ下方改定された。

ADPの全米雇用報告は総じて、米労働省が発表する雇用統計と動きが一致する傾向がある。12月の全米雇用報告は27万1000人増と、同月の雇用統計の30万1000人増を大幅に下回ったものの、1月の全米雇用統計が好調だったことを受け、2月1日に発表される1月の雇用統計の市場予想が上方改定される可能性がある。今のところ、雇用統計の市場予想は17万人増となっている。

全米雇用報告の内訳は生産業が6万8000人増と底堅く伸びた。18年2月以来の大幅な増加だ。建設業が3万5000人増、製造業が3万3000人増だった。天然資源採掘は1000人減と、17年9月以来初めて落ち込んだ。

サービス業は14万5000人増と、過去16カ月間で3番目に少ない伸びとなった。専門サービスは2万9000人増と雇用者数の伸びが前月から1000人減ったものの、依然として4年超ぶりの勢いを保っている。一方、貿易・輸送・公益事業サービスは1万3000人増と、17年10月以来の弱い伸びにとどまった。その他のサービスは2000人増と、17年3月以降で2番目に小幅な伸びだった。

*体裁を整えて再送します。
https://jp.reuters.com/article/us-adp-idJPKCN1PO23Z


 


トップニュース2019年1月31日 / 01:30 / 16分前更新
トランプ米大統領、北朝鮮やイラン巡る情報機関トップの見解を一蹴
Reuters Staff
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[ワシントン 30日 ロイター] - トランプ米大統領は30日、情報機関トップによる北朝鮮の核放棄を巡る考察を重要視しない考えを示したほか、イラン問題を巡り「過度に受け身でナイーブ」と批判した。

コーツ米国家情報長官は前日上院情報委員会で行った証言で、北朝鮮が実際に核兵器能力を放棄する公算は小さいとの認識を示した。さらに、イランは核爆弾製造を目指していないと述べ、トランプ大統領の見解とは対照的な考察を示した。

トランプ大統領はこの日ツイッターへの投稿で「情報機関はイランの脅威に関し、過度に受け身でナイーブのように見える。彼らは間違っている!」と批判。イランは「ぎりぎりのところまで近付いている」とし、「情報機関の人間は学校に行き直すべきだ!」と述べた。

北朝鮮については「米朝関係は史上最善の状況にある」とし、「非核化に向けまずまずの可能性がある」と強調した。その上で「近く金正恩朝鮮労働党委員長と会談することを心待ちにしている」と述べた。

また、シリアから米軍を撤収をする自身の決定を擁護。「米国は過激派組織『イスラム国(IS)』を打倒した」とし、ISがもはや脅威でないと強調した。

コーツ国家情報長官は、ISがシリアやイラクから近隣諸国や米国を含む西側諸国に攻撃を続けるとの認識を示している。
https://jp.reuters.com/article/usa-security-trump-idJPKCN1PO29O
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/364.html

[政治・選挙・NHK256] 日本を「仮想敵」扱いして準備してきた韓国軍 自衛隊機へのレーダー照射は“突然の出来事”ではない 
日本を「仮想敵」扱いして準備してきた韓国軍
自衛隊機へのレーダー照射は“突然の出来事”ではない
2019.1.30(水) 古森 義久
韓国国防省、光州事件の性的暴行で公式謝罪
韓国国防省で演説する鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相(2018年9月21日撮影、資料写真)。(c)KIM HONG-JI / POOL / AFP〔AFPBB News〕

(古森 義久:ジャーナリスト、産経新聞ワシントン駐在客員特派員)

 韓国軍による日本の自衛隊に対する敵性のにじむ行動が波紋を広げている。実は韓国軍は伝統的に日本を脅威とみなす軍事強化策をとっており、米国から警告を受けた歴史がある。これは日本ではほとんど知られていない重要な事実である。

 北朝鮮の軍事脅威が顕著な1990年代、韓国は北朝鮮に対抗する軍備として最も必要な地上部隊の強化を後回しにして、日本を仮想敵と見立てて海軍や空軍の増強に力を入れた。そして、その施策について米国当局から抗議を受けたという現実が存在するのだ。

今に始まったことではない韓国軍の反日姿勢
 韓国軍が日本の自衛隊に対して挑発的な行動をとっている。現在日本では、その動きの理由として「一部の将兵が勝手に行動したのだろう」あるいは「日韓の政治的な対立のために韓国の一部の軍人が感情的となり、腹立ちまぎれに日本への威嚇的な動きに出たのだろう」という見方が多数派であるといえよう。

 日本と韓国はともに米国の同盟国であり、近年の北朝鮮や中国の軍事脅威に備えて、米日韓三国で防衛協力する必要性が叫ばれている。そんな中で、韓国軍による日本の自衛隊機への危険なレーダー照射などが起きるのは、韓国軍が一時の感情に突き動かされて、過剰な反応へと走ってしまったのに違いない、という見方である。また、たまたま北朝鮮漁船と接触しているところを自衛隊機に見つけられたため、追い払ったのだという解説もある。

 ところが、韓国軍部の反日姿勢は今に始まったことではない。韓国は、二十数年前から安全保障戦略や軍事面でも日本を仮想敵および脅威とみなして、対策をとってきた。韓国軍の反日姿勢には長い歴史が存在するのだ。

韓国海軍の駆逐艦からレーダー照射を受けたP-1哨戒機の同型機(資料写真、出所:Wikipedia)
「中長期の日本の潜在的軍事脅威に備える」
 その事実を、私自身がワシントン駐在の記者として書いてきた産経新聞の記事を通して紹介しよう。

 まずは今から25年前、産経新聞の1994年12月5日の朝刊国際面に載った記事である。《韓国軍の空・海強化計画 「日本脅威」傾き過ぎ 米共和党 次期議会で調査開始》という見出しが付けられていた。

《【ワシントン4日=古森義久】米議会の共和党は、韓国軍の軍事能力強化の計画が日本を潜在的脅威と見立てた空、海軍の増強に傾きすぎている─として1月の次期議会で公聴会などを開き、本格的な調査を開始することになった。米議会側では、「韓国は在韓米軍と共同で北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の脅威に備えるため、地上防衛軍の強化に最重点を置くべきだ」と主張しており、ウィリアム・ペリー国防長官も韓国が日本を仮想敵として中長期の防衛計画を立てている実態を認め、韓国側に抗議したことまで明らかにしている。
 共和党筋が3日までに明らかにしたところによると、議会共和党は上院外交委員会などを中心に第104議会で、韓国軍の兵器調達計画などの調査を開始する方針を決めた。特に在韓米軍の任務に関連して、韓国の中長期の軍事計画が日本を潜在的脅威とみての増強に比重を置きすぎているとの認識に立ち、米国の防衛予算の使途という見地から下院予算委員会なども加わって公聴会を開くことも予定しているという。
 米議会では、韓国軍の軍事計画の現状を「米韓共同防衛態勢のゆがみ」ととらえ、下院が今年(1994年)6月、「米韓共同防衛では北朝鮮の現実の脅威に対し、原則として韓国軍が地上防衛、米軍が空、海の防衛と責任分担が決まっている。だが、韓国軍は地上防衛能力になお欠陥があるにもかかわらず、その改善計画では費用の顕著な部分を地上防衛以外の分野に向けている」と指摘。その是正を目指すために、米国防総省に調査と報告を求める決議案を可決した。
 この決議は「他の分野」として、(1)潜水艦(2)駆逐艦(3)高性能の航空機─をあげ、「これらの兵器は地上軍事能力の改善に役立たず、その分、米軍への負担が増す」としている。
 この決議には、韓国がなぜ北朝鮮からの攻撃への対処に直接、有用ではない潜水艦などの増強に力をそそぐのかは明記されなかったが、その理由が主として中長期の日本の潜在的軍事脅威に備えるため─とされることは、米側の議会筋や朝鮮問題専門家が明らかにしている。
 事実、今年5月にペリー国防長官がワシントンで朝鮮半島の安全保障について演説した際、議会調査局のアジア安保問題の専門家ラリー・ニクシュ氏から「議会では最近、韓国軍が日本からの仮想脅威に対処するため、空、海の軍事能力強化を優先させていることに批判がある。韓国側にその是正を要請したか」という質問が出た。
 これに対し同長官は「確かにここ数年、国防総省も韓国軍のそうした(日本を仮想脅威としての)目的の兵器システム開発計画の不適切な優先順位に懸念を抱いている」と述べた。さらに同長官は、4月の韓国訪問では韓国側にその現状を抗議し、是正を正式に求めたことを明らかにした。
 共和党議員には、米韓軍による「北朝鮮からの総攻撃に対しては北の中枢への通常戦力での大量報復」という抑止戦略が実効を失いつつあるとの認識がある。》

 1994年当時、米国側はビル・クリントン政権、韓国は金泳三政権だった。金泳三政権自体は比較的安定していたが、ちょうどこのころ、北朝鮮の核兵器開発への動きが米朝関係を緊迫させるようになった。北朝鮮の軍事脅威が米韓両国に重大に認識されるようになっていたのだ。

 ところがそんな時期であるにもかかわらず、韓国軍は北朝鮮との戦闘に不可欠の地上戦力を強化せずに、海軍や空軍の増強に力をそそごうとした。その動機は、日本を脅威とみる認識だった。

 この歴史的な事実は現在の日韓関係の悪化をみるうえで重要な意味がある。韓国側の日本敵視はこれだけ根が深いのである。

WSJが伝えた米国政府の強い不満
 日本を脅威と捉える韓国側の認識と、その認識に基づく防衛政策について、私は翌年(1995年)にもワシントンから同じ趣旨の記事を発信した。1995年1月19日の産経新聞朝刊国際面の記事である。見出しは《米、韓国の防衛政策に不満》で、内容は以下のとおりである。

《【ワシントン17日=古森義久】韓国の防衛が当面最大の脅威とされる北朝鮮地上軍よりも日本へ重点を置き軍事力整備が進められていることに対し、米国政府が強い不満を抱いていることが17日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道で伝えられた。
 同紙はソウル発で米国の国防当局が同盟国の韓国の防衛政策に強い不満を抱いていることを報じた。この記事は「韓国国防省は長期の脅威としては北朝鮮よりも日本を恐れている」「米国政府当局者は韓国の北朝鮮への対抗戦闘能力を疑問視している」という見出しで、ソウルの韓国防衛関係者や在韓米軍当局者の説明を伝えている。
 同記事によると、韓国軍当局は「360度防衛」の標語の下に長期の脅威としては北朝鮮よりも日本を第一に位置づける方針をとり、北朝鮮への抑止、防衛の中心となる地上兵力の強化よりも海軍、空軍の増強に重点を置く傾向が続いてきた。この政策の表れとして韓国軍は潜水艦、偵察衛星、駆逐艦などの調達に力を入れているという。
 さらに同記事によると、韓国の同盟国として共同防衛にあたる米国としてはこの韓国の「日本脅威」戦略に明確に反対し、韓国軍が北朝鮮への防衛を在韓米地上軍に依存する度合いを減らすことを要請している。(以下、略)》

日本の防衛態勢を専門に研究する部門も
 さらに私はこの記事に対して、「視点」というタイトルの短い解説記事を書いた。その記事は本体の記事と同じ日の紙面に掲載された。全文を引用しよう。

《【視点】韓国軍の空・海強化計画 「日本脅威」傾き過ぎ 対日認識屈折あらわ
 米議会の共和党が韓国軍の日本を潜在的脅威とする増強計画に批判を強めたことは、韓国の安全保障面での屈折した対日認識に光をあてることになった。一方、米国側ではこの動きは共和党主体の新議会が同盟国との共同防衛の責任分担区分をより厳密に求める傾向を示したといえる。
 米韓防衛関係を長年、研究する米海軍大学院のエドワード・オルセン教授は「想定可能のあらゆる事態に対応する軍事シナリオを考えるのが軍の任務だから、危険視する必要はないが、韓国軍が日本を将来の潜在的脅威、あるいは仮想敵として軍事対処を検討しているのは事実だといえる」と述べる。
 別の米国軍事筋は、(1)韓国軍部には北朝鮮が現状の政体のまま続くのは10年未満とみて、朝鮮半島の統一、米軍の撤退という展望を踏まえ、日本が地域的に新たな軍事的脅威となるとの見方がある(2)韓国の国防省所属の国防研究院には最近、日本の防衛態勢を専門に研究する部門が新設され、女性研究者の宋永仙博士の下に専門家6、7人が勤務し、あらゆる事態を想定した机上演習をしている(3)韓国軍のドイツ製ディーゼル潜水艦の購入や、駆逐小艦隊の整備は日本の自衛隊に対抗するため(4)しかし近代兵器の調達には長期間を要し、調達は将来に備えてで、日本を目前の敵とみていることを意味しない─などと述べている。
 ブッシュ政権の国家安全保障会議(NSC)のアジア担当官だったトーケル・パターソン氏は「日本を対象とするようにみえる韓国の兵器類の調達や開発には、防衛産業育成という側面も大きい」と指摘する。だが、日本といま安全保障面でも交流や連携を広げる韓国が、一方で長期の視点にせよ日本を潜在的脅威と認識しているとの屈折した側面があることは否定できない。》

ちらほらと見える「衣の下のヨロイ」
 以上を、古い話だというなかれ。韓国はこんなにも前から日本を軍事面での脅威と認識してきたということなのだ。

 そしてなによりも、2019年1月の現在、日本側の防衛省、自衛隊の複数の幹部たちの言によると、韓国軍の「日本潜在脅威認識」はいまも存在し、韓国の防衛態勢にはちらほらと「衣の下のヨロイ」が散見される、という。

 この経緯をみると、最近の韓国軍の自衛隊機に向けての攻撃用のレーダー照射事件も、まったくの別の様相をみせてくるといえるだろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55339
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/868.html

[国際25] 大麻関連株から米大統領弾劾まで、今年の注目点を予想 米アップル、アイフォーン不振を救う「方程式」
為替フォーラム2019年1月30日 / 11:54 / 12時間前更新

大麻関連株から米大統領弾劾まで、今年の注目点を予想
Rob Cox
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[パリ 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - カナダの大麻(マリファナ)企業は今年も好調を保つ一方、トランプ米大統領は弾劾手続きに直面する可能性がある──。世界6都市で開いた「Breakingviews Predictions 2019サミット」で非公式の調査を行ったところ、こうした結論が導きだされた。

調査では、今年投資すべき分野や、米中貿易摩擦および英国の欧州連合(EU)離脱による影響など、金融市場の注目点について質問した。

まず投資の話から始めよう。2019年に最もリターンが高そうな投資先を訪ねたところ、ニューヨーク、トロント、パリ、ロンドン、香港の5都市でカナダの大麻企業株を選んだ参加者が最も多く、米国株、原油、中国の銀行、プライベートエクイティ、英ポンドなどを上回った。

パリの参加者の63%、香港の40%、ニューヨークの43%、英国の48%が、それぞれ大麻企業を選んだのに対し、面白いことに本国のトロントでは38%にとどまった。大麻を選んだ人が最多を占めなかったのはシンガポールだけで、42%がプライベートエクイティを選んだ。

米議会がトランプ大統領の弾劾手続きを進めるかどうかについても、各都市で総意が形成されつつある。ニューヨークでは40%が「弾劾の確率は30%」を選び、「五分五分」、「可能性が高い」、「明白にイエス」と合わせると82%の参加者が、議会下院は3割以上の確率で弾劾手続きに入ると考えていることが分かった。

パリ、ロンドン、シンガポールの3都市でも、弾劾の確率は3割以上と考える参加者の割合が半分を超えた。

米中貿易摩擦の影響についても、世界中で似通った見解が示された。貿易戦争の勝者が誰になるかとの質問では、ニューヨーク、トロント、シンガポール、香港で「勝者はいない」との回答が圧倒的に多かった。パリは異色で、中国が米国より得をするとの回答が半分を占めた。地理的に中国に近いシンガポールでは、貿易摩擦が長引けば東南アジアが最も恩恵を受けるとの回答が3分の1を占め、「勝者はいない」に次いで多かった。

パリの参加者には、5月末の欧州議会選挙でマクロン大統領の立場が強まるか、あるいは弱まるかについて質問した。大統領は政権への抗議活動「黄色いベスト」に直面しており、選挙では自身の政党「共和国前進」党が議席を落とし立場が弱まるとの回答が半分に達した。

またEU離脱を控えたロンドンでは、2020年1月時点で誰が英国の首相になっているかを尋ねた。現職のメイ首相を挙げた割合が17%、野党労働党のジェレミー・コービン党首が14%にとどまったのに対し、保守党のジャビド内相が首相に就いているとの回答が52%を占めた。

香港とシンガポールでは、2019年に中国の経済成長に最も強いブレーキをかけそうな要因を訪ねた。香港では企業債務との回答が最も多く、トランプ政権がこれに続いた。シンガポールの回答は、企業債務、個人消費の減速、トランプ大統領の3つに均等に分かれた。

ロンドン、ニューヨーク、トロントでは、株式時価総額が今年、世界1になる企業を予想してもらい、3都市すべてで米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)が選ばれた。

そしてニューヨークとロンドンでは、まだ上場していないサウジアラビアの国営石油企業アラムコを選んだ参加者が5%ほどいた。2019年に起こることについて、他の人々が知らない何かを知っているのかもしれない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/cannabis-politics-breakingviews-idJPKCN1PO04X


 

コラム2019年1月30日 / 09:54 / 12時間前更新
米アップル、アイフォーン不振を救う「方程式」
Robert Cyran
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[ニューヨーク 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米アップル(AAPL.O)は潤沢なキャッシュとサービス事業の好調さが、iPhone(アイフォーン)の直面する苦境を当面は救ってくれる力になっている。

昨年10─12月業績は事前に伝えられた通り低調だった。5%の減収からは、アップルがもはやiPhoneの販売台数急増もしくは大幅な値上げができるとの期待を持てないことが分かる。

ただサービスの利益率が上向きつつあり、1300億ドルの資本還元を表明しているため、新たな巻き返しの時間は稼げる。

iPhoneの存在が過去十数年でアップルを一変させ、今や収入の6割をもたらすに至ったが、スマートフォン市場は成熟化している。IDCの試算では、今年の世界全体の販売台数の伸びは3%弱にとどまりそうだ。

アップルはこうした流れに逆らって値上げによって増益率を維持しようとしてきた。しかしそれもゲームオーバーの様相が漂う。10─12月にiPhoneから得られた収入は、前年同期比で15%近く落ち込んだ。サンフォード・バーンスタインによると、他社のスマホの平均価格に比べて最高でほぼ5倍に設定したにもかかわらずだ。アップルは販売不振が主に中国で起きたと説明したものの、それは単に「価格ショック」が真っ先に中国を襲っただけにすぎない公算が大きい。

もっともサービス事業の急成長ぶりは幾分の気休めになる。アプリ販売や決済、オンラインストレージなどからの収入は全売上高の13%を占める。さらに利益率は63%と前年同期から5%ポイント近くも跳ね上がった。アップルはより多くの製品をユーザーに売ることで利益を伸ばしている以上、サービス関連収入比率と利益率の上昇傾向は続くはずだ。

とはいえ投資家は、サービス事業がハードウエア販売の落ち込みを穴埋めできるかどうかについて懐疑的に見える。アップル株は昨年10月の最高値からおよそ33%下落し、約3600億ドルの時価総額を消失している。リフィニティブのデータによると、向こう12カ月の予想利益に基づく株価収益率(PER)は12.5倍と、グーグル親会社のアルファベット(GOOGL.O)やマイクロソフト(MSFT.O)の22倍前後を大きく下回る。

このバリュエーションを上向かせるには、アップルが新たな分野で前進しているという証拠が必要になる。端末を使って心臓の異常を検知するといった医療健康事業への取り組み、拡張現実(AR)技術開発を巡る進展などは有望な材料だが、成果を発揮するまで時間がかかるだろう。

一方でアップルが持つキャッシュは余裕を持たせてくれる。10─12月の株主への還元額はこのところの平均より少ないが、同社は今後1300億ドルのネット・キャッシュ・ポジションをゼロにする計画で、大規模な自社株買いが実施されることを意味する。

これは追い風だ。それでもアップルは、新製品を生み出してみせる必要がある。

●背景となるニュース

・アップルが29日発表した昨年10─12月期売上高は843億ドルで、前年同期比5%減少した。利益は200億ドル(希薄化後1株当たり4.18ドル)。前年同期は201億ドル(3.89ドル)だった。リフィニティブがまとめたアナリスト予想は1株利益が4.17ドル、売上高は840億ドル。

・サービス事業の全売上高に占める比率は13%、利益率は63%だった。

・アップルは2日、異例の業績下振れ警告を発した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-apple-idJPKCN1PO02C
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/365.html

[国際25] 中国の「大誤算」、ベネズエラ混迷で巨額投資があだに 中国ファーウェイ、欧州携帯大手に愛されるべき理由
コラム2019年1月30日 / 13:15 / 12時間前更新
中国の「大誤算」、ベネズエラ混迷で巨額投資があだに
Christopher Beddor
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[香港 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ベネズエラは、中国外交にとって手痛い教訓となるだろう。世界最大の確定石油埋蔵量を誇るベネズエラは、巨額を投じる中国マネーの最大級の受益国となっていた。

中国の「賭け」は今や、政治的混乱と米国による国営石油会社PDVSAへの制裁によって、直撃を受けている。さらに悪いことに、中国マネーが支えた政権は、狙いであった石油産業を停滞させた。

原油に引き寄せられた中国は、当時チャベス大統領が率いていたベネズエラ政権の全面的な支援に乗り出した。そして現在、野党指導者フアン・グアイド国会議長と対立するマドゥロ大統領を支持する立場にある。

中国がこの賭けで失うものは数多い。

ロイターによると、中国はこの10年で総額500億ドル以上(約5兆4600億円)をベネズエラに投じている。中南米地域における中国マネーの提供先としては、飛びぬけた額であり、世界的にも最大級の支援先だ。2007─2014年に中国政策性銀行が行った同地域向け融資の半分以上がベネズエラに対して行われていた、と米シンクタンク、ブルッキングス研究所のデービッド・ダラー氏は指摘する。

この関係が暗転したのは、原油価格の下落によって、ベネズエラが壊滅的な「負のスパイラル」への転落を始めた2015年ごろのことだ。

ベネズエラ政府が返済条件の緩和を求め、中国側もこれに応じたが、新規資金の流入は枯渇した。

いま、この「賭け金」がすべて失われようとしているかのように見える。無節操な政権に対する中国の賭けは、石油生産を停滞させ、世界の原油価格の高騰を招いた政府を支える結果を招いた。これにより、中国自身の利益も損なわれた。

突然さほど賢明だと受け止められなくなった中国の対外投資案件は他にも存在する。過去1年だけでも、マレーシアやパキスタンでの政権交代により、過去の対中取引に調査が入ったり、透明性を求める圧力が強まったりしている。ベネズエラもいずれ同じ道をたどることは想像に難くない。

ベネズエラからアンゴラに至るまで、中国は自国の原材料需要を満たすために、非倫理的な政権と何年も取引を続けてきた。賄賂や汚職の防止を巡る懸念に対する関心が欠如しているとして、西側の政府関係者らによる頻繁な批判にさらされてきた。

だが、ベネズエラやマレーシアの事例が示すように、長期的に見れば、清廉な取り組みの方が、厄介なサプライズに対する賢明な保険となる可能性が高い。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/venezuela-china-breakingviews-idJPKCN1PO097


 


コラム2019年1月30日 / 15:55 / 10時間前更新

中国ファーウェイ、欧州携帯大手に愛されるべき理由
Liam Proud
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[ロンドン 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧州の大手電話会社各社は、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を愛すべき理由がある。

欧州の政策立案者が米国の圧力に屈し、ファーウェイを新規契約から除外した場合、少なくとも計200億ユーロ(約2.5兆円)の市場価値が失われかねないと、BREAKINGVIEWSは試算する。成長が伸び悩み、多額の債務を抱える欧州の通信セクターは、新たな現金流出を望むわけがない。

中国情報当局とのつながりが疑われていることから、米国、オーストラリア、ニュージーランドは、ファーウェイを自国の次世代高速通信「5G」構築から締め出している。欧州では、大半の政府がまだ行動を起こしていないが、テクノロジーを担当する欧州連合(EU)欧州委員会のアンシプ副委員長は、中国政府が暗号化されたデータにアクセス可能な「強制的な裏口」がファーウェイ機器に組み込まれている可能性についてEUは懸念すべきだと語った。

英携帯電話サービス大手ボーダフォン(VOD.L)は、ファーウェイ製の通信設備について、基幹回線網(コアネットワーク)への導入を一時見合わせることを明らかにした。コアネットワークはトラフィックを整理し、データを保護する。だが、同社のニック・リード最高経営責任者(CEO)は、通信塔を介して電波を発信する無線アクセス部分でも排除されるとなれば「大問題」だと語った。

リフィニティブによると、欧州通信業者上位10社が2020年に費やす設備投資額は計500億ユーロ。投資額が売上高規模に比例すると仮定するなら、そのうち340億ユーロは、欧州事業に向かうはずだ。無線とコアの部分は通常、設備投資の4割を占めることを考えると、その額は約136億ユーロになると、バーンスタインは試算する。

ファーウェイを外せば、設備投資額は相当跳ね上がる可能性がある。フィンランドの通信機器大手ノキア(NOKIA.HE)とスウェーデンの同エリクソン(ERICb.ST)が価格を引き上げる余地が生まれるからだ。カナダの通信事業大手テラス(T.TO)は、ファーウェイにより価格が少なくとも15%下がったと考えている。

つまり、136億ユーロと試算されていた欧州事業の無線とコア部分への投資額は、ファーウェイが排除されるとさらに20億ユーロかかる計算になる。全体的なフリーキャッシュフロー(純現金収支)は、アナリストが現在予想している300億ユーロではなく、280億ユーロになるだろう。10社のフリーキャッシュフロー利回りの平均である15%で計算するなら、市場価値は2740億ユーロとなる。つまり、今よりも200億ユーロ下がることになる。

だからといってそれが、オートメーション化された工場や自動運転車に使用される5Gネットワークに中国が及ぼす影響力を懸念するタカ派的な政治家を思いとどまらせることはほとんどないだろう。

だが過去1年で、トムソン・ロイターの欧州通信サービス株価指数は40%下落した。同セクターの売り上げはほとんど伸びていないにもかかわらず、モバイル事業の支払いと利息コストの増加がキャッシュフローをますます食いつぶすことになるだろう。

ファーウェイ排除により、欧州通信業界は貴重な「松葉づえ」を奪われる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-europe-telcos-huawei-idJPKCN1PO0JI

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/366.html

[経世済民130] 迷走始めた米FRBのバランスシート縮小 グローバル化より不安定なスローバル化到来 米中摩擦で注目の半導体、中国勢巻き返し
為替フォーラム2019年1月30日 / 16:25 / 9時間前更新

迷走始めた米FRBのバランスシート縮小

井上哲也 野村総合研究所 金融イノベーション研究部主席研究員
4 分で読む

[東京 30日] - 昨年末にかけて米国を中心に金融市場が不安定化した際に、米中貿易摩擦と並んで金融政策も犯人扱いされたことは記憶に新しい。

しかも、金融市場では、米連邦準備理事会(FRB)が利上げだけでなく、保有資産の削減を通じたバランスシート縮小を続けていることにも懸念が強まった。量的緩和(QE)の反対語として「量的引締め(Quantitative Tightening:QT)」という表現まで登場したほどだ。

これに対し、FRBのパウエル議長は4日のアメリカ経済学会において、今後の政策運営について、これまでのように特に問題がなければ粛々と「正常化」を進めるのではなく、今後は経済の動向に即してより柔軟に対応する考えを示した。しかも利上げのペースだけでなく、バランスシート縮小についても必要に応じて見直す考えを示唆した。

株価が年初から大きく反転上昇したことからも、パウエル議長の発言を金融市場が強く歓迎したことは明らかだ。同時に、これまでバランスシート縮小は技術的な問題にすぎず、機械的に進めることが可能だと説明してきたFRBが、大きく方針を転換したとも受け止められた。

<資産縮小が株価に影響するメカニズムの謎>

しかし、FRB保有資産の規模縮小が、株式市場にマイナスの影響を与えるメカニズムには判然としない面も少なくない。

例えば、FRBが保有国債の規模を縮小して国債需給が悪化し、結果として長期金利が上昇したために株価が下押しされるというのであれば、合理的なメカニズムだ。しかし、長期金利上昇が顕著だったのは昨年の春であり、その際には株価はむしろ堅調に推移していた。

また、FRBのデータによれば、保有国債の満期構成は再投資の縮小以降に徐々に短期化しており、その意味では、イールドカーブの長期債部分におけるタームプレミアム(期間に伴う上乗せ利回り)の抑制効果も衰えていると推察することもできる。しかし、上記のように長期金利の上昇が目立った昨年春を除けば、金融市場で実際に観察されたのはイールドカーブのフラット化であった。

FRBは2017年10月から保有資産の削減を続けてきたのに、なぜ急に懸念が強まったのかという問題もある。

この点に関しては、バランスシートの縮小が3カ月ごとにペースを加速するよう設計されていたことも理由の1つにあるようだ。つまり、2018年10月以降、縮小規模が国債と住宅ローン担保証券(MBS)を合わせて3カ月で500億ドル(約5兆4600億円)と、これまでで最速ペースになったからである。しかし、株式市場への影響が非直線的に現れる理由は判然としない。

<すれ違う思惑>

こうした議論の迷走についてはFRB側にも問題がある。

実は、昨年秋以降に金融市場が不安定化する以前から、FRB自身もバランスシート縮小の方針変更について検討を進めていた。そのことは金融政策を決定する場である連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨にも度々記載されている。具体的には、バランスシート規模の最終的な着地点が、当初想定していたよりも大きくなる可能性についてである。

ただし、FRBがそうした方針変更を検討した理由は、金融市場を安定化させるためではなく、議事要旨に明記されているように、FRBの当座預金に対する金融機関の需要が想定以上に強いからである。実際、政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートに対しては強い上昇圧力がかかり続けており、FRBは政策決定通りにFFレートの誘導に苦労している。当初、こうした上昇圧力は財務省短期証券(TB)の大量発行による一時的現象との見方も強かったが、それがなかなか解消されない中で、当座預金需要の根強さに焦点がシフトしているようだ。

つまり、バランスシート縮小を想定よりも早く止めるべきという結論においてはFRBと金融市場は同じ考えだが、FRBは負債に対する需要に着目した議論であり、金融市場は資産側の政策効果に着目した議論であるという点で、すれ違いが生じている。

<FRBが解くべき誤解>

理由はともかく、FRBがバランスシート縮小を見直し、それによって金融市場が安定するのであれば、「結果オーライ」という判断もあり得る。さらに言えば、メカニズムはともかく、FRBによる「量的引締め」が金融市場にマイナス影響を与えるのであれば、「量的緩和」は逆にプラス影響をもたらすはずであり、次の景気後退への対応という点でFRBには心強いことだと考えることもできる。

しかし、FRBと金融市場とのコミュニケーションのすれ違いがいつまで続くか分からない。また、それが続いたとしても、政策手段が利上げとバランスシート縮小に複線化することで、FRBにとって市場との対話は一層複雑になる。例えば、FRBが今年のどこかで利上げ休止を決めた場合、バランスシート縮小も減速したり、停止するのかという議論を引き起こすことになる。FRBはそうした事態が厄介だと予見していたからこそ、金融政策は政策金利の上げ下げで行い、バランスシート縮小は機械的に行う方針で臨んできた訳である。

いずれにしても、FRBはバランスシートの縮小方針をより具体化し、再度明示すべき段階に来ている。その際には、当座預金への需要や金融経済に対する影響を含め、どのような要素に基づいて決めるのかという考え方や、縮小規模の最終的な着地点のめど、政策運営における政策金利との役割分担などについても説明されることが望まれる。

井上哲也氏
*井上哲也氏は、野村総合研究所の金融イノベーション研究部主席研究員。1985年東京大学経済学部卒業後、日本銀行に入行。米イエール大学大学院留学(経済学修士)、福井俊彦副総裁(当時)秘書、植田和男審議委員(当時)スタッフなどを経て、2004年に金融市場局外国為替平衡操作担当総括、2006年に金融市場局参事役(国際金融為替市場)に就任。2008年に日銀を退職し、野村総合研究所に入社。主な著書に「異次元緩和―黒田日銀の戦略を読み解く」(日本経済新聞出版社、2013年)など。  

(編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/column-tetsuya-inoue-idJPKCN1PO0N3

 


グローバル化より不安定な「スローバル化」が到来
2019年1月31日
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グローバル化の黄金時代は終わった。輸送コストはこれ以上下がらず、サービスの貿易には限界がある。海外投資や貿易の伸びが鈍るこの「スローバル化」の時代には、各地域内でのつながりが強まる。国際ルールは地域ごと分断され、国際協調も失われ、グローバル化が生んだ負の遺産は解決されない。


中国の貿易黒字は減り続けている(写真=AP/アフロ)
 米国が2年前に保護主義へとかじを切った時、人々はそれを、悲惨な1930年代を思わせる陰鬱な警告として受け止めた。しかし今日、その不吉な予測は誤っていたように見える。確かに中国経済は減速し、米アップルをはじめ中国に大きく依存する欧米企業は大打撃を被っている。しかし、2018年の世界経済はほどほどに成長。失業率は低下し、企業の利益は拡大した。

 米国のドナルド・トランプ大統領は18年11月、メキシコ、カナダ両国との新たな貿易協定に署名した。今後の米中交渉を通じて中国の習近平国家主席との間で合意が成れば、市場は安堵し、次のように結論づけるだろう。この貿易戦争は政治上の駆け引きで、中国から少しばかり譲歩を引き出そうとしたもの。世界の貿易を崩壊させるものではない、と。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/world/00010/


 

米中摩擦で注目の半導体、中国勢の巻き返しやいかに
2019年1月31日
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中国の半導体メーカーが世界の先進企業に追い付こうと取り組みを強めている。SMICは14ナノメートルを超える製造技術やEUVなど最先端技術の取り組みに余念がない。しかし、アナリストたちは、まだ5〜10年の時間がかかると分析する。

 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は深圳で1月、自社製の最新チップセットを発表した。中国共産党系メディアの環球時報は「この画期的な開発が中国の国内半導体産業を力強く後押しするだろう」と称賛した。「この産業はしばしば、外国のサプライヤーに過度に依存しているといわれる」(環球時報)

 ただし、この新しいサーバー向けチップセットの開発・製造工程において、中国で行われているのは設計のみだ。この点は、スマートフォン向けに同社が開発し、同じように称賛を得ている高性能プロセッサーと同様。製造は台湾で行われている。

 これは依然として技術格差が存在することの表れだ。この格差が、半導体の開発から製造まで全工程を国内で手掛けようとする中国の努力を阻んでいる。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/world/00011/
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/786.html

[経世済民130] FOMC、資産縮小「修正の用意」 利上げも棚上げ NY株続伸 日本株反発へ ドルが4カ月ぶり安値
FOMC、資産縮小「修正の用意」 利上げも棚上げ
2019/1/31 4:02日本経済新聞 電子版
 【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った。声明では「政策金利の調整を様子見する」と言及し、2019年中に2回を見込んでいた利上げシナリオを棚上げする考えを示した。世界的な株安などを受けて、17年秋から続く保有資産の縮小も「修正する用意がある」と明言した。

FOMCは金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った(写真はワシントンのFRB本部)=ロイター
FOMCは金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った(写真はワシントンのFRB本部)=ロイター

 30日の会合では、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、投票メンバー10人の全員一致で年2.25〜2.50%のまま据え置いた。

 FRBは18年12月の前回会合で年4回目の利上げを決断した。19年中にも2回の追加利上げに踏み切る政策シナリオを公表したが、世界的な株安の一因となり、パウエル議長らは年明け以降の講演で、利上げを棚上げする考えを示していた。

 そのため、今回のFOMC後の声明文でも「委員会は先行きの政策金利の調整を様子見する(be patient)だろう」と明記した。前回会合後の声明文に盛り込んだ「若干の段階的な追加利上げが正当化される」との文言も、完全に削除した。先物市場ではFRBが年内は利上げを見送るとの予測が既に7割の確率まで高まっていた。

 金融市場はFRBの保有資産の縮小策にも注視していた。FRBは金融危機後の量的緩和で米国債や住宅ローン担保証券(MBS)を大量に買い入れたが、17年秋から保有量を減らす「量的引き締め」に転じている。金融市場には利上げとともに二重の圧力となって、投資家の不安材料となっていた。

 そのためFRBは資産縮小に関連した声明文も別枠で公表して「経済活動や市場動向に応じて、バランスシートの正常化の詳細を修正する用意がある」と明示した。前回12月の記者会見でパウエル議長は「資産縮小は順調で見直す予定はない」と話していたが、方針転換に踏み切った。株安などが再発すれば、資産縮小のペースの減速や一時停止などが視野に入りそうだ。

 FRBが利上げ路線の一時停止に傾いたのは、物価上昇率が目標の2%を下回っていることも要因だ。声明文では「インフレ圧力は抑制されている」として、基調判断を引き下げた。ドル高や原油安などで物価の下押し圧力が徐々に強まっており、利上げを急ぐ必要性が薄れている。

 景気判断もわずかに下方修正した。米景気について前回声明では「力強い」としていたが、今回は「底堅い」と表現を変えた。声明文では海外経済や金融市場の動向を見極める考えをにじませた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40700210R30C19A1000000/

 

NY株続伸、434ドル高 FOMC受けリスク選好
2019/1/31 4:41 (2019/1/31 7:57更新)日本経済新聞 電子版
 【ニューヨーク=宮本岳則】30日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が続伸し、前日比434ドル90セント(1.76%)高の2万5014ドル86セントで終えた。米国東部時間午後2時に米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文が公表となり、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ慎重姿勢が改めて確認できた。投資家の間では積極的にリスクをとる動きが広がり、上げ幅は一時500ドルを超えた。
 
30日のニューヨーク証券取引所=ロイター

 30日の米国株相場は朝から買い優勢で始まった。前日に減益決算を発表したアップル株の上昇は投資家心理を明るくしたほか、朝方に好決算を発表したボーイング株も相場をけん引した。午後に入ってFOMCの声明文が公表され、パウエル議長の記者会見が始まると、ダウ平均は一段高となり、昨年12月4日以来の高値で終えた。

 今回のFOMC後の声明文では「委員会は先行きの政策金利の調整を様子見する(be patient)だろう」と明記された。米プルデンシャル・ファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏は「声明文はFRBが政策判断で柔軟な姿勢で臨むことを示唆しており、株価を押し上げる要因となった」と指摘していた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40700160R30C19A1000000/


 

FOMCが「辛抱強い」スタンスを表明、バランスシート縮小柔軟に
Craig Torres
2019年1月31日 4:18 JST
更新日時 2019年1月31日 7:15 JST
パウエル議長:経済データに依存する「常識的な」アプローチ用いる
パウエル議長:バランスシート正常化、従来予測より早く完了へ
パウエル議長
パウエル議長 Photographer: Al Drago/Bloomberg
米連邦公開市場委員会(FOMC)は29−30日に開いた定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2.25−2.50%のレンジで据え置いた。将来の金利変更の判断においては「辛抱強くなる」と表明。バランスシートの縮小については柔軟に対応する考えを示唆した。

声明全文はこちらの記事をご覧ください

  FOMCは声明で、力強い労働市場と2%近辺のインフレ率という結果達成の「支援において今後FF金利誘導目標レンジのどのような調整が適切なのかを判断する上で、委員会は辛抱強くなる」とした。

  FOMCは別の声明で、「経済・金融動向を考慮しながら、バランスシート正常化の完了に向けて詳細を調整する用意がある」と発表。FF金利だけで達成し得るよりも緩和的な金融政策を経済が正当化すれば、バランスシートの規模と構成内容を変更する用意があるとも表明した。

  FOMCの声明では、金利を「漸進的にさらに幾分か引き上げること」が必要になる公算が大きいという前回の文言が削除された。「世界経済・金融状況と落ち着いたインフレ圧力」を指摘した上で、次の一手が利上げ、利下げのいずれにもなる可能性を開いた。見通しに対するリスクは「おおよそ均衡している」との表現も削除した。

  連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は記者会見の冒頭で、「米経済は良好で、その維持を支援するために金融政策手段を引き続き使う」と話した。今年の経済成長については、引き続き底堅く推移すると予想しながらも、ペースは2018年から減速するとの見通しも示した。パウエル議長はまた、力強い米経済と国外の不確実性が相反する中で、「視界が一段と良くなる」まで辛抱強く待ち、政策運営では経済データに依存するという「常識的な」アプローチを用いると語った。

  パウエル議長はバランスシートについて、従来の予測よりも正常化のプロセスが「早く」完了し、維持される規模も大きくなるとの見通しを示した。

  FOMCは潤沢な準備を維持しながら金融政策を運営する方針を示した。その状況下では短期金利の管理は「主に金融当局の政策金利の設定により行われ、準備額の活発な運営は必要とされない」と指摘。バランスシートを金融危機前のアプローチに基づく水準より大きな規模で維持する政策を設定したことを示唆した。

  バークレイズの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏は「米金融当局が市場に対して降参したとしか、読みようがない」と指摘。「利上げ局面は終わり、追加利上げよりもバランスシート縮小を停止する可能性の方が高いと、市場は読むだろう」と述べた。

  この日の政策金利維持は賛成10、反対ゼロの全会一致での決定だった。パウエル議長の記者会見はこの日から年8回、全定例会合後に行われる。昨年までは2会合に1回だった。当局者の経済予測は引き続き四半期に1回発表される。

  声明はブルームバーグ・ニュースが先週実施したエコノミスト調査の約3分の2の回答に沿う内容だった。「漸進的にさらに幾分か引き上げること」との文言は維持されず、代わりに不透明感の強まりを示唆するか、辛抱強さに言及、あるいは文言全ての削除が予想されていた。

  政府機関の一部閉鎖の影響で発表が遅れている経済統計もあるが、FOMCは「家計支出は力強い伸びが続いた一方、企業設備投資の伸びは昨年の早い時期に見られた急速なペースから緩やかになった」と指摘。「経済活動は着実なペースで拡大している」とされ、「労働市場は引き続き力強さを増している」とした。政府機関閉鎖に対する言及はなかった。

  毎年1月恒例の長期目標と政策戦略に関する声明も発表された。当局は2%のインフレ目標を再確認し、インフレ率が同水準を継続的に上回り続けるか、下回り続けた場合に懸念されるという対称的な目標であることを強調した。
  

原題:Fed Adopts Patient Rate Stance and Balance-Sheet Flexibility (2)(抜粋)

(最終6段落を追加し、更新します.)
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日本株反発へ、米金融引き締めペース鈍化で景気期待ー電機や素材高い
河元伸吾
2019年1月31日 7:41 JST
FOMCはFF金利据え置き、声明で漸進的利上げの文言削除
バランスシート縮小に柔軟姿勢、米S&P500種株価指数は1.6%高
31日の東京株式相場は反発する見込み。米連邦公開市場委員会(FOMC)が利上げの一時停止と資産縮小計画に柔軟に対応する考えを示したことから、金融引き締めが景気に与える影響への不安が後退する。電機や機械など輸出関連、素材など景気敏感中心に幅広い業種が買われそう。

  FOMCは29、30日の定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利を据え置き、金利変更の判断に「辛抱強くなる」と表明。声明では漸進的利上げの文言が削除された。バランスシートの縮小については柔軟に対応する考えを示唆した。米S&P500種株価指数は前日比1.6%高。
FOMCの声明はこちらの記事をご覧ください

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の三浦誠一投資ストラテジストはFOMCの決定に関し、「原油安からインフレの心配がなく、中国や欧州経済の減速を考慮して利上げを停止、バランスシートの縮小も市場の想定より早めに終わるとみられる」と指摘。これにより「株安につながる悪材料が当面ないことが確認できた」とした上で、「昨年末の株価急落による逆資産効果で景気が受けていた悪影響もなくなる」とみる。

米シカゴ先物市場(CME)の日経平均先物(円建て)の30日清算値は2万0790円と、大阪取引所の通常取引終値(2万0610円)に比べ180円高
けさのドル・円相場は1ドル=109円00銭近辺と、前日の日本株終値時点の109円27銭からやや円が強含み
前日の海外市況はこちらをご覧ください

30日は反落
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【NY外為】ドルが4カ月ぶり安値−FOMCがハト派寄り姿勢
Robert Fullem
2019年1月31日 5:28 JST
更新日時 2019年1月31日 7:08 JST
30日のニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。ブルームバーグのドル指数は一時、昨年9月以来の低水準を付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)の発表がハト派寄りだったことを受けた。FOMCは声明で、将来の政策金利調整において「辛抱強くなる」と表明。またバランスシートの縮小については柔軟に対応する考えを示唆した。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.6%低下。ドルは主要10通貨全てに対して値下がりした。一方で高ベータの資源国通貨は上昇した。

  ニューヨーク時間午後4時45分現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.4%低下。ドルはユーロに対して0.4%安の1ユーロ=1.1479ドル。対円では0.3%下げて1ドル=109円03銭。

  FOMCは声明で、「落ち着いた」インフレ圧力を指摘。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見で、今年の経済成長について引き続き底堅く推移すると予想しつつも、力強い米経済と国外の不確実性が相反する中で、「視界が一段と良くなる」まで辛抱強く待ち、政策運営では経済データに依存するという「常識的な」アプローチを用いると語った。

欧州時間の取引
  欧州時間にはブルームバーグのドル指数が小幅に低下。FOMCの声明発表や米中の貿易協議を控える中、月末特有の資金の流れがドルにマイナスに影響した。  

原題:USD Drops to 4-Month Low After FOMC Touts Patience: Inside G-10(抜粋)
Fed Adopts Patient Rate Stance and Balance-Sheet Flexibility (2)
Dollar Edges Lower Before Fed on Month-End Selling: Inside G-10

(情報を追加し、更新します.)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-30/-108
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/790.html

[経世済民130] 迷走する日本の「働き方改革」への処方箋 「同一労働同一賃金」が格差を生むワケ 働き方改革の議論はなぜ進まないのか?
迷走する日本の「働き方改革」への処方箋

「同一労働同一賃金」が格差を生むワケ

迷走する日本の「働き方改革」への処方箋(2)
2019/01/31

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

 自らの働き方すら改革できない政治家に頼っていたら、働き方改革はいつまで経っても実現できない(参照:働き方改革の議論はなぜ進まないのか?)。だったら、民間企業はそれぞれ独自にやればいい。いや、そうしなければならない。

 そもそも労働法改正や労働(最低)基準の設定は政治家の仕事だが、働き方や働かせ方云々は企業レベルの話であり、企業内の労働政策や人事制度の改定は企業がそれぞれ自社の状況を見極めたうえで取り組むべき課題である。


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「能力や経験」が同じでも「成果や貢献」が同じとは限らない
 2018年、国会で大きな論争を巻き起こした「働き方改革関連法」。「同一労働同一賃金」もその内の1つのアジェンダであり、大企業の場合は2020年4月、中小企業は2021年4月から適用する予定となっている。

「非正社員の基本給は、能力や経験が同じならば正社員と同じ支給を原則とする」としながらも、「正社員の待遇を引き下げて格差を解消することは望ましくない」とする厚生労働省の指針だが、アンチテーゼとなる場面が出てくる。それが原資の問題だ。原資不足の場合、2要件の同時満足はできないからだ。

 この2つの要件を見ると、どちらも「善」である。しかし、「善」と「善」の間にしばしば矛盾が生じる。その場合には、全局観に立った優先順位の決定が必要になり、片方の善を後回しにしたり、あるいは一時的に切り捨てるという現実的な「必要悪」の出番となる。この「必要悪」の引き受け手が現れないと、垂れ流される状況の悪化が進み、最終的にどちらの善も毀損され、最悪の場合は善の崩壊に至らしめる。

「非正社員の基本給は、能力や経験が同じならば正社員と同じ支給を原則とする」と「正社員の待遇を引き下げて格差を解消することは望ましくない」の2要件を吟味すると、前者は原則的正論であって、後者は既得利権層の代弁である、という本質が見えてくる。

 さらに掘り下げてみる。「能力や経験が同じならば」、イコール成果や貢献も同じになるのか。そこで外れ値が続出すれば、「成果や貢献」の異なる従業員に同じ給料を払っていいのか、という、それこそ「同一労働同一賃金」の本義が問われる議論になる。必要悪を含む本質から逃げ回り、二善的な、浮き足立った命題設定はそもそも議論に耐えられたものではない。

「同一労働同一賃金」が格差を生むワケ
 労働市場に絡んでもっともデリケートな問題は、「格差」である。日本社会は全般的に、格差に対して決して寛容ではない。格差すなわち悪という基調は甚だ明らかだ。

 格差をなくすという意味において、しばしば「同一労働同一賃金」の原則が持ち上げられる。しかし、その出自をよく調べると、正確には「同一価値労働同一報酬」と記載されていたことに気付くはずだ(国際労働機関(ILO)1951年の同一報酬条約(第100号)第1条(b)項) 。

「同一価値労働」の評価基準は、何であろうか。たとえば、同じ役職の課長で、同一大学を出て同期入社した営業1課の田中課長と営業2課の中村課長がいるとしよう。これを基準に田中さんと中村さんに同じ給料を払っていいのか。同一職位からは必ず同一価値の労働成果が生まれるかというと、実際に見てみないと分からないのだ。

 田中さんは外交的な人で営業に長けていてリーダーシップも素晴らしく、営業1課はつねにトップ業績を上げているものの、中村さんはどちらかというと、内気な人でどうも営業に弱く、彼が率いる営業2課の業績は振るわず社内の最下位になった。

 ここで業績という価値を基準にすれば、田中さんと中村さんに同一賃金を払っていたら、それは「同一価値労働同一賃金」の原則に反することになる。つまり田中さんと中村さんに賃金の格差をつけなければならなくなるということだ。

 このような場面に対処するのは大変難しい。「まあそうは言っても、中村さんも頑張ったんだから、差をつけられたら可哀想だ」という温情が入ると、原則に反して「平等」な賃金報酬が2人に払われることになってしまう。

 一方で、もし上司が心を鬼にして「同一価値労働同一賃金」の原則を厳格に運用すれば、間違いなく田中さんと中村さんの間に賃金の格差が生じることになる。労働の価値をどのように正確に評価するかという実務は大変複雑で、ここでは一旦これを棚上げにして、「格差」にフォーカスしてみたい。結果論として生まれる格差をどう考えるべきか、まさに日本人が逃げたくなるようなシリアスなテーマである。

 労働市場改革の最終的結果としては、少なくとも今以上の格差が生まれることはほぼ間違いないだろう。この格差は各企業内にも企業間にも生まれ、ひいては日本社会全体において格差は今よりも鮮明な形になるだろう。日本人ははたして、この種の格差を受け入れるための心の準備ができているのかと問われている。

 この問題をまず解決しなければ、議論はいつまでも上辺にとどまって本質的に先へ進まない。

「皆様のおかげ」と言わなければならない日本人
 会社というのは社会の縮図であり、日本企業も例に漏れず日本社会を如実に映し出す縮図になっている。日本社会のイデオロギーとは何か。社会人類学者の中根千枝氏がその名著『タテ社会の人間関係』(講談社現代新書)のなかでこう述べている――。

「……こうした日本的イデオロギーの底にあるものは、極端な、ある意味では素朴(プリミティブ)ともいえるような、人間平等主義(無差別悪平等ともいうものに通ずる、理性的立場からというよりは、感情的に要求されるもの)である。 これは西欧の伝統的な民主主義とは質的に異なるものであるが、日本人の好む民主主義とは、この人間平等主義に根ざしている」

「これは、すでに指摘した『能力差』を認めようとしない性向に密接に関係している。日本人は、たとえ、貧乏人でも、成功しない者でも、教育のない者でも(同等の能力をもっているということを前提としているから)、そうでない者と同等に扱われる権利があると信じこんでいる。そういう悪い状態にある者は、たまたま運が悪くて、恵まれなかったので、そうあるのであって、決して、自分の能力がないゆえではないと自他ともに認めなければいけないことになっている」

 だが、人間には能力差が存在している、という歴然たる事実がある。これが生来の不平等というならば、神の罪に帰結せざるを得なくなる。そもそも、不平等も格差も道徳観的な善悪には無縁であって、単なる「存在」にすぎないのである。しかし、能力差という事実を回避するために、格差を生む責任(罪)を何らかの外部要素に転嫁しなければならなくなる。その外部要素は政治だったり、社会だったり、企業だったり、あるいは法制度だったりする。

 能力差は何を意味するのか。能力差に善悪を規定することはまた何を意味するのか。結果論的にこの時代にそぐわない部分があることも、すでに悪果をもたらしていることも否定できない。ただし、日本社会に深く根ざした「能力差の認知回避現象」それ自体が歴史的文化的社会構造的次元から見れば必然的帰結であることは看過できない。農耕社会の出自をもつ日本では、能力差を明らかに認めることは、調和の毀損、ひいては社会の機能不全を引き起こす原因となるからだ。

 日本社会では、ある人がたとえ自分の能力で成功を収めた場合であっても、「皆様のおかげです」と言わなければならない。その原因はここにある。

能力主義の行き詰まり
 社会と同じ原理で、日本企業の内部においても「能力差」がタブー化されている。すると、能力に応じて行われる差異的処遇は「能力主義的差別」として断罪され、真の能力主義的人事制度や賃金制度も禁断の果実となる。結果的には企業内部においても「タテ社会」が出現し、年功序列ベースの人事が行われるのである。

 日本国内に起源するこの問題は、実は日本企業の海外経営現場で一層鮮明に映し出されている。外国人は日本社会の特徴や文化を本質的に理解していないし、理解しようともしない。能力差是認志向をもつ有能力人材は、日系企業に背を向けるようになり、たとえ入社したとしても2〜3年ですぐ辞めてしまう。有能力人材である彼・彼女たちは能力差を明確に是認し、かつこれを評価し、賃金・待遇に反映させる人事制度を望んでいるからだ。

 その反面、相対的に能力の高くない人間は、ある意味で努力さえすれば、あるいは時と場所によっては努力しているふりさえすれば、温情的処遇を得られ、能力主義で社内競争の激しい欧米企業よりも日系企業のほうがはるかに居心地が良い。特に年長になり、年次を積み上げることによって得られる年功的利益がさらに大きい。一定の年齢を過ぎると、知識のアップデートが鈍化し、再就職の目処も立たないところで、日系企業はある種の天国になる。彼たちは絶対に会社を辞めないのだ。

 人間平等主義の日本社会で育った日本人にとって、「能力差」の存在を認知し、明言するほど辛いことはない。それはよく理解できる。このような日本社会を一朝一夕に革命的に変えようとしても失敗するだろうし、また変えるべきでもないと私は思う。たとえ変わったとしても、それは日本ではなくなるからだ。

<第3回へ続く>
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15225

 
働き方改革の議論はなぜ進まないのか?

迷走する日本の「働き方改革」への処方箋(1)
2019/01/25

立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)

 働き方改革、日本の労働市場での一連の改革。この議論が提起されて、ずいぶん年月が経った。重要な政治アジェンダとしての意義を否定する人は少ないものの、なかなか議論が進まない現状に直面している。

 結論からいうと、「働き方改革」は「労働市場改革」であって、さらに言えば、「労働市場の流動化」にほかならない。広い既得権益層に多大な影響が及び、政権の基盤を揺るがすリスクをも孕んでいるだけに、デリケートな問題である。政府は切迫感に駆られて取り組もうとしながらも、公に言えないジレンマを抱えている以上、結果的に枝葉末節を取り上げざるを得ない。

 問題の本質とメカニズムを解明し、多様な働き方に対応する制度を提唱すべく、このシリーズの執筆に取り掛かりたい。


(画像:iStock / Getty Images Plus / wildpixel)
政治家頼みでは成就できない「働き方改革」
 働き方改革というアジェンダは、何らかの原因で議論が忌避されている。そう感じているのは私だけだろうか。

 これまでの経緯を見ると分かりやすい。一橋大学経済研究所の神林龍教授はそのブログ(2017年11月17日付け)で状況をこう述べている――。

「(働き方改革は)2017年9月末招集の臨時国会での大きな論点になり、紆余曲折が待っていると目されていた話題でもあった。ところが、いざ選挙に突入してしまうと、ほとんど口の端にも上らず、世論は働き方改革の行方を忘れてしまったようにも見える」

 政治家が忌避している。メディアを含めて全体的な世論も忌避している。なぜ忌避するかというと、働き方改革は多くの国民にあまり受けのいい話ではないからだ。「長時間労働の是正」、「非正規と正社員格差の是正」、「就業率の増加」という3点だけがほぼ総論賛成で世論は一致している。しかし、この3点ははたして根源的な問題なのだろうか。

 たとえそうだとしても、機能する解決案は皆無に近い。たとえば、「非正規と正社員格差の是正」、この1つを取ってみても分かるように、解決法はいたって簡単。非正規社員の給料・待遇を引き上げればいいだけの話。それがなぜできないのか。原資の捻出に目処が立たないからだ。そもそも原資が潤沢にあれば、最初から非正規ではなく、正社員として採用しているだろう。原資不足、あるいは経営の先行きが不透明だから、非正規を雇うわけだ。格差を無くす方法は、正社員の給料・待遇を削るしかない。しかしそれは既得権益にかかわる問題なので、そう簡単に合意は得られないだろう。

 このように蓋を開けてみると、どれもセンシティブな議論ばかり。故に、働き方改革は政治家頼みではいつまでたっても動かない。これは逃げられない課題であり、議論を先送りしていけば、いずれ時限爆弾の爆発を待つのみである。

働こうとしない人たち
 昨年末、2018年12月29日付けのマレーシア英字メディア「スター・オンライン」がマハティール首相の取材記事を掲載した。氏はマレー人を優遇するブミプトラ政策に言及し、こう語った。

「マレー人を助けようと政府は施策などで行動を起こしている。しかし、マレー人自身が自己変革をもって価値体系を変えようとしない限り、すべてが無駄になる。政府はこれまで多くの政策を打ち出し、多くの援助を与え、マレー人に多くの機会とサポートを提供してきた。しかし残念ながら、マレー人は旧態依然たる現状に甘んじて変わろうとしなかった」

 マハティール氏はさらに語気を強める。

「われわれは働かなければ、収入を得ることができない。われわれは努力しなければ、進歩することもできない。マレー人は怠けものだ。私がこう言ったら怒られるだろうが、しかしこれは紛れもない事実だ。われわれが働きたくなければ、ほかにいくらでも働きたい人がいる。最終的に外国人労働者がこの国を占領するだろう」

 学者・研究者でもあるマハティール氏は最後にこう指摘する。「私はヒトの行動を研究してきた。成功または失敗、その原因を最終的に人間の文化や価値体系に見出すことができる。たとえば、チャイニーズは他者の助けをなくしても自らの力で成功できる」

 華人(チャイニーズ)の経済的優位性を牽制し、土地の子であるマレー人の地位向上を図るために、マレーシア政府は1971年からブミプトラ政策と称されるマレー人優先・優遇政策を取り入れた。しかし、今日に至るまでの経緯を見るかぎり、マレー人はこの政策によって状況が著しく改善されたわけでもなく、政策目標は実現できなかったと言える。

本当のことを言えないから嘘をつく
 それにしても、マハティール氏はよくもこんなことを直言できたものだ。日本の政治家がこのような発言をすればただちに「差別」と叩かれ、辞任に追い込まれるに違いない。

 本当のことを言えないから、日本の政治家は嘘をつくのである。

 経営コンサルタントの大前研一氏がこう指摘する。「正しさがすべての経営の世界と違って、政治の世界では、本当のことをいったら絶対選挙で当選しない、当選するには嘘をつかないといけないということ。今の日本では、政治家になるのは嘘つきになるということなんだよ」(「週刊ポスト」2011年4月29日号)

 なるほど、ある程度の嘘をつかないかぎり、選挙で当選すらしない。そして辛うじて当選した場合でも、嘘をつき続けざるを得ないのだ。できれば嘘をつきたくないという良心的な政治家は、真実や本当の考えを率直に言えない場面が多々ある。たとえ事実であっても、ポロリと口を滑らせただけで、「失言」が政治家にとって度々命取りになりかねないからだ。故に彼たちは時々刻々細心の注意を払って言葉を選び、戦々恐々としている。

 これでは議論にならないわけだ。殊に「働き方」とくれば、一人ひとりの国民の利益に直結するセンシティブな議題だけに、炎上したり爆弾に変わったりすることもあるからだ。とにかくこの議題には触れたくない。そういう状況だろう。

政治家たちの「働き方」
 私はあえて、嘘をつく政治家や寡黙な政治家たちを批判しない。彼たちの多くは生活の糧を得るために、あるいはもう少し裕福な暮らしを目指すために政治をやっているわけだから、一種のサラリーマン政治家である。彼たちの行動あるいは不作為を批判するのは簡単だが、もし私たちがその立場に置かれたら、果たして堂々とセンシティブな議論に挑むことができるのだろうか。そう自問したい。

 トランプ氏のような、ずけずけとものを言う政治家は外れ値的な存在だ。彼は巨財を有し、少々の富や社会的地位への欲求をはるかに超えた、超高次元の欲求の持ち主である。センシティブ・イシューであろうと、忌避することなく彼はずけずけとものを言い、異様な、いささか帝王的な存在をあえて誇示してきたのである。(参照:「1ドルで働く大統領の欲求とは」、「ずけずけ言う男、トランプ流の選挙マーケティング」)

 マレーシアのマハティール首相はトランプ氏ほどの巨財をもっていないにしても、ずけずけとものを言うところだけはトランプ氏に酷似している。

 一方で日本の場合、トランプ氏やマハティール氏のようなリーダーは生まれないだろう。そうした独裁的帝王型のリーダーを包容する風土は日本にないからだ。至る所に同調圧力がかかる日本社会において、政治家たちは自身の「働き方」を決めることすらできなくなっている。自らの働き方改革すらできないでいるのに、どうやって国民の働き方改革に取り組むのか。できるはずがない。だからこそ、働き方改革は民間が自らの力で行うべきであり、企業の人事制度というミクロレベルに着手し、つまりトップダウンではなく、ボトムアップの取り組みによって、真の働き方改革を実現するのである。

<第2回へ続く>

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15178
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/796.html

[経世済民130] 米金融当局の180度姿勢転換に「陰謀説」渦巻く−FOMC受け 米雇用統計、予想上回る TOPIX小反落 超長期債が大幅高
米金融当局の180度姿勢転換に「陰謀説」渦巻く−FOMC受け
Rich Miller
2019年2月1日 15:58 JST
政策方針の変革、投資家の知らぬ恐ろしい事態を把握かとの見方も
それとも、金融市場や大統領の利上げ停止要求に屈しただけか
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長ら金融当局者は、今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策運営姿勢を180度転換した。これを受けて、当局内部でいったい何が起こっているのか、さまざまな「陰謀説」が渦巻いている。

  具体的には、金融市場とトランプ大統領のいずれか、もしくはその両方からの利上げ停止要求に金融当局が単に屈しただけだというものがある。また、当局で政策方針の変革があり、インフレ率を意図的に2%の目標を上回る水準に押し上げようとしているといった、もっとうがった指摘もある。

  このほかの可能性としては、パウエル議長が世界経済について何か恐ろしい事態を把握しているのに、投資家は何も察していないとするお決まりの説がささやかれる。議長は金融市場に不意打ちを食らわせたがる傾向があるとの見方も挙げられる。

Hikes Out
Traders see little prospect of a hike, and are closer to pricing a cut in 2020


Source: Bloomberg

  連邦公開市場委員会(FOMC)は1月30日、追加利上げを当面見送る方針を示すとともに、次の動きが利下げとなる可能性にも道を開いた。わずか6週間前には、政策金利の「幾分かのさらなる漸進的引き上げ」の軌道にあると表明したばかりだった。一方で、2019年の米経済は堅調な成長が見込まれ、インフレ率は当局目標近辺で推移すると引き続き予想している。

  パウエル議長はFOMC後の記者会見で、世界経済の成長鈍化や金融情勢の引き締まり、英国の欧州連合(EU)離脱や米中通商摩擦といった地政学的リスクを列挙して、姿勢の転換を説明しようとした。

  しかし、米金融当局が昨年4回目の利上げを決めて2019年の利上げ回数見通しを2回とした昨年12月の時点でも、これら一連のリスクは既に顕著となっており、議長の説明には難があると言わざるを得ないだろう。

原題:Fed Conspiracy Theories See Powell as Fickle Boyfriend, Wise Man(抜粋)
 
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米雇用統計:1月雇用者数30.4万人増、予想上回る−時給は伸び鈍化
Shobhana Chandra
2019年2月1日 22:47 JST
米国の1月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比30万4000人増。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は16万5000人増だった。

キーポイント
昨年12月は22万2000人増(速報値31万2000人増)に下方修正
家計調査に基づく1月の失業率は4%に上昇−前月は3.9%
平均時給は前月比0.1%増(予想0.3%増)−前月0.4%増
前年同月比では3.2%増(予想と一致)−前月3.3%増
 
原題:U.S. Payrolls Rise 304,000 While Wage Gains Cool Amid Shutdown(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
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TOPIXが小反落、中国景気懸念と決算失望−金融や任天堂安い
河元伸吾
2019年2月1日 7:53 JST 更新日時 2019年2月1日 15:31 JST
中国の製造業PMI低下は景気減速を裏付けー三井住友AM・市川氏
ゲーム機販売不振の任天堂や赤字の野村HDが売られ、決算警戒続く
Final Trading Day Of The Year At The Tokyo Stock Exchange
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
1日の東京株式市場ではTOPIXが小幅反落。中国の経済指標悪化が懸念される中、業績不安から任天堂や野村ホールディングスなど金融株が下落した。米中貿易摩擦の緩和期待から電機や精密機器など輸出関連の一角は買われ、日経平均株価は小幅に続伸した。

TOPIXの終値は前日比2.86ポイント(0.2%)安の1564.63
日経平均株価は同14円90銭(0.1%)高の2万0788円39銭
  中国の財新伝媒とIHSマークイットが1日発表した1月の製造業購買担当者指数(PMI)は48.3に低下し、市場予想の49.6を下回った。一方、トランプ米大統領は1月31日、米中通商協議について「非常に大きな進展」があったと発言。中国は米国からの農産物やエネルギーなどの輸入を大幅に拡大することを確約した。

  三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、「米中貿易摩擦の緩和期待という好材料を午前で織り込んだ後、中国PMIの悪化で景気減速が裏付けられ、買い進みにくくなった」と話した。米中通商協議については「協議の継続は好感されたが、中国側から出てきた米農産物やエネルギー輸入の拡大は想定されていたこと。構造問題では進展がなく、いったん材料出尽くしとなった」と言う。

  米中通商問題への懸念後退で、日経平均は午前に前日比156円高の2万0929円まで上昇した。しかし中国PMIの悪化などを受けて失速、TOPIXとともにマイナス圏に転落した後は前日終値を挟んで推移した。ゲーム機スイッチの販売予想を下方修正した任天堂が9.2%下げたほか、四半期減益のみずほフィナンシャルグループ、赤字の野村HDも売られ、決算への警戒感も続いた。

  日本時間今夜には米国で雇用統計やISM製造業指数が発表される。岩井コスモ証券投資調査部の有沢正一部長は「これら統計を見極めたいとして、株価が上昇した場面でいったん利益を確定する動きが出た」と指摘していた。

1日は小幅に反落
東証1部33業種は任天堂の急落でその他製品が下落率1位、銀行、証券・商品先物取引、鉄鋼、電気・ガスも上位
精密機器、電機、医薬品、小売は上昇
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-01/PM920H6S972801


 


超長期債が大幅高、長期金利マイナスで資金流入ー日銀オペ計画も影響
三浦和美
2019年2月1日 7:59 JST 更新日時 2019年2月1日 16:24 JST
債券市場では超長期債相場が大幅高。米国の追加利上げ観測の後退や日本銀行の国債買い入れオペ運営方針が据え置かれたことに加え、長期金利がマイナス金利幅を深めたことでプラス利回りを求めた買いが優勢となった。

10年物353回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より2.5ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.025%。新発債として4日以来の低水準
新発20年債利回りは2016年11月、新発30年と新発40年債利回りは同12月以来の水準に低下
長期国債先物3月物の終値は前日比20銭高の152円89銭。日中取引ベースでは約1カ月ぶり高値水準
市場関係者の見方
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト

米金融当局は3月にかけてゆっくり軌道修正すると思っていたが、急ハンドルを切ってしまった
日銀オペ方針は超長期ゾーンを中心に金利が多少上がるような配慮が一部で期待されていたが、はしごが外される結果になった
円高リスクや高いヘッジコストなど、なかなか外債に資金を向けにくいとなると、ある程度利回りのある円債の長いところを買いにいく感じになっている
来週は10年債入札の後に残存5−10年のオペが2回予定されており、長期金利の低下をあおるようなスケジュールで余計に買いを誘っている面もある
  
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト

米国の利上げは当面なさそうなので、景気がどちらの方向に進んでいくか見極める状況では債券もしっかり
超長期債しか資金の行き場がなくなっておりやむを得ない
20、30、40年債が0.4%、0.6%、0.7%の節目にきており、ここを超えてどんどん買うかと言われれば、目先の材料を考えても微妙な感じ
2月の国債買い入れオペ方針
各年限のオファー金額のレンジや回数は前月から変更なし
日銀:2月国債買い入れ、1月から変更なし−入札翌日オペ一部見送り
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.180% -0.180% -0.025% 0.410% 0.595% 0.680%
前日比 -1.0bp -1.5bp -2.5bp -3.5bp -5.0bp -5.5bp

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-31/PM6MSX6JTSEA01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/808.html

[経世済民130] ゴーン被告が知る由もなかった転落への序章、側近が準備した筋書き ユーロ圏インフレ率は1.4%に低下、コアは1.1%に加速
ゴーン被告が知る由もなかった転落への序章、側近が準備した筋書き
Matthew Campbell、井上加恵、馬杰、Ania Nussbaum
2019年1月31日 18:06 JST
内部調査のきっかけは日産が提供した住宅に対する側近の疑問
世界を飛び回るゴーン元会長、逮捕へのシナリオ関知できず
昨年11月、日産自動車の西川広人社長(65)は在日フランス商工会議所100周年記念イベントで基調講演した。約20年に及ぶ仏ルノーとのパートナーシップのおかげで日産は主要ライバルとの競争が可能になったと語り、ルノー・日産連合の具体的な成果を挙げた。共同生産など業務統合による巨額のコスト削減、電気自動車(EV)分野での強い立場、2017年の販売台数1000万台突破などだ。

  日産の社章を濃紺の背広のえりにつけた西川社長のスピーチは洒落た表現に欠け、平凡で退屈ですらあった。しかし講演する同社長は、少数の日産経営陣と東京地検特捜部の担当チームしか知らない秘密を胸に秘めていた。ちょうどそのころ、ルノー・日産連合の生みの親、カルロス・ゴーン会長(当時)が社用ジェット機のガルフストリームG650に乗って東京に向かっていた。あと6時間弱で羽田空港に到着し、取締役会に日本の当局者との会合、そして中国訪問と、忙しい1週間を過ごす予定になっていた。だが、この予定が全く実現しないことを西川社長は知っていた。

  11月19日午後3時半ごろ、ゴーン氏を乗せたジェット機は羽田に着陸した。いつものように空港を後にするはずが、この日は同機から降りるタラップを埋め尽くした黒いスーツの検察当局者らから、金融商品取引法違反の疑いで逮捕すると告げられた。激怒し戸惑うゴーン氏は当初、同行を拒否し容疑の説明と証拠を求めたと事情に詳しい関係者2人は述べた。押し問答が続いたが、拒否できないと悟ると、着陸から約1時間後、同行することに合意したという。

  そのころ、もう1人の日産幹部、グレッグ・ケリー代表取締役(当時)は成田空港から車で東京に向かっていた。ゴーン氏の右腕で会長室をかつて牛耳ったケリー氏を、検察はゴーン氏とほぼ同時に拘束しようと計画していた。警告し合ったり文書を破棄、あるいは逃亡するのを防ぐためだ。東京のホテルに着いたところで逮捕する予定だったが、事情に詳しい関係者3人によると、道路渋滞が邪魔をした。ゴーン容疑者逮捕を知られるリスクが高まり、ケリー容疑者は途中の高速道路のパーキングエリアで逮捕となった。

  両容疑者はその夜、東京拘置所の独房でそれぞれ過ごした。ゴーン容疑者ほどの大企業トップには、前例のない措置だった。起訴後、ケリー被告は保釈されたが、報酬の過少記載や特別背任罪で起訴されたゴーン被告(64)は今も勾留されている。日産はゴーン被告を解任、刑事告訴もしているが、同被告は逮捕後1度だけ公に姿を現した今月8日の出廷で「私は無実」と主張するなど、全面否定している。ケリー被告も同様だ。

Renault-Nissan-MMC chairman Carlos Ghosn Signals He'll Keep Leading the Alliance
ゴーン元会長Photographer: Junko Kimura-Matsumoto/Bloomberg
  ゴーン被告の転落ドラマの脚本に、複数の人物が関わったことが明らかになってきた。日産での熾烈(しれつ)な権力闘争の行き着いた先が逮捕だった。同被告を支持する人々の一部には、権力をほしいままにした企業経営者が受けた当然の報いという以上に、一種のクーデターとの見方がある。

  日産は一連の事件を引き起こした「原因はゴーン、ケリー両被告による不正」とし、「実質的かつ説得力のある証拠」をつかんでいるとコメントしている。同社は現在、「この不正を許したガバナンスの是正にしっかり取り組む」ことに注力しているという。

  ゴーン被告と西川氏のパートナーシップは2001年にさかのぼる。ルノーが日産株の約3分の1を取得し、同社を救済した2年後のことだ。日産の最高執行責任者(COO)として聖域なきコスト削減に取り組んでいたゴーン氏が、西川氏を2社の共同購買を調整する部署のトップに据えた。1977年に大学を卒業してすぐに日産に入った生え抜きの西川氏はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、そのような重要任務を任されたことに驚いたと語った。当時の日産の財務状況は芳しくなく、ルノー側に指示を仰ぐと考えていた西川氏は、ルノー本社内にオフィスを持ちパリと東京を行き来するようになった。

Nissan to Seek Removal of Ghosn From Board Amid Probe
西川社長Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
  原材料や部品の費用は製造コストの半分以上を占めることもある。西川氏の任務は納入業者からできるだけ良い条件を引き出すことで、優れた手腕を発揮した。日本企業の標準に照らしても長時間の勤務をこなし、人付き合いもあまりしなかったと複数の日産元幹部が語っている。テネシー州の米本部にいた時も自分の机か会議室で作業することが多く、ゴーン氏のように現地工場で従業員と親しく接するなどということはなかった。

  ルノーと日産の関係はぎくしゃくしながら進んでいった。エンジニアリング資源を正式に共有することにしたが、日産の現・元従業員によれば、フランスと日本のチームの共同作業はスムーズではなく、技術標準やテクノロジーの優先順位で意見が異なることも多かった。両社がそれぞれのプランに固執する中で協業の機会が失われることもあった。しかし、ゴーン氏が導入した財務と戦略面の改革は奏功し、日産は徐々に財務を立て直した。

  日産は厳しい職場で、そこで絶対的な価値を持つのはゴーン氏による評価だった。西川氏はそのゴーン氏の信頼を得ていた。「ゴーンチルドレン」と呼ばれる少数のエリートの1人として、西川氏は昇進を重ね、最高競争責任者として研究開発と製造、その他の責任を担うようになった。

  2017年に入ると、ゴーン氏は日産の最高経営責任者(CEO)を退きルノーおよびアライアンス全体の経営に専念すると発表。西川氏を後任CEOに昇進させたゴーン氏は、このために西川氏を長年育ててきたと語った。

Tour Of Nissan Motor Co.'s Oppama Global Pilot Plant
日産・追浜工場Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  だが、西川氏がCEOに就くと、密月関係は終わる。無資格作業員による国内向け車両の完成車検査が30年以上も続いていたことが発覚、100万台余りのリコールが必要となり、日産は調査のため全工場で国内出荷を約2週間停止する異例の措置をとった。西川氏は就任して1年未満だったが謝罪、報酬も自発的に減らした。一方、問題が起きていた期間の大部分で経営責任者だったゴーン氏は謝罪せず、むしろ西川氏の行動が遅いと批判したと事情に詳しい関係者が述べている。

  その後の数カ月、ゴーン氏はルノーと日産の関係について、両社を単一の親会社の下にまとめる、あるいは両社合併につなげる改革を計画し始めた。議論について知る関係者6人の話から分かった。統合を進め大規模な企業となることで、自動運転など先端技術の開発で先行できるというのが根底にある考えだった。ルノーの筆頭株主である仏政府も、ルノー・日産が世界の製造業の中心となる機会を期待、アライアンス強化志向を明確にしていた。

  西川氏はこの構想に反対だった。日産は独立性を保つか、統合を深めるなら主導権を握るべきだと考えた。特に、日産のEV技術を、規模も収益力も劣るルノーに食い物にされることを懸念した。昨年4月下旬、西川氏は日本経済新聞に対し、ルノーと日産の合併など一体化に「メリットは見えない」と語った。

  これにゴーン氏は激怒し、日産本社で西川氏を罵倒。構想を疑問視したことで、同社の信頼性を損ねたと非難したと、両氏のやり取りを知る関係者が明らかにした。CEOでいられる日は長くないと西川氏に示唆したが、こうした言い方は1度だけではなかった。ゴーン氏は米国での業績の弱さについても西川氏を批判していたという。ゴーン氏の家族に近しい関係者によると、同氏は子供たちに、西川氏が業績を回復する時間は18年末までしかないと語ったこともある。

  ゴーン氏は報酬面でも権力でも西川氏をしのいでいた。ルノーの会長兼CEOであると同時に、依然として日産の会長でもあり、アムステルダムを拠点とするアライアンスの統括会社の会長でもあった。また、アライアンスの構造は1999年のルノーによる日産救済時からほとんど変わらないものの、ルノーの日産株保有比率は43%となり、重要な決定に拒否権の行使ができた。西川氏の姿勢に関係なく、ゴーン氏は日産とルノーの統合強化を恐らく実現できただろう。

Renault SA Chairman Carlos Ghosn Presents Full Year Earnings
ルノーでの決算会見(2018年・2月)Photographer: Christophe Morin/Bloomberg
  事情に詳しい関係者によれば、ゴーン氏逮捕の数カ月前に、アライアンスの新しい構造と新リーダーシップを2019年初頭にも発表する暫定計画ができていた。ルノーとの契約を2022年まで延長していたゴーン氏がトップに就き、日産に生涯をささげてきた西川氏は排除される恐れがあった。

  ゴーン氏の報酬は高かった。少なくとも3社から給料を得て、17年に日産から約650万ドル(現在のレートで約7億1110万円)を、ルノーから840万ドル、新たにアライアンスに加わった三菱自動車から200万ドルを受け取った。日産と三菱自によると、ゴーン氏はオランダの合弁会社である日産三菱BVから、両社が未承認の890万ドルの支払いも受けた。

  同氏を巡る問題は報酬がきっかけで始まった。日本とフランスの企業経営者の報酬は、米国の標準に照らすと控えめだ。ゴーン氏は自身の報酬のことになると、いつもの攻撃的な姿勢で批判に反論した。こうした際に助け船を出すことが多かったのが弁護士でもあるケリー氏だった。同氏は著名監査法人を使ってゴーン氏の報酬が米フォード・モーターやゼネラル・モーターズのトップより少ないと説明。しかしゴーン氏には表立った報酬のほかに、パリと東京に加え、アムステルダム、ベイルート、リオデジャネイロに住居が提供されていた。

  事情に詳しい人物によると、ケリー氏からゴーン氏関連の業務を引き継いだマレーシア生まれの弁護士、ハリ・ナダ氏が昨年春、こうした住宅提供に疑問の目を向け始めた。同氏はインタビューに応じず、何が同氏の懸念につながったかは不明だ。

  ナダ氏は1990年代から日産に在籍し、ゴーン氏とケリー氏に忠実だった。ケリー氏とは友人で、日産本社の近くのバーで会うこともよくあり、ゴーン氏の報酬のさまざまな面にも密接に関わった。例えば、ケリー氏が2010年に設立したオランダ子会社Zi−Aキャピタルの運営にも携わった。同社はその2年後、ゴーン氏のためにベイルートで住宅を880万ドルで購入、シャンデリアの取り付けなど豪華な改装に600万ドルを費やした。

  ナダ氏はゴーン氏の退職後に総額で最大8000万ドルを支払う提案書についても承知していた。ナダ氏は倫理的ジレンマについて同僚にアドバイスを求めたという。自分が不適切な行為をほう助したのか、その場合どうしたらよいのか相談したという。この同僚はナダ氏に同調して協力に同意。ナダ氏はゴーン氏のスタッフの1人、大沼敏明氏にも調査への協力を依頼したという。

  調査グループは間もなく、日産の監査法人が1年以上前からZi−Aキャピタルについて不審に思い、事情を調べるためオランダに人を派遣していたことを知った。互いの情報を交換後、ナダ氏らのグループは監査法人と協力、社員からの聞き取りや文書の収集を始めた。こうした活動をゴーン氏に気付かれないようにするのは難しくなかった。同氏が月1回以上日本を訪れることはめったになく、ルノーおよびアライアンス全体に力を注ぐようになっていたが、調査についてルノーは全く知らされていなかった。

Nissan Motor Headquarters As Directors Meet to Pick Chairman to Succeed Arrested Ghosn
日産本社Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  つかんだ内容が犯罪に近いと懸念を深めた同グループは、元検事である弁護士に相談。弁護士らは情報を元同僚の地検特捜部メンバーに伝えた。大沼氏はZi−Aキャピタルのアドミニストレーターでもあり、ナダ氏ともども捜査対象となるリスクがあったが、幸運なことに、日本でも司法取引の制度が最近導入され、ゴーン氏有罪の証拠を提供することで両氏は検察と合意を結んだと国内メディアは伝えている。

  ナダ、大沼両氏と日産監査役の今津英敏氏は、西川氏向けの正式な報告書作成に取り掛かり、昨年10月提出した。日産幹部によれば、報告書を受け取るまで西川氏は調査について知らなかった。つまり、上級幹部ではなかったナダ氏と大沼氏が、ゴーン氏とケリー氏について検察に通報するという、日産をほぼ確実に危機に陥れる決断をしたことになる。

  ただ、西川氏がまったく関知していなかったわけではないかもしれない。事情に詳しい関係者2人によれば、西川氏は昨年8月には、日産が年内に重大な問題に直面する公算であることを経産省に伝えていた。同社はこれについて、西川氏は調査について「全然知らなかった」とし、同省とは車両検査などの問題で定期的に連絡をとっていたと説明している。

  西川氏が調査についていつ知ったにせよ、同氏はゴーン氏をかばおうとせず、逮捕に向けて検察に協力を約束したと捜査について知る人物は述べた。西川氏とナダ氏はゴーン氏が次に来日するのは11月19日だと知っており、計画について連絡を取り続けた。ケリー氏を同じ日に日本に来させるのはより難しかった。半分引退しテネシー州ナッシュビルとフロリダ州を行き来し、脊椎管狭窄(きょうさく)の手術を受ける準備をしていた同氏は11月下旬の日産取締役会にビデオ電話を通じて参加する計画だった。しかしナダ氏は来日して出席するよう説得、社用機を使えば手術に十分間に合うように帰宅できると安心させ、ケリー氏は同意した。逮捕から数時間後、西川氏は日産本社で記者会見を開いた。同社取締役会は3日後、ゴーン会長の解任を全会一致で決めた。

  日産がゴーン時代に決別して前進するには、同社自身の法的問題を解決しなければならない。日産はゴーン被告に関連した報酬繰り延べで起訴されており、さらなる法的問題のリスクもある。そうなると、問題の期間を通じて上級幹部であり取締役だった西川氏にスポットライトが当たるのを避けるのは難しいだろう。ゴーン氏同様、日産についても焦点は一つだ。弁護士や監査役を大勢抱え官僚的組織を備えた主要自動車メーカーが、自社のトップの報酬を把握していないなどということがなぜ起こり得たのか。

  ゴーン氏は毎年この時期、世界経済フォーラム(WEF)年次会合(ダボス会議)の常連だった。逮捕がなければ、パネル討論会やテレビインタビュー、重要人物との2者会談など今年も忙しく活躍したことだろう。しかし今年のダボス会議でゴーン氏の名前が出たのは、フランスのルメール財務相からだった。同相はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ゴーン氏がルノーの会長とCEOを辞任したと明らかにした。

  世界を飛び回るビジネスマンのゴーン氏は、自分に巨額報酬が支払われる仕組みをケリー氏らが作り上げたと安心し、大半の時間を機上で過ごしていた。日本での最も近しい同僚が自身の逮捕を画策しているとは知る由もなかった。同氏は日産の取締役全員に支払われる報酬の倍以上を受け取ったこともあった。これに、さまざまな給料と5軒の住宅提供が加わった。弁護側はこれを成功報酬だと主張する。検察と日産は法的、倫理的に許されない行為だったと論じる。いずれにしても、ゴーン被告は敵に付け入るすきを与えてしまった。

原題:Inside the Takedown That Landed Carlos Ghosn in a Japanese Jail (抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-01-31/PM4KH46S972801?srnd=cojp-v2


 


ユーロ圏:1月インフレ率は1.4%に低下、コアは1.1%に加速
Catherine Bosley
2019年2月1日 19:42 JST
総合インフレは昨年4月以来の水準に鈍化した
コアインフレ率は3カ月ぶり高水準、予想上回る
ユーロ圏では1月にインフレが前月から鈍化したものの、コアインフレ率は予想に反して上昇した。

  欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が1日発表した1月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比1.4%上昇と、昨年4月以来の低い伸びにとどまった。ただ、変動の大きい項目を除いたコアインフレ率は1.1%と3カ月ぶり高水準となった。

  1月の総合インフレ率はエコノミスト予想の通りだったが、コアインフレ率は予想(1.0%)を上回った。

Euro-area core inflation accelerates as headline rate falls
原題:Dip in Euro-Area Inflation Masks Pickup in Core Price Pressures(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-01/PM8SKU6KLVR701?srnd=cojp-v2


 


http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/809.html

[経世済民130] GPIF、過去最大のマイナス運用14.8兆円 株安響く=18年10─12月期実績 
GPIF、過去最大のマイナス運用14.8兆円 株安響く=18年10─12月期実績
Reuters Staff
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[東京 1日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によると、2018年12月末の運用資産額は150兆6630億円と、3・四半期ぶりの減少となった。年末にかけ世界的な株安に見舞われ、四半期ベースで14兆8039億円と過去最大のマイナス運用となったことが響いた。運用資産のうち外国債券は1兆9100億円買い越した。

10─12月の収益率はマイナス9.06%。四半期ベースの損失額としては自主運用を始めた01年度以降で最大だった。資産別では、国内債券の収益率が1.01%(4242億円)のプラスだったのに対し、国内株式が17.57%(7兆6556億円)、外国債券が2.74%(7182億円)、外国株式15.71%(6兆8582億円)と、いずれもマイナスだった。

GPIFによると、市場運用を開始した2001年度以降の累積収益率は2.73%、収益額は56兆6745億円で、年金財政上必要な水準は上回っている。累積収益額のうち、利子・配当収入は33兆3195億円。

主要資産の運用比率は国内債券28.20%、国内株式23.72%、外国債券17.41%、外国株式24.29%となった。10─12月期は国内債券を6630億円、外国株式を316億円それぞれ売り越した。

一方、外国債券と併せて国内株式を11億円買い越した計算になる。
https://jp.reuters.com/article/gpif-results-idJPKCN1PQ3US
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/810.html

[経世済民130] FRB議長が米議会と緊密化、「トランプ攻撃」に対抗か トランプ米中交渉で裏目 フォックスコン、トランプ産業復興の夢に打撃


トップニュース2019年2月1日 / 12:18 / 7時間前更新
焦点:
FRB議長が米議会と緊密化、「トランプ攻撃」に対抗か
Ann Saphir
4 分で読む

[サンフランシスコ 30日 ロイター] - トランプ米政権からの声高な批判を浴びる中で、難しい金融政策のかじ取りを任された連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、前任のイエレン、バーナンキ両氏よりも頻繁に連邦議員たちとの会合を重ね、味方を増やそうとしているようだ。

議長就任後の10カ月間で、それも利上げを巡りFRBと議長自身に対して公然と大統領が攻撃を始めるかなり以前から、共和・民主両党の議員と計40時間以上にわたって電話や直接の面会による協議を行っていたことが、公表された議長のスケジュールで明らかになった。

これは、前任議長のイエレン、バーナンキ両氏が、それぞれの就任同時期に行った協議時間の総計にほぼ等しい。

昨年2月から11月にかけて、パウエル議長は合計で少なくとも72人の議員と連絡を取っており、イエレン前議長が4年間の任期を通じて接触した議員よりも、すでに2人多い。

毎月公表されるパウエル議長のスケジュールは、それぞれの協議内容には触れておらず、議長自身やFRBも詳細を開示していない。

とはいえ、面会した主要議員への取材から、同議長がバーナンキ、イエレン両氏よりもはるかに高いレベルで議会との友好関係を築いている様子が見て取れる。トランプ大統領からの攻撃が強まるとすれば、連邦議会という後ろ盾は議長にとって有益となるだろう。

トランプ大統領は2017年後半、パウエル議長を指名したが、2018年になると、元弁護士で投資銀行の幹部だったパウエル氏との関係は悪化。FRBによる利上げを「頭がおかしい」「馬鹿げている」と非難し、経済成長の足を引っ張る元凶だと、攻撃を繰り広げた。

こうした批判は米政権がFRBに政策を押しつけようとしているという懸念を呼び起こした。トランプ大統領が非公式にパウエル議長の任を議論していたことが報じられると、この懸念はいっそう強まった。その後トランプ氏は、議長解任を試みることはないと記者団に語った。

パウエル議長は昨年7月、「議会議事堂のカーペットをすり減らす」とマーケットプレース・ラジオとのインタビューで約束したが、彼のスケジュールを見れば、どれほど頻繁に議会に足を運んでいるかが分る。その狙いについて、中銀の行動について説明し、その監視役となる議員の関心に応えることだ、と議長は説明していた。

こうしたパウエル氏の努力は、歴代議長と一線を画するだけでなく、国会議員と1対1で会うことが滅多にない欧州中央銀行(ECB)や日本銀行の総裁との違いも際立たせている。

<議会ネットワーク拡充>

2007─09年のリセッション(景気後退)から脱け出すためにFRBによる国債買い入れなど異次元政策を駆使したことで、イエレン、バーナンキ両氏は、公然と厳しい監視の目を米議会から向けられていた。そのため議会との非公開協議を増やしたところで、批判をかわせたかは不透明だ。両氏ともコメントの要請に応じなかった。

トランプ大統領はFRBを批判しているが、パウエル議長と会合をもった議員たちは、共和党出身の大統領ではなく議長を支持している。

「大統領には、FRBがやりたいようにやらせておくよう勧めている」と、FRBを監督する上院銀行委員会メンバーのパトリック・トゥーミー上院議員(共和党)は語る。

「FRBの動きが政治的な恫喝や圧力に従っていると市場が考え始めたら、国の経済にとっても、資本市場にとっても、非常に悪い流れになるだろう」とペンシルバニア州選出の同議員はロイターに語った。

またトゥーミー議員は、11月に複数の上院議員と参加した非公式ディナーの席上で、パウエル議長が、完全雇用と物価安定という二重の責務を達成するための戦略を再考していると語ったと述べ、そうした取組みについて「建設的」で「合理的」だと評した。

パウエル議長と9月に同席し、11月のディナーにも出席した上院銀行委員会メンバーのリチャード・シェルビー上院議員(共和党、アラバマ州選出)は、こうした会合では通常、金融政策と経済に関するブリーフィングが行われると説明する。

「パウエル議長は、できるだけ議会に対して最新の情報を伝えようと努めている」と同議員はロイターに語った。この時点でさらなる利上げは歓迎できないと断りつつも、「FRBは、大統領からも議会からも独立性を持つものとして創設された。それについて今からあれこれ言おうとは思わない」と述べた。

<大統領とは会合せず>

トランプ大統領は、FRBで金利決定を担う連邦公開市場委員会(FOMC)の2つの空席を埋める人事を検討中であり、これが金融政策に間接的な影響を及ぼす手段となる可能性がある。FRBは昨年4回の利上げを行ったが、今月30日には金利政策の据え置きを決めた。

トランプ大統領によるFRB人事については上院銀行委員会の承認が必須だが、パウエル氏は同委員会メンバー25人のうち19人と会っている。こうした会合のほとんどは、大統領がFRBに対する攻撃を強めた7月から11月に行われた。

会合スケジュールはもっぱら議員側の都合を優先しており、かなり前から予定されていたため、このタイミングは偶然の産物かもしれない。とはいえ、パウエル議長と会った議員が、トランプ大統領によるFRB批判に気づいていなかったとは考えにくい。

 1月30日、トランプ米政権からの声高な批判を浴びる中で、難しい金融政策のかじ取りを任された連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長(写真)は、前任のイエレン、バーナンキ両氏よりも頻繁に連邦議員たちとの会合を重ね、味方を増やそうとしているようだ。ワシントンで10日撮影(2019年 ロイター/Jim Young)
「パウエル議長は大統領からの攻撃に抵抗し、金融政策の政治的な独立性を保っているという点で信用に値する」と上院銀行委員会メンバーでもある民主党のマーク・ワーナー上院議員(バージニア州選出)は語る。同議員は8月、議長と30分会談した。

またパウエル議長は、同じくFRBの監視を担う下院の金融サービス委員会メンバーの半数とも会っている。

トランプ大統領がおおっぴらにFRB批判を展開する何カ月も前から始まったパウエル議長と議員との会合は、大半が議員オフィスで30分程度会談するものだが、5分程度の電話協議が数件、さらには2時間半に及ぶ上院議員11人とのディナーもあった。

こうした会合が速いペースで重ねられていった。

イエレン前議長の場合、議員との会合時間が合計40時間を超えたのは、議長就任から17カ月目だった。バーナンキ元議長は16カ月目だ。この時点までに、両氏とも自分を指名した大統領と2回会合を行っている。

パウエル議長は、トランプ大統領との協議について前向きだと発言しているが、まだ会合を行っていない。

就任後、最初の1年を終えつつある中で、パウエル議長はいくつか困難な選択に直面している。利上げを止める時期、FRBが膨大に保有する米国債・不動産担保証券の縮小を止める時期、そしてFRBによる金融政策アプローチの見直しの是非と方向性である。

景気後退が現実となれば、前任者が活用して議会から批判を受けた「異次元緩和」に頼る必要が生じるかもしれない。その場合、議会との間で築いてきたコミュニケーション回路が、これまで以上に大きな見返りをもたらす可能性がある。

「戦略的に見れば、バーナンキ、イエレン両氏が一般社会や議会相手により対外的なコミュニケーションを図っていれば、FRBもやりやすかったはずだ」と元ミネアポリス連銀総裁で現在はロチェスター大学(ニューヨーク州)で教鞭を執るナラヤナ・コチャラコタ氏は語る。

パウエル議長の働きかけは、「議会がFRBの独立性を尊重する上でプラスになるだろうか。私はそう思うし、そうであって欲しいと願っている」と付け加えた。

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/usa-fed-powell-idJPKCN1PP0WQ


 


コラム2019年2月1日 / 16:34 / 7時間前更新

トランプ氏の意気込み、なぜ米中交渉で裏目に出るか

Gina Chon
2 分で読む

[ワシントン 31日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ワシントンで行われた閣僚級の米中通商協議に臨んだトランプ米大統領は、輸入関税問題に決着を付けるのは自身と習近平・中国国家主席の役目だとツイッターに投稿した。

自らの関与の重要性を強く打ち出したのは妥結への意欲の現れで、中国政府は大幅な譲歩を迫られないで済むかもしれない。一方、米政権内の対中強硬派は窮地に立たされた。

トランプ氏が対中協議で見せたこうした態度は、これまでの通商協議と異なる。

北米自由貿易協定(NAFTA)見直しでも交渉を主導したライトハイザー米通商代表部代表は、NAFTA交渉では最終合意を任せられた。しかしトランプ氏は31日、米中協議の最も困難な課題は自分が習首席と解決に当たる考えを示した。

しかしトランプ氏は自ら乗り出した案件で多くの成果を上げていない場合が多い。

昨年6月の北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談では、金氏から新しい言質をほとんど引き出すことができなかったにもかかわらず、北朝鮮を誉めそやした。中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)(0763.HK) (000063.SZ)を巡る問題でも、習主席との電話による直接会談後に、ZTEに取締役会の刷新などを条件に米企業からの部品調達の継続を認めた。

トランプ氏の要求には米国産農産物の輸入拡大など、中国にとって実現可能なものが含まれている。中国の劉鶴副首相は31日の話し合いで、米国産大豆500万トンを購入すると表明。トランプ氏はこの成果を繰り返し強調した。

しかし政府補助の削減、強制的な技術移転や知的財産の窃取停止など、構造的な問題ははるかに厄介で、ライトハイザー氏が最も強く解決を望んでいるのはこうした課題だ。習首席はトランプ氏に宛てた書簡で、2000億ドル相当の中国製品を対象に輸入関税が引き上げられる3月1日より前の決着を望んでいると伝えた。

中国側はこれまでのところ米国との食い違いが大きい厄介な分野で、大きな方針転換を行う姿勢を示していない。ライトハイザー氏が交渉の責任者なら中国政府は大幅な歩み寄りを提案したかもしれないが、トランプ氏が最終決断を下すならそうした譲歩を示す理由はない。

ライトハイザー氏が期待できるのはせいぜい中国を縛る、強制力のある措置の導入だが、それすら難しいかもしれない。

●背景となるニュース

・ワシントンで行われている米中通商協議は31日、トランプ米大統領が中国の劉鶴副首相と会談した。トランプ氏はツイッターに、協議は順調だが、自身が習近平・中国国家主席と会って「長く引きずっている、より困難な問題のいくつかについて協議し、合意するまで」最終合意は成立しないだろうと投稿した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/us-china-trump-breakingviews-idJPKCN1PQ3TD


 

コラム2019年2月1日 / 15:04 / 9時間前更新

フォックスコン、トランプ氏の「産業復興の夢」に打撃
Christopher Beddor
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[香港 31日 ロイター BREAKINGVIEWS] - フォックスコン・テクノロジー・グループ(鴻海集団)が、野心的な米国生産拠点の拡大計画の見直しという恥ずべき事態に追い込まれたことは、経済の基本的な教訓を示すものだ。

米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を生産している同社と米ウィスコンシン州が、米国内製造業の復活という大きな賭けを発表してから2年とたっていない。

郭台銘(テリー・ゴウ)最高経営責任者(CEO)率いるフォックスコンは今回、液晶ディスプレーパネルを州内で製造しても競争力で劣るとして、工場労働者よりも技術者や研究者を主に雇用する方針を明らかにした。トランプ米大統領の産業復興の夢に、現実の厳しいチェックが入った形だ。

かつては鴻海(ホンハイ)精密工業(2317.TW)として知られ、時価総額320億ドル(約3兆5000億円)のこの台湾企業は、液晶ディスプレーパネル生産用の新拠点を100億ドルかけて同州に建設する計画を2017年に公表した。一定の条件下で40億ドル規模の税制優遇措置や他の優遇措置を受けつつ、多数の新規雇用を生み出すとの触れ込みだった。

トランプ氏はこれを自分の手柄にして、ショベルを手に郭CEOと共に写真に収まり、新工場は「世界の7不思議」に続く8番目の不思議になるだろうと褒めそやした。

フォックスコンは今、計画の縮小や、破棄すら検討していることを示唆している。

同社の幹部社員はロイターに対し、米国労働者の賃金水準が高く、生産コストが高すぎると話した。東南アジアでパネルを生産し、メキシコで組み立てて米国に輸出した方が、フォックスコンにとって利益が多い。ウィスコンシンの工場は「技術ハブ」となる見通しで、工場というよりは研究開発施設に近いだろう。

フォックスコン側はまだ見直し後の計画について詳細は明らかにしていないが、1万3000件の新規雇用を創出する目標は維持するとしている。

しかし、もし郭CEOがブランド評価の著しい低下と引き換えに計画見直しを決めた場合、伝統的な海外生産のパターンや通商のロジックを逆転させてトランプ氏の「ブルーカラーの楽園」を築くことがいかに困難かが、改めて示されたことになるだろう。

フォックスコンがしようとしていることは、他の企業が長年実践してきたことだ。より高価値の研究開発は賃金水準は高いが生産性も高い米国で行い、労働集約型の製造は賃金の安い国で行う、というものだ。

さらに悪いことに、目の玉が飛び出るほど巨額の政府援助をもってしても、この図式は変わらない。予算シンクタンクのウィスコンシン・バジェット・プロジェクトは2017年、フォックスコンに対する税制優遇措置だけで、従業員1人あたり21万9000─58万7000ドルの負担が州に行くことになると試算している。

昨年フォックスコンが採用した従業員数は、州の優遇を即座に受けられる条件に満たなかった。

米ネット通販最大手アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)の例を見ても明らかなように、企業はビジネス誘致に熱心な州から搾れるだけ搾り取ろうとしている。今回の件は、「最後の失望」にはならないだろう。
https://jp.reuters.com/article/foxconn-wisconsin-breakingviews-idJPKCN1PQ3OB


 
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/811.html

[国際25] ボリビアのリチウム争奪戦、ドイツが中国押しのけ勝利
トップニュース2019年1月31日 / 10:51 / 7時間前更新
焦点:
ボリビアのリチウム争奪戦、ドイツが中国押しのけ勝利
Mitra Taj and Michael Nienaber
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[ウユニ(ボリビア)/ベルリン 28日 ロイター] - ドイツは先月、ボリビアでの大規模リチウム鉱山開発を支援する協定を締結し、2国間の経済関係を深化させる事業としてこれを歓迎した。

これによりドイツは、バッテリーの素材となるこの希少金属を巡って中国などの大国が世界中で繰り広げている新たな「グレートゲーム(大競争)」への参戦を果たした。

ベルリンで先月12日締結された同協定は、モラレス大統領率いるボリビア政府に対して、ドイツが2年間にわたって行った熱心なロビー活動の成果だ。ドイツの小規模な同族経営企業と組む方が、中国のライバルよりも優る、と熱心に説得していたことが、両国の当局者に対するロイターの取材で明らかになった。

中国はアジアやチリ、アルゼンチンなどで協定を結ぶことにより、グローバルなリチウム市場の囲い込みを静かに進めていた。次世代エネルギー革命の鍵となるかもしれない戦略的資源の確保を狙った動きだ。

中国が過去2年間で行った南米向け投資額は42億ドル(約4600億円)に上り、同時期に日韓企業が行った類似の投資総額を上回った。中国企業は現在、世界のリチウム生産の半分近く、そしてバッテリー生産能力の60%を支配している。

ドイツ当局者は、独ACIシステムズによる今回のボリビア入札を支援した理由として、アジアのバッテリー製造企業に対するドイツの依存度を抑えるチャンスであり、独自動車メーカーが電気自動車(EV)の生産競争で中国や米国の競合他社に追いつくための支援になると考えたためだ、とロイターに語った。

ドイツ政府当局者は、一連のボリビア訪問を通じてドイツ企業との提携によるメリットを訴えるなどの働きかけを行った。またボリビアのエチャズ副大臣(高エネルギー技術担当)は、ボリビア当局者側もドイツのバッテリー製造工場を視察した、とロイターに語った。

ドイツのアルトマイヤー経済相は、環境問題に熱心なモラレス大統領に宛てた書簡の中で、ドイツが環境保護に力を入れていることを強調した。こうしたロビー活動の仕上げは、昨年4月に行われた同経済相とモラレス大統領による電話協議だった、と関係者は語る。

ACIが契約を勝ち取ったことで、ドイツは南米の「リチウム・トライアングル」に残る最後のフロンティアへの足掛りを得たことになる。まだ未開拓のリチウム鉱脈の中で世界最大級の1つが、ボリビアにあるウユニ塩湖だ。

ドイツ自動車製造の中心地チューリンゲン州で州経済相を務めるヴォルフガング・ティーフェンゼー氏は10月、ボリビア首都ラバスを訪れた際、「この提携によってわが国はリチウム供給を確保し、中国の独占を打破することになる」とロイターに語った。

<残るリスク>

ACIにとって、ボリビアでの事業にはリスクもある。

ウユニ塩湖のリチウム埋蔵量は少なくとも2100万トンと喧伝されているが、モラレス大統領はACIに対して、天然資源の国有化を公約の柱としてきた。ただしボリビア政府当局者は、何か不具合が生じても海外からのウユニ塩原向け投資は保証されると明言した、とACIのシュムツCEOはロイターとのインタビューで語った。

さらに、降雪や降雨によって、ウユニの塩水からリチウムを抽出するために必要な蒸発プロセスが遅延する恐れもある。また、ボリビアは内陸国なので、リチウムの出荷には隣接するチリやペルーの港湾を利用する必要が生じる。

環境を意識したクリーンな技術や設備を供給する同族経営企業のACIには、リチウム生産の経験がない。同社の生産能力を疑問視する業界アナリストもいるが、同社は小規模ゆえに柔軟性が高く、さまざまな分野のパートナーを同プロジェクトに招くことができる、とそうした懸念を一蹴した。

シュムツCEOは、ドイツの大手自動車メーカーとリチウム供給について仮契約を結んでいると語ったが、秘密保持義務を理由に詳細は明らかにしなかった。

BMW(BMWG.DE)は、ACIと予備的な協議を進めているものの、まだ決定には至っていないと語る。フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)は、原材料の供給確保と価格安定は重要だが、ボリビアでのリチウム生産は特にハードルが高いと言う。ダイムラー(DAIGn.DE)のオラ・ケレニウス取締役氏は「実現したとしても、私たちは参加しない」と語った。

すでに交渉に入っている自動車メーカーは、最終的な契約成立までは、何も公式に認めることができないだろう、とACIは述べている。

<リチウム版「グレートゲーム」>

Slideshow (6 Images)
リチウム支配を巡る世界的な競争は「グレートゲーム」と呼ばれてきた。これは19世紀、ロシアと英国が中央アジアにおける影響力や支配地域を巡り、争った状況を表現する言葉だ。

ボリビアでのプロジェクトには、同国内に水酸化リチウム生産プラントとEV向けバッテリー製造工場を建設する計画も含まれている。バッテリー製造工場が完成すれば、単なる原材料輸出国という従来の役割からボリビアを脱却させるという、モラレス大統領の野心の実現に一役買うことになろう。

ACIでは、水酸化リチウム製造プラントの年間生産能力を2022年末までに3.5万─4万トンに引き上げたいと表明している。これは世界最大級のリチウム生産企業が運営するプラント生産量に匹敵する。このうち8割はドイツに輸出されることになる。

ボリビアのエチャズ副大臣は、ACIが同国内にバッテリー製造工場を建設する姿勢を見せたことが契約成立の好材料になったと語る。

中国企業は、原料を出荷してバッテリーを製造し、最終製品を中国に再輸入するのでは経済的に意味がないと感じたため、ボリビアでのバッテリー製造工場建設を望まなかった、と同副大臣は述べた。

ラパスにある中国大使館は、ウユニ塩原プロジェクトについてコメントはしなかったが、リチウムに関してボリビアと将来的に協力する可能性は「非常に大きい」と述べた。

新たに発足する合弁事業には、ボリビア国営のボリビア・リチウム公社(YLB)が51%を出資する。プロジェクトの主導権を握ることもボリビア側にとっては重要な条件だった。スペインの植民地だった同国で天然資源の獲得を巡り諸外国が争った苦い記憶があるからだ。

YLBのフアン・カルロス・モンテネグロ総裁は、提携先企業を決める1つの要因となったのは、地政学的な状況だと語る。

「たった1つの国がルールを定めるのは好ましくない。バランスが必要だし、他の大国がそうしたバランスの創出に貢献しなければいけない」と同総裁は語った。「そのため、市場に関する経済的パートナーだけではなく、地政学的に戦略的なパートナーを持つことがボリビアにとって大切だ」

ただし、どこが提示する条件が最善かを判断する際に、ボリビアが中国に対して否定的な傾向を持っていたわけではない、と同総裁は強調する。「ボリビアと中国の関係は引き続き良好だ。中国は世界のあらゆる国に進出しており、避けることは不可能だ」

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/bolivia-lithium-germany-idJPKCN1PO0XM
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/376.html

[経世済民130] 米FRBの「忍耐」に警戒すべき理由 今こそ超富裕層に増税すべき理由 増税目前、不正統計が専門家に問う景気分析力
為替フォーラム2019年2月1日 / 18:09 / 6時間前更新

米FRBの「忍耐」に警戒すべき理由
John Kemp
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[ロンドン 31日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が今後の利上げ判断において「忍耐強く」なると約束したことは、景気の減速がリセッション(景気後退)の呼び水になりかねないと懸念する投資家を喜ばせた。

30日までの連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に公表された声明にこうした内容が盛り込まれ、株式市場に限定的ながらもリリーフラリー(安心感による上昇)をもたらした。

しかし利上げ見送り決定は、経済にとっては強気というより弱気のサインで、リセッションのリスクが高まっていることが確認できる。

FRBが忍耐強さを新たに表明したのは、今年の利上げ継続を計画していた昨年秋以降、いかに経済環境が悪化したのかを物語る。

声明には経済活動の持続的拡大が最もあり得る展開だと記されてはいるが、景気見通しのリスクが上下均衡していると察せられるような前回までの表現は消えてしまった。

言葉より行動の方が雄弁で、利上げ見送りは、景気の下振れリスクが以前より増大したというFRBの認識をうかがわせる。

過去4回のリセッションの始まり(1981年、1990年、2001年、2007年)を振り返ると、政策金利であるフェデラルファンド(FF)の実効レートはその前にピークに達し、リセッション突入時には既に低下していた。

実際1960年以降のほぼ全てのリセッションでは、その直前にFF実効レートが天井を打っている。ごく限られた例外は1980年からのリセッションだ。

FRBは景気拡大が失速しつつあるという兆しに反応するため、政策金利のピーク到達は、しばしば近いうちにリセッションが到来する前兆となってきた。そしていずれのケースでも、たとえ利下げをしても数カ月後に起きる経済の縮小を防ぐには力不足だった。

つまりFRBが利上げを我慢する姿勢はホワイトハウスから歓迎されるだろうが、それだけ景気見通しが悪くなっているという証拠であり、投資家にとっては警戒を強める理由になる。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/uk-usa-economy-kemp-column-idJPKCN1PQ454


 

 


 

コラム2019年1月31日 / 16:16 / 16時間前更新
コラム:
今こそ超富裕層に増税すべき理由
Edward Hadas
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[ロンドン 30日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 超富裕層には超高額な税金を──。左派の米政治家2人がそれぞれ行った提案が注目を集めていることから判断しても、こうした考えは今、時流に乗っているのかもしれない。

法外な収入に課税すべきだと主張するのは、ニューヨーク州選出の民主党の新人、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員だ。詳細は明らかにしていないが、1000万ドル(約11億円)を超える課税所得の税率を70%にするというものだ。単身者で収入が50万ドル以上の税率が37%という現行制度と比べ、これはかなり高い。

また、同じく民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)は、保有する資産に課税すべきと主張する。5000万─10億ドルの純資産がある場合は年率2%、10億ドルを超える場合は同3%の税金を納めるべきというのだ。同議員の経済顧問を務めるカリフォルニア大学バークレー校のエマニュエル・サエズ、ガブリエル・ザックマンの両氏は、米国世帯の0.1%がそれに該当すると試算する。

これは従来の税制改革とは違う。目指しているのは、フランスの国王ルイ14世の財務総監を務めたジャン・バティスト・コルベールの言葉にあるように、「痛みを最小限に抑えつつ、ガチョウの羽毛を最大限むしり取る」ことではない。反対に、オカシオ・コルテス議員とウォーレン議員は、ほんの一握りの最富裕層であるもっとも肥えたガチョウから発せられる痛みを聞きたいのだ。

富む者は貧しき者よりも多くの税金を支払うべきという基本原則を拒否するのはリバタリアン(自由主義者)だけだろう。社会から収入をより多く受ける人は、社会の繁栄のためにより多くの税金を払って還元すべきというのは理にかなっている。こうしたいわゆる累進課税は先進諸国の税制システムすべてに見られるものだ。

進歩的なこれら政治家による提案の斬新な、または少なくとも再び脚光を浴びている点は、収入や富のピラミッドの頂点に立つ人たちに対して累進性が強化されていることだ。経済エリートは以前より富を手にしているが、それに値しないとする2人の道義的主張は力強い。

米国の富裕層は以前よりも所得が増え、社会が生み出した富をかつてないほど支配している。議会予算局(CBO)によると、富裕層トップ1%の平均所得は1979─2015年に242%増加した。一方、人口の6割を占める中間層の場合は、同46%しか増えていない。資産という点で言えば、トップ1%が保有する富の割合は1978年には7%だったのに対し、現在は20%にまで増加している。

とりわけ、大企業ではその傾向が顕著だ。トップ350社における最高経営責任者(CEO)の平均年収は1989年、従業員の年収中央値の58倍だった。だが経済政策研究所(EPI)によると、2017年には、CEOの平均年収は1890万ドルとなり、従業員との差は312倍に拡大した。そのような高額報酬であれば、資産が急速に築かれるのも何ら不思議ではない。

では、彼らにその資格があるのか。経済活動の複雑さと相互依存が一段と深まる中、個人の貢献の重要性が必然的に薄れてきている。例えば、経営者は共有された知識や文化、社外の専門家、既存の生産システムをかつてないほど利用している。皆の生産性が統合された同じ経済基盤を利用することで生み出されているなら、大きな賃金格差は道理に合わない。

報酬と貢献度がますます一致しなくなっていることは不当であり、より踏み込んだ累進課税制度によって是正できるように思える。公正さを巡るこうした主張に納得できないなら、政治的な側面からも富裕層への課税強化を正当化できる。税金は納税者を国に帰属させる契約のようなものだ。富裕層の税金が低過ぎるということは、社会契約に違反しかねない。

先週の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、そうした契約が崩壊しつつあることがうかがわれる出来事があった。

米パソコンメーカー大手デルの創業者マイケル・デル氏は、70%の限界税率について意見を求められると、自身の金が効果的に使用されるかという点において、政府を信用していないと答えたのだ。このような支配を手放したくないという本能はほとんど反社会的と言える。

デル氏はまた、税率引き上げは企業と経済成長にとってマイナスとも語った。実際には誰にも分からないが、それはナンセンスだと常識が教えてくれる。IT業界や産業界の天才たちは、1100万ドルの手取り収入が1060万ドルに下がるからといって、仕事の手を抜くことはないだろう。また、経済的、社会的公正さが実現するのであれば、経済成長を多少犠牲にする価値はある。

米政治家2人による税制改革の提案自体に大きな効果はないだろう。オカシオ・コルテス議員の税率では、収入格差の緩やかな縮小しか望めない。一方、ウォーレン議員の資産税も、資産格差の拡大ペースを減速させるにとどまる。

とはいえ、そのような改革は自然に実現できるものではない。この40年で累進性は徐々に下がっており、方向転換するには政治の風潮が大きく変わらなければならない。

果たしてそれは実現するだろうか。デル氏が70%税率について質問されたとき、ダボスの参加者は笑った。単にばかげたアイデアに聞こえただけかもしれない。それでも、富裕層への税率引き上げを求める声が、先進諸国にまん延する根本的な政治不信の新たな発火点となるかもしれないという不安もあっただろう。

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もしそうなら、超富裕層は自身の有り余る資金の多くをこうした変化に反対するためにささげたいとは思わないだろう。社会契約が強化されなければ、社会のあつれき、暴力すら起きる可能性が高まる。血を見る革命に直面するよりも、今税金を多少多く払っておく方が賢明だろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-hadas-ultra-rich-idJPKCN1PP0NQ


 

為替フォーラム2019年1月31日 / 14:10 / 1日前

増税目前、不正統計が専門家に問う景気分析力

嶋津洋樹 MCPチーフストラテジスト
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[東京 31日] - 厚生労働省の毎月勤労統計など、政府の基幹統計で不適切な処理が相次いで発覚し、波紋を広げている。経済統計は自動車や飛行機で言えば速度や高度、燃料の残量などを示すメーターであり、政府が適切な経済運営をする際の前提となる資料である。

そこに誤りがあるとすれば、ただでさえ困難な景気動向の正確な把握に支障を来し、適切な経済運営など望むべくもない。

まして日本は現在、デフレ脱却に向けた取り組みの真っ最中であり、今年10月には消費増税も控えている。正しい統計に基づいて経済を運営することは喫緊の課題と言える。同時に、統計を利用して情報発信する機会の多いエコノミストを始めとした専門家も、これまでデータを丁寧に分析し、経済の実態を正確に伝えてきたかのかを振り返る必要がある。

<景気回復「戦後最長」の実感>

例えば、政府が1月の月例経済報告で、足元の景気回復は「戦後最長となった可能性がある」との認識を示すと、メディアの多くは専門家のコメントとともに、「実感がない」と反射的に報じた。確かに景気回復を実感できない人はいるだろう。しかし、それは感覚の問題である上、いつの時点の何と比較したのかもあいまいだ。単なる個人の感想ならともかく、足元の景気や今後の経済政策を議論する時に、「実感がない」という印象だけでは建設的な議論はできない。

それどころか、「実感がない」と発信することが誤った印象を与える可能性もある。日銀の「生活意識に関するアンケート調査」を見ると、今回の景気回復が始まった2012年12月調査で、景気水準について「良い」、「どちらかと言えば、良い」と回答したのは、それぞれ0.1%と1.4%に過ぎなかった。それが直近2018年12月の調査では、0.9%と14.5%に大きく増加。同年9月の調査では、「どちらかと言えば、良い」との回答が、統計を開始した2006年12月以来最高の15.9%に達した。

「実感がない」という表現とは相容れない結果である。確かに、2018年12月調査の「悪い」と「どちらかと言えば、悪い」はそれぞれ6.3%と33.3%で、いずれも「良い」と「どちらかと言えば、良い」を上回っており、そこだけに着目すれば「実感がない」と言ってもあながち間違いではないだろう。しかし、少なくとも筆者はこうした裏付けを伴った記事や解説を見つけることはできていない。

不思議なのは、「実感がない」との解説が相次ぐ一方で、今年10月の消費増税に対しては慎重な意見が限られていることだ。景気に自信を示す政府や日銀が消費増税に前向きなのは当然だろう。しかし、「実感がない」ことを解説する報道や、そこにコメントが引用されている専門家は、別の場所で予定通り消費税を引き上げる必要性を説いていたりする。「実感がない」ことを強調するのであれば、消費増税は延期または取り止めるべきと主張するのが正論ではないだろうか。

<10月の消費増税は最悪のタイミング>

また、今回の景気回復を政府が作り出した「政策頼み」と称し、批判的に評価する報道や専門家のコメントも目立つ。そもそも、「政策頼み」は8月の本コラム「日銀の枠組み強化でアベノミクスは『風前の灯』」で触れた通り、2014年4月の消費増税と2018年7月の日銀による「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」で、すでに形骸化している。

国内景気は筆者が予想した通り足踏み状態で、後退局面入りが視野に入り始めた。まさにマクロ経済政策の不適切な組み合わせが、景気回復は「戦後最長となった可能性」を危うくしている。

筆者の見通しが正しければ、今年10月の消費増税は最悪のタイミングで実施されることになる。景気がいったん悪化すれば、デフレ脱却に向けたこれまでの努力は元の木阿弥(もくあみ)になりかねない。人員削減や給与カット、企業倒産という憂き目にあう人も増えるだろう。

「政策頼み」の景気回復についても、筆者からすれば、政府が金融や財政などマクロ経済政策を適切に組み合わせること、その結果として景気回復が長期化することは当然であり、褒められこそすれ、批判されるものではない。

もちろん、そうした政策が極端なインフレやデフレ、景気の大きな振幅、失業などをもたらせば問題だが、日本の景気はおおむね緩やかに回復を続け、労働市場は改善しており、物価が持続的に下落するという意味でのデフレもほぼ解消した。

<増税対策の効果は未知数>

確かに、消費者物価は依然として日銀が物価安定の目標として掲げる2%を大幅に下回っている。日本経済に最も必要とされる生産性向上や、そのための構造改革も道半ばと言えるだろう。しかし、それには地道な努力が必要で、時に痛みを伴うことが知られている。日本経済が全体として過剰な雇用を抱える中で、企業が生産性向上のためと称して急激に人員削減や給与カットに踏み切れば、多くの人々は路頭に迷うだろう。企業そのものが倒産という憂き目にあう可能性さえある。

政府は10月の消費増税に向けて万全の対策を強調するが、2014年4月の前回を振り返るまでもなく、その効果は未知数だ。今夏に発生した自然災害で復旧・復興事業が増える見込みにもかかわらず、公共工事の発注動向を集計した国土交通省の建設総合統計などによると、公共投資の減少には歯止めがかかっていない。

冒頭で述べた通り、今回判明した経済統計の不正処理は、経済運営にとって不可欠な「景気動向の正確な把握」に支障を来しかねない重大な出来事だ。同時に、主な利用者である専門家がデータをしっかりと理解し、正確な分析を心掛けないと、適切な経済運営が行われているかどうかをチェックするための材料を世の中に発信できない。結果として、国の経済と国民の生活を疲弊させかねない。

(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

嶋津洋樹氏(写真は筆者提供)
*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントなどを経て2016年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネジャーとしての経験を活かし、経済、金融市場、政治の分析に携わる。共著に「アベノミクスは進化する」(中央経済社)

(編集:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-data-hiroki-shimazu-idJPKCN1PP0EB

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/812.html

[国際25] 政治家もうんざり、米政府機関の「再閉鎖」避けるには 原油価格のさらなる下落を招くシェール企業 止まらない増産、協調減産の
コラム2019年2月1日 / 12:43 / 11時間前更新

政治家もうんざり、米政府機関の「再閉鎖」避けるには

Gina Chon
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[ワシントン 30日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 一部閉鎖されていた米政府機関がつなぎ予算によって再開したが、トランプ大統領はメキシコ国境の壁建設費用57億ドルを要求し続けているため、数週間中に再び閉鎖される恐れもある。

 1月30日、一部閉鎖されていた米政府機関がつなぎ予算によって再開したが、トランプ大統領はメキシコ国境の壁建設費用57億ドルを要求し続けているため、数週間中に再び閉鎖される恐れもある。写真は8日、チェーンとワシントンの米議事堂(2019年 ロイター/Kevin Lamarque)
しかし回避の手段はある。複数年予算を成立させ、予算不足を自動的に補う制度を導入すれば、政府機関が機能不全に陥るのを抑制できる。さらに、議員および大統領らへの給与支給停止をちらつかせれば、再閉鎖を防ぐ保険になるだろう。

議会は30日、再閉鎖を避けるための審議に入ったが、時間は限られている。つなぎ予算は2月15日に切れる。トランプ氏は、議会がメキシコ国境で壁その他の障壁を建設することを審議しないなら、時間の無駄だとツイッターに投稿した。

35日間の閉鎖中は、約80万人の連邦職員が休職、あるいは無給で働く事態となり、空港から食品検査、新規株式公開(IPO)に至るまで、幅広い分野に影響が広がった。議会予算局(CBO)は、政府機関の閉鎖により2019年の米経済に30億ドル相当の影響が及ぶとの見通しを示している。

さすがの政治家もうんざりしている。

一部議員は、歳出予算が時間内に成立しない場合、現行水準の連邦予算支出を自動的に更新する計画を提案した。マコネル上院院内総務(共和党)は、超党派の支持が得られればこの案を検討すると述べている。

複数年予算を導入すれば、不透明感はさらに和らぐだろう。現状では、財務省、証券取引委員会(SEC)、国防総省その他の機関が毎年議会に予算見積もりを説明する必要がある。しかし昨年、超党派の委員会は予算を2年ごとに策定する可能性について検討した。より長い期間にわたる予算ならさらに良いだろう。ただその場合には、修正を認め、将来の大統領や議員が口をはさめるようにするなど、柔軟性を持たせる必要があるだろう。

政府機関を閉鎖する場合にはもっと広く痛みを分担するようにすれば、両党とも再閉鎖を避ける意欲が高まるだろう。超党派の下院議員3人は、議員、大統領、副大統領への給与支払いを停止することを提案している。議会予算は昨年承認済みだったため、直近の政府機関閉鎖では議員給与に影響が及ばなかった。

格付け会社ムーディーズは29日、米政府機関が再び閉鎖されれば、債務上限の問題も浮上し、米経済により深刻な影響が及ぶ恐れがあるとの認識を示した。同社は既に今回の閉鎖を受け、米政府の予算成立手続きが他の「トリプルA」国に比べて「堅固さに劣る」可能性を検証中だ。議会には、そんなことはないと証明するチャンスが残されている。

●背景となるニュース

・議会予算局は28日の報告書で、今回の政府機関閉鎖により2019年の米経済に30億ドル相当の影響が及ぶとの見通しを示した。年間の国内総生産(GDP)が、予想より0.02%少なくなる計算だ。

・トランプ大統領と議会は25日、壁建設予算57億ドルを盛り込まない3週間のつなぎ予算で合意した。同予算の期限は2月15日。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/us-shutdown-breakingviews-idJPKCN1PQ3IE


 

原油価格のさらなる下落を招くシェール企業 止まらない増産、協調減産の効果を打ち消しに
2019.2.1(金) 藤 和彦
石油を輸送する米国のタンクローリー(資料写真)
 米WTI原油先物価格は1バレル=50ドル台前半で推移している。

 OPECをはじめとする主要産油国の協調減産開始が下支えとなっているものの、中国をはじめとする世界経済への先行き不安が上値を抑えるという基本的な構図に変わりはない。

サウジアラビアが先導する協調減産
 まず、主要産油国による協調減産の状況をみてみよう。

 OPECの昨年(2018年)12月の原油生産量は前月比75万バレル減の日量3158万バレルだった。サウジアラビアは前月比47万バレル減の1055万バレル、政情不安のリビアが前月比17万バレル減の93万バレルだった。

 サウジアラビアは今年1月の原油生産量を日量1020万バレルまで減らし、減産の基準となる昨年10月の日量1064万バレルから44万バレル削減したとされている(1月28日付ブルームバーグ)。この削減量はOPEC全体(日量80万バレル)の半分以上に相当する。

 減産への断固たる態度を示すサウジアラビアとは対照的に、ロシアの減産は事前の予想以上に進んでいない。ロシアは合意の基準である昨年10月の日量1142万バレルから1119万バレルまで減産する必要があるが、1月中旬までの原油生産量は日量1139万バレルとわずか2万バレルの減産にとどまっている。原油生産設備の凍結防止の面から冬季に原油生産を止めにくい事情があると言われている。サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は1月28日、米国のテレビインタビューで「ロシアが減産ペースを速めると約束した」と述べたが、ロシアの減産が進まない限り、原油価格のさらなる上昇は望めない。

 米国の制裁が続くイランの12月の原油生産量は前月比16万バレル減の日量277万バレルとなり、輸出量は110万バレルに縮小した。だが、EUが米国の対イラン制裁の適用を免れるため米ドルで決済しない特別目的事業体を設立することを決定したことで、イラン産原油の輸入を数カ月以内に再開する可能性が出てきた(1月23日付ロイター)。また、今年5月には米国政府によるイラン産原油輸入8カ国に対する半年間の特例が期限を迎える。イラン産原油の供給減少が原油価格の上昇につながることから、米国がイラン産原油を市場から完全に排除する可能性は低いとの見方も出ている(1月18日付ロイター)。

 1月下旬に入り市場関係者の注目を集めたのはベネズエラである。

 ベネズエラの12月の原油生産量は前月比3万バレル減の日量115万バレルとなり、国内の政情不安から直近2年間で70万バレル以上の生産が減少した。これまで月ベースの減少幅が小さかったことから市場に与える影響は限定的だったが、1月23日にベネズエラのマドゥーロ大統領がトランプ大統領が野党指導者を暫定大統領として承認したことに反発し米国との断交を宣言したことから、原油生産の大幅な減少が生じるとの見方が生じたのである。

 1月28日、米国政府はベネズエラ国営石油会社PDVSAに制裁を発動したが、同社の生産活動へのダメージは軽微なものになると見込まれる。昨年のベネズエラの原油輸出の約5割(日量50万バレル強)が米国向けだったことからわかるように、イラン産原油とは違いベネズエラ産原油はトランプ大統領が嫌がる米国のガソリン価格の上昇に直結するからである。

 2017年からの協調減産を振り返ると、同年8月に遵守率が100%を超えると原油価格は上昇基調に転じ、遵守率が140%超となった2018年5月には原油価格は1バレル=70ドル台まで上昇した。ただし、国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は1月23日、「原油市場の需給均衡の取り組みは短距離走というよりマラソンだ。今年の原油価格は昨年の高値を抜けることはないだろう」と述べた。昨年11月に5年平均の水準を上回ったOECD諸国の原油在庫が減少に転じるのは今年の第2四半期以降だとIEAは予測している。

シェールオイルを減産させるためには?
 原油価格の上昇に向けてのサウジアラビアの必死の努力が続く中で「大きな壁」となって立ちはだかるのは米国のシェールオイルである。

 米国の原油生産量は原油価格が下落したのにもかかわらず日量1190万バレルと過去最高水準を維持しており、今年の米国の原油生産量の平均は日量1210万バレル、来年は1290万バレルとなる見込みである(米エネルギー省)。シェールオイル生産の5割弱を占めるパーミアン地区のタンクローリーによる原油輸送量が今年第2四半期に4倍増となることから、輸送インフラ不足の懸念も薄らいでいる。

 米エネルギー省は1月下旬に2050年までの長期予測を公表したが、その内容は「米国の原油生産量を2027年まで拡大し、2040年まで日量1400万バレル以上の生産量を維持する」というものである。米国の原油生産の7割を占めるシェールオイルの採算ラインは既存の油田で1バレル=25〜40ドル程度、新規開発の油田で50ドル以下であり、技術的に採掘が可能な米国のシェールオイルの埋蔵量は782億バレルと世界一であることがその根拠である。

 世界経済フォーラム(ダボス会議)に出席したロシアの投資ファンドCEOが「米国のシェールオイルを減産させるためには原油価格を40ドル以下にする必要がある」と発言した(1月23日付ロイター)ように、昨年10月の高値(1バレル=77ドル)から下落したとはいえ現在の価格水準ではシェールオイルの増産は止まらない。

 一方、米国の原油需要は昨年まで6年連続で増加したが、このところガソリン生産が過剰気味となっており(1月25日付OILPRICE)、今年に入り原油在庫、ガソリン在庫が共に大幅増となっている。

中国の需要減退、シェール企業の「売り」ヘッジ
 世界一の原油輸入国となった中国は、昨年の実質成長率が6.6%と28年ぶりの低さだった。昨年の自動車生産台数は前年比3.8%減となり、プラスチック原料のエチレン生産量は頭打ち傾向が続いており、国内の原油需要(国内の石油精製量+石油製品純輸入量)が急減速している。

 その中で昨年11月と12月の原油輸入量は日量1000万バレルを超え過去最高水準となった。「茶壺」と呼ばれる民間製油所の輸入攻勢が原因とされているが、昨年は4%増だったガソリン需要は今年はほぼ横ばいになるとの見通しであり(1月25日付OILPRICE)、需要を超えて原油が輸入された反動が近いうちに生じるのは時間の問題である。

 昨年10月からの原油価格下落で大きな役割を演じたとされる「CTA」(商品取引アドバザー、アルゴリズム取引を得意とする)は、中国経済のスローダウンに焦点を当てており(1月21日付ZeroHedge)、中国の原油輸入量が減少すれば原油価格が再び50ドル割れする可能性が高いだろう。

 CTAとともに昨年後半の原油価格下落を招いたのはシェール企業自身だったとの観測も浮上している(1月18日付OILPRICE)。

 キャッシュフロー不足に悩むシェール企業は将来の原油収入を確定するため、原油価格の下落局面では先物で「売り」ヘッジを行う傾向があり、昨年第4四半期に1.5億バレル分の先物の「売り」を出していた。シェール革命以前の2007年時点でシェール企業は4カ月分のヘッジを行っていたが、昨年末は8カ月分のヘッジを行ったとされている。その間の生産量は5倍になったことから、シェール企業の売りヘッジのトータルのボリュームが10倍となり、大量の「売り」注文は原油市場における強烈な下押し圧力と化したのである。

 足下の原油市場は均衡状態にあるが、中国の原油需要減退がCTAの「売り」を招き、シェール企業が大量の「売り」ヘッジを行えば、原油市場で再び「フラッシュクラッシュ」が生じてしまうとの構図が目に浮かぶ。

「ジャンク債市場」崩壊の危険性
 原油価格が再び下落すれば、シェール企業の資金調達先の1つであるジャンク債市場にも悪影響を及ぶことは必至である。

 原油安が原因で急落したジャンク債市場は、原油価格の反転により落ち着きを取り戻しつつある(1月9日付日本経済新聞)が、今年の発行市場の滑り出しは極めて低調である(1月21日付ブルームバーグ)。

 その要因の1つに挙げられるのは米FRBのバランスシート縮小である。

 世界の金融市場の変調から米FRBは利上げ停止を示唆したものの、月間最大500億ドルのペースでバランスシートを圧縮していく方針に変更はない(米FOMCは1月30日、バランスシートの縮小について柔軟に対応する考えを示唆した)。量的引き締めは3%分の利上げ効果がある(1月15日付ブルームバーグ)との見方があり、進行中の資産デフレを食い止めるためには量的引き締めの中止が不可欠である。

 米FRBの市場からの資金引き揚げが加速する中、2019年から2023年にかけてシェール企業をはじめとするエネルギー企業が発行した債券が満期を迎えるが、その規模は毎年2000億ドルと巨額である。

 原油価格が再び下落すれば、満期後の借り換えのための起債が円滑に実施できずにシェール企業が大量倒産するような事態が起きてしまう。そうなればジャンク債市場全体が崩壊し、世界の株式市場へ悪影響が及ぶ。世界経済の急減速がさらなる原油価格を招くという悪循環になりかねない。

 このように今年の原油市場、ひいては世界の金融市場の「一寸先は闇」である。

予断を許さないサウジアラビア情勢
 最後にサウジアラビア情勢について述べてみたい。

 このところサウジアラビアに関する動きは目立たないようになったが、1月28日、サウジアラビア政府は今後10年で約48兆円の民間投資を見込む産業戦略を発表した。

 ムハンマド皇太子が掲げてきた「未来都市」構想ではなく石油関連産業を育てることが強調されており、「地に足のついた」構想への軌道修正が図られているが、国際金融情勢に暗雲が漂う中、「人の褌で相撲を取る」スタイルのままでうまくいくのだろうか。

 安全保障面ではイエメンのホデイダでの国連主導の停戦が続いている状況下でも、サウジアラビアが主導するアラブ連合軍の空爆が激化している。

 1月24日付米ワシントンポストは「サウジアラビアの首都リヤドの南西に固形燃料を使った弾道ミサイルロケットの製造工場を中国の協力を得て建設した」とする専門家の分析を伝えた。これが事実であれば、対立するイランの反発は必至であり、中東の軍拡競争のレベルが飛躍的に高まることになる。

 引き続きサウジアラビア情勢には要注意である。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/55357
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55357
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/377.html

[政治・選挙・NHK256] 歴史的文書から読み解く北方領土問題の行方 日ロ両国の認識差はどこから生じ、解決策はあるのか 
歴史的文書から読み解く北方領土問題の行方
日ロ両国の認識差はどこから生じ、解決策はあるのか
2019.2.1(金) 横山 恭三
ロシア、平和条約協議は「北方領土の自動的引き渡し意味せず」
択捉島(2016年12月12日撮影、資料写真)。(c)ANDREY KOVALENKO / AFP〔AFPBB News〕

 2018年11月14日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議に出席した安倍晋三首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領はシンガポールで会談した。

 そして、平和条約締結後に北方4島のうち歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すことを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に、日ロ平和条約交渉を加速させることで合意した。

 その後、交渉上の駆け引きの一環とみられるが、プーチン大統領から、返還後の主権の問題や北方領土への米軍駐留の問題が提起された。

 さらに、2019年1月14日、ラブロフ外相は、日ロ外相会談後の単独記者会見において、次のように述べた。

 「日本側が南クリル(北方領土のロシア側の呼称)の島々はすべてロシアに主権があることも含めて、第2次世界大戦の結果をすべて認めることが第一歩である。それについては議論の余地はない」

 「(第2次大戦の結果として日本が認めるべきものとして)サンフランシスコ平和条約、その他の文書、1956年の日ソ共同宣言があるが、この宣言はサンフランシスコ平和条約とともに、第2次世界大戦に関する最終的な枠組みを構成する唯一、全体的なものである」

 「さらに重要な文書がある。それは国連憲章である。107条では、第2次大戦の結果を認めるよう書かれており、確固たるものとして、連合国が正式に作成したものである」(ハフポスト1月14日)

 ラブロフ外相の発言を要約すると、「過去の歴史的経緯はどうであれ、北方4島は大戦の結果としてソ連領になったのであり、その法的根拠は、関連する歴史的文書、なかんずく国連憲章107条である」と主張しているのである。

 以下、初めに北方領土に関連する歴史的文書について述べ、次に歴史的文書に関する日ソ両国の認識の違いを述べる。本稿が日ロ平和条約交渉を理解するための資となれば幸いである。

1.関連する歴史的文書
 ロシア側は、第2次大戦の結果として日本が認めるべきものとして、「サンフランシスコ平和条約、その他の文書、日ソ共同宣言および国連憲章107条」を挙げている。

 その他の文書としてはヤルタ協定とポツダム宣言が考えられる。これらの文書の概要は次のとおりである。

(1)ヤルタ協定(1945年2月)

 第2次世界大戦の末期、イタリアはすでに降伏し、ドイツの降伏も間近いと想定された1945年2月4日から11日に、英国のチャーチル首相、米国のルーズベルト大統領およびソ連のスターリン首相がクリミア半島にあるヤルタに集まり、3か国首脳会談が開催された。

 同会議で、国際連合の設立、ドイツの戦後処理問題、東欧諸国問題などの戦後処理に関するヤルタ合意(Yalta Agreement)が締結された。

 併せて、ドイツ降伏後のソ連による対日参戦とその条件 (ソ連への樺太南部の返還や千島列島の引渡しなど) についての秘密協定(Far Eastern Agreement)が締結された。

 わが国ではこの秘密協定がヤルタ協定と呼ばれている。ヤルタ協定は、1946年2月まで秘密にされていた。

 ヤルタ協定3項では、ソ連の対日参戦の条件として、樺太の南部およびこれに隣接するすべての諸島がソ連に返還されることや「ソ連へのクリル諸島の引渡し」などを規定している。3項の正文と日本語訳は次の通りである 。

(正文)3. The Kuril islands shall be handed over to the Soviet Union.
(日本語訳)三 千島列島ハ「ソヴィエト」聯邦ニ引渡サルベシ

(2)ポツダム宣言:1945年7月26日

 ドイツ降伏後の1945年7月17日から8月2日にかけ、ベルリン郊外ポツダムにおいて、米・英・ソの3カ国の首脳(トルーマン、チャーチル、スターリン)が集まり、第2次世界大戦の戦後処理が話し合われた。これがポツダム会談である。

 ポツダム宣言は、この会談の期間中の1945年7月26日に米国のトルーマン大統領、英国のチャーチル首相と中華民国の蒋介石国民政府主席の名において日本に対して発された、日本の降伏を要求する全13項目から成る宣言である。

 ちなみに、ソ連は、1941年4月に日本との「日ソ中立条約(注1)」を締結していたため、7月26日の時点でポツダム宣言に参加していなかったが、広島に原爆が投下された2日後の8月8日に日本に対して宣戦を布告するとともに同日にポツダム宣言の署名国となった。

 8月15日、日本は「ポツダム宣言」を受諾し、連合国に降伏した。

 しかしソ連軍はその後も千島列島を南下し、9月5日までに「北方領土」を占領した。ロシア側は「第2次世界大戦の結果、北方領土は合法的に自国領になったと」主張し、現在に至る。

 ポツダム宣言8項は、カイロ宣言(注2)の条項は履行されなければならないこと、また、日本の主権は本州、北海道、九州および四国並びに連合国の決定する諸小島に限られる旨が規定されている。8項の正文と日本語訳は次のとおりである 。

(正文)(8) The terms of the Cairo Declaration shall be carried out and Japanese sovereignty shall be limited to the islands of Honshu, Hokkaido, Kyushu, Shikoku and such minor islands as we determine.

(日本語訳)八 カイロ宣言ノ条項ハ履行セラルベク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ

(注1)日ソ中立条約:同条約の有効期限は5年間(1946年4月まで有効)で、期間満了の1年前に破棄を通告しなければ5年間自動的に延長されることを規定。ソ連は、1945年4月に同条約を延長しない旨通告した。ソ連は、1945年8月8日、ポツダム宣言への参加を表明した上で対日宣戦を布告し、事実上条約を破棄した。

(注2)カイロ宣言は、1943年12月に発表された米英中3か国の首脳の合意事項である。同宣言では、連合国は、自国のために利得を欲求するものでなく、また領土拡張の意図がないことを宣言している。

 また、日本について、第1次世界大戦により得た太平洋の諸島他のすべての地域から追い出さなければならないと宣言しているが、北方領土には言及していない。

 「カイロ宣言」は日時や署名がなく、公文書も存在しておらず宣言として扱うことが適切かについては議論もある。

(3)国連憲章107条:1945年6月26日

 1945年4月から6月の2か月間、米国サンサンフランシスコで連合国50カ国が参加し「国際機構に関する連合国会議」が開催された。

 6月26日に 50か国(原署名国51か国)により署名され、10月24日に発効した。署名されたのは、第2次世界大戦が終結した8月15日より前である。

 憲章には、「第2次世界大戦中に連合国の敵国であった国」に対する措置を規定した53条と107条が、国連(安全保障理事会)が本来の責任を負うことができるまでの過渡的な例外規定として挿入されている。

 旧敵国のすべてが国際連合に加盟した現在、一般的には、事実上死文化した条項と認識されているが、いまだ削除されずに存続している。

 107条は、第106条とともに「過渡的安全保障」を定めた憲章17章を構成している。

 107条には過渡的期間が具体的に書かれていないが、106条には「安全保障理事会が第42条に基く責任の遂行を開始することができるまでの間」と具体的に書かれている。この文言が107条にもかかると解釈できる。

 従って、107条は「責任を有する政府が、安全保障理事会が第42条に基く責任の遂行を開始するまでの過渡的期間に、敵国に対して、この戦争の結果としてとった行動(占領など)は、憲章によって無効化されない」と解釈できる。107条の正文と日本語訳は次のとおりである。

(正文)Article 107. Nothing in the present Charter shall invalidate or preclude action, in relation to any state which during the Second World War has been an enemy of any signatory to the present Charter, taken or authorized as a result of that war by the Governments having responsibility for such action.

(日本語訳)第百七条 この憲章のいかなる規定も、第2次世界戦争中にこの憲章の署名国の敵であつた国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない。

(4)サンフランシスコ平和条約:1951年9月8日

 1951年9月4日から8日にサンフランシスコで日本と連合国51か国が参加し、対日講和会議が開催され、8日にソ連、ポーランド、チェコスロバキアの3か国を除く49か国が平和条約(Treaty of Peace with Japan)に署名した。

 ソ連が平和条約に署名しなかった理由については、講和会議が開催されていた当時は、朝鮮戦争の最中であり、冷戦構造の中で米国はソ連・中華人民共和国との対決姿勢を強めていた。

 これらのことから、ソ連などの共産圏3か国は、同じ共産主義国の中華人民共和国の不参加などを理由に会議の無効を訴え署名しなかったとされる。

 平和条約は前文と7章27条で構成される。

 本稿に関連する2条では、日本が千島列島および南樺太に対する権利、権原および請求権を放棄することが規定されている。2条(c)項の正文と日本語(公文)は次のとおりである 。

(正文 )Articles 2 (c) Japan renounces all right, title and claim to the Kurile Islands, and to that portion of Sakhalin and the islands adjacent to it over which Japan acquired sovereignty as a consequence of the Treaty of Portsmouth of September 5, 1905.

(日本語)第二条(c)日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部およびこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原および請求権を放棄する。

(5)日ソ共同宣言:1956年10月19日

 サンフランシスコ平和条約への署名を拒否したソ連と個別に平和条約を結ぶため、1955年6月から1956年3月までロンドンで「日ソ国交調整交渉」が行われた。

 領土問題以外の交渉ではかなりの進展をみたが、領土問題では、ソ連は、歯舞、色丹について返還の意向を示したものの、それ以上は譲らず無期限の休会とった。

 1956年7月31日からモスクワで第2次交渉が行われたが、またも北方領土問題で行き詰まった。

 しかるに、同年9月29日の「松本・グロムイコ書簡」によって、領土問題を含む平和条約締結に関する交渉は両国間の正常な外交関係の再開後に継続されることが合意された。

 これを受けて、同年10月19日に10項目から成る日ソ共同宣言が署名された。

 この共同宣言により、日ソ間の戦争状態は正式に終わり、両国の国交が回復した。

 9項には、平和条約締結後、ソ連が歯舞群島および色丹島を日本に引き渡すことに同意することが規定された。9項の正文(日本語)は次のとおりである 。同宣言の正文は日本語とロシア語のみである。

(正文 )9 日本国およびソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島および色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。

2.歴史的文書に関する両国の認識の違い
 上記の関連文書についての日ロ両国の認識は次のようなものである。

(1)(2)および(4)は1961年8月から同年12月までに行われた「池田・フルシチョフ往復書簡*1」より引用した。

 また、(3)は1990年の国会議事録*2から引用した。いずれも、必ずしも現在の日ロの認識と一致していないかもしれないので、注意されたい。

(1)ヤルタ協定

ア.ロシア側の認識:ヤルタ協定は日本と戦った諸国間に締結されたものである以上日本が当事国でないのは当然であるが日本は降伏して連合国の決定した条件を受諾した。千島列島はヤルタ協定によって無条件にソ連に引き渡された。

イ.日本側の認識:ヤルタ協定は領土移転の法的効果をもつものでなく、また日本は当事国でないからこれに拘束されない。

(2)ポツダム宣言

ア.ロシア側の認識:ポツダム宣言は日本の主権を本州、北海道、九州および四国並びに若干の小島に局限しており千島は日本の主権の下に残された領土から除外されている。

イ.日本側の認識:日本が受諾したポツダム宣言にはカイロ宣言の条項が履行されるべき旨明記されておりカイロ宣言では日本が暴力および貪欲により略取した地域から駆逐される、連合国は自国のために利得を欲求するものでなく領土拡張の意思がないと宣言されている、かつて他国に領有されたことのない国後・択捉にまでソ連が領有権を主張していることはカイロ宣言の条項に矛盾する。

(3)国連憲章107条

ア.ロシア側の認識:日ロ平和条約作業グループの中において、ソ連の北方4島の占拠の根拠としてヤルタ協定を挙げている。そして、ヤルタ協定が国連憲章の107条によって戦後秩序の一部として日本を拘束すると主張をしている。

イ.日本側の認識:ヤルタ協定は当然、これに参加した首脳たちが共通の目的を述べた文書にすぎないので、領土移転のいかなる法律的根拠も持ち得るものではないと主張している、その当然の帰結として、国連憲章107条はこの北方領土のソ連側の占拠にいかなる根拠を与えるものでもないし、全く関係のない規定である、と反論している。

*1=国立国会図書館 北方領土問題の経緯【第4版】
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/issue/pdf/0697.pdf

*2=衆議院会議録情報第118回国会安全保障特別委員会第3号(1990年6月11日)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/118/0770/11806110770003a.htm

(4)サンフランシスコ平和条約

ア.ロシア側の認識:日本が千島列島を放棄した以上サンフランシスコ平和条約に帰属先が記載されていなくても千島列島を要求しえない。

イ.日本側の認識:1875年の樺太千島交換条約は「千島列島」としてウルップ以北の18島を挙げているところ、サンフランシスコ平和条約で放棄した「千島列島」はこの歴史的な概念である18島を指すものであって国後・択捉については放棄していない、また、サンフランシスコ平和条約で千島列島を放棄したがソ連のために放棄したわけでない。

(5)日ソ共同宣言

ア.ロシア側の認識:宣言で「平和条約の締結後に色丹、歯舞両島を引き渡す」としている点に触れ、「条約締結後に(色丹、歯舞を)返還するのではなく、善意の印として引き渡しが可能だとしているに過ぎない」と主張。

 さらに、平和条約交渉についても、北方4島が大戦の結果としてソ連領になったとするロシア側の主張を受け入れることが交渉の前提である(出典:一連のラブロフ外相発言)

イ.日本側の主張:歯舞群島、色丹島、国後島および択捉島からなる北方4島は、いまだかつて一度も外国の領土となったことがない我が国固有の領土である。

 我が国としては、我が国固有の領土である北方4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する。(出典:内閣府「北方領土問題に関する基本的な考え方」)

(6)日本が放棄した千島列島の範囲に関する両国の認識の違い

 サンフランシスコ平和条約で日本が放棄した千島列島の範囲が問題になる。

 日本側は、過去にはサンフランシスコ講和会議における吉田茂総理大臣の受諾演説(1951年9月7日)や西村条約局長の国会答弁(1951年10月9日)などにおいて、歯舞・色丹は北海道の一部であり、放棄した千島列島には含まれないと主張してきた。

 ところが、1961年の池田・フルシチョフ往復書簡以降は、下記イ項のように「我が国固有の領土である北方領土は放棄した千島列島には含まれていない」とする主張もみられる。

ア.ソ連側の認識(出典:最近のロシア側の発言に関する報道より)

 4島は大戦の結果としてソ連領になった。大戦の結果とは、日本はポツダム宣言を受託したことである。ポツダム宣言により千島列島は日本の主権の下に残された領土から除外された。

 そして、ヤルタ協定によって、日本主権の下にない千島列島は無条件でソ連に引き渡された。また、ソ連がヤルタ協定により引き渡された千島列島を占拠したことは、国連憲章107条により合法化される。

イ.日本側の認識(出典:内閣府「北方領土問題に関する基本的な考え方」)

 連合国は、第2次大戦の処理方針として領土不拡大の原則を度々宣言しており、ポツダム宣言にもこの原則は引き継がれている。

 この原則に照らすならば、我が国固有の領土である北方領土の放棄を求められる筋合いはなく、またそのような法的効果を持つ国際的取決めも存在しない。

 サンフランシスコ平和条約で我が国は、千島列島に対する領土権を放棄しているが、我が国固有の領土である北方領土はこの千島列島には含まれていない。

 このことについては、樺太千島交換条約の用語例があるばかりでなく、米国政府も1956年9月7日付け対日覚書(注4)で公式に明らかにしている。

(注4)対日覚書には、「ソ連が北方領土の領有を主張する最も有力な根拠としていたヤルタ協定は、米英ソ三国間の秘密協定であり、我が国が拘束されるいわれはなく、また同協定が領土移転の法的効果を持つものでない」と記載されている。

(7)筆者の所見

 ロシア側は、ヤルタ協定やポツダム宣言を根拠に北方領土はロシアの領土になったと主張し、日本側は樺太千島交換条約を根拠にサンフランシスコ平和条約で放棄した千島列島に北方領土は含まれていないと主張している。

 拠って立つ根拠が違うので両者の議論はいつまでもかみ合わないであろう。そこで、政治的決断が必要となる。

 2018年11月14日の「1956年の日ソ共同宣言を基礎に、日ロ平和条約交渉を加速させる」という安倍首相とプーチン大統領の合意は、大きな政治的決断であった。

 しかし、この合意は何を意味するのであろうか。国後・択捉の帰属問題を本交渉で取り上げないことを約束したのであろうか。あるいは、国後・択捉のソ連帰属を認めたのであろうか。

 「歯舞・色丹2島の引き渡し後の主権については、今後の交渉対象となる」や「歯舞・色丹2島を日本に引き渡した後の当該領土へ米軍の駐留を認めない」とするプーチン大統領の発言は、すでに歯舞・色丹のみの引き渡しを前提とした発言とみられる。

 他方、日本側は交渉内容を一切公表していない。よって真相は藪の中である。

3.終わりに―平和条約の締結に向けて
 平和条約とは、一般的には戦争状態を最終的に終了させる交戦国間の条約である。

 平和条約では、戦争状態終了の宣言、外交関係の回復、終戦条件(国境の画定、賠償金請求権、戦争犯罪についての取極めなど)などが規定される。

 日ソは1955年6月から平和条約締結交渉(当初は「日ソ国交調整交渉」)を開始したが、最終的に領土問題を解決できなかった。

 このため「国境の画定」が欠落した合意文書は平和条約でなく共同宣言と呼ばれる。

 この共同宣言は両国の国内手続きを経て批准・発効したもので国家間の条約と同じ法的価値を有するものである。

 ちなみに、現行の日ロ交渉も平和条約締結交渉と呼ばれているが、筆者には、「日ロ国境画定協定」の方がしっくりくる。

 現在、日ロは共同宣言9項に基づき平和条約の締結に関する新たな交渉を開始したところである。これからの交渉における議題については、日ロ両外相を交渉責任者として決められることになっている。

 今後は、森外務審議官とモルグロフ外務次官が頻繁に協議を行い、節目節目で交渉責任者の両外相が議論の進捗を確認することとなっている。

 今後の平和条約締結交渉で日本の取りうる行動方針としては次のことが考えられる。

O‐1:領土問題を棚上げにして平和条約締結を目指す。

 この場合は、平和条約締結後も領土問題に関する交渉を継続する旨の約束をソ連から取りつけることが不可欠である。

O‐2:歯舞・色丹の帰属問題を解決して平和条約締結を目指す。

 この場合の難関は返還後の主権問題と米軍の駐留問題である。

O‐3:北方4島の帰属問題を解決して平和条約締結を目指す。

 これがこれまでの我が国の基本方針である。しかし、この方針は1956年日ソ共同宣言を基礎とする現行の平和条約締結交渉に適合しない。

O‐4:平和条約締結をあきらめ交渉を中止する。

 領土問題で成果が得られず、経済的支援だけを与えるような交渉では国益を損なう恐れがあるので交渉を中止する。必要ならば、経済協力分野は平和条約交渉とは別のフレームワークで実施する。

 どのような行動方針を採用するのか、日ロ間の交渉の全容が明らかにされていないので予測するのは不可能である。

 とはいえ、日本は、領土問題で成果を得られなければ交渉を中止するという強い姿勢を堅持しつつ、歯舞・色丹の帰属問題を解決して、平和条約締結を目指すべきである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55356
http://www.asyura2.com/19/senkyo256/msg/924.html

[環境・自然・天文板6] 謎は解けるか? 奇妙な星「水星」への旅が始まった 太陽に一番近い惑星を目指す国際探査計画ベピコロンボ 
謎は解けるか? 奇妙な星「水星」への旅が始まった
太陽に一番近い惑星を目指す国際探査計画ベピコロンボ
2019.2.1(金) 小谷 太郎
「国際水星探査計画ベピコロンボ」で水星周回軌道に投入される「水星磁気圏探査機みお(MMO)」と「水星表面探査機(MPO)」のイメージ。 Image by JAXA/ESA.
(小谷太郎:大学教員・サイエンスライター)
 水星を肉眼で見たことがありますか。
 この2月下旬から3月初めは水星が太陽から離れて見えるので、観測のチャンスです。夕日が沈んで30分後の18時ころに、西の空を眺めてみてください。地平線の近くに白いほのかな光点があったら、それが水星です。
 先日1月15日(日本時間)、九州大学の高橋太准教授らの研究グループが、「水星が持つ特異な磁場の謎を解明」したと発表しました。
 また2018年10月20日1時45分(協定世界時)には、「国際水星探査計画ベピコロンボ」が打ち上げられました。ベピコロンボは2025年に水星に到着し、水星の起源や磁場について調べます。
 さて、あの夕暮れ空のほのかな光点は、いったいどんな謎を秘めているのでしょうか。ベピコロンボはそれはどうやって解明しようというのでしょうか。以下に解説しましょう。
水星〜太陽系最大の寒暖差
 水星は太陽に最も近い惑星です。太陽からの平均距離(軌道長半径)は地球の0.3871倍で、水星から見た太陽の明るさは地球から見た明るさの約7倍です。
 水星の1昼夜は地球の176日です。地球の88日間続く水星の昼の間、地球の7倍の明るさの太陽光によって地表は400℃以上に熱せられ、同じ時間続く夜の間には-200℃以下に冷えます。水星の地面に転がる石ころは太陽系で最大の寒暖差を経験しています。
 水星の自転周期は地球の59日、公転周期は88日です。少々ややこしいのですが、水星の1昼夜の長さは、自転周期、つまり水星が宇宙に対して1回転するのに要する時間と一致しません。水星は3回自転する間に2回太陽を周回し、これが水星の1昼夜となります。
 水星の自転周期と公転周期は2:3の整数比になっています。このように、天体の何らかの周期が簡単な整数比になる関係を「尽数関係」といいます。水星の自転周期と公転周期は尽数関係にあるのです。
 かつて水星はもっと速く自転していたと考えられています。太陽の潮汐力(重力の作用)が何億年もかけて水星の自転にブレーキをかけ、現在の尽数関係に至ったと思われます。
どうして水星に地磁気がある?
 地球には地磁気があって、そのため方位磁針が北を指して方角を教えてくれます。
 水星にも、地球ほど強くはありませんが、地磁気があります。方位磁針は水星でも役立ちます。もっとも、永久磁石は高温に弱いので、昼間の高温から保護する工夫が必要でしょう。
 どうして水星に地磁気があるのでしょうか。これは惑星研究者を悩ます謎です。
 地球の内部には融けた岩石がゆっくり流れています。これが地球内部に電流を作り、その電流が電磁石の原理で地磁気を作っている、というのが広く受け入れられている定説です。「ダイナモ理論」とか「ダイナモ作用」「ダイナモ・モデル」などと呼ばれる説です。
 すると水星の内部にも融けた岩石が流れているのでしょうか。水星の直径は地球の0.38倍しかありません。質量だと地球の5.5%です。このような小さな天体が融けた金属核を持つというのは、標準的な惑星生成理論では説明できません。
水星の地磁気はずれている!
 2019年1月15日(日本時間)、九州大学の高橋太准教授、東京大学地震研究所の清水久芳准教授、東京工業大学の綱川秀夫教授らの研究グループが、「水星が持つ特異な磁場の謎を解明」したと発表しました*1。
*1:https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/310
 水星の地磁気は存在しているだけでも不思議なのですが、よくみると、地磁気の両極の強さが同じではありません。
(ここでちょっと注釈すると、方位磁針の2個の磁極のうち、北(North)を指す方の磁極はN極、南(South)を指すのがS極です。N極が北を指すのは、地球(水星)の北極の位置に地磁気のS極があり、南極の位置に地磁気のN極があるからです。甚だ混乱させられます。)
 地球の地磁気は、地球中心に1個の棒磁石がある場合の磁場でほぼ説明できます。しかし水星の地磁気は、水星中心に1個の棒磁石を置いただけでは説明できません。図のように、棒磁石を水星中心から少々ずらさないといけません。
地球と水星の地磁気。地球の地磁気は、地球中心に1個の棒磁石がある場合の磁場でほぼ説明できます。しかし水星の地磁気は、水星中心から少々ずれたところに棒磁石を置かないと説明できません。(画像提供:九州大学)
 水星ではどうしてこのようなずれた地磁気が生じるのでしょうか。
 高橋准教授らのグループは、水星内部の流体をモデル化し、流れの数値計算を行ない、「中心核内部の磁場が自己調整機構によって対流をコントロール」していることを示しました。すると、このようなずれた地磁気が発生し、保たれる場合があることが発見されました。
 ただし、そもそも水星になぜ融けた金属核があって地磁気を作っているのか、という謎は、まだ解けたわけではありません。今後の研究課題です。
 天体の磁場を説明するダイナモ理論が提唱されたのは約100年前で、この研究分野は大変由緒があるのですが、現在でも大きな発見があったりする進展中の分野です。(これはつまり、いまだに未解明の部分があるということです。)
「みお」と「MPO」を載せて「ベピコロンボ」が行く
 天体磁場の研究の進展には、実際に天体磁場を観測することが必須です。理論は観測や実験によって検証されるからです。
 水星の地磁気や組成を調べる目的を持って、「国際水星探査計画ベピコロンボ(BepiColombo)」が、2018年10月20日1時45分(協定世界時)にフランス領ギアナからアリアン5ロケットにより打ち上げられました。
 ベピコロンボの名は、水星の尽数関係を発見するなどの功績を上げたイタリアの天文学者ジュゼッペ・コロンボ(1920-1984)にちなみます。彼はベピコロンボという愛称で呼ばれていました。
地球の近傍を飛行するベピコロンボのイメージ。 Image by ESA/ATG medialab.
 ベピコロンボは2025年に水星に到着し、「水星磁気圏探査機みお(MMO; Mercury Magnetospheric Orbiter)」と「水星表面探査機MPO(Mercury Planetary Orbiter)」を分離し、それぞれを水星周回軌道に投入する予定です。
 みおは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)(の前身の宇宙科学研究所)によって計画・開発されました。軌道周期約9.3時間、高度590km〜1万1600kmの楕円軌道で水星を周回しながら、磁場、電場、宇宙線などを計測し、水星の地磁気の謎を探ります。
 MPOはヨーロッパ宇宙機関(ESA)によって開発されました。みおよりも高度の低い480km〜1500kmの軌道を周期約2.3時間で周回し、X線、粒子線、赤外線などで水星表面を探索する予定です。
水星到着まで7年の旅
 ベピコロンボは期待を担い、今も水星目指してまっしぐらに進んでいます、と書ければ簡単なのですが、実はまだ地球軌道あたりでうろうろしています。それどころか2020年4月にはまた地球に近づいて、「スウィングバイ」を行ないます。
 宇宙機が天体の近くを通過することによって、天体の重力を利用して速度(や向き)を変えることを「スウィングバイ」あるいは「フライバイ」といいます。加速する場合もありますが、減速に用いることもあります。今回のベピコロンボの場合も減速です。
 ベピコロンボは地球と金星と水星で何回もスウィングバイを繰り返して減速し、打ち上げから7年後の2025年にようやく水星に「到着」します。
 これほど何回も減速する必要があるのは、水星が太陽に近いためです。地球から出発した宇宙機が水星軌道まで「降りて」行くと、坂道を自転車で降りるときのようにスピードがつき、ブレーキをしっかりかけて減速しないと水星を通りすぎてしまうのです。
水星の起源と地球外生命
 水星には、小天体には不釣り合いなほど立派な地磁気の他にも、いろいろ奇妙な点があります。そのひとつは、カリウムなどの揮発性物質が異常に多いことです。
 46億年前、太陽や惑星が誕生したとき、水星はどのような原料をどのようにかき集めて誕生したのでしょうか。その答えはまだよく分かっていませんが、それは水星の地磁気や揮発性物質を説明する答えでないといけません。
 もしかしたら、水星は現在の軌道よりもずっと太陽から離れたところで誕生して、それから過去のある時点で太陽の近くに移動してきたのかもしれません。最近、よその恒星を周回する惑星が何千個も見つかり、また惑星系の誕生する現場が観測され、惑星系の生成理論は急激な進歩と変容を迫られています。これまで真剣に検討されてこなかった突飛なアイデアが水星の謎を解くかもしれません。
 また、天体の地磁気の研究は地球外生命の探索にもつながります。地球の強い地磁気は、有害な宇宙線をさえぎり、それが地球の生命を助けたという仮説があります。水星の地磁気は、よその惑星に生命の存在する可能性を教えてくれるかもしれません。みおとMPOの成果が楽しみです。
 2025年にはベピコロンボの水星到着についての記事をお送りしますので、少々お待ちください。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55355



http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/688.html

[不安と不健康18] 第3回 胃がん、ピロリ菌、十二指腸潰瘍と血液型の不思議な関係  
第3回 胃がん、ピロリ菌、十二指腸潰瘍と血液型の不思議な関係
東京大学 精密医療 松田浩一(3)

川端 裕人
文筆家
2019年2月2日
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全6077文字
ゲノム研究によって病気のリスクや効果的な治療法を解き明かし、一人ひとりに適した医療を提供する「精密医療」。その実現を世界的にも早くから目指してきたプロジェクト「バイオバンク・ジャパン」の運営に携わる、松田浩一さんの研究室に行ってみた!
(文=川端裕人、写真=内海裕之)
 ヒトの遺伝情報はゲノムを構成する塩基対で言えば、全部で30億くらいある。そのうち、1000万カ所くらいは、個々人によって違っている箇所があり、一塩基多型、SNP(スニップ)と呼ばれる。髪や目や肌の色のようにまさに目に見える特徴をはじめ、ひとことでは言い表しにくい「体質」などの個性を作り出しているのがSNPだ。
 前回紹介した松田さんの研究で、食道がんの人とそうでない人との間でこのSNPを比較し、アルコールの分解にかかわる2つの酵素の遺伝子のSNPが、食道がんにかかわっていることが分かった。この2つのSNPが特定のタイプで、飲酒習慣や喫煙習慣によるリスクが重なると、最大で189倍も食道がんになりやすかったという衝撃の結果も導き出された。

バイオバンク・ジャパンを運営しつつ、自らも多くの研究成果をあげている松田浩一さん。
 27万人という膨大な人たちのDNAと、それらを提供した個々の人々の詳細な臨床情報をデータベース化しているバイオバンク・ジャパンがあげた初期の成果だ。今回は、もう少し、この方向の研究をたどった上で、「その先」を概観するところまで行ければと思う。
 そのためには、まず様々な人のゲノムを集めたバイオバンクについて、もうちょっと広い視野で理解するところから始めたい。
 「まず、バイオバンク・ジャパンのような疾病バイオバンクというのは、病気の人から提供していただいた血液からDNAを精製して臨床情報と一緒に保存しているものです。同じタイプのものとしては、国内には、6つの国立高度専門医療研究センターが運営しているナショナルセンター・バイオバンクネットワークがあります。一方で、一般集団を対象にしたものもあって、国内では東日本大震災の後に作られた東北メディカル・メガバンク機構が代表的です。これら3つを指して、国内の三大バイオバンクということがあります。さらに、がんの場合は、がん細胞のゲノム、いわゆるがんゲノムを研究することも必要なので、がん細胞のDNAを集めたバイオバンクもあります。例えば、国立がん研究センターが中心に組織している日本臨床腫瘍研究グループが、がんの種類ごとに収集を行っています。その一部は、バイオバンク・ジャパンで保管を受け入れています」
 一般集団を対象にした東北メディカル・メガバンクは、その時点で病気ではない人が多いので、長期間、集団を追いかけるいわゆる前向きのコホート研究(研究デザインについては、栄養疫学の回を参照)を前提にしている。それに対して、バイオバンク・ジャパンの場合は、すでに多くの病気の人のDNAが集まっているので、病気の人と対照群を比べる症例対照研究を行うことができる。また、各症例の「その後」も追跡しているので、疾病バイオバンク登録者をコホートに見立てた変則的なコホート研究もできる。
 松田さんのグループは、数十万箇所のSNPを全ゲノムにわたって網羅的に比較する解析を行って数多くの成果をあげており、その中でも、最初期、かつ、際立った事例が、前回の食道がんの研究だった。
 以降、多くの成果があがっているので、いくつか紹介する。研究の方向性、雰囲気が伝えられればと思う。

がんのリスクと関係のある遺伝子が続々と見つかっているという。
 まず肝がんと、日本に多いC型肝炎ウイルス(HCV)への感染について。
 「日本では、肝がんの約70%はHCV感染が原因だと言われています。HCVに感染している人の多くは慢性肝炎や肝硬変などの肝機能障害を持っており、治療をせずに放置すれば、多くの人が感染後20〜40年で肝がんを発症します。しかし、症状が軽いまま安定している患者さんたちもたくさんいるんです。では、その個人間の違いを決めている要因はなにか、ということです」
 もしも、それがSNPによって決定されるものなら(特定のSNPによって大きく違うものなら)、松田さんたちの手法が大いに役立つ。そして、その明らかになったことから、治療法への手がかりもつかめるかもしれない。
 「HCV陽性の肝がん、およそ700例と、HCVに感染していない対照群2900例を用いて解析を行ってSNPを絞り込み、さらに同じくらいの数の別の集団で追試しました。結果、HCV陽性で肝がんになった人たちは、MICAという遺伝子が発現しにくいタイプが多いことが分かりました」
 MICA遺伝子が発現してできるMICAタンパク質は、ウイルスに感染したりがん化した細胞に多く発現して抗原として働く糖タンパク質の一種で、免疫細胞の一つであるナチュラルキラー細胞(NK細胞)が攻撃対象を認識するための手がかりにしていることが分かっている。とすると、MICAが発現しにくい人は、C型肝炎ウイルスに感染した細胞が免疫細胞に見逃されやすくなるかもしれず、その結果、肝がんになりやすいというシナリオが描ける。最近、他にも見出されているSNPとの関連もあわせて、リスクを予測するために使えるし、やはり将来的には新しい治療法へつながる可能性もある。
 ピロリ菌、胃がん、十二指腸潰瘍、そして血液型の不思議な関係について。
 「ピロリ菌が胃がんや十二指腸潰瘍の原因になることはよく知られています。でも、感染者の中で実際に病気になる人はごく一部です。病気になる人に共通する要素があるのか知りたいですよね。さらに、昔から、十二指腸潰瘍になる人は胃がんになりにくいと言われてきました。これはピロリ菌に感染していても同じようです。こういった、病気になりやすさ、なりにくさ、というのはどんなふうに決まっているんでしょうか。7000人の十二指腸潰瘍患者と、2万6000人の健常者を比べて、まず十二指腸潰瘍のリスク因子になっている2つの遺伝子を見つけました。ひとつは、細胞膜上に発現する前立腺幹細胞抗原(PSCA)という糖タンパク質の遺伝子で、もうひとつは血液型を決めるABO遺伝子だったんです」
 まず、PSCA遺伝子の方は、十二指腸潰瘍になりやすいタイプの人は、そうでない人に比べてリスクが1.84 倍高い。さらに血液型のABO遺伝子では、O型の人ではA型に比べ1.43倍、リスクが高いことが分かったという。血液型が関係しているというのは意外だが、実は血液型を決めるABO遺伝子は胃、十二指腸、大腸などの消化管で多く発現しており、O型の人はコレラやO-157感染が重症化しやすいことが知られている。つまり、何らかの細菌に対する防御応答に関与していることが示唆されており、ピロリ菌の感染についても、それと似たメカニズムが働いているのかもしれない。
 また、さらに胃がんとの関係を調べた所、十二指腸潰瘍のハイリスクタイプが、胃がんでは逆にリスクが半分(0.59 倍)になることが分かった。ここでは、深くは立ち入らないけれど、想定されるメカニズムをごく一部だけを述べると、「PSCA遺伝子の糖タンパク質は細胞の分裂増殖を活性化する性質があり、これによって十二指腸潰瘍が修復されやすくなる半面、胃がんの増殖を助長してしまう」のかもしれないという。
松田さんのグループによる研究の一部を紹介した。それぞれ、遺伝的な背景とがんなどの病気との関連について知的に興味がつきないし、切実に感じられる部分も多い。とはいえ、まだまだ、こういった探求は始まったばかりで、松田さんたちの成果が「決定版」というわけではないことは理解しておいたほうがいいだろう。むしろ、こういった研究は「幕開け」を告げるものだ。リスクが何倍とか言われるとドキッとさせられるけれど、かといって悲観する話でもない。分かったからといってがんになる人が増えるわけではなく、むしろ、予防の勘所が特定できたり、早期発見できたり、将来の治療法への道が開けたりといういい話に繋がりうる。
 ただ、日本では「遺伝」というとなにか決定論的な響きを持つようにもぼくは感じており、「遺伝とがん」というテーマもそのあたりをちゃんと考えて語らないと、誇張されたり捻じ曲った理解につながってしまうかもしれない。
 そのように口に出すと、松田さんはこんなふうに応えた。
 「今、世界中で、全ゲノム関連解析によるSNPとがんの研究が行われていて、これまでに3500以上もの報告がされてきました。見つかった発がん関連のSNPは700ほどです。特に前立腺がんや乳がんのように比較的患者が多く予後もよいものについては研究が多く、前立腺がんでは147、乳がんでは113が見つかっています。ただ、こういったものの70%は、がんのリスクのオッズ比(リスクの比)は1.3以下です。なにかひとつの発がんに関係する遺伝子を持ったら、必ずがんになるというふうなものではありません。そもそも完璧な遺伝子の人なんていませんから、だれだって数十くらいは、病気になりやすいSNPを持っているんです。特に影響が強いものがあれば、予防の時点から対処しやすいと前向きに考えられると思います」

発がん関連のSNPは続々と見つかっている。(画像提供:松田浩一)
 こういったことは、「遺伝でがんになる」と聞いて怖くなる人には強調しておきたい。そもそも完璧な遺伝子などなく、誰もが、病気になりやすい遺伝子をいくつも持っている。かといって、それらの「なりやすい病気」に必ずかかるわけではない。
 「発がんについて遺伝因子の寄与率がどれくらいかを見積もる研究がありまして、そういったものを見ていると、思っていたほど大きくないというふうに思います。まず、大規模な双生児研究では、だいたい20〜40パーセントが遺伝で説明できるとされてきました。さらに、2015年、アメリカのグループが報告したものだと、がんには、いわゆる生活習慣などが関係する環境因子と遺伝的な因子、そして、Rファクター、遺伝的要因と関係のない単純な複製エラー(Replication error)に由来する3つの原因があるというんです。それで、一番大きいのがRファクターで、それだけで5割以上です。つまり、発がんの過半数は、たまたま、なんです。遺伝だからといって怖いものというふうに考えるよりは、自分の型を知ることでいかに健康状態をより保つとか、早めに発見する、自分に合った薬を選ぶといったほうに意識を向けていただくのが大事かなと思います」
 そこで、ふと思ったのだが、最近では遺伝子検査を民間の検査会社で気軽に行えるようになっている。唾液などを専用の容器に入れて業者に送ると、代表的なSNPを調べて疾患リスクや体質などについて教えてくれるというものだ。そういったサービスについて、どう考えると良いだろうか。
 「実は私自身もちょっと興味があって、1回やってみたんです。大体300から400ぐらいの項目についてレポートが返ってきて、いくつかの疾病のリスクが高く、いくつかはリスクが低いというようなことが書いてありました。他にもお酒に強いとか弱いといった体質もですね。こういうものを通じて、自分のことを把握できるのはいいんですが、問題もあります。これって、基本的にアメリカ人向けに開発されたものなんですよね。日本人特有の病気にかかわるSNPもありますし、環境も、生活習慣も違いますから、そのままだとちょっと不正確になってしまうかもしれず、我々もできるだけ正確な情報を出していきたいと思っています」

松田さんも民間の遺伝子検査をいちど試してみたという。
 日本人を対象にしたゲノム研究と、アメリカ人、あるいはヨーロッパ人を対象にしたゲノム研究では、何かの疾病のリスクについて、強い関連を示すSNPが違うことがしばしばある。また、さらに環境因子の違いも大きいという。
 松田さんに具体例を聞いたところ、分かりやすい事例として、ウイルスなど病原体の違いを挙げた。日本ではB型肝炎ウイルスよりもC型肝炎ウイルスの方が感染者が多い。また、子宮がんの原因になるヒトパピローマウイルス、胃がんの原因になるピロリ菌のタイプも違う。とすると、肝がん、胃がん、子宮頸がんにそれぞれかかわるSNPが、現実世界の疾病の分布にどのように反映されるかも違ってくる。一方、生活習慣にしてみても、ほとんどの人がお酒もタバコを避けている社会と、その逆の社会を仮想して比べてみれば、食道がんに関係した同じSNP の「効果」(SNPの型による食道がんになりやすさ、なりにくさ)が何十倍も違ってくることは、連載2回目に紹介した研究からも分かる。
 こういったことまできちん織り込んで情報を読まないと、変な方向にミスリードされてしまうかもしれない。やはり今後、松田さんのような日本の研究者からの情報提供が必須だ。
 また、精度の高い情報が得られたとしたら、その情報は、自分自身だけでなく、ある程度は、子どもやきょうだいについての情報でもあることも理解しておくべき点だ。手軽に調べられる遺伝情報とぼくたちがどう付き合うべきか、社会的な議論が深まることを期待したい。

つづく

(このコラムは、ナショナル ジオグラフィック日本版サイトに掲載した記事を再掲載したものです)

松田浩一(まつだ こういち)
1969年、大阪生まれ。東京大学 大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 クリニカルシークエンス分野 教授。M.D., Ph.D. 1994年、東京大学医学部医学科卒業後、整形外科医の勤務経験を積んだのち、基礎研究を志して1999年、東京大学大学院医学系研究科外科学専攻に入学。2003年に米国ベイラー医科大学研究員になり、博士号も取得。2004年、東京大学医科学研究所、ヒトゲノム解析センター助手に就任。2009年に准教授になり、2015年より現職。

川端裕人(かわばた ひろと)
1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、『天空の約束』(集英社文庫)、NHKでアニメ化された「銀河へキックオフ」の原作『銀河のワールドカップ』(集英社文庫)とその“サイドB”としてブラインドサッカーの世界を描いた『太陽ときみの声』(朝日学生新聞社)など。
本連載からのスピンアウトである、ホモ・サピエンス以前のアジアの人類史に関する最新の知見をまとめた近著『我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち』(講談社ブルーバックス)で、第34回講談社科学出版賞と科学ジャーナリスト賞2018を受賞。ほかに「睡眠学」の回に書き下ろしと修正を加えてまとめた『8時間睡眠のウソ。 日本人の眠り、8つの新常識』(集英社文庫)、宇宙論研究の最前線で活躍する天文学者小松英一郎氏との共著『宇宙の始まり、そして終わり』(日経プレミアシリーズ)もある。
ブログ「カワバタヒロトのブログ」。ツイッターアカウント@Rsider。有料メルマガ「秘密基地からハッシン!」を配信中。
2019.02.02(閲覧中)
第3回 胃がん、ピロリ菌、十二指腸潰瘍と血液型の不思議な関係

2019.01.26
第2回 食道がんのリスクを189倍にした要因が明らかに

2019.01.19
第1回 一人ひとりに最適な医療を届ける「精密医療」とは

2018.12.28
「食」にまつわる健康情報との付き合い方は?
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00112/00004/

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/693.html

[経世済民130] 野村、リーマン以来の大赤字 「モーレツ営業」への郷愁も ZOZOの出品取りやめは42ショップ 時差ビズ、通勤ラッシュ解消
野村、リーマン以来の大赤字 「モーレツ営業」への郷愁も

武田 安恵
日経ビジネス記者
2019年2月1日
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全762文字
 国内証券首位の野村ホールディングス(HD)が大幅赤字に転落した。他の証券会社が減益ながらも最終黒字を確保する中、同社が1月31日に発表した2018年4〜12月期決算は1012億円の最終赤字。金融危機が発生した08年以来の大きさとなった。


(写真=角倉武/アフロ)
 損失が膨らんだのは、米子会社インスティネットののれんなど約810億円を減損処理したため。インスティネットはヘッジファンドなど機関投資家向けの売買執行を手がける会社で、07年に12億ドルで買収した。法人部門の収益力低下のため、のれん約670億円全額を減損処理することにした。そのほか、08年に買収したリーマンブラザーズの欧州・アジア部門で発生していたのれん約140億円も減損処理したという。今回で、「リーマンブラザーズ買収関連ののれん減損処理は終了した」(野村HD広報)。

個人営業の転換、思うように進まず
 野村はこれまで、法人や海外が厳しい収益環境でも個人営業部門が下支えしてきた。ただ、証券業界は金融庁が「顧客本位の業務運営」を金融機関に求めた影響もあり、頻繁な売買手数料に依存したビジネスモデルを変えねばならなくなっている。そこで「預かり資産営業」と呼ばれる、顧客のニーズを聞き取り、預かる資産を増やす手法にかじを切ろうとしているが、従来のような収益性が確保できていないのが現実だ。同社幹部の1人は「社内では元の営業のやり方に戻そうという議論も出始めている」と明かす。

 こうした事態を打開すべく同社は、4月にも新たな構造改革プランを発表する見通しだ。すでに昨年12月、グループ全体で600億円の固定費を4年かけて削減する計画も発表している。このタイミングで大きな減損処理をした背景には、新しいプランに移行する前に、不安材料を早めに解消しておこうとする経営判断があったものと思われる。
 

Reini Mizushima

インサイドセールス、営業コンサルティング

同社幹部の1人は「社内では元の営業のやり方に戻そうという議論も出始めている」というのは、営業が会社の収益のためなら、正しいのでしょうね。証券会社も銀行も、個人の資産運用のシェアを増やそうとしていますが、そもそも投資信託の手数料がグローバル基準で高いのに見合ったサービスやリターンを提供できるかという根本的な疑問がありますけど。野村証券の営業は、昔の栄光に頼るということにならなければいいですが。。。
2019/02/01 22:32:542返信いいね!


monomiyusann

私の付き合いのある支店はファンドラップ一本に絞り(大和もだ)、顧客の言うことを聞かない。顧客本位だったら、ソフトバンクの上場は延期すべきだった。顧客は今も昔も個人ではない。

2019/02/02 07:34:33
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/020100050/


 

ZOZOの出品取りやめは42ショップ

津久井 悠太
記者
2019年1月31日
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全868文字
 ZOZOは31日、2019年10~12月期決算を発表した。第3四半期の決算だが、前澤友作社長が自ら登壇した。衣料品通販サイト、ゾゾタウンから有力アパレルの出品取りやめが相次ぐなど、ここのところ続く逆風に対し、自ら説明する機会を設けたかったようだ。

 ゾゾタウンからは昨年末のオンワードホールディングスを皮切りに、ベイクルーズなど有力アパレルが出品を取りやめた。12月に開始した有料会員向けサービス「ZOZO ARIGATO(アリガトー)」で商品が常時10%割引となることに対し、出店者が「ブランド価値を毀損する」などと反発したためだ。オンワードやベイクルーズはかねて自社ネット通販サイトに注力し、ゾゾに依存する必要は薄れていた。

 前澤氏によると全商品の販売を見送ったのは42ショップで、1255ショップあるうちの3.3%。取扱高で見ると1.1%で「業績に与える影響は軽微」だと説明した。「1ショップでも減ることは悲しく思う」と話した。「ショップ」はショッピングセンターのテナントのような概念だ。


ゾゾタウンのパソコンのサイト。セールのアピールが目立つ
[画像のクリックで拡大表示]
 アリガトーは今後も続け、有料会員向けに割引価格を表示していた仕組みを改めて、正価から見せる方法を出品企業が選べるようにするという。割引価格ばかりが注目され、不快感を持つ企業に配慮する狙いがあるようだ。

 31日には19年3月期通期の連結純利益が前期比12%減の178億円になりそうだと発表した。従来予想(39%増の280億円)を下方修正し、一転して減益となる。 前澤氏は「なさけないことに業績を下方修正した」「繰り出す施策で大きな成果があげられなかった」などと話した。プライベートブランド事業の立ち上げに苦戦し、200億円を見込んだ売り上げが30億円の見通しになっているという。

 足元の事業ではセールが引き続き好調だ。アリガトーに反発して出品を取りやめた企業も全体の中ではわずか。前澤氏は「ゾゾタウン事業は至って順調。数字的には大丈夫」と話した。「試行錯誤の1年だった。なんとか挽回するぞ、と社内のモチベーションは高まっている」とも強調した。
 


中小企業技術職人

ZOZOのアウトレット化という記事がありましたが、そうですか42ショップですか。

あくまでも私的な印象ですが、前澤社長の「調子乗りすぎ感」が、これから落ちて行く人物のように思えてなりません。
(過去にも沢山いましたよね?)
宇宙に行く前に転落しそうな予感がします。
2019/02/01 13:22:133返信いいね!


こへはる

会社員

モノなしに小売業は成り立たない。ZOZOに限らず最近の小売業は、モノづくりに対する敬意が薄れているように思えて仕方がない。確かに流通のプラットフォームをつくることは意義があるが、それも流れるモノがあってこそ。またメーカーも矜持を持ってモノづくりに努めて頂きたい。

ZOZOスーツはZOZOでは実現できなくても、革新なので必ず実現する技術と信じてます。
2019/02/01 13:47:451返信いいね!


フライヤ

探究者

ここまで成長されたことについては素晴らしいことだと思う
社長が広告塔となって牽引していることもあるでしょうが
それがやり過ぎたことによる反動ではないでしょうか?
値引きに関しても自社のサービスの中で行う会員サービスなら何も問題ないが、商品の割引って勝手にしちゃダメでしょう。
安売りなんて誰でもできる。そんな営業マンはダメって教わった
服も作らないで利益だけ上げる企業に魅力はない
2019/02/01 16:12:062返信いいね!


神田雄大

フリーランスコンサルタント・小説家

42ショップの内幕が気になる。オンワードのようなブランド力のあるところの42とブランド力のないところの42では数字の意味が違ってくる。
でも反旗を翻したのが、42ブランドは数字に与えるのは軽微と言いますが、結構多いです。
デパートでこんなに店子がいなくなったら全社会議です。
2019/02/01 17:42:241返信いいね!


Representative

普通の販売業者なら、サプライヤーに信頼してもらえなくなったら仁義も筋もなく立ち回って凌いでもいずれ潰れます。
ネット通販は購入側も「安かろう悪かろうでも良いし外れたらメルカリで売ろう」位の感覚で利用してる人も多いでしょうから、そういう顧客と...続きを読む

2019/02/02 01:28:02返信いいね!


https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/013100047/

 
時差ビズ、通勤ラッシュ解消には「千里の道も一歩から」か

藤中 潤
日経ビジネス記者
2019年2月1日
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全993文字
 朝の通勤ラッシュ緩和に向けて、企業などに出勤時間帯の分散を促すキャンペーン「時差Biz(ビズ)」が2月1日、最終日を迎えた。東京都が音頭をとって2017年から始まったこのキャンペーン、冬の実施は初めてとなる。これまでの取り組みで「利用者の平準化など一定の効果は出ている」と都は説明するが、浸透度はどうなのか。


東京の満員電車解消を目指す「時差Biz」(写真:共同通信)
 時差ビズは満員電車の解消を公約に掲げた小池百合子氏が都知事となってスタートした。鉄道会社が臨時車両を運行したり、ピーク時間帯を避けた通勤客らに駅の売店で使えるポイントを付与したりして、時差出勤を促す試みだ。期間中に時差出勤やフレックスタイム制などを行う参加企業も年々増加し、17年の300社あまりから今回、1000社を超えるまでになった。鉄道会社による参加者への「特典」も多様化し、ラッシュ時間帯のみ使える提携コーヒー店のクーポンや、駅内のそば店の商品引換券などもある。

 ただ、狙いとする混雑解消は遠いようだ。都によると、18年夏に実施した時差ビズでは、東京駅や新宿駅など主要駅での定期券利用者の出場はピーク時間帯の午前8時台から別時間帯への分散がみられたが、アンケート調査からは、ピーク時間帯の混雑状況について「普段と変わらない」との声が依然として多い。ある鉄道事業者は「年中、混雑対策を行っているためでもあるが、期間中にピーク時を避ける利用者が増えたという実感はない。高い混雑率も相変わらずだ」と話す。

 実感が持てない理由は、一極集中によって都心部に向かう鉄道利用者が圧倒的に多いことだ。都によると、1都3県から通学や通勤で東京23区に流入する人口は毎日約500万人。対して、都の最終集計がある18年夏のキャンペーンに参加した企業は約820社で、従業員数の合計は約18万人と、単純計算で全体の3.6%にとどまる。その従業員全員が時差出勤などでラッシュ時を避けるとは限らないことを考えると、実態はさらに少ないことになる。今回、参加企業は増加しているが、より多くの企業の協力が欠かせない。

 「働き方の多様化など、ムーブメントを都から生み出したい」と力を込める都担当者だが、一部の鉄道会社からは「回を追うごとに都の掛け声が小さくなってきた気がする」との声も聞こえ始めてきた。

 高度成長期以来、都心で働く人を悩ませてきた通勤ラッシュ。効果が実感されるにはまだ時間がかかりそうだ。

 

したっぱ その1

キャンペーン参加企業の評価・感想も知りたいな
勤めている会社では、細々とプレミアムフライデーを続けていますが
働き方改革の掛け声もあり、以前よりは多少柔軟な勤務が出来るようになってきた気がします。
いずれにしろ、一足飛びには無理な話だとは思いますので根気よく啓蒙していくしかないのでしょうね
2019/02/01 16:18:21返信いいね!


dai

在宅勤務推奨の日など、もっと積極的に企業が取り組まないと時差出勤だけではインパクトが無さすぎる。
在宅勤務実施率など公表して企業の努力を見える化して評価していくべし

2019/02/02 00:03:56
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/020100049/

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/815.html

[経世済民130] 激増する中年パラサイト・シングル 将来は「下流かつ孤立老人」に? 老後は考えているより厳しくない?定年後4万円稼げば十分
2019年2月2日 AERAdot. ,週刊朝日
激増する中年パラサイト・シングル 将来は「下流かつ孤立老人」に?
中年男性の後姿
Photo:Reuters
「サザエさん」のような3世代同居の大家族も今は昔。一生結婚しない人が増え、孤独死は珍しくなくなった。昭和の「家族」が崩壊した平成を振り返りながら、次の時代はどうなるのか、パラサイト・シングルの名付け親の山田昌弘・中央大学教授(家族社会学)に聞いた。

 もうすぐ終わろうとしている平成。バブル崩壊で経済が長期間停滞し、地震や豪雨など災害が相次いだ。年金や医療といった社会保障制度への不安も高まり、不透明感が増した時代。そんな中で家族のあり方も大きく変わった。一言で言えば、「多様化が進んだ」のだ。

中央大学教授・山田昌弘氏
山田昌弘・中央大学教授
「一言では語れない時代に入りました。○○世代と語れるのは昭和生まれまでです。昭和の若者はみんな中流で似たような考え方を持ち、モデルとなる家庭像を語れました。平成の30年間で格差が広がり、もはや一言では語れなくなりました。結婚して子どもをつくり家庭を築く人はまだ多数派ですが、そこからこぼれ落ちる人は増えてきています」

 東京学芸大学の助教授だった山田さんが『パラサイト・シングルの時代』(ちくま新書)を出したのは1999年。若者の就職が難しく、給料も上がりにくいなか、親と同居してリッチに暮らす20代の未婚者は、まるで親に寄生(パラサイト)しているように見えた。

 それが可能だったのは、親の世代はほとんど正社員で、持ち家があったから。経済的に余裕があり、稼げない息子や結婚前の娘を支援するのに抵抗感はなかった。20代のうちは親に頼っていても、いずれは自立して自分の家庭を築くと期待されていた。

 だが、現実はそうはなっていない。30〜40代の中年になっても、結婚しないまま親と同居し続ける人たちがたくさんいる。

中年パラサイト数の推移

https://diamond.jp/mwimgs/6/5/-/img_6586043f46eb428c4bcaf9127315912f71794.jpg

こんなに変わった!中年パラサイト(35〜44歳の親同居未婚者)数の推移

 総務省統計研究研修所の西文彦さんは、「35〜44歳の親同居未婚者」の推移をまとめた。80年には39万人しかいなかったが、2016年には288万人まで急増している。35〜44歳人口に占める割合も、2.2%から16.3%に上昇。6人に1人が該当するまでになっているのだ(データは各年とも9月の数値)。

 山田さんは、こうした親同居で未婚のアラフォーを「中年パラサイト・シングル」と呼んでいる。

「これから20年後、彼らは50〜60代になり、寄生する親は80〜90代を迎えます。いまは親が年金をもらっているので、子どもの収入が少なくても、とりあえず生活は保てています。親の介護も同居の子に頼ることができます。ただ、親が亡くなる日は必ず来ます」

 いつまでも親の年金や貯金、持ち家に頼り続けることはできない。「中年パラサイト・シングル」には正社員もいるが、2〜3割は不安定な非正規雇用で働く。約1割は失業者だ。親の死後を見据えて、自分で十分な蓄えをしている人は少数派だ。親の貯金を使い果たせば、生活保護に頼るケースも考えられる。

「90年代は明るく若いパラサイト・シングルで始まりましたが、親が亡くなったら生活できないという中年パラサイト・シングルとなって、平成が終わります」

 この危機的状況を示す言葉が、「2040年問題」。40年には親世代の大半が亡くなり、残された高齢の子どもたちが、にっちもさっちもいかなくなる状態がやってくるのだ。

 問題は00年ごろから指摘されてきたが、中年パラサイト・シングルは増加傾向のままで、対策は進んでこなかった。

正社員の求人
正社員の求人。人手不足でも希望の仕事に就くのは簡単ではない
 親が死んだときに、60歳を超える未婚の子どもたちはどうなるのか。いまさら正社員として雇ってくれるところはなく、頼れる親族もほかにいない。山田さんは中年パラサイト・シングルの多くが、「下流かつ孤立老人」になると予測する。

「下流老人」とは、生活保護基準に相当するような貧困状態で暮らさざるを得ない人たちだ。孤立老人は、社会や身内とのつながりが切れて誰からも支援してもらえない。

 こうなると、「命の最後の砦(とりで)」とされる生活保護に頼るしかない。

 厚生労働省が1月9日に発表した調査では、昨年10月時点で生活保護を受けている65歳以上の高齢者世帯(一時的な保護停止は除く)は88万2001世帯。過去最多を更新しており、生活保護世帯全体の54.1%を占める。

 いまでも生活保護を受ける高齢者が多いのに、中年パラサイト・シングルが65歳以上になればどうなるのか。山田さんは『底辺への競争 格差放置社会ニッポンの末路』(朝日新書)でこう予言している。

<年金をもらい続けるために親の死を隠す、生きていくために刑務所に入るといった事件がニュースにもならないほど「当たり前」になってくる>
 つまり、いまは悲惨なケースとして報じられていることが、ニュースにならない規模で発生する社会になるというのだ。

 平成を振り返るとパラサイト・シングルのほかにも、「ニート」や「ロストジェネレーション」といったキーワードが浮かんでくる。いったん正社員になるコースから外れると、安定した仕事には就きにくい。

https://diamond.jp/mwimgs/0/6/600/img_06ea39cf13b6c8ce9adf9ad3c5962806255085.jpg
平成の「家族」を巡る主なキーワード (週刊朝日 2019年2月1日号より)

 ここ数年の大学新卒者の就職市場は空前の売り手市場で、かつての「就職氷河期」の大変さは忘れ去られている。当時、100社以上受けても内定がもらえない学生は、珍しくなかった。大手企業は新卒の一括採用をいまでも重視しており、途中から入ることは難しい。社会に出るときに不景気で損をした世代は、その後もずっと不利益を被っている。中年パラサイト・シングルもそうした世代だ。(本誌・岩下明日香)

※週刊朝日  2019年2月1日号より抜粋
※AERA dot.より転載

https://diamond.jp/articles/-/192671

 
2019年2月2日 AERAdot.
老後は考えているより厳しくない?定年後は一人4万円稼げば十分
スーパーで働くシニア
Photo:PIXTA
 老後生活に不安を抱く人は少なくないだろう。年金の支給額は減り、生活が苦しくなることが予想されるからだ。しかし、定年後の家計収支は、実際のところ、一般に考えられているより厳しくはなく、さほど悲観することはないという。経済コンサルタントの大江英樹氏の著書『定年前』(朝日新書)より、内容の一部を紹介する。

 *  *  *

定年後は、現役並に稼ぐ必要は全くない
 私はいつも「老後が不安なのだったら老後を無くせばいい」と言っています。私は働くことを止めたところから老後が始まると定義しています。すなわち定年後も働き続けることができれば老後は無くなる、あるいは老後を短くすることができる、ということです。

 サラリーマンの場合は、定年後そんなに都合良く働けるところはないと考える人は多いと思います。しかし、現役並みに稼ぐ必要は全くないのです。

 具体的な数字を言うと、毎月8万円程度の収入を得ることができればいいのです。現役時代は働いて会社からもらう給料が生活の糧ですから、8万円ではとても生活していくことはできません。

 ところがリタイア後の生活を支える主な手段は公的年金です。働いて稼ぐお金はその年金を補てんするに過ぎないと考えればいいのです。

 では、8万円という数字の根拠は何か。以下に述べていきます。

高齢無職夫婦の家計収支
高齢無職夫婦の家計収支。総務省「家計調査報告」2017年より作成
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 総務省の2017年「家計調査報告」によれば、高齢夫婦無職世帯(高齢夫婦とは夫65歳以上、妻60歳以上を言います)の家計収支は、収入の月平均額が20万9198円、支出の月平均額は26万3717円となっています。およそ5万4千円の赤字です。

 上記は無職世帯のケースなので収入のほとんどは年金収入です。これに加えて旅行に出かけることも考慮して、あと2万円ぐらいを毎月の支出に上乗せし少し余裕を持たせていけば、それなりに充実した生活はできるでしょう。つまり年金収入以外に毎月8万円ぐらい働いて稼ぐことができれば大丈夫なのです。

定年前 50歳から始める「定活」
定年前 50歳から始める「定活」
朝日新聞出版
定価853円
 毎月8万円ですから、年間にすると100万円弱です。もし定年後もまったく働かなかった場合は、退職金や自分の蓄えの中からこの100万円を取り崩していかなければなりません。その期間が60〜90歳まで30年間だと合計3000万円のお金を持っていないといけません。でも何らかの形で働いて収入を得るのであれば、60歳時点でそれほど蓄えがなくても生活していくことは可能です。

一人4万円、夫婦なら8万円稼げればOK
 このように定年後も働き続けるとしたら、その収入金額の目安が8万円なのです。しかも夫婦であれば、二人でこれだけ稼げばいいのです。一人当たり4万円です。これぐらいの金額であれば、決して稼げないわけではないと思います。

 また現役時代には毎日ランチや喫茶店で1日1000円ぐらいのお金は使っていたかもしれません。毎日出かけることがなくなれば、月に2万円程度は減ります。こうして考えていくと、それほど高い収入を期待しなくても働いて月に数万円程度の収入を得ることはさほど難しくないし、それによって老後の暮らしはぐっと安定してくるのです。

<プロフィール>
大江英樹(おおえ・ひでき)
経済コラムニスト。専門分野はシニア層のライフプランニング、資産運用及び確定拠出年金、行動経済学等。大手証券会社で定年まで勤務した後に独立。書籍やコラム執筆のかたわら、全国で年間130回を超える講演をこなす。
※AERA dot.より転載
https://diamond.jp/mwimgs/f/f/400/img_ffd1dc8764c00c4a078233c608300fe440150.jpg
 
https://diamond.jp/articles/-/192673
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/816.html

[経世済民130] ヘッジファンドの黄昏 昨年10年ぶり残高減 金融緩和が影響 リスク膨張続く リーマン救済「手段なく」バーナンキ氏ら述懐
ヘッジファンドの黄昏 昨年10年ぶり残高減
金融緩和が影響 リスク膨張続く
2019/2/2付日本経済新聞 朝刊
保存 共有 その他
ヘッジファンドが黄昏(たそがれ)を迎えている。大胆な投資戦略で高いリターンを誇ったのも今は昔。業界全体の運用成績は10年連続で市場平均を下回り、2018年にはついに運用資産残高も減少に転じた。「敗因」は金融危機後に世界にばらまかれた緩和マネーの奔流だ。時に向こう傷も恐れずリスクを取るプレーヤーが減れば、多様な相場観が織りなす市場のダイナミズム低下を招き、次の危機につながるひずみが温存されかねない…
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40814720R00C19A2MM8000/


リーマン救済「手段なく」 バーナンキ氏ら元高官述懐
2018/9/13 17:46
【ワシントン=河浪武史】2008年の金融危機時の当局者だったバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)元議長とポールソン、ガイトナー両元財務長官が12日対談し、証券大手リーマン・ブラザーズは「担保不足で救済の手段がなかった」(バーナンキ氏)との見方を示した。金融制度は堅固さを増したが「楽観できず、危機対策は永遠の戦いだ」(ガイトナー氏)との指摘もあった。

3氏はワシントン市内で開いた講演会で対談にのぞんだ。金融危機から10年がたつが、今なおリーマンを経営破綻させた当局の判断の是非が問われている。ウォール街を管轄するニューヨーク連銀総裁だったガイトナー氏は「救済しようと努力したが、リーマンは極めて弱っており(緊急融資の)担保も足りなかった」などと釈明した。

破綻時の旧経営首脳らは、リーマンはFRBから融資を受けるのに十分な担保を持っていたと主張している。複雑な証券化商品などは時価評価が難しいこともあり、当局者と旧経営陣の見解は分かれている。

ただ、ガイトナー氏は当時、リーマンを公的資金で支援するようポールソン氏に求めていたとされる。ニューヨーク連銀は同年3月、JPモルガンに緊急融資して証券大手ベアー・スターンズの救済買収に導いた。ガイトナー氏はその際に政府保証を求め、ポールソン氏も文書をつくって支援した経緯があったからだ。

公的支援を阻んだのは米議会だ。直後に大統領選・連邦議会選を控えており、ポールソン氏は「金融システムの救済は米国民のためだと説明するのは非常に難しかった」と振り返った。リーマンの経営破綻の直後、保険大手AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)の救済を議会に説いたバーナンキ氏は、民主党重鎮のリード上院院内総務から「議会は現時点で何も承認もしない。本件は君の決断と君の責任だ」と突き放されたと明かした。

ガイトナー氏はリーマンの経営破綻で「事態は悪くなると思ったが、想定よりも事態は大きく悪化した」と指摘。各氏とも金融機関の破綻が世界経済に与える影響の予測の難しさを強調した。ポールソン氏は「金融機関がリーマンに続いてさらに経営破綻すれば(金融システムは)回復不能になり、経済が死んでしまう」という恐怖感に襲われたと述懐した。

米政権はその後に総額7000億ドルの公的資金を用意して、大手金融機関に資本注入して次々に救済した。ただ、ウォール街の救済は「米国民は銀行嫌いで、とにかく不人気だった」(ポールソン氏)と3氏とも苦渋の決断だったと認めた。破綻を免れた金融機関が09年に賞与を大幅増額したと聞いて「忍耐の限界を超えた」(ポールソン氏)との声もあった。

多数の失業者を生んだリーマン・ショックが大衆迎合主義(ポピュリズム)を強め、トランプ氏の大統領選勝利につながったとも指摘される。バーナンキ氏は「その見方は間違いで、金融危機の前から所得格差は既に広がっていた」などと反論した。

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2018/9/7 6:00

世紀の危機はなぜ起きたか 「10年前のあの日」再現
2018/9/4 6:00

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35331830T10C18A9FF2000/?
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/819.html

[経世済民130] 人はなぜ、バブルで散々な目に遭っても またすぐ新たなバブルに踊ってしまうのか インフレよりデフレが懸念材料FRB理事候補
2019.2.2

人はなぜ、バブルで散々な目に遭っても またすぐ新たなバブルに踊ってしまうのか?
ジョン・K・ガルブレイス:経済学者

古今東西で起きた金融バブルとその崩壊過程を描いた『バブルの物語』。“経済学の巨人”と称された故ジョン・ケネス・ガルブレイスが著した同書は、バブルを希求する人間の本質と、資本主義経済の根幹に迫った名著として長く読み継がれてきた。
今、世界中で株価が乱高下し、先行き不透明感が増している。はたして現在の経済状況はバブルなのか? だとすればその崩壊は迫っているのか? それを見極めるうえで『バブルの物語』は極めて有効な教訓を与えてくれる。同書のエッセンスを紹介する連載の第3回は、なぜ人々がバブルを繰り返すのか、その理由に迫る。

金融に関する記憶は極度に短い
『バブルの物語』では、17世紀オランダの「チューリップ・バブル」をはじめ、それ以降に起きたいくつもの大規模な投機のエピソードを俎上に載せて分析している。ガルブレイスはこうした事例を用いてバブルを生む「陶酔的熱病(ユーフォリア)」への警告を発するのだ。しかし、一方で「本当に警戒心を持つのは一部の人だけかもしれない」と悲観もしている。

 なぜなら、熱病を発生させ、それを支える2つの要因を、人々がほとんど無視しているからだという。その要因について彼は以下のように説明する。

「(熱病を発生させ、それを支える第一の要因は)金融に関する記憶は極度に短いということである。その結果、金融上の大失態があっても、それは素早く忘れられてしまう。さらにその結果として、同一またはほとんど同様の状況が再現すると──それはほんの数年のうちに来ることもあるのだが──、それは、新しい世代の人からは、金融および経済界における輝かしい革新的な発見であるとして大喝采を受ける。」

「人間の仕事の諸分野のうちでも金融の世界くらい、歴史というものがひどく無視されるものはほとんどない。過去の経験は、それが記憶に残っているとしても、現在のすばらしい驚異を正しく評価するだけの洞察力に欠けた人の無知な逃げ口上にすぎないとして斥けられてしまう。」

 つまり金融の世界では、金融上の新たな発見やツールに踊らされて痛い目に遭っても、そうした過去の失敗の教訓がすぐに忘れ去られ、まったく活かされないというのだ。さらには、教訓を活かそうとして警告を発すれば「洞察力に欠けた人の無知な逃げ口上」として無視されかねないのである。

 たしかに、バブルが数年から十数年ごとに沸き起こり、そのたびに「金融および経済界における輝かしい革新的な発見」が喧伝されることに心当たりがある人は多いだろう。

 たとえば「ITバブル」は、ITという革新的なツールによって景気循環が消滅しインフレなき経済成長が実現すると説いた「ニューエコノミー論」に支えられた。同バブルは2000年前後に崩壊するが、それ以降、ニューエコノミー論を目にする機会はほぼなくなった。そして、わずか8年後にあのリーマンショックが発生するのである。

 リーマンショックはアメリカの住宅バブル崩壊がきっかけで発生するが、背景にはサブプライムローンの不良債権化があった。この新たなローンも「金融工学」という革新的な道具を駆使して生まれたものなのである。

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「お金持ちは賢い」という錯覚

「お金持ちは賢い」という錯覚
 ガルブレイスは「陶酔的熱病(ユーフォリア)」を発生させ、それを支える2つめの要因として以下を挙げる。

「投機的熱病とその確実な崩壊とに寄与する第二の要因は、金(かね)と知性とが一見密接に結びついているかのように思われていることである。このように言うと、立派な人々からは歓迎されないに決まっているのであるが、残念ながらこの指摘は正しいものとして認めなければならない。」

「個人が所有もしくは関係する所得とか資産とかいう形での金(かね)が多ければ多いほど、彼の経済・社会観は深くしっかりしており、彼の頭脳の働きは機敏で鋭い、と考える強い傾向がある。金(かね)こそ資本主義的成功の尺度である。金(かね)が多ければ多いほど、成功の度合も大であり、その成功の土台となった知性もすぐれている、というわけだ。」

「金持ちに対するこうした敬意というものは、記憶の短さ、歴史の無知、したがってまた、先に述べた個人的・大衆的な錯覚に陥る能力、を示唆している。」

 まさにガルブレイスらしい辛辣な指摘と言えよう。そして、金(かね)と知性に関わる錯覚は金融プロフェッショナルにも当てはまると述べる。

「われわれは、大きな金融機関──大きな銀行、投資銀行、保険、証券会社──のトップにある人たちは並々ならぬ知性の持ち主であると考える傾向がある。彼らが支配する資本資産や所得の流れが大きければ大きいほど、金融・経済・社会に対する彼らの見方も深いはずだと考えてしまう。
 しかし実のところは、こうした大金融機関のトップに立つ人たちがそうした地位にいるのは、彼らが、競争者の中でも最も言動に安心感があり、したがってビュロクラシーの観点から見て最も無害な人であるからだ、というケースが多く、このような傾向は大組織についてはごく普通に見られるところである。」

「金(かね)を貸す立場にある人は、昔からの習慣・伝統の力により、また特に借り手の必要・欲求のために、日常業務について敬意をもって接せられる度合が殊のほか大きい。そのために彼らは、自分個人の頭脳がすぐれているという自信に陥ってしまう。つまり、このように扱われるのだから自分は賢明であるに違いない、と思い込んでしまう。したがって、最低の良識を持ち続ける上で何よりも大切な自己反省ということを怠りがちになる。」

「投資する大衆は、金融の才のある偉人に魅惑され、そのとりこになってしまう。なぜこのように魅惑されるかと言えば、それは、その金融操作が非常に大がかりであることと、巨額の金(かね)がかかわっている以上それを動かす人の頭脳も偉大であるに相違ないと信じ込んでしまうことによる。」

 前述したリーマンショックなどはまさにこのケースと言えるだろう。裕福で地位も高く、自他ともに賢明であると認める人たちこそ、最も愚かなことに手を染めかねないのである。

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バブル発生の原因は「市場」そのものにある

バブルの「種」は
市場自体に内蔵されている
『バブルの物語』ではバブル発生の際には必ず「一見新奇で大いに儲かりそうな金融の手段」や「金融の天才」が登場すると繰り返し述べられる。

 そしてバブルが崩壊すると、つい最近まで称賛を浴びていた金融手段や天才に怒りや非難が集中することになるわけだが、ガルブレイスは実はそれこそが大問題だと言う。

「論議の的とならないのは投機それ自体、またはその背後にある異常な楽観主義である。『投機の結末では、真実はほとんど無視される』。これが最も注目すべきことなのである。」

「投機には多くの個人や機関が関係していたわけであって、過ちや愚鈍さや行き過ぎの責任を特定の個人または会社に帰するのは無難なことであるけれど、社会全体とか金融界全体のせいにするのは穏当でないと考えられるからである。
 多数の人がうぶで、愚鈍でさえあったことは明らかである。しかし、そのように言ってしまうと、知性は金(かね)につきものであるという前述の仮定に真っ向から反することになる。金融界はこうした無節制な過ちを犯すほど低能ではない、という想定を崩すことはできないのだ。」

 つまり人々は、新奇な金融手段や天才をスケープゴートにしてしまい、それを無闇に信奉した社会や金融界の過ちを認めようとしないというのだ。まさに「真実はほとんど無視される」のである。

 ガルブレイスはそして「市場」そのものにこそ、バブル発生の原因があるとする。

「自由企業制の立場・教義において広く認められているところによれば、市場は外部的な影響を中立的かつ正確に反映するものだとされている。市場自体に過ちの種が内蔵されていて、その内部的な力で市場が動かされる、というふうには考えられていない。これは古典的な信仰である。したがって、崩壊の原因として、市場の外部にある何か──それがいかにこじつけであるにせよ──を見つけ出す必要が生じる。あるいはまた、何らかの形で市場が濫用され、そのために市場の正常な働きが抑えられた、と説明する必要が生じるのだ。」

 まさに、市場を万能視する新古典派を批判し、現実に即して経済社会を究明してきたガルブレイスの面目躍如たる指摘と言えるだろう。

(つづく)
[新版]バブルの物語

ジョン・ケネス・ガルブレイス 著/鈴木哲太郎 訳

<内容紹介>

なぜ、金融バブルは繰り返されるのか。17世紀オランダで起きたチューリップバブルから、1929年の世界大恐慌、さらには1980年代末の日本のバブルに至るまで、古今東西で起きた「熱狂」とその崩壊過程を描く。バブルを希求する人間の本質と、資本主義経済の根幹に迫った名著がついに復活!

はたして大暴落は訪れるのか?ガルブレイスの問題作から読み解くバブルの本質
アベノミクスで日本は再びバブルに踊る?世界的経済学者が世に問うた「警告の書」
ジョン・K・ガルブレイス「文明の衝突は起きない」
金融危機の真の原因を振り返る
https://diamond.jp/articles/-/192798


 


ビジネス2019年2月2日 / 01:49 / 5時間前更新
インフレよりデフレが懸念材料=FRB理事候補のケイン氏
Reuters Staff
1 分で読む

[ワシントン 1日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)理事への起用が取り沙汰されている元ピザチェーン経営者ハーマン・ケイン氏(73)は1日、FRBはインフレよりもデフレについて懸念すべきとの認識を示した。

ケイン氏はフォックス・ビジネス・ネットワークとのインタビューで「インフレを懸念要因と見なさぬようFRBに促す。なぜならデフレがより大きな懸念要因だからだ」と語った。

米政府高官は前日、トランプ大統領がケイン氏をFRB理事に指名する人事を検討していることを明らかにした。ケイン氏は同ポストを巡りトランプ大統領と会合したかどうか明らかにせず、候補者として考慮されれば、光栄に感じると述べるにとどめている。

ケイン氏はまた、賃金動向を注視する考えを示し、「賃金はようやく動き出しつつあるが、FRBはデフレよりインフレを恐れており、しばらくは消極的ながらも利上げの話を避けようとするだろう」と述べた。

エコノミック・アウトルック・グループの首席グローバルエコノミスト、バーナード・バウモル氏は、賃金の前年比上昇率が4カ月間連続で3%を超える中、雇用の伸びが続けば、物価上昇圧力が掛かる公算が大きくなると指摘。「ケイン氏が実際に、賃金動向に基づく金利政策を追求するのなら、現時点で利上げに傾くということだ」と分析する。

ただ、トランプ氏が昨年、利上げを批判したことを踏まえると、政権指名候補は追加利上げに反対すると考えるのが無難と、バウモル氏は語る。

ケイン氏は1989─96年、カンザスシティー地区連銀で役職に就いている。 バウモル氏「金融政策やマクロ経済への影響についてしっかりと訓練を受けたエコノミストを求めているのなら、ケイン氏が適任かどうかは分からない」と話した。

https://jp.reuters.com/article/usa-fed-cain-0201-idJPKCN1PQ5C2?il=0
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/820.html

[経世済民130] 2018年はスマホ市場始まって以来の「最悪の年」市場関係者が心配「量的引き締め」 日本株の魅力は増す 米雇用統計ドル上昇

 
2018年はスマホ市場始まって以来の「最悪の年」
市場成長は止まったか?出荷台数、2年連続で減少
2019.2.1(金) 小久保 重信
「スマホアプリ個人情報取得し過ぎ」9割が回答 中国
携帯を操作している市民(2017年12月12日撮影、資料写真)。(c)CNS/仲雁銘〔AFPBB News〕

 米国の市場調査会社IDCがこのほど公表した最新データによると、昨年(2018年)1年間の世界スマートフォン出荷台数は、14億台(速報値)となり、前年から4.1%減少した。

 スマートフォンの世界出荷台数は一昨年(2017年)に前年比で0.3%減少し、初めて年間出荷台数が前年実績を下回ったが、2018年は、さらに悪化。市場誕生以来の最悪の年になったという。市場環境の厳しさは今も続いていることから、今年も前年割れとなる公算が大きいと同社は指摘している。

 (参考・関連記事)「スマホの出荷台数、またもや前年割れ」

世界最大市場の中国が10%超の減少
 IDCによると、2018年のスマートフォン市場には、一部の国(インド、インドネシア、韓国、ベトナムなど)を除き、明るい材料がなかった。マイナス要因として、同社は(1)長期化する買い替えサイクル、(2)大規模市場における普及率の高さ、(3)政治・経済の先行き不透明感、(4)上昇し続ける端末価格に対する消費者不満の高まりを挙げている。

 とりわけ、世界出荷台数の約3割を占める最大市場の中国では、減少幅が10%超となった。同国の世界全体に及ぼすマイナスの影響は大きいという。一方で中国では、上位4社である、ファーウェイ(華為技術)、オッポ(広東欧珀移動通信)、ビーボ(維沃移動通信)、シャオミ(小米科技)の合計シェアが、2017年の66%から78%へと上昇し、上位メーカーへの集約が進んでいる。

急成長のファーウェイ、2位のアップルにほぼ並ぶ
 昨年1年間のメーカー別世界出荷台数は、韓国サムスン電子が2億9230万台で、首位を維持。これに米アップルの2億880万台が次いだが、そのすぐあとをファーウェイ(華為技術)の2億600万台が追った。

 このうち、サムスンの出荷台数は、前年から8.0%減、アップルも同3.2%減とマイナス。しかし、ファーウェイは33.6%増と大きく伸びた。これにより、ファーウェイの市場シェアは14.7%となり、アップルの14.9%との差がわずかになった。

 ファーウェイのスマートフォンは、その約5割が中国向け。だが、同社は国外展開を進めており、この比率は低下しつつある。IDCによると、ファーウェイは、2018年に進出した国のほぼすべてで成功を収めたという。

 これに対し、アップルは新製品を投入した直後の10〜12月期が振るわなかった。同四半期の出荷台数は1年前から11.5%減少した。その要因は、中国と米国。この2つの市場の昨年における出荷台数の減少率は過去最大だった。

世界でも上位メーカーへの集約進む
 昨年1年間のメーカー別世界出荷台数ランキングの4位はシャオミ、5位はオッポ、6位はビーボ。いずれも中国メーカーである。そして、この3社を含む上位6社の合計シェアは75%。この数値は拡大し続けている。中国市場同様に、世界でも上位メーカーへの集約が進んでいると、IDCは報告している。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55380


 

 

2019年2月1日 加藤 出 :東短リサーチ代表取締役社長
米国の市場関係者が昨秋から心配する「量的引き締め」とは?
パウエルFRB議長
約10年前の金融危機を抑え込むために打たれた金融政策の副作用が今、パウエルFRB議長を苦しめている
Photo:AP/アフロ
「ペンキが乾くのを見守るのと同じくらい退屈なことになる」。従来、米連邦準備制度理事会(FRB)幹部は、FRBのバランスシート縮小作業は市場にとって売り買いの材料にはならないと説明してきた。

 それ故、米国の株式市場関係者が昨秋ごろから「QT」を心配し始めたことに、多くのFRB幹部は内心かなり戸惑ったようだ。QTとは量的緩和(Quantitative Easting=QE)の裏返しである、量的引き締め(Quantitative Tightening)のことだ。株式市場参加者はFRBのバランスシート縮小によるQTが株価を下落させていると懸念した。

 それを受けて年初にジェローム・パウエルFRB議長は、状況次第ではバランスシート縮小停止があり得ると示唆。ただ、これはリップサービスの面がある。というのも、FRBはQTという考え方に共感していないからだ。QTをめぐる株式市場とFRBの考え方のずれを、いかにショックなく収斂させていくかは、今年の大きな課題になるだろう。

 2008年秋のリーマンショック以降、ベン・バーナンキ議長(当時)率いるFRBは、市場から債券(長期国債や住宅ローン担保証券など)を大規模に購入するQEを数度実施した。その結果、FRBのバランスシートの規模は、金融危機前の0.9兆ドルから一時4.5兆ドルへと膨張した。

 その後、ジャネット・イエレン前議長時代にFRBは保有債券の減額を開始する。市場にショックを与えないよう、債券は市場に売却せず、償還による自然減を少しずつ進める手法を採用。超スローモーションな「自動運転方式」となった。FRBの保有債券が減れば、市中金利に徐々に上昇圧力が加わる。しかし、事前にその流れを市場が織り込めばサプライズは生じない、とFRBは考えた。

 とはいえ、その作業に伴ってマネタリーベースの主要部分である準備預金もゆっくりと減っていく。それは量的引き締めになるのではないか、と思う人が株式市場には少なからず存在している。

 だが、これまでのFRB幹部はそう考えていない。QEで増加した準備預金はFRBの口座にとどまっているだけの「副産物」であり、それ自体は米経済を刺激したことはないと、実はバーナンキ氏も議会証言で説明したことがある。

 QEで急増したマネタリーベースに緩和効果がなかったのならば、理屈としては、QTでマネタリーベースを減らしても引き締め効果は生じないことになる(実は、準備預金は15年春から減少を始めていたのだが、株式市場はそのことには気付かず、最近になって急に騒ぎ始めている)。

 一方でバーナンキ氏は、議長退任後の14年に「量的緩和の問題とは、実際は機能したものの、理論的には機能しない点にある」と語っている。15年には「金融政策は98%がトークであり、わずか2%がアクションだ」とも述べた。つまり、「QEは何かミラクルな緩和効果をもたらすのではないか」と考えた市場の誤解や幻想を事実上利用していたのだ。“マネタリーシャーマン(金融の呪術師)”たる役割を演じてきたといえる。

 だが、誤解を利用すると後の修正は大変だ。パウエル現議長はそのツケを払わされている。「QTは心配無用」と彼がアピールするほど、過去のQEの効果に幻想の部分があったことを強調してしまうことにもなる。非常に難しい市場とのコミュニケーションがこの先のパウエル議長を待っている。

(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
https://diamond.jp/articles/-/192440


 

2019年2月1日 週刊ダイヤモンド編集部 ,竹田幸平 :記者
預かり資産60兆円の外資運用トップが日本株の魅力は増すと考える理由
セス・バーンスタイン(アライアンス・バーンスタイン社長兼最高経営責任者)
世界の金融市場が不安定な動きを続ける中、大手運用会社である米アライアンス・バーンスタイン(運用資産約5500億ドル)のセス・バーンスタイン社長兼最高経営責任者に、市場環境や事業方針への考え方を聞いた。

ラス・バーンスタイン社長兼最高経営責任者
Photo by Kohei Takeda
――金融市場の不安定な動きが続いていますが、グローバルな市場環境をどのように見ていますか。

 世界経済はリーマンショック以降、長らく成長が続きました。金融政策当局が緩和策を縮小する中、景気が弱まり始めたのは驚くに値しません。予想外といえるのは、地政学的な不透明感の高まりです。米国と中国の貿易戦争は長期的な問題に根差していると思います。

 先進国では成長に減速の兆しが見られますが、米経済はなお活発であり、今年中に景気後退に陥るとはみていません。

 ただし、米国株はバリュエーション(投資指標)が欧州や日本より割高で、米国の成長率が日欧より高いとはいえ相対的に危うい状況です。市場は将来の成長具合を予測しながら動くので、19年の米国株は力強さを欠くとみています。

――中国経済は昨今、多くの問題が指摘される一方、金融面では市場開放の動きが出てきています。

 中国当局は資産運用市場の開放により、国民へのリターンが高くなるように競争を促進したいはずです。実際、米中間の貿易問題があっても、当局がこの方針から後退する兆しは全く見えていません。

 今後10年ほどで中国は世界最大の資産市場になっていくでしょう。当社も、中国で資産運用業務を行うライセンスの手続きを進めています。上海にオフィスを開設済みで、中国の投資家に向けた商品を開発しているところです。

――日本の株式市場への見方は。

 日本の上場企業のコーポレートガバナンス(企業統治)は改善が進んできました。また日本には優れた素材メーカーやロボット関連企業があり、グローバルに成長する機会は十分あります。自動車もそうです。よって日本の株式市場には前向きな見方を持っています。

 確かに約30年前のバブル崩壊では痛手を負いましたが、今後も企業統治改善の取り組みを進めれば、海外の投資家にとって日本市場の魅力はより増していくと思います。

――本社をニューヨークからテネシー州ナッシュビルに移す方針を決めた理由は何でしょうか。

 運用業界は価格競争圧力に直面しています。ナッシュビルはコスト面で優位性があり、テクノロジー含む幅広いスキルを持つ人材の確保にも適していると考えました。

 同業他社でも、例えば(世界最大の資産運用会社で本社がニューヨークの)米ブラックロックがアトランタでの人員拡大方針を発表しましたね。ただ、ニューヨークは業界のタレントがひしめく都市であり、投資に直接関わる人材は残すつもりです。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)
https://diamond.jp/articles/-/192439

 

トップニュース2019年2月2日 / 01:00 / 12時間前更新
米雇用統計:識者はこうみる
Reuters Staff
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[1日 ロイター] - 米労働省が1日発表した1月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が30万4000人増加し、2018年2月以来、11カ月ぶりの大幅な伸びとなった。市場予想は16万5000人増だった。米連邦準備理事会(FRB)が今後の景気見通しを理由に利上げに慎重な姿勢を示す中でも経済が基調的な底堅さを保っていることを示唆した。

失業率は0.1%ポイント上昇し、7カ月ぶりの高水準となる4.0%だった。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●政府機関閉鎖前の状況

<チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ部バイスプレジデント、ランディー・フレデリック氏>

雇用者数は予想を大幅に超える伸びとなり、職に就く人が増えたことを表している。労働市場は経済で最も堅調な分野であることがあらためてうかがえる。しかしこれは政府機関が閉鎖する前の状況だ。

●結果良好、ハト派化したFRBにとり最悪のタイミング

<ジャニー・モンゴメリー・スコット(フィラデルフィア)の首席債券ストラテジスト、ガイ・レバス氏>

雇用増は力強く、賃金の伸びも底堅く、過去数カ月分の数値もいくらか上方修正されるなど、今回の雇用統計はまたしても良好な結果となった。

1月29─30日の連邦公開市場委員会(FOMC)でハト派的なスタンスを示した連邦準備理事会(FRB)にとってはこれ以上の悪いタイミングはない。

金融市場は向こう数日間、FRBが示したハト派的な見方は入手されたデータに対する反応だったのか、それとも同じデータに対するこれまでとは異なる反応だったのか、見極めることになる。

FRBが今回のFOMCで示した見解がデータに対するハト派的な反応だったとすれば、その後たったの数日間でデータは改善したことになる。

●賃金の伸び軟調、FRBの「忍耐強い」対応裏付け

<クレディ・アグリコル(ニューヨーク)の外為ストラテジスト、エリック・ビロリア氏>

雇用が力強く伸び、全般的に堅調な内容となったことで、ドル相場が即座に反応した。

ただ賃金の伸びが予想に届かなかったことで、連邦準備理事会(FRB)が1月29─30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で示した、利上げには「忍耐強く」対応するとの見解が裏付けられた。

●労働市場は堅調、物価圧力は抑制

<ステート・ストリート・グローバルアドバイザーズ(ボストン)の最高投資責任者(CIO)、マイケル・アローン氏>

雇用増は100カ月連続と、過去最長となった。今回の雇用統計は非農業部門雇用者の増加数が予想を上回るなど、最初から最後まで極めて底堅かった。

時間当たりの平均賃金も伸び続けたが、インフレ懸念を示すものではなく、連邦準備理事会(FRB)による金利の道筋の変更につながるものではない。

労働参加率は2013年以来の高水準となったほか、雇用増の裾野はかなり広く、極めて堅調な雇用統計となった。

インフレ圧力が増すか見極めるため、市場では今後も時間当たりの平均賃金が注目される。賃金の伸びは前月と比べて軟化した。つまり、労働市場が引き続き堅調な中でもインフレ圧力は抑制されていることが示された。こうしたことは市場で歓迎される。

●職探し動向や建設業の伸びに注目

<アメリプライズ・フィナンシャル(ミシガン州)の主任エコノミスト、ラッセル・プライス氏>

市場の反応はいまいちだが、その理由として統計の振れが考えられる。11・12月分を合わせた雇用者数は7万人下方修正されており、市場は統計をならした全体像を把握しようとしている。

個人的な見解としては、過去3カ月間で賃金は上昇しており、これまで様子見だった人々が職探しを始めている。これは家計のみならず雇用者の拡大を持続させる上でよいことだ。

建設業の雇用者数が過去2カ月間で大幅に伸びていることも住宅市場にとって前向きな材料と受け止められる。

●今年2回の利上げ予想、株式相場かなり好調に

<ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュートのシニア・グローバル・マーケット・ストラテジスト、サミール・サマナ氏>

賃金上昇ペースが加速しつつある。インフレや米連邦準備理事会(FRB)、利上げの道筋、企業の収益性に影響が及ぶので、注視していく必要がある。

労働参加率が上向いたのは、就労を切望する人々がさらに現れたことをうかがわせる。インフレを起こさず、雇用を増やすことが可能で、こうした状況は常に歓迎すべきだ。

全般に極めて健全な統計だったが、FRBのほか、好調な景気指標が出れば利上げ観測を明らかに意識する市場にとって何を意味するのかが本当の問題だ。当社は引き続き、今年2回の利上げを予想している。今回の内容もこうした予想と非常に整合がとれている。こうした状況下で、株式相場はかなり好調に推移する可能性があると引き続きみている。
https://jp.reuters.com/article/instant-view-us-job-data-idJPKCN1PQ560


 

ビジネス2019年2月2日 / 07:45 / 5時間前更新
米国株式市場はまちまち、雇用統計好調もアマゾンの低調な見通しが圧迫
Reuters Staff
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[1日 ロイター] - 米国株式市場はまちまち。朝方発表された好調な1月米雇用統計を受け明るい見方が広がったものの、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)の低調な見通しが影を落とし、小売株に売りが出た。

アマゾンは5.38%安で終了。前日引け後に発表した第4・四半期決算は堅調な内容だったが、第1・四半期売上高見通しが市場予想を下回ったことが嫌気された。

アマゾンの見通しは失望感を誘い、ナスダック総合.IXICは下落。小売株にも売りは広がり、S&P一般消費財株.SPLRCDは1.77%安。ウォルマート(WMT.N)、メーシーズ(M.N)、コールズ(KSS.N)はいずれも2%下落した。

1月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が30万4000人増加し、2018年2月以来の大幅な伸びとなった。予想の16万5000人増も上回った。

その他、1月のISM製造業景気指数も予想を上回り、米経済の基調的な力強さを示した。

ただ、中国経済減速を巡る懸念はくすぶる。財新/マークイットが発表した1月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は節目の50を2カ月連続で下回り、約3年ぶりの低水準となった。

石油メジャーのエクソン・モービル(XOM.N)とシェブロン(CVX.N)は予想を上回る四半期利益を手掛かりに、そろって3%超上昇した。

原油価格の上昇に追随し、S&Pエネルギー.SPNYは1.83%高となった。

シグナ(CI.N)は2.88%安。2019年業績見通しが予想に届かなかったことを嫌気した。

週間ではS&P総合500種.SPXが1.6%、ダウ工業株30種.DJIが1.3%、ナスダック総合.IXICが1.4%それぞれ上昇した。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.30対1の比率で上回った。ナスダックでも1.37対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は75億株。直近20営業日の平均は77億株。

終値 前日比 % 始値 高値 安値 コード

ダウ工業株30種 25063.89 +64.22 +0.26 25025.31 25193.15 24982.49 .DJI

前営業日終値 24999.67

ナスダック総合 7263.87 -17.87 -0.25 7256.37 7299.94 7243.41 .IXIC

前営業日終値 7281.74

S&P総合500種 2706.53 +2.43 +0.09 2702.32 2716.66 2696.88 .SPX

前営業日終値 2704.10

ダウ輸送株20種 10123.99 +64.62 +0.64 .DJT

ダウ公共株15種 724.66 -2.59 -0.36 .DJU

フィラデルフィア半導体 1287.40 +15.31 +1.20 .SOX

VIX指数 16.14 -0.43 -2.60 .VIX

S&P一般消費財 846.16 -15.29 -1.77 .SPLRCD

S&P素材 335.49 +1.51 +0.45 .SPLRCM

S&P工業 604.94 +1.20 +0.20 .SPLRCI

S&P主要消費財 546.48 -1.46 -0.27 .SPLRCS

S&P金融 432.10 +2.20 +0.51 .SPSY

S&P不動産 211.56 -1.42 -0.67 .SPLRCR

S&Pエネルギー 479.44 +8.63 +1.83 .SPNY

S&Pヘルスケア 1050.21 +2.34 +0.22 .SPXHC

S&P通信サービス 152.23 -0.52 -0.34 .SPLRCL

S&P情報技術 1170.20 +7.04 +0.60 .SPLRCT

S&P公益事業 276.84 -0.83 -0.30 .SPLRCU

NYSE出来高 9.29億株 .AD.N

シカゴ日経先物3月限 ドル建て 20805 + 85 大阪比 <0#NK:>

シカゴ日経先物3月限 円建て 20795 + 75 大阪比 <0#NIY:>

S&Pセクター別指数は関連コンテンツでご覧ください; リフィニティブデータに基づく暫定値です。前日比が一致しない場合があります

ビジネス2019年2月2日 / 07:45 / 5時間前更新
ドル上昇、雇用統計など堅調な米指標受け=NY市場
Reuters Staff
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[ニューヨーク 1日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、米雇用統計と米ISM製造業景気指数が堅調だったことを受けドルが対円で上昇し、1日の上昇としては約1カ月ぶりの大きさとなった。ただ雇用統計で賃金の伸びが軟調だったため、ドルの上昇は幾分抑制された。

フェクスコ・コーポレート・ペイメンツ(エジンバラ)のディーリング部門責任者、デビッド・ラム氏は、今回の雇用統計で米経済が目覚しいペースで雇用を創り出していることなどが確認されたとしながらも、労働市場がこれほどまで引き締まる中でも賃金の伸びは軟調だったとなどし、完璧な内容ではなかったと指摘。「インフレ圧力は緩やかで、連邦準備理事会(FRB)は次回の利上げは急ぐ必要はないと見なすだろう」と述べた。

1月の雇用統計では非農業部門の雇用者数が30万4000人増加し、市場予想の16万5000人増を大幅に上回った。一方、失業率は0.1%ポイント上昇の4.0%と、7カ月ぶりの高水準を付けたほか、時間当たり賃金は前月比0.1%(3セント)増と前月の0.4%から伸びが鈍化した。

FRBは1月29─30日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定すると同時に、年内の一段の利上げに忍耐強くある姿勢を表明。さらにパウエル議長がFOMC後の記者会見で利上げを実施する論拠は後退したと述べたことで、金利先物市場では年内に利下げが実施される確率が約30%であることが織り込まれた。この日の雇用統計を受け利下げの確率はやや低下したものの、利上げは依然として予想されていない。

この日発表の他の米経済指標では、米供給管理協会(ISM)の1月の製造業景気指数が56.6と、前月の54.3から上昇し、市場予想の54.2を上回った。

キャピタル・エコノミクスのシニア米国エコノミスト、マイケル・ピアース氏は「ISM製造業景気指数が上昇したことで、 米経済成長は年初は引き続き底堅かったことが改めて裏付けられた」とし、「製造業部門に対しては、軟調な世界的な需要のほか、ドル高が重しになると引き続き予想しているが、製造業活動が崖から転げ落ちるような状況にないのは明白だ」としている。

午後の取引でドル/円JPY=は0.6%高の109.52円。主要6通貨に対するドル指数.DXYはほぼ横ばいの95.579。ユーロ/ドルEUR=は0.1%上昇の1.1458ドル。

ドル/円 NY終値 109.48/109.51

始値 108.87

高値 109.57

安値 108.89

ユーロ/ドル NY終値 1.1454/1.1458

始値 1.1468

高値 1.1488

安値 1.1448

表はリフィニティブデータに基づいています

https://jp.reuters.com/article/ny-stx-us-0201-idJPKCN1PQ5XW

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/821.html

[経世済民130] 景気対策手詰まりの中国、残る道は減税か 成長率28年ぶり低さ 遠のく中国市場改革 一帯一路汚染輸出 アジアIT需要膨張
トップニュース2019年2月2日 / 08:25 / 4時間前更新
景気対策手詰まりの中国、残る道は減税か
Pete Sweeney
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[香港 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 景気の指標的存在である米キャタピラーは今週初め、中国で重機の需要が冷え込んでいると警告を発し、中国の景気減速からの脱却は難しいとの見方が改めて広がった。人民銀行の金融政策も慎重さを捨てきれていない。となれば、企業に支出の再開を迫る最良の手段は税負担の軽減しかない。

アリババ(BABA.N)の蔡崇信(ジョー・ツァイ)副会長も25日に開かれたBreakingviewsのイベントで「流動性を供給し、金融政策を駆使するだけでは経済を成長させることはできない。目を向けるべきは財政政策だ」と述べ、手垢のついた政策手段では中国が今抱えている苦境に対処できないとの考えを示した。

人民銀行もこの意見に大賛成ではないだろうか。当局は銀行の預金準備率の引き下げや中小企業向け貸出制度、さらには永久債発行の容認などの取り組みを進めた。しかし企業の投資は上向いていない。また、中銀自体が一方で警戒的な政策を維持している。不動産セクターを支える積極的な政策や、2008年の金融危機後のようなインフラ投資の盛り上がりを期待した投資家は失望を味わっている。

中国財政省も財布のひもを締めたままで、今年の財政赤字の対国内総生産(GDP)比を2.8%と、昨年の2.6%に続き抑える計画だが、これはもっともなことだ。S&Pの推計によると、地方政府が抱える負債は既に6兆ドル近くに達している。地方政府は負債の返済を主に土地売却収入に頼っているが、不動産投資は落ち込み、土地入札は減少している。減税を行えば地方政府の財政はさらに悪化するだろう。

減税は、効果の波及にも時間がかかる。昨年10月に税制改革によって470億ドル相当の所得税負担の軽減を図ったが、消費に関する統計は上向いていない。

しかし他に道はないかもしれない。政府は、足元の景気減速は対処可能だと望みをつなぐことにより、極端な政策を回避してバランスシートの健全化を継続している。しかし次の手段が減税であるなら、着手するのは早い方が良い。

●背景となるニュース

・米重機大手キャタピラー(CAT.N)と米画像処理半導体大手エヌビディア(NVDA.O)は28日の四半期決算発表で、中国市場の需要減退による業績への悪影響を警告し、株価が急落した。既に昨年末から年明けにかけてアップル(AAPL.O)など複数の米大手企業が中国の景気減速などを理由に業績見通しを引き下げていた。

・中国は昨年第4・四半期に景気が冷え込み、2018年の国内総生産(GDP)成長率は約30年ぶりの低い伸びとなった。中国人民銀行(中央銀行)は政策調整を繰り返して、銀行への流動性供給を増やし、中小企業への貸し出しを促進しようとしている。25日にはこうした取り組みの一環として中国銀行による400億元(59億ドル)相当の永久債発行も進めた。

・ホワイトハウスによると、トランプ米大統領は31日に中国の劉鶴副首相と通商問題について協議する。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-china-next-stimulus-idJPKCN1PO0B3

 

2019年2月1日 塚崎公義 :久留米大学商学部教授
中国の成長率「28年ぶりの低さ」が日本の戦後と似ている理由

昨年の中国の成長率が6.6%で、28年ぶりの低さだった。日本の感覚でいえば十分高い成長だが、中国の専門家は憂えているようだ。今回は、日本経済の歴史を考えながら、中国の成長率低下がこれと似ていると考える理由を示す。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

高度成長は
永遠には続かない
 日本の高度成長が終わり、安定成長期に入ったのは、筆者が高校生のときだった。そのとき、「高度成長が永遠に続くはずはない。10%成長が100年続いたら、国内を走り回るトラックの台数が日本の人口より多くなってしまうから、ドライバーが不足するのだ」と言われて、大いに納得したものだ。

 後で考えれば、これは要するに「石油ショックがきたことは高度成長が終わったキッカケであって、仮に石油ショックがこなくても高度成長から安定成長への移行は防げなかっただろう」ということを意味しており、そうであれば「日本で起きたことは後発の途上国でも起きるはずだ」ということを意味していたのだ。

 じつは、この説明は誤りだ。製品の小型化が進んだこと、サービス化が進んだこと、高付加価値化が進んだことなどによって、「量的な成長」ではなく「質的な成長」へと経済がシフトしていったからだ。

 例えば、われわれの手のひらのスマートフォンは、当時の大型コンピューターよりはるかに優れた性能を持っているので、むしろ経済成長によってコンピューターを運ぶトラックのドライバーは不要になったのだ。

 しかし、高度成長が続かないという結論は正しかった。まず、高度成長期に農村から大量に都市に働きに出てきた若者が増え続けることはなかったし、むしろ長期では減少した。

 都会での仕事が増えるにつれ、給料を求めて農村の若者がほとんど都会へ行ってしまったので、農村には新しく都会へ出て行く若者が残っていなかったのだ。これと似たようなことは、中国でも起きているに違いない。「ルイスの転換点」と呼ばれる現象だ。

労働生産性の向上速度が緩和
産業構造も変化
 次に、労働生産性の向上速度が緩やかになってきた。手作業の洋服工場がミシンを買うと、労働生産性は一気に向上するが、すでにミシンを持っている工場が最新式のミシンに買い替えても労働生産性はそれほど上がらないからだ。

 もちろん、新しい産業や技術は絶え間なく進歩しているが、手作業から機械へと移った時ほどの生産性向上は、なかなか続くものではない。これも、日本と同様のことが中国で起きているのだろう。

 産業構造の変化も重要だ。「ペティ・クラークの法則」と呼ばれるものがあり、経済が発展するにつれて、どこの国でも第1次産業(農業など)から第2次産業(工業など)、第2次産業から第3次産業(サービス業など)へと主要産業が移り変わっていくのである。

 まずは腹一杯食べることが重要なので、農業などが発達するが、次第に綺麗になりたいということで、洋服や化粧品が売れるようになる。洋服や化粧品を一通りそろえると、今度は美容院に行きたくなる、といったイメージだろうか。

 問題は、洋服や化粧品の生産は機械化することで労働生産性が高まる余地が大きいが、美容院は労働集約型産業なので、人手がかかるという点だ。つまり、化粧品を1万円分買っていた客が、美容院で1万円使うようになると、そのために必要な労働者の数は増えてしまうのだ。

 一国の労働者の数が増えないとすると、需要が化粧品から美容院へシフトすることで、生産できる財・サービスの総量が減ってしまう(GDPが減ってしまう)ことになりかねないのだ。もちろん、実際にGDPがマイナスになることはないとしても、成長率を押し下げる要因としては非常に重要だろう。

少子高齢化も始まり
中国でも影響が本格化
 日本では、すでに少子高齢化の影響で労働力不足が顕著になっており、労働力不足が経済成長率を抑えてしまうことが懸念され始めている。少子高齢化で労働力不足になる理由は2つある。「若者の比率の低下」と「高齢者の消費の特徴」だ。

 少子高齢化によって、働き盛りの若者が大いに減り、生産せずに消費だけをする高齢者があまり減らないので、少数の若者が作った物を大勢の高齢者が奪い合う形となる。需要は十分あるのに供給が追いつかないという、従来の日本経済と全く異なる成長の制約要因が重要となるわけだ。

 これに加えて、若者が自動車を買う代わりに高齢者が医療・介護サービスを受ける、という変化もある。ここでも自動車生産より医療・介護の方が労働集約的であるという点が重要となる。

 上記のように「国民が豊かになると、化粧品から美容院に需要がシフトして経済成長率が下がる」のと似たようなメカニズムで、「国民が高齢化すると、自動車購入から医療・介護に需要がシフトして経済成長率が下がる」ということが起きるのだ。

 中国の場合、日本より少子高齢化のタイミングが遅いから、この影響はまだ出ていないのだろうが、今後は中国でも影響が本格化してくる。

米中冷戦は
石油ショックに相当か
 以上のように、高度成長から安定成長へと移行するのは当然で、中国はその過程にあると考えていいだろう。

「日本は石油ショックがあったが、中国にはないので日本より滑らかに移行するはずだ」というのが筆者の以前の認識だったが、ここへきて雲行きが怪しくなってきた。

 米中の貿易戦争は、米国が中国との覇権争いに真剣に取り組むようになってきて、「米中冷戦」の様相を呈してきたからだ。米国が「肉を切らせて骨を断つ」覚悟だとすると、中国経済の受ける打撃は甚大なものとなる。

 けんかには2通りある。1つはガキ大将が「オモチャをよこさないと殴るぞ」と脅して欲しいものを手に入れるようなものだ。本当に殴ると手が痛いので、相手が要求に従うことを前提にしたものだ。トランプ大統領が日欧などに対し、「自動車の輸入制限をされたくなかったら米国の武器を買え」との要求を突きつけているのはこれに当たる。

 もう1つは、「実力を増しつつある副社長派閥を叩き潰すために社長派閥が挑む」といったようなけんか。これは、互いに相手を叩き潰すのが目的であり、痛みは当然覚悟しているはずだ。米中関係はまさにこれだ。

 しかも、米議会の超党派が中国との覇権争いを繰り広げようとしているもので、日欧などとの貿易摩擦とは決定的に異なるのだ。

 したがって、日本にとっての石油ショックと同じくらい大きな影響を、米中冷戦が中国経済に及ぼす可能性は十分にある。今後の推移に注目したい。

 本稿は以上だが、けんかに2通りあるという点については、拙稿「米中関係は『貿易摩擦』ではなく『新たな冷戦』に突入した」を併せてご覧いただければ幸いである。
https://diamond.jp/articles/-/192632


 

コラム2019年2月2日 / 12:15 / 18分前更新

遠のく中国市場改革、証券監督トップに保守派任命で
Christopher Beddor
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[香港 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の株式市場は、もっと野心的な監督者を必要としている。中国国営メディアによると、証券監督管理委員会(証監会)の劉士余主席の後任として、中国工商銀行(ICBC)(601398.SS) (1398.HK)の易会満・董事長(会長)が任命された。

これまでの劉体制の下では、大々的な刷新よりも安定性が優先されることが多く、成果は功罪まちまちだ。

劉氏は2016年初めに証券監督管理委員会の主席に就任する前は、中国農業銀行(601288.SS)(1288.HK)のトップを務めていた。劉氏の前任の証監会主席は当時、市場の乱高下を抑制するためのサーキットブレーカー導入でしくじったばかりだった。劉氏が証監会主席の任期を通じ、おおむねリスク回避に終始することとなったのは、意外ではない。

劉氏は確かに、賞賛に値する変革も主導した。

証監会は不正行為への取り締まりを強化、昨年は106億元(約16億ドル)の罰金を科しており、罰金額は2016年の倍以上となった。新規株式公開(IPO)の認可を加速させ、地元メディアによると、IPOの認可を待っている企業の数は現在では300社以下と、2016年のピークの約900社から急減している。また、外国人投資家に不評だった株式の売買停止も抑制、証監会の資料によると、2015年は上場企業の半分超が売買を停止したことがあったが、現在は全体のわずか2%となっている。

一方、より大局的な改革を成し遂げたかどうかについては、疑問が残る。

中国は、強権的な株式上場の認可システムから、米国式の登録制への移行を打ち出しているが、実行は延び延びになっている。これが実現すれば、企業は資本市場の活用がより容易になり、この国のゆがみ是正につながるだろう。当然、これは監督当局の役割低下につながり、移行期間中に予測不可能な結果が生じる可能性もある。さほど劇的ではない改革である、中国預託証券(CDR)導入も不発に終わった。劉氏はそもそも、当局が影響力を保持できる改革を志向していた節がある。

活動的で、歯に衣着せぬ物言いで知られる牙興海・証監会副主席を主席に昇格させる手もあったかもしれないが、実際に主席に任命されたのは、保守的な国有銀行で着々と出世してきた易氏だった。

易氏は中国の金融コミュニティーにおいては評価が高いが、同氏の主席任命は中国が実用主義を好んでいることを示すものだ。深セン・上海株式市場の値動きがさえない中、易氏が苦労することは目に見えている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/china-market-reform-breakingviews-idJPKCN1PN08W


 

トップニュース2019年2月2日 / 08:25 / 4時間前更新
焦点:
一帯一路で「汚染輸出」の声も、セメント会社が中国脱出
Brenda Goh and Mariya Gordeyeva
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[杭州(中国)/シェリ(カザフスタン) 31日 ロイター] - カザフスタン南西部に広がる強風の吹き渡るステップ地帯にあるシェリ村の外れでは、中央アジアに位置するカザフスタンの工業化の一翼を担う輝かしいシンボルとして、中国の支援で新たに作られたセメント生産プラントがそびえ立っている。

このプラントが立地するクズロルダ州のエフゲニー・キム副知事は、「石油・ウラン採掘産業で使われる油井用セメントが必要になっている」と話す。

12月に行われた竣工式典を見守りながら、同副知事はロイターに対し「もっと早くこのプラントを建設すべきだった。必要が生じれば拡張することになる」と語った。式典は、国内における最新プロジェクトの一部をナザルバエフ大統領に紹介する全国規模のイベントが開催されてい首都アスタナにも生中継された。

中国葛洲堰集団(600068.SS)とカザフスタン企業DANAKEが共同で建設したこのセメント生産プラントの例に見られるように、中国は広域経済圏構想「一帯一路」を活用して自国製造業の拠点を広く国外に拡大し、その過程で産業界の再編を引き起こしている。

だが「一帯一路」構想に対する監視が強まるなかで、中国がこの構想を利用し、環境汚染がひどい部門を中心に、自国産業の過剰生産能力を他国に輸出しているという見方も出ている。

「一帯一路」の動きに刺激され、中国の巨大企業は国外での事業展開を探っているが、一部には、こうした動きによって地域経済に歪みが生じ、中国マネーへの依存度が高まると懸念する声がある。

<外へ>

習近平・国家主席による看板政策として4年前に始まった「一帯一路」構想は、相手国にとっても、貿易を振興しつつ輸や送その他のインフラを更新できる「ウィン・ウィン」の機会になっている、というのが中国側の言い分だ。

また中国当局は、「一帯一路」は、企業がいまだ需要成長の見込める地域へとシフトする道を開くことにより、国内産業の生産過剰という問題の解決策になり得ると示唆している。こうした過剰生産能力は、2008〜09年の世界金融危機の打撃を緩和するために中国がインフラ関連プロジェクトに何十億ドルも注ぎ込んだ後遺症だ。

産業界の幹部やアナリストらによれば、鉄鋼やセメント、石炭といったセクターの企業がこの構想を実行に移し、グローバルな製造拠点の再編を引き起こしているという。

「CIS(独立国家共同体)あるいはアジア地域では、毎週のように(中国企業が)建設する新たなセメント生産プラントについてのニュースが聞かれる」と語るのは、セメント市場の分析を専門とするコンサルタント会社CWグループのアソシエイトであるラルカ・サーセル氏。

中国の国営メディアによれば、中国国内では、環境汚染の摘発が進んで何百カ所ものセメント生産プラントが閉鎖された。中国セメント協会によれば、中国は2020年までにセメント生産能力を、全体の10分の1にあたる約4億トン削減することを目指しているという。

業界誌「グローバル・セメント」によると、葛洲堰集団、安徽海螺水泥(600585.SS)、上峰水泥000672.SZといった中国のセメント大手は2018年、アフリカ、アジア、南米地域で少なくとも18カ所、年間生産能力にして合計2000万トン以上のプラントに投資すると発表した。これはほとんどの欧州諸国の生産量を上回る規模だ。

葛洲堰集団は新たなチャンスをつかむことに熱心だと、同社がシェリに設けた子会社でゼネラルマネジャーを務めるリー・ジンチン氏は話す。

「我が社は中国国内に17カ所のセメント生産プラントを持っているが、カザフスタンではここが初めてだ」と彼は言う。「中央アジア諸国、特に西部を中心とするカザフスタンでは今後もプラントを建設することを計画している。すべては市場次第だが」

<生産過剰の問題>

中国は過去5年間、セメントなどの素材生産に先進的な汚染防止テクノロジーを導入し、厳格化された基準を満たすことを企業に義務付けており、「絶対に必要」と見なされるプロジェクトを除いて、セメント生産設備の新設は禁止されてきた。

また、汚染レベルが高い期間は、プラントは操業を停止せざるをえなくなっている。

杭州市に本拠を置く上峰水泥も、キルギスタンとウズベキスタンでのプラント建設により拠点の拡大を図っている中国企業の1つである。

同社のチュー・フイ副社長はロイターとのインタビューで、「中国国内における生産過剰の状況は非常に深刻になっている。私たちが一帯一路沿いの諸国への進出を検討しているのは、それが理由だ」と語った。

「中国のセメント生産能力は現在30億トン以上だ。だが現実には、約22億トンの需要しかない」

また同副社長によれば、上峰水泥は国外での生産ライン建設に向けて中国輸出入銀行から6800万ドル(約74憶円)の低利融資を受けているが、これは「一帯一路」構想に基づいて提供されたものだという。

1月31日、カザフスタン南西部に広がる強風の吹き渡るステップ地帯にあるシェリ村の外れでは、中央アジアに位置するカザフスタンの工業化の一翼を担う輝かしいシンボルとして、中国の支援で新たに作られたセメント生産プラント(写真)がそびえ立っている。2018年12月撮影(2019年 ロイター/Mariya Gordeyeva)
「融資の承認は非常に迅速で、政府はとても協力的だった」と彼は言う。

中国企業は、他国で建設しているプラントには最新のテクノロジーを利用し、必要なフィルターを装備し、現地の環境基準を遵守していると主張する。

だが環境保護団体によれば、中国の急速な工業化に付きまとっていた環境汚染問題が輸出されてている懸念があるという。

環境保護団体グリーンピースでグローバル大気汚染部門の主任アナリストを務めるローリ・ミリバータ氏は、「中国企業が工業投資の候補地としている国々のほとんどは、排出物規制・環境基準とその実施状況が非常に弱い」と言う。

「こうした規制の空白を突いて投資が行われているのは実に心配だ」

カザフスタンの環境保護団体アソシエーション・オブ・プラクティシング・エコロジストによれば、カザフスタンには欧州連合(EU)や中国で導入されているような全国レベルでの統一的な汚染防止基準が存在せず、セメント生産プラントの水銀排出物については監視が行われていない。

同団体はロイター宛の電子メールのなかで、「中国とカザフスタンの間で、これだけ汚染防止基準に差があることを考えれば、中国側としては、一帯一路構想のもとで、セメントの原料になる炭酸塩やシリカを豊富に埋蔵するカザフスタンにセメント生産プラントを移転すれば利益につながるだろう」と述べている。

アナリストは、中央アジア諸国の多くは、自国製造業の成長を図り、雇用を創出して輸入依存度を低下させるため、セメント生産の拡大に力を入れていると言うが、これら諸国の市場が吸収できる新たな生産能力には限度がある。

中国のセメント関連投資た集まる内陸国タジキスタンでは、政府統計によれば、2015年にはわずか500トンだったセメント輸出量が、2017年には100万トンまで拡大した。

上峰水泥のチュー副社長は、中国のセメント生産プロセスは非常に効率が良く、より大きなプラントを作りたがる傾向もあることから、生産過剰の状態を回避するのは困難かもしれない、という。

「その国に最初に進出する企業になれれば問題はない」と彼は言う。「だが、ある国に2─3社がプラントを建設するようになると、あっというまに生産過剰状態に陥る可能性がある」

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/china-silkroad-cement-idJPKCN1PQ470


 

トップニュース2019年2月2日 / 12:21 / 13分前更新
アングル:
アジアで膨らむIT人材需要、タイ求人サイトに脚光
Chayut Setboonsarng
3 分で読む

[バンコク 28日 ロイター] - アプリ開発者のSattha Puangputさん(30)が、勤めていたスタートアップ企業からの転職を考えたときにしたことは、技術系の人と企業を結ぶ求人サイト「Getlinks」に登録している自身のプロフィールの更新だった。

その後、数日内に数社から面接の連絡が入り、最終的にスーパーマーケット大手のテスコ・ロータスTESCO.Lのオファーを受け入れた。同社で、JAVAをベースにしたプログラミング言語「コトリン」を使ってアンドロイド向けソフトの開発を行う。コトリンを使用することで、簡潔かつ効率的なプログラミングが可能となる。

新たな言語とプログラミングのツールに関する知識は、ソフト開発の速度を速め、開発者同士も連携しやすい。

Getlinksが他社と違うのは、アジアで急成長する新興テクノロジー企業や、社内の採用担当者が見つけられない技術系人材を求めている従来型企業のニーズに応じて、アプリ開発のほか、フラッターやドッカーなどのプログラミング言語といった特定のITスキルを持った人材をマッチすることに特化していることだと利用者は言う。

中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.K)、タイの複合企業最大手サイアム・セメント・グループ(SCC.BK)、オーストラリアのネット求人広告大手シーク・グループ(SEK.AX)は、バンコクに拠点を置くGetlinksの資金調達ラウンドに昨年参加。Getlinksは米ドルにして「8桁」の額に上る資金を調達できたと、同社の共同創業者でフランス生まれのDjoann Fal氏(26)は明らかにした。

これにより、Getlinksはインドネシア、マレーシア、中国の深セン、そして台湾に現地オフィスを構えることができると同氏は言う。

前出のPuangputさんは、他の求人サイトもいくつか見てみたが、自身がもつ特定のスキルを求める企業は見つけられなかったと話す。

「普通、職探しには時間がかかるが、Getlinksには驚いた。オファーが速い。良い機会がたくさんあった」とPuangputさんは語った。

Fal氏によると、創業3年のGetlinksでは、中国のインターネット大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)やタイのサイアム商業銀行、インドネシアのオンライン旅行大手トラベロカなどの企業と、1000人超の人材を引き合わせている。

Getlinksは企業と求職者をマッチングする「良いモデル」だが、経験豊富な幹部を採用しようとする場合には課題に直面する可能性があると、英人材紹介大手ロバート・ウォルターズでタイのディレクターを務めるPunyanuch Sirisawadwattana氏は指摘する。

交渉といった「ソフトスキル」を要する給料のようなデリケートな問題の解決において、間に立つ人がいなければ、企業は良い候補者を失いかねず、こうしたことはテクノロジーではすぐに対処できないと、同氏は語った。

<従来型企業>

とはいえ、ITスキルに対するアジアでの爆発的需要は、Getlinksには追い風となるはずだとFal氏は言う。「要するに、欧州で起きたデジタル革命が、今ここで起きているということだ」

中国テクノロジー大手や、シンガポールの配車サービス大手グラブやインドネシアの同ゴジェックなど東南アジアのスタートアップ企業は、デジタル決済や電子商取引の分野で積極的に拡大し続けており、プログラマーやデザイナー、デジタルマーケターの需要を押し上げている。

東南アジアのインターネット経済は2025年までに2400億ドル(約26兆円)に達すると、米アルファベット傘下のグーグルとシンガポール政府系ファンドのテマセク・ホールディングスが昨年11月に発表した調査は予想。モバイルによるコネクティビティーの増加により、2016年調査の試算よりも25%増えている。

テンセントが支援し、ゲーム出版事業で最も知られているシンガポールのシー(SE.N)も採用活動にGetlinksを利用している。

 1月28日、アジアではIT系人材に対する需要が爆発的に高まっており、特定のスキルを持つ求職者と企業を結ぶタイの求人サイト「Getlinks」が脚光を浴びている。写真は同社の共同創業者でCEOのDjoann Fal氏。バンコクで昨年11月撮影(2019年 ロイター/Chayut Setboonsarng)
「このシステムの良いところは、候補者のプロフィールを閲覧でき、直接コンタクトを取れることだ」と、シー・タイ法人の採用責任者であるAnyarin Teerachawansith氏は話す。

同社はGetlinksを通じて、複数スキルを有する開発者や検索エンジン最適化(SEO)専門家など10人以上をタイ事業で採用している。だが、同氏によると、ほとんどは独自のネットワークや紹介制度、ヘッドハント会社から採用しているという。

Getlinksは企業に対し、候補者の初年度給与額の15%、あるいは月極利用料を請求する。利用料は1カ月あたり採用2件の場合は1000ドル、無制限なら1万ドルと幅がある。

デジタル化を急ぐ従来型の企業はGetlinksを有用だと考えていると、Fal氏は言う。

そのような企業にタイ最大の複合企業サイアム・セメント・グループがある。同社は2017年、デジタル化に着手した。

「わが社はデジタル市場に参入したかった」と、同社のデジタル改革担当者ジョシュア・パス氏はロイターに語った。

同氏によると、社内の採用部門を通じて人材を雇用したが、同時にGetlinksから技術担当責任者を採用したという。これまで同社はGetlinksに20以上の求人を掲載した。

商業的なパートナーシップがうまくいったため、100年続く同社のベンチャー部門はGetlinksに投資した。同部門も率いるパス氏はその理由について、人材探しは「ネック」であり、需要は伸びていると語った。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/asia-tech-pros-demand-idJPKCN1PO0AM
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/822.html

[経世済民130] ワークライフバランスが気になるのは「自分の仕事に意味がない」と感じているから 実質賃金、0.4%減に下振 やる気が急低下
2019年2月1日 末岡洋子
ワークライフバランスが気になるのは「自分の仕事に意味がない」と感じているから
――米国の労働環境調査会社CEOが語る
長時間労働、パワハラ、セクハラなどのハラスメントと、労働環境をめぐる課題は多い。人手不足の現在、働きやすさはリテンションを高め、優れた人材を採用するうえで重要なポイントだ。“働きがい”をキーワードに35年にわたって調査を続けているGreat Place to Work InstituteのCEOが、ランキング上位の企業と語った。

従業員が求めているのは
「コネクション・安全・公正」

左からGreat Place to Workのブッシュ氏、Quicken Loansのマロイ氏、CarMaxのムハンマド氏、Workdayのシスコ氏
 Great Place to Work(GPTW)は、ランキングに参加する企業を対象に従業員と管理層の2つの視点から働きがいを調査して順位を出す機関だ。現在世界58ヵ国から6000社が参加、500万人の従業員を対象に調査しており、その結果は「Fortune」に発表している。日本でも、2007年から日本拠点の企業ランキングを発表している。

 人事に関するクラウドアプリケーション企業Workdayのイベント「Workday Rising」に登場したGreat Place to WorkのCEO、マイケル・ブッシュ(Michael C. Bush)氏は、これまでの調査から言えることとして「従業員はコネクション、安全、公正を望んでいる」と伝えた。

 コネクションは、リーダーと部下やチーム間の結びつきだ。「人は誰もつながっていたい。つながりが信頼になり、気にかけてもらっていると思う。これが、企業にもっと貢献したいという気持ちにつながる」とブッシュ氏。ケアされてもらうことで自分が価値ある存在と感じることができる。実際、「従業員はボーナスよりも、ケアされることを求めている」とブッシュ氏は言う。

 続く安全は、コネクションの延長にある。物理的な安全はもちろん、心理的、感情的にも安全を感じることはとても重要だという。安全と感じるので、新たな挑戦(イノベーション)ができると分析する。

 3つ目の公正は、公正に扱われているかだ。性別、年齢、国籍、性的指向などに関係なく評価されたいと従業員は思っている。

 これらにより、信頼が生まれる。ブッシュ氏によると、信頼は働きがいのある会社を評価する上で重要な要素という。

働きやすさは業績に反映される

Great Place to Work InstituteのCEO、マイケル・ブッシュ氏
 働きがいは単に従業員のリテンションにメリットがあるだけではない。業績にも良い影響が出ているという。

 GPTWに登録している6000社の売り上げは2017年、前年比26%増加した。上位100社について、ラッセル3000指数とリターンを比較したところ、20年で3倍の差があったという。働きがいのある企業が業績も良いということはデータで証明できるとブッシュ氏は断言する。「企業文化と業績にトレードオフはない」(ブッシュ氏)。

 日本だけでなく米国でも注目されているワークライフバランスについても、「ワークライフバランスが持ち上がるのは、自分の仕事に意味がないと感じているから」と見る。「自分がやっている仕事に意味があると感じている時は、働き、休憩し、また働く。”疲れた”とはいうかもしれないが、ワークライフバランスが持ち上がることはない」と続けた。

 従業員がやっている仕事に意味があると感じてもらうのはリーダーの仕事、とブッシュ氏はいう。そのためには、「聞くこと」それに、「その人の仕事が自社の戦略にとって重要であることを伝えること」をきちんと行う必要があるとアドバイスした。

“従業員ファースト”は顧客もハッピーにする
 GPTWで上位の会社は、「働きがい」にどのように取り組んでいるのだろうか? 企業文化をテーマとしたディスカッションで、中古車売買のCarMax(GPTWランキング34位)の最高情報責任者兼シニアバイスプレジデント、シャミム・ムハンマド(Shamim Mohammad)氏は、「従業員がどのようにオペレーションするのかを定義するOS(オペレーション・システム)のようなもの」と定義した。営業所ごとにサービスの質が大きく違ったり、雰囲気が大きく異なる場合、OSが機能しているとはいえないということになる。同社の企業文化は“ピープル・ファースト(最優先)”。顧客だけを最優先させても、社内のメンバーがいがみ合っている状況は起こりうる、とムハンマド氏。“ピープル”とすることで、従業員、取引先、顧客、コミュニティと人を大切にする文化を植え付けようとしているという。

 住宅ローンのQuicken Loansは「ISM」として、約20の約束を掲げている。その中には、「より良い方法を見出すことに固執しよう」「ノーの前にイエスを」などがある。同社のチーフ・ピープル・オフィサーのマイク・マロイ(Mike Malloy)氏は、このISMは「譲れない、妥協の余地のないもの」という。同社に入社する社員は全て研修を受けるが、ここで10時間ほどを費やしてISMの重要性を説明するなどして理解し、浸透させ、実践してもらっているという。ISMの1つとして、全ての顧客のメールや問い合わせに24時間以内に応答することを目標としているが、従業員に無理強いすることはしない。幹部の部下へのメッセージは、「対応できなければ自分に回せ」だ。「幹部はチームメンバーに、チームメンバーは顧客にコミットする」とマロイ氏は背後にある哲学を説明した。

 働きがいは、技術面でも支援できる。CarMaxはモバイルとクラウドを利用して、営業担当がいつでも・どこでも単一のインターフェイスで情報にアクセスできる環境を整えた。Quicken Loansもモバイルとクラウドを利用し、物件が表示されるまでのステップを短縮するなどの体験改善を図っているという。

金曜朝の30秒アンケートで
従業員の気持ちを知る

Workdayの共同プレジデント兼CFO、ロビン・シスコ氏
 一方で、トップは必ずしも企業文化への投資に対して理解を示さない。企業文化と財務の関係をどうやって示すか? Workdayでは顧客満足度を継続的に測定し、これを1つの指標にしているという。

 WorkdayはGPTW上位の常連で、最新の調査では7位。Workdayで最高財務責任者兼共同プレジデントを務めるロビン・シスコ(Robynne Sisco)氏は、「人はコストの3分の2を占めている。どうやって従業員から最大かつ最善のものを引き出すかは重要だ。我々はそこで、従業員がハッピーにビジネスを進めているかを把握しようと努めている」と語る。その理由について、「従業員がハッピーなら、顧客もハッピーになる。ハッピーな顧客は我々との関係を続け、ビジネスを拡大してくれる」と説明した。同時に、顧客満足度が95%であっても「残りの5%を気にしている。改善点は必ずある。それは我々の責任」とも。同社では幹部が必ず顧客のフィードバックに目を通しているという。

 そのWorkdayも、過去に「つまづいた」ことがある、とシスコ氏は明かす。Workdayの2人の創業者は最初の500人を自ら面接し、会社として目指すビジョン、文化、考え方を理解してもらったが、このやり方では限界がある。急速に世界に拡大した結果、Workdayの文化を失いかけた時期があったというのだ。

 そこで、世界中の人事管理職を本社に呼び、3日間ひたすらWorkdayの文化やビジョンについて伝えた。このプログラムは好評で、成果も出た。コスト面で負担が大きなプログラムだが、現在でも続けているという。「企業文化への投資と考えている」とシスコ氏はいう。

 そのような経験もあり、シスコ氏は企業文化が損なわれ始めた時に「できるだけ早期に、兆候に気がつく必要がある」と助言する。早いほど修正が簡単だからだ。例えば、社内のエレベーターで乗ろうと走ってくる人がいても中の人が待たない、共有スペースを片付けないといったような小さなところから「ほころび」は見えると述べた。

 Workdayは顧客満足度に加え、「フィードバック・フライディ」として従業員の意識や感情を知るために週に1度のアンケートを実践している。毎週金曜日の午前中に実施しているが、中身はというと、WorkdayのSurvey(サーベイ)機能を使い、2問の質問に答えるだけ。30秒もかからないという。得られたデータを分析して、マネージャーには必要と思われる学習コンテンツが送られるなどのサイクルを回しているようだ。

 最後にシスコ氏は、Workdayの前に複数の企業に勤務した経験から、「どんな企業にも何らかの文化がある。文化を起こるに任せておくか、意図的に良い文化を定義して進めていくかは企業次第」と述べた。
https://diamond.jp/articles/-/191545


 
2019年2月1日 ロイター
ロイター試算の18年実質賃金、0.4%減に下振れ

2月1日、厚生労働省が不適切な調査を行ってきた毎月勤労統計で、適切処理して再集計したデータを基にロイターが試算したところ、2018年1月─11月の実質賃金の水準(定例給与)は、前年比マイナス0.4%だった。写真は都内で2011年8月撮影(2019年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 1日 ロイター] - 厚生労働省が不適切な調査を行ってきた毎月勤労統計で、適切処理して再集計したデータを基にロイターが試算したところ、2018年1月─11月の実質賃金の水準(定例給与)は、前年比マイナス0.4%だった。

 同省が昨年までの不適切調査で公表してきた同マイナス0.1%から減少幅が拡大している。個人消費の拡大の起点となる実質賃金の下押しは、政府の政策判断や市場の見通しにも大きな影響を与える可能性が出てきている。

実質賃金、定例給与では2年連続実質でマイナスの可能性
「今回の再集計でそれほど大きな影響は受けておらず、これまでの賃金動向の判断に影響はない」──。西村康稔官房副長官は1日の会見で、前日に続いてこう強調した。

 しかし同副長官が指摘した再集計とは18年1月に実施された、サンプル入れ替えの影響を勘案しない賃金の再集計値のみ。

 サンプル入れ替えによる段差を取り除き、かつ同じ事業所で比較した実質賃金が公表されれば賃金の実態が把握しやすいと、この問題を追及して政府・与党側と対峙している野党側は指摘する。

 複数の関係筋によると、厚労省は4日以降にこの数字を公表する見通しだ。

 ロイターは、同省が公表し、データ入手が可能な「サンプル入れ替えを勘案しないベース」での実質賃金の再集計値を使用し試算を行った。給与実態を最も典型的に反映しているとエコノミストの多くが認識している「毎月受け取る定例給与」を対象に実質賃金をはじき出した。

 その結果、18年1月─11月の実質賃金は前年同期比マイナス0.4%となった。同省が昨年まで公表していた値を基に試算した同マイナス0.1%と比較すると減少幅は拡大した。

 17年の同マイナス0.1%からもさらに落ち込んでいることがわかった。

低い賃上げ率、背景に日本経済への将来不安
 物価の伸びにさえ追い付けないような鈍い賃金の伸びは、毎年の賃上げが少ないことにも一因がありそうだ。

 安倍晋三首相はこの問題を追及される度に、アベノミクスにより春闘でのベースアップが復活しボーナスも過去最高だったと強調している。

 しかし、連合集計でみると最近の2%前後の賃上げ率のうち、定期昇給分を除く賃金底上げ分は18年春闘で0.5%程度。これは名目賃金であり、18年物価上昇(生鮮食品を除くベース)で0.9%の上昇を差し引くとマイナスとなる。

 東京大学大学院の柳川範之教授はこうした状況について「本来、企業がベアをもっと上げていれば、将来の絵も変わっていたはずだ。所得と消費と企業部門の好循環が実現していたはず」とみている。

 一方で「家計だけでなく企業も、将来不安が大きいことに問題がある。企業も賃上げにも慎重にならざるを得ない」と指摘する。企業を責めるより、社会全体が日本経済の先行き不安を感じる現状を改革に注力すべきとの見解を示した。

政府は10月の増税判断には「無関係」との立場
 毎勤統計を信頼して賃金雇用情勢を分析してきたエコノミストからは「信頼性の高い賃金統計がなくなってしまったことが深刻な問題」(第一生命経済研究所・副主任エコノミスト、星野卓也氏)など、賃金動向の実体が把握できなくなったとの声は多い。

 しかし、西村官房副長官と同様に、「これまでの政策判断に影響しなかった。所得に関する判断は、毎勤統計だけで行ってきたわけではない」と、ある経済官庁幹部は説明している。

 ただ、政府の景気判断を行う「月例経済報告」では、雇用・所得環境の引用資料は主に毎勤統計を使用。時折、賃上げ率のグラフを付け足すなどしているだけだ。

 過去2年間の実質賃金が伸びが鈍かったことが判明し、今年10月の消費税率引き上げの判断への影響も気になるところ。

 だが、先の経済官庁幹部は増税の必要性について「財政資金が不足していることが最大のインセンティブだ。今年10月の消費増税は教育無償化や国土強靭化など、さまざまな政策の財源となっている」と指摘。増税判断に毎勤統計の問題が影響することはないと断言する。

 予定通り増税が実施されれば、物価は少なくとも19年度に1.1%、20年度に1.5%上昇する(日銀見通し)。

 ベアがそこまで届く経済環境にあるのか、消費は腰折れしないのか──。賃金の実態把握ができる統計の必要性が、一段と意識されることになりそうだ。

(中川泉 編集:田巻一彦)
https://diamond.jp/articles/-/192794


 


2019年2月1日 宮本実果 :MICA COCORO代表 産業カウンセラー
女性部下のやる気が急低下、「中年管理職」は何を言ったのか
チームの目標が未達で部下を呼び出したマネジャー

中年期の管理職の中にはストレスを抱え、「本当に今のままでいいのか?」と葛藤する人も少なくありません。そこで『管理職養成講座』第28回では、部下にストレスをぶつけてしまい、モチベーションを下げてしまったという管理職の失敗事例を紹介します。(MICA COCORO代表 産業カウンセラー 宮本実果)

チームの目標が未達で
部下を呼び出したマネジャー
 国内の金融関連企業に勤めるYさん(男性・39歳)は、5年前に営業職として中途入社し、仕事に情熱を持ち、がむしゃらに働くタイプです。一方で上司の顔色もきちんとうかがい、体力の続く限り上司に誘われた飲み会にも参加しています。その結果、1年前、マネジャーに昇格しました。

 Yマネジャーが率いる営業チームは5人で、ほぼ全員が20代後半の男女なのですが、1人だけ37歳の女性部下Aさんがいます。半年ほど前に別の部署から異動してきたのですが、ある日を境に、仕事に集中できていないようでした。

 ある日とは、YマネジャーがAさんを「チームの数値目標が未達であることについて話したい」と言って呼び出した日。その際の会話で、どうやらAさんのモチベーションを下げってしまったようなのです。

 いったいどんな会話だったのでしょうか、そのときの会話をご覧ください。

Yマネジャー 「Aさん、チームの数値目標が未達なことは知っているよね?」
Aさん 「はい、知っています」
Yマネジャー 「Aさんはさ、他のメンバーよりもキャリアがあるんだから、もう少し具体的にメンバーのサポートしてくれる?」
Aさん 「あの…。Yマネジャーは具体的にどんなサポートを望んでいるのでしょうか?」
Yマネジャー 「それを考えるのがAさんの仕事でしょ!」
Aさん 「私の仕事なんですか?もちろん、一緒に目標達成させるために一生懸命にやるのは当たり前だと思いますが、Yマネジャーに相談したくてもいつも外出されているし、忙しくて話す時間がないとおっしゃっているじゃないですか」
Yマネジャー 「…」
Aさん 「そもそも、私がみる限り、目標設定や共有方法についても課題があると思います」

 この会話の後、Aさんはイライラしたまま席に戻り、「なんで私がYマネジャーの尻拭いをしなくてはいけないのか」と感じてモチベーションが下がってしまったのです。

できない理由を
他人のせいにする
 こうした会話は、自分が掲げた数値目標が未達であることにYマネジャーがストレスを抱え、それを「Aさんのサポート不足だ」と八つ当たりしたように見えます。

 Yマネジャーにしてみると、チーム内で唯一の同世代でキャリアもあるAさんを頼りにしていたのかもしれません。しかし、目標未達の原因を自分のせいにされたAさんにとっては、たまったものではありません。

 Yマネジャーはなぜ冷静さを失い、Aさんのせいにしてしまったのでしょうか。具体的に説明しましょう。

中年期には「3つの危機」が
訪れることを自覚すること
 今回の事例は、「人生の午後」の問題に当てはめて考えることができます。「人生の午後」とは、心理学者のユングが、40歳ぐらいから始まる「中年期」のことを指したものです。

 中年期には、大きくいって3つの危機が訪れます。(1)体力の危機、(2)対人関係の危機、そして(3)思考の危機です。

 Yマネジャーの場合でいえば、体力も低下し(体力の危機)、営業として幅広い人脈を求める必要を感じ(対人関係の危機)、自分の営業手法に柔軟性がなくなり、新しい手法や考えを受け入れにくくなりつつある(思考の危機)自分にストレスを感じ、イライラしていたようです。

 思い起こせば、最近、なんとなく疲れやすくなってきたことや、妻とのけんかが増えていたといいます。そこで、つい同世代の部下Aさんに対して、ストレスをぶつけるような形であたってしまったのです。

 では、Yマネジャーはどうすればよかったのでしょうか。会話から学んでいきましょう。

Yマネジャー 「実は、Aさんが同世代ということもあって相談があるんだけど、いいかな?」
Aさん 「はい、どうしましたか?」
Yマネジャー 「今、チームの数値目標が未達で、Aさんにも頑張ってもらっているんだけれど、この状況を突破するためにいろいろ一緒に考えてもらいたいなと思っているんだ」
Aさん 「私も気になっていました。この状況が続くと、チーム全体の評価が下がってしまいますよね。ここはひとつ、若い世代から意見をもらって、チーム全体で考えてみるのはいかがでしょうか?」

Yマネジャー 「そうだよね。最近、どうしても過去の経験の範囲で考えてしまい、いい突破口が見つからなくて、悩んでいたんだ」
Aさん 「それは、私も同じです。時代の変化もめまぐるしいですし、若い世代の意見をしっかり聞いて、チーム全体で考えていきましょう!」

 このように、勇気を持ってAさんに相談することによって、若い世代の社員に投げかけるという今まで行動に移せなかった行動のきっかけをつかむことができました。

チームの問題解決には
積極的に若い世代とも話し合いを
 中年期はストレスが多い時期であり、それを放置したままにするとAさんのように部下に八つ当たりしてしまい、チーム全体のパフォーマンス低下を招いてしまったりします。

 先日も、大人気アイドルグループの38歳のリーダーが、活動休止を発表しました。筆者もニュースで会見の様子を見ましたが、「ゴーギャンコンプレックス」が頭をよぎりました。40歳前後の人には葛藤がつきものであるという話です。

 そういう意味では、中年期の管理職世代の皆さんが、さまざまなことで悩み葛藤しても、それは当たり前なのです。そんなとき、勇気を持って部下など若い世代と話し合ってみるのも1つの手です。
https://diamond.jp/articles/-/192630
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/823.html

[経世済民130] 円高懸念という妄信 逃れられない日本の財政破綻、私たちの資産が政府に吸収 日本は生涯現役「強制」社会 迫る中国の経済崩壊

円高懸念という妄信
ストラテジーレポート
広木 隆 2019/02/01
米国株は絶好調だ。BloombergニュースはS&P500種株価指数はここ30年で最良の1月を終えたと報じた。予想以上に好調な企業決算に加えハト派な米金融当局が相場を後押しし、同指数の月間上昇率は7.9%と、1989年1月の7.1%を上回った。
グラフ1

出所:Bloomberg
NYダウ平均は大台の2万5000ドルを超えた。昨秋の急落分の6割以上を取り戻した。正確に言えば、フィボナッチ比率の61.8%を超えた。一目均衡表の雲を抜け、200日移動平均なども上回った。ここまでくれば、「半値戻しは全値戻し」本来の意味を信じられる。米国株は再び最高値を試すだろう。
グラフ2 NYダウ平均 フィボナッチ・リトレースメント

出所:Bloomberg
それに比べて日本株の戻りの鈍さが際立つ。日本株が弱い理由は、米国株に比べてディスカウント・ファクターが大きいからだが、それについて話すと週刊のレポートでは語りきれない。3月に刊行する予定の『新時代の企業価値向上論(仮題)』でじっくり述べているのでそちらをお読みください。
日本株の歩みの鈍さについて表層的な話をすると、円高という答えが返ってくる。年初のフラッシュクラッシュによる「104円台」の残像が投資家の脳裏から去らない中、株式市場では円高懸念が相場の重石だと見られている。だが、この「円高懸念」というものほど、バカバカしいものはない。以下、3つの理由を挙げて、いかに「円高懸念」がナンセンスであるかを述べよう。
まず、円高懸念が急速に強まったのは米連邦準備理事会(FRB)による利上げの停止観測が台頭したからだ。FRBは今週開いた1月の連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文にbe patient(忍耐強くある)と盛り込み、今年2回を見込んでいた追加利上げを棚上げする考えを示唆するとともに保有資産の縮小も「修正する用意がある」と明言した。ここで誰もが2016年の相場を思い出す。
2016年、FRBは年初に年4回と見ていた利上げを見送り、結局その年の終わりまで利上げできなかった。円相場は年初に120円台だったのが、3カ月で110円近辺まで上昇した。さらに6月に英国民投票でEU離脱派が決まると一時100円を突破した。中国景気の減速懸念が広がる中でのFRBの利上げ停止は2016年とそっくりだ、だから今回も円高が進む ― そんな見方が一部にあるが、因果関係の順序が逆である。
そもそも120円台までドル高円安が進んだのは2014年秋の黒田バズーカ2と米国のQE終了という「強力な2大材料」があったからだ。強烈に円安に振れた反動が、チャイナショック〜原油安〜と続くリスクオフの過程で巻き戻された。株価とドル円が急落したうえBREXITでボラティリティが高まった。非常に大きな市場の混乱のためにFRBは利上げできなかったのであって、FRBが利上げを見送ったから円高になったのではない。順番が逆である。
今回は昨年秋からの市場の動揺がFRBをハト派スタンスに変えた。市場はもう「催促してしまった」のである。喩えていうなら、2016年前半の円高進行は昨年秋の株価急落に相当する。2016年は急激な円高が起こるほどのリスク回避ムードに支配され、FRBは利上げできなかった。今回は昨年秋の株価の急落がFRBに利上げを停止させたのだ。FRBは市場の要求に満額回答し、そして米国株は昨年秋の暴落の6割強を取り戻した。市場の催促→FRBの対応というプロセスは一巡している。だから「2016年版の円高再現」というのはもうないだろう。
2つ目の理由として、2016年と違って発射台が高くない(=あまり円安になっていない)分、潜在的な反動圧力も小さいことが挙げられる。それは金利との関係を見るとなおさらよく分かる。日米の2年国債の実質利回り格差とドル円の動きを重ね合わせると連動していることが見て取れる。
グラフ3 ドル円(青)と日米2年国債実質利回り格差(緑) 2018年2月〜2019年1月

出所:Bloomberg
しかし、これは過去1年という、極めて狭いレンジ相場かつ米国の定期的な利上げ時期の話である。もう少し長期で、例えば5年程度に期間を拡大してみれば、短期金利差はほとんど相場の変動要因になっていない。
グラフ4 ドル円(青)と日米2年国債実質利回り格差(緑) 2014年1月〜2019年1月

出所:Bloomberg
むしろ10年債利回り格差のほうが、フィットがよい局面がある。
グラフ5 ドル円(赤)と米国10年債利回り(青)

出所:Bloomberg
その10年債利回りの上昇に過去1年程度、ドル円相場はまったく追随できなかった(グラフ4からは2年債利回り格差にも追随できていないことがわかる)。金利が上がって、それに連れてドル円も上がったなら、金利が下がればドル円も下がる、という論法は納得できる。だが、金利上昇に連れ高していないのだから、仮に金利が下がってもそちらにだけ連れ安するというのはおかしな理屈だろう。そもそも、FRBの利上げ停止は米国景気・株価の支援材料。だとすれば景気の先行きを不安視して長期金利が低下することも、株安→リスク回避の流れで米国債が買われて金利が下がることも可能性としてずっと後退するだろう。よって金利低下でドル安というシナリオの蓋然性は低い。
そして3つ目の理由を述べよう。本当はこの理由だけでじゅうぶんなのだが、よりご理解いただけるように1、2の理由も述べた次第である。
効率的市場仮説という考え方がある。効率的という言葉の意味は、いかなる情報も市場に瞬時に織り込まれるということだ。バートン・マルキール氏は著書『ウォール街のランダム・ウォーカー』のなかでこう書いている。「もし、一部の人々が、その銘柄の株価が明日40ドルになることを知っていたとすれば、株価は明日ではなく、今日ただ今40ドルになるだろう」
 グラフ6

出所:Bloomberg
米国の金利先物市場から逆算した米国の利上げ確率は0%に達している。グラフ6は3月会合での利上げ確率の推移だが、3月以降もほぼ0%である。
FRBによる利上げの停止というのは市場に完全に織り込まれている。為替市場というのは非常に効率的なマーケットだ。「FRBが利上げを停止して円高になる」ならば、「今この時点ですでに相当な円高になっている」はずである。しかし、実際はそれほどの円高にはなっていない。確かに利上げ確率が後退していく過程では円高が進行してきた(グラフ7)。しかし、市場が織り込む利上げ確率はすでに0%に達しているので、これ以上はもう先がない。つまり、「FRBが利上げを停止して円高になる」という材料では円高はこれ以上進まないということである。
  グラフ7

出所:Bloomberg
広木 隆
マネックス証券株式会社 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒業。 国内銀行系投資顧問、外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。 長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強み。 2010年より現職。青山学院大学大学院(MBA)非常勤講師。 テレビ東京「ニュースモーニングサテライト」、BSテレ東「日経プラス10」、日テレNEWS24「まーけっとNAVI」、J-WAVE「JAM THE WORLD」等のレギュラーコメンテーターを務めるなどメディアへの出演も多数。 マネックス証券ウェブサイトにて、最新ストラテジーレポートが閲覧可能。 著書: 「ストラテジストにさよならを 21世紀の株式投資論」(ゲーテビジネス新書) 「9割の負け組から脱出する投資の思考法」(ダイヤモンド社) 「勝てるROE投資術」(日本経済新聞出版社)
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• 2019/01/18弱い相場ながらも光明も見える
• 2019/01/112019年日本株相場のメイン・シナリオ

https://media.monex.co.jp/articles/-/10919

 


逃れられない日本の財政破綻、私たちの資産が政府に吸い上げられる日は近い
2019年1月29日 ニュース

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日本の株式市場の10%を公的資金で支え、日銀の量的金融緩和によって国と地方の借金は膨らむばかりで、両者を併せた負債額1,107兆円は、今年の国債の利払い分だけで政府税収の43%を占めるに至っています。

日銀は量的金融緩和を続行すると宣言しているので、現在の日本の財政における国債依存度30%はさらに増え続け、債務返済のための税収に対する割合は高くなっていくでしょう。

とうとう、これ以上は持続不可能なレベルまで来てしまったのです。それは、国家予算が組めないレベルです。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2019年1月20日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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好んでハイパーインフレに突き進む日銀と政府。ついに禁じ手へ…
年金原資が失われるまで秒読み段階に入った
今日の世界金融の状況は、1929年のウォール街大暴落や、1987年のブラックマンデー前夜に酷似している、と多くの経済学者やアナリストが指摘しています。

確かに、ニューヨーク・ダウは、去年2月5日に起こった1,597ドルの歴史的大暴落に続いて去年10月10日の831ドルの大暴落と、2009年3月以来続いた上昇トレンドに終止符を打ちました。

日経平均株価も、10月2日の24,448円をピークとして頭を打ち、以後、下落トレンドに入って12月25日には1,000円を超える下げ幅を記録、とうとう2万円の大台を割り込む結果となりました。

「これで後味の悪い大納会を迎えて年を越し、大発会も下落の始まりだ」と投資家たちが意気消沈していたところ、突然、何の材料もないのに「2万円台回復!」の文字がニュースのテロップで流れたのです。

もちろん、日銀のETF(株式で構成される投資信託)買い入れ出動よって平均株価が吊り上げられたのです。

日銀は、2018年の1年間で、6兆5,040億円ものETFを買い入れ、日経平均株価指数を吊り上げてきました。

日銀は、年々、ETFの購入額を増やしており、現在の日銀のETFの保有残高は24兆円を超えています。つまり、日本の株式市場の時価総額の4%を日銀が保有している計算になるのです。

それだけでなく、去年の3月の時点で、国内株式市場に投入されている年金などの公的資金の時価総額が64兆円を超え、東証1部、2部にマザーズ、ジャスダックなど新興市場を併せた国内株式全体の時価総額665兆3000億円に占める比率は9.6%(2017年3月末時点では8.7%)にまで上昇。

東証1部では、公的資金の比率が10.02%ですから、実際の日経平均株価指数は、おそらく1万8,000円台、いや、さらに低いでしょう。

これは、日銀による世界の投資家たちを欺くトリックであり、これが、本当のアベノミクスの成果なのです。

したがって、米国の株式市場が下がれば、それに連動して日銀が大量に保有しているETFの時価総額も減ってしまうので、私たちの年金の原資が失われることになるのです。

そもそも、中央銀行が不安定な株式を大量に保有すること自体がリスクと見なされるので、株価が下がれば、即、日銀の信用を棄損することになります。

去年の暮れから年明けにかけての下落は、去年10月のアップル・ショックが収束しないうちに、12月5日、中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術:Huawei)のCFOがカナダで逮捕されたことが原因となったことは明らかです。

しかし、これとは別の理由によって大暴落のトリガーが引かれたことは間違いのないことです。

今のところ、本当の原因が判明しないまま、直接のトリガーは、ウォール街の人工知能(AI)トレーダーやボットによるアルゴリズム・トレードが引き起こした「フラッシュ・クラッシュ」に違いない、というところに落ち着いています。

Next: 「バブル崩壊」という市場の大規模な荒療治が世界規模で始まる

バブル崩壊という市場の大規模な荒療治が世界規模で始まる
1929年のウォール街大暴落は、その後、世界金融恐慌に繋がっていったわけですが、その原因を突き止めようと数々の調査委員会が立ち上がったものの、やはり、未だに「誰がトリガーを引いたのか」特定できていないのです。

ファンダメンタル的には、米国の行き過ぎた保護主義が招いた貿易摩擦が極限まで達して、債権の流動性が失われたことが根本の原因とされています。1987年のブラックマンデーのときも同様です。

しかし、これらは、すべて後付け解釈であって、真相は、英フィナンシャルタイムズ紙の副編集長であり、経済論説主幹であるマーティン・ウルフ(Martin Wolf 72歳)やキャサリン・オースティン・フィッツ(Catherine Austin-Fitts)が漏らしたように、過去の金融危機は、国際銀行家が支配している中央銀行ネットワークによって引き起こされてきたことは、多くの経済学者が認めるところとなっています。

株式市場の下落トレンドが明確になった以上、投資家たちの次の関心事は「制御できないほどのインフレが、いつ起こるのか」ということです。百戦錬磨の投資家にとっては、ハイパー・インフレでさえ、資産を増やす絶好のチャンスだからです。

中央銀行がもっとも警戒しているのはインフレです。

特に、米国の連邦準備制度は、過去の経験から、ハイパー・インフレの兆候がわずかでも見え始めると金融引き締めに入って、瞬く間に、その芽を摘んでしまいます。

米・連邦準備制度理事会(FRB)は、そのあたりは抜かりなく、2015年に資産購入プログラムを終了し、欧州中央銀行(ECB)もまた、去年12月末に量的緩和政策を終わらせると宣言しています。

中央銀行が一転して引き締めに入ったことから、少なくとも2019年からは株式市場、債券市場、そして不動産市場の大幅な調整が見込まれていますが、問題は、すでに、あらゆる市場がバブル状態になっていることです。

つまり、バブル崩壊という市場の大規模な荒療治が世界規模で始まるということです。

好んでハイパーインフレに突き進む日銀と日本政府
翻って、日・米・欧の中央銀行のうちで、日銀だけは量的緩和の続行を表明しています。

それどころか、「構造改革は道半ば」を呪文のように唱えながら、さらに量的緩和を進めるべきだと圧力をかけている日本の経済学者や元FRB議長が「まだまだ、全然足りない」と日銀にプレッシャーをかけ続けています。

といっても、昨年は、量的緩和を80兆円規模から60兆円規模に縮小しているので、2019年の今年は、さらに縮小することは確実です。

端的に言えば「国債の発行が、これ以上できないデッドラインが近づいている」ということを暗示しているのです。

財務省の公式発表によると、国と地方の借金を併せた日本の債務残高は、平成30年度末(2018年末)で1,107兆円にまで膨らみ、対GDP比で200%をゆうに超えています。

それだけでなく、安倍内閣は、2016年9月に日本のGDPを嵩上げするというトリックを使いました。

GDPの算定方式を改定して、わざわざ2011年まで遡って新基準を採用し、これを19.8兆円増としたのです。

ロイター(2016年9月15日付)が、皮肉交じりに「600兆円経済に追い風か」との見出しで記事を書いているように、名目GDP600兆円に向けた成長戦略「日本再興戦略2016」を打ち出したため、少しでもGDPが伸びているかのように装飾する必要があったからです。

ちょうど、2015年の暮れ頃から、アベノミクスの虚構に気がついた海外メディアが、いっせいに、アベノミクスに死刑宣告を下すような記事を書き始めたため、メッキが完全に剥がれ落ちる前に、なんとしてでもGDPを膨らませる必要が出てきたのです。

さすがに、「GDP600兆円など不可能に近い」と呆れ果てる経団連企業の経営陣たちの冷ややかな反応をよそに、「データの捏造は毎度のこと」と国内外のメディアに揶揄されながら打ち上げたのが、「GDP600兆円ー日本再興戦略2016」の大花火だったのです。

アベノミクスという虚構
安倍首相の主導でGDPデータの捻じ曲げが行われた決定的証拠が、2017年10月10日の自民党広報によるこのツイートです。

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自民党広報

@jimin_koho
【データで見る!アベノミクス5年間の実績】
名目GDPはこの5年間で50兆円増加!過去最高の水準です。#アベノミクス の加速で #景気回復 #デフレ脱却 を実現します!多くの方に知っていただきたいのでぜひシェアにご協力ください!#この国を守り抜く #自民党 #衆院選 #拡散希望

1,190
20:44 - 2017年10月10日
1,019人がこの話題について話しています
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もちろん、50兆円どころか、アベノミクスによってGDPはまったく伸びておらず、GDPの算定方式を都合よく変えてしまったために起こった珍事ならぬ誤魔化しです。

つまり、アベノミクスの下で、異次元の量的金融緩和を続ける日銀、さらに政府の国債を買い続けるために、少しでも、「日本の債務残高対GDP比率」を圧縮したいという不純な考えから出てきた稚拙なトリックに過ぎなかったのです。

つまり、2016年の時点で、すでに政府の借金は国債の増発ができない水準まで来ていたということを意味しているのです。その証拠に、2016年6月13日、三菱UFJ銀行が国債入札特別資格の返上を申し出ました。

これらの出来事を時系列に沿ってつなぎ合わせてみれば、アベノミクスそのものが虚構であることを否定できる専門家は誰一人として現れないでしょう。

Next: 国民の資産が政府に完全に吸い上げられる?「財政ファイナンス」に踏み切る日銀

禁じ手「財政ファイナンス」に踏み切る日銀
元FRB議長ベン・バーナンキは、現職のときから日銀関係者や麻生太郎財務大臣に、「ヘリコプター・マネーを導入すべきだ」と吹聴してきました。

ヘリコプター・マネーとは、三菱UFJ銀行が国債入札特別資格の返上を申し出たように、財務省から政府が発行する新規国債を引き受けるよう要請を受けても「応じない」との意思を固くするメガバンクが次々と出てきても、日銀が市場を介さずに直接引き受けることによって、無制限に国債を発行できるという禁じ手のことです。

バーナンキは、FRB議長の任期が終了した後も、たびたび日本にやってきて、安倍首相や日銀関係者と非公式の会合を繰り返してきました。

この時期は、安倍内閣が「GDP600兆円ー日本再興戦略2016」を打ち出し、GDPの算定基準を変更した時期と重なっています。

彼の目的は、歴史上、最初にヘリコプター・マネーを日銀に導入させてハイパー・インフレを引き起こすことでした。

バーナンキの執拗な悪魔のささやきは、2017年3月に、麻生太郎財務大臣が「シムズ理論はヘリマネだ、私が閣内にいる限りない」と言明するまで続きました。

しかし、バーナンキは、オバマ政権下で米国政府の負債を一気に2倍にした“功績”を称えられて、ブリッジ通貨と呼ばれるリップル(Ripple)の利権に食い込むという利得にあやかることができたのです。

ヘリコプター・マネーは、財政ファイナンスと同じ効果をもたらします。

財政ファイナンスは、日本では財政法第5条に明確に違反します。 米・連邦準備制度理事会でも、欧州中央銀行でも、めまいがするほど多くの法律改正を経なければ踏み切ることができません。

しかし、日本政府は、去年の2月、「日銀の国債買入は財政法第5条に抵触しない」という政府答弁書を出してきました。 これは、法改正をせずに、いつでも財政ファイナンスをやるぞ!という明確な意思表示に他ならないのです。

状況から見ても、安倍内閣は2020年の東京オリンピックまではメンツを保つために、閣議決定によって財政ファイナンスに踏み切るべく準備していることは明らかです。

しかし、現政権下で日本がハイパー・インフレになれば、朝鮮半島情勢から想定されるように、戦争という最悪の選択肢を選ぶことさえ決して「ありえない」とは言いきれないのです。

つまり、国民の資産が政府に完全に吸い上げられるのです。

ところが、最悪にして最終的な選択肢=財政ファイナンスへの道さえ閉ざされそうな情勢になってきました。

為替条項によって円安誘導ができずに円高になる!?
ムニューシン米財務長官が、去年10月、日本との新たな通商交渉において、為替介入をはじめとする意図的な通貨安誘導を阻止する「為替条項」の導入を日本側に迫ってきたのです。

「為替条項」とは、米国の貿易相手国が輸出促進のために通貨安誘導を行った場合、報復関税など対抗措置を取ることを可能にするルールのことで、米国側にとって一方的に有利な状況をつくり出すことができます。

このルールを日本側が受け入れようと受け入れまいと、報復関税を恐れて、日本政府と日銀は、日米間の貿易不均衡を是正する目的以外には、これまでのように大規模な為替介入も赤字国債の発行も、思うようにできなくなります。

仮に、禁じ手の財政ファイナンスに踏み切れば、日銀は政府が発行する国債を無制限に買い入れてマネタリーベースを増やすことができるので円安に誘導することができます。

しかし、その場合は、景気はさらに悪化して確実に「悪性インフレ」に陥るでしょう。

というのは、日銀の異次元の金融緩和の本質が、国民の資産を国債と等価交換するだけであって、マネーストックを増やすものではないからです。

少々乱暴ですが、可能な限り分かりやすく言えば次のようになります。

銀行は、国民が銀行に預けた預金で財務省から割り当てられた(半ばノルマのように)国債を購入します。そして、その国債は、債券市場を通して日銀が買い入れます。

その買い入れた国債の対価として日銀は紙幣を印刷して市中に放つことによってマネタリーベースが増え、為替を動かすことができるのです。

しかし、日銀が供給する通貨の量が増えたからといって、それが循環して活用されなければ景気は良くなりません。

アベノミクスの致命的な間違いは、トリクルダウンという仮説をもとにして大企業優遇一辺倒の政策を取ってきたため、大企業は国際競争の舞台から降りて内部留保に励むようになってしまったことです。

つまり、日本の大企業は、ほとんど働かず家に引きこもって大飯を食らい続けた結果、とうとう動脈硬化を起こして血流障害を引き起こしてしまった過保護のメタボ息子に似ています。

GDPの7割を占める内需を喚起するためには、中間層の手当てを厚くして消費を活発にしなければならないのですが、アベノミクスでは、一気に非正規雇用を増やしてしまったことから、いっそう労働者の消費者としての意欲が失われ、結果として低欲望化社会を創りだしてしまったのです。

国際銀行家のアジェンダのとおり構造改革を政府に迫って来た竹中平蔵氏自らが、「トリクルダウンは起きない」と言い切ったように、アベノミクスとは、最初から虚構であったことが白日の下に晒されたということなのです。

笑いが止まらないのは大企業だけですが、国際競争力を失った日本の大企業が市場からしっぺ返しを食らうのは時間の問題です。

Next: 「原発輸出」を政府の方針とせざるを得ない理由と消費増税10%の怪しいゆくえ

「原発の輸出」を政府の方針とせざるを得ない理由
日銀は、民間銀行が日銀の当座預金に預けたままにしている莫大な資金と、大企業の500兆円にも迫ろうかという内部留保を市中に引き出すために、苦肉の策としてマイナス金利を導入したものの、政府主導の国策事業は、相変わらず原発の輸出と兵器関連産業の振興でしかないので、大企業も方向感がつかめないというのが実態です。

マネタリーベースを増やすという小手先の金融政策を使っても、マネーストックが増えなければ絶対と言っていいほど景気は良くなりません。

それどころか、金融緩和の本質が国民の資産を国債と等価交換するものである以上、日銀が債務超過に陥ってしまえば国債は暴落し金利が急上昇して、とうとう利払いができなくなります。

要するに、国民の資産が召し上げられて、気が付いたら紙切れ同然になっていたなどと、ブラックジョークにもならない凄惨な事態を引き起こしかねないのです。

それは、つまり、日本政府のデフォルトです。

量的金融緩和の本質を理解できない国民は、銀行に資金を預けておくだけで価値(購買力)が目減りしていくなどと夢にも思っていません。結局のところ、それはステルス増税そのものであることを理解しなければ資産を防衛することはできません。

大企業が資金の流れを止めず、これを新規事業などに活発に投資すれば、中小企業の資金需要が増えて金利が徐々に上昇し、これにともなって従業員の給料も増えていくはずです。

そのときに、半ば退蔵状態にあった円が、いっせいに市中に流れ出して消費に回ったり株価を押し上げたりするでしょう。

日銀が大量に刷った円によって、購買力が低下(実質的なインフレ)しても、労働者の給料がそれを上回る形で増えていけば何の問題もないのですが、アベノミクスでは、これと正反対のことだけをやり続けているのです。

どんな角度から見ても、「中央銀行の中の中央銀行」と呼ばれている国際決済銀行(BIS)は、無知な日銀を使って日本をデフォルトに導き、国民の資産を強奪しようとしているとしか考えられないのです。

世耕弘成経済産業相が、日立製作所が英国での原発建設の凍結を発表した翌日の閣議後の会見で、原発輸出政策について「相手国の意向も踏まえて平和利用や気候変動問題への対応に責任を果たす方針に変わりない」と、引き続き原発の輸出が政府の方針であることには変わりがない、と述べました。

ヨルダン、ベトナムに続いて英国での原発建設計画のとん挫と、日本の原発輸出計画はゼロになりました。

日立、東芝、三菱が輸出する原子炉が設置され台湾第四原子力発電所もまた、2014年に建設が凍結されており、さらに台湾議会で「2025年までに、台湾のすべての原発を停止すること」を決める「脱原発法」が成立したため、幻の原発になることが確定しました。

すべての原発輸出計画が破談、あるいは頓挫しただけでなく、オーストラリアへの潜水艦輸出をはじめとする日本の兵器輸出も雲散霧消。安倍外交のすべてが、税金をドブに捨てるだけの放蕩三昧で終わったことが確定したのです。

では、なぜ破廉恥とまで言われながら、世耕経産相はできもしないことを公の場で行ったのでしょう?日本の原発輸出に未来がないことぐらい世耕経産相は承知しているはずです。これは、経団連へのリップサービス以外に、日本のメガバンクを救うために放った言葉だったのです。

つまり、台湾のように、政府が原発から完全に撤退すると言った瞬間に、原発は巨大な産業廃棄物と化し、原発建設のために電力会社に融資した「兆」の単位に及ぶ貸付金が焦げ付きかねないからです。

日本の銀行は、公にできないほどアベノミクスによってそれほど弱っているということなのです。

それだけでなく、残り50基の天文学的な廃炉費用が本格的に議論されるようになれば、巨額の財源の見つけるのは、現在の財政状況から見ても、ほぼ不可能に近いため、結局、廃炉にすることもできず、そのまま野ざらし状態に置いておく以外にないのです。

これは、日本列島全体に核爆弾を放置しているのと同じことになるのです。

消費増税10%の怪しいゆくえ
安倍首相が、今年10月に実施することを公約にしている消費増の10%引き上げですが、急に政府内のドタバタ劇が外に漏れだしてきました。

軽減税率の適用、介護保険料の軽減拡大、福祉給付金の支給、そして、例によって、ポイント還元や商品券の発行…まるで、学園祭前の実行委員会のはしゃぎようです。

内閣人事局に運命を握られた哀れな官僚たちの政権への忖度は、尽きることがありません。

彼らは、可能性が高いと言われている衆参同時選挙の直前になって、「国民の生活を守るために議論を積み重ねてきたものの、断腸の思いで消費増税を延期することを決めました」と安倍首相が言うための伏線づくりに忙しく働いています。

選挙の直前な支持率を維持しようとすれば、消費増税の延期ぐらいしかなくなってしまったのですから…。

安倍首相は、G7伊勢志摩サミットのとき、「リーマンショック級のことが起こらない限り、消費税を上げます」と言って他の首脳を唖然とさせました。

そして、今再び、それを繰り返しています。

この局面で消費税を上げれば、今度こそ、いくつかの大企業と銀行が破綻するでしょう。

つまり、消費税を上げると景気の腰折れどころか、財政破綻を近づけることが分かって来たので、今のうちに10%に上げないように逃げを打っているのです。

日本は、この政権によって、すでに完全に破壊されてしまったのです。政治に無関心な人々でさえ、今年、それが少しずつ分かって来るでしょう。

Next: 今年から厳格適用されるバーゼルIIIが、日本の弱い金融機関を淘汰させる!?

日本の財政破綻が間近に迫っている
日本の市場は、政府と日銀によって意図的に形成された官製相場ですから、米国やヨーロッパの市場とは本質的に異なり、同日に論じることは適切ではありません。

日本の株式市場の10%を公的資金で支え、日銀の量的金融緩和によって国と地方の借金は膨らむばかりで、両者を併せた負債額1,107兆円は、今年の国債の利払い分だけで政府税収の43%を占めるに至っています。

日銀は量的金融緩和を続行すると宣言しているので、現在の日本の財政における国債依存度30%はさらに増え続け、債務返済のための税収に対する割合は高くなっていくでしょう。

とうとう、これ以上は持続不可能なレベルまで来てしまったのです。それは、国家予算が組めないレベルです。

事実上、破綻状態にある米国でさえ国債依存度は10%台ですから、日本の財政が、いかに凄まじいか誰でも分かりそうなものなのですが、間違いなくマスメディアには安倍官邸が箝口令を敷いているでしょうから国民は知ることができないのです。

この危機的状況に関する日銀総裁の発言は、経済財政諮問会議の議事録からさえも削除されてしまったという不気味さ。

フォーブスが、「いつか『安倍が日本をダメにした』と振り返る日が来る」と日本の投資家に警告するジム・ロジャーズの直言を取り上げています。

ジム・ロジャーズは、過去何度か、アベノミクスの破壊力についてメディアに言及してきました。
今となっては、彼をデマ呼ばわりする人は皆無に近いでしょう。

日本の数年後について「日本は酷いデフレになる」と主張する有識者と、「日本は、酷いインフレになる」と主張する有識者に別れています。

どちらが正しいかということではなく、期間の取り方によっては、どちらも正解となるでしょう。

「世界中の経済学者がインフレを警告しており、日本はアベノミクスによって、人手不足なのに実質賃金が下がり続け、年金崩壊が叫ばれているくらいだから、デフレになるんだったらお金の価値が上がるんだから、一般の労働者や年金生活者にとっては生活が楽になるんじゃないの?」…

こう考えている人がいるとすれば、この先の凄まじい経済崩壊にサバイバルできないでしょう。

今年から厳格適用される「バーゼルIII」が、日本の弱い金融機関を淘汰させる!?
問題は、何がトリガーとなり、どちらが先にやって来るのか、ということです。

もっとも可能性が高いのが、2019年の春から厳格適用される「バーゼルIII」です。

バーゼルIIIとは、主に西側主要国の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が、銀行の健全性を維持するために導入した自己資本規制のことです。

バーゼルIIIは、1998年のバーゼル合意(いわゆるBIS規制)に端を発しています。

その後、バーゼル合意が見直され、2004年にバーゼル2(いわゆる新BIS規制)が発効されたことによって、銀行の自己資本比率を高めることが要求されるようになったのです。

そして、その範囲が拡大され、株式や内部留保などからなる銀行の資産に加え、投資や融資(債権)などによるリスク資産についても総合的な評価が行われ、それらの総資産に対して、一定割合以上の自己資本を持つことが強制されるというのがバーゼルIIIです。

確かに、銀行の財務体質強化、経営の健全化にとっては良いことですが、その反動として、銀行がバランスシートを重視するあまり、リスクを取らなくなってしまう恐れが出てくるのです。

バーゼルIIIが適用されることで銀行の貸出能力を束縛されてしまうことから、銀行にとって、まさに最高の借り手にだけに資金を貸し付けるということが起こって来るのです。

バーゼルIIIは、世界市場における流動性を減少させて信用成長を遅くしてしまうため、産業社会にとっては死活問題となり、ショックが大きければ、財政的なパニックを誘発することにもつながってしまうのです。

バーゼルIIIは、すでに世界中から非難の的となっているにも関わらず、不思議なことに西側の金融機関は、この横暴なルールに従おうとしているのです。

バーゼルIIIでは、銀行の事業によって蓄積してきた利益の内部留保(中核的自己資本)の比率を、実質7.0%以上とすることが求められており、2012年末から段階的に導入されてきましたが、いよいよ2019年から全面的に適用される運びとなったものです。

2019年からは、国際取引を行う銀行を対象としたバーゼルIII(新BIS規制)が実施されるので、中規模の銀行でさえ貸出能力が強い束縛を受けるようになります。

バーゼルIIIによって、国際取引を行うことのできない地銀など小規模の金融機関は資金の逃避先をほぼ失います。

それでも多少は、国内の不動産や金・銀などの商品の現物に資金が向かうかもしれませんが、やがてその過程で形成された資産バブルも破裂するので、その後、続々と破綻していくことが懸念されます(※臨時増刊号 2016/3/31【Vol.009】に詳述)。

Next: 生き残るのはメガバンク数行だけ/かつて日本で行われた「預金封鎖」の悲劇

生き残るのはメガバンク数行だけ
不動産市場は、すでにバブル崩壊前夜の様相を呈しています。

つまり、マイナス実質金利の導入もバーゼルIIIも、ペーパー・マネーを一掃し、キャッシュレス・エコノミーへ移行させるための道程に位置付けられたもので間違いないのですが、その前段階として、弱小の金融機関を淘汰させて「あまりに大きすぎて潰すことのできないメガバンク数行」に統合させるプロセスであると見なければならないわけです。

そのために、ハイパー・インフレを人為的に生成し預金封鎖を行う必要があるのです。日本政府は、愚かにも、せっせと公的債務残高をひたすら積み増しているのです。

バーゼルでは、国債をリスク要因と見なすことが前提になっているので、今年の春から厳格適用されるようになると、それを理由に、国債の引き受けを拒否するメガバンクが次々と出てくるはずです。

賢明な三菱UFJは、それを見越したからこそ、2016年の段階で国債入札特別資格の返上を財務省に申し出たのです。

メガバンクがどこも国債を引き受けなくなれば、政府は国家予算を編成できなくなるので、日銀は財政ファイナンスに踏み切らざるを得なくなります。

1992年度末から本格適用された「バーゼルI」によって何が起こったのかというと、連日、多くの経営者の自殺がマスコミで報道されたように、金融機関による「貸しはがし」と「貸し渋り」原因とする中小企業の破綻です。

そして、2006年から適用された「バーゼルII」では、金融機関の自己資本比率の最低基準8%はそのままでしたが、対象となるリスクの適用範囲が、信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスクに拡大されたため、バーゼルIよりさらに基準が厳しくなりました。

そして、今度のバーゼルIIIこそが、脆弱な金融機関にとっては消滅の危機と呼ぶべき事態となるかも知れません。

…世界中の中央銀行をコントロールするためにロスチャイルドら国際銀行家たちが設立した国際決済銀行(BIS)のこうしたシナリオが見えるのは私だけではないはずです。

ですから、特に、AIの導入が真っ先に行われる銀行業界では、財務体質の弱い地方銀行以下が大手に吸収されるか破綻するかで整理統合され、さらに大手行といえども、リストラの大嵐が吹き荒れること必至です。

この状況で、移民を受け入れるという後世に大きな禍根を残す安倍政権の迷走は責められるべきです。安倍首相は、いったい、誰から日本を破綻させる命令を受けているのでしょう?

かつて日本で行われた「預金封鎖」の悲劇
日本には、似たような状況でハイパーインフレを招くと思われていたのに、反対にデフレになったという経験があります。

それは、戦後の占領期の1949年に、GHQの経済顧問、ジョセフ・ドッジが、日本政府に経済の自立と安定のために勧告した財政金融引き締め政策「ドッジ勧告(通称ドッジ・ライン)」によってもたらされました。

終戦後間もない昭和21年(1946年)2月16日の預金封鎖から3年後のことです。

日本政府は、コントロールできなくなったハイパーインフレを収束させるため、銀行を閉鎖するという「預金封鎖」を行いました。政府は、国民に何も知らせず、自分の口座からお金を引き出せないようにしたのです。

その後、預金封鎖は、なんと2年間も続き、その間に多くの国民が餓死させられたのです。

表向きは「ハイパーインフレ退治」でしたが、預金封鎖の本当の狙いは、政府の放漫財政による国家破綻を防ぐため、銀行からお金を引き出せないようにしている間に、国民から財産税を徴収して、その穴埋めに使うことだったのです。

70年も前に、過酷なベイル・インが行われたのです(※メルマガ第148号「ハイパー・インフレ、預金封鎖、資産税への道」にて詳述)。

日本政府は、多くの国民を餓死させた反省からジョセフ・ドッジの勧告を受け入れ、国債の発行をゼロにして、徹底したインフレ抑制、国内消費の抑制を行ったのです。

その反動から、今度は一気にデフレに振れたため、失業者や企業倒産が増大し、東京証券取引所では、史上最安値となる85.25円という平均株価を記録したのです。

その後、外資が日本の企業の株式を最安値で大量に買い入れ、大儲けしたことは言うまでもありません。

ドッジ勧告が実施された翌年の1950年6月25日、朝鮮戦争が勃発。朝鮮戦争特需によって日本の本格的な経済復興が始まったのです。

Next: 日本は、金融という見えない追っ手によって袋小路に追いこまれつつある

日本は、金融という見えない追っ手によって袋小路に追いこまれつつある
現在の日本は、このときの状況に酷似しています。

朝鮮半島で再び戦争が勃発するかどうかは分かりませんが、少なくとも南北の激しい経済格差によって朝鮮半島で経済的な動乱が起こることは避けられません。

トランプ政権による通貨安誘導を阻止する「為替条項」、今年の春から厳格適用されるバーゼルIII、不透明な北朝鮮情勢、減速する中国経済、そして、日銀による官製相場の崩壊…。

日本は、金融という見えない追っ手によって袋小路に追いこまれつつあるのです。

そうしたところに、日本国債の格付けの引き下げや、スルガ銀行のような事件が起こると、市場の空気は一瞬にして変わってしまうのです。

おそらく、それがトリガーとなって、日本は一気にデッド・トラップの負のスパイラルに吸い込まれていくでしょう。

国・地方併せて1,107兆円の負債の利払いが1%になったときの公債費の利払いは10兆円です。

金利上昇の初期段階では、2〜3%程度、つまり3兆円程度利払いが増えるだけですから、政府はなんとかヤリクリすることができますが、中長期的には10兆円の利払いを履行しなければなりません。

今でも、予算編成の半分以上を赤字国債に頼っている現状で、さらに10兆円利払いが増えれば国家予算が組めなくなります。

もっとも、そのずっと前の段階で、逃げ足の速い外国勢は日本の株式市場から資金を引き揚げ始めるでしょう。

つまり、政府は国債の利回りに応えるために、さらに国債を発行しなければ日本が完全に「ジ・エンド」になってしまうにも関わらず、自決覚悟の最終手段である財政ファイナンスさえ道を閉ざされようとしているのです。
https://www.mag2.com/p/money/628701/7

 

少子高齢化で日本は生涯現役「強制」社会へ、死ぬまで働く私達が幸せになる唯一の方法は?=鈴木傾城
2019年1月31日 ニュース

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少子高齢化で衰退へ向かう日本では、高齢になっても働かなければならない。これは生涯現役の「強制」であり、死ぬまで働かされる事態に突入したのだ。しかしこの状況でも、幸せに生きる方法はある。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)

※本記事は有料メルマガ『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』2019年1月27日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

我慢して働けば何とか食べていける…そんな時代はとうに終わった
少子高齢化を無策のまま放置したツケが回ってきた
日本は少子高齢化問題に関して「人口を増やす」という正攻法を頑なに取ろうとせず、日本人もまた「先進国は少子になるのは当たり前」と変な達観をして人口を増やすのをあきらめてしまった。

本当は先進国であっても、子どもを生むことに対するインセンティブが働き、子どもを生み育てる環境がきちんと整えば人口が増える。日本は増やせる人口を増やしていない。やるべきことをしないで無策のまま超少子高齢化に突入している。

そして、社会保障費はパンク寸前となって、福祉や医療費や年金はどんどん削減されていき、さらに年金受給年齢も引き上げられようとしている。消費税も強烈なまでに上がっていく。

すべては「少子高齢化を無策のまま放置した」ことに要因がある。

そして皮肉なことに、日本の労働現場では人手が不足するようになって「生涯現役社会」という言葉が提唱されるようになり、日本人は高齢化しても働き続けなければならない社会と化した。

高齢になっても働かなければならない。これは、生涯現役の「強制」である。自分の意思がどうであっても、死ぬまで働かされる事態に突入したのだ。

いよいよ「生涯現役社会」が強制に
アメリカのみならず、ほぼすべての国は「アーリーリタイアこそが幸せなこと」という意識がある。そして、アーリーリタイアできた人が人生の成功者であると認識されている。

40代で引退(リタイア)して、ハワイかフロリダのどこかでくつろぎながら生きる。あるいは、収入を度外視してボランティアや趣味で自分の好きなことを追求して生きる。要するに「好きなことをして生きる」のだ。

しかし、日本では「アーリーリタイア」という生き方はまったく一願にもされないし、身近に「アーリーリタイアした」という人を見かけることもほとんどない。では、日本人は「アーリーリタイア」に興味がないのか。

いや、そうではない。

日本人もまた心の底では「カネのためにあくせく生きるのではなく、自分の好きなことをしてのんびり生きたい」という気持ちを持っている。

しかし、日本人はそのような気持ちを抑えて、朝早く会社に向かい夜遅くまで働いて、企業にいいようにこき使われて過労死するか過労死寸前にまで追い込まれてまで働く。

そして、いよいよ「生涯現役社会」が強制されるようになり、日本人は文字通り老いて死ぬまで働かなければならなくなってしまった。

人口を増やす施策をまったく取らないで高齢層を死ぬまで働かせるのだから、誰が考えても、こんなやり方では日本の未来が活性化するはずがないと分かるのだが、現実はそのようになってしまっている。

日本人もアーリーリタイアの夢を見ることがあるのだろうが、現実はどんどんアーリーリタイアは非現実と化して、単なる空想の世界の話となっている。

Next: 1億円あればアーリーリタイアは可能?しかし、資産家ほど働くのをやめない…

金融資産が1億円以上あれば可能
実際問題として、アーリーリタイアは日本でも不可能ではない。たとえば、金融資産が1億円以上あれば、アーリーリタイアは可能になる。もし本人が望むのであれば明日からでもできる。

1億円を高配当の株式で回していれば、毎年300万円なり400万円なりが定期的に入ってくるわけで、その範囲内で慎ましく暮らせるのであれば、あとはボランティアだろうが趣味だろうが、好きなことをして生きてもいい。

しかし、普通に働いている99%の日本人は1億円の金融資産を持っていない。

厚生労働省の『国民生活基礎調査(各種世帯の所得等の状況)』によると、一番貯蓄額が大きい60から69歳でも、1,339万円程度でしかない。全世帯の中央値は約1,033万円、高齢者世帯でも約1,224万円である。

普通に働いて給料をもらっている「だけ」の人たちは、金融資産1億円に到達するのはかなり厳しいというのが統計でも見て取れる。

1億円の限界を突破できるのは成功した起業家・経営者・会社役員、成功した芸能人やスポーツマン等の表現者、遺産相続した一族、そして一部の金融リテラシーを持った狡猾な人たち等が中心である。

こうした人たちは「望めば」アーリーリタイアが可能になる。

1億円を突破できる人は働くのをやめない…
だが、非常に皮肉なことがある。1億円の限界を突破できる仕事に就いている人は、遺産相続した一族を除けば、そのほとんどが「自分のやりたいことを仕事にして稼いでいる人」である。

こうした人たちは、仕事が好きで好きでしょうがないのでアーリーリタイアを考えようとしない。

今やっている仕事が好きで好きで仕方がないのであれば、それをやめることの方が苦痛になる。だから、「生涯現役社会になる」と言われれば涙を流して喜ぶことになる。一生「好きなこと」ができるのだから喜ばないわけがない。

それで稼げるのであれば、なおさら仕事をやめようと思わない。だから、アーリーリタイアができる人が、逆にアーリーリタイアをしない。

Next: 生涯現役「強制」社会の勝ち組は、自分の好きなことを仕事にしている人だけ


生涯現役「強制」社会になっても困らない人とは
1億円の限界を突破できるのは、そのほとんどが「好きなことを仕事にして成功している人たち」である。

では、仮に好きなことをして食べていけるものの1億円突破は難しいと分かったら、彼らは好きな仕事をやめるだろうか。

いや、やめるわけがない。好きだからやめたくないと考える。

「やりたいことをやってるのだから、もっとやらせてくれ」と思って仕事をする。つまり、好きな仕事に就いていれば、生涯現役社会になろうがなるまいが、アーリーリタイアができるようになろうがなるまいが、まったく関係がなくなる。

つまり、生涯現役「強制」社会になっても困らない人が世の中には存在する。それは「自分の好きなことを仕事にしている人」である。「自分の好きなことを仕事にしている人」は言われなくても生涯現役を望むし、自らそうする。

そして、好きなことに打ち込んでいるうちに成功したら、アーリーリタイアしたくなくてもアーリーリタイアできる資産が入ってきたりする。それを目標にしなくても、普通は好きなことに打ち込んで生きられるだけでも幸せなことなのだ。

好きでもない仕事で食べていける時代は終わった…
日本人の大多数は「死ぬ直前までこの仕事に打ち込んでいたい」とか「仕事が好きで好きで仕方がなくて、月曜日の朝が待ち遠しい」とか思っていない。

今までは企業が終身雇用で最後まで面倒を見てくれたから「好きでもない仕事でも我慢したら最後は報われた」のだ。

しかし、もう好きでもない仕事を最後まで我慢しようと思っても、途中で放り出される可能性は高い。

Next: どうせ死ぬまで働かされるのであれば、好きな仕事をするのが合理的な生き方

どうせ死ぬまで働かされるのなら…
さらに、少子高齢化を放置した日本政府は社会保障費の増大に苦しみ、年金も福祉も医療費も削減に走っている。年金受給年齢も引き上げられて、本当に年金がもらえるのかどうかも怪しくなっている。

そうであれば、この時代に生き残るのは、戦略的に「自分の好きなことを仕事にする」ことを深く考えなければならないというのは分かるはずだ。

好きなことを仕事にして、成功して、なおかつ金融リテラシーがあれば決して悪いことにならない。

生涯現役が「強制」される社会で生き残るためにやるべき重要なこととは、ただひとつ。何が何でも「自分の好きなことを仕事にする」ことである。それが基本であり、生き残るための土台となる。

どうせ死ぬまで働かされるのであれば、好きなことをする方がいいのは自明の理だ。それが最も合理的な生き方なのである。

【関連】日本円での貯金はもはや自殺行為。必ず来るインフレが「老人の国」日本を殺す=鈴木傾城
https://www.mag2.com/p/money/629915/4


 

迫る中国の経済崩壊。5,000万戸の空き家が引き起こすリーマン級ショック=吉田繁治
2019年1月29日 ニュース

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「中国の空き家が5,000万戸」との報道が出ました。銀行とノンバンクの不動産融資は不良化し、これから中国はリーマン危機のような金融危機に向かいます。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2019年1月16日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

富裕層の住宅投資も大きく減少。中国不動産バブル崩壊は近い…
中国の住宅価格は(統計マジックで)下がらない
ブルームバーグが「中国の空き家が5,000万戸」と報じています。ご承知のように、住宅価格を含み、中国の経済統計は、信頼に足るものが少ない。日本の厚労省とは次元が違って、集計の基準が、激しく任意だからです。

中国の経済統計には、かつてのソ連のような計画経済のものが多くなっています。ソ連では、製造された商品の価格は政府価格であり、売れ残った不良在庫があっても、下がらなかったのです。

中国の新築住宅の価格は、日本や米国のように、自由な市場が、売買で価格を決めたものではありません。新築住宅価格、GDP統計には、作りすぎて残った住宅在庫の、値下がり統計が入っていません。

GDPは生産額を集計します。いつも4%付近とされている失業率も、都市戸籍の人だけが対象です。農村戸籍の人には失業という概念がないからです。

この中国でも、株式市場の株価は、売れた価格です。しかし資本(=マネー)を自由化してはいず、世界市場からは、保護された株価です。

通貨では、
・資本の流入になる、ドルから人民元への交換は自由
・元の国外流出になる「ドル買い、ユーロ買い、円買い/元売り」には、金額の制限がある
という状況です。

中国の株価は、2018年は、年初の3,500ポイントから2,535へと、28%も下げています(19年1月14日:上海総合の平均指数)。時価総額では250兆円という大きな損失が生じ、株の形の金融資産は250兆円縮小しています。

株が250兆円下がっているのに、住宅価格が下がっていないのは、新築の売り出し価格の統計だからです。売れた価格の統計は公表されていません。

計画経済では、商品・住宅価格はどうなる?
共産主義の計画経済では、在庫が売れたときの価格統計ありませんでした。ソ連のGDP統計では、商品は政府の統制価格で全部売れたとされていました。流通在庫、不良在庫という概念はなかったのです。このため価格は下がらず、GDPは増え続けていました。

風船のように膨らんでいたGDPに応じて増刷されていたルーブルは、ソ連邦が解体した1991年(ゴルバチョフの時代)、暴落(1/1000)して、ハイパーインフレになったのです。紙幣は、政府の意思で、生産にかかわらず、いくらでも増刷できるからです。通貨の増刷は、砂糖水を水で薄めるように、マネー1単位の価値を希薄化させます。

中国の住宅価格も、新築価格だけを統計する限りは、下がりにくい(筆者注:住宅、不動産、固定資本の建設額は、そのままGDPになります)。

政府統計をもとにした、2012年から6年間の住宅の単価は、以下のように、2014年を除いて、上がり続けています。

一級とは、周辺部を含むと3000万人クラスの人口が住む北京、上海、シンセン、広州の4都市です。二級は武漢、成都など25都市。三級・四級都市は邯鄲、金華など21の市です。

経済体制が今も違う香港は、除外されています。

リーマン級の危機に向かう中国
<中国の住宅単価の指数:2012年から2017年>
    2012年  13年  14年 15年 16年  17年 平均上昇
—————–
一級都市 100  110  110  140  160  185  13%/年
二級都市 100  105  100  100  120  130   5%/年
三級都市 100  100  105  95  105  115   3%/年
—————–
(データは、三井住友銀行中国有限公司:17年9月)

一級都市の1平方メートルあたりの住宅単価は、2012年を100とすると、年平均13%上がり続け、5年で1.85倍です。今、1億円や2億円の住宅はザラです。統計から漏れている香港では、2億円から数億円。一戸の面積の増加もあるからです。

ドルペッグ制(対ドルの準固定相場)をとる香港ドルが、元の送金・受金の、仲介と中継基地になっていて、香港は、ロンドンのシティのような金融都市だからです。

二級都市では、平均年率5%の上昇。三級都市では、年率3%の上昇と穏やかです。ただし、人口では三級都市でも、大都市周辺の東莞、佛山、廊坊、中山などでは、一級都市と同じように、5年で1.8倍の上昇率。総じて、年10%の上昇を続けてきたと言っていいでしょう。

住宅と商業用不動産は、固定資本投資の新築価格として、中国のGDPを底上げしています。あとで述べる5000万戸(新築の5年分)という、膨大な売れ残り在庫が、世帯に売れるときの価格を統計したら中国のGDPは、2ポイントは低下するでしょう。

住宅価格の過大見積もりという要素で、6.5%が4.5%の成長になるということです。

それとともに、銀行とノンバンクの不動産融資は不良化し、リーマン危機のような金融危機に向かいます。不良債権は200兆円以上になるかもしれません。

Next: 着々と金融危機に向かう中国。そのいびつな経済構造とは


一方でローン残高は、過小に集計されている
住宅ローンの残高は、2016年で20兆元(320兆円)とされていますが、これは日本とあまり変わらない額です。

米国が1000兆円ですから、中国は、その1/2の500兆円はあるでしょう。店舗やオフィスの商業用不動産のローンは含んでいません。

中国では、GDPの中に占める、住宅と不動産投資、および道路や鉄道、電力、通信などの社会インフラの投資率が異常に高く、45%です(日本では20%:米国では15%)。代わりに、個人消費の構成比が少ない。

固定資本投資額がGDPの40〜45%(※日本は約20%)
2018年の名目GDPは13兆ドル(1430兆円;日本の2.6倍、米国の2860兆円の半分)です。

固定資本投資は1年分で、日本のGDPを超える570兆円(40%)を占めています。そのための資金が、(1)企業負債、(2)政府負債、(3)個人負債の、増加の原因になっているものです。

特にリーマン危機のあと、企業負債の増加率が高い。金融危機になった米欧への輸出の減少を、中国政府は、住宅建設、商業用不動産、政府の固定資本の増加でうずめる政策をとったからです。

計画経済の中国では、政府の政策は、時間差なく、企業の投資行動になります。人民銀行が元を刷って銀行に貸して、銀行は増えたマネーを企業に貸す。これが08年のあと、企業負債の増え方が大きくなった原因です。この点も、政策の波及時間が長い先進国と違います。

人民元の増刷は世界一のスケール
人民銀行のB/S(資産=負債)の規模は、元発行の金額を示します。2017年5月で、580兆円に膨らんでいます。米国のFRBが4.14兆ドル(455兆円)、日銀が553兆円です(19年1月)。
※参考:https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2019/ac190110.htm/

5年間、世界の中央銀行の、約100年の歴史で、異例な異次元緩和を行っている日銀より、人民銀行の通貨発行が多い。住宅建設、商業用ビル建設、道路、電力、通信の固定資本投資を増加させるための元の増発を行ったからです。

ドル準備で元を発行している
日本や米国では、中央銀行が通貨を増発するときは、代替資産として国債を買います。ところが中国では、人民銀行がドル債を買って元を発行しています。人民元は、世界にはあまり知られていませんが、ドル準備制の通貨です。

理由は、元と中国国債は、資本が自由化されてないので、国際的な信用が低いからです。資本の自由化とは、企業や個人が自由に、外貨を買うことができることです。

政府は「中国人の、ドル買い/人民元売り」を恐れ、外貨への交換に制限を加えています。

資本を自由化すると、ホンネでは共産党政府と人民元の価値を信用していない富裕者の多くが「ドル買い/元売り」に殺到するからです。海外への留学と移住が多いことからも、わかるでしょう。

Next: 増え続ける売れ残り新築。中国の資産バブルが巨大な貧富格差を生んだ…

増えすぎた経済主体別の負債
こうした通貨シナリオを知っていれば、中国共産党は、以降で示す、リーマン危機のあとの不動産投資による負債の急増を、冷静に眺めることもできるでしょう。バブルの崩壊からの失業が引き起こす、天安門のような民主革命の恐れがなくなるからです。

政治・経済の体制の転覆であり下克上でもある民主革命は、計画経済の中で失業した、あるいは所得が減った貧者の連合の、富者への反感が起こすものです。中国では、資産バブルにより巨大な貧富の格差が生じています。

<中国の主体別負債:リーマン危機後から2年ごと(単位:10億ドル)>
   2008年  2010年  2012年 2014年 2016年  2018年
——————-
政府 1,162  1,749  2,646  3,697  5,021  6,428  
世帯  767  1,359  2,227  2,312  4,706  6,629 
企業 3,928  6,429  9,818 14,096  18,090  22,052
——————-
合計  5,837  9,537  14,692 21,105 27,817  28,681
——————-
GDP比 145%  180%  187%  205%  255%  239%
——————-
データ:BIS(国際決済銀行)※ここでは2年ごとに示した

世界中の、部門別負債の大きなエクセルなので、分かりにくい元データが公開されています。BISの中国の負債データには、偽装はないと考えています。日本でも、順次、新聞が書くようになってきました。当方は、ほぼ4年前から、講演や書く時に使っています。
※参考:https://www.bis.org/statistics/totcredit.htm

中国では、建設会社が建物の骨組みを売り、買った人が内装と設備をします。このため、売れ残って夜間に照明がつかない骨組みだけの建物は、幽霊の屋敷に見えるので、「鬼城」と言われます。

建設する企業部門の負債は、2008年は3.9兆ドル(429兆円)と、GDPに対して97%と他国よりは大きかったものの、まぁまぁ妥当での線。

これが、2018年の3月には、22兆ドル(2420兆円)に膨らみ、GDP比184%という残高になっています。年平均の増加率は21%と、GDPの増加である10%程度の2倍です。平均増加額は、2兆ドル(220兆円)です。GDP比で1.8倍の企業部門の総負債は、日本の国債(GDP比約200%)と同じく、異常な大きさです。

企業の負債は、なぜ10年間も、年率20%という高さで膨らみ続けてきたのか。年1,000万戸の住宅建設、商業用不動産建設、インフラ投資のためです。

しかし、住宅建設では、それが売れれば、建設会社の負債は減って、世帯の負債に置き換わります。世帯の負債の増加は2008年に7670億ドル(84兆円)から6.6兆ドル(726兆円)です。

年平均で、71兆円の増加でしかない。他方で。多い建設業を含む企業の負債は、1年に220兆円という速度で増加しています。「近代化の経済」では、住宅、ビル、道路や電力の土木・建設業が多くなります。日本でも1980年代まで建設業は600万人でした。現在は500万
人。

なぜこんなに企業の負債が増えたのか。年平均1,000万戸の建設した住宅に、鬼城のままの売れ残り在庫が出ているからです。

新築の価格は、多くが売れていないので、下がっていない。毎年、新築が行われている新しい価格の統計だからです(筆者注:NYの調査会社によると、上海では、2018年の新築価格は、前年比で8%下がっているという調査が出ています。これは、まだ政府統計には入っていません)。

Next: 住宅在庫5,000万戸の衝撃。国有企業の負債も増え続けている

住宅在庫が5,000万戸
18年の12月に、ブルームバーグから、驚くべきデータが公表されました。中国の住宅在庫が5000万軒というものです。調査したのは、中国の西南大学の甘犁教授という。重慶市にある、この大学は、中国の失業率でも、本当を示すデータを出しています。

5,000万戸は、中国の全住宅の22%、1年で行う1,000万戸建設の5年分です。
※参考:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-09/PHWXGI6TTDSF01

一級都市の北京、上海、広州での、政府の在庫統計は、5か月分から10か月分でした。もっとも多いシンセンでも、20か月分です。しかしこの在庫が、全中国で5000万戸、新築の5年分という。

(筆者注:日本も、全住宅の13%・新築の8年分にあたる800万戸の空き家がありますが、中国とは、要因が違います。日本は、人口減と老朽化による空き家です。中国では、GDPを増やすための政府が音頭をとった「建て過ぎと価格高騰」が原因の空き家が多い。政府・銀行が、「貸付金」を増やしたからです。)

これで、中国の企業負債が、毎年平均2兆ドル(220兆円)増える一方で、減らない理由が分かりました。

作った物件が、約5年分も売れ残っていたのです。普通の世帯が買うことのできない価格(年収の10倍から15倍以上)の新築価格だったからです。

売れていないから、価格は最初のまま統計され、次のまた上がった新築価格になっているのでしょう。売れなければ世帯のローンには振り替わらないので、企業の建設費の負債が増えるままになります。

商業用の不動産でも、急激に伸びているアリババなどのネット販売によって、客をとられ、閑古鳥が鳴いているショッピングセンターが多いという。これも、企業部門の負債の増加になります。利益が出ず、借金を減らすことができなくて、運転資金借り入れが増えているからです。

こうした不動産が、投げ売りするしかない不良在庫にならないのは、政府の意向で動く、計画経済の銀行が企業に対して、利払いの分の追い貸しをしているからでしょう。他の国では、資金繰りのために投げ売りになります。

銀行からの追い貸しが続く間(企業負債が増える間)は、新たな借入金で利払いができるように見えるので、不良債権ではない。GDPの70%を生む国有企業の負債は、年220兆円という異常な金額で、膨らみ続けています。

Next: 住宅価格崩壊は高騰中の都市部から。そして今後、価格が上がる見込みはない

価格下落の端緒は、最も住宅が高くなっている上海・香港・シンセン
最近10年で3倍に上がり(年12%上昇)、中国でもっとも高い香港の住宅価格は、2018年の8月のピークからは5%下げています(大手仲介業の中原不動産より)。※参考:WSJ2018年11月27日

戸籍人口2,418万人という上海の新築物件も、10%下げています。売れていない在庫が、もっとも多いシンセンも下げているはずです。なお中国の都市人口は、無戸籍(農村戸籍)を含むと約20%は多いでしょう。中国人には居住地の自由はないからです。

2019年は、中国住宅価格が下がる開始年でしょう。中国の総人口は、2018年から、日本の8年遅れで減り始めています。

世帯所得の増加率も年10%の期待から、商品生産の粗利益であるGDPの伸び率の低下に対応して、5%程度かそれ以下に下がってきているからです。

<期待所得の増加率は低下>
所得の、期待上昇率の低下への認識は、年収の10倍から20倍の高い住宅を買ってローンを組むことを、押しとどめます。共稼ぎを想定した男性は10年後、20年後の住宅価格と、所得の上昇を期待して(織り込んで)、住宅を買っているからです。

中国に多い共稼ぎで、無理なく買える住宅価格は、大都市部で、共稼ぎ700万円の年収の5倍から6倍までです。中国では、住宅を買うことが結婚の条件ですが、価格が上がってしまった30歳以下の世代には、これが果たせなくなっています。

<今後、住宅価格が上がる、需給面からの要素はない>
2019年に、中国の新築住宅価格が上がる要素はあるでしょうか。

(1)米中貿易戦争で、輸出が減り、所得を決めるGDPの伸びは低下する
(2)増え続けていた中国の人口が、横ばいから下落に入ったことにより、増え続けていた住宅の需要動機が下がり、少しずつ減少に向かう

ということは決定的な要素です。

国連は中国の人口は、2020年からピークになり、減少は2030年からとしていましたが、現実では、12年早まっています。1人の女性の出生率が1.28と日本の1.41よりも相当に低く、幼少人口の減少に慌てた政府が一人っ子政策を停止しても、子供の誕生が過去の想定より減ってきたからです。
※参考:https://toukeidata.com/country/china_jinkou.html

人口減は0.2%や0.3%と低いように見えても、平行する住宅価格の下落率では、年10%と高くなります。これが、シンセン、香港、上海で先駆けて起こっている下落でしょう。

住宅は「1年に10%は上がるという期待」から、賃貸しの投資用としても多く買われてきました。「10%下がるという予想」になると、中の上の所得クラスの人で二軒目三軒目、富裕者の10軒目や20軒目の新築住宅購入が、大きく減ります。

Next: 富裕層の住宅投資も大きく減少へ。中国不動産バブル崩壊はすぐそこか

富裕層の住宅投資も大きく減少する
中国では、2014年ころまで、先進国以上に富んだ階層の投資・賃貸住宅の買いが多かった。世帯の居住のための需要より、価格が高く上がっていた理由でもあります。

需要数が減れば、売れる住宅価格は10%、15、20%、30%と価格が下がります。これが、2018年秋から2019年にかけ、新築価格ピークアウトしたあと、起こることでしょう。

政府が管理している新築住宅価格に、需要数の急減が反映されることはなくても、実際の売買市場では、下がって行きます。数年後は、新しく作られる新築価格も、大きく下げるでしょう。全住宅の5戸に1戸の割合にもなる、5000万戸の空き家が価格低下に及ぼす圧力は巨大です。

住宅価格の下落は、景気循環からでなく構造要因から
景気の減速がもたらす住宅価格の下落なら、回復もあるでしょう。2019年からの下げは構造的なものです。

日本では、200万戸/年だった新築が、1980年代末に、今の中国と同じ需要の構造変化から80万戸から100万戸に減っています。平均価格も年収の6倍から6倍で買うことができる価格(約半分)に下がりました。

同じことが、2019年からの中国で起こります。景気循環の問題ではないのです。

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2019年1月配信分
毎月勤労統計がウソだったとしても(1/18)
原油価格下落への満足感が続く限り(1/17)
政治の膠着、焦れた買戻しを呼ぶ(1/16)
今年、国債暴「騰」が気になります(1/15)
海鮮丼にはなれない日本株(1/11)
トランプの「お行儀」とFedの利上げ路線(1/10)
米中楽観・景気慎重、昨年とは逆の心理(1/9)
ビットコインとエスペラント語(1/8)
柔軟という名の行き当たりばったり(1/7)
原油安、喜ぶトランプ、下げる株価(1/4)
https://www.mag2.com/p/money/628666/6

#詐欺的妄想は多い

http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/826.html

[戦争b22] アルゼンチンの中国軍「宇宙基地」、民事利用は本当か
トップニュース2019年2月4日 / 15:25 / 3時間前更新
焦点:
アルゼンチンの中国軍「宇宙基地」、民事利用は本当か
Cassandra Garrison
5 分で読む

[ラスラハス(アルゼンチン) 31日 ロイター] - 中国は、軍管轄の宇宙基地をアルゼンチンのパタゴニア地方に建設する際、16階建ての高さほどある巨大アンテナを備えた同基地の説明が受けられるビジターセンターを設けると約束した。

現在、同センターは完成しているが、基地の施設全体が高さ2メートル超の有刺鉄線に囲まれている。予約しなければ中に入ることはできない。

謎に包まれたこの宇宙基地を巡っては、地元住民が不安に感じており、陰謀説もささやかれ、米国のトランプ政権は同基地の本当の目的について懸念を抱いていることが、数多くの住民やアルゼンチン政府の現旧職員、米当局者、天文や司法の専門家への取材から明らかとなった。

公式発表によると、同基地の目的は、民事利用のための宇宙観測と探査である。この1月に中国の探査機が月の裏側に着陸した際にも、同基地は大きな役割を果たしたと同国メディアは伝えている。

だが、敷地面積が約2平方キロのこの人里離れた宇宙基地はアルゼンチン当局の監視をほとんど受けていないことが、ロイターが入手した数百ページに及ぶ同国政府文書から分かった。

アルゼンチンのマクリ現政権で外相を務めたスサナ・マルコラ氏は、同基地の活動を監視する手段がないとインタビューで語った。2016年、同氏は宇宙基地に関する中国との契約を見直し、民事利用に限るとする条項を加えた。

契約上、中国は同基地の活動をアルゼンチンに知らせる義務があるが、それが軍事目的に利用されないよう当局が監視するメカニズムはないと国際法の専門家は指摘する。

「契約文書に何と書かれていようとあまり関係ない」と、中国との大型合弁事業2件に関わったアルゼンチンの弁護士、フアン・ウリブル氏は言う。「ルールに従って活動していることをどうやって確かめるのか」

中国の宇宙開発は人民解放軍が担っている。パタゴニアにある宇宙基地は人工衛星の管制を担う中国衛星発射測控系統部(CLTC)が管理する。CLTCは人民解放軍の戦略支援部隊の管轄下にある。

宇宙開発について、中国政府は平和目的だと主張しており、同国外務省は声明で、アルゼンチンの宇宙基地は一般やメディアに開放されており、民事利用に限定されていると強調した。

アルゼンチン議会は2015年2月まで承認しなかったが、建設作業は2013年夏に開始されていた。2017年初めまでには建物の大半が構造上、完成したとみられる。当局によると、建設には少なくとも300人のアルゼンチン人作業員が関わった。ラスラハス町長によると、基地内では現在、中国人職員30人が働き、暮らしている。写真はデジタルグローブ提供。
<スパイ疑惑>

米国は以前から、中国の宇宙「軍事化」戦略を懸念してきたと、ある米当局者は語る。また、アルゼンチンの基地が探査目的であるという中国の主張を懐疑的に見る理由があるとも同当局者は付け加えた。

ロイターが取材した他の複数の米当局者も同様の懸念を示した。

「腐敗し、財政不安を抱えていた政府が10年前に秘密裏に合意したパタゴニアの地上局は、受け入れ国の主権をむしばむ不透明で略奪的な中国による取引の一例だ」と、米国家安全保障会議(NSC)のガレット・マーキス報道官は語った。

理論的には、同基地は「他国政府の衛星通信を傍受し、機密データを入手する」ことは可能だと、米国立電波天文台(NRAO)のディレクター、トニー・ビーズリー氏は指摘。ただし、「そのような傍受はもっと簡単な機器でも可能」だという。

「誰でもできる。基本的に、自分の裏庭でパラボラアンテナを使ってでも可能だ」とビーズリー氏。「アルゼンチンにある中国の宇宙電波ネットワークがとりわけ問題であり、悪質とは思わない」

<ブラックボックス>

人口7000人のラスラハスは、中国軍の宇宙基地から車で約40分の場所にある。同基地の巨大アンテナは、住民にとって困惑と疑惑の源となっている。

「基地には近づけないし、見せてももらえない」と、商店主のアルフレド・ガリドさん(51)は話す。「科学的な研究施設というより、中国の軍事基地だと思う」

ラスラハスのマリア・エスピノサ町長によると、宇宙基地は昨年4月に運用を開始した。中国人職員30人が同基地内で働き、暮らしている。地元住民は雇われていないが、地元経済に貢献しているという。

エスピノサ氏は基地で働く中国人が基地内に引っ越すまで家を貸していたとし、自身も少なくとも8回は基地を訪れたことがあると語った。

町では、中国系スーパーマーケットにやって来る以外、基地の職員を見かけるのはまれだと他の住民は話した。

<監視受けず>

フェルナンデス政権下の2015年、アルゼンチン議会は宇宙基地の受け入れを議論。野党議員は民事利用に限るという条項がなぜ契約に含まれていないのか、疑義を呈していた。それでも、この契約は承認された。

Slideshow (3 Images)
同年に大統領に就任したマクリ氏は、民事利用に限ると明記されていないことに懸念を抱いたと、当時外相を務めたマルコラ氏は明かす。マルコラ氏は翌2016年、北京に飛んで契約の見直しに取りかかることになる。

同契約は前政権によってすでに締結されていたため、修正するには制約があったとマルコラ氏は言う。それでも中国側は、民事利用に限定する条項を加えることに同意したという。これを発表するため、同氏は北京で共同記者会見を開くことを主張した。

「どちらの側にも何の疑いもなく、隠している政策など何もないことをはっきりさせ、アルゼンチン国民に明らかにしたくて要請した」とマルコラ氏はスペインの自宅から語った。

しかし依然として、重大な問題は未解決のままだ。監視である。

マルコラ氏は、基地の活動にもし何か疑わしい点があった場合、アルゼンチンは中国に「再確認」できると確信していると話す。アルゼンチンはどのようにそうした活動を知り得るかとの問いに対し、同氏は「われわれに教えてくれる人たちがいるだろう。心配いらない」と答えた。

<訪問者記録>

基地運用の不透明さとアルゼンチン当局者の口の重さが、同基地の訪問者を正確に知ることを困難にしている。

地方政府当局者はロイターに、基地を視察したアルゼンチンの記者名簿を提供した。記事やソーシャルメディアへの投稿から、それは運用開始の14カ月前の2017年2月のある1日に訪問した記者の数だったとみられる。

ラスラハスで小さなホテルを営むアルベルト・ウゴ・アマリージャさん(60)は、基地建設が始まってまもなく開かれた夕食会に出席した時のことを振り返る。

その夕食会で、現地を訪れるため町にやって来た中国の当局者から熱烈なあいさつを受けた。他の出席者から聞いた話では、この当局者はアマリージャさんが退役陸軍将校だと聞いたのだという。

彼らによれば、この当局者は中国軍の司令官だった。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/china-space-station-idJPKCN1PT0AL
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/528.html

[国際25] 米のINF離脱、冷戦の始まり意味せず─ロシア外相  米同盟国の日韓で深まる対立、トランプ大統領は傍観者決め込む 
ワールド2019年2月4日 / 18:11 / 35分前更新
米のINF離脱、冷戦の始まり意味せず─ロシア外相=通信社
Reuters Staff
1 分で読む

[モスクワ 4日 ロイター] - 国営ロシア通信によると、ロシアのラブロフ外相は、米国が中距離核戦力(INF)廃棄条約から完全に離脱しても、冷戦の始まりとはならないとの認識を示した。

同相は「冷戦の動きについて話し合っているとは思わない」とし「新しい時代が始まっている」と述べた。

ロシアのプーチン大統領は2日、米国がINF廃棄条約の破棄を表明したことを受け、ロシアも条約を停止したと発表した。[nL3N1ZY00G]

米国は、ロシアが違反を是正しなければ6カ月後に条約から完全に離脱すると表明している。
https://jp.reuters.com/article/russia-usa-nuclear-4-idJPKCN1PT0O9


 

米同盟国の日韓で深まる対立、トランプ大統領は傍観者決め込む
Isabel Reynolds、Youkyung Lee
2019年2月4日 14:24 JST
日韓関係はこの半世紀余りで最も深刻な状況に
米政府、同盟国間の対立を仲介するという伝統的役割を回避
トランプ米大統領が掲げる「米国第一主義」が米国とその同盟国との間で新たな対立を生み出している。アジアでは米国の安全保障上、最も緊密なパートナーである日本と韓国の関係がこの半世紀余りで最も深刻な状況となっており、経済や軍事関係に悪影響を及ぼし始めている。    
   

Korean President meets Japanese PM in NY
2018年にニューヨークで行われた日韓首脳会談出所:読売新聞APイメージ
  米政府はこれまで国家間のナショナリズムが激突するような局面では、対立が制御不能に陥らないように仲裁してきたが、もはやそれは期待できない。

  米スタンフォード大学で国際政策の講師を務め、北東アジア関係の著書があるダニエル・スナイダー氏は、「このような状況では、時には冷静に間に入り、対話を修復して解決策を見つける手助けをするのが米国の役割だった」と指摘。「こうしたリーダーシップはもはや米政権にはない」と語った。

  伝統的な同盟国に対するトランプ大統領の懐疑的な姿勢を反映した北東アジアにおける今回の両国の対立や、トランプ政権がワシントンにおける一連の政治問題に没頭していることにより、戦後の地政学的景観が静かに変容しつつある可能性がある。米国務省には1月31日と2月1日にコメントを求めたが、今のところ返答はない。

  恐らく米国にとって最も重大なのは、日韓の防衛協力が悪化しつつあることであり、これは中国の台頭に対抗するための米国の取り組みに悪影響をもたらす恐れがある。立命館大学国際関係学部の林恩廷助教は「落としどころが見えない」と語った。
           
トランプ政権、韓国に負担増要求−在韓米軍駐留費の分担巡り協議難航

  ワシントンのスティムソン・センターで東アジア共同ディレクターを務める辰巳由紀氏は、「日韓関係の悪化に伴う影響が基本的に東アジアにおける米国の同盟体制を弱体化させるということを、政治指導者は認識しなければならない」と語った。
    

原題:Feud Between U.S. Allies Deepens as Trump Sits on Sidelines (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-04/PMDWJM6S972801?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/388.html

[国際25] 「米国第一」を歓迎する中国−日本抜き国連分担金2位に浮上 中国のLNG輸入、1月は過去最高更新、在庫は高水準
「米国第一」を歓迎する中国−日本抜き国連分担金2位に浮上
David Wainer
2019年2月4日 13:26 JST
人権重視に対抗するための影響力を強めるとの懸念
国連を軽視するトランプ大統領の任期中に中国は存在感高めるか
トランプ米大統領の「米国第一」政策を巡り国連に空白が広がる。その間隙(かんげき)を縫って中国が国連の分担金負担率で日本を抜き2位に浮上した。

  国際機関と世界的な協調に懐疑的なトランプ大統領の姿勢は、中国政府が国連の組織内で独自の構想を推し進める余地が拡大していることを意味する。中国が米国に次ぐ出資国となったことで、人権重視に対抗するための影響力と中国の主張を反映した決議案を提出する力が強まる。

  

Key Speakers At The 73rd Session Of The United Nations General Assembly
国連総会でのトランプ米大統領(2018年9月)撮影:Jeenah Moon / Bloomberg
  米政府の国連代表部に勤務した経歴もあり現在は国際平和研究所(ニューヨーク)のディレクターを務めるジェーク・シャーマン氏は、「中国は大国としての地位が高まるにつれ、多国間の制度にずっと大きな価値を見いだしている」と述べた上で、「国連を軽視するトランプ大統領の在職中に、どこまでこうしたことを推し進めることができるか」と中国は自らに問い掛けているのだと指摘した。

  トランプ政権が拒否した環境問題を巡る取り決めを中国が支持した際など、国際社会に対する中国のアプローチが世界に安堵(あんど)感をもたらしたこともある。だが欧米外交当局者の間には国連の人権政策を弱め、国家主導の資本主義への支持拡大に向け中国がリーダーシップを発揮しようとするのではとの懸念が強まる。

  米国が国連への拠出金を減らそうとする中で、中国とロシアは昨年の予算交渉で平和維持活動の人権担当ポスト削減を共同で求めた。欧米の反対でこの試みは阻止されたが、中国とロシアが中心となって国連事務総長の下で人権問題への取り組みを調整する小規模な部門の活動をやめさせた。両国は今年再び人権関連ポストを標的にする見込みだと言う外交官もいる。

  国際的な人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの国連担当ディレクター、ルイ・シャルボノー氏は、「国連における人権に関する職務ポストを中国は1つずつなくそうとしている。システミックかつ長期的なアプローチであり、国連という制度をどのようにして自分たちのために使うかを中国は学びつつある」と述べた。

  国連中国政府代表部の担当者にコメントを求めたが、返答はなかった。

Meng Hongwei GETTY Sub
孟宏偉氏撮影:Roslan Rahman / AFP経由でGetty Images
  トランプ政権は2018年6月、国連人権理事会から脱退。米政府は反イスラエルの偏向があると批判してきた。同委員会の立場を支持した中国は同年、「相互に恩恵のある協力」を求める決議案を提出し可決させた。ブルッキングズ研究所のテッド・ピッコーネ上級研究員は昨年9月、「人権侵害を名指しして戒める」グローバルな戦術を弱めようとしている中国政府にとっての勝利だとリポートで分析した。

  ヘリテージ財団のブレット・シェーファー上級研究員は、国際刑事警察機構(ICPO)の中国出身の孟宏偉総裁が昨年辞任し不可解な失踪を遂げたことに触れ、中国が国際機関のトップを担うことになれば、懸念が広がるとみている。

  国連組織のトップに「米国人もしくは英国人の外交官を指名すれば、欧米の価値観での運営になるかもしれないが、そこには一定水準の独立性を確実にする透明性のあるメカニズムがある」が、「トップが中国人になった場合、その人物はその組織を代表するのだろうか、中国を代表するのだろうか」と同研究員は語った。

原題:China Sees Trump’s ‘America First’ Policies Widening Void at UN(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-04/PM8PHO6S972801?srnd=cojp-v2


 

ビジネス2019年2月4日 / 16:45 / 2時間前更新
中国のLNG輸入、1月は過去最高更新、在庫は高水準
Reuters Staff
1 分で読む

[シンガポール 4日 ロイター] - 1月の中国の液化天然ガス(LNG)輸入は、過去最高を更新した。業界関係者によると、暖冬の影響で在庫が積み上がっており、需要は伸び悩む見通しという。

リフィニティブ・アイコンの海運データによると、1月の輸入量は655万トン。これまでの最高記録だった昨年12月の輸入量を2%近く上回った。

昨年の中国のLNG輸入は前年比41%増。中国政府が家庭の暖房燃料を石炭からガスにシフトさせる中、昨冬にLNGが不足し、国内企業が調達を急いだことが背景だった。

ただ、業界関係者によると、輸入は拡大しているが、必ずしも需要が同じペースで増えているわけではないという。

関係者は「数字だけを見ると、中国の需要が増えているようにみえるが、実際には輸入のしすぎで需要が見つからない状態だ。(輸入業者は)頭を抱えている」と述べた。

関係者によると、中国海洋石油(CNOOC)は1月に少なくとも1カーゴのLNGを転売した。もう1カーゴについても転売した可能性がある。これは、需要がピークを迎える時期としては異例のことで、今冬が暖冬だったことを示しているという。

関係者によると、中国の商社はLNGを予想よりも低い価格で海外の買い手や国内市場に売却している。

春節で工場が少なくも1週間休みになることも、需要減少の一因となっている。

国内ガス価格の動向を調査しているyeslng.comによると、小規模な陸上液化プラントのLNGの卸値は、今月2日時点で1トン=3500ー3950元(519−586ドル)と、昨年の半値以下。

山東省や天津の受け入れターミナルでの価格も1トン=4500元(667ドル)と、暖房期が始まった直後の昨年11月下旬からそれぞれ17%、5%下落している。

IHSマークイットのジェームズ・タバーナー氏は、過去2年との比較でガス需要の伸びが鈍化すると予想。「石炭からガスヘの移行は、供給上の問題や景気減速を背景に鈍化している」と指摘した。
https://jp.reuters.com/article/china-lng-idJPKCN1PT0HW

http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/389.html

[国際25] 「デジタル麻薬」にはまる子どもたち、米国で問題化 米国の「老後危機」、70歳定年で解消できるか
トップニュース2019年2月3日 / 08:18 / 8時間前更新
アングル:
「デジタル麻薬」にはまる子どもたち、米国で問題化
Gabriella Borter
3 分で読む

[シンシナティ 27日 ロイター] - ダニー・レーガンさんは13歳のとき、通常は麻薬中毒に表れる症状を発症し始めた。精神的に不安定になり、友人から離れて閉鎖的になった。野球とボーイスカウトもやめた。宿題もせず、シャワーも浴びなくなった。

しかしレーガンさんは麻薬をやっていなかった。ただ、ほかに何もできなくなるほど、ユーチューブやビデオゲームにはまっていた。医師も認めたように、レーガンさんは電子機器中毒だった。

「自分のゲーム機をもつとすぐに恋に落ちてしまったような感じになった」と、現在16歳で米オハイオ州シンシナティの高校に通うレーガンさんは言う。「何もかもシャットアウトして、ただリラックスできるのが気に入った」

レーガンさんは、米国で通常見られる10代のネットユーザーとは異なっていた。精神科医によると、米国人の最大8%がネット中毒にかかっており、中毒者は世界中でますます増えている。中毒になると、ネットの使用をコントロールできなくなったり、その影響を気にしなくなったりするという。

「われわれ皆が軽い中毒にかかっている。われわれの行動を見れば、それは明らかだろう」と、精神科医のキンバリー・ヤング医師は指摘。同医師は1995年にインターネット依存センターを設立して以来、同分野の研究を率いている。「健康がこうした行動の影響を受けているため、これが公衆衛生における問題であることは明らかだ」

ネット依存を長年研究しているヤング医師のような精神科医は現在、さらに多くの事例を確認しており、全米各地で新たな治療プログラムを相次いで実施している。フロリダ、ニューハンプシャー、ペンシルベニアなど各州の精神衛生センターでは、入院してネット中毒を治療するサービスも提供している。

ネット中毒は、スマートフォン(スマホ)を手放したくない10代の若者が考え出した偽の症状だと懐疑的な見方をする人もいる。親戚にどう説明すればいいのか困っているとレーガンさんの親は言う。

心理学者で、ビデオゲーム依存の治療に関する臨床医向け手引書を執筆しているアンソニー・ビーン医師は、ゲームやネットの過度な使用には他の精神疾患が隠れている可能性もあり、単独の疾患とは定義すべきではないと指摘。「何が起きているのかちゃんと理解せずに、ある行動を病理として位置付けるようなものだ」と同医師は語った。

<再起動>

レーガンさんの両親は初め、彼をいくつかの病院に連れて行き、ネット使用を制限する誓約書にサインさせた。だが、シンシナティから北に約35キロに位置する同州メイソンにある草分け的な滞在型の治療センターを見つけるまでは、どの病院でも効果は見られなかった。

この治療センター「Lindner Center for Hope」が提供する「再起動」プログラムでは、オンラインゲームやギャンブル、ソーシャルメディア、ポルノや性的なメッセージや画像の送信など、中毒症状があるレーガンさんのような11─17歳の子どもを対象に入院治療を行う。こうした子どもたちは、うつや不安神経症といった精神疾患の症状から逃れようとして中毒になることが多い。

レーガンさんは5歳のときに注意欠陥多動性障害(ADHD)、また6歳のときに不安障害と診断された。医師によると、レーガンさんがネット中毒になったのは、こうした障害に対処するためだという。

「再起動」プログラムを受ける患者は、ベッドルーム16部屋と教室、ジム、食堂のある郊外の施設で28日間を過ごす。その中で、診断検査や心理療法を受け、ネット使用の加減方法を学ぶ。

プログラムの責任者を務めるクリス・トゥエル氏はレーガンさんを含むいくつかの症例を受け、昨年12月に同プログラムを開始した。こうした症例では、若者は「自分を治療」する手段として、麻薬やアルコールではなくネットを使用していた。

ネットの常習性は公式に認められていない。ただし麻薬やアルコールと同様に快楽を誘導する物質を放出する引き金を引いて脳の報酬系を乗っ取る上、若年齢の子どもの手の届くところにあると同氏は話す。

「脳はそれが何であれ気にしない。喉や鼻に入れても、見せても、または手で触ってもだ。脳の中で多くの同じ神経化学物質が作用している」

とはいえ、ネット中毒からの回復は、他の中毒からのそれとは異なるとトゥエル氏は指摘。「しらふになる」こととは違うと言う。学校や家庭、職場でネットは不可避かつ不可欠な存在となっている。

「いつもここにある」と、レーガンさんは自分のスマホを取り出して言った。「ポケットの中にある。でも無視できるようになってきた」

<病気なのか>

Slideshow (6 Images)
医療専門家はネット中毒をより真剣に捉えるようになっている。

世界保健機関(WHO)も米精神医学会(APA)もネット中毒を疾患と認めていない。しかしWHOは昨年、中国や韓国、台湾での長年に及ぶ調査を受け、より具体的な「ゲーム障害」を疾患として認めた。これら国々の医師はゲーム障害を公衆衛生上の危機だとしている。

オンラインゲームや機器を製造する一部メーカーは、利用者に対し、過度にプレイしないよう呼びかけている。ユーチューブは、親会社グーグルのスマホ中毒防止対策の一環として、利用者に休憩を促すため視聴時間を確認できる機能を追加した。

WHOの報道官は、ネット中毒が「徹底的な調査」の対象であり、疾患としての認定を今後検討すると明らかにした。APAはゲーム障害について「将来的な研究疾患」だとしている。

「認定の有無に関係なく、人々にこうした問題が見られる」とトゥエル氏は言う。

ある重症患者は、トイレに行きたいが電子機器から離れたくないあまり、その場で排泄したと同氏は振り返る。

ゲームやネット使用を抑えられない10代の脳に起きている変化を示す証拠を精神科医が見いだす中、ネット中毒に関する調査の実証的な結果が近くまとまり、医学分類基準にも当てはまる可能性があると同氏は指摘する。

「選択の余地はない。これは実際にある障害であり疾患だ。疾患と認められるほど深刻ではないと冗談を言う人たちがいるが、僕は個人的に傷ついている」とレーガンさんは話した。

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)
https://jp.reuters.com/article/digital-drug-idJPKCN1PM0GD


 

コラム2019年2月3日 / 11:18 / 7時間前更新

米国の「老後危機」、70歳定年で解消できるか
Gail MarksJarvis
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[シカゴ 30日 ロイター] - それは、迫りくる米国の老後危機へのシンプルな解決策に見えるかもしれない。70歳まで働いてから退職生活に入ってもらえば、高齢者の85%が十分な退職資金を手にできるだろう、というものだ。

就労が伸びた期間はより貯蓄に励み、給与を得ている間は既にある貯金に手を付けずに済む。さらに、貯蓄を切り崩して生活費に充てなければならない「退職後」の年数が、より短くなる。ボストン・カレッジ退職研究センターのアリシア・マネル所長はこう指摘する。

社会保障制度や医療保障制度の財源を心配するエコノミストや議員が飛びつきそうな計算ではあるが、実際にはそれほど簡単ではない。

米シンクタンクのブルッキングス研究所が先週開いたフォーラムで、マサチューセッツ工科大学(MIT)のジェームズ・ポターバ経済学教授が問題点を指摘している。

「全員が、より長く働けるわけではない」と、全米経済研究所の所長も務めるポターバ氏は指摘。体力が求められたり、不快感を伴ったりする仕事に就いている人と、快適な研究室で社会保障制度改革について研究を行うエコノミストを対比してみせた。

70代までポストにしがみつく教授が多くいる一方で、多くの人にその選択肢はないことが、研究で明らかになっている。

アーバン研究所の最近の研究によると、50歳以上の人の10%程度が、健康問題が原因で退職を余儀なくされた。同研究所のエコノミストであるリチャード・ジョンソン氏は、連邦政府の委託で行われた米国の健康と退職に関する調査で50歳以上の職歴を研究した。学歴や人種、性別を問わず、年齢差別によりはるかに多くの高齢労働者が職から離れざるを得なくなっていると指摘する。

高齢労働者はまた、新たな職を見つけるのにも苦労している。半数の人の収入が42%超下落し、職を失う前と同水準の給与で再就職できたのは10%程度にとどまる。50歳以上で職を失った人の3分の1が、再び失業を経験している。

「労働市場がタイトになった今でも、年齢差別はまだある」と、ジョンソン氏は訴えた。

<第三の道>

エコノミストは、70歳まで働くのは無理にしても、なるべく長期間働くことを推奨している。スタンフォード大のジョン・ショーブン教授は、62歳ではなく66歳に退職を伸ばすことで、生活水準を3分の1程度上げられると分析する。

高齢労働者をより長く雇用するよう雇用主側を説得し、年金をフルに受け取れる年齢を現在の66歳半または67歳から、70歳に引き上げることも大事だと、前出のマネル氏は話す。

50代の人を雇えば、わずかな確定拠出年金(401k)を積み上げるためにずっと居座られるのではないかと懸念する雇用主もいると、マネル氏は言う。退職年齢が70歳になれば、雇用主側も、50代の人はいずれ自ら退職すると考えて、採用しやすくなるかもしれない。

だが退職年齢の引き上げは、政治的に議論を呼ぶ課題だ。低収入の人や、体力が要求される仕事の人が、70歳より早く年金受給開始の手続きをすれば、受取総額が減るためだ。トランプ米大統領は、社会保障制度改革は行わないと約束している。

ショーブン教授とノースカロライナ州立大のロバート・クラーク教授が提案するのは、62歳以上の従業員について、雇用主と従業員からの社会保険料分の給与税の徴取を取りやめることだ。

現在では、13万2900ドル(約1450万円)までの所得に対しては、雇用主と従業員の双方が6.2%の給与税を負担することになっている。両教授は、高齢になるまで働く人が増えることで所得税の税収が増え、社会保障財源の減収分が補えると主張する。

これに対し、社会保障局の主任保険数理士(アクチュアリー)を務めるスティーブ・ゴス氏は、そうして生まれた雇用主側の余裕が、賃上げの形で労働者に還元されたり、高齢労働者の供給が増えたりすることにはつながらないだろうと予測する。

また、社会保障制度の歳入が減れば、若い世代の税負担が増えて自らの退職に備えた貯蓄が減るかもしれない。結果的に、危機的な退職準備状況の連鎖が起きることになりかねない。
https://jp.reuters.com/article/column-marksjarvis-retirement-idJPKCN1PP0P5
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/390.html

[国際25] 英ブレグジット、暴動に備え冷戦期の王室避難計画が復活
エンタテインメント2019年2月4日 / 13:35 / 2時間前更新
英ブレグジット、暴動に備え冷戦期の王室避難計画が復活

Reuters Staff
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[ロンドン 3日 ロイター] - 英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)が3月29日に迫る中、英当局者らは合意なき離脱となって暴動が発生した場合に備え、冷戦時代の王室避難計画を復活させている。日曜紙2紙が報じた。

サンデー・タイムズ紙は政府筋の発言として、「こうした緊急避難計画は冷戦期以来存在しているが、現在は合意なき離脱に伴う社会混乱に備えて再構築されている」と伝えた。

メール・オン・サンデー紙も、エリザベス女王(92)を含む王室をロンドンから別の安全な場所に避難させる計画の存在を把握していると報じた。

業界団体などは、新しい税関検査体制のためEUからの輸入が大幅に遅延すれば広範囲な混乱が発生し、食料や医薬品が不足する恐れもあると警告している。

ブレグジットの強い支持者で保守派のリース=モグ議員は、メール・オン・サンデーに対し、第二次大戦中には「シニアロイヤル」と呼ばれる王室メンバーも爆撃の中ロンドンに残っていたと指摘して、今回の避難計画は当局者らによる合意なきブレグジットに対する不要なパニックを露呈したとの考えを示した。

一方、サンデー・タイムズ紙は、元王室警護担当者の発言として、「ロンドンで問題が発生すれば、王室を避難させるのは明白」と伝えた。

*カテゴリーを追加して再送します。
https://jp.reuters.com/article/britain-royals-queen-idJPKCN1PT07J
http://www.asyura2.com/19/kokusai25/msg/391.html

[経世済民130] 平成で「悪役」に転落、銀行が失った3つの価値 パウエルは様子見姿勢に転じつつある 米利上げが終わったと考えるのは大間違い
コラム2019年2月4日 / 10:54 / 7時間前更新

平成で「悪役」に転落、銀行が失った3つの価値
大槻奈那 マネックス証券 執行役員チーフ・アナリスト
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[東京 4日] - 平成元年に当たる1989年は金融業界の壮大な「夢」が終わった年だ。当時は、「普通にサラリーマンをやっていたのでは都内には住めない」という焦りを抱えた人々が、新規公開株やマンション投資に殺到した。

不動産バブルがピークに達し、最も成績優秀な大学生は、官僚の次に、当時の日本興業銀行(IBJ)や富士銀行を目指した。どちらもその後、数奇な運命をたどり、みずほフィナンシャルグループとして生まれ変わっている。

当時、大手行の株価収益率(PER)は50─60倍まで上昇。1桁台だった大手米銀の水準をはるかに上回っていたが、それでも保有資産の含み益を考慮すれば、まだ割安と言われていた。銀行セクターの時価総額は一時期、東証全体の4割を占めるほどに膨らんだ。大規模増資を行っても事業成長のシグナルとみなされ、希薄化を招くにもかかわらず、株価を押し上げる要因となった。

そんな強気市場に魅せられたのは投資家や学生だけではない。1989年には、中小企業を顧客とする相互銀行が普通銀行に転換し、上場を試みた。第二地銀に看板を架け替えた相銀は60行以上、普通銀行の数は132行に膨らんだ。

<バブル期の「非道」が尾を引く>

こうした過度な競争が、ピークに差し掛かっていた資産バブルに最後の一押しを加えた。銀行預金は、89年末から90年末までの1年間で、5割近く増加した。第二地銀に至っては、普銀転換直後の89年3月末時点で実質預金の増加額が前年比7倍にも膨らんだ。

預金が増加した分だけ運用に圧力がかかり、不動産向け貸出しはこの間に1割増加した。

その後、行き過ぎたバブルが崩壊。銀行は、社会の「悪役」へと転落した。1997年の北海道拓殖銀行の破綻をきっかけに整備された一時国有化スキームを使い、不良債権処理に苦しむ金融機関向に対して政府が次々と行った公的資金注入は、国民の血税を使うのかと厳しく糾弾された。

批判は尾を引き、その後も銀行員の高給や高飛車な態度、中小企業に対する貸し渋りなどが、ことごとく非難の的となった。銀行によるバブル期の非道ぶりを描いた小説をテレビドラマ化した「半沢直樹」(2013年)は、銀行幹部への痛快な「倍返し」で高視聴率を稼いだ。

銀行は海外でも悪役と化した。

米国の「サブプライム問題」を発端とする2008年からの世界金融危機では、銀行などが公的資金で救済され、金融機関は、日本と同様に広く世論の批判を浴びた。2011年にニューヨークから全米各地に広がった、格差是正を訴える反ウォール街デモ「Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)」には、数万人の一般市民が参加した。

<金融危機で銀行が失ったもの>

平成時代に発生した金融危機で、世界の銀行は3つの大きなものを失った。

まず、「信頼」だ。銀行は決してつぶれず、行員も品行方正で、良い銀行と取引することが企業の信用力につながっていた。しかし、日本長期信用銀行(長銀)と日本債券信用銀行(日債銀)を代表とする相次ぐ経営難や不祥事で、銀行の「信頼」という無形資産は大きく毀損(きそん)してしまった。

次に「収益力」だ。かつて銀行は「もうけ過ぎ」という批判を受けていた。しかし、金利が低下し続ける中で銀行収益は大きく落ち込んだ。1989年に開示が始まった総資産利益率(ROA)は大手行で1%程度あったが、直近2018年時点では、0.4%を下回る水準にまで低下した。PERも7─8分の1程度にまで落ち込んだ。

さらに平成の後期に入って失われたのが「イノベーション」だ。

国際決済銀行の自己資本規制「BIS規制」が1993年に日本で導入されて以来、政府から保護されていた銀行セクターは段階的に厳しい規制を受けるようになった。こうした規制の結果、銀行は新しい業務に挑戦することが難しくなった。例えば銀行が行う資金決済業務は、他のITベンチャーなどの参入が認められたが、銀行はベンチャー企業が携わる広範な業務を行うことは許されていない。

また、サブプライム問題を契機に、顧客側も複雑なスキームを用いた金融製品などの新奇性を求めなくなった。こうしたニーズの低下も銀行の改革意欲を削いだと思われる。

<失われた既得権益、銀行は二極化へ>

今後厳しくなりそうなのは国内小口決済の手数料や資金利益だ。大手行は現在、年間1000億円を超える収益を内国為替業務、すなわち国内送金や現金自動受払機(ATM)手数料で挙げている。この分野は、銀行業界の独占状態で、一部ではいまだに高い手数料率を設定している。

例えば、一般的にATMを使った3万円以上の自行本支店宛の現金振込みでは324円の手数料を課している。他行宛の現金送金では648円だ。600万円を1年間定期預金に預けてようやく得られる金利が、1回の他行送金で吹っ飛ぶ計算だ。

しかし、近時の電子マネーやモバイル決済などのキャッシュレス化の進展で、異業種が相次いで小口決済分野に参入している。

 2月4日、平成元年に当たる1989年は金融業界の壮大な「夢」が終わった年だ。写真は都内で2018年撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)
カード子会社がモバイル決済とひもづくことで銀行もグループとして収益の一部を得ているが、参入業者があまりに多く、かつ大規模なキャンペーン合戦となっていることから、この分野の収益率は間違いなく落ちていくだろう。小口決済の手数料は、将来的にゼロとなる可能性も否定できない。

また、マイナス金利の長期化により、資金利益も厳しい。かつては短期の預金を預かり、それより少し長めの国債を買うだけでももうかった。ほどんど「フリーランチ」の状態だ。しかし今は、海外貸出や、レバレッジドローン、カードローンなど、より大きなクレジットリスクを取らなければ稼ぎにくくなっている。

こうした状況下で、自己資本利益率(ROE)が3%台まで低下した地域金融機関も出てきた。議決権行使助言会社ISSが定める上場企業のROE基準5%を大きく下回っている状態だ。

とはいえ、全ての銀行が収益向上を最優先課題においている訳ではない。東証全銘柄の株価純資産倍率(PBR)ランキングをみると、1月末現在でワースト20のうち17社が銀行だ。

こうした銀行は、地元に寄り添うという、平成以前の経営に回帰している。投資家もこれらの銀行の株式は「割安」とは捉えないし、手も出さない。ならば、世界の投資家から成長を強いられる株式市場からは本来距離を置くべきなのかもしれない。

平成の時代に、銀行は多くの既得権益を失った。次の世代では、これを新しいリスクテークとイノベーションで補完していく大手行グループと、むしろ、平成以前の地場銀行に回帰するグループとに大きく二極化することになろう。銀行は、ステークホルダーを整理し、新しい金融機関の形を模索する時に来ている。

*本コラムは、ロイター特集「平成を振り返る」に掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

大槻奈那氏 マネックス証券 執行役員チーフ・アナリスト(写真は筆者提供)
*大槻奈那氏は、マネックス証券の執行役員チーフ・アナリスト兼マネックスユニバーシティ長。東京大学卒業。ロンドン・ビジネス・スクールで経営学修士(MBA)取得後、スタンダード&プアーズ、メリルリンチ日本証券などでアナリスト業務に従事。2016年1月より現職。名古屋商科大学大学院教授、二松学舎大学客員教授、クレディセゾン社外取締役、東京海上ホールディングス社外監査役を兼務。財政制度審議会財政制度分科会委員、東京都公金管理アドバイザリー会議委員などを務める。
https://jp.reuters.com/article/column-heisei-nana-otsuki-idJPKCN1PT02Q


 

米ミネアポリス連銀総裁:パウエル議長は様子見姿勢に転じつつある
Jenny Leonard
2019年2月4日 13:25 JST
金利据え置きが経済を「基本的に健全」な軌道に維持するのを助ける
経済に成長余地、拙速なブレーキだけは避けよう−カシュカリ総裁
米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は3日、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が賃金とイ

ンフレ率が加速するのを待ってから追加利上げを行うとの見解に「転じつつある」とし、直近の米金利据

え置きが経済を「基本的に健全」な軌道に維持するのを助けるだろうと指摘した。

Federal Reserve Bank of Minneapolis President Neel Kashkari Speaks At NABE Conference
米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
  カシュカリ総裁はミネソタ州ロングレークのトリニティ・ルーテル教会主催のイベントで、「職を望

む人々はもっといると考えられる。今後も景気拡大を持続させ、賃金とインフレに加速の兆候が見られれ

ば、いつでもブレーキを踏むことができる。拙速にブレーキをかけることだけはないようにしよう」と発

言。「米経済にはなお成長の余地があると思う」と述べた。

  カシュカリ総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持たない。

原題:Fed’s Kashkari Says Powell ‘Coming Around’ to Wait-and-See View(抜粋)


米利上げが終わったと考えるのは「大間違い」−テンプルトン
Natasha Doff、Cecile Gutscher
2019年2月4日 14:09 JST
「景気の勢いの強さが続いている」とソナル・デサイ氏
米国にリセッションが迫っているとは思われない−ブログに投稿
The Marriner S. Eccles Federal Reserve building stands in Washington, D.C.
The Marriner S. Eccles Federal Reserve building stands in Washington, D.C. Photographer:

Andrew Harrer/Bloomberg
米金融当局が利上げを長期にわたって停止するとの見方に基づいた賭けに、市場は先走り過ぎていると、

フランクリン・テンプルトンで債券グループの最高投資責任者(CIO)を務めるソナル・デサイ氏が指

摘した。

  同氏は先週のブログ投稿で、「米当局が今年1回も利上げをしないという市場の仮定は、景気の勢い

の強さが続いていることに照らして、大間違いだ」とし、「米国の景気サイクルが終わりに来つつあると

いう予想も行き過ぎている」と論じた。

  デサイ氏は米国の賃金の伸びがインフレをあおるリスクに対応するため金融当局が今年、少なくとも

2回の利上げをすると予想している。一方、トレーダーらは今年の利上げなしを想定、来年の利下げ見込

みを強めている。

Long-bond rally exposes the risks of negative-duration bets
  同氏は「世界中が米インフレではなく米リセッション(景気後退)のことを考えているようだが、大

きな外的ショックがない限り、米国にリセッションが迫っているとは思われない。米国の労働市場は強く

、それが賃金を押し上げ始めている。また、消費堅調が企業の価格決定力を支える」と記した。

原題:Bond Titan Blasts ‘Very Misguided’ Bet That Fed Hikes Are Over(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE
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米ミネアポリス連銀総裁:パウエル議長は様子見姿勢に転じつつある
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-04/PMDUSQ6KLVR401?srnd=cojp-v2

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