2018年11月20日 Michael R. Gordon
米サウジ政策さらに険しく、記者殺害巡るCIA結論 皇太子の命令と断定、トランプ政権と議会の溝深まる
トランプ米大統領
Photo:Reuters
米中央情報局(CIA)が、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がジャマル・カショギ記者の殺害を命じたと結論付けたことは、トランプ政権の対サウジ政策にかつてない難題を突き付けている。
ドナルド・トランプ大統領も側近の高官も、サウジの事実上の支配者であるムハンマド皇太子への支持を撤回する兆候を全く見せていない。
しかし主要議員らは寛容ではいられず、中東のパートナー国を巡る米政権と連邦議会との溝は一層深まっている。
上院外交委員会のボブ・コーカー委員長は17日、サウジの皇太子であるMbSが殺害を指示したことは明らかな状況だとツイッターに投稿。「トランプ政権は、MbSが彼の命令を実行したと思われる者たちを処刑する前に、責任の所在に関して信頼に足る判断を示すべきだ」と述べた。MbSはムハンマド皇太子のイニシャルである。
米政府はサウジ政府との全面的な同盟関係を維持するのか。それともカショギ氏殺害と、サウジによる隣国イエメンの内戦への軍事介入を巡って強まる米議会の懸念を受けて、外交政策を修正するのか。それが今後の焦点となる。
戦略問題研究所(CSIS)のジョン・オルターマン氏は「サウジの問題は、民主党が来年、大統領の外交政策を攻撃する際の主要な材料に浮上するのではないか」と指摘。「共和党の一部から支持を得られるだろうが、法案を可決するのに十分な支持が確保できるかどうかは不透明だ。どちらにしても、公開の場で攻撃の的になることはサウジにとって痛手となる。米政府との緊密な関係に取って代わるような好ましい選択肢が依然として見当たらないからだ」と語った。
サウジはトランプ大統領にとって最初の外遊先だった。トランプ氏は先週、アメリカ中央軍司令官の経歴を持つ著名なジョン・アビゼイド元陸軍大将を駐サウジ米国大使に任命した。これは、米政府が引き続き安全保障面でサウジとの連携を重視していることの表れと言える。
サウジがホワイトハウスの政策判断において重要な位置を占める理由は複数ある。イランと激しく敵対するサウジは、トランプ氏がイラン封じ込めに取り組むうえで有用な同盟国の一つだ。
トランプ政権はまた、米国がイスラエルとパレスチナの和平計画を発表することになった場合、サウジがそれを支持してくれることを期待している。ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問はこの草案作りを主導しており、ムハンマド皇太子と頻繁に連絡を取っている。
政権関係者は大型の武器輸出契約が締結される可能性を誇張することが多い。ただその期待は、サウジと緊密な関係を維持する理由としてトランプ氏が公然と挙げているもう一つの理由でもある。サウジによる米国への投資も同様だ。
このためトランプ政権は綱渡りを強いられ、バランスを取ることがますます難しくなっている。多数の中東専門家に加えて今やCIA分析官でさえ、ムハンマド皇太子の独裁的な指導体制を理由に、皇太子がカショギ氏殺害計画を認識していたはずだと判断しているためだ。
CIAによる評価が報道された後も、政権の姿勢は変わらなかった。国務省のヘザー・ナウアート報道官は、CIAの評価に反論せず、存在を認めることさえなかった。同報道官は、カショギ氏死亡の責任をサウジ指導部が負うのかについて「米政府」は最終的な結論に至っていないと述べた。
トランプ氏は17日、ジーナ・ハスペルCIA長官との会談を前に、「われわれはサウジに素晴らしい盟友を持つ。わが国に多くのビジネスをもたらしてくれる・・・私は大統領だ。多くのことを考慮に入れなくてはならない」と述べた。
10月にリヤドで開催された投資会議は複数の外国企業幹部が参加を見送ったが、今も多くの企業がサウジとの関係を維持している。
しかし米議員の間では、サウジとの関係にはメリットよりデメリットが大きいとみる向きが増えつつある。イエメンへの軍事介入、サウジ国内の反体制派に対する弾圧、そしてムハマンド皇太子が直情型で冷酷でさえあるとの見方により、一部の有力議員がサウジとの距離を置きつつある。その中にはイランへの強硬姿勢を支持する議員もいる。カショギ氏殺害事件と、サウジ指導部が潔白だとした同国の調査結果により、我慢の限界を超えたのだ。
その一例が、リンゼー・グラム上院議員(共和、サウスカロライナ州)とロバート・メネンデス上院議員(民主、ニュージャージー州)らが提出した法案だ。同法案にはイエメンを巡る政治的解決を促すため、サウジに対する軍需物資、航空機、その他攻撃用武器の売却停止が盛り込まれている。ただし、イスラム教シーア派系武装組織フーシ派からのミサイル攻撃に対する迎撃システムの売却は認めている。
CIAによる評価を受け、少なくともサウジ問題は米議会で焦点となり続けるだろう。米・サウジ関係の著書があるブルッキングス研究所のブルース・リーデル研究員は、こうした懸念の高まりが具体的な行動につながることへの期待を示した。具体例として、サウジ政府がイエメン内戦の終結に協力しなかった場合に、サウジ空軍向け交換部品の供与打ち切りを警告することなどを挙げた。
「カショギ氏殺害事件はイエメン内戦の終結を目指す超党派の動きを活発化させた」とリーデル氏は述べた。「掲載されたカショギ氏の最後の寄稿は、イエメンのためにもサウジのためにも内戦を終結させることを求めていた。彼を追悼するのにふさわしい場所だ」
https://diamond.jp/articles/-/186054
ワールド2018年11月20日 / 13:36 / 6時間前更新
モルディブ新政権、中国とのFTA撤回へ=与党幹部
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[マレ 19日 ロイター] - モルディブの新連立政権を率いるモルディブ人民主党のナシード党首はロイターのインタビューで、新政権が中国と合意した自由貿易協定(FTA)を撤回する方針を明らかにした。
モルディブはヤミーン前大統領の政権下で昨年12月に中国とのFTAに調印し、議会が同月、野党の反対を押し切って批准していた。
元大統領のナシード氏は、9月の選挙で勝利し17日に就任したソリ大統領の参謀役。ナシード氏は「中国とモルディブの貿易不均衡は巨大で、両国間のFTAなどだれも想定しない。中国はわが国から何も買っておらず、一方的な協定だ」と批判した。
ナシード氏は、FTAを発効するのに必要な法改正が残っており、議会はそれを可決しない見通しだと述べた。
モルディブは、中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を通じたインフラ投資により多額の債務を背負っており、FTAは状況を悪化させるだけだとの批判が出ている。
モルディブの通関データによると、今年1─8月に同国は中国から食肉、農産物、生花、電子製品など3億4200万ドル相当を輸入したが、同期間の対中輸出はわずか26万5270ドルだった。
ソリ新大統領は17日の就任式典で、モルディブは中国指導者に対する債務を抱え込み、財政難に陥ったと訴えた。
モルディブの中国大使館からコメント要請に対する返答は得られていない。
https://jp.reuters.com/article/maldive-china-idJPKCN1NP0C5
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/581.html