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[国際24] 海外に魔の手を伸ばす中国の「統一戦線工作」 日本もその手口を知って警戒を怠るな!メディア崩壊:ネトウヨに支配され始めた米
海外に魔の手を伸ばす中国の「統一戦線工作」
日本もその手口を知って警戒を怠るな!
2018.10.5(金) 樋口 譲次
核搭載可能の米戦略爆撃機、南シナ海を飛行 中国けん制か
米空軍のB52戦略爆撃機(1997年9月1日撮影)。(c)AFP PHOTO / US AIR FORCE 〔AFPBB News〕

海外に魔の手を伸ばす中国の「統一戦線工作」
 「統一戦線を組もう」とは、仲間内の日常会話でも使われる表現である。

 しかし、国際政治の場において、外交戦、情報・世論戦、謀略戦、懐柔策などを複雑に絡めて展開される「統一戦線工作」は、奇々怪々として、国家に深刻な問題を投げかける。

 というのも、中国が、習近平政権になって、海外における「統一戦線工作」を一段と強化しているからである。

 先日、中国の「『統一戦線工作』が浮き彫りに」という米国からの記事(「古森義久のあめりかノート」、産経新聞、平成30年9月23日付)が掲載された。

 詳細は、この後に譲るとして、米国では、統一戦線方式と呼ばれる中国の対米工作に関する調査報告書が発表されたことをきっかけに、習近平政権が「統一戦線工作」によって米国の対中態度を変えようとしていることが明らかになった。

 そして、米国全体の対中姿勢が激変し、官と民、保守とリベラルを問わず、「中国との対決」が米国のコンセンサスになってきたというものである。

 この件については、筆者拙論「台湾に迫る危機、日本よどうする!」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54145、2018.9.20掲載)の中で、中国による台湾の国際空間からの締め出しや台湾国内でのスパイ活動などに触れたが、これらも「統一戦線工作」の一環である。

 「統一戦線工作」とは、本来、革命政党である共産党が主敵を倒すために、第3の勢力に意図や正体を隠しながら接近・浸透し、丸め込んで巧みに操り、その目的を達成しようとする工作である。

 ソ連共産党をはじめ、中国共産党、朝鮮労働党などが常套手段としたもので、これらの国では、今日でもその手法が重用され、国内の政敵のみならず、海外の敵対勢力に対して自国の立場や主張に有利な環境条件を作為しようと試みている。

 なかでも中国は、特定の団体や個人を丸めこんだり、協力関係を築いたり、場合によっては逆に非難や圧力・恫喝、攻撃を行い、重要な情報を収集し、対象国での影響力を高め、国際社会における中国共産党への支持を取り付けるなど、世界中で「統一戦線工作」を活発に展開している。

 日本も、手を拱いている場合ではない。

 日本は、中国の覇権的拡大に対して最大の妨げとなる在日米軍基地を抱え、また尖閣諸島問題や歴史認識などで厳しく対立している。

 さらに、中国が欲しがる最先端科学技術を保有するなど、中国にとって極めて重要な「統一戦線工作」の対象となっていることから、重大な関心を抱かざるを得ないのである。

習近平政権下の中国の「統一戦線工作」
習近平政権下での「中国共産党統一戦線工作条例(試行)」の制定

 中国共産党の「統一戦線工作」を掌る「中国共産党中央統一戦線工作部(中央統戦部)」設立の歴史は古く、中華人民共和国の建国から遡ること7年前の1942年である。

 「統一戦線工作」上、最もよく知られているのが、抗日民族統一戦線としての中国国民党と中国共産党による「国共合作」である。

 中央統戦部が重視されていることは、中国共産党中央委員会直属の組織であることからも明らかである。

 その国家レベルの方針を決める中央統一戦線工作会議が、習近平中央委員会総書記の下、2015年5月に北京で開かれ、「中国共産党統一戦線工作条例(試行)」(以下、統戦条例)を制定した。

 実は、それまでに統一戦線をテーマにした正規の党内法規はなかったようで、統戦条例は統戦工作に関する初の法規として「統一戦線活動の制度化、規則化、手続き化の重要なメルクマール」(人民日報)と報じられている。

 そして、習近平総書記は、中央統戦会議で「新しい形勢下の統一戦線工作」について強調し、これを全党挙げて重視することを明言したのである。

「統戦条例(試行)」制定をめぐる習近平の狙い

 習総書記が掲げる国家目標は、「2つの百年」、すなわち中国共産党創設100周年にあたる2021年を中間目標とし、中華人民共和国建国100周年を迎える2049年を最終目標として「中華民族の偉大な復興という中国の夢」を実現することだ。

 統戦条例では、その国家目標への奉仕を強調しており、中国は「統一戦線工作」を「中華民族の偉大な復興」を果たすための重要な手段として位置づけているのである。

 そして、中央統戦会議で習総書記は、国際社会から中国社会への影響力が強まっていることに加え、中国国内に政治的変化を求めるグループが存在するなど、中国を取り巻く内外情勢が「変化」しているとの情勢認識を示した。

 これに基づき、国家目標を達成するには、変化に対応した「統一戦線工作」をますます強化発展させなければならないと述べている。

 こうした方針を実行に移すにあたり、統戦条例では、対国内に関する部分はさておくとして、対海外に関する部分について、「香港・マカオ・台湾、海外への統一戦線工作」の章を設けている。

 そのことから、統一戦線工作の対象が香港、マカオ、台湾のみならず、それ以外の海外へも向けられていることは明らかだ。

 また、統戦条例の起草には、海外に居住している華僑や華人などの在外同胞に係わる業務を所管している国務院僑務弁公室も参加し、習総書記の中央統戦会議における講和では「留学した人材」を通じた世論コントロールについて述べている。

 このことから、在外公館の現地外交官(工作員)のほかに、これらが海外での統一戦線工作に加担していることは容易に察しがつこう。

明らかになった米国における中国の統一戦線工作(具体例)

 中国が世界の500か所以上に開設している「孔子学院」は、親中派(中国シンパ)を育成する「統一戦線工作」の一環としてのソフトパワー戦略と見られている。

 その約40%が米国に集中し、学問の自由を阻害しているとして、ここ数年批判の声が高まっていた。

 これを受けて、すでにシカゴ大学、ペンシルベニア州立大学など多くの大学が孔子学院の閉鎖に動き、スパイ活動やプロパガンダ活動などの容疑で米連邦捜査局(FBI)が捜査を開始した模様だ。

 そこで、改めて、中国の「『統一戦線工作』が浮き彫りに」という産経新聞の記事を振り返ってみよう。

 この記事の基になったのは、ワシントンの半官半民のシンクタンク「ウィルソン・センター」が、1年以上をかけ、コロンビア、ジョージタウン、ハーバードなど全米25の主要大学を対象として調査した学術研究の報告書(原題:『米国の高等教育における中国の政治的影響と妨害活動に関する予備的研究』)である。

 同記事(報告書)で明らかになった中国の「統一戦線工作」の具体例を引用すると、下記の通りである。

(1)中国政府の意を受けた在米中国外交官や留学生は事実上の工作員として米国の各大学に圧力をかけ、教科の内容などを変えさせてきた。

(2)各大学での中国の人権弾圧、台湾、チベット自治区、新疆ウイグル自治区などに関する講義や研究の内容に対してとくに圧力をかけてきた。

(3)その工作は抗議、威嚇、報復、懐柔など多様で、米側大学への中国との交流打ち切りや個々の学者への中国入国拒否などを武器として使う。

 そして、「米国の主要大学は長年、中国政府工作員によって中国に関する教育や研究の自由を侵害され、学問の独立への深刻な脅威を受けてきた」と総括されている。

 工作の結果、米国の大学や学者が中国の反発を恐れて「自己検閲」をすることの危険性を特に強調している。

 以上は、あくまで、全米の主要大学を対象とした中国の対米工作の特定部分についての調査結果にすぎない。

 その工作が、その他の政・官・財界、軍隊、産業界、マスコミ、シンクタンクなど、米国の意思決定や国益を左右する中枢部に及んでいると考えるのは当然であり、その広がりを考えると、影響の重大さに震撼させられるのである。

中国の「統一戦線工作」の実態を理解し厳重な警戒を
 日本政府は、中国の「統一戦線工作」の実態について、「警察白書」をもって公式に発表している。

 平成29年「警察白書」は、第5章第2節1項「対日有害活動の動向と対策」の中で、「中国の動向」について、次のように記述している。

中国は、諸外国において多様な情報収集活動等を行っていることが明らかになっており、我が国においても、先端技術保有企業、防衛関連企業、研究機関等に研究者、技術者、留学生等を派遣するなどして、巧妙かつ多様な手段で各種情報収集活動を行っているほか、政財官学等、各界関係者に対して積極的に働き掛けを行うなどの対日諸工作を行っているものとみられる。

警察では、我が国の国益が損なわれることがないよう、こうした工作に関する情報収集・分析に努めるとともに、違法行為に対して厳正な取締りを行うこととしている。

 在日中国人の数は約73万人。その中には、工作員として「選抜、育成、使用」される可能性の高い「留学生」約12.5万人、「教授・研究・教育」約2000人、「高度専門職」約5200人、「技術・人文知識・国際業務」約7.5万人などが含まれる。(政府統計の総合窓口「e-stat」、2017年12月現在)

 また、中国から日本への旅行者は約637万人(2016年、日本政府観光局(JNTO)統計)であり、通年で、約710万人の中国人が日本に滞在していることになる。

 正確な数字は明らかではないが、これほど多くの中国人の中には、相当数の工作員が含まれていると見なければならない。

 中国には「国防動員法」があり、動員がかかれば、「男性公民は満18歳から満60歳まで、女性公民は満18歳から満55歳までの間、国防に従事する」義務がある。

 在日中国人や中国人旅行者もその例外ではなく、日本国内において、彼らが在日工作員あるいは潜入した武装工作員(ゲリラ・コマンド)と連携し、情報活動や破壊活動などに従事する事態を十分に想定しておかなければならない。

 加えて、北朝鮮およびロシアも、様々な形で対日有害活動を行っている。

 一方、国内を見ると、日本共産党は、「しんぶん赤旗」(2007年11月29日付)において、読者の質問に答える形で「日本共産党は、一貫して統一戦線の結成と強化をめざしています」と表明している。

 旧日本社会党であった社会民主党も、それ自体が中国や北朝鮮などとつながりを持った統一戦線としての性格を有しており、日本共産党との「社共共闘」も革新統一戦線である。

 このように、日本は、中国をはじめとして、国内外の勢力が複雑に絡み合った「統一戦線工作」の渦中に置かれている。

 そしてわが国の至る所で、日常茶飯事のごとく、国民の身近に工作が迫っている実態を理解し、厳重な警戒を怠ってはならないのである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54274


 

メディア崩壊:ネトウヨに支配され始めた米国
事実確認など無用、噂を“事実”として流し続ける保守系メディア
2018.10.5(金) 高濱 賛
トランプ氏、改めて最高裁判事候補に支持を表明
米首都ワシントンの連邦議会議事堂で行われた上院司法委員会の公聴会に出席した、告発者のクリスティン・ブレイジー・フォード氏(左)とブレット・カバノー最高裁判事候補(右、いずれも2018年9月27日撮影)。(c)SAUL LOEB / POOL / AFP〔AFPBB News〕

米国を席巻するカバノー錯乱シンドローム
 今、米メディアは、ドナルド・トランプ大統領が最高裁判所判事に指名したブレット・カバノー・連邦控訴裁判所判事(53)の性的暴行疑惑報道以外眼中にはない状態が続いている。

 トランプ大統領は、2回目の米朝首脳会談に強い意欲を見せている。しかし、米メディアは上の空だ。大げさな言い方をすれば、「米朝関係」なんかに関心はないのだ。

 「Kavanaugh Deangement Syndrome」(カバノー錯乱シンドローム)という新語が生まれている。

 カバノー氏の性的暴行疑惑によって3権(司法、立法、行政)が入り乱れて大混乱に陥っている症候群を指すのだが、その3権に今や「第4の権力」とされるメディアが加わている。

 ことの発端をこと細かく説明する必要はないかもしれない。

 トランプ大統領が退官した中道派のアントニー・ケネディア最高裁判事の後任に保守派のカバノー氏を指名。これまで保守派とリベラル派が拮抗していた最高裁を一気に保守化させようというのが狙いだった。

 同氏が判事に就任するには上院司法委を経て本会議での可決による承認が必要だ。

 ところが上院司法委員会が審議している最中、カバノー氏が高校生だった1983年にパーティで知り合った女子高校生をレイプしようとしたという疑惑が急浮上した。

 告発したのは、クリスティーン・ブラジー・フォード氏(51)。現在サンフランシスコ近郊のパロアルト大学教授(心理学)だ。

 職業に貴賤の差はないとはいえ、クレディビリティ(信用度)では、トランプ大統領と不倫関係にあり2016年大統領選挙直前に口止め料を受け取ったポルノ女優のスートーミー・ダニエルズ氏とは比較にならないほど高い。

 そのダニエルズ氏の大統領との親密な関係を赤裸々に描いた新著『Full Discloser(全面公開)』*が10月3日に発売された。信用度はともかくとして全米は新たなショックを受けている。

*本書については『前代未聞、全世界に知れ渡った米大統領の下半身』(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54158)を参照。

少なくとも1100万人が上院司法委員会聴聞会を視聴
 「カバノー錯乱シンドローム」は米メディアを直撃した。直撃したと言うよりもメディアが主導してシンドロームの拡大を図っていると言った方が正確かもしれない。

 上院司法委員会はカバノー氏とフォード氏を9月27日召喚し、午前中はフォード氏、午後はカバノー氏を証人喚問した。

 2人は直接対決はしていない。この模様はニュース専門のケーブル3局で実況中継され、1100万人(25歳から54歳までの成人)が視聴した。

 実際には25歳以下の若者や55歳以上の中高年層も見ていただろうし、SNSでテレビ映像を見ていた人もいる。実際の視聴者数は1100万人どころではないだろう。

 9月27日以降、テレビ、ラジオはもとより新聞、雑誌も「カバノー錯乱シンドローム」一色。

 トランプ政権の重要ポストに次々と人材を送り込んできた親トランプの保守系テレビ局フォックス・ニュースをはじめ、ブライトバート・ニュースなど保守派メディアやウエブサイトはカバノー氏を100%支持。

 一方、トランプ政権に批判的なMSNBCやCNNはフォード氏の肩を持つ報道を展開している。

 そうした中で3大ネットワークのABC、NBC、 CBSや主流メディアのニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストは、カバノー氏の周辺取材にしのぎを削っている。

視聴率ではフォックス・ニュースが断トツでリード
 前述の各局の中継ではフォックス・ニュースが569万人と断トツ、ついでMSNBC(289万人)、CNN(252万人)となっている。

 特にカバノー氏が証言に立った午後ではフォックス・ニュースは700万人とCNNの3倍近い視聴者を獲得している。

 ワシントンの政界通はこう解説している。

 「フォックス・ニュースを見る保守的な白人高齢者を入れるとCNNとの差はもっと広がっているはず。大半はカバノー氏の証言を聞き、同氏に好意的なコメンティーターのコメントを聞きたがっていたということだろう」

 通常でも視聴率競争では常にフォックス・ニュースがリードしている。

 政治評論家兼コメンテーターのショーン・ハナティ氏や作家兼コメンテーターのビル・オライリー氏といった花形キャスターが視聴率競争でトップ争いを続け、これがフォックス・ニュースが断トツの視聴率を獲得する原動力になっている。

 ニュース専門テレビ局にはフォックス・ニュースのほか、中道派のCNN(トランプ氏は大統領選中はCNNを「ヒラリー・クリントンの専門局」と呼び、大統領就任後は「わが敵」とまで敵視している)、リベラル派のMSNBCがある。

 MSNBCのレイチェル・メドゥ氏(女性コメンティター)のトランプ批判は反トランプ派の人たちに大受けだ。

 「カバノー錯乱シンドローム」報道ではフォックス・ニュースはカバナー氏支持、CNNとMSNBCはフォード氏支持、の感が強い。

保守系テレビとウエブサイトの関係を暴いた「学術書」
 こうしたケーブルテレビ局がどのように取材し、編集し、報道しているのかを膨大なデータを収集し、コンピュータ―分析した学術論文が1冊の本として出版された。

 「Network Propaganda: Manipulatin, Disinformation, and Radicalization in American Politics(ネットワーク・プロパガンダ:米政治におけるごまかし、偽情報、そして尖鋭化)」

 著者はハーバード大学のヨチャイ・ベンクラー教授と2人の同僚研究者だ。

 イスラエルのテルアビブ大学を経てハーバード法科大学院でITに関する法律や産業情報経済を専攻してきた。現在同大学院の「起業・社会問題研究所」の共同所長を務めている。

 調査対象はニュース専用ケーブル局3局のほか、インターネットでニュースを送っているNSNウエブサイト。数百万件の記事を精査している。

Network Propaganda: Manipulation, Disinformation, and Radicalization in American Politics By Yochai Benkler, Robert Faris, and Hal Roberts Oxford University Press, 2018
 調査時期は、事実上の大統領選が始まった2015年春頃からトランプ政権が発足した2017年1月まで。

 その間にテレビ局が大統領選キャンペーンに関してどのようなニュースを流してきたかを徹底調査している。

 著者は以下のような結論を出している。

 「フォックス・ニュースやブライトバート・ニュース、ウエスタン・ジャーナル、ディリー・コーラーズといった保守派メディアの報道姿勢や報道方法は、中道派やリベラル派、左翼のメディアに比べると、際立った違がいある」

 「それは両者のエコシステム(環境生態系)の違いだ(ここでいうエコシステムとは、報道方針やスタンス、手法などを意味している)」

 「保守系メディアのエコシステムとは、極右ウエブサイトが取り上げた特定のニュースをその信憑性がチェックされることなく、一般的に認知されているフォックス・ニュースなどに提供されそのまま報道される、というものだ」

 「そのニュースが事実に反するかどうか、それをチェックする機能が保守派、特に極右派のメディアにはない。それが慢性化している」

 「中道派メディアはもちろん、リベラル派メディアでもニュースの信憑性をチェックする機能が備わっている」

「クリントン元大統領はロリコンだった」
 著者は、保守系メディアとリベラル派メディアのエコシステムの違いを実例を挙げて記述している。

 1つは保守系サイトの「InfoWar」*が流したビル・クリントン元大統領が「ロリコン(ロリータ・コンプレックス=幼女・少女への性的嗜好や恋愛感情を持つ人間)」だというニュースだ。2016年の米大統領選の最中に報じられた。

*「InfoWar」は保守派ラジオ・パーソナリティのアレックス・ジョーンズ氏が主宰するサイトで、月間アクセス数は1000万。

 記事の内容は、クリントン氏は億万長者の招待でカリブ海にある島の施設に頻繁に通って幼い少女たちを相手にセックスに興じていたというもの。実際には全く根も葉もないデマ情報だった。

 この記事がサイトに載るや、その直後、フォックス・ニュースは、米領バージン諸島のセントジェームズ島の地図を載せて、「この孤島にクリントン氏はしげしげと通っている」*と報じている。

*「Flight logs show Bill Clinton flew on sex offender's jet much more than previously known," Malia Zimmeman, Fox News, 7/6/2016」(https://www.foxnews.com/us/flight-logs-show-bill-clinton-flew-on-sex-offenders-jet-much-more-than-previously-known

「トランプ強姦13件」容疑をリベラル派メディアは無視
 これに対してリベラル派メディアはデマ情報には慎重だった、

 その実例は、フェイスブックに5回も載ったトランプ氏のレイプ報道をリベラル派中道メディアが一切無視したケースだ。

 これは「トランプ氏が1994年の1年間に13人の女性に対して性的暴行を加え、2010年告訴されている」というフェイスブックに載った記事だ。

 ニューヨーク・タイムズをはじめ主流派メディアは事実関係を徹底的に取材したが、結局それを裏づける証拠は見つからず、報道を差し控えた。

 著者はフォックス・ニュースのエコシステムについてこう結論づけている。

 「フォックス・ニュースは、報道したニュースが事実か誤報かを問うよりも、報道した記者たちを徹底的に守ること、報道した事実が誤報でないことを主張すること、誤報だという者を攻撃すること、自らの記者たちに対する部外者からの脅迫に反駁することを信条としている」

 その信条は米国という国があくまでも民主主義と市場経済主義を基軸としたキャピタリズム国家であり、それを守り抜くのがフォックス・ニュースだという「政治哲学」に基づいている、と著者は分析している。

 海外からは、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストといったリベラル中道派のメディアを通して米国という社会を見る機会が多い。

 だが、実際には保守派、極右のメディアやサイトは数え切れないほど存在している。

 「The New Revere」*というウエブサイトは、トップ100の保守派ウェブサイトのリストを公表している。

 これらサイトがトランプ氏を大統領に押し上げ、トランプ政権を支える原動力になっていると言える。

https://thenewrevere.com/2018/09/top-100-conservative-websites-in-september-2018/

 ちなみに、フォックス・ニュースがトランプ当選にどれほど貢献したかを示すデータがある。

 超党派の世論調査機関「Pew Research Center」によれば、2016年大統領選投票日の11月8日前に米有権者でトランプ氏に投票した人たちの40%とはフォックス・ニュースの選挙報道を参考にしたと答えている。

 フォックス・ニュースを参考にしてクリントン氏に票を投じた人たちは8%にすぎなかった。

https://www.politico.com/blogs/on-media/2017/01/study-fox-news-is-no-1-news-source-for-trump-voters-233773

ネット革命に乗じた極右の「プロパガンダ」
 著者は、1970年以降、新技術革命はインターネットを生み落とし、米政治の場ではこれまで受け継がれてきた政治文化に強烈なインパクトを与えてきた点に着目している。

 著者は、そうした状況の中で急速に力を強めてきた保守派メディアの危険性を指摘している。

 「インターネットと現実の政治は相互に作用し合いながら、そのダイナミズムは中道保守派やそれに属する政治家たちを無用化(Marginaized)させ、保守派メディアを尖鋭化(Radicalized)させ、メディア報道に影響を受けやすい有権者を洗脳し続けた」

 「大統領選ではトランプ候補の対抗馬だったクリントン候補にとって不利なフェイクニュースをまことしやかに共謀する形で流し、有権者に信じ込ませようとした」

 「『ネットワーク・プロパガンダ』である。その間を縫って入り込んだのがロシアによる介入だった」

 本書を読み解いていくと、トランプ政権誕生にまつわる「ロシアゲート疑惑」がなぜ起こったのか、ロシアだけでなく、中国やその他の国がハッカーやブット(知的エージェント)を使って選挙キャンペーンにちょっかいを出していた実態が見えてくる。

 ただ著者は、2016年米大統領選へのロシアの介入については、「その介入が選挙の結果にそれほど大きなインパクトを与えたとは信じがたい」と結論づけている。

 本書を読んでもう1つ学んだのは、現在進行中の「カバノー錯乱シンドローム」報道でも保守派、特に背後で蠢く極右、(むろん、それに対抗するリベラル派、特に極左の動向もだが)の動向に目が離せないということだ。

 果たして日本のメディア、サイトには同じようなエコシステムは皆無なのだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54297
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/196.html

[国際24] ケネディーはクスリ漬け、スターリンは妄想症、毛沢東は… 『主治医だけが知る権力者 : 病、ストレス、薬物依存と権力の闇』
2018年10月5日 仲野 徹 :HONZ
ケネディーはクスリ漬け、スターリンは妄想症、毛沢東は…
『主治医だけが知る権力者 : 病、ストレス、薬物依存と権力の闇』
昔の医療器具
写真はイメージです Photo:PIXTA
権力者の主治医には
医術以外に相当な技量が要求される『主治医だけが知る権力者 : 病、ストレス、薬物依存と権力の闇』書影
『主治医だけが知る権力者 : 病、ストレス、薬物依存と権力の闇』 タニア・クラスニアンスキ著 川口明百美翻訳 原書房 2400円+税
 本書『主治医だけが知る権力者 : 病、ストレス、薬物依存と権力の闇』は国家元首の主治医たちをめぐるノンフィクションである。もちろん、主治医についてだけでなく、元首たちの病気や性癖、投薬についても詳しく描かれている。登場する元首たちは並みの権力者ではない。ヒトラー、チャーチル、ペタン、フランコ、ムッソリーニ、ケネディー、スターリン、毛沢東。それぞれの身体状況とそれに対する治療が政治に大きな影響を与えていた。そして、主治医たちは大きな役割を担っていたのである。

 文字通り、元首の主治医は裸の権力者を見続ける。そのためには、まず元首に気に入られなければならない。その上、お気に召すような治療をしなければならない。一方で、気にそまぬアドバイスをしなければならないこともあれば、病状をひた隠しにせねばならないこともある。権力者の主治医には、医術以外に相当な技量が要求される。

 主治医によっては虎の威を借りて権力をふるおうとする者もいる。たとえそのようなことがなくとも、周囲からの圧力は強烈だ。権力者の側近たちからウソつきと呼ばれ、無能と蔑まれ、当然のように嫌われていく。最後には権力者本人にも疎まれ、嫌われ、捨てられてしまうこともある。どうにも割にあわない仕事である。しかし、権力者に任命されたら断るわけにはいかない。断ればすべてを失うどころか、時には死を招きかねないのだから。

ヒトラーの主治医は
「魔術師」「帝国注射マイスター」
 ヒトラーの主治医は、「魔術師」とも「帝国注射マイスター」ともあだ名された男、テオドール・モレルだった。身長が1メートル70センチで体重が110キロ、ヒトラーが愛するアーリア人とかけはなれた容姿であっただけでなく、不潔で吐き気を催すほどの体臭を放っていたという。しかし、ヒトラーはこの男を気に入っていた。

 常に「病気になどなっている暇はない」と語っていたヒトラーであるが、戦況が悪化するにつれ、次第にうつ状態になっていく。はたしてどのような病気であったのか、実際にどの薬剤がどれくらい処方されたのかについては、噂は山ほどあるけれど、よくわかっていない。

 ただ、モレルが、麻薬系の薬剤や、日本ではヒロポンという名で広く使われた覚醒剤であるメタンフェタミン、ステロイドなどを処方していたことは間違いない。注射と薬の量が多すぎるのではないかと問われたモレルは「要求された量を差し上げているのです」と答えた。そうでないと、ヒトラーのような独裁者の主治医は務まらない。

 モレルはヒトラーについて何も書き残さなかったが、ウィンストン・チャーチルの主治医であったモーラン卿は、チャーチルが亡くなった翌年に『チャーチル−生存の闘い』でたくさんの秘密を明らかにしている。家族以外誰も知らなかったのだが、チャーチルはうつ状態であることが多く、それが政治的な決定に影響をおよぼしたであろうという内容も曝露した。

 死後とはいえ、このようなことが公にされるのはいかがなものかという気がする。しかし、「英米法寄りの説明では、表現の自由と歴史的議論における公共の利益という点では、守秘義務に従わずともよい」そうだ。確かに、病気と投薬によって政治的決定が影響をうけるとなると、国民はそれを知る権利があるのかもしれない。

 第二次世界大戦中のフランス・ヴィシー政権の首相であったペタンと、スペインの独裁者であったフランコの主治医は、ともに親子ほども年の差がある若さであった。二人の例は、親子のような愛情と献身的な治療が必ずしも望ましい結果をもたらさないことを示している。

 モレルはヒトラーに依頼され、ベニート・ムッソリーニの主治医にザカリエを選んだ。晩年は不健康の塊であったとされるムッソリーニだが、ザカリエによる食事療法を中心とした治療方針は十分な健康をもたらしていた。ある種の情報操作がなされていたのだ。ザカリエは、ムッソリーニにとって生涯唯一の気を許した友人でもあったが、それは二年に満たない期間でしかなかった。よく知られているように、ムッソリーニはパルチザンに捕らえられて愛人と銃殺されてしまったのだから。

ケネディーが健康だと
豪語していた医師団は大ウソつき
 ここまで5人の権力者と主治医の話でもかなりなのだが、圧巻は残る三名、ジョン・F・ケネディー、ヨシフ・スターリン、そして毛沢東である。

 よく知られていることだが、ケネディーはアジソン病(副腎皮質機能低下症)であり、副腎皮質ホルモンによる治療をうけ、おそらくはその副作用による精神症状に悩まされていた。それだけでなく、背中の痛みのために鎮痛剤を常用しなければならなかったし、性病のひとつである非淋菌性尿道炎にもかかっていた。健康だと豪語していた医師団は大ウソつきである。

 リチャード・ニクソン相手の大統領選挙運動に疲れたケネディーの前に、覚醒剤の一種であるアンフェタミン使いの名手であるマックス・ジェイコブソンがあらわれる。そして、選挙戦の流れを大きく変えたといわれるテレビ討論会の直前にアンフェタミンを注射した。それを機会に、ジェイコブソン、またの名を「ドクター・フィールグッド」はケネディー大統領の医師となる。

 あのトルーマン・カポーティもジェイコブソンの患者で、治療をうけると「スーパーマンになったような気分」になったと書き残している。ただ、ジェイコブソンは患者にクスリの内容を伝えなかったし、当時の米国ではアンフェタミンの依存性があまり問題にはされていなかった。

 核戦争の危機が極大になったキューバ侵攻の頃、ケネディーは一日に何度も注射しなければ元気を保てなかった。その薬剤がいったい何だったかはわかっていない。もし暗殺されなかったら、ケネディーのこのような状況は生前に暴露されていたのだろうか。ちなみにジェイコブソンに関するFBI資料は未公開で、入手できるのは13ページのうち4ページだけだという。

パラノイア(妄想症)だった
スターリン、毛沢東
 迫害妄想にとらわれていて、親戚であろうが容赦なく粛正するような独裁者、ヨシフ・スターリンを診察するのは命がけだ。スターリンをパラノイア(妄想症)と診断した精神科医はその診断後24時間で怪死しているし、前任の主治医も逮捕されている。これらのことを知っていた主治医、ウラジーミル・ヴィノグラードフが慎重であったのは当然である。

 しかし、動脈硬化が重症になってきたために節制が必要であるとの注意勧告をおこなわざるをえなくなる。おそらくそれが、医者嫌いであったスターリンの怒りを招いたのだろう。でっちあげられた罪により投獄され拷問をうける。それぐらいで済んでよかった、殺されなくてよかったとほっとするくらいにスターリンは冷酷であった。

 毛沢東はもっとすごい。清潔観念に乏しくシャワーも浴びず風呂にも入らず悪臭をふりまいていた。性病に罹っていたにもかかわらず、国中から集めた若い女性達と性行為をおこないまくった。さらには、スターリンと同じくパラノイアであった。信じられないような話だが、これらのことは、主治医であった李志綏(り・しすい)によって、毛の死後に詳しく書き記されている。

 この本に書かれているのは、主治医によってその病気や性癖が暴露されれば一気に失脚し、世界を混乱に陥れかねないような権力者ばかりである。我々が思っている以上に、世界というのは、権力者の病気という危ういガケの上に心許なく立っているようだ。


(HONZ 仲野 徹)
https://diamond.jp/articles/-/181346
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/197.html

[経世済民128] 仕事の自動化が進むとより重要性を増す3つの職種 日本企業のオープンイノベーションに 欠けているもの 『ジョブ理論』とは?
仕事の自動化が進むとより重要性を増す3つの職種
ジョン・ヘーゲル3世:シリコンバレーにある研究所、デロイト・センター・フォー・ジ・エッジの創設者兼会長。
2018年10月5日
テクノロジーの進化にともない、機械による仕事の自動化が進むことは間違いない。機械に取って代わられる仕事もあるが、その一方で、ますます重要性を増すであろう3つの職務分野があると、シリコンバレーの識者ジョン・ヘーゲル3世は言う。

 テクノロジーが経済を変容させていく中、ますます注目を浴びるトレンドがある。我々人間がこなしている仕事を、テクノロジーがいっそう自動化していくだろうという予測だ。
 そのリスクにさらされているのは、高い技術を必要としない肉体労働だけではない。運用分析やマーケティングなどの「知識」労働も、高度な人工知能アルゴリズムに取って代わられつつある。

 その一方で、別の変化も生じている。仕事の人間的側面がより重要になるような変化だ。
 たしかにテクノロジーは、大勢の労働者のルーチン業務を奪っているが、それと同時に、グローバル市場を動かす多くの需給動向も変化させている。この後者の変化によって、自動化による仕事の消滅を防ぐことができるのだ。
 ただし、仕事の性質は変わることになる。

テクノロジーによる市場の再編

 需要側では、テクノロジーは消費者に、かつてないほどの力を与えている。消費者は利用できる選択肢について膨大な情報を持ち、ニーズが満たされなければ、いとも簡単に供給業者を乗り換えることができる。また、多くの人は要求が高くなっている。特定のニーズや状況に合わせたニッチな商品を探すことがはるかに容易となり、標準的な大衆市場向けの商品で我慢しようという気がなくなっているのだ。

 供給側にとってのさらなる課題は、人々が所有モデルから従量課金モデルに移行しつつあることだ。利用状況を監視する技術によって、製品やサービスを実際に使った分だけお金を払うことが可能となったためである。

 たとえば、いくつかの保険会社は自動車の診断ポートに小さな無線デバイスを接続し、走行距離に基づいた保険料の支払いを可能にしている。このため、たまにしか車に乗らない人は、もっとひんぱんに車を利用する人々の保険料を賄うことなく、手頃な価格でフルカバーの保険をかけることができる。人々は、形ある製品への出費を減らす半面、人生を豊かにしてくれる有意義な体験に目を向け、お金を投じる傾向が高くなっている。

 広告ブロック機能のようなテクノロジーを使って、広告の洪水を避けている人も多い。したがって、企業は注意を引くために消費者に介入するのではなく、消費者が探し求めたくなるほどの充実した価値とサポートを提供する必要がある。

 たとえば、ある調査によると、米国のインターネット利用者のうち広告ブロック機能を使っている人の数は、2014年から2018年の間にほぼ倍増し、利用者全体の3分の1近くに達している。広告ブロック機能の利用は、もっと根本的なトレンドを示す1つの兆候だ。それは、企業に限らずあらゆる機関に対する、信頼の低下である。機関は自分にとって有益ではない、と考える人が増えているのだ。

 供給側では、概してテクノロジーは製品オプションの拡大と、製品ライフサイクルの短縮に寄与している。
 積層造形(3Dプリンティング)のような技術により、小規模なオーダーメード製品の製造が容易になることが多い。大がかりな製造施設をいまだに必要とする製品の場合でも、小さな供給業者は大規模な委託製造業者と容易に連携し、製造活動を遠隔で調整することができる。

 さらに、新製品の選択肢が急激に広がり、消費者が入手できる情報が増えたことも、製品ライフサイクルの短縮につながっている。新製品がより迅速に市場に投入され、従来の成功している製品に挑むからだ。

 その結果、何が起きているのだろう。ますます多くの市場において、標準化された大衆市場向けの製品・サービスは、高度にカスタマイズされた創造的な製品・サービスへと急速に取って代わられようとしている。

 消費者とは、見分けのつかない「顧客」という一群ではなく、進化する個々のニーズを持った1人ひとりの人間であり、それらのニーズを理解して対応できるかが、自社の成否を左右する――この事実を、供給側はますます意識させられているのだ。消費者を広告で邪魔するのではなく、その高い有益性が口コミとなり、消費者から求められるような企業にならなければならない。

仕事はどう変わるのか

 この結果、仕事の性質は2つの面で大幅に変化すると思われる。
 第1に、標準化された、大衆市場向け製品の世界における仕事を特徴づけるルーチン業務は、ますます機械に取って代わられるだろう。
 第2に、より差別化されて急速な変化を続ける製品の世界で、価値を生み出す唯一の方法は、根本的なレベルで仕事を再定義することである。つまり、好奇心、想像力、創造性、感情的知性、社会的知性といった、人間特有の能力に重点を置いて職務設計をするということだ。

 激しく変化する経済では、一般に、3つの仕事分野がいっそう重要になるだろう。

 第1に、「クリエイター」の仕事が増えてくる。クリエイターとは、個々の消費者の急速に進化するニーズを予測し、創造的かつ高度にカスタマイズした製品・サービスを設計して、提供できる人材だ。いろいろな意味で、いまビールやチョコレートの分野ですでに起きているような、クラフト・ビジネスの復活を目にすることになる。これにより、たとえば木工や編み物などの趣味を生かし、より深く継続的に顧客とつながって生計を立てる人々が増えるだろう。

 第2に、「コンポーザー」の仕事の分野が増えるだろう。これは、ニッチな顧客の願望とニーズを熟知し、彼らにとって魅力的かつ実り多い一連の体験を「組み立てる」という仕事だ。顧客の興味が形ある製品の所有から、意義深く記憶に残る体験の探求へと移るにつれ、この分野は成長し、ますますやりがいのある仕事になるだろう。
 こうした体験は、アートギャラリーや近所の庭をめぐるツアーから、他者とより豊かに深くつながるための交流体験まで、多岐にわたる。たとえば木工職人なら、同業者を集め、経験を共有し、互いに刺激し合うことができるだろう。

 最後に、3つ目の重要な分野となるのは「コーチ」の仕事である。これは、さまざまな領域で顧客が潜在能力を発揮できるように、手助けする仕事だ。現在、初期の兆候として見られるのは、顧客の健康維持と身体能力の向上をサポートする「健康コーチ」の増加だ。
 人々が潜在能力をより発揮したいと望むようになるにつれて、多様な分野でますます大勢のコーチを目にするようになるだろう。たとえば、デートや人間関係、旅行、娯楽、金融、生涯学習などだ。ガーデニングや、服装やメークによるクリエイティブな自己表現を手助けするコーチングも必要とされるかもしれない。

 その結果、何が起こるだろうか。今日の多くの仕事を特徴づけるルーチン業務を、人間が行う機会は減り続けるだろう。その理由の1つとして、機械は人間よりもはるかに優秀にルーチン業務をこなせることが挙げられる。
 しかし、より説得力のある理由は、一般的に顧客の要求がますます高まりニーズが変わる中、ルーチン業務は、企業に求められる価値創造に段々とそぐわなくなるからだ。仕事の重点は、機械には真似が難しい、より人間的な能力を問われる活動へと移っていくだろう。

 実際、我々人間のニーズは尽きることを知らない。食住の最も基本的なニーズが満たされるや否や、人はより高い目標を設定するのが通常であり、人間としての潜在能力をより多く発揮する方法を探し始める。
 ここに、素晴らしい真実がある。人間としての潜在能力をもっと発揮したいというニーズこそまさに、人間にさらなる潜在能力を発揮させる形での仕事の進化を促す力となりえるのだ。今後現れるそうした新しい仕事では、大学の学位は必要ないかもしれない。しかし、他者とより豊かで意義深い方法でつながる情熱と願望が問われるだろう。

 この変化は間違いなく、困難を伴う。私たちは、仕事やビジネスに関する、最も根本的な前提を疑ってみなければならない。たとえば、企業は従業員をコストと捉えるのではなく、拡大し続ける価値を生み出せる資産と見なす必要がある。現行の効率重視の姿勢を見直し、急速に変化する顧客ニーズに対応するために学習を重視するという姿勢を、歓迎する必要もある。
 要するに、テクノロジーによって、こうした課題に取り組む人々が報われる市場原理が広がり、それを無視する人々は主流から外れることになるのだ。
 そして、テクノロジーは人間から仕事を奪い、人間性を押し潰すどころか、さらなる潜在能力を発揮できる仕事や活動に目を向けるチャンスを与えてくれる。これほど素晴らしいサービスは、ないだろう。

HBR.ORG原文:3 Kinds of Jobs That Will Thrive as Automation Advances, August 21, 2018.
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ジョン・ヘーゲル3世(John Hagel III)
シリコンバレーにある研究所、デロイト・センター・フォー・ジ・エッジの創設者兼会長。シリコンバレーに長らく在住し、著述家としても活躍。ジョン・シーリー・ブラウンおよびラング・デイブソンとの共著『「PULL」の哲学』(主婦の友社、2011年)など、7冊の著書がある。

http://www.dhbr.net/articles/-/5542


日本企業のオープンイノベーションに
欠けているもの
諏訪光洋:ロフトワーク代表取締役社長
2018年10月5日
連載初回では、BMWの事例を取り上げながら、オープンイノベーションにおけるコミュニティがもたらす効果について触れた。コミュニティの具体的な構築、運営方法に入る前に、今回はオープンイノベーションを成功に導くために最も必要な考えである「欠乏しているリソース」のとらえ方について考えてみたい。そこには日本の大企業でオープンイノベーションが上手くいかない理由が隠されている。アップルによるスマートウオッチの事例を交えながら考察しよう。

 オープンイノベーションは難しい。一度でもそのプロジェクトを任された人であれば、その設計から運営まで、思い通りに進まなかったことばかりが頭に浮かぶことだろう。さまざまな方法論を見たり、他社との交流を図ってみたりしても、思うような成果が出ない……なぜ、うまくいかないのか。原因の一つは、「オープンイノベーションのそもそも論」が欠けているせいだ。まずは「コミュニティファーストの戦略論」を話す前に、この点について整理しておきたい。

 日本企業のよくある問題として、新規事業をあまりにも「大きな市場」から考え過ぎてしまうことが挙げられる。大企業で散見されるのは、最低でも数百億円規模のビジネスに成長させるロードマップを求められることだ。特に売上高1兆円を超えるような企業であれば、数十億円の規模への期待値では事業として認められない。既存事業の効率化や拡充で達成できてしまう数字のため、新規事業としてリスクをとりながら進める意義がなくなってしまうからだ。

 だからこそ、大きな市場を主語にした参入を検討する。例えば、60兆円超えの自動車ビジネスに参入したいから、自動車メーカーと一緒に新しいソフトウエア開発ができないかという発想になる。あるいは「10兆円の介護ビジネス」を対象にして、介護ロボットの実装などを考え始める。しかし、それは市場を古い携帯電話で撮影した画像のような、粗い解像度で捉えたにすぎない。新規事業を見つけるには、より鮮明な解像度で問題を捉え、現場の実態に寄り添う必要がある。肝心なことは、もっと小さなイシューから始めることだ。

 2000年以降に急成長した新規事業は「インターネット」を活用することが特徴に挙げられる。インターネットを通じてサービスをアップデートすることが可能であり、他の企業やサービスと連携しやすくすることで、グローバル市場への進出が容易となった。さらに、関係する企業、サービス間で相互にデータの受け渡しができる点も有用に働く。

 こうした環境下では、つい大きな市場をターゲットにしたビジネスを設計しがちだが、世界を動かしてきた事業は、たった1つの技術や小さな仕組みからスタートすることがほとんどである。「小さく、面白く、意義あること」が基点となり、その基点が他社を巻き込んで拡大していく過程で、新規市場そのものが大きく、強くなっていく。これは後述するが、Apple Watch(アップルウオッチ)などのスマートウオッチ市場も1兆円規模に届こうかとしているが、それは小さな問題解決から始まったエコシステムが巨大化したからこその成果なのである。

 10兆円の介護ビジネス市場に展開できるアイデアがあったとしても、まずは「50億円規模の高齢者見守りカメラ市場」のシェアを完璧に押さえる問題解決を設計することが重要だ。その小さな領域での圧倒的な競争力が、グローバルなパートナーとの関係を生み、思いもよらない技術との連携を成立させる。10兆円の市場を見据えるには、こうした周囲の動きを導き出せるイシューをつくれるかどうかにかかっている。

「欠乏」を見つけられなかった
日本企業
 イシューの発見と解決につながるイノベーションを起こすためには、大きく2つの要素が必要になる。ヨーゼフ・シュンペーターが定義した「新結合」の発想と、それをつなげる実際の活動だ。オープンイノベーションを企業が実践する動機を端的に言えば、イノベーションを発生させるリソースが社内に不足しており、社外にその「出会い」を求める必要があるからだろう。新結合と活動を一挙に起こそうというわけだが、実は多くの企業において、ある観点の検証が足りていない。

 それは「自分たちに欠乏している能力の見つけ方」である。

 例え話を1つしよう。あなたは原始時代に荒野を1人で生きている。すると、自分の足の速さも強みもわからない。もし、5人のチームになれれば、相対的に「自分の優れている能力」や「欠けている能力」にも気付けるようになる。一方で、あなたのいるチームにとって「不足している部分」も、他のチームと比べることで浮き上がってくる。つまり、欠乏している能力や不足しているリソースというのは、外部との比較によって発見できるのだ。この「欠乏」をオープンイノベーションによって補い合うことで、お互いにとってメリットのある取り組みが成立していく……というのが、全ての前提となるのである。

 欠乏を見つけられなかった痛手を、日本企業はすでに知っているはずだ。2000年代前半、日本の大企業は世界のIT革命から取り残され始め、イノベーションと活力を失っていく。しかし、多くの日本企業の重役からは「すでに優秀な人材は社内にいる。素晴らしいプロダクトも生み出せるはずだ」と、私自身も何度となく聞かされていた。

 時は、アップルの絶頂期が近づきつつあった。ソニーが誇っていた携帯型音楽プレーヤーの市場に、スティーブ・ジョブズはiPod(アイポッド)をぶつける。音楽の権利を持っているレコード会社、ダウンロードと管理を行うiTunesというソフトウエア、独自の著作権管理システムがひも付く「垂直統合」は一気に市場を席巻。日本企業にも「垂直統合モデル」への夢を見させた。それは同時に、自社あるいは自社グループへの「閉じた」モデルへの志向を生み、前述のような自社内の才能や技術への過信も深めていった。

 特にインターネットにまつわるオープンな技術やUX(顧客体験)デザインを、多くの日本のエンジニアや経営者は重要視せず、社内への導入に失敗した。ある大手企業から聞いた「たかがWebですから」という言葉も、私の耳には残っている。現在、「たかが」と言われたWebテクノロジーが、この20年間のイノベーションにおいて果たした役割を否定できる人はいないだろう。グーグル、フェイスブック、あるいは時価総額として世界トップに輝いたアップル。あらゆる分野でのイノベーション、コードやリポジトリの管理、クラウドベースのワークスタイルなども含めれば、この20年間でWebテクノロジーと「無関係な」急成長企業を見つけることは、ほとんど不可能といえるほどだ。

 2000年代前半における日本企業の多くに、Webの知見を持つエンジニアやデザイナー、あるいはその未来を感じることができる人材は、明らかに欠乏していた。そして、その欠乏がどれだけ致命的な遅れをもたらすかを把握していなかった。後になってみると理解はできるが、多くの場合で「何が不足しているか」は、その組織だけを見ていると把握しづらいものである。現在、日本企業の経営層がオープンイノベーションの必要性を把握し、「自前主義」からかじを切りつつある背景には、この致命的な遅れへの反動もあるといえるだろう。

対話から生まれた
アップルウオッチのエコシステム
 欠乏への向き合い方によって、オープンイノベーションはあっけなく失敗する。よくあるケースとしては、欠乏を埋めるためだけに安易なコラボレーションを仕掛けてしまうことだ。自社の持つリソースと親和性の弱い市場に、M&Aなどで参入しようとする例など、失敗例は多々ある。

 具体例な成功例に話を移そう。欠乏を埋め合うことで市場そのものを拡大していった例として、アップルウオッチの取り組みが参考になる。かつてはアイポッドの「垂直統合」で成功を収めた彼らも、アップルウオッチでは発売の10ヵ月前に商品の仕様や技術を公開した。結果的には、事業がオープンする段階で2000ほどのアプリケーションが出そろい、エルメスやナイキといったコラボレーション相手も得て、充実のデビューを飾ったのである。

 企業コラボレーションは、アップルにとって欠けていた分野を補う方法としてふさわしかった。高級嗜好品のジャンルでエルメスがベルトを制作し、スポーツのジャンルではナイキとのコラボレーションモデルを生んだ。ナイキにとっては、心拍数などの生体データが取れるウエアラブルデバイスの知見は、自社ビジネスにも直結するうま味がある。アップルが作り出したエコシステムに参画し、その規模が拡大していくことで、自社のビジネスも拡大させられる可能性があるのだ。

 アップルウオッチには製品発売よりも先んじて、商品仕様と技術のオープン化と得られるデータへの期待によるコミュニティがあった。あらゆる業界から参画した人々との対話を通して、アップルは自らの欠乏を発見し、その視点からプロダクトが生まれた。だからこそ、自社だけでは提供し切れない有益なアプローチが可能になった。アップルだけでは、デビューと同時に2000ものアプリケーションを用意することなど、不可能だったろう。また、資本提携などを経た構築済みの関係内における事業連携だけでは、自らの欠乏を見つけ出すには不十分で、予定調和に終わる可能性も高かったはずだ。

 このことからも学べるように、オープンイノベーションにおいて目標とすべきはコラボレーションそのものではなく、まずは10社や20社と参加してくれるようなコミュニティをつくることにある。それにより、多様な視点から欠乏に気付いていき、エコシステムが拡大していく。

 また、コミュニティでは、プロダクトを共同開発するよりも、それぞれが有機的につながりながらも、企業ごとにビジネスを作り上げていく方が良いだろう。エルメスならアップルウオッチのベルトを、ナイキならコラボレーションモデルやアプリケーションを売る。エコシステムの中でビジネスをつくることで全体の収益が上がり、その市場自体が拡大していくのだ。

 だからこそ、オープンイノベーション、そして私の提唱する「コミュニティファースト」が日本企業における新戦略となったとき、2000年代前半に止まってしまった時計の針が動きだすと信じている。

 アップルの例ではイメージがつきにくいようであれば、もっと個人的な体験に置き換えてみるとしよう。あなたはハッカソンに参加したことがあるだろうか? 少なくとも存在は知っているかもしれない。

 ハッカソンをかいつまんで言えば、ある一定のお題に対して、異なる強みを持つ数人から成るチームで、短期間で開発したアイデアやプロダクトを競うイベントである。前述した「原始時代の例え話」と図式は同じだ。ハッカソンに参加していると、チームあるいはあなた個人の「優れた能力/欠けている能力」に気付くことがある。そして、その気付きこそが大切なのだ。特に欠乏に気付いた瞬間に、あなたはこれまでの生活から想定できないリソースとの新たな関わりを、意識するようになるだろう。ハッカソンはオープンイノベーションのトレーニングとしても有用なのである。他にも、デザイン思考やワークショップなど、気付きのための手法は開発されてきている。

 本稿もまとめに入る。オープンイノベーションの成立には、当事者意識を伴うイシューを発見することが不可欠である。市場規模ありきではなく、周囲が関わりたくなるような問題解決からエコシステムをつくること。そして、そのイシューを適切に発見するうえでコミュニティは役に立つということである。

 次回から戦略的にコミュニティを運営し、いかにイノベーションの実践につなげるか。その方法について、紹介していく。 
http://www.dhbr.net/articles/-/5540

現代ビジネスマン必読の書、
『ジョブ理論』とは?
「イノベーションのジレンマ」の著者が提唱する新理論を学ぶ
松ヶ枝 優佳/2018.10.3

「イノベーションのジレンマ」で有名なハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・M・クリステンセン教授(以下、クリステンセン教授)が新たに提唱する「ジョブ理論」が語られた『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』(ハーパーコリンズ・ ジャパン、2017年8月)が反響を呼んでいる。これまでの著作はやや経営者向けの内容だったが、本作はマーケターを筆頭に「顧客から選ばれるサービスや製品を生み出したい」と願う多くのビジネスマンから注目されているのだ。
「データ至上主義」に陥りがちな従来のマーケティング手法に一石を投じる「ジョブ理論」のポイントを学んでいこう。
「イノベーションのジレンマ」とは
 ジョブ理論についての説明に入る前に、クリステンセン教授の代表作『イノベーションのジレンマ 増補改訂版』(翔泳社、2001年7月)で語られている理論について押さえておく必要がある。
 タイトルでもある「イノベーションのジレンマ」という理論は、成功した企業ほど市場を一変させる「破壊的技術」やそれによるイノベーション(破壊的イノベーション)が起こった際に対応することができず、イノベーション競争に失敗してしまう現象を指す。
 ある分野で成果を上げている優秀な企業は、顧客の声に耳を傾け、求められる価値を提供する仕組みが社内に出来上がっている。これにより、既存顧客の声に応えて既存技術を進化させる「持続的イノベーション」へは対応できるのだが、破壊的な技術によってもたらされる「破壊的イノベーション」には対応できない。
 というのも、破壊的技術は登場当初、既存の製品やサービスに比べて価格は低いが質も低い。それらが創造するのは、既に成功している企業からしてみれば既存顧客からは求められていない上に利益率も低い市場となるため、参入への魅力を感じづらいのだ。
 しかし、既存技術の進歩はある段階で市場の需要を上回ることがある。そうした中で登場した破壊的技術は、性能が低くともローエンド層を中心とした新たな顧客を着実に獲得していくし、いずれは性能面でも既存技術を上回ってしまう。真摯に顧客の要望に応えていたはずの既存企業はいつのまにか既存顧客まで奪われ、市場の勢力図が塗り替えられてしまうのだ。
図1:持続的イノベーションと破壊的イノベーションの影響(『イノベーションのジレンマ 増補改訂版』より)
 携帯電話市場やPC市場を「破壊」した(のちにスマートフォン市場を創造した)iPhoneの歴史を振り返ると、この「破壊的イノベーション」理論は理解しやすいだろう。しかし、この理論だけではイノベーションの生み出し方や市場の作り方、ヒット製品の予測方法を知ることはできない。それを可能にするのが今回の「ジョブ理論」なのだ。

「ジョブ理論」とは何か
「ジョブ理論」の最大の特徴は、人が製品やサービスを購入する(本理論ではプロダクトを“雇用する”と捉えている)のは「何らかの“ジョブ(用事、仕事)”を片づけたい」からだ、と捉える点にある。「何かを食べたい」等の漠然とした「ニーズ」とは異なり、「ジョブ」とは「ある特定の状況で顧客が成し遂げたい進歩」と定義されている。
「片づけるべきジョブ」を理解すれば、「バター対マーガリン」等の類似製品や業界に留まらない「真の競争相手」も見えてくる。次の例を見て欲しい。
 オフィスで働く喫煙者にとって、タバコは「ニコチンを摂取したい」という機能面と「リラックスしたい」という感情面のメリットだけでなく、「仕事に区切りを入れて喫煙所で仲間とくつろぐ」という社会面でのメリットも享受できる。こうした観点から見ると、仕事の合間にログインすることでリラックスし、ネットを介して友人達と雑談できるFacebookも、「タバコと同じジョブを巡り競い合っている」と言えるわけだ。
 ジョブ理論で重視されるのは「誰が」や「何を」ではなく「なぜ」を考えることだ。様々な知見を集め、それらが密接に絡み合ったストーリーを理解することで、数字やデータだけでは分からないイノベーションの種を見つけ出すことができる。
ジョブ理論がよく分かる「ミルクシェイク」の事例
 次に、有名な「ミルクシェイク」の事例を見てみよう。
 あるファーストフード・チェーンがミルクシェイクの売上げを伸ばすため、潜在的顧客のプロファイルに合致する層に対して値段や量、味等についてのアンケートを取り、その結果を基に様々な施策を行ったが、売上に変化はなかった。

 そこで今度は「来店客の生活に起きたどんなジョブ(用事、仕事)が、彼らを店に向かわせ、ミルクシェイクを“雇用”させたのか」という切り口で課題の解決を試みたのだ。
 その結果、ミルクシェイクは早朝「仕事先まで、長く退屈な運転をしなければならない」というジョブを抱える顧客、つまり通勤中の空腹を紛らわせたい顧客によく売れていることが分かった。なお、これらの客に人口統計学的な共通要素は見つからなかった。
 さらに、このジョブをより適切に片づけられるライバル製品はこれといって存在しないことも判明した。バナナだとすぐに食べ終えてしまうし、ドーナツではくずが落ちる上に手が汚れてしまうといった具合だ。ミルクシェイクなら飲み終えるのに20分ほどかかる上に、容器を車のカップホルダーにぴったり納めることができる。
 一方で、小さい子どもを持つ父親が「子どもにいい顔をして(ミルクシェイクを与えることで)やさしい父親の気分を味わう」というジョブも考えられる。この場合、ミルクシェイクの競争相手は玩具店に立ち寄ることや、子どもとキャッチボールをすること等となるだろう。
 通勤客のジョブに沿った施策として、より濃厚なミルクシェイクにしてフルーツやチョコレートを足すなど、できるだけ長い時間顧客を退屈させないための工夫ができる。一方、後者のジョブに対しては子どもでも飲みきりやすいハーフサイズを用意するなど、前者とは全く違ったアプローチが考えられる。
 2つのジョブは「ミルクシェイクを選ぶ」という結果こそ同じだが、そこに至る基準は全く異なり、それに対する施策も全く異なる。数字や顧客の属性にばかり固執していては、「最大公約数」的な製品やサービスしか生まれずイノベーションを起こすことはできない。

ジョブを見つける方法
 顧客のジョブを正確にとらえることができれば、イノベーション成功への道筋が開かれる。前掲の『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』では多くの事例を交えながら、従来のデータ分析のみでは見えてこない顧客のジョブや、その解決策を見出し、イノベーションを起こすためのヒントが書かれている。
 詳しくは本書を一読いただきたいのだが、ここではより実践的な内容として、第4章で述べられているジョブを見つける5つの方法の概要を紹介しておきたい。自身のビジネスに使えないか、考えながら読み進めてみていただけると幸いだ。
1.生活に身近なジョブを探す
市場調査に頼り切らず、自分の生活の中にある「片づけるべきジョブ」を探すことでイノベーションの種を見つけることができる。自分にとって重要なことは、他人にとっても重要なことである可能性が高いということだ。
2.無消費と競争する
「無消費」とはジョブを満たす解決策を見つけられず、何も雇用しないことを指す。自社製品も競合製品も“雇用”していない人々に着目することで目に見えない需要を見出し、可能性が無いと思われていた部分に新たな成長機会を生み出すことができる。
3.間に合わせの対処策
既存の商品やサービスでは満足に解決できず、顧客自身があれこれ工夫して自分なりに対処しているジョブも存在する。潜在的顧客がどのようにやりくりしているか、どういった状況で苦労しているのかを注意深く観察することでイノベーションの手がかりを見つけることができる。
4.できれば避けたいこと
できれば避けたいジョブである「ネガティブジョブ」は多い。例えば、仕事が立て込んでいる日の朝に子どもが喉を痛めてしまった場合の「できることなら医者には行きたくない」というネガティブジョブ。『ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』ではこれを解決するため、大手ドラッグストアチェーンの中に予約無しの患者を診察し、日常的な疾患に対する薬を処方する店舗を開設していったCVS[※1]ミニッツ・クリニックの例が紹介されている。
5.意外な使われ方
製品やサービスによっては、企業が想定したものとは異なる使われ方をされる場合もある。これを調べるのだ。例えば「パンを焼くための材料」として重曹を長らく販売してきたチャーチ&ドワイトは、消費者が掃除や洗濯等、様々な用途に重曹を使用していることに気がついた。これをもとに「浴室の水垢やカビを取り除きたい」といったジョブを片づけるための新製品を発表していき、大成功を収めた。
 本書では、的確なジョブを見つけるための顧客への質問方法や、イノベーションを起こせる組織づくりにも触れられている。従来のマーケティング手法に物足りなさや行き詰まりを感じているのであれば特に、本書が突破口を開く一助となるだろう。ぜひ熟読して、イノベーションを起こす足がかりを見つけて欲しい。
※1:CVSは米国のチェーン薬局

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54249

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/678.html

[国際24] 米国へのサイバー脅威示すとボルトン補佐官−中国チップハッキングで レノボ大幅下落 米中通商対立の恐怖、中国株は過剰に織込
米国へのサイバー脅威示すとボルトン補佐官−中国チップハッキングで
Toluse Olorunnipa、Billy House
2018年10月5日 9:27 JST
• 中国がマイクロチップを使ってハッキングとブルームバーグ報道
• 大統領が重視する攻撃的サイバー戦略の正しさ裏付け−ボルトン氏
ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は4日、中国による米国へのサイバー攻撃は、トランプ政権が重視する反撃も辞さないサイバー戦略の正しさを裏付けるものだと述べた。ブルームバーグ・ニュースは中国政府がマイクロチップを使って米国のコンピューターネットワークをハッキングしていたと報じた。
  ボルトン補佐官は記者団に、「具体的な機密情報の問題に触れるようなことには言及したくない」と話し、ブルームバーグが報じた中国のハッキングをホワイトハウスが以前から承知していたかどうかの確認を控えた。
 
  その一方で、「サイバー空間や情報技術(IT)分野でわれわれを脅かそうとする中国側の取り組みは、米国にとって対応優先順位が非常に高い。彼らへの反撃、中国がそうしようと考えることさえできないようにする抑止機能の構築は、大統領が承認した攻撃的なサイバー戦略につながるものだ」と指摘した。
原題:Chip Hack a Sign of Chinese Cyber Threats to U.S., Officials Say(抜粋)


 


 


中国、マイクロチップ使ってアマゾンやアップルにハッキング
Jordan Robertson、Michael Riley
2018年10月4日 18:06 JST
• ハッキング攻撃の対象は30社近く、ハードウエアにチップ埋め込み
• アマゾンとアップル、スーパーマイクロはハッキング攻撃否定

Photographer: Victor Prado / Marika Katanuma
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/imzyxM76hGjI/v0/800x-1.jpg

米アマゾン ・ドット・コムは2015年に、エレメンタル・テクノロジーズという新興企業の調査を始めた。今ではアマゾン・プライム・ビデオとして知られる動画ストリーミングサービスを拡大するため、買収することを検討していた。オレゴン州ポートランドを本拠とするエレメンタルは、動画ファイルを圧縮し、異なる機器向けにフォーマットするソフトウエアを作っていた。同社の技術は国際宇宙ステーションとの通信やドローンの映像を中央情報局(CIA)に送ることにも使われていたため、アマゾンの政府関連事業にも役立つと考えられた。
  CIAのために安全性の高いクラウドを構築していたアマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)が、デューデリジェンス(資産評価)の一環としてエレメンタルのセキュリティーを調査した。事情に詳しい関係者が述べた。気になる点が発見され、AWSはエレメンタルの主力製品を詳しく調べることにした。顧客企業が動画圧縮のためにネットワーク内に設置する高性能サーバーだ。これらのサーバーの組み立てをエレメンタルから請け負っていたのがスーパーマイクロ・コンピューターだった。同社はサーバー向けのマザーボードなどの供給で世界最大手の1社。関係者によると、エレメンタルの社員が2015年春の終わりに複数のサーバーを、サードパーティーのセキュリティー会社による検査のためカナダのオンタリオ州に送った。
  

ビジネスウィーク誌(2018年10月8日号)
Photographer: Victor Prado for Bloomberg Businessweek
  すると、サーバーのマザーボード上にコメ粒ほどの大きさのマイクロチップが組み込まれているのが見つかった。ボード本来の設計にはない部品だった。アマゾンが発見を米当局に報告すると、情報関係者の間に衝撃が走った。エレメンタルのサーバーは国防省のデータセンターやCIAのドローンシステム、海軍の艦船間のネットワークに使われていたからだ。しかも、エレメンタルはスーパーマイクロの数百社の顧客の1社にすぎない。
  最高機密の捜査が始まり、3年以上が過ぎた今も完了していないが、捜査官らは問題のチップが操作されたサーバーを含むいかなるネットワークにもアクセスすることを可能にするものだと結論付けた。事情に詳しい複数の関係者によれば、チップの埋め込みは中国の製造下請け会社の工場で成されていた。
  この攻撃は、今では珍しくないウイルスによる攻撃よりも深刻だ。ハードウエアを使ったハッキングは除去するのがより困難な上、被害がより甚大になる場合がある。長期的に密かに相手のネットワークにアクセスできる仕組みは、情報機関が巨額投資と何年をかけても手に入れたいものだ。
  スパイたちがコンピューター機器に変更を加える方法は2つある。1つは製造元から顧客に渡るまでの間に操作すること、もう1つは製造の最初の段階で埋め込むことだ。
  この2番目の方法で特に有利なのが中国だ。世界の携帯電話の75%、パソコンの90%が中国で製造されるているとの見積もりがある。ただ、操作を加えるには製品の設計について十分に理解している人間が工場に入り込んで行わなければならないし、その部品が世界の物流チェーンを通って目標の場所にたどりつかなければ意味がない。ハードウエアハッキングの専門家でグランド・アイデア・スタジオの創業者、ジョー・グランド氏は、国家政府レベルのハードウエアハッキングが成功するのはとても珍しいと述べた。
  しかしこれが、米国の捜査官が発見したことだった。当局者2人よると、チップは製造過程で人民解放軍の1部隊の工作員らによって埋め込まれた。米当局者らはこの事件を、米企業に対して仕掛けられたこれまでで最も重大なサプライチェーン攻撃だとしている。
  1人の当局者によると、最終的に30社近くが攻撃対象となっていたことが分かった。大手銀行1行と政府と契約する業者やアップルも含まれていたという。アップルはスーパーマイクロの重要顧客で、データセンターの新しい世界ネットワークのために2年間で3万台余りのサーバーを注文する計画だった。アップルの社内幹部3人によると、同社も15年夏にスーパーマイクロのマザーボード上に悪質チップを発見。アップルはその翌年、スーパーマイクロとの取引を打ち切ったが、それは別の理由という。
  アマゾンとアップルとスーパーマイクロはブルームバーグ・ビジネスウィークのこの記事について電子メールでコメント。アマゾンは「AWSがサプライチェーン攻撃とハッキング用チップ、ハードウエアへの修正についてエレメンタル買収時に知っていたというのは事実ではない」とし、アップルは「そのようなチップや『ハードウエア操作』、サーバーに意図的に脆弱(ぜいじゃく)性が加えられたと発見したことはないと非常に明確にできる」とした。スーパーマイクロの広報担当、ペリー・ヘイズ氏は「いかなる調査も承知していない」と指摘した。
  中国政府はスーパーマイクロのサーバー操作に関する質問に直接答えることはせず、声明の一部に「サイバースペースでのサプライチェーンの安全性は共通する懸念事項であり、中国も犠牲者だ」と記した。FBIと国家情報長官室(ODNI)はコメントを控えた。
How the Hack Worked, According to U.S. Officials



Illustrator: Scott Gelber
原題:China Used Tiny Chip in Hack That Infiltrated Amazon, Apple(抜粋)


 

レノボ株が09年以来の大幅下落−中国ハッキング報道で
Jeanny Yu
2018年10月5日 11:18 JST

Photographer: Brent Lewin/
中国のPCメーカー、レノボ・グループ株が5日の香港市場で一時23%下げた。2009年1月以来の大きな下落。ブルームバーグは中国がごく小さなチップを使って約30社の米企業を対象にハッキングを図ったと報じた。
原題:Tech Wreck Bleeds Into Asia With Lenovo Tumbling Most Since 2009(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-05/PG3N0B6S972901


 

米中通商対立の恐怖、中国株は過剰に織り込み−ゴールドマン
Christopher Anstey
2018年10月5日 14:56 JST
米国へのエクスポージャーが大きい中国銘柄がアンダーパフォーム
貿易摩擦に対する米国株の反応鈍く、ゴールドマンの見方と整合的
ドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝利して以降、米国とビジネス上の関わりが深い中国企業の株価は、現地株式相場を45%アンダーパフォームしている。恐らく貿易摩擦による影響を過剰に織り込んでいると、ゴールドマン・サックス・グループが指摘した。

  ブライアン・チェン、ブレーク・テーラー、デービッド・メリクル各氏らゴールドマンのアナリストは4日のリポートで、米中の通商対立について「より悪い結果による経済的インパクトを踏まえても、中国株の下落が大きくなっているように見える」と分析。「この数カ月は米国へのエクスポージャーを持つ銘柄が著しくアンダーパフォームし、市場全般の反応も強くなっている」と記した。


  米中貿易摩擦が5月に激しくなってから、米国へのエクスポージャーが大きい中国銘柄は市場全般を15%下回っているとゴールドマンは指摘。中国本土株の指標、上海総合指数は6月に弱気相場入りした。

  同行によれば、アジア市場への米中対立の影響も行き過ぎのようだ。「市場の反応は下振れリスクを踏まえた動きのようだが、中国を迂回(うかい)する米国の貿易需要がアジアの輸出を促す潜在的な恩恵を織り込み切れていない可能性がある」と記述した。

  貿易摩擦に対する米国株の反応が薄くなっているほか、中国との結びつきが強い銘柄の伸び悩みもそれほどではなく、ゴールドマンは「米経済へのマクロ経済上の影響は限定的とのわれわれの見通しとおおむね整合的だ」とコメントした。

原題:Goldman Says Trade-Fear Driven Slide in China Has Gone Too Far(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-05/PG41P36JTSEA01
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/200.html

[経世済民128] 焦点:テキサス油田ブームのジレンマ、生産急増でコスト増大 空前の「LNGブーム」到来か シェルの投資決定が号砲
トップニュース2018年10月5日 / 12:27 / 2時間前更新
焦点:
テキサス油田ブームのジレンマ、生産急増でコスト増大
2 分で読む

[ミッドランド(米テキサス州) 2日 ロイター] - 米テキサス州パーミアン盆地は米国最大の油田を抱え、シェールガス産業の中心地だ。生産量は過去最高を更新し続けているが、生産コストも上昇し、企業は利益を生み出せずにやむなく投資先の振り替えも迫られている。

パーミアン盆地での過去3年間の生産量は、日量150万バレルから343万バレルに急増した。一方で現地の原油価格は低下し、8月には1バレル当たり17ドルも米国産原油の水準を下回った。輸送コストが上昇する中で、企業側は割安な価格で販売してコストを補う状況に直面している。

産油会社アプローチ・リソーシズのロス・クラフト最高経営責任者(CEO)は「われわれ自身が、自分たちに最悪の敵となっている。油田を掘削して原油を汲み上げる速度が速いため、市場のニーズを上回ってしまう」と述べ、生産者のペースにインフラが追い付くにはもう少し時間がかかると説明した。

アプローチ社は油田掘削はするが、原油を生産するための水圧破砕法(フラッキング)には手を付けないままにしている。価格が上昇して利益が確保できる状態が到来するまで待つためで、他のシェール生産業者も同様の状態だ。

米エネルギー省によると、パーミアン盆地で手付かずとなっている油田は8月時点で前年同月比80%増の3630カ所に増えた。米国でのそれ以外の地域では、10%増にとどまっている。

一部の企業は、パーミアン盆地での操業縮小にも踏み切った。コノコフィリップスとカリッツォ・オイル&ガスは生産装置を他の油田に移し、コノコは別の油田の操業を止めた。ノーブル・エナジーもコロラド州に一部生産装置を移すとしている。

掘削業者グローバル・ドリリング・パートナーズは掘削予定の油田を7カ所から2カ所に減らし、操業開始時期も7月から12月に延期した。パイプライン設備不足が要因で、各企業はテキサスの他の油田やコロラド、オクラホマでの生産拡大を見込んでいるという。

原油価格低下に伴い、シェール生産業者の株価も打撃を受けている。パーミアン盆地でしか操業していないパースレー・エナジーは、第2四半期の利益が前年同期比8倍増、産油量は57%増と業績は好調だ。

ただ、投資額を17%増やし、生産規模をさらに5%上積みするとの計画を発表したため、投資家の懸念を呼び、株価は8月7日の決算発表以降、約8%下落した。

一方、パイプラインの使用契約がない中小規模の生産業者の状況はもっと悲惨だ。

輸送にトラックや鉄道を使う必要があるためで、湾岸地域にある製油所や輸出拠点まで原油を運ぶトラック輸送費はバレル当たり15─25ドル、鉄道では8─12ドルかかり、パイプラインの4ドル以下に比べてコストがかさむ。高速道路や鉄道路線での渋滞も引き起こし、ガソリンなどの不足につながる恐れもある。産油業者は長期契約を避ける傾向があるので、鉄道会社が輸送能力を拡大する可能性も低いという。

結局、目立って増えているのはコストだ。プリファード・サンズ社のマイケル・オニール最高経営責任者(CEO)は、同社がテキサス州の従業員に対し他の地域より30%多い賃金を支払っており、次の操業はオクラホマ州に移したと明らかにした。

(Liz Hampton, Devika Krishna Kumar and Jarrett Renshaw記者)
https://jp.reuters.com/article/usa-oil-record-bottlenecks-analysis-idJPKCN1MD0SQ

 


トップニュース2018年10月5日 / 14:37 / 1時間前更新
焦点:
空前の「LNGブーム」到来か シェルの投資決定が号砲
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[ロンドン 2日 ロイター] - 英・オランダ系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSa.AS)がカナダでの大規模液化天然ガス(LNG)プロジェクトの正式決定を発表した。LNG業界はシェルの巨額投資決定で開発への自信を深めており、今後大型プロジェクト向けの投資が相次いで決まる見通しだ。

シェルが主導する「LNGカナダ」は総開発費140億ドルで、2025年に輸出を開始する予定。またカタールの国営石油会社カタール・ペトロリアムも先週、LNG生産能力の増強計画を発表した。

昨年の世界のLNG生産量は2億9000万トン。今回発表された2件のプロジェクトで生産量は年3700万トン増える計算だが、これはLNG開発プロジェクト承認ラッシュのほんの手始めにすぎない。

コンサルタント会社ウッド・マッケンジーの北米ガス担当部長のデュレス・ワン氏は「LNGプロジェクトの最終投資決定(FID)は来年が過去最高の件数になる」と予測する。

LNGは2015─17年にかけて価格が下がったが、需要が急速に伸びる一方で新規の輸出プロジェクトが不足し、2020年以降は世界的に供給不足が発生するとの懸念が以前から根強かった。

LNGカナダなどいくつかのプロジェクトは何年も前から検討段階に上りながら、棚上げされてきた。

しかしLNGは中国が石炭からの切り替えを進めた影響で、昨年冬に価格が上昇し始め、その後は4年ぶりの水準に高止まりしている。

シェルのジェシカ・ウール最高財務責任者(CFO)は2日、記者団に対して「需要の伸び具合と今後の供給見通しに目を向ければ、投資決定済みもしくは建設中のプロジェクトは2023─24年の需要を満たすのに十分ではない」と話した。

シェルがこうした市況の変化にお墨付きを与えたことで、市場には楽観ムードが広まっており、来年末までに投資決定されるプロジェクトの生産能力は年1億7500万トンに達する見通しだ。こうしたプロジェクトの大半は2024年に生産を開始する見込み。

さらに米国では年5100万トン分のプロジェクトが既に投資決定済みで、2021年末までに稼働するとみられる。

LNGの需要は予想にばらつきがあるが、国際エネルギー機関(IEA)は2023年までに年3億6000万トン前後に急増すると予測。ウッド・マッケンジーは年4億5000万トンとみている。

Royal Dutch Shell PLC
30.07
RDSA.ASAMSTERDAM STOCK EXCHANGE
--(--%)
RDSa.AS
RDSa.AS
バーンスタインのアナリストチームは顧客向けノートで「将来の需要を満たすには2025年までに年2億トン分のプロジェクトが決まる必要がある。LNGの生産能力全体は1962年から足踏み状態が続いてきたが、42%急増して空前のブームを迎える」と予想。「ついに大規模なLNG投資の波が押し寄せる」と見通した。

(Sabina Zawadzki記者)

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
ビジネス2018年10月4日 / 21:16 / 1時間前更新
焦点:トヨタとソフトバンク、危機感が溶かした「水と油」
2 分で読む

[東京 4日 ロイター] - トヨタ自動車(7203.T)とソフトバンクの2大企業が、モビリティサービスの構築に向けて初めて本格的に手を組んだ。

自動車は「コモディティ(単なる商品)」になると言ってはばからないソフトバンクグループ(9984.T)の孫正義社長。「愛車」と呼んでその価値にこだわるトヨタの豊田章男社長。「水と油」にも例えられる両社が歩み寄った背景には、大きく変化する自動車業界での生き残りを目指す豊田社長の危機感があった。

<筆頭株主はすべてソフトバンク>

「未来の種を見抜く先見性、目利きの力がある」――。ソフトバンクについて、豊田社長は4日の提携会見でこう評価し、トヨタの未来に「必要不可欠な会社になっていた」と指摘した。世界のトヨタにそこまで言わしめた孫社長は「王者中の王者が気軽に心を開いてくれた」と応じた。

「愛車」という表現を多用する豊田社長は、今日の会見でも「数ある工業製品のなかで『愛』がつくのは車だけ。どんなAI(人工知能)が搭載されても、移動手段としてだけではなく、エモーショナルな存在であり続けることにこだわりたい」と付け加え、未来のモビリティ社会に馳せる自らの思いを披露した。

今年1月に「車をつくる会社」から、移動に関わるあらゆるサービスを提供する「モビリティ・カンパニー」への転換をめざすと宣言したトヨタ。その布石を打つため、世界の配車サービス大手に対する出資や提携に次々と動いてきた。

トヨタは2016年に米ウーバーに出資したほか、今年1月、商用電気自動車(EV)「イーパレット」の展開でもウーバー、中国の滴滴出行などとも提携。今年6月には東南アジア最大手のグラブに出資した。

しかし、提携した各社はすべてソフトバンクが筆頭株主になっている。ソフトバンクとの歩み寄りなしに自社の未来図を描きにくいという現実がトヨタの前に立ちふさがっていた。

トヨタの友山茂樹副社長によると、今回の提携はトヨタからソフトバンクに声をかけ、「両社の若者が中心となり、半年前から検討を進めてきた」。「交通事故をゼロにしたい」という将来ビジョンが両社共通だったという。

提携を持ちかけた経緯をみると、新市場の展開力に悩むトヨタの焦りもにじむ。会見のライブ中継を視聴していた他の自動車メーカー幹部からは「トヨタ以外の自動車メーカーとソフトバンクが深い仲になる前に、少しでも距離を縮め、仲間に取り込んでおこうという印象だった」との声もあった。

一方のソフトバンク。今年5月、自社の投資ファンドを通じて米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)傘下の自動運転車部門GMクルーズに出資し、最終的に約2割の株式を握ると発表しており、16年からはホンダ(7267.T)ともAI(人工知能)分野の共同研究で協力している。ソフトバンクにとって、トヨタは同サービス分野での数ある提携先のひとつに過ぎない。

<ソフトバンクに主導権との見方も>

自動車業界には、両社が18年度中に設立する共同出資会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」の出資比率にも驚きが広がった。トヨタが49.75%、ソフトバンクが50.25%。わずか0.5%だが、ソフトバンクのほうが多かったためだ。

SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは「通信ビジネスのノウハウを活かすことになるので、ソフトバンクが主導権を握ってもおかしくはないが、これまでのトヨタを考えると相手に主導権を渡したのは驚きだ」という。

「自動車はひとつの部品に過ぎない。むしろプラットフォームのほうがより大きな価値を持つ」。今年2月の決算会見でこう強調してきた孫社長。今日の会見では、未来の車は「半導体の塊になる」とし、「自動車のリアルな世界から歩いてきたトヨタといよいよ交わるときがきた。時代が両社を引き合わせた」と自らの戦略が新たな局面に来たことを強調した。

Toyota Motor Corp
7002.0
7203.TTOKYO STOCK EXCHANGE
-3.00(-0.04%)
7203.T
7203.T9984.TGM.N7267.T
*本文を一部修正して再送します。

白木真紀 編集:北松克朗

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
トップニュース2018年10月5日 / 14:07 / 1時間前更新
アングル:最高裁判事の指名騒動、トランプ氏には追い風の理由
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[ワシントン 4日 ロイター] - 米連邦最高裁判事に指名されたブレット・カバノー氏の性的暴行疑惑を巡って共和、民主両党が激しい論争を繰り広げ、上院の承認が遅れている。しかし結果がどちらに転ぶにせよ、11月6日の議会中間選挙に向けてトランプ大統領には追い風となりそうな情勢だ。

今月6日に予定される上院採決でカバノー氏が承認されれば、トランプ氏は最高裁に自身が推す2人目の判事を送り込むことに成功し、保守派判事が過半数を占める体制を確保することができる。

承認されないとしても、カバノー氏を巡る対立は、中間選挙に向けて共和党有権者のやる気に火を点ける効果をもたらしている。

共和党系の世論調査会派ザ・トラファルガー・グループのロバート・カヘリー氏は「この件はこれまで目撃したどんな事象よりも、慢心していた共和党有権者を目覚めさせる効果があった」と言う。

カバノー氏からの性暴力被害を証言した女性をやゆし、この論争を利用して支持者を煽るトランプ氏の好戦的な姿勢は、既に共和党に背を向けている郊外エリアで女性や支持政党を持たない有権者の反発を買うだろう。しかし上院議会選の主戦場となる保守派の州では、共和党に追い風を吹かせる可能性がある。

最近実施された複数の世論調査では、これまで民主党に比べて出遅れていた共和党有権者の投票意欲が、先週の上院公聴会後に跳ね上がっている。公聴会でカバノー氏は怒りを露わにして疑惑を否定した。

民主党有権者はトランプ氏への拒否感から、この1年ほど共和党有権者よりもずっと投票意欲が強かった。しかしNPR/PBSニューズアワー/マリストの最近の調査では、共和党との差は7月時点の10ポイントから2ポイントに縮まった。

この結果、共和党は中間選挙で上院過半数を維持できるとの期待が高まっている。民主党が上下両院を制しトランプ氏の政策を阻止したり政権への捜査を進めるには、議席数を上院で2議席、下院で23議席増やす必要がある。

共和党のストラテジスト、ブライアン・ウォルシュ氏は「カバノー氏を巡る論争が、決定的な時機に共和党有権者のエネルギーを爆発させたのは間違いない」と語った。

民主党側は、カバノー氏問題が下院議会選の主戦州で女性や支持政党を持たない有権者を奮い立たせたと見ている。ステニー・ホイヤー下院議員(民主党)は3日記者団に「意見を表明するため、大勢の女性が投票するだろう」と述べた。

しかしトランプ氏の選挙戦略に詳しい筋は、トランプ氏側につくことで派生する共和党候補への悪影響よりも、トランプ支持者を力づかせる効果の方が圧倒的に大きいと見る。

もっとも、政治状況は二転三転しており、カバノー氏問題の影響は選挙までに衰えている可能性はある。共和党ストラテジストのウォルシュ氏は「この状況が本当にあと30日続くかどうかは疑問だ」と漏らした。

(John Whitesides記者)

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トップニュース2018年10月5日 / 10:57 / 1時間前更新
焦点:迅速性と誇り、ベトナム初の国産車メーカーが賭ける夢
James Pearson
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[ハイフォン(ベトナム)1日 ロイター] - 豊富な資金力を誇るIT企業の攻勢によって先進諸国の自動車メーカーが業績を圧迫されている中、ベトナムでは、かつての日本や韓国のように、自動車製造がより豊かな社会への切符となることに賭けている。

同国最大の複合企業ビングループVIC.HM傘下のビンファストは来年8月、初めて自社ブランドで製造する量産車モデルを市場に送り出し、べトナム初の本格的な国産車メーカーとして名乗りを上げる予定だ。

「世界中見渡しても、これだけ迅速に生産体制を整えられる国は他にないだろう」。ビンファスト・トレーディング・アンド・プロダクションのショーン・カルバート製造担当副社長は、工場フロアを見渡しながら、そう語った。何しろ、9カ月前は海しか見えなかったのだ。

これは、先日行われた新工場視察での発言だ。北ベトナムの港湾都市ハイフォンに広がる埋立地に建てられたこの複合施設では、2車種が製造される予定だ。

ビンファストは停止状態からスタートして、今後5年程度で年25万台の生産能力を実現する計画だ。ベトナム自動車工業会(VAMA)によれば、これは昨年同国で販売された自動車総数の92%に相当する。

たった1年余り前にビンファスト設立に乗り出したビングループは、このプロジェクトに約35億ドル(約4000億円)を投じている。

「われわれは国内自動車市場の急速な拡大を推進している。したがって、国内市場でまず勝利を収めることに、何よりも注力している」。同社のジム・デルーカ最高経営責任者(CEO)は2日開幕のパリ自動車ショーに先立ち、そう語った。同自動車ショーでビンファストは、最初の輸出先となる市場を発表する。

「わが社は、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内と域外の両面で事業を拡大していきたい」と語るデルーカCEO。

ベトナムで販売される自動車の大半は、同国内で最終組み立てがおこなわれる海外ブランド車だ。だが、一連の自由貿易協定により輸入関税が引き下げられ、ベトナム市場は開放されつつある。ASEAN諸国からの輸入車には30%の関税が課せられていたが、今年廃止された。

<電動スクーター>

複合企業ビングループは、傘下のビンホームズを通じてベトナム不動産市場で優位的な立場にあり、ビンメックを通じて医療市場に参入し、ビンマートと呼ばれるスーパーマーケットチェーンを経営、そしてビンパールは観光客向けのリゾート施設を運営している。

「現在、約400万人の顧客が何らかの形でかかわっているビングループは、巨大で野心的なブランドだ。こうした顧客は、ビンファストによる国産製品を受け入れてくれるだろう」とデルーカCEOは語る。

ハノイやホーチミンシティの混雑した街路を疾走するオートバイに象徴されるベトナムで、ビンファストは年25万台の自動車に加え、年25万台の電動スクーターを製造する予定で、いずれ年100万台に、まで増産するという野心的な生産目標を立てている。

またビンファストは、ドイツのEDAGエンジニアリング(ED4.DE)との提携により、バッテリー電気自動車(EV)開発にも着手しており、将来的に発売する見込みだ、とデルーカCEOは語った。

「車種ラインナップとして、まず内燃機関エンジン車からスタートして、その後まもなくバッテリー電気車を投入するのが最善だと感じた」とデルーカCEO。「インフラ面で考えると、充電するには電気自動車よりも電動スクーターの方がはるかに楽だ」

ビンファストがこれだけ迅速に動ける理由の一端は、既製部品に頼っているからだ。

ビンファストが最初に予定する2車種はスポーツタイプ多目的車(SUV)と小型セダンだが、独BMW(BMWG.DE)から調達するフレームをベースに製造される。部品は加マグナ・インターナショナル(MG.TO)傘下のマグナ・シュタイアが設計したものであり、デザインは伊デザイン会社ピニンファリーナ(PNNI.MI)が担当している。

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「これにより、非常に迅速に物事を進めることが可能となり、現時点で走っているどれにも似ていない、100%独自の車を生み出す能力を得ることができた」とデルーカCEOは胸を張る。

<国としてのプライド>

ビンファストは、専門家も「輸入」している。同社経営陣のうち、デルーカCEOやカルバート副社長を含めた少なくとも5人が、米ゼネラルモーターズ(GM)(GM.N)出身のベテランだ。

GMは6月、ハノイ工場の所有権を完全にビンファストに譲渡することで合意した。ビンファストはこの工場で2019年以降、GMのグローバルライセンスに基づく小型車を製造することになる。

だが、ビンファストが他社から制度化された経験値を得たとはいえ、競争の激しい自動車産業参入には常に重大なリスクが伴う。

自動車組立を請け負うベトナム企業は、これまでも国産車を一般向けに販売しようと試みては、失敗を繰り返してきた。アジア域内でも、マレーシアのプロトンやオーストラリアのホールデンなどの企業が、海外市場で顧客を引きつけようと苦心している。

EDAG Engineering Group AG
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「鍵となるのは、ハードウェアとしての車がコモディティー化しているこの時代に、さらに新たな自動車ブランドがなぜ必要なのか、という点だ」。そう語るのは元クライスラー幹部で、現在は上海に拠点を置くコンサルタント会社オートモビリティを率いるビル・ルッソ氏だ。

ビンファストが「デザインや製造をアウトソーシングし、海外の研究開発に依存している事実から分かるのは、彼らが伝統的なやり方に従っており、このデジタル・モビリティサービス時代では勝てない可能性がある、ということだ」とルッソ氏は語った。

国内自動車メーカーの設立を試みたものの、最初の1台を公式発売しないまま2012年に生産を中止してしまったビナスキのBui Ngoc Huyen会長は、ビングループの豊富な資金力は有利な材料だと認める一方で、ブランド構築には時間がかかると警鐘を鳴らす。

「小型で低価格のモデル生産から、高級車へと移行しなければならない」と同会長。「新しい自動車メーカーが、製品を微調整しつつ消費者の信頼を得るには何年も必要だ。10年から20年はかかるだろう」

ビンファストの初期モデルは、国内の消費者の関心を得るために「非常に入手しやすい」ものになる、とデルーカCEOは語る。価格の詳細については明らかにしなかった。

サッカーのU─23(23歳以下)アジア選手権でベトナム代表が準優勝したことを祝い、数10万人が灯火と国旗を手に街に繰り出したこの国で、ビンファストは、別の競争優位を当てにしている。

「国家としてのプライドは、ビンファストにとって、非常に大きな優位性だと考えている」とデルーカCEOは語った。「ここで国産自動車を生産するということは、男女を問わずベトナム国民にとって特別なことなのだ」

(翻訳:エァクレーレン)

*写真を更新しました。
https://jp.reuters.com/article/vingroup-vietnam-autos-idJPKCN1MF04V
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/680.html

[経世済民128] 吉野家、人件費増もう限界 3〜8月 増収も最終赤字
吉野家、人件費増もう限界 3〜8月 増収も最終赤字
小売り・外食
2018/10/6 2:00
吉野家ホールディングス(HD)が5日発表した2018年3〜8月期連結決算は最終損益が8億5000万円の赤字(前年同期は13億円弱の黒字)になった。主力の牛丼店「吉野家」は増収を確保したが、人手不足を背景にした人件費高騰が響いた。吉野家は外食業界のなかでもコスト全体に占める人件費の割合が比較的高く、人件費上昇が業績に与える影響は大きくなっている。安さを売りにした戦略の限界に直面しつつある。

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吉野家築地一号店は開店時間の午前5時から市場関係者でにぎわう(4日、東京・中央)
3〜8月期として最終赤字になるのは8期ぶり。19年2月期通期でも最終損益は11億円の赤字(前期は15億円弱の黒字)になるとの見通しを示した。
3〜8月期の売上高は1003億円と前年同期比3%増え、初の1000億円台に達した。メニュー改善や家族層への値引きなどのキャンペーンが奏功。「吉野家」の既存店売上高は4%増え、販売面は比較的好調だったといえる。
肉やコメなどの食材価格が上昇し、原材料費を含む売上原価は359億円と6%増加した。ただ、これは増収でカバーでき、基礎的な利益である「粗利益(売上高から売上原価を引いた値)」は1%増と小幅ながら伸びを保った。
しかし、人件費などを含む販管費の負担が重く、本業のもうけを示す営業利益(売上高から売上原価・販管費を引いた値)は5500万円にとどまり、97%減と大幅に落ち込んだ。採用や教育、既存従業員の残業代など人件費が膨らみ、販管費は643億円と5%増加した。同社の場合、販管費の約45%を人件費が占める(18年2月期の値)。

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人件費の上昇が続いた結果、販管費の負担は年々高まっている。00年2月期には50%未満だった売上高に占める販管費の比率は、18年3〜8月期には約64%まで上昇。人手不足に対して脆弱な損益構造になってしまっている。不採算店舗の閉鎖などに伴う特別損失を計上し、最終赤字となった。
その他の外食企業も人件費上昇に悩まされている。同業の松屋フーズホールディングスや「丸亀製麺」などを展開するトリドールホールディングスなども直近決算期で売上高販管費率が6割台に乗っている。
ロイヤルホールディングスは都内に完全キャッシュレスのレストランや配膳ロボットを導入したカフェを相次ぎ開店。ゼンショーホールディングスはファミリーレストラン「ココス」で卓上の接客用ロボットの実験を進めており、20年にも実用化する考えだ。
吉野家も「キャッシュ&キャリー」型の店舗を展開する。今期は全国で約20店、来期からは年100店ずつ増やす計画だ。人件費の抑制を狙って配膳と下げ膳をセルフ式にしており、従来型の店舗より「高い利益率が見込める」(河村泰貴社長)という。

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子会社のはなまるうどん、すかいらーくの「ガスト」も含めて値引きが受けられる「3社合同定期券」も発売した。通常とは異なる客層を取り込み、売上高の底上げを狙う戦略だ。
とはいえ、人手不足に弱い損益構造を考えると、「業績回復には値上げなど、より踏み込んだ策が必要になるのでは」(国内証券アナリスト)との声もある。日本株全体が上昇するなかでも、吉野家株は昨年末比で約2%安と低迷しており、今後のカジ取りの難しさを映し出している。
6日には牛丼店「吉野家」の築地一号店(東京・中央)が東京・築地市場の移転に伴い閉店する。創業者の後を継いだ故・松田瑞穂氏が戦後、築地市場に開業した1号店は、「はやい」「うまい」が代名詞の吉野家のモデルケースだ。
こうした吉野家のシステムを支えてきたのは熟練の店長やアルバイトたちだ。ホールディングスの現会長、安部修仁氏や社長の河村泰貴氏もアルバイトからのたたき上げ。ただ、店舗の運営に優秀な従業員を大量に必要とするビジネスモデルは「高度経済成長期の豊かな労働力を前提にしたもの」(河村社長)だ。
「日本版ファストフード」の先駆けである吉野家はこの逆境をどうはね返すのか。模索が続く。
(亀井亜莉紗、江口良輔)

吉野家1号店に幕 問われる外食産業の次世代収益モデル (2018/10/5 12:01) [有料会員限定]
外国人、もう代役じゃない 外食各社の成長の要へ (2018/10/2 11:50) [有料会員限定]
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36212100V01C18A0TJC000/

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/695.html
[経世済民128] 米失業率48年ぶり低水準 9月、減税で3.7%に低下 雇用は13.4万人増 雇用者数と賃金、伸び鈍化
米失業率48年ぶり低水準 9月、減税で3.7%に低下
2018/10/5 21:55日本経済新聞 電子版
 【ワシントン=河浪武史】米労働省が5日発表した9月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、失業率が3.7%と前月比0.2ポイント低下し、48年9カ月ぶりの水準に改善した。景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数も同13万4千人増えた。11月の中間選挙は野党・民主党が「反トランプ票」で攻勢をかけるが、雇用情勢の回復は共和党とトランプ政権の追い風となる。

「管理職募集中」の看板を掲げる飲食店=ロイター

 失業率は1969年12月(3.5%)以来、約半世紀ぶりの水準に改善した。共和党主導で決めた大型減税で経済成長率は4〜6月期に4%台まで加速し、労働市場も完全雇用の状態だ。60年代後半はベトナム戦争で働き盛り世代の労働者が不足していた事情があり、現在の雇用情勢は歴史的な好調さといえる。

 雇用者数の伸びは前月実績(27万人)から大きく減り、市場予測(18万人程度)も下回った。ただ、労働市場は人手不足感が強く、企業が求人をかけても雇用者が増えにくい。9月は大型ハリケーンの影響で小売店などの就業者が一時的に減った要因もある。

 雇用の改善は米連邦準備理事会(FRB)の利上げ路線を後押ししそうだ。FRBが物価統計として重視する個人消費支出(PCE)物価指数は8月に前年同月比2.2%上昇し、エネルギーと食品を除くコア指数も同2.0%高まった。ただ、9月の平均時給は同2.8%増にとどまっており、雇用の逼迫が賃上げ圧力をどこまで高めるかが焦点となる。

 失業率の低下は、1カ月後の11月6日に中間選挙を迎えるトランプ政権と与党・共和党に追い風となる。トランプ大統領は金銭問題や女性問題などスキャンダル続きで、経済外交でも強硬的な貿易政策で国際的な孤立感を強めている。それでも同大統領の支持率が底割れしないのは、大型減税や規制緩和で米雇用が上向いているためだ。

 雇用情勢を地域別でみると、とりわけ共和党の地盤で失業率の低下が進む。8月の失業率は中西部のアイオワ州で2.5%、ノースダコタ州も2.6%と、全米平均よりも1ポイント以上も低い水準に改善した。両州とも2016年の大統領選ではトランプ氏が制した。全米50州のうち30州で失業率が4%を下回っているが、そのうち20州はトランプ氏が勝利した地盤だ。

 17年に成立した大型減税は、トランプ氏が勝利した中西部に有利な仕組みとなった。州・地方税の控除の仕組みを変えたことで、減税効果は中西部が大きく、民主党地盤のニューヨーク州などは小さくなった。中西部は消費や投資の押し上げ効果によって失業率が一段と改善している。

 ノースダコタ州やアイオワ州は規制緩和も雇用改善を後押しした。トランプ大統領は17年の政権発足直後、環境問題で建設を凍結していた「ダコタ・アクセス・パイプライン」の運営を許可。両州は同パイプラインの敷設地帯で、ノースダコタは全米有数の石油の供給拠点にもなった。

 米議会中間選挙は民主党が下院で多数派を奪回するとの見方が浮上するが、主要人事の承認権などを持つ上院は共和党が過半数を維持するとの観測が強い。20年の大統領選で再選シナリオを描くトランプ氏にとって、好調な雇用情勢を維持できるかが生命線になる。

オバマ氏のリベンジ トランプ氏に追い風か逆風か 
オバマ vs トランプ 米中間選挙へ異例の舌戦 
オバマ氏、トランプ氏批判を解禁 中間選挙で行脚 
対中制裁、米与党から異論 「支持基盤の農業に打撃」 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36207750V01C18A0EA1000/?n_cid=SPTMG002

 

米失業率は1969年以来の低水準、雇用は13.4万人増 9月雇用統計

米失業率は約49年ぶりの水準に下がった(写真はユタ州の自動車部品工場) PHOTO:GEORGE FREY/BLOOMBERG NEWS
By
Eric Morath and Harriet Torry
2018 年 10 月 5 日 22:08 JST
 米労働省は5日、9月の雇用統計を発表した。雇用の伸びがやや落ち着く一方、失業率はベトナム戦争当時の水準まで下がり、労働市場が極めてひっ迫していることを改めて浮き彫りにした。
 失業率は3.7%と、8月の3.9%を下回り、1969年12月以来の低水準となった。
 非農業部門就業者数(季節調整済み)は前月比13万4000人増。増加幅は1年ぶりの小ささで、募集しても求人が埋まらない状況になりつつある可能性を示唆した。平均時給は前年同月に比べ0.08ドル(2.8%)上昇し、27.24ドルとなった。
 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエコノミスト調査では、非農業部門就業者数が18万人増、失業率が3.8%と予想されていた。
 労働省は、ノースカロライナ、サウスカロライナ両州を襲ったハリケーン「フローレンス」が一部産業の雇用に影響した可能性はあるものの、影響を具体的な数値としては把握できていないとした。
 7月と8月の就業者数は合わせて8万7000人上方修正された。1〜9月では月平均21万1000人の増加となり、2017年の平均である18万2000人を大きく上回っている。
 9月の労働参加率は前月と同じ62.7%だった。
 やむなくパートタイム職に就いている人や職探しを諦めた人も含めた広義の失業率は7.5%と、前月の7.4%から上昇した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-05/PG4LOD6VDKHU01


 

米雇用統計:雇用者数と賃金、伸び鈍化−失業率3.7%に低下
Shobhana Chandra
2018年10月5日 21:35 JST 更新日時 2018年10月6日 2:32 JST
• 非農業部門雇用者数は13.4万人増−予想18.5万人増
• 平均時給は前年比2.8%増−8月は2.9%増
9月の米雇用統計では雇用者数の伸びが前月より小さく、予想も下回った。賃金上昇率はやや鈍り、失業率は1969年以来の水準に低下した。労働市場の逼迫(ひっぱく)を示すとともに、ハリケーン「フローレンス」の影響も映す内容だった。
  米労働省の5日発表によると、9月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比13万4000人増。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は18万5000人増だった。悪天候のために働けなかった人が29万9000人に上った。前月の雇用者数は27万人増(速報値20万1000人増)に大幅上方修正され、3カ月間の平均は19万人増となった。
  9月の失業率は3.7%と、69年12月以来の低水準。市場予想の3.8%より低かった。前月は3.9%。平均時給は前年比2.8%増で、市場予想と一致。8月は2.9%増だった。

非農業部門雇用者数と失業率
米労働省
  9月の雇用統計は、労働市場が引き続き逼迫している状況を示唆した。雇用が労働力人口を上回るペースで伸び、米経済は完全雇用を超える状態となったとみられる。だが、そうした中でも賃金上昇が加速する状況には至っていない。
  失業率が歴史的な低水準となったことを受けて賃金と物価が今後大きく上昇するかどうかは、向こう数カ月のデータ次第となる。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は2日の講演で、失業率低下で物価が急上昇し、積極的な利上げを余儀なくされることにはならないとの見方を示している。
  アメリプライズ・ファイナンシャル(デトロイト)のシニアエコノミスト、ラッセル・プライス氏は「賃金はゆっくりと上昇しているが、加速してはいない」とした上で、「今回の統計を受け、米金融当局は四半期に1回のペースでの利上げという現在の路線を継続するはずだ」と述べた。
  米金融当局が年内4回目の利上げを実施し、2019年にさらに数回引き上げるとの見通しは、今回の失業率の一段の低下で強まった。中国との通商紛争に伴うリスクはあるが、トランプ政権による減税で経済成長が押し上げられる中、金融当局は利上げを継続する公算が大きい。
  オバマ前政権で米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務め、現在はプリンストン大学教授のアラン・クルーガー氏は、「完全雇用状態を示す統計と言ってよい」とブルームバーグテレビジョンで発言。「米金融当局の利上げ軌道が補強されるだろう」と述べた。
  労働省は特別資料で、9月は雇用者数と失業率の調査期間中に東海岸の一部でフローレンスの影響があったと説明している。データ収集率は通常の範囲内だったという。
  9月の平均時給は前月比では0.3%増で、市場予想と一致。8月は0.3%増(速報値0.4%増)に下方修正された。「U6」と呼ばれる不完全雇用率は9月に7.5%に上昇。前月は7.4%だった。U6にはフルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者や、仕事に就きたいとは考えているものの積極的に職探しをしていない人が含まれる。
  統計の詳細は表をご覧下さい。
原題:U.S. Payrolls and Wages Cool; Jobless Rate Hits 48-Year Low (1)(抜粋)
 Jobless Rate at 48-Year Low Tests Powell View Amid Muted Wages(抜粋)
(詳細や市場の見方を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-05/PG4LJP6TTDSL01

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/696.html

[経世済民128] リスクオン相場に陰り、久方ぶりに原油高がかく乱要因にも 日銀が長期金利上昇を静観、市場機能優先
コラム2018年10月5日 / 19:43 / 1日前更新

リスクオン相場に陰り、久方ぶりに原油高がかく乱要因にも
田巻一彦
2 分で読む

[東京 5日 ロイター] - 米株高がリードしてきたリスクオン相場に陰りがみえてきた。基調転換を促すかもしれない大きな要因が原油高だ。原油高が物価を押し上げ、米長期金利の上昇を促せば、米株が天井を形成しかねない。

日本経済に目を転じると、原油高が時間差で消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)を押し上げるが、賃金の伸びが鈍い中で消費に悪影響を与えるリスクもある。かく乱要因としての「原油高」が久々に主役になるかもしれない。

<米株高の前に立ちはだかる長期金利上昇>

3日のニューヨーク市場で、北海ブレント先物LCOc1が1バレル=85.58ドルと2014年11月以来、約4年ぶりの高値まで上昇。米WTI原油先物CLc1も75.78ドルまで上がった。

4日には、米長期金利US10YT=RRが3.2%台へと7年ぶりの高水準に上昇。これを受けてダウ.DJIは前日比200ドルを超す下落となった。

ニューヨーク市場では、5日に発表される9月雇用統計における時間当たりの平均賃金に注目が集まっている。賃金が上がれば物価が押し上がるという「正攻法」な反応だが、実はそれだけが長期金利上昇の要因ではない。

景気拡大と賃金上昇というサイクルに、原油上昇という要因が加わって、一段と物価押し上げに注目が集まり、長期金利の上昇に拍車をかけかねないという懸念がありそうだ。

<下落要因の中で上がり出した原油>

足元での原油上昇は、 米在庫の予想外の増加やサウジアラビアやロシアの増産情報など、原油価格を押し下げる材料を押し切って展開されている。別のもっと大きな上げ要因があるということだ。

それは、米国による対イラン制裁の存在だ。トランプ米大統領の打ち出したこの「外交カード」が、需給のひっ迫懸念を連想させ、原油価格の大幅上昇という見通しに力を与えている。

また、足元での米経済の過熱ともみえる拡大の大元も、トランプ減税が起点になっているとの見方が多い。言わば「トランプ発」の政策が、米長期金利上昇の背景にあるとみていいだろう。

<原油高による物価上昇、注目されるFRBのスタンス>

米のイラン制裁が原油高の原因として存在している以上、原油高の基調が短期的に変わる見通しはない。そのように判断する欧米の投資マネーの主体が多くなっているため、しばらく「壁」になっていた米長期金利3%を突破し、さらに上昇する勢いをみせていると考える。

米長期金利が3.5%に接近し、さらに突破するような流れになれば、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策は、トランプ大統領が「警鐘」を鳴らしても、利上げ路線を簡単には修正しないだろう。

そうだとすれば、4日のニューヨーク市場ではっきりみえた「米長期金利上昇/米株下落」という構図が、大きな流れとして定着する可能性もある。

<日本では携帯値下げ圧力を吸収する可能性>

米国だけでなく、欧州や日本など主要7カ国(G7)にとって、大幅な原油高は「コスト上昇」として、久々に市場から意識される展開がいよいよ始まることも覚悟しなくてはならないかもしれない。

ダウ平均
26447.05
.DJIDOW JONES INDEXES
-180.43(-0.68%)
.DJI
.DJI
その時、日本の経済にどのような変化が起きるのだろうか──。

日本のコアCPIは、ガソリンなどの石油製品も含まれるため、一定の時間差を伴って原油高を反映した指数の上昇が予想される。

携帯電話料金などの引き下げが来年前半にも予想される中、原油上昇に伴う物価上昇圧力が、物価低下圧力を相殺し、コアCPIを1%台前半から半ば付近まで押し上げる余地もあるのではないか。

<懸念される消費へのマイナス>

ただ、今年の春闘による賃上げの実績が、政府が希望していた3%を下回った結果、現状で個人消費を拡大させる購買力の大きな増加は起きていない。

そこにエネルギー関連のコスト増が加わると、個人消費に悪影響を及ぼすルートも想定しておく必要がありそうだ。

特に冬場の暖房で灯油を多く消費する北海道、東北、北陸などの地域では、エネルギーコストの上昇が、個人消費の力をそぐ方向で働くのではないか。

株高・円安という追い風で、景気拡大を図ってきた政府・日銀にとって、予想を上回るテンポで上がってきた原油価格が、日本経済にとってどのような影響を及ぼすのか、重要な局面がいずれ来ることになりそうだ。

市場参加者の中でも、年末から年明けにかけた市場価格の見通しが交錯しているが、物価上昇を「デフレ脱却」の明確な証拠として、手放しで喜べない展開もありそうだ。
https://jp.reuters.com/article/column-oil-price-idJPKCN1MF0VH


 

ビジネス2018年10月5日 / 19:23 / 39分前更新
アングル:
日銀が長期金利上昇を静観、市場機能優先
2 分で読む

[東京 5日 ロイター] - 米国の金利上昇を受けて、足元では日本の長期金利にも上昇圧力がかかっている。この状況下で日銀は、市場機能の改善を促す観点からも、緩やかな上昇ペースによる長期金利の一定程度の上昇を容認するとみられる。長期金利の誘導目標であるゼロ%程度の範囲を逸脱しない限り、超長期ゾーンの金利には一段の上昇余地がありそうだ。

日銀は7月31日の金融政策決定会合で、鈍い物価上昇を踏まえて金融緩和政策の持続性を高めることを狙って、現在「ゼロ%程度」としている長期金利の誘導目標について「経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうる」とし、市場機能に配慮して上昇を容認する姿勢を示した。

黒田東彦総裁は同日の会見で、それまでゼロ%を中心に上下0.1%となっていた長期金利の変動幅について「その倍程度に変動し得ることを念頭に置いている」とし、上下0.2%程度の変動を許容する考えを表明した。

4日の円債市場では、前日の米利上げの継続観測を背景とした米長期金利の大幅上昇を受け、日本の長期金利JP10YTN=JBTCも上昇。一時、2016年9月の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)政策の導入以降で最高水準となる0.155%を付けたものの、日銀は静観した。

長期金利の変動容認を決定した直後の8月2日に長期金利が0.145%まで急上昇した際には、市場にとって想定外の国債買い入れを実施して抑制を図った。今回はその水準を上回ったにもかかわらず、オペで金利上昇の抑制に動くことはなかった。

背景には、長期金利の水準自体が黒田総裁が示した上限の範囲内に収まっていることに加え、今回の変動幅は0.02%程度と、米金利の急上昇に比べて上昇テンポが緩やかなことがありそうだ。

これまでは、海外金利の上昇に連動した長期金利の上昇をけん制してきた日銀だが、7月末の決定を踏まえ、市場機能の改善を優先し、米金利に対する一定の追随も容認したかたちだ。

もっとも、依然として物価は目標の2%には遠く、日銀では長期金利がゼロ%程度の範囲から逸脱することがないよう、市場動向を慎重にモニターしていく方針。黒田総裁が指摘した「倍程度」の具体的な水準は明らかではないが、長期金利が0.2%前後に上昇する局面では緊張感が高まる可能性が大きい。

<超長期、フラット化の修正過程>

他方、7月末の決定以降、相対的に大きく金利が上昇しているのが、残存期間10年超の超長期ゾーンだ。

4日の市場では一時、20年利付き国債利回りJP20YTN=JBTCが17年2月22日以来の0.690%、30年国債JP30YTN=JBTCが16年2月24日以来の0.950%、40年国債JP40YTN=JBTCは16年2月22日以来の1.115%と大幅に上昇した。

それでも日銀では超長期ゾーンについて、これまで大きくイールドカーブがフラット化してきた修正過程にあると位置づけているとみられ、日銀関係者は、長期金利が目標のゼロ%程度で推移している限り「超長期利回りは、さらに上昇する余地がある」と指摘する。

日銀は9月21日、「残存25年超」の国債買い入れを500億円とし、100億円の減額に踏み切ったが、今後の市場動向次第では「残存期間10年超25年以下」を含めて減額が検討される可能性がありそうだ。

東短リサーチ・チーフエコノミストの加藤出氏は、超長期金利は日銀の誘導目標ではないとし「超長期はデュレーションが長いので、バランスシートに残る期間も長く、日銀としてはあまり買いたくないだろう」と指摘している。

伊藤純夫 木原麗花 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/boj-rate-market-idJPKCN1MF15A
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/697.html

[経世済民128] 日本の貿易黒字是正、自動車工場の米移転が最善=ロス商務長官  IT大手に逆風か、欧米当局がデータ独占問題で足並み
ワールド2018年10月6日 / 07:14 / 10時間前更新
日本の貿易黒字是正、自動車工場の米移転が最善=ロス商務長官
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[ワシントン 5日 ロイター] - ロス米商務長官は5日、ロイターとのインタビューで、日本が自動車の対米貿易黒字を是正する最善の手段は、米国に製造拠点を移すことという認識を示した。

米国が貿易交渉で、日本からの輸入車に自主的な上限を求めるかについては言及を避けた。

「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」下で強化する原産地規制などの要件を満たすため、一部の海外メーカーが米国内に施設を構えると見通した。アジアの一部メーカーは、米国内の生産を拡大しない限り、新たな協定順守が多少難しくなるとも指摘した。

自動車を巡る米通商拡大法232条の国家安全保障調査については、商務省が現在、メキシコ・カナダとの合意を反映すべく調整しているとも明かした。調査終了時期は示さず、トランプ大統領次第と説明した。
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-ross-autos-idJPKCN1MF2O8


 


コラム2018年10月6日 / 09:59 / 8時間前更新
IT大手に逆風か、欧米当局がデータ独占問題で足並み
Gina Chon
3 分で読む

[ワシントン 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧米の反トラスト当局が、大量の個人データを抱え込む企業の問題で足並みをそろえ始めた。欧州連合(EU)欧州委員会のベステアー委員(競争政策担当)と米司法省のデラヒム反トラスト局長は共に、個人情報の集中が競争阻害に使われている可能性を懸念している。

利益をデータに頼っている米フェイスブック(FB.O)やグーグル(GOOGL.O)の親会社アルファベットのような企業に逆風が吹くかもしれない。

こうした巨大ハイテク企業の競争阻害については欧州委員会の方が先行しており、アルファベットに50億ドルの制裁金を科した実績がある。しかし米司法省も遅ればせながら、より厳しい態度で臨む必要性を検討している。

個人データの収集問題に関して言えば、欧米当局の考え方が既に一致している。デラヒム局長は28日のイベントで、巨大ハイテク企業にとってデータは競合他社を締め出すための「巨大な資産」だと指摘した。今後の合併審査では、企業は他の資産と同様にデータを売却しなければ承認を得られなくなるかもしれない。

ベステアー委員もこのイベントでデラヒム氏に同調し、フェイスブックが2014年に実施した対話アプリ大手ワッツアップの買収に絡み、欧州委員会が昨年制裁金を科すに至った件に触れた。フェイスブックは当時、欧州委の審査に対し、両社のユーザーデータを自動的にマッチングすることはできないと説明していたが、ワッツアップの共同創業者ブライアン・アクトン氏は26日発行のフォーブズ誌のインタビューで、欧州委に誤った情報を与えるようフェイスブックから指導されていたと暴露している。ベステアー委員は、場合によっては合併そのものが阻止されていた可能性もあると振り返った。

その後もフェイスブックは巨大化の一途をたどっている。傘下のワッツアップとインスタグラムを合わせた月間ユーザー数は、重複はあるかもしれないが40億人を超える。フェイスブックはインスタグラムの売上高を公表していないが、eマーケターの推計では今年の広告収入だけで80億ドルに達する見通しだ。

フェイスブックはユーザーから集めたデータによってデジタル広告の巨人となり、グーグルと併せて市場の半分以上を占めている。フェイスブックは28日、ハッカーからの攻撃で約5000万人の利用者の個人情報が流出した恐れがあると発表し、データ収集規模の大きさをあらためて印象付けた。

eマーケターによると、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)は2020年までにデジタル広告で世界第3位となる。ベステアー委員が次に標的とするのは同社のデータ収集かもしれない。委員は同社が小売業者の情報を集める一方で、これら業者の製品と同じ自社ブランド製品を売っている問題を調査中だ。EUでは、これほどの寡占は事業解体を命じるに値するとの声も聞かれ始めた。欧米の反トラスト当局は今後とも、データ集中問題への監視を強めていくだろう。

●背景となるニュース

*米司法省のデラヒム反トラスト局長と欧州委員会のベステアー委員(競争政策担当)は28日のイベントに出席。局長は、巨大ハイテク企業が競争を阻害していることを示す確たる証拠はないが、状況証拠はあると述べた。2人は、反トラスト審査に際してデータを重要な資産として勘案すべきであるとの見解で一致を見せた。

*フェイスブックは28日、システムに問題があり、5000万人の個人情報が流出した恐れがあると発表した。

Facebook Inc
157.33
FB.ONASDAQ
-1.52(-0.96%)
FB.O
FB.OGOOGL.OAMZN.O
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-eu-us-it-data-breakingviews-idJPKCN1MC0TQ

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/698.html

[不安と不健康18] 健康高齢者にはアスピリン使用は効果無く、有害の可能性 アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?
健康高齢者にはアスピリン使用は効果無く、有害の可能性
万能薬みたいな呼称されてきたアスピリン

大腸がんの予防効果もNEJM自体にとりあげられてたのに・・・

ASPREE Investigator Group 19万名(オーストラリア 16,703、米国 2,411)名のランダム化二重盲検研究


70歳以上で登録、米国内はアフリカ系アメリカ人・ヒスパニックは65歳とややトリッキーな基準。平均フォローアップ4.7年間と比較的短い期間に結果・有意差出現。

アスピリン 100mg

アスピリン服用にて重大出血リスク増加、全原因死亡リスク増加、とくに癌原因死亡増加、ベネフィットとしての心血管イベントリスク減少認めず


Effect of Aspirin on Cardiovascular Events and Bleeding in the Healthy Elderly
John J. McNeil
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1805819

高齢成人の一次予防としてのアスピリン少量投与はプラシーボに比較して有意に重大出血リスク増加するも、心血管イベント有意低下示せず
(Funded by the National Institute on Aging and others; ASPREE ClinicalTrials.gov number, NCT01038583.)

重大出血累積リスク

Effect of Aspirin on Disability-free Survival in the Healthy Elderly
John J. McNeil
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1800722

健康高齢者アスピリン使用は、5年間においては、プラシーボ比較で、無障害生存(健康生存)期間延長示せず、重大出血リスク増加
(Funded by the National Institute on Aging and others; ASPREE ClinicalTrials.gov number, NCT01038583.)


プライマリ複合エンドポイント累積頻度

死亡・認知症・持続的障害累積頻度


Effect of Aspirin on All-Cause Mortality in the Healthy Elderly
John J. McNeil
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1803955
プラシーボに比較してアスピリン連日投与健康高齢者で全原因死亡増加し、がん原因死亡が主に関連。以前の研究と異なり予想外で今後解釈に注意が必要
(Funded by the National Institute on Aging and others; ASPREE ClinicalTrials.gov number, NCT01038583.)


死亡原因による累積死亡頻度

投稿時刻 3 weeks ago、投稿者 内科開業医のお勉強日記 さん
ラベル: アスピリン 高齢者
https://kaigyoi.blogspot.com/2018/09/blog-post_18.html


 


アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?/NEJM
提供元:
ケアネット
公開日:2018/10/03印刷ボタン
アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?/NEJMのイメージ

 毎日アスピリンの投与を受けた健康な高齢者の死亡率は、プラセボと比較してむしろ高く、しかも主な死因はがん関連死であるとする予想外の研究結果が示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らA… [続きを読む]

(医学ライター 菅野 守)

原著論文はこちら

McNeil JJ, et al. N Engl J Med. 2018 Sep 16. [Epub ahead of print]

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。
アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?/NEJM
提供元:
ケアネット
• 公開日:2018/10/03




 毎日アスピリンの投与を受けた健康な高齢者の死亡率は、プラセボと比較してむしろ高く、しかも主な死因はがん関連死であるとする予想外の研究結果が示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らA… [続きを読む]
(医学ライター 菅野 守)
原著論文はこちら
McNeil JJ, et al. N Engl J Med. 2018 Sep 16. [Epub ahead of print]
掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。
https://www.carenet.com/news/journal/carenet/46790

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/653.html

[環境・自然・天文板6] 2040年に1・5度上昇の恐れ IPCCが温暖化報告書   IPCCが温暖化影響の特別報告書を採択
2018年10月6日
2040年に1・5度上昇の恐れ IPCCが温暖化報告書

 1901年から2012年の世界の気温変化。白い部分はデータが欠けている(IPCC提供) 
 
https://toonippo.ismcdn.jp/mwimgs/f/6/600mw/img_f65cd3db0467469287d431d97803d8cb33762.jpg


 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が6日、地球温暖化が今のペースで続くと、2040年前後に世界の平均気温が産業革命前より1・5度上昇する恐れがあり、自然災害や環境面のリスクが深刻になると予測する特別報告書をまとめた。韓国で開いた非公開の総会で報告書を採択した。関係者が明らかにした。

 関係者によると報告書では、気温は既に産業革命前と比べ1度上昇し、10年に0・2度ほどのペースで上がっており、40年前後には1・5度高くなる恐れがあるとした。一方、化石燃料に依存しない「脱炭素化」を加速させ、早期にCO2排出をゼロにすれば影響を低減できると強調した。

(共同通信社)
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/97412


 

IPCCが温暖化影響の特別報告書を採択
17:22
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は6日、韓国で開いた総会で、地球温暖化に伴い気温が1・5度上昇した場合の影響などをまとめた特別報告書を採択した。
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/285735
http://www.asyura2.com/15/nature6/msg/676.html

[経世済民128] 世界の再生エネ消費、2023年にかけ27%増 IEA予測 中国、EU上回り最大消費地に 
世界の再生エネ消費、2023年にかけ27%増 IEA予測
中国、EU上回り最大消費地に
2018/10/8 10:08日本経済新聞 電子版
 【ロンドン=篠崎健太】国際エネルギー機関(IEA)は8日、再生可能エネルギーに関する年次報告書を発表した。バイオマス(生物資源)の伸びがけん引し、2023年の世界の再生エネ消費量は17年比で27%増えると予測した。同期間に増えるエネルギー消費全体の4割を占める見通しで、太陽光や風力も含めた再生エネの存在感が高まりそうだ。

 中心的な予測では、世界の再生エネ消費量(石油換算ベース)は17年の9億1800万トンから、23年に11億6900万トンとなり、年率4%強のペースで伸びる。エネルギー最終消費量に占めるシェアは12.4%と2ポイント上昇する。太陽光や風力発電の普及が進み、世界の総発電量に占める再生エネの比率は25%から30%へ高まると予測した。

 成長分野としてIEAが注目するのが、生物由来の有機性資源を活用するバイオマスエネルギーだ。暖房や輸送分野を軸に世界的に需要が広がるとみている。ファティ・ビロル事務局長は「さらなる成長の見込みは大きい」と指摘した。

 報告書では、中国の再生可能エネ消費量が23年までに欧州連合(EU)28カ国を上回り、世界最大の消費地になるとの予測を示した。大気汚染対策などの政策が追い風となり、化石燃料からの移行が進む。ブラジルやインドでも利用が増え、新興国が再生エネ消費地として台頭する見通しだ。


世界の原発発電、30年に10%以上減少も IAEA報告
2018/9/12 2:11
固定価格買い取り制度とは 価格と期間、毎年度見直し
2018/9/11 1:31
住友林業とレノバ、国内最大級バイオマス発電
2018/6/26 19:03
欧州の風力・太陽光・バイオマスの発電量、17年に初の石炭火力超え
2018/1/30 22:00

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36243050Y8A001C1000000/
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/713.html

[経世済民128] サウジアラムコIPOは21年までに実施、2兆ドル価値見込む サウジ、ソフトバンクの第2ビジョン・ファンドに5兆円出資へ
サウジアラムコIPOは21年までに実施、2兆ドル価値見込む
Nayla Razzouk、Stephanie Flanders、Javier Blas
2018年10月6日 14:49 JST
IPOは国の利益に「100%」かなうとインタビューで語る
当初は今年後半のIPOを計画−SABIC出資協議で遅れ
サウジアラビアのムハンマド皇太子は、国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)を2021年までに実施する方針を示し、同社には2兆ドル(約227兆円)以上の価値があるとの見方をあらためて示した。

  アラムコのIPOは、バリュエーションに対する懐疑的な見方や同社がサウジ基礎産業公社(SABIC)の支配株を取得する計画によって当初の予定から遅れているが、ムハンマド皇太子(33)の発言は、IPOを推し進める決意を示すものだ。


ムハンマド皇太子フォトグラファー:Kevin Dietsch / Pool via Bloomberg
  皇太子はリヤドの王宮で行われたブルームバーグのインタビューでIPOの時期について、「20年の遅い時期か21年の早い時期だと考えている」と発言。「価格は投資家がその日に決定する。2兆ドルを上回ると私は考える。巨大だからだ」と述べた。

  ムハンマド皇太子が掲げるサウジ経済近代化計画「ビジョン2030」の目玉として、アラムコのIPO計画は16年に発表された。サウジ当局者は18年後半の実現に向けて「予定通りに順調だ」との発言を繰り返していたが、今年に入り、19年にずれ込むとの見通しを示した。その後間もなく、アラムコはIPO計画を保留し、代わりにSABICの過半数株取得の交渉に入った。

  ムハンマド皇太子は3日遅くに行われたインタビューで、IPOは国の利益に「100%」かなうと述べ、「サウジアラビアがアラムコIPOを取りやめた、あるいは延期した、ビジョン2030が遅れているとのうわさは誰もが耳にしている。これは正しくない」と語った。

  皇太子はアラムコIPOで株式5%を売却することで1000億ドルを調達できると期待していると述べた。これまでの最高は、中国のアリババ・グループ・ホールディングが14年に記録した250億ドル。皇太子の期待通りになれば、これを大幅に上回ることになる。

サウジアラビアのムハンマド皇太子は、国営石油会社サウジアラムコのIPOを2021年までに実施する方針を示した。ブルームバーグのStephanie Flandersが報告。

出所:ブルームバーグ)
原題:Saudi Crown Prince Vows Aramco IPO by 2021, Keeps to $2 Trillion(抜粋)


 

サウジ、ソフトバンクの第2ビジョン・ファンドに5兆円出資へ
Riad Hamade、Matthew Martin、Archana Narayanan
2018年10月6日 10:56 JST 更新日時 2018年10月6日 17:03 JST
1本目と合わせると出資額は10兆円強に倍増
サウジ公共投資ファンドはアラムコ上場などによる資金見込む

Masayoshi Son, left, and Mohammed bin Salman in New York on March 27. Photographer: Jeenah Moon/Bloomberg
サウジアラビアの政府系ファンドは、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が計画する第2のビジョン・ファンドに450億ドル(約5兆1170億円)出資する。1本目への拠出と合わせると、出資額は900億ドルに倍増することになる。

  サウジの公共投資ファンド(PIF)は、サウジ基礎産業公社(SABIC)の持ち分売却や国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)などによって向こう3−4年で1700億ドルの資金が入ると見込んでおり、その活用方法を探している。PIFの会長を務めるムハンマド皇太子がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。


孫正義氏(左)とサウジのムハンマド皇太子(3月27日、ニューヨーク)写真家:Jeenah Moon / Bloomberg
  ムハンマド皇太子は、PIFが第2ビジョン・ファンドへの主要な出資者となることを望んでいると説明。「われわれは1本目への出資で大きな恩恵を受けている。PIFとしては、1本目への450億ドルの出資で最初の1年に多額の収入を目にしていなければ、さらに450億ドルを出資するようなことはしない」と語った。

  孫氏は2本目のビジョン・ファンドで1000億ドルの調達を目指している。ブルームバーグ・ニュースはソフトバンクへの電話取材を試みたが、営業時間外のためコメントは得られなかった。

  PIFは世界最大の政府系ファンドになる戦略を2016年に発表して以来、大胆な投資を行ってきた。その多くは、まだ黒字化していないテクノロジー企業が対象となっている。1本目のビジョン・ファンドへの出資以外では、ウーバー・テクノロジーズに35億ドル出資したほか、テスラの株式を5%近く取得した後にそのライバルのルーシッドにも10億ドル出資した。PIFはさらに、ブラックストーン・グループが運営する米インフラファンドに200億ドル出資することでも合意している。

  ムハンマド皇太子は、ソフトバンクの第2ビジョン・ファンドへの投資がPIFの資産拡大に寄与すると指摘。PIFの資産は「現在3000億ドルを上回っており、4000億ドルに近づいている。20年の目標は6000億ドル前後だ。20年にこの目標を突破すると考えている」と語った。

原題:Saudi Arabia Doubles SoftBank Bet With Extra $45 Billion (1)(抜粋)

(ムハンマド皇太子の発言などを追加して更新します.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-06/PG5LNF6TTDS001

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/714.html

[不安と不健康18] 外国人が「日本人の口臭はひどい」と思う原因
2018年10月8日 福田晃広 :清談社

外国人が「日本人の口臭はひどい」と思う原因

職場でのセクハラやパワハラが横行している現代社会。しかし、特に男性のにおいにより周囲を不快にさせる“スメルハラスメント”も社会問題化しつつあるという。日本人男性の体臭や口臭がきつい原因や、その対策法などを予防医学が専門の内科医兼産業医で、著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』がある桐村里紗氏に聞いた。(清談社 福田晃広)

30代半ばから生じる
早期「加齢臭」
日本人の口臭にがっかりする外国人は多い
外国人の多くが問題視するのは、日本人の体臭ではなく口臭――欧米人だって体臭はくさいじゃんという反論はさておき、自分の健康のためにも、正しい口臭対策を知っておく必要がある Photo:PIXTA
 2017年5月、マンダムが東京・大阪で25〜49歳の働く男女1028名(男性525人、女性503人)を対象に行なったインターネット調査によると、「ビジネスシーン(職場)において、同僚など周囲の人の容姿や身だしなみで『どうにかしてほしい』と思うのはどんなことですか?」との問いに対して、1位が体臭(67.1%)、2位が口臭(60.2%)という結果だった。

 同社は、2014年5月にも同様の調査を実施しているが、3年たってもにおいが上位を占める傾向は変わらず、体臭は6.7ポイントも上昇している。体臭、口臭は職場において、深刻な問題といえるようだ。

 いわゆる加齢臭といえば、40代過ぎから発生するとされているが、30代から発生する早期の加齢臭がある。その原因について、桐村氏は以下のように説明する。

「男性ホルモンには、皮脂の分泌を促す作用があるので、男性の方が女性に比べて、皮脂分泌が多い傾向にあります。もともと皮脂にはにおいはないのですが、皮脂の中にある脂肪酸という成分が酸化(劣化)することで、ペラルゴン酸という悪臭成分に変化し、ミドルエイジ特有の、使い古した油のような独特な体臭になってしまうのです」(桐村氏、以下同)

 一方、女性ホルモンには抗酸化作用があるため、女性の皮脂は劣化しにくいという。閉経後は、女性でも男性ホルモンが優位になるので、皮脂は劣化しやすくはなるが、その年齢になるとそもそも皮脂分泌が減少してくるので、60代になっても30代並みの皮脂分泌を誇る男性ほどは、においづらいといえる。そのため、加齢臭などの体臭は男性特有のものなのだ。

外国人が気になるのは
日本人の体臭よりも口臭
 ミドルエイジになると、生活習慣の乱れ、ストレス、油や糖分、アルコールの過剰摂取、中性脂肪の増加などによって、皮脂が酸化(劣化)しやすくなると、桐村氏は指摘する。

「簡単に言うと、皮脂分泌を過剰にし、その皮脂を酸化(劣化)させるライフスタイルが問題です。例えば睡眠不足や運動不足、ストレスは、いずれも体に酸化の原因となる活性酸素を増やします。また、現代人は加熱すると酸化(劣化)してしまうサラダ油系の油やマーガリンなどの油を日頃から取りすぎている。これも『加齢臭』の原因といえます」

 前述の通り、多くの日本人にとって、周りに迷惑をかけていると感じるにおいは体臭だった。しかし、意外な事実として、実は外国人からすると、日本人は体臭ではなく口臭がきついと思われている。
 
「日本人は『体臭は欧米人の方がきついはず』だと思っていて、それは確かな面もあります。しかし、外国人が問題にしているのは口臭なのです。在日外国人の7割が『日本人の口臭にガッカリした』と答えた調査もあります。35歳以上の日本人の8割が、口臭の最大要因になりうる何らかの程度の歯周病にかかっているとされていますが、医療団体のオーラルプロテクトコンソーシアムによれば、9割の日本人は『自分は歯周病ではない』と回答するなど無自覚。認識に乖離があるのです」

 また、日本人の歯周病が多い原因として、日本はアメリカやスウェーデンのような予防歯科先進国と比較して、歯のケアに対する意識の低さがあるという。

「日本の場合、歯科医院に通う目的は『虫歯治療』ですが、アメリカやスウェーデンでは、『予防』のために通院するのが一般的。歯周病を防ぐには、歯間ケアが非常に大事なのですが、2014年のライオン株式会社の調べでは、デンタルフロス(糸ようじ)使用率がアメリカ60.2%、スウェーデン51.3%だったのに対し、日本は19.4%と極端に低い。この要因として考えられるのは、日本では歯科で歯のケアに関する適切な指導を受けていないことが大きいと思います」

 ほかにも、アメリカとは違って、日本は国民皆保険制度で、病気になっても国が治療費を負担してくれるという考えが当たり前になっているため、歯科予防がおろそかになっていることも原因と言えそうだ。

歯間ケアをして歯周病予防
早食いも口臭の原因に!
 周囲に迷惑をかけてしまう体臭と口臭が生じる原因について述べてきたが、それぞれどのような対策法があるのだろうか。

「まず一般的な体臭予防には、十分な睡眠、リラクセーションをとり、ストレスや疲労改善することが重要です。食事面では、抗酸化物質である色とりどりの野菜や海藻類、お茶をしっかり取ることや、質のいい亜麻仁油、エゴマ油、ヘンプシードオイル、魚油などを意識的に摂取するようにしましょう」

 では、口臭予防についてはどうだろうか?

「やはり歯周病予防を優先すべきです。日本人は歯磨きしていれば十分だと思っていますが、それだけでは必要な分の6割程度しかきれいになっていません。残りの部分をカバーするために、デンタルフロスや歯間ブラシを使い、歯の間に残っている食べかすや歯垢を取り除きましょう。また、口臭対策として大事なのが唾液。唾液には口内の洗浄・殺菌・コーティング作用などの効果があるので、食事の際、ゆっくり咀嚼して、分泌を促すことも大切なのです」

 体臭や口臭などのにおいは、単に周囲に迷惑をかけるだけでなく、自身の健康状態がわかるバロメーターの役割も果たしている。体のためにも、食生活&ライフスタイルを見直し、におい対策に取り組んでみてはいかがだろうか。
https://diamond.jp/articles/-/181527
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/654.html

[国際24] 焦点:インドの農業危機、「モディ首相離れ」広がるか
トップニュース2018年10月8日 / 08:45 / 4時間前更新
焦点:インドの農業危機、「モディ首相離れ」広がるか
2 分で読む

[ムンバイ/ニューデリー 4日 ロイター] - インドの農業生産者は、燃料や肥料の価格が高騰する一方で農産物が値下がりするダブルパンチに見舞われ、経営が危機的状態に陥っている。生産者の間では手をこまねくばかりの政府への怒りが高まって「モディ離れ」が進んでおり、来年の総選挙でモディ首相再選を阻む要因になりかねない。

ニューデリーでは2日、生産者が農産物価格の引き上げを求める抗議行動を展開。警察が催涙弾や放水車を繰り出す騒ぎになった。当局者が話し合いに応じ、抗議行動はいったん中止されたが、生産者が矛を収めたわけではない。

農業生産者団体の幹部は「中止を決めたが、政府が農家の懸念に対して真剣に取り組んでいないという考えに変わりはない」と述べた。

今年に入ってディーゼルは26%値上がりし、肥料のカリとリンもこの1年間でそれぞれ15%、17%近く上昇した。世界的な原材料価格上昇とルピー安が背景で、インドの農業生産者2億6300万人は大幅なコスト増に見舞われた。

インドはコメや小麦などの生産が世界2位の農業大国だが、カリはは全量、リンは90%近くを輸入に頼っている。

農業は国内総生産(GDP)の約16%を占めており、労組幹部は農産物価格を引き上げ、農業に補助を行ってコスト上昇に歯止めを掛けるべきだと指摘する。

農業の生産効率が大幅に向上したのも危機の一因になっている。機械化や生産量の多い品種の導入、殺虫剤の普及で収穫量は増えており、ほんとの作物で収穫量が毎年、過去最高を更新している。

レンズ豆など豆類は、6月末までの1年間の生産量が2451万トンと前年の2313万トンから増加し、カナダやオーストラリア、ロシアなどからの輸入が減った。

生産量は他の作物でも拡大している。インドは2018/19年度にはブラジルを抜いて世界最大の砂糖生産国となりそうだ。たた、国内の砂糖価格は生産拡大のあおりで15%も下げている。

一方、競合する海外の生産国はインドの農業補助政策を批判しており、インド政府は危機対応に苦慮している。政府は先週、輸送コスト補助や砂糖輸出促進策といった農業支援策を打ち出したが、さっそくブラジル、タイ、オーストラリアなど海外の生産国が抗議した。

タマネギ、キャベツ、トマトなどの野菜類も生産過剰の影響により、昨年に比べて25%値下がりした。保冷トラックが不足し、余剰生産が出ても保管できない。

牛乳も過去1年間で国内の価格が25%下落したが、供給が世界的にだぶつき、インド産には競争力がないのが実情だ。

(Rajendra Jadhav、Mayank Bhardwaj記者)
https://jp.reuters.com/article/india-agriculture-idJPKCN1MF0CO

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/226.html

[国際24] 中国人民銀、銀行の預金準備率を1%引き下げ 成長支援へ 中国が一部銀行対象に預金準備率引き下げ−今年4回目
ビジネス2018年10月7日 / 18:08 / 29分前更新
中国人民銀、銀行の預金準備率を1%引き下げ 成長支援へ
2 分で読む

[北京 7日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は7日、一部市中銀行の預金準備率を引き下げると発表した。米国との貿易摩擦激化で経済を巡る懸念が漂う中、銀行の資金調達コストを引き下げ、中国経済の成長を刺激するのが狙い。

現在の準備率は大手銀行が15.5%、中小銀行が13.5%。10月15日からこれを1%ポイント引き下げる。預金準備率の引き下げは今年4回目。

景気がさらに減速する兆候を示し、固定資産投資の伸びが過去最低水準に落ち込む中、中国政府はインフラ投資を促進する方針を打ち出している。[nL4N1V725M]

人民銀によると、今回の準備率引き下げにより総額1兆2000億元の流動性を放出。そのうち4500億元は償還期限を迎える中期貸出ファシリティー(MLF)の返済で相殺されることから、正味で7500億元(1092億ドル)の流動性供給につながるという。

エコノミストは準備率がさらに引き下げられるとみている。

Zhonghai Shengrong Capital Managementのチーフエコノミストは、準備率引き下げはペンス米副大統領の先週の講演など「外的ショック」による影響を人民銀が懸念していることを示していると指摘した。

ペンス氏は4日、11月の米中間選挙を控え、中国が政権交代をもくろみ、あらゆる手段を講じて米国に内政干渉していると非難した。また中国は南シナ海で無謀な行動を取っているとし、同海域での海洋進出の動きをけん制した。[nL4N1WK3AT]

北京に拠点を置く政府系シンクタンクの中国国際経済交流センター(CCIEE)の副首席エコノミストは「非常にタイムリーな」準備率引き下げで、経済への信頼感押し上げに十分寄与するとした上で「貿易戦争による経済への影響が表れつつある。さらなる引き下げ余地があり、年末までに1%ポイントの追加引き下げを予想する」と語った。

招商証券のシニアエコノミストも「銀行システムの流動性は潤沢だ。重要なのはその流動性をどうやって実体経済に向かわせるかだ」と指摘。「外部環境はより厳しくなっており、さらなる準備率引き下げを排除することはできない」との見方を示した。

国営新華社は7日、劉昆財政相の発言として中国は経済成長を確保するため、大規模減税などより積極的な財政政策も採用する方針だと伝えている。今年の減税規模は1兆3000億元を超える見込みという。

人民銀は準備率の引き下げで人民元に下押し圧力は生じないと強調。穏健で中立的な金融政策を維持し、市場の観測を安定させるために引き続き必要な措置を講じていく方針を示した。

その上で「信用と社会融資総量の妥当な伸びを導いていくため、適度に潤沢な流動性を維持する」と表明した。

ただ、一連の新たな景気支援措置や金融の緩和により、債務削減の取り組みが再び棚上げになるとの懸念も強まっている。

8月には中国国家発展改革委員会(発改委)も、国内企業の債務の株式化を促進するため、市中銀行に対する預金準備率の的を絞った引き下げなどの金融政策を活用していく方針を示した。[nL4N1UZ2DZ]
https://jp.reuters.com/article/idJPL4N1WN00I


 
中国が一部銀行対象に預金準備率引き下げ−今年4回目
Bloomberg News
2018年10月7日 16:50 JST
• 米中通商対立の激化受け、経済のてこ入れ図る
• 実施は15日、銀行が人民銀に預けねばならぬ資金は20兆円減へ

The People's Bank of China headquarters stand in Beijing, China.
Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
中国人民銀行(中央銀行)は7日、今年4回目となる預金準備率の引き下げを発表した。米国との通商対立の激化を受けて、金融当局として経済のてこ入れを図る。
  人民銀がウェブサイトに掲載した発表文によれば、一部銀行を対象に預金準備率を1ポイント引き下げ、15日から実施する。市中銀行が人民銀に預けねばならない資金は計1兆2000億元(約20兆円)減ることになる。このうち4500億元は、満期を迎える既存の中期貸出制度(MLF)の返済に活用されることになる。


原題:PBOC Cuts Reserve Ratio for Fourth Time in 2018 as Growth Slows(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-07/PG7WFF6S972801

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/227.html

[国際24] 世界気温 早ければ2030年にも1.5度上昇 IPCC特別報告書  
世界気温
早ければ2030年にも1.5度上昇 IPCC特別報告書
2018年10月8日

ツバル
速報
社会
環境
サイエンス

海面上昇で沈むことが懸念されているツバル・フナフティ環礁のバサフア島=2008年3月、田中泰義撮影
 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は8日、地球温暖化の影響で早ければ2030年にも産業革命前からの平均気温上昇が1.5度に達し、サンゴ礁の大部分が死滅するなど地球環境の悪化が進むと予測した特別報告書を公表した。温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」で目標とした2度上昇に比べ、海面上昇のリスクにさらされる人々を1000万人ほど減らせるなど、1.5度上昇に抑えることで被害を軽減できる可能性も示した。

<東京40度、深刻な熱中症…>温暖化が進んだ2100年ごろの日本
<暑いのに汗をかきにくい人は熱中症に要注意>
<おしっこの色が濃くなったら「脱水と熱中症」に注意>
<「おしっこの回数」と寿命の関係>
<猛暑の東京五輪>人体へのダメージ警告「そもそも競技してよいレベルではない」
 IPCCが13年に公表した第5次評価報告書などによると、化石燃料を燃やすなど人為的な温室効果ガス排出などにより、地球の平均気温は既に約1度上昇したと推測されている。6日まで韓国・仁川で開催されたIPCC総会で承認された報告書の要約によると、このまま温暖化が進めば2030〜52年の間に1.5度を超える可能性が高いと結論付けた。


上空から見たツバル。地球温暖化による海面上昇で国土が水没する恐れがある=2008年3月7日午後1時50分(日本時間2008年3月7日午前10時50分)、田中泰義撮影
 気温上昇を1.5度に抑えるために、人為的な二酸化炭素(CO2)の排出量を10年比で30年には45%減らし、50年ごろには実質ゼロにする「脱炭素化」の必要性を強く指摘した。それでも一時的には1.5度を超える可能性があるが、積極的な植林やCO2の地下貯留技術などで、温度上昇を抑制することも可能だとした。

 このほか、2100年までの約100年間の地球の平均海面上昇は、気温が2度上昇する場合には26〜77センチなのに対し、1.5度上昇では4〜16センチに抑制できると予測した。2度上昇する場合、夏の北極海で海水が凍結しない頻度が10年に1度としたのに対し、1.5度上昇では100年に1度ほどにとどまるとした。

■2度上昇でサンゴほぼ絶滅
 生物多様性の観点では、約10万5000種について調べた結果、2度上昇することで昆虫の18%、植物の16%、脊椎(せきつい)動物の8%が生息域を失うとしたが、1.5度上昇に抑えることで、そのリスクをおよそ半分に軽減できると予測。中でもサンゴ礁は2度上昇でほぼ絶滅すると悲観的だが、1.5度では10〜30%は生き残る可能性があるとした。

 IPCCは報告書で「誰もが安全で持続可能な世界を確保する上で、今後数年間の取り組みが極めて重要となる」と強調し、各国がさらに厳しく温室効果ガス削減に取り組むよう促した。

 15年に採択されたパリ協定は、全ての国が温室効果ガス排出の削減目標を自主的に定め、実行に移す仕組みだ。しかし、現状で各国が示す目標を全て達成したとしても、2度上昇は避けられない。既に海面上昇などにさらされる島しょ国を中心に「2度目標では不十分」との意見が根強く、気温上昇を1.5度へ抑える努力目標を協定に追加した経緯がある。特別報告書は12月にポーランド・カトウィツェで開催される気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)でパリ協定の実施指針を策定する上での重要な資料となる。【五十嵐和大】

■IPCC特別報告書の骨子
・産業革命前からの地球の平均気温上昇が早ければ2030年には1.5度に達する恐れ

・1.5度上昇に抑えることで、2度上昇に比べて海面上昇などのリスクを軽減できる

・50年にも温室効果ガス排出を実質ゼロとする「脱炭素化」が必要

・二酸化炭素の地下貯留などの実用化で、再び1.5度未満に戻せる可能性も

ことば・IPCC
 化石燃料を燃やすなど人為的な地球温暖化の予測と影響、対策などについて科学的知見を提供するため、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が1988年に設立。現在は195カ国が加盟する。各国政府が推薦する科学者が公表された研究成果を集めて分析し、評価報告書として定期的に公表。国際交渉や各国政府の政策へ強い影響力がある。現在は第6次評価報告書の評価作業中で、2021年以降に三つの作業部会ごとの報告書が順次公表される。
https://mainichi.jp/articles/20181007/mog/00m/040/003000c
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/229.html

[不安と不健康18] オプジーボ誤解しないで がんセンター長に聞く免疫療法 聞き手 編集委員・田村建二 
オプジーボ誤解しないで がんセンター長に聞く免疫療法
聞き手 編集委員・田村建二2018年10月8日11時30分


 京都大の本庶佑(たすく)特別教授が今年のノーベル医学生理学賞に決まり、研究成果である「免疫療法」への関心が大きく高まりました。一方、この手法や本庶さんの研究をもとに開発された薬「オプジーボ」に対しての誤解も少なくありません。免疫療法に関していま知っておきたいことについて、国立がん研究センターがん対策情報センターの若尾文彦センター長に聞きました。

「オプジーボは万能ではない」患者団体が注意呼びかけ
     ◇

 本庶佑先生のノーベル賞受賞が決まって以来、私たちの施設にも「オプジーボで治療を受けたい」という相談の件数が増えています。なかには、手術を受けるのがベストと判断されたのに「手術でなく、オプジーボでがんを治すことができないか」という内容もありました。

 ここには、いくつかの誤解があります。

 まず、オプジーボは手術が受けられるような状態の方は対象になりません。手術ができればそれによってがんが治る可能性があるためです。すでにがんが別の場所に転移していて手術できない状態だとしても、いま標準的とされている抗がん剤がある場合は、まずはそちらを先に使うことになります。また、オプジーボの対象になったとしても、すべての患者さんに効果があるとは限らず、受けた方の2割ほどとされています。

 さらに、「効いた」としても、それが「治る」ことを意味するわけではありません。いま確認されている効果はあくまで生存期間の延長で、がんそのものが治癒したということではありません。効果があるというと「治る」と患者さん側が受けとめがちなのは、マスコミの報道による印象もあるようですが、私たち医療者の情報発信も不十分だったためだと思っています。

 オプジーボは副作用が軽いというイメージもあるようです。たしかに従来の抗がん剤によくみられる吐き気や白血球減少といった副作用は多くありませんが、間質性肺炎や重症筋無力症、1型糖尿病といった、このタイプの薬に特有の副作用が起こり得ます。こうしたケースにきちんと対応できる体制の整った医療機関で受けていただくことが大切です。

 本庶先生の研究がオプジーボという薬の開発につながったことは大きな意義があり、ノーベル賞の受賞が決まったのはすばらしいことです。ただそのことで注目度が一気に高まり、オプジーボと効果が確認されていない従来の免疫療法といっしょくたにされてしまうなど、免疫療法全般に対する過大な期待につながっているように感じます。

 私たちは、国立がん研究センターのがん情報サービスのなかに昨年3月開いたページ

https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu01.html別ウインドウで開きます〉

で、免疫療法を「効果あり」のものと「広義」のものに分けて記載しました。

 「効果あり」は、オプジーボなど「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれる薬による治療が中心で、効果が明らかにされた結果、国が承認して保険が適用されたのに加えて、国内の診療ガイドラインでも推奨されています。

 これ以外のほとんどの免疫療法は「広義」に該当し、効果はきちんと確かめられていません。免疫治療をうたう多くの民間クリニックが提供しているのは、自費による広義の免疫療法です。こうした治療を必ずしも否定するものではありませんが、本当に安全で有効であるのか、まずは臨床研究によって厳密に検討することが必要です。それをせずに、患者さんに高額の支払いを求めてこうした治療を提供するのは順序が逆ではないかと思います。また、研究をうたいつつ高額の費用を設定する場合もあるので注意がいります。

 効果が確認されていない広義の免疫療法と、オプジーボを組み合わせて自由診療で提供するクリニックも出てきています。特有の副作用を考えれば、やはり日本臨床腫瘍(しゅよう)学会の薬物療法専門医がいるような施設で受けていただくべきだと思います。「患者さんの状態に合わせて薬の量を調整する」といった広告もみられますが、コストを下げるために薬を減らしているところもあるようですし、薬の血中濃度を一定以上保たなければ治療効果も望めません。

 科学的根拠にもとづく医療を提供するべき「拠点病院」の側にも問題がありました。一部の「がん診療連携拠点病院」で最近まで、「広義の免疫療法」が臨床研究ではない形で行われていました。今年7月に拠点病院の整備指針が改正され、こうした免疫療法を拠点病院では原則として研究以外では行わないことになりました。

 患者さんやご家族には、効果が明らかな免疫療法は限られていること、自由診療で行われている広義の免疫療法には慎重な対応が求められること、効果が認められた免疫療法にもリスクがあることを知っていただきたいと思います。

 なぜ患者さんが自由診療の免疫療法を受けてしまうのか。それまでの拠点病院などでの治療がうまくいかなかっただけでなく、医師から十分な説明がなかったり、話をきちんと聞いてもらえなかったりして、それまでの医療者に不信感などがあったからではないかと思います。その背景には、拠点病院で一人ひとりの患者さんとじっくり向き合うゆとりがないといった医療体制の問題もあります。

 いま自由診療の免疫療法を受けている方が、十分に納得して満足されているなら、無理にやめていただくことはありません。ただ、かけた金額に見合った効果が本当に得られているのか、ちょっと立ち止まって考えていただいて、もし不安や心配があるようでしたら、主治医や拠点病院のがん相談支援センターにぜひ相談していただけたらと思います。

 〈https://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/fTopSoudan?OpenForm別ウインドウで開きます〉

 (がん情報サービス・がん相談支援センターを探す)

 医療者の側には、なぜ患者さんが自由診療の免疫療法を受けようと思うことになったのか、そこに至るまでの患者さんの経緯をふまえ、気持ちを受けとめることが必要だと思います。そのうえで、これからどうしていけばいいのか、一緒に考えていくという姿勢が求められます。(聞き手 編集委員・田村建二)

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国立がん研究センター がん情報サービス別ウインドウで開きます
https://www.asahi.com/articles/ASLB55W7VLB5ULZU016.html?

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/655.html

[経世済民128] 「未婚非正規女性」切り捨て社会の末路「全従業員の正社員化」に宿る堤清二の理念「70歳以降まで働く」のは嫌?嫁ブロック起業
「未婚非正規女性」切り捨て社会の末路


河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
「女性就業率過去最高」の内実

2018年10月9日(火)
河合 薫


本当に「働く時間を選びやすいパートなどが増えている」のか(写真:PIXTA)
――「女性が輝く社会」をつくることは、安倍内閣の最重要課題のひとつです。
すべての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、活躍できる社会づくりを進めてまいります。
 2014年10月10日――(官邸HPより)

 「すべての女性が輝く社会づくり推進室」と書かれた看板を、安倍首相と自称「トイレ大臣」こと有村治子氏が掲げたツーショットから、4年。

 確かに「まぶしいほど輝いてる!」写真が、ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された。

「Japanese Leader’s ‘Society Where Women Shine’: One Woman, 19 Men in Cabinet--Satsuki Katayama’s responsibilities include promoting gender equality--」
と題された掲載記事に使われた写真の「シルバーのドレス」である。

 むろん記事の内容はNHKまでもが流した、どーでもいい「キラキラドレスハプニング騒動」についてではない。

 第四次安倍内閣の女性閣僚は1人。安倍首相が記者会見で、女性記者から(外国人記者と思われる)「もっと女性閣僚が入ると思っていたのに、なぜか」といった趣旨の質問され、「女性活躍はまだ始まったばかり」とはぐらかし、「(入閣した女性閣僚は)フットワークがよくガッツもある。2人分、3人分の発信力を持って仕事をしてもらいたい」などと答えたことを取り上げ、日本が女性活躍後進国であることを伝えている。

 欧米ではこのご時世、女性大臣が「オンリーワン」は時代遅れ。13年の国連総会では、安倍首相自身が「Society Where Women Shine」という言葉を連発していたことへの皮肉を存分に込めた、と個人的には理解している。

 「女性議員はスカートをはいたジジイばかりだから、女性議員を登用しても意味がない」

 そういった意見もある。

 ならば民間で活躍している女性を招聘する手立てだってあったはずだし、専門性の高い、優秀な女性をノミネートすればいい。

 3カ月ほど前、自民党の参院政策審議会が、女性に関する政策を総合的に推進する「女性省」の創設を検討しているとの報道があったように、安倍政権にとって「女性」という単語は、「ナニカやってます!」とアピールするための道具でしかない。

 現在進行形であれば、それでよし。いまだに「始まったばかり」ってことは、安倍首相自身が格差是正する気もなければ、解決する気もないことを暴露した格好である。

 本来であれば、長期政権だからこそ解決に時間がかかる社会問題をきちんと進展させられるのに。なんだか本当に絶望的な気持ちになってしまうのです。

 ついでに申し上げれば、メディアもメディアだ。

 「用意したドレスがどう」とか、「認証式では長袖じゃないとダメだ」とか、「銀座の百貨店に直行してギリギリ間に合った」とか報じてないで、もっとやるべきことがあるのではないか。

 例えば、16年2月18日に「内閣総理大臣 安倍 晋三」の名前で公示された
「男女共同参画基本計画を平成二十七年十二月二十五日付けで次のとおり変更したので、男女共同参画社会基本法(平成十一年法律第七十八号)第十三条第五項の規定により準用される同条第四項の規定により公表する」とした文書では、改めて強調している視点として、「女性の活躍推進のためにも男性の働き方・暮らし方の見直しが欠かせないことから、男性中心型労働慣行等を変革し、職場、地域、家庭等あらゆる場面における施策を充実させる」とし、22年までの到達目標が詳細に記載してある。

 これを見れば「女性活躍は始まったばかり」じゃないし、現段階での到達目標との齟齬を指摘したり、検証することだってできる。

 しかも、
  ・国家公務員
  ・地方公務員
  ・民間企業
などの上位職の数値目標は詳細に列挙されているけど、国会議員は存在しない。

 なぜ、国会議員だけないのか? ツッコミどころは満載である。

 候補者数に関しては、「30%」と書いてあるが、そこに以下の注釈がある。

 「政府が政党に働きかける際に、政府として達成を目指す努力目標であり、政党の自律的行動を制約するものではなく、また、各政党が自ら達成を目指す目標ではない」

各国議会の女性進出で日本は158位
 なるほど。

 5月、国会議員や地方議員の選挙候補者数をできるだけ男女均等になるよう促す、政治分野の男女共同参画の推進に関する法(議員立法)が成立した際に、あくまでも努力義務であり、女性を当選しやすくするための策(比例名簿の上位に入れるなど)もなかったのは、こういう理由なわけだ。

 ちなみに、17年衆院選の当選者数に占める女性の比率は、10.1%。女性候補者数も少なく17.7%。世界の国会議員が参加する「列国議会同盟」がまとめた17年の各国議会の女性進出に関する報告書で、日本は193カ国中で158位だ。

 「政治に興味を持ってほしい」という言葉を、報道に関わるマスコミの人たちから何度も聞かされているだけに、「キラキラドレスハプニング騒動」に走ったことが残念で仕方がないのである。

 いずれにせよ、私の個人的見解の結論を申し上げれば、「男女半々内閣にすべし」と考えている。女性政治家に関してはこれまでさまざまな形で発信してきたし、コラムでも何回も書いた。その理由も、反対意見への意見も書いてきたつもりだ。なので詳細はここでは書きません。

 むろんコラムを読んでくださる方たちが、毎回読んでいるわけじゃないので、「知らんよ、そんなの」と叱られてしまうかもしれないけど。

 前置きがかなり長くなった。というわけで今回は女性議員問題ではなく、そもそも「活躍できていない女性たち」について考えてみようと思う。

 9月28日、「女性就業率過去最高」が大々的に報じられた。(以下9月28日付日本経済新聞より抜粋)

――「女性就業率 初の70%台 8月求人倍率1.63倍、高水準続く」

 総務省が28日発表した8月の労働力調査によると、15〜64歳の女性のうち、就業者の比率は前月比0.1ポイント上昇の70.0%と、初めて7割台に達した。

 働く時間を選びやすいパートなどが増えている。厚生労働省が同日発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.63倍と前月から横ばい。44年ぶりの高水準を保った。人口減少を背景に人手不足が続いている。

 (中略)

 政府は22年度末までに子育て世代の女性(25〜44歳)の就業率を80%まで高める目標を掲げる。8月は76.7%だった。

 (中略)

 もっとも、先行きを占う指標をみると、これまで続いてきた雇用情勢の改善が頭打ちとなる兆しも漂い始めた。

 例えば8月の新規求人数(同)は96万4103人と、前月から微減。2カ月連続の減少だ。産業別にみると、宿泊・飲食業は前年同月比3%減と5カ月連続で減っている。(以下省略)――

本当はもっと働きたいのでは?
 記事で、「働く時間を選びやすいパートなどが増えている」という表現と、「政府目標である22年度までの数値目標80%」が書かれているので、一見安倍政権の成果が強調されているように見える。

 でも、これって本当に「Society Where Women Shine」成果なのだろうか?

 そもそも「働く時間が選びやすい」から→「パート」というロジックで展開されているけど、本当はもっと働きたいのに、「パート」でしか雇ってもらえてないのではないか?

 おそらく私のこういった疑問に、
  「いやいや、正社員化が急ピッチで進んでるから大丈夫でしょ?」
  「だってパートを自分から選んでいる人って、マジで多いんだから問題ないでしょ?」
と、都合のいい妄想を並び立て口を尖らせる人たちは多いことだろう。

 が、実際には「労働力調査」のコーホート分析(特定の属性の人口グループが,次の時点でどのように変動したかを分析する手法)からは、「女性は無配偶者を含め正社員化が進みにくい」というファクトが明かされ、私のヒアリングでも40代以上の正社員化は、ほとんど進んでいないことがわかっているのである(男女含め)。

 以下、いくつかの論文で確認されている証拠を紹介する。

【時系列でみた変化】
 ●働いている女性

1985年の女性の労働力人口は2367万人、2015年は2842万人で、20.1%増。労働力人口総数に占める割合は、1985年の39.7%から、2015年は43.1 %に増加
1985年の女性の就業者数は2304万人だったが、2015年は2754万人で、19.5%増
1985年の女性の雇用者数は1548万人、2015年は2474万人で、59.8%増。雇用者総数に占める女性の割合は、1985年の35.9%から、2015年は43.9%でほぼ一貫して上昇傾向
1985年の女性の一般労働者の平均年齢は35.4歳だったが、2015年は40.7歳に上昇
 ●女性の雇用形態

1985年は女性の「正社員」994万人、「非正規雇用」470万人、2015年は「正社員」1043万人、「非正規雇用」1345万人。「正社員」は1985年比4.9 %増に対し、「非正規雇用」は186.2%増
「非正規雇用」のうちもっとも多い「パート・アルバイト」は1985年比152.5%増
23〜34歳の未婚女性の「正社員」の割合は1988年は71%だったが、2016年には57%まで下落
【賃金格差】

同じスキルを持つ個人が「正社員」から「パート・アルバイト」に転職すると、女性の場合、時間あたりの賃金が2割減る
フルタイム労働者の賃金格差は72.2(男性=100)
先進主要国に比べ、日本の男女間格差は大きい。スウェーデン88.0、フランス84.9、アメリカ82.5、イギリス82.4、ドイツ81.1
【初職が非正規から正社員への移行】

大卒男子は経過年数とともに正社員移行が進むが、女性については未婚に限定してもほとんど進展なし
「働く時間を選びやすいパートなどが増えている」のではない
 ……ふむ。実態を理解していただきたくて、少々数字を並べすぎてしまった。

 つまり、アレだ。これらを簡単に言うと……

 「30年間で女性が働くのって、結構当たり前になったけど、非正規ばっかじゃん。3倍近くに増えてるってすごいよね〜〜。

 しかも、未婚で非正規の女性が半分近くいるって、大丈夫かな。せっかく大学出ても正社員かどうかで稼ぎも変わってくるってことでしょ?

 年収300万と240万じゃ、えらく違うよ〜〜。非正規はさ、給料あがらないし〜〜、結婚したくても男の人も大変だしさ〜。これじゃあ、子どもなんか増えるわけないよね〜〜」

ってことだ。

 さらに、一橋大学名誉教授の大橋勇雄先生が「非正規雇用が増えた原因」について分析したところ、労働力の構成変化で説明できるのは36%程度で、企業の政策変化の影響が43.0%〜46.3%と大きいことがわかった。

 具体的には、企業が女性パートタイマーの基幹化を進めたことが主たる原因であり、女性の労働市場参加で説明できるのは全体のわずか16.7%で、マスコミで指摘されるほど影響は大きくないと指摘。

 冒頭で引用した新聞記事の「働く時間を選びやすいパートなどが増えている」という文言は、イメージでしかないのである。

誰もが「下」に落ちるリスクを抱えている
 もし、「すべての女性を輝かせたい」のなら、非正規の女性たちの不安定さをいかに解決するかが大きな課題であることは、以上のいくつもの分析結果から明白である。

 全世帯の4分の1が単独世帯で、おそらくこれからますます増えるに違いない。

 貧困世帯率は男性単独世帯38.6%、女性単独世帯にいたっては59.1%。18歳未満の子と1人親の世帯に限ると貧困率は54.6%と半分を超える。

 単身女性の貧困の解消には、給与の男女格差の雇用格差の是正が求められるのは言うまでもない。

 ところが、先の「男女共同参画基本計画」では、以下の文言はあるが、具体的な数値目標や政策は記されていない。

――非正規雇用労働者やひとり親等、生活上の困難に陥りやすい女性が増加している中で、公正な処遇が図られた多様な働き方の普及等、働き方の二極化に伴う諸問題への対応を進めるとともに、困難な状況に置かれている女性の実情に応じたきめ細かな支援を行うことにより、女性が安心して暮らせるための環境整備を進める。――

 きめ細かな支援? 美しい言葉だ。

 これでは何年たっても「女性活躍」が進まなくて当たり前だ。

 本来、社会問題は科学的根拠に基づいた政策(Evidence-based policy)で解決すべき問題であり、政府が強調する「数字」だけをメディアが取り上げるのは愚劣の極み。その結果、救うべき集団が切り捨てられているのだ。

 「上」に立つ指導的地位の女性を増やすことがいっこうに進まないのも問題だが、非正規のシングル女性を減少させない限り、キラキラの未来は絶対にこない。

 誰もが「下」に落ちるリスクを抱えているのが、今の社会だ。

 20年には大人の10人に8人は40代以上、10人に6人は50代以上だ。

 政策の手立てにすべき貴重な分析は存在するのにそれを生かさない。日本の偉い人たちは、いつになったらファクトをみてくれるのだろうか。

 「人生100年時代を見据え、全世代型の社会保障制度へと大きく改革を行う」とは、

 「荒波に耐えて生きろ!」というメッセージにしか聞こえないのは、私だけだろうか。

全国書店にて発売!「残念な職場ー53の研究が明かすヤバい真実」

 ―SOCの高い職場の作り方満載!―

 本書は、科学的エビデンスのある研究結果を元に、
「セクハラがなくならないわけ」
「残業が減らないわけ」
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といった誰もが感じている意味不明の“ヤバい真実”を解き明かした一冊です。

(内容)

ショートスリーパーは脳の故障だった!
一般的に言われている「女性の特徴」にエビデンスはない!
職場より家庭の方がストレスを感じる!
人生を邪魔しない職場とは?

このコラムについて
河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/100500184


「全従業員の正社員化」に宿る堤清二の理念


『セゾン 堤清二が見た未来』外伝
クレディセゾン林野社長が語るセゾングループと堤清二(前編)

2018年10月9日(火)
日経ビジネス編集部

 無印良品、ファミリーマート、パルコ、西武百貨店、西友、ロフト、そして外食チェーンの吉野家――。堤清二氏が一代でつくり上げた「セゾングループ」という企業集団を構成していたこれらの企業は、今なお色あせることはない。

 日本人の生活意識や買い物スタイルが大きな転換期を迎える今、改めて堤氏とセゾングループがかつて目指していた地平や、彼らが放っていた独特のエネルギーを知ることは、未来の日本と生活のあり方を考える上で、大きなヒントとなるはずだ。そんな思いを込めて2018年9月に発売されたのが『セゾン 堤清二が見た未来』だ。


 本連載では、堤氏と彼の生み出したセゾングループが、日本の小売業、サービス業、情報産業、さらには幅広い文化活動に与えた影響について、当時を知る歴史の「証人」たちに語ってもらう。

 連載第1回目に登場するのは、「セゾンカード」で知られるクレディセゾンの林野宏社長。西武百貨店に入社し、堤氏の薫陶を受けた林野社長は、堤氏の経営哲学を掘り下げ、クレディセゾンの経営に生かしている。林野社長の中に宿る「セゾンイズム」「堤哲学」とは何か、話を聞いた。(今回はその前編)


クレディセゾン社長・林野宏氏(写真/竹井俊晴)
林野社長は大学卒業後、1965年に西武百貨店に入社しました。どんなきっかけだったのですか。

クレディセゾン林野宏社長(以下、林野):本当は証券会社に行きたかったのですが、当時は証券不況で採用ストップ。残念な結果となりました。西武百貨店を選んだのは、堤清二さんがいたからです。

 私が入社した時、堤さんは30歳代。池袋本店の店長でしたが、間もなく西武百貨店の社長になりました。

 その頃、堤さんは既に「辻井喬」のペンネームで詩集を発表して賞を取るなど、詩人としても活躍していました。異色の若手経営者として注目されていたのです。

当時の西武百貨店は、百貨店業界の中でも老舗の三越や高島屋と比べると「格下」の新興百貨店でしたね。

林野:元来、私は判官贔屓で反権威主義に加え、天邪鬼でした。負けている会社、あるいはまだ勝ってない会社が、競争に勝ってナンバーワンになるプロセスの中に自分がいたい、という意識を強く持っていました。

林野社長が入社した頃、西武百貨店は都心では池袋本店しかなくて、まだ渋谷にも進出していませんでした。

林野:池袋が百貨店としては恵まれた立地ではなかったという事情もありましたし、当時、西武百貨店は、都心の百貨店で言えば、明らかに格下の百貨店でした。そうした厳しい状況から、堤さんは何とかイメージを上げていく方法を探っていました。

 そこに、堤さん特有の感性が発揮されたのです。大衆に文化を提供する、あるいは文化的な生活をしてもらうという理想を実現する場所として、新しい百貨店づくりを目指していたのです。そのために様々な努力をして、大衆の支持を獲得することに成功していきました。

まだお客さんが見たこともないようなものを
堤氏は西武百貨店で、海外ブランドをいち早く取り入れることにも力を注ぎました。

林野:エルメスやイヴ・サンローランなど、ヨーロッパのラグジュアリーブランドを次から次へと導入しました。堤清二さんの妹・邦子さんがパリに住んでいたので協力してもらいました。

 後発の百貨店ですから、老舗のまねをしないというのが堤さんの考え方でしたね。三越や高島屋、伊勢丹がやっているようなことはやらない、と。

 美術の展覧会を開くにしても、有名な画家の展覧会ばかり企画すると怒るんです。

 「客寄せパンダみたいなものは年に1回や2回ならいいけれど、文化催事はお客さんを集めるためにやるんじゃない。まだお客さんが見たこともないようなものをやるんだ」と。

 そういう感じで展覧会を開くものだから、芸大生ばかり来ちゃってね(笑)。池袋に行けばどんどん珍しい作品が見られると、芸大生に喜ばれました。

1975年には西武池袋本店に「西武美術館」が開業しました。これより以前の店舗での催事、そして美術館ができてからも西武百貨店は現代美術を積極的に紹介していきました。

林野:そうですね。例えば米国のジャスパー・ジョーンズという画家や、スイスのパウル・クレーなどです。当時はまだポピュラーになっていなくて、ほかの百貨店が取り上げないような芸術家の作品が多かったです。

 堤さんは西武百貨店の展覧会について、「社員にも見せる機会をつくりなさい」と言ってました。見て理解できなくてもいいんだ、と。それでも社員は、見ることによって美術などの文化に関心を持つようになる、ということです。社員は大変でしたよね、勉強しなくてはいけないから。


堤氏が提唱した「顧客最優先の思想」
セゾングループは美術館だけでなく、劇場を作ったり、映画配給を手掛けたりしたほか、堤氏自身が現代音楽の武満徹や作家の安部公房らと親交が深く、彼らの活動を支援していました。

林野:大衆の望んでいるものを、半歩先とか一歩先に見せる感覚で、西武百貨店のイメージを三越、伊勢丹、高島屋の上に持っていく戦略でした。広告ではコピーライターの糸井重里さんや仲畑貴志さんを起用して、斬新な広告を打ち出し、広告を文化へと高めたのです。

文化関連の取り組みのほかに、林野社長が西武百貨店に入社した当時、堤さんに関して印象に残っていることがありますか。

林野:1960年代後半だと思いますけど、堤さんは幹部集会で、「顧客最優先の思想」というのを打ち出していました。

 企業経営に、「思想」なんていう言葉を使うのはふさわしくないと思うかもしれませんが、堤さんはそういうことを考えていた人です。

 学生時代に共産党で活動した経験のある人だから、組織運営でも理念を重視していました。

 グループ運営では経営共和主義。つまり親会社が子会社を管理するのではなく、グループ会社はみな対等だという考えを唱えていました。そして会社の組織には、ヒューマニズムの風土が不可欠だと言っていたのです。

 当然、社員の性別とか学歴、年齢、社歴などは関係ないんだと。能力主義に徹するんだという考えです。

「全従業員を正社員に」に宿る堤哲学
堤氏のこうした発想は、父親である堤康次郎氏が築いた西武鉄道グループが持っていた封建的な体質に対する反発心を感じます。

林野:そういう面もあるでしょう。そもそも堤清二さんのこうした経営姿勢は、ほかの企業とは異なる際立った特徴です。

 私は西武百貨店から、クレディセゾンの前身である西武クレジットに移りました。それ以来、この会社で堤さんの理想を実現してやろうと思ってやってきました。

 継承した一つの考え方は、「より大きな目的のためには、米国流の株主最優先の経営からは距離を置く」ということです。短期的な利益最大化を目標とする経営とは違うものを目指すということですね。

クレディセゾンは2017年9月、パートタイムや嘱託などの区分をなくし、約2200人について賃金体系や福利厚生の待遇を改善しましたが、一方では人件費も上昇しました。こうした判断も、堤さんの思想が影響していますか。


林野:そうですね。会社としてどんな思想を持っているのか、社会にメッセージを発信する取り組みの一環でもあります。私は「非正規社員」や「従業員」という呼称そのものが好きではないんです。

 理想は、働いている人に自由があって、自分の考えが仕事に反映される会社にすること。社員が面白がって会社に来る、少なくともいやいや来るのではないような職場にしたいと思っています。

 思い切って人事制度を変えたことが世の中に伝わり、当社で働きたいという人が、特に女性中心に増えました。

 日本全体で言えば、1990年代からの「失われた20年」の中で最もつらい思いをしてきたのは、若い世代ではないでしょうか。この間に育った人たち、あるいは社会に出た若者たちは、自分の希望の職業に就けなかった人が多い。フリーターのようなかたちで働き続けている人も少なくありません。

 若い人たちが希望や夢を描けない時代が長かったんです。

 経営者はその人たちを安い給料で、非正規社員として使って人件費を節約することによって、減収増益を果たしたとも言えます。

過去20〜30年で、日本の経営者の発想が短期的な利益を上げることばかりに偏重するようになった、と。

林野:そうです。それが今も続いています。日本の経営者は事業を通じて、社会から共感を得ようという意識があまりないように感じています。

セゾン 堤清二が見た未来

 四半期決算は誰の為にやっているのか。企業業績が伸びたことで浮かばれたのは経営者の待遇と株主配当です。しかし若い働き手に対しては、物価が上がらないことをいいことにして低賃金で据え置いてきました。

 若いライフステージの段階で、お金を使うニーズがたくさんある世代の可処分所得を増やす施策を打てなければ、消費も景気も良くはなりません。当社が正社員化を決断した背景には、そのような思いもありました。(後編に続く)


このコラムについて
『セゾン 堤清二が見た未来』外伝
「家族」を考える
取材・文
日野 なおみ
 無印良品、ファミリーマート、パルコ、西武百貨店、西友、ロフト、そして外食チェーンの吉野家――。堤清二氏が一代でつくり上げた「セゾングループ」という企業集団を構成していたこれらの企業は、今なお、色あせることはない。

 人々の生活意識や買い物のスタイルが大きな転換期を迎えている今、改めて堤清二氏とセゾングループを知り、それを検証することは、未来の消費を知る大きなヒントとなるはずだ。そんな思いで誕生した本が、『セゾン 堤清二の見た未来』である。

 堤清二氏が鬼籍に入り、セゾングループが解体して長く経つ現代でも、彼の遺した経営哲学は、日本の消費社会に大きな影響力を持っている。

 本連載では、堤清二氏と彼の生み出したセゾングループが日本の小売業、サービス業、情報産業、さらには幅広い文化活動、そして日本人の消費生活に与えた影響について、最も輝いていた時代を知る歴史の「証人」たちに語ってもらう。

 堤清二氏とセゾングループの遺したメッセージを歴史の「証人」たちは、どのように受け止めているのか。

※記事は順次、追加していく予定です
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/100100031/100100001/?ST=editor


「70歳以降まで働く」のは嫌ですか?


上野泰也のエコノミック・ソナー
世論調査、世の妻は今も「亭主元気で留守がいい」のか?

2018年10月9日(火)
上野 泰也


いつまで働きたいですか?(写真=PIXTA)
 9月24日の朝刊に掲載された日経新聞・テレビ東京による世論調査(9月21〜23日実施)で、自民党総裁選における安倍首相3選を「よかった」と回答したのは55%で、安倍内閣支持率である55%と一致(支持率は8月下旬の48%から上昇)。また、安倍首相を「信頼できる」と回答したのは「大いに」「ある程度」の合計で57%だった。

 それよりも興味深かったのは、年金や定年といった老後の生活に関する部分の回答内容である。まず、首相に期待する政策(複数回答)では、「社会保障の充実」が49%で最も多く、「景気回復」(45%)、「教育の充実」(31%)、「外交・安全保障」(30%)などが続いた。19年1月まで持続すれば今回の景気拡張局面は戦後最長になるのだが、かなり多くの国民には景気回復の実感がいまだにない。

 「社会保障の充実」を望みつつも、政府が検討している公的年金の受給開始を70歳より後にずらすと毎月の支給額が今より増える制度については、「反対」が57%で、「賛成」33%を大きく上回った。

年金問題は政権の鬼門
 検討されているのは選択制の新たな受給コースであり、現在は希望に応じて70歳まで年金受給開始を遅らせることができる(代わりに毎月の受給額は増える)制度を、75歳以上まで遅らせるのが可能なように変えて、選択の幅を広げる案である。年金受給の開始年齢が一律に70歳や75歳まで引き上げられるわけではないのだが、半ば直観的に「70歳から受給」に否定的に回答した人が、少なからずいたのではないか。

 この問題で思い出すのが、年金受給開始年齢引き上げで、ロシアのプーチン大統領が支持率を大きく落としたことである。国を問わず、老後の生活における資金繰りは人々にとって文字通り死活問題であり、取り扱いを誤ると政治的なパワーは大きく減りかねない。

 ロシアの場合、プーチン政権が今年6月、年金受給開始年齢を男性は60歳から65歳、女性は55歳から63歳へと大幅に引き上げる改革案を発表したところ、80%台だったプーチン大統領の支持率は15%ポイントほど急落し、年金改革に反対するデモが数多くの大都市で発生した。そうした国民からの強い不満の表明をうけて、女性の受給開始年齢は63歳から60歳に変更されたものの、男性は65歳で当初案のままである。9月23日には、ロシアの地方選が予想外の結果になった。

 極東にあるハバロフスク地方とモスクワ東方のウラジミール州で知事選の決選投票が行われ、プーチン政権の与党である統一ロシアの候補がいずれにおいても敗北したのである。勝ったのは極右・自由民主党の候補だった。それでも、年金改革法案は下院に続いて上院でも10月3日に賛成多数で可決され、プーチン大統領の署名を得て同日に成立した。

 ここで問題になるのは、平均寿命との兼ね合いである。よく知られている話だが、ロシアの男性はアルコール度の高いお酒であるウォッカをよく飲むため、平均寿命が短い。旧ソ連崩壊直後に比べれば経済が改善しているためロシア人の平均寿命は毎年延びてきているものの、17年上半期時点で72.4歳(男性は66.5歳、女性は77歳)だという。ということは、この先どこまで平均寿命が延びるかにもよるが、改革が実施されれば、年金をほとんど受給しないまま亡くなる男性が珍しくなくなると考えられる。

 日本の場合、平均寿命は17年時点で男性81.09歳、女性87.26歳まで長期化した<図1>。一方、公的年金の受給開始年齢は60歳から段階的に引き上げられつつあり、男性は25年、女性は30年までに65歳になる。「老後はゆったり」の時間的余裕が日本ではまだかなり残っているようにも見える。


 だが、受給開始年齢をさらに高くする議論が進んでいるほか(後述)、健康寿命(介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間を示す)は16年時点で男性が72.14歳、女性が74.79歳である。したがって、「70歳から受給」に拒否反応を示す人が(筆者も含めて)いるのは、もっともな話である。

 人間は「働き蜂」ではないわけで、「働き終わったら人生サヨウナラ」というのでは、多くの人は到底納得できないだろう。定年まで働いた後は、それまでの蓄えと支給される年金で悠々自適の生活を謳歌するというのが、老後の典型的なライフスタイルとして長くイメージされてきたのではないだろうか。

 ところが、程度の差はあるにせよ、多くの国で人口構成の高齢化が進んでおり、公的年金という保険システムの収支バランスを調整する必要性が高くなっている。「入り」については、納入される保険料の引き上げ、保険料を支払う人の範囲拡大、さらには税金の投入。「出」については、支給額を抑制するための支給開始年齢引き上げ、所得が高い人への支給額削減などが行われている。ほかに、年金積立金を金融市場で運用することによって年金の支給原資を増やそうとする努力も行われている。

 「入り」を増やし「出」を抑えるとなると、世代間の公平性が損なわれてしまい、「何歳以下は年金保険料は払い損」といった試算が世の中の関心を集めるようになっている。

 しかし、日本は「国民皆年金」である。日本年金機構のホームページを見ると、その説明として、「わが国では、自営業者や無業者も含め、基本的に20歳以上60歳未満のすべての人が公的年金制度の対象になっています。これを国民皆年金といいます。国民皆年金制度によって、安定的な保険集団が構成され、社会全体で老後の所得に対応していくことが可能になっています」という説明がある。全員に加入義務があるからこそ成り立っている制度であり、勝手に脱退する人が増えると制度は崩壊してしまう。あるいは、年金制度そのものを急に根本から違うものに作り替えるようなことは事実上不可能である。

 安倍内閣は海外人材の受け入れに消極的なままであり、保険料を払う人の数を大きく増やすのは今後も難しいとなると、「出」を抑制して少子高齢化による年金財政悪化に歯止めをかけるべく、65歳よりも上まで年金支給開始年齢を引き上げることは、避けて通れない課題だと言わざるを得ない。

かすむ悠々自適の老後
 財務省は4月11日、厚生年金の支給開始年齢を68歳に引き上げる案を財政制度等審議会の財政制度分科会に提示した。分科会に提出した資料は、「人生100年時代」を迎える中で、年金財政悪化により給付水準の低下という形で将来世代が重い負担を強いられると指摘。さらに、35年以降に団塊ジュニア世代が65歳になることなどを踏まえて、「それまでに支給開始年齢をさらに引き上げていくべきではないか」と主張。想定される新たな開始年齢を68歳と明記した。

 厚生労働省は19年春にも、5年に1度の年金財政検証の結果を示す。これを基にして将来の年金制度に関する議論が本格的に始まる見通しになっている。

 日本やロシア以外の国々でも、年金支給開始年齢の引き上げが行われている。米国では65歳から67歳に、英国では65歳から68歳に、ドイツでは65歳から67歳に、フランスでは満額受給が65歳から67歳に、それぞれ引き上げられつつある。日本を先導役にして世界的に高齢化が進み、年金財政が苦しくなる中で、「悠々自適の老後」がかすんできている。

 もう1つ、冒頭でご紹介した日経新聞・テレビ東京の世論調査は、興味深い結果を含んでいた。

 政府が企業に原則65歳まで働けるよう義務付けている年齢をさらに引き上げることについてたずねたところ、賛成が57%で、反対の36%を上回った。65歳を超えて70歳になるまではさすがに働きたくないものの、年金で不足する生活資金を手に入れるための選択肢は持っておきたいということか。

 ただし、男女別に見ると、賛成という回答が男性では54%にとどまる一方、女性では60%に達した。夫が働きに出ており妻が専業主婦である40代前後以上の世帯で妻が抱くことが多いとされる「亭主元気で留守がいい」というような、率直な気持ちの反映なのかもしれない。


このコラムについて
上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/248790/100500160/?ST=editor



「嫁ブロック」すら崩せない人は起業に向かない


日経ビジネスRaise「オープン編集会議」
3人の起業家がリスク、お金、成功について本音トーク

2018年10月9日(火)
庄司 容子

日経ビジネスRaiseのオープン編集会議プロジェクト第2弾「起業のリアル」では、3人の起業家を招いてパネルディスカッションを開催した(9月7日、東京ミッドタウン日比谷「BASE Q」にて)。「起業のリスクとは?」「起業家にとって成功とは?」などをテーマに語ってもらった。

<登壇者>

・Shippio(シッピオ)Co-Founder&CEO 佐藤孝徳氏
・サイバーステップ社長 佐藤類氏
・MICIN(マイシン)CEO 原聖吾氏

■オープン編集会議とは

読者が自分の意見を自由に書き込める双方向メディア「日経ビジネスRaise(レイズ)」を活用し、日経ビジネスが取材を含む編集プロセスにユーザーの意見を取り入れていくプロジェクト。一部の取材に同行する「オープン編集会議メンバー」を公募し、記事の方向性を議論する「まとめ会議」を実施した。

■参加したオープン編集会議メンバー

入江 清隆 大日本印刷
桂 千佳子 日本語講師
鈴木 瞳 マカイラ
黒須 香名 スタディプラス
田中 宏 大正製薬ホールディングス
原島 洋 ウェブマスターズ
松下 芳生 JPスタイル研究所
宮本 英典 東京応化工業
三輪 愛 ミニストップ
山中 啓稔 TOTO
山中 康史 Face2communication
米川 植也 セルム
(注:発言内容は個人の意見であり、所属する企業や団体を代表するものではありません)

■お知らせ■

日経BP社、ならびに日経ビジネスは、「第17回日本イノベーター大賞」(表彰式は2019年2月26日)の部門賞として、創業5年以下のスタートアップ起業家を対象にした「日経ビジネスRaise賞」を新設し、候補者を公募します。自薦/他薦は問いません。奮ってご応募ください。(応募締め切り:2018年10月28日)

>>応募する<<

「お金の対価は『やりたいこと』」

パネルディスカッションに参加したMICIN原聖吾CEO(左)、Shippio佐藤孝徳CEO(中)、サイバーステップ佐藤類社長(右)(写真:北山宏一、以下同)
佐伯真也(日経ビジネス編集):最初にまず、皆さんが起業された時のことを聞きたいと思います。どんなリスクとどんなリターンがあるのか、きっちり計算したのでしょうか? 取材を通じて、「『割に合う』から起業した」という経営者の声も数多く聞きましたが、皆さんはどんな風に考えていましたか。

佐藤類氏(サイバーステップ創業者・社長):私は基本的にあまのじゃくなので、起業によってお金を儲ける、という考え方は間違っていると思うんですよね。学生と話していても、みんな損得とか、善悪とか、二元論で考えている。僕もそれなりにお金を貯めたり、借金したりしましたけど、お金の対価は「やりたいことやる」ということです。22歳の時に創業しましたが、そこまでしか考えていなかったですね。


佐藤類氏
1977年生まれ。98年、国立東京工業高等専門学校卒。2000年サイバーステップを創業。06年マザーズ上場
佐藤孝徳氏(Shippio共同創業者・CEO=最高経営責任者):僕の場合は子供が2人いて、32歳の時に起業したのですが、当時、三井物産で働いていて結構な年収をもらっていました。そこから起業するとなると当然、嫁から「どういうことなんだ」と聞かれるわけですが(笑)、クリアに説明しています。

 何がリスクか。僕は三井物産に10年いて、そこそこコミュニケーション能力があって、英語と中国語を話せます。だから、起業に失敗しても仕事はいつでも見つかるだろうと思いました。なので、リスクは大したことないと考えました。一方、20代は三井物産の中で駆け抜けられたんですけど、30代、40代になると後輩の指導をしなければいけなくなる。僕はそういうことをしている場合じゃないなと思ったんですね。


佐藤孝徳氏
1983年生まれ。三井物産を経て、2006年、Shippioの前身企業を設立。煩雑な輸出入事務を簡素化するソフトウエアを開発、事務を代行
佐伯:奥さんは賛同してくれたんですか?

佐藤孝徳氏:リスクはさっき言った程度ですから、むしろ可能性の方が大きいですよね。「成功すればお金持ちになれるし、単身赴任しなくていいから家族との時間ももっと持てるよ」などと言って説得しました。でもそもそも「嫁ブロック(妻に起業を反対されること)をどうする?」とか言っている人は、起業なんてできませんよ。嫁すら説得できていないわけですから。

 嫁に対する説明はしましたけど、自分としてはリスクなんて考えていませんでした。うじうじ考えてたら起業しないんじゃないでしょうか。

原聖吾氏(MICIN創業者・CEO):医療系の事業をしていることもあり、人が後悔しないで生きていける社会になったらすごくいいなと心から思っていて、それが社会へのリターンになればいいなと思っています。私自身のキャリアとかリターンとかっていうのは些細なもので、むしろ大きなものにチャレンジすることが大事だなと考えていました。


原聖吾氏
東京大学医学部卒。米スタンフォード大留学を経てマッキンゼー・アンド・カンパニー入社。医療政策の提言に携わる。2015年、MICINの前身企業を設立。AIによる医療情報分析やオンライン診療サービスを手掛ける
佐伯:シッピオの佐藤さんは自分の年齢や持っているスキル、そして年収などを踏まえてリスクを計算したようですが、お二人はいかがですか。

佐藤類氏:僕は高専を卒業した後、1カ月間マレーシアに旅行に行ったり、アルバイトをしたりと、もともと無職みたいな生き方をしていました。3人兄弟の末っ子なので、親も自由にやらせてくれましたね。両親が自営業で、借金も創業にも反対しませんでした。何も失うものがなかったんです。

佐伯:原さんは医師免許をお持ちですが、失敗しても医師に戻れるなと考えたことはありますか?

原氏:そうですね。失敗するリスクはちゃんと考えてなかったのかもしれません。どこかで戻る場所があると思っていたのかもしれませんね。ただ、事業を始めて、そういうことは思わなくなりました。戻る場所があると思っていると、事業にコミットしきれなくなると思うので。

佐藤孝徳氏:会社員でいることの方がリスクだと思いますし、起業家のほとんどは、「リスクあるよなー」ということは考えてないと思うんですよね。

佐藤類氏:あと、僕はシステムエンジニア(SE)として出稼ぎしていたので、会社がだめになってもSEとして稼げると思いました。いざとなったら1人で働いて返せばいいやと。手に職があるので、楽ではありますね。

 ただし、やる前にリスクを考える人は、起業なんてやめたほうが良い。やってから考えるんですね。「やべ。資金繰りどうしよ」と思った時に「あ、SEとして稼げる」と思うわけで。

佐伯:皆さん、あまりリスクを最初から考えていないんですね。ところで、事業をしていく中で心が折れそうな時、どう乗り越えましたか?

原氏:創業前のタイミングですが、医療とデータというテーマで事業をしようとなって、エンジニアが必要だとなりました。人脈を手繰っても、なかなかいい人が見つからない。GitHubとかからよさそうな人を探して、いきなりメールを出して勧誘するようなことをしていました。

 でも、「やろう」と言っても、そもそも始まらない。その時、どう乗り越えたかというと、一緒にやっていた草間(亮一COO=最高執行責任者)が、「エンジニアがいないなら、私がエンジニアになります」と言ってくれた。テックキャンプに通って、コーディングを勉強して、そこからプロトタイプを作りました。

 チームに恵まれましたね。1人だとできることには限界がありますから。1人でコールドコール(これまでつながりのなかった相手にいきなり電話すること)とかコールドメールをしていたら、そこで心が折れていたかもしれません。


足が震えた時も
佐藤類氏:創業した頃の話で陳腐に聞こえるかもしれませんが、内容証明郵便が来たことがあって、その時は足が震えましたね。今振り返れば、内容証明って年賀状みたいなものなのですよ(笑)。でも、23歳の僕はいきなり裁判だと思ってた(笑)。その文書は、弁護士間でいうところの「うやむやにしましょう」ということを意味するものだったみたいで、実際うやむやになったんですけど、震えましたね。

 あとは中途で採用した社員からご飯に誘われる時です。だいたい、そういう誘いの3回に1回は退職の話なんですよ。それ以来、人からご飯に誘われるのは嫌になったし、誘うのもトラウマになりました。

 受託開発をしていると、2カ月後にしかお金が入らないんです。2、3社、お金を払わないところが出てきて困ったこともありました。そんな時はググるか、社員に頼る。何も知らなくて「VC(ベンチャーキャピタル)」「アーリーステージ」「ハンズオン」といったキーワードでググって、6000万円投資してもらったこともあります。だから困った時はグーグル(笑)。

 できるだけ素直に社員を頼ったり、ググってパートナーの会社探したり。打開策がない、ということなんて世の中にはないので、そういう風にやっていけばいいんじゃないでしょうか。

今までなかったことが出来るのが喜び
佐伯:うれしいのはどんな時ですか。

原氏:今までできなかったことが実現するのは本当にうれしいですね。例えばオンライン診療。私も営業で回って、医師に対して「制度が変わってできるようになったんです」と言うんですが、「いやいや診療は対面でやるもの。できるわけない」って最初は言われるんです。でも、だんだん通うことで受け入れてくれて、そのうち「オンライン診療ができるから、患者さんが離脱しないでくれるようになったよ」っていう変化を感じられるとうれしいですね。

佐藤孝徳氏:物流も同じです。「インターネットでなんてできないよ」と言われるけど。エンジニアがうれしい顔をしていたり、社員同士が楽しそうに飲んでいたり、そういうのがうれしいですね。小さな幸せが増えて毎日楽しいです。

佐藤類氏:僕は人を採用することと、従業員の給料を増やすことが何よりも楽しい。きれいごとみたいですけど、売り上げが増えたり株価が上がったりするより、そっちの方がずっと楽しい。人には可能性があるから、こいつを雇ったら10年後こんなことになったとか、そう思って採用したわけじゃないけど、今、中核になってる、とか。その点で、人の採用とか給料増やすって楽しいですよね。そのために利益を増やすし、必要ならリストラをするし、新規事業を立ち上げるんです。

成功とは何か

佐伯:人生の喜びとは何か、といった話にもつながると思うのですが、「起業で成功する」とは、どのようなことなのでしょうか。お金持ちになることですか? 皆さんにとって、成功とは何でしょうか?

佐藤類氏:上場していることを褒められますけど、それが成功というわけではないですね。僕にとっては、上場は単に6000万円出資してくれたVCへの恩返しでしかない。

 僕らは、世の中から戦争をなくすことを会社の目的にしています。戦争をやってハッピーな人なんていないから、21世紀は娯楽の世紀にしようと。「世の中から戦争をなくしたい」という話を新卒採用の時にすると、学生には受けます(笑)。

佐伯:壮大な話の後ですが、原さんどうですか。

原氏:ビジョンが実現したら成功です。私自身が医療従事者として、病院でキャリアをスタートしました。肺がんの患者さんは呼吸が苦しくなってしまって、「こんな苦しいって知っていたらあんなにタバコを吸わなかった」って言って死んでいく。そういうのを見て、「こんなはずじゃなかった」と思いながら死んでいく人をひとりでも減らしたい。我々の会社の事業のおかげでそうなった人が少しでも出てきたら成功だなと思います。

佐藤孝徳氏:まだ、成功までが遠すぎて、すぐ出てこないんですけど。起業家とか経営者の仕事って、チームを作って投資家を集めて、どれだけレバレッジをかけて1人でやれないことをすることだと思うんです。僕1人だと、100点満点のテストでも99点が限界。でも僕が何かやって、ここで聞いている皆さんがあと5%本気を出そうとしたら、よくなりそうじゃないですか。みんなが、僕らがやっていることを見て、明日頑張ってみようって思ってくれた、それが成功かな。

「根拠のない自信」はどう身に付ける?

質問する原島氏
原島洋(オープン編集会議メンバー、ウェブマスターズ):起業の時に、あまりリスクを考えないと。それは「根拠のない自信」とも呼ばれるとも思うんですが、どの段階でそれを身に付けられたのでしょうか。子どもの頃の原体験などが影響していますか?

佐藤類氏:皆さん死んだことありますか? ないですよね。でも、死んでいたかもしれないってことは山ほどあるはずです。

 僕の母親は妊娠した時、看護師さんから、「佐藤さん、3人目ですけど、どうします?」と聞かれて、「産みます」と答えたそうです。その時「やめときます」って母が言ったら、僕はこの世にいないわけですよね。だから、何でもやれるって思います。

 子どもの時に行方不明になったこともあるし、熊野古道で東西南北が分からなくなったこともある。つまり、いつでも死と隣り合わせというか、皆さんもほとんど死んでるんですよ(笑)。昨日、電車にひかれたかもしれないし。それに比べたら、起業って大したことないですよね。

佐藤孝徳氏:死を意識するのはお勧めです。僕の祖父も会社をやっていて、彼は医療ミスで死んだんですよ。すごくいい経営者で、稼いだお金はフィリピンとバングラデシュに送って学校を作っていて、家訓は「奉仕せよ」。そんないい経営者が、人間ドックでは健康だと言われていたのに、医療ミスで死んでしまった。だから起業するとか、取引先がお金を払ってくれないとか、余裕だなと。

原氏:大学受験とか、努力したことが報われる体験みたいのがあります。事業を始める前に医者を離れて、コンサルタントとして働いた時の経験もそう。わからない世界に飛び込むのは、そのたびにすごく大変ですが、そこで少しやるうちにある程度分かってくる。努力したことに対して報われた体験は何らかの自信を与えてくれているんじゃないかなと思います。

宮本英典(オープン編集会議メンバー、東京応化工業):1人じゃできない、という話がありました。パートナーを見つけることは大事ですが、一緒にやっていける相手をどう探したのですか。

佐藤孝徳氏:まだパートナーとは喧嘩せずにやれています。僕の場合、三井物産時代に3年くらい近いところで仕事をしていましたし、(三井物産時代に赴任していた)北京という特殊な環境の中で、若手のゴルフ会や麻雀などを通じて、いい時も悪い時もお互いのことを見ていました。あとは好きな漫画のシーンとかを話したりして、価値観を共有していますね。


質問する宮本氏
佐藤類氏:創業者の仕事と社長の仕事は違います。創業者の仕事は仲間集めで、社長は従業員の境遇をよくすること。お金があっても優秀な人間がいなかったら何もできないですから。逆に、優秀な人がいればお金なんか集まります。

 僕は高専3年生のころから一緒にやる仲間を探していました。自分には実力はないのに、優秀な人間を囲っていましたね。僕は仲間集めしか仕事をしていません。新卒採用も仲間集めの一環だし、優秀な人間がいれば、今の業績くらいにはなります。

原氏:自分と違う人たちと一緒にやりたいなと考えました。僕はどちらかというとおおらかで人と対立するのを好まないんだけど、COOの草間は、プロセスを区切ってやったり、私にも耳の痛いことを日々言ってきたりする。人数が増えても初期メンバーは似た人が多かったのですが、組織として限界があるので、もう少しやんちゃな人たちを入れていこうとか、そんなことを話しています。

■お知らせ■

日経BP社、ならびに日経ビジネスは、「第17回日本イノベーター大賞」(表彰式は2019年2月26日)の部門賞として、創業5年以下のスタートアップ起業家を対象にした「日経ビジネスRaise賞」を新設し、候補者を公募します。自薦/他薦は問いません。奮ってご応募ください。(応募締め切り:2018年10月28日)

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このコラムについて
日経ビジネスRaise「オープン編集会議」
読者が自分の意見を自由に書き込めるオピニオン・プラットフォーム「日経ビジネスRaise(レイズ)」を活用し、日経ビジネスが取材を含む編集プロセスにユーザーの意見を取り入れながら記事を作っていくプロジェクト。一部の取材に同行する「オープン編集会議メンバー」も公募。Raiseユーザー、オープン編集会議メンバー、編集部が一緒に日経ビジネス本誌の特集などを作っていく。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/070600229/100500019/
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/720.html

[経世済民128] 債券利回り急上昇がもたらす、株式「最後のとりで」崩壊 世界の債券価値、1週間で104兆円吹き飛ぶ−1976年以降で最悪 
債券利回り急上昇がもたらす、株式「最後のとりで」崩壊
Dani Burger
2018年10月9日 4:08 JST

Photographer: Martin Leissl / Bloomberg
モルガン・スタンレーのアナリストが株式投資における「最後のとりで」とみていたグロース株に、ついに終焉(しゅうえん)が訪れようとしている。

  米国債利回りの急上昇で、投資家はグロース株を売却するかどうかの瀬戸際に立たされている。同行ストラテジストによれば、株価収益率が高いグロース銘柄は金利リスクの影響を特に受けやすい。この見解が正しければ、米株の強気相場で最大の勝者だったグロース株に終わりを告げることになる。


  モルガン・スタンレーの米国株担当チーフストラテジスト、マイク・ウィルソン氏は7日のリポートで、「配当が少なくバリュエーションが高いことを考えると、高値圏にあるグロース株はほぼ間違いなく、世界で最もデュレーションが長い(金利感応度が高い)資産だ」と指摘。「それゆえ、グロース株がいずれ金利上昇に屈することになるのは、全くもって理にかなっている」と記した。

  投資家が債券よりもリスクの高い株式を選好する上で求める株式のリスクプレミアムは、債券利回り急上昇を受けて縮小し始めた。特に株価水準の高いグロース株の益回りは、10年債利回りとの比較で魅力が低下している。

原題:Bond Tumult to Hit Last Stock Market Pillar, Morgan Stanley Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-08/PGAKAK6K50XT01?srnd=cojp-v2


 


世界の債券価値、1週間で104兆円吹き飛ぶ−1976年以降で最悪の年か
Sid Verma
2018年10月9日 5:12 JST
• トランプ氏の大統領選勝利後以来の大きさで指数価値が先週低下
• さらに金利上昇ならリターンは76年以降で最悪も−リットホルツ

Pedestrians walk along Wall Street near the New York Stock Exchange. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
世界的な債券のパフォーマンス低下が歴史的な領域に差し掛かっている。
  堅調な米経済指標や予想より引き締め気味の金融政策、商品価格の上昇、くすぶる賃上げ圧力などが重なって米国債利回りは上昇し、資産運用者を悩ませている。
  世界の投資適格級と高利回りの証券の指標であるブルームバーグ・バークレイズ・マルチバース指数は、先週に9160億ドル(約103兆5900億円)価値が低下した。これは2016年11月にトランプ氏が米大統領選で勝利した後以来の大幅な落ち込みだ。

  また、米国の高格付け債の指標であるブルームバーグ・バークレイズの指数は、今年これまでに2.53%低下。1976年以降、同指数が低下した年は3年しかない。
  リットホルツ・ウェルス・マネジメントの機関投資家向け資産運用担当ディレクター、ベン・カールソン氏は「債券投資家がこれほどの価値低下に直面したのは、この40数年間めったになかった」とブログに記し、「金利がさらに上昇すれば、債券リターン全般が76年以降で最悪の年になる可能性がある」と指摘した。

  米10年債利回りは5日に3.23%と、2011年5月以来の高水準で取引を終えた。金融政策がかつてなく緩和的な時代は間違いなく終わったと投資家は判断、欧州中核国と日本の債券価格も下落している。
  インテレクタス・パートナーズのチーフエコノミスト、ベン・エモンズ氏は「金利リスクが高格付け債全てに影響を及ぼしている」とし、「成長加速は名目・実質金利の上昇を意味する」と述べた。
原題:Bonds in $916 Billion Wipeout Spark Fear of Worst Run Since 1976(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-08/PGAOXV6JIJUO01?srnd=cojp-v2

 


米国債、入札前に利回り曲線がスティープ化−ディーラーがショート
Stephen Spratt
2018年10月9日 15:28 JST
米国債の次の試練は供給だ。米国債市場は8日、コロンブスデーの祝日で休場だったが、アジア時間9日の取引では利回りが上昇、イールドカーブがスティープ化傾向だ。10、11日に予定される入札をにらんだ動きのもようだ。

  10日には3年債と10年債、11日は30年債の入札がある。先週の急上昇に続き利回りが上昇傾向にある状況下での入札であるほか、740億ドル(約8兆3700億円)の供給に対して償還は240億ドルにとどまる。

  ディーラーはこれに備え、ショート(売り持ち)ポジションを構築している。入札で多くの債券を引き受けることになっても、ポジションがロング(買い持ち)にならないようにするためだ。

  アジア時間9日の取引で10年債利回りは一時2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.25%、30年債は3bp上昇して3.44%を付けた。


原題:Dealers Take the Short Route as U.S. Curve Steepens Before Sales(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-09/PGBILO6JTSEA01?srnd=cojp-v2

 
VIX急上昇、でもテールリスクをヘッジするコストは低下
Cecile Vannucci
2018年10月9日 12:51 JST

  市場のボラティリティー(変動性)の指標であるCBOEのボラティリティー指数(VIX)が先週急上昇したが、テールリスクをヘッジするコストの指標であるCBOEスキュー指数は逆に低下した。アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のS&P500種株価指数オプションの価格から算出される同指数は9.8%低下し5月以来の最低となった。先週はS&P500種が1%下落、米国債利回りは急上昇し、VIXは22%上昇と3月以来の大幅な伸びを記録した。

原題:While VIX Jumps, Cost of Hedging Against Tail Risk Slides: Chart(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-09/PGBAIX6JTSEJ01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/733.html

[経世済民128] 中国の預金準備率引き下げ、景気刺激の難しさ露呈 中国政府の通貨防衛能力を懸念せず=IMF 人民元の下落、トランプ政権懸念
コラム2018年10月9日 / 14:12 / 4時間前更新

中国の預金準備率引き下げ、景気刺激の難しさ露呈

Pete Sweeney
2 分で読む

[香港 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した銀行の預金準備率引き下げは、景気刺激策を打つことの難しさを浮き彫りにした。

人民銀は今年4回目となる預金準備率引き下げにより、1兆2000億元(1750億ドル)の流動性を放出すると発表した。中国は前回の大規模な景気てこ入れで債務が積み上がっているが、環境保全や医療、教育などの分野で投資の拡大が必要だ。資金のより賢い使い方を検討する時間的な余裕も少しはある。しかし政府が慌てて対応に走れば、無駄使いが増える危険がある。

人民銀は先週末、週明けの市場再開を待たずに銀行預金準備率の引き下げを発表した。引き下げは銀行が隠れ債務を処理するのに役立つ。中小企業への融資拡大を後押しし、地方政府が大量に発行するインフラプロジェクト向け債券の消化も進むだろう。

通商紛争が激化しており、金融緩和は当然の対応だ。世界銀行のデータによると、中国は昨年の国内総生産(GDP)の20%を財とサービスの貿易黒字が占めた。当局が過剰なリスクテークを取り締まったため、国内の銀行や金融市場は打撃を受けており、加えてトランプ米大統領が中国製品に制裁関税を課した。株式市場が下落し不安が高まっており、当局は即座に動いて金利を引き下げて減税を導入し、財政出動を図った。

中国には非効率な石炭火力発電所や汚れた河川が今もたくさんあり、多くの国民が十分な教育や医療を受けられずにいる。アジア開発銀行の2017年の推計によると、中国が2016─20年に必要とするインフラ投資は気候変動対策分を除き7530億ドルに上る。

厄介なのは景気刺激策を進めるペースの調節だ。中国経済は、政府が危機回避のために5800億ドルもの対策を講じた2008年と比べてはるかに強固だ。今回は流動性供給の切迫度が小さい。成長のペースは08年当時よりも鈍く、市場は短い間隔で数兆元規模の流動性を注ぎ込まれても消化が困難だ。

すぐにリターンを生むプロジェクトも見当たらない。環境浄化や教員の育成は重要だが、こうした取り組みの経済的な効果が表れるまでには時間が掛かる。すぐに景気刺激策に動くよう命じられた役所は資金を借り入れ、インフラプロジェクトを進める。抗うのは厳しいだろう。

●背景となるニュース

*中国人民銀行は7日、一部を除く市中銀行の預金準備率を1%引き下げると発表した。引き下げは今年4回目。15日に実施し、引き下げ後の預金準備率は大手行が14.5%、中小行が12.5%となる。

*人民銀によると、今回の準備率引き下げによる流動性の放出は1兆2000億元(1750億ドル)だが、このうち4500億元は償還期限を迎える中期貸出ファシリティー(MLF)の返済で相殺される。

*7日の国営新華社によると、劉昆財政相は中国が大規模減税などより積極的な財政政策も採用する方針だと述べた。今年の減税規模は1兆3000億ドルを超える見込みだという。

*中国の9月の外貨準備高は前月比230億ドル減の3兆1000億ドルだった。人民元安ドル高が進んだため、市場予想を上回る落ち込みとなった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/china-stimulus-breakingviews-idJPKCN1MJ0B8


 

ビジネス2018年10月9日 / 12:42 / 4時間前更新
中国政府の通貨防衛能力を懸念せず=IMF調査局長
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[ヌサドゥア(インドネシア) 9日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストを務めるモーリス・オブストフェルド調査局長は9日、最近の人民元の下落について懸念しておらず、中国政府が自国通貨を防衛する能力に問題はないと述べた。

局長は人民元下落についての質問に「それが問題だとは思わない」と答えた。

インドネシアのバリ島で開かれている国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会の記者会見では、中国政府が成長刺激策と金融の安定性を確保する政策の間で「バランスを取る」必要があるとの認識も示した。

人民元CNY=CFXSは今年、強い売り圧力にされされており、市場の懸念が特に強かった3月から8月までの期間には8%超下落した。ただし、当局が支援に動く中、人民元はそれ以降は下げ幅を縮小している。

中国人民銀行(中央銀行)はきょう、人民元の対ドル基準値を1ドル=6.9019元に設定。心理的に重要な節目の7.0元が迫った。

オブストフェルド氏は、金融市場は人民元の短期的な動きに神経質になり過ぎていると主張。人民元はここ数年、ボラティリティーが高まることがあっても、すぐに回復することが多かったとの認識を示した。

同氏は、IMFは中国当局に対して、成長率を過度に重視するのではなく、ショックに耐えられるよう成長の質や持続性を目指すべきだと提言してきたと指摘した。

同氏は、中国が信用拡大抑制策を講じる一方で、対米貿易摩擦を踏まえ成長押し上げ策を取ることは理解できるとした上で、「金融セクターの安定やデレバレッジの必要性との間でバランスを取る必要がある。地方政府の資金調達をより厳格に監視しなければならない」との見方を示した。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-daisaku-ueno-idJPKCN1MJ0P3


 

 


中国人民元の下落、トランプ政権が懸念と米高官−為替報告書の公表前
Saleha Mohsin
2018年10月9日 1:27 JST

An employee packages 100-yuan notes at a bank in Nantong, China.

Photographer: -/AFP/Getty Images
トランプ米政権は中国人民元の下落を懸念していると、米財務省の高官が8日語った。同省は半期に一度の為替報告書を来週公表する予定だ。
  ムニューシン財務長官は同報告書で中国を為替操作国と認定するよう、ホワイトハウスから圧力を受けてきた。人民元はこの半年間でドルに対して9%ほど下落し、アジア通貨の中でも下げが大きい。貿易を巡り米国との緊張が激化する中、中国当局が意図的に元安に誘導しているとの観測が強まっている。

人民元相場
ブルームバーグ
  匿名を条件に語った同高官によれば、米国は人民元の動きを注意深く監視しており、このところの元安に懸念を抱いている。それ以上の詳細は明らかにしなかった。
  トランプ大統領は7月、中国と欧州連合(EU)が自らの通貨を操作し、「われわれの大きな競争上の優位性を奪っている」とツイートで非難した。

Donald J. Trump
✔@realDonaldTrump

China, the European Union and others have been manipulating their currencies and interest rates lower, while the U.S. is raising rates while the dollars gets stronger and stronger with each passing day - taking away our big competitive edge. As usual, not a level playing field...
21:43 - 2018年7月20日

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Twitter広告の情報とプライバシー
原題:U.S. Is Said to Be Concerned About Chinese Yuan’s Recent Drop(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-08/PGAEI96TTDS001?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/734.html

[経世済民128] ノーベル経済学賞の2氏、米政権を会見で批判ノードハウス氏、気候変動巡り「ばかげている」 大規模住宅供給「焼け石に水」
ノーベル経済学賞の2氏、米政権を会見で批判
ノードハウス氏、気候変動巡り「ばかげている」

2018/10/9 7:47日本経済新聞 電子版
 【ニューヨーク=大塚節雄】2018年のノーベル経済学賞の受賞が決まった米国の2人の経済学者が8日、それぞれ記者会見し、トランプ政権の政策運営を陰に陽に批判した。「炭素税」の提唱者で知られるウィリアム・ノードハウス氏(米エール大教授)は、気候変動を疑問視する政権の姿勢を「ばかげている」と発言。「難しい時期に(対策を)やり遂げる必要がある」と述べた。

ノーベル経済学賞、米の2氏に 気候変動の影響など分析
 2018年のノーベル経済学賞が、米エール大のウィリアム・ノードハウス教授と米ニューヨーク大のポール・ローマー教授に授与されることが決まった。姿をみせた2氏はそれぞれ、トランプ政権の政策運営を陰に陽に批判した
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 技術革新が経済成長に与える影響で新たな理論を打ち立てたポール・ローマー氏(米ニューヨーク大教授)は「肝に銘じなければいけないことは、グローバル化とは単なるモノの交易ではなく、アイデアの共有だということだ」と述べ、孤立主義に傾く米政権への危惧をにじませた。第一線の米経済学者らとトランプ政権との「緊張関係」をうかがわせた。

 ノードハウス氏はコネティカット州のエール大で会見し、「気候変動の科学はあったが、経済学はなかった」と研究を始めた当初の苦労を振り返り、温暖化ガスの排出に課税する炭素税について、気候変動を抑えるうえで「これまでのところ最も有効で実践的な方法」との自負を示した。

 そのうえで「問題の一つは、とりわけこの国(米国)で気候変動を巡って大きな雑音が出ていることだ」と指摘。「米国でこれほど環境政策や気候変動政策への敵視があるのは極めて異常だ」と現状を嘆いた。

 さらにトランプ大統領の名指しは避けつつも、「気候変動は、中国が自国の製造業を支援するために流した『でっち上げ』だ」とする同氏の主張に言及。「気候変動の科学が19世紀に打ち立てられたことを踏まえると、極めてばかげている」と切って捨てた。

 一方で「米国以外では気候変動の背後にある科学や経済学、そして政策が広く受け入れられている」と強調。「(環境などに)甚大なダメージを伴わずに(対策を)やり遂げることを願う。だが今後起こる(前向きな)ことには極めて自信がある」とも語った。研究の「最後のフロンティアは(状況や考えの)異なる国々がいかに一緒に行動するかだ」として、今後は国際協調を促進する枠組みなどの研究に力を入れる意向を示した。

 ニューヨーク市のニューヨーク大で会見したローマー氏は、技術革新を促す秘訣は「より人々がお互いに結びつき、新たなことを学ぶうえで努力することだ」と主張。「より大きなチームになるほど一緒にもっと早く前進できる」と国際的な協調の必要を強調した。

 「このことがグローバル化がいかに重要かについて、より深い正当性や論理的な根拠を示している」と力説。「アイデアや我々の学んだ新しい物事を共有する」ことで技術革新を促すのがグローバル化の真の意味だと唱え、具体的な言及は避けながらも、米政権を軸に深まる貿易摩擦に対する危機感をうかがわせた。

 ローマー氏は、科学や経済学者に対する信頼が落ちている現状にも触れた。16年の英国の欧州連合(EU)離脱決定では、多くの人たちに「経済学者がそろって(残留賛成を)主張するから、自分は反対する」という機運が生まれたと指摘し、「経済学者にとって正当性が失われつつあることを考える深刻な警告」との見方を示した。

 事態を改善するためには「(経済学者が)ともに歩むと確認することが第一歩」と表明。意見の不一致があることや、それでも「事実」に向かって歩んでいることを訴えつつ、「各人が本当に知っていること、そして我々が集合知として知りうることについて謙虚でいなければならない」と自省をこめて語った。

 一見、異色の組み合わせとなった今回の共同受賞。ノードハウス氏は「環境経済学」と呼ぶ分野の先駆者だ。ローマー氏は知識の蓄積が経済成長を大きく左右する「内生的成長理論」を確立した。スウェーデン王立科学アカデミーは、両氏の成果をまとめて「気候変動や技術革新と、経済成長の関係を定式化した研究」と評価した。

 ローマー氏はノードハウス氏との共同受賞を聞き「ハッピーになった瞬間。素晴らしい人物だ」と語り、過去の研究で「知的交流があった」とも振り返った。受賞発表時の電話中継では「我々は環境保護のためにすばらしいことができる。同時に成長も諦める必要もない」と気候変動問題を力説し、「楽観主義」の重要性を力説した。

 ノードハウス氏は冗談めかしつつも「ローマー氏(との共同受賞)には本当に驚いた」と聴衆を笑わせた。ほかの実績のある環境経済学者の名も挙げ「(同氏は)頭をよぎらなかった」と、やや戸惑いをみせた。一方で技術革新の研究を「難しくて断念した」という過去も明かし、のちにこの分野で実績を上げたローマー氏を称賛。共同受賞は「とても名誉なこと」ともつけ加えた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36244850Z01C18A0I00000/


 

コラム2018年10月9日 / 11:22 / 7時間前更新

大規模住宅供給、価格高騰に「焼け石に水」の訳
Edward Hadas
3 分で読む

[ロンドン 3日 ロイター Breakingviews] - ロンドンでもサンフランシスコでも、住宅価格について住民に質問するといい。ほとんどすべての人が、ひどく悲惨な状況を口にするだろう。

最もありふれた結論は、ありとあらゆる住宅が高すぎるから大規模な住宅建設しか解決手段はない、というものだ。

だが、それは必ずしも正解ではない。

ほとんどの財・サービスについて、こうしたシンプルな分析は理にかなっている。豚肉の価格が上昇して生産コストを十分上回るならば、養豚農家は喜ぶだろう。だがやっかいなことに、おそらく彼らは、もっと多くの豚を育てようと判断してしまう。すると通常、価格は下がり、豚1頭あたりの利益は減少してしまうだろう。

需要と供給に関するこのようなサイクルは、ミクロ経済学の初歩の初歩であり、程度の差こそあれ、多くの産業で通用する。ところが住宅は、このことが該当しない商品の1つなのだ。

住宅を巡る経済学が豚肉と異なる原因は、「マネー」だ。特に、実際に住宅が建っている土地に対して支払われているとエコノミストが考える「マネー」だ。これが、価格のうち建設コストを超過している部分である。言い換えれば、養豚農家が利益と呼ぶもの、資産エコノミストが帰属土地コストと呼ぶものである。

居住用住宅のインフレ調整後価格に見られる近年の変動のほとんどすべてが、土地コストの上昇によるものだ。

正確には、1950年から2012年にかけての14カ国における住宅価格の上昇のうち、81%が土地コストの上昇分であり、残りが建設コストの上昇である。この計算は、カタリナ・ノール氏、モリッツ・シュラリック氏、トーマス・スティーガー氏が2014年にダラス連邦準備制度銀行のために実施した、実に入念な調査によって得られたものである。

土地とマネー、豚とマネーというそれぞれの関係は非常に異なっており、前者のほうがはるかに関係深い。全体的な価格が大きく上昇しない限り、豚肉向けの消費金額は、食費全体から支払われるものであり、その総額は相当に固定されている。要するに、ベーコン代が増えれば卵代が減るのだ。

住宅価格の土地部分に関しては、およそ厳格と呼ぶに値する制約は存在しない。土地購入に使われるマネーのうち、あまりにも多くの部分が、銀行による住宅抵当ローンという形でそのためだけに用意されるからだ。実質的には、建物自体が耐久消費財、実体投資であるのに対して、土地は株式、債券、オリジナル美術作品のような金融資産なのだ。

こうした資産の価格は、通常の経済的価値とはほとんど関係なく、買い手がどれほどの金額を支払う能力と意思を持っているかという点に深く根付いている。

購入に回せるマネーの供給が多ければ多いほど、そして購入しようという熱気が高いほど、価格は上昇する。美術作品の価格に関しては上限は存在しない。住宅に関しては、賃貸居住者や住宅ローンの借り手に、支払いを増やす能力や意志がなくなってしまった時点で価格上昇は止まる。

金利が低ければ、養豚農家も融資を受けてもっと繁殖牝豚を購入し、生産頭数を増やそうという気になる場合がある。だがそれは、低金利が住宅購入者に与える影響とはとうてい比較にならない。彼らは一般に、購入価格そのものより、月々の支払額に関心を注ぐからだ。

さらに、価格を押し上げる住宅購入資金がどこか別の源泉から供給される場合もある。たとえば香港の場合、住宅価格高騰の主な原動力となったのは、中国本土からの遊休資金の流入だった。

マネーの柔軟性がこれほど高いだけに、住宅の場合は豚肉に比べて、物理的な住宅供給の変化が価格に与える影響は遥かに小さくなる。ケース・シラー指数で見ると、2000年1月から2005年2月にかけて、年間の米新規住宅着工件数は35%も急増したのに、米国の平均住宅価格は79%も上昇した。過去5年間では、着工件数が40%増加したにもかかわらず、価格は31%上昇している。

もちろん、マネー総額が変わらないのに供給が少なくなれば、価格上昇の幅がさらに大きくなるのはほぼ確実である。結局のところ、平均価格とは、住宅購入に充てられるマネーを販売される住宅の戸数で割ったものに等しい。建設が増えれば、この割り算の分母の部分が大きくなる。

逆に、都市計画やゾーニング規制が新規建設を制限していたのであれば、規制緩和によって、ロンドンやサンフランシスコの住宅価格はほぼ確実に下がるだろう。どれくらい下がるのだろうか。もし建設ブームによって新築住宅が増えるだけでなく、ローンの貸し手や投機家の熱意も沈静化するのであれば、下げ幅は大きいだろう。この場合、鍵となる分数において、分母が大きくなる一方で(またそれが原因となって)、分子が小さくなるからだ。

とはいえ、住宅価格に対するマネーサプライの影響がこれほど大きいからこそ、住宅価格のトレンドは、新築住宅をどれくらい建設すべきかという明確な指標には必ずしもならない。

この問題に関心を寄せる政策担当者は、むしろ、価格よりも、住民生活の質を測るマネー以外の指標に注目するほうがよいだろう。こうした指標の候補としては、人口増加率や住居の平均建築年数、住民1人当たりスペース、そして典型的な通勤所要時間などが挙げられる。

政策担当者は、この問題について真剣に考える一方で、住宅市場に向けられたマネーの大量流入が社会的な一体性に与える影響についても懸念することになるのではないか。

結局のところ、住宅価格の急騰は「持てる者」と「持たざる者」の格差を必然的に拡大する。まずは自宅所有者と賃貸居住者、そして市場高騰以前に余裕を持って購入できた層と、苦しい家計を抱える新規購入層の格差だ。

住宅供給の増大が格差縮小に役立つ可能性はあるが、住宅は豚肉とは違う。マネー流入が続く限り、新規供給の効果は限定的だろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/economics-housing-breakingviews-idJPKCN1MJ05E
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/735.html

[経世済民128] 新宗教の信者数は30年間で4割減、創価学会をも襲う「構造不況」 創価学会・立正佼成会・真如苑、3大新宗教の「寿命」予想
2018年10月9日 週刊ダイヤモンド編集部
新宗教の信者数は30年間で4割減、創価学会をも襲う「構造不況」
JIJI、AFP=時事
『週刊ダイヤモンド』10月13日号の第1特集は「新宗教の寿命」です。今特集では、現代の新宗教界を象徴する3教団、創価学会と立正佼成会、そして真如苑に加え、存亡の危機にある主要教団のビジネス(布教)戦略を明らかにし、そのカネと権力、政治のタブーに迫ります。その特集から、宗教界全体が直面する“構造不況”とも呼べる状況を解説した記事を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。
 創価学会の実権は、原田稔会長や谷川佳樹主任副会長ら「四人組」と呼ばれる執行部が握っている。執行部は例年、池田大作名誉会長の誕生日の1月2日に、池田氏が療養中とされる東京・信濃町の学会施設に“池田詣で”を行うのが慣例だ。
 ところが今年、かつてない異変が起きた。「執行部の面会が初めて池田家側から拒否された」(池田家に近い関係者)というのだ。
 目下、その解釈をめぐって、二つの見方が信者たちに流れている。
 一つは、2010年5月の本部幹部会出席を最後に表舞台から姿を消した池田氏が、執行部と面会できないほど体調が悪化した、という見方である。
 そして、もう一つが、池田家と執行部の間に“亀裂”が生じ始めた、というものだ。執行部は近年、創価大学派閥など池田家に近いと目されていた側近などを次々と“粛清”する一方、学会の憲法に相当する「創価学会会憲」を昨年制定し、組織運営から教義に至る全権を原田会長に集中させるなど、“池田外し”ともいえる動きを加速させている。それを不快に感じている当の池田氏側が面会を拒否したというのである。
 「今の執行部は池田先生をあまりにないがしろにしている」──。
 そう悔し涙をにじませるのは、池田氏直属の親衛隊「転輪会(てんりんかい)」所属の古参信者だ。詳細は本誌記事に譲るが、池田氏本人と日常的に接してきた転輪会メンバーがメディアに口を開くのは極めてまれだ。
衆院選に続き
沖縄県知事選も大敗北の公明党
 こうした池田外しの背景にあるのは、卒寿(90歳)を迎えた希代の“カリスマ”池田氏の喪失に向けた組織固めだ。9月8日、機関紙「聖教新聞」で四半世紀にわたり連載された池田氏の小説『新・人間革命』が完結を迎えたことは、「時代の終わりが近い」ことを信者たちにあらためて実感させた。
 新宗教最大の教勢を誇る学会の足元では今、高度経済成長期に入会した会員のボリューム層が高齢化し、その自然減や世代間における信仰の断絶といった、構造的問題が顕在化している。
 その最たる例が、学会を母体とする公明党の苦境に表れている。昨年10月の衆議院議員選挙では比例得票数で700万票を割り込み、6議席を失う惨敗となった。さらに、およそ5000人といわれる学会活動家を本土から送り込むという、党を挙げての“総力戦”となった9月30日の沖縄県知事選挙でも敗北を喫した。
 衆院選敗北から1年。学会では目下、来夏の参議院議員選挙を視野に信者の引き締めを図るべく、執行部に異を唱える一般信者にまで“首切り”の嵐が吹き始めている。執行部を批判した会員を除名するだけではなく、地区幹部の役職解任や「査問」という名の“脅し”をかけられる一般信者が全国で急増しているというのだ。これらは身内に寛容とされる学会において、前代未聞の変化だ。
平成30年間で4割も減った
主要教団の信者数
 7月、オウム真理教元代表の麻原彰晃(本名・松本智津夫)らへの極刑が執行されたが、平成の終わりとともに、かつて世間を騒がせた新宗教が終焉に近づいていることを暗示する出来事だった。学会に迫る“Xデー”に象徴されるように、新宗教界全体を見渡しても、苦境に陥っている教団は多い。
 下図を見てほしい。1989(平成元)年以降の日本の宗教法人の総数と、各教団の自己申告ベースの“公称”信者数、そして、そのうち、主要新宗教教団の公称信者数を抜き出したグラフだ。

拡大画像表示
 「宗教年鑑」(文化庁)で毎年の公称信者数を捕捉できる上位37教団の信者数は、2637万人から1591万人へと4割減った。この落ち込みは、伝統宗教を含めた宗教界全体のそれをはるかに上回る。
 その理由は、先述した学会と共通する構造問題である。すなわち、少子高齢化(少産多死による人口減少)や核家族化、そして世代間の価値観の断絶といった要因であり、それは日本社会全体の環境変化に起因するものだ。学会の末端信者にまで及ぶ苛烈な引き締めは、この構造不況を生き残るための戦略転換の表れといえる。
 本特集では、最大手の学会に加え、アンチ学会の中心的存在で、実質的に新宗教界ナンバー2の立正佼成会、そして、新宗教界でひときわ注目を浴びる真如苑という三つの巨大教団に着目し、その現状や課題、そして今後の事業(布教)戦略を明らかにする。
 新宗教界はいわば、その時々の世相を映す日本社会の縮図でもある。構造不況に先行する存在として、そのサバイバル戦略にはビジネスパーソンにとっても学ぶところがあるはずだ。

https://diamond.jp/articles/-/181605

2018年10月9日 週刊ダイヤモンド編集部
創価学会・立正佼成会・真如苑、3大新宗教の「寿命」を大胆予想

Illustration by Yuuki Nara
『週刊ダイヤモンド』10月13日号の第1特集は「新宗教の寿命」です。今特集では、現代の新宗教界を象徴する3教団、創価学会と立正佼成会、そして真如苑に加え、存亡の危機にある主要教団のビジネス(布教)戦略を明らかにし、そのカネと権力、政治のタブーに迫ります。しかし、そもそも新宗教とはどういうものを指すのか、どのように発展してきたのかなど、新宗教に縁がない人からすれば、よくわからないだろう。そこで、発展の歴史や信者数、政治的立場、収入の規模などを解説。さらに本特集でフォーカスする立正佼成会と真如苑の信者数シミュレーション、創価学会を支持母体とする公明党の衆院選比例区の得票数シミュレーションを、ダイヤモンド・オンラインで特別公開する。
 新宗教に縁がないという読者も多いだろう。各教団の詳細に入る前に、新宗教界の全体像を押さえておきたい。
 新宗教と一口に言っても、実はその明確な定義はない。図(1)で分かるように、新宗教と呼ばれる教団の多くは日蓮正宗や真言宗など伝統仏教や神道、キリスト教から枝分かれしたり、影響を受けたりしているからだ。本誌では、宗教学の第一人者、井上順孝氏などが編集した『新宗教 教団・人物事典』に基づき、18世紀初頭以降に一派を興した教団を新宗教とした。
 このうち、文化庁発行の「宗教年鑑」最新版ほかによる、各教団の公称信者数が多い10教団を信者数でランキング化したのが図(2)だ。
 本誌で示したように、宗教年鑑に記載されたものを含めて、各教団の公称信者数ほど信ぴょう性に欠けるデータも珍しい。全宗教法人の合計信者数は、日本の人口をはるかに上回る。信者をどうカウントするかは各教団の基準次第で、退会者や死亡者まで含めている教団さえある。誇大申告が常態化しているのだ。
 だが、それでも公称信者数からは、その教団の勢いや新宗教界を取り巻く世相を読み解くことはできる。図(3)は信者数の推移のうち、特徴的なパターンを持つ教団を抽出した。例えば、創価学会は2005年に827万世帯と公称して以降は更新されず横ばい。片や、立正佼成会は右肩下がり、真如苑は逆に右肩上がりだ。絶対数は当てにならずとも、その教団の信者のカウント基準を押さえれば、一定の比較も可能となる。

https://diamond.jp/mwimgs/3/1/-/img_3167b5e784380bb59b2517172ffbb171322121.jpg

 続いて、機関紙の主張や選挙活動などから把握できる政治的な立ち位置からも、教団の特徴や互いの関係を読み解ける(図(4))。鍵を握る教団は、やはり公明党の母体である創価学会。1999年の自公連立により、リベラルな立ち位置にブレが生じ、右傾化した。

https://diamond.jp/mwimgs/9/c/-/img_9cc9a9082926ed6d72a2f4a9b8de4b16181643.jpg

 このブレは自民党とそれまでじっこんだった反創価学会の旗手、立正佼成会の立ち位置も変え、「敵の敵は味方」とばかりにリベラルに傾斜していった。この政治的転換は、両教団共に信者の離反を少なからず招いた。逆に、あえて政治に距離を置くのが真如苑。地元にゆかりのある政治家を主に応援するのが、日本唯一の宗教都市を有する天理教といった具合だ。
 一方、全体的な信者数減少の影響をもろに受けているのが、教団の“財布”。宗教事業の根幹であるお布施や寄付金の額に直結するからだ。図(5)は大規模宗教法人の収支の変化。01年と比べると16年は会費収入と投資支出が激減。カネもうけ手法を事業収入にシフトさせていることが見て取れる。

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将来の信者数と得票数を
大胆シミュレーション
 その教団の未来を知る上で、最大のバロメーターは、やはり信者数だ。そこで本誌は10大新宗教のうち、図(3)と図(4)の特徴や知名度、宗教界における存在感などから、創価学会、立正佼成会、真如苑について、信者数の「未来シミュレーション」を実施した(図(6))。いわば、各教団の“寿命”の試算だ。なお、創価学会は宗教年鑑から信者数を捕捉できないため、公明党の得票数を将来予測してみた。
 結果、現在272万人の信者を抱える立正佼成会は、35年に100万人を割り込み、真如苑に逆転される可能性が示された。また、公明党の得票数は95%予測区間下限で、直近の700万票から40年には600万票割れという最悪の事態も想定される。無論、これまでの推移に前提条件を与えた上での結果。各教団の対策次第で“寿命が延びる”ことは十分あり得る。

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https://diamond.jp/articles/-/181606


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/736.html

[経世済民128] Google+ 閉鎖へ 50万人の個人情報流出の恐れ
Google+ 閉鎖へ 50万人の個人情報流出の恐れ
2018/10/9 9:00日本経済新聞 電子版
 【シリコンバレー=中西豊紀】米グーグルは8日、ソフトウエアの不具合から最大50万人分の個人情報が外部に流出する恐れがあるとして同社の交流サイト(SNS)サービス「グーグル+(プラス)」を閉鎖すると発表した。現時点で実際の情報の流出や不正利用の形跡はないという。フェイスブックに次いでグーグルでも、データ管理の不備が見つかった形だ。

 不具合は個人向けのグーグルプラスで発覚した。不具合が生じた2015年から同社が対応措置をとった18年3月まで、外部のソフトウエア開発会社がサービス内の個人情報にアクセスできるようになっていた。対象はユーザーの名前や住所、電子メールアドレス、職業、性別、年齢で、人数は最大で50万人にのぼる。

 グーグルは発表が8日になったことについて「実際にどのユーザーが影響を受けたか確認ができなかったため」としている。一方で米ウォール・ストリート・ジャーナルは同日、グーグルの発表前に情報流出の恐れを電子版で報道。同社が「企業の評判への影響と当局の調査を恐れて公表を伏せた」と厳しく指摘した。

 同サービスはユーザー数や利用率が伸び悩んでいたこともあり、今後10カ月をかけて閉鎖する。現時点では外部会社によるデータの取得や、データの不正利用は見つかっていない。

 米国では今年に入りSNS最大手のフェイスブックによる情報管理の不手際が発覚。英コンサルティング会社経由で最大8700万人分の個人情報が流出した恐れがあるほか、最大5000万人分のデータがハッキングのリスクにさらされていことも明らかになった。

 同じく大量のデータを扱うグーグルは情報の保護管理では対応に優れているとされてきた。フェイスブックに対しては集団訴訟が起きたほか、一部議員がIT(情報技術)大手を念頭に置いた規制強化を訴えている。今回の問題を機にグーグルにも議会の矛先が向かう可能性がある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36245390Z01C18A0MM0000/


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/738.html

[不安と不健康18] コーヒーは1日何杯飲むのが死亡リスク低下に効果的か
【第4回】 2018年10月10日 西沢邦浩 :健康医療ジャーナリスト
コーヒーは1日何杯飲むのが死亡リスク低下に効果的か
Photo:PIXTA
『日本人のための科学的に正しい食事術』を上梓した、健康医療ジャーナリストの西沢邦浩氏が、最新エビデンスに基づき、日本人のあるべき食事を紹介する。今回のテーマは「コーヒー」。数多くの研究結果によって、毎日適量を飲むことで、がんや糖尿病をはじめとした各種の疾患リスクが低下するというコーヒーの素晴らしい効果が明らかになっている。
コーヒーは日本人にとって
最大のポリフェノール摂取源!?
 コーヒーは、日本語では「珈琲」という漢字が当てられ、明治・大正期から親しまれてきた飲料だが、私たち日本人にとって、野菜や果物、緑茶などを上回ってトップに位置する、抗酸化物質のポリフェノール源だというデータがある。
 21〜56歳までの日本人109人の1週間分の食事内容を分析した研究によると、ポリフェノールの約半分がコーヒー由来で47%、2位の緑茶が16.4%、野菜とジャガイモを合わせて4%、果物は1.4%の寄与率にとどまっていた(*1)。
*1 J Nutr Sci. 2014 Oct 22;3:e48.

 一方、レギュラーからインスタント、缶も含めると、日本人は週に1人当たり平均11杯強もコーヒーを飲んでいるという(*2)。もしかしたら、先進国の中では野菜や果物の摂取量が多いとはいえない日本人ならではの現象ではないかと疑ったのだが、必ずしもそういうわけでもなさそうなのだ。
*2 「コーヒーの需要動向に関する基本調査」(全日本コーヒー協会)2016年
 4,942人のフランス人(45〜60歳)の食事記録を分析したところ、総ポリフェノール摂取量中、やはり寄与率1位は日本と同様コーヒーで44%、2位の紅茶が9%という結果になった(*3)。
*3 Am J Clin Nutr. 2011 Jun;93(6):1220-8.
 洋の東西を問わず、毎日何杯も愛飲する人が多いコーヒーを筆頭とする飲料はポリフェノールの摂取源としてかなり大きな比重を占めるようだ。
1日4杯前後のコーヒーで
各種の疾患リスクが低下
本コラム著者・西沢邦浩氏の最新刊
 コーヒーは世界中で飲まれているだけに、健康や病気予防との関係を調べた数え切れないほどの研究がある。
 そのなかから、アンブレラレビューという、“いくつもの研究を統合分析した論文(総合解折研究)”ばかりを集めてさらに真実度を突き詰めた“論文の親方”のような研究を見てみよう。
 一つめは、59の統合解析研究を集約したアンブレラレビュー。
 コーヒーを飲むことで、乳がん、子宮内膜がん、大腸がん、前立腺がんといったがん、糖尿病、心血管疾患、パーキンソン病などのリスクが低下し、各種死因を総合した死亡リスクも減るとしている。1日4〜5杯のコーヒーを飲んだときに、これら疾患のリスクが最も低くなる傾向が強かった。
 もう一つは、218もの統合解析研究のアンブレラレビュー。
 こちらの研究では1日3〜4杯で各種疾患のリスクが最も低下し、全体の死亡リスクは17%減り、がんの発症リスクは18%減るとしている。心血管疾患、前立腺がん、肝臓がん、子宮内膜がん、皮膚がんなどのがん、メタボリックシンドローム、糖尿病、肝硬変、うつ、アルツハイマーなど、前のアンブレラレビュー同様、リスクを下げる可能性がある疾患がいくつも挙げられている。
 ただし、コーヒーを飲むことによるリスクとして、同レビューは早産・流産および女性の骨折リスクを挙げている。しかし、リスク要因になるのはカフェインで(つまりデカフェなら問題なさそう)、妊娠中は体からカフェインが排泄されるのにかかる時間が約2倍になるので気を付けること、骨に関しては1日4杯(カフェイン量で400mg)程度までは問題ないだろう、としている(*4)。
*4 Annu Rev Nutr. 2017 Aug 21;37:131-156. BMJ 2017 Nov 22;359:j5024.
 カフェイン摂取については、大人で1日400mg以内、妊婦では1日300mg以内、子供では体重1kg当たり1日2.5mg/kg以内に抑えれば害はなさそうとする別の統合解析もある(*5)。
*5 Food Chem Toxicol. 2017 Nov;109(Pt 1):585-648.
 これらから、健康な大人なら1日4〜5杯まではカフェインの害が出る可能性は低く、健康に役立ってくれるといえそうだ。ただし、睡眠の妨げになる場合もあるのでさすがに就寝前に飲むのはやめておいたほうがいいだろう。
日本人のデータでも
1日3〜4杯で死亡リスクが下がる
 ここで日本人のケースも見ておこう。
 日本人とコーヒーに関しても研究は多い。
 なかでも、9万人を平均18.7年間追跡してコーヒー摂取と死亡リスクの関係を調べた研究では、コーヒーを1日3〜4杯飲む人の死亡リスクは、全く飲まない人に比べ24%低かった。1日1〜2杯、5杯以上ではいずれも15%減少していたので、やはり日本人にもコーヒーがよいのは間違いなさそうだ。
 主要な疾患別のリスクは下図の通り。がんでは明らかな減少が認められなかったが、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスクは1日3〜4杯をピークに有意に下がった。
 がんに関しても、別の解析では1日3杯以上飲むと脳腫瘍リスクや女性の結腸がんリスクが下がるといった結果が出ている(*6)。
*6 Am J Clin Nutr. 2015 May;101(5):1029-37. Int J Cancer. 2016 Dec 15;139(12):2714-2721. Int J Cancer. 2018 Jul 15;143(2):307-316. 

 まとめると、「1日約3〜5杯コーヒーを飲むことで、いろいろな病気のリスクが下がる。このくらいの量まではカフェインもあまり問題がない。でも、気になる人は、ほぼ同じような効果が得られるのでデカフェコーヒーを」といったところだろうか。
 最後に、最近発表された米オハイオ州立大などによる、ユニークな研究を紹介しておこう。
 共同作業前にコーヒーを飲むことで、個々の仕事への貢献度が高まり、チームのパフォーマンスが高まったという内容だ。ただし、デカフェよりカフェイン入りで効果が高かったということなので、多分にカフェインの影響ということらしいが(*7)。
 とまれ、やはりいい人間関係づくりも、まずは1杯のコーヒーと歓談から。
 世界で愛される理由も、わかろうというものだ。
*7 J Psychopharmacol. 2018 Mar 1:269881118760665.

https://diamond.jp/articles/-/181414

http://www.asyura2.com/16/health18/msg/657.html

[経世済民128] 焦点:世界の外貨準備、ドル比率の低下止まらず トランプ不信の声も トランプ大統領が「皇帝」化、米メディアが抱く深い危機感
ビジネス2018年10月10日 / 18:24 / 2時間前更新
焦点:世界の外貨準備、ドル比率の低下止まらず トランプ不信の声も
2 分で読む

[東京 10日 ロイター] - 世界各国の外貨準備に占めるドルの比率が、下がり続けている。依然62%と圧倒的な割合だが、米経済が「一人勝ち」とも呼べる好景気と高金利を示す中での低下には、各国が人民元などに通貨分散を進めていることに加え、トランプ政権に対する不信感があるとの見方も出ている。次の経済危機の際にも、マネーがドルに逃避するとは言い切れないかもしれない。

<初の6四半期連続低下>

国際通貨基金(IMF)によると、世界の外貨準備に占めるドルの比率は6四半期連続で低下し、今年6月末時点で62.25%と2013年末以来の低水準となった。6期連続の低下は四半期毎の統計が始まった1999年以来初めて。

理由の1つは、各国が進める通貨分散にある。ユーロの比率は20%付近でほぼ変わらないが、人民元は1.84%と2016年の計測開始以来の最高水準、円の比率も4.97%と16年ぶりの高水準となった。

「中国経済のプレゼンス拡大や一帯一路構想などを受けて、人民元の外貨準備組み入れが加速した可能性がある」とSMBC日興証券・チーフマーケットエコノミストの丸山義正氏は話す。

実際、欧州中央銀行(ECB)が昨年、米ドルの外貨準備の一部を人民元にシフトし、英中銀とスイス国立銀行は既に人民元建て資産を運用している。

<トランプ政権下で進むドル離れ>

トランプ政権に対する不信や不満が、ドル離れの大きな背景との指摘もある。

米カリフォルニア大のベンジャミン・コーエン教授(国際政治経済学)は、プロジェクト・シンジケート(国際NPO団体)への8月の投稿で「第2次世界大戦以来、今ほどドルの信認が揺らいだことはない」と指摘。

「同盟国を含むあらゆる国に次々とけんかを吹っかけ、従わなければ『炎と怒り』で報復すると脅しをかけるような国に、誰が好んでマネーを預けるのか。他により安全な投資先を探そうとするのではないか」──と同教授は言う。

ロシアはウクライナ危機を受けて制裁が始まった2014年から、米国債の保有を徐々に減らしてきたが、米大統領選への介入を理由に米財務省が4月に新たな経済制裁を決めてから大幅売却に踏み切った。外準で保有する米国債は、昨年末の1022億ドルから7月末には149億ドルと85%減少した。

欧州連合(EU)のユンケル委員長は9月12日、EUが輸入するエネルギーの大半がドル建てとなっているとし、「政治的意思」により、ユーロ建てを増やすことが可能だと考えていると述べた。また、米国がトランプ大統領の下で内向きに傾く中、EUはユーロの役割拡大に好機を見つけられるとも語った。

市場では「ユンケル氏の発言は、ユーロがすぐにも基軸通貨になるということでなく、ドルを持つ事のリスクやデメリットを真剣に考えようという呼びかけだとみている」(資産運用会社)との指摘が出ている。

<次の金融危機に問われるドルの地位>

今後のドルの地位に関わるポイントの1つは、再び世界規模の危機が起きた際、ドルが「逃避先通貨」としての信頼を維持できるかどうかだ。

リーマンショックで世界経済が混乱した際には、米国が危機の震源地であるにもかかわらず、安全を求めたマネーが5000億ドル以上(2008年第4四半期)の規模で米国に還流した。

しかし、次回の危機で、同じ流れになるとは限らない。三井住友銀行・チーフストラテジストの宇野大介氏は、基軸通貨としての揺らぎが生じ始めたドルには「質への逃避」マネーが向かわず、ドルや米国資産がより長期的なダメージを受ける可能性があるとみる。

ドルの信認が揺らぎ続ければ、外国人投資家は基軸通貨だからといってドルに資金を投じるのではなく、米国の政策の節度について、より厳しくチェックするようになる。このため、政策の自由度は低下する。

「トランプ氏は、中国のように資本流出を心配しながら『米国を再び偉大な国にする』ことはできない」と、宇野氏は先行きを展望する。

戦前、基軸通貨だった英ポンドは、英国の経済基盤の弱体化とともに地位が低下した。1950年代に入ると1年ごとに通貨危機を繰り返したが、英ポンドを大量に保有していた投資家や国は、容易にドルに乗り換えができず、ドルの基軸通貨としての地位が安定したのは1960年代を待つことになる。

現時点では、外貨準備のドル比率低下は小さなものに過ぎないものの、通貨史を振り返れば、大きな変化は小さな変化の積み上げによって起きている。今は経済力、軍事力で圧倒的な力を持つ米国だが、ドルに対する各国の距離感の変化は、わずかであっても見逃すことはできない。

森佳子 編集:伊賀大記
https://jp.reuters.com/article/foreign-reserves-idJPKCN1MK0Y2


 


 
2018年10月10日 軽部謙介 :時事通信解説委員
トランプ大統領が「皇帝」化、米メディアが抱く深い危機感
軽部謙介の米国ウオッチ
トランプ大統領
写真:ユニフォトプレス
 トランプ米大統領が11月の中間選挙で一期目の折り返し点を迎える。

 TPPやパリ協定からの離脱に始まり、金正恩・北朝鮮労働党委員長との首脳会談に踏み切ると思えば、中国には未曽有の貿易戦争を仕掛け、同盟国には容赦ない批判を浴びせるなど、世界を翻弄してきたが、このところワシントン発の米紙記事を読んで、数多く目にするのが、“presidency”という単語だ。

米メディアで頻出する
“Presidency”
 辞書をひくと「大統領の職」とか「任期」とあり、時には「大統領制」という意味も含まれるようだが、実際に使われているときは、「大統領としての立ち居振る舞い」とか「大統領としての治世」というニュアンスを含む、ずっと広範で深い含意があるようだ。

 例えば、米メディアには“Trump presidency”(トランプ大統領の治世)という表現がよく出てくるほか、“this strange presidency”(この奇妙な大統領の治世)や、“Trump is a disgrace to the presidency”(トランプは米国の大統領制にとっての汚点だ)などという言い方さえされている。

 9月初め、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されて話題を呼んだ政府高官による匿名の投書「私も政権内でトランプに抵抗する一人だ」にも、“two-track presidency”という表現が出てきた。

 トランプ政権では、議会などに縛られる民主国家の首脳よりも即断即決で「取引」できる独裁者(強権的な指導者)を称賛する大統領の陰で、政府高官は、同盟関係や米国が伝統的に重視してきた理念を大事にし、政府内で手順を踏んで「まともな外交」をやろうと試みる二つの路線が並存しているという意味だ。

 この“presidency”を使った表現で一番有名なのは、“imperial presidency”という言葉かもしれない。日本語に訳せば「皇帝大統領制」か。

 つまり議会(立法権)や裁判所(司法権)と同列に三権分立の一角に過ぎない大統領(行政権)なのに、三権の上に君臨する皇帝のような存在になっているということなのだろう。

「皇帝大統領」の最初は
ニクソン元大統領
 この言葉がワシントンで定着するようになったのは、ケネディ大統領の側近として活躍したアーサー・シュレジンジャーが1973年に書いた同名の本からだと言われている。

 もともと歴史学者だった彼の日記をまとめた『JOURNALS』によると、最初は歴史学者として一般的な大統領制を集中的に研究するつもりだったようだ。

 だが次第に「ニクソン大統領時代の内部の状況を熟考するようになり」、権謀術数を好むニクソン大統領の横暴なやり方を帝政にたとえた比喩とともに、米国政治史の名著として残った。

 シュレジンジャー氏は2007年に89歳で亡くなるが、ニクソンに続き皇帝大統領制の呼び名を頂戴したのはブッシュ(息子)大統領だ。

 2005年にはボウドイン大学のアンドリュー・ルダルビジ教授が『The New Imperial Presidency(新皇帝大統領制)』という本で、「皇帝大統領制は戻ってきたのか」と問題を提起した。

 2001年の9・11の同時多発テロ事件を受けてアフガン戦争からイラク戦争へと米国を導いたブッシュ時代は、近年になく大統領に権限が集まった時代だったかもしれない。

 大量の大統領行政命令発布や捕虜への拷問などに批判が集まるが、当時の司法省は「同時テロに関与した者と犯人をかくまった者に対する軍事攻撃を容認した連邦議会の決議(通称9・14決議)を採択した以上、米国大統領を妨げてはならない」とホワイトハウスへの一極集中を容認した。

三権分立の政治風土
憲法で相互牽制掲げる
 米国で「皇帝大統領制」という表現が使われる時はやや否定的なニュアンスを含んでいる。

 厳格な三権分立の適用を是とする米国の伝統的な政治風土になじまない考え方だからだ。

 米国の司法界に詳しく『憲法で読むアメリカ』などの著作がある阿川尚之・同志社大学特別客員教授からこんな話を聞いたことがある。

 阿川氏が米国の法律事務所で弁護士を務めていた1990年代前半、保守的な論陣を張ることで有名だったアントニン・スカリア最高裁判事にインタビューした時だという。

 何か制度的な質問をした時だったというが、「スカリア判事はニヤッと笑いながらこう言ったんだ。『君、米国憲法の制定者たちは、ガバメント(government)は動かない方がいいと思っていたのだよ』ってね」

 少し解説が必要かもしれない。日本で「政府」といえば「首相官邸プラス各省庁」という受け止め方が一般的だが、米国の場合は、“government”は、議会やホワイトハウスを含めた統治機構全体を指すことが多い。

 スカリア判事が言った「動かない政府」を、個人的にもワシントン特派員時代に取材をして実感したことがある。

 米国では大統領が進めている政策を、議会が法案として審議をしなかったり、遅らせたりしてストップをかけるケースが非常に多かった。

 大統領選挙の重要公約として掲げた政策を真正面から否定するのでは、その人物を選んだ国民の多数がいら立ちを感じるのではないか。

 米国の政治史に詳しいことで有名な上院職員のドナルド・リッチー氏を訪ねて「このような政治状況は国民に不満を生まないのか」と聞いてみたが、リッチー氏の答えは実にシンプルだった。

「だって憲法にはそう書いてあるじゃないか。何か問題なのか」

 確かに1787年のフィラデルフィア会議で制定された米国憲法は政府と議会などの徹底した相互抑制機能を規定している。独立当時は、絶対王政花盛りの欧州から逃れてきた人が多かったためとも言われるが、徴税から通商交渉まで議会の権能は幅広い。

 党議拘束がないので仮に同じ党派が上下両院で多数を占めても法案や政府高官の人事案が認められる保証はどこにもない。一方で、大統領も法案に署名しない拒否権を発動することで議会に対抗できる。

マケイン議員の“楽観”外れる
トランプ登場で変化
 先日亡くなったジョン・マケイン議員はベトナム戦争の英雄として国民に人気があり、上院共和党の重鎮として大統領候補にもなった政治家だ。

 そのマケイン議員が2016年夏にニューヨーク・タイムズの取材でこう話していた。ちょうど大統領選挙の予備選が終わり、トランプ氏が共和党の大統領候補に決まる直前だ。

「トランプ氏が大統領になっても、この国が危機に瀕することはない。私たちには議会があり最高裁がある。所与の権限を越えようとする者を抑制する政治体制がある」

 おそらくマケイン氏は米国大統領制のチェック・アンド・バランスが機能すれば、トランプ氏とて勝手なふるまいはできないと言いたかったのだろう。

 90代のスカリア判事も、2000年代のリッチー氏も、2年前のマケイン氏も、米国憲法がもたらす伝統的な価値観=厳格な三権分立が機能することを信じていたし、それが民主主義の核心だと確信していた。その前提で仕事をするのが米国大統領の“presidency”だと信じていたのだ。

 しかし、トランプ時代になって何かが変わりつつあるように見える。

「皇帝大統領制」という言葉を意識するかどうかは別にして、現在の米国の政治体制がその方向に流れていることは間違いないだろう。

 上院では慣習上「フィリバスター」という議事妨害が認められている。

 これは議員がどれだけ長く演説をしても構わないというルールだ。憲法を朗読したり歌を歌ったりしてもOK。この議事妨害をやめさせるには100人の上院議員のうち60人の同意が必要だ。

 戦前の映画『スミス都に行く』では同僚の悪事を暴くため、若手の上院議員がぶっ続けで演説して倒れるというのが、クライマックスのシーンだった。昔から上院議員に認められた手段で、これも三権分立の歴史の中で定着してきた慣習だった。

 しかし、2000年代に入るころからこのフィリバスターを止められる票数を60票から50票に下げようという動きが顕在化し、今年4月の最高裁判事承認の採決ではついに議事妨害が封じられた。

「最高裁判事の人事に議事妨害を使えない」ということになったわけだ。

 上院が自らこのような選択をしたことで相互抑制の手段の一角が崩れたという見方は多く、与党・共和党のマケイン氏も「私たちはいつか後悔する」と語ったと、ワシントン発の記事は伝えている。

選挙を意識し議員の依存強まる
「異次元の統治」に危機感
 一方でホワイトハウスの権限も事実上、少しずつ強化されてきた。

 最近はどの大統領も議会の議決を経ない「大統領行政命令(Executive Order)」を乱発する傾向にある。それは共和、民主を問わない。もちろんこの行為に批判は強いのだが、議会が動かないことに業を煮やした大統領側の措置として各政権は正当化している。

 宣戦布告をはじめ、通商交渉や徴税などなど、米国憲法上でさまざまな権限を有する議会が、それを執行するはずのホワイトハウスへの依存度合いを強めれば、米国が伝統としてきた統治の形態は大きく変質する。

 それなのに、米議会内にはトランプ支持の共和党議員が多い。そうしないと今秋の中間選挙をはじめ、選挙で勝てないという見方が多いからだ。

 共和党支持者層の中でトランプ大統領の支持率は、どの調査を見ても8割前後に上る。トランプ批判の穏健派や良識派は党内できわめて分が悪い。

 今のところ、「所与の権限を越えようとする者を抑制する政治体制がある」と言ったマケイン氏の予想は当たっていない。阿川教授に明かされたスカリア判事の発想も、「憲法にそう書いてある」というリッチー氏の指摘も、外れつつある。

 三権がそれぞれにチェックしあえば暴走は防げるという「憲法の制定者たち」の考えが覆される時、米国は本当に“imperial presidency”の国になる。

 米紙で“presidency”という単語を見かける頻度が上がっているのは、トランプ政権の個々の政策に対してというよりも、「異形の大統領」による統治そのものが米国の統治を異次元にもっていってしまうことに対して、危機感を抱いているジャーナリストが多いからだろう。

(時事通信解説委員 軽部謙介)
https://diamond.jp/articles/-/181710


 

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

イラン糾弾のピッチを上げるトランプ政権

岡崎研究所

2018/10/10

 トランプ政権は5月に一方的にイラン核合意を離脱した後、7月には無条件での対話を呼びかけるなどしていたが、ここへ来て、イラン糾弾のピッチを上げている。トランプは9月の国連総会での演説でイランを大々的に批判したり、安保理議長の座を利用してイランを糾弾するなどしている。ここでは、国連総会演説におけるトランプの演説のうち、イランに関連する部分の概要を紹介する。


(solargaria/iStock)
 イランの指導者は、混沌、死、破壊の種を蒔いてきた。彼らは、近隣国の主権を尊重せず、自国を富ませ、中東の至る所に騒乱を拡散するために、国の資源を奪っている。

 イラン国民は、イランの指導部に莫大な経済的侵奪を受け、それらは着服されたり代理戦争に使われたりしているとして、憤慨している。

 イランの近隣諸国は、イランの侵略と拡張政策に高い代価を支払ってきた。それゆえ、中東の多くの国々が、2015年の酷いイラン核合意からの米国を離脱させイランに再制裁を科すという私の決定を強く支持したのだ。

 イラン核合意は、イランの指導者にとり僥倖であった。核合意以来の数年で、イランの軍事予算は40%近く拡大している。イランの指導部は、そうした資金を、核搭載可能なミサイルの建設、国内の弾圧強化、テロリストへの資金援助、シリアやイエメンにおける破壊や虐殺に使っている。

 米国は、イランの政権が血にまみれた政策を進めるのを拒否すべく、経済的圧力強化のキャンペーンに着手した。先月、我々はイラン核合意で解除された制裁の一部を復活させた。11月5日には追加的な制裁が再開され、さらに続くことになろう。我々は、イランから原油を輸入している国々が購入量を大幅に減らすよう働きかけている。

 我々は、世界のテロ支援を主導するような国、「米国に死を」とのスローガンを繰り返すような国、そして、イスラエルを消滅させると脅すような国に核兵器を許すわけにはいかない。

 全ての国々に対し、イランの侵略が続く限りイランの政権を孤立させるよう求める。また、宗教的で正義に則った運命を取り戻そうと格闘しているイラン国民への全ての国々の支援を求める。

出典:Donald Trump, ‘Remarks by President Trump to the 73rd Session of the United Nations General Assembly’(White House, September 25, 2018)
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-73rd-session-united-nations-general-assembly-new-york-ny/

 イランのロウハニ大統領は、同じ国連総会の演説で、トランプが対イラン制裁を呼びかけたことに対し「各国に法を破るよう求めるのは国連史上初めてのことだ」と強く反発した。ロウハニの指摘は的を射ている。イラン核合意は、安保委常任理事国5か国にドイツを加えた「P5+1」とイランとの間で合意され、安保理で承認され、安保理決議2231によりその履行が国連加盟国に求められている。つまり、イラン核合意は国際規範ということになる。トランプ政権の振る舞いは、国際法規に反していると言わざるを得ない。

 イランにとって心強いのは、米国を除くイラン核合意当事国が声明を発表し、イラン核合意の支持の継続を表明するとともに、イランとの経済関係の維持を明らかにしたことである。すなわち、イランとの金融取引を促進し、イランと取引をする企業を米国の制裁から護ると述べた。具体的には、イラン産原油の購入をドル以外の通貨で行うなどの策が考えられているらしい。

 しかし、このような対策が有効かどうかは疑問である。既にイランの原油輸出は急速に減っている。制裁が発効すれば、イランから原油を買う企業、は米国の市場と米国の金融システムから排除されることになるから、それを嫌ってのことである。

 米国経済の相対的地位は低下したとはいえ、世界の金融市場では依然としてドルが圧倒的な地位を占めており、ドル取引ができなくなると、世界でビジネスができなくなる。それは企業にとり致命傷であるから、イラン原油の購入は控えざるを得なくなる。日本企業もすでにイラン産原油の輸入を控えるとしている。比較的中立と思われるインドですらイラン産原油は買わなくなるようである。

 そうなると、イランにとって頼りになる主要国は中国とロシアである。しかし中国とロシアだけでは、これまでのイラン産原油に対する需要を補うことはできないだろう。イランは2017 年に原油の輸出で500億ドルの外貨収入を得た。これはイランの輸出全体の70%を占めた。この原油の輸出が大幅に減ると、すでに困難な状況にあるイラン経済にさらなる打撃となる。イラン産原油の購入に加えて、イランでのビジネスも制裁の対象となる。すでにイランでの石油・天然ガス関連事業から、仏のトタル社はじめ欧州の主要企業が撤退を決めた。

 トランプ政権による制裁はイラン経済を弱体化させ、イラン国民の生活をさらに困難なものにする。それが、イラン政権の崩壊(トランプ政権はこれを望んでいる)につながることはないだろうが、イランの足腰を弱めることは確かで、イランの中東政策にも影響を及ぼし得る。よく注視する必要がある。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14138
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/749.html

[経世済民128] 就業率に「陰り」、賃金上昇を期待した日銀の出口戦略に黄信号 就活ルール、経団連の廃止決定で「官製」になっても守られるか
2018年10月10日 西岡純子 :三井住友銀行 チーフ・エコノミスト
就業率に「陰り」、賃金上昇を期待した日銀の出口戦略に黄信号
Photo:PIXTA
 円安などによる企業収益の改善が続くなかで、賃金の上昇が期待されてきた。実際、労働市場は逼迫し、人手不足を訴える声はずっと続いてきた。だが賃金上昇の動きは鈍く、足元では、高原状態だった新規求人に対する就業率も鈍化が目立つ。「デフレ脱却」を掲げてきた政府・日銀のシナリオはまたまた、狂いかねない。
日銀短観で確認された
企業の投資意欲の強さ
 先週に発表された日銀短観の9月調査では、大企業製造業の業況判断D.I.(「良い(%)」−「悪い(%)」)が4期連続の悪化となった.。
 ただ、多くの企業が業況が「良い」と回答していることに変わりはなく、海外需要の鈍化や一連の悪天候、米国主導の保護主義への懸念といった悪材料が重なった割に、小幅な調整にとどまったとみるべきだ。
  むしろ、子細に見ると内容は良かったともいえる。まず、今年度の設備投資計画は大企業全体で+13.4%と2ケタ増を維持した。あくまでも「計画」であり、実際にその勢いで投資が実行されるかはわからないが、企業の投資意欲の強さははっきりとうかがえた。
 実際に、GDPベースの設備投資額は実質値で「バブル景気」の最高水準を既に超えている。
 かつてない低金利のうえ、もともと企業は潤沢なキャッシュフローを持ち、省力化投資や電気自動車など新規事業の拡大の意欲も強い。強気の設備投資計画が実際の支出につながることもあり得そうだ。
 しかも114円半ばまでのドル高円安が続いているし、株価上昇も米金利の急上昇のあおりでやや勢いが鈍ったとはいえ、それでも1992年以来の最高値水準だ。
 政府や日銀の関心は、企業の投資意欲の回復やマクロ的需給バランスの引き締まりが、いよいよ本格的な賃金上昇につながるのか、それで消費が活発になり「2%物価目標」を達成できるか、ということだろう。
 この点、日銀短観をみる限りでも、人手不足感は相変わらず強く、その強さからいえば賃金の上昇にもっとはずみがついてもおかしくはない。
 雇用判断D.I.(「過剰(%)」−「不足(%)」)は、非製造業を中心に大きく低下しており、前回の景気拡張期のピークだった2007年当時と比較しても、労働市場のひっ迫感は相当のものである。
「人手不足」なのに
賃金上昇が鈍い構造要因
 直近8月の毎月勤労統計(速報)によると、1人当たりの月間現金給与総額は前年比+0.9%と前年比プラスを維持している。
 ただし、サンプル入れ替えによる影響を排除するため、厚生労働省が参考値として公表している共通事業所ベースで見ると、前年比+0.8%と前月と、伸びは変わらない。このうちの所定内給与も同+0.7%で、上昇に勢いはない。
 業種別や、過去との比較など、どの側面から見ても人手不足感が賃金上昇につながる動きははっきりしていない。特に不足感が強いと報告されている宿泊業・飲食サービスや建設業、専門・技術サービスといった業種でも賃金上昇率は低いままである。
 なぜなのか。労働市場が逼迫すれば賃金が上昇するという理屈通りにはなっていないのは、2つの構造的な問題があると考えられる。
 (1)人手の不足感は確かに強いのだが、様々なミスマッチを背景に、求人側が求めている人材の確保にまだ至ってない、という制約と、(2)雇用されている人の数が全体では実は十分な水準でも、産業間や社内で、適材適所への配分・調整が不十分なことだ。
「適性値」に対して
雇用はむしろ「過剰」
 働き手が減る経済では、これまでの成長を維持するには労働生産性の向上は必須で、労働生産性が上昇することで賃金上昇も確実になる。また、労働生産性が回復する過程で企業に事業活動の余力が生まれると、さらなる雇用拡大への動機も強まる。
 労働生産性と雇用される人の数は中長期的には共通のトレンドを共有するはずだ。
 こうした考え方から、労働生産性に見合う適正な雇用者数を割り出し、それと実際の雇用者数を重ねてみたのが図表1だ。
◆図表1:労働生産性と雇用者数
(出所)総務省、三井住友銀行 拡大画像表示
 雇用者数の適正値は90年初頭から一貫して右肩上がりで上昇した後、2008年の金融危機を境にその改善ペースは止まった。この間、実際の雇用者数はその適正値を挟んで増減を繰り返している。
 注目すべきは足元で、実際に雇用されている人の数が適正値を大きく上回っていることだ。
 過去、実際の雇用者数が適正値をはっきりと上回ったのは1992年から1999年の、バブル崩壊後の「過剰雇用」の整理に主要企業が四苦八苦していたころだ。その後の2002〜2008年の景気拡大期はむしろ控えめな採用活動が維持されていたことで、実際の雇用者数は適正値を下回っている。
 アベノミクスが発足した2012年末以降、雇用者数は増勢を強め、物価が緩やかながら上昇に転じた2015年ごろからの雇用者数の増加は、適正値を大幅に上回るペースだ。
 こうした推移から考えれば、今は足元の雇用は「不足」ではなく、むしろ「過剰」の域にあるといっていい。
雇用拡大は非正規に集中
安倍改造内閣の「改革」では限界
 一方で、雇用の拡大が女性や高齢者、非正規雇用に集中したことで、結果として企業が支払う雇用者報酬は、企業収益の増加ほどには伸びず、労働分配率は低迷したままだ。
 結局、いまの雇用状況は、企業側は、容易に代替が利くような職種で雇用を確保しただけで、成長分野や事業拡大の上で必要とされる職種への人材の確保が遅れた。その結果、全体の雇用者数は十分増えているにもかかわらず、雇用の不足感は強まる一方で解消しない、ということになっているのだろう。
 労働市場の需給逼迫にもかかわらず賃金がはっきりと上昇しないのは、こうした構造的なミスマッチがあることによる要因が大きいといえるだろう。
 発足した第4次安倍改造内閣は、新たな成長戦略の柱として、第4次産業革命や地方創生と並んで、雇用改革を含めた「全世代型社会保障改革」の3つを掲げた。うち、雇用改革については継続雇用年齢を65歳以上に引き上げ、年金の受給開始年齢も「70歳超」からも選べるようにする法改正を検討するという。
 働き手が増えることで、国全体の所得のパイが広がることは確かだろう。だが高齢者の就業率を引き上げるといってもおのずと限界はある。
 2012年末のアベノミクスのスタート以降、就業者数総数に占める高齢者の割合は一貫して上昇し、2016年時点では男女計で11.9%までになった。
 高齢就業者の雇用形態は、役員が102万人(13.3%)、自営業主・家族従業者が263万人(34.4%)、役員を除く雇用者が400万人(52.3%)である。だが役員を除く雇用者の内訳を見ると、正規の社員・従業員は99万人と4分の1を占めるのみで、残るはパート・アルバイト(204万人)や契約社員(36万人)、嘱託(30万人)など非正規雇用が4分の3を占める。
 希望者を65歳まで雇用することを義務付ける法改正は、非正規雇用が多く、時間当たりの単位賃金が相対的に低い高齢者の賃金を引き上げようという狙いだ。
 だが、すでに日本は、高齢者の就業率(実際の就業者÷人口)は主要国の間で最高水準にある。他主要国も高齢化の進展によって高齢者の就業率は高まる傾向だが、日本はそれらを先行している。
 働く高齢者の処遇を改善し、その過程で技能継承等を促すことで経済全体の生産性を引き上げることは必要だが、高齢者の就業率引き上げにはおのずと制約があるし、それだけで、日本経済の生産性を上げ、賃金や雇用を増やしていくのは限界がある。
就業率の伸びは鈍化
賃金への波及難しい
 政府が「働き方改革」を掲げてきたのも、まずは働き手の意識改革が進むことで生産性や効率が高まることを狙っていたわけだが、そうこうしている間に労働市場の需給逼迫にも、陰りが見えてきてしまった。
 図表2のように、充足率(就職者数÷新規求人数)の低下が続き、企業側が人材採用を満たせていない状況が一段と深刻になっている一方で、一般的な就職実績を表す就業率(就職件数÷新規求人数)は、これまでの高原状態から少し鈍化する動きが目立ってきている。
◆図表2:就職率と充足率
(出所)厚生労働省 拡大画像表示
就業率が鈍化しているのは、これまで増える一方だった就職件数の増加が止まり、減少に転じたことが背景にある。米中貿易戦争などによる海外市場への不安に加え、そもそも国内市場の成長がこれ以上はそう期待できないという見通しから、企業がこれまでの雇用確保に向けた積極姿勢を修正しつつある動きと言える。
 売り手市場とされてきた労働市場で、需給逼迫が鈍化する兆しが表れていることは、異次元緩和からの「出口戦略」を模索し始めている日銀にとっては見過ごせないことだ。
 このところ、海外金利の上昇をきっかけに、円金利も長期、超長期ゾーンを中心に、10年国債利回りは0.15%超え、20年金利は0.69%、30年金利は0.95%まで上昇している。
 長期金利の変動幅を拡大する「政策修正」を7月末にした日銀は、市場のボラティリティーがどこまで上昇し、将来の利上げに対する政策の自由度がどこまで確保されるかを、確認しているところだろう。
 日銀が堂々と金融政策の正常化に向かう上でも、労働市場の逼迫から賃金上昇につながることが期待されていたが、その可能性は一段と下がったとみるべきである。
(三井住友銀行 チーフ・エコノミスト 西岡純子)

https://diamond.jp/articles/-/181709


 

2018年10月10日 堀篭俊材 :朝日新聞編集委員
就活ルール、経団連の廃止決定で「官製」になっても守られるか
大手金融機関が10月1日に都内で開いた内定式。新卒内定者が一同に介する光景もやがてみられなくなってしまうのか…… Photo by Toshiki Horigome
 経団連が、会社説明会や面接などの解禁時期を定めてきた「就活ルール」(就活指針)の廃止を決めた。
 中西宏明会長の突然の「廃止表明」から約1ヵ月、今後は、政府が音頭をとって企業に呼びかける「官製就活」に移行することになる。
 といっても罰則がなければ拘束力はない。経団連に加盟しないIT企業や外資系企業が早くから採用活動をして人材を囲い込む抜け駆けが横行してきたが、労働人口減少時代で「売り手市場」の就活戦線はこのまま漂流するのか。
「寝耳に水」の廃止宣言
その伏線は3ヵ月前
 経団連は9日、正副会長会議で就活指針の廃止について協議した。中西会長は直後の会見で「2021年度以降、経団連は指針を策定しないのが妥当という結論になった」と語り、1953年から財界が作ってきた就活に関するルールを廃止することを正式に宣言した。18人いる副会長から異論は出なかったという。
 中西会長が就活指針の廃止に言及したのは約1ヵ月前、9月3日の会見だった。
 就活指針についてたずねた記者の質問に答え、「経団連が日程を決め、いいの悪いのと批判を浴びるのはおかしな話」。突然、就活指針の廃止に言及したのだ。
「会議では就活の話は一切なし。事務方から報告を受けて、びっくり仰天した」。この日の正副会長会議で中西会長と一緒だった経団連副会長はこう話す。寝耳に水の「宣言」だった。
 だが、唐突に思える発言には伏線があった。約2ヵ月前の7月1日に配信されたネットメディアのインタビューで、中西会長は「やめたらいいと思うんだけどね。経団連の指針なんか」と発言していた。
 この時にも「新卒一括採用はもう時代に合わない」と語り、単なる就活日程だけでなく大学教育や採用のあり方にも疑問を投げかけていた。経団連の事務方は「会長の問題意識はわかっていたので、政府や大学とは水面下で意見交換はしていた」と明かす。
 ここ数年、就活日程は変更されてきた。そのきっかけは5年前にさかのぼる。
 第2次安倍政権が発足した直後の2013年4月、「学生はもっと学業に専念するべきだ」と、安倍晋三首相が「後ろ倒し」を経済界に要請した。
 首相肝いりのルールをなくしてしまう今回の廃止発言に対し、経団連の根回しが効いたのか、安倍政権からは表だった異論は聞こえてこない。世耕弘成経産相は中西発言のあった翌9月4日の閣議後会見で「採用のあり方を一度議論するという趣旨であれば歓迎したい」と語った。
今後は「官製就活」に
「政府が笛吹けど企業は踊らず」の可能性
 経団連の会員企業には就活指針に対する不満が根強くあった。
 現在の指針は「企業説明会は3月1日」「採用面接は6月1日」と解禁日を定める。
 もともと会員企業間の紳士協定で、破っても罰則はなかったとはいえ、暗黙のルールになっていた。
 だが経団連に加盟していない外資系やIT企業はもっと前から採用活動を始めているため、優秀な学生を確保したい加盟企業の間には「守られない指針、守ると不利になる指針なんかいらない」という意見は多かった。副会長企業からは「就活指針をやめられるかどうかが、中西経団連の試金石になる」という声もあがっていた。
 財界総本山としての威信低下が言われて久しい中で、5月末に就任して早くも「中西カラー」を出した今回の問題提起を歓迎する声も出ている。
 ある幹部は「『官製春闘』にみられるように、榊原定征・前会長は安倍政権の意向を受けて財界をまとめる『調整役』だった。政府に対しては受け身の姿勢だったが、中西会長は今回、財界としての意見を強く打ち出した」と評価する。
 しかし、就職先によって世間の評価が決まる大学側は反発する。
 全国の大学などでつくる「就職問題懇談会」(就問懇)は9月10日の会合で、現行ルールを維持することで一致した。就問懇の山口宏樹座長(埼玉大学長)は会合後、これまで経団連と大学側が同じルールで足並みをそろえてきた経緯から、「経団連の指針がなくなるということは、両輪の片方が外れるので好ましくないという意見がほとんどだ」と記者団に語った。
 今は経団連が就活指針を決めると、就問懇が大学、短大、高等専門学校の間で「申合せ」として経団連の指針を遵守することを確認する。最終的には政府側が、内閣官房、文科省、厚労省、経産省の連名で、約440の経済団体や業界団体にも経団連が決めた日程を守るように要請している。
 経団連の廃止決定を受けて、政府は10月9日夕方、関係省庁で就職・採用活動に関する連絡会議を設置すると発表した。経団連、就問懇もオブザーバーで参加する。だが経団連がルールを廃止し、政府や大学でルールをつくったとしても、その実態は経団連がこれまでの枠組みから降りるだけに過ぎない。政府が産業界に呼びかける図式は毎春の「官製春闘」と似ているが、その結果も春闘と同じように「政府が笛吹けど、産業界は踊らず」になる可能性が高い。
インターンシップで「入社パス」
「青田買い」の場に
「学業の妨げになる」と1953年に政府や財界、大学との間で就職協定が始まってから、就活はいつも早期化と見直しの歴史を繰り返してきた。(図表参照)。

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 1960年中盤には大学3年の2〜3月に内定が出される事態が相次ぎ、「青田買い」「種もみ買い」といわれた。「協定破り」が横行したのを受けて1997年に就職協定が廃止されて以降も、採用活動の早期化に歯止めがかからなかった。
 これまでも財界が就活ルールを見直したことは度々ある。1996年に日経連(現経団連)の根本二郎会長が「守れないのなら、就職協定の廃止もやむなし」といって協定を廃止。拘束力のない倫理憲章に移行したが、結局は企業の採用活動を野放しにして終った。
 ようやく落ち着いたのは、安倍政権の要請を受けて経団連が動き、現在の就活指針ができた2013年になってからだ。罰則がないといっても廃止されれば、さらなる早期化につながるだけになる可能性は高い。
 就職協定が廃止された約20年前と今と大きく変わったのは、本来は就業体験という教育の場であるはずのインターンシップの存在だ。学生の「青田買い」の場になっている例もある。
 たとえば、大手企業向けソフトウェアメーカーのワークスアプリケーションズ(東京)は、大学1年でも参加できる約1ヵ月のインターンシップを実施し、優秀と認めた学生に「入社パス」を出している。
 パスをもらった学生は大学を卒業しなくても、最長3年の間に権利を行使すれば入社できる。同社は「2日や3日の面接では学生を見極めることは難しい。会社の業務を知ってもらえればミスマッチも防げる」(広報担当者)という。
 最近はとくに1日だけの「1dayインターンシップ」が盛んに行われている。
 会社説明会が解禁される直前の2月に行う企業も多く、「説明会とほとんど区別がつかない」「1日だけで就業体験とは呼べるのか」と疑問視する関係者は少なくない。
 就職情報会社マイナビの調査によると、今年2月に1dayインターンシップを開催した企業は調査対象の約1千社のうち81%にものぼった。
 マイナビの栗田卓也リサーチ&マーケティング部長は「就活を始める目安はあった方がいい。もしなくなれば中小企業は圧倒的に不利になる」と指摘する。目安がなくなると大手企業がいつでも採用活動をするようになり、いつも後回しになる中小企業の採用活動に支障が出るからだ。
 日本商工会議所の三村明夫会頭も「何らかのルールは必要。これがないと就職活動が際限なく早まってしまう」とルール存続を求めている。
学生も企業も反応は複雑
誰のための廃止なのか
 学生の反応はどうだろうか。9月末に東京都内であった就職情報会社・学情の就活イベントでたずねてみた。
 第1志望の出版業界がかなわず、現在も就活中の私立大4年の女子学生(22)は「大学1、2年から就活が始まり、勉強に専念していた学生が不利になる現状はおかしい。ルールがなくなればもっと不利になる」と話す。一方、「早いうちに決まった方が卒論に専念できる」と肯定派の私立大4年の男子学生(22)もいた。
 企業の採用担当者も反応は分かれる。人手不足に悩む介護サービス会社からは「ルール廃止で採用競争が激しくなり、介護業界はますます学生が採りにくくなる」と心配する。
 食品メーカーの採用担当者は「リクルーターが出身校を回るOB訪問の時期を早めて対応する。とくに影響はない」と話しつつ、「内定を出した学生をつなぎとめておく手間とコストが増える」と警戒する。
 学生や企業の声を聞いても、結局は誰のための就活ルール廃止なのかははっきりとしない。
新卒一括採用見直しも議論
「見えざる手」か「最大多数の幸福」か
 経団連の就活ルール廃止の余波は単に日程の話だけで終わりそうもない。
 中西会長の目線は、日本社会に特有といわれる「新卒一括採用」も向けられているからだ。
 出身の日立製作所で欧米に長年、駐在した経験からか、欧米で主流の「通年採用」が持論だ。
 これまでの会見などでも「大学を出たばかりの新卒を一括して採用する仕組みはもう時代に合わない」「学生は大学にいる間にもっと勉強するべきだ。印象がいいとか、偏差値が高い大学から採用するのはもうやめようと考えている」とも発言し、その矛先は企業の採用や大学教育のあり方にも向けられる。
 中西会長は10月9日の会見でも、「もともと大学教育と職業のつながりが希薄であるというのは、反省しないといけない。企業側の責任もあるし、大学側はもっと責任がある」と語った。中西会長が有識者議員を務める政府の未来投資会議では、新卒一括採用についても話し合う予定だ。
 終身雇用や年功序列型賃金と並んで、新卒一括採用は日本型雇用の特徴といわれてきた。
 新卒を対象に一時期に就職を決めるこの採用方法だと「ワンチャンス就活」になる。大学出の新卒社員の3割が3年で辞めてしまうミスマッチを招いていると指摘される。一方、新卒に限定しない欧米流の採用方法に比べて若者の失業率が低いのは、卒業と同時に就職しやすい新卒一括採用のメリットでもある。
 10月1日、首都圏にある大手企業は一斉に内定式を開いた。台風の影響で延期・中止した企業も目立ったが、大手金融機関の内定式では紺のリクルートスーツで身を固めた約250人が参加した。
 就活の早期化や通年採用で内定式も形骸化しているといわれるが、就活ルールの廃止でこうした光景もやがてはみられなくなるのかもしれない。
 しかし、「官製就活」になっても、すでに抜け駆けしているIT企業、事実上の青田買いを野放しにしている現在のインターンシップまで縛ることができるとは思えない。
 また今回の「就活ルール廃止」は、中西会長の発言をきっかけに「守る方が損するようなルールはやめてしまえ」という大手企業に根強くあった不満が噴出する形で決着した。企業側の損得ばかりが論じられ、学生にとってどういうやり方がいいのかの議論はほとんどないままだった。
 
 これから就活生の行く先は、結局は各企業の判断に任せるアダム・スミスの「見えざる手」にゆだねられるのだろうか。企業が自由に採用競争をすればおのずと人材がうまく配分され、企業の競争力がつくということなのか。
 経団連のある副会長は「就活ルールはアダム・スミスではなく、ベンサムでいくべきだ」という。市場原理ではなく、採用される側の学生のためになり、中小企業もそれなりの人材が確保できる「最大多数の最大幸福」で考えるべきだというわけだ。
 ルールを廃止するのなら、まず学生、次いで中小企業の声に目配りするのが当然だろう。いうまでもなく、「大手企業の最大幸福」だけで終わらせてはならない。
(朝日新聞編集委員 堀篭俊材)
https://diamond.jp/articles/-/181716

 

就活、経団連ルール廃止を正式決定
ニュースを斬る
「変な状況はやめる」と中西・経団連会長

2018年10月9日(火)
山田 宏逸

 経団連は9日、経団連が主導して大学生の就職活動の時期を決めるこれまでのルールを廃止すると正式決定した。2020年春入社の学生(今の大学3年生)を最後に、経団連はルールづくりから手を引き、政府と大学による協議に委ねる。中西宏明会長は「我々がルールを作って社会が従う、従わないとか、そういう変な状況はやめる」と述べた。


 就活ルールが誕生したのは1953年の旧文部省、大学、経済界の申し合わせがきっかけ。今は3月の会社説明会解禁、6月の面接解禁、10月の内定という3段階を踏むが、最近はIT(情報技術)分野など非加盟企業による解禁破りが相次ぐ。日程を早めては「朝令暮改」、日程を維持すると「守旧派」などと批判されてきた状況に、「ルールを抱えていることのリスクが多すぎる」(経団連関係者)との判断に傾いた。

 今後、政府と大学が中心になって適当な日程を話し合う予定だが、常識的に考えて今の経団連ルールより「縛り」はゆるくなる。経団連もその枠組みに加わるものの、経緯が経緯だけに主導的な役割を果たす考えはない。経団連加盟の大手企業が堂々と解禁破りをする事態が想定されるほか、ルールの形骸化が強まったり、青田買いの動きは早まったりする可能性が高そうだ。中小企業にとって深刻な採用難が続く懸念も残った。


このコラムについて
ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/100900869
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/750.html

[医療崩壊5] 世界で精神疾患が増加、2030年までに16兆ドルの損失も=研究
ワールド2018年10月10日 / 16:18 / 4時間前更新
世界で精神疾患が増加、2030年までに16兆ドルの損失も=研究
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[ロンドン 9日 ロイター] - 精神疾患が世界各国で増加しており、対策が講じられなければ2010─30年に世界経済に最大16兆ドルの損失が生じるとの研究が発表された。ただ、推定される損失の内訳については詳述されていない。

研究は、世界の精神医学・公衆衛生、神経科学の専門家28人と精神疾患患者および擁護団体が行ったもので、リポート「ランセット・コミッション」にまとめられた。リポートは、危機の悪化は世界規模で人々や社会、経済に恒久的な害をもたらす可能性があるとしている。

リポートの共同執筆者であるビクラム・パテルハーバード大学医学部教授は記者団に、コストの一部はヘルスケアや医薬品その他の治療など直接的なものとなる一方、大半のコストは、生産性の悪化、社会福祉支出や教育、法や秩序といった間接的なものになると述べた。

また教授は、社会の高齢化や子どもが青年期まで成長する確率が上昇したことなどから、過去25年間で精神疾患関連の負担は「劇的に」増加していると指摘。にもかかわらず、問題解決のため「十分な投資を行っている国は存在しない。人間の健康の中で、精神の健康ほど無視されているものはない」と述べた。

世界保健機関(WHO)は、世界のうつ病患者は3億人前後、認知障患者は5000万人、統合失調症患者は2300万人、双極性障害は6000万人程度と推計している。

リポートはまた、うつ病などの精神疾患患者は多くの国で、拘束や拷問、収監などの人権侵害にさらされることが多いと指摘。精神疾患患者の基本的人権が否定されることのないよう、人権に根ざしたアプローチを求め、社会心理療法が医療専門家だけでなく、保健員や同輩、教師、聖職者によっても提供される仕組みへの移行を推奨した。

*写真とカテゴリーを追加します。
https://jp.reuters.com/article/britain-economy-gdp-idJPKCN1MK194
http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/736.html

[経世済民128] 金融ショックのリスク、投資家は過小評価−IMF金融安定報告  日銀とECBの急速な引き締めに備えよ、1987年に学ぶ 
金融ショックのリスク、投資家は過小評価−IMF金融安定報告
Andrew Mayeda
2018年10月10日 9:00 JST

Photographer: Alex Wroblewski/Bloomberg
金融環境が急激に引き締まり、世界経済に衝撃を与えるリスクは投資家に無視されている恐れがあると国際通貨基金(IMF)が警告した。

  IMFは10日公表した最新の金融安定報告で、「資産価格評価は一部市場、特に米国で相対的に高いように見受けられる」とし、「市場参加者は総じて、金融環境が急激に引き締まるリスクに対して関心がないようにみられる」と指摘した。

  世界の金融安定に対する短期的なリスクは「やや」高まったとIMFは指摘し、金利は歴史的に見て依然低く、金融環境は引き続き成長を支えていると分析した。

  その一方で、多くの市場でバリュエーションの伸長が進行中だとして、米株式市場を筆頭に挙げ、米株相場は金融危機前のバリュエーションを「大きく超えている」と指摘した。

  IMFはまた、市場のボラティリティーは低過ぎるように見受けられ、高利回り社債のスプレッドは歴史的な低水準にあると分析。オーストラリアやカナダ、北欧諸国など一部の先進国・地域の住宅価格はフロス(小さな泡)の状態とみられるとも指摘した。

  トビアス・エイドリアン金融資本市場局長は「一部の先進国・地域で投資家は自信過剰となり、慢心している可能性さえある」と、報告公表前にワシントンで記者団に語った。

  今年はリーマン・ブラザーズ破綻から10年にあたる。IMFは銀行システムは強化されたものの、新たなリスクが浮上し、「世界の金融システムの耐久力はまだ試されていない」と指摘。危機後に敷かれた規制を緩和するのは間違いだと一部の国に警告した。

  IMFは新興市場の信用環境が4月半ば以降に引き締まったと指摘。全体的な新興市場リスクはなお、「歴史的な水準に比べて穏やか」との認識も示した。一方で、新興市場の債務は増え続けており、先進国の中央銀行による金利引き上げに伴い「厳しい状況が続く公算は大きい」との見解を示した。

  中国を除いた新興市場国で、債券市場が金融危機時に匹敵する1000億ドル(約11兆3000億円)の資金流出に見舞われる確率は5%としている。

  中国では企業債務が「世界の歴史的標準を大きく上回る」水準に増加しているとし、家計の債務拡大ペースも懸念されると指摘した。

  貿易を巡る対立の高まりはこれまでのところ、特定セクターに影響が限定されているが、「市場参加者が貿易緊張の長期化を織り込み始めれば、金融環境は大きく引き締まり、世界の成長と金融安定に対するテールリスクが増すだろう」と分析した。

原題:Investors Underestimating Risk of a Financial Shock, IMF Warns(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-10/PGBM8B6JTSEO01?srnd=cojp-v2

 
日銀とECBの急速な引き締めに備えよ、1987年に学ぶ
Simon Kennedy
2018年10月10日 14:00 JST
• 2018年は1987年に酷似、米景気好調で米当局が利上げ中
• 「リスク資産市場は波乱へと向かっているかもしれない」

Photographer: Kiyoshi Ota/ Bloomberg
共和党大統領の下での減税後、米経済は世界の他の国・地域を上回る速いペースで拡大、このため新任の米連邦準備制度理事会(FRB)議長は利上げしようとしている。
  2018年の状況と思われそうだが、モルガン・スタンレーのストラテジストによれば、これは1987年のことだ。この過去の例に照らすと、投資家は今想定しているよりも急速な金融引き締めに備えるべきだと、ストラテジストらが9日のリポートで指摘した。
  当時は現在と似た環境の中でドイツ連邦銀行が流動性引き揚げで市場を驚かせた。現在は欧州中央銀行(ECB)と日本銀行が、金融市場が考えているよりもタカ派的であるリスクがあると、ハンス・レデカー氏らが論じた。
  モルガン・スタンレーが特に懸念するのは、ECBと日銀の金融緩和が2013年以降、米国の債券利回りを押し下げてきたため、反転すれば米国債が売られかねないことだ。
  「リスク資産市場は波乱へと向かっているかもしれない」とレデカー氏とチームは記述している。

原題:2018 Echoes 1987 as Central Banks Shift Toward Tighter Policy(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-10/PGD83I6TTDSC01

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/752.html

[経世済民128] 日経平均、一時1000円超下げ アジアも全面安 トランプ氏「FRBは狂った」 利上げを再度批判

日経平均、一時1000円超下げ アジアも全面安
2018/10/11 9:11 (2018/10/11 13:42更新)日本経済新聞 電子版
 11日の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落した。取引時間中として約1カ月ぶりに2万3000円を下回った。下げ幅は一時、今年2月6日(1071円)以来の大きさとなった。

 午後1時時点の日経平均は前日比969円86銭(4.13%)安の2万2536円18銭。東証1部の9割超が下落する全面安の展開だった。

https://www.nikkei.com/content/pic/20181011/96958A9F889DE1E4E1E6E7E2E0E2E3E3E3E2E0E2E3EAE2E2E2E2E2E2-DSXMZO3634554011102018MM0001-PB1-2.jpg

一時1000円超下げ、2万2500円台で推移する日経平均株価(11日午後、東京都中央区)

 特に株価下落が目立ったのがハイテク関連銘柄だ。米国市場では、金利の上昇で割高感が意識されやすいハイテク株が売られ、アマゾン・ドット・コムやアップルなどの主力銘柄が軒並み下落。ハイテク株の比重が大きいナスダック総合株価指数は、前日比4.08%安と2016年6月以来の下落率となった。

 これを受け東京市場でも海外投資家などの売りが膨らんだ。ファナックが一時8%安、安川電機も7%安となり、ともに年初来安値を更新した。

 他のアジア市場にも下落は波及した。中国の上海総合指数は一時5%安と、15年の「チャイナショック」後の安値を下回り、約4年ぶりの安値をつけた。サムスン電子などハイテク株比率の高い韓国株も一時4%安となった。アジアの主要企業で構成する日経アジア300指数は一時、年初来安値を下回った。


 東京市場では「行き過ぎた楽観の修正が起きた」(ニッセイアセットマネジメントの松波俊哉氏)との指摘があった。これまで投資家の目は、米国経済の好調さや企業収益の良好さに向いていた。だが、国際通貨基金(IMF)が米国発の貿易戦争を理由に世界経済見通しを下方修正したことなどを受け、「貿易問題は解決していない」との懸念が再び台頭した。

 もっとも、日本株の下落は行き過ぎとの見方も出ている。日米ともに企業収益の見通しが堅調なことに加え、株価指標面で見れば日本株には割高感が小さい。「2万2500円を下回る水準では押し目買いも入りそうだ」(国内運用会社)との声も聞かれた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36345020R11C18A0000000/


 
東証大引け 一時1000円安 世界株安で今年3番目の下げ幅
2018/10/11 15:30
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11日の東京株式市場で日経平均株価は急落し、前日比915円18銭(3.89%)安の2万2590円86銭で終えた。9月10日以来約1カ月ぶりの安値となり、下げ幅は今年3番目の大きさだった。10日の米国株の急落で投資家心理が悪化した。精密機器や機械といった中国関連株を中心に全面安の展開だった。10日に安川電が2019年2月期の純利益予想を下方修正し、ハイテク関連銘柄の多い電機株も大きく売られた。

米国の長期金利の上昇傾向や米中貿易摩擦への警戒感から10日の米ダウ工業株30種平均が前日比3%あまり下落。11日は中国・上海などアジア各国・地域の株式相場も軒並み大きく下落し、世界同時株安の様相を強めた。為替の円高・ドル安も売り材料となり、日経平均の下げ幅は1000円を超える場面があった。

JPX日経インデックス400は大幅反落。終値は前日比557.16ポイント(3.56%)安の1万5080.78だった。東証株価指数(TOPIX)も大幅に反落し、62.00ポイント(3.52%)安の1701.86で終えた。

東証1部の売買代金は概算で3兆7587億円と9月21日以来約3週間ぶりの多さだった。売買高は19億5248万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は2050となり今年最多となった。値上がりは56、変わらずは4銘柄だった。

ファナックやソフトバンクが売られた。ソニーや任天堂、三菱UFJも下落した。一方、ドンキHDやイオンモールは買われた。大和ハウスは日経平均採用銘柄で唯一上昇した。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕
https://www.nikkei.com/article/DGXLASS0ISS16_R11C18A0000000/


 

 


トランプ氏「FRBは狂った」 利上げを再度批判
2018/10/11 10:21日本経済新聞 電子版
 【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は10日、米株式市場が大幅安となったことを受けて「米連邦準備理事会(FRB)は狂ってしまった。引き締めすぎだ」と述べて、FRBによる利上げを批判した。トランプ氏は9日にも早期の追加利上げをけん制していた。11月の米中間選挙を控えて、有権者の投票に影響が出かねない株式相場の動向に神経質になっている。

「FRBは狂った」トランプ氏 利上げを批判
 トランプ米大統領は10日、米株式市場が大幅安となったことを受けて「米連邦準備理事会(FRB)は狂ってしまった。引き締めすぎだ」と述べて、FRBによる利上げを批判した。
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 遊説先のペンシルベニア州で記者団に語った。トランプ氏は株式相場の下落について「長らく望んでいた調整だ」と指摘。一方で「FRBがしていることには同調できない」と強調した。

 トランプ氏は9日に米国経済がインフレに戻ることはないと説明したうえで、FRBの追加利上げについて「早く動く必要はない」とけん制していた。連日の発言には、中間選挙を前に株価下落の主な責任は政権ではなくFRBにあるとの印象を広める思惑も透ける。

 サンダース大統領報道官も10日の声明で「米経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は信じられないぐらい力強い」と強調。大規模な減税や規制緩和などで「持続的な経済成長に向けた土台は底堅い」と述べたうえで、株価の急落に懸念を示した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36345530R11C18A0MM0000
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/759.html

[経世済民128] 桜井日銀委員:緩和継続は金融・経済両面で不均衡蓄積のリスク コスト増で企業利益が押しつぶされる−株式にとって最大のリスク
桜井日銀委員:緩和継続は金融・経済両面で不均衡蓄積のリスク
日高正裕
2018年10月11日 10:55 JST 更新日時 2018年10月11日 15:30 JST
幅広い視点から副作用を点検、緩和の持続可能性を判断する
世界経済先行きは不確実性高まる−保護貿易的政策が影響
日本銀行の桜井真審議委員は11日に秋田市で行った講演で「緩和的な金融環境を継続していくことは、金融・経済の両面で不均衡の蓄積につながるリスクがある」と分析した。

  金融面での不均衡として、低金利に伴う金融仲介機能の低下を指摘。従来以上に幅広い視点から政策の副作用を点検し、緩和効果と比較しながら「金融緩和政策の持続可能性を判断していくことが重要」と主張した。

  当面は現行のフォワードガイダンス(政策金利の指針)の枠組みの下で「時間をかけて金融緩和政策を継続していくことが適当」との見方を示した。2%物価目標の早期実現のため、過大な需要超過を政策的に作り出すことは、マクロ経済の不均衡拡大や金融システム上の不安定性を高める危険性があり「望ましくない」とも話した。

  景気については今後も「緩やかな拡大基調を維持する」としつつ、「世界経済の先行きには不確実性が高まりつつある」と述べた。理由として保護貿易的政策に伴う経済の下振れと国際金融市場の不確実性の高まりによる新興国の資本流出という2つのリスクを挙げた。

  日銀は9月会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる政策運営方針の維持を7対2の賛成多数で決定した。「当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」としたフォワードガイダンスも据え置いた。日銀は10月30、31両日の次回会合で新たな経済、物価の見通しを示す。

  講演後に行った会見では、経済は好調に推移しており、「これ以上の緩和をする必要はない」と述べた。2%物価目標の達成は想定より遅れているが、「需給ギャップのプラスをなるべく維持し、効果を待つ」と話し、長短金利目標の調整のタイミングを「特に早める段階ではない」との見方を示した。

  日米の株価急落については、「現時点では実体経済は日米ともかなり健全だ」としつつ、市場の変動が繰り返されれば「マインドに影響するかもしれないので、しっかり注視していく」と述べた。

(6、7段落に会見での発言を追加します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-11/PGEOX56K50ZZ01?srnd=cojp-v2

 

コスト増で企業利益が押しつぶされる−株式にとって「最大のリスク」
Elena Popina
2018年10月11日 9:26 JST
• マージンへの圧力高まる−コストを警告する企業が増加
• 消費関連と素材に最も圧力がかかる−マーティンアダムス氏が予想
株式市場の強気派にとって一つの悪夢は、経済における何かが企業のコストを押し上げ始め、上昇相場の背景にある驚異的な企業収益が破壊されることだ。その兆候が増しつつある。
  その兆しは人件費や輸送費、原材料価格の上昇や中国産品への関税に係る費用まで、セクターごとに異なる。今週は工業・建設資材供給のファスナル、化学メーカーのPPGインダストリーズやトリンセオの少なくとも3社が利益率の低下に警告を発した。
  米国と中国の貿易戦争や金利上昇に伴う借り入れコスト増、人件費や原材料価格の上昇、輸送コストの増加と問題は数多くあり、アナリストが今決算シーズンの利益率見通しに特別の注意を払っている理由は容易に理解できる。
  ブルームバーグ・インテリジェンスのチーフエクイティーストラテジスト、ジーナ・マーティンアダムス氏は「S&P500種株価指数にとって、マージンは7−9月(第3四半期)決算発表シーズンにおける最大のリスクのようだ。2017年末以降、アナリストらは粗利益率見通しを引き下げつつある」と指摘。「消費関連と素材セクターに最も圧力がかかるだろう。一方、エネルギーと工業部門はコストの転嫁が可能だ」と述べた。
          

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチによると、S&P500種構成企業が先月発表した見通しでは、利益率予想がウォール街のコンセンサスを下回った企業が上回った企業の2倍余りに達した。同行の株式ストラテジスト、ジル・ケアリー・ホール氏は、この格差は2年半ぶりの大きさだと指摘している。
           
原題:‘Biggest Risk’ Punishes Stocks as Costs Squeeze Profit Margins(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-11/PGEMW16K50XU01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/761.html

[国際24] トランプ主義で世界に広がる極右ポピュリズム 中国との冷戦を宣言したペンス副大統領 米国世論も操る「悪の帝国」と戦え 
トランプ主義で世界に広がる極右ポピュリズム
岡部直明「主役なき世界」を読む
ブラジルにも登場、連鎖する排外主義
2018年10月11日(木)
岡部 直明

ブラジル大統領選では、極右の社会自由党の候補、ジャイル・ボルソナロ下院議員が首位に立った(写真:AFP/アフロ)
 トランプ主義が暴走するなかで、世界に極右ポピュリズム(大衆迎合主義)が広がっている。ブラジル大統領選では「ブラジルのトランプ」と呼ばれる極右のジャイル・ボルソナロ下院議員が首位に立った。イタリアの極右、サルビニ副首相(同盟党首)が打ち出した財政拡大路線は財政規律を求める欧州連合(EU)への挑戦状ともいえる。旧東欧圏でも排外主義勢力が頭をもたげている。トランプ流排外主義に連鎖する極右ポピュリズムの蔓延は、グローバル経済を揺るがし、世界を危機に陥れる危険がある。

「ブラジルのトランプ」首位に


 ブラジル大統領選では、極右のボルソナロ氏が46%の票を獲得し首位に立ったが、過半数を確保できなかったため28日に左派のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長との決選投票が実施される。予想を上回る得票だったが、ボルソナロ氏は選挙結果に不満らしく「選挙に不正がなければ、今回で決まりだった」と述べた。根拠もなく不正というあたり、「ブラジルのトランプ」らしい。
 元軍人のボルソナロ氏は、軍事独裁政権を礼賛しているほか、黒人や同性愛者を差別する過激な言動が売りだが、それだけに反発も強い。それでも大統領選で首位になることが、ブラジル社会の混迷ぶりを浮き彫りにしている。国営企業の民営化など構造改革路線は市場では支持されており、ボルソナロ人気で株価や通貨レアルは上昇に転じている。
 ブラジル経済は2014年ワールドカップ、2016年オリンピックと相次ぐメガ国際大会の開催を受けて、低空飛行を続けてきた。新興国は軒並み米連邦準備理事会(FRB)の利上げの余波を受けているが、ブラジルもその例外ではない。失業率は12%、財政赤字の国内総生産(GDP)比は8%と構造問題を抱えている。それだけに、極右ポピュリストの改革路線に期待も集まる。
 収監中のルラ元大統領などブラジル政界には腐敗と汚職が相次ぎ、政治不信が極まっている。こうしたなかでの強権政治家への期待は民主主義の脅威でもある。

「トランプの壁」が揺るがす中南米

 中南米にはもともと、社会に不満を抱えた人々を取り込むポピュリズムの潮流があった。その傾向がさらに強まる可能性がある。中南米はいま、トランプ米大統領によるメキシコ国境での壁建設にみられる排外主義で、移民排斥のうねりが高まっている。独裁と極度の経済難にあるベネズエラやニカラグアからの移民、難民は周辺国に流入するが、ペルー、コロンビアなどには難民排斥の動きが強まっている。トランプ大統領の国境管理に阻まれた中米の人々は、結局、メキシコでの定住を目指すことになるが、それにはメキシコ国民の不安も高まっている。
 そのメキシコはトランプ政権との協議で、北米自由貿易協定(NAFTA)を米墨加自由貿易協定(USMCA)に切り替えることで合意したが、「米国第1」の色彩が濃く、数量規制による管理貿易や為替条項が盛り込まれている。ブラジル経済が低迷し、アルゼンチン経済も深刻な危機に見舞われるなかで、メキシコだけが中南米のアンカー役を担うのにも限界がある。トランプ排外主義は中南米全体を揺るがす。トランプ発の中南米危機は「極右ポピュリズム」の台頭を許す温床になっている。
「ムッソリーニの再来」の挑戦
 イタリアの連立政権は左派の「五つ星運動」と右派の「同盟」の左右両派のポピュリスト政権である。大学教授で政治経験のないコンテ首相が表向きは采配を振るう形だが、実権を握るのは五つ星運動党首のディ・マイオ副首相と同盟党首のサルビニ副首相である。とりわけ「ムッソリーニの再来」との異名のあるサルビニ副首相の存在感は大きい。
 EU内ではあちこちで極右勢力が台頭しているが、EUの原加盟国で主要国である国の政権を極右ポピュリストが牛耳るのはイタリアだけである。フランスでは大統領選で極右、国民戦線のルペン党首を封じ込め、若きマクロン大統領を誕生させた。ドイツではメルケル政権は社民党との連立の組み方に腐心しながらも、進出する極右「ドイツのための選択肢」に待ったをかけた。オランダも総選挙で極右のウィルダース自由党党首の進出を阻んだ。それだけに、イタリアの政権が極右ポピュリスト支配に陥ったのは大きな衝撃である。
 内相を兼務するサルビニ副首相は、北アフリカからの難民受け入れを拒むなど移民、難民排斥にまず「実績」を示そうとしたが、今度はEUへの挑戦に動き始めている。
後退する財政再建目標
 サルビニ副首相はEUやユーロからの離脱を考えてはいないが、EUの財政規律路線を目の敵にしてきた。3月の総選挙では聞こえの良いポピュリスト政策を並べたてて勝ち上がってきただけに、公約実現を試されている。
 コンテ・イタリア政権は9月末、2019−21年の3年間の経済財政計画を決定した。財政赤字のGDP比は2・4%とEU基準(同3%)以内に収めたが、2021年までに同0・2%の黒字化を達成するという目標は後退した。イタリアの長期債務残高のGDP比は130%とギリシャ(同180%)に次いで悪い。景気は緩やかに回復してきたものの、失業率は10%を超えるうえ、銀行システムの懸念が残り、ユーロ圏の最大の不安要因であることに変わりはない。財政規律が緩めば、不安はさらに高まる。
 そんななかでユーロ圏の財務相たちはイタリアに「財政ルールを順守せよ」と警告している。EUはイタリアに予算修正を求める構えである。イタリアのポピュリスト政権とEUのズレをみて、イタリアの長期金利は一時4%台に上昇しており、混迷はさらに続く。

広がる排外主義

 イタリアのような主要国ではないが、極右ポピュリストが政権を牛耳るEU加盟国がある。ヒットラーを生んだ国、オーストリアである。極右政党、自由党党首のシュトラッヘ副首相は日本経済新聞のインタビューで、難民を多く受け入れたドイツのメルケル首相の判断を「無責任だ」と公然と批判した。難民受け入れに寛大すぎたメルケル首相の政策姿勢は、メルケル首相本人が反省しているが、EUの盟主であるメルケル首相へのあからさまな批判は、EUの求心力が低下している証しだろう。
 そうでなくでも、難民問題をめぐってEUと旧東欧圏のあつれきは強まっている。ポーランドやハンガリーは、メルケル政権主導のEUの難民受け入れ分担に強く反発してきた。司法の独立をめぐってもあつれきがある。EUはポーランドが施行した最高裁判所に関する新法について、司法の独立を侵害するとしてEU司法裁判所に提訴することにした。欧州議会はハンガリーに対して表現の自由や人権保護などEUの基本的価値に制裁手続きの開始を求めている。
 こうしたEUの動きに、ポーランドとハンガリーはEUの全会一致原則をたてに、互いに発動を阻止する構えだ。
 冷戦終結直後、筆者はポーランドを訪れ、外務省幹部と会見したが、驚いたのはEUへの早期加盟に強い意欲を示したことだった。EU加盟後も「優等生」として振る舞ってきた。そのポーランドはいま排外的な強権政治で、ポーランド出身のトゥスクEU大統領の頭痛の種になっている。


バノン氏がめざす「極右連合」

こうした排外主義の広がりは、トランプ主義の影響が大きい。トランプ政権を去ったが、極右ポピュリストのスティーブ・バノン氏はトランプ大統領を大きく動かした。トランプ主義の原点はバノン主義といっていい。米中間選挙を前に、共和党はトランプ人気に頼りきりで、トランプ大統領に乗っ取られたといえる。
 政権を去ったバノン氏がめざすのは、「極右連合」の形成である。イタリアのサルビニ副首相、オランダのウィルダース自由党党首、ハンガリーのオルバン首相らとの連携を模索している。狙いは来年の欧州議会でのEU懐疑派の勢力拡大である。
 これは、欧州極右のさきがけとなったフランスのジャン=マリー・ルペン氏がとった戦略を見習うものだろう。冷戦末期、筆者は欧州議会選挙を取材したが、極右ルペン氏の台頭は衝撃的だった。もっとも、ルペン氏の娘、マリーヌ・ルペン氏が、「バノン氏には欧州を救えない」と一定の距離を置いているのは皮肉である。

危険な「トランプ慣れ」症候群

 危険なのは、いま世界に「トランプ慣れ」が広がっていることである。米国経済が好調を維持していることで、トランプ主義にも「まあいいか」という風潮が出てきている。
 しかし、そのトランプ主義がいま世界で極右ポピュリズムの台頭を許しているのは間違いない。源にあるトランプ大統領の排外主義を直視し、警告し続けない限り、排外主義は連鎖の輪を広げるだろう。それは世界経済を停滞させ、民主主義を後退させて、世界を深刻な危機にさらすことになる。極右台頭を座視した結果が何をもたらしたか。戦前の苦い教訓に学ぶときである。


このコラムについて
岡部直明「主役なき世界」を読む
 世界は、米国一極集中から主役なき多極化の時代へと動き出している。複雑化する世界を読み解き、さらには日本の針路について考察する。
 筆者は日本経済新聞社で、ブリュッセル特派員、ニューヨーク支局長、取締役論説主幹、専務執行役員主幹などを歴任した。
 現在はジャーナリスト/武蔵野大学国際総合研究所 フェロー。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/101000081/

 


中国との冷戦を宣言したペンス副大統領米国世論も操る「悪の帝国」と戦え
早読み 深読み 朝鮮半島

2018年10月11日(木)
鈴置 高史

ペンス米副大統領は10月4日、対中国政策に関してハドソン研究所で講演した(写真:AFP/アフロ)
(前回から読む)
 米国のペンス(Mike Pence)副大統領が「邪悪な中国共産党」との戦いを国民に呼びかけた。
善きサマリア人
鈴置:ペンス副大統領が10月4日、ワシントンのハドソン(Hudson Institute)研究所でトランプ(Donald Trump)政権の対中政策に関し講演しました。40分以上に及ぶ本格的な演説で、動画でも視聴できます。
 副大統領は中国を「米国に挑戦する国」と決めつけたうえ、「大統領と米国人は後ろに引かない」と国民に訴えました。中国とはともに天をいただかないと言い切ったのです。
 NYT(ニューヨーク・タイムズ)は「新冷戦への号砲」と評しました。米中関係が暗くて長いトンネルに入るとの認識が広がりました。
 ペンス副大統領はまず、中国が困っていた時代に米国がいかに助けたかを強調しました。その部分を要約しつつ翻訳します。
• (19世紀から20世紀にかけて)中国が西欧や日本の半植民地の境遇に陥った際、米国だけがその主権を尊重した。伝道師を送って中国に最高の大学(清華大学)を設立しもした。
• (21世紀には)中国をWTO(世界貿易機関)に招き入れ、米国市場への参入も許した。中国は米国の投資で急成長にも成功した。
 米国らしい自画像です。米国人は自らを聖書に出てくる「善きサマリア人」と見なしがちです。この演説では、盗賊に襲われた瀕死の旅人は中国。「善きサマリア人」である米国に助けられてきたというわけです。

好意を裏切った中国共産党

「中国には恩恵を施してきた。それなのに……」というのですね。
鈴置:その通りです。ペンス演説は「だが、我々の中国への好意は共産党政権によって裏切られた」と続きます。
• 冷戦が終わった後、米国のこれまでの政権は中国が政治面でも自由化すると期待した。個人の財産の尊重、宗教の自由、人権の尊重などだ。だが、そんな希望は満たされなかった。
• 過去17年間で中国経済は9倍に拡大し世界第2位の規模となった。自由や公正とはとても言えない為替操作、技術移転の強要、知的財産の盗みなどを駆使してのものだった。
 以下、演説では「中国の罪状」が延々と続くのですが、あまりに長いので一覧表にします。要は、中国は米国の好意を利用して経済成長に成功したが、今度はその力を悪用して米国の覇権を揺らしている、と非難したのです。ペンス副大統領が示した例をまとめたのが「罪状@米国の覇権への挑戦」です。

★中国の「罪状」@米国の覇権への挑戦★

• 米国の2017年の対中貿易赤字は3750億ドルで、全赤字の半分近くを占める。
• 「メード・イン・チャイナ2025」計画により、官民あげて米国の知的財産を獲得しロボットやバイオテクノロジー、AIなど世界の先端産業の90%の支配を目論む。
• 米国企業を買収することで、先端的な武器の設計図などの技術を盗む。
• 陸海空、宇宙における米国の軍事的な優位を脅かす。西太平洋から米国を追い出そうとする。
• 日本の施政権下にある尖閣諸島の周辺を恒常的に哨戒する。中国の指導者は2015年にホワイトハウスで「南シナ海を軍事基地化しない」と述べたが、人工島に対艦・対空ミサイル基地を建設した。
• 南シナ海で「航行の自由作戦」を展開中の米イージス艦の45ヤード以内に中国の軍艦が接近し、衝突しかけた。しかし米国は今後も国益を守る。
• 米国は中国との良好な関係を望むが、中国は経済的な攻勢を緩めず、軍事力の強化につなげてきた。
聖書を燃やされ、信者は投獄
中国人が聞いたら「なぜ、米国に挑戦してはいけないのか」と思うでしょうね。
鈴置:「米国は倫理性が高く、世界を指導すべき国である」と考える米国人が多い。こんな人は「米国に挑戦することこそが悪だ」と考えるでしょう。
 もちろんそんな理屈は世界では通用しないと考える米国人もいます。そこでペンス演説は「クリスチャンが投獄され、聖書が燃やされている」などと数々の実例を挙げて中国の宗教弾圧を非難しました。
 「罪状A中国での人権侵害」をご覧下さい。宗教弾圧に加え「オーウェル的世界」に突き進む中国の危さを指摘。そのうえでこんな国に覇権を握らせてはいけない、と訴えたのです。

★中国の「罪状」A中国での人権侵害★

• 自由と人権の尊重に向け歩み始めたこともあった。しかし近年、国民を支配・圧迫する方向に明らかに逆戻りした。
• ネットによる中国の国民の自由な情報への接近への規制を強化している。
• 2020年までに人間のあらゆる側面を管理するジョージ・オーウェル的な世界の構築を狙う。
• 中国のクリスチャン、仏教徒、イスラム教徒が新たな迫害を受けている。
• 先月、中国最大の地下教会が閉鎖された。全国的にも当局は十字架を壊し聖書を燃やし、信者を投獄している。今や無神論者の共産党がカトリックの神父を任命できるよう、バチカンと交渉中だ。
• チベットでは過去10年間で150人の僧侶が中国に抗議して焼身自殺した。新疆で共産党は100万人ものイスラム教徒のウイグル人を投獄している。
米国の裏庭にも魔の手
でも、それは中国の中でのこと。宗教弾圧はともかく「オーウェル的世界」にまで介入する必要はないと思う米国人もいるのでは?
鈴置:いるでしょうね。そこでペンス副大統領は「野蛮な中国が米国の安全保障を脅かしている」と危機感をあおったのです。具体例が「罪状B世界への影響力拡大」です。

★中国の「罪状」B世界への影響力拡大★

• アジアからアフリカと欧州、果ては中南米にまで不透明な融資条件の「債務外交」を展開し、影響力を拡大中だ。
• 中国国営企業から多額の借金をしたスリランカは2年前に返済できなくなり、港を中国に引き渡すよう強要されている。いずれ中国の遠洋海軍の最前線の軍港となろう。
• 腐敗し無能で、国民を弾圧するベネズエラのマドゥロ政権にも怪しげな50億ドルの借款を提供した。中国は今や最大の債権者だ。
• 中南米の3カ国に対し台湾との関係を断ち、自らを認めるよう動いている。台湾海峡を不安定にするものであり、米国はこれを認めない。
 米国の裏庭たる中南米にまで中国は触手を伸ばしている――と言われれば、のんきな米国人も「中国は危険な存在だ」と考えるでしょう。「台湾が中国に取られそうだ」と言われても同じです。
米国世論も操る
 そして決め手が「罪状C米国への介入」です。米国の世論さえも中国に操られているのだ。裏庭どころではない。土足で家の中にまで踏み込まれているのだ、と警告を発したのです。これは効くでしょう。

★中国の「罪状」C米国への介入★

• 米国の産業界、映画界、大学、シンクタンク、学者、ジャーナリスト、地方政府と連邦政府に中国共産党の影響が及んでいる。
• 中国共産党は米国の世論への工作も進めており、2018年の中間選挙、2020年の大統領選挙の環境も変えようとしている。中国はトランプ大統領以外の大統領を望んでいる。
• 6月に中国は「宣伝と検閲に関する通知」という文書を回覧した。これは「中国は正確に注意深く、米国世論を分裂させねばならない」と指示している。
• 中国は米国の有力企業に対し、米政府の政策に反対しないと事業免許を取り消すと脅した。
• 中国が米国に課した関税は、中間選挙の動向を左右する産業と州を狙い撃ちにしている。
• 米国の駐中大使の地元であり、2018年と2020年の選挙でカギを握る地域の新聞に先週、中国政府は記事体の冊子を挟み込ませた。それらは米国の通商政策が不注意で有害なものだと主張した。
• 米国の在中合弁企業が社内に共産党組織を作るよう求められている。
• 「台湾は中国の1省」と呼ばなかったデルタ航空に、中国政府は謝罪させた。マリオット(ホテル)はチベットに関しツイートした米国人社員を辞めさせるよう強要された。
• 映画「ワールド・ウォーZ」はウィルスの発生源が中国とのくだりをカットさせられた。「レッド・ドーン」は悪役が中国ではなく、北朝鮮であるとデジタル処理で編集された。
• 中国共産党は米国と世界で数10億ドルの宣伝費用を使っている。
• 中国国際放送局は親中的な番組を米国の主な都市の30以上の局で流している。CGTN(中国国際電視台)は7500万人の米国人が視聴している。
• 米法務省は先週、この放送局に外国の(メディアではなく)政府組織としての資格を得るよう命じた。
• 中国共産党は米国メディアのサイトの閲覧を妨害し、米国人記者のビザ取得に障壁を設けている。
• 全米の150の大学に支部を持ち、43万人以上の中国人の学生と学者で構成する団体が存在する。中国人学生や米国人研究者が中国共産党の定めた枠を外れた場合、中国の大使館や領事館に知らせている。
• メリーランド大学の卒業式で米国での「言論の自由を支える新鮮な空気」に言及した中国人学生は、中国共産党の新聞から批判され、家族もいじめられた。
• 中国は大学、シンクタンク、研究者に豊富な資金を提供し、中国共産党が危険であり攻撃的であるとの考え方を彼らに持たせないよう努めている。中国専門家は、彼らの研究が中国政府の気にいらないものである場合、ビザが遅れるか出ないことをことによく知っている。
• 中国からの資金提供を断る研究者やグループでさえ、中国の標的となる。ハドソン研究所も中国が好まない講演を企画した際、上海からサイバー攻撃を受けた。

中国のカネ漬けの研究者
そして……。

鈴置:邪悪な中国に立ち向かおう、と国民に訴えたのです。原文は以下です。

・our message to China’s rulers is this: This President will not back down. (Applause.) The American people will not be swayed.
 この辺りから「トランプ大統領の下に団結し、中国と戦おう」とのニュアンスが濃くなってくるのです。
中間選挙対策の演説だ、といった批判は出ないのでしょうか。
鈴置:それに対しては「罪状C米国への介入」が効果を発揮します。ペンス副大統領は以下のように指摘しました。
• 米国の産業界、映画界、大学、シンクタンク、研究者、ジャーナリスト、地方政府と連邦政府に中国共産党の影響が及んでいる。
• 中国は大学、シンクタンク、研究者に豊富な資金を提供し、中国共産党が危険であり攻撃的であるとの考え方を彼らに持たせないよう努めている。
 もし、研究者や記者が「トランプの反中政策」を批判しようものなら、普通の米国人は「やはり彼らは中国からおカネを貰っているのだ」と見なすでしょう。
 8月24日には米議会の米中経済安全保障問題検討委員会が有力シンクタンクや大学に中国が資金を提供し、影響力の行使を図っているとの報告書を発表したばかりです(「米国は中国をいたぶり続ける」参照)。
 『China’s Overseas United Front Work』です。産経新聞の「『中国共産党が米シンクタンクに資金提供』 米議会委が報告書発表」(8月26日)が内容を報じています。

弱腰の記者を叱る

ちゃんと「伏線」が敷いてあるのですね。
鈴置:2015年には「中国は1949年の建国当時から100年かけて米国を打倒し世界を支配する計画を立てていた」と警告する本が米国で出版されています。これも「米国は中国をいたぶり続ける」で紹介済みです。
 『The Hundred- Year Marathon』で、書いたのは中国専門家のピルズベリー(Michael Pillsbury)氏。『China 2049』というタイトルで邦訳も出ています。
 CIAの職員だった同氏は親中派から転向。この本では、米国の中国研究者の多くが中国共産党の思いのままに動かされていると暴露しました。米国の親中派は動きが取れなくなっていると思われます。
 ちなみに著者のピルズベリー氏は、ペンス副大統領が演説したハドソン研究所のシニア・フェロー兼中国戦略センター所長です。
 副大統領は演説で「ジャーナリストは中国を恐れるな。中国がいかに米国社会を操っているか報じよ」「研究者は学問の自由を守れ。中国のカネに踊らされるな」と呼び掛けています。以下です。
・It’s also great to see more journalists reporting the truth without fear or favor, digging deep to find where China is interfering in our society, and why.
・More scholars are also speaking out forcefully and defending academic freedom, and more universities and think tanks are mustering the courage to turn away Beijing’s easy money, recognizing that every dollar comes with a corresponding demand.
 ここまで言われて「トランプの反中政策はおかしい」と声を上げるメディアや研究者は少ないでしょう。

NYT「新たな冷戦」
「反トランプ」の先頭に立つNYTは?

鈴置:ペンス演説に関しては「反トランプ」の声をあげていません。社説でも、この問題を「パス」しています。
 NYTはこの演説に対する中国の反論を「Pence’s China Speech Seen as Portent of ‘New Cold War’」(10月5日)で報じました。
 ペンス演説の細かな点については「反論の余地があるかもしれない」と書いたものの、大筋では「米中冷戦が始まった」と客観的な状況認識を示しました。
 中国専門家の言葉を引用し「ペンス演説は新たな冷戦を宣言したのも同然だ」と評したのです。2005年に当時の国務次官が「responsible stakeholder」と呼ぶなど米国は、中国を世界の問題を手を携えて解決していくパートナーと見なしてきたのですが。
・it was unmistakably clear that the era of Washington holding out a hand to Beijing to become a “responsible stakeholder” in world affairs alongside the United States ─ a phrase used in 2005 by Robert B. Zoellick, then the deputy secretary of state ─ was over.
・“This will look like the declaration of a new Cold War, and what China may do is more important than what it will say about Pence’s speech,” said Zhang Baohui, professor of international relations at Lingnan University in Hong Kong.

「鉄のカーテン」演説
本当に、米中冷戦が始まったのですね。

鈴置:安保専門家の中にはペンス演説をチャーチル(Winston Churchill)の、冷戦の開始を告げた「鉄のカーテン」演説に例える人もいます。
 首相を退任後に米国に招かれたチャーチル氏は1946年3月5日、ミズーリ州フルトンのウェストミンスター大学で講演しました。「ヨーロッパでは鉄のカーテンが降ろされた」と東西の2つの陣営の対峙が始まったと指摘した、あの有名な演説です。
 レーガン(Ronald Reagan)大統領がソ連を「悪の帝国(evil empire)」と決めつけ、軍拡競争に誘い込んだことを思い出した人もいます。
 米国のウェブ・メディア、VOXは「Pence says US “will not back down” from China’s aggression in fiery speech」(10月4日)で、中国専門家の「これはトランプ政権の『悪の帝国』だ」との談話を引用しています。
 “This is the Trump administration’s ‘evil empire’ speech,” Bonnie Glaser, a China expert at the Center for Strategic and International Studies think tank in Washington, said. “This looks to me like deliberate confrontation.”
 なお、「悪の帝国」という言葉をレーガン大統領は1983年3月8日の演説で初めて使ったとされています。

レーガンの「悪の帝国」再び

ペンス演説は歴史に残る演説になりそうですね。でも日本ではさほど話題になりませんでした。
鈴置:日本ではまだ「米中の葛藤は貿易摩擦程度」といった認識にあるからでしょう。「米国は中国をいたぶり続ける」で指摘したように、米国は「おとしどころ」を設定していない。中国を潰すまで叩くということでしょう。
 日本やカナダ、メキシコ、EUとの摩擦とはここが根本的に異なります。日米貿易摩擦では「いったん合意したTPP(環太平洋経済連携協定)の市場開放水準にどれだけ近付けるか」がポイントと米国側もはっきり語っています。
 一方、中国への要求は「技術を盗むな」「為替を操作するな」と極めて抽象的。中国も譲歩のしようがない。そのうえ米国は人権まで持ち出し始めた。中国がいくら譲歩しても「まだ不十分だ」と言われることは目に見えています。
 ペンス演説も米中両国民の友好は謳いました。が、中国共産党は米国の存在を脅かし、人権を蹂躙する、ともに天をいただくことのない、まさに「悪の帝国」であると米国人に訴えたのです。

中国から逃げ出す工場

 注目すべきは米国の対中関税が、極めて注意深く準備されたものであることです。一部の人が見るように「トランプの思い付き」ではないのです。
 適用範囲、税率、その拡大のプロセスを上手に設定することで米国の被害は最小化する一方、時間の経過と共に中国から工場を引き剥がすよう設計されています。
 ことに重要なのは、米国の本気度を世界が見抜いたことです。例えばFTの「対中冷戦へと進む米国」(10月4日、日本語)は以下のように指摘しました。
• 今回のあまり賢明とはいえない追加関税は、ホワイトハウス内だけで拙速に決めた政治判断ではない。今回の措置は、もっと危険で永続的なものを表している。
• 米国と中国の経済的、政治的関係は完全にリセットされ、これからは貿易戦争というより冷戦に近い状態が始まる。
 こうした「米中の葛藤が長期化する」との見方こそが、企業の中国離れをどんどん加速します。日経は企業の中国脱出劇を報じた「台湾EMSの新金宝、米中摩擦で脱『中国生産』」(9月20日)、「米中貿易戦争、日本企業も対策 生産・調達見直しへ」(9月22日)などを相次ぎ載せています。
ところで前回の最後のところで「南北が手を組んで民族の核に動く」話を今回に話すとのことでしたが。
鈴置:「米中冷戦」の方が緊急性が高いと判断し「民族の核」は先送りしました。
では、その話はいずれ落ち着いた時に。
(次回に続く)
【著者最新刊】『米韓同盟消滅』

米朝首脳会談だけでなく、南北朝鮮の首脳が会談を重ねるなど、東アジア情勢は現在、大きく動きつつある。著者はこうした動きの本質を、「米韓同盟が破棄され、朝鮮半島全体が中立化することによって実質的に中国の属国へと『回帰』していく過程」と読み解く。韓国が中国の属国へと回帰すれば、日本は日清戦争以前の「大陸と直接対峙する」国際環境に身を置くことになる。朝鮮半島情勢「先読みのプロ」が描き出す冷徹な現実。

第1章 離婚する米韓
第2章 「外交自爆」は朴槿恵政権から始まった
第3章 中二病にかかった韓国人
第4章 「妄想外交」は止まらない
2018年10月17日発売予定 新潮社刊


このコラムについて
早読み 深読み 朝鮮半島
朝鮮半島情勢を軸に、アジアのこれからを読み解いていくコラム。著者は、朝鮮半島の将来を予測したシナリオ的小説『朝鮮半島201Z年』を刊行している。その中で登場人物に「しかし今、韓国研究は面白いでしょう。中国が軸となってモノゴトが動くようになったので、皆、中国をカバーしたがる。だけど、日本の風上にある韓国を観察することで“中国台風”の進路や強さ、被害をいち早く予想できる」と語らせている。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/101000199/

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/252.html

[経世済民128] 米利上げ回数の予想が後退、「来年末までに3回」に疑問符ー株安で 世界の債券が値上がり、株安で「全面的な安全資産への逃避」
米利上げ回数の予想が後退、「来年末までに3回」に疑問符ー株安で
Stephen Spratt
2018年10月11日 19:15 JST
来年末までに3回目の利上げの確率は80%前後に
今年12月の利上げ確率は81%から74%に低下
世界的な株安の中で、トレーダーらは連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ回数予想を後退させた。

  短期金融市場が完全に織り込む来年末までの利上げ回数は2回となり、3回目の確率は80%前後と見なされている。9日には3回以上の利上げが完全に織り込まれていた。今年12月の利上げ確率は81%から74%に低下した。

  米当局は2015年12月以降、8回の利上げをしている。ナスダック100種株価指数は10日に4%余り下落し、過去7年間で最悪の下げとなった。11日のアジア株も下落した。

Shaved, Not Cut
Market trim Fed rate expectations as stock slides prompts pause for thought


原題:Money Markets Cut Bets on Pace of Fed Tightening Amid Stock Rout(抜粋)


 

世界の債券が値上がり、株安で「全面的な安全資産への逃避」モード
John Ainger
2018年10月11日 18:22 JST
11日の金融市場では世界的に債券が買われた。前日に2月以来の大幅下落となった米国株にアジア株が追随、安全資産への逃避で欧州債が債券の上げを主導している。
  ドイツとオーストリアの国債が大きく上昇。2月に米国債利回りが上昇し、条件反射的に株が売られた当時をほうふつとさせる。今回は米中貿易戦争が株安要因に加わっている。
  INGグループの上級金利ストラテジスト、マルティン・ファンフリート氏は 「いつか来た道という感じがする。全面的な安全資産への逃避モードの中で、米国とドイツの国債利回りが急低下している」と話した。
  ロンドン時間午前7時38分(日本時間午後3時38分)時点で、ドイツ10年債と英国債の利回りはそれぞれ5ベーシスポイント(bp)低下し0.50%と1.68%。日本の10年債利回りは1bp低下の0.15%。10年物米国債利回りも1bp低下の3.16%となった。

原題:Global Bonds Rally After Stocks Slide in February ‘Deja Vu’(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-11/PGFFGZ6TTDS301?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/765.html

[経世済民128] 米中、通商対立の中で各国の支持取り付け目指す−IMF・世銀総会 中国を操作国に認定なら世界の市場さらに混乱へ、為替報告
米中、通商対立の中で各国の支持取り付け目指す−IMF・世銀総会
Andrew Mayeda、Enda Curran
2018年10月11日 15:33 JST
米国は対中関税を擁護、中国は自国をグローバル化の擁護者と主張
1980年代の日米摩擦とは違い、存亡に関わる対立−マグナス氏
米国と中国の通商対立に早期収拾の兆しが見られない中、両国はインドネシア・バリ島で今週開催されている国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会を利用して、それぞれの主張への支持取り付けを目指す構えだ。

  今回の会合にはIMF加盟189カ国から財務相や中央銀行総裁が集結している。議題にはより広範な世界経済の健全性を巡る協議が含まれるが、米中の当局者がそれぞれ陣営固めを図る好機となると見込まれている。

  トランプ大統領は中国について、不公正貿易慣行に従事し知的財産を盗んでいるとして、米国の対中関税は中国にこうした行為をやめさせるための必要な代価だと主張。一方、中国の習近平国家主席は、同国をグローバル化と既存の貿易秩序の擁護者に位置付けようとしている。

  オックスフォード大学中国センターのエコノミスト、ジョージ・マグナス氏は「政治的な忠誠に基づいた貿易連携を目指す争いがまさに繰り広げられている。これは1980年代の日米貿易摩擦のような普通の通商対立ではない。存亡に関わるものだ」と指摘した。

原題:U.S. and China Fight for World Support as Trade War Ramps Up (1)(抜粋)


米消費者物価指数:9月は前月比0.1%上昇−市場予想0.2%上昇
Jeff Kearns
2018年10月11日 21:35 JST
米労働省が発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.2%上昇だった。変動の大きな食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.1%上昇した。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:U.S. Core Inflation Trails Estimates as Used-Car Prices Tumble(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-11/PGF5IW6K50Y501?srnd=cojp-v2

 

中国を操作国に認定なら世界の市場さらに混乱へ、為替報告控え警戒感
Katherine Greifeld
2018年10月11日 11:08 JST
• 人民元の下落や貿易戦争激化でウォール街の銀行は認定の事態に備え
• ゴールドマン:認定なら米中貿易摩擦エスカレートと市場は解釈へ

Photographer: Xaume Olleros/Bloomberg
ウォール街は、米財務省が今月発表する半期に一度の為替報告書で、中国を為替操作国に認定する事態に備えている。長期金利上昇が高リスク資産価格を既に圧迫する中で、操作国認定となれば米中両国の通商対立がエスカレートすると警戒する。
  人民元はこの半年間に対ドルで9%強下落し、中国が意図的に通貨安を誘導しているとの臆測が浮上している点を踏まえると、このシナリオ通りになる公算は大きくないとしても可能性はあると受け止められている。米財務省高官は8日、トランプ政権が元安を懸念していると匿名を条件に語っており、ムニューシン財務長官は1994年以来初めて中国を為替操作国に認定するようホワイトハウスから圧力を受けているという。
  米国債利回りの急上昇で米株式相場は2月以来最大の下げを記録しているが、こうした決定が下されれば、世界市場の新たな混乱を誘発する公算が大きい。通商対立は元安に拍車をかけており、金融危機以降見られなかった1ドル=7元台を付けるのも間近との見方が強まっている。米中の通商関係が悪化する中、そのリスクを無視するのは投資家の怠慢だろうとゴールドマン・サックス・グループは指摘する。
  同行のグローバルFX戦略共同責任者、ザック・パンドル氏は「米財務省がより広範な通商目標を反映させるために為替報告書を使うリスクは高い」と予想。そのような結果は同氏の基本的シナリオではないものの、現実になれば「米中貿易摩擦のさらなるエスカレートと市場は解釈するだろう。為替市場ではこれまでのところ、世界経済成長の下振れリスクの新たな要因と解釈されている」と付け加えた。

  パンドル氏によれば、米財務省がこうした動きに出た場合、中国経済と密接な関係のあるオーストラリア・ドルが特に強い打撃を受けるという。豪ドルは2018年に米ドルに対し9%余り下落し、16年初め以来の安値水準にある。
原題:Wall Street Faces More Tumult If China Labeled an FX Manipulator(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-11/PGEUI16JIJUQ01?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/766.html

[経世済民128] 政府が打ち出す「生涯現役社会」の破壊度 働き方の未来「日本型雇用制度」は終焉へ 老農林族は女子高生をどう激励したか
政府が打ち出す「生涯現役社会」の破壊度
働き方の未来
「日本型雇用制度」は終焉へ

2018年10月12日(金)
磯山 友幸


「生涯現役社会」に向けて、シニア層に対する期待は高まる一方(写真:PIXTA)
労働人口の確保が経済成長の焦点
 安倍晋三首相の自民党総裁としての3期目がスタートし、内閣改造を経て第4次安倍改造内閣が発足した。2012年末に政権を奪還して第2次安倍内閣が発足して6年。アベノミクスは一定の効果を収め、就業者数も雇用者数も過去最高を更新している。果たして安倍首相はアベノミクスの次のステップとして何を行おうとしているのか。

 首相就任後の2013年に打ち出したアベノミクスの第1弾は「3本の矢」だった。(1)大胆な金融緩和、(2)機動的な財政出動、(3)民間需要を喚起する成長戦略――を掲げ、日銀による「異次元緩和」などが行われた。円高だった為替水準が是正された結果、輸出産業を中心に企業業績が大幅に改善、過去最高の利益を上げるに至っている。また、震災復興や国土強靭化を旗印に公共投資も積極化し、建設需要を底上げした。3本目の矢である「成長戦略」については、「遅々として進まない」「期待外れ」といった厳しい評価が聞こえるものの、農業や医療など「岩盤規制」と呼ばれた分野で、曲がりなりにも改革が動き出している。

 2016年に自民党総裁2期目に入ると、アベノミクスの第2弾を打ち出した。「一億総活躍社会」を旗印に、女性活躍促進や高齢者雇用の拡大などを目指した。「働き方改革」が内閣の最大のチャレンジと位置付けられた。

 65歳以上で働いている高齢者が800万人を突破、女性15歳から65歳未満の「就業率」も遂に70%に乗せた。働き方改革の議論では、電通の新入社員の自殺が労災認定された時期と重なったこともあり、「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」に議論の中心が置かれた。

 労働基準法などの改正で、繁忙期の特例でも残業時間を最長で「月100時間未満」とすることが罰則付きで決まるなど、労働者側にとっても画期的な法改正が実現した。これまでは残業時間の上限は労使交渉で合意(サブロク協定)すれば実質的に青天井だった。

 働き方改革の本来の目的は「生産性」の向上にあったが、結果的には女性や高齢者など労働力を増やすことで経済成長につながる構図になった。今後、人手不足が深刻化していく中で、どうやって労働人口を確保していくのかが焦点になっている。

 そんな中で、安倍総裁の3期目がスタートした。さっそく首相が議長を務める「未来投資会議」が10月5日に開かれ、2019年から3年間の「成長戦略」について議論された。

今後の論点は「全世代型社会保障」
 会議に資料として提出された内閣官房日本経済再生総合事務局の「成長戦略の方向性(案)」では、こうした問題意識がつづられている。資料にはこうある。

 「潜在成長率は、労働力人口の高まり等により改善し、また、労働生産性は過去最高を記録しているものの、労働生産性の引上げが持続的な経済成長の実現に向けた最重要」であるとし、(1)AI(人工知能)やロボットの活用による一人ひとりが生み出す付加価値の引き上げ、(2)新陳代謝を含め資源の柔軟な移動を促し、労働生産性を引き上げる、(3)地域に生活基盤産業を残すための地方支援――に力を入れるとした。そのうえで、「アベノミクスの原点に立ち返り、第3の柱である成長戦略の重点分野における具体化を図る」としている。

 こうした方向性を確認したうえで、今後の論点として、「全世代型社会保障への改革」というキャッチフレーズを打ち出した。安倍首相も会見で、「安倍内閣の最大のチャレンジである全世代型社会保障への改革」という言い方をしており、「3本の矢」「1億総活躍社会」「働き方改革」に続く、表看板になりそうだ。

 もっとも、全世代型社会保障という言葉は分かりにくい。いったい何をやろうとしているのか。

 同会議に世耕弘成経済産業相が出した「生涯現役社会の実現に向けた雇用・社会保障の一体改革」という資料が分かりやすい。現在、安倍官邸の経済政策は経産省からの出向者などが中心となってまとめており、世耕氏のペーパーももちろん連動している。

 「生涯現役時代に対応した社会保障制度改革」と「生涯現役時代に対応した雇用制度改革」を並列に並べて、同時に実現していくとしている。

 社会保障改革の柱は「年金改革」と「予防・健康づくり支援」、一方の雇用制度改革は「高齢者雇用の促進」と「中途採用の拡大」だ。つまり、高齢者にいつまでも働いてもらえる雇用制度を整備することで、社会保障制度が抱える年金や健康保険の財政問題を解消していこうというわけだ。

 高齢者雇用の促進では何を考えているのか。経産相の資料には、4つが列記されている。

65歳以上への継続雇用年齢の引上げに向けた検討
高齢者未採用企業への雇用拡大策
AI・ロボット等も用いた職場環境整備
介護助手制度の利用拡大
 最も大きいのが継続雇用年齢の引き上げであることは言うまでもない。現在、高年齢者雇用安定法で、定年を迎えても希望すれば65歳まで働ける制度の導入が企業に義務付けられている。定年を65歳まで引き上げたり、定年自体を廃止する選択肢もあるが、多くの企業が定年になった段階で雇用条件を見直して嘱託などとして再雇用する「継続雇用制度」を利用している。希望者全員を継続雇用する義務があるが、条件が合わずに本人が希望しなければ雇用しなくてもよい。

 安倍内閣は来年以降の「成長戦略」の一環として、この65歳という年齢を引き上げようと考えているのだ。政府内には65歳定年引き上げを義務付けたうえで、70歳までの継続雇用とすべきだという意見がある一方で、単純に継続雇用の年齢を65歳までから70歳までにすべきという意見もある。

 世耕氏の資料ではこれと対をなす「年金改革」として、次の2つを掲げている。

年金受給開始年齢の柔軟化
繰下げの選択による年金充実メリットの見える化
 つまり、年金受給開始を選択制にして、65歳になったらすぐにもらうのではなく、働けなくなってからもらうようにする。一方で受給する年齢を先延ばしすれば、その分メリットがあることを分かりやすく見せる、というわけだ。

「新卒で企業に入れば一生安泰」は幻想
 現在、年金の支給開始年齢は徐々に65歳に引き上げられている。継続雇用制度が65歳まで義務付けられたのは、定年退職しても年金が受け取れず「無収入」になる人を無くそうとしたからだ。将来、政府は年金支給開始を70歳にしたいと考えれば、当然、継続雇用制度の年齢を引き上げなければ「無収入」者が生まれる。

 もうひとつは、生涯現役で働くことによって、健康を維持し、社会保障のもう一つの頭痛の種である医療費の増加に歯止めをかけることを狙っている。世耕ペーパーにはこうある。

がん検診等の通知に個々人の健康リスクを見える化し、健診受診率を向上
健康スコアリングレポートにより従業員の健康状態を見える化し、経営者の予防・健康づくりを促進
投資家による健康経営へのシグナル(健康経営銘柄への投資を促進)
保険者による生活習慣病や認知症予防のインセンティブ強化
保険者によるヘルスケアポイント導入を促進し、ウェアラブル端末等を活用した個人の予防・健康づくりを支援
 厚生労働省の施策のようだが、経産相の資料である。年間42兆円を突破した医療費を抑制しなければ、財政はますますひっ迫する。

 一方で、高齢者を雇用し続けることを企業に義務付けると、企業自身の生産性が落ちることになりかねない。高齢者が企業に居座ることで、若年者の活躍の場が奪われることになりかねないからだ。

 それを防ぐには、日本型の終身雇用年功序列を抜本的に見直さざるをえなくなる。「中途採用の拡大」の中にも、「職務の明確化とそれに基づく公正な評価・報酬制度の導入拡大」あるいは、「40歳でのセカンドキャリア構築支援」といった施策が並ぶ。

 会議で安倍首相もこう述べている。

 「あわせて新卒一括採用の見直しや中途採用の拡大、労働移動の円滑化といった雇用制度の改革について検討を開始します」

 中西宏明・経団連会長が「就職活動指針」の廃止を打ち出したが、新卒で企業に入れば一生安泰、という制度を維持することはもはや難しくなっている。厳しいようだが、生産性の上がらない社員を抱え続ける余力が企業になくなり、優秀な社員には国際水準並みの高給を払わないと逃げられてしまう時代に突入しつつある。

 安倍首相は早くから規制を阻害している「岩盤」として、農業、医療、雇用制度を挙げて批判してきたが、いよいよ3期目で最大の岩盤ともいえる「日本型雇用制度」に手を付けることになるのだろう。人々の生活に結びついており、既得権を持つ層も少なくないだけに、議論が本格化してくれば、批判の声が上がるに違いない。2019年6月にも閣議決定する成長戦略「未来投資戦略」の中にどれだけ具体的な指針として盛り込み、3年間の行動計画として描けるかが焦点になる。


このコラムについて
働き方の未来
人口減少社会の中で、新しい働き方の模索が続いている。政官民の識者やジャーナリストが、2035年を見据えた「働き方改革」を提言する。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/021900010/101100078


 

老農林族は女子高生をどう激励したか

思いは今も「世界に通用する農業」

ニッポン農業生き残りのヒント

2018年10月12日(金)
吉田 忠則

 数年前、ある研究機関のチームから「農業問題で相談したいことがある」という連絡があった。「コメの関税を撤廃すべきだというリポートを書きたい」。そのために知恵を貸して欲しいというのが相談の趣旨だった。

 今のように高関税でコメを守ることの是非については、議論の余地が十分あるだろう。手厚い保護は、えてして産業をかえって弱体化する。農業はその象徴かもしれない。だが、いきなり「ゼロ」にすることにどんなリアリティーがあるのか。多くの国は、何らかの形で農産物を守っている。

 「自ら進んで自国の弱い産業を国際競争にさらす国があるだろうか」。そんな疑問を口にすると、「この問題は経済学的にはとっくに決着がついている」と強い口調で否定された。おそらくは英国の経済学者、リカードの「比較優位論」が念頭にあったのだろう。各国がそれぞれ優位にある産品を作り、自由貿易を推進することで経済的な厚生が高まる――。

 そして、トランプ米大統領が登場した。アメリカが仕掛けた貿易戦争に正面から対抗し、中国は米国産の大豆に報復的な高関税をかけた。あおりを受け、値段が下がった米国の大豆が欧州に流れ込み、中国が輸入先としてシフトしたブラジル産が値上がりした。世界の穀物事情は比較優位論とは別の論理で、予想もしなかった変動に直面している。経済学的には決着したのかもしれないが、現実の経済の世界では出口の見えない混迷に突入している。

 ではその傍らで、日本の農業に何が起きているか。「農業は衰退の危機にある」という警鐘は、いかにも「オオカミ少年の寓話」的に響くフレーズだ。日本はコンビニやスーパー、レストランに農産物があふれ、しかもまだ食べられるものを捨てている「飽食の国」。食料に不安を感じることはまずない。だがその背後で、国内の農地の荒廃が年々確実に進んでいる。

 オオカミが本当にやって来る日はないと、誰が保証できるだろう。経済学的には「それでも自由貿易が理想」と主張すればすむのかもしれない。だが、食料の潜在的な供給力が日々減り続けるこの国の現実を考えると、いたずらに危機をあおることは戒めつつも、何らかの対処策を考えるべきだと思わざるを得ない。

 日本の農業はこれからどんな針路を選べばいいのか。それを考えるためのヒントは、過去の農政の中にある。高齢農家のリタイアに応じ、担い手への農地の集約がうまく進めばいいが、実際に起きているのは、産地の弱体化に伴う「生き残り組」の競争力の向上だ。その狭間で、耕作放棄が増え続ける。農政のどこがうまくいき、何に失敗してこうなったのか。

 今回は、自民党で長く農政に関わってきた谷津義男元農相のインタビューを紹介したい。谷津氏は1986年の衆院選で初当選し、当時の竹下登幹事長の指示で「農林族」の道を歩み続けた。竹下氏から「役人に負けちゃダメだ」と諭され、欧米各国の農村を回り、知見を広めた。すでに議員の立場は退いているが、今も国内外の農業現場を回りながら発言し続けている。

 過去の農政をふり返る文脈の中で、自民党の農林族は迷走の責を最も負うべき存在と思われるかもしれない。実際、谷津氏は、環太平洋経済連携協定(TPP)がまだ米国主導で動いていたころ、自民党の会合で「一番いけないのは、私を含め農林族だ。二の舞いをやってはいけない」と発言した。無駄な補助金の大盤振る舞いが起きるのを防ぐためだ。このとき谷津氏が問題視したのは、ガット・ウルグアイ・ラウンドの市場開放に伴う巨額の対策費だ。

 今回のインタビューでは、農林水産省が2005年に発表した「食料・農業・農村基本計画」を焦点にした。この計画は「担い手の明確化と支援の集中化・重点化」をうたい、宣言通り2年後に大規模農家に支援を集中する施策を実行した。計画の策定を主導したのは農水省と食料・農業・農村政策審議会、そして農林関係議員たちだ。

「バラマキ」との批判が多かった農政史上で、支援する農家を明確に選別する政策の導入は画期的だった。規模で切ることの是非はともかく、専業と兼業と主業と副業が混在する日本の農業の実情を整理し、不連続な未来をリスクを負って実現しようとした。だがこの施策は、すべてのコメ農家を対象にする補助金を掲げた民主党に参院選で敗北し、瓦解した。

 元農相の立場で自民党農政の中心にいた谷津氏は当時、何を考え、どんなことを主張したのだろうか。群馬県館林市の自宅を訪ねた。


往時の農政論議の激しさを強調する谷津義男元農相(群馬県館林市)
自民党内でも大議論に
2005年に基本計画を作ったとき、支援する農家を規模で選別することに対して自民党内に異論はなかったのですか。

谷津:大議論になったよ。問題の根底には、世界貿易機関(WTO)の協議を背景にした自由化論議があった。WTOの協議は決裂したが、農業問題が決着する可能性があったので、そういう議論が始まった。自民党内にも、国際派と言われる議員の中には推進派がいた。
 自分たちは「面積で切るのは問題だ」と言った。支援の線引きとされたのは4ヘクタールだが、当時は群馬県内にもそんな農家は何人もいなかったからだ。農家が農地を細かく相続していて、農地を貸し借りして大きくまとめようとしても、なかなかうまくいっていなかった。

2007年の参院選で民主党に負け、面積で切るやり方を変えたわけですが、事前に政治的に心配する声はあったのでしょうか。

谷津:あったよ。(農地の売買や貸借を仕切る)農業委員会からも「こんなことできるのか」という声が出ていた。いまなら5ヘクタールや10ヘクタールを借りてやっている人もいるが、当時はまだそこまで行っていなかった。いるにはいたが、まだ点。線にはなっていなかった。

農政は、地域の農家が集まって作る「集落営農組織」も、規模拡大を担うべき対象として後押ししてきました。

谷津:集団化はうまくいっていない。高齢化が進んでいるから、これからは悲劇的だよ。組織を作ったときの中心メンバーが60〜65歳だから、いまは85〜90歳。農村を守ろうということで始めたが、農家の多くは勤めに出て、健康維持のために土日に農業をやっている「父ちゃん、母ちゃん農業」。そんな人たちが農地を貸すはずがない。だから、「(規模で選別することに対して)むちゃなこと言うんじゃない」と大議論になった。

当時何が必要だったのでしょう。

谷津:あの時分、「細かい政策をからっぽにして、基本から作り直そう」と言った。農家が補助金を受けるやり方がちょこちょこたくさんあって、農家自身もよくわからなくなっていた。「だったら一回きれいに白紙にしたらどうか」ということを言ったが、農水省から「それは無理です」と言われた。

 農家が(植えるだけで補助金が出る作物があるので)収穫さえしないという問題が以前からあった。その点に関しても、「駄農を作るだけで、生産性はまったく向上しない」という議論があった。ただし、オーストラリアやアメリカには生産性ではかなわないから、「品質のいいものを作れ」と言った。

 農家は自分の頭で考え、例えばおいしいコメを一生懸命作る。手間がかかるから、そこにお金を出してもいいと思った。「父ちゃん、母ちゃん農業」を政策で応援することはやぶさかではないが、自分で考えて農業をやる人でないとダメだ。ただ口を開けてお金(補助金)が来るのを待っているような人はダメ。それが不得意なら、自分で考える人たちを支援する側に回ってほしい。

規模で選別することへの批判の関連で、大規模化が難しい中山間地は有機農法で野菜を作ることなどを提案していますね。

谷津:条件不利地は面積を広げることができないんだから、野菜などでおいしいものを作ったほうがいい。でも当時の議論で農協がそれに反対した。なぜかと言えば、農家はふつうにコメを作るのが一番楽だからなんだよ。野菜は手間がかかるから、なかなか作る気にならない。

 「品質のいいものを作って輸出したらいい。そっちにお金を出すべきだ」という話もした。今でも思っているが、面積は狭くてもいい。1ヘクタールしかなくてもいい。農協はすぐ「野菜は2割増産されると、半値になってしまう」といったことを言う。だったら輸出すればいいんだ。できるよ。輸出できるように、農協も(食品衛生管理の国際基準)の「HACCP(ハサップ)」の認証などを取ったらいいんだよ。

新しいものにも挑戦しないとダメ
2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、農業も国際的な基準の認証を取ったほうがいいという機運が高まってきました。

谷津:一昨年、群馬県立の勢多農林高校(前橋市)に呼ばれ、講演した。「何でもかんでも覚えなくていい。これだけは人に負けないというものを持って欲しい」という話をして、その流れの中でハサップに触れた。

 そうしたら今年、勢多農林は安全基準の「アジアGAP(農業生産工程管理)」の認証を取得した。一昨年はまだGAPが今ほど注目を集めていなかったからハサップと言ったが、今はGAPだね。関係者から「おかげさまで取れました」っていう連絡が入った。うれしいことだねえ。

 勢多農林に行ってみて驚いたのは、女子生徒が大勢いるんだよ。衛生管理の話をしたのは、そういう面もあった。農業や畜産も大事だが、新しいものにも挑戦しないとダメだ。もし輸出を考えるなら、ハサップやGAPを取るしかない。そういう勉強をした生徒たちは、就職もしやすいだろう。

 農業高校を出て農業関係の仕事に就く人はほとんどいやしない。それではダメなんだ。「作るノウハウ」はみんな持ってる。これからの農業を担う人には専門的な知識をたたき込み、どう世界の舞台で活かしていくかを考えなければならない。そうでないと、これ以上農業所得を増やすのは限界だ。

これからの農政に何を望みますか。

谷津:ガラガラポンでもう一回やり直したほうがいい。農家や土地所有のあり方などを見渡して、その中から農政を立ち上げて欲しい。付け足し、付け足しではもうダメだ。今の農業の姿を中心に考えれば、これまでのくり返しになってしまう。ガラガラポンで考えを基本から変えたほうがいい。

2005年の議論でとくに誰を思い出しますか。

谷津:審議会のメンバーだった生源寺真一先生(現福島大学教授)とは大議論になった。規模で選別することに対してはとくに中山間地を例に挙げ、「無理だ。先生それは理想論だよ」って散々やった。当時先生が勤務していた東大にも乗り込んで行って議論したし、ホテルでみんなの前でも議論した。生源寺さんは人の話を聞く耳を持っていたし、農政には一番貢献した。生源寺先生に会いてえなあ。


谷津義男元農相と議論を戦わせた生源寺真一氏
応援すべきは品質のいい農産物の作る農家
谷津氏は2005年の基本計画をふり返りながら、農家を規模で選別することには反対した。ただし、すべての農家に補助金をばらまくべきだったと主張しているわけではない。「口を開けて補助金を待っている農家」を否定し、品質のいい農産物を作る農家を応援すべきだと強調した。

 10数年のときを経て、経営環境は劇的に変化した。当時、「選別」の基準にした4ヘクタールどころか、数10ヘクタールから100ヘクタール超の経営が続々と誕生している。だが、そうした経営で農地を覆い尽くし、食料の生産基盤を守るのは難しい。いま必要なのは、そこから先の議論だ。

 谷津氏は取材で「大議論があった」とくり返した。農業の現状に照らして、当時の議論の成果に疑問を持つ読者がいるかもしれない。だが、最近の農政は、立場を異にする当事者同士がガチンコで議論することがあまりにも少なすぎるように思う。生源寺氏もこの連載のインタビューで同じことを強調した(8月10日「本当につかみ合って喧嘩していた、経済界と農協」)。

 失われてしまった議論の焦点ははっきりしている。主要国はほぼ例外なく、自国の農業を政策で支援している。ならば、誰をどうやって応援し、日本の食料生産を担ってもらうのか。それでも守り切れない農地を、どう次代につなぐのか。「大議論」が必要なときではないだろうか。


自宅の応接間に飾ってある農相の「証し」(群馬県館林市)
【新刊紹介】
『農業崩壊 誰が日本の食を救うのか』
砂上の飽食ニッポン、「三人に一人が餓死」の明日
三つのキーワードから読み解く「異端の農業再興論」

これは「誰かの課題」ではない。
今、日本に生きる「私たちの課題」だ。

【小泉進次郎】「負けて勝つ」農政改革の真相
【植物工場3.0】「赤字六割の悪夢」越え、大躍進へ
【異企業参入】「お試し」の苦い教訓と成功の要件

2018年9月25日 日経BP社刊
吉田忠則(著) 定価:本体1800円+税


このコラムについて
ニッポン農業生き残りのヒント
TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加が決まり、日本の農業の将来をめぐる論議がにわかに騒がしくなってきた。高齢化と放棄地の増大でバケツの底が抜けるような崩壊の危機に直面する一方、次代を担う新しい経営者が登場し、企業も参入の機会をうかがっている。農業はこのまま衰退してしまうのか。それとも再生できるのか。リスクとチャンスをともに抱える現場を取材し、生き残りのヒントをさぐる。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/252376/100900170/?
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/770.html

[経世済民128] 宗教施設が一等地に突然建つ裏事情、反社会的勢力の元構成員が暴露 真如苑、ジリ貧宗教界でも信者が増える「事業モデル」の秘密
2018年10月12日 週刊ダイヤモンド編集部
宗教施設が一等地に突然建つ裏事情、反社会的勢力の元構成員が暴露
『週刊ダイヤモンド』10月13日号の第1特集は「新宗教の寿命」です。3大新宗教である創価学会、立正佼成会、真如苑を中心に、信者数や政治力、将来予測、課題、そして金の流れや周辺ビジネスまで、大解剖しています。教団を問わず、宗教法人は突然、巨大な宗教施設を一等地に建設します。なぜそんな事が可能なのでしょうか。その裏側を特集班が取材しました。本誌掲載記事をダイヤモンド・オンラインで特別公開します。

税制優遇だけではない
反社会的勢力の元構成員が暴露 

オウム真理教の後継団体「アレフ」の退去を求める住民ののぼり旗(写真と本文は関係ありません) 写真:毎日新聞社
 なぜ宗教法人はある日突然、都心のみならずあなたの住む街にも巨大でゴージャスな教団施設を建てることができるのだろうか。

 よくある説明では、宗教法人はその原資となるお布施や寄付といった収入などが税金面で優遇されているため、宗教施設の取得・維持が企業などよりも容易だからだとされる。

 だが、「それは事実だが片手落ちだ」と苦笑するのは、かつて反社会的勢力の一員だった男性だ。

 男性は組織にいたころ、「複数の新宗教教団の不動産売買を幾つも手掛けた」と具体事例を挙げながら明かした。特に10年ほど前まで、新宗教団体による自前施設の取得が全国で盛んに行われたという。

 「より重要なのは、新宗教の施設が『迷惑施設』だということ。非信者の目には奇異に映る新宗教団体にも売ってくれる(または貸し出す)物件をどう探し出すか。そして、住民の反対をいかに抑えるか。これは反社会的勢力のテリトリーだ」(男性)

 また、ある新宗教教団が新たな場所に拠点を構えようとすると、先に進出していた別の新宗教教団の妨害が起こることもある。そういう場合も組織が後ろ盾となるという。

 「組織側が地元の不動産業者と組み、候補となる物件を教団側に幾つか提示する。その多くはいわく付きの物件。カネは腐るほど持っているので糸目は付けない。相場よりも法外に高い値段で売れる。お互いにウィンウィンの関係だ。その意味で彼らは、非課税でたんまりもうけていても、“ウラの税金”を支払っている」

 崇高な理念を掲げる新宗教教団の施設建設には、神も仏もない現実が隠されていることもあるのだ。
https://diamond.jp/articles/-/181610


 

2018年10月12日 週刊ダイヤモンド編集部
真如苑、ジリ貧宗教界でも信者が増える「事業モデル」の秘密
『週刊ダイヤモンド』10月13日号の第1特集は「新宗教の寿命」です。多くの新宗教団体が信者数の減少などで沈みゆく一方、成長を続ける教団もあります。その代表が真如苑です。なぜ多くの信者たちを魅了するのでしょうか。そこには時代の変化に対応した驚きの“事業モデル”がありました。本誌で詳報した記事を、ダイヤモンド・オンラインで特別公開します。
注目を浴びたのは2000年以降
誰もが驚く資金力
 激しい雨が降り続く中、屋外に座る約5000人の信者たちは微動だにせず、祈りをささげていた(写真)。
真如苑が毎夏、河口湖畔の教団施設で行う護摩滝の法要。全国から1万人以上が訪れる Photo by Hiroki Matsumoto
 今年9月中旬、山梨県の河口湖畔で行われた真如苑の毎夏の行事「斉燈護摩法要(さいとうごまほうよう)」。2日間で全国から1万人を超える信者が集結した。会場ではオーケストラ、合唱団、和太鼓の奏者たちが音楽を奏で、その法要の様子は全国104カ所の施設へ向けて衛星中継された。
 東京・立川を本拠地とする真如苑は、新宗教を取り巻く環境が厳しさを増す中にあって、信者数が増え続ける勝ち組教団だ。1995年に約73万人だった国内の公称信者数は、この20年で約93万人と約3割も増加した。海外を含めると信者数はすでに100万人を超える。
 創設年こそ創価学会や立正佼成会と同じく30年代と古いものの、一般的な知名度はほとんどなかった教団が、なぜここまで教勢を広げているのか。
 その名が広く知れ渡ったのは2000年代以降だ。02年に東京都の武蔵村山市と立川市にまたがる日産自動車工場の跡地(約105万平方メートル)を約739億円で購入。その後も東京都千代田区の旧ダイヤモンドホテル、運慶作といわれる大日如来像などを次々に購入し、その資金力に注目が集まった。

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 実際、教団の年間収入は推定455億円(14年3月期)に上る。そして、本誌の試算では、所有不動産の資産額は国内の宗教施設で実に約2544億円。本拠地のある立川市内だけでも約1212億円に達する(右図参照)。
悩み相談と霊能者育成が
信者たちを魅了
 しかし、他の大手教団と異なり、宗教事業以外にはあまり手を広げていない。下図の通り、宗教事業に関連した仏具の販売、旅行、出版などの収益事業は一如社に集約。一方、社会活動には熱心で国内外に多くの財団法人を持つ。つまり、ほぼ宗教事業だけでこれだけの財を成しているわけだ。
 信者を引き付ける理由の一つが「接心(せっしん)」という、「霊能者による悩み相談」にある。
 接心には、下表の通り、内容に応じてさまざまなメニューがある。

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 日常生活での心の持ちようなどのシンプルなアドバイスを行う「向上接心」や「向上相談接心」は1人の霊能者が数十人の信者と行う。一方、他人に聞かれたくない個人的な悩みなどの「相談接心」「特別相談接心」「鑑定接心」は個室において“一対一”で行う。これらは宗教行為というよりスピリチュアルの要素を加えた「カウンセリング」に近い。
 平均的な信者が1年間に費やす金額は、接心に祈願、年会費などを合わせても合計4万〜5万円程度とみられ、その「サラリーマンのお小遣いでやりくりできる」(西川勢二教務長補佐)という気軽さも人気の理由だ。
 とはいえ、接心のような相談だけならば、他にもスピリチュアルなヒーリングサロンなどが多く存在している。真如苑のもう一つの人気の理由は、信者自らも「霊能者」になれるという独自の仕組みにある。真如苑では「霊能者とは誰でもなれるもの」(苑主の伊藤真聰(しんそう)氏)としており、すでに国内に約4000人の「霊能者」がいる。

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 その仕組みは下図の通り。霊能者に至るまでには「大乗」「歓喜(かんぎ)」「大歓喜」という3段階がある。それぞれの修行を経て、霊能者になるには平均で十数年かかる。その仕組みはまるで、茶道や華道などの家元制度だ。

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 真如苑の霊能修行は、昨今のスピリチュアルや自己啓発ブームに乗った“自分磨き”と相似する。
 下図の通り、書籍の市場規模は90年代後半の1兆円から現在は約7000億円へと大きく減少する中、自己啓発本の人気が高まっている。出版科学研究所による平成30年間のベストセラーの調査によれば、ランキングトップ30で自己啓発本の割合が急増している。単身世帯の増加に伴う社会の個人化の流れの中、自分を高めたいというニーズが、ブームを後押ししているのだろう。
 霊能者になるための修行は、まさに段階を踏んで自分磨きを達成できる仕組みとなっている。
 霊能者修行の基本は、1〜2カ月に1度、教団施設で1〜2時間の祈りを行う「会座」と呼ばれる修行に参加すること。会座で指導役の霊能者に認められれば、次のステップに上がることになる。
 もう一つの修行は、日常生活における「3つの歩み」という教えの実践だ。具体的には自主的にお布施する「お歓喜」、信者を増やす「お救(たす)け」、教団の行うボランティア活動などへの「ご奉仕」の三つを指す。
 特に「お救け」は会座に参加するための必須条件。霊能者になるための会座に参加するには、合計8人もの新たな信者を獲得しなければならない。
 信者は、「3つの歩み」を実践することで、霊能修行の達成感を得ると同時に、人々を救っているという心の満足を得る。

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 一方、教団からすれば、霊能者の信者が「ご奉仕」として接心を無償で行うことでコスト削減となる。また、「お救け」による信者の増加、「お歓喜」による収入の増加は、教団の規模拡大につながる。
 さらに、社会にとっても「ご奉仕」による全国の公共エリアでの早朝清掃や被災地支援ボランティア、グループの公益法人などを通じた社会貢献という恩恵があるという、信者・教団・社会の「三方良し」のモデルを築いている。
入信した者を辞めさせない
ピラミッド型組織
真如苑苑主・伊藤真聰(しんそう)氏
 真如苑の強さの秘密は、それだけにとどまらない。獲得した信者を離脱させない組織形態こそが、成長を支えた最大の理由といえる。
 そもそも真如苑の信者になるためには、「導き親」と呼ぶ、紹介者が必要となる。導き親と新規加入者(「導き子」)は、“親子関係”を結ぶ。もともとの知人であることも多く、強固な親子関係を築きやすい。そして導き子が新たな信者を誘って導き親になるということを次々に繰り返してピラミッド組織が一定の規模に達すると、上位の信者は教団に申請して傘下の信者たちを束ねる「経親(すじおや)」となる。
 経親は国内に7000人おり、それぞれの経で月1回のホームミーティングを開き、教団からの事務事項の情報伝達や信仰上の相談、指導などを行う。
 かつては創価学会、立正佼成会なども真如苑と同様、信徒同士の「縦型組織」だった。しかし、選挙などの組織活動を行う上ではエリアごとにまとまる「横型組織」のメリットが大きいこともあり、今では巨大教団で縦型組織を維持するところはほとんどない。宗教活動に特化した真如苑だからこそ縦型組織を維持してきたといえる。
 しかし、縦型組織には弱点もある。かつて霊友会の信者たちが立正佼成会をつくったように、有力者が傘下の信者たちを引き連れて分裂するリスクを抱えているのだ。
 ところが、真如苑は過去において分派した事例はない。なぜか。それは教団が万全の対策を施し、リスク対策をしているからである。
 対策の要は、前出の経を巨大化させないことだ。有力な経親の下には多くの子や孫ができ、規模は拡大していく。現在でも1000人近い規模に達した経もあるが、その辺りが上限。なぜなら教団は経が大きくなることを推奨せず、経が大きくなると新たな経親を立て、一定規模に抑えるからだ。
 もう一つの対策は特定の人気霊能者をつくらないこと。そこで、20年以上前、信者が接心の際に霊能者を選べない制度に変更した。
 さらに加えれば、接心ができる場所を「結界されて霊的に治安が良い」(西川教務長補佐)との理由で、真如苑の教団施設内のみに限定している。それ故、霊能者が脱会しても接心はできず、新たな霊能者を生み出せないので、大きな教団にはなれないというわけだ。
 真如苑は長い年月をかけて、このように緻密に計算された“事業モデル”をつくり上げてきた。
 現在の苑主は76歳。5年前に血縁のない教団職員を後継者に指名したが、創価学会や立正佼成会と異なり、「トップのカリスマ性で引っ張ってきた教団ではないので、次期苑主になっても揺るがないだろう」(宗教学者の島田裕巳氏)との声が多い。ジリ貧をたどる宗教界にあって、真如苑は新たな市場を開拓した稀有な教団といえる。

https://diamond.jp/articles/-/181609


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/774.html

[経世済民128] 政府・日銀、株安は「調整」 米中摩擦長期化なら試練も 新トランプ貿易協定の先に見える「中国包囲網」

ビジネス2018年10月12日 / 18:57 / 38分前更新
焦点:
政府・日銀、株安は「調整」 米中摩擦長期化なら試練も
2 分で読む

[東京 12日 ロイター] - 政府・日銀は、世界同時株安の様相が12日になって後退し、今回の市場変動は「調整」に過ぎなかったと受け止めている。ただ、株急落の背景には、米中貿易戦争の激化を懸念した市場の思惑があり、米中間の経済的緊張が長期化した場合、株価下落の波が日本にも押し寄せると懸念する見方もある。危機に発展しそうな状況になれば、経済成長と財政健全化の両立を目指す安倍晋三政権に試練となりそうだ。

今回の世界同時株安について、ダウ.DJIが10、11日の2日間で1300ドルを超す下落となり、東京市場の関係者は固唾を飲んで12日の東京市場を見守った。

だが、日経平均.N225は前日比103.80円高の2万2694円で引け、市場にはホッとした心理が広がった。こうした市場動向を受け、ある与党関係者は「今回の株価下落は一過性であり、健全な調整」と冷静に受け止めている。

震源となった米国経済の動向に関しても「現時点で本格的な減速トレンドに入ることは予想していない」(与党幹部)とみており、政府内にも新たな政策対応を模索する動きは皆無だ。

日銀も同様の受け止め方が多く、桜井真審議委員は11日の秋田市での記者会見で、日経平均が一時1000円を超える下落となったことについて「ファンダメンタルズは日米ともに健全で、企業収益もかなり好調だ」と述べた。

ただ、全面的に不透明感が消えたとは言えないという見方も、政府・与党内にはある。冒頭の与党関係者は、市場の一部にある早期の米中和解について、その可能性は低いと指摘。そのうえで両国間で展開される貿易戦争が長期化し、今は世界で最も好調な米経済に陰りが出て、市場が動揺するリスクを指摘する。

その与党関係者は、トランプ政権の対中高関税政策の結果、米国の消費者物価の上昇圧力が急速に強まり、米長期金利の上昇を加速させ、株価急落のリスクをさらに高めかねないと指摘。

同時に物価上昇によって、今は堅調な米個人消費が失速するリスクにも言及した。米経済の失速リスクの表面化は2019年にも想定され「日本経済や日本株に大きな打撃になることも予想される」と先行きの不安感に言及した。

仮にこのようなシナリオが現実化した場合、円安・株高による「アベノミクス相場」に支えられてきた安倍首相の政権求心力に悪影響が出るのではないかとの声も、政府・与党内にある。

別の与党幹部は「日経平均が2万2000円を割り込み、その後も回復しない状況が長引けば、『アベノミクス失敗』との声が党内に充満しかねない」とリスクシナリオの台頭に警戒感を示す。

また、世界同時株安をめぐっては、別の思惑もくすぶっている。安倍首相や菅義偉官房長官が「リーマン・ショック級の出来事がない限り、予定通り実施する」と繰り返し発言していることに関連し、世界同時株安が世界的な経済危機に発展した場合、19年10月の消費増税10%への引き上げが先送りされるという可能性だ。

ダウ平均
25052.83
.DJIDOW JONES INDEXES
-545.91(-2.13%)
.DJI
.DJI.N225
複数の与党筋は、消費増税延期とセットで19年夏の参院選が衆参同日選に変更されるシナリオに言及する声が自民党内にあると話す。

政府・与党の「静観発言」を額面どおりに受け止めることができるのかどうか──。今後の世界市場の動向次第では、日本経済の成長と財政健全化を両立できるか否かの正念場を迎えそうだ。

マクロ政策取材チーム 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/japan-stock-12-idJPKCN1MM11U


 

外為フォーラムコラム2018年10月12日 / 14:42 / 2時間前更新
コラム:
新トランプ貿易協定の先に見える「中国包囲網」
Andres Martinez
4 分で読む

[4日 ロイター] - トランプ米大統領は、再交渉を進めていた北米自由貿易協定(NAFTA)において、ようやくのことでかなり穏当かつ理にかなった改定にこぎつけた。

ただしトランプ氏は、この改定を、おぞましい協定を新たに素晴らしいものと取り替えたかのようにゆがめた形で発表している。

9月30日に決着した新NAFTAはまだ連邦議会の承認を待たなければならないが、「新」と称するのはごまかしである。従来のNAFTAに対する多くの修正点は、すでにオバマ政権が提唱した環太平洋連携協定(TPP)において想定されていたからだ。

この多国間地域貿易協定にはメキシコとカナダも含まれており、電子商取引から知的財産権まで包摂する規定は、先送りされていたNAFTAの改定としても機能していただろう。だがトランプ氏はTPPを放棄し、交渉担当者はNAFTAを救済するためにTPPを換骨奪胎する羽目になった。さらに新NAFTAには、米自動車産業を保護するためにトランプ政権が執着したいくつかの規定が含まれている。

トランプ大統領は今回の新協定について、「NAFTAの改定ではなく」、政権関係者は皆「USMCA(United States-Mexico-Canada Agreement、米国・メキシコ・カナダ協定)」と呼んでいると言うが、事情に通じた人々がこうした主張に概して疑問を投げかけるのは当然である。

個人的には実存主義に敬意を表し、順番を入れ替えて「CAMUS(カミュ)」と呼びたいところだが、現実には(ありがたいことに)、これはNAFTAの改訂延長版に他ならない。憲法も改正するたびに名前を変えるわけではないように。

とはいえ、トランプ大統領が今回のNAFTA改訂を、米国による世界との付き合い方の根本的な変更として、また中心的な選挙公約の実現として、自身の支持基盤に売り込むことができるという点を過小評価してはならない。

実際、「トランプ・リアリティー・ショー」におけるNAFTAの回は、(最初はメキシコに対する、次いでカナダのトルドー首相に対する)度を超えた憎悪に始まり、今般のハッピーエンドに至るまで、「トランプ流」について示唆に富む洞察を与えてくれた。また、今後のエピソード、特に中国に関係するクライマックスにおいてどのような展開が見られるかについても、有力なヒントを与えてくれる。

トランプ氏が見せる決定的な特徴2つが、対中国という重要な地政学的課題においても展開されるとすれば興味深い。

つまり、状況を悪化させておいて、その解決を自身の功績として主張するパターン、そしてロシアのプーチン大統領など外国の政治指導者に対して、離れたところからは好戦的な姿勢を示すのに直接会うときには妙にご機嫌を取り、下手に出るという傾向だ。

相手が中国であれ他の諸国であれ、外交において大胆な勝利を追い求めるという点に関して、トランプ氏には歴代の大統領に比べて有利な点が2つある。

第1に、競合する代替的な複数の物語が共存する時代において一方的に勝利を宣言することは、特にテレビのリアリティー番組で鍛えられた大統領にとっては、以前よりもはるかに容易になっている。

さらに、トランプ氏はいわゆる「マッドマン理論」の恩恵を受けることができるという事実がある。これは、最初はイタリアの政治思想家ニッコロ・マキャベッリによって唱えられ、後にニクソン米大統領のベトナム政策について語られた戦略だ。

その要諦は、何をしでかすか分からない不合理な敵に対しては、人や国家は妥協することに前向きになる、というものだ。もっと砕いて言えば、トランプ氏が戦術と長期的な戦略的利害の違いを理解していないように見えるせいで、彼が特定の問題についてより頑強な態度をとることが可能になっている、ということだ。

だからこそトランプ氏は、カナダや韓国との関係全般を悪化させることがなぜ愚策なのかという幅広い文脈に無頓着なまま、ささいな点に基づいて米韓貿易協定の再交渉を求めることもできたし(これは実現した)、カナダ政府による自国酪農業の保護にこだわることもできたのである。

興味深いことに、トランプ氏は10月1日に「(中国政府と)協議を行うのは時期尚早である。なぜなら向こうにその用意がないからだ」と発言した。だが、両国トップによる首脳会談に向けた用意がないとすれば、それはトランプ政権の側だ。

トランプ氏は引き続き、中国製品に対するさまざまな関税措置と、それに対する中国側の報復関税という形での対立をあおっている。米大統領選挙へのロシア介入を巡るモラー特別検察官の調査が山場を迎えつつあることから、習近平国家主席と顔を合わせての感動的な和解は、中間選挙後に取っておきたいと考えている可能性が高い。

NAFTAを巡る危機は仕組まれたものだったが、米国が中国に対して当然の不満を抱いていることは事実であり、状況がどのように展開するかは必ずしも明確ではない。中国が自国にとって痛手となる複数の選択を行うかどうかは、もっぱら同国の指導部にかかっているからだ。

中国と米国は実質的にグローバル経済における「G2」とも呼ぶべき柱であり、現状を維持する中で既得権を共有するという「ウィンウィン」のパートナー関係にある2つの突出した経済大国であるという、有力な、しかし過小評価されている主張がある。

だが、こうした「G2」体制とは相いれない、長年にわたって染みついた中国流の慣行もある。一部のセクターにおける保護主義、外資誘致に際しての合弁事業契約へのこだわり、知的財産権の軽視などだ。

世界貿易機関(WTO)に対する中国のコミットメントについては言うまでもない。今この問題を追及しているのは気まぐれな米国大統領かもしれないが、中国の指導者としても、自国が既存の秩序に挑戦する「ならず者大国」であり続けるのか、それともその秩序の主要な支援国、共同保証人となるのか、きっぱりと決断すべきときである。その両方であり続けることは不可能なのだ。

このところの緊迫した状況の軸になっているのは、中国が歴史的な妥協に踏みきり、信頼できる米国のパートナーになるのかという問いだ。

最も可能性の高いシナリオを示しておこう。

西側諸国は中国について、動じることなく長期戦を戦う一枚岩の断固たる国家だと考える傾向にあるが、貿易戦争という名の賭け金の高いポーカーにおいて、中国が持っている手札は米国に比べて弱い。今年、米中両国の株式市場が示している対照的なパフォーマンスがその証拠だ。また中国指導部は、別の面での妥協を図り、トランプ氏との和解による利点を模索する可能性が高い。

中国政府とのあいだで新たな和解が実現できず、断絶が明確になるというシナリオは可能性が低いが、その場合でもトランプ氏は、中国を封じ込める経済同盟の再活性化という形で、外交における勇敢な勝利を得ることができるかもしれない。

こうした同盟は、北米を日本、韓国その他のアジアにおける同盟国と結びつけるような貿易協定に基礎を置くことになる可能性が高い。これら諸国はあいかわらず、予測しにくい米国大統領よりも、中国が抱いている意図の方をはるかに強く憂慮しているからだ。

だが、中国の封じ込めを狙ったこのような太平洋地域の貿易協定が実現するとしても、それをTPPと呼ぼうとするべきではない。恐らく(日本と韓国を加えて)「JKCAMUS」と呼ぶことはできるだろうが。

*筆者は米アリゾナ州立大学ジャーナリズム・マスコミュニケーションスクールの教授。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/column-trump-trade-pact-idJPKCN1MM0FL

ワールド2018年10月12日 / 18:47 / 1時間前更新
米中通商協議、為替が議題に含まれるべき=米財務長官
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[ヌサドゥア(インドネシア) 12日 ロイター] - ムニューシン米財務長官は12日、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁に、今後の米中通商協議では為替問題が議題に含まれなければならないと述べ、最近の人民元の下落に懸念を表明したことを明らかにした。ロイターのインタビューで語った。また、両国の通商関係に均衡を取り戻すために、中国は具体的な「行動項目」を明示する必要があるとの認識を示した。

 10月12日、ムニューシン米財務長官は、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁に、今後の米中通商協議では為替問題が議題に含まれなければならないと述べ、最近の人民元の下落に懸念を表明したことを明らかにした。ロイターのインタビューで語った。ブエノスアイレスで7月撮影(ロイター/Marcos Brindicci)
ムニューシン長官と易総裁は、国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会の合間に為替問題について幅広く協議を行った。

長官は協議について「わたしは人民元の下落について懸念を表明した。今後のいかなる米中通商協議でも為替が議題とならなければならない」と強調した。
https://jp.reuters.com/article/mnuchin-treasury-renminbi-idJPKCN1MM10R



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/780.html

[経世済民128] トランプ大統領の批判にもFRB動じず、市場はパウエル議長を信頼 トランプ氏「キツネのようにずる賢い」FRB批判でガンドラ
トランプ大統領の批判にもFRB動じず、市場はパウエル議長を信頼
Christopher Condon
2018年10月12日 8:34 JST
• 米金融当局による18年の利上げを投資家は歓迎−ラインハート氏
• 大統領発言はFRBの政策決定に影響与えず−マッカーシー氏
トランプ米大統領は米連邦準備制度理事会(FRB)への批判を24時間にわたって続けたが、金融市場と議会というFRBが審判を仰ぐ2つの重要な「選挙区」で支持が揺らぐことは差し当たりなさそうだ。
  元FRB当局者で現在はスタンディッシュ・メロン・アセット・マネジメントでチーフエコノミストを務めるビンセント・ラインハート氏は「どちらかと言えば、FRBは漸進的であり、彼らの行動はこれまでのところ歓迎されてきた」と指摘。「FRBの行動を批判するのは、FRBの行動に対する市場の反応からずれている」と述べた。
  トランプ大統領は10日、今年の利上げについて「FRBは常軌を逸した」と批判。11日にもトランプ氏は6営業日連続の米国株安の責任が「制御不能な」FRBにあると非難した。ただ、FRB議長を「解任するつもりはない」と付け加えた。

トランプ大統領とパウエルFRB議長
フォトグラファー:Drew Angerer / Getty Images
  大統領からの痛烈な非難は、インフレ対策への信頼構築・維持を図り、2回の長期経済成長に寄与したFRBの30年にわたる取り組みに直接挑戦するものだ。ただ、金融市場はトランプ氏からのここ24時間の矢継ぎ早のFRB批判でも、パウエルFRB議長が利上げペース減速を求める圧力に屈し物価高騰を招く恐れがあるとは受け止めていない。
  向こう10年の米インフレ率の市場ベースの指標である10年物ブレークイーブンレートは先週、4カ月ぶりの高水準の2.17%を付けたが、今週は2.13%に低下した。

  ジェフリーズのチーフ金融エコノミスト、ウォード・マッカーシー氏は、トランプ大統領の発言はFRBの政策決定に影響を与えないと述べ、「トランプ氏の批判にもかかわらず、FRBは必要と考えることを行っていくだろう」と予想。今回のFRBたたきは11月の中間選挙を前に株式市場が急落した批判をかわすことを単に狙ったもので、FRBの独立性を弱めるより大きな戦術の一環ではないだろうとも述べ、「選挙が終わればすぐにトランプ氏はFRBのことを忘れ、他のことに注目するだろう」と付け加えた。
トランプ大統領はパウエルFRB議長を解任しないと発言
出所:ブルームバーグ)
原題:Trump Roars, Fed Yawns and Markets Bet on Powell’s Credibility(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-11/PGGFT96TTDS001


トランプ氏「キツネのようにずる賢い」−FRB批判でガンドラック氏
John Gittelsohn
2018年10月12日 10:37 JST
「自分が責任を負うことを望まない」レトリックだとガンドラック氏
連邦準備制度は利上げに時間がかかり過ぎているとの見方示す

トランプ大統領 Photographer: Zach Gibson/Bloomberg
米投資会社ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)は、米株式相場が急落した後、連邦準備制度を「正気を失っている」と批判したトランプ米大統領について、ずる賢いと指摘した。

  ガンドラック氏は11日のCNBCとのインタビュー、「トランプ大統領について言えば、自分が責任を負うことを望まないFED(連邦準備制度)に関するレトリック(言葉遣い)を使い、キツネのようにずる賢いことは、私の目には明らかだ」と語った。

  トランプ大統領は、連邦準備制度が「正気を失っている」と10日に発言した後、この日も連邦準備制度が不必要に金利を引き上げ、株式相場の下落を引き起こしたと述べ、「制御不能」と主張した。ガンドラック氏はこれに対し、連邦準備制度は利上げに時間がかかり過ぎているとの見方を示した。減税と支出増で財政赤字が拡大する状況で、金利が今後も上昇すると同氏は予想している。

  同氏は米国債利回りの上昇ペースが速すぎれば、年内に株価は下げると1月時点で予測。さらに米国の30年国債利回りが2営業日連続で3.25%を超えて終了した場合、情勢を一変させることになりかねないと9月18日にツイートした。30年国債利回りは、今月3日以降その水準を上回っている。

原題:Gundlach Says Trump ‘Crazy Like a Fox’ to Blame Fed for Selloff(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-12/PGH06K6S972A01


 


 


株安は「制御不能」なFRBに責任−トランプ大統領
Terrence Dopp
2018年10月11日 23:24 JST 更新日時 2018年10月12日 2:45 JST
トランプ米大統領は米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を解任する考えはないと述べた一方、2月以降で最悪となった株式相場の下落は「制御不能」に陥った米金融当局の責任だと非難した。

  トランプ氏は11日午前にホワイトハウスで記者団に対し、金融政策についてはFRB上層部より自分の方が分かっていると、前日に続いて利上げへの批判を継続した。利上げは「必要ないというのが私の意見だ。私の方が彼らよりこの点を分かっていると思う」と述べた。


トランプ大統領とパウエルFRB議長フォトグラファー:Drew Angerer / Getty Images
  トランプ大統領はパウエル議長を「解任するつもりはない」としながらも、引き締めについて「残念だ。ペースは速すぎ、厳しすぎる」と述べた。FRB議長は、正当な理由がない限り解任されることはない。

  また株式相場の急落については「調整であり、FRBによって引き起こされたと思う」と語った。

原題:Trump Blames ‘Out of Control’ Fed for Rout but Won’t Fire Powell(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-11/PGFU25SYF01S01?srnd=cojp-v2
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/781.html

[経世済民128] 明白な「トリガー」不在の株価暴落 米株急落の「犯人」、プログラム取引に風当たり強まる 金相場株安の中で16年以来最大上昇
外為フォーラムコラム2018年10月12日 / 16:52 / 3時間前更新
コラム:
明白な「トリガー」不在の株価暴落
Jamie McGeever
3 分で読む

[ロンドン 11日 ロイター] - 世界金融市場の混乱は、数々の調整要因を踏まえれば驚きではない。それよりも驚きなのは、また恐らく懸念すべきは、10日の株価急落において明白なトリガー(引き金)が存在しないことだ。

政策変更や革新的な企業ニュース、政治的な変化球やエネルギー市場の動揺、インフレ率上昇や軍事的脅威など、この24時間に何も見当たらなかった。にもかかわらず、ほぼ全世界の株式市場で株価が急落した。

ここで浮かび上がるのが、主要な上昇局面と下落局面のタイミングをはかる難しさだ。

1987年、2000─01年、そして2007─08年に起きたような株の大暴落は、ファンダメンタルズの悪化や過熱した市場に関する後知恵や大胆な一般論を抜きにしても容易に説明できる。

しかしこうした大暴落には明確なトリガーポイントはなく、むしろ作られたストーリーやネガティブ材料が重なったことに起因していた。

あるポートフォリオマネジャーが11日に語った通り、世界中の投資家は1年中、まるで一貫して買いモメンタムとボラティリティー低下に賭けるショートボラティリティー戦略を維持しているかのように振る舞ってきた。それは過熱した市況をもたらしかねない。

今回の大暴落が、別の大きな調整なのか、あるいは弱気相場が形成される過程なのかまだ分からないが、一段安となる理由や条件は明らかに増えている。

いかに突然反転し得るかを市場が示しているということに、投資家は不安がるに違いない。

S&P総合500種は10日、3%以上下落し、ナスダック総合も2011年以降で最大の下げ幅を記録した。中国株も大幅安でCSI300指数は4.8%の下落となり、1月のピーク時から30%近く下げている。

その他の株式市場も下落し、世界同時株安の様相となった。

<ダンスは続く>

10月は市場で大きな混乱が起きやすいが、そのような季節的かつ歴史的な要因はさておき、なぜ今なのか。8月や9月にも大きな反転はあった。では、なぜ10日だったのか。なぜ過去数週間の他の日ではなかったのか。

米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めやドル高、エスカレートする貿易戦争、減速する中国経済やぜい弱な新興国市場といったことはすべて、当面の間は神経質になって当然の理由となる。

米国債利回りはこの数週間上昇し続けており、今週は3.26%と7年ぶりの高水準を記録した。10日の大暴落は、トランプ米大統領がFRBの利上げペースを「クレイジー」だと批判する以前からすでに進行していた。

米利上げと米国債利回りの上昇が新興市場を圧迫しているのは、今に始まったことではない。ドル高も同様だ。アルゼンチンやトルコの通貨危機も含め、新興市場で広がるぜい弱性は先進国市場に波及するには至らなかった。

世界貿易戦争にも同じことが言える。米国はすでに、2000億ドル(約22兆円)相当の中国からの輸入品に関税をかけ、さらに2670億ドル相当の中国製品に追加関税を課す可能性がある。中国政府は4月以降、自国通貨の人民元を10%切り下げている。7日には、一部市中銀行の預金準備率を引き下げると発表した。緊張は高まってはいるものの、これまた今に始まったことではない。

確かに投資家は、イタリア政府が財政計画を巡り欧州連合(EU)との対立を深め、どつぼにはまることを懸念している。しかしこれもまた、2011年や2012年の状況とは異なる。少なくとも今のところは。

米国株式市場はこの数週間で最高値を更新し続けていたため、投資家は、高水準の株価や割高なバリュエーションに対する懸念に不意打ちを食らうことは考えにくい。いずれにせよ、米国企業の第3・四半期の利益成長率は21%増と予想されている。

ITバブル(2000─01年)や世界金融危機(2007─08年)も、たった1つの検知可能な出来事で起きたわけではなかった。崩壊に至る状況は何カ月にもわたって形成された。

世界で金融引き締めの影響が出始めた2007年7月、当時の米シティグループのチャールズ・プリンス最高経営責任者(CEO)が口にした次のような言葉が恐らくすべてを物語っている。

「音楽が止まると、流動性にとって事は複雑になる。だが音楽が流れている限り、踊り続けなくてはならない。われわれはまだ踊っている」

パーティーから手を引く確たる理由など存在しないことが多く、それを考え出そうとするのは無駄なことなのかもしれない。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-stock-idJPKCN1MM0SJ

 
トップニュース2018年10月12日 / 10:47 / 2時間前更新
焦点:
米株急落の「犯人」、プログラム取引に風当たり強まる
Trevor Hunnicutt
2 分で読む

[ニューヨーク 11日 ロイター] - 今週の米国株の大幅下落について、「犯人」だと投資家からみなされているのが、コンピューターの指示による自動売買プログラムとそれを手掛けるファンドマネジャーだ。

株安は、米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げが正当化されるほど物価上昇の勢いが強まるとの見方を背景とする米国債の大規模な売りに続くものだった。だが全ての投資家は、そうした売りが妥当だとは考えているわけではない。

オメガ・アドバイザーズの創設者レオン・クーパーマン氏は「ウォーレン・バフェット氏は安値で買い、高値で売ることで富を築いた。コンピューターのプログラム取引は堅調局面で買い、軟調局面で売って双方の流れを加速させている。10日にそういった種類の取引をする理由はなかった」と述べた。

今回の状況は、長期金利が急騰した後に株が売られた点で今年2月をほうふつさせ、「リスクパリティ戦略」を掲げるファンドや商品投資顧問(CTA)など、プログラム取引で相場の動きを増幅させるとされる市場参加者に注目が集まるところも似ている。

ロングテール・アルファのビニア・バーンサリ最高投資責任者とUSCマーシャル・スクール・オブ・ビジネスのローレンス・ハリス教授が昨年公表した論文によると、リスクパリティ・ファンドやボラティリティ・ターゲティング・ファンドを含め、市場リスクに対応して動く戦略に基づいて運用されている資産は約1兆5000億ドルに上る。

ナティクシス・インベストメント・マネジャーズのチーフ市場ストラテジスト、デービッド・ラファーティ氏は、彼らは同時に売りを出すので相場の下げ余地を大きくしてしまうという主張には説得力があると話す。「だれもが売りに回れば、彼らが避けようとしている問題が生まれる」という。

ウィーデンのチーフ・グローバル・ストラテジスト、マイケル・パーブス氏は、市場の値動きからすると、ルールに基づいてボラティリティ次第で方針を決める投資戦略が、米長期国債の急激な売りに反応して発動されたことが分かる、と指摘した。

2008年の金融危機後に人気が高まったリスクパリティ戦略は、従来の資産クラスにまんべんなく資金を配分する方式に代えて、株式や債券、その差の資産価格の面でリスクないしボラティリティが均等になるようにする投資で、株価急落の際にはしばしば犯人呼ばわりされる。

しかし当のリスクパリティ・ファンドは、責任を押し付けられるいわれはないと主張している。

傘下にこうしたファンドの「オール・ウェザー」を持つブリッジウォーターのボブ・プリンス共同最高投資責任者は、足元の株安が始まって以降はポジション調整をしていないと説明。「リスクパリティは10日の値動きとは一切関係なかった」と述べ、企業業績が期待外れに終わる段階が近づいて、恐らく足の速い資金が真っ先に逃げ出していることが株価下落につながったのだろうとの見方を示した。

米国を拠点にリスクパリティ戦略で運用しているファンド勢は、10日に3.0%下落したS&P総合500種に比べると痛手は小さいが、それでもこの株安で年初来のリターンはマイナス幅が拡大したとみられる。関係者によると、ブリッジウォーターのオール・ウェザーは9月末時点で年初来のリターンがマイナス0.6%だった。
https://jp.reuters.com/article/usa-funds-riskparity-analysis-idJPKCN1MM04C


 

金相場がついに停滞から脱出か、世界的株安の中で16年以来最大の上昇
Marvin G. Perez
2018年10月12日 12:08 JST
• 世界的な株安と予想下回る米インフレ統計の中で、金需要高まる
• NY金先物は一時1オンス=1230ドル、10週ぶり高値に上昇
金相場がついに停滞から抜け出したかもしれない。
  11日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物相場は2016年6月以来最大の上昇率を記録。世界的に株価が下落し、米インフレ率の伸びが予想を下回る中、価値の保存先として金の需要が高まった。金先物は一時1オンス=1230ドルと10週ぶり高値に上昇。3日続伸し、8月22日以後で最も長い上昇局面となっている。
  資金の避難先として金の魅力を低下させる金利の上昇と、妙味を増し得る地政学リスクをトレーダーが比較検討する中、金は8月下旬以降1200ドル付近での推移が続いていた。

  RJOフューチャーズのシニア商品ブローカー、フィル・ストライブル氏は電話インタビューで、インフレ統計は「一段の利上げにブレーキを踏む」ことを米金融当局に促す可能性があると述べた上で、世界的な株安も投資家を「安全」資産に誘っていると語った。
  ブルームバーグ・インテリジェンスが算出する金鉱株の指数はこの日、2016年以来最大の上昇。 ハーモニー・ゴールド・マイニングやシバニェ・ゴールドの株価はいずれも13%余り上げ、バリック・ゴールドは9.5%高だった。
           
原題:Gold Shakes Doldrums in Biggest Gain Since 2016 as Equities Reel(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-12/PGGQ826KLVR701?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/783.html

[経世済民128] 日本の純資産はプラマイゼロ、IMFの新国富論 ドイツはマイナス  黒田日銀総裁:出口戦略開始の合図は金利目標の変更
コラム 2018年10月13日 / 20:05 / 11時間前更新

日本の純資産はプラマイゼロ、IMFの新国富論

Peter Thal Larsen
2 分で読む

[ロンドン 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 企業を分析する際に、負債だけをみる人は真剣な投資家とは言えないだろう。しかし、こと国の分析となると、その国の富よりも債務にばかり着目するファンドマネジャーは多い。

国際通貨基金(IMF)は、国家財務の資産側にもスポットライトを当てることで、バランスを取り戻そうと努めている。

IMFが10日公表した世界経済生産の61%を占める31カ国の財政モニター報告書には、驚くべき指摘が並んでいる。公的部門の正味資産の合計額は101兆ドル(約1京1000兆円)に上り、合計国内総生産(GDP)の219%に相当する。一方、公的債務の合計は同94%であり、資産はその倍以上あるということになる。

巨額の借金を抱える日本の場合、負債額はGDPの283%に相当するが、その半分以上を日本銀行を含めた政府機関が抱えている。他の資産も考慮に入れて試算すると、日本の「純資産」はほぼプラスマイナスゼロになると、IMFは指摘している。

一方で、財政黒字を誇るドイツの場合、純資産はマイナスだ。

こうした分析は、完璧にはほど遠い。根拠となっているデータは統一性に欠ける。そして、資産と負債の全体像を把握しようとする中で、公的年金制度の将来的なコストや、地下に眠る自然資源の価値などについては、大胆な推計を用いることになる。また、国有企業や資産は簡単には売却できない。

だがそれでも、国の富をより明確に把握することは、いくつかのポジティブな効果をもたらす。1つには、純資産を増大させる公共投資と、借金で財源を作った補助金の区別が明確になる。また、よりよく資産を管理するよう国に圧力が加わる。

IMFがモニターした31カ国の資産利益率は、2010─16年において平均1.9%だった。これに加えて、GDPの3%程度の利益を搾り出すことができれば、先進国が徴収する法人税と同程度の歳入を手にすることになる。

こうした説明責任に対する政治的な消極姿勢が、公共資産に関する公式データの不備を招いているのだろう。

たがその中でも、一部の国は自ら範を示しつつある。ニュージーランドは、6月までの1年間で純資産が1300億ニュージーランドドル(約9兆4000億円)に達し、GDP比で45%と前年の40%から増加したと発表した。

IMFに背中を押され、他の国も、近くバランスシートの資産側について、より詳細な情報を投資家に提供し始めるのではないだろうか。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/imf-g20-breakingviews-idJPKCN1ML0NF


 


黒田日銀総裁:出口戦略開始の合図は金利目標の変更
竹生悠子、Kathleen Hays
2018年10月13日 22:10 JST
• 物価上昇率が1%程度のため、今のところ現在の金利水準を維持する
• インドネシア・バリ島でブルームバーグのインタビューに答えた
日本銀行の黒田東彦総裁は13日、金融緩和からの出口戦略の開始を知らせる準備が整った際は、金利目標の変更という形で明らかになるだろうと語った。黒田総裁が、将来の出口政策について明確に述べるのは異例。一方、今のところ現行の低金利政策を継続するとも強調した。
  黒田総裁は、日銀が出口に向かうことを知らせる方法について問われ、「2%物価上昇率が達成されたり、達成が近づいたりした場合は当然、金利目標を変更することがありうる」と説明。金利変更が出口戦略の開始の明確な合図になるとする黒田総裁の意図を確認する追加質問に対しては「その通りだ」と話した。インドネシア・バリ島でブルームバーグ・テレビジョンのインタビューに英語で答えた。
  「現時点では、物価上昇率は1%に過ぎず、現行の長短金利水準で金利操作を継続する」とも述べた。また物価の2%目標を達成するためには、賃金上昇の継続が重要との認識を示した。

黒田東彦総裁=13日、バリ島
写真:SeongJoon Cho / Bloomberg
原題:Kuroda Says Signal for Exit Would Be a Change in Target Rate(抜粋)

 


黒田日銀総裁:米長期金利上昇が市場の調整を招いたとの見方ある
竹生悠子
2018年10月12日 23:17 JST
• 日米欧の経済状況には変化見られない−黒田総裁
• 黒田総裁は麻生財務相とともにIMF・世銀年次総会に出席
日本銀行の黒田東彦総裁は、米長期金利の上昇がアジアに波及し、今週の金融市場の調整を招いたという見方もあると指摘した。
  黒田総裁は12日、国際通貨基金(IMF)・世銀年次総会が開かれたインドネシアのバリ島で記者会見し、日米欧の良好なファンダメンタルズに変化は見られないとしつつ、金融市場に注目を続けていくことが必要だとの認識を示した。
  黒田総裁と共同で会見した麻生太郎財務相は、米中貿易摩擦について両国に話し合いを呼び掛けた。
  黒田総裁、麻生財務相とも今回の会合に出席。会合では貿易摩擦や新興国市場からの資本流出が繰り返し議論に上った。
原題:Japan’s Kuroda Says Treasury Yields Triggered Market Sell Off(抜粋)


https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-13/PGJDKE6S972801
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/796.html

[経世済民128] IMF:人民元の為替水準は適正−米為替報告書にらみ見解 米財務長官:中国による米国債売却の可能性巡り懸念してはいない
IMF:人民元の為替水準は適正−米為替報告書にらみ見解
Andrew Mayeda、Enda Curran
2018年10月13日 1:23 JST
• 人民元、経済ファンダメンタルズにほぼ沿っている−IMF幹部
• 米財務省、注目の為替報告書を来週発表する見込み
国際通貨基金(IMF)幹部は人民元の為替水準が中国経済のファンダメンタルズに「ほぼ沿っている」と述べた。米財務省が来週発表する為替報告書を前に独自の見解を示した格好だ。

ムニューシン米財務長官
Photographer: SeongJoon Cho/Bloombe
  人民元は今年に入り対ドルで6%余り下落。重要な節目である1ドル=7元を割り込む可能性もあるとみられ、関税合戦を繰り広げる米国の注意を引いている。ムニューシン財務長官は11日のインタビューで、人民元の下落が「競争的な切り下げ」でないことを確実にしたいと述べていた。
  IMFは、人民元安は為替レートの柔軟性向上という中国人民銀行(中央銀行)の意思を反映したものだと指摘。年次総会が開かれたインドネシア・バリ島でインタビューに応じたアジア太平洋局次長マーカス・ロドラウアー氏は12日、「われわれの枠組みによると、人民元の為替レートは行き過ぎてはいない。ファンダメンタルズにほぼ沿っている」と語った。
  人民元の将来の水準についてはコメントを控えた。だが、人民銀行は「混乱を招くような」大きな動きを抑えつつ、為替レートを「市場の圧力」に委ねようとしていると発言。3−4年前だったら中国は今年ほどの為替変動を許容しなかっただろうと述べた。
原題:IMF Says Yuan Is Fairly Valued as U.S. Compiles Currency Review(抜粋)


米ミシガン大消費者マインド指数:10月は99、予想外に低下
Shobhana Chandra
2018年10月12日 23:07 JST 更新日時 2018年10月13日 0:20 JST
10月のミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は予想外に前月から低下した。家計の財務状況や長期的な経済見通しに対する見解が若干暗くなったことが影響した。
ミシガン大学消費者マインド指数のハイライト (10月、速報値)
• 消費者マインド指数は99(予想100.5)、前月100.1
• 現況指数は114.4に低下、前月115.2
• 期待指数は89.1、前月90.5から低下
  ミシガン大の消費者調査ディレクター、リチャード・カーティン氏は発表資料で、「消費者マインドは10月初めにやや悪化したが、なお高い水準にある」と指摘。「家計収入の見通しが下方修正された一方、1年後のインフレ期待値が上方修正された」と続けた。
  1年先のインフレ期待は2.8%(前月2.7%)に上昇。一方、5−10年先のインフレ期待は2.3%と、前月の2.5%から低下した。
  統計の詳細は表をご覧下さい。
原題:U.S. Consumer Sentiment Eased in October, Missing Projections(抜粋)
(新たな情報を加え、更新します.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-12/PGHSLQ6KLVR601


 

米財務長官:中国による米国債売却の可能性巡り懸念してはいない
Saleha Mohsin
2018年10月13日 15:37 JST
• 「米国債には多くの買い手がいる」と財務長官
• IMF年次総会出席のため訪問中のインドネシア・バリ島で語った
ムニューシン米財務長官は13日、中国が保有する約1兆2000億ドル(約135兆円)規模の米国債を両国間の貿易交渉で切り札として使ってくる可能性を巡り懸念してはいないと説明した。
  
  国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会出席のために訪れているインドネシア・バリ島で記者団に対し、ムニューシン長官は「この問題は安眠妨害とはなっていない。米国債市場は極めて流動性が高く、この問題がわれわれの交渉の中で議題に上ったことは全くない」と語った。
  ムニューシン長官は「米国債には多くの買い手がおり」、中国は「自由に自らがしたいように行動できる」と付け加えた。

原題:Mnuchin Says He’s Not Worried China Would Unload Treasuries (1)(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-13/PGIUYW6JTSE801
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/797.html

[国際24] 焦点:スパイ騒動で浮かび上がるロシア軍の「戦時モード」
トップニュース2018年10月13日 / 09:43 / 1日前更新
焦点:スパイ騒動で浮かび上がるロシア軍の「戦時モード」
Andrew Osborn
3 分で読む

[モスクワ 9日 ロイター] - 国外では、ロシアの軍事スパイはヘマばかりするとして嘲笑の対象になっている。だが、ロシア政府の外交政策に対する軍の影響力は増大しており、軍が「秘密工作(ブラック・オペレーション)」を止める可能性はほとんどない。

ロシア軍の情報機関であるロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)は今年、失敗に終った複数の攻撃に関与したとして西側諸国から非難を浴びている。英国の都市ソールズベリーで元スパイのセルゲイ・スクリパリ氏を神経剤によって殺害しようとした件や、オランダで化学兵器禁止機関(OPCW)に対するハッキングを試みた件などである。

ロシア側はこうした悪事を否認しているが、西側諸国ではとうてい信じられないという嘲笑を浴びており、世界各国のメディアのなかには、2014年にウクライナからクリミア半島を奪った際にも貢献したGRUを「まぬけなアマチュア」呼ばわりするところもある。

だが西側の情報専門家やロシア政府の政策決定に詳しいロシア国内の情報筋によれば、西側諸国は引き続き警戒を怠ってはならないという。

英国で開催された安全保障関連の会議において、ウォレス英保安担当相は、「GRUの未熟なスパイ技術や能力を笑いものにするのは簡単だが、GRU自体についても、また彼らが我々の国の市街地で神経剤を使う無謀さについても、過小評価するべきではない」と語った。

情報機関専門家によれば、クリミア半島併合を理由にロシア政府に対して制裁を科している西側諸国とロシアとの対立が深まるなかで、GRUは秘密工作を含めた活動を強化しているという。

フィレンツェの欧州大学院のマルク・ガレオッティ研究員は、「ロシアがやっているのは戦時ルールに則った作戦だ。これは、GRUが好きなように行動することを許されていることを意味する」と語る。

「東西の対立が悪化すると、こうした戦闘的な機関の力が強まることになり、GRUは以前よりもはるかに活発になっている」とガレオッティ氏は言い、GRUは、上部からの命令をどう実行に移すかについて判断を任されることもあったと付け加えた。

GRUは地球の上空を飛ぶコウモリを公式の徽章としている。そのGRUが作戦に失敗して大っぴらに恥をかいたことで、プーチン大統領はGRUの手綱を引き締めるだろうと西側諸国が期待するとしたら、その期待は裏切られる可能性が高い。

ロシア国防省に近い情報筋は、GRUは活動を続けるだろうと語った。

「われわれは攻撃下にある」とその情報筋は語り、「断固たる姿勢が必要だ」と言い切った。

8日、国防省内で再編があるかどうかを問われたロシアのペスコフ大統領報道官は、GRUが関与したとの指摘は低レベルで、そのような改革をする理由にはならない、と述べた。

ロシアの政治エリート層との人脈が強く、政治分析会社Rポリティークを経営するタチアナ・スタノバヤ氏は、「ロシアは、GRUの活動を縮小することには意味がないと考えている。それは何も生み出さない一方的な譲歩ということになり、弱気の兆候と見られるだろう」と語る。

「これまで以上に頻繁に敵対的な作戦が行われる可能性さえあると考えている」と同氏は言う。

スタノバヤ氏によれば、ロシア政府は、西側・ロシアの情報機関を結ぶ非公式なコミュニケーション経路が不調になっていることに当惑しており、スパイの世界はルールなき領域であると考えているという。

自身もかつては情報機関当局者だったプーチン氏は、挑戦的な発言をしている。彼は先週、スパイは世界で最も重要な職業の1つであると述べ、スクリパリ氏を「裏切り者」と切り捨てた。

西側メディアはGRUの無能ぶりを喧伝しているが、ロシア政府の一部ではこの機関に対する誇りも見て取れる。

ロシア連邦議会のコンスタンチン・ザトゥリン議員は、「われわれの職員が至るところで活動していることを疑っていた人がいるとしても、今やその疑いは晴れているだろう」と語ったが、GRUの工作を伝える報道については認めることを拒否した。

<厄介な報道>

西側諸国がGRUの活動拡大を示す兆候と考えているのは、OPCWに対する攻撃や、元スパイのスクリパリ氏とその娘が神経剤「ノビチョク」で攻撃された事件だけではない。

米当局が7人をロシアのスパイとして起訴しているほか、西側諸国は一致して、GRUがグローバル規模でハッキング作戦を展開していると非難している。

英当局はスクリパリ氏の毒殺を試みた容疑者2人に関するケーブルテレビ向け映像を制作した。調査報道サイト「ベリングキャット」は、先に最初の容疑者の氏名を特定したのに続き、8日には2人めの容疑者についてGRU所属の軍医であると名指しした。

オランダ当局は、OPCWに対するハッキングを試みた容疑者として4人のGRU工作員の氏名を挙げている。

だが前出のガレオッティ氏によれば、GRUが公然と告発されていても、ロシア政府が一時的な困惑以上の反応を示している様子は見られないという。

「恐らくロシア政府の計算としては、いくつか憂慮すべき報道や多少の厳しい批判、ちょっとした面倒があったとしても、乗り切れると見ているのではないか」とガレオッティ氏は言う。

ロシアの上級外交官だったウラジミール・フロロフ氏によれば、ロシアの立場からすれば、GRUによる作戦失敗は特に大きな問題ではないという。

フロロフ氏はロシア誌への寄稿で、「明らかになったのは、極めてリスクが高いものの効果的な作戦において、運用面の障害が発生したということだけだ。主要目的は達成された」と書いている。

クリミア半島併合以来、外交政策全般を背景に、GRUはそれまでよりはるかに活発になっている。

2014年以前には、ロシア政府はもっぱらその活動範囲を旧ソ連圏に限定していた。だがその後、ロシアは中東とアフリカで活発に動くようになり、一方で米国・欧州はロシア政府が自国の問題に干渉していると非難するようになった。

GRUの活性化以外にも、軍の影響力の増大を示す兆候はある。

ロシアの介入によって戦況がアサド政権側の優位となったシリアに関しては、国防省は特に積極的に発言しており、先月シリア政権軍がロシア空軍機を誤って撃墜した際にも、国防省は政府に先駆け、事故の原因を作ったのは「敵対的な」イスラエルであると非難した。

今年の夏、プーチン氏がハイキングに帯同したのはわずか2人だけで、そのうちの1人がショイグ国防相、もう1人はロシア連邦保安庁(FSB)のトップだった。63歳のショイグ国防相は党派政治には関わっていないが、世論調査では後継大統領候補として最も人気が高い人物の1人とされることが多い。

軍とショイグ氏自身の影響力増大を示す兆候はもう1つある。ショイグ氏はモスクワに軍関係者専用の巨大な大聖堂の建設を命じ、つい先週には、シベリアに第2の首都を誕生させる必要性に言及した。

Rポリティークのスタノバヤ氏は「軍の影響力は今後も増大するだろう」と言う。「プーチンは、ロシアが戦争状態にあると考えている」

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/russia-cyber-politics-idJPKCN1ML186
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/268.html

[国際24] 「借金の罠」恐れるパキスタン、中国一帯一路計画を再考 パキスタン、IMFに支援要請へ財政悪化 ロシアからSu―35輸入か
ワールド2018年10月3日 / 17:34 / 9日前
焦点:

「借金の罠」恐れるパキスタン、中国一帯一路計画を再考
4 分で読む

[イスラマバード/ラホール 1日 ロイター] - 中国が掲げる「現代版シルクロード」構想の中央に位置するパキスタンでは、植民地時代に造られた鉄道路線の改修プロジェクトが、長期に及ぶ遅延を強いられており、同国政府もその膨大なコストと融資条件に尻ごみしつつある。

大都市カラチと北西部ペシャワルを結ぶ全長1872キロの鉄道路線(ML−1)改修プロジェクトは、当初予算が82億ドル(約9300億円)に上る、中国の「一帯一路」イニシアチブにおけるパキスタン最大のプロジェクトだ。

だが、同国のラシッド鉄道相は1日、債務負担を避けるため国内での鉄道プロジェクト予算を20億ドル削減すると発表。「パキスタンは貧しい国であり、多大な債務の負担には耐えられない。中国パキスタン経済回廊(CPEC)計画に基づく予算を82億ドルから62億ドルに減らした」と同鉄道相は述べた。

鉄道計画の遂行には自信を見せたものの、コストは62億ドルからさらに42億ドルまで減らしたい、と同相は強調した。

中国がインフラ整備資金として約600億ドルの拠出を約束していたCPEC計画について、8月に就任したパキスタンのポピュリスト政治家であるカーン首相は、中国からの投資に警戒感を示していた。

中国投資に対する熱気が冷めつつあるのを反映するかのように、スリランカやマレーシア、モルディブといった他のアジア諸国でも、前政権が締結した中国との契約に懸念を示す新政権が誕生している。

パキスタンの新政権は以前より、中国一帯一路関連の契約全般の見直しを望んでいた。政府当局者はこれらの契約について、交渉が十分ではなく、コストが高すぎるか、中国側に有利になりすぎているという懸念があると述べている。

だが、同国政府にとっての不満は、中国政府が再検討に応じる姿勢を見せているのは未着工のプロジェクトに限定されている点だ、とロイターの取材に応じたパキスタン政府高官3人は語った。

中国外務省は先月、両国とも「すでに竣工したプロジェクトが正常に運営されるよう、また建設中のプロジェクトがスムーズに進捗するよう」それぞれの一帯一路プロジェクト推進に注力している、と述べた。

パキスタンの政府当局者は、引き続き中国マネー誘致には力を入れているものの、コストと条件をより重視したいと語る。CPECについても、カーン首相の政策綱領に沿った社会発展を実現するプロジェクトを中心とするよう、方向転換を進めている、と述べた。

CPEC再調整に向けたパキスタンの情勢は、脆弱な同国経済を浮揚させるために中国融資に依存していることで複雑になっている。

また、往年の同盟国である米国との関係に亀裂が目立つ中で、パキスタン政府の交渉力も弱まっている。さらに、経常収支を巡る危機も、国際通貨基金(IMF)による救済につながる可能性が高く、歳出削減を要求されかねない。

パキスタン政府閣僚は、「われわれの側にも言いたいことはあるが、中国以外にパキスタンへの投資を進めている国はない。われわれに何ができようか」とロイターに語った。

<老朽化する鉄道>

カラチからペシャワルに至るML−1路線は、パキスタンの老朽化した鉄道網の大動脈だ。パキスタンの鉄道網は近年、乗客数の減少、路線廃止、主要な輸送事業による急速に業績悪化を受けて、徐々に崩壊へと近づいている。

カーン政権はML−1をCPECにおける優先プロジェクトにすると公約しており、広大な国土における貧弱な移動手段の改善につながると期待している。

とはいえ、受け入れ国がインフラ建設資金調達に中国からの融資を利用するという、従来の一帯一路構想における融資モデルとは一線を画した資金調達オプションを模索しており、CPECプロジェクトに関しては、サウジアラビアその他の諸国にも投資を呼びかけている。

パキスタン当局者によれば、選択肢の1つは「BOT(建設・運営・譲渡)方式」だという。投資家もしくは企業が資金を拠出してプロジェクトの建設に携わり、主として鉄道輸送ビジネスを通じて生まれるキャッシュフローによって投資回収し、その後20─30年以内にパキスタンに所有権を返すという方法だ。

中国の駐パキスタン大使ヤオ・ジン氏は、中国政府はBOT方式に前向きであり、国内企業に投資を「促す」だろうと話している。

中国の一帯一路イニシアチブが主導する巨大鉄道プロジェクトは、他のアジア諸国でも問題に直面している。

タイとラオスを結ぶ路線は資金調達の遅れに悩まされており、一方でマレーシアのマハティール新首相は、中国が200億ドルを拠出する「東海岸鉄道計画(ECRL)」をあっさり中止してしまった。

中国とパキスタンの関係に関する著作のあるアンドリュー・スモール氏は、中国政府は融資には積極的だが、パキスタンにおけるプロジェクトの大半は収益性に乏しいため、投資には腰が引けていると語る。「問題は、中国側がこのプロジェクトから利益を得られると考えておらず、BOTに熱心ではないことだ」

<簿外債務リスク>

2015年に中国の習近平国家主席がパキスタンを訪れた際、電力不足に終止符を打つため急務とされる発電所の整備と並んで、ML−1はCPECの中でも優先されるべき「早期収穫」プロジェクトの1つとして位置付けられていた。

だが、同じ扱いを受けていた他のプロジェクトの多くがすでに完了している一方で、鉄道プロジェクトは停滞している。

パキスタン政府当局者は、一帯一路に基づく契約がいつ中国企業に与えられるのか危ぶんでおり、ML−1の公開入札を急いでいる。

コストを見極める狙いもあり、パキスタンは当初アジア開発銀行(ADB)に対し、鉄道プロジェクトの一部について入札を通じた融資を行うよう求めた。ADBは15─20億ドルの融資について協議を開始したが、中国側が同プロジェクトは戦略的なものだと主張したため、パキスタン政府はADB融資を昨年断念したという。

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「それほど戦略的であるなら、非常に譲歩した条件融資か、あるいは投資という形でもよいはずではないか」と、パキスタン政府高官はBOT方式について言及した。

中国外務省は、同鉄道プロジェクトについて、中国企業はオープンで透明性の高い形で同国の一帯一路プロジェクトに参加しており、「双方にとってのベネフィットを集約し、リスクを分担している」と語る。

アナリストは、パキスタンが同プロジェクトに中国以外の投資家を集めるのは困難であり、対中債務をさらに積み上げるか、同プロジェクトの断念かという選択を迫られる可能性がある、と指摘する。

2017年、パキスタンはヒマラヤ地域における総工費140億ドルの巨大ダムプロジェクトにおける中国融資を断った。コスト面での懸念と、パキスタンが融資を返済できなくなった場合、スリランカの港湾で起きたように、重要な国家資産を中国に保有されてしまうのではないかと危惧したことによる判断だ。

カーン政権は、前政権の大票田だったパンジャブ地方において中国が手がけた都市間の大量輸送プロジェクトについて不満を抱いている。現在では、毎年数億ドルもの助成金が必要となっているからだ。

また、電力プロジェクト契約によって、政府の簿外債務が蓄積するリスクについても憤慨している。この契約で、前政権がドルベースで20%以上もの年間利回りを保証してしまったためだ。

ML−1鉄道プロジェクトについて、さらに真剣に疑念を抱く1人がパキスタンのイスマイル前財務相だ。

在任当時、財務省では常に同プロジェクトの成立可能性に懸念があったと同氏は言う。「国家的意義のあるプロジェクトだと人々が言う場合、通常、それは経済的に成立しないという意味なのだ」

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/pakistan-silkroad-railway-idJPKCN1MD0RI

 


パキスタン、IMFに支援要請へ−財政悪化で
Kamran Haider
2018年10月9日 10:01 JST
ウマル財務相が今週バリでIMF関係者と協議
IMFに支援求めるのは1980年代後半以降で13回目
パキスタンが国際通貨基金(IMF)に支援を要請する。同国政府は国内経済を安定させ、悪化する財政の穴をふさぐことを目指している。

  パキスタン財務省の8日遅くの発表資料によると、「主要エコノミスト」に相談した結果、同国政府は支援を求めるためIMFと正式に接触し、ウマル財務相が今週バリで開かれる年次総会でIMF当局者と協議する。同相は8月にブルームバーグに対し、金融危機を回避するためには120億ドル(約1兆3560億円)を超える資金が必要となるかもしれないと語っていた。

  パキスタンがIMFに支援を求めるのは、1980年代後半以降では13回目となる。IMFは先週、迫り来る危機を回避する上で同国政府の最近の取り組みが不十分だと指摘していた。

  経常収支・財政収支で双子の赤字を抱えるパキスタンの外貨準備は今年40%減少し、約4年ぶりの低水準にある。同国当局は昨年12月以降、通貨ルピーを4回切り下げている。

原題:Pakistan to Seek IMF Bailout to Stabilize Deteriorating Finances(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-09/PGB26Y6TTDS301

 

パキスタン、IMFに支援要請 財務相「120億ドル必要」
南西ア・オセアニア
2018/10/11 20:18日本経済新聞 電子版
保存 共有 その他
【ヌサドゥア(バリ島)=中野貴司】パキスタンのウマル財務相は11日、日本経済新聞の取材に対し、国際通貨基金(IMF)に正式に支援を要請したことを明らかにした。「必要な金額は120億ドル(約1兆3400億円)だ」と具体的な額に言及した。「中国からの債務は全体の一部だ」と述べ、支援が主に中国への債務弁済に回るとの見方は否定した。

IMFのラガルド専務理事も11日の声明で「ウマル財務相らパキスタン政府…
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36384380R11C18A0FF1000/


 


パキスタンがロシアからSu―35輸入か、中国のFC―1ではインドに対抗不能―中国メディア
Record china配信日時:2018年10月11日(木) 5時10分
パキスタンがSu―35輸入か、中国のFC―1ではインドに対抗不能画像ID 1032014


中国メディアの新浪網は10日、「パキスタンにロシアからSu―35導入の意向か、梟龍に頼るだけではインドに対抗不能」と題する記事を発表した。


梟龍は中国とパキスタンが共同開発したFC―1戦闘機の中国側愛称。同機の開発は1980年代に始まった。米国は当初、文化大革命を終了させ改革開放政策を採用した中国に好意的で、戦闘機開発に協力したが、1989年の天安門事件(第2次)を受け、米国側は協力を打ち切った。そのため、中国はパキスタンから、同国が保有していた米戦闘機のF―16の情報を得てFC―1を完成させたとされる。中国にとってFC―1は輸出用であり、自国では運用していない。

新浪網は記事冒頭で、パキスタンがSu―35の一個中隊分の購入を希望して、ロシアと交渉しているとの見方があると紹介した。

その背景となるパキスタン空軍の現状については「よくない」と指摘。同国空軍は約800機を保有し、うち約520機が戦闘機だが、多くは中国のJ7―P(殲7P)、フランスのミラージュ3、ミラージュ5などで、就役してから20年以上が経過しているからだ。しかも、パキスタンと対立するインドでは、空軍がパキスタンの2倍程度の戦闘機を保有し、最新型の購入を継続している。

パキスタン保有の戦闘機の要となるのが70機のF―16だが、すでに老朽化しているという。米国は2016年2月にパキスタンにF―16を8機売却することを認めた。人員の訓練や搭載レーダーその他の設備も含めての売却だが、金額は6億9900万ドル(約790億円)と極めて高価だ。

パキスタンは2017年までに中国からFC―1を100機購入している。18年以降はさらに50機を購入との報道もある。これにより旧式機の多くは現役を退くと見られるが、軽戦闘機であるFC―1は輸出用モデルであり、総合能力はF―16に大きく引き離されているという。

パキスタン側からすれば、インド空軍が保有する230機のSu―30と、さらに先進的なフランスのラファールを圧倒する体制を構築したいところだ。中国はパキスタンの友好国であり、自らもインドと対抗関係にある。中国としてはパキスタンを支援したいところだが、自国が保有するSu―27やSu―30のシリーズはライセンスの関係でパキスタンに売却できない。また、売却できたとしても、インド空軍を圧倒できるとは限らないという。

中国は自軍用の戦闘機の開発に力を入れているが、それでもロシアからSu―35の輸入を行っている状態だ。だとすれば、パキスタンがSu―35の輸入を考慮することは自然な流れという。購入数がそれほど多くないとしても、インド空軍のラファール36機による脅威を大きく低減させることができる。

一方でインドは、フランスからラファールを購入しただけでなく、米国からF―16の生産ライン関連技術を導入する計画もあるという。戦闘機市場におけるインドの「西側接近」はロシアにとって「インド市場を失う恐れ」が出てきたことを意味する。そのため、ロシアも改めて、パキスタン市場に注目することになったという。(翻訳・編集/如月隼人)
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mor***** | (2018/10/11 12:26)
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インドさんブルーチームにようこそ。
パキスタンが戦闘機を購入する際の決め手となったのは、命を落とすならドッグファイトの過程でなのか、それとも初歩的な構造欠陥やつまんない整備不良で落とすのかを天秤にかけた結果なのは間違いない!!
https://www.recordchina.co.jp/b652072-s0-c10-d0142.html
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/269.html

[経世済民128] ノーベル賞「オプジーボ」と製薬会社の将来性 高額薬で逼迫する医療財政をどうするのか 文科省汚職、財政難で官の力が強まる
ノーベル賞「オプジーボ」と製薬会社の将来性

高額薬で逼迫する医療財政をどうするのか


小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字

2018年10月15日(月)
小宮 一慶

 2018年のノーベル生理学・医学賞には、画期的ながん免疫治療薬「オプジーボ(一般名:ニボルマブ)」の開発に大きく貢献する研究成果を出した京都大学特別教授の本庶佑氏が選ばれました。オプジーボは当初、「悪性黒色種」という皮膚がん(メラノーマ)が保険適用の対象でしたが、その後、非小細胞肺がんに適用範囲が拡大されるなど、注目を集めています。

 本庶教授とともにオプジーボ実用化に向けて共同研究に取り組んだのは、中堅医薬品メーカーの小野薬品工業。受賞発表翌日の2日には、小野薬品の株価は一時、3430円まで上昇し、年初来高値を更新しました。また、2014年9月にオプジーボが発売されて以降、同社の業績は右肩上がりに伸びています。

 ただし、オプジーボをはじめとする高額医薬品は、財政を圧迫する問題も指摘されています。今回は、オプジーボ発売以降の小野薬品の業績の推移を分析した上で、高額薬の抱える問題について考えます。


京都大学特別教授の本庶佑氏が2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞した(写真:ロイター/アフロ)
オプジーボ発売から収益が伸び始めた小野薬品
 オプジーボの実用化への道のりは、極めて困難なものだったと言われています。実用化まで約22年、本庶教授と小野薬品との長い共同研究によって、ようやく誕生したがん治療薬です。

 薬剤開発の成功確率は3万分の1とも言われており、1つの薬が実用化に至るまでに数百億円から数千億円のコストがかかります。膨大な時間と研究開発費が必要なのです。その点から考えますと、オプジーボの実用化は、まさに本庶教授と小野薬品との信頼関係が実を結んだと言えるでしょう。

 それでは、小野薬品工業の過去6期の業績から見ていきましょう。

小野薬品工業株式会社
 売上収益 営業利益 当期利益
百万円 % 百万円 % 百万円 %
2013年3月期 142,806 ─ 29,935 ─ 23,190 ─
2014年3月期 143,247 0.3 26,423 △ 11.7 20,548 △ 11.4
2015年3月期 135,775 △ 5.2 14,794 △ 44.0 13,216 △ 35.7
2016年3月期 160,284 18.1 30,507 106.2 25,192 90.6
2017年3月期 244,797 52.7 72,284 136.9 56,036 122.4
2018年3月期 261,836 7.0 60,684 △ 16.0 50,397 △ 10.1
 小野薬品がオプジーボを発売したのは、2014年9月。15年3月期の期中です。それ以前の13年3月期、14年3月期の業績を見ますと、売上高にあたる売上収益は約1430億円、営業利益は約300億円弱、純利益にあたる当期利益は200億円強という水準でした。

 発売した期である15年3月期は業績が少し落ちたものの、翌期である16年3月期は、売上高は前期比18.1%増の1602億円、営業利益は106.2%増の305億円まで伸びています。

 当初、オプジーボの保険適用の範囲はメラノーマに限られていましたが、15年12月に肺がん治療薬として承認され、保険診療の適用対象となりました(2次治療から)。16年3月期の業績が伸びた要因はここにもあります。

 さらに、17年3月期も、売上高は前期比52.7%増の2447億円、営業利益は136.9%増の722億円まで大幅に伸びました。17年秋には、胃がんに対しても適応拡大となります。

 ただし、オプジーボは極めて高額であり、医療財政への影響が極めて大きいと指摘され、17年2月に薬価が50%引き下げられました。当時の価格は、100mgあたり約73万円。50%の引き下げ後は、約36万5000円です。

 18年3月期の売上高は前期比7.0%増の2618億円、営業利益は16.0%減の606億円を計上しています。減益となりましたが、良い水準です。オプジーボは、18年4月の薬価改定でさらに価格が引き下げられ、約28万円となりました。19年3月期の収益にどれだけ影響するかにも注目です。

 売上高営業利益率を見ても、オプジーボの効果が大きかったと言えます。発売前の13年3月期は21.0%。保険適用の範囲が肺がんまで拡大された17年3月期は29.5%まで伸びています。格段に上昇しているのです。

 以上の点から、薬の開発が成功し、その需要が大幅に増えますと、医薬品メーカーの業績が飛躍的に伸びることが分かります。

抜群の財務内容があったからこそ、オプジーボを開発できた
 小野薬品は、先にも見たように、元々は売上高1400億円という中堅規模の製薬会社です。オプジーボ発売前の13年3月期の研究開発費は、443億円。営業キャッシュフローが216億円であることを考えますと、膨大なコストをかけていたと言えます。

 注目すべきは、中長期的な安全性を示す自己資本比率です。発売前の13年3月期は92.3%。14年3月期は92.1%。驚異的な数字です。抜群の財務内容だったからこそ、小野薬品は思い切った開発投資をすることができたのでしょう。

 もう一つのポイントは、投資キャッシュフローです。発売前の13年3月期は43億円、14年3月期は69億円とプラスの数字になっていましたので、投資を抑えていたことが分かります。

 ところが、近年では傾向ががらりと変わりました。17年3月期の投資キャッシュフローはマイナス179億円、18年3月期はマイナス341億円。キャッシュフローのマイナスは投資をしたことを表します。収益が伸びたことから、営業キャッシュフローを稼ぎ、稼いだそのキャッシュを積極的に投資していることが読み取れるのです。これは非常にいい循環だと言えます。

 小野薬品は典型例ですが、製薬会社は新薬の開発に成功し、需要が一気に拡大すれば、収益が大きく伸びる傾向があります。逆に主力薬の特許の期限が切れると、急激に悪化してしまうこともあります。例えば、武田薬品は主力製品である糖尿病治療薬「アクトス」が2011年に米国で特許切れを迎え、大幅な減益となりました。

高額医薬品は医療財政を圧迫する
 新しい治療薬の実用化は素晴らしいことではありますが、高額薬の使用が増えれば医療財政に与える影響も無視できません。18年度の医療費総計が42兆2000億円。このうち調剤費用が7兆7000億円計上されています。

 高額の治療薬が出ますと、調剤費用はどうしても膨らんでしまいます。薬価は研究開発費や製造原価、新規性のあるものには画期性、有用性、市場性など加算され、さらに供給量によって決まります。

 オプジーボの薬価引き下げも、医療財政への逼迫懸念もありましたが、肺がんなどへの保険適用拡大によって供給量が増えたことも一因としてあるでしょう。

 本庶教授のノーベル賞受賞は極めて誇らしいことではありますが、高額薬の開発とともに、医療財政とのバランスをどう保っていくのかという課題が喫緊の課題となっているのです。

 しかも2022年から団塊世代が75歳になり始め、後期高齢者の人口が急増します。この時期から、社会保障費、とくに医療費の膨張スピードが速まることは間違いありません。

 10月5日、安倍改造内閣発足後の初の経済財政諮問会議が開かれ、安倍晋三首相は「今後3年間で社会保障改革を成し遂げる」と発言しました。毎年の社会保障費の増加分を、年間5000億円以下に抑えようとしています。

 中でも、高額薬については費用対効果や財政への影響などを考慮し、保険適用の可否を判断する仕組みが検討されています。

 このままでは医療財政の維持は難しいでしょう。医療財政の改革は喫緊の課題です。その一方で、新薬の開発には巨額の投資が必要です。医薬品メーカーの開発意欲にも配慮してバランスを取るのは簡単なことではなさそうです。


このコラムについて
小宮一慶が読み解く経済の数字・企業の数字
 2020年東京五輪に向けて日本経済は回復するのか? 日銀の金融緩和はなぜ効果を出せないのか? トランプ米大統領が就任した後、世界経済はどこに向かうのか? 英国の離脱は欧州経済は何をもたらすのか? 中国経済の減速が日本に与える影響は?
 不確定要素が多く先行きが読みにくい今、確かな手がかりとなるのは「数字」です。経済指標を継続的に見ると、日本・世界経済の動きをつかむヒントが得られる。
 企業の動きも同様。決算書の数字から、安全性、収益性、将来性を推し量ることができる。
本コラムでは、経営コンサルタントの小宮一慶氏が、「経済の数字」と「会社の数字」の読み解き方をやさしく解説する。


https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000037/101100044/


 


 

文科省の汚職の陰に、財政難で官の力が強まる逆説
記者の眼
政策決定の透明化が急務

2018年10月15日(月)
奥平 力


一連の贈収賄事件に揺れる文部科学省(写真:アフロ)
 受託収賄罪などで局長級幹部2人が摘発された文部科学省の汚職事件。事務次官を含め複数の幹部が高額な接待を受けていたことも判明し、違法天下り問題の責任を取った前任の次官に引き続き、2代連続で事務方トップが辞任に追い込まれる前代未聞の事態となっている。

 政府・与党内には同省の特殊事例として突き放す見方が多い一方、ある省の中堅官僚が気になる指摘をした。「厳しい財政事情の中、予算にメリハリを付けるように求められ、結果として担当課の権限が強くなっている。うちの省でも起こり得る話で、他人事じゃない」というのだ。

 一連の不祥事の発端となったのは東京医科大学の事件だ。私大支援事業の選定で便宜を図る見返りに息子を裏口入学させたとして、当時の科学技術・学術政策局長が受託収賄の疑いで逮捕された。その後、前国際統括官も収賄容疑で逮捕されると、次々に問題が発覚した。

 文部科学省には私立の幼稚園や学校に対する財政支援制度「私学助成」がある。大学を対象にした分はここ5年間、3100億円台で推移しているが、その内訳を見てみると、学生数などに応じて機械的に割り当てる一般補助は2014年度の2762億円から18年度には2697億円に減少。一方で、教育や研究の内容などに応じて重点配分する特別補助は422億円から457億円に増えている。

 政府が6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太の方針)では、私学助成について、「教育の質に応じたメリハリ付け、教育の質が確保されず定員割れとなっている大学や赤字経営の大学などへの助成停止なども含めた減額の強化を図る」と強調している。

 近年の数字の動きも合わせて見ると、財政がひっ迫する中で配分基準をより厳格にし、薄く広くではなく教育や研究の面で優れた私立大学に手厚く配る仕組みに変わってきていることがうかがえる。

 見直しの方向は歓迎すべきものだが、結果として交付先を決定する行政の担当者の権限強化につながっている面も否定できない。選定プロセスの透明性が十分に確保できなければ、担当者による恣意的な配分を許し、贈収賄の温床になりかねない。実際に東京医科大学の事件は、私学助成の特別補助の一つである「私立大学研究ブランディング事業」をめぐるものだった。

 さらに、先の中堅官僚の指摘通り、この問題は文部科学省に限った話ではない。「選択と集中」「メリハリを利かせる」「財政制約の下、重点化を図る」「優先順位を付ける」――。こうした表現は財務省をはじめとする中央省庁はもちろん、地方自治体の予算関連資料でも頻出する。ある地方関係者も「病院の再編と拠点強化や、中小企業対策などがすぐに思い浮かぶが、機械的に支出するのを見直して認定制度を導入するような傾向は全体的に強まっている」と話す。

 一見すると、官の力を弱めそうな財政難だが、予算の重点化で逆に官の力が強まるというパラドクス。担当者の裁量が大きくなることで生じた隙を突かれた場合、類似の汚職事件は国、地方を問わずに起こり得る。政策決定プロセスの透明化はますます重要度を増している。


このコラムについて
記者の眼
日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/101200616/ 
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[経世済民128] 金融緩和で株価は上がる?「黒田教」信者が信仰を続けたワケ ハイテク株総崩れIPOの宴が早々に終わる恐れ 時代の変化の前兆

金融緩和で株価は上がる?「黒田教」信者が信仰を続けたワケ

2018/10/15

前向きに読み解く経済の裏側

塚崎公義 (久留米大学商学部教授)


(heckmannoleg/Gettyimages)
 今回は『老後破産しないためのお金の教科書 』の著者である塚崎が、「株式市場は美人投票」と言われる理由について解説します。

 「株式市場は美人投票だ」と言われます。経済学者ケインズの言葉なのですが、その意味を知っている人は意外と少ないようです。以下、厳密ではありませんが、イメージを掴んで頂けるように説明して行きます。

 現在の美人投票は、審査員が壇上の女性を見て、美人だと思った候補に投票し、最も得票の多かった候補が優勝してトロフィーを受け取ります。しかし、ケインズの時代の美人投票は、優勝した候補のみならず、その候補に投票した審査員も「美的センスが高い」という賞品がもらえましたから、話は複雑でした。

 自分が美人だと思っても、他の審査員がそう思わなければ、その候補は優勝しませんから、その候補に投票しても賞品はもらえません。賞品が欲しければ、他の候補が投票しそうな候補に投票すべきなのです。

 そうなると、他の審査員たちの審査基準が気になります。顔だけ見るのかスタイルも見るのか、目に注目するのか口元に注目するのか。他の審査員が見ていないポイントをチェックしても仕方ありませんから。

 さらに言えば、審査員たちは壇上の候補を眺めるよりも、審査員席の噂話を気にするようになります。「どの候補が優勝するという噂が流れているのか」という情報が最も価値があるわけです。その噂に沿って皆が投票するでしょうから、噂通りの結果になる可能性が高いからです。

 場合によっては、「候補Cが審査員に賄賂を贈ったらしいからCが勝つだろう」という噂が流れて、審査員たちが「Cが勝ちそうだからCに投票しよう」と考えて、実際にCが勝つかもしれません。そして、重要なことは、その噂が嘘であっても審査員が信じればCが勝つということです。

 審査員の中にCの親友がいて、Cが賄賂を贈っていないことを知っていたとしても、Cに投票するのが賢い行動です。真実を知っているから儲かるという訳ではありませんから。

 株式市場も、上記と同様だ、というのがケインズの教えです。株式投資で儲けようと思ったら、何が真実かを探求するのではなく、他の投資家が何に投資するのかを探るべきだ、というのです。

 一歩進めると、経済統計などで何を見たら良いのか、ということにも関わってきます。たとえば、市場関係者は金融政策に強い関心を持っています。金融が緩和されるという噂が立つと株価が上がるからです。したがって、日銀総裁の発言などには投資家たちが強い関心を示します。

 一方で、たとえば鉱工業生産指数は、景気を語る上では重要な経済指標ですが、投資家たちの注目度は、いまひとつです。それは、投資家たちが「他の投資家たちが鉱工業生産に注目していないので、鉱工業生産が発表されても株価は動かないだろう。それなら自分も見る必要はなさそうだ」と思うからです。

 こうして、皆が注目するものは一層皆が注目し、皆が注目しないものは一層注目されなくなる、というわけです。

 筆者は、株価等々ではなく景気そのものを観察して予測する「エコノミスト」なので、日銀総裁の発言や日銀短観の大企業製造業業況判断DIといった市場関係者の注目度の高いものよりも、鉱工業生産等々の方を見るようにしていますが、これは関心や目的の違いによるものであって、どちらが正しいという物ではありません。読者も、関心によって何に注目するかを決めれば良いのです。

 アベノミクスが始まり、黒田東彦日銀総裁が異次元の金融緩和を宣言した時、株価は上昇しました。宣言しただけで、未だ金融緩和が実施される前から株価が上昇したのは、投資家たちが「世の中に資金が出回るから株価が上がるだろう。その前に買っておこう」と考えて買い注文を出したからです。本稿では、彼らのことを「黒田教信者(失礼)」と呼ぶことにします。

黒田日銀総裁は間違えていると、知っていた
 しかし、筆者を含む銀行関係者は「日銀が金融を緩和しても世の中には資金は出回らない。黒田日銀総裁は間違えている」と知っていました。では、銀行関係者は株を買わなかったでしょうか。そんなことはありません。

 ちなみに、筆者は零細投資家として、株式に投資をしています。そこで、黒田日銀総裁が就任した時、株を買いました。元手は小さかったですが、おかげさまでそこそこ儲かりました。

 なぜ買ったのかといえば、上記のように、美人投票に於いては、他の投資家が買う物を他の投資家より先に買えば良いのであって、他の投資家が信じている事が正しいか否かは関係ないからです。

黒田教信者は、よりいっそう黒田教を信じるようになった
 少し難しくなりますが、黒田教の美人投票では、不思議なことが二つ起こりました。景気が回復して株価上昇が正当化されたこと、それによって黒田教信者が、よりいっそう黒田教を信じるようになったこと、です。

 多くの銀行員は「世の中に資金が出回らないのを見て、黒田教が誤りだと人々が気付けば、株価は下がるだろう」と思っていました。しかし、そうはならなりませんでした。アベノミクスにより景気が回復し、企業収益が増えたので、美人投票で上がりすぎた株価に企業収益が追いついてしまったからです。

 それを見た黒田教信者たちは、「やはり金融を緩和すると株価が上がるのだ」と考えて、いっそう黒田教を信じるようになったのです。「途中経過の説明が間違っていても、結果が合っていればそれを信じた方が得だ」ということなのでしょうね。

 なお、重要なことは、株価が美人投票なのは、短期投資をする場合であって、長期投資をする場合には違う、ということです。10年持っているつもりで株を買うならば、他の投資家のことは考えずに、「この会社は10年後も利益を出し続けているだろうか」「この会社は今後10年で大きくて立派な会社に成長するだろうか」を考えていれば良いのです。

 他の投資家の動向は、噂や思惑で動きますが、「他人の噂は75日」ですから、長期投資には関係ないと考えましょう。

 その意味では、他人の噂の変化を予想する短期投資より会社の将来を予想する長期投資の方が、ある意味で簡単かもしれませんし、運より実力の世界だと言えそうですね。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14211

 

ハイテク株総崩れ、IPOの宴が早々に終わる恐れ

市場全体のムードの反映か、ハイテク業界の時代の変化の前兆か?
2018.10.15(月) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年10月12日付)

中国超富裕層に打撃、米中貿易戦争で資産価値縮小
米国以上にIT関連株の落ち込みが激しい中国。写真はスイス・ジュネーブの世界貿易機関(WTO)本部で、WTOパブリックフォーラムに出席する阿里巴巴(アリババ)のジャック・マー会長(2018年10月2日撮影、資料写真)。(c)Fabrice COFFRINI / AFP〔AFPBB News〕

 米アマゾン・ドット・コムが1兆ドル企業だった頃のことを読者は覚えておいでだろうか。

 あれは、つい5週間前の話だ。その後、アマゾンの時価総額は1500億ドル近く吹き飛んでしまった。

 1500億ドルと言えば、米国で最も成功している小売業者2社――ターゲットとコストコ――の時価総額の合計をも上回る金額だ。

 これは強気相場を長い間続けてきたハイテク株に値下がり余地がどれほどあるかを示す格好の事例だ。

 市場全体を押し上げてきたこれまでとまさに同じように、10月10日のハイテク株の総崩れは株式市場全体を押し下げた。

 大型ハイテク株のファンダメンタルズは依然盤石に見える。少なくとも、厳格な新規制の脅威が目立たずにいる限りはそうだ。

 しかし、市場のムードが変われば、大幅な下落が生じる余地も大きい。

 大半のバリュエーション指標で見る限り、恐ろしいほど割高になっているという雰囲気はハイテク株にはうかがえない。前回のハイテクバブルとの比較も、明らかに成り立たない。

 しかし、株価収益率(PER)は10倍台の後半で、調整の余地が残る。実際に調整すれば、その波紋は株式市場全体に及ぶだろう。

 比較的小幅な価格変動でも大規模な影響がもたらされる恐れがある。

 まだ市場時価総額が5000億ドルを上回っている大型ハイテク株4銘柄――アップル、アマゾン、マイクロソフト、アルファベット――が10日に失った時価総額は、計2000億ドルにも及ぶ。

 それ以上に際立った値下がりにすでに襲われてしまっているのが、著しく割高だった中国のインターネット関連株だ。

 アリババ集団は今年の高値から35%下げており、騰訊控股(テンセント)は42%安くなっている。

 「中国株式会社」の止めることのできない台頭のシンボルとして、アリババが時価総額でアマゾンを上回りそうに見えたのは、それほど昔の話ではない。

 この中国の電子商取引の雄は今日、アマゾンの40%程度の時価総額にとどまっている。

 10月第2週にウォール街を襲ったようなショックが観察されたら、次のような問いを避けて通ることはできない。

 この現象は、一体どれほどが市場全体のムードを反映しているのか、そして、どれほどがハイテクセクター自体の時代の変遷の前兆なのか、という問いである。

 金利の上昇と貿易摩擦の激化という不安材料は、今年に入って何度か市場を襲っており、ハイテク株は真っ先にその矢面に立たされてきた。

 だが、このセクターが相場の主役を降りるという予言は時期尚早だったことが明らかになっている。

 先の相場下落は、意外な展開とともにやって来た。

 米国政府が、米国ハイテクセクターへの中国の投資に新たな制限を設けるという発表と重なったのだ。

 米国の知的財産の保護が貿易摩擦の中核であるのなら――そして、対立を正当化するために米政府が持ち出した単なる言い訳でないのなら――ハイテク企業は報復に対して最も脆弱な企業の仲間になるかもしれない。

 だが、昨今の相場の動きが、中国リスクに対する直接的な反応だとは考えにくい。

 例えばアップルは売上高の20%を中国で計上しており、中国のサプライチェーン(供給網)への依存度も高い。

 その意味では、中国リスクに最もさらされている企業の1社に見えるかもしれない。

 ところがピーク時からの株価の下落率は、中国での出来事に比較的影響されないアマゾンやアルファベットの半分にすぎないのだ。

 一方、もし大型ハイテク株が先の相場変動で最も目立つ犠牲者だったとするなら、それ以上に大きなショックを受けているのは、このセクターのPERがもっと高い銘柄や、利益が全く出ていない銘柄だ。

 電気自動車製造のテスラと映像配信大手のネットフリックスは、10日に約10%値を下げた。それぞれの高値からの下落率も大きくなっている。

 事業拡大の資金調達を、好意的に接してくれる資本市場に頼り切りになることが、これらのような企業のリスクを高めている。

 その点に照らせば、資金調達への依存を止めて持続可能な企業になる能力がテスラにあることを示そうとしているイーロン・マスク氏の取り組みは、時宜を得たものだと思われる。

 もっとも、テスラの事業がその段階にもう到達しているのか、という重大な問題はあるが。

 市場のボラティリティーが高まっていることで、新規株式公開(IPO)を視野に入れている他のハイテク企業は、雲行きが怪しくなってきたと感じ始めるかもしれない。

 今年は株式未公開のハイテク企業に資金が大量に流れ込んでおり、1回の資金調達で1億ドル以上の資金が投じられることもほぼ普通になっている。

 米国では、ベンチャーキャピタルの投資額が、ドット・コム・バブルのピークだった2000年に記録された1000億ドルを超える勢いで伸びている。

 こうしたレイトステージの未公開企業に資金を注ぎ込む投資家の多くは、IPOで投資を現金化することを当て込んでおり、2019年が大型IPOの当たり年になろうとしていた。

 前回のハイテクバブルの終わりは、未公開株には投資できない一般の投資家がパンチボウルの酒をしこたま飲むチャンスを得た後に、ようやくやって来た。

 今回については、パーティーがそこまで長続きするかどうか分からなくなり始めている。

By Richard Waters

© The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54383
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/807.html

[国際24] トランプ氏がマティス国防長官の辞任を示唆 TV番組で可能性言及 「彼は民主党員のようだ」

トランプ氏がマティス国防長官の辞任を示唆 TV番組で可能性言及
 
2018年10月15日 6時35分
ざっくり言うと
トランプ氏は14日のTV番組で、マティス国防長官の辞任の可能性に言及した
「辞任する可能性はある」「彼は民主党員のようだ」などとしたトランプ氏
一方で「いつかは誰でも辞めるという意味だ」とも説明していた

トランプ大統領、マティス国防長官の辞任の可能性を示唆
2018年10月15日 6時35分 AFPBB News
ベルギー・ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部での会合に出席する、米国のドナルド・トランプ大統領(手前右)とジェームズ・マティス国防長官(手前左、2018年7月11日撮影)。(c)EMMANUEL DUNAND / AFP
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【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は14日に放送されるテレビインタビューで、ジェームズ・マティス(James Mattis)国防長官が辞任する可能性に言及するとともに、マティス長官を「民主党員のよう」と評した。

 トランプ政権の中でも最も堅実派かつ独立派の閣僚の一人と目されてきたマティス長官は、同盟諸国を相手に強引な扱いが目立つトランプ氏に対し、控えめな抑え役を務めてきた。

 米CBSは、14日に放送予定の番組「60ミニッツ(60 Minutes)」のインタビュー抜粋を放送。この中で、マティス氏の辞任を希望するかとの質問を受けたトランプ氏は、「辞任する可能性はある。本当のことを知りたいなら言おう、彼は民主党員のようだと私は思う」と語った。

 ただ、「でもマティス大将は良い人物だ。われわれは非常に気が合う。彼は辞めるかもしれない。いつかは誰でも辞めるという意味だ」と説明した。

 さらにトランプ氏は、取材の2日前にマティス氏と昼食を共にしたと明かし、同氏から辞任の意向は聞いていないと述べた。

 マティス氏は、トランプ氏と公然と対立するのは注意深く避けてきているものの、明らかな見解の違いを物語る動きを見せている。

 マティス長官の去就をめぐっては、ボブ・ウッドワード(Bob Woodward)記者がトランプ政権の混沌(こんとん)とした内情を暴露した著書の中で、マティス氏がトランプ氏の理解力は10〜11歳程度だと指摘してその判断力を問題視したとの記述が出てきて以降、辞任が近いとする臆測が広がっている。
【翻訳編集】AFPBB News
AFPBB News

「ジェームズ・マティス」をもっと詳しく

米のマティス国防長官が退任で後任選び加速?トランプ氏は否定
北朝鮮がアメリカへ返還した遺骨 一部は豪仏兵の可能性も
マティス米国防長官が台湾問題で中国を批判「一方的な措置に反対」
http://news.livedoor.com/article/detail/15444599/

 

マティス米国防長官、辞任を計画か−トランプ大統領が示唆
Ros Krasny
2018年10月15日 2:12 JST
トランプ米大統領はマティス国防長官が政権を離れることを計画している可能性があるとの見方を示唆した上で、同長官を「民主党員のようだ」と評した。

  CBSの番組「60ミニッツ」でのインタビュー抜粋によれば、トランプ氏は就任後2年ほどの間に政権を去った人数に触れ、その数はさらに増える可能性があるとの考えを示した。番組は14日に放送される。

  CBSがまとめたインタビューでの発言記録によると、トランプ氏は「私が満足に思っていない人間が何人かいる」と述べた。マティス長官から政権を離れる計画だと「私には伝えられていない」とし、同長官の辞職を望むかとの質問に直接答えなかった。


マティス国防長官写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
  トランプ氏は「2日前にマティス長官と昼食を取った。彼とは非常に良好な関係を築いている」とした上で、「彼は民主党員のような人だと私は思う」と発言。「彼は去るかもしれない。ある時点で、皆離れる。人は去る。それがワシントンだ」と述べた。

  予測不能なことを自負するトランプ大統領の下、北朝鮮やシリアなどさまざまな危機への対応を迫られる政権において、マティス長官は長らく米外交政策を安定させる重要な役割を担っていると見なされてきた。

原題:Trump Hints Pentagon Chief Mattis May Be Planning to Quit(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-14/PGLJG96K50XU01


 


http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/275.html

[経世済民128] 為替条項発言にも反応薄、歴史的円安から抜け出せない訳 ドル相場、2024年までに4割下落 リスクオフ時に購入するなら円

 
外為フォーラムコラム2018年10月16日 / 00:06 / 2時間前更新

為替条項発言にも反応薄、歴史的円安から抜け出せない訳

佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長
3 分で読む

[東京 15日] - ドル円相場の底堅さが続いている。10月13日にムニューシン米財務長官が日本との物品貿易協定(TAG)を巡り、通貨安誘導を封じる為替条項の導入を求める考えを示したにもかかわらず、週明け15日早朝の円相場は不気味なくらい落ち着いていた。

数年前までのドル円相場なら、早朝から1円くらい円高に振れていてもおかしくないニュースだ。

円高がかなり進んだ状況でのことなら理解もできるが、円は今、歴史的と言ってよいほど割安な水準にある。例えば、過去20年間で米国のインフレ率は50%も上昇しているが、日本のインフレ率はほぼ横這いだ。何かしらの「財」を中心に考えた時、その「財」に対して米ドルは50%減価した一方、円の価値は変化しておらず、米ドルは円に対して50%減価している。

それにもかかわらず、現在のドル円相場は20年前と同じ水準にある。つまり、米ドルの対円に対する価値の低下がドル円相場に反映されていないのである。米財務省も指摘しているように、円の実質実効レートは過去20年間の平均に比べて20─25%程度割安な水準にある。

<円が上昇しない3つの理由>

歴史的な最安値圏にある円相場が上昇しない背景には、日本からの根強い対外投資フローと、原油価格の急上昇による貿易収支の悪化、「歴史的」とまでは言えないまでも、2007年以来11年振りの水準まで拡大している10年債の日米金利差という3つの組み合わせが影響しているのではないかと考えている。

まず、今年の日本企業による対外直接投資は昨年の16兆8000億円を上回り、2年連続で過去最高を更新する可能性がある。外貨で資金調達したり、為替リスクをヘッジしていることもあり、実際の円売り額は対外直接投資の半分程度とJPモルガンは推定している。それでも円売りはかなりの額に上る。

特に対外直接投資に絡む円売りは、対外証券投資に絡むものと異なり、マーケットが多少不安定になっても止まることがないため、根強い円安圧力につながりやすいと考えられる。

また、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立法人(GPIF)がリスク資産への投資を積極化させた15年以降、日本の投資家による対外証券投資に絡む年間の円売り額は推計で平均20兆円程度に膨らんでいる。(10─14年度の年間平均は5兆円程度)。今年も同様のペースで円売りが続いているものと考えられる。

さらに、ここに来て無視できなくなってきているのが貿易収支の悪化である。

日本の貿易収支は北海ブレント先物がおおむね1バレル=100ドル以上で高止まっていた11年から赤字に転じ、年間の赤字額は14年に10兆円に上った。11年から14年までの貿易収支悪化のおよそ半分はエネルギー価格の急騰で、残りの半分はアジアからの輸入急増で説明できる。JPモルガンは、12年11月の衆議院解散前後から始まったアベノミクスで急速に進んだ円安の主因は、貿易収支の急激な悪化であった可能性もあると考えている。

今年の日本の貿易収支(国際収支ベース)は足元の原油価格急騰により、昨年、一昨年の5兆円前後から2兆円台へと半分近くに急減するとみられる。JPモルガンでは「前年の貿易収支」と「今年の日米10年金利差」を変数にして、今年のドル円相場を予測するモデルを参考にしている。

それによると、当社の予想通り今年の貿易収支が2兆8000億円となり、来年の日米10年金利差が330ベーシスポイント(bp)(日本の10年金利が20bp程度と想定すると米10年金利は3.5%まで上昇)まで拡大すると、来年のドル円相場は120円台まで上昇する計算になる。

日本の貿易収支が10兆円の赤字に悪化した14年、日米10年金利差は200bp前後にとどまっていた。また、対外直接投資は12兆円台まで膨らんでいたものの、円売りを伴う対外証券投資はさほど活発ではなかった。そうした中でドル円は126円の手前まで円安が進んだ。

今の貿易収支は当時ほど悪化していないが、日米10年金利差は300bpを超え、さらに拡大しそうだ。対外直接投資は過去最高を更新する可能性があり、対外証券投資も活発な状況が続いている。

前述の通り、円は歴史的な最安値圏にある。しかし、資本フロー、貿易収支、日米金利差の組み合わせに鑑みると、対米ドルでもう一段の円安があってもおかしくないと言える状況かもしれない

(本コラムは、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

佐々木融氏(写真は筆者提供)
*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の市場調査本部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-tohru-sasaki-idJPKCN1MP1UU

 


ドル相場、2024年までに4割下落−外為市場40年のベテランが予測
Lananh Nguyen
2018年10月16日 2:48 JST
• 年金基金の為替ヘッジするリンダール氏、ドル相場の15年周期主張
• 1ユーロ=2ドル、1ドル=75円になると予想
外為市場で40年の経験を持つAGビセット・アソシエーツのウルフ・リンダール最高経営責任者(CEO)は、2024年までにドルがユーロに対し約40%下落すると予想している。
  理由は単純だ。ドルは1970年代以降、下落と上昇を15年周期で繰り返しており、今やそれが再現されつつあるとみるからだ。リンダール氏の予想は突拍子もなく、理由付けも単純過ぎると受け取る向きもあるようだが、ドルは昨年9%下落し、ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツのレイ・ダリオ氏も9月にドル急落の見通しを話している。これらを考慮すると、まったく途方もない予想だとは言えなさそうだ。

ウルフ・リンダール氏
Bloomberg
  米国と欧州の年金基金やファミリーオフィスの為替リスクをヘッジしているリンダール氏(64)は8月にコネティカット州ノーウォークにある自身のオフィスでインタビューに応じ、「ドルの大幅な下落を見込んでいる。すべての金融市場に大きな影響が及ぶ」だろうとし、株式相場の急落と商品価格の上昇を引き起こす可能性があるとの見方を示した。米国の経済成長率が世界の他地域を上回り、米金融当局が利上げを続けていることから、ドルは買いを集め、今年に入り約2%上昇している。
  リンダール氏はドルの長期的な対ユーロ相場のチャートを盛り込んだカードを作成、業界の会合などで配布している。景気循環など他のサイクルは認めているが、「投資家はドル相場の15年サイクルについて知らされると、まず懐疑的な反応を示し、存在を否定しようとする」と8月のリポートに記述。この思考法や株価調整の可能性を受け入れないとなると、ドル反転に適切なヘッジをしていない米国外の投資家にとっては「過去45年間で最も危険の高い投資環境だ」と指摘した。
  同氏は昨年のドル下落はほんの始まりにすぎないと警告し、2024年までに1ユーロ=2ドルに、対円では1ドル=75円へと下げが進むと見込む。ブルームバーグがまとめたアナリストの予測中央値は2022年で1ユーロ=1.28ドルとなっている。

To see FX forecasts for the euro, run {FXFC EURUSD GO} on the Bloomberg terminal. <br>
原題:Why One FX Veteran Is Predicting a Huge Drop in the Dollar(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-15/PGNCX76S972A01?srnd=cojp-v2


 
リスクオフ時に購入するなら円、安全通貨としてフラン抜く−シティ
Austin Weinstein
2018年10月16日 7:07 JST
• 米国株指数の下落率が2%以上となった時のフランと円を比較
• スイスの銀行規制変更や日本人の海外資産拡大などが要因
投資家がリスク回避に動いている時に外為市場で取引するなら円の購入しかない。
  これはS&P500種株価指数の下落率が2%以上に達した時にスイス・フランと円のパフォーマンスを比較したシティグループのアナリストらの見解だ。 フランは2008年の世界的な金融危機の前までは明らかに円を上回る安全通貨だったが、その後、円がトップの座を奪ったのは「歴然」としていると、カルビン・ シー氏らアナリストがリポートで指摘した。

  円はこの2週間に確実に強さを示した。S&P500種株価指数が2日連続で2%余りの下げを記録した期間に円は対ドルで約1.4%上昇した。一方、フランはこの間0.6%上昇にとどまった。
  アナリストらは「市場のボラティリティーが年末にかけて高い状態が続くと見込まれる中で、リスク回避の動きがより頻繁に起きる可能性が高まっている」とし、「保有する上で際立って安全な通貨は1つしかない」 とリポートで言及した。
  円が08年以降に最も安全な通貨となったことに関して考えられる要因として、円のショートカバーのポジションが増えたことやスイスの銀行規制変更、フランに対する円の下落を挙げた。また日本人の海外資産が膨らんでいることも指摘した。これによってレパトリ(本国への資金還流)の規模はスイスより大きくなる。
  また中央銀行の政策の違いも重要だ。日本銀行が危機後に市場介入に動いたのは8日だけだが、スイス国立銀行(中央銀行)はフラン高を抑える目的で恒常的に介入していると、アナリストらは分析している。
  リポートでアナリストは「円が割安な中で日本人は純ベースで世界最大の国際的な民間投資ポジションを持っている上に、日銀は介入しない姿勢を取っている。リスクオフの唯一の為替取引は円の購入だ」と記した。
原題:Yen Reigns Supreme Over Franc as a Haven When Markets Get Messy(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
LEARN MORE

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-15/PGNSO26KLVR601?srnd=cojp-v2


 

ドル・円が112円台へ上昇、麻生財務相発言で為替条項懸念和らぐ
小宮弘子
2018年10月16日 11:49 JST 更新日時 2018年10月16日 15:48 JST
• 貿易交渉に現実問題として為替を入れるのは基本的にないと財務相
• 欧州イベントなど控えて動きづらい−三菱UFJ銀
東京外国為替市場ではドル・円相場が1ドル=112円台へ上昇した。先週末にムニューシン米財務長官が言及した為替条項に関連して、麻生太郎財務相が米国との貿易交渉に為替が入ることはないと述べたことを受け円売りが強まった。
  16日午後3時34分現在のドル・円相場は前日比0.3%高の112円07銭。日本株の上昇を背景にリスク回避圧力の緩和が意識される中、相場は111円73銭を日中安値にじり高の展開。午後には米金利の上昇も追い風となり、一時は112円15銭まで値を切り上げた。
  みずほ銀行の加藤倫義参事役は、実需の買いで投機勢が下を攻めあぐねていたところ、麻生財務相の発言があり、「株価も上がっていたので、短期のショート(ドル売り持ち)が切らされた」と説明。「ムニューシンの話を本気に捉えているなら、まだ様子見だろうが、そうでないならリスクオフが終わればドル・円は買いだろう」と話した。

  麻生財務相はこの日の閣議後会見で、為替問題について日米間で対話や議論が行われている事実はないとし、貿易交渉に現実問題として為替を入れるのは基本的にないと述べた。ムニューシン米財務長官は週末に、日本との物品貿易協定(TAG)交渉で通貨安誘導を防ぐ為替条項を含めるよう求める意向を示していた。
  米財務省は今週、半年次為替報告書を公表する。三菱UFJ銀行の平井邦行上席調査役(ニューヨーク在勤)は、「日本が為替操作国に指定されたりするようなことがない限り、ドル・円がここから急落することはない」と指摘。もっとも、「いったん115円を失敗した相場」で上にも行きづらいとし、17日から欧州連合(EU)首脳会談を控えて、英国の欧州連合(EU)離脱問題を巡る不透明感や米国とサウジアラビアの関係悪化など「一難去ってまた一難」という状況の中、ドル・円は動きづらいと語った。
  ポンド・ドル相場は1ポンド=1.31ドル台半ばで小動き。一方、ユーロ・ドル相場はイタリア予算案を巡る欧州委員会との対立懸念を背景に1ユーロ=1.15ドル台後半で弱含みとなった。


ドルが下落、サウジ記者失踪巡る情勢緊迫で
Robert Fullem
2018年10月16日 4:44 JST 更新日時 2018年10月16日 6:26 JST
• ブルームバーグのドル指数、2週間ぶり低水準近くで推移
• 対中追加関税の可能性、予想下回る米小売売上高もドル圧迫
15日のニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。失踪していたサウジアラビア出身の記者がサウジによる取り調べ中の過失で死亡したことを同国政府が認める可能性があると伝わった後、ブルームバーグのドル指数は2週間ぶり低水準近くにとどまった。
  ドルはポンドを除く主要通貨に対し下げた。半期に一度の米財務省為替報告書の公表を控え、ドル強気派がドルの買い持ち高を縮小した。
  ニューヨーク時間午後4時40分現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前週末比0.2%低下。ドルは対円で0.4%安い1ドル=111円76銭、対ユーロでは0.2%安の1ユーロ=1.1580ドル。
  トランプ大統領は週末放送されたCBSとのインタビューで、さらなる対中関税を課す可能性があると述べた。米商務省が発表した9月の米小売売上高は前月比0.1%増で伸びがエコノミスト予想に届かなかったことも、ドルに対する投資家心理にマイナスとなった。
  カナダ・ドルはこの日、米ドルに対し上昇が目立った。カナダ企業の景況感の高さを示すカナダ銀行(中央銀行)調査結果が材料視された。

  ユーロはドルに対し小幅高。米小売売上高の発表後には、1ユーロ=1.1606ドルで日中高値を付けた。
欧州時間の取引
  主要10通貨のうち円とスイス・フランが上昇率で上位となった。株式相場の軟調と、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る週末の協議で合意に至らなかったことが背景。ブルームバーグのドル指数やポンドは下落した。
原題:Dollar Dips as Saudi Tensions Weigh on Sentiment: Inside G-10(抜粋)
Havens Gain on Stock Slump as Pound Hurt on Brexit: Inside G-10
(第1段落を書き換え、4段落以降を追加して更新します.)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-16/PGO7506TTDS001



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/820.html

[経世済民128] サウジ失踪記者対応、米政府は金融界の先例にならうか 投資フォーラム、グーグルなど3社も参加中止 サウジ皇太子「失脚」の現
コラム2018年10月16日 / 12:47 / 26分前更新

サウジ失踪記者対応、米政府は金融界の先例にならうか
George Hay
2 分で読む

[ロンドン 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 本来は犬の尻尾のはずのウォール街が、ボディにあたる米国政府を振り回している。以前であれば、サウジアラビアの反政府記者ジャマル・カショギ氏の失踪にサウジ政府が関与したとの疑惑に対して、米政府は強力な批判を展開しただろう。それを受けて、米国の銀行や企業は嫌々ながら大きなビジネスチャンスを見送っていたことだろう。

だがこの数日で、JPモルガン(JPM.N)のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)をはじめとする米実業界のけん引役たちが、その構図をひっくり返してしまった。

ダイモンCEOに加え、資産運用大手ブラックロック(BLK.N)のラリー・フィンクCEO、大手投資ファンドのブラックストーン・グループ(BX.N)のスティーブ・シュワルツマンCEOが、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が23日から首都リヤドで主催する経済フォーラム「砂漠のダボス会議」への参加見送りを相次いで決めたことの意味は軽くない。

西側の金融業界幹部や有力実業家は、ムハンマド皇太子が掲げる改革「ビジョン2030」を賞賛してきた。リフィニティブのデータによると、JPモルガンは過去6年間で、サウジから8100万ドル(約90億円)の手数料収入を得ている。

それに加え、サウジ王室は記憶力が良い。2004年に同国から撤退したシティグループ(C.N)は、新たな銀行業ライセンスを得るまで10年近く待たねばならなかった。

リスクと報酬を天秤にかけた上でのウォール街の判断は、倫理面だけでなく、経済的にも理にかなっている。

金融機関側は、サウジの国営石油会社サウジアラムコによる石油化学大手サウジアラビア基礎産業公社(SABIC)2010.SEの株式取得のための500─700億ドル規模の国際融資について、すでに態度を硬化させ始めていると、IFRが12日に報じている。

政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」が保有するSABIC株式の買取に必要な資金をアラムコに融資する主な動機は、アラムコがいずれ新規株式公開(IPO)した際に転がり込むはずの巨大な手数料にあった。だが、カショギ氏の失踪を巡る対応などで、こうした計画のすべてが宙に浮いてしまった。

Slideshow (2 Images)
米国政府の方が、難しい立場に置かれている。

サウジは、トランプ米大統領にとって永遠の敵イランを封じ込めるための中東戦略の要だ。また、原油価格上昇を抑えるために増産することが可能な唯一の主要国でもある。仮にサウジが原油輸出を削減するなら、それはトランプ氏のイラン制裁によって原油供給がタイト化するタイミングと重なる。サウジ経済は比較的良好で、もし他国と対立した場合でも、国内にバッファーが残っている。

ウォール街の集団的な行動は、米政府に今後の道筋を示したのかもしれない。だが米政府がそれに従うかは、また別の問題だ。
https://jp.reuters.com/article/saudi-politics-breakingviews-idJPKCN1MQ09D

 

テクノロジー2018年10月16日 / 14:32 / 26分前更新

投資フォーラム、グーグルなど3社も参加中止
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[15日 ロイター] - アルファベット(GOOGL.O)傘下のグーグルは15日、今月23日から3日にわたりリヤドで開かれる経済投資フォーラム「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ」に参加しないと表明した。サウジの反政府記者ジャマル・カショギ氏がトルコのイスタンブールにあるサウジ領事館を訪問後に行方不明になった事件を受け、他社に続いてのボイコット表明となった。

グーグルは声明を発表し、グーグル・クラウドのダイアン・グリーン最高経営責任者(CEO)はフォーラムに参加しないと述べた。

カショギ氏の事件を受け、米配車大手ウーバー・テクノロジーズUBER.UL、米メディア大手バイアコム(VIAB.O)、フォード・モーター(F.N)など多数の米企業が参加を取りやめている。

さらに、当初参加を予定していた米ブラックロックのラリー・フィンクCEOと米投資会社ブラックストーンのスティーブ・シュワルツマン共同創業者兼CEOも不参加となった。関係筋が15日、ロイターに明らかにした。両社とも、ロイターに対し、コメントを控えた。

Alphabet Inc
1102.44
GOOGL.ONASDAQ
+0.00(+0.00%)
GOOGL.O
GOOGL.OVIAB.OF.N
このフォーラムは、「砂漠のダボス会議」とも呼ばれる。
https://jp.reuters.com/article/saudi-politics-dissident-google-idJPKCN1MQ0GO


 

コラム2018年10月16日 / 16:42 / 1時間前更新

サウジ皇太子、不明記者問題で「失脚」の現実味
David A. Andelman
3 分で読む

[16日 ロイター] - サウジアラビア、そして特に世間知らずで打算的、残虐ともいわれる同国の若きプリンスは、反体制派のジャマル・カショギ記者が消息を絶った事件に対する世間の反応を見誤ったようだ。

同記者は、サウジの王位継承者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子が野放図に、自国と中東全体を自らのビジョンに基づいて再構築しようとしていることに反対していた。

33歳のムハンマド皇太子は、1年4カ月前に父サルマン国王の後継者として選ばれてから、相当うまく切り抜けてきた。女性の自動車運転解禁などの措置により改革主義者と称賛される一方で、詳細不明な「違反」を巡る金銭的解決に合意するまでリッツ・カールトン・ホテルに大勢の王族メンバーや企業経営者を拘束した。

また、数多くの人権活動家や女性の権利を擁護する活動家を逮捕・監禁したり、隣国イエメンの内戦に介入し続けている。人権や戦場における国際ルールが日常的に無視されているイエメン内戦では、少なくとも1万人の市民が犠牲となり、約200万人が家を追われている。

さらに、隣国カタールに対して経済封鎖を行って孤立させた。総額1100億ドル(約12兆円)に及ぶ米国から武器を購入するとの約束もまだ果たしてない。

サウジは現在、カショギ記者に対する行動に関し、ムハンマド皇太子に非はないと認めているかのようだ。皇太子がこれまでずっと、絶対的権力、とりわけ安全保障問題における権力をほぼ手中に収めてきたにもかかわらずだ。

同時に、皇太子はトランプ米大統領とその娘婿のクシュナー大統領上級顧問の力を大いに見誤った可能性がある。米議会を超えてサウジアラビアの権益を守るため、皇太子は2人に熱心に近づいた。

サウジ政府が人権の尊重で知られたことはこれまで一度もなかった。とはいえ、今回のように歯止めの利かないやり方で行うことは通常はなかった。

では、何が変わってしまったのか。

その一因として、力ずくで権力を得ようとする新世代の指導者たちの存在が挙げられる。だが、こうした新顔のリーダーシップが、これまでの王族による現状打破よりその維持を狙ったゴールに向け緩やかに進化する比較的信頼の厚い旧来スタイルへと回帰するかを予想するのは時期尚早かもしれない。ムハンマド皇太子が権力を掌握するには、まだ単に準備が整っていないように見える。

歴代サウジ国王の大半は、建国の父である初代アブドルアジズ国王の子どもたちによって継承され、ようやく60歳代になって王位に就くことが多い。

28人の皇太子で構成され、国王を正式に選出する「忠誠委員会」に属する年配の皇太子は、首都リヤドを訪れた筆者に対し、同委員会は次期国王には、さまざまな試練に打ち勝ち、年齢を重ねることによって得られる英知と気質を備えた人物を望んでいると語った。

頭角を現したばかりのムハンマド皇太子は、このような英知を全くと言っていいほど兼ね備えていない。

問題は、ムハンマド皇太子以上に根深い。皇太子が権力の座に就くためのプロセスこそが問題の核心なのだ。ムハンマド皇太子が国王のお気に入りであっても、忠誠委員会が彼を承認しない限り後継者としての立場は磐石とは言えない。

ムハンマド皇太子は、大勢いる初代国王の孫たちの大半を飛び越えてきた。しかし、ずっと年配者が牛耳ってきた権力の牙城を壊してサウジ王位を継承するという同皇太子の計画にとって、カショギ記者の失踪問題が命取りになるかもしれない。実際、解決策を求めてトルコのエルドアン大統領に電話したのは父親のサルマン国王(82)だった。

今回の記者失踪事件において、現時点でほぼ無視されている核心的な問題は、サウジが他国との共同歩調に戻るのか、それとも真の「のけ者国家」へと向かうのか、ということだ。

ムハンマド皇太子はすでに、自身の目的達成に中心的役割を担うはずだった主な同調者や支持者の一部を失った。23日からリヤドで開催される自慢の経済フォーラム「砂漠のダボス会議」は、自身の改革「ビジョン2030」に乗り出す上で主要な役割を担うはずだった。

しかし、カショギ記者が行方不明になってから数日たっても事件の真相究明に腰の重いサウジに対し、同会議の主要スポンサーや企業経営者からの撤退が相次ぎ、会議自体が宙に浮いている。

ムハンマド皇太子が、サウジの改革や国を率いるための課題に立ち向かうことができる人物かどうかについては、ますます疑わしくなっている。実際のところ、同皇太子が単独支配するわけでも、ライバルがいないわけでもない。王族幹部の支持を勝ち取って真の後継者となるには、プロセスが存在し、カショギ問題で同皇太子が越えてしまったかもしれない「レッドライン(越えてはならない一線)」がある。

最も肝要なのは、皇太子自身やサウジに不利な関心をあまり向けさせないようにすることだ。同国はまさに文字通り、西側主要国、特に米国の主な機関への寄付だけでなく、ロビイストやイメージコンサルタント会社に巨額のカネをつぎ込んできた。その狙いは、こうしたイメージを決して修復不可能なほど色あせないようにすることだ。

サウジは当面、ムハンマド皇太子という個人と一蓮托生のようだ。だが、皇太子の注意深くつくられたイメージは今にも崩れようとしている。

トランプ大統領は、いまだにサウジ王族から歓迎を受け、クシュナー氏も何時間にも及ぶ電話や面会によってムハンマド皇太子との個人的関係を強固なものにしている。

それでも結局、米国の中東政策においてムハンマド皇太子が中心でいられるかどうかは依然として疑わしいのである。

*筆者は、米紙ニューヨーク・タイムズや米CBSテレビの元特派員。著書に「A Shattered Peace: Versailles 1919 and the Price We Pay Today」がある。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-saudi-idJPKCN1MQ0T3

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/821.html

[経世済民128] 米強気相場は終幕か、強気派と弱気派の「言い分」恐怖指数VIX上昇、株安で「ボルマゲドン」債券下落、リスク回避巻き戻しの流
トップニュース2018年10月16日 / 13:52 / 2時間前更新
アングル:
米強気相場は終幕か、強気派と弱気派の「言い分」
2 分で読む

[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米総合500種株価指数.SPXが先週急落したことで、過去最長となっている米国株の強気相場が終焉を迎えるのかどうか、投資家の見方が分かれている。

以下に強気派、弱気派それぞれの主張を5つずつまとめた。

<強気派>

●企業利益

リフィニティブのI/B/E/Sによると、S&P500社の利益は今年23.1%もの増加が見込まれている。

●米景気

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は先週、米景気は「著しく明るい」と述べた。ストラテジストは、景気拡大期に弱気相場に入るのは珍しいとしている。

コモンウェルス・ファイナンシャル・ネットワークの首席投資責任者ブラッド・マクミラン氏は「景気後退に陥らない時の相場下落は急速だが、短命に終わる傾向がある」と言う。

●金利上昇は問題なし

米国債利回りの上昇も、段階的であれば心配は少ない。ファンドストラットの調査統括、トーマス・リー氏は「弊社は米国がインフレ環境にあると考えている。そうした時、金利上昇は株価上昇を伴いがちだ」と述べた。

●相場調整は良い事

長期的な強気相場という意味では、相場の急落は良い事と考えられる。慢心した投資家が去り、割高な株価が修正されるからだ。ホライゾン・インベストメント・サービシズのチャック・カールソン最高経営責任者(CEO)は「リフレッシュのためには定期的な掃除が必要だ。それが終われば相場は上昇できる」と言う。

●自社株買い

企業の自社株買いはしばらく低調だった。しかし企業は今後も資金を自社株買いに回すと見られ、ゴールドマン・サックスのストラテジストらによると、S&P500社による自社株買いは2019年に22%増えて9400億ドルに達する見通し。

S&P500種
2750.79
.SPXCHICAGO BOARD OPTIONS EXCHANGE
-16.34(-0.59%)
.SPX
.SPX
<弱気派>

●企業利益は見た目より弱い

今年は減税効果で企業利益が伸びたが、2019年のS&P500社の増益率は10%に鈍化する見通しだ。賃金上昇その他のコスト増を考えると、この数字でもまだ高過ぎるのではないかと懸念する投資家もいる。

●FRBの利上げ

パウエルFRB議長は最近、政策金利は中立金利の推計値に向かって上昇を続け、その水準をやや上回る可能性もあると述べた。一部の投資家は、利上げスピードが速すぎることを警戒している。

インベスコの首席グローバル市場ストラテジスト、クリスティナ・フーパー氏は「FRBの金融引き締めは行き過ぎかもしれない。利上げとバランスシート正常化という2つの手段を併用しているから、なおさらだ。これは経済成長を損ない、株式市場に混乱や不安定さをもたらしかねない」と述べた。

●政治の不透明感

米中貿易摩擦の激化がリスクとして指摘されている。

●債券利回り上昇

債券利回りは上昇し、魅力を増しており、投資家の資金が債券に流れ始める可能性がある。

●ハイテク株の反転

ここ数年、株価の高値更新を主導してきたのはハイテク、インターネット関連企業だが、足元の相場急落ではこれらの株が特に大きく下げた。

ハイテク株の下落が続くなら、他のセクターでは循環物色の穴を埋められないのではないかと一部の投資家は懸念している。
https://jp.reuters.com/article/us-stocks-outlook-factbox-idJPKCN1MQ0D3


 

トップニュース2018年10月16日 / 11:22 / 10分前更新
焦点:
恐怖指数VIX上昇、株安で「ボルマゲドン」再来あるか
Trevor Hunnicutt
3 分で読む

[ニューヨーク 12日 ロイター] - 今年2月の株価急落で大金を失ってから数カ月後、米小売大手ターゲットの元マネジャー、セス・ゴールデン氏は再びボラティリティー上昇とは逆方向に賭けている。

ゴールデン氏は、株価変動が小さい局面で利益が得られる商品に賭けてきた結果、過去6年間で数百万ドル稼いだと言う。シカゴ・オプション取引所(CBOE)(CBOE.Z)の一部相場が混乱してから数カ月内に、ボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX).VIXに連動する複雑な金融商品を取引し続けた投資家の1人だ。

「『ボラ売り投資家』の大半は2月にダメージを受けなかった。損失を出したのは新規参入者や、そもそもボラティリティーで取引すべきではない人々だ」とゴールデン氏は話す。

再び株価が急落し、10月初めには12を下回る低水準だったVIX指数が29まで上昇したことを受け、VIX取引に再び注目が集まっている。また、ボラティリティーが長続きしない方に賭ける取引が緩やかに再構築されていることも一因だ。

多くの投資家が打撃を受ける中で、新たに市場に参加しようとする投資家も後を絶たなかった。米国では3─9月に、12億ドル(約1340億円)超がVIXに連動する上場取引型金融商品(ETP)に流入したことが、ファクトセット・リサーチ・システムズのデータに基づきロイターが計算したところ明らかとなった。

これは、2月初めにインフレ懸念から株価が一時急落した「ボルマゲドン」が起きる前月の17億ドルに匹敵する。VIX指数は2月6日、前日の18から50に急上昇した。一部投資家は投資金額の9割以上を失った。

2017年に米紙ニューヨーク・タイムズに紹介されてから有名になったゴールデン氏は現在ウェブサイトを運営し、トレーダーにアドバイスを提供している。同氏によると、ETP取引を続け、2月に出した損失はすでに取り戻したばかりか、それを上回る利益を出しているという。ロイターは同氏の会計処理を独自に確認することはできなかった。

ゴールデン氏は、ボラティリティーが急上昇する前に一部利益を確定し、現在は低下してまた元に戻るのを待っていると言う。

「こうした日々のために私は生きている」と、この間の急落でゴールデン氏は語った。

2月の急落では、VIX指数や関連商品が不正操作されているとの疑いが浮上。多くの訴訟が起き、米当局による調査も続いている。

<レバレッジ低下>

以降、VIX指数を運営するCBOEと一部関連商品の運営元はそれぞれ、予想するのが困難なほど激しく市場が変動しないよういくつか変更を行った。

CBOEは流動性を改善するため、VIX指数先物価格の清算時の入札方法を修正した。一方、関連商品の運営元は微調整を行い、レバレッジを低下させた。

2月の急落について「事実上テクニカル」なものだったと主張した英バークレイズのアナリストは今月に入り、ショートボラティリティー戦略を下支えしている要因として、強い米国経済、今のところ限定的な貿易摩擦の経済的影響、新興国通貨安、来月の米中間選挙などを挙げた。

しかし最近になって同アナリストは、米連邦準備理事会(FRB)が政策を誤る可能性が高まっており、投資家が米中貿易戦争の影響への関心を高めていることを踏まえ、見方を変えたと指摘している。

Cboe Global Markets Inc
99.26
CBOE.ZBATS STOCK EXCHANGE
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CBOE.Z
CBOE.Z
「われわれは、短期的にボラティリティーが上昇し続けると予想しており、この下落局面での買いは推奨しない」と記している。

「(2月と)今回違うのは、われわれが指摘し得るカタリスト(触媒)が実際にいくつか存在することだ」と執筆者の1人であるマニーシュ・デシュパンデ氏はロイターに語った。

投資家は株価下落と市場の混乱を警戒してVIX先物を取引する一方、これらデリバティブ商品は、市場が着実な上昇局面にある際には需要が低下し、価値が失われる傾向にある。投資家は、金融危機(2007─09年)後に発売されたいわゆる「VIXインバース」商品により、市場で平穏な時期が続いている間にそれを利用して利益を上げることが可能となった。

<個人投資家のリスク>

VIXインバース商品は本来、プロの投資家が市場での価格変動リスクを抑えるための一助となるよう開発された高度なヘッジ手段だが、上場されてから、市場が平穏時に儲かる商品として個人投資家の間でも人気が出た。

2月までの2年余りで、同商品は600%近く値上がりし、パフォーマンスの高い投資商品の数々を一気に飛び越え、ソーシャルメディアや金融サイトで話題となった。

「支持者の多くは2月以降、1─2週間でVIX取引に戻ってきた」と、TABBグループのデリバティブ調査責任者のラッセル・ローズ氏は言う。「多くの人が株式取引を行おうとしている。大手ヘッジファンドはすべて同じことをしている。VIX商品は投機の新たな方法を探している人たちにその門戸を開いている」

一部アナリストは、急落の一因として、過剰なレバレッジや準備不足な個人投資家の自信過剰を指摘する。

「多かれ少なかれ、ラスベガスに行く代わりになる。自宅のオフィスからもできる」と、VIX指数を開発したバンダービルト大学のロバート・ウェイリー教授は語る。

同教授は指標としてのVIXは支持するが、VIXに連動するETPが個人投資家にリスクをもたらすことを懸念している。

VIX取引を行っている個人投資家数は明らかではないが、入手可能なデータからは、同市場において相当な役割を依然担っていることが示されている。

VIX商品を扱う投資顧問会社「インベスト・イン・ボル」のマネジングパートナー、スチュアート・バートン氏は、投資家が再び大きなリスクを取りつつあると指摘する。「生き残っている商品がレバレッジを下げているのは良い手だが、まだ先は分からない。人々はポジションを2倍に増やしている」

(翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/vix-volmageddon-idJPKCN1MQ04X?il=0


 

債券下落、リスク回避巻き戻しの流れ−日銀オペ運営に警戒感も
三浦和美
2018年10月16日 7:49 JST 更新日時 2018年10月16日 16:04 JST
• 長期金利0.145%に上昇、先物は4銭安の150円16銭で引け
• 20年入札や日銀オペ方針の見直し観測重し−岡三証
債券相場は下落。国内市場で株高・円安が徐々に進む中、前日のリスク回避の動きを巻き戻す展開となった。
  16日の長期国債先物市場で中心限月12月物は前日比2銭高の150円22銭で取引を開始。朝方は買いが先行したものの、午後の取引にかけて日経平均株価が上昇基調を強め、ドル高・円安が進むと売り優勢となった。一時は150円14銭まで水準を切り下げる場面があった。結局は4銭安の150円16銭で引けた。
  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「ドル・円相場がやや円安方向になるなど、少しリスク回避が巻き戻されている」と指摘。「18日の20年債入札を控えて警戒感があるほか、来週には日本銀行が市場調節に関する懇談会を予定していることから、買い入れオペ方針の見直しが意識されていることも相場の重しになった」と言う。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の352回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高い0.145%で推移した。
  この日の東京株式相場は大幅反発。外国為替市場でドル・円相場が値を戻す展開になったことなどを背景に、日経平均株価は前日比1.2%高の2万2549円24銭で引けた。前日に1ドル=111円台後半まで円高が進んでいたドル・円相場は、日米貿易交渉での為替条項を巡る懸念が緩和し、112円台前半までドル高・円安に振れた。
  日銀は23日に市場調節に関する懇談会を開催する。最近の金融市場の動向および市場調節の運営や国債市場の流動性などの内容が予定されている。
5年債入札
  財務省がこの日に実施した5年利付国債入札の結果は、最低落札価格が100円76銭と、ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値と一致した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は4.88倍と、前回の5.53倍を下回った。小さければ好調を示すテール(最低と平均落札価格の差)は1銭と前回と同水準だった。
  岡三証の鈴木氏は、「5年債入札は予想通り無難な結果だったため、狭いレンジでもみ合っている相場に変化はない」と話した。
過去の5年債入札の結果はこちらをご覧下さい。
新発国債利回り(午後3時時点)
前日比
2年債 不成立
5年債 -0.065% +0.5bp
10年債 0.145% +0.5bp
20年債 0.675% +0.5bp
30年債 0.915% +0.5bp
40年債 1.090% 横ばい

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-15/PGNVZW6JIJUW01

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/822.html

[経世済民128] 外国人労働者受け入れに舵、人手不足緩和も効率化抑制の弊害 外国人労働者 拙速な拡大は禍根を残す 人数や業種に歯止めかけよ
外国人労働者受け入れに舵、人手不足緩和も効率化抑制の弊害
占部絵美、Isabel Reynolds

2018年10月16日 11:57 JST

介護や建設など十数業種で門戸開放、宿泊業から期待の声も
未活用の労働力の掘り起こしや労働生産性の向上が先決との指摘

政府は、外国人労働者の本格的な受け入れに向けて舵(かじ)を切った。人手不足の分野に広く門戸を開放する法改正を行い、来年4月の施行を目指す。高齢化に伴う生産年齢人口の減少に苦しむ多くの企業が歓迎するが、専門家の間では労働市場の効率化を抑制するとの意見もある。

  具体的には、相当程度の知識や経験をもつ外国人向けに「特定技能1号」、より熟練した技能をもつ外国人用に「特定技能2号」の在留資格の創設を検討している。1号の在留上限は5年で家族帯同は認めず、所定の試験に合格して2号に移行すると家族帯同を認められ上限なく在留期間が更新でき、潜在的な永住への道が開ける。

  労働需給のひっ迫は深刻化している。日本商工会議所が6月に実施した調査では、企業の3分の2が労働者が不足していると答えた。帝国データバンクによると、今年度上期に労働者不足のために倒産した企業数は昨年度と比較して4割増えた。

  一方で、外国人労働者は増加の一途をたどっている。2017年10月の外国人労働者は約128万人と過去10年で2.6倍に膨らんだ。このうち留学生と技能実習生の在留資格を持つ労働者がそれぞれ2割と、全体の半数近くに上る。

留学生・技能実習を中心に外国人労働者が増加
外国人労働者数は約128万人と過去最高に


出所:厚生労働省

  こうした事態の是正に向け、政府は6月に決定した骨太方針で、外国人労働者の受け入れ拡大方針を示した。経済財政諮問会議の民間議員を務める日本総研の高橋進名誉理事長は7月、留学生や技能実習生に「依存するところから一定程度改善していく」と語っていた。日本総研は30年には外国人労働者が280−290万人に達し、同比率は現行の2%から5−6%に増加すると試算している。

受け入れに沸く業界
  政府は外国人労働者の受け入れを生産性向上や女性・高齢者などの就業促進を図ってもなお人手不足となる業種に限って認める。菅義偉官房長官は9月の講演で、介護、農業、建設、造船、宿泊の5業種に加え、「十数業種で外国人材がなければ事業に支障が出る」とし、必要な分野で受け入れていく方針を示した。

  約3年前から製造業への外国人労働者の受け入れ特区を申請してきた愛知県は、労働力不足が将来にわたって続くと予測される業種や職種を有効求人倍率や賃金水準などから割り出し、年2500人の受け入れが必要と試算していた。

  大村秀章知事は、政府の方針変更について「一歩前進」と評価する一方、これまで自治体任せとなっている日本語教育や社会保障といった外国人向けの生活支援を国が責任を持って取り組むよう注文を付けた。

  こうした動きに期待を寄せるのは、東京五輪を控え、訪日外国人旅行客の急増に対応を迫られている宿泊業界だ。日本旅館協会の佐藤英之専務理事は、「宿泊や旅行、観光業界は処遇面もいいわけではない。有効求人倍率が高くなると、大手企業が人の囲い込みをしているのですごい人手不足になる」と窮状を訴える。

  観光庁は30年に6000万人の訪日外国人旅行客の誘致を目標に掲げるが、同時で関連業界で7万人の人手が不足すると試算する。

労働市場改革
  三菱総合研究所によると、日本は20年代前半に200万人を上回る労働力不足に陥る一方、30年代には人工知能(AI)などによる自動化・無人化の進展によって労働力余剰に転じるという。山藤昌志主席研究員は、「将来的に機械に代替が考えられる職については余剰感が出てしまうため、むやみにいかなる職種でも足元の不足感に対応する形で膨らますのは適切ではない」と指摘する。

  慶応大学の中島隆信教授も、外国人の受け入れよりも未活用の労働力の掘り起こしや労働生産性の向上が先決と考えている。「日本人が就きたがらない待遇の悪い仕事や人の集まらない職場に、このままだとやっていけないから外国人を入れるとなると、永遠に生産性の改善もないし、企業の収益力向上もない」という。

移民政策
  連合は8月、厚労相に提出した要請で、これまで「専門的・技術的分野」に限って外国人材を受け入れるとしてきた政府の方針転換にもかかわらず、国民的な議論が行われていないと懸念を表明。17年度に技能実習生の受け入れ事業所のうち7割超で労働基準法違反が認められているとし、「日本で働く外国人労働者に対する労働関連法令順守、人権侵害が発生しない職場環境の実現こそが先決」と指摘した。

  移住者と連帯する全国ネットワークの鳥井一平代表理事は、政府方針は「日本の移住政策の転換点になる」とみる。労働力不足は日系ブラジル人を受け入れたバブル期の20−30年前に始まっており、その後も技能実習生や留学生などを労働者として受け入れ、「ゆがんだ移民政策になってきた」と指摘。過去の教訓や諸外国から学び、日本に合った施策を考える必要があるとの認識を示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-16/PGMPYO6TTDSE01?srnd=cojp-v2


 


主張】
外国人労働者 拙速な拡大は禍根を残す 人数や業種に歯止めかけよ
2018.10.15 05:00

 外国人労働者の受け入れ拡大に向け、政府が新たな在留資格の創設を柱とする関連法案の概要をまとめた。

 これまで認めてこなかった単純労働に道を開く。高度な試験に合格した人には家族の帯同を含めた永住を可能とする。国の形を大きく変え得る政策の大転換だ。

 安倍晋三首相は移民政策を否定しているが、極めて近い仕組みと言わざるを得ない。

 政府は今月召集の臨時国会での法改正を目指している。ただ、外国人の大量受け入れについて世論は二分しており、拙速に進めては禍根を残す。

 どの分野でどれだけ受け入れるのか、安倍首相は中長期的な戦略を国民に示す必要がある。

 ≪参政権まで認めるのか≫

 安倍政権が単純労働者の受け入れ容認に政策の舵(かじ)を切った背景には、少子高齢化に伴う恒常的な人手不足がある。菅義偉官房長官は「即戦力となる外国人材を幅広く受け入れる仕組みをつくることが急務だ」と説明した。

 課題はあまりにも多い。新たに設ける在留資格は、一定の日本語能力と技能を条件に就労を認める「1号」と、さらに難しい日本語能力および熟練した技能を求められる「2号」とに分けられる。

 1号の在留期間は最長5年である。若い労働力を循環させようという発想だが、外国人労働者を必要としている国は日本だけではない。そんなに都合よくいくとはかぎらない。1号について家族の帯同を認めないというのは、人権侵害となる恐れがないのか。

 2号となれば、定期的な審査はあるものの事実上の永住や家族の帯同が認められる。これが移民とどう違うのか。定住者なら職業を自由に選べる現行制度との整合性をどうするつもりなのかも明確ではない。

 1993(平成5)年末には永住者は4万8千人だったが2017(29)年末は15・6倍の74万9千人に達した。さらに増えてくれば地方参政権を求める声も高まるだろう。これを認めれば、人口が激減する地域で永住者の方が多くなる危うさもはらむ。

 こうした将来的に起こりうる課題について、政府の議論はまったく聞こえてこない。

 さらに懸念するのは、政府が各業界からの要請を聞き入れ、対象業種を次々と拡大させようとしている点である。当初は「当面は農業、介護、建設、宿泊、造船の5分野」とし、25年頃までに50万人を超える受け入れを目指すとしていた。それが今や3倍近くの分野が候補に挙がっている。

 日本の勤労世代が1千万人単位で減っていくため、あらゆる職種で人手不足は続くだろう。各業界からの要望が拡大の一途をたどることは間違いあるまい。その多くを認めれば、毎年数十万人を確保しなければならず、日本社会は大きく変質する。

 ≪まず将来ビジョン示せ≫

 大規模な外国人の受け入れにより、短期的には人手不足の解消に効果を発揮したとしても、これと同時に、社会保障や子供の教育など社会負担の増大も招く。

 どこで線引きし、受け入れ人数や業種の拡大に歯止めを掛けるのか。それは、人口減少社会が進む日本の形を決めることでもある。安倍首相には、まず今後100年をにらんだ総合的な国のビジョンを示すよう求めたい。

 外国人労働者への依存度が高まった段階で、当て込んだ人数が来日しなくなることや、多くの人材を送り出している国との外交上の衝突などがあって、一斉に引き揚げてしまう事態も考えておかなければならない。日本人がほとんど就職しない業種があれば、社会機能は麻痺(まひ)しよう。

 受け入れ態勢の強化も急がれる。多くの国で社会の分断や排斥が起こっている現実もある。入管白書によれば、不法滞在で強制退去を命じられながら仮放免される外国人は毎年3千人余りいる。「安価な労働力」と見なし、違法残業や賃金未払いなどの法令違反を犯す例も後を絶たない。

 新制度は法務省の入国管理局を「出入国在留管理庁」に格上げし、日本人と同等以上の報酬水準を確保するよう求めているが、入国後の生活に関わる厚生労働省や地方自治体、警察などの連携強化も不可欠だ。外国人が安定した生活を営めるよう生活環境の整備や支援を充実させる必要がある。
https://www.sankei.com/column/news/181015/clm1810150001-n1.html
 
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/823.html

[国際24] 米下院選で共和党候補が警戒する「トランプの罠」 トランプ米大統領、マティス国防長官を「100%支持」
ワールド 2018年10月12日 / 12:12 / 6時間前更新 特別リポート:
米下院選で共和党候補が警戒する「トランプの罠」
5 分で読む


[ストックトン(米ニュージャージー州) 5日 ロイター] - 米共和党のレオナルド・ランス下院議員は、党の地盤である選挙区から再選を目指すが、同党出身の大統領について言うことはほとんどない。
ランス議員の選挙向けウェブサイトには、移民や税などの争点に対する自身の姿勢が記されているが、そこにはトランプ大統領に対する支持を示す記述はない。
議員のツイッターやフェイスブックのアカウントでも、今年に入り、大統領を称賛するコメントを控えている。トランプ氏に言及する場合は、むしろ自身との違いを鮮明に打ち出しているという。
輸入関税を巡る大統領権限に対する制限や、引き離された不法移民親子の再会を求める超党派法案を共同提起しているランス議員は、銃規制への支持についても大々的に表明している。
トランプ大統領と距離を置こうとしているわけではない。「意見が一致する分野はあるが、異なる分野も指摘したい」とランス議員はロイターに語った。穏健保守の選挙区では、同議員の「超党派」的なアプローチは「選挙区民の大半の意見と一致」すると言う。
ランス議員の手法は、広く現実を映し出すものだ。
11月の中間選挙は、トランプ大統領への信任投票とみなされている。同議員が出馬するニュージャージー州北部の共和党支持基盤である裕福な郊外地域では、大統領への支持はそう高くはない。
これは、全米の他の似たような選挙区において、勝つために必要な穏健・保守有権者の票を獲得したい共和党候補者が直面する課題でもある。
共和党支持層におけるトランプ大統領の支持は根強い。
ロイター/イプソスの世論調査によると、共和党支持で実際に投票に行くとみられる有権者のトランプ支持率は82%に上る。だが、大卒や高収入な共和党支持者からの支持率は低い。2016年の大統領選でもこうした有権者が支配する選挙区の多くでトランプ氏は不調だった。
幻滅を感じている一部の共和党支持者は、トランプ政策、とりわけ移民や環境問題、ロシアとの関係に異を唱えていることが、世論調査で明らかとなった。大統領の敵対的で、無礼な態度にも批判的だ。
民主党が下院の過半数を握る、という観測が世論調査や専門家の間で優勢となりつつある現在、激戦区の共和党候補は1票も無駄にはできない。そして、トランプ大統領に対してどの程度の距離を保つべきか、ということが何にも増して大きな課題として浮上している。
多くの共和党候補にとって、その答えは「沈黙を守る」ことだ。
下院の激戦区56区のうち、共和党議員が出馬しているのはその3分の1以上に当たる19区だが、ロイターの分析によれば、今年になって彼らの選挙活動用ウェブサイトやツイッター、フェイスブックにおいて、トランプ氏を支持するコメントは見られない。
この傾向は、最も裕福な激戦区10区において特に深刻だ。これら選挙区の共和党候補のうち、ウェブサイトやソーシャルメディアでトランプ支持を表明しているのはわずか4人だけだ。一方、平均所得が最も低い激戦区10区では、8人の候補がトランプ支持を表明している。
激戦区における共和党候補のウェブサイトやソーシャルメディアの投稿をロイターが分析した結果、いかに激しい競争圧力に直面しているかが明らかとなった。共和党の支持基盤は、トランプ氏を批判する候補や、同氏とは反対の政策を望む穏健派や独立派を締め出している。
大統領について沈黙を守っている共和党現職議員の多くは、トランプ政策法制化の大半を支持しているが、表立ったトランプ支持は表明しておらず、デリケートな綱渡りを続けている。
「ドナルド・トランプ氏がすべてを支配している」──。富裕層の多い郊外選挙区の下院議員候補数人に助言している共和党の世論調査専門家、ウィット・エアーズ氏はそう語る。
エアーズ氏は候補者たちに対し、トランプ支持の表明を避けるだけでなく、大統領に対する批判も避けるよう助言している。大統領には触れないよう会話して、「その選挙区の価値や利益のために、共和党候補がいかに適しているかを強調」することが大事だ、と同氏は語った。
トランプ大統領は8月以降、下院候補10人以上の応援に立っている。それら候補の中には、低所得世帯の多い激戦区候補数人も含まれている。大統領は今後も、下院候補のためにイベントを予定している。
トランプ大統領の政治局長ビル・ステピエン氏は、1日付の内部メモで、大統領支持を表明しない共和党候補は、国家の方向性を支持する人たちに大統領がもたらした熱狂を活用できないと警鐘を鳴らした。
共和党支持者は下院選への関心において、民主党に遅れをとっていると同氏は指摘。「これまで投票しなかった有権者に投票させる」トランプ氏の能力を称賛した。
同氏はまた、勝つためには、候補者はトランプ氏とその政策に「明確かつ力強く同調する」必要があると述べた。
<トランプ・テスト>
ニュージャージー州第7選挙区選出の下院議席は1980年代以降、共和党議員で占められており、ランス議員もその1人だ。穏健で財政的に保守的な候補を支持するホワイトカラーの専門職が多い選挙区から得られる強固な支持の上に成り立っている。
少数の地元共和党関係者を含めた一部の有権者は、投票に先立ち、新たなリトマス試験を今年行っている。つまり、彼らはトランプ氏に反対姿勢を見せる候補を求めているのだ。
「(トランプ氏は)大統領に全くふさわしくない」と、同選挙区にある小さな自治体アレクサンドリアの責任者を務めるミシェル・ガライ氏(共和党)は言う。今年は、ランス議員の対抗馬である民主党のトム・マリノウスキー候補を支持すると語った。同候補はオバマ前政権で国務次官補を務めた。
ニュージャージー州第7選挙区のように激戦区とみられる下院選挙区56カ所の大半を共和党議員が占めており、残りわずか5カ所が民主党議員だ。共和党が占める選挙区において、ガライ氏のような有権者に与える「トランプ効果」のせいで、同党の勝利が遠のきつつある。
ロイターは、クック・ポリティカル・リポート、インサイド・イレクションズ、バージニア大学政治センターという独立した3つの政治調査団体が、激戦区あるいは与党・共和党に逆風が吹いているとみなす選挙区を、「激戦区」と認定した。
トランプ氏は2016年の選挙で、そのような56の激戦区のうち34区で勝利したが、その勝利は低所得層の多い地域に集中していた。所得中央値が7万5000ドル(約850万円)未満の激戦区の75%以上を制した一方で、より裕福な激戦区での勝率は20%未満だった。また、高収入と相関する大卒有権者の割合が高い選挙区でも、それをやや下回る結果だった。
こうした選挙区では、トランプ氏の売り込みはいまだに困難だと、直近の世論調査は示している。ロイター/イプソスの世論調査によると、大卒で家計所得が7万5000ドル以上の共和党支持者の51%が、11月の下院選挙で投票することは「確実」だと先月回答。ただ、2014年からは9ポイント減少している。
<綱渡り>
トランプ支持者を疎外することなく、不満を抱いている共和党支持者の情熱を取り戻すのはたやすいことではない、と共和党候補にアドバイスを行う世論調査専門家クリスティン・マシューズ氏は指摘。トランプ大統領のコアな支持者は、候補者が大統領と距離を置くのを見たくない反面、一部の大卒共和党支持者や無党派層は「反トランプ」に票を入れたがっているからだ。
ロイター/イプソスの世論調査では、うんざりして投票に行かない可能性のある共和党支持者の数は、比較的少ないことが示されている。他の共和党支持者よりもトランプ氏をやや支持しない傾向にある、所得が7万5000ドル以上の穏健な大卒共和党支持者の登録有権者では、投票しないと答えたのは1%にも満たなかった。
より大きな脅威となるのは、共和党支持層の14%が民主党あるいは第3の政党の候補者を支持すると答えていることだ。
ネバダ州ラスベガス郊外の激戦区、第3下院選挙区に属するビジネスマン、ロバート・エリスさん(75)もその1人だ。
これまで定期的に共和党に献金してきたエリスさんだが、トランプ氏の反移民発言や敵対的なツイートにうんざりしている。そこで今回は、トランプ氏の熱烈な支持者である共和党のダニー・ターカニアン候補には投票しないという。
その代わり、民主党のスージー・リー候補に献金と票を投じる、とエリスさん。民主党が下院で勝利し、トランプ氏を監視してくれることを期待しているという。
「そうなれば、彼らは妥協せざるを得なくなる。協力しなければね」とエリスさんは語った。
前出のランス議員は、そうしたどっちつかずの中立的な立場を模索している。
過激派組織「イスラム国」との戦いや、イラン核兵器開発といった問題では大統領の強硬姿勢を支持していると、ランス議員は言う。だがすぐに、大統領と異なる例を次々と挙げ、トランプ氏が推進する税制改革法に反対する共和党下院議員12人の1人だったと強調した。同法は、ランス議員のニュージャージー州で人気の税控除を制限する。
ランス議員は、自身の選挙戦がトランプ氏に対する信任投票となるとの見方を一蹴。自身の選挙区の有権者について、「候補者や争点に基づいて」投票してきた歴史がある、と語った。

https://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/rngs/USA-ELECTION-LJA/010080QW1G0/ELECTION.png
反トランプ感情が高まっている選挙区では難しいかじ取りが求められる。2016年の大統領選ではランス議員の選挙区で、民主党のヒラリー・クリントン候補が僅差で勝利したが、下院選を争った議員自身は楽勝だった。
今回の下院選では民主党候補に入れる予定だという前出のガライ氏も、大統領に反対する候補者を望んでいる。選挙区民の多くが大統領への不満を共有していると同氏は言う。ただし、多くは党の下院候補に票を投じると同氏はみている。
「『自分は共和党支持者であり、何があろうと民主党候補には絶対に投票しない』と言う人たちがいる」とガライ氏。
共和党を支持する家族に育った同氏は、2016年の大統領選ではクリントン候補に激しく反対した。だが今回、トランプ氏に対する戸惑いから、第3の政党の候補者に投票することにしたという。
今こそ「党より国を優先」し、民主党候補を支持する時だとガライ氏は言う。「異常な時には、異常な措置が必要だ」
(Peter Eisler記者、Jason Lange記者、Sharon Bernstein記者、Tim Reid記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
https://jp.reuters.com/article/special-report-trump-trap-idJPKCN1MM06R


ワールド2018年10月16日 / 18:37 / 4時間前更新
トランプ米大統領、マティス国防長官を「100%支持」
1 分で読む

[ホーチミン市(ベトナム) 16日 ロイター] - マティス米国防長官は、トランプ大統領から全面的に支持していると伝えられたと述べた。大統領はこれより先、CBSの番組でマティス長官が「民主党員のような」人物で、政権を去る可能性があると発言していた。

マティス長官はベトナムに到着する前に記者団に対し、米ワシントンからの機内で大統領と電話で会話したと述べた。「(大統領は)100%支持していると述べた」とし、大統領の番組での発言を一蹴した。

長官は民主党員かどうかとの質問に対しては、民主党員と共和党員のどちらとしても登録したことはなく、「どの政党にも所属したことがない」と明らかにした。

また大統領と辞任について話さなかったとし、 政権から押し出されているとの臆測を否定。「わたしは大統領のチームにいる。わたしたちは辞任について話したことはない。見ての通り(アジアに)向かっている。任務を続けていくだけだ」と語った。

トランプ大統領は14日に放映されたCBS番組の「60ミニッツ」でのインタビューで、マティス氏について「民主党員のような人だと思う」とコメント。「マティス氏は良い人だ。われわれは非常にうまくいっている。彼は去るかもしれない。ある時点で人は去る」と語った。これを受け、マティス氏が政権を離れる準備をしており、来月の中間選挙後にそうする可能性があるとの見方が浮上していた。
https://jp.reuters.com/article/cryptocurrency-japan-idJPKCN1MQ15I
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/289.html

[国際24] EU離脱で英国の魂である医療制度が崩壊も 離脱派が唱えた「医療制度が改善する」はウソだった  メルケル体制崩壊への序曲

EU離脱で英国の魂である医療制度が崩壊も

離脱派が唱えた「医療制度が改善する」はウソだった

ロンドン発 世界の鼓動・胎動
2018年10月17日(水)
伏見 香名子

 来年3月29日に定められた、英国の欧州連合(EU)離脱まで半年を切った。離脱による影響は、EU各国間との関税や、アイルランドとの国境問題など多岐に渡り、今なお政治の現場はもちろん、人々の間でも激しい議論が絶えることはない。しかし、全ての英市民が離脱によって影響を被るのは、何より医療面ではないだろうか。

 英国の医療は、NHSと呼ばれる「国営医療制度」が主体だ。財源は税金であり、英国に居住していれば外国人であっても、患者は基本的に無料で医療が受けられる。(歯科治療は除く)しかし、NHSは慢性的な資金不足に苦しみ、近年の緊縮財政で、更に予算は削られる一方だ。資金難から人件費も削られ、手術を必要とする患者が長期間待たされるなど、深刻な事態に陥っている。

 2年前、EU離脱を問う国民投票の際、離脱派はこうした待ち時間の長さなど、NHSにまつわる問題の多くが、増えすぎた移民のせいだとの主張を連日展開した。真っ赤なキャンペーンバスに「毎週EUに支払う拠出金、3億5千万ポンドをNHSへ」との公約を掲げ、離脱こそがNHSを改善する、と声高に訴えた。

 この主張は、離脱決定直後、離脱派の急先鋒であった、当時の独立党党首によりいともあっさり「確約はできない」と覆されている。だまされた、と感じる英市民は、現在でも少なくはない。

 離脱派の思惑が何であれ、英市民の命を預かるNHS関係者の間には、離脱による深刻な打撃を懸念する声が噴出している。先月15日、離脱に反対するNHS関係者で組織された団体、NHS Against Brexitのイベントが、ロンドン市内で開かれた。


 最前列で熱心に講演者の話に聞き入っていたのは「不安を感じる一市民」としてイベントに参加したマイク・ジョージさん(74歳)だ。ジョージさんは、「NHSは、市民として私たちが得られる唯一の医療サポートです。私たちの面倒を見てくれるものですし、年齢を重ねるごとに、人々にはケアが必要です」と話した。

移民の多くは、NHSで働く医師や看護師たち
 ジョージさんには前立腺関係の疾患があり、現在も経過観察中だ。深刻な状態ではないものの、年齢的に今後健康に何か問題が生じないとは言えない。「離脱は大きな影響をもたらすでしょう。今もすでに、待ち時間や、予約のキャンセルなどで困っています。すでに長い、手術などの待ち時間はより長くなり、離脱後に、状況は悪化するでしょう」と語った。


前立腺関連の疾患があるジョージさん。英国のEU離脱による医療への悪影響を懸念する
 講演者の一人、ロンドンの家庭医(GP)、クレア・ジェラーダさんは、「今日は、市民や専門家に、離脱は私たちの健康に甚大なリスクを及ぼすことを伝えにきました」と話した。

 ジェラーダさんの亡き父は、マルタから医療に従事するため、英国に渡った移民だった。実際、離脱派が敵視した移民の多くは、NHSで働く医師や看護師たちでもあった。

 今はまだ、患者の生死に関わるほどでも、日々の業務に支障を来しているわけでもないとジェラーダさんは語る。しかし、離脱決定による先行きの不透明さや、社会的な分断で居心地の悪さを感じた同僚など、多くの移民が、すでに英国を去る決断をし、英国で医療を学ぶ意思のある学生も、減ってしまったと言う。

 「大きな問題は労働力、研究開発、薬、そして、欧州間での医療情報伝達における協定。大きくはこの4つのリスクでしょう。離脱は私たちの健康と保健サービスに甚大なリスクを伴う、全ての人にとっての惨事です。市民はようやく、離脱によって私たちの医療サービスが被るリスクに、気付き始めていると思います」と話した。

 20年以上、NHSの心療内科医として働いていたリンダ・アンダーソンさん (72歳)は、「当時の同僚たちには移民が多く、地域の診療に非常に貢献してきました。チームにはインドやスペインの医師などがおり、多民族で構成されていました。患者にも移民がおり、自分の状況と共感してくれたり、言語の分かる医療従事者に診てもらいたがっていました」と話した。

 離脱派は、移民が英国社会に対する弊害だと主張したが、アンダーソンさんは否定する。むしろ移民スタッフの全てがNHSに忠実であり、よく働く人たちだったと振り返った。「専門的な技術もNHSに提供してくれました。私たちの国が『外国人恐怖症』と化してしまったこと、そして、欧州の一員ではなくなってしまったことが、とても悲しいです」と肩を落とした。

ガンの検査や治療に必要な放射性物質に供給遅れの懸念
 更に、最近の主要紙がNHS関連で指摘している深刻な問題は、ガンの検査や治療に必要な放射性物質の供給の遅れである。2017年11月、上院の委員会で証言したガン専門医や放射線科医らは現状、100万人近くの患者が利用する放射線療法などが、EUの製造業者に依存すると話した。

 治療に必要な放射性同位体は少しづつ劣化するため、英国が離脱によって欧州原子力共同体・EURATOMからも脱退すれば、輸入に遅れが生じる可能性もあり、発注した物質が治療に使えなくなってしまう危険性も指摘した。

 ジェラーダ医師も懸念を示した。「がん治療において必要な薬を治療に間に合い、効果が出せるよう、税関通過させられるのでしょうか。がん治療薬は、薬によっては移動の早さが決め手となります」

 人・モノ・カネの、自由な移動がもたらした医療への恩恵を奪われる危機感を訴えたのは、ルイーズ・ジェームズさん(40歳)だ。英国西部の港湾都市・ブリストル在住のジェームズさんには3人の子供がおり、8歳のスコット君には、遺伝性の疾患がある。英国では希少疾病であり、当初は診断さえも困難だったと言う。

 てんかんの発作が毎週起きるスコット君だが、X染色体の突然変異が原因であることを突き止めたのは、英国の医療機関ではなく、イタリア・シエナの病院である。このことを可能としたのは、欧州間の医療協力ネットワークだ。

 ヨーロピアン・レファレンス・ネットワーク(ERN)は、EU内において一国では難しい希少疾病専門の診断や治療を、共同で行うことを可能にした組織だ。24のネットワークで小児がんや遺伝性肝臓疾患、心臓疾患など特定のカテゴリーを担当する。今年7月のテレグラフ紙によれば、ERNで指導的立場にあった6人の英国人専門家が、英国のEU離脱を理由にその役割を解かれたという。

 スコット君はNHSの病院で長期間治療を受け、先駆的な研究にも参加したという。母親のルイーズさんは「こうしたプロジェクトによって採取されたスコットのデータや、欧州全土の子供たちから集められたデータは、とても重要なものです。こうしたデータが、スコットの発作を止める薬を探す鍵であったとしたら、と考えます」として、離脱が英国のみならず、欧州各国の子供たちに及ぼす打撃に思いを寄せた。

「亡くなるべきでない人たちが、早期に亡くなるリスクはある」
 このイベントの主催者で、NHS Against Brexitの代表、マイク・ガルスワージーさんは、「こうした混乱に市民は耐えきれず、誤った方向へ向かう離脱ならば、いっそ離脱そのものを止める選択肢を要求して行きます。政府はすでに時間切れ状態にあり、アイデアを出すことができない。こんな状態ではいけません。社会に起こしている様々な現象、特にNHSへの影響を鑑み、今は一旦立ち止まるべきです」と述べた。

 英国民の命を預かるNHSが混乱のただ中にいることで、人々が生命の危機にさらされていると感じるかと問うと、「それはとても劇的な表現ですが、医療に関係することは全て命に関わることです。それまで存在した人員を補充できなければ、看護師(1人)に対する患者数の比率が上がり、亡くなるべきでない人たちが、早期に亡くなるリスクはあります」と答えた。

 ガルスワージーさんは「NHSは英国人にとって、第2次世界大戦後から互いを助け合って来た、英国人の精神そのものです。今後民営化され、離脱後の米国との貿易協定などによって、海外の民間医療企業が進出してくるならば、自分たちのNHSは破壊され、国の精神や、魂が奪われてしまう」と、抵抗感を語った。

「NHSは英国人にとって、大きな意味があります。EUやNATOなど、国際的な条約ができる以前から存続するものです。全ての人が資金を投じ、一人一人が病に倒れたなら、病院で即治療を受けることができる。民営化せずに、質の高い医療システムが提供される。このことに、私たちは誇りを持っています」

 筆者は英国に暮らし始めて13年が経つ。フリーとなり、駐在員用の保険が使えなくなったことで、NHSを利用し始めたこの5年は率直に言って、医療機関との悶着の絶えない日々でもある。

 プライベート保険で病院に通っていた頃ポリープが見つかり、摘出手術後に再発の可能性があるとのことで、医師により定期的な検査を勧められた。その間フリーになり、NHSで検査を依頼したのは2014年の秋であったが、手術にこぎつけたのは、実に去年(2017年)5月のことである。

 その間、3度の超音波検査を経て、ポリープの存在を確認したとのことで内視鏡検査に挑んだところ、「何も見当たらない」との診断を受けた。納得が行かず、しばらく時間を置いてから再検査に行ったところ、やはり超音波検査でポリープありとの診断であった。

 やっとこぎつけた手術当日、手術着に着替えて待っていると、医師の一人がカルテを片手に不思議そうな表情で「今日は、何の処置で来院したのか教えて欲しい。こちらのデータに見当たらない」と問いかけてきた。そんなはずはないので、調べてくれと頼むと、しばらくの後「今日はポリープの処置ですね」と確認された。

 手術後、全身麻酔から覚めると、今度は別の医師から「やはり何も見つからなかった」と通告された。しかし、奇妙なことに、その後GP(家庭医)に届いた病院からの手紙には「摘出手術は成功した」と明記されていた。そう明言されてしまっては確認のしようもなく、真偽の程は、未だ不明である。

 またある時は、異常な高血圧で救急隊から「即座に救急車で病院へ」と勧められて病院に行ったところ、着いた頃には血圧が下がっていたとして、救急医から「なんでもないことで救急車を使うな」と、いきなり罵られたこともある。

 さらに、激痛を伴う原因不明の頭痛で医師にかかった際は、GPが「至急」と依頼したにも関わらず、受診から3週間後に書面で「あなたのMRI検査は今から3ヶ月後」と通達された。即日、日本への帰国便を予約し、実費で脳ドックを受診した。

 現状、この5年間NHSにかかって治癒された病気は、ほぼ全くない。自分の生命力の強さと、日本から持ち帰った薬にのみ頼る日々である。

 英国在住の日本人の知人らの間では「英国で人口爆発が起こらないのは、このいい加減な医療のおかげで、適当に人口が淘汰されるからではないか」と言う、笑えない冗談が飛び交ったこともある。

 こうした実体験から、筆者は現在、老後を英国で暮らすことは一切考えていない。お世辞にも先進国レベルの医療サービスとは言えないシステムに、老後の健康を委ねることは、恐ろしくてできないからである。

 しかし、先に述べた、超音波検査や内視鏡検査、手術までも、医療サービスの全てが無料であったことは、特筆すべきことであろう。医療費を払えない低所得層の人たちや、移民、難民の人たちでも利用できる制度は、いかなる社会的弱者をも取り残さないという、英国の人たちにとっての誇りであり、「魂」なのだろう。

 また、NHSの存続云々はもとより、英国のみならず、欧州全土で幼いスコット君のような子供たちが、大人の勝手な政治的意図によって、治癒の機会を奪われてしまうことには、許しがたい思いが募る。

 EU離脱後も、英国の人たちの健康と魂が、人々の納得の行く形で守られることを祈るばかりである。


このコラムについて
ロンドン発 世界の鼓動・胎動
人種や宗教など、極めて多様性に富む都市、ロンドン。現地のフリーTVディレクター、伏見香名子氏が、ロンドンから世界の「鼓動」を聞き、これから生まれそうな「胎動」をキャッチする。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/100500021/101100025/


 


メルケル体制崩壊への序曲

バイエルン州議会選挙でCSU大敗


熊谷徹のヨーロッパ通信
2018年10月17日(水)
熊谷 徹

 10月14日にドイツ南部バイエルン州で行われた州議会選挙で、与党キリスト教社会同盟(CSU)が予想通り大敗した。CSUはアンゲラ・メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)の姉妹政党として大連立政権の一翼を担っている。それだけにCSUの敗北はメルケル首相の政権運営を一段と困難にする。ドイツの政界では「メルケル首相の時代は終わった」という言葉が囁かれている。

CSUが単独過半数を失う
 選挙管理委員会が10月14日に発表した開票結果によると、CSUの得票率は前回の選挙に比べて10.4ポイント減って37.2%となった。また社会民主党(SPD)も得票率を10.9ポイント減らし9.7%となった。逆に右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は10.2%の得票率を記録して、バイエルン州議会に初めて議席を持つことになった。また緑の党は前回に比べて8.9ポイント多い17.5%の得票率を記録し、CSUに次ぐ第2党となった。


ミュンヘン市内で見かけたAfDのポスターには、何者かが傷をつけていた。(撮影=熊谷 徹)
 CSUは単独で議席の過半数を占めることができなくなったため、緑の党もしくは第3党の地域政党「自由な有権者(フライエ・ヴェーラー=FW)」と連立政権を組まなくてはならない。


単独過半数を失ったCSUは緑の党などと連立交渉を開始しなくてはならない。写真はバイエルン州政府庁舎。(撮影=熊谷 徹)
 CSUの大敗は予想されていた。公共放送局ARDが10月4日に発表した支持率調査で、CSUの支持率は33%と史上最低の水準に落ち込んでいたからである。また昨年9月に行われた連邦議会選挙でも、CSUのバイエルン州での得票率は前回に比べて約11ポイントも下がって38.8%になっていた。

難民政策に対する不満の高まり
 CSUが大敗した原因は何か。その責任の大半は、バイエルン州政府のマルクス・ゼーダー首相ではなく、メルケル政権で連邦内務大臣を務めるホルスト・ゼーホーファーCSU党首にある。つまり連邦レベルの政治への有権者の不満が、CSUを直撃した。

 一言でいえば、ゼーホーファー氏はAfDに奪われた保守層の票を取り戻すために、右派ポピュリストの路線を真似ようとしたが、結局ポピュリストになり切れなかったのだ。その結果、多数のCSU支持者の票がAfDに流れた。世論調査機関インフラテスト・ディマップの調査によると、CSUからAfDに鞍替えした有権者の数は約18万人にのぼる。

 保守の牙城バイエルン州では、2015年9月にメルケル政権が約100万人のシリア難民を受け入れたことについて、市民の不満が強かった。バイエルン州はドイツで最も南に位置するため、ハンガリーやオーストリア経由で欧州を目指す難民が最初に到着する。メルケル首相がブダペストで立ち往生していたシリア難民にドイツでの亡命申請を許すという超法規的措置を発表すると、ミュンヘン中央駅には毎日2万人もの難民が列車で到着した。

 バイエルン州の多くの地方自治体は、州政府から難民たちを配分されて、短時間のうちに体育館などに収容施設を作らなければならなかった。多くの首長が州政府に対して「もはや難民を受け入れるのは不可能だ。なぜ国境を開放したのだ」と詰め寄った。

 農村部では「難民の数が増えて以来、暴行されるドイツ人女性の数が増えた」という噂が広がった。ティーンエージャーの娘を持つ私の知人は筆者に、「娘が学校に行くために、アフリカからの難民たちがたむろしている仮設住宅の前を通り過ぎるのは心配でたまらない」と語った。

 メルケル首相が取った難民政策は、右翼政党AfDにとってまたとない追い風となった。同党は2013年に経済学者らが反ユーロ政党として創設した。その後、年々、ネオナチに近い人種差別主義者たちが主導権を握るようになった。メルケル首相が2015年9月に決断した難民受け入れは、この党に共感する市民の数を爆発的に増やした。

 AfDはツイッターやフェイスブックを駆使して、難民に対する不安を煽るメッセージを流し続けた。さらに「ナイフの移民(Messermigration)」という新語を作り、難民がナイフでドイツ人を殺傷するという不安を煽り立てた。CSU保守層の目には、メルケル首相の政策は緑の党並みに「左傾化」しており、ドイツ固有の文化を侵食する路線と映った。

 したがってAfDにとって、メルケル政権に疎外感を抱く保守層の票を切り崩すのは容易なことだった。

経済ではなくアイデンティティーの危機
 保守層がAfDになびくのは、経済問題のためではない。バイエルン州はドイツで最も裕福な州の一つだ。2018年9月の失業率は2.8%と全国で最も低い。多くの企業が人手不足に苦しんでいる。大卒でスキルを持つ人材は、ほぼ完全雇用状態である。ケルンのドイツ経済研究所(IW)によると、2015年のバイエルン州の勤労者の平均月収は全国16州の中で2番目に高かった。ドイツ株価指数市場(DAX)に上場している大企業30社のうち、7社がバイエルン州に本社を置く。バイエルン州の国内総生産は、約6000億ユーロ(約78兆円)に達する。

 好景気にもかかわらずドイツ人の有権者は、この国の政治について漠然とした不安を抱いている。ドイツのアレンスバッハ人口動態研究所が発表した世論調査によると、「難民をめぐる状況に不安を抱いている」と答えた回答者の比率は47%。1年前に比べて15ポイントも増加した。

 また「政治は何一つ前進していない」と答えた回答者の比率は64%、「不法な移民の流入に対して、国境を効果的に守る手立てはない」と答えた市民は54%にのぼっている。回答者の80%が、「国境での入国検査をもっと効果的に行うべきだ」と訴える。つまり多くの市民は、政府が厳密なコントロールを行わないまま難民がドイツに入国することによって、この国の秩序やドイツのアイデンティティーが侵されることに危惧を抱いているのだ。

 1978年から10年間にわたりバイエルン州の首相を務めたフランツ・ヨーゼフ・シュトラウス氏は、「ドイツではCSUよりも右に位置する政党を作らせてはならない」と述べたことがある。AfDの躍進はシュトラウス氏の危惧が現実化したことを物語っている。

CDUと同じ穴の狢と見られたCSU
 バイエルン州の地元政党CSUの悲劇は、CDUの姉妹政党としてしか中央政界で活躍できないことだ。CDU・CSUは連邦議会で共同会派を作っている。CDUはバイエルン州の連邦議会選挙区に候補者を立てない代わりに、CSUはバイエルン州以外の地域では連邦議会選挙の候補者を立てない。したがってCSUはCDUと共同歩調を組むことによってしか、中央政界で権力の座につくことができない。

 このためメルケル首相が進める政策に批判的な保守層は、「CSUもCDUと同じ穴の狢(むじな)」と考えてきた。いわばCSUはメルケル首相が進める難民政策のとばっちりを受けたのだ。AfDは2017年9月の総選挙前に「ゼーホーファーに票を投じる者は、メルケルをも選ぶ」と書いたポスターをバイエルン州で掲げていた。そこには、ゼーホーファー氏とメルケル氏が恋人のように熱烈に抱擁し合うイラストが描かれていた。

CSUのメルケル批判
 もちろんCSUは、「メルケル体制」から距離を置こうと努めてきた。たとえばCSUは大連立政権の中でメルケル首相が取り組む難民政策に最も批判的な立場を貫いてきた。ゼーホーファー氏は2015年9月にメルケル首相が難民受け入れを発表すると、「これは大きな過ちだ」として公に批判。同首相に対し1年間の難民受け入れ数を20万人に制限するように要求した。(メルケル首相は上限という言葉を使わなかったが、20万人前後を目安とするという表現で、ゼーホーファー氏の要求を受け入れた)。

 今日ではメルケル首相とゼーホーファー氏の関係は、「仇敵」の間柄と言っても過言ではない。

 メルケル首相とゼーホーファー氏の関係が決定的に悪化したのは、2015年11月20日のCSU党大会だった。当時ドイツでは、同年9月にドイツに押し寄せた多数のシリア難民の受け入れについて激しい議論が戦わされていた。

 この党大会でゼーホーファー氏はビデオカメラが回っている中、メルケル首相を15分間にわたり壇上で自分の隣に立たせたまま、彼女の難民政策を批判した。その模様は、教師が素行の悪い生徒を自分の前に立たせて説教をしているシーンを連想させた。州政府の首相が、連邦政府首相を叱りつける様子は、テレビによって全国に流された。

 メルケル首相は壇上でゼーホーファー氏に反論しなかった。しかし彼女は表情を石のようにこわばらせ、時折口をへの字に折り曲げていた。同首相が心の中で怒りを煮えたぎらせていたことは明らかだ。

 もしもメルケル首相がこの時ゼーホーファー氏に反論していたら、メディアが「難民問題をめぐって連立政権内で深刻な対立」と書き立て、政局運営に悪影響が及んだに違いない。メルケル氏は感情を表に出さないポーカーフェイスが得意な政治家として知られる。その能力をフルに発揮してゼーホーファー氏からの侮辱に耐えた。だが両者の間の亀裂は、この時修復不能の状態に陥った。

 昨年9月の連邦議会選挙でCSUの得票率が激減して以降、ゼーホーファー党首はAfDに似た発言を繰り返すようになった。右派ポピュリスト的な路線を打ち出すことによって、AfDに奪われた有権者を取り戻すためである。たとえば彼は今年3月15日に大衆紙「ビルト」とのインタビューで「ドイツはキリスト教の伝統を持つ国であり、イスラム教はドイツには属さない。もちろんドイツに住むイスラム教徒はこの国に属しているが、彼らに配慮してドイツの慣習や伝統を放棄するべきではない」と語った。

 これは、「イスラム教はドイツの憲法や文化と相容れない」というAfDの主張に酷似している。さらに、メルケル首相が総選挙前に行ったインタビューの中で打ち出した「イスラム教はドイツの一部だ」というコメントを真っ向から否定するものだった。

 また連邦内務相でもあるゼーホーファー氏は、今年7月に69歳の誕生日を迎えた時に、記者団の前で「今日ドイツから69人の難民を外国へ強制送還した。もちろん私の誕生日に合わせて命令したものではない」という、趣味の悪い軽口を叩いてメディアから批判された。この時送還された1人であるアフガニスタン人は、現地に到着した後自殺している。

 また、連邦内務大臣でもあるゼーホーファー氏は今年6月に「EUの他の国で登録された難民がドイツに入国しようとした場合、国境で入国を拒否する」と一方的に発表し、メルケル首相と全面的に対立した。通常CDUとCSUの議員たちは、連邦議会で合同で打ち合わせを行うが、この時には別々の会議室で打ち合わせを行うほど、両党の間の亀裂は深まった。ゼーホーファー氏はCSU内部の会議で「もうこの女と一緒に働くことはできない」と語った。別のCSU幹部は「メルケルはやめるべきだ」と言った。

 これに対しメルケル首相が「内務大臣が私の指示に従わない場合には、首相の指導権限を行使する」として罷免の可能性をちらつかせるなど両者の対立はエスカレートし、大連立政権は空中分解の瀬戸際に追い詰められた。

右派ポピュリストになり切れなかったゼーホーファー
 ゼーホーファー氏は、メルケル首相と一線を画し「ドイツのアイデンティティーを守る」と有権者に約束した。だが彼にはメルケル首相と袂を分かち、大連立政権を崩壊させるまでの胆力はなかった。たとえば今年6月、難民の入国拒否をめぐってメルケル首相と対立した時、「私の要求が受け入れられない場合には、内務大臣を辞任する」とまで啖呵を切ったものの、結局はメルケル首相の妥協案を受け入れて、内相の座に留まった。結局CSUはCDUの袖にすがらなければ、中央政界で発言力を持つことはできないのだ。

 つまり多くのCSU支持者は、「ゼーホーファー氏はメルケル首相を口では批判するが、CDUとCSUの関係を割るだけの度胸はない。実行が伴わない」と判断したのだ。ゼーホーファー氏はメルケル首相から距離を置くことに失敗した。さらにCSU内部の中道勢力は、ゼーホーファー氏があからさまにAfDに似た発言を繰り返すことに、反発した。前回の選挙でCSUに投票した有権者のうち、今回、緑の党に鞍替えした人々の数は18万人にのぼる。つまりCSUは保守派からも中道勢力からもそっぽを向かれた。そのことが10月14日の大敗につながった。


CSUの選挙ポスターにはゼーダ―州首相の写真だけが使われ、不評だったゼーホーファー党首の写真は使われなかった。(撮影=熊谷 徹)
腹心カウダー院内総務を失ったメルケル
 メルケル政権は今年3月に発足して以来、失点が続いている。とりわけ「メルケル時代の終焉」を国民に強く印象づけたのが、連邦議会でCDU・CSUの会派を13年間にわたって率いたフォルカー・カウダー院内総務の失脚だ。

 CDU・CSUの議員たちは9月25日の投票でそれまで副院内総務だったラルフ・ブリンクハウス氏を会派のトップに選び、カウダー氏を落選させた。院内総務の役職は、CDU・CSUでは党首つまり首相に次いで重要なポストだ。院内総務は、政府が法案を議会でスムーズに可決できるように議員たちを統率する。

 カウダー氏はメルケル首相の右腕とされ、時には強引なやり方で首相の意向を連邦議会の会派に徹底させていた。彼はしばしば議員の90%の票を集めて、院内総務に選ばれていた。メルケル首相やゼーホーファー氏も、カウダー氏を推していた。ベルリンで政局を観察しているドイツの政治記者たちの中にも、カウダー落選を予想する者はほとんどいなかった。

 だがCDU・CSUの議員たちの間では支持率の低下とAfDの躍進について危機感が強まっていた。

 ドイツの公共放送局ARDは9月21日、政党支持率に関する世論調査結果を発表し、「初めてAfDへの支持率(18%)が社会民主党(SPD)への支持率(17%)を上回り、AfDはCDU・CSU(キリスト教社会同盟)に次ぐ第2党になった。もし今総選挙が行われたら、政権与党は過半数を取れない」と報じた。

 CDU・CSUの議員たちは地元に帰るたびに、草の根の党員たちの間に政権に対する不満が募っているのを感じていた。特に若手議員たちは「CDU・CSUから会派を変えなくてはならない」という機運が強まった。

 その中でブリンクハウス氏は、院内総務選挙に立候補した後「これまでCDU・CSU会派は首相の意向を忠実に実行するだけの道具になり下がっていた。今後は会派も独自の意見を持ち、時には首相の路線にノーというべきだ」と述べて議員たちの心をつかんだ。ブリンクハウス氏は経済問題に精通した政治家で、2016年に欧州中央銀行の金融緩和政策を批判したことがある。だがこれまでほとんど注目されたことがない。つまりほぼ無名だった議員によって、メルケル政権を支える影の黒幕が政治の表舞台から追い落とされたのだ。

 カウダー氏落選は、メルケル首相にとって手痛い敗北だった。今後はCDU・CSU会派の意見の調整がこれまでよりも難しくなるからだ。

連邦憲法擁護庁の人事をめぐる不祥事
 大連立政権の「金属疲労」を象徴する出来事はカウダー落選だけではない。今年8月下旬には旧東独のケムニッツで、難民による殺人に抗議するデモが行われ、ネオナチなど一部の参加者が暴徒化して外国人を追いかけたり、ユダヤ・レストランに投石したりした。メルケル首相は外国人がドイツ人に追いかけられる映像について、「ドイツでこのような事態は絶対に起きてはならない」と強く批判した。

 だが連邦憲法擁護庁の長官だったハンス・ゲオルク・マーセン氏は、この映像について「捜査を撹乱するために偽造された可能性がある」と信憑性に疑問を投げかける発言をし、極右勢力を擁護しているかのような印象を与えた。マーセン氏はメルケル首相の難民政策に批判的な意見を持っていた。

 ゼーホーファー内相はマーセン氏を憲法擁護庁長官のポストから外して内務次官の役職を与えることを提案。メルケル首相も提案を承認した。だが内務次官の給与は憲法擁護庁長官よりも高いために、これは事実上の「昇進」だった。ネオナチを擁護するような発言をした官僚が給料を増額してもらえるというわけだ。ゼーホーファー内相のこの提案に、メディア、社会民主党や国民から激しい抗議の声が上がった。メルケル氏もやむなく承認を取り消して、マーセン氏を給与が同額の内務省顧問のポストに付けることを決めた。

 この後メルケル首相は、「市民の常識に反する決定をしてしまった」と述べ判断を誤ったことについて謝罪した。首相が自分の判断ミスについて、公に謝罪するのは珍しい。

焦点は12月のCDU党大会
 10月28日には、ヘッセン州で州議会選挙が行われる。ここでCDUが大敗した場合、メルケル首相の党首辞任を求める声が上がる可能性が高い。CDUの党員たちは今年12月に行われるCDUの党大会でどのような判断を下すだろうか。

 ヨーロッパで最も経験が豊富な首相に、黄昏の時が迫りつつある。イタリア発のユーロ危機再燃の兆しが強まる中、ドイツのベテラン政治家が失脚することは、EU全体にとっても都合が悪いタイミングである。


このコラムについて
熊谷徹のヨーロッパ通信
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/219486/101500048


 


http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/291.html

[経世済民128] 215兆円もの個人資産が凍結も、高齢者を抱えた経済の山くだり 景気の転換点は遠くない 世界経済はサイクル後期、悲観強まる
215兆円もの個人資産が凍結も、高齢者を抱えた経済の山くだり
萩原ゆき、竹生悠子
2018年10月17日 5:00 JST
• 認知症患者の資産は30年度に215兆円、証券市場に資金回らなくなる
• 高齢化社会に入る覚悟の共有をー三菱UFJ信託銀行の石崎氏
急速に高齢化が進む日本で、十数年後には高齢者に偏った約215兆円もの個人資産が凍結状態となるかもしれない。認知症の増加に伴い本人の意思確認が難しくなり、預貯金や有価証券などの資産を動かせなくなる恐れがあるためだ。危機感を持つ金融機関は、経済や株式市場への影響を回避する手立てを模索し始めている。
  「ものすごく経済にインパクトを与えることになる」。慶応大学経済学部の駒村康平教授は、このまま手を打たずにいると貨幣の退蔵率が上昇し、消費だけでなく証券市場に資金が回らなくなると述べた。第一生命経済研究所は、認知症患者の保有金融資産は2017年度末で143兆円、30年度には家計資産の1割にあたる215兆円になると試算。また、みずほ総合研究所は2035年には有価証券の5割、金融資産の4割を70歳以上が保有すると推計している。

  1950年に60歳前後だった平均寿命は昨年、男性で81歳、女性で87歳に伸びた。5000万円超の家計資産保有者の69%が60歳代以上となる中、2022年以降は団塊世代が75歳以上に達し始め認知症有病率の上昇も見込まれている。次世代に相続するまでの20年から30年の間、財・サービスに対する貨幣が希少になると、物価下落(デフレ)につながることも懸念される。
  米国では金融分野における高齢者の行動などを考察する「金融ジェロントロジー」の研究が盛んだが、日本では慶応大学などを中心に始まったばかり。同大学と共同で高齢者への対応に向けた取り組みが、金融機関の間で動き始めた。
問われる高齢者対応
  田中淑子さん(83歳)は、20年前に夫を亡くして以来、外貨建て商品や新興国債券の運用をしてきた。息子に少しでも多くを残すためにと新たな投資を望むが、証券会社からリスクのある商品は紹介できないと断られた。「年寄りだからボケていると思われている」と田中さんは憤りを隠さない。長く貯めてきた財産を自分で管理できないのは、「生きる権利の侵害にあたる」と感じている。

現金を引き出す高齢者
Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg
  高齢者は、話し相手の説明に行動が左右され、意思決定を先送りにするなど判断能力が衰えがちとされている。金融庁は13年、高齢者への金融商品販売の監督を強化。同年、日本証券業協会は複雑な仕組みの金融商品販売には、75歳以上の顧客で役職者の事前承認の義務付けを、80歳以上は受注を勧誘の翌日以降にして担当者が会話内容を録音・保存することなどを定めた。
  国内証券最大手、野村ホールディングスは高齢者対応をもう一歩進める道を選んだ。野村証券の山賀賢司営業企画部長は、顧客の高齢化が進み対応が必須となる中、受け答えがしっかりしているからといって「専門的な見地から正しく判断できているか」と自問自答。16年に慶応大学と金融ジェロントロジーの共同研究を始めた。
  研究で得られた知見を現場にフィードバックする一環として、同社は今年4月までに高齢顧客専門員180人を全国ほぼ全ての支店に配置。経済、医学、心理学、法律の知識を身に付けてもらい、1日に会う顧客人数など営業目標を課さない体制とした。その結果、本来30分で終わる話が2時間になったとしても、じっくりと耳を傾けるようになったという。
  
  コストに見合わない手厚い体制ではあるが、山賀氏は20年後に次世代への相続が発生したとき、今のままでは「野村証券から資金が流出する一方になる」と危惧。世代を超えた利用を続けてもらうには、「高齢者本人の安心も、ご家族から見た野村証券の安心も重要になってくる」と家族を含めた関係構築が重要になってくるとの見方を示した。
覚悟の共有
  三菱UFJ信託銀行は、認知症に備えて有料老人ホーム入居金や高額医療費以外の使途には使えない解約制限付き信託「みらいのまもり」など複数の商品を開発してきた。信託スキームを使うことで、必要な資金を預金で眠らせずに活用することが可能になり、駒村教授も対応策の一つと期待を寄せている。
  同行は今年2月、慶応大と金融ジェロントロジーの共同研究を開始。信託としての解決策を模索すると同時に、同大学生への講義を始めた。今年6月の講義では同行の石崎浩二執行役員が登壇。22年には独居世帯が3分の1を占め、39年には火葬場が不足するなど日本の未来を語りかけた。これから社会で大きな役割を担う若者と「高齢化社会に入る覚悟を共有する必要がある」との思いからだ。
  国内の同研究を牽引する駒村教授も、企業の個別対応には限界があるとみている。日本経済は大勢の高齢者を抱えた「山くだり」を始めているのに成長幻想を捨てられていないと批判。日本の長期債務残高である「1000兆円もの重荷を背負っての下山は足を滑らす危険もある」として、政府の経済政策見直しを含めた社会全体としての取り組みが必要だと述べた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-16/PGPPZF6S972A01

景気の転換点は遠くない、設備投資の強さは悪材料−早川元日銀理事
日高正裕、藤岡徹
2018年10月17日 10:00 JST
来年か再来年のどこかが景気転換期と考えるのが自然だ
景気後退期直前の強い設備投資、失敗することはほぼ間違いない

日本銀行元理事の早川英男氏 Photographer: Tomohiro Ohsumi
日本銀行元理事の早川英男氏は、来年初めに戦後最長となる景気拡大が転換点を迎える時期は遠くないとした上で、最近の設備投資の強さは「悪いニュースだ」との見方を示した。

  早川氏は16日のインタビューで、来年10月の消費増税や2020年夏の東京オリンピック終了に伴い、「来年か再来年のどこかが景気転換期と考えるのが自然だ」と語った。設備投資計画は「近年まれに見る強さ」だが、景気後退期直前の強い設備投資は、過剰設備となるため失敗することはほぼ間違いないと説明した。

  企業短期経済観測調査(短観、9月調査)で全規模・全産業の設備投資計画は前年比8.5%増と9月調査としてはバブルのピークだった1990年度以来の伸びになった。早川氏によると、バブル景気の下でも拡大局面末期に設備投資が爆発的に増加し、後に雇用、債務と並ぶ3つの過剰の一つになった。

  7月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、設備投資の過熱度合いを示す「資本ストック循環図」が削除された。早川氏は「異常に強いので将来大きく落ちることを意味する絵になったはずだ。掲載すると具合が悪いので削ったのだろう」と推測する。

  日銀広報課は「個別の図表に逐一コメントすることは差し控えるが、展望リポートでは最も適切な図表を毎回使っている」と回答した。

  黒田総裁は2013年4月、2年で2%の物価目標達成を掲げ異次元緩和に踏み切ったが、5年半たった今も達成の見通しは立っていない。金利も上げることができず、1990年代後半の金融危機時や2000年代後半のリーマン危機時ですら0.5%あった政策金利は、今はマイナス0.1%だ。

  早川氏は「最大の問題は景気後退が来た時、何ができるかだが、金融政策は手がない。結局、元の木阿弥(もくあみ)よりひどい」と語る。

副作用
  景気後退になれば金融面の副作用が一気に表面化する恐れもある。倒産が増加した場合、金融機関が積み立てる貸倒引当金が増加するためだ。早川氏は「たくさんの銀行で簡単に赤字になる」と指摘し、「金融システムに対する信頼感がかなり揺らぐ可能性があり、日銀の責任だと言われる」と述べた。

  早川氏は、好調な米国経済も来年は減税効果が息切れし、貿易摩擦の悪影響も出てくると分析。賃金や物価が徐々に上昇する中、原油高や関税による消費財の値上がりが加わり、米国経済も「20年くらいが危ない」とみる。

  景気後退時までに米国は3%超まで政策金利を引き上げるとみられる一方で、日本は引き続きゼロ金利のため、米国が金利を引き下げた場合、日本との金利差縮小で「常識的に考えると相当円高になる」と指摘。為替相場は円安水準で推移してきており、反動で「80円台くらいになっても全然おかしくない」と話した。

  早川氏は東大経済学部を卒業後、1977年に日銀に入行し、理事や調査統計局長を歴任した。2013年4月に富士通総研経済研究所に入社、エグゼクティブ・フェローを務める。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-17/PGOJKC6JTSE901?srnd=cojp-v2


 


世界経済はサイクル後期、投資家の悲観強まる−メリルリンチ調査
Luke Kawa
2018年10月16日 23:46 JST
• ファンドマネジャーの85%、見通しを悲観ー調査開始以来の最高
• 世界の株式市場では日本を最も選好、前月は米国ファーストだった
貿易を巡る緊張が高まり、株式市場の動揺にも構わず米連邦公開市場委員会(FOMC)が金融引き締めを継続するとの見方が広がる中、投資家の間では世界経済に対する悲観が強まっている。
  バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチがまとめた10月調査によれば、長期にわたる景気拡大が終わりを迎えるとして、ファンドマネジャーらは世界経済への弱気な見方から現金留保を強めている。世界経済がサイクルの後期にあるとの回答したファンドマネジャーの比率は85%と、調査開始以来の最高を記録。これまで最高だった2007年12月を11ポイント上回った。
  メリルの最高投資ストラテジスト、マイケル・ハートネット氏はリポートで、「世界経済の成長に対し、投資家は弱気になっている」と指摘した。

  経済成長ペースが今後1年で減速するとみる投資家の数は、そうではないとみる投資家の数を38ポイント上回り、2008年11月以来で最大の開きとなった。
  一方で、量的引き締めが市場にとって最大のテールリスクだと回答したファンドマネジャーの比率は31%と、前回調査の2倍を上回った。貿易戦争が主な懸念要因だとの見方も変わっていない。
  ハートネット氏は米金融当局による引き締めが「米国での希望を薄れさせている」と指摘。10−12月の株式市場では上昇局面で売りを出すよう、投資家に勧めている。BofAの調査によれば、利上げ局面が終わるまでにS&P500種株価指数は少なくとも2500に下げると大多数が予想している。言い換えればパウエル・プット発動を期待するには、さらに9%の下げが必要ということになる。
  11月の米中間選挙で民主党が上下両院の過半数を奪回する事態となれば、S&P500種にはマイナスに作用とすると、59%がこの調査で回答した。
   世界の株式市場の中で、9月には米国に重点的に投資する「米国ファースト」トレードとなっていたが、今月は転じて日本を最も選好している。
原題:Investors Fretting Fed Error Most Bearish on Economy Since Crash(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-16/PGP1806JIJV901?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/837.html

[国際24] 中国地方政府の簿外債務、約650兆円以上の公算 米国は中国封じ込めを望まずーマティス長官 中国は米国の選挙に干渉できるか
中国地方政府の簿外債務、約650兆円以上の公算
Eric Lam
2018年10月16日 17:57 JST
• 「想定される債務総額は巨大なクレジットリスクを伴う氷山」
• 累積債務の多くは地方政府の資金調達事業体に関連

Visitors walk through a gate inside the Palace Museum at the Forbidden City in Beijing,Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
中国の地方政府は累積で総計40兆元(約650兆円)以上の簿外債務を抱えている可能性があり、デフォルト(債務不履行)増加が示唆されるとS&Pグローバル・レーティングが指摘した。
  呂嵐氏らS&Pのクレジットアナリストは16日のリポートで、「想定される債務総額は巨大なクレジットリスクを伴う氷山」だと記した。その上で、累積債務の多くは地方政府の資金調達事業体に関連しており、地方政府そのものがこうした債務の返済義務を負っていることを必ずしも意味するものではないと説明した。
Record Defaults
Missed bond repayments in 2018 have already surpassed previous highs

Source: Bloomberg
原題:China May Have $5.8 Trillion Hidden Debt With ‘Titanic’ Risk (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-16/PGOO626JIJUO01

 

米国は中国封じ込めを望まず、可能な限り協力−マティス長官
Bloomberg News
2018年10月16日 13:27 JST 更新日時 2018年10月16日 16:22 JST
2つの太平洋国家だ。時には互いを不快にさせることもあるだろう
生産的に米中関係を進めるやり方を見いだす必要がある
米国は中国封じ込めを望んでおらず、中国側と可能な限り協力しているとマティス米国防長官が15日、ベトナムへ向かう機内で記者団に述べた。


マティス長官撮影:大隅智広/ブルームバーグ
  同長官は「われわれが中国を封じ込めようとはしていないことは明白だ」と言明した上で、「公平性と互恵性、主権の尊重を基礎とする中国との関係をわれわれは求めている」と語った。

  米政府は北朝鮮や国連に関する問題で中国と協力しているとも指摘。米中は「2つの大国であり、2つの太平洋国家だ。時には互いを不快にさせることもあるだろうが、生産的に両国関係を進めるやり方を見いだす必要がある」と述べた。

  マティス長官は東南アジア諸国連合(ASEAN)がシンガポールで開催する国防相会議に参加する予定となっており、そこで中国高官と接触する可能性もある。

  米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は1日、10月半ばに北京で予定されていたマティス長官との安全保障に関するハイレベル協議を中国が取りやめたと報じていた。

  ペンス米副大統領は4日、ワシントンのハドソン研究所で演説し、中国は米国の世論操作を目的にスパイや関税、強硬措置、宣伝工作など「政府ぐるみの取り組み」に従事していると非難した。

Daybreak: Asia." (Source: Bloomberg)
原題:Mattis Says U.S. Is ‘Obviously’ Not Out to Contain China (1)(抜粋)

(最終段落を追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-16/PGPPZF6S972A01


 

本当に中国は米国の選挙に干渉できるのか
米副大統領ペンスの演説を読み解く
中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス


2018年10月17日(水)
福島 香織


対中国施策について講演するペンス米副大統領。2018年10月4日撮影(写真:AFP/アフロ)
 10月4日にハドソン・インスティテュートで米副大統領ペンスの演説は、中国に対する「最後通牒」あるいは「宣戦布告」、「新冷戦の火ぶたを切った」といった形容詞で報じられ、世界に衝撃を与えた。全文もネット上で出ているので熟読した人も多かろう。この演説を読む限り、米国は本気で中国を叩き潰そうとしている、と理解すべきだろう。ペンス個人の考えではなく、現トランプ政権、共和党政権の総意ということだ。この演説の中身がさほど突飛なものでないことは、拙コラム欄を読んできた読者諸氏にはわかってもらえるだろう。

 ペンス演説の中身と論評は、すでに各メディアで詳細に取り上げられているので、ここで改めて紹介することはしないが、以下のくだりは多くの人がより詳細を知りたいテーマではないだろうか。「中国が2018年の中間選挙および2020年の大統領選挙に干渉をしようと、対米世論工作を始めている」という部分だ。本当に中国は米国の選挙に干渉できるのか、する実力があるのか。

 このくだりを聞いたとき思い出したのが、ちょうど私が夏前に中国側消息筋から聞いた話だ。

 6月ごろ、習近平政権は対米政策において“読み間違え”があったことを認め、対米工作の方針を変えたという情報だ。それまでは、トランプと共和党エスタブリッシュメントは一枚岩ではなく、中国の対米工作は、トランプおよびトランプ・ファミリーに対する懐柔工作に重点を置いていた。習近平サイドの当初の見立ては、共和党の対中観は相当厳しいが、トランプはビジネスマンであり目先の利益で対中姿勢を変えうる。だからトランプが大統領任期を終えた後も続く中国市場における個人的利益をちらつかせれば、トランプやイヴァンカ・クシュナーファミリーに対する長期的利益を約束すれば、トランプとは最終的に貿易戦争においても妥協点を見いだせる、と考えていたのだ。重要なのはトランプとトランプ・ファミリーの心をつかむこと、だと。

 トランプの対中強硬姿勢は、中間選挙前のパフォーマンスであり、中間選挙までの我慢であると、考えていたのだ。

誤った習政権の見立て
 ところがその習近平政権の見立てが崩れているということが徐々に明白になった。米国は中国の台頭を完膚なきまでに叩きつぶすつもりであり、それは共和党政権の総意である、と。シャングリラ会議におけるマティス演説、イヴァンカ・ブランド閉鎖、米朝首脳会談、その直後の米国側からの関税引き上げ……。どう考えても米国は妥協する余地をもっていない。妥協点はおそらく中国製造2025や一帯一路戦略の撤回といった習近平政権の存続を許さないレベルの高さになる。党内においても、対米政策の失策の責任を習近平やそのブレーンに向ける声が大きくなった。

 そこで習近平政権は対米外交の方針を変更せざるを得なくなった。国内的には「戦で戦を止める」(新華社社説、6月17日)と、対米徹底抗戦姿勢を鮮明にしたあたりから、対米工作をトランプ・ファミリーへの働きかけ(共和党内の分断)から、トランプを大統領の座から引きずり下ろすための対米世論分断工作と、民主党陣営への接近に力点を置くようになった。

 ペンスは演説でこう語っている。

 「疑いなく、中国はまさに米国の民主運営に干渉中である。大統領が先週指摘したように、我々は、“中国が2018年の中間選挙に干渉しようとしている”ことに気づいた。

 我々のインテリジェンス機関の指摘によれば、中国は米国の州や地方の公務員・官僚をターゲットにして連邦政府と地方政府の政策対立をあおり、意見の分裂を引き起こそうとして、たとえば貿易関税問題などで北京の政治的影響力を発揮しようとしている。

 今年の6月、北京は宣伝管理に関する通達を出しており、それによれば、中国は米国国内の異なるグループに対して世論分断工作を精密に戦略的に行わねばならないとしている。

 その目的達成のために、北京は隠密裏に工作員を派遣し、覆面組織や宣伝機関を使って米国人の中国の政策に対する見方を改変しようとしている。

……一部の中国の高級官僚は米国の一部の工商界のリーダーたちの中国進出企業の運営に対する願望を利用して彼らを操縦し、彼らに我ら政権の貿易行動を批判させている。最近の例では、中国は米国のとある大企業に対して、もし米政府の政策に対する拒絶の声明を行わないならば、中国における営業許可証を取り上げる、と脅していた。
……北京は中間選挙に重大な影響力のある特定の産業界や州を見定めて働きかけている。ある推計では、米国の郡で2016年のトランプ支持が80%を越える地域を選んで打撃を与え、そこの有権者が反トランプになるようにしている。

 また米国有権者に直接訴えかけることもしている。先週のアイオワ州紙・デモインレジスター紙に中国政府が意見広告ページを挿入した。アイオワ州も中間選挙における一つのキーとなる州だ。この広告は一見、新聞報道に見え、我々の貿易政策が軽率であり、アイオワ州人にとって有害であると訴えている。……」

トランプ支持だった在米華僑
 6月の米国世論分断工作の通達というのは、おそらく党中央統一戦線部(統戦部)による在米華僑に対する世論工作指示だろう。実は在米華僑の少なからずがこれまでトランプ支持であった。華人が米国でやっている中小規模のビジネスはトランプ政権になってから利益が上がっているところが多く、トランプの国内政策には好感を持っている。前回の大統領選時点では、中国は華人組織に対しトランプサイドを応援するように指示していた。中国はトランプをただの目先の利益で動くビジネスマンだと、その性格を見誤っていたのだ。

 統戦部は伝統的に華僑組織や留学生組織や交流団体、学術団体などを通じて、外国のシンクタンクや企業、メディア、大学などに対して、中国に好都合の世論工作を働きかけてきた。今回、在米華僑組織を通じての世論誘導の方向性は、前回大統領選とは真逆で、トランプの政策がいかに米国の利益を損ねるかという反トランプ世論の形成に動くように指示がでた。ちなみに米国ではげしく洗脳機関として批判されている孔子学院は統戦部傘下の対米世論工作機関、特に在米華僑の親共産党化を狙った機関だ。

 7月11日、対米工作の切り札といわれていた王岐山が動いた。オバマ政権の首席補佐官を務めたこともある初のユダヤ人シカゴ市長、ラーム・エマニュエルと中南海紫光閣で会見した。この会見の中身はほとんど報道されていないが、メーンテーマは貿易戦争よりも、次の大統領選挙を見据えた民主党陣営への働きかけであると私は見ている。エマニエルの訪中目的は最大手鉄道メーカー中国中車とシカゴ交通局との車両売買13億ドルに上るディールのためだが、予定外に設定された王岐山との突然の会見だった。貿易戦争にもかかわらずこのディールが成立したというアピールをしたかったというのはわかりやすい理由だが、民主党の大票田イリノイ州に影響力のあるエマニュエルやその背後のオバマと共闘してトランプ包囲網をつくろう、という話し合いがなされた、という説が一部で流れた。

 ちなみに王岐山は7月12日にテスラCEOのイーロン・マスクと同じ場所で会談している。マスクはテスラが上海に初の米国外工場を独資で作ることになったことを受けの訪中だが、中南海に乗り付けたマスクの赤いテスラの写真が配信されるなど、その中国寄りぶりが話題となった。マスクはトランプ寄りの経営者とされてきたが、中国はそれを破格の待遇で中国市場に招きいれたのは、やはり分断工作といえる。EV車はトランプ政権が叩きつぶさねばならないと心に決めている「中国製造2025」戦略の柱の事業の一つだが、そのEV車の雄とされるテスラが中国の銀行から巨大融資を受けて、上海に巨大工場を建設するわけだから、当然ホワイトハウスは米国企業なら米国に投資しろ、などとテスラを批判した。

演説で指摘された高級官僚とは
 王岐山とマスクの例は、ペンス演説で指摘された?級官僚や彼らに操縦されている?商界のリーダーの関係を象徴的に示すものかもしれない。

 こうした統戦部を通じた対米世論工作と同時に、懸念されているのが解放軍サイバー部隊によるネット世論工作、情報取得や情報捜査である。ブルームバーグが報じたところによれば、米大手サーバーメーカーのスーパーマイクロコンピューター(SMCI)が製造したマザーボードに米粒大のスパイチップが発覚し、それは中国の下請け工場で解放軍工作員が仕込んだものであるとして米捜査当局が捜査を進めている。米中貿易戦争の本質は、こうしたサプライチェーンを利用した中国の米企業への攻撃を防ぐために、グローバルサプライチェーンの環から中国を締め出すことだと考えれば、米国が貿易戦争に妥協点を見出だすつもりもないことは当然かもしれない。

 中国は2016年の米大統領選においては、サイバー、ネットワークを利用した選挙介入は実施していない。だが“ロシアの仕事ぶり”を目の当たりにして、その実現を急いでいるという指摘は最近になって信憑性を帯びてきた。ニューヨークタイムズ(10月10日)も「中国はすでに(サイバーによる選挙介入の)戦術も干渉能力もある。中国企業はすでに米政府機関、国防産業および米国民間企業に入り込み諜報活動をしている。その目的はもともとはチベットや香港、台湾に対する情報収集や情報操作だったが、彼らのターゲットはすでに政治的干渉や混乱を目的としたサイバー攻撃やSNSにおける宣伝工作に移っている」と分析している。

 少し脱線して中国のサイバー部隊について説明すると、2013年12月に解放軍軍事科学院が出版する「戦略学」の中で、解放軍と民間ハッカーの編成によるサイバー部隊について公式に認め、その戦略について論じられている。おそらく解放軍によるサイバー戦争についての戦略論はこれが初出ではないか。それによれば、中国のサイバー部隊とは解放軍、安全部・公安部などの政府機関および民間の自発的サイバー攻撃のパワーを動員、編成、組織化したものであり、主に民間に登場する希少なハッカーエリートをいかに解放軍のサイバー戦力に組み込むかが、中国のサイバー部隊の水準向上の決め手になる、としている。

 そのサイバー部隊の戦力数についての数字は出ていないが、報道ベースでは2009年の時点で10万人はくだらないといわれていた。解放軍のサイバー部隊としては61398部隊や61486部隊が海外メディアなどで取り上げられており比較的知られているが、それ以外にも安全部・公安部およびサイバー民兵が解放軍サイバー部隊を中心に連動して活動しているという理解でいいだろう。このサイバー部隊はもともと総参謀部三部二局傘下や広州軍区傘下にあったが、軍制改革に伴う組織再編成で2015年以降、戦略支援部隊にまとめられているようだ。

カンボジア選挙への中国介入に危機感
 7月のカンボジア選挙の中国サイバー部隊の介入の可能性について、フィナンシャルタイムズや日経新聞などが報じていたことを思い出せば、ペンス演説の選挙介入への危機はもっともだと思うだろう。

 報道によれば、カンボジアの親中派フン・セン政権を勝たせるために、そのライバル政党党首の娘にスパイウィルスを仕込んだメールが送りつけられた。そのウイルスを指揮するサーバーを割り出すと、中国海南省であり、攻撃ソフトの書き込み言語の一部も中国語。海南省が解放軍サイバー部隊の一つの拠点であることは知られており、中国が関与していると思われている。カンボジアの選挙委員会や諸官庁、野党政治家へのアクセス履歴が盗み出されたという。カンボジア選挙は中国が干渉するまでもなく与党の圧倒的勝利が決まっていたが、カンボジアをサイバー技術による選挙干渉の練習につかっていた、と見られている。

 この報道のときは、台湾やASEAN諸国の選挙、あるいは日本の沖縄県知事選挙がターゲットではないか、と取りざたされた。7月に台湾民進党のサイトがハッキングされ、また台湾総統・蔡英文が仏教・道教に対する締め付け強化の政策をとるといった偽情報がSNS上で流され、その情報を信じた寺院による抗議活動が台北で起きた事件もあったので、11月の台湾の統一地方選および2020年の総統選が本丸ではないか、ともいわれた。

 だが、トランプやペンスが指摘するように今中国が最も介入したい選挙は、米大統領選であろう。トランプ政権と妥協点を見出すことが絶望的であれば、政権が変わるまで耐え忍ぶしかない。だが中国の経済体力は周囲が思う以上にきわどい所にきており、最悪6年の時間を耐えきれるかというと自信はなかろう。

 ただ、中国が世論工作や選挙介入によってトランプ政権を交代させたとしても、果たして米中関係が元のさやに戻れるか、という点は疑問をもつ人は多い。米中新冷戦はトランプが開戦ののろしを上げたとはいえ、国際政治の大きな流れのなかで避けられる動きではなかった。次の大統領選で民主党政権が誕生しても、この流れが変わることはないかもしれない。

 とすると習近平政権に待ち受けているのはかなり絶望的な状況だ。日本を含む周辺国としては、追いつめられた習政権の暴走を含めてあらゆる衝撃に備える必要がありそうだ。

【新刊】習近平王朝の危険な野望 ―毛沢東・ケ小平を凌駕しようとする独裁者

 2017年10月に行われた中国共産党大会。政治局常務委員の7人“チャイナセブン”が発表されたが、新指導部入りが噂された陳敏爾、胡春華の名前はなかった。期待の若手ホープたちはなぜ漏れたのか。また、反腐敗キャンペーンで習近平の右腕として辣腕をふるった王岐山が外れたのはなぜか。ますます独裁の色を強める習近平の、日本と世界にとって危険な野望を明らかにする。
さくら舎 2018年1月18日刊


このコラムについて
中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス
 新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
 中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
 特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/101500181
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/299.html

[経世済民128] 世界競争力報告、米国が10年ぶりに1位 日本は5位 トランプ政権発足後2200以上の規制延期・撤廃 FRBの不都合な真実
ワールド2018年10月17日 / 10:14 / 3時間前更新
世界競争力報告、米国が10年ぶりに1位 日本は5位
2 分で読む

[ワシントン/ジュネーブ 17日 ロイター] - 世界経済フォーラム(WEF)が17日発表した2018年版「世界競争力報告」によると、米国が10年ぶりに1位に返り咲いた。評価方法の変更が順位を押し上げたとみられる。

競争力を示すゼロから100までのスコアで米国は85.6となり、「競争力の最先端」に最も近い国と評価された。日本は5位だった。米国の「活気ある」起業文化や「力強い」労働市場と金融システムが高い評価を受けた。

WEFは世界各国の政治家や経営者が集まる年次総会「ダボス会議」を主催する団体。各国の機関や政策など、生産性を高める要因を分析し、140カ国を対象に競争力の順位を発表している。

今回から評価方法を変更し、将来の競争力の引き上げにつながるアイデアの創造や起業文化などを考慮した。

9年連続で1位だったスイスは4位に転落した。ただ、WEFのマネージング・ディレクター、Saadia Zahidi氏は「従来の指数と新たな指数はりんごとオレンジのようなものだ」とコメントし、単純には比較できないとの見方を示した。

同氏は、経済成長や所得の伸びを長期的にけん引する要因が多く分かったことから、新たな指数を導入したと説明。スコアの算出で基準となる98項目は、国際機関や企業幹部の調査を踏まえて決定したとし、デジタル技術への投資など長期的な政策が反映されるようにしたと述べた。

スイスに関しては、イノベーションの中心的な存在だが、起業家的な考え方という点で改善が必要だと指摘した。

一方、米国については、トランプ大統領の保護主義的な通商政策がどのように評価に影響するかを見極めるのは時期尚早だとした上で、中国や他国との貿易摩擦が続けば、将来的には米国の競争力に影響を及ぼすと指摘。「開かれた経済のほうが競争力は高い」とコメントした。

以下、競争力の順位

1 United States

2 Singapore

3 Germany

4 Switzerland

5 Japan

6 Netherlands

7 Hong Kong

8 United Kingdom

9 Sweden

10 Denmark

11 Finland

12 Canada

13 Taiwan

14 Australia

15 South Korea

16 Norway

17 France

18 New Zealand

19 Luxembourg

20 Israel

21 Belgium

22 Austria

23 Ireland

24 Iceland

25 Malaysia

26 Spain

27 United Arab Emirates

28 China

29 Czech Republic

30 Qatar
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-competitiveness-idJPKCN1MR04F

 

 

 

ワールド2018年10月17日 / 12:39 / 27分前更新
トランプ政権、発足以降に2200以上の規制措置を延期・撤廃
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[ワシントン 16日 ロイター] - トランプ米政権は16日遅く、記者との電話会議で、2017年1月の政権発足以降、2200以上の規制措置が撤廃または延期されたことを明らかにした。

ホワイトハウスは17日に規制緩和への取り組みに関する半期に一度の状況報告書を発表する。

ホワイトハウスによると、9月30日に終了した会計年度では、規制関連コストを230億ドル削減したという。

現政権が新たに発動した重要な規制措置は14にとどまり、176を撤廃したとしている。

規制緩和にどの程度の社会的便益が含まれるかなどの詳細は明らかにしていない。

トランプ政権は今年8月、オバマ前政権下で定められた自動車燃費基準を緩和することを提案した。[nL4N1UT5DW]

政権側は燃費基準を2020年の水準で凍結することで規制関連コストが3400億ドル削減されるとしている。
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-hardball-idJPKCN1MR0BE

 

 
2018年10月17日 井上哲也 :野村総合研究所金融イノベーション研究部主席研究員
トランプの利上げ批判はFRBの「不都合な真実」を突いている

景気後退が近づく中で「のりしろ」確保の利上げか

パウエルFRB議長 Photo:Federal Reserve
 10月に入り、米国の株式市場が不安定化する中で、トランプ大領領の米連邦準備制度理事会(FRB)に対する批判がエスカレートするばかりだ。

 他の政治問題に関するツイッターの表現を考えれば、中央銀行であるFRBに対して「狂っている」という言葉を使うことも、今や驚くことではないのかもしれないが、自ら任命したパウエル議長を公然と批判したことに衝撃が走った。

 独立性が求められる中央銀行の金融政策に対し大統領が直接注文をつける異例さもさることながら、トランプ政権とFRBの間で政策の考え方に不整合の兆しが生じれば、金融市場だけでなく企業や家計にとっても、今後の政策の方向性や効果に対する疑念が生ずることになるだろう。

 またFRBが批判に屈して利上げを遅らせたとの印象を与えれば、金融市場ではFRBがいわゆる「ビハインド・ザ・カーブ」に陥ったと懸念し、長期金利がむしろ上昇しかねない。

 だが、今回の大統領の批判はFRBの抱える「不都合な真実」を突いた面がある。

インフレ率が高くない中で
なぜ利上げ続ける?
 つまりその表現ぶりはともかく、少なくとも問題意識に関しては合理的な面もうかがわれる。それは、米国のインフレ率がそう高くないのに利上げを続けることは適切かというシンプルな疑問だ。

 FRBの立場からこの点に反論することは簡単に思えるかもしれない。なぜなら、今回の景気拡大局面は、リーマンショック後初めて、内需主導で、かつ賃金上昇を伴いながら、インフレ率が高まっているからだ。

 金融政策の効果が出るまでに時間的ラグがあることを考えれば、利上げは実際にインフレが加速する以前に行うことは、基本といえる。

 しかし、賃金ないし物価の上昇率が高まりにくいと主張してきたのは、他ならぬFRBだった。

 少なくとも年初までは、FRBは、今回の景気拡大局面の特徴をこう強調していただけに、トランプ大統領が、FRBは利上げに前のめりになり過ぎているという印象を持ったとしても不思議ではない。

 さらに言えば、10月2日の講演で、失業率が3%台中盤まで低下してもインフレ率が加速しない事実を「恵まれた環境」として認めていたのは、他ならぬパウエル議長である。

 また、トランプ大統領がそこまで意識しているかどうかは定かでないが、足元のインフレ率が多少、高まったとしても、インフレ期待が安定していれば加速的なインフレは生じないと主張することもできる。

 実際、物価連動債から推計される金融市場の期待や、各種のサーベイ結果に示された企業や家計の期待は、少なくとも中長期に関しては安定している。

 もちろんFRBとしては、パウエル議長が上記の講演で述べたように、適切な利上げを行っているからこそ、インフレ期待が安定していると反論することはできる。

 しかし、この間の多くの分析が示唆するように、インフレ期待が高まらないのは、人手不足で、金融危機の際に労働市場から退出した人が戻ってきている中でも賃金は上がらないことやグローバルなサプライチェーンにより深く組み込まれるといった構造変化があってこそという面もあるのだ。

景気後退が近づく中で「のりしろ」確保の利上げ?

 トランプ大統領によるFRB批判に対しては、金融市場で多くの反発が見られる一方で、興味深いことに、ある種の賛同もうかがわれる。

 その理由も、株価下落の原因を利上げに押し付けたいという願望によるものだけでもないようだ。

 つまり、景気後退の時期がそう遠くないのであれば、利上げを続けることは妥当かという疑問である。

 足許の米国経済は確かに絶好調だが、民間のエコノミストだけでなく、FRBも2020年に向かって経済成長率が潜在成長率付近まで減速することを予想している。

 さらに言えば、議会予算局(CBO)ですら、トランプ大統領による大規模な減税策を考慮しても、潜在成長率の上昇は0.2〜0.3%に止まると推計している。つまり、減税などの政策効果も所詮は一時的にすぎないとみているわけである。

 こういう状況では、金融市場の関係者には、FRBが、インフレ率も加速せず景気後退も徐々に近づく中で、利上げを続けていることは、政策金利の「のりしろ」を確保することが最大の目的ではないかと映るかもしれない。

 FRBにとっては、次の景気後退に備えて政策金利の下げ余地を確保することは、もちろん極めて重要な課題だ。それによって景気後退をより円滑に乗り切る可能性を高めるという意味で、金融市場だけでなく企業や家計にも結局は、多くの恩恵をもたらす。

 だがそれでも、「のりしろ」論は少なくとも短期的にはFRBの「ご都合主義」という印象を与えやすいことは否定できない。またそのために金融市場や実体経済にストレスがかかるのは「もってのほか」という批判にも相応の合理性がある。

「慎重な利上げ」方針は維持?
政策意図を丁寧に説明する必要

 FRBも、利上げを進める上で様々な批判が出ることは、当然に予想していたはずであり、だからこそ、パウエル議長の下で「慎重な利上げ」という方針に沿ってこれまで政策を運営してきたわけである。

 つまり、物価との関係では、インフレ圧力の加速には対応が遅れないようにしつつも、金融危機の後遺症もあって過去に比べてインフレ圧力が弱い点に留意しつつ利上げを行なう。また、利上げがせっかくの景気拡大の腰を折ることがないように注意しながら、中立的な水準まで政策金利を戻すということである。

 もちろん、トランプ大統領の批判の仕方には問題も多いが、批判や懸念の背後に、FRBによる現在の方針である「慎重な利上げ」に対する本質的な問題提起が含まれているとしたら、それに対しては、きちんと議論し、自らの判断の合理性を示すことが求められる。

 インフレ圧力が従来の景気循環に比べて低く、しかも潜在成長率も以前の水準に戻らないのであれば、「慎重な利上げ」でない場合の選択肢として、例えば、イエレン前議長が一時期、主張したように、実際のインフレ率がインフレ目標をある程度の期間や幅でオーバーシュートすることをあえて容認することで、インフレ期待をしっかり醸成させるよう、利上げを少なくとも一旦、停止することが考えられる。

 その場合、FRBにとって、直ちに問題となるのは、先に述べたように、景気後退に対する政策金利の「のりしろ」が減少することだ。

 しかし、より重要な問題は、適切に利上げが行われないことで、景気循環に伴う金利変動が抑制される結果、米国全体の債務や資産価格が好況時の状態のまま維持され、そのまま景気後退を迎えることである。

 そうなると、次の景気後退は、実体経済の循環的な減速に止まらず、債務や資産価格の大幅な調整を同時に伴う結果、金融システムにも負荷がかかり、金融不安などを伴うようになり、景気後退の期間や深さはより大きく長くなる恐れがある。

本来であれば、債務や資産価格の調整はマクロ・プルーデンス政策によって対応されるべき領域であり、金融危機後のFRB議長は、バーナンキ氏もイエレン氏も一貫してそうした考え方を示してきた。

 しかし、米国ではそうした政策を担うはずの金融安定監督評議会の活動は低調で、金融規制に対する緩和方向での見直しが進む中で、結局は、FRBの責務になるのだろうという考え方が強まっている。

 「慎重な利上げ」が、金融システムと実体経済とのこうした相互作用に伴う問題の予防も見越した上のものであれば、それはパウエル議長が標榜する「リスク・マネジメント」的な政策運営そのものということになる。

 市場心理が不安定な局面で、この問題に理解を求めることは確かに難しいが、幸い、米国の金融経済にもFRBにも、時間的な猶予はある。

 FRBは自らの政策意図について、理解を得るための粘り強い努力が大切になっている。

(野村総合研究所金融イノベーション研究部主席研究員 井上哲也)
https://diamond.jp/articles/-/182449

 

FRBの利上げが自身の「最大の脅威」ートランプ大統領が再度批判
Mike Dorning
2018年10月17日 5:24 JST 更新日時 2018年10月17日 8:46 JST
大統領はFRB批判で一段と語気を強めている−低インフレに言及
利上げペースが速過ぎるとトランプ大統領はあらためて言明

Donald Trump and Jerome Powell Photographer: Drew Angerer/Getty Images North America
トランプ米大統領は16日、連邦準備制度が利上げによって経済成長を危うくしていると再度批判し、自身にとって「最大の脅威だ」と述べた。

  大統領はFOXビジネス・ネットワークの番組「トリシュ・リーガン・プライムタイム」でのインタビューで、「連邦準備制度が進めている金利引き上げはペースが速過ぎる」と語った。

  連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はトランプ大統領が指名し、共和党が多数を占める上院で今年承認された。トランプ大統領は同インタビューで、金融当局は「独立しているため、彼らに話しかけはしないが、彼がしていることは速過ぎるため私は不満だ」と述べた。

  トランプ大統領は金融当局の利上げを繰り返し批判してきたが、このところ一段と語気を強めている。先週、大統領は連邦準備制度について、「制御不能」で「常軌を逸している」と批判。株価急落の責任はその金融政策にあると主張した。

  トランプ大統領は16日にはインフレ率の低さを指摘し、具体的な話に踏み込んだ。

  大統領による金融政策批判はタブーとされているが、インフレが抑制されているにもかかわらず利上げを続けることに疑問を投げ掛けるのはトランプ大統領だけではない。

  ルネサンス・マクロ・リサーチのエコノミスト、ニール・ダッタ氏はトランプ氏のコメントが伝えられた後、顧客向けリポートで、「大統領の主張には一理ある」とし、「トランプ大統領が連邦準備制度に物申すことは誰も望んでいない。しかし、インフレ率が目標を下回り、加速する兆候がほとんど見られない中で当局が利上げを続けるなら、これは政策が既に中立ないし引き締め気味であることを示すだろう」と指摘した。
  
原題:Trump Says Fed Interest-Rate Hikes Are His ‘Biggest Threat’ (2)(抜粋)

(3段落目以降に背景などを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-16/PGPKOF6TTDSP01


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/838.html

[国際24] 中国の米国債保有残高、8月は3カ月連続で縮小−日本も小幅減 ドルが下落リスクにさらされる公算−米中間選挙でねじれ議会なら
中国の米国債保有残高、8月は3カ月連続で縮小−日本も小幅減
Randall Woods
2018年10月17日 6:12 JST 更新日時 2018年10月17日 10:10 JST
• 中国の米国債保有は1兆1650億ドルに減少、日本は1兆300億ドルに
• サウジアラビアの保有は過去最高の1695億ドル
中国の米国債保有残高は8月に3カ月連続で減少した。米国との貿易摩擦を抱える中国は、人民元安の抑制に苦慮している。
  米財務省の16日の発表によると、中国の米国債保有は1兆1650億ドル(約130兆円)と、7月の1兆1710億ドルから減少した。外国勢の米国債保有残高で中国に次ぐ規模の日本は、1兆300億ドルで、前月の1兆360億ドルから減った。サウジアラビアは27億ドル増加し過去最高の1695億ドル。
  中国の駐米大使が3月に米国の関税への対抗策として米国債購入を縮小する可能性もあると示唆した後、同国の米国債売却は貿易戦争への対応と受け止められることもある。トランプ大統領は7月以降、中国からの輸入品の約半分を対象に関税を発動。中国政府も米国からの輸入品に対して報復関税で対応している。
  ジェフリーズのエコノミスト、トーマス・サイモンズ氏は米財務省の発表後にリポートで、「現在繰り広げられている貿易戦争で米中関係が悪化し、米国債の保有意欲が減退していることから、保有残高は過去3カ月に減少した。今後も続く可能性がある」と予想。「この先も注目していくことが重要だろう」と付け加えた。
  だが中国は、元相場安定化と一層の下落を防止する政策の一環として、外貨準備の減少を容認した可能性もある。景気減速や資本流出の兆候を背景に元は過去1年に対ドルで4%強下落した。トランプ米大統領は中国政府が輸出促進で元を意図的に下落させていると批判している。
  外国勢による8月の米国債保有は354億ドル増加し6兆2870億ドル。ブラジルとアイルランドの保有も増えた。

原題:China Cuts U.S. Treasury Holdings for Third Straight Month (1)(抜粋)
(サウジアラビアの保有残高とエコノミストのコメントを追加して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-16/PGPKPQ6JIJUW01?srnd=cojp-v2


 

ドルが下落リスクにさらされる公算−米中間選挙でねじれ議会誕生なら
Austin Weinstein
2018年10月17日 11:07 JST
• ねじれ議会ならインフラ合意は困難かーTDセキュリティーズ
• TDモデルに基づくとドルは7%過大評価されている
11月の米中間選挙で上院と下院の多数派が異なるねじれ現象の議会が誕生すれば、政治リスクの焦点は欧州から米国に移る可能性があり、ドル相場に波乱が生じる恐れがあると、TDセキュリティーズのシニア為替ストラテジスト、メイゼン・イッサ氏がリポートで指摘した。
  ねじれ議会では特にトランプ米大統領に対する弾劾手続きが始まった場合、インフラや税務政策で共通点を見いだすのが難しくなるだろうとイッサ氏は分析。これは同社のモデルで7%過大評価されているというドルにとって重しとなり得る。
  同氏によれば、米国の成長は「恐らくピークに到達」しており、英国の欧州連合(EU)離脱やイタリアの予算を巡る問題が解決へ向かうとみられる中で、投資家の懸念は大西洋を渡ってくる可能性がある。これはユーロやポンドにとって好ましく、対ドルで上昇余地があると同氏はみる。
                 
Eye on the Election
The direction of the dollar could be at stake in the U.S mid-term elections

Source: Bloomberg
  中間選挙について一部では、成長ペースが鈍化する可能性があり、2017年の減税の影響で財政赤字が急増した米経済の潜在的な屈折点と受け止められており、金利から世界の通貨に至るまで選挙後のパワーバランスの影響を受ける恐れがある。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらは8月時点で、一つの明確な結果として「ボラティリティー」に言及。選挙後のボラティリティーに備えてヘッジを開始するようトレーダーにアドバイスしていた。
  11月6日に実施される中間選挙の現時点での予測は、下院では民主党が過半数の議席獲得に向けて優勢。一方、上院では共和党が過半数を維持するとみられている。
      
原題:Dollar at Risk of Sliding If Congress Is Split After Midterms(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-17/PGPYVV6KLVR701

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/300.html

[経世済民128] ウォール街、金利上昇と景気堅調の恩恵鮮明−今後への懸念材料も多数 今後も金融正常化と政治がリスク FOMC利上はどこまで

ウォール街、金利上昇と景気堅調の恩恵鮮明−今後への懸念材料も多数
Claire Ballentine
2018年10月17日 15:20 JST
• 総じて株式トレーディング収入は増加も債券トレーディングは不振
• ダイモン氏は貿易紛争悪化や予想以上の金利急上昇など問題列挙
大手米銀の決算発表が一巡し、金利上昇と健全な経済のウォール街への恩恵が鮮明になった。
  米利上げのおかげで利ざやが拡大し、JPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴは純金利収入が過去最高。バンク・オブ・アメリカ(BofA)では2011年以来の高水準となりモルガン・スタンレーでは前年同期から20%増えた。
Lending Income Surges
JPMorgan's net interest income jumped to a record high in the third quarter

Source: Bloomberg
  トレーディング業務については、株式トレーディング収入が増えた一方、債券トレーディング収入は減ったところが多かった。ゴールドマン・サックス・グループでは株式トレーディング収入が8%増だったのに対し債券は10%減だった。
Third Quarter Billboard
Change in revenue from a year ago

Source: Company filings
  経営首脳は地政学的不確実性が経済に悪影響を及ぼす可能性について懸念を表明した。モルガン・スタンレーのジョナサン・プルーザン最高財務責任者(CFO)は米中貿易摩擦が成長の幾つかの重要分野に逆風をもたらす恐れがあると指摘。アジアの新規株式公開(IPO)活動が「かなり劇的に」減速するかもしれないとの見方も示した。
  JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は貿易紛争の悪化、予想以上に急速な金利上昇、英国の欧州連合(EU)離脱、イタリア国債の動き、サウジアラビアを巡る緊張、住宅ローン金利上昇など、米国と世界の成長を抑制し得る多数の問題を列挙した。
  「8つか9つの問題がある。一般的には米経済を頓挫させるようなものではないが、そこにある。将来、何かが起こっても不思議はない」と、ダイモン氏は報道関係者との電話会議で語った。
原題:Five Key Takeaways From the Biggest U.S. Banks’ Earnings Reports(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-17/PGQAQO6JIJUP01


 

ビジネス2018年10月17日 / 16:44 / 4時間前更新
インタビュー:
今後も金融正常化と政治がリスク、相場波乱に備え=英インサイトCIO
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[東京 17日 ロイター] - 英資産運用大手インサイト・インベストメントの運用責任者は、主要中銀の金融政策が以前ほど緩和的ではないことや政治的不透明感、市場流動性の低下を背景に、突発的で大規模な相場波乱が時々起きるのが自然であるとの見解を示した。そうした波乱に備え、今年はポートフォリオのリスクを落とし続けていると明らかにした。

11日に行ったロイターとのインタビューで述べた。

インサイト・インベストメントは、米BNYメロン傘下の運用会社(本拠地はロンドン)で、6月末時点の運用資産残高は6010億ポンド(約88兆円)。

エイドリアン・グレイ最高投資責任者(CIO)の来日インタビューの概要は以下の通り。

──市場は足元、米国発で世界同時株安の様相を呈している。

「世界の投資環境は大きくシフトしつつある。米国は既に利上げを開始してQE(量的緩和)からQT(量的引き締め)へと移行、ECB、英中銀、日銀も(資産)買い入れの停止や縮小に向かっている。世界の金融政策はもはや超緩和的ではない。世界の投資環境にとってこれまで大きな追い風になってきたことが、向かい風となりつつある」

「もう一つの向かい風は政治だ。反グローバリゼーションとポピュリズムは、世界の1カ所だけで台頭しているわけではない。米国のトランプ大統領、英国のブレグジット(EU離脱)、イタリアの(ポピュリズム政党)五つ星運動と(極右政党)同盟などが世界を席巻している」

「現在の相場波乱は、リスクアセットが、足元のケースでは株式が、こうした金融政策と政治面での環境変化を織り込もうとする動きだと考えている」

「市場の流動性が世界金融危機前と比べて異なる状況にあることも大いに影響している。流動性の枯渇により、例え比較的少ない売りであったとしても大きな値動きを引き起こすようになった。前述したパラダイムシフトが起きる中で、それに昨今の市場流動性の乏しさが相まって、個別のイベントが時として大きく増幅されてしまう環境にある」

──ボラティリティーが高まるということか。

「穏やかでボラティリティーの低い環境から、さほど穏やかでなくボラティリティーの高い環境への変化が起きている。そうした状況下では、パッシブ運用によるベータ戦略(市場全体の動きと連動したリターンを求める)よりも、アルファ戦略、(市場全体の動きを上回るリターンを狙う)の方が魅力的となる可能性がある」

「金融市場は、常にどこに脆弱(ぜいじゃく)性が存在するのかを探索して回っている。2月には低ボラティリティーに賭けるポジションが過剰になっているのを見つけ、VIX(シカゴ・オプション取引所のボラティリティー・インデックス)が急上昇した。その後、多くの人が十分リスクを認識せず新興国市場に投資していたのを見つけて、そこも崩れた」

「そして今、主要株式市場でボラティリティーの高まりがみられるというわけだ。現在、驚くほど大きいパニック的な値動きが時折見られるのは、全くもってノーマルな状況と言えるだろう。パーティーは永遠には続かない。宴が終わる前に帰宅するのが賢明だ」

──そうした分析に基づき、インサイトは実際にパーティーから退出したのか。

「もちろんだ。われわれは未来を占う水晶玉を持っているわけではないが、今年の大半においてポートフォリオのリスクを落とし続けている」

──2月のボラティリティーショック以降か。

「そうだ。債券投資家の場合、リスクとは、クレジット・スペクトラムを下方にたどってよりリスクの高い証券に投資することだ(クレジット・スペクトラムを上方にたどってリスクを落とし、ポートフォリオの質を高めた)」

「株式については、ベータの影響を極力ゼロにするロングショート戦略をとっているが、運用チームからは、過去3年と比べて同戦略の投資妙味が高まっていると聞いている。決算発表に限らず、個別銘柄に関する何らかの材料が出た場合、その値動きが大きくなる傾向がある」

*見出しを修正しました。

インタビュアー:植竹知子 編集:田中志保
https://jp.reuters.com/article/interview-insight-investment-idJPKCN1MR0US

 

FOMC議事要旨:中立金利巡る議論が注目点か−利上げはどこまで
Jeanna Smialek、Ivan Levingston
2018年10月17日 13:31 JST
• 当局者がどんな要素を考慮しているのか、手掛かり得られる可能性
• 米国と貿易相手国との通商対立についての議論もウオッチが重要に
米連邦準備制度にぜひとも答えてほしい質問が市場参加者には1つある。それは、どこまで利上げしたら休止するのかという疑問だ。
  連邦準備制度理事会(FRB)が米東部時間17日午後2時(日本時間18日午前3時)に公表する連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で回答が示される公算は小さいものの、金融当局者がどう考えているか、多少のヒントが得られるかもしれない。
  9月25、26両日に開催されたFOMCは、0.25ポイントの追加利上げを決めるとともに、金融政策についてそれまでの声明にあった「緩和的」という文言を削除した。その後、パウエルFRB議長とニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は何度も公の場で発言し、他の金融当局者の講演なども相次いだ。
  一連の発言からは、金融政策は依然として緩和的であり、漸進的な利上げ継続に問題ないと当局者がみている一方、最終的にどこまで利上げするかはまだ判断を下していない現状が浮き彫りとなった。金融緩和と引き締めの分岐点となる中立金利の水準や、中立金利を上回って利上げすべきかどうかを巡る議論で、当局者がどんな要素を考慮しているのか、議事要旨で具体的な手掛かりが得られる可能性がある。  

  FOMC参加者が9月に示した最新の経済予測では、政策金利は中央値で見て2019年に長期的な均衡レートを0.25ポイント上回る水準に引き上げられ、20年にはさらに0.25ポイントの追加利上げが行われるとの見通しが示された。
  これは6月の前回予測のドット・プロット(金利予測分布図)とあまり変わりがないが、なぜ若干引き締め気味のスタンスが望ましいと当局者が考えるのか、議事録要旨でその理由についてのヒントが示される可能性がある。
  これに関して言えば、ブレイナードFRB理事は9月半ば、財政刺激策によって短期的な中立金利が押し上げられ、経済のバランスを保つには高めの金利が必要になるのではないかとの見方を示唆。同理事の考えは議事要旨であらためて垣間見ることができるかもしれない。

  一方で金融当局者の間では、米国と貿易相手国との通商対立について懸念が増している。FRBで物価と賃金の調査・分析セクションを率いた経歴を持ち、現在はUBSグループのエコノミスト、アラン・デトマイスター氏は「潜在的な影の側面、差し迫った脆弱(ぜいじゃく)性の兆候として、どれほど貿易問題が議論されたか」をウオッチするのが重要だと語った。

原題:After Hike, Fed Minutes May Flesh Out Thinking on Path Ahead(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-17/PGQ69O6S972A01?srnd=cojp-v2


 

東京外為市場ニュース2018年10月17日 / 19:36 / 43分前更新
インド株式市場・引け=大幅安、流動性懸念で金融株が圧迫
1 分で読む

[17日 ロイター] -

インド  終値 前日比 % 始値 高値 安値
SENSEX指数< 34,779.58 - 382.90 - 1.09 35,543.38 35,605.43 34,727.16
.BSESN>
前営業日終値 35,162.48
NSE指数 10,453.05 - 131.70 - 1.24 10,688.70 10,710.15 10,436.45
前営業日終値 10,584.75


インド株は1%超値を下げて取引を終えた。流動性懸念が強まる中、インディアブル
ズ・ハウジング・ファイナンス、イエス銀行といった金融株が相場を
下押しした。
SENSEX指数(ムンバイ証券取引所に上場する30銘柄で構成) 終値は
382.90ポイント(1.09%)安の3万4779.58。
NSE指数(ナショナル証券取引所に上場する50銘柄で構成)終値は13
1.70ポイント(1.24%)安の1万0453.05。


(取引時間中のリポートの表は最新の数値です。文章とは一致しない場合があります)

https://jp.reuters.com/article/idJPL3N1WX3K5?il=0

 

東京外為市場ニュース2018年10月17日 / 20:09 / 17分前更新
東南アジア株式・引け=大半が上伸、米株高で
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[17日 ロイター] - 17日の東南アジア株式市場の株価は、大半が上伸。オーバーナイトでの米株高を受けて、アジア株が軒並み値を上げた。

マニラ株は続伸し、1.6%高。先週の下落で、一層の割安感が生じ、安値拾いの買いが入った。

BDOユニバンクが約3.7%高。複合企業のアヤラ・コープが1.6%高。

シンガポール株は1.2%高。銀行大手OCBCが1.7%高、複合企業ジャーディン・マセソン・ホールディングスは0.9%高。

NRAキャピタルの調査部門ディレクター、リウ・ジンシュ氏は、「シンガポール市場では引き続き割安感があり、最近の売りで安値拾いの買いが入るのは驚きではない」と語った。医薬品など好調な非石油系輸出にも株価は支えられた。

クアラルンプール株は0.22%高。ホテル運営大手ゲンティング・マレーシアが1.4%高。

ジャカルタ株は1.2%高。通信株や鉱業株の上伸に押し上げられた。テレコムニカシ・インドネシアが3.2%高、携帯電話事業会社XLアクシアタTbkは1.4%高。

一方でバンコク株は0.2%安。序盤の上げを消した格好。空港運営会社エアポーツ・オブ・タイランドは1.2%安。

ホーチミン株は0.9%高。不動産株と銀行株の上伸にけん引された。 (アジア株式市場サマリー)
/jp.reuters.com/article/東南アジア株式・引け=大半が上伸-米株高で-idJPL3N1WX3QU?il=0

 


ビジネス2018年10月17日 / 19:04 / 22分前更新
英CPI、9月は前年比+2.4%に伸び鈍化 3カ月ぶり低水準
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[ロンドン 17日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が発表した9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比2.4%で、上昇率は8月の2.7%から鈍化、3カ月ぶりの低水準だった。ロイターがまとめたコンセンサス予想は2.6%。

ONSの統計専門家、マイク・ハーディー氏は「インフレ率を押し下げた主要な要因は食品だ。フェリー運賃も低下した」と説明した。

発表を受けて、ポンドはドルとユーロに対して下落。英国債価格は上昇した。

イングランド銀行(英中央銀行)の当局者は8月時点で、7─9月期のインフレ率は平均で2.5%程度になるとの予想を示していた。

経営者団体IoDのシニアエコノミスト、Tej Parikh氏は「賃金の緩やかな上昇と合わせ、物価上昇の鈍化は消費者の実質賃金を押し上げる。小売りにとっても歓迎すべきニュース」と指摘。その上で「英中銀は今週の経済データには影響されない。ブレグジット(英国のEU離脱)を巡る展開を見守りつつ、金利は動かさないだろう」としている。

<生産者物価の上昇は加速>

ブレグジットが決まった2016年6月の国民投票を受けたポンド安の影響で、英CPIは昨年11月に3.1%上昇し5年ぶり高水準を記録。その後、インフレ率は鈍化傾向にあるが、足元ではインフレに再び上昇圧力がかかる兆しが出ている。

ONSの発表によると、9月の英生産者物価投入指数は前年比で10.3%上昇し、8月の9.4%上昇(改定値)からコスト高に拍車がかかった。上昇率はロイターが集計したすべての予想よりも高かった。

9月の英生産者物価産出指数は前年比3.1%上昇、上昇率は8月の2.9%から加速した。こちらもすべてのロイター予想を上回った。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/britain-cpi-idJPKCN1MR19O?il=0

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/844.html

[経世済民128] がん診断後も治療を拒否、引きこもり続けた40代長男の最期 葬式なし、散骨IT化…変わるニッポンの葬送 担い手はもういない

2017年8月10日 池上正樹 :ジャーナリスト
がん診断後も治療を拒否、引きこもり続けた40代長男の最期

長年、引きこもってきたある男性が「喉頭がん」のために亡くなった。父親は、個人が救われる仕組みの必要性を訴える。いったい、何があったのか(写真はイメージです)
病院に運ばれ2日後に死亡
長男はなぜ治療を拒み続けたか?
 長年、引きこもってきた長男が「喉頭がん」のために亡くなった。48歳だった。

 長男が「がん」の診断を受けたのは、昨年11月に亡くなる9ヵ月前のことだ。しかし、両親にも病名や余命のことを伝えようとせず、その後は一切の診療も治療も拒み続けた。

 食事はまったく喉を通らない状態が続き、水だけで痩せ細っていくなか、看護師が自宅に入院を勧めに来ても、頑として動かなかった。

 しかし、喘ぎ苦しむ声を聞いた次男が心配して救急車を呼んだ。隊員は説得したものの、中からカギをかけで出て来なかった。「中から声が聞こえなくなったら救急車を呼んで」というのが、本人の意思だった。

 ある日母親は、部屋のカギが開いていることに気づいた。本人は、ほとんど声が出ない状態だった。長男は病院に運ばれた2日後、亡くなった。
 
 そんな長男の最期の話を明かすのは、KHJ全国ひきこもり家族会連合会の「KHJ岡山きびの会」会長で、「NPO法人津山・きびの会」理事長の川島〓三さん(〓の字は火へんに亥)。

「救急車に乗せたとき、後ろ目で私の顔をじっと見るんです。“それでいいのか?”と。そのときが眼が生きていた最後でした」

 これまでも筆者は、同じように絶望の中で生きる意志を持てなくなっている引きこもり当事者たちに何人も会い、話を聞いてきた。今回は父親から見た息子像ではあるものの、川島さんの長男もまた、いずれの支援にも反応することなく引きこもり続けてきた。

「引きこもりというのは、欲望の肥大化を否定する積極的な行為ではないか」
 
 以前から川島さんは、感じるままをそう打ち明けていたものの、周囲はなかなか理解してくれなかったという。

 長男がまもなく40歳になろうというとき、国は「ニート」という用語をつくり、対策を始めた。しかし、なぜ対象者に39歳までという年齢制限を設けるのか、川島さんは理解に苦しんだ。

「39歳を超えても働こうとしない人は、障害者かホームレスとして判断するという暗黙の押し付けがあるのではないか」

 引きこもり当事者と同じ目線にどうしたら立てるのかという思考が欠如していると、川島さんはいう。

「我が家の長男の目線はどこにあるのか?」「対話ができない状況はどうして生まれたのか?」「親の教育が悪かったと言えば、それで済むのか?」
 
 川島さんは、どんな人でも社会全体で支え合うシステムができなければ、人類の未来はない、と考えるようになった。

 もともと長男は都会で仕事をしていた。その後郷里に帰り、ホテルでフロントマンを2年ほど務めた。ホテルを辞めた後、「自分の運命だ」と言って清掃会社に勤めた。しかし、熱心に通っていたのは最初の2ヵ月ほど。そのうち気が進まなくなったようで、完全な「引きこもり」状態になった。

息子の情況を病院に聞いても
「個人情報だから」の一点張り
 川島さんは言う。

「長男はいつも時間的な設定を考え約束をするが、守られたことはない。何かを待っているようにも思われるが、その正体は定かではない」

 長男は喉頭がんに侵されていると診断されているのに、頑として診察を拒み、治療を受けようとはしなかった。こうした状況への周囲の対処は、医療の面から考えてどうすればいいのか。親として心配でも、病院に問い合わせると「本人が同伴しなければ『個人情報』のため、お話しできない」と言われた。(親に打ち明けようとしない)息子の目線を、どのように理解したらいいのか。

 様々な事実を並べると、それなりの推測はできる。しかし、それは推理であって、本当の息子の目線であるかどうかがわからない。

 川島さんは、個人レベルの問題意識と地域レベルの問題意識が様々に交差することが人間社会の常であると説明した上で、次のように考えることが重要だと訴える。

「そこには、様々なレベルの矛盾が渦巻いている。この矛盾は、両親の持って生まれた矛盾を引き受けざるを得ないことが多い。引きこもる人の多くは、両親の矛盾を一身に受けてしまうこともある。引きこもる人は、社会の矛盾を一身に抱え込んでおり、自分だけではどうにもならないところまで来ている。そのために、その人に寄り添うことが何よりも大切になる」

個人が全体として救われる
「第4極」の必要性とは?
 この個人的な問題レベルに、社会が十分に気付いていない。これらの矛盾をどこから解決したらよいのか誰も何もわかっていないとして、川島さんは「第4極」の必要性を提唱している。

 第4極とは何なのか。川島さんの説明によると、第1極は政府のガヴァナンス(行政は全体としてここに属する)、第2極は政府に対する反対勢力(野党、組合などがここに属する)、そして第3極としては社会福祉協議会など、第1極と第2極を調整する機関が考えられるという。

 従来は、こうしたシステムによって社会が動かされてきた。しかし、それぞれのシステムの中で必ず個人としての問題が残り、多くの場合、置き去りにされてきた。それは様々ないびつな問題を残したままになっている。

 そこで、個人が全体として救われるようなシステムが必要になる。それが第4極としての個人の救済機関であり、その救済が徹底することにより社会の健全な発達が可能になる。その第4極が社会システムとして健全に機能したとき、社会はさらに全体として発展することが可能になると訴えている。

「私としては、同じような人間を二度と出したくない、と思っているんです」
 
 そのためにも「まず、引きこもっている人たちの気持ちを理解することから始めなければならない」として、川島さんは「第4極」をこれから社会に呼びかけようとしている。

※この記事や引きこもり問題に関する情報や感想をお持ちの方、また、「こういうきっかけが欲しい」「こういう情報を知りたい」「こんなことを取材してほしい」といったリクエストがあれば、下記までお寄せください。
otonahiki@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)
https://diamond.jp/articles/-/138201


 

Special Report

葬式なし、散骨、IT化…変わるニッポンの葬送

担い手はもういない!少子共働き時代のリアル

2018年10月18日(木)
寺岡 篤志/常陸 佐矢佳

守る人がいなくなり打ち捨てられる墓、通夜も弔問客もない葬式。日本の葬送の風景は近年、大きな転換点を迎え、新規参入も増えている。選択肢が増える中でも、家族と「死後」に向き合えば、納得のいく「最期の買い物」ができるはずだ。

(日経ビジネス2018年8月6日・13日号より転載)


岐阜県の民家の敷地内に乱雑に打ち捨てられた墓石の山。投棄した業者は「代行供養」をうたい、墓じまいの需要を取り込んでいた(写真=早川 俊昭)
 まるでむき出しの崖線のように見える石の壁には、近づいて見ると家名や戒名、ハスの花の模様などが彫られていた。岐阜県美濃市の小山の麓に位置する、民家の敷地の一角。ここに不法投棄された無数の墓石が折り重なった、“墓の墓場”がある。

 その高さは3m、幅と奥行きは15mほど。墓石に絡まったツタを引っ張れば、崩れ落ちそうなほど乱雑に積み上げられている。この家の住民、河村誠治さんは「どれだけの数が持ち込まれたのかも分からない。撤去には700万円以上かかるようだ」と嘆く。

 投棄が始まったのは9年前。墓石の処分業者を名乗る男が、土地の賃借を申し出た。通常、参拝者がいなくなるなどした墓石は石材店が引き取る。男は石材店から墓石の処分を請け負い、輸送中の一時置き場として土地を使うと、河村さんに説明していた。

 しかし、河村さんが長期入院をしているすきに、男は墓石を大量に持ち込んで放置した。河村さんはたまる一方の墓石の撤去を何度も要請。しかし、男は「(撤去するための)レンタカーの空車がなく、借りられない」などと理由をつけて取り合わなかった。地権者も巻き込んでの民事訴訟に発展したが、男は出廷を拒否。さらに敗訴の直後に美濃市内の自宅を引き払い、行方をくらませた。

 男が雇っていたドライバーの証言で、墓石の処分を頼んだ東海地方や関西地方の石材店が一部判明。岐阜県は各業者に引き取りを求めているが、実際に回収されたのはごく僅かだ。男に依頼した石材店の店主は「家名などを刻む『竿石(さおいし)』は施主の代わりに永代供養し、台座は産廃業者で砕石すると男から説明を受けていた」と証言する。店主は「それなりの処分料を支払っている以上、自費で引き取れといわれてもおいそれとはできない」と困惑顔だ。

 岐阜県によると、墓石を不法投棄した業者は産業廃棄物処理業者でも宗教法人でもない。しかし、この業者が掲げていた「墓の代行供養」というサービスには、どちらの資格も必要なく、行政処分の対象でもない。法の抜け穴をついたビジネスだった。複数の石材店によると、男は竿石1つを1万円で引き取っていた。

 一般社団法人「全国優良石材店の会」の山崎正子事務局長は「全国で同様の投棄事件が散発している」と懸念を示す。継承者の有無に関係なく、先祖伝来の墓を撤去する「墓じまい」をする高齢者が増えていることが背景にあるという。「子どもに墓の世話をさせるのが忍びないという動機の人が多い」

 実際、墓じまいをしたり、故郷から都市圏などに墓を移したりすることを指す「改葬」は、地震の頻発で墓の移動が一時的に急増したとみられる2005〜06年を除き、年々少しずつ増加している。

徐々に増える墓じまいや引っ越し
●墓を処分したり移したりする「改葬」の件数

出所:厚生労働省「衛生行政報告例」
 一部の寺院や霊園は、墓じまいした墓石の供養を請け負っているが、石を安置する土地が不足するケースが増え始めた。施主が墓を産業廃棄物にすることに抵抗を覚える場合は、墓石の行き場がなくなってしまう可能性がある。結果、墓石の不法投棄で暗躍する業者が出てくるという構図だ。

 近代日本の家制度の象徴として、先人をしのび、敬い弔う対象だった墓石。それが、残される家族の重いお荷物に、あるいは悪徳業者の飯の種になる場面が増えてきた。その象徴が美濃市の「墓の墓場」なのである。

ドライブスルーでお焼香

高齢者や障害者向けに、車に乗ったまま焼香ができる斎場がオープン。会場に面した専用通路に車を横付けし、香炉を受け取る(写真=林 安直)
 墓ばかりが重荷なわけではない。別の重荷の正体が、葬式の変化に表れ始めた。長野県上田市に昨年12月、車上で焼香できる「ドライブスルーシステム」を備えた斎場が完成した。専用道路に面した会場の壁に窓を設置。弔問客はタブレット端末で記帳し、車上焼香用の香炉を受け取る。車内でボヤが起きないように、灰の代わりに電熱線でお香を加熱する特注品だ。弔問客は車上から祭壇を見たり、遺族に声をかけたりもできる。

 斎場を運営するレクスト・アイ(同市)によると、足の不自由な高齢者や障害者は、たとえ焼香をして香典返しを受け取るだけでも、家族や職員の介助を受けながらでは30分以上かかってしまう。しかし、車上焼香なら5分程度で済ませられる。約半年間で10人程度の弔問客が利用したという。

 当初はシステムの開発について「弔いの気持ちを軽視しているのではないか」などと批判の声も上がった。それでも実現にこぎつけられたのは「世間体と見栄を重視して形式に縛られていた葬式が、より故人の希望や遺族の気持ちに即した形に変わってきているから」と同社の久保田哲雄専務は話す。

葬送を仕切る余裕がない
出生数100万人、死亡数130万人の多死時代
https://cdn-business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150303/278202/080300014/p5.jpg
●人口動態総覧の年次推移

出所:厚生労働省「平成29年 人口動態統計の年間推計」
 葬送が変化を強いられている第1の要因として、「多死社会」の到来がある。厚生労働省によると、05年に出生者数を死亡者数が初めて上回り、17年推計では年間の出生者数94万人に対して死亡者数は134万人と急増した。今後も、送られる側の数は増え続ける。

 第2の要因は、家族構成の変化だ。葬送の現場作業を主に取り仕切っていたのは家庭の専業主婦というケースが多かったが、1997年には共働き世帯が専業主婦世帯を上回った。地方の大家族から都市部の核家族へと家族形態も移り、高齢化に伴い独居も増えている。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2040年には高齢者を中心とした単身世帯が全世帯の4割を占める。残された遺族が高齢で病気がち、子どもは多忙な共働き、などというケースも増え、葬式を身近な家族だけで担うことは、事実上困難になりつつある。

 「葬式のコンパクト化」も、こうした変化の帰結として顕在化している。葬式業者を対象とした、公正取引委員会による16年の調査では、減少傾向にある葬式の種類について、7割の業者が、生前親交のあった人が出席する伝統的な「一般葬」を挙げた。一方、親族や友人など親しい関係者だけが出席する「家族葬」が増加傾向にあると5割の業者が回答している。通夜や告別式をせずに火葬する「直葬」が増えたとの回答も3割近くに上る。

「家族葬」と「直葬」の選択が増える
●葬式の年間取扱件数に占める種類別の増減傾向


出所:公正取引委員会「葬儀の取引に関する実態調査報告書」(2017年3月)
 大企業も動き始めた。コンパクト化のニーズをいち早く捉えたのが、09年に葬式の仲介サービスに参入したイオンだ。

 契約に至る顧客の半分が、同社の相談や終活セミナーを受けて、事前に会員登録をしているという。普段から頻繁に訪れるGMS(総合スーパー)を足場にした同社の営業活動は「終活」をより身近にした。来店客の中心は60歳前後の女性だ。「終活を始める人は、家族の負担を嫌ってシンプルなプランの葬式を選ぶ傾向が特に強い」と葬式子会社、イオンライフ(千葉市)の邉見英二営業部長は話す。

付加サービスが利益の4割
 プランの中で、通夜をせずに1日で葬式を終わらせる「一日葬」も提供している同社では、1件あたりの平均単価は60万〜70万円、都心部で人気の直葬ならば20万円強で実施できる。経済産業省の全国調査による1件あたりの売上高(約140万円)と比べると、イオンの顧客の低料金・コンパクト志向は明らかだ。

 同社は遺書の作成代行や遺品整理などサービスの多様化を進めることで、単価下落を補っている。営業利益ベースでは既に葬式以外のサービスが約4割を占めているという。

 ただし、コンパクト化だけが一本調子で広がるとは限らない。葬祭情報大手、鎌倉新書の小林史生・取締役執行役員は「家族葬、直葬がすぐに主流になるかというと疑問だ」と語る。2年以内に葬式をした40歳以上を対象とした同社の調査では、「家族葬」が4割弱を占める一方で、まだ半数以上が「一般葬」を選択していた。墓の傾向も同様だ。同社サービスを2017年に利用した墓の購入者の半数は「一般墓」を選んだ。

 「お葬式、墓を常識的に選びたいという希望もまだ根強い」と、同社ライフエンディング事業2部長の中村慎介氏は予測する。「日本の供養の文化がそう簡単に薄れるとも思えない」。弔う儀式の宗教色を排除して、有志が企画して故人をしのぶ「お別れの会」への関心も高まっている。

 つまり、葬送のトレンドに影響しているのは、低料金・コンパクト化というコスト面だけではない。見栄や世間体による「縛り」が緩み、個々人にとってより望ましい弔いの形を模索する形で、多様化が進んでいると見るべきだろう。

 多様化の中で生まれた新たな選択肢の一つが、「海洋散骨」だ。

なぜ海に骨をまくのか

自分自身の散骨を検討するために体験ツアーに参加した川端裕さん(写真=村田 和聡)
 晴れやかな夏日となった6月上旬のある日、東京・晴海の船乗り場から出発した海洋散骨体験クルーズに約20人が参加した。元会社経営の川端裕さん(79)は一人娘の長女と乗船。「正直言って最初は散骨に抵抗があった。でも墓を守っていくことは本当に大変。散骨という選択肢がある時代が来たことがありがたい」としみじみ語る。今年1月に亡くなった妻の遺骨も、本人の希望で海にまいた。「私には、お墓を守っていくことはできない」という長女の言葉も背中を押した。

 同じ船に乗っていた鶴見弥生さん(62)は「夫は亡くなり、子どももいない。誰の手も煩わせない散骨という選択は、私にとって実に自然な流れ」と晴れやかに笑う。既に死後の散骨を予約済みだが、今回のツアーには顧問弁護士を伴って参加した。鶴見さんからの委託を受け、実際に遺骨をまくのはこの弁護士だ。「弁護士から『実際の様子を確認したい』という希望があったので参加した。これで心置きなく身仕舞いができそう」

 体験クルーズを主催したハウスボートクラブ(東京・江東)の村田ますみ社長は「海洋散骨を始めた07年の依頼はわずか6件だったが、16年には250件、昨年は300件以上に増えた。日本全体でも海洋散骨は右肩上がりで、17年は1万件に達したのではないか」と推測する。村田氏が中心となって14年に立ち上げた一般社団法人「日本海洋散骨協会」は、加盟社10社未満からスタートし、現在は40社近くからなる。

 ハウスボートクラブの場合、一家族のみの乗船は25万円、他家族との合同散骨は12万円、同社に散骨を委託する場合は5万円。海洋散骨自体は死者数全体から見れば1%程度のシェアだが、認知度の高まりを受け、今後墓じまいを希望する層の受け皿にもなり得る。

 ただし、海洋散骨が現時点では法律のエアポケットになっている点には、注意が必要だ。遺体の処置を定めた墓地埋葬法には散骨についての記述がなく、法務省は「祭祀として節度を持って行うこと」と曖昧な見解を出すにとどめる。村田氏は「供養の気持ちを持たない業者も参入していることに危機感を覚える。業界内のルール徹底を進める必要がある」という。

 デジタル技術も葬送の選択肢を広げるのに一役買っている。6月下旬に2日間にわたってパシフィコ横浜(横浜市)で開かれた「フューネラルビジネスフェア」。主催の綜合ユニコム(東京・中央)が発行する「月刊フューネラルビジネス」の編集長、大坪育夫氏は「手書きで見積もりを出すなどIT(情報技術)化が著しく遅れた業界だったが、今回はITを活用する出展が目立った」と、指摘する。

葬儀×IT=「葬テック」

遺影写真事業大手の「アスカネット」が取り組む「葬テック」は、業界に浸透するか
 スクリーンなしで遺影が浮いて見える焼香台、応対するAI(人工知能)会話ロボット――。会場でひときわ異彩を放っていたのが、葬儀×ITを意味する「葬テック」の看板を掲げた「アスカネット」(広島市)のブースだ。スーツ姿の係が厳かな雰囲気で応対するブースが多いなか、ここでは青いポロシャツ姿の係がカジュアルに対応、この一角だけテック系イベントの様相を呈していた。関心を集めたのは、スマートフォン、SNS(交流サイト)に対応して「訃報」「弔電」「供花・供物」を発注できるサービス「tsunagoo(つなぐ)」だ。

 「共働き、核家族の家庭が増え、葬式準備に手間をかけられない層が増えている」と同社執行役員の村上大吉朗氏は話す。訃報を電話やファクスで伝える負担は小さくなく、行き届かないケースもある。

 前出の、公正取引委員会の調査では、葬式1件当たりの参列者数は「増加」が1.1%に対して「減少」は86.8%にも及んだ。村上氏は「葬テックで故人を悼む参列の機会を増やしたい」と意気込む。

 多様化した選択肢の中からどんな葬送を希望するか。葬送業者の多くは「ほとんどの人は、周囲の人に迷惑をかけないことを重視している」と口をそろえる。ならば、墓を撤去し、シンプルな葬式に徹するのが正解なのだろうか。ことはそう単純には運ばない。

 例えば遺族に負担が少ないとされる家族葬は、一般葬のように香典がない分、喪家が全額負担することになる。また訃報を省略すると、後になって逝去を聞きつけた友人が「手を合わせたい」とばらばらに自宅を訪れてくることもある。返礼品を後日発送したりと、葬式なら1日で済むことを延々と対応しなければならないかもしれない。かつて、家庭を守る専業主婦が担ってきた役割でもある。

直葬、家族はイヤ?
 「葬式もお墓も、自分でなく残される人が担うもの。慌てて終活をする前に、この大前提を肝に銘じてほしい」。葬送の問題に詳しい第一生命経済研究所の小谷みどり主席研究員は話す。

 小谷氏が提唱する「迷惑をかけない葬送」に最低限必要なことの1つ目は、誰が自分の遺志を実行してくれるのかを確認することだ。「配偶者は第一候補になることが多いが、先に亡くなってしまうことも当然ある。年齢に応じて複数の候補を想定してリスクヘッジをする」。家族との縁が希薄化している場合は、友人も選択肢だ。

 「本人が『告別式は必要ない』と言っていても、家族の葬式を直葬ですませることに抵抗がある人も一定数いる。裏返せば、周囲の人は最後ぐらいあなたに迷惑をかけてもらいたい、と思っているかもしれない」と小谷氏は助言する。葬送を託す候補者と自分の望む葬送方法について事前に話し合い、ギャップを解消しておくことが重要だ。

 次に必要な準備は、自身が参列を希望する友人知人をあらかじめリストアップしておくことだ。

 これまでは、そこまで考えなくてもよかったかもしれない。だがニーズに応えた新規参入が葬送の選択肢を増やしているがゆえに、変化の間隙を突いた悪徳業者による冒頭のような不法投棄などのトラブルにつながっている側面もある。自分で考えなくても、身内の誰かが安心安全に弔ってくれる時代は終わりつつあるわけだ。

 葬式に関するトラブルは、通夜振る舞いや精進落としの料理など、弔問客数によって変動する費用が関連することが多い。思わぬ弔問客の増加で予算を超過してしまうからだ。「友人が葬式の案内状をSNSを使って善意で拡散してしまい、弔問客が押し寄せるケースもある」(小谷氏)

 事前にリストを準備すれば、こうしたトラブルは避けられる。喪主が「近親者と親しい方で実施する」と記してリストの友人知人に案内状を送れば、弔問客を過不足なく呼ぶことができる。

 3つ目の準備は、資金をどれだけ用意しておくかについてだ。小谷氏は「お金が心配になったら見積もりを取ること。高齢になるにつれ、来てほしい友人知人は減っていくから、今この時以上に葬式費用が上がることはない」と話す。

 事前に見積もりを依頼すれば、悪質な業者を排除する手がかりにもなる。「費用の細目が見積書にしっかり記されていて、費用が変動するリスクまで説明してくれる業者ほど安心」(小谷氏)


(写真=PIXTA)
 いつか来る死から目をそらすことなく、過度に心配をすることもなく、できれば残される人とともに考えて準備をする。そうした気構えがあれば、誰もが納得のいく「最期の買い物」をすることが、できるはずだ。

葬式業界、透明化なお遠く
 2017年に国民生活センターに寄せられた、葬式に関するトラブルの相談件数は636件。08年から50%も増えた。同時期の死者数の増加(18%増)を考慮しても、トラブルが頻発していることが分かる。ピークの15年からはやや減少しているが「依然、高止まりしている」(同センター)。特に目立つのが「見積もりよりも請求金額が大きかった」といった料金面での相談だ。

 05年の公正取引委員会の調査で、約半数の葬式業者が書面を交わさず口頭で契約している実態が明らかになるなど、葬式業界はもともとトラブルを生みやすい商習慣があった。しかし、イオンをはじめとした他業種が均一料金を掲げて葬式仲介に参入したことで「既存業者の間でも取引の適正化が進んだ」(大手葬式会社)。それなのになぜ、トラブルが増えるのか。

 多くの葬式業者の顧問を務める武内優宏弁護士は「一部の業者に、単価下落への焦りがあるようだ」と指摘する。

 家族葬や直葬などシンプルで安価な葬式の割合が増えれば、収益は落ち込む。そこで、各業者は終活イベントによる囲い込みやサービスの多角化で補おうと動いている。

 しかし、経営余力がない中小業者は「料金設定で自由がきく、病院や警察を通じた従来ルートの深掘りで、追加オプションを積極的に売り込んでいる。遺族はまだショックを受けている段階で営業を受けるので、オプションについてよく理解できない。結果的に遺族への説明が不足しがちになる」(武内弁護士)。仲介業者の目を盗んで勝手にオプションをつけたとみられる事例もあるという。市場の変化に、業者の対応が追いついていないというわけだ。「喪主が密葬を希望しているのに、故人の知人からきた葬儀の問い合わせに業者がつい回答してしまい、トラブルになる例もある」(同)という。

 冒頭で紹介した墓じまいを巡る不法投棄のように、新しいサービスには悪質な業者が混じることもままある。海洋散骨についても「台風がきたのでキャンセルをお願いしたが、『台風だろうとうちは出航する。乗船しなくても正規料金は払ってもらう』と言われた」「業者に散骨を委託したのに報告書が届かない。どこかに捨てられたのではないか」といった相談が、国民生活センターには数多く寄せられている。

トラブルの件数は高止まりしている
●国民生活センターに寄せられた葬式サービスのトラブル件数

出所:国民生活センター

(写真=PIXTA)

このコラムについて
Special Report
日経BP社の媒体の中から、読者の反響が高かったものを厳選し、『日経ビジネスオンライン』で公開します。
https://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150303/278202/080300014


 
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/859.html

[経世済民128] 消費増税の「根拠」はもはや怪しい、ゼロベースで議論し直すべきだ ジンバブエ「悪い」通貨との戦いで危機深刻化 狼狽買占め
2018年10月18日 高橋洋一 :嘉悦大学教授
消費増税の「根拠」はもはや怪しい、ゼロベースで議論し直すべきだ
  今週は、新聞各紙で、「来年10月の消費税増税」が大きく取り上げられた。
 例えば、東京新聞(オンラインの記事)では、「安倍晋三首相が、消費税率を予定通り来年十月に10%へ引き上げる方針を明言した」と書かれている。
 中でも14日に、いち早く報道した読売新聞(「YOMIURI ONLINE」)では、「安倍首相は、消費税率を来年10月1日に現行の8%から10%へ予定通り引き上げる方針を固めた」とあった。
 だが来年10月に増税することは消費増税法に明記され、9月の総裁選でも安倍首相は「予定通り引き上げたい」と繰り返してきたから、まるで今、増税を決めたかのように誤解されかねない書き方だ。
 なぜこうなったのか。筆者は消費増税を確定させたい財務省の動きがあったのでは、と見ている。
奇妙な新聞報道
財務省の意向を「忖度」?
 実際に15日の臨時閣議では何が決まったのか。
 官邸のツイッターは、閣議での「総理発言」をこう伝えている。「消費税率については、法律で定められたとおり、平成31年10月1日に現行の8%から10%に2%引き上げる予定です」。
 ちなみにこの日の臨時閣議の一般案件は「平成30年度一般会計補正予算(第1号)等について(決定)」だ。
 元官僚の筆者から見ると、「等」が悩ましい。
「等」の中に、消費税増税を政府が閣議決定したことが含まれているとも、取れなくもない記述だ。
 だが、官邸のツイッターの「総理発言」全体を読んでも、安倍首相は、来年10月の消費税率10%引き上げが、経済に影響を及ぼさないよう対策を策定したり、軽減税率の準備を進めたりするよう指示したということだろう。
 ここで、読売新聞が先駆けて報道したことの「謎解き」を試みてみよう。これには確証があるわけでなく、あくまで筆者の邪推でしかない。
 まず、財務省は2019年10月の消費税増税を確定させたいと思っているはずだ。そこで、財務省の有力OBが関連会社に天下っている読売新聞に、15日の閣議決定があることをリークする。
 その際、あたかも消費税増税を閣議決定するかのような印象を記者に与える。財務省は、それがウソにならないように「等」を閣議決定に入れた――ということではなかったか。
 しかし、それでも、筆者から見ると、読売新聞の記事の内容は奇妙だ。総理発言のように、消費税増税自体は、もう法律に書いてあるのだから、予定通りやることを閣議決定することはないはずだ。閣議決定の対象は、補正予算であり、消費増税は、予定通りやると話して、対策は大丈夫かと、確認したということだけなのだから。
 このことは、菅官房長官の記者会見での質疑(動画)からもうかがえる。
 菅官房長官は、質問に対して、「リーマンショック級の経済変動がなければ実施するというのは過去の答弁通り」、「最終的な決断は、状況を見ながら判断する」と発言して、今回の消費税増税の表明が、これまで通り(法律で決まっている)であり、今回が最終的なものでないことを明らかにしている。
 大手新聞などの多くは、消費税増税に賛成の立場だ。それは10%への消費税増税の際に軽減税率(8%)が受けられるからだ、と筆者は推測している。
 新聞社の影響力の強いテレビ局では、軽減税率を解説する際、新聞が軽減税率の対象であることを説明しないで、消費税増税を是認する報道が多いと、筆者は感じている。
 今回も、消費税増税をなんとしてもやりたい財務省の「意向」を受けて(あるいは「忖度」して)、消費税増税を閣議決定したかのような報道になったのではないか。

増税主張の根拠は怪しい

「財政再建は完了している」

 だがここに来て、消費税増税に対する世間の風向きが変化しつつあると、筆者は感じている。
 まず、自民総裁選後、来年10月の前にある夏の参院選挙がかなり意識されるようになった。自民党の議員の中から、消費税増税を掲げて参院選を勝てるのかという、政治家としては当然ともいえる意見が出始めた。
 こうした声が大きくなり、勢いを増すきっかけになりそうなのが、これまで財務省が消費税増税の根拠としていた「財政危機」説が危うくなっていることだ。
 本コラムの読者であれば、筆者が政府のバランスシートを分析して、国の財政状況が悪くないことを何度も書いてきたことを知っているだろう(例えば、2015年2月5日付け「国の債務超過490兆円を意外と簡単に減らす方法」)。
 これとほぼ同じ内容のものが、最近、国際通貨基金(IMF)から発表された。IMFの「財政モニター報告書」だ。
 これは、各国の財政状況について、負債だけではなく資産にも注目して分析したものだ。
 この報告書では、日本政府の負債額は国内総生産(GDP)の283%に相当するが、半分以上を日銀や公的年金などの、いわば公的機関が保有しており、資産と差し引きした「純資産」はほぼプラスマイナスゼロとなっている。
 このことは、筆者が指摘してきたように、事実上、財政再建は完了していると見ることができる。
 このIMFのレポートに対する海外メディアの注目度は高い(例えばロイターの記事)のだが、日本のメディアではあまり取り上げられない。
 日本のマスコミは、日本の財政状況は先進国で最悪だと、財務省の説明をうの呑みにしたようなことを書いているが、せめて、「財務省は財政状況が悪いと主張しているが、国際機関などからその主張に疑問も出ている」といった報道をすべきだ。 それが、国民に正しい情報を提供すべき報道機関のスタンスだろう。
 ちなみに、財政モニター報告書では、2ページの図1.1で、比較可能な国の「公的部門バランスシート」でのネット資産対GDP比が記載されている。それによれば、日本の公的部門のネット資産対GDP比はほぼゼロである(下図参照)。

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 ネット資産対GDP比は、財政状況を見るのに使える。

 理論的には、ネット資産対GDP比が限りなく減少する(数学的な表現では、マイナス無限大に発散)と財政破綻、ということになる。
 またIMFの報告書ではそこまで書いていないが、35ページのAnnex Table 1.3.1.で、長期金利と一般政府のネット資産との状況について、回帰分析を行っている。
 その含意は、「ネット資産が少なくなると、長期金利が上昇する傾向がある」となっており、理論面でのネット資産と財政破綻の関係と整合的であることが示されている。
 そこで、一般政府のネット資産対GDP比とその国の信用度を表すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)レートの関係の相関を調べてみた。これを見ると、両者にはかなりの相関があることが分かる。

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 筆者はCDSのデータから、その国の破綻確率を計算し、例えば、日本が今後5年以内に破綻する確率は1%未満であると言ってきた。このことは、IMFの報告書で日本のネット資産がほぼゼロであることと整合的だ。
「消費増税見直し」で
参院選で信を問うのもあり得る
 こうした話は、本コラムでこれまでにも書いてきた。昨年来日したノーベル経済学者のスティグリッツ教授が、経済財政諮問会議の場でも「日本の財政負債は大半が無効化されている(から財政破綻にはならない)」と、発言したこともそうだ。
 その時、増税を主張する日本のある経済学者は「スティグリッツ教授が間違っている」と強気だった。筆者はもしそうなら、スティグリッツ教授に手紙を書いて謝罪文をもらうべきと、この学者に言ったが、いまだに、スティグリッツ教授から謝罪文が届いたという話は聞いていない。
 いずれにしても、消費税増税の根拠が怪しくなった以上、消費税増税はゼロベースで議論すべきだ。
 実際問題としては、法律で税率引き上げは決まっているので、覆すのはなかなか至難の業だ。ラストチャンスとなるのが来年度予算成立後の4月から5月だろう。
 その時点で何が起きているかは分からないが、「リーマンショック級の事態に備える」と、政治判断ということで表明すればいい。法律を変える必要があるので、自民党内の増税賛成派議員を抑えられるかどうかは分からないが、「増税見直し」を掲げて参院選で信を問う形もあり得るのではないか。
 なにより、平成後の新しい時代を増税で暗い世の中にしたいのだろうか。政治家の「常識」が問われている。
(嘉悦大学教授 高橋洋一)
https://diamond.jp/articles/-/182618

 
ジンバブエ「悪い」通貨との戦いで危機が深刻化 蘇るハイパーインフレの記憶、狼狽して買い占めに走る国民
2018.10.18(木) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年10月15日付)

ジンバブエ、コレラ流行で非常事態宣言 1週間で21人死亡
ジンバブエの首都ハラレにある病院で、コレラ患者の処置に当たる看護師(2018年9月11日撮影)。(c)Jekesai NJIKIZANA / AFP〔AFPBB News〕

 ジンバブエが新たな経済危機に見舞われている。現地通貨は暴落しており、先週の買い占め騒ぎの後、商店の棚は空っぽになっている。

 ジンバブエの複雑な通貨制度――米ドルの裏づけがない電子マネーと独自の代用通貨「ボンドノート」が急激に価値を失っている――の問題を解決しようとする試みは、政府からの矛盾したメッセージによって阻害されている。

 直近の危機は、ハイパーインフレの記憶を呼び覚まし、ジンバブエは「開店営業中」という新政権のメッセージを損ねている。

 絶望的なドル不足のなか、現地のケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の店舗でさえ、鶏肉を買う資金を確保できず、店を閉めることを余儀なくされている。

 問題が始まったのは今月、ムトリ・ヌクベ財務相が銀行口座を、「良い」ドルの入った口座と「悪い」ドルが入った口座の2タイプに分けると発言した時のことだ。

 「良い」口座は、何百万人もの在外ジンバブエ人が送金してくるドルの流入に裏づけられている。

 一方、「悪い」口座には、「リアルタイム・グロス・セトルメント」の略でRTGSとして知られる電子マネーが入っている。

 ジンバブエでは、ハイパーインフレを伴う経済崩壊後に政府が現地通貨ジンバブエドルを廃止して以来、もう10年近くドル化経済となっている。

 国民は米ドルと並行して流通する2つの代理通貨に対する信頼を失った。

 1つは、2016年に導入された、本物のドルの裏づけがあるとされる「ボンドノート」。

 もう1つが、物理的な紙幣が存在しないなかで、市民が様々なモノを買うために使う電子マネーだ。

 実際には、どちらもドルとの等価で売買されていない。ボンドノートは先週、1ドルに対して20セントの価値しかなかった。

 ヌクベ財務相は、根本的な原因は、事実上、実世界の裏づけなしで何十億ドルもの電子マネーを発行することになった持続不能な政府借り入れにあると認めたことで称賛を浴びた。

 だが、並行通貨制度を打ち切ろうとする財務省の試みは、政権が猛烈な通貨切り下げを通じて貯蓄を帳消しにする準備をしているとの噂を引き起こした。

 ヌクベ氏は先週、次のように語り、噂が事実だと確認したかに思えた。

 「市場は、これらの通貨は等価ではないと言った。私は市場と議論したくない。ボンドノートは、いずれどこかの時点で、廃貨しなければならない」

 その2日後、パニックが広まるなか、ヌクベ氏は――今度は国際通貨基金(IMF)年次総会のために訪れていたバリで――発言を撤回した。

 エジプトのカイロに本拠を構えるアフリカ輸出入銀行から資金保証を得た後、ジンバブエ政府はRTGSの残高のドルとの等価を守ると同発表。

 ツイッター上で、「アフリカ輸出入銀行がRTGSの口座残高と米ドルとの1対1の兌換を保証する資金枠をジンバブエに提供した」と書いた。同銀からはコメントを得られなかった。

 次第に強まる危機の気配は、経済を正常化させ、国際機関との関係を修復しようとするエマーソン・ムナンガグワ大統領の新政権の努力を台無しにした。

 ジンバブエは2001年から、IMFへの資金返済が滞っている。

 英オックスフォード大学の客員教授でアフリカ開発銀行のチーフエコノミストを経験したヌクベ氏が財務相に任命されたのは先月のこと。

 同氏の起用は、ジンバブエが改革に真剣だという姿勢を示し、世界の投資家を安心させることを狙っていた。

 だが、ヌクベ氏が政府の全面的な支援を得ているかどうかについては、まだ疑問が残っている。

 ムナンガグワ氏は、ロバート・ムガベ氏が昨年11月に解任された後に大統領の座に据えられた。

 今年7月に実施された選挙は、不正投票の疑惑と、投票日から数日後に起きた抗議者に対する軍の銃撃によってケチがついた。

 ムナンガグワ氏は、50.8%の得票率を確保したと宣言された後、ギリギリで決選投票を免れている。

 先週ロンドンで開かれた本紙フィナンシャル・タイムズの会議「FTアフリカサミット」では、ヌクベ氏は自身の計画の概要を打ち出し、ジンバブエでは「変化の風」が吹いていると宣言。

 計画されている改革の一つとして、政府はプラチナ鉱山とダイヤモンド鉱山の所有を現地資本に限定する、物議を醸す「現地化」法を撤廃する用意があると語っていた。

 また、ムナンガグワ氏の政権は文民を装った軍事政権だとの見方を否定し、「私は文民だ。私が改革を率いている」と語った。

 翻ってジンバブエ国内では、国民がドル不足にあえぎ、ヌクベ氏が電子決済に課した2%の新税に抗議している。

 この対策は、莫大な財政赤字を埋めるために必要だと同氏は語っている。

 野党党首のテンダイ・ビティ氏は英BBCに対し、新財務相は長年の無謀な失政から生じた経済危機を解決できないだろうと語り、「選挙は不正操作できるが、経済を不正操作することはできない」と述べている。

 ムナンガグワ大統領は直近の危機を、改革の必然的結果として描き、「経済の自由化には痛みが伴い、これは我々が負っていく痛みの一つだ」と語っている。

 しかし、押し寄せる嵐への不安があまりに強烈なことから、ヌクベ氏の確約にもかかわらず、一部のジンバブエ国民は「良い」ドルの口座でさえ安全かどうか疑っている。

 ジンバブエのエコノミスト、ジョン・ロバートソン氏は、2007〜08年のハイパーインフレに言及し、国は以前にも貯蓄を帳消しにしたことがあると指摘。

 「それが庶民に多大なコストを強いたことから、政府の声明に対する信頼はもう存在しない」と話している。

By David Pilling in London and Joseph Cotterill in Port Louis

© The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. Please do not cut and
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54415
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/860.html

[経世済民128] サウジ記者不明事件、大手邦銀は「漁夫の利」狙うか サウジ問題で表面化する「米国凋落」 トランプ、サウジとの関係断絶望まず
コラム2018年10月18日 / 13:41 / 4時間前更新

サウジ記者不明事件、大手邦銀は「漁夫の利」狙うか
Una Galani
3 分で読む

[ムンバイ 17日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 日本の大手銀行は、海外のライバルがサウジアラビア政府との取引から手を引こうとしている事態が自分たちにプラスに働くと期待しているかもしれない。

サウジ政府を批判してきた記者が行方不明になった事件を巡り、同国が殺害に関与したのではないかとの観測が高まっている。これを受け、欧米の大手銀行首脳は、来週サウジで開催される経済投資フォーラム「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ」への不参加を相次いで表明した。

しかしこれは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)(8306.T)やみずほフィナンシャルグループ(8411.T)にとって、サウジで手数料収入を拡大する好機になる可能性がある。

JPモルガン(JPM.N)のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が先鞭を付けた形で、欧米大手行首脳の大半は同フォーラムを欠席して倫理観の高さを示し、顧客や従業員、社外取締役、金融エリートの仲間内などからの反発を避ける行動を選んだ。

HSBC(HSBA.L)のジョン・フリントCEO、スタンダード・チャータード(STAN.L)のビル・ウィンターズCEO、BNPパリバ(BNPP.PA)のジャン・ルミエール会長、クレディ・スイス(CSGN.S)のティージャン・ティアムCEOらは同フォーラムに出席しない。

一方でMUFGやみずほが持つ大きな利点は、日本では企業による抗議という文化が存在しないことだ。

世界のどこかでモラル上の危機が起きて企業が行動を迫られたとしても、日本企業は欧米のように社会からの圧力は感じずに済む。憲法改正や原発など国内で賛否がはっきり分かれる問題でさえ、公然とデモを行う人々は変わり者扱いされる。

その意味で、日本企業は株主など利害関係者からの圧力に屈しにくいのは間違いない。

サウジがソフトバンクグループ(9984.T)の「ビジョン・ファンド」の大口出資者である点を踏まえれば、同フォーラムに出席予定の邦銀はむしろ、同国との良好な関係を維持する方により関心を向けるだろう。

複数の報道によると、MUFGとみずほもビジョン・ファンドに出資している。

そして最終的に、サウジが同国に恥辱を与えた人々に敵意を持つようになれば、MUFGとみずほは「味方」にとどまった恩恵にあずかれる。両行は既に、今年のサウジにおける手数料収入ランキングでトップ10入りしており、過去5年ベースではトップ5に食い込んで1億2300万ドルを稼ぎ出している。

サウジで得た手数料の大半は債券とローンに由来する。また今後、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子による経済改革の進展に伴ってより大きな果実が手に入る可能性がある。いずれ国営石油会社サウジアラムコの上場計画が復活してもおかしくないからだ。日本側はアラムコの東京上場を熱心に働き掛けていた。

日本企業の立場では、サウジ政府の機嫌を引き続き取り結ぶことは、道義的には問題かもしれないが、リスクは小さい。

●背景となるニュース

・HSBC、クレディ・スイス、スタンダード・チャータードの首脳は来週の経済投資フォーラムの出席を取りやめた。各行の広報担当者が16日、BREAKINGVIEWSに語った。

・MUFGとみずほは17日、この件についてBREAKINGVIEWSへのコメントを拒否した。のちにウェブサイトから削除されたフォーラムの出席者リストにおいて、真っ先に確定したのはMUFGとみずほの首脳だった。

・JPモルガンのダイモンCEOが先鞭を付けた形で、欧米大手行首脳が欠席する流れが生まれた。

Mitsubishi UFJ Financial Group Inc
692.2
8306.TTOKYO STOCK EXCHANGE
+2.40(+0.35%)
8306.T
8306.T8411.TJPM.NHSBA.LSTAN.L
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/saudi-japan-banks-breakingviews-idJPKCN1MS0DD


 

コラム2018年10月18日 / 16:26 / 4時間前更新

サウジ問題で表面化する「米国凋落」
Peter Apps
4 分で読む

[17日 ロイター] - サウジアラビアを巡る米国の板ばさみ状態を説明した際のトランプ米大統領の表現は、極端に「もうけ最優先」だった。

もし米政府がサウジ政府との緊密な関係を手放して武器の売却をやめれば、サウジはロシアや中国に頼るだろう。米大統領は11日、執務室で記者団にこう述べたのだ。

これを前提に、トランプ氏は、サウジへの1100億ドル(約12兆円)規模の武器売却を計画通りに実行すべきとの考えを示唆しているようだ。トランプ氏は、この売却により45万件の雇用が生まれるとしている。

トランプ氏の発言には一理ある。だがこれは同時に、より広い地政学や倫理の問題と絡む難題でもある。

トルコからイラク、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプトなどの中東一帯では、米国が意思を押し付けようとすればするほど、独裁色を強めがちな各国政府はそっぽを向いてしまう。

いわゆる「アラブの春」に続く混乱で民衆の抗議活動に直面したこの地域の国は、オバマ米政権に裏切られたと感じ、米国の影響力は急落した。そして、米国が民主化を促したり自制を求めたりすることはもちろん、単発の出来事に影響力を及ぼすことすら困難になっている。

だが本当の問題は、この地域と関わり続ける意欲がどれほど米国にあるか、だろう。

同盟国、敵対国を問わず、この地域の拷問部屋や監獄で恐ろしいことが行われてきたことは疑う余地がない。それでも、イスタンブールのサウジ領事館で今月、サウジ人反政府記者のジャマル・カショギ氏が拷問を受けて殺害され、切断されたとされる事件の目を見張るような残虐さは、ゲームチェンジャーとなるかもしれない。

米国には、まだ影響力がある。サウジのサルマン国王やムハンマド皇太子が、訪問したポンペオ米国務長官と速やかに面会したことを考えれば、少なくともそれは明らかだ。

この産油国と世界の超大国は、まだお互いを必要としていると明らかに考えている。ポンペオ氏が会談後に語ったように、カショギ氏失踪を巡る事実関係については双方とも触れたがらず、サウジ政府の独自調査の結果を待つ構えだ。

トランプ政権とサウジ王室はこの2年、緊密な相互関係の構築に力を注いできた。だがカショギ事件により、このような関係の価値や将来についてのあらゆる懸念が一気に噴出したかに見える。

以前から、すでに米議員の間では武器売却の凍結を求める声が高まっており、対サウジ制裁も公に議論されていた。米国の有力ロビー企業2社も今や、サウジ政府との関係を解消している。

一部では、カショギ氏が尋問の過程で誤って死亡したとサウジが認める方針だとの報道もあるが、同国政府関係者は、現段階では殺害行為への関与を全面的に否定している。

だがもし、指摘されているように権力の座にある人間が関与していたとすれば、彼らが米国や西側の懸念を気にも留めていない証しといえるだろう。

とはいえ、西側がサウジから支援の手を引けば、少なくともある側面では事態が悪化する。例えばイエメンでは、イラン勢力下の武装勢力に対してサウジ主導の攻撃が行われているが、もしサウジがロシア式の無差別兵器や戦術を使ってシリアで行われているような空爆を実施すれば、現在1万人程度とされる民間人の死者はさらに増える結果となるだろう。

かつては比較的穏健な西側同盟国と見られていた中東の国ですら、次第に独自のルールで行動するようになっている。

ニュースサイトのバズフィードは16日、UAEが、イエメンで失敗に終わった暗殺計画のために米国の傭兵を雇っていたと報じた。UAEは同日、研究旅行中の博士課程の英国人学生を拘束し、スパイ容疑で起訴したと発表した。このような行動は英米で波紋を広げているが、地域の指導者が気にする様子はない。

中東政治は今や、ほぼすべての面でこうした傾向が見られる。

2011年にシリアで抗議活動が活発化したとき、オバマ政権はどうすれば米国の力を最善の方法で発揮できるかに苦しんだ。そして、恐らく最悪の選択肢を選んだ。結果を出すために十分な支援を提供することなく、反政府勢力を応援したのだ。現在では、戦場でほぼ勝利を収めたロシアとアサド政権が明らかに主導権を握っている。米国は、傍観者的な立場でしかない。

最近では、トルコが拘束していた米国人牧師を釈放した件が大きく報じられたが、エルドアン政権下のトルコは入念に米国と距離を取り始めており、ロシアから対空防衛システムまで購入している。

ペルシャ湾岸地域で、オバマ、トランプ両政権はともに、同盟国であるカタールとUAE、サウジの関係を改善させようと努力してきたが、イエメン内戦と同じくらい効果は出ていない。米国の軍事支援にいまだ依存した状態のイラクですら、ロシアやイランの影響を以前より受け入れるようになっている。

今後何年か、こうした傾向は加速する一方だろう。

この先誕生するかもしれない米国の民主党政権は、誰が大統領であっても、歴代政権と比べて軍事行動や地域の強権的指導者に歩み寄ることに関心を示さなくなるだろう。

欧州諸国の政府は、さらに慎重だ。イラク戦争やリビアでの軍事行動の経験が、イラクやシリアで行われた過激派組織「イスラム国(IS)」掃討作戦のようなものを超えた深入りを戒める、強力な警告となっている。

倫理的な境界線、さらには実際上の境界線ですら、どこに位置するかは不明瞭だ。

筆者はよく、2006年にスリランカで再発した内戦を取材したときのことを思い返す。われわれが政府側の蛮行を報じ、西側による軍事支援の縮小につながった。だがその穴を中国などがより無差別的な兵器を供給することで埋め、結果として死傷者数が爆発的に増えた。

多くの面で、中東、中でもイエメンは、こうした根本的なジレンマの実験場となっている。西側は一切関与すべきでないと断言したい誘惑にかられるが、関与しなければそのこと自体が代償を生むことになる。

西側のサウジに対する忍耐は限界に近づいていた。イスラム過激派に対する国内からの支援に長年目をつぶり、国外で交戦に及んできたことが大きい。

もしカショギ氏の失踪が決定打とならないのなら、イエメンで進行している人道上の危機がそれになるかもしれない。

状況を説明したトランプ氏の表現はひどかったかもしれない。だが一方で、彼とその後継者にとっていかに選択が困難で、また同時に無意味なものかを、正確に指摘したものともいえる。

*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。
https://jp.reuters.com/article/apps-khashoggi-idJPKCN1MS0W1


 
ワールド2018年10月18日 / 05:25 / 4時間前更新
トランプ米大統領、サウジとの関係断絶望まず 記者失踪巡り
2 分で読む

[アンカラ/ワシントン 17日 ロイター] - トランプ米大統領は17日、サウジアラビア政府を批判してきた米国在住のサウジ人著名記者ジャマル・カショギ氏の失踪問題を巡る懸念はあるものの、中東の友好国であるサウジとの関係を絶つことは望んでいないと述べた。

カショギ氏は今月初旬、トルコ・イスタンブールのサウジ総領事館に入った後に消息を絶ち、総領事館内で殺害されたとの観測が強まっている。

トランプ大統領はFOXビジネスニュースとのインタービューで、真相の解明を望んでいるとした上で、カショギ氏の失踪に「サウジの国王や皇太子が関与していないことを願っており、これは私にとっては重要なポイントだ」と語った。

米国の共和、民主両党の議員からは、カショギ氏失踪問題を踏まえ米国は強硬な措置を取るべきとの声が上がっているが、トランプ大統領は米国がサウジとの関係を断絶するかとの質問に対し、「それは望んでいない」と応じた。

たとえ米国がサウジへの武器の売却を停止しても、サウジは購入先を他国にシフトさせるにすぎないとし、サウジに対する強硬措置に懐疑的な考えを示した。「テロとの戦いやイラン問題などに対処する上で、サウジアラビアは必要な存在だ」と強調した。

トランプ大統領は、サウジとトルコに派遣したポンペオ国務長官からのカショギ氏の消息に関する報告を待っていると述べた。大統領は米東部時間18日午前10時(1400GMT、日本時間午後11時)にポンペオ長官から報告を受ける予定。

ポンペオ長官は、米国は事実の判明後に対応措置を検討する際、サウジとの重要な政治・経済上のつながりに留意すべきだとの考えを示した。

トルコの関係筋は、カショギ氏が領事館内で殺害されたことを示唆する音声記録を当局が入手したとロイターに明らかにしている。

親政府のトルコ紙イェニ・シャファクは17日、カショギ氏の拷問と尋問の音声記録とされるものの詳細を伝えた。それによると、カショギ氏は尋問中に指を切断され、10分以内に死亡した。その後、頭部を含めて遺体は切断されたという。

米国と欧州の治安当局者7人はロイターに対し、トルコは音声や映像の証拠を欧米諸国の政府と共有していないことを明らかにした。米国と同盟国は独自に情報を入手し、このうち一部は音声記録に基づく報道を確認する内容だという。

米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙によると、トルコ政府高官はイェニ・シャファクが報じた詳細を確認した。

トルコの捜査当局は、サウジ総領事公邸で捜索を実施。屋根やガレージのほか、ドローンを飛ばすなどして周辺地域も含め9時間近くにわたって調査した後、サウジの捜査当局者と同様に18日未明に公邸を去った。

米ワシントン・ポスト紙はカショギ氏による最後のコラムを掲載した。同氏が消息を絶った翌日にアシスタントから送られてきたもので、アラブ諸国政府によるジャーナリスト弾圧と国際社会がそれに対応できていないことを非難する内容だった。

NYTは関係者などの話として、カショギ氏を殺害したとされる容疑者4人がサウジのムハンマド皇太子とつながりがあると報じた。

ムニューシン米財務長官は、来週サウジの首都リヤドで投資会合に出席する計画について、ポンペオ国務長官が米当局者らと協議した後、18日に再検討すると述べた。

*内容を追加しました。
https://jp.reuters.com/article/saudi-politics-dissident-trump-idJPKCN1MR2YV
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/862.html

[経世済民128] 米中間選挙はドル買いか、市場を占う3つのシナリオ 米国の学生ローン危機、今後さらに悪化 人手が足りない、移民政策厳格化で
外為フォーラムコラム2018年10月18日 / 19:17 / 3時間前更新

米中間選挙はドル買いか、市場を占う3つのシナリオ

山田修輔 バンクオブアメリカ・メリルリンチ チーフ日本FX株式ストラテジスト
5 分で読む

[東京 18日] - 中間選挙まで3週間を切った米国では、熱を帯びた戦いが繰り広げられている。市場コンセンサスは共和党が上院の過半数を維持する一方、民主党が下院の共和党支配を切り崩し、過半数を奪取する構図である。

しかし選挙は水物であり、2016年大統領選の共和党完勝が金融市場に与えた衝撃は記憶に新しい。確実性を持った予見は不可能であるが、ここでは頭の体操として、選挙結果がマーケットに及ぼすシナリオ分析を提示したい。

筆者は11月6日の中間選挙がドル円と日本株の分水嶺になり得ると認識している。後段で詳述するが、今回は従来の中間選挙より意義深い政策的帰結をもたらす可能性を秘めている。共和党は減税と歳出削減、民主党は増税で賄う歳出増加と最低賃金引き上げを訴えており、経済政策の方向性が両党で相容れない。

民主党が上下両院の共和党支配を切り崩せば、政治的な行き詰まりと政策の不確実性が高まることが想定され、金融市場にとってはこれが焦点となる。特に民主党が完勝する展開となれば、米金利の利回り曲線はブルフラット化し、共和党が上下両院で過半数を維持した場合には、ベアスティープ化が予想される。

ドル円と日本株は米金利の水準とカーブの形状に対する感応度が高く、ブルフラット化局面ではドルとその他通貨のペアや他国の株式市場をアンダーパフォームし、ベアスティープ化局面ではアウトパフォームする傾向がある。日本株のセクター別の強弱も米金利変動に敏感で、ベアスティープ化は内需関連やディフェンシブ銘柄に対して不利に、金融、輸出関連、シクリカル銘柄に対して有利に働き、ブルフラット化局面では逆となる傾向にある。

そのため、共和党の完勝または民主党の完勝がはっきりした場合、ドル円と日本株が大きく反応する相場展開を想定したい。また、市場の焦点は依然として中間選挙に定まっておらず、世論調査次第だが、これから投票日に向けドル円の相場変動が上昇する可能性がある。

これまでは米2年債と10年債のカーブが7・四半期連続でベアフラット化しており、ドル円変動が抑制されがちな金利環境だったため、ベアスティープ化もしくはブルフラット化は、環境の変化を意味する。ドル円の国内需給は買い優勢であり、日本株の国内ファンダメンタルズは堅調であるため、共和党が完勝して利回曲線がベアスティープ化するシナリオでは、1ドル118円の可能性も開けてくる。ねじれ議会シナリオでは、米株高と金利低下が相殺し、日本市場の反応は限定的であろう。

ここからはシナリオごとに、日本市場への影響を分析したい。

●ねじれ議会なら影響は限定的

市場のコンセンサス通り民主党が下院で過半数を制し、共和党が上院支配を維持する「ねじれ」議会の場合、日本市場への影響は少なくとも当初は限定されそうだ。ここでは深入りしないが、トランプ政権のレームダック化と財政議論の難航が予想され、カナダ、メキシコとの新たな通商協定の承認にもリスクが残る。基本的に市場の反応は、下段で説明する民主党完勝シナリオの「抑制型」となろう。

米国債の利回り曲線が小幅にブルフラット化し、ドル円が多少下落することが想定されるが、米国株は「抑制と均衡」を生み出すねじれ議会を好感するとの可能性も一部で指摘されているため、日本株安は一時的なものにとどまる可能性がある。

●共和党完勝ならドル円上昇、リスクオン

共和党が上下両院で過半数を維持する展開は「サプライズ」となる。このシナリオでは、税制改革第2段への期待が高まりそうだ。個人所得税に対する減税の恒久化は上院可決に60票が必要な難関であるが、中所得層に対する減税など一部条項の恒久化で妥協する可能性は残り、他の税制優遇は時限措置により実現可能であろう。

医療保険制度改革(オバマケア)撤廃も再び議題に上がり、国防分野以外の財政支出削減策が、優先的に通過させる案件として採決される可能性があるが、これは減税の効果を一部相殺し得る。政府債務の上限に関しては、下院の保守強硬派「フリーダム・コーカス(自由議員連盟)」による多少の抵抗はあるだろうが、従来どおり解決が期待できる。

総じて短期的な総需要とインフレを、小幅であるが押し上げる公算が大きく、財政赤字は拡大するが抑制的だ。また、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ軌道に上振れリスクが生じるが、財政刺激策の効力が将来的に薄れれば、2020年の大統領選に向け景気が鈍化し、トランプ政権がFRBに強い圧力を掛ける可能性がある。

金融市場では政策や政治の不確実性の低下が最も重視され、財政赤字拡大が限定的との見方はドルにポジティブである。米国債の利回り曲線がベアスティープ化し、少なくとも短期的には米株も上昇し、ドル円と日本株双方が上昇する公算である。米金利上昇とドル高に対する新興国市場の反応は懸念材料だが、米国の政策に対する不確実性低下は、当初はリスクオンにつながる可能性が高い。

●民主党完勝ならドル安、ディフェンシブ銘柄がアウトパフォーム

民主党が上下両院を制した場合もサプライズとなる。トランプ大統領は民主党の議会運営に対し拒否権を行使する可能性が高い。大統領と民主党指導部の間で、政府機関の閉鎖を引き起こしかねない敵対的な攻防が予見出来る。大統領指名人事の議会承認の混乱も危惧される。一方、家族有給休暇法案に関しては、大統領の娘イバンカ氏が関わっているため、妥協可能であろう。

このシナリオにおける当社の経済見通しは、「ねじれ議会」の場合と大差ない。家族有給休暇法案の成立は労働供給増を意味し、目先の成長率及び潜在成長率をわずかに押し上げる。インターネット通販の台頭による供給ショックと相まってインフレ圧力を漸減させ、FRBは現状の緩慢な利上げ軌道を維持するだろう。

民主党は増税以上に財政支出拡大を目指しているため、共和党支配の議会よりも財政悪化懸念は高まるかもしれないが、当初は政策不確実性の高まりによるリスクオフで利回り曲線がブルフラット化し、ドル円と日本株は下落する公算である。株式は内需関連、ディフェンシブ銘柄が、金融、輸出関連、シクリカル銘柄を短期的にアウトパフォームするだろう。ただし、医薬品株については薬価引き下げのリスクが高まるため注意が必要だ。

<通商政策は不確実性はらむ>

最後に、中間選挙が米国の外交・通商政策に与える影響と、それが日本にもたらす意味を考察したい。

トランプ政権の対外強硬姿勢は、特に中国に対して日増しに顕著となっている。米国の動機は純粋な経済的利益にとどまらず、覇権国としての中国台頭を阻止する色合いが濃い。中国の対日強硬姿勢はオバマ前米政権による関与政策によって助長されていたと考えられ、高圧的なトランプ政権のもとでは、日中関係は選挙結果に関わらず改善するとみられる。

米国の通商外交政策については、2つの見方がある。共和党による議会支配が崩れた場合、トランプ大統領は内政で行き詰まるため、対外強硬姿勢を強めるとの見方。もう1つは、その場合、トランプ大統領は民主党の監視を受けるため、対外的な強硬姿勢が緩和されるとの見方だ。

米国の反グローバリズムは趨勢(すうせい)的潮流であり、今回の中間選挙の結果いかんで逆戻りするとは考えにくい。その前提に立てば、政策の不確実性が低下する共和党の完勝がリスク資産にプラスになるとの論理に落ち着く。

(本コラムは、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

山田修輔 バンクオブアメリカ・メリルリンチ チーフ日本FX株式ストラテジスト(写真は筆者提供)
*山田修輔氏はバンクオブアメリカ・メリルリンチのチーフ日本FX株式ストラテジスト。PIMCOをはじめとして米国の金融機関でマクロ経済、市場分析に従事し、2013年より現職。2005年マサチューセッツ工科大学(MIT)学士課程卒、2008年スタンフォード大学修士課程卒。CFA協会認定証券アナリスト。石川県小松市出身。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-shusuke-yamada-idJPKCN1MS1EW


 

米国の学生ローン危機、今後さらに悪化の恐れ−授業料・金利上昇で
Riley Ray Griffin、Suborna Panja、Kristina D'Alessio
2018年10月18日 14:37 JST
• 学生ローンのここ11年間での累計増加率は約157%
• 4−6月期末の学生ローン残高は約1兆5000億ドル−FRB

Photographer: Kevork Djansezian/Getty Images North America
ウォール街やトランプ米大統領が株高や低失業率のニュースを称賛しているのに対し、大学生はいら立ちの表情を浮かべずにはいられないかもしれない。米景気は改善しているが、多額の債務の返済に苦しむ大卒者にとってまだ賃金上昇につながっていないばかりか、今後ローン返済の負担がのしかかる在学中の学生を安心させるまでに至っていない。
  「グレートリセッション」以降の増加が際立つのが連邦学生ローンだ。授業料や借り入れコストの上昇が続いている結果、デフォルト(債務不履行)の危機は拡大し、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長でさえ懸念要因と指摘している。
  学生ローンのここ11年間での累計増加率は約157%に達している。一方、ブルームバーグ・グローバル・データの連邦・民間ローン分析によれば、自動車ローン債権は52%増にとどまっているほか、住宅ローンやクレジットカード債権に至っては1%程度減少している。
  FRBによると、2018年4−6月(第2四半期)末までの学生ローン残高は約1兆5000億ドル(約169兆円)に上り、米国の消費者向け債権では住宅ローンに続き2番目に大きい分野となっている。 そして、その額はさらに増加し続けている。
Student Debt Just Keeps Growing
Student loans are the fastest growing segment of U.S. household debt, seeing almost 157 percent growth since the Great Recession.

Source: Bloomberg Data
  大学に進学する学生が増えていることが学生ローン提供拡大の背景にあるが、私立・公立の大学共に授業料は過去最高水準に達している上に、学生ローンの金利も上昇。次世代の大卒者のデフォルト率は金融危機の直後を上回る恐れがあると、専門家やアナリストは懸念している。
  インバイト・エデュケーションを創業したジョン・フパロ最高経営責任者(CEO)は「学生は大学の授業料値上げだけではなく、学位取得を賄うための借り入れのコスト上昇にも見舞われている。このダブルパンチはローンを返済する学生にとって良くない前兆だ」と指摘した。
原題:America’s Student Loan Debt Crisis Is About to Get Much Worse(抜粋)

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-18/PGS2CJ6KLVR401?srnd=cojp-v2

 

人手が足りない、移民政策厳格化で米食肉加工業界悲鳴
Mario Parker、Megan Durisin
2018年10月18日 9:23 JST
カーギルなど、移民政策の厳格化と失業率低下の影響受ける
新プラントが十分に稼働可能かどうか分からない−アナリスト
米ひき肉供給会社最大手カーギルでは毎週月曜日にいつも人手が1000人足りず、労働力を維持し新規採用を進めるため積極的に手当を増やしている。

  主に食肉加工を担う労働者が不足している背景にはトランプ政権による移民政策の厳格化と、米失業率が数十年ぶりの低水準となったことがある。同社の幹部によれば、数はカーギル全体の労働者の1%に満たないものの、人手不足は生産の鈍化につながり、マージンの高い新製品の生産に影響を及ぼしている。

  好景気で世界の食肉需要が拡大する中、カーギルなどの業界大手は増産に向け、場合によって賃上げをしたり住宅やヘルスケア関連の支出を増やしたりするなど労働意欲向上のために手当を拡充せざるを得ないと説明する。

  ラボバンク・インターナショナルのアナリスト、クリスティン・マクラケン氏(ニューヨーク在勤)は電話インタビューで、各社はプラントを増やしているが「それらのプラントを効率的に運営できるかどうかは分からない」と指摘。「現状を見ると、生産を十分に増やせそうにない」と話す。

  米国2位の鶏肉生産・加工会社ピルグリムズ・プライドは8月の決算発表で、労働力が逼迫(ひっぱく)した状況が「短中期的には業界の能力拡大ペースを左右するだろう」との見方を示した。

  食肉加工は長時間立ったまま低温の中で鋭利な機器を扱い、コンベヤーの上を流れる食肉を処理する厳しい作業だ。かつてプラントでは新たな移民にこうした仕事を提供していたが、トランプ大統領の下で移民政策が大幅に厳格化されたため、移民労働者が不足している。米国の9月の失業率が3.7%と、1969年以来の低水準だったことも人手不足に拍車を掛けている。

原題:1,000 Unfilled Jobs Force Meatpackers to Sweeten Benefits (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-18/PGRNQI6K50XY01?srnd=cojp-v2


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/864.html

[経世済民128] 中国株買い支え、主役は「国家隊」から地方当局に−指導は中央政府か 中国株急落2500割れ 日本株反落、米金利高と人民元安
中国株買い支え、主役は「国家隊」から地方当局に−指導は中央政府か
Bloomberg News
2018年10月18日 10:50 JST
• 広東省の深圳市や北京市海淀区の当局が地元の上場企業を支援
• 「今回はより的が絞られている」−バプタイズド・キャピタル副社長

Photographer: MARK RALSTON/AFP
中国本土株の急落に歯止めをかけるため市場に乗り出してくる国有基金を市場参加者は「国家隊」と呼ぶが、今回の株安局面での当局による支援策はこれまでと様相が異なっている。
  上海総合指数が1月の高値から30%近く下げる中で、株価を支えようと最も積極的に動いているは地方当局だ。地元当局やメディア報道によれば、広東省深圳市や北京市海淀区の当局が地元の上場企業の支援に動いている。

  5兆ドル(約563兆円)にも上る株売りとなった2015年の局面では中央政府主導の全面的な株買いが見られたが、今回は流動性支援を必要とする特定の企業に対し救いの手が差し伸べられているようだ。
  テクノロジー企業が集まる深圳市の当局は同市に法人登記している企業の株価下落リスクを減らし、流動性を支援するため数百億元の資金を割り当てていると上海証券報は報道。深圳和而泰智能控制と翰宇薬業などがこうした支援策の恩恵に預かっていることを認めている。
  投資会社バプタイズド・キャピタルのイン・ミン副社長は地方当局による支援策は「中央政府が指導している可能性が高い」と指摘し、国有基金による介入は「良い会社も悪い会社もどちらの株価も幅広く押し上げ、バリュエーションのバブルを膨らませるが、今回はより的が絞られている」と述べた。
原題:In China, Plunge Protection Goes Local in Latest Market Slump(抜粋)


 


中国当局、北京東方園林の株売却しないよう債権者に要請−関係者
Bloomberg News
2018年10月18日 15:54 JST
• 証監会が23の債権者と16日に会合を開いたと関係者
• 北京東方園林の株価は16日までの7営業日で28%下落していた
中国証券監督管理委員会(証監会)が深圳上場の北京東方園林環境が担保として差し出している同社株の売却阻止を図った。事情に詳しい関係者が明らかにした。
  証監会は北京東方園林の債権者となっている23の事業体との会合を16日に開き、担保株の売却や法的手続きを通じた資産凍結をしないよう求めた。非公開情報だとして匿名を条件に関係者が語った。
  北京東方園林の株価は16日までの7営業日で28%下げ、同日時点で年初来下落率が63%に達していた。18日の株価は前日比で一時8.6%高と、2017年4月以来に大きな上げとなった。
  北京東方園林の担当者は証監会の会合についてのコメントを控えた。この問題について証監会からは今のところコメントを得られていない。

原題:CSRC Said to Ask Beijing Orient Lenders Not to Force Share Sales(抜粋)
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-18/PGRXG66S972K01


 

中国株急落:上海総合指数、2500割れ−14年11月以来の安値
Bloomberg News
2018年10月18日 11:35 JST 更新日時 2018年10月18日 18:17 JST
• 上海総合指数は2.9%安−今年1月の高値から約30%下落
• 深圳総合指数、2.7%下落−「極端に悲観的な雰囲気」との指摘も
18日の中国株式相場は下落。上海総合指数が2500を割り込んで引けた。人民元もぼぼ2年ぶりの安値となるなど中国経済を巡るリスクが広がる中で、市場を落ち着かせる当局の力が試されている。
  上海総合指数は前日比2.9%安の2486.42と、終値としては2014年11月以来の安値。今年1月の高値からの下落率は約30%に達した。深圳総合指数は前日比2.7%下落した。
  北京トォンリンションタイ・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、トゥン・パオチェン氏は「極端に悲観的な雰囲気」があると指摘し、「国が介入していて当然の状況だ。国営ファンドはただ傍観していることはできない」と述べた。

原題:China Stock Market Rocked by Forced Sellers; Yuan Hits Fresh Low(抜粋)
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サウジ敬遠は表向きだけ−トップバンカーら「砂漠のダボス会議」出席
Ambereen Choudhury、Matthew Martin、Dinesh Nair
2018年10月18日 13:10 JST
• HSBCやソシエテ、クレディSのシニアバンカーらも出席を予定
• サウジのジャーナリスト失踪事件が投資会議に影を落としている
サウジアラビアの反体制ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の失踪を巡る疑惑を受けて、欧米の金融業界では「砂漠のダボス会議」と呼ばれる同国の投資会議に経営トップクラスが表向き出席を見合わせるが、ディールメーカーらは目立たない部分で活動を続けるようだ。  

ジャマル・カショギ氏
フォトグラファー:Mohammed al-Shaikh / AFP via Getty Images
  英銀HSBCホールディングスと仏銀ソシエテ・ジェネラル、スイス銀行2位のクレディ・スイス・グループの投資銀行シニアバンカーらは、最高経営責任者(CEO)らが出席取りやめを発表したサウジの「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ(FII)」に参加する予定だ。
  非公開情報であることを理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、出欠を公にしていない米銀モルガン・スタンレーやシティグループといったウォール街の金融機関も、幹部らを派遣する見通しだ。ただ、情勢はなお流動的という。
  サウジのジャーナリスト失踪事件は、新たなベンチャーや大型契約の公表が予想される砂漠のダボス会議に影を落としている。石油依存型経済からの脱却を目指すサウジでは、今後数年で数億ドルの手数料収入が得られると期待され、金融業界は各種ライセンス取得や巨額の富を持つ王族からの資金運用契約の獲得を目指している。
  これらの金融機関の広報担当者は、いずれもコメントを控えている。
  キャピタル・エコノミクスの新興国市場シニアエコノミスト、ジェーソン・トゥービー氏は「カショギ氏の事件を受けてFII出席に伴う評判へのリスクよりも、期待されるディールのオファーが勝るとこれらの銀行が捉えているのは明らかだ。この政府と緊密な関係を確実に維持することを大勢が切望するだろう」と指摘した。
原題:Top Bankers Quietly Prep for Saudi While Their Bosses Skip Forum(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-18/PGRXG66S972K01

日本株反落、米金利高と人民元安−反ダンピング懸念しファナック売り
河元伸吾
2018年10月18日 8:09 JST 更新日時 2018年10月18日 15:42 JST
• FOMCは中立水準以上の利上げ支持、米長期金利3.20%に上昇
• 人民元が対ドルで17年1月来安値、中国当局は反ダンピング調査

Photographer: Junko Kimura / Bloomberg
18日の東京株式相場は3日ぶりに反落。米国長期金利の上昇、中国人民元の下落が及ぼす景気への影響が懸念され、電機や機械など輸出株、化学など素材株、海外原油安を受けた石油、鉱業株が安い。電機では、中国当局の反ダンピング調査開始が警戒されたファナックが売られた。
  TOPIXの終値は前日比9.23ポイント(0.5%)安の1704.64、日経平均株価は182円96銭(0.8%)安の2万2658円16銭。
  みずほ証券の三野博且シニアストラテジストは、「FOMC議事録での多少タカ派的なニュアンスに対し過剰反応の気もするが、米国ではまだ金利高の状況を吸収し切れず、株式相場は立ち直り切れていない」と指摘。日本や中国への為替操作国の認定見送りも、「想定範囲だっただけに、プラス反応は限定的だった」と言う。

東証内
Photographer: Akio Kon/Bloomberg
  17日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(9月25、26日分)では利上げに関し、当局者の過半数が長期的に経済に対し中立とみられる水準を一時的に上回ることを支持した。議事録を受けた同日の米10年債利回りは3.20%と、4ベーシスポイント上昇した。また、米財務省は17日に公表した半期に一度の為替報告書で、日本と中国の為替操作国認定を見送った。
  きょうの日本株は小高く始まった後、午前半ばまではプラスとマイナス圏を往来するもみ合い。為替操作国認定の回避やドル・円の円安推移、米金利上昇を受けた金融株の堅調が下支えしていたが、午前後半以降は人民元や中国株の下落が嫌気され、ファナックなどFA関連銘柄への売り圧力も株価指数を押し下げた。午後はさらにじり安となり、日経平均の下げ幅は一時200円を超えた。
  人民元は2017年1月以来の安値を更新、中国上海総合指数も下落率が2%を上回った。ドル・円は前日の日本株終値時点1ドル=112円22銭に対し、一時同70銭台まで円安方向に振れたが、その後は同40−50銭台と勢いは弱まった。みずほ証の三野氏は、「人民元安の動きは追加的な材料となってきょうの相場にマイナスに働いた」と分析。「米金利高でドルが買われ、新興国からの資金シフトがドル建て債務の負担増となるため、景気への影響を想起させた」とみていた。
  日経平均の下落寄与度上位はファナック、安川電機などFA関連銘柄。中国商務部は16日、日本と台湾から輸入されている立方マシニングセンタについて、反ダンピング調査を開始すると発表していたが、これについてみずほ証券はファナックのロボドリルが主なターゲットとして想定されている可能性が高いなどと指摘した。このほか、財務省が朝方発表した9月の貿易収支は3カ月ぶりに黒字転換した半面、輸出は22カ月ぶりに減少。輸出は自動車や通信機の停滞が響き、前年比1.2%減の6兆7266億円と16年11月以来の減少となった。
• 東証1部33業種は石油・石炭製品、鉱業、化学、機械、電機、海運、鉄鋼、非鉄金属、金属製品など23業種が下落、石油や鉱業は17日のニューヨーク原油先物が3%安と1カ月ぶり安値を付けたことが嫌気された
• 上昇はパルプ・紙、電気・ガス、不動産、陸運、小売、保険、医薬品、銀行など10業種
• 売買代金上位では、SMCやキーエンスなどFA関連のほか、マッコーリーキャピタル証券が弱気判断のコーセーなど化粧品株、出光興産や太陽誘電も安い
• 半面、ジェフリーズ証券が目標株価を上げたドンキホーテホールディングスのほか、 JTやNTTドコモ、ソースネクスト、オリエンタルランドが高い
• 東証1部の売買高は12億2855万株、売買代金は2兆2700億円で代金は9月11日以来の低水準、値上がり銘柄数は709、値下がりは1313

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-17/PGRLN06JTSE801?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/866.html

[経世済民128] 英自動車セクター「合意なき離脱」なら25年あと戻りも 英国にようやく自動化の波ブレグジット人材難 移行期間延長、協議メイ
ビジネス2018年10月18日 / 16:31 / 4時間前更新

英自動車セクター「合意なき離脱」なら25年あと戻りも

[ブリュッセル 17日 ロイター] - 英国が欧州連合(EU)を合意なしで離脱した場合、同国の自動車セクターは最悪25年後戻りする恐れがある──。大手自動車部品業界などが17日、こうした見方を示した。

欧州自動車工業会(ACEA)と欧州自動車部品工業会(CLEPA)のほか、ドイツ高級車メーカー、BMW(BMWG.DE)とイタリアのブレーキメーカー、ブレンボ(BRBI.MI)は共同で、合意なきブレグジット(英のEU離脱)は業界にとって壊滅的な結果をもたらすと警告した。その上で「ジャストインタイム方式」の業界モデルは、英国と欧州大陸との摩擦のない通商関係が頼りだと指摘した。

ブレンボの取締役でCLEPA会長のロベルト・ババソーリ氏は「われわれがこの事態の人質に取られ続けるなら、繁栄する英自動車業界は20─25年前の状況に後戻りする可能性がある」と訴えた。

ACEAは、加盟各社が準備している緊急時対策には一時的生産停止や部品備蓄のための倉庫スペースを探すことなどが含まれていると説明。ただ合意なき離脱となれば、どんな水準の緊急時対策も現実的には残されたギャップを埋めることはできないと付け加えた。

一方、BMWによると、ブレグジットへの備えについて同社が行った調査では、十分な準備ができていると回答したのは英サプライヤーの10%、EUサプライヤーの41%にとどまり、多くが通関手続きの経験がほとんどないか皆無だと答えた。

Bayerische Motoren Werke AG
75.68
BMWG.DEXETRA
+0.44(+0.58%)
BMWG.DE
BMWG.DEBRBI.MI
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-autos-idJPKCN1MS0W4


 


 

トップニュース2018年10月18日 / 10:46 / 4時間前更新
焦点:
英国にようやく自動化の波、ブレグジットによる人材難で
David Milliken
4 分で読む

[レディッチ(イングランド) 14日 ロイター] - 英南部レティッチにあるミュラー・プレシジョン・エンジニアリングの工場で、ジェームス・ギブスさんは、ガタゴトと動く3台の機械を担当している。彼が生まれるより前に製造された古い機械だ。

ポーランド人とハンガリー人の同僚2人は、20秒に1回、半完成品の金属部品をプラスチックの軸に装着して、研磨機のあいだに15秒間差し入れる。仕上がったサイズをチェックして、トレイに入れる。

「繰り返すだけの作業だ」と27歳のギブスさんは言う。「たとえ何時間働くにしても、その間は装着ミスが起きないように集中力を保たなければならない」

来年半ばには、作業員2人が担当している業務は、センサーとロボットアームによって行われるようになる。

英国の製造業では長い間、他の先進諸国に比べて自動化が遅れていた。理由の1つは、欧州大陸から無尽蔵とも思われる労働者の流入があったからだ。

だが、2016年6月の英国民投票で欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を決めて以来、こうした低コストの労働力流入を当てにすることが難しくなった。3月までの1年間で東欧からの移民純流入は、過去8年間で最低となり、今後も状況は悪くなる一方ではないかと業界団体は懸念している。

自動化投資に火がつくことは、英国経済にとって大きな意味があるかもしれない。企業が労働力頼みから脱却すれば、生産性が改善され、長らく年2%程度で低迷している賃金上昇も勢いづく可能性がある、とエコノミストは指摘する。

ミュラー・プレシジョンでは、すでに自動化が進んでおり、カバーの付いたコンベアによって、コンピューター制御の旋盤に部品が送り込まれている。このレディッチ工場に15万ポンド(約2200万円)を投資することで、ボルボ製トラック用のブレーキ部品を製造するプロセスが自動化される予定だ。

約130人が働く同工場でマネージング・ディレクターを務めるアダム・カニンガム氏によれば、現場での手作業は単調だが危険を伴い、適任者を見つけることが難しい場合もあるという。

「それに加え、ブレグジットによって労働者の流入数が減っていることもあり、特にこの分野では自動化を考える必要があるとの声が上がってきた」とカニンガム氏。「基本的には、人間の代わりにロボットを導入することになるだろう」

国際ロボット連盟(IFR)によれば、英国では、先進諸国のみならず、東欧諸国の一部と比べても、産業用ロボットを工場で活用する度合いが低いという。

ようやく英国も他の諸国に追いつきつつあるかもしれない、とイングランド銀行(英中央銀行、BOE)の当局者や産業界の専門家は指摘する。

「労働者が不足し、賃金が上昇する中で、企業はますます自動化に投資し、労働力を資本(設備)に置き換えるようになっている」と、BOEのウィル・ホルマン、ティム・パイク両氏は7月、同行の経済リサーチ専門ブログで記している。

同記事では特にブレグジットに言及していないが、移民労働者に高く依存するセクターにおける人員確保問題について触れている。

英統計当局は昨年、移民を巡る長期予測について、国民投票前の予想水準から下方修正した。またBOEはブレグジットに関連する労働力供給の減速により、潜在成長率が低下しつつあると述べている。

「エージェント」と呼ばれるBOEの地域担当者によれば、英国企業は、工場から食肉処理場、倉庫、スーパーマーケットでのセルフ精算レジ、ホテルの無人チェックインに至るまで、さまざまな場面でロボット化投資を進めている。エージェント30人は、年間9000社を訪問し、トレンドを探っている。

企業がこれまで以上に、生産拡大よりも労働集約的プロセスの自動化に向けた投資に力を注いでいることが、同調査で明らかになった。

数年に及ぶ失業率低下を受けて、英国が自動化において他国を追い上げる動きが出てくるのではないかとの予測があった。しかし、ブレグジットによって企業投資全般が低迷するとエコノミストが予想する中で、こうした動きが出ていることは注目に値する。

<増大するロボット輸入>

こうしたトレンドは指標にも現れつつある。

税関のデータによれば、プログラム変更によって新たな業務に対応でき、3次元移動が可能なアームを持つ多目的産業用ロボットの輸入が増大している。7月までの1年に輸入された同ロボットは、過去最高の8320万ポンドに達し、前年比で72%増加した。

フランクフルトに本部を置くIFRが英国は自動化に遅れをとっていると指摘する場合、念頭にあるのはこの種のロボットだ。

IFRによれば、英国における工場労働者1万人当たりの多目的産業用ロボット台数は2016年時点で71台にすぎず、フランスの132台、ドイツの309台、そして世界首位の韓国における631台を大きく下回っている。

これは、1つには英国における自動車セクターの規模の小ささを反映している。ロボット活用度が特に高いのは自動車メーカーだからだ。だが、同セクターを除いても、英製造業は他国に遅れをとっている。

重要な要因は、歴史的に英国の人件費が欧州諸国に比べて低いことだとBOEは指摘。英失業率は現在43年ぶりの低水準にある。

「しかし、相対的な人件費の差が縮まり始めたことで、一部の訪問先企業は、海外と同様のテクノロジーを英国に導入することを積極的に検討している」とBOEの調査は指摘する。

EUからの移民流入が大幅に減速していることで、「農業、製造業、サービス業におけるスキル不足が悪化している」とエージェントが9月に開催された金融政策委員会向けに作成した報告書で述べている。

「国民投票後、かつては存在した低コスト、低スキルの余剰労働力が確かに見当たらなくなった」。バーミンガム北方にあるチェスリン・ヘイでPPコントロール&オートメーションの最高経営責任者(CEO)を勤めるトニー・ハーグ氏は語る。

ロボットや自動化システム向けのコントロールパネル設計事業は好調だと同氏は言う。「この市場はまさに活気づいている。関連企業はどこも手一杯の状態だ」

<雇用に悪影響はあるか>

BOEのカーニー総裁総裁は先月、人工知能(AI)とロボットを含む自動化によって、長期的には、英国における雇用のうち10人に1人がリスクにさらされると語った。英中銀のチーフエコノミスト、アンディ・ホールデン氏は10日、英国の自動化が米国水準に追いつけば、賃金成長率は0.4ポイント低下すると示唆する調査結果を引用した。

もっとも、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのガイ・マイケルズ准教授が実施した17カ国を対象とした調査では、自動化の進展が、大幅な工場の雇用削減につながる様子は見られないという。

その理由の一端は、業務がロボットに置き換えられた後も、再訓練によって労働者の雇用が維持されることにある。これは、米国、フランス、ドイツに比べて2割以上も低いとされる英国の生産性が自動化で改善される可能性があるとの主張を裏付けるものだ。

「全体として、ロボット導入がその産業の雇用全般に特に大きな影響を与えている様子は見当たらない」とマイケルズ准教授は言う。

自動化が最も大きな脅威になるのは、英労働者の中でも給与水準の低い層だ。この層ではスキル向上が難しい傾向が見られ、最低賃金が平均賃金以上のペースで上昇しているために、労働者1人当たりのコストが最も急速に上昇している層だからである。

Slideshow (3 Images)
ミュラー・プレシジョンのカニンガム氏は、同社では基本的な工場労働に対して平均賃金よりも約1ポンド高い時給を払っていると言う。

「可能な限り、他社との差異を維持したい」とカニンガム氏。

鶏肉加工業のアバラフーズは、米国の巨大農産食品企業カーギル[CARG.UL]と英国企業の合弁事業だ。同社では、長年進めてきた自動化による従業員の減少はないものの、訓練と、より高いスキルを持つ労働者の採用へと焦点が移ってきているという。

レディッチから北西に64キロ離れたテルフォードにあるアバラフーズの工場で操業担当のディレクターを務めるフィリップ・デビッドソン氏によれば、同工場では7年前に比べ、1000人の従業員数は変わらないものの、処理可能な鶏肉量は2倍に増えたという。

「現在のシステムでは、1時間に2万1000羽を処理できる」とデビッドソン氏。「人間の手ではこうはいかない、不可能だ」

アバラフーズでは今年初めて、食品科学の学位取得につながる研修プログラムに参加する実習生を採用した、と同氏は語る。

同工場では生産性が高いため、従業員の給与は業界でも上位4分の1の水準に入っているとデビッドソン氏は言う。

英国人労働者を探すことは以前から困難だったが、今では欧州大陸からの労働者も稀少になっているという点で、デビッドソン、ハーグ、カニンガム3氏の意見は一致している。「ブレグジットが影響を与えたのは明らかだ」とデビッドソン氏は語った。

(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/britain-economy-automation-idJPKCN1MR17N

移行期間延長、協議する用意=メイ英首相
1 分で読む

[ブッリュセル 18日 ロイター] - メイ英首相は18日、欧州連合(EU)離脱後の移行期間の延長について協議する用意はあるが、延長の必要はないと考えているとの認識を示した。

欧州連合(EU)首脳会議で述べた。

首相は「移行期間が2020年12月末で終わると私は明確に予想している」と発言。移行期間を2021年まで延長する案について「(移行期間の延長という選択肢を)利用する必要はないという点がポイントだ」と述べた。

首相は、アイルランド国境の厳格な管理が必要とならないようEUと協議していくと発言。

記者団に対し「移行期間が終了する時点と、将来の関係が始まる時点の間に、開きがあるとは予想していないが、もし開きがあるなら、北アイルランドとアイルランドの厳格な国境管理を避ける体制を確保したい」と述べた。

メイ首相は、移行期間を「数カ月程度」延長する案を検討する考えを示唆。ただ、首相を批判する勢力は、移行期間の延長をEU離脱に対する裏切り行為だと主張している。

焦点となっているのは、将来の関係に関する合意が期限内に成立しなかった場合に、アイルランド国境の厳格な管理を避けることを保証する「バックストップ」(安全装置)。

移行期間を延長すれば、将来の関係の準備が整わない場合も、バックストップの発動を回避できる可能性がある。ただ、移行期間の延長で合意しても、EU側が、協定締結にはバックストップに関する合意が不可欠との立場を崩さない可能性がある。

首相は「さらなる案が浮上している。この案は現段階では、移行期間を数カ月程度延長する選択肢を設けるという案だ。数カ月程度にとどまる」とした上で「ただ、私たちは将来の関係が2020年12月末までに定まるよう作業を進めているため、(この選択肢を)利用する予定はないという点がポイントだ」と述べた。

*内容を追加します。
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-summit-idJPKCN1MS13M

 
メイ英首相、離脱後の移行期間を延長するEU案を検討
Tim Ross、Patrick Donahue、Ian Wishart
2018年10月18日 6:47 JST 更新日時 2018年10月18日 18:15 JST
• EUにとどまる期間の実質的延長を意味し欧州懐疑派が反対する公算
• EU首脳、11月に会議招集するほど進展なかったと判断

メイ英首相
Photographer: Jasper Juinen/Bloomberg
メイ英首相は18日、欧州連合(EU)離脱後もEU規則に拘束される1年9カ月の移行期間を「数カ月」延長する案を検討していると明らかにした。
  ブリュッセルを訪れている同首相は「移行期間を数カ月延長する選択肢を設けるという考えが、新たに浮上した」と記者団に述べた。その上で、「英国とEUは2020年末までに将来の関係を決定させておけるよう作業しているため、この選択肢が活用されるとは見込んでいない。自分は20年末で移行期間が終わると考えていることを明確にしておきたい」と説明した。
  メイ首相は17日のEU首脳会議で移行期間について譲歩の意思を示唆していた。欧州議会のタヤーニ議長は、この問題が28カ国首脳の間で話し合われたことを確認した。
  この動きは、英国がEU加盟国にとどまる期間を実質的に延長することになり、交渉の行き詰まり打開につながる可能性があるものの、英国内で支払わなければならない政治的代償は高くつく。メイ首相率いる与党保守党の欧州懐疑派は、EU離脱を先送りするものだと首相を責める可能性が高く、EU予算への年間約100億ユーロ(約1兆3000億円)の支出を英国が継続する可能性に難色を示すことが予想される。ブリュッセルでのあらゆる合意事項は議会の承認が必要だが、メイ首相は過半数の支持を確保できておらず、各方面からの反対に直面せざるを得ない。
  17日の会議では、離脱合意署名のための首脳会議を11月に招集できるほど協議は十分に進展しなかったと首脳らは判断。メイ首相の説明を15分程度聞いた後、メイ氏抜きで夕食会を行った。
  タヤーニ議長はメイ首相の説明に目新しさはなかったが、首相の「ボディーランゲージ」は前向きだったとコメント。関係者の1人によると、EUは12月の首脳会議での合意成立を目指しているが、11月の会議の可能性も排除できないという。EUのバルニエ首席交渉官は時間がもっと必要だと述べ、「冷静かつ辛抱強く」作業を継続する考えを示した。

原題:May Is Said to Mull Longer Transition to Break Brexit Deadlock(抜粋)
May Says U.K. Could Extend Brexit Transition by a Few Months (1)
(メイ首相発言を1−2段落に挿入し、更新します.)
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5. メイ英首相、離脱後の移行期間を延長するEU案を検討

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-17/PGRGXH6JTSEB01
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/867.html

[国際24] 防衛産業基盤を強化したい米国 暗殺された記者、ダイアナ妃の義理の従弟だった? サウジ皇太子の命令を米が傍受 失踪の全貌
世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

防衛産業基盤を強化したい米国

岡崎研究所

2018/10/19

 10月5日、米国大統領府は、「トランプ大統領は、我々の防衛産業基盤を強化するため、重要な措置を取っている。」と題するファクト・シートを発表した。以下、その要点を紹介する。


Joel Carillet/Anthro/GetUpStudio
・ドナルド・トランプ大統領「米国軍の優位を維持するには、我々は常に最前線にいなければならない。」

・米国の軍隊は世界で最高の技術、製造、産業能力によって支えられている。これを確保することを大統領は約束した。

・本日(10月5日)、大統領は、米国の防衛産業基盤を包括的に見直した報告書を受理した。これは、2017年7月に、大統領が、防衛産業基盤とサプライ・チェーンの強靭性を評価し、それを強化する方策を提示するよう命じたことに応じたものである。報告書は、米国防衛産業基盤が抱える約300件のリスクと、その包括的解決策を提示した。

・政府は、今後、産業基盤への直接投資を拡大する。人材育成のため、科学技術、工学数学(STEM)の国内教育を発展させる。合同防衛基盤など、同盟諸国、友好諸国と協力する。

・トランプ政権は、国家の防衛が、新たな、そして予測できない挑戦に対処できるようにする。大国間競争の時代、紛争を抑止する能力は、健全な防衛産業基盤にかかっている。新たな、予測不可能な挑戦に対処するため、国家は、戦闘員にきちんと装備させる能力を有しなければならない。

・この見直し報告書作成には、国防総省、商務、労働、エネルギー、国土安全保障及び他の省庁から300人以上の専門家が係わった。前例のない防衛産業基盤の見直しは、伝統的な造船業から、労働力に関する項目まで多岐にわたった。

・我々が直面するあらゆる脅威から国家を守るための歩みを進める。2017年12月の国家安全保障戦略は、米国の力の不可欠の要素として、健全な産業基盤の重要性を掲げた。国家の安全保障にとって重要な鉄鋼アルミニウムの国内産業を守るため、トランプ大統領はそれらの輸入に関税を課した。最近、トランプ大統領は、テロ、サイバー、バイオに関する新たな戦略を発表した。それらは、我々の防衛を近代化し、安全保障を強化する。

参考:White House ‘President Donald J. Trump Is Taking Important Measures to Strengthen Our Defense Industrial Base’(October 5, 2018)

 国家の安全保障を支える一つの要素として、防衛産業基盤は、大変重要なものである。国家を守るには、そのための人、装備が必要である。特に、現代のようなハイテク戦の時代には、技術の性能が勝敗を決めると言っても過言ではない。

 米国は、昨年の国家安全保障戦略で明記された防衛産業基盤に関して、詳細な調査を行い、約300のリスクを割り出し、その解決策を提案したとある。日本でも、防衛産業基盤の重要性が言われ、防衛装備庁も新設されたが、政府全体として新たな防衛産業基盤の強化策が実施されたとは言い難い。

 米国は、自国の防衛産業基盤の強化のために、同盟諸国等との協力もすると明記されている。日本も、米国の同盟国として、技術協力や共同生産、人的交流などを推進して、日米両国が、互いの能力を高め合って、安全保障に貢献できれば良い。気をつけたいのは、米国に依存するあまり、自国の産業基盤の強化を疎かにしないことである。http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14212



したたか者の流儀

暗殺された記者、ダイアナ妃の義理の従弟だった?

2018/10/19

パスカル・ヤン (著述家)


(alexis84/gettyimages)
 ダイアナ妃は、地雷撲滅運動でも有名であった。その一方で、地雷供給者の一味にもなったという話が欧州で時々聞かれた。大富豪であり、武器商人のモハメッド・アルファイドの別荘に滞在しながら、ショートステイでボスニア・ヘルチェゴビナにも出張ったという報道があった。その後すぐ亡くなったので、その話はうやむやになったが、10月になって亡霊のように再登場しつつあるので、状況を知るものとして一言。

 今回、イスタンブールのサウジアラビア領事館でアップルウオッチをしたまま拷問されて、死んだといわれるジャマール・カショギは、いわば日本の池上彰ともいえる著名ジャーナリストでもある。ジャマール・カショギは、60歳とはいえ、結婚のための種類が必要となりトルコのイスタンブールで母国サウジアラビア領事館に入って、一部報道ではアップルウオッチをしたまま八つ裂きにされたとされている。

アドナン・カショギとは何者か?
 1980年代、地中海のマジョルカ島の浜で寝そべっていると、大騒ぎがあった。アドナン・カショギの豪華船が、パルマに入港するというのだ。当時世界最高の個人所有の船といわれ、一目見ようと浜が騒然となったのだ。

 世界一の武器商人で大富豪のアドナン・カショギを知らない人はいなかった。日本では、一部の金融業者とその筋では有名であったが、いまだにピンとくる人は少ないだろう。逆に欧米では、ケネディー夫人の夫となったソクラテス・オナシス並みに超有名人であり続けている。

 アドナンの父親はシリア人の医者で、サウジアラビア国王の御殿医として鳴らした人物として、サウジアラビアでは名が通っている。その息子であるアドナン・カショギは、そのコネで世界一の武器商人となったのだろう。中東戦争続き、商売には事欠かなかったのだ。おかげで、ボーイングの自家用機やマンハッタンのアパートなどとともに、豪華船も手にいている。

 アラビア半島にいくつも土侯国ができたが、武装闘争で建国されたサウジアラビアを筆頭に国家運営の人材は多くはなかった。日本の明治初年のお雇い外人のようなもので、文明国であったシリアやヨルダン、イランからサウジアラビアに招聘した外国人のなかに、医者カショギがいたようだ。

殺された記者ジャマール・カショギは、武器商人のアドナンの甥っ子
 今回、イスタンブールで殺されたジャマール・カショギは、医師カショギの孫にあたると聞いて驚いた。そうであれば、武器商人のアドナン・カショギの甥っ子となってしまう。そうなると、死んだダイアナ妃とも本来であれば義理の従弟になってしまうのだ。

 武器商人アドナン・カショギは、その後、スイスで逮捕され、その後は精彩を欠いた人生となったが、最盛期サウジアラビアのジェッダのカショギ事務所で、お茶を出していたエジプト人モハメッド・アルファイドは、アドナン・カショギの妹を妻とし、武器ビジネスも乗っ取り、後にロンドンのハロッズ・デパートまで手にいれている。ついでにパリの最高級ホテル・リッツも手中に収めたのだ。

 彼の息子のドディはダイアナ妃まで、手に入れるところで、彼女と事故死してしまった。ちなみに死のドライブの出発点はパリのホテル・リッツである。

 事故が起きずドディ・アルファイド、すなわちアドナン・カショギ妹の子と、ダイアナ妃が予定通り結婚していれば、今回殺されたとされるジャマール・カショギは、ダイアナ妃の義理の従弟となっていたのだ。

 ジャマールは、サウジアラビアの事実上に最高権力者でクラウン・プリンスのムハンマド・ビン・サウド(M.B.S)が、忌み嫌う目障りなジャーナリストなのだ。

ツイッターのフォロワーが170万人
 ジャマールを嫌っているのは厳然たる事実である。なんせサウジアラビアの有名記者でツイッターのフォロワーが170万人もいて、耳の痛い話を垂れ流されているのだからたまらない。

 加えて、カショギ祖父が御殿医であったので、王様の裏話はいくらでも知っている。一般に爺さんはよもやま話を孫に話すので、ジャマールはすべて、聞いているにちがいない。建国の王、アブドラアジズ・ビン・サウドから始まって、いまだにその子たちが国王となっている国だ。語れない話も多いことであろう。

 ジャマールが体制の中にいた頃はよかった。人気者の記者ですんだ。しかし、改革者M.B.Sが実権を握って以来、逆に危険人物となったのは容易に想像できる。

 ダイアナ忙殺説はフランスでもいまだに根強い。ダイアナ妃が存命でドディと結婚していたら、将来、英国王の義理の祖父さんや大叔父が武器商人となってしまう。ここでも忖度があって、ダイアナ車をあんなことにという話が大衆は大好きだ。

 そんな、まがまがしい話にも良いことはある。米国とトルコ関係が抜き差しならぬ状況にしていたなか、カショギ事件間隙をぬって、懸案の米国人牧師が解放され、世界混乱の火種のひとつであった米トルコ問題が改善したことであろう。しかし、今後、アップルウオッチがつかんが音声も含めて目が離せない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14276


 

 
中東を読み解く

サウジ皇太子の“命令”を米が傍受、ジャーナリスト失踪の全貌

2018/10/12

佐々木伸 (星槎大学大学院教授)

 トルコで発生したサウジアラビア人ジャーナリストの謎の失踪事件は、同国を牛耳るムハンマド皇太子(33)が命じた作戦の一環だったことが米情報機関の傍受で濃厚になった。ジャーナリストはすでに殺害されたと見られており、トルコ政府系紙はサウジ暗殺チーム15人の顔写真まで掲載、王宮深く練られた陰謀事件の全貌が浮かび上がってきた。


現場となったイスタンブールのサウジアラビア領事館(AP/AFLO)
遺体をばらばらにして搬出か
 行方不明になっているのは米在住のジャマル・カショギ氏(59)。同氏は離婚に必要な書類を提出するため10月2日午後1時過ぎ、イスタンブールのサウジ領事館に入ったまま失踪した。トルコ人のフィアンセが領事館の外で真夜中過ぎまで待っていたが、出てこなかった。

 トルコ当局がサウジ政府に情報開示と領事館の立ち入り捜査を求めているのに対し、サウジ側はカショギ氏が入館後すぐに館外に出たと弁明、捜査協力を事実上拒んでいる。トルコや米メディアなどが報じるところによると、トルコ当局者は同氏が入館してから2時間以内にサウジの暗殺チームによって殺害されたと見ている。

 事件を当初から順序立てて組み立ててみよう。この日の午前3時13分、サウジの首都リヤドから1機のチャーター・ジェットがイスタンブールのアタチェルク国際空港に到着。同機には9人のサウジ人が搭乗し、領事館に近いモーベンビック・ホテルにチェックインした。同機に続いて、午後5時過ぎにもう1機がリヤドから到着、この機には6人が乗っていた。6人は事件の後始末の応援組だったと見られている。

 トルコ政府に近い日刊紙サバハは10日、この暗殺チームの15人の身元を特定し、顔写真付きで掲載した。うち1人はサウジ治安機関の検視の専門家。またサウジ空軍の中尉も含まれていた。サバハ紙には、トルコ政府が情報をリークしたもようで、真相を隠蔽しようとするサウジへの警告だったようだ。

 領事館に入ったカショギ氏は暗殺チームの待ち伏せに遭い、殺害された。チームが最初から同氏を殺害するつもりだったのか、本国に拉致しようとして、抵抗されて偶発的な殺害に至ったのかは不明だ。いずれにせよ、同氏はバラバラされて搬出されたと見られている。チームに検視の専門家が含まれていたこと、「骨のこぎり」を携行していたと見られること、事件のあった2日は領事館の職員に臨時休暇が出されたいたことなどを考えると、殺害も選択肢に入れた準備周到な作戦であったことは間違いない。

 同氏の入館2時間後、領事館からベンツのバンなど2台が出て、近くの領事の自宅に向かった。この1台にカショギ氏の遺体が隠されていた可能性が大きいという。暗殺チームは同夜、乗ってきた2機に分乗してリヤドに向かった。

おびき出し拉致狙う
 こうした中、米ワシントン・ポストは10日、サウジのムハンマド皇太子が同氏を拘束するよう指示していたと特ダネで報じた。米情報機関がサウジ当局者の会話を傍受したことから明らかになったとされるが、米側が友好国も含めた各国の交信などを常時傍受している事実もはからずも浮き彫りになった。

 同紙によると、サウジ政府を厳しく批判してきたカショギ氏はこの4カ月、皇太子に近い王室顧問からたびたび電話を受け、帰国すれば要職に就けると誘われていた。しかし、同氏はこのオファーが信用できないとして拒否していたという。もし、同氏が誘いに乗って帰国すれば、拘束する計画だった。

 イスタンブールの事件は当初のおびき出し作戦がうまくいかなかったための「代替計画」だった可能性がある。だが、米国には、米市民であるなしにかかわらず、拉致や殺害などの危険がある人間に迫っていることを情報機関が探知した場合には、当該の人物に警告しなければならないという法律があり、カショギ氏のケースではその義務を怠ったのではないか、との見方も出ている。

 今回の事件の決着がどうつくのかはまだ見えない。トルコはサウジに真相を明らかにするよう迫っているが、当初の大方の見立てに反して、激しく非難することは避けているように見える。通貨の大幅下落などで経済的な苦境に陥っている状況を考慮し、石油大国サウジとの関係を決定的に悪化させないよう配慮しているのかもしれない。

 このトルコ・サウジ関係の行方とともに、焦点になっているのは米・サウジ関係だ。仮にムハンマド皇太子が殺害計画を指令していたことがより鮮明になれば、トランプ政権としても対サウジ関係を見直さざるを得ないかもしれない。トランプ大統領自身「深刻な状況だ」と事件の感想を語り、ポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)、クシュナー上級顧問が相次いでムハンマド皇太子に電話し、情報の開示を求めたという。

 議会も厳しく動こうとしている。超党派の上院議員22人がカショギ氏の失踪に関与した者に制裁を加えるよう大統領に求める書簡を送った。書簡には、制裁の対象者として「サウジ政府のトップを含め」と記されており、暗にムハンマド皇太子も容赦してはならないことを示唆している。下院情報委員会すでに公聴会を開いた。

クシュナー氏がピンチに
 事件で最もピンチに立たされているのが大統領の娘婿クシュナー上級顧問(37)であるのは衆目の一致するところ。同顧問は昨年の春に皇太子と初めて会って以来、親しい関係を築き、トランプ大統領の初外遊の地にサウジアラビアを選択させた。2人は個人的に電話をし合っており、政権の一部から“暴走”を懸念する声もある。

 トランプ政権はイラン孤立化と中東和平推進のため、サウジを米政策の支柱と位置付けてきた。その中心となってきたのが若手の2人の親密な関係だった。しかし、事件を機にクシュナー氏に対する風当たりが強まるのは必至で、同氏は政治的なピンチに立たされた格好だ。

 サウジでは来週、スイスのダボス会議をもじって「砂漠のダボス会議」と銘打った投資会議が開催される予定。米国はムニューシン財務長官が財界の大物たちを引き連れてサウジに大挙押し掛け、皇太子が講演する計画だった。しかし、事件を受けて参加を自粛する動きが出れば、クシュナー氏にとってはさらに打撃となるだろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14205

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/321.html

[国際24] カショギ氏は死亡した可能性高い、トランプ氏が「重大な」結果を警告 過去最大量のイラン産原油が中国・大連港へ、米制裁前に
カショギ氏は死亡した可能性高い、トランプ氏が「重大な」結果を警告
Jennifer Jacobs、Toluse Olorunnipa
2018年10月19日 4:07 JST 更新日時 2018年10月19日 9:55 JST
ムニューシン財務長官はサウジの投資会議への出席取りやめ
「3件のそれぞれ異なる調査結果を待っている」−トランプ氏

トランプ大統領 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
トランプ米大統領は18日、行方不明のサウジアラビアのジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の死亡について「確かにそのようだ」と語り、殺害されたのであればその結果は「非常に重大」なものになると警告した。

  トランプ氏は記者団に対し、米政権は「3件のそれぞれ異なる調査結果を待っている」ところだと説明した。 カショギ氏はイスタンブールのサウジアラビア領事館内で不意打ちに遭い、拷問の末に殺害され、遺体を解体されたと報じられており、米政権はどう対応するかを今後判断する。大統領は「つまり、非常に悪いことだ」とした上で、「ただ、われわれは状況を見守る」と語った。


ムニューシン米財務長官写真家:Andrew Harrer / Bloomberg
  サウジに批判的なカショギ氏が失踪して2週間余り経ち、米政権に行動を求める圧力が強まっていることが大統領の発言で改めて示唆された。15日にサウジとトルコを急きょ訪問したポンペオ米国務長官からトランプ氏と共に説明を受けたムニューシン米財務長官は18日、リヤドで開かれる投資会議への出席取りやめを発表した。

  ポンペオ長官はサウジでサルマン国王とムハンマド皇太子と16日に面会した後、カショギ氏の行方について迅速かつ完全な報告をまとめる重要性をサウジ上層部は理解していると語った。18日には、サウジ側の調査完了にはさらに数日を要すると述べていた。

原題:Trump Says Khashoggi Likely Dead, Warns of ‘Severe’ Consequences(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-18/PGT3JN6JTSE801?srnd=cojp-v2


 
ワールド2018年10月19日 / 05:33 / 3時間前更新
サウジ失踪記者、トランプ氏「死亡の公算大」 トルコでの捜査続く
1 分で読む

[ワシントン/イスタンブール 18日 ロイター] - トランプ米大統領は18日、トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館訪問後に行方不明になったサウジの反体制記者ジャマル・カショギ氏について、すでに死亡しているとの見方を示した。米国はサウジに「非常に厳しい」対応を取る見通しだとした上で、実際に何が起きたかの真相を依然として探りたい意向を示した。

イスタンブールではトルコ捜査当局が真相の手掛かりを得ようと、サウジ総領事館で2度目の家宅捜索を行った。

トランプ氏はカショギ氏が死亡した可能性を初めて認めた。

カショギ氏は死亡しているのかとの記者の質問に、「私には確かにそう見える」とし、「非常に悲しいことだ」と述べた。

トランプ氏は、ポンペオ国務長官からサウジとトルコでの緊急会談の結果報告を受けた後に語った。

同氏はまた、真相解明に向け、3件の異なる捜査の結果を待っていると語った。

サウジの国王や皇太子らがカショギ氏失踪に関与していた場合、どのような結果になるかとの質問に対しては、「厳しい結果を伴う」と答えた。

また、米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューでは、カショギ氏殺害にサウジ当局の上層部が関与していたという情報当局の報告書を信頼しているしてるとしつつも、誰が殺害を指図したかを特定するのは依然として「やや時期尚早」との見方を示した。

ポンペオ長官はトランプ氏との会談後、記者団に対し、サウジがカショギ氏失踪に関する調査を完了できるよう、米国はサウジにあと数日の時間を与えるべきとの考えをトランプ氏に提言したことを明らかにした。

「われわれは、サウジとの1932年以降の長期にわたる戦略的な関係に留意することも重要だ」と指摘。サウジについて「テロ対策の重要なパートナー」でもあるとの認識を示した。

トランプ氏は「真相を早期に解明できるよう」捜査結果を待っているとし、ある時点でこの件に関する声明を発表する方針を示した。

米政府関係筋によると、米情報当局はカショギ氏の死亡につながったとみられる取り調べにサウジの皇太子が関与したとの確信を強めている。

こうした中、ムニューシン財務長官は、サウジで来週開催される経済投資フォーラム「砂漠のダボス会議」への参加を取りやめる意向を表明した。
https://jp.reuters.com/article/us-short-term-rates-idJPKCN1MT0D4

 


 
トップニュース2018年10月19日 / 12:29 / 19分前更新
過去最大量のイラン産原油が中国・大連港へ、米制裁前に
1 分で読む

[シンガポール/北京 18日 ロイター] - 米国によるイラン産原油の禁輸措置導入を控え、過去最大量のイラン産原油が今月から11月初めに中国の大連港に到着することが、イラン海運筋の話とリフィニティブ・アイコンのデータで分かった。

あるイラン国営タンカー会社(NITC)関係者によると、同社は2000万バレル超の原油を大連に向け運んでいる。この関係者は「我々の指導者が言っていたように、イランに石油を売るのを止めさせるのは無理だ。我々は様々な販路を持っており、タンカーが大連港についた時に中国か、それとも他の買い手に引き渡すのか決める」と話したが、詳細は明かさなかった。

データによると、計2200万バレルのイラン産原油がNITC所有のスーパータンカーで10月から11月に大連港に着く見通し。2015年1月以降、大連港には通常、毎月100万─300万バレルのイラン産原油が運ばれている。

石油輸出国機構(OPEC)第三位の産油国であるイランだが、米国の制裁が11月4日に始まるのを前に買い手が減少。イランは前回14年の制裁時、石油を大連に貯蔵した前例がある。

石油をタンクで貯蔵しておけば、中国国内や、その周辺の別の買い手に原油を売る選択肢が生まれる。

大連港の新港地区には中国石油天然ガス集団(CNPC)も含め、いくつもの石油貯蔵を手掛ける会社がある。ただ、事情に詳しい関係者は、CNPCはイラン産原油が大連に来るとは聞いていないとし、米国の制裁があるため、タンクのイラン産原油に買い手が現れる可能性は低いと話す。 


トップニュース2018年10月19日 / 12:44 / 5分前更新
アングル:
米短期金利が急騰、市場はさらに不安定化する可能性
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[ニューヨーク 18日 ロイター] - 18日にいくつかの代表的な米短期金利が跳ね上がり、米連邦準備理事会(FRB)が追加利上げを示唆する中で、短期金融市場が今後さらに不安定になる可能性がうかがえる。

200兆ドル相当の米金融商品の指標となっている3カ月物ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は約2ベーシスポイント(bp)と1日としては5月以来の上昇幅を記録し、2008年10月以降で最も高い2.469%に達した。

LIBORに関するトレーダーの予想を反映するユーロドル先物取引では、12月限の価格が急落。18日の出来高は80万枚近くに膨らみ、第2限月としては16年11月にトランプ氏が大統領選に勝利して以降では、2番目の大きさとなった。

こうした動きは、多くの市場参加者を驚かせた。ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ギイ・ルバ氏は「きょうは短期金利が大変なことになった。簡単には分からないような金融市場の資金の回り具合と関係があるのかもしれない」と話した。

一部のトレーダーは、政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートと民間銀行の超過準備に適用される付利(IOER)のスプレッドにも注目している。これはFRBが短期金利をどれだけコントロールできているかの目安になる。

超過準備は、FRBが昨年10月にバランスシート縮小に乗り出してから減少が続いている。

17日のFFレートの平均は2.19%で、IOERとの差は0.01%ポイントまで縮まった。ニューヨーク連銀のデータによると、これは08年の付利導入以来最低の水準だ。

アナリストの間からは、FFレートがIOERを上回り、FRBがFFレートを制御できなくなるのではないかとの懸念も出てきた。

もっともFRBはそうしたリスクを深刻に受け止めていない。何人かのFRB当局者は、足元の短期金利上昇に関して、バランスシート縮小と超過準備減少ではなく、財務省短期証券(Tビル)の供給の大幅な増加が原因だとみなしている。

17日に公表された9月25─26日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、先月のIOERとFFレートの接近は急速だったが一時的だと受け止められていた。

JPモルガンのエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「われわれは、Tビルの供給増が短期金利を押し上げているとするFRB(の見解)に同意する。準備金の乏しさが犯人だという証拠は乏しい」と述べた。
https://jp.reuters.com/article/iran-oil-china-idJPKCN1MT0C8


http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/322.html

[国際24] 中国GDPは金融危機以来の低成長:識者はこうみる 米財務省の為替報告、中国への最終的な警告 追証リスク抱える中国大手企業

トップニュース2018年10月19日 / 12:44 / 12分前更新
中国GDPは金融危機以来の低成長:識者はこうみる
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[東京 19日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.5%増と、予想の6.6%増を下回り、世界的な金融危機下にあった2009年第1・四半期以来の低い伸びとなった。当局による債務圧縮の取り組みや米国との貿易摩擦が響いた。市場関係者のコメントは以下の通り。

<オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC、シンガポール)の債券調査・戦略部門代表、セレーナ・リン氏>

関税前の駆け込み需要がまだ続いていることが示されており、貿易戦争の全面的な影響はまだ表れていない。

米関税の全面的な悪影響は2019年に表れることになるだろう。われわれの分析では、5050億ドル(の中国製品)に対する関税が全て発動されれば成長率は6%割れとなるリスクがある。最悪ケースを想定すると、来年の成長率は5.4%と見込んでおり、中国にとっては未知の領域だ。

中国は多数の政策手段を活用している。成長率鈍化を抑えるだけでなく、国内の景況感悪化を阻止する取り組みが必要になっている。

<UOB(シンガポール)のエコノミスト、HO WOEI CHEN氏>

貿易への影響はまだ見られない。9月の貿易統計は、引き続き非常に力強く伸びている。(輸出が)前倒しで行われていることや、元安、力強い米経済が支援要因となっている。

前倒しは今後数カ月続くとみられ、今後も貿易に大きな影響はないだろう。

ただ、来年には一定の影響が出るかもしれない。中国製品2000億ドル相当に対する関税が10%から25%に上がるためだ。

経済成長に影響を与えているのは、主に投資と民間消費の鈍化だ。経済成長は今後も引き続き鈍化し、第4・四半期は6.4%になると予想している。通年では今年6.6%、来年6.3%と予想している。


ビジネス2018年10月19日 / 11:33 / 24分前更新
第3四半期中国GDP、6.5%増で予想下回る 09年以来の低さ
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[北京 19日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.5%増と、予想の6.6%増を下回り、世界的な金融危機下にあった2009年第1・四半期以来の低い伸びとなった。

当局による債務圧縮の取り組みや米国との貿易摩擦が響いた。

第2・四半期の伸び率は6.7%だった。

第3・四半期のGDPは前期比では1.6%増でアナリスト予想と一致。第2・四半期は1.8%増から1.7%増に下方改定された。

高リスク融資の取り締まりなどで企業の資金調達コストが上昇する中、最近の経済指標は製造業の活動やインフラ投資、個人消費など広い範囲で内需の弱まりを示唆していた。

エコノミストは今年の中国の成長率を6.6%と予想し、中国政府の目標(6.5%)を達成するとみている。エコノミストの来年の成長率予想は6.3%。

中国と米国はここ数カ月間に互いに関税をかけ合い、対立解消に向けた協議の計画が行き詰まっているとの見方も出る中、中国では株価が下落。景気や人民元相場に一段の重しとなっている。

https://jp.reuters.com/article/china-gdp-instantview-idJPKCN1MT0D2
 


中国経済が減速−7−9月は6.5%成長、逆風強まる
Bloomberg News
2018年10月19日 11:10 JST 更新日時 2018年10月19日 12:50 JST
• 4−6月GDPの6.7%増から伸びが鈍化
• 力強く見えないが、なお目標は達成可能だろう−コメルツ銀の周氏
中国経済は7−9月(第3四半期)に減速した。4−6月の6.7%成長から伸び率が鈍化した。
  7−9月の国内総生産(GDP)は前年同期比6.5%増。ブルームバーグがまとめた市場予想は6.6%増だった。
  9月の工業生産は前年同月比5.8%増加。市場予想は6.0%増だった。小売売上高は同9.2%増え、市場予想(9%増)を上回った。1−9月の都市部固定資産投資は前年同期比5.4%増。予想は5.3%増だった。
  貿易摩擦の激化や株安で先行きへの信頼感が損なわれており、中国経済は7−9月に強まる逆風に見舞われた。これを受けて当局は景気対策を強化したが、これらの措置はまだ効果を発揮しておらず、さらなる施策が必要となる可能性がある。
Growth and Industry Output Slow
While retail sales gets better

Source: National Bureau of Statistics
  国家統計局は発表文で「極めて複雑で厳しい国際情勢」などを背景に、成長への下押し圧力が増していると指摘。政府は雇用や資金繰り、輸出および外国投資の安定に取り組む方針だと説明した。
  コメルツ銀行のシニア新興市場エコノミスト、周浩氏(シンガポール在勤)は「今回の数字は力強いようには見えない。トレンドに基づくと、通年のGDPは6.5−6.6%増となる可能性がある」と指摘した。
  周氏は「依然として目標は達成できるだろう」とした上で、中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の郭樹清主席や中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁の19日の声明によって、「GDPの数字の重要性が弱まった。それよりもむしろ、不安定な金融市場や低い市場の信頼感を指導部が懸念していることを示した」と述べた。中国の金融監督当局はGDP発表の直前、株式相場の下落を受けて投資家の信頼感回復に乗り出していた。
原題:China Economic Growth Slows More Than Expected in Third Quarter(抜粋)
(4段落目以降に背景やコメントを追加して更新します.)
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-19/PGTQ256JIJUQ01


 

米財務省の為替報告、中国への最終的な警告と市場は受け止め
Katherine Greifeld
2018年10月19日 8:58 JST
中国に重点を置いたのは金融市場の今後の混乱の前兆−ING
心理的な節目1ドル=7.0元台乗せなら他のアジア通貨にも問題に
米財務省は17日公表した半期に一度の為替報告書で中国の為替操作国認定を見送ったものの、一段と厳しい言い回しを為替市場は見逃さなかった。

  米財務省は1つのセクションを割いて中国の対米貿易黒字への懸念を示し、中国が為替介入を開示しないことは「極めて遺憾だ」とした。また、各国が自国通貨の「上昇圧力と同様に下落圧力に抵抗」しているかどうかを米国は監視していくと警告した。

  INGグループは、中国に重点が置かれたことは金融市場に今後さらに混乱が生じる前兆だという。18日の人民元下落の動きが持続すると見る市場参加者もいる。INGの通貨ストラテジストのビラジ・パテル氏(ロンドン在勤)は、世界的なリスクセンチメントを見極める上での人民元の役割を考えると、新興国通貨はさらに痛手を被る可能性があると述べた。


  パテル氏は「財務省の最新報告書は基本的に、中国の通貨政策に対する最終的な警告という印象を与えた」と指摘し、「米中貿易協議でドル・元相場が交渉の切り札に急浮上しており、神経質にならざるを得ない」と述べた。

  オフショア人民元は18日、0.1%安の1ドル=6.9395元となり、2017年1月以来の安値で終了。パテル氏は心理的な節目である7.0元台乗せなら、他のアジア通貨にも問題となる公算が大きいと予想した。

原題:Treasury’s FX Report Seen as China’s Final Warning as Yuan Falls(抜粋)

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「追い証」リスク抱える中国大手企業−株価急落で懸念広がる
Bloomberg News
2018年10月19日 12:32 JST
18日の上海総合指数は2500を割り込み2014年11月以来の安値
ローンの担保として差し入れられた中国株は6000億ドル相当を超える

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
すでに売りが膨らんでいる株式市場で、「追い証」の発生ほど市況を悪化させるものはない。

  中国本土の投資家は今、こうしたリスクを最も心配している。中国株式相場は18日急落し、上海総合指数がほぼ4年ぶりの安値となった。ローンの担保として差し入れられた中国株は6000億ドル(約67兆4200億円)相当を超え、その割合は同国株市場全体の時価総額約11%にも達する。

  ブルームバーグが決済機関の数値をまとめたところによれば、少なくとも144社の中国企業が資金調達などを目的に自社株の約半数以上を担保として差し出しており、そのうち60社の株価が今年50%余り下げている。

  以下はそうした大手企業の一部だ。制限株式を担保としている企業もあるもようで、そうした場合は株価急落が直ちに担保の権利行使につながるわけではない。追い証の発生もしくは強制的な株売りにつながる水準は、融資の時期や条件によって異なる。

企業
業界
担保株の割合(%)
時価総額(単位:10億元)
年初来下落率
360 Security Technology Inc. 情報技術 75.3 141.2 -55
CCOOP Group Co. 一般消費財 75.0 14.2 -50
Kuang-Chi Technologies Co. 一般消費財 73.7 14.8 -58
Guizhou Bailing Group Pharmaceutical Co. ヘルスケア 62.3 10.7 -51
Nanjing Xinjiekou Department Store Co. 一般消費財 61 10.9 -78
Hainan HNA Infrastructure Investment Group Co. 不動産 60.2 19.5 -58
Inner Mongolia Xingye Mining Co. 素材 57.3 8.1 -56
Hunan Dakang International Food & Agriculture Co. 生活必需品 54.9 7 -55
Northcom Group Co. 工業 53.6 9.2 -63
Meidu Energy Corp. 工業 52.6 7.5 -60
原題:The Biggest Companies at Risk as China’s Margin Calls Increase(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-19/PGTRJW6JTSE901

「追い証」リスク抱える中国大手企業−株価急落で懸念広がる
Bloomberg News
2018年10月19日 12:32 JST
• 18日の上海総合指数は2500を割り込み2014年11月以来の安値
• ローンの担保として差し入れられた中国株は6000億ドル相当を超える

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
すでに売りが膨らんでいる株式市場で、「追い証」の発生ほど市況を悪化させるものはない。
  中国本土の投資家は今、こうしたリスクを最も心配している。中国株式相場は18日急落し、上海総合指数がほぼ4年ぶりの安値となった。ローンの担保として差し入れられた中国株は6000億ドル(約67兆4200億円)相当を超え、その割合は同国株市場全体の時価総額約11%にも達する。
  ブルームバーグが決済機関の数値をまとめたところによれば、少なくとも144社の中国企業が資金調達などを目的に自社株の約半数以上を担保として差し出しており、そのうち60社の株価が今年50%余り下げている。
  以下はそうした大手企業の一部だ。制限株式を担保としている企業もあるもようで、そうした場合は株価急落が直ちに担保の権利行使につながるわけではない。追い証の発生もしくは強制的な株売りにつながる水準は、融資の時期や条件によって異なる。
企業 業界 担保株の割合(%) 時価総額(単位:10億元) 年初来下落率
360 Security Technology Inc.
情報技術 75.3 141.2 -55
CCOOP Group Co.
一般消費財 75.0 14.2 -50
Kuang-Chi Technologies Co.
一般消費財 73.7 14.8 -58
Guizhou Bailing Group Pharmaceutical Co.
ヘルスケア 62.3 10.7 -51
Nanjing Xinjiekou Department Store Co.
一般消費財 61 10.9 -78
Hainan HNA Infrastructure Investment Group Co.
不動産 60.2 19.5 -58
Inner Mongolia Xingye Mining Co.
素材 57.3 8.1 -56
Hunan Dakang International Food & Agriculture Co.
生活必需品 54.9 7 -55
Northcom Group Co.
工業 53.6 9.2 -63
Meidu Energy Corp.
工業 52.6 7.5 -60
原題:The Biggest Companies at Risk as China’s Margin Calls Increase(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-19/PGTRJW6JTSE901

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/323.html

[経世済民128] 株安は不吉な予言か、金融市場の「呪い」に要注意 米国の景気後退確率、今後2年間では60%超  米中間選挙「ささいな材料」
外為フォーラムコラム2018年10月19日 / 13:59 / 3時間前更新

株安は不吉な予言か、金融市場の「呪い」に要注意
Edward Hadas
3 分で読む

[ロンドン 17日 ロイター Breakingviews] - 金融市場にはプロスポーツの世界と共通する要素がいくつかある。投資家もファンも勝ち組になることを切望し、敗北には落胆する。

わずかな得点や失点に熱狂するが、部外者から見れば、ルールもよく分からないため、その熱狂も奇異に映る。そしてどちらも、あれだけ飛び上がり叫びまくっても、他の経済分野への影響はほとんど無い。

最後の点については、金融市場の場合、賛否が分かれるだろう。

多くの投機筋や投資家、金融評論家は、金融市場における価格は、もちろん経済全体の先行きを示す指標だと主張している。米国のS&P総合500種が先週4%も下落したような激しい動きは何かを意味しているに違いない。より緩慢だが大きな動き、例えば上海総合指数が1月末以降、27%も下落したことなどは、さらに広範な意味を帯びているはずだ、と言うのだ。

しかし、それは何を意味しているのか。金融市場の下落は収益性低下や経済の減速を先取りしているのか。いや、むしろ市場の下落が何らかの形で成長鈍化の原因になるのではないか。あるいは、株価のこうした顕著な下落は、それ以前の過大評価や債券利回り上昇に対する調整にすぎないのではないか。

では、そうした債券利回りは何を意味しているのか。債券市場の変動に経済的意味があるとしても、それは明確とは到底、言いがたい。

世界的なベンチマークである10年物米国債利回りは、2018年に入ってから約2.4%から3.2%へと上昇した。これは順調な経済成長の兆候かもしれないし、減速の原因となるかもしれない。インフレ率上昇の予想を反映したものかもしれないが、その一方で、インフレ率上昇の勢いを削ぐ可能性もある。

スポーツの場合と同じように、不確実性は興奮をもたらすかもしれない。だがそれは、金融市場が実は他の経済分野と密接な関係を持っていないことを示唆している。

まず株価について考えてみよう。株価は新聞の見出しを飾ることも多いが、実体経済活動に及ぼす直接的な影響はほとんどない。あるはずもない。なぜなら、株価の変動によって投資に回るマネーの量が変わるわけではないからだ。

企業が事業拡張のために現金資金を必要とする場合、公開市場で新株を売ることはめったにない。既存企業の大半は融資を受けるか、営業キャッシュフローに手をつける。新興企業はもっぱらプライベートな資金調達に頼る。

理論的には、債券は別の話だ。確かに、市場価格が経済において果たす役割を理論的に説明する場合、その軸になるのは債券市場だ。このモデルの出発点となるのは、各国中央銀行が設定する翌日物政策金利だ。これが長期債利回りに影響を与えるものと想定されている。こうした金利全般が、債券発行量を決定し、それが投資のペースを左右し、ひいては雇用創出と成長を形成する。

このモデルにおける金融の油圧ポンプのごとき働きは印象的ではあるが、現実的ではない。あまりにも多くの要素が捨象されているからだ。金融による動力伝達の働きが多少は存在する場合でも、たいていは他の要素のなかに埋没してしまう。特に、営業利益率の変動や政府政策、技術的な機会、そして政治状況などがそうだ。

また金融自体も、政策金利やベンチマーク金利以外の多くの変数に影響される。インフレが生じていれば、名目では金利が高くても実質では低くなる。規制によって融資慣行は変わってくる。借り手のコストは、無リスク金利だけでなく、貸し手が要求するスプレッドによっても変動する。金利が経済に与える影響は、融資資金が実体投資に回るのか、それとも単に金融取引を賄うだけなのかによっても左右される。

こうした要素がすべて作用している以上、市場との関連で経済を語ることが、スポーツ談義と同じ程度の精度しか備えていないとしても不思議はない。なるほど、市場変動は経済変化の兆候や原因になり得るかもしれない。だがその兆候は、ほとんどの場合、不明瞭かつ不正確であり、原因だとしても、めったに決定的であることはない。

それでも、近年の金融市場には、影響力の源が1つある。信念の力、あるいは「呪い」だ。金融市場の変動そのものが経済に与える直接的、機械的な影響は、野球のワールドシリーズやサッカーのワールドカップによる影響と大差ない。だが、間接的もしくは心理的な影響は、はるかに大きくなる可能性がある。

消費者と企業経営者が資産価格と金融の関係の強さを過大評価している限りにおいて、彼らは、市場の動きが、支出や投資の意思決定の参考になると信じてしまうだろう。こうして、株価や債券価格の動きが経済を揺るがす可能性はある。

金融市場による「神のお告げ」の信者は、自分たちが迷信家だとは思っていない。むしろ、難解な暗号メッセージを解読していると考えている。これは自己言及的な歪みを伴う、油断ならない営みである。

先週起きた株価急落はランダムに発生する変動にすぎず、長いシーズンにおける1つの試合でしかない、と言うのが大多数の見解だとすれば、じきにそれは忘れ去られるだろう。

しかし、特に今回の下落が今後の経済成長や収益トレンドについて何か良からぬことを告げていると信じる人が十分に多ければ、その不吉な予言が自己実現してしまう可能性はある。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

トップニュース2018年10月19日 / 16:29 / 29分前更新
来週の日本株は底打ち機運探る、米金利上昇一服で調整一巡も

[東京 19日 ロイター] - 来週の東京株式市場は、底打ちの機運を探る展開が見込まれている。サウジアラビアの記者失踪問題など外部環境面では不透明要因が多い。ただ米国による為替条項要求を受けながらも円高が回避されていることや、米金利の上昇一服はポジティブな材料。高バリュエーションのグロース株の調整が一巡すれば、市場の動揺は和らぎそうだ。

日経平均の予想レンジは2万2000円─2万3000円。

再び大幅な下落を余儀なくされた日本株だが、19日の日経平均は下落幅が一時400円を超ええた後、急速に下げ幅を縮小するなど、底堅さをみせた。日経平均ボラティリティー指数.JNIVは2月の「VIXショック」時と比べ現時点ではまだ低水準。為替条項の要求が出ても、外為市場でドル/円JPY=は112円台と極端な円高はみられず、日本株を下支えしている。

19日に発表された中国7─9月期国内総生産(GDP)は前年同期比6.5%増。市場予想を下回り、世界的な金融危機後で最も低い伸びとなった。ただ中国当局が景気支援方針を打ち出したことを背景にリスク回避ムードは抑えられ、上海株は上昇した。

「中国経済は今が一番悪い時期。追加関税の影響は懸念されるが、景気刺激策を打ち始めている。来年にかけてはその効果が出てくるとみられ、中長期的には買い場だろう」(岡三アセットマネジメント・シニアストラテジストの前野達志氏)との声も出ている。

サウジと米国の関係性悪化への懸念や、直近のイタリア国債利回りの急拡大など、火種を抱えた状況には変わりなく、神経質な相場が続くとみられているが、米企業の決算発表については「出だしとしては悪くない」(大手証券)との見方もある。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨公表後、株式市場では米金利の上昇懸念が広がったが、米10年債利回り自体は月初にみられたような急上昇には至っていない。

しんきんアセットマネジメント投信・運用部長の藤原直樹氏は「米金利の上昇は良好な米景気を前提にしたもの。悪い金利上昇ではなく春先とは状況が異なる。(米国株の)バリュエーション調整後の警戒感は残るが、米金利が落ち着けば株式市場に資金が戻ってくる」と指摘。日本株の戻りも期待できるいう。もっとも、高値圏では戻り売りが出るとみている。

株式マーケットチーム
https://jp.reuters.com/article/global-markets-breakingviews-idJPKCN1MT0GU


 

 


米国の景気後退確率、今後2年間では60%超−JPモルガンが予測
Brendan Murray
2018年10月18日 23:58 JST
米国経済が今後2年間にリセッション(景気後退)に陥る可能性は50%よりも高い。JPモルガン・チェースの分析モデルで明らかになった。

  同行リサーチャーが今週発表したリポートによれば、1年以内にリセッションになる確率は28%程度、今後2年間では60%を超える。今後3年間の確率は80%超だという。

  JPモルガンのモデルは、消費者および企業のセンチメントを示す統計から働き盛りとみなされる年代の男性の労働参加率まで幅広い要素を分析したほか、賃金の伸びや国内総生産(GDP)に占める耐久財の比率なども分析の対象とした。JPモルガンの分析結果はニューヨーク連銀の調査よりも悲観的だ。同連銀によると、現在から1年で景気後退に陥る確率は14.5%となっている。

原題:U.S. Recession Chances in Next Two Years Top 60%, JPMorgan Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-18/PGSTXF6KLVR501?srnd=cojp-v2


 

 
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
トップニュース2018年10月19日 / 16:29 / 24分前更新
焦点:米中間選挙、株式オプション市場では「ささいな材料」
Saqib Iqbal Ahmed
2 分で読む

[ニューヨーク 18日 ロイター] - 11月6日の米中間選挙で野党・民主党が下院の過半数を確保すれば、トランプ大統領の政策実現に支障が生じるなど、政治的な影響は大きいとみられる。

ただデータを見ると、株式オプション市場では、中間選挙結果が当面の相場の方向性を左右する大きな要素になるとは考えられていない。

キャンター・フィッツジェラルドのチーフ市場ストラテジスト、ピーター・チェッキーニ氏は、選挙を巡る不透明感は話題に上っているとしながらも、実際にヘッジに動いたり、ヘッジにはっきり言及するような市場参加者は見当たらないと述べた。

民主党が上院もしくは下院を制するようなら、ロシア問題から課税逃れに至るまでトランプ氏にかかる数々の疑惑に対する調査が迅速に進められる可能性がある、と複数の議会関係者は話す。情勢変化が起きる可能性を背景に、政策がどう修正されるかや、民主党がトランプ氏弾劾に動くかどうかについて、さまざまな観測が飛び交っている。

それでもソシエテ・ジェネラルのフロー戦略・ソリューション責任者アンドルー・スコット氏は「投資家が本気でこうした事態を信じているなら、相当なボラティリティーのプレミアムが発生するはずだが、実際にはそれは存在しない」と指摘する。

スコット氏は、ボラティリティーの期間構造は投資家が過度に心配してはいないことを示唆している、と付け加えた。ボラティリティーの期間構造は、権利行使期間の異なるオプション価格から算出され、将来の株式相場の変動に対する市場の期待が反映される。

足元の株式市場は、金利上昇や貿易摩擦への警戒感から乱高下したとはいえ、過去30年間の中間選挙前の時期と比べると株価の変動幅は小さい。

S&P総合500種の1カ月物ボラティリティーは現在17%前後。一方、リフィニティブのデータに基づくと、過去8回の中間選挙の平均は20%だ。先週のボラティリティーの急上昇を例外扱いにすれば、この時期の水準としては30年間で最も低い。

中間選挙結果には瞬間的に反応するとしても、米国株上昇の流れは途切れない、というのがアナリストの見立てだ。LPLリサーチの分析では、1946年以降の全ての中間選挙後1年間のS&P総合500種は平均で14.5%上がった。

ソシエテ・ジェネラルのスコット氏は「中間選挙の結果は2020年(の大統領選挙と議会選挙)の手掛かりになるという面では重要だが、短期的には株高基調を損なう原因にはなりそうにない」とみている。

最近の株価の下押しが健全なヘッジ需要を喚起したため、市場が今後何らかの打撃を一瞬受けたとしても、投資家がうまく乗り切れる態勢がより整った面もある。必ずしも中間選挙に不安を覚えたわけではないが、投資家はこのところリスクの高い資産を売却していたのだ。
https://jp.reuters.com/article/italy-euro-analysis-idJPKCN1MT0SS

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/876.html

[不安と不健康18] 「週150分の早歩き」で4年半寿命を延ばせる 老いと闘うことと若さを諦めること ショーシャ式 食物繊維が最高に健康にいい
「週150分の早歩き」で4年半寿命を延ばせる

金 2018/10/19, 15:02
【第9回】 2018年10月19日 サンジブ・チョプラ :ハーバードメディカルスクール教授,デビッド・フィッシャー ,櫻井祐子
「週150分の早歩き」で4年半寿命を延ばせる

テレビからネットに雑誌、書籍まで、世の中にはまことしやかな「健康情報」が、日々次から次に流れている。コレを食べると「やせる」「血液さらさらになる」などとテレビで放送されると、翌日にはスーパーからその食品が消えるといったことが繰り返されている。
だが、実際にはその情報の信頼度はバラバラで、何の科学的証拠もないものが「とても健康にいい」と喧伝されていることも少なくない。
では、いったい何を信じればいいのかと思ってしまう人も多いのではないだろうか。
そこで、ハーバードメディカルスクールの教授であり医師としても活躍する著者が、数十万人を何十年も追った大規模研究など、信頼性の高い膨大な研究の網羅的な分析によって明らかになったことを集め、「これだけは間違いなく『いい』と断言できる」という食物・習慣を抽出した。その内容を一冊にまとめたのが『ハーバード医学教授が教える健康の正解』だ。ここでは同書から「運動」の驚きの効果について論じた部分を特別に公開する。

「運動せよ」が医師として最良のアドバイス
 私が医師として患者に与えられる最良のアドバイスは、これだ。

「動いて、動いて、動き続けろ!」

 定期的に運動する人が元気で長生きすることは疑問の余地がない。

 売上が年間10億ドルを超える医薬品も珍しくないこのご時世に、まったくお金がかからず、それでいて超高価な処方薬に匹敵するほど効果の高いものがあるなんて、信じられないほどだ。公園を散歩するなどの簡単なことで、寿命を何年も延ばせるというのだ。

 ビタミンDを生成する日光と同じで、人生で最高のもののなかには、まったくお金をかけずに簡単に利用できるものがある。

 ニューヨーク・タイムズは、こんなふうに説明する。

「私たちの遺伝子が運動を好むように進化したことは、多くのエビデンスが示している。いいかえれば、先史時代には、体が強くなく、すばやく動けない人は生きられなかった。体力のある人だけが生き延びて子孫を残し、より『運動に適した』遺伝子を伝えた。だが現代の運動不足の生活では、そうした遺伝子がさまざまな悪影響をおよぼし、慢性疾患の原因になっているとする研究もある」

 こう考えるとわかりやすいだろう。

 もしも「運動」を丸薬や錠剤、飲み薬にして、瓶詰めにして売り出すことができたら、それはたちまち世界で最もよく処方され、最もよく売れ、最もよく効く薬になるだろう。

 しかもそれは完全に無料で、秋に落ち葉をかき集めたり、お気に入りのコーヒーを飲むために近所の喫茶店まで歩いたりするくらいの簡単なことなのだ!

運動は超強力な「クスリ」である
 ハーバードとスタンフォードのメディカルスクールが行い、2013年にイギリスの医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に掲載された共同研究は、33万9274人を対象とした305件のランダム化比較試験を分析し、運動と薬物療法の有効性を比較し、また対照群とも比較して、死亡率への影響を検証した。

 その結果、2型糖尿病、心不全、慢性脳卒中、慢性心臓疾患という、生命を脅かす4つの疾患や症状について、運動と薬物療法のあいだに統計的に検出可能な差が認められなかった。

 研究責任者のフセイン・ナシによると、彼らが驚いたのは「運動に、重篤な慢性疾患患者に対する強力な救命効果が認められた」ことだ。「また意外にも、身体活動がほかの多くの疾患におよぼしうる効果がほとんど解明されていないことがわかった。私たちは運動の健康効果を知らないことで損をしているのかもしれない」

 定期的な運動には、早期死亡リスクを下げ、体重管理を助け、心臓疾患や2型糖尿病、脳卒中、認知低下、うつ、特定の種類のがん、骨粗鬆症と骨折、性的不能のリスクを低下させる効果があることが、研究で示されている。

 いちばんわかりやすい効果は、減量と体重維持だろう。食事制限なしの運動だけで劇的にやせることはないが、定期的な運動で数キロ減らすだけでも、健康状態を大いに改善することができる。

 アメリカは肥満の急速な増加という、大きな問題を抱えている。そして太りすぎの人はそうでない人に比べて病気やケガをしやすく寿命も短いことは、多くの研究が示す通りだ。

 私は肝臓専門医として講義をするとき、いまやアメリカでは非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)が最も一般的な肝疾患なのだと説明している。

 肥満と2型糖尿病の増加が明らかに影響をおよぼしているこの疾患をもつ人は、アメリカには約4000万人いると推定される。NAFLD患者は15?20%の確率で肝硬変になり、合併症を発症すれば肝移植が必要になることもある。

 アメリカでは今後10年以内に、肝硬変およびNAFLDに伴う合併症が、肝移植の主な適応疾患になると考えられている。

「週150分の早歩き」で4年半寿命を延ばせる
 アメリカ国立がん研究所栄養疫学部門のスティーブン・ムーア博士率いる研究チームは、ライフスタイルと疾患リスクの関連性を調べた6件の大規模研究の参加者65万人以上から収集されたデータを分析した。

 この研究の結果は、論文審査のあるオンライン医療専門誌『PLOSメディシン』に2013年に掲載され、1日10分早歩きをする人は、運動習慣のない人に比べて寿命が1.8年長かったこと、また世界保健機関の推奨する週150分の早歩きによって4年半も寿命を延ばせることを示した。

 20年以上前に公衆衛生局長官によって発表された、最初の身体活動と健康に関する報告書は、運動の効果を次のようにまとめている。

「(身体活動には)早期死亡リスクと心臓疾患、高血圧、結腸がん、糖尿病のリスクを低減させるなどの効果がある。また定期的な運動参加は、うつや不安を減らし、気分を改善し、生涯にわたって日常生活動作の能力を高めるようだ」

 報告書は続けて断定する。

「高齢者か若年者かにかかわらず、日常的な身体活動レベルが高い人ほど死亡率が低く、日常的な身体活動レベルが中程度の人でさえ、レベルが最も低い人に比べて死亡率が低かった」

 それ以降、この結論は多くの研究によって確認、補強されている。

 たとえば2008年にアメリカ保健福祉省は、長期的研究のメタアナリシスに基づく、健康的な生活を送るための新しいガイドラインを発表した。13人の識者が10年ぶりに科学的研究の包括的レビューを行い、こう結論づけている。「定期的な身体活動には、心臓発作と脳卒中のリスクを20%以上低減させ、早死にするリスクを下げ、高血圧、2型糖尿病、結腸がん、乳がん、加齢による骨折、うつ病を予防する効果がある」

(本原稿は書籍『ハーバード医学教授が教える健康の正解』からの抜粋です)

サンジブ・チョプラ(Sanjiv Chopra)
ハーバードメディカルスクール(ハーバード大学医学部)教授。医師。米国内科学会最高栄誉会員(MACP)。ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(ハーバードメディカルスクール附属病院)肝臓科上級医長。毎年150ヵ国8万人の医師を教える、世界で最も学術的に優れた医師生涯教育プログラムである、ハーバードメディカルスクール生涯教育部門の部長を12年間務める。医療現場での臨床判断のツールとして世界60万人以上の医師によって利用されているインターネット上の電子教科書「UpToDate」の肝臓病セクションの編集責任者も務める。ハーバードメディカルスクール優秀教育者賞、ロバート・S・ストーン賞(ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターで医師、スタッフ、学生により選出)、米国消化器病学会優秀教育者賞、エリス島名誉勲章など多数の賞を受賞している。

デビッド・フィッシャー(David Fisher)
著述家。15冊以上のニューヨークタイムズベストセラーの著書を持つ。

櫻井祐子(さくらい・ゆうこ):訳者
翻訳家。京都大学経済学部卒、オックスフォード大学大学院で経営学修士号を取得。訳書に『CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見』『選択の科学』(ともに文藝春秋)、『OPTION B 逆境、レジリエンス、そして喜び』(日本経済新聞出版社)、『イノベーション・オブ・ライフ』(翔泳社)、『第五の権力』『0ベース思考』『SPRINT最速仕事術』(いずれもダイヤモンド社)など。


 

老いと闘うことと若さを諦めること
人生の未来予想図を描いてみた


和田秀樹 サバイバルのための思考法
2018年10月19日(金)
和田 秀樹

 私は老年精神医学のかたわら、自分の老化予防をかねてアンチエイジングのクリニックを開いている。

 この分野で著名なフランスのクロード・ショーシャ医師と2004年に知り合ったことが発端だ。彼は英国の故ダイアナ妃の主治医や、クリントン米元大統領のアンチエイジングのコンサルタントを務め、今でも人気俳優ジャッキー・チェンやコン・リーのアンチエイジングの主治医をしている。私は彼の著書の日本語版に解説を寄せ、その優れた理論を知ったことをきっかけに、ショーシャ方式の施術を手掛ける自費診療のクリニック「和田秀樹こころと体のクリニック」を開いた。開業以来、香港にあるショーシャ方式のクリニックで指導を受けている。


アンチエイジングでいつまで若さを保てるか(写真:PIXTA)
 世界に20カ所あるショーシャ方式の提携クリニックの中で、私のところだけが流行っていないという現状だ。日本で自費診療というと、美容外科や痩身治療のような即効性のあるものがウケるようだ。ただ私個人についていえば、ショーシャ方式のアンチエイジング治療を開始して10年になり、効果を実感している。あまり年を取ったようには見えず、肌も若いと言われるし、しわもほとんどない。あと、2年で還暦と考えるとありがたかったと思っている。

 そこで今回はサバイバルのために老いと闘うことと、若さをいつ諦めるのかについて考えてみたい。

コレステロールの気にしすぎは危険
 私の周りの文化人や有名人の方を見ていると、年を取るほどダイエットに気を使う方が多い。あるいは、中高年以降は血糖値や血中のコレステロール値を気にする人も多い。

 もっとも東京都小金井市の70歳を対象とした10年間の追跡調査ではコレステロールがやや高めの人が最も死亡率が低かった。標準とされている体重よりやや太めの人の方が長生きしていることを示す、いくつもの調査結果もある。

 血糖値にしても、厳格にコントロールをし過ぎるとかえって死亡率が高まるという大規模調査のデータがいくつか出ているし、高齢者の臨床をしていると、血糖値を正常にしようとすると低血糖の時間帯ができて、ぼんやりしたり、失禁したりする患者を時々見かける。

ダイエットすると老けて見える
 それ以上にアンチエイジングの立場からみると、血糖値やコレステロール値を下げるために食事量を制限すると、栄養不足となって老けて見えることが多いし、臓器へのダメージも大きい。

 特に高齢者は食事量を減らしてのダイエットはすべきでないという臨床感覚を抱くようになった。ショーシャ先生も食べる量を減らすより、食べても太らなかった若い頃の代謝をサプリメントを使って取り戻すことや、食べる順番や時間帯を工夫してダイエットする方法を推奨している。これが気に入って、彼に弟子入りしたくらいだ。

 ショーシャ先生が食べてはいけないと考えるのは、特定の食品ではなく、アレルギーを引き起こすような、個人の体質に合わないものだ。アレルギーというと、じんましんやショック症状のような急性型のものだけでなく、体の酸化を何日間か引き起こす慢性型のアレルギーがある。

 それを血液検査で知って、食べるのを避けるよう指導するが、基本的にそれ以外のものは十分に食べ必要な栄養を取るのがショーシャ方式のダイエットだ。

 そのほか私自身、しわを消すためにボツリヌス毒素を使っているし、髪も染めている。

 見た目が若い方が気持ちも若返るからだ。

 男性ホルモンも重要だ。これが足りないと意欲や性欲が低下する。異性に関心がなくなるだけでなく人に関心がなくなるようで、人付き合いがおっくうになってくる。そのほか、記憶力や判断力の低下にもつながることがわかってきた。

 男性ホルモンのレベルを保つためには、その材料であるコレステロールはむしろ高めがいい。また世間でタブー視されがちだが、性的な興奮も重要だ。世界中の先進国の中で、唯一日本だけ一般的なハードコアポルノの流通が合法とされていないが、セックスレスの多さや中高年層の活力のなさにつながっているのではないかと心配してしまう。

 老いとの闘い方は徐々にわかってきている。

 薬やサプリメントを使うことが反則のように思う人が多いが、平均寿命が延びた以上、若々しくいられる時期を延ばさないと老け込んだ「老後」があまりに長くなってしまう。

いずれ老いを受け入れねばならぬ
 ただ、いつまでも老いと闘い続けることは、生物学的に困難になるのも事実だ。

 吉永小百合さんのような見た目が若い70代の人が、いつまでその若さを保てるかは医者として興味があるが、さすがに90歳近くなると限界がある。

 脳を使うことで認知症の発症は遅らせることができるのは、私の臨床からも実感する。発症後も、脳を使う人の方が進行が遅いというのは、経験上は言えることだ。

 ただ一方で、私が高齢者専門の総合病院である浴風会病院で解剖所見をずっと見てきた限り(年に100例にはなる)、85歳歳を過ぎて、アルツハイマー型の脳の変性が全く起こっていない人はほぼいなかった。

 我が国で発表されている様々な認知症有病率の統計によれば、85歳を過ぎると40?50%が、90歳以上で約60%が認知症の診断基準に当てはまってしまう。

 認知症を遅らせたり、寝たきりや要介護になる時期を遅らせたりすることは可能だろうし、そうした方がいいが、やはり長生きをすればいつかは罹患するという事実も受け入れないといけない。

 日本でもっとも汎用される認知症の診断スケールである長谷川式簡易知能評価スケールを開発した長谷川和夫医師が、昨年自らの認知症を公表して、いくつかの新聞のインタビューに応えている。「年を取ったんだからしょうがない」と認知症を受け入れ、世間が思っている以上に、発症前と自分の主観的な世界に連続性があるということを伝えるために講演活動に勤しんでいる。

 「認知症になったら安楽死したい」というように、老いや衰えを否認したり、あるいは認知症になることを必要以上に恐れるより、誰もが発症する可能性があると開き直って、そうなった際に受け入れる方が(主観的には)幸せなように思えてならない。

 老いや衰えに直面した際に、「年を取ったから仕方ない」と受け入れる時期が必要だということだ。

 だとすると、いたずらに不安になったり、老いを遅らせることばかり考えるより、どんな衰えが現れるのかをきちんと知っておく方がいいだろうし、そうなったときにどうすればいいか、どんな医療制度が使えるのかも知っておいていい。

 実際、会社に勤める40歳以上の人は給料から、年金生活者は年金から、介護保険料を天引きされているのに、保険の使い方を知らない人もものすごく多いというのが高齢者専門の医師としての実感だ。

 老いを受け入れる覚悟と、そうなったときの準備が大切だというのが、長生きの時代に長生きの人を多く診てきた私がたどりついた結論だ。

世代別に見る老化対策、60代は受難
 ということで、いつからどのようなかたちで衰えが現れるのか示した人生の未来予測図のようなものが必要だと私は考えるようになった。何歳までどのように老いと闘い、いつから覚悟を決めて介護などの準備に入った方がいいかを判断できる指針となる。

 実際、老いとの闘いの重要ポイントは年代によって違っている。

 40代であれば、最大の敵は意欲低下(このために体や脳を使わなくなると老化が速くなる)であり、その元凶となるのが脳の前頭葉と言われる部分の萎縮と、男性の場合は男性ホルモンの減少だ。

 普段のルーティンとは異なる行動をとることが、前頭葉の老化予防に役立つ。なるべく毎日違う道を通るとか、違う店で食事をするとか、あるいは右寄りの思想を持つ人は左翼系の雑誌などを読み、逆に、左寄りの人は保守論壇の本を読むなどといったことだ。いつも同じような本を読んだり、同じような数学の問題に取り組んだりしている人は、いくら内容が難しくても、側頭葉や頭頂葉の働きはよくなるが、前頭葉にはあまり影響しない。

 ホルモンの分泌量を保つ方法は前述の通りで、コレステロールを目の敵にすべきでない。

 50代になると健康診断で異常値が出ることが増え、それに一喜一憂する人が増えるが、それが死亡率の増加につながるエビデンス(科学的根拠)を示す国内の大規模調査はほとんどない。がんは日本人の死因順位のトップではあるが、がん死亡率は1000人に3人程度だ。

 うつ病が増えるのは40代からだが、50代でも自殺も死因順位の3位くらいに入っているし、そのために長年続けてきた仕事が継続できなくなる人が多い。メンタルヘルスに気を使うとともに、前頭葉が衰えないうちに、定年後の対策をしておいた方がいい。

 60代は長寿社会の受難の時期だ。定年などで会社にいられなくなるし、子供も自立していなくなる時期だ。さらにいうと80代後半から要介護や認知症が急激に増えることを考えると親の介護ものしかかる。メンタルヘルスの維持とアンチエイジングに努めないと、その後の人生がかなりつらいものになる。

 70代は個人差がものすごく出る時期だ。前述の吉永小百合さんや現役の政治家、財界人のように大成功者もいる半面、60代までにうつや脳血管障害、あるいはアンチエイジングに取り組んでこなかったために、要介護状態になったり、すっかり老け込んだ感じになる人も多い。親は亡くなり介護が必要なくなる代わりに、周囲で頼りにできる人も少なくなる。実は70代前半までは認知症よりうつ病の方が多い。記憶力が衰えたり、着替えをしなくなっても認知症でなくうつ病を疑う姿勢も重要だ。

 80代は要介護や認知症が急激に増える。老いを受け入れるとか、よほどの幸運がないとそれがいずれは来るという覚悟や、介護保険の利用、高齢者住宅・施設への転居などの準備がないと本人や子供世帯に大きな負担となりかねない。

 90代は、ラッキーでない人以外は認知症や要介護が前提になるので、それを嘆くより受け入れることが必要だ。

 と、概略的ではあるが、傾向と対策を並べてみた。知っているようで知らないことが多いというのが普段、高齢者に接してみての印象だ。興味を持たれた方は、拙著『年代別 医学的に正しい生き方 人生の未来予測図』に目を通していただければ幸いだ。


このコラムについて
和田秀樹 サバイバルのための思考法
国際化、高齢化が進み、ストレスフルな社会であなたはサバイバルできますか? 厳しい時代を生き抜くアイデアや仕事術、思考法などを幅広く伝授します。

カラダの中から美しく痩せる-ショーシャ式-体内リズムダイエット

neko
5つ星のうち4.0肌がキレイになりました。
2013年3月19日
形式: 単行本Amazonで購入
主な内容は、良質の植物オイルを摂る、タンパク質をメインにする、炭水化物は控える、
生の食べ物を摂る、抗酸化サプリメントを摂る、などです。
エリカ・アンギャルさんやペリコーン博士の本にも同様のことが書かれています。

加えて、内臓のリズムについて書かれています。
それぞれの臓器の活動している時間に合わせて
“1日3食+間食”という内蔵に負担をかけない食べ方をすすめています。

私にはこの方法が合っているようで、肌の状態が驚くほど良くなりました。
1ヶ月程度しか続けていないので、体重はそれほど減少していませんが、
今後も続けていきたいと思っています。

抗老齢化医学の世界的権威であり、アンチエイジングの名医として活躍しているクロード・ショーシャ博士が提唱する、ダイエット成功のための「食ルール」を解説。内臓に負担をかけない食べ方(1日3食+間食のリズム食べ)、食材選び(体の内側から若返る食材)、調理法(生に近い状態がベストで、高温加熱はNG!)など、カラダの中から美しく痩せるための実践的なダイエットメソッドを多数紹介しています。
<例>
・ 「体重が減らない!」のは老化現象のひとつであることに気付きましょう
・ ダイエットの最大の敵は細胞膜が傷つき細胞に炎症が起こることです
・ 食事を4回に分けて正しく摂るだけで自然にダイエットできます
・ タンパク質から食べると血糖値の急激な上昇を防ぐので内臓に負担がかかりません
・ 飽和脂肪酸とトランス脂肪酸はダイエットの大敵
・ 天然のサーモンはオメガ3がたっぷり摂れる良質脂肪の宝庫
・ ブルーベリーとカシスは脳のアンチエイジングにもダイエットにも最適なフルーツ
・ こげた肉はたばこ10本吸うのと同じ毒性があります

著者について
クロード・ショーシャ博士(Dr.Claude Chauchard)
抗老齢化医学・予防医学博士。「ラ・クリニーク・ドゥ・パリス・インターナショナル」会長。1945年フランス・ローデ生まれ。フランス・モンペリエ大学医学部卒業後、同大学助教授に。免疫学、生物学、スポーツ医学分野で医学博士号を取得。1980年国際予防抗加齢医学研究所、ならびに、「ラ・クリニーク・ドゥ・パリ」を設立。予防医学の第一線で活躍。35年にわたる細胞研究より、体の内側から美しく若返るには、内臓の代謝リズムに合わせて食事を摂る「タイムリー・ニュートリション」のコンセプトが重要であることを導く。この究極の食事療法は、医学界、栄養学界、美容界など、健康と美を追求する世界中のスペシャリストに支持され、患者には王侯貴族やハリウッドスター、スポーツ選手などの著名人も多い。また、世界中にメソッドを普及させたいという使命から、世界17ヵ国11医院の提携クリニックを持ち、イタリア、スペイン、ポルトガル、ロシアなどのヨーロッパ諸国、日本、韓国、台湾、フィリピン、タイなどのアジア諸国、アメリカ、中東諸国……と1か月のうちに約4万キロを飛行機で移動して患者の診療を続けている。加齢プロセスに関する著書の発行累計は140万部を超える。世界各国で翻訳版が出版されており、日本での著書に『30日間で10歳若返る!』(日経BP社)がある。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/122600095/101700039/

【第7回】 2018年10月19日 ロバート・H・ラスティグ , 中里京子
「食物繊維」が最高に健康にいい5つの理由 血糖値とコレステロールを低く抑える!すぐ満腹になる!

「低炭水化物ダイエットは正解か?」
「脳が砂糖をやたら欲しがるのはなぜか?」
「食べた分だけ動けば確実にやせるのか?」
「カロリーを減らせば体重は減るのか?」

これらの「食事の疑問」に答えつつ、「人が太るメカニズム」を医学的に徹底解明したNYタイムズベストセラー『果糖中毒』が9/13に発売された。

アメリカの一流メディカルスクール教授が229の医学論文から「食事の正解」を導き出し、「健康な脳と体」に戻るための処方せんをあざやかに提示したとして、原書はアメリカで12万部を超え、アマゾンレビュー987件、平均4.6と高評価をたたき出した。

最新のWHO統計によると、現在世界で約19億人が「体重過多」、約6億5000万人が「肥満」だという。これは世界中の人々が運動を怠けて、食べ過ぎた結果なのか? 『果糖中毒』では、「肥満は自己責任論」を全面否定し、現在の「肥満の世界的大流行」は糖分、特に「果糖」が主な原因だと結論づけている。

ここで『果糖中毒』の一部を特別に無料で公開する。

肥満に立ち向かう
最強の武器

 砂糖に含まれるブドウ糖はインスリンの量を上昇させ、果糖はおびただしい量のエネルギーを肝臓に直接送って、ただちに処理させようとする。そして両方とも、肥満とメタボ症候群を押し進める。

 食物繊維は、インスリンレベルを低く保ち、エネルギーが肝臓に押し寄せるのを抑えることによって、肥満とメタボ症候群との闘いを助ける。その特性は次の5つだ。

特性1 血糖値の上昇をゆるやかにする
 食物繊維(水溶性と不溶性)を食事でとると、食物と腸壁のあいだにゼラチン質のバリアができ、腸がブドウ糖、果糖、脂肪を吸収する速さが緩やかになる。ブドウ糖の吸収が緩やかになると、血糖値の上昇も緩やかになり、ピークの値も下がる。

 これを受けて、血糖値の上昇が緩やかで、かつ低くなったことを察知した膵臓は反応を弱め、放出するインスリンの量を減らす。インスリンの量が減ると、脂肪に変わるエネルギーの量も減る。2型糖尿病の患者が高食物繊維食をとると、血糖値が3分の1低くなるため、体内の総インスリン負荷も下がる[1]。

 果糖の吸収についても同じことが起きる[2]。食物繊維は果糖の吸収量を下げるだけでなく、「流速」、つまり吸収された果糖が肝臓細胞に押し寄せるスピードも下げる。

 こうして肝臓は処理に「追いつく」ことができるようになり、新たな果糖がやってくるペースに合わせて、果糖分子をアセチルCoAに変換できるようになる。これにより、アセチルCoAは、ミトコンドリアのクエン酸回路で燃やされるようになる。

 もはや、果糖がミトコンドリアに押し寄せたあと、それを処理しきれなくなったミトコンドリアに追い出されて脂肪に変えられ、インスリン抵抗性を引き起こす、という状況はなくなる。

 そのため、果糖を含んでいるフルーツを食べても、果糖の影響の大部分が食物繊維の存在によって緩和されるため、さほどたいした問題にはならないのだ。

特性2 悪玉コレステロールのレベルを下げる
 大きな母数集団では、血中コレステロール濃度が低いと、心臓病の発生率も低いという関連性が見出されている。コレステロールの目的の1つは、胆汁酸(腸にある脂肪の吸収を助ける)の生成を促すことで、胆汁酸の一部は大便に排出される。

 そのため、胆汁酸をなくすことができれば、コレステロールのレベルも下げられる。水溶性食物繊維は胆汁酸に結び付くので、LDL(悪玉コレステロール)を下げることができる。不溶性食物繊維もまた、コレステロールのレベルを下げ、血糖値を低く抑えるのに役立つ。

特性3 早く満腹感を感じさせる
 あなたはマカロニ・アンド・チーズ〔チーズソースがかかったマカロニ料理〕を一皿食べたのに、まだ空腹だ。なぜだろう? 胃のなかに食べ物があると「グレリン」のレベルが低下するので、視床下部に、もう空腹ではないと知らせるはずなのに、あなたはまだ食べ足りない。

 その理由はこうだ。「空腹感がない」という現象は「満腹感を抱く」という現象とは違うのである。食べ物が小腸を通り抜けるときには、ペプチドYY(3-36)(PYYとも表記される)と呼ばれるホルモンが血中に放出され、視床下部にある受容体に結合して満腹であることを知らせる。

 PYYは満腹シグナルだ[3]。問題は、PYYシグナルを生成するには、食べ物が腸のなかを7メートル近く進んでいなければならないことである。それには時間がかかる。そのため、腸のなかで食べ物を速く動かせるものならなんでも満腹シグナルを早く生成させることになる。

 不溶性食物繊維は、まさにこの役目にぴったりだ。食べ物が腸内を移動するスピードを加速して、PYYシグナルを早く生成させる。水溶性食物繊維は粘性のゲル状物質になって、胃から食物が出るのを遅らせることにより、早く満腹感を感じさせる。どちらのタイプの食物繊維も、おかわりの必要性を減らし、さらなる体重増加を防いでくれる[4]。

特性4 食事性脂肪の吸収を遅くする
 食物繊維があると、一部の食事性脂肪は小腸で吸収される速度が遅くなる。食物繊維のおかげで速度が遅くなった食事性脂肪は結腸まで進む。そこでは吸収は起きないので、インスリンのレベルを低く抑えることができる[5]。

 いまだに議論の余地はあるものの、肥満とインスリン抵抗性に対する効果は、水溶性食物繊維より不溶性食物繊維のほうが大きいと考えられている。

 このプロセスの欠点は、この過程で食物繊維は、大量の窒素、二酸化炭素、メタン、そして少量の硫化水素を生成することだ。言わば、脂肪(ファット)をとるか、それともおなら(ファート)をとるか、なのである。

特性5 腸の善玉細菌を増やし、「太らせ因子」を食い止める
 人間の体には、約10兆個の細胞がある〔60兆個あるいは37兆個とする説もある〕。だがあなたの腸に住んでいる細菌は、なんと約100兆個だ。彼らはヒトを10倍もの数で圧倒しているのだ! 

 長年にわたり腸内細菌は、無賃乗車して不適切なときにガスを放ち、ときどき「旅行者下痢」に乗っかって出ていくだけのものと考えられていた。

 だが実のところ腸内細菌は、私たちのエネルギー代謝の大きな部分を担っている。腸内細菌の大部分は大腸に住み、嫌気性だ。つまり、酸素抜きに代謝を行うので、酸素を使って燃焼を行うものより、多くのエネルギーをムダにする。

 でも、もしすべての栄養素(脂肪、ブドウ糖、果糖を含む)が小腸で吸収されるのなら、大腸に住む細菌が食べるものなど残っているのか、と思われるだろう。

 実は、彼らが食べるのは、体が吸収できないもの、すなわち食物繊維、それも特に水溶性食物繊維なのだ。これこそ、オオバコなどに由来する食物繊維のサプリメントが、あれほどのガスを発生させる理由である。

 腸内細菌は数千種類もあるが、科学界では、これまで3種類に的を絞って研究してきた。つまり、バクテロイデス門、フィルミクテス門、古細菌だ。腸内の細菌構成が、ある種の人々の体重増加を促す一因になっていることは、ほぼ確実である。そして食生活の食物繊維構成は、腸内細菌のプロファイルを決定する一因になっている[6]。

 というのも、食物繊維はより多くの栄養素を腸の奥深くにもたらし、そこにいる腸内細菌が、それらをエネルギーに利用するからだ[7]。

 すべてを総合すると、食生活の食物繊維内容を変えることは、腸内細菌の内容を変えることになり、「善玉」細菌を増やして、「太らせ因子」となる細菌を食い止めることができる[8]。

[1] R. E. Post et al. (2012) “Dietary Fiber for the Treatment of Type 2 Diabetes Mellitus: A Meta-Analysis,” Journal of the American Board of Family Medicine, 25 (1): 16-23.
[2] R. Levine (1986) “Monosaccharides in Health and Disease,” Annual Review of Nutrition, 6: 211-4.
[3] C. J. Small et al. (2004) “Gut Hormones and the Control of Appetite,” Trends in Endocrinology and Metabolism, 15 (6): 259-63.
[4] P. D. Cani et al. (2009) “Gut Microbiota Fermentation of Prebiotics Increases Satietogenic and Incretin Gut Peptide Production with Consequences for Appetite Sensation and Glucose Response after a Meal,” The American Journal of Clinical Nutrition, 90 (5): 1236-43.
[5] D. Lairon et al. (2007) “Digestible and Indigestible Carbohydrates: Interactions with Postprandial Lipid Metabolism,” The Journal of Nutritional Biochemistry, 18 (4): 217-27.
[6] G. D. Brinkworth et al. (2009) “Comparative Effects of Very Low-Carbohydrate, High-Fat and High-Carbohydrate, Low-Fat Weight-Loss Diets on Bowel Habit and Faecal Short-Chain Fatty Acids and Bacterial Populations,” The British Journal of Nutrition, 101 (10): 1493-502.
[7] R. Krajmalnik-Brown et al. (2012) “Effects of Gut Microbes on Nutrient Absorption and Energy Regulation,” Nutrition in Clinical Practice, 27 (2): 201-14.
[8] G. D. Wu et al. (2011) “Linking Long-Term Dietary Patterns with Gut Microbial Enterotypes,” Science, 334 (6052): 105-8.
(本原稿は書籍『果糖中毒』からの抜粋です。訳者による要約はこちらからご覧になれます)

著者について
ロバート・H・ラスティグ(Robert H. Lustig)
1957年ニューヨーク生まれ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校小児科教授。マサチューセッツ工科大学卒業後、コーネル大学医学部で医学士号を取得。2013年にはカリフォルニア大学ヘイスティングス・ロースクールで法律学修士号(MSL)も取得。小児内分泌学会肥満対策委員会議長や内分泌学会肥満対策委員会委員などを歴任。「果糖はアルコールに匹敵する毒性がある」と指摘した講義のYouTube動画「Sugar: The Bitter Truth(砂糖の苦い真実)」は777万回以上視聴されるほど大きな話題になった。
中里京子(なかざと・きょうこ、訳者)
翻訳家。訳書に『依存症ビジネス』(ダイヤモンド社)、『ハチはなぜ大量死したのか』(文藝春秋)、『不死細胞ヒーラ』(講談社)、『ファルマゲドン』(みすず書房)、『チャップリン自伝』(新潮社)ほか。
https://diamond.jp/articles/-/182634
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/658.html

[経世済民128] 7カ月ぶり1%物価上昇も勢い欠く、元安が足かせとの見方 ガソリン・電気代寄与 低インフレ指摘トランプ口撃FRBの弱点突く
7カ月ぶり1%物価上昇も勢い欠く、元安が足かせとの見方
日高正裕
2018年10月19日 8:33 JST 更新日時 2018年10月19日 13:01 JST
• 生鮮食品とエネルギーを除くと前月と変わらず、0.4%上昇
• コアCPI上昇は四捨五入の関係、ほとんど上がっていない−総務省

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は7カ月ぶりに前年比1%上昇となった。日本銀行は物価の上昇が続くとみているが、同様の見解を示すエコノミストは少ない。中国の人民元に対する円高による輸入価格低迷が足かせとなるとの見方もある。
  総務省によると、コアCPI前年比が前月から伸びを0.1ポイント高めたのは四捨五入によるもので、実際はほとんど上がっていない。生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPI前年比は0.4%上昇と前月から伸びは横ばい。総合CPIの1.2%上昇のうち、エネルギーが0.6ポイント、食料が0.47ポイントと大半を占めた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の宮嵜浩シニアエコノミストは「サービス価格は相変わらずさえない」と指摘。国内生産品は人手不足による賃金上昇で価格転嫁が進んでいるものの、人民元安で「輸入消費財の35%を占める中国製品に大幅な下落圧力がかかっている」と話した。
  黒田東彦総裁は18日の支店長会議で、需給ギャップのプラス継続や予想物価上昇率の高まりを背景にコアCPI前年比は「2%に向けて徐々に上昇率を高めていく」との見方を示した。2013年4月に異次元緩和を打ち出して以降、コアCPI前年比の最高値(消費増税の影響は除く)は14年4月の1.5%だが、日銀のもくろみ通りとなるかは不透明だ。
  食料やエネルギー頼みの物価上昇になっている点も、個人消費の先行きには懸念材料だ。大和総研の山口茜研究員は「コアCPIやコアコアCPI以上に、家計の直面する物価はかなり高まっており、個人消費を下押しするリスクは今後注意する必要がある」と述べた。
キーポイント
• 全国コアCPIは前年比1%上昇(ブルームバーグ調査の予想中央値は1.0%上昇)ー上昇は21カ月連続、前月は0.9%上昇
• 生鮮食品とエネルギーを除く全国コアコアCPIは0.4%上昇(予想は0.4%上昇)ー前月は0.4%上昇
• 総合CPIは1.2%上昇(予想は1.3%上昇)−前月は1.3%上昇

(元安で中国製品に下落圧力がかかっている点を追記して更新します.)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-18/PGMPUC6K50XW01?srnd=cojp-v2


9月消費者物価は7カ月ぶり1%上昇、ガソリン・電気代寄与
日高正裕
2018年10月19日 8:33 JST 更新日時 2018年10月19日 10:00 JST
• 生鮮食品とエネルギーを除くと前月と変わらず、0.4%上昇
• コアCPI上昇は四捨五入の関係、ほとんど上がっていない−総務省

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
総務省が19日発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比1%上昇と前月の伸びを上回った。1%になったのは7カ月ぶりだが、ガソリンや電気代などの上昇幅が拡大した結果で、物価の基調を示すコアコアCPIは前月と同水準にとどまった。
キーポイント
• 全国コアCPIは前年比1%上昇(ブルームバーグ調査の予想中央値は1.0%上昇)ー上昇は21カ月連続、前月は0.9%上昇
• 生鮮食品とエネルギーを除く全国コアコアCPIは0.4%上昇(予想は0.4%上昇)ー前月は0.4%上昇
• 総合CPIは1.2%上昇(予想は1.3%上昇)−前月は1.3%上昇

背景
  物価の基調は引き続き弱い。日本銀行の企業短期経済観測調査(短観、9月調査)における企業の物価見通しは、1年後が0.8%上昇と6月調査(0.9%上昇)を下回った。家計を対象にした生活意識に関するアンケート調査(9月調査)では、現在の物価が1年前に比べて「上がった」、1年後の物価が「上がる」との回答がいずれも減少し、企業や家計のインフレ期待は低調な状態が続いていることを示した。
  日本銀行は2013年4月の異次元緩和導入以来、強力な金融緩和を推進してきたが、賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行の転換に時間を要している。現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の持続性を強化するため、7月の決定会合では長期金利目標の変動を認めた。
  黒田東彦総裁はインドネシア・バリ島で行ったブルームバーグ・テレビジョンのインタビューで、「2%物価上昇率が達成されたり、達成が近づいたりした場合は当然、金利目標を変更することがありうる」と述べた。一方、「現時点では物価上昇率は1%にすぎず、現行の長短金利水準で金利操作を継続する」と説明した。
エコノミストの見方
• 野村証券の棚橋研悟エコノミストは、コアCPI上昇の主因はエネルギー価格の上昇だとした上で「現状くらいの状態がしばらく続く」との見方を示した。エネルギー以外の項目で値上げの動きが鈍く、日銀が手放しで喜べる結果ではないという。値上げ定着には個人消費の回復が必要と指摘した。
• 大和総研の山口茜研究員は上昇はエネルギーが中心で「力強さに欠ける内容」と評価した。台風の影響による食料価格上昇により家計の負担は高まっており、「個人消費を下押しするリスクは今後注意する必要がある」と分析した。
• 三菱UFJモルガンスタンレー証券景気循環研究所の宮嵜浩シニアエコノミストは「サービス価格は相変わらずさえないため、上昇品目に広がりは見えない」と話した。
詳細
• 上昇は生鮮野菜(10.4%)、電気代(3.6%)、灯油(23.2%)、ガソリン(17.3%)。下落は携帯電話通信料(4.2%)
• 生鮮食品はネギ、キュウリ、人参などが天候不順の影響で値上がり−総務省の担当者
• コアCPI上昇は四捨五入の関係であり、実際はほとんど上がっていない−総務省の担当者
(コメントを差し替え、詳細を追加しました.)
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中国経済が減速−7−9月は6.5%成長、逆風強まる
Bloomberg News
2018年10月19日 11:10 JST 更新日時 2018年10月19日 12:50 JST
• 4−6月GDPの6.7%増から伸びが鈍化
• 力強く見えないが、なお目標は達成可能だろう−コメルツ銀の周氏
中国経済は7−9月(第3四半期)に減速した。4−6月の6.7%成長から伸び率が鈍化した。
  7−9月の国内総生産(GDP)は前年同期比6.5%増。ブルームバーグがまとめた市場予想は6.6%増だった。
  9月の工業生産は前年同月比5.8%増加。市場予想は6.0%増だった。小売売上高は同9.2%増え、市場予想(9%増)を上回った。1−9月の都市部固定資産投資は前年同期比5.4%増。予想は5.3%増だった。
  貿易摩擦の激化や株安で先行きへの信頼感が損なわれており、中国経済は7−9月に強まる逆風に見舞われた。これを受けて当局は景気対策を強化したが、これらの措置はまだ効果を発揮しておらず、さらなる施策が必要となる可能性がある。
Growth and Industry Output Slow
While retail sales gets better

Source: National Bureau of Statistics
  国家統計局は発表文で「極めて複雑で厳しい国際情勢」などを背景に、成長への下押し圧力が増していると指摘。政府は雇用や資金繰り、輸出および外国投資の安定に取り組む方針だと説明した。
  コメルツ銀行のシニア新興市場エコノミスト、周浩氏(シンガポール在勤)は「今回の数字は力強いようには見えない。トレンドに基づくと、通年のGDPは6.5−6.6%増となる可能性がある」と指摘した。
  周氏は「依然として目標は達成できるだろう」とした上で、中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の郭樹清主席や中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁の19日の声明によって、「GDPの数字の重要性が弱まった。それよりもむしろ、不安定な金融市場や低い市場の信頼感を指導部が懸念していることを示した」と述べた。中国の金融監督当局はGDP発表の直前、株式相場の下落を受けて投資家の信頼感回復に乗り出していた。
原題:China Economic Growth Slows More Than Expected in Third Quarter(抜粋)
(4段落目以降に背景やコメントを追加して更新します.)
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-19/PGTQ256JIJUQ01


ゴールドマンとムニューシン氏も敬遠−広がるサウジ会議欠席者リスト
Sridhar Natarajan、Lizette Chapman
2018年10月19日 12:30 JST
• 「容認できない事態」とゴールドマンのソロモンCEO
• FOXビジネス・ネットワークも「砂漠のダボス」に距離置く
サウジアラビアが来週リヤドで開く経済フォーラム「砂漠のダボス会議」の欠席者リストがまた長くなった。ゴールドマン・サックス・グループとムニューシン米財務長官も出席取りやめを発表した。FOXビジネス・ネットワークも会議のメディアパートナーを降りた。

ジェイミー・ダイモン氏
写真家:Giulia Marchi / Bloomberg
  サウジアラビア人のジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が在トルコ・サウジアラビア総領事館で拷問され殺害されたと報じられる中で、企業や政治家の会議出席取りやめが相次いでいる。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)やブラックストーン・グループのスティーブ・シュワルツマンCEOも欠席。
  ゴールドマンのデービッド・ソロモンCEOは18日のCNBC番組で、「容認できない事態であり、サウジ側は疑問に答えなければならない」と語った。ゴールドマンは女性幹部2人を送り込む予定だった。
原題:Exodus From Saudi Event Rolls On as Goldman, Mnuchin Cancel (1)(抜粋)

米財務省の為替報告、中国への最終的な警告と市場は受け止め
Katherine Greifeld
2018年10月19日 8:58 JST
• 中国に重点を置いたのは金融市場の今後の混乱の前兆−ING
• 心理的な節目1ドル=7.0元台乗せなら他のアジア通貨にも問題に
米財務省は17日公表した半期に一度の為替報告書で中国の為替操作国認定を見送ったものの、一段と厳しい言い回しを為替市場は見逃さなかった。
  米財務省は1つのセクションを割いて中国の対米貿易黒字への懸念を示し、中国が為替介入を開示しないことは「極めて遺憾だ」とした。また、各国が自国通貨の「上昇圧力と同様に下落圧力に抵抗」しているかどうかを米国は監視していくと警告した。
  INGグループは、中国に重点が置かれたことは金融市場に今後さらに混乱が生じる前兆だという。18日の人民元下落の動きが持続すると見る市場参加者もいる。INGの通貨ストラテジストのビラジ・パテル氏(ロンドン在勤)は、世界的なリスクセンチメントを見極める上での人民元の役割を考えると、新興国通貨はさらに痛手を被る可能性があると述べた。

  パテル氏は「財務省の最新報告書は基本的に、中国の通貨政策に対する最終的な警告という印象を与えた」と指摘し、「米中貿易協議でドル・元相場が交渉の切り札に急浮上しており、神経質にならざるを得ない」と述べた。
  オフショア人民元は18日、0.1%安の1ドル=6.9395元となり、2017年1月以来の安値で終了。パテル氏は心理的な節目である7.0元台乗せなら、他のアジア通貨にも問題となる公算が大きいと予想した。
原題:Treasury’s FX Report Seen as China’s Final Warning as Yuan Falls(抜粋)
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6.
「追い証」リスク抱える中国大手企業−株価急落で懸念広がる
Bloomberg News
2018年10月19日 12:32 JST
• 18日の上海総合指数は2500を割り込み2014年11月以来の安値
• ローンの担保として差し入れられた中国株は6000億ドル相当を超える

Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
すでに売りが膨らんでいる株式市場で、「追い証」の発生ほど市況を悪化させるものはない。
  中国本土の投資家は今、こうしたリスクを最も心配している。中国株式相場は18日急落し、上海総合指数がほぼ4年ぶりの安値となった。ローンの担保として差し入れられた中国株は6000億ドル(約67兆4200億円)相当を超え、その割合は同国株市場全体の時価総額約11%にも達する。
  ブルームバーグが決済機関の数値をまとめたところによれば、少なくとも144社の中国企業が資金調達などを目的に自社株の約半数以上を担保として差し出しており、そのうち60社の株価が今年50%余り下げている。
  以下はそうした大手企業の一部だ。制限株式を担保としている企業もあるもようで、そうした場合は株価急落が直ちに担保の権利行使につながるわけではない。追い証の発生もしくは強制的な株売りにつながる水準は、融資の時期や条件によって異なる。
企業 業界 担保株の割合(%) 時価総額(単位:10億元) 年初来下落率
360 Security Technology Inc.
情報技術 75.3 141.2 -55
CCOOP Group Co.
一般消費財 75.0 14.2 -50
Kuang-Chi Technologies Co.
一般消費財 73.7 14.8 -58
Guizhou Bailing Group Pharmaceutical Co.
ヘルスケア 62.3 10.7 -51
Nanjing Xinjiekou Department Store Co.
一般消費財 61 10.9 -78
Hainan HNA Infrastructure Investment Group Co.
不動産 60.2 19.5 -58
Inner Mongolia Xingye Mining Co.
素材 57.3 8.1 -56
Hunan Dakang International Food & Agriculture Co.
生活必需品 54.9 7 -55
Northcom Group Co.
工業 53.6 9.2 -63
Meidu Energy Corp.
工業 52.6 7.5 -60
原題:The Biggest Companies at Risk as China’s Margin Calls Increase(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-19/PGTRJW6JTSE901


 

低インフレ指摘のトランプ大統領の「口撃」、FRBの弱点突く
Rich Miller
2018年10月19日 9:24 JST
• 8月のコアPCE価格指数は前年同月比2%上昇と当局目標に合致
• パウエルFRB議長はバブルの可能性を注視する必要に言及し防戦

Jerome Powell, chairman of the U.S. Federal Reserve.
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
利上げを進める米金融当局に対し、トランプ大統領が加えた最新の攻撃は、当局にとって痛いところを突くものだった。それには恐らく、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長自身も潜在的な弱点を攻められたと感じたのではないだろうか。
  トランプ大統領は16日、FOXビジネス・ネットワークとのインタビューで、「私にとって最大の脅威は連邦準備制度だ。利上げのペースが速過ぎるからだ」と述べた上で、「最新のインフレ統計を見るがよい。極めて低い数字だ」と指摘した。
  パウエル議長はこれまで当局の利上げについて、「類いまれな」経済状況の下で金融政策を正常化する動きだと説明するとともに、当局は漸進的な利上げの戦略を堅持するとして、大統領の不満を払いのけてきた。
  パウエル議長はさらに、景気過熱の兆候としてインフレ動向を注視すると同時に、2001年と07−09年の2つのリセッション(景気後退)の引き金となったようなバブルの可能性をウオッチする必要が金融当局にはあると主張してきた。
  9月公表の経済予測では、景気の加速も減速も招かない中立金利の長期的な推計値を上回る水準へ20年末までに政策金利を引き上げると、当局者の圧倒的多数が予想していることが示された。景気拡大ペースが鈍化して物価安定が続いても、当局がこの予測通り抑制的な領域まで金利を引き上げようとするなら、パウエル議長が提示したような当局弁護の議論はもはや妥当性を失う恐れもある。

  エコノミストのジョゼフ・カーソン氏は「トランプ氏の発言によって、パウエル氏の仕事は一段と複雑になった」と指摘。カーソン氏は金融当局に対し、上昇傾向が続く資産市場を抑制し、不安定な金融不均衡のリスクを減らすために利上げが必要だと呼び掛けており、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)でも、何人かの当局者からそうした見解への言及があったことが、17日公表の議事要旨で明らかとなった。
  一方で、トランプ大統領の批判については、そのやり方ではないにしても、その趣旨を巡って予期せぬ方面から一定の支持が寄せられた。ノーベル経済学賞受賞者でリベラル派の経済学者、ポール・クルーグマン氏は12日のツイッターで、「金融当局の利上げペースは速過ぎる半面、トランプ氏の関与の仕方は劣悪だと、私と同じように皆さんも考えるかもしれない」と記した。
  実際、少なくとも現時点では、インフレは問題となっていないとのトランプ大統領の指摘は正しい。金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数を見ると、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は8月に前年同月比2%上昇と、当局のインフレ目標と合致した。
  しかし、インフレ率はもはや、経済が過熱しているかどうかを示す最善の指標ではないかもしれないと、パウエル議長は8月24日にワイオミング州ジャクソンホールで行った講演で指摘。「過去2回のリセッションに先駆けて、インフレではなくむしろ金融市場を中心に不安定化をもたらす行き過ぎが見られた。このため、リスク管理ではインフレ以外での行き過ぎ兆候を見定める必要性が示唆される」と説明した。
  潜在的な金融不均衡に直面した場合、金利を使って対処するという考えに、パウエル議長は過去の歴代議長らよりも傾いていると見受けられる。それは元FRB理事のジェレミー・スタイン氏が提唱するアプローチに沿ったものだ。現在はハーバード大学の経済学教授であるスタイン氏は電子メールで、「金融政策運営に当たっては、金融市場の安定性ないし行き過ぎを示す指標に注意を払うべきだ」とし、「マクロプルデンシャル政策手段が存在しないに等しい」米国の場合、特にそれが当てはまるという考えを示した。
  それでもスタイン氏は、金融安定性へのリスクを金融政策運営に盛り込んだり、その役割を説明したりするのは容易でないと認める。しかも、「低金利を望むタイプ」だと自称し、すぐさまツイッター「口撃」をしかける人物が大統領なのだから。

原題:Trump Attacks the Weak Link Powell Can’t Ignore in Fed Rate Plan(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-19/PGS8UE6JIJUP01


http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/878.html

[経世済民128] サラリーマンを虐待する「老人型社会保障」「大きくなりすぎた政府」が格差を拡大 国債の平均償還年限、27年度まで「9年超」
サラリーマンを虐待する「老人型社会保障」
「大きくなりすぎた政府」が格差を拡大する
2018.10.19(金) 池田 信夫
世代間格差は富の水準ではなく、分配の不公平の問題である(写真はイメージ)
 安倍首相は10月15日の臨時閣議で、来年(2019年)10月に予定されている消費税率の10%への引き上げを予定通り実行すると表明した。増税の最大の目的は「全世代型社会保障」の財源確保だという。これまでマクロ政策偏重だった安倍政権が、3期目に入ってようやく長期的な財政や社会保障の問題に手をつけたのは一歩前進だが、これは政治的には困難だ。

 わざわざ「全世代型」と命名したのは、現在の社会保障が「老人型」だと認めたからだろうが、格差が拡大しているのは若者と老人だけではない。「痛税感」の大きい消費税の増税を延期して取りやすい社会保険料を上げたため、日本の社会保障は大きく歪んでしまったのだ。

厚労省の無視する世代間格差
 厚生労働省は、今の年金制度が老人優遇だとは認めていない。すべての人が支払った社会保険料より多くの給付を受ける「100年安心」だというのが、その公式見解である。これは数字のトリックで、社会保障の税負担を含めると将来世代は大幅に損し、現在の60歳以上とゼロ歳児では生涯所得で1億円近い差が出る、というのが経済学の世代会計の計算だ。

 厚労省もその計算は認めるが、世代間格差は問題ではないという。その公式見解をマンガにした「いっしょに検証!公的年金」というウェブサイトでは、将来世代の年金給付水準が下がるのは「親の世代が日本を発展させ、親を扶養して子供を育ててきたので当然だ」と反論している。子の世代は親の世代から遺産を相続し、社会資本を受け継ぐので、世代全体としては豊かになるというのが厚労省の年金マンガの論理である。

 確かに日本の家計金融資産は約1800兆円で、政府債務約1100兆円を引いても700兆円の資産超過になる。将来世代のストックは今より豊かになるので、人口減少で成長が減速しても日本人が絶対的に貧しくなることは考えられない。

 しかし遺産を相続できる人とできない人の格差や、社会保険料を負担する世代と年金を支給される世代の格差は拡大する。保有資産が最大なのも所得格差が最大なのも60歳以上の高齢者だから、老人型社会保障は富の逆分配をもたらすのだ。世代間格差は富の水準ではなく、こうした分配の不公平の問題である。

サラリーマンが負担する「見えない税」
 日本の社会保障が歪んでいるのは、社会保険料に過度に依存しているためだ。消費税をきらう人が多いが、その増税を延期すると社会保険料が増えるだけだ。2014年以降、消費増税を2度にわたって延期した結果、社会保険料は消費税額の3倍になった。消費者の負担増の代わりに、サラリーマンと企業の負担する保険料が増えたのだ。

 厚労省の「社会保障の将来見通し」によると、名目成長率を1%とすると、社会保障給付の総額は今の140兆円から2040年には190兆円に増える。今は46.9兆円の「公費負担」は、2040年には80.3兆円に増える。今後の負担増をすべて消費税でまかなうには、少なくとも18%まで増税する必要がある。

 消費税を上げないで社会保険料を上げても、同じことだ。この調子で負担が増えると、今40%の国民負担率(税・社会保障)が、2040年には60%以上になる。社会保障の役割は所得再分配の不公平を是正することだが、このままでは不公平が拡大する。

 社会保険料は実質的には税だが、源泉徴収の保険料という「見えない税」として徴収するので、取りやすいところから取るバイアスが生まれ、「痛税感」の大きい消費税の代わりに社会保険料を引き上げるポピュリズムが起こりやすい。

 その意味で消費増税を先送りして社会保険料を上げた安倍政権は、政治的には合理的だったが、その負担を財政ファイナンスで消化する日銀に限界が見えたのだろう。しかし世代間格差の存在を認めない厚労省には、公平な負担を求める制度設計は期待できない。

日本にも「納税者の党」が必要だ
 戦後の先進国は、社会保障で所得を再分配する「福祉国家」を目指し、政府がケインズ的な財政政策で経済をコントロールする「大きな政府」が進歩的とされたが、ケインズ政策は1970年代に行き詰まった。

 失業が増えると同時にインフレになり、財政赤字と高金利で財政が破綻する「スタグフレーション」が起こったため、80年代には、サッチャー首相やレーガン大統領などの「小さな政府」を志向する改革が支持を集めるようになり、保守と左翼の争点は「小さな政府か大きな政府か」という問題になった。これは納税者と税を使う者の対立だった。

 日本でも中曽根首相は、レーガンの改革をまねて国鉄や電電公社の民営化を行い、小さな政府に舵を切った。このころは長期金利が8%を超え、歳出を削減しないと財政が破綻するという危機感があったからだ。ところが1990年代以降、低金利・低インフレになるとともに、バブル崩壊後の長期不況で景気対策を求める政治的圧力が強まった。

 財政支出で国債の発行が増えると、金利が上がってインフレになるはずだが、奇妙なことに日本では2000年代以降、ゼロ金利とデフレが続いた。これによって財政拡大のブレーキがはずれ、国債が世界に類のない規模で積み上がった。

 金利が上がるとかハイパーインフレが起こると警告した経済学者は多いが、今のところ逆にマイナス金利になっている。これは日銀も予想できなかったが、政治的にはケインズ政策に適した環境だった。安倍政権はそれを利用し、増税延期という形で財政赤字による景気刺激を行った。

 そのコストは、社会保障のゆがみによる格差の拡大だ。現役世代の負担する税と社会保険料は高齢者が受け取るので、社会全体としてはプラスマイナスゼロだが、労働意欲や消費支出に悪い影響を与える。

 いいかえれば市場によって分配されていた所得を政府が分配し、経済が「社会主義化」することによって経済が停滞する。1990年代以降の日本経済の低迷も、大きくなりすぎた政府の副作用だ。しかし日本には、小さな政府をめざす政党がない。安倍政権の経済政策は、野党以上に超リベラルな大きな政府だから、経済政策の争点がないのだ。

 とはいえ国債の発行に限界が見えた今、納税者(社会保障の負担者)と受給者の対立は大きくなるだろう。これを世代対立と考えると少数派である若者に勝ち目はないが、働くサラリーマンの問題と考えれば、納税者にも勝機があるかもしれない。負担者の立場に立ち、社会保障の膨張に歯止めをかける政党が出てきてもいいのではないか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54432


 
ビジネス2018年10月19日 / 16:09 / 1時間前更新
国債の平均償還年限、27年度まで「9年超」=財務省推計で政府筋
1 分で読む

[東京 19日 ロイター] - 財務省は、22日に開催する国の債務管理のあり方懇談会で、2027年度までの国債の平均償還年限が9年超となる推計を新たに示す。投資家の運用原資となる負債のデュレーションが平均6年程度と償還年限より短くなっている現状も併せて示し、安定的な国債発行を続けるには先行きの需要動向の見極めが不可欠との認識を共有する。超長期債の増発抑制要因となりそうだ。

複数の政府筋が明らかにした。日本国債の平均償還年限は18年度に初めて9年を超える見通しで、欧米の主要国に比べて2、3年程度長い。18年度発行計画の年限構成をベースに同省が試算した「将来推計」では、償還年限は今後さらに段階的に伸び、25年度、26年度と9年6カ月に達する。27年度は9年5カ月となる。

一方、主要な投資家である銀行や生命保険、企業年金の平均デュレーションは17年度に6.2年と、米国の8.7年より短い。

こうした現状から、財務省は債務管理のあり方懇で「中長期的な需要動向を見極め、安定的で透明性の高い国債発行を行っていくことが重要」との認識をあらためて示し、19年度発行計画の策定に向け、特別参加者21社や投資家との調整を本格化させる。

山口貴也 編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/japan-mof-idJPKCN1MT0TY


 
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/879.html

[社会問題9] 「若者の性欲離れ」は本当か、20代男子に聞いてみた 睡眠習慣の乱れや性欲低下も。ストレスが体に及ぼす30の悪影響<前編>
【第15回】 2018年10月20日 武藤弘樹 :フリーライター
「若者の性欲離れ」は本当か、20代男子に聞いてみた

最近の男子は性欲がない?
最近の男子は性欲がない?(写真はイメージです) Photo:PIXTA
ひと頃「草食系男子」という言葉がはやっていたが、最近の若者は昔に比べ、物欲、性欲に乏しいと言われている。特に、20代男子の性欲の低下は著しいと言われているが、本当だろうか。(フリーライター 武藤弘樹)

世代ごとの“欲”のグラデーション
現代に近いほど欲が弱い?
「近年の若者は欲に乏しい」という言説をちまたでよく耳にする。確かににそういった印象はあり、筆者が個人的に親しい10代、20代の若者たちも丸く、“草食”的な人が多い。

 筆者は1980年生まれの38歳だが、同世代の男性にはギラギラした連中がそこそこ散見される。彼らは物欲や性欲、「金持ちになってやろう」という野心を四方に放出しながら生きている。もちろん個人の性格のことなので人それぞれには違いないのだが、その割合が現在の20代に比べて多いように感じるのである。

 しかし、筆者の世代もおそらくさらに上の世代から見ると欲が少ないのかもしれない。例えば、筆者が20代の頃、周りの連中はあまりクルマを欲しがらなかった。クルマといえば80年代や90年代には若い男性の大きなステータスシンボルとされていたアイテムだが、筆者が20代を送った2000年代に入ってからは、あまり強いシンボルにはなっていなかった印象がある。

 こうした“若者の欲”は世代ごとにグラデーションになっていると見ていいかもしれない。では2018年の20代の若者、その中でも特に筆者が個人的に感じている彼らの性欲の低下について、生の声を参考に洞察を深めていきたい。

自称「モテない」
イケメンジャズマンの性欲
 さて、再び筆者の話で恐縮だが、知り合いの男性を見渡すと「女性に疎い」タイプはいても、女性に「興味がない」タイプはいなかったように思う。女性に疎く、自分からアプローチできない男性の場合、「プロ」の女性を専門にして憂さを晴らしている友人もいた。また、「女性に疎い」度合いと、「ファッションに興味がない」度合いは、ある程度比例していたように思う。

 しかし、現在の20代の若者にはこのかつての“常識”が適用できなくなってきている。最初に紹介するのは「ファッションに造詣が深い」が「女性に興味がない(薄い)」男性である。ファッションと女性への興味は関係ないだろうと若者は思うかもしれないが、筆者からすると、それが意外に感じるのである。

 Aさん(26歳男性)は駆け出しのジャズミュージシャンである。マーケットが小さいので商業的に大もうけが狙えるジャンルではないが、多くのジャズミュージシャン同様、Aさんもそこに重きは置いていない。ただジャズが好きだからジャズを続けているのであった。

 このAさんが同性の筆者から見てもほれぼれするほどのしゃれ者である。顔かたちがそこまで秀でているわけではないのだが、服装が非常に洗練されていて、自分の素材の良さを120%引き出して伝えることに成功している。身につけるものはどれも流行に流されすぎず、個性が奇抜にならない形で主張されている。要するに「かっこいい男」なのである。

 さぞかしAさんはモテるのであろうと下世話な質問をすると、返事は「全然そんなことない」だった。

 そう答えることもこちらは織り込み済みである。「モテるでしょう?」と聞かれて「モテます」と宣言する人はよほどの自信家か、一周回って「事実モテるのだから今さら謙遜するのもなんだかいやらしい」いう考えに至った人で、どちらもかなりまれである。Aさんはモテる男の多くの例に漏れず謙遜をしているのだろうと思われた。

 しかし、Aさんと話していくうちにどうやらそれが謙遜ではなく、真実を伝えているらしいことがわかってきた。女性との交際経験は17歳、21歳のときにそれぞれ1回ずつ。女性経験は21歳の彼女のみであった。

“モテる=経験人数が多い”では必ずしもないので、筆者は「それでも言い寄ってくる女性は多いのではないか」と食い下がった。しかし「本当にそんなことないですよ」とAさん。

 その後Aさんをしばらく観察しているうちに1つのことに思い当たった。Aさんは女性に対してかなり強烈な「壁」を作って接しているのだった。Aさんがいかにイケメンであろうと、これでは並大抵の女性は近づけまいということが察せられた。

 そんな自分をAさんはやや歯がゆく、同時に仕方なく思っているようである。

「前に付き合っていた彼女との思い出があまりよくなくて、それ以来女性不信気味です。付き合ったり関係を持ったりするといろいろ面倒出てきますし、自分の生活で手いっぱいですから女性は後回しでいいかなと」(Aさん)

 性欲はどうなっているのか。

「あまりないですねー。ないこともないけど、普通に我慢できるレベルです」

 性に奔放な男性は、女性と関係を持つことに付随する煩わしさを「おおむね無視することができる」タイプか「煩わしさを上回る性欲に突き動かされている」タイプの2パターンに分けられる。異性に対して真摯な男性は「煩わしさを上回るリターンが相手から得られる」ことを知っている。人間関係は得てして煩わしくも同時に希求されるものだからである。

 Aさんのような厭世(えんせい)の気がある人はとにかく煩わしさを敬遠したい。性欲や寂しさへの焦燥感が煩わしさを上回ることはなく、Aさんの場合は結果として粛々と、ジャズの道を極めんとする年頃の青年たらしめているのであった。

人生の目標は「円満な家庭」
波乱の要素は必要なし
 Bさん(25歳男性)は22歳で初めて彼女ができた。その彼女と2年の交際を経て結婚。結婚前はお決まりのマリッジブルーに悩まされ、「まだ一人としか付き合ってない。女性もよく知らないのに本当にここで人生を決めてしまっていいのか」と懊悩したが、現在は夫婦仲よろしくやっているそうである。

 晩婚化が進み初婚平均年齢が男女ともに30歳近くとなっている現代日本ではかなり若くしての結婚である。Bさんが当時悩んだのもうなずける。まだ結婚を焦らなくても猶予はたっぷり残されていたのかもしれない。

 実際に結婚生活がスタートしてBさんのマリッジブルーは収まった。覚悟が決まったからだが、Bさんは以下のように考えたそうである。

「自分の人生の最大の目標を考えた時、それが『円満な家庭を築く』だった。結婚を悩んだのは『もっと遊んでいたい』というよりか、『他の女性との相性も試してみたい』という気持ちが強かったから。

 けれども今の妻と“結婚”という話まで進んだのだから結局相性はよかったのだろうと思い直した」(Bさん)

>>(下)に続く

2018年10月20日 武藤弘樹 :フリーライター
「若者の性欲離れ」は本当か、20代男子に聞いてみた(下)
>>(上)より続く

 ここで気になるのがBさんの「他の女性との相性も試してみたい」という言い回しである。これは、下衆な表現になるが「他の女性も味見してみたかった」という意味なのであろうか。

「それは全然違います(笑)。もっと性格的な方面の話です。妻はおっとりとした女性らしい女性ですが、『もっと活発な女性が相手だったらどうだったんだろう?』とかそういうことです。性欲は妻がいるのでその点不満はないですし。

 他の女性への興味は、目の保養にするくらいが限度です。エッチな動画くらいなら見ますが。リアル(生身)の女性には性欲湧いてこないですね。

 円満な家庭、平和な人生が自分の目標なので、女性関係で遊ぶのとかはそこからだいぶ外れてしまうというのはあります」

 胸に決めた目標に向かって邁進するのに必要なのは精神力で、一方性欲は本能に属する勝手な衝動である。女性関係の遊びを遠ざけようとするBさんの姿勢は彼の精神力が実現し得たものなのだろうか。Bさんは自制心が並はずれて強いのだろうか?

「自分ではあまりそういう感じはありませんが…。割と楽な方に流されるタイプなので」

 ということは「Bさんの性欲は抑制に苦労するほど強烈なものではない」といえよう。

 散々遊び尽くして、酸いも甘いも裏も表も全部知っておくと人間性に厚みが出て、その上で丸く落ち着いた人は貫禄がある…という美学はかねてより、日本男児の間でうっすら通底してきたように思うのだが、Bさんのような姿勢・目標はまごうことなきニューウエーブである。若い世代で支持されるのは“遠回りしてさまざまな経験を積んでいく苦労人の格好良さ”より、“目的地に向かって最短ルートを見極め合理的な選択をするスマートさ”なのかもしれない。

 それもこれも、性欲がスマートさを邪魔しない程度に低下してきているから可能であると見ることはできまいか。

純愛アニメオタク
“性欲を向けるべき相手”とは
 Cさん(23歳男性)は自称アニオタ(アニメオタク)で、生身の女性に対してはある種、“崇敬の念”を抱いているという。また、経験がまだないセックスに対しては、神聖化するほどの憧れがある。

 非常にプラトニックな恋愛をしてきていて、人によっては「こじらせている」と見るかもしれないが、うぶなCさんの様子はほほ笑ましく、すっかり穢れてしまった大人たちに大切な何かを思い出させる力を秘めているのもまた事実である。

「性欲はあるけど一人で処理できる。セックスは好きな人と気持ちを通じ合わせて結ばれるための至高の手段。本当にね、いろんな人とそういうことするとかありえないですからー!」(Cさん)

 CさんはSNSで知り合った同年代の女性に思いを寄せている。顔はお互いほぼ知らないに等しいが知りあって半年、ここふた月は週に3〜4回のペースで数時間の通話をして急接近中である。もはや付き合っているのかと思ったがそうではないらしく、Cさんはまだ思いを伝えていない。先方はCさんの恋心にうすうす気づいている様子だが、半年前に別れた彼氏のことでやや男性不信になりつつ気持ちも若干残っている、「でもCさん優しいし、話してると楽しいな…」という現況。

 「性欲はある」という話だが、詳しくはこういうことだそうである。

「同人(※アニメのキャラなどを利用した2次創作。ここでは主にエロ同人のことを指す)やセクシー系動画に登場する人物はこちらから性欲を向けてもいい対象として向こうがあらかじめ構えてくれているので、性欲を向けてもOK。

 でも生身の女性には性欲を向けるべきではない。生身の女性に性欲を向けていいのは、そこに恋愛感情があって、さらに相思相愛でっていう条件付きだと思う。僕も片思い中は相手に邪な気持ちは持たないようにしている」

 性欲はきちんとあるが向ける対象をコントロールしているようである。

 また、ちまたでささやかれている若年層の性欲の低下について、Cさんは「そんなことはないと思う」とコメントした。

「SNSを見ていると、あそこで出会ってみだらなことをしている若い人たちはたくさんいる。昔のことは知らないけれど、言うほど若者の性欲の低下っていうのはないのでは?それとも昔はもっとすごかったのでしょうか?」

 してみるとどの世代にもお盛んな男性はいて、2018年の20代男性もそれは例外ではないらしい。筆者は肌感覚で「お盛んな男性の割合が減ってきている」と感じ、ひいては「若い人たちは性欲が弱くなってきている」と思っていたのだが、その結論ありきで見ていくのではなく、別の視野や可能性を考慮に入れるべきかもしれないと思い至った。

 若者が上の世代の若い頃に比べて淡白に思える原因は、まず「性欲そのものが減退している」ことが仮説その1。そして仮説その2として、「性欲をなりふり構わず振りかざす人が減った」をここで提唱したい。

 仮説その2だが、これには「世間的にかっこいいとされているもの」の変遷によるところが大きい。

 例えば“浮気は男の甲斐(かい)性”という、いつの時代から使われているのかは知らないがこの国に伝わる言葉がある。この言葉が当たり前のように使われていた時代では違和感なく、むしろ本質を言い表した言葉であるからこそ慣用句のごとき存在感を放っていたのであろうが、現代日本において“浮気は男の甲斐性”と真面目な顔をして言い切ったら、おそらく結構な確率でたたかれる。この言説が説得力を失い共感を得にくくなってきているからであり、浮気=女遊びが表立って正当化されにくい時代の空気が流れている。

“喫煙”の変遷に似ている。「かっこいいもの・当たり前なこと」が「忌むべき・恥ずかしいこと」へと認識のされ方を変えていった“喫煙”だが、これと似たことが“女遊び”にも起こっているのではあるまいか。

 世間の空気が良しとしていないものを率先してやる人はよくいえば好事家であり、すなわち少数派である。この割合が「若者の性欲の低下」として認められるようになった一因となっているのではないか。

 今回紹介した20代の若者3人は、「性欲はあるけど不特定多数との性交渉を望まない」という点が共通していた。上の世代にも同様のスタンスでいた人は少なくなかったであろうから世代間の違いを見つけるのは難しいが、BさんとCさんが「扇情的な動画は率先して見る」と言いきっていた点にも着目したい。

 成人男性向け動画の発達は全世代の男性のニーズがあればこそで、男性全体の性欲の総量は衰えるどころか増しているとも考えられるが、成人男性向け動画自体がそのはけ口・受け皿となって、いわばそこで性欲は完結してしまっていて、「それ以外に向けるほどの性欲は残っていません」となっている可能性も考えられる。

 いずれにせよ「若者世代の性欲が低下している」と言い切るには、まだ観察と考察を重ねていく必要がありそうである。
https://diamond.jp/articles/-/182864


 

睡眠習慣の乱れや性欲低下も。ストレスが体に及ぼす30の悪影響<前編>
Prevention カラダや心を健康にする予防習慣

MIND

2018.10.16

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窓の外見る女性

image via shutterstock

日々の生活にストレスはつきもの。多少のストレスがあるほうが、脳への血行がよくなって、目の前のタスクに集中できるようになるので、いいことだとも言われています。

しかし、仕事の重圧、家族の問題、高速道路で渋滞に巻き込まれるなど、原因がなんであれ、ストレスがいつまでも続くようになると、体によくありません。

「ストレスは個人の健康に多大な影響を及ぼす」と説明するのは、メリーランド州ベセスダの内科医マシュー・ミンツ医学博士(米国内科学会上級会員)。

でも、どのくらいの影響なのでしょうか? ミンツ医師いわく、医者にかかるケースのほとんどが、ストレスに起因していたり、あるいはストレスによる悪化が関連していたりするとのこと。

では、ストレスが体に及ぼす30の悪影響をみていきましょう(なかには驚くような影響も)。

01. 食べ物の選択を間違えるようになる
フライドポテト

ストレスがかかると、ヘルシーではない食べ物を選ぶようになりがち。ニンジンスティックではなく、ポテトチップスの袋に手が伸びてしまいます。

「ドーパミンかセロトニンの不足が引き金となって、特定の食べ物が無性に食べたくなるのかもしれません」と言うのは、NYを拠点にホリスティックな健康を専門に活動する看護師のナタリア・ファジロヴァさん(看護実践博士、認定内科学会員)。

プレッシャーがかかっていると、副腎が、いわゆるストレスホルモンである「コルチゾール」を生成し、脳のセロトニンの量が減ります。炭水化物の多い、ほっとする食品がやたら食べたくなってしまうのは、こうした理由です。食べると血中のインスリンの量が増え、蓄えているセロトニンを放出するように脳が刺激されます。「突然気分がよくなり、気持ちも前向きになって、体がうまく機能するんです」とファジロヴァさん。

しかし、このセロトニンの放出は長続きしません。大抵はすぐに疲れを感じてしまい、またお腹がすくという悪循環が続きます。

02. エクササイズが億劫になる
走る女性

ストレスがたまって、ジムに行く気力がない? ナディン・コーエン医学博士(FAAP, FACP)いわく、ストレスは実際にエネルギーのレベルを下げてしまうとのこと。したがって仕事で長い1日を過ごして家に帰ると、ジャンプしたりスクワットをしたりして力をつけるよりも、テレビの前にじっと座っていたい気分になってしまうのです。

しかし、ストレスフルなときこそ強制的にワークアウトをするようにしたほうが、実際には気分がよくなるかもしれません。エクササイズは、不安を減らしてストレス解消を促進することが研究によってわかっています。

03.常習行為にのめり込んでしまう
ワイン飲む女性

「Annals of the New York Academy of Sciences」に掲載された2008年の研究によれば、ストレスが飲酒や薬物の使用といった中毒性のある行為に関連しているとのこと。

よりストレスのある人のほうが、依存するようになる、中毒から抜けられない、あるいは再発するといった傾向にあります。

04. 睡眠の習慣が乱れる
眠る女性

ストレスと睡眠には複雑な関係があります。「睡眠に問題があり、不安も抱えていると、相乗効果でどちらも悪化してしまう」とかつてPreventionに語ったのは、オハイオ州立大学ウェックスナー・メディカル・センターで精神医学と睡眠医学を専門とするリタ・エイワド医学博士。

気持ちがはりつめているときは、一般的に寝つきが悪くなったり、熟睡できなくなったりしがち。それはマイナスの思考がぐるぐると頭の中を巡っているから。羊を数えるのに疲れてしまったら、自然に眠れる方法をいくつかためしてみましょう。

05. 生理の周期が狂ってしまう
生理

ストレスはホルモンに影響を与えるため、明らかに生理周期がおかしくなることが研究でわかっています。

「過剰なストレスは、ノーマルな生理と排卵の周期を維持するのに関係しているホルモンの量に影響を及ぼします」と、生殖の専門家シャーヒン・ガディア医学博士(FACOG)は述べています。

06. 妊娠の問題につながることも
妊娠検査薬と女性

CareMount Medicalの内科医レオニッド・グレンケル医師によれば、ストレスは女性の不妊症リスクを倍以上にするとのこと。

「Human Reproduction」誌に掲載された2014年の研究では、ストレスのレベルがもっとも高い女性は、その他の健康上の要因を考慮しても、そうではない女性にくらべて著しく不妊に悩む傾向にあることが示されました。

ストレスが生理周期に干渉することに原因があるのではないかと考えられています。

07. 予想外の妊娠につながることも
発熱した女性

妊娠に関していうと、ストレスはプラスとマイナス両方の結果をもたらすうえで、大きな役割を果たしています。

ガディア医師の説明によると、女性のストレスが解消されると、実際にそうとは気づかないうちに再び排卵が始まることがあるそう。このときに適切な避妊方法を使用していなければ、予想外の妊娠をする可能性も。

08. 病気にかかりやすくなる
鼻をかむ女性

通常ストレスがマイナスの影響を及ぼす、睡眠、食生活、エクササイズというのはすべて、健康全体を考えるうえでの重要な要素。したがって免疫システムにも悪影響があるのも不思議なことではありません。

「慢性的なストレスは抵抗力を弱めるので、より頻繁に病気にかかりやすくなります」とミンツ医師。

09. 病気を一時的に遅らせることも
飲み物を飲む女性

ストレスがあると病気にかかりやすくなるように、逆に病気を寄せつけなくすることもある、とミンツ医師。「非常にストレスフルな状態にある間は、アドレナリンのレベルが高くなっていて、一時的に風邪を引きにくくなることも」。

特にストレスのかかるような出来事があったり、ストレスでいっぱいになっている最中は病気を遠ざけておくことができるかもしれません。

ただし、ストレスがなくなったとたんに病気になってしまうことも珍しくはない、とミンツ医師は述べています。

10. 帯状疱疹などの健康問題の引き金に
体をかく女性

ストレスは免疫機能を低下させるので、帯状疱疹(ヘルペスウイルスの一種)のように、ウイルスが再活性化する病気を発症しやすい、とフレンケル医師。

研究によると慢性的なストレスと帯状疱疹の発症には関連性があることがわかっています。

11. 口唇ヘルペスの原因に
口を気にする女性

口唇ヘルペスになりやすい人は、ストレスを減らすことが発症の予防になります。健康的な食生活、十分な睡眠とエクササイズによって、ストレスを軽減することが可能です。

12. 胃酸の逆流を引き起こし、胃潰瘍にもつながる可能性
お腹を抑える女性

あまりにストレスがたまってしまい、胃酸が逆流して苦しんだ経験はありませんか?

深刻な(突然の)ストレスが長く続くと、胃酸が増えて胸焼けの原因となったり、ときには胃壁に傷が開いて胃潰瘍の原因になったります、とミンツ医師。

13. 内臓の機能が乱れる
お腹がいたむ女性

脳と内臓は密接につながっています。ストレスがあると、下痢や腹痛、腹部膨満といった過敏性腸症候群に悩まされることもよくあります。

コーエン医師いわく、ストレスは内臓にけいれんを起こし、通常の消化機能を低下させることがあるとのこと。

14. 爪をダメにする
爪を噛む女性

ストレスがあると爪を噛んだりしがちですが、それだけではなくコルチゾールが増えて爪の成長が止まってしまうことも。

これはストレスによる栄養不足から起こる可能性が高いのですが、そのうち再び爪が伸びはじめたとき、爪にボー線と呼ばれる横方向の溝ができることがよくあります。

ボー線は時間が経つにつれて伸びてしまうので心配はいりません。

15. 性欲が低下する
ベットサイドの男女

ストレスはセックスライフにも大きな損害を与えるかもしれません。そのひとつが性欲の低下。

ミンツ医師によれば、心が混乱状態にあるときは、シーツの間で楽しく過ごすことへの興味が失われるとのこと。

ストレスを感じたら読みたい


人生のどん底を経験した女性たち。どのようにして立ち直ったのか?

ストレスは少しずつ、知らないうちにあなたの心をむしばんでいきます。気づいたときには、なぜその状況に陥ってしまったのかわからないということも。さらには...

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空虚な人間関係に振り回されていませんか? | 禅僧のおことば 09

曹洞宗 徳雄山 建功寺の住職・枡野俊明さんによる著書「人生でいちばん大切なこと」。読むと心がすっと軽くなる、そして気持ちがきゅっと引き締まるこの本か...

https://www.mylohas.net/2018/10/zen09.html

Leah Groth/30 Scary Ways Stress Can Mess with Your Body
訳/Maya A. Kishida

MYLOHAS編集部

https://www.mylohas.net/2018/10/177458stress.html


http://www.asyura2.com/12/social9/msg/869.html

[戦争b22] トランプ大統領、核廃棄条約の破棄表明 中ロに対抗 トランプ政権 核廃棄条約離脱の意向表明=ロシアが違反と非難−米大統領
トランプ大統領、核廃棄条約の破棄表明 中ロに対抗
トランプ政権 北米
2018/10/21 6:02 (2018/10/21 11:06更新)

【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は20日、米国が旧ソ連との間で結んだ中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄する意向を表明した。ロシアが条約に違反し、ミサイルの配備を進めていると批判した。条約の制限を受けずに戦力増強を進める中国に対抗する狙いもある。冷戦後の核軍縮の流れが大きく転換する可能性が出てきた。

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トランプ氏は同日、遊説先のネバダ州で記者団にINF廃棄条約について「その合意を終わらせるつもりだ」と語った。「ロシアや中国が戦力を増強するのに米国だけ条約を順守することは受け入れられない」と指摘した。「我々は戦力を開発する必要がある」とも強調した。

同条約には1987年に当時のレーガン米大統領とソ連のゴルバチョフ書記長が調印した。射程500〜5500キロメートルの地上発射型の巡航ミサイルの開発や配備を禁じた。条約は冷戦下で過熱した核戦力の増強の流れを変えて軍縮に向かう転機となった。

ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は22〜23日にモスクワを訪問し、ラブロフ外相やパトルシェフ安全保障会議書記と会談し、条約のあり方について協議する見通しだ。ロシアは条約を違反していないと主張してきた経緯があり、米国の破棄に反発するのは必至だ。

マティス米国防長官は10月上旬、ロシアが条約違反を続ける場合に備えて「防衛体制でとりうる選択肢を再検討している」と明らかにした。米軍は2017年3月にロシアが条約に違反して新型の地上発射型巡航ミサイル「SSC8」を実戦配備したと批判。SSC8は北大西洋条約機構(NATO)加盟国の脅威になっている。

トランプ大統領はINF廃棄条約の破棄について「ロシアや中国が戦力を増強するのに米国だけ条約を順守することは受け入れられない」とした=AP
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トランプ大統領はINF廃棄条約の破棄について「ロシアや中国が戦力を増強するのに米国だけ条約を順守することは受け入れられない」とした=AP

トランプ政権は核戦力で中国に対抗する必要があるとみている。今年2月にまとめた今後5〜10年間の指針となる「核体制の見直し」(NPR)では、米国が核兵器の削減に取りんだが「中国を含む他国は逆の方向に進んだ」と指摘した。INF廃棄条約は米ロ間の取り決めで中国は入っていない。「米国第一」の外交方針を掲げるトランプ政権には不公平だと映る。

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36742660R21C18A0FF8000/


 
核廃棄条約離脱の意向表明=ロシアが違反と非難−米大統領


2018年10月21日 12時50分 時事通信

米INF条約離脱意向 露が反論
2018年10月21日 08時35分 時事通信

核廃棄条約離脱の意向表明=ロシアが違反と非難−米大統領
20日、米ネバダ州エルコで、記者団に語るトランプ大統領(AFP時事)

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は20日、冷戦時代に旧ソ連との間で結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱する意向を表明した。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が近くロシアを訪問し、プーチン大統領に米国の方針を伝える。

 トランプ大統領は遊説先のネバダ州で記者団に対し、ロシアが条約に違反していると非難した上で、「われわれは合意を破棄し、条約から離脱する」と明言。さらに「(新たな)兵器を開発しなければならない」と語り、条約締結を受けて撤廃された中距離ミサイルの再開発に着手すると示唆した。

 INF条約は1987年に締結されたが、米国は近年、ロシアが合意事項に反して中距離核戦力を開発し、欧州諸国の安全を脅かしていると非難。米国だけが条約に縛られて身動きが取れない一方、中国とロシアは核戦力を増強しているとして不満を募らせていた。

 ロシア政府は一貫して条約を順守していると主張し、違反しているのは米政府だと反論している。

 トランプ政権は2月に公表した核戦略文書「核態勢の見直し(NPR)」で、ロシアと中国の急激な核戦力増強により、安全保障をめぐる環境は大きく変化したと指摘。爆発力の小さい低出力核弾頭を開発して抑止力を強化する一方、ロシアがINF条約を順守しなければ、海洋発射型の核巡航ミサイルを新たに開発すると警告した。

 米国はかつて海洋発射型の核巡航ミサイル「トマホーク」(TLAM−N)を保有し、太平洋や欧州に展開していたが、オバマ前政権が2010年公表のNPRで退役を決定した。トランプ政権がINF条約を離脱し、核トマホークの後継ミサイルの開発に着手するのであれば、中ロ両国の強い反発を招くのは必至。米ロだけでなく、中国を巻き込んだ新たな軍拡競争に火を付ける危険をはらんでいる。 【時事通信社】

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豪与党が議会で過半数失う (時事通信) 10月20日20時26分

皇后さまの講演録を出版/越 (時事通信) 10月20日18時13分
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-108980/
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/372.html

[経世済民128] アップルとグーグル、切っても切れない「カネの縁」
コラム2018年10月21日 / 07:14 / 6時間前更新

アップルとグーグル、切っても切れない「カネの縁」
Robert Cyran
2 分で読む

[ニューヨーク 17日 ロイター BREAKINGVIEWS] - アップル(AAPL.O)共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏はかつて、自社のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」に搭載されたソフトウエアを模倣したとして、グーグルと「熱核戦争も辞さない」と語ったという。

しかしアップルとグーグルの持ち株会社アルファベット(GOOGL.O)は現在、金銭的関係で固く結ばれている。グーグルから得られる収入はアップル収益の10%以上を占めている可能性があり、その数字は今後も上昇する見通しだ。

グーグルは、パートナー経由で獲得するインターネット検索利用の手数料として、広告収入の4分の1近くをパートナーに支払っている。第2・四半期、こうしたコストの半分近くに相当する約30億ドル(約3375億円)が、携帯電話メーカーや通信会社、ブラウザー事業者に支払われた。

その額は前年同期比で約50%増と急速に増えている。背景にはモバイル検索の増加がある。アップルのようなスマホメーカーは、自社製品の検索エンジンをグーグルに初期設定することで収入を得ている。

アップルの要求が厳しくても仕方あるまい。同社はこれまで約20億台のモバイル端末を売り上げており、その半数を優に超える端末がまだ使用されている。アップルは2014年、グーグルが同社に10億ドル支払ったことを明らかにした。

その額は今年90億ドルになるとゴールドマン・サックスは推定する。リフィニティブI/B/E/Sによると、それは、アップルの今年の税引前利益予想の10分の1以上に相当する。また、2019年は120億ドルに上ると予想されている。

アップルの急増するサービス収入を踏まえれば、実際にあり得る話だ。同社のサービス収入は前四半期に31%増加し、95億ドルに上った。

アイフォーンの売上高だけでは、アップルの市場支配力を把握することはできない。先月の新型モデル発表で強調したように、アップルは寿命のより長い端末を製造しており、流通している端末全体に占める同社端末の割合はさらに高まることになる。

調査会社カウンターポイントによれば、昨年は新品のスマホ販売は横ばいだったが、中古スマホの売り上げは13%伸び、その大半がアップル製品だった。

アップルとグーグルは争うことはあっても、互いに切っても切れない存在となっている。

アップルは数年前、アイフォーンの音声アシスタント「Siri(シリ)」の検索を、グーグルからマイクロソフト(MSFT.O)の検索エンジン「Bing(ビング)」に変更した。しかしその後、元に戻した。

顧客が劣っている製品と見なすものを使い続けることは、アップルのブランド力を傷つけかねない。グーグルも、ネット上でたくさん購入する高収入なアップルユーザーを逃したくはないだろう。

両社ともに、切ることはできない絆で結ばれている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-apple-google-idJPKCN1MT06X
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/891.html

[経世済民128] 中銀によるデジタル通貨発行、慎重な検討必要=雨宮日銀副総裁 「アジアのデトロイト」でスト頻発、インド雇用創出に打撃 

テクノロジー2018年10月21日 / 07:14 / 12時間前更新
中銀によるデジタル通貨発行、慎重な検討必要=雨宮日銀副総裁
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[名古屋 20日 ロイター] - 日銀の雨宮正佳副総裁は20日、中央銀行によるデジタル通貨の発行について、金融政策の有効性向上や金融安定への寄与などの面で検討すべき点が多いとし、慎重な検討が必要との見解を示した。

名古屋市で開かれた日本金融学会の秋季大会での講演で述べた。

雨宮副総裁は、技術革新の進展を背景にモバイル決済の急速な普及など、支払い決済手段や金融・経済を取り巻く環境変化を踏まえ、「マネーの将来」をテーマに講演を行った。

その中で、銀行券の代わりに中銀が自らデジタル通貨を発行すべきとの議論について、学会などでは、名目金利のゼロ制約を解消できることや、金融の安定化にも寄与するなどメリットを指摘する声があることを紹介した。

これに対して雨宮副総裁は、広く利用されている現金を無くすことは「決済インフラをむしろ不便にする」とし、「仮に中央銀行がデジタル通貨の金利をマイナスにしても、現金が残る限り、これへの資金シフトは起こる」と指摘。

さらに、金融システムにストレスが生じた場合、預金から中銀デジタル通貨への資金シフトが起こる可能性や、銀行の信用仲介の縮小につながって「経済への資金供給にも影響を及ぼし得る」ことを挙げ、中銀のデジタル通貨発行が「金融政策の有効性向上や金融安定に本当に寄与するのか、検討すべき点が数多く残されている」と語った。

こうした点も踏まえ、現在の中央銀行と民間主体による「二層構造」を、中銀デジタル通貨の発行によって「一層」にすることは、「支払決済に伴う情報やデータの民間による活用にも影響を及ぼし得る」とし、「二層構造は、今後とも維持されていく可能性が高い」との見解を示した。

ビットコインなどのいわゆる「暗号資産」については、ソブリン通貨との信用面の違いから「支払決済に広く使われていく上でのハードルは相当高い」との見方を示した。

他方、暗号資産の基盤となっているブロックチェーンや分散型台帳技術は「有望な技術」とし、「これらの技術をソブリン通貨などの信用と結びつけることで、取引や決済の効率化を実現できる可能性もある」と指摘。

こうした観点から日銀では、欧州中央銀行(ECB)と分散型台帳技術に関する共同調査を進めているが、現段階で日銀として「一般の支払決済に広く使えるようなデジタル通貨を発行する計画は持っていない」と語った。

また、デジタル化された決済手段は「誰が、いつ、どこで、何を買ったかといったデータまで媒介することも可能」であるとし、「こうしたビッグデータの蓄積・活用のためにデジタル情報技術を活用した「キャッシュレス化は今後とも進んでいく」と強調。「データとマネーは、ますます接近していくことが予想される」と語った。

伊藤純夫
https://jp.reuters.com/article/japan-boj-digital-currency-idJPKCN1MU0XI


トップニュース2018年10月21日 / 07:14 / 7時間前更新
焦点:
「アジアのデトロイト」でスト頻発、インド雇用創出に打撃
2 分で読む

[チェンナイ/ニューデリー 15日 ロイター] - バイクの製造拠点であるインドの2都市で労働紛争が増え、モディ政権が約束する雇用創出の難しさを浮き彫りにしている。

ストによって打撃を受けているのはヤマハ発動機(7272.T)やインドのエイシャー・モーターズ(EICH.NS)で、主要自動車メーカーは概ね無傷だ。

労働者は主に賃上げと雇用の安定を求めている。後者の観点では、正規雇用に比べ低賃金で解雇しやすい契約労働者の利用削減が主な要求だ。

来年5月までに総選挙を控えるモディ首相は製造業のテコ入れによる雇用創出を約束。しかし景気全般の拡大にもかかわらず、賃金の上昇が遅れるなど期待に答えられていない。

「アジアのデトロイト」と呼ばれるインド南部の都市チェンナイ近郊ではここ数カ月、バイクメーカーでストが相次いでいる。

契約労働者は正式な与信市場にアクセスできないため購買能力が制限され、正規労働者のように中間層に食い込む道を断たれている。

一方、燃料価格や金利の上昇を背景に自動車の販売は低迷しており、企業側はストにより収益率がさらに圧迫されかねない状況だ。

<債務のわな>

チェンナイ郊外の工業地帯を最近訪れたロイター記者は、ヤマハの制服を着た労働者数百人が工場の入り口近くに座り込む光景を目にした。

英語、日本語、タミル語で「あなた方は優しさを知っているのか」、「圧制に終止符を」などと書かれたプラカードを掲げている。

彼らが要求するのは賃上げや正規雇用に加え、団結権、団体交渉権だ。

約3週間前からストを続けるヤマハの従業員の月給は最大1万7000ルピー(229ドル)。上昇する生計費に見合うには大幅な賃上げが必要だと訴える。

その近くにあるエイシャー・モーターズのバイク工場のフルタイム労働者の月給は平均約2万5000ルピー。労働者は給与の少なくとも倍増を要求し、この3週間はほぼストに入っている。

30歳の従業員は「賃金が安いから債務のわなにはまっている。ローンなしの生活は考えられない。貯蓄はゼロだ」と語る。

ヤマハはコメントを控えたが、マドラス高等裁判所への宣誓供述書で「合法的な労働組合活動には反対していない」としている。

エイシャー・モーターズは「すべての従業員は公平に扱われている」との声明を出した。

<労働法改革に反発>

モディ首相は2014年、成長回復と雇用創出を公約に掲げて選挙に勝ち、就任した。2兆6000億ドル規模のインド経済に占める製造業の割合を約17%から25%に拡大し、2022年までに1億人の雇用を生み出すとしていたが、進展の兆しは乏しい。

モディ氏は短期雇用のハードルを下げるなどの労働法改革も約束していた。採用と解雇が簡単になれば企業の柔軟性は増し、コストを抑えられるが、この計画は反発を買い、棚上げになった。

やはり自動車製造拠点であるハリヤーナー州などは独自に労働法を制定した。同州のグルグラム市では先週、ホンダ自動車(7267.T)やマルチスズキの労働者数千人が、工場閉鎖とレイオフを容易にする新法に反発し、終日抗議行動を行った。

Yamaha Motor Co Ltd
2713.0
7272.TTOKYO STOCK EXCHANGE
-92.00(-3.28%)
7272.T
7272.TEICH.NS7267.T
これらの企業からは取材要請への回答が得られてない。

(Sudarshan Varadhan記者 Aditi Shah記者)

https://jp.reuters.com/article/india-manufacturing-hub-idJPKCN1MQ193



http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/892.html

[国際24] ブラジル極右候補、トランプ礼賛者を外相に起用か トランプ貿易戦争の皮肉 ブラジル農家に豊かにし米国農家を苦しめる 

トップニュース2018年10月21日 / 07:14 / 12時間前更新
焦点:
ブラジル極右候補、トランプ礼賛者を外相に起用か
2 分で読む

[ブラジリア 16日 ロイター] - ブラジル大統領選第1回投票で得票率トップだった極右候補のジャイル・ボルソナロ下院議員は、政権獲得の折にはトランプ米大統領のナショナリスト的な政策を称賛する外交官を外相に起用する方針だ。側近の1人が明らかにした。

複数の専門家の話では、この人事はボルソナロ氏が目指すブラジル外交の刷新と符合する。ボルソナロ氏は既に、南部共同市場(メルコスル)や新興5カ国BRICSといった枠組みへの参加見直しや、トランプ氏にならった在イスラエルのブラジル大使館のエルサレム移転を約束している。

こうした方針は、過去10年半近く左派の労働党(PT)政権が進めてきた近隣諸国や他の新興国との連携に軸足を置く政策とは正反対と言える。

大統領選の決選投票が28日に控えているものの、PTが擁立するフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長に対して優位を保っていることから、ボルソナロ氏は早くも閣僚の指名に乗り出した。ただ外相ポストはまだ正式に固めていない。

こうした中で、ボルソナロ氏に助言してきた政治学者パウロ・クラマー氏によると、外務省のエルネスト・フラガ・アラウージョ米国・カナダ局長が外相の最有力候補となっている。

フラガ・アラウージョ氏は、「反グローバリズム」を推進するための個人のブログで、国民にボルソナロ氏支持を呼びかけるというブラジルの外交官としては異例の振る舞いをした人物。もっともクラマー氏は、ボルソナロ陣営の目に留まったのは、フラガ・アラウージョ氏が専門誌にトランプ氏を評価する記事を寄稿したことで世界観が同じだと分かったからだったと述べた。

フラガ・アラウージョ氏はこの記事で、トランプ氏が国家のアイデンティティーや家族の価値などを守るために立ち上がり、過激なイスラム主義や「グローバリストの文化的なマルクス主義」から西欧のキリスト教文明を救い出しているなどと論じた。

ボルソナロ氏はトランプ氏への親近感を隠そうとしておらず、2016年の米大統領選を反既成政治や汚職、犯罪撲滅を掲げる自身の政治運動のモデルとしている。7月のテレビ出演の際には「トランプ氏が米国を偉大にしたように、私はブラジルを偉大にしたいのだ」と語った。

ブラジルは世界で最も経済構造が閉鎖的な主要国の1つで、元来自由貿易に懐疑的だが、ボルソナロ氏はイデオロギーの再構築を明らかにするようないくつかの象徴的な行動を取ることも示唆している。一番分かりやすいのは、トランプ氏に追随して在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムへ移す計画だ。

同国は長らく、パレスチナ問題ではイスラエルとパレスチナ自治政府の両者間による解決を支持してきたものの、ボルソナロ氏はパレスチナを国家と認めず、在パレスチナ大使館の閉鎖も表明している。

またボルソナロ氏の南米近隣諸国、特に社会主義国であるベネズエラへの態度は冷淡化しつつある。同氏はブラジルがアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイとともに設立したメルコスルを軽視する発言を行ってきた。

ボルソナロ氏にとっては、ブラジルがロシア、インド、中国、南アフリカという他の主要新興4か国と共同で開発銀行を設立し、相互貿易を推進してきたBRICSの枠組みも、懐疑的な目で今後を検討する対象となる可能性がある。

ただジェトゥリオ・バルガス財団大学のオリバー・ステュエンケル教授(国際関係)は、ボルソナロ氏がトランプ氏のような姿勢でBRICSを離脱すれば、中国に対してブラジルも敵対的になるとのメッセージを送ってしまう、と警告する。

中国はブラジルの主要貿易相手で、近年は投資資金の供給元にもなっている。このため専門家は、ボルソナロ氏が経済的利益のために敵対的になる衝動を抑えざるを得なくなるのではないか、とみている。

(Anthony Boadle記者)
https://jp.reuters.com/article/brazil-trump-idJPKCN1MR0TO


 

トランプ貿易戦争の皮肉 ブラジル農家に豊かにし米国農家を苦しめる
2018年10月20日(土)11時01分

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2018年8月、米アイオワ州ブーンで開かれた農業フェアで、展示された農業機械を見学する親子(2018年 ロイター/Jordan Gale)

ブラジル北東部の新興都市にある20階建ての高級コンドミニアム「ベラ・ビスタ」は、住民用の映画館やヘリポートまで備えており、18年前に形成されたかつての埃っぽい農業コミュニティが、いかに急発展を遂げたかを象徴している。

ルイスエドワルド・マガリャエンイスに建てられた同コンドミニアムには、地元の大豆生産者らが最大50万米ドル(約5600万円)を出して入居している。ここでは農機具の販売業者や、自動車ディーラー、建設資材店なども大いに繁盛している。

一方、そこから約8000キロ北にある米アイオワ州ブーンの農家は節約ムード一色だ。同州でトウモロコシと大豆を手掛けるスティーブ・シェパードさんも慎重だ。

「機械は何も買わない。カネは一切使わないようにしている」と最近同州で開かれた農業フェアに参加していたシェパードさんは語った。

同じ農業ビジネスでありながら、これほどブラジルと米国で明暗が分かれてしまった理由は、中国にある。

米中貿易戦争の拡大によって、世界の穀物生産業界に地殻変動が起きている。

トランプ米政権による中国製品向けの課税措置に対抗して、中国政府は米国産の農作物に関税を課した。その中には、金額ベースで米国最大の輸出農産物となる大豆に対する25%の関税も含まれる。米国農家は、昨年だけで120億ドル相当の大豆を中国に輸出していた。

この影響は即座に表れた。

世界最大の大豆輸入国である中国が、米国からの買い付けを縮小し、その代わり、ブラジルに目を転じたのだ。中国は、巨大な養豚産業を支えるために輸入大豆を必要としている。

中国需要の波に乗ってこの20年で世界有数の農業輸出国に成長したブラジルから、中国向けに輸出した大豆は金額ベースで、今年1月─9月に前年同期比22%増へ急増した。

ブラジル産大豆は、単に輸出量が増加しているだけではない。 1ブッシェル当たりの価格は、米国産より2.83ドル高くなっている。1年前の価格差は同0・60ドルだったが、中国需要のおかげで大きく差を広げた。

一方、米国産の大豆価格は最近、この10年で最低水準まで下がっており、生産コストを割り込んだと農家は訴えている。農業部門の不況は、他業種では好調な米国経済の足を引っ張っている。

トランプ政権は7月、貿易摩擦関連の悪影響を軽減するため、国内農家に対する最大120億ドルの救済措置を発表。ただ、この措置は縮小する可能性がある。

米国農家は、トランプ大統領の誕生を後押しした保守的な有権者が大半で、多くが今もトランプ支持を変えていない。彼らは、大統領がいずれ、中国との交渉でより良い貿易合意をまとめると期待している。中国の大豆需要は旺盛で、完全に米国産を切り離すことはできない。

だが現段階でトランプ貿易政策は、貴重な市場シェアや資金、そして勢いを、農業部門で最大のライバル国ブラジルに譲り渡す結果となっている。失地挽回は困難だと懸念する声も上がっている。

「関税関係で、米国にとって悪いニュースは、彼ら(ブラジル)には良いニュースだ」。農業機械メーカーAGCOで米州担当マネジャーを務めるロバート・クレイン氏は、アイオワ州の農業フェアでロイターに語った。

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ブーンからブラジルへ
米国農家と同じく、ブラジル農家は、自国が必要とするよりはるかに大量の穀物を生産している。ブラジル農業を活況に導いたのは、外国顧客だ。同国大豆輸出の8割近くが、今や中国向けとなっている。

ルイスエドワルド・マガリャエンイスの町は、国際貿易の重要性を証明している。バイア州にある農業地帯の真ん中に位置し、かつてはどの自治体にも所属していなかったこの僻地は、わずか20年で人口8万5000人の町へと成長を遂げた。アイオワ州第4の都市スー・シティよりも規模が大きい。

住民がルイスエドワルドと呼ぶこの町で、主要雇用主となっているのは、肥料工場や種子生産業者、そして、大豆と綿花の処理業者だ。この地域は「100%農業に依存している」と、地元農家団体の代表を務めるカルミナマリア・ミッシオさんは言う。

ブラジル経済は全体では低迷しているが、農業部門は昨年13%成長を記録した。ルイスエドワルドにある米農業機械ジョン・ディアのディーラーでは、2017年の売上高が15%増加しており、今年も2ケタ成長を見込んでいるという。

地元不動産市場も上昇している。新たなタワー型の高級コンドミニアムが今年竣工予定であるほか、一戸建て住宅の建設も進んでいる。コンサルティング会社インフォーマ・エコノミックスによると、優良農地価格は2012年以来37%上昇している。

ロイターのアナリスト調査によれば、ブラジルの大豆作付面積は、力強い中国需要に支えられ、今期は過去最大の3628万ヘクタールに達すると予想されている。

この地方の農業者は、今月行われた大統領選第1回投票の結果にも意気揚々としている。首位に立つ極右候補のジャイル・ボルソナロ下院議員は、森林の違法伐採を行ったり、環境保護関連法に違反した農家に対する罰金を撤回する意向だ。

トランプ大統領のように、同候補は中国に不信感を抱いているが、現地農家は、同候補が通商関係にそれを持ち込まないと信じている。

「地方生産者は、ボルソナロ候補を熱心に支持している。われわれは彼にアクセスできる。彼が賢明で思慮深いと信じている」。ブラジル議会でも有力な農業議員団のリーダーを務めるテレザ・クリスチナ氏はそう語った。

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米国農業地帯の痛み
長年、米国農業の中心地であるアイオワ州の見通しは暗い。

同州のトウモロコシ生産量は全米1位で、大豆は2位だ。しかし、トランプ政権下で、世界市場に向けた一部のアクセスが痛手を受けた。

トランプ大統領は、日本など重要市場に対する米国産農産物のアクセスを拡大するはずだった環太平洋連携協定(TPP)から離脱。また、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉では、米国産トウモロコシの最大の輸入国であるメキシコを、ブラジルなど他の供給国を探すよう追い込んだ。そしていま、中国が米国産の輸入を減らしている。

ブーンは、アイオワ州のど真ん中に位置し、広大な農地や養豚場、養鶏場などに囲まれている。アイオワ州立大学によると、2012年から17年にかけ、この地の農地価格は12%下落した。

米中貿易戦争に対する懸念は、最近ここで行われた農業フェアでも見て取れた。

中古トラクターや農機具のオークション会場で価格をメモしていた農機具ディーラー、リー・ランドール氏は、貿易摩擦や穀物価格の低下で、オークション価格も低下していると語る。

鮮やかな緑と黄色の農業機械大手ディア製中古コンバイン2台が、それぞれ11万8000ドルと8万2000ドルで落札されたのを見てランドール氏は首を振った。「5年前なら、これより3割増しの値が付いたはずだ」

ドイツ製薬・化学大手バイエルの農業部門クロップ・サイエンスのブレット・ベーグマン最高執行責任者(COO)も、種子や農薬の買い入れに対して農家が慎重になっていると話す。貿易摩擦によって、バイエルは同部門の2019年業績予測が難しくなっている。

ブーンから車で2時間の位置に、約5500人が住むアルゴナの町がある。農家の苦境によって、地元のディアやオートバイ製造大手ハーレー・ダビッドソンのディーラーの業績が悪化している。

「最終的には、この地域は農業で生かされ、農業で死ぬ」と、ハーレーのディーラーを経営するジム・ウィルコックス氏は言う。

農家の苦しみは、銀行のバランスシートにも現れている。シカゴ地区連銀によると、この地域で「返済に問題あり」と報告された農業融資の割合は第2四半期に増加し、2002年半期以来の高水準に達した。

アルゴナ近郊で農場を営むロドニー・ジェンセン氏は、まだ価格が高かった時期に秋に収穫した大豆の売却契約を結ばなかったことを悔やんでいると言う。多くの農家と同様、ジェンセン氏も価格上昇を待って収穫した大豆を貯蔵する考えだ。

だが、米中関係が修復されたとしても、中国がかつてほどは米国産の大豆を買い入れなくなる懸念もあるという。

「この辺で聞こえてくるのは、悲観論ばかりだ」と、ジェンセン氏は言った。

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)


Jake Spring and Tom Polansek
[ルイスエドワルド(ブラジル)、ブーン(米アイオワ州) 11日 ロイター]


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https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/10/post-11144_3.php
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/345.html

[不安と不健康18] 子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右する:大規模調査
子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右する:大規模調査
2018年10月18日(木)17時30分
松丸さとみ

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本が何冊あったかが一生を左右!? FlairImages-iStock

<31カ国、16万人を対象に行われた調査で、16歳の時に家に本が何冊あったかが、大人になってからの読み書き能力、数学の基礎知識、ITスキルの高さに比例することが明らかになった>

自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右!?
学生の頃、自宅にどれだけの本があったか、覚えているだろうか? 16歳の時に家に本が何冊あったかは、大人になってからの読み書き能力、数学の基礎知識、ITスキルの高さに比例することが、このほど行われた大規模な調査で明らかになった。研究者らは、「子どもの頃に自宅で紙の本に触れることで、一生ものの認知能力を高めることができる」としている。

調査を行ったのは、オーストラリア国立大学と米ネバダ大学の研究者たちだ。2011〜2015年に31の国と地域で、25〜65歳の16万人を対象に行われた「国際成人力調査」のデータを分析した。結果は学術誌ソーシャル・サイエンス・リサーチに発表されている。英ガーディアン紙が10月10日付と12日付で報じた。

調査では、16歳の時に自宅に何冊本があったか、と参加者に質問。その後、読み書き能力、数字、情報通信技術(ICT)のテストを受けてもらった。

その結果、本がほぼない家庭で育った場合、読み書きや算数の能力が平均より低かった。自宅にあった本の数とテストの結果は比例し、テストが平均的な点数になるのは自宅に80冊ほどあった場合だった。ただし350冊以上になると、本の数とテスト結果に大きな関係性はみられなくなったという。

本に囲まれて育った中卒と本がなかった大卒が同じ学力
さらに、最終学歴が日本で言うところの中学卒業程度(13〜14歳)であっても、たくさんの本に囲まれて育った人は、大人になってからの読み書き能力、算数、IT能力が、本がほぼない家で育った大卒の人と同程度(どちらも全体の平均程度)だということが分かった。読み書きや数学の基礎知識において、子どもの時に本に触れることは教育的な利点が多いと研究者たちは述べている。

興味深いのは、「言葉の読み書き」(いわゆる文系の能力)と「数字」(いわゆる理系の能力)が別物だと考える人が多いと思われる中、今回の調査では、自宅に多くの本があると、このどちらも強化することがわかったということだ。研究者らは「これは予期していなかった」とし、「子どもの時に本を読めば大人になって文字を読むのが得意になる、という単純な話ではない。読み書きとはまったく異なる、デジタル環境にも繋がるということだ」と説明する。

ただし、これら自宅の本を必ずしも読めなければ効果がないというわけではなく、また単純に「本を読む」という行為によりこうした能力が伸びるというわけではなく、何が利点になっているのかを特定するのは難しいと研究チームは話す。「ただ本をたくさん読みなさい」というシンプルな話ではなく、大切なのは「子どもたちが、親や他の人たちが本に囲まれている様子を目にすること」だとしている。

次のページ 国別ランキング、日本は?

ただし今回のテスト結果は、大人になってどれだけ本を読んだかとは無関係なので、今から慌てて読んだ場合の効果は不明だ。

「本好き」の国別ランキング、日本は?
この調査では16歳の時にどれだけ書籍が自宅にあったかを国別のランキングも出している。最も本好きの国はエストニアで、平均は218冊。350冊以上だったと答えた人は35%に上った。

日本は平均102冊で、世界全体の平均を含む18カ国・地域のランキングで14位だった。世界全体の平均は115冊。

研究者らは、本がもたらす利益は世界的に一貫しており、教育水準や、大人になってからの仕事、性別、年齢、両親の教育水準とは無関係だったとしている。データが最も詳細にわたって取れたオーストラリアを例にとっても、裕福さやIQ、学校の成績などを調整した後のデータでも同じ傾向がみられ、研究者らは、どのデータを考慮して調整した場合でも、「本に囲まれて育つことには利点があるという結果が出た」としている。

○16歳の時にどれだけ書籍が自宅にあったか
国 平均冊数
エストニア 218
ノルウェー 212
チェコ 204
デンマーク 192
ロシア 154
ドイツ 151
オーストラリア 148
英国 143
カナダ 125
フランス 117
世界 115
米国 114
アイルランド 107
日本 102
ベルギー 95
チリ 52
シンガポール 52
トルコ 27

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/10/ok-11_2.php
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/659.html

[国際24] ムスリム世界が「同胞」ウイグルの悲劇を無視する訳 Cold Brotherhood
ムスリム世界が「同胞」ウイグルの悲劇を無視する訳
Cold Brotherhood

2018年10月18日(木)19時00分
ニチン・コカ(ジャーナリスト)

825
257

習近平のトルコ訪問に抗議するウイグル人(2012年、アンカラ) REUTERS

<同じ信仰を持つウイグル人への人類史上例を見ない弾圧に、イスラム教国が抗議しない理由は? 本誌10月23日号「日本人がまだ知らない ウイグル弾圧」特集より>

※本誌10/23号(10/16発売)は「日本人がまだ知らない ウイグル弾圧」特集。過去に例のない規模で少数民族ウイグル人を強制収容所に閉じ込め、共同体ごと洗脳しようとしている中国共産党の人権侵害をレポート。

トルコ語と同じテュルク語系の言語を話し、イスラム教を信仰するウイグル人。その最大100万人が中国政府の「再教育施設」に入れられ、多くの市民が無数の監視カメラで一挙手一投足を見張られているという。ところが、そんな国を挙げてのウイグル人弾圧に対して、世界のイスラム教徒はおおむね沈黙を守っている。

パレスチナ人が受ける不当な扱いや、ミャンマーのロヒンギャが受ける迫害には、世界中のイスラム教徒が激怒して非難の声を上げるが、ウイグル人のためには小さな声さえ上がらない。この10年間、イスラム教徒が多数派を占める国(ここでは便宜的に「ムスリム国家」と呼ぶことにする)のリーダーで、ウイグル人支持を明確に表明した人物は1人もいない。

それどころか中国との関係を強化したり、ひどい場合は、中国政府によるウイグル迫害を事実上容認するムスリム国家も少なくない。エジプト政府は昨年夏、ウイグル人数百人を中国に強制送還した。そんなことをすれば、彼らは一生獄中生活を送ることになるか、処刑される可能性もあると分かっているのに、だ。マレーシアとパキスタンも11年に同じことをしている。

これが、欧米諸国とりわけイスラエルがイスラム教徒を迫害しているというニュースだったら、反応は全く異なる。パレスチナ自治区ガザで起きた事件は、中東だけでなく遠く離れたバングラデシュやインドネシアなどイスラム世界全体の怒りを呼ぶ。もしエジプトやマレーシアが、パレスチナ人をイスラエルに強制送還したりすれば、猛烈な非難を浴びるだろう。

明らかに宗教弾圧的要素を持つウイグル人迫害が、同じような反応を引き起こさないのはなぜなのか。その答えの1つは、「カネがものをいう」、なのかもしれない。

今や中国は、ほぼ全てのムスリム国家にとって重要な貿易相手国だ。その多くが中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)か、広域経済圏構想「一帯一路」に参加している。中国は南アジアでインフラ投資を進め、東南アジアでパーム油や石炭といった原材料を大量に買い付け、中東諸国にとっては最大の石油輸出先だ。

わずかに期待できる3つの国
ウイグル人の苦境が無視されている背景には、ほかにも残酷な理由がある。例えば、パレスチナの運命は、イスラム教最大の聖地の1つであるエルサレムの運命と直結しているが、ウイグルはイスラム世界の極めて周縁に位置する。多くのイスラム教徒にとって中国は縁が薄い上に、アメリカやイスラエルのように常にその脅威を意識せざるを得ない存在ではない。

次のページ 写真や映像は外に出ない

中国の空前の情報管理が奏功している側面もある。パレスチナ人やロヒンギャの苦難を知らせる映像やインタビューや記事は、世界中のメディアにあふれている。ところが中国には通信アクセス制限と巨大な検閲体制があるため、極めてクオリティーの低い画像以外、新疆ウイグル自治区の最新の写真や映像はほとんど外に出てこない。

だが、ムスリム国家の沈黙が破られる可能性はある。例えば、ムスリム国家でも民主主義体制を取るマレーシアとインドネシアから、ウイグル支援の声が上がるかもしれない。歴史的・文化的つながりが深く、世界最大の亡命ウイグル人コミュニティーがあるトルコにも期待ができる。実際、09年のウイグル騒乱では、ムスリム国家のリーダーの中で唯一、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領(当時は首相)が中国批判の声を上げた。

ただ、権威主義的傾向を強めるトルコは、中国を欧米諸国に対抗する「同志」と見なすようになった。アラブ諸国も中国経済への依存を深めており、中国政府の機嫌を損ねるような言動はしないだろう。中国政府は今年7月、アラブ諸国に計200億ドル
の融資を約束したばかりだ。

残念ながら、世界のイスラム教徒がウイグル人のために一致して声を上げる可能性は、小さくなる一方だ。中国が力を増すにつれ、ウイグル人はますます孤立を深めている。

※本誌10/23号(10/16発売)「日本人がまだ知らない ウイグル弾圧」特集はこちらからお買い求めになれます。

【参考記事】ウイグル「絶望」収容所──中国共産党のウイグル人大量収監が始まった
【参考記事】ウイグル族を「QRコード」で管理する中国
【参考記事】ウイグル絶望収容所の収監者数は89万人以上

From Foreign Policy Magazine
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/10/post-11131_2.php
http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/347.html

[経世済民128] たっぷり寝る社員に報酬、クレイジーが日本の働き方に一石 米国でAI技術者の争奪戦、超売り手市場で賃金上昇
たっぷり寝る社員に報酬、クレイジーが日本の働き方に一石


片沼麻里加

2018年10月22日 6:00 JST
• 6時間以上の睡眠確保で最大6.4万円相当支給、社員の幸福度高める
• 睡眠不足による日本の経済損失はGDP比2.9%、先進5カ国中最低

Photos of Crazy Inc. workers, including CEO Kazuhiko Moriyama, top right. Photographer: Marika Katanuma/Bloomberg
政府が働き方改革を進める中、日本企業の従業員の睡眠時間はまだ不足している。東京都墨田区のある企業はこうした状況を打破しようと、夜にたっぷり睡眠を取った社員に報酬を付与するという思い切った福利厚生制度を打ち出した。
  この会社は、オーダーメードのウエディングを手掛ける「クレイジー」。森山和彦社長(35)によると、同社は今月から「睡眠報酬制度」を導入。6時間以上の睡眠を1週間のうち5日以上取った社員を対象に、報酬として同社の食堂で利用できるポイントを付与する。最大で年間 6万4000円相当になるという。寝具メーカー、エアウィーヴの協力も得て社員自ら専用のスマホアプリで睡眠時間を測る。
  制度導入のきっかけは森山社長が1年ほど前に国内広告大手に勤務する友人から、「働きたいけど働けない」と苦しい胸の内を聞いたことだった。当時、その友人の勤め先は女性新入社員の過労自殺をきっかけに長時間労働の改善に取り組む最中だった。友人の「働きたい人の権利が守られていない」という言葉にインスピレーションを受け、労働時間の短縮ではなく報酬によって睡眠時間を管理できたら面白いと発想を逆転させたという。
  日本人の睡眠を取り巻く問題は深刻な状況にある。米シンクタンク、ランド研究所によると、日本の睡眠不足による経済的損失額は国内総生産(GDP)比で2.9%と試算。調査対象となった米国、英国、ドイツ、カナダを含む5カ国中最大となった。損失額としては経済規模が大きい米国がトップで4110億ドル(約46兆2300億円)、日本はそれに続く1380億ドルだった。健康機器メーカーのフジ医療器が今年、20歳以上の男女4303人を対象にした調査では、92.6%が睡眠に対して不満を持っていることが判明した。

寝不足が経済に大きな影響
先進5カ国の睡眠不足による経済的損失額

出所:ランド研究所
  本来、労働時間の管理は社員を守ることが大前提だが、働き方が多様化した現代にそれでは社員を守ることができないと森山社長は指摘する。今回の制度では「いろいろなタイプの人がいる。働き方は多様でいい」とし、強制的にルールとして定めるのではなく、インセンティブ制にすることで多様な働き方をサポートした。

無料ランチ、子連れ出勤

  森山社長はクレイジーを創業する前、人材コンサルタント会社に6年半勤務していた。「幸せに働いていなかった」とし、自らうつ病に苦しんだ経験も同社が掲げる社員の健康や幸福を重んじる経営思想に大きな影響を与えたという。
  クレイジーでは創業当初から経営の最優先順位に「健康」を掲げ、自然食ランチを社員全員に毎日無料で提供。社内に託児施設を設置し、子連れ出勤も可能にした。社員同士が人間関係を築くために、就業時間内での旅行も認めている。睡眠報酬の制度も従業員一人ひとりの幸福度を高めながら、組織全体では生産性の向上を目指すために導入したという。
  森山社長にとって今回の試みは社会実験でもある。同社の多様な働き方を推し進める事例を行政や同じ裁量労働制の企業に見てほしいとし、今後は社員の医療費の自己負担分を会社が支払うことも検討しているという。将来的には「社員100万人」と壮大な夢があるといい、社名のように「世の中から見たらクレイジーと言われることをやってのけよう」と考えていると話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-21/PGTKDP6JTSE801?srnd=cojp-v2

 

トップニュース2018年10月20日 / 08:15 / 3時間前更新
アングル:
米国でAI技術者の争奪戦、超売り手市場で賃金上昇
Ann Saphir
3 分で読む

[サンフランシスコ 15日 ロイター] - 次世代の技術系社員の採用を目指す企業数十社が9月、米カリフォルニア大学バークレー校で開かれた電気工学とコンピューター科学分野の学生向け就職フェアに集まった。

ボリス・ユエさん(20)は、参加した数千人の学生の1人で、学生の間を縫って歩いてはリクルーターと会話していた。

だがユエさんは、就職競争をそれほど心配していない。コンピューター技術を持つ学生の採用見通しは全般的に明るいが、ユエさんはその中でも希少性の高い分野を専門にしている。人間の思考に似たやり方で学習し、思考することを機械に教えこむ人工知能(AI)の分野を専攻しているのだ。

ユエさんが、職探しに困ることはほぼないだろう。「機械学習の分野で、求人が足りないということはない」と、彼は言った。

そして、彼は正しい。

AIは今や、さまざまな分野の製品に導入されている。自動運転車や、雑草を見分けて除去するロボット、危険な皮膚がんと無害なほくろを区別できるコンピューター、そして、スマートロックやサーモスタット、スピーカーなどによって、この技術は家庭にも持ち込まれつつある。ジョージア技術大では、学生がAIのデジタル教師とやり取りしながら、機械学習についてのオンライン講座を受講している。

AIの導入拡大に伴い、高いスキルを持ったこの分野の技術者が不足する事態が起きている。学生の需要に応え、全米の学校がAIの授業やコースを追加したり学生数を増やしたりしているが、この分野で経験や訓練を積んだ学生が就職市場では圧倒的に不足している。

そしてそれは、大きな結果を伴うことになる。

AI技術を持つ求職者が絶対的に足りないため、採用が遅れ、一部企業では成長が阻害されていると、リクルーターや雇用主側は指摘している。また、生産性を向上させ、米経済の成長を加速させる可能性があるとされるこの分野の技術導入が遅れる可能性もある。米経済の成長率は現在、金融危機前の半分程度にとどまっている。

カリフォルニア大バークレー校の就職フェアでインターンや新卒者の採用活動をしていた、半導体メーカーのマーベル・テクノロジー・グループ(MRVL.O)のアンドリュー・シン氏は、AI関連のポストで採用に苦戦していると話す。

「ここ何年か、十分に採用できていない。そのことで、実際にいろいろなことで遅れが生じている」と、マーベルでチップのデザインマネジャーを務めるシン氏は言う。

<AIがもたらす未来>

AIが、かつての電気や蒸気機関のように、経済の軌道を根本から変えてしまう可能性があると考えるエコノミストは多い。

「実際のところ、AIは未来だと思っている。経済全体に浸透し、われわれの生活をすべて変えてしまうだろう」と、セントルイス地区連銀のブラード総裁はロイターとのインタビューで語った。

だが変化の速度は、才能ある技術者の供給にも左右される。

経験を積んだ技術者の不足は、「新技術の拡散や、それに伴う生産性の改善を確実に遅らせる」 と、シカゴ大ブース・スクール・オブ・ビジネスのチャド・サイバーソン教授は指摘する。

米政府は、AI分野に特化した求人や採用数は追跡していない。だが、インディードやジップリクルーター、グラスドアなどの求人サイトによるオンライン求人数の調査によると、AI関連の求人は急増している。インディード上でAI関連の求人が全体に占める割合は、この2年でほぼ倍になった。他方、AI関連の求人検索件数は15%しか増えていない。

Slideshow (2 Images)
大学側も対応を急いでいる。

カリフォルニア大バークレー校では、10年前は300人だった電気工学とコンピューター科学の博士課程への志願者が、昨年は2700人に増え、その半数以上がAIに関心を寄せていると、同校のピーター・アビール教授は言う。同校では2017年秋、入門レベルのクラスを3倍の30クラスに増やした。

イリノイ大のマーク・ハセガワジョンソン教授は昨年、AI入門クラスの定数を3倍の300人に増やした。増加分の200席は、24時間で埋まったという。

カーネギーメロン大では今秋から、全米初のAI学士号の授与を始めた。「需要はあると確信している」と、同大のリード・シモンズ氏は言い、「学生の需要に応えたい」と付け加えた。

それでも、この分野における人材の需要と供給のミスマッチが解消するのは5年ほど後になると、グラスドアのチーフエコノミスト、アンドリュー・チェンバレン氏は予測する。同社では、企業サイトに掲載された求人情報を集めるアルゴリズムを使用しており、それによると、この11カ月でAI関連の求人数は倍増しているという。

「この分野に入ってくる人材の供給は、需要にまったく届いていない」と、同氏は指摘する。

Marvell Technology Group Ltd
17.76
MRVL.ONASDAQ
-0.33(-1.82%)
MRVL.O
MRVL.O
<売り手市場>

需要は、賃金を押し上げている。企業サイトに掲載されたAI関連求人の平均賃金は、2017年10月から2018年9月にかけて11%上昇し、年12万3069ドル(約1380万円)とグラスドアは試算する。

ニューヨークに拠点を置く10Xマネジメントは、企業の特定プロジェクトに必要な技術者を派遣している。同社のマイケル・ソロモン氏によると、トップのAI技術者は現在1時間あたり最大1000ドルの報酬を得ており、わずか5年前の3倍の水準になっているという。同社では、ブロックチェーン専門家と並び、AI技術者が最も高報酬の職種となっている。

カーネギーメロン大で材料科学技術を教えるリズ・ホルム教授は5月、需要の急増を実感した。機械学習を研究に使っていた博士課程の学生の1人が卒業する際、採用のオファーが殺到したのだ。そのすべてがAI関連で、材料科学技術とは無関係だった。

この学生は最終的に米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)に就職し、AIを使って世界の店頭でどのように商品を配置すべきかを研究しているという。「企業はいま、本当にこの分野の人材を欲しがっている」と、同教授は言う。

米電動工具メーカーのスタンレー・ブラック・アンド・デッカー初の最高技術責任者(CTO)として昨年就任したAI専門家のマーク・メイベリー氏も同意見だ。同社では、工具のデザインや生産にAIを組み入れているというが、メイベリー氏は詳細は明らかにしなかった。

「必要な才能を採用できているかといえば、イエスだ」とメイベリー氏は言い、「高くつくかといえば、それもイエスだ」と話した。

需給の逼迫(ひっぱく)は、AI技術を持つ求職中の学生には有利になる。給与が引き上げられて選択肢が増えるだけでなく、卒業のはるか前に採用オファーを得られることも多い。

カーネギーメロン大でAIと認知科学を学んだデレク・ブラウンさんは昨秋、学部4年生に進級した直後に、顧客管理ソフト大手セールスフォース・ドットコムからフルタイムの仕事のオファーを得た。ブラウンさんはそれを断り、今年7月からフェイスブックに勤務している。

(翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-artificialintelligence-idJPKCN1MT0U7
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/898.html

[経世済民128] 世界経済と金融市場、強気相場にブレーキかける政治 米中の対立で下方スパイラルに陥る恐れ  米経済堅調続く連銀総裁 伊格下
世界経済と金融市場、強気相場にブレーキかける政治
米中の対立で下方スパイラルに陥る恐れ――マーティン・ウルフ
2018.10.22(月) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年10月17日付)

連日の米株大幅安、トランプ氏「FRBは制御不能」 議長解任は否定
米首都ワシントンで記者会見を行うジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長(2018年9月26日撮影)。(c)SAUL LOEB / AFP〔AFPBB News〕

 強気相場は不安の壁を登っていくと言われる。

 最後まで残っていた心配性の参加者が楽観論者になって手元の資金を目一杯投じた頃には、相場は下落するしかない状態になっている。つい先日起きたことは、まさにそれかもしれない。

 金融資産の価格には――特に米国のそれには――すでにかなりの楽観論が織り込まれていたため、ひとたび不安がよみがえると、相場は下がるよりほかになかった。

 では、世界でいま起こっている出来事は不安をどこまで強める可能性があるだろうか。「かなり」というのが、その答えだ。

 10月12〜14日に開催された国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会で明らかになったように、懸念を抱く理由には事欠かない。

 特に強力なのは、新旧の超大国の格闘が始まったことだ。この対立には、何もかも変えてしまう可能性が秘められている。

 良い知らせは、IMFが「世界経済見通し(WEO)」で高い成長率を引き続き見込んでいることだ。

 これによれば、世界経済全体の成長率(購買力平価ベース)は今年と来年の両方で2017年と同じ3.7%になるという。

 悪い知らせは、この予想値が今年と来年の両方で、今年4月時点の予想よりも0.2ポイント下方修正されていることだ。

 何にも増して「リスクのバランスが・・・・政策の不透明感の高まりを背景に下方にシフトした」という。

 この下方修正についてWEOは、2018年の初めに一部の高所得国で生じた予想以上の成長減速、米国が始めた貿易戦争、そして新興国市場での諸問題(各国固有の弱点、金融の引き締め、地政学的緊張、そして原油高に起因するもの)を強調している。

 またIMFは、イランへの制裁再開などに関係する原油の急騰がさらに進行するかもしれないと警鐘を鳴らしている。その通りになれば、脆弱な石油輸入国は打撃を被ることになるだろう。

 加えて、多くの高所得国――とりわけ米国――では潜在成長率を上回る経済成長が実現しており、失業率も低いことから、インフレ率が予想以上に高まる恐れがある。

 たとえそうならなくても、高所得国における金融の「正常化」はまだ続く。

 著名投資家のウォーレン・バフェット氏が言うように、「誰が裸で泳いでいるかは、潮が引いた時に初めて分かる」。

 裸の度合いが最も高いのはバランスシート(貸借対照表)が脆弱な主体である。

 レバレッジが高いうえに、期間や流動性、通貨という3点でのミスマッチも大きい主体のことだ。緩和的な金融環境という潮が引けば、金融と実体経済の落ち込みは避けられない。

 すでに新興国には、苦境に陥っているところが数多く見受けられる。アルゼンチンとトルコはその顕著な例だ。

 貿易戦争や高所得国の金融引き締め加速を受けてリスク選好が大幅に減退すれば、より広範な資本逃避の引き金が引かれることになるかもしれない。

 リスク回避の動きが急激に強まれば、金融の――ひいては経済の――安定性にも幅広い影響が及ぶだろう。

 リスクの高い資産のバリュエーション(価値評価)には割高になっているものが多いうえに、IMFの「国際金融安定性報告書(GFSR)」が明言しているように、バランスシートの脆弱性は世界的な広がりを見せている。

 世界の金融情勢がほんの少し変わっただけで、いくつかの新興国は打撃を被ってしまった。

 だが、GFSRが指摘しているように、「システム上重要な金融セクターを有する」国々で家計、非金融部門の企業および政府が積み上げた債務の総額は「現在167兆ドルに達しており、国内総生産(GDP)の合計の250%相当額を上回っている」。

 2008年の210%相当額よりも増えている計算だ。金利の上昇に弱い債務者も少なからず存在するに違いない。

 米国政府は、IMFが「すでに持続不可能な債務動態」と呼ぶものを抱えているうえに、景気循環を増幅させるかなり無責任な財政支出拡大に着手しており、事態の緩和には寄与していない。

 とはいえ、米国では民間セクターの行き過ぎを見つけることも困難ではない。

 ユーロ圏では、企業セクターと政府セクターのレバレッジが依然高い。中国経済もかなりの債務を抱えている。

 一方、重要な資産価格は高止まりしている。

 米国では、ノーベル賞受賞者のロバート・シラー氏が開発したCAPEレシオ(景気循環調整後のPER=株価収益率)が、過去137年間のほとんどの時点より高い状態が続いている。

 これ以上に高かったのは大恐慌が始まった1929年と、1990年代の終わり頃から2000年代初めにかけての2回だけだ。

 CAPEレシオは実質利益の10年移動平均値を用いて計算するのが普通だが、世界金融危機の影響を除くために8年移動平均値で計算しても、過去に比べたこの高さには変わりがない。

 事故はいつ起きてもおかしくなかった。10月第2週の下げは小幅な、起こるべくして起きた下落だったのだ。

 世界の経済と金融システムは脆弱である。どれぐらい脆弱であるかは、実際に試されるまで誰にも分からない。

 しかし、その脆弱さの源泉のうち最も重要なのは政治だ。これは遅れて顕在化した、世界金融危機の遺産にほかならない。

 今日の世界では、あちこちの国でポピュリストやナショナリストが次々に政権を奪取したり、それに近い状況まで勢力を伸ばしたりしている。

 そうした類いの政治家たちに顕著な特徴は、近視眼的であることと、徹底的にものを知らないことだ。

 あれでは、不確実性がまき散らされることは避けられない。

 例えば現在のイタリア政府のおかげで、イタリアはユーロ圏にとどまるという人々の見方が揺らいでしまい、危険な結果をもたらしている。

 最も大きなシフトが生じているのは米国だ。

 ドナルド・トランプ大統領は10月上旬、米連邦準備理事会(FRB)の最近の金融引き締めを非難することで往年のタブーを破った。

 トランプ氏の率いる米国は世界貿易機関(WTO)の紛争解決制度への攻撃にも着手しており、中国とは全面的な貿易戦争まで始めている。

 特に重要なのは、米国の現政権は中国と新たな冷戦に入る決意でいるように見えることだ。

 トランプ氏は、中国経済が米国経済より大きくなることを阻止するとまで語っている。

 これが「熱い」戦争にならずに冷戦にとどまるとしても、米国にとってその対立の重要性は旧ソビエト連邦とのそれをはるかにしのぐものになる。

 中国はソ連よりも人口がはるかに多い。経済もはるかにしっかり運営されており、よりダイナミックであるうえに世界経済との統合も進んでいる。

 好況期であれば、この愚行もそれほど問題にはならないかもしれない。しかし、次の危機が来たら、果たして何が起きるだろうか。

 政策立案者たちは、2008年から2009年にかけて行ったように協力し合えるだろうか。

 この問いはそれぞれの国の中でも、ユーロ圏のような国々の集まりの中でも、そして世界全体においても有効だ。開かれた世界経済は破綻するかもしれないのだ。

 いまの世界は危険に満ちている。危険の度合いは、多くの人々の認識をはるかに上回る。IMFの警告は時宜を得たものだが、案の定、控えめな表現にとどまっている。

 我々の世界はいま、ひっくり返されようとしている。そんなことが起こっていても、経済は委細構わず前に進み続けるなどという見方は、幻想でしかない。

By Martin Wolf

c The Financial Times Limited 2017. All Rights Reserved. Please do not cut and
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54443


 


 
米経済は堅調な成長続く、アトランタ連銀総裁が漸進的な利上げを支持
Shobhana Chandra
2018年10月22日 2:08 JST
米アトランタ連銀のボスティック総裁は、米経済は金融政策の支援もあって堅調なペースで成長を続けているとし、漸進的な利上げ継続という金融当局の計画と整合しているとの見解を示した。

  総裁は20日、アトランタ連銀本部での対話集会で「経済は力強さを増し続けており、非常に前向きな成長を続けている」と指摘した。ボスティック総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。


ボスティック総裁フォトグラファー:David Paul Morris / Bloomberg
  さらに総裁は、リセッション(景気後退)の脱却から9年余り経つとし、政策当局の目標は「現在の経済情勢を可能な限り長期間維持する」ことだと説明した。

  また、直近の利上げによりフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジは2−2.25%に設定されたものの、金融当局が中立と捉える2.5−3%をなお下回っていると、総裁は指摘。「さらにあと2回の利上げ」が必要との認識を示した。

原題:Fed’s Bostic Sees ‘Positive’ U.S. Growth With Gradual Rate Hikes(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-21/PGYGAA6JTSE801?srnd=cojp-v2


 


ビジネス2018年10月22日 / 10:26 / 1時間前更新
ムーディーズ、イタリアを格下げ 財政赤字拡大の見通しで
1 分で読む

[ローマ 19日 ロイター] - 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは19日、イタリア政府の自国通貨・外貨建て発行体格付けを「Baa2」から「Baa3」に引き下げた。見通しは「安定的」。

今後数年にわたり財政赤字が拡大するとみられ、財政基盤が著しく弱まっていることが引き下げの主な理由とした。また、経済と財政の構造改革が行き詰まり、中期的な成長にマイナス要因となっていることも指摘した。

ムーディーズは、政府が最近発表した予算案で来年の財政赤字見通しを対国内総生産(GDP)比2.4%と、従来目標の3倍に引き上げたことが格下げの主要因だと説明した。

拡張的な財政政策へシフトすることでイタリアの公的債務は今後数年、現在の対GDP比130%近辺にとどまり、縮小する可能性は低いと指摘。これにより、イタリアは将来の国内外の衝撃に対して、よりぜい弱になるとの見方を示した。

政府が計画する措置により国内生産は拡大するが、想定されているほどの効果は見込めないと説明した。

一方、見通しについては、財政悪化見通しを相殺する信用面での堅調な要因があるとし、引き続き「安定的」とした。

そうした要因として、規模が大きく多様化した国内経済、GDP比2%を超える経常黒字、ほぼバランスが取れた国際投資状況、国内の一部の家系が保有する高水準の資産を挙げた。
https://jp.reuters.com/article/moodys-italy-idJPKCN1MW03W


ワールド2018年10月22日 / 10:16 / 1時間前更新
イタリア連立政権、税恩赦巡る対立を解消 予算案でEUと協議へ
1 分で読む

[ミラノ 20日 ロイター] - イタリア連立政権は20日、2019年予算案に盛り込んだ税恩赦を巡る連立与党間の対立を解消するとともに、同予算案が欧州連合(EU)の財政規律を逸脱しているとの見解を示しているEU当局に協議を求める姿勢を示した。

予算案はイタリアの財政赤字を国内総生産(GDP)比2.4%まで拡大させる内容。欧州委員会は18日、予算案はEU財政規律から大幅に逸脱しているとの見解を通達し、「前例のない」違反だと指摘したが、イタリア側は反発していた。[nL3N1WY5XY]

コンテ首相は20日の閣僚会議後に、イタリアは欧州に「心地よい居場所」があると強調。「欧州機関と(予算に関して)建設的かつ冷静な協議を行う見通しだ」と述べた。首相は、協議のために近くユンケル欧州委員長を訪れる意向を示した。

与党「五つ星運動」党首であるディマイオ副首相と五つ星と連立を組む「同盟」の代表を務めるサルビーニ副首相はともに、ユーロ堅持の方針をあらためて表明。サルビーニ氏は「われわれは欧州でうまくいっている。ユーロ圏あるいはEUを離脱する計画は現在も今後も存在しない」と述べた。

予算案に盛り込まれた金融犯罪を対象とする税恩赦については、ディマイオ氏は同盟がひそかに適用範囲を拡大したとして批判していた。ただ、サルビーニ氏がその後に同措置を撤回する提案をしたことを受けて、20日の連立与党の会合で妥協案がとりまとめられ、閣僚会議で承認された。

サルビーニ氏は「3日間続いた困難な協議が終結した。終わりよければ全てよしだ」とコメントした。
https://jp.reuters.com/article/italy-budget-eu-idJPKCN1MW036

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/899.html

[経世済民128] 中国の特別債、急増も景気浮揚乏しく−クラウディングアウト副作用も 上海総合続伸−当局支援 中国Li囲い込みにチリが黄信号
中国の特別債、急増も景気浮揚乏しく−クラウディングアウト副作用も
Bloomberg News
2018年10月22日 10:59 JST
• 中央政府は景気てこ入れでインフラ特別債の発行加速を指示
• 8月以降に発行された特別債全体の約42%、土地備蓄に回る
中国では景気の下支えに向け、インフラ整備目的の地方債発行が急拡大している。だが、肝心のインフラ事業が不足しており、民間セクターの資金調達に支障を来すクラウディングアウトも表面化している。
  中央政府は今年、景気をてこ入れするためインフラ向けの専項債(特別債)発行を加速するよう指示し、地方当局は積極的に対応。8、9月に発行が相次いだ結果、今年の目標(1兆3500億元=約22兆円)に対する進捗(しんちょく)率は先月末までに92%に達した。
  だが、ブルームバーグ・ニュースが債券データを分析したところ、8月以降に発行された特別債全体の約42%は、土地取得の際に農民に払う補償金や将来的な開発に充てられる「土地備蓄専項債」だった。つまり、借金が増えているわりには道路整備や老朽住宅の再開発に使われた場合に比べて景気浮揚効果は小さい。
  特別債の急増はクラウディングアウトという副作用も伴っている。他の形態の政府債利回りが上昇し、社債利回りも押し上げている。中国が対米貿易摩擦による影響から国内経済を守ろうとする中、これは景気を刺激せずに債務だけが増える可能性を高めることになる。
  華宝信託の聶文エコノミスト(上海在勤)は、「地方当局は支出を加速するよう求められる一方、控えているプロジェクトは十分ではなく、土地備蓄専項債が選好されている」と指摘。「投資への直接的なインパクトは限定的だ。地方政府にとって他の資金調達チャンネルが引き続き厳しく管理されるのであれば、特別債だけでは成長を取り戻すのは十分ではないだろう」と話した。
Soaring Special Debt

Source: People's Bank of China
Note: While the bonds have been sold since 2015, PBOC only releases data back to the start of 2017
原題:China’s $195 Billion Debt Splurge Has Less Bang Than You Think(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-22/PGZ7ET6KLVRO01


 


中国株:上海総合指数が続伸−当局による支援表明を材料視
Sofia Horta e Costa
2018年10月22日 10:42 JST
• 上海総合指数は前週末比0.6%高で取引開始
• 習近平国家主席は民間セクターへの「揺るぎない」支援表明
22日の中国株式相場は上昇。上海総合指数が続伸している。習近平国家主席は週末に民間セクターへの「揺るぎない」支援を表明した。
  上海総合指数は前週末比0.6%高の2565.64で取引を開始した。本土の証券取引所が株式担保リスク管理を手助けすると言明する一方、中国当局は個人所得減税の原案を公表した。

原題:Chinese Stocks Extend Friday’s Gains as Officials Voice Support(抜粋)
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中国:個人所得減税の原案公表−消費下支え、景気てこ入れ狙う
Bloomberg News
2018年10月22日 8:25 JST
• 医療や教育、住宅ローン、高齢親族の扶養控除
• 消費は中国の主な成長エンジン、対外ショックを和らげる役割
中国は20日、個人所得減税の具体案を公表した。7−9月(第3四半期)の経済成長率は2009年以来の低水準にとどまっていた。
  財政省と国家税務総局が公表した原案を基に、国営新華社通信が報じたところによると、医療や教育、住宅ローン金利・家賃、高齢親族の扶養で控除が受けられるようになる。各控除可能額は月1000−2000元(約1万6200−3万2500円)。
  中国は個人所得税の課税最低限を月3500元から5000元に引き上げたばかり。李克強首相は先月、より大掛かりな減税を推進する方針を表明したほか、財政省幹部も追加策を策定していることを今月示唆していた。
  今年に入り貿易摩擦の激化や中国株下落で先行きへの信頼感が揺らぐなど、中国経済への逆風が強まっており、当局は家計部門の税負担を軽減する。減税が実施されれば中国の主な成長エンジンで、対外ショックを和らげる役割を担う消費を下支えすることになる。
  新華社によると、2週間の意見公募期間を経て、最終的な変更は19年1月1日となる。
原題:China Issues Draft Plan to Further Cut Household Tax Burden (1)(抜粋)
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-22/PGZ8RE6JTSE801


 
コラム2018年10月20日 / 08:15 / 3時間前更新
コラム:中国のリチウム囲い込みにチリが「黄信号」
Clara Ferreira-Marques
2 分で読む

[シンガポール 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 充電して繰り返し使用できる電池の原料確保に向けた中国の戦略が、チリで黄信号に直面している。

深セン証券取引所に上場している四川天斉リ業(002466.SZ)は、チリのリチウム生産大手SQMの株式約4分の1を41億ドル(約4590億円)で取得するため、チリの独占禁止当局との間で、商業的な機微に触れる情報へのアクセス制限を受けることに同意した。それでもまだ、売却に反対するSQMの株主側が買収計画をひっくり返す可能性が残っている。

リチウム業界で中国政府の存在感が増すにつれ、こうした買収計画は困難になる一方だろう。

過去10年間、産業サプライチェーンを固めるための中国の取り組みに並ぶ国はなかった。2011年のコモディティー高騰以降、西側の資源大手が一斉に投資を抑制したのに対し、中国の資源企業は、西側に追いつこうと投資を続けた。

だが、さまざまな鉱物に精力的に投資を続けてきたにもかかわらず、中国はまだ圧倒的優位に立ったわけではない。最近の電気自動車ブームが起きるまで資源大手がほとんど無視してきたリチウムの分野では、中国の成功はより確かなように見えていた。中国政府は、国内や、海外の鉱山、企業株式、そして鉱物の処理事業にも投資してきた。

四川天斉リ業がSQMの株式を取得する過程でチリの反トラストという異例の落とし穴に陥った原因の一端は、こうした中国政府の取り組みにもある。

銅生産依存からの脱却を目指すチリにとって当然、リチウムは重要だ。チリのリチウム埋蔵量は世界一とみられている。そして、SQMはリチウム生産最大手の一角で、米アルベマールなどのライバル企業と競争している。

アルベマールは、オーストラリアにある世界最大級のグリーンブッシュ鉱山で、すでに四川天斉リ業と提携している。

最終的には、四川天斉リ業に重要情報へのアクセス制限や経営幹部の派遣禁止、今後新たに契約を結ぶ場合は当局に報告することなどを盛り込んだ合意を結ぶことで、チリの独占禁止当局は納得した。

こうした合意は、四川天斉リ業側が「純粋に経済的な投資」と説明しているにせよ、投資規模から考えれば大きな制約だ。また、SQMの筆頭株主が起こした法的措置で売却が差し止められる可能性がまだ残っている。この筆頭株主自身も、2016年に四川天斉リ業と株式譲渡交渉を行った経緯がある。

結果がどうなるにせよ、今回の件は、日常使われる機械に必要な鉱物の確保に向けまい進する中国が味わった、異例の「後退」の一例となる。

中国によるリチウムとその処理事業の囲い込みは、今後関心を集める一方だろう。現段階では、リチウム価格の不安定さもあり、もっとゆっくりとしたアプローチを取るのも悪くないのではないか。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/chile-tianqi-lithium-breakingviews-idJPKCN1MT0UT

http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/900.html

[経世済民129] 株価が米経済成長の足かせに転じる公算大きい、ゴールドマンが予想 海外投資家の日本離れ、逆転も−インフレ加速すれば関心増す
株価が米経済成長の足かせに転じる公算大きい、ゴールドマンが予想
Joanna Ossinger
2018年10月22日 12:30 JST
• 年初時点のGDP伸び率への株高寄与は既に消滅した
• 急激な株価の動きは成長率予測にとって重要なリスク

A trader works on the floor of the New York Stock Exchange. Photographer: Victor J. Blue/Bloomberg
米国株は相場上昇に伴い米経済成長の押し上げに寄与してきたが、それが近く反転する可能性が高い。米銀ゴールドマン・サックス・グループはこう予測している。
  ダーン・ストゥリュイーベン、ジャン・ハッチウス両氏ら同行のエコノミストは19日のリポートで「年初時点では力強い成長に大きく貢献していた米株式市場は、来年にかけて緩やかな足かせに転じる公算が大きい」とした上で、「年初には国内総生産(GDP)伸び率への株高の寄与度は0.5ポイントだったが、それが既に消滅したと推測している」と指摘した。

  リポートによると、ゴールドマンの金融環境指数は2017年の初めから、過去最低を記録した今年1月下旬までに185べーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下したが、この下げの大半は同指数を構成する株式の値上がりがけん引した。株式相場は9月半ばに過去最高値を更新してから約6%下落しており、その後の金融状況引き締めの最大の要因となっている。この指数は株価のほか金利やクレジットスプレッド、ドルの推移をたどり、金融環境が引き締まると上昇する。
  エコノミストらが想定する最も可能性の高いシナリオは、成長への株価寄与度が来年にマイナス0.25ポイントとなることだ。金融環境指数に組み入れられている株価がおおよそ横ばいにとどまることが前提で、こうした株価は年末のS&P500種株価指数が2850とする同行ストラテジスト予測に「ほぼ沿った」水準だ。
  強気のシナリオでは株価が1四半期当たり4%のペースで上昇し、S&P500種は来年末に3350前後に達するというもので、この場合、GDPへの寄与度はプラス0.25ポイントとなる。弱気シナリオでは株価が10−12月(第4四半期)にさらに10%下落した後、横ばいにとどまり、S&P500種は2500程度になると想定。寄与度はマイナス0.75ポイントになるという。
  エコノミストらは「成長率が19年末までに潜在成長水準に漸進的に鈍化するとのわれわれの予測にとって、急激な株価の動きは重要なリスクとなる」と分析している。
原題:Goldman Says Stocks Likely Turning Into Drag on U.S. Growth(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-22/PGZBP56JTSE801?srnd=cojp-v2

 

海外投資家の日本離れ、逆転も−インフレ加速すれば関心増すとの見方
Adam Haigh、Gregor Stuart Hunter
2018年10月22日 13:43 JST
• 日本株は割安でも海外投資家は売り越しになっている
• インフレが上向けばコンセンサスが変わり得るとエバコアISI
安倍トレードと呼ばれた日本株買い・円売りの取引は2013年のことだった。現在、日本経済は約20年ぶりの好調さを示しているものの、海外投資家は13年以来、日本にあまり関心を持っていない。しかしインフレ率が予想に反して回復すれば海外投資家の関心が上向く可能性があると、一部アナリストはみている。
  日本の消費者物価指数(CPI)の直近の前年比上昇率は日本銀行の目標である2%の半分にとどまっているものの、CPIほど注目されていない幾つかの指標はコスト圧力の増大を示している。企業向けサービス価格が1990年代前半以来の高い伸びとなっているほか、賃金も上昇しており、東京など主要都市の賃貸料上昇ペースも加速している。企業がこうしたコストの消費者への転嫁を開始し、全般的なインフレが定着してくれば、投資家の注目は高まり得る。
  エバコアISIの調査アナリスト、ジェウ・ナカジマ氏(ニューヨーク在勤)は、「日本企業は利益率改善と株主報酬の緩やかな増加に重点を置くようになっているとの見方で、投資家は概して一致している」ものの、だからといって日本市場をより前向きに見てはいないと分析した上で、「インフレ加速の兆候がコンセンサスの大きな変わり目になる可能性がある」と指摘した。

  日本株は直近の株安の連鎖に巻き込まれたものの、日経平均は今月初めには1991年以来の高値を付けていた。それでも日本株の株価純資産倍率(PBR)は世界株との比較で、2002年以降で最も割安な水準となっている。東証データによると、海外投資家は日本株を今年これまでに約4兆円売り越しており、このまま行けば過去4年で3回目の通年の売り越しとなる。
  エバコアが実施した調査によれば、向こう1年で値上げを見込む企業の割合が増えており、7−9月(第3四半期)には74%に達した。また、オフィス賃貸仲介を手掛ける三鬼商事のデータによると、東京の先月のオフィス賃貸料の前年比上昇率は7.6%となり、これもリフレ進行を示唆している。エバコアは大阪、名古屋、福岡でも賃貸料値上がりが加速していると指摘した。さらに、生産者物価指数も上昇し、特にサービス業ではデフレが堅調になった90年代半ば以降で最も急ペースで上げている。
  モルガン・スタンレーも日本株の環境改善を見込んでいる。ストラテジストらは先月のリポートで、株主資本利益率(ROE)がアベノミクス前の2倍の9.8%まで上昇しており、今後さらに上がる見込みだと分析した。コストが上昇する中で、企業は設備投資を増やしている。モルガン・スタンレーのベースシナリオによると、このような自己資金による成長に伴い、ROEは2025年までに12%に上昇すると予想される。ジョナサン・ガーナー氏率いるストラテジストらはコマツや三井不動産、東日本旅客鉄道の投資判断を「オーバーウエート」としている。
原題:How Investors’ Gloomy Take on Japan May Be Upended by Inflation(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-22/PGZD696JIJUQ01?srnd=cojp-v2

http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/109.html

[経世済民129] 日本に学べ、トランプ米政権との貿易摩擦を機に歩み寄る中国 透ける本音:なぜ中国は安倍首相訪中を促したか中露の焦りは日本の
日本に学べ、トランプ米政権との貿易摩擦を機に歩み寄る中国
占部絵美、コナー・シスロ、日高正裕
2018年10月22日 13:11 JST
• 日米貿易摩擦やバブル崩壊の経験からアドバイス求める中国関係者
• 貿易では安全保障足かせに「同じ道とれず」−為替政策は反面教師

習近平主席
Photographer: Andrey Rudakov/Bloomberg
トランプ米大統領の仕掛ける貿易戦争への対応に苦慮する中国が、レーガン米政権時代の日米貿易摩擦から教訓を得ようと日本に学ぶ姿勢を見せている。急速に日本との距離を縮め、尖閣問題で途絶えていた日中首脳の往来も再開。26日、北京で予定されている安倍晋三首相と習近平国家主席との首脳会談も絶好の機会になるだろう。
  米貿易赤字の約半分を占める中国は対米貿易黒字や自動車輸出が急速に拡大した1970−80代の日本と同様、米国の攻撃の的となっている。2030年には中国が世界最大の経済大国になると見込まれる中、国際通貨基金(IMF)は急成長の代償として中国の過剰債務に警鐘を鳴らすなど、バブル崩壊前の日本にも酷似している。
米貿易赤字に占める日本と中国の割合
過去30年で日本と中国の立ち位置は逆転

出所:国際通貨基金(IMF)
  事情に詳しい関係者によると、今年6月、中国側有識者の一団が日本銀行や財務省、経済産業省の幹部を相次いで訪ねた。東京で開かれたシンポジウム出席のため来日した中国社会科学院学術委員の余永定元財務部長をはじめとする研究員らだ。 対米貿易摩擦などについて助言を求めてきたという。日本側からのアドバイスは米国との2国間協議を避け、貿易をめぐる数値目標設定の回避だった。
  8月に麻生太郎財務相や劉昆財政部長はじめ財務・金融当局や中央銀行幹部が参加し北京で行われた7回目の財務対話では、日米貿易摩擦後のプラザ合意やバブル崩壊の教訓にまで話題が広がった。
 
「プラザ合意」
  為替政策をめぐっては、日本は中国の反面教師だ。中国の崔天凱駐米大使は8月末の講演で、中国は「プラザ合意」を受け入れないと主張した。米貿易赤字削減に向けたドル高是正を目的とした1985年の同合意の結果として円高が急速に進み、景気拡大にブレーキをかけるきっかけとなったためだ。その後、景気下支えのため日銀がとった低金利政策の長期化がバブル経済を生み出す原因となった。
  元財務官で国際通貨研究所の渡辺博史理事長は、「中国は金融や財政、通貨に関しては20−25年前から勉強しており、プラザ合意のような轍(てつ)を踏んではいけないと以前から言っていた」と振り返る。日本の経験の中で一番やってはいけないのは通貨の急激な上昇と、過剰に反応しているという。中国人民元は18日、対ドルで6.9422元まで下落し、2017年1月以来の安値を付けた。
「日本と同じ道とれず」
  日本総研の関辰一副主任研究員は、日中関係の修復に向けた中国側の働き掛けは、激化する米国との貿易摩擦を背景に米国以外と友好関係を築きたいという思惑があるとみる。関氏は「中国は持続的な成長を可能にするためにも、理解してくれる国を増やした方がいいという状況になってきている」と指摘する。
  日本は1965年に対米貿易が黒字化した。繊維製品や鉄鋼、カラーテレビに始まり、80年代には自動車輸出で日米間の貿易摩擦が深刻化した。日本は、鉄鋼や自動車において自主規制という形での輸出枠を設定したほか、自動車大手が現地生産拡大に踏み切り、これらの紛争を切り抜けた。しかし、安全保障上でも対米対決姿勢を示す中国への米国の対内投資規制は日本に比べてさらに厳しい。
  国際通貨研究所の渡辺氏は、中国で対米輸出を増やしているのは中小企業で、米国進出する投資余力がないうえ、米国側は中国マネーの流入を阻んでいるとみる。その上で、直接投資拡大による貿易収支改善という「日本と同じ道は取れない。貿易面で中国が日本に学べるポイントは通貨政策に比べると少ない」との見方を示した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-22/PFN9ZN6JIJUO01?srnd=cojp-v2

 

透ける本音:なぜ中国は安倍首相訪中を促したか
中露の焦りは日本の主張を通すチャンス、明確に言うことが大切
2018.10.22(月) 森 清勇

インドネシアのジャカルタで握手する安倍晋三首相(左)と中国の習近平国家主席(右、2015年4月22日撮影)。(c)AFP/BAY ISMOYO〔AFPBB News〕
 今年は日中平和友好条約を締結してから40周年で、記念式典などのために安倍晋三首相は26日に訪中する。
 国際会議以外で日本の首相が中国を訪問するのは2011(平成23)年12月以来、約7年ぶりである。
 隣国でありながらこれだけ長い間相互訪問がなかったのは、主として中国側の経済発展による軍事力増強を背景に、傍若無人的な行動が目立ち両国関係が冷え込んでいたからである。
 しかし、中国が「新常態」と言いくるめて国際情勢認識を糊塗し始めた数年前から、経済成長にも陰りが見え始めた。
 そして決定打となっているのが「アメリカ・ファースト」「メイク アメリカ グレイト アゲイン」のスローガンの下、国益優先を提げるドナルド・トランプ大統領の登場と、貿易戦争とまで呼ばれる米中関係の悪化である。
米国の対中関税で苦悩する中国
 トランプ大統領は就任後のほぼ1年間、北朝鮮の核・ミサイルが懸案で中国の協力を必要としたことから対中貿易赤字問題を表立って取り上げることはなかった。
 習近平主席もトランプ大統領の初訪中では、国民を締め出して故宮を自ら案内するなど最大の敬意を表し、また航空機購入など多額の約束で一時的な満足を与えた。
 しかし、11月の中間選挙を意識するトランプ大統領が懐柔されることはなかった。
 北朝鮮の金正恩労働党委員長との首脳会談でCVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)には至らなかったが、会談続行中はミサイルの発射中止や核施設の破壊約束などで暴走を抑え込むことに成功した。
 2014年頃から中国の経済には陰りが見え始め、一時は4兆ドルあった外貨準備高も2015年は約5000億ドル、続く2016年も約4000億ドル減少したとも言われる。
 それでも、なお対中貿易の赤字は拡大し続けてきた。この結果、トランプは中国に正面から立ち向かうことにし、当初は340億ドルを対象に25%の関税をかけることにした。
 中国がすかさず対抗措置をとると、次いで160億ドルに拡大した。中国も同額の商品対象に対抗してきたため、米中貿易戦争と言われる状態となる。
 米国はさらに新たに2000億ドルに対象を拡大する。
 中国も強気に出て相応の対抗措置をとると公言しているが、中国の輸出総額は1600億程度ドルとされ、高関税にできる対象品目がない状態であり、額面通りの行動は取れない。
 こうした状況の中での中国の対日接近である。去る5月の李克強首相の来日を手始めに、首脳往来で平和友好を一層盛り上げようというものである。
 隣国との交流は重要である。それだけに、懸案事項は適切に処理する必要がある。
 しかし、中国は時の政権の置かれた国際状況次第で、日本に無茶な難癖をつけてくる。5、6年前の状況を思い出すだけで反吐が出る。
北京オリンピックの陰で
 6年前の2012年は日中共同声明が交わされて40周年であった。その準備は2008年の北京オリンピックを機にピッチを上げ、様々な行事が計画され準備が進められた。
 オリンピックのトーチリレーが行われた長野で、巨大な五星紅旗を乱立させた中国側の横暴から、小競り合いが起きた。
 しかし、「お友達の嫌がることをしますか」という信条の福田康夫首相の下で、日本側が折れる形でことを収め、福田首相は北京に出向いて開会式にまで出席した。
 五輪を成功させた中国は、その直後に襲うリーマン・ショックも4兆元(約60兆円)を投入して乗り越え、米国家情報会議(NIC)が2008年にまとめた「世界の潮流2025」では、2020年代にGDP(国内総生産)で米国を抜いて世界一になると予測したほどである。
 実際、2年後の2010年に日本を抜いて世界第2位に躍り出る。
 リーマン・ショックで苦境に陥った先進諸国を横目に「快哉!」と叫び、米国を捉えるのも指呼の間に迫ったと豪語しても不思議ではなかった。
 こうした自信過剰とも思える行動を支えてきたのが、軍事力の増大であったことは言うまでもない。
 表向きの祝賀行事準備の裏で、中国が仕かけてきたのが尖閣諸島沖における中国漁船の海上保安庁巡視船への追突事件で、2010年9月7日のことであった。
 ここでも親中姿勢であった菅直人首相は、事実を隠蔽して事を平穏裏に解決しようとした。
 しかし国益を見逃さない海保の国士的人士が漁船追突の現場映像をユーチューブで公開したことから、中国の横暴が露見し、日中関係がもつれだす。
 こうして何年もかけて計画準備してきた記念すべき節目の各種行事の多くが、中国側の一方的な声明で中止や延期された。
 日本が多くを輸入していたレア・アースの輸出を禁止し、日中共同事業で日本から派遣されていた民間会社の従業員を拘束するなど、あらかじめ計画していたとしか思えない制裁を手際よく繰り出してきた。
 巡視船への一方的な追突事案で日本が逮捕した船長や漁船員を釈放させるためにとった有形無形の圧力であり、その中には、夢を膨らませていた青少年たちの相互訪問の中止も含まれていた。
 こうした険悪な環境下で登場してきたのが習近平政権である。
 国際会議時の致し方ない状況での習近平主席や李克強首相の安倍晋三首相との握手など、冒頭の写真で見るように苦虫を噛み潰した形相で顔をそむけた姿からは、顔も見たくないが仕方ないから会ってやるんだと言わんばかりの傲慢さしか読み取れなかった。
 しかし中国の経済成長にも陰りが見え始め、また米国との貿易摩擦に加え、一帯一路で打ち出された結節点となる開発途上国では「債務の罠」から警戒感が広がり、計画の見直しや中止などが行われるようになってきた。
 こうして、中国は日本に再々度(日中国交時、天安門事件時、そして今回)近寄ってきたのである。
 特に昨年11月、ダナン(ベトナム)で開催のAPEC首脳会議や、続くマニラでのASEAN+3首脳会議辺りから、中国首脳が急変した態度を見せ始めた。
露中が意図する「新しい世界秩序」
 ロシアと中国が置かれている経済環境は厳しくなっている。ロシアはクリミア半島の不法併合で、2014年3月のハーグ〈オランダ〉で緊急に開かれた首脳会議でのハーグ宣言に基づき、先進国首脳会議(G8)から排除された。
 ハーグ宣言は「クリミアを併合しようとするロシアの違法な試みを非難し、これを承認しない」として「明白な国際法違反は世界中の法の支配に対する深刻な挑戦で、すべての国にとって懸念すべきだ」と強く批判した。
 そのうえで「ロシアが引き続き現状をエスカレートさせる場合、制裁を含む行動を強化する用意がある」とし、実際に経済制裁を受けている。
 他方、中国は南シナ海に勝手に引いた九段線以内を古来から中国の海であるとして埋め立て、滑走路の敷設や各種ミサイルを配備してきた。
 これに対し、ハーグの仲裁裁判所は2016年7月、フィリピンが提訴していた南シナ海問題に対し、「九段線には法的根拠はない」「管轄権に対する中国の歴史的権原は認められない」と裁定した。
 提訴の大部分が認められ、中国側が大敗した。
 また仲裁裁判所は、岩や低潮高地などの「岩礁を埋め立てた7つの人工島は『島』ではない」として、EEZ(排他的経済水域)の設定ができないことも明示した。不服とする中国は判決を「紙屑」と唾棄し、いまだに反省の色も示していない。
 東シナ海の日中中間線周辺におけるガス田採掘問題では日中両国間の約束を歯牙にもかけない態度で一方的に試掘作業を続けている。
 また、争う余地もない日本の尖閣諸島に関してさえ、軍事力を背景に接続水域進入は常態化し、領海侵犯も時折行ってきた。
 こうした露中の横暴、中でも中国の傍若無人な振る舞いや、開発途上国を債務超過に追い込む新植民地主義的な行動が批判を浴びている。
 「GDPで米国を凌駕する」、「世界一の強軍国家になる」、「民主主義国家と異なる価値観の社会主義国家の先頭に立つ」などは、パックス・アメリカーナを自認してきた米国、そしてアメリカ・ファーストを呼号するトランプ大統領が看過するはずもない。
 さらに大きな視点に立つならが、17世紀以降、国際社会が遵守してきた主権国家を柱とするウェストファリア体制(1648年条約制定、近代における国際政治の基本型)を崩壊させようとする世界秩序の組み換えにほかならない。
 このように、現在の国際情勢は中露による「新しい世界秩序」の構築という視点でとらえなければ理解できない。
中国首脳の恫喝発言
 日中関係も中国が意図する新世界秩序構築の一環とみてよいであろう。
 領土問題や首相(や天皇)の靖国神社参拝問題、さらには南京事件・慰安婦問題などの歴史戦は、世界最強の軍隊を目指す中国が日本を屈伏させようとする一断面でしかない。
 我々一般国民は、マスコミが報道する首脳会談の状況しか知る由もない。しかし、「週刊新潮」(2004年12月16日号)が伝えた小泉首相と温家宝中国首相(共に当時)による首脳会談の模様は、穏便ではなかった。
 「特集 官邸が隠す『日中首脳会談』全記録」と銘うち、大見出しは「ODAでも靖国でも小泉首相は『恫喝』されていた!」となっている。
 内容を知れば知るほど、中国側の牽強付会の言いがかりと恫喝が浮かび上がってくる。
 「日中関係を困難にしているのは、・・・日本の指導者の靖国参拝です」
 「(中国との関係を強調した首相に対し)靖国参拝の理由について説明されたが理解できません。あの戦争で中国人が何人死んだか知っていますか。死傷者は数千万人に上っているのです」
 蒋介石の中華民国は自国民を盾に日本と戦い、また国共内戦では国民を巻き込んで毛沢東の共産党軍と戦ってきた。日本軍に追撃されると黄河を決壊させ住民100万人を死亡させ、日本軍は追撃を止め10万人を救出する。
 終戦時の日中戦争による死傷者は320万人としていた国民党(蒋介石)政府であるが、共産党政権になって以降は拡大の一途をたどり、江沢民元国家主席は3500万人が死傷したと述べた。
 中国は戦闘で必ず一般市民を巻き込み、兵士の10倍以上の民間人が死に、またそれ以上に家を消失し、破壊される家族が出るのが通常である。
 そうした事例は山ほどあるが、日本の美意識であろうか、首脳会談などでそれらを指摘して反論したりすることはない。
 温家宝首相(当時)の追及は続く。
 「靖国神社にはその数千万人を惨殺したA級戦犯が祀られているのです。中国国民はこれを受け入れることはできません」
 「戦争犯罪人と、心ならずも亡くなった一般国民、この2種類の人を分けるべきでしょう」
 具体的な祭祀の仕方まで言及する厚かましさである。
 温家宝氏自身が当初は数千万人の「死傷者」としていたのを、次には「惨殺」と言い換えて膨らましている。
 こうしたトリックは中国の常套手段で、指導者自ら「愛国虚言」を平然として恥じるところがない。
 温家宝氏は「もう一つ言及したい」として、「今、日本からは(ODAが)年間8億ドル来ているが、わが国が返しているのは13億ドルに上っている。今は円借款が必要な状況ではないが、・・・仮にこれを中止すれば、両国関係ははじける状況になります」
 「我々は戦争の賠償を一銭も日本に求めていない。・・・仮に日本がこの問題を取り上げるならば、中国から中止を言い出すかもしれない。中日友好には不利だ。適切に処理すべきである」と語っている。
 日本は中国と条約締結した1978年以降、アンタイドで3兆3千億円超の円借款を行い、それは世界が行った支援の6割を占めている。
 その他、無償援助3400億円超と技術支援、さらに旧輸銀が行った資源開発ローン3兆3000億円超を加えると、7兆円を超している。アンタイドは軍事力強化に利用された分も多いとされる。
 日本が敗戦で大陸を撤退する時に接取された資産総額(主として満州など)は約17兆円と見積もられ、それまで加えると、実に25兆円を中国大陸に投じたことになる。
 接取云々はともかく、こうした概ね無償の支援に対する感謝どころか、GDPが世界第2位の大国を自称しながら、「中止すれば両国関係ははじける」という脅しは、日本からは何としても毟り取りたいという姑息な考えで、矜持など持ち合わせない中国ということだ。
対中で腰折れの日本政府
 国民にとっては意気軒昂で敵なしの様相を見せていた小泉首相も、温家宝氏の口撃に対してはたじたじの様相。
 問題は、政府(官房副長官や外務省)がことの真相をほとんど国民に知らせず、穏便であったように画策していたことだ。こうした姑息が、多くの場合、日本の外交を誤まらせてきたのではないだろうか。
 日本が予想した以上に厳しい内容であったが、政府はそのことを一切国民に知らせず、官房副長官が報道陣に行ったブリーフィングでは「険悪な会談」を想像させる中身は一切なかったというものであった。
 2004年10月に南米チリで開かれたAPECで、小泉首相は胡錦濤主席(当時)と首脳会談を行い、「靖国神社参拝中止」を迫られていた。
 その10日後の会談で中国からの要請でもあり、再び靖国問題を持ち出すことはないだろうと勝手に外務省は考えて受け入れた。
 実際は、「早く(ODAを)卒業してほしい」と首相が直前に発言したことで、中国側が硬化していることを外務省は全く掴んでおらず、読みが甘かったのだ。
 外務省が事前に中国の態度を掴んでいれば、会談を断り、主導権を握る″こともできたとされる。
 民主党政権になると、日本政府の対中態度は卑屈としか言いようのない姿勢になる。
 「日本列島は日本人だけのものではない」という鳩山由紀夫首相の言葉に勇気を得たのか、中国資本による日本国内の土地・山林の買収が激しくなっていく。
 次の菅直人政権になると、中国人優遇策としてビザの緩和を次から次に行っていく。
 また横浜でのAPECでは、菅氏は会議を主催する立場から、何としても中国首脳との会談を行いたがっていた。そこで何度も中国側に打診するが、中国側からはうんともすんとも言ってこない。
 菅首相がどんな思いであったかは言葉では聞こえてこなかったが、実現した時の報道写真から読み取ることができた。
 小学生が先生の話を聞き洩らさないように記録でもするように、胡錦濤の顔をまともに見ることもなく緊張した顔で終始メモを見つめていた姿が目に浮かんでくる。
 中国がいかに首脳会談などを効果的に演出しているかが手を取るように読み取れる。安倍首相になってからの日中韓3首脳会談も日本の呼びかけに中国はなかなか応じてこなかった。
 今次の首相訪中も、両政府は10月23日から25日の間で調整したが、中国側の都合で再調整して26日に落ち着いたという。
 会議の設定段階から、主導権を握ろうとする中国側の意図が垣間見えるように思える。
尖閣諸島を「盗んだ」と臆面もなく言い放った中国首相
 中国は英国との香港返還に関する英中共同声明を一方的に破棄した。また、南シナ海の常設仲裁裁判所の判決に対しても「紙屑」と称して、従わないことを公言した。
 中国はこのように、二国間の約束事や国際法に基づく裁定結果などを一方的に破棄して平然としている。
 尖閣諸島が日本の領土であることは下記の「感謝状」に「日本帝國沖縄縣八重山郡尖閣列島」と明記されていることからも分かる。
 この感謝状は遭難して魚釣島に漂着した福建省恵安の漁民31人を当時の石垣村長・豊川善佐、石垣村衛生係雇・富田孫伴こと玉代勢孫伴(たまよせそんばん)、尖閣諸島を開拓した古賀辰四郎の子息の古賀善次らが救護したことに対し、中華民国駐長崎領事・馮冕から贈られたものである。
インターネットより
 このように、中国(当時は中華民国)は、尖閣諸島が日本の領土と認めていたわけで、近年主張している「古来から中国領」などは、歴史的事実を踏まえない真っ赤なウソである。
 しかし、こうしたことを無視するのが中国流のやり方でもある。李克強首相は就任後の初外遊でドイツ(とスイス)を訪問する。
 ポツダム会談の場となったツェツィーリエンホフ宮殿(プロイセンのヴィルヘルム皇太子の館)で、「日本が中国から盗み取った中国東北部や台湾などの島嶼を返還する、としたカイロ宣言を重ねて表明したポツダム宣言の意義を強調したい」と演説した。
 満鉄沿線や台湾などは戦争の結果として日本に割譲されたことを百も承知のうえで、国際社会に向けて「日本が盗み取った」と平然と嘘の発信するのが中国流である。
安倍訪中で正すべきこと
 安倍首相は就任以来、対中関係で
@靖国参拝はしないと明言しない
A尖閣は「帰属の係争問題がある」とする中国の言い分を認めない
 とする2点で妥協しなかったとされる。
 しかし、いまだに靖国参拝は1回きりで、2012年の自民党選挙公約で尖閣諸島に公務員を常駐させるとしていたことは実現していない。
 それどころか、尖閣諸島では日本の漁船の方が国有化以降は、中国に気兼ねして海保の取り締まりで近づけなくなってしまったと仄聞する。
 また、日中中間線周辺の日中合意のもとで(掘削などを)進めるとしていた約束を中国側は一方的に反古にして作業している。
 政府は「東シナ海を平和・協力・友好の海とするとの日中両国首脳間の共通認識を実現することが重要であると考えている」というが、相手は聞く耳をもっていない。
 そうであるならば、日本側も権利の行使として調査や試掘などの作業を進める方が対話の土俵に引き出すためにも良いのではないだろうか。
 ガス田にしても尖閣にしても、日本がどんな裏技を考えているか、あるいはやられっ放しにしておくのか寡聞にして知らない。しかし、中国は日本の事情を忖度するような、やわな国でないことは確かだ。
 日本が「友好のため」譲歩しても、中国はそのようには解釈せず、日本に対し「強硬な姿勢がもたらした結果」であると解釈するらしい。
 毛沢東の「敵退我進」戦略どおりである。
 尖閣の帰属も、田中角栄首相が国交回復で「日本の領土」を明言しなかったばかりに、周恩来やケ小平が係争地であるかのように含みをもたせ「棚上げ」や「後世の知恵」と言っているうちに、ちゃっかり領海法を制定して自国領とし、習政権が「核心的利益」に位置づけ、今日のような行動をとるようになってきた。
 日本が「言うべきこと」はしっかり言わなければ、相手の掌に載せられてしまうということである。
 外務省は、とかく首脳会談が平穏裏に行われたふうに装うことが多い。
 しかし、領土問題、歴史戦、靖国、ODA問題などについてはその内容を努めて国民に開示して、国家的意見の集約を見つけるようにすべきであろう。それが国益増進につながるはずである。
 外務省は省益あって国益なしで、「害」務省と揶揄されることが多い。
 首脳外交は友好の場であると同時に、国益を踏まえた闘いの場でもある。首相が国民の総意を持って臨むためにも、国民に真実を知らせ、普段からの意見集約が不可欠である。
 中国の一帯一路構想を多くの国が新植民地主義と批判し始め、関係国の中には計画の中止や縮小を進めているところもあり、困難に直面しつつあるとされる。日本接近はそのための後押し渇望という見方もある。
 安倍首相は、中国が日本に接近するのを歓迎すると同時に、友好を傷つけるかもしれないと忖度して曖昧な発言に留めるのではなく、「明確かつ敢然」と主張すべきは主張してほしい。
 また、理不尽な要求には断固反対を示してほしい。この方が、長い目で見れば「真の友好」につながるからである。
ロシアにも焦りが見られる
 ここまで中国を主体に述べてきた。しかし、北方領土はロシアに不法占領されたままである。
 安倍首相の「新しいアプローチ」を、ロシアは自国の都合の良い経済協力先行のように解釈している。そして、師団を配備し、またミサイルを展開するなどの軍事力を強化している。
 他方、2010年にはドミトリー・メドベージェフ大統領(当時)が日本の抗議を無視して国後島に上陸し、2012年には首相として再度上陸した。
 その後も同首相は択捉島に上陸するなど、北方領土はロシア領といわんばかりの示威行動をとってきた。
 ロシアがG8から追放されて以降、経済制裁が続行され、頼みの資源外交にも陰りが見えるなどして、隘路打開に中国接近を顕著にしてきた。しかし、頼みの綱の中国からの支援も怪しくなりつつある。
 経済で国民を活性化させなければ、長期政権を手に入れたばかりのウラジミール・プーチン大統領も信頼を失墜し、早々にレームダックしないとも限らない。
 そこで、安倍首相の新アプローチをあえて曲解してでも、日本への接近を強めようとの意図からか、突然「前提抜きの平和条約締結」を提案してきた。
 安倍首相には今後の3年間で外交懸案の全てを解決してほしいが、そう簡単ではないであろう。
 相手の接近を好機ととらえ、残された懸案については日本の国家意思を明確に反映した「解決方向」を確立してもらいたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54423

http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/110.html

[不安と不健康18] 米国人の平均寿命ランク低下、日本も長寿世界一にあらず−2040年予測 HowHealthy-will-we-be2040
米国人の平均寿命ランク低下、日本も長寿世界一にあらず−2040年予測
Alex Tanzi
2018年10月22日 13:20 JST
• 米国人の順位、16年の43位から40年には64位へ
• 40年時点でのトップはスペインとなる見通し−16年は4位だった
米国人の平均寿命は2016年時点で78.7歳と、世界195カ国・地域中43位だった。
  米ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)が最近発表したデータによれば、40年までに米国人の平均寿命は1.1歳しか伸びない見通し。79.8歳と、64位に大きく順位を落とすという。

  16年時点で76.3歳と68位だった中国は40年には81.9歳となり、39位に上昇する見込み。中国が上位40カ国・地域に入る一方で、クウェートと台湾、モルディブがトップ40から陥落する。
  40年時点で日本は長寿世界一の座をスペインに明け渡している見通し。スペインは16年、4位だった。
原題:Americans Lose Among 2040 Global Life Expectancy Rankings: Map(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-22/PGZF686JTSE801?srnd=cojp-v2

 


How healthy will we be in 2040?
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Originally posted October 16, 2018.

New health forecasting study: In ‘worse' scenario, half of all nations could face lower life expectancies

‘Better scenario’ finds nearly 50 nations gaining 10 years or more in lifespans

Large shift expected in premature death from communicable to non-communicable diseases and injuries

Huge potential to influence health through tackling high blood pressure, obesity, tobacco, alcohol, and air pollution

SEATTLE – How healthy will we be in 2040?

A new scientific study of forecasts and alternative scenarios for life expectancy and major causes of death in 2040 shows all countries are likely to experience at least a slight increase in lifespans. In contrast, one scenario finds nearly half of all nations could face lower life expectancies.

The rankings of nations’ life expectancies offer new insights into their health status.

For example, China, with an average life expectancy of 76.3 years in 2016, ranked 68th among 195 nations. However, if recent health trends continue it could rise to a rank of 39th in 2040 with an average life expectancy of 81.9 years, an increase of 5.6 years.

In contrast, the United States in 2016 ranked 43rd with an average lifespan of 78.7 years. In 2040, life expectancy is forecast to increase only 1.1 years to 79.8, but dropping in rank to 64th. By comparison, the United Kingdom had a lifespan of 80.8 years in 2016 and is expected to increase to 83.3, raising its rank from 26th to 23rd in 2040.

In addition, the study, published today in the international medical journal The Lancet, projects a significant increase in deaths from non-communicable diseases (NCDs), including diabetes, chronic obstructive pulmonary disease (COPD), chronic kidney disease, and lung cancer, as well as worsening health outcomes linked to obesity.

However, there is “great potential to alter the downward trajectory of health” by addressing key risk factors, levels of education, and per capita income, authors say.

“The future of the world’s health is not pre-ordained, and there is a wide range of plausible trajectories,” said Dr. Kyle Foreman, Director of Data Science at the Institute for Health Metrics and Evaluation (IHME) at the University of Washington, and lead author on the study. “But whether we see significant progress or stagnation depends on how well or poorly health systems address key health drivers.”

The top five health drivers that explain most of the future trajectory for premature mortality are high blood pressure, high body mass index, high blood sugar, tobacco use, and alcohol use, Foreman said. Air pollution ranked sixth.

The study is available at www.healthdata.org.

Accompanying collateral materials, including comprehensive listings and supporting data of all nations’ rankings, are available at https://cloud.ihme.washington.edu/index.php/s/AkAfRKXFaKwLpFr

In addition to China, several other nations are expected in 2040 to increase substantially in their rankings in terms of life expectancy, including:

Syria is expected to rise most in rank globally – from 137th in 2016 to 80th in 2040 –
likely, according to the authors, due to a conservative model for conflict;

Nigeria from 157th to 123rd; and
Indonesia from 117th to 100th
In contrast, Palestine is expected to drop the most in its life expectancy ranking – from 114th in 2016 to 152nd in 2040. Moreover, several high-income nations are forecast to drop substantially in their rankings, including:

United States, dropping the most for high-income countries, from 43rd in 2016 to 64th in 2040;
Canada from 17th to 27th ;
Norway from 12th to 20th ;
Taiwan (Province of China) from 35th to 42nd ;
Belgium from 21st to 28th ;
Netherlands from 15th to 21st ;
The rankings also find that Spain is expected to place first in the world in 2040 (average lifespan of 85.8 years), a rise from fourth in 2016 (average lifespan of 82.9 years). Japan, ranked first in 2016 (average lifespan 83.7 years), will drop to second place in 2040 (average lifespan 85.7 years).

Rounding out the top 10 for 2040 are:

(3) Singapore (average lifespan 85.4 years) ranked third, as compared to 83.3 years in 2016 and ranking also of third

(4) Switzerland (average lifespan 85.2 years), as compared to 83.3 years in 2016 and ranking of second

(5) Portugal (average lifespan 84.5 years), as compared to 81.0 years in 2016 and ranking of 23rd

(6) Italy (average lifespan 84.5 years), as compared to 82.3 years in 2016 and ranking of seventh

(7) Israel (average lifespan 84.4 years), as compared to 82.1 years in 2016 and ranking of 13th

(8) France (average lifespan 84.3 years), as compared to 82.3 years in 2016 and ranking also of eighth

(9) Luxembourg (average lifespan 84.1 years) as compared to 82.2 years in 2016 and ranking of 10th

(10) Australia (average lifespan 84.1 years), as compared to 82.5 years in 2016 and ranking of fifth.

Among those top 10 nations, even their ‘worse’ scenarios in 2040 remain above 80 years. In stark contrast, the bottom-ranked nations, which include Lesotho, Swaziland, Central African Republic, and South Africa, the “better” and “worse scenarios” in 2040 range from a high of 75.3 years in South Africa (“better” scenario) to a low of 45.3 years in Lesotho (“worse scenario”), a 30-year difference.

“Inequalities will continue to be large,” said IHME Director Dr. Christopher Murray. “The gap between the ‘better’ and ‘worse’ scenarios will narrow but will still be significant. In a substantial number of countries, too many people will continue earning relatively low incomes, remain poorly educated, and die prematurely. But nations could make faster progress by helping people tackle the major risks, especially smoking and poor diet.”

In a “worse” scenario, life expectancy decreases in nearly half of all countries over the next generation. Specifically, 87 countries will experience a decline, and 57 will see an increase of one year or more. In contrast, in the “better” scenario, 158 countries will see life expectancy gains of at least five years, while 46 nations may see gains of 10 years or more.

The future shift toward increased premature mortality from NCDs and injuries and away from communicable diseases is apparent by the changing proportions of the top 10 causes of premature death.

In 2016, four of the top 10 causes of premature mortality were NCDs or injuries; in contrast, in 2040, that number increases to eight. The eight NCD or injury causes in the top ten in 2040 are expected to be ischemic heart disease, stroke, COPD, chronic kidney disease, Alzheimer’s disease, diabetes, road injuries, and lung cancer.

The study is unprecedented in scope, Foreman said, and provides more robust statistical modeling and more comprehensive and detailed estimates of risk factors and diseases than previous forecasts from the United Nations and other population studies institutes.

IHME researchers leveraged data from the Global Burden of Disease (GBD) study to produce forecasts and alternative “better” and “worse” scenarios for life expectancy and mortality due to 250 causes of death for 195 countries and territories.

Researchers produced forecasts of independent drivers of health, including sociodemographic measurements of fertility, per capita income, and years of education, along with 79 independent drivers of health such as smoking, high body mass index, and lack of clean water and sanitation. They then used information on how each of these independent drivers affects specific causes of death to develop forecasts of mortality.

“The range of ‘better’ and ‘worse’ scenarios enables stakeholders to examine potential changes to improve health systems – locally, nationally, and globally,” Murray said. “These scenarios offer new insights and help to frame health planning, especially regarding long lag periods between initial investments and their impacts, such as in the research and development of drugs.”

In addition to calling attention to the growing importance of non-communicable diseases, the analysis exposes a substantial risk of HIV/AIDS mortality rebounding, which could undo recent life expectancy gains in several nations in sub-Saharan Africa.

Furthermore, while NCDs are projected to rise in many low-income countries, communicable, maternal, neonatal, and nutritional diseases are likely to remain among the leading causes of early death, thereby creating a “double burden” of disease.

The study is entitled “Forecasting life expectancy, years of life lost, and all-cause and cause-specific mortality for 250 causes of death: reference and alternative scenarios for 2016–40 for 195 countries and territories using data from the Global Burden of Disease Study 2016.”

Media contacts:

IHME: Kelly Bienhoff, +1-206-897-2884 (office); +1-913-302-3817 (mobile); kbien@uw.edu

IHME: Dean Owen, +1-206-897-2858 (office); +1-206-434-5630 (mobile); dean1227@uw.edu

About the Institute for Health Metrics and Evaluation

The Institute for Health Metrics and Evaluation (IHME) is an independent global health research organization at the University of Washington that provides rigorous and comparable measurement of the world’s most important health problems and evaluates the strategies used to address them. IHME makes this information widely available so that policymakers have the evidence they need to make informed decisions about how to allocate resources to improve population health.

The Future Health Scenarios Project

IHME’s Future Health Scenarios research examines a wide range of potential health outcomes in the future, including life expectancy, causes of death, and alternative landscapes for health trends. Past work on forecasting has provided an incomplete view of these landscapes, highlighting the need for a more robust model of study from which to assess policy options and ways to improve health systems. Understanding drivers of health and potential trajectories going forward is critical to guiding long-term investments and implementing policies.

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Data visualizations

GBD FORESIGHT VISUALIZATION
Analyze forecasts and alternative better and worse scenarios from 2017 to 2040 for 250 causes of death, life expectancy, years of life lost (YLLs) as well as risk-attributable deaths and .
http://www.healthdata.org/news-release/how-healthy-will-we-be-2040
http://www.asyura2.com/16/health18/msg/660.html

[経世済民129] 日本経済が直面している問題の答えは金融政策にはない=白川前日銀総裁 70歳までの雇用促進を政府議論、年金受給開始年齢引上

トップニュース2018年10月22日 / 18:06 / 15分前更新
日本経済が直面している問題の答えは金融政策にはない=白川前日銀総裁
1 分で読む

[東京 22日 ロイター] - 白川方明前日銀総裁(青山学院大学特別招聘教授)は22日、都内で講演し、日本経済が直面している問題の答えは金融政策にはないと述べた。白川氏は、日本経済の根本原因は、急速な高齢化や少子化に経済・社会が適合し切れていないことだと指摘。財政や日本経済の持続可能性に取り組むことが重要だと強調した。

白川氏は、2013年1月に出した政府・日銀の共同声明について「日銀として譲ることのできない基本原理を政府との合意文書に明記、全て書き込んだ。(物価安定目標の)2%は、経済の改革が進むことが前提としている」と説明した。

金融政策の出口議論については「金融政策の出口と言うのは適切ではない。金融政策それ自体というよりは、財政の持続可能性であり、日本経済の持続可能性。日本全体として持続可能性にしっかりと取り組むことが最大の出口戦略。金融政策の出口と言うと問題が矮小化する」と述べた。

現行の金融政策についての評価については「第3者として語る資格はない」とした。そのうえで、これまでに日銀が行った非伝統的な金融緩和政策は金融システム安定を守るという効果があった一方で、「問題がこれによって解決すると思ったとすれば最大のコスト」と指摘した。

清水律子
https://jp.reuters.com/article/japan-ex-boj-shirakawa-idJPKCN1MW13K


 

前向きに読み解く経済の裏側

非正規労働者こそ厚生年金に加入しよう

2018/10/22

塚崎公義 (久留米大学商学部教授)

 今回は『老後破産しないためのお金の教科書 』の著者である塚崎が、非正規労働者こそ厚生年金に加入すべきだ、と説きます。


(takasuu/Gettyimages)
日本の公的年金制度は2階建て
 日本の公的年金制度は、20歳から60歳までの全員が加入する国民年金と、サラリーマン(公務員、サラリーウーマン等を含む。以下同様)が加入する厚生年金の2階建となっています。

 国民年金の加入者は、3つのグループに分けられます。サラリーマンは、厚生年金保険料が給料から天引きされたことで、国民年金の保険料も支払ったものとみなされます。厚生年金保険料は、高額所得者を除いて年収の2割弱ですが、半額は勤務先の負担なので、個人負担は年収の1割弱です。

 サラリーマンの専業主婦は、国民年金保険料を払わなくても、夫が厚生年金保険料を給料天引きされたことで、払ったとみなしてもらえます。もっとも、パート等の収入が年間130万円(勤務先等によっては106万円の場合もある。以下同様)以上になると専業主婦とみなされず、厚生年金保険料を天引きされることになります。

 そこで、パートで働いているサラリーマンの専業主婦の多くは、年収が130万円に達しないように働く時間を調整しているわけです。「130万円の壁」と言われている現象です。それ以外(自営業者、失業者、非正規労働者等々)は、毎月の国民年金保険料を支払う必要があります。国民年金の保険料は定額で、年額20万円程度です。

非正規労働者も社会保険に加入した方が得
 独身の非正規労働者は、国民年金に加入していると年間20万円ほどの国民年金保険料を払わなくてはいけませんが、一定の条件を満たすと年収の1割弱を厚生年金保険料として天引きされるだけで済みますから、年収130万円の場合、年間の年金保険料が12万円ほどで済みます。

 ちなみに、非正規労働者が社会保険に加入するための一定の条件としては、ある程度以上の時間をパート等として働いて年収が130万円を超えることが必要ですが、それに加えてそもそも勤務先が社会保険に加入している必要があります。勤める前に、そこは確認しておきたい点ですね。

 しかも、厚生年金に加入していると老後に受け取れる年金が増えるのです。年収130万円で1年働くと、老後の厚生年金が毎年約7000円受け取れます。40年働くと、28万円、月2万円強が受け取れますから、チョッとした小遣いが死ぬまで受け取れるわけですね。

 彼(女)がサラリーマンである親の扶養家族であった場合には、それまで親の健康保険でカバーされていたのが、今度は自分で健康保険にも加入しなければなりませんから、ラフな計算ですが毎年6万円ほどの負担増となります 。

 その場合には、厚生年金に加入してもしなくても、年間の社会保険料に大きな差はありませんが、老後の保証が手厚くなることを考えれば、やはり社会保険に加入しておいた方が良いでしょう。ちなみに、細かいことですが、社会保険料を支払うと所得税や住民税が少し安くなりますから(所得税などの計算の際、社会保険料が所得控除となるため)、そこまで考えれば、やはり得なようです。

非正規と非正規なら結婚して片方だけが社会保険に加入する選択肢も
 非正規労働者の中には、「金がないから結婚できない」という人が多いですが、それは違うと思います。1人暮らしの非正規労働者は、結婚して2人で住めば、アパート代も電気代も半分近くに減るでしょう。もちろんこれは、結婚したい相手がいる場合、あるいは婚活を始めようか否かを迷っている場合の話であって、「好きでもないのに社会保険料のために結婚する」ということまでお勧めするわけではありませんので、あしからず(笑)。

 そして本稿の本題である社会保険料に関しても、結婚が得なのです。2人とも勤務先の社会保険に加入していないと、2人とも国民年金保険料と国民健康保険料を納める必要がありますが、片方が勤務先の社会保険に加入し、配偶者が扶養家族となることで、2人の合計の社会保険料が1人分で済むことになります。これは、かなり大きなメリットと言えるでしょう。

 そのためには、夫婦のどちらかが上記の条件を満たして社会保険に加入することが必要です。たとえば2人とも現在の年収が129万円である夫婦であれば、130万円と128万円の収入になるようにすれば良いのです。

 自営業者や失業者の専業主婦は社会保険料を自分で納めなければならないのに、サラリーマンの専業主婦だけは夫が厚生年金保険料を給料から天引きされたことで自分も国民年金保険料を支払ったものとみなされますし、夫の健康保険に扶養家族としてカバーされるのです。これは、制度としては不公平でケシカラン制度ですが、制度がある以上、それを賢く利用することは悪いことではありません。せいぜい利用しましょう。

サラリーマンの専業主婦も、思い切って200万くらい稼ごう
 サラリーマンの専業主婦は、上記のように恵まれているので、130万円以上稼いで特権を放棄するのはもったいないように思われます。しかし、それでも筆者は社会保険への加入をお勧めします。

 サラリーマンの専業主婦がギリギリ130万円の壁を超えて年間18万円ほどの社会保険料(年金保険料、健康保険料等)を支払うと、老後に毎年7000円ほどの厚生年金が受け取れます。65歳から90歳まで25年間受け取れば、概ね元が取れます。それ以上、何歳まで長生きしても小遣い程度ですが年金が受け取れるのです。しかも、将来仮にインフレになっても、原則としてインフレ分だけ年金支給額が増えるのです。これは、老後の生活資金を考える上で重要な安心材料です。
90歳まで生きなかったらもったいないから厚生年金には加入したくない、という読者もいるでしょうが、筆者はそうは思いません。公的年金は保険です。長生きして老後の蓄えが底を突いた時に受け取れる心強い味方です。

 火災保険が火事に遭って困った時に受け取れる心強い味方なのと同じです。「火事にならなかったら保険料を損するから、火災保険に加入しない」という人は少ないでしょう。まして「火事にならなくて損をした」と悲しむ人はいないでしょう。

 それなら、「早死にするともったいないから厚生年金には加入しない」と考えるべきではありませんし、早死にした場合に「厚生年金保険料を損した」と悔しがる必要もありません。「長生きしなかったから、老後の生活費が少なくて済んで良かった」と思いましょう。早死には決して嬉しいことではありませんが、老後の生活資金の事だけを考えれば、大いに助かる要因なのですから。

 なお、社会保険関係は細かい規則が数多くあり、本稿では概要しか示せていませんので、興味がある方は社会保険労務士かファイナンシャル・プランナーにご相談されると良いでしょう。それほど高くない相談料で、得られるものは大きいと思いますよ。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14279


ビジネス2018年10月22日 / 18:06 / 15分前更新
70歳までの雇用促進を政府議論、年金受給開始年齢の引き上げも=未来投資会議
1 分で読む

[東京 22日 ロイター] - 政府は22日の未来投資会議(議長:安倍晋三首相)で、少子高齢化による生産年齢人口の急減に対応し、高齢者雇用の促進について議論する。高齢者の健康状態が改善しているとして、70歳までの雇用を促進するため、法制度化を議論する。中途採用の拡大や年金受給開始年齢の引き上げも議論する。

日本の人口は2050年に約1億人まで減少すると見込まれており、今後、生産年齢人口も減少が加速する公算が大きい。

一方、高齢者の運動能力は過去10年間で約5歳若返っており、内閣府の調査によると60歳以上の8割程度が70歳以降まで働くことを希望している。

現在の雇用制度は企業に希望者の65歳までの雇用確保を義務付けているが、今後、1)定年延長、2)契約社員や嘱託などによる再雇用、3)定年制の廃止──などによる対応を議論する。

70歳までの就業機会確保に伴って、年金の受給開始年齢の引き上げや、受給開始年齢を自分で選択できる範囲の拡大なども検討する。

高齢者雇用拡大の一貫として、中途採用の促進も議論する。中高年を中途採用した企業はその後も同様の採用を行う意向が強いことを踏まえ、上場企業で中途採用に熱心な企業を集めた「中途採用協議会」を活用し、雇用慣行の変革を促す。

竹本能文
https://jp.reuters.com/article/mirai-government-idJPKCN1MW12Y
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/114.html

[経世済民129] 日経平均は604円安、一時2万2000円割れ 外部環境警戒で全面安 TOPIX1年超ぶり安値 識者はこうみる 3つの理由

ビジネス2018年10月23日 / 15:48 / 2時間前更新
日経平均は604円安、一時2万2000円割れ 外部環境警戒で全面安
2 分で読む

[東京 23日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は急反落。下げ幅は600円を超え、一時2万2000円を下回った。外部環境の不透明感が意識される中、上海株が下落したことが投資家心理を悪化させた。日米の企業決算の発表本格化を前に押し目買いの動きも限られ、日経平均は2カ月ぶりの水準まで下落。TOPIXは終値ベースで3月23日に付けた年初来安値を更新した。

東証1部銘柄の95%が値下がりする全面安商状。東証33業種全てが下落した。金属製品や建設、ガラス・土石が下落率上位に入った。東証1部売買代金は2兆5724億円。前日に4%を超す上昇となった上海総合指数が反落したほか、サウジアラビアの記者失踪問題やイタリア財政問題など懸念材料が多く、先物主導で売られ下げ幅を拡大した。

今晩の米キャタピラー(CAT)の決算発表に注目が集まる中、貿易戦争により企業業績にネガティブな影響が現れることを恐れる向きもあり、米株価指数先物が下げ幅を広げると、日本株にも売り圧力が強まった。日経平均は大引け直前に2万2000円を割れ、8月16日以来の安値水準を付けたが、終値での2万2000円割れは回避した。

日経平均ボラティリティー指数は前日の21.80ポイントから26ポイント台まで上昇した。「長期の投資家はほとんど動いてはおらず、短期筋の売りに左右された面が大きい」(ソシエテ・ジェネラル証券の株式営業部長、杉原龍馬氏)との見方も出ている。

個別銘柄では2019年3月期の連結純利益予想(国際会計基準)を大幅に下方修正したLIXILグループ(5938.T)が急落。連結子会社であるイタリアのペルマスティリーザを中国企業に売却することを決めていたが、米国当局からの承認が得られなかった。米中貿易戦争の影響との見方が広がる中、下方修正を受けた失望売りが強まった。

半面、自社株買いを発表したアイモバイル(6535.T)が続伸。トヨタ(7203.T)は小幅安。一部外資系証券が投資判断を引き上げたことが株価を下支えしたとみられている

東証1部の騰落数は、値上がり79銘柄に対し、値下がりが2015銘柄、変わらずが14銘柄だった。

日経平均.N225

終値      22010.78 -604.04

寄り付き    22404.14

安値/高値   21993.07─22410.15

TOPIX.TOPX

終値       1650.72 -44.59

寄り付き     1681.25

安値/高値    1650.01─1681.30

東証出来高(万株) 140528

東証売買代金(億円) 25724.88

Caterpillar Inc
128.71
CATNEW YORK CONSOLIDATED
+0.00(+0.00%)
CAT
CAT5938.T6535.T7203.T.N225
https://jp.reuters.com/article/tokyo-stox-close-idJPKCN1MX0O6



 
日本株大幅安、中国景気や海外情勢を懸念−TOPIX1年超ぶり安値
長谷川敏郎
2018年10月23日 7:58 JST 更新日時 2018年10月23日 15:38 JST
• 米国では決算への反応が二極化、中国株は上昇続かず大幅反落
• サウジ説明に米大統領納得せず、リクシルG下方修正で住宅株売り

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
23日の東京株式相場は大幅反落し、TOPIXは1年1カ月ぶりの安値。中国景気やサウジアラビアなど海外情勢の不透明感が強く、リスク回避から電機や化学など素材中心に全業種が下落。決算失望のLIXILグループが急落し、住宅関連株も軒並み売られた。
  TOPIXの終値は前日比44.59ポイント(2.6%)安の1650.72、日経平均株価は同604円04銭(2.7%)安の2万2010円78銭。TOPIXは2017年9月15日以来、日経平均は8月13日以来の安値。日経平均は8月16日以来となる2万2000円を割り込む場面もあった。

街中の株価ボード
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
  りそな銀行アセットマネジメント部の黒瀬浩一チーフ・マーケット・ストラテジストは「中国は政府がどこまで景気底割れを防ぐ意思を持っているのか、対策の本当の落としどころはまだ見えない。米国が貿易問題で打撃を与えている中で、短期の買い戻し以外は動きにくい」と語る。サウジなど市場が悪材料とみなしやすい要因はさまざまあると前置きしつつ、下げが大きくなった背景については「一方向に動けば走り出してしまうプログラム売買が犯人」と話していた。
  22日の米国株市場は中国株大幅高が追い風とならず、主要指数は高安まちまち。油田サービス大手のハリバートンや玩具メーカーのハズブロが決算失望で売られたほか、投資家のリスク許容度の指標の一つでもあった大麻株が急落。トランプ米大統領は22日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と話したとした上で、ジャーナリストのカショギ氏が死亡した経緯に関するサウジ政府の説明に依然満足していないと語った。米国株先物が大幅安で推移した上、中国上海総合指数が下げを拡大するとともに、日本株も下値を模索する展開となった。
TOPIXのチャート記事はこちらをご覧ください
  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荒井誠治投資ストラテジストは「米国では年初からの株価上昇で決算に対する期待値が上がっており、決算発表を受けた反応が上昇と下落に二極化してきた。今週はキャタピラーなど株価指数影響度が高い銘柄の決算発表が相次ぐが、事前に反応が読みづらい」と述べた。「前日に日経平均が安値から400円戻し、その反動が出ている」という。
  米中貿易摩擦やイタリア財政問題、サウジ情勢とグローバル投資環境に次々と不透明感が重なり、「日本株は海外要因に揺さぶられている」とSMBC日興証券投資情報部の松野利彦氏は話す。国内での新築着工の落ち込みやイタリア建材子会社の中国企業への売却が米の対米外国投資委員会で承認されなかったことで業績予想を大幅に下方修正したリクシルGを挙げ、「今後も同様のケースは出てくるだろう。米中貿易摩擦の影響により、日本企業も企業の資本効率や事業政策が制限される恐れがある」との見方を示した。リクシルGは急落し、住宅や住設機器、素材関連株も売られた。

• 東証33業種は全て下げ、金属製品、建設、ガラス・土石製品、パルプ・紙、化学、電気・ガス、機械、鉄鋼が下落率上位
• 東証1部売買高は14億528万株、売買代金は2兆5725億円
• 値上がり銘柄数は79、値下がりは2015、全体の96%が下げほぼ全面安
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円上昇、米株先物やアジア株下落でリスク回避圧力−ドル112円台半ば
小宮弘子
2018年10月23日 12:17 JST 更新日時 2018年10月23日 15:37 JST
• ドル・円は112円41銭まで円買いが進行
• ユーロ下落、イタリア予算巡る懸念で−初の是正勧告受ける公算
東京外国為替市場では円が上昇。中国株が反落し、米株先物や日本株が下げ幅を拡大する中、リスク回避に伴う円買いが強まった。
  円は主要通貨全てに対して上昇。ドル・円相場は朝方付けた1ドル=112円84銭から112円41銭まで円買いが進み、午後3時32分現在は112円44銭前後となっている。
  みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「政治を巡る不安が欧州や中国、中東などいろいろなところから出ており、市場の雰囲気を悪くしている」と指摘。ドル・円は株式市場の反応を見ながら「リスクを計っている」状態で、日本株が大きく下げている中で「中国株が下げるとリスクオフになりやすい」と話した。

  23日の東京株式相場は大幅反落し、日経平均株価は604円安で取引を終えた。米株価指数先物も下落。アジア株は全面安で、中国当局の支援表明を受けて前日に4.1%高と2016年3月以来の大幅高を記録した上海総合指数は2.2%安となっている。
  前日の海外市場ではイタリア予算案や英国の欧州連合(EU)離脱交渉を巡る不透明感から欧州通貨が売られる中でドル高が進行。ドル・円は一時112円89銭と今月10日以来の高値を付けたが、その後は米国株の下落もあり、伸び悩んでいた。
  IG証券の石川順一シニアFXストラテジストは、VIX指数(ボラティリティ指数)は反落したが、米国株は堅調とは言い難く、中国株も「刺激策による景気底上げがプラス要因」であるものの、上昇の持続性には疑問があると指摘。こうした中、「日経平均株価軟調でドル・円は上値が重い」とし、目先は10日移動平均線(ブルームバーグのデータでは112円35銭)が下値のめどになると語った。
  ユーロ・円は1ユーロ=129円を割り込み、一時128円61銭までユーロ売り・円買いが進行。ユーロ・ドルも1ユーロ=1.1439ドルまで弱含み、今月9日に付けた8月以来の安値(1.1432ドル)に接近している。
  EUの行政執行機関、欧州委員会は23日にもイタリアに対し、予算案を取り下げて修正し、再提出するよう正式に求めるかどうかを決定する。欧州委が加盟国に予算の修正を求めた例は過去にない。上田ハーローの小野直人ストラテジストはリポートで、イタリアは対話の必要性を呼びかけており、一触即発までには至っていないが、EU側もすんなりと予算を承認するとは考えづらいと指摘。EUの回答次第ではイタリアの金融市場を通じて、リスク回避の流れが強まる危険があるとみている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-22/PH0UT96KLVR601?srnd=cojp-v2


 

トップニュース2018年10月23日 / 14:28 / 3時間前更新
日経平均は一時600円超安、2カ月ぶり安値:識者はこうみる
2 分で読む

[東京 23日 ロイター] - 東京株式市場では23日、日経平均の下げ幅が一時600円を超え、約2カ月ぶりに2万2000円を割り込んだ。米中貿易戦争や米中間選挙に対する懸念など、外部環境の不透明感が意識される中、米株価指数先物の下落で警戒感が強まった。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●下落に3つの要因、懸念は早期に後退へ

<大和証券チーフテクニカルアナリスト 木野内栄治氏>

今日の下げの要因は3つある。前日とは異なり中国株が日本株のサポートとなっていないのが1点目。前日に公表された日銀の「金融システムレポート」で、今後株価が上昇した場にETF(上場投資信託)購入策が終了する可能性が意識されたのが2点目。さらに国内企業の中間決算発表の本格化を控え、投資家の手が出ない状況となっているのが3点目だ。

中国については上海総合指数が昨日4%の上昇となった。これだけ上がれば、過去の傾向からみて底打ちとなることが多い。だがグローバルの投資家が評価するには、人民元高が条件となる。足元では人民元安となっており、不安が広がっている。今後、中国当局による景気刺激策などの影響で、遠からず人民元高となるとみている。人民元安が一服し、中国株が上昇すれば評価されるはずだ。

日銀の金融システムレポートはタカ派的な内容に映るが、ETF購入策が終了するには日経平均が2万5000円台に乗せるなど株高が前提となるだろう。直近のような上下動を繰り返すうちはリスクプレミアムは改善しない。

決算に関しては、小売など2月期決算企業の直近のパフォーマンスは日経平均を上回っていた。これから発表される3月期決算の企業の株価もそれほど心配する必要はないだろう。短期的には人民元の動向が注視されるが、足元の日経平均の水準はいつ下げ止まってもおかしくない水準だとみている。

●経済は依然堅調、短期筋の売りが中心

<アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト 村上 尚己氏>

欧州の政治不安やサウジアラビアの記者の行方不明問題など不確実性が高まっているものの、それが経済や市場の中長期的なトレンドを変えるとはみていない。短期的な悪材料に、ヘッジファンドなど短期筋が反応している側面が大きいのではないか。

米経済は依然好調であるし、中国経済も政策効果が表れ、下支えしそうだ。景気の腰折れリスクが急速に高まっているとは考えにくい。本日は日本株の下落率が大きいが、日本独自の悪材料が出たわけでもない。

短期的な売りが一巡すれば、好調なファンダメンタルズに目が向かい、株価も持ち直すと予想している。
https://jp.reuters.com/article/japan-stocks-instantviews-idJPKCN1MX0D6

 

 


株、604円安の背後に「3つの理由」
証券部 松本裕子
2018/10/23 16:17日本経済新聞 電子版
 日本株の振れ幅が拡大している。23日の東京株式市場で日経平均株価は前日比604円安の2万2010円78銭まで急落した。日経平均が2万4270円の27年ぶり高値を記録したのは、わずか20日前の10月2日だった。それから11日の915円安を挟み、気がつけば2万2000円割れ寸前。月間の日経平均の値幅(高値から安値を引いた値)は2259円に達した。起点は米国の長期金利の上昇だが、世界の金融市場はそれをきっかけに1つ1つの材料に大きく反応する「乱気流相場」に入った。

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 今日の下げの理由は3つ。1つは底流として存在する中国懸念の再燃。そこに新しい懸念材料として「サウジリスク」が加わった。こうなると、値動きそのものを投資材料とする投資家たちの「売りトリガー」がひかれ、一段と下落を加速する市場のメカニズムが発動された。

 「中長期の投資家の買いの手が止まっている」。国内大手証券のトレーダーはいう。23日は朝方から売り注文が優勢で、心理的な節目の1つ、2万2500円をあっさり下回った。その後もほぼ一本調子で下げ幅を拡大し、この日の安値圏で取引を終えた。

 ベースにあるのが中国への懸念だ。中国の7〜9月期の国内総生産(GDP)実質成長率は前年同期比6.5%と9年半ぶりの低さになった。米中貿易摩擦の悪影響が一因だが、「本格的に出てくるのは10〜12月期以降」(UBS証券の青木大樹氏)といい、さらなる景気減速への警戒感が広がる。

 週末をまたいで発表された中国当局からの「株価維持策(PKO)」ともいえる施策の数々にも関わらず、中国株市場の下げがきついのも重荷だ。中国では金融機関が株式を担保にしたローンを出しているといい、「株安が金融システムへの不安につながる」(BNPパリバ香港の岡沢恭弥氏)構図。中国経済が一段と減速すれば、世界経済全体の下押しにもなりかねない。

 きょうのマーケットの注目材料として浮上したのが「サウジリスク」だ。サウジアラビア政府に批判的な記者が殺害された事件を巡り、米国内でも批判が高まっている。仮に米国がサウジに対し経済制裁をすれば、「サウジが報復として、原油価格の上昇を促したり、保有する資産の売却に動いたりするリスクがある」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成氏)と警戒する。原油価格の上昇はエネルギー輸入国である日本などにマイナスになる。加えて、金融市場の「巨大投資家」であるサウジが保有株などを売るとなれば、需給面での悪影響も大きい。サウジによる資産売却懸念から、22日の米市場では金融株が軒並み安。23日の東京市場でもソフトバンクグループ株が3%安になった。

 最近の市場は振れ幅を拡大する「増幅装置」の存在抜きには語れない。例えば、リスクパリティと呼ばれる戦略は株式や債券などの「変動の大きさ」に着目して投資する。株式の変動が大きくなれば自動的に保有株を売却する。株価が振れるほど、リスクパリティの売りが起き、さらに株価が振れるという展開になりやすい。相場の流れに追随する戦略を持つCTA(商品投資顧問)も一種の増幅装置の役割を担うことがある。株安の傾向が強まれば、保有株を売ったり新規の売り持ちをしたりするためだ。23日も市場の一部では「CTAのような機械的な売りが先物に出ていた」(外資系証券)との声があった。

 個別株の買いと売りを組み合わせるロングショートファンドが保有株の売却に動いたことも一因だ。9月半ば以降、相場上昇を期待して買い持ち高を増やしていたが、想定外の急落を受け、一気に買い持ち高を縮小した。今回の急落で痛手を受けたファンドも多く、今後、解約売りが出るリスクもある。

 日経平均は予想PER(株価収益率)などの面から見れば割安感も出てきた。だが、「中国やサウジなど複合的な要因が重なっており、今は積極的に買い向かいづらい」(国内運用会社)のが投資家心理だろう。「2万2000円が下値」(JPモルガン証券の阪上亮太氏)との声が多いものの、「仮に中国の状況悪化や米株安が加われば2万1000円まで下げる可能性もある」(BNPパリバ香港の岡沢氏)。当面、不安定な値動きが続きそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36812400T21C18A0000000/
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/127.html

[経世済民129] 安定に程遠い中国株、「天国か地獄か」との声−相場変動率が急上昇 サウジマネー失墜、投資家の目はカタール  為替条項超円高

安定に程遠い中国株、「天国か地獄か」との声−相場変動率が急上昇
Bloomberg News
2018年10月23日 7:53 JST
• 上海総合指数のRVが約45%、主要47株価指数で最高水準に
• 投資家の信頼回復にはさらなる時間必要−前海マトリックス
株式相場の押し上げに向けた中国当局の強い思いが、意図せざる結果をもたらした。ボラティリティーの急上昇だ。
  上海総合指数の10日間のリアライズド・ボラティリティー(RV)は約45%と、ブルームバーグが継続調査する新興国・先進国市場47の株価指数の中で最も高くなった。中国の証券取引所が株価下支えにつながり得る措置を打ち出したことなどを受け、上海総合指数のRVが急激に高まった。22日の市場では、上海総合指数を構成する1400を超える銘柄のうち21銘柄を除いて全て上昇した。
  同構成銘柄のうち、値幅制限いっぱいの10%高となったのは70余り。上海総合指数は終値で前週末比4.1%上昇し、2016年3月以来の大幅高で引けた。先週末19日も2.6%高で取引を終えており、これほどの値上がりの後にそれをさらに上回る上昇率で続伸するのは、この3年余りで初めてだった。ただ同指数は1月に付けた高値をなお25%ほど下回っている上、3営業日連続の値上がりは8月以降ない。
  北京凌通盛泰投資管理のファンドマネジャー、董宝珍氏は「天国か地獄かといった様相だ。安定はない」と述べた。

  この2営業日の相場急反発は単独で見れば大きく感じられるが、1月以降、時価総額3兆ドル(約338兆円)余りを消失した中国株式市場にとっては、わずかに息をつける機会にすぎない。立ちふさがる問題の一つは、中国の大半の経済指標が弱くなっていることだ。米国が貿易と通貨の面で中国非難の語調を強める中、市場の警戒感は根強い。
  群益証券の林静華アナリストは「中国株の急反発は今の時点では理にかなっているが、長期的な見通しは依然として経済のファンダメンタルズ次第だ」と指摘。「不透明感が最も大きいのは、貿易戦争だ」と述べた。
  中国株式相場が底を打ったとの見方で、同国株取引の80%余りを占める個人投資家は勢いづくとみられる。ブルームバーグの集計データで22日の売買代金は計4220億元(約6兆8500億円)と、7月以来の高水準となり、少なくとも中国本土の投資家はより楽観的であることが示唆された。同日の市場では、海外投資家は証券取引所の接続を通じて本土A株を売却した。
  前海マトリックス・パートナーズ・キャピタル・マネジメント(深圳)の郭偉文アナリストは「投資家の信頼が完全に回復するには、さらなる時間が必要だ」と述べた。

原題:Beijing Stems the Bleeding in the World’s Wildest Equity Market(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-22/PH0IRY6K50XT01


中国株、上海総合指数が反落−当局の追加支援策も響かず
Bloomberg News
2018年10月23日 12:14 JST 更新日時 2018年10月23日 17:41 JST
• 上海総合指数は2.3%安−前日は4.1%高だった
• 市場は中国経済を依然として懸念−天風証券の梁金鑫ストラテジスト
23日の中国株式相場は反落。上海総合指数が午後に入り下げ幅を拡大した。中国人民銀行(中央銀行)が民間企業による債券発行を支援する計画を発表したが、反応は薄かった。香港株も急落した。
  上海総合指数は前日比2.3%安の2594.83で終了。前日は4.1%高と、2016年3月以来の上昇率だった。深圳総合指数は1.9%下げた。
  香港市場ではハンセン指数が3.1%下落で引けた。香港上場の本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)指数は2.4%値下がり。
  天風証券の梁金鑫ストラテジスト(上海在勤)は「中国経済を市場は依然として懸念している」と指摘した上で、「人民元相場や貿易戦争、米国株下落などのそれ以外の要因も圧迫を強めた。前日の本土株上昇は証券株主導だった。このことは投資家が依然として買うべき銘柄が分からないことを示している」と述べた。

原題:China’s Stocks Lurch Lower Again as Rebound Proves Short-Lived(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-23/PH17O86JIJUP01


 


 


 
外為フォーラムコラム2018年10月23日 / 15:48 / 1時間前更新

サウジマネー失墜、投資家の目はカタールへ
George Hay
2 分で読む

[アブダビ 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 大規模な天然資源がもたらす富、改革を進める支配一族、経済の多様化を図るための潤沢な資金──。湾岸諸国への投資、とりわけこうした点を重視するアセットマネジャーが最初に思いつく国は、つい最近までサウジアラビアだった。

スタートアップ企業や各国政府も同様に、ソフトバンク(9984.T)の第2ビジョン・ファンドにサウジが出資すると報じられている450億ドル(約5兆円)、あるいは米投資会社ブラックストーン(BX.N)のインフラファンド構築にサウジが出資を約束した200億ドルにひきつけられている。

しかし、政府に批判的だったジャマル・カショギ記者が死亡した事件を受け、サウジの評判が失墜した今、カタールが投資家の「ベストな選択」になるかもしれない。

軸足をカタールに移すことは、思ったよりもおかしなことではない。アラビア半島の砂漠の小国は昨年6月、バーレーン、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、そしてサウジアラビアから、数々の罪を着せられて経済制裁の対象とされた。その結果、同国の金融システムから海外に300億ドルの資金流出を招いた。

だが、カタールは貿易相手国を変え、中央銀行からの400億ドルとソブリン・ウェルス・ファンドからの3000億ドルを自国の金融システムに注入した。そのうち160億ドルは、すでにアジアや欧州の銀行、投資家からの資金で借り換えたとフィッチは試算する。

残りも借り換えができるなら、カタールは400億ドルのキャッシュを余分に手にすることになる。同国の財政が昨年は2.9%の赤字だったのに比べ、今年は4.7%の黒字が予想されていることを考えれば、それはそう難しいことではないだろう。それをいやらしく思うなら、そうした資金を使ってビジョン・ファンド並みの規模の投資家になればいい。

カタール投資庁が保守的になりがちだとしても関係あるまい。同国は2024年までに液化天然ガスの生産量を現在の7700万トンから1億1000万トンに増やす見通しだが、そうなれば収益が400億ドル増える可能性がある。22年のサッカーワールドカップ(W杯)の開催が近づくにつれ、年間の資本投資は現在の約270億ドルから半減することが見込まれており、投資庁は大きな花火を打ち上げるかもしれない。

サウジの新たな産業都市開発計画「NEOM」のようにカネをばらまくよりも、カタールは堅実なインフラ資産に投資する可能性がある。アフリカなどで中国企業と手を組むことも考えられる。ガスやエネルギーの技術拠点として生まれ変わることを目指すかもしれない。

だが、ビジョン・ファンド型のハイテク系投資家を目指すのが少なくとも実現可能なように思える。カタールの進んだ社会政策や報道の自由への取り組みは、見識ある欧米のスタートアップ企業や政府機関を魅了するだろう。投資家は来年、サウジではなくこぞってカタールに向かうかもしれない。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/column-saudi-money-idJPKCN1MX0NL

 


外為フォーラムコラム2018年10月23日 / 14:55 / 34分前更新
コラム:
為替条項、超円高につながる「地雷」の可能性

上野泰也  みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
4 分で読む

[東京 23日] - 米財務省が17日公表した最新版の外国為替報告書では、2016年の米大統領戦でトランプ氏が公約した中国の為替操作国認定が実現するかどうかが注目されたが、政権内で穏健派とみられているムニューシン米財務長官は、この認定を見送った。

同報告書によると、中国人民銀行による直接の為替介入は今年、限定的にしか行われていないと財務省は推定。為替操作国に認定されるための基準を中国は満たさなかったという。

とはいえ、中国は、インドや日本、ドイツ、韓国、スイスとともに、引き続き監視対象国に指定された。米財務省は中国人民元の下落を懸念しており、中国人民銀行と協議を続けながら今後6カ月にわたって綿密に監視していく意向だ。

<現実味帯びる日米「為替条項」>

ここにきて米国の為替政策に市場の関心が集まった背景には、上記した中国の問題もさることながら、韓国やメキシコ、カナダに続いて、日本が物品貿易協定(TAG)の本協定あるいは付帯文書で「為替条項」を米国から押し付けられるシナリオが、にわかに現実味を帯びてきたことがある。

ムニューシン財務長官は13日、「われわれの目的は為替問題だ。今後の通商協定には(それらを)盛り込みたい。どの国ともだ。日本だけを対象にしているわけではない」と明言した。これは、トランプ政権内で強硬派とみられるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が以前に述べた内容とも整合しており、為替問題では政権内にブレはない。 

では、米韓自由貿易協定(FTA)の見直しに際して「為替条項」を受け入れた(と米国サイドが主張している)韓国での状況について、今回の為替報告書ではどのように書かれているだろうか。

該当部分を読むと、韓国ウォンの上昇を食い止めるような為替介入(ウォン売りドル買い介入)の実施状況に、米財務省が非常に高い関心を抱いていることが分かる。

同報告書には、「ウォンはドルに対して17年後半に7%上昇したが、この動きのほとんどは18年に反転した」、さらに「17年11月と18年1月には顕著で憂慮すべき為替介入の増加があり、それらはドルに対するウォンの上昇を緩慢にする目的で行われたようにみえる」といった記述がある。また、「韓国は国内需要を強くすることが重要だ」と指摘しており、これは歴代の米政権が日本に対して輸出依存からの脱却や貿易黒字の削減を強く要求してきた際のロジックと、全く同じである。

「通貨に関する韓国の動きを、最近当局が発表した為替介入の透明性を向上させるという計画も含めて、米財務省は綿密に監視し続ける」という文章で、同報告書のエグゼクティブサマリー(概要)にある韓国の項目は締めくくられている。為替相場は市場が決定するという変動相場制の大原則への信奉に加えて、貿易相手国が競争的な通貨切り下げを行うことは許容しない、という米国の強い意志の一端を感じ取ることができる。

<潜在的に「大きな材料」>

では、日本についてはどのようなことが書いてあるだろうか。

概要では、米国との財貿易で18年6月までの4四半期に700億ドル(約7900億円)の黒字を計上していることや、同期間の経常黒字はGDPの4.0%に達しており、直近10年間の最高水準に近いこと、ほぼ7年にわたって日本は為替介入を行っていないことが指摘されている。

その上で、米財務省が期待することとして、「規模が大きく自由に取引が行われる為替市場において、介入(という手段)は非常に例外的な状況において、適切な(米国との)事前協議を伴った形でのみ、留保される」と明記されている。また、報告書の後半にある詳細な説明部分には、このところの日銀の金融政策運営に関する記述がある。

驚いたことに、日銀が7月末に緩和策の修正を決めた後、ややパニック的な長期金利の急上昇を抑える(市場心理を落ち着かせる)ために8月2日午後に予定外に実施した4000億円の長期国債買い入れについて、「5─10年の日本国債を36億ドル買い入れた」という表現で、しっかり書かれていた。米財務省は日銀によるオペレーションの実施状況も含め、その金融政策運営をつぶさにモニタリングしているようだ。

来年1月にも始まるとみられている日米TAG協議で、米国が日本に対して受け入れを迫る可能性が高い為替条項について、「今すぐ」に円買いに走るべき(さらには日本株売りに動くべき)材料かと言えば、そうではない。

だが、潜在的には非常に大きな材料になる、と筆者は認識している。

なぜなら、将来的に米国の利上げに急ブレーキがかかり、さらには同国の利上げ局面が終了したという観測が広がるなどの事態が発生して、金融政策のベクトル変化を材料に円高・ドル安が大幅に進み、「アベノミクス景気」の土台が揺さぶられる事態になった場合でも、日本の政策当局による為替介入や追加緩和といった円高阻止のための施策が封じ込められてしまうためだ。

為替条項という「地雷」を日本が踏んでしまった場合、円高の流れが強まった際に、それを阻止するために打つべき手が見当たらないという事態に陥ってしまう。

したがって、日本政府としては、なんとか玉虫色の表現を用いた文章を、日米為替条項の「落としどころ」とした上で、米国とは解釈の相違があると主張し続けるなど、円高阻止に必要な政策運営の手足を縛られる事態を極力回避する作戦を考えていかざるを得ないだろう。

ただ、相手があのトランプ大統領であるだけに、どこまでそれがうまく運ぶのかは、むろん未知数である。

*本コラムは、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

上野泰也氏 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト(写真は筆者提供)
*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yasunari-ueno-idJPKCN1MX0ID


 

外為10時 円、小動き 112円台後半 対ユーロは上げ幅拡大
2018/10/23 10:24
23日午前の東京外国為替市場で円相場は前日比横ばい圏で小幅な動きとなっている。10時時点では1ドル=112円73〜74銭と前日17時時点に比べ2銭の円高・ドル安水準だった。日経平均株価が下げ幅を広げた場面で投資家が運用リスクを回避する動きを強め、円買い・ドル売りが入った。一方、ユーロや英ポンドに対するドル買いが対円に波及し、円相場の重荷となった。

10時前の中値決済に向けては、「ドルの需給に偏りはなかった」(国内銀行)との声が聞かれた。売買注文の規模が小さく、相場の方向性は出にくかった。

円は対ユーロで上げ幅を拡大した。10時時点では1ユーロ=129円19〜20銭と同84銭の円高・ユーロ安だった。イタリアの財政不安や英国の欧州連合(EU)離脱協議の行方に不透明感が強く、円買い・ユーロ売りが強まった。

ユーロは対ドルでやや下げ幅を広げた。10時時点では1ユーロ=1.1459〜60ドルと同0.0073ドルのユーロ安・ドル高だった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕
https://www.nikkei.com/article/DGXLASS0IMF03_T21C18A0000000/


http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/128.html

[経世済民129] 米国の巨額財政赤字 中間選挙で変わるアメリカと世界の景色 トランプ氏の支持率上昇、中間選挙 自然災害と通商摩擦、輸出下方

2018/10/22 16:20
米国の巨額財政赤字

中空麻奈
BNPパリバ証券投資調査本部長

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「米国の景況感は絶好調」とFOMC委員が強気になっていることが、発表された9月のFOMC議事要旨で確認された。しかし、聊か自信過剰気味にも見える。家計消費好調、可処分所得が上昇している、という点はよいにせよ、貯蓄率が上昇していることさえ、強気な景気見通しの証拠の一つとして羅列されてしまっている。日本では『貯蓄から投資へ』、と必死に促すもなかなか投資に回らない、と嘆いている。その背景に、将来に対する漠たる不安があるから、日本国民は貯蓄するのだ、という解説されるのが普通。しかしところ変わって米国だと、さらに消費が増えるかも、と解説される。ポジティブシンキングにも程がある、と見えなくもない。
しかし、そんな米国も、頭痛の種は多い。そこら中を取り巻く地政学的リスク、米中貿易戦争の過熱化、シアーズに見られる小売りセクターの再編やそれに伴う波乱など。加えての財政赤字問題。
議会予算局CBOは2020年度に財政赤字1兆ドル突破と試算。本来は2022年度に同1兆ドル突破から二年前倒しで達成との厳しい見通し、である。トランプ政権が財政政策を発動してきたことに加え、2017年12月からの大幅減税により、ダブルで財政赤字悪化ペース拡大に効いてしまうため。向こう数年間は財政赤字の対GDP比は増加し、2017年3.5%から、2022年5.4%、2028年にかけて4.6-5.2%程度というイメージである。連邦債務残高対GDP比も当然悪化。IMFの見通しでは2018年の同比率は108%。債務残高対GDP比で見れば日本より“まし”だが、財政赤字対GDP比はよほど米国の悪化が激しい見通し。米国のデフォルトは実質的にはあり得ない話だが、これまでも時折、政府閉鎖を経験したり、定期的に市場のリスクとして浮上してきたことを考えれば、米国の巨額財政赤字にも対応をしておく必要がある。そうでなければ、パウエルに嫌味を言って金利上昇を阻止しようとしても、勝手に金利上昇圧力がかかってしまうことになりかねない。


米財政悪化 6年ぶり水準 18会計年度 赤字87兆円、減税で
2018/10/16付 
 【ワシントン=鳳山太成】米財務省は15日、2018会計年度(17年10月〜18年9月)の財政収支の赤字が前年度比17%増の7790億ドル(約87兆円)だったと発表した。17年末に成立した大型減税で法人税収が減少したのが主因。赤字は3年連続で拡大し、6年ぶりの高水準となった。

 トランプ政権は減税や規制緩和で経済成長率を高めれば税収増で財政収支は改善に向かうと主張してきたが、財政赤字の国内総生産(GDP)比は3.9%と0.4ポイント拡大した。財政悪化は金利上昇のリスクを高め、金融市場の波乱要因となる。
 歳入は0.4%増の3兆3287億ドル。堅調な景気と雇用情勢にもかかわらず、伸び率は鈍った。税制改革で連邦法人税率を35%から21%に引き下げた影響で法人税収が22%減った。一方、鉄鋼やアルミニウムへの追加関税発動などで関税収入は2割増えた。
 歳出は4兆1077億ドルで3.2%増えた。軍事費や社会保障費が膨らんだほか、公的債務の利払い費がかさんだ。
 ムニューシン財務長官は声明で「無駄な歳出を削るとともに、強力な経済成長を実現してきたトランプ大統領の経済政策を進めれば、米国の財政は持続可能な方向に進む」と改めて強調した。
 米行政管理予算局(OMB)のマルバニー局長は膨らむ政府債務について「トランプ大統領は強く認識している」と指摘する一方、「無責任で不要な歳出を引き起こしてきた議会への警告だ」と予算成立の条件に軍事費や社会保障費の拡大を求めた共和党や民主党をけん制した。
 与野党は歳出上限の引き上げで合意するなど、財政悪化に歯止めがかかる兆しはみえない。
https://comemo.io/entries/10944


 

Washington Files

中間選挙で変わるアメリカと世界の景色

2018/10/22

斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)


(iStock.com/flySnow/Purestock)
 11月6日の米中間選挙は、トランプ政権の真価が問われるだけでなく、結果次第では国内のみならず世界にも大きな波紋を投じる可能性を秘めている。ここでは、野党民主党が下院を奪回した場合と、共和党が両院で引き続き多数を維持した場合のふたつのシナリオを下に、年明け後、内外の景色がどう変わるかを予測する―。

 筆者はワシントン特派員時代、1978年(カーター政権)、1986年(レーガン政権)そして1994年(クリントン政権)の3回の米中間選挙を取材してきた。例年なら大統領選挙とくらべ有権者の投票率も平均2割以上も低下し、盛り上がりを欠くところだが、今回ほど熱気のこもったケースは過去にも珍しい。民主、共和党陣営が投じた選挙資金も約40億ドル(約4400億円)と史上空前規模に達した。

 米国マスメディアは1年以上も前から異常なほどの関心を示し、早くも「選挙後何が起こるか」についてさまざまな見方まで出始めている。

 以下に2019年以降に変わると予想されるアメリカと世界を展望する。


(WD Stuart/Gettyimages)
シナリオT<民主党、下院奪回の場合>
【アメリカの景色】

(1)トランプ大統領の税申告内容徹底調査 

 アメリカの歴代大統領は就任に際し、自らの過去の個人所得と確定申告内容を国民の前に公表してきたが、トランプ氏はマスコミや市民団体からの度重なる要求にもかかわらず、これを拒否し続けてきた。

 しかし、下院を民主党が制した場合、真っ先に指摘されているのが、闇に包まれてきたトランプ氏の過去の所得実績と納税申告の本格的追及だ。

 具体的には、政治家や高級官僚の不正ににらみをきかせる強大な権限を持つ下院監査委員会の委員長ポストが共和党のトレイ・ガウディ議員からエリジャ・カミンングズ民主党議員に交代するため、政権発足以来初めて本格調査がスタートする。

 下院議長に返り咲きが見込まれているナンシー・ペロシ議員は早くも今月11日、サンフランシスコ・クロニクル紙とのインタビューで「われわれが下院で勝利した場合、真っ先に着手するのは、トランプ氏の納税内容を明るみにすることだ。私はそれを約束する」と強調した。

 下院歳入委員会の次期委員長就任がうわさされるリチャード・ネール民主党議員もCNNテレビ番組の中で、「大統領が率先して税申告内容を公表してくれることを望むが、それが実現しない場合、別の方法を考える」と語り、法的措置も辞さない構えを示した。

 すでにニューヨーク・タイムズなどの調査によると、トランプ氏は父親から何億ドルにも上る資産の譲渡を受けながら、ほとんど相続税を払っていなかったことが明らかになっているが、下院委員会の証人喚問など強制力を持った本格調査でその後も“税逃れ”の実態が解明されれば、トランプ氏はきわめて苦しい立場に追い込まれることになる。

(2)ロシア疑惑再調査

 2016年米大統領選挙へのロシア介入とトランプ陣営との共謀疑惑に関する議会での真相究明は、これまで上下両院とも与党共和党が制してきたため、形式的な調査のみで事実上“幕引き”となった。

 しかし、下院を民主党が制した場合、情報特別委員会および政府活動委員会などで、
疑惑の中心的存在となっているトランプ氏の長男ドナルド・ジュニア、義息ジャレッド・クシュナー各氏らが重要参考人として喚問され、再び真相究明に一段と拍車がかかることが予想される。

 さらに、議会とは独立して捜査を進めてきたモラー特別検察官も、議会調査の本格化と合わせ、急ピッチで最終報告作成に取り組むことになり、その内容次第では、大統領弾劾の可能性も視界に入って来る。税調査と合わせトランプ氏にとって深刻な懸念材料だ。 

(3)メキシコ国境壁構想の挫折

 大統領が鳴り物入り進めてきた「国境の壁」建設計画が、予算審議で絶大な影響力を持つ下院歳出委員会の委員長ポストが民主党に移ることにより、とん挫することが十分考えられる。

 大統領は建設総コストとして200億ドルの支出を見込んでおり、議会に対し早期承認を要求し続けている。これに対し、上院はとりあえず一時的に50億ドルの支出を可決済みだ。

 しかし、民主党が下院を制した場合、200億ドルの予算計画は否決され、50億ドルについても、見直しが行われる公算が大きい。

 不法外国人の入国阻止を意図した壁建設構想が挫折することになれば、大統領が就任前から重視してきた「アメリカ・ファースト」の看板自体にも、汚点を残すことになるだけに、トランプ政権へのダメージは大きい。

(4)オバマ・ケアの充実

 共和党政権がいったんは廃止を試みた医療制度改革「オバマ・ケア」が一部手直しを含めより一層充実した内容となる。共和党が上院で多数を維持した場合でも、2020年の選挙での有権者の反発を回避するため、支持せざるをえなくなる。

【世界の景色】

(1)NATO同盟関係再確認へ軌道修正

 下院民主党は昨年以来、トランプ大統領がNATOを軽視する発言を繰り返してきたことを厳しく批判、今年7月には、44人もの民主党議員が「自由主義の価値を共有する西欧同盟に対し敬意を表するとともに防衛コミットメントを再確認するべきだ」とする特別メッセージをホワイトハウスに送った。これを受けて下院本会議も同趣旨の決議案を超党派で可決した。

(2)「宇宙軍」創設の見直し要求

 ペンス副大統領は今年8月、陸、海、空軍および海兵隊に加え独立した「宇宙軍」新設を発表した。しかし、軍事関係予算について強大な権限を持つ下院軍事委員会の次期委員長就任が予想されるアダム・スミス議員は「われわれはすでに宇宙資産防衛強化のために『宇宙部隊』創設を検討中であり、大統領が議会と何の相談もなしに勝手に独立軍創設を打ち出すことは容認できない」と反対態度を表明しており、「宇宙軍」の規模の縮小または空軍との関係の再調整が行われる可能性が大きい。

(3)米韓合同軍事演習の再開

 大統領は朝鮮半島非核化交渉を通じ北朝鮮に対し、米韓合同軍事演習の無期限中止を約束してきたが、スミス議員らは「北東アジア軍事情勢の重要度にかんがみ、できるだけ早期に再開すべきだ」と主張してきた。ペンタゴンの中にも同調する動きがあることなどから、非核化交渉で実のある進展が見られない場合、2019年早々にも、議会のホワイトハウスに対する軍事演習再開圧力が強まることになる。

(4)米中貿易戦争拡大

 ペロシ議員ら民主党幹部はかねてから、国内製造業の強力なバックボーンとなっているAFL-CIOなど労組の突き上げを受けて、中国に対しては関税引き上げのみならず、幅広い貿易不均衡是正措置をトランプ政権に要求してきた。このため、民主党が下院を奪回した場合、対中貿易不均衡を抜本的に見直すため、関税のみならず、幅広い品目に対して輸入規制措置を要求ことも否定できない。

(5)パリ協定離脱再検討を要求

 トランプ政権は昨年6月、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を発表、世界を驚かせたが、環境保護政策を支持してきた民主党幹部議員たちは、上院民主党議員団と歩調を合わせホワイトハウスに対し、離脱の見直しを迫る構えを見せている。もし、万が一、中間選挙で上院も民主党が勝利した場合は、その圧力は無視できなくなり、ホワイハウスとしても真剣に再考せざるを得なくなる。

シナリオU<共和党勝利の場合>
【アメリカの景色】

(1)オバマ・ケアの廃案

 中間選挙勝利により国民の信託を得たとしてホワイトハウスと議会がこれまで以上に結束を強め、大統領が内政の最重要課題としてきた医療制度改革廃止が現実のものとなり、個人の自由意思で民間の医療保険を選択できる新たな制度がスタートする。

(2)環境保護規制の撤廃に拍車

 トランプ政権は発足以来、石油、天然ガス、石炭新規開発推進のため、すでに多くの政府規制措置の撤廃に取り組んできた。エネルギー開発を景気浮揚、雇用拡大のための
手段として重視してきただけに、今後、環境保護を犠牲にした開発が本格化することが
予想される。

(3)「国境壁」完成へめど

 下院共和党はこれまで、ホワイトハウスの意向に沿ってメキシコ国境全域を対象とした本格的な「国境の壁」建設のための予算配分に意欲を見せてきたが、中間選挙を前に世論動向を気にした上院共和党が慎重だったため、本格審議を見合わせてきた。しかし、選挙で勝利したことで弾みがつくことになり、大統領が要請してきた200億ドル相当の支出が正式に承認される公算が大きい。

 これと並行して、中東諸国や一部テロ支援国からの入国制限、中米諸国を対象とした不法入国者およびその家族の国外退去措置もさらに徹底されることになる。

(4)ロシア疑惑捜査にからむ人事刷新

 トランプ大統領は、これまで進められてきたロシア疑惑捜査について「でっち上げの魔女狩り」だとして、捜査の総括責任省である司法省のセッションズ長官、ローゼンシュタインタイン副長官の仕事ぶりに対したびたび不満を表明してきた。しかし、選挙で勝利したことで自信を強め、来年1月早々にも両氏の解任に踏み切り、捜査自体を早期に終了させることを画策するとみられる。

 同時に、モラー特別検察官も解任、結果として大統領としての「身の潔白」を証明する好機としたい考えだ。

(5)「人工妊娠中絶は違憲」の最終判断

 トランプ政権の強力な支持基盤であるキリスト教右派勢力は早くから、「中絶禁止」を声高に訴えてきた。このため、中間選挙での勝利を受けて大統領は年明け早々にも、正式に全米向けに禁止の大統領命令を発令する公算が大きい。

 仮に民主党系の州知事や議会が異議を唱え、最高裁に最終判断が委ねられることになったとしても、保守共和党色に染まったキャバノー新判事の就任により、保守派判事が多数を占めるため、上訴が却下され、国家としての中絶禁止が確定することになる。

【世界の景色】

(1)対中関税戦争エスカレート

 今年春以来の対中関税戦争の仕掛け人としてにわかに注目を浴び始めたホワイトハウス内のピーター・ナバロ貿易・製造政策部長(Director of Trade and Manufacturing Policy)が、中間選挙勝利によって通商代表部(USTR)以上の強大な権限を担うことになり、「中国側が譲歩するまでは関税攻勢をさらに強化する」(ナバロ氏)可能性が大きい。『米中もし戦わば』の著書もあるナバロ氏は共和党内で対中最強硬派として知られ、国内製造業復活を唱導、トランプ大統領の信任もとくに厚いとされる。トランプ・ホワイトがNAFTAを解体し、米国、メキシコ、カナダ3国間の新たな貿易取り決め「USMCA」への移行を決定したのは、ナバロ氏の提唱によるものだった。

(2)対日防衛支出増の要求

 トランプ大統領は北東アジアの軍事バランス維持に関連して、日本の防衛分担増に言及してきた。

 仮に近い将来、とくに2020年でトランプ氏が再選された場合、北朝鮮の非核化達成と引き換えに在韓米軍撤退を決断するシナリオも皆無ではない。その関連で、対日防衛増要求が一段と強まることも考えられる。 

(3)TPP再加入の検討

 ピーター・ナバロ氏はトランプ政権発足前から、アメリカにとって不利だとしてTPPからの脱退を主張してきた。

 しかし、米中関税戦争のさらなるエスカレート、今後北東アジア全域における中国の軍事拡張次第では、拡大する中国の脅威に対抗するために、中国抜きの多国間貿易取り決めであるTPPへの再加入を検討する可能性が残されている。

 すでにトランプ大統領も、再交渉で現状よりアメリカにとって有利な内容が盛り込まれることを条件として、再加入もありうる可能性を示唆している。

(4)米朝関係正常化の加速

 トランプ大統領は中間選挙勝利により、2020年大統領選での再選に向けて自信を強めることになり、外交面、とくに朝鮮半島において北朝鮮の非核化達成を含め「歴史的な成果」達成に本腰を入れることになる。

 中間選後の第2回米朝首脳会談が注目されるが、北朝鮮側が非核化に向けて、保有核戦力および核開発施設を網羅したリスト提出など具体的な姿勢をみせることになれば、それと引き換えに「朝鮮戦争終戦宣言」さらにワシントンと平壌への連絡事務所相互設置の可能性も濃厚となってくる。

 そして完全な非核化が達成された場合は、米朝関係正常化への道が開かれることになる。

(5)核戦力含め軍事力近代化と増強

 レーガン政権当時の「強いアメリカ」構想を継承し、今後、中国の軍事的脅威に対抗するため、核兵器、通常兵器両面の技術革新と軍備拡大に大胆に踏み出すことが十分予想される。 
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14292

 

トランプ氏の支持率上昇、中間選挙への関心高まる=WSJ/NBC調査
有権者登録事務所の外に並ぶジョージア州グイネット郡の住民(19日)

By Janet Hook
2018 年 10 月 22 日 09:58 JST

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースが実施した新たな世論調査によると、米中間選挙に対する有権者の関心度は共和・民主両党とも過去最高水準に高まっており、ドナルド・トランプ大統領の支持率上昇に貢献している。一方、議会を主導するのにふさわしいとされる党では民主党がリードを保っている。

 わずか2週間後に迫った選挙の行方に大いなる不透明感をもたらしている力学にさらされながらも、有権者の間では熱気が高まっている様子がうかがえる。

 登録有権者の約3分の2は中間選挙に強い関心を示した。この割合は、WSJとNBCが2006年に共同調査を開始して以来で最高だ。

 共和党系の世論調査専門家ビル・マッキンターフ氏は「白熱した戦いだ。スイッチが入った(中略)彼らは選挙運動やプロセスに関わっている」と述べた。同氏は民主党系のフレッド・ヤング氏とともに今回の調査を実施した。

 選挙に対する共和党支持者の関心はかつて民主党支持者を大きく下回っていたが、ブレット・カバノー最高裁判所判事の承認を巡る対立の後に差が縮小した。今回の調査では、共和党支持者の68%、民主党支持者の72%が、選挙に強い関心があると答えた。中間選挙に関する調査ではそれぞれ過去最高だ。

 共和党支持者の関心が高まるにつれ、トランプ氏の仕事ぶりを評価するとの回答が就任以来で最高の47%に上昇した。評価しないとの回答は49%だった。9月の44%、52%から改善した。

 どちらの党が議会を支配すべきかとの質問では民主党がリードを保った。実際に投票する公算の大きい有権者の50%は民主党、41%は共和党が支配すべきだと答え、先月の調査とほぼ同じだった。登録有権者全体ではそれぞれ48%、41%だった。

 ヤング氏は調査の結果について、民主党躍進が広く予想されていた今年の下院選が、「共和党支持者の関心が高まっていることを受けて不透明性の激流」にのまれつつある兆しだと述べた。

 全国的には民主党の人気が高いが、最も重要な下院選挙区ではその優位性は消えている。超党派の選挙分析機関クック・ポリティカル・リポートが最も激戦とする地区では、議会を支配すべき党についての質問でさえ両党は互角だ。9月の調査では、民主党のリードは登録有権者全体の間で13ポイント、投票予定の有権者では6ポイントだった。

 選挙への関心は、ヒスパニック、アフリカ系、若者など、民主党を支持する傾向にある多くの層で急上昇した。選挙に高い関心を示した黒人有権者は3分の2超と、1〜9月の調査の平均57%を上回った。

 選挙に高い関心を示すヒスパニックは9月までの平均47%から71%に急上昇した。18〜34歳の層では平均35%から約50%に上昇した。

 接戦の場合に結果を左右することになる無党派層では、民主党が議会を主導すべきだとの回答が41%、共和党が27%だった。だが無党派層は3分の1が投票先を決めておらず、選挙への関心も低めだ。強い関心を示したのは46%にとどまった。

 女性有権者の間ではまたも民主党が優位だった。共和党が議会を支配すべきだとの回答は57%、民主党は32%と、2カ月連続で民主党が25ポイント上回った。男性有権者では、共和党が52%、民主党が38%と、共和党が14ポイント上回った。

 貿易問題への対応については、民主党支持より共和党支持の回答が17ポイント高く、8月の調査の8ポイントから差が拡大した。無党派層では共和党支持が38%、民主党支持が16%だった。

 現在の米国は分断されているとの回答は80%、共和党と民主党の政治的分断は問題だとの回答は90%に達した。

 調査は登録有権者900人(投票する可能性が高い有権者は645人)を対象に14〜17日に実施された。

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米中間選挙、政治的分断をさらに拡大へ
【寄稿】中間選挙、共和党の反転攻勢
https://jp.wsj.com/articles/SB10832262964510654670704584546692445235068


 

ビジネス2018年10月23日 / 16:58 / 1時間前更新
自然災害と通商摩擦に留意、輸出を下方修正=10月月例経済報告
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[東京 23日 ロイター] - 政府は23日発表した月例経済報告で、全体の景気判断は10カ月連続で「緩やかに回復している」として据え置いたが、自然災害や中国経済減速などを背景に、輸出の判断を下方修正した。海外経済については、景気減速や急速な元安などを踏まえて中国に対する見方を下方修正した。政策態度として、来年10月の消費税率の引き上げにも言及し、経済運営に万全を期すとした。

今月は景気について、「夏以降、自然災害の影響や海外経済の不確実性が景況感を押し下げていることに留意する必要がある」と指摘した。

輸出に関する判断は8月にも「持ち直しの動きに足踏みがみられる」に下方修正、そして今月10月も「おおむね横ばいになっている」とさらに下方修正した。9月のアジア向け輸出は前月比1.1%減少。台風の影響で関西空港からの輸出が減少したほか、中国でのスマートフォン生産やデータセンター需要の一服などが影響したと分析した。また、先行きについても通商問題の影響に留意する必要があると指摘した。

その中国の景気については「持ち直しの動きに足踏みがみられる」とし、15年7月以来の下方修正となった。中国政府が進める構造調整の影響もあり、国内総生産(GDP)成長率が7─9月に低下したほか、インフラ関連投資が大幅に鈍化、人民元安も進んだと指摘。外貨準備の減少や貿易量の増減はまだ小幅なものにとどまっているが、今後の動向に留意が必要としている。

中川泉  
https://jp.reuters.com/article/oct-economic-report-idJPKCN1MX0W2

http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/129.html

[医療崩壊5] 「私たちも人間」救急医が厳しい勤務告白…デーモン閣下「心に響く」医療のかかり方会合 
「私たちも人間」救急医が厳しい勤務告白…デーモン閣下「心に響く」医療のかかり方会合
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2018年10月22日 18時42分 弁護士ドットコム
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デーモン閣下が構成員となっている厚生労働省の「上手な医療のかかり方を広めるための懇談会」(座長:渋谷健司・東大院教授)の第2回会合が10月22日、東京都内で開かれた。現役の若手救急医が、月に2日しか休めないなど厳しい労働環境であることを報告。改めて、医師の「自己犠牲」のうえに成り立っている現場を改善する必要性が共有された。

●月の宿直6回、たった8人で年中無休の現場対応
懇談会は医師の働き方改革を進めるうえで、患者側の理解を得る必要があると考え厚労省が設置したものだ。この日の会合では、東京女子医大東医療センター救命救急センターの赤星昂己医師(20代)が自らの勤務状況を説明。現場がきわめて過酷な状況であることが示され、懇談会の構成員たちは少なからずショックを受けた様子だった。

赤星医師の説明によると、勤務先(集中治療室20床、一般床10床)ではセンター長らを含め8人の医師で365日24時間、救急対応と入院患者の管理をしているなか、昨年は都内3位となる1855件(重症患者)もの搬送があったという。赤星医師の場合、週99時間勤務し、月の宿直は6回、完全に休めるのは月2日程度だったこともあった。

また、赤星医師は自らの経験として、ある猛暑日のエピソードを紹介した。頭痛を訴える患者が搬送され、直後に胸痛を訴える患者の救急要請が入ったが、ベッドや人手が足りずに受け入れられないことがあったという。頭痛を訴えた患者は、実は1年前から時々頭痛があり、「今日は暑くて熱中症が心配で」と救急要請をしていたことは後からわかった。

「緊急度の低い患者さんの受け入れが多くなると、緊急度の高い患者さんを受け入れできなくなる」と赤星医師。救急医もひとりの人間で、睡眠時間が全く取れず朝から一度も食事をとれないこともあり、その結果、無意識に集中力が低下していることがあるかもしれないと指摘し、「それでも患者さんが来院されれば全力で診ています」と述べた。

●時間外受診は「お互いに損」
一方、夜間休日の時間外受診は「お互いに損」だと赤星医師は強調した。それは、お金が余分にかかり検査が完璧にできないだけでなく、薬も数日分しか処方ができないこと、そして疲弊した医師が対応する可能性があることなどからだという。

赤星医師は、不必要な時間外受診だけでなく、内科医が外傷の診断をするなどミスマッチを防ぐため近隣で受診すべき医療機関を教えてくれる「アプリ」の開発を提案。さらに、このような問題に全く興味を抱かない人へも届くよう、報道機関やSNSを活用した世論形成が必要だと指摘した。

赤星医師による説明を受け、デーモン閣下は「心に響く内容。相当、日本の医療が危機に瀕している。どうやって知らせるべきか、重要性を感じた」。渋谷座長は「自己犠牲で痛々しい。自己犠牲に頼っている医療は持続可能なのか。不可能だ。ちゃんとやっていかないと本当にまずい」と話した。

赤星医師は「正直にいうとかなり厳しい。実質、休めない。僕は今20代なのでやれるけど、50代までというと考えてしまう」。厚労省医事課によると、週あたり勤務時間が60時間以上である常勤医師(病院勤務)の割合は、30代男性医師の56.9%(30代女性医師=27.9%)、20代男性医師の56.7%(20代女性医師=48.3%)にのぼるという。

●「医療の危機を煽る必要がある」
救急車を呼ぶべきかどうか迷った時に相談できる短縮ダイヤル(#7119)について、この日の会合でも認知度の低さが問題だと指摘されていた。

デーモン閣下は、いま消費税の引き上げをめぐって報道が相次いでいることに触れ、「民放は視聴率が取れるから消費税を取り上げる。医療の話もとにかく生活に密着していて、危機なんだぞと煽る必要がある。#7119の整備と喧伝を始めるべき」と述べた。

電通でコピーライターなどの経験がある「ツナグ」代表取締役の佐藤尚之氏は「タクシーみたいに救急車を呼んじゃう人は、情報リテラシーが低い。#7119とか伝えても伝わらないのではないか」と語り、医療現場が危機的状況にあることを広く世間に伝えるべきだとした。

●懇談会、撮影制限なく「フルオープン」に
なお、この日の会合はすべての時間帯を通じて、報道関係者による写真・動画撮影が可能だった。前回会合で「フルオープンにすべき」との意見が構成員側から複数出たことを踏まえ、事務局である厚労省が構成員の意向を改めて確認して対応を変更した。

(弁護士ドットコムニュース)

弁護士ドットコム

外部サイト
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「医療」をもっと詳しく

人口比でみると関東の医師が少ない 西と東の医療サービス格差
生活保護の一歩手前で医療を受けられず「手遅れ死」が問題に
受刑者の処方箋、看護師ら1千枚偽造 医師は休暇で不在
http://news.livedoor.com/article/detail/15482147/
http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/740.html

[戦争b22] トランプ大統領:核兵器増強でロシア、中国を上回る費用投じる  米海軍艦艇2隻の台湾海峡通過、中国が「懸念を表明」と抗議 
トランプ大統領:核兵器増強でロシア、中国を上回る費用投じる
David Tweed
2018年10月23日 21:16 JST
米国にはどの国よりも多くの資金がある。はるかに多くだ−大統領
中距離核戦力全廃条約の破棄の意向、あらためて言明
トランプ米大統領は、核兵器増強にどの国よりも多くの費用をつぎ込むと表明し、中国とロシアに対して新たな対決を仕掛けた。

  トランプ氏は22日遅く、米国の核兵器を増強する用意があるかとの問いに対し、「米国にはどの国よりも多くの資金がある。はるかに多くだ。米国は核兵器を増強する」と述べ、「彼らが正気に返るまでだ。その時が来たらわれわれは賢明になり、すべてをやめるだろう」と話した。

  米中間選挙の集会を前に、トランプ大統領はあらためて旧ソ連との間で締結した中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄する考えを示した。トランプ氏はロシアの条約違反を主張するが、ロシアはこれを繰り返し否定している。

  ロシアのプーチン大統領に対する示威行動なのかと問われたトランプ大統領は、「誰に対しての示威行動でもある」と述べ、「相手は中国も含まれるし、ロシアもそうだ。火遊びを考えている国はすべてだ。そんな火遊びは許されない。そんなものを私に仕掛けることはできない」と言明した。

原題:Trump Vows to Outspend Russia, China on Nuclear Arsenal Buildup(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-23/PH1QG86K50Y401?


 

米海軍艦艇2隻の台湾海峡通過、中国が「懸念を表明」と抗議
David Tweed
2018年10月23日 22:33 JST
米海軍2隻が台湾海峡を通過したことについて、中国は懸念を表明した。米艦艇が同海峡を通過したのは7月以降で2度目。

  米太平洋艦隊の報道官、ネイト・クリステンセン海軍中佐はミサイル駆逐艦「カーティス・ウィルバー」とミサイル巡洋艦「アンティータム」の2隻は「国際法にのっとり」通過作戦を実行したと説明した。

  中国外務省の華春瑩報道官は23日、北京での定例記者会見で米国側に「懸念を表明した」と発言。「台湾は中国の領土保全を巡る問題であるとともに、米中関係にとって最も重要かつ神経質な課題だ」と、7月に米艦艇が同海峡を通過した時と同じ文言を述べた。

原題:China Protests After U.S. Sails Warships Through Taiwan Strait(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-23/PH1V0K6TTDS501?

 
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/376.html

[経世済民129] イタリア不安は終わらず−成長鈍化や所得保障をゴールドマン懸念 イタリア首相:来年度予算案、「プランB」の用意はない
イタリア不安は終わらず−成長鈍化や所得保障をゴールドマン懸念
John Ainger
2018年10月23日 15:12 JST
• 年金改革の後退に伴い公的債務が10年で10%ポイント増加も
• 債務拡大がさらなる格下げを正当化する恐れがあるとゴールドマン
イタリアの信用格付けが投資適格級を当面維持する見通しとなったことで、イタリア債の相場は元気になった。しかし、米銀ゴールドマン・サックス・グループによれば、市場は政策変更を政府に促す圧力を強める必要がありそうだ。
  ゴールドマンは、年金改革の後退に伴い公的債務が10年で10%ポイント増加する可能性を特に懸念し、イタリアの状況に厳しい見方を示す。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスの格下げにもかかわらず、イタリアの信用格付けはジャンク級(投機的格付け)をなお1段階上回る水準を維持し、22日の市場のセンチメントは上向いた。だが債券相場の上昇は続かなかった。
  ゴールドマンのストラテジスト、シルビア・アルダーニャ氏はリポートで、「われわれのイタリアのマクロ・財政予測は、同国政府とムーディーズのいずれと比べてもより悲観的だ。財政政策を巡るレトリックと軌道の変化をもたらすために必要な圧力を加えるには、市況は持ち直す前に悪化する必要があるかもしれない」と指摘した。
  同行はまた、貧困層の最低所得保障の導入案と経済成長の鈍化によって、イタリア政府の基本的な前提が試される恐れがあると警告し、債務の拡大がさらなる格下げを正当化する可能性があると予想した。S&Pグローバル・レーティングは26日にイタリアの格付けを見直す予定。

原題:Goldman Warns It’s Not Over Yet for Italian Debt Market Woes(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-23/PH1DPN6K50XU01


イタリア首相:来年度予算案、「プランB」の用意はない
John Follain、Alessandra Migliaccio
2018年10月23日 22:34 JST
• コンテ首相、ブルームバーグニュースとのインタビューで発言
• 予算案の実質的な変更「受け入れられず、難しい」
イタリアのコンテ首相は、政府内に予算案を変更する「プランB」の用意はないと主張した。イタリアの予算案を巡っては、欧州委員会や投資家が懐疑的な反応を示している。
  コンテ氏は23日、ブルームバーグニュースとローマで行った英語によるインタビューで、欧州委員会委員らと会合を持ち、予算案について説明することを心待ちにしていると表明。予算案の実際の支出ではなく側面に関して微調整する一定の余地があると示唆したものの、実質的な変更に応じるのかとの問いに「それは受け入れられず、個人的には難しい」と回答した。

イタリアのコンテ首相(23日、ローマ)
フォトグラファー:Alessia Pierdomenico / Bloomberg
  さらに、予算案の変更に備えた「プランBなど全くない」と言明し、来年度財政赤字は「GDP比2.4%が上限だと私は話してきた。これが上限になると断言できる」と続けた。
  イタリア債とドイツ債のスプレッドが400ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達する見込みはないとも発言した。クレディ・スイスはこの水準に達すれば、イタリアの銀行システムに持続不可能な圧力がかかる恐れがあると警告している。コンテ氏はまた、イタリアはユーロにコミットしていると述べ、同国とドイツの「現在のスプレッドの一部はイタリアのユーロ離脱観測が影響しているとの証拠を持っている」と語った。
原題:Italy’s Conte Rules Out ‘Plan B’ on Budget as He Seeks Dialogue(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-23/PH1YNT6K50XT01


http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/133.html

[経世済民129] 債券先物が上昇、海外不透明感でリスク回避圧力−日銀懇談会は警戒 米中間選挙の結果に「テールリスク」利回り曲線が混乱も
債券先物が上昇、海外不透明感でリスク回避圧力−日銀懇談会は警戒
三浦和美
2018年10月23日 8:00 JST 更新日時 2018年10月23日 15:58 JST
• 先物は10銭高の150円29銭で引け、日中取引で約1カ月ぶり高値
• リスクオフ意識されやすい中で後場は先物買いが増加−岡三証
債券市場では先物相場が上昇。海外情勢の先行き不透明感を背景に日本株安・円高が進むなど、リスク回避の動きが強まったことから買い圧力が掛かった。一方、日本銀行がこの日に開く市場調節に関する懇談会を控えて、国債買い入れオペの修正観測がくすぶっていることから現物債の上値は限定的となった。
  23日の長期国債先物市場で中心限月12月物は前日比横ばいの150円19銭で取引を開始。午後に日経平均株価が下落基調を強めると、徐々に水準を切り上げ、結局は10銭高の150円29銭と、日中取引ベースで9月14日以来の高値で引けた。
  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「世界的にさまざまな問題が出てきて、先行きがどうなるか分からない状況が続いている。リスクオフが意識されやすい流れの中で、後場になって先物の買いが増える展開になった」と指摘。また、「流動性供給入札の結果がややしっかりと受け止められた」と言う。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の352回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と変わらずの0.15%で取引を開始。午後の取引終盤には0.5ベーシスポイント(bp)低い0.145%を付けた。前日は日本相互証が仲介する業者間の取引で352回債の売買が成立しなかった。
新発10年国債の取引不成立の記事はこちらをご覧下さい。
  この日の東京株式相場は大幅反落。サウジアラビア情勢など世界的に先行き不透明感が強まる中、日経平均株価は604円04銭(2.7%)安の2万2010円78銭で引けた。外国為替市場では円が主要16通貨に対して全面高となり、ドル・円相場は1ドル=112円台前半と、前日の高値112円89銭からドル安・円高が進んでいる。
流動性供給入札
  財務省はこの日に残存期間5年超15.5年以下の既発国債を対象に実施した流動性供給入札の結果は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率は2.93倍と、前回の同年限の入札と同水準だった。
過去の流動性供給入札の結果はこちらをご覧下さい。
  午後5時半からは日銀が市場調節に関する懇談会を開催する。市場では国債買い入れオペに関する方向性を探る材料として注目されている。
  岡三証の鈴木氏は、「懇談会を無風に通過した場合は、週内に超長期ゾーン対象のオペを2回控えて、需給的には割とタイトだというところが意識されやすい。引き続き来週の金融政策決定会合やオペ運営方針の公表も控えており、横ばい推移が戻る可能性がある」と話した。
新発国債利回り(午後3時時点)
前日比
2年債 不成立
5年債 不成立
10年債 0.145% -0.5bp
20年債 0.680% -1.0bp
30年債 0.915% 横ばい
40年債 1.080% -0.5bp
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-22/PH0UT96KLVR601


 

米中間選挙の結果に「テールリスク」、利回り曲線が混乱も
Austin Weinstein
2018年10月23日 3:33 JST
いずれかの政党の決定的勝利、市場見通しより確率高い−ハーマン氏
民主党ならフラット化、共和党ならスティープ化に進むと予想
11月6日の米中間選挙で、上院と下院の多数派が異なる「ねじれ」議会が誕生すると予想する向きが多い。だが、MUFGセキュリティーズアメリカの金利ストラテジスト、ジョン・ハーマン氏は、いずれかの政党が決定的な勝利を収める可能性は大半が予想するよりも高く、そうなれば米国債利回り曲線にとって大きな「テールリスク」になると警告した。


ジョン・ハーマン氏Source: Bloomberg
  ハーマン氏は19日付のリポートで「中間選挙結果に関して金融市場が見込む基本シナリオについて、当社のモデルに従うと、市場には過大な『油断』があるように見受けられる」と指摘。「中間選挙を前に市場の見方に『油断する』ようにとは、顧客に勧められない。テールリスクが発生する恐れがあるからだ」と続けた。

  ハーマン氏はいずれかの政党が上下両院を制すると予測しているわけではなく、その可能性への注意を投資家に呼び掛けただけだ。だが、このリスクが発生する確率は37%だとし、市場のプライシングが現在示唆するよりも高いという。

  民主党が両院を制すれば、トランプ大統領の弾劾手続きが始まる可能性があるほか、増税や防衛費削減、社会保障費用の増加が模索されそうだ。ハーマン氏によると、これらは経済成長の減速を後押しするため利回り曲線はフラット化に向かう。

  逆に共和党が両院の過半数を維持して票を伸ばした場合は、インフラ支出の増額やいっそうの減税が実現に向かうため利回り曲線はスティープ化すると、ハーマン氏はみる。


原題:Beware Midterms ‘Tail Risk’ That Could Roil the U.S. Yield Curve(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-22/PH0GXP6JIJUR01

 
インドネシア中銀、政策金利を5.75%に据え置き−ルピア相場安定で
Karlis Salna、Viriya Singgih、Tassia Sipahutar
2018年10月23日 16:39 JST
• エコノミスト調査では30人中21人が金利据え置きを見込んでいた
• 5月以降5回の利上げ−今月に入りルピア相場が安定
インドネシア銀行(中央銀行)は23日、主要政策金利の据え置きを発表した。5月以降5回利上げを実施した結果、今月に入り通貨ルピアが安定して推移している。
 
  政策金利である7日物リバースレポ金利は5.75%に維持された。ブルームバーグのエコノミスト調査では、30人中21人が金利据え置きを見込んでいた。

原題:Indonesia Holds Key Rate as Run of Hikes Helps Stabilize Rupiah(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-23/PH1JJ16K50XS01


http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/134.html

[国際24] 右傾化するポーランド、なぜ欧州に背を向けたか
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2018年10月24日 / 08:10 / 1時間前更新
特別リポート:
右傾化するポーランド、なぜ欧州に背を向けたか
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[ワルシャワ 18日 ロイター] - モニカ・パウリクさんは昨冬、泥の中を這い回り、凍った地面を掘って塹壕を作るポーランド軍の予備軍訓練に参加した。娘のヘレナちゃんは、まだ2歳になっていなかった。
普段は町役場の事務職員をしているパウリクさんは、予備軍に加入することで将来的に発生し得るリスクについて、何の誤解も抱いていない。母国のためなら、死ぬ覚悟だと言い切る。
「もし戦争が起きれば、私たちのような部隊は死地に送り込まれることは分かっている」と、パウリクさんは言い、「自分自身のため、そして愛国的な責任感から加入した」と説明した。
24歳のパウリクさんは、欧州連合(EU)市民だ。そして、「自分の国を守る」という彼女の決意は、ポーランドやEU諸国で広まる不安感を反映している。

ポーランド軍の予備軍訓練に参加するパウリクさん。2017年12月撮影(2018年 ロイター/Kacper Pempel)
2017年に創立されたポーランドの予備軍には、すでに1万5000人近くが加入している。ポーランド軍は、今後数年内に5万3000人規模に拡大させたい考えだ。
ポーランドは、北大西洋条約機構(NATO)の正式メンバーだ。旧ソ連圏からEUに加入した国の中でも最大で、ポーランド財務省によると、EUから受け取った援助金の額も1000億ユーロ(約13兆円)と、加盟国で最大となっている。
EU加盟国であることは、支持されている。だが多くのポーランド国民は、外国が内政に影響を及ぼすことへの不満も口にする。ハンガリーやチェコといった東欧の国も、状況は同じだ。
例えば、ポーランドとハンガリーは、亡命希望者の受け入れ枠を設けるよう求めたEUの要請に応じなかった。ポーランドの与党「法と正義(PiS)」などの政党は、愛国心を鼓舞することで支持を集めており、その攻撃対象にはEUも含まれる。
EUの分断を深めるこうした傾向は、金融危機や、それに続くシリアやアフリカからの大量の移民流入に原因があると指摘されている。だが、1989年にソ連の支配下から脱出したポーランドなどの欧州諸国では、「未来への不安」はずっと根深いものだ。

パウリクさんが住む人口わずか数十人程度の町は、ロシアの同盟国であるベラルーシ国境から150キロの距離にある。

祖母から相続したという小さな家の窓は、赤と白の花の鉢植えで飾られている。紅白のポーランド国旗をイメージしたもので、今年ポーランド独立100年を記念して夫と一緒に飾ったという。

「祖母が以前、この森をドイツ人が通り、そしてロシア人が通過していった時のことを話してくれた。ロシア人は時々、村人の頭を気まぐれに撃ったが、ドイツ人は肩をすくめ、見ないふりをして通り過ぎた、と言っていた」と、パウリクさんは話す。

第2次世界大戦で、西側同盟国がナチスドイツの侵攻から守ってくれず、その後もソ連の支配下で苦しむままに放置された苦い経験は、多くのポーランド人の記憶に新しい。

2015年に37.6%の得票率で議会過半数を確保した与党PiSは、地方に住む、比較的教育水準が低くて貧しい有権者を主に相手にしている。こうした有権者は、リベラルな欧州のやり方で一部の国民が金持ちになったが、安全には一切なっていないと感じている。

ポーランド政府は、ハンガリーと手を組んだ。ハンガリーのオルバン首相は、グローバル化やEUのリベラルな考え方からの「国家的開放の戦い」と銘打った政策で、EU本部と対立している。PiSのカチンスキ党首は、ポーランドはオルバン氏の手本にならっていると発言。両国は、左派の国際主義者に反発し、トルコのエルドアン首相や米国のトランプ大統領のような国家主義的指導者の歓心を買おうとしている。
2018年9月、ワルシャワで開かれたPiSの党大会で演説するカチンスキ党首(2018年 ロイター/Kacper Pempel)
ブリュッセルでは、PiSのような党は、愛国主義と欧州共同体としての一体感の間に、誤った線引きを作り出していると指摘するEU高官が多い。欧州委員会のユンケル委員長は9月、「愛国心は美徳だ。だが野坊主な国家主義は、毒といつわりに満ちている」と警告した。

地域での孤立を深めたPiS政権は、かつてポーランドのEU加盟を主導したドイツにも敵対的な姿勢を取り始めている。ポーランド政府は、ドイツが今でも第2次世界大戦の巨額の補償金をポーランドに負っていると主張。国民に対し、ドイツ政府は支払うべきだと訴えている。

https://fingfx.thomsonreuters.com/gfx/rngs/POLAND-NATIONALISM-LJA/010080XL1R9/POLAND-NATIONALISM-RIGHT.png

<不安>

パウリクさんのようなポーランド市民にとって、EUに対する失望は根本的なレベルの話だ。
2014年にロシアがウクライナに軍事介入して以来、ロシアによる侵攻を恐れていると話すようになったポーランド人は多い。ロシアがクリミア半島を併合する以前は、自国の独立が脅かされていると感じると話す国民は15%だった。ロシアのウクライナ介入でその割合は急増し、今では40%に達する。

最近ロシアは、バルト諸国との国境付近で大規模な軍備増強を行った。だがEU側の合同防衛能力は限定的だ。
パウリクさんのような一般人が、領域防衛部隊(WOT)と呼ばれる予備軍に参加する理由はここにある。WOTは、参加者に3年間で4カ月以上の訓練に参加することを義務付けている。
ポーランド国防省によると、米国の州兵を参考に組織されたWOTは、陸軍、空軍、海軍、特殊部隊と並ぶ、国の防衛抑止力の一角だ。2018年のポーランド国防予算では、WOTに1億5300万ドル(約172億円)が割り当てられているが、これは同国海軍の予算にほぼ匹敵する。

「軍事同盟は大事だが、力を錯覚することもある。同盟国が助けに来てくれるまで、自国を守れるように準備しておくことが大事だ。独立を守りたいのなら、今の世代は国に誇りを持ち、共同体の自覚を持ち、自己犠牲の意思を持たなくてはならない」と、PiSのタデウス・チマンスキ議員は話した。

予備軍は、重要なシンボルでもある。

ポーランドは何世紀にもわたり、隣国から侵略されたり、国土を奪われたりしてきた。1918年まではオーストリアとドイツ、ロシアが、その後はナチスドイツとソ連が侵略者となった。第2次世界大戦では、自国政府が亡命に追い込まれたことを受け、多くのポーランド人は国内軍と呼ばれる抵抗組織に加わって戦った。
ポーランド世論調査センター(CBOS)の最近の調査では、国民の88%が、「愛国的」とは、国のために戦って死ぬ覚悟があるということだと回答している。

<ポーランドの「歴史教育」>

ポーランドのような政府は、EUが残した空白を埋め、国民を活気付けて人生に意味を持たせるような物語を提供していると、ワルシャワ大学社会学研究所のプシェミスワフ・サドゥラ氏は指摘する。
「EUは、自分たちの物語や神話を作り出すことができなかった。各国の物語をつむぎ合わせて1つの物語にすることができなかった」。サドゥラ氏はこう指摘。さらに、PiSには「ビジョンがある。愛国主義や、ポーランドの近代化、国としての約束、そして国家経済をすべて含んだビジョンだ。つまり、民族コミュニティーということだ」と説明した。
欧州委員会の関係者は、政治家が古きよき国家への郷愁に訴えて変化を恐れる国民の不安につけこむ潮流は世界的なものだとした上で、それに対する簡単な解はないと話す。またEU当局者は、公の場で口に出すことはめったにないが、こうした潮流に反発を感じている。
「中欧は、被害者意識が大好きだ」。あるEU高官は、EU機関側がポーランドやハンガリーの不満に十分に応えられていないことを認めつつ、ロイターに内心を明かした。
PiSは、「国家の物語」を作り上げるのにあたって、特に歴史や文学、社会道徳、地理部門に力を入れる全面的な学校教育改革を実施した。

子どもたちは今後学校で、EUメンバーであることの「利益とコスト」を学ぶことになる。教育省が、「コスト」という単語の挿入を指示した。
新たな中核カリキュラムには、「学校教育の目標は、国家アイデンティティーや、歴史や国の伝統とのつながりを強化することにある」と書かれている。
そしてそれには、ナチスドイツの被害者としての立場が含まれる。

2018年9月、ワルシャワで開かれたソ連のポーランド侵攻79周年の式典で、犠牲者を追悼する学生たち(2018年 ロイター/Kacper Pempel)
ポーランド人の多くは、西側がユダヤ人虐殺(ホロコースト)にばかり注目し、ナチスドイツの下でポーランドが味わった苦しみの深さを十分に理解していないと感じている。政府は、ユダヤ人に対する残虐行為の実行犯だとして誤った批判を受けたポーランド人もいると主張。実際、ユダヤ人をかくまったポーランド人も存在した上、ポーランド人自体がナチスから「人間以下」とみなされていた。

ポーランド政府は今年初め、同国政府がホロコーストに関与したと示唆する発言をした人物に対して懲役刑を科すことができる法案を可決した。その後、米国からの圧力を受けて懲役刑は削除された。

一方で教育省は、差別を減らすためのワークショップを学校で実施する義務を撤廃した。PiSから指名されたある校長は最近、オスマン帝国と戦った17世紀の王の模範に従うよう10代の生徒に指導した。メディアによると、校長はこの王が「イスラムから欧州全体を守ることに成功した」と発言したという。

歴史の授業は小学4年から始まるが、この時9ー10歳の生徒に、数十人の歴史的人物などを描いた教材が渡される。これは、生徒たちに国への誇りを持たせるために作られたもので、教育省は、「ポーランドの文化的アイデンティティー形成に重要な影響を与えた」人物たちだと説明している。
この中には、キリスト教徒の王や、共産主義に立ち向かうよう国を鼓舞したポーランド生まれのローマ法王ヨハネ・パウロ2世、放射線の研究でノーベル賞物理学・化学賞を受賞したマリー・スクウォドフスカ・キュリー氏も含まれている。

「歴史は、誇りを呼び覚ますものだ。われわれの歴史は偉大で、欧州の中でも特別だ」と、新しい教育プログラムを開発した歴史家のWlodzimierz Suleja氏は言う。
ポーランドは何世紀にもわたり、カトリックの信仰を、プロテスタントのドイツや正教のロシアと区別する方法の1つとしており、多くのポーランド人にとって宗教的価値は根本的なものだ。中には、学校の入り口に「十戒」を刻んだ大理石版を飾らせている町もある。
前出のパウリクさんは、自身が学校に通っていたころは、自国の遺産への感謝について教わらなかったと話す。
「私の時は、学校ではドイツの歴史やドイツの国王、ロシアについて教わることが多く、ポーランドについてはあまり勉強しなかった。ここで起きたことに集中する必要がある」と、パウリクさんは話した。

<自己犠牲>

PiSが考える「国家の物語」の中核をなすのが、第2次大戦の終結後も地下で抵抗活動を続け、共産主義の当局と戦った兵士たちだ。

PiSは、「呪われた兵士」とも呼ばれるこの兵士たちを、圧倒的に不利な状況にもかかわらず妥協や屈服を拒み、犠牲となる意思を持っていたとして、若者の模範に掲げている。

だが、この兵士たちについては評価が分かれている。ポーランドに共産主義政権を打ち立てようとするソ連に抵抗するなかで、ユダヤ人やスロバキア人、ベラルーシ人などの村人を殺した疑いが持たれている兵士もいる。
それでも、パウリクさんのような予備軍の加入者にとって、彼らはお手本となる存在だ。2016年の式典で、ドゥダ大統領は、こうした兵士のことを、国のために命を犠牲にした「最後の偉大な英雄」だと述べた。

「呪われた兵士」の1人が、インカという仮名で知られた17歳の少女だ。第2次世界大戦中に国内軍の衛生兵だったインカは、共産当局に死刑を宣告されたが、恩赦を求める嘆願書への署名を拒んだ。死を前に、インカは親族に手紙を書き、「死ななくてはならないことは悲しい。私の祖母に、私はすべきことをしたと伝えてください」と書き残した。
パウリクさんは予備軍の訓練で、火器の発射を習った。その際、自分が男性隊員にまったく引けをとらなかったことに驚いたと話す。今彼女は、正規軍の兵士になりたいと考えている。
「何かをやるときは、最後までやり切る。でも自分のためだけにやっているのではない。子どものためでもある」と、パウリクさんは言った。
(Lidia Kelly記者, Justyna Pawlak記者、Anna Wlodarczak-Semczuk記者、翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)

https://jp.reuters.com/article/poland-nationalism-idJPKCN1MX13X

http://www.asyura2.com/18/kokusai24/msg/363.html

[経世済民129] べネズエラの「インフレ率1000万%」を人はなぜ信じるのか?   現地から報告!デノミから1ヶ月経過のベネズエラの現状は
べネズエラの「インフレ率1000万%」を人はなぜ信じるのか?

フェイクニュースはこうして広まり、定着し、真実となる
2018/10/24

風樹茂 (作家、国際コンサルタント)

御託が神託になるとき
 私は目を疑った。南米の産油国ベネズエラのインフレ率は、年内に100万%に達する――。そんな記事が今年7月末、日本の新聞各紙に踊った。国際通貨基金(IMF)の予測だという。根拠は全く示されていない。私にいわせれば、フェイク・流言飛語の類である。


(siraanamwong/Gettyimages)
 ところがまるでそれが正しいかのように国内外の主要なマスコミが引用している。
何度も引用していた日本経済新聞の記事の一部(2018/7/26付朝刊)は次のとおり。

ベネズエラ100万%インフレの脅威(上)
 ハイパーインフレにより、年内にも物価上昇率が年率100万%に達することが予想される南米ベネズエラ。国際通貨基金(IMF)は第1次世界大戦後のドイツなど歴史上の事例になぞらえて「経済と社会の危機」と評した。世界有数の産油国は今、貨幣経済崩壊の瀬戸際に立つ。

また最近でさえ東洋経済オンラインでハーバード大学教授のケネス・ロゴス氏(IMFの元チーフエコノミスト)がまるでそれが正しいかのように引用している(2018/09/30)

地獄のようなベネズエラに翻弄される周辺国、インフレ率はなんと100万%に達する見通し
政権は国内に世界有数の石油資源を持ちながら、それによってもたらされた富を浪費した。ベネズエラの国家収入は急減し、インフレ率は100万%に達する見通しだ。本来なら豊かでいられたはずの国で、何百万もの国民が飢餓に苦しんでいる。

 他にロイター、bloomberg、三菱UFJリサーチ&コンサルティングなど夥しい内外の報道、研究機関や学者がIMFの発表に飛び付き、記事にしたのである。

 ところが、10月10日には100万%どころか、来年のインフレ率は1000万%というIMFの見通しが各紙に掲載された。

ベネズエラ、来年の物価上昇率は1000万%に=IMF見通し(朝日新聞デジタル)
[9日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は9日公表した最新の世界経済見通しで、ベネズエラの来年の物価上昇率が1000万%に達し、現代史における最悪クラスのハイパーインフレーションが一段と加速するとの見方を示した。
 今年の物価上昇率予想も、7月時点の100万%から137万%に引き上げた。ベネズエラ経済は、2014年の原油価格急落で補助金や価格統制などを特徴とする社会主義体制を維持できなくなり、悪化の一途をたどってきた。IMFは7月、同国のハイパーインフレーションを1923年のドイツや2000年代のジンバブエに匹敵する深刻さだと指摘している。

 思い出すのは、ナチスドイツの天才デマゴーグ パウル・ヨーゼフ・ゲッベルスの言葉である。

「十分に大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々は最後にはその嘘を信じるだろう」

 ゲッペルスの予言のように、「ベネズエラのインフレ率100万%、1000万%」が世界中に広まり、事実として定着したようである。けれども、このIMFの予測はインフレバスケットに何を入れているのか全く不明である。だが、人は世銀だとかIMFだとかの権威ありそうな機関の御託を神託として受け取る。

 なお、誤解してもらいたくないが、記事を書いた記者や掲載したマスコミを非難するのが意図ではない。人間の陥りやすい陥穽の例として上げ、権威を信じることの危うさに警鐘を鳴らしたいのである。

経済学者のインフレ予測はあてにならない
 筆者がベネズエラに滞在していた2016年当時、トウモロコシの粉1s当たりの値段は1年間で19ボリバルから177ボリバル、闇価格では1500ボリバルまで上がり、鶏肉も1s当たり65ボリバルが850ボリバル、闇価格では3000ボリバル以上となった。

 その当時からインフレ率は1000%を越えていた。だが多くの海外の経済学者はこの国のインフレ率を100〜200%としていた。

 とりわけ、ハイパーインフレにかかわる経済学者のインフレ予測などあたるわけもない。その実情を経験したものにしか分からない倒錯した世界であり、たとえばハイパーインフレとは外貨を持つ人間には、往々にして超物価安のことなのだ。私はインフレ率2万%のボリビア(85年〜86年)、5000%のアルゼンチン(88年)、1000%のブラジル(88年)に滞在していた。私の経験即からすると、ベネズエラのハイパーインフレは本来ボリビアと同じ2万%程度(最高でも10万%)の中に収まるはずだ。

 そこで現地にさっそく(7月に)IMFの予測インフレ率100万%について生の声を聞いてみると、「途方もない数値なので話題にもならない」とのことである。
このIMFの予測には別の意図があったに違いない。

IMFの裏の意図は何か? なぜこの時期に八百大(代)言を放ったのか? 
これも前出のゲッぺルスの言葉を引用するとより理解しやすいだろう。

 「プロパガンダの秘訣とは、狙った人物を、本人がそれとはまったく気づかぬようにして、プロパガンダの理念にたっぷりと浸らせることである。いうまでもなくプロパガンダには目的がある。しかしこの目的は抜け目なく覆い隠されていなければならない。その目的を達成すべき相手が、それとまったく気づかないほどに」

 ではIMFの目的は何か。ひとつは、世間の注目を浴びることである。1万や10万ではいけない。100万、1000万という途方もない数値なのだ。マスコミならず経済学者も飛びついてくる。それは大成功した。

 ふたつめは、この発表が世界に広まることによる効果である。折しもベネズエラは8月20日にデノミ(通貨単位の5ケタ切り下げ)を計画していた。時にデノミがインフレを収める方策のひとつとして成功することがある。私が滞在していたボリビアの場合はそうだった。1987年に100万分の1のデノミを実行し、他の政策と相まってではあるが、その後ハイパーインフレは収まった。

 IMFはベネズエラのデノミを成功させまいと先手を打ったのだ! 世界中にインフレ率100万%が広まれば、今もほとんどない海外の投資意欲は一層低下するし、対ドルの現地通貨価値は一層下落する。インフレとは人々の期待値により左右される。デノミを実施しても効果はなく、インフレ率はそのままか、あるいはさらに上昇する。

 では、デノミの前後でインフレはどうなったのだろうか?

ベネズエラ議会の発表
 ベネズエラには議会がふたつある。政府の傀儡となっている憲法制定議会と、投票により選ばれた議会(野党が牛耳っている)である。

 後者は中央銀行にかわり、インフレ率を独自に発表している。この7月には、年間インフレ(昨年6月〜今年6月)は「4万6000%になった、年末までに10万%となる」と予測していた。ところが、9月には、前月8月の月間インフレを223・1%、年間(昨年8月〜今年8月)は、20万%であったと発表し、議長のラファエル・グスマンは「これはお前の仕業だ。ニコラス(大統領のこと)、お前の作りだしたひどい災厄だ」と非難した。

 ところが、10月8日の発表では、年間(昨年9月〜昨年9月)のインフレを48万8865%、年末まではなんと400万%超えを予測している。

 そして、その翌日、IMFは負けじと来年のインフレは1000万%と発表したのである。まさに、7月以降はIMFとベネズエラ議会が呼応するように次々と高いインフレ数値を発表している。これでは世間のインフレ期待が一層高まり、デノミなど焼け石に水だ。

 実際、現在、現地通貨の下落率よりもインフレ率のほうが高い状況となり、ドル建てで物価は日本と同程度かそれ以上、給与は日本の500分の1のようなありさまとなっているという。外貨を持たない人間には暮らせる世界ではない。

 ではなぜ、IMFはこのような発表をするのだろうか?

政権交代を望むアメリカの怒り
 ベネズエラの原油埋蔵量は世界一だといわれている。もともとベネズエラの原油はエクソンモービルをはじめとする欧米企業が採掘し、プラントを建設・運営していた。ところが、チャべス政権以降の一層の国営化で、彼らは撤退した。たとえば私が携わっていたのは、オリノコ重油を精製するための新規プラントだが、そこにある旧プラントは以前欧米の資本が入っていた。新規の事業に携わったのは、中国と韓国の企業、そして日本企業が彼らのお目付け役として参入した。

 アメリカの裏庭といわれる地域の産油国が超反米なのである。今はシェールオイルがあるので、かつてほどの価値はないとはいえ、ジオポリテックスの観点からベネズエラを反米に追いやったのは、アメリカの失態といえよう。

 さて、どうする。

 思い出すのは、コカイン密売の国家として、パナマにアメリカ軍が進攻し、大統領のノリエガを麻薬密輸の罪でアメリカに収監した事件(1989年〜90)である。以前のようにベネズエラに侵攻し、親米政権を打ち立てたいのが本音だろう。

 けれども状況は違う。南米諸国は、ベネズエラの独裁を非難しているが、アメリカの侵攻には大反発をする。しかも、ベネズラの原油は中国の担保に入っているし、武器は戦闘機のスホイを初めロシア製品を購入している。私のマンションの部屋の以前の住民はスホイの技術者だった。

 トランプ政権は、すべての選択肢があるとして、武力攻撃を口先で仄めかすが、実現は不可能であろう。そこで口撃である。

 IMFはアメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.に位置し、アメリカの意向が強い組織で、議決権も15%以上を持つ。2位〜3位を占める日本、中国はそれぞれ6%ほどである。今回のインフレ率の発表もアメリカ政府の意を受けているか、担当者が忖度していると考えて間違いない。新たなショック療法といえる。究極の目標は政権の崩壊、親米政権の誕生にある。ところがどれほど経済が悪化し、国民が国を去ろうとも、ベネズエラの現政権はしぶとく倒れない。なぜか?

ナルコエスタード
 ベネズエラは、原油価格に左右されるモノカルチャー経済の国である。現在原油はバレル70ドル前後と上昇気流にある。だがこの産油国にその恩恵はない。2006年当時、原油生産量世界5位〜6位だったが、現在は10位以内にも入らない。原油プラントは老朽化し、石油公社はひどい赤字体質で生産量は激減。しかも、石油公社の部長レベルでさえ、現地通貨払いの月給は5ドル相当ほどである。社員はスズメの涙のような退職手当をもらわずに、黙って国を次々と出て行く。

 普通なら政府は倒れそうだ。けれども、コカイン利権を持つコカイン国家ベネズエラは、ハイパーインフレぐらいでは倒れない。南米のコカインの大半がベネズエラを経由して欧米に向かうのだから。

 象徴的な事件がある。2015年、マドゥロ大統領の甥2人は、コロンビア革命軍(FARC )から購入した800キロのコカインをニューヨークに密輸しようとした罪でアメリカに収監された。米国麻薬捜査官(DEA)のおとり捜査にひっかかったのである。その後、証言者2人、甥2人におとり捜査者(Informante CS-1と呼ばれる)を紹介した者、そしておとり捜査者(CS-1)自身、時を待たずして次々と何者かに暗殺されている。

 このコカイン売買を指揮していたのはシリア・レバノン系の現副大統領ターレク・エル・アイサミといわれる。彼はアラグア州の知事(2012〜16)時代に民間のカルテル複数を排除して一本化。州の犯罪を深化させ、殺人率を142(件/10万人)にまで高め、スパやディスコ(名前はTokio)まである極楽刑務所を作り、刑務所の中から囚人が戒厳令を出せるまでにした。

 私が以前住んでいたカラボボ州周辺では彼とその取り巻きのアラブ系の人間が利権を欲しいままにしていると聞く。同地にあるPEQUIVEN(石油化学系公社)の肥料工場で精製される尿素やアンモニアは、実は農業のためよりもコカインペースト生成のためにコロンビア、ブラジルなどに輸出されている(報道関係消息筋)。

 そもそも最大のカルテル・ロス・ソ―レス(Los Soles)を率いるのは、憲法制定議会議長ディオスダド・カベリョだという。それが現地では周知の事実となっている。

 原油の精製プラントには一兆円規模の投資が必要だが、コカイン商売には微小の資金で十分だ。利益率は数100倍である。現地でキロ10万円が、日本では5000万円に跳ね上がる。世界には民主主義、社会主義、ファシズム国家があるが、もうひとつコカイン国家が存在する。中南米ではNarco Estadoと呼ばれる。

IMFはベネズエラに毒蛾を放った
 IMFの悪意を潜ませたこのようなインフレ率の発表は、もちろんベネズエラの経済の改善にはつながらないし、悪化を狙ったものである。すると、外貨を持たない一般のベネズエラ人はどうなるのか。生活が一層困窮することは明らかであろう。

 IMFは反省というものを知らない。もともとベネズエラがこのような苦境に陥る土壌を作ったのは、IMFなのである。

 以下は、日本で唯一の国際協力専門誌『国際開発ジャーナル』(10月号)「解「国」新書 混迷極めるベネズエラ」に掲載された私の拙文の一部からのほぼ引用である。

1980年代半ば過ぎ、私は首都カラカスにいた。地下鉄サバナ・グランデ駅のプロムナードに建ち並ぶショーウィンドーには贅沢品が陳列され、カフェテリアでは優雅にチェスを楽しむ人々がいた。当時のインフレ率は30%ほど。世界有数の埋蔵量を誇る原油の収益を財源に輸入品の価格を抑えるための補助金が出ており、物価はまだ安かった。58年から続く2大政党による民主的な政治体制の下、社会も安定していた。南米一豊かで治安も良かった。
 だが、86年の「逆オイルショック」により、原油価格は暴落。IMFは、緊縮財政のためのショック療法を当時成立したばかりの第2次カルロス・アンドレス・ペレス・ロドリゲス政権に強いた。さらに、補助金の撤廃も要請した。物価の急騰を予測した商人は物を出し惜しみ、主食であるアレパ(トウモロコシから作ったパン)や衣類など、あらゆる商品が町中から消えた。スラムに住む人々は生存の危機に直面したが、ガソリン価格はリッター5円から2倍に引き上げられるなど、緊縮財政の影響は続いた。
 そして1989年2月26日夜、スラムの住民はカラカス市内の商店を襲い、略奪行為を繰り返した。政府は軍を投入し、約300人の住民を殺害。世に言う「カラカッソ」(カラカス大暴動)である。同じ年、ドイツでベルリンの壁が壊され、国際社会では社会主義の退潮が決定付けられた。だがベネズエラの人々には、米国流の新自由主義がもたらす悲惨な現実の方が、よほどリアルに感じたことだろう。

 こうして、チャべス大統領の時代(1999年2月〜2013年3月)とそれを引き継ぐマドゥ―ロ政権(2013年4月〜)の土壌が整えられたのである。

 さて、昔は表参道のようなに輝いていたサバナ・グランデは今どうなったのか? 街はすすけ、街路にサイレンの音が鳴り響き、人々は命あってのものだねとばかり足早に家路につく。ドミノやチェスに興じる人はめったに見ない。

 1988年当時は、IMFの担当者はこのような状況を作るために緊縮財政を求めたわけではなかったであろう。当時流行っていたショック療法をパターナリズムから施しただけである。たんに無知だったのだ。ベネズエラの国内事情など知らないし、知ろうともしないのだから、提示する政策の結果はサイコロを振るようなものである。ベネズエラに限らず、世界にはこのような例がたくさんあるに違いない。

 ある事象の歴史的経緯や背景を知らなくては、権威あると思われている機関や人の言葉に専門家やマスコミでさえころりと騙されてしまう。こうして、フェイクニュースは瞬く間に広まり、事実として世間に定着するのである。

 味をしめたIMFは来年度のベネズエラのインフレを年率1000万%と予測したが、これはもうはしゃぎすぎだろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14299

 

現地から報告!デノミから1ヶ月経過のベネズエラの現状はどうなのか?
2018.10.12 ベネズエラ
お世話になっております。BAN(@banlife19)です。

2018年8月20日にベネズエラではデノミが実施されました。

5桁の切り下げで100,000の表記が1になり紙幣を新たに発行されて大混乱。

とニュースでは報道されていましたが実際にはそれほど混乱していません。

そしてそのデノミから1ヶ月以上経過した今の状況をお伝えさせて頂きます。

【関連記事】【日本経済】日本のニュースでは報じられないベネズエラの真実【新聞】

目次
インフレの状況
相変わらず凄い勢いでインフレが起きており、最近では午前とから午後にかけて値段が上がっているという事態も起きています。

ただし以前の様なボリバルの下落は少し落ち着いている状況なのである一定の金額まで上がったらインフレは止まることも考えられます。

外貨で考えると今の物価は2年前の水準に戻りつつあります。実際にデノミ前はありえないくらいの価格だったので今の方が適正だと思われます。

さらに給料も59倍に跳ね上がった事により少しだけですが人々の生活は楽になった様に思えます。

【関連記事】【最低賃金アップ】3日後に最低賃金5900%上昇を決めたベネズエラで起きた事【ハイパーインフレ】

紙幣の状況
一部のニュースではデノミにより紙幣不足だと言われていましたが、実際にはデノミが行われる前から紙幣不足でした。

実際に現金は流通しておらず大抵の店がカード払い、もしくは口座送金での支払いです。

デノミ後に首都のカラカスに旅行した感想としては首都では現金は特に不足しておらず、私が住む地方都市では現金を入手する事が難しい状況でした。

バスなど現金払いでなければ受け付けてくれない場所もあり、どうしても現金が欲しい場合は6倍のお金を口座送金で支払い業者から購入します。

当初は銀行の窓口で100ボリバル、ATMで10ボリバルが引き出し上限だったので、銀行の窓口まで数時間の列、ATMでも2時間以上待っている人が多数いました。

しかし現状は引き出し上限も上がり安易に現金が手に入る様になってきました。

また一部の噂では今まで現金を大量に購入していたコロンビアの国境の街でボリバルの需要が減った事により、現金が地方都市でも手に入る様になったと言われています。

デノミ前との変化点
給料が上がった事により人件費が払えず多くの店舗が閉店しました。

そして閉店しなかったお店ではインフレが加速してここ1ヶ月で値段が3?4倍になりました。

それでも給料が59倍になったので何とか生きていく事は可能ですが少しも楽観的なニュースはありません。

ベネズエラが発行する仮想通貨のペトロも実装され、役所の支払いがペトロで表記されたり各種銀行で手続きをすれば購入できる仕組みが整ってきました。

ただ実際にはペトロでなければ支払えない訳ではなく1ペトロ=3,800ボリバルの支払いになるだけなので、今のところ価格の表記がペトロになっているだけです

ベネズエラが抱える爆弾
先ほどボリバルの下落は落ち着いていると言いましたが、実はそれには1つの大きな理由があります。

デノミが実施されてからボリバルはデノミ前同様に下落を続けていました。
しかしベネズエラ政府がある強硬手段をとったのです。

それは「IPアドレスによる国外から国内バンクへのアクセス禁止」というなんとも窮屈な施策でした。

これにより国外にいる富裕層や経営者がベネズエラの銀行に送金されるボリバルを換金できず、ボリバルの価値の下落は一時的に落ち着き1ドル110?120ボリバル前後を行き来している状態が1ヶ月で近く続きました。

ただしこのボリバル下落の施策もVPNを使いIPアドレスの場所をベネズエラにすれば突破されてしまうので、それに気付かれるのも時間の問題だと思われます。

そしてここ1週間またボリバルの下落が加速して、1ドル120ボリバルが140ボリバルまで下がりました。

今まで無理やり押さえ付けてボリバルの下落を抑制していたのがついにたがが外れたのでしょうか。

このペースでいけば今月中に1ドル300(デノミ前で3000万)ボリバルも現実的な数字かもしれません。

まとめ
デノミ後に政府が締め付けを行いボリバル安になっていませんでした。

しかし無理のある締め付けだった為に、そのツケである爆弾が今にも破裂しそうになっています。

デノミによりボリバル安を食い止め、ベネズエラでの主流通貨をペトロにしたかった打算は丸見えですが余りにも現実離れな計画でした。

それによりデノミの効果はほぼない状態でペトロという仮想通貨を発行するタイミングになってしまいました。
https://banlife19.com/venezuela-devaluation-month/

ベネズエラ、デノミ後も通貨安続く 前日比9%下落
中南米
2018/8/22 7:08
【サンパウロ=外山尚之】ベネズエラ政府が20日に通貨の単位を5ケタ切り下げるデノミ(通貨単位の切り下げ)を実施した後も、通貨安は止まらない。21日午後5時(日本時間22日午前6時)時点で、新通貨ボリバルソベラノ(Bs)の市中レートは対ドルで前日比9%下落した。仮想通貨とのペッグ制で通貨の信認回復を狙うというマドゥロ政権のもくろみは外れた形だ。

デノミ後も流通するのは小額紙幣が大半(21日、カラカス)=AP
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デノミ後も流通するのは小額紙幣が大半(21日、カラカス)=AP

一般市民が利用する闇市場での実勢レートをまとめるドラールトゥデイによると、デノミ直後に1ドル=59.21Bsだった為替相場は21日午後には1ドル=65.18Bsと9%下落した。中央銀行は21日、通貨をデノミ前の水準から95%以上切り下げた1ドル=60Bsとする新たな公式レートを発表したが、早くも実態と乖離(かいり)しつつある。

新紙幣はいまだに市民に行き渡っていない。21日時点でも、多くのATMでは10Bs札(約17円)までしか引き出せず、引き出し上限額が設定されているという。銀行は高額紙幣も流通させていると主張するが、入手できる国民は限られているようだ。

ベネズエラの国産仮想通貨「ペトロ」とBsとのペッグ(連動)も効果は出ていない。米国は制裁の一環としてペトロの取引を禁じているため、世界中の主要な仮想通貨交換業者は取り扱っておらず、取引実態はない。

ベネズエラの有力経済団体フェデカマラは20日、ペトロについて「世界中から認められていない」として、ペッグ制を「深刻な過ちだ」と指摘した。フェデカマラはデノミや最低賃金を約35倍に引き上げる一連の政策で、2018年末までに2万人の失業者が新たに生まれると試算している。

野党支持者は21日、マドゥロ政権に対抗してゼネストを実施。政権が企業に対しゼネストに参加しないよう締め付けたにもかかわらず、首都カラカスでは6割近い商店が店を閉じた。バスや地下鉄など公共交通機関も一部で運休したという。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34436100S8A820C1000000/?n_cid=SPTMG002


 



ベネズエラ、19年にもインフレ率1000万%に IMF推計
中南米
2018/10/9 11:19
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【サンパウロ=外山尚之】国際通貨基金(IMF)は9日、経済混乱が続く南米ベネズエラのインフレ率が2019年中に年率1000万%に達するとの予測を発表した。マドゥロ政権の経済運営は破綻状態となり、ハイパーインフレに歯止めがかからない状況が続く。困窮した人々が難民として周辺国に流出する状況が深刻化しそうだ。

このたび改定した世界経済見通しの中で明らかにした。IMFは7月、18年中にもインフレ率が100万%に達するとの見通しを発表していた。野党議員が多数を占めるベネズエラ議会の調査では、9月の時点でインフレ率は年率48万8865%だった。月間のインフレ率は前月比233%と、8月から10ポイント上昇。IMFは年内にも137万%になると試算する。

マドゥロ大統領は8月20日に通貨の単位を5ケタ切り下げるデノミ(通貨単位の切り下げ)を実施したが、インフレ対策としての効果は出ていない。一般市民が利用する闇市場での実勢レートをまとめるドラールトゥデイによると、デノミにより導入された新通貨ボリバルソベラノ(Bs)は8日時点で1ドル=103Bsと、デノミ前から対ドルで4割価値が下落した。

マドゥロ政権は中国やロシアの支援で経済を立て直すとしているが、米国の経済制裁で外貨や物資の不足が深刻化する中、インフレが収まる気配はない。IMFは2018年のベネズエラの経済成長率がマイナス18%に達すると予測している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36247180Z01C18A0EAF000/




ベネズエラ、インフレ率48万%に
中南米
2018/10/9 10:01
【サンパウロ=外山尚之】南米ベネズエラの議会は8日、9月の物価上昇率が年率48万8865%だったと発表した。月間の物価上昇率も前月比233%と、8月から10ポイント上昇。ハイパーインフレに歯止めがかからない状況が続いている。

マドゥロ大統領は8月20日に通貨の単位を5ケタ切り下げるデノミ(通貨単位の切り下げ)を実施したが、インフレ対策としての効果は出ていない。一般市民が利用する闇市場での実勢レートをまとめるドラールトゥデイによると、デノミにより導入された新通貨ボリバルソベラノ(Bs)は8日時点で1ドル=103Bsと、デノミ前から対ドルで4割価値が下落している。

ベネズエラの中央銀行は物価上昇率など政権に不利な数字の公表をやめており、現在は野党議員が多数を占める議会が独自調査で集計している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36245690Z01C18A0EAF000/?n_cid=SPTMG002


 


ベネズエラの嘘のような本当の話
2018.07.04 ベネズエラ
ベネズエラ在住。BAN(@banlife19)です。

ベネズエラと聞いて何を思い浮かべますか?
私は2年前までベネズエラという国の存在すら知りませんでした。

世界一周中にキューバで出会った旅人から「ベネズエラ物価安いんですオススメですよ」と
勧められてはじめてベネズエラという国を認識しました。

最近ではベネズエラ首都の地下鉄乗車が無料に、物資不足で切符作れずというニュースや、
「世界で最も危険な国」、2年連続でベネズエラ 米調査というニュースが話題になりました。

そんなベネズエラの嘘の様な本当の話。

目次
貨幣価格が日々下落する!?
今にはじまった話ではないがベネズエラでは自国の通貨が信用されていない。
実際に現在ベネズエラの通貨であるボリバルと外貨は国境付近の街か個人のやり取りでしか両替できない。

クレジットカードも外貨からボリバルなら使えるがボリバルから外貨は使えない。
理由としては公式レートと闇レート(実効レート)が剥離しているからだ。

具体的には公式レートでは1ドル115,000ボリバルとされている、
しかし闇レートでは1ドル3,400,000ボリバルとされている。
その差約30倍だ。

しかもこの闇レートは固定ではないので数時間ごとに変動する。
MonitorDolarVeというツイッターのアカウントから確認できるが、
ここ1ヶ月以上毎日右肩上がりに変動している。
ボリバル安ドル高だ。

5月下旬の時点では1ドル辺り1,000,000だったのが今では3,400,000。
たった1ヶ月半でドルの価値が3.4倍になった。
正確にいうとボリバルの価値が約30%になった。

徐々に金の価値が減少する恐怖。

ガソリン代が超絶安い!?
日本では昨今ガソリン代が150円を超えたと話題になっているが、
ベネズエラではガソリン代を気にする人は誰もいない。

その理由としてはベネズエラは原油の埋蔵量が世界一だからだ。
国内生産できるのでガソリン価格があり得ないくらいに安い。

ベネズエラのガソリン代
ガソリンの価格は53リットルで320ボリバルだ。

闇レートでは1ドルが3,400,000ボリバル。
1ドルを110円で換算したとして、

110円(1ドル)?3,400,000ボリバル??320ボリバル=0.0104円
53リットルのガソリン代が0,0104円、つまり1リットル辺り0.0002円になる。

逆に150円だと750,000リットルになる。
1リットル10キロ走る車があったとしたら150円で7,500,000キロ走る事が可能だ。

150円で地球を187周できる恐怖。

賃金は上がってるのに下がっている!?
数年前の賃金は9万円前後だった。
それが2年前の時点では3,000円まで下がっていた。

そしてここ数ヶ月最低賃金の額は2度上がった。
しかしボリバルの価値が下がっている事により実際の価値が下がった。

数ヶ月前は月数百円だった最低賃金が今月の段階では
100円を切るか切らないかまで下がってしまった。

ちなみに最低賃金が基本的な賃金なので
特殊な職業以外はみんな最低賃金でフルタイムを働いている。

真面目に働いても生きていけない恐怖。

超絶ハイパーインフレ!?
毎月インフレ率を更新しており、
今年の1月の年間インフレ率は2626%とまだまだ可愛いものだった。
2月になり6147%とかなり跳ね上がり、3月は少し上昇したものの8878%で、
4月でついに5桁の13779%まで上がり、5月では24,571%という理解不能な数字を叩き出した。

カチャパ値段表インフレ前
2017年3月に撮影したプライスボード。

カチャパ値段表インフレ後
2018年の4月に撮影したプライスボード。
値段が枠に収まらずはみ出ている。

食べ物の価格が100倍から300倍の間で変動している。
たった1年の間にここまで値段が変動するのは異常としか言えない。

1年で物価が100倍になる恐怖。

新しい紙幣刷り過ぎ!?
元々は最高額面100だった紙幣も1年半の間で2度刷りなおしている。
しかも紙幣を新しくするときの手段が下手くそ過ぎる。

最初に紙幣を刷りなおした際は額面100ボリバルの最高紙幣を
72時間後には使えなくすると言い出した。

これにはベネズエラ国民も大パニック。
デモにまで発展した。

その結果使用期限を1週間伸ばす事になり、
1ヶ月伸ばす事になり、半年伸ばす事になり、
2年経った今では使えなくなる話自体がうやむやになった。

ボリバル3種類の紙幣
左から100ボリバル、20,000ボリバル、100,000ボリバル。

ハイパーインフレ対策で2度も刷りなおしているが焼け石に水。
現在は市場に紙幣(現金)が出回っておらず国民はカード決済か口座送金でどうにかしている。

酔っ払った時に100か10万か区別がつかなくなる恐怖。

他にも物々交換の話や軍人による恐喝、
警察のやる気のなさや医者の横暴などなどありますがそれはまた別の機会に。
https://banlife19.com/amazing-ve/


2018.07.26 ベネズエラ
【ベネズエラ在住者の視点】ベネズエラのインフレ率は100万%に達するのか!?
ベネズエラ在住。BAN(@banlife19)です。

先日、国際通貨基金(IMF)はベネズエラのインフレ率について、
2018年末までに100万%に達するとの予測を発表した。

それに便乗して日本の多くのメディアは
「ベネズエラのインフレ率100万%」と報道している。

しかしそのメディアの中で
実際にベネズエラに在住している人はいるのだろうか。

記事を読む限りでは
ベネズエラに在住している人の存在が確認できない。

またどのメディアもほぼ同じで、
「IMFが予測したからベネズエラやばいらしいよ」という内容だ。

実際に4月末から生活している私の見解を述べたい。

【関連記事】ベネズエラの嘘のような本当の話

目次
インフレ率とは
去年に比べてどれくらいインフレになったかをあらわした指数。

去年100円で買えていたものが、
今年110円になっていたらインフレ率は10%。

ベネズエラは今年5月のインフレ率が24,571%だった。

昨年の5月に100ボリバル(ベネズエラの通貨)で買えていたものが、
今年の5月には24,571ボリバルになっていたという計算だ。

身近なもので例えるなら、
160円で買える自動販売機のお茶が1年後には
39,313円になっているという計算だ。

国際通貨基金(IMF)の予測「100万%」は的確なのか?
多くの専門家が様々な角度から検証した結果であり、
高卒で経済のことを理解していない私に比べたら雲泥の差だろう。

いや、雲泥どころか「神とうんこ」くらいの開きがあるのかもしれない。

しかし私は100万%予測には懐疑的だ。

インフレ率100万%に達しない理由
2年前から1年以上ベネズエラで生活して感じたのは、
闇両替のレートとインフレ率はほぼ比例しているということだ。

私は外貨を現地の通貨ボリバルに両替して生活しており、
支払っている外貨の価値はそれほど変化がない。

闇両替のレートが上がることにより物価が上昇する。

私が考えるにベネズエラはほぼ輸入で賄っているので、
闇両替のレートが上がることにより仕入れ値が増え、
その分商品の値段が上がる仕組みだ。

逆をいえば闇両替の値段が上がらなければ、
商品の値段も上がらない。

闇両替レートとインフレ率
ここでベネズエラの今年のインフレ率と闇レートを見ていきたい。

闇レートは全て1ドル辺りの金額、
()内はインフレ率を掛けた数字だ。

1月:2,626%
2017年1月31日 3,541(92,986)
2018年1月31日 310,428

2月:6,147%
2017年2月28日 4,329(266,103)
2018年2月28日 217,909

3月:8,878%
2017年3月31日 3,451(306,379)
2018年3月31日 235,998

4月:13,779%
2017年4月30日 4,283(590,154)
2018年4月30日 623,765

5月:24,571%
2017年5月31日 6,081(1,494,162)
2018年5月31日 1,143,564

1月を除けばインフレ率と闇レートの数字は近い。

6月以降はインフレ率は出ていないので、
予想インフレ率を書いていく。

2017年6月30日 7,873
2018年6月30日 3,405,751
6月予想インフレ率:43,258%

2017年7月31日 10,389
2018年7月26日 3,527,060
7月予想インフレ率:33,949%

8月以降は2017年の闇レートの金額のみ。

2017年8月31日 17,662

2017年9月30日 29,146

2017年10月31日 41,243

2017年11月30日 96,794

2017年12月31日 111,413

闇両替のレートに関して
数字だけ見ていくと闇両替のレートが
月で2倍、3倍と増えていっている様に思えるが理由がある。

昨年末から今年にかけてはデモが徒労に終わった影響。

4月から5月にかけては多くの難民の影響。

5月以降に関してはマドゥロ大統領再選の影響。

大統領選挙の直前から7月の初旬までは、
ほぼ毎日1ドル辺り10万ボリバルずつ下落していた。

そしてここ今月の初旬からは原油価格の高騰により、
ボリバルの下落がおさまりつつある。

年内に100万%のインフレが起こる可能性
闇両替のレートとインフレ率の相関性は間違いなくある。

それは実際にベネズエラに住んでいるから分かることだ。

では100万%のインフレが起こるためには
闇両替のレートがいくらになれば現実的なのだろうか。

8月の場合は昨年が17,662なので、
1億7662万(176,620,000)前後の必要がある。

9月なら昨年が29,146なので、
2億9146万(291,460,000)前後の必要がある。

10月なら昨年が41,243なので、
4億1243万(412,430,000)前後の必要がある。

11月なら昨年が96,794なので、
9億6794万(967,940,000)前後の必要がある。

2017年12月31日 111,413なので、
11億1413万(1,114,130,000)前後の必要がある。

7月26日現在の闇両替レートが350万なので、
毎月3倍で12月か、毎月4倍で11月にインフレ100万%になりうる。

不安材料
現在のベネズエラ国内の材料では
インフレ率100万%に達することはまずないと言って間違いない。

8月20日に実施される予定のデノミ(通貨を5桁削除)に伴う新紙幣発行も、
現金を持っている人が少ない現状を考えればそれほどダメージがない様に感じる。

ただもし仮にIMFの予測が的中するとしたら、
他国の経済制裁から発展する可能性はあるのかもしれない。

ベネズエラはすでにインフレ率200万%に達している!?
インフレ率は1年間の対比なので
インフレ率とは呼ばないのかもしれないが
ベネズエラはすでにインフレが200万%に達している。

2015年1月1日 173
2018年7月26日 3,527,060

約3年半と比べると1ボリバルの価値が、
20,231分の1になっている。

つまりパーセンテージに直すと
200万%以上のインフレに達している。
https://banlife19.com/venezuela-milion/
http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/145.html

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