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[政治・選挙・NHK296] 斎藤元彦ベスト 兵庫県知事選の公職選挙法違反疑惑<菅野完氏 政治解説切り抜き>  赤かぶ
12. 秘密のアッコちゃん[1233] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月07日 00:21:17 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[671]
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告発者の私的情報漏洩に対応鈍く 斎藤兵庫知事、削除依頼も告発もせず「第三者委で調査」
2025/1/6 21:53
https://www.sankei.com/article/20250106-ADELE2DAA5LNVOCYG57Z67GOJU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑を告発した元県幹部の私的情報漏洩疑惑を巡り、県の対応の鈍さを指摘する声が上がっている。
私的情報とされるデータが交流サイト(SNS)で拡散した上、漏洩は地方公務員法などに抵触する可能性があり、県議会には
「速やかに刑事告発すべきだ」
との意見がある。
ただ、斎藤氏はデータについて
「本物かどうか分からない」
と言及。
告発やSNS運営者側への削除依頼はせず、第三者による調査を優先する姿勢を貫いている。
漏洩した疑いがあるのは県西播磨県民局長だった男性が公用パソコンに保存していたとされるデータ。
昨年2024年11月の知事選に、斎藤氏の応援を目的に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が同月2024年11月下旬、男性の情報だとするデータをSNSで公開するなどした。
斎藤氏は2024年12月、公開されたデータが
「本物か分からない」
とし、第三者委員会で調査する意向を表明。
今月2025年1月中にも弁護士による第三者委が設置される見通しだが、斎藤氏は
「まずは(データの)同一性を確認する」
とし、県の情報管理については
「指摘すべき所があればしてもらう」
と述べるにとどめている。
私的情報が保存されていたとされる公用パソコンは昨年2024年3月、斎藤氏の指示で告発文書の作成者を調べていた片山安孝副知事(当時)が男性を聴取した際、職場から回収したものだ。
2024年6月に県議会調査特別委員会(百条委員会)が設置されると、男性は代理人を通じてプライバシーに配慮して調査するよう百条委側に依頼。
百条委は、告発とは無関係な私的情報を調査の対象外とすることを決めた。
ところが2024年7月、斎藤氏の側近である井ノ本知明総務部長(当時)が県職員や県議に私的情報を見せて回っていたと週刊誌が報道。
斎藤氏は、井ノ本氏らに確認したが否定したと説明し、第三者による調査を検討しているとした。
井ノ本氏自身は2024年10月の百条委で、男性の私的な個人情報を印刷し、所持していたことを認めつつ、漏洩については
「守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性がある」
と証言を拒否。
だが、百条委が2024年12月に県議への聞き取り調査を実施した結果、井ノ本氏から私的情報の記録を見せられたといった証言が複数寄せられた。
この漏洩疑惑については県の調査が続いているが、同月2024年12月25日に開かれた百条委の斎藤氏への証人尋問では、情報漏洩も取り上げられた。
漏洩疑惑が浮上してから半年近くが経過している状況を踏まえ、
「速やかに刑事告発することは県民の個人情報を預かる知事の責務だ」
とする指摘に、斎藤氏は
「第三者委で適切に対応したい」
などと繰り返した。
■スピード重視、刑事告訴のケースも
自治体が扱う個人情報の漏洩は後を絶たず、刑事事件に発展したケースもある。
堺市では平成27年、市内全有権者約68万人の氏名などの個人情報が流出した。
男性職員が独自の選挙事務システムを構築するため、無断で情報を持ち帰り、自作したシステムを民間のレンタルサーバーに保存した際、誤って閲覧可能な状態となっていた。
市は発覚後、速やかに流出状況を調査し、ネット検索会社に情報の削除を依頼。
専門業者にも調査を依頼し、SNSなどへの拡散は確認されなかった。
大阪府八尾市では昨年2024年5月、市立斎場の利用者の個人情報を葬儀関連業者へ提供した見返りに現金を受け取ったとして、男性職員が加重収賄と地方公務員法違反の疑いで大阪府警に逮捕された。
大阪府八尾市は2024年6月に男性を懲戒免職処分としたが、内部調査に加えて第三者による調査チームも設置。
別の男性職員も現金を受け取っていたとして、2024年9月に懲戒免職とした。
岩手県釜石市では令和3年度、職員による個人情報漏洩事案が発覚した。
岩手県釜石市は内部調査の他、顧問弁護士や警察に相談した上で住民基本台帳法違反罪で告訴状を提出。
職員2人を懲戒免職とするなどし、市長と副市長も給与を減額した。
岩手県釜石市の担当者は
「第三者委員会設置の話もあったが、漏洩事案でセキュリティー強化などが必要だったため、スピード感をもって対処できる態勢を重視した」
としている。

再選後に「“もう辞めたい”という声も」…職員30人が告白した斎藤元彦知事へ“もの言えぬ空気”とは「理不尽な異動が怖い」
#1
水島 宏明水島 宏明11時間前
https://bunshun.jp/articles/-/75802
パワハラ疑惑・おねだり疑惑などの対応をめぐって県議会議員の全会一致の不信任決議案可決を受けて前知事の斎藤元彦氏が失職したことで実施された兵庫県知事選挙。
11月17日に投開票が行われて斎藤氏が再選を果たした。
これまでの数々のテレビ番組で改めて注目したいのが10月2日にNHKが放送した
「クローズアップ現代」
だ。
タイトルは
「兵庫県職員30人の告白“もの言えぬ空気”はなぜ生まれたか?」
として、選挙前の斎藤県政がどのように運営されていたのか。
それを職員の声を中心に再現した番組だ。(全2回の1回目、後編に続く)
◆ ◆ ◆
■約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答
再選翌日の記者会見で斎藤氏は
「県議会と県職員の皆さんとの関係をしっかり前に進めていくことがすごく大事」
「有権者が評価してくれたのは主に実現した政策」
「政策をどう進めていくかが大事」
「県職員も県議会も同じ思いをお持ちだと思う」
などと話していた。
今後注目すべきは、斎藤氏の再選で再び彼の下で働くことになった兵庫県庁の職員の心中だ。
兵庫県議会の
「百条委員会」
が実施した県職員約9700人(回答は約6700件)のアンケートでは約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答している。
■「知り合いの職員でも“もう辞めたい”という声も」
この日のTBSの朝の情報番組「THE TIME,」では、現役の兵庫県職員の話として今回のSNSを使った選挙戦略について
「SNSを駆使するやり方は構わないですが、伝える中身の問題ですよね」
「人のプライベートを晒す」
「あるいは嘘を言う」
「個人的には残念だと思います」
「知り合いの職員でも“もう辞めたい”という声も聞こえてきます」
と失望の色を濃くしていた。
さらに再選後、選挙戦略にかかわったと自らネット上に公表したPR会社の女性社長の行為が
「公職選挙法違反」
になるのかどうかが、選挙後にわかに焦点となった。
12月2日、大学教授と弁護士が斎藤氏とPR会社社長を警察と検察に公職選挙法上の
「買収」
の疑いで刑事告発したことを発表。
一方で告発状が受理されて捜査が進んだとしても、実際に裁判で決着がつくまでは3〜4年はかかるという見方は根強い(同日のフジテレビ「イット!」)。
万一、裁判で有罪になった場合でも斎藤氏は4年の任期を全うできる可能性があるという。
■斎藤県政での「もの言えぬ空気」
10月2日に放送された
「クローズアップ現代」
では、
「もの言えぬ空気」
が第一次斎藤県政では職場に蔓延していたとして、その実態を詳しく伝えている。
第一次斎藤県政では、就任1年で58の事業の廃止や見直しのほか、当時700億円かかるとされた庁舎などの再整備計画の凍結や県立大学の段階的な完全無償化を実施した。
知事が改革の司令塔として作ったのが、10人程度の幹部ら職員で構成される
「新県政推進室」
だった。
以前は知事と各部局が個別に議論を重ねていた政策形成のプロセスを簡素化。
迅速な意思決定を行えるようにした。
その後、この
「新県政推進室」
も形式化し、“側近”と呼ばれる少数のメンバーで物事を決めていくようになったという。
「密室で取り巻きだけで決めて、どんどん進めていく」(OB職員=幹部)
「異論とか、多様な意見を別に求めているわけじゃない」(現役職員)
このことが“組織の健全さを欠く事態”を招くことになった、と複数の職員が取材に明かしたという。
「敵か味方か。賛成か反対か。白黒をはっきりさせて、賛成のチームと反対に回るチームを分ける傾向があった」
「そうすると、いろんな意見がだんだん言いにくくなって声が届かなくなる」
(OB職員=部長級)
さらに人事権をちらつかされて圧力を感じたという職員もいたという。
知事が打ち出した賛否が分かれる政策に意見を述べたOB職員は、後日、県幹部から
「斎藤県政に刃向かうんだったら辞表を書け」
「さもなくば服従しろ」
と迫られた。
異論を言うと排除。
異動させられてしまう。
自然に知事の周囲にはイエスマンしかいなくなってしまう。
知事は“裸の王様”のような立場になってしまったとOB職員(幹部)は証言した。
こうしたことで職員たちは知事の言動に違和感があっても次第に声を上げられない状態に陥っていた。
■「理不尽に異動させられることが怖い」
 複数の職員が知事のパワハラ疑惑を見て見ぬふりをした後悔を口にした。
「(パワハラ疑惑などを)看過していたということでいえば、批判はその通りだと思う」
「報復というか人事の面で見られた」
「そういうのを見ていると管理職も声を上げにくい空気になったり、(声を上げることに)二の足を踏んでしまう」
「好転しないどころか悪化する」
(現役幹部職員)
「人間の心の弱さ」
「理不尽に異動させられることが怖い」
「異動させられることは不名誉だし、怖い」
「そういうことで意見が言えなくなる」
「幹部が意見が言えなくなると、その部下もさらに意見が言えなくなる」
「こんなに危ういとは思わなかった」
「こんなに簡単に崩れるんだと」
(現役幹部職員)
「人間の心の弱さ」
という言葉が印象的だ。
県庁の職員は現役であれ、OBであれ、退職後に県がらみの仕事に就くことが多いので県のトップである知事の意向に逆らうことは現実的な不利益になってしまう恐れは強いはずだ。
ある職員は
“民意で選ばれた知事の意向に意見することは容易ではない”
と心情を吐露した。
「何もできなかったふがいなさ」
「そういうものは感じるが、だからといって、じゃあ、何ができたのかといったら、根底から覆すようなことなんて本当にできなかっただろうと思う」
「選挙で選ばれた人が4年間はそこにいるわけだから」
「それは仕えないとしょうがない」
(OB職員=幹部)
番組が伝えていたのは、人事権を握る行政のトップが自分の考えを押しつけるばかりで異論を許さない恐怖政治だ。
周辺にいる職員たちにとっては
「恐怖」
でしかなかったという実態。
これが現代日本の出来事なのかと思わず、背筋が寒くなってしまう。

「内部告発の“犯人探し”を徹底」兵庫県庁の職員は“特定”を恐れて顔も手も隠し…それでも「クロ現」に証言した“壮絶な背景”
#2
水島 宏明水島 宏明11時間前
https://bunshun.jp/articles/-/75803
パワハラ疑惑・おねだり疑惑などの対応をめぐって県議会議員の全会一致の不信任決議案可決を受けて前知事の斎藤元彦氏が失職したことで実施された兵庫県知事選挙。
11月17日に投開票が行われて斎藤氏が再選を果たした。
これまでの数々のテレビ番組で改めて注目したいのが10月2日にNHKが放送した
「クローズアップ現代」
だ。
タイトルは
「兵庫県職員30人の告白“もの言えぬ空気”はなぜ生まれたか?」
として、選挙前の斎藤県政がどのように運営されていたのか。
それを職員の声を中心に再現した番組だ。
(全2回の2回目、前編から続く)
◆ ◆ ◆
■「特定」を職員たちが恐れている
登場する職員らはみな匿名で声もボイスチェンジャーといって元の声を変質させて誰かわからないような形で証言していた。
顔も隠しているが、筆者が特に注目したのは、
「顔」
を出さないだけでなく
「手」
さえも手袋をはめるなどして証言者を特定されないように通常の何倍も気をつかっていたことだ。
手であっても直接撮影した映像を出さない周到さ。
体型などもわからないように、上着などを着せて証言させている。
それだけ
「特定」
されることを本人たちが恐れているという証左なのだろう。
斎藤知事の“側近”たちは2024年3月の内部告発にあたっての犯人探しを徹底して行い、亡くなった元県民局長に対しても
「誰がどういうことを言っているのか」
について、かなり執拗に追及し、元県民局長に同調する人間が誰なのかを聞き出そうとしていたという。
これが取材や撮影にあたっては慎重すぎるほど、慎重に本人が特定されないようにした背景だと思われる。
■職員が目にした「問題がありすぎて、問題しかない調査」
「クローズアップ現代」
では、斎藤知事のパワハラ疑惑やおねだり疑惑などをメディアなどに告発した元県民局長(懲戒処分を受けた後で自死)に対する県庁側の対応も焦点にしている。
パソコンの調査で元局長が告発者だと特定されて、知事の側近だった片山安孝・前副知事が元局長に詰め寄る場面は言葉づかいも高圧的だ。
かつて人事課にいた職員は幹部たちの対応に違和感があったと証言した。
「書かれていることが事実かどうかをまず調べるのが通常だが、
『誰が書いたんだ』
『誰が情報を与えたんだ』
という調査方法はやっぱり異様というか問題がありすぎて、問題しかない調査」
(かつて人事課にいた職員)
片山前副知事が元局長に聞き取り調査をした際の音声記録によると、
「知事のパワハラ……」(片山前副知事)
「それはでも対外的に出てないじゃないですか」(元局長)
「出てへんから、なんでそれを知っとるんやって聞きよるんやないか」(片山前副知事)
「いや、噂……」(元局長)
元局長は根拠をもって内部文書を作成していたが、この時に
「噂」
としか言えない事情があったと親交があった同僚職員は証言する。
「噂話を集めて(内部告発文書を)つくったわけではないのは事実」
「情報を出した人間も処分をしようとしていたのかもしれない」
「『実際は誰かから聞いたことでも、名前は出さんといてくれということで名前を出せないだ」
「私が聞いたので間違いないと思う」
(元局長と親交のあった職員)
だが、片山前副知事の調査の結果、元局長による告発文書は噂話を集めただけの信頼性の低いものとされて結論づけられた。
かつて人事課にいた職員もこうした県の姿勢を批判的に見ている。
「真実相当性があたかもないようにした、非常に恣意的で言葉尻を捉えた調査、判断だったとしか思えない」
■「死をもって抗議する」というメッセージ
調査の2日後、斎藤知事は記者会見で
「事実無根の内容が多々含まれている」
「うそ八百含めて、文書を作って流す行為は公務員として失格」
と元局長を批判。
県は元局長が
「誹謗中傷性の高い文書を流出させた」
として停職3か月の懲戒処分を下した。
元局長は2か月後に
「死をもって抗議する」
というメッセージを残して亡くなった。
その後、兵庫県の県議会が設置した百条委員会で知事らのふるまいは公益通報者保護法に違反していると指摘されている。
職員個人の尊厳や人権を侵害するような対応を二度と繰り返さないように告発者を守る仕組みを整えていく必要がある。
■前例を踏襲してきたテレビの選挙報道
県職員らの証言を集めたテレビのこうした優れた報道番組があったにもかかわらず、斎藤元彦氏は出直し知事選挙で再選を果たして再び4年間の県政を担うことになった。
兵庫県庁で幹部や職員たちと現在、どのように会話を交わし、どのように県政を進めているのだろう。
職員たちはどういう心境の中にいるのだろうか。
斎藤氏は失職する前の記者会見で
「県政3年間やっていく中で心の中におごりであったり、慢心があったんだと思います」
「自分の行為が良くない点は自分自身も生まれ変わって改めていく」
と再び立候補する決意を表明していた。
「クローズアップ現代」
で職員たちが証言した内容が事実であれば、出直し選挙での再選で民意を味方につけたからといって、斎藤知事の仕事の進め方が大きく変わることはあまり期待できないかもしれない。
職員たちも戦々恐々としていることだろう。
ただ、この
「クロ現」
のように多くの職員たちに取材して、第一次斎藤県政をしっかりと検証した報道番組は数少ない。
こうした検証はこれからも続けてもらいたい。
今回の出直し知事選ではテレビをはじめとして既存メディアに不信感を抱いた人たちが替わりの情報源としてSNSに一気に向かったことが斎藤氏の再選につながったと言われている。
選挙期間中のテレビ報道のあり方など考え直すべき点は数多い。
前例を踏襲してきたテレビの選挙報道はSNSの時代には通用しないことがはっきりとした。
一方、30人もの職員に聞き取りをしていく根気のいる報道は信頼性の高いテレビでこそ実現することが可能だ。
そうした調査報道の貴重さも改めて痛感した。
はたして第二次斎藤県政はどのようなものになっていくのだろうか。
たとえ職員から異論が出ても、それをうまく活用しながらより良い政策に発展させていけるようなスタンスを取れるならば、今回のような事態はけっして起こらなかったに違いない。
取材陣にはぜひ第二次斎藤県政を検証していく次なる調査報道を期待したい。 

「通報者の探索、許されない」百条委で参考人弁護士 午後に斎藤知事が最後の証人尋問
2024/12/25 11:17
https://www.sankei.com/article/20241225-YRDZH64KO5K7ZEC5JQSRJOUZKE/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発した文書を巡り、告発内容の真偽や告発者を処分した県の対応を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が2024年12月25日、始まった。
午前中は、公益通報制度に詳しい結城大輔弁護士が参考人として招致され、公益通報制度では
「外部通報であっても通報者の探索行為は禁じられている」
と説明した。
午後からは11月の知事選で再選後初めて斎藤氏が証人尋問に臨む他、片山安孝元副知事も証人として出頭予定。
告発文書を作成した県幹部の男性を公益通報者保護法の対象としなかったことや、斎藤氏のパワハラ疑惑などについて総括的に審議する。
斎藤氏はこれまで匿名の告発者を特定し処分した対応については、問題ないとの説明を繰り返しており、最後となる証人尋問でどのような答弁をするのか注目される。
この日、結城弁護士は、公益通報者保護法の法定指針では、通報者の保護に関し
「調査結果が出る前に不利益な扱いをすることは許されない」
と指摘。
「噂話や憶測を基にしているからといって、それだけで不正目的があるとは認定されない」
とした。
男性が事実無根の文書を作成したと認めていると、斎藤氏が言及した記者会見での発言について
「事実上の不利益扱いに当たるような行為」
と述べた。
百条委は、この日で証人尋問を終える見通し。
来年2025年の県議会2025年2月定例会への提出を目指し、報告書をまとめる。
告発文書は2024年3月に県西播磨県民局長だった男性が作成し、関係者に配布した。
県の公益通報窓口にも通報したが、県は内部調査を進めた結果、文書を
「誹謗中傷」
と認定。
男性は停職処分を受け、2024年7月に死亡した。

「前総務部長から聞いた」 告発者私的情報の漏洩疑惑 兵庫百条委に複数県議が説明
2024/12/17 12:18
https://www.sankei.com/article/20241217-RFSTKZVHAZLXNALAFLJSOBUUII/
兵庫県の斎藤元彦知事ら県幹部を内部告発した元県西播磨県民局長の男性の私的情報について、複数の県議が、県議会調査特別委員会(百条委員会)の聞き取り調査に前総務部長から聞いたと説明していることが2024年12月17日、関係者への取材で分かった。
前総務部長は、懲戒処分に関する中心的な役割を担っていた。
県は地方公務員法(守秘義務)に抵触する可能性があるとして調査している。
男性の懲戒処分を巡り、県は2024年3月25日に、男性の私的情報が保存されていたとされる公用パソコンを回収。
その後の県の内部調査で告発文書の核心的な部分が事実ではないなどとして、2024年5月、男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は、2024年7月初め、代理人を通じて百条委に
「プライバシーに配慮してほしい」
と要望。
百条委は告発とは無関係な文書の開示はしないと決めていた。
関係者によると、百条委は今月2024年12月16日に非公開で複数の県議に聞き取り調査を実施。
2024年4月中旬頃に前総務部長から、男性の私的情報の記録を見せられたり、口頭で内容を聞かされたりしたとの証言があったという。
前総務部長は2024年10月25日に開かれた百条委の証人尋問で男性の私的な個人情報を印刷し、所持していたことを認めた。
一方で、漏洩については
「守秘義務違反の嫌疑を受ける可能性が生じる」
などとして証言を拒否していた。
男性の私的情報とされる内容は、知事選(2024年11月17日投開票)期間の前後から交流サイト(SNS)で拡散されており、県は第三者機関を設置して慎重に調査するとしていた。

<独自>告発した元局長の私的情報漏洩か 兵庫知事側近の前総務部長ら 県が調査検討
2024/8/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20240829-I7672IG3YZOJ3NY6WKUDVAY2UM/
兵庫県の斎藤元彦知事らのパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)の私的な情報を漏洩した疑いがあるとして、県が前総務部長の井ノ本知明氏らの調査を検討していることが2024年8月28日、関係者への取材で分かった。
男性は2024年7月に死亡し、直前にプライバシーへの配慮を周囲に訴えていた。
内部調査ではなく、弁護士に調査を依頼する方針。
県は元副知事の片山安孝氏や前理事の小橋浩一氏、産業労働部長の原田剛治氏の調査も検討。
井ノ本氏を含め、いずれも文書で名前が出た知事の側近で、男性の懲戒処分にも関与したとされる。
男性が2024年3月に匿名で文書を報道機関などに配布した後、斎藤氏の指示で作成者を調べていた片山氏らが男性の公用パソコンを調査。
告発文書のデータを確認したことがこれまでに判明している。
関係者によると、井ノ本氏らは2024年4月頃から、パソコンに保存されていた告発内容とは無関係な男性の私的情報を県議らに開示していた疑いがあるという。
県の懲戒処分の指針では、職務上知り得た秘密を故意に漏らした職員を処分の対象としている。
県は井ノ本氏らがこれに抵触する可能性があると判断。
外部の弁護士に調査を委託する方向で調整を進めているという。
男性は2024年7月19日の県議会調査特別委員会(百条委員会)に証人として出頭を予定。
しかし、一部の委員が告発とは無関係な情報も提出するよう求めているとして、代理人を通じプライバシーを保護するよう百条委に要請するなど、私的情報が流布されていることに不安を抱えていたという。
男性は同月2024年7月7日に死亡。
自殺とみられ、証言はしなかったが、陳述書などを準備していた。
2024年8月23日に非公開で行われた百条委の証人尋問では、職員が私的情報の持ち出しについて
「調査の必要があると認識しており、弁護士会に相談している」
と証言した。

「人事畑歩んだエリート」告発の兵庫県庁の元県民局長、「兄貴分的な人だった」と惜しむ声
2024/7/19 13:12
https://www.sankei.com/article/20240719-PL47CVH3BFMYZHAWCVQTUVGHU4/
「一死をもって抗議する」。
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑を告発した元県西播磨県民局長の男性(60)は亡くなる前、こんなメッセージを残していた。
人事畑などを歩む
「エリート」
と評され、
「兄貴分的な人」
「愛すべき先輩だった」
と県庁内から死を惜しむ声が上がる。
「なぜ、告発文書を作成したのか」
「現在の知事や県幹部の状況に許せない思いを抱えていたのだろう」。
男性を知る県関係者は、心中を推し量った。
男性は京都大を卒業し、昭和62年4月に兵庫県に入庁。
人事課長や教育次長、人事課を所管する管理局長(現職員局長)などを務めてきた。
元上司は
「仕事熱心で、誰とでも気さくに話をして、後輩にも優しかった」
「課内、課外関係なく、面倒見のいい人」
と評価。
後輩は
「仕事以外でも仲間と連れ立って行動することが好きな兄貴分的な存在」
「非常に尊敬しており、愛すべき先輩だった」
と振り返る。
西播磨県民局長に就いたのは、斎藤氏の知事就任前の令和3年4月。
県内各地域を管轄する地方機関である県民局のトップは部長級で、中でも西播磨は格が上の方だとされる。
今年2024年3月末に退職予定だったが、同月中旬、斎藤氏のパワハラ疑惑や県幹部らの違法行為を告発する文書を作成し、一部の報道機関や県議らに配布した。
文書は匿名だったが、県は早々に男性が作成したと特定。
斎藤氏は記者会見で、
「業務時間中に噓八百含めて文書を作って流す行為は公務員として失格」
と強い口調で非難した。
更に、
「ありもしないことを縷々並べた内容を本人も認めている」
とと説明したが、これに対して男性は反論文書を公表。
「私自身が認めている事実は一切ない」
「今の県政運営に対する不信感、将来に対する不安感、頑張って働いている職員の皆さんの将来を思っての行動だ」
と記した。
2024年5月には、告発文書は誹謗中傷に当たるとして、県が男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は、人事委員会への不服申し立てをしなかったが、県議会の調査特別委員会(百条委員会)に宛てたメッセージで理由をこう説明していた。
「私の願いは兵庫県という組織がより良くなるため、真実が明らかになることである」。

「違和感ある結論だ」斎藤知事のパワハラ「確証なし」との兵庫県内部調査受け、専門家指摘
2024/12/12 7:00
https://www.sankei.com/article/20241212-BQURIRUIKZJGDA2ODDM3OSIVBM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑や贈答品受領疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県は2024年12月11日、文書を作成した元県幹部の男性=2024年7月に死亡=による内部通報を受けた調査結果を発表した。
斎藤氏による職員へのパワハラ疑惑については、強く叱責されたと認識する職員がいたものの
「確証までは得られなかった」
とした。
また、贈答品受領についても斎藤氏の対応に問題があったとの指摘はなかった。
専門家は
「中立の立場にある今後の第三者機関の調査結果に注目したい」
と述べた。
男性の告発文書を巡っては、県議会調査特別委員会(百条委員会)が真偽を解明するために調査しており、来年2025年2月に最終報告書を発表する見込み。
この他、県が設置した第三者委員会も今年2024年度中を目途に報告書をまとめる予定だ。
百条委が実施した県職員アンケートでは、斎藤氏のパワハラを見聞きしたことがあるとの回答が職員全体の約42%に上っている。
2024年12月11日に県が公表した
「パワハラの確証が得られなかった」
とする調査結果について、公益通報制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授は
「(百条委の)県職員アンケートの結果を踏まえると違和感のある結論」
「兵庫県は公益通報者保護法の法定指針の違反状態が続いていると認識している」
と述べた。
男性は今年2024年3月、一部の報道機関や県議らに告発文書を配布し、2024年4月には文書の内容の一部を県の内部に設けられていた公益通報窓口に送付。
県は通報を受けた内部調査の結果を待たずに2024年5月、
「(文書の)核心部分が事実ではない」
として男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
日野教授は
「懲戒処分が先んじて行われたのは公益通報案件ではなく、人事案件として取り扱い、人事課の調査を優先させてしまったため」
「やはり内部通報の調査結果を待った上で処分を判断すべきだった」
とし、
「今回、男性の通報内容が虚偽や単なる臆測ではないことが明らかになった」
「この調査結果を踏まえれば、通報に対する不利益処分は出来なかったのではないか」
と話した。

「ネットリンチだ」斎藤知事を追及してきた兵庫県議がYouTubeに15件の削除要請
2024/12/9 20:26
https://www.sankei.com/article/20241209-NMYTBF5HM5J33PKCRMTMQIZ2NM/
兵庫県議会の百条委員会委員を務める丸尾牧県議は2024年12月9日、動画投稿サイト「ユーチューブ」に対し、15件の投稿内容が明白な虚偽や名誉毀損に当たるとして削除要請を行ったことを明らかにした。
丸尾氏は産経新聞の取材に
「ネットリンチの状態だ」
と述べ、投稿者特定のための開示請求手続きも行い、対応によっては民事・刑事両面から名誉毀損の責任や罪を追及する方針という。
削除を要請したのは、兵庫県知事選期間中に、丸尾氏を名指しし、
「騒動の主犯格が判明しました」
「知事反対派?の県議によるデマ問題!?」
などの表題で投稿された動画15件。
丸尾氏は
「証拠も示さない虚偽の内容で名誉を不当に毀損するもの」
などとしている。
丸尾氏は
「明らかに事実と異なる内容」
「視聴した人が交流サイト(SNS)上で扇動し、SNSや電話でクレーム、抗議が殺到する」
「業務に支障をきたすだけでなく命にかかわる恐怖も覚える」
と非難。
「著名人もこの内容を基にして動画をアップしており迷惑極まりない」
と憤った。

「調査やめろ」兵庫県議会百条委、委員宅や事務所に今も抗議続く…「萎縮せず調査」と強調
2024/11/25 21:17
https://www.sankei.com/article/20241125-ZQTSI3I7INIJJE7X5XCU4XYZ34/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)が2024年11月25日開かれ、知事選後初の証人尋問が行われた。
県幹部ら3人が証人として出頭したが、斎藤氏は欠席。
斎藤氏の尋問日程は今後調整するが、現段階で目途は立っていない。
知事選では県議会や百条委への批判が強まり、インターネット上では委員への誹謗中傷などが相次いだ。
委員の一人は議員辞職に追い込まれたが、他の委員らは
「調査が萎縮してはならない」
との思いを強めている。
■優勝パレード疑惑で尋問
この日の百条委では、昨年2023年11月のプロ野球阪神・オリックス優勝パレードの企業協賛金を信用金庫に出してもらう見返りに、補助金を増額して還流したとされる疑惑などについて尋問。
証人3人のうち尋問が公開されたのは当時の財務部長のみで、インターネット中継はなかった。
終了後、委員長の奥谷謙一県議が記者会見し、斎藤氏への証人尋問など次回の開催日程は未定だと説明。
調査結果は2024年年内にまとめる予定だったが、知事選の影響などにより来年2025年にずれ込む見通しを示した。
会見後、産経新聞の取材に
「誹謗中傷はあったが、疑惑の真相解明に努めるという姿勢を崩さずに進めていきたい」
と強調した。
斎藤氏が返り咲きを果たした今回の選挙戦。
奥谷氏は立候補者の1人だった政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏から、斎藤氏を告発した男性の死亡原因を隠蔽したなどとする内容を交流サイト(SNS)に投稿された他、自宅兼事務所前で激しい口調で演説され、危険を感じて家族を避難させるなどしたという。
今年2024年6月に設置された百条委では、文書に記載された斎藤氏らに関する7項目の疑惑などを調査。
斎藤氏への2度の証人尋問も行われ、その際の斎藤氏の対応を問題視した議会が斎藤氏に対する不信任案を全会一致で可決した。
斎藤氏は失職し、今回の出直し選挙となったが、こうした経緯もSNSでは批判の対象となった。
ある委員はSNSだけでなく、自宅や事務所に電話やメールで知らない人からの抗議が多く届いた。
「斎藤氏は文書問題について真正面から説明しようとしなかった」
「来年2025年度予算の編成を託すわけにはいかないと考えた」
と辞職を求めた理由を述べ、
「萎縮してしまう委員がいるかもしれないが、信念を持って調査を最後までやり切るのが私たちの務めだ」
と語る。
■中間報告出していれば…
一方、別の委員は、調査が終了していない段階で不信任決議に至った判断について、
「『百条委員会は噓ばかり』などという事実と異なる情報が飛び交った」
「中間報告を出すなどしていれば、そうはならなかったかもしれない」
と反省を口にする。
この委員は
「今でも1日10件程度、
『百条委員会の調査は止めろ』
『議員辞職しろ』
などというメールやSNSの書き込みがある」
と明かしつつ、
「信頼される結論を百条委で出していくだけだ」
と話した。

正義と信じ「敵」攻撃、投稿が過激化し分断生む…「エコーチェンバー」と確証バイアスで先鋭化
2024/11/25(月) 5:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/69da6b550695ba571c30e31e9df9c17645576876
[SNSと選挙]<中>兵庫県知事選から
 「辞めろ」「ウソつき」「出てこい」――。
商店街を練り歩く斎藤氏。
行く先々で批判するメッセージを掲げる人がいた(10日、神戸市中央区で)
兵庫県知事選の選挙期間中、奥谷謙一県議(39)の自宅兼事務所には、そんな電話が相次いでかかってきた。
奥谷氏は、斎藤元彦知事(47)のパワハラなどの疑惑を調査する県議会百条委員会の委員長。
斎藤氏の失職後、SNSで斎藤氏への支持が広がるのに比例し、
「知事の失脚を裏で主導した」
として、奥谷氏を誹謗中傷する投稿が拡散した。
知事選が始まると、立候補した政治団体
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏(57)が奥谷氏の自宅前で街頭演説し、
「出てこい」
などとチャイムを押す動画を配信。
奥谷氏は母と共に避難していたが、立花氏がX(旧ツイッター)で奥谷氏の目撃情報の提供を呼び掛けると、Xには
「有馬温泉に隠れているようだ」
などの書き込みもあった。
今も見知らぬ男が自宅前に立っていたり、チャイムを鳴らされたりすることもあり、警察に相談している。
奥谷氏は
「自分についてSNSに書かれていることはデマばかり」
「こんなに身の危険を感じたことは初めてだ」
と疲労感を滲ませる。

百条委が兵庫県幹部の尋問映像公開、片山前副知事の「告発者の私的情報発言」は音声を消して対応
2024/11/23 21:33読売新聞
https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20241123-567-OYT1T50151.html
■SNSでは「都合の悪い部分を隠蔽」と批判
兵庫県の斎藤元彦知事の内部告発問題を調査する県議会の百条委員会は2024年11月22日、2024年11月10月24、25両日に非公開で行われた県幹部らへの証人尋問の録画映像をユーチューブで公開した。
知事選への影響を避けるため、選挙後に公開する予定で録画されていた。
2日間の証人尋問には、計11人が出頭。
このうち、片山安孝前副知事や県幹部ら計6人分、計7時間以上の映像が公開された。
2024年10月25日の証人尋問では、告発者の男性職員(2024年7月に死亡)が公用パソコンに保管していたとされる私的情報について、片山氏が発言を続けようとし、奥谷謙一委員長が制して一時中断する場面があった。
録画映像では、片山氏のこの時の証言は音声が一部消されていた。
百条委は調査と直接関係のない内容は扱わないことを決めている。
証人尋問の再開後、奥谷氏は
「片山氏から不規則発言があり、尋問を行うことが不可能と判断した」
と発言。
他の委員から異議は出なかった。
知事選の期間中、この消された部分とされる音声が流出。
立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏は、告発者は私的情報が漏れることを恐れて自殺した可能性が高いのに、百条委がそれを隠したと主張した。
SNS上では
「(百条委は)都合の悪い部分を隠している」
などの投稿が相次いだ。
告発者は自殺したとみられるが、その理由は分かっていない。
奥谷氏は今月2024年11月18日の記者会見で、
「(片山氏が)調査に関係ないプライバシー情報を話し始めたので、プライバシーに最大限配慮する県の情報公開条例に基づき、制止した」
と説明。
「隠蔽しているというのは、明らかなデマだ」
と述べた。
また、斎藤氏の側近だった小橋浩一前理事は2024年10月25日の証人尋問で、斎藤氏が告発内容を
「嘘八百」
などと指摘した2024年3月27日の記者会見の直後に、第三者委員会による調査を進言したと証言。
「(斎藤氏は)渋い顔をされ、『どうかな』と。受け入れられなかった」
と述べた。
斎藤氏は2024年9月の証人尋問で、小橋氏の進言について
「記憶にない」
と話していた。
片山氏や県幹部の証人尋問は通常、公開で行われるが、百条委は2日間の証人尋問について、知事選に影響が出ないよう非公開で実施し、選挙後に録画映像を公開する方針を予め決めていた。

告発者処分先行、斎藤知事から「風向き変えたい」 非公開の百条委録画で側近が証言
2024/11/23 7:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QGC7SL3R3RO6VF64OZG66XQHXA/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などについて調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)は2024年11月22日、県知事選前に行った2024年10月24、25日の証人尋問のうち、部長級以上の職員や元副知事、片山安孝氏の尋問の録画映像を公開した。
知事選に影響が出ないよう非公開としていた。
告発文書を作成した県の西播磨県民局長だった男性=2024年7月に死亡=を特定し、懲戒処分とした県の対応を巡り、斎藤氏の指示を受けて処分の中心的役割を担った前総務部長の井ノ本知明氏は、男性が県の公益通報窓口に通報したため、処分はその調査結果を待ってからにした方がよいと斎藤氏に進言したと証言。
しかし、
「知事から風向きを変えたいという話があった」
と処分を先行した経緯を説明し、
「この騒がしい状況を早くしずめたいという思いが(斎藤氏に)あったと推察している」
と述べた。
プロ野球阪神・オリックス優勝パレードの協賛金を金融機関に出してもらう見返りに、県側が補助金増額を約束したとされる疑惑を巡っては、片山氏が
「信用金庫に対する協賛金の協力依頼と補助金を増額する予算措置のタイミングがたまたま一致した」
とキックバックの意図を否定。
「この2つが一緒に動いているという気持ちはなかった」
などと説明した。
一方、尋問では、片山氏が男性のプライバシー情報に関して発言を始め、制止される場面があったが、この部分については公開されなかった。 
百条委は今月2024年11月25日に文書の疑惑などを総括した証人尋問を実施。
斎藤氏の証人尋問も予定されていたが、欠席となる見通し。

齋藤元彦「再選」に浮かれていていいのか…いまだ晴れていない告発者処罰で「職権濫用」の疑義
2024/11/23(土) 6:04配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/04ac1f5ee81b137c6557fafe6224848b6b1c1415
「パワハラ疑惑」
で辞任に追い込まれた齋藤元彦氏が、この度の兵庫県知事選挙で再選されました。
現下の民主主義制度を採用している我が国では、この結果は重く受け止めねばなりません。
少なくともこれで齋藤氏は
「知事」
の要職に就くことが決定しました。
そしてその事実を受け止め、これからメディア上の論調や有識者達の発言内容が変わってくるものと予期されます。(例えば、コチラ、日刊スポーツ、2024年11月17日「斎藤元彦氏に泉房穂氏が生番組で謝罪『おわびです。かなり厳しいトーンで…』兵庫県知事再選受け」)
ただし、この結果は、あくまでも
「知事を誰にするか」
を決定するもの。
言うまでも無く、
「当選者に関わる真実」
に関わる諸判断がこの決定によって影響を受けるべきものではありません。
ここでは、その1点について検討をしてみたいと思います。
この度の選挙の構図は
「既存マスメディアvsSNS」
と言われていますが、その件の
「事実的経緯」
は以下の様なものです。
(1)兵庫県の一職員から、齋藤知事のパワハラを告発する文書が、兵庫県警、報道機関4社、国会議員1名、県議4名、ならびに県庁内の通報窓口に提出された(2024年3月12日付け)。
(2)齋藤知事サイドは、その告発には
「事実無根の内容が多々含まれ」
ており、かつ、
「嘘八百」
を含むものであり、その外部告発行為は公務員として不適切な行為だと断罪し、当該告発者を
「告訴」
する準備を進めている旨を記者会見で発表(2024年3月27日)。
その上で当該職員を特定するための徹底調査を庁内で行い、告発者を特定。
それと同時に、当該告発者の処分を検討するために
「弁護士を入れた内部調査」
を開始した事を公表(2024年4月2日)。
(3)その後、同職員から今度は、兵庫県内の公益通報制度を利用し、庁内の窓口に疑惑を通報(2024年4月4日)。
(4)更にその後、
「弁護士を入れた内部調査」
を通して、
「告発は核心部分において虚偽であり、告発文書は知事や職員に対する誹謗中傷であり、不正行為」
と判断し、告発した職員について
「停職3カ月の懲戒処分」
を決定(2024年5月7日)
(5)県が実施した調査で、
「7人が知事や幹部のパワハラ、6人が知事や幹部への物品供与」
を回答で指摘したという結果が公表される。(2024年5月9日)
(6)齋藤氏は、当該告発内容について、
「第三者委員会」
の設置を表明(2024年5月14日)。
またその後、議会が告発内容の真偽を確認する
「百条委員会」
設置が決定(2024年6月13日)
(7)記者会見で初めて、齋藤氏は告発内容を
「全て否定」
(2024年6月20日)
(8)告発者が
「一死をもって抗議する」
「百条委員会は最後までやり通してほしい」
という一文が入った陳述書を残し、自殺(2024年7月7日)
(9)齋藤知事は告発内容の1つであった
「おねだり」
に関連してワインを受け取っていたこと認める(2024年7月19日)。
ただしその後、それが
「社交辞令の範囲」
と釈明(2024年7月24日)
(10)兵庫県議会は、全会一致で、齋藤氏を不信任を決議し、齋藤氏辞職。
その後実施された知事選挙で齋藤氏再選(今に至る)。
以上の出典は、こちらの情報を基本にとりまとめたもの。
このサイトには、各情報の出典も明記されているのでそちらも併せて参照してください。
■告発者への知事の態度は不適切ではなかったのか
この一連の経緯で、法的に重要なポイントは、かの告発が
「公益通報」
に該当するか否か、という点です。
もし
「公益通報」
であるなら、
「告発者捜し」

「告発者の処分」
を行った齋藤知事が
「公益通報者保護法の違反者」
ということになるのです。
これは刑事罰の対象ではありませんが、
「知事」
としての振る舞いとしては著しく不適切な振る舞いだということになります。
ただし齋藤知事は
「告発された側」
ですが、その
「告発された側」
である齋藤知事は、これを
「公益通報」
ではなく、
「斎藤政権にダメージを与え、転覆させるような計画で、選挙で選ばれた知事を地方公務員が排除するのは不正な目的」
の文書であると認識する、という立場を取っているようです。
そしてその根拠として、片山元副知事は、内部調査の段階で、当該職員のメールに
『クーデターを起こす、革命、逃げ切る』
というくだりがあったことを挙げています。
しかも、齋藤批判を拡大させた
「告発者の自殺」
は、告発者の
「不倫」
の証拠が彼のパソコンに大量に残されており、それが原因なのであって、別に齋藤知事のパワハラが原因なんかじゃ無い、という言説も、選挙期間中、SNSで大いに共有されました。
これに加えてこうした情報がSNSでは共有されているのに、既存メディアでは全く報道されていないという点が
「炎上」
的にネット上で共有され、齋藤知事は
『告発者を自殺に追い込んだ悪い為政者だ』
という認識から
『既存メディアに不当に虐められる被害者だ』
という認識へと、ネット世論は変わっていったのでした。
今回の齋藤氏の勝利は、こうした世論の変化に基づくものでした。
■告発された権力者が自分の権限で断罪することの意味
しかし、ネット上での上記の言説が真実であろうと無かろうと、それとは無関係に齋藤氏の振る舞いはやはり、
「為政者」(Govener:知事)
として許されざる振る舞いであったと筆者は考えます(注1)。
なぜなら、今回告発されているのが
「齋藤知事」
の本人であるにも関わらず、その当の本人の齋藤知事自身が、
「第三者」
の意見を取り入れず、自分自身の知事としての権限を使って、本人の権限で
「当該の告発はフェイクである」
と断罪し、懲戒処分にしてしまっているからです。
この問題の本質はここにあります。
即ち、この告発が仮に
「齋藤政権を潰すための意図」
に基づくものであったとしても、また、メディアが偏向報道を行い、かつ、その告発に
「嘘」
が含まれていたのだとしても、その告発の中に何らかの
「真実」
が含まれている
「可能性」
がある限りにおいて、その告発を、知事という強大な自らの権限でもって
「握り潰す」
かのような振る舞いは
「公益通報者保護法」
の精神の下、許されないものなのです。
そして、内部告発がなされた時点(上記の(3)の時点)で、その告発の中に何らかの
「真実」
が含まれている
「可能性」
があったことは否定し難い事実なのです。
従ってその齋藤氏の振る舞いは、自らの知事という強大な権力についての
「職権濫用」
以外の何ものでもない疑義が極めて濃厚なのです。
仮にこの齋藤氏の振る舞い(注2)を正当化するとするなら、断罪する時点で
「この告発内容は“全て”虚偽である」
「従って、如何なる調査を受けようとも、私は無実であり、この告発内容には一片の真実もないことが、その調査が適正である限りにおいて必ず証明できるのだ」
と言わねばなりませんでした。
ですが彼は、最初の記者会見の席(上記の(2)の時点)で
「虚偽が多い」
と言ったものの
「一片の真実も無い」
とは断定しなかったのです(注3)。
この1点において、彼の態度は、為政者として許されざるものと判断せざるを得ないのです。
■「全てが虚偽ではない」と自覚していた
しかも、こうした筆者と同様の認識は、上記の段階(2)の
「前」
の時点で
「詳細については調査が必要なので申し上げられない」
と発言すべきだと進言していた兵庫県内の人事当局も、そして上記(4)の段階で
『公益通報の結果が出るまでは、処分しないほうがいい』
と進言した県職員も共有していたことは、その発言内容から明白です。
これらはいずれも、県庁内には
「告発に真実が含まれる可能性を完全に排除できない」
という認識が存在していたことを示しています。
(ABCニュース、8月27日「『嘘八百』『事実無根』メモ自作し“パワハラ疑惑”告発文を批判 県人事当局は『調査が必要』との想定問答を事前準備も 斎藤知事『処分の過程は適切という認識』」参照)
更に言うなら、齋藤氏は、上記の(9)でもってその告発の内容の
「一部」
が真実であることを認めているわけですから、調査や処分の
「前」
の段階で、
「この告発内容は“全て”虚偽である」
とは決して言えないということを齋藤氏自身が自覚していたとすら考えざるを得ないのです。
従って、今回の件は、齋藤氏は、知事の権限で以て、自らの不適切行為を訴える告発を
「完全なる事実無根の嘘の代物」
と断罪することは、公益通報制度の理念からして許されざるモノだったのです。
分かり易く言うなら、以上の経緯を冷静に読み解けば、齋藤知事には、
「自分にとって都合が悪いものの一部は真実も含まれていた告発を、自らの知事権限でもって
『全て虚偽だ』
という
『嘘』
をついて、握り潰した」
という濃密な嫌疑があるわけです。
これこそ、彼が
「公益通報者保護法違反」
を犯したと疑われるポイントなのです。
ちなみにこの法律違反は一般の公務員にも該当しますが、齋藤氏が
「知事」
であることを考えると、その道義的責任はより思いものという事になります。
彼は行政官であるというのみならず(国民の信頼がとりわけ必要な)
「政治家」
だからです。
この齋藤知事の
「違反行為」
は、その告発の動機の如何によらず、メディアの報道姿勢の偏向性の有無によらず、明確に存在するものです。
■政治家は「李下に冠を正さず」だろう
ちなみに、こうした齋藤氏の違反行為があったのか否かが
「行政手続き的」
に確定するのは、
「百条委員会」
の結果が出た後、という事になると考えられます。
何故なら、百条委員会は告発の内容の真偽に加えて、
「この告発が公益通報に該当するか否か」
を審査する委員会だからです。
これは言い換えるなら、今、齋藤氏は、
「公益通報者保護法違反の被疑者」
の立場にあるのです。
それにも関わらず、齋藤氏は出直し選挙に出馬し、そして兵庫県民は
「公益通報者保護法違反」
を犯した齋藤氏を当選させてしまったのです。
そうなると、かの告発が
「全て虚偽」
であると認定され、齋藤氏が公益通報者保護法違反で
「行政的にはシロ」
となる可能性が拡大すると危惧されます。
とりわけ、県議会は彼らの
「保身」
のために、恐らくは
「グレーな所は多分にあるが、黒とは断定できない」
という結論を導く公算が高いでしょう。
そうしなければ、齋藤氏を勝たせた世論に
「喧嘩」
を売ることになるからです。
議会にはそれだけの
「根性」
はない疑義が濃厚です。
しかし、仮にそうであったとしても、齋藤氏に知事の資格はないと、判断すべきである、というのが当方の(控え目に言うところの)個人的見解です。
何故なら、
「李下に冠を正さず」
「信なくばたたず」
とまで言われる政治家としては、仮に司法的に、行政府的に
「シロ」
であったとしても、それとは別に、
「政治家として許されるか否か」
という判断は下されねばならないからです。
その視点から考えれば、当方は齋藤氏には知事の資格があると判断することが著しく困難なものとなります。
しかし…今回の兵庫県においては、如何なる思考プロセスを経てそういう結論に辿り着いたのかについてはここでは不問に付しますが兎に角、齋藤氏には知事の資格ありと考える有権者が投票者の内の最多を占めたというのが、今回の現実です。
法治国家の人間として当方も無論、この事実は事実として受け止めますが、それでも尚、自らの保身のために公益通報者の保護義務を、知事の権限を使って握り潰した嫌疑が掛けられている齋藤氏の知事再任には大きな疑問を感じている方は未だに多数おられるものと思います。
ついては是非皆様もこの問題を、今1度、正確な事実を辿り、法的精神をご理解いただきながら、じっくりとお考え頂きたいと、心から祈念いたしたいと思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(注1)無論だからといって、メディアの偏向報道が許容されるべきでは有りません。
とはいえそもそもそれとこれとは別次元の問題なのです。
例えばある罪Aを犯した人物がまた別の犯罪Bの被害者であったとしても、その被害を受けたという事実は罪Aを免罪することの根拠にはならないというのと同じ話です。
メディアの偏向報道には当方も辟易しており、それはそれでまた別の糾弾論が必要となると考えますが、その件はまた別の機会に論じたいと思います。
(注2)ここに言う齋藤知事の振る舞いとは,本文(1)の外部通報に対する(2)の振る舞い,ならびに,(3)の内部通報に対する(4)の振る舞いの2つです.外部通報と内部通報では法的位置付けが異なるため,この両者の振るまいについてはそれぞれ個別に判断する必要がありますが,ここでとりわけ重大な法的・道義的責任が問われるのが後者の内部通報に対する(4)の振る舞いです.
(注3)彼が言ったのは、
「嘘八百を含む」
だの
「事実無根の内容が多々含まれ(る)」
だのといった
「一部に嘘がある」
という話しであり、
「全て嘘だ」
とは言っていないません。
藤井 聡(京都大学大学院工学研究科教授)

斎藤氏の疑惑調査の百条委・奥谷委員長がN党立花氏を告訴 立花氏は民事提訴の方針
2024/11/22 19:51
https://www.sankei.com/article/20241122-G63TGCJ5GBP6VD6A4H5HLRV3YU/
兵庫県知事選に立候補していた
「NHKから国民を守る党」
党首の立花孝志氏から、交流サイト(SNS)上で虚偽の内容を投稿され名誉を傷付けられたとして、県議会調査特別委員会(百条委員会)委員長を務める奥谷謙一県議が2024年11月22日、名誉毀損の罪で立花氏を刑事告訴した。
一方、立花氏は、奥谷氏を相手取って民事訴訟を起こす考えを示した。
告訴状によると、2024年10月31日〜11月19日、X(旧ツイッター)などで、奥谷氏は悪人で噓を付いたり、マスコミに圧力を掛けたりして、告発文書を作成した県の元幹部が死亡した原因を隠蔽したという趣旨の虚偽の内容を投稿され、名誉を毀損されたなどとしている。
捜査関係者によると、奥谷氏は、自身の自宅兼事務所前で立花氏が演説した内容についても、脅迫に当たるとして県警に被害届を提出した。
一方、立花氏は2024年11月22日に東京都内で記者会見を開き、
「(奥谷氏は)私がデマを吹聴していると言っているので、遅くとも来週水曜日までに東京地裁に提訴する」
と述べた。

兵庫県知事選 稲村氏後援会X凍結で告訴「選挙制度の議論期待」
2024/11/22 19:34
https://www.sankei.com/article/20241122-S4VIAFO365N4NM4G4IDKWSEAW4/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で敗れた元尼崎市長の稲村和美氏の後援会は2024年11月22日、選挙期間中に公式X(旧ツイッター)アカウントが何者かによる一斉の虚偽通報で2回凍結されたとして、容疑者不詳で偽計業務妨害容疑などの告訴・告発状を兵庫県警に提出した。
共同世話人の津久井進弁護士は神戸市内で記者会見し、
「民主主義の機能を検証するために告訴した」
「選挙制度の在り方が議論されることを期待する」
と話した。
Xは暴力的な発言などを禁じており、違反した場合は運営管理者によってアカウントが凍結されることがある。
告訴状などによると、氏名不詳者らは選挙期間中、稲村氏の後援会がXで違反行為をしていると虚偽の通報をして業務を妨害したなどとしている。
今後も投稿に関する事実確認を精査し、必要に応じて告訴内容を補充する方針という。

兵庫知事選の結果受け民放連会長、SNSの影響を指摘 「選挙報道のあり方も議論が必要」
2024/11/22 16:59
https://www.sankei.com/article/20241122-AVA5RU3R7RNBTKSDROVPW5ZHAY/
日本民間放送連盟の遠藤龍之介会長(フジテレビ副会長)は2024年11月22日の定例記者会見で、兵庫県知事選で斎藤元彦知事がSNSなどを追い風に再選された結果について、
「必要に応じ、民放連の行動委員会の場などでも議論することが必要」
と述べた。
最近のインターネットの問題について、
「SNS上の偽広告や投資詐欺など、大きな問題も発生している」
と指摘。
今回の知事選においては、
「どの情報で投票行動をされたかデータがないので分からないが、私の解釈としてはSNSの影響は一定程度、あったんだろうと考えている」
とした。
その上で、テレビや新聞の選挙報道に制約がある中、
「選挙報道の在り方ということも、旧態依然の形では着いていけなくなるかもしれない」
「そういうことを議論して頂く可能性がある」
と問題提起した。

2024.11.22 07:00
NEWSポストセブン
《県職員は冷ややかにお出迎え》SNS効果で斎藤元彦兵庫県知事が再選 流布された「真実」は「事実」だったのか、求められる検証
https://www.news-postseven.com/archives/20241122_2006401.html?DETAIL
何かの物事を判断する時、なるべく自分で考えようとしても
「皆が言っている」
ことに人は影響を受けやすい。
SNSが発達した今、
「皆」
はネットで頻繁に目にするユーザーによる発信も含むだろうが、その
「皆」
は、果たして本当に事実を反映した
「皆」
なのだろうか。
臨床心理士の岡村美奈さんが、兵庫県知事選挙を巡るSNSと、人々が考える
「真実」
の関係について考察する。
 * * *
斎藤元彦知事が再選後、初めて県庁に登庁した。
硬い表情で就任式に臨み
「これから自分自身も生まれ変わる」
と語ったが、集まった県職員らの表情は一様に冴えなかった。
当選1回目の初登頂時は、県職員に大きな拍手で迎えられ、挨拶が終わりその場を去るまで拍手が続いていたが、今回、場の雰囲気は冷ややかだった。
「皆で一緒に、もう1度頑張っていきましょう」
と語り掛けたが、職員らの反応は薄い。
斎藤氏は当選当日、選挙事務所で
「県民の皆さん1人1人が県政を見て、何が正しく、何が真実か、そしてどうあるべきかを判断して頂きました」
「これは県民の皆さん1人1人の勝利だと思っています」
と述べた。
斎藤氏の言う真実とは何だったのか。
職員らの反応を見る限り、彼らの真実と斎藤氏の真実には、大きな開きがあるようだ。
2024年11月17日に行われた兵庫県知事選で、斎藤氏は110万票余りを獲得して再選を果たした。
勝利の誘因は、2024年11月18日に選挙事務所で開いた記者会見で自身が述べた
「SNSが1つの大きなポイントだった」
だと言われている。
SNSを通じて支持が拡大、Xのフォロワーも急増、某メディアの出口調査では30代までの有権者の6割以上が斎藤氏に投票したという。
だが選挙中から、SNSによる効果を危ぶむ声が聞こえていた。
いくつかのメディアで分析された
「エコーチェンバー」

「フィルターバブル」
だ。
エコーチェンバーとは、SNS上で自分と似たような意見や考え方のユーザーをフォローすることで、同じような情報や記事ばかりがこだまのように繰り返される状況のこと。
フィルターバブルは、ネットの検索履歴やクリック履歴によって、自分が見たい情報やニュースが優先的に画面に上がってくるというもの。
アルゴリズムによる2つの現象から目にするSNSの情報は、知らぬ間に自分好みに偏り、予想に沿う情報ばかりを重視する
「確証バイアス」
を強化させる。
パワハラ疑惑やおねだり体質などを巡る文書問題から、アンケート調査が行われ百条委員会が立ち上がり、県議会で不信任案が可決し自動失職した斎藤氏。
だが選挙が始まると疑惑はデマ、斎藤氏は陰謀に巻き込まれたという情報がSNSで飛び交った。
何がデマで、どんな陰謀なのか。
SNSの情報を検証したメディアはなく、確証バイアスによって斎藤氏への支持は日増しに拡大。
陥れられた?という斎藤氏には同情が集まり、それでも戦う”不屈の精神”に共感が寄せられた。
背景には県庁や県議会への不満、偏ったマスコミ報道への批判、メディアへの不信感があったと言われている。
“メディアを始めとする大方の予想に反し圧勝、SNSを駆使した選挙活動を展開、掛けられた疑惑に捏造や陰謀論が巻き起こり、それを信じる人たちの間で支持が拡大”。
斎藤氏の勝利は、先日行われた米国の大統領選挙で勝利したトランプ氏のケースとよく似ている。
その背景にも社会や現状への不満、メディアへの不信感があると言われていた。
“社会への不満が強い人ほど陰謀論を信じやすい傾向にある”。
これは鹿児島大学の大園博記准教授らの研究で明らかになった、陰謀論を信じやすい人の心理的特徴だ。
更に論理的思考が苦手な人も陰謀論に傾倒しやすいという。
社会やメディアに不信感や不満を持っていた人々は、ネット上に表れる情報を信じ、街頭演説で支持者たちの高まる熱量に触れ、”そうだったのか!”と真実を知った気になっていく。
人気漫画が原作のドラマで菅田将暉さんが主演した『ミステリと言う勿れ』の中に、主人公の久能整が刑事に対してこう述べるシーンがある。
「真実は人の数だけあるんですよ。でも、事実は1つです」。
斎藤氏が考える真実もあれば、パワハラを受けたという県庁職員にも真実がある。
百条委員会は人によって変わる真実ではなく、事実を調査する。
今回の選挙は百条委員会による調査結果が出る前に行われ、兵庫県民には疑惑が事実か真実か見極めるだけの情報も時間もなかった。
既存メディアはSNSで流される情報を検証せず、斎藤氏は陰謀論を完全否定しなかった。
「法的に問題はなかった」
と繰り返す斎藤氏に、県議員や県職員がどこまで着いていけるのか。
「あってはならんことになった」、
兵庫県議員が述べた言葉が、これ以上現実にならないことを願うばかりだ。

立花孝志氏への批判が強まるほど「立花の思うツボ。ヒール役のヒーローです」N党議員が持論
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2024年11月21日(木)21時8分 スポーツニッポン
https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/1121/spn_241121_7929294405.html
参議院議員・斎藤健一郎氏が2024年11月21日までに公式X(旧ツイッター)を更新し
「NHKから国民を守る党」
の立花孝志党首に言及した。
立花氏は兵庫県知事選に出馬しながらも、再選を目指す斎藤元彦氏を応援するスタンスを表明。
「当選は考えていない」
「斎藤氏に対してプラスになるような選挙運動をしたい」
と、異例の形での援護射撃を行っていたが、斎藤氏は再選を果たした。
こういった活動に批判の声も寄せられているが、斎藤氏は
「今後しばらく、全ての批判が立花孝志に集まり、斎藤知事の文書問題責任が時間と共にフェードアウトします」
とポスト。
「結果的に県政に知事が集中できる状態になるので 立花孝志への批判が強まれば強まるほど 立花孝志の思うツボ ヒール役のヒーローです」
と持論を展開した。

「Xの2度凍結は選挙妨害」兵庫知事選で稲村氏後援会、虚偽通報アカウントを刑事告訴へ
2024/11/21 19:47
https://www.sankei.com/article/20241121-PAV6XVHFXFKA3M3DFBM6NSVE5E/
兵庫県知事選の期間中、立候補していた元尼崎市長の稲村和美氏(52)の後援会が運営するX(旧ツイッター)が虚偽の通報で凍結され、選挙活動を妨害されたなどとして、稲村氏の後援会が通報した不特定多数のアカウントについて、偽計業務妨害の罪で県警に刑事告訴することが2024年11月21日、後援会関係者への取材で分かった。
公職選挙法違反罪でも刑事告発する方針という。
2024年11月22日にも県警に告訴状などを提出する。
関係者によると、後援会運営のXは2024年11月6日と12日の2度にわたり凍結された。
「SNS上の禁止行為をした」
という虚偽の通報が多数行われた可能性があるという。
後援会は
「ルールに反する行為はなく、不当な選挙妨害」
「凍結され情報を伝えることができず、選挙結果にも大きな影響があった可能性もあり残念だ」
としている。

稲村和美さんのSNSが兵庫県知事選挙期間中「2回凍結」“うそ”の通報による「不当な選挙妨害」不特定多数のアカウントを刑事告訴へ
関西テレビ
2024年11月21日 木曜 午後4:00
https://www.fnn.jp/articles/-/790661
兵庫県知事選挙に立候補していた稲村和美さんのSNSが、選挙期間中、2回に渡って凍結された。
後援会は、嘘の通報によって凍結され、選挙活動が妨害されたとして、2024年11月22日にも刑事告訴する方針だ。
2024年11月17日に投開票された兵庫県知事選では、前職の斎藤元彦知事(47)が、稲村和美さん(52)に約13万票の差をつけて勝利した。
稲村和美さん:
正直何が争点になったのかなと。
斎藤候補と争ったというより、何と向かい合ってるのかなという違和感があったのは事実です。
この選挙期間中、稲村さんの後援会が運営するSNSが、2024年11月6日と12日、2回に渡り凍結された。
関係者は、
「SNSで禁止行為をした」
という、嘘の通報を多数されたことで凍結されたと見ている。
■「不当な選挙妨害」不特定多数のアカウントに対し刑事告訴する方針固める
後援会は
「ルールに反する行為はなく、不当な選挙妨害だ」
と主張していて、通報した不特定多数のアカウントに対し、偽計業務妨害の疑いで刑事告訴する方針を固めた。
後援会は2024年11月22日午後に兵庫県警に告訴するとしていて、公職選挙法違反の疑いでも告訴するか検討しているということだ。
(関西テレビ 2024年11月21日)

<浪速風>SNSに頼る投票先判断に女子中学生が「将来的にいいことなのか?」
2024/11/21 13:00
https://www.sankei.com/article/20241121-ITVNR3R5XVJFDLPX5QWMIX6WZA/
斎藤元彦氏が再選した兵庫県知事選。
選挙で交流サイト(SNS)が勝敗のカギを握るようになったと評した2024年11月18日付小紙の産経抄を題材にした授業が同県内の私立中学校で行われ、生徒が書いた感想を見せてもらった。
▶ある女子生徒はSNSのおかげで当選し、既存メディアを投票の参考にしなくなったとして
「将来的にいいこと?」
と疑問を抱いたようだ。
父親が特定候補の応援とみられる演説動画を再生し、深夜に拍手する姿を見て異様と感じ
「結局人の意見はどういう環境にいたか何を見たかの差なんだなと思いました」
と綴った。
▶中学生の親世代がSNSで拡散された斎藤氏を巡る疑惑を捏造とする見方を信じ、十分なファクトチェック(事実確認)なく投票先を判断することには危機感を抱く。
だが、若い世代が
「それでいいのか」
と考えているのは、せめてもの救いかもしれない。

兵庫・斎藤元彦知事、第2章 対話重視を強調 20代女性職員「同じようなことが起きないでほしい」
2024.11/20 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241120-LNWFHFAM2VNYTEW2TUAJ6CWG4U/
疑惑告発文書問題で失職後、兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事が2024年11月19日の就任記者会見で対話重視を強調する一方、県庁内には
「変わると言うが本当なのか」
と戸惑いが広がっている。
初登庁した斎藤知事は、記者会見に先立つ県庁内の政策会議で、約40人の幹部らを前に
「積極的にコミュニケーションを取っていきたい」
「指摘があれば遠慮なく情報を上げてほしい」
と呼び掛けた。
一方、20代女性職員は
「当選したからには変わってくれることを期待したい」
とした上で、
「もう1度同じような事が起きないでほしい」
と願った。
一方、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が2024年11月25日実施する方針の斎藤氏への証人尋問について、出頭要請に応じるのは困難との考えも示した。
当日に東京都内で開かれる政府主催の全国知事会議が重なるのが理由。

「民意を得たから、全部チャラではない」斎藤知事再選に橋下徹氏 政治家もマスコミも「覚悟を持て!」
関西テレビ
2024年11月20日 水曜 午後6:31
https://www.fnn.jp/articles/-/790164
斎藤元彦兵庫県知事が再選を果たし、2024年11月20日、議員への挨拶回りをした。
不信任決議や告発者問題など、様々な課題がある中、関西テレビの「旬感LIVEとれたてっ!」に出演した橋下徹氏が、今後の兵庫県政について見解を述べた。
■告発者に対する対応は「権力者としてあってはならないもの」
橋下徹氏:
県議会とか、市長会、メディアも含めて、『覚悟を持て』ということです。
この結果を受けて斎藤さんの告発者に対する対応に関しては、権力者としてはあってはならない。
今の色んな態度を見てると、基本的に立派にやってるなと思います。
僕がもし斎藤さんの立場だったら、返り咲いた議会にぼろくそに言ってますからね。
橋下徹氏:
今回の争点は県庁内部に対しての斎藤さんの態度、振る舞いなんですよ。
斎藤さんは有権者に対してはあのような態度だと思うんですね。
だから有権者はしっかり支持した。
でも県庁内部の話になると、有権者が見えていない斎藤さんの姿があるのかも分からない。
橋下徹氏:
まだ事実は確定していないが、斎藤さんも考え直さなければいけない行動があったと思う。
職員とのコミュニケーションをしっかり取っていかなきゃいけないって言ってましたし。
対応に違いがあるんだったら、しっかり正してもらわなきゃいけないと思うし、告発者に対する対応もこれから第三者委員会で結論出ますから、一番重要なポイントだと思ってます。
■「民意で決めていいことと、民意で決めちゃいけないことっていうのはある」
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
「とれたてっ!」青木源太キャスター:
県議会は解散してないので、議会の構成自体は変わっていないですよね。
今回民意を受けて、斎藤知事が再選してやってきた。
ここからどういう関係を構築していくのでしょうか。
橋下徹氏:
不信任決議が出た時の知事の対抗策として、王道は議会解散です。
1回議会を解散して、選挙を通じて議会のメンバーを入れ替えて。過半数を取ればいいわけですよ。
でも斎藤さんは知事選を選んだんです。
僕は王道ではないと思っていて、本来だと知事選の民意と、それから議会選挙での民意、2つ民意を考えなきゃいけないのが、地方の政治行政の二元代表制という考え方で、議会は、知事選挙の民意とは別に言うべきことはしっかり言わなきゃいけないですよ。
橋下徹氏:
民意で吹き飛ばすことができないような問題点を斎藤さんに突き付けていたんだから、特に告発者に対する対応は百条委員会でしっかりやってほしい。
これは民意を得たからといって、全部チャラになる問題ではない。
どうも雰囲気見てたら、グダグダになりそうですね。
民意で決めていいことと、民意で決めちゃいけないことっていうのはあるんだよってことを、やっぱり兵庫県の有権者の方にも分かってもらいたいし、そこは伝えていきたいなと思います。
■伊丹市長らの行動は「政治不信の根元になる」
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
投開票の3日前、2024年11月14日に兵庫県内の市長会有志22人が、斎藤知事と争っていた稲村氏の支持を表明した。
ここに宝塚市長と伊丹市長の名も連ねていたが、投開票当日には2人の姿は斎藤陣営にあった。
橋下徹氏:
兵庫県議会議員も市長も、こういう態度が政治不信の根元になると思いますよ。
知事と上手くやっていきたい気持ちがあるんだったら、政治決戦に乗り出しちゃいけない。
政治生命がなくなる覚悟で、民意を背負って斎藤さんに対して意思表明をしなきゃいけない。
橋下徹氏:
伊丹市民は斎藤さんと上手くやらなきゃいけない。
そしたら伊丹市長は辞職すべきですよ。
自分が決戦に乗り出して稲村さんを支持したんだから、伊丹市と兵庫県の関係を取り戻すっていうんだったら、全員辞職すべき。
そのまま自分が残るなら、斎藤さんに自分たちの主張を続けなきゃいけない。
■「大手メディアが情報を取捨選択するから、SNSが補充した」
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」より
橋下徹氏:
地上波テレビの放送を見ると、報道の量としてバランスを欠いたなと思います。
告示期間に入ると物凄い公平性を気にするじゃないですか。
でも斎藤さんの報道の時にはかなり偏ってたなと思います。
番組側がウラも取らずに報道していたとは思わないし、違う意見も出していたけど、量的にはアンバランスだったんじゃないのか。
橋下徹氏:
一番は県民局長に服務規律違反があったと。
内容は放送局が色んな理由で報じないと。
ただ今の時代、大手マスメディアに情報を取捨選択させていたら、自分たちに情報が入ってこないと思ったのが有権者ですね。
だからSNSがそこを補充してきたわけですよ。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2024年11月20日放送)

橋下徹氏「斎藤元彦氏は立派にやってる」兵庫県議会と融和姿勢を評価「僕ならボロクソ言ってる」一方「権力者として資格なし」指摘も
2024/11/20 16:52デイリースポーツ
https://news.goo.ne.jp/article/dailysports/politics/20241120092.html
橋下徹元大阪府知事が2024年11月20日、カンテレ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演。
兵庫県知事選で出直し当選した斎藤元彦氏について、言及した。
斎藤氏は2024年11月19日に初登庁し、2024年11月20日には県議会の各会派に挨拶回りをした。
全会一致で不信任したアンチ斎藤にも融和姿勢を見せた。
橋下氏は映像を見て、
「告発者に対する対応としては、権力としてあってはならない」
「権力者としての資格なしと思います」
と前置き。
「今の色んな態度、振る舞いを見て、立派にやってるなと思います」
「僕が斎藤さんの立場だったら、議会に返り咲いたら議会をボロクソ言ってます」
と斎藤氏の穏やかな対応を評価した。
その上で、争点は
「県庁内部に対しての斎藤さんの態度、振る舞い」
と指摘し、対外的な有権者に対しては一貫して、温和な振る舞いをしており、そこへの評価で、支持が集まった。
しかし、
「県庁内部の話となると、有権者には見えていない、姿があるのかも分からない」
「事実は確定していないが」
と述べた。
橋下氏は更に、県議会に対しても注文が。
ウエルカムムードが漂ったが、橋下氏は
「民意で吹き飛ばすことはできない問題を斎藤さんに突きつけていた」
「民意とは関係ない部分では百条委員会などで、斎藤さんにしっかり、解明していかなければならないが、どうもグダグダになりそう」
と呆れた。

斎藤元彦知事を「支える、支えないとかいうレベルの認識やめて…」前鳥取知事が兵庫県議会に提言
2024/11/20 14:38日刊スポーツ
https://news.goo.ne.jp/article/nikkangeinou/entertainment/f-et-tp0-241120-202411200000590.html
前鳥取県知事の片山善博氏が2024年11月20日、TBS系「ひるおび」(月〜金曜午前10時25分)に出演。
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦氏(47)について言及した。
この日は斎藤知事の初登庁の様子や今後について特集。県議からは
「斎藤知事の得票率は50%を超えていない」
「斎藤知事に反対する民意もあったので両方を考えていく必要がある」
との声も上がった。
片山氏は議会の対応について
「私は兵庫県議会に限らず、日本の地方議会はちょっと失礼ですけど、ピントがずれている」
と指摘。
「そもそも議院内閣制ではない」
「だから国政と違って与党、野党という考え方はないんです」
と説明した。
その上で
「斎藤知事を支える、支えないとかいうレベルの認識はやめて、1つ1つの議案ごとに対応するのが本来の地方議会」
「いいものがあれば通せば良いし、問題があれば修正案を出す、否決するとかすればよい」
と主張した。
「知事を支えるから、何が出てきても賛成するというのがよくあるんですけどそれは間違い」
「是非良い機会ですから、与党会派だとか野党会派だとかはなしに、真剣に審議してもらいたい」
と私見を述べた。
また、百条委員会の在り方について
「再任されましたけど、百条委の最大の狙いは公益通報に対してどういう対応をしたのかという問いかけ」
「これは議会として結論は出さなければならないと思う」
と指摘した。
「また斎藤知事の下で告発が出た時に、同じ事をやるのかと」
「一方的に、犯人捜しのようなことをして結果的に死に追いやった」
「これが正しかったのかはちゃんとよく吟味しないと、兵庫県政の品位に関わる問題なんですよ」
「やっぱり私は間違っていたと思う」
「これから職員も不安ですよね」
「何か批判をしたら死を覚悟しなければとなるなら、モノを言えないですよね」
「だから遠慮しないで調査して結論を出してもらいたい」
と主張した。

兵庫県知事選で“議員辞職”も…SNSなどで真偽不明の情報や“誹謗中傷”相次ぐ【#みんなのギモン】
2024/11/19 21:21日テレNEWS NNN
https://news.goo.ne.jp/article/ntv_news24/nation/ntv_news24-2024111905782424.html
2024年11月19日、斎藤元彦前知事が再び兵庫県知事に就任しました。
「気持ちを新たに頑張っていきます」
午前10時頃、歩いて姿を見せた斎藤知事は、待ち構えていた大勢の支援者らと握手を交わしながら今年2024年9月以来、約2か月ぶりに登庁しました。
「改めまして本日から兵庫県知事に就任をさせて頂きました」
「是非、皆で1つのチームとなってやっていきたい」
「そのためにも、自分自身もこれから生まれ変わる」
「1からスタートしていくという気持ち」
「何よりもやはり謙虚な気持ちを持ってやっていきたい」
「どうぞよろしくお願いします」
   ◇
今回の選挙戦では、SNSなどで真偽不明の情報が飛び交い、そのうねりによって兵庫県議会の議員1人が辞めようとするまでに至るなど、私たちもよく考えなくてはいけない事態が起きていました。
そこで今回の#みんなのギモンでは、
「知事選で“議員辞職”も… 何が?」
をテーマに解説します。
■SNSなどで“誹謗中傷”相次ぐ “議員辞職”も
★近野解説委員
「斎藤知事に対する百条委員会の調査は今回の知事選挙期間中も続いていたのですが、SNSなどで真偽不明の情報が飛び交い、百条委員会は2024年11月18日に会見を開き『様々な憶測によって、SNSなどで委員への誹謗中傷が相次いだ』と訴えました」
★百条委員会 奥谷謙一委員長(2024年11月18日)
「ご批判の中には、誤解・思い込みによるものも少なくありませんでした」
★近野解説委員
「その中で百条委員会の委員の1人である竹内英明県議が誹謗中傷から家族を守るために議員辞職願を提出したことを明らかにしました」
「委員の1人は、
『言葉の暴力、ネットの暴力が拡散して家族が錯乱状態にまでなった』
『政治の道から退いてほしいと家族から話があった』
と竹内県議から相談を受けたといいます」
■様々な真偽不明情報が拡散された
★近野解説委員
「今回の選挙は真実なのかどうか確認しづらいSNSでの情報が飛び交っていました」
「そのうねりによって議員が辞めようとするまでに至っています」
「SNSではもちろん斎藤知事への誹謗中傷もあったんですが、例えば
『斎藤知事のパワハラは捏造』
『斎藤知事の騒動は既得権益を守りたい人々によるクーデター』
といった投稿もありまして、それから対立候補の稲村氏に対しても
『外国人参政権を与えようとしている』
という情報も拡散されました」
★斎藤佑樹キャスター
「何が正しいのか、どれを信じていいのか、分からなくなりますね」
★近野解説委員
「なかなか、見極めが難しいですね」
「斎藤知事のパワハラ疑惑を巡っては、県職員へのアンケートで約4割が
『見聞きした』
と回答していますし、斎藤知事自身も
『机を叩く行為』
があったことなどは認めています」
「しかし
『捏造』
というのは根拠不明です」
「そしてクーデターというのも根拠不明」
「そしてまた稲村氏も自身のHPで
『外国人参政権を進めません』
『デマに気を付けて』
とSNSでの情報を明確に否定しています」
「こうした不確かな情報が拡散して大きなうねりになって、それが結果に影響したとすれば事態は深刻です」
★近野解説委員
「ネットメディアに詳しい国際大学の山口真一准教授は、
『今回の選挙で様々な真偽不明情報が拡散されたのは間違いない』
とした上で、そうした情報は
『政治に興味のない層、普段投票に行かない層に特に刺さりやすい』
と分析しています」
「更に
『法律の定めもあって、公平性を保つために選挙が近くなるほどに特定の候補や陣営を大きく扱う報道はテレビや新聞はできなくなってくるが、SNSは自由に言いたい放題』
『SNSでの情報量が増えることによって、有権者がそれらに触れて今回の選挙に関心を持って、それらの情報の中で斎藤さんが正しいと思って投票した人もいただろう』
ということです」
「今回に限らず、選挙が近付いた時にどんな風に報道していくかについては、私たちも重い課題を突き付けられた形です」
★森圭介キャスター
「情報源が増えたので、自分が信じたいものが事実だと思うという人が増えているということですね」
「だからこそ、その情報が本当に真実なのかという判断は、自分自身で鍛えていかなければならない時代になってきましたね」
■実績評価して投票した人もいた一方で課題も…
★近野解説委員
「今回は真偽不明の情報が色々ある中で、選挙戦では例えば、県立大学の無償化など
『若者を応援する政策に期待して投票した』
と話す人もいますし、
『知事報酬のカット』
『県職員OBの天下り廃止』
など、これまでの知事の実績を評価して投票したという方も多かったと思います」
「一方で課題が残っていることも事実です」
「兵庫県の元・幹部職員が文書で告発したパワハラなどの疑惑について百条委員会の調査は続いています」
「来週2024年11月25日に行われる証人尋問では、それらの疑惑や公益通報者保護などについて尋問を行うために斎藤知事に出頭を求めることを決めました」
「ただ、2024年11月19日の知事の会見によると、この日は全国知事会が東京であるため、出席が難しいことを議会事務局に伝えたといいます」
「別の機会でもしっかり対応したいと話していました」
★鈴江奈々キャスター
「今回の知事選挙でも、1人1人が発するSNSでの言葉の力が良い面でも悪い面でも明らかになった選挙だったと思うので、私たちも考え直すきっかけにしたいですね」
★近野解説委員
「本当なのか虚偽なのか、見極められない情報を世の中から全部なくすことはできません」
「だからこそ、選挙のような対立・敵対の構図では特によく吟味していく必要があります」
(2024年11月19日午後4時半頃放送 news every.「#みんなのギモン」より)

別の百条委メンバーも兵庫県知事選中に「脅迫された」…自宅前に県外ナンバーの車、不審人物が何度も行き来、クレーム電話ひっきりなし
公開日:2024/11/19 16:50 更新日:2024/11/19 16:50
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/363690
まだまだ一波乱も二波乱も起きそうだ。
兵庫県知事選で再選した斎藤元彦氏(47)が2024年11月19日に県庁を訪れ、当選証書が手渡された。
自身のパワハラ疑惑を含む文書告発問題で県議会から不信任決議を突き付けられて失職した斎藤氏。
出直し選で勝利し、再び県政の舵取り役に戻ったとはいえ、これにて一件落着とはいかない。
告発文書問題はまだ終わっていないからだ。
県議会の調査特別委員会(百条委)は2024年11月18日、証人尋問を2024年11月25日に開き、斎藤氏に3回目となる出頭を求めることを決めたのだが、この日、報道陣を驚かせたのは百条委メンバーの一人、竹内英明県議(50)が議員辞職願を提出し、許可されたと発表したことだ。
所属していた
「ひょうご県民連合」
などによると、知事選期間中、竹内氏に対する誹謗中傷がネット上で過熱したのが理由。
斎藤氏を応援する目的で立候補した政治団体
「NHKから国民を守る党」
の立花孝志党首(57)が、SNS上で竹内氏の自宅に行くと予告したり、デマ情報を流したりして生活が脅かされ、家族を守るために辞職を決断したという。
■百条委委員長は自宅を“襲撃”されたと明かす
百条委の奥谷謙一委員長(39)も会見で、立花氏が自宅兼事務所で街頭演説し、
「ひきこもってないで出て来いよ」
「これ以上脅して奥谷が自死しても困るので、これくらいにしておく」
などと脅迫されたと明かしていたが、事実であればとんでもない話。
別の百条委議員もこう言う。
「奥谷氏の自宅前は怒声が飛び交い、玄関のチャイムが何度も鳴らされるなどの被害を受けました」
「私の自宅前にも県外ナンバーの車がずっと停車していたり、挙動不審な人が何度も行ったり来たり」
「事務所にはクレームの電話がひっきりなしで、メールも1日何件も誹謗中傷の書き込みがありました」
「何があるのか分からないので、仕方なく今も事務所のシャッターは閉めたまま」
「議員として何か不正行為をしていたのであればともかく、法に則って粛々と委員会運営をしてきただけ」
「それなのに何故、こんな事になっているのか」
「脅迫ですよ」
百条委のメンバーらは今後、こうした嫌がらせ行為について捜査機関などに相談し対応する考えという。

“返り咲き当選”兵庫・斎藤元彦知事の登庁に涙の人も…一方、「SNSなどで誹謗中傷受けた」“百条委員会”竹内英明県議が辞職
イット!
2024年11月19日 火曜 午後7:12
https://www.fnn.jp/articles/-/789422
前略
■“誹謗中傷”で百条委員会メンバーが辞職
斎藤知事が返り咲く原動力となった“SNSの力”は一方で、その負の側面も見え始めている。
知事に証人尋問への出頭を要請することを決めた2024年11月18日の百条委員会では、こんなシーンがあった。
百条委員会のメンバーでもあった竹内英明県議が委員会を欠席していたため、
「理由は聞いていませんか?」
という質問が出て、事務局が
「本日議長宛に辞職の申し出がありました」
と返答。
会議室からは、
「ええっ?」
という驚きの声も上がった。
その主な理由が、“SNSなどで誹謗中傷を受けたため”だという。
この問題を巡っては2024年11月19日、石破内閣の閣僚・平将明デジタル相(57)も、過激なSNSの投稿が選挙に影響を及ぼす側面に懸念を表した。
こうした問題について、2024年11月19日午後3時から行っていた会見で、斎藤知事にも記者から質問があった。
記者:
2023年10月に、斎藤知事はSNS条例について制定を考えていると言っていた。
その時は
「大変恐ろしく身の毛のよだつ思いをし、SNSで誤った拡散や誹謗中傷の問題に取り組む必要がある」
とおっしゃっていましたが…。
斎藤知事:
SNS条例の制定については どういった形でやっていくかというのは準備や検討を進めていきたいと思う。
(「イット!」 11月19日放送)

兵庫県知事選、斎藤前知事が当選「選挙の実相」メディアは伝える責務を 焦点が「告発文書で懲戒処分、元県民局長の素行」に変化
2024.11/20 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241120-TYRDZJVQLRJ73ABEZAPTS4QY7E/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選は、失職して臨んだ斎藤元彦前知事が111万3911票を獲得して再選を果たした。
2カ月前、兵庫県議会が斎藤氏の不信任案を全会一致で決議したことが今回の知事選に繋がったが、斎藤氏当選は
「民意の勝利」
なのだろうか。
当初の争点は、不信任決議を受けた
「斎藤氏の資質」
だった。
だが、焦点は徐々に
「知事を告発する文書を出し、懲戒処分を受けた元西播磨県民局長の素行」
に変化していった。
2024年7月に亡くなった元局長について、
「在職時、問題行為があった」
と指摘する候補者もおり、波紋を呼んだ。
ネット上では、斎藤氏を擁護する論調が目立ったようだ。
斎藤氏の
「パワハラ疑惑」
などを批判してきた新聞やテレビなどに対し、
「オールドメディアは『真実』を報じない」
と主張する候補者もいた。
また、
「斎藤氏の対抗馬である稲村和美前尼崎市長を利する報道ばかり」
との指摘もあったが、本当にそうか。
県内の22の市長が2024年11月14日、稲村氏を応援する
「異例の声明」
を出したが、多くのテレビは詳細を報じなかった。
市長らの応援が公職選挙法に抵触する可能性も指摘されたが、県選管はこれを否定した。
もし、オールドメディアが
「稲村推し一辺倒」
なら、このニュースを繰り返し詳報したはずだが、そうはならなかった。
オールドメディアは、報道側の基準による
「公正さ」
を重視する立場だ。
しかし、国民世論は、この姿勢を
「公正」
「慎重」
と評価せず、むしろ
「偏向」
「事実の無視」
と受け止めているのではないか。
選挙期間中、SNSでは各陣営への誹謗中傷が飛び交い、真偽不明の情報が溢れた。
我が国では、インターネットを利用した選挙運動が2013年に解禁され、選挙の様相は大きく変わった。
有権者が様々な
「情報」
に触れる機会が劇的に増えたのだ。
そして、情報が衝撃的なほど波及力は大きく、拡散のスピードは速くなる。
当然、悪用に厳しく目を光らせ、1つ1つの事実関係をより慎重に検証する必要があるだろう。
今月2024年11月の米大統領選では、候補間の過激な応酬≠ェ注目されたが、日本も潮流は似ている。
各選挙では相手陣営に乗りこみ、暴力で威迫し、警察当局が逮捕に動いたケースまで出ている。
大前提として、選挙の
「実相」
をどう判断するかは有権者の各個人に任せるべきで、メディアが決めることではない。
有権者に提供される事実は多い方がよい。
同時に、ウソや間違いは、積極的に排除すべきだ。
重大な人権侵害となるようなデマなどは、決して許してはならない。
選挙戦で、事実を度外視して
「声の大きい」
側が有利になれば、そのうち、国外からの干渉も甘受せざるを得なくなるのだろうか。
民主主義を弄ぶと、とんでもない結果を招きかねない。 
(政治ジャーナリスト・安積明子)

自宅前にN党立花氏「デマ広がることに恐怖」と百条委・奥谷委員長 斎藤知事は把握せず
2024/11/19 21:36
https://www.sankei.com/article/20241119-5OXXVEH6CBPENGU55D6YYWK3RM/
兵庫県知事選で再選された斎藤元彦氏が2024年11月19日、知事に就任。
2期目の就任会見で
「SNS(交流サイト)は大きなポイントだった」
と選挙戦を振り返った。
一方、知事選を巡っては、斎藤氏の疑惑を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員らに対し、SNSなどで誹謗中傷が横行。
斎藤氏は詳しく把握していないとしつつ、県として条例制定を含めた対応を検討中だと説明した。
インターネット上には、百条委の委員が斎藤氏の疑惑を捏造したなどとする説が流布され、
「斎藤知事をハメた兵庫県議の面々」
として委員らの顔写真を並べた画像なども出回った。
百条委の奥谷謙一委員長によると、斎藤氏を支援するとして知事選に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首、立花孝志氏が奥谷氏の自宅前で演説し
「出てこい」
などと発言。
その模様を動画で公開した。
SNSでは
「クズ」
「噓つき」
など奥谷氏を中傷するメッセージが飛び交った。
奥谷氏は母親を避難させたと明かし、
「デマが広がることに恐怖を覚える」
と述べた。
別の委員はSNSの投稿に身の危険を感じ、事務所を閉鎖。事務所周辺では他県ナンバーの車両やスマートフォンを手にうろつく若者をよく見かけるようになり、家族を含めて身の危険を感じているという。
斎藤氏は昨年2023年、自身がSNSで
「大変恐ろしく身の毛のよだつ思いをした」
として、SNSでの誹謗中傷を防止するための条例制定を進める方針を明言。
2024年11月19日の会見では
「誹謗中傷は控えていくことが大事」
「SNS条例の制定については(担当部局で)検討をしていると思うので、引き続き準備や検討を続けたい」
と述べた。

「正義のように戻ってくるのが不思議」「立花さんの演説を肯定も否定もしなかった」兵庫県職員 百条委委員への中傷も 斎藤知事の県政運営どうなる
関西テレビ
2024年11月19日 火曜 午後8:00
https://www.fnn.jp/articles/-/789668
再選を果たし、2024年11月19日、県庁に初めて登庁した斎藤知事。
支援者から拍手で出迎えられた。
一方で、再び共に働くことになった県職員が、斎藤知事再選へのそれぞれの思いを関西テレビの取材に明かした。
2024年11月19日、午前10時、兵庫県庁に集まった人々。
そこに現れたのは、斎藤元彦知事。 5秒間、深々おじきをして、県民らと会話した。
集まった人:兵庫県の職員のみなさん、こんなやつに負けんなよ。応援しとうからな。
集まった人:頑張ってくださいね、大変でしたね。
■「生まれ変わる」という言葉で再スタートの抱負を語った斎藤知事
そして、選挙管理委員会から当選証書を受け取り、その後の就任式では…
斎藤元彦知事:
自分自身もこれから生まれ変わる。
1からスタートしていくという気持ち。
多くの県民の皆さんと共に、この兵庫県をもっともっとよりよい兵庫にしていく。
前に進めていく。
県民の皆さんのための政治、県政をしていくということを心からお誓い申し上げたいと思います。
「生まれ変わる」
という言葉で再スタートの抱負を語った斎藤知事。
■「職員との信頼の再構築」と兵庫県職員
再び一緒に働くことになった兵庫県の職員に再選について聞くと…
県職員:
職員との信頼の再構築ですね。
ちょっとやっぱり2024年4月以降、その辺が崩れてしまっているところもありますので。
県職員:
SNSの流れは凄いものがあるなと感じてました。
色々言われることはあるんですけど、職員としてはやっぱり県民のためにというところはずらさないようにして、一生懸命やっていきたいなというところ。
■「正義のように戻ってくるのが不思議。これもネットで批判されるのか」
また、対面でのインタビューには応じられないとしながらも、関西テレビの取材に複雑な心境を明かす職員もいた。
職員:
斎藤さんが戻ってくるとは、県職員誰も考えてなかったと思うので、どう接していったらいいのか、多くの県職員が不安だと思います。
職員:
選挙がおかしい。
斎藤さんは、立花さんの演説を肯定も否定もしなかった。
間違っていたら発信すべきだと思うけど、それもしなかった。
職員:
パワハラは実際にあったって聞いてるだけに、正義のように戻ってくるのが不思議。
これも『噂やん』ってネットで批判されるんですかね。
民意で選ばれたんで淡々と仕事やるのみ。
■2024年11月25日の百条委員会 斎藤知事に出頭要請も「公務で出席が難しい」
事の発端は告発文書の問題で、県議会の全会一致の不信任を受け、2024年9月に失職した斎藤知事。
県知事選挙の序盤は厳しい選挙戦になると本人も認めていたが…。
斎藤知事を支持する
「デジタルボランティア」
が、SNSで知事の主張を拡散したことなどが追い風となり、再選。
こうなったことで注目を集めるのが斎藤知事のパワハラ疑惑などの真偽を調査する
「百条委員会」
だ。
百条委員会は2024年11月18日、今月2024年11月25日の証人尋問に、斎藤知事の出頭を要請することを決めたが、斎藤知事は2024年11月25日は公務で出席が難しく、今後、対応したいとしている。
■百条委員会の奥谷委員長は、選挙期間中に立花氏から脅迫を受けていたと明らかに
百条委員会・奥谷謙一委員長:
調査を最後までしっかりやり遂げるということで、粛々と調査を進めていくことが一番大事だと思います。
こう決意を語った奥谷委員長だが、選挙期間中には思わぬ事態に見舞われていたと明かした。
百条委員会・奥谷謙一委員長:
ある候補、立花(孝志)氏ですけども私の自宅(兼事務所)の前で街頭演説を行った。
ひきこもってないで家から出て来いよみたいなことを言ってたんですね。
これ以上脅して奥谷が自死しても困るので、これくらいにしておくと。
このように脅迫されたということだ。
また、百条委員会の竹内英明議員も
「一身上の都合」
で議員辞職。
斎藤知事を支援した人たちが、竹内議員や家族に誹謗中傷を行ったことが理由だということだ。
■混沌としたこの状況は今後どう進むのか
同志社大学新川達郎名誉教授:
(百条委員会では)既にハラスメント問題やあるいは文書問題については一定議論ができていますが、それ以外の優勝パレードの議論であるとか、寄付の問題であるとかについてはこれからと認識しております。
選挙結果の如何ではなくて、百条委員会は本来の役割を果たしていくというのが兵庫県政を健全に運営していく上での重要なカギになる。
選挙で再選したものの、疑惑の追及は続く異例の状況。
今後、県政はどうなっていくのか。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年11月19日放送)

ヒロミ「選挙と百条委員会は別」再選された斎藤元彦兵庫県知事に「本当にどうだったのか」
2024/11/19 11:57日刊スポーツ
https://news.goo.ne.jp/article/nikkansports/nation/f-so-tp0-241119-202411190000287.html
お笑いタレントのヒロミが2024年11月19日、日本テレビ系「DayDay.」(月〜金曜午前9時)に出演。
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で斎藤元彦前知事が再戦されたことについて、
「兵庫県の方々が選んだというのは紛れもない事実」
とした。
その上で、斎藤知事がパワハラなど7つの疑惑で百条委員会の証人尋問が2024年11月25日に開催されることにも触れ、
「百条委員会はまた別のこと」
「今まで通りやって、本当にどうだったのか検証してもらいたい」
と希望した。
斎藤知事は疑惑から県議会に不信任案を提出されて可決され、辞職。
今回は出直し選挙となった。
一連の流れについて、番組MCで元NHKアナウンサー武田真一アナは、
「百条委員会が調査の結論を出す前に、県議会が先に不信任を議決したのが要因になって、今回の出直し選挙」
「一体何が真実なのか分からないと戸惑った人も多かった」
「引き続き議会の責任として、百条委員会できっちり公正な調査をやって結論を出すということが責任」
と話した。
なお、百条委員会の委員に対して誤解や思い込みから誹謗中傷があり、中には
「家族を守るため」
と議員辞職願を提出した県議もいる。
「誹謗中傷はちょっと怖い」
「ダメ」
とヒロミも武田アナも声を揃えていた。
菊地氏は
「事実に関しては非常にあやふやで、イエスと言えばノーと言う人もいるということで、かなりアメリカの政治ではないですけど、分断的な現象が起きてしまったのか」
と懸念も示し、
「これからの選挙の在り方、民意というものはどう形成されていったらいいのか、非常に教訓を残した選挙になったと思う」
と見解を語った。
斎藤氏はこの日午前、記者団の取材に応じ、
「耳の痛い話は真摯に傾ける」
と約束した。
菊地氏は、告発文書を送った県幹部職員を懲戒処分した問題に触れ、
「まだ斎藤氏は“あれは適切だった”と言っているけど、私は到底そう思えない」
と断言。
「そういうことが選挙を経て、全部リセットになっちゃったのか、正当化されたのかというと、そうではないので、百条委員会を中心にしっかり検証してもらいたい」
と願いを口にしていた。

パワハラ疑惑を巡っては、県議会百条委員会のアンケートに職員の4割が見聞きしたと回答。
斎藤氏自身も、付箋を投げ付けたり、机を叩いたりといった行為を認めている。
ある県幹部は
「周りの職員からは斎藤氏からパワハラを受けたと聞いたことがある」
「民意を得た斎藤氏が、どういう行動を取るのか分からない」
と不安を漏らした。
SNSはチェック機能が働かず、疑わしい情報もそのまま流れてしまい、多くの有権者を惑わせる危険性も孕んでいる。
有権者1人1人が真偽不明の情報に惑わされないメディアリテラシーを身に付けることが重要だ。
調査特別委員会(百条委員会)は追及の手を緩めるべきではない。
当選したからといって潔白の証明にはならない。
SNSの内容が事実とは限らない。
斎藤元彦のパワハラなど7項目の疑惑が事実だと証明されれば、再度、県議会で不信任を決議すべきだ。

兵庫県知事選で再選の斎藤前知事「民意を得た」…失職から1か月半、県議・職員は戸惑いや不安
2024/11/19 7:43
https://www.yomiuri.co.jp/election/20241119-OYT1T50031/
兵庫県知事選で再選した前知事の斎藤元彦氏(47)は2024年11月18日の記者会見で、
「民意を得た」
と強調し、県議会や県職員との関係改善に自信を見せた。
失職から1か月半余りでの知事復帰に、県議らからは戸惑いや不安の声が聞かれた。
「県民は政策や公約の達成を期待している」
「県政運営を全力でやっていく」。
斎藤氏は神戸市内で開いた記者会見で、2024年11月19日から任期が始まる2期目に意欲を示した。
■内部告発問題を巡る経緯
斎藤氏はパワハラなどの疑惑を内部告発された問題を巡り、2024年9月19日に県議会から全会一致で不信任決議を受け、同2024年9月30日に失職した。
県議からは
「これ以上県政を担うのは不可能だ」
などと厳しい批判を浴びた。
斎藤氏は記者会見で、県議会との関係について
「新たな民意を受けた後で、これからどうなっていくのか見定める必要がある」
と指摘した上で、
「多くの県議は元々、私の政策や予算に凄く共感して頂いている」
「各会派とコミュニケーションを取れば大丈夫じゃないかと思う」
と説明した。
「職員とは日々の仕事で密に連携していく」
と語った斎藤氏。
「若手職員とのミーティングは早い段階に何かしらの形で実現したい」
と意欲を見せる一方、
「民意を得て再び知事として就任するので、職員の皆さんは一緒にやっていくことが地方公務員としての責務だ」
とも語った。
内部告発問題については、
「県としての対応は適切で、法的にも問題はなかった」
と述べ、従来の主張を繰り返した。

県議会では、斎藤氏との関係を再構築しようという動きが出ているが、戸惑いも隠せない。
最大会派・自民党県議団の北野実幹事長は取材に、
「民意は 真摯 に受け止め対応していく」
「県政の混乱を収め、安定させたいという思いは同じだ」
と述べた。
自民は知事選で独自候補を立てることができず、県議の一部は前同県尼崎市長の稲村和美氏を支援したが、斎藤氏についた県議もいた。
ある県議は
「まさか斎藤氏が当選するとは思わなかった」
「独自候補を擁立できなかったのが誤算だった」
と語った。
「知事選で不信任が否定された」
として、候補者を立てられなかった執行部の責任を求める声も出ているという。
ベテラン県議は
「(斎藤派と反斎藤派で)会派が分裂するのは避けなければいけない」
と警戒する。
一方、第2会派・維新の会の岸口実団長は
「県立大授業料の無償化など政策に賛同できるものが多く、協力していきたい」
と語り、斎藤氏と協調していく考えを示した。
パワハラ疑惑を巡っては、県議会百条委員会のアンケートに職員の4割が見聞きしたと回答。
斎藤氏自身も、付箋を投げ付けたり、机を叩いたりといった行為を認めている。
ある県幹部は
「周りの職員からは斎藤氏からパワハラを受けたと聞いたことがある」
「民意を得た斎藤氏が、どういう行動を取るのか分からない」
と不安を漏らした。

兵庫県知事選の結果受け「声の大きいものが勝つ社会」 紀藤弁護士が危惧「法治主義が試されている」
2024.11.18(Mon)
https://yorozoonews.jp/article/15513435
弁護士の紀藤正樹氏が2024年11月18日、X(旧ツイッター)を更新。
失職した斎藤元彦前知事が再選された2024年11月17日投開票の兵庫県知事選に対し、
「法治主義が試されている」
と自身の見解を綴った
紀藤氏は
「今回の兵庫県知事選挙の結果は、極論と極論の対決に法治主義が試されているのかもしれません」
「違法なものは違法、ダメなものはダメと言える社会でなければ声の大きいものが勝つ社会と堕してしまいます」
と懸念し、
「真実は多数決では決められません 民主主義と法治主義は車の両輪です。」
と訴えた。
また、紀藤氏は斎藤氏再選の速報を受けて2024年11月17日夜に更新したXで、
「ネット時代の選挙の難しさですね」
「問題はこの後に逮捕者が出ないか等、この動きへの反動がどう出るかですね」
と指摘した。
斎藤氏による文書問題に対して明確な結論が出ないまま突入した今回の県知事選。
同氏の再選を後押ししたと指摘されるSNSやネット動画において、中にはファクトチェックのない情報も含まれ、民意が左右されることを危惧する声もあった。
紀藤氏の投稿に対し、Xユーザーからは
「真実を大量のデマで覆い隠せば投票も左右できる」
「今後もこの手法が広がる予感に不安しかないです」
「SNSでの虚偽情報に対策が法的に出来るのでしょうか?」
「推定無罪の原則を守れば、法治主義の観点から、斉藤さん復職は当然だと思いませんか?」
など様々な意見が続いた。

「不信任、当選だけではひっくり返せない」橋下徹氏、斎藤知事の「権力行使、批判続ける」
2024/11/18 18:50
https://www.sankei.com/article/20241118-2XBZH7CNRZGZ3JVVK6FFA72SGQ/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で斎藤元彦氏が再選されたことを受け、元大阪府知事・大阪市長で日本維新の会創設者の橋下徹氏は2024年11月18日、X(旧ツイッター)を更新した。
出直し選挙の原因となった文書告発問題について触れ、改めて
「斎藤さんの権力行使のやり方を批判し続けていく」
と対決姿勢≠示した。
斎藤氏は令和3年、維新の推薦で知事選に出馬し、初当選した経緯がある。
■「こんな権力の使い方は」
告発文書問題を巡っては、今年2024年3月、県西播磨県民局長だった男性が、斎藤氏のパワハラ疑惑などを列挙した告発文書を関係者らに配布。
県は2024年5月に男性を停職3カ月としたが、内部調査の中立性を疑う声が噴出したため、県議会が調査特別委員会(百条委員会)を設置した。
橋下氏は自身の行政経験を踏まえ、こうしたケースで権力者側には、文書を公益通報窓口に渡して担当者を委縮させないためコメントを控えるか、自ら文書の作成者を探すという2つの選択肢があるとした。
その上で、斎藤氏は選ぶべき前者ではなく、
「公益通報に当たらないと自ら判断し、作成者を探しに行った」
「副知事、幹部が一体になり組織(を)あげて探しに行った」
と指摘。
「こんな権力の使い方ほど恐ろしいことはない」
と糾弾した。
■得票率は45%に留まり
公益通報の結果が出る前に告発した男性を先に処分したことも問題視し、
「完全にアウト」
と断じ、
「このような権力行使が行われないようにするため」
批判を続けるとした。
一方で選挙結果については、県議会で全会一致で不信任決議を受けて自動失職した事実を強調。
本来であれば県議会を解散すべきだったとし、
「知事選に当選しただけでは不信任決議をひっくり返すことはできない」
と主張した。
橋下氏が必要と考えるのは不信任決議が提出できる3分の2以上。
今選挙で斎藤氏が獲得したのは111万3911票で、投票総数の約45%に留まった。
再選された斎藤氏と向き合うことになる県議会については、議会をあげて対立候補を立てなかった責任を問い、
「今回の民意を受けて、県議はオロオロでしょう」
「根性を持って知事選の結果に対峙できる県議は皆無でしょう」
と懸念を表明。
今後のコメンテーターとしての自身について
「斎藤さんの権力の行使のやり方のおかしさ、権力者として資格なしという主張を続ける」
と断言した。

再選斎藤氏、25日に証人尋問 兵庫・百条委が検証再開
2024/11/18 18:00
https://www.sankei.com/article/20241118-5LLTO7AJCFMZHJJPEEIONOHQ3Q/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で再選した斎藤元彦氏の疑惑告発文書問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は2024年11月18日、斎藤氏への証人尋問を2024年11月25日に行う方針を決めた。
出頭要請し、文書に書かれたパワハラなど疑惑7項目を総括的に検証する。
斎藤氏への尋問は2024年9月6日以来。
民意を受け知事に復帰した後の証言内容が注目される。
斎藤氏は再選から一夜明けて報道陣の取材に応じ
「県議会や県職員との関係をもう1度前に進めることが大事だ」
と強調。
百条委などの調査に真摯に対応するとした上で
「文書問題も確かに(知事選の)1つの争点だが、大事なのは政策を進めていくことだ」
と語った。
2024年11月19日に知事に就任し、再選後初めて登庁する。
2024年11月25日の尋問は、職員へのパワハラや、告発文書を公益通報として扱わずに作成した元県幹部を処分した経緯などを改めて検証。
昨年2023年11月のプロ野球阪神とオリックスの優勝パレード経費を巡る不正疑惑について、初めて斎藤氏を追及する。

再選の斎藤氏巡り百条委再開 兵庫県議会、25日に総括尋問、疑惑検証の行方焦点
2024/11/18 12:53
https://www.sankei.com/article/20241118-7TPTITXYBVJG7KY2QHFQU7LGWA/
2024年11月17日投開票の兵庫県知事選で再選された斎藤元彦氏の疑惑告発文書問題を巡り、県議会は2024年11月18日午後に調査特別委員会(百条委員会)を開く。
2024年11月25日に問題を巡る総括的な尋問を関係者に行う予定で、対象を誰にするかや今後の進行を協議。
斎藤氏への尋問も今後再開される見通しで、民意を受けて知事復帰が決まった斎藤氏の疑惑検証がどこまで進むかが注目される。
斎藤氏は2024年11月19日就任し、再選後として初めて登庁する。
斎藤氏は2024年11月17日夜に報道各社のインタビューに応じ
「文書問題にしっかり対応してという声もある一方、良い政策をもっと前に進めてほしいとの民意が示された」
と強調。
今後も百条委の検証に対応しながら、来年2025年度当初予算の議論などを県議会と進める考えを示した。

「今後も混乱続く」「事実解明を」兵庫県知事選から一夜明け、県職員や議会関係者の懸念
2024/11/18 12:29
https://www.sankei.com/article/20241118-DPVL3RQWF5LJXII2FQ2QUTXESY/
2024年11月17日に投開票された知事失職に伴う兵庫県知事選で、再選を果たした無所属前職の斎藤元彦氏(47)。
今回の選挙は斎藤氏を巡る告発文書問題に端を発した。
その疑惑は完全に晴れていない中、県職員や全会一致で不信任を決議した県議たちは、斎藤氏を押し上げた
「民意」
に向き合うことになる。
「今後も混乱が続くのではないか」
斎藤氏の再選にこう懸念を示した県の男性職員は、不信任決議案を可決した県議会との関係修復に不安が残るという。
「議案が否決されるような状況が続けば、県民へのサービスも滞ってしまう」。
文書の真偽を究明する県議会の調査特別委員会(百条委員会)ではこれまで、県職員が実名で証言してきただけに、
「事実を解明してほしい」
と言葉は少ない。
全会一致で不信任を決議した県議会。最大会派・自民党の県議は
「議会や職員とのコミュニケーションを改善するか、その姿勢があるかは見ていかないといけない」
と話した。
不信任を突きつけた県議会に対し、斎藤氏を支持した民意は厳しい視線を送った形となっただけに、
「今後の施策や議案については是々非々の対応をしていく」
と話すにとどまった。
県議の多くが、斎藤氏と競った同県尼崎市の元市長、稲村和美氏を水面下で支援した公明党県議団。
幹部の1人は斎藤氏の再選について
「民意が示された結果」
「しっかり受け止めたい」
と語る。
今後の斎藤県政に対しては、
「不信任は県政混乱の収束が大きな目的だった」
「この点について知事としてどういう努力をするのか見ていきたい」
と話した。
前参院議員、清水貴之氏に出馬を要請し、選挙戦でも支援した維新の会県議団の幹部も、
「民意を尊重したい」
と冷静に受け止める。
一方で、SNS(交流サイト)を駆使し、うねりのような支持を得た斎藤氏の戦い方と結果に、
「これまでになく誹謗中傷合戦が酷かった」
「褒められた形ではないが、今後の選挙でもこうした戦いが増えていくのだろうか」
と危惧した。

鈴木エイト氏 兵庫県知事選“オールドメディアの敗北”を疑問視「過大評価しないよう注意すべき」
2024/11/18 14:17東スポWEB
https://news.goo.ne.jp/article/tokyosports/entertainment/tokyosports-324195.html
ジャーナリストの鈴木エイト氏が2024年11月18日「X」(旧ツイッター)を更新。
“オールドメディアの敗北”
というフレーズの論評に警鐘を鳴らした。
兵庫県知事選で当選した斎藤元彦前知事の大きな勝因として、SNSの活用と言われ、斎藤氏を批判してきたメディアがSNSの波に飲み込まれたという意見が多数出ている。
しかし、鈴木氏は
「テレビや新聞といった
『オールドメディアの敗北』
との指摘をする人が多々見られるが、不信任決議後にそのオールドメディアを最大限利用したのが斎藤元彦氏であり、SNSやYouTuBeの“効能”によって斎藤氏の街頭演説に詰めかけた人々の“総熱量”を過大評価しないよう注意すべき」
と、斎藤氏への熱狂的な支持を、そのまま受け取るべきではない…と主張。
更に、斎藤氏を応援するため知事選に立候補し、SNSで斎藤氏を擁護する投稿をした立花孝志氏を評価する声が高まっていることに
「立花孝志氏を評価する言説についても、斎藤元彦氏サイドの元々の戦略を見極めた上で分析する必要あり」
と指摘。
こうした流れについて
「メディア側が想定済みのストーリーに乗って報じることはストーリーを拵えた側の思う壺になりかねない」
と警鐘を鳴らしている。

中村仁美、兵庫県知事選で熱狂的な支持者を生んだネットメディアのあり方に意見「規制を作った方がいい」
2024/11/18 15:40
https://www.sanspo.com/article/20241118-LF3G4435TFH5TKVATHUTPXHPBY/
元フジテレビのフリーアナウンサー、中村仁美(45)が2024年11月18日、、TBS系「ゴゴスマ−GO GO!Smile!−」(月〜金曜後1・55)に出演。
2024年11月17日に行われた、兵庫県知事選で無所属の前職斎藤元彦氏(47)が111万3911票を集め再選されたことについて、ネットメディアの在り方に意見した。
パワハラなどの疑惑告発文書問題で失職した斎藤氏は、出直しとなる選挙戦で行財政改革などを実績として挙げ
「改革」
の継続を訴えた。
文書問題を追及した議会の対応に疑問を投げかけ、交流サイト(SNS)も駆使した選挙戦略で10代〜30代の支持は6割を超えた。
今回はテレビや新聞のオールドメディアとSNSなどのニューメディアの二項対立となったとこともあり、中村は
「うちの息子たち見ててもそうなんですけど、テレビでセーブしている言葉とか、そういうものがSNSでは凄く全部当たり前のように聞けるんですよ」
「だから、凄く刺激的でうちの子たちもほとんどテレビ見ないでSNSばっかり見てるんですよ」
「1度そっち(ネットメディア)の方に流れてしまうと、刺激をどんどん求めていっちゃう」
とより若者がより刺激的なネットメディアに流れていると指摘。
ネットメディアを通じ、斎藤氏に熱狂的な支持者が集まりアイドルのような扱いになっている姿について、こういった現象を選挙で初めて見たと明かし
「SNSも情報発信する1つのメディアとして、規制とかそういうものを作った方がいいんじゃないかなって思う」
と意見した。

高田文夫氏 斎藤元彦氏の再選に驚き SNS駆使した逆転劇に「世の中本当に分からないことだらけ」
[ 2024年11月18日 15:06 ]
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/11/18/kiji/20241118s00041000201000c.html
放送作家の高田文夫氏(76)が2024年11月18日、ニッポン放送「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」(月〜金曜前11・30)に出演。
無所属の前職・斎藤元彦氏(47)が再選された兵庫県知事選について言及した。
斎藤氏は無所属6新人を破り再選を果たした。
選挙戦ではパワハラなどの疑惑告発文書問題で失職した斎藤氏への評価や、混乱した県政の立て直しなどが問われたが、斎藤氏はネット戦略を駆使して大きな流れを起こし、最終盤で形勢を逆転した。
番組内で高田氏は前日に行われた野球の国際大会「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」のキューバ戦について
「土砂降りの中やってたもんな、もう最後の最後まで分からなくて…」
と接戦の試合を振り返りつつ、
「その点なんだ兵庫は」
「あっさり決まって」
「どういうことだよ、大勝って」
と兵庫県知事選の結果に触れた。
続けて
「我々オールドメディアっていうの?」
「なんか、オールドメディアしか信じてないから」
「SNSなんか分からないから」
「情報、テレビ嘘ばっかりらしいな」
と笑いながらツッコんだ。
SNSは先日行われた米大統領選でも大きな影響を果たした。
今後のネットと選挙の関わり方が注目されるとした上で
「若い人がSNSでやったら凄いよ大逆転」
「トランプの時と一緒だよ」
「凄い、カムバックだもん」
「田中康夫以来じゃない?カムバックしたのな」
「世の中本当に分からないことだらけだな」
と終始驚いていた。

ラサール石井 斎藤元彦氏の再選に「兵庫県民の皆さん大丈夫ですか」
[ 2024年11月18日 13:04 ]
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2024/11/18/kiji/20241118s00041000157000c.html
タレントのラサール石井(69)が、2024年11月18日までに自身のX(旧ツイッター)を更新。
無所属の前職・斎藤元彦氏(47)が再選された兵庫県知事選について言及した。
斎藤氏は元尼崎市長の稲村和美氏、日本維新の会を離党した前参院議員清水貴之氏ら無所属6新人を破り再選を果たした。
選挙戦ではパワハラなどの疑惑告発文書問題で失職した斎藤氏への評価や、混乱した県政の立て直しなどが問われた中、斎藤氏はネット戦略を駆使して大きな流れを起こし、最終盤で形勢を逆転した。
ラサールは
「斎藤元彦・前知事の再選確実 兵庫県知事選、失職から返り咲き」
という見出しの毎日新聞の記事を引用。
「社会の底が抜けた」
「兵庫県民の皆さん大丈夫ですか」
「政治に無関心な人が、選挙に行かなかった人が、彼を当選させた」
と綴った。
なお、今回の兵庫県知事選の投票率は2021年の前回選の41.10%を大きく上回る55.65%だった。

斎藤元彦のパワハラなど7項目の疑惑は事実だと思うし、それを隠蔽しようともした斎藤元彦に投票した兵庫県民はバカか、という思いだ。
今後事実認定されれば誰がどう責任を取るのか。

<主張>兵庫知事に斎藤氏 疑惑対応と県政両立せよ
社説
2024/11/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20241118-CPPFSQYMVBOFTHBJLG2JVYH7D4/
兵庫県の出直し知事選で、パワハラ疑惑などを内部告発された問題で失職した斎藤元彦前知事が、再選を果たした。
混乱と停滞が続く県政の立て直しを、原因を作ったとされる斎藤氏が当たることになった。
斎藤氏は県議会で不信任を決議されるに至った問題の解明に真摯に対応してもらいたい。
選挙戦で訴えたように、反省すべき点は反省し、改めるべき点は改めて、県政を運営しなければならない。
斎藤氏が失職に至った問題の発端は今年2024年3月、当時の県幹部職員が斎藤氏のパワハラなど7項目の疑惑を告発する文書を報道機関や県議に送ったことだった。
職員は県の公益通報窓口にも通報した。
だが県は調査結果を待たずに処分し、職員は死亡した。
自殺と見られている。
斎藤氏は一連の疑惑を否定してきたが、県議会の調査特別委員会(百条委)と、弁護士で構成する県の第三者委員会による調査が継続中だ。
真相の究明は県政を前進させる上で欠かせないことだ。
過去最多の7人が立候補した知事選は、異例の展開を辿り、県民は斎藤氏を選んだ。
県議会から全会一致の不信任を突き付けられた斎藤氏への風当たりが強いとみられていたが、疑惑は捏造だとする見方がSNSなどで広がった。
斎藤氏を応援するとして無所属で出馬した「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が、
「斎藤氏は被害者」
などと訴える場面もあった。
斎藤氏を問題視する関係者への批判も相次いだ。
県内29市のうち22市の市長が選挙戦終盤、
「正しい情報が伝わっていない」
として、斎藤氏と競り合っていた無所属新人の元同県尼崎市長、稲村和美氏への支持を表明する事態にもなった。
斎藤氏を巡る様々な情報が飛び交う中、県の政策への議論が深まらなかったのは残念だった。
少子高齢化対策や産業振興など県が取り組むべき課題は多岐にわたっている。
来年2025年1月には6400人超が犠牲になった阪神淡路大震災から30年となり、防災対策の見直しも急がれる。
斎藤氏はぎくしゃくした県職員との信頼関係を取り戻し、県政を立て直す責任がある。
斎藤氏も県議会も、疑惑解明と政策遂行の双方に努めてほしい。

<産経抄>神戸の古老も驚いた「さいとう現象」 22市長連名の「反斎藤」表明も逆効果だった!?
2024/11/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20241118-INESV4B2KNOEJC3VKZPLZGIB2Q/
会社でも役所でも最も難しいのは人事だという。
特に採用は、慢性的な人手不足も手伝って至難の業だ。
学歴も申し分なく
「これはいい!」
と期待して採用しても鳴かず飛ばずだったり、補欠で入れた人材が大化けしたりと、実際に雇ってみなければ分からない。
▼投票で赤の他人をリーダーに選ぶ選挙は、もっと難しい。
少し前までは、よく知らない候補者たちを選挙公報と政見放送、それに新聞やテレビの報道を参考にして選ぶしかなかったのが、最近はSNS(交流サイト)が勝敗のカギを握るようになった。
▼今2024年夏の都知事選では、ほぼ無名の存在だった石丸伸二前安芸高田市長が、SNSを駆使した選挙戦を展開して約170万票を集め、
「石丸現象」
を巻き起こした。
4カ月後、今度は兵庫県で
「さいとう現象」
が起きた。
▼元県幹部の告発文書をきっかけに斎藤元彦知事(当時)のパワハラやおねだり疑惑が噴出し、県議会は全会一致で不信任決議案を可決、彼は石もて追われるように県庁を去った。
失職した1カ月半前、知事選がこれほど盛り上がるとは、正直想像もしなかった。
▼孤立無援で立候補した彼は、
「パワハラ疑惑は捏造」
といったSNSの言説に助けられ、
「既得権益にたった1人で立ち向かうヒーロー」
になった。
県内29市中22市長が連名で対抗馬支持を表明したのも県民の判官びいきに火をつけた。
▼何しろ弱かった頃の阪神タイガースを熱烈に応援し続けたのが兵庫県民だ。
投票日前夜、神戸・三宮で開かれた彼の街頭演説には、古老が
「選挙でこんな人混みは見たことがない」
と驚くほどの聴衆が殺到した。
SNSは、政治に大きな地殻変動を起こしている。
その先の未来が、バラ色ならいいのだが。

<主張>兵庫県知事選 資質と政策見極め判断を
社説
2024/11/3 5:00
https://www.sankei.com/article/20241103-NTOLEQV3TNLP3I7E2J42QDEWRY/
兵庫県の斎藤元彦前知事の失職に伴う知事選が告示され、再選を目指す前知事と新人6人の計7人による論戦が始まっている。
パワハラなどの疑惑が内部告発された前知事が県議会の不信任決議を受けて失職したことに伴う選挙の最大の争点は、政策と共に知事の重責を担う資質である。
県政を誰に託すべきか、有権者はしっかり見極め投票してほしい。
問題の発端は、当時の幹部職員が今春、前知事のパワハラなど7項目の疑惑を告発する文書を報道機関や県議に送ったことだった。
この職員は県の公益通報窓口にも通報したが、県側は調査結果を待たずに懲戒処分とし、職員は死亡した。
自殺とみられる。
県議会は51年ぶりに調査特別委員会(百条委)を設置し、弁護士で構成する県の第三者委員会も調査を進めている。
いずれも選挙結果にかかわらず真相究明を尽くし、再発防止に向けたルール作りにもしっかり取り組んでもらいたい。
前知事は疑惑を全て否定し一連の対応は
「適切だった」
と主張してきた。
だが百条委では告発者捜しや不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法に違反する疑いが重ねて指摘された。
法的責任については、百条委や第三者委の調査などで明らかにされるだろう。
だが、道義的責任はどうか。
前知事は2024年9月に開かれた百条委で
「(自身の)道義的責任が何か分からない」
と発言し、波紋を呼んだ。
今回の選挙は、この道義的責任に加え、政治的責任についても有権者が審判を下す場となる。
7人はいずれも無所属で立候補し、各党の対応は分かれている。
前回選で前知事を推した自民党は独自候補の擁立を断念し、公明党と共に自主投票を決めた。
立憲民主党と日本維新の会は県議らがそれぞれ新人を自主支援する方針で、共産党は新人を推薦している。
問題の発覚から約8カ月が経過したが、県政は混乱と停滞が続いている。
前知事の右腕だった副知事は辞職し、病欠の末に異動を申し出た幹部もいる。
百条委による全職員アンケートでは、約4割が前知事のパワハラを見聞きしたと回答した。
組織の立て直しは容易ではない。
舵取りを託せる人は誰か、有権者はよく見極めて判断してほしい。

失職知事の再選か、刷新望む新人か 他者への投票呼びかけまで飛び出した混沌の兵庫知事選
2024/10/31 19:50
https://www.sankei.com/article/20241031-MOOBVF74IBMJXN7S2GZ52B3B5E/
兵庫県の斎藤元彦前知事(47)の失職に伴い、2024年10月31日に告示された同県知事選。
過去最多となる7人の無所属候補は、いずれも大票田である神戸市から
「第一声」
を放った。
斎藤氏の再選を阻もうとする新人か、それとも斎藤氏か。
候補者の1人である政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)が斎藤氏への投票を呼びかけるなど、異例の選挙戦となっている。
前参院議員の清水貴之氏(50)は、先の衆院選で日本維新の会公認候補としてくら替え立候補し、兵庫8区で公明党との直接対決に臨む構えだったが、維新県議団の要請を受けるなどして知事選出馬を決意。
幅広い支持を得ようと離党して無所属で戦い、維新は支援の形を取る。
2024年10月31日、同市中央区の選挙事務所で第一声。
「大好きな兵庫が悪い形でニュースとして広まったことが残念」
「兵庫の混乱を何とかすることが今回の一番の争点だ」
と訴えた。
午後の出陣式には維新議員に加え、自民党の市議らも参加した。
同県尼崎市の元市長、稲村和美氏(52)は県議を務めた経験もあり、立憲民主党系の県議会会派や自民会派の一部が推す。
「県政の混乱と停滞をしっかり受け止め、新しい兵庫を作っていきたい」
として第一声の場所を県庁前(神戸市中央区)とした。
県職員らに向け、
「兵庫県はかつてない危機の中にある」
「風通しの良い県庁でしっかり県民のための仕事を進めていける兵庫県にしていきましょう」
と呼び掛けてアピール。
この後、神戸市内で開いた出発式には、立民系会派や自民の県議に加え、自民や国民民主党の国会議員らも顔を並べた。
一方、県議会から全会一致で不信任決議を受け、失職して出直し選に臨む前職の斎藤氏。
人通りの多い同市中央区の神戸元町商店街付近の広場で第一声を上げた。
失職・出直し選の発端となった告発文書問題については多くを語らず、
「反省すべきは反省し、改めるべきことは改めていく」
「自分を見つめ直して、良い県政を実現させていく」。
最も強調したのは知事に在任した3年間の実績で、天下り制度や海外事務所などの見直し、県庁舎建て替え計画の凍結などを挙げ
「進めてきた改革を止めるわけにはいかない」
と叫んだ。
立花氏は斎藤氏の演説終了から約30分後、斎藤氏と同じ広場で第一声。
「斎藤さんを助けないと、この国がえらいことになる」
とし、
「斎藤さんが圧勝しなければならない」
「圧倒的な得票差でもう1度戻さなければいけない」
と強調した。

政策か協調か、バラエティに富む候補者たちのリーダー論 選挙で問われる知事の資質
2024/10/31 18:46
https://www.sankei.com/article/20241031-JPHM2UJ2PZNGTDYDNVXLPZ55DQ/
2024年10月31日に告示された兵庫県知事選(2024年11月17日投開票)は、過去最多の7人による争いとなった。
今回の選挙の発端は、前知事の斎藤元彦氏(47)の疑惑が文書で告発された問題。
告発者を捜して処分した斎藤氏の対応などに、
「知事としての資質を欠いている」
との批判が上がり、県議会の全会一致で不信任が可決された。
17日間の選挙戦では、
「知事の資質」
が争点になる見通しで、候補者らは初日から目指すリーダー像などを訴えた。
「職員や県議会ともっと丁寧に、自分の言葉で対応していくことも必要だったかもしれない」
「反省すべきは反省する」
告示後の第一声。
斎藤氏は
「文書問題で多くのご心配をお掛けしたことは申し訳ない」
と謝罪しつつ、
「斎藤か斎藤以外か」
「私は絶対それに負けるわけにはいかない」
と声を張り上げた。
斎藤氏のパワハラ疑惑などを記した告発文書が一部の県議や報道機関に送付されたのは、今年2024年3月。
斎藤氏は側近幹部に調査を指示して告発者を特定し、2024年5月に停職3カ月の懲戒処分とした。
しかし、調査の経緯に批判が上がり、県議会は2024年6月に調査特別委員会(百条委員会)を設置。
百条委では有識者から、斎藤氏らの対応は公益通報者保護法に違反するとの指摘が相次いだ。
斎藤氏は
「対応は適切だった」
との主張を崩さず、告発者の死亡などを巡り
「道義的責任が何か分からない」
と発言。
不信任の流れが加速し、全会一致での可決から失職、出直し選へと繋がった。
前参院議員の清水貴之氏(50)は選挙戦初日の演説で
「『兵庫どうなっているの』と、そんなことを言われて残念でならなかった」
と県政の混乱ぶりを振り返った。
その上で、
「この状況を何とか立て直していきたい」
「兵庫の経済、県政を新しく作り直すためには、やはりコミュニケーション」
「県民の声を聞いていくことが大事だ」
と訴えた。
「文書問題への県の一連の対応をしっかりと検証していく」
同日朝、県庁前でそう訴えたのは、元同県尼崎市長の稲村和美氏(52)。
「告発された当事者が事実解明よりも告発者捜しや処分を急いだのはやはり問題だ」
と指摘し、
「どんな優れたリーダーも、たくさんの人と力を合わせてこそ、様々な施策を前に進めることができる」
とアピールした。
■政策推進力と対話力のバランスが重要
神奈川大学の大川千寿教授(政治過程論)
今回の兵庫県知事選では、県政に対する信頼を取り戻し県政をどう立て直すか、知事に相応しい資質の持ち主は誰なのか、ということが最大の争点となるだろう。
政策推進のために、如何に風通しの良い環境を築いていけるかという点がリーダーとして必要な資質の1つだ。
県職員や県民、県議会と対話をしながら政策を推し進めることが重要で、政策推進力と対話力のバランスが大事になってくる。
また、兵庫県民約530万人の暮らしと命を守り、職責の重みを踏まえて業務に当たれるかという点も重要だと考えられる。
今回の知事選は、これまでの斎藤県政の評価にも重きが置かれることになると思うが、地域ごとの様々な課題についてどう考えているのかなども含めて、幅広い視点で候補者を見ていく必要がある。
混乱した県政を建て直し、今後、重大な問題が発生した際にも県のリーダーとして適切に対応できる人、県民が自分たちの生活を託せる人は誰なのか。
候補者の資質を見極めて投票することが重要だ。

兵庫知事選、有権者はどう判断? 教育、災害対策、経済・雇用…課題は山積
2024/10/31 12:51
https://www.sankei.com/article/20241031-GP4NXYCDVVIJ7ECFH7Y5BXHXWM/
兵庫県知事選が2024年10月31日告示され、17日間の選挙戦が幕を開けた。
告発文書問題を巡って混迷を深めた県政の建て直しや、知事の資質といった争点だけでなく、教育・子育てや、経済、雇用、災害対策など、生活に直結する県政上の課題は山積している。
県民はどういった政策や課題を重視し、新しいリーダーを選ぶのか。
「衆院選は興味を持てず棄権したが、知事選は告発文書問題など、色々話題になったので関心があり、是非投票に行きたい」
こう話すのは高校生の子供を持つ兵庫県姫路市のNPO職員、生尾知子さん(45)。
知事選で候補者を選ぶ際に教育施策の内容を重視するといい、
「大学無償化や給付型の奨学金など、高等教育の修学支援に積極的な候補を応援したい」
「増加している不登校や引きこもりへの支援を考えているかどうかも見てみたい」
とする。
30年以上教育関係の仕事に携わったという神戸市中央区の自営業の男性(80)も
「住む地域に関係なく学校を選べるなど、子供の選択肢を増やせるような教育制度を実現してほしい」
と教育施策の充実を訴えた。
当の学生は知事選をどう見ているのか。
「とても関心がある」
「投票には必ず行く」
という同県豊岡市の県立芸術文化観光専門職大4年、前川友萌香さん(22)は、告発文書問題を巡る混乱を念頭に
「県政を立て直してほしい」
「新しい知事には、風通しのいい県政を期待したい」
と現状からの変化を望んだ。
県内の人口減少対策や農家の後継者不足も県政上の大きな課題だ。
淡路島に移住後に地元住民から引き継いでシイタケ栽培を営む同県洲本市の農業、谷口史朗さん(31)は、原木を使ったシイタケ栽培のようなニッチ市場にも目を向けてほしいといい、
「販路開拓支援や里山の景観保護に光を当て、地域活性化のため『攻める田舎』に変えるという視点を持ってほしい」
と訴える。
中小企業経営者にとっては、新たなリーダーの舵取り次第で経営環境が大きく変化するだけに視線は厳しい。
マンションリフォームなどを手掛ける中堅建設会社「大匠」(神戸市兵庫区)の西森正樹社長(53)は
「方針や政策が我が社の経営にも関連するので、県のトップを決める今回の知事選には関心がある」
とし、
「景気に大きく影響される建設業界は今、厳しい状況にあるので、選ばれた知事には経済が活性化する対策を是非実行してほしい」
と求める。
兵庫県では平成7年の阪神大震災から来年で30年となり、防災対策や災害に強いインフラへの関心も高い。
運送会社に勤める同県西宮市の男性(52)は震災当時を振り返り、
「あの時はインフラがズタズタになった」
「あれから時が経ち、水道などは更に老朽化が進んでいると聞くが、新しいものに交換するなど地震に強い街作りを急いでほしい」
と注文を付ける。
誰に1票を投じるかはまだ決めていないというが、
「パワハラとか人柄とかはこの際、二の次で、兵庫をよくしようと考え、しっかりと結果を出してくれる人に入れたい」
と話した。

次期知事選で「独自候補を検討」と兵庫維新、片山代表 斎藤知事の推薦は難しいとの見方も
2024/9/22 22:52
https://www.sankei.com/article/20240922-5F2W2I4EFJPT7LML7QEQXX63QI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会で斎藤氏への不信任決議が可決されたことを受け、日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」は22日、神戸市内で会合を開き、今後の選挙対応などを協議した。
終了後、兵庫維新代表の片山大介参院議員は、知事選では
「(維新として)独自候補を出すことを検討している」
と述べた。
会合では、国会議員や地方議員がオンラインも交え、知事選のほか、県議選や衆院選となった場合の選挙態勢などについて意見交換。
片山氏は冒頭で、知事選と県議選のダブル選に衆院選も加われば、
「前例のない選挙になる」
「それぞれの選挙を勝ち抜いていきたい」
と呼び掛けた。
斎藤氏は不信任を受けた後、テレビ番組に相次いで出演。告発文書の対応について従来の主張を繰り返す一方、自身の実績をアピールしている。
こうした対応に、片山氏は会合後の取材に
「もう少し自分の考えを話した方がいい」
とし、次期知事選では斎藤氏の推薦は難しいとの見方を示した。

兵庫県知事疑惑、贈答品のおねだり疑惑≠謔闌益通報と情報保全巡る問題点の総括を
新聞に喝! 国防ジャーナリスト・小笠原理恵
2024/9/22 10:00
https://www.sankei.com/article/20240922-5BSDMLARTJJMJKEPTSYSYTJP2A/
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題が大詰めを迎えている。
斎藤知事に対する不信任決議案が可決され、今後の去就が注目される事態となった。
これまでの疑惑報道の中で特産品など多数の贈答品に関するおねだり疑惑≠ェ新聞・メディアで一定の比重を占めてきたが、筆者が注目してきたのは、一連の問題の発端となった元県民局長の男性=7月に死亡=への告発者保護を巡る報道だ。
日経新聞は7月13日付の社説で
「公益通報が機能しないような自治体は、首長や組織そのものに問題があるとみるべきだ」
と断じた。
9月8日付の信濃毎日も社説で
「通報者の不利益になるような取り扱いをした組織側に刑事罰を科すといった法改正を含め、通報者を徹底して保護する体制が必要だ」
と指摘し、法改正の必要性に踏み込んだ。
令和4年の改正公益通報者保護法の施行で、新たに適切な公益通報者保護をするために必要な体制や措置を講じることが事業者に義務付けられた。
また、内閣府は
「やむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐ措置をとる」
義務があると指針を出した。
通報者の探索を防ぐ義務のある県自身が告発者を特定し、処分したことは法令違反だ。
こうした点について新聞・メディアが批判を強めるのは当然だ。
しかし、見過ごされている論点がある。
男性は3月12日にマスコミ、警察、議員などに厳正な調査を期待して告発文書を送った。
その告発文書はなぜ斎藤知事の目に触れたのか―という疑問だ。
斎藤知事の定例会見での説明によると、民間の方からの情報提供があったというが、この匿名の告発文書の取り扱いが杜撰だったと言わざるを得ない。
もちろん、匿名の告発には悪意や虚偽の情報もあれば、人の生死に関わる重大な情報もある。
告発文書が慎重に取り扱われていたのなら、結果は変わったはずだ。
3月下旬に解任された男性は4月に県の公益通報窓口に通報したが、県を優先しなかった理由として
「当局内部にある機関は信用できない」
ことを挙げた。
県知事や側近ら利害関係者による報復を恐れたのだろう。
県議会の調査特別委員会(百条委)の冒頭では
「痛恨の極みであります」
と男性への黙禱が捧げられた。
産経は8月31日付の社説(主張)で
「公益通報者を守れず死に至らしめた責任は重い」
と断じたが、新聞・メディアは今回の疑惑について斎藤知事の去就で幕引きとせず、公益通報と情報保全の問題点について今一度総括してほしい。
他の自治体でも繰り返される恐れがあるからだ。

[社説]自治体の公益通報は十分か
社説
2024年7月13日 19:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK127VA0S4A710C2000000/?msockid=03bbc426d8756d821927d643d90f6c0f
記者会見で頭を下げる斎藤知事。
自らの進退については
「全力で県政を前に進めるのが私なりの責任の取り方だ」
と辞職を否定した(12日、兵庫県庁)
兵庫県の元幹部職員が、斎藤元彦知事にパワハラなどの疑いがあるとする告発文書を報道機関などに配布し、懲戒処分を受けた後、亡くなった。
自殺とみられるという。
痛ましい限りだ。
告発内容の事実関係をはじめ、告発が保護すべき公益通報に当たらないのか、多くの疑問が残る。
自治体では首長が非常に強い権限を持つ。
だからこそ、公益通報の仕組みが十分に機能するようにしておくことは、公正な行政を担保する上で重要だ。
元幹部職員は3月に知事に関する告発文書を配布した。
内容は
@知事選での投票依頼
A事業者からの物品受け取り
B度を越したパワハラ
ーーなど7項目からなる。
県は内部調査で文書の核心部分が事実でないとして、元幹部職員を停職3カ月の懲戒処分とした。
疑問の1つは告発が公益通報に当たるのではないかという点だ。
公益通報者保護法は通報先として企業や行政機関の公益通報窓口だけでなく、報道機関など外部への通報も認めている。
公益通報に当たるなら通報者の不利益な取り扱いは禁じられる。
知事は4月の記者会見で
「県の公益内部通報制度では受理はしていないので、公益通報には該当しない」
と説明した。
その後、元幹部職員は県の公益通報窓口にも同様の内容を通報した。
県が懲戒処分に踏み切ったのはその後だ。
当初から公益通報として扱わず、通報者に不利益な処分を下した県の対応に違法性はないのか。
県議会は調査特別委員会(百条委員会)を設置した。
第三者機関による調査も行うという。
告発の事実関係と共に県の対応の当否も検証してほしい。
元幹部職員が亡くなったことを受け、県職員労働組合が知事に辞めるよう求め、副知事も自ら退く意向を示すと共に知事に辞職を促した。
異例の事態である。
知事の対応が問われている。
公益通報が機能しないような自治体は、首長や組織そのものに問題があると見るべきだ。

〈社説〉公益通報の壁 告発者守る仕組みさらに
2024/9/8 9:30
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2024090700681
良心の告発が蔑ろにされていた。
兵庫県の元県幹部にパワハラ疑惑などを告発された斎藤元彦知事らの対応である。
県議会が設けた調査特別委員会の尋問で、客観的な調査もせずに告発を誹謗中傷と決めつけ、組織的に“犯人捜し”を行い、懲戒処分を急いだ経緯がはっきりしてきた。
公益通報者保護法は、告発者が不利益を被らないよう幾重もの保護を求めている。
その趣旨を損なっている可能性が高い。
参考人として出席した専門家は
「明らかな法令違反」
と批判、県会各派も辞職を求めて動き始めた。
組織トップの責任は極めて重い。
元県幹部は退職を控えた3月、知事らのパワハラや贈答品の受け取りなどの疑惑を、匿名の文書で報道機関や県議らに送った。
法に照らせば、県は内容の事実確認や公益通報に当たるかどうかを検討する必要があった。
それなのに知事の指示は、誰が、どんな意図で作ったのかを徹底的に調べることだった。
当時の副知事らは元県幹部に見当をつけ、直接聴取。
公用パソコンのデータなどにも探りを入れた。
法や運用指針が禁じる
「通報者の探索」
である。
元県幹部が告発を認めると、知事は記者会見でその役職を明示して
「嘘八百」
「公務員として失格」
と断じた。
人権侵害である上に、必要最小限の範囲を超えて通報者が特定されてはならないとする法の要請に反する。
知事は尋問で
「誹謗中傷性が高い内容」
だったので通報者を探すのは当然とした。
しかし、判断の根拠は明らかでない。
そもそも告発された当事者である知事や副知事らが対応に当たること自体、通報者には恫喝でしかない。
法も
「組織の長」
から独立した制度運用を求めている。
元県幹部は最初の告発後、4月に県の公益通報窓口にも通報している。
手続きに則った必要な調査を終えるまで処分ができないはずなのに、県はそれを待たずに停職処分を下した。
元県幹部は事実解明を求めつつ7月に亡くなった。
自死とみられる。
より内部通報がしやすいよう法は2020年に改正されていたが、それでも守れなかった。
これでは、組織や社会を良くしたいと思って不正を暴こうとしてもリスクが大き過ぎる。
通報者の不利益になるような取り扱いをした組織側に刑事罰を科すといった法改正を含め、通報者を徹底して保護する体制が必要だ。

<主張>初尋問の兵庫知事 事態収拾へ進退判断せよ
社説
2024/8/31 5:00
https://www.sankei.com/article/20240831-QXDP25EOWBPXXBJVDGR4RWILXI/
パワハラ疑惑などが文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事が30日、県議会の調査特別委員会(百条委)に証人として出席した。
パワハラ疑惑に関しては
「記憶にない」
と繰り返した。
「不快な思いをさせたなら反省し、謝りたい」
「パワハラかどうかは私ではなく百条委や第三者委が判断すること」
とも語った。
告発文書は、元県幹部の男性が報道機関などに配布した。
その後、県の公益通報窓口に通報したが、県は調査結果を待たずに男性を懲戒処分にした。
男性は
「死をもって抗議する」
とのメッセージを残して死亡しており、自殺とみられている。
百条委による職員アンケートでは、約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答した。
斎藤氏の百条委での答弁では疑惑が解消したとは言い難い。
公益通報に基づく調査の最中に県幹部の処分を行ったことについては
「誹謗中傷性の高い文書で、懲戒処分に該当する行為があった」
と述べ、適切だったとの考えを改めて示した。
公益通報者を守れず死に至らしめた責任は重い。
信頼を大きく失ったトップが県政を円滑に運営することは難しい。
事態を収拾させるためにも、斎藤氏は自ら進退を判断する時ではないのか。
斎藤氏の右腕だった副知事は辞職し、病欠の末に異動を申し出た幹部もいる。
県職員労働組合や県職員退職者で作る団体などは辞職要求もしている。
斎藤氏はこれまで、全ての疑惑を否定してきた。
アンケート結果については
「コミュニケーション不足で受け取りのずれが生じたことは残念」
などと述べ、業務上必要な範囲での適切な指導だと主張してきた。
だが、その認識は周囲の声から著しく乖離している。
県内の全29市で作る県市長会は、一連の対応を
「不適切」
だと断じ、早期の事態収拾を求める要望書を提出した。
斎藤氏への30日の尋問は、パワハラ問題を中心に行われた。
公益通報に関する尋問は9月6日に予定されている。
百条委は真相究明を尽くすと共に、ハラスメント防止のルール作りにも取り組む必要がある。
県と県議会は通報者を萎縮させない再発防止策を講じて初めて、県民のための県政運営が実現する。

「私の人生もそうだが、兵庫県政にとって大事な局面」 兵庫知事、テレビ番組はしご 出直し選への布石の見方
2024/9/21 17:02
https://www.sankei.com/article/20240921-4LVEI2LMMVPXJCDLGEFVE3JR3Y/
兵庫県の斎藤元彦知事は21日、民放の情報番組に出演し
「少しずつ自分の思いは固まりつつあるが、しっかり考えたい」
などと語った。
具体的な判断については明言を避けた。
斎藤氏は19日に県議会から全会一致で不信任を受けて以降、テレビ番組に相次いで出演。
告発文書を巡る対応の正当性を改めて主張すると共に、自身の実績を繰り返しアピールしており、
「出直し選に向けた布石ではないか」
との見方が出ている。
斎藤氏は21日の番組で
「今、色々考えている状況」
「私の人生もそうだが、兵庫県政にとっても大事な局面」
と強調。
29日までに辞職・失職、議会解散を判断する必要があるが、
「出来るだけ早く示せるようにしたい」
とし、判断については記者会見で発表する考えを明らかにした。
斎藤氏は20日も民放やNHK番組に出演。
告発文書は
「誹謗中傷性が高い文書だと今も思っている」
と主張。
自身の知事としての功績を一方的に述べ、質問に答えるよう促される場面もあった。
こうした動きについて、ある県議は
「自身が功績だと思っていることのアピールに躍起になっている」
「選挙運動のようだ」
と指摘。
辞職か失職かに関わらず、斎藤氏が出直し選に臨むのではないかとの見方を示した。
一方、議会解散の可能性もあり、県議選への準備も進む。
別の県議は神戸市内で街頭に立ち、不信任決議に至った経緯や考えなどを訴えた。
取材には
「議会解散には大義はない」
としつつも
「知事はどんな対応を取るか分からない」
と話した。

「自分の選択すべき道しっかり考える」斎藤兵庫知事、NHK番組に生出演、進退明言せず
2024/9/20 20:32
https://www.sankei.com/article/20240920-QCVVPBODQZOKLDDEBE3EF7OE7E/
パワハラなどの疑惑が内部告発された兵庫県の斎藤元彦知事は20日夜、NHKの解説番組「かんさい熱視線」に生出演し、
「自分がどういう道を選択すべきかをしっかり考える」
と語った。
兵庫県議会が19日に斎藤氏に対する不信任決議案を全会一致で可決し、斎藤氏は辞職・失職か議会解散かの決断を迫られている。
斎藤氏は20日の番組で、県議会の不信任決議を受けた現在の状況について
「結果として今の状況になっていることは大変申し訳ないし、心からお詫びしたい」
とした。
自身の進退については明言しなかった。
自身を内部告発した元県西播磨県民局長の男性(60)が作成した文書については
「誹謗中傷性が高い文書だと今も思っている」
と主張。
文書の作成者を徹底的に調べるよう部下に指示し、男性を懲戒処分とした対応についても
「誰が書いたかを把握して対応するのは、当時の判断としてはベストだった」
と強調した。
途中、自身の知事としての功績を一方的に述べ、アナウンサーから質問に答えるよう促される場面もあった。
問題をめぐっては3月、男性が斎藤氏のパワハラや贈答品受領の疑惑を記した告発文書を報道機関などに配布。
斎藤氏は文書について
「噓八百」
などと非難した。
男性は4月に県の公益通報窓口に通報したが、県は内部調査の結果、男性を懲戒3カ月の停職処分とした。

兵庫知事、週明けまで公務なく熟考か 不信任決議から一夜明け県庁には苦情電話400件
2024/9/20 19:39
https://www.sankei.com/article/20240920-6UKVTV6DOBIGNGKOR4I47C2OGE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、斎藤氏は不信任決議の可決から一夜明けた20日、県庁に登庁せず自身のX(旧ツイッター)に
「しっかりと考え、決めます」
などと投稿した。
週末の3連休も公務の予定はなく、今月29日までに辞職・失職か議会解散かの決断を迫られる中、今後の対応を熟考するとみられる。
斎藤氏がXの自身のアカウントを更新するのは、防災情報を除くと5月25日以来。投稿では
«県政が今の状況になっていること、県民の皆様にご心配やご不安を抱かせてしまっていること、まずは、心からお詫(わ)びします»
と不信任決議について謝罪し、
«大きな、重い判断になります。しっかりと考え、決めます»
と綴った。
一方、不信任決議を受け、県庁には20日、約400件の苦情電話などが寄せられた。
県広報広聴課によると、一連の問題が発覚した3月以降、県庁の電話や県のホームページなどに寄せられた苦情や意見は計1万5千件近くにのぼる。
最近は
「きっぱりと辞めた方が潔い」
「解散すれば多額の税金がかかる」
など、斎藤氏の進退に関する意見が目立つという。
斎藤氏は19日、県議会で不信任決議が全会一致で可決された後、記者団に
「これからしっかり考える」
などと述べ、進退や決断の時期を明言しなかった。
地方自治法の規定では、斎藤氏は29日までに議会を解散できるが、県議会事務局によると、20日夕時点で斎藤氏から解散の通知はない。

<主張>兵庫知事に不信任 身を引くべき重い可決だ
社説
2024/9/20 5:00
https://www.sankei.com/article/20240920-6JCG5AAP45LCLK3S2Z3MTGCVVQ/
パワハラなどの疑惑が内部告発された兵庫県の斎藤元彦知事に対し、県議会が不信任決議案を全会一致で可決した。
決議には法的拘束力があり、斎藤氏は10日以内に議会を解散しなければ知事を失職する。
斎藤氏は
「結果責任は重い」
としつつも態度を保留した。
だが、全会一致の不信任は極めて重大だ。
潔く身を引くのが筋である。
決議案は県議会の全会派が共同提出した。
「これ以上の県政の停滞と混乱」
は許されないとし、令和7年度予算は
「新たに信任を得た知事の下で編成されるべきだ」
と辞職を求めた。
内部告発から約半年もの間、混乱が続いてきた県政の健全化に向けた妥当な判断である。
日本の地方自治は、首長と議会による二元代表制だ。
議会の不信任決議に首長は議会解散で対抗できるが、制度の目的は相互の牽制による健全な運営である。
これまで不信任案が可決されて議会を解散した知事はいなかった。
斎藤氏は議会解散の可能性を否定していないが、解散しても再び不信任を受けて失職する見通しである。
斎藤氏による解散権の行使は、自身の延命にしかならない。
厳に慎むべきだ。
一連の発端は、当時の幹部職員が3月、斎藤氏のパワハラなど7項目の疑惑を告発する文書を報道機関や県議に送ったことだった。
この職員は4月、県の公益通報窓口にも通報したが、県側は調査結果を待たずに懲戒処分とし、職員は7月に死亡した。
自殺とみられる。
斎藤氏は全ての疑惑を否定し、職員の処分も
「適切だった」
と主張している。
だが、疑惑を検証する県議会の調査特別委員会(百条委)では、県の対応は通報者に対する不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法に違反するとの指摘が相次いだ。
職員アンケートでは、約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答した。
昨年のプロ野球阪神・オリックス優勝パレードの資金集めのため補助金を増額し、企業協賛金としてキックバックさせたなど、告発された疑惑の解明はまだ途上である。
斎藤氏がどのような判断を下しても、県と県議会は真相解明に努めるとともに再発防止策を講じ、県政への信頼回復を図る必要がある。

全会一致の「三くだり半」に斎藤氏感情あらわさず 「噓八百」と断じて処分強行し問題拡大
2024/9/19 21:45
https://www.sankei.com/article/20240919-7TP3Z26EWJKDDNG77MIMZECJ24/
兵庫県の斎藤元彦知事に対する不信任決議案が19日、県議会で可決された。
半年前、自身のパワハラ疑惑などが記された文書の存在を把握して以降、作成者を特定して処分を強行し、その対応の正当性を訴え続けてきた斎藤氏。
しかし、待ち受けていたのは議会から知事への
「三くだり半」
となる不信任だった。
一連の経緯を振り返ると、問題拡大を招いた斎藤氏の言動が浮かび上がる。
次々と積み上がる賛成の白票。
19日、県議会議場の理事者席でただ一人、スーツにネクタイ姿の斎藤氏は、投票する議員らに淡々と会釈を繰り返した。
「白票86票、青票(反対)0票。」
「不信任決議案は可決しました」
午後5時38分、全会一致での可決を告げる浜田知昭議長の声が議場に響いた。
じっと前を見据える斎藤氏。
感情を消したかのような姿は、怒りを滲ませた半年前との落差を強く印象付けた。
3月27日の知事定例会見。
斎藤氏は自身や県幹部を誹謗中傷する文書を作成したとして、元県西播磨県民局長の男性(60)を強い口調で非難した。
「業務時間中に噓八百含めて文書を作って流す行為は公務員として失格だ」
この時点で、告発文書は一部の県議や報道機関などに送られただけだった。
だが、部長級幹部を解任し、目前に迫った退職を認めないという極めて異例の人事によって、県の対応に批判が集まるようになった。
内部調査の結果、県は文書の核心部分は事実ではないと結論付け、5月に男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
だが、調査を担ったのは知事の部下にあたる人事課職員。
斎藤氏は弁護士も調査に関わったことから
「調査は一定客観的」
と主張したが、
「中立性が担保されていない」
との批判が高まり、6月に県議会で調査特別委員会(百条委員会)が設置された。
7月7日、百条委での証言を控えていた男性が死亡した。
自殺とみられ、告発者を保護することなく、特定して人事措置を取った県の対応に、より厳しい視線が注がれることとなった。
百条委では、8月30日の証人尋問で
「(職員への対応で)行き過ぎた面があった」
と反省の言葉を述べる場面もあった。
ただ、公益通報者保護法違反を指摘される処分の経緯については
「法的に問題はない」
との見解を重ねて示し、今月6日には
「道義的責任が何かということが分からない」
と発言。
全議員による辞職要求から不信任へという流れを決定づけた。
「法的、内容も含めてきちっとやってきた面はある」。
不信任案の可決後、取材に応じた斎藤氏は自身の正当性への拘りを滲ませつつ、吹っ切るように語った。
「今の状況を招いているのは、私に責任がある」
「結果責任については負わなければいけない」

議会解散なら百条委再設置、報告書遅れも 兵庫知事不信任
2024/9/19 21:30
https://www.sankei.com/article/20240919-OJFYS7ENINPOLJTR4S4P4LU6SM/
兵庫県議会では、文書で告発された斎藤元彦知事などの疑惑を巡り、調査特別委員会(百条委員会)が年末の報告書提出に向けて調査を進めている。
議会解散となれば百条委もなくなり、改選後の県議会が設置を決めた後、引き続き調査することになる。
一方、弁護士による第三者調査委員会は斎藤氏の今後の判断に左右されず、疑惑の真偽の解明に当たる。
斎藤氏が議会解散を決めた場合の百条委の審議について、自民党県議は
「中断は避けられない」
と述べた。
県議選が実施されれば、現時点で予定している年末の報告書提出が、後ろにずれ込む可能性もある。
第三者調査委は、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)を懲戒処分とした県人事当局の内部調査の中立性を県議会が疑問視し、設置された。
18日に初会合があり、県弁護士会の弁護士6人を委員などとし、職員らへのヒアリングなどを通じ、来年3月ごろに報告書を取りまとめるとした。
関係者は、斎藤氏の不信任決議案可決の影響について
「調査委は独立しており、影響は不明」
としている。

苦肉の全会一致、兵庫知事不信任 維新、迷走の末に賛成
2024/9/19 21:20
https://www.sankei.com/article/20240919-MQTUEMXFAFKTZBN2KLI6RXEZHA/
兵庫県議会は19日、斎藤元彦知事に対する不信任決議案を全会一致で可決した。
内部告発文書に端を発した
「県政の混乱」
を理由に、辞職を頑なに拒む斎藤氏に、議会がなし得る最後の一手を繰り出した。
もっとも、ここに至るまで各党の思惑は入り乱れ、文書で指摘された斎藤氏の疑惑の解明を脇に置いて、結論だけを先取りした感が否めない。
議会の仮初めの大同団結は、停滞打破の一歩となるのか。
■「退く口実」
「知事が何を考えているか、全く分からない」
「おかげで候補者も定まらないまま知事選に突入しなければならない」
県議会最大会派の自民党のあるベテラン県議が嘆息する。
前回県議選からまだ1年半しか経っていないが、斎藤氏が議会解散に踏み切る可能性も否定できない。
選挙費用の負担を考えれば、不信任は取りたい手段ではなかった。
議会開会に先立ち、全議員86人による辞職申し入れというステップを挟んだのも斎藤氏に退く口実を与えたかったから。
だが法的拘束力のない示威行為でしかないことは明白。
粘る斎藤氏に、それだけ議会も追い詰められていたと言える。
前回知事選では、日本維新の会とともに斎藤氏を推薦した自民。
もっとも井戸敏三前知事の後継に当たる対立候補の支持を主張した議員も多数いた。
3月に浮上した文書問題への対応では、県議会の
「伝家の宝刀」
と言われる調査特別委員会(百条委員会)の設置に賛成するなど、斎藤氏の疑惑を追及する姿勢を早々に打ち出してはいた。
■遠のく真相解明
だが斎藤氏の辞職を求める世論が、調査のスピードをはるかに上回って燃え上がり、疑惑解明よりもクビ切り≠フタイミングを計らざるを得なくなった。
斎藤氏の2回目の証人尋問が予定されていた6日は、自民県議らの間で
「政局」
と位置付けられ、斎藤氏の答弁を受け、一気に
「不信任やむなし」
に傾いた。
一方、自民と相乗りで斎藤氏を推した維新は迷走した。
6月の百条委の設置には反対し、第三者機関の調査を優先すべきだと訴えた。
吉村洋文共同代表(大阪府知事)は7月下旬の時点で
「何が事実で、何が事実でないか、有耶無耶にしたまま終わりにするのは違う」
と調査優先の考えを強調していた。
潮目が変わったのは、8月25日の大阪府箕面市長選。
大阪維新の会公認の現職が敗北し、党内に衝撃が走った。
兵庫県政における斎藤氏擁護ともとれる姿勢が、拠点の大阪に影響したと深刻な受け止めが広がった。
吉村氏の当初の発言とは裏腹に、維新は百条委の調査を待つことなく不信任に舵を切る。
「結果が出てから判断すると申し上げてきたが方針転換する」
「批判は真正面から受けたい」。
維新の藤田文武幹事長はこう釈明したが、議会での真相解明は遠のいた。
■「ポスト斎藤氏」見えず
不信任を突き付けられた斎藤氏は、議会解散か身を引くか、19日の段階では態度を留保した。
もっとも議会解散を選んでも、改選後の再度の不信任決議は確実といえ、知事選は避けられない。
自民内部では次の候補者として
「県政の混乱を収束させるには、県庁内部の人材が適切」
との意見も上がる。
一方、県政改革を訴えてきた維新は外部人材の登用が大前提だが、候補者選びは難航しそうだ。
ポスト斎藤≠フ青写真は、いずれの党も明確とは言えない。
「どの事実が歪曲された事実なのかを整理してパネルにし、会見やSNS、ブログで発信したらいい」
「放っておいても誰もやってくれません」
大阪維新の横山英幸幹事長(大阪市長)は、斎藤氏の発信力について自身のブログでこう苦言を呈した。
そして元総務官僚の斎藤氏を担いだことを自戒するようにこう記した。
「首長は政治家です。役人じゃない」

10日以内に辞職か議会解散か 斎藤知事を全会一致で不信任、兵庫県議会
2024/9/19 21:01
https://www.sankei.com/article/20240919-E6ST7F7Y7NL6LMVESYU2NE46VU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会は19日、全会派が共同提出した斎藤氏の不信任決議案を全会一致で可決した。
10日以内に辞職・失職か議会解散を迫られる斎藤氏は記者団の取材に
「結果責任は重い」
「しっかり考えて決断する」
と述べた。
総務省によると、知事に対する不信任決議は記録が残る昭和41年以降、全国で5例目。
解散を選べば初となる。
3月の疑惑発覚から約半年に渡り物議を醸した告発文書問題は大きな節目を迎えた。
斎藤氏は19日、県議会議長から通知を受けた。
議会を解散するかの判断期限は29日となる。
今後の対応については記者団に
「兵庫県にとって何が大事か、自分に問いながら考えていきたい」
と述べ、態度を留保した。
最大会派自民党などは12日に辞職を要求。
斎藤氏が応じないため不信任案提出に踏み切った。
不信任案では、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月死亡=を公益通報後に懲戒処分とした対応などを問題視。
「告発文書への対応が不適切で、県政に長期に渡る深刻な停滞と混乱をもたらした政治的責任は免れない」
と指摘した。
19日の本会議で提案理由を説明した自民党は
「県民と県職員からの信頼回復は見込めず、これ以上県政を担い続けることは不可能」
とした。
問題を巡っては3月、男性が斎藤氏のパワハラや贈答品受領の疑惑を記した告発文書を報道機関などに配布。
斎藤氏は文書について
「噓八百」
などと非難した。
男性は4月に県の公益通報窓口に通報したが、県は内部調査の結果、男性を懲戒3カ月の停職処分とした。
疑惑を調査する県議会の調査特別委員会(百条委員会)では、県の一連の対応について、通報者への不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法に違反するとの指摘が有識者から出た。
斎藤氏は証人尋問で自身の責任を問われ
「道義的責任が何か分からない」
と発言し、批判が集まっていた。

斎藤兵庫知事が不信任の通知を受領、解散判断の期限は29日に
2024/9/19 19:30
https://www.sankei.com/article/20240919-BBLYPSWD3BI6PH6XTAYJDP3WIQ/
兵庫県の斎藤元彦知事は19日夜、この日の県議会で、全会一致で可決・成立した自身への不信任について、浜田知昭議長から通知を受けたと明らかにした。
斎藤氏による議会解散の判断の期限は29日となる。
解散や辞職を選択しなければ、30日午前0時で失職する。
地方自治法は、議長から知事への通知から10日以内に議会を解散できると定めている。
県庁からの退庁時、斎藤氏は記者団に
「重い判断なので、しっかり自分自身と向き合いながら考えていく」
と話した。

選挙経費30億円超とも、知事選と県議選両方実施なら 斎藤知事不信任案可決
2024/9/19 18:20
https://www.sankei.com/article/20240919-EJROKIFV3ZI3ZMG52QCCAGKF7I/
兵庫県議会で不信任決議を受けた斎藤元彦知事が今後、議会解散に踏み切った場合、県議選が行われる。
再選後の県議会で不信任案が改めて可決されれば、斎藤氏は失職。
その後、知事選も実施され、選挙にかかる事務的経費は、単純計算で30億円を超える。
議会解散権は地方自治法に基づく権限とはいえ、斎藤氏が掲げてきた行財政改革に逆行するとの批判も集まりそうだ。
県選挙管理委員会によると、これまでの選挙実績を踏まえ、知事選は約18億円、県議選には約16億円の費用がそれぞれかかると想定される。
両選挙が別の日に行われた場合、単純計算で30億円以上の費用が必要になる。
同日選であれば費用は圧縮されるという。
今回の不信任案可決を受け、斎藤氏は10日以内に県議会を解散するか判断する。
辞職することもでき、解散しなければ失職し、50日以内に知事選が行われる。
議会解散を選択すれば、40日以内に県議選があり、再構成された県議会で改めて不信任案が可決されれば、斎藤氏は失職する。
いずれにしても知事選は避けられない情勢だ。
斎藤氏が辞職し、出直し選で当選した場合、公選法の規定により、在任期間は辞職前の任期である来年7月末までで、改めて知事選を行う必要がある。
議会解散の場合、昨年4月の統一地方選からわずか1年半余り後に再び県議選を行うことになる。

不信任案可決で斎藤知事「状況招いたのは私に責任」 今後の判断「しっかり考える」
2024/9/19 18:06
https://www.sankei.com/article/20240919-HDPYHWDPAZIGBO367ZXP2S3EB4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、自民や維新など県議会(定数86)の全会派が共同で提出した斎藤氏の不信任決議案が19日午後に全会一致で可決されたことを受け、県議会終了後に記者団の取材に応じた斎藤氏は
「結果責任としては重い」
「今の状況を招いたのには私自身に責任がある」
と述べた。
斎藤氏は地方自治法に基づき、可決の通知から10日以内に議会を解散できる。
解散しなければ失職する。
今後の判断については、
「しっかり考えることが重要」
とした上で、表明のタイミングは
「予めお伝えしたい」
と説明した。
この日の県議会での採決では、出席した86人の議員全員が決議案に賛成した。
議会への思いについては
「コロナ対応で大変な時、予算や条例にもご協力、ご理解を頂いてきた」
「議員の皆さま86人全員に対して、今でも心から感謝の気持ちを持っている」
と述べた。

斎藤知事の不信任案を可決 兵庫県議会、出席の86人全員が賛成
2024/9/19 17:36
https://www.sankei.com/article/20240919-NNVQ34IJ45MG3NX3HPBJCCPCGA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会(定数86)は19日、自民や維新など県議会全会派が共同で提出した斎藤氏の不信任決議案を可決した。
出席した86人全員が決議案に賛成した。
斎藤氏は地方自治法に基づき、可決の通知から10日以内に議会を解散できる。
解散しなければ失職する。
斎藤氏は同日午前、記者団の取材に応じ、不信任決議案について
「大変重い議決」
「成立した場合、法律の規定に沿って様々な選択肢を考えていく」
と説明。
判断の時期を問われると
「私と県政にとって大事な判断になる」
「タイミングも含めて熟慮する」
と述べていた。

「嘘八百」「道義的責任分からない」不信任案提出の斎藤知事 発言で物議
2024/9/19 16:59
https://www.sankei.com/article/20240919-2WXS6IMRT5IIPG4RFDVE45UICA/
兵庫県議会で19日、不信任決議案が提出された斎藤元彦知事の発言は様々な場面で物議を醸してきた。
自身の疑惑を告発した文書について、調査前から
「噓八百」
と断じた。
文書を公益通報の対象としなかった一連の対応や、県職員アンケートでパワハラ疑惑が相次いで指摘される状況を県議会調査特別委員会(百条委員会)で追及された際は
「道義的責任が何か分からない」
と語った。
不信任案が可決されれば、今後は自身の進退を巡る発言に注目が集まる。
斎藤氏は3月27日の記者会見で、自身の疑惑を指摘する告発文書の内容を
「噓八百」
と断じ、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)を
「公務員として失格」
と批判した。
県は同月末の男性の退職を保留し、内部調査だけで5月に男性を停職3カ月の懲戒処分にした。
斎藤氏は8月7日の記者会見で、処分が公益通報者保護法に反するとの有識者の指摘に対し
「弁護士と相談しながら公益通報の保護対象でないという見解を得た」
と反論。
百条委事務局が実施した県職員アンケートで斎藤氏のパワハラ疑惑が続出したにもかかわらず、9月6日の百条委の証人尋問では、告発文書への対応について
「手続きに瑕疵はない」
との姿勢を貫き、委員から道義的責任を感じないかを問われると
「道義的責任というのが何かが分からない」
と答えた。
今月に入り、県議会側から辞職要求を受け、11日の会見では、3年前の前回知事選で自民党の一部県議から支援を受けたことに触れ
「こういう状況になったことは申し訳ないなという思い」
「自分自身に対して悔しい」
と涙ながらに述べた。
ただ不信任案可決が確実な情勢になっている18日には記者団に
「県政改革を前に進めていくことが、私の責任の果たし方」
と続投する意向を改めて示した。

「県政担うこと不可能」と理由説明、兵庫知事不信任案提出で
2024/9/19 16:52
https://www.sankei.com/article/20240919-3QDGLBBHFJKXXPZAPQOUAM3XSI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会の全会派が19日に共同で提出した斎藤元彦知事への不信任決議案について、自民の代表者は
「県民と県職員の信頼回復はかなわずこれ以上、県政を担い続けることは不可能」
などと提案の理由を述べた。

斎藤兵庫知事の不信任案を提出 県議会の全会派
2024/9/19 16:26
https://www.sankei.com/article/20240919-JLNQJP5FEFK6ZLVM4OGBDLYWGU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、自民や維新など県議会の全会派が19日、斎藤氏の不信任決議案を提出した。
提案理由の説明と各会派の討論の後、採決へと移る。
可決は確実で、斎藤氏は地方自治法に基づき、可決の通知から10日以内に議会を解散できる。
解散しなければ失職する。
斎藤元彦知事は同日午前、記者団の取材に応じ、県議会で午後に可決される見通しの不信任決議案について
「大変重い議決」
「成立した場合、法律の規定に沿って様々な選択肢を考えていく」
と説明。
判断の時期を問われると
「私と県政にとって大事な判断になる」
「タイミングも含めて熟慮する」
と述べるにとどめている。

「県政の停滞と混乱、県益の損失許されない」 兵庫知事への不信任決議案全文
2024/9/19 15:55
https://www.sankei.com/article/20240919-2RZ7B4YXVJKJHB2MFGY3GIVWNM/
兵庫県議会の全会派や無所属議員が共同で提出する斎藤元彦知事に対する不信任決議案は次の通り。
元県民局長が斎藤知事はじめ県幹部に向けた告発文書を巡る一連の問題が惹起されてから、約半年が経過した。
県政は混乱を極め、156年の歴史を誇る我が雄県兵庫は危機的状況に直面している。
まず、文書問題調査特別委員会の調査の中で、告発文書の内容に真実が存在し、文書が
「噓八百」
ではなく、告発者への対応が告発者探しや情報漏洩の疑いを指摘されるなど不適切と言わざるを得ないことが明らかになったにもかかわらず、知事は
「真実相当性がない」、
「誹謗中傷性が高い」
として県の対応が適切であったとしているが、専門家は公益通報者保護法の見地から
「兵庫県は今も違法状態」
と断じている。
現時点で詳細な要因は明らかでないが、元県民局長の命を守れなかったという厳然たる事実は大変重く、責任は大きい。
次に、日本国憲法に則り県民の生命と財産を守ることを使命とする行政の長たる知事の職責を果たすためには、県民・県職員の模範として、法令遵守は当然のことながら、人として守るべき倫理・道徳や人権感覚に基づく道義的責任がより強く求められるが、
「道義的責任が何かわからない」
との知事の発言から、その資質を欠いていると言わざるを得ない。
そして、告発文書への初動やその後において、対応が不適切、不十分であったことにより、県民の信頼を損ない、県職員を動揺させ、議会を巻き込み、県政に長期に渡る深刻な停滞と混乱をもたらしたことに対する政治的責任は免れない。
本県及び県民の誇りを失墜させてしまった今、県民及び県職員からの信頼回復は到底見込めず、県政改革を着実に進めなければならないこの大変重要な局面において、斎藤県政がそれに応えることは困難な状況である。
ここまで申し述べたとおり、斎藤知事の責任は重大である。
これ以上の県政の停滞と混乱、県益の損失は許されるものではなく、県民本位の健全な県政と職員が安心して働ける職場を一日も早く取り戻し、来年度予算は新たに県民の信任を得た知事の下で編成されるべきである。
よって、本県議会は、斎藤元彦兵庫県知事を信任しない。
以上、決議する。
令和6年9月19日
兵庫県議会

兵庫・斎藤知事の不信任案、夕方にも全会一致で可決へ 9月議会の議会運営委員会始まる
2024/9/19 10:06
https://www.sankei.com/article/20240919-5NJVDLPYNFOAZOSY5LUMTQC44U/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、斎藤氏に対する不信任決議案が提出される県議会9月議会に向けた議会運営委員会が19日午前、始まった。
同日夕にも全5会派と無所属議員4人が不信任決議案を共同提出し、全会一致で可決される可能性が高い。
斎藤氏は可決後10日以内に身を引くか、議会解散かを迫られることとなり、約半年に渡って物議を醸した文書問題は重大局面を迎えた。
同日午前の議会では、補正予算案などについて審議。斎藤氏が議案の提案説明を行い、各会派による質疑が行われる。
不信任案は、同日午後に各会派と無所属議員4人が共同提出し、最大会派の自民党が提案理由を説明後、各会派による賛成討論が行われる。
起立方式ではなく、記名による投票で即日採決されるとみられる。
関係者によると、不信任決議案では、告発文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月死亡=を公益通報後に懲戒処分した対応や、県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問での斎藤氏の発言を問題視。
「告発文書への対応が不適切で、県政に長期に渡る深刻な停滞と混乱をもたらした政治的責任は免れない」
と指摘している。
不信任案が可決されれば斎藤氏は10日以内に辞職または失職するか、県議会を解散するかを選択することになる。
議会を解散した場合でも、改選後の県議会で再び不信任案が提出され、出席議員の過半数の賛成で可決されれば、斎藤氏は失職する。

「臆せず情報提供を」兵庫・斎藤知事の文書問題で第三者委を設置 委員などに弁護士6人
2024/9/19 9:08
https://www.sankei.com/article/20240919-HRPSR4WBB5PA5JNS7KR2TBIB3Q/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、文書に記された7項目の疑惑の真偽を解明するための第三者調査委員会の初会合が18日、開かれた。県弁護士会の弁護士6人を委員などとし、報告書は来年3月をめどに取りまとめる。委員長に選任された藤本久俊氏は会合終了後、報道陣の取材に「責務の重大さは身の引き締まる思い。調査を尽くしてまいりたい」と述べた。
告発文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)の懲戒処分を決めた人事当局の内部調査の中立性を県議会が疑問視し、斎藤氏に第三者機関の設置を要請。斎藤氏が5月に設置を決定し、代表監査委員に準備を委任していた。
準備会では、委員や調査を補助する調査員として県弁護士会に推薦された弁護士6人を候補に決定。7項目の疑惑に加え、文書を公益通報の対象としなかった県の取り扱いについても対象とするよう、第三者機関へ要望するとしていた。監査委員事務局は今月12日付で6人と委託契約を締結した。
この日の初会合では、委員長に藤本氏を選任。今後の調査の流れや県へ請求する資料の確認などを行った。速やかに職員など関係者のヒアリングの実施や、ホットラインを立ち上げて情報提供を募る予定とした。公益通報も調査の対象とする可能性もあるとした。
藤本委員長は「調査が(県が)適切な組織づくりができる一助となれば。職員には非公開なので臆せずに情報提供していただきたい」と述べた。

瀬戸際の斎藤元彦兵庫知事 かつて上司の宮城・村井嘉浩知事は「一番重要なのは県民の声」
2024/9/18 15:57
https://www.sankei.com/article/20240918-U4ZX7AO6WRNTXKDJW5GS76KSBA/
兵庫県議会の不信任案提出の動きに対し辞職せず解散も辞さない構えを示している斎藤元彦知事について、斎藤氏のかつての上司である宮城県の村井嘉浩知事(全国知事会長)は18日の定例記者会見で
「自分で判断していただきたい」
「ただ、一番重要なのは県民の声がどこにあるかだ」
「それは私にはわからない」と述べた。
村井知事は直近の知事会以降、斎藤知事とは1度だけ事務的な連絡を取ったという。
「自分が同じ立場になったら、どう判断するのか」
の質問には、
「その時、考える」
と一言。
「自分自身は知事の椅子にしがみつくつもりはサラサラない」
としたうえで、一般論として
「自分が正しいと思ったことに議会が理解してくれない、『辞めろ』というならば、法律に則って判断することは当然あるだろう」
と話した。
斎藤知事は自身で
「応援する声も多くある」
と記者団に語っているが、村井知事は
「がんばれと応援する声もあれば、辞めろという声もあると思う」
「色々な意見を聞いたうえで、自身で判断すればいいと思う」
と語った。

斎藤知事、「県政改革を止めないのが私の責任の果たし方」 改めて辞職否定
2024/9/18 14:55
https://www.sankei.com/article/20240918-4I57NW2DPVIWVD2AZXUWR4YVOQ/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、19日開会の県議会に全会派一致で不信任決議案が提出されることについて、斎藤氏は18日午後、報道陣の取材に
「県政改革を止めないで前に進めていくということが私の責任の果たし方」
と述べ、辞職を改めて否定した。
不信任案は即日採決の上、可決されるのが確実な情勢。
斎藤氏は10日以内に議会解散か失職かを選択することになるが
「どのように対応していくかはこれから考えていく」
とし、解散の可能性も否定していない。
議会関係者によると、不信任案は他の議事が終了後、19日午後に自民が提出する予定で、各会派代表者が賛成討論を行う。
記名投票になるとみられ、採決は同日夕以降になる見通し。
不信任案が可決されれば斎藤氏は辞職か10日以内の県議会解散を選択することになる。
議会を解散した場合、県議選後の最初の県議会に不信任案が提出され、出席議員の過半数の賛成で可決されれば、斎藤氏は失職する。

知事による初の議会解散はあるか 兵庫知事問題は重大局面へ 市町では過去に解散事例も
2024/9/18 7:00
https://www.sankei.com/article/20240918-LELWLTSEL5IVNGSP4ARTDXOOSA/
知事に対する不信任決議案可決の事例
兵庫県の斎藤元彦知事に対する不信任決議案が19日に可決された際、斎藤氏が議会解散を選択するかが焦点となっている。
都道府県知事への不信任案が可決されたのは過去に4例。
いずれも失職か自ら辞職しており、斎藤氏が議会を解散すれば初となる。
斎藤氏は解散に含みを持たせるが、不信任に至る経緯や選挙費用の面から、専門家は
「議会解散は慎重に判断すべきだ」
と指摘する。
「法律に基づく決議なので、それに沿って自分としてどのように対応していくかをしっかり考えていきたい」
斎藤氏は17日、記者団の取材に、不信任決議を受けた場合の対応についてこう答えた。
「これからも改革を続けていきたい」
とも述べ、辞職や失職を選択しない考えをにじませた。
不信任決議は地方自治法で規定されており、不信任を受けた首長は議会を解散できる。
それぞれ住民から直接選ばれる首長と議会による二元代表制を採用する地方自治では、首長の失職につながる議会側からの不信任への対抗手段として、解散権が認められている。
■知事不信任決議後の主な流れ
都道府県知事に対する不信任案が可決されたのはこれまでに4件。
いずれも知事が辞職か失職を選び、議会が解散されたことはない。
このうち、昭和51年の岐阜県・平野三郎氏と平成18年の宮崎県・安藤忠恕(ただひろ)氏は、汚職や談合での刑事責任を問われる事態となっており、いずれも可決後に辞職。
その後の知事選へも出馬しなかった。
平成15年の徳島県・大田正氏は、大型公共事業の見直しなどに議会が反発し、不信任案が可決された。
大田氏は、失職して出直し選挙に臨んだが、落選した。
不信任を受けた後も知事を続けることができたのは、平成14年の長野県・田中康夫氏だけ。
「脱ダム宣言」
を打ち出した田中氏と対立した県議会が不信任案を可決。
田中氏は失職したが、出直し選挙で圧勝した。
一方、市町では不信任を受けた首長が議会解散を選択するケースも。
兵庫県加西市で平成19年、中川暢三氏への不信任案が可決。
中川氏は議会を解散したが、改選後の市議会でも不信任案が可決され失職。
出直し選で再選を果たした。
鹿児島県阿久根市では21年、市政運営が独善的などとして竹原信一氏の不信任案が可決。
竹原氏は市議会を解散し、再度不信任を受け失職したが、出直し選に勝利した。
斎藤氏は知事として初の議会解散に踏み切るのか。
今後、知事選には18億円程度の費用が見込まれるが、県議選も行われればさらに16億円程度が必要となる。
こうした点を踏まえ、近畿大の上ア哉教授(行政学)は
「議会解散を選択しても再び不信任を受け、失職する可能性は高く、知事の延命に過ぎなくなるのではないか」
と指摘。
「多額の税金をかけたり、さらに県政が停滞したりするだけの理由があるのかどうかを判断し、選択していくべきだ」
としている。

兵庫県議会、19日に不信任案提出へ 採決は夜か 知事は取材に「知事の判断は孤独」
2024/9/17 22:29
https://www.sankei.com/article/20240917-4R5IGAVL7VPGDAVQRQAGCASTU4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会各会派の代表者会議が17日開かれ、9月定例会初日の19日午後に、斎藤氏に対する不信任決議案を提出することを確認した。
採決は同日夕から夜になる見通しで、全会一致で可決されるとみられる。
斎藤氏は17日、県庁で記者団の取材に応じ、不信任案が可決された場合の対応について
「法律の規定に沿ってどうするか考える」
と従来の見解を繰り返した。
「知事の判断には孤独な面がある」
とし、
「自分でしっかり考え、政治家としての対応を決断していく」
とも語った。
非公開で行われた代表者会議では、19日の議事進行などを協議した。
関係者によると、午前に補正予算案などが提出され、斎藤氏の提案説明を受けて各会派が質問。
常任委員会などを挟んで午後に予算案を可決した後、不信任案の審議に移るという流れが想定されている。
最大会派の自民党が、全会派の代表者と無所属議員連名の不信任案動議を提出。
全会派と無所属議員による討論を経て、記名投票が行われる見通しで、正式なスケジュールは19日の議会運営委員会で決まる。
不信任案が可決されれば、斎藤氏は10日以内に県議会を解散することができる。
自ら辞職することもでき、解散しなければ自動的に失職。
50日以内に知事選が行われる。
議会解散を選択すれば、40日以内に県議選があり、再構成された県議会で改めて不信任案が可決されれば、斎藤氏は失職する。

<主張>兵庫県知事 身を引く決断するときだ
社説
2024/9/14 5:00
https://www.sankei.com/article/20240914-NHX53YZBMBIEBFS5332JLVEWUE/
パワハラなどの疑惑が内部告発された兵庫県の斎藤元彦知事に対し、86人の全県議が辞職を求める事態となっている。
斎藤氏が応じなければ、19日開会の9月議会で不信任決議案が提出され、可決される可能性が濃厚だ。
知事の職責を果たすのが難しい状況となった以上、斎藤氏は潔く身を引く決断を下すべきだろう。
発端は幹部職員が3月、知事のパワハラなどを告発する文書を報道機関や県議に送付したことだった。
4月には県の公益通報窓口にも通報したが、県は調査結果を待たずにこの幹部を懲戒処分にした。
幹部は7月に死亡した。
自殺とみられる。
県議会調査特別委員会(百条委)による全職員アンケートでは、約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答した。
百条委が参考人として招いた公益通報保護法の専門家は県の対応について、通報を理由とした不利益な扱いを禁じた同法に違反すると指摘した。
斎藤氏は全ての疑惑を否定し、幹部の懲戒処分も
「適切だった」
と訴えてきた。
一方で百条委の証人尋問では、職員に対し大声を出したり、勤務時間外にチャットで職員を叱責したりしたことなどを認め、
「反省したい」
とも述べた。
一連の対応が不適切だったのは明白だ。
斎藤氏は辞職要求に対し
「選挙で負託を受けた」
として
「これからも県民のためにやっていきたい」
と応じない構えを見せた。
これまで行財政改革などを遂行したことへの自負や、今後更に手腕を発揮したいという思いもあるのだろうが、県議も選挙で負託を受けた県民の代表である。
全県議の辞職要求は県民の声と受け止めるべきだ。
不信任案が可決された場合、斎藤氏は10日以内に議会を解散しなければ失職する。
解散を選べば県議選が行われるが、改選後の議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任決議が成立し、議会から通知を受けた時点で失職する。
都道府県議会での不信任案可決は過去に4件あるが、知事が解散を選んだ例はない。
斎藤氏は
「自分がどういう道を進むべきかは自分が決める」
と述べたが、県政の混乱が長引けば、困るのは県民だということを自覚すべきだ。
失職に追い込まれる前に自ら辞職を申し出るのが政治家としての筋ではないか。

兵庫斎藤知事、迫られる失職か議会解散 県議会維新も不信任案共同提出、19日可決へ
2024/9/13 21:25
https://www.sankei.com/article/20240913-UH3PUOZBGRMPHOH5Y5552VPK6Q/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、日本維新の会の県議団は13日、9月議会開会日の19日に斎藤氏への不信任決議案を他会派と共同提出することを決めた。
維新県議団幹部が主要3会派に伝えた。
これで全県議が開会日の提出で一致し、即日採決・可決が確実な情勢となった。
斎藤氏は失職か議会解散かの選択を迫られることになる。
斎藤氏は13日午前、報道陣の取材に続投の意向を強調。
「(文書問題を)招いた責任はあるが、改革の歩みを止めるわけにはいかない」
「県民の未来を託されている」
と述べた。
最大会派の自民党をはじめ各会派などは12日に即時辞職を申し入れたが、拒否する姿勢を示されたことから不信任案提出を協議。
19日とする自民の案で多くの会派が合意し、維新も同調することになった。
13日は各会派が来年度当初予算に向けた県への重要政策提言を実施。
例年は知事に文書を手渡し議論の場を設けるが、各会派の要請で斎藤氏の出席が見送られ、副知事が対応した。
立憲民主党県議らでつくる「ひょうご県民連合」の迎山志保政調会長は
「不信任案が出て可決するのは確実」
「政策提言する相手は知事ではない」
と説明した。
不信任案の可決は議員3分の2以上が出席した上で、出席議員の4分の3以上の賛成が必要。
可決の場合、斎藤氏が10日以内に議会を解散しなければ失職する。
議会を解散した場合は、改選後の県議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任案が成立。
斎藤氏は議会から通知を受けた時点で失職する。

兵庫・斎藤元彦知事の進退「県民が一番迷惑。決断すべき時期」松沢成文前神奈川知事
2024/9/13 16:39
https://www.sankei.com/article/20240913-BQ5LIEIUR5HM7PFUSTFWVVE7YI/
前神奈川県知事で、日本維新の会の松沢成文参院議員は13日のフジテレビ番組で、兵庫県議会の全議員から辞職を求められている同県の斎藤元彦知事について、
「政治家の出処進退は最高の政治倫理だ」
「最後は倫理観を示し、自分の進路を決断すべき時期に来ている」
と指摘した。
斎藤氏を巡っては、9月の県議会開会日の19日に不信任決議案が提出され、可決される公算が高まっている。
松沢氏は
「不信任案が出た時点で決断して失職すべきだ」
「レッドカードに近い」
と指摘。
県庁職員のモチベーションについて、
「今回は知事が県職員にパワハラをして、公益通報制度があるのに職員を守らず自死に追い込んだ」
と断じた。
「相当知事に対する恨みはたまっているだろう」
「辞めていく職員も増える」
「県庁の活力が無くなり、結果、県民が一番迷惑する」
とも語った。
斎藤県政の展望については
「県議会との関係が冷却し、人事案件は通らなくなる」
「ほぼ機能不全だ」
と指摘し、
「兵庫県政が停滞したからには、知事に退場してもらい、次の知事を選び直すというプロセスは必要不可欠だ」
「早く次の知事を選んで、県政を立て直すべきだ」
と語った。
不信任案が可決された場合、知事は地方自治法に基づき、県議会の解散か失職を選ぶことになる。
斎藤氏は13日、可決された場合の対応について記者団に
「法律に則って、様々な選択肢があるので、それをしっかり考えていく」
と述べるにとどめている。
松沢氏は平成15〜23年に神奈川県知事を2期務めた。

「道義的責任が何かわからない」発言に看過できない 斎藤兵庫県知事に自民など4会派が辞職を申し入れ 
2024/9/13 12:55
https://www.sankei.com/article/20240913-QUQ6LZJXU5ITBFHJZSRDSEX7D4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民など4会派は12日、無所属議員4人と共同で斎藤氏の
「即時辞職」
を申し入れた。
申し入れ書の内容は次のとおり。
文書問題が惹起されてから約半年。
現在、県政への信頼は大きく損なわれ、県民のみならず全国から厳しい批判が寄せられている。
我々、兵庫県議会は51年ぶりに百条委員会を設置し、知事はじめ県幹部に向けられた7つの告発内容について真偽を明らかにすることを通じて県政の信頼回復に全力を傾注してきた。
一方、斎藤知事は、告発文書の内容に真実が存在し、文書が
「嘘八百」
ではないことが明らかになったにもかかわらず、
「文書に真実相当性がない」
という従来からの考え方を変えることなく頑なな姿勢を取り続けている。
加えて、
「道義的責任が何かわからない」
と看過できない発言が飛び出した。
参考人招致した専門家からも、公益通報者保護法からみて
「兵庫県は今も違法状態」
と断じている。
知事という職責を果たすためには、法令遵守は当然のことながら人として守るべき倫理や道徳といった道義的責任がより強く求められるが、知事の発言からは道義的責任を有している態度を見出すことはできない。
県民本位の健全な県政と職員が安心して働ける職場を1日でも早く取り戻し、新たに信任を得た知事のもとで来年度予算を編成するためには、斎藤知事の即時辞職が必要である。
よって、速やかに兵庫県知事の職を辞すことを求める。
なお、9月定例県議会までに自ら辞職を決断しない場合には、次に然るべき行動に移る覚悟である。

「感情高ぶり申し訳なかった」斎藤兵庫県知事、県議会からの辞職要求受け会見
2024/9/13 11:23
https://www.sankei.com/article/20240913-JE6UUUSSFNMHZD2JL7BH3RJVXU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民など4会派は12日、無所属議員4人と共同で斎藤氏の
「即時辞職」
を申し入れた。
自民などは不信任決議案について9月議会で提出する方向で調整している。
斎藤知事は申し入れを受け、記者団の取材に応じた。
ーー全議員からの辞職要求の申し入れを、どう受け止めたか
内容についても拝見したが私の政治姿勢に対する大変厳しい指摘を受けた。
しっかり真摯に受け止めなければならない。
今の思いとしては、文書問題の調査への対応、これから9月議会が始まるので県民生活を支えるために補正予算を出していく。
物価が大変上がっている。
具体的に家計応援キャンペーンということでプレミアム付きの商品券的なものをさせて頂く予定だ。
100億円の補正予算を提出させて頂く。
来年度予算についての議論も今本格化している。
議会からの指摘は大変重い。
私自身も、至らない点、良くない点もあるかと思うが、それでもなお県政を担をわせて頂きたい。
ーー不信任決議案の可決の動きが本格化する
不信任決議案が提出可決されれば私としては法律に則って様々な選択肢があるのでそれをしっかり考えていく。
ーー昨日、涙する場面もあったが、迷いや不安は
それは私も人間で一人の斎藤元彦という個人なので昨日は感情が高ぶりたいへん申し訳なかった。
やはり日々の文書問題に関して百条委への対応もそうだが、緊張したり不安になったりすることはある。
ーー全会派からの辞職要求は異例
こういった状況になっていることは私の努力が至らなかったからだ。
心から申し訳ないと思っている。

斎藤知事の不信任案巡り、自民と維新が主導権争いか 19日提出に前倒しの内幕
2024/9/13 7:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3Z7TY5WOVZNPLBE7WVHRH2HJLQ/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題は12日、県議会の全議員が斎藤氏に辞職を求める異例の事態に発展した。
斎藤氏はこの日も拒否する姿勢を変えず、県議会では不信任決議案の提出に向けた調整が本格化。
9月議会開会日の19日に提出、即日採決され、可決の公算が大きくなっている。
背景には斎藤氏への不信感の高まりとともに、一連の問題で主導権を握りたい主要会派の思惑も透ける。
■「しかるべき行動に」
「全会派、全議員が一致して辞職を求めることが一日も早く県政を正常化し、前に進めるための一歩となる」
即時辞職の文書を提出した後、県議会最大会派・自民党の北野実幹事長はこう強調した。
文書では、9月議会開会までに辞職しない場合は、不信任案を念頭に
「然るべき行動に移る覚悟」
と最後通告を突き付けた。
斎藤氏の進退を巡っては、6日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問における斎藤氏の答弁を踏まえ、自民が辞職を求める方針を決定。
他会派に呼びかけ、第3会派の公明党や立憲民主党議員らでつくる第4会派「ひょうご県民連合」、第5会派の共産党が共同での申し入れに合意していた。
■「抜け駆け」警戒
しかし、態度を保留していた第2会派の日本維新の会の県議団が9日、単独で辞職を要求。
他会派には、進退を巡る議会側の対応を維新が主導しているかのように映ることに警戒感も生まれた。
ある自民県議は
「維新は衆院選に向けての焦りから先に辞職要求した」
「不信任案も抜け駆け的に出すのではないか」
と神経を尖らせる。
令和6年度補正予算案など議案の審議が一区切りする9月30日などで検討されていた不信任案の提出時期は、自民を中心に前倒し論が強まった。
■予算成立は尊重
ただ、斎藤氏は
「県民の生活を守る」
などとして、補正予算案の重要性を繰り返し強調。
不信任案を優先させ、物価高対策などが盛り込まれた予算の成立がずれ込めば、議会側の責任が問われ、斎藤氏に議会解散の大義を与えかねないとの危惧もあった。
そこで自民、公明、県民連合の3会派は12日に協議。
補正予算案については必要性を理解できているとして、開会日の19日に採決することで一致し、同日の不信任案提出がほぼ固まった。

兵庫知事の不信任案、19日全会一致提出へ 各会派の調整加速 可決の公算
2024/9/12 22:47
https://www.sankei.com/article/20240912-WH6O6NC6TZJ4PPUWHA6LGRF4AY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党と公明党、立憲民主党議員らでつくる「ひょうご県民連合」は12日、9月議会開会日の19日に斎藤氏への不信任決議案を提出し、即日採決する方向で合意した。
これに先立ち自民などは斎藤氏の
「即時辞職」
を要求する文書を提出したが、斎藤氏は辞職拒否の意向を表明。
各会派は全会一致での不信任案提出に向けた調整に入った。
不信任案は可決される公算が大きく、斎藤氏は辞職か議会解散かの選択を迫られることになる。
自民、公明、県民連合、共産党の4会派は12日、無所属議員4人と共同で辞職要求の文書を副知事に提出。
日本維新の会の県議団も先行して9日に申し入れており、全議員86人が辞職を迫る異例の事態となった。
12日の申し入れ後、斎藤氏は報道陣の取材に
「厳しい指摘は真摯に受け止める」
「政策を県民のためにやっていくのが大事だ」
と改めて辞職を否定。
9月議会での不信任案提出について
「可決されれば法律に則って様々な選択肢がある」
「しっかり考えていく」
と述べた。
関係者によると、自民と公明、県民連合の3会派の幹部らは12日、不信任案の提出に向けて協議。自民と県民連合は19日に不信任案を提出し即日採決する方針を固めた。
公明は13日に合意形成するとしている。
維新も12日、9月議会で提出する方針を決定。
維新幹部によると、維新単独での提出は否定し、全会一致での提出を目指して他会派と調整を進めるとした。
地方自治法によると、不信任案の可決は議員3分の2以上が出席した上で、出席議員の4分の3以上の賛成が必要。
可決の場合、斎藤氏が10日以内に議会を解散しなければ失職する。
議会を解散した場合は、改選後の県議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任決議が成立。
斎藤氏は議会から通知を受けた時点で失職する。

兵庫知事の不信任案 自民が19日提出、即日採決へ 公明や立民会派と合意
2024/9/12 17:42
https://www.sankei.com/article/20240912-YAFOCBO3VFOH5LJFMDCLF3OIQM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党は12日、斎藤氏の不信任決議案を9月議会開会日の19日に他会派とともに提出し、即日採決を目指す方針を決めた。
関係者が明らかにした。
自民は第3会派の公明党、立憲民主党議員らでつくる第4会派の「ひょうご県民連合」と即日採決する日程で合意したという。

兵庫知事、自民などからの即時辞職要求を拒否「政策を県民のためにやる」
2024/9/12 16:47
https://www.sankei.com/article/20240912-IXGJLLRTFFMADDM4G5QUGK7BXQ/
パワハラ疑惑などを文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事は12日、県議会最大会派の自民党などからの即時辞職要求に応じない考えを改めて示した。
県庁で記者団に
「厳しい指摘で真摯に受け止めなければならない」
「政策を県民のためにしっかりやっていくのが大事だ」
と述べた。

自民など4会派、兵庫県知事に「即時辞職」申し入れ
2024/9/12 10:12
https://www.sankei.com/article/20240912-E33Y2LREANJ2HC4GG76GZL5EN4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党など4会派は12日、無所属議員4人と共同で斎藤氏の
「即時辞職」
を申し入れた。
日本維新の会の県議団も先行して9日に申し入れており、全議員86人が辞職を迫る事態となった。
応じない場合、県議会では9月議会での不信任決議案の提出を調整しており、開会初日の19日に提出する案も浮上している。
申し入れ書では、県議会調査特別委員会(百条委員会)などで告発文書に記載された疑惑が一部事実と認められたにもかかわらず、斎藤氏が一貫して
「真実相当性がない」
と主張する姿勢を問題視。
「道義的責任が何か分からない」
との発言について
「看過できない」
と指摘した。
さらに、健全な県政を取り戻すためには
「即時辞職が必要だ」
と断じ、9月議会までに辞職を決めない場合
「然るべき行動に移る覚悟だ」
と不信任案の提出を示唆した。
この日、自民と公明党、立憲民主党県議らでつくる「ひょうご県民連合」、共産党の4会派幹部らが申し入れ書を服部洋平副知事に提出。
提出後、報道陣の取材に応じた自民県議団の北野実幹事長は
「全会派全議員一致で辞職を求めることが県政を正常化し前に進める一歩」
「政治家の出処進退は自ら判断し、辞職を自ら申し出ることが筋だ」
と述べた。
斎藤氏は辞職要求に応じない可能性が高く、各会派はそれを見越して不信任案提出に向けて協議。
自民は早期退陣を求める必要があるとして、開会日の19日に提出することを視野に他会派と調整しており、可決の公算が大きい。
可決されれば斎藤氏は辞職するか、10日以内に県議会を解散するかを選ぶことになる。
議会解散となり、県議選後最初の県議会に不信任案が提出されれば、出席議員の過半数の賛成で可決される。
この場合、斎藤氏は失職となる。

「誰から聞いたんや、名前言え」「グルやったんちゃうんか」 兵庫県知事告発者捜しの全容
2024/9/12 7:00
https://www.sankei.com/article/20240912-V6OA52ENTBOYPDJ6RQADQIHFK4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、片山安孝副知事(当時)が3月、文書を作成した男性を事情聴取した際の詳細なやり取りが明らかになった。
人事権をちらつかせて情報源を探る片山氏に対し、
「噂が回っている」
とかわす男性。
片山氏が
「噂をまとめただけか。なるほど」
と語る場面もあった。
斎藤氏は
「噂話を集めた」
という男性の説明を、文書に真実相当性がないとする根拠に挙げるが、やり取りからは周囲を守ろうとする男性の意図が滲む。
「誰から聞いたんや。全部名前言え」。
2024年3月25日午前、同県上郡町にある県西播磨県民局の一室で、片山氏が当時局長だった男性を問い詰めた。
百条委の審議や関係者などによると、文書の存在を把握した斎藤氏は同21日、片山氏ら側近幹部を集めて徹底調査を指示。
22〜23日に、複数の県職員のメールを調査したところ、男性のメールから告発文書と酷似した内容が見つかった。
幹部らは男性を含め、文書の作成に関与しているとみた職員3人について、同じ時間帯にそれぞれ聴取する方針を決め、25日に着手。
男性については、片山氏が約45分間に渡って聴取した。
聴取で片山氏は
「1年間の全部の(メール)記録、今チェックさせとんねん」
と強調。
「色んな人の名前、出てきたわ。どういうこっちゃ」
「(告発文と男性のメールが)同じ内容やで」
などと質した。
自身や周囲の告発文書への関与を否定する男性。
すると、片山氏は
「(メールで)名前が出てきた者は一斉に嫌疑をかけて調べなしゃあない」
「名前出てきた者は、皆在職しとるということだけ忘れんとってくれよ」
と迫った。
「(職制上の等級を)10級に上げるっていいよったけど、どないしようかいな」。
男性と交流があった県幹部の名前を挙げて昇級見送りを示唆した他、
「警察に持ち込もうかと思ってる。一切知らんて最後まで言うの?」
といった発言もあった。
斎藤氏の側近幹部が県内企業から受領したコーヒーメーカーについて、
「こんなん皆知らんやろ。誰から聞いたんや」
と問い詰め、男性が
「みんな噂してますよ」
と否定すると、
「噂か、噂をまとめただけか。なるほど」
と引き取る場面も。
男性はこの場では文書への関与を否定し続け、片山氏は3月末の男性の退職を認めず、県民局長の職を解くことを告げた。
同じ頃、別の県幹部も小橋浩一総務部長(当時)の聴取を受けていた。
「グルやったんちゃうんか」
と詰問し、男性との通信アプリ「ライン」でのやり取りを見せるように求める小橋氏。
その最中、幹部に男性から電話がかかってきた。
「(通話を)スピーカーにせえ」。
小橋氏は小声で言い、メモ書きをみせて
「他にやったやつはいないのか」
などと聞くように指示したという。
この後、男性は人事当局の幹部に電話をかけ、
「さっき(片山氏の聴取時)はしらを切ったが、俺がやった」
と認めた。
この幹部は
「とても1人でやったとは思えない」
と疑問を呈したが、男性は
「自分1人で話をまとめた」
と譲らなかった。
斎藤氏は2024年9月11日の記者会見で、噂話との説明について
「(男性)本人がそう言っており、具体的な証拠や証言が追加されていない以上、今もそうだったと思っている」
と話した。

議会解散の判断、最短で29日までか 兵庫知事不信任案は19日提出、即日採決案が浮上 
2024/9/11 22:03
https://www.sankei.com/article/20240911-OAB46CWYOZLT5A6AWWPDBD3WD4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党(37人)が9月議会開会日の19日に、斎藤氏に対する不信任決議案を提出することを視野に他会派と調整していることが11日、関係者への取材で分かった。
全県議が斎藤氏に辞職を求める構図となっており、不信任案が提出されれば可決の公算が大きい。
可決の場合、斎藤氏は失職か議会解散かの選択を迫られるが、この日の記者会見では
「選択肢は様々ある」
と述べ、議会解散に含みを持たせた。
解散判断の期限は、最短で29日となる可能性がある。
自民と公明党、立憲民主党県議らでつくる「ひょうご県民連合」、共産党の4会派は12日、無所属議員4人と共同で辞職を申し入れる。
日本維新の会の県議団も先行して9日に申し入れたが、斎藤氏は拒否する姿勢を示している。
自民は斎藤氏が辞職要求に応じない場合、早期退陣を求める必要があると判断。
9月議会が開会する19日に不信任案を提出し、即日採決する案が浮上している。
可決し、議長から斎藤氏への通知が同日中にあった場合、斎藤氏は29日までに失職か議会解散かを判断することになる。
解散の場合は県議選が行われ、改選後の議会で3分の2以上が出席し、過半数が賛成すれば不信任決議が成立。
議会から通知を受けた時点で斎藤氏は失職する。
斎藤氏は11日の会見で、時折涙ぐみながら続投の意向を示し、不信任案に関しては
「法律の規定に基づいて判断していくことになる」
と述べた。
維新共同代表の吉村洋文大阪府知事は同日、記者団の取材に、出直し選挙となった場合の党推薦について
「今の状態であれば難しい」
と語った。

維新の吉村洋文共同代表、兵庫県知事出直し選なら斎藤氏を「推薦できない」
2024/9/11 17:45
https://www.sankei.com/article/20240911-5RL3M6CL3JPANL7ZQZ34GAJPSI/
職員へのパワハラ疑惑などを文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事について、令和3年の県知事選で推薦した日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)は11日、斎藤氏が辞職して出直し知事選に臨んだ場合の維新の対応について
「今の状態なら推薦できない」
と述べた。府庁で記者団の取材に応じた。
吉村氏は県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏らの証言を踏まえ、斎藤氏が告発文書を公益通報として扱わず、文書を作成した元県西播磨県民局長(60)=7月に死亡=を懲戒処分にしたことや、県職員に物を投げるなどのパワハラ行為を批判。
「背景や事実関係で納得できるものはない」
「百条委の証言を聞いても今の状態であれば(出直し選で)推薦できない」
と語った。
また、吉村氏は今月7日、斎藤氏に電話で連絡をとり、辞職して出直し選に出馬すべきだと進言したが、その後も斎藤氏が続投の意思を示していることについては
「残念に思う」
「間違っていることは認めて辞職すべきだ」
と述べた。

兵庫知事、定例会見で涙ぐみ「自分自身に対し悔しい」 12日予定の辞職申し入れ控え
2024/9/11 17:12
https://www.sankei.com/article/20240911-M6XLT7AAQ5LPLO53GO74NWRSVY/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る一連の疑惑が文書で告発された問題で、斎藤氏は11日午後に開かれた定例記者会見で、県議会の自民など4会派が12日に予定する辞職の申し入れに対し、
「こういう状況になったことは申し訳ないなという思い」
「自分自身に対して悔しい」
などと涙ぐみながら述べた。
斎藤氏は3年前の前回知事選で、自民の一部県議らが会派を割って支えてくれたことなどを問われ、
「重い決断の中で(自民の一部県議が)私に出馬要請をして頂いた」
などと述懐。
就任後も
「議会が終わる度に会派の控室に行った」
「そこで『頑張れよ』と言って頂いた」
などとし、自民県議らに対し
「今も感謝はしてます」
「申し訳ないという思いで私自身は今います」
などと語った。

兵庫知事、不信任案可決の場合「法律の規定に基づき対応」議会解散も否定せず
2024/9/11 12:01
https://www.sankei.com/article/20240911-KYTCGH76CZKYXKBYV2INVITW5E/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る一連の疑惑が文書で告発された問題で、斎藤氏は11日午前、報道陣の取材に応じ、県議会の全議員(86人)から辞職要求を受ける見通しとなったことについて
「まずは百条委員会や第三者機関の調査に対応すべきことが優先すべき課題だ」
と話し、
「県政を1つ1つ前に進めていくことが私の今の考え」と改めて辞職を否定した。
【一覧でみる】兵庫県の斎藤知事が受領を認めた贈答品
県議会最大会派の自民党などは9月議会が開会する19日に知事の不信任決議案を提出することも視野に入れている。
決議案が可決された場合の対応について、斎藤氏は
「法律の規定に基づいてどう対応するか考える」
と述べるにとどめた。
辞職するか、議会を解散する選択肢がある。

兵庫知事の不信任案、議会初日の19日提出を視野に 自民が各会派に呼びかけ
2024/9/11 11:35
https://www.sankei.com/article/20240911-X6XHQK3RR5LKPOMZZPOLW3NAMI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、県議会最大会派の自民党(37人)が、9月議会開会日の19日に、斎藤氏に対する不信任決議案を提出することを視野に各会派と調整していることが11日、関係者への取材で分かった。
9日に辞職と出直し選挙を申し入れた維新に続き、自民など4会派と無所属議員4人が12日に斎藤氏に辞職を要求する予定だが、斎藤氏は応じない可能性が高く、自民の動きはそれを見越したものとみられる。
9月議会の会期は19日から10月23日までの約1カ月間の予定。
不信任案を巡っては、既に立憲民主党県議などでつくる第4会派「ひょうご県民連合」(9人)が一般質問終了後の9月30日か、補正予算案が採決される10月3日に提出する方針を示していた。
自民は、斎藤氏が12日の辞職要求に応じない場合でも、早期退陣を求める必要があると判断。
9月議会初日の19日に不信任案を提出することも視野に、公明や県民連合などと調整に入った。
各会派幹部らは11日、産経新聞の取材に
「辞職を求める知事に代表質問や一般質問をやる必要があるのか」
と述べ、自民の動きに同調する構え。
不信任案の可決には、出席議員の4分の3以上の賛成が必要で、県議会では65人が可決ライン。
12日の自民などの辞職要求で全議員86人が辞職を求める形になり、不信任案は可決される公算が大きい。
可決されれば斎藤氏は辞職するか、10日以内に県議会を解散するかを選ぶ。
解散しない場合は失職する。
議会解散となり、県議選後最初の県議会に不信任案が提出されれば、出席議員の過半数の賛成で可決できる。
この場合、斎藤氏は失職となる。

兵庫県議全86人が斎藤知事に辞職要求へ 不信任案も検討、可決か
2024/9/10 16:25
https://www.sankei.com/article/20240910-DDLB23NHTZIKVDFK2HIEA4OLCA/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会最大会派の自民党、公明党、ひょうご県民連合、共産党の4会派は10日、無所属議員4人と共同で12日午前に斎藤氏へ辞職を申し入れると発表した。
維新の会は9日に単独で申し入れており、86人いる県議会の全議員が辞職要求を突き付ける事態となった。
斎藤氏は要求に応じない考えを既に示しており、各会派は不信任決議案提出に向けた検討も本格化。
立憲民主党県議らでつくる県民連合は19日に開会する議会で提出する方針を決めており、提出された場合、可決される公算が大きい状況だ。

「県民からは激励の声の方が多い」斎藤知事 辞職は改めて否定
2024/9/10 11:54
https://www.sankei.com/article/20240910-P3KGTUPUPBJDNI26O2KFLH2D3I/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、斎藤氏は10日、県民らからの批判について
「投書などで拝見しているが、直接(批判を)受けることはあまりない」
とし、激励の声の方が多いと強調した。
同日午前、報道陣の質問に答えた。
9日には3年前の知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会が辞職などを求める申し入れを提出したが、斎藤氏は改めて辞職を否定した。
告発文書は県西播磨県民局長だった男性(60)が3月、一部の県議や報道機関などに配布。
県は同月27日に男性を解任し退職を保留した。
男性は4月ごろに文書内容を県の公益通報窓口に通報していたが、県は公益通報の調査結果を待たず5月に男性を懲戒処分とした。
男性は7月に死亡。
自殺とみられる。
男性が亡くなったことが明らかになって以降、県には斎藤氏への批判や問い合わせの電話が相次いでいる。
同月16日の定例会見で斎藤氏は、自身の身に危害を加えるという趣旨の電話が県庁に寄せられていると明かし、公務で予定していた視察を中止したと発表していた。
斎藤氏は10日、登庁時に報道陣の取材に応じ、改めて辞職を否定。
県議会からの辞職要求に応じない場合は、9月議会での不信任決議案提出が想定されるが、
「仮定の話には答えられない」
と述べた。
また、県民からの批判の声については
「『色々あるが、頑張ってくれ』という声が7月以来多いというのが私の受け止め」
と述べた。

「どういう道を進むかは自分で決める」斎藤兵庫県知事、県議会全会派からの辞職要求にも改めて辞職否定
2024/9/10 10:41
https://www.sankei.com/article/20240910-OHAY4LXAVRPXDEYR5TULM76UAY/
斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題をめぐり、県議会第2会派の「維新の会」が9日、斎藤知事に対して、辞職要求を申し入れた。
これで自民など全5会派が辞職を求める見通しだが、斎藤知事は
「予算を成立させ、県民の生活をしっかりと支える」
と改めて、取材陣に対して辞職を否定した。詳しい内容は次の通り。
ーー先ほど維新から辞職と出直し選挙を求める申し入れがあった
維新の皆さんには3年前の選挙から支援を頂いた。
改めてお礼申し上げたい。
申し入れがあったことは真摯に受け止めたい
ーー維新の申し入れに応じる考えは
私としては先日の百条委員会に出席して自分なりの考えや認識を伝えた。
県民に伝わったかというと不十分と指摘もあるだろうが自分なりの言葉で懸命に伝えた。
これから百条委、第三者機関に出席してこの問題に不安を持っている方に説明していくことが私の責務。
今月に始まる県議会。
物価高騰対策、お米が高騰するなど県民生活は苦しい。
現在、補正予算の最終調整をしているところであり、県民の暮らしをしっかり支えることが大事。
来年度予算も部局別に議論している。
県民の生活、安全安心な社会、元気な兵庫県を作るための予算施策をしっかりやっていくことが私の大きな役割だ。
ーー辞職に応じないとなると不信任決議案が可決されるのも確実な情勢、可決されると失職か議会の解散になる
県議会の判断はこれからの話。
今日の申し入れは本当に重く真摯に受け止めたい。
この後の状況については、現時点でのコメントは控えたい
ーー辞職要求を拒めば不信任決議案の公算が大きい。どんな選択肢を考えているのか
議会側がどう対応するかはまだ決まっていない段階。
仮定の状況についてのコメントは差し控える。
今は、やはり第三者機関による調査、百条委が開かれている。
知事として説明することが大事。
ハラスメントの問題も不適切なことがあったのは改めないといけない。
贈答品の問題についても社会通念上の範囲とはいえルール作りが大事。
県の公益通報も外部に窓口を設置するなど改善すべきことはしっかりやる。
ーー百条委は辞職してもやれる。県政を前に進めるなら辞職して民意を問うべきという意見もある
もちろん、色んなご指摘はあるが、私は3年前に付託を受けて選ばれた1人の政治家。
至らない所はあるが政治家としてどう対応するかは自分で判断したい。
3年しか知事はしていなくて政治家としては力が足りないところもあると思うが、県民から付託を受けた。
どういう道を進んでいくか自分が決めるのが大事だと思う。

「県政運営に支障」維新、党勢退潮で転換 斎藤知事に辞職要求 衆院選警戒も
2024/9/10 7:00
https://www.sankei.com/article/20240910-ROXN6MQQQFIJRPWCGICMO522WM/
兵庫県議会各会派が斎藤元彦知事への辞職要求で足並みを揃える中、唯一判断を保留していた第2会派の日本維新の会の県議団が9日、斎藤氏に辞職を申し入れた。
3年前の知事選で自民党と共に斎藤氏を推薦し、
「知事与党」
を自任してきた維新。
調査特別委員会(百条委員会)設置に当初反対するなどの対応は
「斎藤氏擁護」
と受け止められてきた。
だが、早期の衆院選が予想される中、党勢の退潮傾向が露わになり、方針転換を余儀なくされた格好だ。

斎藤知事への電話で「間違い認め、辞職すべきだ」 維新・吉村共同代表が進言
2024/9/10 6:30
https://www.sankei.com/article/20240910-I4DPW7OCQZN3HGDYF2PNK3RH4M/
職員へのパワハラ疑惑などを文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事について、令和3年の知事選で推薦した日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)は9日、府庁で記者団に
「権力志向で間違っていた部分がある」
と述べた。
7日に電話で辞職するよう進言したといい、やり取りを明らかにした。
吉村氏によると、斎藤氏と電話で連絡を取った際、告発文書を公益通報として扱わず、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性を懲戒処分にした斎藤氏の対応について
「初期で(判断を)方向付けるのは間違った対応だったのではないか」
と直言。
職員の前で物を投げたり、机を叩いたりした行為もパワハラに当たると指摘し
「間違いは認め、辞職すべきだ」
と伝えたという。
吉村氏は斎藤氏の疑惑について、これまでの兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏本人の証人尋問を踏まえ、
「一定の真実相当性がある」
と強調。
「権力志向で間違っていた部分があると思う」
とした上で、連絡をとった理由については
「(大阪府の財政課長時代は)優秀な職員で知事になってからも一緒に仕事をした」
「党として最終決定が出る前に直接伝えるべきだと思った」
と述べた。
斎藤氏の進退を巡っては、維新が9日に辞職を要求。
県議会最大会派の自民党など他の3会派も12日に辞職を求める方針だが、斎藤氏は応じない構えを示している。

維新の知事への辞職要望、各会派「国政選挙を見据えた焦りでは」と冷ややか
2024/9/9 21:52
https://www.sankei.com/article/20240909-6NEVXIUJQVOSXFKP3CC4SA2G3E/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、日本維新の会の県議団が9日、斎藤氏に辞職と出直し選挙を申し入れたことについて、既に辞職要求の方針を決めていた他会派からは
「(衆院の解散)総選挙を見据えて焦っているのでは」
などの声が上がった。
「党本部の意向で決めると聞いていた」
「政局を考えた維新らしい判断ではないか」。
最大会派・自民党の北野実幹事長は維新の動きをこう表した。
自民は6日の県議会調査特別委員会(百条委員会)の斎藤氏の証言内容などを踏まえ、辞職を申し入れる方針を同日中に決定。
全会派一致を目指して各会派にも呼びかけ、9日も、第3会派の公明党や立憲民主党系の第4会派「ひょうご県民連合」幹部と会合を開き、12日に申し入れ書を提出する方針を確認した。
北野氏は
「全会派で提出したかったが、維新が先に出すならそれで構わない」
と述べた。
「全会派一致であれば(斎藤氏の)受け取り方は違ったはず」
「なぜこのタイミングなのか」。
公明の会派幹部は首をかしげつつ、
「他会派と一緒では埋没すると考えたのかもしれない」
と推測した。
斎藤氏が辞任に応じなければ、9月議会で不信任決議案提出を提出する方針をいち早く決めた県民連合、上野英一幹事長は
「維新の支持率が低下しているので、国政選挙を見据えて中央(党本部)が焦って決めたことではないか」
と指摘。
他会派に先立つ提出については、
「注目を浴びるためではないか」
と冷ややかな見方を示した。

斎藤知事、「重く受け止める」維新が辞職要求も応じない意向
2024/9/9 21:36
https://www.sankei.com/article/20240909-4CSS4XS6JNIGNAHRWBYIEFZELE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題で、令和3年の前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会は9日、斎藤氏の辞職と出直し選挙を求める申し入れ書を服部洋平副知事に提出した。
斎藤氏は申し入れ書の提出を受け
「重く受け止めている」
「(疑惑の)調査に知事として説明することが大事だ」
と述べ、辞職要求に応じない意向を示した。
維新は県議会の第2会派。
最大会派の自民党は12日に辞職を要求する予定で、公明党と、立憲民主党議員らでつくる「ひょうご県民連合」も同調する見通し。
主要4会派が辞職を求める異例の構図だ。
申し入れ書は維新の馬場伸幸代表と県組織「兵庫維新の会」代表の片山大介参院議員、県議団の連名で、片山氏らが提出した。
県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏の説明について
「議会や県民が十分に納得できるものとは言い難い」
「県政運営に支障が生じ始めている」
と指摘。
辞職と出直し選挙を要請し、
「大局的に立った、斎藤知事の賢明な判断を強く望む」
と訴えた。
片山氏は申し入れ書の提出後、報道陣の取材に応じ
「他の党と我々のスタンスが違う」
として他会派との共同提出を否定。
維新はこれまで事実解明を優先すべきとの姿勢だったが、
「先に維新としてアクションを起こした方がいい」
「政治的思惑でなく民意を問うことが大切だ」
と強調した。
出直し選挙が実施され斎藤氏が出馬した場合、維新としての支援は
「考えていない」
と述べた。
斎藤氏が辞職要求に応じなかった場合、各会派は不信任決議案を提出する方針。

維新、吉村氏からの説得、斎藤氏「政治家同士のやりとりなので控える」と明らかにせず
2024/9/9 17:52
https://www.sankei.com/article/20240909-A36GAEDFP5KQHK3HVIKJ7DMVUE/
兵庫県議会の第2会派「維新の会」から辞職申し入れを受けた斎藤元彦知事は9日、日本維新の会の吉村洋文共同代表(大阪府知事)から、辞職して出直し知事選に臨むよう説得された際のやり取りについて、
「政治家同士の話なので、差し控えた方がいい」
として内容を明らかにしなかった。
県庁で記者団の取材に答えた。
維新の藤田文武幹事長が同日、国会内での記者会見で、吉村氏が同日までに、電話で斎藤氏を説得しようとしたことを明らかにしていた。
藤田氏によると、大阪府の財政課長を務めた斎藤氏と上司部下の関係だった吉村氏が、斎藤氏に出直し選で県民に信を問うように求めたところ、斎藤氏からは
「聞き置く」
との回答があったという。
斎藤氏は記者団の取材に、自身について
「政治家として3年ほどで、まだまだ経験は浅い」
としつつ、
「政治家同士の話の内容を自分からオープンにする、こういうやり取りがあったというのを言うのは控える」
などと述べた。

斎藤知事、記者団の取材に「県民の暮らし支える」 辞職申し入れに応じない考え改めて示す
2024/9/9 17:38
https://www.sankei.com/article/20240909-JPGNZFDMCJN7BHGPCDHBQTEU2M/
兵庫県の斎藤元彦知事は9日夕、県議会(定数86)第2会派「維新の会」(21)から辞職申し入れを受けた後、記者団の取材に応じ、
「申し入れがあったことは真摯に受け止める」
としつつ、予算編成などを進めることで
「県民の暮らしをしっかり支えるのが大事」
などと述べ、改めて申し入れには応じない考えを示した。
県議会調査特別委員会(百条委)での斎藤氏の対応を受け、日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」の片山大介代表が9日午後、県幹部と面会。斎藤氏に対する辞職要求と出直し選挙の実施を申し入れた。
最大会派の自民党(37人)など他会派も12日に辞職を申し入れる方針。
斎藤氏が辞職に応じなければ、県議会で不信任案が提出され、可決される公算が大きくなっている。
その場合、議会解散を選択するとの見立てもあるが、斎藤氏は
「議会側がどう対応するかはまだ決まっていない段階」
などとして、コメントは避けた。

維新共同代表の吉村大阪知事が説得「辞職し出直し選を」 斎藤知事「聞き置く」
2024/9/9 17:01
https://www.sankei.com/article/20240909-ZKHXBHYT4VKL5GUVGYEMYDWDPM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、令和3年の前回知事選で自民党とともに斎藤氏を推薦した日本維新の会の藤田文武幹事長は9日、国会内で記者会見し、維新として斎藤氏に辞職を要求する判断をした理由について、疑惑によって県政が停滞し
「推薦した党の責任として判断した」
と説明した。
また藤田氏は会見で、吉村洋文共同代表(大阪府知事)が同日までに、斎藤氏に電話で辞職を求め、出直し知事選に臨むよう説得を試みたことを明らかにした。
藤田氏によると、大阪府の財政課長を務めた斎藤氏と接点がある吉村氏が、斎藤氏に出直し選で県民に信を問うように求めたところ、斎藤氏からは
「聞き置く」
との回答があったという。
藤田氏は斎藤氏について
「冷静な判断をしてほしい」
と述べ、辞職に応じなかった場合は、県議会で維新単独での不信任決議案の提出も検討する考えを示した。
藤田氏は出直し選が実施された場合、維新として斎藤氏を支援するかについては現時点で
「判断できない」
とした。
維新は疑惑への対応について、県議会調査特別委員会(百条委員会)や第三者機関での事実解明を待つべきだとしていたが、藤田氏は
「方針転換と言わざるを得ない」
「もっと辞職を早く求めるべきだったとか、判断が遅いという批判は真正面から受け止めたい」
と語った。

維新が兵庫知事に辞職要求、党幹部「県政が停滞している」  斎藤氏は応じない構え
2024/9/9 15:47
https://www.sankei.com/article/20240909-JRD73UPWAVLMRDGRUKAVX3W7XU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、令和3年の前回知事選で自民党とともに斎藤氏を推薦した日本維新の会の県組織「兵庫維新の会」の片山大介代表(参院議員)らは9日午後、県幹部と面会し、斎藤氏に対する辞職要求と出直し選挙の実施を申し入れた。
斎藤氏は応じない構え。
出直し選挙が行われ斎藤氏が出馬した場合も、維新は斎藤氏を支援しない予定としている。
県議会(定数86)で、維新会派(21人)は自民(37人)に次ぐ第2会派。
自民などは12日に辞職を要求する予定で、議会で代表質問ができる4会派全てが辞職を求める構図となった。
この日の申し入れには服部洋平副知事が応じた。
申し入れに先立ち、日本維新の会の藤田文武幹事長は9日午後に記者会見し、斎藤氏に辞職と出直し選挙を求める理由について
「(知事選で)推薦した責任がある」
「斎藤氏は潔白を主張しているが、県政の停滞を招いているのは事実だ」
とし、県議会で不信任決議案が提出された場合は
「賛同せざるを得ない」
と述べた。

「不信任ライン」超えた知事辞職要求勢力 狭まる包囲網、孤立深める斎藤氏
2024/9/9 12:28
https://www.sankei.com/article/20240909-J5KRQE2SBRP3XKYIIGKEYFCVUM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題では、最大会派の自民をはじめ、既に複数の会派が斎藤氏に辞職を要求する方向で調整を進めている。
今後の焦点は不信任決議案の提出へと移る見通しだが、維新が加わったことで辞職を求める勢力は、全議員が出席した場合の決議案可決に必要な65の
「不信任案可決ライン」
を超えた。
孤立を深める斎藤氏。
包囲網は更に狭まる展開となっている。
県議会(定数86)では最大会派の自民が12日にも斎藤氏に辞職を要求する予定を明らかにしており、第3会派の公明や、立憲民主党議員らで構成する第4会派「ひょうご県民連合」も、こうした流れに沿う方向で調整が進む。
9日午後に辞職と出直し選挙の実施を求めることを決めた第2会派の維新を合わせると、斎藤氏に対して県議会の4会派全てが辞職を求める形となった。
ただ、9日午前に県庁で報道陣の取材に応じた斎藤氏は
「真摯に受け止め反省すべきところは反省するが、進めるべき予算や事業などをしっかりやる」
と述べ、会派からの辞職要求には応じない構えを強調している。
議会が首長に進退の判断を迫る際には、辞職勧告決議案を提出して議会で採決するケースもあるが、会派からの辞職要求と同様、法的拘束力はない。
議会が知事を失職させるにはまず、不信任案を可決させることが必要となる。
これまで、斎藤氏に辞職を求めたり、求める方向で調整を進めていたりする主な勢力は自民(37人)、公明(13人)、県民連合(9人)の3会派の59人に、共産2人を加えた計61人だった。
これに第2会派の維新の21人を加えると、全議員が不信任案に票を投じたと仮定した場合の賛成票の数は単純計算で、可決に必要な65を大幅に上回ることになる。
県民連合は19日開会の9月議会の会期中に不信任案を提出する方針を示しており、一般質問終了後の30日か、補正予算案を採決する10月3日で日程を模索。
県民連合の他、自民も不信任案の提出を検討しており、これら2会派以外の勢力についても同調する可能性があるとみられる。

兵庫知事支援の維新が午後に辞職要求へ、全会派が一致 斎藤氏は応じない構え
2024/9/9 12:21
https://www.sankei.com/article/20240909-LZZEIR24FRL7TKU2ICAK3BNSOU/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑などが文書で告発された問題を巡り、令和3年の知事選で自民とともに斎藤氏を支援した県議会(定数86)第2会派「維新の会」(21人)の県議団は9日午後、斎藤氏に対し辞職と出直し選挙の実施を申し入れを行う。
維新関係者が明らかにした。
県議会の4会派が辞職を要求する構図となったが、斎藤氏は応じない構えを示している。
疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)は、告発文書を公益通報として扱わず、告発者を懲戒処分とした斎藤氏らの対応について審議した。公益通報制度に詳しい専門家2人が証言し、処分は違法だと指摘したが、斎藤氏は証人尋問の場でも
「対応に問題はなかった」
とする従来の主張を崩さなかった。
一連の斎藤氏の対応を踏まえ、維新は8日に会派や日本維新の会の幹部らが対応を協議し、
「県民の納得を得るものとは言い難い」
と判断。
維新県議団の岸口実団長は8日の協議終了後に取材に応じ
「(斎藤知事が)県民からの負託を受けたと主張するなら、辞職して民意を問う必要がある」
「(申し入れに応じなければ)不信任決議案提出しかない」
と述べた。
維新会派の県議らで構成する県組織「兵庫維新の会」代表の片山大介参院議員らが9日午後に県庁に出向き、斎藤氏に辞職と出直し選挙を求める予定で、日本維新の会も9日午後1時から藤田文武幹事長が記者会見を開き、国政政党としての考えを明らかにする。
出直し選挙が実施された場合でも、維新としては斎藤氏を支援しない予定。
斎藤氏への辞職要求を巡っては、最大会派の自民(37人)なども12日に申し入れを行う。
応じなければ各会派で不信任決議案提出の動きが強まるとみられ、斎藤氏の対応が注目される。

辞職要求に斎藤兵庫県知事は応じぬ姿勢、県議会全会派が申し入れへ
2024/9/9 10:53
https://www.sankei.com/article/20240909-MBZLJQUBUZPVZEOCSJLFWNCPPQ/
日本維新の会が斎藤元彦兵庫県知事に対し辞職を申し入れることを決め、県議会全会派から辞職要求が出る見通しとなった。
斎藤氏は9日の登庁時に取材に応じ、
「真摯に受け止め反省すべきところは反省するが、進めるべき予算や事業などをしっかりやる」
と述べ、辞職要求に応じない姿勢を示した。
自民党は6日の百条委終了後に総会を開き、辞職要求方針を決定。
不信任案には明確な理由が必要との意見があった第3会派公明党も辞職要求へと傾き、自民への同調を決めた。
立憲民主党県議らの第4会派「ひょうご県民連合」、共産党とも連携し12日に申し入れる。
告発文書は斎藤氏のパワハラなど疑惑7項目を指摘。
県幹部だった男性が報道機関などに配布後、県の公益通報窓口にも通報した。
県は公益通報者保護法の対象外と判断し、男性は懲戒処分を受けた後に死亡した。

出直し選でも斎藤氏支援せず 維新、9日に辞職要求 兵庫知事文書問題巡り
2024/9/9 0:35
https://www.sankei.com/article/20240909-3GA33AKT5FIDFPYEBEXSAD7A34/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、県議会(定数86)の第2会派の「維新の会」(21人)が斎藤氏に対し9日に辞職と出直し選挙の実施を求める方針を固めたことが8日、分かった。
維新は令和3年の知事選で自民と共に斎藤氏を推薦した経緯があり、動向が注目されていた。
斎藤氏は応じないとの見方が強いが、たとえ出直し選挙が実施されても、推薦や支援は予定しておらず、
「知事おろし」
の包囲網は一層狭まる展開となった。
県議会では、最大会派の自民(37人)が12日にも斎藤氏に辞職を要求する予定。
第3会派の公明(13人)や、立憲民主系の第4会派「ひょうご県民連合」(9人)も同調する方向で調整を進めており、全会派が辞職を求める構図となった。
疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)での2度に渡る斎藤氏の説明を踏まえ、維新では8日に会派幹部や日本維新の会幹部らが対応を協議した。
終了後、取材に応じた維新県議団の岸口実団長は
「(斎藤知事が)県民からの負託を受けたと主張するなら、辞職し民意を問う必要がある」
「(申し入れに応じなければ)不信任決議案提出しかない」
と述べた。
維新会派の県議が所属する県組織「兵庫維新の会」代表の片山大介参院議員が9日午後に県庁に出向き、斎藤氏の辞職と出直し選挙を求める。
5、6日の百条委では告発文書を公益通報として取り扱わず、告発者を懲戒処分とした決定について検証。
公益通報制度に詳しい専門家2人は処分が違法であると指摘した。
「対応に問題はなかった」
などと繰り返す斎藤氏の主張について、維新は
「県民の納得を得るものとは言い難い」
と判断した。
斎藤氏が辞職の申し入れに応じない場合、ひょうご県民連合が19日開会の9月議会の会期中に不信任決議案を提出する方針を固めている。
一般質問終了後の30日か、補正予算案を採決する10月3日の提出を模索している。
自民も不信任決議案の提出を検討しており、他の会派も追随する可能性がある。
地方自治法は、不信任案の可決には出席議員の4分の3以上の賛成が必要と規定。
不信任を受けた首長は辞職するか、10日以内に議会を解散することができ、解散しなければ失職する。
議会が解散された場合は議員選挙を実施。
選挙後初の議会で再び不信任案が提出されると、出席議員の過半数の賛成で成立し、首長は失職する。

維新が斎藤兵庫知事に対し辞職要求へ 告発文書問題で
2024/9/8 22:06
https://www.sankei.com/article/20240908-LTBZTC32AFMUFFXCOXKERQTACU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、県議会第2会派の「維新の会」が9日に斎藤氏に対し辞職と出直し選挙の実施を求める申し入れを行うことが8日、分かった。
疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)での斎藤氏の説明では、県民が納得しがたいことなどを理由に、会派幹部や日本維新の会幹部らが8日に対応を決めた。

渦中の兵庫県知事が毎週続ける定例会見 貫くべき報道陣から逃げない姿勢
2024/9/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20240908-6SJLGQBNKJD77DUWVHBPEPKDVA/
兵庫県のホームぺージ(HP)で「知事室」をクリックすると(※スマホ版なら右上の「情報を探す」をクリックすると「知事室」が出ます)、「ようこそ知事室へ」のページに飛び、その中に「記者会見」の項目があります。
斎藤元彦知事の定例記者会見での発表内容や、記者との質疑応答が丁寧にテキスト化されています。
▼兵庫知事、夕食予約巡り「俺は知事だぞ」激怒は否定 多数のパワハラ言動指摘には「反省」
斎藤氏の定例会見は、現在世間を騒がせている斎藤氏と兵庫県の公益通報やパワハラ疑惑を巡る問題の発覚以前から、ほぼ毎週開催されています。
端緒となった元西播磨県民局長による斎藤氏らへの内部告発文書が表に出た後も、定例会見の開催頻度は変わっていません。
兵庫県のHPをたどれば、告発文書に関する質問が初めて出たのは、3月27日の知事会見でした。
この日の会見では斎藤氏側からまず「令和6年度組織改正・人事異動の概要」などの説明がありました(※会見前に人事当局も説明)。
その後の質疑応答で、内部告発者の西播磨県民局長を退職4日前に調査などのため残留させるという異例の人事変更を行ったことについて、記者が質問しています。
いくつかの関連質問の中で、内部告発文書について斎藤氏は
「当該内容の文書には、事実無根の内容が多々含まれていることなので(中略)法的な課題が凄くあると考えています」
と回答。
処分に関しては
「今後の調査結果次第ですが、本人も作成と一定の流布を認めているので、懲戒処分を行うことになると考えています」
と答えています。
さらに、退職4日前での異例の退職取り消しに至った理由などについては
「業務時間中に、嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格です」
と断罪しました。
▼「表現行き過ぎ、大変反省」兵庫知事が陳謝 死亡の元県幹部の告発文書をかつて「嘘八百」 斎藤知事の告発文書問題
一連の問題を巡っては、兵庫県議会が設置した調査特別委員会(百条委員会)で斎藤氏らの証人尋問も進んでいる上、問題発覚から半年近くが過ぎても騒動は落ち着いていません。
▼「俺は知事だぞ」発言を否定 個室用意は当然との認識示す 兵庫県議会百条委証人尋問詳報
ただ、この間、斎藤氏のパワハラ疑惑やおねだり°^惑が話題の中心になっているようですが、問題の本質は、先述した3月27日の記者会見での発言にあるように、内部告発を
「嘘八百」
とし、告発者に対して
「懲戒処分」
を予告したことではないでしょうか。
公益通報に関わる対応がどうだったのかが最大の焦点だと思います。
▼「まるで独裁者が粛清する構図」「公開ハラスメント」「組織の他山の石に」斎藤兵庫県知事の告発者処分 専門家が厳しい指摘
▼「コメント難しい」と兵庫知事 専門家の「公益通報保護法に違反する」批判に
さて、渦中の斎藤氏は、冒頭から紹介しているように問題発覚後も定例会見をほぼ毎週行っています。
知事の立場としては当然だと言えなくもないですが、毎週というのは他府県の知事と比べても少なくはありません。
一連の問題では、告発した元県民局長ら2人がすでに死亡していますし、軽々に評価することはできませんが、発言の内容は別にして、問題発覚後もペースを変えず記者の前に立ち続けていること自体は、評価に値するのではないでしょうか。
▼淡々と斎藤知事 死亡した元県民局長への懲戒処分は「適切。誹謗中傷性高かった」
自身への疑惑が浮上した際、報道陣を避ける政治家は枚挙にいとまがありません。
その点、斎藤氏は定例会見に加え、登庁時や視察先などでも記者による囲み取材に応じています。
百条委員会での証人尋問もライブで流れますし、記者やカメラから逃げることはないようです。
自身の言動への自信からでしょうか。
いずれにしても、その姿勢は今後も貫いてほしいと願っています。

「斎藤家の食卓をにぎわしただけ」おねだり°^惑に百条委員が指摘 兵庫知事は正当性主張
2024/9/8 8:00
https://www.sankei.com/article/20240908-6NAXQIZNWNJSHGW32PFHXQI5KY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、6日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)では、斎藤氏による贈答品受領についても委員から質問が相次いだ。
斎藤氏はカニやカキ、ワインなど多数の品を受け取ったことを認める一方、
「『知事に食べてほしい』という厚意で持ってきたもの」
「全てをもらわないという判断をするのは難しかった」
と正当性を強調した。
「姫路城のレゴブロックが欲しいと言ったのは事実か」。
6日の証人尋問で、委員からの質問に斎藤氏は
「欲しいというか、知事室で展示できればいいなと思ってお伝えした」
と淡々と答えた。
レゴブロックとは、世界的なブロック玩具メーカー「レゴグループ」が発売した姫路城をモチーフにしたもの。
斎藤氏は2023年6月、同社関係者らと共に武士装束で製品をPRし、自身の交流サイト(SNS)にも投稿していた。
告発文書には
「知事のおねだり体質は県庁内でも有名」
と記され、百条委が実施した職員アンケートでは、約2割が贈答品の受け取りを見聞きしたと回答。
この日の尋問では委員が贈答品を1つずつ挙げ、斎藤氏が受領の有無を答えていった。
斎藤氏が受領や提供を認めたのは、
▽播州織のネクタイ
▽スポーツチームのユニホーム
▽カキ
▽枝豆
▽ワイン
▽カニ
▽日本酒
▽岩津ネギ
▽タマネギ
▽バースデーケーキ
▽湯のみ
など。
斎藤氏はこれまで
「県産品のPRになる」
と受領の理由を説明しているが、SNSでPRしていないものもあり、証人尋問で委員は
「斎藤家の食卓を賑わしただけ」
と批判。
これに斎藤氏は
「こういったおいしいものが県内にあるんだと知ることも、大事な県知事としての仕事だ」
と反論した。
知事就任直後、秘書課に届く贈答品について
「どうなんだ」
と職員に尋ねたとも説明。
職員から
「前知事の頃からたくさん頂いている」
「届けた方のご厚意で、社交儀礼の範囲内だから食べていいですよ」
と説明を受けたと主張した。
別の委員は、前知事は贈答品を部下に分け、自身では持ち帰らなかったとする職員アンケートの回答を紹介。
1人で持ち帰ることが多いとされる斎藤氏を質した。
斎藤氏は、
「なぜ(秘書課など)特定の課の職員のみが頂けるのか」
という不公平感があるためと理由を述べた。
一方、斎藤氏は告発文書で受け取ったと指摘されたコーヒーメーカーについては返却を指示したとしている。
「なぜコーヒーメーカーだけは返却するのか」
との問いには、こう答えた。
「消費するようなものは社交儀礼の範囲で対応させていただくが、家電製品は少し違うかなというのが私の感覚ですね」

斎藤知事への辞職要求、他会派にも広がる 維新は近く判断
2024/9/7 21:23
https://www.sankei.com/article/20240907-R7HZLHPZY5KA5DZ626HP4IJVW4/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会第2会派の日本維新の会の県議団(21人)は7日、会派幹部が党幹部と斎藤氏の進退に関する対応を検討。
近く斎藤氏に辞職を申し入れるか決める見通しとなった。
最大会派の自民党(37人)は、12日に辞職を申し入れることを既に決定。
斎藤氏が応じなければ、各会派で失職に繋がる不信任決議案提出の動きが強まるとみられ、斎藤氏の対応が注目される。
単独での辞職申し入れを決めていた第4会派の
「ひょうご県民連合」(9人)
の幹部は7日、自民などと共同での申し入れとする意向を明らかにした。
第3会派の公明党(13人)も足並みを揃える方向で、近く会派として正式に決める。
5、6日の県議会調査特別委員会(百条委員会)では、告発文書を公益通報として扱わず告発者を処分した斎藤氏らの対応について審議。
公益通報制度に詳しい専門家2人が対応を違法と指摘したが、斎藤氏は
「対応に問題はない」
とする従来の主張を繰り返した。
これを受け、自民は6日、臨時の県議団総会を開いて対応を協議。
全議員に呼びかけ、9月議会(19日開会)の議会運営委員会が開かれる12日に、斎藤氏に辞職を申し入れることを決めた。
自民の北野実幹事長は
「知事の判断をしっかりと促したい」
と述べた。
議会が首長に進退の判断を迫る際には、まず辞職勧告決議案を提出し、議会で採決するケースもある。
ただ、法的拘束力はなく、辞職しないことも少なくない。
今回の申し入れにも強制力はなく、かねて続投に意欲を表明している斎藤氏は応じないとの見方も強い。
その場合、ひょうご県民連合は9月議会で不信任案を提出する方針。
一般質問終了後の30日か、補正予算案を採決する10月3日の提出を模索する。
自民も不信任案の提出を視野に入れており、他の会派も追随する可能性がある。

兵庫知事、部下から進言「受けた記憶ない」 証人尋問、正当性強調も証言食い違い
2024/9/7 6:30
https://www.sankei.com/article/20240907-SC4GXCVTQFOZBKFYHA2546RABA/
「誹謗中傷性の高い文書」
「公益通報に該当するとは思っていない」。
6日の兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)で、斎藤元彦知事が2度目の証人尋問に臨んだ。
「問題はない」
「ちゃんとやってきた」。
正当性を訴える言葉からは、県トップとしての自負心がのぞいた。
ただ、告発文書を公益通報として扱わず、告発者を処分した経緯では部下の証言と食い違う点も多く、不透明感が残った。
「こういうものを入手した」。
この日の片山安孝・元副知事や、これまでの県職員による尋問での証言などによると、一連の問題で斎藤氏が最初に動いたのは3月21日。
片山氏や側近幹部計4人を知事室に呼び、告発文書を示して作成者の特定などの調査を指示した。
この際、公益通報者保護法で禁じられる告発者捜しに当たるかどうかは
「協議はしていない」
と、斎藤氏は尋問で証言。
文書の内容を否定し、
「告発というよりも誹謗中傷性の高い文書だと思った」
とも述べた。
ところが、原田剛治・産業労働部長は3月21日の協議の場で、告発文書に示されたコーヒーメーカーを受領していたと明かしたことを証言。
この点は片山氏の証言とも一致した。
文書の信憑性に関わる部分だが、斎藤氏は否定した。
文書の作成者は県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=と特定され、3月25日に片山氏が事情聴取。
最終的には5月7日に停職3カ月の懲戒処分とした。
この間、人事課は第三者委員会での調査を進言したとされるが、斎藤氏は
「進言を受けた記憶はない」
と断言。
斎藤氏の指示で公益通報の調査結果前の処分に至ったとの証言についても
「記憶上、指示をしていない」
と否定した。
尋問では告発者捜しや処分の妥当性が度々問われたが、斎藤氏は
「(文書には)真実相当性がなく、公益通報の保護要件には該当しない」
と繰り返した。
根拠の1つに挙げたのが、噂話を集めて作成したという男性の供述だ。
斎藤氏はこれまで
「噂話−」
供述だけを公表。
男性の詳しい聴取内容は開示してこなかったが、この日は片山氏による聴取の様子が明かされた。
「名前が出てきたものは一斉に嫌疑をかけて調べなしゃあないからな」。
男性の協力者とみる職員の名を挙げ、人事で不利な扱いをすると示唆する片山氏。
男性が文書作成を認めると、
「誰に聞いたんや」
と問い詰めた。
「それは言えない」
「皆噂している」
と男性が答えると、
「噂をまとめただけやということやな」
と引き取った。
情報源を守りたい男性の意図が窺えるが、斎藤氏はこの日も
「噂話を集めたと本人が言っている」
と強調。
一連の対応に道義的責任を感じないか問われると、
「道義的責任というのが何かが分からない」
と答えた。
■公益通報制度「基本的な理解ない」
斎藤元彦知事の内部告発への対応やこの日の証人尋問を踏まえ、専門家らは公益通報制度に対する基本的な理解が欠けていると口を揃える。
公益通報者保護法のガイドライン策定にも携わった明治大の高巖(たかいわお)特任教授(企業倫理)は
「告発文書は間違いなく公益通報に当たる」
「利害関係のない機関が調査して真実相当性などを判断すべきで、当事者が口を挟むことが異常だ」
と指摘する。
疑惑を指摘された斎藤氏が文書を見て誹謗中傷性が高いと判断し、告発者を捜せという指示を出すなど
「一連の流れは論外」
と評価。
「こんなにも簡単に公益通報に当たらないという結論を出す県庁に、まともな公益通報の体制などなかったのではないか」
と話す。
制度に詳しい淑徳大の日野勝吾教授も、公益通報に当たるかどうかの根拠を真実相当性のみに拘っているとし、
「基本的な理解がないことが明らかになった」
と指摘する。
同制度では、事業者側に通報への体制整備義務の指針を規定。
外部通報であっても、不正目的の通報を除き、通報者の特定や不利益扱いを禁じている。
兵庫県の一連の対応は
「最初の段階から間違えている」
と断じ、
「知事が文書を入手した瞬間から誹謗中傷と思い込み、知事を守ろうと周囲も忖度して拙速に動いた結果ではないか」
と指摘した。
■狭い保護対象、法改正求める声も
公益通報者保護法は、通報者を不利益な扱いから守って不正の是正を促す一方、全ての通報が保護されるわけではない点が問題視されてきた。
保護法は国民の生命、身体、財産の保護に関わる違法行為などへの通報を保護対象と規定。
食品偽装などが内部告発で相次ぎ発覚したのを機に平成18年に施行された。
ただ、今回の告発文書で指摘された地方公務員法や公選法違反の部分は規定外で保護対象とならない。
また、通報先により保護要件も異なる。
報道機関などの外部通報では、証拠資料や信用性の高い証言など疑惑が真実と信じる根拠(真実相当性)が必要とされる。
制度に詳しい三浦直樹弁護士は
「兵庫県の問題は制度の至らぬところを浮き彫りにした」
「地方公務員法などが保護対象でないのは狭すぎる」
と指摘する。
斎藤氏はこれまでの記者会見で、文書で告発された疑惑について
「大半は保護法で定められた法律違反ではない」
と強調。
更に
「信用性の高い供述などが存在せず、真実相当性が認められない」
として保護対象外と主張する。
保護法には、通報者が主張の根拠を示す資料などを外部に持ち出した場合の免責事項もない。
資料を持ち出せば、情報漏洩や守秘義務違反で逆に処分されるリスクを負う。
また、通報者捜しや通報による不利益扱いを禁じる一方、事業者側には罰則もない。
三浦弁護士は
「正義感で通報しても、現状ではハイリスク・ノーリターンだ」
と指摘。
通報者の中には自分の事例が保護対象ではないと苦しむ人もおり、
「対象を限定せず、不利益な扱いを生まないよう罰則規定を強化するといった法改正が望まれる」
と強調した。

兵庫知事、不信任案可否が焦点に 衆院選迫り各会派難しい判断迫られる
2024/9/7 6:00
https://www.sankei.com/article/20240907-527ZK4OPGFOJJHHEUEGJTLNYPU/
6日の兵庫県議会調査特別委員会(百条委員会)で、斎藤元彦知事は文書による疑惑告発を公益通報と扱わなかった対応について
「適切だった」
とする従来の主張を繰り返した。
今後、県議会が斎藤氏への不信任案を可決するかが焦点となる。
百条委を通じて斎藤氏への批判は高まり、不信任への流れは強まるが、議会側には斎藤氏が議会解散を選択するとの見立ても根強い。
衆院選も迫り、各会派は難しい判断を迫られている。
百条委での疑惑追及が続く中、最初に不信任案提出を決めたのは、立憲民主党議員らでつくる第4会派のひょうご県民連合(9人)。
会派幹部は
「県政が完全に停滞している」
「正常化には真相解明に加えて知事の辞職しかない」
と語る。
県民連合が単独で不信任案を提出することは可能だが、可決へのハードルは高い。
兵庫県議会(定数86)の場合、全員が出席すると65人の賛成が必要で、他会派との連携が不可欠となる。
まず、カギを握るのが最大会派の自民(37人)だ。
3年前の知事選では斎藤氏を推薦したが、今回の問題では県連会長の末松信介参院議員が事実上の辞職勧告を突きつけるなど、厳しい態度を見せている。
ある自民県議は
「百条委などの調査を待つべきだとの意見もあるが、(斎藤氏は)もう持たないのでは」
と話す。
第2会派の維新(21人)も知事選で斎藤氏を推薦した。
今回の問題では当初、百条委の設置に反対するなど斎藤氏寄りだったが、風向きは変わっている。
8月25日の大阪府箕面市長選で大阪維新の会公認の現職が敗北し、党内にショックが走った。
ある維新県議は地元で
「あの人(斎藤氏)をまだ応援しているのか」
と苦言を呈された。
早ければ今秋にも衆院解散・総選挙が想定される。
維新は兵庫で公明現職の選挙区にも候補を擁立する方針だが、激しい選挙戦が予想される。
党勢衰退は許されず、県議は
「もう(斎藤氏に)辞めてもらうしかない」
と吐露する。
第3会派の公明(13人)も難しい事情を抱える。
斎藤氏は今月4日の記者会見で、不信任を受けた場合の県議会解散を否定しなかった。
解散すれば県議選となるが、支持母体を挙げて選挙戦を展開する公明にとって、衆院選と時期が近接するのは避けたい。
会派幹部は
「他会派の動向を踏まえて判断したい」
「覚悟を決める時は決める」
と話した。

斎藤知事、告発者特定を幹部に「指示した」 自民会派、12日に辞職申し入れへ
2024/9/6 21:11
https://www.sankei.com/article/20240906-FHAFQ3CE6NKXZB35TWIDYC3OGE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏は証人尋問で、文書作成者の特定を幹部に直接指示したと認めた。
元副知事の片山安孝氏の初の尋問も行われ、斎藤氏から
「徹底的に調べてくれ」
と直接命じられたと証言した。
この日の尋問内容を受け、県議会の各会派は、斎藤氏への不信任決議案を巡る対応について協議する。
片山氏の証言などによると、斎藤氏は県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=が作成した文書を把握した翌日の3月21日、片山氏や側近の幹部を集め対応を協議。
その場で斎藤氏は
「誰がどういう目的で出したのか、徹底的に調べてくれ」
と命じたという。
斎藤氏は尋問で
「誹謗中傷性が高く、噂話を集め作成した文書」
とし
「公益通報に該当するとは今も思っていない」
と証言。
公益通報者保護法で禁じる告発者捜しに当たるとの指摘には
「内容の意図を含め、作成した人を聴取することは問題ない」
と正当性を主張した。
告発者の処分は公益通報の調査を待つべきだと人事当局が進言したとの職員の証言には
「記憶にない」
と強調。
結果を待たず処分できないか打診したとの証言にも
「処分しろと言ってない」
と否定した。
参考人として出頭した公益通報制度に詳しい山口利昭弁護士は、告発者を処分した県の対応を
「法令違反」
とし、処分が無効になる可能性に言及。
一方、斎藤氏は違法の認識は
「(今も)ありません」
と述べた。
斎藤氏への不信任案を検討している県議会最大会派の自民は、6日の百条委終了後に対応を協議。
12日に県議会の全議員に呼びかけ、斎藤氏に辞職を申し入れることを決めた。
会派幹部は
「受け入れられなければ不信任もあり得る」
と語った。

知事室に届いた食べ物の独占「ルール化した」と斎藤兵庫知事 「職員に分けると不公平」
2024/9/6 18:46
https://www.sankei.com/article/20240906-X5OQFSVOANJ7REWDI5E3AIVCXA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への2度目の証人尋問が行われた。
秘書室に届いた食べ物などを自宅に持ち帰り独占≠オていた理由について、斎藤氏は
「知事に食べてほしいと頂いたものなので、自分が食べる判断をした」
と説明。
職員と分け合わなかった理由については
「秘書課職員だけが差し入れられたものを頂くのはどうか」
とした。
委員は斎藤氏の質問で、前知事の井戸俊三氏が秘書室に届いた食べ物を
「食べや、と言って必ず皆の所に置いていた」
とする職員アンケートの記述を紹介。
斎藤氏が井戸県政の刷新を掲げていたことに触れ、差別化を図るなら
「受け取るべきではなかったのでは」
と質した。
斎藤氏は職員と分け合った場合、
「なぜ(秘書課など)特定の課の職員のみ食べられるのかという問題がある」
と不公平感について言及。
知事就任後、秘書課職員から
「届けた方の厚意で、社交辞令の範囲内だから食べていい」
と言われたといい、自身が全て消費する方針を秘書課に伝え
「ルールというか、明確化した」
と述べた。

告発者特定し処分は「ありえない話で法令違反」公益通報に詳しい弁護士、百条委で指摘
2024/9/6 18:29
https://www.sankei.com/article/20240906-4IBKDPDBYFOKBKYFGCKTMPPH6Y/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、公益通報に詳しい山口利昭弁護士(大阪弁護士会)を参考人として招いた。
文書の存在を把握した直後に告発者を特定し、公益通報の調査を待たずに告発者の元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=を停職3カ月の懲戒処分とした県当局の対応について、
「あり得ない話で法令違反」
と指弾した。
山口氏は、公益通報に当たらないとされるケースとして名誉棄損などの
「不正な目的」
がある場合があると説明した。
山口氏に先立って証言した元副知事の片山安孝氏は、メールの送受信記録の中に
「クーデター」
「革命」
といった文言が含まれていたことを理由に
「不正目的な行為であり(公益通報の)対象にならないと思っていた」
と説明。
一方、山口氏は
「事業者(県)側に立証責任があり、相当厳格な調査をしなければ『不正の目的』は認められない」
と強調し、告発者の男性による文書の配布は
「公益通報者保護法上の外部公益通報にあたる」
との認識を示した。
男性が5月に受けた停職3カ月の懲戒処分についても、
「無効となる可能性が高い」
とした。
山口氏は、消費者庁の公益通報者保護制度検討会の委員を務めており、公益通報に関連する著書もある。
一連の県の対応を踏まえ、同法の法定指針で義務付けられている公益通報への対応体制の整備ができていなかったとして、
「まだ兵庫県では違法状態が続いているという理解だ」
と批判した。

知事の不信任案可決、過去には「脱ダム」田中氏ら4例のみ 議会側の最終手段も高いハードル
2024/9/6 17:16
https://www.sankei.com/article/20240906-ZWZXSMLYMFMBNGBEFGTYU6DAHY/
住民に直接選ばれた首長と議会が相互に協力、監視、牽制する形の二元代表制を採る日本の地方自治で、首長の失職につながる不信任決議は議会側の最終手段だ。
それだけに可決へのハードルは高く、都道府県知事に対する不信任案が可決された例は4件しかない。
不信任決議は地方自治法で規定。可決には議員数の3分の2以上が出席し、その4分の3以上の賛成が必要となる。
不信任を受けた首長は辞職するか、10日以内に議会を解散することができ、解散しなければ失職する。
議会解散の場合は議員選挙を実施。選挙後初の議会で再び不信任案が提出されると、今度は出席議員の過半数の賛成で成立し、首長は失職する。
都道府県議会で実際に可決されたのは岐阜(昭和51年)、長野(平成14年)、徳島(15年)、宮崎(18年)の4回。
いずれも知事が辞職か失職を選び、議会が解散されたことはない。
長野県では、
「脱ダム宣言」
などで対立した田中康夫知事(当時)に県議会が不信任案を可決。
田中氏は失職を選んで知事選に再出馬し当選した。
ただ、不信任を受けた後も知事を続けられたのは田中氏のみ。
宮崎県では、官製談合事件の責任を問われた安藤忠恕知事(同)が辞職し、知事選で東国原英夫氏が初当選を果たした。
不信任案可決が確定的になった段階で自ら辞職するケースも。
東京都では28年、舛添要一知事(同)に対する不信任案を最大会派の自民などが提出。
可決される見通しだったが、舛添氏は採決直前に辞職した。
一方、世論の批判に晒された首長でも、一定数の議員が擁護に回って否決されることもある。
2023年7月、静岡県の川勝平太知事(同)が返納を表明した給与やボーナスを返していなかった問題で、県議会で知事に近いとされる会派が不信任案の採決で反対に回り、1票差で否決された。
青森県では平成15年、週刊誌などでセクハラ疑惑が報じられた木村守男知事(同)に不信任案が出された。
既に可決されていた辞職勧告決議案に賛成していた議員数人が不信任案では反対に回り、2票足りずに否決された。
■中央大名誉教授・佐々木信夫氏(行政学) 「政策対立のケースとは質が違う」
地方自治体は二元代表制を採用している。
首長は議会から指名されるわけではなく直接公選で選ばれ、議会は民意の代表機関として首長と競い合う関係にある。
大勢の職員を従える首長に対し、議会は監視や批判、修正といった機能を果たすことを期待されている。
不信任決議によって知事の失職か議会の解散となれば、選挙で再び民意を問うことになる。
不信任は、二元代表制における首長と議会の対立を住民の判断に委ねる制度といえる。
不信任が焦点となっている今回の兵庫県の場合は、知事の振る舞いや資質が問題視されており、政策的な問題で議会と知事が対立したケースとは質が異なる。
百条委で斎藤氏は自分に非はないと主張しており、すぐに辞職するとは考えにくい。
不信任を受けても議会が間違っているとして解散する可能性もあるが、全国レベルで報道が続いたこともあり、知事のイメージは著しく低下している。
不信任を受け入れ、自ら身を引くことを選択した方が県政刷新に貢献すると思われる。

「アイアンは1本もない」「カニはいただいた」贈答品疑惑に斎藤知事、企業との癒着は「ない」と否定
2024/9/6 17:15
https://www.sankei.com/article/20240906-O6BOQ33CCFNK5IQ5Y4F2GNPIJM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏に対する2度目の証人尋問が行われた。
告発文書に記載された贈答品疑惑について、実際にどんな贈答品があったのかの事実確認の後、委員から特定企業との癒着があったのかを問われた斎藤氏は
「癒着はない」
と否定した。
そしてゴルフクラブのアイアンを受け取った疑惑については
「一本ももらってない」
と強調したものの、出張先での視察の帰りに渡されたカニについては
「生もので、持ち帰っていただいた」
と述べた。
委員は
「知事の自宅には贈答品が山のように積まれているというのは事実か」
と質問。
斎藤氏は
「そういったことはない」
と否定した。
また、スポーツウエアメーカーとの癒着についても
「(癒着は)ない」
とし、
「スポーツ振興のため(の付き合いだった)」
と説明した。

告発者の処分は「手続きに問題ない」と斎藤知事、文書に「真実相当性はない」とも
2024/9/6 16:01
https://www.sankei.com/article/20240906-NPSOPE4BYRNW3EM33AAIGV5J3U/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への証人尋問が行われた。
斎藤氏は文書を作成した元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=を懲戒処分した県の手続きについて
「問題ない」
との認識を示した。
斎藤氏の証人尋問に先立って参考人として出頭した公益通報制度に詳しい専門家は、
「議員やマスコミに文書が送付された時点で、公益通報として扱わなければいけない」
と発言。
百条委の奥谷謙一委員長はこうした意見があったことを説明し、
「告発者を保護できていないということは、完全に県の手続きとして瑕疵がある、違法であると思うが、その認識はあるか」
と質問した。
これに対し斎藤氏は
「法的に問題はない」
「手続きとして問題はない」
と述べた。
続いて別の委員が
「公益通報保護法では扱わないといけない」
と指摘したものの、斎藤氏は
「真実相当性がないので公益通報の保護要件に該当しない」
と改めて強調した。

「道義的責任ない」「法的にも適切」と斎藤兵庫知事 告発文書問題で県政混乱との指摘に
2024/9/6 16:10
https://www.sankei.com/article/20240906-6V6DXYAQPRNOBDGBVDCKAUDLLE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への2度目の証人尋問が行われた。
委員から、元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=の告発文書を巡る一連の対応への道義的責任を問われた斎藤氏は
「ちゃんとやってきた」
と述べ、責任はないとの認識を示した。
委員は、これまでの証人尋問によって告発文書に一部事実が含まれていることが判明したとし、告発文書への対応によって県政に混乱を招いた点について
「道義的責任を感じないか」
と質問。
これに対し斎藤氏は
「1つ1つ対応を積み重ねている」
「法的にも適切にやっている」
「道義的責任を指摘されるが、私としてはちゃんとやってきた」
と強調した。

告発文書調査は「第三者委で」との提案は「なかった」と斎藤知事 元副知事と証言食い違い
2024/9/6 15:48
https://www.sankei.com/article/20240906-VEY5YDGPARIFVMOLEZLFG5Z6XI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題について調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれ、斎藤氏本人への証人尋問が行われた。
斎藤氏は3月、元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が作成した告発文書の存在を知った後、県幹部に文書作成者の特定や動機などの調査を指示。
委員は、こうした調査を第三者委員会を設置して行うべきだと人事課や幹部らから提案を受けたのではないかと斎藤氏に尋ねたが、斎藤氏は
「進言された記憶はない」
と強調した。
斎藤氏に先立つこの日午前の証人尋問で、片山安孝元副知事は、3月に人事課などが第三者委による調査を斎藤氏に提案したと証言。
片山氏は、斎藤氏から
「(調査に)時間がかかる」
ことを理由に退けられたと述べており、斎藤氏と最側近との間で証言が食い違った。

告発文書作成者探し「誹謗中傷性が高く問題ない」と斎藤知事、2度目の百条委尋問始まる
2024/9/6 15:39
https://www.sankei.com/article/20240906-P34Y7U2BFJMCTIHOFHMRDZUQSM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)で6日午後、8月30日に続く斎藤氏に対する2度目の証人尋問が始まった。
告発文書を作成した元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=に対する処分が、公益通報者保護法に違反するとの指摘が専門家らから出ており、処分の経緯などについて委員が質問した。
同法では、告発者探しや通報による不利益扱いが禁じられている。
県幹部らは、斎藤氏が文書の存在を把握した後、作成者として疑われた元県民局長に対する事情聴取を3月25日に実施。
この対応の是非について斎藤氏は
「告発というより誹謗中傷性の高い文書と思っていたので、作成した人への聴取は問題ない」
との認識を示した。

辞職進言を斎藤知事拒絶「法的におかしくない」「辞める選択肢ない」 百条委で元副知事
2024/9/6 12:46
https://www.sankei.com/article/20240906-K2ACHTA7N5IXVK7VMDYZ3UZTMQ/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
4月に元西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が公益通報窓口に告発文書を提出した後、斎藤氏に辞職を促したものの
「この件について自分は何ら法的におかしいことはしていない」
「そのことをきっちり主張していく」
として拒否されたことを明かした。
片山氏は7月の記者会見で
「知事の代わりに辞めるのではなく、副知事としての責任を取る」
と述べ、副知事を辞職。
この際、斎藤氏に対して計5回に渡り辞職を進言したが、受け入れられなかったと明かしていた。
片山氏はこの日の証人尋問で、計5回のうち3回の場では
「政治的に非常に大きな動きになっている」
「知事をお辞めになり、選挙に出て県民の信を問うべきだ」
と進言したと述べた。
元局長が死亡した後には
「誰かが責任を取らなければならない」
とも伝えたが、斎藤氏は
「辞めるという選択肢ない」
などと応じ、辞職を否定し続けたという。

告発者守るとの認識「ありませんでした」片山元副知事 百条委で証言
2024/9/6 11:53
https://www.sankei.com/article/20240906-ZYEEQJ2OUZKPRGWCNCSTEXPUYE/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が公益通報の保護対象であるという認識について問われた片山氏は、
「文書の作成意図が不正な目的に基づくものと思っていた」
ことを理由に
「(当時は認識が)ありませんでした」
と証言した。
また、告発文書の内容を、第三者機関で調査するという案を示したものの
「(調査に)時間がかかる」
ことを理由に斎藤氏に退けられていたとも明かした。

生前の元局長を厳しく追及、片山副知事「反省している」 百条委で証言
2024/9/6 11:35
https://www.sankei.com/article/20240906-3PLBFHB2FFO2RLKRIF6TWMCIPM/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
片山氏は告発文書について調査を進めていた3月25日に、元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=を事情聴取し、厳しく追及したことを認めた。
百条委の奥谷謙一委員長はこの日、事情聴取の内容を記録した音声データの反訳文を読み上げ、片山氏に発言内容について確認を求めた。
片山氏は、
「俺としては、(告発文書に)名前が出てきたものは一斉に嫌疑をかけて調べなしゃーない」
「名前が出てきたものはみな在職しとるということを忘れん取ってくれよな」
と詰問したことを認めつつ、
「斎藤政権に大きなダメージを与える」
「転覆させるような計画があり、不正な目的だと思った」
などと詰問の理由を述べた。
そして
「発言に厳しいところがあったことは反省している」
と語った。
片山氏は、告発文書で
「斎藤氏の政治資金パーティー券を商工会議所などに大量購入させた」
など3項目の疑惑を指摘されていた。
県産業労働部長の原田剛治氏のこれまでの証言によると、斎藤知事ら県幹部が出席し、告発者探しをすると決めた3月21日の幹部会議の場に同席していたとされる。
片山氏は県議会で百条委を設置する動きが出た際、設置しないよう自民議員らに打診。
「自分が責任を取って辞職する」
「百条委員会はやめてください」
などと持ちかけていたことが判明している。
7月に副知事の辞職を表明した際には、報道陣の前で
「知事を支えられなかった」
と号泣。
「知事の代わりに辞めるのではなく、副知事としての責任を取る」
とし、斎藤氏に対しては5回に渡って辞職するよう進言したが、拒否されたことを明らかにしていた。

告発文書を「徹底的に調べろ」と知事が指示 片山元副知事が百条委で証言
2024/9/6 10:59
https://www.sankei.com/article/20240906-73HKQ6MYUJIMLEB4AEKWHIKDQI/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委員会)は6日、斎藤氏の最側近だった片山安孝元副知事に初めて証人尋問した。
片山氏は3月21日に斎藤氏に呼び出され、元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が作成した告発文書を示し、
「徹底的に調べろ」
と知事から直接命じられたと証言した。

兵庫知事、処分先行証言に「まさにそこは自分の考え述べる」 告発文書問題
2024/9/6 10:55
https://www.sankei.com/article/20240906-H7XLRTB44FMZLCN7K3MRYILC5U/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、斎藤氏が6日午前、報道陣の取材に応じた。
疑惑を検証する県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問で告発者による公益通報の調査よりも処分を先行したとの証言が出たことについて、斎藤氏は
「そこはまさに百条委の場で自分の考えを述べさせて頂きたい」
と話した。
同日午前に元副知事の片山安孝氏、午後に斎藤氏の尋問を予定しており、斎藤氏は
「公益通報に関することを含めて自分の認識、考えをしっかり述べさせて頂く」
とも話した。

告発文書のプライバシー情報「副知事から聞いた」県部長、前日証言を翻す 百条委で
2024/9/6 10:47
https://www.sankei.com/article/20240906-ZIIBIQCNBZNGZMSYQBX26OMQWA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が6日始まった。
5日に続き県産業労働部長の原田剛治氏が証人尋問に臨み、告発者のパソコンにあったプライバシーに関する情報について、人事課から聞いたとしていた5日の証言を訂正。
「(当時の)片山副知事から連絡を受けた」
と述べた。
5日の証言内容に誤りがあったとして、原田氏本人から訂正の申し出があった。
原田氏は、5日の尋問で告発者のプライバシーに関する情報に触れたことを認めた上で、情報を聞いた経緯を問う委員に対し
「あやふやですが、人事課長、副課長ぐらいだったと記憶している」
と回答していた。
告発文書は元西播磨県民局長の男性(60)=死亡=が作成し、3月に一部の報道機関や県議らに配布。
斎藤氏のパワハラや、企業から贈答品を受領した
「おねだり」
など7項目の疑惑が示されていた。
男性は告発文書を県の公益通報窓口にも届けたが、県は通報者への不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法の対象にならないと判断。
内部調査を進めた上で誹謗中傷と認定し、5月に停職3カ月とした。
これに対し調査の中立性を疑う声が噴出し、県議会が6月、百条委を設置。男性は7月に証言予定だったが、同月7日に死亡した。

「まるで独裁者が粛清する構図」「公開ハラスメント」「組織の他山の石に」斎藤兵庫県知事の告発者処分 専門家が厳しい指摘
2024/9/6 10:02
https://www.sankei.com/article/20240906-HO3JUC3YPJMZNHUJGDULOZA3JQ/
兵庫県の元西播磨県民局長(7月に死亡)が斎藤元彦知事らを告発した文書の内容を検証する県議会特別調査委員会(百条委員会)が5日開かれた。
告発者の県民局長を公益通報の保護対象とせずに懲戒処分した妥当性を調査するために時間が割かれ、公益通報制度に詳しい上智大学の奥山俊宏教授が参考人として意見を述べた。
主な内容は次の通り。
■攻撃の典型パターン
西播磨県民局長が解任されたことが新聞で報じられた3月28日から私はひとかたならぬ関心をこの件に抱き、事態の推移を注視してきました。
内部告発された側が、告発者に対して示す反応には1つの典型的なパターンがあります。
告発者、中でも、本質的で重要な不正について告発をした人は、大抵、ある事、ない事織り交ぜて誇張され、人格攻撃に晒される。
これは日本に限った話ではなく、古今東西に見られる共通の現象です。
内部告発が別の新たな内部告発を呼び起こすことが往々にしてあるが、そういうことがないように、告発者に悲惨な末路を押しつけ、見せしめにするのです。
8月30日のこの場での証人尋問で、斎藤知事は、その文書を作成したのが西播磨県民局長だと知った時には
「本当に悔しい辛い思いがあった」
と明かしています。
3月27日の記者会見で西播磨県民局長に浴びせた
「公務員失格」
との言葉について先週の証人尋問で斎藤知事は、
「その悲しい辛い思いから、やはりああいった表現ということをさせて頂いた」
とも認めています。
これらの知事の説明は、個人的な感情に突き動かされた末に、3月27日の記者会見での、あのような言動に及んだことを認めるも同然だと私には思えます。
しかし、そういう感情に駆られて、県の行政府のトップである権力者が公の場で部下のいち個人に対していわば
「公開ハラスメントに及ぶ」、
ということは許されません。
さらに証人尋問で、斎藤知事は
「誹謗中傷性の高い文書だという風に私、県としては認識しました」
という風に述べました。
「私として認識」
と言いかけて、
「県として認識」
と言い換えています。
しかしながら、この場合、
「私」
である斎藤元彦さん個人と、行政機関としての
「県」
を同視することはできません。
行政機関としての県ならば、悔しかったり悲しかったり辛かったりすることはなく、そういう感情を抜きにして、バイアスなく冷静にあの文書を見定めなければなりません。
兵庫県が誹謗中傷性が高い文書と認識してしまいそこから全てをスタートさせてしまった理由は、そのまさに
「認識」
の担い手が、文書の内容と無関係の第三者ではなく、斎藤知事や副知事、総務部長ら、あの文書で告発の矛先を向けられている当人たちだったからです。
本来ならば、そういう人たちは、あの告発文書に関する県行政としての判断への関与から自ら忌避、身を引くべきだったと私は思います。
なのに、真逆の行動を選んだ。
だから、冷静な対応ができなかった。
まるで独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図を描いてしまった、そう思われます。
■不利益扱いで違法
私の、見ます所、今回の告発文書には様々な内容が含まれています。
その真実性や真実相当性の程度は様々だと思われます。
噂話程度の内容も含まれているのかもしれませんが、直接それを見聞きした人から聞き取って裏付けられていると思われる内容もあります。
外形的な事実関係が大筋で概ね正しいと言える内容が多々含まれています。
意図的なウソ、虚偽は見当たらないように思われます。
軽々に全体的な印象、一部を切り取って
「真実相当性なし」
「公益通報に該当せず」
と判断するのではなく、丁寧な判断が必要だった。
あの段階、5月初旬、あの程度の状況で
「公益通報に当たらない」、
と判断したのは拙速に過ぎたという風に、私にはそう思われます。
結果的に、告発文書には、法的に保護されるべき
「公益通報」
が含まれていることが今や明らかになっていると思われますので、知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反し、告発者への不利益扱いは禁止されます。
パソコンの押収、圧迫的な事情聴取、県民局長の解職、退職の保留、懲戒処分は全て、公益通報者保護法に違反する不利益扱いで、違法ということになります。
■組織の「他山の石」に
この問題を巡って、今、世の中で多くの人が怒り、それはまるで沸騰しているようです。
声を上げた男性職員の、大変に不幸な結末が、他の職員を萎縮させるのではないか、兵庫県庁だけでなく、日本中のあちこちの職場で働く多くの人たちをして、内部告発の声を上げづらくさせるのではないか、と心配する声があります。
その結果、不正が放置されてしまいがちになってしまう恐れがあります。
その時立ち上がったのが、兵庫県議会であり、この特別委員会(百条委員会)であると思います。
この特別委員会が真摯に対応しておられること、そのプロセスが模範となって、今後の日本社会で正当な内部告発が真剣に取り扱われることが当たり前となることを私は強く願っています。
斎藤知事は公益通報に関する基本的な知識の欠如と思い込みで、前時代的な対応を取ってしまったが、斎藤知事に限らず全ての組織の上に立つ人間にとって他山の石にすべきだと思います。

「処分は適切だった」と繰り返す斎藤知事、県議会百条委にきょう午後出頭へ 何を語るのか
2024/9/6 9:00
https://www.sankei.com/article/20240906-A7VV23CXMROK7KWY7OIBLZH36E/
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が6日開かれる。
5日に続き、告発者を公益通報として扱わなかった県の対応などが審議対象となり、斎藤氏や、元副知事の片山安孝氏の証人尋問が行われる。
5日の証人尋問では、公益通報制度の専門家が告発者処分を巡る斎藤氏らの対応について、公益通報者保護法に違反していると指摘。
文書に名前が挙がった側近幹部からは、斎藤氏が告発者の特定などを指示したとの証言もあった。
斎藤氏は処分は適切だったと繰り返し主張しており、証人尋問でどう説明するのか注目される。
告発文書は3月中旬、元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が作成し、一部の報道機関や県議らに配布した。
同20日には斎藤氏が文書の存在を把握し、その後、男性を告発者と特定。
27日には県民局長の職を解いた上で、会見で法的措置も示唆して
「噓八百」
「公務員として失格」
などと男性を一方的に非難した。
県は5月7日に男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
5日の証人尋問で証言した産業労働部長の原田剛治氏によると、斎藤氏は文書を把握した翌日の21日、知事室に、いずれも文書に記載のあった片山氏や、前理事の小橋浩一氏、前総務部長の井ノ本知明氏、原田氏を集めて、文書への対応を協議した。
原田氏はこの場で
「皆で(文書の作成者は)元局長じゃないかと話した」
と説明。
知事の指示で職員のメールなどを調べることになったと証言した。

訴えられてる本人が訴えの正当性を判断すること自体が不当だ。

急いだ処分、守らなかった通報者 百条委で見えた告発者処分強行の構図 知事は何を語るか
2024/9/6 7:00
https://www.sankei.com/article/20240906-VEUKH3L2YNLZRPAGSSK53TAZDE/
告発者の処分は正しかったのか−。
兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)で5日、元県西播磨県民局長の男性(60)を公益通報の保護対象とせず、処分した斎藤元彦知事らの対応が審議された。
「処分は適切だった」
と主張する斎藤氏。
だが、この日の百条委では、専門家が
「公益通報者保護法に違反している」
と指摘し、斎藤氏の主張を揺るがしかねない証言も出た。
6日には斎藤氏の他、片山安孝・元副知事の尋問が予定されており、何を語るのか注目される。
この日午前に始まった百条委。
初めに、公益通報制度に詳しい上智大の奥山俊宏教授が参考人として出頭し、男性を処分した斎藤氏らの対応について見解を述べた。
男性が匿名で告発文書を作成、配布したのは3月中旬。
斎藤氏は男性を告発者と特定し、同27日に県民局長を解任して内部調査を始めた。
男性は4月4日、県の公益通報窓口に文書とほぼ同じ内容を通報。
しかし、県は5月7日に
「文書の核心的な部分が事実ではない」
として停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は7月に死亡、自殺とみられる。
同法では通報者の保護が定められているが、斎藤氏は、男性が告発文書を
「噂話を集めて作成した」
と話したと説明。
告発文書には
「信ずるに足る相当な理由(真実相当性)がなく、公益通報には当たらない」
との主張を繰り返している。
だがこの日、奥山氏は告発文書には大筋で正しい内容も多々あり、公益通報が含まれていることは明らかだと評価。
その上で、男性を早期に処分した斎藤氏らの対応について、
「軽々に公益通報に該当しないと判断せず、公益通報に関する調査が終わるのを待つべきだった」
と指摘した。
また3月27日の記者会見で、斎藤氏が
「公務員失格」
などと男性を非難したことに触れ
「県の行政府のトップである権力者が、公の場で部下の一個人に対して、いわば公開パワーハラスメントに及ぶことは許されない」
と言及。
斎藤氏の主張を真っ向から否定した。
□□□ □□□
午後に証人として出頭したのは、県の内部調査に協力した藤原正広弁護士。
藤原氏は県の人事課から
「内部通報に関わらず、処分できるか」
と相談を受けた際、文書に真実相当性がなく
「処分は可能」
と回答したと証言した。
藤原氏のこうした回答や協力は、斎藤氏が内部調査について
「第三者性が保たれており、客観性がある」
と主張する根拠となっている。
藤原氏は尋問で
「(処分後に)裁判にも耐えられるだけの調査が行われたという意味で(調査には)客観性がある」
と強調した。
ただ一方で、自身が県から依頼された立場であることなどから、広く県民から納得されるという意味において
「客観性はない」
と認めた。
処分を巡っては、斎藤氏が
「噂話を集めて作成した」
との文言だけを男性の供述内容として公表していることに、
「恣意的だ」
などと批判が集まっている。
斎藤氏はこれまで、処分に至る詳しい経緯の開示を拒否。
百条委で求められれば証言するとしている。
6日の証人尋問の結果次第では、県議会が不信任決議に向かう可能性もあり、斎藤氏がどのように正当性を示せるのかが焦点となりそうだ。

兵庫県人事課「第三者機関設置しては」と上層部に進言するも内部調査だけで告発者を処分
2024/9/5 22:10
https://www.sankei.com/article/20240905-QNLMB6DERJPSHN2WXM3FZGJ5CI/
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑が文書で告発された問題で、斎藤氏が文書の存在を把握した直後の3月下旬、県人事課が第三者機関の設置を斎藤氏に提案していたことが5日、関係者などへの取材で分かった。
同日の県議会調査特別委員会(百条委員会)の非公開の証人尋問で、県の幹部が証言した。
この時は設置されず、斎藤氏は人事課による内部調査で告発者を処分。
その後、調査の中立性を疑問視する県議会の要請を受け、第三者機関の設置を決めた。
斎藤氏が文書の存在を把握したのは3月20日。
百条委終了後に報道陣の取材に応じた奥谷謙一委員長などによると、同23日に人事課の幹部と知事との協議の場で、調査の必要性が話題となり、24日頃、人事課が弁護士などを入れた第三者機関の設置案を当時総務部長だった小橋浩一・前理事に提出したという。
非公開の尋問では、この案について、県の特別弁護士の藤原正広氏に問い合わせたところ、
「経費もかかる」
といった意見が伝えられたとの証言もあった。
結果的にこのタイミングでの設置は見送られ、県は同27日に告発者の男性を解任し、懲戒処分に向けた内部調査を始めた。
設置されなかった理由は不明という。

視察中、斎藤知事が「コーヒー好き」と発言、「コーヒーメーカー贈る」と提案あったが断る
2024/9/5 17:46
https://www.sankei.com/article/20240905-M6AQO6ICVFJIZL4P7BXTOWAAUY/
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑が文書で告発された問題を巡る5日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、県産業労働部長の原田剛治氏が、県内企業から高級コーヒーメーカーを受領した経緯について証言した。
斎藤氏は企業を視察した際、
「僕もコーヒー好きなんですよ」
と発言。
企業側からコーヒーメーカーを贈ると提案があったが、その場には報道陣らが大勢いたため、
「『受け取るのは適切じゃないよね』とお断りになった」
などと明かした。
原田氏は、文書にも名前が記載されている知事の側近の1人。
証言などによると、2023年8月、斎藤氏と共に家電や調理器具を製造している県内企業を視察した。
その際、高級コーヒーメーカーなどの商品が陳列された場所で、斎藤氏が担当者に
「僕もコーヒー好きなんです」
と発言。
すると、担当者から
「ぜひ使ってください」
と提案があったが、斎藤氏はその場で断ったという。
原田氏は、
「(報道陣ら)人が多くいたので『個人として受け取るのは適切じゃないよね』という話になり、お断りになった」
と証言した。
原田氏はその後、企業の担当者から
「PRになる」
との申し出を受け、自身が商品を発送してもらい、県庁内に保管。
告発文書が出回った後の2024年4月、未開封のまま同社に返却したとした。

告発文書は誰が書いたか、知事から作成者特定の指示 協議同席の兵庫県部長が証人出頭 
2024/9/5 16:25
https://www.sankei.com/article/20240905-UCKJZUGCVFL7RLBWPUZQMKSUNA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡る5日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、県産業労働部長の原田剛治氏が証人として出頭した。
原田氏は文書の存在を把握した知事が、県幹部らと対応を協議した場に同席。
知事から作成者の特定などの指示があったと証言した。
原田氏は、文書にも名前が記載されている知事の側近の1人。
証言などによると、斎藤氏は、県西播磨県民局長だった男性(60)が文書を作成、配布した後の3月20日に文書の存在を把握。
翌21日夕に、文書に名前が挙がった元副知事の片山安孝氏、前理事の小橋浩一氏、前総務部長の井ノ本知明氏、原田氏の5人が知事室で文書について協議したという。
原田氏はその際、
「皆で元局長じゃないかと話したことを覚えている」
「我々の名前や人事の話もあって総合的に元局長ではないかと推測した」
と言及。
「文書の内容がほんまかなというのを抑えていこうという話になった」
「その時は(職員の)メールを調べることになった」
と述べ、誰からの指示かとの問いには
「知事からの」
などと証言した。

百条委、兵庫県の内部調査に協力した弁護士 県民に納得される「客観性はない」と認める
2024/9/5 15:56
https://www.sankei.com/article/20240905-U2QGMIH6ZJJVHKCFN5DN233ARM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、5日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)で、告発者の処分に向けた県の内部調査に協力した弁護士が証人として出頭した。
弁護士は
「(告発文書は)不利益取り扱いが禁止される外部通報ではない」
とし、処分は正当だったとの見解を示した。
一方で内部調査については、自身が県から依頼されている立場であることなどから、広く県民から納得されるような
「客観性はない」
と認めた。
証言したのは、県からの法律相談に乗る特別弁護士を務めている藤原正広氏(兵庫県弁護士会)。
百条委での証言などによると、県人事課が4月1日から、藤原氏に処分についての助言を求めるようになった。
告発文書を作成した県西播磨県民局長だった男性(60)は、同月4日に県の公益通報窓口に告発文書と同様の内容を通報。
その後、人事課から
「内部通報に関わらず、処分できるか」
と相談があり、藤原氏は、文書に真実だと信じる相当な理由がなく、告発者の利益を守る対象ではないため、
「処分は可能」
という趣旨の回答をしたという。
真実相当性がないと判断したのは、
「(告発文書が)居酒屋などで聞いた単なる噂話で作成された」
ためだと説明。
告発内容が噂話を基にしているかどうかは、人事課から提示された資料を基に判断したとし、文書の記載内容の真偽について自ら調査したことはないとした。
斎藤氏はこれまで、内部調査について、藤原氏に相談していることを根拠に
「第三者性が保たれており、客観性がある」
と主張。
男性の処分は問題ないとの認識を示している。
藤原氏は尋問で、調査について
「(処分後に)裁判にも耐えられるだけの調査が行われたという意味で客観性がある」
と強調した。
一方で委員から、弁護士は依頼者である県の利益を最優先するため、
「広く県民が納得するような客観性はないのではないか」
と指摘されると、
「客観性の意味の捉え方次第で、そういう意味で考えるのであれば客観性はないということになる」
と述べた。

「コメント難しい」と兵庫知事 専門家の「公益通報保護法に違反する」批判に
2024/9/5 11:59
https://www.sankei.com/article/20240905-46SBGL3HWFMXZGHHR3E3TGT7II/
兵庫県の斎藤元彦知事は5日午前、報道陣の取材に応じた。
斎藤氏は、男性の処分を巡る一連の対応について百条委で専門家から公益通報者保護法違反と指摘された点について
「内容を承知していないのでコメントは難しい」
とし、
「今回の処分は裁判になっても対応できるようにやってきたので、私としては問題ないと思っていた」
と述べた。

「公益通報保護法に違反する」斎藤知事らのふるまいを専門家が批判 百条委尋問
2024/9/5 11:44
https://www.sankei.com/article/20240905-2MGC56VF4VMG5MYJSLSHRQBD3U/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、5日に始まった県議会調査特別委員会(百条委員会)で、参考人として出頭した上智大の奥山俊宏教授は
「(告発文書を)公益通報に当たらないと判断したのは拙速過ぎ」
「知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると考える」
と指摘した。
公益通報制度に詳しい奥山氏は、県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=が作成、配布した告発文書について、直接見聞きした人から聞き取り、外形的な事実関係が大筋で正しい内容も多々あり、公益通報が含まれていることは明らかだと評価した。
その上で、男性を早期に処分した斎藤氏らの対応について、
「軽々に公益通報に該当しないと判断せず、公益通報に関する調査が終わるのを待つべきだった」
「知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると考えられる」
と断じた。

百条委尋問 通報者保護法違反と専門家、兵庫知事を批判「公開パワハラ」とも指摘
2024/9/5 11:30
https://www.sankei.com/article/20240905-NNLE3YPULZPHFMDRCYPHXM2DII/
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が5日開かれ、参考人として出席した上智大の奥山俊宏教授は告発文書に公益通報が含まれていることは明らかだと指摘し、斎藤氏らの対応は
「公益通報者保護法に違反する」
との見方を示した。
文書を作成した元県幹部の男性について斎藤氏が
「公務員失格」
と記者会見で発言したことも
「いわば公開パワハラ。許されない」
と批判した。
午後には贈答品受領疑惑も含めた検証が始まり、側近幹部や県の特別弁護士らを尋問する。
6日は午前に副知事を辞職した片山安孝氏、午後に斎藤氏の尋問がある。
日本維新の会は証言内容を踏まえ斎藤氏への不信任決議案を出すかどうか判断すると表明しており、県議会最大会派の自民党も6日夜に総会を開き対応を協議する。

告発者処分のキーマン、前総務部長が百条委欠席 心身の不調や殺害予告理由に
2024/9/5 10:35
https://www.sankei.com/article/20240905-FK7RVWHXXVPNVKWSROESKGW2AQ/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が5日午前、始まった。
冒頭で、午後に証人として出頭予定だった前総務部長の井ノ本知明氏は、心身の不調や脅迫があったことなどを理由に欠席することが報告された。
井ノ本氏は県の人事当局トップとして、文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=の懲戒処分を主導したとされる。
証人尋問では、当時の経緯や斎藤氏とのやり取りなどについて、どのように証言するか注目されていた。
8月に病気療養を理由に総務部付(部長級)に異動。
告発内容とは関係がない男性の私的情報を漏洩した疑いがあるとして、県は井ノ本氏の調査を検討している。
井ノ本氏は、心身の不調が回復しないことや自身への殺害予告があったことなどを挙げ、4日付で欠席届を提出したという。
この日の百条委ではまず、公益通報制度に詳しい上智大の奥山俊宏教授が参考人として出頭。
男性が県の公益通報窓口に通報後、内部調査で男性を懲戒処分とした県の対応について意見を述べる。
午後には、県内企業から高級コーヒーメーカーを受領した産業労働部長の原田剛治氏が証言する。
受領が判明した直後、原田氏は斎藤氏からの指示について否定していた。
6日には、元副知事の片山安孝氏と、斎藤氏の証人尋問が予定されている。

百条委尋問、文書記載の幹部らが証言へ 贈答品受け取り疑惑など検証 6日には知事も
2024/9/5 9:35
https://www.sankei.com/article/20240905-4RG3TUPNY5KV3EBTAMJOVAJ6MI/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が5日午前9時45分から始まり、いずれも文書で名前の挙がった県幹部2人への証人尋問が初めて行われる。
会合では、斎藤氏の贈答品受領疑惑などについて検証。
参考人として出頭する専門家の意見を踏まえ、公益通報後、告発者を保護対象としなかった県の対応の妥当性についても追及する。
疑惑の事実関係や、斎藤氏の関与の有無について側近だった2人からどのような証言が出るか注目される。
午前は、公益通報制度に詳しい上智大の奥山俊宏教授が参考人として出頭。
文書を作成、配布した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月に死亡=が県の公益通報窓口に通報後、内部調査で男性を懲戒処分とした県の対応について意見を述べる。
午後には、いずれも文書に名前が出た県幹部2人が出頭を予定。
文書で斎藤氏に高級コーヒーメーカーが贈られたと記され、自分宛てに商品を送るよう依頼したと認めた産業労働部長の原田剛治氏が証言する。
商品の受け取り判明直後、原田氏は斎藤氏からの指示について否定していた。
また、前総務部長の井ノ本知明氏の尋問も予定。
井ノ本氏は、男性の処分を巡り内部調査した人事当局を管轄する総務部トップの立場にあった。
井ノ本氏は8月、病気療養を理由に総務部付(部長級)に異動。
告発内容とは関係がない男性の私的情報を漏洩した疑いがあるとして県が井ノ本氏の調査を検討していることが判明している。
6日には、元副知事の片山安孝氏と、斎藤氏の証人尋問を予定している。

兵庫知事、夕食予約巡り「俺は知事だぞ」激怒は否定 多数のパワハラ言動指摘には「反省」
2024/9/4 20:30
https://www.sankei.com/article/20240904-RMUNCHH4P5PE3PBPVQLSID5IYY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が県職員に実施したアンケートの未集計分で、斎藤氏のパワハラを見聞きしたとの回答が5割超を占めたことを受け、斎藤氏は4日の定例会見で
「言葉遣いや言動について反省している」
などと述べた。
百条委は近く、全ての集計結果を公表する予定。
アンケートは7月31日〜8月14日に実施。
関係者によると、このうち未集計だった8月5日以降の2096件をまとめた結果、斎藤氏のパワハラを見聞きしたとの回答は1052件だった。
自由記述欄では、施策や事業を斎藤氏に説明する際に叱責されたとの回答が目立ち、出張先のホテルで職員が事前予約制の夕食を断わられたと伝えると、
「俺は知事だぞ」
と激怒したとの記載もあった。
この日の会見で斎藤氏は、予約を巡る激怒について
「記憶はない」
と否定。
「(夕食の予約が)取れるか取れないか微妙だった」
「しっかり調整してもらうようお願いした」
と釈明した。
百条委では5、6両日、斎藤氏の贈答品受領疑惑や告発文書を公益通報と扱わなかった対応について証人尋問を実施。
斎藤氏や元副知事の片山安孝氏らが出頭する予定。
県議会最大会派の自民や、維新は証人尋問を踏まえ、斎藤氏への不信任決議案提出を含めた対応を協議する方針。
斎藤氏は会見で
「議会側の動きでコメントは難しいが、百条委や第三者機関の調査に対応していく」
と述べるにとどめた。

<独自>兵庫知事文書問題 アンケート未集計分が判明、5割超が「パワハラ見聞き」 近く結果公表へ
2024/9/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20240904-WD2YKTCBNFKBBINSOFR3P3GL7Y/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委員会)が全職員約9700人に実施したアンケートで、未集計となっていた約2千人分のうち、斎藤氏のパワハラを見聞きしたとする回答が5割超を占めたことが3日、関係者への取材で分かった。
中間報告を含めたアンケート全体では約42%となる。
百条委はアンケートや証人尋問の結果を踏まえ、斎藤氏の疑惑の真偽などについて判断し、年内にも報告書を取りまとめる方針。
アンケートは全職員を対象に7月31日〜8月14日まで実施した。
告発文書に記された7項目の疑惑について
「知事のパワハラを見聞きしたことはあるか」
「知事が贈答品を受け取っているのを見聞きしたことはあるか」
などと質問。
インターネット上で回答を求め、6664件集まった。
百条委はこれまで、8月5日午前9時までの回答4568件を中間報告として集計し、公表。斎藤氏のパワハラを見聞きしたとの回答は約4割の1750件に上った。
関係者によると、百条委は中間報告後、同月14日までに集まった2096件の回答を集計。
斎藤氏のパワハラについて、
「目撃などにより実際に知っている」が71件、
「目撃などにより実際に知っている人から聞いた」が316件、
「人づてに聞いた」が665件
だった。
中間報告と合わせると、パワハラを見聞きしたとの回答は2802件で、全体の約42%を占めた。
中間報告後のアンケート結果も近く公表される見通し。
具体的な事例を答える自由記述では、施策や事業について斎藤氏に説明する知事協議中に叱責されたとの回答が目立ち、斎藤氏が担当職員に対し
▽「腹立つわ」と5回程度繰り返した
▽「知事やぞ」と怒った
などの回答があったという。
斎藤氏が自身の写真の出来映えに不満を示し、準備不足と叱責したとの記述もあった。
また、斎藤氏の贈答品受領については、中間報告後の集計では見聞きしたとの回答が599件あり、中間報告と合わせ1545件と全体の約23%を占めた。

兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑は7項目 知事はいずれも否定、県議会の百条委員会で審議
2024/9/2 12:41
https://www.sankei.com/article/20240902-VXWYEL5GVROQPPJM7X7JFTFYU4/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、この告発文書には7項目の疑惑が記されていた。
作成したのは元県西播磨県民局長の男性(7月7日に死亡)で、斎藤氏はいずれも否定している。
県議会の調査特別委員会(百条委員会)が審議している。
審議の対象となる告発文書は4ページに渡り、
(1)法人副理事長解任、
(2)令和3年の知事選で知人に投票依頼、
(3)商工会議所に投票依頼、
(4)県内企業から高級コーヒーメーカー受領、
(5)政治資金パーティー券の購入を強要、
(6)補助金のキックバック、
(7)県職員へのパワハラ
という7項目の疑惑が列挙されていた(表参照)。
パワハラについては、出張先の施設のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で公用車を降りて歩かなければならなかった際、斎藤氏が
「出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らし、その後は一言も口を利かなかった」
と記載していた。
また、商品の受領について告発文書は
「斎藤知事のおねだり体質は県庁内でも有名」
と指摘。
斎藤氏が昨年8月、家電・調理器具メーカー「千石」(同県加西市)を訪問した際、同行した原田剛治・産業労働部長に対し、同社が贈与を申し出た高級コーヒーメーカーを秘書課に送らせるよう指示したとし、
「皆が見ている場所で受け取れるはずないやろ」
「ちゃんと秘書課に送るように言っておけ」
などと原田氏に発言した生々しいやりとりが記されていた。

公益通報って何? 通報者の解雇、降格、減給は禁止
2024/9/2 13:08
https://www.sankei.com/article/20240902-6GNIGDOTVJJGPFTORXXTD2YPDM/
公益通報を巡る兵庫県の対応の主な問題点
https://www.sankei.com/article/20240902-6GNIGDOTVJJGPFTORXXTD2YPDM/photo/RURWRVHQ3ZJHFKAPAA53URNNJA/
公益通報者保護法では、労働者らが所属する組織の不正行為について、不正の目的ではなく、内部通報したり、外部に通報したりすることを
「公益通報」
と定めている。
同法では、公益通報を理由に公益通報者が不利益な取り扱いを受けないよう保護している。
通報を理由に解雇した場合は無効となり、降格、減給することも禁止している。
同法では、通報体制の整備も求めている。
従業員が300人超の事業者は通報窓口の設置が義務で、300人以下の場合は努力義務となっている。
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題では、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(7月7日に死亡)を同法の保護対象となる公益通報者として扱わず、懲戒処分とした妥当性も問題となっている。

斎藤知事と部下たちの隔たりにみるパワハラ疑惑の現在地 「合理的な指導」と「理不尽な叱責」
2024/8/31 7:00
https://www.sankei.com/article/20240831-T7RL4BYYVNMNPGGWXLTI2KJW3U/
職務に関する疑惑を文書で告発された兵庫県の斎藤元彦知事が30日、県議会の調査特別委員会(百条委員会)で初めて証人尋問に臨み、職員に対する一連のパワハラ疑惑について、業務上の指導の範疇との認識を改めて示し、正当性を主張した。
一方、この日の百条委に斎藤氏に先立って出頭した部下らは
「理不尽な叱責を受けた」
と証言。
自身の言動を巡る知事の認識と職員の受け止めとの乖離を、強く印象づける結果となった。
「頭の中が真っ白になった」
「指導の範囲内とは思えないような言い方だった」
昨年11月、斎藤氏が出張先で公用車を降りてから建物入り口まで約20メートル歩かされ、職員を怒鳴ったとされる件。
告発文書に記載されたこのパワハラ疑惑について、現場で斎藤氏を案内した県幹部は30日の百条委でこう証言した。
一方の斎藤氏は
「歩かされたことで怒ったわけではない」
と説明。
重要な会議のスタートが迫っていたのに、職員が知事の動線を確保していなかったため、
「対応が不十分」
と感じ、
「大きな声でその旨を伝えた」。
そもそも現場は車の進入が禁止されたエリアだったが、その点も聞かされていなかったため、当時の指導としては
「合理的だった」
と、パワハラに当たらないとの認識を重ねて述べた。
斎藤氏は自らを
「厳しい上司」
と認め、部下への言葉遣いやコミュニケーション面で反省すべきところがあったと釈明しつつ、総務官僚だった自身の経験を踏まえ、行政マンに求めるレベルに言及。
知事への報告より前に新聞報道が出ると、度々担当者を呼びつけて叱責したとされる点について、自らの官僚時代は
「新聞の1面に出た時は、すぐに想定問答を作って大臣室に入れておく」
のが当たり前だったとし、県職員にも自分の現役当時と同じような対応を求めたところが
「正直ある」
と語った。
職員アンケートでは約4割が斎藤氏のパワハラを見聞きしたと回答しており、百条委の委員からは
「人望がなかったのではないか」
と率直な質問も飛んだ。
斎藤氏は
「職員に好かれたり、人望があるのは大事だ」
としつつ、
「必要な指導は県民のためにする」
と、職員ではなく
「県民ファースト」
の対応だったとの認識を強調した。
この日の尋問終了後、会見した百条委のメンバーの一人は
「証人の受け止めと知事の認識に差がある印象だ」
と感想を述べた。
百条委の奥谷謙一委員長は、これまでの県職員に対する尋問で、斎藤氏の言動について
「県庁生活で初めてこういった叱責を受けたという人もいた」
と明かし、この日も
「頭が真っ白になった」
との証言が出たことから
「パワハラに極めて近いと思う」
と指摘した。
■年内に報告書
告発文書には、斎藤元彦知事による職員へのパワハラ疑惑のほかに、県内企業からの贈答品受領や、信用金庫の補助金を増額しプロ野球の阪神・オリックス優勝パレードの募金としてキックバックさせた―など、斎藤氏や元副知事の片山安孝氏ら側近による7項目の疑惑が記されていた。
その真偽を調べる県議会の調査特別委員会(百条委員会)は、県の全職員約9700人を対象に7項目の疑惑についてアンケートを実施。
今月23日に公表した中間報告(4568件分)によると、パワハラ疑惑は38・3%(1750件)、贈答品疑惑は20・7%(946件)が見聞きした、と答えた。
百条委ではまずパワハラ疑惑を調査。
斎藤氏が初めて出頭した30日の証人尋問もパワハラ関連の質問に限定している。
次回9月5日と翌6日の期日では、贈答品受領疑惑と、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)=7月7日に死亡=を保護の対象となる公益通報者として扱わず、懲戒処分とした妥当性を調べる。
公益通報を巡る県の対応は一連の問題の焦点ともいえ、6日には斎藤氏を再び尋問するほか、片山氏ら側近にも出頭の上で証言を求める。
10月下旬に優勝パレードやその他の疑惑に関する尋問を行い、11〜12月に百条委として事実を認定した上で報告書をまとめる方針。
■事実積み重ねて判断を
ハラスメント問題に詳しい東北大の増沢隆太特任教授に聞いた。
ハラスメントの中でもパワハラは、定義を厚生労働省が明確に定めており、
@優越的な関係を背景とした言動で
A業務上必要な範囲を超え
B労働者の就業環境が害されている
という3要件全てを満たす必要があるとされる。
知事という立場を考えれば、舌打ちやため息でも民間人とはインパクトが違うと捉えるべきで、日頃からそのような言動を繰り返していたとすれば、職員への威圧に当たるとも考えられる。
現代では
「本人のために怒鳴る」
は成立しない。
冷静で合理的な指摘であれば問題ないが、物を叩いたり、投げたりといった感情的な行為は悪質なコミュニケーションで不適切だ。
斎藤氏の証人尋問での受け答えはこれまでと同様だったが、偽証ができない中で、文具を投げたり、深夜にチャット連絡をしたりといった事実関係は認めた。
パワハラを
「指導」
と正当化するのは、よくあるパターンでもある。
今後の百条委員会では事実を積み重ねて、パワハラの有無の判断につなげてもらいたい。

兵庫県議会各派は百条委をどうみたのか「きちっと答えていた」「丁寧に説明」とする声も 
2024/8/30 21:57
https://www.sankei.com/article/20240830-LIBEKGLP5JLARAAAASQGFZCDBY/
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を告発された問題を巡り、斎藤氏への証人尋問が初めて行われた30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)。
斎藤氏はパワハラの認識を一貫して認めず、不信任案の提出が現実味を帯びてきた。
この日の説明について各会派の評価は分かれており、議会側の動きにも注目が集まる。
最大会派
「自民党議員団」
の北野実幹事長は
「きちっと答えていた」
と評価する一方、
「自分のことだけを考えているように感じられる発言もあった」
と振り返った。
会派として対応を協議する考えを示し
「県政を何とかしたい」
と語った。
前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会は共同代表の吉村洋文大阪府知事が、不信任案の可能性を示唆。
維新幹部が近く県議団との協議を予定する中、維新の会の門隆志幹事長は
「誤魔化すことなく話し、丁寧に説明していた」
「(不信任案の提出は)それなりの理由が必要になる」
と慎重な姿勢を示した。
「(斎藤氏の説明は)従来の主張を繰り返している」
「県民は納得しない」
と指摘するのは公明党議員団。
「今までの会見に比べれば個別事案に関しては説明していた」
と評価する部分もあったが、パワハラについて明確に肯定も否定もしない斎藤氏の姿勢に疑問を呈した。
一方、第4会派のひょうご県民連合は来月にも不信任案を提出する方針を固めた。
会派幹部は
「記者会見と発言が変わらず、県政の正常化には知事が辞職するしかない」
「議会として民意を突き付ける必要がある」
と話している。

<独自>兵庫県議会会派が9月議会で斎藤知事の不信任案提出方針 他会派と協議へ
2024/8/30 21:32
https://www.sankei.com/article/20240830-ZHVXEKVHMBNIHLFHZEPHRFJM2Q/
兵庫県議会第4会派の
「ひょうご県民連合」
が、斎藤元彦知事に対する不信任決議案を提出する方針を固めたことが30日、関係者への取材で分かった。
9月19日開会の県議会9月定例会での提出を想定し、他会派と協議していく。
不信任案可決には4分の3以上の賛成が必要で、各会派の対応が注目される。
不信任案を巡っては、前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会共同代表の吉村洋文大阪府知事が、百条委の内容次第で提出する可能性を示唆。
党幹部が31日に県議団と対応を協議する予定となっている。
不信任案は議長を含め全議員の3分の2以上が出席し、出席議員の4分の3以上の賛成で可決する。
可決した場合、首長は失職か議会の解散かを選択する。
同県議会(86議席)で全員が出席した場合、可決には65人の賛成が必要。
県議会の勢力は最大会派の自民が37人で、維新21人▽公明13人▽立憲民主党議員らでつくるひょうご県民連合が9人−などと続く。
同県議会で不信任案提出には8人が必要で、県民連合は単独で満たしている。

「パワハラ認めるべき」「言い訳が多い」「不誠実」斎藤知事の発言に傍聴者から批判の声
2024/8/30 20:06
https://www.sankei.com/article/20240830-SIHNLVRUIFODTJV5NVU43FMFX4/
部下へのパワハラなど兵庫県の斎藤元彦知事を巡る一連の疑惑を調査する県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏に対する初めての証人尋問が行われた。
パワハラだとされる自身の言動について
「記憶にない」
などと述べた斎藤氏に対し、傍聴した県民からは
「不誠実」
「言い訳が多い」
と批判の声が上がった。
「質問に正面から答えず、言い訳めいた回答が多かった」
「潔くパワハラを認めるべきだ」。
同県尼崎市の女性(51)は語気を強めてこう語った。
斎藤氏は就任間もない頃、机を叩いて県幹部を叱責した事案について
「就任直後だったので」
と釈明。
机を叩く行為をパワハラと認めるか否かを問われたが、回答を控えた。
この点について、女性は
「パワハラかどうかを聞かれているのに『就任直後だから』とか背景の話ばかり」
「ここまで答えないとは思わなかった」
と不満げな様子だった。
「『記憶にない』という答弁は不適切で不誠実」
と指摘したのは、同県川西市の男子高校生。
部下に対して
「空クル(空飛ぶクルマ)は知事直轄、勝手にやるな」
と叱責したとの疑惑について斎藤氏は
「記憶にない」
と述べたが、
「普通にパワハラだと感じた」
と呆れ気味に語った。

「斎藤知事、説明責任果たしてない」と百条委員会委員長
2024/8/30 19:41
https://www.sankei.com/article/20240830-KAJLTPG47VMCRDEF6OYTER4ZYY/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る疑惑が文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏本人への初めての証人尋問が終了後、奥谷謙一委員長らが会見を開いた。
奥谷氏は斎藤氏の尋問については
「印象としては記者会見の内容とあまり変わらない」
「説明責任が果たされたとは考えられない」
との認識を示した。
一方、斎藤氏の行為について
「パワハラに当たるかどうかは別として(告発文書に)記載している事実が浮かび上がったことが重要だ」
と述べた。
会見に出席した委員の一人は、証人として出頭した職員と、斎藤氏の証言を踏まえ、
「パワハラを受けた職員と、知事の認識に差があった」
「事実が明らかになったので議論を深めたい」
などと印象を語った。

百条委を終えた斎藤氏「私が知事として仕事する」と知事職に強いこだわり 改めて辞職否定
2024/8/30 19:12
https://www.sankei.com/article/20240830-OPSEGVWOAFMRXK4CNALXBHS4R4/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)終了後、斎藤氏は報道陣の取材に応じ、
「私が知事として仕事をさせていただく」
と述べ、改めて辞職を否定。
知事職に対する強いこだわりをのぞかせた。
この日は、斎藤氏のほか県幹部ら4人への証人尋問が行われた。
県幹部らは斎藤氏からの叱責を
「怒鳴られた。理不尽な叱責だと思った」
などと証言。
一方、斎藤氏は
「職員に不快な思いをさせたとしたら申し訳ない」
と反省の弁を述べる一方、パワハラの認定は自身がすべきではないとして明言を避けた。
終了後、報道陣から進退を問われた斎藤氏は
「知事としての仕事を果たすのが私の責任」
として続投の意思を改めて表明。
「職員からの人望や信頼感が1ミリもないということはないと思っている」
とし、
「信頼関係を再構築する」
という従来の主張を繰り返した。
辞職を否定し続ける斎藤氏。
だが、前回知事選で斎藤氏を推薦した日本維新の会共同代表の吉村洋文大阪府知事は27日、維新として不信任決議案を提出する可能性があると言及している。
このことについて報道陣に問われた斎藤氏は
「仮定の話には答えられない」
とだけ語った。

斎藤知事、初めての証人尋問でも正当性主張 議会では不信任決議案提出の動きあり
2024/8/30 18:57
https://www.sankei.com/article/20240830-EGNLL2PXVNO47NJHMY3FTP52LY/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は30日、パワハラ疑惑に関して斎藤氏本人に初めて証人尋問を実施した。
斎藤氏は文書で職員を叱責したとされた事例について、
「合理的な指摘だった」
と正当性を強調。
告発者の処分も適切だったとの認識を改めて示した。
県議会では、斎藤氏の辞職につながる不信任決議案提出の動きがあり今後、各会派の対応が焦点となる。
県西播磨県民局長だった男性(60)が作成した文書には、
「出張先で公用車を降り、20メートルほど歩かされただけで職員を怒鳴り散らした」
などと記載。
この日の百条委では斎藤氏の尋問に先立ち、この場に居合わせた県幹部が
「理不尽な叱責を受けた」
と証言した。
これについて斎藤氏は
「大きな声で強い指摘をした」
としつつ、
「当時としては合理的な指摘だった」
と主張。
一方で、強い口調で職員を叱責したことに関し
「職員に不快な思いをさせたことは反省したい。謝りたい」
と述べる場面もあった。
斎藤氏を巡っては、前回知事選で推薦した日本維新の会共同代表の吉村洋文大阪府知事が、百条委の内容次第で不信任決議案を出す可能性を示唆。
他会派でも不信任案提出を検討する動きが出ている。
9月5、6日の百条委では企業からの贈答品受領疑惑と、文書を公益通報として扱わなかった対応について検証し、斎藤氏も証人出頭する予定。

「パワハラと認めるか」と問われた斎藤知事 明言避け「百条委が判断すると思う」
2024/8/30 18:08
https://www.sankei.com/article/20240830-22HPSH7BAZOKFKPVONSNJ7G3FM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、証人として出頭した斎藤氏は
「職員に不快な思いをさせたことは反省したい」
「謝りたい」
と述べた。
一方、パワハラの認識については
「百条委や第三者委員会が判断する」
と答え、明言を避けた。
この日の百条委では斎藤氏の尋問に先立ち、県幹部の尋問を公開で実施。
昨年11月、県立考古博物館(播磨町)で開かれた会合に斎藤氏が出席する際、車止めが置かれている車両進入禁止区間を歩かされた斎藤氏が、
「車止めをどけておくべきだった」
として県幹部らを叱責したことが明らかになった。
この県幹部は
「理不尽な叱責」
と証言した。
百条委の尋問で斎藤氏は
「理不尽な叱責」
という県幹部の証言に対する受け止めを問われ、
「言い方について、もしご本人が不快に思われているならお詫びしたい」
と釈明。
一方、委員から
「パワハラと認め、お詫びするのではないのか」
と重ねて問われると
「パワハラかどうかは私が判定するより、百条委や第三者委員会が判断すると思う」
と述べるにとどめた。

兵庫・斎藤知事「仕事のミスには短気」 百条委の委員から「人権感覚ずれている」と批判も
2024/8/30 17:35
https://www.sankei.com/article/20240830-NFMOZIRQFJK6PLQPWK2RXLYLFM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調査する30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、証人として出頭した斎藤氏は自身の性格を問われ
「仕事については厳しいところが正直ある」
「ミスがあった場合、短気な面もある」
と述べた。
部下を怒鳴ったり机を叩いたりした行為について、委員からは
「人権感覚が相当ずれている」
と批判された。
百条委が実施した全職員(約9700人)を対象としたアンケートの中間報告では回答者の約4割がパワハラ行為を見聞きしたと回答。
職員から、斎藤氏の性格についてすぐに激高する
「瞬間湯沸かし器」
との指摘もあった。
委員を務める県議は説明済みの事業や自身が知らない事柄が報道された時などに斎藤氏が
「聞いていない」
と部下を叱責した点は短気な性格が原因と主張。
「パワハラ体質についていけない」
と苦言を呈した。
「(告発者で死亡した元)県民局長は行政経験も人生経験も豊かな人」
「普通の人権感覚があれば怒鳴りつけない」
「ここが一番知事の問題ではないか」
との指摘もあった。
斎藤氏は
「過去は取り戻せないので、直接お詫びし、申し訳ないと言いたい」
「これからはもっといい知事としてやっていきたい」
と述べた。

斎藤知事「職員に謝りたい」 説明済みの事業を「聞いていない」と強く叱責、百条委で証言
2024/8/30 16:51
https://www.sankei.com/article/20240830-QZUTVS7GWBJWTHZHPIIQACEJGM/
部下へのパワハラなど兵庫県の斎藤元彦知事をめぐる一連の疑惑を調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、証人として出頭した斎藤氏は、自身が強い口調で職員を叱責したケースについて
「職員に不快な思いをさせたことは反省したい」
「謝りたい」
と述べた。
百条委が実施した全職員(約9700人)を対象としたアンケートの中間報告では、説明済みの事業について斎藤氏から
「聞いていない」
と叱責されたという声が複数寄せられた。
この日、こうした複数の事例について問われた斎藤氏は
「私も完璧な人間ではない」
「一回聞いたことをすべて覚えているかというと、そこまで全能ではない」
と釈明した。
これに対し百条委の委員は、斎藤氏の鋭い叱責で事業の説明ができなくなり、施策が進められず停滞した事例に言及し、
「『資料に書いているから知っていると思うな』という発言は適切か」
と指摘。
斎藤氏は
「言い方が厳しかったり、強くなったりしたことは謝りたい」
と陳謝した。

「記憶にない」と繰り返す百条委の斎藤知事「全て覚えているほど全能ではない」
2024/8/30 16:37
https://www.sankei.com/article/20240830-6OJXJ6MVGRJYNN4BUCOOTRSOVQ/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏本人への証人尋問が行われた。
県職員による斎藤氏への事業説明で、自身が把握していない事業が話題になった際、職員を叱責したとされる件について
「記憶にない」
との答弁を繰り返した。
百条委の委員は、空飛ぶクルマ関連の事業が新聞で報じられた後に知事室を訪れた担当者を
「何これ、聞いてない」
「空クル(空飛ぶクルマ)は知事直轄、勝手にやるな」
と叱責したとの疑惑を追及した。
叱責したかとの質問に斎藤氏は
「記憶にない」
と否定。
「いろんなレク(説明)を受けていて、一つ一つ覚えていない」
「『聞いていない』ということから、私は合理性があると思う」
と答えた。
一方で
「私も完璧な人間ではない」
「一回聞いたことを全て覚えているほど全能ではない」
「大量の資料の内容は失念することがあり、聞いていないと言ってしまうことはある」
「そこは注意しないといけない」
とも主張。
委員は
「知事に完璧な人間を求めているのではない」
と指摘し、やり取りが噛み合わない場面もみられた。
空飛ぶクルマ事業を巡る叱責については、斎藤氏の尋問に先立ち、30日午前に県職員の証人尋問が行われ、職員は当時を振り返り、
「これほどきつい言葉を上司からかけられたことは、県職員になってからなかった」
と証言している。

淡々と斎藤知事 死亡した元県民局長への懲戒処分は「適切。誹謗中傷性高かった」
2024/8/30 16:29
https://www.sankei.com/article/20240830-TJIV7MZW7NPRBFMKFSZETZGT4U/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを元西播磨県民局長の男性(60)=死亡=が文書で告発した問題で、30日開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)に斎藤氏が証人として出頭。
斎藤氏は告発者の男性を停職3カ月の懲戒処分とした対応について、淡々とした様子で改めて
「適切だった」
との認識を示した。
男性は3月、パワハラなど斎藤氏に関する7つの疑惑を記載した告発文書を報道機関などに送付。
斎藤氏は片山安孝副知事(当時)らに調査を指示し、5月に男性を懲戒処分とした。
男性は4月に告発文書と同様の内容を、県の公益通報窓口に通報していた。
百条委の委員は斎藤氏に対し、現在の認識として処分が不適切だったとの思いはないかと質問。
斎藤氏は
「今も思ってはいません」
「適切だったと思います」
「誹謗中傷性が高い文書と認識し、処分した」
と強調した。
男性の処分をめぐっては、公益通報窓口への通報を受け、人事当局の幹部らが斎藤氏の側近だった井ノ本知明総務部長(当時)らに
「公益通報の結果が出るまで処分は待った方がいい」
と進言したことが明らかになっている。
斎藤氏は一度は了承したが、その後、井ノ本氏を通じて
「調査結果を待たずに処分できないか」
と人事当局に打診。
人事当局が弁護士に相談したところ
「法的には可能」
との見解を得たため、井ノ本氏らが処分を優先するよう指示したとされる。

淡々と斎藤知事 死亡した元県民局長への懲戒処分は「適切。誹謗中傷性高かった」
2024/8/30 16:29
https://www.sankei.com/article/20240830-TJIV7MZW7NPRBFMKFSZETZGT4U/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを元西播磨県民局長の男性(60)=死亡=が文書で告発した問題で、30日開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)に斎藤氏が証人として出頭。
斎藤氏は告発者の男性を停職3カ月の懲戒処分とした対応について、淡々とした様子で改めて
「適切だった」
との認識を示した。
男性は3月、パワハラなど斎藤氏に関する7つの疑惑を記載した告発文書を報道機関などに送付。
斎藤氏は片山安孝副知事(当時)らに調査を指示し、5月に男性を懲戒処分とした。
男性は4月に告発文書と同様の内容を、県の公益通報窓口に通報していた。
百条委の委員は斎藤氏に対し、現在の認識として処分が不適切だったとの思いはないかと質問。
斎藤氏は
「今も思ってはいません」
「適切だったと思います」
「誹謗中傷性が高い文書と認識し、処分した」
と強調した。
男性の処分をめぐっては、公益通報窓口への通報を受け、人事当局の幹部らが斎藤氏の側近だった井ノ本知明総務部長(当時)らに
「公益通報の結果が出るまで処分は待った方がいい」
と進言したことが明らかになっている。
斎藤氏は一度は了承したが、その後、井ノ本氏を通じて
「調査結果を待たずに処分できないか」
と人事当局に打診。
人事当局が弁護士に相談したところ
「法的には可能」
との見解を得たため、井ノ本氏らが処分を優先するよう指示したとされる。

<独自>空飛ぶクルマの協定「聞いてない」「勝手にやるな」と斎藤知事が激しく叱責 県職員証言
2024/8/30 16:03
https://www.sankei.com/article/20240830-MND24RLPFNJFJIAH2H7J6NB7FU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)で30日、非公開形式の証人尋問に出頭した県職員が、昨年1月に斎藤氏から
「何これ」
「勝手にやるな」
などと激しく叱責され、説明を諦めて退室したことがあったと証言したことが分かった。
関係者への取材で判明した。県職員は
「これほどきつい言葉をかけられたことは、県職員になってからなかった」
と述べた。
県職員は昨年1月16日午前、翌週に予定されていた
「空飛ぶクルマ」
の開発メーカーとの協定締結式について斎藤氏に説明しようとした。
担当者とともに知事室に入ったところで、斎藤氏から大声で
「何これ」
と一喝されたという。
続けて斎藤氏は
「聞いてない」
「そらくる(空飛ぶクルマ)は知事直轄なんだから勝手にやるな」
と激しく叱責した。
その後、職員は締結式についての説明をしようと試みたが、説明の途中で斎藤氏に
「やり直し」
と遮られるなどしたため、説明は不可能と判断し、途中で退室したという。
さらに、百条委の委員から斎藤氏の対応が適切だったかなどと問われると、斎藤氏が
「聞いてない」
と述べた点について、事前に幹部から説明があったはずだとした上で
「理不尽だと感じた」
と述べた。
説明を諦めて退室せざるを得なかった点については、斎藤氏らに対し
「かなり腹が立った」
と明かした。

百条委証人尋問始まる 兵庫知事「強く指摘した」 大声での注意認めるも、パワハラ否定
2024/8/30 15:39
https://www.sankei.com/article/20240830-7RGDCB5IBBJ2LG7XSICQAKMITA/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏への証人尋問が始まった。
出張先で公用車を降りて20メートル歩かされ、職員を怒ったとされる問題について、斎藤氏は
「車の動線を確保できていなかったのではないかという強い思いがあった」
「それなりに強く指摘した」
と述べ、大きな声で注意したことは認めた。
一方、当時は進入禁止との認識がなく、自身の対応は適切だったとの認識を改めて示した。
元県西播磨県民局長が作成した告発文書では
「出張先のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で降りて歩かされただけで出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らした」
と指摘されていた。
斎藤氏の尋問に先立って行われた県幹部の公開尋問によると、斎藤氏は昨年11月、県立考古博物館(播磨町)で開かれる会合に出席。
その際、告発文書にあるように入り口付近は車止めが置かれた進入禁止区間のため、手前で公用車を降りて歩いたという。
その際
「なぜこれ(車止め)をどけておかないのか」
と叱責し、職員は車止めをどけざるをえなくなったという。
出頭した県幹部は斎藤氏の叱責が
「必要な範囲内」
と感じるかを問われ
「思いません」
と否定した。
一方、斎藤氏は
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な動線を確保していなかった」
ことについて叱責したとしている。

「理不尽な叱責を受けた」20メートル歩かされ激怒した斎藤兵庫知事 県幹部が百条委で証言
2024/8/30 14:55
https://www.sankei.com/article/20240830-LG7G2CQE2BMJJNY3VOGVUWJRQE/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、県幹部らへの証人尋問が始まった。
斎藤氏が出張先で入り口の手前20メートルで公用車から降りて歩かされたことに対し、職員を怒鳴り散らしたとされる問題について、県東播磨県民局長は
「怒鳴られた」
と証言し、
「理不尽な叱責を受けた」
と述べた。
元県西播磨県民局長が作成した告発文書には
「出張先のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で降りて歩かされただけで出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らした」
と記されていた。
この日、公開で行われた百条委での証人尋問によると、斎藤氏は昨年11月、県立考古博物館(播磨町)で開かれた会合に出席。
その際、告発文書に書かれていたように入り口付近には車止めが置かれ、進入禁止区間となっており、斎藤氏はその手前で公用車を降りて歩いたという。斎藤氏は
「なぜこれ(車止め)をどけておかないのか」
と東播磨県民局長を叱責したため、会合の間に車止めを別の場所に移動。
帰りは公用車が入り口付近で待機し、斎藤氏は歩かずに公用車に乗り込んだという。
斎藤氏は6月20日の会見で
「円滑な動線の確保を図るべきだったのではないかという趣旨だった」
「あくまで業務上必要な指導」
とし、パワハラではなかったとの認識を示した。
一方、百条委で証言した東播磨県民局長は、斎藤氏の叱責が
「必要な範囲内と感じるか」
と問われ、
「思いません」
「理不尽な叱責を受けた」
と述べた。
斎藤氏本人の証人尋問は午後3時から始まり、県議会のホームページでライブ中継される。

「エレベーター閉まり激高」…一連のパワハラ疑惑に兵庫知事は何語る 30日に初尋問
2024/8/29 19:58
https://www.sankei.com/article/20240829-QNTPAKC475PABCHCZLC2A7GYJY/
兵庫県の斎藤元彦知事を巡る疑惑が文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)は30日、斎藤氏本人の出頭を求め、職員への一連のパワハラ疑惑について初めて尋問を実施する。
記者会見や取材対応ではパワハラを否定しつつ、これまで具体的な言及は避けてきた斎藤氏。
百条委では事実関係や本人の認識だけでなく、県政トップの説明責任の果たし方も問われることになる。
■「百条委でしっかり」
「この場で詳細を答えるのは控えたほうがいいかな、と思う」
兵庫県庁で27日に行われた知事定例会見。
斎藤氏は疑惑に関する度重なる質問をいずれもかわし
「百条委でしっかりやりたい」
と繰り返した。
全職員(約9700人)を対象としたアンケートのうち4568件を取りまとめた中間報告では、パワハラを見聞きしたとの回答が約4割にあたる1750件に上っていた。
■繰り返す「適切な指導」
アンケートの記述などによると、斎藤氏の地方視察時に目の前でエレベーターが閉まった際、そばにいた職員に
「お前はエレベーターのボタンも押せないのか」
と激高。
また告発文書では、斎藤氏が出張先で公用車を降りてから20メートル歩かされただけで怒ったとされ、職員に対する百条委の尋問でも、同様の証言が得られたことが明らかになっている。
こうした一連のパワハラ疑惑について、斎藤氏は
「指導の範囲内で適切」
と一貫して正当性を主張。一方で個別のエピソードの真偽や事実関係の説明は避けてきた。
職員アンケートの中間報告の結果についても、
「コミュニケーション不足」

「受け取り方のずれ」
を挙げつつ、
「私としては県政をより良くするために必要とされる指導や、こうしてほしいということを自分なりに伝えた」
と、パワハラには当たらないとの見解を示すにとどまっている。
30日の尋問では、パワハラ疑惑の個別の事実関係について委員から質問があるとみられ、斎藤氏の証言の具体性や信用性が注目される。
■元局長への対応も追及
問題の発端となった告発文書は3月中旬、元県西播磨県民局長の男性(60)が一部の報道機関などに配布。
県は同27日に男性を解任し、目前に迫った退職を保留。
同日の会見で斎藤氏は法的措置を示唆し
「噓八百」
「公務員として失格」
などと非難した。
県は5月、内部調査をもとに男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
男性は百条委に出頭し証言する予定だったが
「死をもって抗議する」
とのメッセージを残し、7月7日に死亡、自殺とみられている。
斎藤氏の贈答品受領疑惑や、男性の告発を公益通報と扱わずに処分した県の対応については9月5、6日の百条委で証人尋問を行って調べる。
斎藤氏は6日に出頭する予定。

<独自>告発した元局長の私的情報漏洩か 兵庫知事側近の前総務部長ら 県が調査検討
2024/8/29 5:00
https://www.sankei.com/article/20240829-I7672IG3YZOJ3NY6WKUDVAY2UM/
兵庫県の斎藤元彦知事らのパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)の私的な情報を漏洩した疑いがあるとして、県が前総務部長の井ノ本知明氏らの調査を検討していることが28日、関係者への取材で分かった。
男性は7月に死亡し、直前にプライバシーへの配慮を周囲に訴えていた。
内部調査ではなく、弁護士に調査を依頼する方針。
県は元副知事の片山安孝氏や前理事の小橋浩一氏、産業労働部長の原田剛治氏の調査も検討。
井ノ本氏を含め、いずれも文書で名前が出た知事の側近で、男性の懲戒処分にも関与したとされる。
男性が3月に匿名で文書を報道機関などに配布した後、斎藤氏の指示で作成者を調べていた片山氏らが男性の公用パソコンを調査。
告発文書のデータを確認したことがこれまでに判明している。
関係者によると、井ノ本氏らは4月頃から、パソコンに保存されていた告発内容とは無関係な男性の私的情報を県議らに開示していた疑いがあるという。
県の懲戒処分の指針では、職務上知り得た秘密を故意に漏らした職員を処分の対象としている。
県は井ノ本氏らがこれに抵触する可能性があると判断。
外部の弁護士に調査を委託する方向で調整を進めているという。
男性は7月19日の県議会調査特別委員会(百条委員会)に証人として出頭を予定。
しかし、一部の委員が告発とは無関係な情報も提出するよう求めているとして、代理人を通じプライバシーを保護するよう百条委に要請するなど、私的情報が流布されていることに不安を抱えていたという。
男性は同月7日に死亡。
自殺とみられ、証言はしなかったが、陳述書などを準備していた。
8月23日に非公開で行われた百条委の証人尋問では、職員が私的情報の持ち出しについて
「調査の必要があると認識しており、弁護士会に相談している」
と証言した。

「調査待たずにできないか」 告発者早期処分、斎藤知事の指示か 「批判風向き変わる」証言も
2024/8/28 7:00
https://www.sankei.com/article/20240828-RANCNENEK5OCBCCP3PZ6WVJ5BU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、告発者を停職3カ月とした県の懲戒処分の詳しい経緯が、県議会調査特別委員会(百条委員会)での県職員の証言などで明らかになってきている。
告発者が県の窓口に公益通報したことから、少なくとも4人の職員が早期処分に否定的な意見を表明。
しかし、斎藤氏や側近の県幹部らは受け入れずに処分に踏み切った。
背景には斎藤氏の意向が色濃く浮かび、今後の百条委では斎藤氏や側近らの説明が焦点となる。
「百条委なら調査権があるのでそこで説明する方が、しっかりと我々も説明できる」
27日の定例会見で斎藤氏は早期処分の指示に関しての明言を避け、百条委が出頭要請する方針の側近3人については
「それぞれの立場で調査に対して答えていただくといい」
とした。
これまでの百条委での証言や関係者への取材などで明らかになった処分に至る経緯はこうだ。
県西播磨県民局長だった男性(60)=7月に死亡=が文書を作成し、一部の報道機関などに配布したのは3月中旬。
斎藤氏は同月20日に文書の存在を把握し、翌21日に片山安孝副知事(当時)らに調査を指示した。
同22日には、人事課が男性を含む複数の職員のメールの調査を始めた。
文書の作成者として男性が浮上し、25日に片山氏らが男性を聴取。
男性が使用していた公用パソコンも調べ、告発文書のデータを確認した。
同27日、県は男性を解任し、4日後に控えていた退職も保留すると発表。
斎藤氏は会見で文書を
「噓八百」
と評し、
「公務員失格」
と男性を非難した。
こうした対応に不信感を抱いた男性は4月4日、県の公益通報窓口に告発文書と同様の内容を通報した。
これを受け、人事当局の幹部が小橋浩一理事(当時)や井ノ本知明総務部長(同)に
「公益通報の調査結果が出るまで処分は待った方がいい」
と進言。
斎藤氏にも伝わり、一度は了承された。
ところが同月中旬、斎藤氏は井ノ本氏を通じ
「調査結果を待たずに処分できないか」
と人事当局に打診。当局が弁護士に相談したところ、
「法的には可能」
との見解を得たため、小橋氏や井ノ本氏は処分を優先するよう指示したという。
処分案を審議する県の綱紀委員会が開かれたのは、大型連休の谷間にあたる5月2日。
この場でも委員である別の県幹部3人が、
「公益通報の調査結果を待って処分すべきではないか」
などと懸念を示した。
文書で名前が挙がっている井ノ本氏が、同委員会の委員長を務めている点を疑問視する意見もあったが、これも受け入れられず、県は連休明けすぐの7日、懲戒処分に踏み切った。
斎藤氏が文書を把握してから1カ月半。
この間、告発された当事者である斎藤氏や側近幹部が告発者を特定し、異論を押し切って処分に突き進んだ形だ。
百条委では、斎藤氏が処分を急いだ理由について
「『懲戒処分をすれば(自身への批判の)風向きが変わるのでは』と知事が言っていると聞いた」
との証言もあった。
百条委委員からは
「一連の対応は処分ありきだ」
との指摘が上がっており、9月5、6日に予定されている斎藤氏や側近らの証人尋問で追及する構えだ。

兵庫知事パワハラ疑惑 維新代表発言に知事「自分なりにしっかり対応」 側近3人も尋問へ
2024/8/27 12:00
https://www.sankei.com/article/20240827-OCFST3CLMBNNBBI4BI7EQR2FZU/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、日本維新の会の馬場伸幸代表が30日の県議会調査特別委員会(百条委員会)の斎藤氏の証人尋問を踏まえ党の対応を協議すると発言したことを受け、斎藤氏は27日午前、報道陣の取材に
「30日の百条委では自分なりにしっかり対応していく」
と述べた。
斎藤氏は、馬場氏の発言について内容の詳細は承知していないとしたうえで
「維新の会にはこれまでしっかり支援していただいたことは感謝申し上げる」
と述べた。
30日の百条委では、斎藤氏のほか、4人の県職員らが証人として出頭する予定。
馬場氏は26日の党常任役員会後、斎藤氏の尋問を踏まえ幹部らで党の対応を協議すると明らかにしていた。
また、百条委は9月上旬に実施する証人尋問に向け、斎藤氏のほか、辞職した片山安孝元副知事を含む側近3人に出頭を要請する方針を固めた。
告発文書を公益通報として扱わなかった県の対応について追及する。
関係者によると、23日の理事会で、9月5日に井ノ本知明元総務部長と原田剛治産業労働部長、6日に斎藤氏と片山氏の出頭を求める案がまとまったという。

<産経抄>兵庫県庁の「すまじきものは宮仕え」
2024/8/27 5:00
https://www.sankei.com/article/20240827-O4YJD2A3WFLZVN6H53RREMHIFA/
歴史学者、磯田道史さんの『殿様の通信簿』により、元禄時代に書かれた『土芥寇讎記(どかいこうしゅうき)』という本の存在を知った。
当時幕府の隠密が諸大名の内情を探索しており、それをまとめたものらしい。
▼たとえば「忠臣蔵」で有名になった浅野内匠頭については「女色を好むこと切なり」とある。
政治は大石内蔵助ら家老に任せきりだったようだ。
「土芥寇讎」という言葉は『孟子』がその出典である。
「殿様が家来をゴミのように扱えば、家来は殿様を親の仇のようにみる」
という意味だという。
▼さて令和の時代に至っても、殿様気分の知事が少なくないとの指摘もある。
兵庫県の斎藤元彦知事は果たして県職員をゴミのように扱ったのか。
いわゆるパワハラがあったのか。
隠密ならぬ県議会調査特別委員会(百条委員会)による調査が続いている。
30日には斎藤氏に対する証人尋問も行われる予定だ。
▼斎藤氏のパワハラ疑惑を文書で告発した男性職員は証人として出席するはずだったが、先月死亡しているのが見つかった。
自殺とみられる。
23日に公開された県職員アンケートによれば、回答した4568人のうち38・3%の1750人がパワハラ疑惑を、20・7%の946人が、視察先で贈答品を受領したとの疑惑を見聞きしたと回答していた。
▼百条委員会では事実を確認した上で、年内にも報告書をまとめる方針である。
ただ既に県政の停滞は目に余るものがある。
県職員の士気は低下するばかりだろう。
2024年度の兵庫県の職員採用試験では、一般事務職(大卒程度)の筆記試験の辞退者が4割にものぼった。
むべなるかなである。
▼歌舞伎の名セリフのひとつが口をついて出てくる。
「せ(す)まじきものは宮仕えじゃなあ」

「逃げたな」「腹立たしい」 パワハラ否定、説明変遷の斎藤知事に職員から批判の声
2024/8/24 20:09
https://www.sankei.com/article/20240824-GWDMSU63TFPG5CCWXRQMVVK5TY/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、23日に行われた県議会調査特別委員会(百条委員会)の証人尋問では出席した県職員から、斎藤氏の対応について
「腹立たしい」
「看過できない」
といった批判の声が上がった。
百条委委員らによると、ある職員は、職員アンケートで新たなパワハラ疑惑が多数指摘されたことが判明した後の会見で、斎藤氏が
「仕事なので厳しく指導することもある」
などとパワハラを否定したことに
「正直、腹立たしい。『なんでそういうことを言うの』という思いだ」
と証言。
疑惑についての説明が変遷しているとして
「逃げたなと思った」
とも打ち明けたという。
6人が証言したが、明確にパワハラを受けたとの認識を示した職員はいなかった。
ただ、
「人生で初めてこういうことをされた」
「自分は精神的にタフなのでダメージは少なかったが、(同じことを)他の人にされているなら看過できない」
と訴える職員もいたという。

斎藤知事 “パワハラ疑いを見聞き”約4割 アンケート中間報告
2024年8月23日 17時02分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240823/k10014557221000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、すべての県庁職員を対象に行われたアンケートの中間報告が23日に公表されました。
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、事実関係の調査を進めている県議会の百条委員会は、先月末からすべての県庁職員を対象にアンケートを行いました。
今月5日までに全体の半数近くにあたる4500人余りの職員から回答が寄せられていて、23日、その集計結果が中間報告として百条委員会に示されたあと、公表されました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ4割にあたる1750人(38.3%)でした。
自由記述欄には
「公用車内で知事が激怒し、前部座席を蹴った」、
「机をたたいて怒り出す」、
「知事が出席するイベントや行事にマスコミが来ないと怒る」
などの内容がありました。
また、知事が贈答品を受け取っている疑いを見聞きしたことがあると回答した人は946人(20.7%)で、自由記述欄には
「40万円相当の革ジャンを試着し、『これはいい。もらえないか』と知事がおねだり」、
「両手で抱えきれない量のかきを全部1人で持って帰った」、
「受け取りを拒否した職員分のカニも知事が持ち帰ったと聞いた」、
「『その靴ほしいです。白い靴がほしいです』と発言した面談記録を読んだ」
などの内容がありました。
ただ、回答は人づてに聞いたことをもとに書かれているものも多いということで、百条委員会は知事や職員の証人尋問で事実関係を尋ねるなど、調査の参考資料として取り扱うことにしています。

「恣意的」「卑怯」 噂話°沛qだけを公表する斎藤兵庫県知事に識者から批判 告発問題
2024/8/21 7:00
https://www.sankei.com/article/20240821-TQWI6H3VTZKHNE3JXCJDXX4LQA/
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が告発された問題をめぐり、斎藤氏は20日の定例会見で、告発文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)に対する聴取内容について、県の情報公開条例を理由に開示しないと説明した。
しかし、これまでに
「噂話を集めて作成した」
との文言だけは男性の供述内容として公表。
自身の判断の正当性を示す根拠としており、
「恣意的な運用だ」
「一部の発言を小出しにした卑怯なやり方」
との批判の声が上がっている。
「情報公開条例で人事管理に関する事務は非公開とされているので、公表することはできない」
会見で斎藤氏は、県側と男性とのやり取りを開示しない理由をこう説明。
自身が公表したくないわけではなく、あくまで条例に基づいた対応だと強調した。
同条例は、公にすることで事業などの適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報は非公開とすると規定。
懲戒処分に向けた聴取内容もこれに該当するという。
ただ、今月7日の会見で斎藤氏は、男性が告発文書について
「噂話を集めて1人で作成した」
と認めたと説明。
このため、告発文書には
「信ずるに足る相当な理由(真実相当性)」
がなく、公益通報の対象外として男性を処分した対応は適切だったと主張した。
なぜ、非公開であるはずの聴取内容のうち
「噂話」
供述だけは公表できるのか。
斎藤氏は
「(文書に)真実相当性がないことを示すため、必要最小限の説明をした」
と述べたが、男性はすでに死亡しており、反論ができない中、供述の信用性を担保することは重要だ。
どのようなやり取りで文言が出てきたのか。
聴取を記録した音声データや、男性が署名した供述調書のような客観的な資料はあるのか。
斎藤氏は
「裏付けとなる調査記録は存在する」
としたが具体的な説明は避け、
「噂話」
供述を事実として繰り返した。
内部告発に詳しい上智大の奥山俊宏教授は、こうした対応について、
「録音や調書などの証拠を何も開示せず、外部の検証が不可能な状況で一部のみを小出しにして文書の真実相当性を否定している」
と指摘。
「こうした方法で男性を貶めようとするのは卑怯で、『死人に口なし』を悪用しようとするものだ」
と批判する。
その上で、
「文書の内容が真実かどうかについては、客観的な調査を経なければ判定できず、告発された当事者が判断するのは適切ではない」
と強調した。

兵庫県知事が否定のパワハラ「見聞き」と回答1750件 職員アンケート中間報告、百条委
2024/8/19 21:27
https://www.sankei.com/article/20240819-LWQGSEQEVNJGLDTKIDNI7IN5WM/
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会)が実施した職員アンケートの中間報告がまとまり、斎藤氏のパワハラを目撃したり、人から聞いたりしたとの回答が合わせて4割近くに上ったことが19日、関係者への取材で分かった。
斎藤氏はこれまで、
「業務上必要な指導だった」
などとパワハラを否定しているが、改めて説明が求められそうだ。
アンケートは、職員約9700人を対象に7月31日〜今月14日まで実施。
告発文書に記された7項目の疑惑について
「知事のパワハラを見聞きしたことはあるか」
「知事が贈答品を受け取っていることを見聞きしたことがあるか」どと質問した。
百条委は5日までに集まった4568件の回答を中間報告として取りまとめた。
23日の委員会での協議後に具体的な内容を公表する予定。
関係者によると、斎藤氏のパワハラについて、
「目撃などで実際に知っている」との回答が59件、
「目撃などにより実際に知っている人から聞いた」との回答が466件、
「人づてに聞いた」が1225件だった。
「知らない」としたのは2818件だった。
問題を巡っては、斎藤氏が元県西播磨県民局長の男性(60)が作成した文書を
「噓八百」
などと非難し、5月に男性を停職3カ月の懲戒処分とした。
調査の中立性を疑問視した県議会が6月、百条委を設置し、文書内容などについて調査を進めている。
百条委では今月23日から、斎藤氏のパワハラに関して職員らの証人尋問が始まり、30日には斎藤氏が証人として出頭する予定となっている。

<主張>兵庫県知事の疑惑 公益通報の対応検証せよ
社説
2024/8/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240817-6QDCCYD3HZJ6TMMK3PDOF4WR7M/
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを内部告発された問題で、公益通報に対する県の対応への批判が強まっている。
平成18年に施行された公益通報者保護法は、不正の内部告発者を守るとともに、組織の不正を断ち切り、健全な発展につなげる狙いがある。
その趣旨を、県が歪めたとしたら容認できない。
2024年8月下旬から県議会の調査特別委員会(百条委)で、斎藤知事を含む職員らの証人尋問が始まる。
告発内容の真相解明だけでなく、県の一連の対応についても徹底的に検証すべきだ。
斎藤知事は2024年8月7日の定例会見で、時系列で対応を説明した。
元県西播磨県民局長の男性が2024年3月12日に報道機関などに送った告発文書を、斎藤知事が知人を通じて把握したのは同月20日だ。
翌日に副知事らと対応を協議し、作成者の特定などの内部調査を指示した。
副知事が男性から事情を聴くと、文書の作成、配布を認めたという。
公益通報者保護法は、報道機関に向けた通報も
「不正があると信ずるに足りる相当の理由」
などがあれば告発者を保護するよう定め、指針で告発者捜しを禁じている。
斎藤知事は文書に
「真実相当性はない」
とし、公益通報に当たらないと判断したと説明したが、告発された側が判断する事案ではあるまい。
男性は2024年4月、県の公益通報窓口にも通報した。
しかし県は2024年5月に男性を懲戒処分し、男性は
「死をもって抗議する」
とのメッセージを残して2024年7月に死亡した。
斎藤知事は、男性が県側の聞き取りに
「噂話を集めて作成した」
と話した―と主張している。
だが、生前に報道機関に配布された文書には、情報の入手経路などの聴取はなかったと記されていた。
男性は、斎藤知事による職員へのパワハラなど7項目の疑惑を告発していた。
斎藤知事は2024年3月の定例会見で
「噓八百」
などと切り捨てたが、その後、一部が事実と判明した。
批判を受けて斎藤知事は、職員とのコミュニケーションの改善に取り組むと表明した。
それは当然としても、告発者捜しを含む内部調査の指示などに問題はなかったのか。
疑惑解明にあたる百条委は対応を検証し、将来の通報者を萎縮させないような再発防止策につなげなければならない。

兵庫 斎藤知事 辞職要求“重く受け止め”も応じない考え
2024年9月9日 11時57分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240908/k10014576581000.html
兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり、日本維新の会は県政運営に支障が生じ始めているなどとして、斎藤知事に辞職を要求した上で、いわゆる
「出直し選挙」
で民意を問い直すべきとする内容の申し入れを9日に行うことになりました。
斎藤知事は
「重く受け止め、反省すべきところは反省する」
と述べる一方、辞職の要求には応じない考えを示しました。
この問題をめぐり、兵庫県議会では最大会派の自民党が行う方針の知事の辞職を求める申し入れにほかの3つの会派も加わる方向で、対応が未定の維新の会も方針を検討してきました。
3年前の知事選挙で斎藤知事を推薦した日本維新の会は、執行部と県議団などが協議した結果、斎藤知事に辞職を要求した上で、いわゆる
「出直し選挙」
で民意を問い直すべきとする内容の申し入れを9日に行うことになりました。
関係者によりますと、客観的な事実解明を行うべきだとの立場は維持しつつも、県政運営に支障が生じ始めていて、来年度予算案の編成作業を控え、県政を着実に進める必要があると判断したということです。
9日にも党本部の藤田幹事長が記者会見して、こうした内容を説明した上で速やかに知事側に文書を提出することにしています。
■兵庫県知事 辞職要求には応じない考え
兵庫県議会では最大会派の自民党なども、今週中に申し入れを行う方針で、県議会の全ての会派が斎藤知事に辞職を求める見通しです。
これについて斎藤知事は、今日午前、県庁で記者団に対し
「私に対する批判や指摘はしっかり重く受け止め、反省すべきところは反省しなければならない」
と述べました。
一方で、
「進めるべき予算や事業など必要なことはしっかりやらせてもらいたい」
「これからも百条委員会や第三者機関の調査にしっかり対応していく」
と述べ辞職の要求には応じない考えを示しました。

兵庫 斎藤知事への自民の辞職申し入れに3会派加わる方向で調整
2024年9月8日 5時09分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240908/k10014575961000.html
兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり、県議会の最大会派、自民党が行う方針の知事の辞職を求める申し入れに、他の3会派も加わる方向で調整していることがわかりました。
県議会の5つの会派のうち、対応が未定の維新の会も近く方針を決めることにしています。
この問題をめぐり、兵庫県議会の百条委員会は6日、斎藤知事に対する2回目の証人尋問を行い、知事はパワハラの疑いなどを告発する文書を作成した元局長を公益通報の保護対象とせず、懲戒処分にしたことは問題ないという認識を改めて示しました。
これに対し、県議会の最大会派、自民党は、県政を混乱させた責任を見過ごすことはできないとして、今週12日に、斎藤知事の辞職を求めて申し入れを行うことを決めました。
この申し入れに公明党の他、立憲民主党などで作る会派と共産党も加わる方向で調整していることが分かりました。
対応が未定の維新の会も、近く方針を決めることにしています。
知事が受け入れない場合は、複数の会派が今月19日から開かれる定例議会に不信任決議案を提出することも検討しています。
県議会の定員は86人で、4会派に加え無所属の議員も賛同した場合、維新の会を除いても不信任決議案が可決される4分の3の規模となります。

兵庫県議会 百条委「知事ら公益通報者保護法に違反」専門家
2024年9月5日 14時41分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240905/k10014572991000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐり、県議会の百条委員会で証人尋問が行われました。
文書を作成した元局長を公益通報の保護対象としなかった県の対応について、専門家は
「公益通報者を保護する法律に違反する」
などと指摘しました。
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐり、県議会の百条委員会は、5日午前10時ごろから証人尋問を行っています。
午前中は、公益通報制度に詳しい上智大学の奥山俊宏教授が参考人として出席し、県が告発文書を作成した元局長を公益通報の保護対象とせず、懲戒処分にした対応について質疑が行われました。
この中で、奥山氏は
「告発文書の一部を取って全体的な印象を『真実相当性なし』、『公益通報に該当せず』と判断するのではなく、丁寧な判断が必要だった」
「公益通報に当たらないと判断したのは拙速過ぎた」
と述べました。
その上で
「結果的に文書には、法的に保護されるべき公益通報が含まれていることが明らかになっていると思われ、知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると考える」
と指摘しました。
また、斎藤知事が記者会見で元局長を「公務員失格」と述べたことについて「感情にかられて、県の行政府のトップである権力者が公の場で部下個人に対して、いわば公開パワーハラスメントに及ぶことは許されない」と述べました。
午後からは、▽告発文書の内部調査に協力した弁護士や▽県の産業労働部長などが出席し、公益通報制度のほか、知事が贈答品を受け取っていた疑いなどについて証人尋問が行われます。
一方、5日は一連の問題の対応にあたり、体調不良を理由に業務を休んでいる元総務部長にも出席を求めていましたが、安全面への懸念や心身の不調などを理由に欠席しました。
■公益通報とは
公益通報とは、公務員を含む労働者などが組織の不正行為を、内部の通報窓口や、権限がある行政機関、それに報道機関などに通報することです。
不正による国民への被害を防止するための通報は、正当な行為として保護されるべきだとして、公益通報をした人の不利益な扱いは法律で禁止されています。
兵庫県では、これまで内部通報窓口しかありませんでしたが、新たに弁護士が受け付ける外部窓口を年内をめどに設置することになり、準備を進めています。

兵庫県知事 パワハラ疑惑で「ハラスメント研修受ける機会も」
2024年9月4日 21時05分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240904/k10014571611000.html
兵庫県の斎藤知事がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり、県庁職員を対象に行われたアンケートで新たにおよそ2000人分の集計がまとまりました。
この中の自由記述欄には知事がホテルでの夕食を断られた際に県職員に対し
「俺は知事だぞ」
と発言をしたという記載もありました。
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを調査する県議会の百条委員会は、すべての県庁職員を対象にアンケートを実施し、8月に公表された中間報告では、およそ4割が知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあるなどと回答していました。
こうした中、新たにおよそ2000人分の集計がまとまり、その内容が明らかになりました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ5割に当たる1052人でこのうち
「目撃などにより実際に知っている」
と回答したのは71人でした。
自由記述欄には
▽「会議が開かれたホテルで急きょ夕食をとりたいと言われ、断られたことを伝えると『俺は知事だぞ』と激怒した」
▽「職員があいさつしても、返すどころか目すら見ない」などという記載もありました。
また、知事が贈答品を受け取っている疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ3割に当たる599人で、自由記述では
▽「あらゆる出張先でお土産を求めていると聞いた」、
▽「かに、かき、イチゴ、ノリなどを持って帰っていると聞いた」などの記載がありました。
一方で、回答は人づてに聞いたことをもとに書かれているものも多く、百条委員会は調査の参考資料として取り扱うことにしています。
集計結果は、9月中にも公表される見通しです。
■知事「ハラスメント研修受ける機会も」
斎藤知事は4日、定例の記者会見で、自身がパワハラの疑いなどで告発された問題をめぐり
「不適切だった行為があったことも事実だと思う」
「ハラスメントかどうかはこれから調査が進んでいくが、不快や負担に思った方に対しては、直接おわびもしたい」
と述べました。
その上で
「しっかり反省して自分の言動を省みていき、ハラスメント研修を改めて受ける機会もつくっていくことになると思う」
「そうしたことで自分の責任を果たしていきたい」
と述べました。
一方、県議会の会派の中に今月開会する定例議会で不信任決議案を提出する動きがあることについて
「不信任決議案は大変重い制度だ」
「議会側の動きなのでコメントは難しいが、文書問題の調査を進めていくことは議会側が決定したことなので、しっかり対応していく」
と述べました。
■知事「職員が不快に思ったことは反省 おわびしたい」
また斎藤知事は
「職員がいろいろな思いで回答したと思うので、しっかり受けとめたい」
「職員が不快に思ったことは反省しており、おわびしたい」
「自分のことばづかいや行動が思っている以上にプレッシャーになっている点などについては反省して改めていく」
と述べました。
アンケートの自由記述で
「会議が開かれたホテルで急きょ夕食をとりたいと言われ、断られたことを伝えると『俺は知事だぞ』と激怒した」
などと書かれていたことについて
「『俺は知事だぞ』と激怒した認識や記憶はなく、予約が取れないかお願いしたと思う」
「無理な調整をさせてしまったとすればおわびしたい」
と述べました。
■維新 藤田幹事長 来週中に党の対応を決める考え
日本維新の会の藤田幹事長は記者会見で
「われわれは一貫して、しっかりと事実究明するべきという問題意識に変わりはなく『斎藤知事を擁護している』と言われるのは心外だ」
「ただ『維新の会が推薦した知事が騒動を起こしているから維新の会がダメなのではないか』という指摘を受けるのは当然だ」
と述べました。
その上で、6日県議会の百条委員会で行われる知事の2回目の証人尋問などを踏まえ、来週中に党の対応を決める考えを示しました。

兵庫斎藤知事への対応 来週の百条委など踏まえ判断 維新幹事長
2024年8月31日 19時23分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240831/k10014567461000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐり、日本維新の会の藤田幹事長は31日党の県組織などと対応を協議し、来週、県議会の百条委員会で行われる知事の2回目の証人尋問などを踏まえ、不信任決議案を提出するかどうかなど対応を判断したいという考えを示しました。
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、30日県議会の百条委員会で証人尋問が行われ、斎藤知事はパワハラ疑惑を重ねて否定し、
「不快に思った人がいればおわびしたい」
などと述べました。
これを受けて、3年前の選挙で、自民党とともに斎藤知事を推薦した日本維新の会の藤田幹事長は31日、神戸市で党の県組織や県議団の幹部と今後の対応を協議しました。
このあと、藤田幹事長は記者会見で
「証人尋問で本人も認めていたが、机をたたいたり、大きな声で指導したりするようなマネージメントは、個人的には、これからのリーダーにはあまり似つかわしくないと思う」
と述べました。
そのうえで、9月6日に百条委員会で知事の2回目の証人尋問が予定されていることを踏まえ、
「答弁などを見たうえで、われわれも何らかのアクションを考えたい」
と述べ、不信任決議案を提出するかどうかなど来週にも対応を判断したいという考えを示しました。
兵庫県議会では、立憲民主党などでつくる会派が、9月開かれる県議会で、不信任決議案を提出する方針を決めています。

兵庫 斎藤知事 立民などでつくる会派が不信任決議案提出へ
2024年8月31日 7時14分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240831/k10014566661000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、県議会の百条委員会で証人尋問が行われ、斎藤知事はパワハラ疑惑を重ねて否定し
「不快に思った人がいればおわびしたい」
などと述べました。
一方、立憲民主党などでつくる県議会の会派は
「斎藤知事のもとで県政を前に進めるのは困難だ」
として、来月開かれる県議会で不信任決議案を提出する方針を決めました。
証人尋問で斎藤知事は、委員から
「出張先で玄関の20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされ、職員らをどなり散らした」
という記載が事実か問われたのに対し
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な車の進入経路を確保していなかったことを大きい声で注意した」
などと説明しました。
また、職員からの評価をどう考えるか問われ
「厳しい上司だと思われていると思う」
「必要な指導だと思っていたが不快に思った人がいれば、心からおわびしたい」
と述べました。
その上で
「パワハラかどうかは私が判定するというより、百条委員会などが判定するものだ」
と述べました。
一方、立憲民主党などでつくる県議会の会派は
「斎藤知事のもとで県政を前に進めるのは困難だ」
として、来月19日に開会する県議会で不信任決議案を提出する方針を決めました。
今後、自民党などにも賛同を求めることにしています。
また、3年前の県知事選挙で斎藤知事を推薦した日本維新の会の吉村共同代表は、辞職を求めるかどうかは1、2週間程度で判断したいという認識を示し
「これ以上県政が進められないと判断すれば、辞職勧告や不信任決議案も選択肢に入ってくる」
と述べました。

兵庫 斎藤知事 百条委で証人尋問 “必要な指導”繰り返す
2024年8月30日 21時16分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240830/k10014564601000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、30日、県議会の百条委員会で知事への証人尋問が行われ、斎藤知事は告発文書などで指摘された言動について、必要な指導だったという認識を重ねて示した上で、
「不快に思った人がいれば心からおわびしたい」
などと述べました。
目次
【斎藤知事の発言】
■「襟をただしていきたい」
尋問は、2時間半にわたって、告発文書や県庁職員へのアンケートなどに記載されていた知事のパワハラの疑いを中心に質疑が行われました。
この中で斎藤知事は、委員から
「出張先で玄関の20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされ、出迎えた職員らをどなり散らした」
という記載が事実か問われたのに対し、
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な車の進入経路を確保していなかったことを注意した」
などと説明しました。
また、
「夜間、休日など時間おかまいなしの指示が矢のようにやってくる」
という記載については
「案件によっては遅い時間や休日に連絡したことはある」
「知事として報告、連絡、相談をしっかりしてほしいという思いが強かった」
と述べました。
その上で、
「必要な指導だと思っていたが、不快に思った人がいれば、心からおわびしたい」
「パワハラかどうかは私が判定するというより、百条委員会などが判定するものだ」
と述べました。
さらに、告発文書を作成した元局長を懲戒処分としたことについては、
「事実ではないことが多く含まれ、ひぼう中傷性の高い文書だと県として認識したので、調査をして処分した」
として、適切だったという認識を重ねて示しました。
一方、30日は知事の尋問に先立って県職員ら4人の証人尋問も行われ、この中では、
「知事から非常に強い調子で叱責された」
「社会通念上必要な指導の範囲とは思わない」
などといった証言が出されました。
委員会では、来週6日にも知事に出席を求めて証人尋問を行い、出張先で贈答品を受け取った疑いになどについて質疑を行うことにしています。
【斎藤知事の発言】
■「襟をただしていきたい」
斎藤知事は県庁職員へのアンケートで指摘されたみずからの言動について
「想定以上に、ぽろっと言ったことがどんどん伝わっていくところがすごくあると思った」
「言いすぎたという面があったと思うので、ちゃんと反省して、これから襟をただしていきたい」
と述べました。
■「仕事は厳しくするのが私のスタイル」
斎藤知事は職員からどのような評価をされていると考えるか問われたのに対し、
「厳しい上司だと思われていると思う」
「仕事は厳しくするというのが私のこれまでのスタイルなので職員にどう思われているかは、いろいろあると思う」
と述べました。
■「元局長の処分は適切」
斎藤知事は告発文書を作成し、公益通報した元局長を懲戒処分としたことについて、
「処分は適切だったと思う」
「事実ではないことが多く含まれ、ひぼう中傷性の高い文書だと県として認識したので、調査をして処分した」
と述べました。
■「遅い時間や休日に連絡したことはある」
斎藤知事は
「夜間、休日など時間おかまいなしの指示が矢のようにやってくる」
などという告発文書の記載が事実か問われたのに対し、
「案件によっては遅い時間や休日に連絡したことはある。主に、私への報告漏れや相談がなかったものについての指摘が多かったと思う」
「知事として報告、連絡、相談をしっかりしてほしいという思いが強かった」
「ただ、休日や深夜に連絡をしたのは適切ではなかった面もあるかもしれない」
と述べました。
■「記憶にない 1つひとつ覚えていないこともある 」
斎藤知事は
「自分が知らないことがテレビで取り上げられ、評判になったら『聞いていない』と担当者を呼んで執ように責めたてる」
という告発文書の記載が事実か問われたのに対し、
「記憶にない。なんらかの指摘をしたとしても、いろいろなレクを受けているので、1つひとつ覚えていないこともある」
と述べました。
■「当時の判断は適切」
斎藤知事は
「出張先で玄関の20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされ、出迎えた職員らをどなり散らした」
という告発文書の記載が事実か問われたのに対し、
「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な車の進入経路を確保していなかったことについて注意した」
「当時は車の進入禁止のエリアだと認識しておらず、当時の判断としては適切だったと思っている」
と答えました。

■証人尋問を終えて
証人尋問のあと、斎藤知事は記者団に対し
「自分なりに1つ1つの質問に懸命に答えた」
「自分の行為がハラスメントにあたるかどうかは、これから百条委員会や第三者機関で作業していく」
「改めて私の行為や言動を不快に思った職員には率直におわびし、県民にもおわびしたい」
と述べました。
また、進退については
「改めるべきところを受け止め、日々の仕事から変えていくことが大事で、県政を前に進めていきたい」
と述べ、辞職しない考えを重ねて示しました。
■維新の対応は
3年前の選挙で、斎藤知事を推薦した日本維新の会は、31日、藤田幹事長が神戸市で、党の兵庫県の地方組織や県議団の幹部と会談し、30日の斎藤知事の発言を受けた今後の対応を協議することにしています。
■維新の会 佐藤県議「断定するためにはもう少し調べたい」
百条委員会の委員を務める維新の会の佐藤良憲 県議会議員は、証人尋問のあとNHKの取材に対し、
「いろいろと事実は出てきていて核心に迫っている気はするが、断定するためにはもう少し調べたい」
「維新としては、もともと是々非々でやってきているので、まずは事実を解明していきたい」
「県議団としての対応はこれからの協議になると思う」
と話しました。
■百条委 奥谷委員長「説明責任が果たされたとは考えられない」
百条委員会の奥谷謙一委員長は証人尋問のあと記者会見で、
「尋問を聞いていて知事が記者会見で話している内容とそれほど変わらないという印象を受けた」
「説明責任が果たされたとは現時点では考えられない」
と述べました。
その上で、
「私の認識としては、告発文書に書かれていることはおおむね事実として認定できるのではないか」
「いろいろな意見があると思うが、極めてパワハラに近いと評価して差し支えないと思う」
「文書を作成した元局長に対する処分の手続きが適正だったのかどうかが非常に大きな論点だと思うので、来週の証人尋問は極めて重要になる」
「しっかり準備したい」
と述べました。

斎藤知事“パワハラ疑い”告発文書 百条委員会 証人尋問始まる
2024年8月23日 22時16分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240823/k10014557221000.html
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、県議会の百条委員会では23日、初めての証人尋問が行われ、県の職員6人が出席しました。
目次
証人尋問 県職員6人が出席
職員アンケート 中間報告を公表
■証人尋問 県職員6人が出席
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、県議会は、地方自治法にもとづく百条委員会を設置して事実関係の調査を進めています。
23日は初めての証人尋問が行われ、県の職員6人が出席しました。
百条委員会は、原則、公開することになっていますが、23日の尋問は、証言する職員の心理的負担などを考慮し、非公開で行われました。
委員会のあと、奥谷謙一委員長らが記者会見し、証人尋問の内容を説明しました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いをめぐっては、出席者から
「パワハラを受けた」
という明確な証言はありませんでしたが、
「叱責や舌打ちがあった」
「最高幹部が文具を投げられた」
という証言があったということです。
また
「告発文書を作成した元県民局長がパソコンを押収されたときの音声データがある」
という証言もあり、百条委員会としてデータの提出を県に求めたということです。
さらに、来週30日の斎藤知事の証人尋問はインターネット中継を含めて全面公開で行うことや、来月5日と6日にも職員の証人尋問を行うことを明らかにしました。
■職員アンケート 中間報告を公表
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、事実関係の調査を進めている県議会の百条委員会は、先月末からすべての県庁職員を対象にアンケートを行いました。
今月5日までに全体の半数近くにあたる4500人余りの職員から回答が寄せられていて、23日、その集計結果が中間報告として百条委員会に示されたあと、公表されました。
それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ4割にあたる1750人(38.3%)でした。
自由記述欄には
「公用車内で知事が激怒し、前部座席を蹴った」、
「机をたたいて怒り出す」、
「知事が出席するイベントや行事にマスコミが来ないと怒る」
などの内容がありました。
また、知事が贈答品を受け取っている疑いを見聞きしたことがあると回答した人は946人(20.7%)で、自由記述欄には
「40万円相当の革ジャンを試着し、『これはいい。もらえないか』と知事がおねだり」、
「両手で抱えきれない量のかきを全部1人で持って帰った」
などの内容がありました。
このほか
「受け取りを拒否した職員分のカニも知事が持ち帰ったと聞いた」、
「『その靴ほしいです。白い靴がほしいです』と発言した面談記録を読んだ」
などといった内容もありました。
ただ、回答は人づてに聞いたことをもとに書かれているものも多いということで、百条委員会は知事や職員の証人尋問で事実関係を尋ねるなど、調査の参考資料として取り扱うことにしています。
■斎藤知事「多くの職員が回答 大変残念な思い」
アンケートの中間報告が公表されたことを受けて、兵庫県の斎藤知事は記者団に対し
「個々の事案の内容は詳細に承知していないが、特にパワハラについては『人づてに聞いた』などの回答がおよそ4割にのぼっている」
「『県政をよりよくしていく』と3年間、必死でやり、必要な指示や指導をしたが、これだけ多くの職員が回答している事実に接し、大変残念な思いだ」
と述べました。
その上で
「職員の受け取り方とずれが生じたことで、不快な思いや負担をかけたことは重く受け止めなければならないし、真摯(しんし)に反省して改めていくことが大事だ。日々の業務の中では、職員への感謝の気持ちやねぎらいを積極的に伝えている」
と述べました。
■県市長会が要望書「県政が混乱し 大きく停滞」
兵庫県の元局長が作成した斎藤知事にパワハラの疑いがあるなどと告発する文書をめぐって県市長会は県庁を訪れ、斎藤知事に要望書を手渡しました。
要望書では一連の県の対応について
「県政が混乱し、大きく停滞していることは危機的とも評される」
としています。
その上で
「告発文書を公益通報者保護の対象とせず、十分な調査も尽くさず元局長を懲戒処分にしたことは多くの市長から不適切だと指摘があった」
として、県政の混乱を収束させるため最善の努力をするよう求めています。

斎藤知事は要望書を受け取り、
「心配をいただいていることに改めておわびを申し上げたい」
と述べました。
このあと、斎藤知事は記者団に対し
「指摘は真摯(しんし)に受け止めるが、県としては適切に対応してきたと考えている」
と述べました。
県市長会の会長を務める丹波篠山市の酒井隆明市長は記者会見で
「知事が自分の対応に追われて、県政を引っ張っていくリーダーシップを発揮できない状況にあることを大変、懸念している」
「百条委員会の調査ができるだけ早期に適切になされることを期待する」
と述べました。
■県民「事実をつまびらかにして」
斎藤知事に関する疑いを巡って県内では、事実関係を明らかにしてほしいという声が多く聞かれました。
このうち20代の大学生は
「疑惑になっているようなことをしていないなら、解明したほうがいいし、事実なら潔く認めたほうがいいと思う」
と話していました。
40代の会社員の男性は
「まわりがついてこないような状況では、政策を進めるにしても影響が大きいのではないか」
「まっとうな政治をしてほしい」
と話していました。
60代の女性は
「県政が止まっているように見えるので、県民が納得するような形で事実をつまびらかにしてほしい」
「人の命はすごく大事だし、公務員は一生懸命働いているので、みんなが幸せになれたらと思っている」
と話していました。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/425.html#c12

[政治・選挙・NHK296] 「嫌がらせ教」の異名を持つ創価学会がどのような方法で人々を危害してきたのかを暴いた報道@  (創価学会なぜなに相談室) 西大寺
13. 秘密のアッコちゃん[1234] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月07日 00:34:55 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[672]
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原発再稼働5割「進めるべき」 新増設は次世代炉・小型炉に期待の声
主要企業アンケート
2025/1/6 18:00
https://www.sankei.com/article/20250106-WVV4TBZAKJJEHNGK2OVPVW54F4/
昨年2024年12月に公表された新たな
「エネルギー基本計画(エネ基)」
の原案には原発を
「最大限活用する」
という方針が明記されたが、企業の間でも原発の利用促進への機運が高まりつつある。
産経新聞が昨年2024年11月中旬〜12月上旬に実施した主要企業111社へのアンケートでは、企業の51・4%が原発の再稼働を
「進めるべきだ」
と回答した。
人工知能(AI)の普及に伴う電力需要の増大などが見込まれる中、脱炭素と電力の安定供給を両立できる原発への期待が広がっている。
原発の再稼働を
「進めるべきではない」
との回答は3・6%。
45・0%は無回答だった。
昨年2024年7月の前回調査でも約5割が原発活用に前向きな考えを示していた。
エネ基の原案では2040年度の電力需要が2023年度に比べて最大で2割程度増える想定が示された。
一方で、温室効果ガスの排出目標は2035年度に2013年度比で60%減、2040年度には同73%減とする方向で、原発や再生可能エネルギーといった脱炭素電源の確保は待ったなしの状況だ。
原発の再稼働を
「進めるべきだ」
とした企業に理由を複数回答で聞いたところ、
「電力の安定供給を確保する」との回答が91・2%
と最も多く、
「化石燃料の使用を減らし、脱炭素化を推進する」80・7%
▽「国内のエネルギー自給率を高める」56・1%
▽「AI向けのデータセンターや半導体工場の増加で電力需要が拡大する」52・6%
▽「電気料金の値上がりを抑える」42・1%
と続いた。
原発の建て替えや新増設を巡っては、エネ基の原案には建て替えの要件緩和が盛り込まれたが、新増設を明確に推進するという記述はなかった。
アンケートでは
原発の新増設について「進めるべきだ」との回答が14・4%、
「次世代炉や小型炉を開発すべきだ」が31・5%
に上った。
「更なる活用はやめるべきだ」との回答は2・7%。
51・4%が無回答だった。
また、安全性や効率性を高めた次世代革新炉に対しては
「原発の安全性向上を目指して、開発・建設が必要だ」(運輸・郵便業)、
「官民を挙げて大胆で集中的な投資をしていくべきだ」(製造業)
などとの声が寄せられた。

<主張>新たなエネ計画 原発積極活用を歓迎する
社説
2024/12/18 5:00
https://www.sankei.com/article/20241218-XRQBOH2FXFNQNFQYB4SGX4SWHU/
経済産業省は、国の中長期的なエネルギー政策の指針となる新たな
「エネルギー基本計画」(エネ基)
の原案を有識者会議に示し、原発を最大限活用すると明記した。
エネ基は概ね3年ごとに改定される。原発については東京電力福島第1原発事故後の平成26年に策定した計画で
「依存度を可能な限り低減する」
とし、その後も維持されてきた。原発活用にとって前進となる。
電力は日々の暮らしや産業活動に欠かせないエネルギーだ。
脱炭素と共に、低廉で安定した電力供給を両立できなければ国力にも影響する。
ロシアによるウクライナ侵略でエネルギー情勢は一変し、エネルギー安全保障の重要性は一段と高まっている。
生成AI(人工知能)の普及などによって、電力需要は今後増大することも見込まれている。
大量の電力を二酸化炭素を排出することなく、安定的に供給できる原発の活用方針を明確に示したことを歓迎したい。
新計画では、令和22年度の発電量全体に占める原発の割合を2割程度とし、令和12年度に20〜22%とした現行計画の水準を維持した。
原発のリプレース(建て替え)の要件も緩和する。
廃炉後の建て替え場所について、同じ電力会社が保有する別の原発の敷地でも認めるという。
日本では福島第1原発事故後に原発の新増設やリプレースの動きが止まり、関連企業の間で事業からの撤退や廃業の動きが顕在化していた。
原発の活用方針が新計画に盛り込まれることで、原発技術の維持につながる効果も期待されよう。
一方、令和22年度の再生可能エネルギーの割合は4〜5割程度と初めて最大電源に位置づけ、令和5年度実績の22・9%から約2倍に増やす。
令和5年度に68・6%だった火力発電は3〜4割程度とする。
脱炭素が求められる中で、妥当な水準と考える。
問題はこうした電源構成をどうやって実現するかだ。
原発は使用済み燃料の最終処分場整備の問題を抱え、天候に左右される再エネを増やせば、電力供給の不安定化は避けられない。
火力では脱炭素化も急務だ。
日本のエネルギー供給体制を強固にするには、課題解決の手段も並行して実行する必要がある。
新計画を単なる数字合わせに終わらせてはならない。

原発「最大限活用」、既存原発大半再稼働へ 2040年度電源構成「2割」維持
2024/12/17 13:18
https://www.sankei.com/article/20241217-73IPZN7V2ROCVMBKR3H5HUFXHY/
経済産業省は2024年12月17日、中長期的なエネルギー政策の指針を示すエネルギー基本計画(エネ基)の原案を有識者会議に示した。
原発について2040年度の電源構成見通しを
「2割程度」
と従来計画と同水準とし、再生可能エネルギーと共に
「最大限活用する」と
明記した。
既存原発の大半に当たる30基程度を再稼働させる想定とした。
再生可能エネルギーは
「4〜5割程度」
と最大の電源構成に引き上げ、火力発電は
「3〜4割程度」
とした。
2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロに減らす目標達成に向け、2040年度に電源の6〜7割を脱炭素電源で賄う計画になった。
武藤容治経産相は2024年12月17日の閣議後会見で
「脱炭素電源を安定的に確保できるかが国力を大きく左右する」
と述べた。
原案では
「特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指す」
として、2011年の東京電力福島第1原発事故以降に記してきた
「可能な限り原発依存度を低減する」
や従来計画にある
「再エネに最優先で取り組む」
との文言を見直した。
原発の建て替えの要件緩和も盛り込んだ。
2023年2月に閣議決定した
「グリーントランスフォーメーション(GX)実現に向けた基本方針」
では、廃炉を決めた原発の敷地内に限って建て替えを認めていたが、同じ電力会社であれば、他の原発の敷地でも廃炉した分だけ原発を建て替えることを新たに認めた。
再エネの電源構成を巡っては、2040年度の内訳として太陽光22〜29%、風力4〜8%、水力8〜10%、地熱1〜2%、バイオマス5〜6%と示した。
一方、火力は従来計画で比率を示していた石炭火力や液化天然ガス(LNG)などの個別の比率を示さなかった。
原案は2024年12月17日の議論を踏まえ、来週の有識者会議に諮り、意見公募を経て2025年2月頃閣議決定を目指す。
2021年に閣議決定した計画では、2030年度の電源構成について、原発を20〜22%、再エネを36〜38%、火力を41%とする見通しだった。

原子力の発電コスト、LNG火力を下回る 2040年度時点 前回から逆転、政府試算
2024/12/16 19:20
https://www.sankei.com/article/20241216-KTKG3NA2F5IQTG3PRUR7AKX3LI/
経済産業省は2024年12月16日、2040年度時点の発電コストの試算結果を有識者会議で示した。
この中で、原子力のコストが、現在主力の液化天然ガス(LNG)火力のコストを下回るとした。
2021年の前回試算では、2030年度の時点でLNG火力が原発よりも安い電源としていたが、LNGの価格高騰などを受けコストが上昇した。
同省は2024年12月17日にエネルギー基本計画の改定案を公表し、2040年度の電源構成を示す。
2040年度時点の1キロワット時当たりの発電コストについて、原発が16・4〜18・9円(2030年度は11・7円以上)、LNGは20・2〜22・2円(同10・7〜14・3円)、太陽光(事業用)が15・3〜36・9円(同8・2〜11・8円)と試算した。
太陽光や風力など天候などによって発電量が変わる再生エネの導入が進むと、火力発電の出力を抑制したり揚水発電を利用したりするコストが発生する。
試算は再生エネが発電設備に占める割合を4、5、6割の3ケースで実施。
導入量が増えるとコストも上昇するため、6割のケースが最も高くなる。

政府、原発活用の姿勢鮮明に 次期エネルギー基本計画で「依存度低減」の表現見直しへ
2024/12/12 16:55
https://www.sankei.com/article/20241212-COBON2OMWNKFRJLAU3GIZQQHAQ/
政府が2024年年度内に見直す中長期のエネルギー政策の指針
「エネルギー基本計画」
で、東日本大震災後から明記してきた
「可能な限り原発依存度を低減する」
との表記を見直すことが2024年12月12日、分かった。
電力の安定供給と脱炭素の両立へ原発を活用する姿勢を鮮明にする。
当初は原発に依存しない社会の実現を
「党是」
とする公明党が表記維持を求めたが、原発活用を進めたい国民民主党や経済界の訴えもあり見直しに踏み切った。
政府は来週にも開く有識者会議で次期計画の素案を示す。
原発と再生可能エネルギーを
「最大限活用する」
と明記。
「原発依存度を低減する」
という表記は削除し、
「特定の電源や燃料源に過度に依存しない」
といった表現を盛り込む。
政府は2011年の福島第1原発事故後に依存度の低減を掲げる一方で、岸田文雄政権下の2022年に決定した
「GX(グリーントランスフォーメーション)基本方針」
では最大限活用する方針を明示していた。
2つの表現は矛盾するとの指摘が上がり、次期計画では依存度低減の表記の扱いが焦点となった。
次期計画の議論では当初、表記を残す案が浮上。
公明が表記見直しに対して強硬に反対し、自民党にも
「無理に削る必要はない」(関係者)
との意見があったためだ。
だが先の衆院選で自公は少数与党となり、躍進した国民民主と政策協力を模索。
電力総連の支援を受ける国民民主の玉木雄一郎代表(現在は役職停止中)は石破茂首相に原発推進を直談判し、政府内で表記削除の方針が強まった。
大量の電力を消費する人工知能(AI)時代には、二酸化炭素(CO2)を排出せず出力が安定した原発が不可欠だとして自民の推進派や経済界も表記削除を求め、公明は現実路線を受け入れざるを得なかった。
公明幹部は
「党の依存度低減の方針は変わらない」
「遠い将来には核融合などの新技術も期待できる」
と話した。
また、次期計画では原発の建て替えに関し、同じ電力会社なら廃炉が決まった原発の敷地外でも建設できるようにする。
GX基本方針では敷地内に限定し、公明は制限緩和に慎重だったが、
「原発の総数が変わらなければ党の考えと齟齬はない」
として受け入れたようだ。

原発含む複数の電源をうまく使うことが重要 東京科学大の奈良林直特任教授
2024/12/7 19:33
https://www.sankei.com/article/20241207-4RXYGX773NPC3MN6IOCDSCBYWA/
2024年12月7日に再稼働した中国電力島根原発2号機(松江市)。
意義や役割などについて東京科学大の奈良林直(ただし)特任教授(原子炉工学)に聞いた。
中国地方初の再稼働で、地元経済の活性化に繋がるのではないか。
再生可能エネルギーでは安定電源として不安があり、原発が稼働する意義は大きい。
安全対策も最新鋭の原発と比較して遜色のないものになっている。
中でもフィルター付きベント設備は重要だ。
万一、事故が起きて原子炉格納容器の圧力を下げるために排気を行っても、放射性物質の周辺への拡散を最小限にとどめられる。
福島第1原発事故は、地震や津波がいずれ起きることが分かっていながら十分な対策が取られていなかった。
一方で、電力需給が逼迫し停電が起きてしまうことでも人命が失われてしまうリスクがある。
再エネは気象状況などによって発電量が安定しない。
需給の調整役として蓄電所を設置する動きもあるが、バッテリーのコストが高く、火力発電の代わりとするのは現実的ではない。
安定電源としての原発を含め、複数の電源をうまく使っていくことが重要だ。

原発再稼働は電気料金にも影響 東西格差広がる懸念
2024/12/7 19:30
https://www.sankei.com/article/20241207-CAB5NVD74FPJ3HKVDSQ5EMROQI/
原発の稼働は安定電源の確保だけでなく、電気料金という形でも市民生活に影響を与える。
東京電力福島第1原発事故以降、全国で原発が停止し、火力発電に依存している地域では電気料金が高くなる傾向がある。
各電力会社の2024年12月の標準的な家庭の電気料金モデルを見ると、原発を稼働していない東電は8868円なのに対し、7基稼働している関西電力は7664円と千円以上安い。
関電は平成29年8月、高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働を受けて大手電力では福島原発事故以来初めて電気料金を値下げしている。
島根原発の再稼働については、すぐさま電気料金値下げに繋がるわけではない。
中国電力は令和5年6月に、主に一般家庭向けとなる
「低圧」
の電気料金について再稼働を織り込んで既に値下げしているからだ。
ただ、発電量全体に占める火力発電の割合が下がり、燃料費が下がることで通年で稼働した場合400億円の増益効果がある。
このため、今後料金が下がる要因になる可能性はあり、中国電から電力融通を受けられる関電の料金にもプラスの影響が期待される。
一方、東電は柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を目指しているものの、地元同意が得られず見通しは立っていない。
東西の電気料金格差の解消にはまだ少し時間がかかるとみられる。

「敬遠された原子力」は今や「希望の星」 NYタイムズの原発「再評価」報道に注目を
新聞に喝! 経済ジャーナリスト・石井孝明
2024/11/24 10:00
https://www.sankei.com/article/20241124-JECZQ6WAFRKEXJ7SXI2LZH2NKA/
「かつて敬遠された原子力は今や気候変動の新たな星」。
米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は2024年11月15日、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)を取材した記者の記事を伝えた。
気候変動交渉での原子力への期待が以前より強まっているという。
同紙は米国で影響力がありリベラル色が強い。
再エネ推しだが、この1年は論調が変化している。
これは世界各国で原子力への評価がこの数年高まっていることを反映したものだろう。
ウクライナ戦争以降、国際エネルギー情勢の不透明感が続く。
人工知能(AI)の利用拡大、情報通信技術(ICT)の深まりで、全世界で電力需要の拡大が見込まれる。
新興国は経済成長のために電力を欲しがる。
一方で気候変動も深刻だ。
脱炭素の電源であり、巨大な量の電力を生む手段として、原子力発電が期待されている。
産経新聞は2024年10月20日に
「衆院選とエネ政策 原発で日本回復を目指せ 国民生活とAI立国のために」
と、世界の流れに沿った社説を出した。
ところが、
「原発は悪」
という一種の思想に捉われ続ける新聞・メディアもある。
COP29を伝えた朝日新聞の社説
「気候変動会議 世界の結束に力尽くせ」(2024年11月13日)
では、NYタイムズと同じ会議を論評したのに、原子力は他電源と並べ
「議論も注視する必要」
との言及のみだ。
「再エネへの期待が大き過ぎる」(電力会社幹部)
と批判される日本経済新聞も
「再エネ投資で地方活性化 石破政権初のGX会議」(2024年11月1日)
という記事で、岸田政権のグリーントランスフォーメーション(GX)政策が継承されることを歓迎した。
それどころか原子力への敵意を示す記事は消えない。
原子力規制委員会は、日本原子力発電の敦賀原発2号機の下に活断層がある可能性があるとして、2024年11月13日に新規制基準に基づき不合格とした。
同日の東京新聞は
「敦賀原発2号機『不適合』が覆る可能性は? 日本原電に『反省』求めた山中伸介・原子力規制委員長」
と、その判断に批判的な見方もある規制委の言い分をそのまま掲載した。
東京電力福島第1原発事故の後で、日本の新聞は反原発を主張し過ぎた。
そのために原子力を巡る世界の変化を知っても、論調を変えられないのかもしれない。
原子力問題に
「思想」
を持ち込まず、公平な視点で見てほしい。
このままでは、日本の経済記事も、それに影響を受けるエネルギー政策、供給体制作りも、世界の流れから益々ずれてしまう。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/422.html#c13

[政治・選挙・NHK296] マイナ保険証強制に必死の厚労省とそれにひと役買うメディアの馴れ合い!!(くろねこの短語) 赤かぶ
15. 秘密のアッコちゃん[1235] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月07日 10:55:26 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[673]
<■3151行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を考えた場合、マイナス面が圧倒的に大きいので、選択的夫婦別姓制度の導入には断固反対だ。

自民・高市氏 選択的夫婦別姓「最大数は通称使用を求める声だ」「親族間の争い、懸念」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20250107-W5RW4UL5FJEUVNSZEFQAEOYCVQ/
立憲民主党が民法改正案の国会提出に意欲を示すなど、選択的夫婦別姓(氏)の導入が現実味を帯びている。
一方で産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
導入に慎重な自民党の高市早苗前経済安全保障担当相に考えを聞いた。

■家裁の決定で納得できるか
ーー慎重な理由は
最大の理由は、選択式であっても子の氏の安定性を損なう可能性があるからだ。
現在は、婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏のため、出生した子は両親と同氏になるが、戸籍上も別氏の夫婦を認めた場合、子の氏の決め方について、全ての別氏夫婦が納得できるルールが必要だ。
夫婦別氏を求める理由として、一人っ子同士の結婚により片方の実家の氏が途絶えるという事情が挙げられることを考えれば、夫婦双方の実家が子の氏を決める協議に介入する可能性もある。
本来幸せな出産直後に、子の氏を巡って親族間に争いが生じることを懸念する。
戸籍上の夫婦親子同氏、つまりファミリーネームは残した方がよい。

ーー通常国会で立憲民主党が法案を提出する構えだ。立民案の問題点は
過去に国会に提出された立民案では、子の氏について、出生の際に父母の協議で定めるが、協議が調わない時は家庭裁判所が子の氏を定める旨を規定している。
家裁はどのような基準で判断するのだろうか。
離婚時に子の親権を争った過去の裁判例は
『子を養う経済力』
『子との関わりや愛情』
などの要素を総合的に考慮して判断している。
しかし、出生直後の子の氏を争う場合、家裁が如何なる決定をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示せるとは考え難い。

■自民党内でも放置
ーー高市氏は通称使用の拡大を推進してきた
総務相在任中に
『住民基本台帳法』
『国勢調査令』
など総務省が所管する全法令をチェックした。
そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。
合計1142件で旧氏記載が可能になった。
今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている。
免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。
国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。
国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える。

ーー法案も作成し提出している
平成14年と令和2年の2回、自民党政調会の法務部会に提出した。
1回目は反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は審査もされずに放置されている。

■子の視点は貴重
ーー今後の議論はどう進めるべきか。議論の中で果たしたい役割は
令和4年3月に公表された直近の政府世論調査では、戸籍上の同氏維持を支持する回答が69・2%であり、最大数は旧氏の通称使用を求める声だ。
選択的夫婦別氏制度の法制化により戸籍が同氏か別氏かの二択になってしまうと、
『戸籍上は夫婦親子同氏を希望するが、社会生活では旧氏を通称使用したい』
と希望する方々の利便性を高めるための取り組みが遅れることを懸念する。
これまでの旧氏併記の取り組みも水泡に帰す。
この点をしっかり伝えていきたい。

ーー小中学生を対象に産経新聞が実施したアンケートによると、家族で名字が別になることに「反対」が約50%で「賛成」を上回った
子の視点からのアンケートは、珍しく貴重だと思った。
18歳以上を対象にした政府の世論調査でも、夫婦の姓が違うことによって子供に
『好ましくない影響があると思う』
と回答した方が約7割だった。
やはり、夫婦別氏制度の導入については、慎重な検討が必要だと思う。

夫婦別姓導入「前進する年」と意欲 公明・斉藤代表「社会の多様性、国際的視点から必要」
2025/1/6 12:53
https://www.sankei.com/article/20250106-EWBT22YCPVHSHO4Q4ML6764BUY/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年1月6日、東京都内で開いた党の新年仕事始め式で、選択的夫婦別姓の早期導入に向けて議論をリードしていく考えを示した。
「社会の多様性や国際的な視点から必要な制度だ」
「前進する年にしていきたい」
と述べた。
斉藤氏は昨年2024年12月18日に石破茂首相(自民党総裁)に対し選択的夫婦別姓に関する実務者協議を打診している。
斉藤氏は
「きょうだいが複数いる時の姓をどうするのか細部を提示する案はまだどの党からも出ていない」
「与党として実務者協議を始めようと申し入れている」
「首相は
『一旦引き取らせてほしい』
という答えで、2024年年末に会った時も
『もう少し検討させてほしい』
だった」
と語った。

立民・野田代表「賛成が16%いるのでしょう?」「なぜ反対か分からない」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/6 10:00
政治
https://www.sankei.com/article/20250106-2TX7ILQS7NMOVFPPJ23JNZ7TDI/
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党の野田佳彦代表に狙いを聞いた。

ーー選択的夫婦別姓の意義は
選べるという点ではないか。
同姓で不都合を感じる人がいるならば選択できるようにする、改善するのは合理的な考え方ではないか。
それだけのことだ。

ーー小中学生約2千人を対象に行った本紙調査で、「別々の名字にしたい」は13・6%だった
結婚や社会人になって働くことに対するリアリティーがなく、分からないというのが率直なところだろう。
大人では7割が賛成となる。
大人になると、家族の問題で色々な不都合を感じることがあるのかなという受け止めだ。

ーー両親が別姓を選択した場合、同じ家族で名字が別になることに「反対」が49・4%、「賛成」が16・4%だった
賛成が16・4%いるのでしょう?
だから選択的が必要になる。
一緒がいいなら一緒を選べばいい。
基本的には国ではなく、家族が決めればいい。

ーー家族の一体感が損なわれるとの懸念がある
同姓でも家庭不和は生まれる。
あまり合理的な話ではない。

ーー通称使用の拡大でも対応できるのでは
通称使用を拡大しても不都合を感じている人たちが実に多い。
不動産登記などでビジネスを阻害している側面があり、経団連も選択的夫婦別姓の実現に向け動いている。
海外に行くと、尚更不便だ。
通称使用では限界という事例がたくさんある。
強烈な不都合を感じる人たちが何人もいるならば、対応を考えることは当然だ。

ーー衆院は少数与党だ。どう議論を進めるか
できるだけ多くの野党に声をかけて議員立法で出していく。
政府が法案を提出するとの話も聞く。
政府案が提出されなければ野党案をベースに議論してもらいたい。
野党としてまとまった方が与党との交渉で迫力が出てくる。
公明党も基本的には賛成の立場なので、よく連携していきたい。

ーー野田氏は衆院法務委員長ポストの獲得を指示し、立民議員が就いた
法務委では長い間、放置されてきたテーマが多い。
選択的夫婦別姓も平成8年に法制審議会の答申が出たが、政府は腰を上げず国会でもまともに議論されなかった。
放置されてきたテーマを議論する意味で、意義のあるポストの獲得だった。

ーー参院では与党過半数のままだ
衆院通過した法案を参院が潰すことは大変勇気がいる。
2025年夏の参院選前に反対した人たちは追い込まれるのではないか。
参院法務委員長は公明だ。
衆院通過した場合の参院の対応は見ものだ。
昨年2024年12月の講演で
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上に上らされないことは、もう通用しない」
と述べた
世論も7割、経団連も『早く決着を付けろ』という中で、なぜそこまで強く反対する人たちがいるのか。
選べるわけだから。
なぜ選んではいけないのか、よく分からない。

ーー自民などの反対で法案が成立しなければ、内閣不信任決議案を提出するか
理不尽な形で妨げられたならば、そういうことになるかもしれない。
議論を見ながらの判断だ。簡単に不信任案を振り回そうと思っていない。

夫婦別姓間の子供の名字は家庭裁判所が決める 新たな家族不和の火種「いっそくじ引きで」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/5 10:00
https://www.sankei.com/article/20250105-2O4UALZDWVL47IYBPVXR6AKEKM/
選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では
「旧姓使用拡大」
が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。
中には
「保守派に配慮した」
などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。
同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について
「あると思う」は69%、
「ないと思う」30・3%
という結果もあり、
「ある」
と答えた人の理由(複数回答)は
「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、
「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%
が多かった。
では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。
子供の姓については
「出生の際に父母の協議で定める」
としており、一致しない場合は
「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」
とした。
この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。
仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。
■くじ引きが合理的
弁護士の北村晴男氏は
「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる」
「裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」
と指摘する。
夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、
「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」
と判断した。
更に
「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を1つにするのは合理的」
と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。
この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など平成27年以降の状況を踏まえた上で尚
「判断を変更すべきものとは認められない」
と結論付けている。
■新たな人生が始まる
この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層
「改姓の喪失感」
「精神的な負担」
が強調されるようになった。
昨年2024年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの
「過酷な二者択一」
を迫っていると指摘。
「家族の在り方や国民意識の多様化」
が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。
もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば
「強制的親子別姓」
となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。
家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は
「夫婦間だけでは済まない話だ」
「嫁姑の確執も酷くなるだろう」
と危惧する。
孫の名字を巡って双方の祖父母が争いになる可能性もある。
また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。
国士舘大学の百地章名誉教授は
「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す」
「我が国が長年維持してきた戸籍制度の解体に繋がる」
と警鐘を鳴らす。
先の内閣府の世論調査には、
「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)
との問いもある。
最も多かったのが
「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、
次が
「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)
だった。

選択的夫婦別姓制度の導入、小中学生も半数が「反対」 産経新聞調査、子供たちの考え方が統計的に明らかになるのは初
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-RVHIXOJPMBIBHLI3S5IP4HO6GI/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが産経新聞の調査で分かった(2025年1月1日報道)。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割に上った。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
調査は、全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗した。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親や兄弟姉妹と違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49.4%、
「賛成」16.4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18.8%、
「よくわからない」15.4%
で、反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13.6%
だった。
男女別で大きな違いはなかったが、自身が
「別姓にしない」
は男子(56.7%)より女子(63.4%)
のほうが上回った。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)
2025/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20250104-CWCQ5CGQ5BPMFIJ5XAZLSMQCCM/
■立民の印象操作に乗せられるな!
「選択肢が増える」
という物言いに対して、大半の人は
「いいじゃない」
と反応するだろう。
ただ、そこに巧妙なワナが仕掛けられていることもある。
ある結婚情報サイトが、選択的夫婦別姓制度について、そのメリット、デメリットについて解説し、こうまとめている。
「以前よりも、多様性を認め合う社会へと進むなかで、個人の権利や選択肢を尊重する傾向はますます強まっていくと考えられます」
「夫婦間の姓をどう選ぶかもそのひとつです」
「夫婦別姓が導入されても、すべての夫婦が別姓になるわけではなく、あくまで選択肢が増えるということ」
メディアに流れているのはこんな物言いばかりだ。
こうした情報環境のなかで暮らす人々が、アンケートで
「この制度を導入すべきだと思いますか」
と問われれば、多くが
「導入すべきだ」
と答えるに違いない。
法務省のサイトに、令和3年に実施した
「家族の法制に関する世論調査」
の結果が掲載されている。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27・0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42・2%、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28・9%
だった。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は昨年2024年10月末、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告をした。
女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多く、それが差別的だというのだ。
そうした流れの中で、立憲民主党は先の総選挙で与党が過半数割れとなったのに乗じて、衆院法務委員会の委員長ポストを要求して確保した。
委員長は同制度の導入にとりわけ熱心な西村智奈美議員である。
立民はCEDAWの勧告や、
「結婚後に夫婦のいずれかの氏(うじ)を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」
という法務省の調査を利用して、日本がさも女性に差別的で後進的な国であるかのような印象操作を行っているようにみえる。
安倍晋三元首相の暗殺後、リベラル派に乗っ取られた感のある自民党の中にも
「導入すべきだ」
と考える者が少なくなく、うかうかしていたら、すぐにでも民法改正が実現してしまいそうな勢いだ。
■憲法改正に匹敵する案件
12月5日の衆院予算委員会において、自民党の山下貴司議員は、同制度を巡り
「旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういうニーズに応えられていない」
「女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要がある」
と、石破茂首相の考えを問いただした。
これに対して石破首相は
「前の姓を変えなければならないということに対して物凄く辛くて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います」
「それは女性が95%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう」
と、情緒的な答弁をし、同制度の導入に前向きな姿勢を示した。
石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《世の中はなかなか直りにくいものである》
《人々は自分を圧迫するものに対して余りにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかり焦り、それにはどんな代償がいるかを考えない》
《我々はたくさんの実例によって、社会は普通、直されて却って悪くなることを知っている》
(第3巻第9章「全て空なること」関根秀雄訳)
同制度の導入がどんな副作用をもたらすか、十分に議論されているとは到底思えない。
導入に伴う民法改正は、憲法改正に匹敵するほどの最重要案件であると私は考えている。
国民投票に付してもいいほどだ。
しかし、国民投票が実施されるのは国会が憲法改正を発議した時だけだ。
ならば、今年2025年実施される国勢調査に合わせて、同制度導入の可否を問うアンケートを実施したらどうだろう。
■家族制度こそが社会を規定する
私が家族制度に拘るのは、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』(藤原書店、石崎晴己訳)の影響だ。
下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、トッドは家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てた。
家族制度が人間の心性に大きな影響を与え、ひいては人間が形成する社会を特徴付けてゆくというのだ。
トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か、きょうだいの関係が平等か否かによって分類する。
そこから導き出されるのが、
@親子関係が自由主義的できょうだい関係が不平等(長子優先)=絶対核家族、
A親子関係が自由主義的できょうだい関係が平等=平等主義核家族、
B親子関係が権威主義的できょうだい関係が不平等=直系家族、
C親子関係が権威主義的できょうだい関係が平等=共同体家族
の4つである。
例えばパリ盆地を中心とするフランス北部はAの平等主義核家族であり、それゆえにこの地が
「自由・平等・友愛」
を唱えるフランス革命の担い手となった。
@の絶対核家族が優勢なのはイングランドと、その移民の子孫であるアメリカだ。
この家族型が、個人の自由を絶対視し平等に無関心な強欲資本主義の母体となった。
Cの共同体家族は、西ヨーロッパにはまれで、ロシア、中国、ベトナム、東ヨーロッパに多いという。
この家族型がもたらしたのは言うまでもなく社会主義革命である。
ちなみに戦前の日本は間違いなくBの直系家族だろう。
この中で育まれた心性が、明治以降であれば天皇に対する態度、日本軍のありように投影されていたように思う。
現在の日本がどの家族型に当てはまるかは判然としないが、権威主義的でなくなったことだけは確かだろう。
そこに付け入ったのが選択的夫婦別姓制度推進派だ。
私は邪推する。
女性差別撤廃を掲げる彼らの本当の狙いは、家族を精神的に解体し、更には戸籍制度も廃止して、日本人をバラバラにすることではないかと。
その上でバラバラになって寄る辺なく浮遊する日本人をCの共同体家族としてまとめあげようとしているのではないかと。

韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/4 10:00
https://www.sankei.com/article/20250104-GNUKUJWJCZNKHJTBSELPBB5IWA/
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」
韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。
いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での
「別姓」
という印象を抱いている。
韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。
その姓氏制度は、東アジアで最も
「男性中心的」
とされる家族制度に起因するものと言える。
例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。
一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。
子供の姓については、
「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」
と民法で規定。
例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に
「尹」
の名字を引き継ぐ形となる。
例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。
■実家を説得する余力
2024年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。
だが、半年以上経った現在も尚苦悩している。
陳さんは
「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」
というが、
「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。
夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。
ただ、日本の
「夫婦別姓推進派」
は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、
「海外では別姓が主流」
「日本は遅れている」
との主張も少なくない。
米国では1970年代に全ての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。
基本的には婚姻時に
@夫の姓を選ぶ
A妻の姓を選ぶ
B別々の姓を維持する
C両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する
というパターンがある。
ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。
■姓を後世に残す動き
中国では中華人民共和国建国翌年の1950年に施行された婚姻法で夫婦別姓が明記された。
現在、子供の姓は両親のどちらかの姓を選択するが、韓国同様、一族を重視する価値観から、父親の姓を名乗るケースが多かった。
一人っ子政策が廃止された2016年以降は、兄弟姉妹で父母それぞれの姓を名乗る現象が一部で起きている。
両親それぞれの姓を後世に残そうとする動きと言える。
ただ、兄弟姉妹で別姓を名乗ることが、学校でからかいの対象になる、といったケースも報告されている。
各国の家族の枠組みについて詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は
「夫婦の姓に関する制度は国の慣習によって異なる」
「時代や価値観の変化に合わせて利便性や公平性などの観点から米国やドイツでは夫婦別姓が選択できるようになった」
と言及。
一方で、両国では夫婦同姓を選ぶ人が多数派を占めている現状について、
「子供も同じ姓になったほうが親としての証明が容易となるメリットがある」
と指摘した。

選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20250103-33B4YHNURFNUXFSJKAGPJITCPQ/
「個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクだ」。
経団連は昨年2024年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表。
十倉雅和会長は記者会見で理由をそう説明した上で、
「改正法案を一刻も早く国会に提出していただきたい」
とも踏み込んだ。
トヨタ自動車など日本を代表する企業1500社以上で構成する経団連は、経済界が直面する課題の意見を取りまとめ改善策などを発信する役割がある。
だが、今のタイミングで提言するほど、選択的夫婦別姓は経済界の喫緊の課題なのか。
産経新聞社は昨年2024年11月中旬から2024年12月上旬にかけて主要111社にアンケートを実施。
社内で旧姓呼称を認めているかを尋ねたところ、
「認めていない」
とする企業はゼロだった。
「慣例として認めている」が58・6%、「就業規則などで認めている」が29・7%。
「無回答」が11・7%あったとはいえ、9割弱の企業が何らかの形で旧姓呼称を当たり前に認めているのだ。
■国家資格はほぼ旧姓OK
さらに経団連が求める法制化の是非も聞いたところ、
「実現すべき」は25・2%で、
「現状で不都合がないので慎重に議論すべき」も10・8%あった。
もっとも「無回答」が最も多い63・1%あり、判断に迷っているのか、経団連の方針に異議を唱えにくい雰囲気があるのかはわからない。
夫婦別姓をめぐる議論は働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証、銀行口座などの名称変更の煩わしさから旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
職場での呼称が解決に近づいているのであれば、残る課題はどうか。
内閣府によると、昨年2024年5月末現在で320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格も条件に若干の違いがあるだけだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも旧姓併記ができる。
金融機関も既存口座の旧姓名義による取引を認めており、一部認めていない場合もシステム改修が進めば対応可能になるという。
もっとも、こうした事実が広く周知されているとは言い難いのも事実だ。
■不便さは残るが
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。
ある大手企業の役員は
「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」
と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。
パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。
だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年2024年末、
「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」
と述べた。
「困っている人」
とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は
「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている」
「選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」
と指摘している。

公明、立ち位置に苦慮 政策実現も手柄は野党 来夏の都議選、参院選へアピール模索
2025/1/2 16:26
https://www.sankei.com/article/20250102-7MRII3PF6JOHXDIQCRV7IFLMXE/
公明党が自民党との連立政権で立ち位置に苦慮している。
石破茂政権が少数与党になったことで、法案成立に向け野党の国民民主党や日本維新の会に配慮せざるを得なくなり、
「政権の政策に党の主張を反映させる」
という存在意義が揺らいでいるためだ。
「年収103万円の壁」
の引き上げなどは公明も主張してきた政策だったが、自民から譲歩を引き出した野党側の成果として扱われ公明は埋没している。
公明の斉藤鉄夫代表は2025年1月2日、東京・池袋駅前で新春の街頭演説を行い、今夏2025年夏の参院選、東京都議選に向けて
「新しい公明の最初の戦いとして、何としても押し上げてほしい」
と支持を訴えた。
だが、世論や支持者へのアピールは、いまいち広がりを欠いている。
昨年2024年12月26日、斉藤氏は記者団にこう強調した。
「予算案の取りまとめに当たっては、野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきたという自負がある」
党の政策実現ではなく、合意形成への貢献をアピールせざるを得ないところに、今の立ち位置の難しさが伺える。
年収103万円の壁引き上げは自民、公明、国民民主の3党協議で実現し、これを看板政策とする国民民主の手柄とされた。
公明も以前から103万円を含む年収の壁解消を訴えており、令和7年度税制改正には高校生世代の扶養控除の維持など公明の主張も反映されたが、存在感は乏しい。
それでも斉藤氏は2025年1月2日の街頭演説で3党協議に言及し
「予算審議の途中に、色々な修正があり得るのかもしれない」
「協議に真摯に対応していきたい」
と国民民主への歩み寄りを示唆した。
石破政権は維新とも連携を図り、自公維3党による教育無償化の実務者協議を昨2024年末に始めた。
教育無償化もまた、公明が力を入れてきた政策だ。
公明幹部は
「公明だけでは引き出せず、野党と一緒なら引き出せると言われる」
「忸怩たる思いだ」
と漏らす。
先の衆院選で、公明は自民派閥のパーティー収入不記載事件の呷りを受けて議席を大幅に減らした。
2025年夏の参院選と都議選を睨んだ反転攻勢に向け、自民と同一視されることを避け、独自色を打ち出したい考えだ。
自民内で賛否が分かれる選択的夫婦別姓制度でも、党内議論を深めるよう強く自民に要求している。
とはいえ、自民との連立関係を崩すこともできない。
公明関係者は
「支持者からはいつまで自民とやっているんだという声もある」
「だが、もう4半世紀続いている」
「野党になったら何もできない」
とぼやいた。

年内にも現実味帯びる選択的夫婦別姓 立民、通常国会に法案提出へ 公明も賛同
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20250102-T64AG4MHX5I5HJD4BQLW36T3LA/
立憲民主党は今月召集の通常国会で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だ。
党内でも賛否がある自民が立民案に乗るとは考えにくいが、導入を求める公明が立民案に賛成すれば、連立与党内で対応が分かれる異例の事態となる。
自民に一定数いる推進派が賛成すれば衆院で可決され、家族の在り方を大きく変えうる制度の導入が2025年年内にも現実味を帯びている。
衆院選の公約では、選択的夫婦別姓には立民と公明の他、国民民主、共産両党やれいわ新選組なども賛成。
自民と日本維新の会は
「旧姓使用の拡大」
を主張しており、衆院法務委員会の構成を見れば、賛成派は過半数に届かない。
ただ、衆院選後に就任した維新の前原誠司共同代表は
「個人として賛成」
と表明。
公明の斉藤鉄夫代表も
「決断する時だ」
との考えで、石破茂首相(自民総裁)に与党協議を進めるよう直接要請している。
これに対して自民では旧姓使用の拡大を軸にした対案を出す可能性があるが、他党の賛成がなければ数の上で可決はおぼつかない。
何よりも自民内の推進派が造反する可能性がある。
自民では党の方針に反した場合は処分の対象になり得るが、党内の分裂を避けるため党議拘束をかけないとの見方もある。

選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:05
https://www.sankei.com/article/20250102-CV4VLTYCYRL4LHL3FHZJHRA3OA/
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。
先月2024年12月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。
令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では
「ノイジーマイノリティー」
が逆転しているようだ。
「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。
局面が変わったのは昨年2024年10月の衆院選だった。
与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。
衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。
しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を
「返上」
した代わりに
「敢えて法務委員長を取りにいった」(野田氏)
からだ。
賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。
■早く決めてほしい
自民内でも以前から議論はあった。
令和3年3月に推進派の
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)
が立ち上がると、翌月令和3年4月には慎重派が
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
を設立。
同年令和3年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。
別姓推進派の中堅議員は
「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう」
「残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。
慎重派のベテラン議員は
「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」
と明かす。
■修正を加える形で
慎重派の念頭にあるのは
「家族の一体感」
を大切にする本来の保守層の
「自民離れ」
が加速することだ。
ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。
立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば2025年3月の来年2025年度予算成立後の2025年4月以降となる見通しだ。
昨年2024年の臨時国会では、政治改革関連で与野党が9法案を提出。
国会審議や各党協議の末に3つの法案が成立した。
このうち政策活動費廃止の法案は野党案に自民が賛成した。
推進派若手は
「少数与党のうちに野党案に修正を加える形で決着をつけた方がいい」
「そうでないと、自民を分断しかねない爆弾をずっと抱えることになる」
と本音を漏らした。
仮に自民が党議拘束をかけず、立民案が衆院で可決された後は参院に舞台が移る。
参院は現在も自公で過半数を占めるが、衆院の段階で立民案に公明が賛成していることを前提とすれば、自民は日本維新の会などを巻き込まない限り
「少数派」
に転落し、立民案が成立する可能性がある。

新聞各紙、元日1面トップは中国の拡張、能登の思い、民主主義企画…産経は夫婦別姓と子供
2025/1/1 19:29
https://www.sankei.com/article/20250101-FILLPV42SBDGLNW3Y2ENVFSW44/
元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。
令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
■夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年〜中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が
「家族で名前が変わるのは反対」
と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が49・4%で
「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
■中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
■デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて
「デモクラシーズ これまで これから」
と題した連載企画の掲載を始めた。
最新のデジタル技術を生かして民主主義を
「アップデート」
させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
■強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、
「逆転の世界 備えよ日本」
と題した。
多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。
局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
■つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。
延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる
「関係人口」
の拡大について考察した。
■招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。
地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。
式の中身はまだ決まっていない。
ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250101-QGCTY3PY4JEHLHHXAFDFEVX2LQ/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが、産経新聞社の調査で分かった。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割にのぼった。
立憲民主党が夫婦別姓の民法改正案の国会提出に意欲を示しており、石破茂首相も昨年2024年末
「議論の頻度を高める」
と述べた。
自公与党も前向きな議員が多いことから、次期通常国会での法案成立が現実味を帯びている。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題に配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
年齢層の低い小学生は対象数を絞った。
小中学生共に学校を通じた場合は、教員が調査の趣旨を説明した上で、立ち会う形式を取った。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「全く知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よく分からない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49・4%、
「賛成」16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18・8%、
「よく分からない」15・4%
で反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%だった。
小学生だけに絞ると、
別姓に「反対」は46・2%、
自身が「別姓にしない」は55・8%
で全体よりやや低かったが、各質問共に
「分からない」を選ぶ傾向が強かった。
男女別で大きな違いはなかったが、
自身が「別姓にしない」
は男子(56・7%)より女子(63・4%)のほうが上回った。
別姓の是非で
「親が決めたのなら仕方がない」
と消極的な賛成を選んだ女子(22・6%)も男子(15%)より多かった。
学校や学年別、民間調査会社による調査でも、結果の割合に大きな差はなかった。

選択的夫婦別姓、法律に「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-L3VK2UL4H5EMJPW6X5DVUGNXJQ/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査の質問項目と詳しい結果、調査の方法は以下の通り。
質問項目と回答
選択的夫婦別姓調査 質問項目と回答
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)について、みなさんの意見を聞かせてください。答えたくない人は、答えなくてかまいません。
【質問】
1.いま、社会で問題となっていることに「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)」があります。
日本では結婚(けっこん)するときに
「男性(お父さん)か女性(お母さん)のどちらかの名字と同じにしなければならない」
ことが法律(ほうりつ、国のルール)で決まっています。
この法律を
「それぞれ別々の名字のままでも結婚できる」
ように変えようというものです。
こうしたことについて、知っていましたか。
回答者1971人 男子 女子 全体(%)
○よく知っていた 16 17.9 16
○少し知っていた 34.3 43.3 37.1
○まったく知らなかった 28.7 23.9 26.2
○ほとんど知らなかった 21 15 20.7
2.いまは結婚してからも、結婚するまえの名字を会社で使ったり、手続きをすれば、免許証(めんきょしょう)やパスポートに結婚する前の名字をならべて書けるようになったり、これまでできなかったことができるようになっています。
それでも、あなたは
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ように法律を変えたほうがよいと思いますか。
回答者1966人 男子 女子 全体(%)
○変えたほうがよい 32.9 37.4 34.9
○変えないほうがよい 31.6 30.7 30
○よくわからない 35.6 31.9 35.1
3.もし、法律で
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ことが決まり、お父さんとお母さんが別の名字になったら、子供もお父さんかお母さんのどちらかとはちがう名字になったり、兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかでちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子 全体(%)
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9 16.4
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15 22.6 18.8
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51 49.2 49.4
○よくわからない 18 11.4 15.4
4.みなさんが結婚するころには
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
と法律が変わっているかもしれません。
そのとき、あなたはどうしますか。
回答者1955人 男子 女子 全体(%)
○自分の名字を大切にしたいので別々の名字にしたい 14.3 11.8 13.6
○家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない 56.7 63.4 59.9
○よくわからない 29 24.9 26.5
5.この問題についてあなたの思ったことを自由に書いてください
■調査の方法
協力を得た首都圏、関西圏の中学校6校約1600人(中1〜中3)、首都圏の小学校1校の53人(6年生)にホームルームや社会科の時間などを使って教員立会いの元で無記名で行った。
回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けに説明文を用意したが、使用については各学校に任せた。
答えたくない場合は設問によっても答えなくてよいことを徹底したため、回答数にはばらつきがでた。
中学生では男女を回答していない生徒も若干名いた。
休みや早退の生徒数が把握できていない学校もあり回答率は一概に出せないが、中学生は約93%、小学生は84%。
民間調査会社の調査は、会員登録している全国の小学4年〜中学3年を対象に、説明文を含め同内容のアンケートで実施、自ら回答した小学生が100人、中学生が300人を超えた時点で終了し、学校分に加えた。
最終的な回答数は合計で1954人〜1971人。
男女比は男子48%、女子52%。
調査はいずれも昨年2024年11月下旬から12月中旬に実施した。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 教員向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-JDZ6FZ2FUVFDLGGPQDWRNLBKIM/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
教員向けの説明文は以下の通り。
教員向けの説明文
選択的夫婦別姓は年明けの国会で議論され、可決される可能性も高くなっています。
現状、夫婦別姓を望む人には、職場などでの旧姓使用やクレジットカードなどの名義変更などが煩わしいという理由と、自身のアイデンティティのためという2つの理由があります。
ただし前者についてはほぼ解決済みであり、旧姓使用を認めない職場もほとんどありません。
後者については
「心の問題」
です。
「選択制なので選びたい人だけだからいいのでは」
「自分の意思だからいいのでは」
という意見もありますが、婚姻制度の自由度が高まることで、逆に家族、親族内の争いの種になりかねないという見方もあります。
また、生まれてくる子供にとって選択肢はなく、
「強制的親子別姓」
「強制的きょうだい別姓」
になりかねません。
今、マスコミではここの議論をあまりしていません。
世論調査などは
「選択的夫婦別姓」
か、
「現状の夫婦同姓」
か、の2択しかなく、
「旧姓使用の拡大」
は選択肢に加えられていません。
影響を受ける人の中には子供も含まれるにもかかわらず、その意見も全く取り上げられていないのが現状です。
本来であれば、文科省や法務省など国の機関が綿密に子供向けアンケートなどをすべき内容ですが、そうした国の動きを後押しする意味でも、今回産経新聞社として子供たちの声を聞いてみようと考えました。
ただし、このようなアンケートは各家庭のご事情もあり、ハードルが高いことは承知しております。
また、産経新聞社の考え方に偏らないよう、質問内容は客観性を保つように致しました。
ご検討何卒よろしくお願いします。
○アンケートについて
・答えたくない子供は答えなくて構いません。
・学校名は匿名希望の場合は匿名で構いません。
・対象は小4以上の小学生と中学生とします。
・できればクラス単位、学年単位がよいですが、無理な場合は個別でも構いません。
・自由記述の欄に書ける子供はぜひ書いていただければと思います。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 子供向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-HE4Y72OPLZF2JPXUIFFXDB7J7Y/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
子供向けの説明文は以下の通り。
子供向けの説明文
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)についての質問
みなさんに、いくつか質問をしたいと思います。答えたくない人は、答えなくてもよいです。
さいきん、よくテレビのニュースなどで、選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)ということばを聞きます。
これは結婚(けっこん)するときに男の人と女の人の名字(上の名前)を別々にしたい人はしてもよい法律(ほうりつ、国のルール)にしようという意味です。
もし、結婚したあとに子供が生まれて、お父さんとお母さんの名字が別々だったら、子供の名字はどちらかに合わせなければなりません。
生まれてきた子供はお父さんかお母さんの名字とちがったり、お兄さん、お姉さん、弟、妹とも名字がちがったりすることが出てきます。
たとえば、お父さんは田中さん、お母さんは佐藤さん、最初の子供は佐藤さんで、弟は田中さんになるかもしれません。
どうして、こうしたことが問題になっているかというと、はたらく女性がふえたことに関係があります。
これまで結婚する相手の名字に合わせるのは女性のほうが多く、結婚して名字が変わると会社などで呼び名が変わったり、免許証(めんきょしょう)やパスポートなどの名字を変えなければならなくなるなど、大変なことがありました。
しかし、いまでは会社で結婚する前の名字を使ったり、免許証なども結婚前の名字をならべて書けるようになったりしています。
ただ、免許証やパスポートに結婚前の名字を載せるには、役所の書類を出さなければならないなどの手続きが必要です。
それでも、結婚したからといって、ずっと使ってきた名字を相手の名字に変えるのは、納得(なっとく)できない、いやだ、という人もいます。
名字を一緒(いっしょ)にしたい人はすればいいし、一緒にしたくない人はしなければいいという考える人もいます。
質問は、このことについてみなさんの考えること、思うことを聞くものです。
くりかえしますが、答えたくない人は答える必要はありません。

ファミリーネーム喪失、選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」 政府は子供の意見を聞け
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:30
選択的夫婦別姓の法制化を望む人たちに
「国民の70%が賛成」
声があるが、その根拠は2択のアンケートだ。
朝日新聞もNHKも
「法を改正して夫婦が希望すれば別々の名字でもよいか」
を賛成、反対で問い、その結果を
「選択的別姓『賛成』7割」
などと伝えている。
現在、企業や公的機関などで進んでいる
「旧姓使用の拡大」
を法的に整備するという選択肢は最初からないのだ。
産経・FNN合同世論調査も以前は2択で賛成66・6%、反対25・5%だったが、昨年2024年9月に3択目を加えたところ、賛成38・9%、反対12%、旧姓使用拡大46・5%と大きく変わった。
令和3年12月の内閣府の世論調査でも
「同姓維持」27%、
「別姓導入」28・9%、
「旧姓使用拡大」42・2%、
が出ているが、こうした結果はほとんど生かされていない。
「選択的」
だからよいという意見もあるが、選択できるのは誰か。
生まれてくる子供にとっては親の意向で強制的に
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
ファミリーネームが喪失するという事態を
「選択者」
である親は一体どこまで想定しているのか。
今回、小中学生に行ったアンケートではどちらかの親や、きょうだいと別の名字になることについて半数が反対と答えた。
これが多いか、少ないか判断は分かれるだろう。
夫婦別姓
「賛成派」
からすれば、
「未熟な子供に聞く」
という調査自体に不快感を持った人もいるかもしれない。
ただ、法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである。
仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えるならば、ぜひ他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい。
文科省も、子ども家庭庁も出番ではないか。

「家族感が減る」「同姓は時代遅れ」小中生、正面から回答 選択的夫婦別姓2000人調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250101-F35HRVOR7FHZRH24ROBSXF5VBU/
「家族内で違う名字だと家族感が減りそう」
「強制的に同じにさせるのは時代遅れ」―。
産経新聞が小中学生を対象に行った選択的夫婦別姓の導入を巡るアンケート。
自由記述欄を見ると、賛否を超えて子供たちが正面から問いかけに向き合ったことが分かる。
立ち会った教員は
「想像していたより真剣に取り組む姿が印象的だった」
と話す。
■きょうだいなのに
自由記述で目立ったのは、選択的夫婦別姓制度で、結果的に家族の姓がばらばらになりかねないことを心配する声だった。
大阪府の中学男子は
「名字を別々にするような人なら、子供の名字をどうするかでけんかになるかもしれない。名字が違うと他人感がある」。
千葉県の小学男子は
「家族で名字が変わってしまうと、まるで別人みたいで家族感が減りそう」
と書いた。
夫婦が別姓を選ぶことには賛成しつつ、
「子供が生まれた家庭で兄弟姉妹の姓がバラバラなのは違和感を抱く」
と記した京都府の中学女子も。
大阪府の中学女子は
「選択できた方がよいが、兄弟が違う名字というのはよいものではない」
とした。
■万一離婚したときに
夫婦別姓に賛成する声も少なくなかった。
東京都の中学女子は
「名字が変わることで、もう一度覚え直してもらう必要があったり、万一離婚した際に、職場や学校の人に名字が変わったことを伝えなければならず、精神的な負担も小さくない」
と説明。
茨城県の中学男子は
「名字を強制的に同じにさせるのは、少し時代遅れだとも感じている」
と書いた。
アンケートは各家庭の個別の事情に踏み込んでしまう恐れもあったが、
「私の両親は夫婦別姓。私はハーフなので賛成します」(中2女子)、
「現状のままでは離婚後に名字が変わると、『あ、この人離婚したんだ』」と好奇の目で見られてしまう。自分もそうだったので、そのようなことは避けたいから、夫婦別姓には賛成」(中3男子)
という意見もあった。
千葉県の中学女子は
「海外でも夫婦別姓の国や自分と相手の名字を続けて登録できる国があり、日本もこだわる必要はない。事実婚は相続などで不利になるので、平等になるようにしてほしい」
と、より深い考えを述べた。
「日本の伝統なので絶対に法律を変えない方がよいと思う。いまこの問題よりも台湾有事に向けて動いた方がよい」(中3男子)
という意見もあった。
■自然発生的に議論も
大阪府の私立中の教員は、アンケートに取り組む生徒の様子について、
「最初は静かに取り組んでいたが、しばらくすると自然発生的に生徒同士で意見を交わす姿もみられた」
と話す。
議論になるうち
「『兄弟で姓が変わるというのはいやだね』とか、『そもそも結婚ってどういうことなのだろう』などの声も聞かれた」
という。
千葉県の中学女子は
「個人の考えもあると思うため、別々の名字でもよいと最初は思いましたが、家族の中で名字が分かれてしまうと、同じ家族であることの証明が難しくなるなど欠点もあると思ったので、最終的には法律を変える必要はないと思いました」
と考えの変遷を記した。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/426.html#c15
[政治・選挙・NHK296] 自民党・義家弘介が政界引退へ。裏金事件、重複なしで落選。メッキが剥がれまくったヤンキー先生 成れの果て(BEST TiMES) 赤かぶ
16. 秘密のアッコちゃん[1236] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月08日 13:13:46 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[674]
<■3203行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を考えた場合、マイナス面が圧倒的に大きいので、選択的夫婦別姓制度の導入には断固反対だ。

参政・吉川氏「子供の視点が見過ごされている」 選択的夫婦別姓は「必然的な親子別姓」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20250108-CJFBYCOJXBGQVCOFABHQSQTRUY/
選択的夫婦別姓の導入に向けた動きが進められる中、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに
「反対」は49・4%
だったのに対し、
「賛成」は16・4%
にとどまった。
昨年2024年10月の衆院選で初当選した参政党の吉川里奈氏は2024年12月の衆院法務委員会で、導入に反対を唱えた。
吉川氏はインタビューに
「日本には家族の名字は一緒という価値観がある」
「家族の一体感が失われる可能性はないのか」
と述べ、
「夫婦は別姓で良くても、子供に選択権はない」
「必然的な親子別姓制度だ」
と指摘した。
吉川氏の発言要旨は以下の通り。
■子供の権利を守るために
選択的夫婦別姓の議論は、子供の視点が見過ごされているように感じる。
夫婦は別姓を望んだとしても、生まれてくる子供は、両親のどちらの姓になるかを選べない。
片方の親とは必然的に別姓になる。
子供への影響や家族の一体感が損なわれる可能性がある。
令和3年に実施された内閣府の世論調査で、夫婦の姓が異なることでの子供への影響について、
「好ましくない影響がある」
と答えた割合は69・0%に上った。
その理由で最も多かったのが
「親と姓が異なると指摘されるなど、対人関係で心理的負担が生じる」
で78・6%だ。
参政党は家族の繋がりや先人から受け継がれていることを大切にする政党だ。
加えて私は子供の権利を守るため、政治に参加した部分が大きい。
議論の進め方もどうか。
まずは、戸籍の姓を変更することなく、職場や社会生活で旧姓の通称使用拡充を進めるべきではないか。
総務省のように各省庁があらゆる場面で旧姓の通称使用ができるようにして、それでも限界があるならば、通称使用拡充の法制度化と、段階を踏むべきだろう。
■国会では様相異なる
世論調査は、メディアの尋ね方も疑問だ。
選択的夫婦別姓について「賛成」「反対」の2択で尋ねると、「賛成」が多い傾向にある。
ただ、「賛成」「反対」に加え、「同姓維持+旧姓通称使用の法制度化」の3択にすると、導入を求めない人の割合が多くなる。
聞き方によって民意が誘導されるのはフェアではない。
昨年2024年の衆院選で初当選したが、それまで私の周囲は通称を使っている人ばかりだった。
姓が変わることで結婚して新しい家族を築いたという喜びや親になる自覚を抱いたという人はいても、戸籍は旧姓のままがいいと主張する人には出会わなかった。
ただ、国会では様相が異なっている。
■日本の価値観、失っていいのか
選択的夫婦別姓が議論される衆院法務委は、賛成派が多数を占めている。
明確に反対を表明したのは日本保守党の島田洋一衆院議員と私だけだ。
導入ありきの議論にならないよう、子供の意見表明の機会を確保し、選択的夫婦別姓のデメリットもしっかりと検証、主張して議論を深めたい。
日本は文化的に家族の名字は同じにする、という価値観がある。
「世界では日本だけが同姓制度だ」
との指摘もあるが、世界は多様性に富んでおり、日本もその多様性の1つだ。
日本らしさを失ってまで、他国に倣う必要があるのだろうか。

自民・高市氏 選択的夫婦別姓「最大数は通称使用を求める声だ」「親族間の争い、懸念」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20250107-W5RW4UL5FJEUVNSZEFQAEOYCVQ/
立憲民主党が民法改正案の国会提出に意欲を示すなど、選択的夫婦別姓(氏)の導入が現実味を帯びている。
一方で産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
導入に慎重な自民党の高市早苗前経済安全保障担当相に考えを聞いた。

■家裁の決定で納得できるか
ーー慎重な理由は
最大の理由は、選択式であっても子の氏の安定性を損なう可能性があるからだ。
現在は、婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏のため、出生した子は両親と同氏になるが、戸籍上も別氏の夫婦を認めた場合、子の氏の決め方について、全ての別氏夫婦が納得できるルールが必要だ。
夫婦別氏を求める理由として、一人っ子同士の結婚により片方の実家の氏が途絶えるという事情が挙げられることを考えれば、夫婦双方の実家が子の氏を決める協議に介入する可能性もある。
本来幸せな出産直後に、子の氏を巡って親族間に争いが生じることを懸念する。
戸籍上の夫婦親子同氏、つまりファミリーネームは残した方がよい。

ーー通常国会で立憲民主党が法案を提出する構えだ。立民案の問題点は
過去に国会に提出された立民案では、子の氏について、出生の際に父母の協議で定めるが、協議が調わない時は家庭裁判所が子の氏を定める旨を規定している。
家裁はどのような基準で判断するのだろうか。
離婚時に子の親権を争った過去の裁判例は
『子を養う経済力』
『子との関わりや愛情』
などの要素を総合的に考慮して判断している。
しかし、出生直後の子の氏を争う場合、家裁が如何なる決定をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示せるとは考え難い。

■自民党内でも放置
ーー高市氏は通称使用の拡大を推進してきた
総務相在任中に
『住民基本台帳法』
『国勢調査令』
など総務省が所管する全法令をチェックした。
そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。
合計1142件で旧氏記載が可能になった。
今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている。
免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。
国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。
国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える。

ーー法案も作成し提出している
平成14年と令和2年の2回、自民党政調会の法務部会に提出した。
1回目は反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は審査もされずに放置されている。

■子の視点は貴重
ーー今後の議論はどう進めるべきか。議論の中で果たしたい役割は
令和4年3月に公表された直近の政府世論調査では、戸籍上の同氏維持を支持する回答が69・2%であり、最大数は旧氏の通称使用を求める声だ。
選択的夫婦別氏制度の法制化により戸籍が同氏か別氏かの二択になってしまうと、
『戸籍上は夫婦親子同氏を希望するが、社会生活では旧氏を通称使用したい』
と希望する方々の利便性を高めるための取り組みが遅れることを懸念する。
これまでの旧氏併記の取り組みも水泡に帰す。
この点をしっかり伝えていきたい。

ーー小中学生を対象に産経新聞が実施したアンケートによると、家族で名字が別になることに「反対」が約50%で「賛成」を上回った
子の視点からのアンケートは、珍しく貴重だと思った。
18歳以上を対象にした政府の世論調査でも、夫婦の姓が違うことによって子供に
『好ましくない影響があると思う』
と回答した方が約7割だった。
やはり、夫婦別氏制度の導入については、慎重な検討が必要だと思う。

夫婦別姓導入「前進する年」と意欲 公明・斉藤代表「社会の多様性、国際的視点から必要」
2025/1/6 12:53
https://www.sankei.com/article/20250106-EWBT22YCPVHSHO4Q4ML6764BUY/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年1月6日、東京都内で開いた党の新年仕事始め式で、選択的夫婦別姓の早期導入に向けて議論をリードしていく考えを示した。
「社会の多様性や国際的な視点から必要な制度だ」
「前進する年にしていきたい」
と述べた。
斉藤氏は昨年2024年12月18日に石破茂首相(自民党総裁)に対し選択的夫婦別姓に関する実務者協議を打診している。
斉藤氏は
「きょうだいが複数いる時の姓をどうするのか細部を提示する案はまだどの党からも出ていない」
「与党として実務者協議を始めようと申し入れている」
「首相は
『一旦引き取らせてほしい』
という答えで、2024年年末に会った時も
『もう少し検討させてほしい』
だった」
と語った。

立民・野田代表「賛成が16%いるのでしょう?」「なぜ反対か分からない」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/6 10:00
政治
https://www.sankei.com/article/20250106-2TX7ILQS7NMOVFPPJ23JNZ7TDI/
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党の野田佳彦代表に狙いを聞いた。

ーー選択的夫婦別姓の意義は
選べるという点ではないか。
同姓で不都合を感じる人がいるならば選択できるようにする、改善するのは合理的な考え方ではないか。
それだけのことだ。

ーー小中学生約2千人を対象に行った本紙調査で、「別々の名字にしたい」は13・6%だった
結婚や社会人になって働くことに対するリアリティーがなく、分からないというのが率直なところだろう。
大人では7割が賛成となる。
大人になると、家族の問題で色々な不都合を感じることがあるのかなという受け止めだ。

ーー両親が別姓を選択した場合、同じ家族で名字が別になることに「反対」が49・4%、「賛成」が16・4%だった
賛成が16・4%いるのでしょう?
だから選択的が必要になる。
一緒がいいなら一緒を選べばいい。
基本的には国ではなく、家族が決めればいい。

ーー家族の一体感が損なわれるとの懸念がある
同姓でも家庭不和は生まれる。
あまり合理的な話ではない。

ーー通称使用の拡大でも対応できるのでは
通称使用を拡大しても不都合を感じている人たちが実に多い。
不動産登記などでビジネスを阻害している側面があり、経団連も選択的夫婦別姓の実現に向け動いている。
海外に行くと、尚更不便だ。
通称使用では限界という事例がたくさんある。
強烈な不都合を感じる人たちが何人もいるならば、対応を考えることは当然だ。

ーー衆院は少数与党だ。どう議論を進めるか
できるだけ多くの野党に声をかけて議員立法で出していく。
政府が法案を提出するとの話も聞く。
政府案が提出されなければ野党案をベースに議論してもらいたい。
野党としてまとまった方が与党との交渉で迫力が出てくる。
公明党も基本的には賛成の立場なので、よく連携していきたい。

ーー野田氏は衆院法務委員長ポストの獲得を指示し、立民議員が就いた
法務委では長い間、放置されてきたテーマが多い。
選択的夫婦別姓も平成8年に法制審議会の答申が出たが、政府は腰を上げず国会でもまともに議論されなかった。
放置されてきたテーマを議論する意味で、意義のあるポストの獲得だった。

ーー参院では与党過半数のままだ
衆院通過した法案を参院が潰すことは大変勇気がいる。
2025年夏の参院選前に反対した人たちは追い込まれるのではないか。
参院法務委員長は公明だ。
衆院通過した場合の参院の対応は見ものだ。
昨年2024年12月の講演で
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上に上らされないことは、もう通用しない」
と述べた
世論も7割、経団連も『早く決着を付けろ』という中で、なぜそこまで強く反対する人たちがいるのか。
選べるわけだから。
なぜ選んではいけないのか、よく分からない。

ーー自民などの反対で法案が成立しなければ、内閣不信任決議案を提出するか
理不尽な形で妨げられたならば、そういうことになるかもしれない。
議論を見ながらの判断だ。簡単に不信任案を振り回そうと思っていない。

夫婦別姓間の子供の名字は家庭裁判所が決める 新たな家族不和の火種「いっそくじ引きで」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/5 10:00
https://www.sankei.com/article/20250105-2O4UALZDWVL47IYBPVXR6AKEKM/
選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では
「旧姓使用拡大」
が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。
中には
「保守派に配慮した」
などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。
同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について
「あると思う」は69%、
「ないと思う」30・3%
という結果もあり、
「ある」
と答えた人の理由(複数回答)は
「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、
「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%
が多かった。
では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。
子供の姓については
「出生の際に父母の協議で定める」
としており、一致しない場合は
「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」
とした。
この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。
仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。
■くじ引きが合理的
弁護士の北村晴男氏は
「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる」
「裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」
と指摘する。
夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、
「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」
と判断した。
更に
「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を1つにするのは合理的」
と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。
この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など平成27年以降の状況を踏まえた上で尚
「判断を変更すべきものとは認められない」
と結論付けている。
■新たな人生が始まる
この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層
「改姓の喪失感」
「精神的な負担」
が強調されるようになった。
昨年2024年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの
「過酷な二者択一」
を迫っていると指摘。
「家族の在り方や国民意識の多様化」
が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。
もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば
「強制的親子別姓」
となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。
家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は
「夫婦間だけでは済まない話だ」
「嫁姑の確執も酷くなるだろう」
と危惧する。
孫の名字を巡って双方の祖父母が争いになる可能性もある。
また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。
国士舘大学の百地章名誉教授は
「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す」
「我が国が長年維持してきた戸籍制度の解体に繋がる」
と警鐘を鳴らす。
先の内閣府の世論調査には、
「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)
との問いもある。
最も多かったのが
「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、
次が
「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)
だった。

選択的夫婦別姓制度の導入、小中学生も半数が「反対」 産経新聞調査、子供たちの考え方が統計的に明らかになるのは初
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-RVHIXOJPMBIBHLI3S5IP4HO6GI/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが産経新聞の調査で分かった(2025年1月1日報道)。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割に上った。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
調査は、全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗した。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親や兄弟姉妹と違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49.4%、
「賛成」16.4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18.8%、
「よくわからない」15.4%
で、反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13.6%
だった。
男女別で大きな違いはなかったが、自身が
「別姓にしない」
は男子(56.7%)より女子(63.4%)
のほうが上回った。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)
2025/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20250104-CWCQ5CGQ5BPMFIJ5XAZLSMQCCM/
■立民の印象操作に乗せられるな!
「選択肢が増える」
という物言いに対して、大半の人は
「いいじゃない」
と反応するだろう。
ただ、そこに巧妙なワナが仕掛けられていることもある。
ある結婚情報サイトが、選択的夫婦別姓制度について、そのメリット、デメリットについて解説し、こうまとめている。
「以前よりも、多様性を認め合う社会へと進むなかで、個人の権利や選択肢を尊重する傾向はますます強まっていくと考えられます」
「夫婦間の姓をどう選ぶかもそのひとつです」
「夫婦別姓が導入されても、すべての夫婦が別姓になるわけではなく、あくまで選択肢が増えるということ」
メディアに流れているのはこんな物言いばかりだ。
こうした情報環境のなかで暮らす人々が、アンケートで
「この制度を導入すべきだと思いますか」
と問われれば、多くが
「導入すべきだ」
と答えるに違いない。
法務省のサイトに、令和3年に実施した
「家族の法制に関する世論調査」
の結果が掲載されている。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27・0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42・2%、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28・9%
だった。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は昨年2024年10月末、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告をした。
女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多く、それが差別的だというのだ。
そうした流れの中で、立憲民主党は先の総選挙で与党が過半数割れとなったのに乗じて、衆院法務委員会の委員長ポストを要求して確保した。
委員長は同制度の導入にとりわけ熱心な西村智奈美議員である。
立民はCEDAWの勧告や、
「結婚後に夫婦のいずれかの氏(うじ)を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」
という法務省の調査を利用して、日本がさも女性に差別的で後進的な国であるかのような印象操作を行っているようにみえる。
安倍晋三元首相の暗殺後、リベラル派に乗っ取られた感のある自民党の中にも
「導入すべきだ」
と考える者が少なくなく、うかうかしていたら、すぐにでも民法改正が実現してしまいそうな勢いだ。
■憲法改正に匹敵する案件
12月5日の衆院予算委員会において、自民党の山下貴司議員は、同制度を巡り
「旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういうニーズに応えられていない」
「女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要がある」
と、石破茂首相の考えを問いただした。
これに対して石破首相は
「前の姓を変えなければならないということに対して物凄く辛くて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います」
「それは女性が95%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう」
と、情緒的な答弁をし、同制度の導入に前向きな姿勢を示した。
石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《世の中はなかなか直りにくいものである》
《人々は自分を圧迫するものに対して余りにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかり焦り、それにはどんな代償がいるかを考えない》
《我々はたくさんの実例によって、社会は普通、直されて却って悪くなることを知っている》
(第3巻第9章「全て空なること」関根秀雄訳)
同制度の導入がどんな副作用をもたらすか、十分に議論されているとは到底思えない。
導入に伴う民法改正は、憲法改正に匹敵するほどの最重要案件であると私は考えている。
国民投票に付してもいいほどだ。
しかし、国民投票が実施されるのは国会が憲法改正を発議した時だけだ。
ならば、今年2025年実施される国勢調査に合わせて、同制度導入の可否を問うアンケートを実施したらどうだろう。
■家族制度こそが社会を規定する
私が家族制度に拘るのは、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』(藤原書店、石崎晴己訳)の影響だ。
下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、トッドは家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てた。
家族制度が人間の心性に大きな影響を与え、ひいては人間が形成する社会を特徴付けてゆくというのだ。
トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か、きょうだいの関係が平等か否かによって分類する。
そこから導き出されるのが、
@親子関係が自由主義的できょうだい関係が不平等(長子優先)=絶対核家族、
A親子関係が自由主義的できょうだい関係が平等=平等主義核家族、
B親子関係が権威主義的できょうだい関係が不平等=直系家族、
C親子関係が権威主義的できょうだい関係が平等=共同体家族
の4つである。
例えばパリ盆地を中心とするフランス北部はAの平等主義核家族であり、それゆえにこの地が
「自由・平等・友愛」
を唱えるフランス革命の担い手となった。
@の絶対核家族が優勢なのはイングランドと、その移民の子孫であるアメリカだ。
この家族型が、個人の自由を絶対視し平等に無関心な強欲資本主義の母体となった。
Cの共同体家族は、西ヨーロッパにはまれで、ロシア、中国、ベトナム、東ヨーロッパに多いという。
この家族型がもたらしたのは言うまでもなく社会主義革命である。
ちなみに戦前の日本は間違いなくBの直系家族だろう。
この中で育まれた心性が、明治以降であれば天皇に対する態度、日本軍のありように投影されていたように思う。
現在の日本がどの家族型に当てはまるかは判然としないが、権威主義的でなくなったことだけは確かだろう。
そこに付け入ったのが選択的夫婦別姓制度推進派だ。
私は邪推する。
女性差別撤廃を掲げる彼らの本当の狙いは、家族を精神的に解体し、更には戸籍制度も廃止して、日本人をバラバラにすることではないかと。
その上でバラバラになって寄る辺なく浮遊する日本人をCの共同体家族としてまとめあげようとしているのではないかと。

韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/4 10:00
https://www.sankei.com/article/20250104-GNUKUJWJCZNKHJTBSELPBB5IWA/
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」
韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。
いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での
「別姓」
という印象を抱いている。
韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。
その姓氏制度は、東アジアで最も
「男性中心的」
とされる家族制度に起因するものと言える。
例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。
一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。
子供の姓については、
「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」
と民法で規定。
例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に
「尹」
の名字を引き継ぐ形となる。
例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。
■実家を説得する余力
2024年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。
だが、半年以上経った現在も尚苦悩している。
陳さんは
「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」
というが、
「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。
夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。
ただ、日本の
「夫婦別姓推進派」
は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、
「海外では別姓が主流」
「日本は遅れている」
との主張も少なくない。
米国では1970年代に全ての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。
基本的には婚姻時に
@夫の姓を選ぶ
A妻の姓を選ぶ
B別々の姓を維持する
C両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する
というパターンがある。
ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。
■姓を後世に残す動き
中国では中華人民共和国建国翌年の1950年に施行された婚姻法で夫婦別姓が明記された。
現在、子供の姓は両親のどちらかの姓を選択するが、韓国同様、一族を重視する価値観から、父親の姓を名乗るケースが多かった。
一人っ子政策が廃止された2016年以降は、兄弟姉妹で父母それぞれの姓を名乗る現象が一部で起きている。
両親それぞれの姓を後世に残そうとする動きと言える。
ただ、兄弟姉妹で別姓を名乗ることが、学校でからかいの対象になる、といったケースも報告されている。
各国の家族の枠組みについて詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は
「夫婦の姓に関する制度は国の慣習によって異なる」
「時代や価値観の変化に合わせて利便性や公平性などの観点から米国やドイツでは夫婦別姓が選択できるようになった」
と言及。
一方で、両国では夫婦同姓を選ぶ人が多数派を占めている現状について、
「子供も同じ姓になったほうが親としての証明が容易となるメリットがある」
と指摘した。

選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20250103-33B4YHNURFNUXFSJKAGPJITCPQ/
「個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクだ」。
経団連は昨年2024年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表。
十倉雅和会長は記者会見で理由をそう説明した上で、
「改正法案を一刻も早く国会に提出していただきたい」
とも踏み込んだ。
トヨタ自動車など日本を代表する企業1500社以上で構成する経団連は、経済界が直面する課題の意見を取りまとめ改善策などを発信する役割がある。
だが、今のタイミングで提言するほど、選択的夫婦別姓は経済界の喫緊の課題なのか。
産経新聞社は昨年2024年11月中旬から2024年12月上旬にかけて主要111社にアンケートを実施。
社内で旧姓呼称を認めているかを尋ねたところ、
「認めていない」
とする企業はゼロだった。
「慣例として認めている」が58・6%、「就業規則などで認めている」が29・7%。
「無回答」が11・7%あったとはいえ、9割弱の企業が何らかの形で旧姓呼称を当たり前に認めているのだ。
■国家資格はほぼ旧姓OK
さらに経団連が求める法制化の是非も聞いたところ、
「実現すべき」は25・2%で、
「現状で不都合がないので慎重に議論すべき」も10・8%あった。
もっとも「無回答」が最も多い63・1%あり、判断に迷っているのか、経団連の方針に異議を唱えにくい雰囲気があるのかはわからない。
夫婦別姓をめぐる議論は働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証、銀行口座などの名称変更の煩わしさから旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
職場での呼称が解決に近づいているのであれば、残る課題はどうか。
内閣府によると、昨年2024年5月末現在で320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格も条件に若干の違いがあるだけだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも旧姓併記ができる。
金融機関も既存口座の旧姓名義による取引を認めており、一部認めていない場合もシステム改修が進めば対応可能になるという。
もっとも、こうした事実が広く周知されているとは言い難いのも事実だ。
■不便さは残るが
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。
ある大手企業の役員は
「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」
と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。
パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。
だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年2024年末、
「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」
と述べた。
「困っている人」
とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は
「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている」
「選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」
と指摘している。

公明、立ち位置に苦慮 政策実現も手柄は野党 来夏の都議選、参院選へアピール模索
2025/1/2 16:26
https://www.sankei.com/article/20250102-7MRII3PF6JOHXDIQCRV7IFLMXE/
公明党が自民党との連立政権で立ち位置に苦慮している。
石破茂政権が少数与党になったことで、法案成立に向け野党の国民民主党や日本維新の会に配慮せざるを得なくなり、
「政権の政策に党の主張を反映させる」
という存在意義が揺らいでいるためだ。
「年収103万円の壁」
の引き上げなどは公明も主張してきた政策だったが、自民から譲歩を引き出した野党側の成果として扱われ公明は埋没している。
公明の斉藤鉄夫代表は2025年1月2日、東京・池袋駅前で新春の街頭演説を行い、今夏2025年夏の参院選、東京都議選に向けて
「新しい公明の最初の戦いとして、何としても押し上げてほしい」
と支持を訴えた。
だが、世論や支持者へのアピールは、いまいち広がりを欠いている。
昨年2024年12月26日、斉藤氏は記者団にこう強調した。
「予算案の取りまとめに当たっては、野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきたという自負がある」
党の政策実現ではなく、合意形成への貢献をアピールせざるを得ないところに、今の立ち位置の難しさが伺える。
年収103万円の壁引き上げは自民、公明、国民民主の3党協議で実現し、これを看板政策とする国民民主の手柄とされた。
公明も以前から103万円を含む年収の壁解消を訴えており、令和7年度税制改正には高校生世代の扶養控除の維持など公明の主張も反映されたが、存在感は乏しい。
それでも斉藤氏は2025年1月2日の街頭演説で3党協議に言及し
「予算審議の途中に、色々な修正があり得るのかもしれない」
「協議に真摯に対応していきたい」
と国民民主への歩み寄りを示唆した。
石破政権は維新とも連携を図り、自公維3党による教育無償化の実務者協議を昨2024年末に始めた。
教育無償化もまた、公明が力を入れてきた政策だ。
公明幹部は
「公明だけでは引き出せず、野党と一緒なら引き出せると言われる」
「忸怩たる思いだ」
と漏らす。
先の衆院選で、公明は自民派閥のパーティー収入不記載事件の呷りを受けて議席を大幅に減らした。
2025年夏の参院選と都議選を睨んだ反転攻勢に向け、自民と同一視されることを避け、独自色を打ち出したい考えだ。
自民内で賛否が分かれる選択的夫婦別姓制度でも、党内議論を深めるよう強く自民に要求している。
とはいえ、自民との連立関係を崩すこともできない。
公明関係者は
「支持者からはいつまで自民とやっているんだという声もある」
「だが、もう4半世紀続いている」
「野党になったら何もできない」
とぼやいた。

年内にも現実味帯びる選択的夫婦別姓 立民、通常国会に法案提出へ 公明も賛同
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20250102-T64AG4MHX5I5HJD4BQLW36T3LA/
立憲民主党は今月召集の通常国会で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だ。
党内でも賛否がある自民が立民案に乗るとは考えにくいが、導入を求める公明が立民案に賛成すれば、連立与党内で対応が分かれる異例の事態となる。
自民に一定数いる推進派が賛成すれば衆院で可決され、家族の在り方を大きく変えうる制度の導入が2025年年内にも現実味を帯びている。
衆院選の公約では、選択的夫婦別姓には立民と公明の他、国民民主、共産両党やれいわ新選組なども賛成。
自民と日本維新の会は
「旧姓使用の拡大」
を主張しており、衆院法務委員会の構成を見れば、賛成派は過半数に届かない。
ただ、衆院選後に就任した維新の前原誠司共同代表は
「個人として賛成」
と表明。
公明の斉藤鉄夫代表も
「決断する時だ」
との考えで、石破茂首相(自民総裁)に与党協議を進めるよう直接要請している。
これに対して自民では旧姓使用の拡大を軸にした対案を出す可能性があるが、他党の賛成がなければ数の上で可決はおぼつかない。
何よりも自民内の推進派が造反する可能性がある。
自民では党の方針に反した場合は処分の対象になり得るが、党内の分裂を避けるため党議拘束をかけないとの見方もある。

選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:05
https://www.sankei.com/article/20250102-CV4VLTYCYRL4LHL3FHZJHRA3OA/
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。
先月2024年12月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。
令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では
「ノイジーマイノリティー」
が逆転しているようだ。
「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。
局面が変わったのは昨年2024年10月の衆院選だった。
与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。
衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。
しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を
「返上」
した代わりに
「敢えて法務委員長を取りにいった」(野田氏)
からだ。
賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。
■早く決めてほしい
自民内でも以前から議論はあった。
令和3年3月に推進派の
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)
が立ち上がると、翌月令和3年4月には慎重派が
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
を設立。
同年令和3年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。
別姓推進派の中堅議員は
「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう」
「残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。
慎重派のベテラン議員は
「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」
と明かす。
■修正を加える形で
慎重派の念頭にあるのは
「家族の一体感」
を大切にする本来の保守層の
「自民離れ」
が加速することだ。
ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。
立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば2025年3月の来年2025年度予算成立後の2025年4月以降となる見通しだ。
昨年2024年の臨時国会では、政治改革関連で与野党が9法案を提出。
国会審議や各党協議の末に3つの法案が成立した。
このうち政策活動費廃止の法案は野党案に自民が賛成した。
推進派若手は
「少数与党のうちに野党案に修正を加える形で決着をつけた方がいい」
「そうでないと、自民を分断しかねない爆弾をずっと抱えることになる」
と本音を漏らした。
仮に自民が党議拘束をかけず、立民案が衆院で可決された後は参院に舞台が移る。
参院は現在も自公で過半数を占めるが、衆院の段階で立民案に公明が賛成していることを前提とすれば、自民は日本維新の会などを巻き込まない限り
「少数派」
に転落し、立民案が成立する可能性がある。

新聞各紙、元日1面トップは中国の拡張、能登の思い、民主主義企画…産経は夫婦別姓と子供
2025/1/1 19:29
https://www.sankei.com/article/20250101-FILLPV42SBDGLNW3Y2ENVFSW44/
元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。
令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
■夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年〜中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が
「家族で名前が変わるのは反対」
と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が49・4%で
「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
■中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
■デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて
「デモクラシーズ これまで これから」
と題した連載企画の掲載を始めた。
最新のデジタル技術を生かして民主主義を
「アップデート」
させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
■強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、
「逆転の世界 備えよ日本」
と題した。
多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。
局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
■つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。
延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる
「関係人口」
の拡大について考察した。
■招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。
地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。
式の中身はまだ決まっていない。
ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250101-QGCTY3PY4JEHLHHXAFDFEVX2LQ/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが、産経新聞社の調査で分かった。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割にのぼった。
立憲民主党が夫婦別姓の民法改正案の国会提出に意欲を示しており、石破茂首相も昨年2024年末
「議論の頻度を高める」
と述べた。
自公与党も前向きな議員が多いことから、次期通常国会での法案成立が現実味を帯びている。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題に配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
年齢層の低い小学生は対象数を絞った。
小中学生共に学校を通じた場合は、教員が調査の趣旨を説明した上で、立ち会う形式を取った。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「全く知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よく分からない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49・4%、
「賛成」16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18・8%、
「よく分からない」15・4%
で反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%だった。
小学生だけに絞ると、
別姓に「反対」は46・2%、
自身が「別姓にしない」は55・8%
で全体よりやや低かったが、各質問共に
「分からない」を選ぶ傾向が強かった。
男女別で大きな違いはなかったが、
自身が「別姓にしない」
は男子(56・7%)より女子(63・4%)のほうが上回った。
別姓の是非で
「親が決めたのなら仕方がない」
と消極的な賛成を選んだ女子(22・6%)も男子(15%)より多かった。
学校や学年別、民間調査会社による調査でも、結果の割合に大きな差はなかった。

選択的夫婦別姓、法律に「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-L3VK2UL4H5EMJPW6X5DVUGNXJQ/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査の質問項目と詳しい結果、調査の方法は以下の通り。
質問項目と回答
選択的夫婦別姓調査 質問項目と回答
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)について、みなさんの意見を聞かせてください。答えたくない人は、答えなくてかまいません。
【質問】
1.いま、社会で問題となっていることに「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)」があります。
日本では結婚(けっこん)するときに
「男性(お父さん)か女性(お母さん)のどちらかの名字と同じにしなければならない」
ことが法律(ほうりつ、国のルール)で決まっています。
この法律を
「それぞれ別々の名字のままでも結婚できる」
ように変えようというものです。
こうしたことについて、知っていましたか。
回答者1971人 男子 女子 全体(%)
○よく知っていた 16 17.9 16
○少し知っていた 34.3 43.3 37.1
○まったく知らなかった 28.7 23.9 26.2
○ほとんど知らなかった 21 15 20.7
2.いまは結婚してからも、結婚するまえの名字を会社で使ったり、手続きをすれば、免許証(めんきょしょう)やパスポートに結婚する前の名字をならべて書けるようになったり、これまでできなかったことができるようになっています。
それでも、あなたは
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ように法律を変えたほうがよいと思いますか。
回答者1966人 男子 女子 全体(%)
○変えたほうがよい 32.9 37.4 34.9
○変えないほうがよい 31.6 30.7 30
○よくわからない 35.6 31.9 35.1
3.もし、法律で
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ことが決まり、お父さんとお母さんが別の名字になったら、子供もお父さんかお母さんのどちらかとはちがう名字になったり、兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかでちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子 全体(%)
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9 16.4
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15 22.6 18.8
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51 49.2 49.4
○よくわからない 18 11.4 15.4
4.みなさんが結婚するころには
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
と法律が変わっているかもしれません。
そのとき、あなたはどうしますか。
回答者1955人 男子 女子 全体(%)
○自分の名字を大切にしたいので別々の名字にしたい 14.3 11.8 13.6
○家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない 56.7 63.4 59.9
○よくわからない 29 24.9 26.5
5.この問題についてあなたの思ったことを自由に書いてください
■調査の方法
協力を得た首都圏、関西圏の中学校6校約1600人(中1〜中3)、首都圏の小学校1校の53人(6年生)にホームルームや社会科の時間などを使って教員立会いの元で無記名で行った。
回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けに説明文を用意したが、使用については各学校に任せた。
答えたくない場合は設問によっても答えなくてよいことを徹底したため、回答数にはばらつきがでた。
中学生では男女を回答していない生徒も若干名いた。
休みや早退の生徒数が把握できていない学校もあり回答率は一概に出せないが、中学生は約93%、小学生は84%。
民間調査会社の調査は、会員登録している全国の小学4年〜中学3年を対象に、説明文を含め同内容のアンケートで実施、自ら回答した小学生が100人、中学生が300人を超えた時点で終了し、学校分に加えた。
最終的な回答数は合計で1954人〜1971人。
男女比は男子48%、女子52%。
調査はいずれも昨年2024年11月下旬から12月中旬に実施した。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 教員向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-JDZ6FZ2FUVFDLGGPQDWRNLBKIM/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
教員向けの説明文は以下の通り。
教員向けの説明文
選択的夫婦別姓は年明けの国会で議論され、可決される可能性も高くなっています。
現状、夫婦別姓を望む人には、職場などでの旧姓使用やクレジットカードなどの名義変更などが煩わしいという理由と、自身のアイデンティティのためという2つの理由があります。
ただし前者についてはほぼ解決済みであり、旧姓使用を認めない職場もほとんどありません。
後者については
「心の問題」
です。
「選択制なので選びたい人だけだからいいのでは」
「自分の意思だからいいのでは」
という意見もありますが、婚姻制度の自由度が高まることで、逆に家族、親族内の争いの種になりかねないという見方もあります。
また、生まれてくる子供にとって選択肢はなく、
「強制的親子別姓」
「強制的きょうだい別姓」
になりかねません。
今、マスコミではここの議論をあまりしていません。
世論調査などは
「選択的夫婦別姓」
か、
「現状の夫婦同姓」
か、の2択しかなく、
「旧姓使用の拡大」
は選択肢に加えられていません。
影響を受ける人の中には子供も含まれるにもかかわらず、その意見も全く取り上げられていないのが現状です。
本来であれば、文科省や法務省など国の機関が綿密に子供向けアンケートなどをすべき内容ですが、そうした国の動きを後押しする意味でも、今回産経新聞社として子供たちの声を聞いてみようと考えました。
ただし、このようなアンケートは各家庭のご事情もあり、ハードルが高いことは承知しております。
また、産経新聞社の考え方に偏らないよう、質問内容は客観性を保つように致しました。
ご検討何卒よろしくお願いします。
○アンケートについて
・答えたくない子供は答えなくて構いません。
・学校名は匿名希望の場合は匿名で構いません。
・対象は小4以上の小学生と中学生とします。
・できればクラス単位、学年単位がよいですが、無理な場合は個別でも構いません。
・自由記述の欄に書ける子供はぜひ書いていただければと思います。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 子供向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-HE4Y72OPLZF2JPXUIFFXDB7J7Y/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
子供向けの説明文は以下の通り。
子供向けの説明文
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)についての質問
みなさんに、いくつか質問をしたいと思います。答えたくない人は、答えなくてもよいです。
さいきん、よくテレビのニュースなどで、選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)ということばを聞きます。
これは結婚(けっこん)するときに男の人と女の人の名字(上の名前)を別々にしたい人はしてもよい法律(ほうりつ、国のルール)にしようという意味です。
もし、結婚したあとに子供が生まれて、お父さんとお母さんの名字が別々だったら、子供の名字はどちらかに合わせなければなりません。
生まれてきた子供はお父さんかお母さんの名字とちがったり、お兄さん、お姉さん、弟、妹とも名字がちがったりすることが出てきます。
たとえば、お父さんは田中さん、お母さんは佐藤さん、最初の子供は佐藤さんで、弟は田中さんになるかもしれません。
どうして、こうしたことが問題になっているかというと、はたらく女性がふえたことに関係があります。
これまで結婚する相手の名字に合わせるのは女性のほうが多く、結婚して名字が変わると会社などで呼び名が変わったり、免許証(めんきょしょう)やパスポートなどの名字を変えなければならなくなるなど、大変なことがありました。
しかし、いまでは会社で結婚する前の名字を使ったり、免許証なども結婚前の名字をならべて書けるようになったりしています。
ただ、免許証やパスポートに結婚前の名字を載せるには、役所の書類を出さなければならないなどの手続きが必要です。
それでも、結婚したからといって、ずっと使ってきた名字を相手の名字に変えるのは、納得(なっとく)できない、いやだ、という人もいます。
名字を一緒(いっしょ)にしたい人はすればいいし、一緒にしたくない人はしなければいいという考える人もいます。
質問は、このことについてみなさんの考えること、思うことを聞くものです。
くりかえしますが、答えたくない人は答える必要はありません。

ファミリーネーム喪失、選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」 政府は子供の意見を聞け
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:30
選択的夫婦別姓の法制化を望む人たちに
「国民の70%が賛成」
声があるが、その根拠は2択のアンケートだ。
朝日新聞もNHKも
「法を改正して夫婦が希望すれば別々の名字でもよいか」
を賛成、反対で問い、その結果を
「選択的別姓『賛成』7割」
などと伝えている。
現在、企業や公的機関などで進んでいる
「旧姓使用の拡大」
を法的に整備するという選択肢は最初からないのだ。
産経・FNN合同世論調査も以前は2択で賛成66・6%、反対25・5%だったが、昨年2024年9月に3択目を加えたところ、賛成38・9%、反対12%、旧姓使用拡大46・5%と大きく変わった。
令和3年12月の内閣府の世論調査でも
「同姓維持」27%、
「別姓導入」28・9%、
「旧姓使用拡大」42・2%、
が出ているが、こうした結果はほとんど生かされていない。
「選択的」
だからよいという意見もあるが、選択できるのは誰か。
生まれてくる子供にとっては親の意向で強制的に
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
ファミリーネームが喪失するという事態を
「選択者」
である親は一体どこまで想定しているのか。
今回、小中学生に行ったアンケートではどちらかの親や、きょうだいと別の名字になることについて半数が反対と答えた。
これが多いか、少ないか判断は分かれるだろう。
夫婦別姓
「賛成派」
からすれば、
「未熟な子供に聞く」
という調査自体に不快感を持った人もいるかもしれない。
ただ、法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである。
仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えるならば、ぜひ他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい。
文科省も、子ども家庭庁も出番ではないか。

「家族感が減る」「同姓は時代遅れ」小中生、正面から回答 選択的夫婦別姓2000人調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250101-F35HRVOR7FHZRH24ROBSXF5VBU/
「家族内で違う名字だと家族感が減りそう」
「強制的に同じにさせるのは時代遅れ」―。
産経新聞が小中学生を対象に行った選択的夫婦別姓の導入を巡るアンケート。
自由記述欄を見ると、賛否を超えて子供たちが正面から問いかけに向き合ったことが分かる。
立ち会った教員は
「想像していたより真剣に取り組む姿が印象的だった」
と話す。
■きょうだいなのに
自由記述で目立ったのは、選択的夫婦別姓制度で、結果的に家族の姓がばらばらになりかねないことを心配する声だった。
大阪府の中学男子は
「名字を別々にするような人なら、子供の名字をどうするかでけんかになるかもしれない。名字が違うと他人感がある」。
千葉県の小学男子は
「家族で名字が変わってしまうと、まるで別人みたいで家族感が減りそう」
と書いた。
夫婦が別姓を選ぶことには賛成しつつ、
「子供が生まれた家庭で兄弟姉妹の姓がバラバラなのは違和感を抱く」
と記した京都府の中学女子も。
大阪府の中学女子は
「選択できた方がよいが、兄弟が違う名字というのはよいものではない」
とした。
■万一離婚したときに
夫婦別姓に賛成する声も少なくなかった。
東京都の中学女子は
「名字が変わることで、もう一度覚え直してもらう必要があったり、万一離婚した際に、職場や学校の人に名字が変わったことを伝えなければならず、精神的な負担も小さくない」
と説明。
茨城県の中学男子は
「名字を強制的に同じにさせるのは、少し時代遅れだとも感じている」
と書いた。
アンケートは各家庭の個別の事情に踏み込んでしまう恐れもあったが、
「私の両親は夫婦別姓。私はハーフなので賛成します」(中2女子)、
「現状のままでは離婚後に名字が変わると、『あ、この人離婚したんだ』」と好奇の目で見られてしまう。自分もそうだったので、そのようなことは避けたいから、夫婦別姓には賛成」(中3男子)
という意見もあった。
千葉県の中学女子は
「海外でも夫婦別姓の国や自分と相手の名字を続けて登録できる国があり、日本もこだわる必要はない。事実婚は相続などで不利になるので、平等になるようにしてほしい」
と、より深い考えを述べた。
「日本の伝統なので絶対に法律を変えない方がよいと思う。いまこの問題よりも台湾有事に向けて動いた方がよい」(中3男子)
という意見もあった。
■自然発生的に議論も
大阪府の私立中の教員は、アンケートに取り組む生徒の様子について、
「最初は静かに取り組んでいたが、しばらくすると自然発生的に生徒同士で意見を交わす姿もみられた」
と話す。
議論になるうち
「『兄弟で姓が変わるというのはいやだね』とか、『そもそも結婚ってどういうことなのだろう』などの声も聞かれた」
という。
千葉県の中学女子は
「個人の考えもあると思うため、別々の名字でもよいと最初は思いましたが、家族の中で名字が分かれてしまうと、同じ家族であることの証明が難しくなるなど欠点もあると思ったので、最終的には法律を変える必要はないと思いました」
と考えの変遷を記した。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/434.html#c16
[政治・選挙・NHK296] <赤旗スクープ>官房機密費 総選挙中 支出ハイペース 自民党の逆風反映か 1日平均383万円も  “闇ガネ”石破首相は説… 赤かぶ
21. 秘密のアッコちゃん[1237] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月08日 19:48:43 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[675]
<■359行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>国際緊張下の電力 原子力発電の評価高まる 依存低減から「最大限活用」へ
社説
2025/1/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20250108-SDGK26SKBFJQHJUGAWUBHATWRQ/
国際緊張の高まりと地球温暖化が重なる中でエネルギー安全保障の重要性が増している。
こうした時局を背景に令和22(2040)年度の電源構成などを定める第7次
「エネルギー基本計画」(エネ基)
の原案が昨年2024年末に示された。
電源構成で注目すべきは原子力発電の正当な評価の回復だ。
14年前2011年の東京電力福島第1原発の事故以来、これまでのエネ基で踏襲されてきた
「可能な限り原発依存度を低減する」
の表現は消去され、
「最大限活用する」
と明記された。
また、複数の原子力発電所を持つ電力会社が廃炉を決めた場合、他の自社の発電所内での建て替えを認める制度も加わった。
次世代革新炉の速やかな導入を可能にする措置である。
■沸騰水型の稼働を急げ
電力の安定供給と脱炭素の両立を目指す7次エネ基は、今年度2025年度内に閣議決定される。
こうした政策の転換と前後して昨秋から沸騰水型軽水炉(BWR)原発の再稼働が始まっていることにも注目したい。
東北電力女川原発2号機(宮城県)と中国電力島根原発2号機(島根県)が昨年2024年10月と12月に再稼働した。
それまでに再稼働した12基は全て加圧水型軽水炉(PWR)だった。
福島第1原発と同型のBWRは東日本に多く安全審査が遅れていたので再稼働の西高東低現象が起きていた。
この地域差の本格解消に向けては東電の柏崎刈羽原発7号機(新潟県)の再稼働が待たれるが、原子力規制委員会の安全審査に合格して燃料セットを終えているにもかかわらず、待機状態が続いている。
花角英世・新潟県知事の同意がないためだ。
石破茂政権は首都圏の電力危機を招きかねない状態の早期解消に乗り出すべきである。
日本の原発はPWR16基、BWR17基の計33基が存在するが、再稼働は14基にとどまっている。
著しい遅れだ。
原発がなくても電気は不足していないという声もある。
足りているのは電力会社が輸入天然ガスの火力発電で補っているからだ。
結果として膨大な国富の流出だけでなく電気代の値上がりによる産業競争力の低下と景気低迷を招いている。
国民も石破政権も野党もこの現実を直視すべきだ。
エネルギーと表裏一体の地球温暖化についても目配りが必要だ。
温暖化防止の国際ルール・パリ協定では、各加盟国が5年ごとに温室効果ガスの削減の更新目標を提出することになっている。
その期限が今年2025年2月に迫っている。
これまでの目標は令和12(2030)年度に46%減だったので、令和17(2035)年度目標は、更に高い60%減となる見込みである。
その達成には、政府による原発の再稼働促進と新増設への即刻対応が不可欠だ。
13年前後に及ぶ長期停止で、かつて世界有数の技術力を誇った日本の原発建造能力にはサプライチェーンを含めて影が差している。
■パリ協定とAI視野に
第7次エネ基は、太陽光や風力発電に原発と同等か、それ以上の期待をかけているが、再エネは安定性に欠ける上、ソーラーパネルによる山林生態系の破壊は深刻だ。
基幹電源には長期連続運転が求められる。それに応えられるのは原子力をおいて他にない。
今月2025年1月20日のトランプ政権の発足に伴う米国のパリ協定離脱が世界の脱炭素交渉の力学に及ぼす影響の見極めも不可欠だ。
生成AI(人工知能)やそれを支える半導体産業、データセンターの増加で周波数の乱れがない高品質の電力需要は、右肩上がりになっていく。
原子力の持続的な活用には、核燃料サイクルの確立が急がれる。
そのためには日本原燃の再処理工場の完成と原子力発電環境整備機構(NUMO)による高レベル放射性廃棄物の地層処分地探しが急務である。
2025年年内の前進を期待する。
我が国のエネルギーの回復と温暖化問題への対応で成否の鍵を握るのは規制委だ。
行政手続法に従えば2年間で終わるはずの原発の安全審査を遅滞させている。
日本原子力発電の敦賀2号機の安全審査では
「可能性が否定しきれない」
という非科学の論理で不合格の断を下した。
規制委の唯我独尊を放置すれば第7次エネ基の計画も目標のゴールから遠ざかる。
令和7年は日本の国力を回復軌道に乗せる正念場の年だ。

トランプ脱・脱炭素
エネルギー政策 日本も大転換を
正論2025年2月号 キャノングローバル戦略研究所研究主幹 杉山大志
日本政府はグリーン・トランスフォーメーション(GX)政策と称して、2050年までにCO2排出をゼロにするという
「脱炭素」
なる目標をエネルギー政策の最優先事項に据え、その法制化を着々と進めてきた。
高価な再生可能エネルギー(再エネ)を大量導入する一方で安価な化石燃料の使用を制限することで、光熱費は上昇し、製造業は空洞化を続けており、日本経済は破綻へと向かっている。
日本が脱炭素に励んで来た一因は、バイデン政権を筆頭とした、左傾化したG7諸国からの圧力があったからだ。
だが今、米国ではトランプ政権が誕生し、エネルギー政策は根本から変わる。
日本もこれを機に、エネルギー政策を抜本的に見直し正常化すべきである。
■物量作戦で“敵”を圧倒へ
米国では共和党が上院・下院でも過半数を制して、大統領を合わせて2つの議会も共和党が支配するという
「トリプル・レッド」
が実現した。
バイデン氏が進めてきたグリーン・ディール(米国では脱炭素のことをこう呼ぶ)は、悉く廃されることになる。
トランプ次期大統領はエネルギー政策については、はっきりと公約に書いていた。
選挙戦中もそれを繰り返し、一切ブレることなく表明してきた。
それは
「エネルギー・ドミナンス(優勢)の確立」
である。
即ち、米国が有する石油、天然ガス、石炭などの採掘を進め、豊富で安価なエネルギー供給を実現する。
それにより製造業を発展させ、経済成長を実現して、敵(名指しはしていないが、中国など)を圧倒する、というものだ。
これは、かつて日本が敗れた先の大戦の時の発想そのままだ。
「エネルギー・ドミナンスへと舵を切るべきだ」
というのはトランプ氏の独断ではない。
共和党の総意である。
「愚かなグリーン・ディールを止めるべきだ」
とは、2022年2月にウクライナでの戦争が始まった直後の、マルコ・ルビオ上院議員の米フォックス・ニュースでの発言である。
ルビオ氏は、2024年11月にはトランプ大統領から次期国務長官に指名された。
ルビオ氏は、環境規制の強化によって米国の石油・ガス生産を妨害してきたバイデン政権を鋭く批判した。
米国が自滅的な政策を採った一方で、ロシアは石油・ガスの輸出で莫大な利益を手に入れ、軍事力も強化した。
また輸出を通じて欧州やグローバルサウスに対する政治的な影響力も高めて来た。
もしも米国が大量に生産し、世界中に供給することで石油・ガス価格を下げてしまったならば、石油・ガスの輸出以外に外貨獲得源が乏しいロシア経済に対しては大打撃の筈だった。
だがバイデン政権はこの真逆をやっていた。
トランプ氏は、2024年11月5日の大統領選挙に勝って以来、閣僚候補者を次々に指名してきた。
その中にあって、エネルギー・環境政策については一貫した方向性がある。
石油・ガス・石炭などの化石燃料の開発・利用を妨げる環境規制を撤廃し、経済活動を繁栄させる、というものだ。
即ち、内務長官に指名されたダグ・バーガム氏は、3番目に大きな石油産出州であるノースダコタ州の現知事であり、同州のバッケン地域におけるシェール石油・シェールガスの開発を主導してきた。
バーガム氏が内務長官に就任すれば、バイデン政権下で開発が停止されていた、連邦所有地における石油・ガス開発を推進する権限を持つ。
エネルギー長官に指名されたクリス・ライト氏の現在の役職は、シェール石油・シェールガス開発の大手企業、リバティ・エナジーのCEOである。
ライト氏は
「気候危機は存在しない」
とし、CO2排出ゼロという目標は
「達成不可能であるばかりか、人道にも反する」
と発言している。
環境保護長官に指名されたリー・ゼルディン氏は、長年に渡ってグリーン・ディール関連の規制に反対してきた。
またニューヨーク州において民主党知事がシェールガス開発を禁止したことに反対してきた。
エネルギー以外の分野を見ても、イーロン・マスク氏が率いる政府効率化省の設立など、経済成長を妨げる環境規制を緩和する方向性がはっきりしている。
トランプ氏は選挙運動中にも
「ドリル・ベイビー・ドリル」(掘って、掘って、掘りまくれ)
と繰り返し発言してきた。
トランプ政権は、気候危機説に惑わされることなく、石油・ガス・石炭を生産し、利用する姿勢が鮮明だ。
■日本政府の愚かなCO2目標
これに対して、日本はどうか。
石破政権は、菅・岸田政権の路線を継承し、2024年10月31日に開催されたGX実行会議で、2024年年内に第7次エネルギー基本計画を策定するよう指示した。
3年前の2021年に第6次エネルギー基本計画が策定された時は、2030年度までに2013年度比で46%削減というCO2目標が書き込まれた。
この数字を当時の小泉環境大臣は
「おぼろげに浮かんだ」
と説明し失笑を買ったが、実態は2050年にCO2をゼロとして2013年から直線を引いて2030年の数字を読んだだけだ。
同じ論法で、日本政府は2035年度は60%削減、2040年度は73%削減という数字を2024年11月25日の有権者会議で提示した。
これを第7次エネルギー基本計画に書き込んで、2025年2月10日までにはパリ協定に提出する構えだ。
既に再エネ賦課金などにより光熱費は高騰している。
政府は、日本のCO2が順調に減っていると自慢するが、その最大の理由は産業空洞化である。
一体何を喜んでいるのか。
このまま突き進めば製造業は消滅し、日本経済は崩壊する。
政府はGXのために今後10年で150兆円を洋上風力発電などに投資するという。
投資というと聞こえは良いが原資を負担するのは国民である。
150兆円と言えば国民1人当たり120万円、3人世帯なら360万円である。
賃上げなどしても吹き飛んでしまう。
だがこれでも46%削減や60%削減などには到底足りない。
政府は150兆円の投資はグリーン成長をもたらすなどと言っている。
だがこれまで太陽光発電に莫大な投資をした結果、何が起きたか。
太陽光発電はお天気任せであり年間の17%しか発電しないので、火力発電所を減らすことなどできない。
雨でも夜でも電気は必要だからだ。
根本的に2重投資である。
このために光熱費が高騰して、経済は悪化した。
政府のGXとは、洋上風力発電の導入などで、過去の失敗を何倍にもして再現するという、およそ最悪の政策である。
米国のエネルギーは今後益々安くなるのに、日本のエネルギーは益々高くなる。
すると企業は米国に工場を建てる一方で、日本からは逃げ出すか、追い出されるか、あるいは潰れるだろう。
そもそも日本でCO2をゼロにすることで、地球の気温はどれだけ下がるのか。
国連の諮問機関であるIPCCのまとめでは、累積で1兆トンだけCO2を排出すると気温は約0.5℃上がるとされている。
日本のCO2排出量は今、毎年約10億トンであり、これは1兆トンの1000分の1なので、日本のCO2排出によって毎年0.0005℃だけ気温が上がる。
2050年までの累積ではこの25年分になるので気温上昇は0.0125℃である。
2050年までに日本のCO2排出を直線的にゼロにするならば、25年間の累積の排出量は底辺が25年、高さが10億トンの直角三角形の面積となり、気温上昇は半分の0.006℃となる。
するとCO2をゼロにすることによる気温の低下は差し引きで0.006しかない。
150兆円を上回る費用を正当化できるとは到底思えない。
■毎年5兆円を貢ぐのか
トランプ政権は発足初日の2025年1月20日にパリ協定から離脱することがほぼ確実だ。
そのパリ協定においては、今どのような議論が行われているか。
2024年の11月24日に国連気候変動会議(COP29)が閉幕した。
そこでは、2035年までに、先進国は途上国への
「気候資金」
の提供額を年間3000億ドルまで増加させることを約束した。
現在の為替レートで48兆円だ。
「気候資金」
の内容は、
@途上国が受ける気候災害についての被害への賠償と、
A途上国のCO2等の削減のための費用と、
B途上国が気候変動によって受ける災害に対する防災能力向上である。
年々この金額は増大してきて現在、年間約1000億ドルが支払われているから、それを10年で3倍増にするという訳だ。
さて日本もこの合意をした訳なので、応分の負担を要求される。
仮に48兆円の1割なら5兆円近いが、財務省はこのことを知っているのだろうか。
また了承するのだろうか。
米国が離脱すると、残るは欧州と日本である。
欧州も経済がガタガタだから、どうせ支払わないだろう。
日本だけが、愚かにも、毎年何兆円も支払うのだろうか。
ちなみに、これはいくら支払っても、当然の責務だと言われるだけで、誰からも感謝されない。
何しろパリ協定の世界では、自然災害は全てCO2のせいで起きていることになっている。
バイデン大統領やグテーレス国連事務総長がそう言い続けてきたからだ。
途上国はと言えば、3000億ドルでは到底足りないとしている。
元々、1兆ドルとか5兆ドルとか要求していたところが(彼からすると)大バーゲンして3000億ドルになった。
そして
「これしか資金提供が無いのでは、我々はCO2を減らすことなど出来ない」
と主張している。
ちなみに
「途上国」
には中国も含まれる。
こんなパリ協定を続けるべきではない。
■パリ協定を離脱せよ
日本政府は愚かなCO2目標の設定を止め、またパリ協定への目標の提出は延期すべきだ。
そのまま提出しなければ、事実上のパリ協定からの離脱となる。
米国に続いて日本も離脱すれば、パリ協定は事実上消滅する。
これには前例もある。
2010年に日本が数値目標を提出しなかったことで、京都議定書は空文化した。
その後は、安全保障と経済を重視する本来のエネルギー政策に戻ればよい。
即ち化石燃料の安定・安価な供給を実現し、コストのかかる再エネ推進を止める。
米国もパリ協定離脱後には新しい枠組みを求めるだろう。
それはエネルギー・ドミナンスの国際版であり、友好国が協調してエネルギー供給を強靭化するものになる。
日本は勿論参加すればいい。
加えて、脱炭素のお説教に飽き、経済成長のために化石燃料の利用を渇望するグローバルサウスの諸国も喜んで参加するだろう。
同枠組みの下、日本と台湾は米国から石油、ガス、石炭を長期契約で買うと良い。
中東有事の際のエネルギー安全保障となる。
のみならず、米国の利益が関わることは重要で、台湾有事等の不測の事態において、中国も海上封鎖を躊躇うだろう。
またエネルギーの購入は、来たるトランプ政権との貿易交渉で、ディールにおけるカードとしても使える。
既にEUのフォン・デア・ライエン委員長は、米国から天然ガスを買いたいと表明している。
散々脱炭素と言っている一方での発言なので二枚舌ぶりには驚くばかりだが、この強かさは日本も見習った方がよい。
そもそも、世界情勢の緊迫によって、最早気候変動問題は国際的な議題ですら無くなっている。
ロシアは石油と天然ガスを採掘し輸出することで経済を維持し、軍事費を賄っている。
中国もインドもそのロシアから大量に石油を買い、また石炭火力発電所を建設し続けている。
G7諸国は、出来るはずのない2050年CO2ゼロという宣言をして、中国・インドをはじめとしたグローバルサウスにそれを押し付けようと躍起だった。
G7にとって遥かに優先順位の高い国際問題である対ロシア経済制裁にすらほぼ参加しない彼らが、法外なお金のかかる脱炭素で協調するなど、望むべくもない。
ロシアで2024年10月に開催されたBRICS会合のカザン宣言では、BRICSは自前の決済システム作りを進め、イスラエルの軍事侵攻を非難するなど、G7との対決色を強めた。
そしてこれはあまり報道されていないが、EUが導入を検討する国境炭素税に対して、保護主義的な貿易措置だとして、断固反対している。
全ての国が協調してCO2をゼロにするなど元来、妄想に過ぎなかったが、地政学的緊張でこれがいよいよ明白になった。
どの国も安全保障と経済成長の方がよほど重要なのだ。
平和ボケの時代は終わった。
諸国の首脳が会合する度に気候変動を話題にするというのは、冷戦後における一時的な流行りに過ぎなかった。
今でもCO2を本気でゼロにしようとしている国などごく僅かだ。
その1つのドイツは、風力発電の大量導入など不合理なエネルギー政策の挙げ句、光熱費は世界で最も高くなり、産業が崩壊している。
化学大手BASFは国内16工場のうち11工場を閉鎖する一方で中国に100億ユーロをかけて工場を建設する。
自動車大手フォルクスワーゲンはEVが売れずリストラが始まった。
そして、更なる脱炭素のための財政拡大に反発した自由民主党が離脱して、遂に連立政権は崩壊し、2025年2月に総選挙が行われる。
既に支持率が地に堕ちた緑の党は消滅の危機を迎える。
日本もトランプ政権と同様に、エネルギー政策を、本来そうであったように安全保障と経済成長を重視したものに戻し正常化すべきである。
以下、その要点を4つに絞って述べよう。
■気候危機説の批判的検証を
政府は環境白書において
「自然災害が激甚化している」
などとするが、これは統計を見ればフェイクだと分かる。
台風は増えてもおらず強くもなっていない。
風水害による被害金額は増加しているが、これは経済成長の反映に過ぎず、実際のところGDP当たりの被害金額は減少してきた。
数値モデルによるシミュレーションでは不吉な予測があるが、このモデルは過去の再現すらろくに出来ない代物で、予言能力など無い。
米国共和党は、議会における専門家の証言によってデータを確認し、気候危機説は嘘だと皆知っている。
日本も同様に、国会において、気候危機説を批判的に検証すべきだ。
■電気代を数値目標にすべきだ
GXの150兆円の投資の対象は洋上風力発電、太陽光発電、その導入のための蓄電池や送電線建設などが含まれているが、いずれも光熱費の高騰に繋がる。
日本の電気代は既に東日本大震災前(再エネ大量導入開始前)の2010年水準に比べて高騰している。
このため政府は光熱費補助をしてきたが、かかる弥縫策に頼らずに、GXを抜本的に見直し、再エネの大量導入を止めるなどの方法で、本質的な光熱費削減を図るべきである。
この実現のため、日本政府は、光熱費抑制にコミットし、電気代などの光熱費を2010年水準以下に抑えるという形で、明確な数値目標を設定すべきである。
CO2の数値目標などより、こちらの方がよほど重要だ。
■中国製太陽光パネルを禁輸に
太陽光発電には、経済性、自然破壊、災害時の安全性などの多くの課題があり、日本が国策として実施してきた大量導入は直ちに停止すべきである。
最も深刻なのは人権問題だ。
今、世界の太陽光パネルの9割は中国で製造されており、その半分は新疆ウイグル自治区における工程に関係している。
米国では、強制労働への関与があるとして輸入禁止措置が既に取られている。
次期の米国国務長官に指名されたマルコ・ルビオ上院議員は対中強硬派で知られており、迂回輸入などの抜け穴を塞ぐことで輸入禁止措置の強化を推進してきた。
日本も、今後、米国から同調を求められることは必定である。
だがそのような外圧を待つことなく、自ら輸入禁止すべきである。
■化石燃料を安定利用しよう
日本のエネルギー供給の柱は今尚化石燃料である。
日本のエネルギー供給のうち、石油・石炭・天然ガスは合計で8割以上を占めている。
従って化石燃料を安定・安価に調達することこそが、日本のエネルギー政策において最も重要な要件のはずだ。
にもかかわらず、政府はCO2を減らすためとして、化石燃料を敵視する政策を実施してきた。
このせいで、長期契約の締結による燃料の安定調達は妨げられ、日本企業は、油田・ガス田・炭鉱などの上流事業への参加を見送り、権益を他国に譲渡した。
また火力発電設備は、維持のための投資も行われず、廃止が相次いだ。
挙げ句、毎年恒例のように節電要請が出されるようになった。
もとより日本は高効率な火力発電といった優れた化石燃料技術を有する。
政府は石油・石炭・天然ガスを敵視せず安定した利用を実現すべきだ。
もちろん、原子力発電所の利用も欠かせない。
もう東日本大震災から14年が経っている。
早期に再稼働すれば、電気代は大幅に下がる。
技術継承のためには新増設も欠かせない。
台湾有事ともなれば、中国によるシーレーンの封鎖が懸念されるが、原子力発電所が稼働していれば、3年間は国内にある燃料だけで発電を継続できる。
こもメリットも大だ。

石破政権のエネルギー政策は「赤点」 再エネ推進で10年150兆円のコスト増賦課金∴ロ持で「官僚栄えて国民滅ぶ」
2024.12/19 11:43
https://www.zakzak.co.jp/article/20241219-HDY2ALJFLBOF3NHLDZDLVB4NIA/
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志氏緊急寄稿
経済産業省は、中長期的なエネルギー政策の指針を示す
「エネルギー基本計画」
の原案を有識者会議に示した。
2040年度の電源構成見通しでは、再生可能エネルギーの割合を
「4〜5割程度」
と火力発電を抜いて最大にする見通しだという。
原発が発電量全体に占める割合は
「2割程度」
とし、従来計画と同水準を維持した。
石破茂政権は、国民生活を苦しめている
「再エネ賦課金」
は維持し続けるようだ。
エネルギー政策に詳しいキヤノングローバル戦略研究所研究主幹、杉山大志氏は緊急寄稿で、今回の原案を
「赤点」
「官僚栄えて国民滅ぶ」
などと酷評した。

■第7次エネルギー基本計画原案
第7次エネルギー基本計画の原案が17日、政府審議会で提示された。
文案が出てきたのは初めてだが、私の採点では、
「100点満点で5点。赤点」
である。
来週の次回会合で座長一任を取り付けるのが政府の目論見のようだ。
公の場で議論するつもりはほとんどないらしい。
内容を見ると2040年度の発電構成として
「再エネ4〜5割程度、原子力2割程度、火力3〜4割程度」
となっている。
再エネは現状で1割が水力発電で、残り1割が太陽光・風力発電なので、要は
「太陽光・風力発電を現状の3倍から4倍にもする」
ということだ。
これは大変なコスト増になる。
他にも、アンモニアで発電するとか、水素から合成メタンを作るとか、水素で製鉄するとか、どれもこれもバカ高いに決まっている技術のオンパレードだ。
政府はこれを
「グリーントランスフォーメーション(GX)」
法に基づいて、規制と補助金によって実現するとしているが、10年で150兆円もの費用がかかるという。
年間15兆円だからGDP(国内総生産)の3%である。
これで経済成長すると言うが、こんな筋ワルの投資で成長するはずがない。
これを推進するのは、
「脱炭素」
利権の権化となった経産省だ。
GX法の下、20兆円の国債を発行し、補助金をバラまく。
その償還のために、エネルギー課徴金を国民に課し、企業にはCO2排出権を売って収入を得る。
以上は特別会計で、新設の外郭団体が運営し、天下りが始まっている。
さすがに経済の崩壊が不安になったのか、
「脱炭素に伴うコスト上昇は抑制」
とするが、要は、
「少々の光熱費上昇は我慢しろ」
ということか。
「国際的に遜色のない光熱費」
と言うが、その国際的とはどこか。
愚かなエネルギー政策で、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)までリストラが始まったドイツのことか。
心ある政治家はグリーン利権から国民を守るべきだ
こんな曖昧な文言でなく、はっきりと、
「東日本大震災前の2010年の水準に光熱費を戻す」
と目標を設定すべきだ。
心ある政治家は是非この目標を書きこみ、グリーン利権から国民を守るべきだ。
原発を再稼働し、再エネ導入をやめれば、光熱費は下がる。
■まるで「トランプに当て付け」
以前よりは改善した部分も少しはある。
原発は
「依存度の低減」
から
「最大限の活用」
に代わった。
また、実現不可能な細かな数字の積み上げが消えた。
だが、国全体のCO2として2040年度の排出量を2013年度比で73%減するとしている。
この理由は、2013年度から2050年度に向かって直線を引いた、というものだ。
これは実現不可能で、何の裏付けもない。
これを目指すだけで経済は崩壊する。
石破政権は、この数値目標を、2025年2月までにパリ気候協定に提出する構えだが、世界が見えているのだろうか。
米国共和党は、バイデン政権が進めた
「脱炭素」
は経済を損なうとして猛反対してきた。
ドナルド・トランプ次期大統領は2025年1月20日の就任初日にパリ協定を離脱することが確実だ。
石破首相は、自滅的で愚かなエネルギー政策を策定するのみならず、まるで
「米国への当て付け」
のようなタイミングで、出来もしない数値目標をパリ協定に公約するのか。
これで、石破首相は、トランプ氏に相手にしてもらえるのだろうか。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/437.html#c21

[政治・選挙・NHK296] 不信任で議会解散…大阪府・岸和田市長は政治家たる資格なし 三輪記子 それ、当たり前のことですか?(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
25. 秘密のアッコちゃん[1238] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月08日 19:50:48 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[676]
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<主張>トランプ氏と世界 同盟国との分断回避を ウクライナ対応が試金石だ
社説
2025/1/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20250107-YDYLMY5JVRO35HVF427ELDLTAY/
トランプ氏が2025年1月20日に第47代米大統領に就任する。
昨年2024年の大統領選で激戦州を全て制覇し、総得票数でも民主党のハリス副大統領を上回って勝利したトランプ氏は不法移民の大規模送還など公約実現に努めるだろう。
「米国を再び偉大に」
を旗印に、同氏は外交でも米国の利益の保護や拡大に資するよう、相手が同盟国か、敵対する専制国家かにかかわらず大胆な取引を試みるとみられる。
世界は既に、トランプ氏の言動を念頭に動き始めている。
■大戦前夜の危機感持て
「世界は第三次大戦の瀬戸際」
というトランプ氏の認識は間違っていない。
ロシアのウクライナ侵略は2025年2月に4年目に突入する。
シリアのアサド政権が崩壊した中東では新たな勢力争いに加え、イスラエルとイランの対立も激化しそうだ。
中国は台湾の併吞を武力で実現し得る態勢を習近平国家主席の共産党総書記の任期である2027年までに整えるとみられる。
欧州、中東、アジアの3圏域で紛争が連鎖すれば、戦間期から大戦に突入してしまう。
1930年代以来の危機と言える。
トランプ氏は、民主主義と自由、法の支配など価値を共有する同盟・同志国との分断を、自国第一の取引外交で招かぬようにしてもらいたい。
トランプ氏は、旧ソ連との軍拡競争で東西冷戦の勝利に導いたレーガン元大統領にならった
「力による平和」
を外交の基本原則に据えた。
だが、米国単独でその実現は不可能である。
ウクライナ戦争では、北朝鮮やイランがロシアを軍事支援し、制裁で疲弊するロシアの経済を中国が支える。
米国が内向きになろうと、中露、北朝鮮、イランという専制主義勢力が反米で結託を強めている。
中国は米国の想定を上回るペースで核戦力の増強を進めている。
核兵器を振りかざしたプーチン露大統領にならって、核恫喝によって米国の台湾有事介入を阻止したいのだ。
中露両国で米国を数で上回る核兵器を配備し、北朝鮮やイランがロシアから技術を得て核ミサイル開発を加速する。
専制4カ国が核で手を組む状況に米国と同盟諸国は対峙している。
米国には軍事力、経済力、技術力を総動員し、サイバー・宇宙空間を含む抑止力の向上が急がれる。
それには同盟国との緊密な連携、防衛力の適切な分担で民主主義陣営全体の抑止態勢を構築する必要がある。
それなのにトランプ氏は、先進7カ国(G7)、北大西洋条約機構(NATO)の一角、隣国のカナダにいきなり関税引き上げの圧力を加えた。
同盟国は自らが標的とならないかを警戒する。
内政の知恵袋となる実業家、イーロン・マスク氏が外交に口先介入するのも心配だ。
1期目に欧州との通商交渉で亀裂を招いた愚を繰り返してはならない。
当時と異なる
「大戦前夜」
の危うい国際情勢がそれを許さないのだ。
■主権と安全を保証せよ
トランプ氏が早期停戦を目指すウクライナは
「新・力による平和」
の試金石となる。
ロシアの継戦能力には衰えが指摘される。
ウクライナは士気を保つが、無差別攻撃の恐怖下で国民の疲弊は激しい。
欧州各国にも支援疲れが目立つ。
トランプ氏はウクライナに支援継続を望むなら交渉に参加せよと説き、ロシアには停戦に応じなければ制裁やウクライナ支援を強化すると迫るだろう。
この仲介外交に期待感が芽生えているのも事実だ。
だが、プーチン氏の要求通りに、露軍が占領した領土の放棄をウクライナに押し付けては危うい。主権尊重と領土保全という国際秩序の規範に米国が背を向けるに等しいからだ。
アジアや中東で別の侵略を誘発する恐れを無視すべきでない。
交渉主導役のウクライナ・ロシア担当特使に就任するケロッグ退役陸軍中将は、ウクライナが安全のために求めるNATO加盟は
「長期間延期されるべきだ」
と主張してきた。
だが、西側諸国がNATO加盟に代わる安全を如何に保証するのかを示さなければ無責任である。
再侵略を抑止する停戦監視部隊の編成は欧州だけに任せられるだろうか。
日本は米国との強固な同盟関係を基盤に、世界秩序の堅持に資するよう、トランプ次期政権との緊密な意思疎通をしなければならない。
米国の同盟網を結び付けるべく、石破茂政権の能動的な関与が問われよう。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/433.html#c25
[政治・選挙・NHK296] 何をやってもズレまくり 日本を覆う石破首相という閉塞感(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
23. 秘密のアッコちゃん[1239] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月08日 19:52:51 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[677]
<■336行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<正論>年頭にあたり 日本国復活再生の標識は何か 
東京大学名誉教授・小堀桂一郎
2025/1/7 8:00
https://www.sankei.com/article/20250107-P6Q54ZGVRZLRXBLQD75W6ULRIU/
■萎縮からの脱却できたか
本年2025年は昭和100年にして且つ戦後80年なる節目の年だとの認識が昨年から広く人々の口の端に上つてゐた。
前者については歳月の歩みの迅速に対する感慨を又新たにするといふだけの事であるが、後者は国民に向けての或る重大な問ひかけを含んだ数字である。
それは改めて言ふ迄もなく、敗戦とそれに続く6年8箇月の米軍占領下に受けた屈辱と萎縮からの脱却といふ国民的目標は達成できたのか、との厳しい設問である。
この問ひに対し、文明の繁栄の眼に見える現象のみに着目する人々は昂然(こうぜん)と答へるであらう。
東京オリンピック開催と新幹線の営業開始を一の劃期(かっき)として、経済大国への成長が開始された。
やがて自然科学分野でのノーベル賞受賞者の続出、藝術の世界では国際コンクールでの優勝といふ形で世界的成功を収める若い才能の輩出、是亦(これまた)国際映画祭での大賞を以て日本映画の水準の高さも定評となる。
スポーツの世界に於いても戦後早い時期に水泳での世界新記録更新、山岳界での世界の諸高峰への登頂成功、探検家達の孤独な実績の幾つか、そしてつい最近では米国の野球界を制覇した若い日本人選手の活躍と人気は正しく世界的な話題であり、国民の自慢の種でもある。
米軍の国土占領に伴ふ旧皇軍の完全な武装解除の結果、軍備も兵員も零(ゼロ)の状態に迄武力を毟(むし)り取られてゐた我が国は、現在は通常兵器の性能とその運営能力の熟達が恐らく世界最高水準に達してゐると見られ、日本の科学技術の最先端部からの寄与により、自衛隊は戦前の陸海軍に比べて遙かに精強な武備である事は確かである。
この様に見てくると、日本国民の才能と精力は今や国際社会の頂点に立つてゐる。
産業経済界の繁栄も端的に国民の能力と士気の反映であり、80年前の頽落(たいらく)は全く面目を一新し、日本は戦前の姿を取り戻した形で蘇生したのだ、との満足を秘かに覚え、それを口にしたい人も少なくないと思はれる。
■靖国神社への冷淡な視線
ここでその自己満足に対する疑問提出の順序がめぐつて来る。
分かり易い例を挙げる。
日本の国政に携はる人が諸外国を訪問すれば、その人には慣例として軍人墓地乃至(ないし)その象徴としての無名戦士の墓碑への表敬訪問が日程に組み込まれ、彼は慣例に従つて素直にその墓碑等への儀礼的参拝を果す事になるであらう。
我が国での護国の戦士達の霊廟(れいびょう)に相当する宗教的施設は靖国神社である。
何らかの公的使命を帯びて日本を訪問する賓客は、国際的相互儀礼の型に基いて靖国神社を表敬訪問し参拝する義理を有する。
訪問を受け入れる日本側にも賓客を靖国神社に案内し、参拝してもらふ状況を作るのが礼儀といふものである。
従来諸外国の海軍艦艇が日本に寄港する度に乗組の兵員達が公的に参拝団を組んで靖国神社に表敬訪問し参拝を果す例は多かつた。
在日米空軍の一部隊が礼儀正しく参拝に来た具体例も一つ筆者の記憶の中にある。
近年靖国神社を見る
「公」
の視線が内外ともに冷淡になつた1つの契機は、平成25年12月26日の故安倍晋三首相の神社公式参拝ではなかつたかと思ふ。
あの時、中韓両国は予想通り不快感を表明するの挙に出た。
日本と唯一軍事同盟を結んでゐた米国政府までが<失望>を表明した。
この表明は日本と中韓両国の間には不穏な波風が立つて欲しくない、と見る米国政府の士気の低下、外交姿勢懦弱(だじゃく)の反映に過ぎないと見る我が国の方こそ失望したものである。
曽(かつ)ては世界の警察官を自負してゐた米国が三流国並みの弱音を吐いたのは甚だ気色の悪い事だつた。
■不思議な国から普通の国へ
ところがかう考へた時にふと我が国の政府自身の靖国神社に対する不敬不遜の姿勢に気がついて我々は愕然とする。
靖国神社の春秋の例大祭当日に首相の参拝はない。
天皇の御親拝も昭和50年11月21日の行幸を最後として50年間途絶えたままになつてゐる。
上皇上皇后両陛下は平成の御代30年間に1度も御親拝の機会を持たれなかつた。
首相の参拝が定例普通の行事として扱はれて定着すれば、それが畏(かしこ)き辺(あた)りの御親拝に径(みち)を開く確かな機縁となる、との我々の何十年反復しての立論も顧みられる事なく終つた。
斯(か)くして我が日本は、欧米の文明国では当然自明の行事である、国家元首による護国の英霊への鎮魂の参拝が行はれない不思議な国となつてしまつてゐる。
戦後80年を期して、日本が現世界の自由主義諸国と同様の普通の国に立ち戻る事業を成し遂げるか否か。
その成否を判定する標識は幾つかあるが、自主憲法の制定、交戦権を有する国軍の保持といふ緊急の要請と並んで重要な標識が1つある。
即ち靖国神社への天皇及び首相をはじめとする国政の担当者達の折にふれての参拝と、報道機関がそれを当然の事として肯定する事態の実現である。

室谷克実「深層韓国」
「靖国参拝してどこが悪い」林官房長官は言えないのか 生稲晃子氏めぐる共同通信の大誤報 韓国の「靖国神社=悪」に嵌った日本政府
2024.11/29 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241129-AG6AJXYGIFPPVMDUW5EMNARTWQ/
どれほど話し合ったところで徒労でしかない。
基礎認識と目的が違う2者の論争とは、そういうものだ。
新潟県佐渡市で開かれた世界文化遺産
「佐渡島(さど)の金山」
の追悼式を巡る、日韓の(外交チャンネルに限らない総体的)論争。
ようやく、日韓双方が別個に執り行った追悼式が終わったが、残ったのは
「靖国神社参拝は悪いこと」
とするような印象操作ではないのか。
■佐渡島金山・追悼式が残す「印象操作」
佐渡島金山で働いていた朝鮮人労働者は、半島から妻を呼び寄せ、佐渡で2人の子供を儲けた。
日本企業で働いていた朝鮮人労働者は日本人労働者と同等の給与を貰い、国民年金にも加入していた。
日本本土にいた朝鮮人慰安婦は、陸軍大将を上回る収入があり、それをせっせと郵便貯金していた…。
「強制連行された朝鮮人労働者が、まさか」
「強制連行された性奴隷が、あり得ないことだ」
と日教組教育の優等生≠ヘ叫ぶだろう。
だが、これらは日本側に物証が残っている。
韓国紙がお涙頂だい£イの記事の中で、自己矛盾とも気が付かずに報じた事例もある。
それなのに、韓国の一般世論は
「強制連行された労働者」
という虚論で凝り固まっている(慰安婦は『性奴隷』との見方がかなり揺らいできた)。
佐渡の追悼式について、韓国側は
「凝り固まった虚論」
に基づき、日本側に対応を求めた。
日本側が読み上げる
「追悼の辞」
の内容にまで介入するのが国際常識なのか。
基礎認識が違うから、決して一致することはないのだ。
更に、追悼式に政府代表として参列した生稲晃子外務政務官が
「靖国神社に参拝していた」
とする共同通信社の大誤報があった。
韓国マスコミは、それに飛び付いた。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は
「金建希(キム・ゴンヒ=夫人)大事」
が祟って保守系紙にも見放され、支持率20%のレームダックだ。
「ハイ、そんな政務官が出る追悼式には参加しません」
と決断する他なかった。
韓国が自ら開催を求めた追悼式に出ようが出まいが、どちらでもいい。
問題は、林芳正官房長官が
「生稲氏は靖国に参拝していない」
とばかり強調したことだ。
これは、韓国の
「靖国神社=悪」
の決め付けに嵌った釈明でしかない。
「日本の政治家が靖国神社に参拝して、どこが悪い!」
と、何故言えないのか。
追悼式騒動は、
「靖国参拝は悪いこと」
という日韓政府共同の
「印象操作」
を残したのだ。 (ジャーナリスト 室谷克実)

靖国神社に落書きの実行役か、中国で男を拘束と現地報道 別の恐喝事件関与で
2024/8/28 1:07
https://www.sankei.com/article/20240828-YIQVLUZXEBMHHIQL4WREPCCQYA/
東京都千代田区の靖国神社の石柱に落書きが見つかった事件を巡って、中国メディアは27日、中国当局が実行役とみられる男を別の恐喝事件に関わった疑いで拘束したと報じた。
男は董光明容疑者で、警視庁公安部が逮捕状を取り、指名手配している。
5月31日夜、別の中国籍の男2人と共謀し、靖国神社の入り口近くの石柱に赤いスプレーを使って「Toilet」と書き、不敬な行為をした疑いが持たれている。董容疑者は6月1日未明、中国に向け出国していた。
中国メディアによると、浙江省杭州市の警察当局が拘束した。
「鉄頭」という名のインフルエンサーで、落書き事件の直後、インターネット上に「鉄頭」名の動画が出回り、落書きする様子が映っていた。(共同)

靖国神社落書きは中国籍の10代男性か 単独で実行、発覚日にホテルに戻り出国
2024/8/23 13:15
https://www.sankei.com/article/20240823-ZAENFCMM7VKK7B2A3KZGGMBU2Y/
靖国神社(東京都千代田区)の神社名が刻まれた
「社号標」
と呼ばれる石柱への落書きが見つかった事件で、関与した人物は中国籍の10代男性とみられることが23日、捜査関係者への取材で分かった。
警視庁が器物損壊容疑で捜査を続けている。
捜査関係者によると、男性は事件の数日前に複数人で日本に入国。
18日夜に一人でホテルを出て、靖国神社に向かった。
現場の防犯カメラからは同日夜、社号標に上がっているこの男性とみられる人物の姿が映っていた。
男性は一度ホテルに戻った後、19日に出国したという。
落書きは19日未明、神社関係に発見された。
社号標には
「厠所(トイレ)」

「軍国主義」
「狗(犬)」
などと、中国で使われている簡体字を用いて書かれていた。

靖国神社落書き、関与の人物が中国へ出国か 警視庁
2024/8/22 21:52
https://www.sankei.com/article/20240822-JKEW3EKKUFIETNHWPN6O6M6JGA/
東京都千代田区の靖国神社で19日に石柱への落書きが見つかった事件で、関与したとみられる人物が同日に中国へ出国していたことが22日、捜査関係者への取材で分かった。
数日前から日本に滞在していたといい、警視庁が器物損壊の疑いで詳しい経緯を調べる。
捜査関係者によると、18日夜に不審な人物が石柱の台座に上がる様子が防犯カメラに残っており、同一とみられる人物が19日に中国へ出国したことが確認された。
この人物は、落書きの画像を中国の交流サイト(SNS)に投稿したとみられる。
落書きは19日午前3時50分ごろに神社職員が見つけ、石柱に中国語で
「トイレ」
などを意味する文字が書かれていた。

<主張>また卑劣な落書き 靖国神社の静謐守り抜け
社説
2024/8/22 5:00
https://www.sankei.com/article/20240822-PQDXXX7SJBMJTO455UEHCIGINQ/
東京・九段の靖国神社への卑劣な犯罪が再び起きた。
神社名を記す社号標という大きな石柱への落書きが19日未明に見つかった。
中国語でトイレを指す「厠所」や簡体字で「狗(いぬ)」「軍国主義」と読める落書きだ。
中国のSNSに中国人とみられる男が落書きの画像をアップし関与をほのめかす投稿があった。
今年5月にも中国人3人組が社号標に落書きする犯罪があったばかりだ。
靖国神社に祀(まつ)られている戦没者(英霊)を侮辱し、平安な眠りを妨げようというのか。
極めて下品な犯行が再び起きたことに強い憤りを覚える。
許される話ではない。
警視庁は全力で捜査を進めてもらいたい。
靖国神社にどのような見方を持つとしても、神聖さを冒瀆(ぼうとく)し、ほくそ笑むような犯罪をしていいわけがない。
自らの品性を貶(おとし)め、自国のイメージを損なうことさえわからないのか。
5月の事件は犯行の様子が中国のSNSに投稿された。中国人容疑者のうち2人は中国へ逃亡し、日本に残っていた1人が礼拝所不敬などの容疑で警視庁公安部に逮捕された。
今回の事件も中国人の関与が疑われている。
岸田文雄首相や上川陽子外相、警察当局は中国政府に捜査への協力を求め、容疑が固まれば5月の事件と合わせ引き渡しを求めるべきだ。
今回の事件が中国人によるものなら、5月の事件の容疑者を中国国内で野放しにしている中国政府の対応が影響したと言わざるを得ない。
中国外務省報道官は
「外国にいる中国公民は現地の法律を順守」
するよう促していた。
ならば一罰百戒で臨み犯行を抑止すべきだった。
長年の中国政府による反日教育が日本や靖国神社への憎悪を社会に広げ、没義道(もぎどう)な犯行を厭(いと)わない恥知らずの容疑者を生んだ可能性もある。
5月の事件後の警備体制が十分でなく、落書きを許してしまったことを全ての関係者は反省すべきだ。
靖国神社では過去にも中国人、韓国人らによる放火や落書きなどの事件があった。
摘発と警戒を怠れば犯行がエスカレートする恐れがある。
英霊の静かな眠りを守るのは日本の国の義務である。
政府与党や警察当局は、日本の心を守る国家的問題ととらえ、警備を急ぎ厳重にしてもらいたい。

靖国神社、落書きは18日夕方以降か 警視庁 防犯カメラに不審な人物
2024/8/20 14:09
https://www.sankei.com/article/20240820-ZMNMNYLOTNLKTIUC4PH3DHGSLQ/
東京都千代田区の靖国神社の石柱に19日に落書きが見つかった事件で、防犯カメラの映像などから18日夕方以降に書かれた疑いがあることが20日、捜査関係者への取材で分かった。
神社職員が見つけ110番通報した時間よりも前に撮影されたとみられる画像が中国の交流サイト(SNS)に投稿されているといい、警視庁が関連を調べる。
捜査関係者によると、18日夕方以降に不審な人物が石柱の台座に上がる様子が防犯カメラに残っていた。
110番通報は19日午前3時50分ごろ。
石柱に中国語で「トイレ」などを意味する文字が書かれていた。
麴町署が器物損壊などの疑いで調べている。

靖国神社の落書き、中国人が関与か 警視庁が捜査 「厠所」「軍国主義」など
2024/8/20 12:01
https://www.sankei.com/article/20240820-EC45W7RXJ5INRIBOC4LYUZYSNU/
東京都千代田区の靖国神社で19日、入口の石柱に中国語とみられる落書きがされているのが見つかった事件で、落書きは18日の夕刻以降にされた疑いがあることが20日、捜査関係者への取材で分かった。
中国のSNS上には犯行をほのめかす投稿もあり、関連を調べる。
捜査関係者によると、事件後に中国国内のSNSに中国籍とみられる男が落書きの画像を挙げて関与をほのめかす投稿をしていたことが判明。
現場周辺の防犯カメラ画像でも、18日夕以降に投稿者と同一人物の疑いがある男性の姿が確認されたという。
落書きには黒いマジックペンが使われたとみられる。
事件は19日未明に発覚。
神社の職員が神社名を示す「社号標」に中国語でトイレを意味する「厠所」や簡体字で「軍国主義」などと読み取れる落書きがあるのを発見。
警視庁は器物損壊容疑で捜査を進めている。
現場では5月にも中国籍の男3人による落書きの被害があった。

靖国神社にまた落書き 5月と同じ場所「厠所」や「屎」 警視庁が器物損壊容疑で捜査
2024/8/19 9:25
https://www.sankei.com/article/20240819-5ONTTKHVIVIWHB4OHXR4KPRCNU/
19日午前3時50分ごろ、東京都千代田区九段北の靖国神社で
「石柱に落書きされた」
と男性職員から110番通報があった。
警視庁麴町署員が駆けつけたところ、神社入り口の神社名を示す「社号標」に中国語とみられる落書きが6個あった。
警視庁は器物損壊容疑で落書きした者の行方を追っている。
麴町署によると落書きは社号標とその台座に各3個ずつあった。
中国語でトイレの意味の「厠所」や、「屎」「狗」「軍国主義」とも読み取れる簡体字とみられる落書きもあった。
現場の社号標では5月にも中国人の男3人が落書きし、うち1人が器物損壊容疑などで逮捕。
もう2人についても警視庁が逮捕状を取っている。

<産経抄>靖国参拝 ご注進報道はここらで終わりにしよう 
2024/8/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20240824-OCATCWVOYBKEHKBMD6UU2HRENI/
17日の小欄は、木原稔防衛相の靖国神社参拝に関する朝日新聞の
「日韓関係に冷や水も」
との記事に疑問を示し、
「(参拝に)何の問題があろうか」
と書いた。
すると朝日はさらに、米国務省報道担当者のコメントを取り
「防衛相の靖国参拝『後ろ向き』」
との記事を掲載していた。
よほど日韓関係に影響を及ぼしたいらしい。
▼記事は当局者が
「参拝は後ろ向きに見える」
と指摘したと記すが、その認識は正しいのか。
米国人は国務省高官といえども
「日本と韓国が、戦争をしていないことを知らない」(外務省事務次官経験者)
者が多い。
日韓併合は戦争の結果ではなく本来、参拝は韓国とかかわりはない。
▼安倍晋三元首相もオバマ米大統領当時、バイデン副大統領は、韓国にとり慰安婦問題よりも靖国参拝問題が重要だと勘違いしていると指摘していた。
そんな米側の誤解を正すのではなく、そそのかしてどうするのか。
日米韓のどの国の利益にもならない。
▼朝日もずっと靖国神社に否定的だったわけではない。
例えば昭和26年10月7日の朝刊紙面では、東京裁判の国際検事団付として来日した米青年、リード氏が帰国後も絶えず日本の友人に身代わりで靖国参拝をしてもらい、奉納金も送っていることを大きく取り上げている。
▼「靖国神社にねむるみたま≠スちの大きな犠牲が忘れられるなら、それは日本の悲劇だ」
「日本の皆さん、どうかみたま≠ヨ祈りを」。
朝日が紹介したリード氏の言葉である。
匿名の国務省報道担当者の曖昧なセリフより、よほど真情が伝わる。
▼靖国参拝問題も慰安婦問題も、日本側が批判してくれとばかりに外国に
「ご注進」
したことで騒動となった。
このパターンはここらで終わりにしたい。

全ての御霊安らかなれ 靖国神社参拝は戦没者との約束だ 論説委員長 榊原智 
終戦の日に
2024/8/15 5:00
https://www.sankei.com/article/20240815-VSTWEVBTLBPBJEK457UC4LR4W4/
79回目の終戦の日を迎えた。
日本は、大東亜戦争と呼称した先の大戦で、陸海軍人、民間人合わせて310万人の同胞を喪った。
全ての御霊安らかなれと心からの祈りを捧げたい。
昭和天皇の玉音放送を拝聴し終戦を知った国民は齢を重ね、ごく少数になっている。
そうであっても、日本史上、最大の悲劇だ。
あの戦争を語り継ぎ、鎮魂と平和の祈りを重ねたい。
戦没者(英霊)は日本や故郷、愛する人たちを守ろうと出征した。
子を儲けずに逝った若者も多かった。
■頭を垂れた安倍元首相
尊い命を捧げた英霊にとって靖国神社に永く祀られることは自明で、いわば日本の国との約束だった。
これは極めて大切な話だ。
だからこそ靖国神社が戦没者追悼の中心であり続けるべきなのである。
後世の人間が賢(さか)しらぶって
「新しい国立追悼施設」
など造っていいはずもない。
日本の独立を守った120年前の日露戦争など幾多の戦いの戦没者も靖国神社に祀られている。
今から11年ほど前の話になる。
平成25年4月、安倍晋三首相(当時)が硫黄島を視察した。
昭和20年3月に2万余の日本軍守備隊が玉砕した激戦地だ。
自衛隊の航空基地などの視察を終え父島へ向かう飛行機に搭乗する際、安倍氏は予想外の行動をとった。
滑走路にひざまずき、手を合わせ頭を垂れた。
そして滑走路を撫でたのである。
その下にも英霊の遺骨が眠っていると知っていたのだろう。
滑走路地区を含め遺骨収集は今も続いている。
記者団は父島へ先乗りしており、報道を意識したパフォーマンスではなかった。
当時、海上幕僚長として案内役を務めていた河野克俊元統合幕僚長は
「心底、戦没者に対する哀悼の意が深い方だった」
と振り返っている。
政治のリーダーが英霊への感謝の念を持つことは大切だ。
ただ、安倍氏でさえ、首相在任中に靖国神社を参拝したのは平成25年12月の1度きりだった。
以来、首相の靖国神社参拝は途絶えている。
勅使参向はあるが、天皇陛下ご親拝の環境はいつまでたっても整わない。
政治家が、中韓両国の干渉、メディアを含む左派勢力の反発を懸念しているからだろう。
英霊との約束を守らない日本であっていいわけがない。
自民党総裁選不出馬を表明した岸田文雄首相や閣僚、総裁選への立候補を志す政治家らは終戦の日や春季、秋季の例大祭などの機会に参拝してもらいたい。
国会は主権回復後の昭和28年8月、
「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」
を全会一致で採択した。
政府は関係国政府の同意をとりつけ、死刑を免れたA級を含む全ての
「戦犯」
の釈放を実現した。
刑死・獄死した受刑者の遺族にも年金を支給した。
その後、連合国によって刑死した人々も靖国神社に合祀されるようになった。
■自衛隊は勇戦の顕彰を
「A級戦犯」
として禁錮7年の判決を受けて服役した重光葵(まもる)は東条英機内閣の外相当時、人種平等を掲げた世界初の有色人種諸国のサミット、大東亜会議を実現した人物だ。
恩赦後に衆院議員に当選し、昭和29年から31年まで鳩山一郎内閣の副総理兼外相だった。
国連総会で日本の加盟受諾を演説し、各国代表から盛大な拍手を浴びている。
このようないきさつを顧みず、刑死した
「A級戦犯」
合祀などを理由に靖国神社参拝を難ずる勢力があるのはとても残念だ。
日本は平和を希求する民主主義国だ。
政治家は日本を敵視する国への配慮よりも、英霊や遺族へのおもんぱかりを優先してほしい。
靖国神社を忌避する勢力は自衛隊との切り離しにも拘っている。
だが、自衛隊も陸海軍も日本の軍事組織である点は同じだ。
自衛隊と自衛隊員は、英霊が祖国を守ろうと必死に戦った勇戦奮闘の史実を学び、語り継ぎ、顕彰してほしい。
それは自衛隊を一層精強に育て、平和を守る抑止力を高める。
戦後最も厳しい安全保障環境にある今、台湾有事や朝鮮半島有事が日本有事に容易に転化することは世界の安保関係者の常識となっている。
ロシアのウクライナ侵略や中東情勢、米大統領選の行方も、日本の針路に深く関わる。
首相選びとなる自民党総裁選に名乗りを上げる政治家は英霊への追悼、顕彰の思いを示すとともに具体的な外交安保政策、抑止力向上策を語るべきだ。
いずれも平和を守っていくために大切なことである。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/438.html#c23

[国際35] トランプ再登場を甘く見るな(植草一秀の『知られざる真実』) 赤かぶ
21. 秘密のアッコちゃん[1240] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月08日 20:27:07 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[678]
<■487行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
USスチールCEO、トランプ氏が日鉄買収を容認することに期待 「彼は賢い人物」
2025/1/8 9:24
https://www.sankei.com/article/20250108-BB57TSDCEVJKJAPD3UWOO54BXI/
米CNBCテレビは2025年1月7日、米鉄鋼大手USスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者(CEO)が、日本製鉄による買収計画に対してバイデン米政権が禁止命令を出したことを批判した上で、トランプ次期米大統領が買収を容認することに期待を示したと報じた。
CNBCによると、ブリット氏はインタビューに応じ、トランプ氏が買収に反対の立場であることは理解しているとしつつも
「彼は賢い人物だ」
「新たな視点で正しいことをする機会があり、そうすると強く信じている」
と語った。
トランプ氏はこれまで、買収を阻止する考えを強調してきた。
買収禁止命令が出た後の2025年1月6日にも、自身のSNSに
「関税政策でUSスチールは収益性が高く、より価値のある企業になるのに、なぜ今売却したいのか」
と投稿。
USスチールの経営改善に向け、買収は不要との考えを示唆した。(共同)

<産経抄>日米の結束を錆びつかせるな
2025/1/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20250108-B2FDGU3XFNLWPM6NROUXSZWVDU/
刀の手入れを怠ると、錆が生じて刀身をだめにすることがある。
そこから生まれたのが、諺の
「身から出た錆」
だという。
こんな法話を思い出す人もいよう。
「錆は鉄より出(いで)て鉄を腐らす。愚痴は人より出て人を滅ぼす」 。
▼こちらは釈迦の言葉とされる。
自分の犯した悪行により、自分が苦しむのは仕方がない。
口を慎まなかったばかりに、後で災いするのもよくあることだ。
企業の場合、低迷を招いた
「錆」
とは何だろう。
設備や人材への新たな投資を怠ったツケか。
それだけで片付けられまい。
▼例えば鉄鋼業界である。
巨額の補助金に支えられた中国産の安い粗鋼が、世界市場を荒らして久しい。
かつて米産業界の顔だった鉄鋼大手のUSスチールを日本製鉄が買収する計画も、そのような荒波の中で編み出した起死回生の一手に違いない。
▼バイデン米大統領はしかし、買収阻止の決定を下した。
日鉄は米国内の雇用を守り、4000億円を超える設備投資も計画していると聞く。
日鉄の持つ最先端技術をUSスチールと共有すれば、
「競争力」
という企業の地金も鍛えることができたろう。
▼「安全保障上のリスク」
というバイデン氏の言い分には耳を疑う。
相手は同盟国・日本の企業だ。
買収には全米鉄鋼労組が反対しており、今回の決定に政治的動機があったことは想像に難くない。
不当な政府介入を受けたとして、日鉄がバイデン氏らを提訴したのも無理はない。
▼買収には次期大統領のトランプ氏も否定的とされる。
計画の利を説くべき石破茂首相も会談の段取りにもたついている。
この問題で互いの信頼を錆びつかせ、中国などを喜ばせてはなるまい。
改めて日米同盟の結束を確かめ、より強い関係を築く契機としたい。

USスチール買収阻止に経済界で懸念の声広がる 対米投資委縮の可能性も
2025/1/7 19:40
https://www.sankei.com/article/20250107-AEUKB22QPJIIPFIR5MSA2IBZ5I/
日本製鉄によるUSスチール買収に対するバイデン米大統領の阻止命令を巡り、経済界からは2025年1月7日、対米投資への悪影響を懸念する声が相次いだ。
日本は米国の最大の投資国だが、今後、投資に二の足を踏む企業が出てくる可能性もある。
「経済安全保障を理由とした(米国政府の)決定が日米の経済関係に影響を及ぼさないか憂慮している」。
経団連の十倉雅和会長は2025年1月7日、都内で開かれた経済3団体の新年祝賀会後の3団体共催の記者会見で、バイデン氏の買収阻止命令に強い懸念を示した。
日本企業は対米投資で5年連続トップだ。
米国で多くの雇用も創出している。
十倉氏は
「米国政府は懸念を払拭するように適切に対応してほしい」
と呼び掛けた。
日本商工会議所の小林健会頭も
「公正なる法の下で、自由な経済活動を行う中核が日米だった」
「連帯を疑心暗鬼にさせる動きは好ましくない」
と危機感を示した。
政治介入による買収阻止を目の当たりにして、企業のトップも不信感を強めている。
出光興産の木藤俊一社長は
「根拠は安全保障というが、具体的に何が問題なのか聞きたい」
と疑問を呈した。
キリンホールディングスの磯崎功典会長も
「(結論が変わらなければ)対米投資に二の足を踏むようになる」
と述べた。
一方、三井不動産の植田俊社長は
「米国の不動産は力強く、人口も増えている」
「北米に注力して投資することに変わりはない」
と語った。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは
「(買収阻止命令は)日本は米国の仲間ではなかったというような大きな失望感を日本企業に与えたのではないか」
と指摘。
「今後の対米ビジネスを委縮させ、双方の経済にも悪影響を与えうる」
との見方を示した。

「禁止判断は極めて残念」 岩屋外相が米国務長官に伝達 日鉄のUSスチール買収阻止
2025/1/7 19:12
https://www.sankei.com/article/20250107-ATKYPCLU7VILREUCKLEOUAMHQ4/
岩屋毅外相は2025年1月7日、来日したブリンケン米国務長官と東京都内のホテルで会談した。
岩屋氏は日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を阻止する命令をバイデン米大統領が出したことについて問題提起し、
「国家安全保障上の懸念を理由として買収を禁止する判断がなされたことは極めて残念だ」
との考えを伝えた。
岩屋氏は会談で、日鉄によるUSスチール買収について、
「日本から米国への投資は両国にとって利益のあることだと当方は考えている」
とした上で、
「USスチールの労働者側からも(買収を)支持する声が上がっていた」
と指摘した。
会談後の記者会見で岩屋氏が明らかにした。
岩屋氏は会見で
「日米双方の経済界、とりわけ日本の産業界からは、今後の日米間の投資について強い懸念の声、心配の声が上がっており、これは重く受け止めざるを得ない」
と強調。
会談で
「懸念の払拭に向けた対応を米国側に求めた」
と説明した。
ブリンケン氏の発言などについては明らかにしなかった。
日米外相会談では、2025年1月6日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを強く非難。
露朝の軍事協力が進展し、韓国国内政治の混乱が続く中でも、北朝鮮への対応で日米、日米韓で緊密に連携し続けていることの重要性も改めて確認した。
ブリンケン氏は日米外相会談後、石破茂首相を首相官邸に表敬訪問した。

USスチール買収禁止、経済3団体トップがバイデン氏を批判 「日米連帯に疑心暗鬼」
2025/1/7 18:00
https://www.sankei.com/article/20250107-R43QONLCTZBSPF2UU7XAA6VGPM/
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画をバイデン米大統領が禁止した問題について、経団連の十倉雅和会長、日本商工会議所の小林健会頭、経済同友会の新浪剛史代表幹事は2025年1月7日の記者会見で揃ってバイデン氏を批判し、日米関係の悪化への懸念を表明した。
3氏は都内で開いた新年祝賀会の後、並んで会見に臨んだ。
十倉氏は
「安全保障という概念は非常に曖昧に使われる」
「今回の決定は非常に遺憾だ」
と言及した。
「日本は世界で一番アメリカに投資しているが、安全保障を理由にこういうことがなされ、日米関係へに影響を及ぼさないか懸念している」
と述べた。
小林氏は
「公正なる法の下に自由な経済活動を行う、その中核が日米だった」
「同盟国、その連帯を疑心暗鬼にさせるアクションは好ましくはない」
と批判した。
新浪氏は
「(禁止命令は)ひっくり返ることもある」
「自動車産業をどうにかしたいというトランプ次期米大統領にとって、いい鉄鋼ができることは自動車産業にプラスになる」
と語った上で
「それを理解できない今の米国のありようにクエスチョンがつく」
と苦言を呈した。
新浪氏は、徹底抗戦の構えを取る日鉄に
「ぜひ戦い抜いていただきたい」
とエールも送った。
日鉄は2025年1月7日、バイデン米大統領らを相手取り、禁止命令の撤回を求めて提訴したと発表。
入札で日鉄に競り負けた米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスと買収に反対していた全米鉄鋼労働組合(USW)のマッコール会長らに対して損害賠償の支払いなどを求める裁判を起こしたことも明らかにした。
クリフスは
「自分たちの過ちの責任転嫁だ」
「根拠がない」
と反論、マッコール会長も
「根拠のない主張」
とコメントしており、法廷闘争の泥沼化は避けられない事態となっている。

日鉄会長、「諦める理由も、必要もない」 USスチール買収巡り法廷闘争の長期戦覚悟
2025/1/7 17:46
https://www.sankei.com/article/20250107-RAUPL4EM3ZIMVJVG4JE7NCD5N4/
日本製鉄は2025年1月7日、橋本英二会長兼最高経営責任者(CEO)が記者会見し、米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り、買収阻止命令を出したバイデン米大統領を訴える異例の法廷闘争に踏み切った背景について、命令の違法性に加え、買収は中国に対抗して日米の鉄鋼産業が発展するための最善の方法だとの考えも示し、
「諦める理由も、必要もない」
と強調した。
■労組と特定企業が結託
「USスチールの競合メーカーのクリーブランド・クリフスのゴンカルベスCEOが、USW(全米鉄鋼労働組合)のマッコール組合長(会長)と連携し、組合が有する強大な政治力を利用してバイデン大統領に働き掛けた」
「この働き掛けに政治的な理由から応じた」
会見で橋本氏は、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査が、労組と特定企業の結託に伴う政治介入で、国家安全保障の観点で適正に実施されなかったとする構図を指摘した。
クリフスは、経営強化のために身売りを決断したUSスチールの買収に名乗りを上げ、買収についてUSWとも合意していた経緯がある。
■日米鉄鋼連合に強い思い
米国の制度では、安全保障に絡む大統領の判断の是非を裁判では問えないという。
だが、日鉄は訴訟を通じてライバル企業の不当な妨害行為の事実、その影響による、安全保障とは無関係のバイデン氏の判断の違法性を明らかにすることで
「勝訴のチャンス」(橋本氏)
はあるとみる。
「(勝訴の可能性が)何%の確率とか、(裁判が)どのような期間になるのかは今申し上げるタイミングではない」
と、法廷闘争が先の見えない難路であることは橋本氏も認める。
それでも買収に拘るのは、日米鉄鋼連合の実現に強い思いがあるからだ。
中国の過剰生産と安値輸出の拡大で、世界各国の鉄鋼業の経営環境は厳しい。
USスチールは昨年2024年12月、10〜12月期決算が最終赤字になるとの見通しを示しており、訴訟が長期化すれば同社の経営基盤の弱体化が進みかねない。
日鉄も内需が縮小する中、成長を見込む米国事業の強化策の停滞は、中国対抗の基盤づくりの遅れに繋がる。
橋本氏は
「バイデン氏の不当な判断によってそのリスクは既に生じている」
と憤りを露わにする一方、だからこそ買収を通じて日米が協力することが極めて有益だとし、
「これ以上に米国の鉄鋼業を強くする道があるとは思えない」
と、長期戦も辞さない構えだ。
■提訴の意義大きく
バイデン氏の買収阻止命令は、原則30日以内の計画の放棄を定めた。
日鉄はこの措置を含めた命令の無効を求めており、まずは放棄期限の2025年2月2日までに裁判所がどんな判断を示すかが焦点だ。
訴えが退けられた場合、日鉄とUSスチールは新たな対応を迫られるが、放棄期限の効力が中断されれば、訴訟で買収実現の再審査の道を開くシナリオは残る。
日鉄には、トランプ次期大統領への政権移行でCFIUSのメンバーが一新され、米国の安全保障と製造業の労働者の利益に資する計画への理解が得られるとの期待もある。
法廷闘争の行方によっては、日鉄に計画破棄の違約金と時間の浪費のつけがのしかかる最悪のケースも否定はできない。
しかし、提訴には日米の同盟関係の信頼と経済連携の重要性を問い直す側面もあり、その意義は大きい。

USスチール買収禁止 対米投資に冷や水 関西の次世代エネ企業も影響 日本総研・藤山氏
2025/1/7 16:51
https://www.sankei.com/article/20250107-W5HGMAISEVNZTHF5BDZLGGGTMY/
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を禁じた今回の米政府の決定が、労働組合に対する政治的配慮によって行われたことは疑いようがない。
このような動きは、今後の日米企業間の提携や協力の動きに水を差しかねないだろう。
米国内ではこれまで、中国企業による投資に対し、安全保障などの観点から懸念をもって受け止められることが多かった。
今回の事態は、そのような懸念が日本企業の対米投資にも向けられることを示しているのではないか。
関西にも影響があるだろう。
関西には水素や蓄電池など次世代エネルギー分野の有力企業が少なくない。
彼らは、新技術の獲得などに向けて米企業への投資や買収などの動きを進めることもあると思うが、今回の米政府の決定はそのような機運に水を差しかねない。
関西経済は中国市場への依存度が高く、その解消に向けて米国など他の市場に目を向けようとしているが、そのような動きにもマイナスの影響があるのではないか。
トランプ氏の米大統領復帰が間近に迫るが、これも事態を難しくしかねない。
トランプ氏は関税引き上げを推進する考えで、これにより日本企業は輸出を避けるため米国内での生産を強化せざるを得ない。
しかし、対米投資が容易に進められないのなら、日本企業は対応が更に困難になる。

「日鉄・橋本会長は当惑していた」「ビジネスで処理すべき」 USスチール買収で関経連会長
2025/1/7 15:08
https://www.sankei.com/article/20250107-XKL6ICIGDJKXPFNL36UBKWWRZY/
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収をバイデン米大統領が禁止した問題について、関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は2025年1月7日、大阪市内での記者会見で
「本来は『ビジネスtoビジネス(ビジネス対ビジネス)』で処理すべきだ」
と述べた。
2025年1月20日に就任するトランプ次期大統領の対応を注視する考えも示した。
バイデン氏は、米国の製造業を支える鉄鋼メーカーが海外企業に買収されれば、国家安全保障を損なう恐れがあると判断。
日鉄側に、30日以内に買収を取りやめる措置を取るよう要求した。
松本氏は、今回の件はビジネスの問題であるとの認識を示し、
「安保上の問題があると、大上段に振りかぶってきたところに大きな問題ある」
と指摘。
今後について、
「トランプ政権が同盟国として日本をどう思うかであり、ウオッチするしかない」
と語った。
一方、日鉄の橋本英二会長は2025年1月7日、バイデン氏らを相手取ってUSスチール買収禁止命令の無効を求めて提訴したことを発表した。
橋本氏と親しいという松本氏は昨年2024年、ゴルフを一緒にした際に、橋本氏がUSスチール買収を巡る米政府の反応に
「当惑していた」
と明かした。
松本氏は事態の進展を見守るとし、
「USスチールは非常に伝統のある米国の魂であり、日鉄も日本の製鉄メーカーの魂と言える」
「何とかうまくやれば、双方にとって麗しいものになるのではないか」
と語った。

武藤経産相、日鉄への支援検討 USスチール買収阻止命令で
2025/1/7 12:26
https://www.sankei.com/article/20250107-KHPNPVBEUBPI5LJLKNN3QNTDDQ/
武藤容治経済産業相は2025年1月7日の記者会見で、日本製鉄がバイデン米大統領らを相手取って米鉄鋼大手USスチール買収阻止命令の無効を求めて提訴したことについて
「政府としては日鉄の今後の対応を踏まえた上で、具体的にどのような支援ができるかを検討する」
との考えを重ねて表明した。
武藤氏は強固な経済関係は二国間関係の基盤で、日本企業が米国で安心して投資できる環境を整備すること重要だと指摘。
バイデン政権だけでなく、トランプ次期政権にもこのことを訴えると強調した。
買収計画は対米外国投資委員会(CFIUS)が審査したが、意見がまとまらずにバイデン氏に最終判断を委ね、買収禁止命令が出された。
日本企業による米国企業の買収を米大統領が禁止したのは初めてだ。
米大統領はCFIUSの審査結果を踏まえて計9件の取引禁止命令を出しており、今回の命令を除く8件は、いずれも何らかの形で中国が関与していたとされる。
武藤氏は
「経済安全保障も含め、日本と米国の信頼関係を訴えていかないといけない」
と語った。

日鉄の橋本会長、米大統領ら提訴を発表 徹底抗戦の姿勢「代替案は一切頭にない」
2025/1/7 10:17
https://www.sankei.com/article/20250107-FQ3TTNJ3XZNQ7LR2VWQ6DTGOR4/
日本製鉄の橋本英二会長は2025年1月7日午前、東京都内で記者会見し、バイデン米大統領らを相手取って米鉄鋼大手USスチール買収禁止命令の無効を求めて提訴したことを発表した。
「バイデン大統領の違法な政治介入で審査が適正にされず、到底受け入れられるものではない」
と強調。
従来の買収計画の実現をあくまで目指すとし、徹底抗戦する姿勢を鮮明にした。
鉄鋼業界の国際的な大型再編を目指した買収計画は、日本企業が米大統領を訴える異例の展開を迎えた。
橋本氏は
「代替案は一切頭にない」
「米国での事業遂行を決して諦めない」
と述べた。
米市場は電気自動車(EV)に使う高級鋼材などの需要が見込め、日鉄の経営戦略に重要な意味を持つ。
日鉄は2025年1月6日付で、日鉄米子会社とUSスチールとの3社で2件の訴訟を提起。
バイデン氏や対米外国投資委員会(CFIUS)、イエレン財務長官らが審査制度を悪用したと訴えた。

USスチール買収禁止 対米投資に冷や水 関西の次世代エネ企業も影響 日本総研・藤山氏
2025/1/7 16:51
https://www.sankei.com/article/20250107-W5HGMAISEVNZTHF5BDZLGGGTMY/
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を禁じた今回の米政府の決定が、労働組合に対する政治的配慮によって行われたことは疑いようがない。
このような動きは、今後の日米企業間の提携や協力の動きに水を差しかねないだろう。
米国内ではこれまで、中国企業による投資に対し、安全保障などの観点から懸念をもって受け止められることが多かった。
今回の事態は、そのような懸念が日本企業の対米投資にも向けられることを示しているのではないか。
関西にも影響があるだろう。
関西には水素や蓄電池など次世代エネルギー分野の有力企業が少なくない。
彼らは、新技術の獲得などに向けて米企業への投資や買収などの動きを進めることもあると思うが、今回の米政府の決定はそのような機運に水を差しかねない。
関西経済は中国市場への依存度が高く、その解消に向けて米国など他の市場に目を向けようとしているが、そのような動きにもマイナスの影響があるのではないか。
トランプ氏の米大統領復帰が間近に迫るが、これも事態を難しくしかねない。
トランプ氏は関税引き上げを推進する考えで、これにより日本企業は輸出を避けるため米国内での生産を強化せざるを得ない。
しかし、対米投資が容易に進められないのなら、日本企業は対応が更に困難になる。

「日鉄・橋本会長は当惑していた」「ビジネスで処理すべき」 USスチール買収で関経連会長
2025/1/7 15:08
https://www.sankei.com/article/20250107-XKL6ICIGDJKXPFNL36UBKWWRZY/
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収をバイデン米大統領が禁止した問題について、関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は2025年1月7日、大阪市内での記者会見で
「本来は『ビジネスtoビジネス(ビジネス対ビジネス)』で処理すべきだ」
と述べた。
2025年1月20日に就任するトランプ次期大統領の対応を注視する考えも示した。
バイデン氏は、米国の製造業を支える鉄鋼メーカーが海外企業に買収されれば、国家安全保障を損なう恐れがあると判断。
日鉄側に、30日以内に買収を取りやめる措置をとるよう要求した。
松本氏は、今回の件はビジネスの問題であるとの認識を示し、
「安保上の問題があると、大上段に振りかぶってきたところに大きな問題ある」
と指摘。
今後について、
「トランプ政権が同盟国として日本をどう思うかであり、ウオッチするしかない」
と語った。
一方、日鉄の橋本英二会長は7日、バイデン氏らを相手取ってUSスチール買収禁止命令の無効を求めて提訴したことを発表した。
橋本氏と親しいという松本氏は昨年2024年、ゴルフを一緒にした際に、橋本氏がUSスチール買収を巡る米政府の反応に
「当惑していた」
と明かした。
松本氏は事態の進展を見守るとし、
「USスチールは非常に伝統のある米国の魂であり、日鉄も日本の製鉄メーカーの魂と言える」
「何とかうまくやれば、双方にとって麗しいものになるのではないか」
と語った。

武藤経産相、日鉄への支援検討 USスチール買収阻止命令で
2025/1/7 12:26
https://www.sankei.com/article/20250107-KHPNPVBEUBPI5LJLKNN3QNTDDQ/
武藤容治経済産業相は2025年1月7日の記者会見で、日本製鉄がバイデン米大統領らを相手取って米鉄鋼大手USスチール買収阻止命令の無効を求めて提訴したことについて
「政府としては日鉄の今後の対応を踏まえた上で、具体的にどのような支援ができるかを検討する」
との考えを重ねて表明した。
武藤氏は強固な経済関係は二国間関係の基盤で、日本企業が米国で安心して投資できる環境を整備すること重要だと指摘。
バイデン政権だけでなく、トランプ次期政権にもこのことを訴えると強調した。
買収計画は対米外国投資委員会(CFIUS)が審査したが、意見がまとまらずにバイデン氏に最終判断を委ね、買収禁止命令が出された。
日本企業による米国企業の買収を米大統領が禁止したのは初めてだ。
米大統領はCFIUSの審査結果を踏まえて計9件の取引禁止命令を出しており、今回の命令を除く8件は、いずれも何らかの形で中国が関与していたとされる。
武藤氏は
「経済安全保障も含め、日本と米国の信頼関係を訴えていかないといけない」
と語った。

日鉄の橋本会長、米大統領ら提訴を発表 徹底抗戦の姿勢「代替案は一切頭にない」
2025/1/7 10:17
https://www.sankei.com/article/20250107-FQ3TTNJ3XZNQ7LR2VWQ6DTGOR4/
日本製鉄の橋本英二会長は7日午前、東京都内で記者会見し、バイデン米大統領らを相手取って米鉄鋼大手USスチール買収禁止命令の無効を求めて提訴したことを発表した。
「バイデン大統領の違法な政治介入で審査が適正にされず、到底受け入れられるものではない」
と強調。
従来の買収計画の実現をあくまで目指すとし、徹底抗戦する姿勢を鮮明にした。
鉄鋼業界の国際的な大型再編を目指した買収計画は、日本企業が米大統領を訴える異例の展開を迎えた。
橋本氏は
「代替案は一切頭にない」
「米国での事業遂行を決して諦めない」
と述べた。
米市場は電気自動車(EV)に使う高級鋼材などの需要が見込め、日鉄の経営戦略に重要な意味を持つ。
日鉄は2025年1月6日付で、日鉄米子会社とUSスチールとの3社で2件の訴訟を提起。
バイデン氏や対米外国投資委員会(CFIUS)、イエレン財務長官らが審査制度を悪用したと訴えた。

買収競合の米鉄鋼大手、日鉄の提訴は「根拠ない」と声明
2025/1/7 11:45
https://www.sankei.com/article/20250107-YBM7VZOT75MDXFFOFPOAEEFDRY/
日本製鉄によるUSスチール買収をバイデン米大統領が禁止したことに絡み、買収を阻止したとして日鉄が提訴したUSスチール競合の米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスは2025年1月6日、声明を発表し
「自分たちの過ちの責任転嫁だ」
「根拠がない」
と反論した。
同時に提訴された全米鉄鋼労働組合(USW)のマッコール会長も2025年1月6日
「根拠のない主張に断固として反論する」
とコメントした。
クリフスは日鉄とともに買収に名乗りを上げたが、金額で折り合わずUSスチールが日鉄を選んだ経緯がある。
日鉄はクリフスとマッコール氏が共謀してUSスチールの買収を阻止するために違法行為を行ったとして提訴し、違法行為の差し止めと多額の損害賠償の支払いを求めている。
クリフスのゴンカルベス最高経営責任者(CEO)は、買収の禁止を命じる決定は
「重要な製鉄インフラに対する米国の管理を維持することの重要性を強調するものだ」
と主張。
「日本は数十年に渡って、中国以上の鉄鋼の過剰生産と米国への有害なダンピング(不当廉売)の歴史がある」
と持論を展開して日鉄を批判した。

石破政権無策§I呈 USスチール買収禁止命令、平井宏治氏「中国寄りの姿勢も影響か」 日鉄は米政府を提訴へ
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-BHB6KKUXLFIONLEPC3RXMKH374/
■「政争の具」に利用?
米国のジョー・バイデン大統領は2025年1月3日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画について、
「安全保障と重要な供給網へのリスク」
を理由に禁止する命令を出した。
これに対し、日鉄は米政府を提訴する方針を固めた。
買収計画を巡ってはドナルド・トランプ次期米大統領も反対しており、米国内の
「政争の具」
に利用されている面もある。
それだけに石破茂政権の無策≠ヤりも目立つ。
■バイデン大統領が命令 日鉄は提訴へ
バイデン大統領は日鉄とUSスチールに、原則30日以内に
「買収計画を完全かつ永久に放棄するため必要な全ての措置」
を講じるよう命じた。
日鉄は2025年1月3日、USスチールと共同声明を発表し、禁止命令は
「明らかに政治的な判断だ」
と主張した。
安全保障問題に関する確かな証拠を提示しておらず、適正手続きや法令に違反していると指摘した。
対米外国投資委員会(CFIUS)の懸念を解消するため、米国側がUSスチールの生産能力の削減に拒否権を持てる措置を自主的に提示してきたことも強調した。
日鉄はこれまで当局の懸念を解消するため、USスチールの取締役の過半数を米国人とする案も示してきた。
だが、米国内では
「政治的」
な理由が先行している。
USスチールは大統領選で激戦州とされる東部ペンシルベニア州に本社を置く。
このため買収計画は昨年2024年の大統領選でも争点になった。
バイデン大統領は任期終了間際だが、次の4年を睨んで買収禁止命令を出したとみられる。
日本側は昨年2024年11月、石破首相がバイデン大統領に書簡を送り、買収計画の承認を求めた。
ただ、次期大統領であるトランプ氏と対面で接触できないなど石破政権には外交上の懸念も浮上している。
経済安全保障アナリストの平井宏治氏は
「日本政府は書簡を送るだけではなく、外交で前面に出たり、日鉄へのアドバイスを通じて関与する方法も考えられた」
「米政府のファンドに日鉄の株を一定数持たせ、そこに米国の役員を入れるなど、米国側が納得できる案もあったのではないか」
「石破首相がトランプ氏と対面できない上、中国寄りとみられる姿勢も影響しているかもしれない」
「今後、米国と交渉するには『親中』ではないことを旗幟鮮明にする必要がある」
と語った。

「鉄は国家なり」製造業大国の郷愁が保護主義を増幅 繁栄のアイコン、USスチール買収阻止
2025/1/4 18:20
https://www.sankei.com/article/20250104-QKOC3U2DKNLZ3COVLJOCIN6DHU/
日本製鉄によるUSスチール買収はバイデン米大統領が2025年1月3日に買収禁止を命じて頓挫した。
1901年創業のUSスチールは、米国が鉄鋼大国として繁栄した時代を象徴する「アイコン」(米メディア)とされる。
大統領選と重なる時期に、
「米企業が外資に奪われる」
といった印象論が先行し、経済論理は置き去りにされ政争の犠牲になった側面が否めない。
■バイデン氏「国家の背骨」と宣言
「USスチールは米国人に所有、運営され、世界で最も誇り高い米企業であり続ける」
バイデン氏は2025年1月3日の声明で、そう強調した。
自動車や軍用品など幅広い産業を支える米鉄鋼大手が外国企業に買収されれば、国家安全保障を損なう恐れがあると買収阻止の理由を説明した。
近代国家の発展に鉄鋼生産が重視され、
「鉄は国家なり」
と言われたように、バイデン氏は声明で、鉄鋼生産が
「国家の背骨だ」
と宣言した。
■政争に巻き込まれ…
USスチールは「鉄鋼王」カーネギーらが1901年に設立。
鉄鋼需要拡大期に成長し、AP通信によると1955年までに、USスチールを筆頭とする米企業が世界の需要の4割を供給した。
近年は海外勢に押され経営が悪化。
M&A(企業の合併・買収)を通じた協業相手を探していた。
日鉄が2023年12月にUSスチール買収を発表すると、雇用への影響を懸念する全米鉄鋼労働組合(USW)が、直ちに反対を表明した。
2024年11月の大統領選を前に、米有力企業の
「身売り」
は政争に巻き込まれ、労働者保護を掲げる民主党のバイデン氏、共和党のトランプ次期大統領の双方が、買収阻止の姿勢を鮮明にした。
■産業界からは買収阻止に反発の声
日本企業は過去にも米大手のM&Aで苦しんだ。
東芝による2006年の米原発大手ウェスチングハウス買収は失敗。
米企業側が
「格下」
とみなす日本企業との協業で、相乗効果が生まれなかったことが背景にあったとされる。
今回は日鉄が門前払いとなった形だが、米国民のプライドにかかわる有力企業の買収はハードルが高い。
政府が介入し、自国産業を守るという保護主義的な機運を後押ししている面もある。
一方、全米商工会議所が2025年1月3日、
「バイデン政権による(USスチール買収の)政治化は米国民に高い経済負担を負わせかねない」
とする声明を発表するなど、産業界からは反発が出ている。

日鉄のUSスチール買収阻止にCEO「中国が小躍り」と激怒 労組は「歓迎」で温度差
2025/1/4 17:20
https://www.sankei.com/article/20250104-KL4BNZWJHFFHFISDHMSWS6KSOU/
退任間際のバイデン米大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を阻止する命令を出したことを巡り、USスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者(CEO)は2025年1月3日(現地時間)、世界最大の鉄鋼生産国である中国を念頭に
「北京の中国共産党指導者たちは路上で小躍りして(喜んで)いる」
とコメントし、
「政治的腐敗と戦う」
と痛烈に非難した。
「日本を侮辱した」
と断じており、日本のSNSでも注目された。
全米鉄鋼労働組合(USW)はバイデン氏を支持しており、買収される現場と業界団体や政治家など
「外野」
との温度差は広がるばかりだ。
ブリットCEOはコメントでバイデン氏の決定を
「恥ずべき腐敗行為」
と断罪。
「わが社の将来、労働者、そして国家安全保障に損害を与えた」
と激怒した。
「重要な経済および国家安全保障同盟国である日本を侮辱し、米国の競争力を危険にさらした」
と日米関係への影響にも言及した。
一方、買収に反対の立場をとるUSWのマッコール会長は
「決定を歓迎する」
との声明を発表している。
マッコール氏は日鉄が不当廉売で
「米国の国内産業を弱体化させるために働いてきた」
と主張。
USスチールに対しては
「良質な雇用、健全な地域社会、強固な国家と経済安全保障を支え続けると確信している」
とした。
USスチールは日鉄による買収の正当性を訴え、買収が実現しなければ、製鉄所の閉鎖や本社移転を示唆してきた。
地域経済や雇用を維持するため、地元市長や従業員にも買収賛成が広がっていた。
日鉄の買収がとん挫すれば、経営再建の道のりは険しいものとなり、製鉄所の閉鎖などによる大量解雇が現実味を帯びる。
日鉄に入札で競り負けた競合の米クリーブランド・クリフスが買収に意欲を示すものの、高炉や一部の製品で100%近いシェアとなるため、競争法上のハードルは高い。
実現したとしても、クリフスの投資余力が十分とはいえず、大幅な事業再編は必至で、いずれにしても雇用維持は困難となる。
買収できなかった場合、日鉄はUSスチールに5億6500万ドル(約890億円)の違約金を支払う契約となっている。
日鉄は米政府の命令が法令違反に当たるとして、米政府を提訴する方針。
昨年2024年11月の米大統領選では、USWの集票力に期待して、共和党のトランプ次期大統領も買収に反対の姿勢を示していただけに、今回の決定は尾を引くことは避けられず、今後の日米関係にも影を落とす。

http://www.asyura2.com/24/kokusai35/msg/259.html#c21

[戦争b25] トランプが大統領に就任する直前、ウクライナ軍は露国への軍事侵攻を試みて失敗(櫻井ジャーナル) 赤かぶ
16. 秘密のアッコちゃん[1241] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月08日 21:04:28 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[679]
<■155行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
中国ICBMサイロ、ミサイル装填に向け作業が進捗 国基研の衛星分析で判明
2025/1/8 19:43
https://www.sankei.com/article/20250108-2WQ3IUVHUNOJDKL4Y3SHV26MAU/
昨年2024年4月、偽装網がかぶせられた大陸間弾道ミサイルのサイロ=中国甘粛省玉門(国家基本問題研究所)
https://www.sankei.com/article/20250108-2WQ3IUVHUNOJDKL4Y3SHV26MAU/photo/D64D5V3VVFP4ZLAF4NKZ3PU5PA/
中国が北西部甘粛省玉門の砂漠地帯に大陸間弾道ミサイル(ICBM)用の地下式格納施設(サイロ)を建設している問題で、シンクタンク国家基本問題研究所(国基研、櫻井よしこ理事長)が衛星写真を分析した結果、これまで偽装網を被せていたのを取り外すなどミサイル装塡に向けた作業が進捗していることが分かった。
警備施設、監視施設の建設も着々と進んでおり、サイロが運用開始間近であることが窺える。
■完成近づく
中国はサイロの存在を公表していないが、玉門、新疆ウイグル自治区哈密(ハミ)、内モンゴル自治区杭錦の3カ所に広大なサイロ群を建設している。
玉門サイロ群では掘削作業隠蔽などのためドーム状天幕が被せられていたようだが、昨年2024年4月の時点ではミサイル装塡のためか天幕は取り外され、代わりに偽装網がかぶせられているサイロがあった。
内部の配線調整など実戦運用に向けた作業が行われていたもようだ。
昨年2024年9月に偽装網が外され蓋がされた状態のサイロ。
サイロ群が完成に近づいていることを窺わせる=中国甘粛省玉門(国家基本問題研究所)
https://www.sankei.com/article/20250108-2WQ3IUVHUNOJDKL4Y3SHV26MAU/photo/3KWRN5ZDMRKDDJU4YBPLKYNDUY/
昨年2024年9月の衛星写真を見るとその偽装網も外されたサイロもあった。
サイロの蓋(ふた)は約6メートル、ミサイルを装塡する車両用の台座約21メートル。
まさに直径2・25メートル、全長13メートルとされるDF31シリーズミサイルが収まる大きさだ。
2024年4月と2024年9月に撮影したのは同じサイロではないが次々にサイロが完成に近づいていることが分かる。
■30年に米中戦力互角か
サイロ周辺には駐屯地や警備施設、監視施設が建設されている。
2024年9月の写真では警備施設に軍用車両が4台止まっているのを確認できる。
車両の形状、大きさから見て、施設に1個小隊規模の警備部隊が駐屯していると推定される。
中国軍は昨年2024年9月、サイロに装塡するとみられる固体燃料式のDF31AGを海南島から太平洋に向けて発射したが、ミサイルの実証試験だったと見られる。
中国国内で行う発射試験と異なり、太平洋上にミサイルを落とすとなると、米国などにミサイルの性能を示す電波信号を収集され、部品を回収されるリスクもある。それでもミサイル性能の秘匿よりも信頼性の検証を重視したと言える。
その理由として、国基研は
「サイロ群での使用を念頭に置いたのではないか」
「最大射程で行われた可能性が大きく、弾頭が模擬である以外、実戦に即した飛翔だった」
と分析する。
推定飛翔距離は1万1700キロで最大射程とされている1万1200キロを超えていた。
この意味する所は中国が首都ワシントンまで到達できるICBMの実証試験の成功を米国に見せつけ、DF31AGを今後サイロ群に実戦配備していく姿勢を示したと言える。
現在中国軍が保有しているICBM発射機およびサイロは140基だが、3カ所のサイロ群全てが運用を始めると約450基になると見積もられている。
米国が保有しているサイロは約400基であり、2030年には米中両国のICBM戦力が互角になる可能性がある。
国基研は
「サイロ群の運用開始で中国の核戦力は大幅に増強される」
「発射実験が中国の発表通り成功だったとすれば、米国との相互確証破壊戦略に向けた大きな一歩になる」
と指摘。
核戦力で米国と互角になれば中国が
「核大国」
として振る舞い、核保有国のロシアが非核保有国のウクライナを侵略したように周辺国に対し力による現状変更を推し進めることも予想されるだけに、日本としても抑止力強化に向け対応を急ぐ必要があると警鐘を鳴らす。

<主張>中国の核戦力増強 先制使用の脅威に備えよ
社説
2024/12/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241223-3VR37D75NBMN7DWAU3J7E6MPT4/
米国防総省が中国の軍事力に関する年次報告書を発表し、中国が保有する運用可能な核弾頭数が600発を超えたとの見積もりを示した。
1年で100発程度増えた計算だ。
2020年の報告書では保有数を200発前半とし、2030年までに倍増すると見ていた。
従来の想定を上回る核戦力の増強が浮き彫りとなった形だ。
中国は従来の
「核の先制不使用」
政策から
「先制使用」
への転換を検討しているという。
ロシアはウクライナで核の威嚇を続け、ロシアを支援する北朝鮮も核ミサイル開発を加速させる。
トランプ次期政権は、核保有する専制国家が連携を強める現実も踏まえ、核戦力で日本など同盟国を防衛する
「拡大抑止」
の信頼性が十分かどうか、点検と強化を急いでほしい。
報告書は2030年までに核弾頭が1000発を超えると予測した。
中国は核戦力の現状や目標に関し秘密主義を保つが、増加のペースは一段と加速すると見るべきだ。
「核弾頭の量だけでなく質も向上させた」
との指摘も注意を要する。
精密打撃ミサイルから大陸間弾道ミサイル(ICBM)まで運搬手段を多様化し、戦略原子力潜水艦や戦略爆撃機の攻撃手段も強化している。
中国は従来、自国が核攻撃を受けない限り核兵器を使用しない
「核の先制不使用」
政策を取ってきた。
だが、報告書は、習近平政権が紛争の過程で最初に核兵器を使用する
「先制使用」
を検討していると指摘した。
事実なら台湾侵攻を念頭に置いた重大な戦略転換だ。
報告書は
「中国政府は台湾での軍事的敗北が中国共産党の政権維持を深刻に脅かす事態に核の先制使用を考慮する」
とのシナリオを示す。
米軍の介入で台湾の戦況が悪化すれば、周辺の米軍拠点を低出力核で攻撃する危険を示唆したものと言える。
日本も標的になり得る。
ストックホルム国際平和研究所によると、米国は2024年1月時点で5044発の核弾頭を保有し、ロシアは5580発を有する。
米国はロシアの核戦力に加え、質的向上が著しい中国への同時対処が迫られている。
トランプ次期政権は対中強硬派の閣僚や高官を据えるが、核戦略の方向性は定かでない。
石破茂首相は来年2025年1月に見込まれるトランプ氏との会談で中国の核への備えを議論すべきだ。

「強烈な不満と断固反対」中国国防省が米の年次報告書に反発
2024/12/21 21:25
https://www.sankei.com/article/20241221-IN2V4UFV6RPNDFBUCA2GA5ITHE/
中国国防省は2024年12月21日、米国防総省が2024年12月18日発表した中国の軍事動向に関する年次報告書に反発する報道官談話を発表した。
中国に対する
「粗暴な内政干渉で、軍事脅威論を拡散させている」
と批判し
「強烈な不満と断固とした反対」
を表明した。
報告書は中国が核戦力増強を加速させていると指摘。
談話では
「中国は自衛のための核戦略を堅持している」
と主張し、中国の核戦力は安全保障に
「必要な最低水準だ」
と持論を展開した。(共同)

米高官、中国核戦力増強で先制不使用政策と「矛盾」と批判 警戒感を示す
2024/12/20 7:55
https://www.sankei.com/article/20241220-ACEYIH5HE5KMVNATY34EHMPPSI/
ファイナー米大統領副補佐官は2024年12月19日、中国が核戦力を急速に増強させており
「中国が主張する核の先制不使用政策と矛盾している」
と批判した。
「既に戦略環境を根本的に変えるレベルに達している」
と警戒感を露わにした。
ワシントンで開かれた軍備管理協会のイベントで語った。
ファイナー氏は軍備管理措置を通じた核リスクの低減が米中双方の
「共通の利益だ」
と語った。
一方、中国やロシア、北朝鮮が核戦力の増強を続ければ、米国が核兵器を追加配備するのは
「合理的だ」
とも語り、判断はトランプ次期政権に委ねられると話した。
核保有国のパキスタンが米本土を射程に収める長距離弾道ミサイルの開発を加速させていると明らかにした。
「パキスタンの行動は米国に対する新たな脅威以外の何ものでもない」
と指摘した。(共同)

中国の核弾頭600発超に 新型ICBMなど脅威強調 米国防総省報告書
2024/12/19 0:00
https://www.sankei.com/article/20241219-G7D6O55UC5MWVNMEX3KHUOVVCQ/
米国防総省は2024年12月18日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表した。
中国が保有する運用可能な核弾頭数が600発を超えたとの推計を示し、昨年2023年の報告書から100発引き上げた。
報告書は、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を明記するなど、米国への脅威が高まっていることを強調した。
報告書では、中国の核弾頭数について、2022年に400発超、2023年に500発超と推計していたが、2024年半ば時点で600発超に拡大したとした。
2030年までに1000発超に達するとの見通しを維持しつつ、
「少なくとも2035年まで増強を続けるだろう」
と明記した。
習近平政権は2035年までに軍の近代化を図る目標を掲げている。
中国軍は核弾頭を搭載可能な
「ミサイル戦力を大幅に向上させる新型のICBMを開発している」
と指摘。
通常弾頭で大陸間の攻撃を可能にするミサイルシステムを導入する可能性に触れ、
「配備されればハワイやアラスカ、米本土に通常攻撃による威嚇を可能にする」
と警鐘を鳴らした。
また、中国軍が演習や訓練で
「米軍の艦艇やグアムの滑走路などの模擬標的」
を使っているとした。
習政権が統一を掲げる台湾に関し、周辺での大規模な軍事演習など
「外交的、政治的、軍事的な圧力を強化」
したと説明。
台湾有事で米国の介入を阻止できない場合は
「短期間の限定的な戦争で介入を遅延させ、打破する」
と予想した。
また、中国共産党が中国軍の統制を進めていることを強調。
2023年に起きた軍内部の汚職調査や幹部交代が軍近代化を遅らせた可能性を指摘した。

http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/860.html#c16

[経世済民136] 今さら聞けないUSスチール買収計画の「なぜ」…バイデン大統領の阻止に同社CEO激オコ、日本製鉄は猛反発(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
13. 秘密のアッコちゃん[1242] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月09日 08:51:05 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[680]
<■522行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<主張>買収阻止で提訴 日米同盟強化と両立図れ
社説
2025/1/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20250109-IO5QITOAPVMCNPXSRFS43H35EA/
日本製鉄が、米鉄鋼大手USスチールの買収阻止命令の無効を求め、バイデン米大統領らを提訴した。
日鉄側は会見で
「違法な政治介入で審査が適正にされず到底受け入れられるものではない」
と訴えた。
バイデン氏は阻止命令をめぐり
「安全保障と重要な供給網にリスクをもたらす」
と指摘したが、同盟国の企業による買収が安全保障のリスクになる理由を明らかにしていない。
日鉄は司法の場で買収計画の正当性を主張すべきだ。
日鉄の対応は進められるべきだが、日本の政府や経済界、国民が忘れてはならない点がある。
それは、買収阻止とそれによって生じる感情的しこりが日米関係を軋ませ、強固な同盟を犠牲にすることは決してあってはならない、ということだ。
日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。
今回の問題で日米同盟が揺らげば、台湾併吞を狙う中国や、核・ミサイル戦力強化に走る北朝鮮など周囲の専制国家を喜ばせてしまう。
それは日米同盟の抑止力を低下させ、有事の恐れを高める。
日本国民の生命、財産を危険に晒すのである。
日本は自国の置かれた戦略環境を直視し、今こそ同盟の維持強化に努めなければならない。
その点で極めて残念なのは、石破茂首相がトランプ次期大統領との会談を2025年2月以降にずれ込ませたことだ。
買収問題はトランプ政権発足後も尾を引く。
石破氏はトランプ氏と早急に会談し、買収計画が対中競争力を高め日米共通の安保上、経済上の利益となることを説く必要がある。
同時に、トランプ氏に対して、日米同盟強化の方策を持ち掛けねばならない。
その機会を先送りした首相と政府の判断は首肯できない。
買収計画が発表された一昨年2023年末以降の日本政府の対応にも疑問が残る。
労組票を取り込みたい民主、共和両党の大統領候補が買収に否定的考えを示したにもかかわらず、買収実現に向け、日本政府が米政権に積極的に働き掛けた跡は窺えない。
今の混乱は対米外交の明らかな失策である。
米側に、日本企業の健全な対米投資が同盟の発展を後押しする点を認識させなくてはならない。
そのためにも防衛上、経済安保上の日米同盟の一層の充実が欠かせないのである。

USスチールCEO、トランプ氏が日鉄買収を容認することに期待 「彼は賢い人物」
2025/1/8 9:24
https://www.sankei.com/article/20250108-BB57TSDCEVJKJAPD3UWOO54BXI/
米CNBCテレビは2025年1月7日、米鉄鋼大手USスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者(CEO)が、日本製鉄による買収計画に対してバイデン米政権が禁止命令を出したことを批判した上で、トランプ次期米大統領が買収を容認することに期待を示したと報じた。
CNBCによると、ブリット氏はインタビューに応じ、トランプ氏が買収に反対の立場であることは理解しているとしつつも
「彼は賢い人物だ」
「新たな視点で正しいことをする機会があり、そうすると強く信じている」
と語った。
トランプ氏はこれまで、買収を阻止する考えを強調してきた。
買収禁止命令が出た後の2025年1月6日にも、自身のSNSに
「関税政策でUSスチールは収益性が高く、より価値のある企業になるのに、なぜ今売却したいのか」
と投稿。
USスチールの経営改善に向け、買収は不要との考えを示唆した。(共同)

<産経抄>日米の結束を錆びつかせるな
2025/1/8 5:00
https://www.sankei.com/article/20250108-B2FDGU3XFNLWPM6NROUXSZWVDU/
刀の手入れを怠ると、錆が生じて刀身をだめにすることがある。
そこから生まれたのが、諺の
「身から出た錆」
だという。
こんな法話を思い出す人もいよう。
「錆は鉄より出(いで)て鉄を腐らす。愚痴は人より出て人を滅ぼす」 。
▼こちらは釈迦の言葉とされる。
自分の犯した悪行により、自分が苦しむのは仕方がない。
口を慎まなかったばかりに、後で災いするのもよくあることだ。
企業の場合、低迷を招いた
「錆」
とは何だろう。
設備や人材への新たな投資を怠ったツケか。
それだけで片付けられまい。
▼例えば鉄鋼業界である。
巨額の補助金に支えられた中国産の安い粗鋼が、世界市場を荒らして久しい。
かつて米産業界の顔だった鉄鋼大手のUSスチールを日本製鉄が買収する計画も、そのような荒波の中で編み出した起死回生の一手に違いない。
▼バイデン米大統領はしかし、買収阻止の決定を下した。
日鉄は米国内の雇用を守り、4000億円を超える設備投資も計画していると聞く。
日鉄の持つ最先端技術をUSスチールと共有すれば、
「競争力」
という企業の地金も鍛えることができたろう。
▼「安全保障上のリスク」
というバイデン氏の言い分には耳を疑う。
相手は同盟国・日本の企業だ。
買収には全米鉄鋼労組が反対しており、今回の決定に政治的動機があったことは想像に難くない。
不当な政府介入を受けたとして、日鉄がバイデン氏らを提訴したのも無理はない。
▼買収には次期大統領のトランプ氏も否定的とされる。
計画の利を説くべき石破茂首相も会談の段取りにもたついている。
この問題で互いの信頼を錆びつかせ、中国などを喜ばせてはなるまい。
改めて日米同盟の結束を確かめ、より強い関係を築く契機としたい。

USスチール買収阻止に経済界で懸念の声広がる 対米投資委縮の可能性も
2025/1/7 19:40
https://www.sankei.com/article/20250107-AEUKB22QPJIIPFIR5MSA2IBZ5I/
日本製鉄によるUSスチール買収に対するバイデン米大統領の阻止命令を巡り、経済界からは2025年1月7日、対米投資への悪影響を懸念する声が相次いだ。
日本は米国の最大の投資国だが、今後、投資に二の足を踏む企業が出てくる可能性もある。
「経済安全保障を理由とした(米国政府の)決定が日米の経済関係に影響を及ぼさないか憂慮している」。
経団連の十倉雅和会長は2025年1月7日、都内で開かれた経済3団体の新年祝賀会後の3団体共催の記者会見で、バイデン氏の買収阻止命令に強い懸念を示した。
日本企業は対米投資で5年連続トップだ。
米国で多くの雇用も創出している。
十倉氏は
「米国政府は懸念を払拭するように適切に対応してほしい」
と呼び掛けた。
日本商工会議所の小林健会頭も
「公正なる法の下で、自由な経済活動を行う中核が日米だった」
「連帯を疑心暗鬼にさせる動きは好ましくない」
と危機感を示した。
政治介入による買収阻止を目の当たりにして、企業のトップも不信感を強めている。
出光興産の木藤俊一社長は
「根拠は安全保障というが、具体的に何が問題なのか聞きたい」
と疑問を呈した。
キリンホールディングスの磯崎功典会長も
「(結論が変わらなければ)対米投資に二の足を踏むようになる」
と述べた。
一方、三井不動産の植田俊社長は
「米国の不動産は力強く、人口も増えている」
「北米に注力して投資することに変わりはない」
と語った。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは
「(買収阻止命令は)日本は米国の仲間ではなかったというような大きな失望感を日本企業に与えたのではないか」
と指摘。
「今後の対米ビジネスを委縮させ、双方の経済にも悪影響を与えうる」
との見方を示した。

「禁止判断は極めて残念」 岩屋外相が米国務長官に伝達 日鉄のUSスチール買収阻止
2025/1/7 19:12
https://www.sankei.com/article/20250107-ATKYPCLU7VILREUCKLEOUAMHQ4/
岩屋毅外相は2025年1月7日、来日したブリンケン米国務長官と東京都内のホテルで会談した。
岩屋氏は日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を阻止する命令をバイデン米大統領が出したことについて問題提起し、
「国家安全保障上の懸念を理由として買収を禁止する判断がなされたことは極めて残念だ」
との考えを伝えた。
岩屋氏は会談で、日鉄によるUSスチール買収について、
「日本から米国への投資は両国にとって利益のあることだと当方は考えている」
とした上で、
「USスチールの労働者側からも(買収を)支持する声が上がっていた」
と指摘した。
会談後の記者会見で岩屋氏が明らかにした。
岩屋氏は会見で
「日米双方の経済界、とりわけ日本の産業界からは、今後の日米間の投資について強い懸念の声、心配の声が上がっており、これは重く受け止めざるを得ない」
と強調。
会談で
「懸念の払拭に向けた対応を米国側に求めた」
と説明した。
ブリンケン氏の発言などについては明らかにしなかった。
日米外相会談では、2025年1月6日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを強く非難。
露朝の軍事協力が進展し、韓国国内政治の混乱が続く中でも、北朝鮮への対応で日米、日米韓で緊密に連携し続けていることの重要性も改めて確認した。
ブリンケン氏は日米外相会談後、石破茂首相を首相官邸に表敬訪問した。

USスチール買収禁止、経済3団体トップがバイデン氏を批判 「日米連帯に疑心暗鬼」
2025/1/7 18:00
https://www.sankei.com/article/20250107-R43QONLCTZBSPF2UU7XAA6VGPM/
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画をバイデン米大統領が禁止した問題について、経団連の十倉雅和会長、日本商工会議所の小林健会頭、経済同友会の新浪剛史代表幹事は2025年1月7日の記者会見で揃ってバイデン氏を批判し、日米関係の悪化への懸念を表明した。
3氏は都内で開いた新年祝賀会の後、並んで会見に臨んだ。
十倉氏は
「安全保障という概念は非常に曖昧に使われる」
「今回の決定は非常に遺憾だ」
と言及した。
「日本は世界で一番アメリカに投資しているが、安全保障を理由にこういうことがなされ、日米関係へに影響を及ぼさないか懸念している」
と述べた。
小林氏は
「公正なる法の下に自由な経済活動を行う、その中核が日米だった」
「同盟国、その連帯を疑心暗鬼にさせるアクションは好ましくはない」
と批判した。
新浪氏は
「(禁止命令は)ひっくり返ることもある」
「自動車産業をどうにかしたいというトランプ次期米大統領にとって、いい鉄鋼ができることは自動車産業にプラスになる」
と語った上で
「それを理解できない今の米国のありようにクエスチョンがつく」
と苦言を呈した。
新浪氏は、徹底抗戦の構えを取る日鉄に
「ぜひ戦い抜いていただきたい」
とエールも送った。
日鉄は2025年1月7日、バイデン米大統領らを相手取り、禁止命令の撤回を求めて提訴したと発表。
入札で日鉄に競り負けた米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスと買収に反対していた全米鉄鋼労働組合(USW)のマッコール会長らに対して損害賠償の支払いなどを求める裁判を起こしたことも明らかにした。
クリフスは
「自分たちの過ちの責任転嫁だ」
「根拠がない」
と反論、マッコール会長も
「根拠のない主張」
とコメントしており、法廷闘争の泥沼化は避けられない事態となっている。

日鉄会長、「諦める理由も、必要もない」 USスチール買収巡り法廷闘争の長期戦覚悟
2025/1/7 17:46
https://www.sankei.com/article/20250107-RAUPL4EM3ZIMVJVG4JE7NCD5N4/
日本製鉄は2025年1月7日、橋本英二会長兼最高経営責任者(CEO)が記者会見し、米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り、買収阻止命令を出したバイデン米大統領を訴える異例の法廷闘争に踏み切った背景について、命令の違法性に加え、買収は中国に対抗して日米の鉄鋼産業が発展するための最善の方法だとの考えも示し、
「諦める理由も、必要もない」
と強調した。
■労組と特定企業が結託
「USスチールの競合メーカーのクリーブランド・クリフスのゴンカルベスCEOが、USW(全米鉄鋼労働組合)のマッコール組合長(会長)と連携し、組合が有する強大な政治力を利用してバイデン大統領に働き掛けた」
「この働き掛けに政治的な理由から応じた」
会見で橋本氏は、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査が、労組と特定企業の結託に伴う政治介入で、国家安全保障の観点で適正に実施されなかったとする構図を指摘した。
クリフスは、経営強化のために身売りを決断したUSスチールの買収に名乗りを上げ、買収についてUSWとも合意していた経緯がある。
■日米鉄鋼連合に強い思い
米国の制度では、安全保障に絡む大統領の判断の是非を裁判では問えないという。
だが、日鉄は訴訟を通じてライバル企業の不当な妨害行為の事実、その影響による、安全保障とは無関係のバイデン氏の判断の違法性を明らかにすることで
「勝訴のチャンス」(橋本氏)
はあるとみる。
「(勝訴の可能性が)何%の確率とか、(裁判が)どのような期間になるのかは今申し上げるタイミングではない」
と、法廷闘争が先の見えない難路であることは橋本氏も認める。
それでも買収に拘るのは、日米鉄鋼連合の実現に強い思いがあるからだ。
中国の過剰生産と安値輸出の拡大で、世界各国の鉄鋼業の経営環境は厳しい。
USスチールは昨年2024年12月、10〜12月期決算が最終赤字になるとの見通しを示しており、訴訟が長期化すれば同社の経営基盤の弱体化が進みかねない。
日鉄も内需が縮小する中、成長を見込む米国事業の強化策の停滞は、中国対抗の基盤づくりの遅れに繋がる。
橋本氏は
「バイデン氏の不当な判断によってそのリスクは既に生じている」
と憤りを露わにする一方、だからこそ買収を通じて日米が協力することが極めて有益だとし、
「これ以上に米国の鉄鋼業を強くする道があるとは思えない」
と、長期戦も辞さない構えだ。
■提訴の意義大きく
バイデン氏の買収阻止命令は、原則30日以内の計画の放棄を定めた。
日鉄はこの措置を含めた命令の無効を求めており、まずは放棄期限の2025年2月2日までに裁判所がどんな判断を示すかが焦点だ。
訴えが退けられた場合、日鉄とUSスチールは新たな対応を迫られるが、放棄期限の効力が中断されれば、訴訟で買収実現の再審査の道を開くシナリオは残る。
日鉄には、トランプ次期大統領への政権移行でCFIUSのメンバーが一新され、米国の安全保障と製造業の労働者の利益に資する計画への理解が得られるとの期待もある。
法廷闘争の行方によっては、日鉄に計画破棄の違約金と時間の浪費のつけがのしかかる最悪のケースも否定はできない。
しかし、提訴には日米の同盟関係の信頼と経済連携の重要性を問い直す側面もあり、その意義は大きい。

USスチール買収禁止 対米投資に冷や水 関西の次世代エネ企業も影響 日本総研・藤山氏
2025/1/7 16:51
https://www.sankei.com/article/20250107-W5HGMAISEVNZTHF5BDZLGGGTMY/
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を禁じた今回の米政府の決定が、労働組合に対する政治的配慮によって行われたことは疑いようがない。
このような動きは、今後の日米企業間の提携や協力の動きに水を差しかねないだろう。
米国内ではこれまで、中国企業による投資に対し、安全保障などの観点から懸念をもって受け止められることが多かった。
今回の事態は、そのような懸念が日本企業の対米投資にも向けられることを示しているのではないか。
関西にも影響があるだろう。
関西には水素や蓄電池など次世代エネルギー分野の有力企業が少なくない。
彼らは、新技術の獲得などに向けて米企業への投資や買収などの動きを進めることもあると思うが、今回の米政府の決定はそのような機運に水を差しかねない。
関西経済は中国市場への依存度が高く、その解消に向けて米国など他の市場に目を向けようとしているが、そのような動きにもマイナスの影響があるのではないか。
トランプ氏の米大統領復帰が間近に迫るが、これも事態を難しくしかねない。
トランプ氏は関税引き上げを推進する考えで、これにより日本企業は輸出を避けるため米国内での生産を強化せざるを得ない。
しかし、対米投資が容易に進められないのなら、日本企業は対応が更に困難になる。

「日鉄・橋本会長は当惑していた」「ビジネスで処理すべき」 USスチール買収で関経連会長
2025/1/7 15:08
https://www.sankei.com/article/20250107-XKL6ICIGDJKXPFNL36UBKWWRZY/
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収をバイデン米大統領が禁止した問題について、関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は2025年1月7日、大阪市内での記者会見で
「本来は『ビジネスtoビジネス(ビジネス対ビジネス)』で処理すべきだ」
と述べた。
2025年1月20日に就任するトランプ次期大統領の対応を注視する考えも示した。
バイデン氏は、米国の製造業を支える鉄鋼メーカーが海外企業に買収されれば、国家安全保障を損なう恐れがあると判断。
日鉄側に、30日以内に買収を取りやめる措置を取るよう要求した。
松本氏は、今回の件はビジネスの問題であるとの認識を示し、
「安保上の問題があると、大上段に振りかぶってきたところに大きな問題ある」
と指摘。
今後について、
「トランプ政権が同盟国として日本をどう思うかであり、ウオッチするしかない」
と語った。
一方、日鉄の橋本英二会長は2025年1月7日、バイデン氏らを相手取ってUSスチール買収禁止命令の無効を求めて提訴したことを発表した。
橋本氏と親しいという松本氏は昨年2024年、ゴルフを一緒にした際に、橋本氏がUSスチール買収を巡る米政府の反応に
「当惑していた」
と明かした。
松本氏は事態の進展を見守るとし、
「USスチールは非常に伝統のある米国の魂であり、日鉄も日本の製鉄メーカーの魂と言える」
「何とかうまくやれば、双方にとって麗しいものになるのではないか」
と語った。

武藤経産相、日鉄への支援検討 USスチール買収阻止命令で
2025/1/7 12:26
https://www.sankei.com/article/20250107-KHPNPVBEUBPI5LJLKNN3QNTDDQ/
武藤容治経済産業相は2025年1月7日の記者会見で、日本製鉄がバイデン米大統領らを相手取って米鉄鋼大手USスチール買収阻止命令の無効を求めて提訴したことについて
「政府としては日鉄の今後の対応を踏まえた上で、具体的にどのような支援ができるかを検討する」
との考えを重ねて表明した。
武藤氏は強固な経済関係は二国間関係の基盤で、日本企業が米国で安心して投資できる環境を整備すること重要だと指摘。
バイデン政権だけでなく、トランプ次期政権にもこのことを訴えると強調した。
買収計画は対米外国投資委員会(CFIUS)が審査したが、意見がまとまらずにバイデン氏に最終判断を委ね、買収禁止命令が出された。
日本企業による米国企業の買収を米大統領が禁止したのは初めてだ。
米大統領はCFIUSの審査結果を踏まえて計9件の取引禁止命令を出しており、今回の命令を除く8件は、いずれも何らかの形で中国が関与していたとされる。
武藤氏は
「経済安全保障も含め、日本と米国の信頼関係を訴えていかないといけない」
と語った。

日鉄の橋本会長、米大統領ら提訴を発表 徹底抗戦の姿勢「代替案は一切頭にない」
2025/1/7 10:17
https://www.sankei.com/article/20250107-FQ3TTNJ3XZNQ7LR2VWQ6DTGOR4/
日本製鉄の橋本英二会長は2025年1月7日午前、東京都内で記者会見し、バイデン米大統領らを相手取って米鉄鋼大手USスチール買収禁止命令の無効を求めて提訴したことを発表した。
「バイデン大統領の違法な政治介入で審査が適正にされず、到底受け入れられるものではない」
と強調。
従来の買収計画の実現をあくまで目指すとし、徹底抗戦する姿勢を鮮明にした。
鉄鋼業界の国際的な大型再編を目指した買収計画は、日本企業が米大統領を訴える異例の展開を迎えた。
橋本氏は
「代替案は一切頭にない」
「米国での事業遂行を決して諦めない」
と述べた。
米市場は電気自動車(EV)に使う高級鋼材などの需要が見込め、日鉄の経営戦略に重要な意味を持つ。
日鉄は2025年1月6日付で、日鉄米子会社とUSスチールとの3社で2件の訴訟を提起。
バイデン氏や対米外国投資委員会(CFIUS)、イエレン財務長官らが審査制度を悪用したと訴えた。

USスチール買収禁止 対米投資に冷や水 関西の次世代エネ企業も影響 日本総研・藤山氏
2025/1/7 16:51
https://www.sankei.com/article/20250107-W5HGMAISEVNZTHF5BDZLGGGTMY/
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を禁じた今回の米政府の決定が、労働組合に対する政治的配慮によって行われたことは疑いようがない。
このような動きは、今後の日米企業間の提携や協力の動きに水を差しかねないだろう。
米国内ではこれまで、中国企業による投資に対し、安全保障などの観点から懸念をもって受け止められることが多かった。
今回の事態は、そのような懸念が日本企業の対米投資にも向けられることを示しているのではないか。
関西にも影響があるだろう。
関西には水素や蓄電池など次世代エネルギー分野の有力企業が少なくない。
彼らは、新技術の獲得などに向けて米企業への投資や買収などの動きを進めることもあると思うが、今回の米政府の決定はそのような機運に水を差しかねない。
関西経済は中国市場への依存度が高く、その解消に向けて米国など他の市場に目を向けようとしているが、そのような動きにもマイナスの影響があるのではないか。
トランプ氏の米大統領復帰が間近に迫るが、これも事態を難しくしかねない。
トランプ氏は関税引き上げを推進する考えで、これにより日本企業は輸出を避けるため米国内での生産を強化せざるを得ない。
しかし、対米投資が容易に進められないのなら、日本企業は対応が更に困難になる。

「日鉄・橋本会長は当惑していた」「ビジネスで処理すべき」 USスチール買収で関経連会長
2025/1/7 15:08
https://www.sankei.com/article/20250107-XKL6ICIGDJKXPFNL36UBKWWRZY/
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収をバイデン米大統領が禁止した問題について、関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は2025年1月7日、大阪市内での記者会見で
「本来は『ビジネスtoビジネス(ビジネス対ビジネス)』で処理すべきだ」
と述べた。
2025年1月20日に就任するトランプ次期大統領の対応を注視する考えも示した。
バイデン氏は、米国の製造業を支える鉄鋼メーカーが海外企業に買収されれば、国家安全保障を損なう恐れがあると判断。
日鉄側に、30日以内に買収を取りやめる措置をとるよう要求した。
松本氏は、今回の件はビジネスの問題であるとの認識を示し、
「安保上の問題があると、大上段に振りかぶってきたところに大きな問題ある」
と指摘。
今後について、
「トランプ政権が同盟国として日本をどう思うかであり、ウオッチするしかない」
と語った。
一方、日鉄の橋本英二会長は7日、バイデン氏らを相手取ってUSスチール買収禁止命令の無効を求めて提訴したことを発表した。
橋本氏と親しいという松本氏は昨年2024年、ゴルフを一緒にした際に、橋本氏がUSスチール買収を巡る米政府の反応に
「当惑していた」
と明かした。
松本氏は事態の進展を見守るとし、
「USスチールは非常に伝統のある米国の魂であり、日鉄も日本の製鉄メーカーの魂と言える」
「何とかうまくやれば、双方にとって麗しいものになるのではないか」
と語った。

武藤経産相、日鉄への支援検討 USスチール買収阻止命令で
2025/1/7 12:26
https://www.sankei.com/article/20250107-KHPNPVBEUBPI5LJLKNN3QNTDDQ/
武藤容治経済産業相は2025年1月7日の記者会見で、日本製鉄がバイデン米大統領らを相手取って米鉄鋼大手USスチール買収阻止命令の無効を求めて提訴したことについて
「政府としては日鉄の今後の対応を踏まえた上で、具体的にどのような支援ができるかを検討する」
との考えを重ねて表明した。
武藤氏は強固な経済関係は二国間関係の基盤で、日本企業が米国で安心して投資できる環境を整備すること重要だと指摘。
バイデン政権だけでなく、トランプ次期政権にもこのことを訴えると強調した。
買収計画は対米外国投資委員会(CFIUS)が審査したが、意見がまとまらずにバイデン氏に最終判断を委ね、買収禁止命令が出された。
日本企業による米国企業の買収を米大統領が禁止したのは初めてだ。
米大統領はCFIUSの審査結果を踏まえて計9件の取引禁止命令を出しており、今回の命令を除く8件は、いずれも何らかの形で中国が関与していたとされる。
武藤氏は
「経済安全保障も含め、日本と米国の信頼関係を訴えていかないといけない」
と語った。

日鉄の橋本会長、米大統領ら提訴を発表 徹底抗戦の姿勢「代替案は一切頭にない」
2025/1/7 10:17
https://www.sankei.com/article/20250107-FQ3TTNJ3XZNQ7LR2VWQ6DTGOR4/
日本製鉄の橋本英二会長は7日午前、東京都内で記者会見し、バイデン米大統領らを相手取って米鉄鋼大手USスチール買収禁止命令の無効を求めて提訴したことを発表した。
「バイデン大統領の違法な政治介入で審査が適正にされず、到底受け入れられるものではない」
と強調。
従来の買収計画の実現をあくまで目指すとし、徹底抗戦する姿勢を鮮明にした。
鉄鋼業界の国際的な大型再編を目指した買収計画は、日本企業が米大統領を訴える異例の展開を迎えた。
橋本氏は
「代替案は一切頭にない」
「米国での事業遂行を決して諦めない」
と述べた。
米市場は電気自動車(EV)に使う高級鋼材などの需要が見込め、日鉄の経営戦略に重要な意味を持つ。
日鉄は2025年1月6日付で、日鉄米子会社とUSスチールとの3社で2件の訴訟を提起。
バイデン氏や対米外国投資委員会(CFIUS)、イエレン財務長官らが審査制度を悪用したと訴えた。

買収競合の米鉄鋼大手、日鉄の提訴は「根拠ない」と声明
2025/1/7 11:45
https://www.sankei.com/article/20250107-YBM7VZOT75MDXFFOFPOAEEFDRY/
日本製鉄によるUSスチール買収をバイデン米大統領が禁止したことに絡み、買収を阻止したとして日鉄が提訴したUSスチール競合の米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスは2025年1月6日、声明を発表し
「自分たちの過ちの責任転嫁だ」
「根拠がない」
と反論した。
同時に提訴された全米鉄鋼労働組合(USW)のマッコール会長も2025年1月6日
「根拠のない主張に断固として反論する」
とコメントした。
クリフスは日鉄とともに買収に名乗りを上げたが、金額で折り合わずUSスチールが日鉄を選んだ経緯がある。
日鉄はクリフスとマッコール氏が共謀してUSスチールの買収を阻止するために違法行為を行ったとして提訴し、違法行為の差し止めと多額の損害賠償の支払いを求めている。
クリフスのゴンカルベス最高経営責任者(CEO)は、買収の禁止を命じる決定は
「重要な製鉄インフラに対する米国の管理を維持することの重要性を強調するものだ」
と主張。
「日本は数十年に渡って、中国以上の鉄鋼の過剰生産と米国への有害なダンピング(不当廉売)の歴史がある」
と持論を展開して日鉄を批判した。

石破政権無策§I呈 USスチール買収禁止命令、平井宏治氏「中国寄りの姿勢も影響か」 日鉄は米政府を提訴へ
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-BHB6KKUXLFIONLEPC3RXMKH374/
■「政争の具」に利用?
米国のジョー・バイデン大統領は2025年1月3日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画について、
「安全保障と重要な供給網へのリスク」
を理由に禁止する命令を出した。
これに対し、日鉄は米政府を提訴する方針を固めた。
買収計画を巡ってはドナルド・トランプ次期米大統領も反対しており、米国内の
「政争の具」
に利用されている面もある。
それだけに石破茂政権の無策≠ヤりも目立つ。
■バイデン大統領が命令 日鉄は提訴へ
バイデン大統領は日鉄とUSスチールに、原則30日以内に
「買収計画を完全かつ永久に放棄するため必要な全ての措置」
を講じるよう命じた。
日鉄は2025年1月3日、USスチールと共同声明を発表し、禁止命令は
「明らかに政治的な判断だ」
と主張した。
安全保障問題に関する確かな証拠を提示しておらず、適正手続きや法令に違反していると指摘した。
対米外国投資委員会(CFIUS)の懸念を解消するため、米国側がUSスチールの生産能力の削減に拒否権を持てる措置を自主的に提示してきたことも強調した。
日鉄はこれまで当局の懸念を解消するため、USスチールの取締役の過半数を米国人とする案も示してきた。
だが、米国内では
「政治的」
な理由が先行している。
USスチールは大統領選で激戦州とされる東部ペンシルベニア州に本社を置く。
このため買収計画は昨年2024年の大統領選でも争点になった。
バイデン大統領は任期終了間際だが、次の4年を睨んで買収禁止命令を出したとみられる。
日本側は昨年2024年11月、石破首相がバイデン大統領に書簡を送り、買収計画の承認を求めた。
ただ、次期大統領であるトランプ氏と対面で接触できないなど石破政権には外交上の懸念も浮上している。
経済安全保障アナリストの平井宏治氏は
「日本政府は書簡を送るだけではなく、外交で前面に出たり、日鉄へのアドバイスを通じて関与する方法も考えられた」
「米政府のファンドに日鉄の株を一定数持たせ、そこに米国の役員を入れるなど、米国側が納得できる案もあったのではないか」
「石破首相がトランプ氏と対面できない上、中国寄りとみられる姿勢も影響しているかもしれない」
「今後、米国と交渉するには『親中』ではないことを旗幟鮮明にする必要がある」
と語った。

「鉄は国家なり」製造業大国の郷愁が保護主義を増幅 繁栄のアイコン、USスチール買収阻止
2025/1/4 18:20
https://www.sankei.com/article/20250104-QKOC3U2DKNLZ3COVLJOCIN6DHU/
日本製鉄によるUSスチール買収はバイデン米大統領が2025年1月3日に買収禁止を命じて頓挫した。
1901年創業のUSスチールは、米国が鉄鋼大国として繁栄した時代を象徴する「アイコン」(米メディア)とされる。
大統領選と重なる時期に、
「米企業が外資に奪われる」
といった印象論が先行し、経済論理は置き去りにされ政争の犠牲になった側面が否めない。
■バイデン氏「国家の背骨」と宣言
「USスチールは米国人に所有、運営され、世界で最も誇り高い米企業であり続ける」
バイデン氏は2025年1月3日の声明で、そう強調した。
自動車や軍用品など幅広い産業を支える米鉄鋼大手が外国企業に買収されれば、国家安全保障を損なう恐れがあると買収阻止の理由を説明した。
近代国家の発展に鉄鋼生産が重視され、
「鉄は国家なり」
と言われたように、バイデン氏は声明で、鉄鋼生産が
「国家の背骨だ」
と宣言した。
■政争に巻き込まれ…
USスチールは「鉄鋼王」カーネギーらが1901年に設立。
鉄鋼需要拡大期に成長し、AP通信によると1955年までに、USスチールを筆頭とする米企業が世界の需要の4割を供給した。
近年は海外勢に押され経営が悪化。
M&A(企業の合併・買収)を通じた協業相手を探していた。
日鉄が2023年12月にUSスチール買収を発表すると、雇用への影響を懸念する全米鉄鋼労働組合(USW)が、直ちに反対を表明した。
2024年11月の大統領選を前に、米有力企業の
「身売り」
は政争に巻き込まれ、労働者保護を掲げる民主党のバイデン氏、共和党のトランプ次期大統領の双方が、買収阻止の姿勢を鮮明にした。
■産業界からは買収阻止に反発の声
日本企業は過去にも米大手のM&Aで苦しんだ。
東芝による2006年の米原発大手ウェスチングハウス買収は失敗。
米企業側が
「格下」
とみなす日本企業との協業で、相乗効果が生まれなかったことが背景にあったとされる。
今回は日鉄が門前払いとなった形だが、米国民のプライドにかかわる有力企業の買収はハードルが高い。
政府が介入し、自国産業を守るという保護主義的な機運を後押ししている面もある。
一方、全米商工会議所が2025年1月3日、
「バイデン政権による(USスチール買収の)政治化は米国民に高い経済負担を負わせかねない」
とする声明を発表するなど、産業界からは反発が出ている。

日鉄のUSスチール買収阻止にCEO「中国が小躍り」と激怒 労組は「歓迎」で温度差
2025/1/4 17:20
https://www.sankei.com/article/20250104-KL4BNZWJHFFHFISDHMSWS6KSOU/
退任間際のバイデン米大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を阻止する命令を出したことを巡り、USスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者(CEO)は2025年1月3日(現地時間)、世界最大の鉄鋼生産国である中国を念頭に
「北京の中国共産党指導者たちは路上で小躍りして(喜んで)いる」
とコメントし、
「政治的腐敗と戦う」
と痛烈に非難した。
「日本を侮辱した」
と断じており、日本のSNSでも注目された。
全米鉄鋼労働組合(USW)はバイデン氏を支持しており、買収される現場と業界団体や政治家など
「外野」
との温度差は広がるばかりだ。
ブリットCEOはコメントでバイデン氏の決定を
「恥ずべき腐敗行為」
と断罪。
「わが社の将来、労働者、そして国家安全保障に損害を与えた」
と激怒した。
「重要な経済および国家安全保障同盟国である日本を侮辱し、米国の競争力を危険にさらした」
と日米関係への影響にも言及した。
一方、買収に反対の立場をとるUSWのマッコール会長は
「決定を歓迎する」
との声明を発表している。
マッコール氏は日鉄が不当廉売で
「米国の国内産業を弱体化させるために働いてきた」
と主張。
USスチールに対しては
「良質な雇用、健全な地域社会、強固な国家と経済安全保障を支え続けると確信している」
とした。
USスチールは日鉄による買収の正当性を訴え、買収が実現しなければ、製鉄所の閉鎖や本社移転を示唆してきた。
地域経済や雇用を維持するため、地元市長や従業員にも買収賛成が広がっていた。
日鉄の買収がとん挫すれば、経営再建の道のりは険しいものとなり、製鉄所の閉鎖などによる大量解雇が現実味を帯びる。
日鉄に入札で競り負けた競合の米クリーブランド・クリフスが買収に意欲を示すものの、高炉や一部の製品で100%近いシェアとなるため、競争法上のハードルは高い。
実現したとしても、クリフスの投資余力が十分とはいえず、大幅な事業再編は必至で、いずれにしても雇用維持は困難となる。
買収できなかった場合、日鉄はUSスチールに5億6500万ドル(約890億円)の違約金を支払う契約となっている。
日鉄は米政府の命令が法令違反に当たるとして、米政府を提訴する方針。
昨年2024年11月の米大統領選では、USWの集票力に期待して、共和党のトランプ次期大統領も買収に反対の姿勢を示していただけに、今回の決定は尾を引くことは避けられず、今後の日米関係にも影を落とす。

http://www.asyura2.com/23/hasan136/msg/503.html#c13

[戦争b25] トランプが大統領に就任する直前、ウクライナ軍は露国への軍事侵攻を試みて失敗(櫻井ジャーナル) 赤かぶ
22. 秘密のアッコちゃん[1243] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月09日 08:59:46 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[681]
<▽36行くらい>
<主張>戦時経済のロシア 偽の成長にだまされるな
社説
2025/1/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20250109-P2PFHZGT4NMJZHZ4U5DRG4EB2Q/
ウクライナ侵略を続けるロシアのプーチン大統領が昨年2024年末の記者会見で、2024年の国内総生産(GDP)は前年比4%増になりそうだと述べて経済運営に自信を見せた。
プーチン氏は、国民の実質賃金は年9%の伸びで、失業率は2・3%の歴史的低水準にあるとも語った。
購買力平価でみたロシアの経済規模は日本を抜いて世界4位だとも豪語した。
騙されてはいけない。
露経済は軍需生産に引っ張られて数字上は伸びているが、民業が圧迫され、成長の持続可能性は失われつつある。
戦時経済とはそのようなものだ。
米欧日の対露制裁は効いている。
制裁強化を続け、プーチン政権を追い詰めねばならない。
露中銀はインフレを抑えようと大幅な利上げを続け、昨年2024年10月には政策金利を21%に引き上げた。
高金利が企業活動の支障になっていると産業界から強い不満が上がっている。
昨年2024年のインフレ率は9%超だったとみられ、一般庶民の懐を直撃している。
露通貨ルーブルは2024年11月に対ドルで15%下落し、侵略後最安値の水準にある。
経済の弱体化を招く大きな要因は、侵略戦争による労働力の不足である。
元々人口動態の面で若年労働力が足りていなかったが、侵略戦争で75万人とされる死傷者が出ている。
戦争を忌避して国外に脱出したロシア人も、高学歴の若年層を中心に65万人と推計されている。
露軍事費は過去最多を更新し続け、今年2025年の予算では歳出の3分の1を占める。
労働力は軍需産業に取られ、他分野は賃金上昇と人手不足に悩む。
公共交通機関の運行に支障が出ている地方もある。
軍需投資の大半は兵器や砲弾として戦場で消える。
表面的な好況を演出できる戦時経済は独裁者に好都合だろうが、侵略を続ける限り、真っ当な発展の展望がないことは明白だ。
ロシアは石油・天然ガスを高値で売れず、軍需物資の調達に苦労している。
ただ、抜け穴が多く、それを塞ぐ努力が不可欠だ。
ロシアが石油輸出に使っている闇タンカーや、露軍需産業と関わりを持つ第三国企業にも制裁の網を広げることが急務だ。
トランプ次期米大統領が唱える石油増産は国際価格を押し下げ、露の石油収入を減らす手段として有効であろう。

http://www.asyura2.com/23/warb25/msg/860.html#c22
[政治・選挙・NHK296] 森山裕幹事長「年収103万円の壁」引き上げに「国をおかしくしてしまう」が大ブーメラン…《おかしくしたのは自民党》とSNSソッ… 赤かぶ
32. 秘密のアッコちゃん[1244] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月09日 13:45:16 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[682]
<■1772行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
<独自>川口周辺クルド人2500人に急増か 「難民ビザ」半年で1・6倍、他都市分散も
「移民」と日本人
2025/1/9 11:30
https://www.sankei.com/article/20250109-GWTILGNXTRNSPLRBROXXCB6VGY/
埼玉県川口市を中心に国内に在留するトルコの少数民族クルド人の総数が、これまでの推定約2000人から2500人程度に急増したとみられることが、出入国在留管理庁の統計でわかった。
トルコ国籍の難民認定申請者が一昨年2023年、過去最多の約2400人に激増した結果、難民申請中に
「特定活動」
という在留資格を与えられたトルコ国籍者が増えたのが要因と考えられる。
クルド人だけでなく、難民申請者の一部は
「特定活動(難民認定手続中)」
という在留資格が与えられ、原則としてフルタイムでの就労が認められる。
このため
「出稼ぎ」
目的での難民申請が後を絶たず、俗に
「難民ビザ」
とも呼ばれている。
在留外国人統計によると、この資格を与えられたトルコ国籍者は令和5年末で1147人だったが、令和6年6月末は673人増の1820人で、半年間で1・6倍に増えていた。
大半はクルド人とみられる。
入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免者700人程度と、その他の在留資格を持つ人などを合わせると、少なくとも2500人程度と考えられる。
在留クルド人の中には、一部同胞が川口市内で住民との軋轢を生んで批判されていることから
「川口は住みづらい」
と感じ、隣接市や東京都内などに分散する
「川口離れ」
も起きているという。
このため、増加したクルド人すべてが川口市内在留ではないとの見方もある。
トルコ国籍者の難民申請者は令和5年の1年間で2406人にのぼり、前年から5・4倍に激増した。
コロナ明けで水際対策が緩和された影響という。
トルコ国籍者以外でも難民申請は激増しており、令和5年中に申請した中で最多はスリランカの3778人。
特定活動の在留資格者もスリランカは昨年2024年6月末時点で2574人に上っている。

移民問題のタブーを排した警世の書 『国会議員に読ませたい「移民」と日本人』発売
「移民」と日本人
2025/1/9 8:00
https://www.sankei.com/article/20250109-HTWOUNJIZRMPLFWV2NWWO3UBOU/
産経ニュースに掲載中の
「『移民』と日本人」
をまとめた産経新聞取材班著
『国会議員に読ませたい「移民」と日本人』(定価1760円)
が2025年1月9日発売されました。
埼玉県川口市で表面化したトルコの少数民族クルド人の一部と地域住民の軋轢を丹念に追った他、入管の「出稼ぎ」報告書問題やトルコ現地取材も完全収録。
イスラム土葬墓地に揺れる町など、各地で相次ぐ一部外国人との
「移民問題」
の歴史、背景に迫りました。
安易とも言える
「移民推進」
政策の結果、国柄が変わるほどの治安悪化に苦しむ欧米の轍を踏まないためには、どうすればよいのか。
一切のタブーを排した警世の書。発行・産経新聞出版。

不法滞在の子供へ在留許可「今後はない」法相明言 川口クルド問題、国会などで質疑相次ぐ
「移民」と日本人
2024/12/22 12:49
https://www.sankei.com/article/20241222-LSKN6VIDSBNWXKXDZE7E3KCURM/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題が、国会や地方議会でようやく取り上げられるようになった。
いずれも法務省が川口のクルド人について
「出稼ぎ」
と断定する報告書を出していた問題などを受けての質問。
地元では交通事故や迷惑行為など
「現在進行形」
の問題も浮上しており、国政や県政の今後の動きが注目される。
■帰国後の迫害「把握なし」
「地域では本当に怒りが頂点に達している」
今月2024年12月10日の衆院予算委員会。
川口市が地元の自民党の新藤義孝前経済再生担当相は、クルド人による迷惑行為を列挙してこう訴えた。
鈴木馨祐法相は
「強制退去が確定した外国人は、速やかに国から出ていって頂く」
と応じた。
新藤氏はまた、難民認定申請中で仮放免中のクルド人による性犯罪の再犯事件に触れ、仮放免制度についても問題提起した。
2024年12月18日には、衆院法務委で日本保守党の島田洋一氏が出稼ぎ問題に言及し、クルド人が日本で難民認定を認められず、トルコへ帰国後に迫害されるケースがあるかどうか質問。
出入国在留管理庁幹部から
「法務省としては把握していない」
との答弁を引き出した。
島田氏はまた、昨年2024年8月、在留資格がなく不法滞在状態で、日本生まれの外国籍の子供や家族ら約400人に当時の斎藤健法相が裁量で
「在留特別許可」
を与えた措置について質問。
鈴木法相は
「今後、繰り返し行うことはない」
と明確に述べた。
■SNS情報の想像以上
埼玉県議会では今月2024年12月6日、立憲民主党系会派の白根大輔氏が出稼ぎ問題に言及。
「地域住民の間でクルド人による犯罪や迷惑行為への不安が高まっている」
として、外国人犯罪の状況や日本語指導について質疑を行った。
2024年12月12日には自民の鈴木正人氏が出稼ぎ問題を取り上げ、議員有志で川口市を視察した際の様子を紹介。
公園の破壊されたトイレや、ゴミが溢れたアパート、無免許運転のクルド人の事故によって壊された家の壁などを見て回ったとし、
「スーパーの駐車場をトラックの駐車場代わりに無断で使っていた」
「SNS上で情報を得ていたが、想像した以上だった」
と述べて県の外国人対策についてただした。
■「迷惑防止条例」提案も
一方、これまでも取り締まり強化の意見書を出すなどしてきた地元の川口市議会では、複数の自民議員らから一般質問が行われた。
中には、市民生活全てに関わる迷惑行為を禁止する
「市迷惑防止条例」
の制定を求める議員もいた。
自民の若谷正巳氏は
「解体資材置き場ではルールやマナーを守らないクルド人ら外国人が多く見受けられ、注意すると威圧的な態度で応じ、地域住民は心身ともに病んでしまっている方も多い」
「本当に深刻な問題だ」
と訴えた。
隣接する越谷市議会でも、自民の立沢貴明氏が出稼ぎ問題に言及した上で、同市内にも広がる解体資材置き場の規制強化について質問した。

法務省「把握ない」 難民申請不許可のクルド人、トルコ帰国後に迫害されるか 衆院法務委
「移民」と日本人
2024/12/18 18:07
https://www.sankei.com/article/20241218-Z6SEVVGLIFFIHCDRYRWP72HTS4/
法務省は2024年12月18日の衆院法務委員会で、埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人を
「出稼ぎ」
と断定していた問題に関連し、日本で難民申請が認められず、トルコに帰国後に迫害されるクルド人の事例について、
「把握していない」
との見解を示した。
日本保守党の島田洋一衆院議員の質問に回答した。
島田氏は、産経新聞の
「『移民』と日本人」
取材班の活動を挙げて
「最近もトルコのクルド人の集住する村を取材し、川口市にクルドの方々が就労目的で入って、難民申請で滞在期間を延ばしてお金を稼ぐ実態を報告した」
と指摘し、
「本国でパスポートが発行され、普通に航空券を購入し、空港のチェックを通り抜けている旅行者が日本に来ている時点で、難民ではないといっていい」
と語った。
川口市に在留するクルド人を巡っては難民認定申請が相次ぎ、一部メディアは
「弾圧は今も続いている」
としていた。

「日本の家ちっちゃい」「すごい稼げる」クルド人出稼ぎ報告書、トルコ現地の証言生々しく
「移民」と日本人
2024/12/16 20:08
https://www.sankei.com/article/20241216-QG77CVZIFVKKVBWQZHPR5ZZBWE/
公表された法務省入国管理局(当時)の「トルコ出張調査報告書(地方視察編)」。黒塗りされた部分もある
https://www.sankei.com/article/20241216-QG77CVZIFVKKVBWQZHPR5ZZBWE/photo/UQYL3AUT6ZHMFLFZPFEMFSR47Q/
埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人について、法務省が
「出稼ぎ」
と断定する報告書を出していた問題で、浜田聡参院議員が2024年12月16日、法務省からこの文書を入手し、公表した。
固有名詞などは黒塗りされているが、現地のクルド人らが平然と
「出稼ぎ」
と述べるなど生々しいやり取りが記されている。
■「御殿」指差し「大きくて立派」
報告書は平成16年6〜7月、当時の法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)職員が訴訟対応のため行った現地調査の内容。
産経新聞社が確認した文書と全く同一のものだった。
現地調査は、日本に在留するクルド人の出身地などで聞き取りしたものだが、現地の村人らは日本語を話し、親しげに近寄ってきたという。
特に難民申請者の多い村のうち、ある村では
《複数の壮年男性たちが、当方に対し笑顔で、口々に日本語で「こんにちは」と声をかけてきた。
男性は
「日本行ったことある。川口にいた。日本の家はちっちゃい。僕の家、大きくて立派。中もきれい」
などと得意げに述べ、一軒の家を指さした》。
《男性に
「なぜみんな日本に行くのか。日本が好きなのか」
と尋ねると、笑いながら、日本語で
「好きも嫌いもない。お金稼ぐだけ」
と答えた》
日本弁護士連合会は調査にトルコの憲兵隊(ジャンダルマ)を同行させたことなども問題視していたが、
《ジャンダルマは特に当方に注意を払うこともなく、他の村人と雑談している様子であった》
《小声で
「ジャンダルマは怖い?」
と尋ねると、にっこりと笑いながら右手を顔の前で左右に振りつつ
「怖くない」
と答えた》
との記述もあった。
■「難民」と言ったがだめだった
また、別の村の男性は
《「あなたはなぜ日本に行ったのか」
と尋ねると
「金を稼ぐ。他に何がある。俺は1万6千ドルも借金して行った。もっと稼ぎたかったから『難民』と言った。でもだめだった」
と述べた》
という。
《「トルコに帰ったら危なかったのではないのか」
と尋ねると、男性は相好を崩して笑い、右手を顔の前で大きく左右に振りながら
「ない、ない。危なくない」
「また日本に行きたい。だめか?」
と述べた。
…傍らにいた憲兵隊署長に対し
「署長、あなただってきっと日本に行きたくなりますよ。すごい稼げるんですから」と述べた》
これらの村は、川口での難民申請者の8割が集中するトルコ南部3県にあり、3県のうちの地方自治体幹部は入管職員に対し、こう問いかけた。
《「それにしても、あなたがたは日本での裁判の立証のために証拠を収集する目的で来たとのことだが、わざわざここまで来なければならないような状況なのか。出稼ぎ者が噓をついて難民認定を受けようとするなどという話は、欧州では既に分かりきった話だ。日本ではまだそんな噓が通用しているのか」》

川口クルド人「出稼ぎ」報告書、浜田議員が法務省から入手し公表 産経確認文書と同一
「移民」と日本人
2024/12/16 19:16
https://www.sankei.com/article/20241216-WW4KOSDPGFKEZLSUM742P6RYJA/
公表された法務省入国管理局(当時)の「トルコ出張調査報告書(地方視察編)」。黒塗りされた部分もある
https://www.sankei.com/article/20241216-WW4KOSDPGFKEZLSUM742P6RYJA/photo/MA4IJ2C3LVCHVCQQO523K67DHE/
埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人について法務省が
「出稼ぎ」
と断定する報告書を出していた問題で、浜田聡参院議員が法務省からこの文書を入手し2024年12月16日、自身のX(旧ツイッター)で公表した。
産経新聞社が確認した文書と全く同一のもので、固有名詞などは黒塗りされている。
公表された文書は
「トルコ出張調査報告書(地方視察編)」。
A4判約40ページの他、写真など添付資料が約160ページあった。
当時の法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)が20年前の平成16年、難民認定申請者の多いトルコ南部の複数の村を現地調査し
「出稼ぎ」
と断定していた内容。
しかし、日本弁護士連合会が
「人権侵害」
と問題視したことから、調査結果は事実上
「封印」
されていた。
産経新聞は2024年11月24日の産経ニュースと翌2024年12月25日付紙面で報告書の内容について初めて報じていた。

「ショッキングな報道」クルド人の性暴行再犯 参政・吉川里奈氏、外国人重要犯罪増に懸念
2024/12/13 9:45
https://www.sankei.com/article/20241213-KBQL3NIYINBNXMJN3NHA34DVXQ/
参政党の吉川里奈衆院議員は2024年12月12日の法務委員会で、外国人による殺人や強盗などの重要犯罪の増加に伴う裁判官や検察官らの業務負担増を危惧し、体制の拡充を訴えた。
「政府が『移民政策』など外国人を過度に受け入れる政策を進める以上、外国人犯罪の増加に伴い、通訳の手配や言語対応、文化の違いへの配慮が必要になる」
「外国人被疑者の取り調べには時間と労力がかかる」
と指摘し、適正な体制整備を求めた。
最近の重要犯罪の事例として、吉川氏は
「ショッキングな報道がされている」
と述べ、2024年9月13日に埼玉県川口市で起きた在留クルド人の男による12歳の少女への性的暴行事件を挙げた。
男は2024年3月に女子中学生に性的暴行し有罪判決を受けて執行猶予中だった。
2024年9月29日に同市で発生した中国籍の男が酒気帯び運転で一方通行を逆走し、乗用車に衝突し運転手の男性を死亡させる事件も挙げた。
鈴木馨祐法相は吉川氏に対し、
「犯罪が複雑化し、検察官の業務量が増加していくことも考慮している」
と述べ、
「事件数や犯罪情勢など考慮して、体制の整備を進めたい」
と答弁した。
吉川氏は、昨年2023年度の外国人による昨年度の不同意性交の認知件数は10年前に比べて6倍に増えている状況も挙げて、
「被害者が増えてから対応するのではない」
「先手を打って待遇改善の方策を行ってほしい」
と訴えた。
令和5年の来日外国人による殺人事件の検挙人数は56人で10年前の2倍となっている。

「報道しない自由」でいいのか 川口クルド問題とりあげた国会論議を無視したメディア
大手町の片隅から 乾正人 
2024/12/13 10:00
https://www.sankei.com/article/20241213-5DVMVSXNURMK7DBNS7HU3MKUKQ/
ようやく衆院予算委員会の場で、取り上げられた。
新藤義孝前経済再生担当相は2024年12月10日、埼玉県川口市で、トルコの少数民族クルド人による迷惑行為が相次いでいると指摘し、
「日常生活のマナーに違反する程度ではない」
「地域では本当に怒りが頂点に達している」
と訴えた。
■朝日もクルド質疑「黙殺」
小紙はむろん紙面でもネットの産経ニュースでも報じたが、2024年12月11日付の朝日、毎日、読売、日経の4紙(東京版)を隅から隅まで読んでも新藤氏と政府側の質疑応答は、1行も出ていなかった。
鈴木馨祐法相が、
「強制退去が確定した外国人は、速やかに出ていって頂く」
「これは原則だ」
「迅速に送還を実施していくことを政府としても進めている」
と踏み込んだ答弁をしているにもかかわらず。
唯一、東京新聞だけは、共同通信電をべた記事で掲載した。
記事は
「迷惑行為の原因や責任を個人でなく、民族性に求めているとも受け取れる内容」
「交流サイト(SNS)などで問題化している在日クルド人差別を助長する可能性がある」
と、質問した新藤氏を批判する内容になっているが、共同通信は記事にしているだけまだましである。
テレビも衆院予算委員会を生中継したNHKでさえ、当日や翌朝のニュースで1秒も取り上げなかった。
民放は推して知るべし。
もちろん、新聞には紙面の容量、テレビには放送時間という制約があり、小紙も森羅万象すべてのニュースを報じることはできない。
報道各社には、それぞれに編集権があり、編集権の不可侵は言論の自由の根幹をなしている。
しかし、首都のすぐ近くでクルド人の迷惑行為によって地域住民との間で摩擦が起き、国会議員が衆院予算委員会で取り上げた事実をスルーするのは、記者の端くれとして全く理解できない。
■埼玉県警は事件発表せず
国会論議だけではない。
産経ニュースは2024年12月6日、女子中学生に性的暴行して有罪判決を受けた在留クルド人の男が、執行猶予中に別の少女を暴行し、逮捕・起訴されていた事実をスクープした。
痴漢事件は積極的に広報する埼玉県警だが、この事案はなぜか隠蔽し、発表しなかったため
「スクープ」
になった。
こうした事案を他メディアは、滅多に報道しない。
確かにクルド人問題には複雑な背景がある。民族差別なぞもっての他だが、クルド人が起こした事件を取り上げると、何か厄介な事でもあるのだろうか。
報道各社で、ネット民が揶揄する
「報道しない自由」
が発動されたのだとしたら、由々しきことだ。
兵庫県知事選でも県民の多くが、
「ネットの方が新聞やテレビよりも真実を知らせてくれる」
と感じ、斎藤元彦氏を再選させた。
そうした風潮を
「時の流れで仕方がない」
と、オールドメディアは、黙って見ていていいのか。
世の中で今、何が起きているか、しっかりとした取材で
「事実」
をタブーなく読者や視聴者に伝えることこそ、我々の仕事ではないか。
偉そうに書き過ぎた。
年を取ると、どうも説教臭くなっていけない。

川口クルド人「地域で怒りが頂点に」新藤義孝氏、国会で訴え 性犯罪再犯「問題は仮放免」
「移民」と日本人
2024/12/10 12:32
https://www.sankei.com/article/20241210-V3Q6VLZ2DRN55PTRDASGSXTJAY/
自民党の新藤義孝前経済再生担当相は2024年12月10日の衆院予算委員会で、埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人による迷惑行為が相次いでいるとして
「地域では本当に怒りが頂点に達している」
と述べ、不法滞在状態の仮放免者などへの対応を政府に求めた。
新藤氏は川口市の大部分からなる衆院埼玉2区の選出。
「日常生活のマナーに違反するなんていう程度ではない」
と訴え、公園などに集まって集団迷惑行為に及ぶ事案や無免許暴走運転が頻発していると説明した。
「難民認定制度を悪用して、出稼ぎ目的で在留しており地域の取り組みでは解決できない」
「警察行政には限界がある」
とも指摘した。
鈴木馨祐法相は
「法令に従い手続きを進めた結果として強制退去が確定した外国人は、速やかに出ていって頂く」
「これは原則だ」
「迅速に送還を実施していくことを政府としても進めている」
と答弁し、送還忌避者を対象に国費での強制送還を更に強化する方向で検討していることなどを説明した。
新藤氏はまた、クルド人の無職男による性犯罪の再犯事件の報道に触れ
「一番問題なのは仮放免制度だ」
「法務省とも連携して取り組んでいきたい」
と述べた。

クルド人男の性犯罪再犯事件、県議の照会にも県警答えず「なぜ隠すのか」 男は難民申請中
「移民」と日本人
2024/12/6 11:47
https://www.sankei.com/article/20241206-7MQ2Z5GBKVKDZNSJGV5POBW6GE/
埼玉県川口市内で女子中学生に性的暴行をして執行猶予中だった在留クルド人の男が、再び性暴行の容疑で逮捕、起訴された事件で、県警は性犯罪の再犯にもかかわらず2度目の事件を発表していなかった。
県議会議員が県警に説明を求めた際も応じず、この県議は
「幼い少女が被害にあった重大事案」
「なぜ隠すのか非常に問題であり、議会でも事実確認したい」
と話した。
不同意性交罪に問われているのは、さいたま市南区大谷口の無職、ハスギュル・アッバス被告(21)。
今年2024年1月に川口市内で女子中学生に性的暴行をして懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けながら、執行猶予中に再び12歳の少女に性的暴行をしたとして不同意性交の容疑で逮捕、起訴され公判中。
難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
事件の情報は警察が発表していないにもかかわらず、SNS(交流サイト)などを通じて拡散、一部サイトでは
「県警はクルド人だから発表しないのか」
「外国人にやさしい埼玉県警」
などの批判が殺到していた。
こうした動きを受けて埼玉県の諸井真英県議(無所属)が県警本部に説明を求めたところ、約2週間後に県警の議会担当者が
「県警として広報していないため、警察としてはお話しできない」
と回答。
「被害者のプライバシーに配慮した上で、事実関係だけでも確認させてほしい」
と再度求めたが、県警の対応は変わらなかったという。
諸井県議は
「幼い少女が埼玉県内で立て続けに事件に遭っている」
「こんな重大事案をなぜ発表しないのか」
「県議会議員にさえ説明できないのか」
「非常に問題であり議会でもしっかり事実確認したい」
と話している。
事件を扱った武南署幹部は取材に対し、
「被害者の意向を強く尊重して発表しなかった」
と話している。
県警はハスギュル被告の1度目の逮捕の際は、逮捕当日に発表していた。
容疑も同じ不同意性交だった。

<独自>女子中生に性暴行のクルド人男、執行猶予中に別少女にも性暴行 埼玉県警発表せず
「移民」と日本人
2024/12/6 11:26
https://www.sankei.com/article/20241206-3OVSSHWOXJOIFFCYCBYWHA4C2A/
埼玉県川口市内で女子中学生に性的暴行をしたとして今年3月に逮捕されたトルコ国籍の無職男が有罪判決を受け、執行猶予中の2024年9月に12歳の少女に再び性的暴行をしたとして逮捕、起訴されていたことが2024年12月6日、分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在留クルド人で、事実上の
「移民2世」。
難民認定申請中で仮放免中だった。
埼玉県警は2度目の事件について発表していなかった。
情報を知った埼玉県議が問い合わせても県警は答えなかったという。
起訴されたのは、さいたま市南区大谷口の無職、ハスギュル・アッバス被告(21)。
起訴状によると、ハスギュル被告は2024年9月13日午後8時頃から同11時15分頃までの間、川口市内のコンビニ駐車場などに止めた乗用車内で、12歳の少女に性的暴行をしたとして不同意性交の罪で起訴された。
現在公判中という。
ハスギュル被告は今年2024年1月、川口市内の別のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子中学生に性的暴行をしたとして2024年3月、不同意性交の容疑で逮捕、県青少年健全育成条例違反罪で起訴された。
さいたま地裁で2024年5月27日、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が確定、釈放されていた。
ハスギュル被告は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたという。
父親と共に難民申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
事件を扱った武南署幹部は取材に対し、
「被害者の意向を強く尊重して発表しなかった」
と話した。
法務省の調査によると、性犯罪の有罪確定から5年以内の再犯率は13・9%。

クルド人報告書封印、川口市議・奥富精一氏が怒りの激白 難民ではなく出稼ぎ「政府は20年も放置」「無法状態…地域住民は言いにくく」
2024.11/30 14:52
https://www.zakzak.co.jp/article/20241130-FL2ZMKY45NNRHJZ4U2Q2M4UOLM/
埼玉県川口市周辺に住むトルコの少数民族クルド人の難民認定申請を巡り、20年前に法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)がトルコ南部の現地調査で、
「出稼ぎ」
が目的だとする報告書をまとめていたが、調査結果が表に出なかったという産経新聞の報道への反響が続いている。
同紙は2024年11月25日から29日までトルコでの現地取材を含めてこの問題を連載したが、市内のコンビニで
「売り切れ」
も出ているといい、関心は極めて高いようだ。
2015年から10年近く、同市の外国人問題に取り組んできた自民党市議、奥富精一氏(51)は待ったなしの地元の実情を訴え、報告書を
「封印」
してきた国への怒りを見せた。

「川口のクルド人たちを『出稼ぎ』だと断定した報告書が20年前に出ていたなんて、全く聞いたことがなかった」
「政府は分かっていたのに20年も放置してきた」
「その結果が今の川口だ」
「地元でも『出稼ぎに来た』『働きに来た』と言っているクルド人は昔からたくさんいたが、今回の記事で確証となった」
「とんでもない話だ」
奥富氏は怒気を込めて語った。
産経新聞は2024年11月25日、2004年に法務省がトルコへ入管職員を派遣して調査を行い、報告書をまとめていたことを報じた。
産経新聞は同日から全5回でトルコでの現地取材をまとめた
「クルド人が川口を目指す本当の理由」
を連載した。
同市で働くクルド人の一定数は、祖国の農閑期に当たる10〜11月に来日して難民申請を行い、夏前になると申請を取り下げて帰国することを繰り返すなど、季節労働者≠ニしての実態も明かされた。
奥富氏は
「市内では産経新聞だけ売り切れているコンビニもあったようだ」
「それだけ多くの住民が深刻な問題と捉えている」
「自動車で人の家の外壁に突っ込んだり、公園で公共物を壊したり、金属バットとナイフを持って集まり喧嘩したり」
「自分たちの好きなように振る舞っていたら、『一体何だ』という反応となる」
と語る。

トルコ大使、川口のクルド人「PKKに利用されている」「ビザ免除、悪用は阻止」一問一答
「移民」と日本人
2024/11/30 13:05
https://www.sankei.com/article/20241130-FXAKBZQTKRKU7K3SCU63J7K5ZU/
コルクット・ギュンゲン駐日トルコ大使のインタビューの主な一問一答は次の通り。
大使は、トルコの非合法武装組織
「PKK(クルド労働者党)」
についても触れ、
「難民申請者はPKKに利用されている」
と述べた。
ーー20年前に法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)がトルコで川口のクルド人の出身地の村を現地調査し、難民該当性は薄いとの報告書をまとめていた
「最初に確認しておきたいのは、トルコは世界で最も多くの難民を受け入れている国ということだ」
「特にシリア難民の中にはクルド人も多い」
「彼らが選んで来ているのは、トルコは暮らすに値する国であり、迫害はないという証だ」
ーー難民該当性が低いことは産経新聞の現地取材でも裏づけられた
「その点は、まさに我々も共有しており、クルド人が経済的または社会的な理由で来日することはよくある」
「日本に長く滞在できるための1つの手段として難民申請が選ばれている」
ーー手段が問題なのか
「誤解してほしくないが、それぞれのクルド人が日本に住みたいと選択することを止めることはできない」
「問題は、彼らが日本の法令に則っていないことだ」
「違法な形で滞在し、難民認定制度を悪用して滞在を引き延ばしている」
「これこそが問題だ」
「トルコ共和国としてこの現実は決して後押しできるものではない」
ーー彼らは難民申請の際、「PKKを支持しているため、トルコ政府から迫害される」と主張すると聞く
「少し違うのは、難民申請者がPKKに利用されているということだ」
「申請の際、『迫害を受けている』などと、トルコ政府に反する立場を言わないといけない」
「これ自体が結果的にPKKの利益になる」
ーーどういうことか
「つまり、PKKはこのからくりによって、日本に滞在したいという彼らの弱みを利用しているのだ」
「PKKはこの手法を日本だけでなく一部の欧州諸国でも使っている」
ーー日本国内にはトルコとの査証(ビザ)相互免除措置を一時的に停止してはどうかという意見もある
「ビザ免除には、投資や観光など経済的なメリットはもちろん、互いを理解し合うという大きな意味がある」
「もし、ビザ免除を停止したら、日本とトルコの友好関係を引き裂くことになる」
「一番喜ぶのはPKKだろう」
「最も重要なことは日本の法令を順守することだ」
ーートルコ政府は昨年2023年11月、川口市内の「日本クルド文化協会」と代表者ら6人をPKKなどの「テロ組織支援者」と認定し、トルコ国内の資産を凍結した
「PKKは国際的なネットワークを持っており、あらゆる手段で組織への資金の流れを確保している」
「文化イベントを装った形もあるし、人道支援の姿もある」
「文化協会と同時に資産凍結されたもう1つの団体は、人道支援の看板の下で活動していた」
ーー両者は、どのような関係なのか
「幹部が同じだ」
「資産凍結は現在も続いており、我々も注視している」

トルコ大使も川口クルド人の出稼ぎ認める「経済理由、われわれも共有」「難民制度を悪用」
「移民」と日本人
2024/11/30 13:00
https://www.sankei.com/article/20241130-PBK4PBR2CBPG5PG5U25N6UT2QM/
埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人が法務省から
「出稼ぎ」
と断定されていた問題で、コルクット・ギュンゲン駐日トルコ大使は産経新聞のインタビューに応じ、
「経済的な理由が多いことは、我々も認識を共有している」
と述べ、彼らが
「難民」
でなく
「就労目的」
との見解を初めて示した。
大使は、産経新聞の現地取材や、平成16年に法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)が川口のクルド人の出身地をトルコで現地調査した結果などを受けて取材に応じた。
大使はクルド人の難民該当性の薄さが裏付けられたことについて
「その点は、まさに我々も共有している」
「クルド人が経済的または社会的な理由で来日することはよくある」
と、就労目的との見解を初めて示した。
その上で、クルド人が
「違法な形で日本に滞在し、難民認定制度を悪用して滞在を引き延ばしている」
「これこそが問題だ」
「トルコ共和国としてこの現実は決して後押しできるものではない」
と述べた。
トルコと日本の査証(ビザ)相互免除については
「経済的なメリットもあり、長期的な観点から当然維持されるべきだ」
としながら、
「悪用されるなら、日本の警察当局や入管庁などとも連携して阻止していく」
「最も重要なことは日本の法令を順守することだ」
とも強調した。

川口のクルド人「難民でなく移民」「いなか出身者の行動」トルコ人著名ジャーナリスト語る
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由D
2024/11/28 11:30
https://www.sankei.com/article/20241128-SJUA4VKK4RGIVG7EQWDIX35DFE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の故郷を訪ねた後、首都アンカラで著名なトルコ人ジャーナリストに会った。
ムラット・イェトキン氏(64)。
川口のクルド人問題について
「クルド人だからではない」
「田舎の出身者だからだ」
と指摘。
「彼らは難民ではない」
「より良い生活を求めての移民だ」
などと語った。
■ベテラン記者との対話
イェトキン氏は、トルコの有力紙ヒュリエト英語版の編集長などを歴任し、現在は自身の名を冠したニュースサイトを運営。
政治コラムニストとして現地のテレビでもお馴染みのベテラン記者だ。
「カワグチで起きていることはトルコでも同じだ」
川口のクルド人らによる危険運転や大音量の音楽、ごみ出しなどの問題について尋ねると、こう話し始めた。
イェトキン氏は
「日本のルールやマナーを守らないのは、彼らがトルコの田舎から、いきなり日本の大都市へ来たからだ」
「要するに、田舎出身者の行動だ」
と指摘。
「彼らがルールを守らないなら、警察が注意する」
「それでも聞かなければ、罰金を科せばよい」
クルド人の多くが日本で難民認定申請し在留を続ける現状については、こう説明した。
「彼らは難民ではない」
「実際のところは、より良い生活を求めての移民だ」
「先に行った者が『稼げるから来い』と言う」
「『警察や憲兵に迫害されている』として難民申請すればよい」
「これは日本だけでなく、欧州も同じ問題を抱えている」
2003年からのエルドアン政権によって、トルコは目覚ましい経済成長を遂げ、クルド人も人権状況だけでなく、生活レベルも大幅に上がったという。
イェトキン氏は
「トルコでクルド人はトルコ人らと広く混血が進んでおり、最もクルド人の多い都市はクルド人居住地域の南東部にはなく、大都市のイスタンブールだ」
と指摘し、同国の非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」の名を挙げて続けた。
「一般のクルド人とトルコ人は決して争ったりしない」
「この40年間、争っているのはPKKであり、彼らは意図的に問題を大きくしようとしている」
「この対立の図式を利用して難民申請し利益を得ている人々がおり、カワグチのクルド人もその一部だ」
■クルド系の大統領も
イェトキン氏が親しくしているトルコ政府の閣僚がいる。
メフメト・シムシェキ財務相(57)。
同国内ではクルド系の国政政党がある他、閣僚、国会議員、判事、幹部公務員などの要職に就いているクルド人も多数いる。
1980〜1990年代に首相と大統領を務めたオザル氏もクルド系だったことで知られる。
シムシェキ財務相はトルコ南東部のクルド人の多い地方の村で、9人きょうだいの末っ子に生まれた。
苦学して欧米の投資銀行などでエコノミストとして働き、トルコ政界入りした立志伝中の人物だ。
イェトキン氏は
「私は彼をよく知っているが、本当に努力して今の地位にまでなった人だ」。
自身がクルド人であることを公言しており、副首相時代の2016年、米国での記者会見で、イランのクルド人記者から英語でクルド人の将来について質問された際、
「私はトルコのクルド人だ」
とクルド語で答えて話題を呼んだ。
今回のトルコ取材で、クルド人の政治家や経済人に取材を申し込んだが、断られることが多かった。
一方で、当初は喜んで取材に応じても、後日
「私のことを記事に書かないでほしい」
と連絡があったことも再三だった。
この過程そのものに、トルコでの
「クルド人問題」
の複雑さが表れているようだった。
自身がクルド人だと表立って言えるのは、シムシェキ財務相のような完全な成功者か、反体制者に限られるのが、トルコの現状のようだった。
世界各国の民族問題の
「本質」
もその辺りにあるのではないか。
■子だくさん、高い移民性
トルコは経済協力開発機構(OECD)加盟国で、欧州連合(EU)加盟は実現していないものの、日米欧の先進国に新興国を加えたG20の一員でもある。
一方で、人口8500万人のうち17歳以下が占める割合は26%。
中でもクルド人の出生率は比較的高いと言われ、少子化のトルコで人口が増え続けている。
クルド人の多い南東部は子供の人口が4割を超える県もある。
そうした地域を訪ねた際、田舎にもかかわらず小学校低学年の子供たちが午後10時、11時まで公園で遊んでいる姿が目についた。
大人がついていない場合もあった。
子供の夜ふかしはトルコで社会問題ともなっているという。
それは川口市で夜間、クルド人の子供たちが往来で遊んでいる光景と重なった。
市内に集住するクルド人約2000人のうち、小中学生は推計約400人と突出して多く、
「子だくさん」
のクルド人の
「移民性」
は顕著となっている。
今年2024年3月にトルコのクルド人地域を現地調査した元国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表で、東洋英和女学院大の滝沢三郎名誉教授(76)は
「彼らの多くが経済的理由で来日している以上、問題解決の方向性も、難民認定よりも合法的な就労の道を探ることに力を入れるほうが理に適う」
と指摘。
その上で
「彼らには一旦帰国してもらい、来日して就労を希望する人にはトルコと日本両政府が協議した上で、技能実習に代わる育成就労制度などにより合法的な入国、滞在の道を開いてはどうか」
と提言した。
おわり(「『移民』と日本人」取材班)

クルド人の「迫害と弾圧」は今も続いているのか トルコ政府「問題は民族でなくテロ組織」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由C
2024/11/27 11:30
https://www.sankei.com/article/20241127-7ARBVO6XM5OMXASDNXWMPJDC4Q/
埼玉県川口市など国内に在留するトルコの少数民族クルド人や支援者、一部メディアが
「クルド人への弾圧は今も続いている」
とする同国東部の都市ジズレを訪ねた。
2015〜2016年、トルコ軍が非合法武装組織
「クルド労働者党(PKK)」
への掃討作戦を行った街だ。
当時は一般市民も巻き添えになったというが、現在は市民が買い物に出歩く平和な風景が広がっていた。
■自分の目で見ればいい
シリア、イラク両国境に近いジズレはチグリス川が流れ、人口約13万人の多くをクルド人が占める。
この都市を含む地域で2015年夏以降、トルコからの分離独立を求めるPKKと政府の対立が激化。
トルコ軍や治安機関を狙った襲撃が相次いだ。
軍や治安部隊は同年2015年末から2016年にかけ、PKK掃討作戦を実施。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報告書によると、PKKの構成員だけでなく、多数の住民が巻き添えになって死亡したという。
欧米メディアなどは当時、
「トルコ政府によるクルド人弾圧」
として報道した。
8年経った現在2024年、ジズレは平穏を取り戻し、破壊された建物は政府が再建した。
だが、日本のクルド人支援者や一部メディアは
「弾圧は今も続いている」
として、川口などで難民認定申請するクルド人の
「迫害」
の根拠に挙げている。
ジズレを訪ねた日は休日で、中心部では買い物を楽しむ市民らが歩いていた。
出会った住民の男性に当時のことを尋ねると、こう問い返された。
「今も弾圧が続いているって?」
「そう言う人は、ここに来て自分の目で見てみればよいのではないか」
■エルドアン政権で激変
PKKは
「クルド人国家の樹立」
を掲げて1984年、トルコ政府に対する武装闘争を開始。
1990年以降、国内各地でテロを引き起こし、トルコ国内ではPKKとの戦闘でこの40年間に市民4万人が殺害されたとされる。
トルコ政府の他、米国、英国、欧州連合(EU)がテロ組織に指定し、日本の警察庁も国際テロリスト財産凍結法に基づき
「国際テロリスト」
に指定している。
一方で、トルコ国内のクルド人の人権を巡る状況は、2003年に発足したエルドアン政権により様変わりしたと言われる。
同政権はクルド人との融和を掲げ、国営放送でクルド語の放送が始まり、クルド系政党はクルド語での政治活動が可能になるなど、クルド系住民の権利拡大に努めてきた。
背景には、トルコの悲願であるEU加盟実現のため、国内の人権状況を改善する必要があったことがある。
2012年からは政府とPKKとの和平交渉が始まり、翌2013年、PKKは武装解除を宣言。
だが、2015年6月の総選挙でPKKと連携するクルド系の左派政党が躍進し、エルドアン政権の与党が過半数割れとなった。
PKK内部の路線対立もあって、政府とPKKの対立が再燃した。
首都アンカラでは昨年2023年10月、内務省付近で自爆テロが発生し警察官2人が負傷、PKKが犯行声明を出した。
先月2024年10月23日にはアンカラ郊外の大手防衛企業が襲撃され27人が死傷。
PKKの軍事部門が犯行声明を出し、トルコ軍がイラク北部とシリア北部にあるPKKの関連拠点を空爆するなど応酬が続いている。
■「兵役拒否」も理由に
川口に在留するクルド人の間では、こうした対立状況を
「クルド人への迫害」
と主張し、難民申請の理由とする形になっている。
一方で、トルコで兵役を拒否したことで迫害を受けると主張する人も少なくないという。
トルコは国民皆兵で、兵役は20歳から41歳までの男性に6〜12カ月、義務付けられている。
身体障害などがないかぎり兵役拒否は認められず、罰金などが科せられる。
しかし、これはクルド人に限ったことではなく、昨年2023年10月に発行された英国内務省の難民に関する報告書はトルコの兵役義務が難民条約上、迫害には当たらないと指摘。
条約上の難民の定義は「人種」や「宗教」「政治的意見」など5つの理由から迫害を受ける恐れがある場合で、出稼ぎ目的の経済的理由も難民には該当しない。
川口市内のクルド人を巡っては、トルコ政府が昨年2023年11月、2つのクルド人団体とその幹部らクルド人6人についてPKKを支援する
「テロ組織支援者」
と認定、同国内の資産を凍結した。
認定は現在も続いている。
PKKとクルド人について、トルコ政府関係者は
「PKKに対する我が国政府の措置が、時にクルド人への迫害だと誤解される場合があるが、我々が問題視しているのは決してクルド人という民族ではない」
「問題なのは分離独立のためテロ活動を続けるPKKという組織だ」
と話している。(「『移民』と日本人」取材班)

川口のクルド人、トルコの農閑期に難民申請、農繁期に帰国 血縁集団の絆で「移民の連鎖」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由B
2024/11/26 11:30
https://www.sankei.com/article/20241125-KXJTMJVJGRMLNGXEK2I5GJROOY/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人の難民認定申請には、特定の周期があるという。
毎年秋に来日と申請が急増し、そのうちの一定数は翌年夏までに申請を取り下げてトルコへ帰国する。
背景には祖国での生業である牧畜などの農閑期、農繁期のサイクルがあるとみられる。
■血のつながりは大切
トルコ南部、アドゥヤマン県西部の草原地帯で、少年がヒツジの群れを追っていた。
この地にかつて、ヒツジやヤギの放牧を生業とする約300戸2000人の一族がいた。
当初は遊牧民だったが、その後数十キロ離れた2つの村へ移り住み、定住したという。
日本での難民申請者が特に多い4〜5村のうちの2村だ。
これらの村があるトルコ南部3県の出身者が、難民申請者の8割を占める背景には、この一族の存在がある。
2村のうち1つの村を訪ねた際、出会った老人は
「我々はその一族の出身だ」
「2つの村の村民は元を辿れば、4つの家族に辿り着く」
と話した。
こうした一族はトルコ社会で
「アシレット」
と呼ばれ、血縁関係と口伝えによる掟で結ばれている。
トルコ人やアラブ人にも見られるが、特にクルド人は固い結束を誇るという。
現地のクルド人男性は
「私たちは一族の結束が強い上、子だくさんなので親族が本当に多い」
「私もいとこが100人くらいいるので、結婚式は大変だった」。
川口で話を聞いたクルド人男性も
「血の繋がりは物凄く大切」
「親戚がヨーロッパにもオーストラリアにもカナダにもいて、例えば重い病気になったら、日本までお見舞いにくる」
と語った。
1人が来日すると同じ村の家族や知人が先に来た人を頼って次々と来日する
「移民の連鎖」
が起きる要因として、こうした共通の祖先で繋がる血縁集団の絆があるようだ。
■来日順でヒエラルキー
入管関係者によると、クルド人の難民申請者は毎年、冬を迎え農業や牧畜が農閑期となる10〜11月頃に急増。
翌年、放牧の季節が始まる5〜6月頃帰国者が増えるという。
昨年2023年1年間のトルコ国籍の申請者約2400人のうち、3割に当たる700人近くは今年6月頃までに既に帰国した。
入管関係者は
「彼らは夏前になると『問題が解決した』と言って難民申請を取り下げ帰国していく」
「秋になると同じ人物が来日し、『また問題が起きた』といって難民申請する」
「かつての東北地方からの出稼ぎのように、農閑期に合わせた就労目的と考えられる」。
関係者によると、川口周辺では1990年代初めに来日した2村の一族を筆頭に、いくつかの一族が在留している。
先に来日して解体業を始めた一族が、後から来日したクルド人やトルコ人らを雇用するヒエラルキー(階層構造)も生まれているという。
■我々が自由と思うか
アドゥヤマン県では、クルド独立主義者にも出会った。
広大なユーフラテス川を望む丘の上で、農業を営む30代のクルド人男性は誇らしげに言った。
「これがメソポタミアだ」
「クルディスタン(クルドの地)だ」
クルディスタンとは、トルコ南東部だけでなくシリア、イラク、イランなどにまたがるクルド人の居住地域全体を指す。
かつてはオスマン帝国だったが、1920年代、この地域で石油が採掘されたことから帝国主義の欧州列強が分割。
クルド人は
「国を持たない民族」
となった。
特にトルコ政府は1990年代頃まで、
「山岳トルコ人」
と呼んでクルド民族の存在を否定、徹底した同化政策を進めた。
男性一家も山の上にある小さな村の出身だが、同化政策により数十年前に山を下りた。
男性はクルド人の独立を夢見ており、青年時代に公園でクルドの歌を歌っていて警察に3日間拘束された経験を持つという。
川口周辺でクルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題も、インターネットを通じ知っているといい、
「カワグチのクルド人は難民だ」
と主張。
「我々がトルコで自由だと思うか」
と真顔で尋ねた。
「クルド人にとって、クルドの地で暮らすのが最善だ」
「クルディスタンは石油も出る」
「日本よりも豊かだ」
「しかし、トルコでは生きづらいため日本で難民申請しているのだ」
男性は丘陵地帯を走る車の中でクルドの歌をかけながら、
「PKKは我々をトルコ軍の兵士から守ってくれている」
とも言った。
PKK、クルド労働者党はトルコ国内のクルド人非合法武装組織。
「クルド人国家の樹立」
を掲げて長年テロを引き起こしてきた。
かつてトルコ政府によるPKK掃討作戦が行われた同国東部の都市へ向かった。
(「『移民』と日本人」取材班)

川口の難民申請者半数、高校行かず トルコのクルド人成功者、同胞は「努力せず不平言う」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由A
2024/11/25 11:30
https://www.sankei.com/article/20241125-QRFKQ4EKEZLPHDS5E3757O5IHE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族、クルド人の難民認定申請者の半数程度は、学歴が中学卒業以下だという。
トルコ国内の高校進学率はクルド人を含め9割以上で、背景には経済的な問題もあるとみられる。
一方で、トルコでは22人兄弟の中から猛勉強して成功したクルド人にも出会った。
■「クルド人」考えたことない
クルド人が人口の約6割を占めるトルコ南部の都市シャンルウルファの私立学校を訪ねた。
保育園、幼稚園から小中高校まであり、在学生は約700人。
2年前に開校したばかりでクルド人の生徒も少なくないという。
経営者のクルド人、ネジメディン・ゲンチさん(42)は地元出身。
経済的に貧しい農家の22人兄弟の21番目で、苦学して公認会計士の国家試験に合格、現在は親族らと学校2校、建設会社、バス会社、コンサル会社、映画館を経営しているという。
「小学校まで5キロの道を歩いて通った」
「休日はヒツジの放牧を手伝った」
「私は決して勉強ができたほうではないが、これまでクルド人だからと差別されたことなどない」
クルド人地域は歴史的な経緯から複数の国に分割され、
「国を持たない最大の民族」
とも言われる。
ただ、今回トルコで出会ったクルド人の多くは社会的な立場に関わらず
「トルコ人」
として振る舞い、
「クルド人」
かと尋ねると
「なぜ、そんなことを聞くのか」
と怪訝そうな顔をされることも多かった。
一方で遺伝的な特徴などから
「顔を見れば分かる」
と話す人もいた。
ゲンチさんは
「国家試験に合格したのも、頑張ったからだ」
「そもそも、自分がクルド人だからなど、これまで考えたこともない」。
彼はクルド系政党に投票しているというが、そのことで迫害も差別も受けたことはないという。
日本で難民申請している川口のクルド人について尋ねると、
「自分の努力不足を棚に上げて『クルド人だから』と不平不満を言っているだけではないか」。
校舎の壁には宇宙のイラストが描かれ、
「世界の扉は君の前に開かれている」
と書かれていた。
■教育機会の平等は保障
トルコの教育制度は小中高がそれぞれ4年ずつあり、2012年から高校も義務教育になった。
憲法に平等原則が明記され、民族的な出自による差別はない。
公立の授業料は高校、大学まで無償で、競争は激しいが、教育機会の平等は保障されていると言える。
この結果、高校進学率は上昇し、2022年度は91・7%。
大学進学率は4割程度となったが、義務教育にもかかわらず高校に行っていない数%には、農村部に住むクルド人も少なくないという。
現地の教育関係者は
「農村地域はまだまだ子供を牧畜などで働かせている」
「親の世代は高校が義務教育ではなかったため、今も教育に意義を見いだせない人も多いのではないか」。
トルコでは現在、クルド系の国政政党があり、与野党問わずクルド人の政治家を輩出している他、国営放送にクルド語のチャンネルもある。
クルド語の教育機関の設立も認められているが、公用語がトルコ語で、クルド語を学んでも仕事に生かせないため、あまり人気はないという。
公務員試験も憲法で
「採用に当たり職業資格以外に如何なる差別も行ってはならない」
と規定されている。
受験の願書に民族欄もないため、公務員全体のクルド人の割合の統計もないという。
■学歴不問でガテン系
シャンルウルファでトルコ政府の出先機関に勤める国家公務員のクルド人男性(40)は
「小学校に入るまでトルコ語を話せなかった」
「勉強して話せるようになったが、12年前に公務員試験を受けた時、試験は当然トルコ語で苦労した」
と話し、こう続けた。
「外国の人からクルド人は迫害されているのかと聞かれることがあるが、私は迫害はないが差別はあると感じる」
「言葉の壁もあり、自分たちが少数民族と思い知らされる時もある」
入管関係者によると、日本の難民申請書には学歴欄があり、川口周辺に在留するクルド人の難民申請者の半数程度が中卒以下で、高校の義務教育化以降の世代でも教育を受けていないケースが少なくないという。
川口市内では若いクルド人が改造車を乗り回す暴走行為も問題になっている。
トルコの教育関係者は指摘する。

「もちろん学歴が全てではないが、農村からいきなり日本の都会に来て、教育レベルも高くなければ地元住民と軋轢が生じやすくなるのも当然だろう」
「それでも学歴不問の力仕事で簡単に稼ぐことができる日本は、本当に魅力的なのではないか」
(「『移民』と日本人」取材班)

「軍と警察呼んだ」川口クルド人の出身地訪ねた記者を恫喝 両親「日本で成功の息子誇り」
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由@(上)
2024/11/24 14:00
https://www.sankei.com/article/20241124-OCA6UR7WZFOQ3I6FJV4RX3M2V4/
埼玉県川口市に集住するクルド人を巡り、法務省が20年前に難民認定申請者の多いトルコ南部の複数の村を現地調査し、
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていたことがわかった。
クルド人が日本を目指す理由は何か。
本当に
「難民」
なのか。
報告書を裏付けるため、彼らの故郷を訪ねた。(報告書の記事はこちら)
■日本から激高して電話
「今オレが軍隊を呼んだ」
「軍も警察もお前を探している」。
記者は日本からの携帯電話でそう脅された。
入管当局が20年前に
「出稼ぎ村」
と断定していた複数の村の1つ、トルコ南東部の都市ガジアンテプ郊外の村。
電話の相手は川口市内で解体工事会社を実質経営する30代のクルド人男性だ。
男性は約20年前、この村を離れ、先に来日していた父親を頼って川口に在留。
トルコ政府から迫害を受ける恐れがあるとして難民申請を繰り返し、5回目の申請中だ。
現在は入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免の状態が続いている。
男性には日本でも何度か取材したことがあり、出身の村の名前も聞いていた。
今回、男性が憤っていたのは、記者が実際に彼の村を訪ねたからだとみられる。
壁に男性の名前が刻まれた家を偶然見つけ、村の人に話を聞いていると、男性の母親を名乗る女性が
「チャイを飲んでいけ」
と、家に招き入れてくれた。
ところが、母親がその場で川口にいる息子とビデオ通話を始め、記者の名刺を見せたところ、男性は激高した。
余りの剣幕に家の外に出ると、冒頭の電話がかかってきた。
政府の迫害から日本に逃れたという
「難民」
が、トルコ軍や警察を動かすのだろうか。
直前まで母親は、日本にいる孫たちの写真入りのバスタオルを見せ、嬉しそうにこう語っていた。
「日本で成功した息子を誇りに思う」
■「働くため」村人が証言
男性の故郷は日本で難民申請者が集中している村でもある。
トラクターが行き交う典型的な農村だが、所々に立派な家が建っており、トヨタの大型乗用車に乗った人もいた。
男性の実家は一際目立つ2階建てで、がっしりした門扉を通り玄関から居間に入ると、50型ほどの大型液晶テレビがついていた。
最初に父親に名刺を渡すと、
「オレ、この村から1番初めに日本へ行ったよ」
と日本語で話した。
父親は川口で解体業をしながら難民申請していたが認められず、10年ほど前に帰国したという。
道端で日本人の姿を見て集まってきた村人は、口々に
「コンニチハ」
「オレ、カワグチにいたよ」
「カイタイの仕事」
「ハッピーケバブも知ってるよ」
と話しかけてきた。
トラクターで通りかかった老人は、川口に近い東浦和の解体会社の
「代表取締役」
という名刺を見せ、
「今は息子が日本にいる」
と自慢げに話した。
村の人によると、約70世帯300人の集落の多くが日本に住んでおり、残っているのは90人程度。
欧州は少ないという。
村人らは隠す様子もなく、こう証言した。
「なぜなら、日本はビザなしで簡単に行けるから」
「働くために日本へ行っている」
「短期滞在で入国して、翌日からカイタイで働けるのだ」

<産経抄>現場に行けば「難民」の真実が見えてくる   
2024/11/26 5:00
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https://www.sankei.com/article/20241126-NG3725XXC5NRJOLP5PSMNPYJRE/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人が注目されるようになったのは、昨年2023年の夏からだ。
市立医療センター周辺で起きたクルド人約100人が関与する暴動事件がきっかけである。
▼そもそもどうして遠く離れた日本にやってきたのか。
実は20年前に判明していた。
当時の法務省入国管理局が難民認定申請者の多いトルコ南部の村を現地調査して、
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていた。
▼ところがクルド人側の弁護団が反発して
「封印」
された、と昨日の小紙がすっぱぬいていた。
現在日本で難民申請しているほとんどのクルド人の出身地も、かつて入管関係者が調査した村々と重なる。
▼小紙の記者がその村の1つを訪ねた。
川口市内で解体工事会社を経営するクルド人男性の故郷でもある。
男性が先に来日した父親を頼ったように、多くのクルド人が親族のつてを求めて川口市に集まった。
取材を受けたことのある記者が村にいると知った男性は激高して、日本からの携帯電話で脅しをかけた。
「今オレは軍隊を呼んだ」。
政府の迫害を訴える
「難民」
が、なぜ軍隊を呼ぶのか。
記者の
「疑問」
はもっともだ。
▼難民問題の専門家である滝沢三郎・東洋英和女学院大名誉教授もまた、今年2024年3月にトルコ各地で調査してきた。
帰国後小紙の取材に
「クルド人に対して差別はあっても、身の危険を感じる迫害を受ける状況ではない」
と話していた。
▼かつてクルド人の主な行き先だった欧州諸国は近年、入国審査が厳しくなり、密航には高額な手数料がかかる。
査証(ビザ)が免除され、相対的に渡航費用が安い日本が流入先になった、と指摘する。
難民問題に限らず、現場に足を運ばないと真実は見えてこない。

「難民なんて全部ウソ」「働くため日本へ」川口の難民申請者の8割、トルコ南部3県に集中
「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由@(下)
2024/11/24 14:05
https://www.sankei.com/article/20241124-2ZMA4FNKGBJOZIXA6CMPV3RRTM/
埼玉県川口市に在留し難民認定申請するクルド人らについて、トルコの出身地を集計したところ、全体の8割が同国南部の3つの県に集中していたという。中でも特に申請者の多い4〜5つの村がある。
そのうちのいくつかの村を訪ねた。=(上)からつづく
■立ち並ぶ「御殿」
トルコの総人口8500万人のうちクルド人は2割弱の1500万人。
過去20年間で難民申請したトルコ国籍者1万2000人超の大半は、経済的に比較的貧しいクルド人とみられる。
日本とトルコには短期滞在の査証(ビザ)の相互免除措置があり、航空券代さえ負担できれば、パスポートだけで来日し、難民申請することで滞在を継続できる。
入管関係者によると、平成25年から昨年2023年までの11年間に難民申請したトルコ国籍者について、出身地が分かる約4700人を対象に集計。
全体の約8割がトルコ81県のうち、ガジアンテプ県と、カフラマンマラシュ県、アドゥヤマン県の南東部3県に集中していた。
3県は、いずれも民族的にクルド人の多い地域として知られるが、中でも特に難民申請者の多い村が4〜5村ある。
川口市内で解体工事会社を実質経営する30代のクルド人男性の故郷、ガジアンテプ県の村と並んで、アドゥヤマン県の西部にある村もその1つだ。
こちらも荒涼とした丘陵地帯に、立派な
「御殿」
が立ち並んでいた。
■同胞からの迫害ない
クルド人の村長(58)によると、村人約1180人のうち1割近くの約100人が日本にいるという。
「皆仕事の機会を求めて日本へ行った」
「単純に経済的な理由だ」
「1人が行くと、親族や知人が彼を頼って日本へ行く」
村は昨年2023年2月のトルコ地震の震源に近く、倒壊した家も多かった。
十数人が犠牲になったといい、家を失って日本へ避難した人もいたが、最近は落ち着いてきたという。
村の配管工のクルド人男性(47)は自身も日本で13年間働き、しっかりとした日本語を話した。
「航空券代は10万円くらいだから、ちょっと働けば買え、日本でもっと稼げる」
「借金して行く人もいるが、すぐに稼いで返せる」。
川口に在留しているクルド人に触れると、
「我々が難民だなんてウソ」
「皆上手にウソをつく」
と話し始めた。
「入管で『国へ帰ったら殺される』『刑務所へ入れられる』と言うでしょ?」
「全部ウソ」
「本当にウソ」
「皆日本で仕事したいだけ」
「お金が貯まったら、村へ帰る」
「私の国で迫害なんて絶対ない」
トルコの憲兵隊は怖くないか尋ねると、
「なぜ怖い?」
「この辺りはクルド人が多く、憲兵にも警察にもクルド人が多い」
「なぜ同胞が同胞を迫害するんだ」
男性は別れ際、
「もう1度日本に行きたい」
「シャシミ(刺身)が食べたい」
と言った。

<独自>川口クルド人「出稼ぎ」と断定 入管が20年前現地調査 日弁連問題視で「封印」
「移民」と日本人
2024/11/24 12:00
https://www.sankei.com/article/20241124-HDYXVM4BBRM3TMHREBP6PXC2ZM/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人を巡り、法務省入国管理局(現出入国在留管理庁)が20年前の平成16年、難民認定申請者の多いトルコ南部の複数の村を現地調査し
「出稼ぎ」
と断定する報告書をまとめていたことが2024年11月24日分かった。
しかし日本弁護士連合会が
「人権侵害」
と問題視したことから、調査結果は表に出なくなった。
これらの村などがある3県の出身者は現在も同国の難民申請者の8割を占めることも判明、報告書からは、クルド人の難民該当性について、既に一定の結論が出ていたことが窺われる。
この文書は
「トルコ出張調査報告書」。
当時、クルド人らが難民認定を求めて各地で裁判を起こしており、同省が訴訟対応として平成16年6〜7月、これらの村へ入管職員を派遣し、生活実態などを調査した。
報告書は
「我が国で難民申請した者の出身地が特定の集落に集中している」
「いずれも出稼ぎ村であることが判明」
「村民から日本語で『また日本で働きたい。どうすればよいか』と相談あり」
「出稼ぎにより、近隣に比べて高級な住宅に居住する者あり」
などと記されていたという。
ところが報告書が訴訟資料として法廷へ提出されると、クルド人側の弁護団が問題視。
入管側が難民申請者の氏名をトルコ当局へ伝え、現地の家族を訪問していたことなどを記者会見して非難した。
当時のメディアも
「法務省が不手際」
「迫害の恐れ」
などと批判的に報じたが、報告書の内容自体には触れなかった。
報告書は、氏名を伝えたのは申請者から提出された本国の
「逮捕状」
の真偽を確かめるためで、トルコ側から
「氏名がなければ照会できない」
「欧州各国も同じ方法で事実確認を求めている」
と指摘されたためとしているという。
当時、法務省は
「新たな迫害がないよう配慮して調査した」
と反論したが、弁護団側はクルド人らの人権救済申立書を日弁連に提出。
日弁連は翌平成17年、
「難民申請者の情報を提供することは、新たな迫害を生む恐れがあり、重大な人権侵害だ」
として当時の法相宛てに
「警告書」
を出した。
この結果、法務省は報告書の調査内容について
「封印」
せざるを得なくなったという。
弁護団側は、入管の案内役に憲兵を同行させたことについても問題視したが、報告書には
「村民と憲兵隊との友好関係を確認」
「憲兵や警察は日本の難民申請者に無関心」
などとも記されていたという。
これらの訴訟で原告となったクルド人らが難民と認められることはなかった。
また、入管関係者によると、当時調査した村などがあるガジアンテプ、カフラマンマラシュ、アドゥヤマンの南部3県には、日本に在留するクルド人難民申請者の出身地の8割が集中しているという。
入管庁によると、トルコ国籍の難民申請者は平成16年からの20年間で延べ1万2287人に上るが、難民認定されたのは4人。
また川口市によると、市内のトルコ国籍者は同期間で約200人から6倍の約1200人に増えた。
難民認定申請中の仮放免者を含めると約2000人に上る。

クルド人排斥デモ禁止命令 さいたま地裁仮処分決定
2024/11/21 18:58
https://www.sankei.com/article/20241121-R2BKN7QKPJMWRAVED7MQMPQT7M/
在日クルド人らで作る
「日本クルド文化協会」(埼玉県川口市)
が、ヘイトスピーチに当たるデモで名誉を傷付けられたとして今後実施しないよう求めた仮処分申し立てで、さいたま地裁は2024年11月21日、デモを呼び掛けた神奈川県の団体代表の男性に対し、協会事務所から半径600メートル内でのデモを禁止する決定をした。
協会側への取材で分かった。
協会側代理人の金英功弁護士によると、過去に在日コリアン排除を訴えるデモを禁止する仮処分決定はあったが、クルド人へのデモを禁じたのは初めて。
男性らは2024年11月24日にデモを行うと告知しているが、金弁護士は
「2度と実施しないことを期待する」
と述べた。
決定で市川多美子裁判長は、こうしたデモ行為が
「名誉を毀損または著しく侮蔑するなどして(協会の)業務を妨害する行為」
と認定し、一切実施しないよう命じた。

川口クルド人の危険運転も念頭、市長ら取り締まり相次ぎ要望 埼玉県警「適正に続ける」
「移民」と日本人
2024/11/17 10:30
https://www.sankei.com/article/20241117-ZLILLNB4DFEG5HPGF2XY2DVJUM/
埼玉県川口市で交通死亡事故が多発し、奥ノ木信夫市長や地方議員らが県警に対し、市内に集住するトルコの少数民族クルド人の危険運転も念頭に、取り締まりを強化するよう相次ぎ要望書を出す事態となっている。
県は同市を
「交通事故防止特別対策地域」
に指定、県警は
「適正な取り締まりを続ける」
としている。
市内では2024年9月23日、トルコ国籍の少年(18)が無免許で乗用車を運転、原付バイクの男性2人が死傷するひき逃げ事件が発生。
同2024年9月29日には、中国人の少年(19)が飲酒運転で一方通行を逆走して車と衝突し、運転していた会社役員の男性が死亡する事故が起きた。
この結果、同市は、人口50万人以上の市で3カ月以内に6人以上の交通死亡事故があった場合に指定される特別対策地域となった。
期間は2024年10月8日から3カ月間。
市によると、今年2024年は9月末時点で9人が死亡し、昨年2023年1年間の8人を既に上回り過去5年間の同時期で最多という。
こうした状況を受け、川口市の奥ノ木市長は2024年10月17日、市内を管轄する川口、武南両署長に対し、違法運転などの取り締まり強化を求める要望書を提出。
死亡事故について
「法令違反と運転技術の過信や順法意識の欠如が要因」
と指摘した。
要望書はその上で、クルド人らが経営する解体資材置き場周辺での過積載や速度超過などの危険運転を念頭に、
「市民からは生活上の安全が脅かされるのではないかと今後を危惧する声が数多く寄せられている」
として、取り締まりの強化などを求めている。
また、2024年10月1日には県議会の立憲民主党などで作る会派などが県警本部に対し、2024年11月8日には川口市議会の自民党市議団が川口、武南両署に対し、それぞれ同様の要望書を出した。
埼玉県警は取材に対し
「県民の安心・安全のため引き続き適正な取り締まりと交通安全の広報・啓発を続けていく」
としている。

川口の解体業者7割は中東系、1年で40社増170社 民家の廃材をその場に埋め4人逮捕
「移民」と日本人
2024/11/14 11:50
https://www.sankei.com/article/20241114-CQAUVRW3HRKLNOD47WALDFXWZA/
埼玉県新座市の住宅街で民家を解体後、廃材6.2トンをその場に埋めたとして、川口市に住むトルコ国籍の解体業の男ら4人が2024年11月13日、廃棄物処理法違反の疑いで県警に逮捕された。
川口市内の解体工事業者は255社で約7割は中東系とみられ、大半はトルコの少数民族クルド人とされる。
中東系は過去1年間で約40社増え約170社と急増している。
逮捕されたのは、いずれも川口市に住むトルコ国籍で、解体業のチカン・ハリル・イブラヒム容疑者(35)と23〜39歳の解体工の男3人の計4人。
県警はクルド人かどうかは明らかにしていない。
逮捕容疑は今年2024年4月27日頃から2024年5月7日頃の間、新座市栗原の民家解体工事現場で、解体で出た木くずや廃プラなど産業廃棄物計6.2トンを解体後の更地に埋めたとしている。
県警によると、民家の家主がインターネットで探した解体会社に依頼。
この会社が、チカン容疑者が実質経営する解体会社「H産業」に下請けに出したという。
同社は解体資材置き場を所有しており、県警はなぜ解体現場にそのまま埋めたのか動機を調べている。
■業界での割合も増加
埼玉県が公表している解体業者の名簿のうち、川口市内の業者は2024年10月末時点で255社。
このうち代表者が中東系の名前は約170社あり、全体の約67%を占めた。
大半はトルコ国籍のクルド人とみられる。
これらの業者数を1年前の昨年2023年10月末時点と比べたところ、中東系の名前は約130社から約170社に約40社増え、1年間で1.3倍となった。
また、解体業者全体に占める中東系の割合も約59%から約67%と、8ポイント上がった。
資材置き場は近年、川口だけでなく隣接する越谷市やさいたま市岩槻区などにも広がっており、今回の事件を起こしたH産業も川口市内から越谷市へ移転していた。
■杜撰工事相次ぐ
解体工事を巡っては昨年2023年9月、東京都品川区で杜撰な工事により区が工事停止を指示。
工事は日本企業が中国系業者に発注、更にトルコ人業者に下請けされ、最終的に現場作業したのはクルド人だった。
今年2024年6月には埼玉県富士見市のビル解体工事現場で解体作業中に建物が崩落し、隣接する道路を塞ぐ事故があった。
工事を請け負ったのは中東系外国人が経営するさいたま市岩槻区の解体会社だった。
首都圏の解体業はクルド人の生業となっている。
一方で、川口市にはクルド人が約2000人在留。
大半は難民認定申請中で、出入国在留管理庁によると昨年2023年1年間のトルコ国籍の申請者は2406人に急増し、初めて2000人を超えた。

川口クルド人意見書でれいわ離党の市議、立民愛知から衆院当選 移民問題「答えられない」
「移民」と日本人
2024/11/5 15:52
https://www.sankei.com/article/20241105-3R7OB4DXWJK2JLKVZSJMQFQQVU/?outputType=theme_election2024
2024年10月27日投開票の衆院選で、立憲民主党公認で愛知15区から出馬した前埼玉県川口市議、小山千帆氏(49)が、比例東海ブロックで復活当選した。
小山氏は昨年2023年6月、川口市議会のクルド人問題を念頭に置いた
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書に賛成後、所属するれいわ新選組を離党。
更に市議を辞職していた。
小山氏は
「移民問題」
について
「取材は受けない」
としている。
小山氏は昨年2023年4月の統一地方選でれいわ公認で川口市議に初当選。
同年2023年6月、市議会でクルド人問題を念頭に置いた意見書が可決された際は、立民・れいわの共同会派が反対する中、小山氏は賛成した。
小山氏はその後、れいわ内で難しい立場に立たされたとされ、今年2024年5月、れいわを離党。
無所属で活動後の2024年7月下旬に市議を辞職し、直後に立民愛知15区総支部長に就任した。
小山氏はれいわ離党の際
「川口市民の生活に寄り添った活動をしていきたいため」
と理由を話していたが、市議を辞職した際は取材に対し
「取材は断っている」
と回答。
自身のXも全面削除した。
今回、衆院初当選に当たって、国の出入国管理政策や
「移民」
受け入れの他、川口市のクルド人問題や昨年2023年6月の意見書について取材を申し込んだところ、愛知県豊橋市の地元事務所を通じて
「取材は受けない」
と回答があった。
回答を伝えた事務所の男性に名前を尋ねたところ、回答を断られた。
小山氏の衆院選向け公式サイトには主要政策が4項目列挙されているが、移民問題についての言及はない。

川口クルド人問題、突如衆院選争点に浮上「私におまかせを」埼玉2区、全く触れない候補も
「移民」と日本人
2024/10/16 12:10
https://www.sankei.com/article/20241016-M2LPK63JJZLGHB5FX4XFJEJGOQ/?outputType=theme_election2024
27日投開票の衆院選埼玉2区は、トルコの少数民族クルド人と地域住民との軋轢が表面化している川口市の大部分が選挙区だ。
「地元国会議員が動いてくれない」
との指摘も出る中、今回の選挙では突如、争点に浮上。
公示日の15日、JR川口駅前では
「クルド人問題を解決する」
と公約する候補も現れた。
川口は外国人問題で有名になった
「ルール違反の外国人問題、おまかせください!」
日本維新の会前職の高橋英明氏(61)陣営の選挙カーから、運動員の女性がこう呼び掛けた。
前回は比例復活で初当選。
今年2月の衆院予算委ではクルド人を念頭に地元の外国人問題を取り上げ、当時の岸田文雄首相に対応を求めた。
選挙カーの上でマイクを握った高橋氏は経済再生などを訴えた後、クルド人らも混じる通行人に向かって
「この川口は外国人問題で全国的に有名になってしまった」
と切り出した。
「ルールを守らない外国人は一旦国に帰ってもらって、きちんとした在留資格で来てもらう」
「支援団体もそういうことを手助けすべきだ」
と指摘し、警察官の増員などを訴えた。
■この機会だから申し上げる
9選を目指す自民前職で前経済再生相の新藤義孝氏(66)は、選対本部長に奥ノ木信夫市長を迎え、駅前広場に自民、公明両党の県議や市議ら約25人を集めて出陣式。
150人以上の聴衆に向かって経済再生などを論じた後、
「もう1つ大事なことは治安の確保だ」
と地元の課題に話題を転じた。
「いわゆるクルド人問題」
「この機会だから申し上げるが、難民認定申請を繰り返し、10年も20年も川口にいる人たちが増えてしまった」
と、自身の選挙で初めてクルド人問題を明確に取り上げた。
新藤氏は自身の政策チラシにも
「クルド人問題の解決」
と明記。
この日の演説で、6月施行の改正入管難民法で難民申請中の強制送還停止が原則2回までに制限されたことについて
「法改正まで5年かかった」
と実績として触れ、
「ルールを守ってこその共生だ」
「川口をあやふやな出入り自由の街にはさせられない」
と声を張り上げた。
■なぜ外国人問題に触れるのか
一方、共産新人で元県議の奥田智子氏(55)は川口駅頭で第一声を上げたが、約13分間の演説で外国人問題に触れることはなかった。
演説後、奥田氏になぜ触れなかったか尋ねたところ、
「逆に聞くが、なぜ触れるのか」
「演説の内容は私が選べる」
「触れない理由は敢えて言わない」。
地元のクルド人問題への対応については
「国の政治が悪すぎる」
「それに尽きる」
と入管政策を批判した。
立民新人で歯科医師の松浦玄嗣(もとつぐ)氏(52)も川口駅前での出陣式では外国人問題について言及しなかったが、配布した政策チラシに
「外国人労働者の処遇に明確な法整備を求める」
と掲げた。
取材に応じた松浦氏は
「外国人を労働者としてなし崩し的に受け入れるから問題になる」
「川口で起きていることは10年後、20年後、必ず国全体の問題になる」
「外国人を移民として受け入れるのか、鎖国するのか、ロボットやAIに頼るのか、政治家は国民と議論しなければならない」
と語った。
■早く目に見える成果を
この他、埼玉2区には諸派新人で不動産会社社長の津村大作氏(50)が立候補。
7月の東京都知事選にも出馬した津村氏は今回、強制送還を拒む不法滞在者の入管施設への収容を一時的に解く
「仮放免制度」
の廃止を訴えている。
クルド人の危険運転などに困っているという地元の男性会社員は
「選挙で取り上げられるようになったのは一歩前進だが、市民の間ではまだまだ『政治家は何もしてくれない』との思いが強い」
「早く目に見える成果を挙げてほしい」
と話していた。
▽埼玉2区立候補者(届け出順)
奥田 智子55元県議 共新
高橋 英明61党県代表 維前
新藤 義孝66前経済再生相 自前
津村 大作50会社社長 諸新
松浦 玄嗣52医療法人役員 立新

日本人の安全が何より優先する。
そこを履き違えてはいけない。

<独自>「トルコ人は10月からビザ必要」ニセ情報拡散 外務省「川口クルド問題は認識」
「移民」と日本人
2024/9/18 15:30
https://www.sankei.com/article/20240918-QY7P3S2RXFF4TKEIEZBJPJQBDY/
日本とトルコの間で結ばれている短期滞在の査証(ビザ)免除措置について、トルコ国内の一部メディアやSNS(交流サイト)で
「日本政府が10月からトルコ国籍者にビザ要件を課す」
との偽情報が拡散、トルコ大統領府が否定の声明を出す異例の事態となっている。
日本の外務省も
「そのような事実はない」
と否定した上で、埼玉県川口市でトルコの少数民族クルド人の一部と地域住民の軋轢が表面化している問題について
「問題は認識し、注意深く対応している」
と述べた。
外務省によると、日本は観光や商用など短期滞在のビザ免除措置を71カ国・地域に実施しており、トルコとは1958(昭和33)年から相互免除が取り決められている。
航空券代さえ負担できれば、パスポート一つで来日し、最長3カ月在留できるため、3カ月後に難民認定を申請して滞在を継続するケースが続出。
川口市に在留するクルド人約2千人の多くがこの方法で難民申請しているとされる。
ところが、今月に入りトルコ国内のSNSで
「日本は10月1日からトルコにビザ要件を課す」
という偽情報が拡散。
一部トルコメディアにも
「短期滞在ビザを利用して日本行きを夢見る人々に悪いニュースだ」
「難民申請の増加や不法就労の問題に苦しむ日本が、トルコへの扉を閉ざすことになった」
などとする記事が掲載された。
トルコ大統領府通信局は今月16日、
「こうした主張は事実ではない」
「一般市民をミスリードする意図を持った主張を信じないでほしい」
と注意を呼びかける声明を発表。
トルコメディアもこの声明を報じた。
トルコとのビザ免除をめぐっては、上川陽子外相が5月の参院決算委で
「日本社会の安全、安心を守ることも重要だが、ビザ免除の見直しが必要とまでは考えていない」
と答弁。
外務省中東一課の担当者は取材に対し、ビザ免除見直しを否定した上で
「最近、一般の方を含め問い合わせは来ているが、国会答弁の通りだ」
と回答。
その上で
「川口のクルド人の問題は認識している」
「外交当局として、二国間にどのような影響があるか注意深く案件をフォローしている」
と話した。
日本とトルコは8月に国交樹立100周年を迎え、記念行事が続いている。
12月上旬には、秋篠宮ご夫妻がトルコを公式訪問されることが決まっている。

川口クルド人問題を新聞・テレビはなぜ報じない 産経新聞コンテンツ統括・皆川豪志
正論10月号
2024/9/1 12:00
https://www.sankei.com/article/20240901-MCH2PHSPSVBG7OO4MC3A34TT44/?outputType=theme_monthly-seiron
川口クルド人問題を知らない人は、かなり少なくなってきたのではないでしょうか。
近年、トルコからクルド人が大勢、日本の埼玉県川口市に移住してきて、暴力的な行為や騒音などで、地域住民に不安や恐怖を感じさせている問題です。
地元住民やインターネットの一部ユーザーでは有名だったのですが、大手メディアではほとんど報じられてきませんでした。
しかし、産経新聞が2023年から、インターネットメディア「産経ニュース」や新聞紙面などで報じ始めた後、一般的にも大きな問題として認識されるようになってきました。
ただ、他の新聞やテレビなど大手メディアは相変わらず、これを無視しています。
「外国人との共生社会」
の理念に反するという理由なのでしょうか、ほとんど報道されないのです。
こうした報道姿勢は果たして正しいのでしょうか。
共生の理念を守るためとはいえ、現に存在する大きな社会問題が無視されていいのでしょうか。
■意見書も暴動も無視
まずは、この問題について詳しくない人たちのためにも、川口クルド人問題を巡る産経新聞の報道姿勢について、説明する所から始めたいと思います。
産経新聞がこの問題を本格的に報じるようになったのは、2023年6月29日、川口市議会が
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書を可決したことと、その直後に
「川口市立医療センター」
周辺でクルド人約100人が関与したとみられている暴動事件が起きたことが大きなきっかけでした。
前者は川口市においてクルド人を巡るトラブル増加を受け、議長を除く市議41名のうち、34名の賛成多数で可決されたものです。
その中には、れいわ新選組所属の議員(後に離党)1人も含まれており、幅広い層の議員が賛成したことが窺えました。
この意見書は、
「一部外国人」
として、
「クルド人」
と名指ししたものではありませんでしたが、少なくともそのことが想定される内容で、全国の自治体でも例のないものでした。
後者はクルド人同士の痴話喧嘩がきっかけで、市内路上で相手を切りつけて暴れた上、搬送先の病院にまで押し掛けるというショッキングな事件でした。
殺人未遂や公務執行妨害容疑などで約10人の逮捕者を出した上、地域唯一の救急医療が一時ストップするなど地元住民にも多大な影響が出ました。
ところが、これらを大きく報じたメディアはほとんどありませんでした。
恥ずかしながら産経新聞もさいたま支局は県版で少し触れた程度でした。
事件の直後に産経新聞本社の編集局に着任した私は、これほどの問題に反応しない体たらくに驚き、記者たちを叱咤し、改めて取材を指示しました。
その結果、2024年7月31日付の産経新聞は1面トップで医療センターの事件を、3面でその背景となる意見書可決の記事を大きく掲載しました。
以降、他メディアがほとんど取り上げない川口市の地元住民とクルド人の軋轢を中心に、外国人労働者や難民認定申請者の増加に伴う問題全般について1年間で約80本の記事を出しました。
それにしても、なぜ新聞もテレビも、この事件や意見書決議をほぼ無視したのでしょうか。
意見書作成を主導した自民党所属の川口市議は市役所の記者クラブの記者に説明したそうですが、記者側からは
「そうなんですけどね」
「難しいですね」
といった言葉が返ってくるばかりで、煮え切らない態度だったそうです。
要するに、支局の一記者がややこしい問題に触れたくないということだったようなのです。
とにかく以後、産経新聞はこのテーマにきちんと取り組むようになりました。
「外国人に対するヘイト報道だ」
との批判を受けることもありますが、それでも、報道を続けることは重要だと思っています。
起こっている事実、少なくとも地元で少なからぬ住民が懸念を持っているような事実について、誰も報じなくて良いのかという強い問題意識があるからです。
実際、川口市内の一部地域では、隣に住むクルド人の騒音を注意した住民が、
「ばばあ出ていけ」
と怒鳴られたり、改造車で自宅の塀を壊されて逃げられたりというようなケースが散見されます。
解体業などに従事するクルド人が物凄い量の廃材をトラックに積んで住宅街を走り抜ける光景も目立ちます。
実際に
「犯罪」
として認知されていなくとも、住民の体感治安は非常に悪くなっているのではないでしょうか。
例えば、こんなことがありました。
川口市に住む30代の女性が、
「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」
として、
「私たちの存在を、消さないで。Native Lives Matter」
という画像を作成し、これがネット上で拡散されたのです。
女性には小さな子供がおり、近所にある資材置き場を出入りするクルド人運転の過積載トラックに恐怖を感じたそうです。
「ヘイトスピーチだ」
などと批判されることを恐れて実名は出せませんでしたが、勇気を振り絞って訴えたといいます。
私たちはこのことについて、2024年の2月28日に報道しました。
■事実は事実として
それにしても、他のメディアはこうした地元住民の気持ちをなぜ汲み取ることができないのでしょうか。
2017年に英国で出版され、ベストセラーになった『西洋の自死』(ダグラス・マレー著)によると、英国の世論調査で国民の過半数は移民の受け入れに否定的だったのに対し、メディアの多くは賛成の論調だったそうです。
その後、英国をはじめ欧州が大量の移民を受け入れるにつれ、移民による犯罪が頻発するようになったそうですが、それでも欧州のメディアは
「人種差別主義者」
と呼ばれるのを恐れて、そうした事実を極力覆い隠そうとしたとのことです。
もしかしたら、これと同じことが日本でも起きているのかもしれない―。
産経新聞では、一連の川口市とクルド人に関する記事について、他紙がどれだけ報じたかについて調べて、一覧表(左)にして掲載したことがあります。
その表からは、他紙がこのテーマを報じる機会が相当少ないことが明らかになりました。
その理由を、私が他社を代弁することはできませんし、メディアによって様々なのかもしれません。
移民問題は報道が難しい問題だからなのか、多面的な見方がある微妙な問題だからなのか、
「ヘイト」
という批判を受けやすいからなのか、あるいは、日本人に我慢を強いても外国人の人権が大事と考えているのか。
私は、理由の1つに地上波テレビがほとんど取り上げていないことも関係していると考えています。
テレビの影響力は今も大きいので、テレビ報道があれば変わることがあるかもしれません。
いずれにしろ、移民に対する考え方はメディアによって様々であっても、事実を淡々と報じるということは、あっても良いはずです。
念のため申し上げますが、産経新聞は決して
「外国人の受け入れ」
全てに反対ではありません。
ただ単に、今後多くの外国人が日本社会に受け入れられていくだろうという現実を前提に、
「では、問題のない受け入れにはどうすれば良いか」
という問題提起をしているだけなのです。
少なくとも私たちは、事実を誇張して何らかの世論誘導をするつもりはありません。
私たちが声を大にして言いたいのは、事実を報じないのはおかしいということです。
日本に在留する外国人にしても、
「難民」
「不法滞在者」
「正規の外国人就労者」
をきちんと区別して考えるべきで、
「外国人差別は良くない」
「強制帰国させるのは可哀想」
などという情緒的な話ばかりでなく、事実をきちんと報じ、現実から出発して、物事を考えることが重要なのではないか。
そう思うのです。
■マスコミへの不満
先ほど、このテーマについて産経新聞に
「ヘイトだ」
という声が寄せられるという話を書きましたが、実は読者からのこうした声は少数です。
少なくとも、弊社に寄せられる声の多くは
「産経、よく書いてくれた」
という趣旨のものがほとんどです。
この種の記事というのは非常に関心が高く、ネットなどでは1日のうちで最も読まれている記事になることもしばしばです。
特に、このテーマで連載や特集などをやると
「他紙はまた報道しない自由ですね」
などという反応が大半です。
重ねて申し上げますが、川口クルド人問題で、何か一定の世論を形成しようという
「上から目線」
のつもりは全くありません。
大事なのは、きちんと事実を報じ、どう考えてもらえるかということなのです。
はっきり言って、この問題について多くのメディアが何も報じようとしない現状はかなり危険です。
報じたとしても
「クルド人の絵画展が開かれました」
「地域との共生イベントが行われました」
といった生温いニュースばかり。
これをみて、実際に困っている住民は何を思うでしょうか。
「マスコミは事実を隠している」
と疑念を持つのではないでしょうか。
現実に、マスコミがこの話題についてあまりに報じないため、逆に
「なぜ報じないのだ」
という批判も広がりつつあるようです。
このまま
「共生が大事」
「多様性は素晴らしい」
みたいなことばかり言い続けていくと、逆に、日本の一般の人たちの心の中に、ルールを守らない外国人に対する憎悪のようなものを生み出す結果になる可能性があります。
マスコミが
「外国人との共生に日本人が協力すべき」
というような論調ばかりになると、却って一般の人の間には不満が溜まり、それがいつか爆発し、社会の分断に繋がることにならないだろうか。
私はこう危惧します。
■「人手不足」という言い訳
川口のクルド人問題に象徴される移民問題、もしくは
「外国人受け入れ」
問題については、政治や言論で批判がタブーになっているとしばしば言われます。
私たちは現在の言論空間について、あまり窮屈だと感じたことはありませんが、ただ、このテーマについて
「何か面倒だ」
と思う人がいる気持ちも分かります。
新聞でもテレビでも、偏らずにこういう話もあるしこういう話もある、という報道があれば、それを元に様々な意見が交わされていくはずですが、実際にはそれとは程遠いというのが現実です。
例えば、
「外国人差別はいけない」
「人権は大事」
などと言われれば、誰も否定できません。
それに対して、
「いやいやこういう外国人の問題もある」
「入管のルールはこうなっていて」
などと一から説明する労力を考えれば、
「否定しません。以上」
で終わったほうが面倒くさくないですから。
下手をすれば
「ヘイト」
と責められかねないようなことを敢えて政治家やテレビのワイドショーなどが取り上げることはありません。
そこを説明したり議論したりすることは、やはり厄介だと思われているのではないでしょうか。
今、産経新聞では断続的に
「『移民』と日本人」
というタイトルで連載が行われていますが、移民という言葉には
「」
が付けられています。
一応、日本に移民はいないことになっているからです。
ただ、移民と言わないだけで
「外国人労働者」
はこれまでも積極的に受け入れられてきました。
これは、
「軍隊」

「自衛隊」
と言い換え、その本質に踏み込まない議論とよく似ているのではないでしょうか。
本質に踏み込めば、議論せざるを得なくなる。
議論すると色々と厄介な問題が見えてきてしまう。
日本人にとっての移民問題は今、そんな感じなのではないでしょうか。
その一方で、マスコミではしばしば
「人手不足」
の解消のため、外国人の受け入れを進めるべきという議論が展開されています。
日経新聞、読売新聞なども、社説などで
「人手不足」
のため外国人の受け入れを進め、外国人に
「選ばれる国に」などと主張しています。
しかし、これは移民推進論とどこが違うのでしょうか。
今さら言うまでもありませんが、移民推進については、経済的視点から、
「安価な労働力流入によって、自国民の所得を下げるだけで、企業努力を妨げる」
と批判されてきました。
経済界などは
「労働力不足」
を前面に訴えていますが、実際は
「安い労働力」
が欲しいだけなのではないかとも指摘されています。
外国人労働者を受け入れれば、目先の
「安い労働力」
という利益は得られるかもしれません。
しかし、労働力として受け入れられた外国人にも人生があり、そのことも受け入れた側の国は考えなければなりません。
簡単に家族帯同などと言いますが、その家族の社会保障はどうするのか、働けなくなったらその家族の面倒も日本社会が見るのでしょうか。
先進国で外国人労働者が従事するのは、自国民が
「やらない」
仕事ではなく、
「現状の賃金ではやりたくない」
仕事です。
こうした仕事については、仮に外国人という選択がなければ、自国民がやりたくなるまで賃金水準は上がり、企業はより一層の技術開発などで乗り切ろうとするでしょう。
日本の高度成長期などは、移民の力は一切借りず、賃金を上げて1億総中流という社会を築いたのですから。
労働力不足を理由に安易とも言える
「移民推進論」
を進めた欧米は、文化や宗教、言葉の違いから、取り戻せないほどの治安悪化に苦しみ、ようやく移民政策の転換を始めました。
欧米の失敗から学ぶべき事は多いのではないのでしょうか。
私たち日本人は、そうしたことを真面目に議論しなければならないと思います。
《この文章は、筆者が『国際人流』(公益財団法人・入管協会発行)2024年7月号に掲載されたインタビュー記事で発言した内容をもとに、書かれたものです》
(月刊「正論」10月号から)

「ペンのチカラ信じたい」川口クルド問題、産経新聞が地元読者の声を全面特集 報道検証も
「移民」と日本人
2024/3/16 8:00
https://www.sankei.com/article/20240316-TFNS5ICNPJJ4NP6WXDR4SW36OM/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、2024年3月16日付の産経新聞が1ページ全面を使って
「報じられない川口クルド問題」
の特集を組んだ。
「秩序なき『共生』 黙殺される地域の声」
との見出しで、川口の地元住民らから上がっている大手メディアの消極姿勢についての疑問の声を詳報。
朝日新聞、共同通信など5つの媒体についてのこの問題を巡る報道状況を検証している。
検証記事については、2024年3月16日午後、産経ニュースでも配信する。

川口クルド問題 朝日、共同などの報道状況を検証 事件報道わずか、イベントには好意的
「移民」と日本人
2024/3/16 13:00
https://www.sankei.com/article/20240316-4G6I7KUVAJO6BPNHSJYY
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、地元住民などから大手メディアの消極姿勢に疑問の声が上がっている。
朝日新聞や共同通信など5つの媒体について報道状況を検証したところ、事件や不祥事については報道量が少なく、扱いも小さい一方、取り上げられる際は、同情的、好意的な報じ方が一般的となっている実態が浮かんだ。
■20件中僅か2件
2023年6月から2024年3月にかけて、産経新聞や産経ニュースが取り上げたクルド人と地元との軋轢を巡るニュースや、クルド人の犯罪についての事案など20件について、朝日、毎日、読売の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の5媒体を対象に、商用データベースなどで報道状況を調べた。
その結果、産経を除き3媒体以上が報じたニュースは20件中、僅か2件しかなかった。
2媒体が報じたニュースは7件、1媒体しか報じなかったニュースが5件、全く掲載していないニュースが6件だった。
1媒体だけの場合は地元紙が多かった。
川口市議会は2023年6月末、国や県などに
「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」
を求める意見書を賛成多数で可決した。
この意見書は、具体的な民族名こそ挙げていないものの、クルド人を念頭に置いたもので、地方議会としては異例の出来事だった。
■地元紙さえ報じず
産経新聞もこのニュースを報じたのは約1カ月後だったが、クルド人と住民との軋轢の実態や議決の背景、与野党議員の声などを大きく取り上げた。
一方で地元紙も含め、各紙は産経が報道するまで全く報じず、地元紙が2023年8月中旬の企画記事の中で、全国紙の1紙が2023年9月にクルド人問題を巡る政治家の動きを報じる中で触れたのみだった。
2024年3月7日、女子中学生に性的暴行をしたとして不同意性交容疑でクルド人の男が逮捕された性犯罪事件も、産経以外は2紙しか報じなかった。
報道した2紙も
「トルコ国籍」
との表記で、逮捕されたクルド人が事実上の
「移民2世」
であることなど詳しい背景は報じられなかった。
一方で、川口市内で開かれたクルド人の写真展などのイベントはほとんどの媒体が好意的に紹介していた。
クルド人の祭り
「ネウロズ」
の開催を巡り、埼玉県側が公園の使用を一時認めなかった問題も、ほぼ全媒体が報じていた。
■事件報道は「トルコ国籍」
また、
「クルド人」
という民族名は、難民認定申請を繰り返す彼らが法的に不安定な立場に置かれているとして、同情的に報じるケースが目立った。
逆に、事件や不祥事などでは
「トルコ国籍」
とだけ報じて民族的な背景を報じなかったり、単に
「外国人」
とだけ表記したりするケースもあった。
2023年8月、川口市内の男子中学生が大型商業施設への威力業務妨害容疑で逮捕された際に報じた2紙も
「トルコ国籍」
「外国籍」
との表記だった。
また、2024年2月26日の衆院予算委で、川口市を地元とする議員が、外国人の治安問題について民族名の名指しを避けながら質問した際は、共同通信が記事を配信し全国紙1紙が掲載したが、その内容は
「ヘイトスピーチだ」
などとするジャーナリストの談話を掲載した批判的なものだった。
■「実態が報道されない」
今回、地元住民らから寄せられたメールでも、
《日本人の女子中学生がクルド人にレイプされたのに、ほとんどのマスコミが重要視せず、川口の実態が報道されないことは異常としかいいようがない》
《「ヘイトスピーチだ」などとするジャーナリストの談話を掲載した通信社や、そのジャーナリストは本当に川口の実態を知って批判しているのでしょうか》
など、大手メディアへの不信感が渦巻いていた。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)
今回、地元住民から寄せられたメールには、テレビや新聞への不信感が渦巻いていた。
初めて意見を投稿するという東京都の58歳女性は
<大きな問題であるにもかかわらず、大手メディアで取り上げられることはほとんどない>
<取り上げられたとしても過度に配慮した扱いに大きな不安を感じていた>
<川口の問題は他人事ではなく明日は我が身の問題です>
とし、こう続けた。
<国の形を変えるような問題が差別や目先の労働力確保に摩り替えられ、オープンな議論ができない状況で、影響力のある大手メディアが問題提起しない姿勢に疑問を感じていた>
<今回の地元の女性の訴えは、そのような状況に一石を投じるものと感じます>
■川口のクルド人問題を巡る最近の経緯と報道状況
@産経新聞や産経ニュースが報じた事案
A朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の計5媒体のうち
⇒〇3媒体以上、△2媒体、▲1媒体、×掲載なし
★令和5年
・6月29日
@埼玉県川口市議会が、国や県などに「一部外国人による犯罪の取り締まり強化」を求める意見書を可決
A▲
・7月4日
@川口でクルド人同士の殺人未遂事件。市立医療センター周辺でクルド人約100人が集まる騒ぎ、救急受け入れを5時間半停止
A〇
・8月1日
@川口の大型商業施設に煙幕を出す花火を投げつけたとして14歳のクルド人の男子中学生が逮捕
A△
・8月21日
@7月の殺人未遂事件で埼玉県警がこの日までに計7人を逮捕
A▲
・9月1日
@川口市の奥ノ木信夫市長が、法相へ不法外国人の強制送還などを求める要望書
A△
・9月4日
@東京都内でクルド人業者による解体工事を巡り住民から苦情が殺到、区が工事停止を指示
A▲
・9月14日
@衆院外務委の黄川仁志委員長(当時)が駐日トルコ大使にクルド人問題で「懸念」伝達

・9月25日
@7月の殺人未遂事件でさいたま地検が7人全員を不起訴処分
A△
・9月26日
@川口署内でジャーナリストを「殺す」などと脅したクルド人を逮捕

・10月24日
@ジャーナリスト脅迫事件でさいたま地検がクルド人を不起訴処分

・11月4日
@川口のクルド人団体「日本クルド文化協会」が埼玉県警や地域住民らと合同パトロール
A▲
・11月24日
@公安調査庁が年報「国際テロリズム要覧」2023年版で、テロ組織のリストからトルコの非合法組織「クルド労働者党(PKK)」などを除外。
この日のインターネット上で公開され、内外で反発広がる

・11月29日
@トルコ政府が日本クルド文化協会と代表者らについて、PKKに資金提供している「テロ組織支援者」と認定、トルコ国内の資産凍結を公表
A▲
★令和6年
・1月22日
@不法滞在のクルド人男性が実質経営する解体会社が埼玉県に100万円を寄付、大野元裕知事が男性に感謝状を手渡す

・1月23日
@クルド人の祭り「ネウロズ」の埼玉県営公園での開催許可を巡り、県公園緑地協会が当初の対応の誤りを認めてクルド人支援団体に謝罪
A〇
・2月25日
@2月18日にJR蕨駅周辺で行われたデモの際、日本クルド文化協会関係者が「日本人死ね」とも聞こえかねない発言をしたと指摘され同協会が釈明、謝罪
A△
・2月26日
@衆院予算委で日本維新の会所属議員が川口のクルド人の治安問題を巡り国会で初めてとみられる関連質問
A△
・2月26日
@川口在住の女性が「ネーティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)などと訴えるメッセージ画像をSNSに投稿、急拡大される

・3月5日
@ネウロズ開催を巡り県公園緑地協会が日本クルド文化協会に公園使用を許可
A△
・3月7日
@川口のコンビニ駐車場で女子中学生に性的暴行をしたとしてクルド人を逮捕
A△
*他媒体の掲載状況は商用データベースの検索結果から。2カ月以上経ってからの掲載は除く

川口クルド問題、地元当事者の声続々「政治が動いてくれない」 社会の分断一層進む恐れも
「移民」と日本人
2024/3/9 10:00
https://www.sankei.com/article/20240309-VUIKPV7VPFOW5CLOCN2FG4HAZY/
埼玉県川口市に集住するトルコの少数民族クルド人と地元住民らの軋轢が表面化している問題で、産経ニュースがメールで募集した読者の声が止まらない。
全体の約4割が埼玉県民からで、うち約7割が川口市民だった。
「政府も自治体も何もしてくれない」
「このまま川口で暮らしていけるか不安」…。
クルド人とみられる集団の行為を具体的事例を上げて批判する人も多く、住民の喫緊の課題であることが窺えた。
「多様性」
で一括りにして政治がこの問題を放置すれば、社会の分断が却って進む恐れすらある。
■「引っ越せばよいといわれても」
川口市に住んで20年になるという60代女性は
《いつのまにか周りにクルド人が増えた》
とし、道路に溢れるゴミの問題や公園の使い方、夜のコンビニでの体験などを淡々と綴った。
警察に連絡しても特に改善はなく、
《パトロールもしてくれない》
という。
《私には孫がいます。本当にここに暮らして大丈夫なのか? この年になって、そんな不安が出てくるなど思いもしなかった。引っ越せばよいといわれるが、年金生活でお金はありません。市長が出してくれますか》
《私たちはふつうに暮らしていただけです。どうか川口市民の声が大きな声になって市を、国を揺さぶれる力になりますように!》
■「警察を何とも思っていない」
同市内の40歳男性は、クルド人とみられる若者グループによる一方通行での改造車の逆走などの目撃が後を絶たないという。
《彼らは「一部のクルド人」だと言いますが、もはや全体の問題と考えてもおかしくない。一刻も早く、安心して暮らせる社会になることを願う》
同市内の55歳男性は、元々外国人の多い川口は
《日本のどこの住民よりも外国人に慣れている》
とした上で、
《ただ、クルド人とほかの外国人が違うと思うのは、彼らが警察を何とも思っていない点です。法律も関係ない、警察も怖くない、集団で行動するクルド人をこのままにしておけば、この街は無法地帯になります。誰か助けてください》。
《まじめに仕事をしているクルド人もたくさんいるでしょう。日本人がやらない仕事をしてもらって、助かっている部分もあるでしょう。ですが、法律を守らないクルド人は日本から即刻出ていってもらいたい。これはヘイトでも差別でもなく、日本人として当たり前の感情だし、当たり前の前提だと思います》
■「外国人と共生を」メディアが擁護
川口市で生まれ育ち、現在も市内で子育て中という50代女性は
《クルド人の行動や素行をとても恐怖に感じています。私たち川口市民は、この先も川口で生活していくことに不安を感じます。公平って何ですか。それを武器にしないでください》。
埼玉県内の67歳男性は
《すでに何千人も住んでいて民族衣装を着て民族楽器を鳴らしている。ここは日本? これからどうなっていくのか。しかも実態は不法滞在状態の人もいるといわれている》
とし、こう続けた。
《政府は「移民」を急速に増やそうとしている。そのことへの不安が広まり、クルド人問題を大きくしている面があるのではないか》
県内の56歳男性は
《「外国人と共生を」「外国人を差別するな」と政府やメディアが擁護しているが、この問題に対処しない政府には憤りしかありません》
と綴った。
■体験や意見をお寄せください
【あて先】digitalhodo@sankei.co.jp(都道府県、年齢、性別をお書きください)

女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」
「移民」と日本人
2024/3/8 17:25
https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/
女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。
男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の
「移民2世」
という。
調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。
同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。
卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。
男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。
自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。
男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。
女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。
女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。
男は
「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」
と容疑を否認。
同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。
川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。
「2世」
とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。

クルド祭り「ネウロズ」埼玉県公園協会許可 楽器使用も一転認める「丁寧に対応する必要」
「移民」と日本人
2024/3/6 12:45
https://www.sankei.com/article/20240306-ZSFLUEWT4JJ27OWNRUFZHIKNIE/
埼玉県川口市などに在留するトルコの少数民族クルド人の祭り
「ネウロズ」
の県営公園での開催を巡り、県公園緑地協会の対応にクルド人側が反発していた問題で、同協会が開催を許可したことが2024年3月6日、分かった。
許可は2024年3月5日付。
祭りは2024年3月下旬に県営秋ケ瀬公園(さいたま市桜区)で行われるという。
この問題は2024年1月、クルド人支援団体からの公園利用の相談に対し、協会側が
「楽器演奏の禁止」
を条件に許可する方針を示したところ、支援団体が
「音楽と踊りは一体だ」
などと反発。
同公園の管理事務所長が対応の誤りを認めて謝罪していた。
協会によると、別の県営公園で楽器を使用する際、
「音量を80デシベル以下にする」
などの条件で許可した例があったことから、今回も同じ条件で、楽器使用も含め許可したという。
協会は取材に対し
「公園の利用は地方自治法上、正当な理由がない限り許可を拒んではならないことになっている」
「今回は協会として速やかに丁寧な対応をする必要があり、他の県営公園の基準に準拠して許可した」
「今後、基準自体を見直す必要がある」
と話している。
協会によると、2023年7月にクルド人約100人が川口市内の市立病院周辺に殺到した騒ぎ以降、
「クルド人に県の施設を貸さないでほしい」
といった電話やメールが複数寄せられていた。

川口クルド問題で市民の声続々「事実報道しない」「過度に配慮」 大半がメディアに苦言
「移民」と日本人
2024/3/4 15:05
https://www.sankei.com/article/20240304-PWXWSDPU4RLCBF7W7ODSN76LJQ/
埼玉県川口市に住む女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像やメールによる訴えなどを産経ニュースで紹介したところ、多くの読者の声が届いた。
近年SNS(交流サイト)などで、個人の意見が
「拡散」
されることが増えているが、比較的短い感想や攻撃的な内容になることも多い。
今回、メールで募集したところ、いずれも長文で、自身の体験や意見を淡々と述べたものがほとんどだった。
「テレビは事実を報道しない」
「ヘイトと言われる日本は本当におかしい」
などと綴られ、全体の4分の1は埼玉県内からだった。
■「正直怯えて子育てしている」
川口市で子供を育てているという40代女性は
《テレビのマスコミは何らかの恩恵や力が働くのかわかりませんが、ほとんど事実を報道しません。記事を読んで、勇気を出して文章にする方もいるんだなと感銘をうけました》。
女性は、以前は横浜市内に住んでおり、
《外国人が多い地域でいろいろな国の友人もいました。外国人に対する差別意識はありません》
とした上で、川口市について
《実際に子育てして住んでみると、治安の悪さに驚きました》。
これまでの自身の経験を綴り、
《正直おびえて子育てしている》
《日本の子供たちに与える影響が怖い》
としつつ、
《何かを発言すればヘイトだとか人種差別だと、圧力や嫌がらせがありそうで、怖くて発言できません》
《安心して子供を公園で遊ばせられる、安全な子育てができる埼玉県に戻ってほしいです》
と結んだ。
■「どこがヘイトや差別なのか」
埼玉県内の33歳女性は
《迷惑行為を繰り返すクルド人の取り締まりを強化して、もともと住んでいた方が平穏に暮らせる生活を取り戻すことの、どこがヘイトや差別なのでしょうか? クルド人問題を提起しただけで「ヘイトだ!」と言われてしまう日本、本当におかしいです》
と訴えた。
こうした声が寄せられた背景には、2024年2月18日にJR蕨駅周辺で行われたデモの際、クルド人団体
「日本クルド文化協会」
の関係者が
「日本人死ね」
とも聞こえかねない発言をしたことや、2024年2月22日のインターネット番組でフリーアナウンサーの女性が
「外国人との共生が不可だとなると、日本人は引っ越しできるので人口が流出するだけ」
などと発言し、物議を呼んだことなどがあるとみられる。
■「オープンな議論できない状況」
埼玉県外からも多くの声が寄せられ、
神奈川県の50代女性は
《この問題に対する貴社以外の一部メディアによる偏向報道や政治・行政の無為無策に憤り、悲しみを感じておりました。川口に無縁であっても、想像力さえあれば、苦しむ川口市民の気持ちは十分理解できます》。
茨城県の38歳男性は
《川口の状況を知らない日本人はたくさんいますし、メディアも政治家もスルーする状況の中、問題解決に向かう大きな一歩だと思いました》
と綴った。
初めて意見を投稿するという東京都の58歳女性は
《大きな問題であるにもかかわらず、大手メディアで取り上げられることがほとんどなく、取り上げられたとしても過度に配慮した扱いに大きな不安を感じていた。川口市の問題は他人事ではなく明日はわが身の問題です》
とし、こう続けた。
《国の形を変えるような問題が差別や目先の労働力確保といった問題に摩り替えられ、オープンな議論ができない状況で、影響力のある大手メディアが問題提起しない姿勢に疑問を感じていた。今回の地元女性の訴えはそのような状況に一石を投じるものと感じる》
■体験や意見をお寄せください
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「行き場ない怒り、悲しみに光」川口クルド問題でメディアの役割とは 地元女性メール全文
「移民」と日本人
2024/3/1 12:28
https://www.sankei.com/article/20240301-H3IBW3M6KBPBRGDWTSL7MCQTLI/
埼玉県川口市に住む30代の女性が制作したクルド人問題に関するメッセージ画像を産経ニュースで紹介したところ、女性から
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみに光を当てていただいた」
とするメールが届いた。
画像は、同市内などに在留するトルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢の中、
「苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?」
と訴える内容。
女性は
「市民の意見を聞こうともしないメディア」
に疑問を投げかけている。
移民受け入れに対する報道を巡っては、過去の欧州の経験でもその役割が問い直されている。
■欧米メディアも「報道しない自由」
欧米では現在、不法移民を含む移民の増加による社会の混乱が、国家的な課題となっている。
その背景として、メディアが
「ヘイト」
「差別」
と批判されることを恐れるあまり、必要な報道をしてこなかったとの指摘が出ている。
2017年に英国で出版され、ベストセラーになった
「西洋の自死」(ダグラス・マレー著)
によると、英国の世論調査で国民の過半数は移民の受け入れに否定的だったのに対し、メディアの多くは賛成の論調を張った。
その後、英国をはじめ欧州が大量の移民を受け入れるにつれ、移民による犯罪が頻発するようになったが、欧州のメディアは
「人種差別主義者」
と呼ばれるのを恐れて、そうした事実を極力覆い隠そうとしたという。
英国で2004〜2012年、パキスタン人らの集団が11〜15歳の少女らを性的に暴行し人身売買した事件では、国名や宗教名などはほとんど報じられず
「アジア系」
とだけ伝えられた。
ドイツの都市ケルンで2015年の大みそか、約1000人の外国人らが数百人の女性を集団で性的暴行し、金品を奪った事件は当初、大手メディアが報道せず、事件が明らかになったのは数日後のインターネットのブログを通じてだったという。
■国会質問が「ヘイトスピーチ」
現在の我が国のクルド人を巡る報道はどうか。
その多くは、難民認定申請を繰り返す彼らが法的に不安定な立場に置かれているとして、同情的に扱っている。
クルド人そのものの報道も少なく、取り上げられる際は、好意的な報じ方が一般的となっている。
2023年6月から2024年3月にかけて本紙や産経ニュースが報じた川口市のクルド人を巡るニュース20件について朝日、毎日、読売の全国紙3紙と共同通信、地元紙の埼玉新聞の5媒体を対象に商用データベースなどで報道状況を検証した。
2024年2月26日の衆院予算委で、川口市が地元の議員が外国人の治安問題について、民族名の名指しを避けながら質問した際も、
「ヘイトスピーチだ」
などとするジャーナリストの談話を掲載した通信社の批判記事が配信された。
今回、メッセージ画像を制作した女性は子育て中で、一部のクルド人による危険行為に脅かされながら生活しているという。
画像には
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《私たちの存在を、消さないで。》
《差別やヘイトは絶対ダメ!でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
と訴えている。
女性は産経新聞に寄せたメールで、我が国のほとんどのメディアについて
「もはや信用ができない状態」
などと綴った。
全文をほぼそのまま紹介する。
■「ペンのチカラ信じたい」
自分のような市民の小さな声を拾い上げてくださり、本当に感謝しております。
川口の外国人問題については、貴社以外のメディアは、ほとんど市民の声を聞こうともせず、外国人が起こした事件・事故・迷惑行為を極小化し、
「体感治安が悪化しているのは、川口市民が外国人に対して偏見を持っているからだ」
「もっと川口市民が歩み寄り外国人を理解するべき」
といった、角度がつきすぎた論調に無理やり導こうとしているので、もはや信用ができない状態で、行き場のない怒りを抱いておりました。
この問題に悩んでいる多数の川口市民も同様の気持ちを抱いている状況です。
そのため、記事によって、この
「市民の抱える行き場のない怒り、悲しみ」
に光を当てていただき、本当に感謝しております。
私は貴社の報道とそのあり方を拝見し
「ペンのチカラ」
を、改めて信じたいと思っているところです。
お忙しい中かと思いますが、どうぞご自愛くださいませ。
■体験や意見をお寄せください
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「地域住民の人権は無視ですか?」報道されない川口クルド問題、地元女性制作の画像急拡散
「移民」と日本人
2024/2/28 16:00
https://www.sankei.com/article/20240228-LGU5ZQA3YJFU5IXW6BNCV75DPQ/
「私たちの存在を、消さないで。」―。
シルエットの女性がこう訴える画像がSNS(交流サイト)で拡散されている。
作成したのは、トルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢が表面化している埼玉県川口市に住む30代の女性。
「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」。
女性は
「ヘイトスピーチだ」
などと批判されることを極度に恐れつつ、勇気を振り絞ってこの画像を作成したという。
■まるで私たちは存在しないかのように
画像は、
「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」
と書かれ、
《差別やヘイトは絶対ダメ! でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》
とのメッセージが添えられている。
米国で黒人差別解消を訴える
「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」
運動に倣ったという。
川口市内では、解体資材置き場周辺や住宅密集地での過積載のトラックや改造車の暴走行為が問題化。
女性の自宅近くにも資材置き場があると言い、
「中学生くらいの外国人が携帯をいじりながらトラックを運転していたり、改造車が昼間から走り回り、タイヤを急回転させて白煙が上がっていたりするのを何度も目撃した」
という。
女性は
「暴走行為や迷惑行為などで怖い思いをしても、テレビや新聞でほとんど報道されない」
「地域住民は存在しないかのように扱われていると感じていた」
「その思いを画像に込めた」。
ここは私たちの地元です
女性には小さな子供がおり、通学路が心配で仕方ないという。
ただ、この問題をSNSなどで敢えて訴えると、
「ヘイトだ」
などとすぐに批判される。
女性の知り合いにも
「反ヘイト団体」
などからSNS上で罵られた人もおり、地元でも声を上げにくい雰囲気があるという。
デザインアプリで画像を作成、2024年2月26日に自身のX(旧ツイッター)に投稿したところ、多くの人が拡散した。
ネット上では
「川口にもとから住んでいる日本人に我慢を強いた上での外国人との共生に何の意味があるのでしょうか」
などのコメントがある一方、
「分断は不幸しか生みません」
「差別の扇動やめなさい」
といった投稿もあり、拡散を続けている。
女性は
「政治家や行政もなかなか動いてくれない」
「ふつうに生活しているだけなのに、安心して暮らせない」
「ネット上では『引っ越せばいい』などと言われるが、ここは私たちの地元です」
「やむにやまれない気持ちを知ってほしい」
と話している。

川口のクルド人めぐり国会で初の関連質問「現地見て」 岸田首相「ルール守るのが大前提」
「移民」と日本人
2024/2/26 17:44
https://www.sankei.com/article/20240226-QGYKPJRNAVD33GGEDALRDT4TDM/
一部外国人と地域住民との軋轢が表面化している問題が2024年2月26日の衆院予算委員会で取り上げられ、岸田文雄首相は
「あくまでルールを守るのが大前提」
などと答弁した。
質問したのは埼玉県川口市が地元の日本維新の会、高橋英明氏。
高橋氏は、川口市という地名や同市に集住するトルコの少数民族クルド人の民族名は挙げなかったものの、2023年7月にクルド人約100人が同市内の市立病院周辺に殺到する騒ぎが起きた際の写真パネルを掲げ、
「ある一部の地域で酷い状態になっている」
と指摘。
「この写真にあるように、市立病院の前で何百人規模でいざこざがあった」
「こうしたことが起きると病院の機能も低下するし、近隣住民にとっては不安で仕方がない」
と訴えた。
この問題が起きた2023年7月以降、川口のクルド人問題が国会で取り上げられたのは初めてとみられる。
さらに、高橋氏は
「国会にいては危機感がない」
「(川口は)ここから1時間くらいのところだ」
「しっかり目で見て耳で聞いて肌で感じてほしい」
と述べ、警察や入管による一斉取り締まりの実施を求めた。
その上で、岸田首相が
「日本独自の外国人との共生社会」
を提唱していることに関し、
「ルールを守らない外国人とも共生するのか」
と質問。
岸田首相は
「外国人との共生の在り方は国によって様々だが、あくまでもルールを守って生活していくことが大前提だと認識している」
などと述べた。
高橋氏はまた、2023年6月に成立し、難民認定申請を原則2回までに制限する改正入管難民法の施行時期についても質問。
小泉龍司法相が
「極力早期の施行が実現できるよう努力する」
と答弁する中、早期実施を求めた。

自民・若林洋平氏、クルド人批判に投稿 「日本の文化・しきたり理解できない人はお帰りを」
2024/2/22 20:44
https://www.sankei.com/article/20240222-PEUMAQOSUBBT3E5OAVNXL33R2M/
自民党の若林洋平参院議員(静岡選挙区)がX(旧ツイッター)で、在日クルド人についてのコメントや外国人らの参加するデモ動画についてのコメントを引用しながら
「日本人の国なので、日本の文化・しきたりを理解できない外国の方は母国にお帰りください」
などと書き込んだ。
この動画には、JR蕨駅前の路上に集団が集まり、
「日本人死ね」
と発言したような声が収録されている。
集団の周囲は多くの警察官が囲み、騒然とした様子も伝わってくる。
若林氏は2024年2月19日付の書き込みで
「我が物顔で日本人に迷惑をかけ、挙げ句日本人死ねというならどうぞお帰りください」
などと記した。
「外国人に対する生活保護などあり得ません」
「それでも日本にいたいなら日本のルールくらい守れ!」
とも書いた。

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/441.html#c32

[政治・選挙・NHK296] 世界で政変、激動の年 次の首相辞任は石破さんになるのか(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
25. 秘密のアッコちゃん[1245] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月09日 21:58:39 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[683]
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中国系サイバー攻撃集団「ミラーフェース」の被害210件把握 警察庁などが注意喚起
2025/1/8 15:06
https://www.sankei.com/article/20250108-UARYS7AK7ZPWNKFGRWW5LHSWCM/
警察庁などは2025年1月8日、2019(令和元)年頃から政府機関や企業に対し、中国政府の関与が疑われるサイバー攻撃集団
「ミラーフェース」
の攻撃が相次いでいると明らかにした。
警察庁はこれまで210件の攻撃を把握。安全保障情報や先端技術の窃取が目的とみられ、注意を呼び掛けている。
警察庁によると、ミラーフェースが初期から行っている攻撃の手口はメールでマルウエア(悪意あるソフト)を送って感染させる
「標的型メール攻撃」
だ。
«サンドボックス»や«VSコード»と呼ばれるマイクロソフト社の正規のプログラムを作動させ、情報を見たり、盗み取ったりしている形跡もある。
正規のプログラムのため、ウイルス検知されず、攻撃が発覚されにくいとされる。
警察庁は不審なメールを開かないことや、添付ファイルの提供元を確認するよう要請。
担当者は
「サンドボックスやVSコードはIT技術者以外が使う機会は少ない」
「パソコン内で使える状態になっていないか確認してほしい」
としている。

JAXA攻撃も中国ハッカー集団「ミラーフェース」 手法から政府も関与の疑い
2025/1/8 16:14
https://www.sankei.com/article/20250108-SE6346P3TVMPLMP2Q3ZFEYH6CQ/
警察庁は2025年1月8日、中国系ハッカー集団
「MirrorFace(ミラーフェース)」
が2019〜24年、日本の安全保障や先端技術に関する情報を狙い、210件のサイバー攻撃を実施していたことが判明したと発表した。
攻撃対象や手法などから中国政府の関与が疑われると指摘。
関係者によると、被害に遭った団体には2023年に攻撃を受け情報漏洩があったと公表した宇宙航空研究開発機構(JAXA)も含まれる。

日本のみを標的、先端技術情報窃取が目的か 中国系サイバー攻撃集団「ミラーフェース」
2025/1/8 17:18
https://www.sankei.com/article/20250108-E45V3N43KJK7VHAES6W7PS3Q3Y/
警察庁などが2025年1月8日、注意を促した、中国政府の関与が疑われるサイバー攻撃集団
「ミラーフェース」。
政府系機関や企業から安全保障情報や先端技術を盗み取っているとみられ、ウィンドウズの正規ソフトを使って発覚を免れようとする形跡も確認されるなど巧妙≠ネ手口も浮かぶ。
■「台湾海峡」で関心引く
ミラーフェースは日本に特化したサイバー攻撃集団として2019年頃から活動が確認されているという。
中国の関与が疑われる攻撃集団には先行して
「APT10」
があったが、情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」は、両者に
「人的、技術的繋がりがある」
と指摘する。
同社によると、APT10が活動を始めたのは2009年頃。
米国を中心に攻撃をしかけ、日米英などが名指しで非難する
「パブリックアトリビューション」
を行った2018年頃に活動が見られなくなった。
入れ替わるように動き始めたのがミラーフェースだ。
警察庁によると、ミラーフェースが初期から行っている攻撃の手口はメールでマルウエア(悪意あるソフト)を送って感染させる
「標的型メール攻撃」
だ。
メールは安全保障や国際関係に関わりがある政府機関や政治家、マスコミなどに送られているという。
トレンドマイクロによると、これらのメール攻撃は日本のみに限られているという。
警察庁の分析では、メールの文面には興味を引くように«台湾海峡»とか«日米同盟»などの文言が入れられており、何回かやり取りをして信頼関係を構築した上でマルウエアを送るケースも確認された。
■VPNの脆弱性を悪用
一方、2023(令和5)年頃からは、半導体や情報通信、航空宇宙分野の先端技術を持つ企業も狙われているという。
外部から内部の業務ネットワークに接続するために使う仮想専用線(VPN)の脆弱性などを悪用する
「ネットワーク貫通型攻撃」
も用いられており、政府系機関などに送り付けらたメール攻撃と同一のマルウエアが確認された。
トレンドマイクロによると、脆弱性を突く攻撃は日本を中心に、台湾など周辺国でも被害があるという。
マルウエアのコードに中国の
「簡体字」
を含むものがあり、警察庁は攻撃の時間帯や狙う情報の種類なども加味し、ミラーフェースが中国政府に関係するものと推定したという。
中国はいわゆる
「産業スパイ」
に加え、サイバー攻撃を駆使して先端技術情報窃取を進めているとされ、当局が警戒を強めている。
今回は外国の政府機関によるサイバー攻撃を名指しで非難するパブリックアトリビューションを実施するまでには解析が進んでいないものの、早期の注意喚起が必要と判断して、公表に踏み切った。
また、ミラーフェースとAPT10で同様のマルウエアを使っている例が確認されたことから、トレンドマイクロの担当者は
「集団間で人事異動や技術の共有があり、攻撃の主体がAPT10から、より日本への諜報活動に特化した集団に移行したのではないか」
と見ている。

中国、警察庁の「210件の攻撃を実施」発表に反発 「サイバー問題の政治化」
2025/1/9 19:41
https://www.sankei.com/article/20250109-OZHQODIJPZKN3PIKF3PSLS3EOY/
中国外務省の郭嘉昆副報道局長は2025年1月9日の記者会見で、中国系ハッカー集団が日本を狙い210件のサイバー攻撃を実施したと警察庁が2025年1月8日に発表したことに反発し、
「サイバーセキュリティー問題の政治化に反対する」
と述べた。
「攻撃の対象や方法だけに基づいて中国の行為と判断するのは無責任だ」
と批判した。
郭氏はインターネット空間では、サイバー攻撃の実行者を辿るのは難しいと説明。
各国が
「事実に基づき客観的で公正、専門的にサイバーセキュリティー問題を取り扱うよう望む」
と語った。(共同)

http://www.asyura2.com/24/senkyo296/msg/442.html#c25

[政治・選挙・NHK296] 生活苦の庶民の神経をまた逆撫で 石破さん、「楽しい日本」って何なのさ(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
49. 秘密のアッコちゃん[1246] lOmWp4LMg0GDYoNSgr@C4YLx 2025年1月11日 08:42:47 : n4vXmS4Gso : WUN2WklXQ0Fya0k=[684]
<■3269行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
選択的夫婦別姓制度のプラス面とマイナス面を考えた場合、マイナス面が圧倒的に大きいので、選択的夫婦別姓制度の導入には断固反対だ。

<産経抄>夫婦別姓野党案は、親子・兄弟別姓法案
2025/1/11 5:00
https://www.sankei.com/article/20250111-QBCM2G6ENFKTNDNMVUC4YUABNM/
5人家族の鈴木君のお父さんは佐藤姓でお母さんは鈴木姓、弟は佐藤姓で妹は鈴木姓です―。
近い将来、こんな家庭が日本でごく当たり前になるかもしれない。
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党など野党が令和4年6月、国会に提出した民法改正案が成立していれば、既にそうなっていただろう。
▼立民の野田佳彦代表はじめ別姓推進派は法相の諮問機関である法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓制度の導入を答申したことを錦の御旗に掲げる。
とはいえ、法制審案では、子供の姓は結婚時に父母の姓のどちらかに決めるため、兄弟でバラバラになることはない。
▼野党案では子供の姓は出生時に父母の協議で定める。
双方が子供に自身の姓を名乗らせたいなどの理由で意見が一致しない場合、家庭裁判所が
「協議に代わる審判」
を行うことになる。
だが、子供の姓はどちらが相応しいかを国に委ねていいのか。
任された家裁も頭を抱えるのではないか。
▼生まれた子供の姓がなかなか決定できない事態も想定できるが、国連総会で採択され、日本も批准した児童の権利条約は
「出生の時から氏名を有する権利」
を宣言している。
野党案は
「『確信的な条約違反』に該当する恐れがある」(小坂実・日本政策研究センター研究部長)
という。
▼「大人では7割が(選択的夫婦別姓に)賛成」。
野田氏は2025年1月7日掲載の小紙インタビューで述べていたが、これも疑問である。
内閣府が令和3年12月に実施した世論調査では、現在の夫婦同姓維持派と同姓維持の上での旧姓の通称使用法制度化を求める意見を合わせて約7割で、別姓導入派は3割に満たない。
▼「なぜ反対か分からない」。
こう語る野田氏がなぜ分からないか分からない。

自民・萩生田光一氏「旧姓使用拡大で対応。慎重であるべき」 選択的夫婦別姓巡り
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/10 23:41
https://www.sankei.com/article/20250110-NVYV4SHNWNKSFNUBPZUP6ECM5U/
自民党の萩生田光一元政調会長は2025年1月10日夜のインターネット番組「言論テレビ」に出演し、選択的夫婦別姓制度に関し
「旧姓使用の拡大で対応していくべきだ」
「選択的であろうがなかろうが、夫婦別姓というものを奨励するというのは如何なものか」
「慎重であるべきだ」
と述べた。
今月2025年1月召集予定の通常国会で、立憲民主党は選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だが、萩生田氏は
「どういう分野が(選択的夫婦別姓制度がなくて)一体困っているのかということをきちんと聞き、穴を埋めていけば、別に法律を作る必要はないのではないか」
と指摘した。
その上で
「本当に困っている人ではなく、イデオロギーの意義的にこの制度を変えたい人たちが、困っている人たちの声を代弁しているフリをし、法案を前に進めようとしているのではないか」
と語り、
「この問題は同じ価値観を共にする仲間と行動していこうと思っている」
と強調した。

阿部俊子文科相、選択的夫婦別姓「文科省の所掌超える。議論が深まる中で検討」
2025/1/10 12:25
https://www.sankei.com/article/20250110-GH2XDXDG2JNSHEGVYFMKXKXS2Y/
阿部俊子文部科学相は2025年1月10日の閣議後会見で、選択的夫婦別姓(氏)をめぐり、産経新聞社が小中学生を対象に行ったアンケートで、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えたことについて、
「夫婦別姓に関しては、文科省の所掌を超える」
「アンケート結果に関する見解も含めて述べることを差し控えたい」
とした。
夫婦別姓になると必然的に親子別姓となり、兄弟別姓となる可能性もある。
小中学校での児童生徒への影響も懸念されるが、
「教育現場における対応については、具体的にどのような制度が導入されるかという議論が深まる中において検討していく」
と述べるにとどめた。

参政・吉川氏「子供の視点が見過ごされている」 選択的夫婦別姓は「必然的な親子別姓」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/8 10:00
https://www.sankei.com/article/20250108-CJFBYCOJXBGQVCOFABHQSQTRUY/
選択的夫婦別姓の導入に向けた動きが進められる中、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに
「反対」は49・4%
だったのに対し、
「賛成」は16・4%
にとどまった。
昨年2024年10月の衆院選で初当選した参政党の吉川里奈氏は2024年12月の衆院法務委員会で、導入に反対を唱えた。
吉川氏はインタビューに
「日本には家族の名字は一緒という価値観がある」
「家族の一体感が失われる可能性はないのか」
と述べ、
「夫婦は別姓で良くても、子供に選択権はない」
「必然的な親子別姓制度だ」
と指摘した。
吉川氏の発言要旨は以下の通り。
■子供の権利を守るために
選択的夫婦別姓の議論は、子供の視点が見過ごされているように感じる。
夫婦は別姓を望んだとしても、生まれてくる子供は、両親のどちらの姓になるかを選べない。
片方の親とは必然的に別姓になる。
子供への影響や家族の一体感が損なわれる可能性がある。
令和3年に実施された内閣府の世論調査で、夫婦の姓が異なることでの子供への影響について、
「好ましくない影響がある」
と答えた割合は69・0%に上った。
その理由で最も多かったのが
「親と姓が異なると指摘されるなど、対人関係で心理的負担が生じる」
で78・6%だ。
参政党は家族の繋がりや先人から受け継がれていることを大切にする政党だ。
加えて私は子供の権利を守るため、政治に参加した部分が大きい。
議論の進め方もどうか。
まずは、戸籍の姓を変更することなく、職場や社会生活で旧姓の通称使用拡充を進めるべきではないか。
総務省のように各省庁があらゆる場面で旧姓の通称使用ができるようにして、それでも限界があるならば、通称使用拡充の法制度化と、段階を踏むべきだろう。
■国会では様相異なる
世論調査は、メディアの尋ね方も疑問だ。
選択的夫婦別姓について
「賛成」「反対」
の2択で尋ねると、
「賛成」
が多い傾向にある。
ただ、
「賛成」「反対」
に加え、
「同姓維持+旧姓通称使用の法制度化」
の3択にすると、導入を求めない人の割合が多くなる。
聞き方によって民意が誘導されるのはフェアではない。
昨年2024年の衆院選で初当選したが、それまで私の周囲は通称を使っている人ばかりだった。
姓が変わることで結婚して新しい家族を築いたという喜びや親になる自覚を抱いたという人はいても、戸籍は旧姓のままがいいと主張する人には出会わなかった。
ただ、国会では様相が異なっている。
■日本の価値観、失っていいのか
選択的夫婦別姓が議論される衆院法務委は、賛成派が多数を占めている。
明確に反対を表明したのは日本保守党の島田洋一衆院議員と私だけだ。
導入ありきの議論にならないよう、子供の意見表明の機会を確保し、選択的夫婦別姓のデメリットもしっかりと検証、主張して議論を深めたい。
日本は文化的に家族の名字は同じにする、という価値観がある。
「世界では日本だけが同姓制度だ」
との指摘もあるが、世界は多様性に富んでおり、日本もその多様性の1つだ。
日本らしさを失ってまで、他国に倣う必要があるのだろうか。

自民・高市氏 選択的夫婦別姓「最大数は通称使用を求める声だ」「親族間の争い、懸念」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/7 10:00
https://www.sankei.com/article/20250107-W5RW4UL5FJEUVNSZEFQAEOYCVQ/
立憲民主党が民法改正案の国会提出に意欲を示すなど、選択的夫婦別姓(氏)の導入が現実味を帯びている。
一方で産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生約2000人を対象に行ったアンケートでは、家族が別の名字になることに約半数が
「反対」
と答えた。
導入に慎重な自民党の高市早苗前経済安全保障担当相に考えを聞いた。

■家裁の決定で納得できるか
ーー慎重な理由は
最大の理由は、選択式であっても子の氏の安定性を損なう可能性があるからだ。
現在は、婚姻届を提出した夫婦は全て戸籍上は同氏のため、出生した子は両親と同氏になるが、戸籍上も別氏の夫婦を認めた場合、子の氏の決め方について、全ての別氏夫婦が納得できるルールが必要だ。
夫婦別氏を求める理由として、一人っ子同士の結婚により片方の実家の氏が途絶えるという事情が挙げられることを考えれば、夫婦双方の実家が子の氏を決める協議に介入する可能性もある。
本来幸せな出産直後に、子の氏を巡って親族間に争いが生じることを懸念する。
戸籍上の夫婦親子同氏、つまりファミリーネームは残した方がよい。

ーー通常国会で立憲民主党が法案を提出する構えだ。立民案の問題点は
過去に国会に提出された立民案では、子の氏について、出生の際に父母の協議で定めるが、協議が調わない時は家庭裁判所が子の氏を定める旨を規定している。
家裁はどのような基準で判断するのだろうか。
離婚時に子の親権を争った過去の裁判例は
『子を養う経済力』
『子との関わりや愛情』
などの要素を総合的に考慮して判断している。
しかし、出生直後の子の氏を争う場合、家裁が如何なる決定をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示せるとは考え難い。

■自民党内でも放置
ーー高市氏は通称使用の拡大を推進してきた
総務相在任中に
『住民基本台帳法』
『国勢調査令』
など総務省が所管する全法令をチェックした。
そして、各種届出や事務手続きなどにつき、総務省単独で措置できるものは、新たに旧氏記載可能とする旨を通知・周知した。
合計1142件で旧氏記載が可能になった。
今では住民票やマイナンバーカードで旧氏併記が可能になり、旧氏で各種契約や本人確認も可能になっている。
免許証やパスポートなども旧氏併記が認められている。
国家資格では旧氏を使えないものはゼロになった。
国の全省庁や地方公共団体、公私の団体、企業で同様の取り組みを実施できれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考える。

ーー法案も作成し提出している
平成14年と令和2年の2回、自民党政調会の法務部会に提出した。
1回目は反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は審査もされずに放置されている。

■子の視点は貴重
ーー今後の議論はどう進めるべきか。議論の中で果たしたい役割は
令和4年3月に公表された直近の政府世論調査では、戸籍上の同氏維持を支持する回答が69・2%であり、最大数は旧氏の通称使用を求める声だ。
選択的夫婦別氏制度の法制化により戸籍が同氏か別氏かの二択になってしまうと、
『戸籍上は夫婦親子同氏を希望するが、社会生活では旧氏を通称使用したい』
と希望する方々の利便性を高めるための取り組みが遅れることを懸念する。
これまでの旧氏併記の取り組みも水泡に帰す。
この点をしっかり伝えていきたい。

ーー小中学生を対象に産経新聞が実施したアンケートによると、家族で名字が別になることに「反対」が約50%で「賛成」を上回った
子の視点からのアンケートは、珍しく貴重だと思った。
18歳以上を対象にした政府の世論調査でも、夫婦の姓が違うことによって子供に
『好ましくない影響があると思う』
と回答した方が約7割だった。
やはり、夫婦別氏制度の導入については、慎重な検討が必要だと思う。

夫婦別姓導入「前進する年」と意欲 公明・斉藤代表「社会の多様性、国際的視点から必要」
2025/1/6 12:53
https://www.sankei.com/article/20250106-EWBT22YCPVHSHO4Q4ML6764BUY/
公明党の斉藤鉄夫代表は2025年1月6日、東京都内で開いた党の新年仕事始め式で、選択的夫婦別姓の早期導入に向けて議論をリードしていく考えを示した。
「社会の多様性や国際的な視点から必要な制度だ」
「前進する年にしていきたい」
と述べた。
斉藤氏は昨年2024年12月18日に石破茂首相(自民党総裁)に対し選択的夫婦別姓に関する実務者協議を打診している。
斉藤氏は
「きょうだいが複数いる時の姓をどうするのか細部を提示する案はまだどの党からも出ていない」
「与党として実務者協議を始めようと申し入れている」
「首相は
『一旦引き取らせてほしい』
という答えで、2024年年末に会った時も
『もう少し検討させてほしい』
だった」
と語った。

立民・野田代表「賛成が16%いるのでしょう?」「なぜ反対か分からない」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/6 10:00
政治
https://www.sankei.com/article/20250106-2TX7ILQS7NMOVFPPJ23JNZ7TDI/
選択的夫婦別姓の導入を目指す立憲民主党の野田佳彦代表に狙いを聞いた。

ーー選択的夫婦別姓の意義は
選べるという点ではないか。
同姓で不都合を感じる人がいるならば選択できるようにする、改善するのは合理的な考え方ではないか。
それだけのことだ。

ーー小中学生約2千人を対象に行った本紙調査で、「別々の名字にしたい」は13・6%だった
結婚や社会人になって働くことに対するリアリティーがなく、分からないというのが率直なところだろう。
大人では7割が賛成となる。
大人になると、家族の問題で色々な不都合を感じることがあるのかなという受け止めだ。

ーー両親が別姓を選択した場合、同じ家族で名字が別になることに「反対」が49・4%、「賛成」が16・4%だった
賛成が16・4%いるのでしょう?
だから選択的が必要になる。
一緒がいいなら一緒を選べばいい。
基本的には国ではなく、家族が決めればいい。

ーー家族の一体感が損なわれるとの懸念がある
同姓でも家庭不和は生まれる。
あまり合理的な話ではない。

ーー通称使用の拡大でも対応できるのでは
通称使用を拡大しても不都合を感じている人たちが実に多い。
不動産登記などでビジネスを阻害している側面があり、経団連も選択的夫婦別姓の実現に向け動いている。
海外に行くと、尚更不便だ。
通称使用では限界という事例がたくさんある。
強烈な不都合を感じる人たちが何人もいるならば、対応を考えることは当然だ。

ーー衆院は少数与党だ。どう議論を進めるか
できるだけ多くの野党に声をかけて議員立法で出していく。
政府が法案を提出するとの話も聞く。
政府案が提出されなければ野党案をベースに議論してもらいたい。
野党としてまとまった方が与党との交渉で迫力が出てくる。
公明党も基本的には賛成の立場なので、よく連携していきたい。

ーー野田氏は衆院法務委員長ポストの獲得を指示し、立民議員が就いた
法務委では長い間、放置されてきたテーマが多い。
選択的夫婦別姓も平成8年に法制審議会の答申が出たが、政府は腰を上げず国会でもまともに議論されなかった。
放置されてきたテーマを議論する意味で、意義のあるポストの獲得だった。

ーー参院では与党過半数のままだ
衆院通過した法案を参院が潰すことは大変勇気がいる。
2025年夏の参院選前に反対した人たちは追い込まれるのではないか。
参院法務委員長は公明だ。
衆院通過した場合の参院の対応は見ものだ。
昨年2024年12月の講演で
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上に上らされないことは、もう通用しない」
と述べた
世論も7割、経団連も『早く決着を付けろ』という中で、なぜそこまで強く反対する人たちがいるのか。
選べるわけだから。
なぜ選んではいけないのか、よく分からない。

ーー自民などの反対で法案が成立しなければ、内閣不信任決議案を提出するか
理不尽な形で妨げられたならば、そういうことになるかもしれない。
議論を見ながらの判断だ。簡単に不信任案を振り回そうと思っていない。

夫婦別姓間の子供の名字は家庭裁判所が決める 新たな家族不和の火種「いっそくじ引きで」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/5 10:00
https://www.sankei.com/article/20250105-2O4UALZDWVL47IYBPVXR6AKEKM/
選択的夫婦別姓に伴う令和3年12月の内閣府の世論調査では
「旧姓使用拡大」
が最多の42・2%を占めたが、この結果を大手メディアは積極的に取り上げない。
中には
「保守派に配慮した」
などとして調査そのものを否定的に報じた新聞社もあった。
同じ調査には、別姓夫婦の子供への影響について
「あると思う」は69%、
「ないと思う」30・3%
という結果もあり、
「ある」
と答えた人の理由(複数回答)は
「名字が違うことを指摘されて対人関係で心理的負担が生じる」78・6%、
「親との関係で違和感や不安感を覚える」60・1%
が多かった。
では、立憲民主党が令和4年に野党と共同で国会提出した選択的夫婦別姓の民法改正案はどのような内容だったのか。
子供の姓については
「出生の際に父母の協議で定める」
としており、一致しない場合は
「家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる」
とした。
この世に生を受けた瞬間から裁判になる可能性もある。
仮に妊娠初期はどちらかの名字で一致していても、出産後の子供を見て気持ちが変わることもあり、家族の深刻な分断を招きかねない。
■くじ引きが合理的
弁護士の北村晴男氏は
「結論ありきで制度設計するから馬鹿げたことになる」
「裁判所が姓を決めるぐらいなら、調停委員の面前でのくじ引きの方がまだ合理性がある」
と指摘する。
夫婦を同姓とする現行の法規定が違憲かどうか争われた訴訟で、最高裁大法廷は平成27年、
「夫婦や子供が同じ姓を名乗ることには合理性がある」
と判断した。
更に
「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を1つにするのは合理的」
と続けており、この判例は令和3年の大法廷決定でも維持された。
この決定では、女性の有業率や管理職に占める割合、別姓導入に賛成する人の割合増加など平成27年以降の状況を踏まえた上で尚
「判断を変更すべきものとは認められない」
と結論付けている。
■新たな人生が始まる
この間も、公的資格などを含む旧姓使用の拡大は進み、日常生活の煩わしさは改善されつつあるが、最近の訴訟では、より一層
「改姓の喪失感」
「精神的な負担」
が強調されるようになった。
昨年2024年3月に提起された訴状では、現行法の婚姻は、いずれかの姓を変えるか、諦めるかの
「過酷な二者択一」
を迫っていると指摘。
「家族の在り方や国民意識の多様化」
が進み、別姓を認めないことの合理性はないと主張している。
もちろん個人のアイデンティティーは大切だが、子供にしてみれば
「強制的親子別姓」
となり、共通のファミリーネームがなくなれば家族としての同一性は失われることになる。
家族法に詳しい長崎大学の池谷和子准教授は
「夫婦間だけでは済まない話だ」
「嫁姑の確執も酷くなるだろう」
と危惧する。
孫の名字を巡って双方の祖父母が争いになる可能性もある。
また、同一世帯に2つの姓が混在する状況は、戸籍への影響も懸念される。
国士舘大学の百地章名誉教授は
「戸籍は『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を表す」
「我が国が長年維持してきた戸籍制度の解体に繋がる」
と警鐘を鳴らす。
先の内閣府の世論調査には、
「婚姻で相手の名字に変わった場合、どのような感じを持つと思うか」(複数回答)
との問いもある。
最も多かったのが
「新たな人生が始まるような喜びを感じる」(54・1%)、
次が
「相手と一体になったような喜びを感じる」(39・7%)
だった。

選択的夫婦別姓制度の導入、小中学生も半数が「反対」 産経新聞調査、子供たちの考え方が統計的に明らかになるのは初
2025.1/4 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20250104-RVHIXOJPMBIBHLI3S5IP4HO6GI/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが産経新聞の調査で分かった(2025年1月1日報道)。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割に上った。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
調査は、全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「まったく知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗した。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よくわからない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親や兄弟姉妹と違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49.4%、
「賛成」16.4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18.8%、
「よくわからない」15.4%
で、反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13.6%
だった。
男女別で大きな違いはなかったが、自身が
「別姓にしない」
は男子(56.7%)より女子(63.4%)
のほうが上回った。

夫婦別姓がもたらす未来とは どんな副作用が起こるか、十分に議論されているのか
モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら(193)
2025/1/4 11:00
https://www.sankei.com/article/20250104-CWCQ5CGQ5BPMFIJ5XAZLSMQCCM/
■立民の印象操作に乗せられるな!
「選択肢が増える」
という物言いに対して、大半の人は
「いいじゃない」
と反応するだろう。
ただ、そこに巧妙なワナが仕掛けられていることもある。
ある結婚情報サイトが、選択的夫婦別姓制度について、そのメリット、デメリットについて解説し、こうまとめている。
「以前よりも、多様性を認め合う社会へと進むなかで、個人の権利や選択肢を尊重する傾向はますます強まっていくと考えられます」
「夫婦間の姓をどう選ぶかもそのひとつです」
「夫婦別姓が導入されても、すべての夫婦が別姓になるわけではなく、あくまで選択肢が増えるということ」
メディアに流れているのはこんな物言いばかりだ。
こうした情報環境のなかで暮らす人々が、アンケートで
「この制度を導入すべきだと思いますか」
と問われれば、多くが
「導入すべきだ」
と答えるに違いない。
法務省のサイトに、令和3年に実施した
「家族の法制に関する世論調査」
の結果が掲載されている。
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した方がよい」が27・0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」が42・2%、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」が28・9%
だった。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は昨年2024年10月末、日本政府に対して、婚姻後の夫婦同姓を強制する民法の規定を改正すべきだとの勧告をした。
女性が夫の姓を名乗ることを余儀なくされることが多く、それが差別的だというのだ。
そうした流れの中で、立憲民主党は先の総選挙で与党が過半数割れとなったのに乗じて、衆院法務委員会の委員長ポストを要求して確保した。
委員長は同制度の導入にとりわけ熱心な西村智奈美議員である。
立民はCEDAWの勧告や、
「結婚後に夫婦のいずれかの氏(うじ)を選択しなければならないとする制度を採用している国は、日本だけ」
という法務省の調査を利用して、日本がさも女性に差別的で後進的な国であるかのような印象操作を行っているようにみえる。
安倍晋三元首相の暗殺後、リベラル派に乗っ取られた感のある自民党の中にも
「導入すべきだ」
と考える者が少なくなく、うかうかしていたら、すぐにでも民法改正が実現してしまいそうな勢いだ。
■憲法改正に匹敵する案件
12月5日の衆院予算委員会において、自民党の山下貴司議員は、同制度を巡り
「旧姓を引き続き使用したいだけなのに、家族の姓まで別々になるのは嫌だ、そういうニーズに応えられていない」
「女性が自分らしく旧姓を使用するための唯一の解決策が選択的夫婦別姓制度かは、しっかりと検討する必要がある」
と、石破茂首相の考えを問いただした。
これに対して石破首相は
「前の姓を変えなければならないということに対して物凄く辛くて悲しい思いを持っておられる方々が大勢いることは、決して忘れてはならぬことだと思います」
「それは女性が95%であるが、男性もそういう思いの方もいらっしゃるでしょう」
と、情緒的な答弁をし、同制度の導入に前向きな姿勢を示した。
石破首相の答弁を聞いてすぐに想起したのが、モンテーニュの次の言葉だ。
《世の中はなかなか直りにくいものである》
《人々は自分を圧迫するものに対して余りにも我慢ができないので、ひたすらその圧迫から免れようとばかり焦り、それにはどんな代償がいるかを考えない》
《我々はたくさんの実例によって、社会は普通、直されて却って悪くなることを知っている》
(第3巻第9章「全て空なること」関根秀雄訳)
同制度の導入がどんな副作用をもたらすか、十分に議論されているとは到底思えない。
導入に伴う民法改正は、憲法改正に匹敵するほどの最重要案件であると私は考えている。
国民投票に付してもいいほどだ。
しかし、国民投票が実施されるのは国会が憲法改正を発議した時だけだ。
ならば、今年2025年実施される国勢調査に合わせて、同制度導入の可否を問うアンケートを実施したらどうだろう。
■家族制度こそが社会を規定する
私が家族制度に拘るのは、フランスの歴史人口学者にして家族人類学者であるエマニュエル・トッドの『新ヨーロッパ大全』(藤原書店、石崎晴己訳)の影響だ。
下部構造(経済的土台)が上部構造(政治・法律・宗教・芸術などの意識形態と、それに対応する制度・組織)を規定するというマルクスに対して、トッドは家族制度が上部構造を規定するという仮説を立てた。
家族制度が人間の心性に大きな影響を与え、ひいては人間が形成する社会を特徴付けてゆくというのだ。
トッドは家族型を親子関係が権威主義的か自由主義的か、きょうだいの関係が平等か否かによって分類する。
そこから導き出されるのが、
@親子関係が自由主義的できょうだい関係が不平等(長子優先)=絶対核家族、
A親子関係が自由主義的できょうだい関係が平等=平等主義核家族、
B親子関係が権威主義的できょうだい関係が不平等=直系家族、
C親子関係が権威主義的できょうだい関係が平等=共同体家族
の4つである。
例えばパリ盆地を中心とするフランス北部はAの平等主義核家族であり、それゆえにこの地が
「自由・平等・友愛」
を唱えるフランス革命の担い手となった。
@の絶対核家族が優勢なのはイングランドと、その移民の子孫であるアメリカだ。
この家族型が、個人の自由を絶対視し平等に無関心な強欲資本主義の母体となった。
Cの共同体家族は、西ヨーロッパにはまれで、ロシア、中国、ベトナム、東ヨーロッパに多いという。
この家族型がもたらしたのは言うまでもなく社会主義革命である。
ちなみに戦前の日本は間違いなくBの直系家族だろう。
この中で育まれた心性が、明治以降であれば天皇に対する態度、日本軍のありように投影されていたように思う。
現在の日本がどの家族型に当てはまるかは判然としないが、権威主義的でなくなったことだけは確かだろう。
そこに付け入ったのが選択的夫婦別姓制度推進派だ。
私は邪推する。
女性差別撤廃を掲げる彼らの本当の狙いは、家族を精神的に解体し、更には戸籍制度も廃止して、日本人をバラバラにすることではないかと。
その上でバラバラになって寄る辺なく浮遊する日本人をCの共同体家族としてまとめあげようとしているのではないかと。

韓国、男性中心の家守る夫婦別姓「女性は同じ家の人間と認められない」 米国も8割が同姓
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/4 10:00
https://www.sankei.com/article/20250104-GNUKUJWJCZNKHJTBSELPBB5IWA/
「嫁を『男の子を産み、農業を支える』存在とみなし、同じ家の人間とは認めない。そんな排他的な印象がある」
韓国・ソウル市内の女性会社員(50)は同国における夫婦別姓制度についてこう語った。
いわば夫の一族と結婚相手の女性の間に明確な線を引く意味での
「別姓」
という印象を抱いている。
韓国は、姓氏制度が広く普及した19世紀末以降、日本統治時代末期の数年を除き現在まで夫婦別姓を維持してきた。
その姓氏制度は、東アジアで最も
「男性中心的」
とされる家族制度に起因するものと言える。
例えば、韓国では長男優先の相続制度が形を変えつつ2005年まで続いた。
一部地域では、法事に直接参加できるのは同じ姓を持つ父親や息子に限り、女性は料理などの準備作業にのみ従事させる慣習が今も残る。
子供の姓については、
「父親の姓と本貫(本籍地)を引き継ぐ」
と民法で規定。
例えば、尹錫悦大統領と金建希夫人の間に子供が生まれていれば、自動的に
「尹」
の名字を引き継ぐ形となる。
例外的に母親の姓に変更するには、子供の出生時ではなく、両親の婚姻届提出の際に手続きを済ませなければならない。
■実家を説得する余力
2024年5月にソウル市内で結婚式をあげた陳叡貞さん(33)は、手続きをせず、将来生まれるであろう子供の姓は夫のものとなる。
だが、半年以上経った現在も尚苦悩している。
陳さんは
「無条件に父親の姓を子供に引き継がせることには違和感があった。夫も同じ考えだった」
というが、
「慌ただしい挙式準備の中で、双方の実家を説得する余力がなかった」。
夫婦の姓を巡る規定は世界で千差万別だ。
ただ、日本の
「夫婦別姓推進派」
は各国の歴史的、文化的な背景には触れないまま、
「海外では別姓が主流」
「日本は遅れている」
との主張も少なくない。
米国では1970年代に全ての州で結婚後の女性が旧姓を維持できるようになった。
基本的には婚姻時に
@夫の姓を選ぶ
A妻の姓を選ぶ
B別々の姓を維持する
C両者の旧姓をハイフンでつなげ新しい姓を登録する
というパターンがある。
ただ、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2023年9月に発表した報告書によると、米国で異性婚をした女性は79%が相手の姓を名乗っている。
■姓を後世に残す動き
中国では中華人民共和国建国翌年の1950年に施行された婚姻法で夫婦別姓が明記された。
現在、子供の姓は両親のどちらかの姓を選択するが、韓国同様、一族を重視する価値観から、父親の姓を名乗るケースが多かった。
一人っ子政策が廃止された2016年以降は、兄弟姉妹で父母それぞれの姓を名乗る現象が一部で起きている。
両親それぞれの姓を後世に残そうとする動きと言える。
ただ、兄弟姉妹で別姓を名乗ることが、学校でからかいの対象になる、といったケースも報告されている。
各国の家族の枠組みについて詳しい立命館大の筒井淳也教授(家族社会学)は
「夫婦の姓に関する制度は国の慣習によって異なる」
「時代や価値観の変化に合わせて利便性や公平性などの観点から米国やドイツでは夫婦別姓が選択できるようになった」
と言及。
一方で、両国では夫婦同姓を選ぶ人が多数派を占めている現状について、
「子供も同じ姓になったほうが親としての証明が容易となるメリットがある」
と指摘した。

選択的夫婦別姓「困っている人」とは誰か 旧姓使用不可の企業ゼロ「経済界は口を挟むな」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20250103-33B4YHNURFNUXFSJKAGPJITCPQ/
「個人の問題として片づけることのできない、企業にとってビジネス上のリスクだ」。
経団連は昨年2024年6月、選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を発表。
十倉雅和会長は記者会見で理由をそう説明した上で、
「改正法案を一刻も早く国会に提出していただきたい」
とも踏み込んだ。
トヨタ自動車など日本を代表する企業1500社以上で構成する経団連は、経済界が直面する課題の意見を取りまとめ改善策などを発信する役割がある。
だが、今のタイミングで提言するほど、選択的夫婦別姓は経済界の喫緊の課題なのか。
産経新聞社は昨年2024年11月中旬から2024年12月上旬にかけて主要111社にアンケートを実施。
社内で旧姓呼称を認めているかを尋ねたところ、
「認めていない」
とする企業はゼロだった。
「慣例として認めている」が58・6%、「就業規則などで認めている」が29・7%。
「無回答」が11・7%あったとはいえ、9割弱の企業が何らかの形で旧姓呼称を当たり前に認めているのだ。
■国家資格はほぼ旧姓OK
さらに経団連が求める法制化の是非も聞いたところ、
「実現すべき」は25・2%で、
「現状で不都合がないので慎重に議論すべき」も10・8%あった。
もっとも「無回答」が最も多い63・1%あり、判断に迷っているのか、経団連の方針に異議を唱えにくい雰囲気があるのかはわからない。
夫婦別姓をめぐる議論は働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証、銀行口座などの名称変更の煩わしさから旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
職場での呼称が解決に近づいているのであれば、残る課題はどうか。
内閣府によると、昨年2024年5月末現在で320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格も条件に若干の違いがあるだけだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも旧姓併記ができる。
金融機関も既存口座の旧姓名義による取引を認めており、一部認めていない場合もシステム改修が進めば対応可能になるという。
もっとも、こうした事実が広く周知されているとは言い難いのも事実だ。
■不便さは残るが
では、企業はどのような場面で不都合を感じているのだろうか。
ある大手企業の役員は
「海外出張したとき、パスポートとホテルの予約名が戸籍名と通称で異なりトラブルになった社員がいた」
と話した。
むろん、2つの名前が混乱を引き起こしやすいことは否めない。
パスポートに旧姓併記しても発展途上国などでは現地の入国関係者が理解しておらず、もめたケースもあるという。
だが、日常生活での不便さは相当解消されているのではないか。
選択的夫婦別姓の導入に前向きな公明党の斉藤鉄夫代表は昨年2024年末、
「実際に困っている人が多くいる。もう決断する時だ」
と述べた。
「困っている人」
とは誰なのか。
企業経営や国際マネジメントが専門の青山学院大学の福井義高教授は
「企業内も含めて旧姓を使えるケースは増えており、不便さは解消されている」
「選択的夫婦別姓は国民の価値観の問題で、経済界が口を挟む問題ではない」
と指摘している。

公明、立ち位置に苦慮 政策実現も手柄は野党 来夏の都議選、参院選へアピール模索
2025/1/2 16:26
https://www.sankei.com/article/20250102-7MRII3PF6JOHXDIQCRV7IFLMXE/
公明党が自民党との連立政権で立ち位置に苦慮している。
石破茂政権が少数与党になったことで、法案成立に向け野党の国民民主党や日本維新の会に配慮せざるを得なくなり、
「政権の政策に党の主張を反映させる」
という存在意義が揺らいでいるためだ。
「年収103万円の壁」
の引き上げなどは公明も主張してきた政策だったが、自民から譲歩を引き出した野党側の成果として扱われ公明は埋没している。
公明の斉藤鉄夫代表は2025年1月2日、東京・池袋駅前で新春の街頭演説を行い、今夏2025年夏の参院選、東京都議選に向けて
「新しい公明の最初の戦いとして、何としても押し上げてほしい」
と支持を訴えた。
だが、世論や支持者へのアピールは、いまいち広がりを欠いている。
昨年2024年12月26日、斉藤氏は記者団にこう強調した。
「予算案の取りまとめに当たっては、野党の賛同が得られるように合意形成の要となってきたという自負がある」
党の政策実現ではなく、合意形成への貢献をアピールせざるを得ないところに、今の立ち位置の難しさが伺える。
年収103万円の壁引き上げは自民、公明、国民民主の3党協議で実現し、これを看板政策とする国民民主の手柄とされた。
公明も以前から103万円を含む年収の壁解消を訴えており、令和7年度税制改正には高校生世代の扶養控除の維持など公明の主張も反映されたが、存在感は乏しい。
それでも斉藤氏は2025年1月2日の街頭演説で3党協議に言及し
「予算審議の途中に、色々な修正があり得るのかもしれない」
「協議に真摯に対応していきたい」
と国民民主への歩み寄りを示唆した。
石破政権は維新とも連携を図り、自公維3党による教育無償化の実務者協議を昨2024年末に始めた。
教育無償化もまた、公明が力を入れてきた政策だ。
公明幹部は
「公明だけでは引き出せず、野党と一緒なら引き出せると言われる」
「忸怩たる思いだ」
と漏らす。
先の衆院選で、公明は自民派閥のパーティー収入不記載事件の呷りを受けて議席を大幅に減らした。
2025年夏の参院選と都議選を睨んだ反転攻勢に向け、自民と同一視されることを避け、独自色を打ち出したい考えだ。
自民内で賛否が分かれる選択的夫婦別姓制度でも、党内議論を深めるよう強く自民に要求している。
とはいえ、自民との連立関係を崩すこともできない。
公明関係者は
「支持者からはいつまで自民とやっているんだという声もある」
「だが、もう4半世紀続いている」
「野党になったら何もできない」
とぼやいた。

年内にも現実味帯びる選択的夫婦別姓 立民、通常国会に法案提出へ 公明も賛同
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:00
https://www.sankei.com/article/20250102-T64AG4MHX5I5HJD4BQLW36T3LA/
立憲民主党は今月召集の通常国会で、選択的夫婦別姓を可能にする民法改正案を提出する方針だ。
党内でも賛否がある自民が立民案に乗るとは考えにくいが、導入を求める公明が立民案に賛成すれば、連立与党内で対応が分かれる異例の事態となる。
自民に一定数いる推進派が賛成すれば衆院で可決され、家族の在り方を大きく変えうる制度の導入が2025年年内にも現実味を帯びている。
衆院選の公約では、選択的夫婦別姓には立民と公明の他、国民民主、共産両党やれいわ新選組なども賛成。
自民と日本維新の会は
「旧姓使用の拡大」
を主張しており、衆院法務委員会の構成を見れば、賛成派は過半数に届かない。
ただ、衆院選後に就任した維新の前原誠司共同代表は
「個人として賛成」
と表明。
公明の斉藤鉄夫代表も
「決断する時だ」
との考えで、石破茂首相(自民総裁)に与党協議を進めるよう直接要請している。
これに対して自民では旧姓使用の拡大を軸にした対案を出す可能性があるが、他党の賛成がなければ数の上で可決はおぼつかない。
何よりも自民内の推進派が造反する可能性がある。
自民では党の方針に反した場合は処分の対象になり得るが、党内の分裂を避けるため党議拘束をかけないとの見方もある。

選択的夫婦別姓、関心薄い自民「慎重派が落選してしまった」「大半はどちらでもよい」
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/2 10:05
https://www.sankei.com/article/20250102-CV4VLTYCYRL4LHL3FHZJHRA3OA/
「一部のノイジーマイノリティ(声高な少数派)に邪魔されて議論の俎上にのぼらされないことは、もう通用しない」。
先月2024年12月17日、東京都内の講演で立憲民主党の野田佳彦代表は選択的夫婦別姓の導入に重ねて意欲を示した。
令和3年12月の内閣府の世論調査では同姓維持27・0%、旧姓使用拡大42・2%で、賛成28・9%は少数派だが、野田氏の頭の中では
「ノイジーマイノリティー」
が逆転しているようだ。
「野党はほとんど賛成、公明党も支持している。十分成立させる可能性はある」。
局面が変わったのは昨年2024年10月の衆院選だった。
与党が過半数を割り、国会の風景は一変した。
衆院の常任委員長ポスト17のうち、立民などの野党は選挙前の2から大幅増の8獲得の見通しとなった。
しかし、結果的に7にとどめたのは、外務、総務両委員長を
「返上」
した代わりに
「敢えて法務委員長を取りにいった」(野田氏)
からだ。
賛否が割れる自民党を揺さぶるだけではなく、夏の参院選を前に推進派の公明との間に溝を作りたい狙いも透ける。
■早く決めてほしい
自民内でも以前から議論はあった。
令和3年3月に推進派の
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(浜田靖一会長)
が立ち上がると、翌月令和3年4月には慎重派が
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(中曽根弘文会長)
を設立。
同年令和3年6月には政調会のワーキングチームが論点などを整理したが、党を二分しかねず本格的な議論は先送りにしてきた。
別姓推進派の中堅議員は
「今は強力に賛成、反対は20人ずつ程度だろう」
「残りはどちらでもよく、早く党の方針を決めてほしいと考えているのではないか」。
慎重派のベテラン議員は
「以前は双方半々ぐらいのイメージだったが、この問題に高い見識を持ち、頼りになる人たちが先の衆院選で落選してしまった」
と明かす。
■修正を加える形で
慎重派の念頭にあるのは
「家族の一体感」
を大切にする本来の保守層の
「自民離れ」
が加速することだ。
ただ、この問題に関心を持つ議員自体が少なくなったのも今の自民の現状である。
立民が提出予定の民法改正案の衆院審議は、国会の慣例に従えば2025年3月の来年2025年度予算成立後の2025年4月以降となる見通しだ。
昨年2024年の臨時国会では、政治改革関連で与野党が9法案を提出。
国会審議や各党協議の末に3つの法案が成立した。
このうち政策活動費廃止の法案は野党案に自民が賛成した。
推進派若手は
「少数与党のうちに野党案に修正を加える形で決着をつけた方がいい」
「そうでないと、自民を分断しかねない爆弾をずっと抱えることになる」
と本音を漏らした。
仮に自民が党議拘束をかけず、立民案が衆院で可決された後は参院に舞台が移る。
参院は現在も自公で過半数を占めるが、衆院の段階で立民案に公明が賛成していることを前提とすれば、自民は日本維新の会などを巻き込まない限り
「少数派」
に転落し、立民案が成立する可能性がある。

新聞各紙、元日1面トップは中国の拡張、能登の思い、民主主義企画…産経は夫婦別姓と子供
2025/1/1 19:29
https://www.sankei.com/article/20250101-FILLPV42SBDGLNW3Y2ENVFSW44/
元日の新聞各紙の1面のトップ記事は例年、華やかなスクープや骨太なテーマでの連載企画が掲載される。
令和7年、東京に本社を置く新聞各社では、中国海軍が台湾有事に備えたとみられる不穏な動きの独自記事、ブロック経済化が加速しかねない世界の現状に警鐘を鳴らす企画記事、能登半島地震1年に合わせ、死去した父親に寄せた花嫁の思いなどが1面を飾った。
■夫婦別姓 小中生の半数反対
産経新聞は、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、全国の小学4年〜中学3年の児童・生徒約2000人に世論調査を行った結果、ほぼ半数が
「家族で名前が変わるのは反対」
と考えている実態を報じた。
夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」が49・4%で
「賛成」16・4%の約3倍だった。
記事によると夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めてという。
■中国、宮古海峡で封鎖演習
読売新聞は、中国海軍と海警局が令和6年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡などで海上封鎖と似た活動を行い、重武装した海警船団を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺に派遣していたという独自ダネを報じた。
ともに初めて確認された活動で、中国側が台湾有事の際に海上封鎖の範囲を尖閣周辺などに拡大させる可能性が指摘されるという。
■デジタルで問う「真の民意」
毎日新聞は、戦後80年の節目に合わせて
「デモクラシーズ これまで これから」
と題した連載企画の掲載を始めた。
最新のデジタル技術を生かして民主主義を
「アップデート」
させる取り組みなどを紹介する。
この日はスタートアップ企業が構築したオンラインプラットフォームを用いて自治体が設定したテーマに対し市民が意見やアイデアを投稿することで、施策を実行する上での民意が合意形成されるあり方などを紹介した。
■強まる自国第一
日経新聞も企画記事を掲載し、
「逆転の世界 備えよ日本」
と題した。
多様性の価値観を重視していた米国など民主主義国で国民の分断が進み、独裁色の強い為政者が生まれやすくなっていると指摘。
局地的な紛争を含めて国家間の紛争が戦後最悪の状況にあると訴え、供給網や販売網の再構築が不可欠になると警鐘を鳴らした。
■つながり 耕す 能登と一緒に
朝日新聞は、被災地でボランティアの受け入れ拠点となった石川県輪島市のレストランの1年を取り上げた。
延べ3432人のボランティアが活動したことなどを踏まえ、地方の人口減と高齢化が深刻な社会課題となる中、居住地とは関係なく継続的に訪れる
「関係人口」
の拡大について考察した。
■招待状「おとう」へ届け
東京新聞も、取り上げたのは能登半島地震1年だった。
地震で倒れた家具が胸に当たり、55歳で亡くなった輪島塗蒔絵師の父親に向けて、結婚式を今年5月に控えた27歳の長女の思いと葛藤を描いた。
式の中身はまだ決まっていない。
ただ、父の席と食事を用意することは決めているという。

<独自>選択的夫婦別姓、小中学生の半数が反対、初の2000人調査「自分はしない」6割
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:00
https://www.sankei.com/article/20250101-QGCTY3PY4JEHLHHXAFDFEVX2LQ/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、小中学生のほぼ半数が
「家族で名字が変わるのは反対」
と考えていることが、産経新聞社の調査で分かった。
政府や報道機関などの世論調査は主に成人が対象で、夫婦別姓の影響を受ける子供たちの考え方が統計的に明らかにされたのは初めて。
将来、自分が結婚した際の別姓も
「したくない」
との回答が6割にのぼった。
立憲民主党が夫婦別姓の民法改正案の国会提出に意欲を示しており、石破茂首相も昨年2024年末
「議論の頻度を高める」
と述べた。
自公与党も前向きな議員が多いことから、次期通常国会での法案成立が現実味を帯びている。
調査は全国の小学4年生以上を対象に実施。
協力を得た小中学校に加え、民間の調査会社にも依頼し、中学生約1800人、小学生約150人から回答を得た。
各家庭の事情などデリケートな問題に配慮し、答えたくない場合は答えなくてよいことを徹底した。
年齢層の低い小学生は対象数を絞った。
小中学生共に学校を通じた場合は、教員が調査の趣旨を説明した上で、立ち会う形式を取った。
その結果、
「選択的夫婦別姓」
の意味について
「よく知っていた」
「少し知っていた」
と、
「全く知らなかった」
「ほとんど知らなかった」
はほぼ5割ずつで拮抗。
「法律を変えたほうがよい」
「変えないほうがよい」
「よく分からない」
もほぼ3割ずつに分かれた。
しかし、夫婦別姓で両親やきょうだいと違う名字になることの是非を問うと、
「反対」49・4%、
「賛成」16・4%、
「親が決めたのなら仕方がないので賛成」18・8%、
「よく分からない」15・4%
で反対がほぼ半数を占め、積極的な賛成は少なかった。
また、法律が変わった場合、将来自分が別姓を選択するかについては
「家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない」がほぼ6割となり、
「自分の名字を大切にしたいので別々にしたい」は13・6%だった。
小学生だけに絞ると、
別姓に「反対」は46・2%、
自身が「別姓にしない」は55・8%
で全体よりやや低かったが、各質問共に
「分からない」を選ぶ傾向が強かった。
男女別で大きな違いはなかったが、
自身が「別姓にしない」
は男子(56・7%)より女子(63・4%)のほうが上回った。
別姓の是非で
「親が決めたのなら仕方がない」
と消極的な賛成を選んだ女子(22・6%)も男子(15%)より多かった。
学校や学年別、民間調査会社による調査でも、結果の割合に大きな差はなかった。

選択的夫婦別姓、法律に「賛成」16%「反対」49% 小中生2000人調査・質問と回答
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-L3VK2UL4H5EMJPW6X5DVUGNXJQ/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査の質問項目と詳しい結果、調査の方法は以下の通り。
質問項目と回答
選択的夫婦別姓調査 質問項目と回答
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)について、みなさんの意見を聞かせてください。答えたくない人は、答えなくてかまいません。
【質問】
1.いま、社会で問題となっていることに「選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)」があります。
日本では結婚(けっこん)するときに
「男性(お父さん)か女性(お母さん)のどちらかの名字と同じにしなければならない」
ことが法律(ほうりつ、国のルール)で決まっています。
この法律を
「それぞれ別々の名字のままでも結婚できる」
ように変えようというものです。
こうしたことについて、知っていましたか。
回答者1971人 男子 女子 全体(%)
○よく知っていた 16 17.9 16
○少し知っていた 34.3 43.3 37.1
○まったく知らなかった 28.7 23.9 26.2
○ほとんど知らなかった 21 15 20.7
2.いまは結婚してからも、結婚するまえの名字を会社で使ったり、手続きをすれば、免許証(めんきょしょう)やパスポートに結婚する前の名字をならべて書けるようになったり、これまでできなかったことができるようになっています。
それでも、あなたは
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ように法律を変えたほうがよいと思いますか。
回答者1966人 男子 女子 全体(%)
○変えたほうがよい 32.9 37.4 34.9
○変えないほうがよい 31.6 30.7 30
○よくわからない 35.6 31.9 35.1
3.もし、法律で
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
ことが決まり、お父さんとお母さんが別の名字になったら、子供もお父さんかお母さんのどちらかとはちがう名字になったり、兄弟や姉妹でもちがったり、おなじ家族のなかでちがう名字になってしまうことがあります。
こうしたことに賛成(さんせい)ですか、反対(はんたい)ですか。
回答者1954人 男子 女子 全体(%)
○家族で名字が変わってもいいので賛成 16.3 16.9 16.4
○親が決めたのなら仕方がないので賛成 15 22.6 18.8
○家族で名字が変わるのはよくないので反対 51 49.2 49.4
○よくわからない 18 11.4 15.4
4.みなさんが結婚するころには
「それぞれ別の名字のままでも結婚できる」
と法律が変わっているかもしれません。
そのとき、あなたはどうしますか。
回答者1955人 男子 女子 全体(%)
○自分の名字を大切にしたいので別々の名字にしたい 14.3 11.8 13.6
○家族で同じ名字がよいので別々にはしたくない 56.7 63.4 59.9
○よくわからない 29 24.9 26.5
5.この問題についてあなたの思ったことを自由に書いてください
■調査の方法
協力を得た首都圏、関西圏の中学校6校約1600人(中1〜中3)、首都圏の小学校1校の53人(6年生)にホームルームや社会科の時間などを使って教員立会いの元で無記名で行った。
回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けに説明文を用意したが、使用については各学校に任せた。
答えたくない場合は設問によっても答えなくてよいことを徹底したため、回答数にはばらつきがでた。
中学生では男女を回答していない生徒も若干名いた。
休みや早退の生徒数が把握できていない学校もあり回答率は一概に出せないが、中学生は約93%、小学生は84%。
民間調査会社の調査は、会員登録している全国の小学4年〜中学3年を対象に、説明文を含め同内容のアンケートで実施、自ら回答した小学生が100人、中学生が300人を超えた時点で終了し、学校分に加えた。
最終的な回答数は合計で1954人〜1971人。
男女比は男子48%、女子52%。
調査はいずれも昨年2024年11月下旬から12月中旬に実施した。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 教員向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-JDZ6FZ2FUVFDLGGPQDWRNLBKIM/
選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、産経新聞社が昨年2024年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
教員向けの説明文は以下の通り。
教員向けの説明文
選択的夫婦別姓は年明けの国会で議論され、可決される可能性も高くなっています。
現状、夫婦別姓を望む人には、職場などでの旧姓使用やクレジットカードなどの名義変更などが煩わしいという理由と、自身のアイデンティティのためという2つの理由があります。
ただし前者についてはほぼ解決済みであり、旧姓使用を認めない職場もほとんどありません。
後者については
「心の問題」
です。
「選択制なので選びたい人だけだからいいのでは」
「自分の意思だからいいのでは」
という意見もありますが、婚姻制度の自由度が高まることで、逆に家族、親族内の争いの種になりかねないという見方もあります。
また、生まれてくる子供にとって選択肢はなく、
「強制的親子別姓」
「強制的きょうだい別姓」
になりかねません。
今、マスコミではここの議論をあまりしていません。
世論調査などは
「選択的夫婦別姓」
か、
「現状の夫婦同姓」
か、の2択しかなく、
「旧姓使用の拡大」
は選択肢に加えられていません。
影響を受ける人の中には子供も含まれるにもかかわらず、その意見も全く取り上げられていないのが現状です。
本来であれば、文科省や法務省など国の機関が綿密に子供向けアンケートなどをすべき内容ですが、そうした国の動きを後押しする意味でも、今回産経新聞社として子供たちの声を聞いてみようと考えました。
ただし、このようなアンケートは各家庭のご事情もあり、ハードルが高いことは承知しております。
また、産経新聞社の考え方に偏らないよう、質問内容は客観性を保つように致しました。
ご検討何卒よろしくお願いします。
○アンケートについて
・答えたくない子供は答えなくて構いません。
・学校名は匿名希望の場合は匿名で構いません。
・対象は小4以上の小学生と中学生とします。
・できればクラス単位、学年単位がよいですが、無理な場合は個別でも構いません。
・自由記述の欄に書ける子供はぜひ書いていただければと思います。

選択的夫婦別姓・小中生2000人調査 子供向けの説明文
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:10
https://www.sankei.com/article/20250101-HE4Y72OPLZF2JPXUIFFXDB7J7Y/
選択的夫婦別姓制度の導入をめぐり、産経新聞社が昨年11〜12月、小中学生を対象に行った調査では、回答が誘導的にならないよう教員向けと子供向けにそれぞれ説明文を用意した(実際に使用するかについては任意)。
子供向けの説明文は以下の通り。
子供向けの説明文
選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)についての質問
みなさんに、いくつか質問をしたいと思います。答えたくない人は、答えなくてもよいです。
さいきん、よくテレビのニュースなどで、選択的夫婦別姓(せんたくてきふうふべっせい)ということばを聞きます。
これは結婚(けっこん)するときに男の人と女の人の名字(上の名前)を別々にしたい人はしてもよい法律(ほうりつ、国のルール)にしようという意味です。
もし、結婚したあとに子供が生まれて、お父さんとお母さんの名字が別々だったら、子供の名字はどちらかに合わせなければなりません。
生まれてきた子供はお父さんかお母さんの名字とちがったり、お兄さん、お姉さん、弟、妹とも名字がちがったりすることが出てきます。
たとえば、お父さんは田中さん、お母さんは佐藤さん、最初の子供は佐藤さんで、弟は田中さんになるかもしれません。
どうして、こうしたことが問題になっているかというと、はたらく女性がふえたことに関係があります。
これまで結婚する相手の名字に合わせるのは女性のほうが多く、結婚して名字が変わると会社などで呼び名が変わったり、免許証(めんきょしょう)やパスポートなどの名字を変えなければならなくなるなど、大変なことがありました。
しかし、いまでは会社で結婚する前の名字を使ったり、免許証なども結婚前の名字をならべて書けるようになったりしています。
ただ、免許証やパスポートに結婚前の名字を載せるには、役所の書類を出さなければならないなどの手続きが必要です。
それでも、結婚したからといって、ずっと使ってきた名字を相手の名字に変えるのは、納得(なっとく)できない、いやだ、という人もいます。
名字を一緒(いっしょ)にしたい人はすればいいし、一緒にしたくない人はしなければいいという考える人もいます。
質問は、このことについてみなさんの考えること、思うことを聞くものです。
くりかえしますが、答えたくない人は答える必要はありません。

ファミリーネーム喪失、選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」 政府は子供の意見を聞け
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 7:30
選択的夫婦別姓の法制化を望む人たちに
「国民の70%が賛成」
声があるが、その根拠は2択のアンケートだ。
朝日新聞もNHKも
「法を改正して夫婦が希望すれば別々の名字でもよいか」
を賛成、反対で問い、その結果を
「選択的別姓『賛成』7割」
などと伝えている。
現在、企業や公的機関などで進んでいる
「旧姓使用の拡大」
を法的に整備するという選択肢は最初からないのだ。
産経・FNN合同世論調査も以前は2択で賛成66・6%、反対25・5%だったが、昨年2024年9月に3択目を加えたところ、賛成38・9%、反対12%、旧姓使用拡大46・5%と大きく変わった。
令和3年12月の内閣府の世論調査でも
「同姓維持」27%、
「別姓導入」28・9%、
「旧姓使用拡大」42・2%、
が出ているが、こうした結果はほとんど生かされていない。
「選択的」
だからよいという意見もあるが、選択できるのは誰か。
生まれてくる子供にとっては親の意向で強制的に
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
ファミリーネームが喪失するという事態を
「選択者」
である親は一体どこまで想定しているのか。
今回、小中学生に行ったアンケートではどちらかの親や、きょうだいと別の名字になることについて半数が反対と答えた。
これが多いか、少ないか判断は分かれるだろう。
夫婦別姓
「賛成派」
からすれば、
「未熟な子供に聞く」
という調査自体に不快感を持った人もいるかもしれない。
ただ、法制化の議論が拙速に進む中で、家族の一員である子供の意見を集めたのは、今回が初めての調査なのである。
仮に聞き方が不十分だったり、誘導的と考えるならば、ぜひ他のメディアも誤魔化さずに取り組んでほしい。
文科省も、子ども家庭庁も出番ではないか。

「家族感が減る」「同姓は時代遅れ」小中生、正面から回答 選択的夫婦別姓2000人調査
ごまかしの選択的夫婦別姓議論
2025/1/1 8:00
https://www.sankei.com/article/20250101-F35HRVOR7FHZRH24ROBSXF5VBU/
「家族内で違う名字だと家族感が減りそう」
「強制的に同じにさせるのは時代遅れ」―。
産経新聞が小中学生を対象に行った選択的夫婦別姓の導入を巡るアンケート。
自由記述欄を見ると、賛否を超えて子供たちが正面から問いかけに向き合ったことが分かる。
立ち会った教員は
「想像していたより真剣に取り組む姿が印象的だった」
と話す。
■きょうだいなのに
自由記述で目立ったのは、選択的夫婦別姓制度で、結果的に家族の姓がばらばらになりかねないことを心配する声だった。
大阪府の中学男子は
「名字を別々にするような人なら、子供の名字をどうするかでけんかになるかもしれない。名字が違うと他人感がある」。
千葉県の小学男子は
「家族で名字が変わってしまうと、まるで別人みたいで家族感が減りそう」
と書いた。
夫婦が別姓を選ぶことには賛成しつつ、
「子供が生まれた家庭で兄弟姉妹の姓がバラバラなのは違和感を抱く」
と記した京都府の中学女子も。
大阪府の中学女子は
「選択できた方がよいが、兄弟が違う名字というのはよいものではない」
とした。
■万一離婚したときに
夫婦別姓に賛成する声も少なくなかった。
東京都の中学女子は
「名字が変わることで、もう一度覚え直してもらう必要があったり、万一離婚した際に、職場や学校の人に名字が変わったことを伝えなければならず、精神的な負担も小さくない」
と説明。
茨城県の中学男子は
「名字を強制的に同じにさせるのは、少し時代遅れだとも感じている」
と書いた。
アンケートは各家庭の個別の事情に踏み込んでしまう恐れもあったが、
「私の両親は夫婦別姓。私はハーフなので賛成します」(中2女子)、
「現状のままでは離婚後に名字が変わると、『あ、この人離婚したんだ』」と好奇の目で見られてしまう。自分もそうだったので、そのようなことは避けたいから、夫婦別姓には賛成」(中3男子)
という意見もあった。
千葉県の中学女子は
「海外でも夫婦別姓の国や自分と相手の名字を続けて登録できる国があり、日本もこだわる必要はない。事実婚は相続などで不利になるので、平等になるようにしてほしい」
と、より深い考えを述べた。
「日本の伝統なので絶対に法律を変えない方がよいと思う。いまこの問題よりも台湾有事に向けて動いた方がよい」(中3男子)
という意見もあった。
■自然発生的に議論も
大阪府の私立中の教員は、アンケートに取り組む生徒の様子について、
「最初は静かに取り組んでいたが、しばらくすると自然発生的に生徒同士で意見を交わす姿もみられた」
と話す。
議論になるうち
「『兄弟で姓が変わるというのはいやだね』とか、『そもそも結婚ってどういうことなのだろう』などの声も聞かれた」
という。
千葉県の中学女子は
「個人の考えもあると思うため、別々の名字でもよいと最初は思いましたが、家族の中で名字が分かれてしまうと、同じ家族であることの証明が難しくなるなど欠点もあると思ったので、最終的には法律を変える必要はないと思いました」
と考えの変遷を記した。

<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓
2024/12/21 5:00
https://www.sankei.com/article/20241221-3G37IDBWCBJ2VKISJOHYBTICBA/
この数字は何を意味するかずっと気になっている。
小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18〜19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。
なぜ3党は若い女性に不人気なのか。
▼3党は、若者の情報源であるSNSでの発信が弱く拙かったのか。
あるいは政治とカネの問題でいくら自民党を批判しても、票の掘り起こしには繋がらなかったのか。
色々考えられるが、牽強付会を承知で言えば、維新を除く2党が今国会で声高に唱える政策が頭に浮かぶ。
選択的夫婦別姓制度や同性婚の実現である。
▼こうした主張は、これから結婚しようという人が多い世代に響いていないのではないか。
自民党が自滅して比例代表で533万票も減らした先の衆院選で、躍進したはずの立民は実は7万票の微増にとどまっている。
共産の得票は80万票も減少した。
▼2024年9月の自民党総裁選時のNHKの世論調査では、最も議論を深めてほしい政治課題を6つの選択肢を挙げて尋ねていた。
その結果、
「年金など社会保障制度」(35%)、
「経済・財政政策」(26%)、
「政治とカネの問題など政治改革」(17%)
…の順で、
「選択的夫婦別姓」は最下位の1%
だった。
▼たった1%だから議論しなくていいわけではないが、少なくとも最優先課題ではなかろう。
にもかかわらず、石破茂首相は2024年12月16日の国会で党内議論について
「頻度と熟度を上げていく。明確な方向性を出したい」
と意欲を示した。
▼それどころか、2024年12月17日の国会では同性婚に関しても
「日本全体の幸福度にとってプラスの影響を与える」
と強調した。
国民の意識や実感と政治のズレが目立つ。

<正論>別姓でなく通称使用法の制定を 
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
2024/12/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20241217-PRYB3DUK5RPYBCJJE67UVQMPKA/
立憲民主党の野田佳彦代表はテレビの番組で、来年2025年の通常国会の冒頭に選択的夫婦別姓法案を提出し自民党に揺さぶりをかける、と述べている。
平成8年、法制審議会が提案した夫婦別姓法案が30年近く経っても成立しないのは、国民多数の賛成が得られないからだ。
その家族制度の根幹に関わる問題を政争の具にした上、力ずくで実現しようとするのは如何なものか。
■国民の多数は通称使用支持
総選挙後、衆議院では別姓支持の議員が多数を占めたようだが、国民の間では従来、同姓支持が約6〜7割と多数を占めてきた(令和3年12月内閣府調査)。
この傾向は現在でも変わらない。
この事は最近相次いで報道された各社世論調査(TBSは2024年7月、産経・FNNと読売新聞は2024年9月)からも明らかだ。
いずれも
@同姓支持
A同姓維持のうえ通称を使用
B別姓支持
の3択制だが、3調査ともAの同姓維持・通称使用が47%と最多数を占めた。
先の内閣府調査でもAが42・2%であり、ほぼ変わらない。
ちなみに内閣府及び3社調査とも
@の同姓支持は20〜30%だから、
Aを加えると同姓支持は約70%になる。
Bの別姓支持はいずれも20〜30%程度にとどまる。
夫婦の姓をどう定めるかは、個人の問題であると同時に家族制度という
「国の公的な制度」
の問題でもある。
最高裁(平成27年判決、令和3年決定)は、民法の定める
「夫婦同氏(姓)制」
は合憲であり、人格権の侵害や差別には当たらないとしてきた。
とすれば、むろん少数者への配慮は必要だが、国の公的制度として何が相応しいかはまず国民の多数意見に耳を傾けて考えるべきであろう。
政府の第5次男女共同参画基本計画(現行)でも、第4次計画まであった
「別姓制度の検討」
は削除され、
「通称使用の拡大」
だけが挙げられている。
■選択制でも子には別姓を強制
選択的夫婦別姓制だが、姓を選択できるのは夫婦だけであり、子供には選択の自由などない。
子には必ず親子別姓が強制される。
それでも良いのか。
しかも立民案では子供の姓は誕生の都度、夫婦が話し合って決めることになっているから、子供たちの姓がバラバラになることもある。
この
「親子別姓」
について、先の内閣府の調査では69・0%の国民が、夫婦別姓は
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えている(前回の平成29年は62・6%)。
具体的には、
「友人から親と名字・姓が異なることを指摘されて嫌な思いをする」が78・6%、
「名字・姓の異なる親との関係で違和感や不安感を覚える」が60・1%
もある。
この傾向も従来と変わらない。
婦別姓論議が急に台頭してきた背景には、経団連の提言(2024年6月)が考えられよう。
しかし、提言はもっぱら企業における経済的合理性の観点からなされたもので家庭や家族の視点は完全に欠落している。
記者会見の折、経団連の幹部は
「子供への影響は大変重要」
だが、どうすべきかはまだ考えていない旨、回答している。
子供の視点から見たNHK放送文化研究所の中学生・高校生の生活と意識調査(令和4年)では、子供たちの91%が将来、
「同姓を名乗りたい」
と答えている。
このような同姓を希望している多数の子供の思いは無視しても良いのか。
この点、児童の権利条約では
「児童の最善の利益が考慮される」(第3条)
とされており、もっぱら親の利益を優先し子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制はこの条約にも違反する。
■通称制度を法律に格上げ
今日、マイナンバーカードをはじめ様々な分野で通称が使われているが、その法的根拠は余り知られていないようだ。
現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令(令和元年施行)に基づくもので、住民票に併記された旧姓(婚姻前の姓)を通称と呼ぶ(ここでいう「通称」は、外国人住民のため住民票に記載される通称とは異なる)。
そこで通称の法的根拠をより明確にすると共に、通称の使用範囲を拡大し、社会生活上の不便を解消するためには現在の施行令に基づく通称制度を法律上の制度に格上げする方法が考えられる。
そのための法律(仮に「旧姓の通称使用法」)は以下の通りだ。
この法律の目的は
「夫婦同姓制度の下、通称の法的根拠を明確にすると共に、国、自治体、民間企業等に対して使用範囲の拡大のため必要な措置を講ずるよう努力義務を定める」
ことである。
次に通称制度を法律上の制度に格上げする方法だが、1つは、住民基本台帳法第7条(住民票の記載事項)を改正し、住民票の
「氏名」
欄に旧姓を併記できる旨、書き加える方式が考えられる。
もう1つ、元号法(「元号は、政令で定める」)を参考に、法律に次のように規定する。
「通称制度は、政令で定める」
「この政令は、住民基本台帳法の施行令をもって代える」。
これなら簡単ではなかろうか。

夫婦別姓禁止は「合憲」 最高裁
2021/6/23 15:16
https://www.sankei.com/article/20210623-FJZ7RN3V2BI4TJ4SI7LJ2RG7AU/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦別姓を巡る大法廷の憲法判断は、平成27年の上告審判決で夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としたのに続き2度目。
15人中11人の多数意見。
家事審判の申立人は東京都内に住む事実婚の男女3組。
婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記するなどして自治体に提出したが、不受理となった。
3組は
「法の下の平等や男女の本質的平等を定めた憲法に反する」
などとして、1組が東京家裁、2組が東京家裁立川支部に、それぞれ家事審判を申し立てた。
両家裁は平成31年3月、民法と戸籍法の規定は合憲として申し立てを却下。
2審東京高裁も即時抗告を棄却したが、3組は特別抗告していた。
最高裁は昨年2020年12月、裁判官15人全員で構成する大法廷で担当すると決定。
弁論は開かず、書面で審理してきた。
平成27年の判決で大法廷は
「規定に男女の不平等はなく、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着している」
などとして合憲の初判断を示した。
一方で裁判官15人中5人が
「違憲」
とする反対意見を述べており、社会情勢の変化を踏まえて今回、どのような判断をするかが注目されていた。
婚姻後の姓を巡っては、平成8年に法相の諮問機関
「法制審議会」
が、夫婦が希望すれば結婚後も従前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
今年2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し、本格的な議論が始まったが実現への目途は立っていない。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

選択的夫婦別姓論議のおかしな理屈 明治政府は庶民意識に合わせ同姓を選択
阿比留瑠比の極言御免
2024/12/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20241212-KT75ZAKADBOEVFYBQVRRIOTMZU/?542565
選択的夫婦別姓を巡る議論では、おかしな理屈、筋の通らない意見がもっともらしく飛び交っていると感じている。
「前の姓を変えなければならないことで、物凄く辛く悲しい思いを持っている人が大勢いることは決して忘れてはならない」
例えば石破茂首相が2024年12月5日の衆院予算委員会でこう述べ、選択的夫婦別姓制度の実現を求める意見に理解を示していた。
だが、そんなことを言うなら、親が夫婦別姓を選択した場合、必然的に片親とは別姓になり、あるいは兄弟とも別姓になるかもしれない子供は
「辛く悲しい思い」
をしないと断言できる根拠はあるのだろうか。
平成27年12月16日の最高裁判決では、こんな判断も示されている。
《家族を構成する個人が、同一の氏(姓)を称することにより家族という1つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見い出す考え方も理解できる》
《夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすい》
今国会では、連立を組む公明党の西田実仁幹事長が3日の自民党の森山裕幹事長との会談で、夫婦別姓制度導入に向け党内議論を進めるよう促した。
また、2024年12月4日の参院代表質問では、立憲民主党の打越さく良氏が、夫婦別姓に理解を示してきた首相の過去の発言を
「全くもって正しい」
と持ち上げた。
かつて
「夫婦別姓になると家庭が崩壊するという何だかよく分からない理屈がある」
と嘯いていた首相に対し、早くその気にさせようと公明、立民両党が露骨に揺さぶりをかけてきている。
立民にとっても立民と政策上の共通項がある公明にとっても、使い勝手のいい首相なのだろう。
彼らは党利党略的に
「今がチャンス」
と考えるばかりで、一方の当事者である子供については、選挙権を持たないのでどうでもいい存在なのだろうか。
立民からは
「夫婦が同姓になったのは、たかだか明治以来の150年に過ぎない」(枝野幸男最高顧問)
といった意見もよく聞こえてくる。
夫婦同姓は日本古来の伝統ではなく、明治の民法由来であるに過ぎないというのである。
実際は、明治31年に民法が成立して以来だから、120年余の歴史である。
とはいえこれもそんなことを言えば、現行憲法だって昭和21年に公布されてまだ80年も経っておらず、そんなに尊重することはないとまぜ返すこともできる。
そもそも月刊『明日への選択』2024年12月月号に掲載された歴史家の浜田浩一郎氏の論説によると、江戸時代の夫婦異(別)姓は、武家など一部の階級の慣習であり、多くの庶民は夫婦同姓だった。
庶民は名字を持たなかったという説は実は違い、名字はあっても公称ができなかっただけだとされる。
また、明治政府は当初、夫婦異姓を拡大しようとしたが、これに地方から続々と疑問の声が上がった。
夫婦同名字は戦国時代の文書にもみられ、数百年の歴史はあるという。
更に、夫婦同姓は儒教的な家制度の残滓だという説に対しては、加地伸行大阪大名誉教授が新著『間違いだらけの家族観』でこう明確に反論している。
《(儒教的伝統は夫婦別姓であり)家制度が儒教的なものなら夫婦別姓であるべきではないのか》
夫婦一体の生活実態を持つ庶民の意識に合わせ、明治政府は敢えて夫婦同姓を選んだのである。
(論説委員兼政治部編集委員)

「アイデンティティー・ポリティックス」石破、岸田政権の大失敗
正論2025年1月号 麗澤大学教授 八木秀次
米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選を果たした。
激戦7州を総取りし、圧勝と言ってよい。
「世紀の大接戦」
と言っていた内外メディアの予測は外れた。
選挙後の解説記事は大半が要領を得ないが、ある小さな記事に得心できるものがあった。
時事通信(電子版)が2024年11月7日に配信した
「都市型偏重、労働者に背」
と題した記事だ。
記事では激戦州の1つ、ウィスコンシン州にあるリボン大学のヘンリク・シャツィンガー教授が
「労働者階級の関心が分からなかったこと」
が、民主党候補、カマラ・ハリス氏の最大の敗因だと分析した。
具体的には
「多くの国民がインフレに悩まされる中、民主党は出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの権利など文化的政策に比重を置き、
『常識を欠いた』
と指摘」
「農村部や非大卒の有権者らに背を向けられた」
というのだ。
朝日新聞も、2024年11月10日の国際面で元民主党員で、現在は共和党員だという女性の声を取り上げ、同様の視点を紹介していた。
曰く、
「人種やジェンダーなどに基づき特定の権利や利益を擁護する
『アイデンティティー政治』
の行き過ぎが、民主党の大敗に繋がった」
という。
2つの記事で
「文化的政策」
とか
「アイデンティティー政治」
と述べられているものは、要するに
「アイデンティティー・ポリティックス」
と呼ばれているものだ。
2023年7月号の本連載でも言及したが、米民主党はかつての土着の労働者政党から、グローバル・エリートら大都市に住む高学歴の
「Woke(目覚めた)」
らの政党に変質している。
米国の政治学者、マイケル・リンド氏は
『新しい階級闘争 大都市エリートから民主主義を守る』(施光恒監訳、東洋経済新報社)
で、労働者と都市エリートとの間で
「新しい階級闘争」
が展開されていると指摘している。
「意識高い系」
とでも理解すればよい
「Woke」
たちがこの闘争で重視するのが
「アイデンティティー・ポリティックス」
だ。
マイノリティーの人権擁護を掲げ、人種差別や性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)などと戦うとする。
当人は多くの場合、マイノリティーではなく、大都市に住む裕福で高学歴の白人エリートなのだが、その余裕からか新奇で観念的なテーマを重視する。
そして、労働者や農村部、非大卒の有権者の日々の暮らしの問題を置いてきぼりにする。
ハリス氏敗北の大きな要因は
「Woke」
への反発と考えてよい。
似たような現象は日本でも起こっている。
2024年10月の衆院総選挙で自民党が大敗した原因は本当に
「『政治とカネ』への国民の怒り」
なのか。
むしろ自民党が岸田文雄前政権で進め、石破茂新政権でも継承し、更に前進させる懸念のある
「アイデンティティー・ポリティックス」
への反発があったことを見落としてはならない。
比例代表票が令和3年の前回総選挙とどう増減したのかを見てみればよく分かる。
自民党は前回から約533万票も減らした。
一方で、岸田政権でのLGBT政策などを批判した参政党と日本保守党は初めての衆院選で合計約301万票を得た。
得票数が2.4倍になった国民民主党にも自民党からこぼれた票がかなり流れたと考えるのが自然だろう。
また、国民民主党は、前回から294万票近く減らした日本維新の会からも引き剝がしたと考えられる。
一方、立憲民主党は議席数こそ50積み上げたが、小選挙区の総得票数は減り、比例でも7万票程度の微増にとどまる。
「アイデンティティー・ポリティックス」
の色合いが強い立憲民主党はさほど支持されず、
「保守色」
の強い参政党・日本保守党や、
「手取りを増やす」
と暮らしの改善を訴えた国民民主党が支持された格好だ。
選択的夫婦別姓制の導入や同性婚の法制化、同性カップルが子供を持つことの容認、トランスジェンダー女性を生来の女性と同じく扱う、性別適合手術をしなくとも性別変更出来るようにする、過剰な外国人擁護などが
「アイデンティティー・ポリティックス」
のターゲットになろう。
これらの政策をいくら進めても自民党は選挙に勝てない。
むしろ岩盤保守層に忌避されるだけだ。
令和7年の参院選に向けて米大統領選の結果を教訓にしてほしい。

「家族の廃止!」という幽霊 危険な選択的夫婦別姓制度
正論2024年12月号 麗澤大学教授 八木秀次
衆院総選挙でも争点化されてしまった選択的夫婦別姓導入の是非について考えてみたい。
夫婦別姓の主張は当初は結婚による改姓で職業上の連続性が断たれることを理由の1つとしていた。
ただ、この問題はほぼ解決している。
住民票や印鑑証明書やマイナンバーカード、運転免許証やパスポートなどでは旧姓併記が認められ、公的な根拠が与えられている。
社会生活での旧姓の通称使用は一般的になり、職業上の連続性は保たれるようになった。
先の自民党総裁選で高市早苗氏が総務大臣在任時に総務省の所管範囲内で旧姓の通称使用を可能とし、他省庁に範を示した。
ただ、未だに
「社会生活での姓の連続性を担保したい」
という声が上がる。
これに便乗したのが
「家族の解体」
を志向する過激な個人主義の考えだった。
現在の民法や戸籍法の構成単位である近代的小家族(核家族)の中にかつての
「家」
制度の残滓を見、拘束要因と捉えてそこから解放された
「個人」
としての存在主張が氏名の次元に現れたものだった。
個人のアイデンティティーが強調され、
「氏名の自己決定権」
なるものが主張された。
ここでの
「個人」
とは夫婦としての横の関係も親子としての縦の関係も希薄なアトム(原子)的存在だった。
だから結婚ごときで姓が変わるなどあってはならない。
「家族解散式」
を提唱した論者もいた。
「家族の廃止!」(『共産党宣言』)
を実践したロシア革命での夫婦別姓導入も称揚された。
ただ、この種の主張は現在、敢えて影を潜めさせているようだ。
さながら
「幽霊」
だ。
実際問題としても選択制であれ、夫婦別姓になると多くの問題が生じ、意図せずとも家族共同体は
「分解」
の方向に作用する。
現行の戸籍は夫婦とその間の子が共通の姓(氏)を称する
「1戸籍1氏姓」
だが、別姓になれば、
「1戸籍2氏姓」
となる。
2氏の家族では共通の姓(ファミリーネーム)が存在しない。
これは氏名の法的性格を変える。
「家族名+個人名」
から純然たる
「個人名」
に変わる。
別姓にしない家族も同様だ。
全国民からファミリーネームを奪うことになる。
家族としての共同体意識を希薄化し、先祖代々の家という概念も消滅する。
墓の問題も生じよう。
別姓夫婦の子はどちらの姓を称するかの問題を抱える。
超少子化の中、祖父母の利害も加わり、姓の取り合いも生じよう。
子が複数の場合、姓が共通かバラバラかという問題も浮上する。
子の姓が決まらなかった場合、家庭裁判所で決めるにしても、その判断基準は難しい。
家庭に司法が介入する。
別姓夫婦の子はどちらかの親と姓が異なる。
子の立場からは
「強制的親子別姓」
となる。
子の精神面の生育への影響も指摘されている。
また、夫婦別姓を導入した独仏では親子証明の書類の携帯が必要になっている。
子の連れ去りや誘拐が疑われるからだ。
結婚改姓の煩わしさをなくすための措置が新たな煩わしさを生んでいる。
制度が導入されれば、現在は同性の夫婦にも選択の機会が与えられよう。
経過措置期間(例えば1年間)の家庭で夫や妻が結婚前の姓を選び、連動して子が父母のどちらかの姓にするかを選ぶことになる。
祖父母の代で別姓を選択すれば、孫の代では最大4つの姓から選ぶことになる。
家庭争議を含め大きな混乱が予想される。
世界で夫婦別姓を導入していないのは日本だけだと批判される。
国連の女性差別撤廃委員会は2024年10月、日本政府の取り組みを審査し、選択的夫婦別姓制を導入するよう勧告した。
8年ぶり4度目だというが、大きなお世話だ。
日本で夫婦別姓の導入が難しいのは戸籍制度が存在するからでもある。
戸籍制度は世界でも稀有なものだ。
かつて導入していた韓国と台湾は事実上廃止した。
夫婦とその間の子を登録する制度に
「2氏」
は馴染まない。
旧姓の通称使用の法的根拠を戸籍に記載する案も事実上
「2氏」
となる。
だから夫婦別姓導入の主張は戸籍制度の廃止論とも一体だった。
戸籍を止めて個人登録にすべきとの主張だ。
戸籍制度の見直しや廃止のコストは計り知れない。
解決策はやはり旧姓の通称使用の拡充しかないことを理解すべきだ。

<主張>国会の代表質問 なぜ台湾を語らないのか
2024/12/4 5:00
https://www.sankei.com/article/20241204-5FXPKEH2CNIPZL6IH7OLXSN67Q/
立民、共産は選択的夫婦別姓導入を求めたが、首相が慎重姿勢を示したのは当然だ。
選択的といっても、片方の親と子の
「強制的親子別姓」
である点を無視する謬論(びゅうろん:誤った議論)だからだ。

夫婦別姓はこうして戸籍を破壊する 断ち切られる家族の一体性、そして縦のつながり
2024/11/27 7:00
https://www.sankei.com/article/20241127-Y77P36UFXVKS7ARDSDVCKH3FXA/
選択的夫婦別姓制度を巡り、推進派の石破茂氏が首相に就き、同制度を重要公約とする立憲民主党が衆院法務委員長のポストを握ったことで、同制度の導入が現実味を帯びてきたと言われる。
そこで懸念されるのが、
「戸籍制度」
の解体だ。
同制度について、戸籍への影響に絞ってみていきたい。
■改正されるのは民法と戸籍法
夫婦別姓の導入には、民法と戸籍法の改正が必要だ。以下、法務省が国会提出に向けて平成22年にまとめた関連法の改正案(国会には未提出)をみていく。
夫婦の姓に関する規定では、民法750条の条文
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏(姓)を称する」
を、
「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若(も)しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称する」
に改正する、としている。
夫婦どちらかの姓を2人揃って名乗るか、婚前の姓をそれぞれが名乗り続けこともできる、というわけだ。
続いて、戸籍法だ。
現行の戸籍法第6条
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及(およ)びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する(以下略)」
を、改正案では
「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製する(同)」
としている。
現行規定では、同じ姓を名乗る夫婦と子の世帯全員が同じ戸籍に入る。
これに対し、改正案では、同姓を希望する夫婦はこれまで通りで、別姓を希望する夫婦の場合は、それぞれの婚前姓を名乗り、子もどちらか一方の姓を名乗るという、2つの姓が混在した世帯が同じ1つの戸籍に入る、というわけだ。
■一つの戸籍には入るが
この改正案であれば、夫婦別姓を選択しても、夫婦や子の戸籍は1つのままである。
だが、
「戸籍法の『同一戸籍同一氏の原則』に反しています」
と指摘するのは、百地章・国士館大学名誉教授(日本大学名誉教授)だ。
「同一戸籍同一氏の原則は戸籍法の大前提
「夫婦別姓制を採用すれば、その原則に反して、同一戸籍の中に別氏の夫婦、親子が混在することになる」
「これは戸籍の解体に繋がる」
という。
「戸籍は、『家族の一体性』と『家名・家系の一系性』を目に見える形で表象するもの」
「同一戸籍の中に別姓の者が混在することになれば、『家族の一体性』が損なわれますから」
■たどれなくなる縦の連続性
家族の一体性だけではない。
現行の戸籍法第14条は
「氏名を記載するには、左の順序による」
とし、
「第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻」
「第二 配偶者」
「第三 子」
と記載順位を定めている。
これに対し、法務省の改正案では、記載順序を
「一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、各自の婚姻前の氏を称するときは子が称すべき氏として定めた氏を称する者」
「二 配偶者」
「三 子」
としている。
先頭に記載される人は、戸籍の
「筆頭者」
と呼ばれ、現行制度では、その姓を辿ることで、
「家名・家系の一系性」
が確認できた。
そこに選択的夫婦別姓が導入されたら…。
「法務省改正案では、同じ家系でありながら、新しい戸籍が作られる度に戸籍筆頭者の名字が変ることもあり得ます」
「そうなれば『家名・家系の一系性』は失われ、先祖を辿ることさえ困難になります」
(百地名誉教授)
「家族の一体性」
という
「横の繋がり」
だけでなく、
「家名・家系の一系性」
という
「縦(垂直)の繋がり」
をも壊すのが選択的夫婦別姓制度なのだ。
選択的夫婦別姓を導入しても
「別姓を望まない人たちには影響はない」
とも言われるが、その影響は同姓を望む人たちにも間違いなく及ぶ。
甘い言葉には騙されないようにしたい。
(大阪正論室参与)

<産経抄>現実味帯びる夫婦別姓 自民の存在意義はどこに
2024/11/23 5:00
https://www.sankei.com/article/20241123-QZXTUY5WZ5PKJCDFJAF5BG2NBE/
立憲民主党が、どちらかの親と子供が別姓となる選択的夫婦別姓で自民党の動揺を誘っている。
社会の基本単位である家族の問題を政争の具に使うのは品がないが、少数与党となった自民内には元々別姓推進派も少なくない。
来年2025年は、家族の在り方が大きく変わる年になるかもしれない。
▼「自民も半分ぐらいは自主投票なら賛成すると思う」
「炙り出す意味でも採決はしたい」。
立民の野田佳彦代表は2024年10月の衆院選後、夫婦別姓実現のための民法改正案の国会提出に意欲を示した。
また、衆院法務委員長ポストを獲得した意味についてこう強調した。
「自民を揺さぶるには、非常に効果的な委員会だ」 。
▼現在は慎重な物言いとなったものの、石破茂首相も就任前は
「やらない理由が分からない」
と語る別姓派だった。
また、国連女性差別撤廃委員会が2024年10月、日本に対して夫婦別姓を導入することを求める勧告を行ったことも、推進派は利用することだろう。
▼経団連など経済団体も推進を求めるが、何故そんなに前のめりなのか。
内閣府の令和3年の世論調査では、夫婦別姓導入を求める回答は28・9%どまりで、同姓維持と同姓のまま旧姓の通称使用の法制度化を望む答えは計69・2%に上る。
国会の動きは民意を読み違えていないか。
▼有村治子参院議員のX(旧ツイッター)投稿によると、2024年11月7日の自民両院議員総会ではこんな意見が複数あった。
「リベラル政策を推し進めた所で、結局その層は、自民党には投票せず、むしろ『どんな時にも自民党』と書いてきて下さった岩盤保守層の底が抜けた」。
▼当然の理屈である。
自民がLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓も推し進めれば、保守政党としての存在意義は失われよう。

立民、選択的夫婦別姓ヒアリング開始 与党揺さぶりへ「肩慣らし」、法案衆院通過に現実味
2024/11/21 19:27
https://www.sankei.com/article/20241121-G4CU6JA62NJFPJE7QPNVA3ZBAQ/
立憲民主党は2024年11月21日、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた民法改正法案の国会提出を目指し、法務省へのヒアリングを国会内で行った。
衆院では立民などの野党が過半数を占めており、これまで自民党が反対していた法案の衆院通過が現実味を帯びている。
与党間や自民党内でも導入を巡る賛否は割れており、立民が与党を揺さぶるための
「肩慣らし」
を始めた。
■首相指示巡りヒートアップ
これまで立民は導入を求めて衆院に9回、参院に16回も民法改正案を提出してきたが、与党側の反対で審議されなかった。
立民は選択的夫婦別姓を実現するため、外務、総務両委員長ポストを与党に差し出して法務委員長ポストを奪取した。
2024年11月21日の会合でも、そうした熱の入れようをうかがわせた。
「首相になって日数が経っておりますけど、石破茂首相から選択的夫婦別姓制度の実現に向けて、何らかの指示は出ているんでしょうか、法務省に」
トップバッターとしてマイクを握ったのは、山井和則国対筆頭副委員長だった。
山井氏は石破氏が自民党総裁選で、選択的夫婦別姓について
「実現は早いに越したことはない」
などとした発言を引きながら、首相指示の有無をただした。
担当者が
「特段コメントを差し控えたい」
などと応じると、石川大我参院議員が
「『ない』なら『ない』って言って頂ければいい」
と詰め寄るなど、出席議員は徐々にヒートアップしていった。
■狭まる自民包囲網
選択的夫婦別姓を巡っては、経済合理性などの観点から夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定変更を求める声が上がる一方、家族や社会の在り方を根底から変革するとして反対の声が根強い。
ファミリーネームを喪失し、子供の姓もバラバラになる懸念もある。
だが、宮口治子参院議員は
「子供と家庭の一体感がなくなるということはあり得ない」
と述べ、別姓でも家族はバラバラにならないと主張した。
重徳和彦政調会長は実際の法案審議に向け、
「親子の姓が違う故に、こんな破滅的な事が起こっている」
というような海外事例の提示を法務省に要請。
山井氏は
「私たちの願い、怒り、要望、思いを首相にぶつける」
と強調した。
与党内では公明党が選択的夫婦別姓制度の導入に賛成で、自民党内にも賛成派がいる。
与野党による自民包囲網は形成されつつある中、立民国対幹部は
「国会採決では自民は党の判断を示さなければならず、各議員の見解が問われることになる」
とほくそ笑んだ。

やっぱり危険な選択的夫婦別姓 子供に「差別」や「アイデンティティー喪失」権利侵害の可能性 日本の国益を大きく損なう
2024.11/15 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20241115-KPV6I3EIDZI27B5UQP7KMOEOWU/
元児童家庭支援士・近藤倫子氏寄稿
石破茂首相(総裁)率いる自民党は、衆院選大惨敗を受け、立憲民主党に衆院予算委員長だけでなく、憲法審査会長と法務委員長まで明け渡した。
憲法改正が停滞する一方、岩盤保守層が警戒する
「選択的夫婦別姓」
の審議が加速する可能性がある。
元児童家庭支援士で著述家の近藤倫子氏が
「選択的夫婦別姓の危険性」
を改めて寄稿した。

衆院は2024年11月13日の本会議で、常任委員長を選出した。
注目の法務委員長には、立憲民主党の西村智奈美元幹事長が就任した。
同党の野田佳彦代表は
「(法務委員長は)どうしても取りたいポストの1つ」
「法務委員会は『選択的夫婦別姓』を審議する場所であり、是非採決まで持ち込んでいきたい」
と公言しており、来年2025年の通常国会への法案提出を狙っている。
筆者は先月2024年10月、夕刊フジに
「石破首相が沈黙『選択的夫婦別姓』の危険性」
とタイトルで緊急寄稿し、
「夫婦別姓の下に生まれた子供は(中略)強制的に父あるいは母と違う姓となる」
「第2子はどちらの姓にするのか、再び夫婦間でもめる可能性が考えられる」
「子供の最善の利益を享受することができるだろうか」
と問題提起した。
この寄稿に対し、多くの読者から
「選択的夫婦別姓は『強制的親子別姓』であり、『兄弟姉妹別姓』に繋がり、家族の絆が危うくなる」
「別姓夫婦の下に生まれる子供が心配だ」
など、賛同の声を頂いた。
別姓推進派は
「選択肢が増えることはいい」
「現行の夫婦同姓は女性差別、アイデンティティーの喪失を感じる」
と主張するが、そこには子供への愛情は感じられない。
国連総会で1989年、子供の保護と基本的人権の尊重を促進する
「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」
が採択された。
この条約では、子供が
「権利の保有者」
であり、それを守る
「義務の担い手」
として国と大人が定められている。
そして、日本の
「こども基本法」
にも、
@差別の禁止
A子供の最善の利益
B生命、生存及び発達に関する権利
C子供の意見の尊重
などと、子どもの権利条約の基本的な考え方が取り入れられている。
選択的夫婦別姓が施行された場合、筆者は
「子供への権利侵害」
として、@からCの全てが該当すると考える。
出生時に、強制的に父または母と異なる姓を与えられた子供は、
AとCが侵害される。
育つ過程では、@とBが侵害される可能性がある。
別姓推進派が主張する
「差別」

「アイデンティティーの喪失」
が、子供に行われる可能性が否定できないのだ。
次世代の日本を担う子供たちを守ることは、今の世代を受け持つ大人や国の義務である。
「強制的親子別姓」
「強制的兄弟姉妹別姓」
は、未来の日本の国益を大きく損なうと改めて指摘したい。
■近藤倫子(こんどう・りんこ)
元児童家庭支援士、著述家。
1975年生まれ。
日本女子大学卒。
Gakken、展転社にて連載。
月刊WiLL執筆メンバー。
ユーチューブ番組「デイリーWiLL」水曜担当。

公明、選択的夫婦別姓導入へ「自民を説得したい」 斉藤鉄夫代表が石破首相に働きかけへ
2024/11/15 0:06
https://www.sankei.com/article/20241115-HATOQ6BEZBPO5JWYW4R7HQG55I/
公明党の斉藤鉄夫代表は2024年11月14日のBS11番組で、選択的夫婦別姓制度導入に向け、石破茂首相に働き掛ける意向を示した。
「首相を通じ、自民党を説得したい」
「世界の大勢を見ても進めていくべきだ」
と述べた。
立憲民主党が、関連法案の審議が見込まれる衆院法務委員会の委員長ポストを確保したことに関し
「実現に向け状況が1つ進んだ」
と強調した。
選択的夫婦別姓制度を巡っては、自民内の保守系議員を中心に慎重論が根強い。
首相は2024年9月の総裁選で導入に前向きな考えを示していたものの、首相就任後は
「更なる検討が必要だ」
と述べるにとどめている。

立民、参院選での女性議員増へ方針確認 衆院選で党派別最多 辻元清美氏「がんと増やす」
2024/11/13 19:42
https://www.sankei.com/article/20241113-7QS6PF5UA5IARLISZQCHYKGJTI/
立憲民主党は2024年11月13日、ジェンダー平等推進本部の総会を国会内で開き、来年2025年夏の参院選で女性議員の増加を図る方針を確認した。
先の衆院選では党派別で最多となる30人の女性議員を当選させた。
総会には初当選組を含めて女性議員が多く集まり、選択的夫婦別姓の早期実現を目指すことも申し合わせた。
辻元清美本部長は冒頭
「来年2025年の参院選で女性議員をがんと増やすため力を合わせよう」
と強調。
候補者擁立の取り組みに加え、女性議員が全国各地で支持の掘り起こしに努めるよう呼び掛けた。
党がまとめた選択的夫婦別姓の導入法案についても内容を再確認し、辻元氏が
「公明党や自民党議員も賛同して、提出者に名前を連ねてほしい」
「幅広く呼び掛けて成立させたい」
と訴えた。
立民は衆院選の女性候補発掘に注力してきた経緯がある。
党公認で国政選挙に初挑戦する女性に100万円を貸し付ける制度を設けるなど支援体制を整えてきた。

夫婦別姓「広く理解進むこと大事」 鈴木法相が就任会見 個人的な賛否は差し控える
2024/11/12 15:13
https://www.sankei.com/article/20241112-OOYOQ6NCGNJCJID36ROF2HUHAY/
鈴木馨祐法相は2024年11月12日、法務省で就任記者会見を行い、選択的夫婦別姓制度の導入に関し
「国民、国会議員の間で議論頂き、より広く理解が進むことが大事だと思う」
と述べた。
個人的な賛否は差し控えるとした。
未執行のまま2年以上が過ぎた死刑制度については、人命を絶つことになるため慎重さが求められるとしつつ
「確定した刑の執行が厳正に行われることは極めて大事だ」
と堅持する姿勢を示した。
静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(88)を無罪とした再審制度の在り方には
「丁寧な検討が必要だ」
と話すにとどめた。
外国人材の受け入れを巡っては、技能実習に代わる新制度
「育成就労」
が令和9年にも始まる。
労働者が自国の送り出し機関に手数料を徴収されるといった現状の課題を挙げ
「人権に関する問題を解決し、魅力ある制度にしていきたい」
と意気込んだ。

<主張>第2次石破内閣 外交安全保障を忘れるな 信なき首相の続投は残念だ
社説
2024/11/12 5:00
https://www.sankei.com/article/20241112-BIB4HX3FOBIO3FPQQTDDUGYGJY/
野田氏は衆院法務委員長を得たのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだとSNSで明かし、
「自民党を揺さぶるには非常に効果的だ」
とも語った。
石破首相と自民は、家族や社会の有り様に関わる基本問題の変更は絶対に受け入れてはならない。

立憲民主の野田代表「選択的夫婦別姓の実現が狙い」、衆院法務委員長ポスト確保
2024/11/8 23:26
https://www.sankei.com/article/20241108-4DYXZXLZN5KD7NKNCCJ4PQ5R7Q/
立憲民主党の野田佳彦代表は2024年11月8日、党のX(旧ツイッター)の動画で、衆院法務委員長のポストを確保したのは選択的夫婦別姓の実現が狙いだと明らかにした。
「野党は協力できると思うし、公明党も多分賛成だ」
「自民党を揺さぶるには非常に効果的な委員会だ」
と語った。
立民は、選択的夫婦別姓を審議する法務委員会の委員長ポストをどうしても獲得したかったため、常任委員長の割り当てを減らしたと説明。
「ぜひ採決まで持ち込みたい」
「楽しみにしてほしい」
と予告した。

衆院議長に自民額賀氏、副議長は立民玄葉氏 常任委員長ポストは与党10、野党7で確定
2024/11/8 13:46
https://www.sankei.com/article/20241108-MSJTCVDPVNL5RLCQDWU7S5ACE4/
衆院は2024年11月8日、各派協議会を国会内で開き、議長に再選となる自民党の額賀福志郎氏、副議長に立憲民主党の玄葉光一郎氏を推す方針を確認した。
特別国会召集日の2024年11月11日に本会議で選出される。
与野党は会期を2024年11月14日までの4日間とし、2024年11月11日に首相指名選挙を実施する日程でも合意した。
衆院選での与党過半数割れを受けて17ある常任委員長ポストの配分を見直し、与党10、野党7で確定した。
予算案を審議する予算委員会の委員長は立民に割り当て、本会議の日程や議事を決める議院運営委員長は自民が引き続き担う。
衆院選前は自民が13の委員長ポストを占めていた。
当初は与党9、野党8で調整していたが、立民が2つを手放す代わりに法務委員長ポストを得た。
選択的夫婦別姓の導入に関する議論を促進する狙いがある。
憲法審査会の会長ポストは野党に割り当てた。
立民が確保する。
自民などが目指す憲法改正に向けた議論に影響が出る可能性がある。

高橋洋一「日本の解き方」
衆院選「漁夫の利」で議席大幅増、野田立民への不安 政策は増税と引き締め路線、実行すれば失業者が多発する
2024.10/30 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20241030-VOULLRI2FZLU3PKFXVAAN4MGSM/
立憲民主党が衆院選で議席を大幅に増やした。
今後、国内政策や外交、経済にどんな影響が出るだろうか。
衆院選では、
「人気が高い」
と思われていた石破茂首相が、発言のブレや解決済みの
「政治とカネ」
を蒸し返す戦術ミスなどで火だるまになった。
そこで漁夫の利を得たのが野党第一党の立憲民主党だった。
今回の選挙戦は、争点が
「政治とカネ」
の問題に終始し、経済政策や外交・安保に割く時間が少なかった。
そもそも首相就任から、衆院選までの期間も短かったので、政策論は生煮えだった。
相対的に浮上した立憲民主党だが、その政策は、とても褒められたものではない。
本コラムでも指摘したが、野田佳彦代表は、金融所得課税の強化や法人税の引き上げもあり得ると述べた。
金融政策についての見解もひどく、日銀の物価安定目標を
「2%」
から
「0%超」
に変更するとしている。
インフレ率が0〜2%なら、失業率が最低水準であるNAIRU(インフレを加速しない失業率)を示す2%台半ばをかなり上回ってしまう。
恐らく120万人くらいの職が失われるだろう。
また、低いインフレ率だと、名目賃金上昇率がインフレ率を下回ることもしばしばある。
このため実質賃金の上昇率がマイナスになりがちだ。
「最低賃金1500円以上」
も掲げているが、これが無理筋なのは本コラムで何度も書いている。
こうしてみると、立憲民主党の政策は、かなり石破政権と似ている。
率直に言えば、石破自民と野田立民の政策が接近している。
選択的夫婦別姓や原発に依存しない社会の実現、日米同盟が外交安保の基軸だとしつつ、安全保障関連法に関しては違憲部分の廃止を掲げ、外交や安全保障は、極端に180度すぐ変えることは出来ないとし、現状維持を滲ませている。
このように、左傾化している石破政権と、右傾化した野田立民は、政策が驚くほど似ている。
もし、石破政権が今後も続くのであれば、大連立もあり得るかもしれない。
そうであれば、野田立民の政策はかなり実現するだろう。
しかし、衆院選で石破政権が自滅したので、自民党内の政治力学からいって、石破政権がこのまま継続するというのはなかなか考えにくい。
政治は一寸先は闇なので、どのような政界再編が待っているのか予測するのは困難だ。
石破政権が生き残りのために、敢えて野田立民との大連立を仕掛けてくる可能性もゼロではない。
いずれにしても、野田立民の衆院選後の影響力は、政界再編の枠組みによって異なってくる。
石破政権が潰れれば大連立はないとみられるが、その場合でも与党の議席は少ないので衆議院選で一定の議席を得た立憲民主党の影響力は間違いなく増すだろう。
今回の衆院選は、左派の石破自民にお灸を据えるために、右傾化した野田立民に投票したという面があるのではないか。 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

選択的夫婦別姓「国民の理解を」 三原じゅん子男女共同参画担当相
2024/11/1 16:40
https://www.sankei.com/article/20241101-S5WZR6GNFBNGPABRN2WABUZFB4/
三原じゅん子男女共同参画担当相は2024年11月1日の記者会見で、国連の女性差別撤廃委員会が導入を勧告した選択的夫婦別姓制度について
「今の制度を否定するものではなく、国民の理解が深まるよう情報提供を行いたい」
「引き続き議論を後押ししたい」
と述べた。
三原氏は、選択的夫婦別姓制度は
「夫婦が同一の氏を称することを望む場合には、現在と同様に、夫婦が同氏を称することを認める制度だ」
と改めて説明。
「(夫婦同姓の強制により)各方面から指摘されている不便さや不都合への対応などを検討する」
とも語った。

<主張>皇位継承への干渉 政府は国連の暴挙許すな
社説
2024/11/1 5:00
https://www.sankei.com/article/20241101-VOPXN7QVPNKBZFEQF3CGTN3BRU/
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の皇位が男性皇族によって継承されているのは女性差別撤廃条約と相容れないとして、皇室典範改正を勧告した。
日本の女性政策に関する最終見解に盛り込んだ。
この勧告に法的拘束力はない。
主権国家における君主の位の継承は国の基本に関わる。
国外勢力が決して容喙(ようかい)してはならない事柄だ。
「女性差別」
と関連付けた勧告は誤りと悪意に満ちた内政干渉であるのに加え、日本国民が敬愛する天皇への誤解や偏見を内外に広める暴挙で断じて容認できない。
林芳正官房長官は会見で
「大変遺憾だ」
「委員会に強く抗議すると共に削除を申し入れた」
と語った。
林氏は、皇位継承の資格は基本的人権に含まれず、条約第1条の女子への差別に該当しないと政府が説明してきたにもかかわらず、委員会が勧告したことを明らかにした。
抗議と削除要請は当然だが、それだけでは不十分だ。
削除に至らなければ、国連への資金拠出の停止・凍結に踏み切ってもらいたい。
条約脱退も検討すべきである。
委員会は国連総会が採択した女性差別撤廃条約により設けられ、弁護士や学者、女性団体代表ら23人の委員が締約国の女性政策への勧告を行っている。
ローマ教皇には男性が就くが、バチカン市国は締約国でないため勧告対象から外れている。
委員会が日本の皇室を理解していないのは明らかだ。
男系男子による継承は皇位の正統性に直結している。
この継承原則が非皇族による皇位簒奪(さんだつ)を妨げてきた意義は大きい。
また、一般男性は皇族になれないが、一般女性は婚姻により皇族になれる点からも、女性差別との決めつけが如何に不当か分かるはずだ。
歴史や伝統が異なる他国と比べるのも論外である。
委員会は2016年にも皇室典範改正を最終見解に盛り込もうとしたが、日本政府の強い抗議で削除した。
今回そう出来なかった点を政府は猛省し、対策を講じてもらいたい。
最終見解では、夫婦同姓を定めた日本の民法も
「差別的な規定」
とし、選択的夫婦別姓の導入を勧告した。
これも日本の文化や慣習に無理解かつ傲慢な内政干渉という他なく、女性差別という誤った文脈で語られるのは許されざることだ。

家族観揺るがす「選択的」夫婦別姓 ファミリーネームを守ろう
風を読む 論説副委員長・川瀬弘至
2024/10/26 10:00
https://www.sankei.com/article/20241026-2UX5TUHXUFNMRL43R474FGD3TM/
国連の女性差別撤廃委員会が2024年10月中旬、日本の女性政策に関する会合を開き、選択的夫婦別姓などについて審査した。
近く最終見解をまとめ、日本に法改正などを勧告する可能性が高いという。
内政干渉であり、余計なお世話だと言いたいところだが、今回の衆院選でも選択的夫婦別姓の導入を訴える候補者は多い。
選挙後の国会で焦点となるのは必至だろう。
だが、
「選択的」
という言葉に誤魔化されてはならない。
導入派は夫婦同姓の現行制度を、女性差別だと主張しているからだ。
現行でも夫か妻の姓を
「選択」
できる。
にもかかわらず女性差別になるなら、同姓を
「選択」
しても女性差別と言われかねない。
もしも選択的夫婦別姓が導入されればどうなるか。
別姓を
「選択」
せよと、社会的圧力が確実に増す。
ファミリーネームが喪失し、子供の姓もバラバラになる。
家族の一体性という、日本人の倫理観の根底にあるものが崩れてしまうのだ。
政府は、現行制度のまま旧姓の
「通称使用」
拡大を進め、住民票や運転免許証、パスポートなどに旧姓を併記できるようにしてきたが、抜本的な解決策ではないと批判する別姓論者の鼻息は荒い。
この問題に詳しい弁護士の高池勝彦氏によれば、現行制度を合憲としてきた最高裁の判断が覆り、通称拡大でも違憲となる恐れがあるという。
そうなれば万事休すだ。
選択的夫婦別姓を回避し、家族の一体性を守る策はないか。
「1つある」
と、高池氏は言う。
「婚前氏(こんぜんし)続称制度」
を新設するのである。
結婚する際に旧姓(婚前氏)の使用継続を届け出れば、戸籍にその旨を記し、公的にも使用できるようにする案だ。
ただし戸籍上の
「氏」
は夫婦同じで、別姓ではない。
子供の学校行事などはファミリーネームで、仕事は旧姓でと、使い分けることができるように民法を改正するのである。
婚前氏続称制度の新設は、数年前から稲田朋美元防衛相が提唱している。
稲田氏はLGBT法推進などで保守派の反感を買い、この案も保守派には余り浸透していないようだが、検討する価値はあるだろう。
このままではファミリーネームを守れないと、保守派は肝に銘じたい。

自民党総裁選の失敗…なぜ「夫婦別姓」だったのか 阿比留瑠比
正論10月号 「政界なんだかなあ」
2024/10/2 7:00
https://www.sankei.com/article/20241002-UZSDGX2IWZFGXM6JFOTIFZEOHU/?outputType=theme_monthly-seiron
今回の自民党総裁選で、1つの争点として再浮上した問題が、選択的夫婦別姓を認めるか否かだった。
私は元々こうした家族や性の在り方といった心に関する問題に、政治が介入するのは極めて慎重であるべきだと考えるが、次期衆院選が近い現在、わざわざこの問題を持ち出すのは政治的にも下手なやり方だと感じた。
私は本誌の令和5年4月号で、安倍晋三元首相がこの問題と政治家の
「大局観」
について、次のように話したエピソードを紹介したのでその部分を再掲する。
《建前とはいえ保守政党を名乗る自民党が、時代の流れだからとばかりに安易にリベラル派に同調することは、政治的にも愚策ではないか。
安倍氏は嘆いていた。
「LGBT問題や夫婦別姓に関しては、野党側ははなから一枚岩なんだから、自民党が揉めている姿を晒しても野党を利するだけではないか」
「そういう大局を見渡せる政治家が今は少ない」
活動家たちは、自民党議員が自分たちの意見を取り入れたら拍手喝采はするだろうが、決して自民党には投票しない。
「多様性を巡る象徴的なテーマである選択的夫婦別姓を認める決断をすれば自民党は道が開けるのではないか」
小泉進次郎元環境相は神奈川新聞のインタビューでこう述べていたが、これこそ典型的な勘違いだと言える。
左にウイングを延ばしてもそこに票田はない。
選択的夫婦別姓もまた、別姓を選んだ夫婦と同姓を選んだ夫婦との間で心理的な断絶を生みかねない。
安倍氏は岸田文雄首相について、こう語っていた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に『(片方の親とは別姓になる)子供の視点が全然ない』と話していた」》
それから僅か1年半後、小泉氏は選択的夫婦別姓を主要政策の1つに掲げて総裁選に出馬した。
恐れていた通りに事態が進展したのである。
リベラル政策を推進する一部自民党議員の頑迷さには、ほとほと手を焼く。
自民党がLGBT法や選択的夫婦別姓問題で立憲民主党など野党と同じか近いスタンスを取るならば、自民党の存在意義自体が問われることになるのが、どうして分からないのか。
■基本的な事実誤認
小泉氏は9月6日の出馬表明記者会見で、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
を掲げて明言した。
「経済界も早急な対応を求めている」
「最近の世論調査を見れば、選択制であれば別姓という選択肢を認めてよいのではないかという意見が増えている」
「1人1人の願いを聞かず議論を続けて30年」
「もう議論ではなく決着をつける時ではないだろうか」
「私が首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進める」
「(1年以内に)30年以上議論を続けてきたこの問題に決着をつけ、1人1人の人生の選択肢を広げる」
「党議拘束をかけずに、この法案の採決に挑む」
「旧姓使用で対応可能なのではないかという声は、私も承知している」
「ただ、多くの金融機関では旧姓で銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、不動産登記ができない」
「契約書のサインも認められない場合がある」
「研究者については、論文や特許の取得時に戸籍上の氏名を用いる必要があって、旧姓は利用できないということだ」
この小泉氏の言葉に対しては、やはり総裁選に出馬していた高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾たかし前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
として、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
「研究者は、論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須」
などと書かれていた。
小泉氏は選択的夫婦別姓の推進理由について
「経済界も早急な対応を求めている」
と話しており、やはり経団連の提言を見たのであろう。
9月10日に行われた立憲民主党の4人の立候補者と党所属女性議員との討論会でも、4人全員が選択的夫婦別姓に賛意を示した他、そのうちの1人である野田佳彦元首相がこう述べていた。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
更に、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(7月14日号)も1面トップ記事で
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げている。
間違いを流布した経団連の罪は重く、結果的に小泉氏に恥をかかせたことになる。
実際には、高市氏らが指摘したように事実関係は以下の通りである。
一、今年4月から「旧姓併記」での不動産登記が可能。
一、令和3年10から「旧姓併記」での特許申請が可能。
一、全国の6割の銀行や信用金庫で旧姓名義の口座開設が可能。
一、世界で1000万人が利用するORCID(オーキッド)システムへの登録により、「旧姓」や「別名」でも論文発表が可能。
つまり、経団連や小泉氏がいう旧姓(通称)使用による不便さの多くは既に解消されているか、徐々に解消へ向かうかしているというわけである。
■子供への配慮がない
また、小泉氏は
「議論を続けて30年」
になるから決着を着けると言うが、30年も決着が着かなかったのにはそれだけの理由があるからだろう。
人の心や家族の問題を、何でも簡単にぶった切ればいいというものではない。
この点について今回の総裁選で注目すべき論点を挙げたのが上川陽子外相だった。
上川氏は9月14日の日本記者クラブ主催の討論会で、選択的夫婦別姓には
「個人的には賛成」
だとしつつ、次のように慎重論を説いていた。
「社会が分断をしてしまう」
「深い分断に陥る危険性、リスクについては、しっかりと納得をしていくプロセス、これを更に深めていく必要があるのではないか」
「こういった1つの事柄で社会全体が分断をしてしまうような案件を賛成反対、更には分断をしてしまうのではないかという状態を残したまま、決定してしまうということは、日本の国の力を削ぐことにも繋がりかねない」
これは冒頭に紹介した安倍氏の言葉にも通じる所があり、的を射ている。
実際、選択的夫婦別姓問題が浮上する度に自民党は分断を繰り返してきた。
それが法案を提出して採決となれば、日本社会全体に対立の構図を新たに作ることになってしまう。
もしこれが成立し、施行されれば夫婦同姓を選ぶか、別姓を選ぶかという対立軸も生まれる。
別姓を選んだら民主的・進歩的で、同姓派は守旧派呼ばわりされる場面も出てきそうである。
家同士、親族同士の対立も容易に想定できる。
夫婦別姓となれば、必然的に片方の親とは別姓になる他、制度の組み立て方によっては兄弟で別姓ということもあり得るが、それを子供がどう受け止めるという問題も重要である。
また、安倍氏が岸田氏の言葉として紹介した
「子供の視点が全然ない」
のが、これまでの夫婦別姓論議だったが、今回の総裁選でそこを小林鷹之元経済安保担当相が指摘したのも良かった。
9月15日の討論会ではこう語った。
「令和3年に内閣府がやったアンケートに、調査によってもその同姓を維持すべき方と、同姓を維持しつつ旧姓の通称使用を法制化するという方、これが4割ぐらいいる」
「そこを合わせると7割いる」
「そういうまだコンセンサスが形成されてない中で、早急にばんと決断するということは、政治の在り方として適切ではない」
「重要なのは大人の選択の権利を認めるにしても、生まれてくる子供たちの視点を、私たち政治家は無視してはいけない」
「家族、兄弟姉妹の中で姓が異なる家庭が出てくる可能性がある以上、そうした子供たちの視点にも立って慎重にコンセンサスを丁寧に粘り強く作っていくのが政治の本質だ」
この当事者である子供の視点に関する議論が、これまで政治家の公の場での議論やマスコミで取り上げられることはほとんどなかった。
経団連のような経済合理性だけで割り切れる話ではそもそもないのである。
■思考の深さが見える
ちなみに小林氏が挙げた内閣府の調査
「家族の法制に関する世論調査」
では、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.9%にとどまっている。
一方、
「夫婦同姓制度を維持した方がよい」(27.0%)

「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」(42.2%)
で、夫婦同姓制度の維持派が7割近くに達する。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては、
「好ましくない影響があると思う」が69.0%で、
「影響はないと思う」は30.3%にとどまる。
今回の総裁選に当たり、読売新聞が9月13日から15日まで実施した世論調査でも、夫婦の名字に関し同様の傾向が表れている。
それによると、
「夫婦は同じ名字とする制度を維持しつつ、通称として結婚前の名字を使える機会を拡大する」(47%)

「夫婦は同じ名字とする今の制度を維持する」(20%)
を合計すると67%で7割近くとなる。
「法律を改正して、選択的夫婦別姓制度を導入する」は28%
と、内閣府の調査と符合する。
小泉氏が出馬表明記者会見で述べた
「最近の世論調査」
とは何を指すのだろうか。
しかも子供に対して直接意見を聴いた世論調査は寡聞にしてほとんど知らないし、見当たらない。
このこと自体が、これまでの選択的夫婦別姓論議の根本的な偏りを示しているといえよう。
ただ、NHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)の
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問が一問だけあり、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「自分の名字でも、相手の名字でも、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を、相手の名字に変えたい」
という積極的な改姓派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%にとどまっていたのである。
そんな子供らが、果たして
「片親別姓」

「兄弟別姓」
を望むだろうか。
わざわざ日本からファミリーネームを消し去ることに何の意味があるのだろうか。
高市氏は既に平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出している。
これを成立させれば、国、地方公共団体、事業者などに通称使用のための
「必要な措置」
を講ずる責務があるとの法的根拠が生まれる。
また、総裁選立候補者の加藤勝信元官房長官も産経新聞のインタビューにこう答えている。
「『旧姓続称制度』を提案した」
「法律に旧姓使用を書き込むことで政府の様々な手続きで『旧姓でよい』という形にする」
「家族制度の基本はしっかり守り、今ある不都合を解消していく」
旗色が悪くなったと感じたのか、小泉氏は9月15日には産経新聞のインタビューで、高市氏が求める旧姓の通称使用法案も同時に国会で採決する可能性も排除しない考えを示した。
このままでは自民党議員、党員の中に少なくない選択的夫婦別姓反対・慎重派の票が逃げるとみたのだろうが場当たり的である。
それぞれの候補が、物事をどれくらい考えているかが分かる総裁選でもあった。
(月刊「正論」11月号から)
あびる・るい

<正論>自由主義からの「夫婦別姓」反対 
青山学院大学教授・福井義高
2024/9/20 8:00
https://www.sankei.com/article/20240920-VE7CYZ4YORI6LLBAB6DFBHQXSM/
■本来のリベラルの立場から
自民党総裁選でにわかに争点化された選択的夫婦別姓を巡っては、導入賛成のリベラルと同姓維持を求める保守の対立という構図で語られるのが通例である。
しかし、ここでは、夫婦同姓は日本国憲法の思想的基盤でもある古典的自由主義即ち本来のリベラルの立場からも支持できるものであることを示す。
何かと国家(ステート)を利用して自らの主張を実現しようとする今日、リベラルと呼ばれる人たちと異なり、本来のリベラルは国家に懐疑的であり、特定の設計図に基づいて社会を改造しようとすることは、人知を超えた傲慢とみなす。
我々の予測能力は極めて限定的であり、新たな制度を導入した場合、意図しない結果が生じることがむしろ常なのである。
現行制度は何かと欠点が目立つ一方、新しい制度はメリットばかりが強調される。
しかし、郵政民営化などと違い、家族に関する制度の変更は、事前には想定できなかった大きなデメリットが明らかになっても後戻りできない。
従って、その変更にはより慎重であるべきで、旧姓の広範な使用など、夫婦同姓を維持したまま柔軟に対応することこそ、本来のリベラルが取るべき道であろう。
異性間であれ同性間であれ、個人の感情の問題に国家が関与すべきではない。
法制度としての結婚は、個人間の愛情を国家が承認するためのものではなく、家族という社会の基本単位を法的に保護し、子供の健全な発達を支えるためのものである。
本来のリベラルは、共同体を維持発展させるための道具に過ぎない国家を相対化し、その暴走を防ぐためにも、個人と国家の間に様々な中間団体が並立することが不可欠と考える。
その中で最重要な存在が核家族なのだ。
尚、家族の在り方が多様化した米国でも、事実婚ではなく正式に結婚した実の両親と一緒に暮らすことが子供の発達に最善というのは、実証研究のコンセンサスとなっている。
■別姓下の究極の女性差別
基本単位を家族ではなく核家族としたのは、あくまで夫婦(両親)と子供で1つの単位であり、祖父母など親類はその外側に位置する2次的な存在だからである。
夫婦別姓の導入は、家制度的発想に基づき、子供の姓を巡って、こうした外側からの介入を促すことになろう。
同じ儒教圏として日中韓台を文化的に同一視する見方があるけれど、夫婦同姓の日本には、日本より遥かに家系を重視する別姓の中韓台で深刻な問題となった究極の女性差別も存在しない。
医療技術の進歩で出生前に性別が分かるようになったため、中韓台では女児に限り中絶することが男女比を大きく歪める(男児過多・女児過少)ほどの規模で行われるようになったのである。
儒教的家族観が一定の影響を持つ日本では、夫婦同姓はむしろ女性の立場を守るとも言える。
進化心理学、行動遺伝学の観点からも、女性を守る家族制度という点が重要である。
とはいえ自らの主張を絶対視しないのが、本来のリベラルの立場である。
夫婦別姓の是非を巡っても同様で、最後は民意に基づき決めるのがあるべき姿であろう。
■エリートの家族観との乖離
議会制民主制においては、直接投票で選ばれる議会を通じた間接的政治決定が原則である。
しかしメディアのみならず、行政や司法を通じたエリートによる価値観の押し付けが顕著な今日、これまでデモクラシーにおける懸念事項とされてきた大衆の暴走ではなく、民意と乖離したエリートの暴走の抑止が重要となってきている。
従って、財政や国防などと違い、イエスかノーかで答えることができる価値観に関わる問題については、国民に直接問うことが望ましい。
今日のエリートと一般国民の価値観の乖離の大きさを示す実例が、2024年3月にEU加盟国であるアイルランドで行われた、家族・子育てに関する条項の憲法改正に伴う国民投票の顚末である。
議会を通過した改正案は大きく3つからなる。
まず結婚に基づく家族を国家の保護対象とするという条項に、結婚に限定せず別の家族の在り方も含める。
また家庭(ホーム)における女性の貢献が不可欠という条項から、女性と家庭という言葉を削除し、家族のメンバーによるケアと書き換える。
そして母親が経済的必要性から家庭での務めを犠牲にすることがないよう国家が配慮するという条項を削除するというものである。
要するに日本とも共通するエリートのコンセンサスである「新しい」家族観の明文化である。
ところが、投票結果は反対が賛成の倍以上となり、民意によって憲法改正は退けられたのだ。
選択的夫婦別姓に限らず、価値観に関わる問題については、賛成反対どちらの立場であっても、国民投票で決めるのであれば、しこりを残すことなく、ほとんどの国民は、その結果に納得するのではなかろうか。

自民総裁選「選択的夫婦別姓より、話すべきことあるはず」 仏紙東京特派員アルノー氏
2024/9/18 11:04
https://www.sankei.com/article/20240918-EOERMIHNK5CJDICIHRLTD4UJGA/
自民党総裁選を知日派の外国人はどう見ているのかー。
フランスの主要紙フィガロの東京特派員、レギス・アルノー氏が産経新聞のインタビューに応じ、
「日本にとって真に重要な問題が議論されていないことに驚く」
と候補者討論に疑問を呈した。
ーー総裁選をどうみる
今の日本が直面する重要問題が全く討議されていないと感じる。
人口減少に伴い、移民受け入れはどうするのか。
秋になっても連日、気温が30度を超える異常気象が続き、エネルギー計画も喫緊の課題となっている。
国民はスーパーで主食のコメが買えずにいるというのに、どうしたことか。
候補者討論では『選択的夫婦別姓』が議題になった。
しかし、誰も戸籍制度をなくすとは言わない。
小手先の改革なら、他に話すことがあるだろう。
衣料品店『ユニクロ』を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が『このままでは日本人は滅びる』というほど、国を取り巻く環境は深刻だ。
■変わり映えしない政治…「以前は違った」
ーー自民党政治については
総裁選は『次の首相』を選ぶ重要な選挙だが、国民は投票できず、まるで水族館の水槽を眺めているように見える。
パリの編集部に記事を売り込んだら、『結果を書けばよい』と言われた。
変わり映えのしない自民党政治に対し、フランスで関心は極めて薄い。
自民党も以前は違った。
2000年代、小泉純一郎首相(当時)は『自民党をぶっ壊す』と言い、公約の郵政改革を進めて国民の支持を集めた。
皇室改革論議も始まり、二階俊博幹事長(同)は女性天皇の容認に踏み込んだ。
現在、小泉進次郎元環境相は党内リベラル派と言われるが、皇位継承の在り方を巡って明確な発言を避ける。
他の候補も同じだ。
批判されるのが怖いのだろうか。
野党は政権奪回の兆しすら見えず、現状ではNGO(非政府組織)と変わらない。
ーー日本の現状をどうみる
新型コロナウイルス流行後、非常に保守的になったと感じる。
内向きになったということだ。
コロナ対策で日本は欧州のように都市封鎖をせず、皆が行動を自制することで乗り切った。
結束の強さは安全な社会を作る一方、異論を嫌う性格を強めた。
民主主義国家なのに、環境保護や女性の権利を声高に訴えると、社会で孤立を強いられる。
移民については門戸を閉ざしたままで、姿勢はフランスの極右に近い。
レギス・アルノー氏
仏紙フィガロ東京特派員。
日仏2カ国語ビジネス誌「フランス・ジャポン・エコー」編集長。
著作は「誰も知らないカルロス・ゴーンの真実」(2020年、共著)など。

選択的夫婦別姓は争点か 銀行、国家資格、パスポート…「不都合な状態」ほぼ解決済み
2024/9/17 14:26
https://www.sankei.com/article/20240917-FMNXIISCNJA3DAR4V52ZK4FYHM/
自民党総裁選に立候補した小泉進次郎元環境相が表明したことによって、一大争点のようにメディアで取り扱われ始めた選択的夫婦別姓制度導入。
小泉氏は
「長年議論して決着がついていない」
と言うが、自民党は過去の国政選挙の公約などでは結婚前の旧姓(戸籍名)使用の幅広い導入を掲げ、実現してきた。
そもそも争点化されるべきテーマなのか。
夫婦別姓をめぐる議論は、働く女性が増えたことで、婚姻後の職場での旧姓呼称や国家資格、免許証などの旧姓使用を認めるべきという考え方からスタートした。
内閣府男女共同参画局が令和6年6月27日付で出した
「各種国家資格、免許等における旧姓使用の現状等について」
によると、2024年5月31日現在、320の国家資格、免許などのうち317で資格取得時から旧姓使用ができる。
残る3資格は
「資格取得後に改姓した場合は旧姓使用ができる」
となっており、旧姓使用ができないものはゼロだ。
マイナンバーカード、運転免許証、パスポートも既に旧姓併記ができるようになっている。
パスポートは
「旧姓/Former surname」
の説明が付記される。
一方、夫婦別姓の導入を呼びかけている経団連が2024年6月に出した資料には
「ビジネスの現場における通称利用の弊害例」
がある。
一部の弊害例に対する現状は次のとおりだ。
【例:多くの金融機関では、ビジネスネームで口座をつくることや、クレジットカードを作ることができない】
多くの金融機関ではできる。
令和4年3月に内閣府と金融庁が金融機関に行った
「旧姓による預金口座開設等に係るアンケート」
によると、銀行の約7割、信用金庫の約6割が、旧姓名義による口座開設と、婚姻などで改姓した場合、既存口座の旧姓名義による取引を認めていると回答した。
信用組合は1割超にとどまっているが、これは
「共同センターのシステムが未対応となっていることなどから」
という。
【例:通称では不動産登記ができない】
2023年の法務省令改正により、旧姓併記でできるようになった。
【例:研究者は論文や特許取得時に戸籍上の氏名が必須であり、キャリアの分断や不利益が生じる】
旧姓での論文執筆はほとんどの研究機関で認められている。
特許出願については旧姓併記が可能になったが、旧姓のみでの出願はできない。
■まずは周知徹底を
一方、2024年8月24日配信の共同通信によると、主要企業111社に実施したアンケートで、選択的夫婦別姓を
「早期に実現すべきだ」との回答は17%、
「将来的には実現するべきだ」は4%
で計21%にとどまった。
「結論を急がず慎重に議論を進めるべきだ」(9%)、
「夫婦同姓を維持した上、通称使用の法制度を設けるべきだ」(3%)
といった回答は計12%で、
67%は「その他・無回答」だった。
経団連が制度導入に前向きであるにもかかわらず、アンケートは傾向が違った。
共同通信も
「個別企業では慎重な姿勢が根強く、無回答も目立つ」
と伝えている。
もっとも、こうした旧姓使用や旧姓併記が完全に周知されているとは言えない。
政府は引き続き周知を行う必要がある。
また、経団連は金融機関をはじめとする会員企業にまずは旧姓併記の対応を促すべきではないのか。
親子間で姓が異なってしまうことも、更に議論が必要だ。
「選択的」
とは、あくまで夫婦の選択であり、生まれてくる子供に選択の余地はないまま
「親子別姓」
「家族別姓」
となる。
婚姻は
「両性の合意に基づく」
と憲法に書かれているとはいえ、別姓をめぐって双方の両親などを巻き込むトラブルに発展するケースもないとは言えないだろう。

<主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない
社説
2024/9/13 5:00
https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/
自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。
多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。
投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。
有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。
目先の人気投票は禁物である。
世界は激動の時代を迎えている。
日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。
■転換期を担う自覚持て
ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。
冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。
先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。
経済では、成長力強化が急務だ。
「失われた30年」
とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。
人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。
候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。
早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。
選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。
今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。
安倍晋三元首相は
「自由で開かれたインド太平洋」
構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。
菅義偉前首相は米国と共に
「台湾海峡の平和と安定の重要性」
を打ち出した。
岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。
彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。
候補者は岸田氏が語った
「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」
という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。
高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。
台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。
抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。
米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。
一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。
岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。
自民は報告書に賛同している。
男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。
■男系継承の皇統を守れ
憲法改正は自民の党是だ。
自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。
首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。
公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。
北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。
争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。
家族や社会の有り様に関わる問題だ。
国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。
選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。
世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。
夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。
祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。
「選択的」
と言っても個人の自由の問題ではない。
小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。
旧姓使用の充実で対応できる話だ。
「政治とカネ」
を巡る問題は重要だ。
信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。
再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。
国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。
遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。

自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い
阿比留瑠比の極言御免
2024/9/12 1:00
https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/
国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。
2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。
今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。
「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」
「そして、旧姓では不動産登記ができない」
小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。
そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。
NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。
それによると
「年金など社会保障制度」が35%
でトップで
「経済・財政政策」(26%)
が続き、
「選択的夫婦別姓」は僅か1%
で最下位だった。
1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。
また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」
更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。
「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」
「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」
「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」
そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言
「選択肢のある社会の実現を目指して」
を見ると、
「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」
という図表に、確かに
「口座やクレジットカードの作成時」
「不動産登記を行う時」
と書かれていた。
小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。
ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。
この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。
4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。
「経団連も早期実現を主張するようになった」
「チャンスを逃してはいけない」
この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで
「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」
と大きく取り上げていた。
国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。
このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める
「旧姓の通称使用についての法制度」
を無視した形で、
「選択的夫婦別姓」
実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。

岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text=

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」
2024/9/10 12:15
https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。
「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」
と指摘した。
高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。
その上で、高市氏は
「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」
と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。
総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。
高市氏は
「そういう方向もあるのだろう」
と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても
「(党議拘束)かけなくてもいい」
と語った。

高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立
2024/9/9 20:30
https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/
自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる
「選択的夫婦別姓制度」
の導入について、立候補予定者の意見が割れている。
9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。
党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
高市氏は9日の記者会見で、こう語った。
念頭にあるのは6日の会見で
「旧姓では不動産登記ができない」
と発言した小泉氏だ。
高市氏は
「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べた。
小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、
「旧姓の併記が認められる制度がある」
「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」
と述べている。
小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。
経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。
小泉氏は面会後、記者団に
「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」
と語った。
石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に
「実現は早ければ早いに越したことはない」
と小泉氏に同調した。
河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で
「認めた方がいい」
と述べている。
一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では
「国民の間でも様々な意見がある」
「更なる検討を進めていきたい」
と述べるにとどめた。
林芳正官房長官(63)も
「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」
としている。

高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対
2024/9/9 17:23
https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/
自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、
「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」
と述べ、
「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」
と指摘した。
■「正しい知識を」
選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、
「旧姓では不動産登記ができない」
などと語っていた。
その上で、高市氏は
「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」
「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」
と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。
高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を提出した。
しかし、党議決定には至っていない。
旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。
そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」
との回答は42・2%で、
「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」
の28・9%を上回っている。
高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。
■解雇規制「日本は緩い方」
また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。
「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない]
「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」
と語った。

<産経抄>多様性、多様性というけれど
2024/9/7 5:00
https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/
世は多様性の時代と言われる。
「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。
小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、
「多様な人生」
「多様な選択肢」
の拡大を訴えた。
▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい
「空気」
が醸成されてしまった。
国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。
とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、
「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」
と言いたくなる。
▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。
評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。
▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。
経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。
▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。
調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う
「片親との別姓」

「兄弟別姓」
を歓迎するだろうか。
▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。
日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。

夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」
阿比留瑠比の極言御免
2024/7/4 1:00
https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/
前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。
その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。
「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」
「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」
すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。
その
「中学生・高校生の生活と意識調査」
を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。
「結婚後、名字をどのようにしたいか」
これに対する回答で一番多かったのは
「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」
で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。
「自分の名字を相手の名字に変えたい」
という積極的な改正派も14.8%いた。
その一方で、夫婦別姓を求める
「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」
は僅か7.0%に留まっていたのである。
やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。
国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。
夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。
■高市法案の提出を
そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。
その
「はじめに」
の部分には一読、呆れた。
「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」
短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。
こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。
「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」
を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。
その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する
「多様性の統一」
だろう。
実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、
「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」
と胸を張った。
自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
を審議し、国会に提出すべきである。
これにより、
「国、地方公共団体、事業者」
などは通称使用のために
「必要な措置を講ずる責務を有する」
と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する
「職業生活上の不便・不利益」
の多くは解消するのではないか。

調査概要・グラフについて
「中学生・高校生の生活と意識調査」とは?
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html
回答者数
中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf
―結婚後、名字をどのようにしたいか―
第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を
つけてください。
@1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年
1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0
2.自分の名字を、相手の名字に変えたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2
3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9
4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1
5.無回答
中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0
高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8

別姓で自己否定する自民
阿比留瑠比の極言御免
2024/6/27 1:00
https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/
自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。
経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。
「多様性」
というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。
もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。
「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」
「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」
「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」
LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。
安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。
「岸田さんはそうリベラルではないんだ」
「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に
「子供の視点が全然ない」
と話していた。
■アンケートでは
やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。
子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)
「変な感じがする」(24.8%)
の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。
一方で
「嬉しい」
は僅か2.2%しかいなかった。
また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の
「家族の法制に関する世論調査」
結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。
「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、
「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、
夫婦同姓維持派が7割近くに達している。
夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては
「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で
「影響はないと思う」は30.3%
に留まっている。
留意すべきは
「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、
「姓は同じにするべきだ」が63.5%
に上ることだろう。
夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。
■フェミニストの議論
選択的夫婦別姓については、
「選択的」
だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。
既に平成17年刊行の
「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著)
で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。
「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」
「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」
女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月
「私は一緒の名字がいいです」
「好きで結婚したから」
とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。
(論説委員兼政治部編集委員)

阿比留瑠比の極言御免
日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点
2015/11/9 5:00
https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/
2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。
夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。
「誰かに迷惑もかけない」
「コストも知れている」
「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」
日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。
子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。
それによると、両親が別姓となったら
「嫌だと思う」(41.6%)

「変な感じがする」(24.8%)
との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。
一方、
「嬉しい」は僅か2.2%
しかいなかった。
また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと
「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1%
に上り、
「影響はないと思う」(28.4%)
を大きく上回った。
夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。
事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に
「誰かに迷惑もかけない」
と言い切れるような話ではない。
日経コラムは更に、こうも書いている。
「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」
どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。
10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。
「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」
当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に
「反発する人」
に限らないということである。
多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。
ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。
「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」
「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」
確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。
多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。
とはいえ、何でもかんでも
「多様化」
という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。
また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。
現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。
いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。
政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。
(論説委員兼政治部編集委員)

安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で
WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗
■安倍元総理が夢に
2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。
度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。
先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、
「迎えに来たのかな」
と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心!
安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。
2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。
■経済界が夫婦別氏制度導入を要望
安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。
「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」
「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」
私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、
『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』
のことです。
この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、
「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」
について、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
としたものです。
この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は
「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」
といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。
私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。
総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。
仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。
例えば、金融庁や厚生労働省。
私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。
数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として
「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」
とされ、通帳を作り直したということです。
こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、
「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」

「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」
ことを明確にするべきだと思っていました。
2024年6月、経団連会長が
「選択的夫婦別氏制度の導入」
を要望する
「提言」
を公表されました。
報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。
既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。
仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。
国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。
■「子の氏の安定性」
最近は、
「夫婦別氏制度」
の導入に賛成する政治家は
「改革派=善」、
反対する政治家は
「守旧派=悪」
といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。
私が選択的であったとしても
「夫婦別氏制度」
の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、
「子の氏の安定性」
が損なわれる可能性があると思うからです。
現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。
法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、
「全ての別氏夫婦が納得できるルール」
が必要になります。
仮に
「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」
には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する
「出生の届出は、14日以内」
というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。
これまでに衆議院に提出された
「夫婦別氏制度」
の導入を可能にする
「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案)
を拝見すると、
「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」
「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」
とされています。
同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。
離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では
「子を養う経済力」
「子と過ごす時間を確保できるのか」
「子との関わりや愛情」
「子の年齢によっては子の意思」
「健康状態」
「教育・居住環境」
などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。
しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。
裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、
「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」
として、スウェーデンでは
「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」
ことを例示しておられました。
私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。
「夫婦別氏制度」
の導入を求める方々からは
「余計なお世話だ」
と批判されるのでしょうが・・・。
■世界に誇れる日本の戸籍制度
「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」
と主張される方々もおられますが、私は、日本の
「戸籍制度」
は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。
戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。
新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。
よって、戸籍の
「公証力」
は、非常に強いものです。
例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、
「隠れた法定相続人」
の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。
重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。
この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。
20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。
「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」
なのではなくて、
「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」
だと考えています。

愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言
WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一
2024年6月10日、経団連がいわゆる
「選択的夫婦別姓」

「早期実現」
を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。
経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、
「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」
「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」
と言う。
経団連によれば、
「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、
その背後に、
「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」
がある。
その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。
まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が
「世界に大きく立ち遅れて」
いるというのは本当か。
経団連・十倉雅和会長の頭にある
「世界」
がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい
「世界観」
だろう。
実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、
「女を下に見る」
不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。
だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。
まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。
経団連提言で最も問題なのは、従来
「夫婦別姓」
法制化論で常に論点となってきた、
@親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか
A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか
といった懸念に全く答えていないことである。
そもそも言及自体ない。
これは無責任だろう。
近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。
経団連提言も、
「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」
「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」
と述べている。
「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」
とも言う。
まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で
「立ち遅れている」
経営者を叱咤すべきだろう。
そのための経済団体ではないか。
この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。
「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」
「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」
「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」
「事は家族の根幹に関わる」
(産経新聞・2021年3月18日)
「国際的トレンド」
云々についても高市氏は、
「日本は日本」
と一蹴する。
経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような
「トラブル」
を挙げる。
カッコ内は私のコメントである。
・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。
(合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。
・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。
(結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか)
・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。
その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。
(現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された)
これが、女性にとって
「アイデンティティの喪失」

「自己の存在を証することができない」
ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の
「トラブル」
だろうか。
この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。

民法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

選択肢のある社会の実現を目指して
〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜
2024年6月18日
一般社団法人 日本経済団体連合会
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html

選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求
2024/6/25 23:24
https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/
経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が
「選択的夫婦別姓制度」
に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、
「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」
「オープンでスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。
経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、
「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」
と指摘。
「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」
との認識を示していた。

選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」
2024/6/25 22:34
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/
選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯
https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/
自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。
経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。
とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。
保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、
「自民離れ」
が加速するのは必至だ。
自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、
「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」
「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」
と述べた。
自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む
「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」
で議論に着手すると表明した。
新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。
党幹部は
「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」
と議論再開の必要性を強調する。
自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。
令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。
しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。
自民の有志議員で作る
「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長)
は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。
浜田氏は
「大変心強い」
「時代の要請として受け止めていく」
と語った。
一方、慎重派で作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相)
は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。
慎重派の議員は
「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」
と不安を口にする。
岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。
対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は
「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」
と述べた。

<主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか
社説
2024/6/19 5:00
https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/
結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる
「選択的夫婦別姓」
について経団連が早期実現を提言した。
十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。
経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。
別姓推進に転じたのは
「ビジネス上のリスク」
などが理由だ。
経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。
だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。
岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、
「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」
と述べたのは、もっともだ。
夫婦別姓を認めない民法の規定を
「違憲」
だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。
専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。
同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。
「選択」
と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。
別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。
夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。
子供の姓をどうするのか。
祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。
最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。
深く理解すべきだ。
住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。
経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。

<産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり       
2024/6/17 5:00
https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/
夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある
経団連は
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ
2024年6月の第3日曜は
「父の日」
だったが、
「母の日」
に比べ影が薄い。
父親の地位低下が指摘され久しい。
▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。
「正論」
を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。
それも平和を守る知恵か。
▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。
経団連が
「選択的夫婦別姓」
の早期実現を求める提言を先日、発表した。
十倉雅和会長は
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。
▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。
民法の改正などが必要となる。
女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。
30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。
財界が
「急げ」
と号令をかける話なのか。
▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について
「合憲」
とする判断を示した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。
選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。
専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。
▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。
夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。
別姓では子の姓をどうするか。
双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。

「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重
2024/6/11 11:24
https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/
小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し
「国民の間にまださまざまな意見がある」
とした上で
「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」
と述べ、慎重な姿勢を示した。
法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。
だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。
小泉氏はこの点にも触れ
「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」
とした。

「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも
2024/6/10 18:29
https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/
経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。
希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。
政府に対し
「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」
とした。
経団連による同制度に関する提言は初めて。
十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で
「世の中は大きく変わっている」
「国会でスピーディーに議論してほしい」
と述べた。
現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。
提言では
「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」
と訴えた。
経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。
「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」
とした。

主張
夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った
2021/6/24 5:00
https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/
最高裁大法廷は、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を再び
「合憲」
と判断した。
夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。
妥当な判断である。
事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。
女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。
平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。
最高裁はこの時と同様、
「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」
と指摘した。
平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。
法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。
選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。
導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。
親子が別々の姓になる事態も起きる。
子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。
平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が
「子供にとって好ましくない影響があると思う」
と答えていた。
社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。
2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。
パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。
日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。
国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。

夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁
2021/6/23 21:54
https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は
「合憲」
とする判断を示した。
最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。
15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。
決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について
「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」
と指摘。
一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは
「次元が異なる」
とした上で
「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」
と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。
合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は
「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」
と、共同補足意見で述べた。
一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は
「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」
などと述べた。
事実婚の3組は、婚姻届に
「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」
と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。
2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。
結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。
2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。

■夫婦同姓の規定
民法750条は、結婚した夫婦は
「夫または妻の氏」
を名乗るよう規定。
戸籍法でも、結婚時に
「夫婦が称する氏」
を提出書類に記載するよう定めている。
昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では
「家の姓を名乗る」
とされていた。
厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。
改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない
「選択的夫婦別姓制度」
の導入を求める声が強まっている。

夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も
2021/6/23 20:45
https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/
最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、
「夫婦別姓」
を認めない民法の規定を
「合憲」
とする判断を示した。
この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。
「違憲」
となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。
「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。
結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。
「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」
とも指摘した。
内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。
ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。
夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。
最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は
「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」
と打ち明ける。
一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。
豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は
「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」
「別姓が認められるのは難しいと思っていた」
と話した。
夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。
生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は
「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。
同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、
「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」
と話した。

選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長
ラジオ大阪ぶっちゃけ正論
2021/6/17 8:00
https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/
■家族名が消える
小島
選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。
八木
選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。
選択ができるという仕組みです。
一見よさそうに思えるんですよ。
小島
自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。
八木
ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。
別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。
戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。
小島
家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。
八木
「氏名」の性格が根本的に変わるんです。
氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。
家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。
すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。
小島
たまたま上の名が同じということですね。
八木
ええ。
たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。
家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。
■3つの姓から選択も
八木
別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。
兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。
子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。
すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。
妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。
複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。
子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。
旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。
おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。
小島
社会が大混乱しますね。
八木
自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。

櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」
2021/5/19 16:40
https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/
選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る
「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」
が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。
櫻井氏は
「保守政党としての自民党の矜持」
と題して講演。
安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、
「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」
と強調した。
「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」
とも語った。
八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について
「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」
「逆に少子化が進む可能性がある」
と指摘。
「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」
と訴えた。
一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる
「理解増進」
法案についても取り上げられた。
法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める
「性的指向・性自認に関する特命委員会」
が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。
これについて、山谷えり子参院議員は
「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」
「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」
と語った。

異論暴論
正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か?
2021/5/3 10:00
https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/
自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。
推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。
これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。
正論2021年6月号では
「やるべきことは『夫婦別姓』か?」
を特集した。
高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した
「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」
の成立の必要性を強調する。
高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。
ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。
子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。
党内で提唱される
「婚前氏続称制度」
「ミドルネーム案(結合氏制度)」
など歯牙にかけるに値しない。
選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。

正論
国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章
2021/7/6 8:00
https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/
■最高裁は合憲判断を維持
2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。
しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。
平成27年の最高裁判決は、氏には
「家族の呼称」
としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。
その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。
今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。
これも妥当と言えよう。
ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。
そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。
確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。
しかし、平成29年の調査でも、
「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、
「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4%
あった。
つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。
■別姓望む国民はわずか8%
さらに、別姓支持者の中で自ら
「別姓を希望する」と答えた者は19.8%
にとどまる。
つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。
平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。
そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。
この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。
夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。
だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。
にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。
今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、
「家族」
の定義は不明確であるとして否定的に解し、
「姓」

「個人の呼称」
の一部と考えて、夫婦同姓制度は
「個人の尊厳」
の侵害に当たると主張する者もいる。
■「家族呼称」か「個人呼称」か
確かに、憲法24条2項は家族について
「個人の尊厳と両性の本質的平等」
に立脚して制定するよう定めているが、憲法は
「家族の保護」
を否定するものではない。
それどころか、憲法制定時の議会においては
「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」
(木村篤太郎司法大臣)
との答弁がある。
わが国が批准している国際人権規約でも
「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」
としている。
それ故、わが国の家族制度は、
「個人の尊厳」

「家族の保護」
によって支えられていると見なければならない。
だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、
「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」
とした。
それでは、家族制度の基本にかかわる
「姓(名字)」
について、国民はどのように考えているだろうか。
先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を
「先祖から受け継がれてきた名称」
ないし
「夫婦を中心とした家族の名称」
と答えている。
これに対して姓は
「他の人と区別して自分を表す名称の一部」
と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。
つまり、姓を
「個人の呼称」
の一部と考え、
「個人の尊厳」
を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の
「家」

「家族」
の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。
以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。
しかも選択的夫婦別姓制は
「ファミリー・ネームの廃止」
につながり
「戸籍解体」
の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。
したがって、自らは希望しないにもかかわらず、
「選択的だから」
「望む人が別姓を名乗るだけだから」
などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。

次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」
2015/12/16 19:12
https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/
次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で
「判断を歓迎する」
との談話を出した。
談話では
「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」
「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」
と指摘。
その上で
「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」
「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」
としている。

夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
2015/12/16 15:24
https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/
【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf
民法で定めた
「夫婦別姓を認めない」
とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、
「規定は合憲」
とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。
原告は
「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」
などと主張したが、
「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」
との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。
一方、
「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」
とする規定を巡る訴訟で、大法廷は
「規定は違憲」
と初判断。
100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。
最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
夫婦の姓について原告側は
「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」
と主張。
「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」
と指摘していた。
国側は
「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」
「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」
と反論。
規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。
両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。
しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。
民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。

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