7. 中川隆[7815] koaQ7Jey 2017年4月17日 10:43:32 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8305]
川端康成 美しさと哀しみと 1965 松竹 無料動画
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監督:篠田正浩
キャスト
大木年雄:山村聰
大木文子:渡辺美佐子
大木太一郎:山本圭
坂見けい子:加賀まりこ
上野音子:八千草薫
音子の母:杉村春子
作品中の人物「坂見けい子」を加賀まりこが演じることになり、川端は原作者として加賀と初対面した。川端は加賀のリハーサルの演技を見て、
「加賀さんの熱つぽい激しさに私はおどろいた」
「私がまるで加賀まりこさんのために書いたやうな、ほかの女優は考へられないやうな、主演のまりこがそこに現はれた」
と述べ、登場人物の「けい子」というエキセントリックで妖精じみた娘に、
「演技より前の、あるひは演技の源の、加賀さんの持つて生まれた、いちじるしい個性と素質が出てゐた」
京都でのお正月ーーこれは30年ほど前の憧れであった。
小説≪美しさと哀しみと≫‐川端康成作。
冒頭ーーーー
除夜の鐘を聴く為に京都へ行くという男 大木の描写から始まるその小説のシーンがなぜか強烈に頭に残っていてその京都行きに憧れたからだ。
今思えばなんと少女趣味なと思ってしまうが、京都へ通うようになってその動機は忘れて、それが当たり前のようになった。
大木は除夜の鐘を聴きに行くのか、24年前に別れた女性音子に逢うためなのか
分からないまま列車に乗る。
24年前音子は16歳
大木は31歳であった。
音子に子を身ごもらせたが事情はいろいろあって音子は自殺未遂を図り破局を迎える。
その音子をモデルに書いた小説が図らずも大木の出世作となった。
京都で日本画家として著名になっている音子に24年ぶりに逢うのだが、大木はそこで音子の女弟子のけい子の妖しい魅力に魅かれてしまう。
大木との哀しい恋を知った、音子を敬慕するけい子は大木への復讐を誓うのであった。
大木を誘惑し、その息子太一郎を誘惑し、その事実を双方に分からしめ、一途な太一郎をけい子は命をかけて心中に追い込む。
というストーリーであるが、この映画でけい子に扮した加賀まりこが鮮烈な個性を見せた。
川端の文章は、抒情と、時間と、色情のロマネスクを著わすなかで得意の京都の美しい風雅をたっぷりと描いた。
その京の雰囲気を音子に紛する八千草薫が演じ、55歳になった元恋人を山村 聡が、そして、息子太一郎を当時人気絶頂の山本圭が演じた。
原作は昭和30年代に書かれ、遠からずして、鬼才篠田正浩がメガホンを取った。
小説は川端得意の男女の恋模様を書いているわけだが三文小説とはっきり違うのは
主人公達の背後に感じさせる知性、教養といったものの重みの描写であろう。
京の歴史の重みや、川端の伝統文化への憧憬、そういったものが小説に厚みを加えている。
今でこそ全国、はたまた海外旅行とこぞって出かけるがやはり昭和30年代にこういうものを読んでも京旅行など小説の世界で堪能するのがせいぜいであったはず。
こういう京旅行の味わい方もあるんだと知ったのが昭和40年代でした。
そして実行したのが昭和50年代。
京旅行の主旨も連れも小説とはかけ離れていましたが大晦日の夜の京のお散歩は一年間の垢落としと同時に新年の希望をしみじみ感じる贅沢な時間でした。
晦日の京滞在のきっかけとなった小説の映画化。
加賀さんの少女の顔のなかに宿る魔性の女の魅力と
京美人の大人の魅力の筈の八千草さんが
幾つになっても少女の面影を失わない素敵さ
それを上手く映像に溶け込ませた篠田監督。
川端文学をどこまであらわせたか、また全然違う!と感じるかは
見た方たちそれぞれのものでしょう!
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