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(回答先: 岡倉天心と『東洋の覚醒』(1890年代) 投稿者 あっしら 日時 2003 年 10 月 06 日 19:04:09)
●下記HPより転載します。
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天心とタゴール http://park5.wakwak.com/~asia/tenshin/tagore-j.htm
『天心に近似した思想』
タゴールは、天心に極めて近似した思想をもっていた。1902年にインド滞在中の天心がタゴールとはじめて出会って意気投合し、影響をあたえあったのは偶然ではない。ともに二人は国際人であるとともに、アジアの伝統に価値を見出す国粋主義者であったからである。
かつて評論家の竹内好は、天心とタゴールをともに「美の使徒」と位置づけた。
タゴールは、天心と同様アジア的価値観を高く評価し、たとえばこんなふうに語っていた。
「ここでわたしは、国民と国民との間に存在する唯一の自然の絆、緊密な友情の絆により、ビルマから日本にいたる東アジア全体が、インドと結盟していた時代を、諸君の知性に紹介せずにはいられない。そこには、人類の最も奥深い要件について、われわれの間に意見の交換を可能にするような、生きた心の通じ合い、一つの精神的な繋がりができていた。われわれの間はお互いの警戒心によって邪魔されることはなかった。相手を抑制するために、お互いが武装し合うことはなかった」、「〈われわれの関係は自己本位の関係や、お互いに相手の懐中工合いを探り、掠め取ろうとする関係ではなかった。〉〈観念や理想を交換し合って、最高に愛すべき贈り物をしたり、もらったりした。〉〈言語や習慣の相違はお互いの心と心との接近を妨げなかった。〉〈人種的誇りあるいは肉体的、心理的な優越感の傲慢さによって、われわれの関係が傷つけられることはなかった。〉〈われわれの美術や文学は心と心との結合という陽の光の影響の下で、若葉をのばし、花を咲かせた。〉〈そして土地、言語および歴史を異にする各人種が、至上の人間の一体性と最も深い愛の絆に感謝した。〉」(蝋山芳郎訳、「日本におけるナショナリズム」)
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「タゴール詩集」 http://www.gutenberg21.co.jp/tagore.htm
◇この偉大な宇宙の中に◇
この偉大な宇宙の中に
巨大な苦痛の車輪が廻っている
星や遊星は砕け去り
白熱した砂塵の火花が遠く投げとばされて
すさまじい速力でとびちる
元初の網の目に
実在の苦悩を包みながら。
苦痛の武器庫の中では
意識の領野(りょうや)の上に広がって、赤熱した
責苦の道具が鳴りどよめき
血を流しつつ傷口が大きく口をあける
人間の身体は小さいが
彼の苦しむ力はいかにはてしないか
創造と混沌の大道において
いかなる目標に向かって、彼はおのれの火の飲物の杯をあげるのか
奇怪な神々の祝宴で
彼らの巨大な力に飲みこまれながら――おお、なぜに
彼の粘土のからだをみたして
狂乱した赤い涙の潮が突進するのか?
それぞれの瞬間に向かって、彼はその不屈の意志から
かぎりない価値を運んでゆく
人間の自己犠牲のささげもの
燃えるような彼の肉体的苦悩――
太陽や星のあらゆる火のようなささげものの中でも
何ものがこれにくらべられようか?
かかる敗北を知らぬ剛勇の富
恐れを知らぬ堅忍
死への無頓着――
何百となく
足の下に燃えさしを踏みつけ
悲しみのはてまで行く、このような勝利の行進――
どこにこのような、名もなき、光り輝く追求
路から路へと辿(たど)る共々の巡礼があろうか?
火成岩をつき破るこのように清らかな奉仕の水
このようにはてしない愛の貯えがあろうか?
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●ふと、ラビンドラナート・タゴールの事を思い出しました。
上の詩は固いですが、皆様のご参考に。岩波文庫にいい詩が入っています。
私には、天心や孫文の声の文よりも、彼の詩から響いてくる宇宙観生命観のほうが親しいようです。それは、価値観というよりももっと基底に近いところで生命/意識の形を紡ぎ出し、織り上げてくる母体的な基質の共通性を直感させるものです。
特にアジア主義を語りもしていないところで文化以前あるいは文化の下層の共通の基底を直感させてくれます。
ここら辺の話になると如往さんの使われる《matrix》という観念に関わるのではないかと感じてます。
あっしらさんと、すみちゃんの『日本近世と西洋近代の相違… 』スレッドには関心を持っていますが、参入させて頂くなら、私の切り口での入り方を熟成させてからにしたいと想います。