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※紙面抜粋
※2025年4月24日 日刊ゲンダイ2面
トランプに媚びれば媚びるほど逆効果…日米関税交渉で「何もやらない」という選択肢
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/370991
2025/04/24 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
「世界のモデルになり得る」ーて、いっそのこと…(C)日刊ゲンダイ
世界中が揺れたトランプ相互関税だが、案の定というか、トランプは次々と撤回、見直しを迫られている。もともと、根拠なしのいい加減な脅しだから、市場の反乱にすぐよれる。だとしたら、交渉以前の石破政権も様子見でどうだ?自動車関税もやがて悲鳴を上げるのは米国だ。
◇ ◇ ◇
世界中が大揺れのトランプ米大統領の相互関税だが、ここへきて、撤回、見直しが続いている。
米ブルームバーグ通信によると、ベッセント米財務長官が22日、ワシントンで開かれた投資家向けの会合で、米中両国で高関税をかけ合う現状は持続不可能で、対立は長く続かないとの考えを明らかにした。中国とのデカップリング(切り離し)が米国の目標ではないと説明。数カ月以内に緊張が和らぎ、市場に安心感をもたらし得ると楽観的な認識を示したという。
トランプも同日、報道陣からベッセントのコメントについて問われ「中国との関係は良好だ。交渉で強硬な態度を取るつもりはない」と発言。中国に対する追加関税を145%にまで引き上げていたが、トーンダウンした格好だ。
さらに、圧力をかけまくっていた連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の処遇を巡って「解任するつもりはない」と態度を一転させた。トランプは今月中旬、追加利下げに慎重なパウエルについて、「退任が早すぎるということはない!」などとSNSに投稿。報道陣には「私が頼めば彼は辞めるだろう」とまで踏み込んでいた。
ところが、中央銀行の独立性が脅かされ、金融政策の運営が不安定になるとの懸念を招き、株価が暴落。21日のニューヨーク株式市場では、ダウ平均株価が一時、1300ドルを超える下落となった。ドルに加え、通常は安全資産とされる米国債にも売りが広がる「トリプル安」に陥ったことに、トランプが日和ったのは明らかだ。
関税では国内回帰も雇用増も起きない
こうしたトランプの朝令暮改は今回が初めてじゃない。相互関税の第2弾が発動した今月9日も、市場は「トリプル安」に見舞われた。当時、ベッセントらが思いとどまるよう促し、トランプはすぐさま関税発動の90日間の停止を表明したのだった。3月4日には、メキシコとカナダに対する25%の関税適用を開始させるや、やはり株価が大幅下落。すると、自動車などへの適用免除を連発させたのだった。
もともと、トランプ関税の根拠はデタラメの極みである。相手国との貿易赤字額を米国への輸出額で割り、その数字を2で割っただけという単純なもの。
さらに、非関税障壁のひとつに「日本のボウリング球試験」を例示。第1次政権では「ボウリングの球を6メートルの高さから車のボンネットに落とし、少しでもへこんだら不合格になる」などと主張していたが、もはや難癖だ。根拠なしのいい加減な脅しだから、市場に反乱されるとすぐによれる。撤回、見直しの連発は、ある意味、案の定の展開だろう。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「トランプ氏は関税引き上げの狙いについて、製造業の国内回帰や雇用増と説明していますが、そうならないのは明白です。製造業を国内に回帰させようにも、米国は人件費が世界屈指の高さですから、物を作っても、どうしても高額になってしまう。生産拠点を人件費の安いメキシコやアジアから米国に移させると、消費者は高い物を買わざるを得なくなるわけで、生活水準は低下する。企業も生産コスト高で収益が悪化。すると米国株もドルも売られる。物価高で金利が上がれば債券価格は下落します。こうした状況を招くことを市場に見透かされてしまっているのです。今後、生産拠点を米国に移す動きはそこまで広がらないのではないか。関税分を考慮しても、人件費の安い国から輸出した方が得策だからです」
危うい「石破側近」の“MAGA帽”ニッコリ写真
“MAGA沢”の異名が定着しつつある(ホワイトハウス提供、共同)
とても、「Make America Great Again(MAGA=米国を再び偉大に)」どころではないだろう。前出の斎藤満氏は「MAGAではなく、Make America Poor(MAP=米国を貧しくする)だ」と指摘したほどだ。
こんな状況では、またぞろ市場からNOを突きつけられ、そのたびにトランプはブレまくるに違いない。だとしたら、関税交渉うんぬん以前の石破政権も下手に動かず、様子見したらどうか? 日本にとって懸案である自動車関税も、やがて悲鳴を上げるのは米国だ。下手に動いて足元を見られ、無理難題をのまされるくらいなら、ジッとしていた方がよっぽどマシなはずだ。
何より危うさを感じさせたのが、日米関税交渉で訪米した石破首相の最側近、赤沢経済再生相の動きだった。カウンターパートのベッセントとの協議のために訪米したが、トランプ本人が突然“乱入”。面会するや、トランプのスローガン「MAGA」が記された赤い帽子をかぶらされ、ダブルサムズアップでニッコリと笑みを浮かべる様子を納めた写真を公開されてしまった。
日本政府の一員なのに、さながら「トランプ信者」の様相で、永田町では“MAGA沢”の異名が定着しつつある。
「あの場面で帽子をかぶるのを断るのは難しい。拒否すればトランプ氏の機嫌を損ねかねず、交渉どころではなくなる可能性もあった。逆に、トランプ氏側は赤沢さんが断れないことを見越して帽子を持ってきたに違いない。初めから、サプライズで交渉に“乱入”し、戸惑う相手に帽子をかぶらせ、写真を公開する腹積もりだったのだろう。まるで、『飛んで火に入る夏の虫』だ。日本側も、せめて大阪・関西万博の公式キャラクター、ミャクミャクのグッズをトランプ氏の身に着けさせるくらいの戦略があってもよかった」(霞が関関係者)
23日、国会で開かれた党首討論で、立憲民主党の野田代表は「多くの国が注目している時に、朝貢外交をやっているように見えたことは、非常にマイナスだと思う」と指摘していたが、その通りだ。赤沢は家でメジャーリーグ・ドジャースの帽子でもかぶって、テレビで試合を観戦していた方が良かったのではないか。
「世界のモデル」どころか抜け駆け
各国はトランプとの距離感を巡って、それこそ慎重に様子見しているのが現状だ。それなのに、日本はイの一番に2国間協議に臨み、関税を巡る交渉をするはずが「MAGA帽」をかぶらされただけでなく、在日米軍の駐留経費の負担増を突きつけられてしまった。要するに朝貢外交の結果、吹っ掛けられたわけだが、石破は今回の交渉について「世界のモデルになり得る」なんて言って格好をつけている。情けない限りだが、各国からしたら迷惑な話ではないか。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)が言う。
「安倍元首相は16年、大統領就任前のトランプ氏にいち早く会いに行って蜜月関係を築きましたが、石破政権も媚の売り方がそっくりです。本来、米国の関税措置はWTO(世界貿易機関)の協定違反なのですから、日本を含む国際社会は一丸となってトランプ氏と対峙すべきでした。なのに、日本だけが抜け駆けしてしまった格好です。早期に交渉のテーブルにつくことで、少しでもダメージを小さくしたかったのでしょう。刑罰を軽くしてもらうために司法取引に応じる談合企業のような動きで、あまりに拙速でした。もっと落ち着くべきです」
トランプに媚びれば媚びるほど逆効果ということが分かっていないのか。だとしたら、いっそ「何もやらない」という選択肢を取った方がいい。
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