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(5)「盗っ人に追い銭」外交の生け贄にコメを差し出してはいけない 令和のコメ騒動の深層
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/370474
2025/04/14 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
前回は先送りされたが…(C)共同通信社
輸入米が増加している。77万トンの「ミニマムアクセス」(最低輸入量)を超えたら、1キロあたり341円の関税がかかる。「禁止的関税」と言われ、この額を払ってでも入ってくる輸入米はないと思われていた。しかし、今回のコメ価格高騰で、その関税を払っても国産米より安く販売できる状況が生まれている。
このタイミングで米国も圧力をかけてきた。「日本のコメ関税は700%」だという牽制がトランプ大統領からも発せられた。日本のコメ関税は重量税だから、その時点の輸入米価格によって税率は変化する。現在の国際価格だと700%という高率にはなり得ないが、米国は関税引き下げを狙っている。77万トンの「ミニマムアクセス」についても、マークアップ(輸入差益)を問題視し始めた。
実は第1次トランプ政権からの流れがある。前回も25%の自動車関税で脅され、他の国は毅然と突っぱねたが、日本は「うちだけは許して。何でもしますから」という「盗人に追い銭」外交を展開した。
日本の当時の交渉責任者は、記者会見で米国との今後の自動車関税撤廃の交渉にあたり、「農産品というカードがない中で厳しい交渉になるのでは」との質問にこう答えた。「農産品というカードがないということはない。TPPでの農産品の関税撤廃率は品目数で82%だったが、今回は40%いかない」と。つまり、「自動車のために農産物をさらに差し出す」ことを認めていたのだ。
生産者の崩壊、飢餓に陥る確率は急上昇
まさに「属国が宗主国の言うことをすべて聞く交渉」がエンドレスに続く「底なし沼」だが、今回もこのような自動車の追加関税に怯えて、食と農を際限なく差し出す「盗人に追い銭」構造にはまることが懸念される。
第1次トランプ政権での日米貿易協定で、日本は牛肉と豚肉への関税をTPP水準に引き下げると譲り、コメや乳製品の実施は先送りされた。牛肉関税は最終的に9%、豚肉関税は実質ゼロになった。すでに自動車関税の25%が適用されてしまった今、何とか見直しを懇願するため、農産物の「生け贄リスト」に残るのは日本にとっての最後の砦、コメと乳製品だ。これが前回の積み残し分で、本丸中の本丸だ。コメについては、少なくともTPP交渉で米国に与えた7万トンの無税新設枠の実現だけでなく、さらなる上乗せを求めてくるのは間違いないだろう。
ここで踏ん張れなかったら、日本のコメ生産、酪農の崩壊は加速する。コメさえも輸入に頼ってしまったら、いざというときに日本人が飢餓に陥る確率が格段に上昇してしまう。恐れて墓穴を掘る愚を反省し、今度こそ日本の国益を毅然と主張して、日本の独立への一歩を踏み出したい。
我が国は長らく、米国の要請に応えることが「外交」という「思考停止」を続け、独自の国家戦略、外交戦略を欠如させてきた。欧州などは、独自の国家・外交戦略を持っているから米国と対等に主張が交わせる。日本が独立国として米国依存を脱却して世界の中でどう生きていくのか、それを確立する機会にできるか。大きな岐路に立っている。 (つづく)
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鈴木宣弘 東京大学教授
1958年、三重県生まれ。82年東大農学部卒。農水省、九州大学教授を経て、06年から東大教授。専門は農業経済学。「食の戦争」(文芸春秋)、「悪夢の食卓」(角川書店)など著書多数。
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