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(3)国内の供給不足を放置し、輸入米8倍増に力を入れる日本政府の愚かさ 令和のコメ騒動の深層
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/370264
2025/04/09 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
耕作地の4割は中山間地域(C)日刊ゲンダイ
政府が喧伝してきたコメ高騰の「流通悪玉論」は否定されたが、それでもコメ不足だとは認めない。一方で、2030年までにコメ輸出量を8倍に増やすという目標が発表された。輸出市場の開拓は追求すべきひとつの可能性ではある。だが、国内でコメ不足が深刻化しているときに、まず示すべきは、国内供給の安定化政策ではないか。
輸出米を増やせば、いざというときに国内向けに転用できるというが、そんな簡単に輸出契約を解除できるとは思えない。その前に国内供給を確保するのが先だ。
しかも、輸出向けの作付けには10アール当たり最大で4万円の補助金が支給される。ならば、国内の主食米の生産にも同額の補助金を支給して、国内生産の増加を誘導するのが今やるべき方向性である。
その上、輸出振興と必ずセットで出てくるのは、規模を拡大してコストダウンし、スマート農業と輸出の増加で「コメ農家の未来は明るい」という机上の空論だ。規模拡大やコストダウンは重要だが、日本の農村地域を回れば、その土地条件から限界があることは明白だ。
100ヘクタールの経営といっても田んぼが何百カ所にも分散する日本と、目の前1区画が100ヘクタールの西オーストラリアとでは別世界だ。実際、農水省の調査でも経営規模が20ヘクタールくらいまでは60キログラム当たりの生産単価は下がるが、それを超えると上昇し始める。いくらコストダウンしても海外と同じ土俵で戦えるわけがない。
大規模化は土地条件に限定
日本のコメ作りは、中山間地域が全国の耕地面積の約4割、総農家数の約4割、農業産出額の約4割を占める。大規模化とスマート農業でカバーできる面積は限られる。さらに、一軒の大規模経営がポツンと残ったとしても、生活インフラが維持できなくなり、コミュニティーは消え、結局、その経営も存続できなくなる。
大規模化ができない条件不利地域は、疲弊が進むから無理に維持する必要がないという暴論もある。それでは、国民へのコメ供給は大幅に不足し、日本各地のコミュニティーが崩壊して大事な国土・環境と人々の暮らし、命は守れなくなる。
今、農村現場は一部の担い手への集中だけでは地域が支えられないことがわかってきている。まず定年帰農、兼業農家、半農半X、有機・自然栽培をめざす若者、耕作放棄地を借りて農業に関わろうとする消費者グループなど、多様な担い手づくりを促す。そして、水路やあぜ道の管理の分担も含め、地域コミュニティーが機能し、資源・環境を守り、生産量も維持されることが求められている。短絡的な目先の効率性には落とし穴があることを忘れてはならない。
地域の疲弊が続くのは仕方ないのではなく、それは無策の結果だ。政策を変更して未来を変えるのが政策の役割だ。集落営農で頑張っている地域もあるし、消費者と生産者が一体となり、ローカル自給圏をつくろうとする「飢えるか、植えるか」運動も筆者のセミナーを機に広がりつつある。だから、地域から自分たちの食と農と命を守る仕組みづくりを強化していこう。 (つづく)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4587
鈴木宣弘 東京大学教授
1958年、三重県生まれ。82年東大農学部卒。農水省、九州大学教授を経て、06年から東大教授。専門は農業経済学。「食の戦争」(文芸春秋)、「悪夢の食卓」(角川書店)など著書多数。
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