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※紙面抜粋
「ひれ伏せば許してやる」の前例になるのか トランプと先陣切っての交渉は「利用されるだけ」の懸念
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/370419
2025/04/12 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
外交経験ゼロ(C)日刊ゲンダイ
初入閣で、外交経験もない赤沢大臣が来週にも訪米するそうだが、米国がポチの日本を先頭に立たせた狙いはミエミエだ。赤沢は妙に「国益」を強調していたが、「決裂しても」の覚悟があるのか。窮地のトランプを助ける「悪しき前例」になりはしないか。
◇ ◇ ◇
飛んで火に入る夏の虫──になりかねない。
トランプ関税をめぐる、日本側の交渉担当者に就いた赤沢亮正経済再生相が、来週16日に渡米し、17日にベッセント米財務長官と協議することになった。
トランプ大統領は、輸入品への税率を大幅に引き上げる「相互関税」の上乗せ分を90日間凍結すると唐突に発表したが、もともと日本には24%もの関税をかけていた。さらに「相互関税」とは別に、すでに日本は自動車や鉄鋼・アルミなどに25%の追加関税をかけられている。赤沢は、これらの関税の引き下げや、日本を「相互関税」の対象から除外するよう求めて交渉するのが任務だ。
しかし、この交渉がうまくいくと思っている国民は、ほとんどいないのではないか。なにしろ、相手は常識の通じないトランプである。発言がコロコロ変わり、「相互関税」も発動からわずか半日後に凍結してしまった。
トランプ政権が相手では、誰が交渉役をやっても難しいだろうが、それにしたって外交経験ゼロ、初入閣の赤沢に、日本の行く末を決めかねない大役を任せて大丈夫なのだろうか。
適任かどうかは別にして、「交渉役」として、自称タフネゴシエーターの茂木敏充前幹事長や、外相を経験し、語学にも堪能な林芳正官房長官、さらに財界人を推す声もあったが、新たに担当閣僚を選出すると誰かひとり閣僚の退任が必要になることを嫌い、石破首相が拒否したという。
その結果、総理側近という理由だけで赤沢が「交渉役」に選ばれた。
赤沢は、衆院鳥取2区選出。当選7回。旧運輸省出身。通商政策や外交交渉はズブの素人だ。
対してアメリカの交渉担当であるベッセントは、ウォール街出身の海千山千。X(旧ツイッター)に、「非関税障壁、通貨問題、政府による補助金について建設的な交渉を楽しみにしている」と投稿し、いまから手ぐすね引いている。
「どうすればアメリカが納得するのか、なにを出せばいいのか、日本はまったく分かっていない状態です。トランプ大統領は『なにか驚くモノ』の提示があれば交渉に応じる、としか口にしていない。日本の具体的な交渉カードは、まだ固まっていません。でも、自民党からも野党からも『早くアメリカに行って交渉すべきだ』『なぜ日本にいるんだ』とせっつかれるので、赤沢大臣も大急ぎで渡米せざるを得ない状況です」(霞が関関係者)
羊のような日本と最初に交渉
「相互関税」をかけられた約180カ国・地域のなかで、日本は真っ先にアメリカと交渉する格好だ。
石破は、アメリカといち早く交渉できることにホッとしているという。ベッセントから「日本は先頭グループにいる」「70カ国近くからアプローチされているが、日本が優先されるのは早く名乗りをあげたからだ」と説明され、喜んでいるという。
しかし、他国に先駆けて交渉することが、本当に得策なのかどうか。むしろ、他の国がどんな交渉をするのか、じっくりと観察したほうがよかったのではないか。
アメリカが日本を交渉の先頭に立たせたのは、「交渉合意」のモデルにしようとしているフシさえあるからだ。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「トランプ政権は、最初の交渉は絶対に成功させたいはずです。その点、羊のようにおとなしい日本なら、交渉が決裂するリスクもなく、アメリカの要求を次々にのむはずと計算したとしてもおかしくありません。日本との交渉を成功させた後、他国に対して『日本はこの条件をのんだぞ』と迫るつもりなのでしょう。日本はアメリカに利用され『悪しき前例』をつくってしまう恐れがあります。最悪なのは、前例をつくるために、急いで結論を迫られる懸念があることです。相互関税の凍結は90日間ですが、日本の交渉期間はかなり短くなる可能性がある。どうして石破政権は、慌ててアメリカと交渉するのでしょうか。他国の出方を研究してからでもよかったはずです」
「世界中の指導者がディールをしたがっている」と話すトランプは、各国との1対1の交渉なら、いくらでも譲歩を引き出せると考えているようだ。
共和党議員を前にした演説では、「彼らは我々に電話をかけてきて、私の尻にキスをしている」とまで口にしている。
ひょっとして、トランプの尻に真っ先にキスをしているのが、日本なのではないか。
来週、渡米する赤沢は「大変重い職責。胃が1センチせりあがったような感じ」と漏らしている。大丈夫なのか。
金融危機に怯えて「凍結」か
早速、日本をドーカツ(C)ロイター
「トランプ関税」に世界中が振り回されているが、窮地に立たされているのは、トランプも一緒だ。
最初から分かっていたことだが、どう考えても「トランプ関税」は破綻していることが、いよいよハッキリしてきたからだ。いったん発動した「相互関税」を、たった半日で「凍結」したのも、破綻していることに気づかされたからに違いない。
「トランプ大統領は、金融危機を恐れたのでしょう。一般的に株価が下落した場合、より安全な資産とされる米国債が買われ、長期金利は低下するものです。ところが、相互関税が発動されると、株価も下がり、米国債も売られてしまった。株、ドル、米国債が下落する『トリプル安』となってしまった。米国債が下落すると、米国債を大量に保有する米国の銀行が多額の損失を抱え、金融危機を引き起こしかねない。トランプ政権が相互関税を凍結したのは、金融リスクが迫っていたからなのではないか。あの時、トランプ大統領は、SNSに『冷静になれ』『いまは買い時だ』と連続投稿していた。相当、焦っていたのでしょう」(斎藤満氏=前出)
世界180カ国・地域に相互関税をかけるという「トランプ関税」は、しょせん張り子の虎にすぎない。保有していても使えない核兵器と同じだ。もし、使ったら破滅を招いてしまう。
なのに、トランプの脅しに屈して、関税交渉で大幅譲歩したら、バカみたいな話だ。もし、日本が屈したら、後から交渉する国も大幅譲歩を迫られてしまうだろう。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「渡米する赤沢大臣は、国益を守るためなら決裂しても仕方ない、という覚悟で交渉に臨むべきです。もちろん互いに妥協するのがベストです。しかし、ひたすら『お願いします』という懇願姿勢だけでは、どこまでも国益を損なってしまう。そのうえで日本は、TPPなど、アメリカが加入していない多国間の枠組みに目を向けながら、『トランプ関税包囲網』の構築を考えるべきです。TPPには、カナダやメキシコ、ベトナム、豪州、英国など12カ国が加入している。この12カ国が結束するだけでも、大きなパワーになり、アメリカにプレッシャーをかけることになります。逆に、それぞれの国が、個別にアメリカと協議して成果を引き出そうとすると、トランプ大統領の思うツボになってしまいます」
相変わらず、トランプは「アメリカは日本を守るが、日本は我々を守る必要がない」「貿易も同じことが言える」などと、日本を脅している。絶対に日本は安易な譲歩をしてはダメだ。
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