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(2)遅れた備蓄米放出…流通改悪論は否定されるも、政府は「コメ生産不足」を認めず 令和のコメ騒動の深層
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/370198
2025/04/08 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
江藤拓農相が備蓄米21万トン放出を発表=2月14日(C)共同通信社
さすがに米価上昇が止まらず、世間の騒ぎが大きくなってきたので、今年に入ると、ついに備蓄米が放出されることになった。しかし、あくまで、コメは足りているが、流通業者がコメを隠しているのが問題だから、放出の条件に、「流通が支障をきたしている場合」を新たに加えて、コメは足りているが流通是正のために放出すると説明した。
そして、コメは足りているのだから、流通が是正されたら、1年後をめどに放出したコメを買い戻すとした。つまり、放出しても買い戻すので、最終的に流通量は変わらないということになる。これでは、放出の効果は一時的になる。
備蓄米放出が発表されても、コメ価格は上昇し続けた。コメの「不足感」が極めて大きいと言わざるを得ず、「コメ供給は不足していない。流通に問題が生じているだけ」との説明は、いよいよ無理が出てきた。
政府は「21万トンのコメが消えた」と言ったが、21万トンは「消えた」のではなく、大手の集荷業者に集まらず、他に流れたのが21万トンあるということ。「誰かが隠している」と同義ではない。飲食業界などがコメ調達の懸念から農家からの直接買い付けを増やしていることなども大きい。
大手の集荷業者が集荷できなかった分を備蓄米で補充することによって、コメが届くのは大手スーパーなどの流通ルートであり、町の米屋さんなどには行きわたらないとの見方があった。現状は、そのとおりで、一部のスーパーでしか備蓄米は売られていない。つまり、部分的にコメ価格が下がっても、全体的には大きな下落効果は見込めそうにない。
流通悪玉論は本末転倒だ。仮に「買いだめ」が起こっているとしても、市場関係者が「不足感」を感じているからビジネスチャンスとしてさまざまな動きが出るのであって、それを誘発した原因はコメが足りていないことにある。
24年産「先食い」進む
全国の現場の声を聞くと、2024年産米が豊作だったという政府の「作況指数」にも疑問がある。そもそも、@それほど収穫できていない、かつ、A低品質なコメが増えて、玄米から精米にしたときの歩留まり率が落ちている、との見方が多い。白いコメ、割れたコメ、カメムシ斑点米なども多いという。精米歩留まり率は、9割くらいだったのが8割近くに落ちているとの情報もある。
しかし、政府は流通悪玉論を正当化しようと、「投機目的で隠されたコメ」の調査を今年3月に行った。結果は、そういうコメはほとんどなく、関係者が事態の悪化に備えた行動の結果だと判明した。今、24年産米が前倒しでどんどん使われる「先食い」が進み、このままでは25年産米が市場に出始めるまで、コメ在庫が持つかが懸念されている。みなが早めに手当てしようと動いているということだ。
流通悪玉論は否定された。夏ごろにかけてコメ不足が深刻化する可能性がある。それでも政府は、コメ生産が足りていないとは認めない。(つづく)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4587
鈴木宣弘 東京大学教授
1958年、三重県生まれ。82年東大農学部卒。農水省、九州大学教授を経て、06年から東大教授。専門は農業経済学。「食の戦争」(文芸春秋)、「悪夢の食卓」(角川書店)など著書多数。
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