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※2025年4月9日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年4月9日 日刊ゲンダイ2面
「蜜月自慢」は見掛け倒し(C)日刊ゲンダイ
たった20分の電話会談の空っぽとやってるフリ。とはいえ、国民もハナから期待しちゃいない。“国難”に石破降ろしも沈黙で、麻生や茂木も傍観とはいい気なものだ。この国の選択肢は抜け駆けではなく、世界とスクラムを組んで暴走を止めること。
◇ ◇ ◇
「きちんと準備してやったとはとても思えない。電話会談はわずか約20分(※政府発表は約25分)。通訳を介しており、実質的には10分だ。日本の基本的な立場をしっかりと相手に伝えることができたのかは極めて疑問」
「わずか20分の会談は『やったふり会談』だ。本当の会談は、もっと戦略的に覚悟を決めてやらなければいけない。日本はまず毅然とした姿勢を示さなければいけない」
8日午前8時過ぎ。東京・葛飾区のJR新小岩駅前で街頭演説に立った立憲民主党の野田代表が声を張り上げ、こき下ろしていたのが、米国のトランプ大統領と7日夜に電話会談を終えたばかりの石破首相に対してだった。
約1週間前の2日にトランプ米政権が公表した関税措置を巡って行われた日米首脳による電話会談。石破は、日本が世界最大の対米投資国だと説明し、関税措置で日本企業の投資力の減退を招くと懸念を伝達。さらに「一方的な関税ではなく、投資の拡大を含め日米双方の利益になる幅広い協力の在り方を追求すべきだ」などと訴えたという。
会談で日米両国はそれぞれ担当閣僚を指名し、「率直かつ建設的な協議」を続けることを確認。石破は記者団に「協議を通じて米国に措置の見直しを強く求めていく」と強調し、電話会談で何らかの感触を得たかのような物言いだったが、対照的だったのがトランプの反応だ。
情報収集や分析もなく、早く会えばの無計画
《日本は米国にひどい扱いをした》
トランプは会談直後、自身のSNSにこう投稿し、日本の自動車や農産物の貿易に対する不満をぶちまけていたからだ。
立憲の野田も街頭演説で、「トランプ氏がX(旧ツイッター)に不平・不満ばかりをいっぱい投稿している。会談をした意味がなかったということが改めてよくわかった」と切り捨てていたのも当然。とてもじゃないが、石破・トランプの電話会談が大成功に終わり、メデタシメデタシだったわけじゃないことがよく分かるだろう。
右往左往するばかりの政府は8日、とにもかくにもトランプ関税に対応するため、石破と全閣僚で構成する「総合対策本部」を首相官邸で初めて開催。石破は「あらゆる産業に大きな影響を与えかねない」と懸念を表明するとともに「関係省庁と協力、連携の上、政府を挙げて対応してほしい」と強調。資金繰りや雇用維持への懸念が広がっている中小企業や小規模事業者の支援など国内対策に万全を期すよう閣僚に指示した。
これを受け、財務省と農水省も関税措置の対策を検討する省内会議をそれぞれ設置したのだが、たった20分の空っぽの電話会談と“やってるフリ会議”や“やってるフリ支援”に何の意味があるのか。国民もハナから期待しちゃいないが、こんな場当たり的な泥縄対応ではトランプ政権と本気で交渉することなどできるわけがないだろう。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏がこう言う。
「相互関税策に対して米国内でも批判の声が出始めた中、トランプ大統領にどうアプローチするのが効果的なのか。徹底した情報収集や分析が必要です。それもないまま、とにかく早く会えば何とかなる、では無計画にも程がある。欧州などと連携し、協力、協調しながら米国に迫る。それが外交交渉というものです」
トランプ関税でハッキリした日本の政治家の外交能力はゼロの事実
こうなってしまってはもう… 「知らんぷり」/(C)日刊ゲンダイ
米政府と交渉に当たり、関税措置の見直しを求めていく担当閣僚に指名された赤沢経済再生担当相について、林官房長官は「所管分野の状況、本人の手腕や経験などを踏まえて首相が判断した」と説明。さらに「何が国益に資するか、何が最も効果的かを考えながら取り組んでいく」と語っていたが、正直言って誰がやっても同じ結果になるのは目に見えているだろう。
米国の相互関税によって世界同時株安が進行し、各国で「トランプ恐慌」などと懸念する声が飛び交う中でもトランプは意に介さず。「厳しいが公平な条件だ」と主張し、とりあえず交渉には応じる姿勢は示しているものの、妥協しない構えは一切崩していないからだ。
とりわけ、日本に対しては「米国は友好国からも敵対国からも略奪されてきた」「コメに700%の高関税を課している。(米国に)コメを売らせたくないから」「日本で米国車の販売が低迷しているのは不均衡」と言い、一方的かつ憎悪に似た感情すら抱いているわけで、そんなトランプに向かって日本側が「商いは牛のよだれ」などと諭したところで聞く耳を持つはずがない。
それにしても、石破以上に破廉恥なのが自民党国会議員たちだ。米国が相互関税を公表する前は「国がおかしくなる」「参院選は戦えない」などと言って拳を振り上げていたクセに、いざ“国難”に直面した途端、「石破降ろし」は沈黙してしまったからだ。
厳しい関税条件を前に「遺憾」と動揺するだけ
さらに言えば、日頃、トランプとの関係を誇示してきた面々はどうしたのか?
例えば、安倍内閣で経済再生担当相や外相を務め、第1次トランプ政権で結ばれた日米貿易協定の交渉窓口となった自民の茂木前幹事長。自動車や自動車関連部品の追加関税が先送りされた前回の交渉経過や首脳会談の内容を熟知している上、実際、国会でも同様の答弁を繰り返していた。
茂木はメディアでも「トランプ大統領から『タフネゴシエーター』と呼ばれた」などと持ち上げられ、まんざらでもない表情を浮かべていたはずだ。
自民の最高顧問、麻生元首相だってトランプとのパイプをアピールしていた。2024年4月、麻生は大統領選で共和党の指名確保が確実となったトランプとニューヨークで会談。その際、トランプから「非常に有名な男だ。親友のシンゾー(安倍元首相)を通じて知っていた」と歓迎を受け、日本政府関係者が麻生・トランプの関係について「あうんの呼吸」と評する場面もあったと報じられていた。
米政権に相互関税を突きつけられた日本が窮地に立たされた今こそ、トランプと対峙できる「タフネゴシエーター」や、トランプと「あうんの呼吸」で会談できる政治家が必要ではないのか。
にもかかわらず、火中の栗は拾いたくないのか、他に押し付けるかのごとく、そろって傍観とはいい気なものだ。
いずれにしても、今回のトランプ関税でハッキリしたのは、日本の政治家の外交能力はゼロに等しいということ。石破は2月にトランプとの首脳会談を終えた際、NHK番組で「相性は合うと思う」とか言っていたが、ふたを開ければこのありさまだ。
これまで米国の言いなりに従ってきた自民党。独自の外交姿勢どころか、「今だけ」「自分だけ」「カネだけ」ばかりを考え、国民生活そっちのけで党内政治と保身に血道を上げてきたから、外交交渉のスキルなど育つはずもない。
厳しい関税条件を前にして「遺憾」「不本意」と動揺し、口を開けば「日本だけは対象国から外して」という極めてみっともない姿勢なのも、ある意味、当然なのだ。
沖縄国際大学大学院教授の前泊博盛氏はこう言う。
「今回の相互関税はトランプ大統領による思い付き。それによって経済戦争というべき状況が起きているわけです。そうであれば日本が単独で動いてもどうにもなりません。経済秩序を取り戻すため、世界に経済会議の開催を呼びかけるなど、“経済の連合国”をつくる必要があると思います。ボスにもリーダーにもなれない石破首相に果たしてそれができるのか」
日本だけで交渉してもトランプに都合よく利用されるだけ。この国の選択肢は抜け駆けではない。こういう時こそ、世界各国とスクラムを組んで米国に働きかけを強化し、暴走を止めることではないのか。
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