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※2025年3月28日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年3月28日 日刊ゲンダイ2面
またもや大失態(C)日刊ゲンダイ
就任以来、解散の時期、非公認への2000万円配布に始まり、今度の物価高対策の空砲まで、なぜ、かくも失態が続くのか。周囲も遠巻きにする孤独な宰相にもはや、上がり目はないだろう。庶民の暮らしは置き去りにされ、世界の激流にのみ込まれていく前に重大な決断が必要だ。
◇ ◇ ◇
「参院予算委員会の審議中に迷惑、心配をかけて申し訳なく思う」
石破首相が27日国会で、またしても陳謝した。1期生に10万円ずつ配った商品券問題ではない。首相の不用意な発言をめぐって、政権が混乱したからだ。「強力な物価高対策」の一件である。
石破と公明党の斉藤代表が、25日に首相官邸で昼食をとりながら会談。その直後に、斉藤が「石破首相から強力な物価高対策を打ち出す考えを伝えられた」と明かし、「来年度予算案の成立後、間をおかずに、という趣旨だと理解した」とまで踏み込んだのだ。高騰するコメやガソリン価格の抑制が柱になるということで、補正予算案の追加編成を思わせる。内閣支持率が急落する中、夏の参院選向けの経済対策を意識したものだと受け止められた。
ところが、だ。林官房長官は同日夕方の会見で「新たな予算措置ではなく、物価高の克服に取り組んでいく決意を申し上げたもの」とやんわり否定。野党は「国会で審議中の2025年度予算案は不十分だということになる。極めて問題だ」(立憲民主党・大串代表代行)、「参院軽視だ」(同党・斎藤参院国対委員長)と猛反発。で、冒頭のように、石破は陳謝せざるを得なくなったというわけだ。
27日の参院予算委で石破は、「新たな予算措置を打ち出すと申し上げたものではない」と釈明。「食料品や燃料の高騰は、予算と関係ない分野でもいろいろな対応が可能だ」と主張した。
いやいや、本当か。本予算が成立し、新年度に入ったら、前言を翻して「やっぱり補正予算」とか言い出すんじゃないのか。「二枚舌」の“前科”があるだけに信用ならない。
大失態の“戦犯”のもうひとり、公明の斉藤も27日、党の中央幹事会で自らの発言を巡り「参院の予算審議に大変迷惑をかけた」と陳謝した。
こんなブレブレの2人が政権与党の2トップって、この国は大丈夫か、というレベルじゃないか。
「物価高対策は必要だが、打ち出すタイミングも出し方も最悪だった。野党から、なぜ本予算案に盛り込まないのかと攻められたら言い訳のしようがない。最もインパクトのあるタイミングで、大々的にアピールしなきゃいけないのに、2人とも政局がわかってない」(与党関係者)
身内も頭を抱えているというのが実態なのだ。
チーム石破は機能していない 支える人たちがいない
これは政治センスの問題なのか、それとも首相の資質か。思い返してみれば、石破は就任以来、国民を嘆息させることばかり繰り返している。
「党内野党」として正論を吐いてきた石破に対し、世論はこれまでの自公政権とは違う政治を期待した。だが石破は、自民党総裁に選ばれるやいなや、裏金事件をめぐる論戦から逃げる「スピード解散」に踏み切る。「国民に判断材料を提供するのは新首相の責任。本当のやりとりは予算委員会だ」としてきた自らの主張をあっさり反故にした。
衆院選に入ると、裏金問題で非公認となった候補の政党支部に2000万円を支給。“偽装非公認”がバレ、これが選挙の大惨敗と少数与党転落へのトドメとなった。
「熟議の国会」とか言いながら、やってることは国民民主党と日本維新の会を天秤にかけた多数派工作。「103万円の壁引き上げ」と「高校授業料無償化」は予算規模を膨らませただけで、抜本的な税制改正にも教育の充実にもなってやしない。
新年度予算案が参院で異例の再修正となり、衆院での再可決が必要になったのも、高額療養費制度の見直し凍結で、石破の判断が遅れたからだ。
そこへ、「10万円の商品券が手土産」という非常識な金銭感覚を露呈。「石破よ、おまえもか」と国民をトコトン呆れさせ、そして、今度の物価高対策の空砲……。やることなすこと、全てが駄目駄目。なぜ、かくも失態が続くのか。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「物価高対策の話は、もっと別の出し方があったはずで、本来、党の国会対策委員長や幹事長や政調会長、官房長官ら官邸の首相側近が方向性を確認し合わなきゃいけなかった。例えば、安倍政権は強権政権と言われたけれど、何か大きなことがあったら閣僚含め側近らが役割分担を決めて『私は右を言うから、あなたは左、最後にこうやって落とす』みたいなことをやっていた。麻生氏、菅氏、甘利氏、今井秘書官らが集まってね。しかし、いまの石破政権にはそうやって支える人たちがいない。チームとして機能していない。それと、もう一つは公明党との関係。石破首相と斉藤代表は気脈を通じているものの、今回は与党間の連携のマズさが出た。石破首相が本当にやりたい政策には正しいことや世論に近いことが多いのに、それができないのは、チーム石破と自公の連携という2つのガバナンスに問題があるからだと思います」
ついに「トランプ関税」来襲 媚びは通用しなかった
トランプに「日本除外」など、あるわけがない(C)ロイター
そんな右往左往の石破政権に容赦なく襲い掛かるのが「トランプ関税」だ。
日本時間の27日、トランプ米大統領が輸入車と主要部品に25%の追加関税を課すとする文書に署名した。日本も対象だ。新たな自動車関税は来月3日(現地時間)から適用され、乗用車は現行の11倍に当たる27.5%、トラックは2倍の50%になる。主要部品には5月3日までに追加関税が課される方向だ。
石破に武藤経産相と次々訪米し、「日本だけは除外して」と懇願してきたが、かなわず。石破はトランプを「神様に選ばれた人物」とヨイショまでしたのに、トランプは歯牙にもかけなかった。ま、「同盟国はいつか、同盟国ではなくなるかもしれない」とまで言い放つ「アメリカ・ファースト」のトランプに通用するわけがないのだ。
それでも石破は27日、岩屋外相に「わが国が除外されるよう粘り強く交渉して欲しい」と指示したらしいし、武藤も米政府に対し「日本を除外するよう強く申し入れた」と言っていたからこの期に及んで情けない。
27日の東京株式市場は、自動車株が大幅安。日経平均は一時、前日比400円超下落した。自動車メーカーからは「強烈な内容だ」と悲鳴が上がる。石破は27日の参院予算委で、追加関税への対応策について「あらゆる選択肢がある」「何が日本の国益に一番資するか考えなければならない」と答弁していたが、何か奥の手があるとはとても思えない。媚びへつらって、お慈悲を求める外交しかやってこなかったツケだ。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)が言う。
「ディール(取引)に対してはディールで返さないといけない。2月の日米首脳会談の際に石破首相が『何でも買いますから許して』という態度に出たことは、やっぱり失敗だったんだと思います。このままでは、米国にへりくだってきた国にはもっと出してもらおうと、要求が強まるのではないか。対トランプで関税同盟を結成するなど他国との合従連衡が必要でしょう。トランプ米国にはアノマリー(経験則)は通用しない。アノマリーの逆を行かなければ、つけ込まれるだけ。日本外交も今まで通りのやり方ではダメだということです」
円安が止まらず、3年続く物価高も放置され、庶民生活はカツカツだ。そこへ関連会社の裾野の広い日本の基幹産業が大打撃を受ける。多くの国民が巻き込まれていくのは避けられない。
政権を支えるチームが機能せず、周囲も遠巻きにする孤独な宰相に、もはや、上がり目はないだろう。だが政界は、自民党内の「石破降ろし」が止まり、野党も参院選を弱体化した石破政権と戦いたいから、内閣不信任決議案をいったん、封印。奇妙な均衡になっている。
しかし、このまま石破政権でいいのか。この国は一気に沈没してしまうのではないか。世界の激流にのみ込まれていく前に重大な決断が必要だ。
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