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※2025年3月14日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
報復合戦(C)ロイター
いよいよ、狂乱トランプ政権によって、貿易戦争が始まったが、対策も対応もさっぱり見えてこない漂流政権。予算は差し戻され、年金法案もゴタゴタ、庶民はコメも買えない。ついには首相本人に「政治とカネ」の断末魔。
◇ ◇ ◇
タリフマンの狂った貿易戦争が12日、ついに始まった。トランプ米政権が鉄鋼・アルミニウムの輸入製品に25%の追加関税を発動。新たな対象は290品目におよび、輸入総額は日本円で22兆円に上る。
トランプ大統領は発動の前日、「関税が高くなればなるほど、彼らが米国に工場を建設する可能性が高まる」「最大の勝利だ」と高らかに宣言していたそうだが、インフレ必至で、困るのは米国の企業であり消費者だ。すでに足元では怨嗟の声が噴出している。
「うちのアルミ缶の材料はカナダから来てるんだ。どうしたらいいんだ」
「方針がくるくる変わるから、経営の見通しが立てられない」
13日に放送された米CNNの番組では、全米各地のスモールビジネスの経営者が、トランプ関税への不満をブチまけていた。
CNNの最新世論調査でも、トランプの経済政策については不支持が56%に上り、1期目のどの時点よりも悪化したという。世論が真っ二つに分断されている米国で、トランプ政権に批判的なCNNだということを差し引いても、米経済への先行き不透明感が広がっているのは間違いない。景気後退懸念も強まり、ニューヨーク株式市場のダウ平均が半年ぶりの安値水準に落ち込んでもいる。
こりゃどう見ても、トランプの唱える「MAGA(メーク・アメリカ・グレート・アゲイン)」に逆行だろう。
ケインズやマルクスもびっくりの新経済理論
鉄鋼・アルミニウムの追加関税に対しては、すぐにカナダとEU(欧州連合)が報復関税を発表した。
カナダは、トランプ政権が合成麻薬の米国流入を理由に今月4日に導入した25%関税に対し、300億カナダドル(約3.1兆円)相当の米国産品に同率の報復関税を既に課している。今回、298億カナダドル相当をこれに上乗せし、13日に発動した。
EUはバーボンウイスキーなどの酒類やハーレーダビッドソンといった二輪車など計260億ユーロ(約4.2兆円)の米国製品を対象として、4月から報復関税を課す構えだ。
当然、トランプは黙っていない。13日、EUに対して、報復関税を撤回しなければ「EU加盟国から輸入されるワイン、シャンパン、アルコール飲料に200%の関税を課すことになるだろう」とSNSに投稿した。
報復の応酬がエスカレートするばかりなのだ。
米政権は4月2日に「相互関税」の導入を予定する。トランプは「米国にとって非常に重要な日になる」と予告しているが、米国経済のみならず、世界経済にどんな打撃を与えることになるのか、各国が固唾をのんで見守っている。
上智大教授の前嶋和弘氏(現代米国政治)が言う。
「第2次トランプ政権にとっては、関税が外交安全保障や経済の最大のカードです。描くのは、高関税にすれば各国の製造業が米国に直接投資し、国内の関連企業が潤い、雇用も生まれ、米国が復活するというシナリオ。しかし、トランプ大統領は、最近はどうも関税を取引のカードで終わらせるだけでなく、実際に関税をかけてもいいと思っている節がある。高関税により株価は下がるが、関税で米国を復活させるのだから構わないという考え。ケインズやマルクスもびっくりの新経済理論です。マトモな人はそんな理論が通用するわけがないと思っているのですが、この先も貿易戦争は続く。株式市場は『トランプ不況がやってくる。マズい』と身構えている状況です」
言われっぱなしで反論せず。日本政府はつけ込まれる
足元見られ、手ぶらで帰国(C)日刊ゲンダイ
鉄鋼・アルミニウムへのトランプ関税について、日本企業は「直接的な影響は大きくない」として、ひとまず静観している。しかし、4月に25%程度とみられる自動車への関税が発動されれば、影響は甚大。自動車メーカーも自動車産業に大量の鋼材を提供している鉄鋼メーカーも戦々恐々だ。
ところが、日本政府の対応がさっぱり見えない。
林官房長官は記者会見で「日本が除外されない形で追加関税の賦課が開始されたことは遺憾だ」と、毎度の棒読み回答だったし、国会で予算委員会が行われているにもかかわらず、異例の訪米で米閣僚らに直談判した武藤経産相は、日本「除外」の言質を得られず、手ぶらで帰ってきた。
今後の日米関税交渉は事務方が協議をするとされるが、ここまでの経緯を見ると心もとない。カナダやEUのように対抗措置を宣言するでもなく、ひたすら頭を低くして、「特別扱い」を懇願では足元を見られるだけだ。ホワイトハウスのレビット報道官に「日本のコメ関税は700%」とデタラメを言われても、「コメントは差し控える」と曖昧にして否定しないから、トランプ政権はやりたい放題。つけ込まれるばかりだろう。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「日本はおとなしい羊だから米国に噛みついてくることはないと軽く見られているんですよ。武藤経産相の失敗は、鉄という強い武器を交渉材料にしなかったこと。日本の鉄鋼は性能が良く、米国は25%の関税をかけられても買う。ラトニック商務長官が『日本が鉄鋼をダンピングしている』と言いましたが、ダンピングではなく日本の善意で安く売ってあげているそうです。それぐらい高性能な薄板で、自動車は日本の鉄じゃないとつくれない。『困るのはおたくでしょう』と交渉できるはずなのです。トランプ大統領が非関税障壁のせいだとヤリ玉に挙げる日本の対米貿易黒字にしても、一方で日本は、クラウドサービスなどデジタル関連の対米赤字が自動車の黒字と同規模ある。反論材料はあるのに、言われっぱなし。トランプ政権というトンデモ台風に振り回されていると、みんな洪水に流されてしまいますよ」
商品券10万円配布の衝撃
デマやフェイクを拡散してもへっちゃらの大統領が、王様のように我が物顔で振る舞う。これが目下の国際政治だ。これまでの常識は全く通用しなくなった。
ところが、石破政権はトランプへの対抗策を練る以前に、国会審議で右往左往。衆院から参院に送られた新年度予算案は、高額療養費制度の自己負担引き上げの全面凍結に追い込まれたことで、異例の衆院差し戻し。「重要広範議案」のはずの年金改革法案は、政府法案の提出期限である14日までの決定が困難だとして提出が先送りされた。いずれも、自民党が夏の参院選への悪影響を恐れての判断だ。身勝手極まりない与党に、国民は心底、呆れ返っている。
庶民生活は物価高でカツカツ。備蓄米は放出されたが、高騰したコメ価格は下がらない。5キロで4000円近い値段は、昨年のほぼ倍だ。主食のコメが高すぎて買えないなんてあり得ない。「楽しい日本」どころじゃない。
さらには13日、衝撃のニュースが駆け巡った。
石破が自民党の1期生15人前後と、今月3日に公邸で会食した際、首相の事務所が土産名目で1人当たり10万円分の商品券を配っていたことが発覚したのだ。総額百数十万円に上るとみられる。
石破は深夜のぶら下がり取材で「土産代わりにポケットマネーで用意した」「政治活動に関する寄付ではなく、政治資金規正法上の問題はない」と弁明したが、国民の理解を得られるのか。金権腐敗との決別をリードするはずの首相本人に「政治とカネ」問題とは、政権末期の断末魔である。
政治評論家の野上忠興氏が言う。
「なんでそんなことしたのか。政権の命を縮めた。もう持たないんじゃないか。自民党への不信感は裏金問題が原因なのに、総理総裁がカネで不透明なことをやっていては、とても参院選を戦えない」
政局は風雲急を告げている。
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