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※2025年3月8日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
患者団体から署名を受け取る石破首相(C)共同通信社
政権維持のために野党の主張をつまみ食いして延命の石破漂流政権。ひたすら目先の打算だけだが、こんな政治を許している野党の方も大問題だ。政権交代を求めて、「政治とカネ」を含めて、腐敗政治の一掃を。
◇ ◇ ◇
「制度の持続可能性」と繰り返し、予定通りの実施に向け、あんなにかたくなだったのに、またしても前言撤回だ。
石破政権が強引に進めようとしていた「高額療養費制度」の負担上限引き上げは、ついに“全面凍結”に追い込まれた。7日、石破茂首相が患者団体と首相官邸で面会した後、こう表明した。
「患者に不安を与えたまま見直しを実施することは望ましいことではない」
「見直し全体について実施を見合わせると決断した」
今秋までに改めて方針を検討し、決定するという。
医療費が高くなった際の患者の支払いを抑える高額療養費制度は、がんや難病患者のセーフティーネットだ。負担が増えれば治療を断念せざるを得ない人も出てくる。国民の理解が得られていない中での全面凍結は当然だが、ここに至るまでの方針転換は実に3度目。石破はほんの1週間前に2度目の修正を表明したばかりで、二転三転、迷走に迷走を重ねた。
当初は、今年8月から3段階で負担上限を上げる方針だった。しかし、平均的な年収区分でも最大で月額約5万9000円もの負担増には、患者団体を中心に衝撃が広がる。当事者にヒアリングせず、わずか4回の審議会の議論で決まった経緯も批判され、先月14日にまず1度目の修正。年4回以上の「多数回該当」について上限額を据え置く方針に転換した。
だが、それでも反対の声は収まらず、先月28日、来年と再来年の引き上げについては再検討すると、石破が2度目の修正を表明するが、これでは終わらなかった。むしろ、今年8月の引き上げ実施も見直す全面凍結を求める意見が拡大。与党内からも苦言が相次ぎ、とうとう石破は白旗を揚げたのだった。
狙いは参院選でのダメージ回避
これで新年度予算案は再修正が必要となる。参院での議決後に衆院に戻し、再度可決し直すことになりそうで、予算案が衆院を通過した後の再修正は異例だ。
「朝令暮改。石破首相は予算案の修正などで財務省に負い目があるから、せめて今年8月の高額療養費の見直しについては実施したかったが、患者団体に国会の場に出てきて凍結を訴えられた。選挙を控えているため、マズいとなったのでしょう」(政治評論家・野上忠興氏)
その通りで、石破が一転、全面凍結に舵を切った理由は今夏に行われる参院選への悪影響を恐れたからだ。
「受診抑制で命に関わる」という患者団体の悲痛な訴えを受け、立憲民主党と共産党が国会で政権への追及を強めた。最新の世論調査でも、引き上げに「納得できない」が半数超に上った。震え上がったのは今夏改選組の自公の参院議員。
「国民の理解が得られなければ夏の参院選に跳ね返る」
今月5日の参院予算委員会での自民党・佐藤正久幹事長代理のこの発言は、いかにも露骨だった。
つまり、「患者に不安を与えたまま見直しを実施することは望ましいことではない」との石破の弁を額面通りには受け取れないのだ。狙いは、足場の弱い党内への配慮と参院選でのダメージ回避。そして、自らの政権の延命のため。ひたすら目先の打算が透けて見える。
前出の野上忠興氏が言う。
「高額療養費制度の見直しをいったん、凍結したとはいえ、先送りしただけ。これで参院選の“障害”がなくなったとは言えません。『どうせ負担増になるんでしょう』と国民には疑心暗鬼が残る。凍結が参院選にプラスになるとは限りませんよ」
個別の政策実現が「新しい政治」とは冗談じゃない
こんな時代もあった(国民民主の玉木雄一郎代表と日本維新の会の前原誠司共同代表)/(C)日刊ゲンダイ
政権維持に汲々だから、右往左往し、漂流する。衆院で過半数割れした少数与党の悲哀なのだが、ここまでの予算案審議も「熟議」どころか酷い内容だ。石破政権のやっていることは、野党の主張をつまみ食いして、多数を揃えるためなら何でもアリ。相も変わらぬ密室談合政治が続いている。
日本維新の会との間で合意した高校授業料の無償化は、「なぜ私立まで」「なぜ高所得世帯まで」という疑問にきちんと答えることなく、維新の要求をただただのむ形で決まった。国民民主党が主張していた「年収103万円の壁」の見直しも、年収制限付きで160万円まで引き上げることになったが、結局、新たな壁をいくつもつくって複雑化させただけ。税制や社会保障制度の全体像はそっちのけで、財源もデタラメだ。
とはいえ、こんな政治を許している野党の方も大問題なのだ。
新年度予算案が衆院を通過した今月4日、立憲の野田佳彦代表は、維新と国民民主が与党と個別に予算案の修正協議を進めたことについて「野党がまとまればもっとストレートに実現できる。そちらに心を砕いてほしかった」とチクリ。だが、野田が野党をまとめるために、汗をかいて動き回ったかといえば疑問だ。
さらに醜悪だったのは、維新と国民民主の手柄合戦と罵り合いである。
与党と手を握る「ゆ党」レースに敗れた国民民主は、玉木雄一郎代表が「維新に期待したが、これでは手取りが増えない。残念だ」と自身のXに投稿。これに対し、維新の吉村洋文代表は「予算案に反対したら手取りは増えない」と反論。両党の他の幹部も参戦し、足の引っ張り合いが続いている。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「予算案を巡る攻防で、結果的に“勝者”は誰かと言えば『自公』なんです。維新が教育無償化を実現したとか、国民民主が103万円の壁で最後まで突っ張って160万円になったとか解説されていますが、それらは各論にすぎず、本予算の大枠は変わっていない。つまり、経済政策、安全保障、税制など、自公が描くこの国の形は、そのまま通ってしまったわけです。これでいいんですか、という話です。予算通過後の野党各党の発言もみっともなかった。維新と国民民主はいがみ合い、立憲は我が道を行く。野党は一体、何をやっているのか。昨年の総選挙結果は自公政権NOが民意だったはずでしょう」
万年野党でいいのか
現在、立憲の総合選挙対策本部長代行の職にある小沢一郎衆院議員が、4日の記者会見で、バラバラ野党をこんな発言で皮肉っていた。
「みんな自分のことばっかり。欲望をそのままさらけ出したなら、まとまるわけがない」
「自分の内閣をつくれば、自公に頭を下げて頼み込むことはなかった。どうしてそういう発想にならなかったのか。『もう野党でいいんですか』って聞いてごらん。玉木雄一郎くんにも」
「大人に子どもがあめ玉をねだるようなことをやっていたら、いつまでたっても(55年体制下で政権を取らなかった)社会党じゃないか」
欲望をさらけ出す子どもには、あめ玉をなめさせておけばいい。「野党なんてチョロいもの」と与党はナメている。
だから「政治とカネ」の問題にもテキトーだ。企業・団体献金を温存しようとし、金権腐敗にあぐらをかく。厚顔極まりない。
昨年の衆院選で自公が少数に転落したのは、有権者がそんな自公政権に嫌気したからだった。野党は民意に応えられていない。
「自公との部分連合のような協議をする前に、野党は共通点を見つけて、自公とは別の国の形を国民に提示し、政権交代を目指して対決するのが筋でしょう。野党はどうしてひとつにまとまれないのか、非常に疑問です。いま野党がやっていることはまさに、小沢一郎氏が言う55年体制の社会党。個別に政策実現を目指すことを『新しい政治の形』と言う人がいますが、冗談じゃない。古い政治に逆戻りしています。夏の参院選は与野党対決で戦うしかないのだから、もう一度、野党は結集するという覚悟を持ってほしい」(鈴木哲夫氏=前出)
自公政権では何も変わらない。万年野党から脱して、政権を取りに行くことが国民のためだ。
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