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高額療養費改悪凍結という誤報
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2025年3月 1日 植草一秀の『知られざる真実』
石破内閣が高額療養費制度改悪で譲歩するとの報道がなされた。
自己負担額の引き上げを〈凍結〉することを表明すると報じられた。
国民の命綱を断ち切る政策に対する批判が沸騰した。
参院選も控え、石破内閣が制度改悪凍結を受け入れると思われた。
ところが、実際は違った。
2025年8月の自己負担引き上げを予定通りに実施。
26年以降の措置について今秋に結論を得る考えであることが表明された。
政府の〈凍結受け入れ〉はフェイクニュースだった。
2025年8月の自己負担上限引き上げは予定通りに実施するとの方針が示された。
そうなると2025年度予算案の修正は不要になる。
問題は立憲民主党の対応。
これで立憲民主党が予算案の採決に応じるなら、立民の闘争は完敗に終わる。
〈やるやる詐欺〉の首謀者になる。
高額療養費制度改悪に対する主権者の関心が一気に高まった。
政府の存在意義の根幹に関わる問題だからだ。
国民の誰もが必要十分な医療を受けることができる権利を保障する。
これが〈生存権〉保障の根幹。
十分な論議もなく本人負担を大幅に引き上げることは国民の命綱を切ることを意味する。
論議が不十分であったことを認め、まずは25年分の引き上げを凍結する。
当然の対応だ。
政府が修正に応じないなら立民は徹底抗戦する必要がある。
折しも政治とカネの問題では新たな事実が浮かび上がった。
政治資金規正法違反で有罪が確定した旧安倍派の会計責任者だった松本淳一郎元事務局長に対して、衆院予算委員会が2月27日に非公開の聴取を実施。
旧安倍派はいったん停止したパーティー券の資金還流=キックバックを2022年8月の幹部会合で決定したとされる。
松本氏は22年7月に「ある幹部」から資金還流再開を求められたと証言。
松本氏は再開を求めた「ある幹部」の名前を明らかにしなかったが「現職議員ではない」と説明した。
22年8月の幹部会合に出席した議員は現在も現職の西村康稔、世耕弘成両氏、落選した下村博文氏、政界引退した塩谷立氏の4名。
「現職議員でない」との条件に基づけば「資金還流再開を求めたある幹部」は下村氏と塩谷氏のいずれかということになる。
同時に松本氏は聴取で、幹部4人が国会で「8月の会合では結論が出なかった」と説明したことに関し、「なぜ、ああいう発言をしたのか、疑問に思う」と述べたという。
さらに、衆参の政治倫理審査会で、旧安倍派議員が不記載は派閥の会計責任者の指示だったと相次いで証言したことについて、「指示したつもりはない。事務局長に就任する前から派閥にいた議員はそれまでのやり方を踏襲していた」と述べたと報じられた。
この点に関して朝日新聞は松本氏が東京地検特捜部の任意聴取に対する供述で、還流の再開を求められた幹部として、下村博文・元文部科学相の名前を挙げていたことが分かった、と報じた。
自民党裏金事件発生の経緯は明らかにされていない。
そのなかで、裏金事件発生の核心部分の事実が明らかにされ始めている。
28日の衆院予算委員会で立民の野田佳彦代表は旧安倍派幹部の国会への参考人招致を求めたが、石破首相は応じなかった。
下村氏等の旧安倍派幹部を国会に参考人として招致すべきことは当然。
その上で証人喚問も必要になる。
高額療養費制度改悪について、国民の命綱を断ち切る制度改悪を安易に容認することは許されない。
野党第一党として立民がどのような対応を示すのかを主権者国民は凝視しなければならない。
与党は旧安倍派幹部の国会招致を認める必要がある。
同時に高額療養費制度改悪にかかる2025年度予算案を修正する必要がある。
立民は要求が受け入れられなければ実力行使の行動を取るべきだ。
すべての国会審議に応じないなどの強い姿勢を示すべきだ。
立民が安易な姿勢で予算案採決に応じることは、高額療養費制度改悪に加担すること、自民党裏金事件のあいまい処理に加担することを意味する。
衆院予算案審議終盤での立民対応を注視しなければならない。
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