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※2025年2月22日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
妥協と打算の政治(C)日刊ゲンダイ
石破政権になぜ、有権者はNOを突きつけたのか。政治とカネ、大企業優遇、物価高放置、経済低迷ではなかったか。政権交代以外にないのに、刹那の手取り増で与党に手を貸すゆ党、狭間で右往左往の政治迷走。この際、下野したらどうだ、石破さん。
◇ ◇ ◇
新年度予算案を巡る与野党の“駆け引き”は、一言で言って「グロテスク」だ。
衆院で過半数を割り込む少数与党の石破政権は、野党の協力を得て賛成票を投じてもらわなければ予算案を成立させられず、「ゆ党」を取り込む個別協議が延々と続いている。
「高校授業料無償化」を掲げて予算案修正を求める日本維新の会とは、石破首相─前原共同代表の個人的な親密さもあり、早々に協議が前進。石破が17日に衆院予算委員会で、公立だけでなく私立についても授業料の支援金引き上げを明言し、18日には自民、公明、維新の政調会長がテーブルに着いた。
19、20日は、それぞれ時間を置いて2度にわたる3党協議が行われ、21日、合意文書案がまとまった。柱となる文言は、私立高校生向け就学支援金を「45万7000円に引き上げる」と、維新側のもうひとつの条件だった社会保障改革に関して「医療費総額の年間4兆円削減を念頭に置く」である。
21日中に3党の党首会談が行われ、合意文書に署名するとの見通しも一部で報じられていたが、土壇場で維新がゴネ、3連休明けの25日に正式合意の方向だ。
維新の吉村代表(大阪府知事)は21日出演したBSフジ番組で、合意文書案について「実行すれば維新が掲げたことを実現できる」と発言。文書案には、「予算案を修正した上で、年度内の早期に成立させる」とあり、維新の賛成で予算案成立は確実となる。
コソコソ密室協議の茶番
もうひとつの「ゆ党」国民民主党と自公との協議も見苦しい。
所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」をめぐる攻防は、昨年末の「123万円」を不十分だと突っぱねた国民民主に対し、自民は「最大160万円」に引き上げる案を提示。しかし、恩恵があるのは年収200万円以下だけ。500万円以下にも若干、非課税枠を広げるものの、国民民主だけでなく公明にも不評で、ついに21日、公明は非課税枠拡大の年収制限を850万円以下まで引き上げる案を出してきた。
税制はシンプルで分かりやすいことが基本なのに、妥協案をつくるために新たに複数の壁をつくって制度をややこしくしているのだから度し難い。バナナの叩き売りが、「ならば、これでどうだ!」とばかりに奥から商品を出してきたみたいなもので、「手取りが増える」に期待した庶民には、もはや何がどうなっているのか、訳がわからないんじゃないか。
もっとも、維新が予算案に賛成するなら、国民民主の協力は不要。自民の“愛人”の座を巡って維新に敗れ、ポイ捨てされそうな国民民主は唇を噛んでいる状態だ。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「連日、自公維や自公国の3党協議が行われ、さまざまな案が話し合われているということですが、すべてが密室での協議です。なぜコソコソするのか。国会で堂々とやらないのか。密室である以上、『本当は裏で手を握っているけれど、今日はわざとケンカをしよう』などという可能性だってある。高校授業料無償化や年収の壁については、他党もそれぞれ考えを持っているのだから、しっかり予算委で議論すればいい。3党協議が当たり前のように報じられ、当たり前のように受け止められているけれど、国対政治や密室政治の最たるものです。大事な予算案なのに、決め方、進め方がおかしい。せっかく与野党で議席数が拮抗し、石破首相自身が『熟議』と言うのなら、密室ではなく表でやらないと。3党協議だって、オープンな場でやったらいいじゃないですか。まったく茶番です」
野党は自公とは別の国家像を掲げて、別の政権をつくるのがスジ
連日の密室協議(自公維の政調会長)/(C)日刊ゲンダイ
結局、自公が多数を持ちやりたい放題だった安倍、菅、岸田政権時代と変わらず、水面下ですべてが決まっていく政治が続いている。これは国民が望んだ政権の姿なのか。
昨年10月の衆院選で石破政権が過半数割れしたのは、自公が牛耳る政治にホトホト嫌気がさした有権者がNOを突きつけたからだった。
底ナシ沼のような「政治とカネ」問題はいまだ収束させられない。自民が本気で国民の不信感を払拭しようとしないからだ。旧安倍派の会計責任者の参考人聴取さえ、ドタキャンで逃げる。21日の予算委で石破は、「真相解明に向け、疑惑隠しなどと言われないよう党総裁として努力する」と答弁していたが、毎度口ばっかりで、誰も信用しやしない。
法人税減税や輸出企業が喜ぶ円安誘導など、自民にガッポリ献金してくれる大企業を長年、優遇してきた一方で、トリクルダウンの幻想を振りまき庶民イジメ。それは、2年以上続く狂乱物価高が最たるもので、岸田も石破もこれを放置し、むしろ加速させた。今年は4月までのわずか4カ月で、値上げされる食料品が1万品目を突破するのは確実。海外からのインバウンド客が「日本は安い」と大挙して押し寄せる一方で、庶民はキャベツもコメも高くて買えない。
政権がアピールする大幅賃上げも大企業だけの話で中小企業は置いてきぼりだ。こんなニッポン、こんな経済に誰がした、なのである。
政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「政治とカネにしろ、物価高を放置していることにしろ、自民党は反省なんて全然していませんよ。企業・団体献金をもらうことだって当たり前に思っているから、禁止に抵抗するどころか、何が問題なのかと開き直っている。もっとも、野党が国民の意思をしっかり代弁せず、共闘することなくバラバラだから、自民は楽なもの。有権者にNOを突きつけられたはずの今まで通りの政治を続けられる。野党の責任も大きい」
「ゆ党囲い込み」で打算と妥協の政治
予算案を巡る密室協議は、そんな国民そっちのけのデタラメ政権を助けるだけのものでしかない。衆院選の結果を受けて、石破政権を下野させるのが野党の仕事じゃないのか。
税制全体の改革からほど遠い、刹那の手取り増で与党に手を貸す国民民主。元来「ゆ党」のうえ、不人気の大阪・関西万博への全面支援の思惑で政権にスリ寄る維新。両党の手柄獲得合戦がこの国の政治をますます劣化させている。
「自分たちの公約を通すために自公にボールを投げ、実現すれば予算案に賛成する。維新と国民民主のやっていることはそういうことですが、それを“新しい政治”だと考えるのなら勘違いも甚だしい。それだったら、永遠に自公政権のままでいいということになる。それに、国の形をつくっているのが本予算だから、一つや二つの政策を通してくれたら賛成するのなら、それはもはや、ゆ党どころか与党ですよ。有権者が自民党に猛省を促したのが昨年の衆院選の結果でした。野党が進むべくは政権交代でしょう。野党は自公とは別の国家像を掲げて別の政権をつくるのがスジです。高校授業料無償化も年収の壁撤廃も、立憲民主党や共産党と協議した方がむしろ進みますよ」(鈴木哲夫氏=前出)
石破政権は国民と維新をてんびんにかけているつもりでも、いがみ合い、張り合う両党がハードルを上げるから、その狭間で右往左往。予算案の金額も膨張していく。熟議どころか政治全体が迷走しているのが実態だ。
3月2日までの予算案の衆院通過は日程的に厳しくなっている。党利党略の密室協議がまだ続くのか……。小泉進次郎元環境相が「維新と国民民主の予算案修正要求を受け入れるなら、連立を打診すべきだ」と批判めいた発言をしていたが、中途半端な「ゆ党囲い込み」で妥協と打算の政治を続けるぐらいなら、この際、下野したらどうだ、石破さん。
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