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※2025年2月21日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年2月21日 日刊ゲンダイ2面
“ゆ党”の協力で、少数与党予算案があっさり通過の見込み。こんな政権が存続で本当にいいのか(C)日刊ゲンダイ
ゆ党がすり寄り、予算通過のめどがついたからだろうが、この政党の本質は何も変わっていないことが満天下に露呈した。ふざけた参考人招致も命を軽視した医療費改悪もあり得ないような政治だ。野党は何でもできるのに、こんな政党が政権存続で本当にいいのか。
◇ ◇ ◇
少数与党には大きな関門──などと指摘されていたが、2025年度予算案は、あっさり衆院を通過しそうだ。
与党でもなく野党でもない“ゆ党”の「日本維新の会」が、予算案に賛成することがほぼ確実になってきたからだ。野党第2党の維新の会が賛成に回れば、過半数を大きく上回る。
すでに、予算案採決の前提となる中央公聴会の開催が25日に設定されている。ハプニングがない限り、来週28日には衆院を通過する見込みだ。
維新の会が予算案に賛成するのは、一枚看板に掲げている「高校授業料の無償化」について、石破首相が予算案を修正して応じると国会で答弁したからだ。
首相答弁を引き出した前原共同代表は「満額回答に近い」と大喜びし、石破も「維新とはもう大丈夫だ」と、予算案の成立に自信を見せているという。きのう(20日)も前原は、「教育無償化、社会保険料の引き下げで条件が整えば、予算案に賛成する」と記者会見で明言している。
もう一つの“ゆ党”、「国民民主党」は、いわゆる「103万円の壁」をどこまで引き上げるか、金額をめぐって自民党と駆け引きをつづけているが、いまのところ決裂するつもりはサラサラなく「最後には予算案に賛成するのではないか」とみられている。
しかし、本来、立場が強いはずの多数野党が、少数与党にスリ寄り、予算案に賛成するのは、どう考えてもおかしいのではないか。
「維新も国民民主も、自民党の両てんびん作戦にまんまとはまっている格好です。少数与党の石破政権は、予算案に賛成してくれるなら、立憲でも、維新でも、国民民主でも、どこでもいいというのがホンネでしょう。ポイントは、1つの政党でコト足りるということです。
その結果、維新も国民民主も、先陣争いというか、自分たちの政策実現を優先して欲しいと、自民党にアピールする形になっている。今回、石破政権が維新を抱き込んだのは、安上がりだからでしょう。高校教育を無償化しても歳出は6000億円程度ですが、『103万円の壁』を国民民主の要求通り、178万円まで引き上げると7兆〜8兆円の財源が必要になります。それと、関西万博を抱える維新は、どうしても政府の協力が欲しい。石破政権と維新との間には『政府が万博を全面支援する代わりに、維新は予算案に賛成する』という阿吽の呼吸もあったのだと思う。要するに利害の一致、ウィンウィンということなのでしょう」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
がん患者には「治療を諦めろ」ということか
欲しいのは目の前の手柄だけ(C)日刊ゲンダイ
しかし、維新の会は、この予算案に本当に賛成するつもりなのか。欠陥だらけの予算案を成立させていいと本気で思っているのか。
なにしろ、総額115兆円と過去最大に膨張した予算案は、ムダのオンパレードである。立憲民主党がちょっと見直しただけで3兆8000億円もカットできるという。
防衛費も8兆7000億円と過去最大を更新。2023〜27年度の防衛費総額を43兆円にすると決定してしまったため、「規模ありき」で予算が膨らんでいる。
信じられないのは、人命を軽視する「高額療養費制度」の改悪案まで盛り込まれていることだ。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局での窓口負担が一定額を超えると払い戻されるというもの。長期入院や大きな手術、がんや白血病などで医療費が高額になった患者の負担を抑えるセーフティーネットである。
たとえば、年収500万円の人が長期入院して医療費が100万円かかった場合、窓口負担は3割の30万円になるが、高額療養費制度を利用すると21万3000円が払い戻され、自己負担は8万7000円で済む。
ところが石破政権は、この自己負担の「上限額」を引き上げることを昨年末に決定。今年8月から27年8月にかけて段階的に引き上げていく予定だ。
自己負担額の「上限額」は年収によって異なるが、年収約600万円の人の場合、現在の「上限額」は月8万100円だが、27年8月には月11万3400円になるという。月に3万円も増える。
この負担増は、利用者には死活問題だろう。とくに、がん患者など治療が長期になるケースでは、命に直結しかねない。がん患者は、仕事を辞めなければいけない場合もあり、ただでさえ経済的に苦しくなることが多いからだ。医療費負担が重くなったら、支払いが難しくなり、治療回数を減らしたり、治療を断念する患者も出てくるに違いない。
25年度予算案は、この「高額療養費制度」の変更を前提にして組まれている。
「石破政権は昨年末、患者の意見を一切、聞かずに、高額療養費の上限引き上げを決めています。財政が厳しいから上限額を引き上げるというのなら、なぜ、アメリカから購入するミサイルの数を減らさないのか。維新の会は、本当に予算案に賛成するのでしょうか」(五十嵐仁氏=前出)
「分断作戦」にやられている維新と国民民主
少数与党に陥った自公政権は、野党の協力がなければ、法案を1本も通せず、予算案を成立させることもできない。本来、多数を握った野党は、強気に出られるはずだ。
なのに、維新も国民民主も、われ先にと自民党に近づいているのだから、どうしようもない。
昨年、石破政権が補正予算案を提出した時も、維新と国民民主は、先を争うように賛成に回っていた。これでは、自民党になめられるだけだろう。
その証拠に、あれだけ組織的な「裏金づくり」が批判されたのに、自民党はまったく反省していない。安倍派の会計責任者だった人物の参考人招致を拒否し、やっと国会外での参考人聴取に応じたと思ったら、今度は「日時と場所は非公開にしろ」「質問内容は制限する」などと要求してくるのだから、ふざけるにも程があるというものだ。
その挙げ句、がん患者など、重い病気を抱える人に容赦なく負担増を突きつけている。
庶民をバカにし、腐敗堕落した自民党の本質は、少しも変わっていない。
それもこれも、維新と国民民主が、自民党をつけあがらせているからだ。
「昨年の衆院選で自民党が大敗し、自公政権が過半数を割ったのは、『腐敗した自民党政治はウンザリだ』という有権者のメッセージだったと思う。野党は有権者の意思を重く受け止め、自民党に厳しくあたるのが当然だった。なのに、維新と国民民主は、手柄争いに走り、実績をあげるために、自民党にスリ寄っている状況です。しかも、競い合うだけでなく、いがみ合っている。なぜ、野党同士、タッグを組んで自民党と対峙しないのか。野党が結束して大きな塊となれば、石破政権に対してだって、もっと大きな要求ができるはず。野党が結束していれば、安倍派の会計責任者の参考人招致だって、とっくに実現していたでしょう。ところが、維新も国民民主も、自民党しか見ていない。これでは、少数与党もラクですよ」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
おぞましいことに、自民党の「分断作戦」にやられた維新と国民民主は、「邪魔した維新にも責任がある」「他党のせいにするな」と罵りあう始末だ。自民党は高笑いしているに違いない。
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