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※紙面抜粋
※2025年2月17日 日刊ゲンダイ2面
日米従属関係を見直す好機だ 石破訪米を「大成功」と報じた大メディアの目は節穴
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/367811
2025/02/17 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
どこが「大成功」か。政府は慌てて「日本は除外して」と嘆願(関税についての大統領令に署名=右)/(C)日刊ゲンダ
媚びただけの日米首脳会談を成功と持ち上げたメディアが自動車、鉄鋼への関税に慌てふためき、 「日本にも重大影響」などと報じる笑止。トランプが世界秩序の破壊者であるという認識がないからだないからだ。
政府は慌てて「日本は除外して」と嘆願をしているが、この際、日米関係の見直しが必要。
◇ ◇ ◇
どこが「大成功」だったのか。
米国のトランプ大統領が来月12日から米国が輸入する鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を課すと表明。4月2日ごろには輸入される自動車の関税も引き上げると言い出した。もちろん日本も例外ではない。
7日に行われた日米首脳会談でトランプ大統領に媚びへつらった石破首相を「よくやった!」と持ち上げていた政府関係者と大メディアは大慌てだ。
ドイツ・ミュンヘンで開催された安全保障会議に合わせて、トランプ政権発足後、初の日米韓外相会談が15日に行われたが、その後に岩屋外相が米国のルビオ国務長官と関税措置について協議。鉄鋼とアルミニウムの輸入品に対する関税について、日本を対象から除外するよう嘆願した。
だが、それで「はい、そうですか」と聞くような相手ではないことも分かっているはずだ。トランプは13日、その国独自の商習慣や規制など「非関税障壁」が多い国を標的にして高関税をかける「相互関税」の導入も打ち出した。日本の消費税や独自の安全基準も敵対視される可能性がある。
大メディアは今さらのように「日本にも重大影響」などと報じているが、笑止千万だ。
「カナダやメキシコといった同盟国、近隣国にも高関税をかけるトランプ氏ですから、日本への厳しい関税措置も当初から予見できたことです。ところが、日米首脳会談が『うまくいった』とメディアが持ち上げたせいで、日本は関税措置の対象外になるのではないかという楽観ムードが広がっていた。フタを開けてみれば、鉄鋼や自動車に容赦なく関税をかけられることになりそうで、慌てているのが現状です。特に自動車への高関税は影響が大きく、日本経済全体にダメージを与えるでしょう」(元外務省国際情報局長の孫崎享氏)
米国の利益に付き従うのか
トランプは、第1次政権時から自動車輸入の多さを問題視していた。2024年の米国の自動車輸出額は約580億ドルだが、輸入額は約2100億ドルと4倍近い。これが巨額の貿易赤字の原因だと考えているのだ。米国にとって、日本はメキシコに次いで2番目に額が大きい自動車輸入先となっている。
日本側から見ても、貿易統計によれば24年の米国への総輸出額21兆2951億円のうち、自動車は最多の6兆261億円で、全体の3割近くを占める。
現在、米国は輸入される乗用車に2.5%の関税を課しているが、これが輸入トラック並みの25%に引き上げられでもしたら、関連企業は大打撃だ。その影響が日本経済全体に波及するのは間違いない。
自らを「タリフマン=関税男」と称するトランプの関税攻撃を回避するには、日本の自動車メーカーが米国内に次々と工場を建設し、多くの雇用創出に貢献するしかなさそうだ。トランプの本当の狙いはそこにあるという見方もある。関税措置をチラつかせた「ディール」だ。
関税を武器に脅しをかけ、相手国から譲歩を引き出す。それが「MAGA(Make America Great Again=米国を再び偉大な国にする)」であり、米国の国益だけを振りかざすのがトランプ流だ。そういう手法に怯え、慌て、付き従うだけの日本なのである。
奴隷根性が染みついた大メディアが絶賛した
米国への輸出の3割が自動車(C)日刊ゲンダイ
毎日新聞と社会調査研究センターが15、16日に実施した全国世論調査で、石破内閣の支持率は前回調査(1月18、19日)より2ポイント増の30%となり、2カ月ぶりに30%を回復。共同通信の調査では1月調査から3.9ポイントも上がって内閣支持率は39.6%だった。
この間、仕事らしいことを何もしていないのに支持率が回復したのは、大メディアが先日の石破訪米を「大成功」「上出来」と持ち上げまくった影響だろう。
石破は首脳会談でひたすら取り入った。暗殺未遂を生き延びたトランプを「神様から選ばれた人物」とまで表現し、「MAGAはラストベルトの忘れ去られた人々に対する思いやり」などと、おべんちゃらを言っていた。
そうやってトランプに媚びまくり、挙げ句に高い関税を課されそうになっている。こんな恥ずかしい首脳会談を大メディアは「大成功」と報じたのだ。その目はまったくもって節穴というほかない。
大メディアからすれば、石破が首脳会談でトランプ様のご機嫌を損ねなかったことが成功に見えたわけで、どこまでも奴隷根性が染みついている。トランプが世界秩序の破壊者であるという認識がないのだ。
16日の読売新聞1面で米政治学者のフランシス・フクヤマ氏がこう書いていた。
<権威主義の指導者は、三権分立の相互抑制や国際的な規範に縛られるのを嫌い、自己流を押し通すため法律に逆らう。トランプ大統領が、まさに行っていることである>
<就任以降、トランプ氏は米政府の形を作り変える何十もの大統領令を発令した。その多くは明らかに違法だし、憲法に反するものもあろう>
<トランプ氏の最も常軌を逸した行動は外交分野で見られる>
<第2次大戦後に世界が達成した成果の一つは、諸大国が他国の領土を軍事力で奪取することがあってはならないという規範の受諾である>
<ロシアのプーチン大統領は2014年と22年のウクライナ侵略で、この規範を大きく踏みにじった。そして中国は軍事力で台湾を奪還しようとたくらむ。トランプ氏は事実上、この両国に青信号を出し、大国の勢力圏という19世紀的な概念を復活させたのである>──。
自立的外交が国益につながる
トランプはパナマ運河を奪還すると宣言し、デンマークがグリーンランドの支配権を米国に渡さなければ過酷な関税を課すと脅した上、軍事力行使も辞さないと威嚇する。
さらにはパレスチナ自治区のガザを米国の支配下に置くという。
米国の利益のためなら世界秩序なんて関係ない。そういうトランプと、彼を大統領に選んだ米国は世界からどう見られているか。錯乱状態の米国に日本はどこまで付き従うつもりなのか。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「米国の顔色をうかがって従属している場合ではない。トランプ氏のやり方はあまりにメチャクチャで、先進国はマトモに相手にできないでしょう。真の友好国ならば『こんなことをしていたら国際社会から孤立する』と米国に忠告すべきだし、日米関係を見直すチャンスでもあります。この際、付加価値税がトランプ氏から批判されているEU諸国と足並みをそろえて、米国抜きの経済圏を築き上げる方法もある。それで困るのは米国です。トランプ氏の横暴を好機ととらえて自主的、自立的な外交に舵を切り、米国にも言うべきことを言った方が日本の国益になりますし、国際社会全体にとっても好ましい。その中で日本が信頼され、評価されることにもつながります」
石破は、第55代内閣総理大臣の石橋湛山を尊敬していると公言している。これまでも所信表明演説や施政方針演説で湛山の言葉を引用してきたが、自身の首相就任に際して「向米一辺倒にはならない」と宣言したのが湛山だ。
かねて主張していた日米地位協定の見直しも首相になった途端に封印してしまった石破に期待はできないが、大メディアも変わらず米国至上主義でトランプの言動に右往左往するだけでいいのか。
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