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※2025年2月13日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年2月13日 日刊ゲンダイ2面
食料安保も棚上げ(C)日刊ゲンダイ
石破首相はトランプからいじめられなかったことで舞い上がっているが、案の定のヌカ喜び。武器やLNGの爆買い約束の一方で、庶民はコメを筆頭にした物価高騰に悲鳴をあげている。政府は一部業者の買い占めに責任転嫁しているが、支離滅裂な農政のツケなのは明白だ。
◇ ◇ ◇
コメが高い、高すぎる。生協で定期購入している「無洗米産直秋田あきたこまち」(5キロ)は、この3カ月で1000円近く値上がりした。ニッポンの食卓に欠かせない主食のコメは、みるみる高級食材化。手が出なくなる日は、そう遠くないかもしれない。「エンゲル係数」がバカ上がりするわけである。消費支出に占める食費の割合を示し、低いほど暮らしにゆとりがあるとされるおなじみの物差しだ。
総務省が今月発表した2024年の家計調査によると、2人以上の世帯が使ったお金のうち、食費を示すエンゲル係数は28.3%。28.8%を記録した1981年以降で最も高く、43年ぶりの高水準となった。上昇は2年連続。いわゆる先進国の中で断トツと言っていい。OECD(経済協力開発機構)の直近データによると、23年は米国16.4%、英国22.3%。両国とも、コロナ禍からの正常化で急伸したインフレの退治に躍起になっていた頃だ。同時期の日本は、それを上回る27.8%だった。
こうなった要因は、言うまでもなく身近な食品の高騰だ。24年の消費者物価指数はコメ類が前年より27.7%も上がり、29%超だった75年以来の伸びだった。おかず作りで何かと重宝するキャベツやタマネギも2割以上も高くなった。もっとも、天候不順の影響を受けやすい野菜の値上がりは致し方ない面がある。しかし、コメは違う。自民党政権はコメ余りを理由に減反政策を推し進めてきたんじゃなかったのか。
庶民の暮らしより農業票
米価急騰の引き金は、昨年8月の南海トラフ地震の臨時情報発表だった。被災不安から買いだめが後を絶たず、スーパーの売り場からコメが消えた。当時の坂本農相は「新米が順次供給され、円滑なコメの流通が進めば、需給バランスの中で一定の価格水準に落ち着いてくるものと考えている」とおうように構えていたが、新米が出回り始める10月を過ぎても、価格上昇に歯止めはかからない。
にもかかわらず、石破政権の腰は重かった。24年産の生産量が前年と比べて18万トン多くなる見込みなのに対し、農協など主要な集荷業者が昨年末までに確保できたのは21万トン少なかったことから、値上がり期待の売り渋りに米価高騰の理由を求め続けているのだ。政府は年間需要量700万トンの1割強にあたる91万トンの備蓄米を抱えている。昨夏から放出を求める声が高まっていたが、「凶作時のみ」とする運用ルールをタテに一貫して拒否してきた。なぜか。先月24日の閣議後会見での江藤農相の発言が雄弁だ。
「やはり備蓄米を出すことになれば、せっかく米価が高いところまで上がってきて、生産コストを賄え、将来に明るい兆しができた。そこで、国が在庫を出すことについては、反発もあるかもしれません」
つまり、米価が高止まりすれば自民党を支える農家は潤う。農林族の集票マシンが機能する。族議員におもねる農水官僚も安泰という構図である。3年以上も続く物価高騰に悲鳴を上げる庶民は眼中にない。
減反継続すれば備蓄米放出も焼け石に水
政府備蓄米は91万トン(C)共同通信社
事態がわずかに動いたのは先月末。備蓄米の運用ルールを見直し、流通混乱時にも放出できるように変更。ただし、生産者の売り渋りを前提に、在庫が出回るのを狙った「口先介入」の腹積もりだった。ところが、効果はほぼナシ。流通が改善する気配もない。25年度当初予算案の審議で野党から物価高対策の追加を求められている石破首相が焦り、4日の閣僚懇談会で対応方針を指示。7日の閣議後会見で備蓄米放出を表明した江藤が14日、対象者や数量、入札の方法を発表する。
東大大学院教授の鈴木宣弘氏(農業経済学)はこう言う。
「政府は米価高騰の原因を流通側に押し付けていますが、とんでもない。コメの生産量が不足しているのは間違いありません。コメが余っていると言い張る自民党政権は、農家にコメを作るなと言い続けてきた。赤字に陥ってもロクに補填しないため、コメの生産者は減り続けている。失策が足元の需給逼迫と価格の高止まりを招いたのです。政府は備蓄米放出にあたり、1年以内に同品質かつ同量のコメを買い戻すことを条件とするとしていますが、それでは総量は変わらない。構造的解決にはつながらず、来年以降もコメ不足が続くでしょう。現状をきちんと把握し、増産に向けて政策を切り替える。米価が下落したら、生産者に補助金を支給する。そうして価格を安定させ、同時に需要も拡大させないと、コメ農家は消滅してしまう。日本人の命を守れなくなりますよ」
政府は一部業者の買い占めにも責任転嫁しているが、支離滅裂な農政のツケが回っているのは明白だ。およそ10年前のバター不足、酪農家が生乳廃棄に追い込まれた2年前の「牛乳ショック」も、増産と減産を場当たり的に求めるデタラメに起因したものだった。
だらしのない野党も同罪
日銀の植田総裁は12日の衆院財務金融委員会で、生鮮食品を含む食品の値上がりは「一時的なものでは必ずしもない」と指摘。昨年12月の生鮮食品を除く全国の消費者物価指数は前年同月比3.0%上昇した。生鮮食品を含めると3.6%の上昇だった。実質賃金は3年近くマイナス続き。心底この先が思いやられる。政治評論家の本澤二郎氏はこう話す。
「『陰の首相』とも呼ばれる自民党の森山幹事長は農水族のボス格。米価の高止まりは利害関係者にとってウハウハの展開です。アベノミクスによる円安誘導で輸出企業をボロ儲けさせ、財閥を肥え太らせたのと同じ理屈ですから、森山幹事長が暗躍しているのではないか。そう勘繰りたくもなります。物価上昇は消費税収の増加に直結する一方、庶民はどんどんむしり取られていく。怒りしか湧いてきません。それにしても、野党は一体何をやっているのか。石破政権は衆院で少数与党。25年度当初予算案の年度内成立を人質に、強力な物価高対策を要求すべきでしょう。政権をひっくり返すくらいの気構えで大同団結する好機なのに、党利党略を優先してバラバラ。だらしのない野党も自公政権と同罪です」
石破は首相就任後初の訪米で、思いのほかトランプ大統領からいじめられなかったと舞い上がっているが、案の定のぬか喜び。庶民の暮らしを蔑ろにしながら、米国製武器やLNG(液化天然ガス)の爆買いを約束してきた。野党は数が増えても大してあてにならない。食料品の消費税撤廃は急務。自民党政権の無策には国民的な一揆が必要だ。
決して大げさな話ではない。
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