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※2025年2月4日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年2月4日 日刊ゲンダイ2面
世界がトランプ暴挙に身構えるなか、訪米して何をどう交渉するのか。毅然と交渉できるのか(C)日刊ゲンダイ
この日の株価が象徴だが、自由貿易からの逆行、貿易戦争への懸念から世界が身構えているトランプ暴挙。緊迫の中、訪米する石破首相は何をどう交渉するのか。
米国のガスを買い、ともに中国敵視で歩調を合わせ、武器爆買いの朝貢外交を今、世界はどう見るのか。
◇ ◇ ◇
「不法移民やひどい薬物によって多くの市民が殺されている。私は米国民を守らなければならない」──。「タリフ(関税)マン」は、カナダとメキシコへの25%の関税と中国への10%の追加関税を課す大統領令に署名し、直後に自身のSNSにこう書き込んだ。「アメリカ・ファースト」全開である。
4日の関税発動を前に、3日の東京株式市場はトランプ・ショックで大パニック。日経平均株価の終値(3万8520円09銭)は前週末比1052円40銭安と大暴落し、ほぼ全面安の展開だった。報復合戦への懸念と世界経済の先行き不透明感が高まり、今年最大の下げ幅となった。
下落が目立ったのは、関税政策で打撃を受ける自動車関連株だ。カナダとメキシコには、トヨタや日産など日系の自動車メーカーや部品メーカーが米国向け輸出拠点として工場を構える。自由貿易協定(FTA)が前提だっただけに影響は甚大で、「関税分を値上げすれば販売台数を維持できない」(自動車メーカー関係者)と悲鳴が上がった。
カナダやメキシコは、すぐさま報復関税をかけると発表し、中国もWTO(世界貿易機関)に提訴すると表明。しかし、発動が迫ると、3日のトップ協議で急転直下、対メキシコの関税発動を1カ月延期することで両国が合意。メキシコのシェインバウム大統領は、麻薬問題について対処するため国境管理を即座に強化することでトランプ大統領と合意したと明らかにした。またカナダのトルドー首相も日本時間4日朝、自身のXで、トランプと協議した結果、同国に対する25%の関税発動が1カ月延期されると明らかにした。
まさに北朝鮮もびっくりの瀬戸際外交。もっとも、いったん、延期とはいえトランプの暴挙はとどまるところを知らない。世界は身構えるとともに怒りに震えている。
「掘って掘って掘りまくれ」に呼応
そんな緊迫の中、飛んで火に入る夏の虫が石破首相だ。今月6〜8日の日程で訪米し、7日に首脳会談を予定している。
石破訪米について記者団に聞かれたトランプは、「日本に多大な敬意を抱いている。日本が好きだ。楽しみにしている」と好反応を示した。大統領就任後にトランプが会う外国首脳としては、4日に会談予定のイスラエル・ネタニヤフ首相に次ぐ2人目となる見通し。石破周辺は「日米関係を重視する表れ」だと気を良くしているらしい。
石破は会談を通じて「日米両方の国益を満たす新しい形の日米同盟」の構築を目指すのだという。そのためのトランプご機嫌取りとも言える「訪米メニュー」も準備中だ。日経新聞などによれば、防衛力強化の取り組みや、日本が米国への最大の直接投資国であることを説明しつつ、「米国からの液化天然ガス(LNG)輸入拡大に前向きな考えを示す」という。トランプの「掘って掘って掘りまくれ」のエネルギー政策に、いち早く呼応しようということだ。
中国抑止でも米国と歩調を合わせ、「開かれたインド太平洋」の実現への協力を確認する。防衛分野を念頭に人工知能(AI)などの先端技術や装備品の共同開発・生産も話し合う見通しだ。トランプに年内の来日も要請するという。
あらゆる手を尽くしてトランプを喜ばせ、日本への直接の関税攻撃を回避しようという戦略か。これは奏功するのか。世界はどう見るのか。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。
「日本は長年、ジャパンハンドラーの要請に応えてきました。しかし、その延長線上でトランプ政権向けのメニューを作って、『日米関係を強化する』『自由主義を守る』などと訴えても意味がない。なぜなら、ジャパンハンドラーは今や民主党寄りで、トランプ大統領にとっては“敵陣営”の要請であり、望むものではないからです。トランプ氏が何を求めているのかを見極めないままの石破首相の訪米は、単なる表敬訪問でしかない。トランプ氏に『愛いやつだ』と思ってもらいたいがための、自身の政権延命策でしょう。世界各国はトランプ氏と真剣にディール(交渉)をしなければならないと身構えているので、むしろ今は様子見をしている。首脳会談を急ぐ日本は、米国に媚びていると見られるでしょうね」
米国にとって都合よく富をくれる国
安倍元首相の負の遺産「イージス・アショア」/(C)共同通信社
石破は3日の衆院予算委員会の答弁でも、中国を念頭に、「力による現状変更は認められないこと、法の支配の概念をトランプ大統領と共有する」と強調していた。
トランプとの首脳会談で、やはり気になるのは、防衛費増額を要求されるのかどうかだ。
先月31日、中谷防衛相がヘグセス米国防長官と初の電話会談を行った。そこで、沖縄県の尖閣諸島について、米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が適用されることを改めて確認。日米同盟を強化する取り組みをトランプ政権下でも継続する方針で一致したという。
あわせて、中谷は日本が2022年に策定した防衛3文書に基づき、防衛費をGDP(国内総生産)比2%に増額する方針を説明。ヘグセスはこれを歓迎した上で、さらなる増額を含む取り組みの必要性を示唆したというから、不穏な空気である。
第1次政権時のトランプは口を開けば、安倍元首相に「武器を買え」と押し売りしてきた。それを受け入れ、安倍が米国の武器輸出制度である「対外有償軍事援助(FMS)」の支払額を以前の10倍超にまで膨らませたことを思い出す。
防衛ジャーナリストの半田滋氏はこう言う。
「トランプ大統領はここまで日本についてほとんど言及していない。それは原体験から、日本は黙っていてもすり寄ってくる国だと分かっているからでしょう。米国にとって都合よく富をくれる国だと思われているわけです。実際、安倍元首相はトランプ氏に要求されるがまま武器を爆買いしてきた。陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』を購入する契約をしたはいいが、地上に配備できず、仕方なく艦船に載せるという“負の遺産”まで残した。トランプ氏はNATO加盟国に防衛費のGDP比5%への引き上げを主張していますから、日本へも同様の要求をしてくる可能性はある。『防衛費をもっと増やせ』というのは『武器をもっと買え』ということ。次は米陸軍が採用を決めたオスプレイ後継機『V280バロー』をトップセールスしてくるのではないか」
トランプに法の支配は通用しない
訪米日程がなかなか決まらず、トランプ面会では安倍昭恵氏にも先を越され、自民党内で冷ややかな目を向けられている石破。党内向けの配慮とパフォーマンスで、安倍時代のような「ドナルド=シンゾー」とファーストネームで呼び合う親密関係を構築しなければいけないと考えているのか。
「トランプ大統領にどんなお土産を持っていったらいいか、石破首相がいろんな人に聞いて回っている」(官邸事情通)というから、大丈夫か、と言いたくなる。
「石破首相は焦って訪米すべきではなかった。日米関係において重要なのは対中国政策ですが、トランプ政権内ではまだこれが固まっていない。ヘグセス国防長官は軍事面でこれまで通りの対中強硬路線を推し進めていますが、今やトランプ最側近のイーロン・マスク氏は貿易や経済で中国から利益を得ようという路線。両者がせめぎ合っている状態です。対中政策の方向性が決まるまで、訪米は待つべきでした」(孫崎享氏=前出)
「両国の国益を満たす新しい形の同盟築く」と言うはやすしだが、トランプを目の前にして、石破は日本の国益を主張できるのかどうか。
そもそも、法の支配が通用しないのがトランプである。狂乱の大統領令乱発と米国内の混乱を見せつけられ、世界の国々は次のターゲットになることに怯えながらも、トランプ政権の行方を冷静に見極めようとしている。そんな中で、石破が朝貢外交をやれば、世界で孤立してしまいかねない。日本はこれまでと変わらぬ対米追従で、米国と心中することになるのか。
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