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※2024年12月5日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2024年12月5日 日刊ゲンダイ2面
日韓(日米韓)の連携・結束を固めてきたばかりだったが…(代表撮影・共同)
韓国・尹政権の戒厳令騒ぎは半日にして終結したが、おそらく政権は崩壊、日本との蜜月もこれまでだろう。トランプ政権が発足すれば、日米韓の連携も漂流、そこに独、仏を筆頭に欧州の混乱が加わる未曾有の事態に政権維持すら精いっぱいの外交オンチ首相の命運。
◇ ◇ ◇
何が狙いだったのか。こんなことが現実に起きるのか。混乱が続いている。
韓国の尹錫悦大統領が3日夜、緊急談話を発表し、国会で過半数を握る野党が多数の弾劾訴追を試み「国政がまひ状態にある」などとして、「非常戒厳(戒厳令)」を宣言した。国防省は軍に警戒態勢の強化を指示。戒厳司令部は、国会や政党などの政治活動を禁止し、言論と出版を統制すると布告令を発表した。
「戒厳令」と言えば、通常、戦争やそれに準じる国家非常事態に陥った際に発令されるものだ。違反者は令状なしで逮捕や拘禁される。かつて軍事政権下の韓国では何度か出されているが、1987年の民主化後は初めてである。
唐突な強権発動に、韓国国内は大騒ぎになったが、結局、国会は4日未明、戒厳令の解除を求める決議案を可決。韓国の憲法では、国会議員の過半数が賛成し解除を求めた場合、大統領はこれを解除しなければならないと定めている。ここで万事休す。発令から6時間後の午前4時半ごろ、尹は戒厳令を解除したのだった。
解除を求める国会の決議には、議席の過半数を占める最大野党「共に民主党」だけでなく、与党議員18人を含む190人の全出席議員が賛成した。与党「国民の力」の韓東勲代表ですら、「国民と共に誤った戒厳を必ず防ぎ、自由民主主義を守る」と戒厳令を批判する談話を発表するほどで、尹の行動は無理筋としか言いようがなかった。
韓国メディアは、戒厳令の背景に、10%台後半に低迷する尹政権の支持率や夫人をめぐるいくつもの不正疑惑があり、「追い込まれて自滅した」などと伝えている。
市民がSNSで「連帯」呼びかけ
それにしても、韓国の民主主義はマトモだ。
戒厳令解除を求める国会決議が可決しただけでなく、国会の外でも大勢の市民や政党関係者らが「尹錫悦を逮捕せよ」と声を張り上げ、戒厳令に抵抗した。市民がSNSで国会議員に向けて国会外での抗議の様子を送り、「連帯」を呼びかける動きもあったという。
国際会議出席でちょうどソウルに滞在中のシンクタンク「新外交イニシアティブ(ND)」代表の猿田佐世氏は、まさに市民が続々集まり、警察を止める場面を目撃したと、こう話す。
「会議後に皆で懇親していたところ、『戒厳令が出された』と知らされ、一同騒然。国会近くだったので、国会前へ行ってみると、人が集まり始めたところでした。真夜中なのに、大学生らしき若い人もたくさんいて、20代から60代くらいまで幅広い人が集まっていました。戒厳令下で令状なしの逮捕が可能になっているにもかかわらず、警察車両が国会に入らないよう、体を張って止めていた。『軍が来る、みんな軍を入れさせるな!』と、誰かれともなく声を掛け合っていました。韓国には軍事政権から民主化を勝ち取った歴史がある。最近でも、朴槿恵元大統領を弾劾で失職させたように、声を上げ、動けば政治が変わるという意識がとても強い。そこは日本とは違うなと思いました」
尹政権は今後どうなるのか。
野党6党は4日、国会に尹の弾劾訴追案を提出した。野党は戒厳令の発出が憲法違反に当たるとしている。可決には3分の2の賛成が必要で、野党だけでは足りないが、与党にも戒厳令を非難する声が出ており、弾劾が可決される可能性がある。
すでに、大統領府の首席秘書官などの高官らが一斉に辞意表明し、逃げ出す動きが表面化している。国務委員(閣僚)全員も韓悳洙首相に対し、辞意を伝えたと報じられている。
弾劾が可決された場合、大統領の職務は停止され、首相が権限を代行する。可決後、180日以内に憲法裁判所が「弾劾は妥当」との判断を下すと尹は罷免される。おそらく、尹政権はもうもたないだろう。
石破訪韓は絶望的、日本外交の先行きは暗澹
韓国の民主主義はマトモだ(左=韓国の尹大統領)、果たして外交オンチ首相で日本の国際情勢は大丈夫か(聯合=共同)
この事態は、日韓関係への影響が計り知れない。2022年に保守系の尹政権になって以来、両国の関係は劇的に改善してきていたからだ。
昨年3月、尹政権が元徴用工問題の解決策を打ち出したことが契機となり、当時の岸田首相との間で首脳の相互訪問「シャトル外交」が再開。北朝鮮の動向を踏まえた日米韓3カ国の連携も進んだ。
来年は日韓国交正常化60周年の節目を迎える。関係改善の流れを維持すべく、石破首相が年明け1月上旬に訪韓し、尹との首脳会談を調整しているが、韓国内の政治的混乱は当面続く。
超党派の日韓議員連盟は、会長の菅元首相の今月中旬の訪韓を中止すると4日に決定した。今月下旬に訪韓予定だった中谷防衛相も延期の方向だ。
日韓の「蜜月」ももはやこれまでか。韓国の最大野党「共に民主党」は対日強硬路線だ。尹政権の対日政策を「屈従外交」と批判してきた。野党に政権交代するようなことになったら、日本にとってはやっかいだ。
国際ジャーナリストの春名幹男氏が言う。
「石破首相の訪韓は中止にならざるを得ないでしょう。北朝鮮がロシアと緊密な関係になり、非常に危険な状況の中で、日米韓で連携して結束を固めてきたわけですが、尹政権が崩壊すれば、この先の日韓関係は見通せません。今の野党が強くなれば、日本に対する注文が増えてくるでしょうから、過去の歴史問題を横に置いて日韓関係を前に進めていくというわけにはいかなくなる。日本にとってはマイナス材料しかありません」
外相経験なく、心もとない
韓国だけじゃない。米欧含め国際政治は漂流している。
米国は来年1月に再びのトランプ政権に移行するが、すでに閣僚らの人事で独裁色全開。トランプ次期大統領の米国第一の強硬姿勢は日本に対しても例外ではなく、今月2日、日本製鉄による大手鉄鋼メーカー「USスチール」の買収計画を阻止する考えを自身のSNSであらためて表明した。石破が買収計画の承認を求める書簡をバイデン大統領に送ったと報じられた直後のことで、まるで嫌がらせだ。
そこへ欧州2大国の混乱が加わる。独では先月、予算を巡る対立から連立政権が崩壊。今月16日にショルツ首相の信任投票が行われるが、少数与党で不信任となる見通しで、来年2月に総選挙の見込みだ。仏でも4日にバルニエ内閣の不信任案が可決された。極右政党「国民連合」と左派連合「新人民戦線」の左右両方から不信任案を突きつけられるというメチャクチャ。任命したマクロン大統領も窮地に追い込まれる。
まさに未曽有の事態。少数与党で政権維持すら精いっぱい、リーダーシップも発揮できない外交オンチ首相で激動の国際政治を乗り切れるのか。
「先月のAPECやG20を見ても、石破外交がスムーズに動き出したとはとても言えません。年明けの訪韓が中止になれば、さらに出はなをくじかれる。安全保障面では、英独仏は近年、海軍の艦船を東アジアに派遣するなど中国への牽制を示してきていました。アジアの不安定化は経済面を含め欧州にとっても良くないという判断です。しかし、独仏の政権がガタガタすれば、東アジアへの関心が後退する恐れがある。これほど世界情勢が厳しい時に、外相経験のない石破首相で乗り切れるのかというと、心もとない。厳しい時期だからこそ、例えば、日中韓で平和を模索するなどの動きに出たらいいのではとも思いますが、石破首相は原則論の人なので、なかなか踏み出せない。トランプ大統領との関係づくりも簡単ではないでしょう。日本外交の先行きは暗澹たる状況です」(春名幹男氏=前出)
このタイミングに石破政権。運の尽きを呪うしかないのか。
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